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※注意! ゆっくりSSにおけるおなじみの注意事項(自分設定とか、虐待要素薄いとか、その他沢山)に該当するかもしれません 苦手な人は回れ右。 『地に還れ』『ヒメイ』と世界観がつながっています、読んでみると 著者がどんな目にあっているかがわかって愉しいかもしれません。 ではスタート!↓ * * * 「ゆっくりの事を多少知っている者なら、誰でも知っている事がある。 ゆっくりは『苦痛を受けると美味になる』ということだ だが何事にも限度はある、限度はあるだろうが誰もその限度を知らない。 私の父が子供の頃に幻想入りした薬物で『サッカリン』と呼ばれる物がある。 匙一杯で風呂桶三つ分の水が下が溶ける程甘くなると言うのだが なんでも非常に身体に悪いらしく、私は口にしたことがない。 ゆっくりに苦痛を与える事を至上の快楽としている友人や 加工場の生産課に勤める知人に尋ねてみても 結局判らずじまいだった。 ただ、収穫がなかったわけではない。 ゆっくりを日常的に虐待する彼らに曰く 一つ、どれ程常識を逸脱したような苦痛を味あわせ続けても餡子脳で理解できる限度を超えては意味がない事 二つ、餡子の味の向上は永続的なものではなく、少しでも『ゆっくりさせる』と味が落ちてしまう事 三つ、甘やかされて育ったゆっくりを、電撃的に虐待することによりさわやかな甘みが発生する事。 四つ、精神的な虐待も、餡子の質向上につながる事。 以上四つが私の知らなかったゆっくりの味に関する友人・知人の考察だ。 どれが『虐待を好む友人』の助言でどれが『加工場で働く知人』の助言か ゆっくりに興味を持つ方ならわかっていただけるだろうか? そう、虐待すれば甘くなるのは判っているのだが、 甘ければ美味いという訳ではないのも判っている事だ。 私は仕事上ゆっくりを口にするのだが 美味いゆっくりは、生きたまま苦しめて食おうと 加工済み・調理済みの物であろうと 等しく美味ではあるからだ。 さて、これも周知の事実ではあるのだろうが ゆっくりは成長するごとに味が落ちる。 ある種の最終進化系である『ドス』に至っては 皮だけで1mを超える厚みを持つ固体も存在するらしく 加えて硬く、人間で言う角質の様な触感・歯ごたえらしく 中の餡子共々食えた物ではないらしい。 それに引き換え産まれたばかりの赤ゆっくりなどは 母体から与えられる栄養を存分にむさぼり 瑞々しくはじけるようでありながら、 しっとりとした求肥の様なやわらかさを兼ね備えている。 つまり度重なる精神的・肉体的虐待を受けたゆっくりは すでに通常種としての成長を終えた成体ゆっくりであっても 産まれたばかりの赤ゆっくりを凌駕する味わいを持つが 何の苦痛も味わっていない生まれたばかりの固体であっても 生半可な虐待を受けた固体よりは格段に美味、と言う事だ。 では、究極の美味ゆっくりとは 『産まれたばかりの赤ゆっくり』でありながら 『極度の虐待を受けた固体』である、と言う事か ふむ、これでは矛盾する…君はどう思うかな、れいむ?」 「、、、、、、、、、ゅ゛、、、、、、テ゛、、、、、、、」 「ふむ、君があんまりにも『やめてくれ』と頼む物だから40秒の大休止を与えたのに 稼働中の方が元気なのは何故だろうね、興味があるよ」 「、、、ャ゛、、、、゙、、ェ、、」 「唇の動きを見るに『も/う/い/や/だ/お/う/ち/か/る/』に順ずる言葉かな…ふむ 今日は何時にもまして唇を小さくしか動かしてくれないから、ちゃんと読みきれた自信がないな… おかしいね、理解に苦しむ。君の『おうち』はココだろう? ―――――十ヶ月月前に自分達で言っていたじゃないか、 おっと…そう言っている間にも23秒も過ぎてしまった、時間は貴重だよれいむ? 再開しようじゃないか」 「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ…ゃべで゛゛゛゛゛ ゆ゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ゅ゛べゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あああああああああああ!!!!!??????????????」 * * * 誤解の無いように断らせていただくが 私はゆっくりを『好んでいる』意味も無く虐待する趣味は無い。 犬猫のような愛玩動物として好んでいる。 言葉で躾が出来基本綺麗好きで各種手術や処置がたやすく 金がかからないゆっくりは、理想的とは言え無いが 爬虫類や毒蜘蛛よりはペットとして適していると思っている。 私は住居とは別に小さな家を作り、部屋を全て開放している。 家の中には毛布や子供用のおもちゃ、そして大量の野菜屑を放置してある。 そこに入ってきた野生のゆっくり達は口を揃えて宣言するのだ 『ここは自分達のゆっくりプレイスだ』と このれいむも例外ではなく、連れのまりさと共に部屋でふんぞり返っていた 捕獲時の尋問で生まれた群から独立したその日に腹をすかせて人里に来るあたり、 二匹ともゲスとよばれる固体だったのかもしれない。 まぁ、その分生命力に恵まれているらしい これだけ長期間にわたって劣悪な環境下で生活したにも関わらず ”常時”機械供給している餡ペーストと匂い消しのためのハーブ数種類だけで 子ゆっくりから成体ゆっくりに成長している。 それにしても本能に基づいた習性として、全く同じ事を口にするというのは まったくどういう理屈なのか、餡子脳の神秘は この先数億のゆっくりを解体しても、私には理解できないだろう。 まぁ、私の興味の優先順位は 一、永続的な飼育法味 二、ゆっくりの心理 三、調理法 という感じなので、該当しない餡子脳の構造は永久に理解する機会は訪れないだろうが… 私が餡子脳の不条理さに思考を致していると れいむが白目をむいて痙攣を始める それに反応して装置が濃縮されたオレンジジュースを注入していく もちろんその間も電撃は止まらない。 「期間が短くなっているなぁ…そろそろ限界なのか」 ココで言う限界というのは、ゆっくりの命の限界ではない というか私の友人の持論では、ゆっくりには寿命など無いのだという。 大抵のゆっくりの死とは外皮や目、口などの機関が壊れる事で餡子が流出し 中枢餡子を維持・保全できなくなる事だ、としている。 寿命を迎えて死ぬ(主に飼飼われている)ゆっくりも居るらしいが たいていの場合、飼いゆっくり特有の運動不足が原因の内部餡子の代謝不足による 餡子の質の低下(ゆっくりの老化?)が原因だとしている。 事実、他の全てを喪ってもゆっくりは生き続ける。 熱く持論を語りながら、友人が私に見せた水槽の中身は そういった趣味を持たない私にも、言い知れない暗い感情を感じさせる物だった。 オレンジジュースの注入が終わり、れいむが『正常に』苦しみだす。 『一つ、どれ程常識を逸脱したような苦痛を味あわせ続けても餡子脳で理解できる限度を超えては意味がない事』 これはゆっくりを扱う上で非常に重要な助言である。 このれいむは今まで『寒さ』『暑さ』『串刺し』『殺害』『不眠』『騒音』『閃光』『吸引』『激増』 『赤熱』『硝子』『回転』『無音』『絶叫』『捕食』『掘削』『塗装』『水圧』『恐怖』『切断』『否定』 『整形』『解体』『歪曲』『射撃』『装飾』『縫製』『罵倒』『炭酸』『鞭打』『圧縮』『剥奪』『選択』 『湯煎』『冷却』『殴打』『圧縮』『嫌悪』『漂白』『破壊』『焼却』『読経』『改造』『注入』『葬儀』 『螺旋』『噴霧』『呪詛』『木刀』『鍛接』『開放』『希望』『家族』『殲滅』『上映』『調理』『忘却』……etc 全562種類の虐待環境を味あわせてきた。 現在の『電撃』は563種類目、最早ネタも尽きスタンダートなところに一巡してきた感じだ。 休憩時間は十ヶ月間合計しても130分を超えない。 最初の頃は緊急のオレンジジュースは余程の事が無ければ必要なかったが(『水圧』や『焼却』等は5秒も持たなかったため即座に注入がなされたが) だんだん苦痛を感じていられる時間が短くなってきた。 友人の理論に基づき加工した中枢餡子が壊れることはないがある種の耐性を生み出してしまったのだ。 このれいむの餡子脳は、最早生半可な痛みでは痛みと感じない程、外部の刺激に耐性を持っている。 其れを緩和するために『開放』『希望』『家族』『殲滅』等の連続した精神的虐待も試みたが ある種の人間や妖怪がそうであるように、このれいむも精神的な耐性を獲得してしまっている。 友人の助力と盟友である河童の協力でれいむを殺さず多種多様な方法で苦しめて来られたが そろそろ本来の目的を果たしてもいいかもしれない。 私は2時間れいむを放置し、本日五度目の緊急注入が終わったのを確認してから電撃装置を止めてやる。 * * * 未だ痙攣から立ち直っていないれいむ、即座に手動で追加の緊急注入を二本行い 意識を強制回復させてからプランを次の段階に進めた 「れいむ、君は『まりさ』を覚えているかい?あぁ、声は出せないだろうから頷くか口を動かすだけでいい 君と一緒にココへ来た、君の事を最後まで守ろうとしたあの勇敢なまりさだ うん、うん…そうか覚えていないのか…かわいそうに。こんな姿になる寸前まで君の事を案じていたのに…」 れいむの目の前に一部を除き、デスマスクを黒色に変色させて干乾びたまりさを見せてやる 何の光も映さなかったれいむの目が、そのまりさの姿を捉えて僅かにだが光を取り戻す。うん、上出来だ。 「ねぇれいむ、このまりさはこんなになってもまだ生きているんだ。 よくみてごらん?僅かにだが、震えているだろう? 骨伝道スピーカーで音声を拾ってみようか… 『れいむ、れいむ、れいむ…』ふふふ 自分がこんな姿になっても、まだ君のことを心配しているよ? 君はまりさのことを完全に忘れていたのにね…ひどい話だ。 嗚呼、心配しなくていいよ? ―――このまりさは五感を喪っている。 何を食べて判らない 目も見えない、 耳も聞こえない、 すりすりしても何も感じない、 でも嗅覚だけは僅かに残っている。 君の匂いを感じて僅かに活性化しているようだね さて、このまりさだが…残念な事に今朝『最終処置』を行ったので、このままなら数分も持たないだろう。 といっても随分前から『生きている』のは中枢餡子と生殖器だけだったがね。 そこで、君に使っているのと同じ、『ゆっくり延命装置』に接続する。 中枢餡子の無傷だから、これでまりさは助かるよ、おめでとう。 でも見たまえ、この醜く肥大化したぺにぺに。 体内にある餡子の80%が集まっているんだ。 そういう風に、私がした。 一月前からずっとこの状態だ、与えた食料はゆっくりの排泄物『うんうん』だけだ 勿論君が排出したものも口にしている。 食べる前に教えてあげたら泣いて喜んでいたよ、何…感謝はしなくてもいい。 中枢餡子とぺにぺにしかないこの姿、哀れだと思うだろう? こんな化け物になってまで君のことを思っているんだ…あながちゲスではなかったのかもしれないね。 さて、これから機械を使って君達を交尾させる。 わかるかい?『すっきり』させるんだ! そこで思い出して欲しい、君のまむまむは既に『処置済み』だ …まぁ本人だからわかっているだろうがね、君の事だ忘れているだろう? で、だ『どういう処置がされているか』君は理解しているかな? していないよねぇ…、だからゆっくり説明させてもらおう、遠慮はしなくて良い。 君のまむまむは…ゆっくりを決して『すっきりさせない』 一度結合したが最後、君も…相手も、中枢餡子の痛みを感じる部分に直接 命が続く限り知覚限界の痛みが走り続ける。 虐待環境プランの最終手段用に用意していた機構だから、こういう形で使うのは想定してなかったんだが 結ばれる二人が共有できるものが、単なる苦痛ではありきたりぢゃないか、そんなのは君達にふさわしくないと私は思う。 さっきも言ったが、まりさもシステムに接続するので半月は『まりさとしての機能を維持』できると予測している。 その間、きみのまむまむに常時挿入した状態だ…泣こうが喚こうがずっとそのままだ。嬉しいだろう? 『まりさ』は君より先に機能を停止するが、安心していい。 君のまむまむは、ゆっくりの死体を捕食・吸収する。 そうして初めてまりさの餡を取り込み、君は受胎する…胎生型でね。 だがそれだけではない、君の中には、まりさの中枢餡子がそのまま吸収される、『生きたまま』ね。 機能を停止するのは外部のデバイスだけ、もっとも機能自体はとっくに破壊しているがね まりさの全てを構成している部品は、生きたまま君の中に吸収される。 勿論君とつながっている以上苦痛は続くよ?私がこのシステムを止めるまで、君はずっとまりさと一緒に生き続ける。 そして赤ちゃんにも恵まれるんだ。 君達の生殖器は改造済みだからね、二百は生まれるだろう、期待していい。そして当然システムは問題なく君達に栄養を供給する。 君達の生命は絶対に・完全に・確実に保証する、母子共にだ。 発生した瞬間から君達とつながっているからね、赤ゆっくりたちも両親と同じ痛みを味わいながら生育するから…ある種の胎教といったところだろうか? あぁ、胎教で思い出した…これも君たちは知らないと思うが、胎生型で生まれる赤ん坊は君達の記憶の最大7割引き継いで産まれる。 育ちの悪い成体ゆっくりより、いい環境で産まれた赤ゆっくりのほうが賢いのはこの為だ。 君たちは産まれて3週間ほどで独り立ちをしている、早熟だったんだね。 そして君たちはここで生活を始めて丁度十ヶ月目だ…今までの生活を思い出してごらん? 幸せだった記憶がどれほどあるだろうか…君達の過酷な一生には同情するよ これまでも、これからも。 家族のことを思い出したかい?君の目の前で、君を罵りながら喰らい合って数を減らし、最後は君に食べさせたよね? そういう記憶だけを引き継いで、君達が今まで感じた中のどれよりも激しく、絶望的な痛みを感じながら君達の子供は生まれてくるんだよ? 泣いているのかい?私の話が何割理解できたのか、心配なんだが 何…これから毎日、子供が生まれるまで、子供が生まれてもずっとずっとずっとずっと話し続けてあげよう。 君達が望むのなら同じ説明を一字一句間違えずにもう何度でもしてあげる。 嗚呼…でも君たちとは、これから会話する事もできなくなってしまうのか…そんな余裕のある痛みではないしね? つまりこれが、自意識をもって会話できる最後の瞬間というわけだ…不幸にも、君の伴侶であるまりさは既に聴覚がない、声帯も切除したので会話は無理だ。 必然的に私が最後の君の言葉を聴く立場になるわけだが…どうだろう? 『ゆっくりしていってね』と口にする最後のチャンスだよ、れいむ。 さぁ、もう喋れないまりさのかわりに、最後の『ゆっくりしていってね』を言わなくて良いのかい? 装置は驚きの1000年保障、代替わりしても河童ちゃんが面倒を見てくれると約束してくれた。 君たちはずっと先、私が死んでも私の子・孫・そのずっと先の子孫がこの世を去って転生してもずっとこのままだ。 これから無限に続く永劫の苦痛の生で、最後の『ゆっくりしていってね』私に、聞かせて欲しい…」 私は自分の思い付きが素晴らしいものであると確信している。 彼女の最後の言葉を聞く事ができるのは、自分だけだ。 タイムスケジュールは私の中では既に決定している、今絶対的に決定した。 後22秒で、れいむたちに交尾を開始させ、中枢餡子の機構を作動させる。 まだ疲弊して喋れないのだろうか、私は急いで手動緊急注入ボタンを連打する。 21本の巨大注射器が、れいむの口と生殖器以外の部分を隙間なく刺しつくし濃縮オレンジジュースを注入する。 細かく痙攣し、接続された排尿カテーテルから濾過吸収仕切れて居ない殆んどそのままのオレンジジュースを すさまじい勢いで排出するれいむ…はやく!まだ体力が快復出来ないの?!時間がない!あなたの最後の言葉を…!! 「、、、、、、、、、、、、、、、ぁ、、、、、、、、、、ま、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 、、、、じ、、、、、、、、、、、、、、ね、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、ぁ、、、、、、」 ………私の目尻を一条の涙が伝う、れいむ…あなたの言葉、伝わったよ……あなたをずっと見てきたから…… 僅かな唇の動きだけで、とても確かに伝わるよ? 「『お/ま/え/は/あ/く/ま/だ/、/お/ま/え/の/よ/う/な/や/つ/は/ゆ/っ/く/り/す/る/な/、/だ/れ/よ/り/も/く/る/し/ん/で/し/ね/』……れいむ、聞こえたよ? ありがとう、ありがとう!!君は愛するまりさや子供達と一緒に…ずっとここでゆっくりしていってね!!」 私の操作で、装置に接続されたまりさの生殖器がれいむの生殖器に飲み込まれていく、 まりさのそれは成人男性のひじから先程度のサイズであり、いかに『処置済み』とはいえ、交尾経験の無いれいむが 其れを受け入れられるか、私は心配だったが、私の処置は適切だったらしく、貫通することなく串刺しになったようなシルエットで、二匹は睦まじく結ばれ、一つになった。 後は装置が適切なピストン運動と『震動』『電撃』寒さ』『暑さ』『串刺し』『殺害』『不眠』『騒音』『閃光』『吸引』『激増』 『赤熱』『硝子』『回転』『無音』『絶叫』『捕食』『掘削』『塗装』『水圧』『恐怖』『切断』『否定』 『整形』『解体』『歪曲』『射撃』『装飾』『縫製』『罵倒』『炭酸』『鞭打』『圧縮』『剥奪』『選択』 『湯煎』『冷却』『殴打』『圧縮』『嫌悪』『漂白』『破壊』『焼却』『読経』『改造』『注入』『葬儀』 『螺旋』『噴霧』『呪詛』『木刀』『鍛接』『開放』『希望』『家族』『殲滅』『上映』『調理』『忘却』 ……私が彼女たちのために考え付く事ができた全てのパターンを ランダムに、無慈悲に、繰り返し、重ねて、永劫にずっと再現し、再演し、維持し、保全し、実現し、執行してくれる。 「(ゆぎゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!????????????? 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* * * 夜風にあたり、幾分か冷静さを取り戻した頃 住居として暮らしている本宅のに帰り着いた私は 里の珍妙なものを扱う店で一目ぼれしたブリキのポストに赤い封筒が届いているのを見つけた。 食事と入浴を済ませ、手の中で便箋をもてあそぶ。 『ゆっくりをの最後を創造する仕事をしませんか?』 つづく。 【アトガキ】 熱が下がらない、左肩にひびが入った(自転車に乗っているときに車に轢かれた) バイトを一軒クビになった(掛け持ちで3軒やってます)、私は…死ぬのか…? はいというわけで、図らずも連作となってしまった今回の作品! 後二人ほどなんか手紙が届いてどっかに連れて行かれるらしいぞ! でももしかしたらもう一人でネタが尽きるかもしれないぞ?! 病院で某Moiraの冥王様が夢に出てマジビビリした俺に明日はあるのか!! 本当にダメかもしれない…穴があったら墓穴かも? 冒頭の味や甘さに関する考察は、思考がぶっ飛んでる人ってのを判っていただくための演出です、うまくいってるといいな! あとこのキャラ、後編はもろそうですけど女性です。 この人、虐待趣味は一切ありません、歪んでるけどある意味愛で派に近い どこかのSSで某ゆっくり愛護団体?がゆっくりの為に爆弾をゆっくりに内蔵してましたね?アレに近い感覚です。 ただまぁ、見てのとおりのキャラなので、行動や言動に整合性やら何やらを求めてもダメですね… 前作前々作にくらべて、なんか書いてて愉しかったので 感想をいただけると励みになります! 左肩は全治2週間です!! 。。。。orz このSSに感想を付ける
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前 第2231話~第2240話 ツイッター(FINAL FANTASY S)より 第2241話 第2242話 第2243話 第2244話 第2245話 第2246話 第2247話 第2248話 第2249話 第2250話 第2241話 (2019年1月2日投稿、2019年3月5日掲載) さて一日でおなかもなんとか治ったベリュル 「スッポンポンヒルズのお宝を探しに行こうぜ!」 スッポンポンヒルズを登っていくと・・2Fそこはまるで町の中のようだった 「すごいいろんな店があるな・・全部無人だぜ」 「人間はどうしたのかしら・・・あら?おみくじ屋さんがあるわ!やってみましょう!おみくじましーんで引くのね景品付きですって!ね、みんなやりましょう!」 「いやどうだろ」 「いいからやるの!ね、メリアナニー!さて私は・・・オールマイティ吉!あら・・いろいろ書いてあるわ?」 「どうしたのだ」 「今年はそなたにいろいろいいことが起こるであろう・・・すごいことややばいこと・・どれもうれしからずやであろうですって!桜文様晴浴衣もあるわ!私専用のコーデみたい」 「へー」 「メリアナニーはどうかしら!?」 「やってみる!えーと・・・・限界突破最新型吉ですって!えーと・・あなたにうまくいかないことは何もない・・すべてはあなたの思いのまま・・世の中すべてあなたのために存在するものなりですって!」 「すごいじゃない!カエデ模文様浴衣付きね!さあベリュルよ!」 「いやいいかな!おれは・・・」 「ひきなさい!」 ダンナーザにひっぱられ無理やりひかされたベリュル・・・ 「わーん!・・・でも今年こそは・・ガサゴソ・・ヤヤッ!」 突然くじマシーンからミミックジが襲ってきた!ナントカ倒した・・・イノシシ模様のふんどしゲット 「だからいったのに!」 いるキャラによっていろいろ違うぞマリは勇者の吉、ロウは神之子吉、ジョナサンやマオはついてくるので引くがドラゴンの怒吉などいろいろコーデアイテムを全員分ひこう!」 「一回10万ギルの価値はあったわね!」 ベリュルが引くと絶対にミミックジが襲ってくるぞABPやギルは0で2回目以降はアクセサリーのふんどしだベリュルのみ装備で効果はなし! 「どうかな今年も幸先悪いぜ!おなか痛いし変な夢見るし」 「ま、いいじゃない!今年も豪華だったしさて登っていきましょう・・」 スッポンポンヒルズ3Fについた ふと気づくとスッポンポンヒルズ3F・・・ 「おぬしたち・・・ようきたの・・・」 そこにはふんどしのみの老人が立っていた 「なっなにものだ!」 「ワシはこのスッポンポンヒルズの管理人スッポナ-竹森・・人間が訪れたのは実に・・何10年・・いや何億年ぶりか・・・」 「そっそんなに!ここはいったい・・・」 「あくまで噂じゃが・・ここの頂上にターキャータワーの入り口が隠されているという噂じゃの・・ホッホッホ」 「なっなんだとここに鍵が・・こっちに着て正解だったようだな」 「ホッホッホ・・健闘を祈る・・・生きて帰ってこれるかな・・ッフォッフォッフォ・・・」 「消えた!オバケ!・・ってここは?」 あたりには面白そうな機会がいっぱいあった・・・ 「ここは・・・ゲームセンターだ!!!」 新年ゲームセンター奇々怪々・・・ 第2242話 (2019年1月2日投稿、2019年3月6日掲載) あたりにはいろんなゲームが三昧だった 「うわあたのしそう!いろいろあるなあ・・ややっ!なんだろうこれは」 車壊しVRゲームとかいてあった 「ほほう仮想空間ぽい感じのゴーグルつけて車を壊すゲームです!だって」 プリーズセットゴーグルユアヘッドとかいいてあったのでつけてみた 「面白そう!よーし装着!一回200ギルかガチャン」 「ウィーン!ヨウコソ車コワシへ!武器を選んでください」 「武器?バット、素手、角材があるな・・とりあえずバット」 「デハコレヲオモチクダサイ」 VRバットを持たされた! 「おおリアル!持っている感じがあるぜ!」 「デハ・・ソノバットデ車を壊してください!ステージ1、ベンツ!レディゴウ!」 「うおおおこれで殴れってかボコボコボコ!ガシャガシャガシャきもちいい!手に壊している感覚がある!」 「まあ!はたから見たらベリュルがとちくるってるようにしか見えないわ!すごい技術ね!」 「とどめだ!ガシャーン!倒したぜ!クリアだーーーいてて飛び散ったガラスが体に当たっていたい」 「ソコモVRでイタサをサイゲンシテイマス!実際に刺さりますが!デハ、ステージ2!戦車!レディーゴ! 「なっ戦車だと!ガキガキいててて硬いぞ!はあはあおりゃおりゃおりゃ!!」 これはものすごい硬い!プレイヤーはものすごい攻撃をしてもなかなか壊れないが全力で連打しつつ殴りまくった!」 「よし壊したグシャーー!!はあはあクリアだろうな!」 「オメデトウレーション!ファイナルステージ、タワーマンション!ブレイクゴー!」 「なっマンションを一人でバットでこわせだと!無茶な!」 「ムチャデモヤリナサイ!」 「うおおおおおガキガキガキガキ!」 ふと気づくと2時間経過・・・(このゲーム内専用タイマーで) 「うおおおおガキガキガキ・・・はあはあ、やっと1Fのエントランスの宅配ボックスまで壊せた・・・破壊率は?」 「ゲンザイ破壊率0.2%トナッテオリマス!サアモットモット!」 「ギブ」 車壊しゲームをやめた・・・ 「ほかのないかなーややっあれはなんだ!?」 「VRレストランゲーム!自由いメニューを選んでごはんを食べた気になれるゲームです!だって!やってみよ!」 架空の食事・・・ 第2243話 (2019年1月2日投稿、2019年3月7日掲載) VRレストラン! 「ゴーグルを翔けさせられるところまでは同じだがテーブルに座らされた俺たち」 「クチニコレヲイレテクダサイ!」 「なんだね・・ふがっ!なんだこのぐにゃっとしたゴム!」 「VR食べ物デス!コレカライロイロナカオリヤアジガ排出サレルノデス!」 「ふうんまあいいやふがやってみるふが!」 始めるとまずメニューがあったので開いてみた 「ほほう・・・カリカリ焼きそば、サルーインステーキ、ロースステーキ、リブステーキ、トテモステーキ、眼球焼き焼きそばなどいろいろあるな」 「どれもおいしそうねえ・・でも妄想なのよねこれ」 「じゃあカリカリ焼きそば!」 ウィイン!ベリュルの目の前に妄想の焼きそばが置かれた!VR箸でつまんで食べるようだ 「口元に持ってくると香ばしい匂いが!ややっVR食べ物から焼きそばの味がしみだしてきたぞ!うまいぞ!VR食べ物の硬さが変わる!」 「これはおいしいわ!妄想とは思えない!」 そう、視覚に加え、VR箸での触覚、VR食べ物口に入れで味や触感、香りが楽しめる面白いゲームだ!」 「全部食べたー・・・いやーくったくったおなか減った!」 そう残念ながら胃には入れられないので気分だけ味わって余計に腹を空かせよう 「斬新だけどなんかむなしい!ほかにないかな・・」 「現実と妄想の区別がつかなくなってくるわねえ・・あら?これは何かしら」 「ややっVRテレビゲームだって!有名なゲームだやってみよう!」 ゴーグルをつけると・・・昭和な感じの部屋になり、目の前にゲーム機とカセットが置いてあった 「ややっこれは・・」 「マズハ、カセットヲゲームキニ、サシコンデクダサイ!」 「よーしやってみよう・・ささった!かちっあれつかない」 ふと気づくとつかない・・・ 「サシカタガアマイ!フーフーするのも手ですヨ!」 「なんじゃそりゃ!妄想でカセットをもってフーフーし、微妙に半刺しをするのがコツだ・・そしてついた」 「サアココカラガホンバン!ファラオランドノクリアヲメザセ!」 「くそっコントローラをうまく持って画面をみて妄想のテレビをみてクリアする感じか!」 「タマニデテクル、ネコニチュウイシテクダサイ!」 「なにそれ・・まあいいやだいぶ進んだぜ!」 「ニャーン」 ネコがリセットボタンを押してしまった! 「よし次」 妄想と現実の区別・・・ 第2244話 (2019年1月2日投稿、2019年3月8日掲載) NEXTVRゲーム 「ふーむなになに、VR部長だってなんだろう」 ゴーグルをつけると、VR印鑑を持たされた 「なにこれ」 すると社員がずらりと大量に並んでいた! 「部長、承認を!」 「なにそれ」 一人目の社員が決裁書を提出した 「コレヲヨンデ、セイトウデアレバインカンヲオシテクダサイ!フセイトウデアレバタオシテクダサイ」 「ふーむ」 「ソウサハ、オッケーナラインカンヲ、ショルイニフビガアレバ、シャインヲ、コノVR銃でウッテクダサイ!Aデインカンヲオシ、Xデ銃デス!」 「うーん・・そうか、なるほど!へんなことかいてないか間違い探しか!」 一人目・・・・ 「以下の物品を購入したく存じます 1.デスクトップPC 8万ギル、業務処理のため新OSセキュリティアップ 2.表計算ソフト2万ギル 業務処理のため機能向上」 「ふむふむ正当な理由だな」 「3.かつ丼5000ギル 腹減ったため 4.宝くじ100万ギル分 一獲千金を夢見て!」 「バキューン!よし次」 二人目・・・ 「大きい取引先との打ち合わせのための出張旅費 1.魔ニアモータカー往復5万ギル 2.駅弁2万ギル 3.ホテル一泊3万ギル 4.部長へのお土産1万ギル」 「ふうむお土産とはいい心がけだ・・私費で出させるのはコンプライアンスに違反するとんでもない公私混同の慣習だからな、ここは妥当なところだ」 「4.子供へのお土産2万ギル 5.私へのお土産1000万ギル!」 「ドキューン!次」 三人目・・・ 「遊びに行くのでお金をください 300万ギル」 「ズギューン!次」 四人目・・・ 「妄想通貨、バイトコインに騙されて借金で手が回らない!助けて!5億ギル!」 「あんな胴元が「さあここにお金を置いてください、ある程度たまったら私が持っていきます」というあからさまなひどいシステムにやられるやつは社員として必要ない!パーン!」 人をもうけ話に刺そうということはそういうことだ 五人目・・・ 「おとなしく金を出せ・・・手を上げろ警察に通報したら許さないぞ」 「バキューン・・・もういいや!なんじゃこれ!」 「どこがゲームよ!」 「次だ次!変なもんばっかだなあ・・これはなんだ!?あ、景品ゲームだ!VRじゃない!」 「でも・・これ映像よ?どういうことかしら・・・」 映像クレーンゲーム・・・ 第2245話 (2019年1月2日投稿、2019年3月9日掲載) 映像クレーン 「トッテクレヨン」 「なんだろう・・・一見そうだけど、画面がなんか中継みたい 「説明書きがあるわ・・これはターキャーの景品置き場にあるクレーンゲームを遠隔で画面を見ながらどこでも取れるクレーンゲームですですって」 「ふむ・・世界中の映像クレーンゲームから同じ場所にある景品置き場にみんなでつながれて景品とろう!だってやってみよ」 するとよく見ると何前何万もの景品があたりにたくさんつまっていた! 「こりゃすごい!景品録り放題のよりとりみどり!ややっ入れる金額があるぞ・・回数せいかな」 「違うみたい・・普通のクレーン100ギル、スーパークレーン1000ギル、シャベルカーのクレーン10マンギルですって」 「なるほど、どれだけ欲張りに景品を取りたいかでクレーンを決めるのかよし普通のクレーン」 ウイーン・・ 「映像だから縦横わかりづらいな・・えーいこの辺・・おっ取れたぞ!」 エフエックスゼットくんガムゲット! 「転送されてきた!10ギルのじゃないか!」 「中には家とかあるわね・・土地は自分で確保してくださいって書いてあるけど・・・」 「シャベルカーでとるのかな・・・遠隔操作ならではだな!」 「なんか人が埋まってるわね・・助けてあげたほうがいいのかしら?」 「まあいいや次行こうか」 「しかしここにも人がいないわ・・本当にさびれて・・あら?誰か奥で手招きしているわ?」 「いってみよう!やや何だこの老人は」 「フォフォフォ・・・わしはVR爺じゃ・・ゴーグルをつけないでVRをやってみたいと思わないかじゃ?」 「でできるのそんなこと!」 「フォフォフォ・・・隣の部屋に入るがいい・・・あ、入場料10万ギルになります」 「たかい」 「何事も経験じゃ!やらないうちから拒否したのでは力にならぬぞ・・」 「そうでした・・さすがです俺たちが浅はかでしたはい10万ギルです」 「フォフォフォ毎度!じゃいってらっしゃいじゃ!」 ふと気づくとVRのおへやと書いてある部屋に入った・・ 「中に入ると・・・もうVRゾーンらしいぞこれ全部妄想か!」 「すごい・・・モンスターがうようよいるわ・・これが妄想だなんて・・・」 「ウルフフフ」 「猛獣がいるぜ!触ってみよう・・へえ妄想とは思えない手触り!」 「オレニフレルナ!シネエエエエ!!!!」 猛獣が襲ってきた! 「あははリアルー」 第2246話 (2019年1月2日投稿、2019年3月10日掲載) 猛獣強襲! 「うわあリアルなバトルシーンになったぜ!」 「グワオウ!ひっかき!」 「いてて!リアルに痛い!これはすごいぜ!乱れうち!」 猛獣は倒れた・・・ 「いやすごいなこれリアルだなあ」 「ここまで技術が進化したのね、妄想と現実の区別が全然つかないわ!」 「むしろこの妄想こそ現実といっていのではなかろうか!」 「グアワオ!」 猛獣がたくさん襲ってきた、が何ともなくナントカ倒した・・・ 「いやーギルも入ってくるリアル!なんという・・・出口に来たぜ!上る階段だ・・あれVR爺」 「おのれ・・・VRでさんざん妄想をたきつけ・・ここを妄想と勘違いし死ぬと思ったのじゃが・・まさか倒すとは・・」 「いやーこのVR爺さんもさっきの人そっくりのリアル!」 「なんてすごい出来栄えなのかしら!」 「・・・ここに昔住んでいた者たちが・・ワシから財産を奪った・・なので貴様らも死ぬのだあ!!!!」 「わあリアル」 VR爺が襲ってきた! 「VR光線!VRキック!VR妄想モンスター召喚!」 「うわあ妄想を生かした様々な攻撃だ!これ全部幻だとはすごいもんだ」 「凝った演出ね」 「よしVRだから手加減なしだ!みだれうちまくり!」 「ぎゃあ!」 所詮人間の幻?なんでナントカ倒した・・・・ 「お・・おのれ・・・まさかワシが・・・やられるとは・・・無念を晴らさずに・・こんな・・・うう・・た・・たすけてくれ・・今なら間に合う・・」 「あははやられ方も苦しみ方もリアルぅ」 「おの・・れ・・ぐふううう・・・だめだ・・もう死ぬ・・・バタ・・」 「死に方もリアルね!さあ次の階段に上りましょう!」 「あれ部屋出たら勝手に妄想切れるのかな、まあいいや!アハハ」 ふと気づくと4Fに上っていた・・・ 「スッポンポンヒルズ高いなあ・・あ目の前にエレベーターあるぜ乗れるかなチーン乗れた!」 「ナンカイニイキマスカ!?」 「今が4Fか・・4Fで宝を探したら上いこう!・・あれ?4Fと54Fしか押せないや」 「ほかのスイッチ壊れてるわね・・」 「まあいいや最上階へれつらごー!うはあすごいスピードで上がっていく!」 チーン 「パカっとついたぜ・・やや・・ここはなんだ・・この儀式場は・・!?誰かいるぞ・・何か祈っている・・裸の・・おじいさんだ!」 スッポンギヒルズの秘密・・・ 第2247話 (2019年1月2日投稿、2019年3月11日掲載) スッポンギヒルズの秘密・・・ 「マーマンダー・・・モーメンダー・・・トーデンダー・・・オーマイガー・・・コンブー・・・」 「何やら祈ってるわ・・・」 「こいつも妄想マンじゃないだろうな・・・ねえなにしてんの!」 「モーネン・・・ピタッ」 祈りをやめた老人はこちらを向いた・・・ 「なっなんだこいつは・・・全身裸で・・ひもでできたパンツを履いた爺さん・・・いったい!?」 「・・スッポンポンギの封印を解いたのは貴様らか・・・・」 「何お前」 「俺は・・・かつてターキャーにあったスッポンポンギを核から守り地下へ封印した・・スッポンポンギ夜の帝王スッポンポンガーだ・・・」 「なっ何んのだ! 「かつてこの世界は・・・持ってはいけない小者が核を暴発させ・・いったんぶっこわれたのじゃ」 「へー」 「気品も力もない小国が不相応に核を求め・・・その結果・・・世界は大混乱したのじゃ」 「ほー」 「その国はもう地図から姿を消した・・じゃが世界は・・・世界中の国から世界中に核が・・」 「こわい」 「そのためワシはこの町を・・地下に沈めた・・・世界が再生するまで・・・」 「もう再生されたんじゃない」 「信用はできぬ・・・!核で汚染されたらもう・・・昔も無理やりこの町を浮上させようとした男が何人もいたが・・断った」 「なにものだろう」 「最初は・・・デスプーチンという男・・次にくまのプーチン・・・そしてプーチンプリンという男・・その他いろいろプーチン・・どいつもロッシャーの男じゃった」 「へー」 「ロッシャーを強国にするために力を貸してくれと言われたが断った・・じゃが・・二人目の男だけは・・少し違った」 「なにが」 「フッ・・・・スッポンポンガーさん・・・もうこの町は地上に出たんだ・・安心して眠ったらどうだい」 「ふりむくと・・・アムロック!?なぜここに!」 「きっ貴様は・・くまのプーチン!」 ふと気づくとアムロック・・!? 「なんだと!アムロックがくまのプーチンだと!」 「フッ・・・ここに隠されたクリスタルが必要で・・浮上してもらいたかったんだが断られてね・・・当時変装したが逆効果だったようだ」 「アムロック強いんだし強引に浮上すればいいのに」 「フッ・・そうもいかないさ・・・強制は僕の本分ではない・・・だが謀らずとも君たちのおかげで浮上した」 「なんということじゃ・・・もうスッポンポンギの町はおしまいか・・」 「フッ・・・スッポンポンガーさん・かくしかさ・・」 「なんと・・もう大丈夫なのか・・・そうか・・・じゃ儀式もいらないな・・成仏しようしゅうう」 老人は消えた・・・ 「オバケ!!!!!!!!!!!!」 「フッ・・さあそれより・・ターキャータワーの鍵を取り給え・・・」 そこには・・老人のものと思われるガイコツがあった・・・ 第2248話 (2019年1月6日投稿、2019年3月12日掲載) ターキャータワーの鍵ゲット! 「やったー」 「フッ・・・では引き続きよろしく頼むよ・・」 アムロックは去っていった・・・一方その頃赤く燃える地・・・そのどこか・・ 「メラメラ」 あたりは儀式みたいな感じで真ん中に変な石があり、中に少女が入っていた・・そこに頭が火みたいな形の筋肉質な半裸の男が現れた 「クク・・・アポローニャの居ない今こそ宣言しよう・・俺が・・この俺、アヒーこそがここの王だと・・!」 すると・・・変な石の中に入った少女が口を開いた・・ 『駄目です・・・あなたのような野心家に王は任せられません・・・』 「むだだ・・この儀式の炎は今青い・・今入ったものが王となる!王不在の今こそチャーンス!えいっ!アチチ!」 『ああ・・・』 するとその男は全身が赤く燃えあがり、なんか光った・・・ 「これで・・俺が火の王となったわけだ・・む・・・な・・なんだ体と心が言うことを・・」 『残念ですが・・・ここの王となった以上この私のいう事を聞いてもらいます・・』 「な・・何を・・アチチまだやけどが・・嫌だ!俺は俺の行く道を行く!意志を強くもて!俺は火の王アヒー!」 『待ちなさい・・・!』 アヒーと呼ばれる男は去っていった・・ 『なんてこと・・アポローニャごめんなさい・・私がぐずぐずしているから・・しかも頭がよくないから私の命令も・・ああ・・なんてこと・・最悪のバカな王が・』 さてアヒーは自分の城に戻ってきた・・あたりは何万もの群衆と部下が待って歓迎していた 「ファハハ!我が首都ホノーノパレスのものどもきけい!俺は正式に火の 王となった!あとはクリスタル連邦で署名するだけだ!まあ形式だが」 「ははー!火の王アヒー様ばんざーい!」 「そうだ・・おい屈強なモエモエ将軍ちょっとこっちにこい」 「ははーなんでございましょう!私は炎を身に受けてもびくともしない最強の肉体を持っているという噂でもちきりですが」 鎧が筋肉でできている炎の男がアヒーの目の前に立った・・ ふと気づくとアヒーがニヤリと笑った 「ちょっと試したい・・ファイア!」 「ギャアアアアーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 ドシュン!!!!!ものすごい轟音とともにモエモエ将軍は消し炭になった・・ 「フハハハ!今のはただのファイアだ・・億単位のダメージになったのではないか・・フフ・・想像通り素晴らしい・・!」 「おおおおーすばらしい!これですべてはアヒー様のもとに集まるであろう!」 アヒーは両手を上げ天を見上げた 「フフ・・その通り!俺は最強になったのだ!アポローニャが戻ってきたらまずはあの小娘を消し炭に・・ん?」 視線を下ろすと・・あたりには誰もいなくなっていた・・ 「あれ?みんなどこいったのだ?この一瞬で?かくれんぼか?フフフ楽しそうだやってみよう」 「ククク・・・おろかな・・・」 後ろから声がしたので振り向くと・・黒いローブとフードをかぶった何かがいた・・ 第2249話 (2019年1月6日投稿、2019年3月13日掲載) 黒いフードのなにか・・・ 「なんだお前は・・それより・・皆の衆はどこに行った・・?かくれんぼなら相手になるぞ!」 「・・・処分したよ」 「なに?」 「お前がここの王だと・・・?仮にも火をつかさどる・・・・こんなゴミが・・?」 「何を言う!この俺をバカにするか・・どこのどいつだきさま!いいだろう・・・バカにしたものが本当はバカだということを教えてやろうバカ野郎!死ねい!」 火の王アヒーが黒いフードに襲い掛かった!手からシュボっと火を出した 「フフ・・驚くなよ・・この威力!ファイア!シュボ」 「アチッ!」 「なに・・・ファイアがほとんど効かないだと?億ぐらいいってるはずだが・・」 「・・・」 「では・・・ファイガならどうだ!兆はいく勢いだ・・!でやファイガ!シュゴボイボイボイン」 「アチチッ!」 「なんだと・・・?ほとんど効いていない・・?そうか・・貴様は炎耐性があるのだな?ライブラ!・・ピピピ・・」 炎にすごく弱いと出た 「ば・ばかな・・・炎が弱点・・だと?それできいていない・・?」 「ククク・・もう終わりかい?炎の使い方を知らない火のものか・・・クククこれは傑作君だ・・」 「おのれおのれい!食らえ・・俺様が秘密裏に知った・・今やほぼ知る者もいないという最強に大体近い黒魔法・・炎のヴァイラガーニャ!!」 シュゴオ!炎のドラゴンが火炎流となり黒いフードに襲い掛かったゴオオオオ!!!!!!!!シュボボボ!!!!!もくもく・・ 「ハアハア・・・MPをほとんど使いきってしまったか・・やったか・・!?」 一方その頃・・・ 「さて・・・相変わらずやかましいねここは・・・ポコペン大魔王に闇は任せるとして・・・うっふんふん・・ホノーノパレスでアヒーが野望をもとに変なことしてなきゃいいけど・・戦争の準備をお願いしないと・・おや?」 アポローニャがシュンと降り立ったが・・ホノーノパレスには誰もいなかった・・・ 「変だね・・・ここが一番活気あるはずなんだが・・・アヒーのバカはどこだい?うっふんふん」 城の玉座に飛んでいくと・・何か黒い塊があった ふと気づくと黒い塊・・・ 「な・・なんだいこれは・・・何かが焦げた・・肉を焼きすぎたかのような・・こ・・これは・・頭に「アヒー」の入れ墨・・まさか・・・うっふんふん」 すると柱の陰で黒いフードがクククっていた・・ 「ククク・・なんだあの女は・・まあいいこれでガラフィーが仕事をしていない証拠はつかんだ・・ではいくかシュッ」 黒いフードは消えた・・ 「し・・しっかりなアヒー!こんなところで焼けてなにやってるんだい!・・だめ・・死んでいる・・これは一体・・うっふんふん?」 あたりは静寂に包まれていた・・ 「しかたない・・・あの方のもとに行ってみよう・・何かわかるかもしれない・・・うっふんふん」 アポローニャがまた飛んでいきあたりは完全に静寂の都市となった 第2250話 (2019年1月6日投稿、2019年3月14日掲載) 一方ベリュルたち 「ひゃっほー!これでスッポンポンタワーに入れるぜ!」 鍵をもって入り口に行くとなんと鍵が開くぞ!そして中に入ると・・・ 「な・・なんだここ・・・」 そこはまるで町のようだった・・・ 「建物の中に町・・・ショッピングモールみたいなかんじ!」 「みて!人が歩いているわ!」 「ほんとだ!どういうことだこんにちは俺はベリュルお前たち何」 「おおお客とは珍しい!ここはスッポンポンタワー!戦争後備蓄の食糧でなんとか中の人間たちが生き延びてきたのさ!ただ鍵をなくして出れなくなったがね」 「ほほう」 「1兆年分の食糧を備蓄していたおかげで中はずっと滅びずに済んだのだ!君がカギを開けてくれたんだね感謝する!」 しばらくすると外からの観光客がたくさんやってきた・・・ 「復興早いな・・おや?」 「ばかもんが!!!こんなものはハンバーグとは呼べぬ!!!!失格だ!」 効いたことのある怒鳴り声がするので興味がある方は行ってみようプレイヤーはつられて行ってみた・・声の方向にいってみよう 「いくと・・・山田ハンバーグというお店があるな・・はいってみよう・ややっ!」 そこには・・・なんとウナバラが店主に怒鳴っていた 「またお前か!難癖やろうめ!」 「むむ・・また貴様らか!しかしこの店の愚かなことよ・・キャベツの千切りを固めたものをハンバーグと呼んでいる」 「それは確かに」 すると坊主の店主がベリュルたちに寄ってきた!ふんどしで青坊主でこわもてでカブキみたいな顔をしている 「んだてめえコラッ!おれのハンバーグにケチつけようってか?あ?おめえならもっとうまいもの作れるんか?あ?お?え?お?え?ラア!」 「もちろんだぜ!キャベツだけなんてハンバーグとはさすがにちょっと!」 「ふあーーーっはっはっは!貴様にハンバーグの何がわかる!ベリュルめ!」 「なっなんだと!」 ふと気づくとハンバーグの何がわかる! 「わかるぜ!俺はハンバーグ大好きだぜ!」 「では貴様に聞こう・・・ハンバーグの真髄とはなんぞや?」 「わかんない!うまいことだぜ!」 「このたわけがっ!うまくていいのなら柿の種でもなんでもいいということになろう!よし・・店主の山田よいまから我らがハンバーグ対決を行う!負けたほうが死ぬ!いいな!」 「おういいぜ!やってみろやどうせおれっちのキャベツよりまずいんだろうけどな!」 「よーしそうとなればまずは材料集めだ!」 「ちょっと待ってもらおう!」 ウナバラの提案・・・! 次 第2251話~第2260話
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午前の仕事をこなし、一息つく。 監督役の通達で明らかになった3騎の脱落者。 キャスターに関しては早朝にランサーと話した通り麻薬を打っていた女性の事であろう。 セイバーとアーチャーに関してもそれらしき事件の調書は発見できた。 一つ目はミッドタウンで起きた爆発事故。 周囲に被害がないにもかかわらず、焼死した人の群れ。 ところどころに破壊された後もあった事から爆発事故として処理をされたそうだが、事故として片づけるにはあまりに不可解な状況はこれがサーヴァントの仕業であると推察できる。 二つ目はアップタウン港湾地帯で起きた殺人事件。 見つかったのは首を切断された少年と広範囲にわたって破損したコンテナ、そして何かが焼け焦げたような跡。 他にも複数の事件はあったが、大規模な破壊の跡や不可思議な痕跡のある事件としてはこの二つが際立っていた。 (どちらの事件にも炎、あるいは高熱を帯びた何かが関わっているように思えるが、どう思うランサー) 『同一のサーヴァントによる事件、そう考えてらっしゃると?』 (可能性としてはありえる。犯行は別日、現場もそこまで遠くはない) 『ふむ、それにしては港の事件の青年の遺体、こちらが気になりますね』 ランサーの声に促され調書に再度目を通す。 首を切断された殺害された青年と、表向きは爆発事故の犠牲になったとされる焼死体達。 (何故この青年だけ焼死していないのか、そういう事かな) 『ご名答、恐らく爆発事故の方はセイバーかアーチャー、どちらかのマスターも含めて焼死したのでしょう。他に死体はありませんから』 (なのにこの青年は焼死ではなく首を切断されて死んでいる。それが気になると) 『無論、広範囲の人間を焼死させるのに比べて人一人を殺害するのに焼死に使う魔力の無駄と考え消費を抑えた、といった見方もできますので断定は出来ませんがね 加えて、こちらの港の事件の調書を見るに二か所で戦闘が行われたらしき形跡もあります。ともすれば、こちらの下手人はサーヴァントではない可能性も考慮すべきかと』 (……それは厄介だな) 本来は魔術師なる人種によって行われるという聖杯戦争。 オカルトめいたものを信じるのは非常に癪ではあるが、現にその存在を目撃し、かつ巻き込まれている現状、そういったものが存在すると認めざるをえない。 問題はそんな超常めいた力を用いる人種を相手に一般人でしかない私が相対したところで打つ手がないという事だ。 (結局わかった事といえば何かを発火させる能力を持った主従がいる、という事くらいか) 『本格的に事が始まる前に尻尾を掴ませる主従というものの方が少ないですからね。 彼らが発見され事により脱落したのか、それとも返り討ちにされたのかはわかりませんが、詰めが甘かったかあるいは運が悪かったのでしょう』 ランサーの嘆息交じりの声を聴きながら調書をしまう。 ……港の事件の被害者はまだ若い少年だった。 そして、爆発事故の中で唯一の少女の遺体、確証はない、確証はないのだが彼女がマスターであるという疑念はぬぐいきれなかった。 想像したくもないが、私よりも若い命が既にこの地で命を散らしたと考えると、やりきれない思いが胸にこみ上げる。 『思いつめた顔をしていますよ』 ランサーの言葉にハッと我に返る。 どうやら顔に出てしまっていたらしい。 (改めて、この戦争が度し難い、そう思っただけだ) 『ならばその思いはこれを開催したものを暴いた時に、真実に辿り着き黒幕に出会った時にぶつけるまでとっておきなさい』 (……そうだな、そうすべきなのだろう) 最後に、自分がいま関わっている調書を確認しなおし、しまってから席を立ち、部屋を出る。 マローニというマフィアの関与したこの案件もほぼチェックに手がかかった状態となった。 物理的な妨害に遭うこと数回、聖杯戦争とは関係のない事柄で命を狙われるとは思いもよらなかったが、ランサーの手を借りることなく、よくここまで漕ぎ着ける事ができたというものだ。 「やあ、ミツルギ。これからランチかい?」 不意に声がかけられた方向を見ると、見知った顔、この場所での同僚の一人がいた。 ハーヴェイ・デント氏。 私が来るまでは冥と人気を二分していたゴッサムを代表する検事だ。 古くからこの街で辣腕を振るう人当たりのいい好人物であり、この検事局の先輩格でも最も信頼できる人物ならば、私もこの男を挙げるだろう。 「ええ、そのつもりです。デント検事」 「そうか、私もちょうどランチに行こうと思っていたところだが……」 チン、と軽い金属音と共に、デント氏が片手に持っていたコインを弾く。 宙を舞い落下するコインは吸い込まれる様にデント氏の手の甲へと落ち、軽く乾いた音を響かせながら、空いた手のひらとでサンドされる。 手のひらをデント氏がゆっくりと開く、手の甲に置かれたコインは傷のついた表を示していた。 「ふむ、今日はランチをご一緒しない方が良さそうだ」 些か残念そうな口振りでデント氏はコインをしまう。 迷った時にはコイントスで決めるという彼の一風変わった癖だ。 それを裁判の時にもパフォーマンスめいて行う点については閉口をするが、まあ、裁判長や弁護側に鞭を振るうよりかは幾分マシかもしれない。 私も冥も彼からは気に入られている。 どうやらこの街で私達の様な、所謂何があっても悪党に屈さない人種は貴重な存在らしい。 この街の警察は腐敗している。が、検事とてそれは同様だ。 金、薬、女、ありとあらゆる汚職の種は検事局にも蔓延っている。 そして、それでも骨抜きにされないのであれば暴力の行使。 この様な環境ではまともな検事など育たなくて当然だ。 現にデント氏もかつての公判で硫酸入りのカプセルを投げつけられ、危うく顔の左半分が焼けただれるところだったのだという。 警察にいる友人とやらの助けもあったとはいえ、それでも毅然と模範的な検事であることを貫いている様は、例えNPCであったとしても同業として敬意を覚える。 「それは残念です。よろしければまた次の機会に」 「ああ、そうするよ。今度はメイも誘って皆で私の家で夕食でもとろう。ギルダも君達が来ると言えばいつもより腕を振るってくれるだろうからね」 手を振り、別れを告げるデント氏を見送ってから外へ出る。 今日の昼食は手頃な値段の軽食で済ませる事にした。 気分を変えて普段は入らない様な店に入る。 店の中に入るとマライア・キャリーのクリスマスソングが耳に飛び込んできた。 12月も下旬という時期に設定されたこの架空の町ではどこでもクリスマス一色だ。 カウンターに座ってクラムチャウダーとクラブハウスサンド、食後に紅茶を注文する。 窓からは見える街並みは晴れ晴れとした太陽の光を受けているにも関わらず、数日前に比べて人波や活気に乏しい、それは見えない恐怖に襲われつづけ不安に怯えるゴッサム市民の心情を表しているかに思えた。 チリン、と店の扉に備え付けられた、来客を知らせるベルが鳴る。 隣に人の座る気配を感じ、横目でチラリと見やると、前髪に白いメッシュの入った青年が座っていた。 彼もまた、クラムチャウダーとクラブハウスサンドを注文する。飲み物は私と違いホットのコーヒーを頼んでいたが。 「はい、クラムチャウダーとクラブハウスサンド」 店員が食事を持ってきた、が、そこで目が止まる。 たっぷりのレタスとローストしたチキンとトマトを挟み込み、ピンで止められたクラブハウスサンド、それはいい。 だが、問題はクラムチャウダーだ。 赤い、とにかく赤い色をしている。 クラムチャウダーといえば牛乳がベースの白いスープの筈、確かに貝の身は入ってるが、これは別物ではないだろうか。 しかし、さっきの店員は間違いなく"クラムチャウダー"と口にしていた。ならば同名の料理という可能性もある。 『どうかしましたか、料理になにか?』 (う、うム、いや、なんでもない) 不審げな調子のランサーの念話での問いに生返事で返す。 この町の一般的な知識に関しては、聖杯戦争の参加者として呼び出された際にどういう原理か頭に刷り込まれたが、たった一杯のスープ料理の知識までは生憎とフォローはされていない。 ここは物を知らない人間と思われようが、店員に確認をすべきだろうか……。 「そいつはマンハッタン風のクラムチャウダーさ、牛乳の代わりにトマトとコンソメで煮込んである」 不意に小声で声をかけられた。 私の困惑を見透かしたかのような言葉にギョッとして声が聞こえた方向を見る。 声の主は先程の青年。口許には笑みが浮かんでいた。 「失礼、ミスター。どうもそいつを見て難しい顔をしてるから、もしかしてと思ってね。もしも別の事でお悩みだったんなら謝るよ」 「ム、これはすまない。ご教授感謝する」 バツが悪い。 ランサーの鼻で笑う音が聞こえた。 念話でもしなければ聞こえないものをわざわざ聞かせてくるあたり、我がサーヴァントながらなかなかいい性格をしている。 店員が私の席の後ろを通る、私に話しかけてきた青年の注文も来たらしい。 気を取り直して食事に向きなおる。 クラブハウスサンドを一口。 しっとりしたパンにしみ込んだソースとマヨネーズ、そして肉のうま味と野菜の瑞々しさが口の中に広がる。 シャキシャキしたレタスの触感も楽しみながら嚥下し、件のマンハッタン風というクラムチャウダーにスプーンを持った手を伸ばし、掬い上げる。 出来立てでほかほかと湯気をたてるそれを、恐る恐る口に運ぶ。 「……ほう」 今まで口にしてきたクラムチャウダーとは別物の味である。 が、いい意味で予想を裏切る味だった。 コンソメの上品な味わいをさっぱりとしたトマトの酸味がまとめたスープ。 そのスープによって煮込まれた二枚貝は噛みしめる度に魚介のうま味をプラスする。 サンドを一口、スープを一口のローテーションが出来上がっていく。 気付けばすべてが胃袋に収まっていた。 初めて入った店ではあったが、どうやら当たりを引いたらしい。 もっとも、今飲んでいる紅茶に関してだけは、自宅で淹れたものに比べて断然劣るものではあるが。 「初めてのチャウダーは口に合ったかい、ミスター」 紅茶を飲み、一息ついているところに先ほどの青年が再び話しかけてきた。 どうやらあちらも食事は終わったらしい。 「ああ、こういったものもあるのかと新しい発見をさせてもらった。 まだこちらに来てからは日が浅い身でね、食文化についてはさっぱりなところがあったから助かったよ」 「ハハ、検事先生にも知らない事があるって事か」 親切にも教えてくれた人間との会話を無下にあしらうのも悪いと思い返答する。 が、彼の発言を聞き自身の顔が強張ったのを感じた。 「失礼、私は君に自分が何者であるかを名乗ったか、あるいはどこかで出会った事があるだろうか」 「いや、初対面だし、名乗ってもらってもいないな」 「……では、何故私が"検事であること"を知っているのか、答えていただきたいものだが」 視線が鋭くなり、緊張が高まっていく。 会ってすぐの人間に自身が検事であるなどと言われた経験は滅多にない。 そして、私の態度が変わったというのに、青年はその笑みを変える様子はない。 (ランサー) 『特にサーヴァントの反応は感じられません、が油断は禁物かと。隠密に長けたサーヴァントもいますので』 (アサシン、暗殺者のサーヴァントか。いつでも実体化できる準備をしてくれ) 『承知しました』 ランサーの声にも緊張の音が籠っていた。 考える事は一緒らしい。 「すまんねミスター、変に警戒させちまったようだが、その気はなかったんだ。ただね、あんたはあんたが思っている以上に"有名人"なのさ」 青年がおどけた調子で両手を掲げ、手のひらを見せる。 それは私たちに危害を加えないという証明なのだろう。 「"ハーヴェイ・デント""メイ・カルマ"に続いてやってきた法曹界の正義の剣 ソード・オブ・ジャスティス 、"レイジ・ミツルギ"大層な名前で呼ばれたもんだな、あんたも」 正義の剣 ソード・オブ・ジャスティス 、私の御剣という苗字にあやかって一部のマスコミがつけているあだ名のようなものだ。 紙面で書かれた時は冥を含む検事局の面々にからかわれたものだが。 「とりあえず、新聞に取り上げられるような男がだ、そんな目立つ服装で街中を歩いてりゃわかる奴にはわかっちまうって訳さ。 気をつけた方がいいぜ、あんたらを鬱陶しがってるゴロツキどもなんて山ほどいるんだからな」 くくっ、とひきつった笑い声を上げながら、青年はそう続けた。 「……忠告はありがたく受け取っておこう。それで何か用件でもあるのではないかね」 「まさか、俺はただ昼飯を食いに来たら見たことある有名人がいたから、興味半分であんたの横に座っただけさ。 ああ、"法曹界の正義の剣 ソード・オブ・ジャスティス はマンハッタン風のクラムチャウダーを知らなかった"って教えてやれば、 カストリ雑誌の記者どもあたりが喜んでくれるだろうから予定外の収穫はあったがね」 「冗談でもやめてもらおう」 そんな記事を書かれたら冥に何と言われるか分かったものではない。鞭の2,3発も覚悟せねばならないだろう。 「ま、という訳で別にやりあう気なんてないのさ、ミスター。気を悪くしたって言うならすまなかったな、謝るぜ」 「ム、いや、こちらも少々過敏になり過ぎていたようだ。すまなかった」 青年の砕けた物言いにつられた事もあり、一旦警戒心を和らげる。 とはいえ万が一もありうる故にランサーには警戒態勢を維持してもらう。 「あんたから見て、この街はどう思うミスター。まあガキの時分から住んでる俺にしたってここがいいところとは口が裂けても言えんがね」 唐突な青年の質問。 その言葉から青年が地元の人間であるという事が読み取れた。 どう返すべきかと思考を巡らす。 「ここまで犯罪が横行している街、というのは初めて見たな」 「ははっ! きっぱりと言ってくれるじゃないか」 青年が口を開けて笑う。 少なくとも私の返答は彼にとってお気に召すものだったらしい。 「だがそうさミスター、この街は犯罪だらけ、警察も検事も裁判官も揃ってグルなくそったれの街なのさ。どんな悪事だってこの街の闇が隠しちまう」 「しかし、そんな中でも法と秩序の元、その闇を晴らそうと努力している人間達もいる」 「そいつらだって、切欠さえありゃ転げ落ちるんもんさ、ミスター。清廉潔白な検事様だって些細な事で道を踏み外しちまえば忽ち悪党 ヴィラン 、街の闇の仲間入り。 あんたの知り合いにはそんな経験をした奴はいなかったのかい?」 青年の言葉を受けて返答に詰まる。 厳徒海慈。宝月巴。 警察局局長や検事局主席の検事であったが些細な不運から犯罪に手を染めてしまった二人。 決して短くはない検事生活の中で、そんな人間を何度も私は見てきている。 そして私自身、あの事件がなければ何かの間違いでそうなっていた可能性も否定はできない。 我が師であり、父を殺したあの人のように、何かの間違いで罪を犯していた可能性もだ。 「沈黙は肯定って事だぜ、ミスター」 「そうだな、誰だって道を踏み外す可能性はある」 深く息を吸って、吐く。 改めて挑戦的な笑みを浮かべる青年のその目へと、視線を合わせる。 「だとしても、私は彼らの持つ善性を信じていいものだと思う。私たち検事や警察は真実を追求し、その裏に潜む何かを突き止め、明るみに出す事こそが存在意義だ。 少なくとも私は、"真実を追求すること"を諦めようなどとは思わない。例え誰が相手でも、どんな困難が待ち受けていようとも、だ」 視線と視線がぶつかりあい、沈黙が生まれる。 『臨時ニュースです』 沈黙を破ったのは店のテレビから流れたニュース速報だった ミッドタウンのフォートクリントン地区で起きた大量殺人事件、しかも全員が笑った姿で窒息するという怪死事件だ。 (ランサー) 『わかりません、が。この異常性は疑ってかかるべきかと』 「すまない、悪いが私はこのあたりで……」 ランサーの言葉に内心で相槌を打ち、警察側から要請があった時の為に検事局へ戻る為に、青年に一言告げようとして、私は言葉を止める。 青年は今の放送を呆然とした表情で聞き入っていた。 まさか、一つの疑念が私の中で膨れ上がっていく。 「君は、あの事件についてなにか心当たりがあるのかね」 その言葉で青年はハッと我に返った様子だった。 「そう見えるかい」 「そうとしか見えなかったら尋ねている」 青年は笑みを浮かべて答えるが、その顔には明らかに余裕がなくなっていた。 疑念が確信に変わる。 この男はあの事件に対してなんらかの事柄を知っている……! 「俺が言えるのは忠告だけだ、ミスター。俺の予想が正しいなら、あんたはこの事件に関わるべきじゃない。 あんたみたいなのは食い物にされるだけ、ああいう手合いは俺みたいのに任せて、あんたは行儀のいいマフィアどもで相手にしてな」 「待て!」 そう言って去ろうとする青年を止めようとした時、急に背後か強い力で肩を引き寄せ動きを止められる。 何事かと後ろを見るとランサーの姿、その眼鏡の奥から険しい視線が青年を睨んでいる。 つられて青年へと視線を戻すと私と彼とを分断するように、白髪の青年が立っていた。 サーヴァント、そう認識してパラメーターを確認する。アサシン、暗殺者のクラスのサーヴァントの情報が視覚を通して流れてくる。 「メイって姉ちゃんとどっちかだとは思っていたが、あんたがマスターだったとはね、ミスター」 「君も、マスターだったのか」 その問いには答えず、青年は困惑する店員に金を払い、店を後にする。 バイクのエンジン音が響くのと同時に彼のサーヴァントがその姿をかき消す。 つまりはここから離れたという事なのだろう。 ここにいては怪しまれると思い、私も代金を払ってその店を後にする。 「……まんまと逃げられたな」 『そのようですね』 検事局への道を歩きながら思考する。 彼の発言に一つ引っ掛かる事があったのだ。 彼は、私か冥、どちらかがマスターだとあたりをつけていた。 何故私と冥の二人だったのか。 検事であるならば有名どころといえるのは私と冥以外にもデント氏がいる。 何故、青年の中で彼は除外されていたのか。 思考する。 私と冥、デント氏との違い。 一番の違いは活躍の期間だろう。 デント氏は古くからこのゴッサムで活躍している検事だ、それに対して冥と私は時期こそ違えどここで活躍している時期は明らかに短い。 そして、思い返せば、彼はこの街が地元のような発言をしていた。 だが、ここは存在しない架空の街の筈だ。現に私のしるアメリカにはゴッサムシティなどという街は存在しない。 架空の電脳世界において地元のようにふるまう人間と、そこで古くから活躍していたが故にマスターの候補から外されたデント氏。 一つの可能性が頭をよぎる。 (ランサー、一つ確認したい事がある) 『なんでしょうか?』 (私はこのゴッサムという街を架空の街だと認識していた。私の世界にはないものだからな。 だが、その前提はもしかしたら間違っていたのかもしれない。だから君に確認したいのだ。 "ゴッサムシティ"という街はいずれかの世界に確かな街として存在しえるのか?) 『……結論から言うとそれはYESです。聖杯から与えられた知識の中には、この舞台がアメリカ合衆国の中に確かに存在する街をモチーフにしているとありました』 やはりか。 ならば、あの青年が私と冥をマスターの候補と考えた理由にも検討がつく。 (ランサー、あの青年とは恐らく早急に再度接触をすべきだと私は考える) 『ほう、その理由は?』 (彼が本来のゴッサムシティから呼び出された住人だからだ) ほう、とランサーが興味深げな声を漏らし、言外に続きを促す。 (私と冥が疑われ、デント氏がマスターの嫌疑から外された理由、それは私と彼女が彼の知るゴッサムにとって明らかな異物であるからだ。 それはそうだろう。自分の知る街に自分の知らない人間がいたのであれば、その部外者がマスターである可能性は高い。 そして、先ほどの事件、おそらくあれを起こしたのもゴッサムシティから来た人間か、あの街由来のサーヴァントだ。でなければ彼の反応に説明がつかない。 ゴッサムシティを知る彼ならば、何か有力な情報を持っている可能性がある。だからこそ、彼とは今一度接触をすべきなのだ) 『なるほど、しかしどうするのです? あてなどないでしょう』 (あてならあるさ) 彼が向かったのは間違いなく怪死事件の現場だ。 彼が捨て置けない何かがあの事件の関係者にはある。 ならば、あの事件を調査すれば自然と彼に会える可能性は高くなる筈。 足早に検事局へと向かう。 一筋の光明が見えた気がした。 【MIDTOWN COLOMBIA PT/1日目 午後】 【御剣怜侍@逆転裁判シリーズ】 [状態]健康、平常 [令呪]残り三画 [装備]ブラックコート、黒いウェストコート、ワインレッドのスーツ。 [道具]検事バッジ [所持金]現金が数万程と、クレジットカード [思考・状況] 基本:やはり聖杯戦争は許し難い。何としてでも止めねば 1. 仕事を放棄してはいられないので、検事としての本分も果たすつもり 2. 青年(レッドフード)と接触し、詳しい話を聞きたい 3.ランサーとは共に行動する事を徹底させる [備考] ※検事としての権限を利用し、警察の捜査資料を調べ上げました ※内部から身体を破裂させて対象を殺す殺人鬼(デスドレイン)をサーヴァントではないかと疑っています ※ヤモト・コキが聖杯戦争の参加者であると認識しています。同盟も組めるかもと思っていますが、立場の問題上厳しい事も自覚しています ※キャスターと思しきサーヴァントとそのマスターを殺した存在(レッドフード&チップ・ザナフ)をサーヴァントと認識しました ※脱落したサーヴァントとの戦闘らしき事件の調書から炎、あるいは熱に関する能力を持ったサーヴァントがいる可能性を認識しました。 ※アサシン(チップ・ザナフ)の ※素顔のレッドフードに接触しました、レッドフードが本来のゴッサム住民である可能性に気が付きました。 【ランサー(ジェイド・カーティス)@テイルズオブジアビス】 [状態]健康 [装備]マルクト帝国の士官服 [道具]フォニックランス [所持金]御剣に依存 [思考・状況] 基本:御剣に従う 1. 他サーヴァントの情報をもっと集められないか 2. 殺人鬼(デスドレイン)が犯行現場に残した黒いタールの残留を調べたい [備考] ※殺人鬼(デスドレイン)がサーヴァントであると疑っています。犯行現場に残したアンコクトンの残骸を調べれば、確証に変わります ※ヤモト・コキが聖杯戦争の参加者である可能性は非常に高いと認識しています ※キャスターとそのマスターを殺した存在(レッドフード&チップ・ザナフ)が間違いなく聖杯戦争の関係者であると考えています ※脱落したサーヴァントとの戦闘らしき事件の調書から炎、あるいは熱に関する能力を持ったサーヴァントがいる可能性を認識しました。 ※アサシン(チップ・ザナフ)と素顔のレッドフードに接触しました、レッドフードが本来のゴッサム住民である可能性に気が付きました。 何でだ。 バイクを走らせながら疑問がぐるぐると脳裏を駆け巡る。 ここで悪党狩りをやって幾日か、あの目立ちたがりの糞野郎は今まで何も痕跡を見せなかった。 それがどうして今になって思い出したかのように現れやがった。 『おい、本当にあの事件の奴がお前の仇なのか?』 (あんな悪趣味な真似するイカレ野郎、他にいる訳がねえだろ) あのニュースの時に、アサシンには殺したいと願ってる奴がこのゴッサムにいることを伝えた。 サーヴァントとして呼ばれたのか、マスターとして呼ばれたのかはわからない。 だが、どっちだろうと関係なんてない。 奴は、必ずここで殺す。 サーヴァントだったら改めて聖杯を狙う。 マスターだったなら万々歳だ。 『そういやあの検事はどうするんだ』 (ありゃ見るからにお人よしだ、今は敵対する理由はねえさ) ミツルギとかいう検事は間違いなくこの街じゃあ早死にするタイプの男だった。 多分あれはディックと気が合うタイプだな、俺はあそこまでお利巧さんじゃないから付き合うのは少々疲れそうなタイプだ。 わざわざ敵を増やす真似はしたくねえし、今のところ分かってる敵は二組。 おまけに覆面男とバスターとかいう乱入者ともいい関係とは言えねえし、そこら中敵だらけじゃ動きづらいにも程がある。 気を取り直してバイクのグリップを強くにぎる。 なあ、ブルーシィ。 ここには俺がいて、あいつがいる。 本当にあんたはここにいないのか? いないと思わせておいて、いざって時に俺を邪魔するのは御免だぜ、あんたはそういう奴だからな。 そういや、ティムやディックはどうしてるのかね。 こっちに来てからは会ってなかったが、まあNPCだったとしても会わない方がいいだろう ……本物のあいつらには、こんなくそったれな所に来ていて欲しくはないしな。 【MIDTOWN COLOMBIA PT/1日目 午後】 【レッドフード@バットマン】 [状態]健康 [令呪]残り3画 [装備]オートマチックの拳銃 [道具]拳銃の予備弾薬、その他幾つかの武装 [所持金]5千円程度 [思考・状況] 基本:聖杯にジョーカー殺害を願う。悪党は殺す 1.ジョーカーと思わしき人間が行った事件現場に向かい、ジョーカーの痕跡を調べる 2.白い覆面の男(ロールシャッハ)、バスターに警戒。 3.新興の犯罪組織(志々雄)を潰す。 4.ミツルギ達に対しては今のところ敵対はしない [備考] ※アサシン(シルバーカラス)バスター(ノノ)の外見、パラメーターを確認しました ※御剣をマスターと認識しました。ランサーの外見、パラメーターを確認しました 【チップ=ザナフ@GUILTY GEARシリーズ】 [状態]健康 [装備]ウバステ [道具]なし [思考・状況] 基本:マスターに従う 1.ジョーカーと思わしき人間が行った事件現場に向かい、ジョーカーの痕跡を調べる 2.フードの男(シルバーカラス)、バスターに警戒。 [備考] ※アサシン(シルバーカラス)バスター(ノノ)の外見を確認しました ※御剣をマスターと認識しました。ランサーの外見、パラメーターを確認しました BACK NEXT 031 Black Rock Theater 投下順 033 Scramble 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 001 トリックとマジック 御剣怜侍 ランサー(ジェイド・カーティス) 016 Hooded Justice レッドフード 040 BLACK LAGOON アサシン(チップ=ザナフ)
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お兄さんの引越し 20KB ・初投稿です ・にんげんさん主体ですが虐待としては軽め目かな 「お兄さんの引越し」 「お前さん、ゆっくりは好きか」 そう、お茶とお茶請けを持ってきた男が問いかけた。 秋も終わり冬になりかけている季節になり、俺は仕舞い遅れた夏服を整理していた。 そんな作業の途中「オーヤですけど!」と玄関をガシガシ叩きながら呼びかける声に応じ 今俺が住んでいるアパートの大家さんの部屋に上がったところだ。 お茶を俺の前に置いた大家さんに俺は軽く礼を言い、最初に投げかけられた問いに答えを返した。 「ゆっくりですか? そーすね、見た目がそそられますね。 見たら一思いに食べちゃいたいぐらいですね」 そう言いながら、お茶請けに出された一口サイズゆっくりを俺は一思いにかじる。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」 と叫びつつ絶命するお茶請けはとても甘い。 大家さんは俺が来ると必ずこれを出してくれる。 「そうか、食べちゃいたいぐらい好きなのか。 目に入れても痛くないって言ったりするか?がはははは」 大家さんは嬉しそうに大笑いをしていた。冗談が好きだな。 「ははは、さすがに目には入れませんよ。 両手に抱えるぐらいなら、どんと来いですね!」 「そうかそうか、どんと来いか! そんな沢山でも良いのならばお前さんに任せてみるかな!」 そう言って立ち上がる大家さん。 「ええ、ゆっくりは好きですねぇ。 毎日ゆっくりがあれば言うことないですよ。本当ですよ」 俺の答えを聞き終わる前に大家さんは一人で奥に行ってしまう。 突然の質問にわけもわからずも俺は二つ目のゆっくりを口にほおばり舌で転がす。 一口サイズのゆっくりは、その名の通り丁度口の中に納まる為、色々と楽しめる。 「ゆ゛っゆ゛・・・れ゛いむ゛どげでじま゛う゛ぅぅぅぅぅうううう・・・」 口の中のゆっくりが溶けきった頃に、大家さんが資料を持って戻ってきた。 さっきと打って変わってまじめな顔で本題に入る大家さん。 「実はな今日来てもらったのは重要な告知でな。 近々このアパートを取り壊すことになるんだよ」 「ちょっwwwまっwwwwww」 冗談?本気?なに?いきなりお家なくなる宣言??? あれか・・・アメリカのサブプライムローンか!! あの影響が俺の町まで来たのか・・・他人事だったのにな・・・ そんな慌てる俺の表情を見て大家さんも間違えたような顔をした。 「おいおい、お前さん何をあわてておる。 建て直しだよ、建て直し。アパートのりぬーあるだよ」 大家さんから一通り説明を受けたところ以下のような説明を受けた。 俺が今住んでいるアパートはぼろ過ぎて新しい住み手が全然居ない様だ。 そこで、立て直すことでまた住人を増やそうとしている意思を強く話していた。 どれくらいぼろいかと言うと風呂がないとか玄関が共同で引き戸とか? 全体的に昭和っぽかったりするのもそうかな? これはこれで安さ相応でいいと思うんだけどな・・・。 やはりリニューアルすることで家賃は高くなるようだ。 「うー、その値段はきびしぃですねえ」 そして、早急の問題になりそうな事を尋ねてしまう俺。 「しかも、俺は一時的に家がなくなるじゃないですか。 他の人には説明したんですか!?」 「お前さん以外は午前中に電話で済ましたよ。 工事は2月頭予定とさっき言っただろ。 これは契約通りで逆らいはできんよ」 あぁ、数ヶ月前に説明したら一方的にアパートを追い出せるんだっけ?そうだっけ? 「はああ、これから寒い越冬を迎えるのに 住むところから探しなおしなのかぁ・・・」 ぼやくだけぼやいとけと思い大家さんに向かって溜息を投げつける。 大家さんはそんな俺を見てがっはっはと笑ってこう答えた。 「心配はいらん、お前さんに良い家を貸してやるぞ」 俺が驚いた顔をし、にやり顔で大家さんが資料を広げた。 「なあに、お前さんとは一番長い付き合いになったしな。 お前さんさえ気に入れば、貸してやろうと思ってな。 いや気に入るはずじゃ、一戸建てでとてもゆっくり出来るぞ。 今住んでいる家賃と同じ値段で貸そうと思うんだが、どうだ?」 今の家賃と同じ値段で借りられる? 「一戸建て????」 破格も破格。そんな安さならば、場所や環境など問うわけがない。 あれか、欠陥住宅とか事故住宅か? 「もう全然オッケーですよ!」 そうして、詳細なんて左から右で適当に聞いた俺は その場で即オッケーの返事を出し引越しすることになった。 引越しは全部自分でやることにした。なるべく安く済ませるためだ。 運搬用の軽トラックは大家さんが気前良く貸してくれた。 それほど多くない荷物を午前中でまとめ、地図どおりに貸家までの道を進む。 教えられた住所は駅から直線徒歩10分以内と思った以上に良い条件だった。 その代わり、駅の裏山の奥という、うっそうとした場所でもあった。 これじゃぁ女子高生やOLには貸せない場所だよな。 って学生に一戸建てはあれか、ないか。 途中、道路には茶色い丸い汚れが転々とついている。 立ててある標識にも「ゆっくり注意」との表示がある。 街中ではゆっくり対策が行き届いているが 雑木林や山林では駆除されていないゆっくりが大量に生息している。 車がゆっくりを引いたり、よけたりして思わぬ事故に繋がっても危ないので そういう場所の近くの道路には先ほどの標識がよくあるものだ。 そして地図にある貸家に着いた。これから借りるとはいえ一戸建て。 この年で自分の城を持つとは結構自慢できるな。 駐車場は無かったため適当に玄関前に軽トラックを止める。 さて、まずは中をゆっくり確認してみるかな。 「「ゆっくりしていってね!」」 「・・・」 「お兄さんいはお返事できないぐらいゆっくり出来ないの?」 「ゆう?おにーさんはだれー?」 「うお??・・・何かにつまづいた!!!」 「なんで、いきなりれいむをげるのおおおおおお!?」 「ゆゆ?れいむおねえちゃんしっかり!」 「あ、あぶねーゆっくりか。ごめんごめん、おじゃましまーす」 「ぷっくーーーーー」 「ゆう!ゆっくりできない人間さんがきたよぉぉぉおおお」 家の玄関を開けて先ほどのやり取りになった。 無人の家の中で俺を出迎えてくれたのはゆっくりれいむ。 大体メロンぐらいの大きさの成体のようだ。それが2体ほど。 なんで、誰もいないはずの家にゆっくりが? 「はやくあやまってね!!きゃわいいれいむを蹴るなんて馬鹿なの?死ぬの?」 「ゆゆう、はやくあやまってね!!れいむたち二人に勝てるなんて思わないでね!」 俺は手荷物に入っていた最新ドラクエの攻略本を取り出しぽろっと手から離す。 手から滑り落ちた本がゆっくりの上に真っ直ぐ落ちていく。 「べぇぇぇぽぉぉぉぉぉおおおおお」「いぃぃぃみゅぅぅぅぅぅうううう」 しかも、上下巻いっぺんにゆっくりの頭をつぶしていく。 「「もっと・・・ゆっ・・くり・・・かった・・・」」 きれいに脳天直撃したゆっくり2体はどちらも本の重さに耐え切れず 餡子をはきながら絶命する。 「しまった、つい読みもしない本を落としてしまった」 悪気は無いんだと俺は心の中でつぶやきつぶれたゆっくりを見た。 黒い餡子がてかっており、俺は思わずそれを口にする。 お、餡子がまろやかだ。どんどん口に入れる。 「そうだ、こうやって・・・」 呟きながら二つの餡子を絡めて食べてみた。 二つの微妙な味が重なって実にうまいな。 がさがさがさがさがさ・・・!! 「ゆぎゃぁぁぁあああ!!」 「れいむがあああ!!!」 「たべてりゅぅぅぅううう!!」 「ゆっきゅり・・きよぉぉぉ!!」 俺がしゃがみこんで一心不乱に取れ立ての天然ものを味わっていると 家の奥の方からがさがさと音が聞こえてきたような感じがし、奥を覗き込む。 ちらりと見たが、誰かいるようには見えない。 部屋は3つ、一つは台所と一緒なんだな。 2DKってめちゃめちゃ広いなー! そのとき口の中でがりっと嫌な感じがした。 「なんだ、かってーな」 その硬いところを「ぷっ」とゴミ袋へ吹き捨て 泥で汚れてそうな底の部分は食べなかったのでそれもまたゴミ袋に入れる。 ゴミ袋をそこら辺に置き、靴を脱いで中に入り玄関すぐ左手にある扉を開いてみた。 「おおお!!!ふ、風呂があるぞ!すげー!」 「ぴぎゃぁぁぁぁあああ!! 知らないにんげんさんがいるぅぅぅぅぅううう? こ、ここはまりさのゆっくりぷれいすだからね!! くそじじぃは早く消えてぇぇぇぇええええ!!」 初めて接する自分の風呂に俺は感動し そなえつけられた蛇口を思いっきりひねってみた。 「どげる゛ーーー!!!ばり゛ざどげる゛ーーーー!!!」 「しまった、よく見てなかった」 湯船になぜか入っていたゆっくりまりさに気づいた俺は驚いた。 突然大量に出てきた水の勢いでまりさの顔は半分ほど溶けてしまった。 そして溶け落ちたゆっくりの顔や体の部分が排水口へ少しずつ流れていく。 「に゛んげんざーーーん!ばやぐどめ゛でぇぇぇぇぇぇええええ!!」 「やばい、すぐ止めないと食べられなくなる!!」 「ばやぐぅぅぅぅううううううう じじぃぃぃいいい!! ばぁぁぁやぐぅぅぅどめ゛ろ゛ぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!」 慌てながら俺は蛇口をひねる。 先ほどよりも威力が増した水がゆっくりを一気に削っていく。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛・・・!! ゆ゛ぎゃぁぁぁぁぁあああああ!!」 じょぼじょぼじょぼという音とともに溶けきり 流れることもないまま、そのゆっくりは濁った水と化した。 ふと気づく。排水口にはふたをしていないがなかなか水が引かない。 そうか、湯船って一気に排水出来ない仕組みになっているのか。 排水するより蛇口から出る水の量が多いとどんどん水が溜まってしまうんだな。 初めて知る経験に感動し、俺は風呂場の確認を終える。 風呂の水は、やがてすべてが流れていき、そこには何も無くなっていた。 トイレを確認しておくかと思い、トイレらしきドアを開ける。 「キターーーー!!洋式便所だぜ!!」 「「「「ゆぴぴ!!! ゆぴぴぴ!!!」」」」 「おいおいおい、使う前からトイレの床が湿ってるよ! さっそくやばいな大丈夫かこれ?・・・ん?」 8体のじゃがいもぐらいの大きさのゆっくりがガタガタ震えて声を殺していた。 5体ぐらいがおしっこを漏らしている。床の湿りはこれか? 「あーあー誰だよ、食べ物をこんなところに放置して。 流石に粗末にしすぎだろ。 俺でも食えねーよ、これは」 「れ、れ、れみゅうたちゅは強いんだよ」 「れいみゅを食べるなんて馬鹿にゃにょ?」 「は、は、はやくここからきえちぇねぇぇぇぇ」 「きゃ、きゃわいくちぇごみぇんねぇぇぇぇえええ」 そういえば、トイレ掃除とか今日から俺がするのか? あんまり意識してなかったが大変そうだなぁ。 トイレの床で8体のちいさなゆっくりがぴーぴー泣いているが 俺はつまんでは便器にぽいっと投げる。 「お空を・・・ゆぴぎゃ!!」 「おしょらをとん・・・ぴゅぎゃるぅ!!」 「そそらど・・・れみふぁ!!」 8体のゆっくりをすべて便器に詰め・・・ 流石に詰めきれてないな、これって流れるかな? 前のアパートではぼっとん便所だったから多少無理な排泄は出来そうだが。 水洗ってどこまで無茶できるのだろうか・・・。 なぜか既に設置されていたトイレ紙でゆっくりがしたであろうおしっこをぬぐう。 それも便器に捨てて、一気にトイレの水を流す。 「ゆぎゃぁぁぁあああ」 「おじゅじゅざんぜま゛っでごぎゃいでぇぇぇぇ」 ゴゴゴゴゴゴ・・・!! じょぼぼぼぼじょぼぼぼ!!! ズゴゴゴゴ!!! 「え??マジで???ちょっとおい!しっかりしてくれよ!!」 今にもあふれんばかりに水が溜まる。 どうやらゆっくりで便器が詰まってしまったようだ。 かろうじてあふれてはいないが。 次流すと・・・あふれるよな・・・。 やばい・・・入居数分でいきなりピンチだ。 水の流れからかろうじて逃れたゆっくり2体が外に脱出しようとしていた。 「れーみゅはたしゅかったよ!!」 「おみじゅしゃんはここまでこにゃいよ!!! まりしゃはえらびゃれたゆっくりだよ!!!」 どうやったら詰まりを取ることが出来るか。 ここはやはり押し込むしかないのか。どうやって。 もはや諦めてトイレの水に手を突っ込んで奥をかき回すか・・・。 「しょせんにんげんしゃんにゃんてこのてーどだよね」 「とっととたしゅかったまりしゃをたしゅけてね!ぷんぷん!」 俺は素早くトイレットペーパーを手に巻く。 そのまま上部にいた水攻めから逃れた2体のゆっくりを一気に押し込んだ。 「びゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ごばぼぼぼぼぼ!!!」 びちゃびちゃびちゃ!!! 勢いを付け過ぎたのか結局トイレの水に手を突っ込んでしまった。 「うへぇぇぇええええ!!! ばっちぃぃぃぃいいいい 手に便所水ついちまったぁぁぁ!!」 ンゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・。 俺の必死の行動のおかげか、詰まっていたゆっくりが溶けたのか・・・。 タンクのレバーをひねってないのにトイレの詰まりが解消され水が流れ出した。 「も゛ーい゛やだゃぁぁれ゛いみ゛ゅがえ゛りゅぅぅぅぅううう」 「ごばばばごぼぼぼぼ!!!」 なるほどな、トイレ掃除の用具と、あれだ!!ずっぽんずっぽんするやつだ!!! 全部買わないとダメだ・・・俺の手のためにも。 手を丁寧に洗い、残りの部屋をざっと見回した。 が、何も誰もいないようなので俺は荷物を詰め込むことにした。 「にんげんさんはごわいよぉぉぉおおお」 「みちゅかったらどぉぉしよぉぉぉぉ」 「だいじょうぶおちびちゃんたち とってもつよいまりさおかあさんがあんなやつやっつけてやるよ!!」 俺は鼻歌を歌いながら荷物を運んでいたが 収納できそうなふすまを開けようとしたとき、そのふすまがすーと開いた。 「うわわわわわわわああああああああ!!!」 思わず声を出して驚く俺。 誰もいないのにひとりでに物が動くとかありえないでしょぉぉぉおおおお!! これって、ポルターガイストーなのぉぉぉ? やっぱり、欠陥住宅なのぉぉぉぉおおおお? 俺の足元には先ほどふすまを開けた張本人であるゆっくりまりさが叫んでいた。 「おい、そこのうるさいぐず!! まりささまにびびっているぐず人間!!! よくもまりささまたちのゆっくりぷれいすをめちゃくちゃにしてくれたな!! 今からおまえを再起不能のぎったんぎったんに制裁してやるぞ!!」 俺は抱えていたダンボールを思わず放してしまった。 「ずーとまりささまにびびったまま天国へ行くんだな!! 覚悟しておぷっふっっっっっ!!」 ダンボールは自由落下にまかせ真下に落ちる。 そのままゆっくりまりさが着けていた帽子ごと体の前半分が押しつぶされる。 丁度ゆっくりの顔をなしている部分全体だ。 ぶりゅっという音とともにまりさから餡子が噴出した。 俺は突然離してしまった指を見つめ、そしてまりさの方を見た。 「あぶね、ダンボール落としちまった うっわーーーーっやっちまったか 不幸にもここにもゆっくりがいたのか」 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・・・・」 俺はつぶされてもぴくぴく動くまりさのお尻からあふれ出した餡子を手ですくう。 まだふすまのショックでドキドキしていたが 思わぬ偶然か、手に入れた餡子を舐めながら気持ちを落ち着けてさせた。 「おがぁぁぁぁあああざぁぁぁぁぁぁあああああん!!!」 部屋の中ではつぶれたまりさの子供ゆっくりの声が響いていた。 よく人から「お前うるさくねーの?」と言われる。 昼飯を食べにいくと良くゆっくり定職Aを頼むのだが 一緒に昼飯を食べているやつらはそんな俺に呆れ顔だ。 俺は生まれたころからこのゆっくりが好きでゆっくりばっかり食べてきた。 ゆっくりは大体が饅頭でお菓子であるはずなんだが、主食として食べていた。 ゆっくりを研究する施設もあり、おかげで様々なゆっくり料理を食べてきた。 加工をする上でゆっくりは大抵死んでしまうのだが 生のゆっくりや半死の状態のゆっくりを出すお店もある。 そういう生きたゆっくりは食べられるときによく叫ぶ。 調理法によるが、殺さないで苦しませて食べた方がより甘くなるからだそうだ。 その叫び声だが、実は俺はその声がよく聞こえていない。 叫び声以外もゆっくりが発する声はほとんど聞こえていない。 いつからなのかわからない。 難聴というには他の音はよく聞こえるわけで ゆっくりの声だけが左耳から右耳へと、素通りするようになっていた。 よく一緒につるむ友人は俺に言う。 「幸せな病気だよな。まったく」 病気か・・・これって治るものなのか? 治ると俺のゆっくり好きはどうなるんだろう・・・。 そんな精神的な?病気もあるわけで俺はゆっくりの声は認識していない。 いやこのままじゃダメだ。病気なら治さないとな! そうだ!いまさらだが食べ物の声を聞いてみてもいいじゃないか! 環境が変わったこの機会に頑張って耳を傾けてみよう!! そう思いながらダンボールでつぶれたまりさの餡子をむさぼっていた。 餡子は思ったより硬さがあり、黒糖で出来た菓子にも似た触感だった。 「お尻から出る餡子はほんのり風味が違うな。 よし!次機会があったら尻からしぼり出して食べてみるか!!」 ほとんど食べきった俺は引越しの続きを思い出し立ち上がった。 ゆっくりがふすまを開けたこともあり、ガタガタと音が聞こえてきた。 ふすまの奥にいるゆっくりたちが動いている音のようで俺にも聞こえてきた。 「こんなに沢山のゆっくりが?」 ふすまの奥の収納には上下2段で合計14匹のゆっくりがひしめき合っていた。 「ごわいよぉぉぉおおお」 「たじゅけでぇぇぇぇえええ」 「おがあさぁぁぁあああん!」 「ぷっくぅぅぅぅううう」 大きなゆっくりが前方に、小さなゆっくりが奥にいるな。 うまそうだなぁ。活きがよさそうだなぁ。 しまった、さっき誓ったじゃないか。 よしよしよし!聞いてみるぞ!聞いてみるぞ!! 「さぁゆっくりちゃんお話しましょうねぇ」 耳をすませる。 聞こえない。 たぶん、何かを話しているんだろうな。 頭が痛い。でも集中するんだ。 く、体が勝手に動く。 まて・・・!今はその時じゃない!! そう見えないが音というそこにある存在に対して 俺は葛藤しつづけ、じわじわとそれは聞こえてきた。 「じねぇぇぇええええ」 「ゆっくりできない人間は死ねぇぇぇえええ」 「ゲスやろぉぉぉぉぉおおおおおお」 「ゆっくり殺しは制裁してやるぅぅぅううう」 「え?」 「ばりさのかたぎぃぃぃぃいいい」 「ゲスは近寄ってくるなぁぁぁぁあああ」 「この世から消えてなくなれぇぇぇぇぇえええ」 「この悪魔ぺにぺにぃぃぃぃいいいいい」 「おまえなんか腐って死んでしまえぇぇぇぇええええ」 「どうしてそういうこというのぉぉぉぉおおおおおお!!」 そう叫んだ方が先だったのか、体が動いた方が先立ったのか。 俺はすばやく手を伸ばし、一番前のゆっくりを掴み取る。 がぶり! ゆっくりれいむである体左半分に噛み付く。 「ゆががががががががが!!!」 さらに手を伸ばし、捕まえたゆっくりまりさの尻に口をつけ 鼻で大きく息をはくと、一気にゆっくりを握り潰しながら吸い込んだ。 「ぷじゅるるるるるるじゅるるるるるるるる!!!」 一瞬で俺のお腹に餡子が溜まる。 「ゆ?」「っぴぃ?」「れいむ?」 あっけにとられる残されたゆっくり達。 俺もその衝撃にはっと我に返り、右手を見た。 そこには半身になって声にならない声を出すれいむがあった。 「ゆびぃひっゆびぃっびひひぃぃぃぃいいいい」 うまそうな餡子がむき出しになった断面をみて思わず一気に食べてしまう。 がつがつがつ!ゴクン!! 「うまい!!」 「ゆわわわああああああああん」 「ゆぎぃぃぃ!!!ゆぎぃぃぃ!!!」 「ゆっぐりできな゛いぃぃぃぃいいいい」 俺がゆっくりをむさぼる行為を見たゆっくり達はいっせいに騒ぎ出した。 だが、ふすまの奥に閉じこもったせいか、逃げ場がまったくない。 袋のねずみとはよく言ったもんだ。 アレを考えたやつは食ったな、ねずみ。 「いい!その声はなんかいい!!」 「ぴぎゃぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」 俺は一番うるさかった小さなゆっくりれいむをつかみ丸かじりする。 「びゅぎゃぐげっげっげっげっげっげ!!!」 「甘い!!これは甘いぞーー!!!」 なるべく声が聞こえるよう口を豪快に開け閉めしながら食べる。 ガッ!「ぐびぃ!」ガガッ!!「げひぃ!!」 口の中で一気に細切れになるれいむ。 「声はスパイスだ!!! 甘い!! 初めての味だ!!!」 次々とゆっくりに手を出して狂ったように食べる!食べる!! たべりゅぅぅぅぅぅうううううう!!! 「ぎゃ!!ぐひ!!でゅべ!!!」 「だずげ!!でぃ!!ぐばざぃ!!!」 体が歯でちぎれるたびに叫ぶゆっくり達。 俺はひたすら食べる。 そんな俺を見て突然態度を変えるゆっくりもいた。 「じじぃぃはじねぇぇぇ」 「ぢねぇぇぇぇおがあざんのがだぎぃぃぃぃいいいい」 「だが、その言葉遣いは非常にむかつくぞーー!!」 「「ぱりゅぴゅんとぅぅぅぅうううううううう!!!」」 気づいたら手のひらで向かってくるゆっくりを押しつぶしていた。 両手の指の間から漏れる餡子を音を出して吸う。 じゅじゅじゅるるるるるる。 とても甘かった。 「うまいぞーーーー!!!!」 そして、食いすぎたのか食いが一瞬止まったところでもう一度我に返った。 成体サイズを数匹残し食べつくした俺は引越しの荷物を片づけを続ける。 「ふう・・・ 賢者モードだな・・・ この気持ち・・・」 残されたゆっくりは外に出てくることも無く、ガタガタ震えていた。 どう考えても待つのは俺の腹の中だと悟ったのだろうか。 片付けが終わった頃にはまた腹が減り、食事を再開する。 最後の一体は、やっぱり尻食いだな。 数回食べて気づいたが、空気に触れる前はやわらかいゼリーのようでうまい。 ゆっくりの尻に口をあて、一気に体を絞る。 「ゆ゛っっっっゆ゛っっっっゆ゛っっっっ!!!」 じゅるるるるるるるるるるる!ぷはぁ!!! 「うめーーー!!! 流石に夜飯は食えないなこれだと。 さて大家さんはいつ頃来るかな。 一休みしておくかー」 残されたゆっくりの皮だけのものをずるずると口に入れ もぐもぐと咀嚼しながら部屋で横になる。 「俺ってやっぱり病気なんだなー 治った気がしたけど、違う気がするなー」 もしかしたら・・・ ゆっくりの声が聞こえなくなったのは 食べ物なのにしゃべることに対してなにか嫌なことがあったからだろうな。 汚い言葉づかいをするのなんか特に聞きたくない感情があるし。 これは物心つく前からなのか・・・ この強い思いはトラウマというやつだろうな。 こんど、親にでも聞いてみっかー? まさか自分を見直す機会があるなんてな。 引越しで環境が変わるというのはすごい影響なんだな。 俺はこんな機会と良い住居を与えてくれたこと そしてごちそうを与えてくれた大家さんに一生頭が上がらない気持ちだった。 「それにしても大家さんはこんなにゆっくりを沢山集めて、どうしたんだろう・・・」 最後までもごもごしていた硬いものをゴミ袋へ「ぷっ」と吐き出す。 それを改めてマジマジと見た俺は愕然とした。 「オーヤですけど!」 その日の夕方、家の扉を叩く音で俺はビクっと反応し、深呼吸をしてから扉を開けた。 「どうだい、お前さん引越しは片付いたかい!」 「え、えぇ・・・まぁ・・・」 「どうだ、ゆっくり達と暮らす暮らしは良いだろ! どの子も手塩にかけて育てたゆっくりだから、みんな良い子だぞ! 家賃もまけてやったんだから大事にしてくれよな ゆっくりを育てるのは金がかかるからな!がははははは!!」 「え、えぇ・・・実は・・・」 俺は手を震わせながらゴミ袋に入ったそれを大家さんに見せた。 「硬くて食べられなかった」飼いゆっくりを証明するバッチの山だ。 それを見せる俺の顔と来たら汗だらけだったんだろうな。あご先から滴ってるよ。 「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! ゆっくりぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!!!!」 大家さんの叫び声は駅の裏山全体に響きわたった。 その叫び声を聞いた俺の口からよだれが少し垂れていたのは誰も知らなし それは大量の汗と混じって床のシミとして消えていった。 そして、俺の借家の家賃はかろうじて値上げされなかったのは助かった。 あの日以来、大家さん自ら俺の元へ出向くことはなくなったし ゆっくりをお茶請けに出してくれることもなくなってしまった。 おわり あとがき こんなんなのに長めですいません はじめは本で潰すところが書きたかっただけなのになぁ トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ただでさえ死にやすいゆっくりなんだから、「他人の飼いゆに危害を加えたら賠償」って制度ができたら、賠償金目当ての「当たりゆ屋」をするゲスにんげんさんが出てきちゃうもんね! ゆっくりのケガ、死亡に関しては他人に賠償請求できない法制度になってるのはとうっぜんっだよっ! -- 2018-01-28 23 33 15 お兄さんも他人の話を聞かないオカシイ人だが、大家さんもネジぶっ飛んでるだろ! 「食べたいほど好き」とは言ってるが、一度も「愛でたい」とは言ってないのに。 何故ゆっくりハウスを薦めたのか? ※あと野良は衛生上ダメですww(飼いゆと言えど、あの管理状態は野良と変わらん) -- 2018-01-23 22 47 59 ガリッてのはバッチだったんだな。 -- 2016-10-07 16 37 43 野良ゆで安いんじゃなく元々この家が安いのね。 -- 2013-01-22 17 55 41 最後にやっと疑問が解決した、「なぜ貸家に大勢のゆっくりが?」飼いゆだったのか -- 2013-01-17 14 51 21 躾けたわりにゲスなんだね~、なにバッチなんだろぉ...うー☆ -- 2012-09-20 09 32 46 バッジがああああああああ -- 2012-08-16 18 29 55 甘党なのねwwwwwwww -- 2012-08-10 00 40 57 ゆっ!?ぎいいいやああああああああああああああああ@fdxgl/\]; ] どお:じでそjんなh、ごとずるのおおおおおおoおおぉoぉおぉおoおoおoooおおoooo -- 2012-07-08 16 31 33 キチガイすぎる…そんなに衝動を抑えきれないのによく今まで社会で生きてこられたな。 -- 2012-03-19 07 28 38 ゆっくりじゃなくてピカ・・・なんでもない -- 2011-10-03 23 52 48 普通なら損害賠償と慰謝料の山がくるんでないんだろうか -- 2011-04-28 16 20 08 野生ゆっくりを生で喰うとか不衛生すぎる -- 2011-03-17 13 26 32 ゆっくりたべていってね -- 2011-01-04 22 02 09 恐ろしいお兄さんなのぜ…。 -- 2010-10-01 18 11 52 むきゅ…。お兄さん…ゆっくりを食べ過ぎて餡子脳になっちゃたのかしら? 特に、トイレのくだりでのお兄さんの頭の悪さにビックリだわ。ぱちゅりーよりもお馬鹿さんね。 よく今まで、社会生活を続けることができたものね。むきゅう…。 -- 2010-06-29 22 51 10
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変わる運命(前編) ◆HlLdWe.oBM 「ほぅ、なるほど」 F-3南部に停車している黒の騎士団専用トレーラー。 その内部に設けられたレクレーション室の中央に置かれている比較的大きなテーブル。 現在そこには様々なものが置かれている状態だ。 右端の方にはデスゲームの参加者に配られたデイパックが3つ。 内訳はLの物が1つ、ザフィーラの物が1つ、そして柊かがみが持っていた3つを1つのデイパックに入れた物が1つ、これで合計3つだ。 左端の方には銀色のアタッシュケースと同じく銀色のベルト、狂気の変身道具デルタギア一式とそのアタッシュケース。 その間に周囲の様子を窺うための首輪探知機、手鏡やサバイバルナイフなどの小道具、そして大量の角砂糖とその包み紙のゴミ。 それらが散乱するテーブルの前にはソファーに腰を沈めた世界一の探偵Lの姿があった。 Lはソファーに身体を預けながら手の中にある銀色の輪――シグナムの首輪をじっくりと眺めていた。 しかし、ただ眺めているだけではない。 天井のライトに翳してみたり、上下に振ってみたり、指先で軽く叩いてみたり、テーブル上を転がしてみたり。 首輪の分解こそしていないがLは首輪の解析に努めていた。 本来ならトレーラーに備え付けられた設備を使いたいところだったが、それは無理だった。 発見した当初はその外見から首輪解析の助けになると思われたのだが、その後に思わぬ落とし穴に見舞われる結果となった。 オペレーティングシステム――通称OSと呼ばれるソフトフェアの存在だ。 今では地球とミッドチルダの両方のOSを知るLであったが、ここのOSはそのどちらとも違うものだった。 これではOSを書き換えるか或いはこのOSを知る世界の参加者に出会う事でしか使用する事は出来ないが、現状どちらも不可能な状況だ。 それと言うのも前者はそこまでするだけの時間がなく、後者は未だそういう参加者とは出会えずじまいの状態だからだ。 これはトレーラーに備え付けられていた通信システムも同様だった。 下手に全機能がコンピューター制御に設定されていたためにこのトレーラーのあった世界の人にしか動かせないようになっていたのだ。 元々このトレーラーはデスゲームの主催者であるプレシアが会場内に置いたものだ。 首輪解析設備・通信機能付きの移動手段が何の仕掛けもなく置いてある訳がない。 発見直後に喜んでいただけあってこの事実を知った時ザフィーラは若干気落ちしていたが、Lは別にそこまで落胆する事はなかった。 寧ろ自分の想定より上手く事が運んでいると思っていたので、これぐらいの処置は当然だと受け止めていたからだ。 だから最初は首輪を無事に入手できたらすぐに解析できそうな場所に赴くつもりだったが、それはしばらく考えた末に保留とした。 もしこのまま先を急いで進行したとしても、無事に目的地に辿り着ける保障があるとは言い切れない。 殺し合いに乗った者に遭遇する可能性や、目的地に望んでいる機材がない可能性もある。 それにもしかしたらこのトレーラーの設備を動かせる参加者に会えるかもしれない。 手元の首輪探知機には一向に反応はないが、それでもこの無駄にデカイ目立つトレーラーに興味を抱く参加者が近付いてくる可能性はある。 探知機はデスゲーム開始から常に稼働しているのでいつ切れるか不明だが、それでも液晶の様子からしばらくは大丈夫だと予想できる。 だが徐々に液晶に影が差し始めている事から電力を消費している事は一目瞭然だ。 探知機の電源が外からオフにできない構造になっているため、ここで探知機の方も少し調べて電力の回復を可能ならばやっておきたい。 一瞬先に何が起こるか軽々しく予想できない以上出来る事は出来る時にしておいた方が賢明だ。 それがLの辿り着いた結論だった。 (とりあえず今はこれが限界ですね) Lは一仕事終えたような様子で手の中にあった首輪をそっとテーブルの上に置いた。 首輪の簡単な構造ぐらいは把握しておきたいというのが偽らざる気持ちだったが、今の手持ちの道具でそれをするには不十分だった。 よって今は外から眺めたりするしかなかったLだが、それでも首輪について僅かながら掴めたものもある。 (まずは表側の外見からはやはり何も分かりませんでしたね) 首輪の表側は鈍い銀の光沢が滑らかな触感と共に目を引いている。 だが、感想としてはそれだけだ。 どれだけ見てもカメラや盗聴部らしき部分を見つける事は出来なかった。 どこまでも銀の滑らかな表面が一周ぐるりと目に映るだけだ。 しかし目に映らないからと言って監視と盗聴の機能がないと考えるのは少々早計だ。 Lが参加者を見張るための装置を組み込むとすれば何はともあれ首輪にカメラや盗聴器ぐらいは仕込んでおく。 だが相手はLにとって未知の領域である魔法という力を操る魔導師プレシアだ。 カメラや盗聴器なしでこちらの動きを察知する方法がないとは言い切れない。 (そして裏の表記は……個々の識別のため、でしょうか) そして今回初めて拝む事の出来た首輪の裏側には「No.30-シグナム」の文字を見る事ができる。 これであの死体がシグナムだった事が100%確定した。 名前の前に付いている番号は名簿の番号と一致していて、所謂識別番号のようなものである事が窺える。 以上が外見から推測できる事だ。 あといろいろ試して判明した事は殺し合いを目的にしている以上戦闘が起こる事を想定して少々の衝撃では起爆しないという事ぐらいだ。 つまり戦闘による不慮の余波で爆発という結果はプレシアも望む事ではないと推測できる。 ただ首輪を無理やり外そうと試みる行為や過度の衝撃は対象外と考えておいた方が無難だ。 (あと内蔵されている機能があるとすれば……) まずは爆破機能、位置確認や遠隔爆破などの電波送受信機能、この辺りは確定と言ってもいいものである。 あと考えられるものは参加者の力を抑制する装置。 (しかし、果たしてこの首輪にそれだけの機能が内蔵できるかどうか) Lが見る限りこの首輪は緩すぎず窮屈すぎず特に気にならない程度の大きさとなっている。 不思議な事に重さもそれほどなく、銀色の冷たい感触さえなければ違和感は然程ないぐらいだ。 だが、Lの知る限りの知識ではこのサイズの首輪に爆破と電波送受信の機能、力を抑制する装置を全て仕込むのは無理だ。 これらの全ての機能をどう小型化しても容量を大幅に逸脱する事は確実だった。 (まあ『魔法』なら可能なのかもしれませんが、ここは私の知る知識で考えてみましょうか) Lが注目したのは「力を抑制する装置」の存在だった。 実際ザフィーラは『魔力』を、アレックスは『ARMS』を、それぞれいつものようには使えないようだった。 仮に首輪に『魔力を抑制する装置』と『ARMSの力を抑制する装置』が組み込まれているとしよう。 二人の説明を聞く限りでは二つの力(前者は外部の魔力素に作用して使う力、後者は細胞レベルの変化による力)は系統が異なる故に同一の機能では抑制できないと考えられる。 だが、おそらくこれ以外にも未知の力がある事は確実だ。 かがみの持っていたデイパックの中にあった支給品の一つEx-stもその一つだ。 説明書によれば魔法ともARMSとも異なる力『概念』によるところの武器だ。 このような武器があるという事はつまりこの場には概念を使う事の出来る参加者がいるという事に繋がる。 これで制限しなければいけない力がまた1つ増えた。 余談だがEx-stを支給された人物はJS事件後の世界から連れて来られた高町なのはであった。 なのはは最初にデイパックの中を調べたのだが、Ex-stがあるのにデバイスはないと嘆いた。 なのはがEx-stをデバイスだと思わなかった理由は単純にEx-stがあった世界でのデバイスとなのはの世界のデバイスが根本的に違っていたからだ。 なのはの世界ではデバイスとは魔法補助のための道具だが、Ex-stの世界のデバイスとは概念兵器の事を指すのだ。 これによってなのははEx-stをデバイスだと判断できなかったのだ。 それとL自身に支給された最後の支給品「レリック」という一見すると可愛らしい花。 説明書には一言「レリック 可愛らしいでしょう」とこちらを馬鹿にしたような言葉が書かれていた。 だがわざわざ武器の枠を削ってまで入れられた代物だ。 何かしら未知の力があってもおかしくはない。 因みにザフィーラにはまだこの事は言っていない。 八神はやての安否を多大なまでに気遣っているところで聞いては知っている情報も得られないと思って聞いていなかったのだ。 だが今のはやて捜索が終われば前より少しは落ち着いてくれるだろうから一度聞いてみよう。 そうLは頭の片隅で考えつつ、すっと思考を目の前の首輪に戻した。 (おそらくこれ以外にも未知の力が存在する事は明らかでしょう。このカードデッキの力もその1つ。つまり……) いくつあるかは分からないが、それらを全て制限するなどこの首輪だけではまず容量不足だろう。 では、力を制限しているものは首輪以外に存在するのだろうか。 Lはそれに対して答えはYesだと考えている。 簡単な話、力を制限する装置を外に置けばいいのだ。 この会場内の地上のどこか、もしくは地下、或いは会場外。 既に魔法を制限するAMFという技術が存在する以上プレシアが様々な力に対するAMFのような装置を製作した可能性は否定できない。 少々飛躍している部分もあるが、現状こう考えればLとしては一応の納得は得られた。 (この装置がどこにあるか、今は推測するには情報が少なすぎですね。もっとも元から存在しなければ無駄骨ですけど) そしてLにはもう一つ首輪についての懸念があった。 最初に確認した通り、この首輪を肉眼で見た限りでは繋ぎ目が見つけられなかった。 しかし、それに対しては繋ぎ目を精巧に隠しているという可能性が提示できる。 (でも、あの転移魔法を使えば――) 最初の広間から参加者を一斉に会場に移動させた転移魔法。 あれを使えば繋ぎ目無しの首輪でも全員の首に付ける事が可能だ。 首輪の中に力を制限する装置があれば難しいかもしれないが、外にあれば実行する事も可能だ。 (ですが、もしこの推測が正しければ少々不味いですね) 当然ながらこの会場内で個人レベルでの転移魔法など使えるはずがない。 それは以前ザフィーラに試してもらった事があったのでLは知っていた。 元より個人での転移魔法が可能なら早々に仲間との合流が可能になるのでプレシアがそれを見過ごすはずないのだ。 つまりLの推測が正しければ首輪を外すためには最初にどこかにある力を制限する装置を破壊、そして転移魔法で首輪を首から転移させて解除する。 こういう手順になる。 もっとも首輪を工学的な側面から解除できる可能性や、元よりLの推測が誤りである可能性もある。 (とりあえず今考えられるのはここまでですね。 結局ここにいても誰も来ませんでしたし、続きは機動六課隊舎で二人を待ちながらでもやりますか。 今度は私一人でも使える機材が置いてあればいいんですけどね) そう全ては仮説の上に成り立つ推測にすぎない。 だがそれはLにとって元々いた世界でキラを追い続けてきた時の事と然して変わりはない。 自らの武器である持前の頭脳を駆使してこの状況を打開する。 それが今の自分がするべき事だとLは考えていた。 (とりあえず念のために今の考えを書き残しておきましょう。その方が後々説明するのが楽になりそうですしね) Lは自分のデイパックからメモ帳を取り出すと、今考えていた事を書き始めた。 あまり時間はかけられないので要点のみを的確に素早く書き連ねていく様子は流石に世界一の探偵と言ったものだった。 その内容は以下のようなものになった。 首輪の外見は銀色のリング、一通り見た限りでは繋ぎ目は発見できず→隠蔽の可能性あり。 繋ぎ目がないのは転移魔法で首輪を装着した証拠?→情報不足により保留。 裏側には「No.○○-□□□」という表記を確認。○○は名簿の該当番号、□□□は本人の名前の可能性が極めて高い。 首輪は少々の衝撃では起爆する事はない。ただし首輪を無理やり外そうと試みる行為や過度の衝撃は禁物だと判断。 首輪には爆破機能、位置確認や遠隔爆破などの電波送受信機能、参加者の力を抑制する装置がある可能性あり。監視・盗聴については保留。 ↑について補足。参加者の力を抑制する装置は首輪内に無い可能性もあり。 参加者の力を抑制する装置の設置場所候補地:会場内(地上or地下)、会場外→情報不足により保留。 5分もしない内にこれらを書き終えると、それをデイパックに入れかけたところでLの目に紫色の四角いケースが映った。 「カードデッキ、ですか」 Lは考える。 カードデッキはこの会場にいくつ支給されているのだろうか。 現在の時間はデスゲーム開始から9時間が経過したところだ。 何もしなくても、あと3時間経てばカードデッキの制約通り所有者が襲われるはずだ。 自分のようにまだ猶予がある者はいい。 だがこの力を戦闘に使い続ければそのタイムリミットはそれだけ短くなっていく。 そのような者がいたとすれば今頃どうしているのだろうか。 そんな妙に感傷的な感想を抱いた事にLは若干驚いていた。 ≪00 38≫ 『なあ、宿主サマよ。確認したい事があるんだが聞いてくれよ』 「……なんだ」 D-2市街地北部に佇んでいる一人の影。 黒い制服を羽織った少々人相が悪そうな少年の名は万丈目準。 人呼んで「万丈目サンダー」である。 今まさに万丈目は他の参加者に出会うために商店街へ向かおうとした時だったが、その足を誰かが止めた。 万丈目の周囲には声をかけた者がいるはずだが、それらしき人物は影も形もない。 それも当然だ。 今この瞬間万丈目に話しかけてきたのは彼が身に付けている金色の装飾品――千年リングに宿った盗賊王バクラの魂の声である。 千年リングを付けた者にしか聞こえないため傍目からは独り言を喋っているように見える。 『単刀直入に聞くぜ。誰かを生贄にする覚悟はあるのか、ないのか、どっちなんだい?』 「――ッ! 何度も言っているだろ、俺は誰かを生贄にするなんて……したくない」 『はぁ? いつまでそんなこと言っている気だぁ。猶予が切れる時もそう遠くないはずだぜ。その時も宿主サマは同じ事を言うのかよ』 その言葉を聞いて万丈目は一瞬言葉を返せなかった。 確かに猶予の12時間が切れる時までに生贄を差し出さないと死ぬのは自分だ。 万丈目も好き好んで死への道を歩みたいとは思わない。 だが、それでも万丈目には誰かを犠牲にして助かるという方法を選ぶ事を躊躇っていた。 「だが、しかし……」 『それなら他の参加者を守るために自分が喰われる気か。ほんとにお優しい宿主サマだぜ』 実際のところ万丈目にそこまで崇高な自己犠牲の考えは存在しない。 ただ誰かを生贄にすれば、それは殺人と変わりない。 そんな考えが頭にあるから躊躇しているだけだ。 だが万丈目は何とかして自分も他人も死なずにこの問題を解決する方法を考え続けていた。 そして、不意にある考えが浮かんだ。 『おいおい、なんだよ! 正気か!?』 身に付けている者の心が読めるバクラは当然万丈目の考えがすぐに分かったが、同時に驚いた。 その万丈目が出した答えとはミラーモンスターを破壊する事だったのだ。 「ああ、もうこれしかない。これがベストな答えだ」 『せっかく手に入れた力をみすみす手放すって言うのかぁ』 「所詮これは参加者にとっては過ぎた力なんだ。こんな強大な力は無くしてしまった方がいい」 『はぁ? 過ぎた力? 強大な力? 大いに結構な事だぜ! 問題はよ~その力を恐れる宿主サマの心の闇なんじゃねえか?』 「なんとでも言え」 万丈目の意思は固かった。 誰かを犠牲にする力など参加者にとっては災いにしかならない。 恐らくプレシアに狙いはこれによって悲劇を生みだして、殺し合いを進める魂胆なのだろう。 その思惑には乗らずに仲間を集めてミラーモンスターを破壊する。 万丈目一人では無理でも力のある者が一人でもいれば、あるいは何人も集まればきっと実現できるはずだと信じていた。 だが、万丈目の決心とは裏腹にこの時バクラの中にある考えが生まれていた。 『(はぁ~やってられないぜ。けっ、余計な正義感が邪魔だな)』 それは失望という感情だった。 自分の命が掛かれば他人を犠牲にすると思っていたが、逆にここまでの馬鹿だとは予想外だった。 同時に万丈目と同行する意義もどうでもよくなってきて、次に会った参加者に乗り換える事も視野に入れ始めていた。 当然その時は万丈目には済まないが生贄になってもらう。 バクラの目的は己の知るキャロとの再会、そしてこのデスゲームを大いに楽しむ事だ。 万丈目とはたまたま支給先であっただけで別段ずっと一緒にいる事はない。 もっと利用しやすい参加者がいればそちらにした方が都合はいい。 「ん? あれは!?」 『どうしたんだ、宿主サマよ』 「ああ、後ろの方から何か音が聞こえて……」 そんな事を考えていたバクラの思考を遮ったのは宿主である万丈目が急に上げた疑問の声だった。 万丈目はバクラの考えに気付く事もなく、音の正体を確かめるべく首を回し始めた。 ≪00 21≫ (主はやて、いったいどこに……) F-3市街地廃墟の中を進む影二つ。 影の正体であるザフィーラとアレックスは数時間前に廃墟と化したその一帯を捜索していたが、今は大通り沿いに機動六課隊舎へと向かっていた。 Lと別れてから今までずっと八神はやての捜索を行っていたのだが、結局僅かな手掛かりさえも何一つ見つからなかった。 ここまでして見つからない理由はもうここにはいないというものしか二人には考えられなかった。 とりあえず放送では無事が確認された事や約束の10時に間に合う事も合わせて仕方なく捜索を打ち切ったのだった。 ザフィーラは今までの捜索が無駄だったと思うと情けなかった。 こうしている間に別の場所にいるはやてが危機に晒されているかもしれない、そう不安が募って仕方ない。 だが皮肉にもその予感は的中していた。 この時もう既に二人が探している八神はやては数km離れた場所で身代わりのような形でこの世を去っている。 当然二人がそれを知る由もない。 「そうだ、ひとつ聞きたい事がある」 「なんだ」 既にアレックスは第一回放送の内容をザフィーラから聞いている。 死んだ13人の中に知った者もいたが、今はそれよりも聞いておきたい事があったのだ。 「さっき俺が説明した中に出てきたキース・レッドという奴には会った事ないんだな?」 「ああ、俺がここで見かけたのはLと紫髪の少女とお前だけだ」 「……そうか」 放送で呼ばれていないのでまだ生きている事は確かだが、今この瞬間どこで何をしているのかは分からない。 キース・レッドは自分を狙うとアレックスは半ば確信していた。 自分に劣るとはいえキース・レッドは間違いなく強者の分類に入る。 なるべく犠牲者が出ない内に自らの手で殺したいが、これまで有力な情報は皆無という結果だ。 (案外遭遇しにくいのか。俺の他に会ったのが紫髪の少女一人とは……) そんな取りとめのない事を思いながらもアレックスはザフィーラと共に機動六課隊舎に足を向けるのだった。 ≪00 15≫ (なによ! なによ! なによ! なんで、私が、こんな目に、遭わなくちゃ、いけないのよ!!!) E-2市街地北部を疾走する一人の少女。 Lとザフィーラによって保護された紫髪の少女――柊かがみは必死になって北を目指してただ走っていた。 目的は唯一つ、Lから逃げるためだ。 既にかがみの中ではLは相手を縛りあげて監禁する危険な人物という認識になっていた。 確かにかがみが目覚めた状況からしたらLに対してそんな印象を抱いても無理はない。 だが実際はかがみが罪の意識から逃げたいが為に作った詭弁という側面が大きい。 『自分は悪くない、悪いのは自分以外だ』 そう思わないと自分が壊れてしまいそうな気がして、かがみはそう思い込もうとしていた。 実際今までの事の責任が全てかがみにある訳ではない。 寧ろほとんどの事が不慮の事故、そしてそれに付随して起きた悲劇とも言える。 だが理由はどうあれ『柊かがみが人殺しをした』という事実は変わらない。 この事実が変わらないからこそ、その原因を曲解しようとする。 その考えはまともな思考を通り過ぎ、もはや異常なまでの憎悪の域にまで達しようとしていた。 (私が何をしたって言うのよ! 何も悪い事なんてしていない! それなのに……それなのに――!!) エリオを殺した――違う! あれは不幸な事故だ! それに私は死を以て償おうとした。 なのはに酷い事をした――違う! 悪いのはなのはだ! 私の償いを遮って挙句に私を助ける事ができたと身勝手な自己満足に浸っていた。 戦いの果てに一人の女性を殺した――違う! あの人達が襲ってきたからだ! 私はただ生きていたい、殺されたくない、ただそれだけだ! そんな被害妄想に浸るしか今のかがみにはできなかった。 そうでもしないと心の奥にある良心の呵責に押し潰されてしまいそうだから。 それに加えて今のかがみは所謂危機的な状況だった。 『グゥォォォォォオオオオオ!!!!!』 「――ッ! こ、来ないでよ!!」 現在進行形で鋼の犀メタルゲラスに追われているのだ。 おそらく現所有者になったLが口封じのために放ったのだろう。 以前は自分に従っていた怪物が今は牙を向く理由をかがみは必死に逃げながらそう解釈した。 確かにLがメタルゲラスにかがみを捕まえるよう命令して放ったのは事実だ。 だがメタルゲラスはLから参加者には危害を加えるなと厳命されているので仮に捕まっても危険な訳ではない。 またL自身もかがみ一人を放置するのは危険だからという親切心からの行動であり、口封じなど全く考えていない。 だからかがみがここまで必死になって逃げる必要性はないが、その事実を知らない当人からすれば逃げる以外の選択肢など無かった。 あれからこの追いかけっこが始まってだいぶ経つ。 逃げる普通の高校生の柊かがみと追いかけるミラーモンスターのメタルゲラス。 本来なら簡単に終わりそうな逃走劇をここまで長引かせている要因が二つある。 一つはメタルゲラスの状態。 今のメタルゲラスは幾度かの戦闘で全身傷付いている状態だ。 そして食事はおろか満足な休息もない中での命令では本来の力の半分も出せずに動きは大幅に鈍っているのだ。 もう一つはかがみの状態。 今かがみの右手には逃げる途中で拾った白と紺の槍――ストラーダが握られていた。 必死に逃げている途中でかがみが地面に突き刺さっていたストラーダを拾ったのは偶然だった。 セフィロスが使用しているのを見ていたため自分も電撃が放てるので使えるのかと思って引き抜いたのが発端。 咄嗟に接近してきたメタルゲラスに向けてみれば上手い具合に電撃が当てられたのでそのまま持っているのだ。 もっとも電撃が当たったのは電気の通り道ができたからで、別にストラーダの力のおかげでもないのだが。 だが、なんだかんだで逃げるかがみに道々助言を与えていた辺り、ストラーダはかがみに同情しているようだった。 「このっ! 来るな、来るな、来るなァァァアアア!!!」 傷ついた身体に加えて折を見て放たれる電撃でメタルゲラスはかがみとの距離を中々縮められないでいた。 途中の廃墟でザフィーラとアレックスに出会えば運命は違ったかもしれないが、結果的にかがみは誰にも出会う事なく走っていた。 このまましばらく一人と一匹の追跡劇が続くのかと思われたが、終焉は呆気なく訪れた。 「えっ!?」 かがみが地面の凹凸に足を引っ掛けて躓いたのだ。 既にかなりの時間を走っていただけあって体力は限界に近く、再び立ち上がろうにも足に力が入りづらかった。 そして当然その間にメタルゲラスは悠々とかがみの元に辿り着いていた。 「え、あ、来ないで……」 かがみはこの世の終わりが来たかのような心持ちになり、覚悟をきめて目を閉じた。 もう逃げる事も出来ない身である事を悟って、既に俎板の上の鯛のような境地に至っていた。 もうかがみはじっとその場で蹲るだけだった。 ≪00 03≫ 「さて、そろそろ行きますか」 あれからしばらくデルタのベルトについても少し調べていたが、やはり明らかにLのいた世界にはない技術だった。 つまりはここには多種多様な世界の住人がいる事が改めて見せつけられたのだ。 他の参加者とあまり遭遇できない以上今所持している支給品が多かった事は大いに考察の助けになった。 首輪探知機の方も詳しい事は結局分からずじまいだった。 だがあまりゆっくりしていて本題を疎かにしては本末転倒だ。 良い頃合いだと判断してLは運転席に移動するべく、今まで座りっぱなしの体勢を崩した。 その際いつものようにテーブルに置いている角砂糖を手に取ろうとしたが、なぜか手は空を切るばかりだった。 静かに考え事をしている最中も絶える事なく摂取し続けていたので、とうとう翠屋から持ってきた分がなくなっていたのだ。 「ああ、なくなってしまいましたか。機動六課隊舎にあればいいんですけど」 Lは心から残念そうな表情を浮かべつつもテーブル上の道具をデイパックに詰め直し、一度トレーラーの外へと出た。 別に深い考えがあった訳ではなく、単純に外の空気を吸っておこうと思っただけだった。 そして結果的にその判断が―― ≪00 00≫ ――Lの運命を決めた。 ▼ ▼ ▼ Back Face 時系列順で読む Next 変わる運命(後編) Back Face 投下順で読む Back Amazing Grace(The Chains are Gone)(後編) L Back Amazing Grace(The Chains are Gone)(後編) アレックス Back Amazing Grace(The Chains are Gone)(後編) ザフィーラ Back Amazing Grace(The Chains are Gone)(後編) 柊かがみ Back サンダー遭難中... そして、バクラの考察 万丈目準
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用語集 世界観 共通基本設定まとめ 種族まとめ 国家まとめ 魔法まとめ に収まりきらない用語や語句なんかはここに。 実質作者の個人ページ扱いである作品別設定資料集とは逆に、 こっちはどうぞどんどん読者ことスレ住民の手で埋めてって。 世界観資料wikiを見ることができなくなったのでこちらに移動 作品別設定資料集 <あ> ■アフアの実 果実。ココナッツやヤシの実に似た、白い果肉の南国木の実。 ただし絞って出来るジュースは見た目・質感・匂い、全てまんま精液(味除く)。 媚薬効果があり、特にヒトには劇的な効果がある為原液を飲ませると大変な事に。 火蓮と悠希 ■アルケール タマネギぽい野菜 虹絹の乙女達 ■イサーニョ ジャガイモに似た食物。 木登りと朱いピューマ ■イサーニョの甘辛煮 ヒト世界の料理を真似たもの、イサーニョを甘辛煮したもの、見た目は芋の煮っ転がし。 木登りと朱いピューマ ■犬缶 イヌの人にも意外と好評。 鉄は凍月と舞う ■インスタントラーメン とある姫は、麺を食べ終わった後にゴハンを入れておじやにするのがフルコースらしい。 こちむいシリーズ ■ウニ(砂海産) 現地名ウニ、味もおそらくウニ、見た目はハルキゲニアぽく、大変美味。 放浪女王と銀輪の従者 万獣の詩 ■ヴィックルヴェポラップ 落ち物のヒト用『塗る風邪薬』使用期限と内容物を確認の上ご使用ください。 こちむいシリーズ ■エビ(砂海産) 現地名エビ、味の方もエビ、外見はアノマロカリスぽい。 放浪女王と銀輪の従者 ■お風呂 お湯により体を清潔にするための設備、効能は無し。 何故か種族的にネコの方は、お風呂が苦手な方が多いようです。 なお、女性と一緒に入ろうとするのはセクハラですので自重しましょう。 こちむいシリーズ 万獣の詩 木登りと朱いピューマ ■温泉 イヌ国等に沸く天然のお風呂、非常に良いものでネコの方も愛好者が居る。 なお、ウサギの国の首都に温泉は無いので、誤解無きよう願います。 狗国見聞録 ■音封石 一定の魔力を送り込んでいる間、周りの音を記録する事ができるアイテム。 トラやカモシカやネズミなど、魔法の素養に欠ける種族は使用出来ないが、 猫国で最近開発された専用の機具さえあれば、誰でも使用可能になるらしい。 迷探偵クリフ=ヴァレンタイン 万獣の詩 <か> ■海草スープ 昆布と鰹出汁のスープ、三食とも魚とこれだとヒトは辛いらしい。 金剛樹の梢の下 ■カカオ 昔は“神の実”と呼ばれた栄養価の高い食べ物、焙煎し荒く砕いた物をカカオニブ、 さらに細かく砕いてペースト状にした物をカカオマスと言い、 砂糖、ミルク、カカオバターを加えて加工した物がチョコレートである。 一部のヒトに対する風邪の特効薬で、手間と愛情がこもってます。 岩と森の国ものがたり ■がむてぇぷ 世界の壁を隔てたヒト国より伝わりし、あらゆる物を修復接合する万能素材であり。 特に『だんぼぉる』なるものと組み合わせた暁には、 冬の路上にハウスを打ち立てる事すら可能とされる究極物質の一つ。 壁の穴を塞ぐ時には、イヌ♂と合わせて御使用下さい。 万獣の詩 ■カラオケ屋 ネコの国の王都の城下町にある、カラオケセットで歌を歌えるお店。 インターホン付き電話を個室に取り付ける等、非常に近代的。 食事のサービスも承っております。 こちむいシリーズ ■ガレー船 複数の漕ぎ手を推進力とする船、鍛えられた肉体で駆動すると帆船にも劣らないらしい。 医学とHの関係 ■缶ビール クーラーボックス等で冷やして飲むと大変美味、マナ姫は発泡酒は好きではないようだ。 こちむいシリーズ ■絹織物 狐耳国と獅子国の特産。この世界でも高級品。 獅子国伝奇 ■虚無 呼び方は作品によってさまざま。精霊だったりブラックホールだったり。 とにかく、なにもない空間に突然現れ、いろんなものを吸い込む時空の裂け目。 世界のパワーバランスが崩壊したときに現れるっぽい。 岩と森の国ものがたり ■クイ テンジクネズミを起源とする種、日本人に馴染み深い名前はモルモット。 木登りと朱いピューマ ■クイとユンカのトマトソース和え ヒト世界の肉類とコーンのトマトソース和えを真似たもの。 木登りと朱いピューマ ■クスクス 粒状のパスタにスープをかけた料理 放浪女王と銀輪の従者 ■ケール ネギっぽい野菜、イヌ国のとある八百屋では25センタほどで売られていた。 ジークは苦手らしい。 狗国見聞録 傭兵回想記 ~サムゾラノマチ~ ■剣闘士 シュバルツカッツェの闘技場で、ネコの貴婦人達の娯楽として命がけの戦闘をさせられるヒトの少年少女がいる。 総合格闘技の「ナックル」篭手着用の打撃格闘技「ガントレット」武器と防具を着用する「シルト」半裸に真剣使用の「ソード」がある。 露出度の高い美少年美少女の剣奴隷のグラビアやブロマイドは腐ネコやヒトオタに人気。 岩と森の国ものがたり ■コーラ 落ち物で時折落ちてくる炭酸飲料で、コピー品も数多く作られている。糖分補給に適するらしい。 メントスと呼ばれる落ち物の菓子を入れて密封すると大変危険である。よい子は真似しないように! シャコのお嫁さん ■コロッケ ネコの国の王都、『山猫亭』で販売されている、美味だが食べ過ぎによる胸焼け注意。 こちむいシリーズ ■炬燵 魔洸にて作動する以外はヒト世界のものと同じと思われる。 冬場のネコを行動不能にするカースアイテム。 さらに、蜜柑とそれを剥くヒト召使がいると、寒い間はまず抜け出せない。 「猫井技研の科学力は世界一ぃぃぃぃぃ!」 こちむいシリーズ こたつでみかん ■五番のアイボリー ディルドー、常用にお勧めの品。 聖プッシーキャット女学院 ■コンドーム ナマでするほうがやはり良いらしい。 ネコの国の姫が使用した物は、シャフトの途中にぼこぼこが出ていたり、 先端にはびっしりと軟らかいプチプチやトゲトゲのあるエグイ代物。 どちらも連続使用は、破損の危険があるので計画的に。 こちむいシリーズ 万獣の詩 <さ> ■左近衛府 都の治安を守る役所。 盗賊から妖怪や魑魅魍魎までいろんな相手から都を守っている。 ちなみに、右近衛府は都の中でも特に朝廷と役所と巫女連を中心に防衛しているため、広い都の防衛は左近衛府のお仕事。 剣術少女と狐耳っ子 ■雑誌 イヌやネコ国では印刷技術は比較的高水準にあるらしく、趣味や情報誌が確認されている。 ペット関連の『ペットのいる生活』『小鳥とふれあう』『一人暮らしでも飼えるペット』や、 婦人や青年層向けと思われる『乙女の祈り』『紳士の嗜み』が確認されている。 万獣の詩 狗国見聞録 ■サトルの料理 何を作っても、美味しくも不味くも無いらしい。 料理のレパートリーは、キーマカレー、パンケーキもどきにチリビーンズ等。 放浪女王と銀輪の従者 ■獅子国料理 おそらく、テーブルと椅子以外は美味しく調理してしまえる神秘の国。 医食同源、活力全快、夜のお供の料理の詳細は以下の獅子国HPより。 獅子国伝奇 ■白い汁粉(仮) 熱い湯気と共に鼻腔をくすぐる、少し古くなった安米特有の米臭さ! そこに割り込んでくる、甘党も逃げ出すような舌を腐らす露骨な甘味ッ! かくて奏でられる不協和音、ジャイ○ンシチューもびっくりなジーク作の一品 狗国見聞録 ■蛇毒杖 直径5cm長さ120cmほどの鉄柱でその長さの1/4程の長さだけ水銀が詰めてある。 『やけうぼうる』と併用した『葬らん』は危険なので、相手を選んで使用しましょう。 放浪女王と銀輪の従者 ■三番オーク 初心者向けディルドー、初めてでも安心です。 聖プッシーキャット女学院 テイルズ オブ コンチェルト ■シタデルバスター 『城砕き』とも言われる竜の一種、知性は獣並で古代戦闘では飼いならされて城門を破壊するために用いられた。 岩石を主食とし、岩盤のような鱗とマツボックリ形状の鉄球のような尾の破壊力は脅威。 ただし、魔法防御が皆無なために現在の軍では使用しておらず、野生化した物も討伐されている。 輸送用の竜としてはコストパフォーマンスは今一つなので都市部ではあまり使われていない。 街中に乗り入れると、ヒト世界で街中をトラクターで走る位には目立つので、ゴロツキに目を付けられない様に注意。 虹絹の乙女達 ■銃 高性能の落ちものから、この世界で生産された劣化コピー品まで、数量は少ないなりに色々なものがある。 この世界で作られた銃の中には重量3.2キロの55口径リボルバーみたいな、ヒトの使用を全く考慮していない代物もある。 岩と森の国ものがたり ■シュバイン 食肉。シュバインとリントの合い挽き肉が、ハンバーグの材料になるらしい。 牛に似ているのではないかと推測される。 無垢と未熟と計画と? ■書籍 学術書や実用書等の固めの本、イヌやネコの国では比較的見かける。 『社会構成比較論』『魔洸以後~犬猫貿易摩擦~』『治安維持平定の12命題』などが作中には出ていた。 狗国見聞録 ■書籍(落ち物) ヒトの文字で書かれているため解読が難しい、特に日本語以外で書かれたものは、 落ちてくるのが日本人が多いため、さらに解読しにくくなる。 翻訳しようにも、概念自体が無い言葉も存在する。 雑誌やビジネス誌、心理学やインド哲学、分子生物学等のほかにも、 アガサクリスティやSFの宇宙戦争物等のフィクションな物も落ちて来ているもよう。 放浪女王と銀輪の従者 ■人頭税 獅子国やイヌの国などでヒトにかけられる税金。ネコの国では存在しない。 国家や地域によって納税形態や納税対象、および税額は異なる。 ヒトがこの世界で「財産=モノ」扱いされている証拠。 獅子国伝奇 ■スノーベリー 果実。ウサギの国の特産である雪のように真っ白な苺。ジャムや果実酒にもなる。 十六夜賛歌 万獣の詩 ■セパタ この世界における米ドルみたいなポジションの通貨単位であり、紙幣通貨。 これさえあれば大抵の国で買い物が用足りる。 元々はネコの国の通貨なのだが、ここ200年程のネコの国の対外経済進出と、 それによる大陸経済の座巻によって、ほぼ世界共通通貨化。 ちなみにネコ以外のほとんどの国は未だに金貨銀貨を使っているような状態。 センタという小単位貨幣がある。 1セパタ=1000センタ=日本円で約2000円に相当。 こちむいシリーズ 狗国見聞録 万獣の詩等 ■双頭ディルドー(漆黒の闇編) アトマーシャ製の性医学とマナ姫協賛の魔法化学が融合した、 通称『これであなたもお気軽に性転換v 彼氏のお尻を狙っちゃえ☆君』(双頭張り子) 魔法知識の無い方でも内部に張り巡らされた擬似神経を膣に半融合し、安全にいつでも解除可能なのに感度バツグン。 射精は分泌された愛液の98%をディルドが瞬間的に回収して、放出させる。絶頂感覚もバツグン。 しかも張り子なのに勃起硬度が任意に変更可能、さらに自身の表面色を自動で調整し色合わせする一品。 ちなみに、代金二千四百八十セパタなり、高性能で高級感溢れる一品となっております。 虹色の乙女達 <た> ■大外壁 獅子国の首都ウーアンを囲む六重の巨大城壁。 一番外側の城壁は総延長24キロ、一番内側の城壁は高さ45メートル。投石機2000基、弩10000台が配備されており、仙術を駆使した魔法障壁も完備。 15年の歳月とのべ80万人の時間と手間をかけて作り上げたチート防壁。 獅子国伝奇 ■タイヤキ ネコの国の落ち物ヒット商品。 ウサギの国にてタイヤキ屋さんの存在を確認。 セットでたこ焼も販売しているようです。 万獣の詩 こちむいシリーズ ■大犀 タイサイと読む、後記述の大命に良く似た滋養強壮の特効薬、ただし、媚薬としても用いられるので、使用には最新の注意をお願いします。 獅子国伝奇 ■大命 タイメイと読む、滋養強壮効果の有る薬草、前記の大犀とよく似ているので注意。 獅子国伝奇 ■タイヤキプレート タイヤキ作成の調理器具。 製作ロットナンバーが一桁のものが、競売にかけられていた。 医学とHの関係 ■タネクサレシイタケモドキ 茸。シイタケによく似た毒キノコ。媚薬。 発情する種族の内分泌を撹乱し、強制的に発情状態を誘引する。 アフアの実とは違い、発情機構を持たないヒトその他には効果がないらしい。 過去イヌの品種交配実験において使用された歴史を持つ。 犬国奇憚夢日記 ■タマケール 痛そうな名称のラッキョウぽい野菜 虹色の乙女達 ■玉子酒 風邪の時には最適、添加物が無いのを確認の上で飲みましょう。 こちむいシリーズ ■チチャ酒 サンキンユース地方の地酒。 木登りと朱いピューマ 夜明けのジャガー ■茶 獅子国の主な輸出品。船で輸出されることが多く、船内で発酵させて紅茶や烏龍茶にする。 獅子国伝奇 ■中古ヒト 主人に飽きられたり壊されたりして捨てられたり、売り飛ばされたりしたヒト。 捨てられたヒトは野良犬か生ゴミみたいなもので誰でもお持ち帰り自由なため、貧しい人たちがヒトを手に入れるパターンの一つである。 だが、中古ヒトはすでに心身に損壊を抱えていることが多く、拾っても心身性ショックのためにほどなく死ぬことが多い。 それを乗り越えた場合は、命の恩人としてもれなくラブラブの主従生活が待っている…??? 獅子国伝奇 ■チョコレートケーキ 中央にあるアルシフォンで作られるソレは、甘党にとって、 食べないのは一生の損と言わしめる一品(ジーク談) 狗国見聞録 ■通信機 ヒトでも使用可能な探偵用通信アイテム。 ただし、背負い式でクソ重い(使用ヒト談)し高価らしい。 通信可能距離や使用可能時間は不明。 迷探偵クリフ=ヴァレンタイン ■通信室(仮) 旧式の大型スパコンの様な設備で、魔法のレーダー、遠話機能、情報端末、 擬似通信文書送受機器の機能を持ち、情報は薄い水晶板へ投射される。 ヒト世界の20年前の初期パソコン通信並の容量・機能をもつ。 狗国見聞録 ■九十九式変換機 魔力を電気に変えるマジックアイテム、関西圏及び関東圏対応機でアーク溶接も出来るらしい。 見た目はトトロ型のネコが背負える大きさの酒樽。 作者は無期限休養中、復活して自己進化、自己修復、自己増殖を備えた百式の開発が(一部で)望まれている。 狗国見聞録 ■テレビ(旧式) 魔洸にて動く製品、20年間使っていてもまだ現役。 狗国見聞録 ■甜岩 獅子国で取れる、粉にすると甘みを感じる岩。岩にしては柔らかいため加工は容易。 砕いて石ですりつぶすと、砂糖とはすこし異なる甘味調味料となる。 獅子国伝奇 ■テンプラ 菜種油を使い、小麦粉をまぶした野草や蜥蜴を揚げた物、空腹は最高の調味料。 荒野のテンプラナイト ■陶磁器 獅子国の特産。船を使ってネコや狐に輸出される。芸術品からコーヒーカップまで品目は雑多。 獅子国伝奇 ■トゥン ル・ガル王政公国の独自通貨。世界通貨セパタに対するカウンタマネー。 1トゥン=25セパタが基礎為替レートとなっているもシュバルツカッツェの為替市場ではある程度の変動相場となっている模様。 下位通貨としてダトゥン、バクトゥンが使われており、それぞれ上位通過の1%の価値と定められている。(1トゥン=100ダトゥン=10000バクトゥン) 狗国見聞録 犬国奇憚夢日記等 ■奴隷 ヒトのこの世界での基本的な立場、近代のアメリカのような意味での奴隷では無く、 資産であり高価な耐久消費財として使われた、古代ローマの奴隷がイメージには近いと思われる。 無論、そんな幸運な奴隷ばかりではないけれど。 こちむいシリーズ 放浪女王と銀輪の従者 狗国見聞録等 <な> ■七番アイアン 女の躯を苛む刃の無い剣、長大さと重量感を持つ、最強のディルドウ。 別名『にゃんこスレイヤー』ご使用は計画的に。 聖プッシーキャット女学院 テイルズ オブ コンチェルト 医学とHの関係 ■生肉(仮) 炬燵により人肌に暖められたソレは、肉食の方々のつまみ食いに最適。 周囲に飛び散った血と、口の周りの掃除はお忘れなく。 狗国見聞録 ■ナメクジ ウサギの国のこれを用いた料理は、長時間酒蒸しした魚?料理で、 アワビよりもだいぶ淡白であっさり味、お酒にとても合います。 なお、やや固めなのでトリの方は細かく切ってからお食べ下さい。 万獣の詩 ■男体盛り 姫様方手製の料理、器まで美味しく頂けます。 こちむいシリーズ ■濁酒 米で作ったオオカミ国の地酒、甘めで飲み口爽やか、『徳利』と『ぐい呑み』でお飲みください。 万獣の詩 ■ネコ風邪 獅子国で季節の変わり目に流行る風邪、名前に反して獅子の民にしか発病しないもよう。 主な症状は熱と関節痛と倦怠感と肉体疲労。ついでに咳。 獅子国伝奇 ■ノートパソコン 落ち物、文章の作成からデータの保存等にも使える便利な機械。 バッテリーが切れると動かなくなるのでご使用は計画的に。 医学とHの関係 <は> ■ハイヒール 女性用の靴、その立ち姿を美しく彩る女の防具であり、不埒者に天罰を与える武器でもある。 獣人♂♀のパワー格差を比較的簡単に埋める『凶器攻撃』と呼ばれ、容 易 に 人 体 も 破 壊 す る 。 万獣の詩 ■パインジュース パイナップルを材料とした飲み物、某ネコ医者はお昼に7杯飲んでも大丈夫らしい。 医学とHの関係 ■封景鏡 縦8cm、横13cm、厚さ5mm規格の魔法銀と高純度のガラスで作られた板、 撮影機材を用いる事で風景を写し取り、現像機材を用いる事で絵として再現できる。 非常に傷が付きやすく、埃にも弱いので丁寧に使用下さい、ちなみに一枚五百センタと高価です。 万獣の詩 ■符 キツネの国原産の、あらかじめ魔法使いによって、紙切れに魔法の構成と力が込めてあり、誰にでも『起動』するだけで使用できる魔法の品。 様々な効果と種類があり、悪名高い『魔法封じの符』、傷を治癒する『治癒符』、武器の手入れのための『錆取り符』等。 護身用に『火炎符』や『氷結符』等が有るが、一枚一枚の威力はさほど高くは無い。 紙と墨を使い、時間と手間隙をかけて精神力を消費するだけで作れる。 原価をあまり気にする必要が無いため、加工産業が盛んなイヌの国等でも作られている。 こちむいシリーズ 狗国見聞録等 ■フェリシア製薬ジクロフェナクティーム剤 風邪薬、座薬型、用法容量を確認の上でご使用ください。 こちむいシリーズ ■ブッフー 食肉。豚と牛を合わせて羽毛で包んだような外見の食用家畜。高価。 肉が非常に美味しいので珍重乱獲され、純粋な野生のブッフーはもうレッドリスト。 迷探偵クリフ=ヴァレンタイン ■ブッフーモドキ 食肉。ブッフーの品種改良版で、過酷な環境でも生存可能、飼育も容易だが、 味や触感はブッフーよりも数段落ちる。値段も安い。 ブッフーと見た目が酷似してるので、しばしば詐欺のネタにもなる。 迷探偵クリフ=ヴァレンタイン ■太い日でも安心ビジタープラス 炎症止効果と筋弛緩作用の成分を配合したローション、プラスは精力増進効果配合の意味。 サイズの違う方々や激しい日でも安心です、相談により成分調整も受け付けております。 医学とHの関係 ■船 獅子国ではジャンク、ネコの国ではバーグ級の帆船もあるし魔洸動力の最新鋭船も。 海上貿易で一攫千金を狙う商人は多い。 獅子国伝奇 ■フレイムベリー 果実。ウサギの国の特産である炎のように真っ赤な苺。ジャムや果実酒にもなる。 十六夜賛歌 万獣の詩 ■干し杏 果物を干した保存食、疲労回復効果や体を温める効果がある。 放浪女王と銀輪の従者 <ま> ■魔剣 武器全般の総称、イヌ国の特産品だが、同じように魔力を付与した武器は何処の国にも存在する。 最低ランクの物ですら、折れず曲がらず切れ味が落ちないと言うまさに魔法の剣。 その分、安い魔剣でも並の刀剣百本分(数千セパタ)の価格で、最高級品では30万セパタ、伝説の品物に至っては国宝となる程である。 『形質保持』『耐血耐脂』『切れ味向上』『身体能力強化』『超加速』『身体防護』『放電攻撃』『マナドレイン機能』等の効果が確認されている。 こちむいシリーズ 狗国見聞録 無垢と未熟と計画と?等 ■魔洸製品 ヒト世界の家電製品のコピー品、ネコやイヌの国等の先進国の、 比較的裕福な家や、軍等の公共施設で見かけられる。 冷蔵庫、テレビ、蛍光灯に換気扇やコンロ等、電気では無く魔洸で動いているらしい。 こちむいシリーズ 狗国見聞録 迷探偵クリフ=ヴァレンタイン等 ■魔洸ドリンク 茶色い小瓶に入った魔力を回復させる飲み物、変なとろみの付いて後味の悪い硬水サイダー味、安物は美味しくないらしい。 手持ちの魔力は回復しても、身体への負荷は回復しないと思われるので、御使用は計画的に。 昔気質の魔法使いには、こんな物で魔力を回復させるなんてと、嘆かれてる。 狗国見聞録 無垢と未熟と計画と? 医学とHの関係 ■魔法 魔素と呼ばれる存在を体内で魔力に変換し、それを意思の力で物理現象に変換する技術。 凄い切れ味の剣を作ったり、隕石を落としたり、銃弾を弾く障壁を作ったり、生命体まで作り出せる。 質量保存の法則も万有引力も無視する現象だが、無から有を作り出すのでは無く、物理法則とは異なる法則に従った現象。 詳しくは魔法まとめへ。 狗国見聞録 無垢と未熟と計画と? 医学とHの関係 ■ミノ丼 ミノタウロス丼。ヨシノ屋系列のチェーン店で供されている、牛丼に酷似したメニュー。 使用されているのがミノタウロスの肉かどうかは不明。 虹衣の乙女達 ■豆と燕麦の混ぜ煮 金剛樹お姫様の食事、ヒト曰く鳥の餌。 金剛樹の梢の下 ■眼鏡 視力を補正するための道具で、ファッションとして身に付けたり、魔法式を刻まれたりもしている。 形状は耳の位置の関係で後頭部に紐で止める方式や、単眼鏡と言われる片方の眼窩にレンズをはめ込むようにして使うタイプが有る。 放浪女王と銀輪の従者 <や> ■ヤトゥン・オンダ 巨大投石紐とも言われる投射武器、丈夫な紐の先に大人の頭ほどの岩塊を結びつけ、 反対側の端を両手で持って振り回し、ヒト世界のハンマー投げの様に使用する。 ジャガー族の巨躯によって遠心力を加えられた物体は、砦の防壁にめり込むほどの破壊力である。 夜明けのジャガー ■野球用品 ヒト世界のスポーツ用品、衣服と木や金属製の棒、そして「やけうぼうる」等。 基本的には遊具だが、「やけうぼうる」は投擲武器としても使用される。 無垢と未熟と計画と? 放浪女王と銀輪の従者 ■妖怪 狐耳国や猪の国で現れる魑魅魍魎。魔素とさまざまな怨念、悪念が結びついて生まれる。 通常の武器では傷つけられないこともあり、陰陽師や魔術使い、霊剣使いでなくては倒すのは難しい。 剣術少女と狐耳っ子 ■養殖ヒト フロミアなどで、ヒトを配合して人為的に生まれた第二世代以降のヒト。 生まれたときから売り物として扱われるため、徹底した教育と容姿、スタイルの矯正を施されるため、実は普通の落ちものより召使スキルや性奴隷スキルが高いことも多い。 信頼の置けるブランド物の養殖ヒトは高値で取引される。 この世界で生まれたヒトであっても、「商品として生まれたヒト」ではない場合は、普通に「第〇世代のヒト」と呼ばれる。 岩と森の国ものがたり <ら> ■らあめんや ヘビの国の国家アディーナの中央広場で、夜間に営業している屋台引きのラーメン屋。 メニューは塩とタンメンと酒が少々しか無いが、日本式のラーメンの味。 駱駝の骨と炒めネギベースのスープは単純ながら見事な味らしい。 ただし、あまりヘビの皆さんには受けが良くないため、常連や通好みの店になっているらしい。 最近ヘビの店員が入り、メニューと椅子とお客が少し増えた。 放浪女王と銀輪の従者 ■落愕病 落ちてきたヒトが低確率で発症する病気。 落ち方が悪かった、または空気中に存在する特別な物質が原因らしいが詳細は不明。 症状としては記憶の混乱、又は喪失。色素、体質の変化。言語、聴覚障害などが存在する。 稀に上記の症状が同時に複数発症する「重度」の症状がある。 ペンギンの国等 ■リャマ サンキンユース地方の騎乗動物、特別な帰巣訓練を施された軍用リャマも存在する。 夜明けのジャガー 木登りと朱いピューマ ■竜 幻想動物の王様。こちむい世界でも大半の人にはファンタジーの産物、空想上の存在と思われてるけど、実は本当にいたりする。 砂漠の果てにすむ、八頭二尾の黒い飛竜(外見:コウモリダコ)とか…… 岩と森の国ものがたり ■リント 食肉。シュバインとリントの合い挽き肉が、ハンバーグの材料になるらしい。 豚に似ているものと推測される。 無垢と未熟と計画と? 万獣の詩 ■リントの丸焼き獅子国風 見た目はヒトの世界の『西洋風豚の丸焼き』。 トマト、ケール、アルケールのみじん切りに、餅米、粟、こうりゃんの穀物類。 黒鳥肉のミンチに干した小海老、干したホタテの貝柱、もどした干し茸類をそこに加え、 ニンニク、ナツメグ、ルナリスリーフ、八角、クロイツの実で味をととのえた料理。 某イヌの主任さんなら骨まで美味しくいただけます。 万獣の詩 ■錬金術 卑金属を貴金属に変える魔法。物理的にありえないはずのそんな魔法が存在するあたりがこの世界の怖いところ。 ネコの国で完成され、金本位制を取っていた周辺諸国の経済を大混乱に陥れた。 その結果として、セパタが世界通貨となった側面もある。 岩と森の国ものがたり <わ> ■ワイコ サツマイモのような食べ物。 木登りと朱いピューマ ■ワイコのそら豆ワッテリア ヒト世界の料理を真似たもの、色が緑だが香りは味噌汁。 木登りと朱いピューマ <英数字> ■4Sキャノン サトルがバネ銃に対して付けた名前、翌日からは未使用。 自動車のサスペンション用のバネを滑車の力で巻き上げて、直径3cmほどの鉄球を飛ばす武器。 鉄球は一マガジンに5つ装填されており、バネを巻き上げると同時に銃身内に装填される仕組み。 ポップアップ機構により弓には劣るものの射程もそこそこ、アディーナの一部衛兵に支給され始めている。 放浪女王と銀輪の従者 ■NECOマーク 猫井エンターテイメントカンパニーオフィシャルの略。某家電メーカーとは無関係。 猫井の作ったおもちゃにつけられる信頼のブランド。 子供のおもちゃから大人のおもちゃまで、安心と信頼の猫井ブランドの証。 岩と森の国ものがたり
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※注意書き 鬱です。長いです。またところどころ残虐描写有。 【2014/11/30 夜】 加筆、修正。 我らが、呪いを思い出せッ!!!我らが苦痛を記憶せよ!!!! 死を想い、死と踊れ!!!!! 明日は我が身と記憶せ ―――― 目が覚めて、この世界に生まれ落ちて初めて聞いた言葉だった。 脳内、否、魂そのものに響くような、外界に届くことのない声なき声。 なけなしの力を振り絞るような声変わりをしていない少年の声。 それにしては威厳に満ちた、そんなような声だった。 僕の両手両足に値する部分にはまだ乾いていない血液が流れて丘に滴り落ちていた。 丘には僕と同じ十字架が幾つも並んでいて、その上に縛られたニンゲンが叫び、呻き、懺悔し怨嗟が木霊する。 よく見れば、この異常な光景に例外は無く、僕にもニンゲンが縛られている。 12、3ほどのまだ、幼い子供だった。その四肢は夥しい血液を流していて、両目を剥いて酷く、恐ろしい形相で息絶えていた。 彼と触れている面から生暖かい温もりを感じるから、きっと息絶えて間もないのだろうと悟る。 彼が僕を呼んだのか。それともこの場に渦巻く怨嗟が僕を目覚めさせたのか。 死人は二度と口を開かないから、もう解らない。 ニンゲンの真似をして息を吸うように体を動かして声を発してみようとしたけども、重苦しく禍々しくてすぐに言葉が詰まる。口が、開けない。 それ程にこの場の空気は重たく、淀んで、ただただ負の感情だけが生死の淵に立たされ、すぐには死ねず極限まで苦しめられる者たちの慟哭と共に渦巻いて。 常人ならば、霊気にあてられ気が狂うほどのものだろう。だけども僕はそれなりに冷静な思考を保っていられた。 僕はニンゲンではない。意思を持つなんてことのない十字架である。だから、きっと大丈夫なのだろう。 そんな中、一人の男が丘に立っているのが見える。 赤く、長い髪の片目を隠した眼鏡をかけたまだ20台前半ほどの若い男だった。 何故この空気に犯されない?彼は、目の前の光景を嘆くわけでもなく、寧ろ喜ばしいと感じているように思えた。 背筋が震える、急激に体温を奪われる感覚。生まれて初めて自身の糧となる恐怖を自覚する。他人のものではない、自分のものだ。 この異常な光景が怖い、慟哭が怖い、目の前の男が怖い。それだけで永遠にこの地で生きていけそうなくらいの恐怖だった。 男は喪服のような漆黒で、死を具現したような不吉な装束を身につけていた。 だけども不思議と神聖で神の使いのようにも思えた。しかし、僕の目にはその姿が当初抱いたように酷く恐ろしく不吉な悪魔のように映る。 重苦しい風が、男の纏う漆黒の装束を弄ぶが彼は微動だにしないのがまた恐怖を駆り立てる。 ふと、男と目があった。綺麗な碧の色をしていたが、濁ったように淀んでいる。 そんなことを考えていると僕は、その澱んだ瞳に射抜かれた。 きゅっと一瞬時が止まった感覚と共に身がすくみ、魂の奥底から震えを覚える。 彼がねっとりと見つめるのは僕か、息絶えた子供か、それともその両者かは解らない。 そんなことを考えていると、赤く染まった槌を持ったままの男が恍惚を湛え、笑う。 ……そうだ。僕はこの時に見た光のない澱んだ碧の瞳を、狂気を湛えたような瞳をよく覚えている。 『ある十字架の追憶』 あれから、ひと月ほどだろうか。僕が生まれて、それくらいの時間が経った。 既に、この場に命あるものは僕と、目の前に寂しく広がる空と、海。そして静寂に包まれた街とそれを囲むように広がる森くらいだ。 このひと月何があったかって?次々と連行された何人ものニンゲンが、僕と同じ十字架に縛りつけられその生を慈悲なく奪われるだけだ。 目が覚めて最初の頃は怖くて仕方が無かったけども、僕はこの異常な光景に慣れてしまった。いや、麻痺したというべきか。 呻く亡者の声にも、大量の死体にももう動じることはなく、こうして哀れみすら感じることができるようになっている。 ほとぼりが冷めたのか、最後の一人が息絶えて亡者になったのを見届けた連中は、物言わぬ骸を埋葬することもなく放置し、丘を離れていった。 取り残された僕の気持ちにもなって欲しいものである。生まれてすぐに生き物が生き物じゃなくなっていく光景を見せつけなくてもいいじゃないか。 まあ、ずっと恨み言を叫ばれていても困るけども。お陰でこのひと月、寝不足で仕方がない。 そうそう、僕に縛り付けられた子供は遂には真っ白で酷く痩せた骨だけの姿となってしまった。 こんな無残な姿をずっと雨風の下に晒しておくのが趣味なのか。ニンゲンって悪趣味な生物なんだな、そう思った。 しかし、周囲に静寂はなく風は相変わらず重苦しい。今でも、あの慟哭と嘆きが風に乗って、周囲に吹き荒れているようだった。 行き場を無くした無念、理不尽な終焉に対する怒り、処刑と拷問の痛みに狂う無数の魂。 瘴気にも似た腐毒が渦巻くこの凄惨な処刑場には、ただでもそういったものに敏感な獣は寄り付かないのだろう。 そりゃあそうだ。僕だって幾ら慣れたとはいえ、逃げられるなら今にでも逃げてしまいたい。 考えているうちに、ふとどうしようもない感情が浮かび上がる。 ――――― 寂しいなぁ。 周囲は少しは静かにしろと言わんばかりに喧しいのに。なんでだろうか。 そうこうしているうちに3月が経った。来訪者はなく、僕の置かれた環境はずっと変わらないままだった。 相変わらず亡者達は元気なもので、煩い癖に人の話は全く聞かないから話し相手にもならない。 僕と同じように目覚める仲間もおらず、僕は常にひとりぼっち。即ち、孤独であった。 意識ある限り、囁く怨嗟と逃げられない現実、そしてこの亡者の塊と重苦しい風が吹き荒れる孤独な空間が僕を歪めて犯していく。 彼らの思念を受けるだけで新たな記憶が蓄積され、島のこと、彼らのこと、世界のこと。僕は彼らが持っていたいろいろなヒトの知識を得た。 同時に発達し始めた自我を憎しみと恨みという全ての色を混ぜ合わせたような漆黒に染め上げていく。 どろどろに崩れた泥の中に押し込まれて汚されるようなそんな感覚。 こんなの、いらないのになぁ。だけども、亡者達は誰かに自分たちの身の上を知ってほしいのか、思念の干渉は止まることはない。 そうそう。どうして彼らがこんなにも凄惨な死を経て亡者になったかって? 彼らは元はこの丘を持つ小島の住人であった。島の近くには大きな大陸があって、ここよりもっと多くの人々が暮らしている。 この島は、その中でも大きな西の国の管轄ギリギリの位置にあって、住人たちは船で大陸に行くこともあったらしい。 彼らは大陸に伝わる古の闇の神霊を信じ、その教え通り人間らしく奔放に振る舞い、そしてあらゆる欲望に身を預け続けた。 でも、自然と島は独自のルールでまとまっていたし、あくまでニンゲンの世界で言う一般常識なるものが大いに欠けていただけだ。 島の外部には一切手出しをしなかったし、生贄だって外のニンゲンを使うわけでもなく自分達の島の中で選んでいた。 そうだ、彼らは余所から見れば墜落を極めていたものの自分たちのテリトリーで全てを完結していた。 外部に一切の迷惑はかけていなかったし、彼らは一般的な常識から外れようとも満足していたし幸福であったのだ。 なのに、なのに。彼らの平穏は秩序の名の元に突如破壊されてしまった。 『あいつら』は、彼らを邪教の使いと断じて僕が生まれる僅か前にこの島に攻め込んだ。 そして、当時の島民のほぼ全てを巻き込む一方的な拷問と処刑という虐殺を神の救済と浄化を掲げて行った。 それも、ニンゲンの世界で言う一番残酷で、禁止する国家も多い方法をわざわざ用いて行ったのである。 年老いた老人も僕に縛り付けられた子よりも小さな子も見えたから、邪教徒である島民ならば対象は問わなかったのだろう。 特に島の中心者であった教団幹部や教祖一家に対してはその仕打ちは思い返したくないほどに酷いものであった。 最後の晩餐たる美酒も、骨砕きの慈悲も授けず、ただただ見せしめとして長く苦しむように仕向けたのである。 僕に縛り付けられた少年もその一人である。僅か10と少ししか生きていない子供にさえ、痛みのあまりに精神が崩壊することも稀ではない無慈悲な死を連中は強いたのだ。 ……邪教徒なのはどちらだと連中かもしくは連中の信じる神とやらに声を高らかにして問いたいものだ。 全ての亡者の思念に触れた僕は、すっかり彼らの思想に染め上げられてしまっていたのだろう。 理不尽な死を与えた聖人が憎い、凄惨な虐殺を虐殺と気づかない神が憎い、それを言われるがままに実行するヒトが憎い。 そんな人々を生み出す宗教がただただ憎く、恐ろしく、狂ったものと思うようになっていた。 僕を取り巻く亡者のように、激情が次々に湧き出しては心に溜められていく。いつか盛大に吐き出せと言わんばかりだ。 この燻る感情を吐き出す相手は誰もいない。ここから脱兎の如く逃げ出したくても十字架である僕はどこにもいけない。 まだ生まれて3月。死と怨念と触れ続け、恐怖と孤独に磨り減った心はもはや限界に達し、今にも音を立てて壊れてしまいそうだった。 不安定なココロ、終わらない孤独。吐き出せない痛みと苦しみ。 しかして、沈黙はいつかは途絶える。止まった時計はいつかは動き出す。 そうだ。あれは、白い雪の降るある寒い日のことだった。僕を取り囲むこの環境は、一変した。 仲間たちに縛り付けられた白骨が、ふるい落とされ、仲間たちが引き倒される。 3月にも渡る処刑は此処に終了した。邪教徒の成れの果てを埋葬することもなく、仲間たちがかつて教団として使われた建物に運ばれていく。 次は僕の番だった。乱暴に引き倒され、あの少年ともこれで別れることとなる。少々寂しい気もするが、これであの亡者たちから解放されるのだろうと思うと少しだけ安堵できた。 しかし、その認識が甘かった。役目を終えた道具は、処分される。 この環境からの解放は即ち僕の死を意味するのだ。僅かに抱いた希望さえも砕くあまりにも巨大な絶望、それを強く叩き込まれる。 建物に入った瞬間、目に飛び込んできた景色に背筋が凍り、まるで高いところから突き落とされたような感覚を覚えた。 先に運ばれた仲間が無残な姿で『処分』されていたのだ。 そう、これは救いなどではなかった。ただ、冷酷な死を与えられるだけだった。 あの邪教徒たちと同じように無残に、そして凄惨に。 そうこうしている間にも、『処分』は開始される。まず、その『右腕』を取られる。離せよ、という僕の呟きは連中には届かない。 鋭いノコギリが腕の付け根に当たる部分に宛てがわれ、ゆっくりと引き下ろされ、切断される。 刃が動くたび激痛が、走る。痛い、痛い。 「……ん?おかしいな、そんな硬かった覚えはないんだが……」 「おーい、 。団長が呼んでんぞ。お前帳簿書き忘れただろ」 「あ、いけね。今行くよ」 大きな音を立てて、僕の腕が床に転がる。 刻々と近づく死の吐息。しかし、腕を切り落としたニンゲンは己の得物を見て小首を傾げた。 痛みに声をあげそうになるが、普通十字架は喋らないものだ。痛みを抱え込んで、押さえ込む。 微かな声。僕を殺そうとするニンゲンのものではなかったが、多分その仲間の声なのだろう。 ニンゲンはノコギリを傍らに置くと、僕をほっといてその場を後にした。 ニンゲンが置いていったノコギリは、まるで鉄にでもぶつけたかのように刃がぼろぼろになっていた。 思えば、これが奇跡のひとかけらだったのだろう。 ―――― 逃げるなら、今しかない。 僕は、切り落とされた右腕の痛みを堪え、ここからの脱走を決意した。 目を閉じて、霊力を解き放つ。まずは自由に動けるよう“化ける”ことを優先する。 化けることは器物の化身たる付喪神としての能力の一つで謂わば擬人化のようなものだ。ほら、昔からよくあるじゃないか。武器とか……そうそう、最近だと船が有名だったな。 化ける方法は至って簡単だ。なりたい自分をイメージし、姿を作り上げることで化けることができる。 しかし、今は緊急事態だからかつて僕に縛り付けられていた少年の姿をそのまま借りた。 この数ヶ月の生の中で僕にはこの島で無残な死を遂げた邪教徒の記憶が備わっている。そこから「なりたい自分」のイメージを起こしたわけだ。 あの亡者達の記憶がこんな所で役に立つなんて。そう思えばあの経験もただの苦痛ではなかったのかもしれない。 さて、ニンゲンに近い体を手に入れた。これがあれば自由に動き回れるだろう。 激痛に悲鳴をあげそうになるのを俯いて必死に殺して、解体人が他のニンゲンに呼び止められた一瞬の隙をつき、僕は一目散に建物の外に逃げ出した。 「苦しい、痛い、助けて!!!」 追いかけてくる僧衣のニンゲン達を振り切って、喚き散らしながら森に向かって走る。 生まれて初めて声を出した。それは助けを求める悲鳴に似た叫び。僅か3月で吹き消されそうな生を渇望する慟哭である。 「なんだ、あの子供は!?」 「おいおい、幽霊騒ぎとか勘弁してくれよッ!!」 「嘘だろ……あいつ、確かに殺した筈だぜ?死亡確認も取ってる」 「……ともかく、追いましょう。もう一度処刑されねば気が済まぬようで」 「ウルスラ、俺はお前のほうが怖い」 僧衣のニンゲン達は、僕を見るや驚くものもいたし、どうして生きているとのたまう者もいたし、まだ残党が残っていたのかと叫ぶ者もいた。 あの邪教徒の少年の姿を借りたから、自分たちが粛清した邪教徒の残党か幽霊か何かと思っているのかもしれない。 だけどそんなことを気にしている暇などない。逃げなくては。遠くへ、より遠くへと。 片腕に持続する鋭い痛みと疲弊しきった精神。足が止まりそうになるけども、ここで足を止めてしまったら僕はバラバラにされて殺されてしまうのだ。 誰にも祝福されない、誰にも愛されないもはや用済みの道具で、生まれてから教えられたのは亡者の記憶と強い悪感情だけ。 ……それでも、僕は死にたくないし、あのただ騒ぎ散らすだけの亡者の群れになんて混ざりたくない。 繰り返すが生きるためには捕まってはならない。足を止める猶予は残されていなかった。 幸い、ニンゲン達は僕から比べればずっとのろまであったからすぐに彼らのいる建物から出て、建物の裏に広がる森の中に転がり込むことができたのだ。 「もう大丈夫、怖くないよ」 「だれ……?」 森の中に入って、闇雲に走って自分のいる場所が解らなくなったその時、弱々しい若い男の人の声を聞いた。 落ち着きを払っているけど、声は震えているし早口だし小声だ。 それはまるで木々が風に流されながらざわめき、囁くような声だ。こんな状態じゃなければ聞き過ごしてしまう程の。 「さあ、こちらにおいで。私は君の敵ではない」 「……っ!あ!?」 言葉が発せられる位置など解らない。どうせ僕を捕まえようとする連中の罠だろうと思っていた。 声から逃げなければ。でも、もう足が動かない。走ることなんて出来ない。 足を動かそうとした刹那、小石に躓いてバランスを崩した僕の体は地面に向かって仰向けに投げ出された。 「…つぁ!?う、ぁ……。あ”あぁぁッッ!!!!!」 地面に体が叩きつけられる。体が軋む、必死に殺していた右腕の痛みが一際強くなって僕を蝕む。 森の中に鋭い悲鳴が響く。それと共に、鳥たちがざわめいてその場から飛び立っていく。 ――――― 苦しい、苦しい、苦しい。痛い、誰か……。 痛みで意識が朦朧とする。ニンゲンと違う僕は、ニンゲンと同じ方法で傷を治すことはできない。 本体である道具が壊されてしまったら修復して貰うまで痛みは延々と僕を苦しめるのだ。 だから、どれだけ堪えても、どれだけ痛みを訴えても切り落とされてしまった右腕から痛みは消えない。 この島にいるニンゲンは僕を殺すために追いかけてくる連中だけ。あとは獣と喧しい亡者だけだ。助けを求めても、無駄なのは解りきったことなのだ。 「……あぐ……っうぁ……、あぁ、あぁ……」 体を引きずり、這ったままで森の奥へ向かおうとする。 今の悲鳴で、場所が解ったのかどうかは解らないが、遠くで足音が聞こえたから誰か森へ入ってきたのだろう。 しかし、僕はこの通り満身創痍の状態だ。満足に逃げることも隠れることも出来ず、連中に見つかるのも時間の問題と言えた。 「嫌だ……来るな……来ないで……」 「怖がることはない。ニンゲンに生み出され、好き勝手に消費される宿命を背負った哀れな付喪神。即ち、君を救いに来たんだ。さぁ―――」 声を振り切ろうと、なんとか体を動かして救済という甘い誘惑を拒絶する。 しかし、逃げ回っているにも関わらず返答は僕の背後から響いた。同時に背後で強い霊気の奔流が蠢く。 摩耗しきった心身で恐る恐る振り返る。黄昏時を過ぎていたのか、木々が生い茂る森の中だったからかは解らないが、それは摩耗しきった僕の眼にもはっきりと見えた。 霊気の奔流の正体は、あまりにも鮮明に映る光だった。眩しすぎる陽光でもない。丘の上から見つめ続けた遠くを行く帆船の光でもない綺麗な光だった。 懐中電灯の明かりにしては眩しすぎるなと思いつつ光を見上げたその瞬間だった。 あっと声を上げる間もなくこの不可思議な光は僕を飲み込むように覆い尽くした。 ああ、捕まってしまったのか。この後どうなるかは、解っている。僕は、僕は……。 光の中から出ようにも見えるものは真っ白で、眩しくて目がくらむ。目がくらむと同時に、今までなんとか保てていた意識が薄れていく。 意識が朧げになる中、ふと誰かに抱かれるような触感と浮遊感を覚えた。幼い子供を抱き上げ、あやすように暖かくて優しくて、恨みから生まれた僕には不釣合いだった。 だけどももし、命の終わりがこんなに優しくて暖かいものなら、それでもいいかなと思えるくらいこの光は暖かなものだったのだ。 「目が、覚めた?よかた、よかた、ね」 意識が覚醒する。桃色の髪の褐色の肌、極めて中性的な容姿をしたニンゲンが僕を見下ろす。 「今度は付喪神?メリアス様、ホント節操ねえなぁ」 「それは言ってやるなよ。彼がいなければ私達の大半は死んでるんだし」 「違いねえな。さて、水でも持ってきてやっかね……ずっと魘されてたみたいだし」 「……この前みたいに暴れないわよね……?この、ガキ……大人しそうに見えて、とんだ怪物なんだから……」 「あのさぁ、チャンダナの様子は?うきゅーとかいいながら目ぇ回して倒れてたじゃない?」 「あぁ、ガワがだいぶやられたが大丈夫みたいだ。あいつ、死気は苦手だからな」 ここは、どこだ。 ただ一つ言えることは予想に反し、僕はまだ生きているということだ。 あの時、僕は何者かに捕らえられた筈では。……否、救われたのか?連中が慈悲を下すとは思えない。では、誰が、どうやって? どうやら、僕が意識を失って再び覚醒するまで数日が経過しているようだ。 その間、意識を取り戻しても訳のわからない言葉を呟き、酷く怯えて時には我を失ったように暴れることもあったらしい。 意識を失えばこれまた譫言を繰り返し、酷く悪夢に魘され苦しんでいたという。 ……おかしいな、僕にはまるで記憶がないのだが。 何があったのかは知らないが、ある原因において精神の均衡が崩れ去り、正気を失っていたのだろうと告げられ、納得がいった。 それ程までの極限状態であったことは覚えているし、そんな中それなりの冷静さを保てていた自分に驚く程だ。 しかしながら、数日意識を失っていたというのになんともだるい。眠れるのなら、まだ少し寝ていたくなるほどに。 といっても、あの丘にいた頃は殆ど眠っていたことなどなかったのだが。 だるさと痛みの残る体を揺り起こして周囲を見渡す。ずきんと右腕が痛むが、唇を噛んで声を殺した。 くぐもった微かな悲鳴にさえ反応したのか、僕の周りにはヒトが集まっていて、彼らの隙間から島の景色とは違う、全く別の世界が覗く。 どこまでも続く作り物のような空と、見たこともないような広大な平原と、青々とした木々が集う森だった。 空気はとても澄んでいて、今まで重々しい空気しか吸ってこなかった身としては空気ってこんな綺麗だったんだと思うほどだ。 「ああ、良かった。気はしっかりしているかい?どこか、具合が悪いところは」 「だ、だ、だだ大丈夫です……あの……」 僕を取り囲む集団をかき分け、月桂冠を頭に乗せた女性のように華奢で真っ白な肌をしたヒトが近寄ってくる。 ああ、この声だ。あの森で聞いた声は、この人の声だったのだ。 「よしよし、なんだい言ってご覧。ほーら痛くない」 「た、たたたすけ……うあぁぁぁぁ!!!?い、痛くなんてないです大丈夫ですほんとなんですしんじてくだしあ…!!」 彼は僕の体に細い腕を回すとそっと抱きしめてくれた。まさかこうくるとは。 びっくりしたあまり自分でも何を喋っているか解らないほどに、思考を吐き出す。ただびっくりしただけなのだ。信じて欲しい。 彼は何度も、咳き込んで、痛みに悲鳴をあげながら病人のような顔を歪めて、僕に触れて痛くて辛いはずなのに、それでもずっと僕のことを抱きしめ、撫でてくれた。 自分が害され、殺されそうであってもだ。いつしか切り落とされた右腕の痛みは止まっていて、心もすっと静かになっていく。 自覚してしまった。僕には触れたものに対し、被害を与える能力が備わっているのだと。 思えばあの時のノコギリも、きっとその能力で蝕まれたからあんなにボロボロになっていたのだろうと。 今まで、亡者とくらいしか触れ合っていなかったから、気付かなかったのだ。亡者はモノに触れることはできないから。 「あ……ぐ………ッ」 「……ッ!! ご、ごめんなさい……!!!」 そう思うも束の間だった。短い呻き声、それを残して僕に体を委ね、ヒトが糸が切れたよう倒れる。 口端からは真紅の血を流し、僕を抱いていた腕には微かなひび割れが走っているのが見えた。 謝罪の言葉を呟くや、僕は彼の腕から逃れようとした。悪意はなかったが、触れただけでヒトをここまで蝕む怪物である自分が酷く恐ろしく映る。 彼から離れると、側近らしきが人物達が彼を囲んで、僕を睨む。そして、その筆頭らしきガタイのよい少年が僕をがっちりと掴み、束縛する。 少年は背も高く、筋肉質だったがそれにしても凄まじい腕力だ。僕に触れた瞬間だけ僅かに怯み、その肌を溶かされようにも僕の身体を決して離さない。 残りの面々も僕を睨み、口々に言葉を交わす。多分危害を加えるものと認識されたのだろう。 僕は、ただ抱かれただけなのに。 もしや、この能力は身に纏うこの死の記憶が原因なのだろうか?自分でもよくわからない。 「………ッ 大人しくしろ、うちの神様に手を出したんだ。すぐに切り殺されないだけマシだと思いな」 少年が低い声で告げる。あぁ、また希望はこうも儚く砕かれるのか。 「い、いえ……僕は、わる、ぎ……は……」 「結果としてこうなった以上、ちと窮屈な思いをしてもらうぜ。まあ、最終判断は今お前が引っ倒したヘタレでお人好しで甘ったれな神様次第だけどな!」 少年に拘束されたまま思考を巡らせる。少年の腕は筋肉がついていて、ごつごつしている。 でも、生き物のものに思えないのはなぜだろう?幽霊なら、そもそも触れることもできないだろうし、解らない。 神様と呼ばれるヒトに抱かれた時も同じ感覚を感じた。しかし、この少年とは対照的で真っ白で細くて今にも折れそうだったけど、それでもその体は暖かかった。 そう、確かに温もりを感じたのだ。あの光にも似た暖かい温もりを。 ああ、何を渇望しているのだ、何を求めているのだろうか。 あの島から僕を連れ出して助けてくれたが、希望なんてすぐに砕かれるだけじゃないか。 期待するだけムダなんだ。この望まれぬ生命に意味など、あったのだろうか。絶望と希望が心の中でせめぎあう。 「取り敢えず、部屋んなかいこか。そろそろ夜になっちまうしな」 「……はい」 僕の思考は現実に戻される。少年の言葉に頷くと、少年に拘束されたまま連行される。 鋭い視線は未だ降り注ぎ、敵意すら感じた。特に白い目をした少女のものはおぞましいという度合いのものではなかった。 魔女の少女は舌をだし、あかんべーをし、東洋の僧侶のようないでだちのおじさんは彼女たちをやれやれといった様子で一瞥し、頭を掻いていた。 「あのヒトが目ェ覚ますまでは、じっとしてな。なに、部屋の中でなんもしなきゃ俺らも目くじら立てねえよ」 こんなことさえなけりゃ、盛大に歓迎の宴を催してやったんだけどな。と少年は僕を部屋の中に押し込めて去っていく。 そうだ、僕はこんな優しい人をこうして害してしまった。部屋に備えられた簡素な寝台にそっと身を預ける。 僕の中に巣くう記憶(もうじゃ)がいいぞとせせら笑う。 神は無慈悲で残忍、冷酷なる存在だ。だから、こうしていい。もっとしていいと僕を急かすのだ。 僕だって神は嫌いだ、あんな目に合わされたのだ。あの場で僧衣のニンゲンが帳簿をしっかりつけていたなら、こうして思考することすら出来なかったのだから。 だけども彼はそう呼ばれているだけで実は神様ではないのではないかと期待してしまう。 亡者達が神を害せと合唱する中、ようやく平穏が手に入るのかも知れないと思えば胸の高鳴りが止まらない。 そうだ、僕は多くの生き物がごく当たり前のように得られる安堵と温もりと平穏を確かに渇望していた。 死と生の狭間でまだ生き続けるという救済を望み、都合の良い希望を抱いてしまうのだ。 神様なんか、信じたくないのに。 憎くて、憎くて、絶望して、反吐を吐きそうになるほどなのに。 あんな存在になんて祈りたくも縋りたくもないのに、神という万能な存在により与えられる救済に身を預けてしまいそうになる。 「………変なの」 涙は流れない。しかし、そう呟く僕の顔は泣き顔だった。
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○× 四択 連想 画像タッチ 並べ替え 文字パネル スロット タイピング キューブ エフェクト 線結び 一問多答 順番当て グループ分け 問題 左選択肢 右選択肢 補足 アダムスキーがコンタクトしたとされる次の宇宙人とその宇宙人に対する呼び名の正しい組み合わせを選びなさい 火星人 ファーコン 金星人 オーソン 土星人 ラミュー 次の「日本のピラミッド」とされる山と、それがある県の正しい組み合わせを選びなさい 葦嶽山 広島県 皆神山 長野県 黒又山 秋田県 次の「幻の大陸」とそれがあったとされる海の正しい組み合わせを選びなさい アトランティス 大西洋 ムー 太平洋 レムリア インド洋 次のUFO事件とそれが起こったとされる国の正しい組み合わせを選びなさい ジル神父事件 パプアニューギニア トリンダーデ島事件 ブラジル ボロネジ事件 ロシア レンデルシャムの森事件 イギリス 次のアメリカで起きたUFO事件とその舞台になった州の正しい組み合わせを選びなさい ガルフブリーズ事件 フロリダ州 ケネス・アーノルド事件 ワシントン州 フラットウッズ事件 ウエストバージニア州 マンテル大尉事件 ケンタッキー州 ロズウェル事件 ニューメキシコ州 次の海に沈んだ島と存在した伝説が残る県の正しい組み合わせを選びなさい 瓜生島 大分県 亀島 徳島県 高麗島 長崎県 万里ヶ島 鹿児島県 次の映画『インディ・ジョーンズ』シリーズとその重要なアイテムの正しい組み合わせを選びなさい 第1作 聖櫃(アーク) 第3作 キリストの聖杯 第4作 水晶ドクロ 次のオーパーツとそれが発見された国の正しい組み合わせを選びなさい アカンバロの恐竜土偶 メキシコ アショカ・ピラー インド カブレラストーン ペルー バグダッド電池 イラク ピリ・レイスの地図 トルコ 聖徳太子の地球儀 日本 次の正体が不明なものを表すことばと、その意味の正しい組み合わせを選びなさい UFO 未確認飛行物体 UMA 未確認動物 USO 未確認潜水物体 次の水棲タイプの未確認生物とその生息が噂される湖の正しい組み合わせを選びなさい イッシー 池田湖 クッシー 屈斜路湖 ネッシー ネス湖 次の水棲タイプの未確認生物とその生息が噂される湖の正しい組み合わせを選びなさい オゴポゴ オカナガン湖 チャンプ シャンプレーン湖 ミゴー ダカタウア湖 次の超能力と、その日本語訳の正しい組み合わせを選びなさい サイコキネシス 念動力 サイコメトリー 接触感応 テレパシー 遠隔感応 プレコグニション 予知 次の超常現象の分野とその第一人者の正しい組み合わせを選びなさい UFO 矢追純一 ノストラダムスの大予言 五島勉 心霊 丹波哲郎 次の超能力とその日本語による表現の正しい組み合わせを選びなさい クレヤボヤンス 透視 サイコキネシス 念力 サイコメトリー 接触感応 テレパシー 精神感応 プレコグニション 予知 次の日本トンデモ本大賞を受賞した本と、その著者の正しい組み合わせを選びなさい ノストラダムス複合解釈 川尻徹 悪魔最後の陰謀 小石泉 植物は警告する 三上晃 次の秘密結社と、その発祥国の正しい組み合わせを選びなさい カルボナリ イタリア スカル・アンド・ボーンズ アメリカ トゥーレ教会 ドイツ 次の不思議な現象とその説明の正しい組み合わせを選びなさい シンクロニシティ おそるべき偶然の一致 デジャヴュ 既視感を覚える ドッペルゲンガー もうひとりの自分を目撃 バイオタイド 人の体に月が影響を与える ファフロッキーズ 空から生物などが降る ポルターガイスト ひとりでに物が移動 ライカントロピー 狼のような姿になる リインカーネーション 別の世に生まれ変わる 次の漫画『絶対可憐チルドレン』の登場人物と得意とする超能力の正しい組み合わせを選びなさい 三宮紫穂 精神感応能力 明石薫 念動能力 野上葵 瞬間移動能力 次の漫画『ぼくの地球を守って』の登場人物と、前世の記憶の正しい組み合わせを選びなさい 小林輪 紫苑 坂口亜梨子 木蓮 錦織一成 槐 笠間春彦 秋海棠 国生桜 繻子蘭 小椋迅八 玉蘭 土橋大介 柊 次の未確認生物とその生息地とされる国の正しい組み合わせを選びなさい オゴポゴ カナダ ヒバゴン 日本 モスマン アメリカ ヨーウィ オーストラリア 次の未確認生物とその生物を「確認した」と紹介される人物の正しい組み合わせを選びなさい オウルマン メリング姉妹 オゴポゴ スーザン・アリソン スカイフィッシュ ホセ・エスカミーラ ドーバーデーモン ビル・バートレット ヨーウィ レックス・ギルロイ 次の文字列を組み合わせて「世界の七不思議」に含まれる古代の建造物の名前にしなさい アレクサンドリアの 大灯台 エフェソスの アルテミス神殿 オリンピアの ゼウス像 ギザの ピラミッド バビロンの 空中庭園 ハリカルナッソスの マウソロス霊廟 ロードス島の 巨人像 次の文字列を組み合わせてグラハム・ハンコックの著書のタイトルにしなさい 神の 刻印 神々の 指紋 惑星の 暗号 次の文字列を組み合わせて海に沈んだとされる大陸の名前にしなさい ア トランティス大陸 ム ー大陸 レ ムリア大陸 次の文字列を組み合わせて多くのミステリーを残した人物の名前にしなさい ノス トラダムス パラ ケルスス ラス プーチン 次の文字列を組み合わせて犯罪などの捜査に協力しているとされる超能力者の名前にしなさい ゲイル セントジョーン ジョゼフ マクモニーグル ナンシー マイヤー ノリーン レニア ローリー マッコーリー 次の文字列を組み合わせて有名なオーパーツの一般的な呼び名にしなさい アカンバロの 恐竜土偶 コスタリカの 石球 バグダッドの 古代電池 ピリ・レイスの 地図 次の文字列を組み合わせて有名な未確認生物の名前にしなさい ジャージー デビル スカイ フィッシュ チュパ カブラ ビッグ フット モケーレ ムベンベ 次の文字列を組み合わせて有名な未確認生物の名前にしなさい イエ ティ ツチ ノコ ネッ シー 次の文字列を組み合わせて有名な予言者の名前にしなさい エドガー ケイシー ジーン ディクソン ポール ソロモン ルース モンゴメリー 次の雪男タイプの未確認生物とその生息が噂される山地・山脈の正しい組み合わせを選びなさい イエティ ヒマラヤ山脈 ビッグフット ロッキー山脈 ヒバゴン 中国山地 次の理想郷とその伝説が伝わる地方の正しい組み合わせを選びなさい エルドラド アンデス地方 シャングリラ ヒマラヤ地方 ニライカナイ 沖縄地方
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時を越え世代を越えて戦い続ける少女たち それは導かれし運命か 共鳴という名の呪いなのか 人が運命の虜囚だとしたならば、その生きざまは二つに一つ 従順な子羊として一生を送るか 路傍に屍を晒す未来を恐れず、孤狼として抗い続けるか この物語は美しき獣たちの戦いの記録 困難な道を選択した戦士たちの魂の叫び そう、彼女たちの名前は… 第一話 「わがまま 気のまま 愛のジョーク」 駅前のバーガーショップで事件が起きた。 キッズコーナーで遊んでいた幼児達が突然血を流し始めたのだ。 子供達の泣き声と母親の悲鳴が入り交じる現場に駆けつけてきたのは、喫茶リゾナントを拠点に活動する能力者集団リゾナンターの一員、譜久村聖だった。 救急車さえ到着していない早いタイミングで、聖が現場に駆けつけられた理由とは…。 学校帰りにリゾナントにやって来る工藤遥を駅前で捕まえてデートに誘おうとしていたのだ。 そんな浮ついた目的は現場の状況を目にした途端一掃した。 子供達の様子を見る限り、全員命に別状は無さそうだ。 どの子もいきなり血が流れ出したことに恐怖して泣き出したらしい。 右往左往している店員や、野次馬と化した無関係な客の会話から察するに、犯人らしき者の姿は見あたらなかったという。 ならば遊具に何か刃物が仕掛けられていたのか。 プラスチック製のジャングルジムあたり格好の対象だが、もしそうだとしたら一つ気になることがある。 どの子供も、一様に左手から血を流している。 子供達の笑顔を奪った憎き犯人に迫るため、キッズコーナーに立ち入ろうとした聖。 そう、譜久村聖の能力は物質に触れた人間の残留思念を感知することの出来る接触感応だった。 もしも犯人がキッズコーナーに侵入して、遊具に何か仕掛けたならその際にきっと触れているだろう。 その残留思念を読むことが出来たなら、敏速且つ正確に犯人に迫れるだろう。 しかし聖が能力者であることを知らない店のスタッフからすれば、聖はただの部外者だ。 キッズコーナーへの立ち入りを許すはずもなく。 「警察と救急が来ますから入らないで」 「でも…」 接触感応という能力を保有する以外、聖はいたって普通の人間だ。 スタッフの目をかいくぐるスキルもなければ、排除する腕力も持ち合わせていない。 それに無理に入室しようとして騒ぎになったら、傷ついた子供達を余計に怯えさせるかもしれない。 そう思った聖は大人しく引き下がろうとしたのだが…。 「はる坊のママじゃないですか」 「えっ」 制服姿の工藤遥が胸に学生鞄を抱え立っていた。 「今日はりほちゃんのママと待ち合わせしてたんじゃなかったっけ。だったら心配ですよねえ。もしかして携帯も繋がらないんだったら、りほちゃんのママがいるかどうかだけでも確認させてもらったら」 事件現場の近くにいる聖を見つけ、機転を利かしてくれたのだ。 遥のアシストもあって知り合いの安否を確認したらすぐ退出する約束で入室を許してもらった。 母子達の顔を確認する振りをして、キッズコーナーのマットや遊具にさりげなく触れていく。 子供たちを元気づけることも忘れない。 そして…。 「結論だけ言っておくね。キッズコーナーには犯人らしき人間の思念はいっさい残っていなかった」 駆けつけた警官に追い立てられるように店外に出た聖と遥は、野次馬の人垣の外で話していた。 「…ていうことは、まさか能力者が絡んでいる?」 遥の言葉に頷いた聖は、接触感応を発動して周囲の電柱や建物の壁に触れている。 「譜久村さん、まさか犯人探しをするつもりですか、それはヤバいですって」 遥が警鐘を鳴らしたのは、子供を平気で傷つける凶悪な能力者にセンサー系の能力者である聖が迫ることを危ぶんだからだがもう一つ理由があった。 この国の法体系は表向き異能力なるものなど存在しないことを前提に成立している。 能力犯罪者を捜査し身柄を拘束できたとしても、罪との因果関係を証明できなければ、捜査行為自体が不法行為にあたってしまうケースが出てくる。 だから公的に捜査権を有しないリゾナンターが犯罪の捜査にあたる場合、捜査の主役を担うのでなく、当局からの要請を受けた協力者として動くのが望ましい。 人脈作りのために公安調査庁に転出していった新垣里沙の残していった言葉だ。 「そりゃ子供を狙ったのは許せませんけど命に別状は無さ…」 遥は自分が地雷を踏んだことに気づく。 リゾナントに集う仲間に対しては穏やかでたおやかな貌しか見せたことのない聖が怒色を発している。 ヤバい譜久村さんの幼女好きを忘れてたと首を竦める遥。 その程度で聖の怒りをやり過ごせるとは思えないが、せめて恭順の意は示しておこう。 そんな遥の思いとはうらはらに聖は穏やかな声で遥に話しかける。 「どぅー。私ね、お母さんとの思い出が全然無いんだ」 譜久村聖の両親は彼女がまだ幼い頃に離婚した、というよりも母親が家を出されたという方が正確だ。 父親に引き取られた聖だったが、実際に聖を育てたのは聖の父親に雇われた家政婦たちだった。 「お母さんがいないのは寂しかったけど、耐えられないわけじゃなかった。だって世の中には事故や災害で家族も友だちもおうちもみんな無くしてしまった人がいるんだから」 聖が他の誰かの悲しみを思いやることが出来る人間に育ったのは、養育に当たった人たちが偽り無き愛情を持って聖に接したことを物語っている。 それは聖の母親が娘の為に作った細々としたものを残しておいたことからも明らかだ。 彼らの雇い主である聖の父は、別れた妻の気配の残る物はことごとく処分するよう命じていたにも関わらず。 端切れで作った巾着や千代紙で作った人形、丁寧に縫い上げられた幼稚園用の手提げ鞄。 物の価値を金額の多寡でしか推し量れない人間の目にはただのガラクタにしか映らないそれらの品々は、聖にとっては母親と自分を繋ぐ唯一の絆だった。 母の温もりが残っているかもしれないと思い、巾着を懐に抱き幾晩眠りについたことだろう。 それを縫った母の手指に触れられると信じて、何回手提げ鞄の縫い目を指で辿っただろう。 「お母さんのいない寂しさは我慢できたけど、許せないことがあった。それは…自分にお母さんがいるってことを当たり前に思ってそれがどんなに幸せなことか気づいてない人がいるってこと」 いわゆるお嬢様学校に通っていた聖。 車で送り迎えされている生徒達も珍しくなかったが、その中でも聖を送り届けている運転手は別格の存在だった。 運転している車もそうだが、彼自身の物腰といい風格といい。 「聖の家の運転手さんて渋いよね~。あと四十、せめて三十歳ぐらい若かったらドライブに連れていってもらうのに」 「そういえば父兄参観の時に来てたおばさんも家政婦さんなんでしょ。なんか筋金入りのメイドさんって感じがしてカッコ良かったよ」 「イイな~。聖の家はカッコいい人たちばっかりで。私の家なんかサイアク~。この間だって帰りが遅いってババァがさぁ」 「それくらいならいいよ。わたしんちなんかこのあいだまでケータイのメールが母親のアドレスに転送されるよう設定されてたんだから」 「うわっ最悪。その点聖はいいなあ。あの人たちも仕事終わりの時間が来たら引き上げて、プライバシー干渉とかしないんだよね」 「聖は恵まれてるよね。家もとびっきりのお金持ちだし。私も聖の家に生まれてきたかった」 級友達の言葉に悪意がこもっていたとは思わない。 時に物思いに耽ったり、寂しげな貌を見せてしまうことがある聖の気持ちを引き立てるためにそんな言い方をしたのだろうとは思う。 それは学校生活の折々に伝わってきた彼女たちの気持ちからもわかる、だがしかし…。 「お金も車も大きな家も要らない。私はお母さんにいて欲しかった。煩く口出しされて時にケンカして何日も口を聞かなくなってでもいつのまにか仲直りして一緒にお出かけして晩ご飯のお手伝いをして」 それは聖が物心ついた頃からの思いの丈だった。 決して他人に見せたことの無かった胸の内を寄りによって仲間の中でももっとも年少の工藤遥に明かしてしまったことに気づき、恥ずかしそうに笑う聖。 「子供の笑顔は何よりの宝物だよ。それを守ろうとする母親の無償の愛はこの世界でもっとも尊いものだよ。それを血で汚す人は絶対に許せない」 「それは私だってそう思いますよ。でも新垣さんとか道重さんとか…」 聖の言っていることは正しい。 でもその正しいがゆえの一直線さに、遥は危険なものを感じた。 「どぅ、もしもこれが遠く離れたどこかの街で起きたことだったら…。私だって自分の手で犯人を捕まえようなんてしなかったと思うよ」 自分の能力が万能でないことを聖は知っている。 この世界に生きとし生ける全ての子供を災いから守り通せる存在になれはしないことを聖は自覚している。 ただ…。 「リゾナントのある大好きなこの街でこんな酷い事をする人間を私は許せないんだ。それが能力者であろうとなかろうと」 「譜久村さん」 聖の声は平穏そのものだった。 それは心が固まっていることを物語っている。 「だからさ、どぅ。このことはちょっと黙っておいてくれないかな」 「えっ」 聖は少しおどけたように手を合わせてみせた。 まるでちょっとしたイタズラがバレたのを謝るような聖の物言いに遥の口から思わぬ言葉が突いて出た。 「じょ冗談じゃない」 譜久村聖が遥のことを考えてそう振る舞っているということが遥にはわかる。 いま現在のリゾナンターの方針から外れた行動を取ることで、受けるかもしれない叱責から遥を遠ざけようとしている譜久村聖の配慮が。 戦闘に特化したタイプの能力者でない遥を凶悪な能力者の刃の前に晒さないという譜久村聖の思いが。 だがそんな聖の気遣いは遥にとっては屈辱に過ぎない。 もし今譜久村聖の目の前に立っているのが自分ではなく鞘師里保だったなら…。 聖は最初から助力を求めていたのではないか。 鈴木香音であったにしてもそれなりの協力や助言を求めていたに違いない。 そして生田衣梨奈だったら、聖の思惑など関係無く、衣梨奈自身の意志で状況に巻き込まれていっただろうし、聖もそれを受け入れていただろう。 自分がまだ子供なのはわかる。 聖たち先輩に比べれば経験も少なく、踏んだ修羅場の数も違うこともわかっている。 だがそれでも工藤遥は正義のために戦いたい。 譜久村聖という正義の女神の声に従って戦いたい。 その思いを知って知らずか、自分のことをお子さま扱いする聖へ怒りとも不満ともつかない感情が思わず口を突いて出た。 「じょ冗談じゃない。譜久村さんのお母さんの話とか聞かされてこのまま放っておけるわけないでしょう」 「でもね、どぅー。これは聖のわがまま気ままでやることだから」 「じゃあ私もわがまま気ままを通させてもらいますよ。ついていきますよ。譜久村さんが何て言ったってついていきますからね!」 「どぅー」 遥のことを思って取ったつもりの言動が遥のプライドを傷つけてしまっていたことに聖は気づいた。 こうなっては遥を置いて単独行動することは難しいだろう。 「どぅーが聖にそんな風に強く言ってくるなんて初めてだね」 そう言われてはじめて自分の非礼に気づいたのか、すいませんと頭を下げる遥に聖は笑いかけた。 「こっちこそ少し他人行儀だったかもね」 これから自分が追おうとしている犯人は世界に脅威をもたらす絶大なる悪ではないのかもしれない。 自分の愛する町で起きた事件だからという理由で、禁忌を破り能力を使うのはただのエゴなのかもしれない。 だがもう自分で自分を抑えることが聖には出来なかった。 「どぅー、私のわがままにつきあってくれるかな。子供たちを酷い目に遭わせた犯人を捕まえるのに力を貸して」 「喜んで」 輝き始めた遥の瞳。 それは自分の思いが叶えられたことへの喜びからだけではない。 工藤遥の能力は千里眼。 見えないものを見通す彼女の瞳が早くも機能し始めているのだ。 接触感応と千里眼。 感知系能力の最強タッグが憎むべき犯人を捕らえるために動き出す。 【次回予告】 協力して犯人に迫る聖と遥。 しかし奔放な聖の言動に振り回され傷ついた遥は、聖を詰りその元から去ってしまう。 それは全て凶悪な犯人から遥を遠ざけるための聖の策。 一人犯人と対峙する聖に凶刃が迫る。 「その程度で私の正義が折れるとでも…?」 次回、リゾナンター ’14 第二話「母と娘のデュエットソング」 聖を支えるもの、それは仲間との絆、そして母への切なる思い 投稿日:2014/06/26(木) 12 51 22.62 0
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前編から 「ゆっくちちちぇいっちぇね!!」 「ちょきゃいひゃー!!」 「みゅきゅう」 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 赤ゆっくりが詰まった箱はまた別の部屋に運ばれた。 「ほい」 台車を押していた男性が箱を降ろした。 「うおー。また結構な数だな」 「ちゃっちゃとやっちゃいましょう」 この部屋にいた2人の男性が箱を手元に寄せた。 「おしょりゃをういちぇりゅよー」 赤れいむが摘み上げられた。 「餡子はこっち」 赤れいむは20cm四方の白い容器の中に投げ入れられた。 「いじゃっ!!!にゃにしゅりゅにょ!!りぇいみゅおこっちゃよ!!」 容器の中では赤れいむがぷくぅと膨れた。が、赤れいむを投げた張本人は容器の中を見向きもせず新たに赤まりさを摘んでいた。 「おしょらをとんでるのじぇ………ゆべっ!!」 赤まりさも白い容器の中に投げられた。そして次から次へと赤れいむと赤まりさが容器の中へ投げ入れられていった。 「ゆわー。おしょらをういちぇるわ」 もう1人の男性は赤ありすを摘んでいた。彼の右手にはバッテンの形をした焼き鏝が握られていた。 「ありちゅはありちゅよ!よろちくね!!…ゆ?」 赤ありすは見慣れぬ鏝をじっと見ていた。 「しょれにゃあ……ぴゅううううううう!!!!!!!!!!!!」 鏝は赤ありすの口に押し付けられた。ジュッと音がして口元から煙が上った。 「ひゅううううう!!!!!!!」 彼は鏝を赤ありすの口から離した。赤ありすの口にバッテンの形をした焦げ跡が残った。 「ぴゅぅぅぅぅぅぅ………ひゅぅぅぅぅぅ…………」 赤ありすは口を開くことができなくなった。完全に口を塞いでしまったわけではなく口の両端は塞がれていない。 叫ぼうにも口の両端だけでは空気が漏れるだけである。 「ひゅっ!!!!………」 赤ありすは黄色い容器に投げ入れられた。彼の前には黄色い容器、紫色の容器、赤い容器が並べられていた。 「いやああああ!!!!!らんじゃまあああああ!!!!」 彼は赤ちぇんを摘んだ。先程の作業を見ていたのか赤ゆっくり達が騒ぎ始めた。 「はなじぢぇええええええええええ!!!!!ゆびゅううううううううう!!!!!」 赤ちぇんも焼き鏝を押し付けられ口にバッテンの形をした焦げ跡が出来上がった。 「次」 赤ちぇんは赤い容器に投げられ次は赤ぱちゅりーが摘み上げられた。 「あちゅいよ!!くりゅちいよ!!」 「せみゃいよ!!」 「ちゅぶれりゅううう!!!」 一方赤れいむと赤まりさを入れた白い容器は8割方埋まっていた。 「でるんだじぇえ!!!!」 1匹の赤まりさが容器から飛び出した。 「あ、こら!!」 地面に着く前に男が受け止めた。そのまま容器の中に戻された。 「ゆああああ!!!だすんだじぇええ!!!きゅるしいんだじぇええ!!」 「あぶねえあぶねえ…」 男は容器に蓋をした。蓋といっても2cm程の穴が開いている。 「おじしゃんん!!きょきょからだちてね!!!」 「せみゃいよ!!!おにゃかしゅいたよ!!」 「おきゃあしゃんにあわしぇちぇね!!」 穴から赤ゆっくり達の文句が聞こえる。彼は応じず容器を持って移動した。 「よいしょっと」 移動といっても数歩動いただけ。大きな業務用の冷凍庫の前で止まった。冷凍庫の脇には魔法瓶が置いてあった。 「暑かったんだろ?」 魔法瓶の蓋を開け中身を穴から注ぎいれた。 「ちゅめちゃいい!!!!」 「ぴいいいい!!!!」 中身はキンキンに冷えた水だった。 「とけちゃうよ!!!!」 「ちにちゃくにゃいよおおお!!!」 「ちゅめ…ぶぐぐぶぐぶぶぐぶぐぶぐぶぐぶ…」 「だじでえええ!!!!たしゅぎぇ…ぶぶぐぐぶ…」 容器一杯に冷水を流し込んでから冷凍庫の中にしまった。 「いらっしゃいませ!!」 「喫茶幻想郷へようこそ!」 「お待たせしました!ゆっくりしていってね!!」 ある喫茶店。巫女姿のウエイトレスや魔法使いの格好をしたウエイトレスが店内を忙しそうに回っている。 「注文いいですか?」 「は…はい!どうぞ…」 猫耳に2本の尻尾を付けた可愛らしいウエイトレスだ。少しぎこちない。 「えっと……ぁあ!消えちゃった…」 「どうしちゃったの?ああ…ここはこうやるのよ。ちゃんと覚えてね。…お客様、申し訳ございません。まだこの子新人でして」 「気にしないでいいですよ」 「あ…あの…もう1回注文お願いします」 「"ゆじきんとき"1つ下さい」 「トッピングは?」 「え~っと…足焼きありすを1つと全身焼きありす1つ」 「かしこまりました」 厨房の中を覗いてみよう。シャリッシャリっという音が聞こえる。時折赤ゆっくりの悲鳴も聞こえてくる。 「あ、氷がなくなるぞ。新しいの持ってきてくれ」 数分後白い容器が運ばれてきた。水の中に浸けたり叩いたりして容器から氷の塊が出てきた。 「いい表情してるな。こいつは美味いぞ」 氷の塊の中では赤まりさと赤れいむがビッシリと詰まっていた。皆歯を食いしばり必死な形相をしている。 氷はかき氷機にセットされハンドルが回された。シャリッシャリっとかき氷機からは餡子色の氷の雨が降り注ぐ。 一山出来上がるとそこに抹茶をかけた。 「えっと…注文は足焼きありす1と全身焼きありす1か」 保温機の中の黄色い容器から赤ありすを2匹摘んだ。ひんやりしていた。 「…ゅ……ぃ…ひゅ……」 「ぴゅ…ひゅ……ゅ…」 2匹とも微かに震えながらか細い声を上げていた。口元はバッテンの焦げ跡がついていた。口を完全に塞いでは面白くない。 ガスの火がついた。箸で赤ありすを摘むと底部を炙った。 「!!……!!…!……ひゅうううう!!!!!!」 言葉にならない呻き声を上げて涙を流す赤ありす。あまり長く炙ると焦げてしまう。茶色くなるくらいで十分だ。 火から離すと氷水の中に浸けた。氷水の中に浸けるのは冷やすためと涙を洗い流すためである。 「ぴゅううう!!!!!!……!!!!!………ひゅいいいびゅうう!!!!!!!」 もう1匹は全身を丹念に炙られた。全身が茶色く焼けあがったところで氷水の中に落とされた。 「このくらいか」 2匹は氷水の中でかき回されてから小皿の上に乗せられた。 「びゅ…ぅぅぅぅぅ……」 「ぅぅぅぅ…ぴゅ……」 2匹の頭に軽く力が加わる。頭を押して口の中に入った水を押し出しているのだ。水切りを済ますと2匹をかき氷の山の脇に載せる。 最後にサクランボを山の頂上に載せると完成だ。 「どうぞごゆっくりお召し上がりください」 客席に"ゆじきんとき"が運ばれた。 「う~ん…。美味しい」 客は"ゆじきんとき"に舌鼓を打った。"ゆじきんとき"はこの喫茶店の夏限定の名物でこれ目当てに遠くからやって来る人もいるのだ。 この他にもこの喫茶店のウエイトレス目当てで来る人もいるとか。喫茶店とは思えぬほど混んでおり店の外には行列ができている。 メニュー表にはれいむとまりさの写真が貼られていた。マジックで何やら書かれている。 赤い文字で "このあんこはわたしたちがつくりました!!!!ゆっくりあじわってね!!" さらに黄色い文字で "のこしたらだめなんだぜ!!!おいしいからおかわりもしてほしいのぜ!!" と書いてあった。多分赤文字がれいむで黄文字がまりさのセリフなのだろう。 「"ゆじきんとき"くださーい!!」 「"ゆじきんとき"3人前お願いしまーす!!」 「ゆがああああ!!!!たべるなあああああ!!!」 「でいぶのおちびぢゃんがあああ!!!!」 「がえじでええええ!!!ありずのあがぢゃんがえじぇええええええ!!!!!」 「たべるなああああ!!!!やべろおおお!!!!」 先程赤ゆっくりを調達した部屋では台に載せられたゆっくり達が喚いていた。ゆっくり達は茎を生やしていなかった。 この時間帯は休憩だ。四六時中茎を生やしていると赤ゆっくりが不味くなってしまう。1日1時間、これだけで赤ゆっくりは美味しくなる。 「ほぉら、良く見てよ。特に人間さんのお顔。すっごいゆっくりしたお顔でしょ」 部屋の壁にはモニターが設置されていた。映っているのは喫茶店内の様子。映っている人達は美味しそうに"ゆじきんとき"を食べていた。 「君達の赤ちゃんは素晴らしいね。人間さんをこんなにゆっくりさせてくれるんだから。君達は優秀なゆっくりだ」 「うあああああ!!!!ありずのおちびぢゃんがああああ!!!!!」 「ぼういやだああああ!!!!はなじでよおおお!!!!」 「わがだないよおおおお!!!!!らんじゃまああああ!!!!」 誰一匹として納得するゆっくりなどいなかった。最初は"かきごおりたべたいよ!!"とか"そのあまあまよこせえ!!"とか言ってたのだが。 「ハッスルタイムですよー!!」 部屋のドアが開いた。発情しきったゆっくり達が詰められた箱を載せた台車が部屋の中に入ってきた。 「あ、もうそんな時間?」 「ああ。おやつできてるよ。食ってこいよ」 「じゃ、俺も"ゆじきんとき"食ってくるわ」 モニターを消すと彼は部屋から出た。 「ありがとうこざいました!!」 「また幻想郷に遊びに来てくださいね!!」 今日も喫茶幻想郷は大繁盛だ。 「ゆわああああ!!!だずげでえええ!!!!」 「でいぶはおいじぐないよおおおお!!!」 「ままあああ!!!!だずげでええええ!!!」 3匹の子ゆっくりが必死に走っていた。3匹の後ろには野良犬が迫っていた。 「いぬざあああん!!!ゆっくりじようよお!!」 「ありずはたべものじゃないよおおお!!!!」 さらに後方では野良猫が何かを食していた。 「ゆぎゃああ!!!!いじゃいい!!やべっ……いいい!!!ぎゃぎゃあああ!!!!」 それは子まりさだった。既に3分の1程食べられてしまっている。 「いやああ!!!!!いやああ!!!!たべn………」 甘いものが好きなのは犬や猫だって同じだ。子まりさを完食し満足そうにどこかへ行ってしまった。 「ゆぎゃあああ!!!!はなじでえええ!!!れいぶをはなじでよおおお!!!!!」 子れいむが捕まったようだ。残る2匹の子ありすは子れいむを無視して逃げ続けた。 「ありずうう!!!!ありずう!!!!だずげでよおおお!!!いながものおお!!!!!だずげろおおお!!!!!」 子ありす姉妹と子れいむ子まりさ姉妹はいつも4匹で遊んでいた。今日も仲良く遊んでいたところ野良猫に出会った。 最初はじゃれ付いて遊んでいたのだが急に子まりさが齧られた。残る3匹は逃げ出した。その途中に今度は野良犬と遭遇したのだ。 「たべないでええ!!!!!でいぶはでいぶだよお!!!!!まんじゅうじゃだいよお!!!!!ゆぎゃ!!!い…いじゃいよお!!」 犬は一口齧ったが口に合わなかったのかペッと吐き出しどこかへ行ってしまった。 「あんよじゃんがぁ……うごげないよ……だれがああ!!!ありずう!!まりざあ!!!だじゅげでええ!!!!いじゃいよおおお!!!」 その頃2匹の子ありす姉妹は命からがらおうちに辿りつき親ありすに泣きついていた。 「ごわがっだよお!!!!!!」 「ばりざがああ!!!でいぶもじんじゃっだよおお!!!!」 親ありすは2匹を宥めていた。 「よしよし。こわかったね。でももうあんしんだよ。ままがまもってあげるからね!!」 2匹はずっと泣き続けていたが辺りが暗くなった頃には泣き疲れたのかぐっすりと眠ってしまった。 「ゆふう…さ、ごはんさんをさがしにいくわよ!」 明朝親ありすは餌を取りにおうちを出ようとした。 「ままぁ…まってよぉ…」 いつもならまだ眠っていた子ありすが1匹起きて親ありすを追った。 「まだねてていいのよ。おちびちゃん」 「こわいよぉ…ひちょりにしないで…」 「はいはい。じゃ、いっしょにいこうね。おねえちゃんがおきるまえにがんばろうね!」 親子はおうちを出た。すると親ありすの頭に何かが止まった。 「ゆ!?なに??」 「ゆあ!!からすしゃん!!からすさん!!ゆっくりしていってね!!」 親ありすの行動は早かった。 「おちびぢゃん!!!!ゆっくりしないでにげるのよ!!!」 「ゆ?」 子ありすは分からなかったが親ありすはカラスの怖さをよく知っていた。子ありすにとってカラスはただの空を飛ぶ動物だったのだ。 親ありすはカラスを追い払おうとしたがそれよりも早くカラスが親ありすを突いた。 「ゆぎゃああ!!いだいい!!!!ごのおおお!!!いながぼのおおお!!!!」 カラスは飛び上がり今度は目を突いた。 「いじゃああああああ!!!!!!ありずのおべべがあああ!!!!!!」 「ま…まま……ままあ…びゃああああ!!!!!」 子ありすが近づいたところをまた別のカラスが子ありすを嘴で掴みどこかへ飛んでいってしまった。 「か…かえじぇえええええ!!!!!!!ありずのおお!!!!ありずのちびぢゃんがえぜえええ!!!!!ゆっびょおおおお!!!!」 気づけばありすの周りには数匹のカラスが止まっていた。 「ごのおお!!!!いながぼのがああ!!!!がえぜええええ!!!!!」 ありすはカラスを殺そうと一心不乱に暴れまくった。だがカラスは軽く避けありすは地面に顔から飛び込むだけだった。 「ゅ……ゆ…いながぼの…ぃながぼのぉ……」 弱ったありすをカラスが突きまくった。 「ゆぎゃあ!!!ゆびゃあ!!!………ゆっぐぢ……ぢょがい……」 動かなくなったありすを軽く食べてからカラスたちは何処かへ飛んでいってしまった。 「ゅゅ……ままぁ……いみょうとは?……ひとりにしないでよ…こわいよ…」 おうちに残された子ありすが起きたときおうちには誰もいなかった。正確に言えば妹も親もカラスによってゆっくりできなくされていた。 「こわいよおお!!!!!ままああ!!!ゆっくりじないでがえっでぎでよおおお!!!!」 子ありすは泣き喚いていた。 「どうしたの?」 「ゆゆ!!ままああ!!!!」 子ありすはおうちに入ってきたゆっくりに飛び掛った。 「ままあ!!!ままあ!!!」 「ゆ!!れ…れいむはままじゃないよ!!どうしたの!!??」 それは親ありすではなくれいむだった。れいむの頭には子まりさが乗っていた。 「どうしたの?ありす」 子まりさが降りて問いかけた。 「ままがね…ままがね…いないの…こわいよおお!!!!」 「ゆ~ん。ひとりはこわいよね。じゃあれいむがちょっとだけままになってあげるね!!」 「まりさはまりさだよ!!よろしくね!」 子ありすはれいむにぴたっとくっついて離れなかった。 「ゆゆ~。そんなのこわかったんだね。よしよし」 れいむは子ありすをあやした。 「ありす」 れいむが話しかけた。 「なぁに?」 「ゆっくりたべられてね!!」 突然れいむが子ありすに圧し掛かった。 「ゆぎゃ!!!!なにずるのおお!!!!ゆびゃあ!!!!いじゃいい!!!びょお!!!!!」 「おかあさん!!ゆっくりしないでね!!」 「ゆふふ。おちびちゃん、しにかけがいちばんおいしいんだよ!!」 数回押し潰したところでれいむは子ありすから離れた。 「どぼじで……ぐるじい……ままぁ……だずげで…」 子まりさが子ありすに近づいた。そして子ありすを食べ始めた。 「むーしゃむーしゃ、あまぁぁい!!しあわせええ!!!!」 「ひぎゃっ!!!ひい!!いじゃいよおお!!!かまないでええ!!!あり…ぎゃ!!!たべぼのじゃ!!!」 子ありすは叫んだ。が、子まりさの方は全く動じず子ありすを美味しそうに食べている。 「おかあさん、おいしいよ!!いっしょにたべようよ!!」 「ぜんぶおちびちゃんがたべていいんだよ!おかあさんはこっちをたべてるから」 親れいむはというとダンボールハウスの前で散らばっていたありすの死骸を食べていた。 「むーしゃむーしゃ。このありすはおいしいね!!」 綺麗に死骸を食べ終えた頃子まりさがダンボールの中から出てきた。 「おちびちゃん!おいしかった?」 「うん!!れいむよりもありすのほうがおいしいよ!!」 「じゃあおうちにかえろうね!」 2匹は帰路に着いた。その途中だった。 「ゆぎゃっ!!!」 「ゆ!!おちびちゃん!!どうしたの!!!??」 「いじゃいよおおお!!!!ざざっだあああ!!!なにがさざったよおお!!!」 子まりさは寝転がりあんよを親れいむに見せた。確かに小さな石が子まりさのあんよに刺さっていた。 「お…おちびちゃん!なかないで!!いまおかあさんがとってあげるからね!!!」 普通の動物であれば全く問題無い砂利や小石がゆっくりにとっては致命傷になりかねない傷を付けることがある。 「ゆふう…ゆふう……」 子まりさのあんよから小石が抜かれた。子まりさは起き上がり息を切らしていた。 「だ…だいじょうぶ?れいむのかわいいおちびちゃん!」 親れいむは子まりさをぺろぺろ舐めて宥めていた。 「ふう…ふう……ゆ!!おかあさんもうだいじょうぶだよ!!もうあるけるよ!!」 子まりさは泣き止んだ。 「だいじょうぶ?おかあさんがおんぶしてあげるよ」 「だいじょうぶだよ!おとうさんとやくそくしたもん!!つよいゆっくりになるって!!!」 「おちびちゃん!!」 親れいむの目が潤んだ。番だったまりさはもうこの世にはいない。れいむにとっては誰よりも頼れる存在だった。 そのまりさの面影を我が子に見たのだ。 (まりさ…おちびちゃんは…おちびちゃんはまりさみたいなゆっくりになれるよ!) 「おかあさん?」 「ゆ!おちびちゃん、じゃあゆっくりかえろうね!」 子まりさは全く痛くないわけではなかった。少し強がっている。それでも一歩ずつゆっくりとはしていたが地道に自らの足で家路に着いた。 「ついたよ!!!ゆふううう!!!つかれたああ!」 結構な時間をかけて親子は巣に帰ることができた。 「おちびちゃんはとってもゆっくりできるじまんのこだよ!!よくがまんしたね!!えらいね!!」 「おかあさん……まりさつかれちゃったよ…」 「ゆぅ…おちびちゃんといっしょにいてあげたいけど……そろそろゆうごはんさんさがしにいかないと…」 「まりさひとりでおるすばんできるよ!!ねんねしてまってるよ!!」 「そうだね!おちびちゃんだったらだいじょうぶだよね!!だってこんなにりっぱなゆっくりだもん!」 親れいむは子まりさを巣に残し餌を探しに行った。 「おちびちゃんはりっぱにそだってるよ!!ゆゆ!!こんなにあんこもらしちゃってる…。きょうはがんばってごちそうだよ!!」 親れいむはいつもより力強く走り出した。 「まりさは…ねんねするよ……ゆゆぅ…つかれちゃよ……」 子まりさは巣の中で眠りについた。 さて、都会は田舎に比べ生き物が少ない。しかし都会でも普通によく見かける生き物がいる。 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 暢気によだれを垂らしながら眠っている子まりさ。時間が経つにつれ子まりさに一本の黒い線が近づいてきている。 「ゆぅ…くすぐったいよ…ゆひゃひゃ…おかあさん…」 子まりさが身を捩じらせる。 「ゆひゃ!!おとうさん……くすぐったい……ひ…くすぐ…ゅ……」 子まりさは夢の中で違和感を感じていた。どうも体がむずむずする。ゆっくりできな……ゆっくりできない!! 「ゆあ!!!!!…ゅ…ゆ……ゆがああ!!!!!なにごれええええ!!!!」 子まりさは目を覚ました。自分の体に黒いものがビッシリとくっついていた。 「なにごれえ!!!!なにごれえええ!!!!どっでえええ!!!!だれがどっでえええええ!!!!」 子まりさは暴れた。体からボトボトと小さくて黒い物体が振り落とされた。 「ありざん!!!!!まりざからはなれでよおおおお!!!!!!きぼぢわるいよおおお!!!!!!」 子まりさは巣の中をゴロゴロと転がったり壁にぶつかったりと大いに暴れた。大量の蟻が振り落とされたり潰されたりした。 ゆっくりは虫を好んで食べるが蟻も例外ではない。蟻酸のせいなのか妊娠中のゆっくりが好んで食べるという話もある。 だが蟻にとってもゆっくりは食べ物なのだ。赤ゆっくりや小型の子ゆっくりが大量の蟻に蝕まれることがある。 弱った成体ゆっくりも蝕まれることがあるくらいだ。 「うがああああ!!!!!!!おがああざああああん!!!!!!!だずげでええええ!!!!!」 怪我をして破けたあんよから漏れ出した餡子を辿って蟻が湧いたのだろう。 「ゆぎゃあああ!!!!ゆ!!!…な…なに!!???なに!!!!??なんなのおおおお!!!!!!」 子まりさはまた別の違和感を感じた。目元がむずむずするのだ。 「ううう…うぞでしょおおお!!!!!!いやっ!!!!いやあああ!!!!!だずげでえええええ!!!!」 子まりさは今から起きることが予想できた。 「いや!!!!いやだあああ!!!!!!ありざんででごないでええええ!!!!!……ゆ……ゆあああああああ!!!!!」 予想は的中してしまった。子まりさ目から蟻が湧きだしたのだ。1匹、また1匹と蟻が目玉の上を歩き回る。 子まりさが就寝中に体内に侵入し中身を蝕みながら目元まで進んだのだろう。 「ひいいいいい!!!!!…ぉぉ……もおぼおろおもぼろぼ………」 視界を動き回る黒い点々に子まりさの精神が限界を迎えてしまった。大量の餡子を吐き出し白目を剥いて気絶してしまった。 「おちびちゃん!!おそくなってごめんね!!」 それから暫くして親れいむが帰宅した。相当頑張ったのだろう、花や葉っぱや虫など口の中を一杯に詰めて帰ってきた。 「おまたせ!!おちび……ゆ!!!な…なにごれえええ!!!!!?????」 巣の中にはビッシリと蟻が集っていた。 「お…おちびちゃん!!!おちびちゃん!!だいじょう…ぶ……?」 蟻を潰しながら親れいむは中へ入っていった。目の前に蟻で真っ黒になっている球体があり見慣れている帽子を被っていた。 「……う!!!…ゆあああああああああああ!!!!!!!!!!おおおお…おちびぢゃんがああああ!!!!!!!」 親れいむは舌で蟻を払い除けた。我が子に近づこうとする蟻を喚きながら踏み潰した。 「ででげええ!!!!!ででげええ!!!!おちびぢゃんがらはなれろおおお!!!!!!ゆあああああ!!!!!」 蟻を払い除けると目玉が現れた。真ん丸でキラキラした子まりさの目玉は破れどろっと中身が垂れていた。 「ゆあああああ!!!おちびぢゃん!!!!!!おちびぢゃん!!!きでいなおべべがああ!!!!おべべあげでよおお!!!!」 さらに蟻を払い除ける。以前は少し汚れていたもののもちっとした触感だったお肌。ボロボロで所々餡子が漏れていた。 「おちびぢゃあああん!!!!!べえろぺえろずるがらあああ!!!へんじじでよおおお!!!!!」 口元が見えた。口は半開きで餡子がべっとりと垂れていた。異常を察したのか蟻が口の中から逃げ出していた。 「おべべあげでよお!!!へんじじでよおおお!!!!うごいでよおおお!!!!おちびぢゃあああああん!!!!!」 子まりさは既に事切れていた。 「ひっぐ……おちびぢゃぁん……ゆえぇえぇえん……っぐ…じんじゃっだよぉ……」 親れいむは供養にと子まりさを食べ始めた。 「おぞらで……っぐ…まりざど……ゆっぐぢぢでね……ゆっぐ…」 同属を平気で食べていたが流石に我が子を食べて"しあわせぇー"にはならないようだ。 「あ、こんなところに饅頭が住んでるぞ!!」 「ホントだ。どっからこんなダンボール拾ってきたんだろうな?」 れいむの後ろから声が聞こえた。れいむが振り返ると外には小学生くらいの少年が数人こちらを覗いていた。 「れ…れいむはまんじゅうじゃないよ!!れいむはれいむだよ!!……ゆ…ゆっくりしないででていってね!!」 れいむはそう答えた。 「おい、なんか言ってるぞ」 「生意気だなこの饅頭」 「おらよ!!」 1人の少年が段ボール箱を軽く蹴飛ばした。 「ゆびゃ!!やめてね!!おうちがこわれちゃうよ!!!」 「ほれほれ!」 「早く出てこないとおうちが壊れちゃうぞ!」 れいむは抗議したが少年達はふざけ続けていた。 「おねがいだからでていってね!!おこるよ!!!ぷくうう!!!」 外に出たれいむは威嚇して大きく膨らんだ。 「おもしれえなこいつ」 「ピンク色に塗ったらまんまカ○ビィだな」 「そうだ、ちょっと味見してみないか?」 「食えんのか?不味そうだけど」 「まあ見てなって」 1人の少年がれいむを押さえつけ頭頂部を鷲掴みにした。 「いじゃい!!!れいむはかわいそうなんだよ!!おちびぢゃんをなくしちゃったんだよ!!だからだいじにしない…」 「うるせえよ」 彼は思いっきり頭頂部を引き千切った。 「ゆがあああ!!!!あだまがいだいよおおお!!!!!」 更に千切ると中身の餡子が現れた。 「食えんのかそれ?」 「いやまだだ。ちょっと待って」 腕を突っ込み餡子を掘り始めた。 「でいぶのながみがあああ!!!やべぢぇええええ!!!!ぐるじいよおお!!!!!ゆるじでええええ!!!!」 「よく叫んでいられるよな。もうじきだよ」 丁度中心くらいのところまで掘り続けた。 「このあたりのが美味いんだって。兄貴が言ってた」 「どれ…お、うめえ」 「俺にも食わせて…うは!超うめえ」 少年達は手を突っ込み餡子を食べ始めた。 「やべでえ!!やべでえ!!!!ながみたびぇにゃいぢぇえ!!!!!ゆぴゃあ!!!ゆびょお!!!」 れいむの言動がおかしくなり始めた。 「ゆぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょ!!!!!!ぴゅびょおおおお!!!!!」 彼らが美味い美味いと言っているのは丁度中枢餡と呼ばれているところだ。 「あ、雨だ」 「こりゃ結構強いぞ」 「おお!!帰るべ!!!」 少年達は走り去っていった。れいむは残され雨に打たれていた。 「ぴゃぴぴゅぺぴょおおお!!!!!!!ゆゆゆゆゆゆゆ!!!!!ゆぎょびょのよごお!!!!!!」 雨が止んだときそこにはどろどろになった餡子の塊だけが残されていた。 また会う日まで by 虐待おにいちゃん? このSSに感想をつける