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東大陸西海岸、ユラ神国の首都ユラの沖に3隻の軍艦が投錨し停泊していた。 皇国軍の軽巡洋艦天龍と龍田、そして旗艦である木曾である。 ユラ神国は東大陸に大きな影響力を持つ大国であり、ユラ神国との友好関係が 結べれば、その後の東大陸諸国との外交も有利に進む可能性が高い。 皇国の全権大使は、天皇の親書と東大内洋のリロ王国国王ミリスの親書を携え、ユラの宮殿へと向かった。 宮殿はまさに荘厳としか言いようが無かった。 ヴェルサイユ宮殿のような華やかさは無いが、広い宮殿の中は“場の空気”が荘厳なのだ。 純白の壁面には様々な彫刻が施され、長い廊下には歴代の教皇の肖像画が飾られている。 ここは大聖堂が併設され、毎年各国からのべ数百万人以上の巡礼者が訪れるのだという。 全権大使は謁見の間に通される。 ここは他にも況して荘厳な雰囲気が醸し出されている。 「教皇聖下です」 「聖下への御目通りが叶い、光栄の極みでございます」 謁見の間の三段高い場所に置かれた、『教皇の椅子』と言われる 煌びやかな椅子に座ったユラ神国の教皇、ユーリア50世。初老の男性だ。 皇国の全権大使は片膝をつき頭を下げて礼をしたまま、教皇に感謝の言葉を言った。 「皇国の全権大使殿、よく参られた。話を聞こう。面を上げよ」 「はい。早速ですが、我が国の天皇陛下ならびにリロ王国の国王陛下からの親書を持参致しました。御覧下さい」 全権大使が親書を侍従に渡すと、教皇がそれを受け取り、内容を読み始めた。 「我が国と国交を結び、貿易を行いたいと?」 「はい。ユラ神国は東大陸の中心。あらゆる物が集まる国と聞き及んでおります。 豊かなユラ神国と通商を行う事で、両国の発展に大いなるものがあると信じます」 「我が国は皇国に様々な物を与える事が出来よう。では、皇国は我等に何を与える?」 「金や銀は勿論、高品質の絹や異界の珍しい品々……そして武力です」 全権大使は“武力”という言葉を口にした。 皇国が西大陸で散々見せ付けたものだ。 「武力ならば足りている。これ以上は必要無い」 「リンド王国を相手にしても十分でしょうか?」 「……どういう意味かな?」 「リア公国の件です」 どのような返答が来るだろうか。 全権大使は不安な気持ちを隠しつつ、淡々と述べた。 一瞬、教皇は言葉に詰まったように見えたが、すぐに話しを続ける。 「その問題は解決している」 「彼等は、解決しているとは思っていないというのは聖下もご存知では?」 「だが、それが即戦争に繋がるような問題ではなかろう」 未解決の問題を巡って一々戦争を起していたら、世の中は戦争だらけになってしまう。 「我々皇国と、リロ王国が掴んでいる情報を総合すると、彼等はやるつもりです。 我が軍の偵察隊は、リンド王国陸海軍の戦争準備を確認しております」 「というと、具体的に申してみよ」 「飛竜陣地の構築、陸軍部隊の集結、戦列艦等への物資搬入等々です」 全権大使は、会談の直前まで使って集めた情報を出した。 巡洋艦に搭載された3機の水偵と少数の海兵隊で出来ることは限られていたが、 それでも貴重な情報を収集する事が出来たのは幸運だったと言える。 「そうか、そこまで掴んでいるのか……皇国は」 「はい」 ユラ神国も、勿論この動きは掴んでいた。 数年前から続くリンド王国軍の戦力増強、リア公国へ向けたリンド王国の侵攻準備。 “王領奪還”を目指しているのは明らかだろう。 「では、皇国が提供可能な武力とは?」 「陸海軍に航空戦力を加えて、10万名程」 「10万だと? 10万の兵力を、大内洋を渡って派遣すると?」 10万と言えば大軍だ。それを大内洋を渡って展開できるとなると、戦術の常識が覆される。 「はい。皇国は既に軍の用意をしています。あと1週間程で到着するでしょう」 「随分と準備が良いではないか」 「皇国は、貴国に賭けました。今や貴国の敵は皇国の敵です」 格好付けすぎたかな? と思いながら、全権大使は平然と言い放った。 ユラ神国の敵は、即ち皇国の敵である! 「皇国が一方的に、我が国を防衛するという事になるのか?」 「はい。その見返りとして、貴国との通商、そして第三国との通商の際に貴国に協力をお願いしたいのです」 少し考えると、教皇は全権大使を見つめて言った。 「なるほど、良かろう。貴国と国交を結ぶよう、国務長官にも私から要請する」 「ありがとうございます。聖下」 教皇との会談の3日後、皇国とユラ神国は正式に国交を樹立し、軍事同盟を締結した。 内容は、少し変更が加えられて“対等な軍事同盟”となった。 皇国が一方的にユラ神国を護るだけでなく、ユラ神国も皇国を護るという事だ。 即ち、 『東大内洋以東において、両国のいずれかと、第3国が戦争に なった場合、もう一方に同盟国としての参戦の義務が生ずる』 という事である。 さらに4日後、皇国軍の陸海軍部隊がユラ沖に到着した。 これは、交渉が失敗した時にユラ神国を恫喝するための戦力としても使用される予定だったが、 ユラ神国との交渉が為ったため、本来の対リンド王国用の戦力として使用される事になったのだ。 戦力は陸軍が2個歩兵師団5万5000(1個戦車連隊含む)、航空機が84機(九七式戦闘機24機、 九七式重爆撃機24機、九九式襲撃機24機、九七式司令部偵察機4機、九八式直協偵察機8機)。 海軍が正規空母2隻(3航戦の天城、赤城。搭載機は各艦零戦24+4機、九九式艦爆24+4機、九七式艦攻24+4機)、 軽空母4隻(陸軍航空隊輸送用)、軽巡洋艦2隻、駆逐艦8隻の機動部隊と、 軽巡洋艦2隻、駆逐艦12隻、輸送船48隻の陸軍輸送部隊、油槽艦12隻と弾薬補給艦2隻、給糧艦2隻の補給部隊。 軍の規模は、西大陸に派遣した部隊の倍以上になる。 また、海軍ではこの派遣部隊とは別に独立部隊として 2個潜水隊(巡潜型潜水艦8隻)が東大陸西海岸付近で哨戒任務に就いている。 出血大サービスである。 東大陸でのユラ神国との同盟がどれ程重要か、皇国首脳が考えていたかが解る。 絶対に勝って、ユラ神国に皇国の力を見せつけ、自陣営に取り込まなければならないのだ。 また、この派遣軍は東大陸における皇国軍の中核となる。 ユラ神国は、東西大陸の宗教上の中心地なのであるが、 元世界のバチカンやメッカのように、世界各国から崇拝されているわけでもない。 勿論、ユラ教を国教あるいは準国教としている国は多いのだが、全体から見ると半分に満たない。 残りの半分以上は、ユラ教を特別扱いしていない。単に、数ある宗教の一つであって、ユラ神国が列強国なのは ユラ教が正しいからなどではなく、単に多くの貴族や騎士、商人から様々な寄進を受けているという事、西大陸との 玄関口で海洋貿易で富を得ているという事、金や銀を豊富に産出する事、といった理由によるものと考えられている。 東大陸の列強国でも、ユラ神国を快く思っていない国は存在する。 表立って敵対はしないが、ユラ教皇と友好関係にない国だ。 それらは心情的にリンド王国寄りの国々である。 皇国がユラ神国と同盟しリンド王国と敵対すれば、リンド王国に有形無形の支援が行われる可能性がある。 東大陸派遣軍は、それら国々への牽制も兼ねられている。 皇国は何故、敵も多いユラ神国を重要視するのだろうか。 ユラ神国が世界最大の宗教国家という理由は勿論大きい。多くの国と敵対するにしても、大義名分が立ちやすい。 それに、敵も多いが味方も多い。 ユラ神国側の国との交渉の際にユラ教皇のお墨付きがあれば、皇国が独自に交渉するよりも遥かに成功率が高まるだろう。 ユラ神国と親交の深いヴィユム王国が東大陸随一の稲作地帯だという理由もあった。 ヴィユム王国では、米が主に家畜の飼料として多くの国に輸出されている。 米は小麦と比べて収穫率が高く、都合が良かったのだ。 それを、皇国は輸入しようと考えている。 ただ、ヴィユム王国で生産されている米はインディカ種であり、 ジャポニカ種を主食とする皇国人の口に合うのかどうかが疑問視されていた。 それに対して、政府は「官営食堂や学校給食で使用する」方針で調整している。 前者は、官が率先して民の負担を引き受けるという態度を示すため。 後者は、小学生程度であれば味の違う米でも適応可能だろうという理由によるものだ。 どちらにせよ、短期間で大量の米を輸入する事は不可能なので、近い将来の課題ではあったが。 このように、ユラ神国と良好な関係を築く事のメリットが大きいと判断されたのだ。 リア公国は東大陸西海岸のほぼ中央に位置するユラ神国と北方の リンド王国の間に位置し、台形の国土の面積は皇国の東京都区部とほぼ等しい。 首都は国土の中央よりやや南に位置する人口2万5000の都市ヴュカース。 国土の大半は山脈で、人口は約20万であり、産業としては銅鉱山と岩塩鉱がある。 国民の多くはこの鉱業労働者であり農民は少なく、食糧はユラ神国からの輸入で成り立っていた。 50年前、リンド王国の王家の傍系であるリア公爵が、自領をユラ神国に寄進した。 ユラ神国は、リア公爵領をリア公国として分離独立させ、現在に至っている。 リンド王国は、10年間で大拡張した軍備を背景にリア公国に“領土の返還”を迫った。 リア公国は実質ユラ神国の領土だったため、リア公国はユラ神国に通報した。 ユラ神国としては、困った事になった。 リア公国の鉱山は有用だが、だがリンド王国と戦争してまで護る必要があるのかと。 今や東大陸随一の軍備を持つリンド王国と全面戦争になれば、ユラ神国は負ける可能性すらある。 だが、“保護国”を護れなければユラ神国の“宗主国”としての面子に関わる。 そこへ、手を差し伸べたのが皇国である。 皇国が軍事力を提供し、リア公国の防衛とリンド王国への侵攻は 皇国が担当するから、ユラ神国は自国の防衛だけを考えてくれれば良いと。 “対等な軍事同盟”によって、ユラ神国はリンド王国からの最後通牒に対して強気に出られた。 『ユラ神国もリア公国も、いかなる侵略者に対しても断固として戦う』と。 「本来、この地はリンド王国のものであった。 だが、50年前にユラ神国がこの地を分離独立させ、ユラの保護国とした。 我等は、かつてのリンド王国王家の直轄領を奪還するための尖兵である。 リア軍を排除し、ユラ軍が応戦に来るまで、リアの地を死守するのが我等連隊の役目である」 リア公国に、リンド王国軍の歩兵連隊を中心とした軍が侵攻してきたのは早朝だった。 リア公国軍の常備軍は歩兵中隊4個600人に、騎兵中隊1個120人、砲兵小隊1個40人に大砲4門。 対するリンド王国軍の戦力は、戦列歩兵だけで1500人余。 砲兵中隊1個200人、大砲16門に、騎兵中隊1個160人。 事実として勝負にならない。 1時間余りの戦闘で、リア公国は降伏した。 「あとは、我々の増援とユラの増援のどちらが早く到着するかだ」 「十中八九、我が軍の方が早く到着するでしょう。そうすれば砲兵連隊の増援もあります」 連隊長はリンド軍の勝利を確信していたが、リア公国の上空3000mを 九七式艦攻が飛行している事には、リンド軍の誰一人として気付いていなかった。 日が天高く昇る頃、リンド王国の第二波、主力部隊がリア公国からユラ神国への国境に向けて進軍していた。 だが、ユラ神国まであと3km(2マシル半)という所で思わぬ襲撃を受ける。 「何だあれは、飛竜じゃないぞ!」 「あれが何かは解らんが、とにかく物陰に隠れろ!」 といっても、切り開かれた街道で物陰など殆ど無いのだが。 襲撃者の正体は皇国東大陸派遣軍の海軍艦隊航空隊。 零戦12機(60kg爆弾×2)、九九式艦爆12機(60kg爆弾×4)、九七式艦攻12機(60kg爆弾×6)の合計36機。 合計144発の60kg爆弾によって、4列縦隊の行軍隊形は見るも無残に引き裂かれ、 後方を進んでいた砲兵連隊の馬匹は死傷し、大砲もあらかた破壊されてしまった。 爆弾を投下し終えた航空隊は、7.62mm機銃で残敵の掃討を始めた。 マスケットで反撃を試みる者も居たが、当然命中などしない。 殆どの兵士が、何が何やら解らぬまま逃げ惑うただの人と成り果てている。 密集して行軍していたことが仇となり、リンド王国軍の隊列は殆ど壊滅し麻痺状態。 5000人は居たリンド王国軍の将兵は、航空隊が引き上げる頃には3000人程度まで減っていた。 大砲の殆ど全てと馬匹、小銃隊が壊滅した事で、もはや組織的な戦闘が行える状態ではなくなっている。 皇国軍の航空隊が戦場を離れて10分程経つと、戦場に八九式軽戦車の中隊が現れた。 20両の八九式軽戦車は、背後に歩兵連隊を引き連れ、先頭を進んでいる。 「皇国軍か。西大陸では何やら派手に暴れたそうだが、東大陸ではそうはいかんぞ」 命辛々、岩陰に隠れた旅団長はそう言うが、事実としてリンド王国軍に反撃能力は無い。 小銃隊も砲兵隊も殆ど死傷しており、残っているのは連隊旗と鼓笛隊と輜重隊だけだと言って過言ではないのだ。 その他の軍属や娼婦なども殆ど無傷ではあったが、彼等は勿論戦闘など出来ない。 リア公国侵攻部隊で無傷なのは、後続の第三波部隊である騎兵隊のみである。 「小銃隊、二列横隊に整列!」 「連隊長、小銃隊はもう全滅です。我が中隊では、生き残りは十数名で……」 「ではどうする、逃げ帰るのか?」 「降伏しましょう。このまま敵に背を向けても、追い散らされるだけです」 「ならば旅団長は、王の旗は何処だ!」 「王の旗はあそこに。旅団長も無事です」 「連隊旗はともかくとして、王の旗を奪われるわけにはいかん」 「では、ここに踏み止まって徹底抗戦して時間を稼ぐしか……」 「そうだ、だから残りの小銃隊を前へ。1分でもいいから旅団長を逃がす時間を稼ぐんだ」 「了解です……!」 連隊長の号令で、幸か不幸か殆ど無傷だった鼓笛隊が懸命に太鼓を打ち鳴らす。 「小銃隊、装填!」 二列横隊に整列した小銃隊は、弾薬を装填し、小型の戦竜のような鉄の箱が射程内に来るのを待った。 「中隊、榴弾にて砲撃開始!」 そこここでぱらぱらと整列するリンド王国軍の小銃隊の遥か手前で停止した戦車隊は、500mの距離から砲撃を開始した。 撃ち出された榴弾は各所で炸裂し、そもそも数が少なかったリンド王国軍の小銃隊をさらに削っていく。 戦車隊はじりじりと前進しつつ、後方部隊を射程に収める。 逃げの態勢に入っていた輜重部隊の馬車列も、戦車隊の砲撃や銃撃によって 列を引き裂かれ、馬はミンチになり、馬車も悉く破壊されていく。 たまに、思い出したかのように小銃隊の反撃を受けるが、戦車の装甲をマスケットで何とかするのは難しい。 突出した戦車隊はそのままリンド王国軍の後方に回り込み退路を塞ぎ、その後に歩兵隊が残敵の掃討を行う。 軽機関銃や小銃の射程はリンド王国軍の倍以上あるのだが、 皇国軍の歩兵隊は四方八方に逃げ散るリンド王国軍を捕捉するのに苦労している。 殆ど個人単位で逃げるので、機関銃で纏めて掃射が出来ない。 脇の藪の中からリンド兵が飛び出して来て皇国兵が致命傷を負うという事もあった。 「敵の指揮官と軍旗はどこか!」 下馬していた皇国軍歩兵連隊長が問うた。 「連隊旗はあそこです……」 副官が指差した先には、無残に捨てられた連隊旗が転がっていた。 「敵の連隊旗を確保しろ。王旗もある筈だが……」 「この辺りには、見当たりません……」 「そうか、それは残念だが――」 「連隊長、前方を進軍中の戦車中隊より報告。敵軍の王旗ならびに旅団長の身柄を確保との事です」 通信兵の報告に、連隊長の周辺にいた将兵はおおっと喜びの声を上げた。 「まだそこらの藪の中に潜んでいる敵兵がいるかも知れん。残敵を警戒しつつ、この辺りを掃除しろ。 こちらの風習では死者は火葬だそうだから、遺体は燃やしてしまって構わん。制服と遺骨は丁重に葬れ」 「はっ! 第1中隊は歩哨に就け。第2中隊は遺体を集めろ、第3中隊は――!」 大隊長が声を張り上げるその傍の藪の中で、身を伏せていた1人のリンド兵がそっと撃鉄を引いた。 「大隊長ー! 衛生兵ー! 担架と軍医をー!」 「小隊、敵兵を逃がすな! 撃てー!」 狙撃された大隊長は、左肩を撃たれた。 幸い動脈などの急所は外れたので命に別状は無かったが、右手で左肩を押さえてその場に倒れこんだ。 同時に十数発の小銃が硝煙の残る藪に撃ち込まれ、銃剣突撃を行おうとしていたリンド兵を蜂の巣にした。 「敵兵、討ち取りました!」 「わかった。だがまだ居るかも知れんから、警戒を緩めるな!」 「はっ、2個分隊でもって藪をつつき回しますか?」 「こちらから踏み込む必要は無い。大隊長を担架に乗せたら、藪から離れろ。300mも離れれば安全だろう」 「了解です!」 衛生兵によって担架に乗せられた大隊長を援護しつつ、歩兵隊は藪から距離を取る。 「おお、田村軍医か……ちょいと縫ってくれれば良い」 「いえ、まず弾丸を取り除いて、消毒しませんと」 「そうか……餅は餅屋だ。軍医に任せる」 「モルヒネを打ちますか?」 「いや、いい……そのままやってくれ」 「はい。少し我慢して下さい、少佐」 衛生兵が止血をしつつ、軍医が鉗子を使って右肩に残った弾丸を取り除く。 「縫合します……」 軍医は手際良く傷口を縫合していく。 その間も、助手の衛生兵は止血作業を続ける。 「傷の応急手当は終わりました。念のため抗生物質を処方しておきます」 「うむ、隊の状況は?」 「敵の襲撃はありません。戦場の後片付けは順調です」 大隊長の問いかけに、副官が答えた。 「わかった。連隊長と連絡を取りたい」 「了解です」 無線機を片手に、負傷中の大隊長は直属の上官である連隊長と連絡を取った。 「おお、嶋田少佐。負傷したと聞いて心配したぞ」 「ご心配かけまして申し訳ありません、大佐」 「無事なら良い。連隊はこのままリア公国を通ってリンド王国との 国境に陣を構え後続部隊を待つが、少佐は指揮を続けられるな?」 「大丈夫です。移動時は馬に乗りますし、利き手は無事ですので」 「そうか、では少佐の大隊はリア公国の東の国境付近を頼む」 「了解です。東の国境付近に陣を敷きます」 大隊長はすぐさま出立の準備を始めるように命令をした。 「何、部隊は全滅、王旗は奪われ、旅団長も捕えられただと?」 「はい。相手はユラ軍ではありませんでした」 「ユラではない?」 「おそらく、皇国軍です」 「皇国……? 例の、ライランス軍を全滅させたとかいう皇国か?」 「はい、おそらく……」 戦場から逃げ帰って来た歩兵中隊長の言葉に、騎兵連隊長は頭を抱えた。 “噂では”皇国軍は飛竜よりも速い飛行機械に1分間に100発撃つ銃を持っている。 だが、噂は噂だ。 「貴様は、ブオーンと唸る飛行機械とやらは、見たか?」 「はい。まさに仰るとおり、ブオーンと唸っていました」 「噂は本当なのか……?」 だが、そのような話、俄かには信じられないのも事実。 常識の上どころか、斜め上を行っている。 「だが、ここで我々が撤退すれば、リアの地を確保した先遣部隊に申し訳が立たん」 「いえ、既にリアの地は皇国軍に制圧されています。今から騎兵隊のみで足を踏み入れるのは、得策とは思えません」 進軍しようとする騎兵連隊長を、歩兵中隊長が諫めようとする。 「一時撤退し、態勢を立て直すべきです。敵の火力は本物です。 こうしている間にも、敵の追撃部隊が迫っています。早く撤退すべきです」 「わ、わかった……連隊、回れ右! 駐屯地に帰還する!」 駐屯地に帰還した騎兵連隊を待っていたのは、師団長と軍司令官だった。 連隊長と言えど、軍司令官と直接顔を合わせる事はまず無い。 連隊長を見ながら、軍司令官が口を開いた。 「戦闘は、どうだったか?」 「前衛の歩兵部隊と砲兵部隊が壊滅しました。私の騎兵連隊は、このまま進むと 同じように壊滅する可能性があると判断し、独断で撤退いたしました」 独自撤退は命令違反である。処罰は免れないという覚悟で、騎兵連隊長は答えた。 「その判断は賢明だったかもしれない。 我が国のリア公国への宣戦布告に対して、ユラ神国から返答があった。今朝、貴官等が出発した後の事だ」 軍司令官はユラ神国からの文書の写しを読み上げる。 「ユラ神国はリア公国への侵略を看過しない。ユラ神国と同盟国である皇国はリンド王国に対して宣戦を布告する。 ……というのが、この文書の要約だ。腑に落ちない顔をしているな。私もだが」 「皇国?」 「数ヶ月前、大内洋の中央に忽然と現れた異界の国だそうだ。 西大陸ではライランス王国相手に負け無しだったらしい」 軍司令官本人も、自分の言葉を半分以上信じていない。 異界の人物が忽然と現れるという噂は各地で耳にするが、さすがに国ごととなると、前例が無い。 「それが、何故リアの件に首を突っ込んでくるのですか」 「皇国からの返答はこうだ。皇国はユラ神国と強固な同盟を結んだ。故にユラ神国の敵は皇国の敵である」 西大陸の列強、ライランス王国が突如異界から現れたという皇国という国家に 散々痛めつけられたという話は、東大陸でも噂になっている。 東西両大陸を行き来する船は多くはないが、決して少なくもない。 貿易商人は、物品と共に有形無形の情報も商品として扱う。 突然異世界に転移した皇国が、この世界の情勢について精度の高い 情報を仕入れられたのは様々な情報を買ったからだ。 勿論、重要な情報程高値だし、情報が絶対に正しい保証もない。 しかし“高い情報”はやはりそれなりに裏もとってあるし、絶対に間違っているという事も少ない。 皇国という国家は戦争に強いが食糧に不安を抱えているという情報も、リンド王国にはもたらされていた。 ユラ神国に食糧を輸送するための大型船が派遣されているという事も。
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対訳 ActⅠ rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 04a91095.52a5fed9.099b93b6.2566fa26 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId= 0 ;rakuten_size= 200x350 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= off ;rakuten_auto_mode= off ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ;rakuten_ts= 1649371200100 ; rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 04a91095.52a5fed9.099b93b6.2566fa26 ;rakuten_items= tra-ctsmatch ;rakuten_genreId= 0 ;rakuten_size= 200x200 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= off ;rakuten_auto_mode= off ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ;rakuten_ts= 1651882222390 ; 登場人物 包囲された都市の司令官(バリトン) その妻マリア(ソプラノ) 要塞の軍曹(バス) 要塞の狙撃兵(テノール) 要塞の砲兵(テノール) 要塞のマスケット銃兵(バス) 要塞のラッパ手(バス) 将校(バリトン) 前線の士官(バリトン) ピエモンテ人(テノール) ホルシュタイン人司令官(バス) 包囲された市の市長(テノール) 司教(バリトン) 市民の女(ソプラノ) 兵士たち、都市の長老たちと代表団の女性たち、民衆 時と場所 1648年10月24日、ドイツ30年戦争(1618~1648)の最後の日 ドイツのあるカトリックの都市(まち)の要塞、ホルシュタインのプロテスタント軍に包囲されている あらすじ 30年続くカトリックとプロテスタントの戦争の最中、皇帝の城砦はいまだに敵の包囲攻撃に持ちこたえ、司令官をはじめ兵士たちが籠っている。ピエモンテ出身のイタリア人の若者が、敵軍の中を抜けて司令官に皇帝の親書を持ってきた。ピエモンテの若者は故郷を懐かしんでイタリア語で歌う。 都市(まち)ではもう食料が尽き、人々は飢餓に苦しんでいる。市長と老司教を先頭に都市の代表団がやって来て、降伏して開城するようにと司令官に嘆願する。司令官は聞く耳を持たず昼まで待つように告げると、代表団は願いが聞き入れられたと思って立ち去る。次に前線の士官がやって来て、火薬も弾もないので、地下室の弾薬を使わせてほしいと頼むが断られる。 皇帝の親書はこの都市を死守しろと命じている。司令官は内密に城砦を爆破することを考え、戦場で部下に助けられた思い出を語って感謝し、準備をしたらここを去っていいと言うが、皆ここに残ることを選択する。 司令官の妻のマリアが、やって来る。マリアは「私が結婚したのは、夫ではなくて戦争だった!」と嘆く。マリアに立ち去るようにと命じる夫が死を覚悟していることに気づき、マリアは夫と運命を共にしようと決意する。 その時、大砲の音が聞こえ、続いてあちこちの鐘の音が鳴り響く。市長や代表団の人々は戦争が終わった合図だと言って大喜びする。敵が連隊旗を飾り立て、白旗を揚げて行進してくるが、司令官は敵の罠だと思って信用しない。 そこへ敵軍のホルシュタイン人の司令官がやって来て、ミュンスターで講和会議が開かれ、30年戦争が終結したことを伝える。頑なな司令官は剣を抜き、ホルシュタイン人と対峙し合うが、マリアが割って入り、新しき支配者を見よ、それは平和だと説く。剣を捨て、二人の司令官は抱擁し、人々は平和を喜び、大合唱となる。 訳者より このオペラの台本を書いたのはヨーゼフ・グレゴールだが、最初にこの作品をシュトラウスに提案したのは、シュテファン・ツヴァイクである。シュトラウスとツヴァイクは『無口な女』(1935初演)で一緒に仕事をし、シュトラウスは続けてツヴァイクとオペラを創ることを望んでいたが、ツヴァイクはユダヤ人のため亡命し、作品をグレゴールに委ねた。そして1938年にクレメンス・クラウスの指揮によりミュンヘンで初演された。 戦争の空しさをテーマとするこのオペラが、ナチスが台頭してくるこの時期によく上演できたものである。しかも翌1939年6月にウィーンで、シュトラウスの75歳の誕生日を祝う式典の一部として上演された時には、ヒトラーをはじめナチスのメンバーが出席している。その後第二次世界大戦が始まると上演できなくなり、次に上演されるのは1949年、シュトラウス85歳の誕生日を祝っての時である。 このオペラは上演時間が1時間15分くらいと短いので、当初シュトラウスは『ダフネ』とのダブル・ビルを考えていたが、『ダフネ』が思っていたよりスケールの大きな作品になったため、別々に上演されることになった。 この日本語テキストは、 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス の下でライセンスされています。@ Aiko Oshio Blogs on 平和の日 シュトラウス《平和の日》対訳完成 平和の日とは 平和の日の70%はハッタリで出来ています。平和の日の30%は媚びで出来ています。
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アッサム 列伝 基本スペック 基本能力値 考察 コメント欄 列伝 ウィンダリア第二王子。 深刻な男色趣味、それも美少年を女装させるという奇癖の為に他の王侯貴族から疎まれていたが、彼の運命をドゥネ=ケイス戦役が変える。真っ当な王族が第一王子ファルケを残し全滅すると、オースティン公を代表とする貴族たちに担がれ再興軍の代表者となる。さらにはドゥネ=ケイス軍に対して約束された援軍を出さずにファルケを謀殺。その後も反ドゥネ=ケイス連合軍にイーズを代表して参加、ついには一時的に王都カハンを奪還するも、ライバートによってあっさりと奪い返されてしまう。部下には寛容な人物で人望はあるが、自身の求心力維持の為に戦術指揮官としては無能ながら前線に出たがるなど、いろいろ癖の強い人物である。 内治 統率 外交 探索 信仰 6 2 8 4 0 台詞 雇用時 私こそがウィンダリアの正統なる後継者なのです、お分かりですか? 退却時 おおいかんいかん、あとは任せるぞよ 撃破時 ヴぃ、ヴィッター、アーッ!! 待機時 +... うむうむ、よきかなよきかな 我らの王都、返してもらおう エールを持ってきたまえ 戦勝の前祝いだ さて、今宵のパーティの準備を…… 前進時 +... 全軍、ゆるりとエレガントに進軍したまえ さあ、始めるか 連隊旗をここに 私に続け! 互角時 +... 私を前に出せ 戦局を一変させてやる とにかく攻撃だ、攻撃せよ 蝶のように舞い、蜂のように刺す我が剣技を見よ うむ、綺麗な尻をしている… ははは、さあ、我が首を取るのは誰かね? 優勢時 +... 負けた敵を追うのはエレガントではない 孤児がいたらきちんと保護してあげなさい アッサム王本記は勝利の二文字で埋め尽くされる フハ、フハハハハ! さあ皆の者 乾杯じゃ! 劣勢時 +... 何故、どうして劣勢なのだね! 信じられん…… もう知らん! 私は後宮に帰る! 私は、私は! えと……男の子が大好きだ!! 必殺技 +... 工作班突入 彼らを呼びたまえ ああ、細かい配置は任せる 基本スペック 性別 男性 肩書き ウィンダリア第二王子 種族 人間 クラス ゴールドマージ 雇用種族 人間 雇用クラス ゴールドマージ アースマージ ウォータマージ 特殊雇用 無し 初期勢力 S1=ネル=ウィンダリア S4=登場しない(隠居?) 初期階級 S1=マスター S4=登場しない 旗揚げ時勢力名 ネル=ウィンダリア 旗揚げ時雇用可兵科 ゴールドマージ アースマージ ウォータマージ マーシナリー ローグ パペッター 初期レベル S1=5 その他・備考欄 カリナと相性最悪放浪時、所持金が0でない場合傭兵化することがある※マスター時は所持金0のまま増加しないため傭兵化しない 保有スキル 部下に付与可能なものは【付与】、必殺技は【必殺】で表示 LV 個人習得 クラス習得 初期 【必殺】工作班突入 火魔法B(基本系), 水魔法B(基本系), 風魔法B(基本系),地魔法B(基本系), 天魔法B(基本系)のうちランダムで2つ,精神魔法C(基本系) 15 25 リーダースキル 技術UP(25%) 訓練効果アップ(5) アシストスキル 無し 召喚スキル 工作班突入 基本能力値 HP 3800 MP 140 攻撃 30 防御 60 魔力 75 魔抵抗 55 素早さ 30 技術 30 HP回復 0 MP回復 2 移動 110 移動タイプ 普通 召喚数 1 召喚レベル 20% exp_mul 128 耐性 斬撃 突撃 打撃 弓矢 火 水 風 地 天 暗黒 精神 解呪 神聖 -2 -2 0 -2 0 0 0 0 0 -1 0 +5 0 毒 麻痺 幻覚 沈黙 混乱 石化 恐慌 即死 吸血 魔吸 ドレイン 0 0 0 0 0 0 0 0 -1 -1 -1 考察 全般 ネル=ウィンダリアのマスター。 魔法系のユニットとしては最高クラスの耐久力を誇り、前衛を務めることも十分可能。 技術アップと訓練効果アップ+5が光る。 率いる兵科をしっかりと訓練させよう。 雇用範囲が広いのも嬉しい。 操作方法 戦闘に出しても必殺技の工作班突入が優秀 敵後衛に召喚したり敵前衛に味方後衛が襲われそうなときに しっかりと位置指定して召喚しよう。 基本は率いている兵科に合わせて動くと良い。 工作班突入で召喚されるのは、煙玉のほか城壁属性のハンマーを使いこなし死亡時にはディバインウィンドを発動する厄介なユニットが12体。 特に攻城戦では厄介な防衛施設の地点を指定して発動することで一気に戦局を変えることができる。 ネル=ウィンダリアシナリオでは王都カハン(2回)やクリスタルパレス、ハーマンシュタインと堅城の攻城戦が多いため出番も必然的に増えるだろう。 オススメ陪臣・兵科・指揮官 様々な兵科が雇えるので前衛が欲しい時はマーシナリー。後衛が欲しい時は魔法使い系。 状態異常付与が欲しい時はパペッター、ローグのような感じで好みの兵科を率いらせよう。 技術アップのことを考えるとパペッターやローグを率いらせたいが、状況に応じて前衛や後衛を率いたほうが活躍する。 訓練効果アップ+5をうまく利用してさっさと育てよう。 マスター時はパペッターを率いて前衛に立つのが軍全体のバランス的にベストだろう。 敵対時対処法 城塞の防衛戦では警戒が必要。耐久力的に暗殺は現実的でないため、囮を出すか城壁1層を捨てるかあらかじめ決めておくこと。 コメント欄 名前 コメント
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以下は、http //anchorage.2ch.net/test/read.cgi/army/1244031460/から引用 民主党ですがデデンデンデンデデン 871 :【army 1136】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 2009/06/04(木) 00 15 45 a href= http //2ch.se/ 神 /a ID ??? ケイレイたん いるー? 873 :∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. 2009/06/04(木) 00 16 30 ID ??? 871 へいー 890 :∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. 2009/06/04(木) 00 22 21 ID ??? 882 シル子 はじめは幕僚をどうしようかと思いながら過去のメモを見ていたんですよ。 連隊副官と、先任従士長が人事のメインを握っていて、 たぶん当事としては、人事参謀ではなくて、彼らが直接上長にリコメンドしてるんじゃないか、とか。 作戦参謀も独立して存在していないかもしれない、とか。 参謀長が情報参謀を兼ねていることもありえるか、とか まあそういうことで、勝手に決めたらアレなことを避けているうちに ああいったものがw 906 :【army 1136】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 2009/06/04(木) 00 27 44 a href= http //2ch.se/ 神 /a ID ??? 890 ケイレイたん ああ、なるほど、了解です。 とりあえず参謀は、情報と兵站ですね。作戦参謀はいなくて、大抵は先任か副司令官と相談します。 人事は仰る通り、副官や先任下士官ですね。帝國軍では、どちらかというと、作戦は指揮官の所管とされていて、 指揮官の企図と決心をいかに実現するか、で幕僚が揃っていますから。 というわけで、草原に並んだ黒い軍勢を想像して、なんというか、しんみりというか、もうすぐなんだなあ、と(w 920 :∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. 2009/06/04(木) 00 32 50 ID ??? 906 シル子 加えて、第十三連隊にはその特性上から、企画参謀を置こうと思っています。 長期計画とのすりあわせが常に必要だろう、と。 つーか、やっぱし印刷技術があったほうが良かったですかねえ。 ドキュメントの管理を考えるとげっそりしてきましたw たぶん、シル子には連隊秘書がついて口述筆記を逐一しているはずですけど。 参謀長にも。 連隊旗警衛小隊の腕利きが、騎兵の確保した丘の背後に膝をつき、安全を確認して後方に合図を送るんですよ。 ずしゃ、ずしゃと、音を立てて、あがってくる白の三 連隊長のものですから、たぶん兜に房飾りをつけていて、それが朝日の中にへん翻と翻るのです。 そしてシル子が振り返ると、丘の背後には行軍序列の第十三連隊機が 金色の朝日を浴びながら、膝を突いて、彼女の命令を待っているのです。 955 :【army 1136】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 2009/06/04(木) 00 47 34 a href= http //2ch.se/ 神 /a ID ??? 920 ケイレイたん シル子 目に見えますね。その風景が、シル子の事ですから、連隊長機の中で、後ろの部下達を眺めて、そして微笑むんでしょう。 いつも浮かべているのとは違う、本当に心から嬉しそうな微笑を。これは、彼女が、自分の力で作り上げ、手に入れたものだから。 与えられたものではなくて、自分が作ったものだから。 というわけで、軍事参議官という存在ですが、軍事参議会という皇帝直轄、今は副帝直轄ですが、そういう機関で、 帝國の軍事全般に関して、皇帝の諮問に対して答えるための機関です。そのため、帝國の元帥全員と、選抜された 将軍らが軍事参議官として所属し、諮問に対して研究を行い答えることになっています。 このため、元老院の各委員会や、執政官担当省部から、研究に協力するための人員が出向してくる事が多く、 ここが帝國の国家戦略について検討する部署に、伝統的になっております。 つまり、皇帝 → 軍事参議会 → 査閲総監部 → 総司令部(参謀本部) → 各部隊 という流れで、研究の実現が行われる事になっています。つまり、国家戦略に基づいた軍事戦略とドクトリンの研究と策定ですね。 今の時点で帝國は、新軍事戦略の研究が終わり、具体的なドクトリンの作成段階に入っている、という事です。 ですから、第13連隊で出た運用結果は、今度は、逆の流れを伝っていくのです。 で、軍事参議会をイル・ベリサリウス元帥が、査閲総監部を小ガイユス元帥が、参謀本部をシルディール元帥が所管している、と。 966 :∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. 2009/06/04(木) 00 56 59 ID ??? 955 シル子 しかも、形はそれぞれ違うけれど、至上の忠誠を シル子を通して、帝國に捧げているわけで、 帝國の象徴にして、その意思を体現し、成せと命ずることの出来るたった一人として そこにたっているわけですよ。 シル子らしくないくらい、高揚して。 しかしまあ、行軍序列、の一言でかっちり伝わってしまうところがwww つまり、軍事参議会は、皇帝のための国家軍事戦略参謀機能というわけですね。 軍事部門の総参謀長と、 軍事部門の機能管理部こと査閲監と、 軍事機能をそれぞれ統括するすべての元帥が、その会議では話題の発散を抑制しつつ、建設的な議論を皇帝(副帝)に提示しつつ、実施に当たっても調整がなされる、と。 おっぱい元帥閣下はめちゃめちゃ重い職責じゃないですか。 皇宮にオフィスがあってもいいくらい。 で、十三連隊は参謀本部に対して「この特定機能を果たせる部隊として存在していますぜ」とリコメンドし、参謀本部はそれを前提とした研究を提示するっと 988 :わいるどうぃりぃ ◆oMAb82rwS6 2009/06/04(木) 01 09 02 ID ??? 帰ってきたら意識失ってこんな時間だよ! というわけでおばんです ケイレイたん、更新乙カレー 989 :∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. 2009/06/04(木) 01 10 16 ID ??? 988 シル子 オフ子が妙に踏み込んでいるから、マル子が妙に退いている、 そして言いたくないことをいわないために、 もっそいリスクをとってしまった。 そんな話でしたw 1000 :【army 1136】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 2009/06/04(木) 01 14 57 a href= http //2ch.se/ 神 /a ID ??? 966 ケイレイたん シル子 ですよん。そりゃ、あのベリサリウス将軍の名前がつくくらいなんですから、 かなり優秀なんですよ(w といいますか、帝國の血縁関係が一歩引いたところにいる人ですから、 彼らが派閥争いとか始めたりしないように調整するのも仕事なわけで。 というわけで、おっぱい元帥にしていみれば、帝國の国家戦略である、帝國東方の制圧と、帝國秩序への組み込み という枠の中で、攻勢防御戦略の採用によって、常に敵の攻撃に先立って敵に対して攻撃を行い、敵の戦力を無効化 する事で、帝國本土の防衛と、帝國に対する脅威の無力化を行う、というドクトリンまで到達したのですね。 で、その研究に基づいて、おねいちゃん元帥が、各地域ごとで発生するであろう紛争について、各ケースごとにいかに 対処するかを検討し、運用計画の叩き台をつくり、それにあわせて、小ガイユス元帥が部隊を運用計画通りに奮様 ああ、駄目だ、今日は根落ち
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渡嘉敷島の惨劇は果して神話か―曽野綾子氏に反論する―6 太田良博 昭和四十八年七月十一日から同七月二十五日まで 琉球新報朝刊に連載 『太田良博著作集3』p188-192 目次 6 【引用者註】渡嘉敷島の日本軍と住民との関係 『ある神話の背景』の作者は、「赤松令嬢」の立場にひどく同情しているようだが、その場合、赤松に処刑された人たちの遺族の、戦後の苦しみにも思いを到すべきであろう。 『ある神話の背景』で、いわゆる「遊泳許可事件」に関して、知念元少尉は、「米軍がもし渡嘉敷島の海岸で海水浴をしようと思ったら、そんな協定を結ばなくても、全く自由にできましたな」と証言する。 188 それは自ら渡嘉敷島の日本軍が無力化していたこと、同島が米軍の完全支配下にあったことを問わず語りに語ったものである。かかる状態で、赤松のいう「島の死守」とは何を意味していたのだろうか。 『鉄の暴風』の中で、処刑される伊江島の女たちに穴を掘らせたと書いたら、作者の問いに対して赤松隊員は、「墓穴を掘る体力も自分たちにはなかった」とトンチンカンな返答をしている。 作者は作戦要務令の綱領を引用して、「軍隊の目的は戦力だけを保持することだ」と説明する。墓穴も掘れないような赤松隊員の「戦力」とは何だったのか。彼らは「戦力」どころか、自分たちの「生命」を保持するだけがやっとであったという実情ではなかったのか。 『ある神話の背景』や同じ作者の『切りとられた時間』のあちこちで、大岡昇平の『野火』にでてくるような軍隊の姿が描写されている。 知念元少尉の証言に、米軍に投降するときは、「三百人の生き残りが並びまして、連隊旗を持ち、ラッパを吹いたんです」というのがある。いかにもちゃんとした軍隊だったことを誇示する言葉である。 穴も掘れないような餓死寸前の兵隊がフラフラし整列して、軍隊の格好を保とうとして 189 いる光景が目に浮かぶ。 ラッパを吹く気力もまだあったんだゾと言っているように聞こえる。 餓死寸前の状態にあった渡嘉敷島の日本兵がどうして「島を死守し、全軍の戦局に有利になるような作戦任務を遂行していた」ことになるのか、非現実的な屁理屈としかとれない。 「日本軍の監視哨の間を、自由にくぐり抜けて出入りしていたと思われる一人の防召兵をとらえて、陣地のもようを敵に通報したという理由で処刑した」ということが『切りとられた時間』に書かれている。 右の事実の真否はわからないが、そう書いている作者が、『ある神話の背景』では、防召兵を「れっきとした正規兵」だったと規定する。正規兵なら監視哨の間を出入りしても処刑されるわけはないはずである。「陣地のもようを敵通報した」という証拠は敵に聞かなければわからない。立証が不可能に近い理由で処刑するなど防召兵に対する扱いがいかなるものであったかがわかる。 渡嘉敷島の集団自決についてよく、「共同体意識」といったものからの解釈がなされることがある。集団自決の理由を島自体の固有の問題とむすびつけようとする考え方である。伊江島の例をとると、米軍の猛攻をうけ、日米両軍の激闘があったのに、伊江島ではなぜ 190 集団自決がなかったのだろうか(※1)。特攻隊員のいた渡嘉敷島や座間味島で集団自決があったのはそれらの島々の住民の特殊な事情というより、「そこにいた日本軍と住民の特殊な関係」と「外部から遮断された閉鎖状況」に原因があったのではないだろうか。 【引用者註】※1 今は、伊江島でも大規模な集団自決があったことが知られている。 『切りとられた時間』の中で、渡嘉敷島のことを「誰もがみんな泳いで脱出することを考又たこの島」と表現している作者が、どうして『ある神話の背景』では「渡嘉敷島を死守するつもりだった」という赤松隊生存者の言葉を確信するように紹介してあるのだろうか。 『切りとられた時間』の中に、「どこの国の軍隊も、住民のお守りなどしないよ。国民のために闘う訳だけどね。その国民はもっと抽象的な存在でね、すぐそこらへんにいる住民ということじゃないんだ。どこの誰がそんな高尚な論理を考え出したかね」という言葉がある。渡嘉敷島の問題を考える場合、右の会話の一部は、最も核心をついたもののように私にはおもわれる。 それは、国家、国民、戦争、軍隊の関係を考えさせられるものをふくんでいる。「国家悪」の根源の問題もふくまれている。 作者は、この問題はよけて通っている。 『切りとられた時間』に、集団自決で家族を殺した一人の女が、戦後、殺人罪として島 191 の駐在に自首することを考えていた、というくだりがある。こんなことを書く作者が、どうして、『ある神話の背景』の中では、赤松の住民処刑と、その無反省を弁護しているのだろうか。 「私が渡嘉敷島の指揮官だったら、どんな卑怯なことをしたかわからない」という作者の確信のようなものは、その場になってみなければわからないことで、「戦後的発想」かも知れない。作者自身、戦時中の少女時代を回想して、あの当時、「生きて虜囚のはずかしめをうけず」という信念をもっていたとのべている。 この「戦後的発想による仮定的思考」の上に、『ある神話の背景』の論理が組み立てられている。宇久真成氏(当時、渡嘉敷国民学校長)の話によれば、大城徳安氏は教頭だったが、あからさまに赤松隊の行動を批判するので、要注意人物として、陣地付近で苛酷な労働を強要されていたという。大城氏は当時、五十近い人で、親子ほども年の違う赤松隊員たちからいじめられたことも、陣地を離れる原因の一つだったかも知れない。大城氏の処刑には多分に感情的要素がまじっていた、とおもわれる。 192 次へ
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オスミナ紛争のエピソードの始まりである。多分それほど頻繁には更新できない気がしているが、まあそれはそれということで。 粉雪のちらつく中、灰色の軍用コートを着てトルステンヌス・ゲルトリクス伯爵家の家紋である薄雪草の花の意匠の徽章をつけた毛皮帽をかぶった青年が、百数十人の中隊ごとに整列しコの字に並んだ兵士らの前に進み出た。彼の後ろには、連隊副官の青年と連隊旗手、連隊先任従士長が続き、つぎだらけの連隊旗が掲げられ垂れ下がっていた。 顔の下半分をひげでおおわれ、十年にも及ぶ戦争の艱難辛苦がしわとなって刻みつけられていても、青年はなお面を真っ直ぐにあげており、その灰色の瞳には威厳の光がともっている。青年は兵士達に視線を向けてから、大きく息を吸って声をあげた。 「ゲルトリクス第2連隊の兵士諸君、連隊長は諸君らに告げる。この十年の間、我らは栄光も艱難辛苦も共にし、戦場において栄誉を飾ってきた。この間の諸君らは、常に全軍の模範であり続けた。その諸君らを指揮できたことを、連隊長は心より名誉とするものである。ここに連隊は武器を置き、帝國臣民として平和のうちにそれぞれの家庭へと戻ることとなった。連隊長は、最後に諸君らの忠勤に対して心からの感謝を述べるものである。まことにありがとう」 連隊長の演説に少なくない兵士が嗚咽をもらし、涙でほほを濡らしている。そんな彼らを慈愛のこもった瞳で見つめると、青年は、さらに言葉を続けた。 「諸君らは、契約通り給与の支払いを受けてから帰郷するものとする。未払いの給与も今回まとめて支払われる。支払いは中隊副官より受けること。連隊より支給された装備は、給与の支払いと引き換えに連隊副官に返納するものとする。連隊長より以上である」 「連隊長に対し、敬礼、頭ぁー――、中ッ!! 直れ!!」 連隊先任従士長の胴間声に、兵士達は手にした武器を掲げて敬礼した。それに直立不動の姿勢で見事な答礼をもってこたえた連隊長は、兵士らの敬礼が終わり、軍旗が旗竿に巻き取られるてから、青年は兵士達に背を向けて歩き去った。先任従士長の解散を告げる声を背中に受けつつ、足早に連隊長に追いつき並んだ連隊副官が小声で青年に話しかけた。 「ヴェルキン、本当にここで連隊を解散するのか? しかも未払い分まで全額支払うだと? 正気か、貴様」 「ああ、本気だよ。もう戦争は終わったんだ。それに、故郷から連れてきた兵で生き残ったのは十人に一人もいやしないんだ。今の連隊はほとんどが傭兵だろ? いいじゃないか、せめて節義くらいは通したい」 「貴様……、まあ、らしいっちゃあ、らしいんだが。いいんだな? 金庫は空っぽになるぞ」 「判っているよ。それに、戦費の借金も返さないといけないんだ。……僕は、爵位も、領地も、家産も、全部売るつもりでいる。幸い、母方の親戚で「帝都」で羽振りの良い人がいるんだ。その人がまとめて買い入れてくれるんだ。それで借金は全部返せるし、これで晴れて一文無しの自由の身の上ってわけさ」 「……馬鹿野郎が」 「その馬鹿野郎に最後までつきあってくれて、心から感謝している。ファルディオス。本当に、ありがとう」 「……それで、これからどうするつもりだ?」 「これから考える」 ヴェルキン・トルステンヌス・ゲルトリクス伯爵は、何か憑き物でも落ちたような晴れ晴れとした笑顔でそう答えた。 成人男子の背丈よりもさらに高い硝子窓からちらつく粉雪を見上げつつ、摂政副帝レイヒルフトは後ろ手のまま皇帝軍総参謀長より全ての教会軍の降伏が終了した旨の報告を受けていた。 「報告は以上となります。陛下」 「はい」 一切の意匠の無い漆黒の軍服を着用したまま、黙って窓から外を眺めている弟を、カメリアは同じ様に黙って見つめていた。背中を向けている彼の表情をうかがうことはできないが、しかし彼女には、弟がいつも浮かべている微笑を消して無表情のままでいることが判っていた。それだけの年月を二人はともにしてきた仲でもあった。 「……尻一つで帝國宰相、だそうです」 「はい」 「コンスタンス陛下の業績が、後世の史家に正当に評価されることを望みます」 そのまま黙ってしまった彼の背中が、その言葉がこの十七年にわたって続いた「内戦」に対する弟の述懐なのだとカメリアに雄弁に物語っていた。 「それは、この戦争に参加した全ての者が鬼籍に入ってからの事となりましょう」 「はい」 「それで構わないのですね? レイヒルフト」 「私は、人々を自由にしたい。人々に自由の先にある絶望を見せたい。ただそれを望むだけです」 「そして、その絶望を踏破する姿を見たい。そうですね」 「そこまでは望みません。人はそれほど強くはありませんから。出来ぬ期待をかける事は、逆に重しとなり枷となって人々を隷属させるでしょう」 弟が、時々腹違いの姉であるカメリアにだけは、こうして無表情となって語りかけることがあった。普段微笑みの下に感情を消し、その内面を表に現すことは絶対にしない彼が表情を消すのは、それ自体が彼の感情表現なのだと知ったのはいつの事であったろうか。 その切れ長の目尻をわずかに下げ、カメリアは柔らかな口調で弟へと問いかけた。 「今晩は、二人だけで過ごしませんか? レイヒルフト」 「姉上がそう望まれるのであれば」 「はい」 わずかな間をおいてから、カメリアは軍靴のかかとを打ちつけて直立不動の姿勢となり普段の軍人としての口調に戻った。 「それでは失礼いたします。陛下」 「はい。総参謀長」 今年の雪は彼女が知る限りではいつもよりも多く、屋根からの雪下ろしも頻繁にやらねばならなかった。三階建ての建物のその上に載っている屋根での雪かきである。すべって落ちれば大怪我をしかねない。実際に冬の間に一人や二人くらいは、屋根から落ちて大怪我をするのが常であった。 まずはこの数日の間に降った分の雪を建物の間に下ろし終えて、彼女は革手袋の指で額の汗をぬぐった。 「アレシア、ご苦労さま。一休みしましょ」 「はーい、おばさん」 屋根裏の窓から身を乗り出した、もう三十路も後半に入った女性にそう声をかけられて、アレシアはスコップを片手に濡れた瓦ですべらないように気をつけつつ建物の中に戻った。 「屋根の方は終わったかい?」 「はい、親方。道路の方は終わりました?」 「半分ってところさね」 「じゃ、残りはわたしがやっておきます」 「そうかい。じゃあ任せたよ」 二階の居間の暖炉には石炭がくべられていて、やかんからしゅんしゅんと湯気が吹き出している。おかみさんが三人分のお茶を淹れ、髭深い壮年の親方が食卓についてからアレシアも腰を下ろした。 「今年は麦も高いままですねえ、あんた。せっかく戦争も終わったっていうのに」 「仕方あるめえよ。戦争が終わったって、こればっかりはお天道様次第さ」 「でも、いい麦はみんな南からきたもんばっかり。北の麦は高かろう悪かろうで」 「それでも看板出せるだけのパンを焼けるだけマシよ。そうそう、そろそろアレシアにもかまどを任せてみようかと思うんだが、どうだい」 「え、いいんですか? 親方」 お茶を一服して一息ついた親方にそう言われ、アレシアはぱっと顔全体に笑みを広げた。 「ああ。お前さんのこねる生地もしっかりとしてきたからな。そろそろいいだろ」 「はい! ありがとうございます! じゃ、外の雪かき、やってきますね!」 栗色の髪をまとめてスカーフの中にたくし込むと、アレシアはスカートを翻して階段を駆け下りていった。 そんな彼女を見送った親方とおかみさんは、ふっと微笑んで息をつくと、お茶のおかわりに口をつけた。 「アレシアも、「古人」だそうだけれど、ああ見るとただの女の子ですねえ」 「いいことじゃねえか。戦争にも引っぱられずに済んで、ついてに言うならかまどにも好かれているんだ。うちの看板娘がもったいないくらいの子さ」 鼻歌を歌いながら道路の雪をかいているアレシアは、見た目の通りの女の子とは思えない早さで道路をきれいにしてゆく。この街もそこそこ古い歴史をもっていて、「帝國」の都市にふさわしく上下水道が整備されていた。側道の排水路は水が流れていて、雪解け水があふれんばかりである。アレシアは、そのそばにかいた雪を積んでゆき、陽射しで雪解け水が排水溝に流れ行くようにする。雪をそのまま流すと、そのままつまってしまうから気をつけないといけない。 「すいません、パン屋のミハウさんのお店はこちらでしょうか?」 「え? あ、はい、ここですけど、どちら様でしょう?」 突然見知らぬ男に声をかけられてアレシアは、いぶかしげな表情で相手を見返した。歳の頃はまだ二十代くらいだろうか。だが穏やかな口調と表情とは裏腹に灰色の瞳の眼光は厳しく、まとっている雰囲気も怖いものがあった。着ているコートはずいぶんとくたびれた軍用コートで、大きな背嚢を背負っている。毛皮の帽子からこぼれている髪は灰色で、顔つきからすると北のトルステンヌスあたりの出身ではないかと思えた。 「僕はヴェルキンと言います。こちらに下宿させていただく事になっている者なんですが、ミハウさんはいらっしゃいますか?」 「あ、ごめんなさい。ちょっと待って下さいね。親方! ヴェルキンさんという人が来ましたよ!?」 「おう。上がってもらってくれ。アレシア、お前さんも来い」 パン屋の入り口をあけて中に声をかけたアレシアに、店の奥にいたらしい親方が返事をよこす。 アレシアは、もう一回ヴェルキンと名乗った青年を上から下まで見て思った。彼はきっと戦争から帰ってきた兵隊に違いない。悪い人ではないのだろうけれど、怖い人なんだろうな、と。 「そうですか。ここの小学校の新しい先生と聞いておりやしたが、こんなにお若いとは思ってもおりませんでした」 「僕も恩師に紹介された時は、助教師かと思っていたんですが、正規の教師で驚きました」 ヴェルキンと名乗った青年は、温和な表情を浮かべていて、そしてとても礼儀正しかった。親方にもおかみさんにも丁寧な態度をくずそうとせず、アレシアにもきちんとした態度で接してくる。きっととても育ちの良い人なんだろうな、と、アレシアはそう思った。 「先生のような若いお人が街に戻ってくるのを見ますと、やっと戦争が終わったんだなあと実感します」 「こちらは随分と前に皇帝軍に占領されたとうかがっていましたが?」 「いや、軍夫として若いのが皆連れてゆかれましてね。おかげで残っているのは、自分のようなじじいと女子供ばかりで。オクセンシュルヌスも戦争に負けてからこのかた、さっぱりですわ」 「そうでしたか。失礼をしました。でも、そう遠くないうちに皆さんも戻ってこられるでしょう。もう戦争は終わりましたから」 お茶碗を両手で抱えてのほほんと笑っているヴェルキンの言葉の中で、戦争が終わった、という一言には随分と実感が篭っているようにアレシアには感じられた。 「お茶のおかわり、いかがです?」 「ありがとう。アレシアさん」 穏やかに微笑んで礼を言ってくるヴェルキンに、アレシアは、最初に感じた印象が薄れてゆく気がしていた。今更どこをどうみても、この青年が怖い人には思えない。 アレシアがいれたお茶をそれはおいしそうに飲むヴェルキンは、やっぱり育ちの良いtただの青年にしか見えなかった。
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Template Infobox 軍人? 乃木 希典(のぎ まれすけ、1849年12月25日(嘉永2年11月11日) - 1912年(大正元年)9月13日)は、日本の武士・長府藩士、軍人。陸軍大将従二位勲一等功一級伯爵。第10代学習院院長。贈正二位(1916年)。 「乃木大将」、「乃木将軍」などの呼称で呼ばれることも多い。 東郷平八郎とともに日露戦争の英雄とされ、「聖将」とも呼ばれた。若い頃は放蕩の限りを尽くしたが、ドイツ帝国留学において質実剛健な普魯西(プロイセン)軍人に感化され、帰国後は質素な古武士のような生活を旨とするようになったという。 乃木は他の将官と違い省部経験・政治経験がほとんどなく、軍人としての生涯の多くを軍司令官として過した。 また、明治天皇の後を追った乃木夫妻の殉死は、当時の日本国民に多大な衝撃を与えた。 山口県、栃木県、東京都、北海道など、複数の地に乃木を祀った乃木神社がある。 年譜 1849年(嘉永2年) - 現在の東京都港区に長州藩(現・山口県)の支藩である長府藩の藩士、乃木希次・寿子の長男に生まれる。現在六本木ヒルズになっている長府藩上屋敷が生誕の地。幼少期に事故により左目を失明。 1858年(安政5年)- 長府に帰郷 1865年(慶応元年)- 長府藩報国隊に入り奇兵隊に合流し幕府軍と戦う 1871年(明治4年) - 陸軍少佐に任官 1877年(明治10年) - 歩兵第14連隊長心得として西南戦争に参加。連隊旗を薩摩軍に奪われた。乃木はこれを終生忘れることはなかった。この事が後に乃木の自刃の遠因となる(軍人が旗を奪われることが意味することは軍旗を参照)。 1886年(明治19年) - 川上操六らとともにドイツに留学 1894年(明治27年) - 歩兵第1旅団長(陸軍少将)として日清戦争に出征。旅順要塞を一日で陥落させた包囲に加わった 1895年(明治28年) - 第2師団長(陸軍中将)として台湾征討に参加。 1896年(明治29年) - 台湾総督に就任 1898年(明治31年) - 台湾統治失敗の責任をとって台湾総督辞職 1899年(明治32年) - 第11師団の初代師団長(中将)に親補せられる 1904年(明治37年) - 休職中の身であったが日露戦争の開戦にともない、第三軍司令官(大将)として旅順攻撃を指揮。2児の勝典、保典が戦死する。 1907年(明治40年) - 学習院院長として皇族子弟の教育に従事。昭和天皇も厳しくしつけられたという。 1912年(大正元年) - 明治天皇大葬の9月13日夜、妻静子とともに自刃。享年62。墓所は港区青山霊園 1916年(大正5年) - 裕仁親王の立太子礼に際して、正二位を追贈される。 評価 秋月の乱・萩の乱、西南戦争 乃木は陸軍入隊後、少佐、連隊長として秋月の乱・萩の乱、つづいて西南戦争に従軍した。秋月・萩の乱では精鋭ぞろいの第一連隊を率いて士族軍をすみやかに鎮定した乃木であったが、当時最強の野戦軍とみられていた薩軍が優勢を誇る熊本戦線に送り込まれた西南戦争では、しばしば包囲されるなど苦戦をつづけた。ある時、退却の際、軍旗を持たせた兵が討たれ、軍旗が士族軍に奪われるという事件が起こった。乃木は激しく自分を責め、まるで戦死を望むかのような蛮戦をくりかえし、負傷して野戦病院に入院してすらも、たびたび脱走しては戦地に赴こうとした。退院してからも常に最前線に身を置こうとし、これを自殺願望とみた盟友・兒玉源太郎が、常に乃木を側に置き、監視するようになった。 ある日、乃木は兒玉の目を盗んで切腹を計ったが、すんでの所で取り押さえられた。説得する兒玉に対し、乃木は「軍旗は天皇陛下から給わったもの。詫びなければならない」と言って譲らない。兒玉もついに折れ「わかった。しかし切腹するときは必ず自分に知らせよ」と誓わせた。 この騒動と前後して、乃木は官軍の総指揮官であった山県有朋に待罪書を送り、厳しい処分を求めた。しかし、軍旗紛失後の奮戦も含め、自ら処罰を求めた乃木の行動はかえって潔いと好意的に受け止められ、罪は不問となり、どころか栄達の遠因にすらなった。 後に乃木が殉死した際、遺書とともにこのときの待罪書が見つかった。大将にまで上り詰めた乃木が、若き日の軍旗喪失の責任を忘れていなかったことと、その時果たせなかった切腹による引責を殉死によって遂げたことが明らかになり、その壮烈な責任感は、日本のみならず世界に大きな衝撃を与えた。それまで単なる目印・マークでしかなかった軍旗を神聖視する傾向は、この時より定着したといわれる。 一連の士族争乱は乃木にとって実に辛い戦争であった。軍旗を失うという恥辱もさることながら、秋月・萩の乱の緒戦で実弟・玉木正誼が敵対する士族軍について戦死(正誼は兄・希典に士族軍に付くよう何度も説得しており、乃木の部下の何人かが寝返ったほどであった)。さらには、師であり、青年期以降の養父的な存在でもあった玉木文之進が、士族軍に思想的な影響を与えたと追い込まれ切腹。この後、乃木の放蕩が尋常でなくなり、たびたび暴力まで振るうようになったことから、西南戦争が乃木の精神に与えた傷がいかに深かったかが知れる。乃木の度を超した放蕩は、ドイツ留学まで続いた。 日露戦争・旅順攻略戦 旅順攻略戦後にロシア側のステッセルとの間で水師営の会見が行われた。そこでの乃木の紳士的で寡黙な雰囲気は、諸外国の記者が持つ日本人観に大きな影響を与えたといわれている。乃木はステッセルらロシア軍幕僚にも帯剣を許し、従軍記者たちの再三の要求にも関わらずロシア軍との会見風景は一枚しか撮影させず、彼らの武人としての名誉を重んじた。 乃木の姿勢は世界中から賞賛され、日本の国際的地位すら向上させたことから、やがて乃木は「旅順の凡将」から、東郷平八郎とならぶ日露戦争の英雄となり、その後、長く軍人精神の具現者と見なされるようになった。 日露戦争時の乃木、特に旅順攻略戦に対する乃木の評価は識者の間だけでなく、歴史好きの人たちの間でも度々議論になっている。乃木無能論は日露戦争当時からあったが、これが一般的になったのは、やはり司馬遼太郎の『坂の上の雲』によってであろう。乃木について厳しい評価をした司馬の『坂の上の雲』発表後すぐに、乃木擁護論が発表されるなど大きな議論ともなった。 第二次世界大戦以前、乃木は彼自身の名声と軍部の情報操作もあって、軍神となったある種の信仰の対象であり、『坂の上の雲』発表当時もまだ乃木に対する評価は高かった。一方、より多くの部下を戦死させたほうが、活躍した将軍であるという偏屈な視点を、明治の日本人に植えつけたとも評され、現在も議論は続いているが平行線となっている。乃木の評価の大部分は人格的功績や軍人精神などにあり、必ずしも軍事的才能ではない事なども要因である。近年では、旅順攻囲戦の勝利や、奉天会戦での活躍など、乃木の軍事的な才能も再評価されている。 日露戦争後の乃木 戦時中は一般国民にまで戦下手と罵られた乃木であったが、水師営の会見をはじめとする、多々の徳行、高潔なふるまいにより、稀代の精神家として徐々に尊敬の対象に変化していった。諸外国メディアは乃木を日本軍人の典型として紹介し、明治日本人の地位を大きく押し上げることに一役買った。 戦後の乃木は、旅順や奉天で戦死・戦傷した部下や遺族の窮状を聞くと、密かに訪れて見舞金を渡したり、従者を送ったりした。やがてこのことはメディアの知るところになり、乃木はさらに神格化された。また、上腕切断者のために自ら設計に参加した乃木式義手を完成させ、自分の年金を担保に製作・配布した。この義手で書いたという負傷兵のお礼を述べる手紙が乃木あてに届き、乃木が感涙にむせいだという逸話も新聞にも取り上げられ、庶民の「乃木将軍」はますます大きくなり、英雄・偉人というだけでなく、ある種の信仰対象といえるまでになった。例えば、子供が好き嫌いをすると、母親が「乃木将軍が子供の頃は、嫌いなものを残すと、食べるまで何度も嫌いなものが出されたのよ」などと、乃木を引き合いに出して叱責するといった具合であった。 少年時代の石原莞爾が、興味本位で紹介状もなくいきなり乃木を訪ねた時も、乃木は喜んで家に招き入れた(石原も『乃木閣下ならば紹介状がなくても必ず会ってくれる』と確信しての訪問だから、やはり策士だろう)。日露戦争の補給線などにかかわる質問にも、地図を持ち出して丁寧に答え、暇乞いをしようとする石原に夕飯を食べてゆくよう勧めた。石原は白米の飯を出されたが「閣下と同じ物を食べたいのです」と懇願し、乃木が日露戦争時から食べていたという稗飯をせがんだ。あまりの味気なさに閉口したが、それでも完食し、乃木を感心させた。 また、乃木は明治天皇からの信望が厚く、明治天皇が後継者と期待していた裕仁親王(後の昭和天皇)の教育係として学習院院長に命じられる。幼親王も乃木を慕い、乃木も聡明な親王に陽明学を勧めた。殉死の前日、乃木は親王に自ら写本した山鹿素行の「中朝事実」と「中興鑑言」を渡し、この本がいかに素晴らしいかを説き、熟読するよう念押しした。若干10歳の親王は、乃木のただならぬ気配に、これは遺言だと気付き、思わず「閣下はどこかに行ってしまわれるのですか?」と聞いたという。昭和天皇は晩年まで、生涯で最も尊敬する人物として乃木の名を挙げ続けた。 殉死とその影響 乃木は、1912年9月13日、明治天皇大葬の夕に、妻とともに自刃して亡くなった。まず静子が乃木の介添えで胸を突き、つづいて乃木が割腹し、再び衣服を整えたうえで、自ら頚動脈と気管を切断して絶命した。遺書には、明治天皇に対する殉死であり、西南戦争時に連隊旗を奪われたことを償うための死であるむねが記されていた。このときに乃木は うつ志世を神去りましゝ大君乃みあと志たひて我はゆくなり という辞世を詠んでいる。 この事件は当時の社会にあってきわめて衝撃的にうけとめられ、結果的に死後乃木の盛名をさらに高からしめることになった。事件に対する態度は主として、 天皇に忠誠を誓う武士道的精神、軍人精神の極致として賞賛するうけとめかた 封建制の遺風による野蛮で時代遅れの行為として皮肉にとらえるうけとめかた 作戦失敗を繰り返し、多くの部下を無為に死傷させた、当然の結果といううけとめかた 古武士のような徹底した清廉な生き方を称賛するうけとめかた の4種類に区分できる。生前から(4)の受け止め方は国民の間で主流であった。事件直後は(1)(2)(3)(4)が混在していたが、やがて大正デモクラシーの影響によって(2)の立場を取る側とそれに対抗して乃木を神格化しようとする(1)の立場が主流になる。昭和初年ごろから社会全体が右傾化してゆく風潮のなかで(1)が圧倒的な勢力を得たこともあった。戦後は、陸軍悪玉論や軍人に対する嫌悪感から(3)を支持する意見と、(4)を支持する意見がある。 (1)の立場としては夏目漱石の『こころ』におけるうけとめかたがその典型である。 (2)については森鴎外の『興津弥五右衛門の遺書』、『阿部一族』などを挙げることが可能だろう(鴎外は乃木の殉死に衝撃を受けてこの作品を執筆した)。 (3)については京都帝国大学教授谷本富(とめり)、信濃毎日新聞主筆桐生悠々などが、事件直後に新聞紙上で殉死批判を展開した結果物議を醸すこととなった。 (4)については乃木夫妻の殉死後、日本各地に乃木神社が建てられたのが、代表的な例として挙げられる。 このほか、彼を題材にした文学作品に櫻井忠温の『将軍乃木』『大乃木』、司馬遼太郎の『殉死』、芥川龍之介の『将軍』、渡辺淳一の『静寂の声』などがある。 また、第三軍に従軍していた記者スタンレー・ウォシュバンは乃木の殉死を聞いて、『乃木大将と日本人(原題『Nogi』)』を著し故人を讃えた。 乃木伯爵家は成人した息子は二人とも日露戦争で戦死、長女と三男は夭折した。息子の戦死後、乃木家の戸籍に入っていた実弟集作を他家に養子として出したため嗣子がおらず、山縣有朋や寺内正毅らは養子を立てて相続させようと画策したが、乃木の遺言により廃絶している。しかし乃木夫妻の死からちょうど3年後にあたる1915年9月13日、乃木家の旧主にあたる長府藩主の後裔、毛利子爵家の次男元智が伯爵に叙爵され、姓も乃木に改めた上で新乃木伯爵家を創設したが批判の声が強く、元智は1934年に爵位を返上、姓も毛利に戻した。 漢詩 乃木希典は静堂の号を持ち漢詩をよくした。 thumb|rigtht|150px|[[唱歌に詠われた水師営の棗の木(乃木邸内)]] 金州城外の作 山川草木転(うた)た荒涼 十里風腥(なまぐさ)し新戦場 征馬前(すす)まず人語らず 金州城外斜陽に立つ 中國語: 山川草木轉荒涼 十里風腥新戰場 征馬不前人不語 金州城外立斜陽 爾霊山 爾霊山(にれいさん)は203高地の当字で、乃木のこの詩によって有名になった。 爾霊山険なれども豈に攀(よ)ぢがたからんや 男子功名克艱を期す 鉄血山を覆て山形改む 万人斉しく仰ぐ爾霊山 中國語: 爾靈山險豈難攀 男子功名期克艱 鐵血覆山山形改 萬人齊仰爾靈山 富岳を詠ず 漢詩人としての乃木の代表作。 崚曾たる富岳千秋に聳え 赫灼たる朝揮八洲を照す 説くを休めよ区区たる風物の美を 地霊人傑是れ神州 中國語: 崚曾富嶽聳千秋 赫灼朝暉照八州 休説區區風物美 地靈人傑是神州 無題 中國語: 肥馬大刀無所酬 皇恩空沿幾春秋 斗瓢傾盡醉余夢 踏破支那四百州 その他 詠梅 凱旋 富嶽 陣中の作 肉声 1910年1月31日に、九段偕行社で加藤清正300年祭に関する相談会があり、その際に乃木を含めた出席者一同が蓄音機に肉声を吹き込むという余興が行われた。その最初に吹き込まれたのが乃木の「私が乃木希典であります」という声である。1930年12月に小笠原長生の解説(相談会の出席者でもあった)を付して「乃木将軍の肉声と其憶出(乃木将軍の肉声)」として発売された。現在では昭和館で聞くことができるほか、ビクターエンタテインメントが発売している「戦中歌年鑑(1)昭和4~12年」にも収録されている。 栄典 1895年(明治28年)8月20日 男爵 1897年(明治30年)6月26日 勲一等瑞宝章 1904年(明治37年)9月21日 伯爵 1906年(明治39年)4月1日 勲一等旭日桐花大綬章 1912年(大正元年):イギリス・バス勲章 家族 妻:乃木静子(湯地お七) 子供 長男:乃木勝典 次男:乃木保典 長女:乃木恒子 三男:乃木直典 孫 子供は4人とも子を持たないまま亡くなっている為、孫はいない。 養子 元智 (参考文献:乃木希典日記) 愛馬 轟号・・・スタンダードブレッド雑種。1901年、馬匹改良のため高知県に寄贈される。種牡馬として非常に優秀な成績を収め、高知県生産馬の品質向上に貢献した。 殿号 壽号・・・旅順陥落の際ステッセル将軍より贈られた。 璞号 轟号 英号 雷号 演じた俳優 林寛 - 「明治天皇と日露大戦争」・「天皇・皇后と日清戦争」・「明治大帝と乃木将軍」 笠智衆 - 「日本海大海戦」 仲代達矢 - 「二百三高地」 参考文献 松下芳男著 『乃木希典』 新装版(吉川弘文館、1985年) 日本博学倶楽部『日露戦争・あの人の「その後」』(PHP文庫、2004年) 関連項目 Template Wikiquote? Template Commons? 宇多源氏流佐々木氏 - 乃木氏の本姓とされている。乃木家は雲州・尼子家の旧臣であり、現在の松江市浜乃木一帯が本貫の地であったとされる。 沙沙貴神社 だるまさんがころんだ - 横浜市等、「乃木さんは偉い人」と数える地区がある 外部リンク 乃木希典肖像 乃木神社 日本の苗字7000傑 姓氏類別大観 宇多源氏【7】 《野木氏》系譜 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_2008年4月9日 (水) 16 12。
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問題文 解答 補足 1838年、世界最初のオーダーシャツ専門店としてパリで創業したブランドは○○○○? ○を答えなさい シャルベ 1956年に創設されたあるファッション誌の名を冠する新人デザイナーの賞は○○賞? ○の漢字をひらがなで答えなさい そうえん 装苑 1979年から展開されているエドウィンの女性向けジーンズのブランドは○○○○○?○を答えなさい サムシング 1984年に北村信彦が設立したファッションブランドは○○○○○○グラマー? ○を答えなさい ヒステリック 1991年にデビューした中国系アメリカ人デザイナーは○○・スイ? ○を答えなさい アナ 2008年にユニクロが販売を開始し大ヒットした、ブラカップ付きの女性向けカジュアルウェアはブラ○○○? ○を答えなさい トップ 2009年秋より発売されるジル・サンダーがデザインを担当するユニクロの製品群は「+○」? ○を答えなさい J 「24フォーブル」や「カレーシュ」などの香水があるブランドは○○○○? ○を答えなさい エルメス 「JJ」「ViVi」「CanCam」などのファッション誌を創刊当時の題字の色から「○○○雑誌」という?○の漢字をひらがなで答えなさい あかもじ 赤文字 「貨物」という意味がある両脇にポケットが付いた作業用パンツは○○○・パンツ? ○を答えなさい カーゴ 「ストレート」「ウイング」などの種類がある、革靴の先端のデザインをさす言葉は○○○?○を答えなさい チップ 「谷間メイク」に重点をおいた下着メーカー・トリンプのヒット商品は「○○のブラ」? ○の漢字をひらがなで答えなさい てんし 天使 「ニットの女王」とも呼ばれるフランスのデザイナーはソニア・○○○○? ○を答えなさい リキエル 「バナリパ」と略されるカジュアルブランドはバナナ○○○○○○? ○を答えなさい リパブリック 「麦の穂」という意味があるルイ・ヴィトンの人気シリーズは○○? ○を答えなさい エピ 「モテるオヤジの作り方」をテーマとする、主婦と生活社が発行するする男性ファッション誌は「○○○○」? ○を答えなさい LEON → ですが その姉妹誌に当たる、30代女性をターゲットとしたファッション雑誌は「○○○○○○」? ○を答えなさい NIKITA イギリスの軍隊が使う連隊旗に由来する斜めの縞柄のネクタイは○○○○○○タイ? ○を答えなさい レジメンタル イタリアのブランド「D&G」の読み方はドルチェ&○○○○○? ○を答えなさい ガッバーナ 後ろが高く前が低い衿腰のサラリーマンに愛用されるコートは「○○○カラー・コート」? ○を答えなさい ステン カジュアルのアイテム ネルシャツの「ネル」とは○○○○○の略? ○を答えなさい フランネル 髪を留めたり、腕に巻いたりするこの女性の装飾具を何という? シュシュ くさび型のかかとが特徴の厚底の女性用の靴を「○○○○ソール」という? ○を答えなさい ウェッジ ジーンズやスラックスなどで股上が浅いデザインのことを○○○○○という? ○を答えなさい ローライズ シャネルの香水で、試作品番号から命名され、1921年に発表されたのは「N°○」? ○を答えなさい 5 → ですが ココ・シャネルの誕生日から命名され、1970年に発表されたのは「N°○○」? ○を答えなさい 19 女子高生の間で大人気の周囲にLEDライトが付けられた持ち運びできる鏡は○○ミラー? ○の漢字をひらがなで答えなさい じょゆう 女優 女性向けのファッション雑誌で「non・no」を発行している出版社といえば○○社? ○の漢字をひらがなで答えなさい しゅうえい 集英社 → ですが 「CanCam」を発行している出版社といえば○○館? ○の漢字をひらがなで答えなさい しょうがく 小学館 スコティッシュデリアがシンボルマークの、1974年にパリで誕生したアクセサリーのブランドは『○○○』? ○を答えなさい アガタ AGATHA 正式礼装の時に男性がかぶる円筒状でへりが付いた絹製の帽子は○○○ハット? ○を答えなさい シルク → ですが アメリカの宇宙飛行士が着用したことからその名前がある野球帽に似た帽子は○○○キャップ? ○を答えなさい アポロ 世界的ブランドの生みの親であるフランス人女性ココ・シャネルのファーストネームは○○○○○? ○を答えなさい ガブリエル 第一次世界大戦の際イギリス兵が塹壕で着たことからその名がついたのは○○○○コート? トレンチ 中国から輸入した生地を使ったことからその名がついたパンツは○○パン? ○を答えなさい チノ 釣鐘に似ていることから名前がついた、裾に向かって広がってゆくズボン呼び名は○○ボトム? ○を答えなさい ベル 中に入るとされる水の量から名前がついた、カウボーイがかぶる帽子は○○○○○ハット? ○を答えなさい テンガロン パーマをかけるときに髪を巻きつける棒状の道具は「カーリング○○○」? ○を答えなさい ロッド 履きやすいよう左右の一部分がゴムになっている、ブーツのデザインをサイド○○という? ○を答えなさい ゴア ヒップのパンティラインが出ないことから若者の間で人気が高い後ろが尻に切れ込んだショーツは○バック? ○を答えなさい T → ですが 自然な尻の形を演出することが出来るという、尻の部分に円い穴が空いたショーツは○バック? ○を答えなさい O ファッションブランドや香水などで、男性向けの商品を意味するフランス語は「○○」? ○を答えなさい オム → ですが 女性向けの商品を意味するフランス語は「○○○」? ○を答えなさい ファム ファッション用語でヒョウ柄のことを「○○○○○」という? ○を答えなさい レオパード → といいますが、ヘビ柄のことは「○○○○」という? ○を答えなさい パイソン 服飾メーカーが、ブランドを浸透させるため一等地に設ける店舗を軍艦に例えて「○○店」という? ○の漢字をひらがなで答えなさい きかん 旗艦店 → といいますが 大都市の目抜き通りに構えた専門店を「○○店」という? ○の漢字をひらがなで答えなさい ろめん 路面店 冬と春の間の時期に出回る洋服のことを、ある植物を使って特に「○春物」という? ○の漢字をひらがなで答えなさい うめ 梅 古着屋などが若者に人気のスポットで、「ウラハラ」といえば「裏○○」のこと?○の漢字をひらがなで答えなさい はらじゅく 原宿 → ですが 「ウラカシ」といえば「裏○」のこと? ○の漢字をひらがなで答えなさい かしわ 柏 保温効果で人気の機能性肌着でユニクロが製造・販売するのは「ヒート○○○」? ○を答えなさい テック → ですが イオングループが製造・販売するのは「ヒート○○○○」? ○を答えなさい ファクト 若者のファッションでベストやチョッキのことをフランス語で○○という? ○を答えなさい ジレ
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切り取ってきたので、全部ではありません。 戦地なのにちょっとのんきで反省していたりもしてw それでも、ここを書かないと駄目っつーか ここを書きたかったんじゃね? みたいな。 というわけで、全部を貼りつつあるので、 その部分を。 ルキアニスは、文章行李を携えて、連隊陣地を歩いた。 連隊ほどの部隊が、陣地を作る場所は、かなり選ばねば、得られない。敵地にそれを求めるのは、たやすくない。すでに敵が占めているか、敵の罠か、あるいは敵に手当てするゆとりがないか、だ。 だから連隊は、敵の思惑より早く動き、敵の思惑を打ち破る力を備えなければならない。臨機襲撃を撃退し、反す刀でこれを打ち破り、敵から目と鑓先の両方を奪い取らねばならない。何度もそう示され、そうするために、あれをせよ、これをせよ、と求められてきた。 丘を盾に陣を敷き、内側へ向かう経路は封じ、そして乗り手は機側で備え、休みあるいは機体を手当てする。 そして連隊本部は、陣地の中心の丘に作られている。連隊本部幕舎の前には、装填した銃を手に、従士が警護する。背後には、連隊旗警護小隊の機装甲が二機、片膝をついて傅いている。 幕舎の入り口をくぐると、すぐに声をかけられた。 「アモニス上騎、どうされましたか」 連隊本部なのに誰もがルキアニスを見知っているようで、居心地が悪い。 振り向くと、連隊先任のマキス従士長だった。黒髪と黒い瞳、それに頬から顎にかけて、黒い髭を蓄えている。たたき上げの本物の兵隊は、戦地でもいつもと何も変わらない。ルキアニスは応えた。 「中隊本部からのお使いです。中隊文章を届けに来ただけです」 「お使いですか」 彼もまた、その言いようが可笑しいらしい。口元に笑みが浮かぶ。 連隊先任従士長といえば、連隊の従士を束ねる役の人だ。ずっと兵隊をやってきた、本物だ。階級の上では、騎士であるルキアニスのほうが上であるけれど、それは内戦のときに作られた学校上がりだからに過ぎない。すぐに失われる少壮騎士を補うための学校だったからだ。 だからマキス従士長のような人が、ルキアニスのほうが階級が上だからと示す敬意も、ひどく居心地の悪いことに思えた。 マキス連隊先任従士長は、従士書記に文章行李の授受の手続きをさせながら言った。 「連隊長にはお会いになりましたか?」 ルキアニスはかぶりを振った。かぶりを振ってから、それは騎士らしくない返事の仕方だと思い、あわてていいえ、と声に出して応じる。 「連隊長は何か仰っていましたか」 「何かということはありません。ただ、気に留めておいでのようでしたよ」 「はい……」 やはり連隊の初陣で、唯一の破損機というのは、看板に泥を塗ったような気がする。 「連隊長はすぐに戻られます」 マキス先任従士長は言った。 「いいえ」 ルキアニスはあわててかぶりを振った。 「その前に帰ります。お使いの用事は済んだし、ぼくから、もとい、わたしから連隊長へ御用事なんて無いですし……」 マキス先任従士長は楽しげにルキアニスを見ている。 「連隊長は、連隊本部に」 警衛騎士の声がする。 ルキアニスは慌てた。 幕舎の入り口が開かれ、搭乗服に軍装の上着をつけただけのシルディール連隊長が姿を見せる。戦地では、指揮官への敬礼は禁じられている。誰が指揮官だか敵にもわかってしまうからだ。なのにここでは、誰が指揮官であるのか一目でわかってしまう。 連隊長のいるところは、いつも連隊長のための場へと塗り替えられてゆく。常の報告のために集まる幕僚たちは、舞踏会の主客に挨拶に訪れる貴人たちのようだ。そして連隊長は、それらを優雅にあしらう。誰と踊るか決められるのは、連隊長だけなのだ。 報告に耳を傾け、了承していた連隊長は、ふとルキアニスを見た。 かすかにうなずいたように見えたのは、何の合図だったのだろう。 「アモニス上騎、こちらへどうぞ」 やっと帰れる、と思ったルキアニスが甘かった。 マキス先任従士長は笑顔で軽く手を上げて制し、そしてルキアニスを幕舎の奥へと押しやる。 「……あの」 けれどマキス先任従士長は、笑顔で軽く指を上げて見せ、連隊幕舎の奥へとルキアニスを押しやってゆく。 入り口の幕をめくり、ルキアニスをおしやりながら、マキス先任従士長は、振り返る。 「従兵、ここへ」 そこは、連隊長が一休みするためのところだ。折りたたみ卓があり、折りたたみ椅子があり、一番奥にはルキアニスたちが使うのと同じ、折りたたみ寝台がある。 連隊長も、同じものを使うんだ、と思う間に、マキス先任はルキアニスを折りたたみ椅子の一つへと座らせる。それから現れた連隊長従兵へ命じる。 「アモニス上騎にお茶を出して差し上げろ。連隊長がお会いになる」 「わかりました」 「先任……」 座らせられた椅子から見上げるルキアニスへ マキス先任従士長は笑みを見せる。 「連隊で、先任従士長に抗っても無駄ですよ」 「そんな……」 「大丈夫、悪いようにはなりません」 お茶が運ばれてきたら、逃げようも無い。 ルキアニスは息をついた。 一つ、良かったな、と思ったことは、そのお茶が中隊本部のものよりも、ずっとずっとおいしかったことだ。 それから、そっと中を見回す。シルディール連隊長の私室に呼ばれたようで、胸が鳴っていた。 しかしここは本当の意味での私室ではない。休みをとり、着替え、あるいは形だけでも身を清めるところだ。行動中の連隊長に、本当のわたくしごとなど無いに等しい。わずかな時を割いて、事の狭間に行う、そのための場だ。 折りたたみ寝台の脇に、折りたたみの可搬棚があり、そこには小瓶が乗っている。香り水だと思った。きちんと折りたたまれた拭い布もだ。そういえばここだけは、土と埃の匂いだけでなく、甘やかな香りがする。 何もかもが素敵だと思った。 目を閉じてみる。 「どうかされましたか、アモニス上騎」 思わず跳ねた。 振り返ると、そこにはシルディール連隊長がいる。笑みはいつものようだ。 「お、お疲れ様です、連隊長」 あとに言葉が続かない。だから思いついたことを言った。 「良い、香りだな、と思って……」 「弟が見つけてくれたのです」 「良い、弟さんですね……」 連隊長は、口元に手を寄せて、楽しげに笑う 「ええ、アドニスにはそう伝えておきましょう」 「アドニスって、アドニス殿下……」 「世間ではそう呼ばれますが、わたしにとっては親族の一人です。私自身は、庶子にすぎませんが」 シルディール連隊長は、中を横切り、上着を脱いで衣文掛けへとかける。身に着けているのは、薄手の搭乗服だけだ。それは彼女が、ほんの少し前まで、機装甲に乗っていたのだ。そうでなければ、馬に乗る。第十三連隊は気づけばそんな部隊になっていた。 すぐに連隊長のためのお茶を、従兵が運んでくる。もちろん、従兵だって、連隊本部と共に移動し、連隊本部のもろもろを乗せた馬車と共に駆け回るのだ。西方駐屯地にいたころはたぶん、もうすこしのんびりしていた。 連隊長は、従兵に軽く礼を言い、それから席につく。 「すみません、連隊の大事な初陣だったのに」 シルディール連隊長は、なぜか楽しげな笑みを見せる。 「失錯を犯したという自覚があるのなら、正せば良いということになりますね」 「……わかりません」 「と、いうと?」 「マルク……もとい、レオニダス上騎に警告されるまで、気づきませんでした。気づいたときには、敵の砲は発射位置にまで押し出されていて、撃たれていました。そしたら、頭、真っ白になってしまって……」 連隊長は、いつもの笑みを浮かべて茶の器を傾ける。 けれど、卓に置かれたもう一方の手の、その人差し指は、かすかにだけれど、卓を打った。二度。 「怖れは誰でも感じるものです。軍人なら、乗り越えてもらわねばなりません」 「全然怖くありませんでした」 ルキアニスは慌ててかぶりを振る。 どう言えばいいのだろう、どう話せば判ってくれるだろう。ひどく胸が打つ。強く握った手の一方をぎゅっと胸に押し付ける。 「……だって、あの力では、あたしを傷つけることも、倒すこともできないって、わかっていました。判っていた。だから、すごく、嫌だった。あたし、怒ってた。お気に入りの服に、唾かけられたみたいに思った。あたし、そんな風に怒ったの、初めて。前の戦のときだって、あたし、怒ったりはしなかったもの……」 はっとして顔を上げた。 「……あ、あの、すみません。あたし……もとい、わたしは、変なことを言いました」 シルディール連隊長は、いつものような静かな笑みの顔だった。 「ええ、普段なら聞かせてくれないようなことでした」 「す、すみません……でも、怖くなかったのは本当です」 けれどルキアニスは連隊長から瞳を逸らし、うつむく。 「あれって、連隊長の仰った、怖れを乗り越えるってことなのかな、と思って……」 「そうかもしれません」 ふと見ると、連隊長の面は、先のように厳しさを潜めていなかった。いや、厳しい面など見せただろうか。連隊長の顔を、じっと見つめても、いまはわからない。そのように思い込んだだけなのかもしれない。ルキアニスだけかもしれない。それが証拠に、シルディール連隊長はいつものような、笑みを浮かべている。 「大事にならず、幸いでした。あなたは、自身で思うよりも、連隊にとって重要な役を果たしているのです」 「……はい」 「それを知っていてほしいと思います。そして、その任に、自ら応えてほしい、と」 「はい」 「引き止めてしまいましたね。アモニス上騎」 「いいえ」 ルキアニスは立ち上がった。 「アモニス上級騎士、部署へもどります」 左胸に拳をあてる敬礼に、連隊長は立ち上がって答礼をしてくれた。 だから、帰りの道は体が軽かった。 一人だったら、きっと跳ねあるいてしまっただろう。
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帝国軍編成 こちらも:帝國軍序列 こちらも:機装甲 帝國はケイロニウス一門を皇統と仰ぐ三〇余りの一門によって構成される封建制国家です。ケイロニウス一門を中核とする十数の一門が存在する帝國中央と、三から五の一門が置かれている東西南北の辺境領、そして東方の魔族自治領エドキナ大公領によって構成されています。 「内戦」前は、各辺境候が皇帝から委任された動員権、指揮権を行使してその辺境内の帝國諸侯らで軍勢を編成し、軍事的脅威に対処していました。そのため、各辺境候の政治力如何によって動員できる兵力は一定せず、「帝國」の安全保障上の不安定要因となっていました。これを補完するため、皇帝は直属の近衛軍を常備軍として組織しており、各辺境軍で対処しきれない安全保障上の問題が発生すると、近衛軍や各辺境から動員した軍勢を派遣して事態を解決しています。 「内戦」後は、各一門の特権や各辺境候の権限は縮小される傾向にあり、その代替として統帥権を皇帝に一元化した常備軍である帝國軍が設置されることになりました。 帝國軍は、帝國臣民からの志願兵によって編成される東方辺境軍を母体としており、これまでの封建諸侯から召集された軍勢とは違って動員可能兵力があらかじめ把握できている常備軍です。帝國軍の最高司令官は皇帝であり、その下に皇帝の諮問を受けて「帝國」の安全保障に関して助言を行う軍事参議会が置かれています。帝國軍に対する命令権者は皇帝であり、皇帝の命令を受けて軍が動員編成され、作戦が実行されることになります。 帝國軍最高司令官である皇帝が帝國軍を指揮するために、帝國軍総司令部が設置されています。帝國軍総司令部は、動員、運用、兵站それぞれについて計画を策定し、軍事情報を収集し、参謀将校を教育する参謀本部と、各兵科について運用研究、兵員教育、装備開発等を担当し、帝國軍の錬度を常にある一定以上に保つための査閲総監部と、事務一般その他を担当する事務局が置かれています。この他に、帝國軍の人事と予算については、「帝國」の行政権を預かる執政府の中に軍務省が設置されており、軍務担当執政官が軍政を担当し皇帝を輔弼することになっています。 帝國軍最高司令部の下には、東部軍、南部軍、北部軍、中央軍、とエドキナ大公領駐留軍、西方辺境軍、近衛軍が指揮下に置かれています。西方辺境軍以外の各軍には、1個以上の軍団と混成旅団で編成されており、戦時には各軍団の衛戍地に予備軍団が編成され、人員器材の補充を担当することになっています。また近衛軍団は常に皇帝の御座所を守護する事が任務となっていますので、近衛軍団から抽出された部隊によって親衛軍団が編成され、この部隊が出征することになります。 帝國暦1094年現在では、帝國軍の現役軍団は、近衛、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第11、第12の9個軍団が存在します。 各軍司令部の指揮下に置かれている軍団は以下の通りとなります。 近衛軍:近衛軍団 中央軍:第1、第4、第5、第6 東部軍:第3 南部軍:第11 北部軍:第12 エドキナ大公駐留軍:第2 これらの正規軍団の他に、国境警備や主要都市の防備を担当する混成旅団が多数存在します。 帝國暦1094年現在で中央軍のみ配属軍団数が多いのは、「内戦」によって人員器材の損耗が激しく、全ての部隊を定数を満たすことができないためです。そのため戦時には、各軍の指揮下に中央から軍団を配属して対応する様に運用計画が策定されています。 また西方辺境軍は、「内戦」中は一貫して時の皇帝の側に立ち続けたため戦前と変わらぬ権限と特権を保持し続けており、かなりの独立性を保ち続けています。そのため帝國暦1094年秋から勃発したトイトブルグ干渉戦争では、トイトブルグ王国派遣軍は国境を隣接する西方辺境から動員編成された部隊が派遣されていましたが、膠着した戦況の打開のために帝國軍総司令部が指揮をとることとなり、中央軍より第5軍団、近衛軍より独立第21混成旅団が増援として派遣され、司令官も帝國軍総司令部が派遣したサウル・カダフ将軍が任命され、指揮権を掌握しています。 この帝國軍の編成は、帝國暦1095年末のオスミナ王国との紛争における北方辺境諸侯軍の敗戦が契機となって変更が加えられる事となりました。 この時の編成の変更は、帝國諸侯の有していた交戦権の皇帝への返上と、それにともなっての西方辺境軍の解体、そして軍団の新設と再配置でした。新しく編成されることになったのは、北方辺境東部を衛戍地とする第7軍団と、エドキナ大公領北部を衛戍地とする第8軍団の2個軍団でした。また、中央軍より第5軍団が新設された西部軍指揮下に置かれる事となって西方辺境に移動し、北部軍指揮下の第12軍団が衛戍地を北方辺境西部に変更されたため、各部隊が駐屯地を移動しています。 さらに、帝國軍の動員兵站業務はこれまで各軍司令部が担当していましたが、その一元化のため帝國軍総司令部の下に近衛総軍が設置され、動員編成業務を担当する事になりました。 この結果、帝國暦1097年現在では、各軍司令部の指揮下に配属されている軍団は以下の通りとなりました。 近衛軍:近衛軍団 中央軍:第1、第4、第6 東部軍:第3 西部軍:第5 南部軍:第11 北部軍:第7、第12 エドキナ大公駐留軍:第2、第8 また、この時の編成変更のにあたって第1、第6、第7、第8の4個軍団は、機卒機装甲数を増強した機甲軍団に編成変更が行われています。 帝國軍の戦略単位である兵団は、軍団と旅団です。このため各軍団と旅団は、できる限り同一の編成となるように編制が定められています。戦時における軍団と旅団の編成は帝國暦1096年現在で下記の通りです。また下記の部隊の他にも、軍から配属される部隊によって増強される場合もあります。 軍団司令部 歩兵旅団x3(旅団司令部、戦列歩兵連隊x3) 騎兵旅団x1(旅団司令部、剽騎兵連隊x3 騎馬猟兵連隊x1) 機甲兵旅団x1(旅団司令部、戦列機甲兵連隊x3 剽機甲兵連隊x1) 野砲兵連隊x1(連隊本部、重野砲大隊x3、軽野砲大隊x3) 工兵連隊x1(連隊本部、工兵中隊x4、器材大隊x1) 輜重兵連隊x1(連隊本部、弾薬大隊、糧食大隊、材料大隊、野戦倉庫) 整備廠 武器廠 馬匹廠 野戦病院x4 また各軍団司令官、旅団司令官は、軍旗警護及び司令部予備として、隷下部隊から兵員器材を選抜して連隊、乃至は大隊規模の部隊を手元に置く事が許されています。これらの選抜部隊は軍団もしくは旅団で最も精鋭なる部隊とみなされ、給与その他の面で特別に手当てが行われます。ちなみに帝國軍で最精鋭とされる部隊は、近衛選抜混成旅団、通称「近衛騎士団」とみなされています。独立近衛第901重機甲兵大隊が配属されているのがこの近衛選抜混成旅団です。 戦時には各軍団は隷下各歩兵旅団を中核として混成旅団を編成し、これを戦略単位として運用します。また支隊として軍団から分派される場合、騎兵連隊乃至大隊、その他の部隊が配属される事になります。 軍団隷下混成旅団の編成は、支隊編成の場合は以下の通りです。 旅団司令部 選抜歩兵大隊(本部、選抜擲弾兵中隊x1、選抜猟兵中隊x1、段列) 戦列歩兵連隊x3(本部、擲弾兵中隊x1、戦列歩兵中隊x4、段列) 剽騎兵連隊x1(本部、剽騎兵中隊x4、剽機装甲中隊x1 段列) 戦列機甲兵連隊x1(本部、戦列機装甲中隊x4、段列) 重野砲大隊乃至軽野砲大隊x1(本部、砲兵中隊x2、段列) 工兵大隊x1(本部、工兵中隊、器材中隊、段列) 輜重大隊x1(本部、弾薬縦列、糧食縦列、材料縦列、野戦倉庫) 整備分廠 武器分廠 馬匹分廠 野戦病院 ただし、国境守備や主要都市防備を担当する混成旅団は、上記の編成とはまた別のものとなります。 近衛軍団は、「帝都」近郊に駐屯し「帝都」防衛と皇帝警護を主任務とする部隊です。また皇帝親征の際には、皇帝及び欽旗警護のために軍団規模の部隊を編成し派出することになります。そのため平時から一般の軍団の倍以上の規模を有しており、戦時には最大2個軍団規模の部隊を派出する事が可能となっています。 ――――― ・機甲軍団(研究中) 機装甲の戦列運用のみならず、悌団攻撃による積極的な突破運用の可能性が、時系列の未来に研究される(予定) これは、軍団レベルでの編成、運用を前提としたものである。 全結節で、砲兵が建制で配属され、突破口を開拓を支援する。 軍団司令部 機甲兵旅団 2個(戦列機甲兵連隊3個) 歩兵旅団 2個(戦列歩兵連隊3個) 機甲騎兵旅団 1個(剽機甲兵連隊1個 騎馬猟兵連隊1個 剽騎兵連隊2個) 砲兵旅団 1個(野砲連隊2個 擲射砲連隊1個) 工兵旅団 1個(工兵連隊2個) 輜重兵旅団 1個 その他独立部隊多数 以上の部隊で、機甲兵旅団 1個と歩兵旅団 1個、野砲連隊 1個、工兵連隊 1個、輜重兵連隊 1個、その他の部隊で編成された師団を2個編成し、交互躍進や、超越攻撃を行い得る運用の柔軟性を確保する事を目的とする。 また師団は、状況によって戦列機甲兵連隊1個、戦列歩兵連隊1個、野砲兵大隊1個、工兵中隊1個、その他の部隊で編成された旅団を編成し、支隊として師団の作戦運用を容易ならしめるため分派する事もあり得る。 この時、機甲騎兵旅団(剽機甲兵連隊 1個、騎馬猟兵連隊1個、騎砲兵大隊1個、その他)は、軍団前方に哨戒線及び警戒線を構築し、敵情の蒐集と軍団主力の行動の秘匿を図るものとされる。 この時、剽騎兵連隊は、旅団主力前方において哨戒線を構築し、旅団の活動を容易ならしめる。また軍団から支隊が分派される場合、これの哨戒線及び警戒線の構築を支援するため、連隊、乃至、中隊規模の剽騎兵と剽機装甲の混成部隊が分派される事になる。 戦列機甲兵連隊 本部、戦列機装甲中隊(「青の三」を本部+3個小隊で25機)を4個、段列 本部の機装甲は、連隊長、連隊先任士官、副官、連隊旗手、連隊旗護衛小隊7機 中隊は25機 小隊は7機 「青の三」合計111機 段列の機卒が1個中隊、5個小隊、38台 1個小隊7機 小隊長 上級騎士2名(3名)、平騎士4名(6名) 中隊本部 中隊長、先任騎士、副官、中隊旗手 中隊長の階級は騎士長です。 騎士長、先任騎士、小隊長x3、上級騎士x9、平騎士x18くらいが普通の中隊の騎士の構成です。 連戦する時には、騎士の入れ替えをして、疲労で騎士がぶっ倒れないように気をつけるのですね。 5機3列で長柄鑓で密集隊形を組んで、その両脇に長斧(バルディッシュ)を装備した中隊長と先任騎士の機体がついて、左右から命令を下します。 ちなみに小隊が7機なのは、稼動率から考えて実際に戦場では5機くらいにまで落ちるのを見越してだったりします。ちなみに、搭乗員そのものは10名くらいいます。機体よりも人体の方がやわで、一回故障したら修理に時間がかかりますから(修理言うな という訳で、中隊長は騎士長=キャプテンなわけです。騎士隊長はカーネルですねい。なので、小隊長というのは、指揮継承順位の上から中隊長が指名する上級騎士です。 ちなみに、機装甲は基本的に将校相当官のみが搭乗できるので、下士官相当官の従士は機卒までしか乗れません。 戦列機装甲「青の三」は、戦列を組んで、長柄鑓で敵を攻撃する打撃部隊です。 機卒は、補修や整備部品、その他を引っ担いでゆき、各坐した「青の三」を回収したり、整備したり陣地構築や、その他工兵作業も行う、後方支援部隊です。 青の三1個中隊と本部に、1個班づつの機卒を有する整備班がつくことになっております。 1個整備班は、機卒7機と整備兵その他で約70名から100名くらいです。 一応「青の三」は、野整備では1日の整備量は行軍時間x2マンアワーとされています。ただ、行軍途中の小休止でちょこちょこチェックして整備する事で、マンアワーと半分に減らせます。 整備士は機付き整備従士が整備兵卒3名と搭乗騎士と一緒に、行軍後2時間も整備すれば、よほどの事が無い限りは故障脱落はしなかったりします。 段列 本部、5個整備班、糧食班、その他で編成され、規模は500人から700人となります。 段列の長は、連隊副官で、庶務一般も担当しております。従士や兵卒の管理は、先任従士長の仕事で、騎士の管理は連隊副官の仕事です。 なお、連隊には幕僚として教育・運用担当士官が付きます。で、副官や先任従士長の代わりに教育・運用担当士官が機装甲に搭乗して連隊長の指揮を補佐する事も多いです。というか、そっちの方が多いくらいです。 まあ、機装甲は戦車で、機卒は装軌式支援車両ですから。ただ、機装甲をそんなに数揃えられる国は普通は無くて、大抵の場合、機卒が戦列を組んで、機装甲、特に重機装甲をパイクや投石紐で支援するのが、これまでの普通の戦闘方法でした。アル・カディア王国での戦争でアル・ディオラシス王国軍と戦った時のように、機卒が方陣を組んで殴りあうのが「帝國」以外での一般的な戦い方です。 機卒を完全に支援用に限定し、それだけの能力しか与えず、ひたすら数を作る事に特化させたのは、副帝レイヒルフトであったりします。まあ、それを言うならば、青の三もT34/76かM4シャーマンみたいな、大量生産前提の機体なのですが。 剽機甲兵連隊 本部、剽機装甲3個中隊、段列 本部には、連隊長、連隊先任士官、副官、連隊旗手用の剽機装甲(緑の三、もしくは緑の五)が4機と、軍旗警護小隊の剽機装甲5機が配備されます。 剽機装甲中隊には、剽機装甲(緑の三、もしくは緑の五)が本部2機、3個小隊(各5機編成)15機の合計17機が配備されます。 黒の二の大隊 本部、機装甲2個中隊、段列 7個小隊21機 1個中隊が9機 大隊長及び副大隊長は騎士隊長、中隊長と小隊長は騎士長、平騎士はおらず、騎士長や上級騎士がほとんどで、先任の騎士長が小隊長や中隊長を務めています。 戦列歩兵連隊 本部、 戦列歩兵中隊4個、擲弾兵中隊1個、段列 各中隊は100名の小隊2個で 戦列歩兵中隊は銃兵小隊と長柄鑓兵小隊、擲弾兵中隊は擲弾兵小隊と猟兵(狙撃兵)小隊 人員は約1200~1500名というところです。 砲兵連隊 本部、 野砲大隊が6個、 段列 各砲兵大隊は、重野砲大隊が4個小隊8門編成。軽野砲大隊が2個中隊6個小隊12門編成。 火砲は重野砲が青銅製の12ポンド野砲、軽野砲が6ポンド野砲。 軍直轄砲兵旅団 野砲兵連隊が2~3個(12~32ポンド青銅砲48~96門) 攻城砲兵連隊が1個(8インチ臼砲24門/炸裂弾射撃用) 段列、その他 通常の砲兵の運用は、歩兵旅団に軍団砲兵連隊から12ポンド砲装備の重野砲大隊1~2個、6ポンド砲装備の軽野砲大隊1~2個が配属されて旅団砲兵群を編成し、砲兵連隊長乃至副連隊長が砲兵群を指揮します。 各砲兵大隊は、歩兵旅団の前面、敵戦列から約800~2000米の距離に砲列を布置し、敵戦列に突破のための穴を開けます。 ただし、軍団長の判断によっては12ポンド野砲大隊が配属されない事があります。 通常の行軍は8時間です。ただ、1時間ごとに小休止が入るので、その間に騎士と機付き整備長がチェックして、問題が出たら行軍路から離れて修理に入るので。 というわけで、基本的に配属された先の部隊の足にあわせた距離が行軍距離となります。 歩兵で24~30km、騎兵で40~60kmというところですか。黒の二は、なので整備班の規模も三倍になります。 帝國軍の軍団 平時の軍団は欠編成で定数を満たしていない部隊が大半です。 戦列歩兵旅団2個から3個 旅団 各歩兵3個連隊・15個中隊 歩兵旅団と同じ数だけの戦列機甲兵連隊を有する、機甲兵旅団1個。 同じく歩兵旅団と同じ数だけの軽機兵連隊(騎銃と軍刀装備)を有する、騎兵旅団1個 工兵連隊、砲兵連隊、輜重兵連隊、野戦病院、馬匹廠、武器廠、等で編成されます。 甲編成軍団(第2、第3) 歩兵旅団三(歩兵連隊 計九) 機装甲旅団一(機装甲連隊三) 騎兵旅団一(軽騎兵連隊三) 工兵連隊、砲兵連隊、輜重兵連隊、野戦病院、馬匹廠、武器廠、等 乙編成軍団(第1、第4、第5、第6) 歩兵旅団二(歩兵連隊 計六) 機装甲旅団一(機装甲連隊二) 騎兵旅団一(軽騎兵連隊二 工兵連隊、砲兵連隊、輜重兵連隊、野戦病院、馬匹廠、武器廠、等 親衛軍団だけは、工兵、砲兵、輜重兵が旅団になり、戦列歩兵旅団も3個が建制で配備され、 各旅団の連隊も、3個連隊での編成が基本となります。 なお、近衛軍団は、新兵器の実験部隊、親衛軍団を編成する時の人員装備の供出、上級士官=騎士の教育=自営業における久留米の幹部学校、皇居の警備を担当します。 すみちゃんのお話の親衛軍団が第二だったのは、第一に相当するのが近衛軍団だからなのですねい。 また、諸侯軍を中核に編成される混成旅団が各軍管区に配置され、正規軍団到着まで防衛を担当する事になります。混成旅団の編成は各地域ごとに地形や募兵状況によって変化し、同じ編成のものはまずありません。 ただし第11、第12軍団は、諸侯軍を中核に編成されますが、正規軍団と同様の機動運用を前提としています。しかし、編成は正規軍団とは異なり、混成旅団複数個に正規軍団の直轄部隊を増強したような編成となります。