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1 風吹けば名無し[]2011/06/13(月) 12 20 27.76 ID jpi0v62G 人道的援助とか、そういうものは嫌いですねえ。なんか、すごく傲慢な感じがするなぁ。 ボランティアにしても、なんか上から下を見てるような言葉の響きが好きじゃないですね。 タレントも時々チャリティとかするじゃないですか。 そのタレントさんに対してボクが言いたいのは「もう、してるやろ」ということです。 「おたくに才能があるとして、その才能を発揮して作品なりにした時に、 十分、人々の心を動かしているでしょう。 それが本当の意味でのチャリティでしょう?」ということです。 松本人志著 遺書より http //hatsukari.2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1307935227/
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自分はプロ(じぶんはぷろ)は小笠原みちひろの口癖の一つ。 概要 自分がプロであることに誇りを持っている小笠原みちひろが自分がプロであることを強調するために使う言葉。 主に文章の初めに「自分はプロ。~」と続けていくパターンが多い。 そもそも彼はプロなのか 2011年現在、彼は本当にプロなのかという議論が繰り返し行われている。 彼は自分がプロであると言い張っているが、はたして何のプロなのか。そして、本当にプロであるのかの確証が現在でも取れていない。 小笠原の自宅に家宅捜査が入ろうとしたところ、金で解決したという事件もありますます彼への疑いの目は加速している。 関連項目 小笠原みちひろ
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アニはライナーたち壁襲撃チームで唯一過去の回想シーンがあるキャラです。 その回想シーンで、ずっと気になっている事があります。 4巻第12話「武力幻想」で、アニがエレンやジャンの訓練風景を見て、父親から格闘技術を学んだ記憶を思い出すシーンです。 このシーンで、なぜかアニの顔が隠されているのです。 これに関連して思い出したのが、1巻第1話の「2人のブラウン」問題です。 第1話冒頭で巨人に食われて手だけが残った隊員がライナーと同じ「ブラウン」という名前なので、何か関連があるのではないかという、ファンの間では有名な話です。 ところが、漫画では息子の安否を尋ねる母親が「ブラウン」と呼んでいるのに、アニメでは「モーゼス」に変更されました。 ファンは「作者のミスで、ライナー・ブラウンと同じ名前を使ってしまったので、アニメでは変更したのでは?」などと推測していましたが、後で編集者から「あの隊員のフルネームはモーゼス・ブラウン。作者のミスで姓の方を書いてしまったのでアニメでは修正した」という内容の正式なアナウンスがありました。 同じブラウンという名前なのは間違いがないようです。 まず、ブラウンという名の隊員が巨人に食われる。 次に、ブラウンという名の新しいキャラクターが登場し、その正体は巨人である。 この2つが関連するという前提で、私は「巨人が何らかの条件を満たすと、食べた人間の記憶や遺伝子を得て知性化し、そっくりの顔になる」のではないかと考えています。 つまり、ライナー・ブラウンの顔と記憶の一部は、モーゼス・ブラウンのものではないかという事です。 オタキングこと岡田斗司夫さんは、「冒頭の巨人の顔が不自然に隠されているのはあの巨人がエレンだからであり、直後のシーンでエレンが涙を流しているのはモーゼスたちを食べた罪を無意識では覚えているからではないか」と言われていましたが、私は前半については少々違う意見です。 冒頭の巨人はライナーであり、顔を描いていないのは、顔を描くと「鎧の巨人=ライナー・ブラウンだと分かりやすくなってしまう」からではないかと想像しています。 これは個人的な憶測ですが、連載当初は人気が出ない事も想定して、早目に終わってもいいように分かりやすい伏線を張っていたのではないでしょうか。 だから読者に分かりやすく、同じ「ブラウン」という名前を出して、「冒頭で食べられたブラウン隊員はライナー・ブラウンと関係あるんだよ」と楽なヒントを出しておいたのですが、幸いな事に人気が出て連載が長期化したため、もう少し分かりにくいヒントに差し替えたというのが真相ではないかと私は考えています。 さて、そこでもう一度4巻第12話「武力幻想」でのアニの回想シーンを考察します。 回想シーンでアニの顔が隠されているのは、「回想シーン当時のアニは、今のアニとは顔が違う」からではないでしょうか? そして8巻第33話「壁」にもアニの回想シーンが登場します。 アニメのクライマックスにもなったこのシーンでは、はっきりと今と同じアニの顔が描かれています。 おそらくこれは、「巨人化して自分の食べた人間の顔になった後のアニ」なのではないでしょうか? では、アニは誰を食べたのか? ここで15巻第62話「罪」で明らかになった「エレンの父親食い」を考えて見ましょう。 現在までの描写では、エレンは父親を食べて知性巨人化したと考えられます。 知性巨人化の条件は「注射と血縁関係者を食べる事」ではないでしょうか。 とすると、アニもまた自分の血縁者を食べて知性巨人化したのではないかと考えられます。 エレンが父親を食べている(らしい)事から、おそらくアニは母親を食べたのではないでしょうか? 壁内を攻撃するために、知性巨人の力がどうしても必要だったからです。 8巻第33話「壁」でのアニは、茫然自失と言うか、強いショックで感情を失ったかのような冷たい虚ろな目をしています。 これは、母親を食べてしまったショックと喪失感のためではないでしょうか。 アニの父親はそんな娘?に自分の過ちを謝罪しますが、アニは冷たいまなざしで見下ろすだけ。 この過酷な体験がアニを感情に乏しく、理想主義に批判的な冷たいキャラクターにしたのではないのか。 そして、その次のページで父親の帰って来てくれという懇願を思い出し、アニはついに感情を爆発させ、あの時流せなかった涙を流すのです。 ちなみに、原作ではこのアニの涙を最大限生かすために直前までアニの感情を殺した描写を続け、ラストで見事にアニの感情の爆発を表現したのですが、アニメではアニの正体がエレン、ミカサ、アルミンにばれるシーンでアニに高笑いさせてしまい、この『進撃の巨人』屈指の名シーンを台無しにしてしまいました。 これでは、アニが単に感情の起伏がピーキーなだけになってしまい、彼女がラストで泣いても衝撃はありません。 普段は感情を押し殺しているキャラがただ一度最後に感情を表に出し、しかも過去の泣けなかった自分を取り戻すから視聴者の心を揺さぶるのであって、普段から泣いたり笑ったりしているキャラがラストで泣いても感動はありません。 『新世紀エヴァンゲリオン』で言えば、碇シンジの「笑えばいいと思うよ」というセリフで綾波レイが初めて笑うから感動するのであって、綾波レイが普段から笑っていたら意味がないのと同じです。 話を戻して、 ①知性巨人は親(血縁者)を食べる事で知性化する ②その際に食べた人間の容姿と記憶をコピーする という仮説をもう少し考えてみます。 この仮説をエレンに当てはめるとどうなるでしょうか? 実は、15巻第62話「罪」で注射をされているエレンらしき少年と、注射で巨人化し、グリシャらしき男を食べて人間に戻った後のエレンらしき少年の顔が少々違っているように私には見えます。 たとえば鼻の形、ほほの形、全体的な肉感などが巨人化の前後で微妙に違っているように見えますし、そもそも巨人化したときの顔もエレン巨人とは異なっています。 つまり、あの「注射をされている少年はエレンにそっくりだがエレンではない」可能性があるのではないかと思うのです。 そこで②その際に食べた人間の容姿と記憶をコピーするが真実だとします。 すると、今のエレンの姿はグリシャの姿だという事になります。 もしも本当にそういう設定だとしたら、エレンとグリシャは、いくら親子でもあまりにソックリすぎます。 そこで発想を飛躍させます。 エレンはグリシャのクローンではないでしょうか? そして注射と巨人化によって記憶と容姿を継承する事ができると仮定します。 エレンがグリシャを食べて、グリシャの記憶と容姿を継承したら、それはグリシャが若返ったのと同じではないでしょうか? そしてこの方法を何世代にもわたって続ければ、1人の人間が延々と生き続けているのと同じではないでしょうか? 一種の不老不死です。 そして、この仮定が正しければ、もう一つの可能性も考えられます。 グリシャは壁が作られた時からクローン技術と巨人の記憶継承システムによってずっと生きている人間で、壁や世界の秘密を全て知っている人物なのではないでしょうか。 あるいは壁や壁内人類を作った張本人、あるいは本当の王家である可能性もあります。 15巻第62話「罪」で巨人化の前と後で容姿が変わらないのも、食う側と食われる側がクローンで同一人物あれば同じ容姿になるのは当然です。 要するに、この仮定に従えば、グリシャの場合は「人食い」と言うよりは「自分食い」といった方がいいでしょう。 さらに発想を飛躍させます。 時折ファンの間でも話題になる「支配」というキーワードがあります。 エレンの回想?でグリシャが言う「支配しなければならない」、ミカサが覚醒した際の「支配できた」など、少し不自然な言い回しです。 これは、「自分の中にある今まで食べてきた人間の記憶や能力を全部、今の自分の支配下に置いて完全にコントロールしなくてはならない」という意味ではないでしょうか。 つまり、エレンもミカサも、過去の多くの人間の記憶や能力を継承しているのです。 これがアッカーマン一族が忌み嫌われた理由かもしれません。 外部からは食人一族にしか見えませんから。 歴史を捏造された偽りの世界で、唯一真実を記憶する一族。 これがエレンやミカサたちの隠された役割なのかもしれません。
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元スレURL しずく「雨はお嫌いですか?」 概要 No Rain No Rainbow タグ ^近江彼方 ^桜坂しずく ^朝香果林 ^中須かすみ ^優木せつ菜 ^短編 ^ほのぼの 名前 コメント
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巨人は朽ちず 「――見付けた」 そして消し炭と化した死体を拾い上げながら、ラミア・ラヴレスは満足気な笑みを零した。 消し炭の名は、ハチロー。龍王機の炎によって燃やし尽くされ、無残に命を刈り取られた少年。 だが、幸いにもと言うべきか。龍王機の炎は、ハチローの身体全てを燃やし尽くしていたのではなかった。 かろうじて腕の一本だけは、炎の直撃を逃れていたのだ。 ……冷たくなった少年の腕ごと、ラミアは“目的の物”を回収する。 それが未だ健在である事を、ユーゼスとラミアは知っていたのだ。 そう、ジャイアント・ロボのコントローラーが破壊されていなかった事を。 ジャイアント・ロボが未だ消えていないのは、まだ戦う力を残しているからに他ならない。 新たな主を見付けさえすれば、巨人は再び戦えるのだ。 「さて……この腕時計、誰に渡したものでございましょうかね……」 ジャイアント・ロボのコントローラーを嵌めた少年の腕。それを手中で弄びながら、ラミアは一人呟きを零す。 ユーゼスは、言った。 己に与えられた目的は、このゲームを盛り上げる事だと。 ならば、その答えは知れている。 更なる力を求める者に、殺す為の力を求める者に、巨人の力は与えられるべきなのだ……。 【ラミア・ラヴレス 搭乗機体:ラーゼフォン(ラーゼフォン) パイロット状態:良好 機体状態:良好 現在位置:B-1 第一行動方針:参加者達の疑心暗鬼を煽り立て、殺し合いをさせる 最終行動方針:ゲームを進行させる 備考:ハチローの腕(ジャイアント・ロボのコントローラー)を所持】 【搭乗者無し 機体:ジャイアント・ロボ(ジャイアント・ロボ THE ANIMATION) 機体状況:弾薬を半分ほど消費 現在位置:B-1】 【二日目 17 00】 前回 第185話「巨人は朽ちず」 次回 第184話「ハイエナの如くに」 投下順 第186話「艦長のお仕事」 第177話「集う者たち~宴の準備~」 時系列順 第176話「反逆の牙」 前回 登場人物追跡 次回 第174話「The Game Must Go on」 ラミア・ラヴレス 第191話「リョウト」
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マ「雨だなぁ」 蒼「もう3日連続だね、マスター。日本ではこの季節を梅雨って呼ぶんだよね」 マ「蒼星石は雨が嫌いなんだっけ?」 蒼「そうだよ。マスターの洗濯物が乾かないし、布団も干せないし・・・ ・・・あ、マスター牛乳が切れてるよ」 マ「んーそれじゃ今日のご飯を買い出しに行くとしますか。 ・・・蒼星石も一緒に来る?」 蒼「わっだっダメだよ。人に見られちゃうよ・・・」 マ「傘でちゃんと隠してやるから大丈夫だって。 ずっと抱っこしててやるよ。それでもダメ?」 蒼「ずっと・・・?そ、そんなの恥ずかしいよ・・・」 マ「それじゃ決定。でかい傘持っていかないとな」 蒼「・・・ね、マスター」 マ「ん?」 蒼「・・・ちゃんと僕の事、守ってね・・・」 マ「・・・(//// と、当然だろ」 蒼(雨、ちょっと好きになったかも)
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【検索用 ろくかつのあめはきらい 登録タグ VOCALOID hiruneko ろ 初音ミク 曲】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:hiruneko 作曲:hiruneko 編曲:hiruneko 唄:初音ミク 曲紹介 2作目です。hirunekoと申します。 曲名:『六月の雨は嫌い』(ろくがつのあめはきらい) hirunekoの2作目。 雨女である梅雨子をテーマにした曲。 歌詞 (piaproより転載) 雨の降る朝もくだらない夜も この部屋の中じゃ何も変わらない セイム デイ ステイ・アウト 醒めよ 虹も透明な橋を渡ってくる ハワ ザ レイニーデイ? 前線は上昇 不安定情緒 六月の雨は長いから嫌い 嫌い あっという間に去って 夏が来るのを待ってる 昨日より長い七月の足音がなんてことなく消えて さよなら夢の跡 いつの間に消えた虚ろな景色も 一歩踏み出せばまるで気が変わるウェンズデイ 時よ止まれ この世界はまるで硝子のよう ユア ザ レイニーフェイス 前線は停滞 いかんせん空虚 うだるように暑い突然の真夏日が あっという間に解けて虹が出るのを待つわ 去年より長い伸びすぎた前髪がなんてことなく濡れて あの日の夢の中 止まぬ雨を頂戴 消えぬ雲は悪夢のよう 朝が消えた 朝が消えた ひとりはもう嫌なの 六月の雨は長いから嫌い 嫌い あっという間に去って 夏が来るのを待ってる 昨日より長い七月の足音がなんてことなく消えて さよなら夢の跡 コメント 名前 コメント
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登場人物 A(S02) 新渡戸くん。 B(S11) 樋口さん。 C(S07) 夏目ちゃん。 B01 「急にそんなこと言われても…も、もうちょっと考えてからでもいいですか」 A01 「それは望みがあると期待してもいいのかな」 B02 「ご、ごめんなさい、あまり期待はしないでください。でも私…私も新渡戸く んの事好きです。だから、ちゃんと考えたいんです」 A02 「分かった。急かせるような事言ってごめんね。俺、待ってるから」 B03 「ということがあったんだよ、ついさっき」 C01 「リア充って爆発すればいいと思うわ、本当に心の底からそう思うわ」 B04 「本当もーびっくりしちゃったんだよ。あんなマンガみたいな事ってあるんだ ねえ。私、新渡戸くんとあんなに長く話したのも初めてじゃないかな。初 めての会話が… きゃー! はずかしー!」 (暫く身もだえ) B05 「ねえねえナツメちゃん、なんて返事したらいいかな?」 C02 「滅べビッチ野郎が」 B06 「もー、真面目に聞いてるんだよ」 C03 「んなニヤけた声で何が【どうしたらいいと思う~♪】だよ、このスゥィーツが」 B07 「もー! 人の幸せを素直に喜べない人は幸せになれないんだぞっ」 C04 「うれしそーにノロケてる暇があったら、さっさとオツキアイでもお始めあそ ばせになりやがったら如何でございましょうか、お嬢様」 B08 「えー、でもでも、そんな即答して【けっ安い女だぜ、ホイホイついてきやが るじゃねーか】とか思われたらヤじゃない? 幻滅されちゃうよー」 C05 「ホイホイついていけばいいんじゃねーですかー? もう公園デビューしち まえよ、糞が…」 B09 「あっ、もうこんな時間。ごめんねナツメちゃん、駅前の古本屋さん閉まっ ちゃうから…また夜にコンタクト送るからね!」 C06 「出ねーよ、絶対出ね―かんな。」 B10 「もー、そんな事言ってても、最後は相談を聞いてくれるナツメちゃんなの はお見通しです。」 C07 「本当に……用ある時だけかけてこいよ。あと本の買いすぎに気をつけな。 今月もう小遣いヤバいって言ってたろ」 B11 「ナツメちゃん大好きっ」
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それは、本当に何気ない日常の一コマに過ぎない……そのはずだった。 それは、冷静な私なら見過ごせる程度のこと……そのはずだった。 それは、唯先輩からしたら只のお遊びでしかない……そのはずだった。 でも、私は耐えられなかった。 優しい笑顔も、ふんわりとした高い声も、温かい身体も、 全部が――嫌いになっていった。 その感情は恋ではない。 この感情は憎しみでもない。 あの感情は焦燥に近い。 ひとつだけハッキリしていることは、嫌い、大嫌いだということだけだ。 「唯先輩、嫌いです……」 照明の点いてない部屋の中、 私は一人、自室のベッドの上で呟いた。 嫌い、という言葉を口にするたび、胸が痛くなる。 左の手のひらを天井に翳して、右腕で視界を覆う。 暗い視界が漆黒に変わる。 今の私には心地よい、何も考えたくない、このまま海の底に沈んで眠ってしまいたい。 今日あった出来事は、私を苦しめたのだ。悲しみが溢れ続ける。 十秒……三十秒………百秒…………千秒、時間が虚しく経過していく。 ――気がつけば、午前二時の深夜。 「唯先輩、嫌いです……大嫌い、です」 私は繰り返し、自認させるかのように呟き、意識を闇に沈めていったのだった。 ――今朝。 下駄箱を通り過ぎた辺りの廊下で、背後から包まれる感触を味わった。 「おはよー、あーずーにゃーん♪」 声を聞く前に、誰だかわかってしまった。 「おはようございます唯先輩、でもいきなり抱きつかないで下さい!」 体温が、グンと上がったのを自分でも感じた。 恥ずかしさから反射的に否定の言葉が出てしまう。 「えー、じゃああずにゃん、後ろ向いてー」 「どうしてですか……」 「いいからー、はい!」 「もう、しょうがないですね」 後ろを振りむくと、律先輩、澪先輩、紬先輩の3人がいた。 視線があったので挨拶をしようとするけど、 「あーずーにゃーん、抱きついていい?」 唯先輩が確認を取ってくる。 どうやらいきなりではなく、したいようだった。 「ダメです」 私は、すかさず拒否をした。 「えいっ! う~~ん、柔らかーいよー」 でも、唯先輩はお構いなしに抱きついてくる。 髪の毛から漂ってくるシャンプーの甘い香りが鼻腔を刺激する。 「おまえらー、相変わらず仲いいな」 「律先輩、おはようございます。……呑気に見てないで助けてください」 「ヤだよ、大体そんなニヤケ顔で助けを求められてもねー」 「そうだねー♪ 梓ちゃん、嬉しそうだし」 「ムギ先輩まで……!」 「あずにゃーん、可愛い」 「もう、いい加減離れて下さい!」 「ちぇー」 これが私の日常風景。 大好きな、私のやり取りだった。 だけど、戸惑いも感じた。 初めて経験した学園祭でのライブの日から、 自分の中にしこりみたいのを意識してしまうのだ。 特に、唯先輩に対して。 そんなことを考えながら、先輩たちと別れて、一年の教室へ。 入り口付近にいたクラスメイトと挨拶を交わし、自席に座る。 既に教室に来ていた友人が、私の席に集まってくる。 「おはよう、梓ちゃん」 「おはよう、梓」 「おはよう、憂、純」 「あれ、梓ちゃん、元気ない?」 たった一言言葉を交わしただけなのに、私の気分がわかるなんて、 憂はシックスセンスの持ち主……なのかな。 「……どうだろ、たぶん大丈夫」 「悩みあるんだったら、私たちに相談しなさいよー」 「純、ありがとう、本当に大丈夫だから」 「……あ、もしかしてけいおん部の先輩に関係してること?」 なぜか、純にもバレていた。 憂と純が凄いのではなく、私が単純なのかと不安になった。 「ち、違うの! 別に、唯先輩は関係ないから!」 言ってから、自爆したことを悔やんでしまう。 「……梓、何もいうまい」 どうやら私は、単純だったみたいだ。 「えっと、お姉ちゃんがどうかしたのかな?」 憂の優しい視線が心に沁みた。 これは、話さないといけない気がしてきた。 それに、自分一人で悩んでいても、解決できないのはわかっていたから決心する。 「あぁぁぁ! もう! 話すから二人とも一緒に来て!」 二人の手を取り、席を立つ。廊下に連れていこうとするが、 担任の先生がドアをガチャっと開けて入ってきた。 「はーい、HRを始めますので着席してください」 「……じゃあ、お昼休み!」 お昼休み。私はパン派だ。 購買でアップルパイとミニ三色パンとぞうさんの紅茶紙パックホットを購入した。 冬という季節柄、あまり人が立ち寄らない中庭での食事、だったのだが……。 「いや、寒すぎだろ!」 純が耐えられなかった。 「確かに寒いけど、他に良い場所なんてないし」 「部室は開いてないの? けいおん部の」 部室は使える。だけど、あの部室は先輩たちがいて初めて『部室』になる。 けいおん部にとって大切で特別な場所。 だから、嘘を吐いてしまう。 「……部室は使えないんだ、ごめん」 「そっかー、残念」 あっさりと下がってくれた純に心の中でもう一度謝った。 「でも、食べながら話していれば暖まってくるよ」 憂が、手を擦り合わせながらベンチに座った。 「憂は寒くないわけー?」 純が続いて憂の右側の席に腰を下ろし、私は憂の左側に座る。 「うーん、じゃあ人間カイロしようか」 「なにそれ?」 「こうやって、固まって身体を密着させるの、寒いときにお姉ちゃんと良くやってて」 「なんかおしくらまんじゅうみたいだね」 「……恥ずかしい」 ここは中庭。廊下、教室などのどこからでも、誰でも注目することができる場所。 つまり、数多くの視線に晒されていた。 「大丈夫だよ、どこのグループも似たようなことやってるから」 女子高には数多くのグループ、もとい縄張りみたいのが存在している。 だけど、女子高に限った話ではない。女の子の集団があったならどこでもグループが生まれるし。 「そうそう気にしない、気にしない、ほら梓、悩み事をパパ~っと話してみなって」 軽いノリだが、その方が暗くなりすぎず、話しやすくなった。 「なんか、距離感がわからなくなってきちゃって……」 「……距離感? 部内での?」 「最近、私が私じゃなくなっていくみたいなの、近すぎて流されていくというか、でもこのままでも良いなぁって」 「これまたわかり辛い悩み方だな。 梓がいいんならそれで良いんじゃない? 私だって、ジャズ研の先輩たちの雰囲気に流されるし」 「良いんだけど、ダメなの! 自分でも良くわからないから悩んでるの!」 「うーん、じゃあ一度距離をゼロにして、そこから梓ちゃんが一番理想的な距離感を図ってみたらどうかな?」 「……ゼロ?」 「思い切って、梓ちゃんから抱きついたりして甘えてみるの、たぶん受身でいるから判らなくなるの。 そこから、どの程度までの接し方が梓ちゃんにとって心地いいか考えていくの」 「普通、逆じゃないか? 梓の場合、近すぎて判らないから一度距離をとって大切さを実感させる方がいいような」 「……それじゃあ、ダメなんじゃないかな、今の梓ちゃんが距離を取るってことはどうするの? けいおん部に出ない? それとも、部内で会話を減らす? 不自然極まりないし、 関係をこじらせるだけじゃなく、距離感がもっと混乱しちゃうよ」 「……言われてみるとそうかも、雨降って地固まる作戦は見送りかー」 「今大切なのは、すれ違うことじゃなくて、ありのままの事実関係を見つめることだと思うんだ」 憂の言ってることは、ボンヤリとだけど解る気がした。 私は、すれ違いたいわけじゃない。 気持ちに整理をつけておきたいだけなんだ。 それが解っただけでも、価値があった。 「……私、頑張ってみる! 憂と純に相談してよかった」 「梓、やる気なのか!」 「私は、応援してるよ、梓ちゃんファイト!」 「勿論! や、やってやるです!」 そうして、私は放課後に実行しようと決意するのであった。 帰りのHRも終わり、とうとう放課後がやってくる。 昼休みの時は大丈夫だと思ったけど、いざ実行する時間が近づいてくると、 緊張が私の足を重くさせた。 「梓、けいおん部いくんでしょ?」 「う、うん……」 「ほら、お姉ちゃん達が待ってるから、梓ちゃん頑張って!」 憂の声援を前向きに受け止め、なけなしの勇気を振り絞り、 愛用のギターであるムスタングをいつものように背負い、部室へ向かった。 私を出迎えてくれる先輩方の笑顔を思い浮かべて、部室の扉を開ける。 「おっ、梓が来た」 真っ先に気づいたのは律先輩だった。 口にポッキーを銜えた姿はどことなく男の子っぽい。 「待ってて、今お茶の準備するから」 紬先輩は給仕に手馴れていて、すぐ準備に取り掛かる。 一度くらいは後輩の自分が、お茶汲みをするべきだとは思っている。 だけど、紬先輩が淹れてくれる紅茶は格別に美味しいから手が進まない。 「飲み終わったら、ふわふわの練習だからな」 やる気に満ち溢れていたのは澪先輩。 何か、触発されることでもあったのだろうか。 「えー、今日は寒いし、お茶飲んでお喋りしてよーよー」 相変わらずLAZYなのは唯先輩。 このボンクラでズボラで能天気な唯先輩が、私の心をかき乱した張本人。 ただ、グータラなだけでなく、やる時はしっかりとこなすだけに性質が悪い。 それに、唯先輩がいると部室全体の空気が暖かくなる。あと、身体だけでなく心も。 新入生歓迎会で始めてけいおん部を見たとき、私は唯先輩の演奏と魅力に惹かれていた。 入部するキッカケとなったのも、唯先輩によるところが大きかった。 なんていうか、居心地が良かったのだ。 たった一つのことだったけど、それが全てを物語っているような気がした。 「今日は、しっかりと練習しますです! 良いですね! 唯先輩」 「まぁまぁ、あずにゃん、ケーキだよ、あ~ん」 「……あ~ん……はぁ、美味しいです」 はっ! ついいつもの調子で受けてしまった。 憂の言葉を思い出す。 『受身でいるからわからなくなるの』 そう、ここは、私から動くとき……。 「ゆ、ゆ唯先輩、あ~ん」 手が若干震えながらも、フォークでガトーショコラケーキを刺し、唯先輩の元へ。 「おぉっ! あずにゃんがあ~んしてくれるの? ん~~」 口を大きく開けて私のケーキを待つ唯先輩は、どうしようもなく可愛かった。 「あ、あ、あ~ん!」 唯先輩の口内にガトーショコラケーキが落とされる。 でも、これじゃ只のバカップルみたいだ! 「いやー、今日は暖房の必要がないんじゃないかー暑い暑い」 「そうだな、梓と唯を見ていたら歌詞が思い浮かんだぞ……」 「お、澪も絶好調じゃん」 「そ、それでは……ふたりの距離 縮められればガトーショコラの味 甘い香りが君を運んでくる このまま時間が止まればいいのに だめだよまだ離れないで ずっと君を感じていたい……とか」 「澪ちゃん素敵! 私が後で作曲するからね」 「ムギ……澪もベタな歌詞というか、そのまんまというか……」 「なんだよ律、これはイケるって思ったのに」 「澪ちゃん、私も気に入ったよー、あずにゃんはどう?」 「え? 私ですか? というより、そのふたりって私と唯先輩のことなんですよね……」 そこまで甘い関係を演出していたわけでもないのに……。 「では澪ちゅわーん、私たちもあーん」 「止めろ律、そんな恥ずかしいことが私にできるか!」 「りっちゃん、りっちゃん、私にあ~ん」 「唯は食いしん坊だな、ほら、あ~ん」 「あ……」 律先輩が唯先輩に食べさせてあげる姿を見て澪先輩の表情が翳る。 まるで、おもちゃを取り上げられた子どもみたいだった。 「律のばか……」 小声で呟いたのを、私は聞き取ってしまった。 「澪先輩……」 「ほーら、澪、あーん」 「あ、あーん……」 結局、律先輩に食べさせて貰っていた。 なんか、こっちのふたりのが本物のカップルみたいだ。 お互いの気持ちを分かり合ってるというか、フォローが自然だ。 ふたりを見ていたら、歌詞が、私の頭の中に流れてきた。 視線はそらさないで わたしはいつだって 君の瞳に映っていたい そう 気まぐれな気持ちは許さない 真っ直ぐわたしをみて欲しい 月が輝くように アネモネが笑うように いつまでも…… ……口にしないでよかった、と改めて思う。 詩はやっぱり恥ずかしいから。 「へぇー、梓も中々良い詩が思いついてるじゃないか」 澪先輩の一言は、私につうこんの一撃を与えた。 「……え”」 「思いっきり声に出していたぞ」 「むふふ、あずにゃん、今日は一段と可愛いねー」 「うぅぅぅ~~」 声にならない叫びがこだまする。頭が沸騰してきた。 今なら勢いでアンジェロラッシュができるかもしれない。 「唯はなんか歌詞思いつかないか」 律先輩がケーキを口にしながら尋ねた。 「うーん、サンデー ケーキの日 マンデー アンコの日 チューズデー チョコの日 ウエ――」 「もういい、相変わらず食べ物が多いな……」 「だってー、私の動力源だしー美味しいじゃんー」 「ムギは何かない?」 「私は、ちょっと……」 「そういうりっちゃんは何かないの?」 「律に歌詞を期待するだけ無駄だよ、唯」 「なにをー! ……好き放題言われってるレッテル貼られってる、なんちってーあっはは」 どっかで聞いたことあるフレーズ……。 「練習しますか」 「そうしましょうか」 「そだねー」 「律、早くきなよ」 「おまえらぁ……」 今日もけいおん部のコンビネーションは抜群です。 それから、ふわふわ時間、ふでペン~ボールペン~、私の恋はホッチキスを通しで演奏した。 演奏する瞬間に気が引き締まるけいおん部の空気がとても好きだ。 それぞれ、演奏のなごりを味わい、私のミストーンが少し目立ってしまったことや、 律先輩のドラムが少し走りぎみになってしまっていたことなど指摘しあった。 珍しく、有意義な練習になった日であったため、憂のアドバイスを実践する機会が殆どなかった。 ……これでは部活が終わってしまう。 もうすぐ、冬休みに突入してしまうため、なんとしても行動に移したかった。 「あ、あの! 唯先輩! ちょっと、そこでじっとしていて下さい」 「ん~? だるまさんがころんだでもやるの?」 ギターを背負い、少しうつむき気味の体勢の唯先輩に私は、そのままで、と指示した。 なんだなんだ、と律先輩を含め、澪先輩、紬先輩までもが私のことを注視した。 私は、無言のまま唯先輩に近づき、距離を縮めていく。 残り七メートル、まだ遠い。今の私はきっと顔が赤い。 残り四メートル、これでもまだ届かない。心音が煩く、耳と脳に響く。 残り二メートル、お互いが手を伸ばせば届く距離。手足が震えた。 残り一メートル、もう躊躇わない、そのまま距離をゼロにして唯先輩を抱きしめた。 「…………」 私のほうが身体が小さいので包み込むようなことはできなかった。 でも、いつもは抱きしめられてばかりいるので、新鮮な感覚だった。 桃みたいな柔らかさの唯先輩の感触にやすらぎを感じた。 緊張からか、はたまた羞恥からか動くことができなくなった。 唯先輩はこんな恥ずかしいことを良く抵抗なしで出来るものだと凄さを改めて実感。 「なでりなでり」 「……な、なんですか?!」 急に頭を撫でられ、私は俯かせていた顔を上げた。 「ちゅー」 「…………~~~~~~~っ!」 え? 何? 今何か口に当たった! 2
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――結局、約束通りに商店街の入り口に来てしまった。 時刻は、集合時間の5分前。 辺りに、知っている人の気配はない。 「……唯先輩、まさか遅刻なんてしてこないよね……」 「……あーずーにゃーん!」 「ひゃぁ!」 「良かったーあずにゃん来てくれたよー」 いつの間に、背後に……。 ぎゅーって抱きしめてくれる唯先輩は、いつもの唯先輩だった。 唯先輩が来たら、文句の一つや二つくらいは言うつもりだったのに、全部吹っ飛んだ。 なので、一番真っ先に思った疑問を口にした。 「唯先輩はなぜギターを持ってきているのですか?」 「あずにゃんと練習するためだよー」 「休日に練習? 熱でもあるんですか?」 「酷いよあずにゃーん! 私だって、いつまでもぐーたらしてるわけじゃないんだよ」 「……ではなんで私にギターを持ってくるように言わないのですか?」 「……てへっ」 「可愛く誤魔化さないで下さい!」 「よし、じゃあしゅっぱーつ!」 「ええっ!?」 手を引かれ、歩き出すものの、この強引さは嫌いじゃなかった。 手袋ごしに伝わる手の感触はしっかりとしていた。 商店街の中を突き進む、唯先輩と私は手を繋いだまま歩いていた。 唯先輩の後ろから横に並ぶ。顔を覗き込むとやたらニコニコしていた。 スタジオでも借りるのかと思ったけど、そうじゃなかった。 たどり着いた先は―― 「じゃーん、カラオケボックスー」 「……そうきましたか」 そういえば、カラオケをけいおん部のメンバーで行ったことがないのに気づく。 そもそも、カラオケ自体あまり行かないので無理はなかった。 私は歌うより、弾く方専門だし、歌いたい曲ってなかなか入ってないことが多い。 「まあ、これならスタジオを借りるよりかは安くすみますけど……」 「2人じゃちょっとお小遣いが厳しいよねー」 「それじゃあ、入りますよ」 休日だというのに、人は少なく、受付もすんなりと終わる。 2名様、301号室でございます。 ごゆっくりどうぞ、という店員の挨拶を聞き、部屋に向かう。 エレベーターを使い三階へ、端っこの部屋であることを確認し到着、ドアを開ける。 部屋は2人で使用するにはやや広かった。六畳くらいのスペースはあるだろうか。 照明のスイッチを入れ、唯先輩の隣に腰を下ろす。 「あずにゃん、せっかくカラオケ来てるんだし、曲と一緒に弾いてみてよー」 「ええ、いいですけど、ギターのフレーズが印象的な方がいいですよね」 「あずにゃんの選曲したものだったら何でもばっちこいこいー」 「では……」 デンモクを使い、曲名を検索。 幸いにもカラオケに入っていたおかげで演奏できそうだった。 唯先輩からギターを借りて番号データを送信する。 曲タイトルが表示された。マイクは使えないので、演奏の音を少しだけ絞っておく。 「この曲はイントロのリフが耳に残りやすく印象的なんです、こんな感じで」 出だしのリフを、カラオケBGMと一緒に演奏していく。 しかも映像PV付きだった。 「おお、なんかカッコいい! ……あれ? ギー太の親戚さんみたいなギター使ってるよ、この帽子の人」 「たしか、唯先輩の使ってるのと同じでレスポール・スタンダードです」 「おぉ、あずにゃん物知りだねー」 イントロのギターを一番聞いて欲しかったのだけど、もう終わってしまったので弾きながら歌に移行する。 「She s got a smile that it seems to me Reminds me of childhood memories Where everything was as fresh as the bright blue sky 」 「あずにゃん、英語もできる……実は完璧超人?」 「歌で使われる英語は簡単なことが多いですから」 「あっ、歌ってていいよー私のは独り言、独り言」 「そうですか――Oh, Oh,Oh, Oh! sweet love of mine」 サビを終え、間奏に移る。 「これどういう意味の歌なのあずにゃん?」 「奥さんに向けて作ったラブソングだそうです。英国なんかでは子守唄としても知られています」 「じゃあ私が、あずにゃんの奥さんかぁー」 「唯先輩はどちらかというと子どもです」 それから二番を歌い、また間奏に。その間もギターは弾き続ける。 さすがに歌いながらだと、慣れていないので手元が狂いがちになっていた。 「お、おおっ!」 唯先輩がなにやら映像を見て唸っていた。 「どうしたんです?」 「この腕をぶんぶん回すのカッコいいかも……」 それはギター奏者のパフォーマンス。 唯先輩が食いついたのは、演奏しながら腕を大回転させている映像だった。 確かにインパクトはあるけど、あまり意味ないんじゃ……。 ラスサビを、力強く歌う原曲とは反対に優しく歌い上げ曲も終わりを告げた。 アウトロもしっかりと演奏する。 「――こんな感じですが、どうでしょうか」 パチパチパチパチという拍手を貰い、唯先輩のハイテンションっぷりは健在。 「凄いよ、あずにゃんは何でも出来るよ、天才だよ!」 「そこまで、褒められるのもなんだか恥ずかしいです」 「えっとー、次も次もあずにゃんが――」 「唯先輩も、弾いてみて下さい」 「わ、私? えっとー、そうだ、ドリンク頼まないと!」 「逃げましたね……」 「あずにゃんは何飲みたいー?」 「……紅茶のストレートでお願いします」 「じゃあ、私も紅茶……あ、ホットの紅茶二つお願いしまーす」 唯先輩が受話器を取り、注文した。 「私たちの曲もカラオケに入ってくれればいいのにー、そしたらいっぱい練習できるよー」 「まずはレコーディングをして売り出すことから始めないとダメですね」 「うぇー、めんどうだよー、ムギちゃんが何とかしてくれないかな……」 「いくらムギ先輩でもそこまでは……、ほら、唯先輩も何か曲入れて下さい」 「うむむ、じゃあ私の、思い出の一曲を入れますか」 「唯先輩にもあるんですね、そういうの」 「さりげにひどいよあずにゃん!」 ピピピ、と機械にタッチしていき、選曲が終わる。 表示されたのは『翼をください』だった。 「この曲はね、私がけいおん部に入るキッカケになった曲なんだよ」 唯先輩は席を立ってイントロのフレーズ弾き始める。 どうして、翼をくださいなんだろう。凄く興味が沸いてきた。 「いまーわt」 「失礼しまーす、紅茶ホットをお二つ、お持ちいたしました」 歌いだしのタイミングで店員さんが入ってくる。 唯先輩は気にもせず、歌い続ける。 仕方がないので、私が対応に回った。 「ありがとうございます、ここに置いて頂ければ大丈夫です」 店員さんが軽い礼とともにドアを閉める。 「……かなーうーなーらばーケーキがー欲しーいー」 「結局、お菓子に釣られただけだったんですね!」 期待して損しました……。 でも、唯先輩のギター、リズムを崩すことなくしっかりと弾けている。 歌も、唯先輩の、口内、鼻腔内まで共鳴させることで生み出す、 倍音の多いふんわりとした歌い方は聴き心地がいい。 「ねがーいーごーとがーかなーうなーらばーあずーにゃんーがほしーいー」 …………。 「もう、まじめに歌ってくださ――」 唯先輩が目の前にいた。文字通りに。 「あずにゃん、ごめんね」 不意打ちでキスされていた。あまりの唐突さに目を見開いた。 唯先輩の二度目のキスは、しょうゆラーメンの味がした。 「わけわかりません! どうして……」 「私、あずにゃん、傷つけちゃったよね? あずにゃんに嫌われたくないよ」 「……嫌いません」 「本当?」 「唯先輩のことは好きですよ……それなりに、ですけど」 「昨日のこと、許してくれる?」 「……それはダメです、許せません」 「え?」 「……ん」 目を閉じて待つ。 「ん?」 だけど、唯先輩は意図を解ってくれなかった。 「……全然足りません! さっきのだけじゃ許せそうにないです!」 催促してしまう、もうヤケクソ。 「……あずにゃーん!」 ソファーを背に押し倒される。 と思ったら、ギターをケースにしまっていた。 「ギー太は、見ちゃダメだからね」 「…………」 何をするつもりなんでしょうか。 疑問はすぐに打ち消される。 言葉もなく、私たちは口付けを交わしたから。 瞳と瞳、唇と唇を合わせるだけ、それだけなのに、なんでドキドキするのだろう。 「キスすると、ドキドキだね、あずにゃんはどうかな?」 唯先輩の背中に腕を回すことで返答する。 私は、なんて現金な子なんだろう……。 結局は、唯先輩にすがってしまう。 「えへへ、あずにゃんあったかいよー」 あったかいのは、唯先輩のほうです……。 「もう許してあげます、でも傷ついたのは本当です」 「幸せの、おすそ分けーのつもりだったんだけど、 澪ちゃんに『梓の気持ちをもっと考えてあげろ』って叱られちゃった……」 「だから、写メが添付されていたんですね」 「~~♪」 口笛で誤魔化しますか……。 翼をくださいはとっくに終了していて、 画面にはアーティトへのインタビューなんて映像が流れていた。 とても、カラオケを続ける気にはならなかったので、紅茶だけ飲んで退店することにした。 「あずにゃん、家に来ない?」 カラオケ店を出て、この後はどうしようか、考えていたとき、唯先輩が提案してきた。 「……いいですけど、その前に私の家に寄って行ってもいいですか?」 手ぶらでお邪魔するのは忍びないから。 憂にも、お礼したいし。 「むふふ、あずにゃんの部屋でゴロゴロするチャンス」 唐突に、手ぶらで行きたくなった。 「あんまり、部屋の中を弄らないでくださいね」 「だーいじょうぶ、先輩の私が後輩の部屋を荒らすなんてことはしないから」 不安だったけど、唯先輩なら別にいいかな、なんて不意に思ってしまった。 ペリペリと心の壁が剥がされていくみたいだったけど、やっぱり不快じゃない。 徒歩で帰れる距離だったので、二人で雪道を歩いていく。 しゃく、しゃく、雪を踏み鳴らす音にリズムをつけていきたい衝動に駆られる。 青い空を見上げ、立ち止まる。 ふと振り返ると、二つの足跡が連なっていた。 私が立ち止まることで、一つになっていく足跡を見ていたら、たまらなく泣きたくなった。 「あずにゃーん、どうしたの?」 唯先輩は、急に立ち止まった私を不思議に思ったのだろう。 「……なんでも、ありません、行きましょう」 「手、繋ごうか」 「……はい」 今は、これだけで―― 数十分後、自宅に着き、私は唯先輩を招きいれた。 唯先輩の挨拶もそこそこに済ませる。 友達、というか先輩を連れてきた私たちに、お母さんがお茶を用意してくれた。 部屋の中での唯先輩は、音楽CDを取り出したり、おせんべいをボリボリ食べたり、 ベッドの上でもふもふしたり、ゴロゴロしたり、これ以上ないくらいまったりしていた。 お母さんに、これから先輩の家に行くから、と言うとお茶菓子をいくつか持たされた。 革のボストンバッグに必要な荷物を全部入れて、準備を終わらせる。 それから、唯先輩と一緒にまったりすること二時間。 ようやく、唯先輩の気力が補充されたのか、移動を開始した。 唯先輩の家に着いたのは既に夕暮れ時だった。 「じゃあ、今度は私のお家にあがってあがって、あずにゃん」 「お、お邪魔します」 「梓ちゃん、いらっしゃーい」 「憂、お邪魔するね」 「うん、ゆっくりしていってね」 唯先輩はギターを部屋に置きにいくということで、居間には私と憂の二人だけ。 「梓ちゃん、昨日はゴメンね、結局混乱させちゃったみたいだったし」 「憂が謝る必要はないよ、進むも退くも結局は私次第だったし、停滞より変化を選んだだけ」 うじうじしてるよりかは、成果があったのも事実。 「良かった、そう言ってくれると安心する」 「そうだ、これお母さんから、ここに来る前、私の家に寄っていったの」 鞄から、お茶請けを取り出していく。 もうすぐ夕食の時間が近づいていたので、迷惑かもしれないけど。 「ありがとう、すぐにお茶の準備するから」 「お茶だけでいいから、お茶請け食べちゃうと、お腹いっぱいになっちゃうでしょ」 「うーん、あっ、そうだ! 梓ちゃんも一緒に夕食を食べていかない? そうすれば、食後に皆で食べられるから」 「……でも、憂だけじゃなくて、憂の両親にも迷惑かけちゃうし」 「大丈夫、今日、お父さんもお母さんも国内小旅行に行ってて家にいないから」 「……そ、そうなんだ」 唯先輩と憂のご両親、そういえばまだ会ったことがない……。 「梓ちゃん、電話しなくていいの?」 「……あ、そうだった、ありがとう」 自分の家に電話を入れておかないと……。 連絡もなしに遅く帰ったら、叱られるし。 携帯電話を使って、自宅へ。 『あ、お母さん、今日は夕食いらない、うん、うんそう、 唯先輩の家で食べてくから……大丈夫、迷惑かけないから、うん、それじゃよr』 「梓ちゃん、ちょっと変わって貰ってもいいかな?」 『ちょっと待って、まだ切らないで、同級生の憂が話したいみたいだから変わるね』 「初めまして、私は梓ちゃんのクラスメイトの平沢憂です。先ほど、お邪魔していた姉である唯の妹です」 なんという礼儀正しさだろう。 「はい、い、いえそんなことないです、こちらこそいつもお世話になっております」 電話なのに、頭を下げる憂。 まるで、目の前に私のお母さんがいるかのように話していく姿は、とても同じ女子高生とは思えない。 「それでですね、今日は梓ちゃん、いえ梓さんの夕食は私に任せて頂けないでしょうか、 あ、はい、私が普段、料理をしていますので――」 なんだか会話を聞くのが忍びなくなってきた。 丁度戻ってきた唯先輩に、しーっ、と指を口に当てて状況を伝える。 唯先輩は、口にチャックをする動作をした。 動作を、繰り返して、口を閉じたり開いたり……って何やってるんですか! 地味に凄いのが一層むかつきます! 「(遊ばないでください! 新しい遊びが出来たよーあずにゃんみたいな視線もやめてください!)」 小声で、叫ぶ。 だけど、唯先輩が実に楽しそうにしているので、つい笑いがこみ上げてきてしまう。 「(……っぷぷ! もう止めてくだっくくくっ! ダメです、笑っちゃって……)」 そんなくだらないやり取りがどうしようもなく、楽しかった。 「……もし遅くなるようでしたら、泊めていくよう話をしておきますので――」 ん? なんか今泊めていく云々という言葉が耳に入ったような……。 意識が急に現実に引き戻された感じ。 「ちょっと、憂?」 「――はい、大丈夫です。それでは失礼いたしました。あ、梓ちゃん、変わるね」 「ありがと……お母さん? じゃあ夕食は唯先輩のお家で食べてくから…… え? ううん、今のところ泊まる気はないけど、 え? よろしく伝えてって? ご迷惑かけないようにって? ちょっとま――」 電子音が耳元で鳴っている。つまり、電話が切れた。 なぜか私が宿泊することが決まった瞬間だった。 4