約 106,078 件
https://w.atwiki.jp/1919victorique/pages/85.html
先週はプリキュア映画を口実に集団サボタージュした老害たちだったが、この日は6人全員の老害が無事集合した。 練習の最初のほうでは、照井が謎のノッカー、野球がそのキャッチャーをしたりと貢献していた一部老害であったが、だんだん老害の人数が増えてくると態度は一転。 打撃練習になると、下記、ソルト、入来の老害戦犯たちがレフトに3人固まり、恒例の軟球による草サッカーらしきスポーツを楽しんでいたのだった。 しかも、よりにもよって綺麗な新球を蹴るという、ぐうの音も出ないほどのカスっぷり。 これに照井・野球や下山さんまでを巻き込み、グラブトスを混ぜたり、穴を掘ってゴルフをしたりとやりたい放題の戦犯たちであったが、これには流石に老害筆頭林も激怒。 林シフトをあざ笑うかのような流し打ちを連発し、戦犯たちに打球の雨を浴びせた。 だが、サッカーに盛り上がっていた老害たちは、この打球をことごとくスルー。 老害たちには熱いブーイングが浴びせられ、センターを守っていたアベケン氏、サードの吹田君らが露骨に嫌そうな顔をしていたのは言うまでもない。 「このままでは打撃練習をさせてもらえない」「やべぇよ、やべぇよ…」と焦った入来を中心に、徐々に内外野に散っていくサッカー部員たち。 最後は照井・野球両名が林筆頭から戦力外通告され、無事草サッカー部は解散した。 結局、入来が柵越えを連発した打撃練習が終わると、野球・照井は打撃練習を自粛、入来と長い脚を見せつける秀太さんを加え、コンビニまでオナズリを探しに出かける。 安心と信頼のシモスタ横コンビニでは無事オナズリ第5弾が発見され、3本のうまい棒コーンスープ味他と共に購入。 入来は黄金の右腕で1パックを選び、野球は照井の1パックを含めた5パックを店員に適当に選ばれた。 そしてシモスタまで戻ると、既に試合のチーム分けが済んでおり、もちろん入来ら3人の老害はハブられていたのだった。 これに激怒した3人だったが、試合のことなどそっちのけで夢中でオナズリを開封する。 「ダルのパックを選んだ」と豪語した入来だったが、案の定カスパックを掴まされていた。 一方、野球は見事SS杉内を引き当てたのだった。 野球と入来、なぜ差がついたのか… 試合は、先攻・林チーム、後攻・リグスチームという、ヤクルトファン同士の覇権をかけた熱いデスマッチである。 まず、林キャプテンがハブられた3老害を救済。 これを7・8・9番に据えることによってコンボ「【老】恐怖の下位打線トリオ」が発動したのだった。 1回表、2死2・3塁のチャンスでバッターは5番林。 「ここで打てなかったら戦犯だぞ」「林はシフト敷いときゃ安牌」などの熱い声援が浴びせられたが、相手先発ガリーの球を左方向へ綺麗に流し打ち、先制のタイムリーヒットを放つ。 これに対して常勝老害軍は、「俺達の林」「林はわしが育てた」などとコメントした。 その後、ソルト死刑囚が2打席連続でライトを狙い打って安打数を稼いだり、入来のスーパープレイが生まれたりして、結局リグス軍がサヨナラ勝利。 林軍曹は涙目敗走したのだった。 試合後は一部老害のゴリ押しで打撃練習会が開催されたが、徐々に人が増えてきたところで老害たちは面白くなくなり、それぞれ思い思いに散っていく。 その後も適当に練習が行われていたが、練習の虫であったはずのAB型下記容疑者がしきりに時間を気にしだす。 「はやく終わらないかな」「もう10分経った」などと圧力をかけ、まだ日が落ちていなかったものの、練習は終了。 森ノ宮駅までの道中、野球はいつの間にかいなくなっており、すっかり忘れられていた今岡工作員も行方不明。 今日は解散でよいのではないか? などと囁かれたが、神酒容疑者のエロカード調達に付き合うため、結局今日も梅田を徘徊することにした老害一同。 そして、大阪駅で神酒容疑者と林君が急に催す。 「うートイレトイレ」といつもの裏日本ルートのハッテン場のトイレへと急ぐ二人。 そのトイレの入口前には、まさに「なおまにあわんもよう」な感じのゲロが飛び散っていた。 これに興奮した神酒虚カス容疑者は、その場で絶頂射精。 更に飽き足らないミキンタマ(37)は、既に処女も童貞も捨て去った金髪林を強姦、絶頂、射精。 スッキリした神酒死刑囚だったが、その後エレベーターでキンタマを挟まれ、駆けつけた駅員によって線路まで運ばれてサンダーバードに轢かれたところで無事死亡が確認された。 この件について大正義原監督は「やあ。ぼくミッキーだよ(ニッコリ」と意外と甲高い澄んだ声で答え、周囲の失笑を買った。 なお、次の練習には間に合う模様。 エレベーターの中で入来と照井がハッテンしたり、ソルト不審者死刑囚が通行人に通報されたりと和気あいあいとした老害一同は、いつも通りのテンプレルートでヨドバシへ。 プリティーなんちゃらのかのんちゃんの記録が抹消されていたり、この前ビックカメラで野球がやっていた糞ゲーの輸入が発見されたりしたが、何と言っても最大の発見はオナズリカードダス。 幼女を監禁しに行く道中にこれを発見した林筆頭には「よくやった」の熱い声援が飛び交った。 そして老害全員で一回ずつカードダスをするも、当たりはST片岡を引いた照井のみ。 これに不満な入来は、金にモノを言わせてカードダスを引きまくり、なんとかST栗山を獲得したのだった。 結局、「やっぱ林ってクソだわ」という厳しい判定が下されたのだった。 カードダスにはSSが入っていない疑惑も出ているが、これでSSを出した者が初代老害グランプリ王者となる運びである。 プリティー林は、かのんちゃんの記録が消えたのをいいことに、遂にヨドバシまで制圧し、はしゃぐ。 野球が愛していた動物ゲーがついに撤去されていたことにニヤニヤする老害たちであったが、オナズリ第5弾箱があるとの吉報が入ると、そのことなど忘れてすぐに駆けつける。 そして5人で金を出し合い、1箱を購入する。 この時、本名と引換にヨドバシポイントを稼ぐと思われた入来であったが、1箱分のポイントで2パックを追加購入するファインプレーを見せた。 老害の夢と希望が詰まったオナズリ箱を手に第二休憩室へと向かった老害たちだったが、ショッキングな光を目の当たりにする。 老害指定席である第二休憩室は撤去され、たくさんの謎の鞄が占拠していたのだ。 流石の老害たちもこれには落胆を隠せず、仕方なくアニメイト前の広場という寒空の下でオナズリ開封会を行うはめになったのであった。 神酒プロエロカーダーが東方パックを手に入れた後、神聖なるオナズリ開封の儀式が執り行なわれた。 アニメイト前広場の1つの机には4つの椅子が設置されていたのだが、この日の老害は5人。 隣から椅子を強奪してこようにも、シーモ対策なのか、鎖で繋がれている。 「おめーの席ねーから」という言葉がフラッシュバックした老害たちであったが、林がベースを椅子にするという措置を取り、無事事なきを得た。 2パック追加購入のファインプレーをした入来から時計回りで1パックずつ選んでいき、開封。 次は反時計回りで…を繰り返して行われたのだが、SSは栗原、GRは梵など、その中身は見事な広島球団箱であった。 入来はNS中田翔とST稲葉、林とソルトにも贔屓球団のSTが一枚ずつ出たのだが、神酒の横浜のレアは一枚も出ず、大敗北となった。 照井以外の老害は「ヨドバシの広島顔の店員を絶対に許さない」と口にした。 ちなみに、追加の2パックも言うまでもなくゴミであった。 モス(笑)には目もくれず恒例のサイゼリヤへと足を運ぶ老害たち。 林筆頭がいつもの如く颯爽と予約を入れたのだが、老害は軽くスルーされて2人客が次々と入っていく。 これに憤慨した老害一同は、「絶対10時まで居座ってやる」と心構えを口にした。サイゼリヤは大拍手で沸いた。 今日も数種類の新規メニューを開拓した老害たちは、10時になるとそそくさと退散し、本日も無事解散したのだった。
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/4502.html
. ––––––––-僕は普通の文学青年であって、例えば異世界に転生したりとか、例えば幽霊に憑依されて囲碁の世界で活躍したりとか、そんな幸運はない ピカマン「死兆星が鳴いている、天へ帰る時が来たのだ」 文学青年「た、助けてくれー!タステクレー!」 ––––––––ただ強いて言えば、不幸は皆平等に訪れる可能性を持っていて、その失敗を踏むものことそのものが悲劇なのだと考える マリオ「今助けるぞ」テッコツポーイ 鉄骨「そこの君!鉄骨が当たったよ!」 –––––––––だからこれは、救いも何もない、無益な悲劇の物語 ピカマン「これも運命か–––––––」グシャ 文学青年「ごゔぁっ」グシャ ------------強いて言えば、こうなる前にもっとマシな幕引きを誰かに渡して欲しかった 患者「内臓が激しく損傷!ダメです止血間に合いません!」 医者「もう一方の患者の内臓は無事だ、遺族には私から説明する!」 -----------これは紛れもない、道化の物語なのだから ピカマン「信じてくれ!僕は”人間”だったんだッ!!」 プリン「そう言う君は目の前のそれが人間に見えるのかね」 ピカマン「見える」 ピカマン「逆に言えば、自らを人間と主張するそれが岩の塊とかよく分からないものに見える」 ピカマン「教えてくれ、君は何者なんだ。なぜ君だけがこの世界で唯一『人間』に見える」 プリン「かつて人間を同族と認識していた君が人間ではなくなったと言うことさ」 教えてよ 教えてよ その仕組みを -変身- クイントA「パターン黒、間違いありません使徒です!SSレート、超大型ゴッキブリ、来ます!」 クイントB「衛生兵ー!衛生兵ー!」 クイントC「ダメだ!ダメだ!ダメだ!ダメだ!」 クインドD「DAISUKE」 ニオ「何をしているクズ共、ただ死ね!そしてせめて死に意味を持たせろ!さぁ、私のために死んでこい!お前たちは弾丸なのだ!炸裂弾だ!」 クイント達「「「「「お師匠様ばんざーーーーーーイ!!!!」」」」」 \バンザーイ!!/\バンザーイ!!/\バンザーイ!!/\コロシテヤルウウウウ!!!/\バンザーイ!/\エイセイヘーイ!!/\オシショウサマバンザアアイ!!/\ウワアアアア!!/\タスケテクレー!!/ サタナエル「やめたまえ君達。争いは争いしか生まない。つまりもう手遅れなんだ、はるか昔に争いを始めた時点で手遅れなんだ 戦争は一つの種だ、細菌だ、やっぱり手遅れだ!皆戦え!死ぬまで戦え!みんな死ぬまで戦い続けろ!!」 じょうじ「じょうじ!じょう!じょうすけ!」 サタ萎える「いいぞ殺せ!」 –––––––––2018年 6/15 それはまだ梅雨であろうにも関わらずと言う我々の認識の甘さをあざ笑うかのように奴らは下水道より進軍を始めた God of キブリニチ。略してゴキブリ、八頭身で人と形容しがたい顔をしたあの屈強な生物が我々を侵略しにやってくる 台所に出現するどころの騒ぎではない、奴らは我々の生活領域を侵略し、平然と生を謳歌するつもりなのだ ピカマン「(無言の指ポキ)」 –––––––––これに対抗するべく政府軍は『徴兵制度』を施行した だが民から叩き上げの兵など弾除けにすらならない。これを解決するべく『スーパーソルジャー』計画が施行された 実験は失敗、人々はことごとく『ピカマン』と言う異形へと変貌し、かつて人であったと言う薄ぼんやりとした認識と、 それを奪った権力への臓腑のみを糧に活動し、ゴキブリも、人も関係なく殺しにかかる人類の脅威なのだ クイント達「ウワアアアア–––––––––-!!」 –––––––––これらを掃討するべく大魔導士ニオ=タソがスプレッター社の財源を利用しクローンクイント部隊を編成 『人類などどうでもいい、ピカマンとゴキブリが消えてくれればまた静かな暮らしが帰ってくる』 と、首脳会談の場で彼女は涼しい顔をして語った。これには温厚で有名なロバート大統領は苦笑し、クロフォード総理は匙を投げたという 今こうして、外敵VS人類の失敗VS究極の自己中、どれが勝ち残ったとしても人類は元の生活へ戻ることなど許されない領域に突入していた どうしようもない事態へ直面した時、人々はやるせなさからか、せめて攻撃対象を探そうとささやかな抵抗として『責任問題』を追求し始めた 「そもそもなぜゴキブリがこうなるまで進化したのです!」 「原子力発電所に生息していたゴキブリだと聞き及んでおりますが!」 「ピカマンは元々徴兵された人間だとのことですが!」 「総理!お答えください総理!」「いやこれは陸軍が勝手に忖度を」 「忖度っていうのはですね!えー忖度というのは、つまり私が忖度したのです?」 「知るかハゲ!コノハゲー!バーカ!」 「静粛にお願いします!静粛にバックします!」 「いるさ!ここにな!」 「ここ好き!」 「そのカップリングはない!」 「同じコマにいた!!!!!!」 「なんでこんなことで言い争ってるんですかね…」 「もうみんな死ねばいいと思う」 これを是正するチャンスは誰にでもあった ゴキブリが進化する可能性はニュースで報じられていたが政治の無関心を国民は咎めなかった、 徴兵制が施行される兆候はあったが、誰もそれに危機感が及ばなかった、 そもそも上記の二つがなければクイント部隊は編成されなかった 誰にでも止められた、誰にでも声を上げることはできた、そして誰もそうしなかった この手記を残す私でさえ、その愚かなりし傍観者の一人であったのだと強く認識し、叶うならこの身を捧げて、 それを引き換えに天におわしになる主に人類を救っていただきたい だがそれはもはや叶わない、何せこれそのものが天罰に、主の怒りに等しいのだと、痛感しているから いつだって目に見える問題を先送りにしてきた、我々の咎を負うのは、我々の他にないのだから––––––だから カ ッ 「なんだあれは!」「ピカマン……いや違う!」「ライチュウだ!ライマン!?いや、もうめんどくさいからライナーでいいや!」 超大型八頭身ライチュウ「オアアアアアアアァァァァァァ––––––––––––––––– ッッッ!!!!」 私はこの体になっても尚立ち向かう この魂に人としての尊厳がある限り、何度だって立ち上がり、そして困難に向かっていく 私は人だ、どんな姿になっても尚、私であり続ける。だから諦めるな、私にはできる、しがない文学青年だった私にも きっと、勇気を持って立ち向かえば–––––––––––––––––––– ┣¨ ンッ ライチュウ「」チーン…… ライチュウ(あれ? 私は負けたのか?) ライチュウ(待って待って、何これおかしい) サタナエル「あーあー、負けちゃいましたねぇ」 ニオ「まぁこんなこともあるさ。来世では付いていますように」 ––––––––––よっちゃんの味噌汁 陸軍はまだそんなものを隠し持っていたというのか……ッ! なぜだ、私は立ち向かったのに、人類のために立ち向かったのに……なぜ私までこうなる、なぜ私まであの核兵器の攻撃対象になる サタナエル「そりゃお前、人間じゃないからだよ」 ライチュウマン「う”わ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!」 市長「いやぁ効きますねよっちゃんの味噌汁。山田くん、これ箱で買いなさい」 市長「この過ちは人類から始まった」 市長「であれば人類がケリをつけなくては。子供だって散らかした玩具は片つけますよ」 市長「そしてものに心があったとしても、当たり前に処分するのですから」 市長「ご安心を、あなた一人、徴兵された被験体の方々、ニオナントカさん」 市長「全員殺したところで、遺族が悲しみに暮れようと、人類史は続きますよ」 ガララッ のりしお「そうはさせん!」 市長「何!お前は!?」 のりしお「ファイナルエクスプロージョンンン––––––––––––––– ッ!!!!!!!!!!!!!!」 市長「た、タスケテー!!!!!」 こうして人類は救われたし悪も去った だが失ったものは永遠に取り戻せない、時計は前へ進み続けるのだから…… クイント「ていう夢を見たんですけど」 ニオ「やっぱり安眠薬ってロクなものじゃないわ」 Happy end .
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2300.html
(ゆっくりできないあいつ) れいむは待っていた。もうすぐあいつが来る時間。ゆっくりできないあいつがやって来る。 れいむはじっと待っている。今日こそ、今日こそあいつをゆっくりさせてみせる。 れいむと飼い主のお兄さんがこの町に越してきてから2週間。だいぶ新しい環境にも慣れてきた。 新しいおうちは前のよりも広々としてゆっくりできるし、近所の人達もゆっくりとしたいい人ばかりだ。 だが、ここには以前住んでいた処にはいなかった、ゆっくりできないあいつがいる。 あいつはいつも決まった時間にれいむのおうちの裏を通る。 真黒な体。その体と同じ真黒な煙を吹きながら、おうちのすぐ裏を駆け抜けていく。 れいむはいつも呼びかける。あいつが通る度に呼びかける。ゆっくりする様呼びかける。 しかし、あいつは決まって「ゴオオオオオオオオオオオ」という唸り声をあげて、れいむの声を無視して走り去る。 昨日もそうだった。れいむの「ゆっくりしてええええええええ!!!」という叫びはあいつの唸りにかき消された。 そしてあいつは日に何度もれいむのおうちの裏を往復するのだ。「ゆっくりして」と叫ぶれいむをあざ笑う様に。 ゆるせない。ゆるせない。なんだってあいつはあんなにゆっくりしていないのだ。 ゆっくりは素晴らしい。この素晴らしさを皆にも知って欲しい。だかられいむは皆に「ゆっくりして」と呼びかける。 なのにあいつは知らんぷり。れいむの言う事など聞こうともしない。 今日こそあいつに解らせてやる。ゆっくりは素晴らしいんだ。もっとゆっくりするべきなんだ。 大丈夫。今日は秘策を用意している。一晩かけて考えた必殺技。これならゆっくりできないあいつでもイチコロだ。 必ずゆっくりさせられる。そしてゆっくりがどんなに素晴らしいものなのか、ゆっくりと教えてあげよう。 時間だ。あいつがやってくる時間。遠くから微かにあいつの唸りが聞こえてくる。 れいむは駆け上がる。あいつがいつも通る小高い丘の上へ。 最後の一歩。枕木の上にぴょんと着地すると、あいつが来る方へくるりと向き直る。 そして体中のバネを使い天高く跳び上がると、あらん限りの大声で決め台詞を発した。 「ゆっくりしていってね!!!」 ベチャァ!!! end 作者名 ツェ
https://w.atwiki.jp/mormon/pages/1128.html
エレミ50 エレミヤ書 第50章 エレミ50 1 主が預言者エレミヤによって語られたバビロンとカルデヤびとの地の事についての言葉。 エレミ50 2 国々のうちに告げ、また触れ示せよ。旗を立てて、隠すことなく触れ示して言え、’バビロンは取られ、ベ ルははずかしめられ、メロダクは砕かれ、その像ははずかしめられ、その偶像は砕かれる’と。 エレミ50 3 それは、北の方から1つの国民がきて、これを攻め、その地を荒らして、住む人もないようにするからで ある。人も獣もみな逃げ去ってしまう。 エレミ50 4 主は言われる、その日その時、イスラエルの民とユダの民は共に帰ってくる。彼らは嘆きながら帰ってく る。そしてその時、主を求める。 エレミ50 5 彼らは顔をシオンに向けて、その道を問い、’さあ、われわれは永遠に忘れられることのない契約を結ん で主に連なろう’と言う。 エレミ50 6 わたしの民は迷える羊の群れである。その牧者がこれをいざなって、山に踏み迷わせたので、山から丘 へと行きめぐり、その休む所を忘れた。 エレミ50 7 これに会う者はみなこれを食べた。その敵は言った、’われわれに罪はない。彼らがそのまことのすみか である主、先祖たちの希望であった主に対して罪を犯したのだ’と。 エレミ50 8 バビロンのうちから逃げよ。カルデヤびとの地から出よ。群れの前に行く雄やぎのようにせよ。 エレミ50 9 見よ、わたしは大きい国々を起し集めて、北の地からバビロンに攻めこさせる。彼らはこれに向かって勢 ぞろいをし、これをその所から取る。彼らの矢はむなしく帰らない老齢な勇士のようである。 エレミ50 10 カルデヤは人にかすめられる。これをかすめる者はみな飽くことができると、主は言われる。 エレミ50 11 わたしの嗣業をかすめる者どもよ、あなたがたは喜び楽しみ、雌の子牛のように草に戯れ、雄馬のよう に、いなないているが、 エレミ50 12 あなたがたの母はいたくはずかしめられ、あなたがたを産んだ者は恥をこうむる。見よ、彼女は国々の うちの最もあとなるものとなり、かわいた砂原の荒野となる。 エレミ50 13 主の怒りによって、ここに住む者はなく、完全に荒れ地となる。バビロンのかたわらを通る者は、みなそ の傷を見て驚き、かつあざ笑う。 エレミ50 14 あなたがたすべて弓を張る者よ、バビロンの周囲に勢ぞろいして、これを攻め、矢を惜しまずに、これ を射よ、彼女が主に罪を犯したからだ。 エレミ50 15 その周囲に叫び声をあげよ、彼女は降伏した。そのとりでは倒れ、その城壁はくずれた、主があだをか えされたからだ。彼女に報復せよ、彼女がおこなったように、これに行え、 エレミ50 16 種幕ものと、刈入れどきに、かまを取る者をバビロンに絶やせ。滅ぼす者のつるぎを恐れて、人はおの おの自分の民の所に帰り、そのふるさとに逃げて行く。 エレミ50 17 イスラエルは、ししに追われて散った羊である。初めにアッスリヤの王がこれを食い、そして今はつい にバビロンの王ネブカデレザルがその骨をかじった。 エレミ50 18 それゆえ万軍の主、イスラエルの神は、こう言われる、見よ、わたしはアッスリヤの王を罰したように、バ ビロンの王とその国に罰を下す。 エレミ50 19 わたしはイスラエルを再びその牧場に帰らせる。彼はカルメルとバシャンで草を食べる。またエフライム の山とギレアデでその望みが満たされる。 エレミ50 20 主は言われる、その日その時には、イスラエルのとがを然しても見当たらず、ユダの罪を探してもな い。それはわたしが残しておく人々を、ゆるすからである。 エレミ50 21 主は言われる、上って行って、メラタイムの地を攻め、パコデの民を攻め、彼らを殺して全く滅ぼし、わ たしがあなたがたに命じた事を 皆、行いなさい。 エレミ50 22 その地に、いくさの叫びと、大いなる滅びがある。 エレミ50 23 ああ、全地を砕いた鎚はついに折れ砕ける。ああ、バビロンはついに国々のうちの恐るべき見ものとな る。 エレミ50 24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕えるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえ はそれを知らなかった。おまえは主に敵したので、尋ね出され、捕えられた。 エレミ50 25 主は武器の倉を開いてその怒りの武器を取り出された。主なる万軍の神が、カルデヤびとの地に事を 行われるからである。 エレミ50 26 あらゆる方面からきて、これを攻め、その穀倉を開き、これを穀物の山のように積み上げ、完全に滅ぼ し尽し、そこに残る者のないようにせよ。 エレミ50 27 その雄牛をことごとく殺せ、それを、ほふり場に下らせよ。それらのものはわざわいだ、その日、その罰 を受ける時がきたからだ。 エレミ50 28 聞けよ、バビロンの地から逃げ、のがれてきた者の声がする。われわれの神、主の報復、その宮の報 復の事をシオンに告げ示す。 エレミ50 29 弓を張る射手をことごとく呼び集めてバビロンを攻めよ。その周囲に陣を敷け。ひとりを逃がすな。その しわざにしたがってバビロンに報い、これをおこなった所に従ってこれに行え。彼がイスラエルの聖者である主に向 かって高慢にふるまったからだ。 エレミ50 30 それゆえ、その日、若い者は、広場に倒れ、兵士はみな絶やされると主は言われる。 エレミ50 31 主なる万軍の神は言われる、高ぶる者よ、見よ、わたしはおまえの敵となる、あなたの日、わたしがおま えを罰する時が来た。 エレミ50 32 高ぶる者はつまずき倒れる、これを助け起すものはない。わたしはその町々に火を燃やして、その周 囲の者をことごとく焼き尽す。 エレミ50 33 万軍の主はこう言われる、イスラエルの民とユダの民は共にしえたげられている。彼らをとりこにした者 はみな彼らを堅く守って釈放することを拒む。 エレミ50 34 彼らをあがなう者は強く、その名は万軍の主といわれる。彼は必ず彼らの訴えをただし、この地に安き を与えるが、バビロンに住む者には不安を与えられる。 エレミ50 35 内容? 主は言われる、カルデヤびとの上とバビロンに住む者の上、そのつかさたち、その知者たちの 上につるぎが臨む。 エレミ50 36 占い師の上につるぎが望み、彼らは愚か者となる。その勇士の上につるぎが望み、彼らは滅ぼされ る。 エレミ50 37 その馬の上と、その車の上につるぎが臨み、またそのうちにあるすべての雇兵の上に臨み、彼らは女 のようになる。その財宝の上につるぎが臨み、それはかすめられる。 エレミ50 38 その水の上に、ひでりが来て、それはかわく。それはこの地が偶像の地であって、人々が偶像に心が 狂っているからだ。 エレミ50 39 それゆえ、野の獣と山犬とは共にバビロンにおり、だちょうもそこに住む。しかし、いつまでもその地に 住む人はなく、世々ここに住むひとはない。 エレミ50 40 主は言われる、神がソドムとゴモラと、その隣の町々を滅ばされたように、そこに住む人はなく、そこに 宿る人の子はない。 エレミ50 41 見よ、1つの民が北の方から来る。大いなる国と多くの王が地の果から立ち上がっている。 エレミ50 42 彼らは弓と、やりを取る。残忍で、あわれみがなく、その響きは海の鳴りとどろくようである。バビロンの 娘よ、彼らは馬に乗り、いくさびとのように身をよろって、あなたを攻める。 エレミ50 43 バビロンの王はそのうわさを聞いて、その手は弱り、子を産む女に臨むような痛みと苦しみに迫られ た。 エレミ50 44 見よ、ししがヨルダンの密林から上ってきて、じょうぶな羊のおりを襲うように、わたしは、たちまち彼らを そこから逃げ去らせる。そしてわたしの選ぶ者をその上に立てる。だれかわたしのような者があるであろうか。だれ がわたしを呼びつけることができようか。どの牧者がわた
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/51.html
都内私立○□高校2年B組、このクラスには裏サイトがある。 特定の男子生徒の実名や住所、メールアドレスを勝手に公開され、 うざい、きもちわるい、死ね、と書き込まれるなど、 深刻なネットいじめがおこっていた。 その生徒の携帯電話には深夜でも無言電話、いじめメールも1日に10通以上届く。 学校側もいじめに気づいたが、この手のいじめは、誰がやっているのか見当もつかず、 対応に苦慮していた。 ====================================== ちょうど1ヶ月前、森川美貴という女子生徒がクラスに転校してきた。 まじめで成績優秀な、でも少し地味なタイプの生徒であった。 が、、彼女は、地球から遠く離れた星からやってきたスーパーガール。 姿は普通の女子高生だが、その身体には地球人をはるかに超える能力がやどる。 地球人の約5000倍のスーパーパワー、どんな衝撃や薬品にも不死身の身体、 人間のレベルを超えたスピードと敏捷性、さらに空を飛び、X線ビジョンを使う。 美貴は放課後、学校の体育倉庫で、 同じクラスの 尾下翔太 という男子生徒を待っていた。 彼女は知っていた。 例の裏サイトの事実上の管理者、いじめの首謀者が彼であることを。 翔太は、体育倉庫に入り扉を閉めたとき、青と赤の物体が、 天井から彼の背後に舞い降りるのを感じた。 見ると、 青いトップに深紅のミニスカートとブーツ、もちろん胸には大きなシンボルの「S」。 美貴であった?はずの、スーパーガール。いや、スーパーガールである、美貴!! 「え、森川? その格好は、まさか。」 と、驚きの表情を隠せない翔太。 「そう、私、地球人じゃないの。といっても信じられないか。証拠を見せてあげるね。」 というと、いろんな器具が置かれている体育倉庫の棚から握力計を取り出した。 彼女は針を0にもどすと、グリップ部分をを右手の親指と人差し指で掴む。 握力計の数字を翔太に見えるようにして、2本の指に少しずつ力を加えた。 あっという間に針は100kgを超え、振り切れた。 握力計からバキッという音が響く。 2本指で摘む金属のグリップ部分のへし折れた音だった。 「どう,私の握力。普通の男性の5000倍くらい。といっても想像つかないわね。」 スーパーガール美貴は、今度は器具の置かれる棚から砲丸投げの砲丸を取り出した。 彼女は、取り出した砲丸を、森川の目の前で鷲掴みにし、握りしめた。 鋼鉄の指に握られた砲丸は、大きくかん高い音を発する。 指の形にあわせて砲丸がひしゃげていく、たちまちもとの形を失った。 「ちょっと、待って。森川。俺に何を、まさか。ネットの。。」 とおびえる翔太を横目に、 「そうよ。私は知ってるの、尾下くん。今日は、お仕置きとして罰を与えます。」 と残酷な言葉を浴びせると、彼女は空中を浮遊し、跳び箱の上に馬乗りになった。 「たとえばあ、こんなのはどう?」 というと、馬乗りになった跳び箱の木枠がきしむ。 バキバキッ、ベキベキッ、、、 赤いミニスカートからのびる女子高生の艶やかな太ももとふくらはぎ、いや、 スーパーガールの鋼鉄の太ももとふくらはぎが、跳び箱を粉々に挟み潰していく。 跳び箱は、バラバラの木片に姿を変えた。 翔太はスーパーガールの太ももに挟まれる自分の身体を想像し、言葉を失った。 内臓破裂、どころが上半身と下半身に引き裂かれてしまうだろう。 次の瞬間、美貴はスーパースピードで移動し、翔太の目の前に現れた。 「があっ、いいっ、、」 翔太は、苦痛のうめき声をあげる。 あろうことか、美貴の右手が翔太のペニスを鷲掴みにしている。 だが、砲丸を握り潰すあの握力ではない、十分に手加減している。 「あなたのペニス、潰さないであげるから、オナニーをしてみて。はい、早く。」 命令口調で話した美貴は、睾丸の手を離した。 逆らえばどうなるのか、翔太は床に転がる砲丸の変形した姿を見た。 「じっとしててもだめよ。いつもやっているんでしょ。早く。」 惨めだ、こんなふうにオナニーを強制され、逆らうこともできないなんて。 翔太は、ズボンをずらし、自分でペニスを握って上下にしごいた。 それをあざ笑うようにスーパーガールは見つめる。 こんな状況でも、さすが高校生、ペニスはだんだんと元気になってきた。 「元気になったわね。でもその皮かぶりでは地球でも女の子に嫌われるでしょ。」 翔太の張りつめた陰茎をスーパーガールは、右手でしっかり握った。 「剥いてあげる。」 というと、包皮を根本までぐいっとめくりあげた。 「やめろ、いや、やめてください。」 と翔太は悲鳴をあげた。 突然、スーパーガールは翔太の耳元でささやく。 「陰湿ないじめは許さない。」 「やめるとあなたが誓わない限り、このパワーで、こんなものは、、」 スーパーガールが、左手で翔太の萎えかけたペニスを睾丸ごとわしづかみにした。 「ぎゃっ、痛っ。」 スーパーガールは、睾丸が潰れる一歩手前まで力を加えた。 「ずいぶん力加減が必要ね。地球人の身体ってなんて柔らかいのかしら?」 と残酷にいう。 翔太は彼女の鋼鉄の指に引き裂かれ、潰される自分の睾丸を想像した。 「うそ、うそ、さすがにやめておいてあげる。」 というと、彼女の指は睾丸を開放した。 翔太は、にわかにほっとし、全身の力を抜いた。 スーパーガールは、翔太の両脚をつかんで転倒させた。 彼女が握る足首には、とんでもない激痛が走る。 強引に翔太を仰向けの状態にした。 立ったままの彼女と、床に寝転がり両脚を持たれた翔太。 2人が向かい合った形だ。 その瞬間・・・ 真っ赤のミニスカートからスラリと伸びた右足が、翔太の股間に伸びた! もちろん真っ赤なブーツをはいたままで、 「うぁぁぁぁぁ!?」 ブーツで踏みつけられ、翔太は驚きと痛みの声をあげた。 「どう?電気あんま!」 スーパーガールの両腕で、ぐいぐい両脚が引き付けられ、 そのぶん赤いブーツが股間にくい込む、 電気マッサージ機のようにブルルルルルルッと振動を与える。 「うぁぁ、イイイゥゥ!?」 その間も彼女の脚の振動は止まらない。 敏感なペニスをブーツの靴底で踏み、振動を与えられる。 ガクガクと体を震わせ、翔太は泣きだしはじめた。 突然、振動が終わり、スーパーガールの右足が股間から引き抜かれた。 翔太は、荒い息をついたまま、恐怖のあまり動けなかった。 「どう、力加減は? 加減しなければこんな感じよ。」 というと、彼女はブーツを3センチほど持ち上げると、 軽く、、体育倉庫のコンクリート製の床に踏み降ろした。 ズドン。床のコンクリートには大きなヒビが入る。 「痛いわよー、きっと」 さらに、振動を与える。部屋全体が揺れる振動で。 ガガガッ、ガッと、体育倉庫の床のコンクリートが、たちまちがれきに変わる。 スーパー電気あんま ちょうど削岩機でコンクリートの床を破壊するのと同じような光景だ。 「尾下くんも体験してみる。骨盤はぐしゃぐしゃ、粉砕骨折になるけど。」 「ややっ、めてください。」 恐怖のあまり翔太は、腰が抜けて動けない。 「そうね。今日はやめとく。お仕置きはここまで。」 そうというと、彼女は翔太にきびすを返し、体育倉庫の扉を開けた。 「たーだーしー、、今度変な書き込みがあったら、即、電気あんまの刑、ね。」 美貴は翔太のほうを振り返って、ほほえみながら言う、 「あと、私の握力で、あなたの身体のいろんなところを握りしめちゃうわよ。忘れないで。。」 と言い残し、倉庫の扉から2、3歩、歩くと、ピョンと軽くジャンプした。 彼女はスーパーガールの姿のまま、翔太が瞬きするまもなく、大空の彼方の消えていった。 森下美貴は、翌週の月曜日には転校し、そのまま高校から姿を消した。 翔太が彼女に出会うことは、2度となかったし、彼も彼女のことを誰にも語らなかった。 翔太は、町中で青と赤の服装の女の子をを見るたびに(そんなカッコほとんどいないが)、 背筋に冷たいものが走る。心の傷、PTSDというべきであろうか。 クラスの裏サイトは削除され、あのネット、メールいじめがなくなったのは言うまでもない。 (おわり)
https://w.atwiki.jp/bamboo-blade/pages/78.html
空は鈍色の雲が覆い何もしていなくても汗が滲むほど湿度が高い土曜の朝、 今までよりも2時間は早く起床してメイプルを目指す。 『開店準備中』の立て札の前には、いつものように彼が立っていた。 「おはようございます、清村さん」 「よお、今日も早いな」 手提げかばんを持っていないほうの手をあげて彼が私に挨拶する。 「清村さんこそ……私より遠いのに、来るの早すぎです」 「甘いもの好きにとってははずせねーんだよこの店は」 と言って今にも涎を垂らしそうな顔で清村さんは遠くを見るような目をした。 多分今この人の頭の中には特性ショートケーキのことでいっぱいなんだろう。 「それにしても、並ぶ人の数が減ってきましたね」 「ま、テレビで紹介されたから来たってだけのにわかファンが多かったってことだよな。 とりあえずあのババアが来なくなっただけでも良かったぜ」 「あの時は……本当に、ありがとうございました」 「別に礼言われるほどのことじゃねーよ」 「そんなことはありません」 鼻をポリポリと掻きながらなんでもないことのように彼は言う。 でも、私にはとても真似出来ない。 自分自身のことですらやりたいことが満足にできないんだから、 困っている人のために何かするようなことなんて私には絶対に無理だろう。 だけどこの人は、当たり前のようにそれができる。 それがとても、私には眩しかった。 「私はお礼をしたいんです。何か清村さんにしてあげたいんです」 「いーよ別に」 「でも、このままだと」 「それにお返しならしてもらったし」 「え?」 「ほら、あの時公園で一緒にケーキ食っただろ。あれで帳消し」 「あの時、公園で……?」 私の中での公園での記憶は、私のために清村さんがケーキを分けてくれたり、 そんな清村さんにケーキを吹きかけたり、それでも彼が笑って許してくれた事とかしかなくて、 私がこの人にしてあげたことなんて何一つないのに。 「あの、私は何もお礼をしてないと思うんですけど……」 「一緒にケーキ食っただろ」 「ええ、でもそれは清村さんが自分の物を分けてくれた物で、 ぜんぜん私のお礼になってないですよ?」 「でも、一人で食うより何倍も美味かった。食事ってそんなもんだろ? どんなに美味いモンでも、一緒に食うやつが嫌いなヤツならちっとも美味くない。 もしどんな美味いモンでも、あのババアといっしょならろくに味がしねーだろーな」 言いながら清村さんは少し険しい顔になる。 あのおばさんと食事するところを連想したのかもしれない。 「でもよお、一緒に食うのが気心の知れた奴や同好の士なら真逆で、 なんでもない料理でも美味しく感じることもあるし、 美味しい物ならもっと美味く感じるってモンだろ」 「同好の士、ですか」 「ああ、俺みたいな甘い物好きからみても、いい食べっぷりだったぜ。 まじで幸せそうに食うから、見てる俺も嬉しくなっちまったなー」 「……確かに、あの日のケーキは私も美味しくいただきました」 「なるほど、精神状態は味覚や消化に十分影響を与えますからねー、ふふふ」 と、突然私の背後から女性の声がした。 「あ、安藤さん。おはようございます」 「お、あんたはいつも通りの時間に到着だな」 気がつけば、私たちの後ろにはすでに10人近くの列ができていた。 「ええ、あたしは誰かと違って別に早く起きる理由もありませんから」 そう言って安藤さんは私の体を上から下まで舐めるように眺める。 「じゃ、列の最後尾に行くんで、お二人ともごゆっくり……」 なんだか意味ありげな笑みを浮かべ、彼女はくるりと反転して行列の後ろに加わる。 「……なんだありゃ。変な奴だな」 「安藤さんは、ちょっと掴み所のない人ですけど、いい人ですよ」 「ふーん……」 「あ、すいません、メールです……って、あれ?」 送り主は安藤さんだった。 すぐ近くにいる彼女を見つつ不思議に思いながらも内容に目を通す。 『さっきの話ですけど、確かに料理は一緒に食べる人によって変わりますよね。 親しい人はもちろん、“好きな人”、とか』 「なっ……」 「ん?どうしたんだ?」 思わず声を上げた私を怪訝そうな顔で清村さんが一瞥する。 「あ、いえ、なんでもありません!」 「そう」 清村さんはそれだけ言うと自分の携帯に視線と注意を戻す。 『どういうことですか?別に清村さんは私のことを 自分と同じ甘味好きとしか思ってないんですよ』 私は汗をかきながら安藤さんにメールを返す。 『いえいえ、清村さんではなくあなたですよ、好意を抱いているのは』 『そんなことはないと思います』 目と鼻の先にいる安藤さんは「ブラック出歯亀マニュアル」と書かれた本を読みながら、 器用に片手で携帯を操り質問を投げかけてくる。 『今日部活はあるんですか?』 『ありますけどそれが何か関係あるんですか』 10メートル離れた場所で、安藤さんがニヤ~と笑った。 『じゃあ何で私服なんですか?今まで部活がある時は着替えるのが面倒で制服のまま来てたのに』 メールを打とうする私の指が止まる。 そんな私をあざ笑うように、指先に液体が落下した。 「雨か。天気予報どおりだな」 後ろで清村さんの声と折り畳み傘を開く音が聞こえる。 その後、列の人達が傘を開く音が連続で聞こえた。 しかし行列の中で私だけはその音を発生させることができない。 なぜなら私は傘を持っていなかったから。 『あらあら、傘を忘れたんですか?朝からずーと降り出しそうな曇り空だったと言うのに。 他の人も全員傘を持ってきてるのに。よっぽど慌ててたんですね。 でもしょうがないですよね。早く来ないと朝一で来る清村さんの後ろに並べませんし』 「あれ、傘忘れたのか」 『でもよかったですね、おかげで』 「入れよ」 『相合傘ができますよ』 「濡れちまうぞ」 清村さんの手が私の肩を掴んで引き寄せる瞬間、 「ひゃあっ」 私は叫び声を上げてしまった。 「……悪りぃ、いきなり女の子の肩なんか掴んだら、そりゃびびるわな」 頭をポリポリかきながら清村さんが体を離す。 「あ、違うんです」 安藤さんのメールのせいで、清村さんを意識して顔が見れない。 「その、蒸し暑い中長い距離自転車をこいだから、 私の体が汗臭いんじゃないかな、と思って」 携帯を畳みながら私は焦って言い訳をする。 まあ半分は本音なんだけど。 「あー、そっか。でもそんな匂わないぞ」 「でも、その」 「それにまあ、嫌いな汗じゃない」 そう言って清村さんは私の首筋を指でなぞって汗を絡めとる。 「な、何を」 触れられた箇所がかーっと熱くなった。 今度は声こそ我慢できたけど、顔が赤くなるのはどうにもならない。 清村さんは私の汗を指先で広げる。 「粘ついてないな。なんつーか、スポーツマンの汗だ」 「スポーツマンの……汗?」 「そう。運動してる人間の汗は、してない人間に比べてあんまべたつかないんだよ。 こーいう汗は嫌いじゃない。匂いも感触も」 「でも……」 清村さんは苦笑する。 「それともあれか、実は俺が匂うとか」 「そ……そんなことないです!」 つい私は大声を出し、背後の人達が視線を向ける気配を感じた。 顔を真っ赤にしながら私は下を向く。 「その、清村さんは悪くないです」 「そっか、じゃあ」 清村さんは笑いながら私の体を引き寄せる。 「入れよ。年上の言う事は聞くもんだぜ」 腕と腕が直に触れ合う。 汗と汗が溶け合い混じり合う。 ああ、本当だ。 サッカーをしている清村さんの汗はべたついてなくて、全然不快じゃない。 むしろ、なんだかどきどきする。 「あの、清村さん……」 そうか。だから私は朝早く起きるようになったんだ。 「……ケーキを買ったら、その後……」 午後から部活があるのに私服で来たんだ。 「今日も、二人で一緒にケーキを食べませんか?」 二人で食べたケーキがあんなに美味しかったんだ。 「いいね、それ。あそこの公園なら東屋あったし、雨もしのげるだろう」 密着していたため耳元で響く清村さんの声は、 特製ショートケーキより甘くて体中から力が抜ける。 今日食べるケーキは今まで食べたケーキよりもっと甘く美味しくなっているはずだ。 私は心の中でそう思った。 次話に進む
https://w.atwiki.jp/weakestfuji_sachiko/pages/47.html
番組の企画でとある洞窟にロケの撮影にいったら迷子になった話をするね。 とあるバラエティ番組の人気企画で「ゆけゆけ!輿水幸子探検隊」というのがあるのね。世界一カワイイ輿水幸子ちゃんがそのカワイさを広めるという名目でさまざまな場所で人やらUMAと出会って、最後は幸子ちゃんのブロマイドを渡して締めるっていう流れなんよ。そこまでの幸子ちゃんが困難に立ち向かう姿や焦る姿に人気があるんだけど、斜に構えた自称テレビをわかってる人はこんなのヤラセだとかバカにするのね。でも知ったこっちゃない。この企画はカワイイ幸子ちゃんを愛でる企画だ。すっこんでろ。 探検隊メンバーはうら若き新鋭の冒険家、輿水幸子隊長とその護衛兼囮役の担当プロデューサー、ふじえる隊員がレギュラーで、たまにキノコと聞いて駆けつけるアイドルやら魚と聞いて駆けつけるアイドルやら幽霊と聞いて駆けつけるアイドルやらがゲスト隊員でやってくるという感じなのよ。 まあ今回はぼくと幸子隊長の二人で、未開の山中にある謎の洞窟に潜むとされるUMA、シアエガを見つけろ!っていう内容でロケしたのね。 国内某所、この洞窟がある山は昔から山の主がいるという伝説があり、山の主は立ち入るものを一切許さず呪い殺すとされているのよ(ここでそれっぽいイメージ画が流れる)。 そのため古来より近隣に住む人々は近寄ろうとせず、その山を「冥府の門」(ここで山の写真と共におどろおどろしいフォントで「冥府の門」というテロップが流れる)と呼んで畏れたわけ。 そんな説明を受け怯えぼくことふじえる隊員と幸子隊長。でも幸子隊長のカワイさを世界に広めるためはこの山の洞窟にたどり着かなければならない。この死の山、「冥府の門」を。(ここで怯える二人の様子と共におどろおどろしいフォントで「冥府の門」というテロップが流れる) なんか「⇒ハイキングコース3.6km」とかいう立て看板が見えるけど、誰も近寄らない「冥府の門」を。(ここで怯える二人の様子と共におどろおどろしいフォントで「冥府の門」というテロップが流れる) カメラに気づいた一般のハイキング客が笑顔で手を振ってるけど、呪いの死の山、「冥府の門」を。(ここで怯える二人の様子と共におどろおどろしいフォントで「冥府の門」というテロップが流れる) 洞窟にたどり着くまでの道中は苛烈を極めた。ヘビが尻尾から落ちて襲いかかってきたり、動かないサソリが襲いかかってきたり、上から巨大な岩がポヨーンポヨーンとバウンドしながら転がってきたり(間一髪のところで幸子隊長は回避した!ふじえる隊員は間に合わなかった!なぜか幸いにも無傷だった)、次々と困難が襲いかかってくる。(ここで「これが山の主の呪いなのか…!?」とおどろおどろしいテロップが流れる) それらの困難を乗り越え、ようやく洞窟の入り口に辿り着いた二人(とカメラさん)。 しかし入り口には、これまで山の主が死に追いやってきた挑戦者だろうか、見た目はボロそうだがどれも綺麗に形が残ってる骸骨の山が見える。当然怯える二人!しかしここまで勇気を持って乗り越えてきたのだ。二人は顔を見合わせ、決意したかの様に頷き合い、洞窟の中へその一歩を踏み出す!!カメラさんの後に。 洞窟の中は何故か歩きやすい階段が舗装されており、何故かアルミ製の手すりが取り付けられている(「山の主が住んでいるのか…!?」というテロップが流れる)。 一行はこの危険な洞窟の道を慎重に歩き進んでいく。 すると、突如洞窟内に大きな揺れが発生する!(その場にうずくまる二人!カメラもあまりの揺れの大きさに二人の姿を捉えることができない!決してカメラを大袈裟に揺らしているわけではない!) 揺れが収まった頃、幸子隊長がふじえる隊員が消えたことに気づく!必死に幸子隊長がふじえる隊員を呼びかけるも、ふじえる隊員の返事は無い。ふじえる隊員が行方不明となり探検隊は幸子隊長一人(とカメラさん)だけになるも、任務を遂行ためには洞窟を進むしか無いのだ。涙をこらえ幸子隊長は洞窟を進んでいく。 やがて幸子隊長が洞窟の奥に辿り着いた時、そこで待っていたのは黒人の中年男性だった!(「これが山の主か!?」というテロップの後CMが流れる) ~~~輿水幸子のカワイイCMが流れる~~~ 洞窟の奥で幸子隊長を待ち受けていたのは黒人の中年男性だった!(「これが山の主か!?」というテロップが流れる) 恐る恐る幸子隊長が話しかけると、男は「ダレダ……?」と低いうなり声のような声で返す。幸子は息を飲むも、意を決して「ボクは世界で一番カワイイアイドル、輿水幸子です!」といつもの自己紹介をするも「アイドル……ナンダソレハ………ナニモノダ……?」と返事をする。どうやら男はアイドルを知らないらしい。話を聞くと、彼はこの洞窟でずっと暮らしていたらしく、テレビも何も知らないで生まれ育ったそうだ。当然衣服も布切れのようなものを身にまとっただけの簡素な服だ(手首に腕時計の跡が見えるが彼は腕時計など知るはずもない。きっと見間違いだろう) そんな彼にアイドルとは何か話したあと、「アイドルを知らないアナタは幸運ですね!この、一番カワイイボクが初めてのアイドルなんですから!是非ボクのカワイさを知ってください!」といつもの様にブロマイドを渡す幸子隊長。彼は不思議そうに受け取ったあと、「サチコカ……イイダロウ……ファンニナッテヤル」と笑顔を見せた!さすが輿水幸子!また一人ファンを増やすことに成功したのだ! 彼と握手し互いに笑顔を見せる二人。こうして今回の輿水幸子の冒険は成功に終わった…… で、ぼくことふじえるなんだけど、何故か洞窟の中で大きな揺れに出くわした後目を開けたら二人とはぐれたのね。あ、二人って幸子ちゃんとカメラさん。 でも一応念のためにぼくもCCDカメラ持ってきてて、ぼくの様子も写してあとでスタッフに見せようかなってカメラを回して洞窟内を探索したわけよ。 洞窟を散策するんだけど、なんかさっきまでの洞窟と様子が違うというか、国内にこんな広い洞窟あったっけ?ってくらい広いのね。しかも全然舗装されてないし薄暗いし。 とりあえず幸子ちゃんはなんとかなるとして、ぼくはとっとと洞窟から出なきゃなあって思って歩くんだけど、全然どこかわかんない。歩いても歩いてもずーっと真っ直ぐ道が伸びてて、出口も何も見えないのよ。風の音も聞こえないし、水の音も聞こえない。暗闇と静寂だけが洞窟内を支配してて、まるで夢の中にいる様な感覚すら覚えてくるわけ。当然世界で繋がるソフトバンクもここじゃ圏外。やだなあ、怖いなあと思ったら後ろからブゥゥン……と羽音が聞こえるの。 なんだろうと思って振り返ると、そこには羽の生えた巨大な蟹の化け物がいたのよ。 ぼくはその姿を確認した瞬間、正気を失い、パニックになりながらその場を逃げ出した。 まずい、こいつはまずい!いくらぼくが蟹座だからってなんで蟹がやってくるんだ!恐怖と狂気で混乱した頭がとめどなく溢れる思考をぐちゃぐちゃにしながら、逃げなきゃだけは強く思ってて、息が苦しくなっても逃げるのを止めなかった。 でも、その蟹の化け物はぼくを追いかけてくるわけ。しかもぼくと一定の距離を保ちながら、まるでぼくをあざ笑うかの様にしつこく追いかけてくるのよ。ぼくが息を切らせて立ち止まると、そいつはわざとスピード落としてじっくり近づいて、ハサミをガチャガチャ鳴らして脅して、ぼくに走ることを強要させてくるんよ。 ぼくは汗も涙も涎も垂れ流しながら必死に逃げた。失禁しながら、嘔吐しながらそれでも逃げた。転んで血まみれになっても逃げた。 逃げ続けて、逃げ続けて、もう足が動かせないと思ったとき、洞窟が急に広くなって、大部屋みたいな場所にたどり着いたのよ。 そこでぼくは体力の限界を迎えて倒れ伏した。だけど追いかけてきた蟹の化け物の姿がようやく見えなくなったのを確認できた。ぼくはようやく安堵して涙をまた流した。 ひとしきり泣き切った後、息を整えながら周りの様子を見ると、なんか真っ黒な塊があるのね。そいつはめっちゃ触手をウネウネさせてて、なんだろうなって思ったらその黒い触手がぼくにせまぁgごbっ
https://w.atwiki.jp/aoari/pages/9071.html
刀系 あざまる (アザマル) 【刀】 基本性能 価値 重量 攻撃力 耐久度 6 14.3 36 58 命中補正 回避補正 物理耐性 妖術耐性 +2 +2 − +10 装備可能 侍、忍、鍛 装備区分 剣術系武器 必要Lv 8以上 付与効果 耐久-5 器用-5 知力-5 魅力-5 全属性-5 妖力 呪い・壱(20回) 備考 尾張のクエスト「忠義の旅人」の報酬 取引不可
https://w.atwiki.jp/sundayrowa/pages/157.html
トラッシュ ◆d4asqdtPw2 闇夜の元を悠然と進む、二人の老兵。 彼らが目指す先は近場の小学校だ。 少しばかり急ぎ足なのは、両者共に探し人がいるからであろうか。 しかし、そんな彼らをあざ笑うかのごとく、殺し合いという残酷な現実がその歩みを阻む。 「お盛んなことだねぇ」 遊園地を出た二人は、さっそく足止めを食うこととなってしまった。 暗き森に突如現れたのは、大地に転がる死体だ。 だが、老婆は微塵も動じることない。 それも当然のことだろう。 彼女は最古のしろがね、ルシール・ベルヌイユ。 自動人形との、永きにわたる戦いを繰り広げてきた女である。 その悠久の生命の最中では、屍など飽きるほど目にしてきた。 今さら見知らぬものが死んでいたからといって、狼狽するはずもない。 そんな彼女とは対照的なのが、白髪の男性。 遺骸を憐れんで、彼は僅かに目を細める。 名を蒼月紫暮という。 妖を滅ぼす『獣の槍』の伝承者である少年の父親であり、光覇明宗最強との呼び声高い法力僧だ。 紫暮は無言で膝をつき、物言わぬ青年の瞼をそっと閉じてやる。 彼の腹には大きな穴が開いており、それが死因となったことは明白だった。 「……素手、ですな」 「だろうね」 両者の意見が一致する。 普通の人間から見れば、大型の兵器でも用いたのではないかと思われるような傷跡。 だが、彼らは道具も使わずにここまでの破壊を生み出せる存在を知っていた。 ルシールが疑うは自動人形。人に仇成す、悪夢の現況だ。 紫暮の方は妖。こちらはすべてが悪というわけではない。 そのどちらにも共通するのが、人ならず物だということ。 実際のところ、この青年を殺した下手人はそのどちらにも属してはいない。 けれど、人間でないという一点においては、二人の予測は的中していたのだった。 「ご婦人、しばしお待ちください」 紫暮が遺体の顔に付着した汚れをふき取り、てきぱきと着衣の乱れを直してやる。 腹部の赤黒い血痕もどうにかしようと思案したが、手持ちの道具ではどうすることもできず、心中で青年に謝罪するに終わった。 無念そうな死に顔をジッと眺め、紫暮は大きく溜め息を吐き出す。 暖かな呼気は宵の風に連れられて、そこに込められた悲しみを遥か彼方へと運んでゆく。 物言わぬ青年に背を向けると、初老の僧は支給品である鍋の蓋を用いて器用に穴を掘りだした。 「止めておきなよ。関わる義理はないはずさ」 彼が墓穴をこしらえようとしているのに気づき、ルシールが静止する。 こうしている間にも、彼らの探し人が誰かを殺し、もしくは誰かに殺されてしまっているかもしれないのだ。 縁も所縁もない小僧の亡骸に構っている時間など、彼女にとっては無駄なものに他ならなかった。 懸念事項はそれだけにとどまらず、彼を殺した異形がまだこのあたりにいる可能性は高い。 もし、それが自動人形であった場合、たたでは済まないだろう。 万全の状態で戦ったとしても苦戦は必至。 呑気に穴なぞ掘っていては、間違いなくこの青年と同じ末路をたどる事になる。 「これでも僧侶の端くれなもので」 「…………フン」 紫暮は優しき声を以ってして、ルシールを諭す。 不満そうに鼻を鳴らしながらも、彼女はそれ以上の文句は言わなかった。 男の背中から漂う張り詰めた気配を感じたからだ。 いつ襲われても対応できるように、周囲に警戒を張り巡らせているのだろう。 これならば、たとえ自動人形が襲ってこようとも、即死という最悪の事態だけは回避できる。 即死だけならば、の話ではあるが。 「まだ、やりたいことも多かっただろうになぁ」 銀の円盤で土をかきながら、悲しそうに呟いた。 若くして倒れた青年を、自分の息子と重ねているのかもしれない。 彼の肉親である蒼月潮も、この殺し合いに参加させられていた。 もしかしたら、数時間後にはこの光景が我が子を埋葬するソレに変わるのかもしれないのだ。 「くだらない感傷はお止めよ。そいつが善人だった証拠はないんだ」 ルシールが青年の傍らに転がっていたバットらしきものを拾う。 強い力で砕かれた金属棒は、元の半分ほどの長さしか残っていない。 落ちていた位置などから推測するに、これは明らかに青年が振るっていたものだ。 彼がこれを用いて誰かを襲い、返り討ちにされたということも考えられないわけではない。 得体の知れない仏を同情するだけ無駄というものだ。 それを分かっていながらも、紫暮は黙々と青年のための棺を掘る。 横目で睨んだ彼の顔から伝わる人間臭さを痛いほど感じ、ルシールは「それに……」と言葉を続けた。 「死ねるなら、それはそれで幸せなのさ」 自らの銀色の髪の毛を指で梳かす。 人形破壊者の呪われた運命を思って。 彼女たちは、かつて死ななかったから、人間ではなくなった。 今も死ねないから、ずっと苦しんでいる。 安らかな眠りにつけるということは、それはある意味で幸せなことなのだ。 「えぇ、本当に」 この僧は、しろがねたちの背負ったものなど何にも知らない。 それなのに、彼はルシールの言うことに同意した。 一瞬の躊躇もなく。 揺るぎもなく。 「生きて戦い続けることが、もっともつらいのです」 遠き誰かを想っているかのような声であった。 風に乗っても届かないほど悠遠な、誰かを。 最古のしろがねは、にごり切った眼で男の背中を見つめる。 彼の警戒は、微塵も緩むことはなく。 しばらくの後、青年の身体は冷たい地中に還された。 こんもりと盛り上がった土に向け、紫暮が落ち着いた声で念仏を唱える。 彼は天に昇っていくのだと信じながら。 さすがに慣れたもので、弔いの儀式はあっという間に終了した。 「名も知らぬ青年よ、安心しなさい。あの世は年中無休だ」 「なんだえ、そりゃ?」 エゴだと分かっていても、紫暮は少しでもやさしい言葉で見送ろうとする。 しかし、彼のその言葉選びに、老婆がすかさずツッコミを入れた。 「いやぁ、急に思いつきまして…………」 「みっともないからお止め」 「ですな。ちょっと酷かったか……ハハハハハ……」 彼女の言葉で我に返った法力僧が、たまらず乾いた笑いでごまかす。 咄嗟に思いついたことを考慮しても、あまりにダサいフレーズだ。 もし、こんな決め台詞を放つものがいるとすれば、余程センスのない人間なのであろう。 今のは異常事態のせいで気に迷いが生じただけなのだと、綺麗さっぱり忘れることにした。 「墓標もないが……」 去り際、小さな声で青年に謝罪する。 こんな状況なのだから、仕方がない。 ちゃんと成仏させられるだけ幸せというものだ。 ……と、先を歩いていたルシールが突如として踵を返し、盛り土の前で立ち止まる。 そして、先ほど拾ったバットを、茶色の布団に突き刺した。 墓碣代わりということらしい。 「よろしいのですかな?」 薄っすら笑みを浮かべつつ、尋ねる。 対するルシールは、相変わらずの鉄面皮だ。 それでも、紫暮は彼女の新たな一面を見た気がした。 真ん中から折れてしまっているとはいえ、金属バットの攻撃力は侮れない。 貴重な近接武器として、少なくとも鍋蓋よりは重宝しただろうに。 感傷的になることを否定した彼女にしては、随分と人間じみた行為だ。 「…………そんな下品なガラクタは要らないのさ」 開いた両手を掲げながら、ルシールは再び歩き出す。 その小さな背中を、紫暮が頭をかきながら追いかける。 不意に気配を感じて振り返ると、月夜に照らされた金属バットがにわかに輝いた。 ……ような気がした。 【A-3 一日目 黎明】 【ルシール・ベルヌイユ@からくりサーカス】 [時間軸]:真夜中のサーカス襲撃直前 [状態]:健康 [装備]:ベレッタM84 [道具] 基本支給品一式、支給品0~2(確認済み) [基本方針] ドットーレを最優先で探し、殺す。小学校へ行く。 【蒼月紫暮@うしおととら】 [時間軸]:詳しくは不明だが、とらとは面識がある状態、かつ白面を倒す前からの参加 [状態]:健康 [装備]:鍋の蓋 [道具] 基本支給品一式、支給品0~2(未確認) [基本方針] 潮、ドットーレを探す。小学校へ行く。 [備考]:ルシールを少しだけ警戒しています。 投下順で読む 前へ:レッツゴーレッカマン 戻る 次へ:振り放けて三日月見れば一目見し 時系列順で読む 前へ:レッツゴーレッカマン 戻る 次へ:振り放けて三日月見れば一目見し キャラを追って読む 011 宵闇の唄 ルシール・ベルヌイユ 086:オヤジよりさらに年上のばーさん 蒼月紫暮 ▲
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/54499.html
登録日:2023/07/08 Sat 13 25 54 更新日:2024/09/18 Wed 15 46 16NEW! 所要時間:約6分で読めます ▽タグ一覧 ウルトラマン ウルトラ怪獣 ストラ星人 チート バラゴン←は関係ない パラゴン 富士山 帰ってきたウルトラマン 石堂淑朗 蜃気楼 蜃気楼怪獣 解散MAT 阪脩 電磁波 パラゴンとは、特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』に登場する怪獣である。 この項目ではパラゴンと関わりの深いストラ星人についても触れる。 【データ】 登場話:第42話『富士に立つ怪獣』 別名:蜃気楼怪獣 体長:80m 体高:43m 体重:4万9千t 出身地:ストラ星 【概要】 地球侵略を目論むストラ星人に操られる宇宙怪獣。 四足歩行型で、銀色の体に角や翼らしき器官が付いているボリューミーなデザインが特徴である。翼を使って空を飛べるのかは不明。 他のウルトラ怪獣だとブロッケンやジャンボキング、ゾンバイユなどに似たスタイルをしている。 蜃気楼怪獣の名のとおり、太陽光線を意のままに屈折させ、任意の場所に蜃気楼を作り出して相手を幻惑する能力を持つ。 作中ではこれを応用してレーザー光線を無効化し、自分を数百m級の巨大怪獣かのように装っていた。 人間の目が駄目なら機械で……と対抗しようにも、こいつはレーダーの要たる電波や赤外線を屈折させるのもお手の物というとんでもないヤツ。 パラゴンと戦う時には自分の目も、レーダーも何もかもが信用できない状況で同士討ちに怯えながら戦う羽目になる。 一応、蜃気楼を作る能力に関しては太陽光線の弱くなる夜間には使えなくなる弱点もあるにはある。 その他の武器としては背中の突起から放つ破壊光線があるが、直撃したウルトラマンが大してダメージを受けた様子がないことから威力は低いのかもしれない。 ウルトラ怪獣の中では知名度の低い部類であり、『帰マン』に登場した怪獣の中でもグドンやベムスター、ブラックキングといった有名どころには到底敵わないマイナー怪獣といえる。 しかし、劇中では前述の能力によってウルトラシリーズ史に残る防衛チームの不祥事を引き起こした怪獣でもある。 【関連宇宙人】 ストラ星人 別名:宇宙怪人 身長:2m 体重:80kg 出身地:ストラ星 CV:阪脩 パラゴンを操り地球侵略を目論んだ宇宙人。 銀色と緑色のカラーリングのボディを持つ。 パラゴンと同じく太陽光線や赤外線、電波を屈折させる能力を持ち、その能力に絶対の自信を持つ傲慢な宇宙人。 作中でMATの前に姿を現した際も、大岩を隔てた向こう側から自らの虚像を投影し、わざわざそれをバラすという挑発を行っている。 実体のない虚像という演出なのか、登場するほとんどのシーンでスイーッスイーッと左右にスライドしているのがシュール。 ご多分に漏れず地球侵略が目的なのだが、最終目標はなんと地球を自分たちの別荘地にすること。 そのために、富士山麓に潜みパラゴンの能力で周辺のハイウェイを走る車を次々と事故らせて大混乱を引き起こし、ゆくゆくは地球人を滅ぼそうとしていた。 ……大層な能力を持っているわりに目的がショボいし、やることが回りくどい。 4クール目の『帰マン』の宇宙人はこんな残念な奴が多い。 声にはかなり強いエフェクトがかけられており、はっきり言って聞き取りづらい。 昔のTVやVHSの音質で、彼の台詞を初見で完璧に聞き取れた人はいたのだろうか? 【劇中での活躍】 富士山頂に潜み、笠雲を隠れ蓑としながら次々と交通事故を引き起こしていたパラゴン。 しかし笠雲の消え方、現れ方が自然現象としてはあまりに不自然であったことから郷に怪しまれ、富士山頂にレーザーを撃ち込まれたことで姿を現す。 怪獣出現の報を受けたMATが駆けつけるも、「蜃気楼を操る相手だから有視界飛行は危険」という郷の進言を笑って無視した伊吹隊長のマットアローと南の乗るマットジャイロを正面衝突させ、レーザー攻撃も跳ね返して撤退に追い込んだ。 その夜、なんか左右にスライドしているストラ星人の挑発を受けたMATは富士山頂に鎮座するパラゴンは蜃気楼が作り出した幻ではないかと推測。 日の出を待ってレーダーを用いてパラゴンの位置を探り、撃滅する作戦を立てる。 明くる日、麓の村の人々の応援を受けながら飛び立つマットアロー。そのレーダーがパラゴンの本体を捉えた。 山梨側の八合目に向けて誘導ミサイルを発射する伊吹機だったが…… あっ! こっちに落ちてくるぞ!! なんとミサイルはパラゴンではなく、地上から見守っていた郷、南、上野の至近距離に着弾した。 そんな彼らの様子をやっぱり左右にスライドしているストラ星人があざ笑う。 ハハハハハッ、馬鹿め! 我々は光波も電波も赤外線も、全ての電磁波を自由に変えられるのだ!! 攻撃中止を要請する南。しかし岸田は焦りからか、隊長の命令も聞かずになおもミサイルを撃ち続ける。 そのミサイルは地上の郷たちだけでなく、麓の村にまで着弾してしまう。 かくして地上は、先程までMATを応援していた罪もない人々がマットアローの爆撃から逃げ惑う地獄絵図と化した。 「ああっ! うわぁーっ!! うわぁぁぁ助けてくれぇぇぇーーーっ!! うわぁぁぁーーーっ!!」 「ちきしょう……MATのやつめぇ!」(マットアローに銃を向けながら) 「MATは狂ってるんだ……!」 南までも「これでMATも崩壊だ……」と呟く惨状を止めるため、郷はウルトラマンに変身。 パラゴンの蜃気楼を打ち破るべくウルトラブレスレットを偏光ミラーに変化させ、太陽光線に強烈な振動を与えた。 ついに本当の位置をさらけ出したパラゴンとウルトラマンは雪原を舞台に戦いを繰り広げる。 巨体や破壊光線を武器にウルトラマンに迫るパラゴンだったが、角や翼を引きちぎられて虫の息に。 最後は足元の岩をスペシウム光線で破壊され、富士山の火口に転落。溶岩に飲み込まれ、焼き尽くされるのだった。 富士山の火口に溶岩が赤々と燃えていることを突っ込んではいけない。 ちなみにストラ星人は炎に包まれるパラゴンとシンクロするかのように爆発炎上し、人知れず息絶えた。 もしかしたらストラ星のレイオニクスだったのかもしれない。 【余談】 民間人を執拗に爆撃するという前代未聞の不祥事を起こした今回のMATだが、事件の解決後にそれを悔やんだりしている様子は一切ない。序盤だったら岸田長官や佐竹参謀が出てきて解散を迫っていたことだろう。郷の警告を半笑いで無視して正面衝突を起こす伊吹隊長といい、「怪獣が光波を曲げるなら電波も当てにならないのでは?」と的外れとも言えない推測を口にした郷にブチ切れる岸田といい、本話のMATはどうも変である。「ギャグ回のつもりだった」「脚本家が体制側の存在である防衛チームを嫌っており、その偽善性を書こうとした」などの説がある。 突っ込みどころの多い本話だが、特撮パートでは郷たちの頭上スレスレをかすめるマットアローの見事な合成、逃げ惑う人々の超至近距離で炸裂する火薬などわりと見どころがある。 ウルトラシリーズにおいて蜃気楼怪獣の別名を持つ怪獣は、他に『タロウ』のロードラや『ティガ』のファルドンが存在する。なんの因果か、ファルドンが登場するエピソードも方向性は違うものの防衛組織の不祥事が問題となるストーリーである。 英単語で“paragon(パラゴン)”といえば、「模範・手本」のような意味を持つ。ただ、本怪獣とは特に関連性はないと思われる。 間違えやすいが、パ ラゴンであり、東宝怪獣はバ ラゴンであるので注意。さらに、昭和ガメラの怪獣はバル ゴンである。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ウルトラシリーズの怪獣の一部はこいつを祖先としているのかも。 -- 名無しさん (2023-07-08 15 12 24) バラゴンじゃないのか… -- 名無しさん (2023-07-08 15 17 47) ゲロ吐いてるみたいな宇宙人 -- 名無しさん (2023-07-08 18 10 04) Pから始まるパラゴンとBから始まるバラゴンとでメチャクチャ判りづらいやつ -- 名無しさん (2023-07-09 04 39 42) 視覚もレーダーも頼れない相手だが、ソナーによる把握なら何とかなるか? あと、心眼を体得したレオなら一方的な展開になりそう。 -- 名無しさん (2023-07-09 09 17 40) 岸田が攻撃中止の命令を無視したのってパラゴンのせいでその通信が伝わらなかったせいだと思うんだがどうだろ? -- 名無しさん (2023-07-11 17 05 28) この話の岸田は、郷と対立してた初期の頃の性格に戻ってる気がする -- 名無しさん (2023-07-27 15 56 51) 名前 コメント