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じゅうぜつのじん 黄錦龍が最終決戦で追いつめられた際に使用した五常・終ノ段により召喚された十柱の神格。 しかし黄錦龍との相性は非常に悪く、何の力も発揮出来ぬままクリームヒルトの高き者の箴言によって、何の見せ場も無いまま全員消し飛ばされた。 詠唱 「天絶、地烈、風吼、寒氷、金光、化血、烈焔、紅水、紅砂、落魂ォォン——」 (てんぜつ、ちれつ、ふうこう、かんひょう、きんこう、かけつ、れつえん、こうすい、こうさ、らっこぉぉん!) 「終段顕象——十絶の陣ィィンッ」 (ついだんっけんしょぉぉうっ!じゅうぜつのじぃぃん!) 備考 元ネタは中国の小説『封神演義』に登場する十天君から。 十人の仙人で構成されており、天絶~落魂は彼らが使用する各々の陣の名称で、それらを纏めて十絶陣と言う。 神格 名称 特性 秦天君(しんてんくん) 天絶陣(てんぜつじん) 感覚を失い、五体がバラバラになり、灰となる 趙天君(ちょうてんくん) 地烈陣(ちれつじん) 雷火を起こし焼き尽くす 董天君(とうてんくん) 風吼陣(ふうこうじん) 風火が百万の刀となり斬り刻む 袁天君(えんてんくん) 寒氷陣(かんぴょうじん) 2つの氷山が挟み潰す 金光聖母(きんこうせいぼ) 金光陣(きんこうじん) 鏡から光を放ち灰にする 孫天君(そんてんくん) 化血陣(かけつじん) 砂を浴びた者を血膿と化す 柏天君(はくてんくん) 烈焔陣(れつえんじん) 天中火・地下火・三昧真火が焼き尽くす 王天君(おうてんくん) 紅水陣(こうすいじん) 血水と化してしまう紅水で陣内を覆い尽くす 張天君(ちょうてんくん) 紅砂陣(こうさじん) 前後不覚となり、紅砂に意識を奪われ、穴に落ちる 姚天君(ようてんくん) 落魂陣(らっこんじん) 魂を抜き取り、消し飛ばす 詠唱とか好きなんだけどなぁ。というか十絶の陣含め封神演義系はフジリュー版でしか知らないから本来の性能とかよくわからないや -- 名無しさん (2015-05-07 14 04 43) 詠唱がすごく必死な感じで好き -- 名無しさん (2015-05-07 15 03 35) シュピーネさんは関係無いだろ! -- 名無しさん (2015-05-07 15 51 38) リンデ、アルフ、フォルカー、ジェーン、鏡花ァァ――終段顕象――双頭の鷲団ァァッ -- 名無しさん (2015-05-07 19 10 57) 本来の性能は入ったら死ぬって奴、死に様が10種類あるけど -- 名無しさん (2015-05-07 20 17 40) 聞いたことがある、たしか・・・・・・・・・仙人ホイホイだったべ -- 名無しさん (2015-05-07 22 42 23) 今回は封神演義ネタ多めでニヤっとした。これもそのひとつ -- 名無しさん (2015-05-08 23 02 38) 元ネタのままってのは賛否両論あるだろうな。俺はちょっとオリジナリティ欲しかった。いや、十二分にかっこいいけどね -- 名無しさん (2015-05-14 16 23 23) 本来相性の悪い神格を余裕が無く必死になって無理矢理召喚してるから、捻り加えて出すより必死さが伝わるから問題無い。オリジナリティなら鴻釣道人が有るし -- 名無しさん (2015-05-14 16 31 27) 落魂陣の発音のせいで、なんか急に「前後おおおおん」思い出した。 -- 名無しさん (2015-05-20 08 32 53) 藤崎竜の封神演義がまた見たくなってきたなぁ阿片スパァ -- 名無しさん (2015-05-20 11 54 39) フジリュー版封神演義なら、太上老君あたりなら呼べそうかな? 怠惰スーツ的な意味で。 -- 名無しさん (2015-05-21 08 44 52) ↑黄はああ見えて勤勉だから案外相性悪いと思う -- 名無しさん (2015-05-21 09 00 23) 阿片吸って酩酊してるだけで世界の全ての人間に夢を抱かせようとしている上に実際行動もしてるからな黄 -- 名無しさん (2015-05-21 13 54 16) 一応、召喚は出来たって事はそこまで相性が悪いわけじゃないんじゃ?黄は中国神話と相性いいだろうし ただ、北欧神話の最高神という敵が悪すぎただけで -- 名無しさん (2015-06-03 18 01 30) 本編からの推測だけど盧生は盧生自身が知らない神格を召喚できないんじゃないかな、だから基本呼び出す神格は盧生の出身地ベースとなるんだと思う。そこに盧生の属性(審判とか死とか)と相性の良い神格を呼び出すとブースト召喚されて、相性が悪いと劣化して弱体化して召喚されるんjyないかな -- 名無しさん (2015-06-06 17 01 23) 知らなくてもアラヤが教えてくれるか、知識を引っ張ってこれるんじゃないか? でないと神話複合ラグナロクなんて出来ないだろうし -- 名無しさん (2015-06-06 18 29 33) まあ、甘粕がとっても博識で世界中の神話に通じていたとしても驚かんが -- 名無しさん (2015-06-06 20 01 14) ↑頭いい人のはずなんだよな… -- 名無しさん (2015-06-06 20 05 21) 頭いい(馬鹿) -- 名無しさん (2015-06-06 20 08 59) 物事に対して成功確率数%と分析できる頭はあるけど、あえてそれに突っ込みかねないのが -- 名無しさん (2015-06-08 17 21 19) 未熟な奴を特攻させて、その死に様から十絶陣の攻略法を見出すんだとか -- 名無しさん (2015-06-08 20 04 17) ↑甘粕ならやりそうだけど、逆に相手の全力の一撃を受けてみたいと自分が最初に特攻しそうでもある。だってあの人馬鹿だもん。 -- 名無しさん (2015-06-08 21 05 51) ↑2むしろ未熟な奴を特攻させたら、ポップが如く覚醒してきっと何とかするだろうと本気で期待しちゃう類だと思う -- 名無しさん (2015-06-08 22 11 33) ↑え?いつの間にか十天君の背後にいて難易度を上方修正してるんではw -- 名無しさん (2015-06-08 22 16 52) 真似したい人ようの平仮名の所天絶から化血まで読みが違うから修正お願いします。 -- 名無しさん (2015-06-09 18 18 01) 原典では十二仙の方が格上らしいな -- 名無しさん (2015-06-09 21 39 48) 読みが消えたようなので修正お願いします。 -- 名無しさん (2015-06-10 02 33 19) 根源にあるものが人々の幸せを守りたいという真摯な思いであることも手伝って、聞けば聞くほどラスボスとは思えない。 -- 名無しさん (2015-06-10 21 28 05) おいw寒氷が干瓢になってるぞw -- 名無しさん (2015-06-11 15 45 05) ググると出てくる -- 名無しさん (2015-06-11 15 49 32) 元ネタ通りなのか。まあ、かんひょうの方が呼びは良いしな。かんぴょうだと何か笑けてくる -- 名無しさん (2015-06-11 15 56 13) 天ぷら、ハマチ、ビントロ、干瓢、生雲丹、マグロ、サーモン、〆アジ、玉子、らっきょぉう!ついだんっけんしょぉぉうっ!寿司ネタのじぃぃん! -- 名無しさん (2015-06-11 16 23 37) 寿司を流行らせることで人類を救済しようとするぐう聖 -- 名無しさん (2015-06-11 17 21 27) 高き者の箴言「寿司だ?うっせえ死ね」 -- 名無しさん (2015-06-11 17 32 17) 高き者(ブルジョア)だから、安い回転寿司は認めないと言う事か… -- 名無しさん (2015-06-11 19 36 06) メンバーの好きな寿司ネタを知りたいなw 448とか何が好きなんだろ? -- 名無しさん (2015-06-11 20 49 07) これ、さらっと聞いてると「てんぜつちれつ、ふうこうかん、ひょうきんこうかけつ……」って感じの発音に聞こえるせいでなれるまで正確に聞き取りづらいよね -- 名無しさん (2015-06-13 14 03 04) おまえがそう思うならおまえの中ではそうなのだろうよ。 -- 名無しさん (2015-06-13 14 40 19) ↑2同意するで -- 名無しさん (2015-06-13 15 40 12) 自演かよ -- 名無しさん (2015-06-13 20 15 50) ↑お前がそう思うのならそうなのだろうよ。お前の中ではな。それが全てだ(スパー -- 名無しさん (2015-06-13 21 33 24) ↑2同意するで -- 名無しさん (2015-06-13 22 31 59) ↑自演かよ -- 名無しさん (2015-06-14 09 56 38) そういえば卿とは(ry -- 名無しさん (2015-06-14 09 57 19) 然り然り(ry -- 名無しさん (2015-06-14 10 35 19) こんな短期間に永劫すんなやw -- 名無しさん (2015-06-14 11 30 59) 元ネタ見る限りこれかなりヤバい神格なんじゃ…相性が低くて良かった -- 名無しさん (2015-06-14 15 07 02) 封神演義的には十絶陣(とそれを敷いた十天君たち)をボコボコにした崑崙十二大師(観音菩薩とか文殊・普賢菩薩と同格)がおかしいだけで本来は十分強い神格の筈なんだけどねぇ -- 名無しさん (2015-06-21 00 28 13) これ召喚したときの錦龍の人間賛歌は、柊四四八を倒そう、でそんな超個人的な人間賛歌に賛同する人間は全然居なかったから、弱くて瞬殺されたと考察できる -- 名無しさん (2015-06-21 09 52 40) ↑いや、元から相性悪いっていうのがほとんどだろ、そもそも錦龍が四四八を倒そうとしたのは皆の夢を守るためだし、賛同が少なかったってわけではないだろ -- 名無しさん (2015-06-21 11 54 53) 望む先と方法が違うだけで二人共ついてくる者達は滅茶苦茶いるからな。ただ今までまともに攻撃を加えたことが無い人間が必死こいて練り上げる急ごしらえの刃で殴りかかるには相手がいかんせん悪すぎた。 -- 名無しさん (2015-06-27 01 47 01) 最近正田卿のシナリオで「自分の土俵に居続ければ良かったのに」という展開が散見される。まぁ見せ方が違うから全然いいんだけど -- 名無しさん (2015-07-11 23 43 28) そもそも万仙陣はどうやって錦龍を自分の土俵から引きずり落とすか、ということが問題だったからね。 -- 名無しさん (2015-07-11 23 56 56) そして土俵から降りないと、キャラの性格やあり方に矛盾が生じるってとこまで話に入ってるし -- 名無しさん (2015-07-13 00 17 13) °Д。)y─ <終段顕象——十絶の陣ィィンッ -- 名無しさん (2015-07-17 21 45 24) フジリュー版の十絶陣は割ととんでもない能力だった覚えが・・・ -- 名無しさん (2015-08-22 23 35 05) ↑ まっとうな中華系の盧生が使ってれば甘粕&クリームを相手どっても十分に戦えてただろうな -- 名無しさん (2015-08-23 04 01 54) つかぶっちゃけこれ甘粕が使った方が遥かに強いんじゃ… -- 名無しさん (2015-08-23 11 24 01) ↑ 仙人だから甘粕の審判の適正としては微妙に合わないんじゃないか?それでも黄が使うよりかは強いだろうけど -- 名無しさん (2015-08-25 10 00 54) ↑カッスは上位の神格と軒並み相性がいい。最強の盧生と言われる所以の一つ -- 名無しさん (2015-08-25 10 14 02) 元が人間じゃないから自然(災害)とかのくくりで引っ張ってこれそう。 -- 名無しさん (2015-08-25 16 20 26) ↑↑↑そもそも同じ神格でも様々な側面があるから、盧生の違いによって全然違う性質で出てくるかもな、実際、神野はそうだし -- 名無しさん (2015-08-25 20 36 04) 神野・聖神野「同じ人に呼び出されて180度変わりました」 -- 名無しさん (2015-08-25 20 51 32) 甘粕は光と闇の混合属性だから最高神なら善悪関わらずなんでも召喚出来るってのが酷い -- 名無しさん (2015-08-25 21 43 21) 元ネタ酷いなw 夜行さん並に即死攻撃のオンパレードじゃないか -- 名無しさん (2015-10-02 23 00 41) まあ即死攻撃は盧生の日常ですし。 -- 名無しさん (2015-10-04 22 31 55) 「女神、地星、間抜蛍、馬香純、豺狼、戦姫、天使、焦熱、淫婦、熊本ォォンーー!」 「終段顕象ーー女性陣 ィィンッッ!!」 -- 名無しさん (2016-04-03 09 19 22) ↑ 即死、足引き、炎化、能力無、高速、雷速、太陽光、必中の炎、死体操作、新生、か普通の作品なら最強格の能力のオンパレードなのに正田世界では即死以外では必中の炎と高速が上の下くらいにしか入れないという… -- 名無しさん (2016-04-03 09 27 24) ↑2(∴)「ブリーウンコブェアブリュッサンブルリッサマ!!ダエグアンスール!高き俺の箴言」 -- 名無しさん (2017-06-06 22 42 40) 「二元、堕天、明星、水銀、黄金、刹那、黄昏、天狗、畸形、曙光ォォォォォンーー!!」「終段顕象ーー十天の陣ィィンッッ!!」 -- 名無しさん (2018-03-15 18 44 39) ↑一天だけでオーバキルだわ -- 名無しさん (2018-03-15 18 55 53) ↑2過剰戦力過ぎる… -- 名無しさん (2018-03-15 19 12 43) 誰にぶつけんだその多次元宇宙兵器 -- 名無しさん (2018-03-15 19 20 42) …ナラカ?二言論対するリアクションが気になるな -- 名無しさん (2018-03-16 22 57 47) ↑5パンテオンかな? -- 名無しさん (2018-03-24 09 35 29) 「水銀、龍水、ナラカ、メトシェラ、アイザック、アリヤ、バイロン、オルフィレウス、ダインスレイフ、シズル、ギルベルトォォォンーー!!」「終段顕象ーー変態の陣ィィンッッ!! -- 名無しさん (2018-07-15 16 30 07) なぜかギルベルトォォォンーー!!で腹筋が持ってかれた -- 名無しさん (2018-07-15 18 09 29) 十天君の結界宝貝、と言えばわかる人にはわかる -- 名無しさん (2018-07-15 20 27 11) ↑2覇吐がいないところにLightの層の厚さを感じる -- 名無しさん (2018-07-16 15 20 12) ↑これ↑3だった -- 名無しさん (2018-07-16 15 21 04) ↑覇吐はましな変態だからね。ヤベー変態が↑5のラインナップを絞めてる。 -- 名無しさん (2018-07-16 18 32 35) 控えにはフォルカー、怪士、イヴァンの勃起三羽ガラスいるぞ -- 名無しさん (2018-07-16 19 33 09) ↑これは突破力高そうですねぇ… -- 名無しさん (2018-07-16 20 55 37) なんかサッカーみたいになってるw -- 名無しさん (2018-07-17 12 05 08) 【悲報】坂上覇吐選手スタメン落ち ルーキー(主にホモ)の猛躍進を前に成す術もなく・・・ -- 名無しさん (2018-07-17 19 10 45) ↑何だかんだ覇吐って紳士道の住人だしノーマル寄りでしょう(ノーマルとは言っていない -- 名無しさん (2018-07-17 19 15 50) 名前 コメント
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「世間で言われてるような傲慢なんてのは存外それほど恐れるべきじゃないのかも知れないね。パピヨン君がいい例さ」 『彼』は指を弾きそして語る。 パピヨン。 彼は人を見下すあまり遂には人そのものへの関心を失くし我が事のみに没頭している。 Drバタフライもそうだった、と。 「彼はヴィクター君を隠匿せんとするあまりホムンクルスの本分たる人喰いさえ見事に統制しきっていた。むーん。なんとも コントロラーブル。皮肉だが傲慢さに救われた命も少なからずあるという訳さ」 ねばついた腐肉がどこまでも広がる異常な部屋の中。 半ば蹲(つくば)りながら坂口照星はため息をついた。 「そして私も今まさしく傲慢さに生かされているちいう訳ですねムーンフェイス」 目の前に聳(そび)える長身の怪人は気の毒そうに顔を歪めた。 「同情するよ照星君。どうやら彼らに言わせればキミなどいつでも始末できるらしい」 しかし、とムーンフェイスは乏しい顔のパーツを今度は最大限にしかめてみせた。 「愚かな話だよ。敵の戦力なんていうのは減らせる時に減らしておくものだ」 「真希士の話なら結構ですよ。コトの顛末は防人に聞かされていますからね」 「おやおや。キミも存外傲慢だね。又聞きだけで部下の生死を割り切るのかい? せめてそれなりの捜索隊に骨の一つで も探しにいかせればもっと違った結末になるかも知れないのに。オススメするよ。見つけられればこれ以上悪くはならない」 「フフ。お気遣い感謝しますよムーンフェイス。ですがもし隊を編成できるのでしたら私はまず私を探しに行かせます。2人揃 えばもはやどうにもならぬ現状もそれなりに打開されるでしょう」 「……むーん。何とも上手なかわし方」 剣持真希士を殺めた張本人は何とも期待外れという顔をした。 「もう限界とばかり嘯(うそぶ)きながらなお部下を殺した分裂性と交代性を当たり前のように求められる……キミの恐ろし い所だね。妄言に見えて少しも熱に侵されてないときている」 「何に感心したかは分かりませんが……買いかぶりすぎですよ。拷問のおかげでマトモな受け答えができなくなっているだけです」 平然と微笑する照星にムーンフェイスもまた笑いかけた。 「さっきの言葉、訂正するよ。少なくてもレティクルの連中の傲慢さだけは恐れるべきだ。それなりの意図はあるようだけど キミほどの男をみすみす殺さず捨て置くデメリットを考えればいかなる方策も得策とは言い難い。むーん。まったく誰も彼も 愚か。望みのためとはいえ同盟を破棄できずお喋りに終始している私も含めてね」 「ところで、だね。この世でもっとも厄介な傲慢とはどんなものか……キミは分かるかい?」 息もつかせず急に話題を変えたムーンフェイス。 神父よりも静粛な顔つきが一瞬だが微妙な揺れを見せた。 「むーん。一足飛びだけど部下たちのコトでも心配したのかな? そう固くならない。グレイズィング君がやったようなオチは ないよ。ただの雑談さ。リラックスリラックス」 ニカリと歯を見せ笑ってみせる月の顔だが照星はいまだ怪訝の色が強い。 それを無視するように朗々たる語りが悪臭漂う血膿の部屋に響き始めた。 「世界には実に様々な傲慢がある。最も一般的な物はやはりパピヨン君のようなものだね。私の知る限り彼ほどプレーンで 強力な傲慢な持ち主はまずいない」 「ただ前述の通り、世界に及ぼす害は少ない」 「少ないでしょうか」 いつか写真で見た毒々しいファッションを思い出し照星はうめく。人にとっては恐ろしく不快になる姿だ。 「無害さ。武藤カズキとかいう戦士にご執心のあまり当初掲げていた世界全体への復讐などもはやどうでも良さげ。人喰い さえもうやらないかも」 「その境地に至るまでかなりの犠牲者を出していますがね」 「キミのいう点も含めて色々難儀な相手だけれど、最も厄介な傲慢ではないね。むしろ月並みにいえば気高い。むーん。月 並み。私がいうと奇妙な感じ。とにかく彼は月(わたし)並みに多くの人間に好かれるタイプさ」 片足を軽く曲げ人差し指を立てながらムーンフェイスは朗々と語りそして述べる。 「じゃあ権力へ執着し、悪政を敷く独裁者はどうかといえばこれも違う。一般大衆の諸君がすぐさま追い落としにかかる」 「組織の長は何かと目立ちますからね。現に火渡にとっての独裁者はいまこのような状態ですから」 傷と欠損のよく目立つ体を眺めまわしながら照星は微苦笑した。微苦笑しつつもムーンフェイスの言葉を促す。 曰く、もっとも厄介な傲慢とは何か? 「独裁者と同じく無能ではあるね。だが目立たない。とても普遍的で世界のどこにでも潜んでいて、害意などカケラもなく したがって法では裁かれないが人々の嫌悪だけは一身に浴び続ける……そんな人種さ。駆逐不可能な、ね」 「貴方がいうと重みがあります」 30体に分裂可能しかも1体でも残れば増殖というムーンフェイス。 そんな恐ろしさを秘めた彼さえ「厄介」と目する傲慢とは何か? 「答えは……『何の力も持たない癖に他者を救えると信じている』だよ」 もとより静粛な拷問部屋が静まり返った。反応を期待しているのだろう。ムーンフェイスは黙りこみ口元を綻ばせたまま じつと照星を眺めた。返答を求められている。やれやれという顔で細い息をたっぷりつくと照星は自らの見解を述べ始めた。 「あなたのいいたいコトはだいたいわかりましたよムーンフェイス。結論からいえば『少年少女でもないのに』、ですね?」 「そうだね。今の双子や津村斗貴子ぐらいの年代なら大なり小なり持っている気持ちだよ。純粋、といっても過言じゃない」 身の程などまるで与り知らないが故にただひたすら全力で大事な存在を救おうとするタイプ……やや嫌悪を込めてムー ンフェイスは断言した。 「ですがどんなに遅くても防人たちの年齢(トシ)になるころ悟ります。全力を傾けても救えないコトがある。自分の力は決 して自覚や理想像ほど膨大ではないと。もっとも、真に強くなれるのはそこからですがね」 「けど稀にだね。ブラボー君たちが7年前直面したような『自負や理想を粉々にする』ひどい出来事に直面してなお成長して いない者がいる」 ムーンフェイスは肩を竦めてみせた。 「彼らは実にひどい。悲劇から自分の矮小さを何一つ学んでいない。無力だという自覚もない……。なのに人を救えると信じ ている。揉め事を見つけては事情も考えずしゃしゃり出て、結果、ますます事態を悪くする」 「救いたい」、当事者たちの事情を一切無視した自分の考えばかり述べ立てる。 そういう人種こそ厄介な傲慢の持ち主だとムーンフェイスはいいたいらしい。 「つまりは自分だけが正しいと信じ、諌める者やギャラリーを悪と断じる視野狭窄ですか」 「困ったコトに熱意だけはある」 そして滅多に法を犯さないがために裁かれるコトもなくはびこりつづける。月の声音は笑いとも怒りともつかぬ様子で言葉 を紡ぐ。曰く、”返事どころではない”被災地に古着を送り続けるタイプ。曰く、事故現場で救急隊員を邪魔し民間療法を進 めるタイプ……。1つ1つ丁寧に事例を挙げるムーンフェイスに照星は嘴を挟んだ。 「いやに饒舌ですが、あなたひょっとして最近そういう者と出会いましたか?」 「むん?」 話を中座させられた月の怪人はもともと丸い目を更に円やかにした。 「マレフィック。いまこうして私を拘禁してくれている幹部たちは10年前もこれ見よがしに『罪』を掲げていました。今もそうです ね。10年越しでようやく顔を見せてくれたイオイソゴは『大食』。大家さんことウィルは『怠惰』、デッド、でしたか。あの赤い筒 は『強欲』……いわゆる7つの大罪に古めかしい『憂鬱』と『虚飾』を加えた罪。幹部がそれを標榜する以上、居ますよね?」 じっと顔を覗き込むコト5秒。ムーンフェイスはしばらく顎に手を当てていたがすぐに指を弾き明るい声で話し始めた。 .「『傲慢』かい? 確かにそんな幹部もいるよ。でもまずは雑談から片付けようじゃないか」 「雑談、ですか。そろそろ遠まわしな紹介にしか思えなくなってきましたが、まあいいでしょう」 ダム。ダム。ダムダム。 銀成市の路地裏で何かが弾む音がしていた。 「幸か不幸か。彼はとても頭がよく、そして何より前向きだ。だからブラボー君たちのように何もかもを背負いこんだりはしない。 後悔を引きずるコトもない。並の人間なら自責か責任転嫁で直視できなくなる凄まじい悲劇にさえメスを入れ、過失割合で も算定するかのようにあらゆる要素を整理してしまう。動機はとても純粋。信念を貫こう。再発を防ごう。ただそれだけさ」 街頭一つない真暗な露地で弾むそれは漆黒に覆われ色も質感も分からないが、時おり掌らしき物体に上部を叩かれる たびアスファルトめがけ急降下しその勢いの分だけ跳ね上がる。そしてまた叩かれ、弾み、叩かれては弾み……。 掌の主は歩いているようだった。掌の座標が前へ前へと移るたび「何か」も前へ前へと進んでいく。 「それもまた悲劇の中で命を繋いだものの務めでしょう。物事というのは何であれ複雑な要素が絡み合っていますからね。 残酷な言い方ですがそれは悲劇にしても同じです。誰か1人。あるいは何か1つ。それらにだけ原因を求め、元凶と呼び責 め続けたところで何の解決にもなりません 毅然と言い放つ照星をムーンフェイスはいたく気に入ったようだった。 「さすがいうコトが違う。確かに職責が大きければ大きいほど総てを見渡し総てを公平に判断すべき……7年前しくじった ブラボー君たちにもそうあるべきだとキミは言う訳だ」 「ええ。防人にいたっては感傷のあまり再起不能ですからね。戦士長たるものがそれでは部下に示しがつきません。もっとも これまで7年前を雪ぐ任務を用意できなかった私も私ですが」 「何か」の動きが止まった。掌に掬いあげられ貴族服の前で静止した。 かすかに、声が響いてた。 『いやお前! 俺の、人の命を何だと思っているんだ!!』 『大丈夫! わかってます! この上なく大事でー、地球より重くてー、みんなそれぞれ1度きりのー、とにかくとにかく守る べきものですよね! ほら言えました! これでも声優やめた後は小学校の先生でしたからー、道徳は得意なんですよ』 ムーンフェイスの舌はよく回る。無理もない。語るのはかつて自分を下した防人だ。密かな対抗意識とそれなりの思い入 れがあるのだろう。 「確かに彼らはいささか感傷的になりすぎだ。しかし私に言わせればまだブラボー君たちの方がマシさ。考えておくれよ」 「最も厄介な傲慢を、ですか?」 何気なく答えながら照星はわずかに驚いていた。ムーンフェイスが防人を「マシ」と評している。敵はおろか味方にさえ 敬意を抱かぬ男が……。ともすれば比較対象を「自分を捕縛した防人以上に」嫌っているのかも知れない。 機微を知られているという機微に気を良くしたのか。ムーンフェイスは軽やかに頷いた。 「ああ。責任の度合いはともかくだね。直接関わった、自分の根幹を揺るがすような悲劇の後でなお、守れなかった人間の 屍の傍で負うべき責任の正確すぎる量を弾き出せる……そういう男だからね彼は」 ムーンフェイス曰く、どれほど責められても分析結果をタテに抗弁する。過失割合以上の反省など決してない。故に人間 好みの成長はないが挫折もなく、ただただ自我のみ貫き邁進する。彼はそうなのさ。念を押すように述べてから、ムーンフェ イスは高い声をじっとりとねばつかせた。 「まったく面白味に欠けるタイプだよ。からかい甲斐がまるでない」 「フフ」 「むん?」 不意に漏れた笑いをムーンフェイスは不思議そうに眺めた。めずらしく坂口照星は「素」で笑っているようだった。いまの 話のどこに笑う要素があるのか。訝る視線を感じた照星はまず「失礼」と品良く謝り、理由を述べ始めた。 「やや不快そうですがそれはただの同族嫌悪ですよムーンフェイス。あなたにとってL・X・E壊滅は何ですか? 属する組織 の瓦解……客観的な悲劇さえ最低限の自己反省を差し引けば後はもう単なる事故例。今後の参考材料程度の意味あいで しょう。もちろんあなたはあの出来事に根幹を揺るがされてはいませんし元より人を救おうという意思もない。ですが求める 物の為だけ動くという点では同じじゃないですか? あなたが不快気に話す傲慢の持ち主とね」 今度はムーンフェイスが「素」を見せる番だった。戯画的な顔をひどくあどけない無防備な様子にたっぷり歪めてから…… 「かもね!」と歯を見せた。それを見ながら照星はサングラスを掛け直し、一言。 「ヤケになって肯定しているようにしか見えませんよムーンフェイス」 笑顔が硬直し、しかめっ面になるまでさほどの時間を要さなかった。 「やれやれ。キミは本当に恐ろしい。私が彼に抱く嫌悪なんてとうにお見通しのようだね」 ダム。 ダム。 ダムダム。 「私はこれでも寛大な方だけどね。彼だけはまったく好きになれない」 再び路地裏に静かな音が響き始めた。 「何か」は弾む。ゆっくりと。 「つくづく『病気』だからね。マレフィックはキワモノ揃いだが彼ほど厄介な存在もない」 貴族服からきらきらと光る粒子が散り、そして消えた。 「他の幹部連中は盟主を含め大なり小なり挫折を引きずりブラボー君たちよろしく背中に影を落としている。だが、彼は違う。 彼だけは迷いも葛藤も復讐心も嗜虐心も何もない。他の幹部たちとは出自からして一線を画す存在だ」 「そう」 「『土星』の幹部。リヴォルハイン=ピエムエスシーズ君はね」 貴族服は「何か」を弾ませながら歩いていく。金髪ピアスとクライマックスの争う現場めがけゆっくりと、ゆっくりと。 しばしの沈黙の後、照星は静かに告げた。 「ピエムエスシーズ、ですか。また特殊な武装錬金の使い手ですね」 「ほう。博識だね。まさか略称だけで分かるとは。流石は大戦士長」 「たまたまですよ。職務上そういう手合いの動向はよく耳にしますから」 「私は耳にした時驚いたよ。まったくもって有り得ない武装錬金だからね 「何しろ、その形状というのが──…」
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明け方から降り出した雨は、次第に勢いを増し、会議室のガラス窓を強く叩いている。 この日、圭織は永田町の議員会館の一室で行われていた、ある会議に参加していた。 ここ数年、組織の政界進出は目覚しく、十数名の議員を国会に送り込み、ひとつの党派を成していた。 圭織はその予知能力によって、組織の政党を、政権の中枢へと導くことを期待されていた。 会議の議題は専ら、与党との連立政権に関する、細かい条項の取り決めだった。 圭織はうわの空で、窓を叩く雨ばかりを見ていた。 すると、会議にざわめく周囲の声は消え、 雨音だけが耳に響く。 心は、雨音に引きずられて、妹を失ったあの日へと立ち戻る。 ――――――――――14年前の6月―――――――――― その日もどしゃ降りの雨だった。 圭織は母親に、“お使い”を頼まれ、玄関で長靴に足を通す。 すると、突然、視界が白く飛んで、脳裏に不吉なイメージがよぎる。 自分が乗ったバスが事故に会い、血だらけになりもがき苦しむ自分の映像が見える。 その時の圭織にはそれが何を意味するのか、分からなかったが、 募る恐怖心に煽られた圭織は、お使いを拒み、部屋に閉じこもる。 部屋で絵を描いていると、またもや視界が白く弾け飛び、脳内に映像がなだれ込んで来た。 ―――それは先程、見たバスの事故現場の映像――― 先程とは違い、その映像の中に自分の姿は無く、代わりに絶命した妹の姿があった。 圭織は、慌てて部屋を飛び出し、母親の所に行くと妹の居場所を尋ねた。 母親は、不機嫌そうに言った。 「もうバスに乗ってる頃かしら?……あなたの代わりに、お使いに行ってもらったのよ」 そのバスには、自分が乗るのはずだった。 だが、実際にそのバスに乗り、そして事故によって命を落としたのは・・・妹だった。 圭織は、幼い妹の命を死神に差し出したのだ。 自分の命の身代わりとして。 意識はふと、会議室に戻り、圭織は頭を振って会議に集中しようとするが、降り止まぬ雨音がそれを許さない。 雨の降る日は、何も手に付かなくなる。 心の奥底に閉じ込めようとも、雨が降れば、あの日の光景は鮮明に蘇り、意識は惨劇の現場へと、立ち尽くす。 血だらけになった妹の死体。 自分が見殺しにした小さな命が、雨に濡れ、転がっている。 妹の左腕はあらぬ方向に曲がり、右足は膝から下が無い。 右手で、胸の前に一冊の絵本を抱きしめ、それを守るように背中を丸めていた。 画用紙をホッチキスで留めた、手作りの絵本。 圭織が妹に書いてあげた絵本だ。 お話の最後が思いつかずに、書きかけのまま渡した絵本。 妹はその絵本が大好きだった。 何処へ行くのにも、持って行き、何度も読み返しては、早く続きを書いてくれと圭織にせがんだ。 圭織が机に向かいペンを握っていると、必ず飛んできては 「続きを書いてるの?」 と聞いた。 圭織は結局、続きを書いてやれずに、妹は死んだ。 生々しく再現されたその光景の中で、血だらけになった妹に握り締められた未完の絵本は雨に濡れていた。 ―――遠くで自分を呼ぶ声がする。「……さん!予知のレポートをお願いします」 圭織は、ハッとして我に返り、慌ててバックをまさぐると、 予め用意しておいた、政局を予知したレポートを黒崎に渡した。 黒崎孝雄。この政党の党首を務める切れ者。微力ではあるが精神感応力を持つ。 圭織は、目的の為には手段を選ばないこの策略家を、好きになれなかった。 黒崎は圭織に、矢継ぎ早に質問を投げかける。 「で、どっちの党派につけば良いんだ?」「それは、いつ起きる?」「俺の得になる選択は?」 圭織はそのスピードに狼狽しながらも答える。 ひと通り予知を聞くと、黒崎は言った。 「じゃあ、その事務次官を失脚させれば、我が党に有利な流れになるな……」 その刹那、圭織の脳内に新たな未来視(ビジョン)がなだれ込んで来た。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 黒崎の足元に倒れる事務次官。 黒崎は、銃を突きつけている。 事務次官は何事か叫ぶ。 発砲。 額を撃ちぬかれる。 事務次官の瞳にもう、生命の光は無い。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 一点を見つめたまま、微動だにしなくなった圭織に、黒崎が尋ねる。「何か、見えたのか?」 圭織は今しがた見た、未来視(ビジョン)の生々しさに眩暈を覚えながらも答える。 「彼を失脚させたいのなら、いくらだって方法はあるわ。殺すことは無い」 黒崎が興奮して尋ねる。 「奴の死が見えたのか?」 「マインドコントローラーを使って、政治的失策をいくつか演じさせればいいわ」 黒崎がイラッとして言う。 「俺に指図をするな。あんたは予知した事だけ言えば良い」 黒崎は、普段から『予知能力者は神だ』などと、うそぶく圭織を疎ましく思っていた。 しかし、利用価値の高い予知能力者を、怒らせるのは得策ではないと思い直し、慌てて言葉を付け加える。 「まあ、考えて置くとしよう。今日は大変、参考になった。また、力を貸して欲しい」 黒崎はそう言って、立ち上がると握手を求めた。 圭織のおざなりに差し伸べられた手が、黒崎の手に触れた。 すると、突然、視界が白く失われ、 今までに見たことも無いほどはっきりと、未来視(ビジョン)が見えた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 《十数年後の未来》 《首相官邸》 総理執務室の長テーブルに大臣達と、幕僚達が席につき、 その主席には、黒崎が深々と腰を下ろしている。 テーブルの上には、乱雑に新聞が置いてある。【日本の核兵器保有量が米国についで2位】 【黒崎首相、共産圏各国に宣戦布告】【黒崎政権、亜細亜諸国より孤立】 立ち上がる黒崎。 幕僚たちに、 敵国への 核攻撃 を命じる。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 黒崎が、抜け殻となった圭織の肩を、揺すって言った。 「ちぇ!また、未来と交信してやがる」 黒崎は握手した手を振りほどこうとするが、意識が飛んで硬直した手は簡単には、ほどけなかった。 「ええい!離せっ!」 黒崎が乱暴に指をこじ開け、圭織の肩を突き飛ばした。 すると、またもや、圭織の脳内に未来視(ビジョン)が 強烈な生々しさを伴って、なだれ込んできた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 網膜を灼く一瞬の閃光 きのこ雲 焼け爛れた世界が現われる 何万と言う死体 血膿の焦げる臭い その修羅場 凄惨のうめき 子供の内臓を抱いて泣き叫ぶ母 倒壊した建物からもがき苦しむ手が見える 人間が燃えていた 子供が その母が全てが燃えていた 無限に続く夥しい、死 死 死 死 死 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 意識が圭織の身体に戻ると、全身がガタガタと震えだした。 黒崎が何か声を掛けたが、耳には入らなかった。 圭織は逃げるように、その場から走り去った。 ~それから、数日後~ 組織の幹部会議の席で、黒崎は頭を抱えていた。 党内から、政治スキャンダルがマスコミにリークしてしまい、 ここ数年来、内密に話を進めてきた与党との連立政権の話が白紙に戻ってしまったのだ。 今はまだ、巨大政党の議席かせぎの連立の盟約ではあったが、 将来、政権を取るにあたって、重要な過程であると、黒崎は考えていた。 黒崎は、マスコミにスキャンダルを流したのは、圭織であると確信していた。 漏洩した情報を知る者は限られていたし、圭織以外の者には全てリーディングを行い潔白が証明されていた。 何よりも、圭織はここ数日、姿を消し、消息がつかめない。 黒崎は圭織の顔を思い浮かべると、怒りが腹の底から湧き上がった。 黒崎は立ち上がり、幹部たちを前に演説をはじめた。 「私は、能力者がこの社会のトップに立つべきだと考えている。そのために、これまで尽力してきた。 我が党は、あと少しのところで与党に名を連ねるはずであった。 それを、あの女が潰した……自らを神と称し、未来を改ざんする事に無常の喜びを得る、あの女がだ! これは、許すまじ行為である。死を持って償うのが妥当と思われる。 どうか、幹部の皆様の同意を頂きたい!」 幹部たちから、同意の声が上がり、圭織の処刑は決定した。 圭織は焦っていた。 黒崎を失脚させたにも関わらず、あの日、見た未来視(ビジョン)が変わること無く、見え続けるのだ。 被爆し、焼けただれた、この世の終わりの風景が、依然として未来に鎮座している。 黒崎の未来から首相の座を奪ったとしても、奴は黒幕となり、あの未来を実現させるのであろう。 奴は何度、失脚させようともその度、這い上がり自らの意思を貫くであろう。 圭織は静かに眼を閉じると、意識を未来へと解き放つ。 (私は未来を予見できる。そして、予見した未来を人為的に改変することも。 でも、私という変数によって未来は無限に分岐し、霧散してしまう。 私に視えない未来の死角を無数に過去へと流しつつ、また新たに生まれた未来を視る。) 無数の立ち現われては、消える未来を覗き込み、 疲れ果てた意識が、身体に舞い戻ってきたその時 圭織の目から、もう迷いの色は消えていた。 圭織は携帯を出すと、黒崎に電話を掛けた。 「あなたにとって重要な未来が見えたの。明日、時間を空けてもらえるかしら?」 「わかった。朝から党本部で待っているよ」 「それじゃあダメなの。前にも説明した通り、予知にはそれに関わる場所と人物が重要なの。 私の指定する場所に来てもらわなければ意味が無いわ」 「場所は?」 「日野原市に自衛隊演習所があるでしょ?そのすぐ側に廃村があるわ」 「自衛隊に関する予知か?」 「そうね、まだ確固たるものではないけど、軍とあなたの行く末に関わること。 詳しくは、明日。その場所で、ひとまずの予知を話して、あなたがその未来を知ってどのような 選択を望むかで、また未来は違う顔になるわ。」 「わかった。必ず行く」 「詳しい場所を言うわ。日野原市の……」 東京のはずれ、今はもう、廃村となった山間部。 長い間、放置され、朽ち果てた無音の風景に、時折、遥か上空を軍用ヘリコプターが横切る。 捨て去られた民家が点在する田舎道を抜けると、廃校となった小学校跡がある。 その廃校の体育館の中で、圭織は一人、奴らが来るのを待っていた。 【これより先はこちらのBGMと共にお読み下さい】 体育館の片隅に積み上げられていた、机と椅子を一組運んできた圭織は、光の差す場所を選んで座った。 圭織は机の上に画用紙を広げ、色鉛筆を顎に当て、物語の最後を考えていた。 すると、圭織はふいにペンを走らせ、女の子の顔を描いた。 描き上がった絵を満足そうに眺めると「さあ、今度はドレスを着せてあげる」と言って鉛筆の色を変えた。 体育館の外では何台もの車のエンジン音が校庭に轟き、奴らの到着を知らせた。 圭織は色鉛筆を置いて、奴らが入ってくるはずの扉を眺めた。 (入ってくるのは18人) (その内、ピストルを持っているのが6人) (はじめに撃つのは、先頭に居る背の低い男) (でも、それは威嚇射撃だから当たらない) (次に、黒崎がこう言う)「お前の処刑が、幹部会議で決定した」黒崎のドスの利いた声が、体育館に響いた。 予知した事と寸分違わぬ奴らの行動に圭織は、思わずクスリと笑う。 その笑顔を見て、先程、威嚇射撃してきた男が「舐めてんのか!コラッ!」と言いもう一度、引き金を引く。 (しかし、これは偶然、不発に終わる) (だから、私はこう言う) 「あなた達の銃に予め、細工をして置きました。勇気のある方は引き金を引いて下さい」 男達は、慌てて自分の銃を見る。 「私の予知では、三人の手が、吹き飛ぶのが見えました」そう言って手をヒラヒラさせて見せる。 「嘘だ!さっき確かめたばかりだ」若い男が、ムキになって言う。 「そう思うのなら、どうぞ」 (私はこの若者に肩を撃たれる) 「コノヤロウ!」怒声と共に若い男は、発砲する。圭織の肩が撃ち抜かれる。 身体を貫く衝撃に、圭織は気絶しそうになるが、どうにか踏みこたえる。(今はまだ) 黒崎が笑って言った。「撃たれるのを、予知できなかったのか?……俺によこせ」銃を若い男から取り上げる。 (もう、少し……あと、少しだけ) 圭織は、男たちの顔を確認する。あの総理官邸の長テーブルに、座っていた“未来の大臣たち”が揃っていた。 (一人も、生きて未来には行かせない) 黒崎が銃を発砲した。銃弾は、腹部を貫き、圭織は一旦のけ反った後、反動で机に突っ伏した。 黒崎が嬉しそうに言う。「予知能力者は、神じゃなかったのか?」 圭織はゆっくりと顔を上げて、黒崎を見ると言った。 「結末を知っているのは、神様と私だけ。でも、未来を変えられるのは……私しか、いない」 圭織は痛みに顔をしかめながら、天を見上げた。 すると、突然、体育館の天窓の日が遮られて、暗くなった。外からは空気を切り裂くような轟音が聞こえる。 男達が何事かと、天井を見上げた。天窓からプロペラが停止したヘリコプターが、落下してくるのが見えた。 次の瞬間、爆音と共に天井を突き破り、軍用ヘリコプターが落下してきた。 一瞬の出来事だった。体育館に居た男達はヘリコプターの下敷きになった。 全員、即死だった。 男達の居た所から、少し離れた場所に居た圭織も、全身にガラスの破片を浴びて瀕死の状態を迎えていた。 圭織は腕時計を見た。ヘリの墜落は、予知した時間と一致していた。 予知に誤差が無いとすれば、まだ少し時間がある。 圭織は、這うようにして光の差す場所まで行くと、 握り締めてしわくちゃになった画用紙を手で伸ばし、物語を綴りはじめる。 初夏の日差しが、割れた天窓を抜け、体育館の床にまだら模様を揺らしている。 もう、未来は見えなかった。 圭織はふいにペンを止めて、陽だまりの中に何かを見つけ、愛しげに微笑むと、もう 二度と動かなくなった。 「続きを書いているの?」 「そうだよ」 ―完―
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Top 創作物投下スレまとめ 2 2-302-02 「地の底から」 「地の底から」 作者:本スレ1-549様 302 名前:1-549 投稿日: 2013/07/28(日) 16 29 07 今日はwikiのろだに、1-549 のキャラのSSを上げさせて頂きました。 男同士がまともにえろえろしてる物が無いですが、それでも許す! という方はどうかヨロシクです… ※注 ・R-18Gです。 ・猟奇。暴力と切断。攻めがゲス。胸糞。 ・受けが廃人。終始サンドバッグ。 ・受けが男寄りのふたなりです。なので、女性器が頻出します。 入ってる穴がアナルじゃない方です。ま○こです。 ここ801板だろがゴラァて話ですが、一応男×男だから他の板にも持ってけません すいません許してください(…) ! 苦手属性の方は閉じてください ! ※一応説明 ・リコ 主人公の仲間で友達。半不死身。敵黒幕に狙われて、レダを差し向けられる。 友達のベルナルドを人質にされ、レダに完封負け。今回まともに喋ってない。 ・レダ 敵黒幕が、リコを捕らえるために雇った傭兵。でも傭兵である以前に変態猟奇殺人鬼。 「生け捕りならおk。手足が多少取れてても構わん」って言われたのを曲解中。 ヒャッハー。 -------------------------------------- +← 以下本編「地の底から」 地の底から とある廃墟の地下。埃と塵にまみれた長い長い階段を降りた先に、沢山の牢が並んでい る。この施設がずっと昔に閉鎖されてからも、浮浪者たちの住処になっていたりもしたが、 彼らは今いない。廊下の隅で死体になっている。 明かりのない、闇に包まれた拷問部屋。あちこち崩れかけた石壁には無数の引っ掻き跡 が残り、それを黴と染みが覆い尽くしている。壁をよくよく見つめると、宗教的な装飾が 残っていることが分かるが、今や何の意味もなさない。空気の流れのない室内にはむせ返 るような汚臭が立ち込め、うるさいほどに蝿が飛び交っている。床に落ちているのはいつ の物かも分からないボロきれ、腐り乾いたパン屑、濁った水溜り、糞。タバコの吸い殻だ けが新しさを感じさせる。 錆びた拷問用のベッドは血に塗れ、その下に青年が一人、衣服も纏わずゴミ同然に転が されていた。ネズミの大群が集り、動かない彼の肉を食い千切っていく。青年──リコは 四肢を切り刻まれ、もう、頭と胴しか残っていない。目を覆いたくなる程、その姿は無惨 に変わり果てていた。細身ながらも筋肉質のしなやかな体躯は、サンドバッグのように殴 られ蹴られ、裂けて腫れ上がっていた。白磁のようだった肌は惨たらしく変色し、傷口は 黄色く濁った膿を滴らせ蛆が沸き、白い骨さえ覗いている。涙が乾いた頬に、色褪せた銀 の長髪がまとわりついていた。 顔は片側半分が切り刻まれ、目を抉られ、肉を削がれ瞼と唇を切り取られ、とても正視 に堪えるものではなかった。残った半分はかつての面影を残していたが、今や覇気は微塵 も無い。片方だけの赤い目は虚ろで、視力は失っている。半分剥き出しになった歯の隙間 から、ヒュー、ヒュー、と呼吸の音が静かに漏れる。現在のリコに正気が残っているのか どうかは判然としない。おそらく、自分がここに監禁されてどれほど経ったかも理解して はいない。 廊下から足音が響いてきた。年季によって錆付いた、分厚い鉄扉が悲鳴のような音を上 げてゆっくりと開き、隙間からはぼんやりと赤い光が漏れる。長身の青年が、燭台を片手 に部屋に入ってきた。唯一の光源に向かって羽虫が集るが、青年は気にしない。室内の不 潔さもハエの大群も、息ができないほどの悪臭すら全く気にも留めず、足取りは軽やかだ った。上機嫌に歌さえ口ずさんでいる。全く調子が外れているが、よく聞けば聖歌のメロ ディーだった。 派手なファーのついた、毒々しいピンク色のジャケット。スリットの入ったミニスカー トに、女物のソックスとブーツ。白い肌。帽子の下は、セミロングの緑の髪。その全てに、 飛び散った血が黒々と付着している。緑髪の青年──レダは、ベッドにびっしりと止まっ た蝿を手で払い除けると、血でべたつくのも構わず腰を下ろす。脇に燭台を置き、上着の ポケットからタバコを一つ取り出すと、おもむろに火を点けた。黒いレザーの手袋をはめ た手は、華奢ではないもののしなやかな印象だった。女のような顔立ちで、厚化粧に紫の 口紅が鮮烈な印象を放っている。ぱっちりとしたオレンジ色の目のそばに、泣きぼくろが 一つ。見る者を不安にさせるような、妖艶な美貌だった。 「ただいま。暇だったでしょ」 ただ普通に家に帰ってきたかのように、リコに対する行いの数々など何一つなかったか のように、レダは平然と言う。やはり、リコは何の反応も返さない。 シリアルキラーの手本のような男だった。自分の欲望のみに忠実で、実に短絡的に人を 殺す。傭兵稼業の傍ら、レダは気に入った相手を見つける度、遊んでは殺し、棄てていた。 今回は仕事の依頼で捕らえたが、気に入ったので雇い主に引き渡す前につまみ食いしてい る。あの怪しげな依頼主は死んでさえいなければよいと言っていたし、これくらい構うま い。 腕のいい剣士だったのに、人質を取ってやったら実に簡単だった。誰よりも強気だった のが急に大人しくなってさぁ。楽しかったなぁ。簡単に捕まるような間抜けを友達に持つ と苦労するよなぁ。あんなに必死で。喚いて。楽しかった。楽しかったなぁ。まだ楽しみ たかったのに。 「ねーえ、ただいまってば。もしもーし」 「……」 リコは全く動かない。レダは、折角のオモチャが壊れてしまっていることに歯噛みした。 ちょっと加減を間違ったかな。それともあのバカにも貸してやったからかな。あーあ、お 気に入りだったのに。もっともっと時間をかけて遊び倒す予定だったのに、残念だ。 リコがいつ狂ったのかは誰にも分からない。ここでの拷問のせいだったか。人質を目の 前で殺されたからか。人質の目の前でレダに犯されたからか。何にしろ、リコは正気だっ た頃の彼ではないし、もはやレダと他人の区別さえつかないかもしれない。今お仲間が助 けに来たとしても、もう手遅れだね。ご愁傷様。 ま、いいか。まだあったかいし、十分だ。レダは吸っていたタバコをリコの腹の上に放 って捨て、それを足で踏み付ける。周囲のネズミたちが散り散りに逃げていった。 「ったく、生きてるー?」 部屋の悪臭に、肉の焦げる臭いが微かに混じる。リコの視線がやや動いたものの、虚ろ な目は焦点が合わない。レダはブーツの踵に体重をのせる。 「がっ……………!」 異物で膨れた下腹を思い切り踏みつけられ、内臓が引き潰されるほどの圧力に、リコは 苦しげに呻く。 産まれついて、リコの体には明確な性別というものが無かった。要するにどちらの要素 も備わっていたのだった。陰茎はやや控えめなものが確かについていたが、その下に本来 あるべき睾丸は見当たらず、代わりについているのは女性器だった。幾度と無く使い込ま れ黒く醜く変色し、異物を無理矢理押し込まれたままになっている。もう一つの穴も荒っ ぽく使われ、ズタズタに引き裂かれていた。ここまでの扱いを受けて、それでも死ぬこと がないのは彼の強い不死性によるものだったが、感じる苦痛は常人と何ら変わらない。衰 弱のあまり組織の再生力も失われているが、それでも死にはしない。 「まだ十分元気そうだね。よかったー」 リコが死んでいないことを確かめ、レダは至極どうでもよさそうに平坦な声で言った。 ぐりぐりと何度も念入りに踏み付けた後、レダはようやく足をどける。リコの下腹に、赤 黒く変色した足跡が残る。 「はっ…………はっ……」 「頑張るじゃない」 レダはクックッと喉の奥で笑いながら、今度はリコのものを靴裏で優しく転がし始める。 ひんやりと冷たい靴底の感触が心地よいのかリコは目を細め、半開きの口からは微かに甘 い吐息が漏れだす。人形みたいに大人しい。 レダの両足が絡み付き、挟み込むように擦り上げられる。ひどく衰弱しているにも関わ らず、レダに足で弄ばれリコの雄は次第に熱を持ち、硬く大きく張り詰めていった。腰の 辺りからは、じんわりと甘い疼きがわだかまってくる。リコは我知らず腰を浮かせていた。 肌が熱を帯び、開いた傷口から血膿が流れ落ちる。堅く引き結んだ先端からは雫がだらだ らと漏れ出た。歪んだ笑みを口元に浮かべ、レダは足を動かし続ける。レダのものも既に、 スカートの上からでもはっきりと分かるくらいに興奮を示している。身体を引きつらせ、 四肢のないリコはまるで芋虫のように、無様にのたうった。 「…っ……あ………!」 リコの屹立が弾け、白いものがブーツを汚した。レダは目を細め、うっとりとした表情 でその様を眺めていたが、やがて足をどける。ぐったりとしているリコの髪を乱暴に掴み、 力任せに引き摺り起こす。抱え上げて、自分が座っているベッドの上に移した。 リコの膣口は激しく痙攣し、押し込まれた異物がきついようだった。苦しげに身をよじ り、浅い息をしている。レダは手袋を外すとリコの方に向き直り、膣口に挿されたものを 掴む。 「ん…………っ」 ずるりと引き抜くと、白い糸を引くそれを、レダはぞんざいに放り捨てる。べちゃりと 音を立てて落ちた肉塊は、肉が大きく割け崩れ、骨を覗かせていた。それは、ずたずたに 切り裂かれた拳だった。指は一本も無い。 押し込まれていた異物を引き抜かれても、リコの腹は膨れたままだった。大きくなった 下腹部を撫でられると、リコの虚ろな表情が、わずかに泣き顔に歪む。 「さて……と」 くすんだ色合いの花弁は紅く熱く充血し、大きくぱっくりと口を広げている。ねだるよ うにひくついて、何か挿れられることを欲していた。とろけ切った蕾に指を差し込み、レ ダはクチュクチュと音を立てながら掻き出すようにいじくる。冷たいものが入ってくる感 触にか、リコは身を強ばらせた。 レダはそのまま、拳をリコの中にずぷりと潜り込ませる。もう、何の抵抗も無い。侵入 時の痛みはすぐに消え去り、愉悦へと変わった。肉壁が、握りしめた拳に吸い付いてくる。 中で手を広げると、蜜がとろりと流れ出た。快楽の泉を指で探り当てられ、甘い呻きが漏 れ出る。リコの雄は再び張り詰めてゆく。 が、急に拳を引き抜かれ、リコは切なげな声を上げた。レダは足を開いて拷問用のベッ ドに跨る。レダがスカートを捲り派手な下着をずらすと、見事な肉茎がぴんと跳ね上がっ た。リコの細い腰を両手でがっちりと掴むと、濡れた蕾に熱いものを押し当てる。 「……う……………………」 リコは身を震わせながら、片方になった目からボロボロと涙を流す。レダの雄は、ずる りと根本まで入っていった。先端が奥に触れたのを感じ、リコは小さく声を上げる。リコ の体温を感じつつ、レダは腰を動かし始める。既にリコが感じやすくなっているのも構わ ず、激しく奥を突いた。 声にもならないリコの嗚咽に、レダはぞっとするほど酷薄な笑みを浮かべる。腰を打ち 付ける音、粘膜の擦れる淫らな音が、狭い室内に響く。リコは身をよじって逃れようとす るが、手足のない身体ではどうしようもない。太く堅く熱いものを出し入れされる感覚に、 体が内側から熱くなる。リコの呼吸は、レダの腰の動きと深く深く噛み合ってゆく。身を 貫かんばかりにレダに突き上げられ、リコは自ら腰を押し当ててきた。 「あっ………あぁ………あ…!」 「もっと喜べよ、ビッチ」 その様を口汚く罵りながら、レダの手はリコの屹立を握りしめる。もう何度絞りとられ たのか分からなかったが、少し触れられただけでもリコは堪え切れず、達した。手に絡み 付く液を無視し、レダは乱暴に扱き始める。肉壁が激しく収縮し、リコがきつく締め付け てきた。レダのものはさらに大きさを増し、ただひたすら強引に突き続ける。閉鎖された 空間の中、泣けど叫べど声は誰に聞こえることもない。何も見えない目を見開き、リコは とめどなく涙を流す。上下の口からは涎を垂らし、ベッドを軋ませ、髪を乱してよがり狂 っていた。あるのはレダに犯される感覚だけ。 「はあっ………っ……かわいい。…もっと……良くしてあげる」 荒い息をつくレダは、いつもの声の調子に戻る──と、いきなりリコの首を両手で掴み ベッドに押さえつけた。骨の軋む感触が伝わる。首を絞める手に万力のような力を込め、 レダは腰を一段と激しく打ち付ける。レダの熱い吐息がリコの耳にかかり、レダの手をリ コの涙が伝う。 どれだけ経ったのだろう。何も見えない目を見開いたまま、リコは全く動かなくなった。 それでもまだ死んではいない。レダは腰の動きを止め、リコの首を絞める手を離す。恍惚 とした表情でリコを見下ろし満足気に息をつくと、ぐぷりと音を立てて、リコの中から己 を引き抜く。白いものが溢れ、ベッドに滴り落ちる。レダは粘つく手でいとおしげに、リ コの膨らんだ下腹を撫でた。 と、リコの体がビクリと跳ねた。喘ぐように、苦しげに叫びながら、リコは体を激しく 痙攣させる。レダの精が混じった血が、膣口からドクドクと溢れ出す。 「たすけ………ベル………………た、す………あぁ…」 赤い海の中に、潰れたような塊が流れ出た。一体どうしたのだろうとレダは首をかしげ たが、ああさっき腹を踏み潰してやったせいだなと思い出し、声を上げて笑いだした。レ ダは、唐突に頭の中のスイッチが入ってしまった。ベッドからリコを乱暴に落とし、特に 理由もなく何度も何度も何度もリコを蹴り飛ばす。血と膿がボタボタと飛び散る。声を張 り上げ喉が潰れるまでレダは笑っていた。 終 ページ最上部へ
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【時系列は巻き戻り、深夜。銀成市の路地裏にて】 「なるほど。『もう1つの調整体』を奪うよう盟主様から命じられたのはいいけれど」 「どこにあるか分からないから迷ってるwwwwwwwwwとwwwwwwwwwwwwwwww」 「そう!!!! パピヨンのアジトの所在、及公とんとご存じない!!!」 声が、聞こえてくる。 「パピヨン自体の目撃証言は『社員たち』から数多く上がってきている。だが奴は常に突然姿を消す。歩いている 時は言わずもがな、飛んでいる時もスラーーーーーーーーーっと降下したかと思えばもういない……そんな報告ばかり だ。一番近くにいる社員どもは常にそう報告する!! 事実及公ご自身『視点を切り替え』あちこちご覧になるがニンともカ ンとも見つからぬ!!!」 「いやいやそんな不思議がるコトないじゃないですかこの上なく」 上の方から。 「『ウィルさんの知る正史』じゃこの時期ヴィクトリアさんと協力しているんですから」 「地下壕の武装錬金使って出入り口を作っているwwwwwwwww アジトから離れた場所にwwwwwwwwwwwwwwww」 彼らが何をいっているか分からない。 「及公、社員たちを地下にやるコトも考えたがアンダーグラウンドサーチライトは内装自在の武装錬金。尾行者などあっと いう間に排斥されるに違いないであろう!」 「だいたいヘタに尾行なんかしてバレたらますますこの上なく難しくなっちゃいますよねー。『もう1つの調整体』奪うの」 「アジトさえ分かればwwwwwwwwww アイツのいない隙に奪えるのになwwwwwwwww」 「その考えはッ!! 違うだろディプちょんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 叫び声が聞こえた。次にめきょめきょという分解音が響いた。 「ぎゃあああ!! 及公の腕!! 腕がチーズ状の虫食いだらけにして、ぷらんぷらんではないかー!!」 「あwwww 悪りwwwwwwwww 自動防御発動しちまったwwwwwwwwwwwww」 「うぅ。何やってるんですかぁリヴォルハインさん。スピリットレスはこの上なく攻守に優れた武装錬金。防御に回ればどんな 攻撃もオートで分解! そういったじゃないですかー!」 「く。い、いいのだ。いいのだ。仲間に突然殴りかかるなどという敬意なき行動の結果及公はかかる羽目に陥られておられ るのだ。いわば自業自得!! どんな理由があるにせよ口頭で!! ちゃんと伝え相互の理解を図るべきだったのだ。 そうやって互いに互いを理解していく的なアレがだんだん相手への敬意になって絆が生まれる!! ああやはり敬意は いい!! あと、腕がジンジンするので赤チン買って下さいクライマックス先生!!」 「赤チンはなんだか毒っぽいし今も製造してるか分かりませんしそもそもそれはこの上なく大けがなのでグレイズィングさん に診て貰った方が……」 「やである!! 病院は怖い!! 医師グレイズィングめは何かと執拗に下腹部を触ってくるからきらい!!」 「……話ズレてませんか?」 「そうだった! もう1つの調整体!!」 「正々堂々戦って勝って!! 奪うべきなのだ!! どんな敵が相手であろうとひきょうな手段で陥れ勝ちをかっさらうよう なマネなどしたくない!! 戦いにおいてもそれは同じでつまり及公真っ向からパピヨンと戦い『もう1つの調整体』を奪って みたい!」 「おうおうおう随分熱吹いて下さるじゃねーかwwwwww でもよォー、奪うっつーのは果たして正々堂々って言えんのか? ア?」 「そこは知らん!!」 「知らんのかwwwwwww」 「だが及公、奪うという行為を正々堂々なさりたいとお思いだ!! ちゃんと所有者に挑み!! 戦い!! 誇り高い争い の末!! この手に掴みたい!!」 「引き合っているのだ。及公が細胞の総てが!! 『もう1つの調整体』を掴めと!!」 恐ろしく熱のある声だった。 いや、熱に浮かされ叫んでいるような声だった。 まるで、病気のような……。 「敬意敬意といってる割にずいぶん自分本位じゃねえかwwwwwwwwww」 「人は何かを欲するがため戦いを挑む!! 奪えるか奪えないか守れるか守れないか、趨勢を決するはとどのつまり精神 力!! 堂々たる戦いの場というのはつまり及公とパピヨンの矜持のどちらが勝るか洗い出すための装置!! 決闘!! そーいったチャンスを与えられながら守り切れない方が悪い!!! 敵を前に守り切れぬ、脆弱な精神力こそ悪い!!」 「ところでそこに転がってる人どうしましょう。この上なく……」 気の抜けた声。視線がこちらに向く気配がした。 「どうしよう」 「どうするも何も……攻撃したの、リヴォルハインさんじゃないですかあ」 彼らはいま、自分について語っているらしい。 地面に突っ伏している惨めな自分について。 「ふぅむ。話のさなか突如として殴りかかってきたから思わず及公反撃されてしまった」 「でもなんで急にこの上なく怒ったんでしょうね?」 「!! そうか!! そういうコトだったのか!!!」 「何か分かったんですか!!」 「うむ。誰のせいであのセミが死んだかという割合!! 40:28:22!!! 「まだ引きずってたんですかぁ!?」 「一番悪いのはコスパ的な問題どうこうで昆虫医療研究しなかった獣医師。次に樹液あげたりしなかった及公。で、地上に 出て1か月も持たんセミもまた悪い!! よし分析完了!!」 「ああそうですか」 「奴らめ!! 何世代何十世代という進化の機会を得ておきながらどうして、どーして!!! いまだ地上でサクリと死に 成虫状態で冬まで生きられんのか!!! 発展しようという意思はないのか!!! 親どもが必死こいて生き抜いた結果 生まれいでるコトができたんだろーがである!! あと生きるためにいろいろ喰っているしその喰ったいろいろにありつけ んだばかりにくたばった他の命というものもあるのである! 犠牲を出し屍の上に立脚しておきながら旧態依然に甘んじる 敬意なき堕落に満ちた忌むべき種族的傾向こそあのセミの命を奪った一因なのである!!! だから及公悪くない。悪く てもたぶん28%、ぐらい!! 頑張れよ!! もっと大胆に進化しろよセミども!!」 「なあ、残りの10はwwwwwwwwww」 「その他!! 環境等もろもろの雑駁要素を合算した数値!! 内訳を知りたいなららば披歴しよう!! ちなみに一番責 任の低いのはウラジオストックにある長靴の工場で過失割合は0.0000000000000000289%だ。24年前流出した ジメチル酸フタレルが人々の愛憎の果て海を越え巡り巡ってあのセミにダメージを……」 「あ。もういいです。黙ってくださいリヴォルハインさん」 そういって彼らは自分が激高した理由をしばらく言い合っていたが。やがて。 「原因、それじゃね?wwwwwwwwwww」 ダム。何かが弾む音がした。 「これか ダム。ダム。ダムダムダム……。 転がってくる。自分を怒らせた原因が。 「さっきから何をダムダム突いてんのかなーとこの上なく思ってましたけど」 目の前に、来た。 人の顔が。 見覚えのある、顔が。 「まさか金髪ピアスさんのお母さんだったとは……」 変わり果てた肉親の顔があった。 生首、という生易しいものではなかった。 むしろ生首”だけ”ならまだ良かった。 そこにあったのは、全身だった。 ボール大の肉塊に体の総てが圧縮されていた。 ヨガで見た記憶。うつ伏せになったまま腰を上げ頭を両膝に間に入れる柔軟の、姿勢。 それをもっと極端にしたやつだ。 「テラトマのフェルメネスくんもびっくりの変身だな!! うむ! さすが及公!!」 抵抗の跡、だろうか。年甲斐もなく茶色く染められた髪はざんばりと乱れ根本のくすんだ白銀がいびつなまだらを作って いる。それが臀部と癒着している。よほど強い力で圧着されたらしく着衣はびりびりに破れぶよぶよとした脂肪の皺やたわ みの間から乱雑にはみ出ている。荒縄よろしく攀じあわされた両手と両足はバレーボールを思わせる巻き方で表面を覆っ ていた。とはいえ大きさ自体はバスケットボールほどだ。もっとも人体の容量を踏まえた場合その程度の差異にいかほど の意味があるというのか。贅肉の波打ち際から覗く顔ときたら歪み切っている。 「やっぱりリルカの葬列。『リルカズフューネラル』。この上なく、この上なく発動しちゃってます……」 一度後頭部を轢かれた大型犬の死体を見たコトがあるがそれは今見ている光景を形容するため天が与えし配剤なので はないかと思えるほど、そっくりだった。小学生のころ。確か水曜日だった。4限授業の帰り道、好奇心でひっくり返したセ ントバーナードはあらゆるホラー映画のあらゆるメイクよりも見事だった。歪んで、崩れて。口や両目同士の中間点が正中 線を通っていない……ただそれだけで人間の視覚受容は吐き気を呼び膀胱の蛇口さえ全開させるのだと知った。半年は 夢に出た。泣かせた。そうやって飛び起きるたびどこからかやってきて、おおよそ世間一般が羨む母親像とはほど遠いガ ラついた声で文句いいつつもなぐさめてくれた存在が惨たらしく転がっている。 耐えがたい悲しみが襲ってきたのは歪んだ顔が息を吐き目を動かし、自分の名を呼んだ時だ。 リヴォルハインと呼ばれた頭のおかしな……。 病気、というべき美青年の掌の中で。 歪んだ母親に呼ばれた時。 ノータイムで感情が爆発し、突進し、衝撃が走り地面に突っ伏し……今ができた。 「ああ、憂鬱wwww ボール人間ここに誕生wwwwww 果たして元に戻れるっかなあwwwwwwwwwwww」 「あー。そういえば及公小腹がすいてたな」 「また何の話ですか……」 「うむ。及公お腹が空いたのでスーパーで買い物された。デッドがいうには賞味期限間近のやつが半額シール貼られる前 に買うのが敬意らしいのでそうされた。お買い上げになった商品は小型パックのマミーと筒入りのマーブルチョコ! あれ はおいしい!! ホクホクする!!」 「小学生かwwwwwwwwwww」 「で、レジに並んだら前にいたこいつが」 とボール状態の母親をリヴォルハインは指差したらしい。 「こいつがだな、自分のカゴに入っていた3本1パックの乳酸菌飲料を指指しそしてゴネた」 「はあ」 「売り場の表示価格と違う。向こうじゃ78円だったのにレジスタ通したら88円。10円高いと」 「…………」 クライマックスという女が息を呑み、黙るのが分かった。 「店員は及公に待つよう促し売り場へ走った。値段を確かめるべく。レジは混雑していた。及公の後ろにもまだ6人は居た」 「…………」 今度はディプレスという鳥男が黙った。微かだが嘲笑を漏らすのが分かった。 「なので」 「こーした」 . 「また話飛ばしてる……。うぅ。私たちリヴォルハインさんほど演算能力ないんですから、もっと分かりやすく語ってくださいよお」 「まあ何だ。他に並んでる人もいる訳なのである。10円ぐらいの安い高いで待たせるのはどうかなーと思われたので会計後、 及公その点について指摘を入れられた。『あそこは10円損してでもみんなの会計スムーズにしよう。それが人の道』とか何とか。 するとなんか怒ったので」 「こーした」 「まったく敬意がない。及公待たされたコトについて憤怒を覚えられた訳ではなくもっと公序良俗的なる見地から話をしようと されただけなのである。なのにどーして怒られなければならないのか。正直ムっとしたので攻撃かつ採用!!」 「……これって課長待遇ですよね?」 「下手すりゃ部長待遇かもなwwwwwwwwww どんな特性が出ちまったかは知らねーけどwwwwwww これで課長クラスの 4割なら悲劇だっぜwwwwwwww あwあw憂w鬱wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 「でも良かったです。帳尻があって」 「何のだよwwwwwwww」 「全身フード破いたコトです。お母さんがこうなったとか因縁じゃないですかぁ。破いたのは復讐の、前払いです!!」 「オタこええwwwww しかし……相変わらずえげつない攻撃だよなあwwwwwwwwwwwwwwwwww」 脇腹に何か固い感触がした。ディプレスの肢にひっくり返されたと気付いたのは目の前に夜空が広がった頃だ。満点の星。 呪詛のように漏れる母親の声さえなければとても感動的な光景だ。 「一体、何をした……」 「まーまー。外傷はないんですからいいじゃないですかこの上なく」 重い首を持ち上げ体を見る。クライマックスのいう通り目立った傷はまったくない。 「あるのはすげー頭痛に倦怠感……」 「なーにフシギそうにしてんだよwwww」 凶悪な笑いが夜空に広がった。ハシビロコウという名の嘴の大きな鳥はとてもとても酷薄な笑みを浮かべこちらを見ていた。 「オイラ確かに言ったよなあwwww リヴォルハインは病気だってなあwwwwwwwwww」 ぞくりという悪寒が蘇生する。 思い出す。殴りかかったのは肩だった。 渾身の一撃は恐るべき速度でそこへ殺到した。相手は身じろぎもしなかった。外れるとはまったく思っていなかった。 結論からいえば拳は確かに肩へ当たった。 だがその瞬間……肩は粒子となって霧散した。空虚な手ごたえが拳のみならず前腕部をすりぬけた時、美青年は両目を 不等号に細めながらわきゃーと叫び一歩進んだ。足元が縺れ釣り込まれるように懐へ衝突した。そして──… 「リヴォルハインさんは病気……。でもそれは頭が病気という意味じゃあありません 衝突の瞬間、見た。 砂のように崩れていくリヴォルハインを。 端正な顔も美しい服も逞しい体躯も何もかも粒、粒、粒、粒ツブツブつぶつぶTUBU粒つぶつぶツぶつブtubu溶けて崩れて 舞い散って群れになりまとめて飛んで、飛んで──… ざらついた赤黒い粒どもの奔流が。 口に入った。 粉薬を何万倍にもけむたくした質量はしばらく口の中に留まっていたが後続どもは止まらない。えづきとともに頬が膨らん だ。口腔の容積はあっという間に満杯だ。ごぎゅり。喉を通過する異常な感触に絶望が奔る。飲んだ。飲んでしまった。ぶう ぶうに頬を膨らませたまま涙を流す。気管支と食道にきたのは強姦魔だった。押し広げられる。挿入される。性的特権ゆえ 生涯無縁だと思っていた蹂躙が体の内部で起こっている。消化器官の両端どちらかに『突っ込まれる』方がマシだという 恐怖があった。使用済みの注射器に触れてしまったような血膿臭い絶望が空気とともにしばらくドクドク注ぎ込まれた。 おぞましいフラッシュバック。 鉛のように重い指を持ち上げる。ぶるぶる震えるそれを口にやるのさえやっとだった。 蒼ざめた顔の入口に突っ込む。咽頭奥深くに泥まみれの指が当たった瞬間激しい”むせ”が奔る。涙に震えながら一層 強く深く挿入する。惨めな気分だった。汚らしいと軽蔑している吐瀉行為を救済と期する感情に大粒の涙がこぼれた。 . 何か言われたような気がした。 何か答えたような気がした。 自分だけの、大切な何かについて。 視界の隅に移ったのは異形の母。同じコトをされたのだろう。 どうなる。入った。入った。確実に。末路はたぶん……。 クライマックスは腰に手を当てしゃんと背筋を伸ばした。 とてもとても得意な顔だった。 知識を与えてくれる素晴らしい先生の顔だった。 それが紡ぐ。絶望的な言葉を。 リヴォルハインは。 リヴォルハインは……!! 「存在そのものが病気……。『 リ ヴ ォ ル ハ イ ン と い う 病 気 』なんです」 「また感染したかwwwww 流石あの鐶を作り上げたリバースの最高傑作wwwwwww レティクルナンバー1の手間とコストの」 「細菌型ホムンクルス」 意識が闇に沈んだ。 ディプレスの口笛が合図だったかのように。 「ナニナニナニどーしたのまっぴー!! いきなり肩なんか組んじゃってェ」 「別にいいけどそういうのは影でやりなさい。ファン多いのよ秋水先輩。後で他の女子に何されるか……」 口々に囃し立てる河合沙織と若宮千里の声に早坂秋水は顔をひきつらせた。「違う」「これには理由(ワケ)が」。懸命の 弁明も彼女たちには通じない。沙織は瞳を輝かせ、千里は眼鏡を曇らせながらそれぞれの意見を投げてくる。どちらも 言い方こそ違うが要約すれば「こんなコだけど根はすごくいいコだから大事にしてあげてください」。友人らしい思いやり のある意見である。君たちもいいコなんだなと少し感動したが困惑は収まらない。 首を後ろにねじ向ける。油の切れた機械のような音が耳をひっかく。背後から刺さるは無数の視線。好奇。嫉妬。絶望。 号泣、笑顔、憤怒、爆笑。祝福やリア充死ね爆発しろといった様々な感情が痛いほどに刺さってくる。 「秋水先輩屋上まで運ぶの! 影なんか歩けないッ!! なぜならこのルートが最短だから!!」 傍らで少女はぜえはあと凄まじい息を吐き背筋を伸ばした。 「もうそろそろこの辺で」 「まだだよ!! まだ2階! 屋上までまだまだある!!」 まひろはというとすっかり変なスイッチが入っているらしい。熱血丸出しで太眉をいからせながらエッチラオッチラと歩いて いる。その肩には秋水の手。体同士が密着。まさに前言通り彼女は肩を貸し歩いていた。 「いやもうここまでくれば大丈夫だから」 「遠慮しないで!! 捻挫させちゃった以上運ぶのは当然!! ふぅ、ふぅ~!! まだよまだまだ倒れる訳には……!!」 「君の言い分も分かるがあまり激しく動かないでくれ」 「なんで? 足に響くの?」 あどけなく見上げてくるまひろに秋水は困った。 制服越しにも分かる柔らかさが確実に秋水を苛んでくる。 かなりの身長差があるためまひろはほぼ全身で秋水を支えていた。脇の下に潜り込み体の横半分をペタリと密着させて いた。その位相は必ずしも常に定位置を保っているという訳ではなく階段の昇降や角の右折左折を遂げるたび微妙な変化 を遂げていた。少女の体は時に期せずしてその正面を秋水に擦りつけた。多くの場合それは一瞬の出来事でまひろ自身 特に意に介した様子もなく運搬作業にご執心という感じだったが……。 「…………」 柔らかな感触は生々しい質量と重量を帯びていた。密着し且つ動いた場合なまめかしく蠕動し形を変えるのが種々の衣料 を介してさえ分かるほどだった。 剣一筋に生きてきた秋水である。そういう方面への興味は特にない。いちいち完璧すぎる桜花を見慣れてるため知らず知 らず目が肥えすぎている……というのは総角主税の勿体ぶった学説だがそれを差し引いても桜花以外の女性に対する関 心はとみに薄い。その桜花にしても家族で、守るべき対象で、何より大事な存在だった。男性的欲求など皆無に等しい。せ いぜいが二次性徴期において変貌を遂げつつある桜花の不思議に少し首を傾げた程度だ。 (弱った) いつぞやのメイドカフェで組み敷いてしまった白い裸身。ちらちらと脳裏に浮かんでくるそれを払拭するのに必死だった。 総角や無銘や貴信や逆向といった連中との戦いを思い出す。逃げるように。貴信の効果はまったく覿面だった。侮辱という より感謝したい思いで彼の顔を必死に思い出す。でなければもやついた感情が尾を引きそうで怖かった。 「クソォー!!! やっぱりオトコは顔か!! 顔なのかァ~~~~~!!」 「いや、そういうのじゃないと思うよアレは。まひろちゃん、カズキ君の妹なんだし」 「まあ親切心だろうな。ああなりたかったら下心ぐらい捨てろ岡倉。みっともない」 三者三様の感想を漏らしているのはカズキの友人たち。剣道の練習のとき見かけた記憶があるのでそれと分かった。
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1 2 3 → 次へ お題 金(2回目) 開催期間 2004/06/11~2004/06/21 参加作品数 23 審査員 6人 本スレ 11の305-379 議論スレ 8の380-384 【チャンプ】 金色の畑(山田):15点 【準チャンプ】 殺すな!:10点 作品一覧 No. タイトル 作者 点数 308 きんのひかり - 4 309 金の音 鐘の音 柳橋 3 310 無題 - - 311 金時 - 2 312 無題 - 2 313 拝啓 北の将軍様 - 3 314-315 殺すな! - 5 317 男が女に与えうるもの - - 319-320 「言葉」屋 MUJINA 3 321 そりゃねえよ神様 - 3 324 なんとも人間らしい - - 325-326 キンパツのサトウくん ねむい 2 327 金色の畑 山田 5 328-329 光陰 - 4 332 みさちゃん - 1 333 クッキー - - 334 金曜日 - 3 335 まさにそれは - 1 336 馬鹿 - 2 337 1,000/g - - 338-339 まとわりつく輝き - 1 340-341 Stay gold - 1 344 不如帰より 金糸雀へ 九官鳥 5 【審査員】 わに ◆Wani6uvhK. 山田 ◆jipx.wAXvs MUJINA ◆iXws.WGCLY ななほし ◆lYiSp4aok. シオン ◆poetsyov/2 Canopus ◆DYj1h.j3e. 【採点レス】 349 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/06/17 23 15 ID v0bxOgYd 【1点】 311 「金時」 319-320 「言葉」屋 321 「そりゃねえよ神様」 327金色の畑 344不如帰より 金糸雀へ 350 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/06/17 23 17 ID v0bxOgYd 【2点】 334 金曜日 351 名前:山田 ◆jipx.wAXvs [sage] 投稿日:04/06/18 03 17 ID Z99YtPqf 【2点】 313 :拝啓 北の将軍様 【1点】 321 「そりゃねえよ神様」 336 :馬鹿 354 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/18 23 08 ID EZF+HjBy 【2点】 314 殺すな! 最初の9行が最高。未完成ってケチつけたが、ここの部分の完成度は高い。 344 不如帰より金糸雀へ 構成力、表現、レトリック、どこをとっても他の作品に比べ一歩抜けている感じ。 【1点】 308 きんのひかり 309 金の音 鐘の音 312 私は金貨を握っていた 326 キンパツのサトウくん 336 馬鹿 342 俺の詩 357 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/06/19 15 08 ID /kqtemD+ 3点 328 :光陰1/2 :04/06/15 11 31 ID G21ncFvJ 2点 325 :キンパツのサトウくん (前編) :04/06/15 05 45 ID YyZaVw8i 2点 327 :金色の畑 :04/06/15 11 24 ID uE4dL92K 1点 308 :きんのひかり :04/06/11 23 55 ID dk4565aB 1点 309 :金の音 鐘の音 :04/06/12 04 37 ID lfs8w6UQ 1点 311 :「金時」 :04/06/12 14 33 ID Va33kvhP 1点 312 :名前はいらない :04/06/12 15 24 ID 6Elu22+/ 1点 319 :「言葉」屋 (前編) :04/06/13 11 15 ID G1cXRdU9 1点 334 :金曜日 :04/06/15 21 19 ID QYZ6x9Nt 1点 335 :まさにそれは :04/06/15 23 54 ID lId6JIj0 358 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/06/19 17 40 ID 9Orb9r+M 【2点】 308 :きんのひかり 327 :金色の畑 【1点】 309 :金の音 鐘の音 313 :拝啓 北の将軍様 321 :「そりゃねえよ神様」 328-329 :光陰 362 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/19 21 39 ID 1SaaSg+5 3点 314-315 2点 344 1点 319-320 332 338-339 340-341 No. タイトル 作者 点数 314-315 殺すな! - 10 327 金色の畑 山田 15 344 不如帰より 金糸雀へ 九官鳥 9 【審査員】 Canopus ◆DYj1h.j3e. MUJINA ◆iXws.WGCLY シオン ◆poetsyov/2 soft ◆ZYsoftMCT2 ウサギ歯 ななほし ◆lYiSp4aok. 大木人 ◆KMcEIGIRgE わに ◆Wani6uvhK. 【決選投票】 365 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/20 06 53 ID Pppq/JRN 「殺すな」2点。 「金色の畑」1点。 「不如帰より 金糸雀へ」2点。 366 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/20 08 06 ID bWRFR/9V 「殺すな」「不如帰より金糸雀へ」 ……2点 「金色の畑」 ……1点 368 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/06/20 20 33 ID S5Jg7gYZ 3点: 327 「金色の畑」 2点: 314-325「殺すな」 1点: 344 「不如帰より金糸雀へ」 369 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/06/20 20 35 ID S5Jg7gYZ 368 すみません、「殺すな」のレスアンカー間違えました。 314-315ですね。ゴメンナサイ 370 名前:soft ◆ZYsoftMCT2 [sage] 投稿日:04/06/20 21 42 ID HcnbDC96 同じく 327に3点を 314-315には2点を 344には点入れず 371 名前:ウサギ歯[sage] 投稿日:04/06/20 21 58 ID 8REQaZ+0 2点: 327 「金色の畑」 1点: 344 「不如帰より金糸雀へ」 0点 314-315 「殺すな」 372 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/06/20 23 18 ID wt4Xazu9 327 「金色の畑」 に、2点 投票します。 374 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [sage] 投稿日:04/06/20 23 33 ID HNAK78cu ◎3点 327 金色の畑 ○ 2点: 344 不如帰より金糸雀へ 2点 314-315 殺すな 375 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/06/21 19 32 ID WsshQQN9 不如帰より金糸雀へ に一票。 作品 ■▲▼ きんのひかり 這い進む川底は不快だろう 屍骸と糞便と微生物がぬるぬると纏わりつき おまえを腐臭で覆う それでもおまえは進んでゆくだろう 足裏を手を錆釘が裂き廃棄された釣針が貫き 大量の血膿を流させる それでもおまえはあきらめずにゆくだろう 苦しみながらその道のりをゆくだろう しかし力尽きておくられる朝には 炎に包まれるおまえに必ず崇高なひかりが宿る 膿みつづけた傷口から忍び込み蓄積されて王冠となり おまえを讃えているのだ それは水銀でもなく破傷風菌でもなくツツガムシでもなく もっと別の 今はまだそれを知らずにゆけ 泥まみれのおまえを哀しみながらゆけ しかし荼毘を見守る河原に おまえの輝きが必ず満ちるのだ 精一杯辿った道が 308 名前:きんのひかり[sage] 投稿日:04/06/11 23 55 ID dk4565aB 【コメント】 346 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/17 00 50 ID sD61nx+N 308 ダークダックスの『金色の道』を彷佛とさせるね。そこはかとなくリ アルを感じさせるような細かい描写が印象的です。ただ、ややありがちな描写 ではあります。 348 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/17 07 48 ID LI0bgCjF 308 きんのひかり 1,2連から続く「河底」というより、下水道を彷彿させる汚濁と腐臭のイメージ。これは 作者の実生活の辛苦か、詩作における艱難かは定かではないけれど、おそらく若さからくる苦しみ かもしれない。だが、作者は知っている。その先にきんいろの崇高なひかりが見えてくることを。 そのときになって初めて、自分が辿ってきた道が下水道ではなく、「荼毘を見守る」ガンジスに似た 聖なる河であったことを知るかもしれない。 357 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/06/19 15 08 ID /kqtemD+ 1点 308 :きんのひかり :04/06/11 23 55 ID dk4565aB 王家の廃墟ののろいのようなぬるっとした存在感。乾いた廃墟も夜の月にぬれて…… 358 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/06/19 17 40 ID 9Orb9r+M 【2点】 308 :きんのひかり こういう信念を持って生きられる人は強いのだろうなあ。 【得点】 4点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点 ななほし ◆lYiSp4aok.:1点 シオン ◆poetsyov/2:2点 ■▲▼ 金の音 鐘の音 キンコンキンコンキンキンコン 金金金金金金金 キンコンキンコンキンキンコン 金金金金金金金 幸せ知らせるカネキンコン 全てを知らせる金(鐘)金金 空を舞う鳥かなキンコン いつかは堕ちる金(カナ)金金 皆笑顔の今キンコン 笑顔の裏の金(カネ)金金 キンコンキンコンキンキンコン 金金金金金金金 キンコンキンコンキンキンコン 金金金金金金金 あれは何を知らせているのか 世界の終わりを知らせているのか あれは何を教えているのか 世界の狂いを教えているのか キンキンコンコンキンキンコンコンキンキンコンコンキンキンコンコン 金 金 金 金 金 金 金 金 金 金 金 金 金 金 金 金 その音が響く限り 全てはきっと金で成り立っていた キンコンキンコンキンキンコン きんこんきんこんきんきんこん 金 金 金 金 金 金 金 キンコンキンコンキンコンコン… 309 名前:金の音 鐘の音[] 投稿日:04/06/12 04 37 ID lfs8w6UQ 【コメント】 346 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/17 00 50 ID sD61nx+N 309 うわっつらしかなぞってないのが、かえって成功していると思う。で ないと、「世界の終り」「狂い」が白々しくなっちゃうから。そんなバランス 感覚が素晴らしいっす。何も主張しない面白さを感じました。 348 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/17 07 48 ID LI0bgCjF 309 金の音鐘の音 言葉遊びと韻律の世界。拝金主義に対する風刺詩のようですが、ややストレートすぎるような 気がします。もうひとひねりあったらなあ。ただ言葉の表記や配列が視覚的に見せてくれ、 楽しく読ませてくれます。 357 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/06/19 15 08 ID /kqtemD+ 1点 309 :金の音 鐘の音 :04/06/12 04 37 ID lfs8w6UQ お金ってジェニ箱のなかに種セン入れとかないと、集まらないらしいね。タネ音かな? 358 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/06/19 17 40 ID 9Orb9r+M 【1点】 309 :金の音 鐘の音 視覚的にも音的にも面白く、内容にも合っているのがいいです 383 名前:柳橋 ◆nldbVy4wII [sage] 投稿日:04/06/22(火) 13 57 ID J2BVgcHE 「金」のお題を出した張本人 柳橋です。 自分は今回「金の音 鐘の音」を書かせていただきました。 それなりに自分の意図した所が汲み取れていただけたようで一安心。 後は純粋な技量ですね。 精進します。 チャンプ、準チャンプの方おめでとうございますー。 【得点】 3点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点 ななほし ◆lYiSp4aok.:1点 シオン ◆poetsyov/2:1点 ■▲▼ 金がない それのどこが悪いっていうんだ ぼけが 310 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:04/06/12 14 22 ID 6Elu22+/ 【コメント】 346 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/17 00 50 ID sD61nx+N 310 3行めはいらなかったかもなあ。悪くはありません。ただ「金がないの は首がないのといっしょ」ということばもあります。 ■▲▼ 金時 川面に映る千金色に 春色の花びらが滑り降りる 隣を歩く黒髪も やわらかな日色に染まっている 茜色の夕日が あの山の向こうに腰を下ろす 白い雲は淡紫に染まり 淵は金色に輝いている 偉大な音楽家の話したように 瞬間(とき)は千金に値する 311 名前:「金時」[sage] 投稿日:04/06/12 14 33 ID Va33kvhP 【コメント】 346 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/17 00 50 ID sD61nx+N 311 ぼくは「偉大な音楽家」が誰かわからないので、あまりこの詩を話せ ないんだけど、色彩がふんだんに盛り込まれて絵画的な印象を受けました。 日常的な風景なんで、もっと緻密に愚直に書き込んでもいいように思われる。 349 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/06/17 23 15 ID v0bxOgYd 【1点】 311 「金時」 きれいな光景が見えます。恋人と歩く幸せな光景。 それだけのことかもしれないけど、 そんな光景から切り取られた一枚の絵画のよう 357 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/06/19 15 08 ID /kqtemD+ 1点 311 :「金時」 :04/06/12 14 33 ID Va33kvhP 叙情的、おなかがすくまでの至福の夕暮れ……??? 【得点】 2点 わに ◆Wani6uvhK.:1点 ななほし ◆lYiSp4aok.:1点 ■▲▼ 無題 私は金貨を握っていた この金貨がどこからどのようにして 誰の手を渡ってどの方角からどんな 道を越えて私の手の中にやってきた かはわからない そしてまた私がどのようにしてこの 金貨をどこから誰の手からどの場所で どんな風にいつ手に入れたかはわからない ただ 私の細胞の一つ一つが 今この 金貨の 安っぽい 鉄の味を 舐め 嘔吐を繰り返しているのだ 312 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:04/06/12 15 24 ID 6Elu22+/ 【コメント】 346 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/17 00 50 ID sD61nx+N 312 鉄の味は血の味かもしれないね。血には鉄分が含まれているから。金 貨への強烈な嫌悪を表現したと思うけど、前半を読むかぎりでは、これは普通 の金貨に思えるんだよね。となると、その嫌悪も普通に感じちゃうんだよね。 348 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/17 07 48 ID LI0bgCjF 312 私は金貨を握っていた 貨幣の流通を「嘔吐」という言葉に隠喩しているのは秀逸。ただし、「安っぽい」という 価値判断を含む言葉をじかに使ったのは、やや勇み足かなとも思います。 357 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/06/19 15 08 ID /kqtemD+ 1点 312 :名前はいらない :04/06/12 15 24 ID 6Elu22+/ 私は金貨を握っていた 金貨が鉄の味……この断片のチ切れ具合、密着軋轢……書けてなかったかな? 【得点】 2点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点 ななほし ◆lYiSp4aok.:1点 ■▲▼ 拝啓 北の将軍様 アンニョンハセヨ アンニョンハシムニカ 北の将軍様、あなたの電波に チャンネルあってますか? いつも気になってました あなたの髪形 上からの映像がないからもしかして てっぺん薄いですか? あなたのおなか 臨月みたいに大きいけど なんの武器を隠し持ってますか? あなたの態度 やたらとデカいけど こちらが謝って、いっぱい物や食べ物をプレゼントすれば その態度改めるんですか? アンニョンハセヨ アンニョンハシムニカ 北の将軍様、あなたの電波に チャンネルあってますか? 313 名前:拝啓 北の将軍様[] 投稿日:04/06/12 16 50 ID mUTJrpeK 【コメント】 351 名前:山田 ◆jipx.wAXvs [sage] 投稿日:04/06/18 03 17 ID Z99YtPqf 【2点】 313 :拝啓 北の将軍様 お題に対するアプローチが面白い!確かに「金」! 3連目4連目は笑わせてもらいました。 355 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/19 11 41 ID OsQ6jWCJ 313 けっこうソツなくまとめていて、技量を感じます。ぼくらがテレビで 見る金正日のイメージそのまんまなんで、も少しヒネリがほしかったかも。 358 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/06/19 17 40 ID 9Orb9r+M 【1点】 313 :拝啓 北の将軍様 面白い。なるほど、こう来ましたか。 この手の電波を受信するために、自分が電波にならない所が、読みやすかったです。 【得点】 3点 山田 ◆jipx.wAXvs:2点 シオン ◆poetsyov/2:1点 ■▲▼ 殺すな! 僕を殺すな!僕は26歳だ!僕を殺すな! あらゆる転生のかけらをせおいながら あらゆる純正のかけらをけとばしつつ、けっして純粋とは いいようのないあの太陽に向かってさけぶことすら できやしない潰れた感情を、潰れた蛙に例えながら 花びらが散る夜を、例えようのない夜を、 あらゆる比喩を排除した上で!はじけたガラスの欠片を ひろいあつめることによって生じる傷あとを、決して名誉 や哀しみにむかっているわけでもないこの僕を殺すな! 僕を誘惑することをやめようとしないこのあらゆる世界に 向かって、金銭という純粋なる食い扶持に向かって 対抗しようとしない僕を殺すな!僕は26歳だ!僕を 生き延びさせろ!世界のあらゆる不正に対抗できる わけでもない僕を、あらゆる事柄に適応するわけでもない 僕を!富よ、世間よ、決して僕を殺すな!夜に対して 不道徳な心臓の鼓動すら感じることのない僕を!あらゆる 感情に対して理性でもって、すべてよしとしたうえで そして、対抗できず対処しようとする僕を殺すな! 僕は26歳だ!僕は花々を愛でることはしなかった、 僕は女性に対し尊敬の念も抱くことは無かった、母親に 対して赦しの感情を感じることも与えることも、父親に対し すべて適応したうえで、崇敬という二重の王宮を与え ることもなかった僕を決して殺すな!神という存在よ、敬意に対して敏感なまでの 権威性を抱くくそったれにたいして服従すること無かった僕を殺すな!その権威に対し 一切の疑問を提示せず、僕には僕の領土がある、とばかりにあらゆる平坦な直線に 対しすこしの曲線という色気を与えてわずかな感情の残塊をひろいあつめひと、という 幻想を、愛すべき人という幻想を作成したあげく削除をくりかえし、永遠という玄宗を 削除しつづけた僕を殺すな、殺すな!殺すな、26歳を殺すな! 314 名前:殺すな![] 投稿日:04/06/12 22 57 ID 6WVJrz64 315 名前:殺すな!2[] 投稿日:04/06/12 23 02 ID 6WVJrz64 【コメント】 348 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/17 07 48 ID LI0bgCjF 314 殺すな! 一読して荒削りな未完成、という印象を受けます。世の権勢や栄達におもねることなく 剛直に生きる、というメッセージが伝わってくる。言葉を変え、表現を変えて同じことを 叫んでいるだけ、という批判も来るだろう。だがしかし、叫ばずにはいられない何ものかが 感じられるのも確か。洗練されていない(失礼)がゆえ、作者のツバキやハギシリが聞こえてくる。 レトリックや構成面で洗練を経ると、作者の持ち味が減却されてしまうから、これでよい。 354 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/18 23 08 ID EZF+HjBy 【2点】 314 殺すな! 最初の9行が最高。未完成ってケチつけたが、ここの部分の完成度は高い。 355 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/19 11 41 ID OsQ6jWCJ 314-315 うん、いいね。真剣に考えてるその姿勢がたまらなくいい。ただ 少しマジメすぎるかも。周囲の事象に対することばがパターン化してる。潰れ た感情を潰れた蛙に例えるオリジナルをもっと感じたかった。26歳を過去形で 論じるのも、35歳のぼくにとっては、微笑ましくも「違うだろ」と言いたい。 ひとつの青春だあね。 362 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/19 21 39 ID 1SaaSg+5 3点 314-315 なんつってもパトスだ。真剣なたたずまいだ。真面目すぎるきら いはあるが、「殺すな」の畳句がいいスパイスになっている。 3点もってけ、26歳の作者クン。 365 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/06/20 06 53 ID Pppq/JRN 「殺すな」2点。書いてることは実は誰もが感じてることで、大したこと書い てるわけじゃない。後半に行くにつれて(というか大部分は)手垢のついた表 現が多々みられるようになる。構成も中野重治の「うたうな」に酷似してるし。 読めば読むほどアラが目立つ作品だけど、それでもぼくがなぜこれを推すかと いうと、作者の詩を書く衝動というか、情熱を買ったんだよね。 374 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [sage] 投稿日:04/06/20 23 33 ID HNAK78cu 2点 314-315 殺すな 何とも捨て身な詩ですね。 社会への埋没を余儀なくされる26歳という年齢にリアルな手触りを感じます。 375 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/06/21 19 32 ID WsshQQN9 殺すな 血の滲むような叫び。すごくストレートに心に入ってきますよね。 でもそれが金色の畑の逆で、自己主張が激しくって私は引いてしまった。 それが持ち味なんだけれど、好みとしか言いようがないかな。ごめんなさい。 378 名前:名前はいらない [sage] 投稿日:04/06/20(日) 23 59 ID 5/+YVO5t >本314-315 「対抗」と「対処」との相反ベクトルにより始動の寸前にいる「26歳」 の「僕」の語り口としてはむしろ効果的な同語や類義語の多用が 際どい整合性を保つ文節の係り具合の饒舌的に長大な ワン・センテンスの生む緊張に弛緩を与えながら調律した気がした。 人生の有限性を当然のように強調した決定的文句「僕を殺すな!」 にはまた「僕」のジレンマをこそ留保する意志を印象付けられその ラストの反復においてシンボリックな「26歳」という一点に「僕」が 収斂していく感じがした。 【得点】 5点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点 Canopus ◆DYj1h.j3e.:3点 【決選投票】 10点(準チャンプ作品) Canopus ◆DYj1h.j3e.:2点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点 シオン ◆poetsyov/2:2点 soft ◆ZYsoftMCT2:2点 大木人 ◆KMcEIGIRgE:2点 1 2 3 → 次へ ページ先頭へ トップページ
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「むーん。少し席を離れてみればこれとはね」 誰もいない部屋の中で、ムーンフェイスは一枚の紙を眺めていた。 なんや銀成市が楽しそうになってきたからウチらも行く! せっかくリヴォ媒介にしたんや! 近くにおる方がもう1つの調 整体奪いやすいよってな!! アジトの規模ちょっと縮小するねー。銀成行く方が怠けられるってデッドいうしー 「やれやれ。結局幹部の9割が銀成か。このアジトも何のためにあるのやら」 周りを見渡す。そこは会議室らしい。いかにもオフィスという感じの床は薄紫でその中央には円卓が置かれている。10あ る席のうち9つまで「外出中」の三角錐が置かれいる。思わずムーンフェイスは嘆息交じりに微苦笑した。 マレフィックとはつくづく勝手な連中らしい。 「しかし……」 ムーンフェイスは手紙を握りつぶした。彼は笑った。黒い胚のような瞳を浮かべ、爛々と。 「他の幹部はともかくウィル君。キミは少し危険すぎる」 ──「地球の荒廃? やだよそんなのー。amazonもニコ動もない、食べるコトごときに必死にならなきゃいけない世界なんてー」 「私とは相容れない。歴史さえ改竄できる……いまは無理だが万が一というコトもある。回復される前に、いっそ」 空間が割れ爆ぜムーンフェイスの肩口が裂けた。ぶわりと舞い散る血しぶきの向こうに異形の腕を認めたムーンフェイスは 四白眼のまま口元を細めた。 「ソウヤ君……だったかな? キミも彼は斃したい……違うかい?」 利害の一致。本来仇敵であるはずの男にそれを覚える皮肉。不気味な薄笑いが月の顔を支配した。 . . 「ったく。いつまでこんなカビ臭ぇ場所にいなきゃならねェんだ」 パピヨンの研究室にボヤキ声が響いた。 「我慢なさい猿渡」 「我々が蘇ったのは『もう1つの調整体』を守らんがため……創造主(あるじ)の命は絶対」 最初の声は妖艶な女性の、次の声は堅苦しい戦士の声。 「面倒くさい。出て行きたければ勝手にしろ。ああなってもいいならな」 机に腰掛けた男が顎をしゃくる。部屋の片隅に妙なものが転がっていた。 「ひどいよ……ちょっとメイドカフェ行こうとしただけなのに……」 キノコのような髪型の男が涙で顔をくしゃくしゃにしている。首から下はなかった。近くに転がっている小さなガラクタの 山が彼の体で、それは茨や羽根でぐしゃぐしゃに壊れていた。 惨状。しかし最初の声の主は口笛を吹いた。恐ろしく体格がよい男だった。ランニングシャツ一枚の上半身は今にもそこ かしこから筋肉が零れておちて行きそうだった。年のころは30間近というところだろうか。 「やるね花房。鷲尾。ウチの若い衆にも見習わせたい位だ」 花房と呼ばれた女は巨大なフラスコにもたれかかっていた。それだけでむしゃぶりつきたくなる色香の持ち主だ。髪は 長く上着には薔薇の刺繍が施されている。 鷲尾と呼ばれた男は精悍な顔つきでただ事務的に頷いた。味もそっけもない対応だが猿渡は知っている。 いま部屋にいる5人の男女の中で最も強く信頼のおけるのは……鷲尾だと。 「しかし難儀だよなあ巳田。面倒くさがりのてめェが蘇らされるなんて」 「別に」 とは机に腰変えた男性だ。30をやや過ぎたあたりの彼は横分けの髪の下で冷たい瞳をトヨリとさせた。どうでもいい。 そんな顔つきだった。 「『もう1つの調整体』を守る……我々の使命はそれだけだ」 鷲尾はただ静かに呟いた。 「いつまで待たせんだこの野郎」 激しく揺れたベッドに鈴木震洋は声にならない悲鳴を上げるしかなかった。ブーツが、側面に刺さっている。鍛え抜かれた 見事な足が蹴り抜いたのだ。白いズボンを怯えたように一瞥すると恐る恐る視線を移す。 「ンだよ?」 凶悪な顔がそこに広がっていた。目は吊り上がり口ときたら牙が何本もむき出した。咥え煙草が噛み破られていないのが 不思議なぐらいだ。 「じろじろこっち見る体力あんならとっとと尋問に答えろよ。オイ!!」 そういって彼はガシガシとベッドを蹴る。いよいよベッドの耐久力が限界という辺りで天井のスピーカーが 「そろそろお静かに願います火渡戦士長」 冷たい女性の声を響かせそのつど攻撃がやむのが先ほどからのお約束だった。 バツが悪そうに舌打ちを漏らすと火渡はパイプ椅子に腰かけた。折れた! そう思える破滅的なな軋みが響いた。足を 組み凶悪な瞳をますます尖らせているのはとても戦士には見えない。震洋のいた共同体にさえいなかった凶悪な化け物だ。 「クソッタレ! 聖サンジェルマン病院の連中がとっととこっち(日本支部)に搬送してこねーからこういうコトになんだよ!! てめェもてめェだ!! 脱走なんざしやがって! しかも脱走してすぐ例のクソ生意気な新人(ルーキー)どもと揉め事起こ して重傷だ!! 話聞こうにも話せねェと来ている! 腕まで折りやがって! 筆談も無理じゃねェか!!」 そうなのだ。例のメイドカフェの騒動のさまざまなドサクサで震洋は重傷を負い病院に逆戻りした。そして何がどうなった かは分からないがあれよあれよと瀬戸内海にある戦団日本支部に運び込まれた。 話によればどうやら例のムーンフェイス脱獄について聴取したいらしい。照星救出が間近に迫っている。少しでも多く敵の 情報を……といったところだ。 (で、その担当というのが!!) 火渡赤馬。攻撃力だけなら戦団最強と目される男。役職は戦士長だが坂口照星誘拐に伴い現在は大戦士長代行。日本 支部を指揮している。 防人や千歳の朋輩たる彼はいまかなり忙しいらしい。先ほどから老若男女さまざまな戦士たちが掛け込んでくる。 電話もかかってくる。 それらの報告を受けるたび . 「まだそんな場所うろついてやがるのかディープブレッシングのヤロウども!! とっと移動するよう言いやがれ!」 とか 「遅ぇぞ毒島!! 定時連絡欠かすなって言ってるだろうが! あ? 違ーよ! 誰もてめェの心配なんざしてねェ!!」 とか 「テメーいつまで千歳と居るんだ!! 密売人の追跡なんざ押し付け……護衛? いらねェだろ! 千歳だぞ!」 とにかくとにかく声を荒げている。喉が壊れていて怒鳴り声以外上げられないのではないか。震洋は本気でそう考えた。 「クソ!! どいつもこいつも使えねェ!!」 火渡は携帯電話を叩きつけた。どうやら戦団本部が大戦士長代行就任時にまず行ったのは備品代の節約らしい。 恐るべきと力と速度で叩きつけられた携帯電話は割れもせず砕けもせずただ跳ねた。衝撃吸収性と耐久度に富んだマテリ アルで改修されており──だいたいこうなるコトはみな予想していたのだ。急きょ照星の後釜に据えた火渡が忙殺ともどか しさに耐えかねるなど。八つ当たりが総額幾らの携帯を葬るか! 筺体の強化はまったく的確すぎるカネと労力の使い道だっ た──窓や壁を縦横無尽に飛び回ったあげく震洋の頬を痛打した。7章7敗の千秋楽で仇敵とやり合う相撲取りの張り手 さえ優しく思える衝撃が頬肉ごと口腔を貫き彼は横向きに倒れた。追撃。拉(ひしゃ)げた柵に頭が当たりダメージプラス。 一瞥もくれず携帯電話をぱしりと受け止めた火渡 「? 何ハシャいでんだよ」 不思議そうな表情である。口をパクつかせて見せるが真意はまったく伝わらない。もっとも伝えたところで文字通りの火に 油だが。 (うぅ。そもそも脱獄の話を持ちかけてきたのはリヴォルハインとかいう変な男なんだ!! 変な能力の持ち主でそれで ムーンフェイスのいる場所を突き止めた!! でも大戦士長誘拐なんてのは頼んでない!! むしろあいつらは大戦士長 の誘拐ついでにムーンフェイスを脱獄させたフシもあるんでわ……。でもいえない。いわない限り怖いのは止まらないのに……!) 悩んでいるとドアがあき、若い女性が入ってきた。ドアの前でくるりと身を翻し片手を大きく伸ばすと 「やあやあ火渡戦士長くん。元気しとったかい~?」 火渡の顔が一瞬にして不機嫌最高潮に達した。震洋はただ息を潜め──空気のように無きものとして──飛び火を避 けるほかなかった。 タテシ タライ 「殺陣師……盥。てめェまだ前線行ってねえのか!!」 女性は目を細くした。糸よりも、ずっと。 「はっはっはー。志願したけどもっと前線向きの奴がいるだろって後回しされたのぞよー。いやん。なにしろ殺陣師サンの 武装錬金ってば騒擾(そうじょう)鎮圧盾ことライオットシールド! あはは。特性も特性でツッかいづらいしさー。うははははっ」 柔和な雰囲気な女性だった。年のころは20に届くか否か。袖のない黒いインナーにダボダボの迷彩ズボンといったいで たちは戦士というよりサバゲー帰りの大学生という調子だ。髪は野性的なショートカットで真赤なベレー帽を被っている。 顔つきこそ中性的で愛らしい少年のような明るさに満ちているが、その上体は細いながらも起伏に富んでいる。だらしなく 胸元を覗き込んだ震洋だが……。 「こらこら青少年。そーいうの興味あるからってイキナリ見るのはいけないゾ★」 あはあは笑う女性──火渡が殺陣師と呼んだ──に肩を叩かれ断念した。 「つか殺陣師サンみたいなの見ても仕方ねーんじゃないのかニャ?」 (えーと) 「おお。なんだよそのー、ガックリしちまうぜえ割とマジでっつー反応! くぉのー、いつまで経っても女心の分からん奴めえ」 女──殺陣師──はそう笑いながら震洋を小突いた。うりうり、うりうり。とてもとても楽しそうだった。 (いつまでもって……いまが初対面だろ!!) 「ウソでもいいからこういうときは見たいですってカオしときなベイベー」 その癖「見て喜んでくれるなら大いにおっけー!」などという。よく分からぬ女性である。 「あ! この施設から西に3kmほど行った踏みきりの前にあるけど買ってくる?」 「なにをだ……なにをですか?」 「エロ本!! の!! 自販機!! 何がいい? 巨乳? 貧乳? 女子大生? それとも熟女? ロリはダメだよ可愛いけど!」 どう反応すべきか。沈黙する震洋をよそに殺陣師は「あのねあのね」と一生懸命しゃべりまくる。 「あのねあのね殺陣師サンああいうの見ると「くはぁー!!」ってなって足早にとおりすぎる訳さね。でもたまには!! たまには ちょっと買ってみたくもあるから困りものだよゾゾゾのゾ。あはは。ヘンかな? 女なのにねー」 笑う彼女の背後でびきりという音がした。仁王がいた。顔面のあらゆる筋肉を引き攣らせる火渡が。彼の八重歯は一部欠けて おりその視認をして震洋は先ほどの「びきり」が何か理解した。欠け割れた先端は当たり前のように火を吹いている。今はチロチロ 蛇の舌。小さく見え隠れしているだけだがいつ激情の爆発が部屋を吹き飛ばすか。 声にならない声をあげ制止する。 「あーあーあーみなまでいわんでいい分かっとる分かっとる。男のコだもんたまには発散せんとあかんね」 (コイツまったくわかってねえ!!) ますます蒼くなる震洋。彼に手を突き出したきり殺陣師は気ざったらしく目をつぶり指で額をグリグリした。 「だからさー。火渡戦士長くんも遠慮なく炎を発したまえ!」 いままさにそうされんとしたとき殺陣師の背中が光に覆われた。武装錬金が発動した。一拍遅れで理解した震洋の眼前に 巨大な盾が広がった。半透明の素材で構成されたそれは創造主たる殺陣師とほぼ同じ高さだった。 「たまには怒ってスッキリするのもアリだよアリ! 私はこの病室で生けとし生ける総ての存在を守ってみせるからさ。どーぞ~」 素早く盾を構えた殺陣師、火渡と数mの距離で向かい合う形だ。 「まーたぶんマッけるけどさ。あはは。負けるんだ殺陣師サン。啖呵きっといて負けるとかいうんだ~。いやなにこのネガティブっ ぷり。もうちょっと頑張ろうよ殺陣師サン。負けるなマッけるなファイトだおー!!!」 そういって殺陣師は片手を上げた。 実によく分からない女性だ。震洋がいままでの人生で最もビックリしたのは桜花が初めてエンゼル御前を発動したときだが ──いったい何であんな代物が──そこから5ランク下ぐらいには入る状況かも知れない。 「……っとと。とにかくさー。負けはするけどナースさんたちが消火器持ってくるまでの尺ぐらいは稼げるヨー」 火渡は舌打ちをし何やら口中で何やら文句をごにょごにょ唱えた。多くは聞き取れなかったが 「弱すぎる癖に」 というのが怒りの大きな要因らしい。 「だーよーねー。そこが殺陣師サンの武装錬金最高の悩み。使うたび傷増えるし入院するし……」 そういいながら殺陣師は当たり前のようにズボンを下ろした。剥きたてのゆで卵のようにつるつるとした太ももが最初何か 震洋ははかりかねた。少なくてもLXE時代なんとか生き延びた同年代の信奉者の更に女性──主に桜花だが──はその ような挙措に打って出るコトはなかった。(色仕掛けをされるほど武力も魅力も権力もなかった。震洋は)。蒼い下着を紐ごと 露出させながら殺陣師はケラケラと笑い太ももを何箇所か指差した。 「銃弾捌いたときのアレでしょー。特訓でヤケ起こした斗貴子の介が事故った時の傷でしょー。あ! ウツボカズラ型のホム ンクルスに剛太の介溶かされそうになった時の傷もだ!! ないと思ったらこんなところに飛ばされてたんだー」 事もなげに指針を変える殺陣師の指を眼で追ううち震洋は信じられない思いがしてきた。 (なんだよこの傷。何だよ……!) ズボンの片側は膝のあたりまでずり下がっている。それで視認できる大腿部は女性らしく細く、そしてとてもしなやかだが 美しさとは程遠い様相を呈していた。青紫のケロイドが豹のまだらがごとく点在しそこに醜くえぐれた肉のクレーターがおぞ ましいアクセントを加えている。もっとも衝撃的だったのは太ももを走る一本の線で薄紅色したそれはもはや傷というより 再接合の跡──斬り飛ばされたそれを無理やり癒着させた──というべき勢いだ。 良く見ると殺陣師の腕や鎖骨の辺りもそんな調子だ。古今東西あらゆる傷の展覧会だった。無傷な顔が異常とさえ思え た。斗貴子よりも傷だらけであるべきなのに……。 「うー。悪いね悪いね堪忍だよ。せっかく見て貰ったのにあまりお得感ないでしょ? ごめんねぇ」 さばさばとしたようすで殺陣師はズボンを履きなおし、 「イッつもこんな調子でさー。最初は医療班に頼んで傷とか消して貰ってたけどあまりに面倒臭くなってきたから殺陣師サン、 最近行ってないのよさー。聖サンジェルマン病院にいるトモダチは来い来い言ってくれるけども。気、使ってくれるけども」 大いに顔をしかめてみせた。 「あ!! ごめんごめん話過ぎたかなあはは。ダッめだよねー。初対面なのに自分語りばっかとか。トモダチにももうちょっと 黙れとか言われるんだけど殺陣師サンついつい喋りすぎちゃって…… 「つーかなにしにきたんだよてめェ。遊びに来たとかいったらキレるぞ」 「あ」と目を瞬かせた殺陣師は震洋を指差し 「そのコの検査結果が出たから報告にきたのだよ殺陣師サン」 おもむろに茶封筒を取りだした。B4サイズほどの大きなそれを親指と人差し指でちょんと持ち、ペラペラ揺すった。 「みんな救出作戦で忙しいからヘルプ!!」 えへんと得意げに胸を反らす。服越しでも分かる豊かな膨らみがぷるんと揺れた。 「予想通りデッす★ 不完全なもう1つの調整体を使ったのがきっかけとなり」 「彼の体ってば人間とかけ離れつつあるのだっ!」 (え?) 「1か月もすれば駆除対象!! ホムンクルスと同格の化け物。うきゃあ。タイヘン!」 (ええええええ?) ここで初めて火渡は笑顔を浮かべた。眉間に濃い影のある凶悪な微笑みだった。 「いまぶっ殺しちまうってのはどうだ?」 「構わん!! 構わんぞよ戦士長くん!!」 (いやそこは構えよ!!) 殺陣師は意外な言葉を吐いた。 「ただなんかさ。胃袋の一部が核鉄のような材質らし!」 ホレホレ。殺陣師は自らの武装錬金を指差した。同時にライオットシールドは白く輝き出した。そこに張り付いているもの があった。レントゲン写真だった。盾はそれを貼るのに最適な装置へと早変わりだった。半透明だった盾はいつしか白く 濁り、しかも奥底から照明相当の輝きがこんこんと湧き出ていた。 (と、いうか) 青白い骨格と影で構成された自らの透視図を遠目ながらに凝視。震洋の顔からみるみると血色が抜けた。 悪性腫瘍が見つかるよりひどいありさまだった。 これだから、これなのだー。殺陣師は写真のある一帯を指差した。 「見ての通り、胃のあたりから神経のようなものが伸びちょーる!!」 「こりゃあ全身にだよな} 殺陣師は笑顔で頷き影の正体を報告した。分類すれば神経のようなもの。その影響か震洋の身体能力は強化されて いる。ホムンクルスに近づきつつある、と。 「いまは一般的な人間型の63%ほどのパワー!! 力こそパワー!!」 「だったら別に問題ねェ。しかしどーいうコトだオイ。例のもう1つのなんたら喰った影響か」 火渡は震洋の頭をつかんだ。そして強く揺すり始めた。 「いいえー。改造手術だボヨン☆」 殺陣師は横ピースをした。火渡は無言で蹴りを繰り出した。それをアハアハ笑いながらひらりと避け、殺陣師はライオット シールドの影に隠れた。そして顔半分だけ出して──恐怖刺激を期待するラクダのようの表情で──こう言った。 「ほら、このコ聖サンジェルマン病院から脱走させた鳴滝とかいう予言者いたでしょー? ア・イ・ツ。殺陣師サンが小耳に 挟んだところによるとね。アイツね。なんか別世界の悪の組織の幹部らしいんですよゲヘゲヘ。ひゃー悪の幹部!! 殺 陣師サンも一度ボンテージ着てみたーい!! え? ダメ。そ。鳴滝? ああ。幹部ですもの改造手術なんてのはお手の 物。ん? 斃されたの本物コピった奴だっけ? まあいいや。とにかく後は遺留品のメモ見てちょー☆」 【不完全なもう1つの調整体。大部分はムーンフェイスに抜き取られたが欠片とか粒子はわずかながら残留している】 【それをクウガの世界から持ってきたゴオマのベルトの破片……霊石と融合させてみよう!】 【増幅されるかも知れん。待っていろディケイド!! この武装錬金の世界こそ貴様の墓b】 (鳴滝てめえ!!) 「ゴオマって何だよ?」 「ヨッく分からないけど未確認生命体第3号ぉ! コウモリらし!」 . 「それが不完全版:もう1つの調整体のイミフな副作用と合わさったもんだからもー大変! 青少年はもはや戦うためだけ の生物兵器一直線!!」 「いまなら武装錬金も発動できちゃうヨー。治癒力だけなら常人の3倍……え? メイドカフェで負った傷? あーあれは 簡単に言うとねぇー。ふつーの人間ならばらばらになってるレベル!!」 (うげ) 「うむむ。よくぞ頑張ったぞ青少年! で戦士長くんどーするよ?」 火渡はますます笑った。笑いながら震洋に歩み寄りその襟首をむんずと掴み持ち上げた。 「話は聞いたな。人手不足だ。てめェも救出作戦に参加しろ!!) (なんて不条理な!!!!!!!!!) 「総角。無数の武装錬金を使える君が敢えて剣術を修めている理由。それは──…」 「フ。想像通りだぞ秋水。仇討……成すためには」 「剣であの男を上回る他ない」 「俺のクローン元をな」 円卓の上。 三角錐。 外出中。 外出中。 外出中。 外出中。 外出中。 外出中。 外出中。 外出中。 外出中。 …………………………。 拷問中。 扉が開いた。靴らしき影が競り出した。行く手に広がるのはまだらの沼だった。かさかさに黒ずんだ血液と濃緑色の膿が 混じり合う溷厠(こんし)に劣る床だった。ねとり。ねとり。ねとり。靴は進む、裏底に引く汚物の糸をものともせず。 照星はまだ意識を取り戻さない。ただ仰向けに突っ伏している。血膿と腐臭に満たされた広い部屋の中央で……。 彼の傍で靴が止まった。遥か上方で薄い笑いが漏れた。 「総登場だ。幕間の幕切れは近いよ照星。君はせいぜい血を流してくれたまえ」 金の奔流が照星めがけ放たれた。風切る音が一拍遅れでようやく響くほどの速度だった。照星の長い髪がふわり棚引いた。 「破壊には準備が必要だ。積み上げた物を壊すのはとてもとても気分がいい」 照星の右肩から血があふれ出した。黒い外套を穿孔するものがあった。金色をしたそれは刃だった。片刃の鋩(きっさき) だった。それは靴の持ち主の手めがけ果てしなく果てしなく伸びていた。独特のわずかな湾曲は明らかに日本刀だった。 「だから演劇だ」 暗い、しかしどこまでも大きく高らかな声を上げ彼は叫んだ。 「演劇をしよう!!」 「MELSTEEN=BLADE」 そう刻まれた認識票が跳ね上がり──… やがて世界は暗転した。
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メインストーリー関連クエストは[[シナリオクエスト一覧|シナリオクエスト一覧]]に纏めてあります。 == あ == === アズル === ==== 踏んだ後 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |薬蘭草プリン×30 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフトタレス06 |- !依頼の対象地 |ルフト島 オルキディア |- !報酬 |経験値4943 br / 強化石:平穏の証言8×1 |} ==== 関節炎には補薬が一番 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |同時回復2500ポーション×1 |- ! style= white-space nowrap |依頼された場所 |ルフト島 ルフトタレス06 |- !依頼の対象地 |無し |- !報酬 |経験値5605 br / ゴールド650 br / レッドオーブ×4 br 強化石:保護の約束8×1 br / 即時同時回復ポーション2500×1 |- ! rowspan= 2 |補足 |必要なのは即時同時回復ポーションではなくて同時回復ポーションです。 |- |クエストを受けた段階では必要な材料を入手不可能なので、同時回復2500ボーションは掲示板などで誰かから譲ってもらうか交易所で買うか材料を採取出来るサラモビア島に行けるようになるまで待ちましょう。 |} === アノア === ==== ルフト島の名物 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |イリアスの採集×15 |- !依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン01 |- !依頼の対象地 |ルフト島全域 |- !報酬 |経験値5605 br / ゴールド1000 br / レッドオーブ×4 br / 強化石:疾風の記憶8×1 |} ==== 新鮮ハーブ ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |新鮮ハーブ×1 |- ! style= white-space nowrap |依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 アペレギオン |- !報酬 |経験値2802 br / 製錬石×5 br / レッドオーブ×2 |- !補足 |神仙ハーブや生鮮ハーブといったダミーが点在しているので気をつけましょう。ダミーに使い道は無いので捨てるなり売るなりお好きにどうぞ。 |} ==== ナックルをくれ ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ノールのナックル(戦士ノール)×15 br / 硬いクチバシ(鉄クチバシのマッドドック)×15 |- !依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 北部アペレギオン br / ルフト島 アペレギオン |- !報酬 |経験値6084 br / ゴールド15000 br / レッドオーブ×4 br / 製錬石×5 br / 気力の実×2 br / 逆上メバル×10 |} === ナース アメリア === ==== ボックスを開けて ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |アメリアのミステリボックスを開封 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |無し |- !報酬 |経験値4 br / ワープポータル |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ドラカの始まり|ドラカの始まり]]』完了後 |} ==== 回復ポーション ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |回復400ポーション×1 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 製造工房 |- !報酬 |経験値14 br / ゴールド100 br / レッドオーブ×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#壊れた洞窟の鍵|壊れた洞窟の鍵]]』完了後 |} ==== クモセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |黒色の甲殻(暗黒グモ)×10 br / 血痕の破片(吸血グモ)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 セーフウッド br / ヘレナ島 スネイルケイブ |- !報酬 |経験値1135 br / ゴールド2100 br / レッドオーブ×3 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#偵察隊との接線|偵察隊との接線]]』完了後 |} ==== 疫病治療剤 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |[[生活スキル#Lv2 パパペル|パパペル]]×20 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 バウロード及びスネイルケイブ |- !報酬 |経験値107 br / ゴールド350 br / レッドオーブ×2 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#オシリスの呼び出し|オシリスの呼び出し]]』完了後 |} === アントワン === ==== のどが渇いた旅人 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |立派なオアシスの水を汲んでくる |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト砂漠01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフト砂漠10 |- !報酬 |経験値8905 br / 気力の実×2 br / レッドオーブ×4 br / 割れた集中の咆哮4×1 |- !補足 |ルフト砂漠10以外に有るオアシスの水ではクリア出来ません。 |} ==== いやな目に会った旅人 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |暗黒銃士×10 br / 暗黒騎士×20 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト砂漠01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフト砂漠 |- !報酬 |経験値5343 br / プラグマ×2 br / レッドオーブ×3 |} == え == === 神殿司祭 エステル === ==== パンドラの箱 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |念願の真珠×5 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 交易所長 |- !報酬 |経験値270 br / ゴールド777 br / レッドオーブ×1 br / 割れた集中の咆哮1×1 br / 割れた保護の約束1×1 br / Lv12鎧(ユニーク) |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ルデンの無事帰還|ルデンの無事帰還]]]]』完了後 |} ==== 消えた銀のロウソク立て ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |銀のロウソク立て×1 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 スネイルケイブ |- !報酬 |経験値335 br / レッドオーブ×3 br / 割れた勇気の刻印1×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#オシリスの呼び出し|オシリスの呼び出し]]』完了後 |} ==== 墓地の招かれざる客 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |墓地のゾンビを全て倒す |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ハイハシティ地区 フムガラベメリジン |- !報酬 |経験値7727 br / レッドオーブ×4 br / 強化石:平穏の証言6×1 br / 疾風の記憶6×1 |- !補足 |ゾンビは同じ場所から二度出現しますので根気良く退治しましょう。 |} ==== 神殿の浄化 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |影のマント(シャドーヒュイノム)×10 br / 青い炎の結晶体(神殿のウィスプ)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ハイテムピオ |- !報酬 |経験値5151 br / ゴールド10000 br / 製錬石×6 br / レッドオーブ×4 |} ==== アンデッドセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |血膿の包帯(アンデッド)×10 br / 陥没した入れ歯(憎しみのアンデッド)×10 br / 火葬後の灰(コロセウムの死体)×10 br / 曲がった爪(グール)×10 br / 復讐の爪(復讐の怨霊)×10 br / 腐ったアンコウ(地獄のアンデッド)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 ペゴトリ br / ヒュイソラ島 ヒュイプリジョネ br / ヒュイソラ島 フムコロッセオ br / ルフト島 ルフト島の中心部 br / サラモビア島 ドポラク要塞 br / サラモビア島 セイントポート地下2階(電気の部屋) |- !報酬 |経験値21186 br / レッドオーブ×6 br / ゴールド30000 br / 龍のウロコ×6 br / 製錬石×10 |} == お == === 木こり オスリック === ==== 斧に油を塗る ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |乾いたウロコ(サースティーマーマン)×5 |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ミトス島 トリアポールズ |- !報酬 |薪×1 br / 経験値67 br / ゴールド300 br / レッドオーブ×2 br / 鉄鉱石×4 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 クエスト『[[クエスト一覧(依頼主50音順)#薪が必要であります|薪が必要であります]]』受諾後 |} ==== 虚弱体質 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |口パクブナ×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ミトス島全地域 |- !報酬 |経験値34 br / ゴールド100 br / レッドオーブ×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#カナルケイブの入り口|カナルケイブの入り口]]』完了後 |} ==== ノリノリマーマン ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ノリノリマーマン×6 |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ水中 |- !報酬 |経験値124 br / 製錬石×3 br / レッドオーブ×2 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#壊れた運河の装置|壊れた運河の装置]]』完了後 |} ==== マーマンセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |乾いたウロコ(サースティーマーマン) br / 新鮮なヒレ(ノリノリマーマン) br / 水陸水かき(捜索隊マーマン) br / 上級水陸水かき(上級捜索隊マーマン) br / 灰色のウロコ(ダークマーマン) br / ツルツルした水かき(待ち伏せしたマーマン) |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ミトス島 トリアポールズ br / ミトス島 カナルケイブ br / ヘレナ島 バウロード br / ヘレナ島 ザイルウッド br / ヒュイソラ島 ヒュアリレ br / ヒュイソラ島 ヒュアリレ |- !報酬 |経験値9371 br / ゴールド15000 br / レッドオーブ×5 br / 龍のウロコ×6 br / 魔力の薬草×3 |} == か == === カーロック === ==== 火炎の罠 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |抵抗のヒュイノム×30 |- !依頼された場所 |サラモビア島 セイントポート地下2階 メインホール |- !依頼の対象地 |サラモビア島 セイントポート地下2階 炎の部屋 |- !報酬 |経験値10593 br / 製錬石×6 br / レッドオーブ×3 br / 割れた平穏の証言5×1 |} ==== 水魔の罠 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |暴走したノール×20 br / 呪われたウィスプ×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 セイントポート地下2階 メインホール |- !依頼の対象地 |サラモビア島 セイントポート地下2階 水の部屋 |- !報酬 |経験値10593 br / プラグマ×3 br / レッドオーブ×3 |} ==== 電流の罠 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |破滅のビホールダー×20 br / 地獄の死体×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 セイントポート地下2階 メインホール |- !依頼の対象地 |サラモビア島 セイントポート地下2階 電気の部屋 |- !報酬 |経験値10593 br / 製錬石×10 br / オニックス×17 br / レッドオーブ×3 |} ==== 変節者の処分 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |決意したヒュイノム×20 br / 変節したヒュイノム×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 セイントポート地下2階 メインホール |- !依頼の対象地 |サラモビア島 セイントポート地下1階 |- !報酬 |経験値11255 br / 製錬石×8 br / レッドオーブ×3 br / 割れた保護の約束5×1 |} == き == === ハンター キラン === ==== 商店のお使い ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |小さなビン×3 br / 大きなビン×2 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 商店 |- !報酬 |経験値9 br / ゴールド140 br / レッドオーブ×1 br / 製造図案:包帯×2 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ドラカの始まり|ドラカの始まり]]』完了後 |} ==== 気まぐれな顧客 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |新鮮なヒレ(ノリノリマーマン)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ水中 |- !報酬 |経験値83 br / ゴールド600 br / マジックリング×1 br / レッドオーブ×3 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#壊れた運河の装置|壊れた運河の装置]]』完了後 |} ==== 珍しい戦利品 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |魔力の石(ジャイアントストーン)×10 br / ビホールダーの尾(砂ビホールダー)×15 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 サンドリバー |- !報酬 |経験値1676 br / ゴールド5500 br / 龍のウロコ×4 br / レッドオーブ×4 |} ==== ノールセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |下級ノールの皮(飢えたノール)×10 br / 古い金袋(山賊ノール)×10 br / ノールのナックル(戦士ノール) br / ワイドナックル(暴走したノール) |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 スネイルケイブ br / ヒュイソラ島 ヒポレスタ br / ルフト島 北部アペレギオン br / サラモビア島 セイントポート地下2階(水の部屋) |- !報酬 |経験値21186 br / ゴールド18000 br / レッドオーブ×6 br / プラグマ×2 |} == く == === 青年会長 クラウチ === ==== 土地の浄化 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |上級水陸水かき(上級捜索隊マーマン)×8 br / 猛毒スライム×20 |- !依頼された場所 |ヘレナ島 ハンブル入り口 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 ザイルウッド |- !報酬 |経験値893 br / ゴールド630 br / レッドオーブ×4 br / Lv17武器(ユニーク) br / 割れた疾風の記憶1×1 br / 製造図案:強化石-保護の約束2×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#調査の仕上げ|調査の仕上げ]]』完了後 |} == こ == === 鉱員 ゴルディーグ === ==== 生き埋めになった鉱員の救出 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |肉の燻製×4 br / 元気付けの実(『気力の実』の誤訳)×3 br / 熟成したチーズ×3 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 商店 |- !報酬 |経験値9547 br / レッドオーブ×5 br / 製錬石×3 br / スキルブック:強化の宝書Ⅵ |} ==== ブードゥーセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ブードゥー人形(ブードゥー召喚士)×20 br / 呪われた人形(サーマンマスター)×10 br / 生きている人形 (復活の呪術師)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフトタレス br / サラモビア島 ドライペイタ br / サラモビア島 ドライペイタ |- !報酬 |経験値19905 br / ゴールド25000 br / レッドオーブ×6 br / 製錬石×8 |} ==== ウィスプセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |赤い炎の結晶体(ウィスプ)×10 br / 青い炎の結晶体(神殿のウィスプ)×10 br / 消えない炎(ブレスウィスプ)×10 br / 不吉な炎(呪われたウィスプ)×10 br / クネクネ炎(心臓の炎)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 闇の雲海 br / ヒュイソラ島 ハイテムピオ br / ルフト島 ルフト島の中心部 br / サラモビア島 セイントポート地下2階(水の部屋) br / サラモビア島 ドポラク要塞3階 |- !報酬 |経験値15342 br / ゴールド27000 br / レッドオーブ×6 br / 龍のウロコ×6 |} === コーリン === ==== 好奇心旺盛な親戚 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |曲がった爪(グール)×10 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト砂漠13 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフト島の中心部 |- !報酬 |経験値8276 br / ゴールド4500 br / レッドオーブ×4 br / 強化石:集中の咆哮8×1 |} ==== 好奇心旺盛な者 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |大公の家来×30 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト島の中心部09 |- !依頼の対象地 |ルフト島 アルタルフト神殿 |- !報酬 |経験値6672 br / レッドオーブ×3 br / プラグマ×2 |} == さ == === 警備兵 サルピー === ==== なくした暗号表 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |なくした暗号表(捜索隊マーマン)×1 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 バウロード |- !報酬 |経験値300 br / レッドオーブ×3 br / 龍のウロコ×2 br / パパペル×4 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#オシリスの呼び出し|オシリスの呼び出し]]』完了後 |} ==== 失われた武器 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |鋭い槍(帝国騎士)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 ブッシュ鉱山 |- !報酬 |経験値1665 br / ゴールド1400 br / レッドオーブ×3 |} ==== 未明のウィスプ ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ウィスプ×20 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 闇の雲海 |- !報酬 |経験値1980 br / レッドオーブ×3 br / プラグマ×4 br / 割れた疾風の記憶2×1 br / Lv27鎧(ユニーク) |} ==== マッドドックセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |傷ついた羽根(マッドドック)×10 br / 硬いクチバシ(鉄クチバシのマッドドック)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 グレーキャニオン br / ルフト島 アペレギオン |- !報酬 |経験値8407 br / ゴールド7000 br / レッドオーブ×4 br / 集中の咆哮6×1 |} == し == === ハンター ジャカール === ==== 奪われた金袋 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |古い金袋(山賊ノール)×20 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒポレスタ01 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ヒポレスタ |- !報酬 |経験値2933 br / ゴールド3200 br / レッドオーブ×3 br / プラグマ×2 br / スキルブック:強化の宝書Ⅳ |} ==== 呼吸する石 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |呼吸する石(モスストーン)×20 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒポレスタ01 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ヒポレスタ |- !報酬 |経験値3233 br / ゴールド3500 br / ひげナマズ×8 br / レッドオーブ×3 br / 割れた保護の約束3×1 |} ==== 山賊の親分を撃退 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ボスノール×1 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒポレスタ01 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 山賊ノールの隠れ家 |- !報酬 |経験値4869 br / レッドオーブ×5 br / 強化石:集中の咆哮6×1 br / 蛍光の眼×3 |} ==== 狩りの醍醐味 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |山賊ノール×30 br / モスストーン×10 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒポレスタ01 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ヒポレスタ |- !報酬 |経験値4399 br / レッドオーブ×4 br / Lv28籠手(ユニーク) |} === 主人を失ったマッドドック === ==== 主人を失ったマッドドック ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ノールのナックル(戦士ノール)×10 br / ブードゥー人形(ブードゥー召喚士)×5 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフトタレス03 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフトタレス/オルキディア |- !報酬 |経験値6084 br / ゴールド3500 br / レッドオーブ×4 |} ==== エスコート任務 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |マッドドックのナビ |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフトタレス03 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフトタレス01 |- !報酬 |経験値8238 br / レッドオーブ×5 br / 龍のウロコ×8 br / 精神の飛躍×2 br / 割れた保護の約束4×1 |} == せ == === 石像の調査中に死んだ学者 === ==== 古代人の痕跡 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |古代人の痕跡を調査×4 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒュイプリジョネ入り口 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ハイハシティ |- !報酬 |経験値3938 br / ラグラス×10 br / レッドオーブ×3 |} == た == === タク === ==== 鉄クチバシのろくでなし ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |鉄クチバシのマッドドック×20 |- !依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 アペレギオン |- !報酬 |経験値4203 br / 製錬石×4 br / レッドオーブ×3 |} ==== 帰農の妨害者 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |フア酒(興奮したモン)×10 br / 破滅の石(狂暴なストーン)×10 |- !依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 北部アペレギオン |- !報酬 |経験値4203 br / ゴールド10000 br / レッドオーブ×3 br / Lv38靴(ユニーク) |} ==== 面倒な妨害者 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |狂暴なストーン×20 |- !依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 北部アペレギオン |- !報酬 |経験値4203 br / レッドオーブ×3 br / スキルブック:強化の宝書Ⅴ |} === タランティーノ === ==== 足りない研究材料 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ブードゥー人形(ブードゥー召喚士)×10 |- !依頼された場所 |ルフト島 オルキディア03 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフトタレス/オルキディア |- !報酬 |経験値6591 br / ゴールド2100 br / レッドオーブ×4 br / 製錬石×4 br / 割れた疾風の記憶4×1 |} ==== 神秘の力の研究 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ミスリル×10 br / ブードゥー人形(ブードゥー召喚士)×10 |- !依頼された場所 |ルフト島 オルキディア03 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフトタレス/オルキディア |- !報酬 |経験値6591 br / ゴールド3000 br / レッドオーブ×4 br / Lv39鎧(ユニーク) |} == ち == === 砂漠のバイト チョンチョン === ==== 危機に陥ったバイト ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |バイトの救出 |- ! style= white-space nowrap |依頼された場所 |ブラッディマイン島 サンドリバー出口 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 サンドリバー出口の隣接地域 |- !報酬 |経験値3100 br / レッドオーブ×4 br / 銀白ニシン×8 br / 割れた聡明の気2×1 br / 強化石:聡明の気4×1 |- !補足 |逃げ回りつつバイトとコウモリを引き離して先にコウモリを倒します。後はバイトを岩に引っ掛けるか逃げ回りながらジャイアントストーンを倒しましょう。 br / [[ファイル 危機に陥ったバイト01.jpg]] br / [[ファイル 危機に陥ったバイト02.jpg]] |} == に == === 採集家 ニコ === ==== スライムごときが ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ベタベタのスライムを倒す×6 |- !依頼された場所 |ベリタス島 セーフウッド中央地域 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 セーフウッド |- !報酬 |経験値5 br / レッドオーブ×1 br / 包帯×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 |} ==== 食いしん坊のスライム ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ベタベタの粘液(ベタベタのスライム)×6 |- !依頼された場所 |ベリタス島 セーフウッド中央地域 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 セーフウッド |- !報酬 |経験値7 br / ゴールド50 br / クロッカス×2 br / レッドオーブ×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 クエスト『[[クエスト一覧(依頼主50音順)#スライムごときが|スライムごときが]]』完了後 |} ==== クモは嫌い ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |暗黒グモを倒す×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 セーフウッド南部地域 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 セーフウッド |- !報酬 |経験値6 br / 帰還呪文書×1 br / レッドオーブ×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 クエスト『[[クエスト一覧(依頼主50音順)#食いしん坊のスライム|食いしん坊のスライム]]』完了後 |} ==== クモの跡 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |黒色の甲殻(暗黒グモ)×4 |- !依頼された場所 |ベリタス島 セーフウッド南部地域 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 セーフウッド |- !報酬 |経験値14 br / ゴールド100 br / レッドオーブ×2 br / 包帯×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 クエスト『[[クエスト一覧(依頼主50音順)#クモは嫌い|クモは嫌い]]』完了後 |} == の == === ノールト === ==== 要塞の侵攻 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |復讐の怨霊×20 br / 鬼魂魔剣×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 ドポラクポーク |- !依頼の対象地 |サラモビア島 ドポラク要塞 |- !報酬 |経験値7671 br / 製錬石×6 br / レッドオーブ×4 br / 割れた聡明の気5×1 |} ==== 残りの抵抗勢力 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |復讐の怨霊×20 br / 心臓の炎×30 |- !依頼された場所 |サラモビア島 ドポラクポーク |- !依頼の対象地 |サラモビア島 ドポラク要塞3F |- !報酬 |経験値8206 br / プラグマ×5 br / レッドオーブ×4 br / 割れた勇気の刻印5×1 |} ==== ドポラク要塞の戦士幕 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |砂嵐×20 br / サーマンマスター×20 br / 復活の呪術師×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 ドポラクポーク |- !依頼の対象地 |サラモビア島 ドライペイタ |- !報酬 |経験値9348 br / 製錬石×8 br / レッドオーブ×4 |} == は == === パット === ==== 特別任務 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |デビルサキュバス×15 br / 大公の残党×30 |- !依頼された場所 |サラモビア島 トデスバルト入り口 |- !依頼の対象地 |サラモビア島 トデスバルト |- !報酬 |経験値7160 br / 製錬石×10 br / ピヌス×15 br / レッドオーブ×4 br / 割れた集中の咆哮5×1 |} ==== 標識の重要性 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |悪魔の角(デビルサキュバス)×10 br / 手入れされた槍(大公の残党)×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 トデスバルト入り口 |- !依頼の対象地 |サラモビア島 トデスバルト |- !報酬 |経験値7160 br / ゴールド15000 br / 製錬石×10 br / レッドオーブ×4 |} ==== 鉱物争奪戦 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |オニックス×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 トデスバルト入り口 |- !依頼の対象地 |サラモビア島 |- !報酬 |経験値5843 br / ゴールド1600 br / レッドオーブ×3 br / 製錬石×4 |} === 養蜂家 ハニー === ==== 養蜂家の悩み ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |糖度の高いハチミツ(カカオレ)×7 |- !依頼された場所 |ブラッディマイン島 グレーキャニオン グレーキャニオンののろし台 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 グレーキャニオン |- !報酬 |経験値966 br / ゴールド2000 br / レッドオーブ×3 br / 即時マナ1000ポーション×2 br / 強化石:疾風の記憶4×1 |- ! rowspan= 3 |補足 |ベリタス中央の商店で販売されているハチミツは使えません |- |蜂頭の兜を装備していないとカカオレは開きません |- |クエスト完了後は兜を処分してしまって構いません |} === ハパエル === ==== 進撃の妨害者 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |魅惑のサキュバス×15 br / 復活の呪術師×10 |- !依頼された場所 |サラモビア島 ドライペイタ北部04 |- !依頼の対象地 |サラモビア島 ドライペイタ北部 |- !報酬 |経験値8765 br / 製錬石×7 br / 豪傑ウナギ×16 br / レッドオーブ×4 br / 割れた疾風の記憶5×1 |} ==== 最後の群れ ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |残酷な銃士×20 br / 残酷な騎士×20 |- !依頼された場所 |サラモビア島 ドライペイタ北部04 |- !依頼の対象地 |サラモビア島 プロバサルラモ |- !報酬 |経験値11943 br / プラグマ×3 br / レッドオーブ×3 |} == ひ == === ビリー === ==== 定着したサボテン ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |帝国の紋章(暗黒騎士/暗黒銃士)×20 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト砂漠01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフト砂漠 |- !報酬 |経験値7124 br / ゴールド4300 br / レッドオーブ×4 br / 製錬石×6 br / 強化石:聡明の気8×1 br / 割れた聡明の気4×1 |} ==== ポイズンフローの逆襲 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ポイズンフロー×4 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト砂漠01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフト砂漠 |- !報酬 |経験値7124 br / イリアス×12 br / レッドオーブ×4 |} === ヒルティ === ==== 黒いのは大嫌い ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |暗黒スライム×30 |- ! style= white-space nowrap |依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン04 |- !依頼の対象地 |ルフト島 アペレギオン |- !報酬 |経験値3863 br / レッドオーブ×3 |- !補足 |ストーリーを進めてしまうと暗黒スライムが激減してしまいますのでクエストを受けたら早めに終わらせておきましょう。 |} ==== 歯が抜けたモン ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |興奮したモン×15 |- !依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン04 |- !依頼の対象地 |ルフト島 アペレギオン |- !報酬 |経験値4203 br / レッドオーブ×3 br / 割れた勇気の刻印4×1 |} ==== 発作の治療 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |戦士ノール×30 |- !依頼された場所 |ルフト島 アペレギオン04 |- !依頼の対象地 |ルフト島 北部アペレギオン |- !報酬 |経験値6084 br / レッドオーブ×4 |} === ヒンケル === ==== マーマンの脅威 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |灰色のウロコ(ダークマーマン)×10 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒカンチェロ村 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ヒュアリレ |- !報酬 |経験値3581 br / ゴールド2600 br / レッドオーブ×4 br / プラグマ×3 br / 割れた集中の咆哮3×1 |} ==== 村のトーテム ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |陥没した入れ歯(憎しみのアンデッド)×10 |- ! style= white-space nowrap |依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒカンチェロ村 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ヒュイプリジョネ |- !報酬 |経験値3246 br / ゴールド5500 br / レッドオーブ×4 br / 製錬石×3 br / 割れた平穏の証言3×1 br / 強化石:保護の約束6×1 |- !おまけ |クエスト説明欄の『時々ヒュイノムが村に現れて子供を食べたりするそうです』という誤植は必見。 br / [[ファイル 時々ヒュイノムが村に現れて子供を食べたりすうそうです.png]] |} ==== 偉大な鍛冶屋のスキル ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ヒュイノムの剣を製錬Lv5まで鍛える |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒカンチェロ村 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 鍛冶屋 |- !報酬 |経験値4869 br / プラグマ×3 br / 製錬石×25 br / レッドオーブ×6 br / 割れた聡明の気3×1 br / Lv31兜(レジェンド) |} == ふ == === 考古学者 フィヨール === ==== 神殿の宝物 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ダークプリズム×1 |- !依頼された場所 |ヘレナ島 ハンブル入り口 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 ビジャルビル |- !報酬 |経験値595 br / レッドオーブ×2 br / プラグマ×5 br / 強化石:集中の咆哮2×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ミミナシを追撃|ミミナシを追撃]]』完了後 |} == へ == === 農場主人 ベア === ==== 消えてしまった穀物袋 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |穀物袋×1 |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ |- !報酬 |経験値93 br / 製錬石×2 br / レッドオーブ×1 br / スキルブック:強化の宝書Ⅰ |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ドラゴンレア入り口の鍵|ドラゴンレア入り口の鍵]]』完了後 |} ==== めちゃくちゃになった農場 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |飢えたノール×20 |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ミトス島 スネイルケイブ |- !報酬 |経験値202 br / レッドオーブ×3 br / 製造図案:強化石-聡明の気2×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#オシリスの呼び出し|オシリスの呼び出し]]』完了後 |} ==== 小さい苗木 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |小さい苗木×8 |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 ザイルウッド |- !報酬 |経験値959 br / ゴールド700 br / レッドオーブ×3 br / 甘いパイ×3 br / 割れた聡明の気1×1 br / 製造図案:強化石-勇気の刻印2×1 |- ! rowspan= 2 |補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#調査の仕上げ|調査の仕上げ]]』完了後 |- |苗木の位置は[[ヘレナ島マップ#ハンブル・リゾメウッド・ペゴトリ・ザイルウッド・ビジャルビル地域|ヘレナ島マップ]]をご覧下さい |} ==== 忙しい牧場 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |モンスターの卵を孵化させる |- !依頼された場所 |ベリタス島 農場地域 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 農場地域 牧場 |- !報酬 |経験値617 br / レッドオーブ×4 br / 仰天メバリ×3 br / 割れた平穏の証言1×1 br / 強化石:平穏の証言2×1 |} === 兵士 === ==== 危ない挑戦 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |なくした所持品×2 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒュイプリジョネ入り口 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ヒュイプリジョネ03 |- !報酬 |経験値3246 br / レッドオーブ×3 br / 強化石:勇気の刻印6×1 br / 製錬石×5 |} === 採集家 ペイモース === ==== 乱暴なマッドドック ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |爆裂マッドドック×15 |- !依頼された場所 |ブラッディマイン島 グレーキャニオン入り口 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 グレーキャニオン |- !報酬 |経験値725 br / レッドオーブ×3 br / 割れた保護の約束2×1 br / Lv20兜 |} == ま == === マドック === ==== 空想に浸るマドック ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |消えない炎(ブレスウィスプ)×10 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト砂漠13 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフト島の中心部 |- !報酬 |経験値8276 br / ゴールド4500 br / レッドオーブ×4 br / ミスリル×14 |} ==== 特別なものに執着するマドック ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |魔剣×20 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト島の中心部09 |- !依頼の対象地 |ルフト島 アルタルフト神殿 |- !報酬 |経験値5338 br / レッドオーブ×4 |} === マルコス === ==== 破壊された装置 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |コバルト×20 |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒカンチェロ村 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 |- !報酬 |経験値1623 br / レッドオーブ×4 br / 強化石:疾風の記憶6×1 |} ==== 追慕の花を捧ぐ ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ダシレオの墓に献花する |- !依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒカンチェロ村 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 フムコロッセオ |- !報酬 |経験値6478 br / レッドオーブ×4 br / 熟成したチーズ×2 br / 割れた勇気の刻印3×1 |- !補足 |墓はフムコロッセオ02の南西(左下)に有ります。 |} ==== ブリルの生死 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ブリルの行方を確認 |- ! style= white-space nowrap |依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒカンチェロ村 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ハイテムピオ |- !報酬 |経験値9126 br / レッドオーブ×4 br / プラグマ×2 |- !補足 |ブリルを殺すか殺さないかで、その後のブリルとマルコスそれぞれの台詞が変わりますが報酬は変わりません。 |} ==== 古代のコロセウム ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |コロセウムでの優勝 |- ! style= white-space nowrap |依頼された場所 |ヒュイソラ島 ヒカンチェロ村 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 フムコロッセオ |- !報酬 |経験値22509 br / レッドオーブ×6 br / 龍のウロコ×20 br / 製錬石×18 br / 聡明の気8×1 br / 割れた疾風の記憶3×1 |- ! rowspan= 4 |補足 |開催場所はフムコロッセオですが、マルコスに話しかければ自動で会場に向かいます。 |- |クエスト詳細には「ものすごい額の賞金がもらえる」と書かれていますが、報酬にゴールドは有りません。 |- |決勝戦の相手はLv55ほどなので、それくらいのモンスターが数匹倒せる強さなら問題無くクリア可能です。 |- |ストーリー終盤でこのクエストを受けると、ちょっと面白いものが見られます。 |} == み == === 考古学者 ミューラー === ==== 着用できない ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ミューラーの家宝の鎧をLv3まで製錬する |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 鍛冶屋 |- !報酬 |経験値746 br / ゴールド600 br / レッドオーブ×2 br / 製錬石×9 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#調査の仕上げ|調査の仕上げ]]』完了後 |} ==== ゴブリンセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |焦げたロウソク(採掘ゴブリン)×20 br / 錆びた斧の刃(奴隷ゴブリン)×20 br / 燃える芯(奈落のゴブリン)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ br / ブラッディマイン島 ブッシュ鉱山 br / サラモビア島 セイントポート地下4階 |- !報酬 |経験値17655 br / ゴールド11000 br / レッドオーブ×6 br / 製錬石×8 |} ==== ストーンセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |魔力の石(ジャイアントストーン)×10 br / 呼吸する石(モスストーン)×10 br / 破滅の石(狂暴なストーン)×10 br / 暴風の石(砂嵐)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 サンドリバー br / ヒュイソラ島 ヒポレスタ br / ルフト島 アペレギオン北部 br / サラモビア島 ドライペイタ |- !報酬 |経験値18697 br / レッドオーブ×6 br / プラグマ×3 |} ==== 帝国騎士セットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |鋭い槍(帝国騎士)×10 br / 帝国の紋章(暗黒騎士)×10 br / 壊れたランス(大公の家来)×10 br / 手入れされた槍(大公の残党)×10 br / 悪魔の槍のかけら(残酷な騎士)×10 br / 悪魔の銃のカバー(残酷な銃士)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 ブッシュ鉱山 br / ルフト島 ルフト砂漠 br / ルフト島 アルタルフト神殿 br / サラモビア島 トデスバルト br / サラモビア島 プロバサルラモ br / サラモビア島 プロバサルラモ |- !報酬 |経験値19905 br / ゴールド35000 br / レッドオーブ×6 br / 龍のウロコ×15 |} ==== サキュバスセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |悪魔の角(デビルサキュバス)×10 br / 闇のしっぽ(魅惑のサキュバス)×20 |- !依頼された場所 |ベリタス島 神殿入り口 |- !依頼の対象地 |サラモビア島 トデスバルト br / サラモビア島 ドライペイタ北部 |- !報酬 |経験値23886 br / レッドオーブ×6 br / 龍のウロコ×8 |} === 砂漠のガイド ミラー === ==== 砂漠の案内人 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |砂ビホールダー×20 |- !依頼された場所 |ブラッディマイン島 サンドリバー入り口 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 サンドリバー |- !報酬 |経験値838 br / レッドオーブ×3 br / スキルブック:強化の宝書Ⅲ br / Lv18籠手 |} == も == === 見習い モロ === ==== 薪が必要であります ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |薪用の木×1 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 農場地域 木こり |- !報酬 |Lv11靴(ユニーク) br / 経験値83 br / 製錬石×2 br / レッドオーブ×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ドラカの始まり|ドラカの始まり]]』完了後 |} ==== 足りない鉄鉱石 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |鉄鉱石×15 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ |- !報酬 |経験値34 br / ゴールド60 br / 製錬石×3 br / レッドオーブ×1 br / Lv11兜(レア) |- !補足 |受諾可能Chapter 1 クエスト『[[クエスト一覧(依頼主50音順)#薪が必要であります|薪が必要であります]]』完了後 |} ==== 火力の始発点 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |赤い炎の結晶体(ウィスプ)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 闇の雲海 |- !報酬 |経験値2640 br / ゴールド3000 br / レッドオーブ×3 br / 龍のウロコ×4 br / 製錬石×5 |} ==== 火力の頂点 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |青い炎の結晶体(神殿のウィスプ)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ハイテムピオ |- !報酬 |経験値5151 br / ゴールド4000 br / レッドオーブ×4 br / コバルト×6 br / Lv33鎧(ユニーク) |} == や == === 逃げた奴隷 ヤン === ==== 鉱山の奴隷達 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |奴隷7人の発見と解放 |- !依頼された場所 |ブラッディマイン島 ブッシュ鉱山の警備所 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 ブッシュ鉱山 |- !報酬 |経験値1665 br / レッドオーブ×3 br / Lv26靴(ユニーク) br / 割れた集中の咆哮2×1 br / 強化石:保護の約束4×1 |} == ら == === エクソシスト ライブ === ==== 奪われた聖水 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |血膿の包帯(アンデッド)×20 br / 聖水×1 |- !依頼された場所 |ヘレナ島 ハンブル入り口 |- !依頼の対象地 |ヘレナ島 ペゴトリ |- !報酬 |経験値202 br / ゴールド1800 br / レッドオーブ×2 br / 割れた保護の約束1×1 br / 即時同時回復ポーション1000×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#調査の仕上げ|調査の仕上げ]]』完了後 |} === ドラカ将校 ラウド === ==== コレクションメダル ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |コレクションメダル1(ボーナスブックⅠ-2) |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 旅館の女将 |- !報酬 |経験値21 br / コレクションメダル1×1 br / レッドオーブ×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ドラゴンレア入り口の鍵|ドラゴンレア入り口の鍵]]』完了後 |} ==== 呼称 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |呼称『スペシャルブックの熟練者』を付ける |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 旅館の女将 |- !報酬 |経験値335 br / スキルブック:強化の宝書Ⅱ br / プラグマ×2 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 |} ==== 行方不明になった兵士 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |行方不明になった兵士『ロマン』を探す |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 サンドリバー |- !報酬 |経験値1284 br / レッドオーブ×4 br / 製錬石×5 |} ==== ヒュイノムの剣 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |折れた剣(ヒュイノム)×15 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ハイハシティ |- !報酬 |経験値3938 br / ゴールド5500 br / レッドオーブ×3 br / 強化石:聡明の気6×1 |} === 逃亡者 ラナー === ==== グリダの秘密帳簿 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |グリダの秘密帳簿×3 |- !依頼された場所 |ブラッディマイン島 ブッシュ鉱山の警備所 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 ブッシュ鉱山 |- !報酬 |経験値2115 br / レッドオーブ×3 br / 銅鉱石×10 br / 割れた平穏の証言2×1 br / 強化石:集中の咆哮4×1 |} === 酔っ払い ラム === ==== 二日酔いに効く材料 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |コウモリの翼(隻眼コウモリ)×5 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ |- !報酬 |経験値100 br / ゴールド300 br / レッドオーブ×2 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#カナルケイブの入り口|カナルケイブの入り口]]』完了後 |} ==== 体の保養にいい材料 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |割れたカボチャ(モン)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 グレーキャニオン |- !報酬 |経験値829 br / ゴールド1000 br / レッドオーブ×3 br / マルカルタ×6 |} ==== モンセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |割れたカボチャ(モン)×10 br / フア酒(興奮したモン)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 グレーキャニオン br / ルフト島 アペレギオン |- !報酬 |経験値8407 br / ゴールド9000 br / レッドオーブ×5 br / プラグマ×3 |} ==== コウモリセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |コウモリの羽(隻眼コウモリ)×10 br / 焦点を失った目(ビホールダー)×10 br / ビホールダーの尾(砂ビホールダー)×10 br / 破滅の翼(破滅のビホールダー)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス中央 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ br / ヘレナ島 スネイルケイブ br / ブラッディマイン島 サンドリバー br / サラモビア島 セイントポート地下2階(電気の部屋) |- !報酬 |経験値19916 br / ゴールド18000 br / レッドオーブ×6 br / 製錬石×8 |} == り == === リリー === ==== セウスの痕跡 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |セウスの痕跡調べ×6 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフト砂漠13 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフト島の中心部 |- !報酬 |経験値7686 br / レッドオーブ×4 br / 製錬石×7 br / 割れた平穏の証言4×1 |} == る == === ルークン === ==== 血のついたメッセージ ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ブードゥー召喚士×10 |- !依頼された場所 |ルフト島 ルフトタレス01 |- !依頼の対象地 |ルフト島 ルフトタレス |- !報酬 |経験値4943 br / レッドオーブ×3 br / 製錬石×4 br / 強化石:勇気の刻印8×1 |} == ろ == === 冒険者 ロイ === ==== 装備を溶かしてくれ ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |色あせた武器と時代遅れの靴を溶かす |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス中央 錬金術師 |- !報酬 |経験値34 br / レッドオーブ×1 br / プラグマ×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ドラゴンレア入り口の鍵|ドラゴンレア入り口の鍵]]』完了後 |} ==== 勇者の資格 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |勇気の証 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 ベリタス港 冒険者ダンジョン |- !報酬 |経験値235 br / レッドオーブ×2 br / 龍のウロコ×2 br / 製錬石×4 br / Lv14靴(ユニーク) br / 製造図案:強化石-疾風の記憶2×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#ルデンの無事帰還|ルデンの無事帰還]]』完了後 |} ==== スライムセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |ベタベタの粘液(ベタベタのスライム)×20 br / 下水溜りの粘液(汚染されたスライム)×20 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ベリタス島 セーフウッド br / ヘレナ島 バウロード |- !報酬 |経験値366 br / ゴールド1400 br / レッドオーブ×3 br / 甘いパイ×1 br / 製錬石×3 |- !補足 |受諾可能Chapter 2 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#オシリスの呼び出し|オシリスの呼び出し]]』完了後 |} ==== ヒュイノムセットの収集 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |折れた剣(ヒュイノム)×10 br / 影のマント(シャドーヒュイノム)×10 br / 呪いの剣の刃(抵抗のヒュイノム)×10 br / 決意の短刀(決意したヒュイノム)×10 |- !依頼された場所 |ベリタス島 ベリタス港 |- !依頼の対象地 |ヒュイソラ島 ハイハシティ br / ヒュイソラ島 ハイテムピオ br / サラモビア島 セイントポート地下2階(炎の部屋) br / サラモビア島 セイントポート地下1階 |- !報酬 |経験値18758 br / ゴールド23000 |- !補足 |クエスト詳細で『決議の短刀』と書いてあるのは『決意の短刀』の誤植 |} === 行方不明になった兵士 ロマン === ==== 未完の任務 ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |風を呼ぶ石と雲を呼ぶ石を入手して雨乞いの儀式を行う |- !依頼された場所 |ブラッディマイン島 サンドリバー西南 |- !依頼の対象地 |ブラッディマイン島 サンドリバー北部 風の祭壇 br / ブラッディマイン島 サンドリバー東南 雲の祭壇 |- !報酬 |経験値1925 br / レッドオーブ×4 br / 割れた勇気の刻印2×2 br / 強化石:平穏の証言4×1 |- ! rowspan= 2 |補足 |風を呼ぶ石(サンドリバー中部のジャイアントストーン) br / 雲を呼ぶ石(サンドリバー南部のジャイアントストーン) |- |祭壇に石を置く時に操作方法をV-PADモードに切り替えると楽 |} === ロウソク業者 ローレン === ==== 焦げたロウソク ==== {| class= wikitable |- !依頼の対象 |焦げたロウソク(採掘ゴブリン)×10 |- !依頼された場所 |ミトス島 トリアポールズ中央 |- !依頼の対象地 |ミトス島 カナルケイブ |- !報酬 |経験値67 br / ゴールド400 br / レッドオーブ×2 br / 傷のある勇気の刻印×1 |- !補足 |受諾可能Chapter 1 シナリオクエスト『[[シナリオクエスト一覧#カナルケイブの入り口|カナルケイブの入り口]]』完了後 |}
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第二章『何言ってるの?キョンは三年前に死んじゃったじゃない』 文字通り死ぬ思いで手に入れたレンチでハンドルの鎖をねじ切り、シャッターを全開にした。 「……何よこれ」 全開のシャッターから見える空は、とことん色味が抜けた灰色だった。 「あの巨人の夢の時とおんなじ空……」 SOS団結成して一ヵ月後、あたしはキョンと学校に閉じ込められる夢を見た。青い巨人が北高の校舎を薙ぎ倒して、そして夢の最後には…… あたしは夢の終わりにキョンにされた行為を思い出し、無性に恥ずかしくなった。 「な、何考えてるのよ!!あ、あれはただの夢で、キョンとはなんでも無いんだから!!」 ――ガーガー。 いきなり鳴ったノイズに、あたしは情けないくらい体をビクつかせた。な、な、な、何よ!?また怪物!? 『ガーガー――ピー――ハルヒ――ピー――ガー』 汚いノイズの途中に、確かに「ハルヒ」という言葉が聞こえた。 「キョン!?」 間違いない。キョンの声だ。 「キョン!!返事して!!ここにいるの!?」 スピーカーに顔を近づけ、大声で呼びかけた。 「ピー――ピー――ゴメン――ザー……」 ただ一言、それだけ言ってラジオは沈黙した。 「なんであんたが謝るのよ……謝るのは……」 …………………………誰よ?あたし、キョンに何かしたっけ?そりゃ確かに雑用とか言って、色々こきは使ったけど…… ――ズキン! その瞬間、頭をゴルフクラブでカチ割られるくらいの鈍痛が走った。 「……なんなのよ。この頭痛は」 風邪なんか、ここ数年はひいた覚えは無いわ。……なんだろう?まるで思い出すのを体が拒否しているような…… 「やめやめ!とりあえずキョンの声が聞こえたんだからいいじゃない!!」 このラジオからキョンの声が聞こえたということは、あの手紙の主はまだどこかにいる可能性がある。キョンの生首は……きっと作り物よ。あたしの動揺を誘うために、朝倉が作ったのよ。絶対。 「とにかく北高を目指しましょう。きっとキョンはそこにいるわ」 そう思い込むと、少しだけ足取りが軽くなった。 北高を目指し、灰色の世界を歩き続けた。 「……ふう、徒歩だとさすがに疲れるわね」 こんなことなら車かバイクの免許でも取っとけばよかった。どうせ大学生活なんて暇で退屈なだけだったし、それがあれば遠くの町まで不思議探索ができたし。……一人っきりだけどね。 「いっそのこと近くの駐輪場に行って、自転車をカッパ……無断拝借してやろうかしら。鍵なんかこのピストルでぶっ壊せばいいし」 あたしは指先でクルクルとピストルを弄んだ。もうこいつの扱いにはだいぶ慣れたわ。弾もなぜかそこらへんに落ちてるしね。心の底から不気味だけど、事実、助かってはいるわ。 そう思いながら、何気なくあたりを見回した。 「え……みくるちゃん?」 目の前の十字路を、みくるちゃんにそっくりな女の子が、全速力で横切った。 いや、そんなわけがない。さっきの女の子は北高のセーラー服を着ていた。あの真面目なみくるちゃんが北高を留年するとは思えない。しかし、他人の空似とも思えないくらいにそっくりな女の子だった。 「待って!!」 進路変更。あたしはその女の子を追うことにした。気になる。絶対に何か知ってる気がした。 「ゼェゼェ!ハァハァ!」 やっぱりみくるちゃんじゃない。 なぜならあたしが全力で走っているのに、まったく追いつかないからだ。あのみくるちゃんがこんなに早く走れるわけがない。 それに一回も転んでない。本物なら、もう三十回は転んでもいい距離だ。 あたしの肺が悲鳴を上げ、そろそろ走れなくなった頃、みくるちゃん(?)はある建物の敷地に消えていった。 「ハァハァ……やっと追い詰め…………あれ?ここは……」 みくるちゃん(?)が入った場所、それは総合病院だった。 だがそこは、普通の人なら何の変哲も無いただの総合病院だろうが、あたしは違った。なぜなら…… 「キョンの死んだ病院……」 言った瞬間、胸を日本刀で斬られるような錯覚を覚えた。正直、入りたくない。 病院の敷居を跨ぐことにためらっていると、みくるちゃん(?)がスタスタと院内に入って行ったのが見えた。 「……わかったわよ!行けばいいんでしょ!行けば!」 あたしを意を決して、敷地内へと進入した。 院内はさっきの光陽園駅と同様に、ひっそりと静まりかえっていた。生物の気配がしない。そんな感じだ。 「まずは病院の地図を探すべきね」 総合窓口の裏手に侵入し、見取り図と、何か使えそうなものを探した。……泥棒なんて言わないで。わかってるから。 バサ。 カウンターを漁ってると、大きな茶封筒が床に落ちた。入っていたのは胸部のレントゲン写真だった。誰のだろう?あたしは封筒の印刷面を見た。 「これ!キョンの名前じゃない!」 印刷面にはキョンの本名が書かれていた。間違いない。キョンのレントゲン写真だ。あれ?まだ何か入ってる? 『キョンに会いたいなら死ねばいい。 あなたがキョンと同じ場所に行ける保障はないけど』 …………………………何よこれ。気味悪い。大きなお世話よ。 そう記された紙をぐしゃぐしゃに丸め、ゴミ箱に思いっきり投げ捨てた。誰よ!こんないたずらしたのは! カウンターで見つけたのは、ピストルの弾がつまった箱二つと、病院の見取り図と懐中電灯、このレントゲン写真だ。それらをすべて同じくカウンターで見つけたデイバッグに詰めて、総合窓口を出た。 「とりあえず、キョンの入院していた病室に行ってみよう」 あの子は多分みくるちゃんじゃないけど、まったくの無関係とは思えない。もしかしたらあたしと同じでキョンの痕跡を探してるのかもしれない。ならキョンの入院していた病室に行ってもおかしくない。 「キョンの病室は、確か最上階の一番奥だったわ」 あそこは病院一の見晴らしだと、ナースが言っていたのを覚えている。あの時は風景を楽しむ余裕など無かったから、そんなに見てないけどね。 なら、エレベーターね。さすがに最上階まで階段で上がるなんて体力の無駄よ。あたしは地図と足元の矢印を見ながら、エレベーターホールに向かった。 ――ガーガー。 ラジオのノイズが鳴り、廊下の奥で何かが動いた。……あー、絶対になんかいるわ。お友達になれなさそうな何かが。 ――キョオオオオオオオオン…… 「へ?」 ――キョオオオオオオオオン…… そいつは苦しそうに「キョン」と言いながら、近づいてきた。 「うわぁ……」 思わず言葉を失った。悪趣味にも程がある。 ――キョオオオオオオオオン…… そいつは血と膿で穢れたナース服を着た「あたし」だった。手にはあたしと同じで鉄パイプを握っている。完全に殺る気ね。鉄パイプの先端が今まで何人も葬ってきたかのように、赤グロく変色している。 ――キョオオオオオオオオン…… 「ナースのコスプレをしていいのはみくるちゃんだけよ!!どきなさい!!」 ――パァン! 弾丸は、血の気を感じない程に色味を失っている心臓に命中。だが、 ――キョオオオオオオオオン…… 朝倉同様、ためらうことなく近づいてくる。 「うるわぁ!」 間合いを測り、タイミングよく鉄パイプをフルスイング! ゴキィ!鈍い音が聞こえ、ナースもどきの頭は直角に折れた。 ――キョオオオオオオオオン…… 「うっさい!」 グシャ!首が折れてるにも関わらず、床に這いつくばってまで襲い掛かってくるナースもどきに、強烈なストンピングを叩き込んだ。 ――キョオオオオオオオオン…… 断末魔の叫びが少しだけ人間くさく聞こえたので、かなり胸が痛んだが、気にしないことにした。……早くあの子を探し出そう。気がおかしくなりそう。いや、もうなってるのかも。 白衣を血膿でドス黒く染め上げた悪魔たちを鉄パイプで葬り続けること数体、そろそろあたし似の血まみれ看護士の断末魔に慣れた頃だ。やっとエレベーターホールにたどり着いた。 「えーとたしか九階だったわね」 古泉くんのつてで、この病室の一番景色の良い部屋だったから病室もしっかりと覚えて……は? おもわず階層が横並びに記されたパネルを二度見してしまった。 念のためデイバッグからキョンのレントゲン写真の入った封筒を取り出し、病室の確認もした。 ……そろそろ認めるべきね。キョンの病室のあった最上階が、パネルには存在していなかった。 常識から言って改築工事かなんかで、九階が丸ごと潰れただけかもしれない。だがこれまでにあたしに降りかかったくだらないホラー映画のような非常識な展開が認めなかった。 階段で行けばいいと思うが、その非常識な展開に拍車をかけるかのごとく、ダンボールや木の板で封鎖されていたのよね。 「これは本気で困ったわ。いくらあたしでも壁をよじ登るなんて出来そうもないし……」 何か、何か抜け道は無いかしら?目からレーザー光線を放つかのように、地図を注意深く凝視した。 いい加減地図に穴が開きそうになった頃、『業務用エレベーター』という物が裏口付近にあることを発見できた。 「ちょっと遠回りになりそうだけど……行くしかないわね」 業務用なら全ての階に通じてるかもしれない。無くなった九階にもね。なんとなくだけどそんな気がするわ。 「ふぅ。ちょっと探しちゃったじゃない」 化け物とバリケードのせいで、業務用エレベーターに到達するために地図上の目測の倍近い距離を歩いたが、なんとか「業務用」と書かれたパネルの下に到着できた。 だが起動パネルを見た瞬間、あたしの達成感は一気に疲労感へと変わった。 「……勘弁してよ。カードキーなんてこっちは持ってないわよ」 その通り。起動パネルには横に細長い切れ込みのカードキースロットが設置されていた。 ――ガゴン! 苛立ちと八つ当たりの衝動に身を任せて、ついエレベーターの扉に蹴りを入れてしまったが、あたしの足の血行をよくしただけで、エレベーターは都合良く降りてきたりはしなかった。イタタタタ…… 「ちょっと!誰かいるのかい!?」 人の声。いや、人かもしれない声。あたしは鉄パイプを暗闇から聞こえる足音の方角へ構えた。 ――カッカッカッカッ…… ヒール?女かしら…… エレベーターの上に設置された心許ない証明に照らされた顔は…… 「……涼宮さん?」 ……知らない顔だ。でもあたしとタメを張れるくらいのすっごい美人。白衣を着てるってことはここの医者かしら?美人女医、それだけで繁盛しそうね。 「久しぶりね。何ヶ月ぶりかしら」 その女医はフレンドリーに話しかけて来たので、とりあえず鉄パイプの先端を床に向けた。だが、 「誰よアンタ。あたしは美人や美少女にはそれなりに知り合いはいるけど、あんたの顔は生憎記憶には無いわ」 あたしが言ったその言葉に、その女医は真夏の夜に幽霊を見た物理学者のような顔になった。 「何を言ってるの涼宮さん?私よ。あなたに負けた佐々木よ」 あたしに……負けた?何に?おっぱいの大きさなら勝ってそうだけど。 「……あなたより身長で勝ってるから、胸の脂肪の豊さで敗北感を感じたりはしないわ。本当よ」 なんか論争がズレてきたから、元に戻すべきね。 「誰よアンタ」 「本当にわからないのかい?」 「わからないから聞いてるんでしょ」 そう言うと、佐々木は低くくぐもった笑い声を上げた。 「……くっくっ。そう言えばあなたにはあんな力があったわね。ならば私との記憶だけを消去できても、少しも不思議ではないか」 「あんな力?」 ――ガガガガガガ! 突然、頭の中に強烈なノイズが走り、同時に、ハンマーで叩き割られるような頭痛が襲いかかってきた。 「大丈夫かい涼宮さん?」 佐々木の手があたしの背中を撫で始めたので、頭痛が少しずつ引いていくのがわかった。 「あ、ありがと。佐々木さん」 「仕方ない。改めて自己紹介させてもらうよ。私は佐々木。身分的には大学生だけど、ここの病院で研究者なんかをやってるわ」 研究者か。白衣を着てるから女医かなんかかと思ったわ。 「……あたしの方は必要なさそうね」 なんだかよくわからないけど、佐々木さんはあたしのことをよく知ってるみたい。 「あなたはここで何をしてるの?」 「キョ……行方不明の友達を探してるのよ。それで九階に行けばその痕跡が見つかる気がしてね」 「死んだ男を探してる」なんて言ったら、話がややっこしくなるうえ、間違いなくここに入院させられる。 「それでわざわざ業務用エレベーターまで?来客用のを使えば良かったじゃない」 あっちには九階が無かったのよ。 「そんなわけは……ま、九階に行きたいんだね?私のカードキーが使えるはずだから、貸してあげるよ」 言いながら、佐々木さんは首にかけたIDカードをカードキースロットに差した。 「……これで良し。さ、涼宮さん。後は中で九階のボタンを押すだけよ」 「ありがとう。これで先に進めるわ」 「くっくっ。どういたしまして」 少し経つとエレベーターの扉が勢い良く開いた。 エレベーターに乗り込み操作パネルを見た。良し!ちゃんと九階がある! 九階を選択した時、もう一度お礼を言おうと佐々木さんの方を向いた。 しかし佐々木が数瞬前まで立っていた場所には、すでに誰もいなかった。 「…………もういなくなってる。研究熱心なのね」 ランプがアラビア数字の「9」に灯る。ついに到着ね! 九階の廊下には、どこからも生物の気配がしない。でも油断はできない。鉄パイプとピストルを握りしめ、一歩一歩床を踏み締めるように歩き出した。目指すはキョンのいた病室。一番奥だ。 『キョン……団長命令よ……起きなさいよ……』 『バカキョン……』 『ホラ!今起きたらあたしのフルヌードが見れるわよ!!エロキョンの名にかけて起きなさい!』 歩いていくうちに、あの三日間の思い出が蘇り、いつの間にか涙を流していた。 「……バカキョン」 あたしをこんなに弱くしたのはあんたよ。もし見つけたら絶対に罰ゲームかけてやるんだから! 『……をが?』 「よかった……ちゃんとあった……」 あって当然。なんてツッコミはもう受け付けないから。もうなにがあってもおかしくないからね。 ホテルの一室みたいにキレイな横開きの扉のドアノブに手をかけた。 ――ガチャガチャ! 「ウソ……」 扉は横にスライドすることなく、あたしの来訪を拒んだ。 よく見るとドアノブの下にナンバー式のキーロックが施されていた。いつの間に鍵をつけられたのかしら。 しかし、これは困った。パスナンバーなんかあたしは知らない。 あたしは注意深くキーロックを観察していると、キーロックの下にカッターナイフで何かの文が彫られていることに気がついた。 ――胸を貫く光があなたを導く―― ……なにこれ?胸を貫く?何のこと?…………あ。 デイバッグをあさり、目的の物を探しだす。胸を貫く。たぶんあたしの勘が正しければ…… あたしが取り出したのはキョンの胸のレントゲン写真。これに裏からライトを当てれば……、 『3498』 やっぱり。心臓の部分に四桁の番号が浮かび上がった。 ――ガチャン。 キーロックに浮かび上がった番号を打ち込むと、キーロックは当たり前のように解除された。 「キョンくん~は、どこにいるのかな~?」 病室に、調子外れの歌声が響き渡る。 歌声の主を見て、あたしはこれでもかってくらい動揺し、驚愕した。 「……みくるちゃん?」 高校時代からタイムスリップしてきたみたいに、その北高の制服に包まれた少女は、みくるちゃんにそっくりだった。 「ハルにゃん!」 歌声の主があたしの存在に気付き、百二十点の笑顔で笑いかけてきた。ハルにゃん?ってまさか!? 「妹ちゃん?」 「そ~だよ。当たり前だよ~」 嘘でしょ!?だって、だって! 「あたしよりおっきい!!」 ああ、何だか目眩がしてきた。まさかあの妹ちゃんに負けるとは……何がおっきいかは聞かないで。今、敗北感と絶望感を噛み締めてる最中だから。認めると立ち直れなくなっちゃう。 「そっかな~?ミヨちゃんの方がもっともぉ~とおっきいんだけど」 妹ちゃんは自分のあれをまさぐりながら言った。……最近の若い子は発育がいいのね。って、いかんいかん!それよりも聞くことがあるでしょうが! 「ここで何してるの?」 返って来た言葉は予想外そのものだった。 「キョンくんを探してるの」 ……は? 「だから、キョンくんを探してるの。どこにいるのかな?」 妹ちゃんはあたしと同じ理由だった。 「何言ってるの?キョンは三年前に死んじゃったじゃない」 死者が甦るわけがない。あたしだってそんなことくらいわかってる。あたしがここに帰ってきた理由、それはあの手紙の真意を確かめるためだ。 「何言ってるの?キョンくんは死んでなんかないよ?おかしなハルにゃん」 妹ちゃんは無邪気に言った。そんなわけない!キョンはあの時ここで死んだ! 「どうしたのハルにゃん?キョンくんとケンカでもした?なんだか変だよ?」 変なのは妹ちゃんよ!と喉まで出かかったが、あたしの頭には、ある仮説が生まれた。 『妹ちゃんは壊れてしまったのではないか?』 認めるわ。あの二人はあたしが嫉妬するくらい仲がよかった。だから妹ちゃんはキョンの死を乗り越えられなかった。それが元で、妹ちゃんはキョンが死んでないと思い込んで……、 「ハルにゃん?」 気がつくと、あたしは妹ちゃんを抱きしめていた。 「……辛かったでしょ?でももういいのよ。あたしもキョンを捜してるの」 「ハルにゃんも?」 「うん。ねえ、一緒に捜さない?それで見つかったら一緒にブン殴ってやりましょ」 妹ちゃんはあたしが守る。キョンなら絶対にそうする。 「うん!一緒に捜そう!」 あたしは妹ちゃんの手を引いて病室を後にした。 「それにしても、今までよく無事だったわね」 「……へ?当たり前だよ~?」 病室を抜けた瞬間、空気が変わった気がした。 「ん?どうしたの?」 「……ううん、なんでもないわ」 ――ザー!ザー! もはや、恐怖の対象でしかないラジオの不協和音が耳を痛めつける……まずい。 「え?」 ――ズズズズズズズ…… ――ズズズズズズズ…… ――ズズズズズズズ…… 反対側の廊下から、何か重たいものを引き摺らるような音が聞こえてきた。 「妹ちゃん!走って!」 妹ちゃんの手を取り、大急ぎでエレベータまで引き返すことにした。あたしの勘が告げている。絶対にマズイ。 あたしたちが走ったのを感知したのか、音の主も速度を急激に上げて近づいてくるのがわかった。 「どうしたのハルにゃん?」 「なにいってるのよ!?あの音が聞こえないの!?」 「あの音?」 妹ちゃんは琵琶湖でプレシオサウルスを発見したと報道したニュース番組を見たような顔をしてしまった。 「その子にはわからないわよ」 背筋を凍りつかせるような声。 「朝倉ぁっ……!!」 歩みを止めて振り向くとフランス人形のように整った笑顔を浮かべた朝倉が立っていた。 「こんにちわ。涼宮さん」 朝倉の左手には血塗れのアーミーナイフ。そして右手には…… 「キョン!!」 「え?」 全身をナイフでメッタ刺しにされたキョンの襟首を、ゴミ袋を引き摺るように握っていた。 「キョンくんがいたの?」 こんな光景を見せるわけにはいかない。妹ちゃんがこっちを向くまえに、あたしは妹ちゃんと朝倉の前に立ちはだかった。 「妹ちゃん!!逃げて!」 「え?」 「すぐにあたしも行くから!北高で待ってて!」 ピストルを抜き、朝倉の胸に狙いを定めた。 「……うん。わかったよ」 妹ちゃんはそれだけ言って素直に駆け出した。すぐに追いつくからね。 「朝倉ぁ!」 ――パン! 心臓に直撃。 「フフフ。また上手くなったね」 歪むことの無い微笑。だけど、 「ああああああああああ!!」 間髪いれず、鉄パイプを握り締め、朝倉の脳天に振り下ろした。 ――グシャァ! 赤黒く生暖かい液体が顔にかかる。 ピストルは布石。本命は鉄パイプでの殴打だ。これならいくら朝倉でも…… ――ズバッ! 朝倉のナイフがあたしのベストを切り裂いた。飛びのいて何とかかわせたが、 「嘘でしょ……」 朝倉は顔面を血で真っ赤に染めながら、何食わぬ顔でナイフを握って佇んでいた。 「嘘なんかじゃないわ。これがリアル。もっとも、あなたにとってのリアルだけどね」 「わけわかんないことほざいてんじゃないわよ!」 ――ガキィィィィンッ!! 朝倉のアーミーナイフとあたしの鉄パイプが激突。 そして渾身の力でナイフを弾き返し、朝倉を廊下に押し倒した。 「ああああああああ!」 朝倉の上にマウントを取り、鉄パイプの柄で顔を殴りまくった。 くたばれくたばれくたばれぇぇぇぇ!あたしはまだ死にたくないのよ! ――ガツッ。 「ウグッ!」 朝倉の細い手があたしの首を掴む。 「それはよかったわ。また続きができるなんて嬉しいな」 朝倉は原型を留めていない顔を歪ませ、ニコリと微笑んだ。 ギリギリギリギリ。首を絞められる音が脳内に響いている。 息ができない。 力が抜ける。 ――カラン。 手から鉄パイプが滑り落ち、朝倉に持ち上げられた。 「北高で待ってるわ。涼宮さん」 ――ガシャァァァァァン! あたしの体は近くの窓に叩きつけられ、窓の外の灰色の空に投げ出された。 気持ちの悪い浮遊感の中、地面のアスファルトに激突することがそう遠くないと感じた。 第三章『なぜならあたしは、天下無敵宇宙最強のSOS団の団長様だからよ!』に続く
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第二章『何言ってるの?キョンは三年前に死んじゃったじゃない』 文字通り死ぬ思いで手に入れたレンチでハンドルの鎖をねじ切り、シャッターを全開にした。 「……何よこれ」 全開のシャッターから見える空は、とことん色味が抜けた灰色だった。 「あの巨人の夢の時とおんなじ空……」 SOS団結成して一ヵ月後、あたしはキョンと学校に閉じ込められる夢を見た。青い巨人が北高の校舎を薙ぎ倒して、そして夢の最後には…… あたしは夢の終わりにキョンにされた行為を思い出し、無性に恥ずかしくなった。 「な、何考えてるのよ!!あ、あれはただの夢で、キョンとはなんでも無いんだから!!」 ――ガーガー。 いきなり鳴ったノイズに、あたしは情けないくらい体をビクつかせた。な、な、な、何よ!?また怪物!? 『ガーガー――ピー――ハルヒ――ピー――ガー』 汚いノイズの途中に、確かに「ハルヒ」という言葉が聞こえた。 「キョン!?」 間違いない。キョンの声だ。 「キョン!!返事して!!ここにいるの!?」 スピーカーに顔を近づけ、大声で呼びかけた。 「ピー――ピー――ゴメン――ザー……」 ただ一言、それだけ言ってラジオは沈黙した。 「なんであんたが謝るのよ……謝るのは……」 …………………………誰よ?あたし、キョンに何かしたっけ?そりゃ確かに雑用とか言って、色々こきは使ったけど…… ――ズキン! その瞬間、頭をゴルフクラブでカチ割られるくらいの鈍痛が走った。 「……なんなのよ。この頭痛は」 風邪なんか、ここ数年はひいた覚えは無いわ。……なんだろう?まるで思い出すのを体が拒否しているような…… 「やめやめ!とりあえずキョンの声が聞こえたんだからいいじゃない!!」 このラジオからキョンの声が聞こえたということは、あの手紙の主はまだどこかにいる可能性がある。キョンの生首は……きっと作り物よ。あたしの動揺を誘うために、朝倉が作ったのよ。絶対。 「とにかく北高を目指しましょう。きっとキョンはそこにいるわ」 そう思い込むと、少しだけ足取りが軽くなった。 北高を目指し、灰色の世界を歩き続けた。 「……ふう、徒歩だとさすがに疲れるわね」 こんなことなら車かバイクの免許でも取っとけばよかった。どうせ大学生活なんて暇で退屈なだけだったし、それがあれば遠くの町まで不思議探索ができたし。……一人っきりだけどね。 「いっそのこと近くの駐輪場に行って、自転車をカッパ……無断拝借してやろうかしら。鍵なんかこのピストルでぶっ壊せばいいし」 あたしは指先でクルクルとピストルを弄んだ。もうこいつの扱いにはだいぶ慣れたわ。弾もなぜかそこらへんに落ちてるしね。心の底から不気味だけど、事実、助かってはいるわ。 そう思いながら、何気なくあたりを見回した。 「え……みくるちゃん?」 目の前の十字路を、みくるちゃんにそっくりな女の子が、全速力で横切った。 いや、そんなわけがない。さっきの女の子は北高のセーラー服を着ていた。あの真面目なみくるちゃんが北高を留年するとは思えない。しかし、他人の空似とも思えないくらいにそっくりな女の子だった。 「待って!!」 進路変更。あたしはその女の子を追うことにした。気になる。絶対に何か知ってる気がした。 「ゼェゼェ!ハァハァ!」 やっぱりみくるちゃんじゃない。 なぜならあたしが全力で走っているのに、まったく追いつかないからだ。あのみくるちゃんがこんなに早く走れるわけがない。 それに一回も転んでない。本物なら、もう三十回は転んでもいい距離だ。 あたしの肺が悲鳴を上げ、そろそろ走れなくなった頃、みくるちゃん(?)はある建物の敷地に消えていった。 「ハァハァ……やっと追い詰め…………あれ?ここは……」 みくるちゃん(?)が入った場所、それは総合病院だった。 だがそこは、普通の人なら何の変哲も無いただの総合病院だろうが、あたしは違った。なぜなら…… 「キョンの死んだ病院……」 言った瞬間、胸を日本刀で斬られるような錯覚を覚えた。正直、入りたくない。 病院の敷居を跨ぐことにためらっていると、みくるちゃん(?)がスタスタと院内に入って行ったのが見えた。 「……わかったわよ!行けばいいんでしょ!行けば!」 あたしを意を決して、敷地内へと進入した。 院内はさっきの光陽園駅と同様に、ひっそりと静まりかえっていた。生物の気配がしない。そんな感じだ。 「まずは病院の地図を探すべきね」 総合窓口の裏手に侵入し、見取り図と、何か使えそうなものを探した。……泥棒なんて言わないで。わかってるから。 バサ。 カウンターを漁ってると、大きな茶封筒が床に落ちた。入っていたのは胸部のレントゲン写真だった。誰のだろう?あたしは封筒の印刷面を見た。 「これ!キョンの名前じゃない!」 印刷面にはキョンの本名が書かれていた。間違いない。キョンのレントゲン写真だ。あれ?まだ何か入ってる? 『キョンに会いたいなら死ねばいい。 あなたがキョンと同じ場所に行ける保障はないけど』 …………………………何よこれ。気味悪い。大きなお世話よ。 そう記された紙をぐしゃぐしゃに丸め、ゴミ箱に思いっきり投げ捨てた。誰よ!こんないたずらしたのは! カウンターで見つけたのは、ピストルの弾がつまった箱二つと、病院の見取り図と懐中電灯、このレントゲン写真だ。それらをすべて同じくカウンターで見つけたデイバッグに詰めて、総合窓口を出た。 「とりあえず、キョンの入院していた病室に行ってみよう」 あの子は多分みくるちゃんじゃないけど、まったくの無関係とは思えない。もしかしたらあたしと同じでキョンの痕跡を探してるのかもしれない。ならキョンの入院していた病室に行ってもおかしくない。 「キョンの病室は、確か最上階の一番奥だったわ」 あそこは病院一の見晴らしだと、ナースが言っていたのを覚えている。あの時は風景を楽しむ余裕など無かったから、そんなに見てないけどね。 なら、エレベーターね。さすがに最上階まで階段で上がるなんて体力の無駄よ。あたしは地図と足元の矢印を見ながら、エレベーターホールに向かった。 ――ガーガー。 ラジオのノイズが鳴り、廊下の奥で何かが動いた。……あー、絶対になんかいるわ。お友達になれなさそうな何かが。 ――キョオオオオオオオオン…… 「へ?」 ――キョオオオオオオオオン…… そいつは苦しそうに「キョン」と言いながら、近づいてきた。 「うわぁ……」 思わず言葉を失った。悪趣味にも程がある。 ――キョオオオオオオオオン…… そいつは血と膿で穢れたナース服を着た「あたし」だった。手にはあたしと同じで鉄パイプを握っている。完全に殺る気ね。鉄パイプの先端が今まで何人も葬ってきたかのように、赤グロく変色している。 ――キョオオオオオオオオン…… 「ナースのコスプレをしていいのはみくるちゃんだけよ!!どきなさい!!」 ――パァン! 弾丸は、血の気を感じない程に色味を失っている心臓に命中。だが、 ――キョオオオオオオオオン…… 朝倉同様、ためらうことなく近づいてくる。 「うるわぁ!」 間合いを測り、タイミングよく鉄パイプをフルスイング! ゴキィ!鈍い音が聞こえ、ナースもどきの頭は直角に折れた。 ――キョオオオオオオオオン…… 「うっさい!」 グシャ!首が折れてるにも関わらず、床に這いつくばってまで襲い掛かってくるナースもどきに、強烈なストンピングを叩き込んだ。 ――キョオオオオオオオオン…… 断末魔の叫びが少しだけ人間くさく聞こえたので、かなり胸が痛んだが、気にしないことにした。……早くあの子を探し出そう。気がおかしくなりそう。いや、もうなってるのかも。 白衣を血膿でドス黒く染め上げた悪魔たちを鉄パイプで葬り続けること数体、そろそろあたし似の血まみれ看護士の断末魔に慣れた頃だ。やっとエレベーターホールにたどり着いた。 「えーとたしか九階だったわね」 古泉くんのつてで、この病室の一番景色の良い部屋だったから病室もしっかりと覚えて……は? おもわず階層が横並びに記されたパネルを二度見してしまった。 念のためデイバッグからキョンのレントゲン写真の入った封筒を取り出し、病室の確認もした。 ……そろそろ認めるべきね。キョンの病室のあった最上階が、パネルには存在していなかった。 常識から言って改築工事かなんかで、九階が丸ごと潰れただけかもしれない。だがこれまでにあたしに降りかかったくだらないホラー映画のような非常識な展開が認めなかった。 階段で行けばいいと思うが、その非常識な展開に拍車をかけるかのごとく、ダンボールや木の板で封鎖されていたのよね。 「これは本気で困ったわ。いくらあたしでも壁をよじ登るなんて出来そうもないし……」 何か、何か抜け道は無いかしら?目からレーザー光線を放つかのように、地図を注意深く凝視した。 いい加減地図に穴が開きそうになった頃、『業務用エレベーター』という物が裏口付近にあることを発見できた。 「ちょっと遠回りになりそうだけど……行くしかないわね」 業務用なら全ての階に通じてるかもしれない。無くなった九階にもね。なんとなくだけどそんな気がするわ。 「ふぅ。ちょっと探しちゃったじゃない」 化け物とバリケードのせいで、業務用エレベーターに到達するために地図上の目測の倍近い距離を歩いたが、なんとか「業務用」と書かれたパネルの下に到着できた。 だが起動パネルを見た瞬間、あたしの達成感は一気に疲労感へと変わった。 「……勘弁してよ。カードキーなんてこっちは持ってないわよ」 その通り。起動パネルには横に細長い切れ込みのカードキースロットが設置されていた。 ――ガゴン! 苛立ちと八つ当たりの衝動に身を任せて、ついエレベーターの扉に蹴りを入れてしまったが、あたしの足の血行をよくしただけで、エレベーターは都合良く降りてきたりはしなかった。イタタタタ…… 「ちょっと!誰かいるのかい!?」 人の声。いや、人かもしれない声。あたしは鉄パイプを暗闇から聞こえる足音の方角へ構えた。 ――カッカッカッカッ…… ヒール?女かしら…… エレベーターの上に設置された心許ない証明に照らされた顔は…… 「……涼宮さん?」 ……知らない顔だ。でもあたしとタメを張れるくらいのすっごい美人。白衣を着てるってことはここの医者かしら?美人女医、それだけで繁盛しそうね。 「久しぶりね。何ヶ月ぶりかしら」 その女医はフレンドリーに話しかけて来たので、とりあえず鉄パイプの先端を床に向けた。だが、 「誰よアンタ。あたしは美人や美少女にはそれなりに知り合いはいるけど、あんたの顔は生憎記憶には無いわ」 あたしが言ったその言葉に、その女医は真夏の夜に幽霊を見た物理学者のような顔になった。 「何を言ってるの涼宮さん?私よ。あなたに負けた佐々木よ」 あたしに……負けた?何に?おっぱいの大きさなら勝ってそうだけど。 「……あなたより身長で勝ってるから、胸の脂肪の豊さで敗北感を感じたりはしないわ。本当よ」 なんか論争がズレてきたから、元に戻すべきね。 「誰よアンタ」 「本当にわからないのかい?」 「わからないから聞いてるんでしょ」 そう言うと、佐々木は低くくぐもった笑い声を上げた。 「……くっくっ。そう言えばあなたにはあんな力があったわね。ならば私との記憶だけを消去できても、少しも不思議ではないか」 「あんな力?」 ――ガガガガガガ! 突然、頭の中に強烈なノイズが走り、同時に、ハンマーで叩き割られるような頭痛が襲いかかってきた。 「大丈夫かい涼宮さん?」 佐々木の手があたしの背中を撫で始めたので、頭痛が少しずつ引いていくのがわかった。 「あ、ありがと。佐々木さん」 「仕方ない。改めて自己紹介させてもらうよ。私は佐々木。身分的には大学生だけど、ここの病院で研究者なんかをやってるわ」 研究者か。白衣を着てるから女医かなんかかと思ったわ。 「……あたしの方は必要なさそうね」 なんだかよくわからないけど、佐々木さんはあたしのことをよく知ってるみたい。 「あなたはここで何をしてるの?」 「キョ……行方不明の友達を探してるのよ。それで九階に行けばその痕跡が見つかる気がしてね」 「死んだ男を探してる」なんて言ったら、話がややっこしくなるうえ、間違いなくここに入院させられる。 「それでわざわざ業務用エレベーターまで?来客用のを使えば良かったじゃない」 あっちには九階が無かったのよ。 「そんなわけは……ま、九階に行きたいんだね?私のカードキーが使えるはずだから、貸してあげるよ」 言いながら、佐々木さんは首にかけたIDカードをカードキースロットに差した。 「……これで良し。さ、涼宮さん。後は中で九階のボタンを押すだけよ」 「ありがとう。これで先に進めるわ」 「くっくっ。どういたしまして」 少し経つとエレベーターの扉が勢い良く開いた。 エレベーターに乗り込み操作パネルを見た。良し!ちゃんと九階がある! 九階を選択した時、もう一度お礼を言おうと佐々木さんの方を向いた。 しかし佐々木が数瞬前まで立っていた場所には、すでに誰もいなかった。 「…………もういなくなってる。研究熱心なのね」 ランプがアラビア数字の「9」に灯る。ついに到着ね! 九階の廊下には、どこからも生物の気配がしない。でも油断はできない。鉄パイプとピストルを握りしめ、一歩一歩床を踏み締めるように歩き出した。目指すはキョンのいた病室。一番奥だ。 『キョン……団長命令よ……起きなさいよ……』 『バカキョン……』 『ホラ!今起きたらあたしのフルヌードが見れるわよ!!エロキョンの名にかけて起きなさい!』 歩いていくうちに、あの三日間の思い出が蘇り、いつの間にか涙を流していた。 「……バカキョン」 あたしをこんなに弱くしたのはあんたよ。もし見つけたら絶対に罰ゲームかけてやるんだから! 『……をが?』 「よかった……ちゃんとあった……」 あって当然。なんてツッコミはもう受け付けないから。もうなにがあってもおかしくないからね。 ホテルの一室みたいにキレイな横開きの扉のドアノブに手をかけた。 ――ガチャガチャ! 「ウソ……」 扉は横にスライドすることなく、あたしの来訪を拒んだ。 よく見るとドアノブの下にナンバー式のキーロックが施されていた。いつの間に鍵をつけられたのかしら。 しかし、これは困った。パスナンバーなんかあたしは知らない。 あたしは注意深くキーロックを観察していると、キーロックの下にカッターナイフで何かの文が彫られていることに気がついた。 ――胸を貫く光があなたを導く―― ……なにこれ?胸を貫く?何のこと?…………あ。 デイバッグをあさり、目的の物を探しだす。胸を貫く。たぶんあたしの勘が正しければ…… あたしが取り出したのはキョンの胸のレントゲン写真。これに裏からライトを当てれば……、 『3498』 やっぱり。心臓の部分に四桁の番号が浮かび上がった。 ――ガチャン。 キーロックに浮かび上がった番号を打ち込むと、キーロックは当たり前のように解除された。 「キョンくん~は、どこにいるのかな~?」 病室に、調子外れの歌声が響き渡る。 歌声の主を見て、あたしはこれでもかってくらい動揺し、驚愕した。 「……みくるちゃん?」 高校時代からタイムスリップしてきたみたいに、その北高の制服に包まれた少女は、みくるちゃんにそっくりだった。 「ハルにゃん!」 歌声の主があたしの存在に気付き、百二十点の笑顔で笑いかけてきた。ハルにゃん?ってまさか!? 「妹ちゃん?」 「そ~だよ。当たり前だよ~」 嘘でしょ!?だって、だって! 「あたしよりおっきい!!」 ああ、何だか目眩がしてきた。まさかあの妹ちゃんに負けるとは……何がおっきいかは聞かないで。今、敗北感と絶望感を噛み締めてる最中だから。認めると立ち直れなくなっちゃう。 「そっかな~?ミヨちゃんの方がもっともぉ~とおっきいんだけど」 妹ちゃんは自分のあれをまさぐりながら言った。……最近の若い子は発育がいいのね。って、いかんいかん!それよりも聞くことがあるでしょうが! 「ここで何してるの?」 返って来た言葉は予想外そのものだった。 「キョンくんを探してるの」 ……は? 「だから、キョンくんを探してるの。どこにいるのかな?」 妹ちゃんはあたしと同じ理由だった。 「何言ってるの?キョンは三年前に死んじゃったじゃない」 死者が甦るわけがない。あたしだってそんなことくらいわかってる。あたしがここに帰ってきた理由、それはあの手紙の真意を確かめるためだ。 「何言ってるの?キョンくんは死んでなんかないよ?おかしなハルにゃん」 妹ちゃんは無邪気に言った。そんなわけない!キョンはあの時ここで死んだ! 「どうしたのハルにゃん?キョンくんとケンカでもした?なんだか変だよ?」 変なのは妹ちゃんよ!と喉まで出かかったが、あたしの頭には、ある仮説が生まれた。 『妹ちゃんは壊れてしまったのではないか?』 認めるわ。あの二人はあたしが嫉妬するくらい仲がよかった。だから妹ちゃんはキョンの死を乗り越えられなかった。それが元で、妹ちゃんはキョンが死んでないと思い込んで……、 「ハルにゃん?」 気がつくと、あたしは妹ちゃんを抱きしめていた。 「……辛かったでしょ?でももういいのよ。あたしもキョンを捜してるの」 「ハルにゃんも?」 「うん。ねえ、一緒に捜さない?それで見つかったら一緒にブン殴ってやりましょ」 妹ちゃんはあたしが守る。キョンなら絶対にそうする。 「うん!一緒に捜そう!」 あたしは妹ちゃんの手を引いて病室を後にした。 「それにしても、今までよく無事だったわね」 「……へ?当たり前だよ~?」 病室を抜けた瞬間、空気が変わった気がした。 「ん?どうしたの?」 「……ううん、なんでもないわ」 ――ザー!ザー! もはや、恐怖の対象でしかないラジオの不協和音が耳を痛めつける……まずい。 「え?」 ――ズズズズズズズ…… ――ズズズズズズズ…… ――ズズズズズズズ…… 反対側の廊下から、何か重たいものを引き摺らるような音が聞こえてきた。 「妹ちゃん!走って!」 妹ちゃんの手を取り、大急ぎでエレベータまで引き返すことにした。あたしの勘が告げている。絶対にマズイ。 あたしたちが走ったのを感知したのか、音の主も速度を急激に上げて近づいてくるのがわかった。 「どうしたのハルにゃん?」 「なにいってるのよ!?あの音が聞こえないの!?」 「あの音?」 妹ちゃんは琵琶湖でプレシオサウルスを発見したと報道したニュース番組を見たような顔をしてしまった。 「その子にはわからないわよ」 背筋を凍りつかせるような声。 「朝倉ぁっ……!!」 歩みを止めて振り向くとフランス人形のように整った笑顔を浮かべた朝倉が立っていた。 「こんにちわ。涼宮さん」 朝倉の左手には血塗れのアーミーナイフ。そして右手には…… 「キョン!!」 「え?」 全身をナイフでメッタ刺しにされたキョンの襟首を、ゴミ袋を引き摺るように握っていた。 「キョンくんがいたの?」 こんな光景を見せるわけにはいかない。妹ちゃんがこっちを向くまえに、あたしは妹ちゃんと朝倉の前に立ちはだかった。 「妹ちゃん!!逃げて!」 「え?」 「すぐにあたしも行くから!北高で待ってて!」 ピストルを抜き、朝倉の胸に狙いを定めた。 「……うん。わかったよ」 妹ちゃんはそれだけ言って素直に駆け出した。すぐに追いつくからね。 「朝倉ぁ!」 ――パン! 心臓に直撃。 「フフフ。また上手くなったね」 歪むことの無い微笑。だけど、 「ああああああああああ!!」 間髪いれず、鉄パイプを握り締め、朝倉の脳天に振り下ろした。 ――グシャァ! 赤黒く生暖かい液体が顔にかかる。 ピストルは布石。本命は鉄パイプでの殴打だ。これならいくら朝倉でも…… ――ズバッ! 朝倉のナイフがあたしのベストを切り裂いた。飛びのいて何とかかわせたが、 「嘘でしょ……」 朝倉は顔面を血で真っ赤に染めながら、何食わぬ顔でナイフを握って佇んでいた。 「嘘なんかじゃないわ。これがリアル。もっとも、あなたにとってのリアルだけどね」 「わけわかんないことほざいてんじゃないわよ!」 ――ガキィィィィンッ!! 朝倉のアーミーナイフとあたしの鉄パイプが激突。 そして渾身の力でナイフを弾き返し、朝倉を廊下に押し倒した。 「ああああああああ!」 朝倉の上にマウントを取り、鉄パイプの柄で顔を殴りまくった。 くたばれくたばれくたばれぇぇぇぇ!あたしはまだ死にたくないのよ! ――ガツッ。 「ウグッ!」 朝倉の細い手があたしの首を掴む。 「それはよかったわ。また続きができるなんて嬉しいな」 朝倉は原型を留めていない顔を歪ませ、ニコリと微笑んだ。 ギリギリギリギリ。首を絞められる音が脳内に響いている。 息ができない。 力が抜ける。 ――カラン。 手から鉄パイプが滑り落ち、朝倉に持ち上げられた。 「北高で待ってるわ。涼宮さん」 ――ガシャァァァァァン! あたしの体は近くの窓に叩きつけられ、窓の外の灰色の空に投げ出された。 気持ちの悪い浮遊感の中、地面のアスファルトに激突することがそう遠くないと感じた。 第三章『なぜならあたしは、天下無敵宇宙最強のSOS団の団長様だからよ!』に続く