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白と黒(しろとくろ) 愛しすぎると、人は、悪魔になる。 理性と情熱、倫理と欲望、誠実と嘘、善と悪。 自分を律して正しい道を歩もうとする兄と、情熱を貫いて人を踏みにじることをいとわない弟。このドラマは、対照的な生き方をする兄弟二人と出会い、二人の狭間で死を願うほどの愛を見つめていくヒロイン・礼子の物語です。 神室礼子(西原亜希)は、誠実で理想家の桐生章吾(小林且弥)からプロポーズされた日、親友で、章吾の幼なじみでもある秋元一葉(大村彩子)の運転する車で事故にあいます。 意識を取り戻した礼子が目にしたのは、死の危機に瀕した礼子を事故の現場に置き去りにする一葉の姿でした。一葉は何を願ったのでしょうか。 世のために尽くす高潔な研究姿勢で名高い桐生創薬研究所に入所し、章吾と、その父であり、尊敬する和臣(山本 圭)に迎えられる新しい生活。温かく誠実な人々に囲まれる中で、一葉を看護に呼びながらも、どうしようもなく一葉を疑う礼子。 やがて思い悩む礼子の前に、家を出ていた章吾の弟、聖人(佐藤智仁)が現れます。章吾とまるで違い、享楽的な生き方をする聖人は、人の心には神と悪魔が棲むと呟き、礼子に協力を申し出ます。 ところが、章吾への愛を求めながらも真相を知るべきだという心の声に急き立てられる礼子は、いつしか章吾の善性を破壊していく聖人に魅かれはじめていくのです。 愛は美しく、優しく、温かいもの。愛は醜く、残酷で、過酷なもの。 愛は多くの実りを与えてくれるものに違いありません。一方で、愛にはすべてを奪い、滅ぼす危うさもあります。それはときに人の死を願うほどの激しさをともなうかも知れません。 対照的な章吾と聖人、その狭間に立ち、死を願うほどの愛を見つめていく礼子の姿を通して、愛とともに生きる人の切なさと美しさを描きます。 【脚本】坂上かつえ(鬼貫警部シリーズ、検事・霞夕子シリーズ)、岡崎由紀子(彼と彼女の事情、津軽海峡ミステリー航路3)、遠藤彩見 【プロデューサー】風岡大(東海テレビ)浦井孝行(国際放映)河角直樹(国際放映) 【演出】奥村正彦、村松弘之、堀口明洋 【変な歌】砂川恵理歌「ひかり」(よしもとアール・アンド・シー) 【キャスト】西原亜希…神室礼子 佐藤智仁…桐生聖人 小林且弥…桐生章吾 大村彩子…秋葉一葉 伊佐山ひろ子…鈴木路子 仲本工事…篠塚 桂亜沙美…サリナ 久ヶ沢徹…中村秀則 水口珠江…斉川あい 白倉裕二…小林透 小柳ルミ子…大貫彩乃 山本圭…桐生和臣 ほか 公式サイト 東海テレビ フジテレビ 実況スレ 白と黒 その1 誰も寝てはならぬ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1214784756/ 白と黒 その2 眉毛バボーン車もバボーン、せず… http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1214869961/ 白と黒 その3 眉毛付き臭い付き使用済タオル http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1215045692/ 白と黒 その4 注・番組の背景はハメコミ画面です http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1215391198/ 白と黒 その5 夢見るギャレン☆キラッ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1215492777/ 白と黒 その6 土蔵の中に小梅太夫(*1))ガ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1215738753/ 白と黒 その7 手紙は読んだら捨てずに食べろ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1216095253/ 白と黒 その8 聖人はデスノートを手に入れた http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1216268768/ 白と黒 その9 堕胎したったい http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1216357240/ 白と黒 その10 ○○はしごいてから皮を剥くhttp //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1216696364/ 白と黒 その11 この温室、何だかイカ臭いぞ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1216859725/ 白と黒 その12 秘密サロンRumiko TOSHI http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1217207613/ 白と黒 その13 逆レイポ サリナちゃん悪魔です! http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1217381024/ 白と黒 その14 おふくろさん http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1217809229/ 白と黒 その15 ドラマ本編より雑談が盛り上がる件w http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1217993734/ 白と黒 その16 今更ジロー、サブローシロー http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1218157914/ 白と黒 その17 小さいおっさんの恐怖政治 http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1218594039/ 白と黒 その18 ちっこいおっさん暗殺か?! http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1219116593/ 白と黒 その19 ちっさいおっさんヤク中に http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1219293894/ 白と黒 その20 ちっさいおっさんAKB48のCDを http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1219805557/ 白と黒 その21 ちっこいおっさん腹減った http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1219984805/ 白と黒 その22 研究所は性域で或 http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1220490724/ 白と黒 その23 風岡大P&奥村正彦お前ら才能ゼロ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1221008105/ 白と黒 その24 愛讐のロメラまであと9回!! http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1221437506/ 白と黒 その25 ダメ杉セキュリティ.契約.脚本.演出 http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/122169954/ 白と黒 その26 やっと今週で終わるNE ☆ミ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1222132767/ 白と黒 その27 実況民の忍耐に乾杯!!さらば糞ドラ http //live24.2ch.net/test/read.cgi/endless/1222386416/ 放送データ|放送回|放送日|タイトル|使用スレ|視聴率|備考| 第1回 6月30日 疑惑の瞬間 1 3.5% 第2回 7月1日 覗き見 1-2 5.0% 仲本工事登場 第3回 2日 命の恩人 2 4.5% 第4回 3日 疑惑の罠 2-3 5.5% レイポ未遂 無意味な半裸男 第5回 4日 協力者 3 5.1% 第6回 7日 婚約者の過去 3-4 5.0% 第7回 8日 邪悪な愛 4 4.5% セックル 第8回 9日 正しい父親 4-5 4.5% 面白893フルボッコ 第9回 10日 汚れた金 5 4.5% 第10回 11日 地下室の会話 5-6 4.2% 第11回 14日 殺意の真実 6 4.0% 第12回 15日 別れの手紙 6 5.3% 第13回 16日 2度目の求婚 6-7 4.5% 第14回 17日 天才的嘘つき 7-8 5.7% 第15回 18日 愛の執念 8-9 5.3% 第16回 21日 愛と誠実 9 6.3% 第17回 22日 届かない愛 9-10 4.5% 第18回 23日 誠実な生き方 10 4.1% 第19回 24日 知りたかったもの 10-11 5.1% 第20回 25日 月光 11 5.3% 第21回 28日 別荘の女 11-12 5.5% ルミ子,大出俊登場 第22回 29日 いつか描く絵 12 5.3% 第23回 30日 女の正体 12 4.5% 第24回 31日 悪魔 12-13 4.6% もじゃ童貞告白 乳首攻め 第25回 8月1日 男の正体 13 5.5% ・7月平均視聴率4.8% 第26回 4日 隠し事 13-14 4.6% 第27回 5日 家族の一員 14 4.2% 脅迫エロ写真 第28回 6日 破綻 14-15 4.4% サリナ最終日 第29回 7日 嘘のない音色 15 4.4% 第30回 8日 黒い森 15-16 5.4% 第31回 11日 消えた手紙 16 4.5% 第32回 12日 幽霊を助ける 16 4.3% 第33回 13日 すれ違うもの 16-17 3.8% 第34回 15日 ラストダンス 17 3.7% ルミ子死亡 第35回 18日 祝杯 17 5.5% 第36回 19日 決着 17-18 4.9% 第②部 第37回 20日 音信 18 5.1% 第38回 21日 疑い 18-19 5.2% 第39回 22日 警報 19 5.6% 第40回 25日 本音 19 6.2% 第41回 26日 桐生家の女 19 4.5% 第42回 27日 二人の戦い 19-20 5.3% 第43回 28日 足りない愛 20 4.8% 第44回 29日 二つの企み 20-21 6.1% 8月平均視聴率4.9% 第45回 9月1日 作られた不倫 21 5.1% ジモン嫁登場 第46回 2日 仕組まれた罠 21 5.9% 第47回 3日 二人の関係 21 5.3% 第48回 4日 大きな嘘と小さな嘘 21-22 5.1% 第49回 5日 白い心と黒い心 22 5.5% 第50回 8日 愛と正義と寛大さ 22 5.8% 第51回 9日 本能 22 5.0% 第52回 10日 愛の在り方 22-23 5.1% 第53回 11日 人の思い 23 4.5% 第54回 12日 脱ぐ覚悟 23 4.7% 第55回 15日 誘惑 23-24 6.4% 眉毛誘拐・レイポ未遂 第56回 16日 かけがえのないもの 24 4.9% 箱入り眉毛 第57回 17日 罪 24 5.2% 第58回 18日 夫婦の絆 24-25 6.9% 第59回 19日 企みの終わり 25 6.1% 第60回 22日 失われたもの 25 4.9% 第61回 23日 囚われの身 25-26 7.0% 第62回 24日 恨みと憎しみ 26 6.0% 第63回 25日 黒い森 26 5.1% 落とし穴 最終回 26日 ひかり 26-27 5.8% ・9月平均視聴率 5.5% 8月14日は北京オリンピック中継のため休止
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白と黒の黙示録(円環の理) ◆7pf62HiyTE 円環 Philosophy of annulus ring. 身体が動かない―― 当然だ、それでなくても回復させる事も無く酷使し続けてボロボロな上に心臓を貫かれたのだ。未だマトモな方がどうかしている。 いや、心臓だけでは無い。骨も筋肉も血管も神経もズタズタでこれで僅かでも動かせるというのが奇跡というレベルだ。 確かに魔法少女の魂は元の身体から離れソウルジェムに変化している。 それ故元の身体なんぞPCにおける外付けのハードウェアの如く幾らでも修理が利くだろう。 だが、PCにしてもそのハードウェアが故障していてはマトモに使う事など出来ないやしない。 実際問題、『修理すればまた動く』と言われてもその修理が出来なければ動かし様が無い。 そう、僅かに残った魔力で何とか表面上の傷だけは塞いではいる。だが抜け落ちた血が戻るわけじゃないし、内部は殆ど回復していない。 繋いだ所でほんの少しの衝撃ですぐに切れるか折れる程頼りないというレベルでは片付けられない程無意味なレベルだ。 故に――状況は既にチェックメイトがかけられたとしか言い様が無い。 いや、もうとっくの昔にそれはかかっていたのかもしれない。それを認められず足掻いていただけだったのだろう―― これ以上の回復は不可能、時間を止める事ももう無理、戻す事だって出来やしない。 都合良くグリーフシードがあれば良いだろうがここまで酷いと1個や2個じゃ最早焼け石に水レベルだ。 なるほど、八方ふさがりとはまさしくこのことだ。 いっそ全てを諦めて魔女――怪物になって世界全てを滅茶苦茶にしてしまおうか? 嫌な事も悲しい事も無かった事に出来るぐらいに壊して壊して―― もう、その条件はクリアしているんだ―― どうせ、自分の行動は全て裏目裏目に出て望まぬ結果になってしまうのだ―― そういう結果しか突きつけない世界なんていっそのこと――ブッコワレッタッテカマワナイダロウ―― なのに―― それなのに―― 何故この魂は未だに『暁美ほむら』のままで在り続けるの―― 何故魔女へと変貌しないの―― まだ希望があると思っているの―― それとも―― 「◇◇◇◇◇ん」 声が聞こえた気がした―― 「◇◇◇ちゃん」 いや、違う――気がしたんじゃない―― 「ほむらちゃん」 確かに聞こえた――聞き間違えるわけがない――この声は―― 「まさか……その声……」 すぐ側にいたのは桃色の魔法少女服に身を包んだ少女―― 永遠に時を繰り返してでも救おうとした少女―― 鹿目まどかではないか―― 彼女が魔法少女の姿でいることについては不思議にも思わず疑問すら感じなかった―― 何しろ、理屈など関係無しに一目見ただけで理解してしまったのだ、 今目の前にいる彼女はあの日約束をした彼女―― 自身の手で彼女のソウルジェムを砕いた彼女であると―― わかっている、今自身がいるのは現実ではない―― 夢か幻かあるいは走馬燈の変種バージョンかもしくは全く別の―― 気が付けば今までいた森とは違う不思議な空間にいる―― 都合の良い幻想だったのかも知れない―― とはいえ、そんな事は些細な事だ―― 口を開こうとも声にならない―― 肺が潰れているから? 違う、これが現実で無いならばそれは全く理由にはなりえない。 そうだ、何を言えばいいのかわからないのだ。何か言おうとしても何処かでブレーキがかかって声として出せないでいるのだ。 いや、言うべき事は既に決まっている。 そう、目の前にいるまどかがあの日約束をしたまどかならばまず言わなければならない事がある。 あの日、キュウべぇに騙される前のまどかを助ける――つまり魔法少女にさせる事無く救う事――それを必ず果たすと約束したのだ。 だが、結局その約束は果たされなかった――いや、それだけで済むレベルの話じゃ無い。 何度となく時間遡行を繰り返したお陰でまどかの潜在的な力が増大し、キュウべぇにとっても是が非でも契約すべき対象となり、想定外のイレギュラーすらも呼び込む事ともなった。 何より、魔女化した時の強さが最初とは比較にならない程強大化してしまい、余計にまどかの望まない状態にしてしまったのだ。 つまり――自身の行動の結果、まどかを余計に苦しめる結果になってしまったのだ。 諦めずに足掻けば足掻くほど状況は更に悪くなる――あまりにも救いようがなさ過ぎるだろう。 そして、結局自身の見極めの甘さで勝手に力尽き、後に残ったのは最強最悪な結末だけをまどかに突きつけた結果だけ―― あまりにも酷くお粗末な道化人形劇ではなかろうか。 別に許されたいとか救われたいとは思わないしそんな資格などそもそもないであろう。 だが、そんな事問題では無いのだ。 至極単純な理由、自身の過ちで取り返しのつかない迷惑をかけた事を―― 「ご……ごめ……」 だが、 「ごめんね、ほむらちゃん――こんなになるまで苦しめちゃって……」 何故だ? 何故彼女の方が謝っているのだ、どう考えたって謝るのは逆だろうが、 「どうして貴方が謝るの!? 約束を守れていないのは私の方なのよ! それだけじゃない……私の所為で貴方が余計に苦しむ事になったのよ! それなのにどうしてまどかの方が謝るわけ……」 いや、そんな理由なんてわかっている――彼女は優しい子だ。誰かが苦しんでいたらその苦しみを背負おうとする様な子だ。 自身の為に傷つく人がいたならば、それに責任を感じるのは推測するまでも無い話だ。 だが、そんな事など耐えられない―― 「それにわかっているの!? 私のした事のお陰でまどかが余計に苦しむ事になったのよ!? 私のやった事が全部無駄だったのよ!? 過去に戻れる、歴史を変えられるなんて甘い希望を持たせたばっかりに余計に絶望させる事になって…… そんなこともうとっくの昔にわかっていた筈なのに…… いつの間にか貴方が魔女になっても何も感じず見切りをつけて過去に戻って繰り返す様になって…… どうせ信じてもらえないから最初から誰も信じず誰にも頼らずに自分一人だけで戦って…… 希望なんて何処にも無いなんて本当は最初からわかっていたのよ……それを認められなかっただけ…… 全部無駄で……無意味だったのよ……」 そんな言葉で諦めたくなんか無い。だが、全ては自身の過ちなのだ。 最初から全部無駄だったら、出過ぎた真似はせず自身が魔法少女にならなければ良かったのだ。 「無理だったのよ……何も出来ない……人に迷惑ばかりかけて恥かいて……ずっと変われなかったのよ…… 最初に出会った貴方が死んだ時に守られる私じゃなく守る私になりたくて魔法少女になりたかったのに…… こんな事になるんだったらいっそ最初から魔法少女にならなきゃ良かったのよ!!」 自分でも何を言っているのか正直わかっていない。だが、吐き出さなければ今にも押しつぶされそうな気がしたのだ―― 「無駄なんかじゃないよ……ほむらちゃんのやってきた事は……」 「え……?」 「ほむらちゃんが信じて走り続けてきた事はきっと何処かの私に届いているよ……それに気付いた何処かの私がほむらちゃんを…… ううん、それだけじゃなくさやかちゃんも杏子ちゃんもマミさんも救ってくれる筈だよ……」 「そんな……そんな奇跡起こるわけが……」 いや、1つだけ方法がある。 「ほむらちゃんがここまで頑張らなかったら誰も救えなかったと思う――」 自身が繰り返し続けた事で究極的に因果が集ったまどかの力ならば―― インキュベーターが当初想定すらしていなかった程の力―― 全ての絶望をひっくり返せる程の奇跡を起こせるだろう―― だがそれは結局の所―― 「ダメよそんなの!! それじゃ結局はまどかが……」 しかし、それ以上言葉にはならずうつむいてしまう―― わかりきっている事じゃないか。まどかの性格を考えれば全てを救おうとする事ぐらい―― 自分を犠牲にしてでも他人を救う――それが鹿目まどかであろう。 『私ね、あなたと友達になれて嬉しかった。あなたが魔女に襲われた時間に合って、今でもそれが自慢なの。だから魔法少女になって本当に良かったって』 自身が魔法少女となる直前に彼女に言われた言葉だ。魔法少女の真実を知らないが故の愚かな発言だったかも知れないが、それ自体は混じりっけのない本心からの言葉に違いない。 いや、例え愚かな発言だとしてもその言葉を否定したくなんてない。 「私が貴方をそんな運命から助け出したかったのに……」 勿論、納得なんてしてない。 だが、最早この身体は限界を超えている。 いつ世界を呪うだけの存在とも言うべき魔女になるのかもわからないのだ。 が――ここまで考えて気が付いた――何故魔女にならないでいられるのか―― 勿論、全てを諦めて魔女になればそれこそまどかを救えなくなる、それが主な理由だろう。 だが、壊すだけの存在になる事をまどかが望むのだろうか? 悲しみをもたらすだけの存在になる事をまどかが望むだろうか? まどかが守りたかった世界を壊す事をまどかが望むだろうか? わかりきっているでは無いか、そんな事絶対に望まない―― 『嫌な事も悲しい事もあったけど守りたいものだってたくさん……この世界にはあったから……』 まどかが守ろうとした場所を壊すなんて事、絶対に出来るわけがない。 そんなまどかに対する最大級の裏切りなど出来るわけがない。 「……!」 うつむいたままだったほむらは振り向きまどかへと背を向ける。 「何処に行くの?」 「私が自分の名前を変だって言った時、すごく格好良いって言ってくれた女の子がいたの……」 「それって……」 「名前負けしているって応えたらその子なんて言ったと思う……折角素敵な名前なんだから格好良くなっちゃえば良いって言ってくれたのよ……」 そしてゆっくりと歩き出す。 「その彼女の為にも……もう一度だけ燃え上がってくるわ……あの日、魔女に襲われた時の私を助けた時に彼女が口にしていた言葉と全く同じ言葉で私を助けに入ったバカな男を助ける為に…… あんなバカでも貴方だって助けられるなら助けられるでしょ?」 返答なんてわかりきっている。 「うん!」 気が付けば元の場所に立っていた。未だ戦いは続いている―― 両手は自身の髪を編んでいた。両サイドを三つ編みにすべく―― 『ほむらが魔法少女になったのってその子の為なのか?』 魔法少女になった時の最初の気持ちを思い出せ―― 無論、それは彼女を守る為だ。そして魔法少女になった時どう思った? これで彼女を守れると思っていただろう、一緒に彼女と戦えると考えただろう、彼女と一緒にまどかの守ろうとしたものを守れると喜んでいただろう。 結局はキュウべぇに騙されただけだったが、それでもその時思った気持ちだけは嘘なんかじゃない。 だからもう一度だけあの時の気持ちを思い出すのだ――眼鏡はなくてもあの時の髪型にしてその気持ちを―― どの時間のまどかであってもみんなを守る為に戦い続けているのはわかりきっている。 だったら、遠く離れていても気持ちだけは一緒に頑張ろうと―― 髪を編み終わった時、不意に風が吹くのを感じた――それが何を意味しているのかはわからない―― こうやって動くだけでも全身が軋むのを感じる。表面上の傷は防げても回復には全然足りていないのだ。当然、時を止める事など不可能―― だが、戦う術はある―― ――Skull―― ガイアメモリを作動させ音声を響かせる―― 「変身……」 そう口にして無意識下で巻いていたベルトのスロットにメモリを挿入し斜めに倒す―― ――Skull―― その音声と共に自身の身体に先程同様漆黒の粒子が纏わり付く様に変容させる―― 先程と同様にスカルへと変貌しているのだろう―― いや、1点だけ違う―― 額が熱い――何かが刻まれている様だ―― いや、この際そんな事はもうどうだって良い。 風が巻き起こる―― 今ならばわかる、先程とは比べものにならないぐらいの力を発揮する事を―― 「救い様の無い世界だとしても……あの子が守ろうとする世界を傷つける事は……私が許さない……」 焔上 Flame burning. 「まさか……あれだけの傷で……」 「よそ見をしてんじゃないの!」 ほむらの復活、そしてスカルへの変身に気を取られ。横から来るシャイニングブレードへの反応が一瞬遅れる。 それでもメタル・ドーパントはその斬撃を難なく弾く。 だが、すぐさまスカルが間合いを詰め突きを繰り出し当てていく。 「ぐっ……」 先程のスカルと違いパワーが上がっている。高い防御力故に殆どダメージは通らないがそのパワーで僅かながらも身体が押される。 「はぁっ!」 かけ声と共にシャイニングブレードが振り下ろされる。防御が間に合わず思わず後方へと後ずさる。 無論、そんな隙を逃すわけも無くシャンゼリオンは間合いを詰めていく。 応戦しようとするメタル・ドーパントだったがスカルがスカルマグナムを連射しメタル・ドーパントだけを撃っていく。 銃器の扱いはほむらにとっての十八番、シャンゼリオンに当てずにメタル・ドーパントだけに当てる事など造作も無い。 「はっ!」 無論、メタル・ドーパントとて只撃たれるつもりはない。放たれた銃弾を裏正を振るうだけで薙ぎ払っていく。それ故、スカルの銃撃によるダメージは殆ど無い。 だが、迫り来るシャンゼリオンへの対応を同時にやらなければならない。 スカルの銃弾を防いでばかりでシャンゼリオンへの斬撃への対処が遅れるわけにも、 シャンゼリオンへの斬撃に注意しすぎるあまりスカルの銃弾を受けるわけにもいかない。 無論、シャンゼリオンとてこの好機を逃すわけもない。スカルが銃弾に対処している間に間合いを詰め次の一撃、次の一撃を繰り出していく。 スカルとてただ動かない砲台でいるつもりはない。動きながら狙いを定め、できうる限りメタル・ドーパントが対応しにくい銃弾を繰り出していく。 一方で、メタル・ドーパントは驚愕していた――明らかに先程よりも強化されたスカルの力にだ。 シャンゼリオンが強化されたのは怒りによるもの、それはわかっている。 だが、スカルはどういう理由で強化されたのだろうか? 先程は無かった『S』は何を意味しているのだろうか? 「……お前は……仮面ライダーだとでもいうのか……」 風都には街を泣かせるドーパント等から人々を守る為にガイアメモリを使って変身するダブル(W)とアクセル(A)、2人の仮面ライダーがいる。 だが、Wが現れる前にも仮面ライダーがいた―― それがスカルである。その変身者はWの変身者の片割れ左翔太郎の探偵としての師とも言うべき鳴海荘吉だ。 しかし、荘吉とて最初から仮面ライダーであったわけではない。いや正確にいえばスカルの力を出し切れていたわけではない。 ドーパントの事件が起こり始めた段階で、荘吉は幼馴染みである文音――シュラウドから対抗するには荘吉自身もメモリを使うしか無いと言われていた。 しかし荘吉自身は自身の拘りから自らガイアメモリを使う事を拒否していた。言ってしまえば戦いの決断が鈍っていた状態である。 それでもドーパントに追い詰められそれを助けるべくシュラウドが変身させたのが最初のスカル――だがそれは不完全な状態、それ故全力が発揮できない状態である。 不完全な状態とはいえ荘吉自身の素の戦闘力が高い故にある程度は戦えていたが、本来の力を発揮できない事に違いは無くドーパントを撃破するには至らなかった。 だが、それ故に決して取り返しのつかない被害を出す事となったのだ――街に大きく泣かせた事は言うに及ばず荘吉自身、正確には自身とその娘にとってとても大きな―― そして遂に荘吉は決断し真のスカルとなったのだ―― さて、以上の事を踏まえてもスカルのその真の力を引き出す決め手は使用者の心理状態である事はおわかりであろう。 これを踏まえ使用者であるほむらの心理状態を振り返っていこう。 ほむらはその経緯から魔法少女の力を忌むべきものだと考えていた。 いや、それだけではなくダグバにクウガなら対抗できると言われても、そのクウガもダグバと同等であると考えそれを実力を別としても信頼する事は出来なかった。 そんなほむらが怪物とも言うべきドーパントへと変貌させるガイアメモリの力を信用できるわけなどないだろう? また、度重なる時間遡行の影響か、失敗してもまた繰り返しやり直せばと冷め切っていた節がある。まどかが魔女になった時点で見切りをつけた所からもそれは明らかであろう。 そしてこの地においてもこの殺し合いの行く末がどうあれ脱出後にやり直せば良いと心の何処かで思っていたのかもしれない。 甘い考え――とは言わないが、そういう考えでいてガイアメモリの――スカルの力を十二分に引き出せる道理も無いだろう。 だが、今のほむらは違う。 やり直しがきかなくなる程負傷したお陰で、崖っぷちまで追い込まれている。逆をいえばもう一度きりしかないという事だ。 そして、魔法少女になった時の気持ちを思い返し、今一度まどかが守ろうとするであろうものを守る、その為に戦う事を決めたのだ。 魔法少女の力があればまどかを守れる――今にして思えば愚かながらであっても喜んだあの日の気持ちで―― だからこそ今スカルはほむらにその真の力を与えたと言っても良いだろう。 スカル――骸骨の記憶故に肉体は動ける状態だ。十二分に戦える、ほむらの願い通り今ならば守る為に戦えるだろう―― スカルの銃撃、シャンゼリオンの斬撃、その波状攻撃によって徐々にだがメタル・ドーパントが押されていく。 メタル・ドーパントこと丈瑠とて歴戦の戦士、そうそう簡単に倒されるつもりはない。 「くっ……俺は……」 だが、その脳裏にはある男の事が浮かんでいた―― それは影武者、シンケンレッドとして戦っていた頃――何時もの様に外道衆を倒し何時もの様に源太の一本締めで締める所であったのに何故か締めている暇無いと足早に去って行った事があった。 その時点では謎ではあったが今にして思えば既に事は起こっていたのだろう。 その直後、突如として現れた謎の男に 『この世界は侵食されている、ライダーに、ディケイドに、ディケイドは世界を破壊する、排除しなければ』 そう一方的に丈瑠に伝えオーロラに消えていった。いや、それだけではなく黒子の1人――妙な動きを見せていたから何かあると思い問いただしたが黒子見習いとはぐらかしたあの男が―― 『シンケンジャーか、確かにこの世界では仮面ライダーは必要無いらしいな』 そう言って黒子の服を脱ぎ捨てた男――通りすがりの仮面ライダーが現れた。 どうやら源太の折神がもう1人の仮面ライダーに盗まれ、その仮面ライダーもアヤカシに何か盗られたものがありアヤカシに異変が発生したらしい。 世界が破壊される――その言葉に踊らされ仲間達がパニックに陥る中、丈瑠自身は何を思っていたのだろうか―― 『そんなにダメですか、仮面ライダーがいたら。ディケイドが……士君がいたらダメなんですか? 何処の世界にいってもこんな風なら……じゃあ士君は何処に行けば……』 その男は何処の世界でも拒絶され続けていたのだろう。しかし危機に陥った時駆けつけたあの男はこう言った。 『ライダーは必要なくても、この俺門矢士は世界に必要だからな』 そう言い切ったのだ。そして自身に、 『殿様、ここは勝って帰らないとジイさんが泣くぞ。多少の無理はさせてやれ、ジイさんなりの戦いなんだろ、お前らの帰る場所守ってんだからな』 あの時、腰を痛めながらも無理をし続ける日下部彦馬に対し戦いに関わらせないと言い放った事がある。無論、気遣ってのものだが感情的になり言い過ぎた事は理解している。 この辺りの事情を何故あの男が知っているのかは知らないが、気遣ったあの男が謎はあっても気遣いの出来るある意味では優しい男だという事は理解できた。 『士、俺はお前が破壊者だとは思っていない』 『根拠は?』 『無い………………強いて言えば侍の勘だ。世界は知らないが俺達はお前を追い出す気はない』 果たしてそれは侍の勘だったのだろうか? 俺『達』の言葉だったのだろうか? 心の何処かで重ねていたのではなかろうか? 影武者故に侍の世界にいられなくなる自分自身と、何処にも自分の世界が無く果てなく通りすがり続けるあの男の姿を―― あの男は今も仮面ライダーのいる世界を通りすがり続けているのだろうか? 様々な世界で戦い続ける仮面ライダーに時には拒絶されながらも助けに入っているのだろうか? スカルのいる世界にもあの男は現れたのだろうか――? 目の前の仮面ライダーを見てそんな男を思い出したのだ。 今の自分をあの男が見たらどうするのだろうか? あの時助けに入った時の様に、外道に墜ちようとする自分を止める為に助けに入るのだろうか? いや、きっと助けに入るだろう。あの男はああいう男なのだから―― だが、もう引く事は出来ない――例え全ての世界を通りすがり続ける仮面ライダーであってももう止められない。 「俺は……もう退くつもりは無い!!」 だからこそ裏正を振るい続けるのだ―― あの男が自分の世界を探し続ける様に―― 自分もまた剣士としての自分のまま生き続けるのだ―― 誰に拒絶されようとも、決して止まったりはしない―― いつの間にか川岸まで追い詰められていた。 未だにシャンゼリオンとスカルの波状攻撃は続いていく。 この状況を打ち破る手段は1つ――捨て身の覚悟で挑む事だ。 振り落とされるシャイニングブレードに対し―― 「はぁっ!!」 渾身の力を込めてそれを裏正で跳ね返す。文字通りの全力でシャンゼリオンを飛ばし腰を地に着けさせる。 勿論、スカルマグナムによる銃弾に対処できず数発受ける事になるがまだ立っていられる。 シャンゼリオンが立ち上がり体勢を整える前にスカルを仕留めるのだ。 一気に間合いを詰め裏正で袈裟切りに―― だが、スカルは逃げるどころか一気に踏み込み――その腕で裏正を持った腕を押さえたのだ。 「ぐっ……」 それ故にこれ以上動けないでいる。これがスカルの――いや、仮面ライダーの強さなのだろうか? だがまだだ、このまま押し切れば―― その時突如スカルの胸部から紫色の髑髏のエネルギー体が出現した。その衝撃を受け拘束が外れ数メートル後方の川岸へと追い詰められる。出現したエネルギー体は上へと―― それでもまだ戦え―― 「はぁっ!」 体勢を整え直したシャンゼリオンがシャイニングブレード構え仕掛けてきた。 剣士として剣の勝負には負けるわけにはいかない、裏正を全力で―― 「一降り!!」 宙を舞ったのは―― ――裏正だ。裏正は程なく川へと落ちる―― スカルに手を全力で押さえられていたが為にその時の痺れがまだ残っていたのか――握りが若干甘くなりシャンゼリオンの全力の一撃に耐えきれず手放してしまったのか―― それとも全く別の要因があるのだろうか―― いや、理由はどうあれ真実はたった1つ――裏正をはじき飛ばされた時点で剣士として自分は敗北したという事だ。 「こいつでトドメだ」 そう言いながらシャンゼリオンが構える。一方のスカルもメモリを横のスロットに移し高く飛び上がる―― 「シャイニングアタック!」 ――Skull maximum drive―― シャンゼリオンの胸部から自身を模したエネルギー体が放たれる―― 一方、スカルがメモリを作動させそのまま先程生み出したエネルギー体を蹴り飛ばす―― 放たれた2つのエネルギー体は真っ直ぐにメタル・ドーパントの元へと―― 白く輝く戦士シャンゼリオン―― 漆黒に煌めく戦士スカル―― 白と黒の戦士が織りなす2つの一撃は―― 銀――いや、白にも黒にもなれないくすんだ灰色の愚者の元へと―― 2つのエネルギーは同時に炸裂し川が大きな水しぶきを上げた―― 終焔 Her flame comes to a close. メタル・ドーパントの姿は何処にも無い。シャンゼリオンとスカルの必殺技を同時に受けて身体すら残らず消滅したのだろうか? だが、1つだけ確かな事がある。今この場に立っているのはシャンゼリオンとスカルの2人だけ、襲撃者は撃退した事になる。 つまり、紛れもなく暁とほむらの完全勝利と言っても良い。 「決まった……」 いつの間にやらシャンゼリオンこと暁の中の怒りは消え失せていた。それもその筈だ、無残に嬲られ殺されたと思ったほむらが無事で戦ってくれたのだ。 怒るべき理由など最早何処にも無い。 嬉しそうに身体を一回転させて―― 「俺達って……超決まりすぎだぜ!!」 そうポーズを決めた―― だが、その時。何か倒れる音がした―― 「!? ほむら!?」 それに気付き振り向くと――スカルへの変身が解除されたほむらが倒れているではないか。 『私、鹿目まどか。まどかって呼んで』 『えっ……そんな……』 元々筋肉も神経も骨も血管もボロボロの状態だったのだ。幾らスカルの力で強化できたからといってそんな状態が身体に良いわけがない。 それにドライバーを介しているとはいえガイアメモリのエネルギーは非常に強大だ。 通常の状態ならいざ知らず全身がボロボロのほむらにかかる負担は無視できないレベルだ。当然負荷が大きいマキシマムドライブを使うなど言語道断だ。 精神力だけでずっと戦い続けていたが、マキシマムドライブ使用直後、つまりメタル・ドーパントを撃破した時点で遂に緊張の糸が切れ変身が解けたのだ。 ガイアメモリによるダメージは普通の医学では治療が出来ない――魔法少女である彼女にはあまり関係無い事ではあるが、何度も語った通り最早ほむらの力は完全に枯渇状態だ。 故に――既にほむらの身体は指一本マトモに動かす事が出来ない状態である。痛覚だけはカット出来る為、痛みを最小限に抑える事が出来るのはある意味では幸運といえ不運とも言えるだろう―― 『良いって、だから私もほむらちゃんって呼んで良いかな?』 「ぁ……ぁ……」 声が出せない――肺が潰れて声になっていないのだろう。それでも、残された僅かの力を振り絞れ―― 「おいほむら、大丈夫か? ってなんじゃこりゃ、こんな状態で戦っていたのかよ」 燦然を解いた暁が抱きかかえながら口にする。暁から見てもほむらの状態はあまりにも酷いのだ。 「……ょ……ぃ……」 「そうかそうか、もう喋るな、すぐに病院に行こうな」 やはり声にすらならない――だが、 (暁……聞こえるかしら……) ふと暁の頭の中にほむらの声が届いたのだ。 「ほむら!? なんだこりゃ!?」 (念話よ……) 「魔法少女ってこんなすげぇ事も……って、それ使える状態じゃ無いだろ!」 (だったら黙って聞きなさい……) ほむらとて今の状態で魔法少女の力の1つである念話を使う事がどれだけマズイのかは理解している。だが、まともに話す事しか出来ない以上、こうするしか手段が無いのだ。 (助ける方法が1つだけあるわ……私だけじゃなく、暁も助ける方法が……) 「俺ぇ? 何言ってんだ?」 (魔法少女の力が呪われた力という事は話したわね……) 「ああ、確かにそんな事も言っていたな」 (その理由を話すわ……服の中を探ってもらえるかしら……) 「服の中……」 (……この状況で変な所触らないでくれる? ちょ、そこは違う、もっと上、いやもっと下) 「おい、何処にあるんだ?」 そして、ほむらの懐から汚れきった宝石の様なものを取り出す。 「なんだこりゃ? 随分汚い宝石じゃないか」 (私達が魔法を使う度に、その宝石が穢れていくわ……そして穢れきった時に魔女……貴方の知るダークザイドと同じ様なものだと考えて良いわ……それに姿を変えるわ) 「魔女? 魔法少女の親戚か?」 (ええ、魔法少女が祈りを叶えた分と同じだけ呪いを与える存在となるのが魔女……) 「……もっとわかりやすく言ってくれない?」 (つまり、私達魔法少女はただ壊すだけの怪物になってしまうのよ) 「よし、わかった。つまり、コイツをこのままにしたらほむらが怪物になるって事だな。で、コイツをどうすれば良いんだ?」 (簡単よ……それを砕けば私が魔女になる事は無いわ……) その言葉を聞いた暁は、 「なんだ、そんな簡単な事で良いのか、だったらもっと早く説明しろって……」 と、嬉々としてその宝石を地面に置き、今一度燦然しシャンゼリオンとなりシャイニングクローを構える。が、 「……? まさか……」 何か引っかかりを感じる。だが、 (早くして……早くしないと……あの子の為にも……) 「わかったわかった、後であの子の事についても話してくれよ? 探さなきゃならないのに名前すら知らなきゃ捜しようがないからな」 (ええ……それが終わったら……) そう言いながらゆっくりとシャイニングクローを振り上げ降ろそうとする―― その動きはあまりにもスローに感じられた―― 『私……その……あんまり名前で呼ばれた事ってなくて……すごく変な名前だし……』 『えーそんな事ないよー、何かさ燃え上がれーって感じで格好良いと思うなー』 そう間もなくほむらのソウルジェムは砕け散ると共にグリーフシードへと変貌し魔女へと姿を変えるだろう。 そうなれば、目の前にいる暁は無論の事、この地にいる他の参加者を呪うだけの存在となる。 いや、実の所それだけなら大した問題じゃ無い。 それをまどかが望む事では無いという事が問題なのだ――だからこそ、ほむらは魔女へと変貌する前にソウルジェムを砕く事を暁に頼んだのだ―― ソウルジェムの名前等一部の事柄については意図的に伏せておいた。正直キュウべぇのやり口に近いのが気に入らないが全てを説明したら事に及んでくれないだろうと思い、敢えてそうした。 だが、自分でも感じていたが他人とのコミュニケーションが不得意分野だったが為、説明が甘く、暁に気付かれた様に思えた。 あのバカなら気付かないと思っていたが流石にそこは自称探偵というだけの事はあるらしい。 それでも暁はそこまで疑いはせず従ってくれた。その事については正直感謝している。 何にせよ後はその瞬間を待つだけである―― 結局の所、まどかはあの時何故ほむらにキュウべぇに騙される前の自分を助けてと最後のグリーフシードを託したのだろうか? 勿論、それは言葉通り自身が魔女になりたくないという事もあるのだろう。 しかし同時にそれ以上に、魔女になる事よりも魔女となって世界を滅茶苦茶にする事の方が嫌だったのだろう。どんなに悲しい世界であっても守りたいものもある世界なのだから―― そして何より――まどかはほむらを助けたかったのではなかろうか? あの時、ほむらは半ば自暴自棄になり全てを忘れ一緒に魔女になって世界を滅茶苦茶にしようかと口にしていた。 だが、これも無理からぬ話だろう。純粋な祈りから魔法少女になり過去に戻ったのにその結果最悪にして残酷な真実。 そしてそれを伝える為に戻ろうとも誰にも理解される事無く、事が起こってからその事実を突きつけられ結局惨劇が繰り広げられる現実。 そして何も救えず最悪な結末を迎えるのだ、これで希望を持てというのは無茶ではなかろうか? 自身の力に何の意味も無ければ絶望するしかないであろう。 まどかはそんなほむらを助けたかったのだろう――ほむら自身が助けたいと願うまどかを助けるという目的を与え、それを希望にすると―― 勿論、真相は誰にもわからない。だが、真相がどうあれ、まどかが自分を犠牲にしてでもほむらや世界を救いたいと願っている事だけは間違いない。 本音を言えば、こんな結末など欠片も満足していない。 結局まどかを救う事が出来なかったのだから、彼女に何度となく助けられた命をこんな形で終わらせてしまうのだから、彼女との約束を破ってしまったのだから、 だが、魔女となって呪いを振りまくだけの存在となる事も彼女は望まないだろう。だからこそ自らの命をここで終わらせる事にしたのだ。 暁には多少は迷惑をかけたと思わなくもないが、今までの分を考えればそこまで良心の呵責はない。 正直な所、違う形で出会っていればもう少し違う印象もあったのだろうが――今更考えても仕方のない事だ。 何にせよ自業自得と言えばそれまでだ。もう少し違う立ち回りをすればもっと違う結末もあったであろう―― 『………………名前負けしてます……』 空を仰ぐ―― 『そんなの勿体ないよ、折角素敵な名前なんだからほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ』 既に朝日は昇り明るい空が広がっている―― 「ねぇ……」 それは念話ではなく最後の力を振り絞っての肉声―― 伝える相手は遠い遠い先にいる彼女―― 「私……名前負けせずに……格好良くなれたかしら……?」 ――――パリーン―――― 「ん、何か言ったか?」 丁度宝石を砕き終わったシャンゼリオンが元の姿に戻りほむらの方へと振り向く。 しかし、ほむらはピクリとも動かず、最早念話も聞こえてこない―― 「ほむら……」 暁はすぐさまほむらへと駆け寄る。いつの間にかほむらの服が魔法少女のものから何処かの制服に変化している。 「ほむら……」 全く予想していなかったわけではない――それでも驚愕は隠せないでいる。 「ほむら!」 どんなに呼びかけてももう彼女が応える事は無い――その魂は砕けてしまったのだから―― だが―― 顔だけは何処か穏やかで笑みを浮かべている様に見えた―― 【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ 死亡確認】 【残り50人】 時系列順で読む Back 白と黒の黙示録(暁の決戦)Next 白と黒の黙示録(微笑みの出発) 投下順で読む Back 白と黒の黙示録(暁の決戦)Next 白と黒の黙示録(微笑みの出発) Back 白と黒の黙示録(暁の決戦) 暁美ほむら Next 白と黒の黙示録(微笑みの出発) Back 白と黒の黙示録(暁の決戦) 涼村暁 Next 白と黒の黙示録(微笑みの出発) Back 白と黒の黙示録(暁の決戦) 志葉丈瑠 Next 白と黒の黙示録(微笑みの出発) Back 白と黒の黙示録(暁の決戦) パンスト太郎 Next 白と黒の黙示録(微笑みの出発)
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▼● Prelude of Black and White 依頼者: ナルシェラル(Narcheral) / 北サンドリア・大聖堂 依頼内容: タブナジアの亡者たちとの戦いに備え、 優秀な白魔道士に祝福された品を与える。 力を示すため、そして祝福された品の 代わりとして「ヤグードの聖水」と、 「モカシン」を持ってくるように。 ドラギーユ城 (Door Prince Regent s Rmを調べる) Pieuje なに!? 兄上のケガが悪化している? Narcheral 隠しておられますが、 まず間違いないかと。これはチャンスですぞ。 Narcheral トリオン様がケガで動けぬうちに、 ピエージェ様がひとつおおきな手柄でも おたてなされば、一気にピエージェ様の株が あがることは必定……ん? Narcheral 誰だ? そこにいるのは? Narcheral おまえは……この前の 冒険者ではないか。これはちょうどいい。 Narcheral ピエージェ様、この者に バルクルム砂丘の西端にて待ち伏せさせ、 ダークストーカーよりタブナジア通行手形を 入手させました。 Pieuje タブナジア通行手形!? ダークストーカーから……まさか、あの噂が!? Narcheral さすがピエージェ様、 すでに聞き及びとは、お耳が早くていらっしゃる。 Pieuje いったい何を企んでいる、 ナルシェラル!? Narcheral どうやらこのバルクルムで 発見されたダークストーカーは生前より 伝令の役目を果たしておった様子。 Narcheral 死者の運ぶその伝令の内容は、 20年前に滅んだタブナジアの亡霊による 侯国の復活、そして……。 Pieuje バカな! 不死の者たちが集結するなどと……。 Jeronne 真実でございます、 ……ピエージェ様。 Pieuje 君は……? Jeronne ナルシェラル様の命にて エルディーム古墳の調査に行って参りました。 やはりダークストーカーたちに怪しい動きが……。 Jeronne それと、もうひとつ……。 ひときわ目立つ黒い影が、ラングモントを越えた との情報が……。 Jeronne 目撃した使者によると、 その姿は20年前の大戦にて滅亡した タブナジア侯国の首長……、アルテドール侯 その人であった……、と。 Pieuje まさか……アルテドール侯が……。 Narcheral 「それ」はアルテドール侯にして アルテドール侯にあらず! 人心を惑わし、 聖なる王国を恐怖に陥れる不浄の存在……。 Pieuje だまれ、ナルシェラル! それ以上、候を侮辱することは許さぬ! Narcheral ……出すぎたことを申しました。 ただ、このままでは王国の脅威となるは必至。 一刻も早い、出兵のご決断を……。 Narcheral ジェローヌ、さらに調査を進めよ。 北の地に動きがあれば、トリオン様の 耳にも入ることとなる。我らとしては、 なんとしてもピエージェ様に……。 Jeronne はっ、かしこまりました。 Narcheral おまえにも相談がある。 この後、冒険の経験を重ねた白魔道士の 力が必要となるだろう。あらかじめその準備を 進めねばならん。 Narcheral 不浄の者と戦うため、 その力を持った者に、女神に祝福された品を 分け与え、聖なる使者の資格と認定する。 Narcheral 冒険者としても決して悪い話では ないはずだ。他では決して手に入らぬ ものだからな。 Narcheral その力を示すために、 ヤグードの聖水を手にいれろ。 オズトロヤ、ズヴァ-ルなどのヤグードが 不浄なる者への結界に用いると言われるものだ。 Narcheral そして、おまえに与える品の代わりを 新しく作るために、モカシンを入手してこい。 Narcheral その2つと引き換えに、 女神に祝福された品を渡すとしよう。 オズトロヤ城 [Your Name]は、Yagudo Abbotを倒した。 ヤグードの聖水を手にいれた! ヤグードの聖水 Rare Ex 不死の者が近づかないよう、ヤグードが用いる水。 彼らに伝わる秘法によって祝福されている。 北サンドリア / 大聖堂 (Narcheralにヤグードの聖水とモカシンをトレード) モカシン 防8 Lv50~ モ白黒赤ナ吟狩召青か学 Narcheral よくやった。 これが約束の品だ。後はピエージェ様の 御決断を待つばかりだ……。 ヒーラーダックビルを手にいれた! ヒーラーダックビル Rare Ex 防12 MP+10 AGI+3 詠唱中断率20%ダウン Lv52~ 白 ▲ 死者の国からの伝令 白と黒のプレリュード ピエージェの決断 ■関連項目 アーティファクト関連クエスト , 北サンドリア Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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794 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/08/09(土) 00 23 09 ID ??? シャクティ「ティファさんティファさん。突然ですが黒くなってください」 ティファ 「シャクティ…紫外線は、お肌の天敵…です」 シャクティ「日焼けの事じゃありません。 実は皆が私の事を黒い黒いとおっしゃるんですよ、どう思われますか?」 ティファ 「…肌の色は、黒いほうだと思いますが…」 シャクティ「性格の話です。実際、おうちが貧乏だから頑張ってお金を稼いだり、 出来るだけ節約しようというのは美談の類に入るのに、 なんで性格が黒いと言われるのでしょう?」 ティファ 「貯めたお金は、何に使っているんですか?」 シャクティ「もちろん私たちのアイドルデビューの為の資金に…っと、なんでもありません。 とにかく、何か原因があるに違いありません」 ティファ 「アイドルデビュー?」 シャクティ「そこで私は考えました。ティファさんが白すぎるからだと」 ティファ 「……アイドルデビュー?」 シャクティ「つまり、ティファさんが白すぎるせいで、一緒にいる私が相対的に黒く見えてしまうわけです。 というわけで、ティファさん、黒くなってください」 ティファ 「黒く…ですか?」 シャクティ「難しい事ではありません。少しだけ自分の心に素直になればいいだけです。 例えば、浮気者のガロードさんをミンチにしたいとか、 逆にガロードさんとの関係を認めてくれない方々をサテライトキャノンで吹き飛ばしたいとか、 アイドルに憧れてテレビに出たいとか、 時々訳もなくシャギアさんとオルバさんを地下室に閉じ込めたくなるとか、 そういう気持ちを現実にすればいいだけです」 ティファ 「………ガロードはいつでも私の事をまっすぐに見てくれるから…不満は何もありません。 ジャミルやルチルさんも、私たちの仲は、その…応援してくれています。 アイドルはちょっと…目立つことは、苦手なので… それから…家には地下室はありませんが…」 シャクティ「ならこうしましょう。明日一日だけティファさんは私の行動パターンをトレースしてください。 もちろん誰にも内緒で」 ティファ 「……要は、物真似ですか?」 シャクティ「そう捉えていただいて結構です。私も、明日はティファさんの行動をトレースしてみます」 ティファ 「……分かりました。やってみます」 795 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/08/09(土) 00 23 44 ID ??? ……2日後 シャクティ「…ティファさん、どうでしたか…?」 ティファ 「ご飯の量が…多くて…お腹いっぱいです…」 シャクティ「…こっちは逆にお腹すきました。毎日あれだけで良く足りますね…」 ティファ 「畑仕事…しんどかったです。ガロードが手伝ってくれましたが…」 シャクティ「何時間も絵を描き続けるって疲れますね…」 ティファ 「ガロードに…私から…その、逃げられると…思わないことねって言ったら… 真っ赤になって、倒れてしまいました…」 シャクティ「私はどこにいてもあなたの事が感じられるってウッソに言ったら、 真っ青になって倒れちゃいましたよ?」 ティファ 「………」 シャクティ「………」 ティファ 「難しいですね…」 シャクティ「さてと、気分転換にどこかに遊びにいきますか」 ティファ 「アルバイト以外でお願いします…」 アムロ 「ガロードはさっきから何で唸っているんだ?」 ロラン 「さあ?きっとティファさんと何かあったんじゃないですか?」 ガロード「てぃ、ティファからあんな大胆な台詞がッ!…いやまてッ落ち着け…落ち着くんだ俺!! 何かの冗談かもしれないし…エイプリルフール?違うよな?…夢?でもないよな? あ~、何であの時倒れちゃったんだよ~」 シロー 「ウッソはさっきから何で怯えているんだ?」 セレーネ「さあ?シャクティちゃんと何かあったんじゃないの?」 ウッソ 「しゃ、シャクティからあんな恐ろしい台詞がッ!…いや、冗談…冗談だよよね? もしかしたら今この時のこの行動も見張られて…ヒイッ!! あ~、何であの時倒れちゃったんだ~!?」 シャクティ「クシュン!…風邪ですか?」 ティファ 「クシュッ!…誰かが…噂してるのかも…」
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白と黒の黙示録(暁の決戦) ◆7pf62HiyTE 危機 Crisis time. 「いたたたた……」 「ぐぐっ……」 いつの間にかほむらの姿が元の魔法少女の姿に戻っている。今の攻撃の衝撃でドライバーが外れたらしく地面の上に落ちている。 「この程度だなんて……使えないわね……」 「とか言いながら回収してんじゃねぇ」 そう言いながらロストドライバーとメモリを回収するほむらにツッコミを入れる暁―― 「暁……貴方……」 「わっ、まさか今の衝撃で……」 度重なる攻撃によるダメージが蓄積し先の一撃が決めてとなりシャンゼリオンの燦然が解除され元の姿に戻ったのだろうか―― 「やはりこの程度か……お前は違う様だ……」 それを余所にメタル・ドーパントが口を開きつつゆっくりと近づいていく。 「さっきから何をワケのわからない事を……」 「それよりどうする、そうだ。川にわざと落ちて逃げ……」 そう口走る暁を制するかの様に川を指さすほむら、その先には、 「パンスト野郎……」 川の上にはパンスト野郎が舞っていた。川に落ちた所でそのまま攻撃する用意はあるという事だ。 「何か他に武器は?」 「そうだ、俺のデイパックにライフルがあったんだ、こいつを使えば……」 「それがあるならもっと早く出しなさい!」 と、デイパックの中を探ろうとしたが。 「あれ? 見当たらないぞ? 何処だ?」 「探し物はアレのことか?」 メタル・ドーパントが裏正でパンスト怪物の方を示す。 その手にはウィンチェスターライフルが握られていた。そして、 「ぐふっ」 パンスト怪物は力尽くでライフルを折り曲げ使用不能にしそのまま川へと投げ捨てた。 「ちょっとー! いつの間に……」 先程ロストドライバーとメモリを投げ渡す際にライフルも一緒に飛び出してしまっていたのだ。それをパンスト怪物が回収したという話だ。 パンスト怪物にとって敵が使うと厄介ではあるが自身ではいまいち扱いにくい道具、それ故に早々に破壊して処分したという話である。 「一体何度言わせるの、どこまで貴方はバカなの」 「バカって……」 「そのライフルの方をもっと早く私に渡してくれれば良かったのに……こんな事になるんだったらさっきこっそり回収すれば……」 そうこう言っている間にメタル・ドーパントが迫る。 「こうなったら仕方ないわね……暁、私を……」 「了解♪」 そう言いながら暁はほむらをお姫様だっこで抱える。 「何のつもりだ?」 と、次の瞬間、後ろを振り向き暁は走り出した。 「!!」 暁の謎の行動に動揺しつつメタル・ドーパントは追撃を始める。普通に考えるならばメタル・ドーパントに女子中学生を抱きかかえた普通の人間が逃げ切れるわけがない。だが―― 「くっ……」 次の瞬間には暁の姿が数メートル離れた場所まで移動している。折角差を詰めてもこれでは意味が無い。 「大丈夫かほむら?」 最早語るまでもないが、ほむらと彼女に触れている暁の時間を止める事でメタル・ドーパントの追撃を逃れていた。 だがほむらにかかる負担を軽減する為一度に2,3秒程度しか止めていない。それでもほむらの表情は苦しそうである。 「気遣う暇があるなら足を動かしなさい、早くあそこに……」 「それが狙いか!」 メタル・ドーパントも暁達の目的地に気が付いた。彼等の目的地はディバイドランチャーの落下地点。ほむら自身の武器を取り戻す事でこの状況を打開しようというのだろう。 「もう遅いわ」 そして再び時が停止する。 暁の身体に触れたまま暁の身体から降りてディバイドランチャーを回収、そのままメタルドーパントの両手へと発射する。無論、殆どダメージを与えられない事は理解している。 だが、衝撃を与えて一瞬でも麻痺してくれれば良い。その僅かな一瞬の間に。 「どりゃ!」 暁が裏正、そしてかぎ爪に蹴りを入れて落とそうとする。しかし落ちたのはかぎ爪だけで裏正は堅く握られたままだ。 「ほむら!」 「そっちの方だけ回収して、もう時間が……」 かくして時は動き出す。 メタル・ドーパントの眼前にはかぎ爪を握りしめた暁、そしてディバイドランチャーを構えているほむらの姿があった。 「どうだ」 勝ち誇る暁であったが、 「俺には刀一降りあれば十分だ」 一方のメタル・ドーパントは表情を崩していない。再び3者が間合いを取ろうとする―― その時だった、一陣の風が飛び込んできたのは―― 「なんだ……?」 別段暁の身体に異常は無く、眼前のメタル・ドーパントにも変わった様子は見られない。ならば―― 空を見上げる、そこにはパンスト怪物に首筋を捕まえられたほむらの姿があった。 「ぐっ……まさか……」 あの状況でずっと仕掛ける隙をうかがっていたのだろうか? パンスト怪物がほむらを確保し高く飛び上がったのだ。 「ほむら!!」 「俺の事を忘れるな」 ほむらの事を気遣おうともそんな余裕などメタル・ドーパントが与えてくれるわけもない。メタル・ドーパントは裏正を構え暁へと仕掛けていく。 「させるか!」 そう言いながら暁はかぎ爪を盾代わりにして振り回し裏正の斬撃を弾こうとする。だが、何とか防げたものの暁の腕にかかる衝撃は大きい。 「ぐっ……」 「変身しないで俺に勝てると思うな」 暁は全力で後ろを振り向き走り出す。だが逃がすつもりの無いメタル・ドーパントは一気に間を詰めて裏正を一降りする。 「ハズレ♪」 しかし命中はしなかった故に余裕の表情を浮かべる暁であったが、 ――次の瞬間、一本の木が倒れ出す。裏正の斬撃は暁のすぐ側の木を斬っていたのだ。斬られた木はそのまま断面にそって滑り落ち――倒れていくだけだ。 「なっ……アンタ何やってんの?」 「運が良いな、だが次は……」 「冗談じゃ無い、こんな奴まともに相手にしていられるかっつーの」 磔刑 XX is crucifixion. その一方、パンスト怪物に捕まったままのほむらは何とか身体を振り回し、抜け出そうとするが。 元々魔法少女の中でもそこまで力が強くなく、それでなくても度重なるダメージで疲弊した今のほむらにパンスト怪物の拘束を脱する事は厳しい。 時を止めるわけにはいかない。パンスト怪物に捕まっている状態ではパンスト怪物も動ける事になり何の意味も無い。 しかし逆を言えばこういう事だ、パンスト怪物の拘束を抜け出しさえすれば時を止め至近距離からの攻撃が可能だと。 地面に激突するリスクもあるが、上手く木の上、あるいは川の上に落下すればダメージは最小限に抑えられる。 後はなんとかしてパンスト怪物が自分を手放させるだけだ。 そう考えほむらはパンスト怪物に見えない様にディバイドランチャーを弄りハンドガン形態にする。 ディバイドランチャーはパーツを組み替える事でハンドガン形態、マシンガン形態、そしてビーム砲形態といった状況に合わせて使い分ける事が出来るのだ。 そしてハンドガン形態となったディバイドランチャーを自らの首筋に当てる。そこはパンスト怪物が自身を掴んでいる箇所でもある。 「私を只の人間と同じと考えた、それが貴方の敗因よ」 そして引き金を引くという事だ。パンスト怪物が手放さなければ至近距離からのビーム砲によりパンスト怪物の手は焼かれ自身を手放し、それを避けるならばやはりそのまま手放す事になる。 もう片方の腕の動きには十分気を払っており、下手な動きを見せるなら一発当てれば良い。 パンスト怪物の身体から離れる事が出来れば後は時を止めてほむらのペースに持っていける。 かくしてほむらは引き金を―― だが、次の瞬間ほむらの視界が真っ黒に染まった。 「何……」 何が起こったのだろうか? 今一瞬、パンスト怪物の手から何かが発射された様な気がした。 だが、同時に首筋にかけられていたパンスト怪物の拘束が解かれた。状況はわからないがこれならば時を止められる。 迷う事無くほむらは時を止めた。身体を振り向かせパンスト怪物の方へと向き直りディバイドランチャーを可能な限り連射する。 視界は回復してはいないがこの至近距離だ、外す事などまずありえない。 「これで……」 だが、次の瞬間、ほむらの身体に強い衝撃が奔った。何者かの一撃がほむらに直撃したのだ。 同時に視界が僅かに回復する。そして最初に見えたものを見てほむらは驚愕する。 「何故……何故動いているの……?」 眼前では平然と動いているパンスト怪物の姿があった。 「あり得ないわ……あの瞬間、確かに拘束から抜け出せ……」 と、足下を見る。 「なっ……これは……」 ほむらは見た。靴の先端部にタコの足の様なものが巻き付いているのを――それはパンスト怪物の背中から生えていた。 「まさか……そういう事だというの……」 読者諸兄には今更語るまでも無いだろうが今一度説明しておこう。 ここまでパンスト怪物と呼称していた者の正体はパンスト太郎だ。 パンスト太郎は生後間もなく産湯という形で呪泉郷の水を浴び、牛の頭部に雪男の身体、鶴の羽根に鰻の尻尾を持った怪物へと変身する特異体質となった。 もっとも丈瑠に語ったとおり、パンスト太郎自身その身体自体はその強さ故に気に入っている。だが、産湯を浴びせたのが八宝斉であった事が彼にとっての大きな悲劇の引き金となっている。 とはいえ、この事についてはこの場ではあまり関係無い為これ以上は省略させてもらう。 さて、パンスト太郎は丈瑠にはあえて語らなかった事がある。別に語る事に抵抗があったわけではないが、手の内を全て曝す義理も無い故に伏せていた程度のレベルの話だ。 実はパンスト太郎はさらなる力を得る為ある呪泉郷の水に浸かった。それにより更に背中にタコの足が生える様になり、手からはタコ墨を吐く事が可能となったのだ。 「ぐふっ」 つまり、拘束を抜け出そうとタコ墨でほむらの視界を封じると共に密かに背後のたこ足をほむらの靴の先端部に巻き付かせ密着させる。 そうすることによりほむらが拘束から抜け出せたとしてもたこ足が密着している事に気付かないままなので、時を止められても一緒に動く事が可能となる寸法だ。そうして攻撃を仕掛けようとした瞬間を狙って一撃を入れたという事だ。 「という事は……この怪物は私の力、そしてその弱点に気付いている……」 ほむらは安易に自身の力を語ったりはしない。だが連続で使った事により遭遇した参加者の殆どがほむらの能力の正体に気付いている。 ダグバ、暁、丈瑠、そしてパンスト太郎、彼等にはその能力と弱点が割れてしまったと考えて良い。 割れていないのは最初に遭遇した山吹祈里ぐらいなものだろう(なお、ほむら自身気付いていないが実は乱馬もほむらの存在に気付いているが彼も現状ではほむらの能力には気付いていない) とはいえ、それを今悔やんでも仕方が無い。例え能力が割れた所で発動さえ出来れば回避が難しい事に違いは無い。 どちらにせよ、何とかして拘束から抜け出し反撃の一手を打たなければならない。そう考えながらディバイドランチャーを元のビーム砲形態に戻す。 その最中、 「わぁー!」 暁がバカの一つ覚えの様にメタル・ドーパントの猛攻から逃げ続ける。 「少しは真面目に戦え!」 「バカ言ってんじゃないの! 生身でそんな剣受けたら真っ二つになるっつーの」 「当たり前な事を言うな」 そう言って、メタル・ドーパントは裏正を暁へと振り落とす。暁はかぎ爪で何とか防ぐがその衝撃に耐えきれずかぎ爪を落としてしまう。 「しまった!」 回収する余裕は無い。ならばこのまま距離を取って逃げるしかない。 「問題はほむらは……ん?」 ふと上空のほむらの様子を見る。見るとほむらがディバイドランチャーをパンスト太郎に向けたままだ。 「おいおい、何考えているんだほむらの奴……もしあのパンスト野郎が手放したら地面に……」 だがほむらの真下は丁度川となっている。それを見て。 「なるほど、そういうこと。だったら……」 暁はほむらの狙いを察し走り出す。恐らく至近距離で狙いを定めたままパンスト太郎からほむらを手放させるという寸法だろう。 手放したならばその直後に時を止めディバイドランチャーを連射すれば良い。手放さなければ川の真上に来たタイミングで連射し手放させるという寸法だ。無論、下手な動きを見せればその場で連射するだけの話だ。 至近距離からの連射を受ければさすがのパンスト太郎も只では済まない。後は落ちてくるほむらを助けるべく川へと向かえば良い。メタル・ドーパントへの対応はその後で考えれば良い。 一方のほむらはディバイドランチャーを構えたままパンスト太郎を見据える。 「(さぁ、パンストの変質者……貴方はどちらかしら……?)」 パンスト太郎が相当の手練れという事は理解している。だが、ほむらとて長き戦いの中で重火器の扱いについて数多の経験を積んでいる。 抜き打ちでの対決ならば負けるつもりは全く無い。 暁がこちらの動きを察して動いている様だが当てにするつもりは全く無い。地面に激突するリスクはあるがこのままの状況でいても好転しない以上大きな違いは無い。 ここがある種の正念場―― そしてその瞬間は訪れる―― 手放したのはパンスト太郎の方―― 奴の身体が自身から離れたのを確認したほむらは時を止める。 ほむらだけの時間が始まればほむら以外の者は誰も手を出す事が出来ない。 ディバイドランチャーを連射すれば全てが―― だが―― 次の瞬間、ほむらは自身の左胸に強い違和感を覚えた―― 見ると、刀の切っ先が深々と生えているではないか―― 「え――」 ほむらの思考が止まる―― 何故、自身が刺されているのだ? 時を止まった自身が敵の攻撃を受けているのだ? 疑問符だけが彼女の頭を埋め尽くす―― ディバイドランチャーの引き金を引こうとも腕に力が入らない―― ダメだ、意識が遠のいていくのを感じる。心臓と肺を潰されたのだろう。頭に血液が回らなくなっていく―― そして何も出来ぬままほむらだけの時間は――終わりを迎えた。 強い激突音が響いた―― 「なんだ、今のは……」 上空を見上げるがそこには誰もいない事がわかる。 「だとしたら……」 暁は地面の方を見る。しかし川にも地面の上にもほむらが落ちた様子はない。 「じゃあ今のはなんだったんだ……」 暁は周囲を見回す――そして、 「なっ……なんで……なんでほむらが……」 ほむらはそこにいた―― 左胸を裏正で貫かれたまま木の幹に磔となった形で―― その傍らにはパンスト太郎が平然とした姿で立ち尽くしている。 「まさか……そういうことか……銀ピカ野郎にパンスト野郎……お前ら組んでいたって事か……!」 対策 Trend and step. 時間はパンスト太郎がほむら達を見つけた事を丈瑠を伝えた時に遡る。 「で、どうする?」 丈瑠にとっては先程逃した相手である。聞いたところ川辺で休んでいるらしく、急いで行けばそう時間はかからず十分に追いつける範囲だ。 だが、丈瑠はどうするべきか迷う――いや、すぐさま迷いを振り払った。このまま躊躇してはそれこそ何も出来ずに終わってしまう。そんな中途半端な者など何も残せぬまま終わるだけだろう。 むしろ、自身の迷いを断ち斬る為にも今度こそあの2人を仕留めねばならない。 それに、丈瑠の精神的な問題を別にしてもあの2人――いや正確にはほむらを放置するわけにはいかないと感じていた。 「あの戦いをずっと見ていたんだったな」 「ああ」 丈瑠はパンスト太郎に、先の戦いを見ていた事について今一度確認した。 「だったらあの少女……暁美ほむらが何をやっていたかわかるか?」 丈瑠が気にしたのはほむらの行動についてだ。ほむらはこちらが反応する間もなく、ディバイドランチャーの光線を当ててきたのだ。 いや、正確に言うならば当たったという結果だけを突きつけられていたのだ。 わかりきった事だが、いかなる早撃ちといえども全くのノータイムで銃弾を当てる事など不可能。 銃を構え、狙いを定め、引き金を引き、銃弾を放ち、命中させる、一連の動作を限界まで短くしてもその時間を0にする事など誰にも出来やしない。 僅かでも時間がある、銃口の方向さえ分かれば丈瑠ならば十分に対応が可能だ。しかしそれすらもさせてもらえない、それが丈瑠には奇妙だったのだ。 「限りなく短い時間で銃弾を当てた、そんな所だろう」 「やはりお前もそう思うか……」 「そういやあの時、加頭の野郎が言っていたな。この首輪は時間操作の影響を受けないとな……」 「!! つまりそれは……」 「おそらくあの女はその時間操作が出来る……いや、時間を止める力を持っているんだろう」 「そいつは厄介だな……」 時間を止める能力、それは使い方次第で無敵の力を発揮する。時さえ止められれば誰も認知する事無く暗殺を行う事が出来る。 その気になればどんな強敵でも倒す事ができるだろう。 「それともう1点気になった事がある。あの女――首輪をしていなかった」 「それは本当か!?」 丈瑠は精神的に迷いがあった為かほむらの首輪にまで意識を回す事ができなかった。とはいえ、全員が首輪をしているという先入観を持ってしまえば、首輪の無い人物がいてもそれに気付かないでいる事はよくある話だ。 「実はもう1人首輪をしていない女を見た」 パンスト太郎は丈瑠達の戦いに遭遇する前に、2人の少女が1人のカブトムシ野郎と戦っている現場を見た事を話す。 その2人の少女の内の赤髪の少女が首輪をしていなかったのだ。 そして何より重要なのは―― 「あの女、身体に大穴を開けられても平然と生きていやがった」 「何……外道衆の様に命を2つ持っている様なものか……?」 それを踏まえて考えるならば、ほむらもその赤髪の少女と似たタイプと考えて良い。だとするならば、生半可なダメージでは倒し切る事は出来ないと考えて良い。 丈瑠が遭遇した時点では疲弊しきっていた様だったが回復してしまえばその能力と生命力で一方的な勝負にもっていかされてしまう。 故に、疲弊したこの状況こそほむらを仕留める為の好機と言えよう。 「お前……俺が彼女を仕留める事に反対するつもりはないか?」 「何故反対する必要がある? お前がやらないなら俺がやるつもりだ」 パンスト太郎も仕留めるつもりで考えている。何しろ強敵と言える相手が今にも倒れそうなぐらい疲弊しているのだ。ここで潰さない理由など何処にもなかろう。 だが問題はほむらの持つ時間停止能力だ。その対策は考えねばならない。 わかっている事としては止められる時間は僅か、そして一度時間を止めた場合一呼吸置かないと再び時間を止める事が出来ない事だ。 「後は……あの女が触れているものはその対象外……といった所だな」 「難しいか……」 これは厄介な相手だろう。何しろ基本の武器が遠距離攻撃である以上、近づくという愚行を犯すわけも無い。 かといって無策で接近しても時を止められそのまま返り討ちに遭うだけでしかない。 また何とかチャンスを作ったとしても時を止めて逃げられれば全く意味が無い。 それ以前に時を止められればどんな防御も対策も無意味だ。 「ぐふっ……ならあの女の方が自分から斬られる様に仕向ければ良い」 と、パンスト太郎がそう呟く。 元々パンスト太郎は変身後の実力だけではなく、相手を罠に嵌める事にかけても得意分野だった。 最初に乱馬達と交戦した時は水の砦という地形で罠に嵌め、自身が変身する前に乱馬やその仲間達に水を浴びせ乱馬以外を無力化させた事があった。(注.とはいえ、罠だけが原因というわけではない。) 「何か手があるのか?」 と、パンスト太郎がその策を説明する。 「……!」 丈瑠は難しい顔をしていた。確かにパンスト太郎の行動が全て行くならば後は自身の行動さえ上手くいけば何の問題も無い。 だが、それを実行しきる事ができるであろうか? それは侍としては許されざる事項もある。 しかし、迷いを振り切る為にもやりとげねばならない。故に、 「1つだけ頼みがある……もし、俺が一瞬でも迷い策が失敗に終わるならば……迷わず逃げてくれ」 「いいだろう」 かくして両名は暁達に仕掛ける事となった。 まず丈瑠が2人の元へ行き交戦開始、まずはメタル・ドーパントとなった丈瑠1人だけで相手をするという事だ。 その間にパンスト太郎は様子を伺いながら水を被り変身してその時を待つ。 その後頃合いを見計らい3人が戦う戦場へ乱入する。 この時、丈瑠と組んでいる事を悟らせない為、無差別に参加者を襲撃する怪物を装う必要があり、丈瑠にも仕掛けておく。 当然、応戦する丈瑠も手加減無しで本気で対応する。この辺りは両名が互いの実力をある程度信頼した上での行動だ。 そして混戦で疲弊して生じた隙を突き、パンスト太郎がほむらを確保し上空に。 こうする事でパンスト太郎と密着状態となり時止めを封じる事が出来る。 なお、一方で丈瑠は暁に対応しつつほむらとある程度の距離を取る。 最後に――パンスト太郎への対応に夢中になり距離の離れた丈瑠へのマークが甘くなったほむらの隙を突き―― 丈瑠が裏正をほむらの真下へと投擲し、タイミングを計りパンスト太郎もほむらを解放。 ここでほむらの性格を考えてみよう。至近距離で確実に仕留められる相手がいるならば――時を止めて仕掛けるのは容易に推測できる。 また、相手が空中戦を得意としているならば解放しても追撃を仕掛けてくる可能性が高く、それに対応する為にも時止めは有効だ。 つまり、限りなく高い確率で時を止めてくると読んだのだ。 だが、このタイミングで時を止めた場合どうなる? 時止めの対象外となるのはほむら自身とそれに触れている物体のみ。 まず、ほむら自身は重力に刃向かう事が出来ない故にそのまま落下する。 一方真下にある裏正は時間停止により止まった状態だ。 その結果――ほむらは真下にある裏正の上に落ちてしまいその刃をそのまま受けてしまう事となったのだ。 ちなみにパンスト太郎はそこまでややこしい説明はせず、要するに『時間停止により空中で停止した裏正の上にほむらを落とせば良い』という風に説明した。 とはいえ、これは丈瑠とパンスト太郎が連携できていなければ成立しないが、連携していればこの策が読まれる可能性が高い。それ故に一見は組んでいない様に見せる必要があったという事だ。 とはいえパンスト太郎の猛攻はここでは終わらない。 ほむらを落とした後、成功するにせよ失敗するにせよ、地面へと落下する事は確実。 故に落とした直後高速飛行で移動し地面に向かう。 その後、裏正が刺さったまま地面に激突したほむらを捕まえそのまま運び―― 近くの木へと叩き付けたという事だ――丁度裏正が木に刺さる形―― さながら、木に磔となった罪人の姿の様に―― 激昂 Frenzied rage. 「ぐふっ」 暁の声に応える事無く、パンスト太郎はほむらへと刺さった裏正を乱暴に抜きメタル・ドーパントへと投げ返す。 「言った筈だ……謝りはしないと……恨め、外道の俺を……」 そう言いながら裏正を掴むメタル・ドーパント、侍としては手放すつもりはなかった刀だが、その拘りと甘さで何も出来なければ意味は無い。 故に、パンスト太郎の策に乗ったのだ。 「ほむら……」 暁はメタル・ドーパントの返答を待つ事無く地面に倒れ込むほむらへと駆け寄ろうとするが、 「!?」 暁は見た、心臓を潰されている筈のほむらが手を伸ばし何かを掴もうとしているのを――その近くにはディバイドランチャーがある。 「そうかそうか、まだ諦めてないんだな……」 だが、次の瞬間、パンスト太郎の足が振り下ろされる。 まずはディバイドランチャーを踏みつぶして粉砕―― 次に伸ばされたほむらの手を踏みつぶす―― そして無造作に蹴り飛ばす―― その身体は血を流しながら地面を転がり、それきり動かなくなった―― 「ぐっ」 その時、暁は突然振り返り、パンスト太郎とメタル・ドーパントに背を向ける。 「逃がすと思うか?」 そう口にするメタル・ドーパント、一方のパンスト太郎も一丁あがりとばかりにほむらに向けていた視線を外し暁へと向ける。 「俺の……俺の怒った顔を見られたくないんだ!!」 それは何時ものお調子者で脳天気な男のものではない――その拳は硬く握られている。 暁とほむらの仲は決して良好といえるものではない。 また、暁自身ほむらの人を寄せ付けない言動に憤りを多少なりとも感じていた。 しかし、切欠こそ可愛い女の子だったからという不純なものではあったが暁が彼女の身を案じていた事に違いは無い。 これまた不純な動機(ほむらの友人なら可愛い女の子に間違いない)ではあったが彼女の人捜しにも付き合おうと思っていた。 だが、切欠はどうあれほむらがキュウべぇという悪徳業者に騙されながらも同じ様に騙されている『あの子』を助けようと必死になっている事はなんとなく把握している。 そんな一生懸命な彼女を大の大人2人(パンスト太郎もそうだと考えている)がよってたかっていたぶりその想いを踏みにじり自らを外道と言って悪びれもしないのを見て暁の中で何かが弾けた。 「やってくれたなお前ら……乙女の想いを踏みにじりやがって……!! 絶対に許さねぇ!!」 「許しを請うつもりはな……」 そう向き直った暁の表情は真剣そのものだ。それ故にメタル・ドーパントも思わず言葉を詰まらせる。 「燦然!! シャンバイザー!!」 その言葉と共にシャンバイザーを出現させ装着する―― 『燦然――それは涼村暁がクリスタルパワーを発現させ超光戦士シャンゼリオンとなる現象である』 そこにいるのは脳天気探偵涼村暁ではなく――超光戦士シャンゼリオン―― 「かかってこい、雑魚共が!!」 最初に動いたのはメタル・ドーパント、メタル・ドーパントは間合いを詰め裏正を振るうが、 「シャイニングブレード!」 胸部から出現させたシャイニングブレードでそれを受け止める。だがメタル・ドーパントは構わずかぎ爪で突こうとするが、 「シャイニングクロー!」 再びシャイニングクローを装着しかぎ爪をはじき返す。 「何……このパワーは……」 驚愕したのはメタル・ドーパント、先程と違い明らかにパワーも反応速度も上がっているのだ。 「ぐふっ」 そんな中、背後からパンスト太郎が迫り背中にその拳を振るう。拳は確かにシャンゼリオンの背中に入った――だが、シャンゼリオンは僅かに動いただけでそれを耐えきり、 「はぁっ!」 と、振り向きパンスト太郎の頬に拳を叩き込む。パンスト太郎はよろめきながらもシャンゼリオンから距離を取る。その間にもメタル・ドーパントがシャンゼリオンへと迫るが、仕掛ける前にシャイニングブレードを振るい裏正による斬撃を受け止める。 「ガンレーザー! ディスク装填」 再びガンレーザーを出現させディスクを装填した上で銃口をパンスト太郎へと向け連射する。 パンスト太郎はその砲撃を的確に回避しつつタコ墨を発射しシャンゼリオンの視界を封じようとするが、 「はぁっ!」 シャイニングクローを盾代わりにそれを防ぎパンスト太郎へと間合いを詰め、 「だりゃ!」 高く飛び上がりパンスト太郎の背中に飛び乗る。 「ぐふっ……」 対するパンスト太郎は何とかシャンゼリオンを振り落とそうと高速飛行しつつ振り回す。 「はぁっ!」 シャンゼリオンはなんとかバランスを取りつつ背中に一撃を入れる。打たれ強いパンスト太郎といえどもこの一撃は効いている様だ。 「奴の怒りか……奴の怒りが強化をもたらしたというのか……」 そう呟くメタル・ドーパント、先程までのとは違い今のシャンゼリオンはまさしく強敵と言えよう。仕掛けようにもパンスト太郎と共に空中を飛び回っている以上手出しは出来ない。 だが、パンスト太郎も只やられるつもりはない。パンスト太郎は全身を振り回し遂にシャンゼリオンを振り落とす。 しかし一方のシャンゼリオンはシャイニングブレードとガンレーザーを接続し 「スクラムブレイザー!」 2つを合体させる事で完成する光線銃スクラムブレイザーをパンスト太郎へと構える。この射程ならばある程度のダメージは―― だが、パンスト太郎はパンストをスクラムブレイザーの銃身へと絡みつかせる。このまま武器を奪うという算段だ。 「ぐっ……」 しかしシャンゼリオンはスクラムブレイザーを手放さない。だが、パンスト太郎のパワーで振り回されスクラムブレイザーを放つ事が出来ないでいる。 そして振り回されたシャンゼリオンは巨木へと叩き付けられそうに―― 「だりゃ!」 計算があったわけじゃない。シャンゼリオンは何とか体勢を整え、木の幹に何とか着地する。そして投げつけられた時のパワーの反動を利用してそのまま跳び―― パンスト太郎へとドロップキックを決めた―― そのままパンスト太郎は脳震盪を起こし川へと落下―― かつてパンスト太郎が乱馬と戦った際、パンストが絡みついた乱馬を岩壁へと叩き付けようとした。 しかしそれこそが乱馬の狙い、岩壁に上手く着地しそのまま跳ね跳び、パンストの伸縮による反動でパワーとスピードを強化した蹴り、パンスト流星脚をパンスト太郎に叩き込みノックアウトしたのだ。 そう、奇しくも今シャンゼリオンが決めた蹴りはそれとよく似ていたのだ。 その時よりも絡みついたパンストが短い故、反動による強化は弱いがその分シャンゼリオンにはパワーがあり、何より距離も短い。 パンスト太郎をノックアウトするには十分と言えよう―― 「はぁ……はぁ……どうする、残ったのはお前だけだぞ」 流れゆくパンスト太郎から視線を外しメタル・ドーパントへと向き直る。 「聞くまでもないだろう、参る!」 裏正とかぎ爪を構えメタル・ドーパントが迫る。シャンゼリオンもまたシャイニングブレードとシャイニングクローを構え迎え撃つ。 振るわれる裏正――シャイニングクローで受け止める―― 対しシャイニングブレードが振り下ろされる――かぎ爪で弾かれる―― そのままかぎ爪による突きが――シャイニングクローで防ぐが双方のパワーで両者の武器が外れ宙を舞う―― それでもシャイニングブレードを横薙ぎに――裏正の縦の動きで防がれる―― つばぜり合う2本の剣――それは両者が互角である事を意味するのか―― 否――互角では無い、メタル・ドーパントの裏正がシャンゼリオンのシャイニングブレードをはね除け返す刀で次の一撃を―― 何とか防ごうとするもすぐさま次の一撃が―― 僅かな隙を突きシャンゼリオンが一撃を入れようとも即座に裏正で防がれカウンターの一撃が―― メタル・ドーパントの指摘通り確かに怒りによってシャンゼリオンはパワーアップしたと言えよう。 その結果、単純なパワーと反応速度が上がったといっても良い。 それだけではなく、今のシャンゼリオンこと暁はほむらを過剰なまでにいたぶった丈瑠達を倒すべく集中している。それ故に従来よりも動きが良くなっているといっても良い。 更に言えば、熟達した丈瑠やパンスト太郎、そしてほむらとの命のやり取りは知らず知らずの内にシャンゼリオンになったばかりである素人の暁に大きな経験を与えた。 つまり、比喩でも錯覚でも妄想でもなんでもなく、暁は知らず知らずの内にパワーアップしていたという事だ。そしてそれは現在進行形で進んでいるとも言える。 だが――それでも届かない―― 長年外道衆と戦い続け、影武者とはいえシンケンジャーの長である殿を演じ続けていた丈瑠と渡り合うには足りない―― 幾ら成長し、気持ちの上でパワーアップしたとはいえそれだけで勝てる程甘い相手ではない―― 丈瑠とて長年戦い続けてきたのだ、少しばかりパワーアップされた程度で崩れるわけもなかろう。 むしろ、強化されたからこそ丈瑠は気を引き締めているとも言える。慢心を捨ててかからねば足下をすくわれかねないと―― そう思わせた以上、なおの事倒せる道理もないだろう。 故に状況はシャンゼリオンが防戦一方という状態に陥っていく―― 何とか防げてはいるが、少しずつメタル・ドーパントの攻撃がシャンゼリオンにも届いていく―― 現状は装甲を僅かにかする程度で防げてはいるが何れは限界が訪れる―― 一人では決してシャンゼリオンは勝てないであろう―― そう、一人では―― ならば―― その時、不意に強風が吹き込んだ―― シャンゼリオンもメタル・ドーパントも思わず風が吹いた方向に視線を移す―― 「何……」 「え……」 2人は信じられない様な声を挙げる――それもその筈、そこに立っていたのは―― 心臓を貫かれ致命傷を負い地に伏せられまず生きていないであろう―― 暁美ほむら、その人だったのだ―― 時系列順で読む Back 白と黒の黙示録(夜明けの鐘)Next 白と黒の黙示録(円環の理) 投下順で読む Back 白と黒の黙示録(夜明けの鐘)Next 白と黒の黙示録(円環の理) Back 白と黒の黙示録(夜明けの鐘) 暁美ほむら Next 白と黒の黙示録(円環の理) Back 白と黒の黙示録(夜明けの鐘) 涼村暁 Next 白と黒の黙示録(円環の理) Back 白と黒の黙示録(夜明けの鐘) 志葉丈瑠 Next 白と黒の黙示録(円環の理) Back 白と黒の黙示録(夜明けの鐘) パンスト太郎 Next 白と黒の黙示録(円環の理)
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【検索用 paintしろとくろのせかい 登録タグ 2009年 P VOCALOID カブ 曲 曲英 蝶月悠 鏡音レン 4124】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:蝶月悠 作曲:4124 編曲:4124 イラスト:カブ 唄:鏡音レン 曲紹介 曲名:『pain-t ~白と黒の世界~』(ペイン-ト ~しろとくろのせかい~) 4124氏、3作品目。 歌詞 (動画より書き起こし) 歪んだblack(くろ)の虚空と 腐ったwhite(しろ)の世界で 絶望感じ眠れ 痛みを 得たいなら さあ 悪足掻け振り乱せ 心を 解き放て パレットに 色を足すオマエ次第 塗り潰してみせろ 神よ繰り返し襲う そんな戯言はもういい 遊びは終わりにしよう か弱い 仔羊(シープ)だと侮るなら 必ず痛い目を見る 犠牲を伴うこれは battleだ 雨もash(はい)の虚空と 涙もsnow(ゆき)の世界で 失望感じ生きろ 痛みを 得ようとも さあ いいだろう来るがいい その身を 懸けても 覆す 筆を持つオマエ次第 描(か)き換えてみせろ たとえ いつか 牙を剥き散ろうとも 終わらせはしない 絶対に アンタには 極上の 後悔くれてやる コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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852 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 18 38 ID NlFiVWY8 11 貴方の笑顔が見たくて、貴方の幸せを考えて、貴方を困らせたくない。 何も変らぬ様にと、貴方が幸せに成れば良いと、震える唇で強がる。 でも本当は、私のココロが欲しいのは、私のカラダが欲しいのは、私を求める貴方の声。 OtherSide 3日目 眩しい程の白。朝の陽光を浴びて、今日も『私』は意識を呼び起こす。 「うぅっ……はぁっ、全く」 高層ビルの屋上。貯水タンクに寄り掛かかり、身体を冷え切らせて起床する。 「昨日の『二択』は失敗したわ」 探すべきは兄。ライトメアじゃない。昨日はそこを間違えた。 だから、また繰り返す……こんな有り得ない現状の日々を。 この世界は偽りに満ちているって言うのに、この世界は疑う事を決して許さず、この世界の真ん中で私の兄は、この世界を繁栄させる為に哀を唱う。 「お兄ちゃん、待っててくださいね」 そう決意を込めて呟き、フェンスの上に飛び乗って仁王立つ。 「そしてライトメア……貴方は殺すわ」 冷風を受けて両腕を広げ、左手には『祁答院の化身』を握る。 「さぁ、It s‐a‐Showtime!!」 私は5秒間の自由を求め、仙台の大空へと跳躍した。 853 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 20 50 ID NlFiVWY8 12 「本当に変ってない。旅館が、まだ在るなんて」 旅館の入り口に佇み、懐かしい全貌を垣間見る。今の旅館からは想像も出来ない、古風で暖かな我が家の姿。 「この頃は良かったのに」 玄関を開け、変らぬ内装を覗き、リビングを覗く『私を見る』。 「ッ!? 昨日も見たけど、確かに……ソックリね」 容姿だけじゃない。行動まで酷似して。 だから解る。 ソックリだから解る。 私が現れた事にも気付けず、幸せそうに魅入ってる。 リビングに見える大切な人の寝顔を、微笑みながら見詰めてる。 「ああっ」 きっと私は嫉妬深い。 「ダメだっ」 だってもう我慢出来ない。 「これ以上は」 この世界に来てまで、お兄ちゃんを取られたくない。 「私の思いは……」 眼前の偽りを斬り殺せと、獣の心身が吠え捲る。 「こちらに向き直れ、フェイクドールッ!!」 お兄ちゃんは昼近くになるまで起きない。この世界は『そう言う風』になっているのだ。 だから、多少の咆哮等、問う処じゃ無い。 「女の嫉妬は哀れなだけよ。負け犬の、紫琉ちゃん」 もう一人の私が勝者の駄弁を語り、ゆっくりとこちらに向き直る。 「へぇ……この世界でしか生きられない貴女が、私の何に勝ったと言うの?」 むかつく、ムカツク。ムカツク!! 私を見下す余裕の表情。コイツは絶対にアレを言おうとしてる。 真意はどう有れ、精神的優位に立とうと思えば、ハッタリの一つもカマすだろう。私の最も傷付く最悪の言葉をコイツは…… 「だって私、おにいちゃんに抱かれてるし」 笑顔で言いやがった。 854 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 21 27 ID NlFiVWY8 13 「そんな嘘、私に付いてどうなるの?」 私は至って平静……を装う。 どうせバレてるのに。 「嘘だと思うなら、指をしゃぶって眺めてればいい。おにいちゃんは今日も私を抱いてくれるわ♪ おもいっきりナカを掻き回してぇっ、子宮がパンパンになるまで膣内射精するのっ♪♪」 「黙れ……」 私は、こんな人外にすら負けてしまうの? 「確かに私はライトメア様に造られた存在だけど、この気持ちは嘘じゃない。おにいちゃんの事、本気で好きなの」 「黙りなさいよ……」 私は負けたんだ。それが悔しい。どうせ無駄だと、告白すらしなかった自分に腹が立つ。 ズルズルと後悔ばかり引きずって、兄は結婚した身だと諦めて、私は何もしなかった。 「Your Looser、さっさと『この世界』から消えて。お兄ちゃんと私の生活を邪魔しないで」 ライトメアの人形は私を左手示指で差し、早く出て行けと罵る。 「黙れってぇ……」 お兄ちゃんを解放する為には、私の偽者も殺さなくてはいけない。 でもそこに感情なんか無かった。 「言ってるでしょッ!!」 でも、でも、でも。コイツを殺したいと全身から殺意が溢れて来る今は、純粋な嫉妬で動いてる。 「だいたい、ガラクタの分際で愛を語るなんて生意気過ぎ……ふっ、くっ、ははっ、は」 あーあ、自笑してしまう。 結局、全然吹っ切れてないんだ。 もう結婚しているのに。自分の姿に嫉妬する程、双子の兄をいつまでも愛しているんだ。 「この愛も本物になるわ。本物の貴女を殺し、お兄ちゃんと二人で生きて行く」 私は誰にも……そう、婚約者にだって、おにいちゃんを渡したくなかった。 聞き分けの良い妹だと思われたくて、お兄ちゃんの為だと思って、あの場は偽善的に「結婚オメデトウ」って言っただけ。「おにいちゃんを殺して私も死ぬ」って言えなかっただけ。 「なれば、その淡い恋心を抱いたまま……」 左手で祁答院の化身、『童子切安綱』の鞘を持ち、右手を柄に添えてガラクタを睨む。 「死に逝け」 855 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 22 58 ID NlFiVWY8 14 右半身前で脚を開き、重心と上体を極限まで低く。 「今日から私が本物になる。貴女には、消えて貰うんだからっ!!」 ガラクタも階段に置いて在った抜き身の刀を右手で掴み取り、正眼の構えで私に対峙する。 「人に仇成す悪を滅すは……」 私は気付けた、私の本当の思いに。だから私は、ちょっぴりだけどハイになってるらしい。 こんな饒舌に成り、ガラクタに同情さえ覚えて。 「祁答院家が断罪剣、祁答院 紫琉ッ!!」 さあ、さっさとガラクタを壊し、ライトメアを殺し、お兄ちゃんを救うんだ。 振られても良い。もう一度キチンと、納得の行く様に、告白する。 「参ります!!」 言い終わりと同時、空気は冷気に、冷気は殺気に、油断は墓標に、周りの摂理が瞬間可変。 「負け犬の貴女とは違う。私は本物になって、この愛を叶えて見せるッ!!」 ガラクタから迸る黒い殺気は、痛い程に私の身体を射抜いている。 「私は……本物に成るんだぁぁぁぁぁぁッッ!!」 叶わぬ恋と知りながら、造られた愛と知りながら、二人で生きると夢を見るの? それでも、と。もしかしたら、と。 「無理よ貴女には。だって……」 「五月蠅い!!」 ガラクタは、続く台詞を遮る様に巨声で廊下を蹴り飛ばし、 「死んでよッ!!」 次瞬にして私の寸前で刀を振り落とす。 「だって無理よ……」 ガラクタの初動も、向かって来る剣速も、私と同等に早い。 「死ぬのは、ガラクタの貴女だし」 でもそれだけ。確かに強いだろうが怖くは無い。何故なら、記憶からライトメアが造り出した物は全て…… 「えっ?」 無惨成る『機械』だから。 856 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 24 31 ID NlFiVWY8 15 「胴体を斬り飛ばしたつもりだったけど、流石は私ね」 勝ったのは、居合い抜刀で切り上げた私の剣。 ガラクタの剣は私に届かない。握った右手ごと廊下に転がっている。 「どうしてよッ!? スピードもパワーも同じなら、先手を取った私の剣が勝つ筈でしょうに!?」 血液に似せた『何か』を垂れ流し、手首の切断面を押えてガラクタが叫ぶ。 「やっぱり……ソコまではコピーされてないのね」 所詮はライトメアの造り出した模造品。上辺だけの三流品だ。 「ふざけるなッ! 硬度や強度は私が上なんだ、人間の貴女より劣ってるモノなんてない!!」 ふっ、硬度? 強度? とうとう化けの皮が剥れて来たわね。そんな人間離れした事を言い出すなんて。 「そうね、夢の島行きの前に教えて上げるわ」 「ちっ!」 ガラクタはバックステップで間合いを取り直し、階段から二本目の刀を左手で掴む。 「普通は、始めに殺そうとする意志が在って、その後に剣が動く」 右腕を肩の位置まで水平に上げ、童子切の切っ先をガラクタへ。 「でもね、祁答院の剣は違う。意志よりも先に剣が動くの」 呼吸を整え、最上級の殺意を込めてガラクタを睨む。 「どう、言う意味?」 兄の平穏を奪う怨敵を倒す為…… 「貴女の剣は私に届かない。そう言う事」 我が眼は険しく流移する。 「はっ、ははっ……そうか。私は上っ面だけの粗悪品なのね?」 ガラクタは呆れた声で含み笑い、 「お兄ちゃんに愛される資格すら無いのね?」 先の無い右肩に自らの刀を当て、 「ふふっ、はぁぁははぁぁぁぁぁッッ!!!」 そのまま右腕を切り落とした。 「っ!? バカね。まぁ、威勢と覚悟は買って上げるけど」 斬と音鳴り、断と音鳴って落地で離れ死ぬ。 「いたっ……ははっははははっ。どうせ、今日が終われば私にはリセットが掛かる。本物に成る為だったら、こんな重り! 喜んで捨ててやるわ!!」 私と対する形で残った左腕を上げ、互いに同刀の剣先を向け合う。 同じ構えを取り、同じ刀を持ち、コピーされた愛を信じ、兄が全てと思い込む。 857 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 28 12 ID NlFiVWY8 16 「おにいちゃんへの愛を、その思いだけ私が連れて行く。だから……安心して壊れなさい」 この時点で決着は付いてる。語り合う間も無く斬り伏せられた。 ここまで長引いたのは、ガラクタに対する、私に対する、単なる『情け』が在っただけ。 楽に、楽に。 「「ふぅぅぅっ……」」 互いに一つの深呼吸。取った行為は同じでも、その意味合いは全く違う。 落ち着かせるだけの呼吸では、戦闘者としての低域を抜け出せてない。 「このままだと、今日の私は出血多量で死んじゃうから……先に、仕掛けるわよ?」 目認できるガラクタの体重移動。半身で後ろの右脚に体重を乗せ、前脚の爪先を僅かに上げる。 「うだうだ言わずに、さっさと来なさい!!」 その体勢から繰り出されるのは打突のみ。剣技中最速で有る突きの構え。 「疾ッ!!」 人形が血溜まる廊下を跳ね飛び、二度目の攻防。二度目の後手。私の身体は木偶と成り、微動もせずに待ち受ける。 「ンッ!?」 やはり次瞬は眼前、相当に早い。体動のスピードだけで言うなら、私を超えるか? ただ、 「お粗末ね……」 私の剣は別だけど。 「お粗末過ぎるわガラクタァッ!!」 迫る刀と待ち惚ける刀が交錯する瞬間、初聴する金属音が鳴り、私の静はガラクタの動を内側からのパリイで弾く。 「蹴ッ!!」 しかしガラクタは止まらない。 弾かれた左腕の反動を利用し、先に着地した右脚を軸とする胴回し後ろ回転蹴り、『龍迅尾』へと繋げて来る。 狙いは左腹部でしょうが。変化に乏しい、セオリー通りね。 「フッ!」 重心を膝位置まで下げて身を屈め、左逆手の『鞘』を振り上げて龍迅尾を迎撃。 「「ハァァッ!!」」 内脚筋へ決まり、ビタリと完璧に左脚は止まる。一瞬で終始する静止空間。横に働く力は、上へと働く力に殺されたのだ。 「まだまだぁッ!!」 それでもガラクタは止まらない。三撃目は必殺。頭部を狙った打ち落とし気味の右爪先蹴り、『落燕蹴』へと連絡。 この一連の流れこそ、祁答院が得意とする連環討路の一つ。 「単純で」 それ故に読み易い。自技の死角を最も知るのは、それを使う私自身。 だがこれは、それ以前の問題なのだ。 「容易いわ……」 瞬間に、 「ねッ!?」 頭が高速シェイクされる感覚。ベストタイミングで落燕蹴を食らった。左耳前部から打ち抜かれ、頬に一筋血が垂れる。 だけどね、 「貧弱ぅぅぅぅぅッッ!!」 結果はそれだけ。必殺の技が見せたのは、ほんの微かな掠り傷。 「なんでッ!?」 落燕蹴と同方向に首を逸して受け流しもせず、微塵も動かず受け切った。 「私の極技……」 鞘を手放して『硬気功』を解き、全身の集気を左掌に集約。 右脚で地を踏み締めて上体を上げ、ガラクタの晒す背面部に『その掌』を当てる。 「地獄の底まで持って行けッ!!」 後は流し込むだけ。内家から派生した、祁答院式の浸透勁を! 「雷光、短勁ッ!!!」 これがキーワード。 これが断罪言。 これが、ガラクタを無に返す祁答院式の純気功、雷光短勁(らいこうたんけい)。 858 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 30 05 ID NlFiVWY8 17 「うがあァァァァァァァッ!!!」 バチバチと雷気が全身を駆け抜け、ガラクタが悲鳴し、爆発音を発して階段へと吹き飛ぶ。 何度も横回転し、腹部を柱に強打して俯せに落ちた。 終わった、わね。例え時間で身体がリセットするとしても、今回に限って言えば終前の一撃。 空腸を、回腸を、胃を、肝臓を、完璧の手応えで完全に壊した。残る作業は、トドメを刺して上げだけ。 「ぁぁ……うっ、ぐぅッ……」 声に成らない声しか出せず、こちらに背を向けて上半身のみを起こすガラクタ。 「やっと、諦めたのね?」 私はゆったりと歩き、再び左掌に気を集める。 ガラクタは、死を認めたのだ。この世界の明日は決して来ない。今日で終わる。即ち、これがガラクタで産まれて祁答院紫琉として迎える最後の死。 「何か言い残す事は?」 真後ろで片膝を着き、左掌をガラクタの後頭部に当てる。 「わ……しいわ」 思えば、 「えっ、小さくて聞き取れなかったわ。もう一度お願いできる?」 勝ちを確信したこの行為こそが、慢心から出た油断。 「私一人じゃ寂しいわ」 だから、 「ッッ!? ぐぎっ、いい加減、おにい、ちゃんをっ……任せ、なさいよっ!!」 僅かな可能性にも気付かなかった。 ドスッ、と。ガラクタは刀を自らの胸に貫通させ、私の腹部に突き刺していた。 「痛ッ、たたた、っと」 身体を後ろに引いて刃を引き抜く。 痛みは有るが大丈夫。血は出てるが大丈夫。肉は切れてるが大丈夫。どれも外見だけだ、深くない。臓器は何一つ傷付いてない。全然と、支障ない。 「あっ、その声……生きてる、のね? ちく……しょう」 ガラクタは断末を吐いて横に倒れ、事を切らせて息を止める。眠る様に、眠る様に。命の鼓動は永久凍結。 私を極限までトレースした機械は、誕生して数日で呆気なく死んだ。 「お兄ちゃんとの思い出を糧にして、やすらかに逝きなさい。もう二度と会う事は無いでしょうけど、一生分の幸せ……貰ったでしょう?」 直立して童子切を鞘に納め、右手で小さく十字を切る。 どれ程に長く生き続けても、後悔しながら過ごす位なら、 「羨まし過ぎるわよ、貴女」 兄に抱かれて死に逝く方が、どれ程に幸せだろうか。 「ふぅぅっ、と。お兄ちゃんもそろそろ起きるし、最後の仕上げを……しなきゃね」 童子切を『もう一人の私』の横に放り投げ、閉目して刮目。お兄ちゃんの寝顔を一瞥し、最重要の覚悟を決める。 859 『白と黒のクラウディア』その2 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 31 59 ID NlFiVWY8 18 「お兄ちゃん……私、行って来ますね」 消え気味に呟き、血塗れの廊下を歩いて玄関を出て、存在しない我が家に最後の別離。 「さぁ、ライトメア。クダラナイ私達の関係、そろそろ断ちましょう」 冬の空を仰ぎ、冷感の酸素を吸い込み、 「命乞いしながら待ってろ! ライトメアッ!!」 最大脚力で跳躍。一足で数十メートルを飛び越え、ビルの側面を駆け、仙台を走る風と成る。 嗚呼…… 唯々。 唯々、獣為れ。 他に何も考えず。 何よりも早く。 何よりも遠く。 何よりも高く。 それだけを展開。 それだけが展開。 思考はいらない。 唯々。 ひたすらに。 跳べ!! 嗚呼…… だから見落とした。 一途な私は気付かない。 私の命を狙う、鬼の爪が在った事に。 860 『白と黒のクラウディア』 ◆uC4PiS7dQ6 sage New! 2009/03/22(日) 18 35 53 ID NlFiVWY8 19 LightMareDays 3日目 朝 起きたら 紫琉が 死んでた。何て悪夢。 赤くて(あかくて)、 紅くて(あかくて)、 朱くて(あかくて)、 錆の香を漂わせ(とても)、 狂気を駆り立てる(あかい)。 俺を絶望に叩き落とし、より一層に色付く廊下に横たわる。何て残虐。 死んでる紫琉を見下ろして、嗚呼。と哭く。 部屋に戻り、服を着替えて、リビングに戻り、死体を再見する。 嗚呼、嗚呼。 これは夢だ。と目を閉じて、夢で有ります様にと目を開く。 「はっ……何だよコレ?」 変わらない。 何等カワラナイ。 赤く冷たく色付いて。 廊下の上、血沼に浮かんで、紫琉が、死んでた。 嗚呼、嗚呼。嗚呼…… 「ああぁぁああぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!! 紫琉、しりゅ、アァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!」 なんで? なんで? なんでっ!!? どうして紫琉が死んでるんだッ!!? どうして? どうして!? どうしてっ!!? 「ァァァ……ぁっ、終わっ、た。なにも、かも……」 終わった。この世界も終わりだ。俺の望んだ世界は、紫琉の死を以て幕を下ろす。 幕を? 何でそんな事を思うんだ? まぁ、どうでも良いや。こんな世界。紫琉の居ない世界に意味なんて無いし。 ここに在るのは、静に変わって生を失った最愛の身体だけ。 「し、りゅ……」 ガクリと両膝を着き、両手を着き、わんわんと子供みたいに泣いた。 紫琉の赤い血液で、俺の身体も汚れて染まる。 「しっりゅ……」 涙を指で拭った。 顔も滑り(ぬめり)と汚れた。 「死のう」 決断を。 紫琉の居ない世界で生きて行けるか? 無理だ。 なら、どうする? このまま生きていても、生きているだけ。身体が動いているだけだ。心は紫琉と共に死んだ。 なら? 共に墮ちるさ。二人で落ちる地獄なら、きっと恐くない。 「待っててくれよ紫琉……今度こそ守るから」 そうと決まれば早かった。 血乾く廊下で正座し、膝の上に紫琉の頭部を乗せる。 「膝枕、で良いだろ紫琉? 抱き合って、とかさ。ガラじゃないって言うか……悲劇の主人公っぽくてさ。だからこれで、なっ?」 後悔無い筈は無い。どうしてこんな事になったのか、真相を確かめたい。ただ、そんな気力が無いだけ。 「みんな、本当にゴメン」 みんな……みんな? みんなって、誰だ? 「みん、な?」 数間で考えてみるが、そんな奴等は分からない。 「どうでも……」 そして、死に際の俺には関係無い事だなぁと思いながら、転がる凶器の柄に右手を伸ばした。 続く。 Next LightMareDays
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《A》 「市長。緊急の連絡だ」 「どうした、アサシン」 「君が市長に仕立てあげたNPCから連絡が入った。先ほど、新都の警察署から多数の銃器が紛失したそうだ」 日は沈み、夜。 新都の外れに位置する双子館で、ジョン・バックス市長はサーヴァントであるアサシンから報告を受けた。 「――サーヴァントの仕業か?」 「おそらく。拳銃と弾薬、それに狙撃銃が一挺持ち出されている。霊体化して忍び込み銃を物色した後、壁を壊して堂々と逃げたらしい。 もちろん監視カメラには何の痕跡も残っていないがね」 「日本の警察の装備、施設をある程度熟知している者の仕業か――足取りは終えるか?」 「NPCでは無理だろう。私が直接出向けば可能だろうが」 「ふむ――」 市長は黙考する。 おそらくアーチャーのマスターではないだろう。 確認できる限りアーチャーとそのマスターはこの戦いが始まってからずっと新都にいるが、銃器が必要なら初日から行動を起こしているはずだ。 冬木市には警察署は新都にしかないため、犯人は深山町からこの新都に移動してきた別のマスターの公算が高い。 「どうする?私が確認に向かおうか」 「そうだな。深山町に向かった君たちはどうしている?」 柳洞寺と遠坂邸に向かった二人の分身は、それぞれマスター達を発見していた。 遠坂邸にいる四組と、柳洞寺で戦っていた四組。 遠坂邸にいた集団はその後キャスターの魔術で柳洞寺に転移し、攻め寄せていたバーサーカーたちを撃退したのを確認している。 その場から逃げ延びたのはバーサーカーとそのマスター、そして帯同していたキャスター。 彼らを逃がすため殿に残ったアサシンであろうサーヴァントは集中攻撃を受けて撃破された。 「難航している、としか言えん。予定では遠坂邸にいるマスター達と接触するつもりだったが――数が多すぎる。 五人ものマスターが手を組んだのは予想外だった。あれでは、共闘を持ちかけても我々を受け入れる理由がない」 当初、市長とアサシンはアーチャーを敵として生き残ったマスター達に認知させるつもりだった。 アーチャーの脅威は時間停止能力を始めとする、単独戦闘能力の高さだ。 一対一、あるいは二体のサーヴァントで同時に向かったとしてもあのアーチャーを打ち破るのは難しい。 時間を止められている間に急所を攻撃、あるいはマスターを狙われれば為す術はないからだ。 しかし五人ものサーヴァントがいれば話は別。 アーチャーもサーヴァントである以上、魔力は有限、永遠に時間を止められるわけではないし、また魔力消費も膨大なはずだ。 チームを分け、一人がアーチャーに挑み、残りの仲間が遠距離から援護すれば、いかに時間を止めようとも凌ぎ切れるものではない。 時間を止める宝具の連続使用、そのタイムラグを突く。 数を揃えたものだけに許される、正攻法にして強引極まりない力技だ。 その戦術を取れるチームを相手に共闘を持ちかけたとて、アサシンの力を必要としていないのだから受諾される可能性は低い。 何せその中には全ての能力が評価規格外という化物のようなセイバーがいるのだから、それ以上の戦力は必要ではない。 むしろ彼らの中にはアサシンと以前交戦した者がいるため、敵対する可能性の方が遙かに大きい。 「状況は激変した。ゼフィールらが脱落した今、我々には協力者がいない。 アーチャーももちろん脅威だが、この柳洞寺に集った集団はそれ以上だ。 もし彼らが同じ目的の元に団結しているのならば――我々は駆逐される側にいることになる」 「彼らとアーチャーを潰し合わせることは可能か?」 「それが理想的な展開だが、ただアーチャーをぶつけるだけでは苦もなく排除されるだろう。 ある程度拮抗した戦力をぶつけなければ、我々が横から掠め取る余地が発生しない」 「では、柳洞寺から逃げたマスターというのは?今も監視しているのだろう」 「ああ。名前は枢木スザク、バーサーカーのマスター。 キャスター並びにアサシンと同盟を結んでいるようだが、言った通りアサシンは討たれた。 今は月海原学園に向かって移動している。柳洞寺のサーヴァントたちの情報を集めるつもりだろう」 「ふむ――暗殺は?」 「可能だが、推奨しない。深山町にはキャスターが放ったであろう使い魔が飛び回っている。 向こうの私が隠形を解けば瞬時に発見されるだろう」 柳洞寺周辺にいるアサシンは分身体であるため、倒されてもアサシン自体は存続する。 が、当然次の分身を生み出すにはバックスの魔力を消費するため、無駄に浪費できるものではなかった。 「それに――見て回った限り、深山町にいるマスターは柳洞寺の集団と、この枢木だけだ。 キャスターのマスターはまだ発見できていないが、おそらくこれ以外はいないのだろう」 どこかに潜伏して時が経つのを待っているようなマスターがいれば話は別だが、今はそちらに手を割く余裕はない。 柳洞寺の五組、枢木とキャスター組、アーチャー、警察署を襲った者、そして市長自身。 現状聖杯戦争の盤面にいるのはこの十組だけと考えていいだろう。 「枢木を削っては柳洞寺組並びにアーチャーを始末する手駒が不足する」 「そうだな、今は手を出さないでおいてくれ。それに彼が得る情報は私達にとってもプラスになる」 騎乗に広げた地図を睨み、バックスは考えを巡らせる。 西と東の二つの脅威。 それに含まれない第三戦力。 同盟者のいない自分たち。 「――大統領。さっき、アーチャーとの共闘は有り得ないと言ったが、あれは撤回する」 「というと――アーチャーと組み、柳洞寺の集団を相手取るのか?」 「そうだ。だが、アーチャーを信用する訳ではない――盤面を単純にするんだ。 今生き残っていて一番大きな勢力は柳洞寺組だ。次に、枢木スザクとキャスター組。 そして単独であるアーチャー、我々、警察署を襲った――仮にAとしよう。このAの三組。 柳洞寺組を一つの意思に統制されたまとまった集団とするならば、これに対抗するには同じくまとまった集団をおいて他にない」 「我々、アーチャー、枢木、キャスター、そしてAを一つのチームにする――と?」 「私自身、状況の推移がここまで早いとは想像できなかった。が、この機を逃せばいずれ我々は柳洞寺組に各個撃破されるのは明白だ。 同等の戦力を築き上げ、激突させ――双方の一切合財を失わせる。 この聖杯戦争の山場はここだと確信したよ」 今いる場所に合わせて柳洞寺組を西軍、それ以外を東軍とでも言うべきか。 それぞれ思惑があるマスター達に柳洞寺組という共通の敵を示すことにより、一時的に団結を促す。 彼らにしろ単独では柳洞寺組に敵わないから、門前払いを受けるということはないはず。 共通の敵――その存在はアーチャーから柳洞寺組にすり替わったが、やることは同じ。 厄介な敵を潰し合わせ、最終的に漁夫の利を得る。 理想は情報だけ渡してアーチャーたちを裏から操ることだが、こればかりはアサシンも参加せねば他のマスター達をうまく誘導できない。 そして参加する全てのサーヴァントが脱落するなど都合よくもいかないだろう。 だが、仮に柳洞寺組の半数が落ち、こちらはアーチャーが倒れる――といった展開ならば、やりよう次第で望みはある。 そうすれば残りはアサシン単独でも何とかやれる可能性が出てくる。 聖杯戦争を一気に決着させる一手になるだろう。 「枢木スザクを監視する一体を残して、君の分身を引き上げさせてくれ。 アーチャーとAを接触する。ああ、君本体は接触しないでくれよ。万が一ということもある」 「了解だ」 指示を受けたアサシンが部屋を出ていこうとする直前、市長は無意識にアサシンを呼び止めていた。 「どうした、市長?」 「いや、なんとなくだがな。 ――これが最後の夜になる、そんな気がするんだ」 「成り行き次第ではそうなるだろう。だが、最終的に生き残るのは――」 「――ナプキンを取るのは我々だ、だろう?わかっているよ、大統領」 市長の言葉に頷き、アサシンは館を出て行った。 残された市長はすっかり馴染みの味となったドリンクをまた一本開ける。 来たるべき東軍結成の交渉に向けて、市長は思索に耽っていった。 《B》 「驚いたな。マスター、アサシンが出てきたぞ」 ふと告げられたライダーの言葉に衛宮切嗣は耳を疑った。 警察署から装備を調達した後、人気のない港で狙撃銃の調整を終えて市街に戻ってきた時だった。 「どこだ?距離は?」 「遠くない。市街のど真ん中だ。気配を消さずに姿を晒していやがる」 低いステータス、姿を表すまでまったく存在を感知できなかった隠形の技はアサシンそのもの。 同時に隠密を旨とするアサシンからは絶対にありえない行動を、切嗣は即座に罠と判断しライダーを変身させた。 「ライダー、宝具の修復は終わったか?」 「もうほぼ問題ない。仕掛けるのか?」 「いいや、まず様子を見る。何か裏があるのは間違いない――」 「待て、マスター。あのアサシン、魔力をちらつかせて――何だこの波長?」 怪訝そうなライダーの視界に同調し、切嗣自身の目でアサシンの様子を確認する。 白人男性のアサシンが発している魔力光の波長はごく単純なものだった。ただのモールス信号だ。 「戦闘の意思はない・情報を持っている・接触を求む――?」 「なんだそれは。あのアサシン、俺達や他のマスターを呼び集めてるってのか」 「あのサインを額面通りに信じるならな」 切嗣は辺りを見回し、電線にとまっていた鳩に目をつけた。 先ほどキャスターに破壊された使い魔の代わりを作成し、アサシンの元へと飛ばす。 「そいつで様子を探るのか」 「ああ。ライダー、周囲を警戒してくれ。背後から別のサーヴァントが襲ってこないとも限らない」 切嗣は使い魔に意識を集中させる。 やがて鳩はアサシンの目前へ移動したが、アサシンからは攻撃行動はない。 「ほう、使い魔とはな。マスターは魔術師か」 「誘ったのはそちらだ。何の真似だアサシン」 「説明する。だがもう少し待て――来たな」 アサシンは切嗣の使い魔とは違う方向を見て言った。 使い魔をそちらに向けると、上空からまた別の人物が降って来た。 大柄で金髪の男。ステータスが読み取れることからサーヴァントに相違ない。 「来てやったぞアサシン。この私を呼びつけるとはいい度胸をしているではないか」 「ようこそアーチャー。先ほどはよくもやってくれた、と言っておこう」 アサシンとアーチャーが対峙する。 両者の目には隠し切れない敵意が覗いている。 (こいつらは以前に戦っている――?ならば何故こうして再び対面させた) 「そこで覗き見ているのはまた別のマスターか。アサシンよ、一体何の魂胆があって我らを集めたのだ? 下らぬ用件であったならば――今度こそ貴様は再起不能になると覚悟しておけ」 切嗣の疑問を、アーチャーが代わりに尋ねた。彼にとっても不可解な事態のようだ。 「アーチャー、私もお前には色々と借りがあり、恨みもある。 だが今はそんな些事に構っている場合ではない――西の深山町に強力なサーヴァントの集団が出現した。 私の確認した限り、セイバーが二人、キャスターが一人、そしてクラス不明のサーヴァントが二人。 合計五人のサーヴァントが徒党を組んでいる」 アサシンが淡々と告げた言葉に、切嗣は思わず声を漏らしかけた。 間違いなくアーサー王を筆頭とする集団だ。 知っているのはアーサー、ガウェイン、オーズの三人だったがさらにキャスターともう一名が合流したらしい。 スザクをぶつけさせて戦力を減らすどころか、恐ろしいほどに増強されている。 「五人――だと?」 「どれもがAクラス以上の強力無比なサーヴァントたちだ。先ほどバーサーカー、キャスター、アサシンが仕掛けたが容易く撃退された。 特にセイバーの片方は全てのステータスがEXという化物だ」 「ガウェイン、か」 「ほう、お前はやつらを知っていたか。ならば言わずともどれだけの脅威かわかるだろう」 「――ああ。太陽の騎士と称されるガウェイン、騎士王アルトリア・ペンドラゴン。名高い円卓の騎士が二人も雁首を並べている」 「太陽の騎士――?」 泰然と構えていたアーチャーの鉄面皮が割れる。 態度の大きそうなサーヴァントだがさすがに衝撃だったようだ。 「なるほど、お前が僕達をこうして呼び集めたのは――」 「お察しの通りだ。この前代未聞の敵に対抗するために、一時休戦し共闘をしたい――と、私と私のマスターは考えている」 「共闘だと――この私と貴様らゴミカス共が?冗談ではないな」 「だが、お前一人で倒せる相手でもないということはわかっているだろう」 アサシンの切り返しに尊大なアーチャーも反論できない。 どれほど強力なサーヴァントだとしても、五人という数の壁はそうそう覆せない。 一人二人倒したところで、その隙を残った者に狙われればどうしようもない。 「無論、私とて思うところがないわけではない。殺し合った敵と手を組むなど本来ならばあり得んことだ。 だが私は聖杯に賭ける願いがある。お前たちも同じだろう。 このまま駆逐されるのを待つより、少しでも勝利に近い道を選ぶ――私はそうするだけのこと。 お前たちはどうだ?」 このアサシンの問いに、切嗣は傍らで聞いているライダーに意見を求めた。 アサシンとアーチャーには聞こえないように使い魔との接続を一部カットする。 「正直業腹だが――マスター、俺はこの誘いに乗るべきだと思う。 俺と枢木のバーサーカーだけでは奴らには太刀打ち出来ん。 せめて数の上だけでも互角に持ち込まないとな」 「戦力的に必要なのは僕も同意見だ。だが奴らを信用できるか?」 「こいつらだって聖杯を狙う以上、オーズたちを排除しなきゃならないのは俺達と同じだ。 奴らとこいつら、どっちが与し易いかといえば間違いなくこっちだし、向こうにとってもそうだろう。 少なくともオーズたちをどうにかするという目的そのものには嘘はないと思う」 「仮に組んでうまくオーズたちを排除できたとして――」 「そこからは即、背中の狙い合いだな。こいつらは決して味方じゃない」 オーズたちの同盟を全滅もしくは半壊に追い込めたら、次の敵は当然組んでいたこのアサシン達になる。 ただ一組の優勝を目指すのだから、いずれの激突は不可避だ。 「――タイミングがシビアだな。オーズたちを全滅させられたならいいが、そうでなかった場合残敵とアサシン達、両方を相手取ることになる」 「そこからは乱戦だな。だが、首尾よくオーズを破壊できれば俺の力は増す。ある程度の無茶は利かせられるぞ」 「とにもかくにも、オーズたちの頭数を減らさないことには道は開けないということか――」 「――いいだろう。僕はその話に乗る」 「ほう、話の分かるマスターで助かる。ではこちらに来てくれないかな? マスターが来いとはいわん、私のようにサーヴァントの姿を見せてくれ」 「それはそこのアーチャー次第だ。乗るとは言ったが、組むのがアサシンお前だけでは戦力的に旨みはない。 アーチャーも参加するなら僕も。それが条件だ」 アーチャーに水を向ける。 黙っていたアーチャーがゆらりと構えを解き―― 「――いいだろう。私のマスターも了承した。 五組のサーヴァントを排除するまで、限定であるが――貴様らと組んでやろうではないか」 「では――二人とも了承ということで構わないな?」 「待て、こちらにまだ宛てがある。バーサーカーのマスターだ」 「バーサーカー?そんな弱兵が役に立つものか」 「いや、そのバーサーカーは理性こそないが戦闘能力そのものは極めて高い。使い方次第では戦力になるだろう」 「バーサーカー、もしや枢木スザクか」 「知っているのか?」 スザクの名前を出してきたアサシンに驚く。 が、随一の諜報力を持つアサシンならば別におかしくはない。 「私はついさっきまで深山町にいたのでな。彼は今こちらに向かっているはずだが」 「なら僕が呼び出そう」 「助かる。では場所を移すとしようか――」 切嗣がスザクを呼び出し、簡単に事のあらましを告げてホテルに来るように伝えた。 通話を切り、切嗣はライダーを実体化させてアサシン達のもとに向かわせる。 「僕のサーヴァントはライダーだ」 「ライダー――ふん、なるほど。お前が悠の言っていたやつか」 「悠――鳴上悠か?あいつを知っているのか」 「色々とあったのだよ。まあ、後で話してやるさ。情報の共有は大切だものな。 ところで、話を詰めるにせよ――枢木とやらのサーヴァントはバーサーカーなのだろう。 まさか話し合いの場に狂兵を寄越す気ではあるまいな」 「それについては問題ない。枢木はキャスターのマスターと組んでいるそうだ。 従って、ホテルに来るのはキャスターということになる」 「キャスター――ほう、では我々の陣営はライダー、バーサーカー、キャスター、アサシン、そして私アーチャーということになるか」 「対して敵はセイバー二人、ライダー一人、キャスター一人、そしてクラス不明が一人。 最優のセイバーが二人もいるというのがやや気がかりだが、戦力的にはほぼ互角だな」 三人のサーヴァントが夜の街を飛んで行くのを見送って、切嗣は懐からタバコを取り出した。 交渉はライダーを通して行う。 やがて――ライダーからキャスターが到着したという連絡があった。 タバコを吐き捨てて火を踏み消す。 これから戦略を詰めて、おそらくそう間を置かずにセイバー達との戦いに突入するだろう。 「――なんとなく、これが最後の夜になる、そんな気がするな」 数十分前に市長が呟いた言葉を、切嗣もまた零したのだった。 《C》 (五人ものマスター――それだけの人数が組むということはつまり、マドカと同じく聖杯を壊そうとしているのだろうな) アーチャー、DIOはマスターである鹿目まどかとの同調を断って交渉の場に赴いている。 建前は何とでもなった。 未熟なまどかでは百戦錬磨のマスターたちを相手に主導権を握れない、交渉に集中するためにこの場は任せてほしい。 そう言えば荒事には慣れていないまどかはそれ以上食い下がりはしなかった。 (もし敵がマドカと同じ目的であることを知れば、マドカは戦おうとはしない――どころか、彼らと協力しようと言い出すだろう。 それは困る――集団に飲み込まれれば、いかに私とて最期に聖杯を奪取するのは難しい) DIOは自分を最強のサーヴァントだと自負しているが、決して無敵だなどと自惚れてはいない。 空条承太郎に敗れた時も、ある意味では花京院やジョセフらの援護があったからこそ敗北したのだ。 だからDIOはアサシンの話に乗った。 効率よく敵を減らし、その目的をマスターに知らせず葬るために。 (今のマドカは不安定だ――覚悟を決めたとて、いつ転ぶかわからん。不安定な要素は少しでも排除していかねばな) 内憂外患とはこのことか。 マスターを信用しきれないのは正直なところ苛立たしいが代わりがいない以上放り出すわけにも行かない。 (まあ、いい。今はアサシン共を利用して、徒党を組んだカスどもを叩き潰す。 アサシン共はその後だ。うまくすれば今夜中に聖杯戦争を終わらせられるだろう――) 【新都・ハイアットホテル/夜中】 【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド】 [状態]:ダメージ(小)、魔力消費(中) 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](5人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断 [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】 [状態]:疲労(中)、魔力消費(大)、全身ダメージ(小)、右胸貫通 [装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石 【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:魔力消費(小) 、令呪(まどかの戦いに力を貸す) [装備]:封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣、携帯電話 《D》 スザクが新都入りしたのを見届けて、5人目のアサシンは遠坂邸へと引き返した。 柳洞寺組が柳洞寺から遠坂邸へと拠点を移したためだ。 アーチャー、ライダーらとの会談に出席するのはNPCに付き添っていた6人目のアサシンになる。 深山町にはキャスターのサーチャーが飛び回っているためあまり近くには接近できないが、五人ものサーヴァントが固まっていればその気配は大きなものになる。 発見、監視はさほど難しくない。 市長はここまでは概ね計画通りに事が進んで言うことを確認し、何本目かわからなくなった栄養ドリンクの蓋を開けた。 【深山町・遠坂邸付近/夜中】 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断 [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【新都・双子館/夜中】 【ジョン・バックス@未来日記】 [状態]:疲労(小)・冬木市市長・残令呪使用回数3回 [装備]:「The watcher」 [道具]:なし 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](4人目)・魔力消費(中)・気配遮断 [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話・エッケザックス@ファイヤーエムブレム 覇者の剣 【新都/夜中】 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:健康、令呪残り2画 [装備]:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム) 【衛宮切嗣@Fate/zero】 [令呪]:1画 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大) [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃 携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの) 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [令呪]:2画 [状態]:疲労(特大)、義手・義足を機械鎧化 【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】 [状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊 宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失
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白と黒の黙示録(微笑みの出発) ◆7pf62HiyTE 旅路 Journey through the Sinken Red. 「……ここは?」 「ぐふっ……」 丈瑠が意識を取り戻すとすぐ近くにパンスト太郎が上半身裸でいた。 「お前……無事だったのか?」 「あの程度でやられると思ったか?」 言われて見れば蹴りを一発受けて川に落ちただけでしかない。意識さえ戻り溺れさえしなければなんの問題もないだろう。 「ぐっ……何故俺は生きている?」 流石にこれまでの戦いでダメージを受けたか身体に痛みが奔る。だがそれ以上に、五体万全である事の方が不可解だ。 確かあの瞬間、シャンゼリオンとスカルの必殺技が迫っていた筈だ。その直撃を受ければいくらメタル・ドーパントといえどもひとたまりもない筈である。 実際問題、マキシマムドライブクラスの破壊力を受ければ戦闘不能に追い込まれ場合によっては致命傷となりかねない。 では、何故丈瑠は健在なのであろうか? 「俺に感謝しろよ」 そう言って、パンスト太郎は丈瑠に裏正を投げ渡す。 「これは……」 「拾っておいてやった」 「なるほど、そういう事か……」 シャンゼリオンの蹴りを喰らい川に沈んだパンスト太郎は数百メートル程流された程度で意識を取り戻した。 その後、すぐさまシャンゼリオンに反撃をかけようと動いたが背中を受けたダメージの影響か上手く飛べず川を泳いで進まざるをえなくなった。 そうしてなんとか戦場近くまで来た時、何かが落ちてくるのを見た。 それは丈瑠が所持していた筈の裏正である。そしてすぐ近くの戦場を見たらメタル・ドーパントが完全に追い詰められている状態では無いか。 パンスト太郎は水中に潜り裏正を回収し、その後すぐさまメタル・ドーパントの近くまで接近―― そしてシャイニングアタックとスカルのマキシマムドライブによるエネルギーがぶつかり合った瞬間、タコ足でメタル・ドーパントを絡め取りそのまま川の中へと引きずり込んだのである。 実の所、運良くメタル・ドーパントの眼前で2つのエネルギーがぶつかり合わなければメタル・ドーパントはどちらか、あるいは両方の直撃を受け致命傷を負っていたと考えて良い。 つまり、2つのエネルギーがぶつかり合ったお陰でメタル・ドーパントに直撃するのがほんの僅かに遅れ、パンスト太郎が回収する機会を与えたという事である。 無論、2つのエネルギーがぶつかった所でエネルギーそのものが消えるわけではないし合わさったエネルギーはそのままメタル・ドーパントに直撃したであろう。 だが、回収が間に合ったお陰で全くのノーダメージでは無いが、ある程度抑える事が出来た。おまけにメタル・ドーパントが川に落ちた音を直撃の音と偽装する事が出来た。 それ故、暁達は自分達の必殺技で撃破したと錯覚し、丈瑠もパンスト太郎も未だ健在である事を知らないだろう。 「助けて貰った事については感謝している……裏正の事も含めてな……だが、何故俺を助けた?」 「この殺し合いを有利に進める為に協力を持ちかけたのは俺の方だからな。それになによりお前の力はアテに出来る」 実際、パンスト太郎が川に落ちてから戻ってくるまで1人でシャンゼリオンとスカルと渡り合っていたのは事実だ。 敵に回しては厄介だが、味方にしておくには頼れる存在に違いない。 それに流石に言及はしないが自身の名前を聞こうともせず、パンスト呼ばわりもしない丈瑠をこのまま手放したくはないと考えていた。 勿論、優勝する為には何れ敵対する事になるだろうが、強敵も数多くいる以上、不用意に敵を増やす必要は無い。今というタイミングでは共闘を続けるべきだろう。 「そうか……」 そう応えたものの丈瑠は難しい顔をしている。 重傷を負い殆ど死に体であったほむらと、戦闘経験の足りない素人クラスの暁、この2人を実力者であるパンスト太郎と共に仕掛けたにも関わらず惨敗したのだ。 無論、シャンゼリオンのパワーアップ及び仮面ライダースカルの出現という想定外の事態があったというのはある。 しかし、自惚れるつもりはないが、それだけで自身が後一歩の所で破れる程にまで追い詰められたのは信じがたい事だった。 未だ迷っているのか――いや、今更そんな言葉で言い訳をするつもりはない。 勝敗を決めたのは――それこそ覚悟の差だったのだろう。 暁の方は何処までも巫山戯ているようだったが、それこそが暁の本質なのだろう。 何処までもキラキラと白く輝く笑顔を絶やさず楽しそうにしている。 そして激昂した時あの男は怒った顔を見られたく無いと言っていた。 つまり、あの男が本気で怒る事など殆どなかったのだろう。 その男があそこまで怒る――それがどれほど凄まじい事であり、どれだけ本気になったかなど考えるまでも無いだろう。 一方のほむらの方は最初見た時から、何処が達観――ある意味では冷めた様な雰囲気があった。その上で何かを刺し貫く様な視線―― やはり彼女の中には何よりも達せねばならない目的、あるいは信念があるのだろう。 それこそ自身が瀕死の重傷を負っても果たさねばならない程の――全てを捨てて漆黒の闇に堕ちてでも成し遂げようとする何かがあるのだろう。 一方の自身はどうだろうか? 幾ら覚悟を決めていても未だにかつての家臣、仲間、幼馴染みへの想いを断ち切れないでいる。 かと言って、やはり何処か甘い所があり外道になりきれているとは言い難い。 言ってしまえば白にも黒にもなりきれない灰色の中途半端な未熟者なのだ。 こんな半端者が勝てる道理など何処にもないだろう。 「(門矢士……ディケイド……お前はずっとこんな想いを抱えて旅を続けていたのか……)」 思い返すのは通りすがりの仮面ライダーと名乗った男―― あの男は世界の破壊者と罵られる一方、訪れた世界の人々を助けていた。 だが、あの男は自分自身を知らないと言っていた―― つまり、あの男も白にも黒にもなりきれない半端者だったと言えよう―― あの男は旅の果てにどんな結末を迎えるのだろうか―― 全ての仮面ライダーの世界を、それだけではなくシンケンジャーやかつて共闘したゴーオンジャーの様な戦士のいる世界をも巡り続けたのだろうか―― と、空を見上げると紙飛行機が飛んでいるのが見えた。 『忘れるな、今日からお前がシンケンレッドだ、外道衆からこの世を守れ……』 だがそれは程なく丈瑠の眼前へと落ちて消えた――只の幻だったのだろう。 『志葉家十八代目当主、どんなに重くても飛び続けろ……落ちずに飛び続けろ……』 その言葉を胸にずっと飛び続けてきた――しかしその役目を終えた時点で何も無い―― どれ程の重荷を背負っても飛び続けられたのに、その重荷を下ろしたとたんに飛ぶ事すら出来なくなる―― 「俺は……」 ふと裏正を見つめる―― 『シンケンレッド……いや、違うらしいな……そんな事はどうでも良い……俺と戦う……お前はそれだけで……十分だ……』 十臓の言葉が繰り返される――そんな事はわかっている。こんな事を考える事など無意味だろう―― だが、こんな半端な状態の自身と戦う事をあの男が望むとは思えない。 「十臓……わかっている、だが少しだけ待っていてくれ……」 問題を先送りしているだけなのは理解している。それでも最早退路はない―― 「……大丈夫か?」 「ああ、少し休めば問題無い、それよりこれからどうする?」 「ぐふっ……決まっている、森の中にいる参加者を捜す……」 今後の方針としては、このまま森を歩き参加者を襲撃する方向で考えていた。 参加者が集うであろう市街地などに向かわないのは市街地には知り合いと遭遇する可能性が高いからだ。丈瑠にしてもパンスト太郎としても出来れば流ノ介や乱馬などといった知り合いには会いたくは無い。 なお、丈瑠が流ノ介達に会いたくないのはかつての仲間と顔を合わせたくないという理由だが、パンスト太郎にとっては自身の名前を呼ばれるのが嫌だからという事に他ならない。 「だが……その前にあの許せねぇキラキラ野郎をぶちのめしてやる!!」 「キラキラ野郎……涼村暁の事か?」 「あぁ……」 何故、パンスト太郎は暁に対し怒りを向けているのだろうか? いや、丈瑠にはその理由が容易に推測できた。 「(恐らく、パンスト野郎呼ばわりされた事を相当根に持っているんだろうな……やはりこの男は自身を名前で呼ばれたくはないのだろうな……)」 それを察したからこそ敢えて追求するつもりもなく、今後も丈瑠自身は名前で呼ぶつもりはない。 「(だが……それならパンストを持ち歩くのを止めれば良いだろう……結局奴がパンスト野郎と呼んだのはパンストを使ったからだと思うが……)」 とはいえ、その事については黙っておく事にした丈瑠である。 「しかし、本気になったあの男は厄介だ、勝算はあるのか?」 「さっきのは油断しただけだ……それに俺には“力の源”がある」 「何?」 その言葉に丈瑠は驚きの表情を見せる。その呼称から力を強化する道具といった所なのは明白、 それで無くても強いあの男が更に強くなるというのか? そんな丈瑠を余所にデイパックから“力の源”を取り出す。 「……ちょっと待て、それが“力の源”か?」 だが、丈瑠の頭には疑問符しか浮かばない。 「ああ、ドドンパ娘はコイツを身につけたら強くなった」 パンスト太郎が言うドドンパ娘、それは阿修羅呪泉に落ち阿修羅へと変身する体質を身につけたルージュの事である。 古代インド魔神阿修羅、その性格は戦闘的にして名実ともに最強の戦いの神といえる。 その戦闘力は凄まじく、あのパンスト太郎ですらも倒される、あるいは苦戦すると言えばそれがどれだけのものか理解できるだろう。 だが、彼女は“力の源”が無ければその無限の力を発揮できないという弱点があった。 パンスト太郎はその“力の源”を使いさらなるパワーアップを図ろうという事なのだ。 「……見せてくれないか?」 「貸さんぞ」 「いや、見せてくれるだけで良い」 「まあいい、特別に貸してやる。すぐに返せよ」 丈瑠はその正体に薄々気付いたものの確証を得る為にパンスト太郎からそれを借り受ける。 「(間違いない、こいつの正体は……)」 「どうした、お前もコイツを使って強くなりたいのか?」 「いや、必要無い」 そして推測通りだという事を確信した丈瑠はパンスト太郎にそれを返す。 「(だが……これは何の変哲も無い……ジイが持病の腰痛に使っていそうなものでしかないぞ……何故これが“力の源”だと……待てよ)……その娘も呪泉郷の?」 「ああ、頭が3本に腕が6本になりやがった。それがどうかしたのか?」 「頭が3本に腕が6本……そういうことか」 パンスト太郎の言葉を聞いて“力の源”が何故パワーアップに繋がるのかを理解した。 前述の通り、ルージュは阿修羅に変身する。そして阿修羅は頭を3つ持ち、腕を6本有している。 だが、その身体的な特徴故に致命的な弱点があった。 腕を6本有すが故に、肩にかかる負担が大きい――つまり肩凝り状態に陥るという事だ。 そしてその“力の源”はそれを解消するのに使われるということだ―― ここまで説明すれば最早おわかりであろう、“力の源”の正体は―― 何の変哲も無い普通の磁気絆創膏である―― 「ぐっふっふっふっふっ」 背中に“力の源”を装着したパンスト太郎が笑みを浮かべる―― 「これで世界征服も夢じゃねぇ」 「世界を征服するのは無理じゃないのか……」 【1日目/早朝】 【F-7/川岸】 【志葉丈瑠@侍戦隊シンケンジャー】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(中) [装備]:裏正@侍戦隊シンケンジャー、T2メタルメモリ@仮面ライダーW [道具]:支給品一式 [思考] 基本:殺し合いに乗り、戦う 0:人斬りに対する躊躇や抵抗が拭えない 1:パンスト太郎と協力する、休息後森を探索。 2:十臓は最優先に探し出し、決着を着けたい。 3:流ノ介や源太が相手でも容赦はしない [備考] ※参戦時期は、第四十六、四十七幕での十臓との戦闘中です ※流ノ介や源太と戦うことに、迷いがあります 【パンスト太郎@らんま1/2】 [状態]:ダメージ(小)、疲労(中) [装備]:なし [道具]:水とお湯の入ったポット1つずつ(変身3回分消費)、支給品一式、力の源@1/2、らんまランダム支給品0~2 [思考] 基本:殺し合いに勝利し、主催も殺す。奪った技術を用いて自分の名前を付け替える 0:休息後、森を探索。 1:適当に参加者を殺して回る 2:キラキラ野郎(暁)は必ずぶちのめす。 2:丈瑠と協力する [備考] ※参戦時期は原作32巻ルージュ戦後以降です、その為変身後タコの力が使えます。 ※乱馬が近くにいることを知りましたが、特別興味はないようです。 出発 Departure of smile , bask morning glow. 朝日が暁とほむらを照らしている―― そう、ほむらの亡骸を抱えた暁を―― ほむらの表情はずっと見せ続けていた冷めたものではなく何処か笑みを浮かべたまま―― 一方の暁は何時ものお気楽さはなりを潜め真剣そのもの―― 暁とて気付いていなかったわけじゃない。いや、気付いたのは本当に直前になってからだが―― ほむらが暁の手で自身を殺させようとしていたのを―― 意図的に説明を省いていた様だが穢れきった宝石が魔法少女の力の源である事は暁にもわかる。 要するに、その宝石が壊れれば魔法が使えなくなるという事も―― 勿論、ソウルジェムの名称を聞いていない為、それが魂であるという事まで確証を得ていたわけではない。 だが、ほむらの状態は酷く、魔法少女の力で保たせていた事は暁にもわかる。ここで魔法少女の力が失われればそのまま死亡する事も含めてだ。 だが、ほむらの説明通りなら、もう間もなくほむらは魔女となり無差別に人を襲う怪物になっていただろう。 ほむらの説明が真実という確証は無い? いや、暁はほむらの説明を疑ってはいない。 まず、巫山戯ているかもしれないがほむらが可愛い女の子だったからという事もある。 勿論それだけではなく、ほむらの力が確かであり疑う要素が無かったという事、 暁自身、ダークザイドという異形の存在を目の当たりにしているという事、 そして何より――ほむらが『あの子』の為に何処までも真剣に戦っていた事、 そこまで暁は理解していたのだ、暁がその事に深く関わるつもりはなかったとしても、その事を疑うつもりなんて全く無い。 砕く事に葛藤が無かったわけではない。 だが――思ったのだ、このままほむらが魔女になればほむらは無差別に人を襲い続ける。 それは同時にほむらが守ろうとした『あの子』を傷つける事にすらなる。 そうなる事が良くない事は暁にだってわかるし、何よりそれをほむら自身が望んでいない事を暁は知っている。 だからこそ――暁はほむら願い通り、ほむらのソウルジェムを砕いたのである。 「さよなら……ほむら……」 そっとほむらの亡骸を川に流す――川の流れは強くすぐに流されていった―― 暁の手元には彼女のソウルジェムに巻かれていた首輪の様なものがある。 唯一彼女が遺してくれたものと言えよう。 「燃え上がれ……暁の空に……」 そして一人歩き出す――何処に向かうかもわからずに―― 「なぁ……」 誰に問いかけるかでもなく一人口を開く―― 「何だって神様はインキュベーターや魔法少女に魔女なんて作ったんだろう……」 もし、インキュベーターがいなければ、インキュベーターが魔法少女や魔女を生み出さなければ、ほむらの様な悲劇は起こらなかったのかも知れない―― だが、その問いに答える者は誰もいない―― 「どうして俺を……シャンゼリオンなんかにしたんだろう……」 もし自分がシャンゼリオンでなければ――自身の手でほむらのソウルジェムを砕かなかっただろうし、 別の男――例えば速水辺りがシャンゼリオンであれば全く違う結末もあったのではなかろうか? しかし、やはり問いに答える者は誰もいない―― だが、そんな事暁自身にだってわかっている。暁は首輪をデイパックに仕舞い再び歩き出す。 いつまでも落ち込んでいるなど暁自身のキャラと全然違う、暁にはすべき事があるのだ。 「待っててねー♪ 俺のパラダイスー♪」 そう、この殺し合いに優勝しパラダイスを満喫するという事を―― ほむらが想像を絶するぐらい重い宿命を背負っていた事は理解している。 ダークザイドが人間社会を侵略しようとしているのも理解している。 この殺し合いで大量の参加者が犠牲になろうという事も――恐らくは理解しているのでは無いかと思われる、多分。 仮面ライダーといったヒーローならばそれを救う為に戦うのが筋であろう。 だが、暁はそんな世間一般的なヒーローとは全然違う。 そんな大げさな話など勝手にやってくれと今でも思う、暁自身はこのまま自身の享楽の為に進むだけだ。 もっとも、可愛い女の子や美人の女性を襲ったり殺したりする事など全く無い。 だが、いけ好かない野郎がいたらきっと襲う可能性は高いし、危険人物同士をつぶし合わせ漁夫の利を狙う事は考えるだろう。 結局の所根本的な部分は何も変わらないのだ。それが涼村暁という人物と言えよう。 それでも―― ほむらがある少女(女の子かどうかまでは聞いていないが暁はそう確信している)を守る為に走り続けていた事は理解しており思う所もある。 結局その子の名前を知らない故に探し様は無いが彼女に変わって捜したいとは思っている。 優勝したいという目的とは矛盾している様に見えるが暁はそんな事など考えていない。 だからこそ、空を見上げ微笑みを浮かべながらこう口にした―― 「見てろよほむら、ここからの戦い、お前なんかに捧げちゃったりするぜ♪」 【F-6/森】 【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(中) [装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW [道具]:支給品一式、首輪(ほむら) [思考] 基本:願いを叶えるために優勝する………………(?) 1:何処に行こうかな? 2:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。 [備考] ※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。 つまりまだ黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない) ※ほむら経由で魔法少女の事についてある程度聞きました。但し、まどかの名前等知り合いの事については全く聞いていません。 [全体備考] ※ディバイトランチャー(シューター・ガンナー)、ウィンチェスターライフル(14/14)、ソウルジェム(ほむら)は破壊されました。 ※ほむらの死体はF-6の川に流されました。 【支給品解説】 力の源@らんま1/2 パンスト太郎に支給、 阿修羅に変身するルージュが真の力を発揮する為に必要な物、その正体は 普 通 の 磁 気 絆 創 膏 で あ る。 時系列順で読む Back 白と黒の黙示録(円環の理)Next 彼等早朝迄─ロングナイト─ 投下順で読む Back 白と黒の黙示録(円環の理)Next 彼等早朝迄─ロングナイト─ Back 白と黒の黙示録(円環の理) 暁美ほむら GAME OVER Back 白と黒の黙示録(円環の理) 涼村暁 Next 救いの女 Back 白と黒の黙示録(円環の理) 志葉丈瑠 Next 外道【ドーパント】 Back 白と黒の黙示録(円環の理) パンスト太郎 Next 外道【ドーパント】
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457 名前:1/2 :2009/03/21(土) 22 42 40 ID ??? シン「二重人格といえば、アンタはラクスさんのこと怖がってたよな」 キラ「ああ黒ラクスのこと?ここには白ラクスしかいないからね」 ラクス「なんのことですの?」 キラ「なんでもないよ。ほらラクスの番だよ」 ラクス「あ、そうでしたか。えい……8ですわ……け、結婚するとかいてます!」 ウッソ「人生ゲームですから。はい、青ピンを自分の車に付けてください」 ラクス「え?これだけなんですの?」 シャクティ「もしかして、他のプレーヤーと結婚するのと思いましたか?キラさんとか」 ラクス「い、いえ……はい」 ガロード「ひゅーひゅー」 キラ「あ、つぎ僕ね。えと、『新型ガンダムを拾う。手に入れるか、売るか選べる』。 よしガンダム売るよ。シン、100000$」 シン「あんたって人はー!」 キラ「やめてよね、銀行係するって言ったのはシンだろ?」 シン「つっこんでるのはそこじゃねーよ!」 シュウト「でもラクスお姉ちゃんってそっくりさんいるよね」 ラクス「ミーアのことですね。今度ご紹介しますわ。とても優しくていい子ですわ」 ウッソ「そんなにそっくりかな?向こうの方は乳タイプって感じで」 ティファ「…ミーアさんはニュータイプではありませんよ?」 シャクティ「ティファさんは気にしなくていいんですよ。ウッソには後で話があるから」 458 名前:2/2 :2009/03/21(土) 22 43 34 ID spzezV+1 ガロード「ま、まぁ…で、今ミーアさんはラクスさんの代わりに仕事を?」 ラクス「いいえ、先ほど刹那さんと一緒にいましたわ」 シン「刹那と?」 刹那「そこだー!ヒタイダーレッド!」 ミーア「ヒタイダー!負けちゃやだー!うわーん」 刹那「諦めるな!ヒタイダーは決して負けない!」 ミーア「うん……!分かった……!」 刹那「ガンダムだ!」 刹那 ミーア「いけー!ヒタイダー!」 シン「白とか黒とか言うより……」 キラ「アホの子だね」 シュウト(それだと刹那兄ちゃんもアホの子扱いになっちゃうんじゃ) ティファ「私ですね……えと……『子供が産まれる』……」 シャクティ「おめでとうございますティファさん。男の子と女の子どちらがいいですかガロードさん?」 ガロード「な、なんで俺に聞くんだよ!!ティファに聞けよ!!」 ティファ「ガ、ガロード…わ、私は…男の子のほうが…」 ガロード「そ、そうか…ハ、ハハハ。お、俺はティファの娘とか、 きっとティファに似ててすごくかわいい……あああ俺何言ってんだ!」 ティファ「///」 シャクティ「ふふふ」 ウッソ(シャクティもこうしてみると白いんだけど。は!もしかしてこれが二重人格!?) シャクティ「ウッソ。後で話すことが増えるわよ」