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気が向いたときに進行するつもりだけど、 飽きたり疲れたりしたら、ヤメます。 3_ 1 ビジネス実務法務の法体系 → ■ 2 企業取引の法務 → ■ 3 債権の管理と回収 → ■ 4 企業財産の管理と法律 → ■ 5 企業活動に関する法規制 → ■ 6 企業と会社のしくみ → ■ 7 企業と従業員の関係 → ■ 8 家族法とビジネス → ■ 2_ 1 企業取引の法務 → ■ 2 債権の管理と回収 → ■ 3 企業財産の管理・活用と法務 → ■ 4 企業活動に関する法規制 → ■ 5 株式会社の組織と運営 → ■ 6 企業と従業員の関係 → ■ 7 紛争の解決方法 → ■ 8 国際法務(渉外法務) → ■ 企業取引の法務 - ビジネスに関する法律関係 契約の基礎知識 - ビジネスに関する法律関係 契約の分類(諾成契約 要物契約等) 契約の成立要件 意思の不存在 瑕疵ある意思表示 債務不履行 危険負担 売買契約(契約不適合責任等) 賃貸借契約(借地借家法) 請負 委任契約 契約書の体裁 署名 記名押印等 ■契約の成立 契約の成立要件 権利・義務の主体 意思表示ー 心裡留保 虚偽表示 錯誤 詐欺 脅迫による意思表示 代理ー 無権代理 表見代理 ■契約の効果と債務の履行 請負を基礎とする契約 - ビジネスに関する法律関係 ■建築請負契約 ■制作物供給契約 委任にかかわる契約 - ビジネスに関する法律関係 ■委任にかかわる様々な契約 ■取引の媒介に関する契約(仲立契約) ■代理商契約 物流にかかわる契約 - ビジネスに関する法律関係 ■運送契約 ■倉庫寄託契約 金融にかかわる契約 - ビジネスに関する法律関係 ■金銭消費寄託契約 ■保険契約 ■ファイナンス・リース契約 業務提携契約 - ビジネスに関する法律関係 ■業務提携の類型 ■清算業務の提携 ■合弁契約 電子商取引 - ビジネスに関する法律関係 ■Electronic Commers ■インターネットを利用した電子商取引の特性とそれに伴う法的問題 - 損害賠償に関する法律関係 法律上の損害賠償責任が問題となる場面 - 損害賠償に関する法律関係 ■企業活動上の事故 損害賠償による紛争の解決 - 損害賠償に関する法律関係 損害賠償リスクへの対応策 - 損害賠償に関する法律関係 ■損害賠償リスクへの対応策 ■賠償責任保険 〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇 - - - - - - - - - - - - - - - - -
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[ミサワホーム「ENJOY ECO」キャンペーン概要] 当企画はミサワホーム株式会社及びミサワホームディーラーとのオリジナル企画です。 (キャンペーンを実施していないディーラー・拠点もございます。) ■対象商品/ミサワホームの戸建商品(※屋根形状や地域等のアイテム設置条件により、対象外となる商品やプランがございます。) ※MJ-wood・アパート・特殊建築物(特建)・増改築(リフォーム)は除きます。 ■特典/期間中対象商品のご契約時に、太陽光発電システムをキャンペーン価格、1kW当たり24万円(税込)としてご提供いたします。 ■条件/キャンペーン価格でのご提供は、太陽光発電システムの最大出力1.5kW以上5.0kW未満までとなります。逆潮流メーター、屋外開閉器、系統連係申請費用は含まれておりません。 ※プランや地域により設備・仕様が一部異なります。また、地域や諸条件により別途費用が発生したり、設置できない場合もございます。商品によって設置タイプが限定される場合がございます。 ■キャンペーン期間/2010年1月9日~同年3月31日までのご契約 (新築工事請負契約) ※増改築・建売分譲住宅・その他追加工事等のご契約は適用となりません。 ※平成22年1月8日以前に、ミサワホームとご契約している方は応募対象外とさせていただきます。 ■着工期限/平成22年8月31日まで ■掲載の写真はイメージです。実際とは異なる部分があります。詳しくはお近くのミサワホームにお問い合わせください。 ■本企画とミサワホームディーラーが実施する他の懸賞企画、値引、割引を重複してのご利用はできません。(応募は可) また、本特典の権利を他人へ譲渡したり、金品と交換することはできません。
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ポールトゥウィン株式会社 待遇 勤務形態 登録制・業務委託契約 給与 勤務地により異なる[例] 7,000~8,000円/日給 勤務地 日本 待遇 なし:福利厚生,社保,交通費 勤務日/時間 A)9 00~18 00(実働9時間/休憩1時間)B)16 00~24 00(実働8時間/休憩1時間)C)24 00~翌8 00(実働8時間/休憩1時間) 関連リンク 公式サイト:http //www.ptw.co.jp/ 採用情報:http //recruit.ptw.co.jp/requirements/index.html コメント ゲーム特に好きじゃないけど応募してみようかな コミュ症だけど大丈夫かな? -- 名無しさん (2021-09-30 20 44 30) こういう会社って新しく入った人は間違いなくぼっち確定。 居場所を見つけられるかは運と実力次第だよね? すでに特定のグループとかで固まっていて身内ノリが強い気がする。新人が入り込む隙がない。 -- 名無しさん (2021-10-02 14 12 30) 「ゲームデバッグとは名ばかりの単純作業で食ってくのは大変」テストエンジニア自体はそこそこ稼げるんだから 実際業界の印象鈴悪くするだけだし潰れたほうが良いんだよな〜 -- 深衣あおいさん (2021-12-25 12 08 14) バイト未経験のような人がたくさんいる職場なので引きこもり的な性格にはかなり寛容な方だと思う。しかし任されたタイトルの内容が大変なものだったり、リーダーやグループの雰囲気が悪いと一気に狭い部屋が地獄と化して息苦しい日々を過ごすことになります。先方に左右されることが多いので急木に仕事が減ったり増えたり振り回されることが多い。シフト希望表はできるだけ連勤できることをアピールするために多めに丸をつけましょう。せめて週3~じゃないとシフト入れてもらえないかも。私がいた頃はリーダーを任せられる中堅の人がどんどん辞めていって上が困ってるようでした。同僚は給料の割りに合わないと言っていたので当然だと思います。バグを見つけるまで同じ作業を繰り返すことが苦じゃない人、バグや誤字脱字などを見つけるのが得意な人、丁寧な言い回しの報告の文章を書くのが得意な人にはおすすめです。運が良ければデバッグついでに楽しくゲームをプレイできるタイトルに参加できるかも知れません。 -- 名無しさん (2021-12-25 20 10 09) ある部署2スタジオで働いている人達から私の本名を勝手に使用されありもしない晒し行為をSNS上で行われ非常に迷惑しております。 そのような情報漏洩紛いな事を平気でしてしまう社員が在籍している事が問題です、みなさんも気をつけてください。 -- 名無しさん (2021-12-26 10 05 11) 本当に出来る人はやめてる 出来ると勘違いしてる人が残る -- 名無しさん (2021-12-28 20 58 52) 請負契約として半年ほど入社しておりました。 まず給与の話。 請負契約の場合、福利厚生は基本付きません。 交通費などの支給も基本的になく、 手元に入ってくる金額は思っていたよりも少なくなる印象です。 シフトは会社都合で変動することが多々です。 1か月単位で出勤可能な日時を用紙に記入して提出しますが、出勤可能日であっても外される場合が多く見受けられました。 出勤日の伝達は直近の出勤時に伝えられるので、 日程直前まで出勤かどうかが分からず予定が立てづらいことも。 週末、指定時間内に電話してくるよう言われることもあります。 一か月間弱ほど出勤できなくなったりすることもありました。 -- 名無しさん (2021-12-28 21 37 56) 人間関係は当たりはずれあり。 選り好みする人や自分勝手な人が多い印象です。 特に管理の方は冷たい印象利があります。 昔からいらっしゃる方と囲ってよく会話してますね。親しみやすい社員の方もいらっしゃいますが少なく感じます。 初めて業務される方は新人同士で関係を築き上げることをお勧めします。 コミュニケーションが苦手な人も少し多いかな? 同じ職場で仕事している上でどうしてここまで冷たくなれるのか、と思うほどでした。 業務の内容について。 きわめて難しい作業などは特になく、 PCを使い慣れている方は問題なく業務できるかと。資格なども特に必要無いです。 最初のうちは近くの人に教えてもらいながら作業していれば大丈夫です。 単純な作業が多いかと思いきやそうでもなかったり。デスクワークメインのお仕事です。 作業時間は基本きっちり7時間行うとのことで、 服装髪型ピアス等、身だしなみ自由で作業スタイルはかなりラフな感じでした。 -- 名無しさん (2021-12-28 21 38 36) 総評すると、 デスクワークというものを少し経験したい方向けかな~と。スケジュール通りのシフトに入れないことがあり十分な給与が貰いづらいことと、 人間関係が微妙だったりで仕事しづらい面が多くありました。 将来性は基本無いに等しいです。 お金と時間が余っている人向け。 請負契約で入社するのであれば短期をお勧めします。 -- 名無しさん (2021-12-28 21 38 51) ここで一生働くのは無理だなと感じます。 まず雰囲気は悪いです。 なんでこの仕事してるかって言ったら、ゲームが好き、若しくは人と関わらず黙々とやりたいの2択です。普段必要最低限のコミュニケーションしか取らない上司達の言語を理解するのに時間がかかります。そして普通に質問しても感じ悪いです。 仕方ないですよね。腹立つので気をつけた方がいいです。 仕事があるのかないのかは前日しか分かりません。 そして自分の部署は進捗が悪い人はハッキリ言ってこの時世関係なく、契約解除される➡︎更新できません 全くお勧めはしません -- 名無しさん (2021-12-29 10 08 52) シフト制と常勤は地域の最低賃金であり、上に上がっても少量しか上がらないでした。 しかし上に上がると責任とか発生し重くなり給料の割には合わないかなと そもそも上に上がるための評価が開示されることがないので自分の評価を知りたい時は相談できる方に持ちかけるしかない環境なので言い難いです -- 名無しさん (2021-12-31 02 21 26) 人の死を嘲笑う最低な責任者がいた 「おう、そうか死んだのか? それ私に関係ない事ですよね? 貴方の生活なんて知りません」事実だし -- ある部署2スタジオ(2022-01-06 21 49 33) 上の人間達は通しで選り好みしてる雰囲気でした。あいつは使える人間こいつは使えない人間と吟味を行い配置してましたね。中には反抗したり会社の不満などを打ち明けると次回から呼ばれなくなることもあるらしいですよ。いやありましたね。会社のここがおかしいです、ここを正せば良くなりますと伝えても改善される事はありませんでした。そしてお前は敵だと思われ差別されます。上の人間は進捗しか頭にありません体調が良くなくて倒れそうな社員には大丈夫と伝えず「進捗は大丈夫か」「進捗がどこまで進んだ」現場について何も知らない上に上がったような人間ですからね、いささか仕方ないかと思われます。どんなに働いても最低賃金しか出さない会社でした毎日寝ているアルバイトと同じお給料なんて笑えますよね -- 名無しさん (2022-01-06 21 49 33) 簡単にリストラするよな -- 名無しさん (2022-08-11 02 14 31) 脱獄する人多すぎ、そりゃ契約更新しませんからだからね-- 名無しさん (2022-10-28 09 44 33) リーダーと呼ばれるグループにオタクとギャンブルカスがいてとにかく性格が悪い。運が悪いと仕事中ずっとパワハラされ続ける。けど中には面白い人達もいる。そういう人達にあたると楽しく過ごせる。 -- 名無しさん (2022-12-26 12 31 25) パワハラが多いのでボイスレコーダーを忍ばせておいた方がいい。訴える時は証拠が無いと難しいので。告訴したいぐらいヒドイのがいる。 -- 名無しさん (2023-02-05 10 04 02) あいつらはチャットツール内で暴言を言いたい放題、情報を持ち出せないからってやりたい放題。みんな見えている筈だと思うけど、どうして無視するんですかね〜 -- 名無しさん (2023-02-08 22 51 09) 名前 コメント
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1.契約 13種類の典型契約 財産権の移転を目的とする契約 贈与契約、売買契約、交換契約 賃貸を目的とする契約 消費貸借契約、使用貸借契約、賃貸借契約 役務を目的とする契約 雇用契約、請負契約、委任契約、寄託契約 その他 組合契約、終身定期金契約、和解契約 成立要件での分類 諾成契約:申し込む+承諾 要物契約:上記に加えて目的物の引き渡し 成立後の債務による分類 双務契約:両方に債務が発生する。同時履行の抗弁権が使える。 片務契約:一方のみが債務を負担するもの(贈与契約など) 対価を支払うかでの分類 有償契約:双務契約の全て、報酬のある委任契約と寄託契約など 無償契約: 契約の自由:私的自治の原則と契約自由の原則 定型約款(ていけいやっかん)…みなし合意が成立するが、相手の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義則に反して相手方の利害を一方的に害すると認められるものは合意しなかったとみなされる。 2.意思表示の無効と取り消し 心裡留保…表意者本人が、本心とは異なることを知りながら行った意思表示 原則として有効 ※相手方が本心ではないことを知り、または知ることが出来た時(悪意)、注意をすれば知ることが出来たとき(有過失)は無効 ※善意の第三者に対しては無効を主張できない 虚偽表示…当事者同士が通謀して売買を仮装したときは、無効 ※善意の第三者に対しては無効を主張できない(登記なしでOK) 瑕疵ある意思表示…一応有効だが、取消しが可能 ①錯誤…それが法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは取消し可能 表示錯誤 例:甲土地を乙土地と表示 動機錯誤 例:駅ができると勘違いして土地を購入しようとした ※表意者の重大な過失があるときは取消し不可だが、相手方か錯誤について悪意のとき、重過失のとき、共同錯誤に陥っていたときは取消しできる。 ②詐欺…取消し可能だが、善意の第三者には対抗不可(善意の第三者は登記の必要がない) ※第三者による詐欺の場合、相手方が悪意、有過失のときのみ取消し可能 ③脅迫…取消し可能で、善意無過失の第三者にも対抗できる。 取消について 理由 取消権者 制限行為能力 本人、その代理人、承継人(相続人)または同意をすることができる者 錯誤、詐欺、脅迫 瑕疵ある意思表示をした本人、その代理人、承継人 行使できる期間…追認できる時から5年間、または行為の時から20年 原状回復義務 条件 範囲 無償行為に基づく善意の給付で、取消しについて善意ならば 現に利益を受けている限度 契約時に制限行為能力者だったならば 現に利益を受けている限度 追認…一度追認をすると、取消し不可になる(信義則に反するため)。追認できるのは、取消権があると知った後に限る。 ↑↓ 法定追認…自動的に追認したとみなされる。※これは追認ではないと異議をとどめたときは追認にならない。 全部または一部の履行(取消権者が履行し、または履行を受けた時) 履行の請求(取消権者が請求した場合) 更改 担保の供与(取消権者が抵当権などを供与し、または供与を受けたとき) 取得した権利の全部または一部の譲渡、強制執行(取消権者が強制執行した場合) ※無効な行為を追認した場合は、新たな行為をしたものとみなされる 3.条件、期限、期間…付款ともいう 条件の無効と無条件 既成条件:停止 すでに成就→無条件、不成就が確定→無効 既成条件:解除 すでに成就→無効、不成就が確定→無条件 不法条件 不法な条件付きの契約、不法行為をしない条件の契約は無効 不能条件:停止 不能の停止条件→無効 不能条件:解除 不能の解除条件→無条件 随意条件 単に債務者の意思のみに係る停止条件→無効、債務者の意思のみに係る解除条件→有効 期限…債務者の利益と推定されるため、債務者はいつでも利益を放棄して直ちに履行することもできる。 ※期限の利益を放棄することで相手方の利益を害することは出来ない。 期間…初日不算入の原則(起算日は原則翌日になる)。満了点は期間の末日の24時。
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人材派遣業「マルゼンロジスティックス」(名古屋市中村区)がキヤノンの子会社「長浜キヤノン」(滋賀県長浜市)との請負契約終了に伴い従業員を契約途中で解雇する際、会社が解雇通告したのに、自己都合で辞める内容の「退職届」を書かせていたことが分かった。 自己都合退職の場合、会社は解雇予告手当を払う必要がない一方、労働者は失業給付をすぐに受け取れないなど不利益が大きい。マルゼンは「退職届」への署名を長浜キヤノンから支給された「生活支援金」の受給や有給休暇買い取りの条件にしていたといい、支援の労働組合は「卑劣なやり方」と非難している。 長浜キヤノンは今年2月、マルゼンなど請負8社との契約終了を発表。請負労働者約1000人への支援金として8社に計約4億円を支払うとし、マルゼンには既に支払った。 「退職届」は「生産停止に伴い、2009年○月○日付けをもって退職を希望したいのでお願い致します」と印刷され、署名する形式。マルゼンと契約し長浜キヤノンの工場で働いていたペルー人女性(23)は3月、マルゼンから解雇を言い渡され、「退職届」への署名を要求された。その際、「署名しないと、生活支援金や余剰有給休暇への補償を受け取れないと会社から説明された」という。 この女性が加盟するアルバイト・派遣・パート関西労働組合(本部・大阪)によると、同様の説明で署名を要求された13人がおかしいと思い同労組を通じて団体交渉したが、マルゼンは改善に応じなかったという。 このため、大半は署名して支援金などを受け取り、現在は、この女性だけが滋賀県労働委員会(地労委)で係争中。 同労組は「マルゼンは、団体交渉で解雇予告手当について、自己都合退職だから払えないと主張した。解雇であることは明らかなのに」と指摘する。 「退職届」を書かせたことについて、マルゼンは「書かせた理由はあるが、回答は控えたい」としている。 ソース:毎日新聞 http //mainichi.jp/select/wadai/news/20090502k0000m040153000c.html 名前 コメント
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村田町(以下「町」という。)の住民である原告らが,町発注の5つの工事について,町が指名競争入札の後,落札業者5社と請負契約を締結したことにつき,各請負契約の前提手続として行われた指名競争入札が,落札業者と入札参加業者との間の談合により競争の制限された状態で行われたものであり,町はその談合により談合がなければ形成されたであろう価格と落札価格との差額相当の損害をそれぞれ被ったから,民法709条に基づき,落札業者らに対し損害賠償請求権をそれぞれ有しているのに,町がその行使を違法に怠っていると主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,損害賠償を請求すべき義務を負う村田町長である被告に対し,落札業者らに対してそれぞれ損害賠償の請求をすることを求めた事案(一部認容) 主文 1 被告は,株式会社Aに対し,金84万5000円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 2 被告は,株式会社Bに対し,金13万5000円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 3 被告は,有限会社Cに対し,金40万円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 4 被告は,D株式会社に対し,金24万円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 5 被告は,株式会社Eに対し,金64万円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 6 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 7 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告らの各負担とし,その余は被告の負担とする。各補助参加により生じた費用は,これをそれぞれ3分し,その2を原告らの各負担とし,その余は株式会社A,株式会社B,有限会社C及びD株式会社の各負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 請求の趣旨 (1) 被告は,株式会社A(以下「A」という。)に対し,金253万5000円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 (2) 被告は,株式会社B(以下「B」という。)に対し,金40万5000円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 (3) 被告は,有限会社C(以下「C」という。)に対し,金120万円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 (4) 被告は,D株式会社(以下「D」という。)に対し,金72万円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 (5) 被告は,株式会社E(以下「E」という。)に対し,金192万円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 (6) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁 (1) 本案前の答弁 ア 本件訴えをいずれも却下する。 イ 訴訟費用は原告らの負担とする。 (2) 本案に対する答弁 ア 原告らの請求をいずれも棄却する。 イ 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,宮城県柴田郡村田町(以下「村田町」という。)の住民である原告らが,村田町が別紙一覧表工事番号1ないし5の各工事(以下,これらの工事を包括して「本件各工事」といい,本件各工事のうちの個々の工事を特定する場合には,同表の工事番号欄の番号を付して「本件工事1」などという。)に係る請負契約(以下「本件各請負契約」という。)を同表の落札業者欄記載の各業者(以下「落札業者」という。)とそれぞれ締結したことにつき,本件各請負契約の前提手続として平成14年1月30日に行われた指名競争入札が落札業者と同表の入札参加業者欄に丸印を付した各業者(以下「入札参加業者」という。)との間の談合により競争の制限された状態で行われたものであり,村田町はその談合により談合がなければ形成されたであろう価格と落札価格との差額相当の損害をそれぞれ被ったから,民法709条に基づき,落札業者である被告補助参加人ら(以下「参加人ら」という)及びEの5社(以下「Aら5社」という。)に対し損害賠償請求権をそれぞれ有しているのに,村田町がその行使を違法に怠っていると主張して,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,損害賠償を請求すべき義務を負う被告に対し,Aら5社に対してそれぞれ前記第1の1(1)ないし(5)のとおりの各損害賠償金及びこれらに対する各不法行為の日の後である平成15年1月23日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による各遅延損害金の請求をすることを求めた事案である。 2 争いのない事実等(末尾に証拠等を掲げたもの以外は当事者間に争いがない。) (1) 当事者 ア 原告らは,いずれも村田町の住民である。 イ 被告は,村田町長である。 ウ Aら5社は,いずれも建設業を営む会社である。 (2) 本件各請負契約の締結 ア 村田町は,本件各工事について,予定価格を別紙一覧表の各予定価格欄記載のとおりそれぞれ定めた上,平成14年1月30日,別紙一覧表記載の落札業者と入札参加者による指名競争入札をそれぞれ実施した。 本件各工事に係る指名競争入札の各入札状況は,別紙一覧表の各欄記載のとおりであるが,詳細は,次のとおりである。 (ア) 本件工事1(第1回入札・入札金額,甲1の1) a A 1690万円(落札) b D 1710万円 c B 1715万円 d C 1750万円 e 有限会社F(以下「F」という。) 1780万円 f E 1800万円 (イ) 本件工事2(第1回入札・入札金額,甲1の2) a B 270万円(落札) b F 275万円 c E 280万円 d 有限会社G(以下「G」という。) 285万円 e D 290万円 (ウ) 本件工事3(甲1の3) a 第1回入札(入札金額) (a) C 860万円 (b) E 870万円 (c) H株式会社(以下「H」という。) 875万円 (d) F 885万円 (e) D 890万円 (f) A 895万円 b 第2回入札(入札金額) (a) C 830万円 (b) E 845万円 (c) H 850万円 (d) D 850万円 (e) A 855万円 (f) F 855万円 c 第3回入札(入札金額) (a) C 800万円(落札) (b) E 815万円 (c) H 820万円 (d) D 820万円 (e) A 820万円 (f) F 825万円 (エ) 本件工事4(甲1の4) a 第1回入札(入札金額) (a) D 565万円 (b) E 580万円 (c) B 585万円 (d) F 594万円 (e) C 606万円 b 第2回入札(入札金額) (a) D 550万円 (b) F 557万円 (c) E 560万円 (d) B 560万円 (e) C 562万円 c 第3回入札(入札金額) (a) D 480万円(落札) (b) B 500万円 (c) E 540万円 (d) F 546万円 (e) C 548万円 (オ) 本件工事5(甲1の5) a E 1280万円(落札) b A 1360万円 c C 1370万円 d B 1380万円 e F 1380万円 f D 1400万円 イ 村田町は,そのころ,上記アの落札業者と落札額を契約金額として本件各請負契約をそれぞれ締結し,工事代金をそれぞれ支出した(弁論の全趣旨)。 (3) 原告らは,同年11月1日,村田町監査委員に対し,町長派業者の談合により競争が制限されることによって村田町が被った損害の補てん措置をとるよう勧告することを求める旨の住民監査請求を行った(以下「本件監査請求」という。)が,村田町監査委員は,同月20日,本件監査請求を却下した。 3 争点 (1) 本件監査請求の適法性 (2) 本件各工事における談合行為の有無 (3) 損害額 4 争点に関する当事者の主張 (1) 争点(1)について ア 被告及び参加人らの主張 本件は住民訴訟であるから事前に適法な監査請求を経ていなければならないところ,本件監査請求は,添えてある全ての事実証明によっても,財務会計上の行為の違法性・不当性に関し個別的・具体的に摘示されていないとして却下されたのであるから,本件訴えは,適法な監査請求を経ておらず,訴訟要件を欠き,不適法として却下されるべきである。 イ 原告らの主張 本件監査請求は,業者の談合によって被った町の損害の回復を求める監査請求であり,町の職員の財務会計上の行為の違法性・不当性とは,そもそも無関係であるから,職員の財務会計上の行為の違法性・不当性の個別的・具体的摘示を要件とする監査委員の判断は,誤りである。 したがって,原告らは,適法な監査を経たことになる。 (2) 争点(2)について ア 原告らの主張 (ア) 村田町の公共工事における指名競争入札では,どの業者が指名業者になったかは,入札日まで明らかにされていない。しかし,指名業者のうちFを除いた落札業者及び入札参加業者は,入札日である平成14年1月30日よりも前に何らかの方法により本件各工事について,その指名業者を知った。そして,Fを除く落札業者及び入札参加業者は,入札日前に村田町内において談合を行い,本件各工事を落札する本命業者を決定した。 (イ)a 本件工事1 本命業者と決まったAは,入札日前に談合の協議に参加しなかったFに対し,電話にてAが本命業者に決まった旨を伝えた。AのIは,入札日の前日,談合札(甲4の3)と工事費内訳書(甲4の2)をFの事務所に持参した。 Aは,Fに対し,上記談合札により1回目は1780万円,2回目は1680万円,3回目は1640万円と入札するように指示するとともに,その入札金額に見合った工事費内訳書を交付し,それと同内容の工事費内訳書を村田町に提出するよう指示した。 Fは,Aが持参した上記工事費内訳書を村田町に提出するとともに,Aの指示どおりに入札した。 b 本件工事2 本命業者に決まったBは,入札日前に,談合の協議に参加しなかったFに,電話にてBが本命業者に決まった旨を伝えた。Bの従業員は,入札日の前日,談合札(甲44)と工事費内訳書(甲5の2・3)をFの事務所に持参した。 Bは,上記談合札に「¥2,750,000」「2回目最低価格より100,000以下下げて下さい」と記載し,Fに対し,入札金額の指示をするとともに,その入札金額に見合った工事費内訳書を交付し,それと同内容の工事費内訳書を村田町に提出するよう指示した。 Fは,Bが持参した上記工事費内訳書を村田町に提出するとともに,Bの指示どおりに入札した。 c 本件工事3 本命業者と決まったCは,入札日前に,談合の協議に参加しなかったFに,電話にてCが本命業者に決まった旨を伝えた。Cの女性従業員は,入札日の前日,談合札(甲6の4)と工事費内訳書(甲6の2・3)をFの事務所に持参した。 Cは,Fに対し,上記談合札により,1回目は885万円,2回目は855万円,3回目は825万円を入札するよう指示するとともに,その入札金額に見合った工事費内訳書を交付し,それと同内容の工事費内訳書を村田町に提出するよう指示した。 Fは,Cが持参した上記工事費内訳書を提出するとともに,Cの指示どおりに入札した。 d 本件工事4 本命業者と決まったDは,入札日前に,談合の協議に参加しなかったFに,電話にてDが本命業者に決まった旨を伝えた。Dの営業部長であったJは,入札日の前日,談合札(甲8の6)と工事費内訳書(甲8の2ないし5)をFの事務所に持参した。 Dは,Fに対し,上記談合札により,1回目は594万円,2回目は557万円,3回目は546万円を入札するよう指示するとともに,その入札金額に見合った工事費内訳書を交付し,それと同内容の工事費内訳書を村田町に提出するよう指示した。 Fは,Dが持参した上記工事費内訳書を提出するとともに,Dの指示どおりに入札した。 e 本件工事5 本命業者と決まったEは,入札日前に,談合の協議に参加しなかったFに,電話にてEが本命業者に決まった旨を伝えた。Eの従業員は,入札日の前日,談合札(甲7の1)と工事費内訳書(甲7の2・3)をFの事務所に持参した。 Eは,Fに対し,上記談合札により,1回目は1320万円以上,2回目以降は1回目の最低価格より30万円以内引きで入札するように指示するとともに,その入札金額に見合った工事費内訳書を交付し,それと同内容の工事費内訳書を村田町に提出するよう指示した。 Fは,Eが持参した上記工事費内訳書を提出するとともに,Eの指示どおりに入札した。 イ 被告 上記ア(ア)及び(イ)の原告らの主張は不知。 ウ 参加人らの主張 Fが落札業者から交付されたものとして原告らが提出する談合札と称するメモ及び工事費内訳書は,Fの代表者であるKが偽造したものであり,上記ア(ア)及び(イ)に沿う証人Kの供述及び陳述は,全て作り話である。 (3) 争点(3)について ア 原告らの主張 (ア) 村田町は,落札業者及び入札参加者の談合により,実際の契約価格と談合が行われなかった場合に形成されたであろう契約価格との差額相当分の損害を受けた。 平成13年度及び平成14年度の入札において,L等の反町長派業者(平成13年度ではL,M,N,平成14年度ではこれに加えてF,有限会社O(以下「O」という。),H)が入札に参加すると落札率が70ないし80パーセント台になるのに,反町長派業者が参加しないと概ね95パーセント以上になっており,これは,反町長派業者が入札に参加すると公正な自由競争が行われるが,参加しないと談合が行われることを如実に示すものであるところ,これによれば,反町長派業者が入札に参加した場合と参加しなかった場合の落札率の差が少なくとも15パーセント存するから,本件各工事に関する損害額も,別紙一覧表の落札金額欄記載の各金額に0.15を乗じた金額,具体的には以下のとおりとなる。 a 本件工事1 253万5000円 b 本件工事2 40万5000円 c 本件工事3 120万円 d 本件工事4 72万円 e 本件工事5 192万円 (イ) 本件各工事の請負代金の中に国からの補助金が含まれているとしても,これは,村田町が被った損害には何らの影響も及ぼさない。 なぜなら,地方公共団体は,談合をした業者から損害賠償金の支払を受けた場合,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」という。)15条,16条,18条2項により,その受領額に補助率を乗じた金員を国庫に返還する義務を負い,これによれば,地方公共団体が談合等の不法行為によって被る損害は,固有財源からの出捐分と国に対する補助金返還義務分を合わせたものになるからである。 イ 被告及び参加人らの主張 (ア) 原告らの主張は争う。 (イ) 本件各工事は,補助金適正化法に基づく国の補助金を財源としており,補助金を本件各工事以外の用途に流用することはできないから,補助金額分については村田町に損害は生じない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)について (1) 村田町監査委員は,住民監査請求につき,財務会計上の行為において,町長始め職員等がいつ,どのような違法又は不当な行為を行ったのか,具体的な事実証明を添えて請求がされなければならない旨前置きした上で,本件監査請求は,添えてある全ての事実証明によっても町長が財務会計上の行為において,いつ,どのような違法又は不当な行為を行ったのかという財務会計上の行為の違法性・不当性に関し個別的・具体的な摘示がなされていないから不適法であるとしてこれを却下した(甲12,13)。 (2) しかし,原告らの本訴請求は,本件各工事について村田町と落札業者であるAら5社との間で締結された本件各請負契約に関し,その前提手続として行われた指名競争入札が談合により競争の制限された状態で行われたため,村田町はその談合がなければ形成されたであろう価格と落札価格との差額相当の損害を被ったのに,被告がAら5社に対して上記損害の賠償を求めないという不作為を違法として,Aら5社に対し民法709条に基づく損害賠償請求をすることを求めるもので,法242条の2第1項4号所定の請求のうち,「怠る事実に係る相手方に損害賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関に対して求める請求」である。したがって,本訴の前提としての住民監査請求の対象は,法242条1項所定の事項のうち,「違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」であるといわなければならない。そして,被告が村田町に帰属する損害賠償請求権を行使しないという事実は,債権という財産の管理を怠るという財務会計上の違法又は不当な事実にほかならない上,上記損害賠償請求の発生原因として原告らの特定する本件各請負契約は,被告が村田町の執行機関として行う財務会計上の行為そのものであって,原告らは,その本件各請負契約に不可欠の前提手続として行われた指名競争入札が談合により違法に競争が制限された状態で行われた旨主張するとともに,その事実を証明するため,談合札及び積算内訳書等の資料を提出している(甲12)のであるから,原告らがした本件監査請求は,住民監査請求に要求されている諸要件を充足した適法なものというべきである。 (3) したがって,本件監査請求を不適法として却下した村田町監査委員の判断は失当といわなければならず,本件訴えは適法な監査請求を経ていないから訴訟要件を欠くとする被告及び参加人らの主張は採用することができない。 2 争点(2)について (1) 当裁判所は,前記第2の2の事実に,本件各証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件各工事に係る指名競争入札において,入札の前に落札業者及び入札参加業者による談合が行われ,この談合(以下「本件談合」という。)により,本件各工事を落札すべき本命業者が決定された上で入札が実施された結果,上記本命業者がいずれも本件各工事を落札し,その本命業者と被告との間で本件各請負契約が締結されたことが認められると判断する。その理由は以下のとおりである。 ア 証人Kは,本件談合の存在を肯定する旨の供述及び陳述(甲14,16)をしている(以下,上記供述及び陳述を併せて「本件K供述1」という。)ところ,当裁判所は,本件K供述1の信用性は高いと判断する。その理由は以下のとおりである。 (ア) 本件K供述1の骨子は次のとおりである。 a 本件工事1については,事前にAから「うちに決まった」との電話があり,入札日(平成14年1月30日)の前日,Aの社長の息子であるIが入札金額を指示するメモ(甲4の3)と工事費内訳書(甲4の2)をFに持ってきた。 b 本件工事2については,事前にBから「うちに決まった」との電話があり,入札日(平成14年1月30日)の前日,Bの従業員であるPが入札金額を指示するメモ(甲44)と工事費内訳書(甲5の2・3)をFに持ってきた。 c 本件工事3については,Cから「うちに決まった」との電話があり,入札日(平成14年1月30日)の前日に,Cの女性の事務員が,入札金額を指示するメモ(甲6の4)と工事費内訳書(甲6の2・3)をFに持ってきた。 d 本件工事4については,入札日(平成14年1月30日)の何日か前に,Dから「うちに決まった」との電話があり,入札日の前日,Dの営業部長のJが入札金額を指示するメモ(甲8の6)と工事費内訳書等(甲8の2ないし5)をFに持ってきた。 e 本件工事5については,事前にEから「うちに決まった」との電話があり,入札日(平成14年1月30日)の前日,Eの社長又は従業員が,入札金額を指示するメモ(甲7の1)と工事費内訳書(甲7の2・3)をFに持ってきた。 (イ) 本件各工事に係る指名競争入札について,入札の前に落札業者及び入札参加業者によって行われた談合の結果,Fが入札すべき金額を指示する内容が記載されたメモないし書面(本件工事1については甲4の3,本件工事2については甲44,本件工事3については甲6の4,本件工事4については甲8の6,本件工事5については甲7の1。以下,上記書証を「本件談合札」という。)が存在する。本件談合札は,いずれも原本が書証として提出されており,そのうち,甲4の3は黄色の付箋に鉛筆による手書きで3個の数字と「F」の文字が記載されたもの,甲44は使用済みの白い用紙を切り取った裏側に鉛筆による手書きで1個の数字と「2回目最低価格より100.000以下下げて下さい。」という文字が記載されたもの,甲6の4は青色の付箋に手書きによる黒色のペン字で3個の数字と「F様」の文字が記載されたもの,甲8の6は黄色の付箋に鉛筆による手書きで3個の数字と「f様」の文字が記載されたもの,甲7の1は「平成13年災害復旧工事実施設計書」という表題のA4版の書面の上下欄外に「配布された仕様書に写して下さい。1320万以上でお願い致ます。」「2回目以降最低価格より30万以内引きでお願い致ます」という文字が印刷された透明のシール(いずれのシールも数字部分が橙色でマークされている。)が貼り付けられたものである。本件談合札のうち,手書きされた甲4の3,6の4,8の6及び44の筆跡は,それぞれ異なると判断される。 以上のように,本件談合札として提出された書証の体裁及び筆跡はそれぞれ全く異なっており,同一人によって作成されたものとは考えにくい。 また,本件談合札のうち,甲8の6(本件K供述1は,本件工事4を落札したDから受け取った談合札であるとする。)の筆跡は,Dの事務員Qが作成した積算書(甲20の2,証人J)の筆跡に酷似している。 (ウ) 本件各工事におけるFの実際の入札金額は,本件談合札に記載された金額と完全に一致しているか,その記載内容と矛盾しない(甲1の1ないし5,4の3,6の4,7の1,8の6及び44)。 (エ) 本件談合札については,その記載内容に符合する工事費内訳書がいずれも原本として提出されている(甲4の2,5の3,6の2・3,7の2・3,8の2ないし5)。そのうち,甲8の2ないし5(本件K供述1は,本件工事4を落札したDから受け取った工事費内訳書であるとする。)を除くその余の工事費内訳書(以下「本件工事費内訳書」という。)は,その記載内容はもちろん,書式,体裁,印刷の字体,印刷や罫線の汚れ及び数字の筆跡が,Fが本件各工事に係る指名競争入札に際して村田町に提出した工事費内訳書の写し(甲17の7,18の6,19の7,21の7)と一致している。この事実は,本件工事費内訳書(甲4の2,5の3,6の2・3,7の2・3)が,上記入札(平成14年1月30日)当時において既に存在しFがこれを所持していたこと(上記入札後に作成された文書ではないこと)を裏付ける事実である。また,本件工事費内訳書は,その書式,体裁及び筆跡が本件各工事(ただし,本件工事4を除く。)ごとに異なっているところ,Fが本件各工事(ただし,本件工事4を除く。)に係る指名競争入札に際して村田町に提出した上記工事費内訳書の写しは,本件工事費内訳書の写しに表紙を付けずに社判だけを押印した状態で村田町に提出されていることが認められる(甲4の2,5の3,6の2・3,7の2・3,17の7,18の6,19の7,21の7)。このように,Fが,同一日に行われた複数の入札において,書式,体裁及び筆跡がそれぞれ全く異なり,表紙もなく社判だけが押捺された上記工事費内訳書の写しを村田町に提出していたという事実は,本件各工事に係る指名競争入札において,Fは本件談合によって決定された本命業者から渡された本件工事費内訳書の写しをそのまま村田町に提出したとする本件K供述1の信用性を裏付けるものと言える。 なお,原告らが,本件工事4を落札したDから渡された工事費内訳書であるとして提出した甲8の2ないし5(特に8の4)は,Fが本件工事4に係る指名競争入札の際に村田町に提出した工事費内訳書の写し(甲20の6)と明らかに筆跡が異なるから,甲8の2ないし5(特に8の4)が上記入札当時において既に存在しFが所持していた書面であるかどうか(したがって,上記入札前にDから渡された書面であるかどうか)は疑問である。しかし,それによって,本件K供述1の信用性が減殺されるものではないというべきである。なぜなら,Fが本件工事4に係る指名競争入札の際に村田町に提出した工事費内訳書の写し(甲20の6)の筆跡は,本件工事4に係る指名競争入札の前にDから渡されたとされる(本件K供述1)本件談合札(甲8の6)の筆跡と酷似しているばかりか,Dの事務員Qが作成した上記積算書(甲20の2)の筆跡及びDが本件各工事に係る指名競争入札の際に村田町に提出した工事費内訳書の写し(甲17の3,18の2,19の3,20の2,21の3)の筆跡に一致することが認められるからである。すなわち,Fが本件工事4に係る指名競争入札の際に村田町に提出した工事費内訳書の写し(甲20の6)は,Dによって作成されFに渡された工事費内訳書の原本を元に作成されたことが推認される(その限度で,本件K供述1は信用できる。)のである。 (オ) 本件工事1及び3ないし5の各工事については,落札業者からそれぞれ連絡を受けた際にKの妻が記載したメモ(甲28,証人K)が存在し,その記載内容は,落札業者から入札について指示を受けたという本件K供述1の内容と符合する。 (カ) 本件各工事の落札率はいずれも92パーセントを超えており,宮城県発注の工事にかかるD及びEの落札率と比較しても極めて高くなっている(甲38の1,42の1・3,証人J,同R)。 (キ) 本件K供述1が,本件工事3を落札したCから受け取った工事費内訳書であるとする甲6の2・3は,Cが本件各工事に関して村田町に提出した工事費内訳書と同じ書式である(甲17の4,19の4,20の3,21の4)。 (ク) 本件工事3に係る入札は3回行われたが,その3回の入札ともCが最も低い金額の入札を行っており(甲1の3),その結果は不自然である。また,本件工事4に係る入札も3回行われ,その3回の入札ともDが最も低い金額の入札を行っているが(甲1の4),その結果はやはり不自然といわざるを得ない。これは,いずれも本件談合の存在を肯定する本件K供述1に符合する事実というべきである。 (ケ) 本件談合札やこれと共に本命業者から渡された本件工事費内訳書は,談合の事実の発覚を未然に防止するため,本来であれば入札終了後に速やかに処分されるはずの書面である。それにもかかわらず,Fがこれまで本件談合札や本件工事費内訳書を処分せず,本件訴訟において書証として提出することに協力した理由について,証人Kは,談合破りをされた仕返しの気持ちであったとして,大要次のとおり供述及び陳述(甲26)している。 Fは,平成13年1月17日に行われた村田町の平成12年度丙地区公共下水道工事(第3工区)の指名競争入札に参加した。上記入札には,Fのほか,B,H,株式会社S(以下「S」という。),C,Oの5社が参加した。Kは,上記工事につき,現場説明会があった平成13年1月10日から入札日である同月17日までの間に,同工事を受注したい旨B,H,S,C,Oに電話等で伝えたところ,全ての業者の同意が得られたので,全ての業者に入札金額を指示したメモをそれぞれ配布したが,同日実施された入札において,Bがその指示に従わずにFよりも低い価額で入札するいわゆる談合破りをしたため,Bが上記工事を落札した。Kは,Bのこの談合破りによって,FがいわゆるAグループであるAやBらから甘く見られていることを認識して腹が立ち,仕返しとして談合の内部告発をしようと考え,本件談合札や本件工事費内訳書を処分せずに保管しておいた。 以上の談合破りの件に関する証人Kの供述及び陳述(以下「本件K供述2」という。)は,その供述内容に沿う入札経過が存在すること(甲25,30の1・2)や同年4月23日,Bが談合破りの謝罪金の趣旨でF宛に219万7125円を振込送金した事実が窺われること(甲24)に照らし,信用に値すると言える。これに対し,参加人A及び同Bは,Bが上記談合に参加したことはなく,談合破りをしたこともない,BからFに対する上記振込送金は,上記工事をFへ下請発注した工事代金の支払であると主張するが,Bが相指名業者であったFに落札額と同額で上記工事を一括下請に出したとする証人Tの供述及び陳述(丙A12)の内容は不自然であること,Fが上記工事を中途で放棄したため,後の工事を引き継いだBが,Fの施工した部分とBが施工した部分とを出来高で評価し,発注額の15パーセント相当をFに送金したとする(証人Tの供述及び陳述(丙A12))が,その出来高評価の具体的内容を裏付けるに足りる証拠が提出されていないこと等に照らすと,本件K供述2の内容と矛盾する証拠(丙A1,2の1・2,3ないし8,12,証人T)はこれを採用することはできないというべきであり,他に本件K供述2の信用性を覆すに足りる証拠はない。 したがって,本件K供述1の信用性は,本件談合札や本件工事費内訳書が保管されていた動機の面からも,これを肯定することができるというべきである。 イ 参加人らは,本件談合札及び本件工事費内訳書はKが偽造したものであり,本件K供述1は全て作り話であると主張するが,以下のとおり,その主張はいずれも採用できるものではない。 (ア) 参加人らは,原告らから当初提出された談合札(丙B5)と同じものとして提出された談合札(甲8の6)は,丙B5とその筆跡等が異なり,原告らが提出する本件談合札の作成過程に疑問があると主張する。 これに対する原告らの説明は次のとおりである。丙B5は,原告らが甲8の6の写しを作成する際に,「f様」部分を消去し,さらにその写しを上からなぞって作成したものである。原告らは,平成14年8月ないし9月ころ,Fが所持していた甲8の6をコピーして村田町議会議員や原告らの間で配布した。その際,Fの名前を消去して配布したが,甲8の6は鉛筆で書かれており,コピーすると記載されている数字が薄くなってしまったため,コピーした談合札の数字がはっきりと読みとれるように上からなぞった。原告ら代理人は,本件訴訟を受任するに当たり,原告らから丙B5を受け取ったが,訴え提起段階では,出訴期間の制約もあり,詳しい打合せができず,その後,打合せをする中で丙B5の原本に当たる甲8の6の存在を確認したため,これを改めて書証として提出した。 本件談合札の書証提出の経緯に関する原告らの上記説明は,鉛筆で書かれた文字を何度もコピーすると次第に薄くなることはしばしば経験することであること,丙B5には,原告らの説明するとおり,薄い文字を上からなぞった痕跡が認められることに照らすと,首肯できないものではないというべきである。そして,上記ア(イ)のとおり,本件談合札のうち,甲8の6は,本件工事4を落札したDから受け取った談合札の原本として提出されたものであり,その筆跡がDの事務員Qが作成した積算書(甲20の2)の筆跡に酷似していることも考え合わせると,丙B5と甲8の6の筆跡等が異なっていても,この事実は,甲8の6が偽造されたものであるとする参加人らの上記主張を裏付けるには足りないというべきである。 (イ) 参加人らは,本件各工事の入札時には,指名業者一覧表の開示及び現場説明会といった制度は廃止され,入札日にならないと指名業者が分からないようになっていたため,談合を実行しにくい状況であったと主張する。 確かに,村田町は,平成13年8月ころの入札から,指名通知の方式を,それまで指名業者が役場に出向き指名通知を受領し,全ての指名業者が記載された指名業者一覧表に受領印を押すという方式であったのを,指名通知を郵送する方式にするとともに,指名業者を一堂に会した上で工事内容を説明する現場説明会を廃止し,相指名業者を公表することなく入札を実施するように改めたことが認められる(甲15)。 しかし,指名業者一覧表の開示及び現場説明会といった制度が廃止されたことにより,従前よりも入札時まで誰が相指名業者なのかを把握しにくい環境となったとは言えるとしても,建設工事等特定の種類の工事1件当たりに指名される業者の数は限られている上,同種の工事に指名される業者が重複することもしばしばある(前記第2の2のとおり,本件各工事においても,各工事1件当たりの指名業者数は5ないし6業者であり,同じ業者が複数の工事に指名されている。)ことが窺われる(乙3の1・2,証人K)から,指名業者間で電話等で連絡を取り合うことにより,相指名業者を把握した上で談合することが困難であったとは言い難い。したがって,参加人らの上記主張は採用できない。 (ウ) 参加人らは,証人KがA及びBに対し私怨を抱いていることから,参加人らを陥れるために虚偽の供述・陳述をしていると主張する。 上記ア(ケ)のとおり,同証人がBによる談合破りに対して憤慨していたことは確かであるが,その事実は,本件談合を内部告発した動機としても理解できるものであって,必ずしも本件K供述1の信用性を覆すに足りる事実であるとは言えない。 (エ) 参加人らは,本件工事1につき,原告らが提出する工事費内訳書(甲4の2)は,A作成の工事費内訳書(甲17の2)と書式が異なるし,Fが村田町の提出した工事費内訳書(甲17の7)と比べて外枠の実線が細いなどの相違点があること,本件工事2につき,原告らが提出した工事費内訳書(甲5の3)は,B作成の工事費内訳書(甲18の5)と書式が異なるし,Fが村田町に提出した工事費内訳書(甲18の6)と文字の明瞭さが異なること,本件工事5につき,原告らが提出する工事費内訳書(甲7の2・3)は,E作成の工事費内訳書(甲17の5,18の4,19の5,20の4,21の5)と書式が異なるし,Fが村田町の提出した工事費内訳書(甲21の7)と比べて罫線の太さが違うなどの相違点があることから,甲4の2,甲5の3及び甲7の2・3はFが自ら作成したものであると主張する。 しかし,A,B及びEが,談合の結果本件工事1,2及び5の本命業者と決まったとすれば,談合の事実が発覚するのを防止するため,自らが村田町に提出する予定の工事費内訳書と異なる書式の工事費内訳書をFに交付しようとするのがむしろ自然であるといえるから,甲4の2と甲17の2の書式,甲5の3と甲18の5の書式及び甲7の2・3と甲21の5等の書式が異なることは何ら不自然ではない。また,上記ア(エ)のとおり,甲4の2と甲17の7,甲5の3と甲18の6及び甲7の2・3と甲21の7がそれぞれ同一の文書と認められることは,甲4の2,甲5の3及び甲7の2・3の各原本を確認すれば明らかである。したがって,参加人らの上記主張は採用できない。 (オ) 参加人らは,Gは本件工事1の指名業者となっていないにもかかわらず,Kの妻のメモ(甲28)にはGから同工事について連絡があった旨の客観的真実に反する記載がなされているから,上記メモの記載は信用できないと主張する。 しかし,参加人らの指摘する上記記載部分は「TEL下さい g,東山線 つづきなので」と記載されているだけであり,指名業者でないGが本件工事1の本命業者としてFに連絡してきたとしか読めないものではない。証人Kは,確かに上記記載部分が上記の趣旨の記載であることを前提に供述しているが,妻からの伝言を誤解している可能性がないとは言えない(Gが仮に本件工事1の現場の隣接部分を工事していたのであれば,Fが本件工事1を落札した場合には下請に入りたいから電話連絡をして欲しいという趣旨の連絡をしてきた可能性もあり得る。)。 したがって,上記記載部分の存在は,本件K供述1の信用性を覆すに足りる事実ではないというべきであり,参加人らの上記主張は採用できない。 (カ) 参加人らは,Cが本件工事1及び3ないし5に係る指名競争入札の際に村田町に提出した工事費内訳書の写し(甲17の4,19の4,20の3,21の4)は,一般に出回っている土木工事積算システムを使用して作成したものであるから,その書式や文字の書体が本件工事3にかかる本件工事費内訳書(甲6の2・3)と同一であるとしても,甲6の2・3をCが作成したものとは言えないと主張する。 しかし,上記ア(エ)のとおり,甲6の2・3は,本件工事3に係る指名競争入札(平成14年1月30日)当時において既に存在しFがこれを所持していたと認められるところ,それが一般に出回っている土木工事積算システムを使用して作成されたものであるとしても,上記入札前に,Fが,偶然にあるいは本件工事3をCが落札することを予想して,Cと同じシステムを使って甲6の2・3を作成した(そして,その写しを村田町に提出した。)と見るのは不自然に過ぎる。上記ア(エ)のとおり,Fは,同日に行われた本件各工事に係る複数の入札において,書式,体裁及び筆跡がそれぞれ全く異なり,表紙もなく社判だけが押捺された工事費内訳書の写しを村田町に提出しているところ,C作成の上記工事費内訳書の写し(甲17の4,19の4,20の3,21の4)と書式が一致する工事費内訳書の写しを村田町に提出したケースは,まさにCが落札した本件工事3のケースのみである(甲19の7)。この事実に照らすと,本件工事3に係る指名競争入札において,Fは本件談合によって決定された本命業者であるCから渡された本件工事費内訳書(甲6の2・3)の写し(甲19の7)をそのまま村田町に提出したと推認するのが最も自然である。 したがって,参加人らの上記主張は採用できない。 (キ) 参加人らは,本件K供述1の内容は変遷しているとしてその信用性に疑問を指摘するが,参加人らの指摘する証人Kの供述の変遷や不明確性は,本件談合の存在を肯定するという供述の基本的内容の信用性(その信用性は,これまで詳述した数々の状況事実によって裏付けられている。)に影響を与えるものとまでは言えないから,参加人らの上記主張は採用できない。 ウ 以上のとおりであるから,本件K供述1の内容と矛盾し,本件談合の事実を否定する証人Tの供述及び陳述(丙A12),証人Uの供述及び陳述(丙A10),証人Jの供述及び陳述(丙B4),証人Rの供述及び陳述(丙B3)並びに証人Vの供述及び陳述(丙C1)は,いずれもその部分について採用することができず,他に本件K供述1の信用性を覆すに足りる証拠はない。 エ 本件K供述1によれば,上記ア(ア)のaないしeの事実が認められるところ,これらの事実に,上記アの(イ)ないし(ケ)の事実及び前記第2の2の事実を総合すると,本件各工事に係る指名競争入札において,入札の前に落札業者及び入札参加業者による受注調整のための話し合いが行われ,その話し合いの中で,当該工事を落札すべき本命業者と本命業者に落札させる手段としての各入札参加業者の入札予定価格の決定が行われ,その話し合いを受けて入札が実施された結果,上記本命業者がいずれも本件各工事を落札し,その本命業者と被告との間で本件各請負契約が締結されたことが高度の蓋然性をもって推認できるというべきである。 (2) 以上のとおり,本件各工事に係る指名競争入札に先立ち,落札業者及び入札参加業者の間で受注調整を目的とした上記内容の話し合いが行われたと認めるのが合理的であるところ,上記の話し合いはいわゆる談合行為(本件談合)にほかならず,本件談合は,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)3条の不当な取引制限に該当すると同時に,民事上も明らかに自由競争のルールを逸脱した違法な行為というべきであるから,本件談合に参加した上で被告と本件各請負契約を締結した落札業者であるAら5社は,民法709条に基づき,被告に対し,被告が本件談合によって被った後記損害を賠償すべき責任があるというべきである。 3 争点(3)について (1) 本件談合は,指名競争入札前に受注予定者を決め,その者が落札できるように互いに入札予定価格を調整し,受注予定者に希望どおりの価格で落札させるというものであって,指名業者間で公正な競争をすることを回避することにより,落札価格の低落を防ぎ,受注した業者の利益を図ることを目的とするものであるから,上記のとおり,本件各工事に係る指名競争入札に先立ち,本件談合が行われたことが認められる以上,本件各工事の発注者である村田町は,本件談合が行われなかった場合に形成されたであろう公正な競争を前提とする価格よりも高額な金額で本件各請負契約を締結した蓋然性が高いというべきである。したがって,本件談合によって村田町が被った損害とは,本件談合がなければ指名業者間の公正な競争を経て入札され形成されたであろう契約金額(又は想定落札価格)と現実の契約金額(又は落札価格)との差額相当額であると推認するのが合理的である。 しかし,個々の業務の入札において公正な競争を経て形成される落札価格は,入札に係る業務の規模,種類や特殊性のほか,入札指名業者の数や各業者の事業規模,入札当時の社会経済情勢,入札が行われた地域の特性など,さまざまな要因が複雑に影響し合って形成されるものであるから,これらの要因を具体的に検証することなく,当該年度の他の業務の入札における落札価格や他の地方公共団体における指名競争入札を例にとって調査した場合の想定落札価格と対比するのみでは,必ずしも上記損害額を合理的に推計したとは言えないというべきである。 もっとも,上記のとおり,本件談合により村田町に上記差額相当額の損害が生じた蓋然性が高いと認められるところ,指名競争入札における落札価格を形成する要因は多種多様であることに鑑みると,入札談合を不法行為とする損害は,その性質上その額を立証することが極めて困難であるというべきであるから,民事訴訟法248条を適用して村田町が被った損害額を認定するのが相当である。 (2) 原告らは,反町長派業者の参加の有無により落札率の差が少なくとも15パーセントは存するから,落札価格の15パーセントが村田町の被った損害額であると主張する。 しかしながら,原告らが反町長派業者と主張する業者が参加している入札においても落札率が95パーセントを超えるケースが少なからず見られること(甲23の61・80,乙3の2),原告らが反町長派業者と主張する業者が参加していない入札において,恒常的に談合が行われていたと認めるに足りる的確な証拠はないこと,原告らが主張する町長派と反町長派という業者の区分自体,必ずしも合理的な根拠に基づくものではないことが窺われること(証人K,同W)に照らすと,村田町が被った損害額を推計する根拠として,原告らの上記主張を採用することは合理性に欠けるといわざるを得ない。 (3) そこで,当裁判所は,本件談合行為の態様,本件各工事の予定価格及び契約金額,入札における落札率等本件に現れた一切の諸事情を総合考慮し,本件談合により村田町の被った損害の相当額を,本件各請負契約の契約価格の5パーセントに相当する金額と認定することが相当であると判断する。具体的には以下のとおりとなる。 ア 本件工事1 金84万5000円 イ 本件工事2 金13万5000円 ウ 本件工事3 金40万円 エ 本件工事4 金24万円 オ 本件工事5 金64万円 (4) 被告及び参加人らは,本件各工事が補助金適正化法に基づく国の補助金を財源としており,補助金を本件各工事以外の用途に流用することはできないから,補助金額分については村田町に損害は生じないと主張する。 しかしながら,本件工事2については,弁論の全趣旨によれば,国の補助金が財源とされていないことが認められることから,被告及び参加人らの上記主張は,失当である。 また,本件工事1及び3ないし5については,被告及び参加人らの主張するとおり国の補助金が財源とされている部分があるけれども,村田町は,損害賠償金を回収した場合,補助金適正化法15条,16条,18条2項により,国に対し,回収した損害賠償金に応じて補助金相当部分を返還しなければならないと解されるから,補助金交付部分についても村田町の損害賠償請求権は発生すると解するのが相当である。 したがって,被告及び参加人らの上記主張は採用できない。 4 結論 以上のとおりであるから,原告らの本訴請求は,被告に対し,Aに対して金84万5000円,Bに対して金13万5000円,Cに対して金40万円,Dに対して金24万円及びEに対して金64万円並びにこれらの各金員に対する不法行為の日の後である平成15年1月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ請求するよう求める限度で理由があるからいずれもこれを認容し,その余の請求は理由がないからいずれもこれを棄却すべきである。 5 よって,主文のとおり判決する。 仙台地方裁判所第1民事部 裁判長裁判官 潮 見 直 之 裁判官 岡 田 伸 太 裁判官 佐 藤 久 貴
https://w.atwiki.jp/ijimeconnect2/pages/90.html
※このページはあくまで可能性を示唆し検討したものであり、実際に違反だとするものではありません 市来氏に対しての行為で法律に抵触している可能性があるもの 1.請負契約の債務不履行・虚偽契約 上記のとおり請負契約に関わる問題と捉えるなら、企画者と制作会社、企画者と声優本人の関係が問題になる。 また、偽のオーディション合格通知の法的性質が争点になる。 事後的に、この企画に対しての報酬が支払われたとしても、本人は作品のオーディションと通知されていたわけであるから、 この報酬は当該企画に対してのものであり、オーディションの合格通知を受け取った本人が期待したであろう報酬とは異なる。 2.詐欺 この企画で被害を受けた声優本人は、偽オーディションに係る財産的・時間的な負担をしており、 企画者は直接その財産を受け取ったわけではないが、偽オーディションの映像などイベント来客者に見せる本人の演技の映像を獲得している。 3.名誉棄損 4.精神的苦痛 5.低周波治療器の使用方法は傷害の疑い ドッキリが「詐欺罪」や「偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪」にあたる可能性 48 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/08/31(金) 11 08 35.09 ID uvQmDREN0 45 制作陣が「ドッキリ」と自称するこれらの行為は、パワハラやいじめという単語で表現するのもまだぬるい。 知人の法律家に聞いてみたところ、刑法246条の詐欺罪(10年以下の懲役、刑法250条規定によって未遂の場合も罰せられる)並びに 刑法第233条並びに第234条の「偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪」(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)に該当する恐れがあるとのこと。 普通は証拠となる証言や音声、ましてや動画は隠すものですがそれを逆に宣伝するとは 「制作側の意図が分からない、なぜ犯罪行為と疑われる行為を自ら流しているのか」と首を捻っていました。 「告発があったり、捜査を希望する嘆願などが多数、所轄警察書に集まれば、警察も動く可能性もなくはない。 本当に何故こんなことを行ったのか?」とのこと。 アマにはこう書いてあった 実際にどうかはよくわからんが、警察に言ってもいいかもな マウスプロモーションが労働基準法等に違反している可能性 (一部抜粋)※全文は9月02日市来光弘公式ブログ更新へ。 1.あのドッキリは確かに予め僕に知らされたものではなく~ 2.もちろん今回の件について最初は動揺もしました~ 1より市来氏本人は何も知らされていなかったことが読み取れ、2よりドッキリ事件は市来氏に仕事に対して動揺を与えたことが分かる。 u(){1.2より、市来氏は仕事としてオーディションを受けに行ったが、蓋を開けると動揺を与える程の、ドッキリの撮影だった}と読み取れる。 ↓ 声優は個人事業主である為マウスが本人抜きでドッキリ芸人としての仕事の契約は、出来ないはずである。 しかし市来氏本人は知らなかったことがブログからも読み取れる。ドッキリの撮影自体がすでに仕事を履行していた事になる。 ○雇用形態が請負 労働基準法 色んな条項に違反 下請法 書面の作成交付義務(第3条)違反 他多数 ○雇用形態が派遣 労働者派遣法第34条(就業条件の明示)に違反する違法行為。 山中Pは公衆に堂々と違法行為を自らアップロードし不当に大衆を煽りこの顛末を招いた 大企業として違法行為を隠蔽することはより損害を拡大させる愚かしい行為なのは、歴史的に見ても自明です http //www.fairlinks.co.jp/whistle/2010/01/2-2.html 違法行為を受けた声優という職業のこれからの職場環境の保護という観点と違法行為を行いそれを隠蔽しようとした責任者の罰則として キングレコードは自社の責任者自らが招いた罪の責任を責任者である 山中Pの懲戒解雇という形で取り、企業の潔白を証明すべきです 9月2日視聴者および関係者の皆様への文章が脅迫罪にあたる可能性 (一部抜粋)※全文は小見出しのリンク先にとんでください。 なお、音声・映像の無断使用、改編、並びに違法アップロード、個人情報の漏洩、人権侵害などの違法行為に関しましては、 しかるべき処置を検討しております。 52 名前: 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です [sage] 投稿日: 2012/09/03(月) 03 56 49.69 ID f8uH1gbP0 (一部抜粋)※全文はこちら 訴えてもすぐ棄却されてしまいそうな理由で「訴えるぞ!」「訴訟えられたくなかったら・・・」などと言えば脅迫罪になる。 この情報は正しいですか? 【「訴えるぞ!」…の点について】 提訴(民事)・告訴訟(刑事)をちらつかせること自体は、 相手方の自由・財産に対する害悪の告知と考えられるので、「脅迫」に該当すると考えられます。 (wikipediaより一部抜粋)※全文はこちら 判例によれば、口頭や書面に限られず、相手方が知ることができれば成立する。態度であってもよい。 「一般人が畏怖するに足りる」ものであればよい。 必ずしも犯罪行為に限られないというのが判例である。 「お前の不正を告発するぞ」と言った場合、真実の追究が目的ではなく、 単に畏怖させる目的であれば脅迫罪は成立する(大判大正3年12月1日刑録20輯2303頁)。 ココロコネクトスタッフ一同はこのままだと脅迫罪になる可能性があるけどどうするん? 「"一同"であって個人じゃないし誰が書いたのかわからないから罪には問われませ~ん」とか言うのかな だからこういう「スタッフ一同」みたいな発言、責任の所在を曖昧にした書き方にしたのかな、悪質すぎない?
https://w.atwiki.jp/raycy/pages/37.html
19世紀アメリカにおける工場内請負親方問題に関しては、安岡孝一氏とmy認識でズレがあったようだった。 http //blog.goo.ne.jp/raycy/e/b34d24a622135d1d4e68f675e0162913#comment-list http //blog.goo.ne.jp/raycy/e/b34d24a622135d1d4e68f675e0162913 http //reisai2.seesaa.net/article/103203312.html JenneとClough,の、レミントン資本に対する帰属?関係性の位置づけをはっきり掴んでいなかったせいもあったろう。 たまたまJenneの読みを調べようとしていたところhttp //b.hatena.ne.jp/raycy/Jenne/%E7%99%BA%E9%9F%B3/、JenneとCough彼らの対レミントンの位置づけを示しているような記事に当ったhttp //b.hatena.ne.jp/entry/http //freepages.genealogy.rootsweb.ancestry.com/~hubbard/NNY_index/jenne.html。もっとこちらの方も調べるべきだったかな、、。 この記事http //freepages.genealogy.rootsweb.ancestry.com/~hubbard/NNY_index/jenne.htmlでは、ある時点でのJenneとClough,それぞれのレミントン側との関係は、 Jenneはsubcontractor for the Remington company Clough,はsuperintendent for E. Remington Sons http //dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=subcontractor n. 下請人[会社]. http //dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=superintendent n., a. 監督[管理]者; 局[部]長;〔米〕 管理人; http //eow.alc.co.jp/subcontractor 下請業者{したうけ ぎょうしゃ}、下請者、下請け人、下請負契約者{したうけおい けいやくしゃ}、下請け契約者、下請け会社、請負業者{うけおい ぎょうしゃ}◆【略】sub http //eow.alc.co.jp/superintendent 〔施設・組織・場所などの〕管理者{かんりしゃ}、監督(者){かんとく(しゃ)}、最高責任者{さいこう せきにんしゃ}◆【略】supt. 工場内請負親方制についてもhttp //b.hatena.ne.jp/raycy/%E8%AB%8B%E8%B2%A0/%E8%A6%AA%E6%96%B9/、調査不足、、ではあった、、 内部請負制。文書化マニュアル化二次情報化のツール、タイプライター? http //blog.goo.ne.jp/raycy/e/af2650cd1505be7996c07b866f6b85d8 http //blog.goo.ne.jp/raycy/e/b34d24a622135d1d4e68f675e0162913#comment-list Jenneが工場内請負親方だった? (霊犀社2 参照先ここをクリック http //www26.atwiki.jp/raycy/pages/37.html ) 2008-12-28 10 47 18 Jenneはsubcontractor Cloughはsuperintendent http //freepages.genealogy.rootsweb.ancestry.com/~hubbard/NNY_index/jenne.html http //freepages.genealogy.rootsweb.ancestry.com/%7Ehubbard/NNY_index/jenne.html とあったから、工場内請負親方と呼ぶに相応しそうなのはJenneのほうか? Jenne自身は経営や資本への絡みはないのかな、、 ウォックオフ・シーマンズ・アンド・ベネディクト社と、冠された彼ら三個人と、 ユニオン・タイプライター社との資本関係も気になるところ、(Q謎 (P.127) 『キーボード配列QWERTYの謎』http //raycy.seesaa.net/article/96327199.html) ウォックオフ・シーマンズ・ベネディクト彼ら御三家が実質支配していた実態が あったやの記事を見た気もするが、、 彼ら御三家は販売の出なのかな?工場内請負など製造側とは関係なかったのかな?
https://w.atwiki.jp/sysd/pages/3248.html
サイトデザイン 本店:東京都千代田区隼町3番16号 【商号履歴】 サイトデザイン株式会社(1998年10月1日~2007年7月1日株式会社フェヴリナに合併) 【株式上場履歴】 <東証マザーズ>2000年12月12日~2003年12月1日(株式会社SDホールディングスに株式移転) 【沿革】 平成10年10月 EC(電子商取引)に関わる先端的テクノロジーおよびマーケティングの研究・開発事業を目的として、東京都千代田区平河町一丁目7番20号にサイトデザイン株式会社を資本金1億円をもって設立 平成10年10月 株式会社リギーコーポレーション(現株式会社オレンジハウス)を買収 平成11年6月 情報処理振興事業協会(IPA)より電子調達プロトタイプシステム構築技術評価に関するプログラム製造請負契約締結 平成11年11月 「SDコマースサイト・ビルダー for WindowsNT」販売開始 平成11年11月 株式会社ワールドフォトプレスと協業で雑誌「モノ・マガジン」のインターネットサービスである「モノ・オンライン」サイトの提供を開始 平成11年11月 「SDペイメント・コンポーネント」の販売開始 平成12年1月 サイバーキャッシュに対応した「SDペイメント・コンポーネント」の販売開始 平成12年3月 子会社(株式会社オレンジハウス)が株式会社オカノアソシエイツのオレンジハウス事業部門を買収 平成12年3月 デビットカードに対応した「SDペイメント・コンポーネント」の販売開始 平成12年4月 本社を東京都千代田区隼町3番16号に移転 平成12年8月 「Powered by Site Design」プログラムの提供を開始 平成12年9月 「SDエバリュエーション型ASPサービス」サービス開始 平成12年10月 「SDコマースサイト・ビルダー」を株式会社オービックビジネスコンサルタントにOEMによる販売開始 平成12年10月 「SDコマースサイト・ビルダー」Microsoftプラットフォーム販売開始 平成12年10月 「SDコマースサイト・ビルダー」Javaプラットフォーム販売開始 平成12年12月 東京証券取引所マザーズに株式を上場 平成13年12月 子会社(株式会社オレンジハウス)の全株式を売却 平成14年12月 マンハッタン・アソシエイツ社(本社:米国ジョージア州)とマンハッタン・アソシエイツ社全製品の日本市場における総販売代理店契約を締結。
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原告は,被告株式会社B工業との間で工事請負契約を締結し,同契約に基づく施工建物の引渡しを受けたが,当該建物には建築基準法等の建築関連法規に違反するなどの瑕疵があるとして,原告の,(1)上記契約の請負人であった被告B工業に対する,不法行為ないし瑕疵担保,(2)被告B工業の取締役であった被告(兼亡被告B2訴訟承継人)B1及び被告亡B2に対する,商法266条ノ3,(3)上記建物を設計監理したとする被告Dに対する,不法行為,(4)上記工事請負契約の締結を強要などしたとする被告Cに対する,不法行為にそれぞれ基づく,上記建物の補修費相当損害金等の賠償請求について,請負人である被告B工業,同社の取締役である被告B1,設計監理をした被告Dに対する請求だけを認容し,その他の請求を棄却した事案 なお,被告亡B2は,訴え提起後に死亡し,被告B1及び被告B3がその訴訟を承継した。 主 文 1 被告株式会社B工業,被告B1及び被告Dは,原告に対し,連帯して,7163万2342円及びこれに対する被告株式会社B工業については平成10年5月24日から支払済みまで年5分の,その余の被告らについては平成11年10月16日から支払済みまで年5分の各割合による金員を支払え。 2 原告の上記被告らに対するその余の請求並びに被告亡B2訴訟承継人B1,同B3及び被告Cに対する請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用のうち,原告と亡B2訴訟承継人B1,同B3及び被告Cとの間に生じたものは,原告の負担とし,原告とその余の被告らとの間に生じたものは,これを4分し,その1を原告の,その3を上記被告らの負担とする。 4 この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告株式会社B工業,被告兼被告亡B2訴訟承継人B1,被告C及び被告Dは,原告に対し,連帯して,8987万9966円及びこれに対する被告株式会社B工業については平成10年5月24日から支払済みまで年6分の,その余の被告らについては平成11年10月16日から支払済みまで年5分の各割合による金員を支払え。 2 被告亡B2訴訟承継人B3は,原告に対し,被告株式会社B工業,被告兼被告B2訴訟承継人B1,被告C及び被告Dと連帯して4493万9983円及びこれに対する平成11年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,原告が,被告株式会社B工業(以下「被告B工業」という。)との間で工事請負契約を締結し,同契約に基づく施工建物の引渡しを受けたが,当該建物には建築基準法等の建築関連法規に違反するなどの瑕疵があるとして,(1)上記契約の請負人であった被告B工業に対し,不法行為ないし瑕疵担保に基づき,(2)被告B工業の取締役であった被告(兼亡被告B2訴訟承継人)B1及び被告亡B2(以下「亡B2」という。)に対し,商法266条ノ3に基づき,(3)上記建物を設計監理したとする被告Dに対し,不法行為に基づき,(4)上記工事請負契約の締結を強要などしたとする被告Cに対し,不法行為に基づき,それぞれ上記建物の補修費相当損害金等の賠償を求めた事案である。なお,亡B2は,訴え提起後に死亡し,被告B1及びB3(以下「被告B3」という。)がその訴訟を承継した。 1 前提となる事実(争いのない事実は証拠を掲記しない。) (1) 被告B工業は,建築工事の設計及び請負業等を目的とする株式会社である。 後述の本件建物が施工された当時,被告B1及び亡B2はいずれも被告B工業の取締役(被告B1は代表取締役)であった。 亡B2は,平成12年1月20日に死亡し,被告B1及び被告B3が亡B2を相続した(弁論の全趣旨)。 (2) 被告B工業は,平成8年2月23日,以下のとおり,原告との間で,別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)の設計及び施工を請け負う契約(以下「本件工事請負契約」という。甲1)をした。 工 期 着手 平成8年5月1日(確認申請受理後6日以内) 完成 同 年10月20日(着手の日から6か月以内) 引渡時期 完成の日から6日以内 請負代金 1億0135万2000円(うち消費税額295万2000円) 支払時期 平成8年2月26日(本設計着手時) 300万円 同 年5月1日(着工時) 2000万円 同 年8月31日(上棟時) 2000万円 完成引渡時 5835万2000円 その他 5階住宅部分の浴室ブロー及び洋室の暖房機1機の設置工事については,別途追加工事とする。 (3) 原告は,被告B工業に対し,本件工事請負契約に基づき,以下のとおり,請負代金及び追加工事代金として合計1億0641万9500円を支払った。 平成8年2月26日 300万円 同 年5月21日 2000万円 同 年8月20日 2000万円 同 年11月14日 6272万9500円 平成9年1月18日 69万円 (4) 被告B工業は,本件建物の建築工事(以下「本件工事」という。)を行い,平成8年11月14日,原告に対し,本件建物を引き渡した。 2 争点 (1) 本件建物の瑕疵の存否 (原告の主張) ア 本件建物のような鉄筋コンクリート造建物の瑕疵(欠陥)の存否を判断するに当たっては,当該建物が,①設計図書,契約図書,確認図書どおりに建築されているか否か,②建築基準法(以下「法」という。),同法施行令(以下「施行令」という。),建設省告示,鉄筋コンクリート造建物についての日本建築学会建築工事標準仕様書(JASS5)等,我が国の建築界の通説的規準を満たしているか否かによって判断すべきである。 イ 本件建物には,以下のとおり,瑕疵が存在する。 (ア) 構造躯体コンクリートの打ち込み不良 a 本件建物には,以下の箇所に有害な打ち込み欠陥であるジャンカ及びコールドジョイントが存在する(なお,以下において,欠陥箇所等の特定は,調査報告書(甲41)添付の設計図5及び6の記載によるものとする。)。 ジャンカ ①地階X2・Y1-2間地中梁 1か所 長さ約700㎜ ②地階X3・Y3-4間地中梁 2か所 長さ約430㎜ 径150㎜ ③地階X4・Y1-2間地中梁 1か所 径150㎜ ④地階Y3・X3-4間地中梁 1か所 径300㎜ コールドジョイント ①地階X4・Y1-2間地中梁 1か所 長さ約2600㎜ ②地階X4’・Y2-3間地中梁 3か所 長さ約1000㎜ 同約600㎜ 同約600㎜ ③地階X5・Y2-3間地中梁 1か所 長さ約600㎜ ④地階Y3・X3-4間地中梁 2か所 長さ約1300㎜ 同約1200㎜ ⑤地階Y3・X4-5間地中梁 1か所 長さ約900㎜ b 上記のとおり,本件建物は,コンクリートの一体性に欠け,コンクリートに要求される性能を満たしておらず,JASS5・2・3・b,同5・7・6,施行令74条3項の各規定に違反する有害な打ち込みの欠陥施工によるものであって,法20条(平成10年法律第100号による改正前のもの。以下,本条につき同じ。),施行令36条1項,3項(平成12年政令第211号による改正前のもの。以下,本条各項につき同じ。)に定める「変形又は振動が生じないような剛性や靱性」を保持していない。 (イ) コンクリートのひび割れ(亀裂)の存在 a 本件建物の耐力壁は,「構造耐力上主要な部分」(施行令1条)であるところ,以下の箇所にひび割れの存在が確認された。 ①1階X2・Y1-3間W18A壁 5か所 幅0.1~0.25㎜ ②1階X3’・Y2’-3間W12壁 1か所 幅0.2㎜ ③1階X3・Y3-5間W18A壁 1か所 幅0.2㎜ ④1階X2’・Y3-3’間W12壁 1か所 幅0.3㎜ ⑤1階X4・Y1-2間W18A壁 3か所 幅0.08~0.2㎜ ⑥1階X6・Y1-2間W18A壁 2か所 幅0.2~0.3㎜ ⑦1階Y3・X1-2間W18A壁 3か所 幅0.08~0.2㎜ ⑧1階X4~6・Y1-2間スラブ 7か所 幅0.15~0.5㎜ ⑨4階405号バルコニー下部CS1 無数 幅0.1㎜ b コンクリートのひび割れは,コンクリートの中性化,鉄筋の発錆等により,部材の耐久性を低下させ,構造部分の剛性低下をもたらす。 上記のとおり,本件建物は,骨材等の材料の選定(施行令72条),打設時の養生(同75条),型枠の除去期間(同76条)を誤ったことにより,JASS5・2・3・bの規定に違反して数多くのひび割れが発生し,その結果,コンクリートの一体性や耐久性,剛性が低下しているのであって,法20条,施行令36条1項,3項に定める「変形又は振動が生じないような剛性や靱性」を保持していない。 (ウ) 鉄筋のかぶり厚さ不足 a 本件建物の鉄筋のかぶり厚さ(鉄筋コンクリートの中に入っている鉄筋の表面からコンクリートの表面までの部分の厚さ)が不足している箇所は,以下のとおりである。 ①地階X3・Y3-4間地中梁差筋 ②地階Y3・X3-4間地中梁差筋 ③地階Y2・X2-4間F1基礎縦筋 ④地階X4・Y1-2間F1基礎縦筋 ⑤地階X2・Y1-2間F1基礎縦筋 ⑥1階X1・Y1-2間W18A壁横筋 ⑦1階X3・Y3-5間W18A壁横筋 ⑧1階Y4・X5-6間W18A壁横筋 ⑨2階Y1・X4-6間大梁あばら筋 ⑩2階X1・Y1-2間大梁あばら筋 ⑪2階X1・Y3-5間大梁あばら筋 ⑫2階Y3・X3-4’間大梁あばら筋 ⑬2階Y4・X5-6間大梁あばら筋 ⑭3階305号室CS1バルコニー主筋下面 ⑮4階Y1・X4-6間大梁あばら筋 b かぶり厚さが薄いと鉄筋が錆びたり,火災の際の熱に耐えられなくなることから,かぶり厚さは,建物の強度,耐久性,耐火性を保つ上で極めて重要である。 上記のとおり,本件建物は,建物全体に数多くのかぶり厚さ不足があり,その結果,建物の強度,耐久性の低下はもちろん,火災の際における耐火時間の低下(施行令107条(平成12年政令第211号による改正前のもの。)違反)も招いているのであって,JASS5・10・3,施行令79条(平成12年政令第211号による改正前のもの。)の各規定に違反する。 (エ) 鉄筋の配筋間隔不良 a 本件建物の鉄筋の配筋間隔が不良である箇所は,以下のとおりである。 ①地階X3・Y3-4間地中梁差筋 ②1階Y1・X1-2間W18A壁縦筋 ③1階Y1・X1-2間W18A壁縦筋 ④1階Y1・X1-2間W18A壁横筋 ⑤1階X1・Y1-2間W18A壁横筋 ⑥1階X3・Y3-5間W18A壁縦筋 ⑦1階X3・Y3-5間W18A壁横筋 ⑧1階Y4・X5-6間W18A壁横筋 ⑨1階X4-6・Y1-2間スラブ主筋 ⑩2階Y1・X4-6間大梁あばら筋 ⑪2階X1・Y3-5間大梁あばら筋 ⑫2階Y3・X3-4’間大梁あばら筋 ⑬2階Y4・X5-6間大梁あばら筋 ⑭2階Y1・X5-6間大梁あばら筋 ⑮2階201号室CS1バルコニー主筋内側 ⑯3階305号室CS1バルコニー主筋内側 ⑰4階401号室CS1バルコニー主筋内側 ⑱4階401号室CS1バルコニー主筋外側 ⑲3階X1・Y3-5間W18A壁横筋 b 鉄筋の配筋間隔不良は,設計時に期待されている建物強度を低下させる重大な欠陥であるところ,上記のとおり,本件建物は,多数の配筋間隔不良があり,JASS5・11・5,施行令77条の各規定に違反する。 (オ) 開口補強筋の欠落 a 本件建物の開口補強筋が存在しない箇所は,以下のとおりである。 ①1階X4・Y1-2間 W18A壁開口部開口補強筋なし ②地階X4・Y2-3間 地中(基礎)梁開口部開口補強筋なし,あばら筋の補強なし b 構造耐力上主要な部分である耐力壁の開口部の隅各部には応力が集中するため,ひび割れが発生しやすく,また,開口部周辺は破損風化のおそれも大きいことから,開口部に補強筋を配筋することは不可欠とされている。 上記のとおり,本件建物は,開口部についての開口補強筋もあばら筋の補強等もなく,安全性が確保されていない状態であって,鉄筋コンクリート構造計算基準を満たさず,法20条,施行令36条1項,3項に違反する。 (カ) 床スラブの耐力低下 現状の床スラブの配筋は,主筋(短辺方向)が62㎜,67㎜,69㎜,配力筋(長辺方向)が80㎜,76㎜である(甲46)ため,正常な配筋の場合と比較し,下がり量が大きすぎ,応力中心距離が小さくなり,強度が約30パーセント以下に低下する。 また,これに伴い,下側の鉄筋も同様に下がっている可能性がある。 以上から,本件建物の床スラブの配筋不良は,設計時に期待している強度を確保しておらず,耐力を低下させる欠陥である。 (被告B工業,被告B1及び被告B3(以下,併せて「被告Bら」という。)の主張) ア 原告が主張する建築建物の瑕疵の存否の判断基準は,概ね認める。 イ 本件建物の瑕疵について (ア) ジャンカ及びコールドジョイントについて 本件建物に,原告主張に係るジャンカ及びコールドジョイントが存在することは,否定しない。 しかし,これらの補修は,当該部分をはつり落としてグラウト材を充填するか,比較的小面積の場合はポリマーセメントモルタルを充填する方法によって行うことが十分可能である。 (イ) コンクリートのひび割れについて 本件建物に原告主張に係るひび割れが存在することは認める。 しかし,本件建物のひび割れは,その発生パターンや既に完成から7年経過していることなどから考えて,コンクリートの乾燥収縮に起因するものと判断され,施工不良により生じたものではないから,請負人である被告B工業は補修責任を負わない。 また,ひび割れの程度,個数,場所,位置を勘案しても,乾燥収縮量に達しておらず,むしろ少ない方であって,耐力性や剛性の低下する可能性は著しく低いし,ひび割れが発生している箇所は,雨掛かりになる箇所ではなく,耐久性に影響を及ぼすものではない。 これらのひび割れの補修は,Uカットシール材充填を行えば足りる。 (ウ) 鉄筋のかぶり厚さ不足について 原告は,本件建物のかぶり厚さが不足する箇所等を指摘するが,これは,非破壊検査による測定結果に基づくものであって,実際のかぶり厚さとの深度校正をしていないから,実際のかぶり厚さよりも浅めの数値である可能性が高い。 仮に,本件建物のかぶり厚さが不足している箇所があるとしても,一般的に,その箇所にモルタルを塗ることによって,かぶり厚さ不足によるコンクリートの中性化を防止することができ,また,二酸化炭素や酸素の遮断性の大きい表面被覆材等で表面を保護したり,炭素繊維シートを張り付けたりすることによって,付着割裂ひび割れ,付着割裂破壊の発生を防ぐことができるのであって,これらの方法で十分に対応が可能である。 (エ) 鉄筋の配筋間隔の不良について 本件建物に原告主張に係る配筋間隔不良があることは,否認する。 本件建物は,地上部分について,設計どおりの配筋がされており,問題がない(間隔の多少の大小は鉄筋施工の誤差の範囲内で,平均鉄筋間隔は設計値と相違がない。)。基礎部分について,測定により鉄筋が検出されていない部分があるのは,これらの鉄筋がベース筋の立ち上がり筋で,もともとフーチング高さの途中までしか存在せず,測線まで達していなかったためであると考えられ,また,鉄筋間隔にややばらつきが見られるのは,鉄筋の立ち上がり部分の傾斜が原因で配筋不良になったものと思われるが,同箇所は直接に力が加わる部分ではないから,基礎の強度には問題がない。 (オ) 開口補強筋の欠落について 本件建物の1階エントランス開口部の補強筋が当初の設計どおりでないことは認める。 これは,原告の希望により,郵便ポストが工期の途中で急きょ設けられたためであって,これを埋設して,改めて周囲の鉄筋をはつり出し,新規鉄筋を溶接した上,型枠を取り付け,コンクリートを打設すれば,補強筋の欠落の問題は解消する。 地階基礎梁人通孔の補強筋についても同様である。 (カ) 床スラブの耐力低下について 本件建物の床スラブの配筋不良はなく,補修工事の必要性はない。 (2) 被告らの責任の有無 (原告の主張) ア 被告B工業の責任 原告は,後記(ア)及び(イ)の不法行為責任及び使用者責任を主位的に,(ウ)の瑕疵担保責任を予備的に主張する。 (ア) 不法行為責任 本件建物は,前記(1)(本件建物の瑕疵の存否)原告の主張において述べたとおり,建築関連法規等に定める建物の安全性に関する最低基準すら満たさない構造上の安全性を欠く欠陥住宅であるところ,これらの欠陥は,被告B工業の故意又は過失によって惹起され,これにより原告は後述の損害を被った。したがって,被告B工業は,原告に対し,民法709条に基づく損害賠償責任を負う。 (イ) 使用者責任 本件建物の欠陥は,その建設工事の主任技術者が適切な施工を行うべき必要な現場管理を怠ったことに起因するものであり,当該主任技術者は民法709条に基づく損害賠償責任を負うから,被告B工業は,原告に対し,同主任技術者を雇用する者として,民法715条に基づく損害賠償責任を負う。 (ウ) 瑕疵担保責任 本件建物には重大な欠陥が存在するから,本件工事請負契約に基づき本件建物の施工を請け負った被告B工業は,注文者である原告に対し,民法634条に基づく瑕疵修補に代わる損害賠償責任を負う。 イ 被告B1及び被告B3の責任 被告B1及び亡B2は,いずれも被告B工業の取締役としてその運営に実際に関与し,建築業務全般を統括する立場にあったから,取締役の善管注意義務,監視義務に基づき,本件建物が建築関連法規等を遵守して施工されているか否かについて,厳重に管理,監督すべきであった。しかるに,被告B1及び亡B2は,上記の管理,監督を怠り,その結果,前記欠陥を有する本件建物を施工させたのであって,取締役としての善管注意義務,監視義務に違反したというべきであるから,これによる商法266条ノ3に基づく取締役の第三者に対する損害賠償責任を免れない。亡B2を相続した被告B3も,同様の責任を負う。 ウ 被告Dの責任 被告Dは,本件建物の工事監理を任された建築士として,これを適正に行うべき法律上の義務(建築士法18条)があるにもかかわらず,故意又は重大な過失によって上記義務を懈怠し,その結果,前記欠陥を有する本件建物を施工させた。したがって,被告Dは,原告に対し,民法709条(不法行為)に基づく損害賠償責任を負う。 また,本件建物の工事監理が実際には被告B工業の従業員によって行われ,被告Dはこれに関与していなかったとしても,それは,いわば名義貸しによって建築確認を騙し取る行為に当たるから,被告Dは,重大な法令違反行為をした者として不法行為責任を免れない。 エ 被告Cの責任 被告Cは,宅地建物取引主任者であったところ,その説明義務及び信義誠実義務に違反して,被告B工業が被告B1と亡B2の2人で経営する会社であり,建築関連法規等の通説的基準を遵守して本件建物を建設する度量や経験を有しない会社であることを熟知していながら,これらの事実を秘し,建築の知識に乏しい原告に対し,虚偽の事実を申し向け,強引に被告B工業との間の契約締結を迫り,かつ,自ら収入予測を立てたり,設計図面や見積書を作ったり,代金支払を要求したり,補修を指示したりするなど,本件工事請負契約の締結から完成,補修に至る一切の事項について,主導的役割を果たした。このように,被告Cは,宅地建物取引主任者としての説明義務及び信義誠実義務に違反したにとどまらず,被告B工業,被告B1,亡B2及び被告Dらによる前記不法行為の遂行に関して主導的役割を担い,もって,前記欠陥のある本件建物を施工させたのであるから,同人らと共同して民法709条,719条(共同不法行為)に基づく損害賠償責任を負う。 (被告Bらの主張) 被告Bらに不法行為責任等があるとする原告の主張は,いずれも否認ないし争う。 (被告Dの主張) 被告Dは,原告との間で何ら設計監理契約を締結していないから,原告に対する法律上の責任を負う理由はない。 被告Dは,被告B工業との間で口頭で設計監理契約を締結し,これに基づき,適正にその業務を行っていたのであり,建築士法18条に定める業務の執行を怠ったことはない。また,被告B工業に対して工事監理者の名義貸しをしたこともない。 (被告Cの主張) 原告主張に係る,被告B工業には建設工事の経験知識能力がないこと,原告が被告Cに対し大手建設会社に建築してもらうよう依頼していたこと,被告Cが原告に対し被告B工業との間の契約締結を迫ったこと,さらには設計図書や見積書を作ったり,代金支払を要求したり,補修を要求したりするなどして,本件工事請負契約の一切の事項について主導的役割を果たしたことは,いずれも否認ないし争う。 被告Cは,原告が本件建物を建築するに当たり被告B工業の紹介を依頼してきたことから,その要望に従って,原告に対し,被告B工業を紹介し,簡単なプラン作成や各種相談に好意で乗っていたのであって,不法行為責任を負うものではない。 (3) 損害 (原告の主張) ア 補修費相当損害金 5717万4566円 (ア) 本件建物の補修工事費用 5104万6942円 本件建物の基礎,1階床,外壁,バルコニーの欠陥を補修するために必要な費用は,以下のとおりである。 a 躯体工事費用 2351万8107円 b 仕上工事費用 907万6330円 c 設備工事費用 317万7500円 d 雑工事費用 48万8600円 e 仮設工事費用 623万9977円 f 施工者諸経費 390万5797円 g 設計監理料 464万0631円 (イ) 本件建物のバルコニー是正工事費用 612万7624円 本件建物の2階,4階南側,3階西側の各バルコニーには,既述のとおりの欠陥が存在することからすれば,他の各バルコニー(南側1か所,西側3か所)にも同様の欠陥が存在することが事実上推定される。 イ 補修期間中の代替建物の賃料相当損害金等 1069万5400円 本件建物の欠陥箇所を補修するには6か月間を要するところ,この間,原告は,以下のとおりの代替建物の使用等に伴う損害を被り,これらは,本件建物の欠陥と相当因果関係を有する。 (ア) 代替建物の賃料相当損害金 90万円 原告は,代替建物を賃借する費用として,1か月15万円(建物賃料13万5000円,駐車場賃料1万5000円)×6か月=90万円の賃料相当損害金を被る。 (イ) 引越費用 100万円 原告は,本件建物の修理期間中,本件建物から一時退去し,補修後再び本件建物に引っ越してくることを余儀なくされる。その引越費用は,1回あたり50万円を下らない。よって,原告は,往復で100万円の引越費用の支出を余儀なくされる。 (ウ) 本件建物の賃料等相当損害金 519万5400円 原告は,本件建物を12名の賃借人に賃貸しており,その1か月分の賃料収入は合計80万5000円である。また,原告は,本件建物の賃借人4名に駐車場を賃貸しており,その1か月分の賃料収入は合計6万0900円である。したがって,原告は,86万5900円×6か月=519万5400円の賃料収入を失う。 (エ) 本件建物の賃借人の引越費用 360万円 1人1回当たり15万円×12名×2(往復)=360万円 ウ 慰謝料 1000万円 エ 本件訴訟に要した費用 1201万円 (ア) 調査鑑定費用 319万円 (イ) 弁護士費用 882万円 オ 合計 8987万9966円 (被告らの主張) 原告主張に係る損害の発生及び額は,いずれも否認ないし争う。 (被告Bらの主張) 本件建物の瑕疵については,前記争点(1)(本件建物の瑕疵の存否)被告Bらの主張において述べたとおりの方法によって十分に補修が可能であるから,原告が主張する損害額は高額にすぎる。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件建物の瑕疵の存否)について (1) 瑕疵の判断基準 建物について瑕疵があるか否かを判断するに当たっては,まず,当該建物の設計図書,契約図書及び確認図書(以下「設計図書等」という。)が当事者間の契約内容を画するものであることに加え,それらが行政の行う建築確認や許可等の判断資料となることからすると,特段の事情のない限り,当該建物が設計図書等のとおりに建築されている場合には瑕疵がないとし,そのとおりに建築されていない場合には瑕疵があるものと判断すべきである。また,法及び施行令,建設省(国土交通省)告示,JASS5(鉄筋コンクリート造建物の場合)等(以下これらを併せて「法令等」という。)は,建築上の最低基準を定め(法1条),それを具体化し,あるいは我が国の建築界の通説的基準を示すものである(JASS5も,時代とともに改正が重ねられてきた建築業界での通説的基準であると認められる(甲40)。)から,法令等の定めを満たしている場合には瑕疵がなく,これを満たさない場合には瑕疵があると判断すべきである。 これに対し,法令等が安全な建物が建築されることを目的として定められていることなどを根拠として,当該建物が事実上安全であれば瑕疵はないとすべきであるとして,事実上の安全性を瑕疵の判断基準とする考え方もある。しかし,建物の事実上の耐力を数値化することはできず,それを前提として将来当該建物に襲来する荷重を予測することもできないのであって,事実上の安全性の有無を的確かつ客観的に判定することは不可能である。したがって,事実上の安全性といった概念は,瑕疵の判断基準として合理的なものとはいえず,上記のような考え方を採用することはできない。 以上のことから,建物の瑕疵の存否は,上記のように,それが設計図書等に従っているか否か,また,法令等の定めを満たしているか否かによって判断するのが相当であり,以下においては,このような観点に基づいて,本件建物について瑕疵があるか否かを検討することとする。 (2) 本件建物における瑕疵の存否 争いのない事実並びに証拠(甲18,19,23,30,40,41,45,46,54ないし56,60,乙イ24ないし27,34ないし36,乙ロ2,4,証人E,証人F,被告B1,被告D,被告C(ただし,後記認定に反する部分を除く。))及び弁論の全趣旨により認定することができる事実と,上記判断基準に基づく瑕疵の存否についての判断は,以下のとおりである(なお,重要な証拠等は,文中に再掲する。)。 ア 構造体躯体コンクリートの打ち込み不良 (ア) 本件建物には,以下の箇所にジャンカ及びコールドジョイントが存在する(甲41)。 a ジャンカ ①地階X2・Y1-2間地中梁 1か所 長さ約700㎜ ②地階X3・Y3-4間地中梁 2か所 長さ約430㎜ 径150㎜ ③地階X4・Y1-2間地中梁 1か所 径150㎜ ④地階Y3・X3-4’間地中梁 1か所 径300㎜ b コールドジョイント ①地階X4・Y1-2間地中梁 1か所 長さ約2600㎜ ②地階X4’・Y2-3間地中梁 3か所 長さ約1000㎜ 同約600㎜ 同約600㎜ ③地階X5・Y2-3間地中梁 1か所 長さ約600㎜ ④地階Y3・X3-4’間地中梁 2か所 長さ約1300㎜ 同約1200㎜ ⑤地階Y3・X4’-5間地中梁 1か所 長さ約900㎜ (イ) 上記のジャンカ及びコールドジョイントは,次のとおり,いずれも本件建物の瑕疵というべきである。 a ジャンカについて ジャンカとは,コンクリートの打肌の疎な部分をいい,本来,セメントペーストが骨材どうしをつなぎ合わせて密着している状態となるべきであるのに,砂利だけが固まって周りのセメントペーストが充填されていないため,ジャンカが存在する部分は,砂利と砂利の間に隙間ができて密実でなく,骨材だけが現れて,強度が弱くなる。ジャンカは,人為的な欠陥現象であり,コンクリートを流し込んだ際にこれを丁寧にかき混ぜながら打ち上げていけば避けることができる(証人E)。 本件建物におけるジャンカもこのようなものと考えられ(これに反する証拠はない。),「打ち上がりが均質で密実」とはなっていない点で施行令74条3項に反し,また,「有害な打ち込み欠陥部」であってJASS5・2・3・bにも反している(甲40)から,上記ジャンカは本件建物の瑕疵というべきである。 b コールドジョイントについて コールドジョイントとは,コンクリートを打ち次ぐ際の時間差によって,先に打ち込んだコンクリートと後に打ち込んだコンクリートとが一体化していない現象をいい,先のコンクリートがある程度固まりかけているところに,その表面をかき混ぜないで後のコンクリートを打ち上げてしまうことによって,人為的に生じるものである。そして,コールドジョイントがあると,一体の部材に境目が入り,一部材であっても性能的には複数の部材が重ねられた状態と同じになり,部材の剛性(外力が作用する構造物又は構造部材の弾性変形に対する抵抗の度合い)が変化する(甲41,証人E)。 本件建物におけるコールドジョイントもこのようなものと考えられ(これに反する証拠はない。),「構造安全性を確保するため,コールドジョイントが…ないように製造…しなければならない」とされているJASS5・2・3・bに反している(甲40,41)から,上記コールドジョイントは本件建物の瑕疵というべきである。 c また,本件建物のジャンカ及びコールドジョイントは,地階の地中梁に存在する(甲41,45)から,本件建物には構造耐力上主要な部分(施行令1条3号,36条3項)に瑕疵があることになる。 イ コンクリートのひび割れ (ア) 本件建物には,以下の箇所にコンクリートのひび割れ(亀裂)がある。 ①1階X2・Y1-3間W18A壁 5か所 幅0.1~0.25㎜ ②1階X3’・Y2’-3間W12壁 1か所 幅0.2㎜ ③1階X3・Y3-5間W18A壁 1か所 幅0.2㎜ ④1階X2’・Y3-3’間W12壁 1か所 幅0.3㎜ ⑤1階X4・Y1-2間W18A壁 3か所 幅0.08~0.2㎜ ⑥1階X6・Y1-2間W18A壁 2か所 幅0.2~0.3㎜ ⑦1階Y3・X1-2間W18A壁 3か所 幅0.08~0.2㎜ ⑧1階X4~6・Y1-2間スラブ 7か所 幅0.15~0.5㎜ ⑨4階405号バルコニー下部CS1 無数 幅0.1㎜ (イ) 上記のひび割れは,次のとおり,本件建物の瑕疵というべきである。 a 耐力性や剛性の低下する可能性について 鉄筋コンクリート造の建造物においては,鉄筋とコンクリートが一体となって,その一体性を前提に付着強度(鉄筋がコンクリートから引き抜けない強度)が要求されているが,ひび割れは,鉄筋とコンクリートが剥離している状況であるから,両者の一体性がなく,付着強度が低下する。また,ひび割れが生じている箇所は,ひび割れの表面の幅以上に露出長さが存在するが,このような露出があれば,①コンクリートが大気中の炭酸ガスによって中性化し,鉄筋が腐食して構造耐力の低下をきたし,②露出が鉄筋位置まで達すると,鉄筋が発錆し,錆の体積は元の鉄筋の体積より著しく大きくなるので,錆が進行するとかぶりコンクリートを破壊し,鉄筋に沿ってひび割れが入り,このひび割れからさらに水や空気が進入し,ますます鉄筋の腐食が進行し,鉄筋コンクリートの耐久性を失わせることになるから,ひび割れによって耐力性や剛性が低下する可能性が生じることになる(甲46,54,60,証人E)。 そして,どの程度のひび割れがあれば耐力性や剛性が低下する可能性があるかについては,建築学会が,幅0.3㎜のひび割れを最大限の許容範囲とし,また,幅0.2㎜ならばひび割れの中に水が入っていく漏水現象が生じ,特に梁に生じたひび割れの場合,そのひび割れが幅0.1㎜であっても,本来は外力によって負担させられる応力(物体に外力が作用するとき物体内部に生ずる抵抗力)が既に鉄筋に作用してしまっており,適当なものではないとして,建築学会の構造計算書では0.1㎜から鉄筋にどの程度の強度が加わっているか計算できるようになっていることからすると,幅0.1㎜程度のひび割れでも耐力性や剛性の低下する可能性があると認められる(甲41,証人E)。 本件建物に存在するひび割れは,上記認定のとおり,幅0.1㎜以上のものがあって軽度なものではなく,また,その数も少なくないから,耐力性や剛性の低下する可能性が著しく低いものではなく(これに反する被告Bらの主張は理由がない。),JASS5・2・3・bに反している(なお,JASS5・2・3・bの「過大なひび割れ」とは,上記観点から,幅0.1㎜以上のものがこれに当たるとすべきである。甲41)。)から,上記ひび割れは本件建物の瑕疵というべきである。 b 耐久性への影響について 被告Bらは,本件建物においてひび割れが発生している箇所は,雨掛かりになる部分ではなく,耐久性に影響はないと主張する。 しかし,上記主張は,事実上の安全性をいうものにすぎず,前記のように瑕疵の存否は法令等の定めを基準として判断されるべきであるから,上記主張を採用することはできない。 c ひび割れの発生原因 本件建物において,上記ひび割れがどのようにして発生したかを直接的かつ具体的に示す証拠はない。しかし,後記のように,本件工事の施工は杜撰な態勢の下で行われたところ,上記のとおり,本件建物に存在するジャンカやコールドジョイントはコンクリートの打ち込みの際に適切な処置が施されずに人為的に発生したものであること,また,その箇所が両者を併せて13か所と少なくはないことからすれば,他のコンクリートの打ち込みについても同様に杜撰な施工が行われた可能性は高いということができ,上記ひび割れも杜撰な施工の結果生じたものであることが容易に推認される(甲41,46)。 この点に関し,被告Bらは,住宅の品質確保の促進等に関する法律70条に規定する指定住宅紛争処理機関による住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準によれば,本件建物のひび割れは瑕疵と判断される可能性は低い旨主張するが,上記基準は,瑕疵が存在する可能性の判断の目安を一般的に述べるものにすぎず,このような基準があることから直ちに上記推認が覆されるとは解されない。 また,被告Bらは,本件建物のひび割れは,そのパターンから乾燥収縮による原因が大きいと主張するが,乾燥収縮があることから直ちに人為的な原因が存在しないといえるものではなく,この主張をもって上記推認を覆すものとすることはできない。 ウ 鉄筋のかぶり厚さの不足 (ア) 本件建物には,以下の箇所に鉄筋のかぶり厚さ不足が存在する(甲41,45)。 ①地階X3・Y3-4間地中梁差筋 ②地階Y3・X3-4間地中梁差筋 ③地階Y2・X2-4間F1基礎縦筋 ④地階X4・Y1-2間F1基礎縦筋 ⑤地階X2・Y1-2間F1基礎縦筋 ⑥1階X1・Y1-2間W18A壁横筋 ⑦1階X3・Y3-5間W18A壁横筋 ⑧1階Y4・X5-6間W18A壁横筋 ⑨2階Y1・X4-6間大梁あばら筋 ⑩2階X1・Y1-2間大梁あばら筋 ⑪2階X1・Y3-5間大梁あばら筋 ⑫2階Y3・X3-4’間大梁あばら筋 ⑬2階Y4・X5-6間大梁あばら筋 ⑭3階305号室CS1バルコニー主筋下面 ⑮4階Y1・X4-6間大梁あばら筋 (イ) 被告Bらは,上記箇所は,非破壊検査による測定結果に基づくものであって,実際のかぶり厚さとの深度校正をしていないから,実際のかぶり厚さよりも浅めの数値である可能性が高い旨主張する。 しかし,被告Bらが上記主張の根拠とする乙イ第35号証(Fを調査責任者とする株式会社A作成の本件建物躯体工事に関する見解書)においても,どの程度の測定誤差を見込む必要があるかという根拠自体が不明確である。また,鉄筋検査機の測定誤差を考慮しても上記⑧,⑭,⑮以外の箇所はかぶり厚さが不足している鉄筋が存在する可能性が高いとされている上,上記⑧は,本来は30㎜のかぶり厚さが必要であるところ,甲第41号証(E作成の本件建物の調査報告書)によれば,最小の値が19㎜であって,仮に10㎜の測定誤差があるとしても,なおかぶり厚さが不足していることは明らかである。そして,上記(ア)の事実認定の証拠とした甲第41号証における測定結果は,それが非破壊検査によるものであるとはいえ,本件建物の多数の測定箇所においてかぶり厚さが不足すると認められる結果が示されているのであって,これを覆すに足りる証拠はなく,上記主張は理由がない。 (ウ) 上記のかぶり厚さの不足は,次のとおり,本件建物の瑕疵というべきである。 a 鉄筋コンクリートに関しては,①コンクリートは中性化し,構造耐力の低下をきたし,コンクリートのひび割れや剥離・剥落を生じ,美観・機能及び日常安定性が低下すること(甲60),②鉄筋が発錆することで,鉄筋コンクリートの耐久性が失われること(甲60),③ひび割れが生じれば,付着強度が低下すること(乙イ36)のほか,④火災が発生すると,表面のコンクリートが劣化するだけでなく,内部の鉄筋及びコンクリートの温度上昇によって鉄筋の強度・降伏点及びコンクリート強度が低下し,部材の耐力が不足し,部材に過大なたわみや変形をきたし,また,コンクリートは急激に強い加熱を受けると,摂氏500度程度の温度になったときに爆裂現象を起こすことがあるので注意を要すること,⑤現状の耐火性能上のかぶり厚さの規定は,あまり余裕のない値であるので,要求耐力性能を満足させるためには,かぶり厚さの精度の確保が重要とされていること(甲60)が認められる。 このように,鉄筋は,錆や火に弱いため,コンクリートで被覆しておく必要があり,その役割を担うコンクリートのかぶり厚さは重要であり(証人E),施行令79条が定められる厚さも最低限の厚さであって,これに特例は認められていない。 本件建物における上記認定のかぶり厚さの不足は,施行令79条に明らかに違反し,JASS5・10・3にも反するから,これらは本件建物の瑕疵というべきである。 b また,上記のように,鉄筋は火に弱いため,かぶり厚さが不足していれば,耐火時間の低下が生じている可能性が認められ,また,現状の耐火性能上のかぶり厚さは余裕のない値であることからすると,上記かぶり厚さの不足は,施行令107条に反する瑕疵にも当たるというべきである。 エ 配筋間隔不良 (ア) 本件建物には,以下の箇所に配筋間隔不良が存在する(甲41,45)。 ①地階X3・Y3-4間地中梁壁差筋 ②1階Y1・X1-2間W18A壁縦筋 ③欠番 ④1階Y1・X1-2間W18A壁横筋 ⑤1階X1・Y1-2間W18A壁横筋 ⑥1階X3・Y3-5間W18A壁縦筋 ⑦1階X3・Y3-5間W18A壁横筋 ⑧1階Y4・X5-6間W18A壁横筋 ⑨1階X4-6・Y1-2間スラブ主筋 ⑩2階Y1・X4-6間大梁あばら筋 ⑪2階X1・Y3-5間大梁あばら筋 ⑫2階Y3・X3-4’間大梁あばら筋 ⑬2階Y4・X5-6間大梁あばら筋 ⑭2階Y1・X5-6間大梁あばら筋 ⑮2階201号室CS1バルコニー主筋内側 ⑯3階305号室CS1バルコニー主筋内側 ⑰4階401号室CS1バルコニー主筋内側 ⑱4階401号室CS1バルコニー主筋外側 ⑲3階X1・Y3-5間W18A壁横筋 (イ) 上記の配筋間隔不良は,本件建物の瑕疵というべきである。 すなわち,配筋間隔が不良であれば,建物には鉄筋によって支えられていない部分が生じ,構造耐力上問題であること,また,鉄筋は引張力を負担する役割を担っているが,これが等間隔に配筋されていなければ,応力が均等に働くことを前提とした構造計算そのものの前提が崩れること(証人E)からすれば,鉄筋の配筋間隔不良は,設計時に期待している強度を低下させることが認められる。 したがって,上記認定の配筋間隔不良は,JASS5・11・5・bに違反し,これらは本件建物の瑕疵というべきである。 なお,JASS5・表11・4等によれば,例えば「梁」における「数量・配置」につき,「間隔は1.5m程度」と記載されていること(甲40)からすれば,若干の配筋の誤差を許容していると思われる。しかし,本件建物における配筋においては,設計ピッチに比して,130㎜もの誤差のある部分が存在し(甲45),許容される配筋の誤差の範囲内とはいえず,JASS5に照らして,当該配筋不良は瑕疵であることが認められる。施行令77条(平成12年4月改正前のもの。本条につき,以下同じ。)は柱の構造に関するものであり,配筋間隔不良に直接的に関係するものではないから,配筋間隔不良について施行令77条に反するとまではいえない。 (ウ) この点に関し,被告Bらは,本件建物の地上部分については設計どおりの配筋がされており問題がない(間隔の多少の大小は鉄筋施工の誤差の範囲内で,平均鉄筋間隔は設計値と相違ない。)と主張する。しかし,JASS5・11・5・bは「鉄筋は,施工図に基づき所定の位置に正しく配筋し,コンクリートの打ち込み完了まで移動しないよう堅固に組み立てる」と規定して,配筋間隔につき,平均鉄筋間隔を問題としてはおらず,一本一本の鉄筋につき施工図どおりに配筋することを求めているのであって,上記主張は採用することができない。 また,被告Bらは,鉄筋間隔にばらつきが見られるのは,鉄筋の立ち上がり部分の傾斜が原因で配筋不良になったものと思われるが,同箇所は直接に力が加わる部分ではないので,基礎の強度には問題がないと主張するが,配筋間隔が不良である以上,基礎の強度といった事実上の安全性の有無によって瑕疵がないとすることはできず,上記主張は採用することができない。 なお,被告Bらは,基礎部分に検出されていない部分があると主張するが,これは上記認定以外の箇所に係る主張であって,上記認定に影響を及ぼすものではない。 オ 開口補強筋の欠落 (ア) 本件建物には,以下の箇所に開口補強筋が存在しない(甲41)。 ①1階X4・Y1-2間 W18A壁開口部開口補強筋なし ②地階X4・Y2-3間 地中(基礎)梁開口部開口補強筋なし,開口部下の基礎梁にあばら筋の補強なし (イ) 上記の開口補強筋の欠落は,次のとおり,本件建物の瑕疵というべきである。 すなわち,構造耐力上主要な部分の耐力壁の開口部の隅各部には,応力が集中するため,ひび割れが発生しやすくなり,ひび割れが発生すれば,前記のようにコンクリートの中性化・鉄筋の発錆等により部材の耐久性を低下させ,構造部材の剛性低下をもたらすこと,また,開口部周辺は破損風化のおそれが多いため,開口部に補強筋を配筋することが不可欠であり(甲41,乙イ35,証人E),施行令78条の2第1項2号も開口部には補強筋が必要であると定めている。 本件建物における上記認定の開口補強筋の欠落は,法20条,施行令38条1項,3項,78条の2第1項2号に反し,これらは本件建物の瑕疵というべきである。 (ウ) この点に関し,被告Bらは,開口部の補強筋が当初の設計どおりにならなかったのは,原告の希望により郵便ポストが工期の途中で急きょ設けられたためであると主張する。 しかし,建築工事につき,注文者が施工者等に対し,法令等に反する希望を述べた場合,専門家たる施工者等は,注文者に対し,それが法令等に違反するので希望どおりの施工はできない旨を十分説明し,その施工をしないようにすべきである。そして,施工者が,そのような説明をしたにもかかわらず,注文者が希望を無理に通してしまったような例外的な場合には,施工者等の責任が軽減される余地もないとはいえないが,本件においては,郵便ポストの設置に関して,上記例外的な場合に当たるとすべき事実は認められず,瑕疵の責任を注文者たる原告に転嫁するがごとき被告Bらの上記主張を認めることはできない。 カ 床スラブの耐力低下 原告は,床スラブに配筋不良があり,これは設計時に期待している強度を確保しておらず,耐力を低下させる欠陥である旨主張する。 しかし,上記主張の根拠とされる甲第46号証は,タイルの下がコンクリートであったことを前提としているところ,その前提を認定するに足りる証拠はなく,したがって,床スラブに配筋不良があるとの事実を認定することはできない。 2 争点(2)(被告らの責任の有無)について 前記のとおり,本件建物には瑕疵が存在する。そこで,以下,被告らの責任につき検討する。 (1) 争いのない事実及び後掲証拠等(ただし,後記認定に反する部分を除く。書証の枝番の記載は省略することがある。)によれば,以下の事実を認めることができる。 ア 原告らと被告Cとの従前の関係等 (ア) 原告とG(以下,原告と併せて「原告ら」ということがある。)は,母子であり,平成6年7月に原告の夫(Gの父)が死亡した後,当時居住していた神奈川県川崎市から札幌市に移住することを考えていた。しかし,原告らは,札幌市に知人などがいなかったため,平成7年春ころ,住宅情報誌で知った宅地建物取引業者のH株式会社(以下「H社」という。)に相談をするようになった。 (イ) Gは,その後の契約締結等,本件における出来事について,原告とともに関与した。なお,原告らは,平成8年4月ころ,札幌市a区甲に借りた家に転居し,Gは,同年7月ころから本件工事現場に足繁く通っていた。 (ウ) 被告Cは,宅地建物取引主任者であり,H社の部長であった。 被告Cは,原告らの相談を受け,平成7年7月,原告が札幌市b区にある中古アパート「K]を購入する際に同社の担当者としてこれを仲介した。被告Cは,その後も同社が原告から依頼されたコーポKの管理業務を担当していた。 (エ) 原告は,被告Cの勧めにより札幌市内に原告らの住居部分と賃貸部分のある建物(住宅付きの賃貸マンション)を建てることを考えていたところ,平成8年1月ころ,被告Cから,札幌市a区c条d丁目所在の土地(後に本件建物の敷地となる土地)の購入を勧められ,同年2月23日,上記土地を購入した。 (オ) また,原告らは,被告Cに対し,上記建物を建てるために一流の建築業者の紹介を依頼した。被告Cは,コーポKを建築した被告B工業を紹介したが,その際,原告らに対し,「大手ゼネコンも絶賛している」,「B工業には職人が100人以上いる」などと述べて,被告B工業を建築業者とするように勧めた。 被告Cは,被告B1と昭和58年ころからの知り合いであった。(甲30,56,乙ロ1,3,4,証人G,被告C,弁論の全趣旨) イ 被告B工業と本件工事請負契約の締結及び被告Cの関与等 (ア) 被告B工業は,昭和63年1月に設立された建築工事の設計及び請負業等を目的とする会社で,建設業法3条1項(平成11年法律第160号による改正前のもの。以下,本条項につき同じ。)に基づく一般建設業者である。 被告B1は,被告B工業の代表取締役で,2級建築施工管理技士の資格は有していたが,建築士の資格はなかった。 亡B2は,被告B工業の取締役であり,事務所において事務を担当しており,現場における工事業務には従事していなかった。 (イ) 原告は,上記土地において鉄筋コンクリート造5階建(1階が車庫,2ないし4階が賃貸部分,5階が原告らの住居部分)の本件建物を建築するため,平成8年2月23日,被告B工業との間で,設計及び施工に関する工事請負契約書(甲1)を作成して,本件工事請負契約を締結した。同契約において,工期は同年5月1日から同年10月20日,請負代金は9840万円(他に消費税)とされた。 被告B工業は,本件工事請負契約締結当時,建築関係の資格のない男性大工と女性従業員1名以外の従業員はいなかった。 (ウ) 被告B工業は,同年1月ころ,被告Cから,原告が5階建の住宅付き賃貸マンションの建築を計画していることを聞き,その後,Gが描いたイラストを基にH社が作成した図面を受け取り,被告Dに依頼してこれを建築確認申請に適合する内容の図面に作り替えるなどの準備をしていたが,原告らとは,同年2月22日に初めて会っただけで,何ら直接の交渉等をしなかった。 被告Cは,建物を建てることを前提とした土地の買主を見つけると,図面や見積書などを持って建築業者を探し,買主に建築のアドバイスをしたり,買主に代わって建築業者と建物建築の打合せ等を行っており,本件建物以外にも被告B工業を建築業者としたことが7回程度あり,うち半分程度については,被告B工業から紹介料名目の金銭を受領していた。被告B1は,被告Cを企画屋ないしデベロッパーというべき存在であると認識していた。 (エ) 被告Cは,被告B工業が一般建設業者であって特定建設業者の資格をもっていないことを知っていたが,本件工事請負契約の締結やその後の本件工事の施工に関し,自ら契約書,図面及び見積書を作成したり,その授受に関与したりしたほか,被告B工業に代わって原告らからのクレームを受けたりしていた。 また,H社は,被告B工業から本件工事の紹介料名目で240万円を受け取り,被告Cは,そのうち80万円を個人として受け取った。(甲1,11の1,2,甲18,19,30,56,乙イ1の1ないし3,乙イ2の1,2,乙イ4の1ないし5,乙イ5,証人G,被告B1,被告C,被告D) ウ 本件工事の施工状況等 (ア) 被告B工業は,同年5月20日ころから,本件工事に着手したが,同被告が自ら施工する工事は,とびや型枠大工等の作業員を8人から10人程度雇い入れ,被告B1が本件工事現場においてそれらの作業員を指揮命令して行った。 また,被告B工業は,建設業法26条1項に違反して,本件工事を施工するに当たり,建設工事の適正な施工を確保するために置くことが義務付けられている主任技術者を置いていなかった。 (イ) 被告B工業は,一定の場合の下請契約締結等を禁止する建設業法16条,同法施行令1条の2に違反して,総額4500万円以上の金額で本件建物を下請業者に施工させたほか,本件工事に関し,法定事項を具備しない契約書を取り交わしたり,下請業者とは書面さえ取り交わさないなどの法令違反行為を行った(同被告は,平成11年12月ころ,これらの違反行為に対する行政処分を受けた。)。 (ウ) 被告B工業は,本件工事開始から約1か月経ったころ,原告から本件建物の1階正面入口をオートロックに変更するよう求められ,その変更をした場合,郵便受けの位置も変更する必要が生じたため,これらを追加工事とし,1階壁面部分に穴を開けて郵便受けを設置することとした。 (エ) 被告B工業は,平成8年11月14日,原告に対し,本件建物を引き渡した。 原告は,同年2月26日から平成9年1月18日までの間,被告B工業に対し,5回に分けて,本件工事請負契約及び追加工事の代金として合計1億0641万9500円を支払った。(甲2の1ないし5,甲3の1,甲23,乙イ3の1,証人G,被告B1,弁論の全趣旨) エ 被告Dの関与等 (ア) 被告Dは,1級建築士であり,被告B工業から本件建物の設計図書等の作成を依頼され,同被告から受領した図面を法令に適合するように修正するなどして,建築確認申請に用いる図面等を作成した。 また,被告Dは,被告B工業から本件工事の工事監理を依頼され,本件建物の建築確認申請に関して,札幌市に平成8年4月5日付けで提出された中高層建築物の建設に伴う諸問題に関する誓約書等の書類(甲48)にも,被告Dが本件工事の工事監理者である旨の記載がされた。 被告Dは,被告B工業から,上記設計と工事監理の報酬として,合計150万円を受領した。なお,被告Dは,被告B工業が一般建設業者であり,特定建設業の資格を有しないことを知っていた。 (イ) 被告Dは,本件建物の地盤についての地盤調査をせず,工事監理報告書も作成せず,しかも,本件工