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※ゆっくり達が食べ物を食べる必要がなくてゆっくり光合成するだけで栄養を得られる、ゆっくり間に捕食種は存在しないみんな仲良し、 ゆっくりれみりゃがこわがり、ゆっくりアリスが強姦魔ではないなどのあまり使われない設定が多いですので注意してください。 ※また、俺設定がありますので注意してください。 まりさ達が人間の子供に虐められ、大男に助けられた日から3日経った。その日はまりさ達がピクニックに行った日と同じように、 とてもいい天気だった。小鳥のぴぃぴぃと鳴く声、ひらひらと花に向かってまう蝶々、ぽかぽかと暖かい空気、 お日様に当たって輝く木々の緑。 けれどもゆっくり達は決して木の中の自分の家から出ようとはしなかった。あの日と同じ絶好のゆっくり日和にもかかわらずだ。 いや、あの日と同じものがもうひとつあった。 「お~い、いたか?」 「いや、いねぇ。しっかしあいつらどうしたのかな。もういなくなって3日になるぞ」 人間達の声である。そう、人間達がゆっくり達の住処がある森をうろうろと歩き回っている。 いつもゆっくりを苛めてきた子供たちではない。子供なんかよりずっと強くて賢い、大人だった。何かを探している。 「そういやこのあたりってゆっくりが住んでいるよな。まさかゆっくりに食われたとか・・・。」 「それはないだろ。いくらあいつらが子供だからといってゆっくりに食われるわけねえよ。っていうか、 ゆっくりっていったい何を食っているのかねぇ。」 「そういえばそのゆっくり達の姿が見えないな。いつもなら一匹か二匹くらいは出くわすのに。すぐに逃げられるけどな。 あれってなんでだ。」 「人間が怖いんだろ。子供達の間でゆっくりをいじめるのが流行っているっていうからな。 まして、今日みたいにその人間の大人が大人数でいれば、万が一にも見かけることもあるまい。今頃巣で引きこもっているだろうよ。」 「ばちが当たったんすかねぇ。やっぱり弱いものいじめなんてするもんじゃないっすね、」 「ほんと。あいつらが戻ってきたら、いけないことだって教えてあげないと。俺達だって蛙や虫を殺したとき、 親に叱られて躾けられてきたことですし。」 「とりあえず今日は日が暮れてきたからこれまでにして、また明日探そう。夜になるとこの森でも妖怪が出てきて危ない。 ミイラ取りがミイラになったら笑えん。まったくあのガキ共心配かけやがって・・・・・。」 ざっ、ざっと人間達は去っていく。それから更に2日間、人間達は日の出の時間と共にやってきて、日が落ちると共に帰っていく。 行方不明となった子供達を捜すためである。ゆっくり達はそんな彼らの気も知らず自分の巣で怯えて篭っていた。 その日からゆっくり達は人間はゆっくりを捕まえて食べるために来たのではないか、 ひどいことをするのではないかと思って隠れ住むようになった。 外では今もぽかぽかとお日様が出ている、けれども巣の中から出てこれない。 ゆっくり達は、お日様の下でゆっくりできなくなってしまった。 ゆっくり達のエネルギーは太陽の光。 体内に餡子が詰まっており、体内に消化器がないためである。その他の内臓もないのだが、気にしてはいけない。 とにかく、お日様の下でゆっくりすれば生きていける。 しかし、ゆっくりするというとおり、長時間太陽の光に当たっていなければならない。 ゆっくりは本来光合成に必要な葉緑体がほとんど存在しない上、バスケットボールほどの大きさという、 光合成で栄養をいきわたらせるのが難しいほど巨体であるためだった 「む・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・」 「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ゆっくりしちゃだめよ!」 「にんげんたちがかえったよ!そとにはだれもいないよ!」 「まりさ!ありす!れみりゃ!ゆっくりしないでぱちゅりーをおそとにはこぶよ!」 「う~~!」 日が落ちると共に帰る人間達。人間が帰った後、完全に日が落ちるまでの間しかゆっくり達は日の光をあびることができない。 たった2日間光に全く当たらなかっただけでも、栄養失調でゆっくり達は弱りきっていた。 特に体の弱いぱちゅりーはあと一日も持たないだろう。鳴くことさえ十分にできなくなっていた。 一刻の猶予もない。まりさは後悔した。迷っていた自分が馬鹿だった。このままではぱちゅりーが死んでしまう。 まりさはゆっくりしないで覚悟を決める。これからまりさが悪者になって、 それをみんなが退治する。そうすれば、みんながいいゆっくりだということが人間にもわかってもらえる。 みんなが巣の中から出てこれて、お日様の下でゆっくりすることができる。みんなの命を助けるためだった。 まりさはあの大きなおじさんのことを思い出す。鬼のようだったけど、とても優しかった。 人間の中にもああやって怖そうなのに本当はいい人もいた。 まりさは青鬼になる。まりさはわるいゆっくりにならなきゃいけない。 人間ならば他にもっといい方法を考えられたかもしれない。しかしこの切迫した状況の中ではゆっくりにはこれ以外思いつかなかった。 その日の夜、まりさはれいむと一緒に巣の中で寄り添っていた。はたから見ればとてもゆっくりとした雰囲気を放っていた。 しかし二匹は太陽の下でゆっくりできていない。れいむのほっぺたはかさっと乾燥していた。 「まりさ・・・・ゆっくりできないね・・・・・ゆっくりしたいね・・・・・・・・・・・」 れいむはまりさにつぶやく。さんさんと輝きを放つ太陽の下でゆっくりと生きてこれた3日前を思いながら。 「れいむ・・・だいじょうぶだよ・・・・・もうすぐゆっくりできるよ・・・・・・・・・」 まりさはれいむに対して答える。その言葉の意味がわからないれいむはきょとんと固まった。 しかし目を伏せるとそうだったらいいねとため息を漏らし、眠りについた。 まりさは、大好きな友達と最後の時間をゆっくり過ごした。時間がゆっくりではなく、止まってしまえばいいと思った。。 このとき青鬼が何で赤鬼といられないかまりさはわかった。青鬼は赤鬼のためとはいえ悪いことをした。 だから、みんなと一緒にいたらいけない。 「れいむ・・・・・まりさはこれからにんげんのとこにいってくるね・・・・・・・・ まりさがにんげんをやっつけるからね・・・・・・・・・・・・・」 れいむは夢の中でまりさの声を聞いた。しかし気のせいだと思ってそのまま眠り続ける。 次の日れいむが目を覚ましたとき、まりさの姿はどこにもなかった。 「ゆっくりたべるよ!ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりできないおじさんたちはゆっくりしね!!」 次の日、まりさは人里にて畑を荒らしまわっていた。大根を掘り返して捨てる。店先の商品に体当たりをしてまき散らかす。 どろで汚れた体で人の家に上がりこむ。まりさは悪行の限りを尽くしていた。 しかしそんなまりさの悪行も人間から見ればたかが知れていた。体内が餡子のゆっくりは食べ物を消化できない。 そのために光合成で栄養をとっているので、大根を掘り返しても食べられない。体当たりをしてもただ散らかるだけで何も壊れない。 汚れた体であがりこんでも、玄関先までだった。 その程度でも人間達が今まで無害だと思い、関わり合いを持たなかった生き物がこのような行為に及んだとき、 とる行動はひとつであった。駆除である。 「くそっ、どこに逃げやがった!」 「たかがゆっくり一匹だろ!はやくつかまえらんねぇのか!」 「そうは言ってもあいつ全然ゆっくりしていねぇんだよ。ゆっくりってあんなに早く動けたのか・・・・・」 「おじさんたちのば~か!ゆっくりしすぎだよ!」 「むこうに行ったぞ!追え!」 まりさは逃げる。ひたすら逃げる。この3日間殆ど栄養を得られなかった体で逃げ続ける。 跳ぶたびに息が切れる。着地のたびに餡子を吐き出しそうになる。体当たりのたびに意識を失いそうになる。 人間とゆっくりの体力差は致命的だ。まして、向こうは村中で襲い掛かってくる。 だが、今つかまるわけには行かなかった。今つかまったらまりさはただの悪いゆっくり。 みんなを助けるためにはそれだけじゃ駄目だった。 そう、ゆっくり達が助かるには、青鬼は人間で退治されることは許されない。 青鬼を退治するのは 「まりさやめてね!どうしてこんなことするの!まりさわるいゆっくりになっちゃたの!」 赤鬼が来た。れいむだ。まりさの言葉から人間の里に来ていると判断したのだろう。 まりさを止めようと決意をしてきてみたら、里中が荒らされていた。 れいむは目に涙を浮かべ、信じられないものを見ているような顔をしていた。 その後にはありす、れみりゃが控えている。二匹ともれいむと同じような顔をして固まっていた。 「そうだよ!まりさほんとうはわるいこだったんだよ!おばかなれいむはゆっくりしんでね!」 まりさは何も悪びれたところがないように振舞う。その顔はふてぶてしく、見るものは小ばかにされている印象を受ける。 片側の唇を吊り上げて笑うと 「ありすもれみりゃもゆっくりきえてね!おうたがへたなありす!こわがりなれみりゃ!みんなあそんでもつまんないよ!」 「まりさぁ!うそよ!あなたはそんなこといわないわよ!なにがあったの!?おしえてよぉ!」 「う~~~~~~~~!」 二匹とも大粒の涙を流してまりさに問い詰める。怒りでも憎しみでもなく、豹変してしまった友達に対する思いやりゆえの行動だった。 まりさは悲しかった。大好きな友達達を傷つけなければいけないことを。 まりさはうれしかった。あんなひどいことを言っても自分の事を考えてくれる友達を持ったことを。 だが、それでは駄目だった。赤鬼と青鬼が仲良くしたら、人間に退治される。 人間達が追いついてきた。このままだとれいむたちも一緒に捕まってしまうだろう。 青鬼は容赦してはいけない。まりさは空気を大きく吸い込んで、倍の体積まで膨らむと、 吐き出される空気によって吹き飛ばされるほどの怒声で叫んだ。 「ゆっぐりじねぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!!!」 まりさは狂ったように吼えた。そのたった一声で口が裂けるほど大きく開き、のどが鈍い音と共につぶれた。 怯んだれいむ達にまりさは突っ込むと、れみりゃに向かって体当たりをした。まりさの体から餡子がこぼれた 「うぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~~~!!」 れみりゃは泣き叫び、飛ぼうとする。しかしまりさは逃がさない。羽を口で押さえつけてぼんぼん跳ねる。 「れみりゃぁぁ!」 ありすがれみりゃを助けようとまりさに突っ込む。ありすはまりさに体当たりをしてどかすと、 羽をもがれたれみりゃをかばうように立ちふさがった。まりさはすぐにありすを血走った目でにらみつけ、今度はありすを襲う。 まりさはハァハァと息を切らせてありすの上に乗ると、頬をくっつけた。無理矢理交尾するようだった。 「ひぺぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇっ!!」 奇声を発し、髪を振りみだすありす。いつもの優雅な姿はどこにもない。 いつも突っかかっていたライバル。とっても歌がうまい友達。そして嫌いじゃなかった女の子。それが今ありすを一方的に蹂躙していた。 「だずげで゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛れいむぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛」 まりさは口によだれを滴らせただらしない表情でれいむを見る。ゆっゆっと小刻みに震える。 「つぎはれいむとすっきりするね・・・・・・。れいむのつぎはぱちゅりーがいいな・・・・・・・・・・」 そこには、れいむが昨日の夜寄り添った友達はどこにもいなかった。 バシイィィィン! 音がした。柔らかいものと柔らかいものがはじけあったときに聞こえる音。 まりさの前にれいむがいた。口からは餡子がこぼれている。 その目は子供に虐められたときのようにまりさを気遣った目とは同じものとは思えない。 ガラスでも入っているかのような無機質な目であった。 れいむは何も言わない。もう二度とまりさとは話すことがないようであった。 「・・・・・まりさはね・・・・・・・・・・・・・ れいむなんてさいしょからおともだちだっておもったことないよ・・・・・・・・・・。ゆぎぃぃ!」 バシイィィィン! 再び聞こえるあの音。まりさは5メートル先に吹き飛ばされていた。 「・・・・れ・・・いむのへな・・・・ちょ・こ・・・・・・・・」 ゆらりと、ぼろぼろになっても起き上がり、れいむに向かっていくまりさ。裂けた口からはちらりと固まった餡子が見える。 外にある液体状の餡子は床に広がっていた。 バシイィィィン! ガシッ! まりさは壁まで吹き飛ばされ、叩きつけられた。体がべシャリと広がり、固まった餡子が少し零れた。 「ゆ・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・ぉ・・・・・・・ わ・・・・・・・・・・・・・・・・・い・・・だ・・・・・・・・・ぃ・・・・・・む・」 人間達はただみていることしかできなかった。目の前で、自分達が追っていたゆっくりが、 他のゆっくりに一方的に叩きつけられていた。同種でも、あれほどまでに一方的な力の差は有るのか。 それに、なぜ仲間割れをしている。 バシイィィィン! バシイィィィン! バシイィィィン! ゆるやかに勝負は決した。まりさはずりずりと森の中へと逃げ去っていく。 ゆっくり達は友達が死んだときのような顔をして、まりさを見送った。 最も、ゆっくり達の表情は人間からは見えなかったが。 「みんなもうだいじょうぶだよ!!」 れいむはれみりゃとありすのいる方向に笑いかける。れいむの表情は人間達にも見えた。 終止無言だった先ほどとは対照的に明るすぎる声で二匹へと呼びかける。れいむの声は人間達にも聞こえた。 事情を知らない人間達とは違い、ゆっくりたちにとっては直視できないような悲しい笑顔と聞くに堪えない声だった。 人間達は呆気にとられて、かつての目的だった悪さをするゆっくりを捕まえることができなかった。 誰もが目の前の光景に説明がつかなかった。 いつもは姿さえも見せないゆっくりが、なぜこのようなことを。 そのとき、村の若者が一言漏らす 「あいつら、ひょっとして俺達を助けに来たのか・・・・・・・・・」 それを合図に沸きあがる歓声。響く笑い声。 ゆっくり達を抱き上げる人々。 突然の歓迎に身を固まらせるれみりゃとありす 人間達はこの時新しい友人の出現に感謝した。 れいむはまりさの変貌が信じられなかった。 れいむが危ないとき、助けてくれたまりさ。どんな危ないときも、 いつもみんなの事を考えていた。みんなのことを・・・・・・・・。 みんな・・・・・・・・・・・。 れいむの頭のなかのパズルにピースがはまる。 れいむは今ようやく理解した。答えを出すのが遅すぎた。 そう、まりさはゆっくりと人間が仲良くなれるためにわざと悪者になった。 それを知ったとき、れいむは涙を流した。 みんなのために命を懸けた友達に感謝しながら。 友達の事を信じ切れなかった自分を恥じながら。 赤いリボンを風になびかせて ゆっくりまりさとゆっくりれいむ おしまい そのとき、一人の男が水をさすようにつぶやいた 「 、 向かって るから、 じゃないか」 あたりが静まり返った next ゆっくりまりさと泣いた赤鬼 著 抹茶アイス このSSに感想を付ける
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ゆっくりのいる街に出てきたネタをお借りしました。 また他にも色々とネタが被ってたりしますが、許してください。 ドスまりさが出てきます。 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 「れいむはゆっくりおひるねをするよ!」 「まりさはおはなさんをたべてくるね!」 「ありすはしかたないからまりさについていってあげるわ!」 「みんな余り遠くまで行ったらダメだからね! ゆっくりできなくなるからね!」 「「「「「わかってるよ、ドスまりさ!」」」」」 ドスまりさは群れのゆっくり達と共に小さな平原でゆっくりしていた。 ここは小川が流れ、すぐ近くには豊かな森もあり、餌に困ることはないゆっくりプレイス。 ドスまりさとその群れのゆっくり達はここに1年ほど前に辿り着き、巣を作って生活していた。 だが、このゆっくりプレイスは人里からさほど離れていない場所にあった。 人間というものは基本的に住みやすい場所に集落を作る。 開けた場所であること。 近くに川があること。 森には豊かな食材があること。 狩りに適した動物がいること。 危険な生物がいないこと。 など色々と求め、これらを多く満たした場所に集落を作る。 そして、これらはゆっくり達が求めるゆっくりプレイスと通じるものがある。 故にゆっくりプレイスを求めるゆっくり達は意識せずに人里近くに住んでしまうのだ。 「また畑を荒らしに来たのか」 「ここはまりさたちのゆっくりぷれ・・・ぶぎぇ」 「ごめんざいいい、ごめんなざいいいやあぁぁあぁああぁ!」 「どうじでごんなごどをずるのおおおおぉおぉあぐっ!」 ここに来た当初は、群れに途中から合流してきたゆっくりや若いゆっくり達が人間の恐ろしさを理解できずに 人里に近づき、人間の家や畑を自然に出来たものと勘違いして荒らしては捕まって殺されていた。 野生の生き物というものは、仕方のないことだが人間のルールというものが分からず また生きることに必死なので周りのことなどまるで気にかけず、自分勝手に振る舞う。 それは野生で生きるゆっくり達にも当て嵌まることだった。しかし、人間は知恵を持つ生物なのですぐに対策をする。 通常の野生の生き物達は、痛い目に遭ったり柵や案山子やらで対策されたりなどで近づくことはかなり減ったが ゆっくり達は中途半端に知能がある分諦めが悪く、何度も何度も畑を荒らそうとした。 一度や二度ならともかく、何度も繰り返したせいで遂に人間たちはゆっくり達を害獣と判断した。 「にんげんはまりさたちをいじめるんだよ!」 「ゆっくりぷれいすをひとりじめするわるいやつらだよ!」 「みんなでにんげんをやっつけようよ!」 「だめだよおおおおお! そんなことしたらゆっくりできなくなるよおおおお!」 一部のゆっくり達は、ドスまりさに人間に復讐しようと迫ったが、ドスまりさはけして首を縦には振らなかった。 他の群れのゆっくりや旅ゆっくり、人間から逃げてきたゆっくり達からドスまりさが何体も人間に殺されたということを聞いていたからだ。 また知能を使って人間に勝とうにも、ドスまりさや参謀のゆぱちゅりー、ゆありすはゆっくりにしては賢いほうだったが それでも人間と較べると遥かに劣っていることをゆっくり伝えの話と長年の経験から知っていたのだ。 人間と戦えば必ず負け、群れは全滅する。なぜそんな無謀がことが出来ようか。 「ドスまりさ、またまりさがにんげんのはたけにいってころされたわ」 「ゆうぅぅぅ! ダメって言ったのにどうして行っちゃうのおおお!」 「まりさのことはしかたないよ! れいむたちだけでもゆっくりしようね!」 「むきゅー! なんでわたしたちのいうことをきいてくれないのかしら」 もう被害が出ないように群れのゆっくり達に何度も人間に近づいてはいけないと教えたが それでも中途半端な知能からくる過剰な自意識で一部の若いゆっくり達は人里に行き、そして帰ってくることはなかった。 だが、住み始めてから半年もしたころには群れのゆっくり達は人間に近づくこともなくなっていった。 群れのゆっくり達は長きに渡るドスまりさの説得と、さらに捕まり殺されていく仲間が増えていくことで、ようやく理解できたのである。 また人里に行くのは若いゆっくりが多かったので、赤ゆっくりの頃から人間に近づいてはゆっくりできないことを教えたことも効果があった。 しかし、群れの危機はこれだけではなかった。 それは森に来た人間である。人間はゆっくりによる畑被害により ゆっくりを害獣のように思っていたので、ゆっくりを見つけ次第殺していったのである。 「ゆゆっ! にんげんだよ! ゆっくりしないでにげるよ!」 「まりさがおとりになるからみんなはそのあいだにゆっくりにげてね!」 「つかまったらころされちゃうから、あかちゃんたちはくちのなかにはいってね!」 「むきゅ! たかいくさむらのほうににげてね! そこならきづかれにくいわ!」 ドスまりさは最初に人間に手を出したのは群れのゆっくりなので 群れの仲間が殺されていくことに涙を流しながらも 人間を見かけたら復讐などを考えず、すぐに逃げるように説得してまわった。 幸い、また森に来た人間達は森の食材を取るために来てるのであって ゆっくりを狩るために来たのではないため、すぐ逃げると人間たちは深く追ってくることをしなかった。 なので、たまに逃げ遅れたり人間が近くにいることに気付かず殺されるゆっくりもいたが それらは長雨による餓死、突如見舞われる天災などに較べたら被害は微々たるものだったのだからだ。 「やめでええぇぇぇ! れいぶのあかぢゃんをいじめないでええええぇぇぇ!」 「おがああぁぢゃあああぁぁぁん! だぢゅげでえええぇぇぇええぇぇぇ!」 「なら、さっさと巣に案内するんだな」 「そんなごどじだら、みんあがゆっぐりでぎなぐなっぢゃうううう!」 「いぢゃいいぢゃいよぉぉぉ!ゆっぎゅりでちないよぉぉ!!!」 「なら、こいつは諦めるか?」 「ゆっぐりざぜでえええええええええええええええ!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 だが、時が経つにつれ人間たちにも変化が現れる。 動物と同じようにゆっくりを狩って加工場に売って生計を立てる人や 中途半端な知能を持つゆっくり故に、嗜虐心を煽られゆっくり虐めを楽しむ虐待お兄さんが出てきたのだ。 こういった人たちは森の食材を取るために森に来るのではなく、野生のゆっくりを狩るために森に来るのだ。 しかも、すぐに逃げても執拗に追ってきたり、捕まえたゆっくりを痛めつけて巣に案内させ全滅させたりして 群れのゆっくり達は徐々に減ってきた。 「どずまりざあああ! まだまりざのごどもがごろざれぢゃっだああああぁぁあぁぁぁ!」 「れいぶだぢはわるいごどじでないのにどうじでごんなごどになるのおおぉぉぉおぉ!」 「ありずのいぼうどだぢがにんげんにづがまっぢゃっだああぁぁぁああぁ!」 「ゆっぐりじでね! ゆっぐりじでね!」 ドスまりさは苦悩した。 人間に迷惑をかけずに静かに暮らしていれば、人間たちもわざわざゆっくり達を殺しには来ないと思っていたのだ。 しかし、現実は厳しい。この村には農家が多く、ゆっくりを苦々しく思っている人ばかりだった。 害獣扱いとなったゆっくり達を助ける存在はなく、群れのゆっくり達は捕まり虐待され殺されていく。 群れのゆっくり達は嘆き悲しみ、ドスまりさになんとかならないかと泣きながら毎日詰め寄るが ドスまりさも参謀というべきゆぱちゅりーもゆありすも頭を悩ませるだけで良い案など思い浮かばなかった。 人間と戦うという選択肢はない。今住んでいるゆっくりプレイスを捨てて新しいゆっくりプレイスを探すという手はあるが 今のゆっくりプレイスは長きに渡る流浪の末、多くの犠牲を出しながらもようやく辿り着けた場所だ。 それに人里は危険な生物が少ない場所に作られることが多いため、逆説的に人里から離れていくと 人間からの被害は減っていくが、その分妖怪や猛獣などの人間外の危険な生物からの被害が増えてくる。 家族単位でも見知らぬ地を移動するのも危険だが、それが群れ単位になれば危険性は跳ね上がる。 群れのゆっくり達の数が多い故に危険な生物に見付かりやすくなってしまうからだ。 運悪く妖怪にでも見付かってしまっては、群れはあっさりと全滅してしまうだろう。 ドスまりさは何日も群れのゆっくり達がゆっくりできる方法を考え そして人間にもう悪いことをしないから虐めないで欲しいとお願いしにいくことを思いついた。 幸い、ゆっくりを狩りに来る人たちが数人しかいないことは群れのゆっくり達の話で分かっていた。 その人たちがやめてくれれば、ゆっくり達が殺されることもなくなり、ゆっくりできると思ったのだ。 「ドスまりさ、どうしてもいくの?」 「うん、ゆっくりを虐めないようにお願いしてくるね!」 「でも、あいてはにんげんなのよ。ころされるかもしれないわ」 「れいむもしんぱいだから、ドスまりさについてくよ!」 「ついてきちゃダメだよ。これからまりさはゆっくりできないところにいくんだから!」 「ドスまりさああああ!」 「むきゅー、しなないでね。きけんならすぐにげてね!」 「心配しないで! 安心してゆっくりまっててね!」 「ゆっくりまってるね! ゆっくりまってるからね!」 そして、ドスまりさは人間に虐待され生きて帰ってこれたゆっくり達に場所を聞き、虐待お兄さんの家に向かった。 今向かっている虐待お兄さんは、ゆっくりを虐めたり狂わせたり壊したりしてから野生に返すのが趣味な人だった。 あるゆっくりれいむは、無理矢理にんっしんっさせられ赤ちゃんを産んでは発情させられたゆっくり集団に赤ちゃんを犯し殺され 赤ちゃんが全員死んだらまた無理矢理にんっしんっさせられ、赤ちゃんを産んではゆっくり達に犯し殺されていく。 そんなことを繰り返して対人恐怖症ならぬ対ゆっくり恐怖症になった。普通のゆっくりを見ても怯え泣き逃げ惑うようになったので野生に返された。 あるゆっくりまりさは、水と小麦粉と餡子と針金で粘土のように体を千切られたり付け加えられたりしながら体を弄ばれ きめら丸もかくやという感じに体を魔改造されてから、野生に返された。 このゆっくりまりさにけして鏡を見せることはなかったので、自分がどのような姿なのか そして他のゆっくりがこのきめらまりさを見て、どう思うかを知らないまま野に帰っていった。 あるゆっくりありすの集団には、全員に死んだゆっくりの髪飾りをつけてから野生に返された。 死んだゆっくりの髪飾りをつけると、同様のゆっくり以外からは嫌われ執拗に攻撃されることになる。 だが、発情中のゆっくりありすは戦闘力?が跳ね上がり、また集団であるため、ゆっくり達は簡単には排除できないだろう。 さらに何が何でも殺したい思ってる連中から陵辱されるゆっくり達の屈辱はどれほどのものか計り知れない。 あるゆっくりれいむ一家は、香霖堂で買ったバイブというものを体につけられ睡眠と食事以外は ずっとすっきりーをさせ続けられ、ゆありす集団以上のレイプ集団となってから野生に返された。 なにせ挨拶が「ゆっくりしていってね!」から「すっきりしていってね!」に変わってしまってる。 このゆっくりれいむ一家が、ゆありす集団と会ったらそれは面白いことになるだろう。 あるゆっくりまりさ一家は、頬を水で溶かされ家族全員を一列に癒着させられてから野生に返された。 全員同じ方向を向いてるため前進することは出来るが、みんなで同時に進もうとしないと前進することも出来ない。 また大きさが違うので当然歩幅も違い、跳ねるたびに一番端にいる赤ちゃんは振り回され傷ついていく。 そして赤ちゃんの痛みは癒着で共有しているため、家族全員に伝わる。もうゆっくりすることは出来ないだろう。 またこの虐待お兄さんは間接的に殺したことなら数多くあれど、自分の手で直接殺したことは1回もない。 ゆっくり達が虐めることによって示す反応を見るのが好きらしく、虐殺には興味がないらしい。 それ故に虐待されたゆっくりがドスまりさの群れに戻ってこれたわけだが。 ズズーン ズズーン 「ん、なんだ?」 虐待お兄さんは僅かに地鳴りがするので窓の外を目をやると 遠くにドスまりさがこちらに向かって跳ねてきていた。 この家は人里からは少し離れた場所に建っている。 場所柄ゆえに生活する分には些か不便だったがその分、通常の家よりも安値だったこと ここなら、近所迷惑にならずにゆっくりを虐待できること それらの要因が重なり、思い切って購入した家だった。 この家の周りには特に何も無く、また人里へ向かう方向とも違う。 この家の先にある森に行くならば、わざわざ家付近を通らずに迂回路を取るだろう。 なので、ドスまりさの目的地はこの家だと推測した。 にしても普段ドスまりさは森の奥深くに住み、そこから出てこないので 虐待することができなかったのだが、それがまさか向こうから来るとは。 まだ来るまでしばらく時間がかかりそうなので、まずは捕獲のための準備を始めた。 そして準備を終え、家でくつろいでいると地鳴りが止まった。 「ゆっくりしていってね!」 との大声が聞こえた。どうやらドスまりさが家の前まで来たようだ。 家を出てドスまりさを見上げるが間近で見ると本当にでかい。だいたい5mくらいはあるだろうか。 これなら虐待もかなり楽しめそうだ。まぁ、まずは会話でも楽しむか。 「こんにちは、おにいさん! まりさはおにいさんにお願いがあって来たの!」 「で?」 「もうまりさ達は悪いことをしないからこれ以上ゆっくりを虐めないでね!」 「で?」 「何も悪いことをしていないゆっくりを虐めないでって言ってるの!」 「で?」 「ゆっくりたちがゆっくりできなくなるからだよ!」 「で?」 「ゆっくりたちをゆっくりさせてほしいっていってるの!」 「で?」 「悪いことをしたゆっくりならお仕置きされても仕方ないけど・・・ でも、群れのみんなはゆっくりできる良いゆっくりだよ! いまは人間の家や畑を荒らしてないよ!」 「で?」 「だから、もう悪いことをしないから、ゆっくりを虐めないでね!」 「で?」 「この前、群れのゆっくりを虐めたのを知ってるよ!」 「で?」 「そんなことはもうやめてね! ゆっくりさせてね!」 「で?」 「もう一度言うからよく聞いてね! まりさはおにいさんにお願いがあって来たんだよ!」 「で?」 「ゆっくりをこれ以上虐めないでね!」 「で?」 困った。すでにドスまりさと会話を始めてから3時間は経つ。 まさか無限ループに陥るとは想像していなかった。さすがはドスまりさというべきことなのだろうか。 よっぽど群れのゆっくり達が大事なのか、ドスまりさは諦めることなく、ゆっくりと説得を続けていく。 ゆっくりの中のゆっくり、真のゆっくりというだけあって、こちらがからかっていることにも気付いてくれない。 こちらに危害を加える様子は見られないが、これではこちらが折れない限りいつまでも終わりそうにない。 普通のゆっくりならば、これだけ長く同じ返事しかしないことに対して何らかの反応を示すものなんだが。 なんだか負けた気分だが、いい加減お腹も空いてきたので普通に虐待することにする。 通常のゆっくりと違って、ドスまりさに体当たりされたり押し潰されたりしては危険なのでまずは捕獲。 と言っても、先ほど玄関前に置いた加工所製の強力睡眠煙幕の入った箱を踏むだけだ。 箱を踏むとプシューと言う音と共に、薄い霧のようなものが辺りに漂い始めた。 対ゆっくり用だけあって、人間には一切効果がないので防毒マスクや解毒剤もいらないのでお手軽だ。 「ゆっ! なにか眠くなってきたよ!」 「で?」 「でも、まだお話が・・・おわ・・・って・・・すやすや~」 ようやく静かになったか。 眠ったことを確認すると、まずは腹と思われる部分を思い切り蹴ってみる。 しかし、ドスまりさは何ごともなかったかのように眠り続けたままだ。 この強力睡眠煙幕は、睡眠と同時に麻痺の効果もあるので色々と便利なのだが ドスまりさの場合、攻撃が効いてないから眠り続けたままなのか 麻痺の効果で蹴られたことに気付かず眠り続けたままなのかいまいち判別が出来なかった。 仕方ないので睡眠が効いてるので麻痺のほうもしっかり効いてるだろうと判断して 次は動けなくするために足を焼くことにした。 本来なら泣き声を楽しみながら焼いたりするのだが、さすがにドスまりさ相手では危険なので 眠ってるうちに焼いてしまうことにしたのだが、これが一苦労だった。 ゆっくりの足とは地面との接地面であり、持ち上げるか横倒しにしなければ足は焼けない。 以前2mほどの巨大ゆっくりを虐待したときは何とか転がすことが出来たが ドスまりさはでかすぎて押しても、体に手が食い込むだけでまったく動かないのだ。 家にある道具を使い、テコの原理を応用してようやく仰向けの状態にすることが出来た。 接地面だけでも幅6mほどあるので、焼いては転がし、焼いては転がしをひたすら繰り返し 2時間もした所でようやくドスまりさの接地面すべてが黒焦げになった。 念入りに焼いたので跳ねることはおろか這いずることすらも出来ず、自力での移動のは二度と出来ないだろう。 これでどれだけ怒らせても体当たりされたり、押し潰されることはなくなった。 またドスまりさの使う特殊能力、ゆっくりオーラやドスパークに関しても問題はない。 ゆっくりオーラとは、ドスまりさに寄生したキノコの胞子のことだ。 この胞子を吸ってしまうと思考能力を失ってしまう。なので強制的に相手の言いなりになってしまうのだ。 もっとも便利な能力とはいえ使うのはゆっくりなので、ゆっくりさせられるだけで終わるのが間抜けなところだが。 それに人間とは知恵を持つ生き物だ。原因さえ分かれば対策などいくらでも立てられる。 そうして作られた解毒剤をあらかじめ飲んでおけば、ゆっくりオーラを使われても効くことはない。 ゆっくりオーラと同様ドスパークに関しても、仕組みはすでに加工所により解明されていた。 ドスまりさの頭頂部に生えるキノコを細かく噛み砕き、ドスまりさの唾液と混ぜ合わせることにより黄色い高温のガスが発生する。 これを巨体に見合った恐るべき肺活量で吹き出すのがドスパークである。 ドススパークを食らうと大火傷の状態になり、致命傷には至ることもある。 もっともドスパーク撃つためには、大量の空気を吸ってからキノコを噛んで唾液と混ぜ合わせて思い切り吹くという手順を踏むため 構えてから撃つまで10秒ほどの隙ができる。また肺活量のみで高温のガスを吐き出すため射程もかなり短かったりする。 不意打ちでもなければそうそう当たらないだろう。またドスパークを撃つ瞬間に口を閉じると自分の口内を焼いてしまうらしい。 もうここまでくると、ゆっくりらしいと言うべきところなのだろうか。 他に解明されていることとしては 同時に2本以上生えることは無く、また2週間ほどで成長する。 普段使わない時はドスまりさの頬袋に保管されている。 キノコは苗床となったドスまりさの唾液以外では反応せず ゆっくりはおろか、他のドスまりさにキノコを与えてもドスパークは撃つことが出来ない。 など、色々と解明されていた。 避けるのは簡単そうだが万が一もあるので念には念を入れて 眠ってるうちにドスまりさの頬袋に潜り込んで、キノコを奪っておいた。 奪った後、ドスまりさの唾液で体がベタベタになったのはさすがに泣きそうになったが。 またいくら人里から離れ人目に付きにくい住んでいるとはいえ、ここは一応人里の中。 玄関前で虐待するのは、さすがに問題があるだろう。ドスまりさはただでさえ目立つと言うのに。 仕方なくまたテコの原理を応用して転がし、何とか家の裏手まで運べたが ドスまりさは家と同じほどの大きさなので、目立つことには変わりがなかった。 まぁ、家の影に隠れたおかげで道から直接虐待しているところを見られることはないから問題ないか。 目を覚ますまで暇なので、シャワーを浴びてすっきりしてから虐待の方法でも思案していると「ゆっ!」と声が聞こえた。 どうやらドスまりさが目を覚ましたようだ。 続く このSSに感想を付ける
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このお話しは ふたば系ゆっくりいじめ 53 そんなに我侭いうなら自分で生きてね! ふたば系ゆっくりいじめ 90 私は鬼にはなりきれないのだ ふたば系ゆっくりいじめ 190 子まりさはゆっくりできない の3作品と繋がっています 「そーらそらじしんだぞ~!」 「ゆゆーん♪」 「おしょらをとんでりゅみちゃい♪」 父親まりさのお腹の上でぽよんぽよんと弾む妹達の姿を、姉まりさは遠くから見ていた。 晴れた日の庭は、陽光が暖かく、風の穏やかで過ごしやすいゆっくりした気候だった。 人間に「飼われて」いるゆっくりの一家はこの数日晴れの日が続いていたので日光浴のために外に出ていた。 ゆっくり達はゆっくりする事が何よりも好きである。 太陽の光を浴びて体を温め、運動し、お昼寝する。 ちょうちょやバッタを追いかけて遊ぶ。 山や森を主な住処にしているゆっくりも、都市部の公園周辺をねぐらにしているゆっくりも、だいたい好んで同じ事をする。 この一家は人間の庭の一角に住まわせてもらって居たが、ご多分に漏れずそうしたゆっくり行為を満喫していた。 脚を怪我して後遺症の残る父親まりさは追いかけっこが出来ないが、その分こうした別の遊びで子供らのうち二匹と遊んでやっている。 母親れいむも耐水性ダンボールのおうちに寄りかかって、側に寄り添う赤れいむにゆっくりおうたを聞かせている。 とても、ゆっくりしていて幸せそうな光景だった。 だが、両親の子であり、妹達の姉である子まりさだけはその家族の輪に入ることは出来なかった。 少し前に、姉まりさはおうちの中でちょっとした騒動を起こした。 簡単に言えば、我侭が過ぎたのである。 結果として、妹の一匹が永遠にゆっくりし、姉まりさは家族から追放された。 おうちに戻りたいと懇願しても、謝っても、両親の怒りが解けることは無かった。 姉まりさの所為で、愛情を注いできた我が子が一匹失われる事になったのだから、当然である。 我侭と一緒に両親への悪態をついた事も、悪印象を強めてしまっていた。 親に反抗した上に、妹を、家族を殺した凶状持ちの姉まりさは、もはや家族でもなんでもないとみなされてしまったのだ。 むしろ、自分がゆっくりしたいがために我が子を殺そうとする危険な外敵でしかなかった。 もっとも、姉まりさとて、両親が溺愛して守り育ててきた子である。 足が満足に動かないので狩りの出来ない父親まりさと、子を養っていくほど狩りの上手でない、 気立てのよさと歌が上手いというだけで夫にプロポーズされた母親れいむが人間に平身低頭してお情けと食べ物と住処を恵んでもらっているのは、 ひとえにかつて10匹もいた我が子の中で唯一生き残ったという姉まりさへの愛のためでもある。 全ては我が子を食わせていくため。 そのために、恐ろしくて暴力的で鬼の様な、ゆっくり出来ない人間に媚びへつらう事すら耐えてきた。 その愛するわが子に罵られた上に、大事な子を殺されたという悲しみが、姉まりさに裏切られたという失望となり、憎しみへと転換されたのかもしれない。 姉まりさは両目からぽろぽろと涙を流していた。 両親に嫌われてしまった今となっては、おうちに近づく事すら許してもらえない。 妹達と遊びたくても、近づくだけで恐ろしい顔をされて、ぷくー!と体を膨らませて威嚇される。 その時は姉まりさが思わずしーしーを漏らして泣き叫び、逃げ帰るほどに両親は容赦が無い。 かつて自分に優しく甘えさせてくれた面影は、全く感じられなかった。 だから、姉まりさはかつての家族達の楽しそうに遊ぶ様子を、庭の草の陰から離れてじっと見つめる事しか出来ない。 何故こんな事になってしまったのかと言えば全部、姉まりさ自身の所為だが。 だが今は、姉まりさは全てを後悔していた。 あの日、自分が吐いた我侭や不満や、両親への罵声の一つ一つを。 妹を、その手にかけてしまった事を。 「ゆ~ゆゆ~ゆっくり~していってね~♪ ゆ~ゆゆゆ~ゆゆ~ゆ~♪」」 「ゆ~ゆゆ~!」 「ゆー!」 母親まりさの優しい歌声に合わせ、妹達の唱和する声を姉まりさはおうちの壁にぴったりと体をくっ付けて聞き取っていた。 既に日は落ち、家族は皆おうちの中に入ってゆっくりしている。 おうちの戸の木の板はしっかりと戸締りされ、隙間すら開いてはくれない。 姉まりさが入ろうとしても、入れるような余裕はどこにもなかった。 もっともおうちに入ったとしても、数秒で恐ろしい顔をした両親の手によって追い出され、外に放り投げられるだろう。 悪くすると体当たりまでして吹き飛ばされる。 家族だった頃は、両親に攻撃されるなんて全く無かった事だっただけに、成体ゆっくりのお腹の一撃を受けて 地面に打ち付けられる痛みは姉まりさに耐え難い苦痛を心と体の両方にもたらした。 一度、ご飯の時間に開けられたおうちの入り口の隙間を塗って、強引におうちの中に入ったことがある。 「あっ!」と叫ぶ父親まりさの脇を素早く通り抜け、元々姉まりさのお気に入りの寝床だった母親れいむの敷いてくれた気持ちのいい葉っぱのお布団に潜り込んだが、 即座に姉まりさは母親れいむに後ろ髪を口で掴まれて引きずり出され、外に放り投げられた。 「やじゃあああああ! ここはまりさのおふとんだよ! おかーさんがまりさにつくってくれたおふとんなのぉぉぉぉ!! ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 泣きながらお尻をふりふりして抵抗する姉まりさは、次の瞬間無重力感に包まれて、そして顔面から泥の上にちゅっちゅさせられた。 震えながら起き上がろうとする姉まりさに、父親まりさは冷たい罵声を浴びせた。 「おまえなんか、うちの子じゃないんだよ! 知らないよその子だよ! かってにおうちに入ってこないでね! あのおふとんは、もういもうとたちのものだからね!! つぎにおうちにちかづいたら、ゆっくりできなくさせるよ! ぷくぅぅぅぅぅ!!」 全身を膨らませて本気の威嚇をしてくる父親まりさの迫力と、告げられた言葉のショックに姉まりさは大声で泣き喚きながら 自分に与えられたちいさなおうちへと逃げ帰った。 そして、何も敷いてない剥き出しのダンボールの床の上に突っ伏して、何時間も泣いた。 あのおうちにある全てのものは、お布団も、家族も、お母さんのお歌も、大事な宝物のひとつひとつが、もう取り上げられてしまって自分の物では無くなってしまっている事を認識して、泣いた。 姉まりさがおうちを追い出されてから、人間によって与えられた小さなダンボールのおうちは、姉まりさの砦だった。 おうちの中にはいつも姉まりさがポツンとたたずむ以外、何も置かれていなかった。 大事なものも宝物も、元のお家に全部あった。 だがそれは、今は姉まりさの物ではない。 おそらく妹たちにでも与えられているのだろう。 床は冷たいわけではなかったが、お気に入りのお布団ほど寝心地がいいとは思えなかった。 かといって、両親に甘え尽くしだった姉まりさには、お布団の敷き方なんてわからない。 そもそもお布団にする葉っぱなんて、どこから持ってくるのかわからない。 人間に要求すれば実は持ってきてくれるものではあったのだが、姉まりさはそれを知らなかったし、考えようとも思わなかった。 姉まりさが大好きなお花は、茎が長すぎて姉まりさには取る事が出来なかった。 前は父親まりさに茎を齧り倒して取ってもらったのだ。 姉まりさが大好きなキラキラした小石は、お庭の中には見つけられなかった。 あれは父親まりさが泥の中から掘り返し、ぺろぺろして綺麗にして与えてくれたものだった。 姉まりさが興味深しげに何時間も見つめて飽きなかった、素敵なセミの抜け殻は、何処を探しても同じものが無かった。 母親れいむが偶然人間の家の壁にくっ付いているのを見つけて、人間にお願いして姉まりさのために貰ってきたものだったからだ。 何もかも、両親がくれたものだった。 姉まりさには見つけられず、取ってこられない貴重な品物の数々だった。 あんなに「妹達に取られるので足りない、もっと食べたい!」と願っていたご飯だけは、自分の分を満足いくだけ与えてもらった。 しかし、与えられるたびにそれは地面にぶちまけられた上に、脚で踏まれて泥まみれにされていた。 そしてそれを自分で拾わなければならなかった。 父親まりさに持ってきてもらっていた時は、こんなでは無かった。 大事なご飯を無下に扱われ、こんなに惨めな思いをしながらおうちに持ち帰るなんて事はしなかった。 これだけの目に合わされながらも、ご飯を与えてくれる人間には毎日感謝の言葉を述べなければならなかった。 そうしなければ、泥まみれのご飯を与えてもらう事すら無いという屈辱と悲しみが、姉まりさを一層惨めにさせた。 「どおしでこんなことするのぉぉぉ!? まりさのごはんがあああああ!! ゆわああああん! もうやだぁおうちかえるぅぅぅぅぅ!!」」 仕打ちに耐え切れず、泣き出してしまった事もある。 今までは、これは父親まりさの分担だった。 足の悪くて狩が出来ない父親同様、自分で狩をする術をなんら知らない姉まりさは、今はこうして屈辱を与えられながら ご飯を貰っているという立場を、父親という壁を通さず自分の身で直接実感する事になった。 泥の味しかしないご飯を噛み締めながら、姉まりさはかつて父親まりさに言ってしまった言葉を激しく後悔していた。 『ごはんもろくにとっちぇこれにゃいおとーさんのくせに、えらそうにちちおやづりゃしにゃいでにぇ!』 食べても食べてもしあわせ~にはなれなかったし、満たされる事も無かった。 やがて、泥の味に涙の味が混じり始め、姉まりさはしゃくり上げながら孤独なご飯をむーしゃむーしゃした。 次の日も、日差しが程よく気温を上昇させて暖かかったので、家族は庭に出てゆっくりとしていた。 父親まりさは周囲をしきりに警戒し、何かを探している様子だったので、姉まりさは自分のおうちの中に引っ込んで出入り口から家族の様子を沈んだ表情で見つめていた。 探しているのは、自分の事だとわかっていたからだ。 度々前のおうちに戻ろうと侵入したり、近くで様子を窺っていた事があったので、両親は警戒を強め、少しの接近も許さないようになっていた。 完全に、自分はあの家族の外敵としか見なされていない。 そう思うと姉まりさの心は激しく痛み、ゆっくりできない辛さを訴えた。 やがて、姉まりさの姿が庭の中の何処にも無いというのを確信したのか、父親まりさは一旦おうちの中に戻り、妹らを帽子の上に乗せ、そして母親れいむを後ろに連れてまた外に出てきた。 「ゆっ! きょうもゆっくりできるね! たいようさんあったかいね! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちちていってね!」 「ゆっくちー! ゆっくちー!」 妹ゆっくりたちは父親まりさの帽子から順番にぴょんぴょんと草の上に降りると、めいめいに遊んだりゆっくりし始める。 それを見ながら、両親は穏やかな笑顔を浮かべた。 とてもゆっくりした優しい笑顔だった。 姉まりさは、それをとても羨ましく思った。 おうちを追い出されてからは、一度もあの笑顔を自分は向けてもらっていない。 前は、家族の一員だったときは、いくらでも向けてもらえた。 妹達が生まれる前は、自分だけが独占していた。 もう一度、あの笑顔が欲しい、温もりが欲しい、と姉まりさは思った。 あまりにも日差しが穏やかでゆっくりできていたのか、そのうち両親は妹達を遊ばせたまま寄り添ってお昼寝をし始めた。 ゆぴい、ゆぴい、ゆふう、ゆふう、という寝息が聞こえてくる。 そして、妹達は3匹で仲良くゆっくりと、跳ね回ったり転がりながら遊んでいる。 今なら、と姉まりさは思った。 そっと、両親に気配を悟られないようにそろーりそろーりと呟きながらおうちの外に出た。 庭はとても暖かく、日差しが眩しかった。 姉まりさは草の上を飛び跳ねるように、家族のほうへと近づいて行った。 両親に近づいたら、また怖い顔で威嚇され、体当たりをされるだろう。 どんなに謝っても泣いても赦しを請うても、もはや両親には自分は憎い対象でしかないのかもしれない。 それでも姉まりさは、家族に戻りたかった。 もう一度両親に、優しい笑顔を向けてもらいたかった。 だから、妹たちの方に近づいた。 自分のご飯を取るから、両親の愛情を取ってしまうからと一時は嫌った事もある妹達だったが、だがやはり家族であり姉まりさの妹だった。 妹たちが生まれたときは、自分はお姉さんになるという事がとても誇らしかったし、嬉しかった。 前は9匹もの大勢の姉妹がいた事もあったし、姉妹という存在そのものが嫌なのではなかった。 もう一度、仲良く暮らしたいと姉まりさは思った。 両親に謝って許してもらえないのなら、妹に謝って許してもらおう、そう考えていた。 ごめんね、あの時言ったことは嘘だよ、またお姉ちゃんとゆっくりしようね… そう言って上手く受け入れてもらえれば、また家族に戻れる。 おうちに入れてもらえる。 お布団も、お花も、他の大事な宝物も、また自分のものに戻ってくるだろう。 妹達と仲直りしたのを見れば、両親も許してくれるだろう。 姉まりさはそう希望的観測をしながら、どうやって言えば妹達と仲直りできるか、どう声を掛けようかと算段しながら、遊んでいる妹ゆっくりたちに近づいた。 一番先に気付いたのは、姉まりさと同じ姿をした妹まりさだった。 ちょうど、妹れいむとのーびのーびをして競っていた妹まりさは、背後で草を踏む小さな足音がしたのを耳にすると、ゆっくりと姉まりさの方を振り返った。 姉まりさは、数日振りに妹と対面を果たした。 両者の瞳が真っ直ぐ見つめあい、一瞬の間、お互い無言だった。 「ゆ…ゆっくりしていってね……ま、まりさ…」 姉まりさは、緊張しながら妹まりさに声を掛けた。 大丈夫、ちゃんと謝れば許してくれるよ。 だって、自分の家族なんだから。 ちょっとぐらいご飯を横取りして、お母さんの愛情を盗んじゃうけど、やっぱり自分の姉妹なんだから。 自分と仲良くしたいに決まっている…… しかし、妹まりさのポカン、としていた表情は次の瞬間には目を思い切り見開き、そしてとても恐ろしいものでも見たかのようにくしゃくしゃに歪んだ。 「ゆ…ゆわぁぁぁぁぁ! きょわいよぉぉぉぉぉ! まりしゃまだちにちゃくにゃいぃぃぃぃ!!」 大粒の涙を流し、大声で叫びながら妹まりさは踵を返して姉まりさの前から逃げ出し始めた。 他の妹れいむたちも、「ゆっ!?」と驚きの表情を上げてこっちを見る。 そして、妹まりさが寝ている両親の方へと向かって全速力で逃げてゆくのを見ると、釣られたように自分らも叫んでそれを追いかけ始めた。 「ゆううぅっ!? どおじでにげりゅのぉぉぉぉ!? まりしゃなんにもしちぇないよぉぉぉぉ!! まっでよぉぉぉぉ!! まりしゃぁぁぁぁ!!」 「ゆあぁぁぁぁんおとーしゃんおかーしゃんたしゅけちぇぇぇぇぇ!! まりしゃおねーちゃんみたいにちゅぶされたくにゃいいいいい!!」 「ゆぅぅぅーーーん!」 「ゆぅーーーーー!!」 姉まりさは、妹まりさが怯え、泣きながら必死で逃げている理由がわからなかった。 別に自分は何もしていない。 ただ、声をかけようとし、挨拶をしただけだ。 それに、自分は仲直りにきただけだ。 謝って許してもらおうとしただけだ。 仲直りすれば、妹たちのことも許してあげるつもりでいたし、元の家族に戻ろうとしただけだ。 それなのに、妹達は何で逃げるのか? 実際にはこの時、姉まりさを恐れて逃げているのは妹まりさだけで、残りの妹れいむたちは分けもわからず 妹まりさが泣いて逃げ出し始めたので、反射的に一緒に叫んで走って逃げているだけだったのだが、後ろからそれを追う姉まりさには 妹達全員が自分を恐れ、距離を置こうと逃げているようにしか見えなかった。 だから、突然のそんな仕打ちに酷くショックを受け、また孤独になることへの恐れから、置いていかれまいとして必死に妹達を追いかけた。 自分は言葉を交わしたいだけなのだ。 仲直りがしたいだけなのだ。 そう、元の家族に戻れば、またゆっくりできるから。 寂しくないから。 そんな姉まりさの妹達を追いかける姿を、子らの叫び声で目を覚ました両親たちがどのように認識したのかは 「「ゆううううううう!! まりさ(れいむ)のちびちゃんたちを殺そうとするクソチビはゆっくりしないで死ね!!」」 「ぴぎぃぃぃぃぃぃっ!!!」 想像するに、難くない。 「…そういうわけだ。 お前のお姉ちゃんは、仲直りがしたかっただけなんだよ。 またお前たちと一緒に遊びたかっただけだ。 こんな残念な事になってしまったけどな」 「ゆ……そんな…そんにゃ…まりさは、あのときこわくちぇ……おねーちゃんにこりょされるとおもって…… だって、だっちぇ…おねーちゃんは…まりしゃたちのこときりゃいだっでぇぇぇぇぇ!! いもーとなんかほしくなかっちゃっでぇぇぇぇ!! まりしゃたちいりゃないってでぇぇぇぇ!! ゆっぐりできなぐなりぇばいいっでいっでだからぁぁぁっ!! だかりゃおねーぢゃんはまりしゃだちのごど、だいぎらいなんだっでおぼっにょにぃぃぃぃ!? どうしぢぇ、どうしぢぇごんなごぢょぉぉぉぉぉ!? ゆぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!! ごべんにゃしゃい! おねーじゃんごべんにゃしゃいぃぃぃ!! ゆるじぢぇぇぇぇぇ!! ながなおりずるがりゃぁぁぁっ!! まりしゃっおねーじゃんどながなおりずるがりゃぁぁぁぁ!! おねがいだがらいぎがえっでぇぇぇぇぇぇ!! ゆぁぁぁぁぁぁん!! おねぇぇぇぇぇじゃぁぁぁぁぁん!!」 かつて姉が住んでいた小さなダンボールのおうちを与えられた子まりさは、話を聞かされ終えると姉の形見の小さなお帽子にすがり付いて、 なんども頬を帽子に擦り付け、そして大粒の涙を染み込ませた。 前のように家族に戻りたいと願って近づいてきた姉を、思い込みで殺されると思って、結果的に両親に殺させた形となった子まりさには 「姉を死なせたのは自分だ」という罪悪感と自責の念から後悔して泣き喚いたが、失われた命は二度と帰ってこない。 元々妹達は姉まりさを嫌っているどころか、むしろ慕っていたのだから、姉まりさもあんな事件を起こさなければ 妹達には愛されるお姉さんで居た事だろう。 元はといえば姉まりさは過剰な我侭による自業自得の結果の延長として命を落としたと言えるが、一部は妹との誤解・すれ違いによるものも大きい。 同じく、自信の思いあがりの結果として家族に追放され、(それは俺が促したのだが)同様にこれから孤独な生活を送る事になる 子まりさは、今は姉まりさの孤独と後悔とを誰よりも共感できる事だろう。 良かったな、姉まりさ。 妹に泣いてもらえて。 「…まあ、半分くらいは俺の憶測と脚色と美化が入ってるんだけどな」 ボソリと呟いた一言は、泣きながら姉を呼び続ける子まりさには聞こえていない。 別に、嘘ではないぞ? 姉まりさが孤独で惨めな毎日を送りながら、家族のほうを毎日悲しげに見つめていたのは事実出し、 家に強引に入ろうとして何度も追い出されたのも事実。 おうちの壁を叩き、泣きながら家族に許しを求めていた事もあったし、母親れいむのおうたを聴こうと側に近寄って威嚇されて泣いて逃げ帰った事もある。 少なくとも俺が観察していて見たことは全て、事実に可能な限り忠実に子まりさに伝えた。 が、姉まりさが何を思って妹たちに接近して行ったのかは、定かではない。 本当に仲直りしようと近づいて行ったのかも、寂しくて、幸せそうな様子をせめて見るだけでも、と思ってつい近づきすぎたのかも、 はたまた、両親の愛情を独占している妹達に復讐しようというつもりで側に寄って行ったのかもしれない。 だがまあ、こんな不幸で悲しい話の一つぐらいあってもいいだろう。 妹に怖がられたまま死んでゆくなんて、姉まりさが可哀想だ。 そう思う程度には、俺は鬼にはなりきれないのだ。 「…充分鬼だと思うけどなあ。 ほーれほれ、ポンデリングが食べたい? もっとジャンプしないと食べられないよ? まあキミは舌が焼けちゃってるから、これがどんなに美味しいかなんて一生わかんないんだけどねー♪」 「ゆぁぁぁぁぁん! たべしゃしぇちぇね! たべしゃしぇちぇね! まりしゃにもぽんでしゃんたべしゃしぇちぇよぉぉぉぉ!?」 …んで、お前は縁側で何をやってるんだ。 そういう意地悪は可哀想だからやめろよ。 というか、栄養が偏るからそういうものは与えないでくれないか? 「その子はこれから雑草だけで飼う、なんて虐待する人には言われたくありませーん。 あと、コレは私が拾ってきたものだし? 買って与えるぐらい別にいいでしょ」 そいつは体調が整ってきたから明日から庭の一家に養子として預けさせる予定なんだ。 慣れない物を与えて健康バランスを崩させないでくれるか。 あと、世話をしてるのと、餌を与えてるのは俺なんだが。 「よし、じゃあキミには悪いけど、あのお兄さんがダメと言うのでポンデさんはあげられません! 私が代わりに食べちゃます。 むーしゃむーしゃ幸せー あーもっちもち」 「ゆぁぁぁぁぁぁん! まりしゃもたべちゃいのにぃぃぃぃぃ!! どおじでごんにゃごぢょしゅるにょぉぉぉぉぉぉぉ!!」 …お前、実はかなり鬼だろう。
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※ゆっくり達が食べ物を食べる必要がなくてゆっくり光合成するだけで栄養を得られる、ゆっくり間に捕食種は存在しないみんな仲良し、 ゆっくりれみりゃがこわがり、ゆっくりアリスが強姦魔ではないなどのあまり使われない設定が多いですので注意してください。 ※また、俺設定がありますので注意してください。 「おめぇ!!めっちゃおめぇ!!」 必死なのに悲壮感を感じさせない悲鳴を上げているのはゆっくりれいむだった。 れいむは木の下に釣り針で逆さにつるされて引っ掛けられていた。その周りには子供達が数人と、 子供達に向かって体当たりを繰り返すゆっくりまりさがいた。 ここは人間の里のすぐそばにある森の中、あまり木々が密集していないので、日の光が存分にあたり、空気が澄んでいる。 ここは里に近いためか、妖怪がほとんど出没しない。けれども、妖怪に代わりゆっくりと呼ばれる生き物が出没していた。 ゆっくり達はゆっくりとしていけば生きていける。何をすることもない動く饅頭。そんなゆっくり達は人間にあまり近づかない。 人間を怖がっていた。それなのに人間の、特に子供達はそんなゆっくりたちを、例えるならば蛙や虫のように面白半分に弄んで殺す。 「ゆっくりしていってね」という不似合いで間抜けな反応と豊かな表情が、 虐めたときゾクゾクと子供達の加虐心を満たしていたためであった。 「ゆっくりやめてね!れいむをはなしてね!!」 まりさは必死に仲間を助けようと子供達に体当たりを繰り返す。 けれども饅頭ごときの強度では人間の子供にすら満足なダメージを与えることはできなかった。 「言われたとおりゆっくりするよ。俺達が満足するまでね。」 「ねぇねぇ、石を投げて的にしようよ~。あ、爆竹を口の中に突っ込むのもおもしろそうだよ。」 「さんせ~、どっちにしようか」 子供達はそんなまりさを存在しないかのように扱い木に吊るされているれいむをどうやっていたぶるか考えていた。 子供の残酷性は、被害者の都合など考えはしない。 「れいむはまりさのおともだちだよ!すっごくいいこなんだよ!!」 まりさは何度も何度も子供達に向かっていく。まりさはこの晴れた日ほんの少し前まで友達のれいむと一緒にピクニックをしていた。 小鳥のぴぃぴぃと鳴く声、ひらひらと花に向かってまう蝶々、ぽかぽかと暖かい空気、お日様に当たってきらきら輝く木々の緑。 友達のれいむと一緒にゆっくりするのはとっても楽しかった。ゆっくり過ぎていく時間。 それもすでに過去の事、今は目の前で友達のれいむが苛められていた。 まりさは助けたかった。なんとしてでも助けたかった。けれども、まりさの体当たりはまったく効果がなかった。 それどころか、攻撃の矛先はまりさに向くことになった。 「ゆっくりゆっくりうるさいなぁ、お前から先に苛めてやろうか。」 「じゃあさ、ちょっと俺にやらせてよ。さっきからこいつ何回もぶつかってきてうざったいんだ。 俺あまりゆっくりをシンプルにいたぶった事ないからさ。」 「さんせ~、もう一匹の子は動けないから、お友達が苛められるのをゆっくり見せるんだね。」 子供達はそんなまりさの気持ちがわからなかった。子供の中の一人が地面に転がっている木の棒を拾うと、まりさに向かって打ちつけた。 ぱしり、ぱしり、べしっ、べしっ。そこにはまったく同情や、手加減など存在しなかった。 「いだい!い゛たいよ!どうじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!」 「まりざっ!まりざぁっっっ!!はやぐゆっぐりやめでよぉぉぉぉ!!」 「ん~、いい声で鳴くなあこいつら。少しワンパターンだけど、やっぱりいい声するや。発音の変化がいいね。濁音がついて。」 「次僕ね。そうだ。動けなくなったらとどめはスイカ割りみたいにしようよ。それで餡子はみんなで分けよう。」 「さんせ~、苛めた後のゆっくりっておいしいんだよね。」 「ゆっ、ゆぐ・・・・・れいむぅ・・・・・・にげてぇ・・・・・・・」 「まりざぁ・・・・もういいよ・・・・・まりざだげでもにげでよぉぉぉぉ・・・・・・・」 まりさは打ち付けられながらもれいむの事を考えていた。いつも一緒だったれいむ。赤ちゃんのころから一緒に遊んだ。 おうたも、おどりも、いつもれいむと一緒にやっていた。れいむは意外と負けず嫌いだった。何回か喧嘩したこともある。 まりさから謝ったときも、れいむから謝ったときも、一緒に謝ったときもある。 まりさが冬に寒くて死にそうだったときに、れいむは巣に入ってきて寄り添って暖めてくれた。れいむのほっぺたは温かかった。 まりさはうれしくて泣いてしまった。背中を向けて涙を見せないようにした。でも、きっとれいむはわかっていた。 犬に食べられそうだったときに友達のゆっくりを呼んで助けてくれたこともあった。あのときの気持ちは言葉にできなかった。 まりさはもうほとんど動けない。このままだったら死んでしまうだろう。だけど、自分が死んだられいむはどうなっちゃうんだろう。 せめてれいむだけでもゆっくりして欲しかった。 だれでもいい。 だれか、 だれかたすけて。 「何やってんだぁ、糞餓鬼ども」 そのとき、何者かが日の光をさえぎり地面に大きな影が映った。まるで、目の前にいきなり山ができたような気がした。 まりさがそちらに眼を向けると、本当に山のような大男が鬼のような形相をして仁王立ちしていた。 その肩には藁がたくさんかかっている。 「弱いものいじめはするなって親に習わなかったべか。え゛ぇっ!!何も悪いことをしていないのに、 そんなことをするのかお前らは・・・・。お前らみたいな悪い子は同じ目にあわせてやろうがぁ!!」 男は子供達に詰め寄ると、一人ひとりにお仕置きをした。いや、それはお仕置きなどという生易しいものではなかった。 大男は控えめに見ても2mは超えていた。そんな男が子供達に向かって、何のためらいもなく拳を振りかぶっていた。 「痛いなぁ!何すんだよ!これって虐待だぞ!!いでぇ!何度もたたくなって!っぐぇ! えぐっ!ごばっ!ごめんなさい!ごべんなざい!だだがないで!も゛うやめでぇ!!へげっ!」 「うぎぎいぃい、離せ、離せよぉっ!!・・・・・・・・・・ちょっ高いって・・・やめて、 離さないで、はなさないでぇ・・・・・・・・・・・・はな・・・ぐぇっ!!」 「虐待はんた~、あべしっ!!」 子供たちが脱兎の如く逃げて行く。それを見逃した大男の顔はどこか辛そうだった。 そこで大男はれいむの方に目を向ける。まりさは焦った。 自分達がまったくかなわなかった子供達でもあんなにぼろぼろになるまで痛めつけられたのだ。 まりさがかなうはずもない。まりさは涙を流してがたがたと震えていた。もうだめだ。逃げられない。 「ゆぅぅっ!?ゆっくりできるよ!」 大男はれいむに優しく手をかけると、引っ掛かっていた釣り針をはずして地面に置き去った。 その顔はまるで仏のように穏やかであった。次にまりさに向かって近づいてくると、ひょいと抱えて、 霊夢の隣に置いた。大男は優しい声で 「大丈夫か。いやぁ、死んじゃわなくてよかったべ。ひどいものだぁよまったぐ。悪い子にはおしおぎをしてやらないどなぁ。」 れいむとまりさはきょとんとしていた。 目の前の優しいおじさんがさっきまで子供達を何度も殴り飛ばしていた人と同じ人とは思えなかった。 「本当にごめんなぁ。お前達は何もしないでただゆっくりしているだけなんだもんなぁ。お前達はいい子だよ。 いつか人間達と一緒にゆっくりできる日が来るといいな。」 れいむ達は大男の雰囲気から、彼が自分達を助けてくれたことを理解した。 彼がいなかったら自分達は両方とも死んでいただろう。二匹はとても感謝した。 「たすけてくれてありがとう!!」 「おじさん、ありがとう!おれいするよ!!おれいするよ!!」 けれども、大男は照れくさそうな顔をすると、 「せっかくだけど、ゆっくりしている暇はないだ。これからやることが残ってるから。まぁた今度ゆっくりさせてもらうよ。」 そういうと大男は去っていった。彼はまるでヒーローのようだった。 翌日になった。まりさはあの大きなおじさんのことが忘れられなかった。今までゆっくりの仲間達は人間の子供に苛められていた。 色々ひどいことをされてきた。中にはまりさたちが昨日受けたことがまるで遊びのように思えるようなこともある。 そんな中、自分とれいむを助けてくれたヒーロー。人間がみんなあんな人達だったら、 人間とゆっくりが一緒に仲良くできるかもしれない。そう考えていた。 そう、まりさは人間と仲良くする方法を考えていた。あの時よくわかった。このままだったら、 いつ人間にゆっくりさせてもらえなくなるかわからない。それなら、人間と仲良くできればいい。 ゆっくりの仲間達はみんないい子。みんなのことをよく知ってもらえたらいいなと思っていた。 何かいい方法はないかなと思っていると、空からゆっくりれみりゃがゆっくりアリスをつれて飛んできた。 れみりゃが空のお散歩に連れて行ったところらしい。アリスは誰も見ていないからと思って、うれしそうにはしゃいでいた。 誰かの前では決してあのような顔をしない。 「う~♪う~♪たべちゃうぞ~♪」 「ゆっゆ~~♪、ゆっくり~~♪」 れみりゃはとてもご機嫌だった。アリスもうれしそうに歌っている。 けれども悲しいことに、アリスのその歌声は、あまり聴けた代物ではなかった。 そうだ、あの子達に相談しよう。まりさは思い立ち、二匹を呼び止める。 「ありす~!れみりゃ~!ゆっくりしようよ~!!」 「ゆうゆうゆゆ゛ゆゆう゛ゆうゆyyluuulury」 「う゛~!う゛ぁ゛~~~!!」 アリスはいきなり呼び止められたことで動揺してしまった。 しかも相手は彼女がライバル意識をしているまりさだった。気持ちよく歌っていたところに突然だったので、 驚きのあまりぶるぶると震えて声にならない叫びを上げる。そのまま落下しそうになるのを慌ててれみりゃが支える。 危うくつぶれ饅頭が出来上がってしまうところだった。 「なんのようなのよ!つまらないことならゆっくりしないわよ!」 「いないいない・・・う~♪」 「ゆっくりしていってね!!れみりゃ!アリス!」 アリスは何事もなかったかのように振舞うと、まりさのまえに着地した。 まりさは二匹に向かって挨拶をすると、すぐに本題を切り出した。まりさはアリスとはよく喧嘩する。 しかしそのためか、あまり他のゆっくりには言えないことも言える仲である。 まりさは、人間と仲良くする方法を探していることを言った。アリスは頭がいい。 きっと何かいいことを考えてくれるはずだと信じていた。 「にんげんとなかよくなるほうほうねぇ・・・・。って、あんたばかぁ!あたまにあんこでもつまっているんじゃないの!」 「ゆぅぅ!?あんこがはいっているのはありすもじゃない!まりさはしんけんだよ!なにかしらない?ゆっくりおしえてよ!」 「ありすはかすたーどよ!あんこなんかといっしょにしないでよ!!それににんげんってはなしがつうじないのよ! いきなりつぶされたおともだちもおおいの!むりよ!ぜったいむり!」 慌てて否定するアリス。以前何か嫌なことでもあったのであろうか。けれどもまりさは引き下がらなかった。 みんなにゆっくりしてもらいたい。幸せになってもらいたい。まりさはみんなのことが大好きだった。 だから、頑張る。考える。相談する。 「おねがい!ありすならなにかいいことしっているでしょ!まりさはありすにおべんきょうでかったことないもん! うたではいっかいもまけてないけど!」 「いちいちよけいよ!!」 「うぅ~、ありすこぁい・・・・・」 れみりゃは少し遠くで怖がっていた。軽くアリスが怒鳴っているくらいで怯えるとは、臆病なところがあったものである。 結局まりさの熱意に押し負けたのか、アリスはまりさの手伝いをすることになった。 アリスは人間に対して仲良くなりたいなら、人間のことを知ればいいと思った。 そこで人間の本をたくさん持っているゆっくりぱちゅりーの家に遊びに行くことになった。 ぱちゅりーの家は木のうろの中にできていて、人間の絵本がたくさん入っていた。 「ぱちゅり~、あそびにきたよ~、ゆっくりしてい~い!」 「むきゅ、ほんをもっていかないでね。ゆっくりしていってね。」 まりさはぱちゅりーの家からいろいろな絵本を読んだ。文字は難しいので読めなかったけど、絵だけならお話がわかる。 しばらくして、まりさはいい方法が載っていた本を見つけた。 《泣いた赤鬼》 昔々あるところに赤鬼と青鬼がいました。鬼達は人間にとても怖がられていました。 赤鬼はじつはとっても寂しがりや。いつも人間と仲良くしたいと思っていました。 ある日親友の青鬼が人間の里で悪さをしました。そんな青鬼を退治する赤鬼。青鬼はどこかに去ってしまいました。 人間に英雄として仲間にしてもらえた赤鬼。赤鬼は全てが終わった後に気がつきました。 そう、青鬼は赤鬼をみんなにいい子だということを伝えるためにわざと悪さをして、退治されたのでした。 それを知った赤鬼は、二度と友達に会えなくなることに涙しました。 めでたし、めでたし。 まりさはこれだと思った。これなら、人間にもわかってもらえる。 だけど、このことをれいむやアリスに言うと反対されそうだから黙っていた。 アリスとぱちゅりーにはいい方法が載った本は見つからなかったということにした。 まりさはこの本の結末のような未来を思い描く。青鬼は自分がなろう。かけっこなら誰にも負けたことがない。自分なら逃げられる。 赤鬼はれいむにやってもらおう。れいむならすぐにまりさを止めてくれるはずだ。 でも、このことを話したられいむはあぶないからやめてというだろうから黙っていよう。 まりさは後の事を考えず都合のいい妄想にふけっていた。 だが、まりさは青鬼になる決意を決めることはできなかった。 餡子の詰まった頭でも、妄想の興奮が冷めた後にゆっくり考えればわかることだった。 青鬼になるということは、みんなとお別れすることになる。 今までずっと一緒にいたれいむとも、素直じゃないアリスとも、怖がりなれみりゃとも、 あまり動かないぱちゅりーとも二度と会えない。会っているところを人間に見られると、 みんなが悪い子の仲間だと思われてつぶされてしまう。それがすごく怖かった。 それに、まりさは死にたくなかった。まりさは青鬼のように強くない。悪さをするということは、 人間達に立ち向かうということになる。そのときにつかまったら、今度こそ殺されてしまうだろう。 いや、殺されるだけだったらいいけど、ゆっくり時間をかけて痛めつけられたらどうなるだろう。まりさはとても怖かった。 一日、二日と時間が経っていく。段々とまりさの決心が鈍ってくる。 あれから何も起こっていないんだからまりさが何かしなくても大丈夫じゃないかな。 ああやって人間に虐められることはもうない。あれは本当にたまたま。 きっと人間の子はもう二度と来ない。 だったらまりさが何かする必要はない。 みんなとゆっくりしていってもいいんだ。 そう思っていた。 しかし現実は餡子のように甘くなかった。 まりさは結局青鬼になることになった。赤鬼になってもらうれいむの赤いリボンはとてもきれいだった。 中編 このSSに感想を付ける
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犬と同じでゆっくりを飼うならばたまには散歩に連れて行ってやる必要はある。 とは言うもののゆっくりはそのゆっくりしたいという性質上犬ほど頻繁に散歩を必要とはしない。 まりさの散歩は多くて三日に一度ほどといったところで 僕にとって朝早くに連れて行くのはそれほど苦にはならなかった。 まりさを飼う前は毎朝犬のミケを散歩に連れて行くのが習慣になっていたのだから それほど早く歩かないし遠くにも行かないまりさの散歩はむしろ楽なくらいだった。 といっても、好きでもない相手の散歩に付き合うのはあまり楽しくないので ミケがいたころのように何か趣向を凝らすようなことはなく 適当に近所を一回りしてすぐ帰ってくるのに始終していた。 とはいうもののたまには外に連れて行くついでに遊ばせないとうるさいので 月に一回は僕か妹が公園にまりさを連れて行って遊ぶようにはしていた。 そして今日は僕がその番になったというわけだ。 「ゆっゆっゆ、まりさのすぴーどにめをまわさないでね!」 「いやゆっくりしろよ」 公園の中を縦横無尽に跳ね回りながらまりさは僕の動きを見て見下すような顔で見上げた。 「あ、ゆっくりだ!」 そんなぐだぐだな空気の中で時間が過ぎようとしていた時 突然かわいらしい声が割り込んできた。 「ゆっくりしていってね!」 まりさはとりあえずその幼児の方に振り向いて反射的に挨拶を返した。 「あ、お隣の…Aくんだったよね」 僕はまりさに興味津々の視線を向ける幼児に向かって尋ねた。 「これ兄ちゃんの?買ったの?」 僕の問いは無視してAは自分の興味の赴くままに まりさに駆け寄ってしゃがみ込んでつんつんとその頬を突っついた。 「ゆ!まりさはおにいさんのおやぶんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ああ、家で飼ってるペットなんだ 今日は散歩でね」 さらっとまりさが身の程知らずな事をほざいているが無視して僕はまりさとの関係をAに話した。 「へぇーそーなのかー」 Aは話半分に聞きながら面白そうにまりさの頬を引っ張ったり突付いたりつねったりして弄繰り回していた。 まりさも最初はされるがままにしていたが段々と痛くなってきたらしくその内身を捩って逃げ出そうとし始めた。 「ゆ、ゆっふひやへへへ!」 「すごい!のびる!すごいのびる!」 顔の横幅が通常時の倍になるほどまりさの頬を引っ張ってAは目を輝かせ興奮気味に声を上げた。 「こら、Aちゃん!痛がってるからやめなさい!」 「あ、別に大丈夫ですよ」 見かねて止めに入ってきたAの母親に僕は宥めるように言った。 「じゃあほかのあそびしよ!」 あっさりまりさの頬を弄るのをやめて別の遊びを考え始めたAと 頬から手を離されてほっとしたまりさの顔を見て僕は少し残念に思った。 「ゆう、しかたないからまりさがあそんであげるよ」 まりさはやれやれという風に目を伏せてかぶりをふったが、頬が伸びてべろんと垂れてるままでは様にならない。 Aはそんなまりさを見てケラケラと笑うとこう言った。 「じゃあヒーローごっこやろ!兄ちゃんが怪獣ね!」 「え、ああうんわかった」 いきなり指差し付きでの大抜擢を受けて僕は少しびっくりしたものの 快くその申し出を受けることにした。 Aくんの母親が苦笑しながらすみませんとお辞儀をしたのでいえいえと手を振る。 「がおーたーべちゃうぞー」 「怪獣だ!やっつけてやる!バンバン!バンバン!」 とりあえず慣れないながらもたどたどしく怪獣っぽいことを言ってみると Aはお母さんから受け取ったビカビカ光って音のなる銃をこちらに向けて撃って来る。 「ぐぎゃーおー」 無論弾は出ないがとりあえず胸とか押さえて呻きながら痛がるフリをしてみると Aは嬉しそうにさらに素敵光線銃を乱射した。 「ゆ?ゆ?なにしてるの?まりさにもゆっくりりかいできるようにおしえてね!」 遊びの内容が飲み込めないまりさが僕とAを交互に見ながら困惑の表情を浮かべる。 「怪獣のお兄さんやっつけてるの!」 そんなまりさにAは限りなく単純明快に解説した。 「ゆっくりりかいしたよ!まりさもおにいさんやっつける!」 即座に理解したまりさは僕の足元に向かって体当たりを繰り返した。 「ゆっゆっゆないてあやまるならいまのうちだよ! いまならまりさのうんうんたべたらゆるしてあげるからね!」 「がーおー」 僕はなんだかイラっとしたのでごっこ遊びにかこつけてまりさを軽く蹴り飛ばした。 「ゆっべえええええええええ!?」 まりさは顔面を変形させながらゴロゴロとAの足元まで転がっていった。 「ど、どぼぢでま゛り゛ざおにいざんなんがにまげぢゃうのおおお…!?」 僕は今までは勝てると思っていたのか、と半眼でまりさを見下ろしながら心中で呻いた。 なんだか腹が立ってきたのでこのまままりさを中心に攻めようと両手を振り上げながら近づいていくと Aが膝を付いてまりさに寄り添いながら熱っぽく言った。 「このままじゃいけない!これをつかうんだまりさ!」 そう言って手渡したのは例のビカビカ光って音の出る素敵光線銃だった。 「ゆ…こ、これをつかえばいいんだね ゆっくりりかいしたよ…!」 まりさは苦しそうに体を起こすと口に素敵光線銃を咥えた。 舌をトリガーに巻きつけてトリガーを引くと光線銃は光りながらやかましく音を立てた。 「まりさにはむかったことをこうかいしてね!」 まりさは勝利を確信したのかニヤリと口許を歪めて言った。 「いっけー!」 「ぐあーやられたー」 Aの表情からああここは倒れとく場面だなと感じ取って僕は断末魔を上げながらその場にうつぶせに倒れこんだ。 服に砂が付いたがまあ別にお気に入りの服というわけでも無いので気にしない。 「ちぇっくめいと!」 僕はAがテレビで見た決め台詞をポーズつきでキメているのを見上げながら微笑ましい気持ちになった。 「ゆっへっへっへっへしょせんおにいさんはまりさのてきじゃなかったね!」 まりさが僕の背中に飛び乗ってドスドスと跳ねながら驕り高ぶった声で言った。 見るまでもなくふてぶてしい腹の立つ表情をしていることだろう。 苛立って険悪な表情を浮かべているのを純真なAに見られたくなくて僕は俯いた。 「兄ちゃん、つぎはなにしてあそぶ?」 そんな僕にAはとことこと歩み寄るとしゃがみ込んで顔を覗き込みながら尋ねた。 それを聞いて、多分まりさはきょとんとした表情をした後呆れ顔で言ったのだろう。 「ゆ?なにいってるの?おにいさんはまりさがやっつけてしんだんだからもうあそべないんだよ? そんなこともわからないの?なんなの?ばかなの?し」 「おっけー次は何して遊ぶ?」 僕は黒い笑みを浮かべながら 背中の上でしたり顔でほざいているであろうまりさを無視して起き上がった。 ゴロゴロと僕の背中を転がり落ちてまりさは地面にキスした。 「ど、どおいうごどおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 立ち上がって体の砂を払っている僕を見てまりさは目を見開いて大声を上げた。 死んでいたはずの相手が蘇ったことにまりさは戦慄した。 「さっきからなにいってんの?ごっこなんだからしぬわけないじゃん」 正論である。 「う゛ぞづぎいいいいいいいい!!ごれ゛づがえばおにいざんだおぜるっでいっだどにいいいいい!!」 あっさりと言ってのけるAをまりさは涙ながらに睨みつけながら批難した。 どうやら本当にアレで倒せると信じていたようだ。 純真、というには何か違う気がする。 「兄ちゃん、こいつ何いってるの?」 僕がリアクションに困っていると、Aは何やらみょんな物を見るかのようにまりさを指差した。 「あー、何なんだろうねほんと」 僕は返答に困って頭を掻いた。 「も゛う゛い゛い゛!お゛ばえ゛がら゛や゛っづげでや゛るう゛ぞづぎいいい!!」 そう言ってまりさは怒りを露にしながら 地面に落ちていた素敵光線銃を舌で拾うと、その引き金を引いた。 ビカビカと光りながら光線銃がけたたましく鳴った。 「バーリア!」 そう言ってAは空中に手で円を書いた。 そして悠然とまりさに近づいていく。 「どぼぢでぎがな゛いのおおおおお!?」 Aに何の変化も起こらないことにまりさは驚愕の表情を浮かべた。 「だってバリアしたもん」 正論である。 「も゛う゛い゛い゛!ごんな゛の゛い゛ら゛ない!!」 そう言ってまりさは役に立たない素敵光線銃を投げ捨てた。 「あー!せっかくかしてあげたのになんですてるのさー! それつかわないんならこんどはまりさが怪獣やってね」 そうしてAはその辺の木の枝を拾うとそれでまりさを突っつき始めた。 「でたな怪獣!くらえー!」 ツンツンペシペシと木の枝を振り回されてまりさは体中を赤く腫れさせながら言った。 「や゛べでよおおおおおおおおお!!! どぼぢでごんなごどずるのおおおおおおおお!?」 さっきまでの怒りはどこへやら まりさは涙を撒き散らして転がりながら木の枝の猛攻から逃げている。 自業自得だろと思いながら眺めている僕にAの母親が声をかけた。 「あの…あれいいんですか?痛そうですけど」 「いや、僕も普段思いっきりまりさと遊んであげあられないんで Aくんが一杯遊んでくれてるんでまりさも泣きながら喜んでますよ」 「そうなんですか、ごめんなさいね家ってペット飼った事無いからそういうのわからなくて」 そう言うとAの母も納得したようで息子の様子を眺めながらベンチで一休みし始めた。 「お゛に゛い゛ざんだずげでよおおおおおおおおおおおおお!!!」 心中で『ざまあみろ』と呟きながら僕はニコニコとAと遊ぶまりさを見守った。 「しゅーと!」 「ゆぽべ!?」 Aの遊びはいつの間にかサッカーになっていた。 Aが思い切りまりさを蹴ると美しい曲線を描いて宙を舞いながらまりさはゴミ箱にぶつかりその場にドスンと落ちた。 コテン、と頭の上にゴミ箱から空き缶が落ちる。 「そろそろ帰るわよ」 「はーい!」 母の呼び声にAは空き缶を拾ってゴミ箱に戻すと ボロボロになり体の至る所を赤く腫れさせて土まみれになった みすぼらしいゴミクズ状態のまりさを抱えて僕のところに駆け寄ると まりさを差し出しながら言った。 「ありがとう兄ちゃん!またこんどかしてね!」 「ああ、もちろん」 「も゛う゛や゛だあ゛ああああ゛あ゛あああああああああああ!!」 気絶状態からぱっと目を覚まして泣き叫ぶまりさを無視して、僕は家に帰っていくA一家を見送ったのだった。 このSSに感想を付ける
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犬と同じでゆっくりを飼うならばたまには散歩に連れて行ってやる必要はある。 とは言うもののゆっくりはそのゆっくりしたいという性質上犬ほど頻繁に散歩を必要とはしない。 まりさの散歩は多くて三日に一度ほどといったところで 僕にとって朝早くに連れて行くのはそれほど苦にはならなかった。 まりさを飼う前は毎朝犬のミケを散歩に連れて行くのが習慣になっていたのだから それほど早く歩かないし遠くにも行かないまりさの散歩はむしろ楽なくらいだった。 といっても、好きでもない相手の散歩に付き合うのはあまり楽しくないので ミケがいたころのように何か趣向を凝らすようなことはなく 適当に近所を一回りしてすぐ帰ってくるのに始終していた。 とはいうもののたまには外に連れて行くついでに遊ばせないとうるさいので 月に一回は僕か妹が公園にまりさを連れて行って遊ぶようにはしていた。 そして今日は僕がその番になったというわけだ。 「ゆっゆっゆ、まりさのすぴーどにめをまわさないでね!」 「いやゆっくりしろよ」 公園の中を縦横無尽に跳ね回りながらまりさは僕の動きを見て見下すような顔で見上げた。 「あ、ゆっくりだ!」 そんなぐだぐだな空気の中で時間が過ぎようとしていた時 突然かわいらしい声が割り込んできた。 「ゆっくりしていってね!」 まりさはとりあえずその幼児の方に振り向いて反射的に挨拶を返した。 「あ、お隣の…Aくんだったよね」 僕はまりさに興味津々の視線を向ける幼児に向かって尋ねた。 「これ兄ちゃんの?買ったの?」 僕の問いは無視してAは自分の興味の赴くままに まりさに駆け寄ってしゃがみ込んでつんつんとその頬を突っついた。 「ゆ!まりさはおにいさんのおやぶんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ああ、家で飼ってるペットなんだ 今日は散歩でね」 さらっとまりさが身の程知らずな事をほざいているが無視して僕はまりさとの関係をAに話した。 「へぇーそーなのかー」 Aは話半分に聞きながら面白そうにまりさの頬を引っ張ったり突付いたりつねったりして弄繰り回していた。 まりさも最初はされるがままにしていたが段々と痛くなってきたらしくその内身を捩って逃げ出そうとし始めた。 「ゆ、ゆっふひやへへへ!」 「すごい!のびる!すごいのびる!」 顔の横幅が通常時の倍になるほどまりさの頬を引っ張ってAは目を輝かせ興奮気味に声を上げた。 「こら、Aちゃん!痛がってるからやめなさい!」 「あ、別に大丈夫ですよ」 見かねて止めに入ってきたAの母親に僕は宥めるように言った。 「じゃあほかのあそびしよ!」 あっさりまりさの頬を弄るのをやめて別の遊びを考え始めたAと 頬から手を離されてほっとしたまりさの顔を見て僕は少し残念に思った。 「ゆう、しかたないからまりさがあそんであげるよ」 まりさはやれやれという風に目を伏せてかぶりをふったが、頬が伸びてべろんと垂れてるままでは様にならない。 Aはそんなまりさを見てケラケラと笑うとこう言った。 「じゃあヒーローごっこやろ!兄ちゃんが怪獣ね!」 「え、ああうんわかった」 いきなり指差し付きでの大抜擢を受けて僕は少しびっくりしたものの 快くその申し出を受けることにした。 Aくんの母親が苦笑しながらすみませんとお辞儀をしたのでいえいえと手を振る。 「がおーたーべちゃうぞー」 「怪獣だ!やっつけてやる!バンバン!バンバン!」 とりあえず慣れないながらもたどたどしく怪獣っぽいことを言ってみると Aはお母さんから受け取ったビカビカ光って音のなる銃をこちらに向けて撃って来る。 「ぐぎゃーおー」 無論弾は出ないがとりあえず胸とか押さえて呻きながら痛がるフリをしてみると Aは嬉しそうにさらに素敵光線銃を乱射した。 「ゆ?ゆ?なにしてるの?まりさにもゆっくりりかいできるようにおしえてね!」 遊びの内容が飲み込めないまりさが僕とAを交互に見ながら困惑の表情を浮かべる。 「怪獣のお兄さんやっつけてるの!」 そんなまりさにAは限りなく単純明快に解説した。 「ゆっくりりかいしたよ!まりさもおにいさんやっつける!」 即座に理解したまりさは僕の足元に向かって体当たりを繰り返した。 「ゆっゆっゆないてあやまるならいまのうちだよ! いまならまりさのうんうんたべたらゆるしてあげるからね!」 「がーおー」 僕はなんだかイラっとしたのでごっこ遊びにかこつけてまりさを軽く蹴り飛ばした。 「ゆっべえええええええええ!?」 まりさは顔面を変形させながらゴロゴロとAの足元まで転がっていった。 「ど、どぼぢでま゛り゛ざおにいざんなんがにまげぢゃうのおおお…!?」 僕は今までは勝てると思っていたのか、と半眼でまりさを見下ろしながら心中で呻いた。 なんだか腹が立ってきたのでこのまままりさを中心に攻めようと両手を振り上げながら近づいていくと Aが膝を付いてまりさに寄り添いながら熱っぽく言った。 「このままじゃいけない!これをつかうんだまりさ!」 そう言って手渡したのは例のビカビカ光って音の出る素敵光線銃だった。 「ゆ…こ、これをつかえばいいんだね ゆっくりりかいしたよ…!」 まりさは苦しそうに体を起こすと口に素敵光線銃を咥えた。 舌をトリガーに巻きつけてトリガーを引くと光線銃は光りながらやかましく音を立てた。 「まりさにはむかったことをこうかいしてね!」 まりさは勝利を確信したのかニヤリと口許を歪めて言った。 「いっけー!」 「ぐあーやられたー」 Aの表情からああここは倒れとく場面だなと感じ取って僕は断末魔を上げながらその場にうつぶせに倒れこんだ。 服に砂が付いたがまあ別にお気に入りの服というわけでも無いので気にしない。 「ちぇっくめいと!」 僕はAがテレビで見た決め台詞をポーズつきでキメているのを見上げながら微笑ましい気持ちになった。 「ゆっへっへっへっへしょせんおにいさんはまりさのてきじゃなかったね!」 まりさが僕の背中に飛び乗ってドスドスと跳ねながら驕り高ぶった声で言った。 見るまでもなくふてぶてしい腹の立つ表情をしていることだろう。 苛立って険悪な表情を浮かべているのを純真なAに見られたくなくて僕は俯いた。 「兄ちゃん、つぎはなにしてあそぶ?」 そんな僕にAはとことこと歩み寄るとしゃがみ込んで顔を覗き込みながら尋ねた。 それを聞いて、多分まりさはきょとんとした表情をした後呆れ顔で言ったのだろう。 「ゆ?なにいってるの?おにいさんはまりさがやっつけてしんだんだからもうあそべないんだよ? そんなこともわからないの?なんなの?ばかなの?し」 「おっけー次は何して遊ぶ?」 僕は黒い笑みを浮かべながら 背中の上でしたり顔でほざいているであろうまりさを無視して起き上がった。 ゴロゴロと僕の背中を転がり落ちてまりさは地面にキスした。 「ど、どおいうごどおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 立ち上がって体の砂を払っている僕を見てまりさは目を見開いて大声を上げた。 死んでいたはずの相手が蘇ったことにまりさは戦慄した。 「さっきからなにいってんの?ごっこなんだからしぬわけないじゃん」 正論である。 「う゛ぞづぎいいいいいいいい!!ごれ゛づがえばおにいざんだおぜるっでいっだどにいいいいい!!」 あっさりと言ってのけるAをまりさは涙ながらに睨みつけながら批難した。 どうやら本当にアレで倒せると信じていたようだ。 純真、というには何か違う気がする。 「兄ちゃん、こいつ何いってるの?」 僕がリアクションに困っていると、Aは何やらみょんな物を見るかのようにまりさを指差した。 「あー、何なんだろうねほんと」 僕は返答に困って頭を掻いた。 「も゛う゛い゛い゛!お゛ばえ゛がら゛や゛っづげでや゛るう゛ぞづぎいいい!!」 そう言ってまりさは怒りを露にしながら 地面に落ちていた素敵光線銃を舌で拾うと、その引き金を引いた。 ビカビカと光りながら光線銃がけたたましく鳴った。 「バーリア!」 そう言ってAは空中に手で円を書いた。 そして悠然とまりさに近づいていく。 「どぼぢでぎがな゛いのおおおおお!?」 Aに何の変化も起こらないことにまりさは驚愕の表情を浮かべた。 「だってバリアしたもん」 正論である。 「も゛う゛い゛い゛!ごんな゛の゛い゛ら゛ない!!」 そう言ってまりさは役に立たない素敵光線銃を投げ捨てた。 「あー!せっかくかしてあげたのになんですてるのさー! それつかわないんならこんどはまりさが怪獣やってね」 そうしてAはその辺の木の枝を拾うとそれでまりさを突っつき始めた。 「でたな怪獣!くらえー!」 ツンツンペシペシと木の枝を振り回されてまりさは体中を赤く腫れさせながら言った。 「や゛べでよおおおおおおおおお!!! どぼぢでごんなごどずるのおおおおおおおお!?」 さっきまでの怒りはどこへやら まりさは涙を撒き散らして転がりながら木の枝の猛攻から逃げている。 自業自得だろと思いながら眺めている僕にAの母親が声をかけた。 「あの…あれいいんですか?痛そうですけど」 「いや、僕も普段思いっきりまりさと遊んであげあられないんで Aくんが一杯遊んでくれてるんでまりさも泣きながら喜んでますよ」 「そうなんですか、ごめんなさいね家ってペット飼った事無いからそういうのわからなくて」 そう言うとAの母も納得したようで息子の様子を眺めながらベンチで一休みし始めた。 「お゛に゛い゛ざんだずげでよおおおおおおおおおおおおお!!!」 心中で『ざまあみろ』と呟きながら僕はニコニコとAと遊ぶまりさを見守った。 「しゅーと!」 「ゆぽべ!?」 Aの遊びはいつの間にかサッカーになっていた。 Aが思い切りまりさを蹴ると美しい曲線を描いて宙を舞いながらまりさはゴミ箱にぶつかりその場にドスンと落ちた。 コテン、と頭の上にゴミ箱から空き缶が落ちる。 「そろそろ帰るわよ」 「はーい!」 母の呼び声にAは空き缶を拾ってゴミ箱に戻すと ボロボロになり体の至る所を赤く腫れさせて土まみれになった みすぼらしいゴミクズ状態のまりさを抱えて僕のところに駆け寄ると まりさを差し出しながら言った。 「ありがとう兄ちゃん!またこんどかしてね!」 「ああ、もちろん」 「も゛う゛や゛だあ゛ああああ゛あ゛あああああああああああ!!」 気絶状態からぱっと目を覚まして泣き叫ぶまりさを無視して、僕は家に帰っていくA一家を見送ったのだった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/furinkazan/pages/22.html
なかなか面白い -- (sakata) 2007-08-09 16 38 36
https://w.atwiki.jp/dragonfang-drafan/pages/33.html
imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (【紹介】ハンニバル.PNG)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2079.html
前 翌朝、日が顔を出したという時間、まりさとぱちゅりーたちは目を覚ましました。 そして、まだ気絶しているちぇんと、ぐっすりと眠ったれいむを巣の外に連れ出します。 寝ている子ゆっくり達は跳ねれないので逃げれないのですが、ぱちゅりーが念のためにと帽子とリボンをすべてとっていきました。 これなら外に出れないでしょう。 子まりさと子ぱちゅりーは帽子の中にぱちゅりーの選んだ食べ物を入れています。 お弁当のつもりです。 「むきゅー。ぐっすり寝ているわね。」 「引っ張っても起きないなんてさすがれいむだぜ!」 「おかーしゃんこれからどこにいくの?」 子まりさの質問にまりさとぱちゅりーは神妙な顔を作って子ゆっくりを見ます。 「これから人間のところに行くわ。」 「ゆ?にんげん?」 「そうよ。とってもこわいのなまものよ。」 「ゆゆっ・・・」 震えだす、子ゆっくりをなだめるようにまりさが笑います。 「安心するんだぜ。まりさたちは安全なんだぜ。」 「そうよ、そのためにこいつらを残したんだから。」 そういうぱちゅりーの先にはちぇんとれいむが。 子ゆっくりは安全と分かり、またピクニック気分を再開しました。 「じゃあはやくいこーよ!」 「そろそろいくかだぜ!」 まりさはちぇんとれいむを叩いて起こします。 「うー、わかるよー。あさだよー。」 「ゆー、もうたべれないよ・・・」 「さっさと起きるんだぜ!」 まりさの声に、ハッとちぇんは身を起こし、続いて横にいたれいむを背中に隠します。 れいむは昨日のことを思い出してちぇんの後ろで震えだしました。 「わかるよー!おまえたちはわるいやつだよー!」 「そうだよ!こんなことしたらだめなんだよ!」 「おーおー、言うなだぜ!子供達がどうなってもいいみたいだぜ!」 まりさはそういってぱちゅりーににやりと笑いかけます。 子ゆっくりがいないことに気付いたちぇんとれいむは悔しそうに歯軋りをしてまりさを睨み付けました。 「こどもたちをかえしてねー!」 「れいむのかわいいこをかえしてね!」 「返してやっても良いんだぜ!」 「ゆっ、ほんとう?」 れいむは拍子抜けしたように力を抜きます。 しかし、ちぇんはますます警戒を強めました。 「・・・わかるよー、ただじゃないんだねー・・・」 「さっしがよくてたすかるわ。」 「まずはまりさ達についてくるんだぜ!」 まりさは森の外へと向かって跳ね始めました。 ちぇんとれいむも無言で後ろに続きます。 その後ろを子ゆっくりを連れてぱちゅりーが進んでいきました。 長い長い道なき道を進み、ゆっくりたちはとうとう人里と森の境目に来ました。 「ゆゆ、れいむこんなとおくまできたことないよ!」 「ちぇんもないよー、わからないよー。」 「つかれちゃ~。」 「むきゅ、私達はここに隠れましょう。」 ぱちゅりーは子供達が見つからないように巧妙に藪に隠していきます。 まりさはそれを確認してちぇんとれいむにこういいました。 「ここから進むと美味しい食べ物がいっぱいある場所に着くんだぜ! そこから食べ物を取ってきたら子供達を助けてやるんだぜ!」 「ゆー・・・わかったよー!ぜったいだよー!」 「もちろんだぜ!持って来れたら助けてやるんだぜ!」 「れいむがんばるよ!」 れいむたちはもっと難しいことを言われると思っていたので、食べ物を取ってくるだけといわれて拍子抜けしました。 さっさと子供達を返してもらおうと、ちぇんとれいむは傷ついた体をおして森から飛び出しました。 「むきゅー、あそこに見えるのが人よ。そして人がいるのは畑というものよ。」 「ゆゆっ!おいししょうだよ!」 「そうね、とても美味しそうだわ。」 「まりしゃたちもとりにいこうよ!」 「それはダメなんだぜ。」 「どーちて?」 「今から起こる事をしっかり見ているんだぜ!」 「ゆー?」 子ゆっくりは不思議に思いながらも言われたとおりれいむとちぇんに目を向けました。 「こどもたちのためにいそぐよー。」 「ゆゆっ!おいしそうだね!」 ちぇんとれいむは人にあったことがなかったので、これが人の育てているものだと分かりませんでした。 れいむとちぇんは野菜を人目を気にせずに抜いていきます。 しかし、とても美味しそうな野菜にれいむは我慢できなくなり少したべることにしました。 「むーしゃ、むーしゃ!これおいしいよ!」 「だめだよー、れいむ。はやくしないとー!」 「ゆゆゆ、でもとってもおいしいよ!」 「ゆー、とってもおいしいよー!」 れいむ達は始めてたべる美味しい食べ物に驚き、先ほどまで考えた子ゆっくりのことなど忘れてたべ始めます。 こうなると他の食べ物も食べたくなります。 「ゆゆっ、むこうにもあるよ!」 「あれもおいしそうだよー!」 畑を駆け巡り、様々な野菜に齧りついて行く、れいむとちぇん。 まりさ達はそんなれいむとちぇんの様子を藪から見ていました。 「まりしゃがまんできないよー!」 「しっ。静かに、人が気付いたわ。」 「これから何があっても目を離しちゃダメだぜ!」 ぱちゅりーの言うとおり、この畑の持ち主であろう人間がれいむとちぇんに気付いたようで、走ってやってきます。 「こら!このクソ饅頭め!!」 「ゆゆっ!?」 「わからないよー!」 れいむ達はすごい形相で近づいてくる人間を本能的に怖いと思ったのか、野菜を口に咥えて逃げ出しました。 しかし先ほどまでたべ続けていたれいむは思うように動けません。 ちぇんもそんなれいむを心配して速度を出せないので、すぐに追いつかれてしまいました。 最初の標的にされたのは野菜を含みすぎて丸々としていたれいむです。 「喰らいやがれぇ!」 男は丸々としたれいむを思いっきり蹴り飛ばしました。 「ゆぎゅううううううううううう!」 「れ、れいむううううううううう!」 れいむは綺麗な放物線を描き、森の木にぶつかります。 「ゆべゅ!・・・ゆべべっべべっべべっべ・・・」 木にぶつかったれいむは気持ち悪い声をあげて木をずるずると滑り落ちていきました。 「れいむになんてことをおおおおおおおお!」 ちぇんはつがいのれいむに酷いことをした人間に果敢に向かっていきます。 男はそんなちぇんを睨み付け、飛び掛るタイミングで踏みつけました。 「ゆげげ!」 地面に顔から叩きつけられたちぇんはピクピクと痙攣を始めます。 そんな様子を気にせず、男はちぇんを掴みあげて、顔まで持っていきました。 「なに、人の畑の物を食べてんだ!」 「ゆぎゅう、わ、わからないよー・・・」 「知らないでたべたのか・・・」 男はそこで態度を少し和らげます。 故意にやったのではなく、知らずに食べたゆっくりにまで酷いことをするほど男は非情ではありませんでした。 「じゃあ、教えてやる。」 「ゆ゙っ・・・?」 「ここは俺の畑だ。ここの物がほしけりゃ金を払うんだな。」 「で、でもそれがないとこどもたちが・・・」 「子供達?・・・あぁ食べ物が無いのか。それなら森の中にも充分あるだろう。」 「わからないよ・・・」 「木の下とかよく探してみるんだな!」 男はそういってれいむが飛んでいったところまでちぇんを投げ飛ばしました。 「あーあ、結構食われちまったな・・・」 男は愚痴をこぼしながら食べ散らかされた野菜の片づけを始めました。 「むきゅ、あの人間は有情ね。」 ぱちゅりーはそういった後子ゆっくりを見回します。 子ゆっくりは目を見開き、ガクガクと先ほど起こったことに震えています。 この様子だとトラウマになるかもしれません。 ぱちゅりーはそんな子ゆっくりの様子に満足してまりさに次のことを相談し始めました。 「さて、あいつらは帰ってきそうだけどどうするの?」 「心配するなだぜ。予定外だが子ゆっくりで試そうとしてことが出来るんだぜ。」 「あら、この近くにもあいつらがいたのね。」 「最近馬鹿なゆっくりが多いからなんだぜ。」 まりさはいまだ震えている子ゆっくりについて来いといいちぇんとれいむの飛んでいった方に向かいます。 そこではちぇんがれいむを背負い、懸命に巣に戻ろうと這っていました。 流れ出した中身の匂いが充満しています。 まりさ達は、地面の窪みに体を隠しました。 「見てるんだぜ。怖いのは人間だけじゃないんだぜ。」 「ゆゆゆ・・・」 子ゆっくりは体を硬くして身構えています。 やがて空から羽音が聞こえてきました。 「なぁに、こにょおと?」 「これはゆっくりゃの出す羽音よ。」 「ゆっくりゃ?」 「私達を捕食するものよ。」 「ゆg「静かにするんだぜ。まりさたちもねらわれるんだぜ。」 「ゆぅ・・・わかっちゃよ。」 この音はちぇんとれいむにも聞こえました。 「ちぇん、なにかへんなおとがするよ。」 「わかるよー!これはまずいよー!」 「どうしたn・・・ゆぎゃあああああああああ!」 ちぇんの上に乗っていたれいむの悲鳴が響きます。 れいむは空中にバサバサと浮いている羽根つきゆっくりを見てしまったのです。 「う~!」 羽つきゆっくり、ゆっくりゃはれいむに噛み付こうと急降下してきました。 傷ついて満足に動けないれいむは逃げることも出来ません。 「ちぇええええええん、たずげでえええええええええ!」 「わかるよおおおおおおお!いぞぐよおおおおおおおおお!」 ちぇんはれいむを背負い必死に逃げます。 しかし、同じく傷ついていたちぇんにれいむを背負っていつものように跳ねることができるはずもありません。 あっという間にれいむは噛み付かれてしまいました。 「ゆぅうううううう!」 「れいむううううううううう!」 れいむはゆっくりゃによって空中に運ばれて行きます。 ちぇんはこうなると下で見守るしか出来ません。 「れいむをかえしてええええええええええ!」 「う~、うまうま。」 「ゆげげっげっげ・・・」 ちぇんの叫びもむなしく、れいむはゆっくりゃによって中身を吸われていきます。 ゆっくりと中身を抜かれていくれいむは必死に抵抗しているように思っていました。 しかし、中に空きが出来ていて皮はぷらぷらと揺れるしか出来ません。 中身が無くなり皮とリボンだけになったれいむをゆっくりゃはぽぃっと捨てます。 「れいむううううううううう!」 ふわふわと漂って落ちていく霊夢をちぇんは這って助けようとします。 そして、皮だけれいむの元にやってきたちぇんは自分がゆっくりゃ2匹に囲まれていることに気付きます。 ゆっくりゃは3匹いたのでした。 「わわわ、わがらないよおおおおおおおおおお!」 「「うー☆」」 ちぇんもすぐにれいむの後を追いました。 先ほどの人間である程度覚悟していたとはいえ、酷い光景を見た子ゆっくりは言葉もありません。 「わかったかだぜ。まりさたちはこいつらに気をつけないと生きていけないんだぜ。」 「ゆぐぐぐ、まりしゃたちだいじょうぶきゃな・・・」 「安心するんだぜ。ぱちゅりーがあんな風にならないように教えてくれるんだぜ。」 「ほんちょ?」 「ええ、ほんとうよ。だからしっかり話を聞きなさい。」 「むきゅ!」 まりさたちはいまだ逃げようとがんばっているちぇんとちぇんしかみていないゆっくりゃに気付かれないようにその場を離れました。 ちぇんとれいむが皮になってから数日後。 ちぇんとれいむの巣だった場所はもはやまりさとぱちゅりーの巣となっていました。 巣の中ではぱちゅりーの授業を熱心に聴く子ゆっくりの姿が見られます。 「むきゅむきゅ。このきのこを食べさせてみましょう。」 「ゆぎゅぎゅぎゅ、ゆぎゃあああああああああ!」 ぱちゅりーがキノコを子れいむに無理やり食べさせると、子れいむは転げまわりながら痛がります。 「このように体中を焼けたような痛みが襲うわ。だから食べちゃダメよ。」 「わかっちゃよ!」 「だずげでえええええええ!」 子まりさと子ぱちゅりーはれいむを無視して元気よくぱちゅりーに答えます。 「もし食べてしまったらこの草を食べると良いわ。」 ぱちゅりーは暴れまわる子れいむを押さえて草を食べさせます。 れいむはぐったりとしたまま動かなくなりました。 次の危険な食べ物を教えようとすると食べ物を探しに出ていたまりさがかえってきました。 「おーい、帰ったんだぜ!」 「おとーしゃんおかえりなさい!ゆっくりしていってね!」 「むきゅ、じゃあ今日はここまでね。」 ぱちゅりーの発言に子まりさは飛び上がって親まりさのところに向かいます。 子ぱちゅりーはぱちゅりーの片付けの手伝いをします。 「おとーしゃん、またかりのやりかたおしえてよ!」 「わかったんだぜ!ちょっと待ってるんだぜ!」 まりさはそういって巣の奥に向かいます。 巣の奥では石の壁があり、まりさがそれを少し取り外すと、奥にある空洞でもぞもぞと動く何かが見えます。 「今日も一匹だけ出してやるんだぜ!」 「ゆゅ・・・」 中で動く何かは相談しているかのように身を寄せ合ってひそひそ喋っています。 やがて、一匹の何かがまりさの空けた穴から出てきました。 それは子ちぇんでした。 「よし、じゃあおとーさんの下に連れて行ってやるんだぜ!」 「わかるよー!はやくあいちゃいよー!」 穴を塞いで跳ねていくまりさに、子ちぇんは必死に這ってついて行きました。 「わがら゙な゙い゙よ゜おおおおおおおおおおお!」 「や゙め゙ぢぇ゙ええええええええええええ!」 「ゆっくりしね!」 「まず足を狙うんだぜ!同じぐらいの大きいやつならまず弱らせるんだぜ!」 まりさの指導が子供達に響きます。 子まりさが狩りの対称にしているのは先ほど出された子ちぇんと授業で使われた子れいむです。 「わがらないよおおおおおおお!」 「ゆべぇ!」 いくら跳ねれないとはいえ、子まりさよりは一回り大きい子ちぇんです。 数匹のまりさが掛かってもしぶとく、何匹かは吹き飛ばされました。 「ゆぎゅぎゅ・・・」 「まりしゃ。こりぇをぬりゅといいわ。」 「ゆ・・・いたくないよ!さすがぱちゅりーだよ!」 「ゆふふ・・・」 傷ついたまりさはそばで見ていた子ぱちゅりーが傷を治してやります。 こうして治されたまりさはまたちぇんとれいむに向かっていくのでした。 「さすがまりさの子供なんだぜ!もうすこし大きくなれば狩りに連れて行けるんだぜ!」 まりさは子まりさの狩りの様子を見てとても満足げです。 そんなまりさの帽子から一匹のれいむが降りてきました。 「ゆゆ、おそうじおわりました!」 「ゆむ・・・」 帽子を掃除していたというれいむはまりさに目を付けられたれいむです。 このれいむは生かされてまりさやぱちゅりーの手伝い、巣の掃除、死んだれいむとちぇんの処理をさせていました。 「ゆ~、ちょっとゴミが残ってたんだぜ!しっかりやるんだぜ!」 「ゆべぇええええええ!」 見えるか見えないかの埃を目ざとく見つけたまりさは、れいむをふっ飛ばします。 れいむはごろごろと転がった後、涙を流しながらまりさに謝りました。 「ごべんなざい!ごべんなじゃい!つぎはじゃんどやりまずううううう!」 「まったく・・・ちゃんとしてほしいんだぜ!」 「むきゅ、れいむ。もうれいむのほうは使えないからいつものようにお願いね。」 「わがりまじだ・・・」 子れいむはまりさの狩りの練習で動かなくなった、ぼろぼろのれいむを石の壁まで引きずっていきます。 そして皮を破き、中身を取り出すと石を一つ外して中身を野菜屑と一緒にその中に投げ入れました。 中ではもそもそと這いずる音とれいむの投げ入れたものを食べる音が聞こえます。 れいむはもっといいものを入れてあげたかったのですが、管理をきちんとしているぱちゅりーに見つかってお仕置きされるのが怖いので何も出来ませんでした。 子れいむは姉妹を隔てる石の壁に向かい、声を出さずに泣いていました。 「むきゅー。子供達も順調に育っているわね。」 「子供達が育ったらまたぱちゅりーと二人でゆっくり出来るんだぜ!」 「ふふ、楽しみね。」 「そうだだぜ、ちかくでありすをみつけたんだぜ!」 「あら、じゃあありすの恐怖を教えれるわね。」 「あの子れいむを使えば大丈夫そうだぜ。」 「じゃあまた準備しとくわね。」 「ぱちゅりーありがとなんだぜ!」 まりさとぱちゅりーは頬を摺り寄せてゆっくりとしています。 まりさとぱちゅりーの家族はこの大きな巣で、これからもゆっくりし続けました。 このSSに感想を付ける
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※ゆっくり達が食べ物を食べる必要がなくてゆっくり光合成するだけで栄養を得られる、ゆっくり間に捕食種は存在しないみんな仲良し、 ゆっくりれみりゃがこわがり、ゆっくりアリスが強姦魔ではないなどのあまり使われない設定が多いですので注意してください。 ※また、俺設定がありますので注意してください。 「おめぇ!!めっちゃおめぇ!!」 必死なのに悲壮感を感じさせない悲鳴を上げているのはゆっくりれいむだった。 れいむは木の下に釣り針で逆さにつるされて引っ掛けられていた。その周りには子供達が数人と、 子供達に向かって体当たりを繰り返すゆっくりまりさがいた。 ここは人間の里のすぐそばにある森の中、あまり木々が密集していないので、日の光が存分にあたり、空気が澄んでいる。 ここは里に近いためか、妖怪がほとんど出没しない。けれども、妖怪に代わりゆっくりと呼ばれる生き物が出没していた。 ゆっくり達はゆっくりとしていけば生きていける。何をすることもない動く饅頭。そんなゆっくり達は人間にあまり近づかない。 人間を怖がっていた。それなのに人間の、特に子供達はそんなゆっくりたちを、例えるならば蛙や虫のように面白半分に弄んで殺す。 「ゆっくりしていってね」という不似合いで間抜けな反応と豊かな表情が、 虐めたときゾクゾクと子供達の加虐心を満たしていたためであった。 「ゆっくりやめてね!れいむをはなしてね!!」 まりさは必死に仲間を助けようと子供達に体当たりを繰り返す。 けれども饅頭ごときの強度では人間の子供にすら満足なダメージを与えることはできなかった。 「言われたとおりゆっくりするよ。俺達が満足するまでね。」 「ねぇねぇ、石を投げて的にしようよ~。あ、爆竹を口の中に突っ込むのもおもしろそうだよ。」 「さんせ~、どっちにしようか」 子供達はそんなまりさを存在しないかのように扱い木に吊るされているれいむをどうやっていたぶるか考えていた。 子供の残酷性は、被害者の都合など考えはしない。 「れいむはまりさのおともだちだよ!すっごくいいこなんだよ!!」 まりさは何度も何度も子供達に向かっていく。まりさはこの晴れた日ほんの少し前まで友達のれいむと一緒にピクニックをしていた。 小鳥のぴぃぴぃと鳴く声、ひらひらと花に向かってまう蝶々、ぽかぽかと暖かい空気、お日様に当たってきらきら輝く木々の緑。 友達のれいむと一緒にゆっくりするのはとっても楽しかった。ゆっくり過ぎていく時間。 それもすでに過去の事、今は目の前で友達のれいむが苛められていた。 まりさは助けたかった。なんとしてでも助けたかった。けれども、まりさの体当たりはまったく効果がなかった。 それどころか、攻撃の矛先はまりさに向くことになった。 「ゆっくりゆっくりうるさいなぁ、お前から先に苛めてやろうか。」 「じゃあさ、ちょっと俺にやらせてよ。さっきからこいつ何回もぶつかってきてうざったいんだ。 俺あまりゆっくりをシンプルにいたぶった事ないからさ。」 「さんせ~、もう一匹の子は動けないから、お友達が苛められるのをゆっくり見せるんだね。」 子供達はそんなまりさの気持ちがわからなかった。子供の中の一人が地面に転がっている木の棒を拾うと、まりさに向かって打ちつけた。 ぱしり、ぱしり、べしっ、べしっ。そこにはまったく同情や、手加減など存在しなかった。 「いだい!い゛たいよ!どうじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!」 「まりざっ!まりざぁっっっ!!はやぐゆっぐりやめでよぉぉぉぉ!!」 「ん~、いい声で鳴くなあこいつら。少しワンパターンだけど、やっぱりいい声するや。発音の変化がいいね。濁音がついて。」 「次僕ね。そうだ。動けなくなったらとどめはスイカ割りみたいにしようよ。それで餡子はみんなで分けよう。」 「さんせ~、苛めた後のゆっくりっておいしいんだよね。」 「ゆっ、ゆぐ・・・・・れいむぅ・・・・・・にげてぇ・・・・・・・」 「まりざぁ・・・・もういいよ・・・・・まりざだげでもにげでよぉぉぉぉ・・・・・・・」 まりさは打ち付けられながらもれいむの事を考えていた。いつも一緒だったれいむ。赤ちゃんのころから一緒に遊んだ。 おうたも、おどりも、いつもれいむと一緒にやっていた。れいむは意外と負けず嫌いだった。何回か喧嘩したこともある。 まりさから謝ったときも、れいむから謝ったときも、一緒に謝ったときもある。 まりさが冬に寒くて死にそうだったときに、れいむは巣に入ってきて寄り添って暖めてくれた。れいむのほっぺたは温かかった。 まりさはうれしくて泣いてしまった。背中を向けて涙を見せないようにした。でも、きっとれいむはわかっていた。 犬に食べられそうだったときに友達のゆっくりを呼んで助けてくれたこともあった。あのときの気持ちは言葉にできなかった。 まりさはもうほとんど動けない。このままだったら死んでしまうだろう。だけど、自分が死んだられいむはどうなっちゃうんだろう。 せめてれいむだけでもゆっくりして欲しかった。 だれでもいい。 だれか、 だれかたすけて。 「何やってんだぁ、糞餓鬼ども」 そのとき、何者かが日の光をさえぎり地面に大きな影が映った。まるで、目の前にいきなり山ができたような気がした。 まりさがそちらに眼を向けると、本当に山のような大男が鬼のような形相をして仁王立ちしていた。 その肩には藁がたくさんかかっている。 「弱いものいじめはするなって親に習わなかったべか。え゛ぇっ!!何も悪いことをしていないのに、 そんなことをするのかお前らは・・・・。お前らみたいな悪い子は同じ目にあわせてやろうがぁ!!」 男は子供達に詰め寄ると、一人ひとりにお仕置きをした。いや、それはお仕置きなどという生易しいものではなかった。 大男は控えめに見ても2mは超えていた。そんな男が子供達に向かって、何のためらいもなく拳を振りかぶっていた。 「痛いなぁ!何すんだよ!これって虐待だぞ!!いでぇ!何度もたたくなって!っぐぇ! えぐっ!ごばっ!ごめんなさい!ごべんなざい!だだがないで!も゛うやめでぇ!!へげっ!」 「うぎぎいぃい、離せ、離せよぉっ!!・・・・・・・・・・ちょっ高いって・・・やめて、 離さないで、はなさないでぇ・・・・・・・・・・・・はな・・・ぐぇっ!!」 「虐待はんた~、あべしっ!!」 子供たちが脱兎の如く逃げて行く。それを見逃した大男の顔はどこか辛そうだった。 そこで大男はれいむの方に目を向ける。まりさは焦った。 自分達がまったくかなわなかった子供達でもあんなにぼろぼろになるまで痛めつけられたのだ。 まりさがかなうはずもない。まりさは涙を流してがたがたと震えていた。もうだめだ。逃げられない。 「ゆぅぅっ!?ゆっくりできるよ!」 大男はれいむに優しく手をかけると、引っ掛かっていた釣り針をはずして地面に置き去った。 その顔はまるで仏のように穏やかであった。次にまりさに向かって近づいてくると、ひょいと抱えて、 霊夢の隣に置いた。大男は優しい声で 「大丈夫か。いやぁ、死んじゃわなくてよかったべ。ひどいものだぁよまったぐ。悪い子にはおしおぎをしてやらないどなぁ。」 れいむとまりさはきょとんとしていた。 目の前の優しいおじさんがさっきまで子供達を何度も殴り飛ばしていた人と同じ人とは思えなかった。 「本当にごめんなぁ。お前達は何もしないでただゆっくりしているだけなんだもんなぁ。お前達はいい子だよ。 いつか人間達と一緒にゆっくりできる日が来るといいな。」 れいむ達は大男の雰囲気から、彼が自分達を助けてくれたことを理解した。 彼がいなかったら自分達は両方とも死んでいただろう。二匹はとても感謝した。 「たすけてくれてありがとう!!」 「おじさん、ありがとう!おれいするよ!!おれいするよ!!」 けれども、大男は照れくさそうな顔をすると、 「せっかくだけど、ゆっくりしている暇はないだ。これからやることが残ってるから。まぁた今度ゆっくりさせてもらうよ。」 そういうと大男は去っていった。彼はまるでヒーローのようだった。 翌日になった。まりさはあの大きなおじさんのことが忘れられなかった。今までゆっくりの仲間達は人間の子供に苛められていた。 色々ひどいことをされてきた。中にはまりさたちが昨日受けたことがまるで遊びのように思えるようなこともある。 そんな中、自分とれいむを助けてくれたヒーロー。人間がみんなあんな人達だったら、 人間とゆっくりが一緒に仲良くできるかもしれない。そう考えていた。 そう、まりさは人間と仲良くする方法を考えていた。あの時よくわかった。このままだったら、 いつ人間にゆっくりさせてもらえなくなるかわからない。それなら、人間と仲良くできればいい。 ゆっくりの仲間達はみんないい子。みんなのことをよく知ってもらえたらいいなと思っていた。 何かいい方法はないかなと思っていると、空からゆっくりれみりゃがゆっくりアリスをつれて飛んできた。 れみりゃが空のお散歩に連れて行ったところらしい。アリスは誰も見ていないからと思って、うれしそうにはしゃいでいた。 誰かの前では決してあのような顔をしない。 「う~♪う~♪たべちゃうぞ~♪」 「ゆっゆ~~♪、ゆっくり~~♪」 れみりゃはとてもご機嫌だった。アリスもうれしそうに歌っている。 けれども悲しいことに、アリスのその歌声は、あまり聴けた代物ではなかった。 そうだ、あの子達に相談しよう。まりさは思い立ち、二匹を呼び止める。 「ありす~!れみりゃ~!ゆっくりしようよ~!!」 「ゆうゆうゆゆ゛ゆゆう゛ゆうゆyyluuulury」 「う゛~!う゛ぁ゛~~~!!」 アリスはいきなり呼び止められたことで動揺してしまった。 しかも相手は彼女がライバル意識をしているまりさだった。気持ちよく歌っていたところに突然だったので、 驚きのあまりぶるぶると震えて声にならない叫びを上げる。そのまま落下しそうになるのを慌ててれみりゃが支える。 危うくつぶれ饅頭が出来上がってしまうところだった。 「なんのようなのよ!つまらないことならゆっくりしないわよ!」 「いないいない・・・う~♪」 「ゆっくりしていってね!!れみりゃ!アリス!」 アリスは何事もなかったかのように振舞うと、まりさのまえに着地した。 まりさは二匹に向かって挨拶をすると、すぐに本題を切り出した。まりさはアリスとはよく喧嘩する。 しかしそのためか、あまり他のゆっくりには言えないことも言える仲である。 まりさは、人間と仲良くする方法を探していることを言った。アリスは頭がいい。 きっと何かいいことを考えてくれるはずだと信じていた。 「にんげんとなかよくなるほうほうねぇ・・・・。って、あんたばかぁ!あたまにあんこでもつまっているんじゃないの!」 「ゆぅぅ!?あんこがはいっているのはありすもじゃない!まりさはしんけんだよ!なにかしらない?ゆっくりおしえてよ!」 「ありすはかすたーどよ!あんこなんかといっしょにしないでよ!!それににんげんってはなしがつうじないのよ! いきなりつぶされたおともだちもおおいの!むりよ!ぜったいむり!」 慌てて否定するアリス。以前何か嫌なことでもあったのであろうか。けれどもまりさは引き下がらなかった。 みんなにゆっくりしてもらいたい。幸せになってもらいたい。まりさはみんなのことが大好きだった。 だから、頑張る。考える。相談する。 「おねがい!ありすならなにかいいことしっているでしょ!まりさはありすにおべんきょうでかったことないもん! うたではいっかいもまけてないけど!」 「いちいちよけいよ!!」 「うぅ~、ありすこぁい・・・・・」 れみりゃは少し遠くで怖がっていた。軽くアリスが怒鳴っているくらいで怯えるとは、臆病なところがあったものである。 結局まりさの熱意に押し負けたのか、アリスはまりさの手伝いをすることになった。 アリスは人間に対して仲良くなりたいなら、人間のことを知ればいいと思った。 そこで人間の本をたくさん持っているゆっくりぱちゅりーの家に遊びに行くことになった。 ぱちゅりーの家は木のうろの中にできていて、人間の絵本がたくさん入っていた。 「ぱちゅり~、あそびにきたよ~、ゆっくりしてい~い!」 「むきゅ、ほんをもっていかないでね。ゆっくりしていってね。」 まりさはぱちゅりーの家からいろいろな絵本を読んだ。文字は難しいので読めなかったけど、絵だけならお話がわかる。 しばらくして、まりさはいい方法が載っていた本を見つけた。 《泣いた赤鬼》 昔々あるところに赤鬼と青鬼がいました。鬼達は人間にとても怖がられていました。 赤鬼はじつはとっても寂しがりや。いつも人間と仲良くしたいと思っていました。 ある日親友の青鬼が人間の里で悪さをしました。そんな青鬼を退治する赤鬼。青鬼はどこかに去ってしまいました。 人間に英雄として仲間にしてもらえた赤鬼。赤鬼は全てが終わった後に気がつきました。 そう、青鬼は赤鬼をみんなにいい子だということを伝えるためにわざと悪さをして、退治されたのでした。 それを知った赤鬼は、二度と友達に会えなくなることに涙しました。 めでたし、めでたし。 まりさはこれだと思った。これなら、人間にもわかってもらえる。 だけど、このことをれいむやアリスに言うと反対されそうだから黙っていた。 アリスとぱちゅりーにはいい方法が載った本は見つからなかったということにした。 まりさはこの本の結末のような未来を思い描く。青鬼は自分がなろう。かけっこなら誰にも負けたことがない。自分なら逃げられる。 赤鬼はれいむにやってもらおう。れいむならすぐにまりさを止めてくれるはずだ。 でも、このことを話したられいむはあぶないからやめてというだろうから黙っていよう。 まりさは後の事を考えず都合のいい妄想にふけっていた。 だが、まりさは青鬼になる決意を決めることはできなかった。 餡子の詰まった頭でも、妄想の興奮が冷めた後にゆっくり考えればわかることだった。 青鬼になるということは、みんなとお別れすることになる。 今までずっと一緒にいたれいむとも、素直じゃないアリスとも、怖がりなれみりゃとも、 あまり動かないぱちゅりーとも二度と会えない。会っているところを人間に見られると、 みんなが悪い子の仲間だと思われてつぶされてしまう。それがすごく怖かった。 それに、まりさは死にたくなかった。まりさは青鬼のように強くない。悪さをするということは、 人間達に立ち向かうということになる。そのときにつかまったら、今度こそ殺されてしまうだろう。 いや、殺されるだけだったらいいけど、ゆっくり時間をかけて痛めつけられたらどうなるだろう。まりさはとても怖かった。 一日、二日と時間が経っていく。段々とまりさの決心が鈍ってくる。 あれから何も起こっていないんだからまりさが何かしなくても大丈夫じゃないかな。 ああやって人間に虐められることはもうない。あれは本当にたまたま。 きっと人間の子はもう二度と来ない。 だったらまりさが何かする必要はない。 みんなとゆっくりしていってもいいんだ。 そう思っていた。 しかし現実は餡子のように甘くなかった。 まりさは結局青鬼になることになった。赤鬼になってもらうれいむの赤いリボンはとてもきれいだった。 中編 このSSに感想を付ける