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夜空 ◆iDqvc5TpTI 月。 銀色の月。 夜の闇を照らし、人々に安息を与え、導く光。 されど。 月はただ、道を提示するのみで、選ぶのも、進むのもその人次第だ。 天に輝くことはあれど、救いの手を差し伸べることは無い。 そして、今もまた。 無慈悲に、孤高に。 一つの戦いを見下ろしていた。 ――黒い風が、また泣き始めた…… そんな月を背に、その男も赤きマントと蒼銀の長髪を揺らしつつ、頂きより大地を睥睨する。 魔王だ。 ブラッドと戦った後、人が集まるだろうと踏み、近場の施設を目指し移動していたのだ。 その考えは的中したようで、彼の見つめる先には男女二人の人間。 魔王は迷うことなく、ブラッドにしたように高みから飛び降り襲撃を仕掛ける。 だが、今度は金の虹を閃かせるよりも早く、氷の刃を煌めかせる。 ブラッドとの戦いは結果的には圧勝したものの、この島に居るものがクロノ達以外も決して無力ではないと男に教えていた。 故に、魔王は使い慣れない刀ではなく、自身の最たる武器――魔力を最初っから躊躇なく振るう。 「アイスガ!!」 つらら程のサイズだった氷が、空気中の水分を凍らせつつ大木もかくやというまで膨れ上がる。 落下軌道中に撃つには最適だと選択した魔法は、主の期待に応え重力加速を味方とし、加速。哀れな標的へと迫る。 果たして……。 情報交換に励みつつ、当面の目的地と定めた遺跡に向かっていたジョウイとリルカが、襲撃に気がついたのはほぼ同時だった。 真の紋章が輝き、宿主に警告を発する。 クレストソーサーとしての経験が魔力の急激な収束を捉える。 瞬時に、互いに危機を知らせようと口を開きかけ、目が合ったことで相手が気付いていると判断。 リルカは転がるように左に、ジョウイは大きく後方に跳び、その場を離れる。 直後、降り注ぎしは巨大な氷塊。 あと1秒でも退避が遅れていれば、取り返しのつかないことになっていたのは明白だった。 いや、過去形にしていいものでは無い。 襲撃犯と思われる男もまた、地に降り立ったのだから。 上手いやり方だとジョウイは舌を打つ。 翼なき人の身では、空において逃げ場は無い。 高所からの奇襲は相手の虚を突き確かに有用だが、万一発覚すればたちどころに自分が不利になる。 それが分っていたからこそ、この男は自身の放った氷柱を盾としても併用したのだ。 森の木々のせいで頭上が見えなかったことも痛い。 逆に男は邪魔な木を氷が粉砕したことで、無傷で地に足を下ろせる。 「いった~、いきなり何すんのよッ!!」 口ではそういいつつも、リルカもわかっているのだろう。 両手でしっかりと構えたワルキューレの矢先は、青髪の男へと向けられていた。 ジョウイもワルキューレと交換した回転のこぎりをいつでも起動できるようにボタンに手を添えながら、男を注視する。 やはりリルカ同様、額と両手には紋章は見当たらない。 代わりにとばかりに眼を惹くのは、先端を尖らせ細長く横に伸びた特徴的な耳。 ジョウイは相手の一挙一動に注意を配りつつ口を開く。 「その耳、あなたはエルフ族、ですか?」 「ノーブルレッドッ!? 嘘、マリアベル以外滅んだんじゃないのッ!!」 奇しくも、リルカもその耳の形状に思い至ることがあり声をあげる。 聞いた話では、マリアベルとは吸血鬼の少女らしい。 そういえばリオウの仲間にも一人いたみたいだが、耳は人間と変わらなかったはずだ。 内心首を傾げるも答えを待つジョウイ。 先刻の攻撃から相手が殺し合いに乗っているのは承知している。 それでも、情報は重要だ。 例えば、ジョウイの考察通り彼がエルフなのだとしたら人間嫌いな彼らだ。 襲撃してきたこともわかるし、利用する方法にも繋がる。 果たして襲撃犯の返した答えは、二人の予想とは異なる、否、予想し得ないものだった。 「魔王……。オディオとは違う、されど、貴様たちに死を与える者だ」 名簿にも示されていた名前。 訳がわからないと数分前に二人して首を捻った名を冠する男は。 話は済んだとばかりに素早く踏み込み斬りつけてくる。 狙いは魔王にとって手前に位置するジョウイだ。 かくして戦いの火蓋は、切って落とされた。 ギャリギャリと、ギャリギャリと。 異音と共に刃は回る。 リルカから聞いたチェインソウという別名や外見から、火炎槍の一種かと踏んでいたが、槍よりもむしろ剣に近いらしい。 もっとも扱いやすさに関してはかなり癖が強いようだけど。 バランスの紋章の助けもあって、ジョウイは振動に引きずられることなく、回転のこぎりを振るう。 幸い、相手の武器との相性は良い。 切断する際手前にスライドさせて、力の向きを切断物に対し直角からそらして加えてこそ、最大の切れ味を発揮する刀では、 常に刀身が回転し続ける回転のこぎりで受け止める限り、その斬撃は上手く決まりはしない。 邪魔な木も、用途に添うのこぎりの刃を止めれるわけもなく、切断され、障害足り得ない。 加えて数の利もある。 「ええいッ!!」 刃零れを恐れ、直接打ち合うことを避け後退した魔王に矢が射られる。 リルカだ。 情報交換時に渡したワルキューレを彼女は不慣れながらも頑張って物にしていた。 命中率自体はまだやや低めではあるが、援護のタイミングに関しては申し分ない。 元々彼女が得意としていた魔法は主に単体を狙い撃つ物。 クロスボウという武器の特性上、次弾の装填までに間が開くという欠点もなんのその。 精神力ことフォースに魔法の発動条件を左右されるクレストソーサレスは、射ちどころを弁えている。 前衛ジョウイ、後衛リルカ。 即席ながらも中々のコンビネーションだった。 並大抵の人物では徐々にだが、押されていったことだろう。 この場では無意味な仮説だ。 運が悪かった。 男は一つの世界、一つの時代を震撼させた魔王なのだ。 どれほど即席としては優れていても、装備等が万全の状態とは言い難い二人に、太刀打ちできるものでは無かった。 「魔蝕の霧よ……。黒き風に乗りて、全てを蝕め……」 身を穿たんとした矢を切り払い魔王が力ある言葉を発する。 刀を持たぬ左手に集うは人には稀にしか発現せぬ冥府の力。 「ダークミスト!!」 圧倒的魔力により編まれ、収束していた魔の霧が、吹き出し、拡散し、獲者達を包み込む。 爆発するわけでも氷結させるわけでもなく、表立って脅威とはとれない霧は、しかし、ジョウイとリルカの体力を早急に吸い上げて行く。 よく見れば彼らの周囲の木も朽ちて枯れ果てていた。 「くっ!!」 「嘘、でしょ……」 霧に侵され、立つだけの力さえ失ったリルカが崩れ落ちる。 ジョウイもまた倒れてこそはいないものの、剣を地に突き立て杖代わりすることで、膝をつかないのが精一杯だった。 一撃。 たったの一撃で勝敗は決したのだ。 「ほう? ちっぽけとはいえ魔力に耐性があるか。ふむ、あの男のように一撃とはいかぬか」 くっくっくと笑みを浮かべ、止めを刺さんと魔王は歩を進める。 言に反して不満そうには思えない魔王の様子にジョウイは理解した。 同じだ、と。 この男もまた、ルカ・ブライト同様、虫けらでも潰すように、指一本、魔法一つで、幾多もの命を奪い続けてきたのだと。 そのことを責める資格はジョウイにはない。 どんな大義名分があろうとも、彼は己が勝手で、終わらせれるはずの戦争を長引かせ、直接手を血に染めもした。 だから。 魔王の言葉に覚えた引っ掛かりを問うたのはリルカだった。 「あの男って……。あなた、まさかッ!!」 甘いと自覚しつつも、友のことでないことを心のどこかでほんの僅かにジョウイは祈る。 決着はこの手でつけたいからと言い訳して。 ――その願いは幸か不幸か叶うこととなる 「御名答、とでも言っておこうか? ああ、私は既に、一人殺しているぞ。あの男」 傍らの少女の仲間を犠牲として。 「ブラッド・エヴァンスを!!」 え? 告げられるはずの無い告げられてはいけない名前に、リルカの思考は一瞬の白き闇に覆われる。 ブラッド。 ブラッド・エヴェンス。 戦闘能力に関してなら、ARMS最強とさえ言われる人物。 力だけではない。 冷静な判断力と、静かなれど熱い心を併せ持つ男。 その彼が。 死んだ? 眼の前の魔王に、殺された? 「そ、んな。そんなのって、ないよ。ブラッドだよ?」 前にもこんな気持ちになったことがあった。 リルカは思い出す。 あれはオデッサの作戦を阻止するため、エネルギー供給施設を破壊しに行った時のこと。 ブラッドは作戦を成功させるために、自ら死地へと向かった。 悲しかった。 そうなってしまったのは、ブラッドにそんな役目を負わせてしまったのは、敵の策略に嵌りリルカ達が彼を疑ってしまったからで。 みんなで後悔して。 それでも前に進もうとアシュレーを始め頑張って。 咄嗟の機転で生き残っていた彼に助けられ、再会できた時、すごく、すごく、嬉しかった。 なのに。 「そうだよ、今回だって、あの時のようにさ。死んだと見せかけて、おいしいところでわたし達を」 「ヤツは死んだ! 弱き者は虫ケラのように死ぬ。ただそれだけだ……」 「なんでッ!! どうしてッ!! 魔法は何でもできる力なのに。それ程の魔力を持ってて、魔法をちゃんと使わないのッ!!」 リルカは声を荒げる。 ――魔法はね、ちゃんと使えば、何でもできる力なんだよ もうこの世に居ない、憧れる姉の言葉と、自分の想い。 大事な、大事な、二つを胸に。 男もまた、姉を失った存在だとは知りもしないで。 「……何でも、できる力?」 魔王の表情からは一切の笑みも余裕も消えていた。 ただただ地下深く煮えたぎるマグマのような、暗くも激しい怒りが浮かんでいた。 「ならば、何故、私は、俺は、姉一人救えなかった!! そうだ、何もできはしない。魔法は何も与えてはくれなかった!! 魔法技術が発展していたからこそ魔神器が作られ、ラヴォスから吸い上げた力に母は魅せられ豹変した!! 魔力が高かったからこそ、姉はラヴォス復活に利用され、使い潰され、あらゆる時からも姿を消した!!」 魔に魅入られた女王ジールは葬り去った。 星に寄生し、その命を喰らい進化し続けたラヴォスにすらも、クロノ達の力を借りてとはいえ復讐を果たせた。 絶大な力。 人の身でありながら魔族をも統べる強大な魔力。 優しい母も、最愛の姉も、取り戻すことの叶わなかった、無意味な力。 魔王は泣いているようだった。 一人は寂しいと悲鳴をあげる子どものように、普段の彼からは考えられぬほどに喚き散らしていた。 自身でも情けないと思いはするが激昂は収まらない。 リルカの訴えもやむことは無く。 姉を魔法に奪われた二人の人間は、されど逆の位置に立ち、互いに一歩も退かなかった。 口を使っていてはどこまでも続く平行線だ。 口論の終わりが、暴力により訪れるのは当然の帰結だった。 「魔法はなんでもできる力? ふざけるなっ!! 魔法など壊し、殺し、奪う。ただそれだけの力なのだ!!」 「違うッ!!」 「黙れ。貴様は、実に耳障りだ!! 爆ぜろ、薄汚く肉片を撒き散らしながら!! 久遠の闇に抱かれて!!」 「いけないっ!!」 自分が眼中になく、リルカを狙う魔法が放たれることを察したジョウイが、デイパックより引き抜いた一本の剣を魔王に投げつけるも。 破れかぶれの一撃は、魔王を捕らえることは無く金色の虹の一閃と共に弾き返される。 迂闊さを呪い半身を逸らすことで剣を回避するも、助かるのはジョウイのみ。 地に両手をつき、伏した上半身を起こした状態であったリルカの前には、漆黒の宝玉が顕現していた。 違う、物質ではない。 高密度に圧縮された魔力の渦だ。 リルカに接触し砲丸ほどの大きさのある球が震える。 拡散させることなく貯め込んだ力が、衝突の刺激で臨界点を超え一気に暴発する! 「ダークボム!!」 「う…………あ、…………」 悪魔が翼を震わせるかの如き爆音が響き、餌食の断末魔さえをも喰らう。 小さな少女の身体は、血肉を欠けさせながら襤褸雑巾のように吹き飛び、ジョウイの頭を超えて行き。 枝葉を折り、鈍い音を響かせ、地へと墜落した。 「フン。我が前に立ちはだかる者は一人残らず消す。貴様にも聞こえるだろう。黒い風の音が……」 死人に口なし。 ようやっと心を乱すパルスを遮断した魔王は、次はお前だとジョウイに刃をかざす。 「そうだね。君の……言う通りだ、魔王」 リルカに魔王が気を取られているうちに貯め込んだ体力を振り絞り、ジョウイは立ち上がる。 死を受け入れたのではない。 生を諦めていない証拠に突き出すは右の腕。 手の甲に刻まれしは、先刻投擲した剣に似た赤黒い紋様。 リルカには武器攻撃力が上がる物だと説明していたそれこそが。 世界の根源を司ると推測される真の27の紋章のうちの一つ。 始まりの紋章が片割れ、黒き刃の紋章。 「魔法は、紋章術は。どれだけ強力でも、決して万能なんかじゃない」 その強さがあれば、全てを守れると思った。 ルカ・ブライトを利用し、一国の王にまで登り詰めた。 そこまでして尚、次々と掌から零れ落ちるのを止めることはできなかった。 「ピリカの両親や、ナナミ、シードにクルガンを生き返らせられはしない」 ジョウイの力では、無理だ。 失ったものは二度と手に入らない。 ジョウイ自身の力では。 ――どのような薄汚い欲望でもよい。何でも望みを叶えてやる 魔王オディオはそう言った。 ナナミに関しては、危機一髪で治療が間に合ったという考えも捨てきれない。 だけど、ルカ・ブライトは違う。 この眼で死体も確認したのだ。 狂皇子は、死んだ。 死んだはずの名前が、名簿にはあった。 死者蘇生。 誰にも不可能だと思っていたこと、軽く成し遂げたあの魔王の力なら。 「それでも、だからこそ。ぼくは、平和な世界を作ってみせる」 ジョウイは賭けた。 オディオに、彼の力に。 チップは、自らの命。 配当は、自分以外の他の誰もの幸せな明日。 ゲームの種目は、バトルロワイヤル。 「その為にも。まだ……、死ねない!!」 獣の紋章を抑える為に酷使した黒き刃の紋章。 後どれだけ反動に耐えれるかは分らない。 リルカを見捨てず、自身が逃げづらい前衛に立ってまで封じていた文字通り最期の切り札。 切り札足り得る最強の破壊の力。 黒き刃が歓喜の声を上げ、紋章が光を得る。 出し惜しみはしない。 まずはこの危機を切り抜ける。 魔王も紋章を脅威と察し、数度目の魔法を唱えようとして。 「万能じゃ、ない? 当然、だよ。一人で、全部できるわけ、ないじゃない」 闇と黒は、形を得るよりも早く、赫き風に祓われた。 「魔法はね、誰にでも使えて。そして――何でもできる力」 ジョウイは目を見張る。 魔王さえも、驚愕していた。 「クレストソーサーなんかじゃない。紋章術とかいうのとも多分違う。 誰しもが、持ってる、その人にしか、できないこと」 赤、紅、朱、赫、あか、アカ、AKA。 世界は赤一色に埋め尽くされていく。 禍々しいまでの赤、毒々しいまでの朱。 具現化するまでに濃密な魔力の奔流。 「わたしなら、失敗しても、躓いても絶対にめげないこと。それが、魔法。そう、誰にだって、できることはあって。だったら……」 そんなあかい世界を引き連れ中心に佇む少女は。 リルカ・エレニアックは。 「みんなで、なら。わたし達は、なんだって、できるッ!!」 狂い咲く血の色に染まることなく。 瞳に凛然とした意思を宿し、お陽様のような笑みを浮かべて。 言い切った。 彼女がARMSで見つけた、彼女の答えを、彼女の魔法を。 勝者が一人しかいないバトルロワイアルを否定する言葉を。 「リルカ、無事だったんだね」 「うん、わたしを助けようと、ジョウイが投げた剣のおかげでね」 我に返り、やっとのことで話しかけたジョウイに、リルカが掲げるのは確かに覚えのある武器だった。 しかし、同時に全く知らない剣へと変化していた。 力だ。 不吉な形ではあるものの支給品をチェックした時は何の変哲もない剣だったそれは。 今や赤きオーラを纏った一本の魔剣と化していた。 「だから、今度はわたしが、助ける」 ミスティックにより強引に本来の力を叩き起こした紅の暴君――キルスレスを手に、リルカが庇うように前に立つ。 「ジョウイは、逃げて」 言いつつもリルカは魔剣に意思を通わす。 ミスティック。 リルカ達の出身であるファルガイアにおいては、強い意志や想いは精神論だけではなく実際の力として具現化して現われやすい。 裏を返せば、心を持たない機械や道具は設定数値以上の力は発揮できないということだ。 その限界を突破させる技巧がミスティックだ。 自身のフォースを分け与えることにより、あたかも道具が意思を得たかのような状態にし、秘められた力や規定以上の能力を引き出せるのだ。 リルカが魔剣にミスティックをかけたこと自体は偶然だった。 死に至る傷を負ってさえ生を諦めなかった少女は、地を這いなんとか前へと進もうとした。 その手が自身と同じく魔王の手により打ちつけられた魔剣に触れたことも偶然。 クレストグラフを必要としないミスティックに全てを託したのも偶然。 キルスレスが刀身に担い手の心を乗せるという構造上、フォースが浸透しやすかったことも偶然。 契約者を失った剣が、紛い物でもいいとリルカを生かそうとしたのもまた偶然。 だがしかし、それら全てはリルカが生きて護り抜こうと足掻いたからこそ起きた必然也。 ――奇跡は待つものではない。奇跡は、自分の手でおこしてこそその価値があるのだ うん、忘れてないよ、アーヴィング。 リルカの意のままにキルスレスより光が漏れ、ジョウイへと注がれる。 赤き波動がみるみる失われた活力を補っていく。 「力が、戻ってくる?」 「真紅の、鼓動。ジョウイも癒せるよう、範囲を広げてみたんだ。これで、もう、走れる、よね?」 「リルカ。それじゃあ、君が……」 「あ、その、わたしは、へいき、へっちゃら、だよ?」 不安を顕わにするジョウイに笑って誤魔化すも、リルカは既に限界だった。 宿主を生かそうとする剣の力でぎりぎり死の淵より戻って来れたに過ぎない。 気を抜けば、そこで終わり。 息切れする身では喋ることすら流暢にはいかない。 「おっきいの、撃つから。離れていてくれないと巻き込みかねないんだ」 間違ってはいない。 でも、正しくもない。 知識とともに剣より流れ込む破壊の意思。 万一乗っ取られたら、危害をジョウイにも加えかねない。 それに、自分を責めてほしくもなかったから。 ――壊せ、殺せ、破壊しろ、我らと同じ苦しみを、肉を削ぎ落される痛みを、焼き払われる恐怖を、踏みつぶされる嘆きを、与えろ、あらゆる命……。 念が途切れる。 魔剣から引き出していた力もだ。 ミスティック一回ではこれが限界。 剣もそのことを理解しており、僅かな時間で己が全ての知識と意識を一遍に流し込もうとする為、リルカが受ける負担は常の伐剣者以上のもので。 只でさえ適格者ではない少女の心は急速に蝕まれていく。 「……わかった」 「あ、それと、これ、持ってって。わたしが剣、持ってっちゃうし」 耳につけていたキラーピアスを外して渡す。 接近戦をこなせるジョウイなら、きっと役立ててくれると信じて。 軋む心を押し込め、リルカは笑う。 「元気があれば、何でもできるから。ジョウイは、ジョウイの、魔法を見つけてね」 「後で返すから。無事でいてくれ」 身を翻し、背を向け、駆けだすジョウイを見送るリルカ。 「逃がしはせぬ!!」 黙って見過ごすほど、魔王は甘くは無い。 リルカのミスティックよりも早く、新たな魔法を詠唱。 凝縮された魔力のうねりは疑似的なブラックホールと化し、強力な引力を発生。 逃走しだしたジョウイを笑うかのように、引き寄せ、リルカともども飲み込む……筈だった。 「な、に?」 中空に浮かんだ黒き点が消えていく。 魔王が制御していたはずの魔力は、集うことなく虚空へと散開して行く。 その有り得ない現象を前にして、流石の魔王も、いや、魔王だからこそ困惑した。 これまで魔力の扱いで彼が失敗したことは無かったのだから。 正気に戻った時にはもう遅い。 ジョウイの姿は刻一刻と小さくなり、3度ミスティックで魔剣を始動させた少女が立ちはだかっていた。 魔女っ子は魔王へと告げる。 「『魔法』……見せて、あげるよ」 再度、赤き風が吹きすさぶ。 現実に、リルカの心に。 ある一つの島で起きた戦争における犠牲者達の憎悪や怨念が寄り集まり生まれた存在――ディエルゴ。 人一人が抑えるには強大すぎる彼の者を受け止める覚悟をする。 「……――ス」 島一つがなんだ。 リルカは知っている、世界一つの負の感情を取り込み育った焔の魔神に負けることの無かった一人の青年を。 彼が味わった辛さに比べればこのくらい。 ――へいき、へっちゃらッ! 「――セス」 ずっと、見てきた。 好きだったから。 大好きだったから。 だから、唱える。 「……クセスッ!」 ホクスポクスフィジポスが元気が出るおまじないなら、それは、立ち向かう勇気の出るおまじない。 人を好きになった証。 自分も好きになれた想いの結晶。 届くことはないけれど、抱いてよかったと思える一つの魔法。 「アク、セスッ!!」 ――アシュレー、お姉ちゃん、見ていて。わたしの、魔法を 閃光。 紅が、爆発した。 魔王にとって今夜ほど数多も驚いた夜は無い。 眼を焼く光が晴れ、視界を取り戻した時、敵対する少女のみが様変わりしていた。 各所に彩られていた魔力のアンプは光臨を為し、羽織っていたマントは魔力に耐えきれずにずたぼろになり、マフラーのように靡いている。 代わりとばかりに白く変色しほどけた髪は背を覆い隠さんとするまでに伸び、眼の色もまた真紅へと移ろっていた。 最たる変化は、右腕だ。 血のような赤い色に縁取りされた黄金の剣。 棘の付いた大小二つの輪と連なったその剣は少女の細腕から伸びていた。 融合、しているのだ、剣が、リルカと。 外見だけではない。 リルカに満ちる魔力は、魔王のそれと比しても上回るまでに膨れ上がっていた。 「剣の……魔女……」 自然と魔王の口から零れ出る呼び名があった。 伐剣者、いや、敢えてこう呼ぼう、抜剣者――セイバーと。 ある王朝の言葉にて、救い、切り開く者の意を冠した本来の名を知らずとも、見る者にそのことを呼び起さす何かが今のリルカにはあった。 「そんなんじゃないよ。わたしはリルカ。エレニアックの、ううん、ARMSの魔女っ子、リルカ」 首を横に振り、否定するリルカ。 本格的に抜剣し覚醒したことで、彼女を襲う圧迫は力を小出しにしていた時とは段違いのものになっていた。 思考領域を次々と冒されていく。 それでも分っていることはある。 わたしは『戦える』ということが。 この『痛み』も『姿』もわたしが手にした護る為の『力』なんだ。 「認めん!! 俺は認めんぞ!! 貴様も、貴様の魔法も!!」 魔王の身体は震えていた。 かって海底神殿でラヴォスに魔力を吸われ敗北した時のように、恐怖で。 果たして彼が本当に揺さぶられたのはその身体なのだろうか? 心が。 ――どうか母を、この国を…… 憎まないで…… 心が、大切な誰かの最後の言葉を思い出してしまったからではないのだろうか? 「や……、やられぬぞ俺は……!貴様に、だけはああああああああ!!」 自らの全てを否定する敵を前にして魔王は持てる最大の魔法を紡ぐ。 天に白きトライアングル、地に黒き正三角形を。 回転し折り重なる果ては六芒星。 召喚するは命許されぬ冥界。 現世と冥府、この世とあの世を入れ替える、禁忌中の禁忌。 「ダーク、マターーーァァァァァアアアアアアアアアアア!!」 リルカも、遺跡も、下手すれば僅かに背が見えるジョウイをも巻き込み、ウツツを噛み砕かんとする地獄のアギト。 迎え撃つは、ツルギ。 どれだけ莫大な魔力でも束ねられなければただの有象無象に過ぎない。 固められることのない砂は風の一吹きで軽く飛ばされる。 リルカの手にその為の道具であるクレストグラフは無い。 残っているのは我が身のみ。 故に少女は暴走召喚の手順を応用し、己を媒介にして過剰なまでに力を集わせる。 「オーバーヒート」 イメージする。 一人、核兵器ドラゴングラストヴァインに立ち向かった大好きな人の姿を。 束ねる、拡散しようとする魔力を、自身の周りに。 いつしか少女の内から吹き出そうとする魔力は一つの形を成していた。 闇を切り裂き天高く舞う不死鳥の形を! 「――ファイナルッ」 リルカは地を蹴り、フォースの影響か金色を帯びた赤き鳳凰の嘴たる魔剣を閉じ逝く世界に突き立て、トリガーを弾く。 空気を送り続けた風船に、最後の一押しを。 「バアーストォォォォォォオオオオオオオオオッ!!!!!!」 刹那、限界までに器を満たした魔力が遂に行き場を無くし破裂した。 綺麗な、空だった。 月が輝き星が躍る綺麗な空だった。 でも、やっぱり、お陽さまが、いいな。 仰向けに倒れ込みながらリルカは思う。 魔王の姿も、彼が呼び出した闇も、生い茂っていた木々も、どこにもない。 空が見えたのは、こういうことか。 ちょっと、やりすぎちゃったかな? 少し、遠くを見る。 遺跡はやや外壁が崩落しているものの、無事だ。 これなら、ジョウイも多分、大丈夫。 ブラッドだって、信じるって決めたんだから、最後まで、生きてるって信じよう。 ……わたしは、ちょっと、だめみたいだけど。 崩れゆく中リルカは謝る。 ごめんね、みんな。 みんなでいっしょに帰ろうって約束、今度は、わたしが破っちゃいそう。 テリィ、受験、受けられないや。 ――もう逢えないことよりも、みんなに出遭えたことが嬉しい 思い出の中から囁かれるその言葉にリルカは頷けない。 無理だよ、アーヴィング。へっちゃらじゃ、ないよ……。 誰かを護れたことが、嬉しくて、嬉しくて、 「……ああ、死にたく、ない、なぁ」 アシュレーや、みんなに会え、なくなることが、す……こし、だけ、悲しい……。 天へと伸ばした少女の手は、何を掴むことなく、誰にも掴まれることなく、遅れてきた黎明の光の中、砕けて、消えた。 【リルカ・エレニアック@WILD ARMS 2nd IGNITION 死亡】 【残り46人】 「すまない、リルカ……」 少女の嘘を見抜けないほどジョウイは愚かでは無かった。 殿を務める形になった少女はもうこの世に居ないだろう。 何度も何度も繰り返した光景だった。 ハイランドの王であるジョウイ。 彼を先に進めるため、理想に殉じた何万もの兵が散っていった。 そして、今日もまた一人。 彼を庇って、少女が、死んだ。 無駄には、しない。 ジョウイは誓う。 「ぼくにしか、できないこと」 王として、戦争の無い平和な世界を作ること。 誰もが笑っていられる理想の世界。 成程、確かに『魔法』だ。 魔法でもなければ叶えられない。 同行者は失ってしまったが手に入れたものはある。 リルカから得た情報、特に異世界の実在。 そしてこの眼で見た魔王の脅威。 あの男は紋章もクレストグラフという道具も持っていなかった。 なのに術を使えていた。 どうやら自分の常識に縛られていては、命を落としかねないようだ。 やはり、まず必要なのは情報――つまり 「みんなの、力か」 今回は失敗してしまったが、当初の方針に間違いは無かった。 魔王に取り入るという手もあったが、ああも表立って殺し合いに乗っている人物のもとに居ては、人も情報も集められない。 ルカにぶつけられれば、互いに深手を負わせられたかも知れないが、その状況では間違いなくジョウイも煽りをを受ける。 「あの二人が減らしすぎないうちに、誰かと合流したいとこだけど」 地図を見る。 ここからなら名のある施設は巨木と花園が近い。 「叶えよう、ぼくの願いを。ぼくを信じてくれたクルガンやシード、兵たちの為に。 ぼくを愛してくれたジルの為に。ぼくを慕ってくれたピリカの為に。 ぼくを守ってくれたリルカの為にツっ」 突然生じた痛みにジョウイは顔をしかめ気付く。 キラーピアス。 意図せず握りしめ右手の肉を抉ったそれを、ジョウイは何も言わずもう一度強く握りしめた。 【E-7 南部 一日目 黎明】 【ジョウイ・ブライト@幻想水滸伝Ⅱ】 [状態]:疲労(中)、全身にダメージ(中)、右手のひらに切り傷 [装備]:キラーピアス@ドラゴンクエストIV 導かれし者たち、回転のこぎり@ファイナルファンタジーVI [道具]:ランダム支給品0~1個(確認済み)、基本支給品一式 [思考] 基本:更なる力を得て理想の国を作るため、他者を利用し同士討ちをさせ優勝を狙う。(ルカや、魔王といった突出した強者の打倒優先) 1:利用できそうな仲間を集める。 花園or大樹に向かう?遺跡方面(南西)から離れる。 2:仲間になってもらえずとも、あるいは、利用できそうにない相手からでも、情報は得たい。 [備考]: ※名簿を確認済み。 ※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所で2主人公を待っているときです。 ※リルカと情報交換をしました。ARMSおよびアナスタシア、トカ、加えて、カイバーベルトやクレストグラフなどのことも聞きました。 ※魔王のこともあり、紋章が見当たらなくても、術への警戒が必要だと感じました。常識外のことへも対応できるよう覚悟しました。 遺跡。 古き時代の遺産。 過ぎた歴史だけを奉じられた死者だけを友とし、生きる者を拒んでいたその最下層で瓦礫を押しのけ蠢く影があった。 「魔王が魔法に討たれるか……。それもそれでおもしろいと思ったのだがな」 ダークマタ―を消し飛ばされた時、ふと、姉の、サラの姿が魔王の脳裏に浮かんだのだ。 クロノ達は、いわば正義の味方だ。 時を旅する力を、遅かれ早かれ悪用されないよう廃するだろう。 そうなれば、誰がどことも知れぬ次元の彼方に消えた姉を助けることができようか? 魔王をおいて他には居なかった。 「フン。マジックバリアが間に合ってさえ、この様か」 致命傷さえ負わなかったものの、魔王は衝撃に吹き飛ばされ、何層もの床を破って地下へと落ちていた。 状況を把握した途中からは、自ら進んで魔法で床を壊し、着地時もダークボムの爆風で速度を緩めたとはいえ、ダメージは大きい。 もっともあれだけの威力だ。 攻撃に徹していた術者である少女も恐らくは反動で塵一つ残さず消滅しただろう。 四肢が無事なことと合わせて僥倖だと素直に思える。 上層を見上げる。 天井は、目では確認できないほど上だ。 今からこの身体で地上に帰るのは、一仕事だと判断し、魔王は休息を選ぶ。 流石の彼も、自身で壊したこともあって、まさか地下50階まで貫通したとは知る由は無かったが。 「みんなで、か」 魔王を打ち破ったカエルはクロノ達多くの仲間と共にいた。 ラヴォスとケリをつけるのに際し、魔王も彼らと共闘し、一人ではできないこともあるのだと知った。 少なくとも、オメガフレアやダークエターナルを他人の協力なく撃てはしないというぐらいには。 「一時的に他人と組むのも、ありかも知れぬな」 おあつらえ向きに用意されていた豪奢な玉座に身を埋める。 サイズが大きすぎることこの上なかったが、逆に横になるにはちょうどいい。 昂ぶっていた心が次第に落ち着きを取り戻していく中、ブラックホールが使えなかったことも含め考える。 姉と再会するという魔法を、魔王としてでなく、彼女の弟であるジャキとして唱える為に。 【F-7 遺跡(アララトスの遺跡ダンジョン50階) 一日目 黎明】 【魔王@クロノトリガー】 [状態]:疲労(大)、全身打撲、瓦礫による擦り傷多し [装備]:にじ@クロノトリガー [道具]:不明支給品0~2個、基本支給品一式 [思考] 基本:優勝して、姉に会う。 1:休息をとる 2:敵を探して皆殺し 3:場合によっては他人と組むことも視野に入れる [備考] ※参戦時期はクリア後。 ※ブラックホールが使用できないことに気付きました ※リルカの死体は砕け散りました。 遺跡の入口より少し離れたところに、リルカの首輪と基本支給品一式入りのデイパックが落ちています。 イヤリングは死体とともに消滅しました。 紅の暴君も地に突き刺さってはいますが、ミスティックの効果が切れている為、ただの剣です。 尚、イスラが死亡後参戦な為、彼との契約は切れています。再契約は可能かと。 ※F-7中央部の森林が度重なる激闘の余波で消滅しました。荒れ地になっています。 地に転がっていたワルキューレ@クロノトリガーも巻きこまれ消滅しました 時系列順で読む BACK△040 BIG-TOKA SHOW TIMENext▼042 花園に潜む魔物 投下順で読む BACK△040 BIG-TOKA SHOW TIMENext▼042 花園に潜む魔物 013 ブラッド、『炎』に包まれる 魔王 069 時の回廊 004 彼女の魔法、彼の理想 ジョウイ 063-1 ビッキー、『過ち』を繰り返す リルカ GAME OVER ▲
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キミガタメ(I save you from anything) ◆GOn9rNo1ts 『人生は道路のようなものだ。 一番の近道は、たいてい一番悪い道だ』 ◇ ◇ ◇ 破壊とは、創造よりもずいぶん簡単だ。 先程、遠目にも映える大規模破壊の傷跡を見たばかりの俺は、そう独りごちた。 建築物に関してそこまで知っているわけではないが、それでもあれほどの規模の建物を造るのが容易ではないことは知っている。 つい先程まではオレを見上げていた窓ガラスが、今や地べたに這い蹲っている。 つい先程まではオレを迎えていた自動ドアが、今や灰色と茶色と黒に埋もれて行方不明だ。 つい先程まではオレが手を組み戦っていた者達も、今や何人が生き残っているか。 破壊とは、かくも短時間で事を成せるものである。 窓ガラスを作るのにどれほどの月日がかかったのか。 自動ドアを作るのにどれほどの月日がかかったのか。 人間を成長させるのにどれほどの年月がかかったのか。 銃弾も、爆風も、何もかもの破壊の権化達はそんなことを一切気にしない。 この世の物理法則に従って、慈悲無く己のエネルギーを使い切ろうと働き続ける。その身消えるまで。 全て一瞬だ。刹那の内に、物も命も消えていく。消されていく。 (オレは、どうなのだろうか) 破壊のために生み出され、この地でも命の破壊を繰り返していくオレは。 マスターの命を救うために他の者全てを破壊するオレは。 銃弾と同値か、爆風と同位か、所詮は作られしモノなのか。 (違う、オレには意志がある) 分かり切っていた答えがより強固に、数度の反芻の果てに浮かび上がる。 破壊のためだけに作られたオレを、マスターは兄弟として扱ってくれた。共に生きてくれた。 マスターだけでなく、オレの生命さえも脅かすミュウツー細胞。 そのせいで、ボールの中にいるときもグレンジム内にいるときも特殊な水溶液の中で暮らさねばならぬ、枷だらけの人生。 辛い時もあった。苦しい時もあった。生まれを恨んだ時もあった。 そんな時、オレの傍にはいつもマスターがいた。 声をかけ、身体の体調を気にかけ、時にはつまらないギャグを繰り出してくれた。 激しいバトルの時もオレの負担を減らすために自らその渦中に飛び込み、共に戦ってくれた。 繋がっていたオレには痛いほどマスターの気持ちが分かる。 本当にオレのことを想い、オレのために生きてくれた命の恩人だ。 (彼のために、オレは全てを壊す) 銃弾のように、馬鹿正直に直線を突き抜けることもせず。 爆風のように、考え無しに周りのもの全てを吹き飛ばすこともせず。 オレはオレの意志で判断し、決断し、破壊する。 許されがたき行為だ。分かっている。 マスターはそんなことを望んでいないだろう。百も承知だ。 それでもオレは止まるわけにはいかない。止めるわけにはいかない。 全ては破壊の後の創造のために。 59の命の消滅の後、1つの命を救うために。 我は、ここにあり。 「やー!おろしてー!」 その誓いに水を差すような幼い声が、月光に照らされた暗闇を貫くように響き渡った。 場所はFー4、位置は湖の何処か。悲鳴の主は小さな小さな少女。 聞き手はたったひとりのいでんしポケモン。他には無し。 「お・ろ・し・てええええええええええええええ!!!」 (「……貴様、今の状況が分かっているのか?」) 風がトカゲのようなオレの影に追随するように吹き、水面を揺らす。 オレは『浮く』という単純な行為によって、湖を泳ぐことなく縦横無尽に彷徨っていた。 乱れていく巨大な鏡に映るオレは、どんな表情をしているのだろうか。 何の喜びもないだろう。 悲しみはあるかも知れない。 怒りはきっとある。 そして、今は困惑が加わっているに違いない。 じたばた、の表現がよく似合う少女だ。 手足をばたつかせ、必死に抵抗の意を示す腕に抱えたお荷物。 ひょこひょこ動く獣耳は偽物ではなさそうだ。 そう。アルルゥ、とそう呼ばれた少女は今もなお、オレの手の内にあった。 標的は飽くことなく無駄な行動を繰り返し、繰り返し、その体力を疲弊させている。 そう、無駄だ。いくら喚かれようが、手足を振り回そうが、俺にとっては只の「わるあがき」 この湖に落として頭を沈め続ければ三分もかからず殺せる。 スプーンやV-Swで貫いても殺せるし、素手で首を絞めても殺せるだろう。 あまりにも脆弱にして鈍感。己の命が惜しくないと言わんばかりに反抗を続けている。 (殺せ) オレの中でオレが囁いた。 少し前までの俺、そして今の俺でもあるべき意志。 参加者を皆殺しにしてマスターを救い出す。オレの絶対にして唯一の目的。 今までのように、これからのために、この少女はここで殺すべきだ。 「ねーねーのところ行く!おーろーしーてー!」 (何故、殺さない?) それなのに。 オレは未だにこいつを抱えて湖を飛び回っているし、こいつは未だにじたばたし続けている。 分からない。 オレはオレが分からない。 今、手を離すだけで事は足りるというのに、オレの手と心はがっちり彼女を抱えたままそれを拒んでいた。 合理的でも理性的でもないこの行動に、困惑が募る。 殺し合いという極限状況で片手を塞いでまで。 大声を喚き散らし他の者を呼び寄せる危険を冒してまで。 何がオレの意志を揺さぶるのか。 何がオレの心を惑わすのか。 何がオレの決意を鈍らせるのか。 俺のことを理解してくれたから。 馬鹿げた考えが一瞬脳裏に浮かび、刹那、嘲笑と怒りとに蹴散らされた。 「お父さんのため?」という言葉に何の意味があるというのか。 それだけのことに、オレは今までの全行動を否定しようとしているのか。 たった一言の呟きがオレを縛り、血に染まった経歴に新たな赤を加えることを拒んでいるのか。 そんなことはありえない。あってはならない。論外だ。 ――見えぬところに真実がある。 「はーなーし…………?」 (「……来たか」) 突如聞こえた無機質な声色が、オレの思考を中断に追い込んだ。 Dー6で見た物と同じような岩場が当たり前のようにその姿を世界に晒す。 この怪奇現象も二度目となると驚きの欠片も見いだせず、ただただ飛行を続けるのみだ。 続いて聞こえる概念空間云々の警告からして、岩場が姿を現したのではなく、オレ達が別の空間に引き摺りこまれたと言うことだろう。 30分以内に脱出というのは、この空間に留まり外界との接触を避けようとするものに対しての対策。 こちらとしてはどうでも良いことだ。即刻第二の鍵を手に入れ、『約束された勝利』をこの手に掴まなければ。 逃げもしない。隠れもしない。ただひたすらの殲滅あるのみ。 己の使命を再度反芻し、オレは一息をついて岩場中央の石碑に歩み寄る。 「……みえないしんじつ?」 (「この技術における理の変更を知らせる合図だろう。世界の法則を塗り替える、と言ったところか」) この娘もあと少しの命だ。ちょっとくらいの受け答えはしてやっても罰は当たるまい。 この場を離れ、陸地に着いてから……やれば良い。 そう考えると気が少し楽になる。何故かは、分からない。 余計な思考が断ち切られたお陰だろうか。胸の蟠りがすっと消えていった。 対して、娘は変わった世界に驚きを得て、少しは平静を取り戻したようだ。 大人しく目をきょろきょろさせて「おー」などと呟いている……緊張感の欠片もない。 先程からの言葉も命乞いではなく帰りたい、という純粋な想いを叫んでいただけだった。 オレの気持ちも分からなかったが、こいつの考えもさっぱり分からない。 (「貴様、オレが怖くないのか?」) 「んー……わかんない」 (「オレは……『おとーさん』の為にゲームに乗っている。お前を殺すんだぞ?」) 「や!アルルゥねーねーのところ帰る!」 (「いや、や、ではなくてだな。貴様は死ぬんだ。何か少しでも思うところがないのか?」) 「……死んじゃったアルルゥのおとーさんきっと悲しむ。みーのおとーさんもきっと悲しむ」 (「……そんなことは分かって……」) 「だから駄目、絶対」 曇り一つ無い、濁りなど何処にも見えぬ、綺麗な瞳だった。 理屈もない、只の感情の発露が、しかし百の中身無き言葉より胸に響く。 殺しては、殺されては悲しむものがいる。 永久に戻ってこない家族、仲間、恋人、大事な存在。 この世の生きとし生けるものは、一度死んだら終わってしまう。 そんな当たり前の方程式が、急に目の前に迫ってきたように感じた。 分かっている、分かっていたつもりだった事実。 もしかしたら分かり切っていなかったのかもしれない、唯一無二の真実。 オレは今、そのことを本当の意味で理解したのかもしれない。 「…………おとーさん」 おとーさん、マスター、オレの大切な存在。 失いたくない、失ってはいけない存在。 この殺し合いを勝ち残らなければ、喪ってしまう存在。 思い出したかのように目尻に堪り、臨界点を超え、落下。 温かな水滴が、足下にピタリと跳ねた。 ピタリ、ピタリ……ピタリ、ピタリ…… 少女の涙を止める術を、オレは知らない。 愛すべき親を失ったものを慰める方法など、オレは分からない。 彼女の『おとーさん』がこのゲームのせいで命を失したのか、それとも別の出来事があったのか。 知らずとも、分からずとも、悲しみは伝わる。痛みは伝わる。 失うことを恐れているオレが、失った少女の嘆きの調べを聞く。 彼女はもしかしたら、オレだったのかも知れない。 オレはもしかしたら、彼女だったのかも知れない。 ああ、胸に感じるそれは、なんとつまらない……感傷。 ああ、心に思うそれは、なんと身勝手な……干渉。 ただ、オレは落ちていく雫を『たいせつなもの』だとでも言うように見つめていた。 瞬きもなく、目を逸らすことなく。行動という行動を忘れてしまったかのように。 網膜に焼き付けるように。永久に保存するように。じっと、見つめていた。 その無駄な行為はもしかしたら、散り逝くものへの猶予だったのかも、しれない。 そうして何分経ったか分からないまま、時は再び動き出した。 この空間は30分以上滞在すると首輪が爆発する仕組みらしい。 どれほどの時間が経過したか、オレがどれほど馬鹿らしい行為にふけっていたかは分からない。 しかし、ここで死ぬ気は毛頭ない。ことは早急に為す必要がある。 二つめの『鍵』を取り、この空間を脱出し、そして――――。 「……他にも、皆悲しむ」 どうしてだろうか、重くなった足を動かして。 「おねーちゃんも」 あり得ない虚脱感を完膚無きまでに振り払って。 「ベナウィも」 一歩を踏み出し、二歩を歩いて、三歩で止まって。 「……カルラも」 台座に、手を伸ばし。 「トウカも」 そこで、止まる。 彼女の言葉が。 オレの時間が。 腕の震えは、果たして彼女に届いただろうか。 鼓動の高まりは、もしかして彼女に気付かれただろうか。 顔の強ばりを知る術は、ひょっとしたら彼女にあるのだろうか。 リジェクト 『“排 撃”!!!!』 獣のような耳を見たときから嫌な予感はしていた。 予感と言わず、確信と言っても良かったのかも知れない。 深い記憶の奥底から洗い出された一節の欠片が、ふっと浮上してきた。 断片しか思い出せない、培養液の中にいた頃の古い旧い記憶なのだろう。 それはしがない研究員が日常でつぶやいた何気ない一言だったか。 それとも、悪い報せを受けたチーフが漏らした愚痴だったか。 『残念なことだが、嫌な予感ほど当たるものだな』 本当に、そうだと思う。 『トウカァァァァァァァァ!!』 脳裏の遙か遠くから聞こえてくる叫びは、罪深き俺に対しての罰だったのだろう。 オレだけが受ける、オレのみしか受けられない、罰。 内のみに広がる苦みを与え、外傷は存在しない、罰。 感服したという気持ちで誤魔化し。 贖罪という身勝手な意志で断ち切った。 “彼女”の終わり。オレの罪。 この地で殺した唯一の参加者。目標からはあまりにも遠い、恥じるべき殺害数一の記録。 ここで繋がる、結びつく。よりにもよって、こんなところで。 「……………」 今、オレは恐れていた。 唐突な結びつきが、『何か』を解いてしまうことを、恐れていた。 理解できない、漠然とした細い細い繋がりの糸の切断を、恐れていた。 曖昧模糊とした、それでいてはっきりと感じていた接続が、千切れていくことを恐れていた。 群れとして生きる、動物のように。 群として生きる、人間のように。 乖離を。別離を。剥離を。 断ち切られていく関係を、恐れていた。 ほんの少しの温もりを失ってしまうことを、恐れていた。 ……恐れては、いけない。 それでは、そんなことでは目標まで、行けない。 マスターの命も、生けない。 『ちっぽけなこと』を恐れるなど、許されない。 後悔しないと決めたはずだ。 貫き通すと決めたはずだ。 この少女は何だ?殺し合いに乗らない弱者だ。 オレは何だ?全て殺戮せんと誓った化け物だ。 過程は幾多に渡ろうとも、最終的な選択肢は一つ。 他は全て誤り。全て過ち。そうだ、そうなのだ。 オレは、過ちを犯さない。一度のそれが、どんな結果になるか分かるから。 機械のように。人形のように。為すべきこと以外は、やってはいけない。 矛を向ける先を揺らすな。 進むべき道を惑うな。 決意の刃を鈍らせるな。 間違った世界を、堂々といけ。 (「……すま、ない」) ……なのに、どうして。 オレは、懺悔するのか。 「……………………」 教えてください、マスター。 どうして貴方は、こんな自己満足が出来るようにオレを作ってしまったのでしょうか。 どうして貴方は、こんな下らない感情をオレに持たせたのでしょうか。 どうしてオレは、こんなにも苦しまなければ行けないのでしょうか。 教えてください、マスター。 マスター。 マスター……。 (「…………すまない」) 「……………………」 鍵には、『-5』と書いてあった。 マスターの声は、いつまで経っても届いては来なかった。 ◇ ◇ ◇ 対岸まで、あと20メートル。 無言だった。静寂だった。耳に痛い沈黙だった。 アルルゥは疲れたのか、一言も呟きさえ漏らさずに為すがままになっていた。 そよそよと穏やかな風が二人を包み、微笑みながら去っていく。 対岸まで、あと10メートル。 いっそ、なじってくれた方が幾らか楽だったかも知れない。 死ねと、殺したいと、剥き出しの感情を露わにしてくれれば、吹っ切れたのかも知れない。 彼女の顔はもう、見れなかった。見てしまっては何かが終わる気がした。 臆病だと、誰かに罵って欲しかった。誰でも良かった。 対岸まで、あと5メートル。 殺すと決めたはずだ。守ると決めたはずだ。 全てを。マスターを。 我が儘で始め、義務感で殺して。 マスターを助けるという鋼の意志が、拠り所が、消えていくはずがない。 情に揺れるな、情に惑うな、情に鈍るな。 心を揺らすな、心は惑うな、心が鈍るな。 対岸まで、あと2メートル。 だから、オレは。 対岸まで、あと1メートル。 オレは。 対岸まで、あと0メートル。 すまない。 「……ねー、ねぇ」 「――――――――――――すまない、アルルゥ」 最初で最後に呟く彼女の名前は、 とても、とても、重くて、 マスターの次に意味のあるものに、感じてしまった。 『こきゃっ』 場所はFー4、位置は湖の畔。無言の慟哭の主は、いでんしポケモン。 聞き手はたった一人の小さな小さな少女――――――だったモノ。 そこに和解はなく。 そこに破壊はあり。 たった一つの、別れがあった。 【アルルゥ@うたわれるもの 死亡】 そうして彼は、また独りぼっちになった。 【F-4 湖畔/1日目 夜中】 【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】 [状態]:疲労(小)悲しみ(?) [装備]:機殻剣『V-Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル [道具]:基本支給品×3<アルルゥ、仗助、ミュウツー>、どこでもドア@ドラえもん(残り1回)、 第一の湖の鍵(E-)第二の湖の鍵(-5) 不明支給品(0~1)<仗助>、ひらりマント@ドラえもん トウカの刀@うたわれるもの、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL [思考・行動] 0:………… 1:生き残り、カツラを救う。 2:E-5に行く。 3:隙を見て参加者に攻撃を加える。 4:イエローを殺した相手を見つけたらたとえ後回しにしたほうが都合がよさそうでも容赦しない。 5:もしギラーミンの言葉に嘘があったら……? 【備考】 ※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。 念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。 ※念による探知能力や、バリアボールを周りに張り浮遊する能力は使えません。 ※ギラーミンに課せられたノルマは以下のとおり 『24時間経過するまでに、参加者が32人以下でない場合、カツラを殺す。 48時間経過するまでに、ミュウツーが優勝できなかった場合も同様。』 ※カツラが本当にギラーミンに拉致されているかは分かりません。偽者の可能性もあります。 ※V-Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。 使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、 理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。 ※ギラーミンから連絡のないことへの疑問、もしカツラが捕まっていないという確証を得られたら? ※なぜギラーミンの約束したカツラからの言葉が無くなっていたのかは不明です。 ※概念空間の存在を知りました。 『善行は悪行と同じように、人の憎悪を招くものである』 ◇ ◇ ◇ 彼は走っていた。駈けていた。疾っていた。 通行人もいない、舗装された道路の更に奥を目指して。 暗い暗い闇の中、己の存在を際だたせるように。 全力で、このことだけが生きている証であるとでも言うように。 重く、厚い轟音を響かせて。 近所迷惑も考えず、騒音妨害だとさえ、思わずに。 誰もいない夜道を、一人征っていた。 スピードだけが、今は必要だった。 とあるアルター使いの男は言った、『速さが足りない』と。 力も、知略も、運も、実力も、全ては『戦いが始まってから』必要となるものだ。 ならば、そもそもの『戦い』に赴く前に全て終わってしまっていたら。 百人力だろうが、一騎当千だろうが、億万長者だろうが、『スタート』に立たなければそれは『不戦敗』だ。 戦わずして負ける、その結果は不名誉以外の何者でもない。 特に今回の『敗北』は、何があろうと取り消すことはできない。 だから、彼は全力で征く。 スタート地点に立つために。 『戦い』を始めるために。 間に合うのか、間に合わないのか、そんなことは考えずに。 持てるだけの力を活かし、最大限の努力をして。 己が民を救うために。拐かした罪人を裁くために。 レーダーを取り出す手間も惜しみ、目標地点への最短ルートを走り抜け。 病院のなれの果てを通り過ぎようとして、そこで。 「止まりなさい」 凛とした言葉と共に、光が彼を貫いた。 ◇ ◇ ◇ 簡単に言おう。 赤ん坊でも子どもでも大人でも老人でも分かるように言おう。 赤ん坊はわんわんと泣き出し。 子どもは裸足で逃げ出して。 大人は平謝りながら土下座を。 老人は腰を抜かして病院行き。 それくらい分かりやすく、目の前の男は憤慨していた。 「一度だけ言う――退け」 「嫌よ」 そして、子どもであるところの自分は裸足で逃げ出したい気分だった。 事の発端というか、ついさっきの出来事になるが。 私、御坂美琴と連れ、ラッド・ルッソは、深い静寂をぶっ壊す騒音を耳にした。 私たち参加者以外は誰もいないこの世界はとても静かで。 だからこそ、その音は酷く耳障りだったし、嫌と言うほど目立っていた。 所謂、独壇場だった。広告塔だった。 「おいおいおいおい、どーすんだよミコトちゃんどーすんのよミコトちゃん。 こんなド派手に『自分はここにいますよー』ってアピールしてやがるんだ。 罠か?目立ちたがり屋か?馬鹿か?そう見せかけた天才か? さあて、どう料理してどう味付けしてどう食っちまうんだよ、ミサカ・ミコトちゃんよお」 「分かんないわよ、んなこと」 そう言いながらも、身体はラッドと共に音の出所へと向かっていた。 ざくざくと、割れたガラスの上を注意深く、それでいて早足で通り過ぎて。 以前は自動ドアが有っただろう場所を、最早立ち止まりもせず通り抜けて。 近づいてくるバイクが目視できた、その瞬間。 一瞬だった。 一瞬で、記憶が頭の中を駆け抜けた。 『ライダー、彼は僕の敵だ。きっとゲームに乗って人を殺し回っているだろう』 衛宮切嗣は、そう言っていた。 優しくて、頭が良くて、機転が利いて、良い人だった衛宮さんが言っていた。 私を、私なんかを庇って死んでいった衛宮さんが言っていた。 『絶対に、斃さなければいけない』 人を殺し回っているだろうと。 絶対に斃さなければいけないと。 私にとっての『セイギノミカタ』である衛宮さんがそう言っていたんだから。 私はそれを、信じた。 今も、信じていた。 だから。 「止まりなさい」 考えている暇なんかないくらい高速で、こちらを通り過ぎようとしたバイクに向かい。 コインを、『超電磁砲〈レールガン〉』を、奴に、ライダーに、ぶっ放した。 殺し合いに乗っている人間を放置するわけには、行かない。 自分たちが見つかっていないからと行って、見過ごすわけには、行かない。 もう、誰も殺したり殺させたりは、させない。 決めたから。愚かだと言われようと馬鹿だと嘲られようとも、この気持ちは曲げないから。 それが私の、御坂美琴の望む自分だけの現実(パーソナルリアリティ)だから。 もし、殺さなければ生き残れないと、愚鈍にも、聡明にも、思っているのならば。 まずは、その幻想をぶっ壊す。 そうしてこうして、コインは見事、ライダーの乗ったバイクを完膚無きまでに貫いて、大破させて。 それで終わり、終了、となれば良かったのだけど…… 驚くべきことに、ライダーは超電磁砲直撃の一瞬前、全力疾走していたバイクを飛び降りた。 サーカスの曲芸を見ているような、とでもいえば分かりやすいだろうか。 彼ならばその程度では死なないと分かっていたが。 ダメージくらいならば与えられるかも、と思っていたのだが。 私は英霊(サーヴァント)の恐ろしさを、未だ分かっていなかったらしい。 全身複雑骨折、内臓破裂は免れぬ暴挙を侵した巨漢は、全くの五体満足で、二本足で立っていて。 今現在、怒りと敵意と殺意を隠すことなく、余すことなく、私たちに刻み込んでいるのだった。 ていうか、冗談じゃなく物理的に刻まれそうな気さえしてくる。 やばいかも。不味いかも。死ぬかも。じんわりと、冷や汗。 以前は、盗み見のような形で彼とかぎ爪の男の戦いを見て。 不意打ちのような形で攻撃して、それで終わりだったが。 真っ正面から対峙してみて初めて気付く、彼の『強さ』 単に身体が大きいと言うだけでなく、身のこなしも人間を大きく逸脱している。 バイクを蹴飛ばし、宙高く舞い上がった、瞬発力。 恐るべき衝撃を受けるだろう、そんな行動をしても全くダメージを受けていない、頑丈さ。 そしてそれ以前の問題として、一瞬で最適解を実行に移した判断力。 全てにおいてトップクラス。英霊という称号は確かに、彼にこそ相応しい。 勝てるかどうか、敵うかどうか、そんなことは分からなかった。 衛宮さんと共に行った時のような策はない。考える時間もなかった。 共同戦線を張るのは、彼とは似てもにつかない殺人狂だ。信頼なんて、出来やしない。 だけど、後悔はしていない。 これ以上、被害者を増やすわけにはいかないし。 これ以上、加害者をのさばらせるわけにはいかない。 別に、ご大層な正義感なんてもんは持ち合わせちゃいないけれど。 他の人間がどうなっても良い、なんて薄情な心も持ち合わせてはいないつもりだ。 「やっこさん、すんげえ怒ってるなあ、やばいくらい煮立ってるなあ! ま、ミコトが『敵』って判断したんだったら俺も異論はねえけどよお」 「無駄口叩いてないで……来るわよ」 手にはコインを。意識は前に。 想いは不殺。狙いは拘束。 戦いが、幕を開ける。 【E-5 病院跡/一日目 夜中】 ※病院は完全に崩壊しました。 ※美琴の電撃とガウェインのハドロン砲の影響が広範囲に伝わっています。 【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】 [状態]:疲労(小)、全身に打撲と擦傷(小)、脇腹に打撲(小)、胴体に貫通傷×3(小)、全て再生中 多大な喪失感、強い決意、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫ [装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。 [道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、不明支給品0~2個(未確認)、病院で調達した包帯や薬品類 コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り88枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ) 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ [思考・状況] 0:目の前の男に対処。 1:首輪を解体できそうな人物(第一候補はグラハム)を探す。 2:一人でも多くの人を助ける、アイツの遣り残した事をやり遂げる。 3:人は絶対に殺したくない。 4:自分と関わり、死んでしまった者達への自責の念。 5:上条当麻に対する感情への困惑。 6:ラッドについては、警戒しながらとりあえず一緒にやっていく。 【備考】 ※参加者が別世界の人間、及び参加時期が違う事を聞きました。 ※会場がループしていると知りました。 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました。 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。 ※地下空間の存在を知りました。地下にループ装置があるのではと推察しています。 ※会場は『○』の形に成っているという仮説を立てています。 ※全て遠き理想郷(アヴァロン)が体内にあることを知りません。 ※ラッドの事を『原石』(天然の能力者)かも知れないと考えています。 ※参加者についての情報は以下の通りです。 協力できそうな人物:レナ、沙都子、梨花、ゾロ、チョッパー、アルルゥ、佐山、小鳥遊、グラハム、ウルフウッド 直接出会った危険人物:ゼロ、ラズロ(リヴィオ)、メイド(ロベルタ)、宇宙人(ミュウツー) 要注意人物:ライダー、白仮面の男(ハクオロ)、ヴァッシュ、水銀燈(殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める) ※首輪の機能について、以下のように考えています。 確実に搭載されているだろう機能:「爆弾」「位置情報の発信機」「爆破信号の受信機」「脈拍の測定器」 搭載されている可能性がある機能:「盗聴器」「翻訳機」 ※首輪は何らかの力によって覆われていて、破魔の紅薔薇にはその力を打ち消す効果があると考えています。 【ラッド・ルッソ@BACCANO!】 [状態]:不死者化、白衣@現実 [装備]:破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero [道具]:基本支給品一式(食料一食、水3/4消費)、コイン [思考・状況] 1:目の前の男に対処。 2:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。 3:脱出に使えそうな奴は出来るだけ殺さない。 4:邪魔する奴は殺す。足手まといも機を見て殺す。 5:ゼロは絶対に殺す。 【備考】 ※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。 ※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。 ※リヴィオとラズロの違いに気付いていません。また、ラズロ(リヴィオ)のことを不死者だと考えています。 ※ゼロのことを不死者だと思っています。 ※ルーアとデューンは最初から見せしめとして連れて来られたと考えています。。 ※参加者や首輪についての情報は美琴とほぼ同様。 運が悪かったとしか、言いようがなかった。 ラッド・ルッソはライダーのことをこれっぽっちも知らなかったし。 御坂美琴はよりにもよって、『勝つためならば手段を選ばない』衛宮切嗣の嘘によってライダーを危険人物だと認識していた。 一方のライダーも、普段ならばもう少しゆとりを持って彼らとの誤解を解けたかもしれない。 しかし前述の通り、彼には時間がなかった。圧倒的に時間が足りなかった。 また、運が悪いことに彼は目の前の男、ラッド・ルッソが殺し合いに乗っているものだと認識していたし。 彼と一緒にいる少女にも、以前襲撃されたことがある。 そこから早急に導き出される解は一つ。 この二人は手を組み、優勝を目指している、と。 何度も言うが、彼には時間が無く、全くの余裕がなかった。 ライダーは大使ではなく軍師でもなく、王である。 だからこそ、『目の前の障害を以下に突破するか』のみを考えてしまったとしても、仕方のないことだった。 交渉は無意味。逃走などあり得ないと考えてしまうことも、詮無きことだった。 そもそも、先ほどの一撃を避けることが出来たのも、それが『前』から来たからだ。 仮に『後ろ』から何発も放たれれば、いくらライダーといえども直撃する可能性が低いとは言えない。 ならば、真っ正面から速攻で彼らを斃すことが一番の近道。安全策。 人としてあった頃と、聖杯戦争の時と、やることは変わらない。 これこそが征服。これこそが征服王イスカンダル! 焦りは間違いを生み、間違いは肥大して新たな間違いを生む。 雁字搦めの状態で、それでも王は民を救おうと戦いへと赴く。 その戦いが全くの無意味、ゼロどころかマイナスの結果しかもたらさないことを知らず。 救うべきものが骸になってしまっていることも分からず。 王は戦いへと、赴く。 【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】 [状態]:魔力消費(やや大)、疲労(中)、腹部にダメージ(中)、全身に傷(小)および火傷(小)、腕に○印、怒り、焦り [装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、 [道具]:基本支給品一式×3、無毀なる湖光@Fate/Zero イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース 探知機、エレンディラのスーツケース(残弾90%)@トライガン・マキシマム [思考・状況] 0:目の前の二人に対処。 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。 2:首輪を外すための手段を模索する。 3:北条沙都子とアルルゥを守る。 4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。 【備考】 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。 ※レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。 ※自分は既に受肉させられているのではと考えています。 ※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します ※北条沙都子、アルルゥもまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。 ※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません ※別世界から呼ばれたということを信じました。 ※会場のループを知りました。 ※オープニングの映像資料を確認しました。 破壊の化身は守るべき『おとーさん』のため。 贖罪者達は名も知らぬ『罪なきもの』のため。 征服王は自分のものである無力な『民』のため。 『キミガタメ』に殺し、挑み、迎え撃つ。 己の過ちに、誤りに、間違いに気付かぬまま。 もし、事情を全て知っているものが見たら、彼らをこう称するだろう。 『なんて救いようのない、救世主(Saver)なんだろう』と。 時系列順で読む Back When They Cry(後編) Next 悪役(前編) 投下順で読む Back When They Cry(後編) Next かいぶつのなく頃に~讐たり散らし編~(前編) Back Next When They Cry(後編) ミュウツー 恥知らずの破壊者たち When They Cry(後編) ライダー(征服王イスカンダル) desire When They Cry(後編) アルルゥ 死亡 首輪物語(後編) 御坂美琴 desire 首輪物語(後編) ラッド・ルッソ desire
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<第二回放送直後・F5ビル街> ……んーと、あんまり長く放送してもアレなんでそろそろ終了しますね。 それでは、よい一日を――…… ビルの隙間を縫うように敷かれた道路、その中央に二人の女性が立っていた。 放送が終わり、聳え立つビルの林に静寂が戻る。 しかし、そこには平穏は戻っていなかった。 その二人が放送を聴いて死者の名前に心を打ちのめされたから、という訳では決して無い。 更にいうなら、彼女たちは放送を微塵も聞いていなかった。 静寂が街を侵す。まるで『黙れ』と女王の勅命を受けた従僕のように。 そう、ここに立つ二人は紛れも無く女王だった。 エロスの鐘の煩悩寺とエロ師匠……書き手ロワの中でも特級のエロスキルを持つ二人がまるで惹かれあうようにして相対していた。 温いビル風が彼女らを煽る。 煩悩寺を体を守るたった一枚の布がピラっと捲れた。 エロ師匠のキャラである斗貴子のミニスカートが堂々と捲れた。 しかし彼女らは放送と同様に一切の動揺を見せない。むしろ捲れた事に興奮を感じているかもしれなかった。 煩悩寺の傍でガグガグと震えるサスペリアは目の前の存在に言葉を無くしており、マスタに逃げろとアドバイスする余裕を失っている。 向こうの女が連れてきたあのぶっといスーパーカノン(となんかその先っちょについてる人間)に気を配ることすら出来ない。 アレは、相対してはならないモノだ。 磁石の同極のように、電池のプラスとプラスのように。 同種であるが故に、存在が互いを否定する滑稽。 出会ったが最後、何かに終止符が打たれてしまうそういう類の互いのとっての怪異。 巡り合ってはいけない、そういう星の下にあるべきモノ。 しかし悲しいかな、子供はいけない事をどうしても『やってみたくなってしまうのだ』。 煩悩寺の腿につうと雫が垂れた。尿よりもねばつこい何かだった。 エロ師匠の口元を涎が伝う。掬い取る舌の動きは蛇よりも悪しき物だった。 二人ともある種に予言に近い確信を持っている。 戦うしかない。否、細胞が戦い以外の選択肢を放棄している。 しかし放送が終わって尚無言のまま彼女たちは一向に動こうとしないし、言葉も放とうとはしない。 当然だ。駆け引きなどと甘いことを抜かす段階など一目見たときから吹き飛んでいる。 どちらかが動けば、一瞬でここは大乱交会場と堕すだろう。 既に二人を取り巻くビル風は彼女たちの淫らな気を受けて熱嵐とまで化している。臨界点はそう遠くない。 だが動かない、どちらも動かない。その理由は…… (こっちはまだ変身してない……このままじゃ確実に先手を取られてちゃう) 小さなメイドはその可愛らしいけど潰れた唇を噛んだ。 相手がすでに槍を手に戦闘準備を済ませてあるのに対し、こちらはどうしても変身シーンという一動作が必要になる。 どうせバンクの使いまわしだから短縮バージョンで済ませてもいいのだが、それでも目の前の女相手では遅すぎる。 奴ならばその間に二回、いや、三回はこちらを孕ませる事ができるだろう。 だからどうしても動けない。気を張り巡らせて対陣するより手が無い。 (何か……何か隙ができないと……) 苦悶するサスペリアを余所に、淫蕩の風は益々そのエロスを撒き散らしていた。 まるで決戦を告げるゴングを待つかのように。 ☆ ☆ ☆ <第二回放送直前・ニコニコロワ控え室> 「なんじゃこりゃあああああ!!!!????」 大声で叫ぶ愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきましたの視線の先には会場内の監視カメラによるF6の動画……即ち地球破壊爆弾No.V-7一行の状態が流されていた。 その中に現れた闖入者二人、神行太保のDIE/SOULとミスターマダオたちが戦いもせずにただ其処につったっている。 「いや、意味分からね。ついさっきまでガッツこなた殺す気マンマンだったじゃん」 先ほどまでL4Uの特典アニメを見ていたのだが、敵意剥き出しのDIE/SOULが現れて地図氏がDIEピンチになったと知りwktkして見始めたのだ。 幾ら強固なフラグに守られた城壁とはいえ吸血鬼とはいえ一般人かがみんとアニロワ2ndトップのヘタレルルーシュではあのガッツを止められまい。 死亡確認は無理でも上手くいけばダメージぐらいは入るかと期待していたのだ。『職人GJ!』コメントも用意していたくらいだ。 「いや、だからなんでなんかホンワカムードなんだよ」 「そりゃ和解したからに決まってるでしょJK」 唖然とする愛媛に人外アドベンチャー~OZbjG1JuJMのウォーゲーム~が淡々と突っ込みを入れる。 乱入無しで戦闘停止なら大体一時休戦か和解イベント、パロロワ三ヶ月新人でも分かる簡単な理屈だ。 「偉そうにいうなっての。だからなんで和解してんだよ」 「音声が無いんだから知らないですよ」 主催側のもどかしい所である。いったい何のフラグによって和解したのか判別の仕様が無いのだ。 「ただなあ……あの二人確かテイルズロワのジョーカーに当たってましたね」 人外が何と無しに言った。終日ニコニコしているとは言え主催者サイドとして一応には監視カメラで手に入る情報は把握している。 「巡り合わせかね。まさかのWアーカード、正直その発想は無かったと言わざるを得ない」 「はあ~~~~あり得んね。あり得ん。やっぱイチロー出すしかなくね?」 「それは最後の手段ですって。FOOさんの笛で纏めて削除できないですかねえ」 項垂れる二人はフードに隠れた顔を唸らせる。 こうなってくるとつい最近上がってきたOVA少佐の演説も恨めしくなってくる。 「とりあえず其処までで自重しておきましょう」 二人の唸りがMAXに来るかといったところで落ち着いた声が控え室に響いた。 「ガチホモさん」 二人が向いた先には何故か室内に用意されたベンチに足を組んで悠々と座っている男、裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~がいた。 あまりにも漫画から切り出してきたような例のポーズなのでもしここにトイレがあったら確実に誰かが餌食になってしまっていたかもしれない。 「世の中には運不運というのはありますし、この世界に限って言えばここは書き手の誰にも都合のいい世界です。この程度でめげていては保ちませんよ」 それもそうか、と愛媛と人外は思い直した。このロワでご都合・超展開etcなどあってないようなものだ。 それに既に地図氏の件は元々諦めていたに近い。死亡フラグの匂いがしたからとすぐにガッついては書き手というよりハイエナではないか。 「さてと……じゃあ私はちょっと出て行きますので、何かあったら教えてください」 ガチホモがその巨躯をのっそりと持ち上げた。 「どこいくんすか? 会場……じゃないですよね?」 愛媛の質問にガチホモは扉の前で答えた。 「ええ……杞憂とは思いますが、確認しなければいけないことが出来ました」 ☆ ☆ ☆ <第二回放送後・テイルズロワ控え室> 「……反応、ないっす。nanasinnさんの消失を確認しました」 名無しの報告にテイルズロワの三人は重たげな空気を纏っていた。 「さいですか。参加者の損害は?」 「三方に散りました。一部支給品に損害は出てますけど、死者は無し。 パロロワ状態評価で言うところの中の下『消耗ハアレド継戦可能ナ状態』ってところですかね」 七氏の質問に名無しが答える。応答ともに心中の重々しさが伝わる。 「よーするに、以後のSSに支障がない程度の消耗ってことですかい。後の書き手が一番楽な状態……まあ、こうなった時点で予想は付いていましたが、ここまでとは」 「計八人でのフルボッコですからね。ましてや一人はチート級。古城の主か、セフィロスでもなければ耐え切れませんよ」 nanasinnの戦果は無いに等しい。いくら暴走しての出撃とはいえ、単体火力ではテイルズ最強であるnanasinnがこうも一撃で終わるとは。 改めて書き手ロワの恐ろしさを実感する三人。 「あの人のことですから、また俺たちの予想のつかないキバヤシ理論で復活するって可能性は……」 「無いですね。彼の異能“抑えられないグロ描写衝動”は自分の体内に限りあらゆる超展開を可能とする力。 体を失っては大いなる意思に逆らうことはできません。よしんば復活しても、再生したボスの扱いは……」 ズガンよりも悲しいことになるかもしれない。それはパロロワで生きる戦士として死よりも辛い末路である。 「せめて、もう少し空気を読めれば……」 「それは違う」 それまで黙っていたナナシが突如割り込んだ。 「空気を読めば確かにもう一放送は乗り切れたかもしれない。だが、その時点でそれはもうnanasinnじゃない。 あいつは、最後の最後まで自分を通した。例え世界がその存在を許すまいと最後まで我を徹した。それは尊いことだ。 他の誰もが評価しなくても、それを俺達が評価してやらなくてどうする……」 深く、染み入るようにナナシは言った。他の二人も目を閉じて黙祷をするように沈み込む。 「三つ子の魂百までともいいますか、確かに。彼の愛する酢飯のような末路。書き手としての一つの理想ですね」 「普通はロワが進むにつれて捻じ曲がるもんなんですが、最後の最後まで純粋な書き手でした」 彼らの間に何があったかは過去ロワの闇に沈んで分からない。しかし、彼らは同じロワの飯を食った仲だった。 「……少し席を外す。後は二人に任せた」 ナナシが洗ったパスタ皿を棚に戻して、エプロンを外した。 「了解しました。ナナシさんはどちらに?」 名無しの問いに、ナナシは扉の前で答えた。 「化粧室だ……少し顔を洗ってくる」 ☆ ☆ ☆ <第二放送暫くの後・主催本拠地化粧室> 化粧室までやってきたナナシはその入り口の前で電池が切れたように停止した。 「や ら な い か」 室内のはずなのにベンチ。とても自然な形で座っている自動車修理工。ツナギのファスナが既に半分以上降りている。 直球である。ど真ん中ストレートでキャッチャー貫通後爆破。こんな球伴宙太でも捕れるかバカ。 「ははは……CEROがAかBのゲームロワの方には少し不味かったですね。申し訳ない」 両手を挙げて爽やかな笑いを上げる阿部さんにナナシはついていけない。 ようやく頭を回転させて、一言発する。 「……ニコニコの書き手か?」 「はい。以前合ったときは黒マントでしたからね。改めて初めまして、裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~です。 長いので殺意なりガチホモなり阿部なり小泉なり好きなように呼んで頂いて結構です」 出された手に、ナナシは自然と握手した。 アカウントは持っているもののニコニコにあまり詳しいとはいえないナナシだが、くそみそテクニックについて知らぬわけが無い。 どうやら中身は阿部さんではないことにナナシは安堵する。そして片手ならばジャンケン十三奥義も怖れる必要は無い。 「……とりあえず行ってもいいか?」 ナナシは男子トイレの記号を指差す。 「イッてもいいか……とは、根暗と思いきや大胆ですね。嫌いじゃないですよ」 ふふふ……と薄ら笑いを浮かべる阿部さんをスルーしてナナシはトイレに入った。 洗面台の鏡に水に濡れたナナシの顔が浮かぶ。 手袋を外した手をぐっと握り締め、振るわせる。 「すまん……nanasinn……俺たちにはどうすることも出来なかった」 エンジェルアームの極光が思い出される。『偶然』にも名も無き怪物を貫いた悪意。 足掻いた筈だ。消されまいと戦ったはずだ。nanasinnは何よりも自由にあった書き手だから。 彼は大いなる意思に、その消え入る瞬間まで。その果てに消滅しようとも。その悪意が例え内側からだったとしても。 「そうやって、対主催へのフラグを立てるわけですか?」 びくん、とナナシは電撃を受けた様に顔を上げた。目の前の鏡には外れたチャックから覗く見事なまでの胸板が映し出される。 「動かない方がいいですよ」 そういう阿部さんの発言を聞き流しナナシが氷で武器を生成しようとする。 しかし、 「まっがーれ↓♪」 バキン。 「~~~~~~~グァッ!!!!!」 ナナシの体が斜めに崩れ落ちた。歯を食いしばって痛みに絶えながら足元を見る。 彼の体を支えるべき膝が、あり得ぬ方向へ曲がっていた。 「僕の手品の一つです。この言霊の前に曲げられないものは無いですよ……まっがーれ↓」 振りぬこうとしていたナナシの左腕を氷ごと曲げる。 あまり綺麗でない形で骨が折れたことが、音からもよく分かった。 痛みのあまり完全に倒れそうになるナナシの後ろ首を阿部がひょいっと掴む。 「手荒な真似をして申し訳無い。ですが、どうしても確認しなければいけないことがあったので」 1cmほど宙に浮かんだナナシに阿部さんが重々しく言った。 「nanasinnさんの件はご愁傷さまでした。……まさかあの位置にエンジェルアームなんて、“誰にも”予想が出来ません。ふふふ…」 「何が…いいたい……」 「いえいえ、誰がエンジェルアームに細工をしたのかはどうでもいいんですよ。十中八九、こちら側の采配なんですから。 そちらは別に関心がありません。私が聞きたいのは、貴方のことなんですよ」 「何…?」 「nanasinnさんは…まあ暴走して会場に向かったのはまだ分かるんですよ。 ではナナシさん……貴方は何をしにあの会場に行ったんですか?」 ナナシの体が震えを止めた。 「私達は私達の都合で地図氏を早急に仕留める必要があったので向かいました……失敗ですけどね。 ですが、貴方達は別段特に理由があった訳ではないでしょう?“まるで、誰かの都合に合わせて急いだ”みたいじゃないですか」 ナナシの浅い息がトイレの中でやけにうるさく聞こえた。 「そして、私たちの襲った地図氏、ロリスキーさん、ウッカリデスさん。貴方が襲ったDIE/SOULさん、マダオさんは 何故か因縁を持ちながらもその矛を収めてともに行動をしています。 ガッツVSアーカードを望むDIE/SOULさんの熱意はそう安いものじゃない。可能性としては、対ジョーカーで結束したとしか思えません。 ナナシさん……貴方達はこの構図を狙っていたんじゃないですか?」 阿部さんはその疑いをこそ懸念した。対ジョーカーにて結束することを逆手に取って対主催を結びつける。 その方法論はnanasinnフルボッコで証明されている。ただし、効果時間は短く、ステルスマーダーにはやはり効果が薄いが。 「ガッツとアーカード……地図氏を守るパーティはかなり磐石です。チート級でも単体ではそう簡単に崩せないでしょう」 アーカード二人にガッツ。攻撃力MAXパーティってレベルじゃねーぞという感じである。 「ナナシさん……察するにテイルズロワ最終回を書いた貴方が貴方達のリーダーでしょう。 ですから、一つだけ確認させてください。貴方達の目的はいったい何なのです?」 「……呼ばれたからには……全滅させるだけだ……」 息も絶え絶えにナナシは言う。主催側として呼ばれたならばそれしかするべきことは無い。 「ええ、ですから私たちの事情に乗る形で対主催フラグを固めて強化した。優勝エンドになる場合、私達の見せ場は確実に減りますからね。 それはいいんです。ですが、その全滅の対象は“参加者だけ”なのですか? それならばかまいません。ですが、私たちをも全滅させるというならば、降りかかる火の粉は払わせて貰います」 掴んだナナシの体を自分の方に寄せて、その足の付け根にある剛直を菊門の在るべき位置に宛がう。 開いた方の手でファスナを最後までズリおろした。 阿部さんはすうっと息を吸って、言った。小野大輔ではない、阿部さん本来の声で。 「返答次第じゃ……その穴、貰っちまうぜ?」 ククク……とナナシが笑いながら小刻みに震える。 阿部さんの方からでは後ろになってその顔は窺い知れない。 「俺達は確かにろくでなし集団だ。確かに全滅させた。ああ、土壇場でキールを裏切らせたり、主催が空気読まずに優勝者を半死にした。 エクスフィギュアだって何度蘇るんだって突込みがくる位に出てきた。だがな……流れに逆らったことだけは無い。 あの全滅は、そうあるべき流れがあったからだ……」 ナナシの周りを青いオーラ…氷のフォルスが纏いナナシの濡れた髪が凍り始める。 阿部さんが再び言霊を発した。ナナシの残った足も曲げられてしまう。 「俺達は、流れにだけ従う。対主催ルートなら参加者を全滅させるし、優勝ルートならお前達と同じく共に滅ぶ……それだけだ」 「その覚悟は分かりました。そのいい男ぶりに敬意を表して、一発キめて上げましょう!!」 阿部さんのリーサルウエポンが完全に露出する。え、これどっちでもヤるつもりだったのか。 「ならば見せてやる……俺の信念の形を……」 「異能ですか…ですがナニをしようともう間に合いませんよ。私のナニはゲイボルグ並の強制力です」 既に凸と凹の距離は5㎝に満たない。唯一残った片手ではもう間に合わない。 だが、ナナシの顔に一切の諦観は存在しなかった。 「空気王(ウッドロウ)ことナナシが命ず。繋げ…『姿無き縁の下』!!」 阿部さんの輝かしいほどの一物は、見事その下の口を完膚なきまでに蹂躙した。 ☆ ☆ ☆ <第二放送後・F5市街地> 「出すな……まだ、我慢……う、う~ん」 意外な影丸?はようやくその眼を覚まし、上半身を起こした。 「はっ……て、気絶してたのか俺は、つうか放送は!?」 『お、起きたか。朝勃ちとはどこまでも元気な奴め、そのまま夢精すれば面白かったんじゃねーの?』 「開口一番がそれか!そもそもそんなものぜんぜん面白くないぞ」 脳裏に響く声に律儀に突っ込む影丸だが、ちらあと細目で自分の股間を見た。 見事なまでに屹立したBHCが発射を今か今かと待ちわびながらも暴発を耐えていた。 偉いぞ俺(の息子)と自分を讃えながら、目覚めてきた頭が再び当座の問題にぶちあたる。 「あの女……エロ師匠は何処に行った?!」 『なんだよ目覚めていきなり“女は何処だ”って……何処の思春期の中学生ですかコノヤロー』 「そういうネタはもういいから、どこいった!」 『そこだ』 ネクタイの言葉にハッと我に帰る。その目の前には先ほどまで戦っていたエロ師匠の姿がありその奥にはシーツ一枚と 少々倒錯的な服装のツインテール少女がいた。 『お前ツインテール萌え? どこまでキョンなんだよお前はよ』 「うるせえよ!つうかなんでキョンが悪口の代名詞みたいな使われ方してるんだよ!?」 状況を察した影丸の突込みが心なし小声になる。 しかしエロ師匠もツインテール少女も影丸の言葉に一瞥はおろか反応さえ見せない。 文字通りの意味で眼中に無い様子だった。 「これは一体全体どういう状況なんだ? タイマンなら俺の存在はいらんだろ」 『まあどう見ても今から真剣勝負だからな。巨根さすりながら勝てる相手でもないんだろうさ。お、そういや放送だがな』 「今そんなことを話して――――――――――――――――――――」 その時だった。影丸の尻に大いなる違和感が発せられたのは。 『おい、どうした!しっかりしろオィィィィ!!!!!!!!』 突然すぎる感覚だった。まるで青空に突如亀裂が走ったように。まるで銀色のゲートが秋葉原に出来たように。 影丸という一個の世界に巨大な「穴」が穿たれ、異界から口にすら出来ない異物がそこから侵攻してきたかのように。 だが、一つだけ違っていたのは、 (お、れは…これを知っている。違う、俺が知っているんじゃない……俺の体が、キョンが知っている……) 記憶よりも体の方が覚えている。これは容れさせてはならないと、受け入れれば死ぬと。必死に叫んでいる。 (こいつは、このナニの感覚は……くそみそ…か…) アニロワのキョンが、ではない。ニコロワのキョンの痛みが、概念の枠を超えて尚痛みを訴えた。 初めてを失えば死ぬのだと。 ☆ ☆ ☆ 「……つまり、貴方の能力は読んで字の如く“繋ぐ”こと……そういうわけですか」 腕を組みながらうんうんと納得する阿部さんの股間に、本来あるはずの男性のシンボルが無かった。 しかし出血していないし、阿部さん本人が平然としている。 「俺は空気書き手だからな……色んな作品の空気を読んで、それを繋いできた」 ナナシは手を曲がって折れた部分に当てて“繋げ”という。 手を離した先は、骨折の痕跡も無く文字通り“繋がっていた”。 「空気を極めた繋ぎ書き手。故に空気王、ですか」 「公式でもヴェイグ≒ウッドロウはネタにされたからな…」 ナナシが遠い眼をしながら足の骨を繋いでいく。 「最初は空間操作かと思いましたが……本当になんでも繋ぐんですね。時間も可能ですか?」 「それが流れに沿った良繋ぎならな。空気キャラの時間を何時間も飛ばすなんて、ツナギストなら誰もが通る道だ」 「なるほど、しかし……この空間の向こうにキョン君の穴があると思うと……素晴らしい。妙に金属っぽいのが気になりますが」 「空間を繋いだというよりは阿部×キョンのCPを繋いだ。“このナニを一番相応しい奴に繋げ”と当てずっぽうに繋いだから保障は出来ないぞ」 全部を繋ぎ合わせたナナシは立ち上がり、万が一にも間違って繋いでないかを確認する。 「いえ、十分ですよ。確認したいことは確認できましたし、とりあえずは十分です」 阿部さんは恍惚とした表情を隠そうともせずうっとりとしていた。 今すぐにでも発射してしまいたい衝動に駆られるが、紙一重でこらえる。 もう少しで完全に入る。すっぽり入る。そのときこそ自分の中のすべてのケフィアをぶちまけるのだ。 「僕のケフィアは……300リットル以上は硬いですよ……」 恍惚に打ち震えるその声はとても“きもちわ類”ものだった。 ☆ ☆ ☆ 「――――――!――――――!―――」 眼から火花を散らしながら影丸は必死にその異物と戦っていた。 しかし、相手は紛れも無く阿部。ニコニコロワが参加者に存在しない以上存在し得ないはずだが、 実物を挿入させられかけた今そんなことを疑う余地は無い。 (くそ……だめなのか……ホイホイ付いて行って俺はまたアーッな末路になっちまうのか) 影丸の中に弱気が巣食い始める。それを見逃すまいと、また0.1ミリ、異物は彼の世界へと進む。 『おい、何弱気なこと抜かしてんだよ』 ネクタイの声が頭に響く。今までの軽薄そうな感じは微塵も無い、侍の声だった。 「でもなあ、相手はあの阿部さんだぞ……そして俺はキョンだ。元から勝ち目のある話じゃないだろ」 『んなこと知るかよ。おめえ、あんなのはアレだ。ただのドライバーみたいなもんだ。 それによ……お前、自分の言った事忘れたのか?』 「ナニをだ?」 『俺を呼んだのは、その信念なんだぜ?』 影丸の脳裏にとても自然な形で記憶が浮かんだ。こいつと出会う直前、エロ師匠に追い詰められた時俺はナニをいった? ―――俺はキョンじゃねえ…。だが、キョンの姿を与えられた以上、あんたみたいな奴には従えない… 俺は、あの時キョンを否定したはずだ。だが、それでも。 ―――俺はアニロワの書き手なんで、畑違いの話になるが…。ニコロワでは、キョンは 性犯罪者の手にかかって命を落としたそうだ… 通すべき意地がある。譲れない願いがある。 ―――ならば、同じ無念をこの体に味わわせるわけにはいかない。あんたみたいな性犯罪者に屈するわけにはいかない! たとえそれが阿部さんであろうとも、この俺を蹂躙させる訳には行かない!! 「おおおおお!!Gインパクトキャノンセット!!!!カウントとってくれ!!」 影丸が大声を上げてその自らの屹立を高く掲げた。 『へっ……ようやく調子が出てきやがったか。完全に入りきるまで後5カウント!』 まだだ、溜めろ。溜めろ。 4 限界まで、俺の体を遠くに吹き飛ばすほどに溜めきる。 3 此処だ! 「Gインパクトキャノン、シュート!!」 黒き体液がその股より無限に溢れ出す。 2 反動でヒュッケの装甲に亀裂が走る。エロ師匠の見事な責めを堪えて来た代償として無理も無い話だった。 そしてそれこそが影丸の狙い。影丸は今、PTとはいえ実質“パワードスーツを着ている”のである。 1 「ジャケットアーマー・パージ。変身解除ォォォォォ!!!!!!!!」 そりゃお前の機体じゃないだろというのはご愛嬌だ。 影丸の上にさらにヒュッケmk-2を着込めば、尻の奥までの距離はその装甲の厚さ分割り増しになっている。 それを自爆同然に解除すればどうなるか、パージした分阿部さんのナニとは言え微かな隙間ができる。 その隙間とGインパクトキャノンの反動があれば、引き抜くことも不可能ではない!! ☆ ☆ ☆ 「あ、出ます」 ☆ ☆ ☆ F5という世界は黒い重力によって撒き散らされた白いケフィアで包まれた。 ケフィアは淫猥な海と化してもはやプールとなっている。 そのケフィアの海から二つの影が飛び出た。 それぞれ違うビルの屋上に立ち、互いを見合っている。 ただ違うのは、ツインテール少女はシーツを纏ってない。 それはそれは見事なメイド服だった。清楚と淫猥を両立させる黄金比。 そして手に持つは一度振れば枯渇するまで止まらぬ魔法デバイス・エロスの鐘。肩に寄せるはマスコット・サスペリア。 エロ師匠がニィィと狂想に笑う。 魔法妖女デザイア・ベルが狂悦に笑う。 何が起きたのか、ナニがどうなっているのか、そんなものはどうでも良かった。 「いいな……実にいい……エロスがこの地に満ち溢れている」 バトルロワイアルも、書き手も、読み手も、主催も、放送も、もはや過程はなんの意味も持ち得ない。 「現世天地に残念せし淫欲よ 血脈に従え 獣欲を満たせ」 槍と鐘が怪しく輝く。 互いに確信がある。 「―――――さあ、エロスをブチ撒けろォッ!!!!」 「急急如律令――――頂戴、貴方のエロスを!!!!」 今までの戦いは、今この時のために在ったのだと。そんな煉獄の炎のノリだった。 【日中】【F-5 ビル屋上】 【エロスの鐘の煩悩寺@アニロワ2nd】 【状態】:精気満々、魔力全快 ケフィア塗れ 【装備】:エロスの鐘、ミニ・サスペリア 【道具】:支給品一式 【思考】: 基本:成り行きに任せる(変身中:エロスの限りを尽くす) 0:貴女のエロス……頂く!! 1:学校……いや、学園に向かい人を探す ※容姿はティアナ・ランスター@なのはstsです。 【エロスの鐘】 大人向けデバイス。魔法妖女デザイア・ベルへの変身アイテムでもある。 その音色を聞かせた者が隠し持っている欲望を引き出し、暴走させてしまう。 暴走した欲望からエロスを吸い取ることで相手の精気を自分のものにできる。 【ミニ・サスペリア】 掌サイズのメイドさん。闇のメイド・サスペリア@アニロワ2ndの姿をしている。 魔女っ娘に必要なマスコットキャラで、ご主人様に色々とアドバイスをしてくれる。 【日中】【F-5 ビル屋上】 【エロ師匠@漫画ロワ】 【装備:サンライトハート(後期型)@武装練金 カードデッキ(ゾルダ)@ライダーロワ 官能小説】 【所持品:支給品一式×2、マジックペン@文房具、不明支給品×2人分】 【状態:健康、興奮状態(性的な意味で)ケフィア塗れ、お肌ツヤツヤ、パワーアップ?】 【思考・行動】 1:殺す……私の敵を! 2:エロスを楽しむ。ほどほどになんてしない。エロスでどんどんパワーアップ! 3:この殺し合いの舞台を利用して、LSのボマーを倒す。できれば自分の手で倒す。 4:そのための戦力強化を図る。主に、同盟相手の模索&他人の支給品強奪で 5:バイセクシャルとはスペック高いぞ、仮面ライダー書き手!! ※外見と声は銀髪銀眼の津村斗貴子(エロ度200%増)です。無駄にエロいです。何でもエロくします。 ※サンライトハート(後期型)は支給品ではなく自前です。核鉄として心臓の代わりも兼ねています。 ※エロスで本当にパワーアップできるのかどうかは不明です。強くなった気がするだけなのかもしれません。 ※カードデッキだけはなぜか九分五十五秒しか変身できません。 ※服に若干の返り血 ☆ ☆ ☆ 影丸はビルの一室に吹き飛ばされていた。 ケフィアに塗れ気絶しながらも、その顔は一人の戦士として満ち足りたものだった。 しかしいいのだろうか。これで二時間はキバットの力を使えないのだけど。 あと怪我も復活しているのだけれど。 【日中】【F-5 ビルの中】 【意外な影丸?@アニロワ1st】 【装備】:ドラゴンキラー-1(呪)@トルネコの大冒険、キバットバット3世(特殊仕様)@仮面ライダーキバ 【道具】:ドライフラワー、ドライヤー、ドライバー、小説「涼宮ハルヒの憂鬱」 【所持品】:支給品一式 【状態】:かすかな擦り傷。あご打撲。左腕骨折。右脚に裂傷 気絶中 現在キバット使用不可 【思考・行動】 基本:何でもいいから空気になるのだけは防ぐ。 1:…… 2:ステルスマーダー…。まあ、今のところは保留で。 【備考】 ※容姿はキョン@涼宮ハルヒの憂鬱です。 ※ネ(略)と会話している間、現実世界ではほとんど時間は経過していません。 ※キバットバット3世(特殊仕様) ネクストコナンズヒント『蝶ネクタイ』の残留思念が、彼が身につけていた蝶ネクタイに 憑依した姿。杉田ボイスを持つ者のみ使用可能。ヒュッケバインMk-II以外の姿にも変身 出来るかもしれないし、出来ないかもしれない。変身の制限時間はなく、任意で解除可能。 ただし、一度解除すると2時間以上間隔を空けないと再変身できない。 ☆ ☆ ☆ 「ふう、すっきりしました。なんか最後微妙に痛かったんですが、きっと締まりがよかったんですね」 阿部さんがとてもいい笑顔で手を差し出す。 「そうか、なら良かった」 ナナシがうっすらと笑顔を作って手を握り返す。 そうして二人はトイレで分かれた。 それぞれ帰ってからFー5の状況を聞いて絶句及び反省するのは、そう遠くない話のことである。 【日中】【不明-トイレ】 【裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~@ニコロワ】 【状態】:健康 スッキリ 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:とりあえず、部屋に戻って次の出番までニコニコ 2:地図氏と再会すれば、借りを返す ※容姿は阿部さん@くそみそ、性格は古泉@ハルヒ。その名はイイ男。キモカッコゲイ! ※地球破壊爆弾No.V-7を危険視しています。 ※ニコニコ動画に存在する動画ゆかりの技を使えます。 ※ニコニコに自分が見たものを動画としてうpできます。 ※「まっがーれ↓」と唱えることで色んなものを曲げられます どこまで曲げられるのかは不明 【ナナシ@テイルズロワ】 【状態】:健康 (ただし左眼がない) 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:とりあえず、部屋に戻って皿洗いの続き 2:次の出番まで縁側で茶を飲む 3:出会った二人とは生き残っていればもう一度戦う? ※容姿はヴェイグ=リュングベル ※氷で武器を生成できます ※【異能・姿無き縁の下】 空気王としての力を解放し、色んなものを「繋ぐ」能力。 時間だろうがカップリングだろうが何でも繋げるが、その繋ぎが良繋ぎで無いと十分な効果が得られない。 209 VSホワイトアルバム 投下順に読む 211 ぼくと魔王 209 VSホワイトアルバム 時系列順に読む 211 ぼくと魔王 188 エロス頂上決戦前夜 エロスの鐘の煩悩寺 223 エロス頂上決戦、決着……?! 188 エロス頂上決戦前夜 エロ師匠 223 エロス頂上決戦、決着……?! 188 エロス頂上決戦前夜 意外な影丸? 235 意思×支給品=影丸 171 【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた 裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~ 237 White Trick 177 自重の意味を知るRPG ナナシ 237 White Trick
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Q. SPE《限界突破》の自壊ダメージとはなんのことですか? A. 臨界ロール失敗時の自壊ダメージと同様のものです。 最も高い攻撃ロールダメージが防御無視で入ります。 臨界ロールについては公式サイトの『◆暴走システム』の項をご参照ください
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/722.html
あ行 アーチャー(人名/サーヴァント) 209cm・111kg 涜神の王、ニムロド。 『旧約聖書』におけるノアの子孫であり、クシュの息子。 クシュの父はハム、その父はノアである。 万能の狩人。バベルの塔建設の監督者であり 勇敢な狩人、地上で最初の勇士であると同時に、アッシリア全土を支配した暴君、人類最初の君主とされる。 アラビア語ではナムルード。 アラブの伝説では、アブラハムが生まれた頃世界を支配した王とされ、 悪魔イブリースにそそのかされて魔術や偶像崇拝を行っていたとも。 また、父クシュからアダムとイヴがエデンから追放されていた時に身に着けていた魔法の皮を受け取る。 これを身に着けると動物はその姿を認めただけで倒れてしまい、彼と格闘して人間もいなくなったという。 強大な力を手に入れたニムロドはやがて邪心に取り憑かれ 世界を支配したニムロドは今度は神になろうと手下を使ってバビロニアに巨大な塔を建設し始めた。 これが所謂バベルの塔である。 人間を天国に侵入させ、略奪を行い、天を乗っ取ろうとし、順調に塔は高くなり、昇るのに一年もかかるが頂上は天に届いた。 人間は頂上から雲の中へ矢を射て、射られた天使は血を滴らせながら血に落ちる。 これに怒った神は、塔の建設を終わらせる為に当時の唯一の言語であったヘブライ語を多くの言語に分け 意思の疎通の出来なくなった人々はやがて仲たがいを始めた。 これにより、それ以上塔が高くなる事はなかったという。 性格は傲慢で凶暴、そして残酷。 人間としての能力は穴だらけだが、自己の強さは何者をも凌駕している。 苦悩が刻まれた貌と長き時を闘いに費やした強靭な執念と妄執が、対峙した者に嘔吐感に似た重圧を与える。 かつては自らを神にもなぞらえるほどに欲深く、天に侵攻しようとまで考えたが 当時は神への信仰深い人物でもあった(はなはだ身勝手で独善的な思想ではあったが) だが前述の神罰によって、彼は地位も名誉も、全てを失い辱められ絶望する。 当時の記述に詳細な記録は残されていないが、死後は世界との契約により 神という存在を憎み己の手による復讐の道を辿っていく。 宝具はリヴァイアサンの思念が宿った『天に逆巻く海淵の裘(レ・ディヴィヌス・ペラガス)』 と バベルの塔『惑乱の塔は天高く栄える(タワー・オブ・バベル)』 の2つを有する。 アヴェンジャー(人名/サーヴァント) 168cm(偽)・60kg(偽) 真名はアンチキリスト 〈キリストの敵〉の意で、ギリシア語ではAntichristos。 世界終末のキリストの再臨前に出現して教会を迫害したり世を惑わす偽預言者 見目麗しい容姿を持ってキリストの再臨前に世に現れ、 世に出て最初のうちは善行をなし正に英雄として振舞い、 偶像崇拝者を倒し、さまざまな奇跡を行い人々より多くの信頼を得る。 そして、彼が聖人として認知された後、「666」と呼ばれる計画を行使 世界を退廃と堕落の荒野へと変え、そして彼は人々にこう宣言する。 「我は我が与えし印を持たぬものを救わぬ」と。 そうして世界は闇に覆われ全ては彼の手中へと収まったかと思われた時、キリストは再臨し 世界は救済される。 性格・容姿・素性。 全ての詳細が不明の謎に包まれた人物。 その正体は、黙示録で予言された終末の前に現れる反英雄。 実在の人物ではなく、現象のような存在であり、時代・場所など条件によって 形が変わる朧(おぼろ)な架空の事象。 共通しているのは、予言に記された人物像と行動原理、そして敗北主義者であることである。 戦闘能力は英霊にあるまじき低さであるが、人心掌握と処世術は宝具によらぬものとしては最高クラス。 特筆すべきは不完全ではあるが、奇跡の一端を行使できる点だろう。 望むがままに他者の望みを叶える、文字通りの奇跡、仮初めの幻影であり、使用条件も厳しいが それを鑑みても、破格の異能であることは揺るがない。 なお、本物の奇跡を行使できた人物は歴史上10指に満たず、古来から魔法に最も近い異能の一つだといわれている。 第五次聖杯戦争において、ライダーの手引きによって三枝由紀香に召喚される。 彼女の影響を大きく受け、此度は年若い少女の姿で現界し、日常と非日常の狭間で揺れ動く。 ライダー同様に、終末の到来を実現させるため、冬木市市民の煽動、情報操作、武器調達など 短期間で市民の過半数を指揮下において、混沌と絶望の坩堝へと誘う。 だが、キャスターとの水面下でも協約や、由紀香への思慮など前述の行動原理に反する行いもしている。 イレギュラー 聖杯によって実現されようとされる終末において、ニムロデが語っていた 三つの障害となりうる存在。 一つはランサー・アキレスの存在である。 此度の聖杯戦争に呼ばれたサーヴァントは、いずれも聖杯によって意図的に呼ばれた 英霊たちであり、それぞれが意味と役割を持っている。 だが、アキレスは凛が用意した強力な触媒と、彼女自身の優れた手腕による完璧な召喚によって 聖杯の介在を跳ね除けて呼び出したためである。 2つめは、衛宮士郎。 彼がいずれ守護者と成る存在であるため、ニムロドは強く警戒していた。 なお、なぜ彼が士郎の守護者としての適正を見取ることができたのかは不明である。 最後は、間桐桜。 歪められた聖杯戦争の特異点。 全ての始まりにして、全ての終わり。 間桐の翁によって、原罪と死極の矢を取り込んだ聖杯の欠片を埋め込まれ マザーハーロットとの結節点を得る。 大聖杯、龍脈、および間桐桜を通じて冬木市は徐々に汚染を拡大させていった。 原作同様に、聖杯としての機能を有するが、バベルではより不安定で禍々しい仕様となっている。 もし、英霊の魂を取り込んでいった場合、どのような変貌を遂げるのかまったくの未知数だ。 衛宮士郎(人名/魔術師) えみや しろう。 身長167cm。体重58kg。 穂群原学園2年C組。 第五回聖杯戦争におけるキーパーソン。 本作では、資格はあったもののマスターではない。 家事に並々ならぬ才能を持つ。家庭料理(中でも和食)が得意で、おいしい食事を作るには材料をケチらない。 英語が苦手。工作に没頭する性格。 剣製に特化した魔術回路を所持する一点特化の魔術使いであるが、今現在はまだ回路の起動もできない。 ほかに物の構造・設計を把握することに特化している(構造把握の魔術)。 体内に27の魔術回路を持つが、それは作ったものを使わなかったために放棄され、通常の神経が魔術回路になっている。 本人はそれを知らず、鍛錬のときは死の危険を犯して魔術回路を作ることから始めていた。 8年間続けている魔術の鍛錬は自分が楽しいからしているのではなく、 魔術を身に付ければいずれは誰かの為になると思ってのこと。 10年前の大火災から唯一人生還したことで死んでいった人たちへの償いをこめ、 衛宮切嗣の遺志を継いで正義の味方に憧れて人助けに奔走するが、 それは反英雄としての切嗣とは違って自分を犠牲にして他のみんなが幸せになるというひどく歪んだもの。 彼の価値観には『自分を優先する』ということがない、 というよりも大火災から唯一生き残ってしまったために自分を優先する資格がないと思っている。 人助けはその見返りを求めるのではなく『人助け』そのものを報酬としている歪んだ価値観の持ち主。 大切な目標以外には興味を持たない、持てないという頑固というか遊びのない性格。 目に見える範囲の不幸や不平等を正そうと努力するが、かといって無条件で助けるわけではなく、 本人がそれを打破することに意義があると判断した場合は陰ながら見守る。 本当の両親は一般人で、前回の聖杯戦争の折に聖杯戦争の参加者たちが引き起こした大火災によって死亡。 本人もそのときに瀕死の重傷を負うが座礁した前アーチャーの手によって蘇生し、その後、衛宮切嗣に引き渡される。 バベルの塔の一部が崩御した後、言語の乱れ、秩序と理性の混濁化が進む冬木市内で 街の異常事態を察知し、単身で新たに聳え立つバベルの塔へと事態収束のために乗り込む。 その際、言峰神父との邂逅を果たし、聖杯戦争の基本知識を知り、サーヴァント、セイバーと供に 敵地侵入をし、その折に、襲撃してきたライダーとの戦闘を経て、彼女に囚われていた凛との合流を果たす。 か行 神の座(用語) 根源の渦。 あらゆる出来事の発端となる座標。 万物の始まりにして終焉、この世の全てを記録し、この世の全てを作れるという神の座。 世界の外側にあるとされる、次元論の頂点に在るという“力”。 根源の渦に至るという願いは魔術師に特有のものであり、これは世界の外側への逸脱である。 かつて、ニムロドが挑んだ宙の外へと逸脱せんと天を貫く塔を築いて挑んだ。 キャスター(人名/サーヴァント) さ行 終末(用語) 終末論(しゅうまつろん)は、歴史には終わりがあり、それが歴史そのものの目的でもあるという考え方。 目的論という概念の下位概念。 様々な宗教に共通して存在する世界の終わりであるが バベル内で発生した現象はクリスチャンである言峰神父の願いが発端であることから キリスト教の終末論、イエス・キリストの復活と最後の審判への待望という事柄に関わるものであると 推察されるが、詳細は不明である。 このキリスト教における終末論とは 現在の天地万物にみられる事物の体制が終わりを告げ、 新しい体制の中に生まれ変わる時のことを、意味していると考えられている。 神霊(用語) 神と崇められる自然霊。信仰を失うと精霊の位に落ちる。 発生に人間の想念が関わっていながら、人の意思に影響されずに生まれたもの。 なお、ニムロドが恨む神とは別であり、彼が憎んでいるという存在は世界の中枢。 天上の神の座を守護する番人――――すなわち抑止の力そのものである。 聖杯(用語) 冬木市に伝わるものは、神の血を受けたものではなく古来より伝わる願いを叶える『万能の釜』が原型で、 その力は伝説のものに匹敵する第726聖杯。根源へ至る門。 願望機である大聖杯に繋がる孔にして炉心。大聖杯起動の鍵。 万能の釜そのものではなく、始まりの御三家によって造られた願望器のレプリカである。 その中身の本質は“無色の力”だが、第三回聖杯戦争以降はアンリ・マユに汚染されて 悪性の“力の渦”(呪い、第三要素)になっている。 よって精密な計算・相互作用による矛盾の修正などは絶対に不可能であり、 持ち主の願いをあらゆる解釈による破壊のみによって叶える。 また、ひとたび開けてしまえば際限なく溢れ出し、災厄を巻き起こす。 さらに第四次聖杯戦争において、『聖者の嘆き(ロンギヌス)』 の原罪を混入され 言峰の終末到来の祝詞を受諾し、世界根絶のために力を費やす災厄の器と成り果ててしまう。 その際、この世全ての悪(アンリマユ)とは別にマザーハーロットを孕むことになる。 セイバー(人名/サーヴァント) 167cm・56kg 真名はエルキドゥ バビロニア神話。「ギルガメシュ叙事詩」の英雄。もともとは、シュメールの神話、伝説を起源とする。 もとは神に生み出された泥人形であり、人智を超えた力を持ちながらも知性も性別も無く、 ただ森の獣たちと戯れる生活をしていた。 だが聖娼と名高い女と六日七晩過ごすことで人間の姿と知性を手に入れ、黄金の王との死闘の末にその無二の友となる。 その後は、ギルガメシュと怪物フワワ(フンババ)や天の牡牛グアンナを倒すなど行動を共にした。 しかし、天の牡牛を倒した時、女神イシュタルによる嫉妬が彼の運命を決めてしまった。 後日、神々は天牛を殺した償いとして、二人の英雄のうち、より罪深い方の死を望み、 大気神エンリルの意向により、エンキドゥは呪いで衰弱して死んでしまった。 質素な貫頭衣を身に着けた、きわめて中性的な姿をしている。 その容貌は端麗ながら、雰囲気は人間的なものではなくむしろ魔術師が作る『人形』に近い。 武器は己の身体と『創生槍・ティアマト』 。 獣の言葉も使うことができ、気配探知スキルは最高クラス。 本来は英雄というより神が使用した宝具そのもの。 バベル歴代において最強のサーヴァントであり、個人の単純な性能に絞れば英霊最高位。 かの英雄王のこの世全ての財による万有の力に対して、単一で万能の力を有する。 これは、女神アルルが泥から創造し戦争の神ニヌルタが、神々すら畏怖する王に対抗するために 万能の神の力、あらゆる生命の原典の因子を与えられたことによる。 もっとも、彼自身はその出自を快く思っておらず、今を生きる生物に対して強い敬意と羨望を抱いている。 これは彼がこれまでに歩んできた生の中で、厳しい環境下で弱く儚くも精一杯に生きる 強く気高い彼らの心に深い感銘を受けたためであろう。 そう、彼の願いは、模倣によって得た仮初めの心と身体ではなく、一つの生命として地に根を張ることである。 また容姿に対して人形と揶揄されることがとても嫌いでもある。 前アーチャー(人名/サーヴァント) 166cm・64kg 真名はアシュヴァッターマン 『マハーバーラタ』の戦争でシヴァと戦った兵士。 パーンダヴァ五王子とカウラヴァ百王子に武芸を教えた師、ドローナの息子。 2人の王子間による大戦の際、百王子軍に参戦する。 五王子軍の軍師クリシュナの姦計により、 父ドローナはドゥリシュタドゥユムナに殺され、百王子軍もほぼ壊滅。 復讐に燃えるアシュヴァッターマンは、 クリパ,クリタヴァルマンと共にパーンダヴァ陣営に夜襲をかける。 まず自分の父を殺したドゥリシュタドゥユムナのテントに入り首を刎ね、 陣内にいる者を皆殺しにした。 その時、英雄アシュヴァッターマンは自らのヴィマナに断固とどまり、 水面に降り立って神々すら抵抗しがたいアグネアの武器を発射した。 神殿修道騎士団長の息子は全ての敵に狙いを付け、 煙を伴わぬ火を放つ、きらきら輝く光の武器を四方に浴びせ 五王子、クリシュナ、サーティヤキらを除く五王子軍を全滅させる。 それはまさにユガの終わりに一切を焼き尽くすサンヴァルタカの火のようであった。 まるで広島・長崎の原爆を思わせるこのアグネアの内容はまぎれもなく遥か昔、 紀元前に記された内容なのである。 その後、アシュヴァッターマンは遂に敗北を認め、 頭についていた不思議な宝石をビーマに渡して森へ去っていった。 誇り高き戦士。 善悪に囚われず、自らの魂の赴くままに生き、復讐にその身を焦がした炎のように熱い男。 戦場では粗暴で暴力的な性格だが、根は正義の人で人懐こい悪戯好きの好青年。 回りくどい方針と裏切りが嫌い。好き嫌いと敵味方はまったく別物と考えている。 武勇にも優れた戦士ではあるが、彼の真骨頂は頼みとする宝具と、予測不可能なトリッキーな頭脳である。 古代インドの空中機動兵器。 アグニ(サンスクリット語で「火」を意味する。)の名を冠する 『陽光宿す天の双翼(ヴィマーナ)』、額に、生まれた時より付いていた宝石『瑞験の星月(カウラヴァ)』 そして、神々が最も嫌悪したといわれる禁忌とされる一つの矢『獄炎秘めし災厄の矢(アグネア)』 の破格の3つの宝具を所有し、マントラ(真言)の力と相まって、大英雄クラスのサーヴァントとも 互角以上に渡り合えるポテンシャルを有する。 特に、彼が自分好みに魔改造したヴィマーナは、破格の機動性能を有する上に 魂魄フィードバックシステム、――常住永遠なるもの「空」とのアクセスを可能とするシステムによって 統覚機能と認識野を一段階昇華、つまり世界と己を一体化させ、可視領域内に補足できる万物の 魂の様々な構造や仕組みを把握することが可能になる。要約すると、究極の探知レーダー。 前回の聖杯戦争で、聖杯の呪いを浴び受肉(前述の魂魄フィードバックシステムによって、昇華寸前の魂を捕捉させ この世に無理やり呼び戻した) 以後は、言峰と袂を分かち、日がな俗世で2度目の生を謳歌していたが、イリヤスフィールによって 箱庭へと強制拉致され、ぶつぶつ言いながら彼女の束の間のままごとに付き合っている。 た行 天の杯(魔法) ヘブンズフィール。第三法。 現存する魔法のうちの三番目に位置する黄金の杯。 アインツベルンから失われたとされる真の不老不死を構造できる御技、魂の物質化のこと。 過去にあった魂から複製体を作成するのではなく、精神体でありながら単体で物質界に干渉できる高次元の存在を作る業。 魂そのものを生き物にして生命体として次の段階に向かうもの。 遠坂凛(人名/魔術師) 2月3日生まれ。身長159㎝。体重47㎏。B77 W57 H80。血液型O。 遠坂家六代目当主。私立穂群原学園2年A組。朝が弱い。第五次聖杯戦争におけるランサーのマスター。 父である遠坂時臣を師とし、言峰綺礼は兄弟子。属性は『五大元素』。 得意な魔術は魔力の流動・変換だが、戦闘には適していないために戦闘には魔力を込めた宝石を使用する。 優秀だが、ここ一番というところで大ポカをやらかすことがあるのはもはや遺伝的なものであり なにか説明するときにかける黒縁眼鏡は伊達。 桜が間桐にもらわれていくときに髪留めを贈ったが、そのときも対価を要求した。 というのも、凛は大切な人にこそ貸しを多く作って繋がりを持っていたいがため。 ただし借りに関してはきちんとした借用書でもない限り認めようとしない。 幼少の頃から、冬木市の異常事態を察知し、独自の調査活動をする。 だが、龍脈の異常汚染は判明できたが、大聖杯と桜の存在に至ることは叶わなかった。 言峰綺礼から、ある程度の情報は聞き及んでおり、聖杯戦争への参加目的は 原作よりも、遠坂家の悲願だけでなく、管理人としての事態収束のために強い勝利への渇望がある。 その執念の賜物か、触媒と完璧な召喚の儀式によって、自身の望む最速のサーヴァントを呼び込むことができた。 だが、経験不足と事態の予想以上の深刻さに焦りを生み出し、バベルの塔内部にて初戦を敗北。 その後、間桐桜との邂逅の際に違和感を抱いた彼女は、後を追い間桐邸に乗り込み ライダーと遭遇。人身お供として拉致され、再びバベルの塔内部に連れ去られる。 後に、塔内部へと侵入していた衛宮士郎とセイバーに救出され、行動を共にする。 は行 バーサーカー(人名/サーヴァント) 182cm・80kg 真名はカルキ。 ヒンドゥー教に伝わるヴィシュヌの第十番目の化身にして最後のアヴァターラ。 その名は「永遠」、「時間」、あるいは「汚物を破壊するもの」を意味し 白い駿馬に跨った英雄、または白い馬頭の巨人の姿で描かれる。 西暦428899年の末世(カリ・ユガ)にシャンバラ村のヴィシュヌヤシャスという バラモンの子として生まれるとされており カリ・ユガ(Kali Yuga)と呼ばれる世界が崩れ行く時代に現れ、 そして世の全ての悪を滅ぼし、新たな世界、黄金期(クリタ・ユガ)を築くとされる。 バベル歴代において最優のサーヴァント。 維持神の化身であり、霊長の存続、すなわち抑止力そのものの分体である。 御神体であるカルキが人間界で存在を確立するために構成された人型の器であり 自我・精神を持たず、彼の乗騎たる機動白馬『System K.A.L.K.I(ハヤグリーヴァ)』 によって 世界から発信される危機信号を受信し、目的を完遂させる。 その力は絶大であり、かつてセイバーのクラスとして参加した第四次聖杯戦争では 前アーチャーを除く、単独で五騎を相手にして勝利を収めた。 完全である神の力、世界からのバックアップを有するカルキはあらゆる障害に対して 有効な手段と方法で対処が可能であり、彼を排するのは世界そのものを破壊するに匹敵するほどの 力か、世界との繋がりを遮断させるしか手段はない。 なお前回では、原罪を取り込んだ聖杯の孔を破壊するために放った前アーチャーの『獄炎秘めし災厄の矢(アグネア)』 の余波から人々を守るために自身を盾にしたためである。 そのため、被害は街の一区画という極小へかなり抑えられ、役目を終えたカルキは次の戦場へと還っていた。 奇しくも、その戦場は10年後の冬木市であり、前回同様アインツベルンの参加者として闘いに身を投じるのであった。 バベル外伝 バベル本編の外伝。 息抜きのために書かれたギャグss。 本編とはうって変わって、セリフ主体のテイストで下ネタが多い。 主人公はアシュヴァッターマン。 ヒロインはイリヤとアンチキリスト。 なお、途中から本編とリンクした裏側の物語、The Tower, La Maison de Dieu backnight が始まる。 副題は花言葉で、それぞれ Taraxacum officinale 「真心の愛」、「思わせぶり」 Helleborus、「私を忘れないで」 である。 バベルZERO 本編の10年前、第四次聖杯戦争の話。 作者の悪い癖で、行き詰ったときに妄想して構想された物語。 コンセプトは昼ドラ。 始まりと終わりは原作と同じで、マスターに割り振られた鯖のクラスも同じ。 登場サーヴァントは以下の通り セイバー カルキ ランサー ベイリン アーチャー アシュヴァッターマン ライダー チンギス・ハーン バーサーカー ピサール キャスター エリザベート・バートリー アサシン キルロイ なお、本編、間章5において、最終決戦カルキVSチンギス・ハーンVSアシュの三つ巴 が描かれている。 また、当初はシグルドとブリュンヒルデが参加予定であった。 バベルの塔の狸 本作、皆鯖WIKIで連載されているss。 前作、FateMINASABA 23th 00ver連載時、登場予定のネブカドネザル2世が製作中であったため それまでの読みきりとして、中篇ssの予定で書かれた。 当初はソロモンVSニムロドVSマザー・ハーロットであった。 だが、書いてるうちに作者が本気で書き始めたため、長編ssとして連載が続くことになる。 コンセプトは鬱サスペンス。バッドエンド症候群に悩まされた作者によって気色の悪いテイストになっている。 主人公はニムロドと士郎。 ヒロインは桜と由紀香、マザーハーロット。・・・・・のつもり。 登場サーヴァントは以下の通り セイバー エルキドゥ ランサー アキレス アーチャー ニムロド ライダー マザーハーロット バーサーカー カルキ キャスター ソロモン アベンジャー アンチキリスト 前アーチャー アシュヴァッターマン ま行 埋葬機関(組織) 聖堂教会の切り札ともいえる吸血鬼専門の異端審問機関。 神への信仰は二の次で、ただ異端を抹殺する力さえあればよいという強面の部署。 メンバーは形式だけでもアデプトで扱いは司祭級、さらに特別権限を持つ異端審問員。 ただし彼らが形式的な異端審問をすることなどないので、単に代行者、または殺し屋とも呼ばれる。 メンバーの証として普段は見えない羽の生えた十字架(剣)の刺青を施す。そこに刻まれている数字が機関でのナンバー。 たとえ大司教でも悪魔憑き、異端ならば処刑する権限と実力を持っているために、教会でも厄介者扱いされている。 この機関こそ教会における異端と囁かれるのも当然だろう。 全吸血鬼の排除と因となる二十七祖の封印を目的とするが、もとは聖遺物の収集をしていた。 完全な実力主義制で、能力があり教会にとって都合の悪いモノを始末するのなら誰でも一員になれる。 ただし年功序列が根強い。 1位から7位の構成員と1名の補欠で構成される。 1位は代々ナルバレックで5位がメレム・ソロモン、6位がミスター・ダウンとその相棒(ミスター・ダウン単独では暫定6位) 7位がシエル。補欠は教会から優れた者をスカウトするが、審問のたびに死亡する為にめまぐるしく交代する。 メンバーには表立っては禁忌とされる魔術を好む者、捕らえてきた異端者を奴隷として扱う者、 近代兵器マニアや殺人快楽性となかなか飽きさせない人材が集まっている。 また、埋葬機関のメンバーはサーヴァントと渡り合うことができる(シエルは防戦レベル)。 今回の聖杯戦争は、聖堂教会において、最も忌むべきものであり、待望となる悲願であった 教義における終末が発生するとの情報を受け、渡航可能な総戦力を冬木市内に送り込む。 埋葬機関も例に漏れず、5位のメレム・ソロモン、6位のミスター・ダウン、7位のシエルが派遣される。 奇しくも同時期に、白翼公トラフィム・オーテンロッゼが何十年とかけて用意してきたアルズベリの儀式が 開始されたため、他の構成員はそちらに行っている。 彼らの冬木への派遣選抜の理由は、単にナルバレックの嫌がらせ。 間桐桜(人名/魔術師) まとう さくら。 3月2日生まれ。身長156㎝。体重46㎏。B85 W56 H87。血液型O。Eカップ。 第五回聖杯戦争におけるライダーのマスター。 穂群原学園1年生。弓道部員で、弓道は衛宮士郎の影響で始めた。 間桐慎二の義妹。今代(最後)の間桐の魔術師(候補)。マキリの聖杯の実験作。 遠坂凛の妹だが、十一年前に後継者がいない間桐に養子に出された。 髪を結んでいるリボンは凛が最初に作ったもの。 本来の属性(起源)は架空元素(虚数)で遠坂の魔術師としてならば大成しただろうが、 間桐の属性である水に変えられたために魔術師としては衛宮士郎なみ。 原作では刻印蟲に魔力を喰われるため、魔術の起動は出来なかったが バベルでは、感情が昂ぶった際に架空元素を起源とした『黒い影』の具現化ができる。 臓硯もその事実を把握していたが、冬木市の治安悪化による万が一の危険に備え、止むを得ず黙認をしている。 目も髪も遠坂の色ではなくなるほど初期(五歳くらい)に身体をいじられており、 その心臓には間桐臓硯の魂の器である本体が寄生している。 10年前に監視用および聖杯の器にするために、第四回聖杯戦争の最後で破壊された聖杯の欠片を触媒として 生み出された刻印虫を体内に植え付けられた。 その際にマザーハーロットとの結節点を取得し、自身の意思とは無関係に 周りの人間の理性を簒奪し、『黒い影』の侵食を続けていく。 また、魔道の伝承のために十一年前から性的虐待を受け、魔道とは関係なしにたびたび間桐慎二に暴行を受け、犯されている。 だが何をされようと隠そうとする。 間桐の魔術師にされたために魔術師の精がないと体が火照っておかしくなってしまう。 原罪など、より純度の高い呪詛を孕んだ聖杯の欠片とマザーハーロットの影響で 原作よりも感情的で不安定であり攻撃的。 彼女自身が、邪悪の呪詛を取り込んでいるため、負の感情に対する高い耐性を得ていたためと考えられる。 だが、絶えず微弱な呪詛を撒き散らすため、彼女の周りには悪辣なトラブルが耐えない。 仲の良い友人で、三枝由紀香、美綴綾子、衛宮士郎がいる。 聖杯戦争直前に、不良グループによる強姦事件の被害にあい、半日もの間輪姦され その後、座礁して海岸で体を休めていたところを間桐臓硯によって、半ば強制的に召喚の儀式を執り行い ライダーを召喚する。 彼女を呼んだことによって、体内の聖杯の欠片が活性化し、ライダー自身の禍々しい魔力と相まって 精神を病む。 そのため、苦肉の策として『溢れる邪淫(ルクスリア・チャリス)』 の力によって意識を混濁化させることによって 汚染侵食の緩和措置を取られた。 間桐慎二(人名) 身長167㎝。体重57㎏。 弓道部副主将。間桐鶴野の息子で間桐桜の義兄。穂群原学園2年C組。 ナルシストで天才肌。極めて自己中心的で自意識過剰な性格で他人を見下す。 弓の腕前はなかなか上手なのだが、本人は暇つぶしと言ってはばからない。 第四次聖杯戦争中は遊学の名目で国外に出されていた。 桜が養子に来たときは多少は苛めながらもかわいがっていた。 しかし間桐の後継者が自分ではなく桜だと知った時、 『生まれを憐れんでいたのは自分ではなく桜の方だった』と思い手酷い暴行を働くようになった。 だが、内心では桜を酷く恐れている。 魔術師としての才能はないが、一般の人間としての才能は多分にある。 それだけに魔術師としての才能がないことを気に病み、鬱屈していき、周囲の人間を見下すようになった。 間桐桜から流布される呪詛によって、徐々に精神を病んでいく。 精神の安定のためか、原作より女遊びなど派手な享楽を繰り返しており、精神科に通院している。 最後は、意識が混濁化した桜の妄言に、ストレスが臨界点を超え暴行する。 その折に、衛宮士郎に彼女の真実を話すと挑発したため、逆上した彼女に殺害された。 ら行 ライダー(人名/サーヴァント) 167cm・53kg 真名は不明。 マザー・ハーロット、「地上の忌むべき者や売春婦達の母たる、大いなる、謎めいたバビロン」。 「グレート・ハーロット(The Great Harlot="大淫婦"の意)」とも呼ばれる。 キリスト教における黙示録に出現し、もろもろの民族、群衆、国民、国語の上に立つ 人々を惑わす悪徳の象徴とされる美女。 『黙示録』によれば“悪魔の住むところ”であり“汚れた霊の巣窟”である。 女性の姿で表されておりきらびやかな装身具を身につけ、手に金杯を持つが、 その杯は姦淫による汚れに穢されているという。 大淫婦は殉教者の血を流すが、神のさばきによって滅ぼされるともいわれる。 新約聖書『ヨハネの黙示録』によると、終末の時、地上に邪悪な獣に跨って姿を現れる。 これ等には明確な名前が付けられておらず、その多くは謎に包まれており その為か多くの文献では黙示録の獣、あるいは666等として紹介されている。 バベル歴代において最悪のサーヴァント。 第四次聖杯戦争において、この世全ての悪(アンリマユ)・聖槍の原罪 そして、言峰による 「見よ。まことにわたし(神)は、新しい天と新しい地とを創造する。 先のことは思い出されず、心に上ることもない。だから、わたしの創造するものを、いついつまでも楽しめ」 という世界の終わりを聖杯に願ったことによる触媒によって、現世に召喚された反英雄である。 もっとも当初は、冬木の街に土着した現象的な形のないものであり 着々と人々の悪意を煽るなどの終末到来のための暗躍を行い、第五次において間桐桜によって召喚され肉体を得る。 正真正銘の邪悪な英霊。 本来は英霊に収まる霊格ではなく、神霊といった方が相応しい。 老若男女問わず誘惑し、堕落させ破滅に追い込む悪徳の華。 笑うと途端に邪気のない聖女のように清らかな表情になる。 宝具は『溢れる邪淫(ルクスリア・チャリス)』 と『黙示録の獣(アポカリプティック・ビースト)』 を有し 特にこの黙示録の獣は、赤き竜より同等の力と権威を戴き、次元違いの力を有する。 呪力の純度は、世界から供給される大源(マナ)と悪意によって大きく上限するが 龍種と同等の力も有しているため、単一でも生半可な英霊では太刀打ちはできず、 審判の日には、天を貫き、大地を腐敗させ、あらゆる生命を死滅させるほどの権威と力を得られるという。 また、彼女自身も「原初」の力を有しているとか。詳細は不明。 ランサー(人名/サーヴァント) 167cm・58kg 真名はアキレス。 イリアス叙事詩の主人公。プティアの王ペレウスと海の女神テティスの息子。 数多くの英雄が激戦を繰り広げたトロイア戦争において、最強の英雄としてその名を讃えられている大英雄。 生まれてから間もなく、母によって冥界を流れるステュクス河の水に全身を浸され不死身となる。 その際に、踵を掴まれていたために唯一の弱点となってしまったアキレス腱の逸話はあまりにも有名だろう。 トロイア戦争の時、アガメムノーン王がアキレウスの妻プリセイスを連れ去ろうとしたことで戦場から去ってしまう。 その後苦戦したアテネ軍からアキレウスに謝罪と参戦を請う使者が来て、 最終的には戦線に復帰し敵側の最強の英雄ヘクトールを倒す。 そして女神エオスの息子メムノンを殺し、トロイア軍を城市まで押し戻しスカイアイ門から入ったところで アポロン神により狙いを定められたパリスのはなった矢に弱点の踵を射られ、さらに次の矢を胸に受けて戦死した。 これにより両軍共に大黒柱を失った形になり、その後の戦局は混迷を極め 死後、アキレスの魂は英雄たちの楽園であるエリュシオンに迎えられたとも、 冥府でオデュッセウスと会見したとも言われる。 容姿は、金髪、碧眼、薄い唇の美男子で、剣、槍、弓矢の腕にも優れ、 さらに素手であっても、どんな敵にも勝てたという。 また、「足の速い」アキレウスとも呼ばれ、父から譲り受けた馬、バリオスとクサントスを除いて、 どんな馬よりも速く走れたといわれる。 バベル歴代で最速のサーヴァント。 名立たる英雄と、神々・幻想種があたりまえのように存在した神代において 無双を誇るまでに到達した無窮の駿足は、地に足を下ろしている限り、慣性の法則に縛られぬあらゆる制動を可能とし その速度は最高で、地球の自転速度に並ぶほど。 彼の願いは、自身の人生に後悔はないが、生前の若さゆえの浅慮な行動を恥じており、次の生を得たときは よく深く思慮し、強く正しい道を進むことを望んでいた。 時に厳しく、時には優しく接する、戦士としてもサーヴァントとしても非常に高潔で優れた人物であり 凛という最高のパートナーを得たことにより、此度の戦場においても輝かしい栄光が得られるはずであった。 だが、この歪んだ聖杯戦争において、彼の力は十二分に発揮することは叶わず 盾にされた凛を庇った隙をつかれ、アーチャーに腱を射られて敗北してしまう。 六道(用語) 六道(りくどう)とは、仏教において迷いあるものが輪廻するという、6種類の迷いある世界のこと。 すべての衆生が生死を繰り返す六つの世界。 迷いのない浄土に対して、まだ迷いのある世界。 地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道。前の三つを三悪道、あとの三つを三善道という。 仏教では、輪廻を空間的事象、あるいは死後に趣(おもむ)く世界ではなく、心の状態として捉える。 たとえば、天道界に趣けば、心の状態が天道のような状態にあり、地獄界に趣けば、 心の状態が地獄のような状態である、と解釈される。 なお一部には、天狗など、この輪廻の道から外れたものを俗に外道(魔縁)という場合もある (ただし、これは仏教全体の共通概念ではない)。 地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天。などのカルマに支配された六種の衆生が、 生命の輪廻の輪の中に表されている。 アシュヴァッターマンによって放たれた『獄炎秘めし災厄の矢(アグネア)』 ベイリンによって混入された『聖者の嘆き(ロンギヌス)』 の原罪 聖杯に眠るこの世全ての悪(アンリマユ) 第五次聖杯戦争に召喚されたアキレスとカルキを除くサーヴァント、守護者 聖杯降誕の地、冬木市と生命。 神と崇められる自然霊。 位階を別にする六道を揃え、然るべき手順と儀式を行った人間は この輪廻の輪を断ち切ることで解脱が得られるという。 これほどの純度の触媒と、聖杯を持ってすれば、確実に天上の神の座へと届くだろう。 ニムロドと臓硯は、最大の障害となる抑止力(閻魔)の目を逸らすだろう終末の日の中で 儀式を行う腹積もりである。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/96.html
929 名前:fusianasan[sage] 投稿日:2010/07/13(火) 23 17 51 そんなに気にしなくてもいいと思うんだけど、直接的な単語が出てくるので苦手な人はフォールドしてください。 あと、ちょいSMチック?かも。 急いで家中の家事と戸締りを終えて、ベットルームへとやってきたアルトは次の瞬間に見た光景に思わずその場で動きを止めた。 ベットの側の灯りだけが小さく点けられた薄暗い部屋の中では、数週間にも渡るコンサートツアーを終えて帰ってきた銀河の妖精が自分を待っていてくれているはずで、これから自分はその彼女と一緒に久しぶりの二人の時間を過ごすはずだった。 だから、無理やり家事を終わらせ、いそいそとこの部屋へやってきたのだ。 と、いうのに。 肝心要の彼女は、彼女の帰りを今か今かと待ちわびていた相手と甘い言葉を交わす前に一人夢の中へと旅立っており、残された純情可憐な青年を出迎えたのは気持ち良さそうな彼女の寝息だけだった。 いくつもの船団や惑星を巡るツアーだということは分かっていたから彼女が疲れていることも重々承知していたし、そう がっついて は男としてみっともなさ過ぎるということも分かっていた。 だから、少なくとも今日 は という配慮を自分の理性との戦いになるだろうことを予想しながらも強いたのだ。 なのに、この仕打ちはあまりにも酷すぎるのではないだろうか? せめて、もう少しくらい自分を待っていてくれてもいいんじゃないだろうか? 思考を停止し、真っ白になった頭にぷかぷかと浮かぶ疑問に早乙女アルト(18)は、力強く何度も頷いた。 いつもは見ていると笑みが零れてくる寝顔や寝息も今夜ばかりはむなしさを煽るだけで、同時に腹ただしくもなってくる。 なんとか気力を振り絞りベットの端までたどり着いたアルトは恨めしそうにシェリルを見つめると大きな溜め息を吐いた。 会いたいと思っていたのは自分だけだったのだろうか? キスしたいとか触れたいとか そういう 欲を抱くのは自分だけなのだろうか? 自分と同じくらい彼女も自分のことを想っていてくれるのだろうか? 女々しい考えだということも分かっているのだけれど、こういう状況下でこういう感情の渦に揉まれた時にすぐさま抜け出せるほど早乙女アルトは大人ではない。 それに確かめたい相手が目の前にいるということがなおさらアルトを焦らせ、追い詰める。 目を開けてくれたら。 その青色の瞳に自分を映して、そして、一言でもいいから言葉を交わして笑ってくれたら。 そしたらこんな不安もかき消すことができるのに。 叶わない願いだと分かっていてもそう考えてしまう。 なかなか煮え切らない自身に焦れ、諦めのつかないままに触れたシェリルの髪からは甘い匂い立ち上り、アルトの胸をぐっと締め付ける。 込み上げてくる衝動を必死に押さえつけながらアルトは眠るシェリルを見つめた。 ベットの上に散らかった髪 無防備に投げ出された手足 シェリルの普段着にしては珍しく短いシャツのせいで、お臍のあたりまで肌が露になっている。 これを挑発的といわなければ、何をそういうのだろう。とそんな疑問が湧いてきそうなシェリルの姿にアルトが焦れる。 今すぐ覆いかぶさり、ぐっとシェリルを抱きしめたかったけれど、それをやってしまえば止まれなくなってしまいそうな気がして、少し怖かった。 「・・・・・・・・」 生殺しとはよく言ったものだ。 武士は食わねど高楊枝 なんて言葉を作った奴の顔が見てみたいと恨みがましく呟くと、アルトは唸るようにしながらぎゅっとシーツを握り締める。 我慢だ。 シェリルだって疲れているのだからこちらの都合に任せた無体なまねができるわけがない! そう割り切ってしまえたらどれだけ良いだろう。 だが、若干18歳の青少年にしてみれば後ろ髪を引かれるほうが強いに決まっている。 それでなくとも2週間ぶりに会えるのだから、再会自体を随分と前から楽しみにしていたし、 もしかしたら というような青年らしい淡い夢も抱いていたのだ。 疲れて寝てしまいました-はい、そうですか。などと簡単に諦めきれないのも致し方ない。 「・・・チクショウ・・」 勝手に期待した自分も悪いのだから、と呪文のように必死に言い聞かせていると、口から滑り出る恨み言にも流石に勢いがなくなってきた。 これが惚れた弱みというやつなのだろうか? それなら、俺だって惚れられたい。 いや、待て待て俺は惚れられていないというわけはないだろう。 遠くシェリルから視線を外したアルトの脳内では、いつの間にかボケとも言えないボケと突っ込みという名のフォローが代わる代わる行われる一人漫才が始まる。 どこまでも流れていくそれらに突っ込み、打ち切る気力すらも無くしたアルトは、思考が麻痺しだした今の内に眠ってしまおうとノロノロと身体を起こすとシェリルを踏んでしまわないように気をつけながらベットの上へと上がり込む。 アルトの重さにスプリングゆっくりと沈んだ。 シェリルからなるべく離れたところに陣取り布団を被って眠る体勢を整えるけれど、むなしさが押し寄せてくるのは止められない。 本当ならば、今頃はシェリルを腕に抱きながら久しぶりの感触を確かめているはずだったのだ。 久しぶりと笑って、会えなかった時間を埋めるように話をして、戯れにキスをして、互いの存在を確かめながらゆるやかな眠りに落ちていくはずだったのだ。 やりきれない気持ちに押され、ごろりを身体を回転させて再びシェリルのいる方を見れば、幸せそうな寝息が聞こえてくる。 寝転がったままでにじり寄り、少しくらい仕返しをするくらいは許されるだろうとほっぺたを軽く摘んでやるとシェリルの眉間に皺が寄った。 起こしたかもしれない!っと慌てて手を離すけれど、そんな緊張むなしくシェリルの呼吸は変わらない。 それどころか、シェリルがコロリと寝返りを打ちながらアルトのスペースさえも占領しようとやってくる。 アルトは自分の行動の代償を思い知った。 温まったシーツを道しるべにしているのか、シェリルは確実にアルトへと近づいてくる。 可能な限り逃げてみたけれど、その健闘もむなしく数分後にはシェリルの腕がアルトを捕まえ、続いてスカートから覗く素足がアルトの右足を掴まえる。 押し当てられる身体の柔らかさとシェリルの匂いにアルトの下半身が痺れた。 子猫が頬や身体をすり寄せているようにも見えるそれは見た目の愛らしさとは違って、すさまじい破壊力を持っている。 腕や上半身に触れるふにゅふにゅとした柔らかい感触や腕に当る感覚とはまた違った滑らかな柔らかさがアルトを必死に抱き込もうと奮闘する。 アルトは必死に無心を言い聞かせ、それらの正体を必死に考えないようにするけれど、それは禁欲を強いられていた少年には特に難しく、理性はすぐにでも焼き切れそうになっている。 はっきり言って限界だった。 好意を抱きあう相手が自分の隣で気持ち良さそうに眠っていて、無防備に自分を求め、甘えるようにして擦り寄ってくるそんな状況下で不埒なことを考えたり、期待や好奇心を抱かない高校生がこの世にどれだけいるのだろう。 もし、いるとしたらそれは不能な奴か変態か、もしくは色恋沙汰に目覚めていないただのガキだと貶しめながらアルトはその誘惑から必死に逃げ惑う。 いつかは自分も、と異性を付き合うことをぼんやりと考えるしかなかった頃は好きな相手を触れ合うことがこんなに自分を陶酔させるものだとは予想もしていなかった。 アルトにとってはいつか自分も経験するだろうただの行為で、きっとそれは心地のいいものなんだろうというくらいの認識だったし、相手の隙に付け込んでまでそういうことを する 奴はとんだ卑怯者だと鼻で笑っていたのだ。 が、当事者となった今ではそれを振り切ることがどれほど難しいことかが分かる。 そして、男の単純さと少女の無防備さにいい思いを噛み締めながらも苦悩をもたらす両者が小憎らしくてたまらなかった。 「・・・・ん~~、・・ぁ、ふ、っ・・」 耳をくすぐる甘く気だるげな声。 それがスイッチとなり、アルトの中の甘美な記憶を弾き起こす。 濡れたように光りながら揺れる瞳。 押し当てると弾力に富んだ柔らかな感触を返す唇。 しっとりとした桜色に上気した肌と溶けてしまいそうに熱い壁の感触。 そして、その感覚に飲み込まれ、溺れた時の気持ちよさ。 「・ッ・・あ・・も、・・・む、りっ」 脳裏を微かに過ぎったシェリルの裸身と自分を包む柔らかく温かい存在にアルトがたまらず声を発する。 熱をあげた息と共に吐き出した声はアルトの理性を一気になぎ払い、理性の下で蠢いていた情欲が状況を逆転させようとするかのように押し寄せてきた。 慌ててシェリルの腕の中から逃げ出し両腕をベットに突いたというのに、自分はいつの間にかシェリルを組み敷き、その上にいた。 それを自覚した途端、一瞬遠ざかったドクドクと激しい音を立てて流れていた感覚が甦り、衝動が一気に臨界点を突破した。 マズイとか、 ヤバイとか、 もう感じる暇はなかった。 ただ、ただ、シェリルに触れたかった。 目の前で眠る少女を裸にして、 その真っ白な裸体を思う存分撫で上げ 組み敷き、舌をねじ込ませて声を上げさせ、 それから甘い痛みを与えて欲しい。 湧き上がる衝動のままに、アルトはシェリルのネクタイに手をかけて解き、慌しくシャツの前を寛げて行く。 ボタンの一段目を外すときは流石に指が震えたけれど、もう後には引けなかった。 手を止めようとする数々の不安を思いつく限りの理由を勢いよく並べることで打ち崩し、怯むなと必死に自分を追い立てる。 あれだけ時間があったのに夜着に着替えていなかったのは、まだ眠る気はなくて自分と戯れる気があったからだとか、挑発的な服をチョイスしているのも自分を意識しているからこそのチョイスだったんだとか、もし目が覚めたら寝苦しそうだったからとか着替えさせてただけとか言い訳すれば許してもらえるかもしれないとか、もう本当に色々だ。 もう脈絡なんぞありはしない。 冷静になったら負けだった。 アルトにとって都合の良すぎる考えに侵されている今だからこそできる行為だ。 一度、頭が冷えてしまえばすぐさま手が止まってしまうだろう本当に本能と衝動だけに突き動かされている行為。 それは全てを肌蹴させ、胸を覆い隠す薄紫の下着が露になったとこでようやく止まった。 すうすうとリズムよい寝息と同時に上下するシェリルの胸。 頼りない灯りに照らされたそれは、いつもと変わらずぬ白磁のように美しい。 下着から覗く部分にそっと触れるだけでも驚くくらい柔らかいことが分かる。 アルトの吐息が知らず知らずの内に震えた。 シェリルの身体を支えながら少しだけ浮かし、ホックを外した後で肩のストラップを外す。 締め付けられていた状態から解放されたそれらは蓮の葉に落ちた水滴のようなふっくらとした楕円を描き、シェリルの胸を形どる。 アルトはそれに顔を埋めようとゆっくりと身を屈める。 だんだんと顔を近づけ、触れるまであと数センチというところで不意に動きが止まった。 「?」 アルトも自分がなぜ引きとめられたのかは分からない。 ふっと顔をあげ、きょろきょろと周りを見渡すと、目を引いたものがちょうどベットに付いたアルトの左手の側で見つかった。 先ほど解いたピンク色のネクタイだ。 おそるおそるそれを持ち上げたアルトの脳裏に イケナイコト がふと過ぎる。 数秒迷っては見たけれど、一度ラインを超えてしまったアルトの天秤が片方に傾くのにそう時間はかからなかった。 すでに怒られるようなことに及んでいるのだし、悪事が1つ、2つ増えたからといって何がどうこう変わるわけではないだろうし、少しくらい 仕置き をしてもきっとゆるされるだろう。 まさに毒を喰らわば皿までといったところだ。 アルトは取り上げたそれを一旦唇で噛むとシェリルを起こさないようにその両手を頭の方へと持っていく。 慎重に持ち上げた後でネクタイを使って一つに括りあげると、それをベットの端に繋いだ。 もちろんシェリルに痕が付かないようにとの配慮は怠っていない。 その辺がさすがというところだが、やっていることはやはり褒められたことでないのは確かだ。 アルト自身も己の暴力的とも言える行動に動揺しながら、それでも不用意な音を立てないようにと必死だった。 両手を縛り上げられ、豊かな胸をアルトに差し出すようにして眠るシェリルは扇情的で、その見慣れぬ姿にアルトの呼吸か思わず乱れる。 アルトが舞台で見せるような激情を胸の内に秘めたような大人のしっとりとした色香ではないけれど、そこにはまた色違いの艶かしさがあった。 大人びた肉体とプライベートで見せる無邪気な表情のアンバランス差がどこか儚げで危うく、何らかのフェティシズムを刺激する。 普段の彼女からはほとんど見ることはないけれど、和らげた表情の先に時折現れる薄幸がかった様子を思い出すだけで、今すぐにでも抱きしめてやりたいという衝動が溢れ出るくらいにアルトは彼女に魅せられてれていた。 ここまで来たら後には引けない。 むしろ、ここまでして逃げたらただの変態バカだ。 アルトはゴクリと喉を鳴らすと恐る恐るシェリルに指先で触れ、それから肩口に顔を埋めた。 「・・・・ッ・・」 間近で感じた肌の匂いに頭の中が一瞬にして真っ白になった。 同時に狂おしいほどの感情が胸を覆いつくして行き場を失い、外へ出ようと競りあがってくる。 苦しさが一瞬にして色濃くなった。 欲情している。 表現すればそうなるのだろうけれど、そんな簡単な言葉で済まされるほど感情は単純ではない。 触れたときの嬉しさや愛しさや温かさに泣きたくなるくらいの感情の渦が巻き起こり、全てを押し流していくのだ。 ともすれば、一気に歯止めを失い、雪崩れ込んでしまいそうなそんな感情の制御にアルトも手間取る。 けれど、そんな激情とは裏腹にシェリルに触れる手はどこまでも優しく繊細だった。 頼りない灯りの元では女性らしい線の細さがさらに繊細な印象を与える。 全てが柔らかく、光を帯びた白磁の肌からはよい肌の匂いが立ち上り、身体全体がうっすらと曖昧な光を帯びているようにも見える。 その様子に自らが触れることの怖さを感じながらアルトはもう一度静かに頬を寄せ、指を滑らせて行く。 しっとりとした肌の感触。 温かなヒトの匂い。 触れた部分が少しだけひんやりとしているのは、自分の手の熱のせいだろうか。 首筋を撫ぜ、胸元を撫ぜ、ゆっくりゆっくりと下ってゆく。 そしてその後を追うようにして唇を滑らし、所々に舌を這わせた。 アルトの唾液に濡れた部位は艶やかに光り、アルトの背徳感を煽る。 心のどこかにあるのだろう 自分なら という小さな期待がアルトの心をさらに舞い上げていった。 「・・・・・んっ・・ゃ・・」 寝言とも喘ぎとも付かない声がシェリルから上がり、それがアルトをドキリとさせる。 あれだけ愛撫を与えているのだから、目覚めは近いのかも知れない。 アルトが丁寧に舌を這わせるごとにシェリルの産毛がぞわりと立ち上がる。 濡れた跡を人差し指と中指で愛撫してやればシェリルの身体が小さく震え、眉間にかすかな皺が寄った。 胸をゆっくりと揉みしだき、舌先や指先で先端を煽ると、たちまちそれらはぷっくりと熟れて立ち上がる。 眠っている様子を見ているだけでもシェリルが 感じて いることが分かった。 いい子、いい子をしてやるように髪を何度も撫でてやり、眉間の皺を取り除く。 安心したように身体から力が抜けるのを待ち、それがいつもの状態に戻ってからまたゆっくりと愛撫を再開する。 ぴくん、ぴくんっと跳ねるようにして返って来る反応の全てが愛おしくてたまらなかった。 僅かに横になっていたシェリルを正面に向かせて顎を固定し、それから静かに唇を重ねる。 思えばこうやって触れ出してから初めてのキスだ。 いつもなら一番最初だったのにとはっとしたところで、自分がテンパッていたことが改めて思い出され、思わず笑いが零れてくる。 ひとしきり笑った後で、アルトはもう一度シェリルに優しくキスをした。 唇を軽く押し付けその感触を甘受した後で、そっと食む。 軽く引かれたそれはアルトの唾液に濡れながらぷるりと震えて元へと戻っていった。 そして、アルトはそれを楽しむようにもう一度繰り返す。 いつしかシェリルの唇の砦は崩れ、アルトの舌が容易に中を蹂躙できるようになっていった。 中に舌を進入させてシェリルの舌先と絡め、弄び、ゆるゆると吸い上げる。 いつもの夜のような挑発的な会話も舌先でのやりとりもなかったけれど、気持ちは勝手に高ぶっていった。 アルトは再び先ほどとは別の意味で興奮し、腰の奥の疼きを認識する。 「ん・・・・ふっっ、ん!!」 呻き声が聴こえたと思ったら、急に組み敷いていた身体が急に動き出した。 シェリルが起きたのだと分かるけれど、同時に本能がここは引けないと警告を発する。 一度シェリルに怯み主導権を握られてしまえば、後はただただ説教の時間が待っているだろうし、そこで恨み言を一言でも零したならば、さらにつよくねめつけられるに決まっている。 そう考えれば、ここはアルトにとっての正念場だった。 アルトは咄嗟の自分の判断に従い、左手で暴れる手首を押さえ、身体全体を使ってシェリルを押さえ込む。 それから、合間合間を見計らいキスを仕掛けた。 目覚めたシェリルからしてみればとんだ論理だろうけれど、アルトからすれば必死の行動だった。 シェリルが変に怯えずにすむように名前を呼んでやり、一瞬空気が緩んだ隙をこじ開けて再びキスを仕掛ける。 根気強く何度も何度も舌先で擽り、同時に空いた左手で胸を撫でてやれば自分がほとんど裸の状態だということに気付いたシェリルの身体が強張ったけれど、アルトが触り続けることで次第にそれも溶けてゆく。 一方的とも言えたキスはいつの間にかシェリルからも求められるものへと代わり、同時にアルトの緊張も解けていった。 互いに貪るようなキスを続ければシェリルから飲み込みきれなかった唾液が零れ、それが顎を伝って裸の首筋を濡らす。 生理的な涙を浮かべた瞳はひどく凄艶で悩ましげな表情がさらにそれらを引き立てる。 あぁ、ヤバイ 今日何度目かの暴走に駆られた情欲にアルトは苦しげに息を吐いた。 勝手に裸に剥かれても、縛られても、一方的なキスをされてもシェリルの瞳にアルトを拒絶する色は見られない。 澄んだ瞳は涙に潤みながらも変わらずアルトをじっと見つめてくる。 縋るようにも見えるその視線は、アルトの中の黒い感情を膨らませていった。 ダメだ そう何度頭の中で繰り返しているのに、凶悪な言葉は自分の口から出たがっている。 言葉だけでなく、それを生み出す思考さえもそれに染められてしまいそうだった。 「・・・シェリル」 「・・・ると」 乱れた呼吸の合間、合間を縫うようにして互いから零れた言葉。 ほんの少しだけ掠れたようなその声がもっと聞きたいと思った。 おもむろにシェリルの胸元へ顔を埋め、先端を口に含んで転がす。 嬲るごとにシェリルが振るえ、甘い声が上がる。 普段ならそこで止まるはずの獰猛な気持ちが今日は勝った。 「・・・あっ・・・ッッ」 十分に熟れた果実に歯を立てた途端、小さな悲鳴が上がった。 コリッとする弾力に富んだ歯ざわりが伝わり、微かに震えるシェリルの身体が怯えていることを伝える。 アルトはそれを目の端で捕らえると何も言わず優しく舌先で擦ってやる。 「ん・・・・・やっぁ・・・」 シェリルの声はやがていつもの嬌声へと戻っていく。 それを聞いた途端、このまま溺れさせたい気持ちと再び先ほどのような痛みを与えてやりたいような気持ちが生まれた。 アルトはそれに逡巡した後で、先ほどとは違うほうの果実へ歯を立てた。 生まれる痛みにシェリルが振るえ、苦悶の表情を浮かべる。 泣きそうにも見えるその表情をもっと見たいと思う自分は本当に変態なのかもしれない。 アルトはぼんやりとする思考の中でそう考えて小さく笑った。 好きな子だからこそ苛める。 小学生くらいの低学年ではよくある光景だ。 それと今の自分の行為が全く同じものとは思わなかったけれど、それに似通った感情の一つ なのかもしれないとは思った。 結局、自分がガキだと言うことなのだろうか? ガキだからこそ全てを晒させて独り占めしたいと思うのだろうか? 自分の言葉や行為に翻弄されて乱れるシェリルをもっと見たい。 それと同じくらい大切にして幸せそうに笑う顔が見たい。 相反する二つの感情が混ざり合い、アルトの思考をぐちゃぐちゃにしていく。 自分でも自分が本当に何をしたいのかは分からなかった。 ただ、分かることは今までにないくらいシェリルに対して抱いた感情が凶暴なものであるということだけだ。 「シェリル」 そう呼んで警戒を溶きつつ、指先を胸や腹に這わせてシェリルを高め、そして時々歯を立てる。 いつもの印とは違う少し柔らかい色をした朱がシェリルの身体の柔らかそうな部分に走る様は妖しく、美しい。 どんなものに蹂躙されたとしても何者にも触れられないような穢れない何かがあるようだった。 だからこそ穢してみたくなるのだろうか? 浮かぶ疑問の答えを得られぬまま、アルトはゆっくりと胸に下ろしていた手を下へ下へと下ろし てゆく。 しっとりと汗ばんだ内腿をまさぐり、そっと下着の上からそこをなぞればそこはすでに潤みきっていた。 軽く抑えるだけでもぷちゅっという水音が弾けるような音が鳴る。 その様子にシェリルの顔が赤く染まった。 自分でもこんなことになっているとは思ってなかったに違いない、そんな表情だった。 「・・・シェリル、開いて?」 アルトのブレのない声にシェリルがぎゅっと目を瞑り、いやいやと言うように頭を振る。 腕を頭の上で縛られているためにシェリルの身体はいうことを聞かず、ぷるぷると胸がたわんだ。 恥じらいからそうなっていることは分かっていたけれど今のアルトにそれを止めてやろうという気はない。 それを強いられたシェリルがどんな表情と痴態を見せてくれるのか、どこまで自分を許してくれるのか、気になるのはそれだけだ。 ガチガチに身体を強張らせて必死に恥辱に耐える様子は、アルトの好奇心を存分に煽る。 「シェリル?」 諭すようなアルトの声にシェリルが恐る恐る目を開けた。 瞳を濡らしていたいくつかは既にその頬を滑り落ちたようで、痕が残っている。 アルトがベットの上を移動し、ペロリとその後を舐めてやるとシェリルがうろたえ、惑うのが見えた。 「あ・・・ると」 「ん?」 「・・・・・・」 困ったような声がアルトを呼ぶ。 それに優しく応えてやるとシェリルの顔が泣きそうに歪んだ。 今日を除いてだけれどシェリルの意志を確かめずに無理やり行為に及んだことはなかったし、今日のようにシェリルに自分を受け入れる行為を手伝わせたことはないのだからこの反応も納得だった。 愛撫を通して気持ちの擦りあわせ、頃合が来たことを互いに認識してからシェリルはアルトに身を任せるのだ。 それが別段良いとも悪いとも思わないけれど、それでシェリルが救われている部分があるのではないかとアルトは思う。 身を任せることで能動的立場から受動的立場へと摩り替わることができるために、その分淫乱な自分を認識せずにすむというのはやはり女性にとって心理的にも楽だろうと思ったのだ。 だからこそ、それを認識させてみたかった。 「・・・・止めるか?」 「!!」 我ながら底意地の悪い言葉だと思う。 自分だって限界で頭の血管がぶち切れそうなところにいるくせにそうやって一歩も譲らないところを見せて、シェリルの退路を断つのだから。 しょうがないやつだと心の中で自嘲しながらアルトはシェリルの反応を待つ。 ややあって、シェリルがようやく動いた。 ゆっくりと膝が持ち上がり、スカートの中が露になる。 しばらく膝ががっちりと閉じられていたけれど、それも徐々に解かれて行った。 「・・・・触るぞ?」 「・・ん・・。」 「・・・・閉じたら止めるから。」 「えっ?!・・・・はッ・・ぁ、んっ」 一方的な宣言にシェリルが揺らぐ暇も与えずアルトは下腹部に顔を埋める。 下着の横から指を差し入れかき回せば、そこはすでにとろとろに蕩けきっていた。 くちゅり、くちゅりと淫らな水音が立ち、同時にとろみを帯びた熱い水がアルトの指を覆っていく。 下着の上から舌を這わせば、すぐに溢れ出たシェリルを感じることができた。 「大分濡れてるな。」 「・・ッ!」 「下着ももうぐちょぐちょだ。」 アルトの声に片腕に抱いたシェリルの脚が強張る。 腕を縛られているために何も掴むことができないシェリルがただ、ただ、ぐっと手を握り締めて耐えるしかない。 アルトの羞恥を煽るような言葉に弾かれたようにシェリルの身体はしなり、零れ落ちる蜜の量が増していく。 それを指先で受け止めながら入り口を緩々と撫で付けていると、シェリルの腰が僅かに揺れる。 意識していないだろうその動きにシェリルの自戒が解けかかっていることを確認したアルトは緩やかにかき回しつつ、奥へと指を侵入させた。 中は指に絡んだものとは比べ物にならないくらいの熱く、柔らかい内壁がアルトを絡めとろうと迫ってくる。 ここ最近触れてなかったせいか、シェリルの中は随分と狭くなっているようだった。 最初の時のように何度も出し入れを繰り返しながらゆっくりと中の狭さを取っていく。 中を引っかかないように気をつけながら、アルトが指をまげて押し広げ、2本目を埋めていく。 アルトの言葉に膝をこすり合わせることのできないシェリルは押し寄せる快楽の波に今にも飲まれそうになっていた。 「も・っ・・・ゃ・・・ぁ」 何しろ今日は何かを掴んで耐えることも、膝を閉じることもできないのだ。 霧散しそうになる思考を繋ぎとめるには必死に足を緊張させるしかない。 だというのに、内腿に触れるアルトの手はひどく優しいから思うように力が入らない。 あっという間にシェリルの息が上がった。 切なげなシェリルの声に応える声はない。 アルトもまたシェリルから声が上がる度に、同じ速度で追い詰められていた。 欲情した男にとって、必死に懇願する女の声はこれ以上ないというほどに自身を昂らせる。すでに痛いくらいに張り詰め、熱を持って脈打っているというのに、なかなかアルトが愛撫を止めないのはシェリルに無理をさせたくないという気持ちがあるからだ。 「待っ、て・・ある・・・あッ・あッ・・んっ・・・・あ・るとぉ・・」 うわごとのようにシェリルが必死にアルトの名前を呼ぶ。 むしろ、それしか言葉が思い浮かばなかった。 ギリギリのラインで既に思考を飛ばしそうになるシェリルにはもう考える力も残っておらず、早く アルトと一つになりたいという衝動しかない。 いつしか零れ落ちる嬌声に対する羞恥も消え、アルトにされるがまま、際限なく喘がされていた。 「欲しいか?」 どれほど時間がたったのだろうか? 永久にも思えたアルトの愛撫がようやく中断される。 一方的な愛撫に翻弄されることしかできず、解放されることもないままに弄られたことによってただ高められることしか許されなかったシェリルの身体には汗の粒が浮かんでいた。 全身を濡らしたシェリルを見つめるアルトがおもむろに指を伸ばすと、指先はぬるりと滑った。 指先に掬い取られた粒をアルトがそっと口に含む。 そのアルトの口元が濡れていることに気付いたシェリルは、その濡らしているものの正体にたたまれなくなりぱっと視線を反らした。 けれど、投げられた言葉の意味を理解したシェリルはすぐさま振り返り、縋るようにしてアルトを見つめる。 指だけでイってしまいたくなどなかった。 ドロドロに溶け、アルトの それ 求め続ける自分の奥にアルトを埋めて欲しかった。 おそるおそるシェリルが頷けば、アルトがシェリルに馬乗りになる。 そして、耳元で甘く囁いた。 「ナニをどうて欲しいんだ?」 「ッ!!」 そのままアルトはシェリルの耳に軽く歯を立てる。 背筋に走ったぞくりとする感覚に思わず息を飲んだシェリルを今度は至近距離からアルトが捉える。 吐息がかかりそうなくらいの距離とまっすぐな視線の透明さには不似合い甚だしいアルトの要求にシェリルの頭が混乱する。 意味を理解したシェリルを今日一番の羞恥が襲い、同時に狂おしいほどの切なさが圧し掛かってくる。 懇願しようとした唇も震えるばかりで、音になってはくれなかった。 「言えよ?」 乱暴な言葉遣いのくせにはらむ音はどこまでも優しく魅力的で、戸惑うシェリルの心をぐらぐらと揺らす。 許してっと乞おうにも唇は動かず、抱きしめて欲しいと伸ばすはずの腕も今は動かすことができない。 自身の奥で燻り続ける熱を解放するためにシェリルができることはもう一つしか残っていなかった。 「・・・っ、あ・・・」 言おうと心に決めたのに、いざとなると言葉が出てきてくれない。 言ったら呆れられるんじゃないだろうかとか失望されるんじゃないだろうかとかそんな不安も生まれてくる。 身体の疼きと散々煽られた羞恥のせいでシェリルの頭の中はもうぐちゃぐちゃだった。 「・・あ、ると・・・あると・・」 泣き叫ぶようにしてアルトを呼べば、アルトは優しく髪を撫でてくれた。 けれど、それだけだ。 シェリルの望むようなことは決してしてくれない。 それが、どうしようもなく切なくて、悲しい。 「や・・だ・・。イジワル・・・しないで。・・ちょ・・・だ、い・・・」 「ナニを?」 「あ・・・るとの・・・」 「ん?」 「・・・おちんちん」 幼子のようにたどたどしく、甘くなった声。 それが彼女の本来のものなのか、一時的なものなのかは分からなかったけれど、それはアルトを微笑ませ、同時に発した言葉の卑猥さが状況を更なる局面へと駆り立てる。 すでに張り裂けそうになっていた情動を必死に押さえ込みながら、アルトは優しくシェリルにキスを落とし、髪を撫でると、自分の衣服を脱ぎ捨てる。 それから、シェリルのスカートとすでに意味を成さなくなっていた下着を取り去った。 十分に解れているかどうかを確かめるためにもう一度指を突き入れれば、とろとろに蕩けきった内壁がアルトを掴もうと蠢き、ヒクヒクと震える。 中を一掻きしてから引き抜くと指に絡んだ愛液がゆっくりと涙型になりながら滴り落ち、シーツを汚した。 すでに十分に昂ぶっていた自身をシェリルの願いのままに入り口に当てるとそれを待ちわびたようにシェリルの腰が揺らいだ。 「・・・・っ、あっ・・くっ・」 入り口に押し当て、愛液を絡めるように上下させて潤滑油に使い、シェリルの太ももを抱きこむとゆっくりと自身を進入させていく。 指先で感じるのとは比べ物にならないくらいの熱さと気持ちよさが一瞬にしてアルトを包み、纏わり付いてくる内壁の強さに声を堪えることができない。 息を堪えるようにしながら押し入れるだけで思考が吹き飛びそうになる。 こんなところで意識を飛ばしてなるものかとアルトは己の感覚を必死に手繰り寄せ続けた。 全てを埋めた後で大きく息を吐き出すと、アルトは勢いよく腰を引く。 久しぶりの鋭い感覚にシェリルの口から悲鳴にも似た声が上がり、それはアルトの耳の内でゆっくりと響き渡ると同時にアルトの意識を侵していく。 自分の背筋を這い上がった感覚にそれらが瞬時に溶け合うのを感じたアルトは腹の奥で蠢く欲を衝動のままに弾き出してしまおうとそのスピードを上げた。 押入れ、引き出す度に駆け上ってくる感覚はアルトの肌をぞわりと泡立たせ、官能をもたらす。 組み敷き、蹂躙されながらも唇を引き結び耐えようとするシェリルの苦しげな表情がさらにアルトを酔わせた。 「っ・ぁ・、あぁっっ・・ッ、んっっ・・ゃァっ・・はっ」 ぐちゅぐちゅという淫らな水音。 濡れた荒い息遣い。 翻弄される声。 ギシリとベットの軋む音。 それらが混ざり合った音が部屋中に響く。 耳に届くそれをどこか遠くのことのように感じながら、アルトは中を掻き回した。 アルトに絡みつく内壁はアルトの動きに合わせて形を変え、どこまでもアルトを掴まえようと貪欲に手を伸ばして来る。 擦りあげる度に腰の奥が痺れ、生まれる熱に汗が噴出し、思考が真っ白になっていった。 しっとりとした脚を深く抱え上げ、指先に解されていない深い部分を侵せば締め付けが増し、引きこまれようとしているのか、引き抜かれようとしているのか分からなくなる。 感じるのは熱の渦を思い切り掻き回すときに得られる快楽だけ。 何もかもぐちゃぐちゃにしてしまいたくてたまらなくなる。 アルトの額に浮かんだ汗はシェリルの腹へと落ち、胸へと滑っていった。 白い裸体が繋がり、情欲のままに相手を求めあえば、散漫に膨れあがるそれはいつのまにか大きな塊となり、更なる高みへと二人を誘う。 戻る術など知らず、急かされるままに駆け抜けるころにはもう腹に抱き続けた熱塊を吐き出すことしか考えられなくなった。 内壁を擦りあげる角度を変え、シェリルが強く反応を返す部分を執拗に攻めたてればシェリルの背中が反り返る。 これ以上ないくらいにピンッと緊張した身体に向けてもう一度自分を押し入れると、同時に中の締め付けがぎゅっとキツクなった。 瞬間、アルトの欲望が弾ける。 ようやく許された解放に、アルトの下肢が震えた。 トクトクと注がれる熱い液体の感覚に目を覚ましたシェリルは、肩で荒い息をするアルトを見つけると嬉しそうに笑った。 いつものように抱きしめたくて、抱きしめてほしくて、手を伸ばすけれど、手は動かない。 縛られていたからだ未だにぼんやりとする頭で考えていると、シェリルが目を覚ましたことに気付いたアルトが倒れこむようにして抱きしめてくれた。 大好きな腕が背中へと回り、ぎゅっと抱きしめられるとたまらなく幸せな気分になってくる。 汗に濡れた首筋を舐めてやれば、くすぐったいというようにアルトが笑った。 ややあって、ようやくシェリルの両手が解放される。 どう文句を言ってやろうかとも考えたけれど、少ししょんぼりとなったアルトの表情を見ていたら、叱るに叱れなくなってしまった。 シェリルはそのことに小さく苦笑すると、そのままアルトを優しく抱きこむことにした。 ドクン、ドクンと大きな音を立てて打つ心音に耳を寄せ、軽くキスをしてやればアルトが笑う。 シェリルは身体を動かし、仰向けになったアルトの上に乗り上げると愛おしそうに、裸の胸に頬を寄せた。 そして二人は幸せな倦怠感を感じながら穏やかな眠りへと落ちていく。 END
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(KOOLになれ! KOOLになれ前原圭一!) 思えばなんて馬鹿げたゲームに巻き込まれてしまったのだろう。間違いなく自分の人生の中で一番の窮地だ。 正直、あのケツホルデスという女が殺し合いだなんだと言い始めた瞬間は、冗談じゃないのかと思っていた。 だけど、その直後、首輪の爆弾によって無残にもやる美は殺されてしまった。一瞬でも冗談なんて考えてしまった俺はバカだ。 これは嘘でもドッキリでも何でもないんだ。紛れもない現実。負ける事は許されない死のゲーム。 俺はすぐさま名簿と支給品の確認に移る。周りは一面木が鬱蒼と茂る山。夜の闇も相まってほとんど何も見えない。 支給品か何かで武装しなければ、誰かに襲われる以前に、自分の神経が恐怖で参ってしまう。 ランダム支給品は金属バットだった。そして名簿には沢山のクラスメイトの名前が記されていた。 本当に最悪だ。本当に全くもってどうして……こんな悪夢みたいなゲームに付き合わされないと駄目なんだよ。 (とりあえずまずは誰かと合流する事を目指すか……阿倍さん辺りと会えたら結構頼りになりそうだけど……) 俺は金属バットを握りしめて辺りを見回した。闇と森の合わせ技で視界はほとんどないが、 少なくとも自分の周りには誰もいない、ような気がする。正直言って何の確証も得られない。 ここにいるといつ誰に襲われるか分かったものではないので、さっさと森を抜けてもう少し見晴らしのいいところに行くべきかもしれない。 緊張で、バットを握りしめた手に汗が滲む。俺は自分の安全を確保するために、森を抜ける事にした。ここは危険すぎる。 (名簿によると、俺の知り合いは全部で13人参加させられている……優勝するためには、当然みんなを殺さなければならない……) 圭一はケツホルデスの姿を思い出して、眉間にしわを寄せる。残念ながらあの外道の考えたバトルロワイアルとやらのルールは完璧に近い。 どこをどうつつけば、このどうしようもない状況を打開し得るボロが出るのか、今の時点では皆目見当がつかない。 普通に考えれば、どうあっても絶対に殺人を避けられない状況だ。どうしようもない現実を心の内で再認識して、圭一は怒りを燃やして歯噛みした。 友達の死を、見届けない限りは俺に生き残りはない。ケツホルデスが説明したバトルロワイアルのルールだと当然そういう事になる。 だが、だがなケツホルデス……俺がそう簡単に友達を殺すような薄情者に思えるかよ。 例え自分が死んだとしても、大切な仲間の命を踏み台にしてまで生きたいなんて思わない。 俺は、お前の言いなりになんてならない。俺の仲間達だってきっとそうだ。そうに違いない。 俺は絶対に負けないからな……何が何でも絶対にだ! 圭一は目の前に見えた木に向かって我武者羅にバットを打ちつけた。 どうしようもなく過酷な状況に対する不安、ケツホルデスへの怒り、仲間達への信頼、 こみ上げた感情がある種の臨界点を超え、それらの感情を全て振り払うかのように圭一は何度もバットを振るった。 バットを振る毎に、自分の気持ちが整理されていくように感じた。不安、怒り、絶望、そういった負の感情だけをバットを振る事によって消し去り、 そして勇気、信頼、冷静さ、この過酷な状況を乗り切るために必要なものだけを残していく。 圭一は何度も何度もバットを振った。絶対に負けない。絶対に諦めない。死んでたまるか。 一際鋭い一撃が、木に叩きこまれる。すっきりしてきた。心の中に確かにあった不安を、大暴れすることでやっと振り切る事が出来た。 ここまできたら、もう迷わない。後はひたすらゲーム転覆に向けて一直線あるのみだ。 仲間を死なさずに、皆でこの島を脱出して、そしてやる美の仇を必ず取る! 「俺は諦めない……いくらでも俺達を追い詰めるがいいさ。 だがそれでも俺は屈しない。何が何でもこのゲームを破壊して、このバットでお前に一撃を叩きこむ!」 圭一は木に向かって止めの蹴りを放つ。 「この前原圭一を最初の見せしめに選ばなかった事が、ケツホルデス、お前の運の尽きだ!」 ぜいぜい息を切らしながら宣言する。もう恐怖なんて感じない。今、圭一の胸の内には、確かに青く燃える勇気がある。 ただ、圭一は恐怖を振り払うためだけに、少し大きなリスクを負いすぎていた。 「なかなかカッコイイ事言うじゃあないか。そそられるね」 圭一がバットを執拗に叩きこんでいた木の裏側から、パンツ一丁の男がのそりと出てきた。 そう、あれだけ大騒ぎする事は、近くにいる参加者に自分の居場所を教えるようなものだ。 「ッ!?」 「君の決意にはなかなか心惹かれるものがあったが、さすがにこの状況で大騒ぎする浅はかさはどうかと思うね。 まあ、若さゆえって事なのかな。そう考えると君がますます魅力的に思えてくるが……」 (なんてこった……俺、なんて馬鹿なんだ。自分では冷静なつもりだったけど、俺は恐怖の所為でCOOLじゃなくKOOLになってたのか……) やってしまったという風に、呆然として男を凝視する圭一。 (それにしてもなんなんだこいつ……なんでパンツ一丁なんだよ……これじゃあ変態にしか見えないぞ) 圭一が大いに動揺している間、男は悠然とした態度で圭一に近づいてきた。 「俺がもし積極的に殺しをするような輩だったら危ないところだったな」 「と言う事は、あんたは殺し合いに乗っていないのか……?」 だとしたら協力者が出来る。正直言って、外見からして怪しいってレベルではないけど……。 「どうかな……最終的にどう行動するかはまだ判断しかねるな。君がさっき宣言したようにゲームを破壊できるのなら殺人を犯す必要なんてないが、 まだ何の保証もないからね……。いざとなれば、本当にどうしようもない段階になれば、俺は殺人を犯すかもしれない」 「そんな状況にさせないためにも、俺達参加者は全員協力し合わなければならないと思うんですけど」 男のどっちつかずのスタンスに、圭一は少しイラついた。 「その通りだな。まあ、俺だって殺しがしたいわけじゃない。殺人なんてごめんさ。 勿論、男らしい君がゲームを転覆させると言うのなら、それに協力だってするよ。 だけどな、俺は殺しなんてしたくない以上に、死にたくないんだよ。いざとなったら、俺は自分の命を守るために殺すかもしれない」 圭一は男を少しの間睨んでから、言った。 「なんか……ずるい考え方ですね……一度やると決めたなら、最後までやりとおすのが男でしょう?」 「まあ、理想としてはそうなんだろうねえ。でも俺の場合、極限状態になって、死んでヤれなくなるくらいなら、 罪を犯してでも生き残る道を模索すると思う。君の言うそういう心意気はフィクションの中だけの世界で、 現実に自分の命をかけてまでやりとおす事が出来る人間なんているんだろうかね。」 「やり通しますよ、俺は。絶対に」 挑戦的に、圭一は言った。それを見て男は苦笑いした。 「そんなに怒るなよ。少なくとも今の時点では俺は君の協力者さ。君はとても魅力的だからね。 さっきも言った通り、俺は殺人を犯すなんてなるべく回避したいんだから。 そういえば君の名前は何だ?俺はトータス藤岡ってものなんだが……」 「前原圭一、ですけど」 「圭一君か。いい名前だ。名は体を表すってのは本当なのかね。 さっきの勇ましい宣言でも思ったけど、君は勇気があるとても魅力的な男だ。協力するに足る男だと、俺は直感したよ」 圭一はトータスの褒め言葉に少しうろたえ、上手く言葉を返せなかった。 なんだか、さっきまでのイラつきを上手くはぐらかされているような気がするな…… 「正直言ってそそられたね。圭一君は実に俺好みの漢だ」 「そ、それは正直言い過ぎでしょう。まだ出会ってから10分も経ってないのに」 「いや、圭一君には器の広さを感じるよ。どうだい、ここで景気づけに一発ヤらないか」 「え……やるって何をですか?」 「おいおいおいおい、分かってるくせに最後まで言わせるんだな。察するに君はノンケじゃないか? だが心配する事はない。俺は朝から晩までいい漢との交わりを妄想するような生粋のド変態だ。 大丈夫。一発でホモセックスなしでは生きていけない体にしてやる」 さっと全身から血の気が引くのが感じられた。この男が口にする『やる』とは、やる、でもなく殺る、でもなく、ヤる…… 見た目からして怪しかったが、まさかこの男がホモだったなんて……。折角冷静に慣れたのに、また混乱してきた。 なんだこの状況、おかしすぎる。殺し合いに呼ばれただけでも十分おかしい状況なのに、その上初めに出会った参加者がホモだったなんて。 「君はなるべく多くの協力者を探しているんだよな。殺し合いをぶっ壊すために、当然俺にも協力してほしいんだよな。 だったらここで俺と一発ヤるくらいいいよな。正直言って、色々あって俺も精神的に参っているんでね。 君が気を殴ってストレス発散したように、ここらで俺も精神的重圧から開放されたい訳なんだよ」 「あ、あ、あ……あんた、正気で言っているのか?」 「勿論正気さ。第一印象で感づかなかったか? 俺はもう自分でも引くくらいのド変態ゲイだ。なあ、頼むよ」 圭一は後ずさりした。体中に悪寒が走っている。冷たい汗が額を流れる。 「思った通り圭一君はノンケみたいだな。いいねえ。ますます惹かれるよ。 知ってるか? ゲイはみんな、ノンケが大好きなんだぜ。なあ、頼むよ。ヤってくれないと、俺は圭一君に協力しない。 それどころか、圭一君の悪口を言いふらしてて回るかもしれない」 それを聞いて、圭一は憎しみを込めてトータスを睨んだ。なんなんだこの男は。最低だ。 ある意味殺し合いに乗った人間よりも性質が悪いかもしれない。 「ふざけんな。みんなが助かるためにゲーム転覆を狙う事よりも、自分の欲望を満たす事の方が大事なのかよ。 って事はお前、やっぱり初めから俺に協力する気なんて0だったんじゃねえか!」 「そんな事ない。確かに俺は性欲第一で行動する人間だが、だからといって自分の命を捨てていいわけじゃない。 死ねばもう二度といい漢達と交われないからな。君が大人しくヤらせてくれるなら、俺は君に協力する事を惜しまない」 「人の命よりも性欲を重視するような人間の協力なんて、誰がいるか!そんな人間がどうやって全員の命を救う事が出来る!? お前の協力なんてこっちから願い下げだ!」 圭一は吐き捨てた。なんて野郎だ。クズすぎる。反吐が出る。 最初は殺し合いに乗るとも殺し合いを打倒するともはっきりしない、中途半端などっちつかず男くらいに考えていた。 実際は全然違った。この異常な状況の中でさえも性欲を満たそうとする、尋常ではないくらいに変態野郎だった。 「散々な言い草だな。これでも職場では結構モテモテなんだがな。いいだろう?別に。 どうせどの方向に、どれだけ頑張ったとしても、絶対に助かるなんて保証はどこにもないんだ。 むしろ死ぬ確率の方が遥かに高い。だったらいいじゃないか。最後の晩餐として、いい漢達を頂いたとしても。 知ってるか?ゴリラやチンパンジーの一種は緊張やストレスから逃れるために誰彼かまわず、性別の区別なしにヤるらしいんだ。 勿論オスどおしでもな。ヤるってのは心理的にとてもいい効果をもたらすんだよ。だから軽く景気づけくらい考えて一発くらい────」 「滅茶苦茶言うなおっさんッ! 俺はチンパンジーでもゴリラでもないだろ!れっきとした人間だ!」 そう叫ぶとトータスは諦めたかのように意気消沈した。しかし、実際は諦めてなどいなかった。 圭一を油断させるための、単なる演技。体格において圭一を遥かに勝るトータスだが、 さすがに金属バットという武器を構えている男から無傷で肛門を奪う自信はない。だからこその些細な演技。 俯いて溜め息を一度吐いた直後、トータスは今まで溜めに溜めていた性欲を全て力に変えるかのような勢いで、猛然と圭一に掴みかかった。 「こいつ……!」 一瞬油断した圭一だったが、すぐさま金属バットを構え、迫りつつあるトータスに向けてバットを振るおうとする。 だが間に合わない。バットを振る時間などなかった。最初の一瞬の油断が命取りだった。 しかし、ここで何も抵抗できずトータスの思うがままにされるほど、圭一は甘くなかった。 曲がりなりにもクラスの誰よりも信頼され、中心人物だった男。クラスメイトの多くがバトルロワイアルへの絶望に打ちひしがれている中、 たった一人で、主催者へ宣戦布告した男。圭一は、ここで簡単に負けてしまうような、弱い男ではなかった。 バットを振ってトータスを殴れないのなら、手で握りしめているバットのグリップの部分、先端をそのまま突き出してやればいい。 一撃で仕留めるような高い威力は出せないだろう。だが、トータスはこちらに向かって一直線に掴みかかりに来ているのだから、 それに合わせてバットの柄をトータスの顔面に向けて突き出すだけで、少なくとも昏倒させるくらいの威力は出せるのではないか? 昏倒させられるなら、それで十分。トータスとの決着は、二撃目で決める。 バットを振ってトータスを殴れないのなら、手で握りしめているバットのグリップの部分、先端をそのまま突き出してやればいい。 一撃で仕留めるような高い威力は出せないだろう。だが、トータスはこちらに向かって一直線に掴みかかりに来ているのだから、 それに合わせてバットの柄をトータスの顔面に向けて突き出すだけで、少なくとも昏倒させるくらいの威力は出せるのではないか? 昏倒させられるなら、それで十分。トータスとの決着は、二撃目で決める。 正確に突き出したバットの先端が、トータスの顔に突き刺さった。圭一の目論見通り、あまりの激痛に耐えかねて地面に倒れこむトータス。 野球の練習のために、毎日素振りした経験が生きた。バットに慣れていたからこそ、トータスの行動に慌てず、冷静に対処する事が出来た。 圭一はバットを持っていない左手で地面の土を握りしめて、トータスに向かって歩みよる。 「そんなもんなんだよ……人の命よりも自分の欲望を重要視する奴に、俺が負けるか!」 その時、パンという乾いた音が響いた。トータスが顔面の傷を負った部分を抑えながら、懐から取り出した銃を撃っていた。 幸運な事に弾丸は圭一のすぐ横を通り抜けて、夜の闇の中へと消えていき、圭一自体は無傷だ。 だが、この瞬間圭一の心を襲った衝撃は、並大抵のものではなかった。 (ぐっ……拳銃……! ウソだろ……!?) これではどう考えても勝負にならない。戦いにおけるアドバンテージが、一気に引っ繰り返った。 金属バットなんかでは到底銃に勝てるはずがない。一転して追い込まれた圭一。トータスが不敵に笑った。 「やるじゃないか圭一君……さすが俺の見込んだ漢だ。だが少々おいたが過ぎたな……物凄く痛い」 ゆっくりと、痛みに耐えながらトータスが立ち上がる。不敵な笑みを浮かべたまま、圭一の目をじっとりと見つめている。 「諦めろ圭一君。金属バットを捨てて裸になれ。断るって言うなら、まあそれもアリだろう。 俺は死体だって構わず食っちまうような人間だからな……」 絶体絶命、かのように思われたが、それでも圭一の目にはまだ光が残っていた。 絶対に諦めない。ゲーム打開、やる美の仇を討つと意気込んだのはついさっき。ここでいきなり死んでは何が何やら…… だから、絶対に死ねない。例え死ぬとしても、強く死ぬ。諦めて惨めに死ぬのだけは、絶対に嫌だった。 「分かったよ……分かった……ここで死ぬわけにはいかないからな…… 掘られるのは結構痛いだろうけど、死にはしない。だよな?」 圭一の言葉にトータスは口角をさらに吊り上げる。満面の笑みで、その通りだ、と答えた。 圭一は握りしめていた金属バットを足もとに置いた。そしてズボンに手をかける。 「裸になるところをずっと見られるのは恥ずかしいから、向こうを向いていてれないかな……」 「ふふ、なかなかうぶなところがあるな。いいぞ、これだからこそノンケはいい。 だが駄目だ。目を離すといつ金属バットを拾って俺に殴りかかるか分からないからな」 その言葉を聞いて圭一は溜め息をつく。トータスは相変わらず銃口を圭一に向けたままでいる。 「分かったよ……だったら、ずっと見ていればいい……」 諦めたようにベルトに手をかけて、そして──── 左手に握りしめていた土を、こちらをまじまじと見つめているトータスの顔面に向かって投げつけた。 圭一の裸体への期待と興奮によって半ば平静を失っていたトータスは、これに反応できない。 顔面に土くれをくらい、視力を失う。しかしトータスも必死だった。ここで何もしなければ、圭一に金属バットを叩きこまれてしまう。 あんなもの、頭に一発でもくらえば、反撃する事すらできなくなる。一発もヤれないままにお陀仏だ。 視力の回復を待つ余裕など、トータスにはない。 ────パン だから、トータスは目が見えないままに我武者羅に拳銃の引き金を引いた。圭一に当たらなくてもいい。 今は、圭一に対して自分が人を一撃で殺し得る得物を備えている事を存分にアピールする事が大切だ。 圭一に近寄らせるわけにはいかない。 このトータスの必死の威嚇は、思った以上の効果を上げた。掠ったのだ。圭一の髪の毛の間を、弾丸は通り抜けて行った。 圭一にとっては恐怖で鳥肌が立つ思いだった。これではトータスに近寄れない。 というより、相手が拳銃を遠慮なく使うようになったのであれば、もはや戦いにすらならない。 元々得物の火力に差がありすぎた。しかし、圭一はここでトータスの予想し得なかった行動に出た。 トータスと圭一の立場を逆転させる。起死回生の戦略。 圭一は拾いなおした金属バットをトータスに向けて────全力で投げた。 金属バットは空中を真っすぐに飛び、トータスの腹に突き刺さった。本当は頭を狙ったはずだが、狙いが逸れてしまった。 だが、外れなかっただけで十分。命中したという事が重要だった。何せ、投げたものは金属。 それを苦し紛れとはいえ思い切り投げたのだから、相手を昏倒させるのには十分な威力だ。 悶え苦しむトータスに向かって全力で走る圭一。すぐに距離を縮めて、拳銃を握りしめているトータスの右手を思い切り蹴った。 その一撃でトータスは拳銃を手放す。地面に転がった拳銃に圭一はすぐさま飛びつく。 圭一はぜいぜいと息を切らせながら、トータスに向かって拳銃を向けた。 「どうだよ……まだやる気か?さっき言っただろ?人の命よりも自分の欲望を重要視する奴に、俺が負けるか!」 トータスの視力は少しずつ回復してきたとはいえ、まだほとんど何も見えない。それ故に、今の状況が理解できていない。 とりあえず、落としてしまった拳銃を必死になって手探りで探す。拳銃は見つからない。代わりに、何か堅いものがコツンとトータスの指先に触れた。 金属バットだ。これが落ちているという事は……。トータスは漸く理解した。拳銃はすでに奪われている。 そして金属バットは自分の手元へ。立場は完全に入れ替わってしまった。形勢逆転だ。 「おい、理解できたか?」 「……なるほど、なるほどなるほど。すでに形勢逆転ってわけか。とんでもない漢だな、圭一君は」 視力の方は大分回復してきた。トータスは腹を抑えながら、圭一の方へと体を向ける。 最初に金属バットで殴られた右目と、腹が痛い。だがもう戦いは終わった。もう傷つく事はないだろう。 しばらく無言で睨みあう両者。やがて、圭一がその表情を悲しげに崩す。 「なあ、頼むよ。一人でも協力者が欲しい……特に大人の協力はきっと大きな力になると思うんだ。 だから、もう心は入れ替えて、ヤりたいとか掘りたいとか言わないでくれよ、おっさん」 「…………」 トータスは沈黙している。 「そんな事より、生き残る事の方が大事だろ?生還したら、彼氏でも作って掘り合えばいいんだ。 そういや……おっさん、職場ではモテモテなんだろ? 掘りたい放題じゃないか。 絶対に生き残るために頑張った方がいい。生還を諦めるなんて、駄目だ……」 「ふふふ……なかなか魅力的な言葉だな……だがな、俺は初めから言ってるだろ? 君が俺に一発ヤらせてくれるだけでいいんだ。ヤらせてくれるなら、協力する」 圭一が顔を歪ませる。嫌だ。男とヤるなんて絶対に嫌だ。どうしても、それだけは嫌だ。 「ヤらせてくれないのなら、仕方ないな。俺は君を襲うだけ……」 トータスは手元に落ちている金属バットを握りしめた。その行動を見て、圭一は唖然とする。 「おい、本気かよ……俺は拳銃を持っている。さっきのあんたのように油断もしていない。 あんたの行動に怪しいところがないか逐一確認しているんだ。俺が引き金を引くだけで、あんたは死ぬんだぜ?」 「ふん……いい漢を食えない人生なんて、何の意味がある? 君のような御馳走を前にして涙を飲むなんて、死んだ方がマシだ」 正気じゃない、圭一は思った。なんなんだこの男は。本当に性欲しかないのだろうか。 「だんだん、腹の痛みにも慣れてきた……どのみちお前のバット投げは苦し紛れの一撃だったからな。 かなり痛いが、我慢は出来る。お前を掘るのに支障はない……」 そういう問題ではない。バットと拳銃では、相手にならない。そんな常識すらもトータスの頭にはないのだろうか。 バットを手にして、トータスは立ち上がる。圭一の顔は再び冷たい汗によって濡れた。 「ほ、本気かよ!撃つぞ俺は!いざとなればさすがに撃つ!こんなところでやられたら何が何だか分からない! それ以上近づいたら撃つ! 絶対に撃つからな!」 「撃つがいいさ。それで死んだとしても、悔いはない。俺は掘りたいんだよ!死んでも!お前を!」 (そんな馬鹿な……狂ってるだろ、こいつ……) 圭一は戦慄した。この男の性欲がここまで強いとは……まさかこれほどまでの変態だったなんて…… 「おっさん、どんだけ変態なんだよ……性欲が凄すぎる」 「行くぞ……勝負だ」 トータスがバットを握りしめて、圭一に向かって一歩踏み出す。 『それ以上近づいたら撃つ』その言葉通りに、圭一は半ば叫びながら引き金を引いた。三度目の乾いた銃声が響く。 銃口はしっかりとトータスの心臓へと向けられていた。いくら銃の素人とはいえ、これほどの至近距離で外す事はなかった。 実際に、弾丸はトータスの胸に向かって吸い込まれるように向かっていく。そして────命中した。 「そんな……嘘だろ……お前……」 圭一は目を疑った。夢でも見ているのだろうか。 意味が分からない。恐るべき現実が目の前にあった。銃弾はしっかりと、トータスの分厚い胸をとらえた。 確実に命中したはずだ。だが、何故かトータスはぴんぴんした状態で立っている。胸には傷一つ付いていない。 「驚いたか?正直言って、金属バットを持つ圭一君が相手だから、勝算の薄い戦いだった。 だがお前の言うとおり、諦めさえしなければ何とかなる。諦めなかったおかげで今まさに、 この俺の手の中に、勝敗の鍵である金属バットがある。残念だったな……」 目の前の光景に戦慄しながら、圭一は必死に思考する。 (まさか、外したのか?) 元々闇で視界が利かない。確かに間違いなく命中したように思えたが、 そもそも圭一は引き金を引いたあの時、大いに動揺していた。もしかしたら、万に一つ、見間違えるような事もあるのかもしれない。 トータスがまた一歩圭一に近づく。圭一は雄叫びをあげながら引き金を何度も引いた。 全弾トータスの胸に命中する。命中したように見える。しかし、トータスは少し顔をしかめる位で、 傷一つ負わず、ゆっくりと圭一との間合いを詰めてくる。圭一は銃に籠っている全ての弾を撃ち尽くした。 それでもトータスは死なない。傷一つ負わない。もう、弾は残っていない。 ふと、圭一はトータスの足もとに白いものが転がっているのを見つけた。 愕然とした。それを見た瞬間、圭一は全てを理解した。そうだったのか…… トータス……この男が拳銃で俺を撃ったのは今までに二度。どちらも弾丸は俺の体に命中しなかった。 あれはトータスが狙いを外したわけじゃなかったんだ。 ────わざと狙いを外していたんだ! 地面にいくつも落ちている白いもの……それは、圭一が握りしめている銃に込められていたBB弾……! 「だから言っただろう?形勢逆転だと。その銃は本物じゃない。単なる玩具、エアガンだ。 君が初めから持っていた金属バットこそが、この場における最強の武器だったんだ。 本物の拳銃を持っていたなら、最初から使っている……」 圭一の全身に、もう一度悪寒が走った。今度はさっきのよりもずっとずっと酷い。震えが止まらない。 (そんな馬鹿な……!おっさんが拳銃を初めて出した時、俺は追い詰められたと思っていた……! だけど、実際は逆っ……!俺は最初から今までずっと、優位に立っていたんだ……! おっさんの演技に騙されたっ……!まさかのエアガンとか……なんて間抜けなんだよ俺はっ……!) 思い返してみれば確かにおかしい。本当に本物の拳銃を持っているのなら、初めからそれを使って圭一を脅せばいい話だ。 わざわざ肉弾戦に臨む必要なんてない。トータスは、ギリギリまで、エアガンを使うことを躊躇っていた。 何故なら、ばれたらお終いだから。元々トータスに武器なんてなかった。唯一持っているものが武器にならないエアガンだとばれてしまえば、 トータスに勝ち目はなかっただろう。だからこそ、トータスは苦戦を覚悟で、エアガンを最後の手段として隠し、いざ使った時も演技していた。 その覚悟の分、圭一はトータスに一歩及ばなかったのだ。 (夜の暗闇、森、ガチホモに襲われかねないという焦り、そもそも殺し合いに参加させられているという事実からくる恐怖…… 色々と精神的に追い込まれていた。だからって、だからといってエアガンを本物の銃と間違わなくったっていいじゃないか…… 一度気付けば明らかだ。銃声、銃の重量感、何から何まで玩具臭い…… どうして俺は、この土壇場でこんな明らかな事実に気付けなかった……!? 間抜けすぎる!馬鹿すぎるぞ俺!) 「大人しく俺に肛門を差し出す気になったか?」 もう圭一の目の前まで来ているトータスが、金属バットを油断なく構えて言う。 エアガンを握りしめて、圭一は憎悪を込めてトータスを睨みつけた。しかしトータスは涼しい顔をしている。もはや決着はついたのだ。 「俺の許可なしでぴくりとでも動いてみろ。頭蓋骨を砕いてやる。逃げられると思うなよ。俺は君を瞬殺出来る。一撃でな」 トータスの怪力なら、恐らくそんな事も可能だろう。 圭一の心音が次第に加速していく。もうトータスに勝てない事は明らかだ。圭一がトータスに勝てる道理が一つもない。 ただでさえ体格がずば抜けているトータスの手に、この場で唯一の武器が渡ったのだから。 故に圭一が思考するのは、勝つ方法ではなくこの場から逃げる手段。 (畜生……しかし……逃げるなんて出来るのか? 一つでも怪しい動きを見せたら、本当に頭蓋骨を砕かれるだろ。 土くれをあいつの顔に当てた時みたいに口車に乗せて油断させれたら、なんとかなるかもしれないが、 どうもそういう俺の領分が通用しそうにはない雰囲気。そういう小賢しい真似をしたら、トータスは絶対に疑う。 以前俺の口車に乗せられているんだから、きっと前よりも慎重になっているはず…… だけど、もし小細工が通用しないとなると本当に手の打ちようがなくなる…… この場を死なずに切り抜けるには、もう、掘られるしか……) 想像する。トータスと絡み合う自分を脳裏で描いてみる。怖気が走った。嫌過ぎる。 絶対に嫌だ。プライドにかけて嫌だ。相手は女の子でないと嫌だ。絶対に。 必死に逃げる手段を考える圭一。何かトータスに隙はないか……隙……僅かな穴でもいい。 付け入る隙があれば……隙……クールに、クールになるんだ……俺っ……! ────その時、圭一に電流走るっ……! 天啓っ……!まさに天啓っ……! 圭一の脳裏に突如浮かび出た、トータスの決定的な隙っ……! (大丈夫だ……トータスには自分で気づいていない隙がある。だから、金属バットによる一撃目は恐らく、避けられるかもしれない。 だけど、二撃目は駄目!一撃目をかわして、そのまま必死に一目散に逃げきる事が出来れば……後は脚力の問題……!) 一撃目なら避けられるかも、というだけで、本当に避けられる保証はどこにもない。 だがこれに賭けるしかない。立場の悪い賭けかもしれないが、命を守り、尻の貞操を守るためには、絶対に勝たなければならない賭け。 やるしかないんだ、圭一は自分に言い聞かせる。 「このまま黙っていればなんとかなるんじゃないか、なんて考えてるんじゃないだろうな。 そうはいかない。そう答えてくれ。俺とヤってくれるかどうか……」 「…………トータスさん、最後に言うけど……あんた本当に最低な人間だ!」 圭一、最後の挑発。それを聞いた途端、トータスの顔つきが変わった。 殺気を前面に出して、思い切りバットを振りかぶる。 「それが答えかッ!それじゃあ残念だが死姦だッ!」 トータスが力いっぱい金属バットを振るう。圭一が逃げつつ、避けの姿勢に入る。 なるべく身を縮めて、金属バットの軌道をしっかりと見極める。圭一には、一撃目なら避けられるという勝算があった。 それはトータスの右目の傷。一番最初に圭一がバットの柄をトータスの顔面に突き出して食らわせてやった傷だ。 右目の瞼は傷によって変色し、内出血で腫れている。きっとほとんど見えないはずだ。 人間は両目で見て初めて対象物との距離を測る事が出来る。片目では遠近感は掴めない。 何回か試せば慣れてくるかもしれない。しかし、有難い事にトータスは金属バットを手にしてからまだ一度も武器として使っていない。 だから、この一撃は慣れていない不安定な感覚の上での最初の一撃。トータスに練習でもされていたら終わっていたが、 遠近感を失った状態で、初めての攻撃だから絶対に隙がある。トータスがどう気を付けようとも、最初の一撃だけは不安定でちぐはぐな攻撃になる。 例えば、あらぬ方向を狙った一撃とか…… しかし──── (どうして……どうしてこの土壇場で!普通に俺の方に向かってバットが来てるじゃねえか!なんだこれ偶然か!? ふざけんなよ!常識的に考えておかしい!頭じゃなくて腕の方にだけど!でもそれでもどうして! もっと滅茶苦茶な所に向かって攻撃していても良かったのにッ!) かわさなければならない。この一撃さえかわせば、トータスとの間合いを大きく開けられる。 それからなら、脚力にモノを言わせて逃げ切れるかもしれない。一撃目をかわして初めて可能性が生まれる。 バットが迫る。圭一が必死に身を捻る。 結果────バットは空を切った。 (二撃目は駄目っ……!トータスはきっと今の一撃に違和感を感じたはずだ!二撃目からは絶対に修正してくるっ……!) バットを大きく振り切ったトータスから、圭一は全力で逃げた。すぐさま後ろからトータスが追いかけてくる。 ここからだ。ここからが真の勝負。逃げ切れればいいが、圭一の脚力がトータスのそれを上回っている保証などどこにもない。 「圭一くぅん!おっもちかえりして死姦してやるからさっさと死ね!」 「ふざけんなガチホモ野郎!!どこかで聞いたような台詞言うな!畜生……! どうして開始早々こんな目にっ……!」 逃げ切れさえすれば……バットの一撃が当たりさえすれば…… ここまできたら圭一は最後の最後まで絶対に諦めないだろう。そして、性欲しかないトータスもまた。 彼らは絶対に諦めない。戦いは次のラウンドへ。 【一日目/深夜/F-5】 【トータス藤岡@本格的!ガチムチパンツレスリング】 [状態]:健康、右目蓋に内出血、腹に打ち身傷 [装備]:金属バット [所持品]:基本支給品一式(パン残り2個) [思考・行動] 基本:とりあえずいい漢を掘りたい 1 圭一を捕まえて掘る。手段は問わない 【前原圭一@やる夫スレ常連】 [状態]:健康 [装備]:エアガン(残弾数0) [所持品]:基本支給品一式(パン残り2個) [思考・行動] 基本:仲間を集めて対主催 1 トータスから逃げる。 Back 非常識的に考えるべき 時系列順で読む Next 城之内はもっと評価されるべき Back 非常識的に考えるべき 投下順で読む Next 城之内はもっと評価されるべき GAME START トータス藤岡 Next GAME START 前原圭一 Next
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疾走する超能力者のパラベラムⅠ ◆hqt46RawAo ◆ 『全て終わった後/迷いと怒り』 ◆ わからないことだらけであった。 自分がいったいどれ程の距離を流されてしまったのか、わからない。 あれからどれ程の時間が経過したのか、わからない。 己が正しいのか、わからない。 それとも、何かを間違えているのか。 ――わからない。 「わ……っかんねぇよ……くそッ……!!」 上条はわからなくなっていた。 明白であるのは、流れ着いた何処とも知れぬ場所を踏み締める感覚と、ここが下流の河川敷であるということ。 川に溺れて長らく気絶していたこと、流されている間にデイパックを無くしてしまっていたこと。 じくじく痛む膝の熱、身体中を濡らした川の水の冷たさ、そして己がファサリナに陥れられた事実。 それだけだ。 具体的なことは、重要なことは何もわからない。 「わかんねぇよ……!」 ぼたぼたと水を滴らせながら、上条は河川敷を進んでいた。 川の上流、かなり遠目に倒壊した橋の残骸らしきもののシルエットが見え。 下流、海までの距離を鑑みるに、薬局よりも少し南に流されたようであった。 現在位置はおおよそ見立てられたものの、正確な位置はわからない。 さらにどうしようもないのは時間だ。 黒い空色を仰ぎ見れば、まだ夜であることだけは確定だが、自分はどれ程の間気絶していたのか、その正確な時間がわからない。 だがおそらく、短時間ではすまないだろう。 今から薬局へ向かったところで誰もいない可能性もある。 「……不幸だ」 結局、このセリフを吐きだしてから、上条は薬局へ歩きだした。 他に目指す場所も無く、もしまだ誰かが残っていればファサリナの危険性を伝えねばならないからだ。 なにもわからない状況の中で、そこまで行動方針が定まっているのに。 「……あああああッ……わかんねぇッ……!」 上条はこの場で最も優先順位が低い疑問で頭がいっぱいだった。 「それじゃあ……どうすれば良いってんだよッ……!」 川辺から離れ、入り組んだ住宅街の中を北上し始めても。 「誰かを犠牲にする事が最善の道だからって……そうやって割り切っちまうのがっ……」 激痛に悲鳴を上げる片足を引きずりながらも。 「そうやって諦めちまうのが……正しいってのかよ!?」 その疑問に、迷いに囚われていた。 「俺は認めねぇ!認めたくねぇんだよそんなこと!」 ――お前の言葉は毒だ。 ――君の願う世界は、自分に優しい世界だ。 ――私は貴方の犠牲になるわけにはいきません。 そう言って。 お前の言葉はただの独りよがり、お前の生き方はただの我が儘なのだと。 彼らは上条の叫びを切り捨てた。 そして、彼らは彼らなりの解答を示した。 上条とてその意味が理解できないわけではない。 とはいえ、彼らが示す残酷な摂理を、上条は納得できるほど物分かりが良くはなく。 くだらない戯言だと切り返すには、彼らの言葉はあまりに重かった。 当然である。 彼らの言葉は彼らが長い戦いの中に生きて、そして見いだした彼らなりの答え。 結論なのだ。 完結している。不動と言っていい。 それを知ってなお否定するのならば、相手どるのは彼らの人生全て。 彼らが生きた長き戦いの歴史そのもの。 たった十と数年生きてきただけの、しかもその大半の記憶を失った上条には荷が勝ちすぎる。 彼にあるものは、正義心ですらない、自分なりの生き方だけなのだから。 しかし、それでも。 上条にはそれしかないのだ 転じて言えば、それこそが彼にとっての支柱であったのだ。 自分が守りたいと願った者を守る。 間違っていると断じた者を殴り飛ばす。 それを迷い無く実行できる意志こそが彼の強さ。 そして、自分を知らず、決して己を強い人間ではないと知る上条であっても、 倒すべき敵を目前にした時、為すべきと信じたことを見つけた時は己の道を行き、そして己の世界を守ってきた自負があったのだ。 「俺は……」 故に今、迷いに揺れる彼は。 幻想殺しでも、喧嘩慣れした身体能力でもない、真実最強の意志が揺らいでしまった彼は。 誰よりも、弱い存在に成り下がっている。 「俺は、間違えてるのか……?」 方向性の定まらない迷いと疑問。 優しく答える者はいない。 こんな時、彼を肯定しつつも厳しく、信頼して送り出してくれる仲間が今はいない。 「俺は……!?」 ただし、彼に答えを授ける者は、彼の大切な仲間だけとは限らない。 「……くッだらねェなァ……」 その声に、漸く顔を上げる。 足の痛みと疲労感に気をとられ、下ばかり見ていた上条はここに至るまで気づけなかった。 進む住宅街、その先にいる少年の姿に。 「ほンッとォに……くだらねェわ」 「……な、にやってんだ……お前……?」 間抜けな事を言ったものだと上条にも分かっていた。 だが、問わずにはいられなかった。 ――立っていた。 十メートルほど前方、住宅街の交差点に、ゆらりと。 幽鬼のように、悪鬼のように。 一方通行(アクセラレータ)が、血みどろで。 「はァ? 何をしているかァ? 見てわかンだろ? ただ歩いてただけだよ。したら、オマエが前から歩いてまいりましたッつー単純な話だ」 交差点の中央線上で、なんでもないように語る一方通行は、しかし誰の目に見ても異様な姿だった。 彼はただでさえ普段から異質な気を放っていたが、血に濡れた今の彼はそれに輪を掛けて剣呑である。 黒い服にべったりとこびり付いた赤黒が街灯に照らされて、蠢くようにテラテラと光る。 そして白髪を染める紅。 交じり合い完成した、あまりに暗すぎる紅滴る白の頭髪は、上条に鬼を連想させた。 「い、いや……まてよ、その血は……?」 「ン、あ? ……あァ、なるほど、こりゃ確かに誤解もするか、俺の能力知ってる奴なら尚更だな」 そして、紅に染まった少年は告げる。 決定的な、一言を。 「こいつは俺の血じゃねェよ。ははッ! やっぱ俺らしくねェよなァ……? 返り血を浴びるなンざよォ?」 上条の視界が、一気に歪んでいく。 「それならよォ、オマエは質問を変えねェと駄目だ」 まるで、見えない鈍器で後頭部を殴られたような衝撃だった。 「オマエが知りたいのは俺が何をして『いる』か、じゃねェ……。何を『してきた』か、だ。そうだろ?」 上条は、間違えていたのか? 「そこで、だ。――さァて、問題です」 では今こそ、その疑問に答えよう。 「一方通行(アクセラレータ)は、いまさっき薬局で、いったい何人ぶち殺してきたンでしょうかァ……? ……ははッ! ははははッ! ひゃははははははははははははははははッッッ!!」 悠然と、目の前の宿敵は物語る。 上条当麻は、決して取り返しのつかない間違いを犯していたのだと。 「…………は……あ?」 一瞬、呆気に取られ。 数秒後、一方通行の言葉を漸く飲み込んで。 「……テ……メエ……ッ、テメエェェェェェッ!! ッざけんなァッ!!」 脳髄で爆発した怒りに突き動かされ、上条は地を蹴った。 目の前の少年が悪ふざけでもなんでもなく、真実、上条の仲間を殺した事。 最後に見た時から変わり果ててしまったことを、上条は理解してしまった。 故にこの瞬間、彼は己を縛る疑問を一瞬だけ忘れた。 痛む足の熱を忘れ……。 「……はァァッ? ……ふッざけてンのはオマエだろォがァァァァッァ!!」 「――ッ!! ……ガ……ァ……ハァッ!?」 それ以上の怒気によって、大きく後ろへと弾き飛ばされていた。 吹き飛ぶ、交差点のコンクリート。 へし折れる電柱。 粉砕される民家の塀。 住宅街を震撼させる。 一方通行を中心に、交差点を薄いクレーターに変えるほどの衝撃。 効率を完全に無視したベクトル変換の能力行使は、純粋な怒りによってもたらされていた。 十メートルほど後方に転がった上条はそれに出鼻をくじかれる。 「なに……を?」 なぜ目の前の敵が、これほどの怒りをぶつけてくるのかを理解できない。 「間違ってるだのなンだのとォ! オマエは何を勝手に腐りきってやがる? いいかァ? オマエはな……! オマエ……は……なァ……!!」 しかし、一方通行もまた己の怒りの正体を正確に捉えることができないのか、その言葉は小さなものとなっていった。 「あァくそッ……まあいい、とりあえず答え合わせといくか?」 上条は亀裂の入った塀を掴み、足の痛みに耐えながらなんとか立ち上がる。 その二十メートル先に未だ立つ人物は、血に濡れた白髪を左手でがしがしと掻きながら、右手の指を数本立てて上条に示した。 「……こんなところだ。無様だろォ?」 そして、自嘲気味に笑って、一方通行は語り始めた。 もうすでに終わってしまった、絶対にやり直す事のできない、 とある戦いの結末を。 ◆ 『はじまりのはじまりに/終わりの足が向かう場所/救いの足が飛翔する』 ◆ ――時系列は過去へと巻き戻る。 その時、一方通行は少し考えていた。 D-5南部、都市部を進みながら。 コンクリートを踏みしめながら身体を慣らす。 十分な休息を経て、能力行使の準備も十二分。 体調も万全。 後はもう捉えるべき目標(薬局)へと進むのみだ。 「計算能力もやっぱ絶好調だよなァ……。 あの煩わしい声が聞こえなくなってからか?」 レベル5である彼ですら、未だかつて体感した事のないほどに頭の回転率が上昇していた。 しかし彼は気づけない、気づく必要すらない。 声は聞こえなくなったのではなく、ただ彼の意識がその声に同調しただけなのだと。 そんな瑣末な事には思い当たらない。 「まあ細かい要因なンざどうでもいいか……。ようはブッ殺せばいいンだからよ。 ああ……そうだ、そうだとも、全員ぶっ殺して、アイツを……ッ……!」 ズキリと、頭に鈍い痛みを感じた気がした。 それは彼を汚染した存在の意にそぐわない思考であったからか。 「チッ、今は……、それよりも、だ」 実の所、一方通行にそれほど悩む要素などない。 やる事は決まっているのだ。 装備も準備も体調も万全、目的地も明白。 ならば、後は出向いて殺しつくすのみ。 ここに及んで選択するべき事項など一つである。 「ンじゃまァ、どォいう経路で移動しましょうかねェ……?」 目的地までの道筋。 馬鹿正直にいったん北上して橋を渡るのもよしだが、一方通行ならばその常識的移動経路には縛られない。 「ちっとばかし、試してみンのもいいかもな」 彼がそう呟いたのはE-5北部の川辺だった。 エリアE-5を袈裟に裂くように伸びる川、その向こうに見える西側の岸。 彼の能力――ベクトル変換をもってすれば、一瞬にして川を飛び越える事など造作もない。 いちいち北の橋から回り込んで薬局に向かう時間を大きく短縮できるのだ。 普段の彼なら即決であった、だがこのときばかりは少し思慮を強いられた。 理由はやはり彼だけに設けられた制限であろう。 これから戦場へ向かうというのに、移動のためだけに貴重な残り時間を行使してしまうこと。 川を渡る間だけならば、ほんの少しの消費で済むであろうが、そのほんの少しが戦場で死につながるかもしれないのだ。 「……ンっと、でもま、やるか」 しかし、彼はその選択をした。 二本の足が地を蹴る、その力のベクトルを操作する。 タンッ、という小気味よい音とは裏腹に、一方通行の身体は凄まじい勢いで上空に舞い上がった。 風を切る感覚は、しない。 肌に触れる全ての有害事象は遮断する。 このスピードでは吹き付ける風すら、ダメージとなるからだ。 (なるほどな、はッ……こンなもん、首輪の解析にくらべりゃ、格段にちょろい。……やれそうだな) 普段の一方通行ならば、この選択はしなかったかもしれない。 おそらく時間を掛けてでも橋に向かって歩を進めていただろう。 だが今の彼には、一つ試してみたい事があったのだ。 川の向こう岸へと飛ぶ、一方通行の身体。 やがて勢いは無くなり、空中を踊るように回転しながら自由落下する。 恐れる事もなく。 その時、彼は能力行使を完全にやめた。 空中で目を閉じて、全ての『反射』設定を停止して。 どうしようもなく無防備なまま、ただの脆い人間のまま、落ちていく。 硬い地面の上に五体が突き刺さり、全身を粉々に粉砕される。 一方通行の身体は原型を留めず四散し、鮮血の飛沫が地を染め上げる。 「………ッおッとォォッ!!!」 その寸前に、彼は予定通りに再発動した能力によって落下の衝撃を殺しきった。 しかしそれも最低限の能力行使であったのか、地面からさらに跳ね飛び、 数メートルほど転がってようやく、命がけの幅跳びは仕舞いとなった。 「てッとッ……がァ……ッ……ッつゥゥゥゥ……。 ……は……はッ……ははははッ。い、いまちょっとタイミングが遅くなかったかァ!? ひはははッ! し、死ぬとこだったッ……!」 何故だかは分らないが、彼はそれに対してとても笑えた。 恐怖は無かった。 しかし今、たった一人で無駄死にしそうになったというだけで、なぜか笑えたのだ。 「はははッ……オーケイ、オーケイ。テスト結果は良好だ」 立ち上がる。 外傷は、無し。 なんにせよ、最低限の消費で川を横断し、時間も短縮された。 加えて、制限時間の縛りをほんの少しだけ緩くする貴重な経験も得られた。 これから先は徒歩になるが、それほど時間を掛ける事もなく、目的地に着くだろう。 進む足に迷いもない、己の戦いに疑問もない。 殺し尽くす、殺し尽くす、殺し尽くす。 その思考に違和感すら感じない。 「さァてェ、それじゃ行こうか……」 なぜならばこの瞬間、己が保つべき思考など、一つしかないのだから。 「アイツを……守りになァ」 ■ エリアE-4中心近くの都市部。 ヒュン、という空を裂く音と共に直進する影が一つ。 それは駆けると表現するべきか、跳躍すると表現するべきか、飛ぶと表現するべきか。 その人物には、決められた道など無い。 通常の道路上はもちろん、民家の内部、庭、その上空、全てが彼女の通り道。 右折左折交差点、煩わしい回り道を一切合財を無視して、ショートカット。 ただ、真っ直ぐに、真っ直ぐに、一直線に進み続ける。 白井黒子は空間を突き抜けて目的地へと急ぐ。 瞬間移動の連続行使。 彼女がもてる全力だ。 距離はもちろん最大限の81.5m、行使の速度も最大最速。2秒にも満たない。 疲労感など度外視して前へ、前へ、前へと。 「………っ」 若干息が上がっている事など自覚しているが、止まるなど考えられない。 「時間が……ありませんのに……!」 黒子の直線での移動は時速に換算すると288km/hにも及ぶ、にも拘らずである。 彼女はこの時ほど自分の力を矮小だと感じたことは無かった。 「遅い……! 遅すぎますの!」 何故、もっと長い距離を移動できないのか。 何故、もっと短い時間で移動できないのか。 何故、己の能力(チカラ)はもっと強大なものではなかったのか。 時間が無い、時間がないのだ。 救うべき人物は今にも死に掛けているという。 その人を救うために、自分を救ってくれた少女は覚悟を示し、そして自分はその救いを託された。 なのに……。 「もっと、速くッ!」 叶わぬ願いを口にする。 一人になると、どうしても考えてしまう。 もっと強ければよかったのだ。 そうすれば、すぐに救えるのに、今すぐに目的地に辿り着いて、 そしてこの、天江衣が命を掛けてまで得た救いの手段を届けられるのに。 「もっと……!」 叶わぬ願い。 一人になると、どうしても考えてしまう。 もっと強ければ、何も失わずにすんだのだ。 あの人を失う事も無かった。 彼を、一人にする事も無かった。 なのに―― 「…………ッ!」 悔しさと焦りは、心のブレは、ただでさえ制限を受けている転移精度を更に落とす。 白井黒子はこのとき、進行が遅れていた。 自分では気づかないほどに、僅かではあったが……。 ■ 二人の超能力者が薬局を目指して歩を進める。 二つの手がそこへと伸びる。 一つは救いの手。 一つは破壊の手。 辿り着くのは果たして、どちらが先か。 ◆ 『行間:橋の端にて』 ◆ 「お話を、しましょう」 その言葉が会話の切り口となった。 崩壊した橋のとなりで、戦場ヶ原ひたぎはファサリナと対峙する。 常に即決、即行動であった彼女にしては珍しい様子見という選択。 とはいえ状況は慎重さを要求している。 ひたぎは十中八九、目の前の緑髪の女が危険人物であろうと見切りを付けていた。 速攻で攻撃を仕掛けるのも一つの手ではある。 C.C.に一撃加えたような躊躇いのない先制打。 上手く決まれば、危険要素を速やかに解消できる、かもしれない。 しかしそれはあくまで確実に不意を突けるか、または相手に何らかの隙を見出した場合のみである。 目の前の手合にはそれが無い。 当然、ひたぎに戦いの心得など無いが。 ファサリナが突然現れたひたぎを警戒していることは明らかだ。 無造作に握られている真っ赤な槍は、しかして油断無くこちらに狙いを定めているように感じる。 「お話、ですか……?」 故に慎重に言葉を選ぼうとしていたとき、ファサリナから反応が返ってきた。 表情を伺えば、少しばかり意外そうな顔色である。 「あなたには、聞きたい事があるのでは?」 今度はひたぎの方が少し驚かされた。 目の前の女性はとぼけもしない。 彼女も直球だった。 つまり、悪びれていない。最低でも、悪い事をしたという意識はないようだ。 ただ面倒な事になったという、自分と同質の感想が伺える。 「そう……ね。じゃあ聞かせて貰いますけど。貴女は、上条君を殺したの?」 ならばこちらも直球で答えることにした。 警戒心が臨界点を突破するのを感じながらも、ひたぎは未だに冷静だった。 否、冷静などありえない。 このとき、この選択に阿良々木暦の命が関わるかもしれないと思えば……。 「……いいえ」 「嘘ね」 否定の言葉を切って捨てる。 頭ごなしに。 それは冷静でない事のあらわれか、それとも確信があるのか。 「嘘ではありませんよ。私は彼を殺してはいません。 少し、説明させてもらってもよろしいでしょうか?」 「……、……わかったわ」 そうしてファサリナはひたぎに語った。 自分が上条当麻を陥れた理由。 この殺し合いにおける、かの少年の危険性。 そして、この行為をなせる要員が自分しか居なかったということ。 おそらく上条は下流に流されただけであり、そこから動けなくなるであろうが、命に別状はないだろうということ。 「…………」 ひたぎは暫くの間、なにかを思考して。 「嘘ね」 やはり、切り捨てた。 「何故ですか? 私は何一つ嘘など……」 「あなたの言葉には一つだけ嘘が在る。いいえ、黙っている事があると言った方が正確かしら?」 そう言って、ひたぎはある一点を指差した。 「貴女は本当に、上条くんを殺すつもりまでは無かったかもしれないけれど、殺してもいいとは思ったのでしょう? そうでなければ、川に突き落とすだけでなく、槍で刺したりはしないはず。 溺れて死ぬかもしれない。動けなくなって、誰かに襲われて死ぬかもしれない。 その可能性を考えなかったわけがない」 ファサリナもその一点を見る。 紅槍の穂先から、一滴の赤が流れ落ちる所であった。 「私にとっては――」 そして、ファサリナが顔を上げた時、既にひたぎとの距離は数メートルも無かった。 「貴女と敵対する理由なんて、それだけで十分!」 両手に握るは数え切れないほどの文房具(凶器)が握られていた。 「――!?」 ひたぎは完全に、不意を突いた。 武器は殺傷が目的ではない。 これで相手が怯めばいい。 少しでも怯んで後ろに下がれば、そこに陸は無い、川なのだ。 (――突き落とす!) だが相手は、瞬時にその意図を見切っていた。 両の手に握った文房具だけを、槍の一振りで器用に粉砕される。 返す刃を首筋に突きつけられて、ひたぎは動きを止められた。 「あなたは、当麻の仲間なのですか? 彼の事が大切、だったのですか?」 冷や汗が頬をつたうのを感じつつ。 少し冷たい目で自分を見据えるファサリナに向かって、ひたぎは臆する事無く答えた。 「別に、割とどうでもいいわ」 「なら、なぜ?」 「なぜかしらね、なんだかんだで結構気に入っていたのかも……。 まあでも、私の彼氏に比べたらやっぱりミジンコ以下の価値も無いけれど。 私にむかって『阿良々木くんにぜってぇ会わせてやるから』なんて、無駄にカッコいいセリフ吐いたその矢先に、 味方に見限られて川に落とされるなんて、まったく片腹大激痛だけれど。」 本人が聞いたら、泣き出しそうなセリフであった。 「だけど少しくらいなら、怒ってあげてもいいわ」 本人が聞いたら、少しは報われそうなセリフであった。 「そして、なによりも……私の彼氏も、彼に負けないほどのお人よしだから……。 貴女みたいな、危険な人には近づけたくないのよ」 ■ 結局は彼氏かよ。 的なツッコミを脳内で呟きつつも、ファサリナは逡巡する。 この穂先をいかにするか。 目前の女性は強い。ファサリナが認めるほどに。それはこのやりとりで良く伝わった。 切り捨てる対象には至らない。 しかしこの状況はいかんせん不味い。 いま槍を突きつけている女性は明らかにこちらを敵視している。 自分が彼女を間引く選択を取らなくとも、彼女がファサリナを認めないと言うのだ。 いっそ、この場で消してしまうか。 それも一つの手では在るだろう。 自分にとっての危険要素である事は明らかなのだから。 揺れる穂先、その方向が定まる前に。 「待て、ファサリナ! 何をやっている!?」 結局はファサリナが結論を出す前に、外部からの介入があった。 前方から聞こえてきたグラハム・エーカーの声にファサリナは辟易する。 これでまた、話がややこしくなるのだろう。 ■ 「君は……もしや?」 グラハム・エーカーは出向いた橋にて、その状況に遭遇した。 予想通りに倒壊している橋の前には、二人の女性の姿。 そこにファサリナは居たのだが、いるはずの上条当麻の姿がない。 代わりに見つけたのは、黒髪の少女であった。 今まで出会った事は無かったのだが、その外見的特長は聞き及んでいた。 「戦場ヶ原ひたぎと申します」 「やはりか」 黒髪の少女は、突きつけられた刃に臆する事もなく。 いや、内心では相当のプレッシャーを感じているのだろう。 だが少なくとも表面上は最大限の虚勢を張って、さらっと自己紹介をやってのけた。 グラハムの予想は的中する。 目の前の少女の正体は阿良々木暦の恋人、戦場ヶ原ひたぎ。 探し人の一人が見つかったことは喜ばしい。 しかし、この状況はどうやら、あまりよろしくないようだ。 ファサリナの得物は真っ直ぐに戦場ヶ原の首に向けられている。 加えて、倒壊した橋に消えた上条当麻。 経緯は不明だが、かなり込み入った事態に陥っている。 「事情を説明してもらう前に、ファサリナ。君は槍を下ろせ」 結局、グラハムはこの場で最も警戒するべき標的をファサリナに定めた。 理由はファサリナに対する信用よりも、戦場ヶ原の恋人である阿良々木暦への信用が上回っていたことに起因する。 「…………わかりました」 この場は全てを正直に話した方が良いと考えたのか。 一つ息を吐いて、観念したようにファサリナは槍を下ろした。 「それでは、これで私の話を聞いてもらえますか?」 「ああ、聞こう」 その矢先である。 「やれやれ、また人が増えているな。面倒なことだ」 この場において、三人目の女性の声が聞こえた。 「お前はまた人に突っかかっているのか? いいかげんほどほどにしておけ、と。悠長な事を言ってられるような時でもないか」 振り返る。 グラハムの更に背後から、 緑の髪が特徴的な、全身包帯だらけの女性が現れていた。 「……あら、まったくね。少しは空気を読みなさい。っていうか、ちょっとあなた達キャラ被ってない?」 「むしろ正反対だと思うが……」 槍の穂先から解放された戦場ヶ原は、答えながら後ろ足にグラハムを素通りして、その女性に近寄って行く。 どうやら二人は知り合いだったらしい。 「君は何者だ?」 グラハムの問いに包帯の女性は一瞬グラハムを見た。 「C.C.だ。悪いが素性を説明する時間もない」 それだけ言って、すぐに目線をそらして戦場ヶ原の瞳を見つめる。 「いいか、先程マンションの上から確認したんだが、阿良々木暦はここから少し南――薬局のある方向に移動したようだ。 それだけなら、良かったんだが……」 ここで、全員の表情が険しくなった。 「南側の窓から、凄まじい速度で、川を横断する影が見えた、ような気がする。 やはり阿良々木暦と同じ方向に移動している。嫌な予感がするんだ。 合流するなら、急いだほうが……っておいッ!」 聞き終わるや否や、すでに戦場ヶ原は走り出していた。 この場に居る全ての人間を置き去って。 背中で、もはやこの場に居る人間全てどうでもいいと告げるように。 事実としてどうでもいいのだろう。そうグラハムに確信させるほどの全力疾走だった。 それを追おうとするC.C.へと、グラハムは一瞬迷った後、告げる。 「彼女に伝えてくれ、阿良々木少年は薬局に居る、と」 「…………」 返事を返す事もなく、戦場ヶ原を追ってC.C.もまた走りだす。 若干、身体を動かす事に苦労している様子だったが、彼女にもある種の決意が伺えた。 残されたのはグラハムとファサリナの二人だけ。 三番目に動き出そうとしていたファサリナを、グラハムは視線だけでおし留めていた。 「私も、胸騒ぎがします。それに誤解されたままで彼女達を行かせたくはありません。 そこを通してはもらえませんか? 事の説明なら薬局にむかいながらでも……」 「…………いや、駄目だ。説明が先だ。追うならば、先に私への説明を終えてからだな。 君は上条当麻に危害を加えたのだろう? 相応の事情が在るとしても、それをハッキリと聞いて、納得するまではここを通す訳には行かない」 グラハムは譲らなかった。 上条当麻と戦場ヶ原ひたぎはグラハムにとって守るべき一般人。 どのような経緯であれ、守護対象に槍を向けたファサリナは、グラハムにとって十二分に警戒にするべき相手となっていた。 だから、まだ動けない。 切迫した事態かもしれない。焦りも在る。 だからこそなおさら、ミスは出来ない。 それらの事情から、グラハムはここで慎重になった。 「ふぅ……わかりました」 一つため息をついてからファサリナは語りだした。 挙動には本心からの焦りが見える。 その説明を聞きながらグラハムは、祈った。 どうかこの選択が、間違いであってくれるなと。 もしかすると彼とて、 無意識の内にその『悪い予感』を感じ取っていたのかもしれない。 ◆ 『到着/救いの手』 ◆ 早くも、やはり僕には適任ではなかったのだと、確信に至る。 むいていない、と言うかきっと慣れていない。 そりゃそうだ。 この僕――阿良々木暦の20年にも満たない人生の中で、こんな体験は始めてだ。 「…………まだ、か」 薬局の入り口付近で、僕は外の風景を眺めている。 所謂見張り番だ。 白井がここへ到着するまでに、 万一、殺し合いに乗った人物がここに現れた時の為。 重体のスザクはユーフェミアと協力して薬局の奥の奥に寝かせた。 ユーフェミアも奥でスザクと共に居る。 少し規模の大きいスーパーマーケット程度の広さを誇るこの薬局。 出入り口は今僕の正面にある一つしかないものの、薬局最奥には従業員と思わしき休憩室があり、そこには大きな窓が在る。 正面入り口から僕が危険を察知して知らせれば、そこから重傷のスザクもユフィと共に少しの逃げる時間が与えられるだろう。 でも正直、そんな事になったらもう、きっと枢木は助からない。 当然、枢木を見捨てられないユーフェミアも、そしておそらく逃げ場の無い僕も……。 ぶっちゃけ、この状況はかなりヤバイと自覚している。 このタイミングで危険人物に遭遇したりすれば、もう最悪と言い切って良しだ。 自ら背水の陣で待機している。 そこに白井が速く到着すればいいが……。 自分の命どころか、他人の命を背負っているような感覚だ。 しかもその命には時間制限がついている。 僕の力ではどうしようもない、重体だ。 加えて外敵への対応も、僕の力じゃ非力極まる。 ただ救いの手を待つのみ。 どうしようもなく、役に立てず、敵か見方を座して待つのみ。 そんな状況を押し付けられたようなもの。 確かに、確実に異常のあった橋の様子を見に行くよりかは安全かもしれないけど。 僕としてはそっちの方が遥かに気が楽だったし、 ここに残ってあの二人を守る役目は、やはりグラハムさんが適任だったに決まっているのだ。 悪いイメージばかりが先行する。 いけないいけないと、思いつつも止められない。 だからむいていないと言うのだ。 僕はこういう『間』において、すんなりと事が進んだためしがない。 裏目以外を引かない男とまで言われているのだ。 今回も一筋縄で解決する気がまったくしない。 「でも……ま、いまさら言ってもしょうがないよな……」 頭を振って気持ちを切り替える。 こうなってしまった以上はしょうがない。 「今の自分がやれる事をしよう」 今は万が一に備えて、万が一の事を考えよう。 「にしても、こんなもんを渡されてもな……」 ユーフェミアに預かっておいてくれと言われていた、二つの得物。 「どう使えばいいのか、全然分らないぞ」 ずしりと重い、二つの拳銃。 それをかざして見る。 当然、僕はこんな物騒なもの撃った事もなければ握った事もない。 「けど、いざとなったら使うこともある……のか?」 これを人に向けて、撃つ? どうにもイメージできない。 だが思考を先に進めないと。 右手に握った拳銃の使い方はなんとなくだが、予想がついた。 こっちはテレビか漫画かなにかで見た記憶が在る。 ベレッタなんちゃら、とかいったか。 だが左手に握った方は、いまいちわからない。 少なくとも僕が居た世界ではこんな銃は見た事が無い。 第一印象をストレートに言うと、『おもちゃ』みたいだ。 試し撃ちは……当然よしておくとして。 今はせめて構える練習だけで……。 「――しッ、失礼しますの!」 その時、背後から聞こえた声と凄まじい物音に、 僕は思わず引き金を引いてしまいそうになった。 「うぉわああああああ! な、んだ……?」 振り返ってみれば……そこには商品棚をひっくり返して地面に尻餅をついている白井の姿が! 「もう、制限はこりごりですわ……」 うんまあ、中途半端なフリに乗ってくれてありがとう。 「ていうか、白井……?」 「ええ、お久しぶりですの。阿良々木さん。怪我人のもとに案内してくださいな」 突然背後に現れて商品棚をぶったおして、たくさんの薬ビンを一面に散らかしまくった白井は、立ち上がりながらお尻を払っていた。 えーっと今のが、テレポートってやつか。 なんか制限とやらのせいでミスったっぽいけど、いやそんな事はどうでもいい。 いやほんとはどうでも良くないけど、滅茶苦茶ビックリしたけど! けど、今は兎に角、白井が速く着てくれたことに心底ホッとした。 これで僕も自分の役目が遂行できる。枢木を見殺しにせずにすむ。 ……かも、しれない。 正直言って可能性は殆ど無いけど、明確に今できる事があるのだ。 「ああ、こっちだ白井!」 僕は心苦しくも、どこか救われた心地で、薬局の奥の部屋へと白井を案内した。 さっきまで胸中を占めていた嫌な予感は……まだあったけれど……。 ■ 「……不可能です。この方の怪我は致命傷にあたります。このサービスでは治療できません」 「まってくれよ、何をもって致命傷かどうかを判断するんだ? 分らないだろ?」 「はい、急遽導入した施設サービスなので、明確な規定はありません。なので私が直接出向いて判断する事になりました。 しかし私の目から見ても、この方の負傷は度を越えています」 「くっ……じゃあ、どうして白井の時は治療したんだ!? 白井だって命に関わる怪我をおってたって、僕は聞いているぞ」 「あの時は……、上から通達がありました。 致命傷にはあたらないと……」 「なんなんだそれは……!? いい加減過ぎないか!?」 「お答えできません。私の判断ではありませんので。それでは私はこれで―――、――!? ………………………………、……………………、………………了解しました。」 「……な、んだ?」 「上からの通達です。枢木スザクの怪我は致命傷にはあたらないとする、と」 「な!? どうして急に……?」 「お答えできません。私の判断ではありませんので。それでは、これより治療を開始します。 ただしこの治療方法には協力者が必要になります。 どなたがなさいますか?」 時系列順で読む Back 女 の 闘い -無知- Next 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 投下順で読む Back 女 の 闘い -無知- Next 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 275 拡散スルハ死ノ恐怖 一方通行 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 279 女 の 闘い -覚悟- 白井黒子 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 279 女 の 闘い -無知- C.C. 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 279 女 の 闘い -無知- 戦場ヶ原ひたぎ 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 279 女 の 闘い -無知- ファサリナ 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 279 女 の 闘い -無知- 阿良々木暦 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 279 女 の 闘い -無知- グラハム・エーカー 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 279 女 の 闘い -無知- 枢木スザク 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 279 女 の 闘い -無知- 上条当麻 280 疾走する超能力者のパラベラムⅤ 279 女 の 闘い -無知- ユーフェミア・リ・ブリタニア 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ 276 友達の定義 インデックス 280 疾走する超能力者のパラベラムⅡ
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「462……」 チリンチリン、と夏の風物詩、風鈴の音が響く中、シグナムは気だるそうに呟いた。 非常にグロッキーである。 団扇を使ってなんとか暑さをしのいでいるが、それも時間の問題。といった感じだ。 「……なんや、それ?」 半分溶けているスイカバーを咥えながら、はやてが聞き返す。 「今年の夏、熱中症で病院に運び込まれた人の数ですよ」 「…ホンマかいな……」 「はやてちゃん、やっぱり新しいエアコン買いましょうよ。今年は扇風機だけじゃ乗り切れないわよ」 台所で昼食の素麺を湯がいていたシャマルが言った。 そう、実は先日、八神家唯一のエアコンが故障してしまったのだ。 しかしはやては、シャマルの提案を真っ向から否定する。 「そんなん言うても、うちにそんな余裕あらへんよ……。それに、私らも魔導師の端くれや。 エアーをコンディショニングせんでも、マインドをコンディショニングすればきっと乗り切れる」 とは言うものの、烈火の将ですらこのザマだ。 果たして、この猛夏に耐えられる魔導師など存在するのだろうか? 「そうそう、心頭滅却すれば南極もまた北極って言うしな」 ……いた。 ヴィータである。 何故かは知らないが、彼女はこの暑さに全く堪えていないようだ。 しかし、そんな得意げな彼女をシャマルが一蹴する。 「ヴィータちゃん、言っておくけど南極は南って言ってるけど、別に常夏じゃないからね」 「わーってるよ! うっせーな!」 完全にバカ丸出しである。 さらにシャマルは追い討ちを続ける。 「……で、どうしてヴィータちゃんが扇風機を独り占めしているのかな~?」 そう、ヴィータが暑さに堪えていない理由。 それは扇風機を完全占拠していたからである。 主はデロデロになったスイカバーで頑張っているというのに、なんて奴だ。 「暑いから」 「暑いのは皆平等だから! 私達にも貸しなさい!」 「なんでだよ! シャマルのケチ!」 暑さでのせいで沸点が低くなっていたシャマルがヴィータに食って掛かる。 というより、扇風機に飛び掛る。 しかしヴィータは素早く扇風機を持ち上げ、強奪を阻止。 だがこの程度で諦めるシャマルではない。 土台部分をがっしり掴み、無理やり引っ手繰ろうとする。 ヴィータも負けじと、首の部分を掴む。 まさに一触即発状態だ。 「二人とも、少し静かにしろ。無駄に室温を上げるな」 普段なら拳骨の一発でも入れて止めようとするシグナムだが、暑さにやられている今は そんな元気も無いようだ。 「はぁ~……頼みの綱は扇風機だけか。 みんな、大事に使いましょうね~……」 そう言ってはやてがスイカバーの棒を捨てに行こうとした、まさにその時だった。 ――ボキッ 『…………』 何かが圧し折れるような嫌な音。 固まるヴィータとシャマル。 彼女らの足元には、"扇風機だった物"の無残な亡骸が転がっていた。 なの魂 ~心頭滅却しても暑いモンは暑い~ 「……なんでだよ。なんであたし一人で扇風機買いに行かなきゃならないんだよ。あーもう暑い」 汗だくになってヴィータは呟く。 あの後、はやてとシグナムから凄まじい糾弾を受けたヴィータとシャマルは、新しい扇風機を買いに行かされることとなったのだが 幸い――ヴィータにとっては不幸以外の何者でもなかったが――今日の食事当番だったシャマルは 昼食の準備という名目のおかげで難を逃れたのだ。 「あ、やっぱダメだ。心頭滅却しても暑いモンは暑い。誰だこんないい加減な格言残した奴は」 突然隣から男の声が聞こえてきた。 しかし、そちらの方を向く気力も無いヴィータは、ひたすら独り言を呟く。 「つーか、なんでこんな暑い日に扇風機買いにいかなきゃならないんだよ、腹立つな」 ちなみにこの怒りの矛先は、はやてでもシグナムでも、ましや暑さの原因となっている太陽でもなく、シャマルへと向けられていた。 ――ちくしょう、あのビッチめ。家に帰ったら泣いたり笑ったり出来なくしてやる。 そんなことを考えていると、隣にいる男がヴィータに声をかけてきた。 「あーもう腹立つ。腹立つからエアコンに乗りかえてやろうかな。なァ嬢ちゃん、いいかな? 俺エアコンに乗りかえちゃっていいかな?」 「は? ……いや、まぁ、いいんじゃねーの?」 さすがに話しかけられているのに無視をするわけにはいかない。 鬱陶しそうに、気の無い返事をするヴィータ。 それがいけなかったのだろうか。 男が突然声を荒げて言い返してきた。 「いいわけねーだろ。エアコン買う金なんてどこにあるんだ? 余計な口を挟むな」 「んだとテメェ! こっちだってなァ、好き好んで扇風機なんか買いに来たわけじゃ……」 あまりにもあんまりな言い草にヴィータは激怒し、男を睨んだ。 『…………』 ――隣にいた男は坂田銀時だった。 愛車である原付にまたがり、ヴィータと同じく汗をダラダラと垂れ流していた。 きっかり三秒。 見つめ合った二人は、お互いの状況を極めて正確に理解した。 「……そっちもか」 「お互い大変だな……」 そう言って、同時にため息をつく。 この時、二人の精神シンクロ率は400%を超えたとか超えなかったとか。 「……乗ってくか?」 「…うん」 銀時の言葉にヴィータは素直に頷き、原付の後部席にまたがる。 さあ、電気屋巡りの始まりだ 「は? 扇風機?」 店先で呼び込みをしていたおっさんは、目を丸くしてそう言った。 「スイマセン、ウチは置いてないわ、そーいうの。ホラ、今の時代もうエアコンでしょ? クーラーでしょ? そんなの置いてても売れないからさァ。 兄ちゃん達もどう? これを機会にエアコンに乗りかえたら? 安くしとくよ」 言葉巧みに、銀時達にエアコンを買わせようとする呼び込みのおっさん。 脳の作りが単純な二人は、あっさりと騙されてしまうのであった。 「マジっすか。じゃ、お願いします」 「あの、今金無いから、これ位でなんとかしてほしーんだけど」 そう言ってヴィータが財布から取り出したのは"五千円札"。 銀時にいたっては"千円札"だ。 「よってらっしゃい見てらっしゃーい! 夏の大売出しだよ~!!」 「アレ? おじさん? おかしいぞ、おじさんが目を合わせてくれなくなった。 おじさァァァァァァァん!!!!!!」 銀時の悲痛な叫びが、夏の青空に響き渡った。 一軒目。 購入失敗。 「扇風機? 無い無い。骨董屋にでも行ったほうがいいんじゃないの?」 二軒目。 購入失敗。 「何? 今時扇風機使ってるの? それってヤバくない? 軽くヤバくない? 何気にヤバくない?」 三軒目。 購入失敗。 四軒目……。 「扇風……がはっ!! いだだだだだだ何すんのォォォ!!! まだ何も喋ってないのに!!」 何かを口走ろうとした店員に、鼻フックデストロイヤーを仕掛ける銀時。 どうやら彼らの怒りは最高潮に達していたようだ。 「うるせーよ、どーせねーんだろ。分かってんだよ。もう裏は取れてんだよ。 裏のお店で裏は取れてるんだよ」 四軒目。 購入失敗。 「あー腹立つイライラする!! あの青い空まで腹立つ! あんなに青いのに!!」 怒りに任せて大声で捲くし立てるヴィータ。 通行人が何事かとこちらを見てくるが、もはやそんなことも気にならないくらい彼女の思考回路はショートしているようだ。 そしてそれは銀時も同じであった。 「なんで扇風機如き買うのに、こんな汗だくでたらい回しにならなきゃならねーんだ!! オイ、そこのガキ! 帰っていいかな!? 俺もう帰っていいかな!?」 と、たまたま近くを通った少女に問いかける。 突然わけの分からない質問を投げかけられた少女は、当然困惑し 「え…いや、その……い、いいんじゃないですか?」 と、極めて無難な答えを返す。 しかし、これがマズかった。 非常にマズかった。 何故なら彼らの怒りは、既に臨界点を突破していたから。 「うるっせァァァァァァ!!!」 「いいわけねーだろ!! 家はもう蒸し風呂状態なんだよ!! 何も知らねーくせに知ったような口をきくな!!」 「ふぇぇ!!?」 理不尽な糾弾をされて涙目になる少女。 と、ここでようやくボルテージが下がってきた二人は、目の前にいる少女が 自分達の知り合いであることに気付いた。 「……って、なんだなのはか。どーした?」 「なんだ、なのはン家も扇風機壊れたのか?」 「どこをどうしたら扇風機の話になるんですか!? そうじゃなくて海! 海に行ってたんですよ。 すずかちゃんと、アリサちゃんと」 と、珍しく声を荒げて言い返すなのは。 彼女も暑さにやられたクチなのだろう。 それにしても、はやて達どころかフェイトまでハブるとは、なかなかいい度胸である。 「いいなー。海いきてーなー」 心底羨ましそうになのはを見るヴィータ。 「おニューの水着も買って、気合入れて行ったんだけど……」 「いいなー。ビキニがいいなー」 心底羨ましそうになのはを見る銀時。 しかし小学4年生にビキニは酷である。 「エイリアンが出るらしくて、危険だからってそのまま帰ってきちゃった……」 「は?」 「エイリアン?」 そう、エイリアン――他次元生物である。 数々の次元世界との交流を持つ地球。 その窓口となる"ターミナル"があるこの町には、渡航船の機体に取り付いていたり、密輸物に紛れ込んでいたり、 そもそもエイリアン自体が密輸され、それが逃げ出したり……。 そういった理由で、たびたびエイリアンが紛れ込むことがあるのだ。 最近起こった最も大きな事件としては、寄生型エイリアンによるターミナル寄生事件が挙げられるが その話はまた次の機会にでも残しておこう。 「うん。人食いザメとか、イカとか、タコとか。なんだか色々言われてるけど、とにかく危なくて泳げないみたい。 なんでも、そのエイリアンに懸賞金もかけられたとか……」 『…………』 懸賞金という言葉に、銀時とヴィータは喰いついた。 要するに、そのエイリアンを捕らえるなりなんなりすれば、金が貰えるというのだ。 具体的には分からないが、相当な額が掛かっているだろう。 もしかしたら、その金でエアコンを買うことが出来るかもしれない。 「あ、あの……銀さん? ヴィータちゃん?」 二人から溢れ出る異様な闘志を感じ取ったなのはは、恐る恐る声をかける。 次の瞬間、二人は目に真っ赤な炎を灯し、こう叫んだ。 「今年の夏は!!」 「エイリアン一本釣りだ!!」 翌日、早速現場へやってきた八神家と万事屋。 話には聞いていたが、海岸には本当に人っ子一人としていなかった。 波の打ち寄せる音だけが、静かに響き渡る。 嵐の前の静けさという物だろうか。 まずは詳しい話を聞くために、すぐ傍の海の家――エイリアンに懸賞金を掛けた張本人の元へと向かう。 ちなみに定春とザフィーラは、犬同士仲良く留守番である。 「は? エイリアン退治? え? ホントに来てくれたの?」 オールバックにサングラス、そしてアロハシャツといった出で立ちの初老の男――海の家の店主はそう言った。 「あーそォ。アッハッハ、いや~助かるよ~。夏場はかきいれ時だってのにさァ、 あの化け物のせいで客全然入らなくてまいってたのよ~」 と、豪快に笑いながら焼きそばを作る店主。 なんとなく不安を感じた新八が、手を挙げて質問をする。 「あの~、ひょっとして……エイリアンに懸賞金かけたのって…」 「あ~おじさんだよおじさん。いや~、でもホント来てくれるとは思って無かったよ。 おじさんもさ~、酒の席でふざけ半分で発言したことだけに、まさかホントに来てくれるとは……」 そこまで言ったところで、突然シグナムが店主の頭を鷲掴みし、顔面を鉄板に押し付けた。 ジューと肉の焼ける音がし、香ばしい香りが辺りを包み込む。 「ぎゃあああああああああああああ!!!!」 「酒の席でふざけ半分? 貴様、ナメているのか」 「おじさーん、こっちは命かかってるから真剣なんだよ」 本気で熱中症で倒れかねないシグナムと銀時は、ドスの聞いた声で店主を睨みつける。 小動物なら、睨まれただけで即死しそうな威圧感だ。 「そやで。男は冗談言うときも命がけや。自分の言葉には責任もってもらうで」 そう言って最上級の笑顔を作るはやて。 やはりこの娘が一番怖い。 「待ってェェ!! おちついてェ!! 大丈夫! 金ならちゃんと払うから!」 「ウソつくんじゃねーよ。こんなもっさりした焼きそばしか焼けねー奴が金持ってるわけねーだろ」 「そうアルネ。どーせお前の人生ももっさりしてたんだろ。ほら言ってみろヨ、モッサリって! はい、モッサリ~!」 などと言って、鉄板に乗った出来立てホヤホヤの焼きそばを頬張るヴィータと神楽。 彼女らが口を動かすたびにモサモサという擬音が聞こえてくるのは、恐らく気のせいだろう。 「ちょっとォォ!! 君ら何勝手に売り物食べてんのォォ!!! おじさんだってこう見えても海の男だぞ! 金は無いが、それ相応の品を礼として出す!」 そう言って己の胸を叩く店主。 なにやら、相当な自信がありそうだ。 これは期待できるかもしれない。 「へぇ……それなら見せてもらいましょうか。 エイリアン退治はその後ですよ」 不敵な笑みを見せながら、シャマルはそう言った。 「素敵なシャツですね…銀さん、はやてちゃん」 困ったような笑みを見せながら、シャマルはそう言った。 無理も無い。 今、銀時とはやてが着ているのは、真っ白な生地に"ビーチの侍"とデカデカと手書きされたシャツなのだから。 「せやな……シャマルらと初めて会ったときの服がコレやったら、 ドメスティックバイオレンスの引き金になってたやろーな…」 塞ぎこむように体育座りをしたはやてが言う。 やはり、年頃の少女にこの服はキツかった。 「そのシャツはねぇ! ウチの店員しか着ることの許されないレアモノだよ! これで君達も海の男の仲間入りだ! だから俺を解放しろ! 海の男はこんなことしないぞォォ!!」 丸太に張り付けられ、大海原のど真ん中に放置された店主が叫ぶ。 早い話が、エサである。 「なかなかかからねーな……エイリアン」 「それにしても、エイリアンなんてどこから紛れこんだのでしょうね…」 疑問を口に出すシャマル。 原因としては色々考えられる。 先に挙げた、渡航船への取り付き、密輸物への混入、密輸された個体が逃走、エトセトラエトセトラ……。 しかし、それら全てが最終的に行き着く先は入管――入国管理局だ。 「入管の奴らがザルな検査してたんだろ。ま、ミッド産じゃないのは確かだろーな。 あそこ、こことは外交関係じゃねーし。紛れ込みようが無ぇ」 もっとも、それは"ミッドチルダが真っ当な外交をしているならば"という条件付だが。 銀時は仕事上、社会の裏側は嫌と言うほど見てきている。 どこの世界にも、そういう輩は必ずいるものなのだ。 「紛れ込むハズがねぇ……ハズなんだけどな」 辺りを重たい空気が包み込む。 そんな張り詰めた空気を吹き飛ばしたのは……何の因果だろうか。 後に、そのような汚い世界を見せ付けられることになる少女であった。 「エイリアンって、どんなんやろな~。 前に映画で見た怪獣くらいデッカい奴なんやろか?」 目をキラキラさせながら言うはやて。 意外と立ち直りの早い娘だ。 「さあな。まぁ、ここまで人が寄り付かねーんだ。 よっぽどヤバいバケモンなんじゃ……」 そう呟いて海の方を見る銀時。 視線の先では、水着姿のヴィータが新八のゴーグルを持って波打ち際を走り回り、同じく水着姿の新八が 必死になってヴィータを追い掛け回していた。 「ってオィィィィィィィ!!!! お前ら目的忘れてね!?」 「あ、ヴィータちゃんズルい! 私もー!」 いつの間に着替えたのか、シャマルも水着でヴィータ達の方へ向かう。 「お前ホントに俺と同年代!? つーか何でだよ! 何で今回俺がツッコミ役やってんの!?」 「やれやれ……まだまだ子供だな」 そう言って呆れ顔をするのはシグナム。 彼女の出で立ちは、黒ビキニに巨大なビーチボールというものだった。 「そのカッコで言っても全然説得力ねーよ」 「あはは……シグナムも、遊んできてもええよ? でも、危ないと思ったらすぐ戻ってきてな?」 「は。ご命令とあらば」 「いや、おせーよ。いまさら堅物キャラのフリしても遅いから。もう本性バレてるから!」 銀時のツッコミを華麗に受け流し走り去るシグナム。 心なしか、少し嬉しそうだ。 「……みんな楽しそうやなー…」 まるで家族旅行に来た母親のように、はやては呟く。 あれから30分ほど経過したが、エイリアンが現れる気配は一向に無い。 平和そのものである。 「心配しなくても、オメーもじきに遊べるようになるさ」 黙々と"んまい棒"をむさぼっていた銀時が、はやての足を見ながら言った。 彼なりの気遣いなのだろう。 医者の話では、常人では考えられない速度で回復に向かっているが、やはりまだ自力での歩行は無理との事だ。 そんな彼女が、自由に飛んだり跳ねたり出来る"家族"達を見て、憧れや羨望を抱くのも無理は無い。 銀時はそう考えていたのだが、はやては笑いながらその考えを否定する。 「あ、ううん。そういう意味で言ったんやのーて……みんな、子供みたいやなーって思って。 子供の私が言うのも、変な話やけど」 「結構なことじゃねーか。人生を楽しむコツは、童心を忘れねーことだからな」 微笑みながら"子供"達を見守る銀時。 まあ彼の場合、童心というより、いつまで経っても平行線なダメ人間なのだが。 「でも、大人になったらそうも言ってられんのとちゃうの? 上からは怒鳴られ、下からは持ち上げられ……板挟みにあって、いずれはサンドイッチや。押し潰されてまう」 「お前ホントに小学生? ……ま、お前が心配するようなことじゃねーよ。それに、そーゆー地位につける奴は、大体仕事の出来る奴だ。 仕事が出来る奴ってのは、ガス抜きの仕方も上手いからな。そう簡単に潰れねーよ」 「そーゆーもんなんかなぁ…」 はやては釈然としないようだったが、銀時は構わず話を続ける。 「そーゆーもんなんだよ。 その点で言えば、オメーは仕事が出来ない奴らの部類に入るな」 「ふぇ?」 「お前に限ったことじゃねぇが……何でもかんでも、一人で抱え込んじまうクセがあるからな。 そのくせ、他人の悩みや心配事には敏感で……ガスの抜き方も知らねーくせに、そいつらまで一緒に抱え込んじまってよォ。 その小っこい身体に、どんだけのモンを抱え込めるってんだよ。 そんなに俺らが信用できねーか?」 予想外の話の振られ方に、二の句を告げなくなるはやて。 しかし、最後の一言だけはどうしても否定したかった。 信用できない? そんなわけが無い。私は彼らを――"友人"と、そして"家族"を心から信用している。 世界中の、誰よりもだ。 「そ、そーいうわけやないよ! ただ、みんなに心配かけたり、面倒なことに巻き込んだりしたくないだけで…」 「オイオイ、俺ァ万事屋だぜ? 面倒なことをすんのが仕事だ。 何でもかんでも自分で解決されたら、商売上がったりだぜ」 そう言って、笑いながらはやての頭に手を乗せる。 口では金だの商売だの言ってるが、心の奥底では、自分のことを一番気に掛けていてくれてるのだろう。 ……本当に天邪鬼。まるで子供みたいな大人だな。 そんなことを思い、はやては微笑む。 「……そっか。それもそーやな」 「そーだよ。銀さんをニートにさせたくなかったら、どんどん面倒事持って来い。分かったな?」 「うん。でも、そん時は格安でお願いな?」 約九年後、この時の発言のおかげで本当に面倒な事件に巻き込まれる銀時なのだが それはまた別のおはなしである――。 「いいなー。みんな楽しそうアル」 さらに10分経過。 ぼけーっと海を眺めていた銀時達の後ろで、突然神楽が呟いた。 いつものチャイナ服に番傘、そして何故かタオルでほっかむりを作っている。 「…そーいやお前、日の光に弱いんだったな。 原作者も忘れてるんじゃねーの? そんな設定」 「いいなー。みんな泳げて」 心底羨ましそうにヴィータ達を眺める神楽。 その頭上には、ワゴン車並の大きさの岩が掲げられていた。 「……神楽ちゃん神楽ちゃん。何してんの?」 「他人の幸せを見るくらいなら、いっそ壊してしまった方がマシよ」 マズい。この目はマジだ。 本能的に危険を察知したはやてはヴィータ達に向かって叫ぶ。 「みんな逃げてェェェェ!!! 病気や! この娘病気……ん?」 「オイ、あれって……」 異変に気付いたのはその時だ。 張り付けの刑にあっていた店主の後方150mほど。 その海面から、巨大なサメの背びれのような物が突き出ていたのだ。 しかもそのヒレは、凄まじい勢いでこちらへ向かっている。 「おィィィィ!!! 後ろォォォ!! 志村後ろォォォォ!!」 「逃げてェェェェ!! ダブルパンチや! 二つの恐怖が今まさに!!」 必死な形相で叫ぶ二人。 しかし悲しいかな。ヴィータ達と銀時達との距離は、あまりにも遠すぎた。 「? 何、ダブルパンツ? パンツ忘れてきたのかな?」 浮き輪でプカプカと浮いていた新八は、銀時達の蚊の鳴くような叫びをそう認識した。 「しょうがねーな。あたしの貸してあげ…」 と、ヴィータが海岸に向かって泳ぎだそうとしたその瞬間である。 『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』 突然、この世の物とは思えない叫び声が聞こえた。 驚いた新八とヴィータは声のした方を向く。 そこには、泡を吹いて気絶した店主。 今まで見せたことも無いような表情をしているシグナムとシャマル。 そして大型トラックほどの大きさはあろうかという……"脚の生えた魚"が宙を舞っていた。 理解不能の事態に、思考回路を停止させてしまう新八とヴィータ。 数瞬後、魚は吸い込まれるように海面に落下し、盛大な水飛沫と津波が巻き起こった。 「ほほほ、本当に出たァァァァァ!!!」 大慌てで岸へ向かう新八とヴィータ。 すっかり忘れていたが、自分達はエイリアン退治に来たのだった。 「おい、おっさん気絶してたぞ! 大丈夫なのかアレ!?」 「大丈夫! 僕の経験上、ああいうモブキャラは放っておいても最後のほうにひょっこり出てくるはずだから!!」 などと身も蓋も無いことを言う新八。 そんな彼らの両脇を、何かが物凄い飛沫を上げながら泳ぎ去っていった。 「新八くん! 後は頼んだわ!!」 「殿は任せるぞ、ヴィータ!」 『待てや年長組!!!!』 シグナムとシャマルである。 しかしこの二人、明らかに戦速以上の速度で泳いでいる。 実は水中戦仕様として作り上げられたのではなかろうか? などとくだらないナレーションをしているうちに、エイリアンはどんどん新八、ヴィータとの距離を詰めてくる。 このままでは、丸呑みにされて七つの海を巡ることになってしまう。 「うわァァァァ!!!」 なんとか逃げ切ろうと頑張る新八だが、ヴィータはそれを許さない。 お前も道連れだ。といわんばかりにゴーグルのゴムを引っ張る。 「ちょ…待てェェ!! 何スイスイ泳いでんの新八!? お前らしくない!! お前は何やってもダメ! ツッコミ以外ダメなキャラのハズだ! そーだろ!?」 「いだだだだ!! 目ェ飛び出す! 目ェ飛び出すって!!!」 ゴーグルに目の周りを押さえつけられ、出目金のようになる新八。 前門のヴィータ後門のエイリアンである。 まさにダブルパンチ。 「新八さん! ヴィータ!!」 何とか神楽に岩を降ろさせたはやてが叫ぶ。 すると空気を呼んだ神楽が、一旦降ろした岩を再び持ち上げた。 ……神楽を止めるべく、岩にしがみついていたはやても一緒に、だ。 「ふんごぉぉぉぉ!!!」 「ちょ、神楽ちゃん待って! 私乗ってるから! これ投げんのは私も賛成やけど、私乗って……」 ――銀魂における一般常識・その1。 主役・脇役に関わらず、不幸は平等に訪れる物である。 むしろ主役ほど悲惨な目に合いやすい。 「いヤァぁァぁァァぁぁァ!!!!!!!」 はやての悲痛な願いも空しく、大岩はスパイラル回転をしながら飛翔する。 「はやてェェェェ!!!!」 「はやてちゃんんんんんん!!!!」 外れ。 はやての決死の特攻も空しく、大岩はエイリアンのすぐ脇に落着し、巨大な水柱を上げた。 「チッ、外したか」 「……いやいや、大丈夫だろコレ。 だってアレだぜ? ああ見えてアイツ、期待の新人だし……」 冷や汗をかきながら現実逃避を計る銀時。 確かに彼女なら、その気になれば艦砲射撃並の魔力砲撃を放つことも可能だ。多分。 その辺のエイリアンには、引けを取らないだろう。多分。 しかし、その考えは大きく間違っていた。 「そういえばはやて、この前の訓練でデバイスぶっ壊して、今修理中って言ってたアル」 「…………」 要するに、砲身が無いのだ。 どれだけ強力な弾を持っていても、それの射出に耐えうる装置がなければ意味が無い。 万全の状態のはやてを悟空とするなら、今のはやてはヤムチャだ。 どう考えても勝ち目は無い。 「はやてェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!!!」 鬼のような形相で助けに向かおうとする銀時。 だが、シャマルはそれを止める。 「大丈夫です銀時さん! こちらで回収しました!!」 後ろを振り向くと、騎士甲冑を纏ったシグナムとシャマル。 そして口から噴水のように海水を吹き出すはやての姿があった。 どうやら、水没した直後に"旅の鏡"で回収したようだ。 「ホント便利だな、その技……」 しかしこれで一安心、というわけではない。 まだヴィータと新八が海の中だ。 「うわばばばば!!! ヤバい! 追いつかれる!」 「ああ…死ぬ前に湯船一杯にフルーチェ作って食べてみたかった……」 「安上がりな人生だなオイ!」 とても死ぬ直前とは思えない会話を繰り広げる二人。 その時であった。 エイリアンが突然海中から飛び上がったのだ。 巨大な脚付きの魚は弧を描きながら飛翔し、地響きと共に銀時達の目の前に着地した。 「ぬォォォォォ!!! 何コレ!? どこの魚龍!?」 翡翠色の鱗。シャープな顔立ち。鋭利な牙。強靭な脚。翼のように発達したヒレ。 そう、それは魚というより、むしろ龍と呼ぶべき生物だった。 「これがエイリアンとやらか」 レヴァンテインを抜くシグナム。 先程は突然のことにパニック状態に陥ってしまったが、落ち着いてみれば何のことは無い、 極々ありふれた巨大生物だ。 彼女の腕ならば、勝てない相手ではない。 「でも妙ね……魔力なんて一切感じなかったけど…」 「大方、ステルス系の能力でも持っているのだろう。 確かに海中なら脅威ではあるが、陸に上がればどうということは……」 そこまで言いかけたところで、突然魚龍が口を開いた。 その口内では、魔力で圧縮された水の球が、ユラユラと蠢いている。 「オイ、姐さん。どうということは……何だって?」 「…散開!!」 シグナムの号令と共に横っ飛びにその場を離れる銀時達。 直後、彼らがいた場所に"水爆弾"が着弾。 家一軒くらいは飲み込めそうな、巨大なクレーターが出来上がった。 「ヒュー、えれぇ威力だな。まるで大砲じゃねーか」 愛用の木刀を抜きながら銀時は言う。 純粋な魔力砲撃ならこの木刀で打ち返すことも可能なのだが、この"水爆弾"は圧縮された水だ。 残念ながら打ち返すどころか、直撃すれば確実に消し飛ばされる。 「シャマル! 主を連れて下がっていろ! 奴は我々が片付ける!」 支援要員の自分が、最前線で行えることは少ない。 そう判断したシャマルはシグナムの指示通り、はやてを抱えて魚龍との距離を取る。 「……で、どうする気だよ、姐さん」 「無論、正面から撃ち貫くだけだ」 憩いのひと時を邪魔されてご立腹なシグナム。 どうやら最初からクライマックス、全力全開で仕掛けるらしい。 「シグナム! 結界の展開、完了したぞ! 思いっきりやっちまえ!」 騎士甲冑を纏ったヴィータが叫ぶ。 これで攻撃の余波が外部に伝わることは無い。 遠慮なく最大の攻撃を叩き込むことが出来る。 「任せておけ。今日の夕食は魚龍の姿焼きだ」 不敵な笑みを浮かべ、ボーゲンフォルムのレヴァンテインを構えるシグナム。 しかしこの形態を見ると、どうしても"アーバレスト"と呼称したくなる筆者は、某作品に相当毒されているようだ。 「翔けよ、隼!」 弓から二つの空薬莢が排出されると同時に、光の矢が放たれた。 矢は寸分違わず、魚龍の眉間に向かって飛翔する。 ――勝った。 そう思った、まさにその瞬間だ。 魚龍が水爆弾を発射したのだ。 爆弾は矢にぶつかり破裂。その威力を相殺する。 これが魔力弾なら爆発して終わりなのだが――何度も言うが、これは圧縮された"水"なのだ。 殺傷力こそ失ったものの、水にかけられた加速はそう簡単には失われない。 大量の水がスコ-ルのようにシグナムに襲い掛かった。 ――数秒後、そこには濡れ鼠となった烈火の将の姿があった。 「……よかったな、撃とうとしてたのがファルケンで」 「白兵戦やったら、間違いなく上半身吹き飛んでたな」 いつの間にか復活したはやてと銀時が、ジト目でシグナムを見る。 「な、何をおっしゃいますか主。これは、そう、水も滴るいい女というものでありまして……」 などと言い訳を試みたのがいけなかったのだろう。 これを好機と見た魚龍が、容赦なく水爆弾を撃ち込んで来たのだ。 『どわァァァァァ!!!!』 直撃は免れたものの、その尋常ではない爆発に 空高くまで吹き飛ばされるシグナム……と、たまたま近くにいた銀時。 「銀ちゃん! 姐御!!」 「ヤバい! シャマルさん、はやてちゃん逃げて!」 魚龍はシグナム達を一瞥し、シャマル達の方へゆっくりと首を向けた。 シャマルは身構える。 はやてを抱えているこの状況では、攻撃の回避など到底不可能だ。 となると、防御するしかない。 しかし、シュツルムファルケンを相殺できるほどの攻撃を防ぐことが出来るのか。 そう考えている間にも、魚龍は攻撃態勢を取る。 ……つまり今現在、魚龍の背後は隙だらけということだ。 「させるかァァァァァ!!」 デバイスを構え、ヴィータが魚龍の背後から突撃を敢行する。 しかしこの魚龍、なかなか知能が高いようだ。 まるで奇襲を予測していたかのように身体を一回転させる。 「へぶっ!?」 巨大な尾ビレを叩きつけられ、ヴィータの体は虚空に舞った さらに追い討ちを掛けるべく、魚龍はヴィータに爆弾の狙いをつける。 「ヴィータちゃん!!」 叫ぶシャマル。 しかしヴィータは回避行動を取ろうともせず――笑っていた。 まるで、勝利を確信しているかのように。 「ほァちゃァァァァァ!!!」 独特な叫び声と共に、何者かが魚龍の眼前へ躍り出た。 「あっち向いてェェェェ……」 神楽だ。 愛用の番傘を大きく振りかぶり、力一杯フルスイングする。 「ホイィィィィィ!!!!」 夜兎の馬鹿力から放たれた一撃は、魚龍の狙いを大きく逸らすことに成功した。 あらぬ方向へ飛び、爆発する水爆弾。 さらに、不意を付かれた魚龍は今の一撃で脳震盪を起こしたようだ。 まるで酔っ払いのように千鳥足を踏んでいる。 さあ、最後の仕上げだ。 「新八ィィィィ!!! 醤油用意しとけェェェ!!!」 「大根おろしとポン酢もだ!!!」 天から聞こえてくる、戦神と勝利の女神の声。 吹き飛ばされた銀時とシグナムが、重力に任せて自由落下してきたのだ。 『ひっさぁぁぁぁぁつ!!!』 高々と妖刀と炎の魔剣を掲げる。 そして―― 『稲妻重力落としィィィィィィィィ!!!!』 80年代テイスト溢れる技名と同時に振り下ろされる、二つの剣。 その衝撃は魚龍の身体を伝い、地に無数の亀裂を残す。 歴戦の剣士二人の、渾身の一撃を受けた魚龍はその場にくずおれ……ピクリとも動かなくなった。 カラスが鳴くから帰りましょ、とは何の歌だったか。 件の魚龍を入管の連中に引き渡し、魚龍討伐の報酬を海の家の店主から強奪――もとい、受け取り帰路につく銀時達。 「……なんでだよ、なんだよこの状況。罰ゲーム? なんかの罰ゲームか?」 黄金色の夕日を浴びながら、銀時は呟く。 無理も無い。 何故なら今の彼は、右肩にはやて、左肩にヴィータ、そして小脇に神楽を抱えるという なんとも大道芸な事をさせられているのだ。 「よっぽど疲れていたんですね…」 微笑みながら、眠りこける三人の天使を見つめるシャマル。 それに同意するように、新八とシグナムも頷く。 「そりゃあ、あれだけ遊んだ上にあの騒動ですからねぇ…」 「ふふ……まるで父親だな。銀時殿」 「オイ、ホームドラマみてーな雰囲気にしてごまかそうとしてんじゃねーよ。お前らも手伝え。 何が悲しくてガキ3人もいっぺんに背負わなきゃならねーんだよ。 まだ子泣きジジイ背負ってる方が幾分かマシだっつーの」 と、ダラダラと不平不満をブチ撒ける銀時。 しかしシャマルらは彼の主張を全力で無視した。 「でも、銀時さんがお父さんってことは、お母さんは……」 チラリ、とはやてに目を向ける。 「……腐ってますね」 「そうか……銀時殿に、そんな趣味が…」 まるで腐ったミカンでも見るような視線を向ける新八とシグナム。 しかし当然のことながら、銀時に幼女趣味は無い。 銀時は必死になって身の潔白を証明しようとする。 「オイぃぃぃぃぃ!!! 何勝手に勘ぐってんの!? 無いからね! 銀さんいたってノーマルだからね! オイはやて! お前も何か言って――」 「……んぅ…………誰か交代ぃ~…」 幸せそうな寝顔を見せながら、寝言を垂れるはやて。 ――父親、か。 まあ、コイツが酒でも飲めるくらいの歳になるまでは、それもいいかもしれないな。 「……ったく。重てーな、チクショッ」 心地よい重さを背中に感じながら、そんなことを呟く銀時なのであった。 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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ショートブレード 概要 属性 装備一覧アメミト試製短剣型 系統 ナイフ 系統 氷纏小刃 系統 雷纏小刃 系統 宝剣 西施 系統 鉄乙女剣 系統 アルタイル 系統 イルマリネン 系統 鳥剣 陽 系統 ペイジ 系統 ルーガルー 系統 罪刀ベルフェゴル 系統 閃牙 系統 灰煉種 系統 強化限界性能一覧 コメント 概要 機動性が高く、手数でアラガミを圧倒するスピード重視の神機パーツ。 空中でステップ移動を行う「エリアルステップ」や、地上から空中状態へ移動しつつ攻撃を行う「ライジングエッジ」も健在。 地上と空中を縦横無尽に駆け回る戦闘スタイルを得意とする。 2019年3月15日配信のVer.1.20にて「アドバンスドステップ」と「アドバンスドジャンプ」が復活。機動力に更に磨きがかかった。 …しかし、今作のショートブレードは攻撃力の割合が全て「切断50%:貫通50%」に統一されてしまい 従来のような「切断特化」「貫通特化」といった尖った性能がなくなってしまった。 汎用性と言えば聞こえはいいが、没個性化とも言えるあたり、悩ましいところ。 手数の多さはバイティングエッジに譲ることになったが、安定感はこちらが上といえる。 属性 火・氷・雷属性はナイフ派生や鉄乙女剣派生などから手に入りやすい方。 火属性はラー素材で作れるアルタイル系が属性値も高く、扱いやすい。スロット数の多いマルドゥーク派生のベナンダンテもオススメ。 中継ぎとしてはカムラン素材のペイジ炎が威力・スロット共に優秀。 氷属性はグラシェ素材から作れるフロスチセン系が一番良い。属性込みでの威力は氷纏小刃の方が上だが、スロット数の少なさが不安要素。 高属性にはドローミ素材の罪刀ベルフェゴル系もあるが、入手できるのは終盤。属性込みの威力は高いがこちらもスロット数がやや少ない。 雷属性は高属性が雷纏小刃のみとやや不遇。他は鉄乙女剣雷系、イルマリネン系、鳥剣陰系、ペイジ雷系、過刀ナンバーズ系。 この中で選ぶとすればペイジ雷が威力・スロットともに良好。より高いのは過刀ナンバーズであるが素材集めが非常に面倒な上、手に入るのも終盤とあまり良い事がない。 神属性は宝剣西施系とルーガルー系がまず作れるが…前者は威力、後者はスロット数が劣るため一長一短。 クロムガウェインが出てきた辺りで、高属性・多スロ両方を備えた冥閃が作れるようになるので乗り換えよう(氷属性の閃牙からの派生であることに注意)。 クリア後は灰煉種から作れるアルビルダ、煉骸帝獅剣が強力。複合属性でありながら攻撃力も高く、スロット数も最大。最終的にはこの二本で事足りる。 装備一覧 [部分編集] アメミト試製短剣型 系統 アメミト試製短剣型 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ アメミト試製短剣型 1 92 46 0 46 --- 先制攻撃 ○ 設計データ 初期入手 合成 100fc 低品質玉鋼x1 斧獣欠角x1 │├◇││ アメミト試製短剣型 改 2 112 56 0 56 --- 先制攻撃 ○ 設計データ 統合運用プログラム改修 強化 600fc 低品質ダマスカス鋼x1 鬼毛x1 鬼小牙x1 │||◇││ アメミト試製短剣型 進 3 136 68 0 68 --- 先制攻撃 ○ 設計データ 一般航路に合流の連絡 強化 1000fc 玉鋼x1 獣神小雷翼x1 鬼牙x1 │||◇││ アメミト短剣型 壱 4 168 84 0 84 --- 先制攻撃 ○○ 設計データ 【灰域種】緊急戦闘依頼 強化 2000fc ダマスカス鋼x1 爆蜘大鋏角x1 蛇偶光輪x1 中位晶体x1 │||◇││ アメミト短剣型 弐 5 208 104 0 104 --- 先制攻撃 ○○ 設計データ 帰還間もなく 合成 14400fc 高品質玉鋼x2 中位上晶体x2 凍鴉緊腱x2 鴉連爪x4 贋虫多複眼x6 強化 4800fc 高品質玉鋼x1 凍鴉刺剣x1 氷蜘対吻刃x1 中位上晶体x1 │||◇││ アメミト短剣型 参 6 250 125 0 125 --- 先制攻撃 ○○ 設計データ 最終限界点に到達 強化 9600fc 高品質ダマスカス鋼x1 超硬度研磨石x1 戦王鋼履帯x1 炎獣巨角x2 高位高晶体x2 │||◆│ アメミト短剣型 零 7 308 154 0 154 --- 先制攻撃 ○○ 設計データ 夜明けの日 強化 24000fc 極品質ダマスカス鋼x1 金剛研磨石x2 帝王深淵体x2 帝王真雷牙x3 貫穿三叉錐x1 |◇│ レシェフ試製短剣型 2 104 52 0 52 --- 閃電 ○○○ 設計データ 基礎は反復して覚えろ 強化 600fc 低品質ダマスカス鋼x1 鬼毛x1 鬼小牙x1 |◇│ レシェフ短剣型 壱 4 154 77 0 77 --- 閃電 ○○○○ 設計データ 感応種潜伏中 強化 ???fc ダマスカス鋼x1 研磨石x1 獣厚皮x3 骸帝刃爪x1 │◇│ レシェフ短剣型 弐 5 190 95 0 95 --- 閃電 ○○○○ 設計データ 白地図を埋める #2 合成 14400fc 高品質玉鋼x2 中位上晶体x2 赫刀上朱刀身x2 鴉連爪x4 贋虫多複眼x6 強化 ???fc 高品質玉鋼x1 中位上晶体x2 赫刀上朱刀身x1 氷蜘対吻刃x1 |◇| レシェフ短剣型 参 6 230 115 0 115 --- 閃電 ○○○○ 設計データ 航路上に影有り 強化 ???fc 高品質ダマスカス鋼x1 刀神艶麗髪x2 刀神靭筋組織x1 鎧蟲大鋼角x2 低位高晶体x3 |◆ レシェフ短剣型 零 7 282 141 0 141 --- 閃電 ○○○○ 設計データ 東方ルート #1 強化 ???fc 極品質玉鋼x1 刀神艶麗髪x2 戎刀万雷刀身x2 穿兇断熔尾x2 贋虫光腺x1 ナイフ 系統 ナイフ 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ ナイフ 1 92 46 0 46 --- 不浄のアギト ○ 設計データ 不明 合成 100fc 低品質玉鋼x1 プラスチックx1 │├┬◇││| 発熱ナイフ 2 100 50 0 50 火〇 不浄のアギト ○ 設計データ 不明 強化 600fc 低品質ダマスカス鋼x1 セラミックx1 炎石x1 │||||◆|│ 凍炎ナイフ 3 116 58 0 58 火氷各〇 縮地 ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 玉鋼x1 ポリカーポネートx1 炎晶x1 氷晶x1 (超凍炎ナイフへ) │||||◇││| 高発熱ナイフ 4 150 75 0 75 火〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc ダマスカス鋼x1 強化プラスチックx1 純炎晶x1 鴉連爪x2 │||||◇││| 超発熱ナイフ 5 186 93 0 93 火〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 合成 ???fc 高品質玉鋼x2 強化セラミックx2 オラクル炎晶x2 真竜発火晶x4 強化 ???fc 高品質玉鋼x1 強化セラミックx1 オラクル炎晶x1 獣厚皮x3 真竜発火晶x1 │||||◇|││ 臨界発熱ナイフ 6 224 112 0 112 火〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 高品質ダマスカス鋼x1 強化ポリカーポネートx1 オラクル密炎晶x1 獣鋼皮x1 真竜猛火晶x1 │||||◆|│ 超臨界発熱ナイフ 7 276 138 0 138 火〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 極品質ダマスカス鋼x1 超強化ポリカーポネートx2 オラクル真炎晶x2 獣厚皮x5 真竜呼炎体x1 │||◇││ 冷却ナイフ 2 100 50 0 50 氷〇 不浄のアギト ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 低品質ダマスカス鋼x1 セラミックx1 氷石x1 │||◆| 凍炎ナイフ 3 116 58 0 58 火氷 各〇 縮地 ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 玉鋼x1 ポリカーポネートx1 炎晶x1 氷晶x1 (超凍炎ナイフへ) │||◇││ 過冷却ナイフ 4 150 75 0 75 氷〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc ダマスカス鋼x1 強化プラスチックx1 純氷晶x1 鴉連爪x2 │||◇│| 超冷却ナイフ 5 186 93 0 93 氷〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 合成 ???fc 高品質玉鋼x2 強化セラミックx2 オラクル氷晶x2 凍鴉刺剣x4 強化 ???fc 高品質玉鋼x1 強化セラミックx1 オラクル氷晶x1 鴉連爪x2 竜帝発氷晶x1 │||◇│| 臨界冷却ナイフ 6 224 114 0 114 氷〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 黒隕鉄x2 オラクル真雷晶x2 瞬間結合薬x3 獣神真雷牙x3 贋虫光腺x1 │||◆| 超臨界冷却ナイフ 7 264 132 0 132 氷〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 極品質ダマスカス鋼x1 超強化ポリカーポネートx2 オラクル真雷晶x2 鴉烈爪x3 竜帝硬金糸x1 |◇│ 凍炎ナイフ 3 116 58 0 58 火氷 各〇 縮地 ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 玉鋼x1 ポリカーポネートx1 炎晶x1 氷晶x1 (冷却ナイフと発熱ナイフから派生) |◇│ 超凍炎ナイフ 5 178 89 0 89 火氷 各〇 縮地 ○○ 設計データ 不穏分子の確認 #1 強化 ???fc 高品質玉鋼x1 オラクル炎晶x1 オラクル氷晶x1 赤蝕狼ノ爪x4 凍鴉長麗羽x4 |◇| 臨界凍炎ナイフ 6 214 107 0 107 火氷 各〇 縮地 ○○ 設計データ 不明 合成 ???fc 高品質ダマスカス鋼x1 オラクル密炎晶x1 オラクル密氷晶x1 赤蝕狼ノ鋭銀爪x4 凍鴉靭麗羽x4 強化 ???fc 高品質ダマスカス鋼x4 オラクル密炎晶x4 オラクル密氷晶x4 赤蝕狼ノ獄炎牙x4 黒獣墨鎧x4 |◆ 超臨界凍炎ナイフ 7 264 132 0 132 火氷 各〇 縮地 ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 極品質ダマスカス鋼x2 オラクル真炎晶x2 オラクル真氷晶x2 赤蝕狼ノ鋭銀爪x6 鴉冠羽x1 氷纏小刃 系統 氷纏小刃 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ 氷纏小刃 3 124 62 0 62 氷◎ 神速 ○ 設計データ 不明 合成 1000fc 凍鴉小羽x1 妖精根x1 龍種小牙x1 |◇│ 氷纏小刃 弐型 5 188 94 0 94 氷◎ 神速 ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 凍鴉長麗羽x4 妖精髄根x1 龍種牙x1 穿王兜x1 オラクル氷晶x1 |◇│ 氷纏小刃 参型 6 226 113 0 113 氷◎ 神速 ○ 設計データ 遠方航路の点検保守 フェイズ3/3 強化 ???fc 凍鴉靭麗羽x4 妖精凝髄根x1 龍種大牙x1 穿王剛兜x1 オラクル密氷晶x1 |◆ 氷纏小刃 極型 7 280 140 0 140 氷◎ 神速 ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 凍鴉真麗羽x6 妖精凝髄根x2 龍種大牙x2 穿王剛兜x2 龍種脊髄x1 雷纏小刃 系統 雷纏小刃 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ 雷纏小刃 3 124 62 0 62 雷◎ 神速 ○ 設計データ 不明 合成 1000fc 刀神筋組織x1 鎧蟲棘x1 鬼毛x1 |◇│ 雷纏小刃 弐型 5 188 94 0 94 雷◎ 神速 ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 刀神柔筋組織x1 鎧蟲鋭棘x2 鬼硬毛x4 禁偶雷玉x1 オラクル雷晶x1 |◇│ 雷纏小刃 参型 6 226 113 0 113 雷◎ 神速 ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 刀神靭筋組織x1 鎧蟲大鋭棘x2 鬼針毛x4 禁偶轟雷玉x1 オラクル密雷晶x1 |◆ 雷纏小刃 極型 7 0 0 0 0 雷◎ 神速 ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 刀神靭筋組織x2 鎧蟲大鋭棘x3 鬼針毛x3 禁偶轟雷玉x2 獣神伝導体x1 宝剣 西施 系統 宝剣 西施 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ 宝剣 西施 3 124 62 0 62 神〇 不浄のアギト ○ 設計データ 不明 合成 1000fc ニッケルx1 マホガニー原木x1 輝晶x1 │├◇││ 宝剣 王昭君 4 152 76 0 76 神〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 600fc ジルコニウムx1 黒壇原木x2 純輝晶x1 研磨石x1 │||◇││ 宝剣 王昭君 改 5 188 94 0 94 神〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 1000fc プラチナx1 高級マホガニー原木x2 オラクル輝晶x1 高品質研磨石x1 赫刀上朱刀身x1 │||◇││ 宝剣 王昭君 進 6 226 113 0 113 神〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 合成 14400fc イジリウムx1 高級黒壇原木x2 オラクル密輝晶x1 超硬度研磨石x1 赫刀剛朱刀身x1 強化 4800fc イジリウムx2 高級黒壇原木x2 オラクル密輝晶x2 超硬度研磨石x3 女神麗衣x3 │||◆│ 宝剣 7 0 0 0 0 --- 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 24000fc 不明x1 不明x2 不明x2 不明x3 不明x1 |◇│ 宝剣 楊貴妃 4 152 76 0 76 火〇 ダブルカラム ○○ 設計データ 不明 強化 600fc ジルコニウムx1 純炎晶x1 ダマスカス鋼x1 アラミド繊維x1 |◇│ 宝剣 楊貴妃 改 5 188 94 0 94 火〇 ダブルカラム ○○ 設計データ 奪還作戦B計画 #3 強化 ???fc プラチナx1 オラクル炎晶x1 高品質玉鋼x1 強化ガラス繊維x1 騎士鉄尾x1 │◇│ 宝剣 楊貴妃 進 6 226 113 0 113 火〇 ダブルカラム ○○○ 設計データ 今日こそ! 合成 14400fc イジリウムx2 オラクル密炎晶x2 高品質ダマスカス鋼x2 超硬度研磨石x3 天狐ノ美錦鎧x2 強化 ???fc イリジウムx1 オラクル密炎晶x1 高品質ダマスカス鋼x1 強化アラミド繊維x1 騎士硬鉄尾x1 |◆ 宝剣 楊貴妃 極 7 278 139 0 139 火〇 ダブルカラム ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc チタンx2 オラクル真炎晶x2 極品質ダマスカス鋼x2 超アラミド繊維x2 騎士堅牢液x1 鉄乙女剣 系統 鉄乙女剣 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ 鉄乙女剣 1 94 47 0 47 --- ぶんどり ○○ 設計データ 不明 合成 100fc 妖精棘片x1 妖精面片x1 │├┬◇││| 鉄乙女剣 改 3 140 70 0 70 --- ぶんどり ○○ 設計データ 不明 強化 1000fc 妖精棘x1 妖精面x1 妖精殻x1 │||||◇││| 鉄乙女剣 5 0 0 0 0 --- ぶんどり ○○ 設計データ ミナトの周辺調査 フェイズ 1/2 強化 ???fc 不明x1 不明x1 不明x1 不明x1 │||||◇││| 鉄乙女剣 6 0 0 0 0 --- ぶんどり ○○ 設計データ レトロオラクル細胞 強化 ???fc 不明x1 不明x1 不明x1 不明x2 │||||◆|│ 鉄乙女剣 7 0 0 0 0 --- ぶんどり ○○ 設計データ 東方ルート #1 合成 ???fc 不明x2 不明x2 不明x2 不明x4 強化 ???fc 不明x1 不明x1 不明x1 不明x3 不明x1 │||◇││ 鉄乙女剣 零 2 102 51 0 51 氷〇 アブソーバー ○ 設計データ 不明 強化 600fc 氷石x1 妖精小棘x1 妖精小殻x1 │||◆| 鉄乙女剣 零 改 4 152 76 0 76 氷〇 アブソーバー ○ 設計データ 不明 強化 2000fc 純氷晶x1 妖精長棘x3 妖精大殻x3 低位晶体x3 │||◇││ 鉄乙女剣 零 5 0 0 0 0 氷〇 アブソーバー ○○ 設計データ ミナトの周辺調査 フェイズ 1/2 強化 ???fc 不明x1 不明x1 不明x1 不明x2 │||◇│| 鉄乙女剣 零 6 0 0 0 0 氷〇 アブソーバー ○○ 設計データ レトロオラクル細胞 合成 ???fc 不明x2 不明x2 不明x2 不明x4 強化 ???fc 不明x1 不明x1 不明x2 不明x1 │||◆| 鉄乙女剣 零 7 0 0 0 0 氷〇 アブソーバー ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 不明x2 不明x2 不明x3 不明x3 不明x1 |◇│ 鉄乙女剣 雷 2 102 51 0 51 雷〇 アブソーバー ○○ 設計データ 不明 強化 600fc 雷石x1 妖精小棘x1 妖精小殻x1 |◇│ 鉄乙女剣 雷 改 4 152 76 0 76 雷〇 アブソーバー ○○ 設計データ 不明 強化 2000fc 純雷晶x1 妖精長棘x3 妖精大殻x3 低位繊維x2 |◇│ 鉄乙女剣 雷 5 0 0 0 0 雷〇 アブソーバー ○○ 設計データ ミナトの周辺調査 フェイズ 1/2 強化 ???fc 不明x1 不明x1 不明x1 不明x4 不明x4 |◇| 鉄乙女剣 雷 6 0 0 0 0 雷〇 アブソーバー ○○ 設計データ レトロオラクル細胞 合成 ???fc 不明x1 不明x1 不明x1 不明x4 不明x4 強化 ???fc 不明x4 不明x4 不明x4 不明x4 不明x4 |◆ 鉄乙女剣 雷 7 0 0 0 0 雷〇 アブソーバー ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 不明x2 不明x2 不明x2 不明x6 不明x1 アルタイル 系統 アルタイル 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ アルタイル 2 116 58 0 58 火 〇〇 不浄のアギト ○ 設計データ 不明 合成 不明fc 焔禽細髪x1 焔禽小管x1 焔禽腕片x1 低純度灰域適応核片x1 │├◇││ アルタイル 改 4 172 86 0 86 火〇〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 不明fc 焔禽毛髪x3 焔禽陽腕x1 焔禽支軸x1 低密度侵食細胞x1 │||◇││ アルデバラン 5 214 107 0 107 火〇〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 合成 14400fc 焔禽支軸x3 焔禽陽腕x3 高密度侵食細胞x2 高純度灰域適応核片x2 天玉高重力体x3 強化 ???fc 焔禽麗髪x3 焔禽陽腕x3 焔禽支軸x1 高純度灰域適応核片x2 天玉高重力体x3 │||◇││ アルデバラン 改 6 258 129 0 129 火〇〇 不浄のアギト ○ 設計データ 不明 強化 ???fc 焔禽流麗髪x3 焔禽凝陽腕x1 焔禽芯支軸x1 超純度灰域適応核片x2 天玉天重力体x1 │||◆│ アルデバラン 極 7 0 0 0 0 火〇〇 不浄のアギト ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc |◇│ フロスチセン 3 142 71 0 71 氷〇 深呼吸 ○○ 設計データ 強襲討伐ミッション [作戦名] 落日 強化 ???fc 零禽細髪x1 零禽腕片x1 零禽瑠璃片x1 |◇│ フロスチセン 改 4 174 87 0 87 氷〇 深呼吸 ○○ 設計データ 強襲討伐ミッション [作戦名] 落日 強化 ???fc 零禽毛髪x3 零禽氷腕x1 零禽瑠璃x1 零禽流管x3 |◇| フォルゲフォンナ 5 214 107 0 107 氷〇 深呼吸 ○○○ 設計データ 強襲討伐ミッション [作戦名] 落日 強化 ???fc 零禽麗髪x4 零禽氷腕x1 零禽瑠璃x1 零禽長流管x4 零禽蒼飾x1 │◇│ フォルゲフォンナ 改 6 258 129 0 129 氷〇 深呼吸 ○○○ 設計データ 強襲討伐ミッション [作戦名] 落日 合成 14400fc 零禽透瑠璃x3 零禽凝氷腕x3 超密度侵食細胞x2 超純度灰域適応核片x2 零禽虹飾x2 強化 ???fc 零禽流麗髪x3 零禽凝氷腕x1 零禽透瑠璃x1 零禽剛流管x3 零禽虹飾x1 |◆ フォルゲフォンナ 極 7 318 159 0 159 氷〇 深呼吸 ○○○ 設計データ 強襲討伐ミッション [作戦名] 落日 強化 ???fc 零禽真麗髪x1 零禽凝氷腕x1 零禽透瑠璃x1 零禽真流管x1 天玉神核x1 イルマリネン 系統 イルマリネン 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ イルマネリン 2 104 52 0 52 雷◎ 危機一髪 ○○ 設計データ 不明 合成 700fc 餓爬鱗片x1 餓爬牙片x1 |◇│ クッレルヴォ 4 156 78 0 78 雷◎ 危機一髪 ○○ 設計データ 不明 強化 2400fc 餓爬鱗x3 餓爬牙x1 餓爬紋鎧x2 餓爬銛x1 |◇│ クサ 5 0 0 0 0 雷◎ 危機一髪 ○○ 設計データ 仕事のスタイル 強化 ???fc │◇│ アメ 6 402 169 233 0 雷◎ 危機一髪 ○○ 設計データ 奪還作戦B計画 #4 合成 ???fc 強化 ???fc |◆ アメ 極 7 0 0 0 0 雷◎ 危機一髪 ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 鳥剣 陽 系統 鳥剣 陽 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ 鳥剣 陽 3 144 72 0 72 --- 飛天 ○ 設計データ 不明 合成 1200fc 鳥神小刃x1 鳥神翼片x1 鳥神小翼節x1 │├┬◇││| ペイジ 改 5 0 0 0 0 --- 飛天 ○○ 設計データ ミナトの周辺調査 フェイズ 2/2 強化 6000fc │||||◇││| ペイジ 進 6 0 0 0 0 --- 飛天 ○○○ 設計データ 遠方航路の点検保守 フェイズ 2/3 合成 ???fc 強化 ???fc │||||◆|│ 封印サレシ小剣 7 0 0 0 0 --- 飛天 ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc │||◇││ 鳥剣 陰 4 162 81 0 81 雷◎ コンボマスター ○○ 設計データ 不明 強化 2400fc 純雷晶x1 鳥神面x1 鳥神翼節x1 鳥神爪x2 鳥神翼x3 │||◇││ ペイジ 不明 5 0 0 0 0 雷◎ コンボマスター ○○○ 設計データ ミナトの周辺調査 フェイズ 2/2 強化 ???fc │||◇│| シュヴァリエ 轟雷 6 0 0 0 0 雷◎ コンボマスター ○○○ 設計データ 遠方航路の点検保守 フェイズ 2/3 合成 39600fc 強化 ???fc │||◆| 雷剣 7 0 0 0 0 雷◎ コンボマスター ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc |◇│ 鳥剣 若陽 3 156 78 0 78 火◎ コンボマスター ○○ 設計データ 不明 強化 2400fc 純炎晶x1 鳥神面x1 鳥神翼x1 鳥神爪x1 |◇│ 轟炎 5 0 0 0 0 火◎ コンボマスター ○○○ 設計データ ミナトの周辺調査 フェイズ 2/2 強化 ???fc |◇| 業炎 6 0 0 0 0 火◎ コンボマスター ○○○ 設計データ 遠方航路の点検保守 フェイズ 2/3 合成 39600fc 強化 ???fc |◆ 炎剣 7 0 0 0 0 火◎ コンボマスター ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc ペイジ 系統 ペイジ 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ ペイジ 2 124 62 0 62 --- 九死一生 ○○ 設計データ 不明 合成 800fc 騎士針片x1 騎士鉄尾片x1 │├┬◇││| ペイジ 改 3 150 75 0 75 --- 九死一生 ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 騎士細針x1 騎士鉄尾片x1 騎士軽鎧x1 │||||◇││| ペイジ 進 5 0 0 0 0 --- 九死一生 ○○○ 設計データ 不明 合成 ???fc 強化 ???fc │||||◇││| シュヴァリエ 6 274 137 0 137 --- 九死一生 ○○○ 設計データ 遠方の点検保守(フェイズ3/3) 強化 ???fc 騎士鋭針x1 騎士硬鉄尾x1 騎士硬鎧x4 騎士堅脚甲x1 騎士超潤滑油x1 │||||◆|│ 封印サレシ小剣 7 0 0 0 0 --- 九死一生 ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc │||◇││ ペイジ 雷 4 162 81 0 81 雷◎ 韋駄天 ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc │||◇││ ペイジ 不明 5 0 0 0 0 雷◎ 韋駄天 ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc │||◇│| シュヴァリエ 轟雷 6 242 121 0 121 雷◎ 韋駄天 ○○○ 設計データ 不明 合成 39600fc オラクル密雷晶x2 騎士堅脚甲x2 騎士硬鉄尾x3 高位高晶体x4 強化 ???fc オラクル密雷晶x1 騎士堅脚甲x1 騎士硬鎧x4 騎士鋭針x1 騎士硬鉄尾x1 │||◆| 雷剣 7 495 208 287 0 雷◎ 韋駄天 ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc |◇│ ペイジ 炎 3 162 81 0 81 火◎ 韋駄天 ○○ 設計データ 不明 強化 ???fc 純炎晶x1 騎士鉄尾x1 騎士針x1 騎士鎧x1 |◇│ シュヴァリエ 轟炎 5 0 0 0 0 火◎ 韋駄天 ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc |◇| シュヴァリエ 業炎 6 242 121 0 121 火◎ 韋駄天 ○○○ 設計データ 不明 合成 39600fc オラクル密炎晶x2 騎士硬鉄尾x2 騎士堅脚甲x3 高位高晶体x4 強化 ???fc オラクル密炎晶x1 騎士硬鉄尾x1 騎士鋭針x1 騎士硬鎧x4 騎士堅脚甲x1 |◆ 炎剣 7 0 0 0 0 火◎ 韋駄天 ○○○ 設計データ 不明 強化 ???fc ルーガルー 系統 ルーガルー 系統を編集 罪刀ベルフェゴル 系統 罪刀ベルフェゴル 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ 罪刀ベルフェゴル 5 214 107 0 107 氷〇〇 飛天 ○ 設計データ 不明 合成 7200fc 貪王罪閂石x1 貪王罪鱗x1 貪王鋼鉄尾x1 貪王重棘肢x1 │├◇││ 罪業刀ベルフェゴルム 6 258 129 0 129 氷〇〇 飛天 ○○ 設計データ 不明 強化 14400fc 貪王罪閂石x3 貪王罪鱗x4 貪王鋼鉄尾x1 貪王重棘肢x1 暴虐枷縄x2 │||◆│ ベルフェゴル 7 0 0 0 0 氷〇〇 飛天 ○○ 設計データ 不明 強化 30000fc |◇│ 過刀ナンバーズ 4 309 130 179 0 雷〇 シングルカラム ○○○ 設計データ 強襲討伐ミッション [作戦名] 大罪 強化 15600fc 禍王断罪雷石x3 禍王噛砕雷顎x1 禍王鋼鉄雷尾x1 禍王断罪雷鱗x4 禍王重雷棘肢x1 |◆ 過刀ナンバーズ 極 7 0 0 0 0 雷〇 シングルカラム ○○○ 設計データ 強襲討伐ミッション [作戦名] 大罪 強化 39000fc 禍王断罪雷石x5 禍王噛砕雷顎x2 禍王鋼鉄雷尾x2 禍王断罪雷鱗x6 暴虐ノ轟砲x1 閃牙 系統 閃牙 系統を編集 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◇│ 閃牙 4 164 82 0 82 氷◎ 電光石火 ○ 設計データ 救援要請の受理 合成 2700fc 黒獣翼腕x1 黒獣兜x1 黒獣毛x1 黒獣鎧x1 │├◇││ 閃牙 改 5 202 101 0 101 氷◎ 電光石火 ○ 設計データ 救援要請の受理 強化 ???fc 黒獣毛x2 黒獣鎧x4 黒獣爪x2 高位上繊維x2 黒獣牙x1 │||◇││ 天閃 6 232 116 0 116 氷◎神◎ 電光石火 ○ 設計データ 高濃度灰域航行(フェイズ2/2) 合成 ???fc 黒獣鋭爪x2 黒獣鋭牙x5 黒獣堅兜x3 高位高繊維x3 高位高晶体x3 強化 ???fc 黒獣硬毛x2 黒獣墨鎧x4 黒獣鋭爪x1 高位高繊維x2 黒獣鋭牙x2 │||◆│ 不明 7 0 0 0 0 氷◎神◎ 電光石火 ○ 設計データ 北方ルート #4 強化 ???fc |◇│ 冥閃 5 367 154 213 0 神◎◎ 強奪 ○○ 設計データ 救援要請の受理 強化 ???fc オラクル輝晶x1 黒獣兜x1 黒獣翼腕x1 黒獣鎧x4 黒獣牙x2 |◇│ 冥崩 改 6 248 124 0 124 神◎◎ 強奪 ○○○ 設計データ 高濃度灰域航行(フェイズ2/2) 強化 ???fc オラクル密輝晶x1 黒獣堅兜x1 黒獣暴翼腕x1 黒獣墨鎧x4 黒獣鋭牙x2 |◆ 不明 7 0 0 0 0 神◎◎ 強奪 ○○○ 設計データ 北方ルート #4 強化 ???fc 灰煉種 系統 灰煉種 系統を編集 アルビルダ / ラフィット:Ver.2.00にて追加煉骸帝獅剣:Ver.2.50にて追加 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◆ アルビルダ 7 408 204 0 204 氷〇雷〇 ウォークライ ○○○○ 設計データ 合成 100000fc 煉穿王黒雷甲x3 煉穿王黒雷角x3 煉穿王剛雷兜x2 煉穿王迅錐x2 煉穿王極刃錐x1 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◆ 煉骸帝獅剣 7 408 204 0 204 火〇神〇 ウォークライ ○○○○ 設計データ 合成 100000fc 煉骸帝機甲x2 煉骸帝紫鬣x4 煉骸帝推進器x2 煉骸帝黒腱x2 煉骸帝天核x1 分岐 名前 Rank 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 非物理 バーストプラグイン スキルスロット ◆ ラフィット 7 460 230 0 230 --- 刃の衝動 ○○○○ 設計データ 合成 100000fc 煉穿王黒雷甲x3 煉穿王迅錐x2 煉穿王閃尾x3 煉穿王極刃錐x1 貫穿三叉錐x1 強化限界性能一覧 Ver.1.40 攻撃力36.5%上昇 名前 近接攻撃力 切断 破砕 貫通 炎 氷 雷 神 バーストプラグイン スキルスロット アメミト短剣型 零 420 210 0 210 先制攻撃 ○○ 短剣ベンヌ (*1) 436 218 0 218 ○ 天駆 ○ レシェフ短剣型 零 386 193 0 193 閃電 ○○○○ リッパーズナイフ 428 214 0 214 不浄のアギト ○○○ 超臨界冷却ナイフ 376 188 0 188 ○ 不浄のアギト ○○ 超臨界凍炎ナイフ 358 179 0 179 ○ ○ 縮地 ○○ 超臨界発熱ナイフ 376 188 0 188 ○ 不浄のアギト ○○ 氷纏小刃 極型 380 190 0 190 ○○ 神速 ○ 雷纏小刃 極型 380 190 0 190 ○○ 神速 ○ 宝剣 王昭君 極 380 190 0 190 ○ 不浄のアギト ○○ 宝剣 楊貴妃 極 380 190 0 190 ○ ダブルカラム ○○○ 白銀乙女剣 434 217 0 217 ぶんどり ○○○ 白銀乙女剣 氷零 382 191 0 191 ○ アブソーバー ○○○ 白銀乙女剣 轟雷 382 191 0 191 ○ アブソーバー ○○○ アルデバラン 極 434 217 0 217 ○○ 不浄のアギト ○○ フォルゲフォンナ 極 436 218 0 218 ○ 深呼吸 ○○○ カレヴァラ 極 390 195 0 195 ○ 危機一髪 ○○○ 鳥剣 九陽 444 222 0 222 飛天 ○ 鳥剣 黒陰 390 195 0 195 ○ コンボマスター ○ 鳥剣 仙陽 390 195 0 195 ○ コンボマスター ○ シュヴァリエロワ 460 230 0 230 九死一生 ○○○ シュヴァリエフラム 406 203 0 203 ○ 韋駄天 ○○○ シュヴァリエトネル 406 203 0 203 ○ 韋駄天 ○○○ リュカリオン 極 390 195 0 195 ○ ○ 電光石火 ○ ベナンダンテ 418 209 0 209 ○○ ブレイブハート ○○○ 極罪ベルフェゴル 434 217 0 217 ○○ 飛天 ○○ 過刀ナンバーズ 極 436 218 0 218 ○ シングルカラム ○○○ 黄玉ノ天閃 390 195 0 195 ○ ○ 電光石火 ○ 禁忌ノ冥閃 418 209 0 209 ○○ 強奪 ○○○ フラッシュステー (*2) 456 228 0 228 クリアマインド ○○○○ アルビルダ (*3) 408 204 0 204 ○ ○ ウォークライ ○○○○ 煉骸帝獅剣 (*4) 408 204 0 204 ○ ○ ウォークライ ○○○○ ラフィット (*5) 460 230 0 230 刃の衝動 ○○○○ コメント 名前