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●まどホーム● 「「ホムゥー ミャロカミャロカァ マドカァー ホミィ ミャロカァー マードーカーッ マロカァ」」 飼いほむ達のけたたましい鳴き声が部屋に響いている。 鳴き声の発生源は机の上に乗せられた大きな金魚鉢……大小様々なほむほむがその中で暮らしているのだ。 どの個体も髪やほむ服が綺麗に整えられ、栄養状態も非常に良好で、飼い主からの手厚い愛情を感じさせる。 「マドマド」「ウェヒヒッ」カサカサ そこに忍び寄る二つの影――鳴き声を聞きつけて侵入してきた野良まどまどだ。 この時期、冬眠から目を覚ました野良ほむは悉く人間に狩られてしまい、欲求不満が高ぶっているのだ。 まどまどは賢い……ほむ種の中では。 野良まど同士ペアになって行動していたが、ほむほむのように無計画に仔供を産むことはしなかった。 飼いほむ達はその代わりの性欲処理係というわけだ。 久しぶりのファックをかましてやって、仔供を産ませたら(文字通りの)親仔丼を堪能しよう―― 性欲と食欲が同時に満たされて、まさに一石二鳥だ。 手際よくまどホームに進入する野良まどs。 現代日本の住宅というのは換気設備が充実しているので進入経路に事欠かない。手馴れたものだ。 敏感な嗅覚を生かし、あっという間に飼いほむの部屋を突き止める。 「「「マドカァーマドカァー」」」 「ウェッヒ♪」「ホムホムホムラチャーン♪」カサカサ ほむほむ共、やって来たよ! 待たせてごめんネ☆ さぁ、ファックしようね!! 颯爽と飛び出す野良まどだったが―― ガチャッ まどか「みんな、ご飯だよ」 「「「「マドカァ~ カナメサーン ミャロカミャロカァ」」」」 「マァ!?」「ホムラチャン!!?」 「マドカァー」の鳴き声は人間――鹿目まどかに向けられていたものだったのだ。 よく躾けられた飼いほむ種は主人の名前を呼ぶことがあると言うが……『まどか』と『まどまど』、なんて紛らわしい!! 「マフゥ!!」「マドンッ!!」 憤慨する野良。 美ほむを前にしてお預けを食らった形になるのだからそれも当然だ。 「ほむほむは可愛いなぁ」ナデナデ 「マロカァー// ホミャァ/// カニャメサーン/// ホムゥゥゥン///」 大体ほむほむの分際で人間に色目を使うなんて許せない! 名前が似ているということもあり、自分たちがあの人間より劣っていることを自覚せずには居られず、ますます不快な気分にさせられる。 「マドォッ!!」「ホムラチャン!!!」ピョンピョン 「えいえい」クリクリ 「ホミャァ~~ン」ゴロゴロ しかし、飼いほむ達は薄汚れた野良まどなど見向きもせずにキャッキャウフフしているではないか。 「マァァァ…」「ホムラチャァァァ…」 この人間さえ居なければ… 久しぶりのファックが… 苛立ちが募る。 人間の恐ろしさは知っている。 それでも血気盛んな若まど達、捨て身のタックルを噛ます。 「マドォォォォッ!!!」「マドンッ!!!」ピョーン 身体をバネのようにして勢いを付ける。 鋭い牙がまどかを襲う。 今まで数百ものほむ肉を食いちぎってきた自慢の武器だ。 が、 野良まど2「マフォォッ!?」ベチーン!! 空振りだ。 ――だがもうひとり仲間が居る。 相棒の様子を伺う。 同じ巣で育った幼馴染、悪友にして大事なパートナー―― 野良まど1「ギギギィ…………」 ……上顎から上が、完全に無くなっていた。 申し訳程度に下顎に乗っかっていた牙(笑)が、ポロリと落ちる。 初撃で決着はついていた。 鹿目まどかの右腕が一閃。 間抜けに開いた野良の口に二本の指がねじ込まれ、咽頭から延髄を破壊。 この時点で生命活動は完全停止。 後は勢いに任せるまま、脊髄ごと頭蓋を引き抜いてしまったのである。 主を失った胴体は、まみまみのように自立することは無く、そのまま大地に倒れこんだ。 野良まど1「」バタリ 野良まど2「マ、マッ、マッギョォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!?」 信じられないといった様子の野良―― 今だに仲間の死を受け入れられない様子で、オロオロするばかりだ。 「――あぁ、まだ居たんだ」 ゴミ掃除をするかのような気楽さで指に嵌った頭蓋を引き抜きながら、鹿目まどかはそう言った。 野良まど頭1「グェ」コロン 口から、目から、鼻から、まどエキスを垂れ流す野良の首。 尻尾のように伸びた脊髄が何とも言えない間抜けさを演出している。 ここに来てようやく己の置かれた事態を把握する。 野良まど2「「「「マビャァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」」」」 ヤバイ!! 何だか知らんがコイツはヤバイ!! 野良まどは仲間の骸も見捨てて一目散に逃げ出した。 バリバリバリ!! 「「「「「マギャ!!マギャギャギャギャァァァァァッ!!!?」」」」」 「逃げられるとでも思った?」 「マァ…マヒィ……?」 打撃や斬撃とも異なる、未知の衝撃に戸惑う野良。 まどかが手にするのは護身用のスタンガンだ。 その脅威を野良に見せつけるかのように、何度か青白い閃光を光らせる。 ホームセンターなどで簡単に入手できる物なので大した威力はないが、ほむ種相手では凶悪すぎる武器となる。 最初の一撃は野良をひるませるための、挨拶代わりのジャブに過ぎない。 実際、電極と野良の間に僅かに隙間が生まれており、大幅に威力を削がれていた。 今度は、電極を肌に直接押し当て――ゼロ距離から電気仕掛けの花火を放つ。 「「「「「マギギギギギギィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ヤ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ッ゙゙゙!!!!!」」」」」 右の眼球が勢いよく飛び出す。 電流によって体内のまどエキスが一瞬で沸騰したためだ。 鼻からは泡だったまどエキスがドクドクと垂れ出し、まど服を汚している。 残ったもう片方の目も真っ黒に濁ってしまい、もう使い物にならないだろう。 「「「マギョォォォォォ!!!マギョォォォォォォォォッ!!!」」」 涎と涙を滝のように流しながら、土下座までして必死に許しを請うが、丸で聞き入れられない。 何度も何度もゼロ距離から無慈悲な鉄槌を下される。 「「「マグエエェェェェエエエェェェッ!!!!」」」 「「「マビャァァァアアアアァァァアアァァァァァッ!!!!」」」 「「「マギョギョギョォオオィギイイィィィイイィィィィイィィィッ!!!!!!」」」 その度意識を吹き飛ばされるが、火傷の痛みからか、すぐに覚醒してしまう。 「ミィ……」 「ふんっ」 ひとしきり反応を愉しんだところで満足したようで、人間は奥の部屋へと引っ込んでいった。 後には無残な姿と化した野良だけが残された。 「マ…マキョ…マヒィヨォ……」ピクピク フリフリのまどまドレスは鼻血と焦げでグチャグチャだし、鮮やかだった桃色の頭髪もチリチリに炭化してしまった。 脳にも障害が残ったようで、呂律が上手く回らない。 私の可愛いドレスが… 綺麗な髪が… 野良は、かつて所属していた群の仲間のことを思い出す。 …… 「マドッ」コマドチャンハ カワイイネ 「マドマドォ」ホントウネ 「ミャロォ」コマドチャン アソボ アソボ 「ウェヒヒィ」キレイナ カミダネ 「シャイコウノテョモダチ」チュッ …… 群の皆が私のことを愛してくれた。私の容姿を褒めてくれた。 ほむほむ共のことは言うまでもない。 次から次へと貢ぎ物を寄越すものだから二つ目の巣を探さなければならなかった程だ。 だが、金魚鉢に映り込んだ今の姿は―― 今すぐここから逃げ出したかった。こんなのは自分じゃない。 しかし腕が、脚が上がらない。思うように動かない。 度重なる電撃と熱によって運動神経がイカれたのだ。 今や胴をくねらせるしか移動の術を持たない。 ケロイド状に爛れた皮膚もあいまって、その様は醜い芋虫を彷彿とさせた。 「ホムゥ…」「ホムン…」「ホミャァ…」「ホミィ…」 いつの間に避難したのか、飼いほむ達は金魚鉢の奥の方で身を寄せ合いながらこちらの様子を怯えた目で伺っていた。 こんな雑種に助けを求めるなんて… だが、形振り構っていられる場合ではない。 「ホムリャチャーン……」モゾモゾ フリフリ 助けて――ケージに向かってお尻を振って懸命に媚びる。 これでどんなほむほむもイチコロだ。 ずっとこうやってピンチを乗り越えてきたのだ。 そしてこれからも、そのはずだった。 「ホムゥ…」「ミャロカ…」「ホムホム!」「ホミュ…」 しかし、ガラスの向こうから浴びせられたのは、腫れ物を見るかのような軽蔑の視線であった。 親たちは仔供に目隠しをする――こんなモノ見ちゃいけません、とばかりに。 ――――哀れまれているのだ。 →その2
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作者:CpbYkLBa0 452 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)[sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 17 44 39.51 ID CpbYkLBa0 ほむ種は人間の文明に対して無力である。 例えば車道、体長10センチ程度の成体ほむ種、その半分ほどでしかない幼体ほむ種、 彼女達が距離にして15メートルの幅を渡るのにどれだけの労力が必要か想像できるだろうか? 仮に成人男子の身長を175センチとし、歩幅を1メートルとした場合、 我々がたった15歩、時間にして数秒と掛からない距離が、彼女達にとっては260メートル超、 世界最速の男、ウサイン・ボルトですら全力疾走で25秒以上の時間を用する。 だが、彼女達は総じて歩幅が短く、10センチ程度の体長に対して歩幅は約2センチ。 仮に1秒に2歩、全速力で6歩踏み出す事が出来たとしても、125秒、 つまり、2分5秒と言う途方もない時間が必要とされる。 モニターの前の皆さんも、自宅近くの車通りの激しい道を見てもらいたい。 2分5秒の間に何十、何百台もの車両が通り過ぎて行く様が見えるハズだ。 しかし、ほむ種にとって恐るべきは、その車両のサイズ、速度は、普通乗用車で時速50キロと過程した場合、 我々の視点・感覚に例えるならば全長45メートル、全幅・全高15メートルサイズの団地が、 時速120キロと言う猛スピードで迫って来るように見えるだろう。 重量は1トン前後、だが、人間に換算してみれば5400トンもの重量の物体が迫って来るワケである。 柔軟性に優れる事で衝撃を相殺できるほむ種の骨格・肉体とは言え、 このサイズ差で無事でいられるハズもなく、車両と正面から衝突した際のエネルギーは、 ほぼ全てが彼女達の被害となって還る。 そして、今日もまた、無辜のほむ種が被害に晒されようとしていた。 野良仔ほむ「ホ、ホミャァァァァッ!?」ク、クルマガクルヨー 野良仔まど「ミャ、ミャリョォォォォッ!?」オ、オネーチャーン 野良親ほむ「ホ。ホビャァァァッ!?」コ、コドモタチガー 野良親まど「ホムラチャン、マドマドォ!」モウマニアワナイヨ、ホムホム ソレは何処にでもある光景。 野良ほむと野良まどが、食糧調達に出た際、待ちきれなくなった野良の仔供が、 親を見付け、危険な車道に飛び出し、今、正に迫り来る車両に轢き潰される。 そう、何処にでもある光景。 しかし、その時ばかりは違った。 甲高い金属音が響き渡り、仔供達を轢き潰すハズだったタイヤは、彼女達の目前で停止し、 空転しながらアスファルトに黒い擦過痕を刻み続ける。 野良仔ほむ「ホ、ホミャァ?」ナ、ナンデ 野良仔まど「ミャ、ミャロォ?」ド、ドウシテ ????「ホ・ム・ム?」ダ・イ・ジョ・ウ・ブ? 命拾いをし、呆然とする仔供達が聞いたのは、今までに聞いた事もないような声音で喋る同族の言葉。 さあ、仔供達よ、見上げよ。 その身を護りし鋼の身体。 腕一本で時速50キロで迫る普通乗用車を軽々と受け止め、微動だにせず浮遊するその勇姿を! メカホム「ホ・ム・ン、ホ・ム・ホ・ム・ホ・ミャ」ハ・ヤ・ク・オ・カ・ア・サ・ン・ノ・ト・コ・ロ・ヘ 野良仔ほむ「ホ、ホム、ミャロカァ」ハ、ハイ、ミャロミャロモ 野良仔まど「ミャ、ミャロ」ウ、ウン、オネーチャン 頷き、親の元へと駆け去る野良の仔供達。 そこでようやく、乗用車のエンジンが止まった。 運転手「い、一体、何が起こったって言うんだ!?」 慌てた様子で駆け出して来る運転手の前に、メカホムが浮かび上がる。 メカホム「ホ・ム・ン」ゴ・メ・ン・ナ・サ・イ 運転手「な、何だ……機械のりぼほむ?」 メカホム「ホ・ミャ・ホ・ム・ホ・ム・ム、ホ・ム・ホ・ム・ホ・ミャ・ホ・ム・ン」モ・ウ・ス・コ・シ・デ、ア・ノ・コ・タ・チ・ヲ・ヒ・キ・コ・ロ・シ・テ・シ・マ・ウ・ト・コ・ロ・デ・シ・タ メカホムが指差す先を運転手が見遣ると―― 野良親ほむ「ホミャァ、ホムムン、ホムホムゥ」ヨカッタ、コドモタチ 野良仔まど「ミャリョォォン」ビエェェン 野良仔ほむ「ホミャァァァッ」オカーサーン 野良親まど「マドォ、マドマドォォ」ブジデヨカッタ そこには、生きて再び抱擁を交わす仲むつまじい親仔の姿が……。 運転手「そ、そうか……あの子達を私が轢き殺してしまう所だったのか………。 すまないね……気付かないままでも、轢いてしまうのは心苦しいからね」 メカホム「ホ・ム・ム・ン、ホ・ム・ホ・ム・ン」キ・ニ・ヤ・ム・コ・ト・ハ・ア・リ・マ・セ・ン 運転手「そう言ってもらえると助かるよ」 親ほむ「ホムッ、ホムム、ホムホム」ナントオレイヲイッタライイカ 親まど「マド、マドンマドマド」コドモタチヲタスケテクレテ、アリガトウ 仔ほむ「ホミィ、ホミャホミュ」アリガトー 仔まど「ミャロ、ミャロン」アリガトー 運転手と親仔から感謝の言葉を受けるメカホム。 メカホム「ホ・ムッ、ホ・ム・ム・ン・ホ・ミャ」ワ・タ・シ・ハ・ホ・ム・シュ・ト・ヒ・ト・ノ・ミ・カ・タ だが、振り返り―― メカホム「ホ・ム・ン・ホ・ム」レ・イ・ハ・イ・ラ・ナ・イ 背中越しに語る。 メカホム「ホ・ム・ンッ」ト・ビ・タ・チ その光景を遠目に見遣る少女が一人……… まどか「機械の……りぼほむ?」 Episode01・登場 →Episode02
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601 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)[sage saga] 投稿日:2011/09/08(木) 23 17 41.08 ID gfrY6aEe0 世界はとっても広くて…… 野良仔りぼ「ホミュ……」 世界はとっても怖くて…… 野良仔りぼ「ホミィィ……」 こんなボロボロの羽じゃ、あの広くて青い空も飛べないけれど…… 野良仔白まど「ホミュラチャーンッ!」 野良仔りぼ「ホミュ? ホミュッ、ミャロカーッ!」 ……大好きな白まどと一緒なら、りぼほむは元気です。 野良仔りぼ「ミャロカァ///」スリスリ 野良仔白まど「ホミュラチャァン///」スリスリ その仔りぼほむが羽を失ったのは、産まれて間もない頃だった。 川にほど近い廃屋の床下を巣にしていた群が、彼女が属する集団であった。 ほむほむやまどまど、あんあんやさやさや、まみまみだっている、典型的なほむ種の集団。 小動物が生き抜くには過酷過ぎる野良と言う環境下、力を合わせる事で生き抜いて来た者達。 河原できゅうべえや草、虫を捕って食糧として、毎日を平和に過ごしていたハズだった。 だが、数日前、彼女が産まれたその日の夜に降った大雨で、群も巣も、呆気なく壊滅した。 飛べるりぼほむ、まどまど、白まどすら対応できない突然の濁流の原因は、 川と住宅地を仕切る堤防から、氾濫した僅かな水が、廃屋に向かって流れ出したためだった。 床下を一気に覆い尽くす濁流の中、産まれてまだ間もなく、飛び方すら知らなかった仔りぼは、 濁流に呑まれ、もみくちゃにされる中、濁流によって羽をもがれた。 世界に生まれて数時間と言う短い間に、絶対の死を意識したりぼほむは、 しかし、母であるめがほむの手によって助けられた。 野良親めが「ホムゥ……」 野良仔りぼ「ホミャァァン、ホミャァァン」 石にでもぶつけたのか、片方のガラス皮膜が割れた顔で、穏やかに微笑む母は、 羽を失った痛みで泣きじゃくる我が仔を抱え上げ、めがほむは泳げもしない身体を必死で浮かべ、 ただ、濁流が過ぎ去るのを耐え続けた。 そして、最初の濁流が過ぎ去り、我が仔を抱えためがほむは這々の体で床下から廃屋へと上がり、力尽きた。 野良親めが「ホ……ム、ゥ………」……パタリ… 野良仔りぼ「ホミュ……ホミィィ……?」 野良親めが「――――」 野良仔りぼ「ホミィィ……ホミィィ……ホ、ホ、ホミャァァァ……」ポロポロ 死を覚悟した僅か数十分後、母の力で生き延びたりぼほむは、目の前で母の死を経験した。 野良仔りぼ「……ホミィ……」 泣き腫らし、体力の殆どを使い果たしたりぼほむは、 野生にほど近い生存本能に従い、我知らず内に、母の髪の毛を噛み千切っていた。 野良仔りぼ「ホミュッ……ホミュッ……」ムシャ……ムシャ…… 越冬の間、栄養の枯渇しかけたほむほむ種にとって、 己の、そして死んだ仲間達の髪の毛は重要な栄養源である。 死の恐怖、死の哀しみすら押し退けた生存本能は、 母の髪を食らうと言う最悪の結果に結実しながらも、 だが確かに、か弱き仔を生き存えさせた。 野良仔りぼ「ホミャァァ……」ポロポロ 我に返り、涙を流す仔は、変わり果てた親の姿に涙した。 産まれて間もなく見た母は、とても美しかった。 野良親めが『ホムホムゥ……』 優しい笑顔を浮かべ、姉妹達と共に自分を抱きしめ、柔らかな手つきで撫でてくれた。 羊水で濡れた身体を拭ってくれた髪の毛も柔らかで、本当に美しかったのだ。 野良親めが「――――」 決して、今、目の前にあるような、無惨に食いちぎられたバラバラの長さの髪の毛などでは、なかったのだ。 野良仔りぼ「ホミャァァァァァァン」 りぼほむは、吠えるように泣いた。 母への罪悪感に苛まれながら、泣いた。 そして、りぼほむは、独りになった。 野良仔りぼ「………ホミィ……」 独り生き残った幼いりぼほむに出来る事は、僅かな餌を求めて河原を放浪する事だけだった。 幸いにも餌場となる河原は、雨が止むと翌日には元の姿を取り戻していた。 上流にある山から運ばれて来た肥沃な土には多量のきゅうべえが含まれ、 大雨の後に晴れた空は雑草の生育を促し、小さなな雑草を食べる事も出来た。 食う事には事欠かないこの河原で、りぼほむは生きる事となった。 たった独りで。 野良仔りぼ「……ホミュホミィィ……」 夜になり、本来のねぐらである廃屋の床下を捨てたりぼほむは、 河原に流れ着いた流木の洞を新たなねぐらとした。 前のねぐらには、今も多くの仲間達の死体が転がっていた。 あんな場所では、安らかに眠る事すら出来ない。 ただでさえ、まだ母の死と、自らの作り出した凄惨な光景が目から離れないのに……。 野良仔りぼ「…………ホミィィ………」ポロポロ フルフルカタカタ…… 群やつがいを成すほむ種にとって、最大の脅威は孤独である。 産まれたばかりの幼い仔であろうとも、自力で餌を採る事は出来る。 土の中から微生物を見付けて口に含み、雑草の葉を噛み切る力など、元より備わっている。 そうでなければ、野生の中では生きていけないからだ。 産まれたばかりの仔馬が立つのが当然であるように、 産まれたばかりのほむ種の仔も、餌を採れなければ生きていけない。 しかし、ほむ種は人間に近い精神と社会性を持ち、人間以上の協調性と同種への思いやりを持つが故に、 孤独は耐え難い恐怖なのである。 命を繋ぐ事が出来ても、魂を繋ぐ事は出来ない……と言って理解していただけるだろうか? 我々人間が独りきりの時に抱く以上の孤独を、産まれてたった一日の幼いりぼほむが味わっているのだ。 その恐怖と絶望は、我々人間の想像の及ぶ範囲ではないだろう。 野良仔りぼ「ホミュ、ホミュゥ……ホミィィィ………」ポロポロポロポロ 加えてこの幼いりぼほむは、命を散らしてまで自分を助けてくれた母の髪を食い荒らした罪悪感に苛まれている。 おそらく、彼女の魂が保つのは、あと数日か……もしかしたら、今日にでも。 そして、魂を失った肉体は、いつか命を手放す。 その時だった―― 野良仔りぼ「ホミャ……?」 大きく穿たれた洞の外を、小さな光が過ぎった。 突然の光に、泣くのを止めたりぼほむは、洞の外に顔を出した。 星空の下に、さらに明るく、ふわりふわりと漂う地上の星空とも言える光景が目の前に広がっていた。 そう、夜光虫の群だ。 野良仔りぼ「…………ホミュゥ……」 一匹の夜光虫が、りぼほむの近くを掠めるように飛んだ。 野良仔りぼ「ホミャ!?」 驚きながらも、幻想的なその光に魅入られたりぼほむは僅かな間、孤独と罪悪感を忘れる事が出来た。 りぼほむは、誕生の直後に目の当たりにした残酷な死の夜に続いて、光輝く生命の夜を目の当たりにした。 それが彼女にとって不幸だったのか、それとも幸運だったのかは、我々の知る由ではない。 だが、気付く、数匹の夜光虫が川岸の辺りで固まっている事に。 それだけは、間違いなく幸運であっただろう。 野良仔りぼ「……ホミャ?」 怪訝そうに洞から這いだしたりぼほむは、夜光虫達が屯する川岸へと走った。 野良仔りぼ「ホミュホミュ……」トテテテ…… そこにあったのは、川岸に打ち上げられた広葉樹の枝だった。 大きく、無数に枝分かれしたそれに群がっていた夜光虫が、りぼほむに気付いてゆっくりと散る。 りぼほむには眩し過ぎた光が和らぎ、淡い黄緑色の光が、広葉樹の影を照らした。 野良仔白まど「…………」 野良仔りぼ「ミャ、ミャロカ……?」 そこにいたのは、自分と同じようなボロボロの羽を持った、一人の幼い白まどだった。 これは、羽を無くしたりぼほむと、白まどの物語……… →その2
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キモあきの孤児ゆっくりシリーズと ゆうかわあき、それとブリあきのをネタとしてお借りしました ゆっくりショップYUUKAWAに買い物に行くのに友人を付き合わせた。 友人も最近庭でゆっくりを飼っているというので、何を与えているのかと聞いたら BURIフードで製造しているやつの一番安いものだと言って来た。 「それ競技会用ゆっくりの餌でしょ!? そんな高いの与えてるの!?」 私は驚いたが、彼は平然としていた。 人間用のプロテインよりは安い…って、まあそりゃあそうだけど、味もプロテイン以下じゃん… もっと美味しくて安価なのを食べさせようよ。 別に障害物競技とか水上レースで1位取らせるために飼ってるんじゃないんでしょ? そんな話をしながら買い物を済ませた帰り道、公園の側を通りかかるとボロクズが落ちていた。 よくみたら野良ゆっくりの子まりさだった。 モゾモゾ動きながら、地面をペロペロ舐めているので何かな?と思ったら蟻の行列を舌ですくって食べている。 そんなものしか食べるものが無いのかと思ってちょっと憐れになったので、さっき買ったばかりのゆっくり用飴と 子れいむを袋から取り出して、野良子まりさに見えるように飴を与えて舐めさせた。 「ぺーろぺーろしゃーわせー♪」 「ゆぐっ… ぺーりょ…ぺーりょ…」 羨ましそうに私の腕の中で飴を舐める子れいむを見上げ、涙をこぼしながら蟻を舐める子まりさ。 友人が隣で「お前鬼だよ」って言ったけど、何それ美味しいの? 次の日、庭飼い程度の(それも元々野良だという)ゆっくりに不釣合いな餌を与えている素人もいいとこな友人に ゆっくりの飼い方の何たるかを啓蒙するべく、私の飼いゆっくりの散歩に付き合わせた。 私と友人のの後ろを歩くれいむは昨日買ってきて与えた子れいむを気に入ったようで、「しっかりついてきてね!」と上手く母親をやっている。 子れいむも楽しそうに母親となったれいむの後ろを跳ねて付いてくる。 うん、いい感じだ。 ところで友人に、ゆっくりに餌をどう与えているのかと尋ねると、餌皿ごと投げつけたり、ぶちまけたのを踏みにじってから拾わせているという。 なんて酷い。 友人は「餌を与えられる事に慣れさせないため」とか言ってるけど、それは教育じゃなく虐待だよ。 ゆっくりに餌を与える時は、ちゃんと「待て」「食べてよし」を教えさせないと。 そして、罰はそんなゆっくりの尊厳を踏みにじるものじゃダメ。 例えば待ての途中で食べ始めたら、針であにゃる・ぺにまむをプスリと刺す。 友人は「それはそれで立派な虐待…」って言ってたけど、このくらいは躾けでしょ? 散歩の帰り道、ふと後ろのれいむと子れいむを振り返るとその後ろに昨日の公園の野良子まりさが付いてきていた。 「はやくかえってゆっくりごはんをたべようね!」 「ゆっくちー♪」 「ゆっくち…ごはん…」 家まで付いてこられても迷惑なので、野良子まりさを蹴っ飛ばしてやった。 「ゆびぇぇぇぇぇん!」とか泣き喚いていた。 「やっぱお前鬼だって」 だからなにそれ。 食べてお腹が膨れるの? また次の日、今日も友人をつき合わせてお買い物。 YUUKAWAにおりんりんが入荷したというので見に行く。 友人の庭で飼っているゆっくりの、おうちを追い出された子まりさが親たちに噛まれて大怪我をしたらしい。 なんでも庭で遊んでいた姉妹達に近づきすぎて怒りを買ったとか。 やっぱりゆっくりをよく知らないで飼っている友人の所にいるゆっくりだから、罰でおうちから追放されるとか 家族に近づいて殺されかかるとか、あんまり良い状態とは言えない。 一刻も早く友人にちゃんとしたゆっくりの飼い方と躾け方を教えてあげないと。 公園を通りかかったら、あの野良子まりさが壁に貼られたゆっくり用フードのポスターの絵に舌を延ばしていた。 おいしそうなフードを前にしてしあわせー!と笑顔を浮かべているれいむを羨ましそうに、そして涙を流しながら必死に 絵の中のフードを食べようとして舌を懸命に延ばしている。 馬鹿だね、絵の中のご飯なんて食べられるわけ無いでしょ。 あーやだやだこれだから野良は低知能で。 やっぱりゆっくりはショップ品が一番だよね、と言ったら友人が、「さりげに酷い事を言ってるぞ」だって。 友人って野良ゆっくりが好きなのかな? 帰り道も公園を通りがかったらあの子まりさが別の野良まりさの親子にお帽子を奪われかけていた。 「このぼうしは、ぼうしをなくした まりさのこどものおぼうしにするよ! さっさとあきらめてね!」 「おきゃーしゃんがんばっちぇ!」 「ゆぐぐぐぅ…!」 泣きながらお帽子を取られまいとしている子まりさ。 野良の世界は厳しいね…と思ったら友人がすっ飛んで行って野良まりさの親の方を蹴り飛ばし、さらに踏みつけ、 両目を抉り、ボコボコに殴って前歯を全部折り、最後に 「すみませんでした、は?」 「ずみませんでじだあああああ!! なにもじでないげどゆるじでぐだざいいいい!!」 という謎の会話の後に野良親まりさを地面に叩きつけて止めを刺した。 「おがーしゃぁぁぁぁぁん!! じにゃないでぇぇぇぇ!!」 親の死骸にすがり付いて無く野良子まりさ(お帽子無し)に、友人は野良親まりさのお帽子をそっと被せていた。 「…俺は鬼にはなりきれん」 いや、充分鬼だと思うよ。 そういや子まりさはどうしたっけ? と思ったら友人の形相と凶行に怯えてゆっくりらしからぬ速度で逃走、 ベンチの下に隠れてブルブル震えていた。 さらに次の日、庭で飼っていた友人の子まりさが手当ての甲斐なく死んだというので私は一人でYUUKAWAに向かった。 あのショップのゆっくりは妙に性的で可愛らしい。 キュンキュンくる。 ゆっくりは愛でるものだと思う。 友人みたいな飼い方はどちらかというと虐待であまり好きじゃない。 友人にもそれをわかって欲しくて私の趣味のYUUKAWAに付き合わせているのだけど、彼がショップのゆっくりを買う気はまだ無いようだ。 まあ、元野良の飼いゆっくりが死んだからって元気を無くしているような人種だし、本格的に野良が好きなのかも知れない。 なかなか手ごわい…啓蒙は当分完了しそうに無いかも。 「んほぉぉぉぉぉ! かわいいわまりさああああ ちっちゃいまりさはさいこうよおおおおお!!」 「おぼうしもちっちゃくてかわいいわああああ!!」 「やべちぇぇぇぇぇきみょちわりゅいいいいいい!! まりしゃのおぼうちべろべろしにゃいでぇぇぇ!!」 うわあ、嫌な物見ちゃった。 もうこの公園の近くを通りかかるのやめようかな。 とりあえず、公園のゴミ箱に設置されていた長めのトングを使って野良レイパーありすを捕まえ、ゴミ箱(水流式自動処理装置つき)に捨てておいた。 子まりさはよだれでドロドロになったお帽子を前にしてゆぐゆぐ泣いていたけど、野良だしどうでもいいや。 そして次の日、急にゆっくり用シャンプーが必要になったので急いで買いに行く。 汚い野良ばっかし見続けた所為であんまり近づきたくないんだけど、時間が無いのでしょうがなしに公園を通る。 そうしたら、案の定あんまり見たくない類のものを見た。 いつものように、あの子まりさがいた。 そして、その子まりさの前に一人の男性がいた。 「にんげんしゃんごはんくれりゅの!? ひさしぶりのごはんだよ! ちょうだいね! ちょうだいね!」 余程お腹が空いているのか、野良ゆっくりらしく浅ましく厚かましい言い方で子まりさは男性に食べ物をねだる。 どうやら男性の方が子まりさに餌を与えようとしたらしい。 でも、男性が手に持っているのはご飯ではなかったし、ポケットからご飯らしきものを取り出す様子も無い。 ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべて男性は課屈みこみ、大きな口を開けて期待を込めて「ごはん」を待っている 子まりさにその手の指の間にある火のついたタバコを、私の目の前でゆっくりと押し付けた。 「ゆびいぃぃぃぃぃっ!?」 ジュウ、という音がして甘いものの焦げる臭いがした。 タバコの先端に燻る火は子まりさの口の中、舌にぐりぐりと押し付けられ、まるで灰皿みたいに扱われている。 野良で、帰る家も無くて、家族も飼い主も無くて、汚らしくて、他の野良やレイパーに襲われて、 蟻とかゴミぐらいしか食べるものが無くて、絵の中のご飯を食べようとするくらい馬鹿な子まりさを ニヤけながら痛めつけているその男性の悪意に満ちた表情を見ていたら、私の中で何かが切れる音がした。 「おい、おっさん!!」 「ああ? ぶべらっ!?」 うん、とてもいい音がした。 顔面決まったし。 「んで、その虐待お兄さんにミドルキックかまして、子まりさを保護して、俺のところに押し付けに来たと。 しかもトングで挟んでか」 だってさあ、汚いから触りたくないんだもの、野良って。 それにうちはもう、れいむと子れいむいるし、ショップ品だから野良と一緒には飼えないし。 野良ゆっくり、好きでしょ? 子まりさ死んだんでしょ? じゃあ丁度良いじゃないか。 「…既に子供のいるゆっくり一家が自分の子供でも無い子ゆっくりを受け入れるのは稀なんだぞ。 子供を全部無くした直後のれいむ種とかはその母性で子を受け入れることもあるけど まりさ種は自分の子供でないと敵対心を持つ事も多い。 ありす種なら、まりさ種の子供なら喜んで育てる事も多いけどな。 はっきり言ってその子が俺の庭で、あの家族に攻撃されないで生きていける可能性は低い。 加えてそいつは舌を焼かれてる。 味覚が破壊されてるから何を食べてもしあわせーにはならない。 遠からず、ゆっくり不足で死ぬ事だってある」 なに言ってるんだか、プロテインより美味しくないご飯を食べさせてるんだから同じ事だろうに。 飼いゆっくりに付いて何にも知らない友人に偉そうな長文で何か言われたくないよね。 「…まあ、どのみちうちで預かるが。 お前じゃ無理だし。 それにしても、野良ゆっくりは毛嫌いしてるっぽかったのに何でこいつを助けたんだ?」 だってさあ、他人が虐めてるのみたら、ムカつくんだもの。 私は鬼にはなりきれないんだよ。 君とちがってね。
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←その2 686 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)[sage saga] 投稿日:2011/09/12(月) 00 17 04.61 ID mFCHYHTY0 りぼほむと白まどがつがいとなって、数日が過ぎた。 増水で荒れた河原には、多くの虫たちが戻り、 増水に耐えられずに枯れた草木を養分に増えたきゅうべえにより、 まだ幼い二匹を遥かに超える高さの雑草が生い茂りはじめていた。 野良仔白まど「ミャロ、ホミュラチャン、ミャリィィ……」 野良仔りぼ「ホミャミャ、ミャロカ、ホミュゥ」 二人はねぐらとなっている流木の洞の中で、じっと外の様子を窺っていた。 洞の近くの草むらには、大量のバッタが発生していた。 成体となったほむ種ならばモノともしない中型昆虫も、 幼体の彼女達にとっては脅威となる。 生まれてから数日の幼体のほむ種の身体は3~4センチ程度。 バッタも同程度から、大きければ6センチ近いモノもいる。 想像して欲しい、自分達と同じから倍近いサイズで、驚異的なジャンプ力を誇る異形の生命を。 仮に想像し難いならば、動物園の熊や虎を思い浮かべればいいだろう。 あれと同クラスの体躯を誇る異形が、体長の数倍から数十倍のジャンプをして来る瞬間。 それは、恐怖以外の何物でもない。 野良仔白まど「ミャ、ミャリィィィ……」フルフルカタカタ 白まどは完全に萎縮しており、りぼほむに縋り付いて震えている。 野良仔りぼ(ミャロカ……ホ、ホミュン) 対して、りぼほむは白まどが縋り付いて来てくれたお陰で、逆に正気を保てていた。 白まどを守ろうとする決意が、りぼほむに勇気を与えていたのだ。 結局、二人はバッタ達が静かになった瞬間を見計らって、川岸まで走って食事を済ませ、 また、バッタ達が静かになった隙を狙ってねぐらに戻る、と言う生活を強いられていた。 そんな生活が三日目を迎えた日だった……。 野良仔白まど「ミャリィィ……ミャリョォォォ……」ポロポロ 遂に、白まどの心が限界を迎えた。 すぐ近くにある脅威と、その脅威から逃げ続ける生活を抜け出し、元いた場所に戻りたいと言い出したのだ。 お山に帰りたい。 お母さん達と住んでいた、あのお山に戻りたい。 りぼほむの住む街は、山の麓にある都市の、郊外も外れに相当にする地域だ。 恐ろしい獣の類――野良犬やヘビだ――が少ない代わり、餌場は限りなく限定される。 確かに、山に行けば、餌はここ以上に豊富だろう。 だが―― 野良仔りぼ「ホミャッ!? ミャロカ、ホミュゥッ!」 幼く、それも羽を失った自分達にはそれらの獣を相手に出来る能力はない。 飛べる、と言う最大のアドバンテージを失った自分達は、他のほむほむやまどまどに比べて腕力が多少優れている程度でしかない。 脚力や腕力でさやさや、あんあんに勝てるワケでもない。 しかも、親から扱いを教えられるハズの弓矢も満足に使えない自分たちは、まみまみにさえ劣る。 そんな状態で、ほむ種にとって遥か彼方に望む山まで、どうやって戻ると言うのか。 野良仔白まど「ミャリィィ……」ポロポロ 言われずとも、白まどにもその事は分かっていた。 だが、望郷と安息を願う気持ちは抑えきれるモノではない。 今よりも危険な場所に赴こうと言うのに、やはり身近にある危険から逃げ出したい気持ちが大きかったのだ。 それはさながら、夏の暑さに耐えかねて、寒さ厳しい冬を恋しいと感じるかのようなモノだろう。 人間に近い精神構造を持つほむ種の、それも幼い彼女達だからこその思考であっただろう。 野良仔りぼ「ミャロカ……ホミュホミュ……」スリスリ 野良仔白まど「ミャリョォォ……」ポロポロ 泣き濡れたつがいを慰めるように、りぼほむは頬ずりを始めた。 自らの頬で、最愛のつがいの涙を拭うように……。 野良仔白まど「ホミュラチャン……ミャロォ……///」スリスリ いつしかつがいの涙は止まり、頬ずりを返すまでになっていた。 その夜―― ……トテトテトテ…… 眠りについていたりぼほむの耳に、微かな足音が響いた。 野良仔りぼ「ホ、ホミャ……?」 やや後れて、寝ぼけ眼を擦りながら、りぼほむは身を起こす。 見渡す。 空っぽのねぐら。 野良仔りぼ「ミャ、ミャロカッ!?」 眠気は一瞬で吹き飛んだ。 白まどの姿がない。 思考するよりも早く、身体が動いた。 姿のない白まど、聞こえた足音、昼に見せた彼女の泣き顔、山に戻りたいと泣いた声。 野良仔りぼ「ミャロカァァッ!」 ねぐらから飛び出し、辺りを見渡す。 鬱蒼と生い茂る草むらが邪魔をして、白まどの姿は見えない。 野良仔りぼ「ミャロカァッ! ミャロカァッ!」 声の限りに叫ぶりぼほむだが、返事はない。 代わりに響いたのは……… 「ミャ、ミャリャァァァァァァァッ!?」 絶叫のような悲鳴。 野良仔りぼ「ミャ、ミャロカァァァァッ!?」 悲鳴の聞こえた方角に向けて、りぼほむは走り出した。 →その4
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398 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 22 50 27.24 ID Wbt/Nb+AO ガンソテツヤは、アライボウの代わりに、大きな袋を持っている。 先程仕留めた2匹のアライちゃんを、ビニール手袋で掴み、袋へ入れた。 男児達は、鞄にアライボウを潜ませ、公園や路地裏、墓場など、様々なところでアライしゃんを探した。 すると、路地裏に… 野良アライちゃん6「なのりゃ~」ヨチヨチ アライちゃんがいた。 男児兄「お、害獣発見!」ジャキィ 男児兄は、それに向かってアライボウを放った。 矢「」ヒューン ガンッ 矢はアライちゃんの背後のレンガの壁に当たった。 野良アライちゃん6「ぴぃ!?」ビクゥ 男児兄「あ~くそ、外れた!」 男児達は、射撃の訓練などしていない。 ただのクロスボ…否、アライボウでは、距離が5メートルも離れていたら、当てる方が難しい。 野良アライちゃん6「こ、こあいのりゃああああ~~っ!ぴいいぃぃ!」ヨジヨジヨジヨジヨジヨジ 野良アライちゃん6は、レンガの壁を這い登っていく。 399 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 22 55 33.04 ID Wbt/Nb+AO ガキ大将「逃がすかよ!」ジャキッ オカルテツヤ「ここで死ぬんだゾお前は」ジャキッ 男児弟「うぅ…僕もやるの…?」ジャキッ だが、アライボウを持った三人の男児が、次々と野良アライちゃん6に狙いを定めた。 野良アライちゃん6「うぅ~もーしゅこしでかべのむこーなのりゃあ!わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ ガキ大将「死ねぇ!」ビシュ オカルテツヤ「処刑!」バシュ 男児弟「えい!」ドシュゥ 三本の矢が次々と野良アライちゃん6に向かって飛んでいく。 矢「」グサブシャアア 野良アライちゃん6「びぎゃあああああああああっ!」ブシュウゥウ オカルテツヤ「おお、やった!」ガッツポーズ オカルテツヤが放った矢が、野良アライちゃん6の腰を貫き、下腹まで貫通した。 野良アライちゃん6「びぎっ!」ヒュー ボトッ 野良アライちゃん6は、壁を登りきる寸での所で、アスファルトへ落下した。 400 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 22 59 25.99 ID Wbt/Nb+AO 野良アライちゃん6「びぃぃい!ぎっぴぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!いいいいぢゃああああああいいいいいいいいいいいいいい!!ぼしゅだぢゅげでええええっ!」ピギイイジタバタ 野良アライちゃん6は、腹と背中から血をどくどく流しながら絶叫し暴れている。 オカルテツヤ「とどめを刺してやるゾ…!」ヌッ ジャキィ オカルテツヤは、野良アライちゃん6の右の脇の下へ、斜めにアライボウを突きつけた。 オカルテツヤ「ガキ大将、左からやって」 ガキ大将「お、おう!」ジャキィ ガキ大将は、野良アライちゃん6の左の脇の下へ、斜めにアライボウを突きつけた。 野良アライちゃん6「びぎゅぅううううう!!ひどいいい!ひどいのりゃあああ!ありゃいしゃんがおまえらになにちたってゆーのりゃああ!なんにもぢでないだろおぉ!うぅううう!いぢゃああああいいい!」ポロポロ 野良アライちゃん6はわんわんと泣いている。 401 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 09 22.50 ID Wbt/Nb+AO オカルテツヤ「いっせーのでいくゾ」 ガキ大将「おう!」 野良アライちゃん6「やべでえええええええ!びぃいいいい!いぢゃいのもーやなああああああああ!おがあああしゃあああああんんっ!おがあああああああしゃああああああああーーーーーーーーーーんっ!やなああああああーーーー!やなああああああ!」ピギイィイイイイイイシッポブンブンブンブンブンブンジタバタジタバタジタバタビエエエエエエン オカルテツヤ ガキ大将「「いっ、せー…」」 オカルテツヤ ガキ大将「「のっ!」」ガチッ バシュッ 二人は同時に、野良アライちゃん6の脇の下へ至近距離からアライボウを放った。 野良アライちゃん6「がびゅっ!」ドズグシャアアア 脇の下へ射たれた2本の矢は、胸の中でクロスして、鎖骨のあたりから突き出た。 野良アライちゃん6「」ブシュウゥウ ビグッ ビグッ オカルテツヤ「これがアライ磔刑だゾ」 男児兄「おおおおーー!すげえーー!」 オカルテツヤ「ふふん」ガッツポーズ 小~中学生の男子には、希にこのように、自らの残酷性をまわりにアピールする子がいる。 彼は、自分の残酷さを強さとして周囲にひけらかし、凄い奴だと一目置かれたがっているのである。 『自分はこんなに残酷で強いんだぞ、凄いだろう。もっと僕を尊敬しろ』という考えだ。 もっとも、こんなイタい勘違いアピールは、高校に入る前に大抵の人がやめてしまうので、そんなに問題はない…はずだ。 403 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 15 11.35 ID Wbt/Nb+AO 男児兄「いや~しかし、なかなか当たらないな。アライボウなんて今日初めて射ったし」 ガキ大将「ああ。普段は親父が物置にしまってるけど、俺もなかなか触る機会ないんだよな~」 オカルテツヤ「ボクも、アライボウ触ると母さんに怒られるし…楽しいゾ」 ガンソテツヤ「いや~爽快だねえ。ほいっと」ヒョイ ガンソテツヤは、トングで野良アライちゃん6の死骸を拾い、袋へ投入した。 男児弟「あ…ぼ、僕、お使い頼まれてたんだった。ごめん、先に帰るね」スタスタ 一同「ああ。おつかれ~」 男児弟は、一足先に帰ったようだ。 男児兄「弟が抜けた分、俺が2倍仕留めるぜ!」 男児一同は、雑木林へと進んだ。 404 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 25 49.66 ID Wbt/Nb+AO 雑木林を練り歩くが… 男児兄「なかなかアライしゃん見つからないな~」スタスタ ガキ大将「どこにいるんだ?」スタスタ オカルテツヤ「塾メガネのパン屋のうらみ…晴らさでおくべきか…」スタスタ ガンソテツヤ「ん!あそこ…」スッ 一同は、雑木林の一本の木を見る。 すると… 野良アライちゃん7「たっまご♪たっまご♪」ヨジヨジ 野良アライちゃん8「おっいちーたっがも♪」ヨジヨジ 野良アライちゃん9「とーりしゃんのたっまご♪」ヨジヨジ 野良アライちゃんが3匹、木を登っていた。 鳥の巣に向かっているようだ。 秋に鳥の卵などあるわけがないが、雛か何かを狙っているのだろう。 男児兄「いくぜー!」ジャキィ ガキ大将「ぶっ殺す!」ジャキィ 2人は、アライちゃんに向かってアライボウを向けた。 その時… 野良猫「ウニャアアアア!」バッ 木の反対側から、野良アライちゃん達へ向かって突然野良猫が飛びかかった。 野良アライちゃん7~8「「「!?」」」 405 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 29 18.21 ID Wbt/Nb+AO 男児兄「あっ」バシュ ガキ大将「あ」バシュ あまりに突然のことだった。 それは、二人が木に向かって矢を放つのと同時のタイミングだった。 矢×2「」ドズゥ ドズゥ 木「」グサグサ 野良猫「フギャ!?」ビクゥ 野良アライちゃん7~9「ぴぃ!?」 放たれた矢は、2本とも木に突き刺さった。 猫にも野良アライちゃんにも当たらなかった。 野良猫「フ、フギャアアア!」ザザザ 野良アライちゃん7~9「にげゆのりゃああ~!」ヨジヨジヨジヨジヨジ 放たれた矢を見て、猫とアライちゃん達は逃走した。 406 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 32 05.94 ID Wbt/Nb+AO ガキ大将「あ…あっぶねえ…」アセダラダラ 男児兄「野良猫に当たるとこだった…」アセダラダラ 野良アライちゃん達は、木の裏側に隠れたようだ。 オカルテツヤ「反対側に回り込むゾ!」タタッ オカルテツヤは、野良アライちゃん達を射つため、木の反対側に回り込んだ。 キノコ採りおじさん「こらァアアーーー!!何しとるお前らぁああ!」 一同「「!?」」ビクゥ 突然、背中にキノコ入りの籠を背負ったおじさんが現れ、怒鳴ってきた。 407 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 36 19.13 ID Wbt/Nb+AO キノコ採りおじさん「アライボウなんぞ持ちおって!危うくわしに刺さるとこじゃったぞ!回りもよく見んでバンバン射ちおってからに!」ガミガミ 一同「…」 四人の男児は、説教を食らっている。 キノコ採りおじさん「親にアライボウなんか使うなって言われておらんのか!それでイタズラして毎年あちこちで怪我人や死傷者が出とるってテレビや新聞で言われとるじゃろうが!見とらんのか!近頃じゃ強盗にも悪用されとるんじゃぞ!」ガミガミガミガミガミガミ 一同(説教なげえ…) キノコ採りおじさん「聞いとるのかわしの話を!」 ガキ大将「あいあいきーてますぅ」ポリポリ 一同は、一刻も早くおじさんが説教を終えることを待っている。 409 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 43 24.29 ID Wbt/Nb+AO キノコ採りおじさん「だいたい何がアライボウじゃこんなもんただのクロスボウじゃろが!こんな危ないもんホームセンターで売っとる世の中は間違っとる!誰でも買えるなんておかしいわ!」ガミガミガミガミ 一同(それ俺らのせいじゃないだろ…) キノコ採りおじさん「わしらの若い頃なんてアライボウなんぞ要らんかったぞ!」ガミガミガミガミ 一同(その頃アライさんいなかっただろ…) キノコ採りおじさん「ったく、わかったか!今お前らが射った矢が猫やわしに刺さらんかったのはただの幸運じゃ!二度も三度もやったら絶対怪我人出るぞ!これに懲りたらもうアライボウなんぞ使うんじゃないぞ!分かったか!」 一同「あ~い」 キノコ採りおじさん「ったく今頃の若いもんは…」ノソリノソリ キノコ採りおじさんは去っていった。 一同「…」 男児兄「はぁ~…やっと終わったよ」ハァー ガキ大将「説教なげ~…くそうぜ~…。なんだあの上から目線。偉そうに…」ハァー オカルテツヤ「喋ってる最中にアライボウ向けてやろうかと思ったゾ」ハァー ガンソテツヤ「行こ行こ。あんなの無視無視。邪魔者はいなくなった」ザッザッザッ 一同は、雑木林から移動し、野良アライ狩りを続けるようだ。 412 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 52 28.45 ID Wbt/Nb+AO ~お寺の敷地内~ 野良アライちゃん10「うゆぅ~かきたべゆのりゃ!」ヨジヨジ ガキ大将「しねえ!」バシュ 野良アライちゃん10「ぶぎゅぅ!」ブシャアアア ガキ大将「やったぜぇー!」 野良アライちゃん10「がびゅ…ぶ…」ドチャッ ドクドク お坊さん「こら!!境内で殺生をするな!!!!なんだそんな危ないもの持って!」 ガキ大将「やべ、見つかった!行くぞ!」タタッ ガンソテツヤ「お邪魔しましたー」ヒョイガサガサスタタター 男児兄「何だよ、害獣駆除してやったのに~!わけわかんねー坊さんだな!」スタコラサッサ オカルテツヤ「アーメン」スタコラサッサ お坊さん「…死骸片付けるのはいいけど…地面の血を拭いていけー!」 414 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/30(木) 23 58 14.46 ID Wbt/Nb+AO 一同は、重たくなった袋を引きずり、鞄にアライボウを隠し持って夕暮れ時の街を練り歩く。 男児兄「ふぅ~疲れた~。もう夕方かぁ」スタスタ ガンソテツヤ「袋が重い…」ズルズル オカルテツヤ「そろそろ帰らなきゃ。でも、目当てのアライさんが見つかってないゾ…」スタスタ ガキ大将「あーでも楽しかったな!立派に人の役に立ってる感じがするよ!またやろうぜ!」スタスタ 男児兄「ああ!」 男児弟「…」スタスタ 男児兄「お?さっき抜けた弟じゃん。お使い終わったのか?」 男児弟「…ごめん」 男児兄「え?何が…」 男児母親「みんなこんばんは~^^#」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 一同「」 415 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 00 03 24.31 ID eHewRIK/O そこにいたのは、男児母親だった。 大きなキャリーケースを引いている。 男児兄「あ、ああ、母ちゃん…。今晩のごはん何?」アセダラダラ 男児母親「お父さんがねー。しまっておいたアライボウが無いって騒いでるけどー、知らない?」 男児兄「…さ、さあ?ところでそのキャリーケース何?」アセダラダラ 男児母親「見てみる~?」ガチャ キャリーケースの中には。二つの大きな袋が入っていた。 袋はどちらも、何かが入っている。 まるで、そう… 丁度、アライしゃんが1匹ずつ収まっていそうなサイズだ。 男児母親「仕事で駆除したの~♪」 ガキ大将「へえ~!凄いですねー!じゃあ俺帰りますんで!じゃ…」 男児母親「みんな何して遊んでたのかな~?」 一同「」アセダラダラ 416 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 00 10 04.98 ID eHewRIK/O 男児母親「ガンソテツヤくん、いつも息子達がお世話になってるね~♪その大きな袋は何に使ってるのかな~?」 ガンソテツヤ「サンタクロースごっこですよ」 男児母親「ふぅーん♪中のプレゼント見てみたいなぁ~♪」 ガンソテツヤ「子供の夢が詰まってるからダメです。抜けて出ていっちゃいますよ」 男児母親「7匹か。ずいぶんドンパチやったのねえ」 ガンソテツヤ「!?」 男児母親は、驚くべきことに、中が見えないはずの袋に詰まった死骸の数を、正確に言い当てた。 男児母親「街の人達から聞いたよ~?アライボウ持ってあちこちでドンパチやってる子供達がいるって」 一同「」アセダラダラ 男児母親「…学校で言われてるよねえ、アライボウ使っちゃダメだって」 一同「」 417 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 00 15 45.58 ID eHewRIK/O 男児兄「…そそ、そんなの持ってないし」アセダラダラ 男児母親「じゃあみんな、鞄の中身み~せ~て~♪…何も無いなら潔白を証明できるよね~♪」 オカルテツヤ「そ、それは…ぷ…プライバシーの侵害だゾ!」アセアセ 男児母親「あら~♪難しい言葉知ってるのねえ、お勉強頑張ってるのね~♪」 ガキ大将「そ…そうだそうだ!見せる義務ねーし!」アセアセ ガンソテツヤ「個人情報漏洩はダメでーす!」アセアセ 男児母親「 立 場 分 か っ て 言 っ て ん の ? 」 一同「ごめんなさい(土下座)」 アライ攻略パーティは、魔王の一喝で解散した。 418 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 00 23 40.30 ID eHewRIK/O ~翌日~ 教師「反省しなさい!!!」ガミガミ 一同「すいませんでした」ペコリ 教師「もう行きなさい。次は気を付けなさい」 一同「は~い」ガラッ 一同「…」 ガキ大将「はぁ~…説教長かった~」 男児兄「派手に動きすぎたのかな…」 ガンソテツヤ「次はばれないように、アライボウ無しでやろう」 オカルテツヤ「反省だゾ…」 419 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 00 26 38.33 ID eHewRIK/O 女児1「ちょっと!!!!公園にアライちゃん来なくなったんだけど!!」ツカツカツカツカ オカルテツヤ「…!!」 女児2「あなた達が殺したんでしょ!最低最悪ゴミクズ!!!」ツカツカツカツカツカツカ ガキ大将「ば、ばれてる!」 女児3「ガンソテツヤ君のこと信じてたのに!!可愛いアライちゃん殺すなんて!!信じらんない!!」ガミガミガミガミ ガンソテツヤ「うっ…」 女児4「あんたたちもアライボウ刺されて死んじゃえ!!」 男児兄「うぬぬ……」 教師「野良アライちゃんに餌付けするな!!!」 女児1~4「ごめんなさい」 420 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 00 27 11.48 ID eHewRIK/O つづく パート5へ戻る
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合戦 戦績へ戻る 日付 参陣 相手国 自国武将 相手国武将 勝敗 勝敗理由 部曲点数 部曲順位 参加人数 備考 yyyy-mm-dd ?陣 魏呉 勝ち ? ? ?位 ?人 2008-04-09 3陣(渓谷) 呉 黄忠 孫権 負け 得点差 13461 2位/100位 12人 職別野良連合 2008-04-11 2陣(渓谷) 魏 張飛 夏候淵 負け 得点差 3376 34位/132位 7人 採集等(イベント合戦) 2008-04-13 3陣(河畔) 呉 劉備 孫権 勝ち 得点差 12614 2位/102位 13人 職別野良連合 2008-04-16 2陣(渓谷) 魏 黄忠 張遼 勝ち 城門破壊 4763 5位/114位 11人 遊撃等 2008-04-19 1陣(草原) 呉 諸葛亮 周瑜 負け 得点差 5552 10位/164位 11人 遊撃採集等 2008-04-20 2陣(草原) 魏 関羽 徐晃 勝ち 城門破壊 4832 5位/156位 11人 魏は捨て陣だった模様 2008-04-25 2陣(河畔) 呉 黄忠 甘寧 勝ち 城門突破 6367 4位/122位 12人 職別野良連合(イベント合戦) 2008-04-27 3陣(河畔) 魏 劉備 許チョ 勝ち 城門破壊 5927 5位/141位 10人 職別野良連合(イベント合戦) 2008-04-29 3陣(河畔) 呉 黄忠 甘寧 勝ち 城門破壊 3563 4位/101位 11人 職別野良連合(イベント合戦) 合戦 戦績へ戻る
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澪にゃん「…」 純にゃん「…」 梓にゃん「…」 唯にゃん「純にゃんもあずにゃんも見てるにゃん」 律にゃん「何か、祈ってるみたいにゃん」 紬にゃん「何かあるのかにゃん?」 憂にゃん「3匹とも真剣にゃん」 菫にゃん「気になるにゃん」 直にゃん「毎日の事だからにゃん」 律にゃん「澪にゃん、その木に何かあるのかにゃん?」 澪にゃん「思い出の場所なんだにゃん」 唯にゃん「思い出の場所?」 純にゃん「そうですにゃん、忘れられないんですにゃん」 紬にゃん「良かったら、聞かせて欲しいにゃん」 澪にゃん「あれは、3匹で毎日を必死に生きていた時の話にゃん」 野良猫時代 梓にゃん「今日こそ、狩りを成功させてやるにゃん」 澪にゃん「頑張れ梓にゃん」 純にゃん「狙いは鳩にゃん」 梓にゃん(いつまでも、澪にゃん先輩や純にゃんに頼れないにゃん) 梓にゃん(今日こそは絶対にゃん)ジリジリ 梓にゃん(今にゃん!)だっ 梓にゃん「捕まえたにゃん!」 澪にゃん「やったにゃん!」 純にゃん「大成功にゃん!」 梓にゃん「は、初めて捕まえたにゃん…」 純にゃん「やったにゃんやったにゃん!」 澪にゃん「梓にゃんやったにゃん」 梓にゃん「はいにゃん!3匹で食べましょうにゃん」 子猫「にゃーん」 澪にゃん「うん?どうしたにゃん?」 梓にゃん「可愛い子猫にゃん」 純にゃん「お腹空いたのかにゃん?」 子猫「にゃーん」 梓にゃん「鳩、食べるかにゃん?」 子猫「にゃーん」がつがつ 澪にゃん「沢山、食べて大きくなるにゃん」 純にゃん「名前はあるのかにゃん?」 子猫「…」ふるふる 梓にゃん「ないのかにゃん?」 子猫「にゃーん」 澪にゃん「じゃあ、名前を付けてあげようにゃん」 純にゃん「どんな名前が良いかにゃん?」 梓にゃん「うーん」 子猫「にゃー」ふみふみ 純にゃん「うん?グルーミングして欲しいみたいだにゃん」ペロペロ 子猫「にゃーん」ゴロゴロ 梓にゃん「喜んでるにゃん」ペロペロ 澪にゃん「名前はふみにゃんにするにゃん」 ふみにゃん「にゃーん」ゴロゴロ 純にゃん「喜んでるにゃん」 梓にゃん「ふみにゃん、良かったにゃん」 唯にゃん「ふみにゃん、可愛いにゃ~ん」 律にゃん「ふみにゃんは小さかったのかにゃん?」 澪にゃん「小さかったにゃん」 純にゃん「小さいから食べ物を横取りされそうになったりしたにゃん」 紬にゃん「やっぱり、そういう時は喧嘩になるのかにゃん?」 梓にゃん「喧嘩になるのは稀ですにゃん」 憂にゃん「別けてあげたのかにゃん?」 菫にゃん「たまには、ありますにゃん」 直にゃん「基本的には縄張りを犯したら逃げるか勝つかどちらかですにゃん」 野良猫「にゃー」 ふみにゃん「にっ、にゃ」ぶるぶる 野良猫「にゃー」がしっ ふみにゃん「にゃっ」ふるふる 野良猫「ふしゃー」 ふみにゃん「…」ぶるぶる 澪にゃん「ふみにゃんに何してるにゃん!」 野良猫②「ふしゃー」 純にゃん「それは、ふみにゃんの食べ物にゃん返すにゃん!」 野良猫③「…」ぷいっ 澪にゃん「喧嘩はしたくないにゃん!大人しく返すにゃん!」 野良猫「…」ぷいっ 梓にゃん「辞めるにゃん」 野良猫②「!」 梓にゃん「ふみにゃんに返したら許すにゃん」 野良猫③「にゃー」 野良猫「…」ぽいっ 梓にゃん「わかってくれてありがとうにゃん」 野良猫②「…」とぼとぼ 梓にゃん「ちょっと待つにゃん」 野良猫③「?」 梓にゃん「これを持って行くにゃん」 野良猫「にゃっ?」 澪にゃん「困った時はお互い様にゃん」 野良猫②「にゃー」ぺこっ 純にゃん「気を付けて帰るにゃん」 野良猫③「にゃー」ぺこっ 憂「何で、梓にゃんが来たら素直に返したのかにゃん?」 澪にゃん「梓にゃんは喧嘩が強いんだにゃん」 純にゃん「この辺りの野良猫で梓にゃんを知らない猫は居なかったにゃん」 律にゃん「猫は見かけによらないにゃん」 紬にゃん「何で、そんなに強くなれたのにゃん?」 梓にゃん「体が他の猫より小さかったからですにゃん」 唯にゃん「あずにゃん…」 梓にゃん「私みたいな小さい猫が生き残るには強くなるしかなかったんですにゃん…」 菫にゃん「梓にゃん先輩は凄いですにゃん」 直「本当にゃん」 梓にゃん「私だって争い事なんて嫌いなんだにゃん…」ぐすっ 梓にゃん「でも…でも…」 梓にゃん「軽蔑したかにゃん?」 唯にゃん「あずにゃん」ぎゅっ 梓にゃん「唯にゃん先輩…」 律にゃん「梓にゃんは生きる為に頑張ったにゃん、軽蔑なんてする訳がないにゃん」 唯にゃん「あずにゃんは私達に乱暴な事をした事ないにゃん」 梓にゃん「…」 唯にゃん「だから、あずにゃんはとっても良い子にゃん」 唯にゃん「ほらっ、いい子だから泣き止んでにゃん」ペロペロ 梓にゃん「子供扱いしないで下さいにゃん///」 憂にゃん「ふみにゃんはどうなったのですかにゃん?」 純にゃん「元気で可愛くて楽しかったにゃん」 澪にゃん「特に、梓にゃんになついてたにゃん」 梓にゃん「あんな所にボールがあるにゃん!」 梓にゃん「ふみにゃん、ふみにゃん」 ふみにゃん「にゃーん」 梓にゃん「それ~にゃん」コロコロ ふみにゃん「にゃっにゃっ!」コロコロ 梓にゃん「もう一回にゃん」コロコロ ふみにゃん「にゃーんにゃーん」コロコロ 梓にゃん「喜んでるにゃん、嬉しいにゃーん」 川 ふみにゃん「にゃーん…」 梓にゃん「うん?渡りたいのかにゃん?」 ふみにゃん「にゃーん」 梓にゃん「じゃあ、背中に乗るにゃん」 ふみにゃん「にゃーん…」 梓にゃん「私は大丈夫にゃん」 ふみにゃん「にゃーん」ぽふっ 梓にゃん「行くにゃん」 梓にゃん「ほっ!はっ」ぴょんぴょん 梓にゃん「どうにゃん?」 ふみにゃん「にゃんにゃん」すりすり 梓にゃん「ふみにゃん、照れるにゃん」にこっ ふみにゃん「ふにゃー」のびー 梓にゃん「ふみにゃん、起きたのかにゃん?」 ふみにゃん「にゃーん」 梓にゃん「ほらっ、寝起きのグルーミングにゃーん」ペロペロ ふみにゃん「にゃんにゃん」 梓にゃん「うん?どうしたのかにゃん?」 ふみにゃん「にゃーん」ペロペロ 梓にゃん「にゃっ!ふみにゃんがグルーミングしてくれたにゃーん」ごろごろ ふみにゃん「にゃーん」ペロペロ 梓にゃん「嬉しいにゃーん」ごろごろ 澪にゃん「梓にゃん、羨ましいにゃん」 純にゃん「本当にゃん」 ふみにゃん「にゃーん」ペロペロ 澪にゃん「私達にもしてくれるかにゃん?」 ふみにゃん「にゃーん」ペロペロ 純にゃん「嬉しいにゃーん」 2
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22 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23 40 16.35 ID Qav9Swgco やがて夜が来て、アライちゃんの活動時間が始まった。 花好きおばさんの植木鉢には… 野良アライちゃん4「きょーもおやしゃいたべゆのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ 野良アライちゃん5「あたらちーおやしゃい、たくさんはえゆからここはたべほーだいなのりゃ!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ 野良アライちゃん4 5「「ごっはん!ごっはん!」」ヨチヨチヨチヨチ …ヨチラー害獣共が近寄ってきた。 味をしめたのだろう。 野良アライちゃん4「ん?…くんくん…!」クンクン 野良アライちゃん5「なんかいーにおいしゅゆのりゃあ!こっちなのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ 野良アライちゃん4 5「「のりゃ!のりゃ!」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ 野良アライちゃん達は、バケツのサラミの匂いにつられて近寄ってきた。 https //i.imgur.com/n1VlHQ7.png 23 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23 44 13.87 ID Qav9Swgco 野良アライちゃん4「ごちそーのよかんしゅゆのりゃあ!」ヨチヨチ 野良アライちゃん5「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジ 野良アライちゃん達は、バケツに取り付けられた金網を登り始める。 野良アライちゃん4「わっちぇ!わっちぇ!ごっはん!ごっはん!」ヨジヨジヨジヨジ 野良アライちゃん5「おっいちーごっはん!のりゃっ!のりゃっ!」ヨジヨジヨジヨジ やがて野良アライちゃん達は、バケツの縁まで登った。 https //i.imgur.com/Y1vzXvu.png 野良アライちゃん達は、瓶についたサラミを発見した。 野良アライちゃん4「んおー!あそこなのりゃあ!」ヨジヨジ 野良アライちゃん5「よーし!いっぱいたべゆのりゃあ~!」ヨジヨジ 野良アライちゃん4「これはわなじゃないのりゃ?」ピタッ 流石は秋まで生き残ったアライちゃん。 一応の警戒心はあるようだ。 26 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23 48 28.23 ID Qav9Swgco 野良アライちゃん5「べとべとしないのりゃ!だからへーきなのりゃ!」ガシャガシャ 野良アライちゃん4「のりゃっ!のりゃっ!」シッポフリフリ だが、今まで自分達が見て経験してきた罠に、こんなものはない。 それ故に、このバケツは罠でないと判断したようだ。 アライちゃんは、いくら年々賢くなっているとはいえ… 所詮は幼獣である。 自分が予想していない罠… 人間がどんな罠を仕掛けているかを、全ての個体が前もって想像できるわけではない。 https //i.imgur.com/ZLdS0hZ.png 野良アライちゃん4「いーにおいなのりゃああ!たべゆのりゃああ!」ヨチヨチシッポフリフリ 野良アライちゃん5「ごーはんっ!ごっはん!なのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチ 野良アライちゃん達は、瓶の真ん中にあるサラミへ向かって猪突猛進した。 28 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23 54 48.97 ID Qav9Swgco だが。 二匹分の重さが乗った瓶は… ぐるんと、横に回った。 https //i.imgur.com/0HJughj.png 野良アライちゃん4「ぴぃ!?」ズルゥ 野良アライちゃん5「のりゃあ!?」ズルゥ 全く予想していなかった瓶の回転によって、野良アライちゃん達はバケツへまっ逆さまに落下した。 野良アライちゃん4「ぶへぇ!」バッチャアアン 野良アライちゃん5「ひびゅ!」バッチャアアン 墨汁が混ざった、黒い水へダイビングした二匹。 野良アライちゃん4 5「「ごぼごぼごぼごぼごぼごぼ!」」ブグブグ 水かさは、二匹が頑張ってバケツの底へ直立しても、頭が出ない深さであった。 30 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23 59 19.70 ID Qav9Swgco 野良アライちゃん4「ぶはぁ!ぶぐぶぐ!ごぼごぼ!」バチャバチャ 野良アライちゃん5「ごぼぼ!げぼぉ!だれが!だぢゅげでぇ!」バチャバチャ https //i.imgur.com/YdDMOhV.png 二匹の幼獣は、必死に水面に顔を出し、息継ぎをしている。 アライさんは、泳ぎが上手な生き物だ。 頭が異様にデカい幼獣でさえ、そこそこ泳げる。 だが、だからといって、朝から晩までずっと泳ぎ続けられる無尽蔵のスタミナなど無い。 第一、この頭のデカさだ。 水面に顔を出そうとするだけでもかなりのスタミナを消費する。 31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 23 59 53.67 ID sawy9BNdo アライちゃんお得意の姉妹の絆パワーでがんばえー(棒) 32 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 03 36.16 ID qPLw05kfo 野良アライちゃん4「ぎぎなのりゃあああ!ありゃいしゃんのぎぎなのりゃああああ!」ペタペタ 野良アライちゃん5「のぼれないいぃい!ちゅゆちゅゆちててのぼれないのりゃあああああ!」ペタペタ 野良アライちゃん達は、バケツの壁を登ろうとして、必死に壁を手でペタペタしている。 だが、こんなアルミの壁を登れる生き物など、掌に吸盤がついた生き物… カエル等々でなくては無理だろう。 野良アライちゃん4「ぐゆぢ、いいいういいい!ぶぎゅぅううううう!」ゴボゴボゴボゴボ 野良アライちゃん5「の゛ぉ゛ぁ゛あ゛あ゛ーーーーん゛っ!!の゛ぁ゛あ゛ーぁ゛あ゛ん゛っ!!」バチャバチャバチャバチャ 二匹はそろそろスタミナが尽きかけてきたようだ。 33 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 09 40.76 ID qPLw05kfo 野良アライちゃん4「ご…ぼ…だぢゅげ…でぇ…!おが…しゃ…」ブクブク 野良アライちゃん4は沈みかけている。 もう足をばたつかせる体力もないのだろう。 野良アライちゃん5「う…うゆううぅう!たあー!」バッ その時、突然野良アライちゃん5は、姉の上に飛びかかった。 野良アライちゃん4「ごぼぉお!」バッチャアアン 野良アライちゃん5「ごぼぉ!ぶはぁ!じぎだぐないいぃい!ごぼ!だれがだぢゅげ!ぶはぁ!」バシャバシャ 野良アライちゃん4「ブクブクブクブ…」バシャバシャ なんと野良アライちゃん5は、姉の上に乗ることで、水面から顔を出そうとしている。 野良アライちゃん4「…」ブクブクピクピク 野良アライちゃん5「おねーしゃんぼーとなのりゃあ!ごぼ!?おねーしゃ!しずむなぁああ!げほぉ!たて!たてええええおねーしゃあああ!」バシャバシャ だが、肺から空気を絞り出してしまった姉は、水の底へどんどん沈んでいく。 34 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 16 29.23 ID qPLw05kfo 野良アライちゃん4「おばえ…の…ぜい…で…!ぶぐ…おばえが…ありゃ…しゃ…を…さ…そっだ…ぜい…で…」ブクブク 野良アライちゃん4「」ビグビグッビグッググッ 野良アライちゃん4は、激しく痙攣を始めた。 野良アライちゃん5「ぐぶぶ…ぶぐごぼぼ…」ブクブク 野良アライちゃん4「」ブクブク… 野良アライちゃん4は、とうとう痙攣すらしなくなった。 野良アライちゃん5「ご…ぼ…だぢゅ…っぶぐぐぐ…ごぼ…」ゴボゴボ いくら姉にしがみつこうととも、共に沈んでいくのみであった。 野良アライちゃん5「がば…び…ぼ…」ブクブク 必死に今まで生き延びてきた、小さな命。 こんな小さな体であっても、天に与えられた命が確かに宿っているのである。 果たして、生き延びたいという野良アライちゃん5の意思は… このまま功を為すことなく、消えてしまうのであろうか。 この憐れな命に、天は味方をしてくれないのであろうか。 35 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 19 35.60 ID qPLw05kfo https //i.imgur.com/6xkx5kN.png 野良アライちゃん4「」プカー 野良アライちゃん5「」プカー 真っ黒な墨汁水の上へ、真っ黒に染まった物体がふたつ浮かび上がった。 …神は弱き者へ手など差し伸べない。 無情にも、当たり前のことが当たり前に起こるだけであった。 力無く幼稚で愚かな二匹の害獣は、為す統べなく完全に呼吸も心拍も停止した。 36 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 23 07.74 ID qPLw05kfo その後、もう二匹の害獣がやってきた。 野良アライちゃん6「くんくん…!」ヨチヨチヨチヨチ 野良アライちゃん7「いーにおいしゅゆのりゃ!」ヨジヨジヨジヨジ 野良アライちゃん6「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ バケツの縁まで登った二匹。 野良アライちゃん7「よいしょ…んー?したになにかあゆのりゃ」 野良アライちゃん6「うゆ?なんなのりゃ?」キョロッ 野良アライちゃん6 7は、バケツの水面を見た。 黒く染まった物体1「」プカー 黒く染まった物体2「」プカー …先客の姿である。 38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 00 25 24.24 ID FfnAcdzfo 汚い汚物が浮いてらっしゃる 39 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 27 07.89 ID qPLw05kfo 野良アライちゃん6「うゆ~…よくわかんないのりゃ!それよりごはんなのりゃ!」ヨチヨチ 野良アライちゃん7「なのりゃー!ごっはん♪ごっはん♪」ヨチヨチ …だが、二匹は浮いている物体が、同族の死骸だと気付かなかった。 理由は二つ。 ひとつ目は、二つの死骸が墨汁で黒く染まっていたため、同族であることどころか、生き物だとさえ認識できなかったこと。 そしてもう一つの理由は、同族のにおいがしなかったためである。 これは、垂らされたサラダ油の効果だ。 野良アライちゃん達の体の獣くさい匂いは、水の中へ溶け込んでいたが… 水面から空気中には放出されなかった。 何故なら、水面に浮かぶサラダ油の油膜によって、匂い成分が吸着されたためである。 40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 00 29 20.41 ID FfnAcdzfo なるほどなー 夜だと余計分からなそう 41 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 29 32.13 ID qPLw05kfo 野良アライちゃん6「び!」バッチャアアン 野良アライちゃん7「ぴゃぶ!」バッチャアアン 野良アライちゃん6 7「「ごぼぼ!ごぼごぼぼ…!」」バシャバシャバチャバチャ …アライホイホイと違って、先客の死骸が認識できないが故に。 続く二匹も水へ落下し、やがて黒く染まってぷかぷか浮かんだ。 43 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 33 32.25 ID qPLw05kfo …翌朝… 花好きおばさん「どれどれ?罠のほうは…」 花好きおばさんは、バケツを覗き込んだ。 中には… 黒く染まった物体1「」プカー 黒く染まった物体2「」プカー 黒く染まった物体3「」プカー 黒く染まった物体4「」プカー 黒く染まった物体5「」プカー 花好きおばさん「ひいいぃぃ!気持ち悪い!」ビクゥ …五匹もの害獣が、仲良くぷかぷかと浮かんでいた。 古道具屋おばさん「おお、やったみたいだね」 廃品男「5匹か」スタスタ 花好きおばさん「おお、ありがとう…!アライホイホイが全然効かなかったのに、こんなに捕れたよ!」 44 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 37 30.73 ID qPLw05kfo 花好きおばさん「これは、二晩とかもっと長く仕掛けていれば、もっとたくさん捕れるのかい?」 廃品男「ダメです。一晩使ったら、すぐに死骸を捨てて水を交換してください」 花好きおばさん「だめなの?」 廃品男「…この油膜では、獣くさい匂いはシャットアウトできても、強い死臭は防げません」 廃品男「強すぎる死臭は、アライちゃんを警戒させますし、何より片付けるのが大変になります。ハエもたかります」 花好きおばさん「そ、それは…やだね…。でも、これがあればもう大丈夫だね!」 廃品男「だが、墨汁バケツトラップは完全ではない。いくつか抜け目がある」 花好きおばさん「そうなの?」 45 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 39 50.61 ID qPLw05kfo 廃品男「まず、体の大きいアライしゃんには通用しません」 廃品男「そして、4~5匹ぐらいの群れでやって来られたら、溺れる声でさすがに警戒されます」 廃品男「今回は、2~3匹ぐらいが2回に分けて来たから、無事でしたね」 花好きおばさん「そんなにたくさんこなけりゃいいけど…。ああそうだ、罠のお代はいくらだい?」 46 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 41 51.57 ID qPLw05kfo 廃品男「300円です」 花好きおばさん「や、安いねえ!」 廃品男「ほとんどスクラップですからね。一番高かったパーツはサラミです」 花好きおばさん「壊れた物も、案外役立つもんだね…」 その後花好きおばさんは、アライ回収業者へ死骸を持っていってもらった。 死んだアライちゃんは、一匹10円ほどであった。 48 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 46 11.92 ID qPLw05kfo そして古道具屋親子は家に帰った。 古道具屋おばさん「よかったねー!ユーちゃんの罠がまた役に立って!」 廃品男「ああ。動画で観たネズミ捕りトラップを、アライちゃん用にアレンジしたんだ。安上がりにしては交換があるな」 古道具屋おばさん「…」 廃品男「どうした?母さん」 古道具屋おばさん「…ユーちゃん、お休みの日はよく部屋に籠って、罠を作って…。いろんな人に売ってるみたいだね」 廃品男「趣味なんだ。機械や電子の弘産はな」 古道具屋おばさん「ユーちゃんがやってることは、いろんな人の役にたってて立派だと思うよ。でもね…」 古道具屋おばさん「…生き物殺すの、そんなに楽しいかい?」 廃品男「…」 49 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00 49 03.74 ID qPLw05kfo 古道具屋おばさん「別にアライちゃんを可哀想だっていってるわけじゃないよ。蚊もゴキブリも殺してるし、アライちゃんだって似たようなもんだし」 古道具屋おばさん「でもね…。生き物を殺すのって、普通の人はもっと、負い目を感じるもんだよ」 廃品男「…ああ。分かってる」 古道具屋おばさん「ユーちゃん、昔から機械いじりや工作大好きだったけど…。こんなに生き物を殺す道具たくさん作ってはいなかった」 古道具屋おばさん「私はね、ユーちゃん。あなたがどれだけ立派なことしてるとしても…。生き物を喜んで殺してるように見えるユーちゃんが、怖いよ」 廃品男「…」 50 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01 00 17.47 ID qPLw05kfo 廃品男「オレのやっていることは…確かに、歪んだ動機があるかもしれない」 廃品男「母さんの言うとおり、生き物を殺すのに夢中になるのは、正常じゃないかもしれない。たとえ相手が害獣であろうとも」 廃品男「だが、これがオレだ」 古道具屋おばさん「…!」 廃品男「残酷な動機があろうとも、正常じゃなかろうと…。オレは胸を張って、そんなオレ自身を肯定できる」 廃品男「オレは模範的な人間になどなれない。大多数の人が好む人間になどなれない。短所のない人間になどなれない」 廃品男「人は皆、自分だけの個性…長所と短所を持っている」 廃品男「だったらオレは、自分の長所を活かして、胸を張って生きていきたい」 古道具屋おばさん「…そうか。ユーちゃんがそういうなら、あたしは構わないよ。…さて、今日は作るものがあるんだろ?」 廃品男「ああ」 51 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01 04 29.21 ID qPLw05kfo 廃品男「改造した冷蔵庫の罠…。それを一つ、仕上げて送るつもりだ。工場男さんっていう人にな」 古道具屋おばさん「…頑張るんだよ」 もはや隠すまでもないだろう。 この男こそが、ジェノサアライドの革命児… ゴミパンドラの箱をたった一人で作り、全国のアラ虐愛好家へ届けている男。 『トラップパウンダー』である。 ゴミパンドラの箱の価格は2万円。 それは、廃品を再利用して作っているからこそ、この値段に収まっているのである。 52 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01 11 29.64 ID qPLw05kfo …アライちゃんは、人間のサンドバッグとして天に作り出されたわけではない。 弱くたって、れっきとした命。 運が良く、賢く育てば、人間の攻撃から生き延びて成長し続けることができるだろう。 だが、だからといって… 神様が、アライちゃん達をサンドバッグにならないよう、外敵から保護してくれるはずなど無い。 アライちゃんを殺すことに極めて長けた、駆除のエキスパート達に命を狙われては、生半可な運と実力では生き延びることなど敵わない。 アライちゃん自身が、好むと好まざるとに関わらず… 覆すことの敵わぬ圧倒的な実力差の前には、為す統べなくサンドバッグとなり一方的にぶちのめされるだけである。 53 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01 11 57.23 ID qPLw05kfo 続く 54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 01 13 26.39 ID FfnAcdzfo 乙乙 やったね工場男さんプレイの幅が広がるね! そして一般人にもナチュラルに虫と同系列に語られるアライちゃんに草 56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 01 42 40.95 ID unbiNCO30 おつおつ しかしそうだね、今回のも冷蔵庫トラップも 少数行動のアライちゃん向けではあるけど 大グループのアライちゃん、大きくなったアライしゃんには通じにくいか まだまだ課題はあるね まあ残機の多いうちは学習が足りなくて一般罠とか野生動物に狩られる可能性高いだろうけど 大きくなったら大きくなったで隠れにくくて駆除されやすい? 2年で成体になるんだっけ? アライしゃんの生態も興味深い どれくらいの割合で生き残ってるんだろう 57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 04 59 16.54 ID zhSVo81P0 乙でしゅ バケツ罠は安いけど毎日交換せにゃならんのは手間だね。これなら高値でも冷蔵庫を買う人のほうが多そう 58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 19 13 16.79 ID 0GS8WH/t0 乙 いい展開だったね。 バケツを大きめにしたら、捕獲量も上がりそう。 鷲じゃよ鷲再び―アラキレスと怖い動物 パート5へ戻る
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『お水をよこせ』 5KB いじめ 野良ゆ 都会 独自設定 18作目 冬なのに夏のネタ 「おいじじい!まりささまにおみずをよこすんだぜぇ!」 帰り道にとある公園で野良ゆっくりに絡まれた。 「のどがかーらからなんだぜ!はやくすぎぃ!」 無視して踏み潰す、靴の底に餡子が付き少し滑る様で不快だ、地面にこすり付けて落す。 気が付くと飛び散った餡子がズボンの裾に付いていた、手で叩いて落すがそうすると今度は手が汚れてしまう。 その時公園の橋の水のみ場が目に映った、あそこで洗えば良い。 日差しで温まった蛇口を捻ると生暖かい水が流れ落ちる、それに手を差し伸べて洗う、しばらくすると水も冷たくなった。 背中に誰かの視線を感じる、水を止めて手に付いた水滴を振り払いつつ嘆息する。 どうせ野良ゆっくりだろう、先ほどのまりさを含めて最近の町の風物詩である。 現代社会に広がった野良ゆっくり、町を歩けば野良ゆっくりに出会う事も多く、野良ゆっくりに何かを懇願されたり強請られる事も多い。 野良ゆっくりに「あまあまよこせ!」と怒鳴られた事が無い人など居ないのでは無いだろうか、しかし最近とある変化が野良ゆっくりに起きていた。 後ろを振り向くと沢山の野良が私を取り巻いている、目当てはこの水道だろう。 水道から離れて少し先のベンチを腰掛ける。 「ゆぅ、おみずさんはれいむがもらうよ!ぺーろぺろ!」 「それはまりさのおみずさんなのぜ!れいむはどくのぜ!」 「わからないよーちぇんはもうなんにちもごーくごくしてないんだよー!」 「むきゅ、ぱちぇにうぎゅえれえれ」 水道から離れると野良ゆっくりが待っていましたとばかりに水道に駆け寄る、目当ては排水溝に残った水分だろう。3匹が必死になって蛇口の下の排水溝を舐めている。 これが最近野良ゆっくりに起きた変化である、夏だからというだけでは無い、最近野良ゆっくりの水事情が悪化しているのだ。 町に住む野良猫などは雨水を飲んで凌いでいるらしいが、野良ゆっくりの事情も似たようなものである。 しかし最近それが飲めなくなったようなのだ、始まりはとある病気「ゆ下痢」の蔓延だった。 「おちびちゃん!ゆっくりしてね、ゆっくりしてねぺーろぺーろ」 「おきゃあしゃんれいみゅ、ぽんぽんいちゃいよ、ゆぅぅぅぅ!」 「だめだよおちびちゃん、そんなにうんうんしたらだめだよ!」 必死に子ゆっくりを舐めるれいむ、しかし子ゆっくりは自分の体に致命的な量のお汁粉をぶちまけている。 「お、おじびじゃあああん!」 何が原因だったかゆっくり達に広まったゆ下痢は多くの野良ゆっくりの命を奪い、人間に町中の清掃を強いる事になった。 どうやらゆっくり達はその原因を町中の不潔な水に求めたらしく、野良の世界では汚い水を飲むと永遠にゆっくりしてしまうというのが共通認識になったようだ。 これによって野良の世界は大きく変化した、重要な物の比重が食料から水に変化したのである。 「ゆぎぃ、もうないよぉ!」 「おばえがごーくごくしたんだろう!あれはまりざのおみずさんだったのに!」 「まりさもごーくごくしたんだよーわかれよー!」 蛇口の下で数匹が醜く絡まりあっている。 その結果が今の事態である、綺麗な水と言えば人間の水道から得るしかない、野良ゆっくり達は何よりも水を求めるようになったのだ。 「むきゅう!にんげんさんおねがいします、じゃぐちさんをもういっかいひねってください!」 「ぱちぇたちにごーくごくさせてください!」 水争奪戦から漏れたぱちゅりーがこちらに向ってくる。 「ゆぅにんげんさん、れいむにはのどがかーらからのおちびちゃんがいるんだよ!」 「このこうえんはまりさたちのプレイスなのぜ、まりさのいうことをきくのぜ!」 「さっさとやるんだよー、わかれよー!」 それに気が付き調子に乗る野良達。 とりあえず蛇口に向う、手を載せて下を見ると野良ゆっくり達がドヤ顔で水を待っていた。 水道から水がほとばしる。 「おみず、ゆばあああああぁぁぁぁぁ!」 「ゆぎぃ、ずめだいんだぜぇぇぇぇぇ!」 「わがらないよおおおおおぉぉぉぉぉ!」 水道を全開にして下に居た野良達にぶち当ててやる、跳ねた水がかからない様に裏に回ると手で水の方向を変えてやる。 冷たい水が気持ち良い、野良によってささくれ立った心が洗われるようだ。 「やべでぇゆぎぃぃ!」 「まりざはにげるんだ、びぃ!」 最初の水流で穴の開いたれいむから逃げようとしたまりさに狙いを絞る。 ちぇんは軽症だがあんよが濡れて逃げられないようだ。 しばらくすると蛇口の下の野良ゆっくりは居なくなっていた、皆下の排水溝から出て行ったのだ。 もう一度手をしっかりと洗い水を止める。 振り向いてみると先ほどのぱちゅりーが硬直していた、手を振って水滴をかけてやっても固まったままである。 「おねがいしますにんげんさん!すこしだけでいいんです、れいむにおみずさんをください!」 家に帰る途中自動販売機の影で野良れいむが土下座していた、後ろの日陰には乾いて体のあちこちがひび割れた子ゆっくりが2匹居る。 「おちびちゃんはもういっしゅうかんもごーくごくしていません、おねがいしますおちびちゃんのぶんだけでいいんです!」 足を止めると私に向って叫んでくる、ゆ下痢対策の為に子ゆっくりに雨水などを飲ませて居ないのだろう、比較的優秀な親ゆっくりである。 2匹の子ゆっくりはその影で虚ろな目をしている、このまま真夏日が続けば数日で乾き死ぬ事に成るだろう。 「ほかのおちびちゃんは、きたないおみずさんのせいでゆげりになりました。なんとかしてこのこだけはそだてたいんです!」 私の様子に希望を持ったのか足元にすがり付いてくる野良れいむ、日陰から出てしまえば熱せられたアスファルトが足を焼かれるにも関わらずである。 「そうだなぁ、喉渇いたな……」 「そうですおちびちゃんものどかーらからなんです!おねがいじまず、れいぶなんでもじまずがらぁ!」 私はポケットから財布を出し硬貨を自動販売機に投入した、点いたランプの中から○甲の美味しい水を選択する。 金属音がして取り出し口にペットボトルが吐き出された。開けて一気に飲む。 「ぷはぁ、やっぱり水は美味いな!」 その様子を足元野良でれいむが羨ましそうに見ている、騒がない点は高評価だ。 半分ほど飲むと喉の渇きも収まった、この手のペットボトルはちょっと喉が渇いたときに飲むには量が多すぎる。 下を向くと野良れいむが救われた顔をしている。視線はペットボトルに釘付けだ。 私はキャップを閉めると、 「ご馳走様」 自動販売機の横のゴミ箱にペットボトルを放り込んだ。 「ゆわぁ!なんでおみずさんくれないのぉ!」 飛びついてきたれいむは軽く蹴る、さて帰るか。 「おみずさんでてきてねぇ!」 後ろで何かにぶつかる音がしたが無視した。 天気予報によるとこの真夏日はあと1週間は続くそうだ。 終わり 公民あき 後書き 最後まで読んでいただきありがとうございました。 現実は冬なのに夏の水不足の小ネタです。 ちなみにこのお話の設定はこの話の中だけの物です。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/2942.html