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501:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 17 57 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp スーパーEDF大戦 EDFは異世界の地球も守るようです 地球? 欧州? 「クソ!ネウロイ共調子乗ってやがるぞ!!」 「数じゃ向こうが多いからってバカスカ撃ちやがってよぉ」 「援軍はまだ来ないのか!」 兵士たちの怒号と悲鳴が響く戦場でそれは来た。 「援軍が来ました!」 「どこの部隊だ? 501か?504か?まさか506!?」 「いえ。所属コード500。EDF所属のウィングダイバー隊です!」 「EDFの精鋭航空機動歩兵部隊!!この戦い勝てるぞ!」 地球? 欧州? 「ノルトリヒト戦隊が先行しています。各隊は援護を」 「連中。今日はやけに張り切りボーイじゃないか」 「晩御飯がステーキらしいですからね。食べ盛りの彼等からすればさっさと戦いを終えて食事をとりたいのでしょう」 「なら俺達も早いところ終わらせてご相伴にあずかろうじゃないか」 「コンバットフレーム隊。Go!」 地球? 国連総会 「えー…では貴国が攻略したハイヴのG元素は国連に提供していただけるのですか?」 「…ません」 「え?」 「あげません!!!」 「ええぇえ!?」 「代わりに国連運営費。アメリカの倍だします!」 「!?」 「一つで1000万の人々が暮せる海上移動都市を難民収容用として20基提供します! 「「!?!?」」 「更に前線国家の方々には軍事支援、物資の提供、国債の大規模な買い取りなど様々な支援と共に上記の海上都市の工業版を一カ国に付き一つずつ提供します!!」 「「「!!!!!」」」 「また前線、後方国家関係なく我々の持つ技術の一部を無料で公開させていただきます!」 「「「「!?!!!?!!」」」」 「あとこれは極めて我々側の都合なのですが、この世界で我々が自由に扱える土地が欲しいのです。 こちらの世界で独自の研究や情報収集などを行いたいので。出来れば後方国家の土地なら嬉しいですね。 勿論受けていただければ相応の謝礼をだします」 「「「「「ガタッ!!!」」」」」 「異議あり!申し出はありがたいがまだ我々は貴国のことをよく知らない。そんな状態でそこまでの支援をもらうことはできない」 「アメリカは黙っておれ!」 「拒否権!拒否権!」 「チャンス!これはチャンスだ!」 「是非とも研究組織は我が国に!土地なら腐るほど余っていますから!」 「抜け駆けすんな!あの後方国家でも国債の買取とか行ってくれます」 「勿論。そちらがきちんと責任を果たすというのなら喜んで買い取らせてもらいます」 「「「うぉおおおおおお!!!」」」 502:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 18 28 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 「ええっとそれでここに進出してきたコンビニってのが」 「グララ。そうだ。俺達七十一(セブンイレブン)。向こうじゃ名の知れた武装商店なんだぜ」 「武装商店ってのはよくわかりませんが、ここって太平洋のど真ん中で、深海棲艦もうじゃうじゃしてますが」 「問題ない。俺達はコンビニ経営のプロだ。敵地のど真ん中での営業なんて向こうでも珍しくなかった」 「はぁ。そこまでいうのならこちらの出店も許可を出しますが」 「待ちな!!」 「! お前は家族商店(ファミリーマート)の!!!」 「マーマッマッマ。先にここに目を付けたのは私らだよ。先に進出してたんだ。後から来てもっていかないでほしいね」 「うわぁ…バチバチに睨み合ってる」 「爺もババアもどきな。ここは俺達労村が先に目を付けた場所だ」 「「労村(ローソン)の海道!!」」 「またややこしいのが来たんだけど…」 「「「ここに出店するのは俺だぁ!!!」」」 「そこまでにしてもらおうか」 「「「!?」」」 「このくだらない戦いを終わらせに来た!(ドンッ)」 「あ、魅荷止(ミニストップ)のシャンクさん」 地球? インド? 「やった…やりました!対象沈黙!我々の勝利です!!」 「流石ストームチームだな。まさかあんな大物を倒せるとは」 「現地からも次々と勝利の歓声が上がってます。これで戦局は変わりますね」 「ああ。この怪獣だらけの星。その中でも特に脅威であったゴジラの討伐を成し遂げたのだからな」 503:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 19 01 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 時は20XX年。 突如宇宙人や地球を侵略しにやってきた。 以前からそのことを察知していた人類はEDF(地球防衛軍)を設立し、これに対抗。 無事異星人を退けることに成功した。 その後も何度も何度も異星人が攻めてきては撃退してを繰り返していた中で地球上に不思議な空間が現れた。 ゲート。今ではそう呼ばれる超常空間は地球とはまた別の並行世界に繋がっていた。 世界中に幾つも発生したゲートは様々な世界へ通じている。 ネウロイと呼ばれる謎の存在に攻撃されている地球。レギオンと呼ばれる暴走した無人機械の群れが暴れる地球。BETAと呼ばれるエイリアンにより人々が駆逐されている地球。突如世界中に怪獣が現れ滅亡の危機に瀕している地球。 他にも様々な並行世界と繋がり、その多くで人類は人類以外、もしくは人類同士で生存競争を繰り広げていた。 そんな並行世界へEDFは自らの部隊を派遣した。 並行世界の同胞を見捨てられなかった…からではない!!! EDFのいる地球は何度も何度も異星人に襲われた結果ボロボロなのである。 その数なんと5回! どれも数年続いた激戦であり、今の地球はボロボロである。 幸い事前に用意していた完全持久可能都市群などのおかげで残りの50億の人々も問題なく生きていけるが、しかしまたいつ地球が戦場になる可能性も十分あった。 そこでEDFはある目的のために並行世界側へと進んで部隊を派遣したのである。 その目的というのは異世界で人々が住めるだけの土地の確保と文化や美術品の移送と人々の避難先の確保である。 最悪EDFの地球が滅びたとしても文化や歴史情報、美術品、そして幾らかの人々は生き残れる。 幾度も異星人の侵略に晒されてきたEDFからすればいつか押し切られ滅亡する危険性は十分理解していた。 幸い軍事技術を中心に様々な技術では繋がった先の世界よりは進んでいる面が多い。 また撃退した異星人の兵器を解析してものにした技術もある。 そしてゲート先の異世界に恩が売れれば、ワンチャンこっちに戦力派遣してくれたりもしないかなという下心もある。 というわけでEDFは侵略生物や無人兵器群の掃討と並行して結構な数の部隊を異世界へと派遣した。 そういうわけでも今日もEDFは異世界の地球で戦う。 生存戦略と下心と義憤によって。戦えEDF! 504:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 19 36 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 日本 夢幻会会合 「えー。皆さん。今回何度目かの会合を始めます。取りあえずは改めて状況整理ということで」 司会をするのはいつもの嶋田さん。それを聞いて答えていくのは夢幻会のいつもの面子である。 「宇宙からの電波にインド山中でのUFOの発掘。4系か5系かどちらかとはわからなかった中で取りあえずEDF結成までこぎつけましたが…」 「まさかシリーズ全載せとはなぁ」 「おかげで合計5度もの襲来だ!5回だぞ5回!」 「地球人類が残っているのも、我々が生き残れているのも奇跡的ですねぇ」 「異星人の襲来を予期して原作以上に様々な対策を練っておいたのが功を奏しましたが、それでも甚大な被害と言うほかありませんね」 「元々100億くらいの地球人口があって、拙いながら軌道エレベーターに月面都市、初歩的な宇宙コロニーまで作っていたが8回の襲撃で全部破棄する羽目になったしな」 「宇宙方面も復興させたいですが、やるとしたらほぼ1からの復興ですよ…」 「地上の方も酷いものだ。掃討を続けているが地球上の3割は未だ残った侵略生物と無人機械の制圧下だ」 「事前に各地に用意しておいた地下都市が仇となり、そこで繁殖した侵略生物も多かったようですからね。 とは言え、無事侵攻を跳ねのけたか、最後まで発覚しなかった地下都市群のおかげでボロボロな現状でも人類は生きて入れるのですが」 「あとはあれだな。侵略者同士で争っていたのもあるな」 「おかげで思ったよりは圧力が低かったですものね」 「何より各シリーズの主人公が全員存在していたのもデカいな」 「初代の伝説の陸戦兵。2のペイルウィングの始祖。元祖エアレイド」 「3のストーム1…この世界ではストーム0ことストームリーダー。4でのレンジャー、ウィングダイバー、エアレイダー、フェンサーの四人兄弟」 「そして初代伝説の陸戦兵と始祖ペイルウィング夫婦の子供である5 6のストーム1兄妹…」 「これらとは別にアメリカには陽気なライトニングアルファと無口なクローサーがいたな」 「全部合わせて12人の主人公…」 「彼らが各戦線で暴れてくれたおかげでどうにかなった感強いですよね」 「プロフェッサーと5 6ストーム1兄妹は5世界からの転生者みたいだしな」 「こっちは空中母艦や陸上戦艦の艦隊から宇宙艦隊まで揃えたけど、現在じゃどれも半壊状態だからねぇ」 「超巨大潜水母艦シリーズも割と大量に建造したけど結局残っているには数えている程度だからねぇ」 「いやぁ。最後のヴァーベナ艦隊率いて残った侵略者連中との決戦に横から殴り込みかけたのは胸熱でしたね!」 「それでヴァーベナ艦隊全損したけどな…」 「ところでプライマーのタイムシップはあれきちんと動いていたのかね? なんか普通に俺達勝ってるけど」 「まあ使われていたら俺らは認識できてないからなぁ」 「プロフェッサーに聞いたら何か少なくとも自分達はこの世界でタイムリープは経験していないという話ですが」 「現在タイムシップの残骸を調査中ですから、その結果待ちでしょうかねぇ」 505:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 20 12 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 「それとこの世界独自の勢力…と言えばいいのかあれは…」 「各地のマフィアやギャングが戦時中に独自に物資の収集、生産、販売を始めた武装商店たち」 「各地の民兵が独自に組織化され、統合されたブラザーギルド」 「自らの権益…というか資産や土地を物理的に守るために立ち上げられた企業達の私兵軍団」 「正規軍がEDFに吸収され一本化したせいなのか、逆に各地では自前の戦力を持ち始めた感じみたいでしたね」 「実際原作での末期っぷりをわかっていたからこそ、これらの存在をEDFもお目こぼししていたわけだが…」 「現在どの勢力もEDFに協力的ですね。というか協力しないとやっていけないと理解しているからですが」 「まあいざ侵略者共が来た時に真っ先に矢面立って戦うのはEDFだからなぁ」 「あと現在でも最も巨大な組織兼軍事力を保有しているのもEDFですから」 「企業軍や武装商店とは別の企業や資本もEDFは抱えているからな。アイアンレインみたいな言いなりってわけじゃないのも大きいだろう」 「現在部隊派遣している世界はどこでしたっけ?」 「主だった部隊が派遣されているのはストパン、86、マブラヴ、艦これ、アニゴジ、ガンパレ、パシリム」 「他はギアス、アルドノア、ヘビーオブジェクト、境界戦機あたりだったな」 「前者は緊急的に部隊派遣が必要な世界。後者は左程焦る必要のない世界でしたっけね」 「前者が人類意外と戦っている世界。後者が人類同士がぶつかり合ってる世界って感じだからな」 「あと未だに新しいゲートの発見報告が上がってくるよな」 「地球上の3割が未だ侵略生物などの支配下ですし、発見されてないゲートもありそうですからねぇ」 「プロフェッサー曰くプライマーのタイムシップがゲート発生に関わっているのではないかとの話ですが、未だ仮説の域を出てませんね」 「アニゴジはまだ人類が踏ん張っている前日譚の時期でパシリムはオーストラリアが落ちたアニメ版の時期だったか」 「アニゴジは遂にあの世界のゴジラを撃破したので今後状況が好転するかもしれません」 「艦これはアニメ版やゲーム版というより人類が普通に艦娘と共同して事に当たっている二次創作でよく見る感じみたいですね」 「ガンパレは兵器の配備状況を見るとアニメ版っぽいとの話が上がっています」 506:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 20 44 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 「パシリム世界で報告です。オーストラリア陥落の原因となったブリーチですが、インド洋や大西洋でも新たに確認されたそうです。 おかげで原作以上に戦火が広がっています」 「86世界では早期にサンマグノリア共和国への接触に成功。86たちの保護にも成功しました。 代わりと言ってはなんですが、現場の交渉官がサンマグノリア政府との交渉でSAN値を削られており、転属もしくは増員を度々願い出てます」 「ストパン、マブラヴ、艦これなどの世界へ派遣した部隊は順調に戦果をあげてますが、この中だとネウロイが一番厄介そうです」 「人外相手に戦うのはまだいいが、人類同士の戦いには余り首突っ込みたくないんだがなぁ」 「ギアス、アルドノア、ヘビオブ、境界。既にその全部で介入しちゃっているんで…」 「ゲート開いた先が全部異世界の日本なのが悪い。アルドノアの方はアメリカ支部が全力支援していて俺達の管轄じゃないけど」 「原作での北米の有様を見ればさもありんって感じですからねぇ」 「ギアス? きちんと原作通りの三つ巴だよ…ブリタニア、ユーロピア。そして日本率いる大東亜共栄圏でのな!」 「ヘビオブ世界は五つの勢力に別れましたよ… 情報同盟、正統王国、資本企業、信心組織。そして極東連合」 「境界戦記? 現状日本vs四大勢力で冷戦状態かなって…」 「アルドノアが現状一番平和よね。原作通りならそろそろヴァースと再度の衝突始まるけど」 「あの世界アメリカ支部が全力で支援しているからすっげぇことになってるんだよなぁ」 「まとめますと我々の地球の復興と異世界への派兵の同時進行中って感じですね」 「いつまた侵略者の連中がやってくるかもわからないから、どちらも手を抜くこともできないしなぁ」 「取りあえずは現状維持って感じでしょうかね。これ以上は復興に注力する以上にできることもないでしょうし」 会議は続き、夜は更けていくが彼らの苦悩と愚痴は続く。頑張れ夢幻会。頑張れEDF。 地球の命運は君たちの肩にかかっているぞ。 507:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 21 22 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 〇説明 EDF Earth Defense Force。略してEDF。日本語訳は地球防衛軍。 この世界では宇宙から受信された外宇宙電波とインド山中から発掘されたUFOを切っ掛けに設立された軍事組織。 元々は各国正規軍とは別に設立された常設国連軍のような存在であったが、異星人の侵略が始まって以降は、各地の正規軍もしくはその残党を吸収していき正式に世界の軍事力を統一した組織へ成長した。 夢幻会を始めとする転生者一同の活躍により原作よりも万全な体制を整えていたが、計6度にも及ぶ衝突により流石に息切れ気味になってきている。 現在は世界の復興を進めながら、各地に残る侵略生物や無人機械の掃討を進め、その余力を以て異世界へと部隊を派遣している。 地球圏統一連邦 国連を基に発展させた国家。通称世界政府。 幾度も異星人の侵略を受け、ボロボロになった世界の国々が復興と国防目的に正式に一つの国家として統一された国。 最も各国は州として政府機能が残っており、完全な中央集権国家というわけではない。 最も被害の少なかった日本、未だ高い影響力を持つアメリカ、復興の進む欧州、大深度施設が数多く存在しているロシアなどが強い影響力を保有している。 軍事力 正規軍戦力はEDFとして統一されており、各地に方面軍として支部が存在している。 例:極東支部 北米支部など。 それ以外にも大戦中に立ち上がった民兵が独自に発足した民兵互助組織ブラザーギルド。 マフィアやギャングが独自に立ち上げた武装商店組合。 EDFと協力している勢力とは別に自衛のために独自の戦力を持ち出した企業軍。 などが存在している。 これらは情勢が安定した現在でも存続しており、どれも一応はEDFに協力的であり、EDF側も復興に注力していることもあるため、これらの存在を黙認しているのが現状と言える。 宇宙戦争 外宇宙から来た勢力との5度にも渡る戦い。第一次から第五次まで数えられる。 始めて地球に攻めこんできた異星人であるインベーダーとの戦いである第一次宇宙戦争。 第一次の数年後に起こった第二の侵略者フォーリナーとの第二次宇宙戦争。 第二次のこれまた数年後に襲来したアグレッサーとの第三次宇宙戦争。 第三次の後に現れたラヴェジャーとの第四次宇宙戦争。 そして新侵略者プライマーの襲来と共にインベーダー、フォーリナー、アグレッサーが同時に襲来した今まで最大規模の第五次宇宙戦争。 最終的には侵略者同士の決戦へと殴り込む形で全勢力をぶっ飛ばして終戦した。 侵略者 大凡5種類存在している。 最も初めに地球にやってきたインベーダー。 二番目に来たフォーリナー。三番目のアグレッサー。四番目のラヴェジャー。五番目のプライマーである。 このうちラヴェジャーを除く四勢力は二度地球に来ており、それぞれがバッティングしたのが第五次宇宙戦争である。 第五次では最初にアースイーターの中枢船が落とされたフォーリナーが脱落し、その後インベーダー、アグレッサー、プライマーの三つ巴の決戦の最中をEDFが横殴りにし、その全ての司令船や決戦兵器を打倒し、戦争に勝利した。 508:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 21 54 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp ゲート 第五次宇宙戦争の後で地球のあちこちに現れた超常異空間のこと。 その先は別の並行世界へと繋がっている。 EDFが総力を以て解明に明け暮れているが、何もわからないことがわかった程度。 一説にはプライマーのタイムシップが関係しているのではないかとも言われている。 現在のEDFはゲートを通して様々な世界と国交を結んでおり、場合によっては軍隊も派遣している。 タイムシップ プライマーが保持するタイムマシンのこと。 原作ではこれを使って幾度もやり直しEDFの弱点を突いていたが、この世界では実際にはタイムシップではない。 この世界のリングは並行世界移動船であり、並行世界から無限の軍勢や物資を取りだせる装置。 そもそもこの世界のプライマーも別の並行世界から、この宇宙へのやってきた一派である。 詳しく言うとこの宇宙ではタイムスリップしようとしても、また別途の可能性を持つ並行世界へ分岐するだけで、元居た世界への影響はでない。 そこを逆手に取り、極めて情勢の近しい並行世界を生み出すもしくは似た世界と繋げそこから戦力を取りだしているというのが正しい。 原作とはまた違った形での時間逆行技術の応用である。 第五次宇宙戦争ではリングが破壊された結果次元の壁が揺らぎ、地球のあちこちにゲートが出現してしまった。 これは地球もプライマーも意図していない結果である。 また現在の地球側はリングのことを原作同様のタイムシップと誤解しており、並行世界移動船ことパラレルシップであることに気づいていない。 コンビニ コンビニ(近毘荷)とは。 宇宙戦争以前のチェーン店としての旧コンビニと宇宙戦争以降の物流システムとしての新コンビニの二つがある。 現在の新コンビニチェーンは武装商店組合を発足して、各地域で独自に勢力を築いている。 新コンビニとは宇宙戦争の最中で物流の停止や物不足の影響から世界中でコンビニ店舗が潰れていった際に地元の名士やマフィアやギャングが空き店舗を買い取り、自前の流通網を以て物資を集め、格安で市民に売り出した販売形態のことである。 ある種の武装商人であり、町の自警団であるこれらはEDFの手が届かない地域にとっては重要なインフラシステムの一つとされた。 つまるところ大規模な闇市と言える。 これら新しい流通形態とそれを差配する組織を武装商店と呼んでおり、各地の代表者が集まり話し合う武装商店組合という談合組織が存在している。 武装商店組合は統一された組織形態というわけではなく、あくまで各地域代表が話し合う一種の会議のような寄合で、EDFやブラザーギルドのような統一された組織、国際的なネットワークというわけではない。 EDFや世界政府の正式な認可が下りていない非合法商業であるが、戦況が安定して以降も、いざという時のために新コンビニ関係の商売システムは黙認されている。 最も違法薬物や人身売買などの一定ラインを超える犯罪を行った店舗や組合は武力を以て苛烈に摘発されており、決してEDFがこの状態を完全に形容しているわけではないという証拠であり、武装商店組合への戒めにもなっている。 このため状況の落ち着いた昨今では積極的にEDFに協力し、勢力を合法化する手続きを進めている団体も多い。 現在のコンビニ業界は四皇と呼ばれる四つの勢力が主立って運営している。 業界では戦前の世界中で繋がった形のコンビニチェーンインフラのことをワンピースと呼んでいる。 509:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 22 31 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp ブラザー 幾度もの宇宙戦争の最中で戦ったのはEDFだけではない。 各地で独自に立ち上がった民兵集団も数多く存在した。 戦力不足で悩んでいたEDFは彼らの事を追認し、現場の兵士たちは共に戦う彼らの事をブラザーと呼んだ。 そんな彼らを支援する後援団体が幾度もの戦争の最中に協力体制を築き設立したのがブラザーギルドである。 民兵組織同士の相互互助ネットワークである。 これは情報、戦力、物資などを足りない物を相互に援助していく体制であり、EDFや世界政府からも認可を受けている正式な組織。 幾つかの地域では正規軍がEDFに吸収されたため、実質的な州軍として機能しているところも存在する。 企業軍 EDFや世界政府に迎合せずに、独自の勢力を築いた企業群と彼らが保有する私兵のこと。 現存する各地の企業の大半は世界政府やEDFに属しているか、スポンサーをやっているのだが、中にはこれらと距離を取り、独自の勢力を築く企業も存在していた。 彼等はEDFの戦力を信用しきれない、もしくは世界政府の強権を危険視し、独自に距離を取ったものたちである。 そういった独自路線企業が集まり設立されたのが企業会議であり、彼らが保有する戦力が企業軍である。 企業軍に関しては自社の資産を守るための自衛戦力と謡っている。 最もEDFや政府と距離を取っているとはいえ、武装商店組合と違い合法的な組織であり、一定の協力関係も続いている。 あくまでEDFや世界政府に完全に取り込まれるのを嫌がった企業たちが集まった姿と言える。 ある種世界政府からも浮いている勢力であるが、あくまで企業であるため政府主導の経済に参加しなければ儲けられないため、EDFや世界政府のことをいぶかしみながらも、その経済の恩恵を受けているという非常に矛盾した関係を続けている。 EDFや世界政府からしても彼らの持つ技術力や資本力は完全に無視できるものではなく、出来れば経済に参加したままでいてくれると嬉しいため現在の付かず寄らずの関係を認めている。 彼等はEDFやブラザーギルドとはまた別の兵力を各企業ごとに保有しており、それらを企業軍と呼称。 独自の防衛体制を構築している。 最も兵や兵器の平均的な質はEDFに劣っており、予算の問題か巨大兵器の類も余り運用していない。 代わりに特定の状況下で嵌るピーキーな性能の極地兵器を多く開発しており、これらを以て独特の戦術を確立している。 宇宙 宇宙戦争勃発前はそれなりに進出が進んでおり、軌道エレベーターの建設、月面都市の開設、ラグランジュポイントへの大型コロニー建造、衛星軌道守備の宇宙艦隊配備など結構力を入れていた。 しかし五度に渡る宇宙戦争の結果その多くが壊滅的な被害を受けており、地球の復興も途中な現在では再建の目途も立っていない。 唯一現在でも残っているのが衛星軌道の軍事基地、ラグランジュポイントの軍事要塞、月面基地。及びそれらに配備されている宇宙艦隊程度である。 現在の宇宙艦隊は衛星軌道の第一艦隊と月面の第二艦隊。各ラグランジュポイントに分散配備されている第三艦隊の三つ。 全盛期は第六艦隊まで存在していた。 510:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 23 01 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 異世界 現状確認されているのがストパン、86、マブラヴ、艦これ、アニゴジ、ガンパレ、パシリム、ギアス、アルドノア、ヘビーオブジェクト、境界戦機。 ギアス、境界、ヘビオブが日本。ストパン、86が欧州。艦これ、が太平洋、アルドノアがアメリカ。マブラヴがアジア。アニゴジがインド洋にゲートが開いている。 現状アフリカ大陸や南米などを中心に侵略生物や無人機械が制圧し続けている地域も多いため、未だ未発見のゲートも存在していると思われる。 兵器 歴代EDF兵器ごちゃ混ぜ状態であるが、世代区分はされている。 戦闘服:本家仕様→PAギア 現在では本家仕様の戦闘服の上にPAギアを着込む二重構造が主流。 ローリングもE-ダッジも両方できる。 プロールライダーもこちらの系譜として存在している。 航空歩兵に関してはペイルウィング→ウィングダイバー→ジェットリフターと進歩しており、ジェットリフターが主流となった現在でもウィングダイバーは精鋭用装備として残っている。 重歩兵はフェンサー→ヘビーストライカーといった形で強化されたが、コストの問題で従来のフェンサーも未だ現役。 またフェンサーの方が近接戦闘向けの調整がなされており、一部では精鋭による高機動フェンサー部隊が存在するなどヘビーストライカーとは差別化がなされている。 支援歩兵はエアレイド→エアレイダーと順調に進歩している。 戦車関連は自走レールガンが主力となりながらもコストの問題で従来の主力戦車も運用が続いている。 勿論巨大戦車タイタンも現役。 戦闘ヘリ枠は重力制御を用いたスカイフィッシュなどが主力になってきているが、予算と生産数の問題からエウロスやネレイドといった従来の戦闘ヘリも現役。 現在ではスイカフィッシュなどは攻撃機枠とされ、戦闘ヘリの類は安価な航空支援兵器として運用されている。 人型兵器はベガルタ→ニクスの順で開発されている。 4の決戦要塞シリーズやバルガも開発されており、バラムは前者二つのデータを基に開発された次世代機。 プロテウスは4・5仕様→6仕様と別れており、コンバットフレームと大型兵器の間を埋める使い勝手の良い中間戦力として開発された。 インセクトアルマゲドンの多砲塔戦車やアイアンレインで活躍したキャディなどの装甲戦闘車シリーズは企業会議が独自に開発した兵器となっている。 正規軍が運用しているものより性能は下がるが車体の使いまわし前提の設計のためコストが安い。 インセクトアルマゲドンのメックスやアイアンレインでのウォーメックことビッグフットやナイトクローラーなどは運用予算でEDF正規軍に劣るブラザーギルドや企業軍などで運用できる大型兵器として開発されたものとなっている。 船の類は原作以上に大量に製造されている。 要塞空母デスピナ、潜水母艦シリーズなどは数多く就役し、活躍したが5度の戦争により現在では大分数が減ってしまった。 移動要塞シリーズも大量生産され陸上艦隊として整備されている。こちらも激戦に次ぐ激戦で稼働数が減っている。 これ以外にも独自の宇宙艦隊やエスコンの巨大航空母艦に似た空中母艦など原作EDFにはない独自兵器を多数配備している。 また第五次宇宙戦争の際には今まで落としてきたマザーシップの残骸を流用し、アイアンレインに登場したヴァーベナを量産。計13隻が用意された。 こちらは最終決戦において全損。 人類のエース 初代から6まで及び外伝二作の主人公全員揃い踏みである。 初代の伝説の陸戦兵。2のペイルウィングの始祖。元祖エアレイドの三人が第一次宇宙戦争から戦い続けている猛者。 陸戦兵とペイルウィングの二人は夫婦で、エアレイドはペイルウィングの弟。 また陸・ペイ夫婦の子供が5 6の主人公となる。こちらは兄と妹の兄妹。 これとは別に3のストーム1ことストームリーダーが存在している。ストーム1のコールサインは5・6のストーム1に譲り、現在はストーム0のコールサインを名乗っている。 そんなストーム0の子供が4でのレンジャー、ウィングダイバー、エアレイダー、フェンサーの四人兄妹となっている。 レンジャー長男、ダイバー長女、レイダー次女、フェンサー次男である。 そしてアメリカには陽気なライトニングアルファと無口なクローサーが存在。 アルファは男性だが、クローサーは女性。 5ストーム1とクローサーは付き合っていたりする。 なおアルファは未だ独身で部下に弄られている。 因みに6のプロフェッサーもいる。 このプロフェッサーと5 6のストーム1兄妹は5・6世界の記憶を持った転生者で夢幻会関係者となっている。 こんなのが12人もいるせいで各侵略者たちは原作以上に酷い目にあって撃退された。 511:トゥ!ヘァ!:2022/10/30(日) 19 23 39 HOST FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp 投下終了 前に投下した異世界ゲートネタが個人的に満足できなかったので、改めて作品絞って再編したものです。
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発言者:ワルフラーン 対象者:クワルナフ 黒白のアヴェスターの幕間におけるワルフラーンの台詞。 ワルフラーンによって放たれた閃光の斬撃。 それにより、これまで誰が何をやっても通じなかった絶滅の星に初めて変化が訪れる。勇者の剣を受けた絶滅星団が、物理的な損傷を受けたのだ。 ワルフラーンを脅威と認める魔王の思考が成されている隙を衝き、自軍を引かせるようにワルフラーンはスィリオスに要請する。 有無を言わせぬ覇気をぶつけて、勇者は仲間たちを置いていき、そこから先は、彼の凄絶な孤剣が展開された。 解せん、矛盾だ。みんなが大事と言いながら、おまえは部品を切り捨てる。総体が減れば弱化するのが道理であり、自滅の選択としか言いようがないだろう。勝利と生存を優先するなら、端的に愚劣。悪手 おまえは俺が諦めてるように見えるのか? そうは思えぬから問うている 魔王の指摘は事実だった。星の崩壊が進み、逃げ遅れた民が死に行くたび、刻一刻と勇者の力は減じていく。 絶滅星団の魔手により、勇者の源たる善思の結集が散らされ、祈りが千々に乱れていく。どころか更には逆の方向へと凄惨な回転を始めだす。 その光景を何度も見てきたから魔王は断言する――“崩れ”が起きると。そして勇者は“みんな”の手により、無価値な結末を迎える。 だというのに。 おまえの中には依然揺るがぬ何かがある。数式(げんじつ)は私の正しさを証明しているにも拘わらず、定かならぬ曖昧(げんそう)が未だ実存する理屈は何だ。斯様な不条理こそ奇跡であると言うのなら、その秘密を私は知りたい。知らずにおれん。知った上で喰らうべきだと考える その言葉を受けたワルフラーンが浮かべたのは、呆れたような苦笑で。 ……驚いた。おまえもこいつの大事さが分かるのかよ 気軽に、まるで見知らぬ街を歩いていたら、ばったり知人と会ったみたいに。ある種の喜びさえ滲ませながら、彼は奇跡の秘密を語り始めた。 変わらないものなんて、この世にない。だからこそ俺たちは、変わっちゃいけないものを見つけなければいけないんだよ おまえもそいつを持ってたんだろう、クワルナフ。忘れたのか?探してるのか?俺は教えてもらったぞ ワルフラーンは何もかもが移り行き確かなものが存在しない真我(カミ)の支配から脱するためには、変わってはいけないもの、不変を胸に抱く必要があると諭す。 何を、言っている 魔王が浮かべたのは困惑。あるいは恐怖。 それきり無視し、ワルフラーンは祈るような表情を浮かべると…… “彼女”にな それを見ている“彼女”に、そっと口づけをしたのだった。 備考 変わらないもの、不変たる存在という意味では神こそがまさしくそれである。 不変であることを何よりも求めたのは、曖昧な世界の中で確固たるものを求めたマグサリオン、変わらない凪を求めた第六天波旬、終わらない永劫の闘争を求めたラインハルトなど。 ナラカ達が彼らの計画に覇道神を10人欲するのも、覇道神が不変であることにこそ意味があるため。 彼女って誰さ!!!! -- 名無しさん (2020-06-12 20 46 48) アタシよ!!!! -- 名無しさん (2020-06-12 20 49 29) 誰だお前は!? -- 名無しさん (2020-06-12 20 50 11) <🔵><🔴> -- 名無しさん (2020-06-12 20 51 32) ブシュンヤシュタ・ナダレ・ナーキッド『私ですかね』 -- 名無しさん (2020-06-12 20 52 27) ↑3地獄からの使者、スパイダーマッ! -- 名無しさん (2020-06-12 20 53 50) 十中八九ブシュンヤシュタだろうなぁ。ブシュのイラストはよ見たいわ。これで金髪赤眼だったらもう確定よ。マグサリオンの実母で転生した後にヒロイン面とは恐れ入った -- 名無しさん (2020-06-12 20 58 37) ここナダレがクワルナフだけ突撃させたのは一体どういうわけなんすかね? -- 名無しさん (2020-06-12 21 03 29) 他の魔王抜きでクワルナフに遭わせる事に意味があったんだろなぁ -- 名無しさん (2020-06-12 21 07 42) ブシュンヤスタのヴィジュアル開示なかったのもネタバレに繋がるから…。ら -- 名無しさん (2020-06-12 21 11 21) 蓮と同じで世界は変わっていくからこそ変わらない刹那を大事にしたい -- 名無しさん (2020-06-12 21 23 34) 不変の日常を渇望する蓮と不変への信仰染みた感情を持つマグサリオン。今気付いたけどどっちも波旬に抵抗できる程の特化型覇道神なのね -- 名無しさん (2020-06-12 21 36 34) 波旬対抗は不変か -- 名無しさん (2020-06-13 01 38 02) 波旬も波旬で不変(凪)を求めてたし(目そらし) -- 名無しさん (2020-06-13 01 41 49) ナラカ達が神達を求めるのも不変であることこそに意味があるって言ってたよね。ワルフラーンはそれすらも見破ってそう -- 名無しさん (2020-06-13 07 13 56) 自分的には半信半疑だけどもしパン君と兄者関係あるならコウハも絡んでるってことなのかしら -- 名無しさん (2020-06-13 15 19 08) 無慙「姉者……」 -- 名無しさん (2020-06-13 15 20 15) コウハ「神座の始まりから意識が芽生えた僕からすれば第一天の人は皆弟や妹みたいなものだよ」な可能性……? -- 名無しさん (2020-06-13 15 52 00) 愛、か? -- 名無しさん (2020-06-13 16 20 27) マシュヤーナとか見ると変わらないもの=愛なんだろうけど、後の覇道神見るとどっかでズレて不変なもの=憤怒になっちゃった感ある(黄昏がイレギュラーに見えて、本来目指すべきとこだったとか) -- 名無しさん (2020-06-13 18 13 50) 実はワルフラーンはミトラの自滅因子説とか。最初の座だったこともあって覇道神にそういった自壊システムが起こることを想定していなかったナラカ達が慌てて観測者を作って第一天を維持しようとするも時すでに遅く、ワルフラーンがミトラと極秘に密約して第一天崩壊の布石を仕込んでしまう。ミトラは長い在任期間からくる自殺願望から産み出したワルフラーンという自身を唯一終わらせることができる自滅因子を喜んで受け入れて消滅する。ナラカ達はこのままではミトラの理想が無意味なものとして葬られてしまうと確信し、やむなくマグサリオンを次の神に据えることで座の交代劇を続けることで維持する方針になった。しかしそれすらもワルフラーン達の思惑通りで、後のパンテオンにてナラカ打倒の切り札を後生に残した。 -- 名無しさん (2020-06-13 18 39 56) ↑続き -- 名無しさん (2020-06-13 18 40 24) という展開だったら個人的に燃える -- 名無しさん (2020-06-13 18 40 54) もしも、ヨミが10人目の神に怒りでない感情である愛で到るかな?怒りで神になるというのはナラカ達の掌の上から抜け出せなくて、蓮ですら愛しい刹那を護りたいと口にしても憤怒が根源なわけで -- 名無しさん (2020-06-13 21 21 02) 怒りじゃない神はすでにマリィいるし、ナラカの座を制する言ってるからマリィ中心で攻略になると思ってるけど。後の作品出るほどマリィの特別感強くなってると思う -- 名無しさん (2020-06-14 01 04 13) これが愛を指すなら、クワルナフが転墜する前、一人の義者だった頃に愛しい誰かでもいたんだろうか -- 名無しさん (2020-06-14 01 24 40) 相手はもうお亡くなりになってるか、既存キャラならナダレが同期だからワンチャン? -- 名無しさん (2020-06-14 01 27 50) 昔はあれで可愛い子だったんだけどなあとナダレが言っていたね。まあナダレは魔王みんな好きだけど -- 名無しさん (2020-06-14 02 09 19) 完全な世界などない神座シリーズの世界観の本質を突いてるかのようなセリフ 兄者何者なんだよ -- 名無しさん (2020-07-26 19 07 02) (∴)の不変はあいつ自身だから問題ない -- 名無しさん (2020-07-26 19 14 46) (∴) "俺"にな(チュ) (\\\∴\\\) -- 名無しさん (2020-07-26 22 06 00) キモッ…… -- 名無しさん (2020-07-26 22 07 44) 波旬×波旬キテル -- 名無しさん (2020-07-26 22 10 02) 自分×自分……尊い…… -- 名無しさん (2020-07-26 22 12 25) 不変であれ=神格になれ 自体はナラカ組が語ってる主張なんだよなぁ。良いこと言ってるとも見えるし、神座側の傀儡とも見える -- 名無しさん (2020-07-27 01 33 38) 神の座が代替わりし世界が何度もやり直されその果てに神座が終わろうと芯となる何かを見つけなくてはという事なのかもしれない。ちょうど兄者疑惑のパン君が神座終わらせる役目だろうし。パンテオンへの超ロングパスかも -- 名無しさん (2020-07-28 00 59 40) 良くも悪くも一つ目の神座で、次代とかあるか不明の頃だからなぁ。真我に変わる価値観を見つけないといけない(神格)は通る気がするが、パン助へのロングパスは遠すぎるというか、ならコウハはもっと衝撃受けて注目しそうなものだが -- 名無しさん (2020-07-28 03 30 23) ↑クインちゃんという節穴狂言回し見た後だとコウハ視点もミスリード感半端無いからな……それはそれとして兄者マジ何者? -- 名無しさん (2020-07-28 06 20 23) 俺は教えてもらったぞ。彼女に。って時点で兄者に入知恵した存在による感じはするけどな。ブシュンヤスタならまだ良いけど、代替わり催促とか不変って表現見るとミトラの可能性もある。あとブシュンヤスタ自体も兄者よりも謎が多い奴だし、まだ胡散臭い印象なんだよなぁ -- 名無しさん (2020-07-28 08 03 51) 正直、このアホほどさす兄、何もかも兄者に繋げようとする流れはドン引きですよ。まんま転墜前のモブ義者じゃん -- 名無しさん (2020-07-28 08 54 58) 正田作品って基本主人公と読者は詐欺られてる側って思ったほうが良いぞ。蓮の正体、獣殿の褒美、本当の天狗道、大正と現代、万仙陣等の毎回騙す要素入れてて、都合の良い情報には裏があるって散々やってるのにな。見方が変われば真実が見えてくる作りがお約束だから。アヴェスターで大局見えてそうなマグサリオンが倒さないといけないって言ってる以上、兄者は信用しちゃいけない代表格だと思うぞ -- 名無しさん (2020-07-28 09 19 10) むしろそこから更に逆転させてくるのが正田卿だろう -- 名無しさん (2020-07-28 12 10 09) アヴェスターでは大局見えてたマグサリオンも神座万象全体で見たら失敗してたわけだからなぁ。そしてまた無慙をやり直すと言ってるのを止めるのなら無慙の対抗馬足りうる人や思想が欲しくはある。それがワルフラーン関係のものなのか全く無関係の何かなのかは分からんけど。 -- 名無しさん (2020-07-28 13 05 58) なんか甘粕みたいに心底祝福出来る物を見つけて万歳しながら消えてくのもあるような気がしてきた -- 名無しさん (2020-07-28 13 22 08) パンテオンストーリーで波旬や無慙がメインの敵になるとは思えんけどな。良くも悪くもマグサリオンの物語は第一と第二神座で終わってるやろ。極奥神座自体も胡散臭いけど、普通にパンテオン終了時に神格組退場するやろう。ナラカ消えたら連座で消えそうだし -- 名無しさん (2020-07-28 14 07 22) 新しい引きこもり部屋見つけてウキウキしてる波旬可哀想 -- 名無しさん (2020-07-28 15 24 02) ↑3解脱ってマグサリオンの中でどのレベルなんだろう。サタナイルより祝福すべきものなのかどうか -- 名無しさん (2020-07-28 15 37 26) 蓮マリィは新世界で幸せに生きて欲しいし、他の神格やナラカ達も厨二病からの脱却ということでままならない現実で生きていくエンドじゃね? -- 名無しさん (2020-07-28 15 50 11) ↑練炭2人になっちゃう -- 名無しさん (2020-07-28 15 59 43) 練炭×練炭………尊い… -- 名無しさん (2020-07-28 16 03 03) 神格・永遠の刹那と人間・藤井蓮…混血種が神と人とに分離するとかちょっと見てみたい -- 名無しさん (2020-07-28 16 32 36) ピッコロみてえだな -- 名無しさん (2020-07-28 16 35 30) 振り返ってみると色々酷いなこのシーン -- 名無しさん (2020-10-18 21 38 04) NTRのビデオ送りつけんのと大して変わらん -- 名無しさん (2020-10-18 21 59 15) 鬼畜勇者ワルフラーン 相手が忘却してるのはせめての救いか -- 名無しさん (2020-10-18 22 03 04) 昔の男が見てる前で今カレにキスされる神剣さん、クッソ居心地悪そう -- 名無しさん (2020-10-18 22 05 58) なんか分からんが兄者の視点が普通とは違うと示すカッコいいシーン→NTR見せつけシーン -- 名無しさん (2020-10-18 22 06 56) 「……そしてみんなの勇者ワルフラーンは、魔王にNTRを見せつけながらごもっともなことを言い、その後はなにやら涼しい顔でかつての仲間に陵辱され、磔刑で死にました。勇者伝説はこれにてしまいです。めでたしめでたし」 -- 名無しさん (2020-10-18 22 13 06) 意味わかんねえなこいつ -- 名無しさん (2020-10-18 22 14 21) 本人的にはマグサリオン以外心底どうでも良さげなのもわけわからん -- 名無しさん (2020-10-18 22 18 13) 「ウェ~イw武器創造オタクくん見てる~?wキミが好きだった人は今、俺と契約してま~すw」 -- 名無しさん (2020-10-18 22 18 22) 兄者いい性格してるよ本当に -- 名無しさん (2020-10-18 22 27 08) 本人は死んでるはずなのに情報が出るたびに何考えてたか本当にちゃんと死んでるのか分からなくなるな -- 名無しさん (2020-10-18 22 52 22) マグサリオンも本当に死んでるなら引き摺り出すなんて言わないだろうしな -- 名無しさん (2020-10-18 23 18 02) カッコいいはずの台詞がNTR宣言になるとは -- 名無しさん (2020-10-18 23 45 02) NTRって大嫌いであろうみんなの代表やってマグサリオンに消えない慙愧刻みつけてニッコニコで死んでるからわけわからん -- 名無しさん (2020-10-18 23 49 17) つまりワルフラーンを私刑に処した連中は、ワルフラーンのNTRが許せず義憤に燃えた末の凶行だった……? -- 名無しさん (2020-10-19 00 25 16) NTRで脳が破壊されたのか -- 名無しさん (2020-10-19 01 00 50) 真我が善意で転墜させてるということは真我もNTRはNGだった…? -- 名無しさん (2020-10-19 08 53 14) 真我がNTRは嫌だって知ってたからヴァルナは観測者をインポにしてるっぽくなるなそれ…… -- 名無しさん (2020-10-19 15 20 53) 真我抱けるレベルまで強いとなると司郎しかいないけどあいつ拳銃口の中に突っ込んで自壊させそう -- 名無しさん (2020-10-19 16 09 58) 真我の観測者逆ハーレム -- 名無しさん (2020-10-19 16 15 38) 全員真我なんて塵とやりたがらない -- 名無しさん (2020-10-19 16 30 08) 兄者の方が先でNTRされた側だというのにみんなひでえww -- 名無しさん (2020-10-19 17 40 35) ↑と思ったけどよく考えてみればマグに対してじゃなくてクワルナフに対してかなるほどそれは確かにNTRに値するかも -- 名無しさん (2020-10-19 17 49 03) 兄者がマグサリオンにってのは寝取らせなんだよなあ兄者おかしいぜ -- 名無しさん (2020-10-19 20 43 33) カイホスルーもだが兄者も最初に予想されてた印象と随分変わったな -- 名無しさん (2020-10-19 20 56 17) ムンサラートのみんなの勇者の結末ってどんなんだった?^^並の煽りだった -- 名無しさん (2020-10-19 21 02 47) 黒白のアヴェスターは正田さんの性癖展覧会であったか -- 名無しさん (2020-10-19 21 03 24) この宣言の後にクインの過去回想が途切れて宇宙の聖王領の面々の視点に行ったのは、NTRされたクワルナフがマジ切れして超重力の嵐をぶつけたんだろうなってのがなんとなくわかる -- 名無しさん (2020-10-19 21 14 19) おねショタのおねNTRモノ、割とよく見るけど今後はこれを思い出してしまいそうだ…… -- 名無しさん (2020-10-20 22 09 09) おねショタのおねNTRまではよくあるけどショタがお姉を産み直すという別方向に脳が破壊される… -- 名無しさん (2020-10-20 22 13 03) 兄者の不変は果たしてなんなのだろうか? -- 名無しさん (2020-10-20 23 46 35) ↑ そもそも兄者はこのセリフの通り「不変などない」と断言してるから 理解の外側、みんなの体現者、不変そのものの否定と悉くマグサリオンの天敵 -- 名無しさん (2020-10-21 08 56 29) あれそうなると兄者のこれって神の否定か? -- 名無しさん (2020-10-21 09 22 55) 不変を否定し、その代わりに変わってはいけないものをこそ求めている。何もかもが容易く変わってしまう神座交代の世界でそんなものは本当に存在するのか。その答えはアヴェスター本編じゃ明かされない気がしてきた -- 名無しさん (2020-10-21 10 27 35) 「変わらないものなんてないんだよマグサリオン」「やはり兄者は負け犬だ、あんたを超えて俺は真の不変になってやる」みたいなやり取り見たいよ俺は -- 名無しさん (2020-10-21 10 49 50) 『不変などない』を厨二病からの卒業と見るか、単なる諦観と見るかで印象変わりそう。不変への執着は人間性の未熟ともとれるが、同時に人間的な魅力でもある -- 名無しさん (2020-10-21 11 21 43) 母は泣いた。可哀想に……不変なんて存在しないんだよ。変わっちゃいけないものなんて何処にもないから移り変わりまくっていいんだよ…… -- 名無しさん (2020-10-22 20 51 20) 無慙「お前は何のために生まれてきたんだ?」 -- 名無しさん (2020-10-22 21 01 20) 蓮「糞親父の演劇に参加させられる為です」ミハエル「いつの間にか機械の身体に生まれ変わってました」司狼「親友を破滅させる為に生まれました」覇吐「まず生まれる事が出来ませんでした」 -- 名無しさん (2020-10-22 21 17 10) 悪が許せないから暴力で全部潰すなんて子供のそれそのものじゃん -- 名無しさん (2020-10-22 21 28 08) まあ覇道神って世界の理に怒って俺の理想にしてやる!って奴らだし子供だよね。その中でも無慙はそうなのかも -- 名無しさん (2020-10-22 21 46 13) よく人が出来ている者は神なんかにならず人として生きるからね -- 名無しさん (2020-10-23 12 52 52) 前へ進むもよし、後ろへ進むのもよし、その場に留まるのもよしと人は自由に生きれるからな 神はもれなく全員強いんだけど、結局自分の渇望に縛られるというなんとも窮屈な生き方しかできない存在 極まった存在だから成長もできないしな -- 名無しさん (2020-10-23 16 09 43) 思えばどの神も結局世の中をより良くは出来てないんだよな、神様なんて訳の分からない物で世の中良くなりはしないか -- 名無しさん (2020-10-23 17 11 09) 明星→なんか変質者湧いた…… 黄昏→人間が勝手に闇堕ちしだした…… 真我.無慙.水銀.波旬→論外 -- 名無しさん (2020-10-23 17 26 48) ↑×2 まぁそういう意味ではワケのわからない仕組みを嫌悪するマグサリオンの気持ちは分かる 本人もそのワケのわからない仕組みに乗っかって、明星に託してしまったからこそ、あの怒りと決意なのかもだけど -- 名無しさん (2020-10-23 17 53 39) 個人的には渇望から法則が出来る仕組みもなんか怖い。戒律も異能の内容は綾模様が関与してる節があるし、神の法則も渇望見たナラカ達が「お前の力はコレな」って渡してるものなんじゃないかって予感がする -- 名無しさん (2020-10-23 19 00 00) ナラカ会議で能力決めてるのかな -- 名無しさん (2020-10-24 22 56 26) 渇望って本来は叶えられるものじゃないからね。それが能力で実際に浮き出てくる、というのはある意味願いをかなえる代わりに願ってた己が消え去るようなものかもしれん。しかも、ちょっと歪んだ形でっていうのは、仏教でいう魔境みたいなものかもしれないな -- 名無しさん (2020-10-24 23 19 50) そもそも叶えたら萎えちゃう物だしな、渇望って -- 名無しさん (2020-10-24 23 32 06) 波旬が最強なのは奇形嚢腫に常時へばりつかれてるという渇望と真逆の環境に置かれてるからで、奇形嚢腫なくなったら弱体化するしなー -- 名無しさん (2020-10-24 23 35 07) でも真に一人になった波旬が最強ともファンブックにも書かれているし結局どっちやねんとなる -- 名無しさん (2020-10-24 23 43 50) ↑それ奇形嚢腫じゃなくて覇道神として保有する魂がなくなった時だ。波旬は奇形嚢腫がないと、総軍なしの水銀に負ける程度の求道神 -- 名無しさん (2020-10-24 23 46 19) 奇形嚢腫が体内に魂持って食い込んでるからこそバグってる訳だからな。座の魂が0になって波旬(と体内の奇形嚢腫)だけになった時こそ黄昏と三神でも勝てない全盛期波旬。 -- 名無しさん (2020-10-24 23 55 39) 畸形嚢腫しか見ていない=自分しか見ていない。波旬が矛盾してるバグと言われるのは、このイコールが成立することを指す。渇望がブレているのに結果的に渇望している状態になっている。唯我の渇望なんて本来なら自己完結してるせいで大した渇望にならないうえに、他人にちょっかいかけられるとすぐブレてしまう大ハズレだってこと。 -- 名無しさん (2020-10-25 00 13 04) 本当に、どういう意味で言った台詞なのやら。 -- 名無しさん (2020-11-01 18 31 15) 純粋に想いを貫いて神となる事を意味するのであれば、ただのパワーソースを求めただけの話になっちまうから、覇道や開闢の事を意味するわけではないはずなんだよな。関係はするんだろうけど -- 名無しさん (2020-11-01 22 25 51) 覇道で作った世界も別の世界に変わってしまうからなあ -- 名無しさん (2020-11-01 23 07 06) 俺は教えてもらってねぇだろ -- 名無しさん (2020-12-13 20 13 39) 色々と不気味で何一つ正体がわからないワルフラーンだけどこの言葉だけは心から言った真実だと信じたい…これすら偽りまたは言葉通りの意味じゃなかったら何を信じればいいんだ… -- 名無しさん (2021-01-31 15 56 20) 本人としては言葉通りの意味で本心から言ったが出力される結果としての行動がクレイジーなのかもしれん ボンドルドの家族とは血の繋がりではない みたいな -- 名無しさん (2021-01-31 16 04 19) このセリフだけ見たら、兄者も永遠否定=ナラカ否定側っぽく見えるんだがなあ -- 名無しさん (2021-03-19 21 22 36) ワルフラーンの目的はミトラ寄りなのかが大事な事になりそう、まずヴァルナの目的も大分気になるが -- 名無しさん (2021-04-02 19 41 00) 不変の未来であるナラカへの宣戦布告にも聞こえる -- 名無しさん (2021-04-03 01 49 58) この台詞、まさか「理解力ないけど分かりやすいキャラ造形の柱があれば再現度高くなる」って意図で発言したんじゃないだろうな… -- 名無しさん (2021-06-06 22 02 47) アイオーンの再現度低くてみんなを変わっちゃいけないものにできなくてごめんな! -- 名無しさん (2021-06-06 22 14 42) 本当に申し訳ない。 -- 名無しさん (2021-06-06 22 16 12) アイアンマンを再現しようとしたら何故かメタルマンになる不具合 -- 名無しさん (2021-06-06 22 31 06) どの口で宣ってんの、このクズ -- 名無しさん (2021-06-06 23 22 45) わぁ!こんなにカッコいい台詞のある人は、さぞ真っ直ぐな勇者なんだろうなぁ(白目) -- 名無しさん (2021-06-06 23 39 45) ↑×2言うほど屑か? 兄者も萌え豚になる事も鑑みたら、兄者のカタルシスが解放されるのはこれからだろ? 屑と表現するのは早計が過ぎるし、それこそ解釈違いになりかねないのでは? 少なくとも、得体が知れない。ワイプで竹輪なカタルシス未開放状態の兄者に対して、屑は正しくないと思うね。良くて、兄者のカタルシスが解放されてから屑だとか宣えよ -- 名無しさん (2021-06-07 00 02 08) まぁ、最期になるまで真意分からんは同意やけど。今回で旧クインのこと、こんな風に考えてたんだと思うと屑やとは思うぞ。犯した事実全部なかったことにしたいけど、マグサリオンの能力は欲しいですとか浅ましい願いは透けて見えるしな -- 名無しさん (2021-06-07 00 39 11) 最期に兄者が見つけた、変わるけど変わっちゃいけないものがスィリオスの奉じる「ちっぽけな人の営み」なの 本当最初から答えはそこにあったのに気づけなかっただけだった -- 名無しさん (2021-07-17 10 47 00) 神座史上最も異端者だった最強の勇者が何よりも望んでいたのが、妻や親友と対等に語り合うことだったとはね -- 名無しさん (2021-07-17 13 53 41) 「おまえもそいつを持ってたんだろう、クワルナフ。忘れたのか?探してるのか?」 使命を忘れてもいたし、創造主ですら知り得ない答えを探してもいた。自分が関わらない人物の事象に関しては完璧な理解力を持つ兄者 -- 名無しさん (2022-08-13 21 09 03) 結局、この台詞はどういう意図で行ったんだべ? -- 名無しさん (2022-08-13 22 40 45) 「この世(善悪二元真我)では転堕・神の交代劇が起きるために変わらないものなどない。だからこそ、真我を超えるために変わっちゃいけないもの(不変・覇道)を見つけなければならない」 「この世(神座宇宙)では神の交代劇が起きるために変わらないものなどない。だからこそ、神座を超えるために変わっちゃいけないもの(アイオーン)を見つけなければならない」 ってニュアンスでは? -- 名無しさん (2022-10-22 02 18 23) これが神座の世界だとか世界じゃないとか抜きでまっすぐに意味とらえたらすごく好きなんだけどなこのセリフ。神座で兄者って捉えると途端に少し怖くなる。 -- 名無しさん (2023-04-07 20 18 46) あの、兄者…貴方の大元っぽい奴、他人の変えちゃいけないもの改変しまくってるみたいなんですが… -- 名無しさん (2023-07-15 10 00 07) 兄者ブチ切れ不可避やろあんなん -- 名無しさん (2023-07-15 12 33 21) 「変わらないものなんてこの世にない」→零としての視点 「だからこそ変わっちゃいけないものを見つけなければいけない」→人としての視点 この時点でも次がないだけでナラカに勝てることは勝てたのは分かる -- 名無しさん (2023-07-15 12 54 19) 何もかもあやふやでも、変えちゃダメだと信じたくなるものを -- 名無しさん (2023-07-15 19 09 44) ミス そういうものを探していたんだなぁと思うと何とも言えなくなる。低階層の存在達を見て、人の枠の外にいるのに人に染まろうとしたウルトラマンみたいな兄者 -- 名無しさん (2023-07-15 19 12 51) 相手の事がよくわからないし恥知らずなことするけど翻訳機用意して必死に理解度上げてアイオーンという不変にしようとしてた兄者、俺はおまえたちがよく分かるとか言いながら好き勝手改善するナラカ。相変わらず下には下がいる神座世界・・・ -- 名無しさん (2023-07-15 23 32 14) 下には下がいるっていうのまさにこのかみ世界そのものを表しているな -- 名無しさん (2023-07-17 11 34 52) (ナラカの改変で)この世に変わらないものなんてない だから(その改変に対抗できる)変わっちゃいけないものを見つける -- 名無しさん (2023-07-17 12 42 57) 名前 コメント
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色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(後編) ◆gsq46R5/OE ファバロは走る。 背中に夜兎族の少女を背負い、走る。 走りながら、彼は強く後悔していた。 言わずもがな、あの場面で神楽を助けたことへの後悔だ。 ふざけんじゃねえ。 ありえねえだろ。 あの場面で、なんだって厄介事を背負い込む。 一歩間違えりゃ、殺されてたかもしれねえんだぞ。 自分への怒りにも似た訴追で、彼の胸中はいっぱいだ。 神楽を圧倒して沈めたあの少女は、明らかに次元の違う存在だった。 聖女ジャンヌや悪魔アザゼルに匹敵、下手をすれば上回る。 カイザルや自分などが真っ向勝負を挑んだ日には、ものの数秒で背中のガキより酷い血袋だ。 そんな場面で、よくもまああんな行動に出たもんだと、今更ファバロは肝を冷やす。 キャスターから逃げ回るのは、率直に言って訳はなかった。 案の定彼の身体能力は低めのようで、体の動きが悪くとも、技であしらうことが出来たからだ。 最終的には体もだいぶマシになり、いざ逆襲と洒落込もうと思ったところで、奴が来た。纏流子が現れた。 立ち込めた暗雲に彼は方針を転換。花京院が刺されたのを見て、本格的に逃げを視野に入れ始めた。 花京院については――彼には悪いが、あまり感傷のようなものはない。 共に過ごした時間が短かったこともあるだろうが、やはり状況が状況だからか、他人の死を普段に輪をかけてドライに囚えてしまう自分がいるようだった。 神楽が圧倒されているのを見て撤退を決めた。 そこまではいい。 その後が落第だ。 何故自分はあそこで、神楽を助けに入ったのか。 暫く無我夢中で走った頃、ようやくファバロはその足を止める。 安全地帯とはとても言えないだろうが、橋は渡りきった。 地図によると、この辺りに基地なる施設があるという話だ。 とりあえず、一旦そこへ転がり込んで休もう。 このまま動き回っていたんじゃワーカー・ホリック、いずれガタが来るのが見えている。 痺れも今や行動に支障が出ない程度には回復しているが、念には念を入れだ。 もっとも、あんなアクロバティックな立ち回りが出来る時点で、そこについての心配は無用だろうが。 それに、考えなければならないこともある。 背中の重み、よせばいいのに助けた少女。 幸いなのは、怪我の様子からしてすぐには目を覚まさなそうなところか。 「……どうすっかねえ」 さっきは化物女が勝ったが、あれと張り合えていた時点でこの少女も相当おかしい。 まっとうな人間であるファバロでは、手に負えない存在だ。 ざっと浮かんだ選択肢は、三つ。 一つ目は、彼女が目覚めるまで待って、行動を共にすること。 今でこそ瀕死の体だが、ちゃんと手当てしてやれば案外、頼れる味方になってくれるかもしれない。 二つ目は、彼女をどこか適当な場所へ置き去りにして、荷物を軽くすること。 味方として使えるかもしれないとは言ったものの、このまま再起しない可能性だって考えられる。 そうなったなら、長々とお荷物を背負い続けるなどファバロは御免だった。 三つ目は―― 彼女を、殺すこと。 殺し合いの参加者としては、一番正しい答え。 今でこそ腹に一物抱えたままで宙ぶらりんとしていられるが、どちらの道を選ぶにしろ、腹をくくらねばならない場面はきっと遠からぬ内に来る。 そういう意味でも、未来の脅威を排除しておくというのは、決して見当外れな答えではない筈だ。 幸い、目覚める前なら抵抗もない。いくら強者だろうと、寝ている間なら一撃で殺す自信がある。 「嫌になるぜ、ったく」 何はともあれ、まずは基地を目指そう。 こちとら既にバタンキューだ。 ゆっくり腰を落ち着けてからでも、あれこれ考えるのは遅くない。 【一日目/午前/D-2】 【ファバロ・レオーネ@神撃のバハムート GENESIS】 [状態]:疲労(大)、全身に痺れ(軽度、行動に支障なし)、精神的疲労(小) [服装]:私服の下に黄長瀬紬の装備を仕込んでいる [装備]:ミシンガン@キルラキル [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(8/10) 黒カード:黄長瀬紬の装備セット、狸の着ぐるみ@のんのんびより、小型テレビ@現実、グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS、カードキー(詳細不明)、ビームサーベル@銀魂 [思考・行動] 基本方針:女、自由、酒ってか? 手の内は明かしたくねえんだよ 0:基地を目指す。休む。 1:それから、神楽をどうするかについて考える 2:カイザルの奴は放っておいても出会いそうだよなあ。リタにも話聞かねえとだし。 3:『スタンド』ってなんだ? 4:寝たい。 [備考] ※参戦時期は9話のエンシェントフォレストドラゴンの領域から抜け出た時点かもしれません。 アーミラの言動が自分の知るものとずれていることに疑問を持っています。 ※繭の能力に当たりをつけ、その力で神の鍵をアーミラから奪い取ったのではと推測しています。 またバハムートを操っている以上、魔の鍵を彼女に渡した存在がいるのではと勘ぐっています。 バハムートに関しても、夢で見たサイズより小さかったのではと疑問を持っています。 ※今のところ、スタンドを召喚魔法の一種だと考えています ※第一回放送を聞き流しました どの程度情報を得れたかは、後続の書き手さんにお任せします 【神楽@銀魂】 [状態]:気絶、疲労(大)、頭にダメージ(極大)、胴にダメージ(極大)、右足・両腕・左足の甲に刺傷(行動に支障なし) [服装]:チャイナ服 [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)、黒カード:不明支給品0~2枚 [思考・行動] 基本方針:殺し合いには乗らないアル 1:………………。 2:神威を探し出し、なんとしてでも止めるネ。けど、殺さなきゃならないってんなら、私がやるヨ。 3:銀ちゃん、新八、マヨ、ヅラ、マダオと合流したいヨ [備考] ※花京院から範馬勇次郎、『姿の見えないスタンド使い』についての情報を得ました。 ※第一回放送を聞き流しました どの程度情報を得れたかは、後続の書き手さんにお任せします ● ◯ 纏流子がヴァニラ・アイスとキャスターの二人を「殺す」と決めるまで、コンマ一秒も要さなかった。 それを察知したヴァニラとキャスターが迎撃姿勢を取るまでにも、その程度の時間で事足りた。 ヴァニラが暗黒空間へと飛び込む。 すると必然、彼を目掛けた朱槍は空を切る。 流子は気に入らなさげに目を細め、しかし未練なくすぐにターゲットをキャスターへと変えた。 猛進。 まさにそう称するのが相応しい速度であったが、そこに猪突の二文字は付かない。 確かに彼女は猛獣の如く荒々しい戦い方の持ち主だ。 しかし、そこには確たる考えや戦闘論理が存在している。 記憶の曇りも消えた今、純潔纏いし流子は完全な生命戦維の化物と呼ぶべき戦いの才覚を遺憾なく発揮できる。 キャスターが何をしてくるかを事前に読んだ行動は、断じて猪の直進と同一視されるようなものではなかった。 血を吸われ、干涸らびた肌に変わり果てた花京院典明の亡骸が幽鬼のような足取りで立ちはだかる。 しかしながら、五体まで連れ歩けるゾンビたちは先の戦闘で全滅。 今やキャスターが手足として動かせるゾンビは、死にたての花京院ただ一人だった。 胸を貫かれた挙句血まで吸われ惨死を喫した彼の哀れな遺骸が、血気に逸る纏流子を止められるか? 問うまでもなく、否だ。 流子が壮絶な笑みと共に真横へ槍を薙げば、花京院の首が胴体と泣き別れになる。 流子は更に学生服の血に汚れた腹部を蹴り飛ばし、キャスターの下まで飛ばしてやる。 「ぬッ!?」 自分へと人間砲弾さながらの勢いで返ってきたゾンビに、キャスターは瞠目した。 さりとてそこはサーヴァントだ。 充足した魔力は、彼の体を不自由なく動かす。 人外の、人間の頭程度ならば容易く握り潰せる膂力を駆使して、飛んできた死体を跳ね除けた。 しかし、それは悪手と言わざるを得ない。 そのことを、キャスターもすぐに理解した。 片手が使えなくなると同時に、学生服で塞がれていた視界が晴れる。 言うまでもなくそこには、満面の笑みで槍を構えた纏流子の姿がある。 防ごうにも、間に合わない。 「こッ、この――」 売女めが、と。 ぎょろりとした目を見開いて、その顔を憤怒で彩るキャスター。 口汚い罵言の続きを吐く暇さえない彼は、苦し紛れに空いている片手でそれを防ごうとすることしか出来なかった。 されどその内心には、この逆境を打破する上でのアテがあった。 ヴァニラ・アイスだ。 暗黒空間へ逃げ込んだ彼が未だ顔を見せないということは、つまり『そういうこと』。 彼の能力を前にしては、あらゆる強さは意味を成さないと、キャスターは短い時間の共闘の中で知っていた。 ガ オ ン ッ ! そして、悪夢の音が響いた。 「な!?」 流子は目を見開く。 幸い、彼女は一撃で暗黒空間に消し飛ばされることはなかった。 攻撃性能においては限りなく最強に近いだろう『クリーム』だが、暗黒空間へ潜るという性質上、確実に仕留めるという一点に関してだけは少々難がある。 流子は荒々しい戦い方の持ち主であるため、彼が定めた狙いが、奇襲の段階になって僅かにブレていたのだ。 ヴァニラは舌打ちをしたが、それでも成果は大きかったな、と口元が緩む。 破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)。 紛れもない尊き幻想、生半可な攻撃では傷付けることさえ難しい宝槍の三割ほどが、綺麗さっぱり消失していた。 魔力の循環を遮断する驚異の効能を秘めたる一槍も、スタンドパワーという概念を前にしては無力。 纏流子の得物は、敢えなく粉微塵になって、伝説もろとも消滅した。 「チッ」 だが、彼女にとって宝具など、仮初の武器でしかない。 彼女が誇る真の武器は、その身に纏う純白の花嫁衣装――神衣・純潔以外にあり得ない! 一切の未練なく、暗黒空間へ舞い戻らんとするヴァニラ・アイス目掛け、流子は刃を失いただの長棒と成り果てた紅薔薇を投擲した。疾い。ヴァニラは迅速に行動したものの、擲たれたそれは彼の左腕を貫いていた。 「ぐ……! ちっぽけな黒蟻にも劣る、品性下劣な糞売女めが…………」 暗黒空間の中で、ヴァニラ・アイスは傷の痛みへ怒りを燃やす。 DIO以外に、この殺し合いで生き残るべき人間などは存在しない。 無論それは自らも同じだ。 そして己には、喜んで彼の踏み台となる覚悟がある。 だというのに、つまらない義憤や事情で彼に仇成さんとする者のなんと多いことか。 考えるだけで腸が煮えくり返るし、その不信心者どもに自分が決して小さくない手傷を負わされたという事実に、許されるならばこの喉笛を抉り出して自死したいほどの憤激が沸く。 堪えろ。 まだだ、まだ死ぬわけにはいかん。 ヴァニラ・アイスは自らを自罰しながらも、今やるべきことを見据える。 今は兎に角、あの少女を殺さねばならない。 花京院は死んだ。 この手でその血を吸い、奴の死体はDIO様へ反逆した者に相応しい惨めな有様となって転がっている。 ジル・ド・レェを殺すのは後回しでもいいとして、吸血鬼をも圧倒する身体能力の持ち主を撃破した彼女は、まず間違いなく優先的に処分すべき対象だ。 ガオンッ ガオンッ ガオンッ クリームの優位性を活かした、闇雲な破壊の連打。 当たらないのならば、当たるまで繰り返せばいい。 そんな子供の理屈を大真面目に行えば、クリームは無敵のスタンド能力だ。 喰らうように、貪るように、続ける。 恐らく、室内は悲惨な有様となっていることだろう。 床も壁も抉れ、散乱した死者の残骸は無残。 されど、死者の冥福などに頓着するヴァニラ・アイスではない。 彼にそれだけの倫理観が残っていたならば、そもそも彼は、邪悪の化身へ心酔などはしなかった。 やがて、手応えがあった。 一瞬だけ覗いた視界に、何かが写り。 『クリーム』は、過つことなくそれを食らった。 ヴァニラ・アイスは笑みを浮かべる。 勝った。 その確信を帯びた笑みで、彼だけの世界から姿を現す。 跡形もなく粉砕してしまったならそれまでだ。 とはいえもしもまだ息があるならば、血を吸っておきたい。 悠々と外界へ姿を現した彼は、快く出迎えられた。 「よう」 まず、血の臭いがした。 噎せ返るような臭気だ。 それに顔を顰める暇も、ヴァニラにはなかった。 それどころではない。 それどころではない衝撃が、笑顔でそこにいる。 手で何かを鷲掴みにしながら、立っている。 鎖骨から下を綺麗さっぱり失って、憤怒の形相を浮かべたまま事切れた、その人物。 その大きな目、脂ぎった肌、化物をすら思わせる造形。 見間違える筈など、ありはしない。 「ありがとよ。おかげで手間が省けた」 ジル・ド・レェ。 魔領の主が、朽ちていた。 その髪の毛を鷲掴みにして、纏流子が笑んでいた。 次はお前だと、告げるように。 【キャスター@Fate/Zero 死亡】 ● ◯ 纏流子は、何度目かの舌打ちをした。 相当な業物と思われた槍が呆気なく破壊された上に、敵はどうやら自分だけの世界とも呼べる場所へ逃げ込めるらしい。 そうされては、此方には手出しする手段が一切ない。 如何に神衣の力といえども、空間を飛び越えるような真似は不可能だ。 彼女にとって厄介なのは、あくまでもその一点だった。 一撃で敵を消し去る驚異の攻撃性能などは、所詮二番手。 隠れている内は『倒せない』……それだけが、ただひたすらに鬱陶しい。 「おやおや、お手上げのようですねぇ」 喜悦を浮かべて嗤うのは、もう一人の敵だ。 死人を操る能力の持ち主。 本来の所は違うのだが、少なくとも流子はそう認識していた。 ぎろりと、彼の方を睥睨する。 「おんぶにだっこのてめえにとやかく言う資格があんのかよ」 「いやはや、耳が痛い。しかし私も、手段を選んではいられない身でして」 そうか、死ね。 流子は決断するなり、そいつを殺すために踏み出した。 瞬間、ガオンッ、と『消える方』の攻撃が邪魔をする。 頬を掠める程度だったが、触れてみると肉が抉られたようになっていた。 傷の面積が小さいからよかったものの、あと一歩で即死の危ないところだったのは間違いない。 「鬱陶しいんだよ腰抜け野郎!」 「さあ、お逃げなさいお嬢さん。貴女を冥府へ導く死神は、すぐそこまで来ているようですよ」 「うるせえ!」 流子は駆け出す。 すると、背後で見当違いの場所が削り取られるのが見えた。 一度ならばまだしも、二度、三度と繰り返されれば、自ずと彼の力の弱点に気付かされる。 要はあの力、隠れている空間から此方の世界が見えないのだろう。 威力は絶大だが、それだけに命中精度にやや難があるようだ。 だがそれも、周囲へ頓着せずに連打すればデメリットではなくなる。 面倒だ。 ある程度攻撃の軌道は予測できるが、このまま追い詰められた日には、ゆっくりと削り殺されるのがオチか。 どうすべきか。 流子は少しだけ考え、とりあえずいざという時に邪魔立てしてくる可能性がある『ゾンビ使い』を先に殺すべきだろうと判断した。最悪、『消える方』へ対処するのはその後でいい。 癪だが、一旦この部屋を出るという手もある。 その為にもまずは自分の立ち位置を調整しつつ、あの鬱陶しいインスマス面を殺す。 話はそれからでも、遅くはない。 神衣を至高のものと信じる纏流子が考え至ったかは定かではないが。 ヴァニラ・アイスのスタンド能力『クリーム』は、極制服を始めとした生命戦維に対して特攻の性能を持っている。 耐久力も再生力も、暗黒空間の前には全てが無意味だ。 人類を脅かす服の魔の手も、極論は彼の力で排除することが出来るほどに、そこには破格の相性差が存在する。 神衣がどれだけ優れていようが関係なく、ヴァニラ・アイスは消し去れる訳だ。 まさしく、纏流子にとってヴァニラ・アイスは最悪の敵だった。 実力で勝るセイバーや、拮抗し得る神威にも優る、圧倒的相性という暴力。 距離を詰める。 超人じみた流子の脚力を前に、閉所での距離概念はほぼ意味がない。 テーザー銃の電極を裂け、片手で銃口と電極を繋ぐ糸を切断する。 キャスター目掛け振るった拳は、しかしひらりと躱された。 だがそれも、最初だけだ。 すぐに余裕が消え始める。 予想通りだ、と流子は笑った。 「そら見ろ。やっぱり、おんぶにだっこじゃねえか」 「ぬ、ぐ、――がッ」 彼は魔術師のクラスで召喚されたサーヴァントだ。 にも関わらず、彼は魔術の行使による戦闘において、サーヴァントの水準に達していない。 彼が万全に戦うためには、自身の宝具『螺湮城教本』を用い、物量作戦を仕掛ける必要があるのだ。 それを失い、性能の劣化した魔導書を代わりに握ったところで、その力量はたかが知れている。 魔力が充足していようが、少なくとも、纏流子と正面から戦って勝てるだけのものは間違いなく、彼にはない。 キャスターは流子を侮っていたのだろう。 正しくは、その神衣を。 武器さえ破壊されてしまえば取るに足らない相手だと、そう思っていたのだろう。 それが間違いであったと、今彼は思い知る羽目になった。 腹を打つ剛拳の鋭さでもって、思い知らされる羽目になった。 「っと」 背後が、削り消える。 髪の毛が数本持っていかれたらしい。 つくづく鬱陶しいが、そちらへ意識を割くのは後だ。 キャスターの胸板へ蹴りを叩き込んで吹き飛ばし、着地するよりも先に追い付いて、壁へ向けて殴り飛ばした。 「が――ぐッ、貴様、この……売女めがァァッ!!」 「何でもいいけどよ。さっきまでの威勢はどうした?」 「おのれェ……おのれおのれおのれおのれェェェ!!!!」 髪の毛を掻き毟って咆哮するキャスターに、打つ手はない。 仮にあのビームサーベルがまだ彼の手にあったとしても、流子を倒すには至らない。 「んじゃ、まぁ、そろそろ」 流子は歩く。 背後で世界が削り消えるのも厭わずに。 或いは適合したように、往く。 「死んどけ」 手刀の形にした右手で、彼女は勿体ぶることもなくキャスターの腹を文字通り、ぶち抜いた。 口から血の泡を吐き出し、未練半ばで朽ち果てる魔術師は怨嗟の声を紡ぐ。 死ね、だとか。 呪う、だとか。 そういうことを口にしているんだろうと、流子は思った。 「呪い、あれ……! 貴様の行く末に、災いあれェ……!!」 「あぁ? てめえが勝手に呪われてろよ」 一蹴したのも、束の間。 ガオンとあの音がして、流子の左耳が半分ほど削り取られた。 鋭い痛みに顔を顰めるが、優先順位だ。 腹を貫いたまま、キャスター共々飛び退いて距離を取る。 その際にも左肩の一部を削り取られたが、行動に支障が出るほどのものでもない。 問題は、ない。 「鬱ッ陶しいんだよてめえはよッ!」 その顔に浮かぶのは憤怒の色。 黙っていればいい気になりやがって、と彼女は赫怒の念を禁じ得ずにいた。 しかし、為す術がないのも確かだ。 此方から干渉する手段がない以上、認めたくはないが完全にお手上げである。 それこそ、奴が自分から顔でも出してくれない限りは―― と。 そこまで考えた所で、纏流子は貫いたままの魔術師へ視線を落とした。 ああ。 そうか、そうすればいい。 顔を出させる為には、簡単な手段がある。 手応えを、くれてやればいいのだ。 だから、彼女は差し出すことにした。 曰く、死神。 纏流子を冥府へ導く者へ。 供物を差し出して、一度だけ見逃してもらうことにした。 「貴様ァ、何を!」 叫ぶ声には耳を貸さず。 突き刺した手を抜いて、ぽんと軽く目の前へ押し出した。 「お。おのれェェェェェェェ―――! 貴様ァァァァ―――ッ!!!!」 ――刹那。キャスターの鎖骨から下は、その右腕のみを残し、一瞬の内に消え去った。 魔元帥ジル・ド・レェは、これにて散る。 その信仰は届かず、また誰にも聞こえない。 ただ、爪痕が残るだけだ。 それ以外に、彼が残せるものも、成せることも、何もない。 過去の怨念は、二度と這い出ることの出来ない闇の底に消え、二度とは戻らない。 ◯ ● 真の意味で人を逸脱し、魔道に足を踏み入れた筈の彼。 吸血鬼DIOを狂信し、彼のために全てを捧げる血の殉教者。 ヴァニラ・アイスは、その光景を前に一も二もなく逃走を選択した。 それは彼にとってこの上ない屈辱であったが、しかし、まだ死ねないと思えばこそ、そうせずにはいられなかった。 自分の力で食い荒らした爪痕が広がる空間で、笑みすら浮かべて待ち受けていたあの少女。 その姿が――重なったのだ。 状況こそ違えど、かつて己を殺し、忠義を業腹にも断罪したスタンド使いの男と重なったのだ。 心の臓が高鳴る嫌な感覚は、自分が未だあの敗北を引きずっている証。 だが、それでいいとも思う。 過去を忌み、ただ憎悪するのではなく、そこから学習して進化する狂信者。 それが、今のヴァニラ・アイスだ。 だからこそ、彼は狂おしいほどの憎悪と苛立ちよりも優先して、生を選んだ。 このまま戦い続ければ、自分は間違いなくここで命を落とすことになる――そういう確信があった。 (この命は、DIO様に捧げる最期の供物でなくてはならないッ! あの方を足労させるようなことが起こらぬ為にも――わたしは死ねないのだッ) ヴァニラ・アイスは全てを殺す。 花京院典明は既に殺した。 空条承太郎も、役立たずのホル・ホースも。 信奉する彼の者以外の参加者は一人とて残すことなく、暗黒空間にばら撒くだろう。 たとえ一度自分に土を付けた、J・P・ポルナレフが相手であろうとも、それは変わらない。 むしろ、だからこそだ。 次こそはポルナレフをも殺し、この信仰を、忠を貫かねばならない。 そう思うから、ヴァニラは生きる道を選ぶ。 狂犬から、猟犬へ。 その狂信はそのままに進化を遂げながら、彼は泥を啜る。 最後に笑う為だけに、今は雌伏に徹する―― 【E-1/放送局/一日目・午前】 【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:ダメージ(中) 、疲労(中)、左腕に刺傷(回復中)、暗黒空間に篭もり移動中 [服装]:普段通り [装備]:範馬勇次郎の右腕(腕輪付き)、ブローニングM2キャリバー(68/650)@現実 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:双眼鏡@現実、不明支給品0~1(確認済、武器ではない)、範馬勇次郎の不明支給品0~1枚(確認済)、ブローニングM2キャリバー予備弾倉(650/650) [思考・行動] 基本方針:DIO様以外の参加者を皆殺しにする 1:今は逃げる 2:承太郎とポルナレフも見つけ次第排除。特にポルナレフは絶対に逃さない 3:白い服の餓鬼(纏流子)はいずれ必ず殺す [備考] ※死亡後からの参戦です ※腕輪を暗黒空間に飲み込めないことに気付きました ※スタンドに制限がかけられていることに気付きました ※第一回放送を聞き流しました どの程度情報を得れたかは、後続の書き手さんにお任せします ※暗黒空間内に潜れる制限時間については後の書き手さんにお任せします。 ● ◯ ようやく暗黒の世界から顔を出したそいつと、目が合った。 流子は笑った。 次はてめえの番だと笑ってやった。 すると、どうだ。 敵は目を見開き、流子が手を出す速度さえ凌駕する速さで、再び暗黒空間へと身を投じ。 地面に削る軌跡を刻みながら、逃げていったではないか。 待ちやがれ、と咄嗟に追い打ちをかけようとしたところで、流子は自分のリーチの短さを嘆いた。 あの槍が壊されていなかったら、少なくともみすみす逃がすようなことはなかった筈だ。 何ならチャイナ女の使っていた傘でもいい。 やはり、武器は何かしら持っておくべきだったな。 頭をボリボリ掻きながら反省しつつ、流子は無造作に転がる血の付いた番傘を拾い上げ、二度、三度と素振りした。 「まあ、これでもいいか」 少し気に入らないものはあるが、この際何でもいい。 忘れずに、キャスターの右腕から支給品も回収しておく。花京院のものもだ。 踵を返して、変わり果てた部屋の中を見渡す。 一言、悲惨に尽きた。 死者の骸は散乱し、暗黒空間に食い荒らされ、血と死臭で大部屋の中はいっぱいだ。 乾いた笑い声が漏れた。 つい数十分前に殺した女に、見せてやりたいと思った。 高坂穂乃果が求めた希望が何だったのかを、ついぞ纏流子は知り得ない。 けれど、彼女の大切なものは戦いの中で砕かれ、流子が乱入したことで完全に破壊された。 流子が来なければ、ひょっとしたら花京院典明は死なず、神楽が重傷を負うこともなかったかもしれない。 死後を弄ばれた少女たちが、更に跡形もなく破壊されることも、きっとなかった。 「――はは」 全部ぶっ壊した。 だから、勝者は纏流子だ。 纏流子は、高坂穂乃果に勝った。 残ったのは殺人鬼と、化け物だけ。 何一つ。何一つとして、希望らしいものはない。 「はははははは――!!」 流子は笑った。 どんなもんだよと、大声で。 残骸の散らばる空間に笑い声を響かせた。 その勝利を祝福する者はおらず。 歯を軋ませて悔しがる敗者もいない。 何故なら、敗者となるべき少女は流子自身の手で殺したから。 端から、彼女は孤独で空虚な色即是空(ストレイド)。 独り相撲の勝敗に一喜一憂するだけの、空しい伽藍の洞でしかない。 「――はあ」 部屋を後にしようとして、流子はふと、地を転がる顔と目が合った。 首から下は、恐らく暗黒空間の無差別攻撃に巻き込まれてしまったのだろう。 でもその顔は嫌味なほどにはっきりと残っていた。 流子の知った顔だった。 生前では想像もできないような虚ろな目をして、崩れた顔面で、天井を見つめていた。 流子は、嘆息する。 深く息を吐いて、それから苦笑いをした。 「おせえよ」 もう何もかも、遅すぎる。 纏流子は救われないし、夜明けの賛美歌は響かない。 彼女にそれをもたらす可能性は、今目の前で、朽ち果てて転がっている。 【纏流子@キルラキル】 [状態]:左耳、頬に傷(浅い)、全身にダメージ(中) [服装]:神衣純潔@キルラキル [装備]:番傘@銀魂 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(19/20)、青カード(19/20) 、黒カード1枚(武器とは判断できない) 黒カード:不明支給品1枚(回収品)、生命繊維の糸束@キルラキル、遠見の水晶球@Fate/Zero、花京院典明の不明支給品1~2枚 [思考・行動] 基本方針:全員殺して優勝する。最後には繭も殺す 0:私が勝った。だから、この場所に興味はない。 1:次に出会った時、皐月と鮮血、セイバーは必ず殺す。 2:神威を一時的な協力者として利用する……が、今は会いたくない。 3:消える奴(ヴァニラ)は手の出しようがないので一旦放置。だが、次に会ったら絶対殺す。 [備考] ※少なくとも、鮮血を着用した皐月と決闘する前からの参戦です。 ※DIOおよび各スタンド使いに関する最低限の情報を入手しました。 ※満艦飾マコと自分に関する記憶が完全に戻りました。 ※キャスターの右腕は、腕輪が付いたままで放置されています。 ※テーザー銃@現実、リタの魔導書@神撃のバハムート GENESISは暗黒空間に飲み込まれました。 支給品説明 【テーザー銃@現実】 ヴァニラ・アイスに支給。 暴徒鎮圧用に使う非殺傷武器で、引き金を引くと電極を射出し、そこから電流を流す。 時系列順で読む Back 色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(前編) Next ルールなんてあってないようなもの 投下順で読む Back 色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(前編) Next 無辜の怪物 133 色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(前編) ファバロ・レオーネ 155 EXiSTENCE 133 色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(前編) 神楽 155 EXiSTENCE 133 色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(前編) キャスター GAME OVER 133 色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(前編) ヴァニラ・アイス 146 退行/前進 133 色即絶空空即絶色-Dead end Strayed-(前編) 纏流子 143 キルラララ!! わるいひとにであった
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『偽りのフォーク』 ある日、八坂神奈子が千鳥足で帰宅した。 例の大会の協賛者たちとの会合で、大いに酒を勧められたらしい。 早苗は、神奈子に肩を貸して玄関口から居間に運び、コップに水を入れて持ってきた。 神奈子に、晩御飯は食べられないと言われた。 分かりました、と応える。 それから神奈子は、しばらくうわごとのような事を呟いて、ふと早苗に告げた。 「ああ、早苗。バトロワごっこの参加者名簿に、お前の名前を入れといたから」 ……。 神奈子は、参ったよと後頭部を掻く。「いやあ、皆から早苗を出してくれと頼まれちゃってさ。 断るに断れなかったんだよねえ。ま、乗り気でないなら、適当なところで自分から脱落してくれれば―」 ……。 早苗は、無言で神奈子に水をかけた。 神奈子は顔をしかめた。早苗は、神奈子にここ何カ月も鬱積させていた不満のたけをぶちまけた。 だが、神奈子は話半分で取り合わなかった。 早苗は、コップを掴んで殴りかかった。だが、途中でやる気になった神奈子に完敗した。 以来、今日まで早苗は神奈子とひと言も口をきいていない。 * * * 気が付くと、東風谷早苗は鬱蒼と生い茂る木立ちの中に立っていた。 白みがかった木漏れ日が、腐葉土を薄く照らしている。 早苗はすぐさま周囲を見回した。近くの大木の下に、おそらくは自分へ支給されたデイパックを発見した。 近くに他の参加者の気配がない事を確認。 デイパックに近寄り、ランダムアイテムに期待を抱しながら中身を開封する。 だが、早苗はすぐに落胆した。彼女の見つけた支給品は、なんの変哲もないただのフォークだったのだ。 こんなものでどう戦えと言うですか、と早苗は嘆いた。嘆いて、そして苦笑した。 自分が引いたのは、こてこての大ハズレだ。 だが、ならばこそ、ここに一つ確かな事がある。 要するに、早苗は主催者の八坂神奈子から肩入れを受けていないのだ。 もしかしたら、神奈子は家族だからこそ早苗に厳しく当たり、こうして支給品で冷遇したのかもしれない。 否、きっとそうだろう。 これは信頼の裏返しですね、と早苗は好意的に解釈した。彼女もまた、神奈子と同じ決意を固めていたのだ。 さて、バトロワごっこにおける通常の勝利条件は、参加者全員で疑似的に殺し合い、最後に一人になることだ。 しかし、早苗はこれを望んでいない。 主催者を身内に持つ自分が、この方法で勝利してもアンフェアだ。 ならば、もう目指すべき道は一つしかない。大会進行役、神奈子の打倒による隠し勝利条件の成立だ。 他の参加者たちと糾合し、彼らと共に、神奈子のいる紅魔館を攻城する。 家族だらこそ容赦はすまい、と早苗は心に決めていた。 ――バーンッ! 不意に重い銃声が轟いた。早苗は急いでデイパックを拾い上げて、近くの物陰に身をひそめた。 挙動不審ぎみに辺りを見回すも、周囲に着弾の気配や追撃の銃声はない。 ……。 早苗は強く、支給品を握りしめた。神奈子の厳しい信頼が、彼女に勇気を与えてくれた。 * * * 霧雨魔理沙は、自らの勝利を、その先にある『願い事をひとつ叶える権利』を欲していた。 彼女には叶えたい願い事が五万とある。能力、知識、財産、寿命、快楽― あの優勝賞品は、まるで自分のためにあるようなものだ。 だが、手を伸ばして届くほど、バトル・ロワイアルの勝利は容易くない。 ゲーム開始直後、フィールド上に散らばった参加者たちは、仲間を増やし、競争相手を蹴落としながら、戦力を増強していく。 こちらも大胆、かつ拙速にことを運ばねば、気付いた頃にはトップと埋めがたい戦力差を付けられるだろう。 このゲームにおいて、時間とは常に不足するものなのだ。少なくとも、魔理沙はそう考えていた。 ――バーンッ! 魔法の森に、重い銃声が轟く。 今しがた、デイパックからショットガン(モスバーグM500)を引き当てた魔理沙は、迷わずに頭上の虚空を撃った。 周囲の参加者たちに、森の中にいる己の居場所を教えることで、現状を強引に次のステージへ引き上げるためだ。 ほどなくて、葉擦れの音が聞こえてきた。こちらに誰かが接近してくる。 魔理沙は、目前の茂みに銃口を構えて待った。 果たして、向こう側から彼女が現れた。 この支給品を得て、更にこの巡り合わせとは。魔理沙は、運が自分に傾いていることを悟った。口元が綻ぶ。 「霊夢!」 「あー、あなただったのね、魔理沙」 彼女は背にデイパックを担ぎ、腰に黒いカステラの箱のようなサブマシンガンを構えていた。 イングラムM10、原作『バトルロワイアル』では桐山和雄の手に渡り、多くの参加者の命を奪った強力な銃器だ。 その銃口が、こちらに向いている。 魔理沙は警戒した。親友と言えど、このゲームでは競争相手だ。だが、ここでリスクに臆するほど自分は青くない。 ショットガンの照準を外さず、だが彼女に接近し、力強く右手を差し出す。 序盤の内は、仲間を増やしたいのだ。 彼女は魔理沙の手を見つめて、冷たい溜息をついた。「お互い、いつ裏切ろうと恨みっこなしよ」 握手が成立した。 「いやー、この出会いは幸先がいいな」 魔理沙は彼女の肩に腕を絡めた。「お互い支給品にも恵まれたみたいだし。むしろ、順調すぎて先が怖いぜ」 彼女は、へーっと気のない返事をした。「そいつは、羨ましいわ」 魔理沙は違和感を感じた。いつもの霊夢は、こんなシニカルな表情をしない。「――霊夢、何かあったのか?」 「何かも何も」彼女は、これ見よがしに深く溜息をついた。「開始早々、オーブを失くしちゃったのよ、二つとも」 魔理沙は絶句しかけた。辛うじて、疑問符を吐き出す。「え?」 「失くした、というより消されたんだわ、きっと」 彼女は、やり場のない怒りで地面を睨んだ。「神奈子の奴よ。アイツ、セレモニーで銃を撃ってきたでしょ。 私、自分の足元を撃たれて、カッとしてちゃってさ。ふざけるなっ、て啖呵を切っちゃったのよねえ」 魔理沙には話が見えなかった。「それが?」 「それが、反逆行為と見做されたのよ」彼女は頷いた。「私のオーブ、デイパックを開封した時にはすべて破砕されていたわ」 「いやいや、まさかー」魔理沙は鵜呑みにしかなった。 おそらく、霊夢の勘違いだろう。神奈子は、セレモニーの壇上で主催者介入の自制を宣言したのだ。 あの神様にも色々と問題はあるが、少なくとも、あれの言動には重みがある。 たかが野次の一つや二つで、前言を覆すなどありえない。 「まさか、じゃないわよ!」 だが、彼女は食らいついてきた。「なら、私のデイパックには、どうしてオーブがなかったの!」 「そりゃ―」 主催の事務方の手違いだろう、と言いかけて魔理沙は止めた。 根本的な解決策にならない以上、何を言っても、彼女の気持ちを逆なでするだけだ。 ……。 魔理沙は溜息をついた。「分かったよ、ほれ」 自分のポケットから一個のオーブを取り出して、彼女に差し出す。 「え?」彼女は、オーブと魔理沙の顔を交互に見比べた。「いいの?」 魔理沙は重ねて溜息をついた。「仕方がないだろ。仲間内で、オーブの保有数に格差があったら、火種の元だぜ」 まごうことなき本音だ。オーブ一個で、霊夢が仲間になるならば安い。 彼女は遠慮がちに手を伸ばした。「礼は、言わないわよ」 「要らないさ。なにしろ譲ったわけじゃない。利子つきで貸しただけだぜ」 「あら」彼女は一変して、不敵に笑った。「私が返すと思うの?」 魔理沙は、元気を取り戻した親友の顔に一先ず満足した。 だが、いまの己の行為に対して、釈然としないものを感じる。 そもそも、オーブを譲るなんて、そも自分と霊夢の間柄だろうか。 平静とは違う霊夢の様子に、すっかり流されてしまったが…。 魔理沙は、彼女に対する疑心を膨らませた。 そういえば、今大会の参加者の中には、何名か変身能力のある奴がいたような― * * * と、魔理沙が真実を見破りかけた矢先、向かい合った二人の横合いから、木の葉がざわめく音が聞こえてきた。 誰かが、こちらに迫ってくる。 魔理沙は、彼女に目くばせした。彼女も首肯する。 ショットガンを、サブマシンガンを構えて、二人は迫りくる気配からジリジリと後ずさりした。 やがて、近くの茂みが大きく揺れて、向こうから魔理沙がいま最も出会いたかった人物が現れた。 「なんだ、お前か」魔理沙は熱のない声で言った。 早苗はこちらの姿を確かめて、口元に左手を当てた。「あ、うそ、魔理沙さん! それに霊夢さんまで!」 魔理沙はしかめ面をした。 ゲーム開始早々、仲良し三人組が揃うなんて、ご都合主義にも程がある。 バトルロワイアルの峻厳なイメージに照らして、魔理沙はこの展開を素直に受け取ることが出来なかった。 溜息が出る。 気がつくと、早苗が親愛の笑みを浮かべていた。しかし、さすがに二つの銃口が怖いのだろう。不用意には近づいてこない。 魔理沙は早苗から照準を外して、彼女に振り向いた。 「ま、調度いいじゃんか。早苗も加えて、三人パーティーにしよう―」 ――タンッ! 銃声が鳴った。発砲したのは彼女だ。弾は早苗のこめかみを掠めていった。 「霊夢?」 「……霊夢さん?」 彼女は険しい目つきで、マシンガンのリアサイトを睨み込んでいた。「神奈子の手下とは組めないわ。手を挙げなさい!」 「……な、なんで?」早苗がしろどもどろに尋ねた。 再び銃声。完全に怯えあがった早苗が、慌てて諸手を挙げた。 「おいおい、霊夢」 魔理沙は宥めように声をかけた。「まだ序盤だぜ。戦ってオーブを奪うより、とりあえず仲間を増やした方が―」 「ポケットに隠した支給品を出しなさい!」彼女は、魔理沙の言葉を無視して、早苗を恫喝した。また発砲。「早く!」 早苗はおろおろと、スカートの後ろポケットから支給品を取り出した。 魔理沙は目を疑った。 ――あれはッ! 「……ウージー、だと」 魔理沙は、本大会に参戦するにあたり、原作『バトルロワイアル』をよく予習していた。 早苗の手の先で黒光りするマシンガンは、原作に登場する武器のひとつ、その中でも間違いなく最強の類。 ウージーだ。 大会前、魔理沙が聞いた噂話によれば、今大会で初期に支給される銃火器の内、ウージーが最高のものらしい。 曰く、二百を超える最大装填数と、拳銃並みの携帯性を併せ持つデタラメな短機関銃。 そんな物が、主催者を身内に持つ早苗の手に渡ったのだ。 状況もろもろを加味して、あのマシンガンの意味するところは一つしかない。 つまり、要するに今大会の進行役、八坂神奈子は早苗を贔屓にしているのだ。 そうとでも考えなければ、説明がつかない。 仲良し三人組が、たまたま近いところに飛ばされて、たまたま強力な武器を支給される。 偶然も、ここまで重なれば必然だ。 早苗が強力なパーティーを組めるように、主催者の神奈子が裏で手を回していることはもはや歴然だろう。 畜生、と魔理沙は思った。どうりで、霊夢が早苗に冷たいわけだ。 自分たちは、早苗のとばっちりで主催者から不正な優遇を受けてしまったらしい。 魔理沙の胸中で、神奈子に対する義憤が猛った。 だが、魔理沙の怒りの矛先は、神奈子だけには収まらなかった。 そもそも、早苗も早苗だ。 普通、主催者を身内に持つ立場でウージーなんて支給されても、誇りがあれば受け取らないはずだ。 少なくとも、自分が同じ立場ならば、迷うことなくウージーを放棄する。 まあ、早苗に悪気があるとも思えない。この娘は天然だ。そういう所に気が回らなかった可能性は十分にある。 だが魔理沙も、流石に今回ばかりは、早苗のどん臭さが鬱陶しかった。 * * * 二ッ岩マミゾウは焦っていた。 霊夢の姿に化けて、口八丁で魔理沙から一個のオーブを奪取したマミゾウだが、状況は決して芳しくない。 能力制限の下、変化(へんげ)の持続はあと数分が限界なのだ。 それまでに、自分を疑いはじめた魔理沙の追跡をかわし、この場から離脱することが出来るかどうか。 否、果たして離脱に成功したとしても、変化で体力を消耗した自分に、宿敵と闘い勝利するだけの余力が残されているだろうか。 問題はそこだった。 元を辿れば、マミゾウは、参加者推薦枠の埋め立てに困った命蓮寺の面々に頼まれる形で、仕方なく本大会に出場した。 その時点では、ゲームに乗り気ではなかったマミゾウだが、翌日の文々。新聞の見出しを読んで、目の色を変える。 ――八雲藍、バトロワごっこに参戦決定! マミゾウにも化け狸の性がある。人と妖怪が諍いを持つように、狸と狐が諍いを持つことも、また理だ。 ましてや九尾の狐とあらば、相手にとって不足はない。おそらくは向こうも同じ気持ちだろう。 マミゾウは、モードをがっちりと切り替わった。 今日という今日こそは、我らが種族間の因縁に決着を付けてくれる。 さて、そんな好戦的なノリで本大会に臨んだマミゾウだ。 デイパックからサブマシンガン(イングラム M870)を引いた時には、自然と戦意が高揚した。 この短機関銃で他の参加者たちを出会い頭に掃討してオーブを荒稼ぎしよう、とマミゾウは強硬的な方針を打ち立てる。 誰よりも早く五個のオーブを集めて、中吉ガチャを回転させれば、八雲藍との最終決戦でも優位に立てるだろう。 戦いに慈悲はいらない。情けをかけるのは、義理立てがいる命蓮寺の連中だけでいい。他の奴らは皆殺しだ。 見てろよ、九尾。私は手段を選ばないぞ。 ――バーンッ! しばらくして、近場の森からド派手な銃声が聞こえてきた。 誂え向きだ、とマミゾウは思った。大胆と無謀の分別もつかない銃声の主に、この短機関銃の威力を味あわせてやろう。 マミゾウは森に向かいながら、博麗霊夢の姿に変化した。 霊夢は、参加者ほぼ全員と面識のある人物だ。この顔で油断させておいて、鉢合わせに鉛ダマの荒らしを喰らわせてやる寸法である。 だが、果たしてマミゾウの思惑はあっさりと挫かれた。 森の中で待ち受けていた霧雨魔理沙には、油断というものがなかったのだ。 先程から、常にショットガンの照準をこちらへ合わせて、外さない。 撃ち合えば、相打ちにしかならないだろう。 そこで、マミゾウは作戦を切り替えることにした。 霊夢の姿を纏ったまま、口八丁で魔理沙から一個のオーブをせしめたのだ。 しかし、それでもマミゾウは、知略で魔理沙に勝った気がしなかった。 おそらく魔理沙は、現段階でオーブの保有数が一個か二個ということに重要性を見出していないのだろう。 だからこそ、魔理沙はあんなにあっさりとオーブを譲渡したのだ。 マミゾウは、もはや自分の正体を暴露して、いちから交渉し直したい気分だった 一個のオーブを返還して、この聡明な魔法使いの仲間になれるならば安い。あるいは、この場から無事に離脱できるだけでも元は取れる。 現状だと、この場を去るに去れない。魔理沙のショットガンの銃口は、まだこちらに向いたままなのだ。 こちらの短機関銃の銃口も魔理沙に向いたままで、膠着状態が続いている。 だが、二人の関係性は決してイーブンではない。 マミゾウの方は、霊夢の姿見を維持するために、刻一刻と体力を消費しているのだ。 既に己の体力の半分以上を消耗している。いま魔理沙と戦えば、たとえ先手で仕掛けても、一矢報いることすら叶わず負ける可能性が高い。 しかし、それでもマミゾウは、もはやバレバレな変化を解けなかった。 体力を消耗し、へとへとになったマミゾウの姿を確認すれば、魔理沙は迷わずに攻撃を仕掛けてくるだろう。 向こうが先手ならば、こちらの勝機はゼロだ。 マミゾウは、魔理沙の冷静に対応により八方塞に陥った。 そこに救世主が現れた。東風谷早苗の乱入だ。 事態を自力で打開することがほぼ不可能だったマミゾウは、早苗の支給品に一筋の光明を見る。 化けることを本職とするマミゾウには、早苗の支給品の正体がよく分かった。 あれは封獣ぬえに由来する正体不明の種、その劣化版だ。見る者の欲を反映して、姿を変える魔術的効果を持つ。 ツキが回ってきた。 真実は、イングラム M870を支給されたマミゾウ、モスバーグM500を支給された魔理沙、正体不明の種を支給された早苗。 だが魔理沙から見れば、イングラム M870を支給された霊夢、モスバーグM500を支給された魔理沙、ウージーを支給された早苗の取り合わせだ。 悪魔的な偶然により、まるで仕組まれたとしか思えないような光景が、魔理沙の視界に出来上がってしまったのである。 いや偶然とは言い切れない、とマミゾウは考える。 正体不明の種は、認識の祖語、ディスコミュニケーションを誘発する類のバッドアイテムだ。 おそらく神奈子は、身内の早苗を冷遇するつもりで、支給品をあれにしたのだろう。 だが、実際に種の罠が発動してしまったのは早苗の自業自得だ。 正体不明の種は見る者の欲を反映する。きっと早苗の目にも、さぞかし強力な支給品に見えている事だろう。 だから早苗は、主催者を身内に持つ己の立場を弁え、支給品を放棄するべきだったのだ。 しかし、早苗はそうしなかった。薄汚いにもほどがある。もはや早苗に人情をかけてやる余地はない。 マミゾウは攻めに転じた。 まず、魔理沙の目の前で、早苗と神奈子の関係性を糾弾し、魔理沙の疑心を自分から早苗に誘導した。 早苗を恐喝して、支給品を提出させた。そして― ……いま、 「か、返してください!」 胸元に銃口を突き付けられた早苗が、目元を潤ませながら抗議してきた。「なんで、そんなものを奪うんですか!」 マミゾウは正体不明の種をポケットにしまった。 溜息をついて、早苗に蔑視を向けた。「あなた、神奈子の依怙贔屓の癖に生意気よ」 「ひ、ひどい…」 「さあ、この調子でオーブも出しなさい」 マミゾウは、横合いで静観している魔理沙のプレッシャーを感じながら、早苗を急かした。 ここで、早苗を撃ち殺して所持品を剥ぎ取ることは容易い。しかし、それだと今度は自分が魔理沙から逃げられない。 早苗には、まだまだ利用価値がある。「大丈夫、やれば出来るわ。ほら、頑張って。――さっさと、オーブを出しなさい!」 早苗は悲鳴とも弱音ともつかぬ声をあげて、振るえる手で、ポケットから二個のオーブを取り出した。 マミゾウはそれをひったくるように掴み、自分のズボンのポケットに入れた。 これで魔理沙から一個、早苗から二個のオーブを奪い、自分の二個と合わせて五個のオーブを手に入れた事になる。 この場から撤退さえ出来れば、中吉ガチャをいつでも回しに行けるのだ。心が奮い立つ。 マミゾウの残りわずかな体力を振り絞り、ズボンのポケットの中で、ストックしておいた葉っぱを偽物のオーブに化かした。 かろうじて、成功。 「はい、あんたの分け前よ」 マミゾウは、偽物のオーブを魔理沙の方に放り投げた。魔理沙は無言でオーブを受け取り、指でつまんで眉をしかめた。 「じゃ、ちょっと用を足してくるわ。魔理沙はここを見といて頂戴」 マミゾウは二人に背を向けて、森の草陰に歩きはじめた。己の重い足取りが心底じれったい。 能力を使えば、体力を消耗して、発汗する。 いまやマミゾウは、その汗を更なる能力行使で隠ぺいしているような状態で、もはや走るだけの余力もなかった。 そんなマミゾウの背中に、魔理沙の声がかかった。「おいおい、どこに行くんだ」 マミゾウは歩を止めた。背中越しにすら、突き付けられたショットガンの銃口と、魔理沙の笑みが感じられた。 サブマシンガンの銃身を右手で強く握り締める。仕掛けるならば、ここだ。 魔理沙が不敵に言葉を続ける。「もう少し、休んでから行けよ。だいぶ疲れたんじゃないか? だいぶな」 マミゾウの上半身から、すうっと血の気が引いた。どうやら、自分が泳がされたらしい。 この聡明な魔法使いは、マミゾウをより安全に仕留めるために、こちらが変化で体力を使い果たすまで様子見を決め込んだのだ。 マミゾウは、思わず苦笑いした。 「呆れた。最初から、何もかもお見通しだったってわけね」 「いやいや」魔理沙は言下に否定した。「お前の正体に勘付いたのは途中からだよ。早苗が来る少し前だ」 それなら、ほぼ最初からだ。 マミゾウは、澄んだ瞳で青空を見上げた。ここまで敵の術中に嵌ると、悔しいを通り越して、楽しくなってくる。 降参だ、とばかりに両手を挙げた。なるほど、霧雨魔理沙には敵わない。 だが、それでも最後に笑うのはこの私だ。「早苗、プレゼントじゃ」 勢いよく振りかざされたマミゾウの右手の先から、サブマシンガンがすっぽ抜けた。 魔理沙は、虚空に放られたサブマシンガンに身構えた。 だが、サブマシンガンは魔理沙の頭上を飛び越えて、その後ろで棒立ちしていた早苗の手元にぽとっと落ちた。 * * * 魔理沙は、弧を描いて舞ったサブマシンガンを銃口で追い、早苗に照準を合わせた。 ここで、魔理沙は、マミゾウの奇策を理解する。 早苗から奪った二個のオーブの内の一個は、本物かどうかは別として、既に魔理沙の手に譲られている。 つまり、早苗から見れば、魔理沙と霊夢モドキは共犯関係なのだ。 自分を敵と認識する存在が、目の前でマシンガンを手にしている以上、この照準を動かすことはできない。 "ポケット"にウージーを収めた疲労困憊のマミゾウより、こちらの方が遥かに危険なのだ。 だが、そういうしている内に、マミゾウは五個のオーブを抱えて背後の茂みの向こうに撤退していく。 このままでは逃げられてしまう。 ええい小手先だ、と焦った魔理沙は気炎を巻いた。いますぐに早苗を撃ち抜いて、返す刀でマミゾウを撃てば事足りる。 ショットガンの狙いを早苗の顔面に付けた。引き金に指をかける。 引けなかった。 直視した早苗の表情が、陰鬱なものに閉ざされていたからだ。 それで魔理沙は目が覚めた。論理的にではない、情緒的に己の間違いを悟ったのだ。 どんな経緯にしろ、友人にこんな顔をさせてはいけない。 魔理沙は、己の引き金に言い得のない重たさを感じた。 * * * フォークを霊夢に奪われた、と早苗は思っていた。 あのフォークにはゲーム上の価値がない。だが、早苗にとってはかけがえのない支給品だったのだ。 言うならば、本大会に賭けた自分の全ての実存が、あのフォークに集約されていた。 それを親友に、ゲーム的な合理性ではなく、純粋な悪意で奪われてしまった。 早苗は、暗い暗い絶望感に打ちひしがれていた。 弱音を吐けば、早苗はそもそも本大会に参加したくなかったのだ。 いま彼女がここにいるのは、主催者側の話題作りの出汁にされたからである。 原作『バトル・ロワイアル』を幻想郷に持ち込んだ元凶にして、主催者を身内に持つ不公平な参加者。 早苗は、大会を活気づけたかった共催者たちから、観衆のヒートを買う悪役としての役割を所望されていたのだ。 結局、神奈子が彼らの催促を安請け合いする形で早苗の参戦を決定し、こういう運びとなる。 だが、それは筋が違うだろうと早苗は思う。 神奈子を端を発する騒動の捌け口、というバトロワごっこの趣旨に照らせば、自分の立ち位置は神奈子の生贄も同然だ。 いや、神奈子からしてみれば、皆から求められたことに応じただけで、別に深い意味はなかったのだろう。 だが無神経すぎる。 貸した本を幻想郷中に出版し、他人のことを此度の事件の元凶にしておいて、その揚句にこれだ。 自分は、神奈子の人形ではない。少しはこちらの意見にも耳を貸したらどうなんだ。 神奈子に自身のエントリーを聞かされた夜、遂に早苗は神奈子に憤激した。初めて家族で殴り合いの喧嘩をした。負けた。 以来、本日に至るまで、早苗は神奈子とひと言も口を聞いていない。 諏訪子には負担をかけるが、軽々しく神奈子と仲直りしようとは思わない。 早苗は、口先の謝罪ではなく、神奈子のけじめを期待していた。 果たして、バトロワごっこ開催の二週間前に大会ルール規定の改正が急遽発表された。勝利条件の変更だ。 明言こそされていないが、これにより、大会進行役の打倒による複数参加者の勝利が可能となった。 これならば、早苗もフェアに勝負ができる。 早苗は、神奈子の意図を汲んだ。お互いに後腐れのないやり方で、正々堂々と対決しようというわけだ。 望むところだ。早苗は自我の独立を賭けて、本大会に参戦した。 だからこそ、ゲーム開始時にデイパックからフォークを見つけた時は、本当に嬉しかったのだ。 あのフォークは、神奈子が早苗のことを対等な対戦相手と認めてくれた証拠だった。 自分が本大会に挑むことの意味が、あれに集約されていた。 しかし、そのフォークを霊夢に奪われた。 無論、これはバトロワごっこだ。出会い頭に攻撃され、恫喝され、所持品を奪われることが織り込み済みのゲームだ。 たかだか支給品を取られたぐらいで憤慨するのが、お門違いであることは、早苗もよく分かっている。 だが、あれは違う。 霊夢は、早苗が神奈子の依怙贔屓だから手を組めないと言った。そして、ただ生意気だから難と癖をつけて、何の有用性もないフォークを強奪されたのだ。 なぜ此処まで酷いことをされたのか、早苗にも霊夢の真意は分からない。 だが、少なくとも、霊夢は神奈子の身内である早苗を信用されていないらしい。 隣で様子見を決め込んでいた魔理沙も同上だ。 神奈子と対抗するには仲間がいる。 早苗はゲーム開始当初から仲間を探す方針を固めていて、実のところ、この二人の親友を最も当てにしていたわけだが、完膚なきまでに裏切られてしまった。 初めから仲間を集めるなんて無理だったのだ、と早苗は悟る。 この二人ですら、自分のことを主催者の依怙贔屓と断じて、信用してくれなかったのだ。 他の参加者たちが、自分をどう思っているかなど論ずるまでもない。 どうやら、自分には主催者・神奈子の打倒は果たせないらしい。 だが、だからと通常の方法で勝利したところで、周囲からアンフェアのそしりを受けるだけだろう。 すると、自分は何にためにここにいるのだろうか? あの共催者たちが臨んだように、ただの見世物なのだろうか? それとも神奈子の人形か? そもそも、自分は何を愉悦として、本大会に参加したのだろうか… 早苗は、ふと手元に目を落とした。 先程までフォークを握り締めていた己の手は、いつの間にかイングラムM10サブマシンガンの銃身を握り締めていた。 それはまるで、自分の進むべき道を暗示するかのように― 【B-5・魔法の森・朝】 【東風谷早苗】 [状態] 健康、神経衰弱 残り体力(100/100) [装備] イングラムM10(残弾 29/32) [道具] オーブ×0、支給品一式 [思考・状況] 基本方針:スタンス未定 1.神奈子様と対等になりたい 2.通常の勝利条件は狙わない 3.主催者打倒は無理かもしれない 【B-5・魔法の森・朝】 【霧雨魔理沙】 [状態] 心身万全 残り体力(100/100) [装備] モスバーグM500(残弾 4/5) [道具] オーブ×1、支給品一式、モズバークの予備弾 12ケージ 1ダース [思考・状況] 基本方針:本大会に勝利して『願い事をかなえる権利』を手に入れる 1.早苗に言い得のない負い目を感じている 2.マミゾウを逃がしたくない 3.仲間が欲しい 【B-5・魔法の森・朝】 【二ッ岩マミゾウ】 [状態] 無傷、精神正常 残り体力(10/100) [装備] 得体の知れない種(正体不明の種の劣化版) ※見る者の欲を反映して姿見を変える魔術的効果を持ちます。ただしコピー元の効果は付加されません [道具] オーブ×5、支給品一式 、イングラムの予備弾倉×2(9x19mm パラベラム弾 32発) [思考・状況] 基本方針:狐と狸の長き戦いに、今日こそは蹴りを付ける! 1.ひとまず魔理沙と早苗のいるところから離れる。どこかで休みたい 2.中吉ガチャを回して、戦力を増強したい 3.他の参加者たちからオーブを簒奪して回る。情けはかけない 4.だが、義理のある命蓮寺の面々は例外 ※マミゾウは化けさせる程度の能力を持ちます。 自分が化ける場合、質量等に甚だしい違和感がなければ、声音や身振り等も正確に再現可能。コピー元の性質や能力は再現不可。能力制限による体力の消耗が激しく、連続して化けつづけると10分と保たずに過労死する。 他者や物を化かす場合、対象への接触が必要。質量等に甚だしい違和感がなければ、コピー元の姿見を完全にコピーできる。ただしコピー元の性質や能力は付加できない。また、化かすには多大な体力の消耗を必要する。コピー品はいずれ元の姿に戻る。
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狂気の果てに(後編) ◆MiRaiTlHUI ◆ まだ満足していない。 目的は、自分が頂点に立つ事。 それまで戦いをやめるつもりはないし、立ち止まるつもりもない。 頭の中で響く声は、執拗に「戦え」と告げるが、そんな事は云われるまでも無かった。 どうせこの高ぶりは、戦う事でしか押える事は出来ないのだから。 ◆ 今日という一日、既に何度も経験した事ではあるが、やはり誰も居ない市街地は寂しい。 いつだって割と賑やかな生活を送って居た翔一にとっては、乾いた靴の音しか聞こえないこの空間は異質であった。 だが、だからと言って立ち止まる訳でもなく。次の犠牲者が出る前に、何としてでもあのアギトの男を見付けねばならないのだ。 翔一の足も、自然と走るか早歩きかのどちらかになっていた。 病院から出て、何分くらいの時間が経過しただろう。 恐らく、それ程の時間は経って居ない様に思う。 頭を掻き毟りながら、翔一は呟いた。 「ああもう、どっちに行っちゃったかなぁ、あの人」 「こうなったのは自分の責任でもある。もう少し焦ったらどうだ」 「え、そう見えちゃいます……? これでも俺、結構焦ってるんだけどなぁ」 「悪いがお前が言う程焦っている様には見えないな」 キバットの言葉に、翔一は歩を速めながらうーんと唸る。 どうやら彼の目には、翔一は今それ程焦って居る様に見えないらしいのだ。 これでも内心では結構焦って居る方だし、一刻も早く見付けたいと思っている。 元来の明るさと軽妙さ故のあらぬ誤解だった。 「焦ったからって、俺がやるべき事を見失いやしません。やらなきゃいけない事は解ってるんですから」 「そうか……。だとするなら、お前は俺が思っていたよりも強い人間なのかもしれないな」 「ええ。こう見えて俺、結構強いんですよ。アンノウンだって沢山やっつけましたし」 「……そういう強さの話をしてるんじゃない」 「えっ、そうなんですか?」 「お前と話していると疲れる」 「はははは、良く言われます」 白い歯を見せて、にっかりと笑って見せる。 本当は笑って居られる状況などではないが、だからと言って場の空気を暗くするつもりもなかった。 戦う時が来れば、確固たる覚悟を持って戦うつもりだ。だが、そうでない時はせめて、笑顔で居たい。 だから無口なキバットが相手であっても、自らのペースは乱さずに居たいと願うのであった。 それが津上翔一という人間の在り方だし、そこに間違いがあるなんて思ってもいない。 不意に翔一が顔を上げた。 元の世界に居た時は、アンノウンが行動を起こせばそれを察知する事が出来た。 それと同じ能力がここでも使える訳ではないが、それでも起こった戦闘を察知する事は出来る。 静謐である筈の市街地内で響き渡る、金属音の応酬と、気味の悪い狂った嗤い声。 アギトであるが故か、いち早くそれを察知した翔一は、全速力で駆け出した。 「おい、どうした翔一!」 「誰かが戦ってます! もしかしたら、あのアギトの人かもしれません!」 「俺にはそんな音は聞こえなかったぞ」 「俺には解るんです。俺、これでもアギトなんで」 「ほう……それがお前が言っていた、アギトの持つ超能力とやらか」 「いや、今回はそういう訳じゃないですけど……まあ、そういう事でもいいです」 たまたま翔一にだけ戦闘音が聞こえてしまったのだとしたら、単純な話だ。 だが、仮にこれがアギトの超人的な五感によるものだとしたら、超能力と言っても差し支えない。 翔一自身、アギトの力については完璧に理解している訳ではないのだから、説明が出来る訳も無かった。 とりあえず、翔一にとってのアギトは「人が進化していく無限の可能性」なのである。 それだけで十分だし、翔一だってそれ以上解明しようとも思わない。 少なくとも自分にアギトの力があるのだから、自分は自分に出来る事をする。 アギトの未来を否定する奴らが相手ならそいつらを倒すし、助けを求める声があれば助けに行く。 アギトである以前に、それが津上翔一という人間だった。 暫く走った所で、翔一は戦場となった市街地に辿り付いた。 襲われて居るのは、翔一も良く知る小沢と、見知らぬ赤い戦士。 襲っているのは、翔一の目の前で緑の戦士の変身を解いた――あのアギトの男だった。 そして、考えるよりも先に両者の間に割り込もうとした翔一の耳朶を叩いたのは、小沢の言葉。 「城戸君! そいつは人じゃないわ……未確認よ!」 それを聞いた途端、翔一の足が止まった。 彼女が何を言っているのか、理解出来なかったのだ。 だってそうだろう。あの人はアギトで、その力に苦しんでいる被害者では無かったのか。 誰があの人を、既に滅んだ筈の未確認生命体だなどと思うだろう。 思考が混濁する。色々と思う事があるが、今は目の前の状況を変えるのが先だ。 アギトだと思っていた人は、小沢達をその手に掛けようと、肉食獣の化け物に変化した。 それを見るや、面倒な考え事は全て吹き飛んで、翔一は戦場へと飛び出していった。 小沢と、赤い龍のアギト(?)と、野獣の未確認の間に割り込み、 「小沢さん! この人が未確認って、本当ですか!」 「津上君!? ええ、そいつは未確認生命体B-2号よ!」 現状を確認する。 小沢が信頼に足る人間だと言う事は既に知って居るし、それを疑うつもりもない。 つい今し方まで、自分がアギトだと思って助けていた男は、アギトではなかったのだ。 それはかつて無作為に、或いは規則的なルールに従って、大勢の人間の命を奪った未確認生命体。 アンノウンがアギトの未来を奪うのと同様に、未確認が誰かの未来を奪う事も、翔一は許せない。 アギトだから殺すとか、ただのゲーム感覚だとか、そういう違いはあるが、その根底は変わらないのだ。 理不尽な暴力で、平和に暮らしていた誰かの未来が奪われるのを、翔一は絶対に許すつもりはない。 不意に、滅茶苦茶に破壊された赤いジャケットの男の遺体が視界に入った。 「小沢さん、あの人は、まさか……」 「……B-2号に殺されたのよ。私達が来た時には、もう……」 瞬間、翔一の表情が激変した。 今までの明るい表情とは比べ物にならない程の険しい表情。 背中を向けた小沢やキバットに、それが見られなかったのはせめてもの救いだろうか。 何はともあれ、これで病院で死んだ人と、赤いジャケットの人が、奴に殺された事が発覚した。 押し寄せて来るのは、激しい後悔。人を信じたい……そんな願いが生んだ悲劇。 それを改めるつもりはないが、それでも自分の行動によって人が死んだのだ。 重たい重圧が、翔一の心を押し潰さんと迫る。 「翔一」 「解ってる、キバット」 その声に、今までの軽妙さなどは皆無だった。 重たく鋭い声が、視線が、目の前の獣の未確認に向かって放たれる。 翔一の腹部で発生した小さな金の竜巻は、そのまま金色のベルトへと変わった。 オルタリングが、翔一の心に従い、変身の輝きを放つ。 いつも通りのポーズを取った後、翔一は高らかに叫んだ。 「変身ッ!!!」 ベルトとなったオルタリングの両脇を、勢いよく叩いた。 黄金の輝きが、オルタフォースとなって翔一の身体を包み込む。 赤い二つの複眼に、雄々しく聳える龍の冠。金の装甲に身を包んだ翔一は、アギトへと変じていた。 金のアギトとなった翔一を見るや、未確認は狂った様な嗤いを上げる。 「ゴラゲロ、ボソグ! ボソギデジャス、クウガ!(お前も、殺す! 殺してやる、クウガ!)」 「こうなったのは俺の責任です。あいつは、俺が倒します!」 出来る事なら、アギトとして救いたかった。 だけど、奴が人の命を奪う未確認であるのなら、話は別だ。 悔いる事は後でいくらでも出来る。今はまず、この未確認を倒さねばならない。 それは、翔一が普段アンノウンと戦う事と何ら変わりのない、アギトと異形との戦いだった。 数瞬ののち、スミロドンとアギトが、同時にアスファルトを蹴った。 アギトとしてアンノウンと戦い抜いた翔一の技量は、先の二人とは比べ物にならない。 その肉を引き裂こうと突き出された強靭な腕を片腕でいなし、カウンターの拳を叩き込む。 しかしそれは、今や究極の片鱗を見た敵には蚊程のダメージすらも与えられない。 その拳を減り込ませたまま、スミロドンの強烈な蹴りがアギトの胴を抉った。 アスファルトを転がりながら、これが未確認の力か、思う。 まだ一合しかしていないが、こいつは並のアンノウンとはレベルが違う。 それこそ、エルロードと同等くらいの力は持っているかもしれないと思う程。 野獣は一瞬の動きで転がるアギトに急迫し、巨大な腕でその頭を掴み上げた。 そのまま近場のビルの壁まで飛び付き、アギトの身体をコンクリートの壁に叩き付ける。 圧倒的な怪力だった。どごん! と轟音が響いたかと思えば、コンクリートに亀裂が入る。 強烈な物理ダメージを受けたアギトが、声にならない嗚咽を漏らした。 「ボンゾボゴ、ボソギデシャス、クウガッ!!(今度こそ、殺してやる、クウガッ!!)」 「ぐっ……このっ――」 「ゲェァァアハハハハハハハハハハァッ!!」 巨大な腕に仮面ごと鷲掴みにされたアギトは、そのまま何度も頭を壁に叩き付けられる。 未確認生命体の圧倒的なまでの怪力で以て行われる暴力は、流石のアギトでも堪える。 強烈な連続の打撃に、意識が飛びかけたその時だった。 「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――!!」 咆哮が響いたかと思えば、赤い龍がスミロドンの身体を弾き飛ばしていた。 その場でずるりと崩れ落ちたアギトの身体を、赤い龍のアギト(龍騎)が支えてくれる。 何とか立ち上がったアギトは、龍騎に一言礼を告げた。 「ありがとうございます、貴方は?」 「ああ、俺は城戸真司、小沢さんの仲間だ! あんたこそ大丈夫かよ!?」 「ええ……大丈夫、です。俺、もっとキツい戦いも……戦い抜いて来たんで」 龍騎の腕から離れたアギトが、戦況を確認する。 どうやらあの赤い龍は、龍騎の手によって呼び出された仲間らしい。 空を自由に飛び回る赤龍には、流石のスミロドンもペースを乱されている様だった。 得意の脚力で跳び回ろうにも、常に空を舞い、自由自在に尻尾の刀をぶつけて来る相手にはどうにも出来ない。 次第にスミロドンも龍の動きに追い付く様になっているようだが、それでもこれはチャンスだ。 「城戸さん、貴方は小沢さんの方をお願いします」 「おう、任せろ! ……って、あんた一人であの化け物に勝てんのかよ!?」 「だから俺、こう見えても結構強いんですって。まだ見せて無い“とっておき”もあるんですから」 「マジかよ……! あいつに勝てる保証は!?」 「マジです。勝てる保証は無い……っていうか、証明出来ませんけど、勝ちます」 「……わかったよ! 小沢さんは俺が守るから、あいつはあんたに任せていいんだな!?」 「はい、もう大船に乗ったつもりで居てくれて大丈夫です」 相手を安心させようと、軽妙な口調で告げる。 アギトの言葉を受けた龍騎は、わかったと告げて、小沢の元へと走り出した。 これで後顧の憂いは断ち切った。あの人なら、多分小沢さんを守り抜いてくれる。 この殺し合いの場では、力を持たない人間は何処に居たって危険なのだ。 それを考えれば、あの人に守りを任せたのは、現状で最も安全を確保出来る手段である。 すぐに体勢を立て直したアギトは、赤い龍と戦うスミロドンの元へと駆け出した。 「ビダバ、クウガ!(来たか、クウガ!)」 赤い龍の尻尾を回避し、そのまま飛び上がったスミロドンは、龍の背部にその巨大な爪を突き刺した。 長い体躯を悶絶させながら、鼓膜を震わす絶叫を響かせる。そして、次の瞬間には龍の姿が掻き消えた。 会場に掛けられたモンスターの時間制限を超過したのだ。当然、アギトにそれを知る術は無いが。 何はともあれ、これで再びスミロドンとアギトの一対一の戦いであった。 「俺、貴方の事を信じたかったです。でも、貴方を放っておけば、またああやって人を殺す」 「ゴセグ、ドグギダ! ゴラゲロ、ボソギデジャスジョ!(それが、どうした! お前も、殺してやるよ!)」 「何言ってんのか、さっぱり分かんないですけど――」 一瞬で間合いを詰めて来たスミロドンの爪を回避し、逆にアギトがアッパーを叩き込んだ。 カウンターだ。スミロドンの強靭な腹筋に、アギトの拳がめきりと音を立てて減り込んだ。 次いで、右脚のハイキックから左脚のハイキック。連続でスミロドンの頭を蹴り飛ばし、そのまま後方へと吹っ飛ばす。 しかしそんなもので大した致命傷を与えられはしない。すぐに立ち上がったスミロドンに対し、アギトは構えを取った。 「――お前が人の命を奪うっていうなら、俺がお前を倒す!」 重く鋭い口調で、ハッキリとそう宣言した。 そして同時に、翔一の中に残って居た「人に対する喋り方」も消え去った。 もうこれ以上、病院で死んだ人や、あの赤いジャケットの人の様な犠牲を出さない為にも。 津上翔一という一人の人間の中で、人としての義憤が、絶対的な怒りの炎となって燃え上る。 こいつは、アンノウンよりも性質(タチ)の悪い悪魔だ。見境なしに人を殺す、最悪の敵だ。 ならば自分は、アギトとして、人の命を守る為に戦って見せる。 それがアギトとして覚醒した自分に課された使命でもあるのだ。 それを再確認した時、心の炎はアギトの身体にまで燃え広がる。 オルタリングの輝きが黄金から紫に変わると同時、全身を灼熱の炎が覆った。 そして、それは一瞬。すぐに炎の中から、新たな姿を得たアギトが現れる。 当然、未確認にとっては初めて見る姿だ。目の前の敵が驚いているのが、手に取る様に解る。 赤かったアギトの複眼は明るい黄色に。 金色だった冠は赤く、常時クロスホーンを展開した状態に。 上半身の筋肉組織は溶岩の如き熱量を放出しながら、更なる分厚さを体現する。 燃え盛る業炎の姿。それが翔一が変じた、更なる進化を遂げたアギトの姿であった。 それを見て何を思ったのか、スミロドンは狂った嗤いを上げながら飛び込んで来る。 次の瞬間には、再び二人の拳が交差した。 巨大な爪を持つ強靭な腕と、燃え盛る溶岩の如き腕が絡み合う。 スミロドン放った拳を、アギトの腕が絡め取ったのだ。 すぐにスミロドンは腕を引き、一瞬の内にもう一度爪を突き出す。 その速度は並大抵ではない。スピードに劣るバーニングフォームでは完全に追い付くのは不可能だった。 スミロドンの爪がアギトの溶岩の装甲に向けて振り下ろされ――その一撃を、まともに受ける。 究極の一片を垣間見たスミロドンの力は相当。アギトの装甲を以てしても、翔一へのダメージは免れない。 一瞬だけよろけそうになった足元を、それでも踏ん張って、アギトはその腕をがっしと掴んだ。 「――ッ!?」 これで逃げ道はない。絶好の好機だ――! 右腕を思いきり振りかぶり、その赤の拳に、灼熱の炎を纏わせる。 それは、どんな強力なアンノウンをも打ち砕いて来た、必殺の炎の拳。 燃え盛る灼熱が、ゴゴゴと音を立てて、周囲の空気を燃やし尽くさんと唸りを上げる。 そして数瞬の後。 「ハアアッ!!!」 どごん! と、強烈な破壊音が響き渡る。 炎の砲弾となったアギトの拳が、スミロドンの胸部を抉ったのだ。 次いで、拳を叩き込んだ箇所から、膨大な熱量を持ったフレアが噴き出した。 撒き散らされた灼熱の炎を浴びて、アギトの筋肉の亀裂からは更なる炎が溢れ出る。 微動だにしないアギトをよそに、スミロドンは数メートル後方まで一気に吹っ飛ばされていた。 ◆ ようやく宿敵と出会えたのだ。 我らの一族を狩る、怨敵が目の前に居るのだ。 ならばどうして止まっていられよう。 例え変身する手段が尽きたとしても、倒すのだ。 例えこの身が朽ち果ててでも、倒さねばならない敵がそこには居るのだ。 ――或いは、“彼が”そんな事を考える様になった時点で、既に異常だったのかもしれない。 ◆ 戦いが終わっても、市街地から喧騒は消えなかった。 金属音や、怒号が聞こえる訳ではない。ただ、異常な声だけが響いていた。 男は黒いコートを脱ぎ棄てて、屈強な筋肉を夕日に晒す。 足元で砕けた金色のガイアメモリを踏み躙って、獣の如き息遣いで唸った。 剥き出しになった瞳は真っ直ぐに灼熱のアギトを捉え、 「キヒヒヒヒヒ、ヒヒハハハハ、キッヒッヒヒヒャハハハハ――」 未確認は、人の姿を晒して尚も嗤い続けていた。 その光景を見ているだけでも不愉快だと、小沢澄子は思う。 やはり未確認生命体は、決して解り合う事のない、人類全体の明確な敵だ。 奴は多分、まだ自分が戦いに敗れたなどとは思っていない。 まだ戦える。まだ殺せる。そう言わんばかりに、嗤いを止めないのだ。 「あ、あれっ!?」 次に声を発したのは、アギトだった。 未確認の男と相対するアギトが、その変身を解除したのだ。 否。解除したと言うよりも、身体を覆う灼熱が、勝手に抜け落ちたと言うべきか。 それもこの会場に掛けられた変身制限によるものだろうが、今はタイミングが悪すぎる。 人間としての姿を晒す津上翔一は、最早戦う力などは持たない一般人同然なのだ。 狼狽した様子の津上翔一に、未確認の男は一足跳びに跳び掛かった。 「クウガッ! クウガァァァッ!」 「な……っ!?」 飛び込んだ未確認の男が、翔一の首を掴んで、持ち上げる。 その腕に力を込めて、ギリギリと締め上げ――翔一の命を奪わんとする。 流石に戦闘直後、しかも完全な不意打ちとあっては、翔一も十全たる力は発揮できない。 苦痛に悶えながら、何とか未確認の腕から逃れようと、何度も男の身体を蹴る。 「城戸君!」 「駄目だ、俺ももう変身出来ない!」 見れば、城戸真司も既に龍騎の変身を解除されていた。 こっちも制限による強制変身解除が訪れたのだろうと判断するや、心中で舌を打つ。 後から変身したアギトと殆ど同じタイミングでの変身解除というのが些か不可解だが。 何はともあれ、龍騎に変身出来ない真司などは、最早自分と同じ完全な一般人だ。 恐らく肉弾戦でも一般人よりも圧倒的に強いであろう未確認には太刀打ち出来まい。 ならばどうする。今まさに散らんとしている翔一を救う手段は―― 「小沢さん!?」 「私が、奴を仕留めるわ」 両手で拳銃を構え、狙いをしっかりと未確認へ定める。 この銃に込められた神経断裂弾は、未確認生命体を排除する為のもの。 全身に張り巡らされた神経を強制的に断裂させ、生命維持を不可能にする必殺の道具だ。 残念ながらアンノウンにそれが通用する事は無かったが、目の前のあいつはアンノウンではない。 ならばこの武器の使い時は、今を置いて他には無い。 足腰を踏ん張らせ、寸分の違いなく狙いを付ける。 そして。 ――ばぁん。 一発目の銃弾は、狙いを大きく逸れた。 未確認の肩に命中したそれは、貫通までとは至らなかった。 さが、肩口で止まった銃弾は、それでも未確認にとっては致命傷。 よく見れば、今までの戦いの影響か、未確認の身体は元々傷だらけだ。 本来ならば、戦い続ける事自体が難しいくらいの状況である筈なのだ。 「ウ、グゥッ……リントグッ……!(リントがッ……!)」 呻きと共に呟いた言葉に、小沢は戦慄すら覚えた。 剥き出しになった未確認の瞳が、ぎょろりとこちらを睨んだのだ。 先程までの戦闘での圧倒的な力量差もあって、それは確かな恐怖心となって小沢の枷となる。 だが、しかし。 「津上君、そいつから離れなさい!」 「うっ……は、はい!」 腕の力が弱った未確認の身体を、翔一の爪先が思いきり蹴飛ばした。 最早虫の息となった未確認は、堪らず翔一の首から手を離す。 翔一は自らの首を押さえ、咳込みながらも小沢の元へと駆けよった。 そうだ。例え相手がどんなに恐ろしい敵であろうと、自分達は今まで恐れず立ち向かって来たのだ。 同じ参加者とは言え、相手が未確認生命体で、見境なしに誰かを殺すのなら、小沢の中に容赦という言葉はあり得ない。 スミロドンに防がれた一発と、今し方放った一発を考えるなら、残った弾丸は四発だ。 四発あれば、確実に未確認を仕留める事が出来る筈だ。 ――ばん、ばん、ばん。 三発連続で放たれた弾丸は、それぞれが未確認の身体に命中する。 実践的な拳銃の扱いとなれば、小沢は素人に等しい。 それ故、発射の反動と、コルトパイソンの扱いにくさ故、上手く心臓を射る事は叶わない。 一発は脇腹を掠める様に命中し、二発目は胸部の筋肉に。三発目は鎖骨の周辺に命中した。 命中した箇所から真っ赤な血を垂れ流しながらも、未確認は進む。 こちらへ向かって、一歩、一歩と、その歩みは止まらない。 「キヒッ……ヒヒ、ハハハハ……リントグッ……ボソグ、ボソ、ギ……デ、ジャス! (リントがッ……殺す、殺、し……て、やる!)」 真司はもう、見て居られないとばかりに視線を逸らしていた。 翔一は、辛い現実を見る様に、眉を顰め、神妙な面持ちで僅かに俯く。 例え人を殺す化け物とは言え、敵が人の姿をしている以上は、そこに良心の呵責が生まれる。 心優しい二人には、嬲り殺しも同然となった未確認生命体を、真っ直ぐに見る事が出来ないのだろう。 人としては、それが普通だ。こうしている自分だって、不愉快極まりないのだから。 だけど、警察官として、人間として、こいつを見逃す事は、もっと出来ない。 だから。 「もう、いいでしょう」 ――ばぁん。 最後の一発は、未確認の腹部に命中した。 一瞬だけ痙攣した未確認は、その場でばたりと倒れ込んだ。 ◆ 全身から、血の気が引いて行く。 これが死ぬ、という事なのだろうか。 嫌だ。死にたくない。折角力を手に入れたのに―― 折角この力で、思う存分他者を蹂躙出来ると思ったのに。 「リントッ……クウガ……ッ!」 ズ・ゴオマ・グが最後に見たのは三人のリントだった。 忌々しく小賢しい技術力で、我らグロンギに楯突いたリントと。 少し姿は違うが、我らグロンギを愚弄する宿敵、クウガに変じるリント。 嗚呼、殺したい。忌々しい奴らを、この手でブチ殺してやりたい。 眼前の三人に向け、その腕をゆっくりと伸ばすが―― 伸ばされた腕は、誰にも届く事無く地へと堕ちた。 「ボソ、グ……クウ、ガ……ァ」 狂人は、霞みゆく視界の中で、クウガの男へ呪詛の言葉を吐き出した。 彼が宿敵クウガなどではないという事を、ついぞ最後まで知る事はなく。 それが、理性を失い狂い果てた男の最期だった。 ◆ 三人の間に、言葉は無かった。 勝利したと言うのに、こんなにも気持ちが悪いのは初めてだと思う。 津上翔一も、城戸真司も、小沢澄子も、各々に形容しがたい不快感を噛み締めて。 それでも生き抜いて行かねばならないのが、バトルロワイアルの非情さ。 小沢が未確認の男が持って居たデイバッグを拾い上げ、言った。 「行きましょう。結構派手に戦ったし、ここもすぐに人が集まって来るかも知れないわ」 「小沢さん……俺、さっきは戦うって言ったけど、やっぱりこんなのって……」 城戸真司は、今にも泣き出しそうな顔だった。 怪人の姿をしたまま敵を倒せていたならばまだしも、あの男の最期は、あまりにも人らしかった。 それも、最後の最期まで執着を見せつけ、憎しみに囚われたまま逝く姿など、人としては最悪の死に様だ。 人ならざる未確認を最期の瞬間に人たらしめたのは、人だけが持つ、剥き出しにされた醜悪な感情だったのだから。 それが真司という心優しい人間の心に、一体どれだけの影を落としたのかなど、小沢には計り知れない。 だが、それでもここで立ち止まっている訳には行かないのだ。 自分達は、生き残ってこの殺し合いを打破せねばならないのだから。 「今は無理に元気を出せとは言わないわ。でも、ここで立ち止まって居ても仕方ないのよ」 デイバッグを抱えて歩き出した小沢の後を、二人の男が追随する。 翔一は翔一で何か思う事があるらしく、嫌に元気が無い様子だった。 これは立ち直るまで、何処かで休憩をした方がいいかもしれない。 それに、出来るならここに居る三人の間での情報の共有も済ませておきたい。 その為にも、まずは休める場所を探す事にしようと、小沢は判断したのだった。 【1日目 夕方】 【E-2 住宅街】 【城戸真司@仮面ライダー龍騎】 【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後 【状態】健康、疲労(中)、罪悪感、仮面ライダー龍騎に二時間変身不可 【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎 【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎 【思考・状況】 基本行動方針:打倒大ショッカー、絶対に戦いを止める。 0:人の死による不快感 1:今は小沢に着いて行く 2:ヒビキが心配 3:蓮、霧島、北岡にアビスのことを伝える 【備考】 ※支給品のトランプを使えるライダーが居る事に気付きました。 ※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解しています。 ※アギトの世界について認識しました。 【小沢澄子@仮面ライダーアギト】 【時間軸】本編終盤(第46話終了後以降) 【状態】健康、疲労(中)、不快感、仮面ライダーアビスに二時間変身不可 【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾(弾数0)@仮面ライダークウガ、アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド 【道具】支給品一式×4、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA~10、ハート7~K、スペードの7,8,10~K)@仮面ライダー剣 ゴオマの不明支給品0~1、三原の不明支給品(0~1) 【思考・状況】 基本行動方針:打倒大ショッカー、殺し合いを止める。 1:今は休める場所を探し、二人を落ち着かせる 2:真司と翔一の二人と情報の共有を図りたい 3:何故後から変身したアギトが龍騎と同じタイミングで変身解除されたのか……? 【備考】 ※真司の支給品のトランプを使うライダーが居る事に気付きました。 ※龍騎の世界について大まかに把握しました。 【津上翔一@仮面ライダーアギト】 【時間軸】本編終了後 【状態】健康、疲労(中)、罪悪感、仮面ライダーアギトに二時間変身不可 【装備】なし 【道具】支給品一式、コックコート@仮面ライダーアギト、ケータロス@仮面ライダー電王、 ふうと君キーホルダー@仮面ライダーW、キバットバットⅡ世@仮面ライダーキバ、医療箱@現実 【思考・状況】 基本行動方針:打倒大ショッカー、殺し合いはさせない。 0:自分の行動がゴオマの殺人に繋がった事による罪悪感 1:今は小沢さんに着いて行く 2:落ち着いたら、小沢さんや城戸さんと情報交換がしたい 3:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触 4:木野さんと会ったらどうしよう? 5:何故突然変身を解除されたのだろう? 【備考】 ※ふうと君キーホルダーはデイバッグに取り付けられています。 ※響鬼の世界についての基本的な情報を得ました。 ※医療箱の中には、飲み薬、塗り薬、抗生物質、包帯、消毒薬、ギブスと様々な道具が入っています。 【全体備考】 ※スミロドンメモリはバーニングライダーパンチによってブレイクされました。 ※ズ・ゴオマ・グの遺体はE-2 住宅街に放置されています。 ※ズ・ゴオマ・グの遺体には、ダグバのバックルの欠片が埋め込まれたままです。 【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ 死亡確認】 残り43人 062 狂気の果てに(前編) 投下順 063 草加雅人 の 仮面 062 狂気の果てに(前編) 時系列順 063 草加雅人 の 仮面 062 狂気の果てに(前編) 津上翔一 064 いつも心に太陽を(前編) 062 狂気の果てに(前編) ズ・ゴオマ・グ GAME OVER 062 狂気の果てに(前編) 城戸真司 064 いつも心に太陽を(前編) 062 狂気の果てに(前編) 小沢澄子 064 いつも心に太陽を(前編)
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演劇発表会『茨姫』 演劇発表会、当日 ステージには緊張の面持ちで全員が最終チェックを行っている。 特にあの脅迫状が届いた後だ。気をつけるに越したことはない。 実際に何度も意図的に傷つけられた物品があったため、その緊張感はただならぬものがあった。 「集合!」 迫の言葉に従い、舞台に立つ者、裏で働く者、全員がステージ裏に集まる。 迫は全員を一度大きく見回し、語りかける。 「いよいよ本番だ。みんな良くここまで練習について来てくれた」 一旦言葉を区切り、全員の顔を見回す。 「本来演劇部ではない人も含め、演技には相当無理な要求をした。 舞台装置にも無茶な要望を出した。だが、皆はそれに答えてくれた!」 もう一度、言葉を飲みこみ、もう一度全員を見る。 「――だから言える。この舞台は必ず成功する、と」 その言葉に、全員が静かに、しかし力強く頷いた。 迫もまた、全員に頷き返し、大きく息を吸う。 「さあ、一年にとっては初舞台だ。気負わず全力を出してこい!! 全員一丸となって、この舞台をやり切るぞ!」 そして迫は握り拳を天へと掲げる。 自然、全員が天に拳を掲げる。 「さあ、やるぞ!」 「はい!」「YES!」「おう!」「うっしゃー!」「いやっふー!!」 それぞれがはっきりと声を出し、迫の言葉に答える。 ――舞台『茨姫』がいよいよ始まった。 * * * 「始まったみたいだな」 『そうだな……妨害があるとしたら、そろそろか?』 「ああ、間違いないな」 電話越しに話すは台と那賀の二人。今、台、那賀、省の三人は別々の場所に陣取り、待機している。 敵の情報ほぼ全て握っている。さらには敵の作戦を逆手に取った対策を行っている。 後は実行するだけだった。 敵の作戦に合わせて別々に陣取り、演劇の邪魔をさせない。それが今回の作戦の目的。 そのためにしなければならないことは、まず、この舞台に敵を入れないこと。 そして、静かに、速やかに、敵を無力化することだった。 『そう言えば、ととろはそこにいるのか?』 「いや、いない。奴らの依頼主であり、脅迫主がいそうなポイントを何か所か指定した。いまはそこを回ってもらっている」 『なるほど』 那賀の疑問に台はあっさり答える。 今頃ととろは、全力でそのポイントへ向かい走っているはずだった。 那賀は、その回答に納得の言葉で返すと、言葉を続ける。 『なら隠すことなくいえるな』 「なにをだ?」 『お前も大概素直じゃないな、ってことだ』 「……なんだと?」 那賀の言葉に台が不審そうに聞き返す。 『わざわざ"自分の作品を壊されたくない"とかいいやがって。 素直にこの舞台を成功させたいといえばいいじゃないか』 「はっ! 俺はあくまで俺の作品を壊されるのが腹立つだけだ」 その言葉に鼻で笑うが、那賀の言葉は終わらない。 『馬鹿いえ、お前はそんな玉じゃねぇだろうが?』 「……」 台の言葉の嘘をあっさり看破した那賀の言葉に台は黙りこむ。 『理由は、やはりあいつか? この茨姫を皆とやりたかったあいつのためか?』 「……かもな」 『やはりか』 曖昧に濁す台の言葉に、那賀は断定で持って応対する。 ――数秒の沈黙。 「あいつは、なんで俺なんかに構ったんだろうな。演劇するには邪魔でしかないはずなのにな……」 『一年の時はお前、今以上に荒れていたらしいじゃないか。よくもまぁお前に近づく気になったもんだ』 「本当だな。あいつはいくら"おせっかい"だからってなぁ。 俺がリーゼントにすれば、引いて離れると思ってこの髪形にしたのに――」 『結局関係なかったと』 「余計色々言われただけだったな。あの説教は今でも頭に残ってる。延々と四時間だぞ。 こっちも意固地になってこの髪形を続けたがな」 『単純で浅はかだな。お前も』 「まぁ、馬鹿だからな俺たちは。自分で勝手に茨の城へとこもる程度には馬鹿野郎だ」 『違いない』 二人して忍び笑いを浮かべる。 「まったく、あいつしかり、鈴絵しかり、どうしようもなく駄目な俺達に構って来るやつがいるのは不思議だ」 『全くだ。普通なら避ける物だろうし、実際大多数はそうなんだが、残る少数が奇特過ぎる。 どうしてこうなった、と思うぞ』 そして、数秒の沈黙。 『ま、そんなおせっかいな連中が始めた演劇だ。こんなしょうもない事で駄目になったら腹が立つ』 「全くだ。だからこそ俺たちがすることは決まっているな」 『だな。だからここにいるわけだ』 それ以上の言葉は続かない。遠くでは、ブザーがなり、舞台が開く音がする。 『……待ち人が来たようだ。後はよろしく』 「ああ、どうやらこちらもきたようだ」 携帯電話を切り。台はガクランのポケットにねじ込む。 そして見つけた目標に視線を定め、するすると近づいて行った。 * * * 「ある国に中々子供のできない 王さまと お妃さま がおりました」 真っ暗になった舞台。今年も観客で完全に埋まった席も静かに聞いている。 朗々と読み上げるは迫。それは物語の始まりの声。 「あるとき お妃さまに女の子が生まれました。 王さまは 大喜びでパーティーを行うことにしました」 「王さまは、友達も、知り合いも、親せきも、たくさん呼んでお祝いすることにしました」 「その中にはその国に住む、7人の魔女も呼ばれていました」 まるで子供に聞かせるための口調。その言葉が途切れた時、舞台の上で動きがあった。 真っ暗な舞台に光が灯り始める。少しづつ明るくなるそこには絢爛豪華なホールがあった。 様々なドレスに着飾った人々が思い思いに雑談をしている。 王座に座るは王さまであり、お妃さまに抱かれた女の子も隣に座っていた。 7人の魔女に扮した霧崎、河内静奈、神柚鈴絵、秋月京、 真田アリス、ロニコ・ブラックマン、後鬼閑花 もそれぞれのドレスを着飾っている。 これは宴の場面。そこが物語の始まりだった。 数分にわたる雑談、多くは子供を誉めたたえ、国の発展を祝う言葉。 そこに一瞬のフラッシュが焚かれ、観客は、その一瞬の眩しさに目を細める。 観客の目が慣れる頃、そこまでいなかった最後の魔女――真田ウェルチがホールの中央に忽然と現れていた。 ウェルチはドレスの裾を上げ、ダンッ! とフローリングへ打ち付ける。 ホールはそれまでの雑多な雰囲気が一掃され、奇妙な静寂が残った。 「まったく……なんで私を仲間外れにするのかねぇ」 その言葉に王さま役の西郷猛は慌てふためき王座から駆け降りる。 そして最後の魔女に深く一礼をする。 「いや、これは申し訳ないことをした。今すぐ用意をしますのでお許しください」 「そうかね。なら期待しとくよ」 すぐさま、駆け寄るメイド服を着た少女――武政千鶴がやってくる。 「魔女さま、どうぞ」 その手に食器を乗せ、ウェルチへと渡す。踵を返すとメイド服をきた千鶴はそのまま舞台から歩き去る。 しかし、その食器は他の7人の魔女の純金の食器と違い、銀製の食器でしかなかった。 純金の食器は7人分しかないため、王さまとしてはそうせざるを得ない。 最後の魔女はその食器と他の魔女の見比べ、ため息を吐く。 「これは私を馬鹿にしているのかねぇ」 その言葉を聞いた、一人の魔女――真田アリスはすっと物陰に動く。 舞台の人間はその動きに気付いていないように演技し、観客もまたその動きに気付かない。 そして、舞台の上では魔女たちによる贈り物が始まった。 * * * 「さーて。ここから入って、あの馬鹿でかい板をぶっ倒せばいいんだな」 「これで一人20万なんだからボロイよな」 「違いねぇ。金持ってるやつは何を考えてるかわからんな」 こそこそと裏から中に入ろうとするチンピラが三人。 相談をしながら、静かに歩く。 「さて行きます――」 そのチンピラリーダーっぽい男の言葉は最後まで続かない。 顎に不意に掌打を当てられ、一瞬で脳しんとうを起こし、崩れ落ちる。 「なっ!」 「ば――」 一人の男が倒れたことで、残る二人は小柄な坊主頭の男をようやく認識する。 しかし、その時にはすでに男、省は次の行動を起こしていた。 倒した男には目もくれず、一歩棒立ちになった男に近づき、孤を描くように回転。 遠心力で威力のました蹴撃は寸分狂わず男の側頭部に強烈な一撃を叩きこむ。 あっさり意識をとばして崩れ落ちた。 ――二人目 「このや――」 三人目がようやく腕を振りかぶり殴りかかってくるが、省は左手一本で軽くいなす。 バランスの崩れた男の服を掴み、一気に首を締めあげる。 10秒とかからず落ちた。 あっさり全員の沈黙を確認すると、省はそれぞれの腕と足をガムテープでぐるぐると固定し、 邪魔にならない所に押し込んだ。 「……油断してたとは言え弱いっス。ま、おかげで音立てずにすんだっスけど」 手をはたき、次に備える。 「台さんの情報だとまだ来るって事っスからねぇ。面倒臭いッス。 それにしても一人に20万とかどんだけ金持ちなんすか」 そう、愚痴を言いながらも、また隠れるように動き始める。 「ま、これもウェルチさんのためッス。頑張らんとッス。……あ、しまった。魔女役全員の写真の予約忘れたッス。 また放送部員に頼まないといけないッスねぇ」 そんな駄目な欲望丸出しな愚痴を言いながら、省はその場を動かない。 * * * 「お姫さまは、世界で一番美しい女性になれるでしょう」 深くお辞儀をし、告げた魔女役は後鬼閑花。ドレスの裾を軽くつまみ、その後もう一度会釈をし、後に下がる。 「お姫さまは、天使のような心を持てるようになれるでしょう」 次に前に現れたのは河内静奈。丁寧に、一つ一つ言葉を確かめるように話し、再び下がる。 「お姫さまは、世界で一番優雅にふるまえる女性になれるでしょう」 神柚鈴絵が前にでると、柔らかな物腰で一礼すると、一歩下がる。 「お姫さまは、世界で一番踊りができる女性になれるでしょう」 霧崎がはっきりとした声で言葉を贈り、 「お姫さまは、世界で一番歌が唄える女性になれるでしょう」 秋月京がその子供を称えるように告げ、 「お姫さまは、世界で一番演奏ができる女性になれるでしょう」 ロニコが丁寧に告げ、後ろに下がる。 そして次に前にでたのは、ウェルチ。 甲斐甲斐しく頭を垂れ、ゆったりとした動作で近づいた。 その優雅な立ち振る舞いは、しかし次の言葉を持って終わる。 「お姫さまは15才の時、糸車の針に刺されて死ぬであろう」 その言葉は呪いの言葉。瞬間、騒然とする周囲をよそに、一瞬の閃光が走り、 目を開けた時にはすでにウェルチの姿は来たときを同様に忽然と消えていた。 「おお、なんということだ! 我が娘に呪いを掛けられるとは!」 王の慟哭が響き渡り、周囲の人間が右往左往する。 しかし、それを止めた声がある。最後の魔女を扮するアリスが進み出た。 「王よ。嘆くことはありません。私には姉の言葉を打ち消すほどの力はありません。 しかし、弱めることはできます。王女は死ぬのではなく、100年の眠りにつくだけになるでしょう。 そして、一人の王子によって目覚めることになるでしょう」 その言葉を最後に舞台が真っ暗になる。 場面が変わり、15年後の城の中が舞台になった。 * * * 「よう。ここから先は関係者以外立ち入り禁止だぞ」 那賀が声を掛けるは、二人組の男たちだった。 どちらもその声に一瞬押し黙ると、そのまま懐からナイフを取り出す。 しかし那賀は動揺しない。 「お前ら、無茶は止めとけ。その先は関係者以外立ち入り禁止だ」 念を押すように告げるが二人組の男は取り合わない。 「はっ! もちろん知っているさ。ただこれも依頼でねえ。はいそうですかと帰るわけにもいかないのだよ」 「そうそう、怪我したくなければ黙って見てるんだな。オラッ! どいてろ」 男二人はナイフも向けながら那賀にどけと命じる。 那賀はため息を一つ吐くと、素直にどいた。 「これが、最後の忠告だ。この先は関係者以外立ち入り禁止だ」 その言葉を無視し、二人は扉を開ける。 瞬間、二人は同時に腕を万力のような力で締めあげられた。 たまらず二人ともナイフを取り落とし、視線は力の現れた先を見た。 それはでかかった。2mを超す巨漢の男が一人立っていた。 ――美術教師は力を一切緩める事をせず、一言だけ告げた。 「ウェルカム」 そのまま二人の男は一瞬で扉の中に引きずり込まれる。 パタンと扉は閉じる。まるでその出来事がなかったかのように静けさが戻る。 那賀は、誰にも聞こえないようなちいさな声で呟く。 「だから言ったんだがな。止めとけ、と」 この場を任されたのは那賀だったが、脅迫騒ぎは当然教師にも伝わっていた。 始めは安全のために劇を止めることも検討されたが、真田基次郎や他の数人の教師が反対した。 いわく、 『学生が真剣にやっていることを教師が止めてはならない。教師がすることは、成功するようにサポートすることだ』 その後、この美術教師を含む何人かの教師もガードマンよろしく学生保護に回ると言うことで決着がついた。 その結果がこれである。 今頃、あのチンピラ達は魔人間に更生する程度の説教をくらっていることだろう。 「さて、俺はこんなに楽してていいんかな」 そう呟きながら、那賀はその場に立ち続ける。 新たな被害者が出ないよう止めるのが、彼の役目になっていた。 * * * 「ああ、お姫様、今日も元気でよろしいですね」 「おはようございます、今日もお仕事頑張って下さいね」 城の騎士役になっている山尾修が話し掛けるは王女役である黒咲あかね。 純白のドレスを身に纏い、気品すら漂わせて騎士へと笑顔を向ける。 城の通路を模した場面。そこをあかね歩くと背景もまたスライドし、本当に城の中を動いているように感じる。 次に現れたのは牧村 拓人。何故か侍女が着るスカートを着用しての登場だった。 「おや、お姫様。そんなに急いでどこにいくのですか?」 「お父様もお母様もいないから、お城を探検しているの」 「おやおや、怪我はしないように気をつけて下さいね」 「ええ、気をつけます!」 そうして、お姫さまはさらに歩いて行く。何人もの人と話し、城の中を探検する。 徐々に背景が変わり始め、いつの間にかそこは塔の先端にある部屋の中に移っていた。 そこには一人の女性がいた。アッシュブロンドの髪すら灰色のローブに隠し、糸車の前に座っていた。 お姫さまはその糸車に目を向けると、引きこまれるように近づいていく。 そのお姫さまの様子に気付いたかの様に、ローブの女性が声を掛ける。 「おやおや、お姫さまは糸車は始めてかい?」 「うん、そうなの。面白いね」 「そうかいそうかい、なら、もっと良く見せてあげようかい?」 お姫さまはゆっくり近づいていく。 さらにもっと良く見ようと近づいて手を伸ばす。 そして―― 「痛っ!」 突然の痛みに、あかねは指を抑えると、ぱたりと倒れた。 その瞬間、ローブを纏った女性が立ちあがると、笑い始めました。 「ハッハッハ! よーくお眠り、お姫様」 その言葉を残し、歩き去ります。 あかねが倒れたままの舞台。しかし背景ごと動きだし、ゆっくり回転、止まった時には城の全景になる。 さらにそれだけでは止まらない。 城の全景場面に待機していた、浅野士乃 、向田誠一郎、村上健といった村人役の面々も次々と倒れ出し、眠りについた。 さらには。ゆっくりと茨が城を覆っていき、舞台上が茨で完全に覆われ見えなくなる。 それは場面転換の合図。 次に開くのは100年後の世界。 * * * 「大丈夫? あかねちゃん?」 「うん、全然平気。これくらいなら」 ウェルチが心配そうにあかねの肩を見る。 その肩に服の上から針が刺さっていた。 あの針に刺される場面に重なるように、一本の針があかねの服へと刺さっていた。 ただし、その針は幸いにも服の上からであり、若干皮膚に触る程度ですんでいた。 「服を丈夫に作っておいてもらって良かった。血もでてないし、これなら大丈夫ね」 服に刺さっていたことが幸いした。もし、これが顔にでも当たっていたらかなり危険だっただろう。 しかし、周りに集まった面々の表情は渋い。 「……まさかここまで強硬手段にでるとは」 「でもこれならまだ嫌がらせレベル。捕まりたくはないから分からないように攻撃してるのね」 「タイミング良く、お姫さまが針を刺すシーンで良かったかもね。 もし別の場面なら他の観客も不審に思ったかもしれない」 迫がぎりぎりと歯ぎしりするような表情で呟くが、傍にいたアリスとあかねは別の分析をする。 「でも大丈夫。これで位置がはっきりしたから」 ウェルチがそう言い、ある観客席の一点を指す。 「ここにいるよ。後は、追い出すだけ」 「さすがアーチェリー部部長、あの針の弾道を予測できたか」 その言葉にウェルチは口の端を歪めて見せる。 「目の前で見てたからね。ふふ、これ以上の邪魔はさせないから」 * * * 再び舞台に光が灯る。 そこは山の風景が描かれた背景を背に、一人の王子が立っていた。 その王子である久遠荵は、大仰に辺りを見回すと中央に向かって歩き始める。 その反対側、そこからアッシュブロンドの髪を灰色のローブに隠した女性がやってくる。 そのローブの女性は王子の前で立ち止まると、王子に向かって語りかける。 「王子殿、この近くの茨の山。その中にある城に、大層美しいお姫様が眠っているそうな」 その言葉を聞き、王子は両手を振り上げる。 「眠っている……。それは可哀そうだ。助けなければ!」 王子はその状況を可哀そうだと思い、素直に助けに行こうと思い立つ。 「そうかいそうかい、ならばいってみるんじゃな。呪いがかけられて100年目、そろそろ時が来るじゃろうて」 しかし、続けて掛けられた言葉に、王子はに怪訝な表情を浮かべ、問い返す。 「あなたは、その話を深く知っている様子。どうしてその話を知ったのですか?」 「さてねぇ。大したことじゃありませんて。ふぇっふぇっふぇ……それでは失礼するとしようかの」 その一瞬、再びフラッシュが焚かれ、さらに一瞬静電気のような音がし、 次の瞬間にはローブの女性が舞台から消えていた。 「あの者は一体……。いや、それよりも今しなければならぬことは茨の森から女性を助ける事だ!」 王子は義憤に燃え、その眠る人々を助けるため、たった一人でその茨の森へ向かって行く。 * * * 「ちぃ、これでも止めないとわな……。今度はどいつを狙うとするか」 その男は観客席で周りに聞こえないよう小さく舌打ちをすると、針を輪ゴムに引っかけ、極少の弓矢にした。 周りに気付かれないように、手元でゆっくり狙っていく。 「ま、こんなんじゃせいぜい脅しにしかならんが、見つかるわけにもいかんしな。 公演が途中で中止になれば恩の字か」 捕まらないように、細心の注意を払い、気付かれないように事を運ぶ。 それが彼のやり方だった。 舞台の上では、ローブの少女と王子役の少女が話しをしている場面だった。 「さて、今度は王子役でも狙って見ますか」 誰にも聞こえない程度の小さな声で呟き、極少の弓を番える。 狙いをつけるために舞台を真正面から見つめていた。 ――突然のフラッシュにより目の前が真っ白になる。 だが、彼は慌てない。とっさに目を閉じ、フラッシュが収まるのを待つ。 しかし右手に何かを押しつけられるような違和感を感じ、突然の衝撃を全身に受けて、一瞬で意識を失った。 * * * 「なんで、巧先生ってこんなスタンガンもっているのかな?」 巧から貸し出されたスタンガンを引っ込めつつ心の中だけで悩む少女が一人。 それを実行した金城葎は巧先生がどう使うか真剣に考えていた。 だが、それも最初だけ。さっきの情景から一つのアイディアが生まれてしまった。 「今度、ととろちゃんのステッキで試そう」 聞く人が聞けば余りにも不穏な言葉をこぼしつつ、気絶した男の隣で舞台を見る。 これで彼女の役割は完全に終わり。後は観客として舞台を楽しむつもりだった。 * * * 王子が茨の森を進むと茨が王子を避けるようにして消えていく。 その中を王子は一瞬の躊躇もせず、ずんずんと進んでいく。 ついに王子は城にたどり着き、中へと入って行った。 王子は城の中を捜す。道々に眠っている人々がいたが、一旦それは置いてお姫様を捜した。 あのローブの女性が行っていたお姫様。彼女こそがこの城に起きている眠りから解放するカギだと直感していた。 そして、王子はお姫様の所へたどり着く。 塔の頂上で眠っていたお姫様を見つけ、さてどうするかと思案する。 「眠りから解放するには王子の心が必要です」 その声に驚き、振り向くと、そこには一人のブロンドの髪の女性が佇んでいた。 王子は驚きながらも、その女性に問いを向ける。 「あなたは一体……」 しかし、その女性はその問いには答えず、ただ微笑むのみ。 自分が言えることは言い終えたとばかりに。 王子は投げかけられた言葉を反芻し、一つの答えを得る。 眠るお姫さまにそっと口づけを―― その瞬間、お姫様の眠りは解け、森を覆っていた茨は消え、眠っていた全ての人は起き始める。 にわとりの声が響き、この城に目覚めがやってきた事を告げていた。 その中心では幸せそうに抱き合う二人の王子とお姫さま。 そして、カーテンが降り、劇が終わる。 ――観客席からは自然と拍手が起こっていた。 * * * 台は、ただそこに立っていた。 すでにだれも来ないその通路に一人、ホールから歓声と拍手が聞こえて来るのを感じながら立っている。 「どうやら、あいつの夢は守れたようだな……」 そう呟き、体からゆっくりと力を抜いた。 「流石に疲れた……後はととろに任せるとするか」 そして台は誰もいない道に座る。 台の役目。それはホールの正面から敵が暴れないようにするための牽制をするのことだった。 普通の観客には多少目を逸らされるが通れるように、邪魔をしようと企む奴らには徹底的にひるませるように。 細心の注意を払い、問題行動を起こさせないように威圧し続ける。 それを劇が終わるまでの間、一瞬の油断もなく行っていた。 * * * 次にカーテンが上げられたときには役者全員が横一列になっていた。 そして、舞台の全員が一礼を行う。 「ありがとうございました!」 たった一言に万感の思いを込めて。 ――舞台へ送られる拍手が一層強くなる。 そしてこの発表会、最後の幕が別の場所で始まろうとしていた。 * * * 図書館が見える校舎の屋上。そこには双眼鏡を覗き込む一人の少女がいた。 肩までかかる長さの黒髪を適当に縛っている。 体のラインは細い、というよりひょろいという印象が強い。 どこかぼうっとする表情を浮かべている。 おそらく、その少女の事を普通に見れば10人中7人は可愛いと評する程度の容姿ではある。 そんな、小等部の少女がそこにいた。 その少女は双眼鏡を覗き込みながらぶつぶつと呟いている。 誰にも聞かれると思ってもいないのか、案外大きめの独り言は延々と続いていた。 「あ、演劇無事に終わっちゃった……。みんな役に立たなかった。 うん、妨害受けてもやり遂げる猛はやっぱり素敵」 その少女にとっては妨害の成否すらどうでもいいことだった。 妨害が成功しても、彼女の脳内では『私の言うことを素直に聞いてくれた』 と、肯定的にとらえるであろうから。 彼女にとって西郷猛とは全肯定すべきものであった。 今回のような妨害行動も、その少女にしてみればただのスキンシップのような物に過ぎないのだった。 そこに周りの存在というファクターは一切含まれていない。 ただし、その少女は自分から猛に会いに行ったこともない。 いって見れば、どこまで行っても彼女だけしか存在しない世界。他人の事を一切考えない世界。 その少女だけに通じる少女だけの世界に足を踏み入れようとした、一人のカップルウォッチャーがいた。 「ぜいぜい……さ、西園寺 聖子! これ以上の狼藉は……ぜいはぁ、止めなさい!」 かなり息切れをしているカップルウォッチャーの言葉に、その少女は面倒臭そうに振り向く。 そこには、異様な風体をした女がいた。 鼻筋から上を覆うヘルメット、ハート型に抜かれた桃色のアイシールドのためにその正体は不明。 指定制服に羽織った丈の長い赤マント。 白い手袋を嵌めた手には、豪華絢爛な装飾を施された、素敵な魔法のステッキを携える。 カップルウォッチャーは燦然と輝く魔法のステッキを聖子と呼んだ少女に突き付け一歩近づく。 しかし、聖子はその姿を確認したとたん、あっさり興味をなくし、再び双眼鏡を覗き込んだ。 「ああ、早く猛君でてこないかな」 「待ちなさい! どうしてそういうリアクションができるのよ!」 しかし、その言葉にも反応はない。ただ、その少女は双眼鏡をのぞき続ける。 「……分かった。実力行使行きます」 謎の言葉をカップルウォッチャーは発した。 「……?」 その不穏な言葉に若干の疑問を浮かべる少女だが、やはり無視。 しかし、次に彼女の後で起こったことには反応せざるを得なかった。 「超高校級マジカルステッキ“レッドストリンガー”、モードスリー!!」 ♂と♀の意匠がひとつずつ、それにさらに♀を追加する。 がちんとはまったその形状は、一つの形をとっていた。 「三角形の恋の道! 恋の炎が燃えさかる! 」 その配置はトライアングル。 3つの意匠がステッキを中心に回転を始める。 「三つの心が揺れ動く! 恋する乙女が立ち向かう!!」 中心のレーザーポインタが聖子を照らす。 流石に慌てて回避をしようとするが、すでに遅い。 「進め! 突き抜け! 愛する人へ! 障害とばして駆け着けろ!!」 そして、3つの意匠が飛び出した。 「ラブチェーンバインド トライアングル!!」 そしてその軌跡は聖子を正確に包みこみ、逃げ場を完全に失わせ、巻きついた。 体中に鎖がぐるぐる巻きになり倒れ込む聖子。 その少女の見下ろすようにカップルウォッチャーは立っている。 聖子は不思議そうにカップルウォッチャーを見上げている。 「なんで邪魔をするの? 私、猛がいれば後はいらないのに」 心底疑問に思っている少女に向け、カップルウォッチャーは静かにいう。 「それは、あなたが恋をしているからです」 「……恋?」 「ええ、それは独占欲といってもいいかもしれない恋。 本当は近づきたいのに、自分が傷つきたくないから周りを傷つける茨で覆い、 好きな人を傷つけようとする、そんな恋。 あなたは実際に彼に面と向かってあったことがないでしょう?」 「うん」 カップルウォチャーの言葉にあっさり肯定する少女。 その回答にカップルウォッチャーは深く頷き、言葉を続ける。 「でもそれじゃ永遠に彼を手に入れることはできないの。 そんな離れて見てないで、徹底的にあってあって会いにいって、自分をアピールしなきゃ! だってあなたが欲しいと思ってる猛はあなたの事をしらないのよ」 「でも、嫌われちゃったら嫌だし」 始めて他人の事を考え、行動を渋る少女に、カップルウォッチャーはさらに熱弁を振るう。 「そう、身近にひと組知ってるわ。徹底的にそれを実行する奴ら。それはもう幸せそうよ。 もう一ついうと、すごく恥ずかしがり屋でも、積極的に行こうとする娘も知ってるわ。 そういう娘はね、みんな、みんな幸せそうなの。ただ、相手を見ているだけの時と比べて何倍も!」 それはカップルと見続けたカップルウォッチャーとしての言葉だった。 全く一遍たりともその言葉に迷いはない。彼女の明確な回答だった。 「……そうかな? 私も会いに行ったら幸せになれる?」 「当たり前。それは120%確実よ!」 「……そうかな?」 「そうよ! 今みたいな脅迫を辞めて会いに行けば、絶対幸せになれるよ!!」 自信満々に言い切るカップルウォッチャーに、聖子はやがてこくりと頷いた。 「なら、こんなこと止めるね。今度、猛に会ってくる」 「よろしい」 鷹揚に頷いたカップルウォチャーは鎖をはずす。 聖子は大人しく立ち上がり、ぺこりとお辞儀をすると走り去って行った。 「これで万事解決……かな?」 カップルウォッチャーとしては、実はちょこっと心配だったりはしている。 でも、とりあえずは無事に終わったことをホールにいる皆と喜ぶため、彼女もまた屋上から歩き去って行った。 そして、全てがここに終わる。 全員が頑張って、頑張って、精一杯努力した。その成果は確かに実ったのだった。 前:発表会前夜の異変 次:発表会後の放課後に
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※注意 現代ゆっくりモノ。でも舞台は山奥。 オリジナル設定あり。 歯の無いゆっくり設定です。 まりさの中身が黒ゴマのタレになってますが俺設定です。 秋。 山々は鮮やかに色付き、実り多きこの季節。 気候も穏やかで食べ物もおいしい、過ごしやすい時期ですね。 しかし、動物たちにとっては危急存亡の秋。 来たるべき冬に備えて、食べ物をこれでもかと集めなければいけません。 秋は動物たちの戦いの季節なのです。 世界の動物たちの生活苦をお茶の間にお届けするドキュメンタリー、 『地球・高みの見物』 本日のテーマはこちら。 「ゆっくりしていってね!」 そう、珍妙不可思議摩訶不思議和菓子、『ゆっくり』です。 日本の豊かな山々には今でも、多くのゆっくりが生息しているのです。 今日は皆さんとともに、ゆっくりたちの冬ごもりの様子を観察してみましょう。 ※ ここは日本のとある山、――その中腹。 登山道から離れた、人の手の入っていない山林です。 11月に入るとすっかり肌寒くなって、虫たちは一足先に姿を消しました。 紅葉も盛りを過ぎ、今は落葉の時期。羽のように舞い散る落ち葉が地面に降り積むと、 カサ……カサ……という囁き声があちこちから聴こえてくるではありませんか。 そんな絵葉書のような秋景色のなか、 斜面にぽっかりと開いた巣穴がありました。 ゆっくりの巣です。 その巣穴から今、一匹のゆっくりまりさが飛び出してきましたよ? 「ゆーーーーっ!」 まだ小さいまりさは、秋晴れの空を見上げて気持ちよさそうに伸びをすると、 くりくりしたおめめでお空にあいさつをします。 「ゆっくりしていってね! ――ゆ゛っ!?」 なんということでしょう。 横合いから滑り込んできた小鳥が、まりさをくわえて飛び去ってしまいました。 「ゆ゛ぅぅぅぅ! おりょしてぇぇ!!」 ぴちぴちとお尻をふって逃れようとするまりさ。 しかし小鳥はくちばしの先にまりさをぶら下げたまますっ飛んでいきます。 どこへ行こうというのでしょう。 厨性能リモコンカメラで追ってみましょう。 小鳥が目指したのは、少し離れた場所にある一本の木でした。 羽ばたきながら空中に留まり、なにやら枝を捜していますよ? 暴れていたまりさは、すでに危機感を忘れてお散歩気分です。 「ゆっ? ゆっ? おしょらをとんでるみた――い"っ…!?」 なんということでしょう。 電光石火の早業によってまりさは枝に串刺されてしまいました。 「ゆげぇっ! いぎぃ! いぢゃいよ!! おろじで! もうおうちかえりゅうぅぅぅぅ!!!!!」 激痛のあまり悶絶するまりさ。 なんとか逃れようと暴れますが枝が上下に揺れるばかり。 「ゆぎゅううういぢゃいぃ! うごがにゃいでしんじゃううううううぅぅぅ!!!」 枝の揺れによって傷口は広がり、ゆっくりまりさの命ともいえる黒ゴマのタレが撥ね滴ります。 そのことを理解したのか、それとも動けないほどに弱ったのか。 たっぷり5分ほど苦しんだ後、まりさはようやく身動きを止めました。 枝の動きが徐々に弱まって、やがて止まるまでにさらに30秒かかりました。 そこには……。 「ゆ゛……、ゆ゛……」 すでに虫の息。 砂糖水の涙とゴマダレの血にまみれ、苦痛に悶える表情は赤黒く、 ただただ中身を吐いてしまわないよう堪えることしかできない饅頭がそこにいました。 元凶である小鳥は、そんなまりさを散々つつきまわした後、 食べもせずに飛び去ってしまいました。 どうやら、モズだったようです。 モズには『はやにえ』と呼ばれる、餌を木の枝などに串刺して保管する習性があります。 よくよく見渡してみれば、この辺りの枝々には何頭ものゆっくりが刺さって居ました。 木の葉の降り積む音にかき消されてしまいそうな弱々しいうめき声が、 そこかしこから聴こえてくるのがお分かりでしょうか? このまりさは助からないでしょう。 我々にできることといえば、記憶力の悪さに定評のあるモズが、 早贄にしたまりさの位置を忘れてしまわないよう、祈る事だけです。 ※ ゆっくりの巣に戻ってみましょう。 巣の前にはゆっくりの家族が出揃っていました。 1番大きな1頭は親まりさ。 子まりさが2頭、子れいむが2頭。 さきほどの子まりさも合わせれば、計6頭のゆっくり家族です。 「いーち、にーぃ、たくさん……。 ゆ! みんなそろってるね! これからごはんをあつめにいくよ!」 親まりさは子供たちの顔を見回して、満足そうに頷きました。 子どもゆっくりが、その場で跳びはねながら騒ぎ立てます。 「ゆー! おにゃかすいたね!」 「れいむがいっぱいたべるよ!」 「まりさがさきだよ! おなかがすいたからみんなのぶんもむーしゃむーしゃするね!」 「ゆ! おかあしゃんはさっさとごはんをよういしてね!」 どうやら、頭の足りないゆっくりたちは1頭足りないことに気づかなかったようです。 親まりさを先頭に、今日の狩場へと向かいます。 たどり着いたのは、巣から15メートルほど離れた林の中。 木々に囲まれ、落ち葉の敷き詰められたそこは、ちょっとしたお庭のよう。 ぱっと見ではわかりませんが、木の実もキノコも豊富にありそうです。 落ち葉や木陰に隠れて、ゆっくりたちに探し出されるのを今か今かと待ち構えています。 「ゆっ! きょうはここでかりをするぜ! ごはんをここにあつめるんだぜ!」 なれた様子で指示を出す親まりさ。 子ゆっくりたちは飛び跳ねながら返事をします。 「「「ゆー! いっぱいたべるよ!」」」 ゆーゆー喜びに沸く子ゆっくりたち。 しかし親まりさは頬を膨らませると子どもたちを叱りつけます。 「まだたべちゃだめだぜ!! まずはふゆごもりのじゅんびがさきなんだぜ! かってにたべるわるいこにはおしおきだよ!」 「「「ゆー……。ゆっくり、りかいしたよ……」」」 子供たちは不満そうな顔。 しかしこの家族は親まりさの力が強く、表立って逆らうような子はいませんでした。 ※ 数時間後、受け皿にと敷かれた大きな葉の上には山の幸がひしめいていました。 艶めくドングリや肉厚の茸を中心に、クルミやマタタビ、アケビ、サルナシ、ケンポナシ……。 見ているだけでうきうきしてしまう御馳走の数々です。 元気よく跳ねていった子れいむが、どんぐりをくわえて戻ってきます。 子まりさがころころと胡桃を押し転がしてきます。 「ゆーー! おかあさんすごいよ!」 子ゆっくりが騒ぎ出しました。 親まりさがくわえてきたのは、柿ですね。 根っからのスイーツであるゆっくり達にとって、 あまあまの果実はこの上ないご馳走になります。 「「「やったね! きょうはごちそうだね!」」」 「もちろんだよ! かきさんはきょうじゅうにたべちゃうんだぜ! だからみんなもがんばってごはんをあつめるんだぜ!!」 士気の上がった子ゆっくりたちは、おうたをゆんゆん歌いながら食料集めに精をだします。 おや……? 1頭だけ騒ぎに参加していない子まりさがいましたよ。 木陰に隠れるようにして何やら怪しいそぶり。 近づいてみましょう。 「そろーり、そろ~り……」 地面に体を押し付け、高く上げたおしりをふりふり、はいずるようにして進む先には……。 キノコがありました。 赤くてイボイボしたキノコはそれなりに食いでがありそうです。 「これはまりさのなんだぜ……! だれにもわたさないよ!」 つぶらな瞳をきらきらさせながら、独り占めをもくろんでいます。 「ごはんはみんなまりさのだぜ! まりさをゆっくりさせられないおかあさんはゆっくりはんせいしてね! むーしゃむーしゃ!」 ためらいなくキノコにかぶりつきました。 その途端、あまりの美味しさにほろりこぼれる涙。 感動に打ち震えながら、子まりさは一心不乱にキノコを咀嚼します。 「ゆゅ~ん! しあわせ~! おいしいよ! このきのこすごくゆっくりしてる! これはきっとまつたけだね!」 ベニテングダケです。 有名なこの毒キノコは、意外にも強烈な旨み成分を含んでいます。 しかし、旨み成分の正体は毒素の一つイボテン酸。 食べれば急性アルコール中毒にも似た症状を引き起こします。 まりさにも、さっそく効果が現れたようです。 「む~しゃ……、ふぅ、む~しゃ……、ゆぅ……」 まりさはキノコを食べながら、よだれを垂れ流していました。 目からは涙がとめどなく溢れ、体の表面からは汗らしき砂糖水が噴き出しました。 とてもダルそうです。 「おいしくないんだぜ……。 これが『ひとりでたべるごはんはおいしくない』ってことなのぜ……? やっぱり、みんなといっしょにごはんにすればよかったね……」 子まりさは食べかけのキノコを放置して、家族の下に戻ろうとしました。 するとどうでしょう。 横倒しに地に転がり、そのまま動けなくなってしまいます。 「ゆ? ゆ……? どういうことなの……? めまいがするぜ……はきけもだぜ……この、まりさが、きぶんがわるいのぜ……?」 混乱するまりさ。そこにお姉さんれいむが通りかかります。 「まりさー! どうしてねてるの! おかあさんにおこられるよ! ぷんぷん!」 「ゆんゆんゆんゆんゆんゆんゆんゆんゆんゆん」 「まり、さ……?」 子まりさは横に転がったまま、細かく痙攣していました。 半開きの口からゆるゆると唾液を垂れ流しています。 目は虚ろ。力ない微笑みを浮かべる表情には生気が感じられません。 完全な前後不覚です。 「ゆー! おかーしゃーん!! まりさが……」 あわてて呼んだ子れいむのもとに、親まりさと子供達が駆けつけます。 痙攣する子まりさを見下ろすなり、親まりさは言いました。 「どくきのこをたべたね! もうたすからないよ!」 「どぼじでぞんなごどいうの! たすけてね! いもうちょまりさをだずげで!」 「おかあさんはたすけないよ!」 「「「ゆうぅ!! どぼじで!??」」」 とりみだす子ゆっくりをよそに、親まりさは冷酷なまでに冷静でした。 中毒を起こして横たわる子まりさを、無表情に見下ろします。 「このこは、だまってつまみぐいをしたんだぜ。 いいつけをまもっていれば、おうちでゆっくりたべられたのに……。 みんなよくみておいてね。わるいこはくるしんでしぬのぜ」 子ゆっくりたちは息を呑み、身を寄せ合いました。 家族に取り囲まれたまま、つまみぐいした子まりさは痙攣を繰り返します。 「おがあひゃんたしゅけれ、みふれないれね……」 ろれつの回らない声で助けを求めては、 しゃっくりのような痙攣を繰り返し続け、 後から後から湧いて出るガムシロップの汗に塗れながら、 子まりさはゆっくりと衰弱していきました。 「このぐず! きのこにゆっくりできなくされるなんて、ばかなこだね!」 「ゆぅ……! どぼじで、ぞんなごどいうのほ……」 「おまえが! ゆっくりできないわるいこだからだよ!」 「ゆ、ぅ……。ごべんだたい……。もう、……しにゃいきゃら……」 親まりさは死に行く子まりさに罵倒を続け、 子まりさは絶望と苦悶に抱かれたまま、 最後は『ぱぴぷぺぽ』と繰り返すだけの生物に成り果てました。 「……ほかのこどもたちは、あつめたごはんをおうちまではこんでね」 「「「ゆっ……! ゆっくり、りかいしたよ……」」」 子供たちは言いつけを守り、餌を口に含んで巣へと運び始めます。 子ゆっくり達がいなくなると、親まりさは枯葉を集めて、 壊れた子まりさの上に被せていきました。 ※ 集めた餌を口に入れて運ぶ方法はとても効率が悪く、 親まりさが帽子に入れて運べる分を合わせても、 何往復もしなければなりませんでした。 ゆ! ゆ! と鳴きながら巣穴に飛び込んだゆっくりは、 部屋の奥にある食料広場に餌を吐きためていきます。 しかし……。 「どうしたのぜ? はやくたべものをはきだすんだぜ!」 「ゆ……、ゆぅ~~! でてこないよ!」 子れいむの1頭が、運んでくる最中に食べ物をむーしゃしてしまった様です。 跳ねて動くゆっくりが口の中に物を入れて運べば、そういうこともあるでしょう。 まさかのミスに涙目になる子れいむを、親まりさは許しませんでした。 「ずるをしたね! ゆっくりしないで、もどってごはんをさがしてくるんだぜ!」 「ゆ゛!? わかったよ! おがあざんもてづだってね!」 「いやだね! ひとりでやるんだよ! できないのならでていってね!」 ぐずる子れいむを突き飛ばして巣の外に放り出しました。 あわてて巣に戻ろうとするれいむですが、 ふくらんで入り口をふさぐ親まりさに阻まれて入れません。 しばらくするとあきらめて、泣く泣く森の奥へと消えていきました。 親まりさは、わが子の後ろ姿が見えなくなるまで見送ると、 巣の中へと引き返していきました。 ※ 自然は非情の世界です。 その自然界に生きる野生動物は、子供といえど甘えは許されません。 最弱の名をほしいままにするゆっくりともなれば、尚更です。 知恵のあるゆっくりは、冬篭りの時期になると子供たちを間引きます。 賢く従順なゆっくりを生かし、ぐずで反抗的なゆっくりを切り捨てます。 そうして群れを縮小し、生存の確率を高めるのです。 一見残酷なようですが、未熟な子どもたちを越冬させるのは至難の業。 それができるのは、このような厳しさを持った親ゆっくりなのです。 ※ 「ゆ……。おかしいよ……」 親まりさはおひるね中の子ども達を数えて、気づいてしまいました。 今日1頭死んで、1頭追い出し、 巣に残っているのは、たったの2頭……。 本当はもっとたくさんいたのです。 つがいの親れいむが筍を踏んで貫かれ、 手をこまねいているうちに青竹となった筍に乗って天に召されて以来、 親まりさはまりさ手一つで子ども達を育てました。 いち、に、たくさん……。たくさんのたくさん。 にぎやかなほどのたくさんの子ども達がいたはずなのです。 春が過ぎ、夏が来て、秋となり、冬を前にして たった2頭。 気づかぬうちにごっそりと居なくなっていたことに、親まりさは愕然としました。 「ゆぅ……」 気丈に振舞ってきた親まりさでしたが、ゆっくり限界が近づいていたのです。 「おがあじゃんんん」 残された子まりさと子れいむが擦り寄ってきます。 「どうしたの? ゆっくりねてていいからね!」 「しゃむいよおおおお」 「ゆ? どういうこと……!?」 寒さを訴える子ども達。確かに、巣の中は冷え切っていました。 感じる寒さをたどって、巣の入り口から外をのぞいてみると……。 「……どういう、ことなの……?」 雪が降っていました。 まだ11月だというのに、一足早い初雪が山に訪れたのです。 それも重く大ぶりなボタ雪が、風景を塗りつぶさんばかりに降りしきる有様。 これでは今日中に巣穴を閉ざさなければいけなくなるでしょう。 親まりさは巣の入り口から外を眺めていました。 自ら追いやった、あの子れいむが気がかりなのでしょう。 そしてついに、親まりさは判断を誤ります。 「みんな、おかあさんはそとにでてくるよ! どこにもいかないでまっててね!」 親まりさは吹雪く山野に臆することなく飛び出していきました。 ※ 厳しい親ゆっくりがいなくなった事で、巣にはだらけたムードが漂いました。 親まりさの厳しさによって統率していた群れです。 その頭がいなくなれば、気が緩むのも当然のこと。 「そろ~り……、そろ~り……」 まだ赤ゆっくりに近い子れいむが、地面を這うようにして進んでいます。 目指す先は当然、食料の山です。 「あんにゃにごはんをあつめたのに、あれしかたべしゃせてくれないなんちぇ、 おかあさんはけちだね! ゆっくりできないよ! れいみゅはしょだちざかりなんだよ……、あれっぽちじゃたりにゃいよ……!」 「きのうも、そのまえも、ごはんがすくなかったのぜ! これじゃまりさたちが『あじみ』してしまうのもむりがないことなんだぜ!」 子れいむの後ろから、止めるべき立場の姉まりさまでついていきます。 「そろーり! そろーり!」 「そろーり! そろーり!」 2頭は匍匐前進のかっこうで食料庫へと忍び寄っていきました。 ……食事量が少なかったのは、親まりさの知恵でした。 冬ごもり中の節約生活に向けて、体を慣らすためにした事だったのです。 そんな考えは露知らず、子ゆっくりたちは本能のままに行動します。 ついさっき追い出されたれいむや、命令無視で死んだまりさのことなど、 すでに餡子脳には記憶されていないのでしょう。 かくして餌山の麓にたどり着いたゆっくりたち。 よだれは止め処なく、瞳はゆっくりしたごはんの姿にきらめいていました。 バリ……、コリコリコリコリ……。 「ゆ?」 ゴリ、コリ、……サクサクサクサク。 餌の山の向こうから物音が聴こえてきました。 「ゆ!? むこうがわで、だれかがごはんをたべるおとがするよ!?」 「きっとまりさかれいむだね! ずるしたゆっくりにはおしおきだぜ!」 2頭のゆっくりは義憤にほほを膨らませ、いそいで不届き物の元へと跳ね向かいました。 そこには――。 ※ ところで話は変わりますが、 ゆっくりに『歯』は無い。という話をご存知でしょうか? 大根などをたやすく噛み砕く映像から、強力な顎を持っていると思われてきたゆっくり。 しかし解剖実験をおこなっても、歯にあたる部分は発見されませんでした。 これは、ゆっくりが噛み切る際に使うのが歯ではなく、 人間で言うところの唇にあたる部分だからです。 ゆっくりが口内で分泌する溶解液は、人体や動物にとっては害の無いものですが、 野菜や昆虫などに対しては強力な効果を発揮します。 この溶解液の力を借りて、野菜などを唇で挟み、溶かし切っていたのです。 野菜や虫を主食とするゆっくりには便利な能力ですが、問題が一つ。 ゆっくりは水に弱いという性質上、雨をやり過ごすための巣が必要不可欠です。 成体ゆっくりが出入りできるほど大きく、入り口が下向きで水が流れ込んでこないような。 歯もなく、爪もないゆっくりに、 そんなゆっくりプレイスを構築することが果たしてできるでしょうか? 当然、不可能です。 そのため、ゆっくりは他の動物の巣穴をたびたびのっとります。 あるじが居ない間に上がりこみ、帰ってきた巣の主を威嚇して追い返し、奪ってしまうのです。 ゆっくりが人に対して見せる『おうち宣言』は、 巣が必要不可欠でありながら自作できないゆっくりの、必死の行動だったのです。 ――これに目をつけた動物が『オオヤムジナ』です。 オオヤムジナはアナグマの一種で、鋭い爪を駆使して穴を掘り、そこを巣とします。 それだけならば普通の動物に過ぎませんが、オオヤムジナには特筆すべき習性があります。 ゆっくりに巣を貸すのです。 オオヤムジナはその穴掘り能力を使い、ゆっくりが住み着けるような巣をいくつも作ります。 入り口が下を向いていて雨水が入り込まず、広々としている快適な巣穴をです。 そしてそれらの巣と、オオヤムジナの巣は壁一枚を挟んで隣り合っているのです。 冬が始まり、ゆっくりたちが餌を集めて入り口を閉じ、冬ごもりに入ると…… オオヤムジナは奥から壁を崩して乱入します。 自ら逃げ道をふさいだゆっくりたちに逃れるすべはありません。 ゆっくりを先に捕食して、集めてあった食料は後の備えにします。 作った貸し巣穴にゆっくりが入居すればするほど、かれらの食料庫は充実していきます。 この習性が、アパートを貸す大家さんの家賃取立てに見えることから、 オオヤムジナの名前がつきました。 つまり、2頭の子ゆっくりが目撃したのは――。 ※ 2頭の子ゆっくりが目撃したのは、 冬ごもり前の食事量の少なさに不満を感じ、 親の居ぬ間に冬用の食料に手をつけていた、 『オオヤムジナ』の子どもだったのです――。 2頭の子ゆっくりは驚きました。 「ゆぅ! どうしておうちのなかにいるのぉぉぉぉ!!」 「さっさとでていってね! ここはまりささまのゆっくりぷれいすだぜ! あとかってにごはんをたべないでね! それはまりさのだよ!」 食って掛かったのは姉まりさです。飛び跳ねてムジナの足に体当たりをしかけ、 跳ね返されるやいなや、ほほを膨らませて威嚇を始めます。 ぎょろりと、 ムジナの子は首を振り向けてまりさを見下ろしました。 同じ子供といえど、ムジナの体長は30センチほど。 あんまんサイズの子ゆっくりなど食いでのある獲物に過ぎません。 しかし、生き物の顔の部分しか認識できないゆっくりは、 ムジナの顔の大きさだけを見て、格下と判断しました。 「ゆっゆっゆ! おまえなんてまりささまがけちょんけちょんにしてやるぜ!」 「ゆ~。おねいちゃんすごいよ! やっちゅけちゃえ~!」 雄々しい姉まりさの後に隠れて、子れいむは余裕の声援を送りました。 しかし、一陣の風が吹き抜け、 姉まりさの姿は空間ごと削り取られたかのように消え去りました。 「……? ゆ?」 事態を把握し切れず呆然とするれいむ。 その目の前に、湿った音響とともにかつての姉が跳ね返ってきました。 なんということでしょう。 斜めに入ったムジナの爪が下腹部と口とを深々と抉り抜き、 ぽっかりと開いた大穴から、ゴマダレが仰向けに倒れたまりさの顔面を流れ滴って、 頭の下敷きになっているおぼうしの中へと、とぷとぷ注ぎこまれているではありませんか。 「……ゆ、……ゆ゛んや゛ぁ~~~~!!!」 泡を食って逃げ出すれいむ。餌山の横を抜け、巣穴の出口へと跳ねていきます。 その間にも背後では暴力的な物音が聴こえ続け、 出口の前にたどり着いたれいむが足を止めて振り返ると、 見上げるようだった餌山の中腹を突き破って上半身をあらわしたムジナが、 口にくわえた瀕死の姉まりさを無惨にも噛み砕くところでした。 「ゆぎぃぃぃぃ!! たぁすげでねぇぇぇぇぇ!!!」 子れいむは狂乱状態で巣穴から飛び出しました。 外は一面銀世界。すでに冬といっていい状態です。 「おがぁぢゃあああああでいぶはあんなふうになりだぐないでずぅぅぅ!!!」 恐怖のあまり目から口からシロップを垂れ流して跳ねるれいむです。 あわてて跳ねると危ないですよ、 といっているうちに、雪に足をとられて転んでしまいます。 「ゆぅぅぅ! なにごれぇぇぇぇぇ!!」 冬を知らないれいむは、うかつにも坂道で転んでしまいました。 ころころころころ……、転がるうちに雪を集めていき、 斜面が終わって回転がとまるころには、サッカーボール大の雪玉になっていました。 厨性能カメラで中を透視して見ましょう。 「ゆぅぅぅ!? どういうことなの!?」 雪玉の中心で、逆さまのまま止まってしまったれいむが見えますでしょうか? 一心不乱に動きまわり、なんとか脱出しようとしています。 しかし、ゆっくりの能力では一度こうなってしまうと自力では逃げ出せないのです。 「ゆ? なんだか、つめたいよ! おみずさんが!?」 なんということでしょう。 ゆっくりのわずかな体熱によって、周囲の雪が溶けていくではありませんか。 「だずげでぇぇぇぇ!! どげじゃうよおおおおがあぢゃああああ!!!」 限られたスペースの中でぴこぴこ動いているのが確認できます。 ゆっくりが冬を苦手とする理由がこれです。 雪が積もっているということは、雨が降っているのと同じぐらい危険なのです。 この子れいむは助からないでしょう。 こうして、誰に供されるわけでもない氷きんときが、雪原にぽつりとあらわれるのです。 ※ 親まりさがもどってきたのは、そのすぐ後のことでした。 追い出されいむを探し出せないまま、落胆して戻ったまりさは、 巣の中で食事中のムジナと鉢合わせしました。 「ゆ!? ここはまりさたちのゆっくりぷれいす…… ゆううぅぅぅぅぅ!? こどもたちをどこにやったのおおおお!!!」 親まりさの威嚇はあろうことか功を奏し、子ムジナは逃げ去っていきました。 しかし、巣の中には無惨な子ゆっくりの残骸が散らばっており、 親まりさは子供たちの全滅を悟りました。 「ゆ……、ゆ……ゆううぅーーー……ゆううぅぅぅぅーー……。 あんまりだぜぇぇぇぇぇぇ…………」 まりさはさめざめと泣きました。 巣を空けてしまった後悔、非情な襲撃者への怒り。 今は無きつがいとの愛の結晶を、むざむざ全滅させてしまったという事実は、 まりさに暴れ狂うことすら許しませんでした。 ただ空っぽの巣のなか、さめざめと泣き続けるばかり……。 「ゆ! おかあさん?」 「……ゆ? ……――ゆ!?」 なんということでしょう。 親まりさが顔を上げるとそこには、 追い出したはずの子れいむがいたのです! あちこち汚れてふやけてひどい有様でしたが、 子れいむは雪の中を生きて戻ってきたのです。 「ごはんとってきたよ! ゆっくりごめんしてね!」 口の中の木の実を吐き出したれいむ。 何も知らないその顔は、達成感で輝いていました。 「でいぶううううううううぅぅぅぅぅ!!!」 たまらず駆け寄った親まりさが、れいむにすーりすーりします。 「ごべんねぇ! おがあぢゃんがわるがっだよ! もうどごにもいかないでね!」 「ゆ゛ぅう!? くすぐったいよ! あとおなかすいたよ! ごはんをさきにしてね!」 とまどう子れいむ相手に、親まりさは泣きながら擦り寄りました。 親の威厳もかなぐりすてて、ゆぅゆぅ、ゆぅゆぅと、 いつまでもいつまでもすりすりしていました。 ※ いかがだったでしょうか。 過酷な冬を乗り越えるための戦い。 海千山千の野生動物たちのなかで翻弄されながらも、 懸命に生きるゆっくりたちの姿をお楽しみいただけたのではないでしょうか。 親ひとり子ひとりとなったこのゆっくり家族はこの後、 互いに助け合い、協力しあって、 巣を代え、冬ごもりの備蓄をやり直しました。 なんとか冬を越すことができそうです。 家族を喪った哀しみは消えません。 それでもゆっくりできなかった家族の分まで、 ゆっくりたちはゆっくりするでしょう。 やがて冬が過ぎ、 野山に春が満ちた時、 ゆっくりは薄暗い巣穴のなかから、 陽光きらめく野山へと飛び出していくのです。 そして暖かな春が、いつまでもいつまでも続くようにと、願うのでしょう。 ――ゆっくりしていってね、と。 <地球高みの見物 完> (以下 未放送シーン) 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってよ!」 2月。 春を前にして、最後の大雪が山を襲いました。 夜の山を吹き荒れる、闇夜を塗りつぶさんばかりの白銀の猛吹雪。 スタッフは、以前取材したあのゆっくり親子の巣穴をたずねてみました。 「ゆっくりしてね!! れいむ、がんばってね!! もうすぐはるさんがくるからね……!!」 悲痛な叫びをあげているのは、厳しかった親まりさです。 頬は痩せこけ、目元には隈が、おぼうしもヨレヨレで、 ひどく疲れているのがわかります。 「ぐるぢいょぉ……。いだいぃぃぃ……。 おがっちゃ……だじゅげでねぇ……」 弱々しい声で苦痛を訴えるのは、生き残りの子れいむでした。 こんもりと盛られた枯葉のベッドに、ころり横たわっています。 虚ろで淡い微笑みを浮かべ、細かい痙攣をくりかえしています。 異常なのは体中に浮き出た『血管』。 そして、つむじのあたりから生えた植物の双葉……。 未発達な子どものゆっくりが木の実などを食べた際、 うまく消化できないまま種子を取り込んでしまい、 体内で温められ、発芽してしまうケースがあるのです。 子れいむの下腹部あたりに、痛々しく浮き出た血管のようなもの。 これは植物の根です。 餡子と皮の間に根が張り巡らされているのです。 「だいじょうぶだよ! ゆっくりねていれば、すぐによくなるからね! さあ、これをたべてげんきになってね!」 子れいむを不安にさせまいと、親まりさは無理に微笑んでいます。 残りわずかな餌山の中からどんぐりを選び、口移しで食べさせようとしましたが、 ぽろり、と子れいむの口から転げ落ちてしまいました。 「……もっちょ、ゆっぐり、じだがっだ、よっ……!」 この子れいむが春を迎えることは無いでしょう。 春が近づいて暖かくなればなるほど、 育つ根に餡子をこねくり回され、養分を吸い上げられ、 みるみるうちに太っていく根によって、 やがては内側から引き裂かれてしまうのです。 救いであったはずの季節は死神となって、 子れいむを迎えに来るのです。 「おぢびじゃんんんんんんんんんんんんんん!! はるさんがくればゆっくりできるよ! だからそれまでがまんしてね! はるさんはゆっくりしないではやくきてね!」 家族を喪った哀しみは消えません。 それでもゆっくりできなかった家族の分まで、 親まりさはゆっくりするでしょう。 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってよ……!」 やがて冬が過ぎ、 野山に春が満ちた時、 親まりさは薄暗い巣穴のなかから陽光きらめく…………。 <ゆっくり高みの見物 完>
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作者:2スレ7氏 ミレトスの城下町に入って西の裏路地を進み、夕日の光が弱くなるままに延々と暗く なっていく貧民街。その北部にある一角にたどり着けば、罪人を収容するための刑務所 を目にすることができる。ロプト帝国も華やかなりしころの遺産。あるいはグランベル 王国の時代にも、少数派に成り下がった暗黒教団に対しての拷問と虐殺が行われた、表 向けにはできない差別意識を腹いっぱいになるまで満たすことのできる血塗られし建造 物。時代の影に隠れて多くの悲鳴と絶望を飲み込み続けてなお顔色一つ変えなかった石 造りの監獄がそこにある。ダゴンはにんまりと笑い、そして扉に手をかけた。 ギギィ。 道幅こそ大人が五人は並んで通れるほどの規模だったが、天上は低い。暗さも相当な ものである。遺跡を活用することによって道順を知り尽くしてきたダゴンにとっても、 深緑のローブの中から不安をまったくにじませないで歩くことは難しい。それほどに不 気味な建物であり、それほどに呪われた場所なのだ。暗黒教団と解放軍とに等しく流血 を強いてきたその場所には、今現在、三人の解放軍に属する少女達が捕らえられている。 真っ黒な通路の先から、魂までもを凍らせるような痛々しい悲鳴が聞こえてきた。 「ラクチェ殿は大人気ですなあ」 古木をこすり合わせるような声で話しかけてくる老人に、ダゴンは粘度の高い笑みを 返してやった。紺色のローブの下から枯れ木のような腕を伸ばし、わざわざ灯火を手渡 してくれたバラン老に目線で礼を返して、黒髪の剣士が囚われている地下牢の前へと目 を向ける。 数人の若者達が、ラクチェを犯していた。 狭い牢の中で何人もの男達がうごめき、精液にまみれたラクチェの一糸纏わぬ身体を、 ぞんぶんに征服して楽しんでいるのが見て取れる。 気持ちはわからなくもない。 仲間を殺されたという復讐の念もなくはないだろうが、剣士としての訓練で引き締ま ったラクチェの健康な身体はどんな無茶な行為でも飲み込んでしまうほどに素晴らしい ものだったし、適切な調教も施されていたので、抱き心地の点ではそこらの娼婦などは 全く比較にならない。 「いやいや、あのアイラ殿の娘ですからな。イザーク王家の末裔だけあって、ラクチェ 殿の身体は素晴らしかった」 「はっはっはっ、ダゴン老もなかなか若い。あれほどのじゃじゃ馬に一番乗りなど、私 には恐ろしくて出来ませんな」 「おうおう、それはもう、ひとえに恋のなせる業でありましてな。あの美しきラクチェ 殿の処女蜜を吸うためなら、このダゴン、なけなしの勇気をふるうぐらいは決して厭う ものではありませなんだわ」 「…………処女はそれほどに?」 「よいものですぞ、あれは。今ではすっかり肉奴隷ぶりが板についてしまったラクチェ 殿でありますが、最初のころの瑞々しい悲鳴は、もう、聞くだけで、この老骨の身が十 歳は若返ったほどですからのう」 ぐっぐっ、と、くぐもった笑い声を発したダゴンだったが、急に真面目な顔をしてバ ランへと向き直った。 「それで、今日も私が頂いてよろしいのですかな? 順番からすればバラン殿が一番槍 をつとめるのが道理というものですが?」 「ほほほ。このバランは犯され抜いた少女に調教を施すほうが好きでしてな。いや、あ のラクチェ殿など、はじめは尻に指を入れられるだけで泣き叫んだものですが、今では すっかり後ろのほうまで反応するようになりました。若い女の子は飲み込みが早くてい い。裏切り者のヨハルヴァの上に黄金色のシャワーを浴びせてやった時など、もう、二 人して喜びの涙を流しておりましたからなあ」 恍惚とした表情で過去の思い出を追憶するバランに対して、ラドンは苦笑を返した。 「まったく、バラン殿は人を喜ばせるのがお好きですな」 「はっはっ、若くないものですから。さてさて、そういうことですから、今日のフィー 殿も、ダゴン殿が自由にむさぼって下さってかまいませんぞ?」 「……でしたら、お言葉に甘えますか」 「こちらへ。フィー殿も、首を長くして待っておられることでしょう」 長きに渡って続いてきた解放王セリスとロプト帝国皇子ユリウスとの戦争も、ようや くその結末が誰の目にも明らかにあらわれつつあった。 解放軍はベルルーク城からミレトスへと出撃し、その前にある大平原でロプト帝国軍 に対して全軍を動員しての決戦を挑み、これに敗北した。聖戦士達の多くもすでに戦死 し、かろうじてアレスとシャナンだけがベルルーク城に立てこもっているのみとなって いる。一気呵成に壊滅の憂き目に遭うことも十分にありえた解放軍がまだ生き延びてい るのは、ひとえにロプト帝国皇子ユリウスその人が決着を先延ばしにしているからに他 ならない。 「もっと絶望させてからの方が、面白いだろう?」 そういったユリウス皇子は、今は先の戦争で捕らえたアルテナなどの身体をお楽しみ のようである。篭城しているだけの敵などは時間を置けば攻めずとも自滅するのが目に 見えているのであるから、軍を動かす者の立場からしても、それは合理的な判断だった といえるだろう。 「…………殺しなさい! 虜囚の辱めを受けてまで、生き延びようとは思いません!」 牢獄の床の上で細い腕を鎖に繋がれながら、少女は決然とダゴンに向けて言い放った。 声にも身体にも瑞々しい張りがある。胸甲や衣服なども虜囚生活が短いことを示すかの ように清潔であったが、さすがに武器だけは取り上げられているので、彼女は丸腰であ る。 少女の名は、フィーと言った。 故シレジア王国レヴィン王子の娘であり、かつては解放軍の天馬騎士としてロプト帝 国軍を苦しめた、歴戦の武将でもある。 「ほほ…………元気がよろしいですな、お嬢さん。しかしそれは薄情というものでしょ う。あなたのお仲間のラクチェという少女は、あなたの分まで男達の欲望を受け止めて くれているというのに」 「…………っ!! ラクチェに何をしたの!!?」 「いやいや、別段、何も。ただ、あなたのこれからの態度によっては、そのようなこと もありえるということです」 ダゴンはにやにや笑いながら怒りの炎を目に宿している少女に目を向けた。細い手足 を拘束されて牢につながれている姿が天上の妖精のように可憐で美しい。憎悪にかみ締 められた唇から香るような生気が感じられる。短いスカートの切れ目からは、白い陶磁 器のような染み一つない綺麗な肌が見えていた。 「さて、フィー殿。虜囚生活は退屈でしょうし、ここは一つ、私とゲームをしませんか?」 「ゲーム、ですって…………」 「ええ。世が世ならば王女であった貴方を、このまま繋いでおくのも心苦しいですから な。貴方が勝ったらこの場所から解放してさしあげましょう。私が勝ったら…………ま あ、何でも、言うことを一つ聞いて頂くということでどうでしょうか?」 顔を険しくして考え込んでいたフィーだが、やがて、はっと何かに思い当たったよう に表情をこわばらせ、そして、首を振った。 「ふざけないで。そんな条件、とても信じられない」 「まあ、信じる信じないはご自由に。しかしただのゲームなのですから、暇つぶしぐら いにはなるでしょう。長らく刺激のない生活を送っていると頭がおかしくなりがちです からな。捕虜の精神面でのケアも、私の仕事なのですよ」 「…………貴方の言うことが本当なら、条件をもう少し対等にしなさい」 「対等、とは?」 「あなたに私の解放を決める権限なんてあるわけがないでしょう。せいぜい、ここでの 生活を向上させるぐらいが関の山なんじゃないの?」 「ふむ…………」 一瞬何を言われたのかわからなかったダゴンであるが、わずかな沈黙の後、それがも っともな発言であることを理解できたので思わず笑ってしまった。よく考えてみると、 解放軍の指導者や武将などは、みな、普通では考えられないほどに若い戦士達ばかりな のだ。 「…………ははは、これは見くびられたものですな。しかし心配は無用です。私はこれ でもマンフロイ大司教に次ぐ権力を持った帝国の司教ですぞ。フィー殿のような小物ぐ らい、私のサジ加減一つでいかようにでも解放して差し上げます」 「小物……ね。いいわ。ゲームを受けましょう。私が小物かどうか、すぐにわからせて あげるから」 決闘の申し出を受けて視線に覇気をたぎらせているフィーの言葉に、ダゴンは唇に好 戦的な笑みを浮かべながら頷いた。罠にかかった獲物を見る時ほど心が浮き立つものは ない。バランなどとは違い、ダゴンは無抵抗の少女の悲鳴などにはまったく興味がない 老人であった。無力でちっぽけな若者が必死で希望にすがりつく様を楽しみ、それを圧 倒的な力で蹂躙することこそが、彼の生きがいであった。 「では……ルールを説明しましょう。よろしいですかな?」 「ええ。聞くだけは聞いてあげるわ」 「なに、ごくごく単純な決闘ですよ。貴方は素手、私は魔法。この狭い牢獄の中で戦っ て、最初に立ち上がれなくなった方が負けです。どうです、簡単でしょう?」 「…………ずいぶん、私に不利な条件ね」 「武器を与えたりすれば戦士である貴方の方が有利ですからな。それに、貴方は捕虜な のです。これぐらいのハンデはむしろ当然というべきでしょう。ああ、いちおう、この 錆びたナイフぐらいなら使ってもかまいませんが」 目の前に現実の武器を与えられたことによって、フィーは戦士としての気配をみなぎ らせながら承諾した。 「わかった、決闘を受けるわ。面白いじゃないの。天馬騎士の動きが、ペガサス前提の ものだなんて勘違いをしているところがね」 一般に、天馬騎士はペガサスから降りてしまえば一般人の少女とかわらない強さであ るといわれている。が、それも程度の問題で、フィー程の戦士であれば地上に降りたと しても十分な脅威になる。ましてやダゴンは接近戦に弱い魔道師だ。鎧や肩当ても着用 している彼女の戦闘力は、錆びたナイフ一本だけが武装だとしても決してあなどれるも のではない。 「ほほ、フィー殿を軽く見ているわけではありません。ある程度拮抗している相手だか らこそ勝負がおもしろくなるのです」 「いいわ。ところで、まさかこの鎖を外さずに勝負しろとは言わないわよね?」 「すぐに外してさしあげますよ」 「ふん…………後悔しても、遅いわよ」 ガチャガチャ、と鎖に鍵を差しこみ、二つの手枷を解放する。フィーの両腕を縛って いた鎖が音を立てて床に落ちた。自由になった彼女はゆっくりと立ち上がり、牢の入り 口へと目を向けたが、そこにはマンフロイ大司教に勝らずとも劣らない魔術師であるバ ラン司教が立っている。探るような表情をしていたので、脱出の機会をうかがっている ことは特に注意しなくても見て取れた。 「ああ、逃げてもたぶん無駄ですぞ。ここの警備はずさんですが、女の子が一人で逃げ 切れるほど酷くもありませんから」 「わかってるわよ。そんな卑怯なことはしない。正々堂々と勝負しましょう」 錆びたナイフを握り締めて、フィーは決然と言い放った。凛としたその表情といい、 バランスよく肉のついた身体といい、無駄な力の入っていない構えといい、彼女が油断 できない強敵であることを雄弁に物語っている。 「…………さて、合図はどうしますか。もう始まっているということでよろしいか?」 「ええ。行くわよ」 「どうぞ」 返答も終わらぬうちにフィーは間合いをつめて飛び込んできた。いい判断である。魔 道師を相手にして、距離をとっての戦いには万に一つの勝ち目もない。 ザクゥッ!! ボロボロに錆びたナイフが、ダゴンの枯れ木のような腕に突き刺さった。 (…………甘すぎる!) ダゴンは失望と共に身体を入れ替えてフィーの突進を受け流した。舞うような一歩踏 み込んで身体を密着させ、同時に高速詠唱によってヨツムンガンドを胸甲の上から打ち 込む。猛烈な手ごたえを感じた。至近距離からの一撃を受けて吹き飛んだフィーは壁に 叩きつけられ、暗黒魔法を浴びた者特有の真っ黒な血を口からごぽごぽとこぼし、そし て激しく咳き込んでいる。 「ゲホゲホッ!! ……っ、う、ぐああああっ!!」 「つまらない……まったくつまらないですな、フィー殿は。老人だからといって甘く見 ましたか。ラクチェ殿はまだ、この私の暗黒魔法の一撃に耐えることができましたぞ?」 侮蔑の言葉に反応して、フィーは歯を食いしばりながら立ち上がった。しかしその行 為には意味がない。もう一撃をなんとか打ち込もうとナイフを手に近寄ってくるが、踏 み込むための足が完全に殺されている。 赤ん坊のはいはいかと錯覚するような遅さであり、かわすのは容易かった。ふらふら とよろめきながら近づいてくるフィーの腕を取り、そのまま石床へと叩きつけて魔力を こめた手をかざす。首筋に放出寸前になっている暗黒魔法を近づけられた彼女の表情は 死を覚悟した絶望に染まったが、もちろん殺したりするつもりはまったくない。軽く手 を振って魔力を拡散させ、同時ににんまりと笑ってナイフを取り上げる。 「勝負あり、ですな」 腰にのしかかって宣言すると、フィーは悔しそうに唇を噛んだ。 「…………武器さえまともなら、あなたなんか!」 「ははは、それは醜い弱者のいいわけというものですぞ。ラクチェ殿などは、あんなボ ロボロのナイフでこの私を極限まで追い詰めるほど奮闘しましたが?」 「もういい……たしかに、その通りだしね」 「では、負けを認めるのですな?」 「まいった。私の負けよ」 「ほほほ、これで決着がつきましたな。それでは約束通り、なんでも言うことを聞いて もらうことにいたしますか」 暗黒魔法の威力を受けて胸を大きく上下させていたフィーだったが、その防具の留め 金を外されて肩当てや胸甲を取り上げられると、さすがに表情を強張らせた。 緑の布越しに胸や腹を軽くなでてやると、瞳が不安げに揺れてくる。 「ま、まって……何を、する、つもりなの?」 「ははは、いや、それは聞かなくてもわかりそうなものですがなあ。これからじっくり と、貴方の身体を楽しませていただくつもりですが」 「…………っ!! じょ、冗談じゃないわ! や、やめて……やめなさい!!」 「別に同意を求めるつもりはありません。約束を破るのは聖戦士達のお家芸ですからな あ。あのラクチェ殿も、なんでも言うことを聞くといっていたのに、涙を流しながら抵 抗して破瓜の血を流しておりましたわい」 「な、なんてひどいことを!! あっ……う、ううっ!! 許さない! それ以上触っ たら、わたしは、あなたを許さないから!」 必死で腕に力を込めて抵抗するフィーだったが、すぐに咳き込んで口から血を吐き出 した。肺を傷つけている少女の力などはまったく警戒に値しない。スカートのスリット から指を入れ、まばゆいほどの太ももを丹念になでてやる。下着の上から尻を鷲づかみ にして、じっくりと愛撫し、首に舌を這わせていく。 「……ううううっ! くっ、い、あ…………ふっ、あっ! …………くううっ!!」 「ほほほ…………いや、天馬騎士などというのはペガサスに頼り切った贅肉だらけの身 体をしているかと思いましたが、全くそのようなことはありませんな。肌の弾力が実に 心地よいですぞ」 「くっ! …………ひ、卑劣よ! 捕虜を辱めるなんて、恥を知りなさい!」 「ははは、組み伏されて愛撫されながらそんなことを言っても、滑稽なだけですぞ。あ あ、バラン司教。腕を押さえておいてもらえませんかな。これから下の方を責めてみた いので」 「ほっほっ、よいですとも」 「や、やめて! やめてよっ!!」 暴れるフィーの上半身を押さえつけてもらってから、ダゴンは緑色のスカートをめく りあげた。白い下着を股の下までずりさげ、あらわになった真珠のような肌の中にある 茂みに舌をはわせて、ねちねちと刺激を加えてやる。 「……ふうううぅっ!! くっ! …………あ、あああっ!! い、いやっ……いやあ あああああっ!!」 「はっはっはっ、処女は反応が楽しくてよいですなあ。ピンク色のあそこに血がみなぎ っておるではありませんか」 「ダゴン老は本当に処女が好きですな」 「おうおう、この白い肌に朱がさしているところを見てくだされ。この女、天馬騎士で ありながら、どうやら淫乱の才も有しておるようですぞ」 「まっこと、けしからんですなあ。清純そうななりをしておるくせに」 「いやまったく」 「う…………あっ、あああっ!! ぐううっ……うああああああああああああああっ!!」 瞳に涙を浮かべて身体をばたつかせているフィーの衣服を剥ぎ取り、ダゴンは遠慮な く秘所に指を突き刺した。唾液で湿らせた穴にずぶずぶと入っていく。そのたびに悲鳴 と膣の収斂が起こり、若々しい肉がビクビクと痙攣した。ダゴンは歓喜の念に身体を震 わせながらあわただしくローブを脱ぎ捨てて、自らの年齢に不相応なほどに立派な一物 をフィーの秘所にあてがい、感動で胸をいっぱいにしながら腰を進めていく。 「え……や、やだっ…………やめてっ! お願いだから、それだけはっ!!」 「ほほほ、いきますぞ」 「う、うそっ!! 冗談でしょ!? …………あ、うああっ……ぐうっ!! あ、くっ… …あ、ああ…………うああああああああああっ!!!」 ずぶずぶと進入する性器を飲み込んでいる膣が、痛々しいほどに締め付けてきてダゴ ンの進入を拒んでいる。 「ほっほっ、まだ半分も入っておりませんぞ。しかし大変な名器ですな、お嬢さん」 「くううっ!! あっ……はあああぁっ!? や、やめて…………やだ……やめてええ えええええええっ!!!」 「ああ、なんて暖かい膣だ。王女殿の中とはこのようなものなのですなあ」 「いや……いやあぁ…………っ!! あっ、あっ、や、やだ……ぐうっ! はああああ ああああああああああっ!!」 引き締まった腰に手を伸ばし小ぶりな尻にぐっと爪を立てる。腹や太ももを押さえつ けるように揉んでいくと真っ白な肌が小刻みに震えてきた。汗を浮かべている皮膚に舌 を這わしてなで回し、薄く赤い唇にも唾液を流し込んでやる。涙を溢れさせている頬に 口付けると、悲しそうに目を閉じて必死に膣をしめつけた。 「ああ、ああ、吸いつくようですぞ。鍛えられているだけあって素晴らしい締め付けで す。伊達にペガサスの背中を股で押さえているわけではないということですか」 「どうして…………どうして、こんなことができるのっ!? ……この…………ケダモ ノっ!!」 「ほほ、あなた方の時代にも、我々暗黒教団の少女達は破瓜も終わらぬうちにこのよう な目に合わされてきたのではありませんか。それから考えれば、この程度のことで文句 を言われる筋合いはありませんな。まあ、しかしそれなりに楽しめましたよ、あなたは。 白馬に乗ったフィー殿はまぶしいほどに輝いておりましたが、今後はその美しさをこの 地下牢の中で発揮してくださいませ」 「な……なにを…………くあああああっ! う……あっ…………言っているの?」 「いえいえ。我が軍の中にも大空を鮮やかに駆ける王女殿を汚してやりたいと考えるや からは大勢いましてな。いつまでも私が独り占めするわけにもいきません。さあ、出し てさしあげますから、後で感想でも聞かせてくださいませ」 「や、やだ…………」 「いきますぞ?」 「……や、やだ…………やだやだぁっ!! やめてえええええええええええええっ!!!」 ドピュドピュ! ドビュウウゥゥッ!! ダゴンのペニスが膣の奥深くで欲望を解き放ち、白濁の液体がフィーの中にどんどん と注ぎ込まれた。 「あ…………あ、ああ…………」 ぐったりと足を投げ出して脱力した少女の腹や太ももに口づけをして、ダゴンはゆっ くりと立ち上がる。その表情は若々しい肉体を陵辱した満足感に晴れ晴れとしていた。 それからはバラン司教とかわるがわるにフィーの身体をもてあそんでいたのだが、しか し、ふと牢の外に立っている魔力の波動を感知して、急に表情を不愉快そうに歪める。 何時の間に現れたのか。 ワープの秘術を使って地下牢の最奥までやってきた雷神イシュタルが、怒りに満ちた 表情でバランとダゴンとを睨みつけていた。 「終わりましたか、バラン殿」 「…………覗き見とは、趣味がよろしくありませんな」 「軍議に出ていただきたいと申し上げたはずです。それが、このような場所で捕虜の虐 待に興じておられるとは!」 切れ長の美しい睫毛が完全に逆立っている。唇も苦々しそうにゆがめられており、空 気中を飛んでいる精霊がぴりぴりとした緊張を周囲に放っていた。黒を基調としたドレ スが生命力に溢れた少女の美しさを見事に際立たせている。不可能なことであると知り ながら、ダゴンはこの可憐な少女に空想の中で何度肉棒を突きたててやったかわからな い。 「申し開きをしていただけるのでしょうね! 明日はもう、ベルルーク城への遠征がは じまるのというのに!」 裂帛の気合とともに放たれた言葉を無視してフィーの胸を揉んでいると、イシュタル は白雷を思わせる光沢のある手袋を突き出し、トールーハンマーの詠唱を口にした。 閃光が走った。 バランとダゴンの眼前で真っ二つに割れた青白い稲妻は、地下深くにある牢獄の壁に 吸い込まれ、そして轟音を巻き起こす。 ドゴオオオオォンッッ!! 雷精の余波を受けたフィーの身体がびくりと跳ね上がったが、マジックシールドに長 けた教会の司祭であるダゴンとバランだけは、吹き上がった埃を煩わしそうにローブの 袖で抑えつつイシュタルの暴行に顔をしかめている。 「…………それ以上の狼藉は許しませんよ!」 「狼藉、とは、何をもってそういわれるのか?」 「無力な婦女を力でもって犯すことを狼藉というのです。ダゴン司教ほどの方が知らな いはずがないでしょう!!」 「ほほほ、私は禍々しい異教の神を信じている哀れな小娘に対して説法を施しはしまし たが、狼藉などという醜い行為は一度もしたことがありませんな。いかなユリウス皇子 のおぼえめでたきイシュタル殿といえども、それは暴言というものでしょう」 「ふざけないで! ロプトウスだけが神ではない!!」 常識では考えられないほどの暴言にさすがにダゴンも顔をにがくした。しかし理解は できた。イシュタルの言ったセリフは暗黒教団の司教を相手に対するにはあまりにも激 しすぎるものであったが、それだけに彼女の怒りの程をよく表していたともいえるだろ う。 「どのような事情であれ、弱者を守って生きていくのが力あるものの本来の姿というも のです。ダゴン司教のされていることは説法などではありません。それは陵辱です!」 「ほ、ほ、ほ…………イシュタル殿が言ったのでなければ二日と生きていられないよう な言葉ですな。しかしイシュタル殿。これは正当な権利というものではありませんか?」 「…………正当、ですって?」 「しかり。かつてグランベル帝国が栄えていた時代、我々暗黒教団がどのような仕打ち を受けていたかは十分にご存知のはず。我らはロプトウス神を信じているだけで石を投 げられ、火にくべられ、釜でゆでられてきたのです。時代と共に澱のように降り積もっ てきたその怒りを発散させることは、正しい行いであれこそすれ決して非難されるよう な事柄ではありませぬな」 「そ、それは! その女の子とは関係ないではないですか! ダゴン司教はロプトウス 教団でない者を皆殺しにするおつもりなのですか!?」 顔を蒼白にして叫ぶイシュタルに、ダゴンは諭すように右腕をかざして言った。 「いえいえ、このダゴン、信心厚きとはいえそのような不可能をまじめに考えるほどボ ケてはおりませぬ。しかし私もまた、親兄弟や友をやつらに殺されてきた被害者である ことに変わりはない。そのような過去の理不尽に対して誰かを攻撃せぬわけにはいかぬ のです。差別に対して攻撃で返すことは決して愚かな行為ではありません。それは当然 のことです」 「…………間違ってる。そんなの、間違っています! それでは憎しみは終わらないで はありませんか!!」 イシュタルは少女らしく潔癖な正義でもって糾弾したが、それは潔癖であるがゆえに、 まったくダゴンの心には響かない。 「侮辱されたことに反撃するのは自衛であり知性であって、間違いではありません。ま あ、イシュタル殿に理解していただかなくても結構。あなたのように聖戦士としての寵 愛と憧憬を受けて育った女性にはわかりますまい。私はただ、聖戦士達だけをよりごの んで愛する神などという偽善者の手によって理不尽に与えられた差別されるものとして の立場を、わずかに元の状態に戻そうとしているに過ぎませぬ」 「ならば! 何故このような人の目につかない地下牢でそれを行うのです! 心に後ろ 暗いことがなければ堂々としていられるはずではないですか!」 「ほほ、私はどちらでもかまわないのですぞ。もっと公の場で犯されることを、このフ ィー殿も望んでいるとイシュタル殿は言うのですかな?」 はっと表情を強張らせてイシュタルはうつむいた。なすすべなく蹂躙されたシレジア 王国の王女に対して、同じ聖戦士として憐れみの念を禁じえないのであろう。実際、イ シュタルもまたこの運命をたどる可能性はあった。彼女がユリウス皇子の寵愛を受けず に解放軍にその身を投じていれば、きっと聖なる武器を没収されてフィーと同じような 憂き目にあっていたに違いない。 「……ダゴン殿の言うことはそれなりにわかります。確かに売り言葉に買い言葉ではあ りました。しかし、何も無力な女子供まで復讐の対象にしなくてもいいでしょう。その 少女も、戦士としての死を与えてやればそれで足りるはずではないですか」 イシュタルは沈鬱な表情で呟いた。どのような立場の者に対しても一定の理解を示す ことができる彼女の情の深さは人としては立派なものであったが、世の中には理解する 必要がない人物もいるということを、この若い少女は知らなすぎた。 「ははは、イシュタル殿は無茶苦茶をいいますなあ。子供の言葉と思って聞いておりま したが、もうこれまで。異教徒などは絶望して苦しむのが仕事ではありませぬか。かつ ての罪を苦痛で清算することこそが彼らに与えられた唯一の幸せなのですぞ」 「…………っ!!」 本音を隠そうともせずにフィーの髪を掴み首筋を嘗め回すダゴンを見てイシュタルは 憎悪を込めた視線をぶつけてきた。しかし、彼女はそれ以上何もしなかった。できなか ったのである。義憤に駆られてトールハンマーを使ったりすれば、それで破滅すること になるのはダゴンとイシュタルの二人だけでは済まないのだ。 イシュタルの心には聖戦士としての正義が深く刻まれている。その彼女ですらダゴン ほどの悪を成敗することができなかったのはひとえに教会の権威とマンフロイ大司教の 力を恐れるが故であった。領地を没収されてユリウスの愛人の地位に落とされるなどと いうことがあっては彼女一人の身が滅びるだけではおさまらない。彼女には愛すべき家 族があり、友人があり、庇護を求めてあえいでいる部下や領民がいたのだった。 「…………まあ、そう固くならずともよろしいではありませんか。教会の軍は帝国とは 別個に、しかし決して足並みは乱さずに動きます。ベルルーク城に立てこもる解放軍の 残党など、三日のうちにはこの世から消え去っていることでしょうよ」 「わかりました……期待していますよ。私は帝国軍を率いて明日、ミレトスを発ちます」 「承知いたしました。暗黒教団の働きぶりにご期待あれ」 返事もせずにワープの魔法によって去っていったイシュタルに対して唾を吐き、ダゴ ンは呪いを込めて叫んだ。 「小娘が! ユリウス皇子の寵愛をかさにきおって!!」 目の前に倒れているペガサスナイトの少女とイシュタルとを重ねあわせ、あの生意気 な女を犯すことの喜びを存分に満たした後、少しだけ溜飲を下げたダゴンは落ち着いて 地下牢を出発し、解放軍の残党から見目麗しい少女を捕らえて楽しむために、ミレトス の暗黒教会支部にて各将を招集した。 続きを読む
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Pathfinder RPG Bestiary 第1刷 更新1.2 - 2011/09/12公開 この文書はPathfinder RPG Bestiaryの第1刷から第3刷への更新である。ページ数が太字の項目は新しい更新である。 更新 (訳注:原文(PRD)に適用されている項目は灰色で表示) 10ページ - エンジェル:アストラル・デーヴァのデータ・ブロック、技能の行、“〈脱出術〉+9”を削除して〈知識:宗教〉のボーナスを“+19”に変更。 11ページ - プラネターのデータ・ブロック、準備している呪文の下、1レベルの行の後に“0レベル(回数無制限):ディテクト・マジック、ピュアリファイ・フード・アンド・ドリンク、ステイビライズ、ヴァーチュー”を追加。 12ページ - エンジェル:ソーラーのデータ・ブロック、遠隔攻撃の行、“+31”を“+31/+26/+21/+16”に変更。準備している呪文の下、1レベルの行の後に“0レベル(回数無制限):ディテクト・マジック、ピュアリファイ・フード・アンド・ドリンク、ステイビライズ、ヴァーチュー”を追加。 16ページ - アント:ジャイアント・アントのデータ・ブロック、特殊能力の毒の項、頑健 DCを“14”に変更。 17ページ - エイプ:ゴリラのデータ・ブロック、CMB の行、CMB を“+5”に、CMD を“17”に変更。 19ページ - アルコン:ハウンド・アルコンのデータ・ブロック、近接の行、グレートソードのダメージを“2d6+3”に変更。 20ページ - アルコン:ランタン・アルコンのデータ・ブロック、オーラの行、義憤のオーラの DCを“13”に変更。 21ページ - アルコン:トランペット・アルコンのデータ・ブロック、近接の行、武器のダメージの後に“/19~20”というクリティカル可能域を追加。準備している呪文の下、1レベルの行の後に“0レベル(回数無制限):ディテクト・マジック、ピュアリファイ・フード・アンド・ドリンク、ステイビライズ、ヴァーチュー”を追加。 24ページ - アザータ:ブララニのデータ・ブロック、技能の行、〈飛行〉ボーナスを“+22”に変更。 25ページ - アザータ:ガエルのデータ・ブロック、AC の行、 AC を“28、接触16、立ちすくみ26(+4反発、+1【敏】、+1回避、+12外皮)”に変更。遠隔の行、攻撃ボーナスを“+14遠隔接触”に変更。準備している呪文の下、2レベルの行、“エイド”の後の“(2)”を削除。1レベルの行、“サンクチュアリ(DC15)”を削除。 1レベルの行の後に“0レベル(回数無制限):ディテクト・マジック、ピュアリファイ・フード・アンド・ドリンク、ステイビライズ、ヴァーチュー”を追加。 26ページ - アザータ:リレンドのデータ・ブロック、修得呪文の下、3レベルの行、“キュア・シリアス・ウーンズ”を追加。 27ページ - グレーター・バーゲストのデータ・ブロック、近接の行、爪の攻撃ボーナスを“+14”に変更。擬似呪文能力の下、チャーム・モンスターとクラッシング・ディスペアの DCを両方とも“DC18”に変更。 34ページ - ビーヒアのデータ・ブロック、特殊攻撃の行、ブレス攻撃の情報の末尾に“1d4ラウンドに1回”を追加。感覚の行と技能の行、〈知覚〉判定のボーナスを“+8”に変更。 37ページ - ボガードのデータ・ブロック、近接の行、舌の攻撃ボーナスを“-1”に変更。 38ページ - バグベアのデータ・ブロック、技能の行、技能を“〈威圧〉+7、〈隠密〉+10、〈知覚〉+8”に変更。宝物の行、“木製ヘヴィ・シールド”を“木製ライト・シールド”に変更。 42ページ - ケンタウロスのデータ・ブロック、移動速度の行、速度を“50フィート(鎧装備時35フィート)”に変更。 45ページ - チョーカーのデータ・ブロック、特殊攻撃の行、特殊攻撃のリストの締めつけの後に“つかみ(大型)、”を追加。 47ページ - クローカーのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+8”に変更。 51ページ - クロコダイル:ダイア・クロコダイルのデータ・ブロック、技能の行、 “〈隠密〉-6(水中では+2)”を“〈隠密〉+0(水中では+8)”に変更。 52ページ - サイクロプスのデータ・ブロック、近接の行、グレートアックスの攻撃ボーナスを“+11/+6”に変更。 53ページ - ダーク・クリーパーのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+12”に変更。 55ページ - ダークマントルのデータ・ブロック、イニシアチブの行、イニシアチブを“+6”に変更。AC の行、AC を“15、接触13、立ちすくみ13(+2【敏】、+2外皮、+1サイズ)”に変更。基本攻撃の行、CMB を“+1(組みつき+5)”に、CMD を“13(足払いされない)”に変更。技能の行、技能を“〈隠密〉+10、〈飛行〉+5、〈知覚〉+4”に変更。 55ページ - ダークマントルのデータ・ブロック、特殊攻撃の行、特殊攻撃のリストの締めつけの後に“つかみ(任意のサイズ)”を追加。特殊能力の行とその下のつかみの段落を削除。 57ページ - デーモン:ババウのデータ・ブロック、近接の行、ロングスピアのダメージを“(1d8+7/×3)”に変更。 63ページ - デーモン:マリリスのデータ・ブロック、近接の行、尾の打撃の攻撃ボーナスを両方とも“+17”に、叩きつけ(×6)の攻撃ボーナスを“+22”に変更。擬似呪文能力の節、プロジェクト・イメージの DCを“24”に変更。 64ページ - デーモン:ナバッスゥのデータ・ブロック、AC の行、AC を“22、接触14、立ちすくみ18(+3【敏】、+1回避、+8外皮)”に変更。技能の行、種族修正の項に“+8薄暗い照明での”を追加。 64ページ - デーモン:ナバッスゥのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD を“29”に変更。 67ページ - デーモン:シャドウ・デーモンのデータ・ブロック、特殊能力、日光による無力化の項、2文目、“移動アクションまたは攻撃アクション”を“移動アクションまたは標準アクション”に変更。最後の文、“サンビームやサンレイ”を“サンビームやサンバースト”に変更。 69ページ - デーモン:ヴロックのデータ・ブロック、特殊能力、朦朧化の絶叫の項、2文目、DCを“21”に変更。 70ページ - デロのデータ・ブロック、遠隔の行、リピーティング・ライト・クロスボウのダメージを“1d6”に変更。 72ページ - デヴィル:バーブド・デヴィルのデータ・ブロック、特殊能力の節、以下の段落を追加: つかみ(変則) バーブド・デヴィルは、中型サイズまでの敵に対して、つかみ攻撃を行うことができる。 82ページ - ディヴァウラーのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+6”に変更。 83ページ - ディノサウルス:ブラキオサウルスのデータ・ブロック、 感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを“+28”に変更。 86ページ - ディノサウルス:トリケラトプスのデータ・ブロック、 感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを“+24”に変更。 87ページ - ドッグ:ライディング・ドッグのデータ・ブロック、脅威度を1に変更。経験点の行、経験点を“400”に変更。 93ページ - アダルト・ブラック・ドラゴンのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+20”に変更。 93ページ - アダルト・ブラック・ドラゴンのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMB を“+22”に変更。 94~95ページ - クロマティック・ドラゴン:ブルー・ドラゴンのデータ・ブロックすべて、技能の行、ボーナスは変更せずに、“〈Appraise〉”を“〈はったり〉”に変更。 94ページ - クロマティック・ドラゴン:ブルー・ドラゴンのテキスト、特殊能力の砂漠の渇きの項、最後の文、“(DCはそのドラゴンのブレス攻撃のものと同じ)”を削除し、文末に以下の段落を追加: このセーヴDCは【魅力】に基づいている。 95ページ - アダルト・ブルー・ドラゴンのデータ・ブロック、擬似呪文能力の下、マイナー・イメージの DCを“15”に変更。エインシャント・ブルー・ドラゴンのデータ・ブロック、この DCを“17”に変更。 97ページ - アダルト・グリーン・ドラゴンのデータ・ブロック、特技の行、“《武器破壊強化》”を削除。エインシャント・グリーン・ドラゴンのデータ・ブロック、特技の行、“《上級武器破壊》”を削除。 99ページ - エインシャント・レッド・ドラゴンのデータ・ブロック、特技の行、“《クリティカル体得》”を“《クリティカル熟練》”に変更。 99ページ - エインシャント・レッド・ドラゴンのデータ・ブロック、修得呪文の下、2レベルの行、ディテクト・ソウツ呪文とミスディレクション呪文の両方に“(DC17)”を追加。特技の行、“《朦朧化クリティカル》”を“《よろめき化クリティカル》”に変更。 101ページ - エインシャント・ホワイト・ドラゴンのデータ・ブロック、修得呪文の下、4レベルの行、“ディメンジョン・ドア”を追加。0レベルの行、“アシッド・スプラッシュ、”、“ゴースト・サウンド、”、“メイジ・ハンド、”、“メッセージ”を追加。 102ページ - ヤング・ブラス・ドラゴンのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD の後に“(対足払い28)”を追加。 103ページ - アダルト・ブラス・ドラゴンのデータ・ブロック、技能の行、“〈隠密〉+3”を削除、 エインシャント・ブラス・ドラゴンデータ・ブロック、修得呪文の下、5レベルの行、“プライング・アイズ”を追加。 106ページ - ヤング・カッパー・ドラゴンのデータ・ブロック、 特技の行、“《強打》”を追加。 107ページ - エインシャント・カッパー・ドラゴンのデータ・ブロック、“《上級武器落とし》”を“《武器落とし強化》”に変更。 108ページ - ヤング・ゴールド・ドラゴンのデータ・ブロック、特殊攻撃の行、“80フィートの円錐形”を“40フィートの円錐形”に変更。 109ページ - エインシャント・ゴールド・ドラゴンのデータ・ブロック、 特殊攻撃の行、“120フィートの円錐形”を“60フィートの円錐形”に変更。特技の行、“《朦朧化クリティカル》”を“《よろめき化クリティカル》”に変更。 114ページ - ドラウのデータ・ブロック、hp の行、 “4(1d8)”を“5(1d10)”に変更。 114ページ - ドラウのデータ・ブロック、近接の行、レイピアの攻撃ボーナスを“+2”に変更。 115ページ - ドラウの貴族のデータ・ブロック、近接の行、レイピアの攻撃ボーナスを“+4”に変更。 117ページ - ドゥエルガルのデータ・ブロック、技能の行、技能を“〈威圧〉+1、〈隠密〉-3”に変更。 119ページ - イール:ジャイアント・モーレイ・イールのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD の後に“(足払いされない)”を追加。特殊能力のかじりつきの項、最後の文の“(攻撃+11、1d6+4)”を“(攻撃+11、1d6+3)”に変更。 124ページ - 中型ファイアー・エレメンタルのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD を“19”に変更。 124ページ - 超大型ファイアー・エレメンタルのデータ・ブロック、頑健の行、頑健セーヴを“+10”に変更。特殊攻撃の行、着火の DCを“18”に変更。 125ページ - グレーター・ファイアー・エレメンタルのデータ・ブロック、DR の行、 DR を“10/―”に変更。 126ページ - 中型ウォーター・エレメンタルのデータ・ブロック、 AC の行、立ちすくみ AC を“16”に変更。 130ページ - エティンのデータ・ブロック、近接の行、この項を“フレイル(×2)=+12/+7(2d6+6)”に変更。 133ページ - レイヴンのデータ・ブロック、技能の行、〈飛行〉技能ボーナスを“+6”に変更。ウィーゼルのデータ・ブロック、技能の行、〈脱出術〉技能ボーナスを+3に変更。 135ページ - フロッグ:ポイズン・フロッグのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD を“5(対足払い9)”に変更。 136ページ - フロフェモスのデータ・ブロック、特殊攻撃の行、飲み込みの AC を“19”に変更。技能の行、〈水泳〉技能ボーナスを“+18”に変更。 138ページ - ゼラチナス・キューブのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD を“9(足払いされない)”に変更。 140ページ - ジンニー:イフリートのデータ・ブロック、技能の行、〈飛行〉技能ボーナスを“+13”に変更。 141ページ - ジンニー:ジャーンのデータ・ブロック、移動速度の行、移動速度を“30フィート、飛行20フィート(完璧);チェインメイル装備時20フィート、飛行15フィート(完璧) ”に変更。特殊能力のサイズ変化の項、2文目、“イフリート”を“ジャーン”に変更。 142ページ - ジンニー:マーリドのデータ・ブロック、特殊攻撃の行、渦潮変化の DCを“22”に変更。特殊能力の荒れ狂う水の項、2文目、DCを“20”に変更。 143ページ - ジンニー:シャイタンのデータ・ブロック、特技の行、“《Improved Natural Attack》”を削除して“《突き飛ばし強化》”を追加。 144ページ - ゴーストのデータ・ブロック、頑健の行、反応セーヴを“+5”に変更。 146ページ - グールのデータ・ブロック、特殊能力の節、病気の説明文の1文目、DCを“13”に変更。頻度を“1回/日”に変更。 147ページ - ジャイアント:クラウド・ジャイアントのデータ・ブロック、特技の行、“《上級突き飛ばし》”と“《上級蹴散らし》”を削除し、“《突き飛ばし強化》”と“《蹴散らし強化》”を追加。 148ページ - ジャイアント:ファイアー・ジャイアントのデータ・ブロック、AC の行、AC を“24、接触8、立ちすくみ24(+8鎧、-1【敏】、+8外皮、-1サイズ)”に変更。 149ページ - ジャイアント:フロスト・ジャイアントのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+2(雪上では+6)”に変更。 154ページ - ギラロンのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMB を“+12”に変更。CMD を“25”に変更。 154ページ - ギラロンのデータ・ブロック、接敵面の行、間合いを“10フィート”に変更。技能の行、“〈登攀〉+14”を“〈登攀〉+12”に変更。 156ページ - ゴブリンのデータ・ブロック、近接の行、ショート・ソードの攻撃ボーナスを“+2”に変更。遠隔の行、ショート・ボウの攻撃ボーナスを“+4”に変更。 164ページ - ゴーレム:ウッド・ゴーレムのデータ・ブロック、頑健の行、意志セーヴを“+5”に変更。 167ページ - グリーン・ハグのデータ・ブロック、擬似呪文能力の下、回数無制限の行、“ディスガイズ・セルフ”を削除して“オルター・セルフ”を追加。 168ページ - グリフィンのデータ・ブロック、技能の行、〈飛行〉技能ボーナスを“+6”に変更。 169ページ - ハーフセレスチャル・ユニコーンのデータ・ブロック、特殊能力の行(訳注:おそらく特殊攻撃の行)、悪を討つ一撃を“(+4ダメージ)”から“(+7攻撃、+4ダメージ)”に変更。このページのハーフセレスチャルの作成の節、特殊能力の節、悪を討つ一撃の項を以下の通り変更: 悪を討つ一撃(超常):ハーフセレスチャルは1日に1回、即行アクションを費やして、ヒット・ダイスと同じレベルのパラディンとして悪を討つ一撃を行える。悪を討つ一撃は対象が死ぬか、ハーフセレスチャルが休息をとるまで持続する。 170ページ - ドラコリスクのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD を“23(対足払い31)”に変更。 171ページ - このページのハーフフィーンドの作成の節、特殊能力の節、善を討つ一撃の項を以下の通り変更: 善を討つ一撃(超常):ハーフフィーンドは、1日に1回、即行アクションを費やし、ヒット・ダイス数と同じレベルのパラディンの悪を討つ一撃と同等(ただし対象は善)の、善を討つ一撃を行える。善を討つ一撃は対象が死ぬか、ハーフフィーンドが休息をとるまで持続する。 173ページ - ヘル・ハウンド:ネシアン・ヘル・ハウンドのデータ・ブロック、技能の行、〈生存〉技能ボーナスを“+18”に変更。 175ページ - ホブゴブリンのデータ・ブロック、hp の行、hp を“17(1d10+7)”に変更。近接の行、ロングソードの攻撃ボーナスを“+4”に変更。遠隔の行、ロングボウの攻撃ボーナスを“+3”に変更。技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+5”に変更。 176ページ - ホムンクルスのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMB を“+2”に変更。 178ページ - ヒュドラのデータ・ブロック、頑健の行、頑健セーヴを“+8”に変更。 179ページ - ハイエナのデータ・ブロック、感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを“+8”に変更。特技の行、“《鋭敏感覚》”を削除して“《技能熟練:知覚》”を追加。 179ページ - ハイエナのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD の後に“(対足払い19)”を追加。ハイエナ:ダイア・ハイエナのデータ・ブロック、CMD の後に“(対足払い24)”を追加。 181ページ - インヴィジブル・ストーカーのデータ・ブロック、頑健の行、頑健セーヴを“+11”に変更。 182ページ - アイアン・コブラの説明文、アダマンティン・コブラの段落の後に以下の段落を追加: コールド・アイアン・コブラ(脅威度+0):このコブラの肉体攻撃はダメージ減少を克服する際、冷たい鉄として扱う。 182ページ - アイアン・コブラの作成のデータ・ブロック、術者レベルの行、アダマンティン・コブラの項の後に“8,000 gp(コールド・アイアン)”を追加。必要条件の行、コストの下、アダマンティン・コブラの項の後に“4,000 gp(コールド・アイアン)”を追加。 183ページ - コボルドのデータ・ブロック、感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを+5に変更。hp の行、hp を“5(1d10)”に変更。遠隔の行、スリングのダメージを“(1d3-1)”に変更。技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+5”に変更。 183ページ - コボルドのデータ・ブロック、言語の行、“共通語”を削除。 186ページ - ラミアのデータ・ブロック、頑健の行、頑健セーヴを“+7”に変更。近接の行、ダガーのダメージを“(1d4+4/19~20)”に変更。 187ページ - リーチ:ジャイアント・リーチのデータ・ブロック、頑健の行、頑健セーヴを“+5”に変更。 187ページ - リーチ・スウォームのデータ・ブロック、技能の行、“〈隠密〉+1(湿地では+9)”を“〈隠密〉+16(湿地では+24)”に変更。 191ページ - リノーム:アイス・リノームのデータ・ブロック、基本攻撃の行、“(組みつき+49)”を“(組みつき+44)”に変更。 193ページ - ライオンのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+8(下生えでは+12)”に変更。ライオン:ダイア・ライオンのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+7(下生えでは+11)”に変更。 194ページ - リザード:モニター・リザードのデータ・ブロック、特殊能力の下、“毒(超常)”を“毒(変則)”に変更。リザード:ジャイアント・フリルド・リザードのデータ・ブロック、AC の行、“+8鎧”を“+8外皮”に変更。 195ページ - リザードフォークのデータ・ブロック、近接の行、項全体を“モーニングスター=+2(1d8+1)、噛みつき=+0(1d4)、または爪=+2(1d4+1)、噛みつき=+2(1d4+1) ”に変更。技能の行、〈水泳〉技能ボーナスを“+8”に変更。 202ページ - メフィットのデータ・ブロック、AC の行、AC を“17、接触14、立ちすくみ14(+2【敏】、+1回避、+3外皮、+1サイズ)”に変更。 204ページ - マーフォークのデータ・ブロック、遠隔の行、ヘヴィ・クロスボウのダメージを“(1d10/19~20)”に変更。マーフォークのキャラクターの節、2段落目の後に以下の段落を追加: +2外皮:マーフォークは固い皮膚を持っている。 205ページ - ミミックのデータ・ブロック、感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを“+14”に変更。技能の行、〈知識:ダンジョン探検〉技能ボーナスを“+10”に変更。 206ページ - ミノタウロスのデータ・ブロック、近接の行、突き刺しのダメージを“(1d6+2)”に変更。 208ページ - モーグのデータ・ブロック、感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを“+23”に変更。 208ページ - モーグのデータ・ブロック、特殊攻撃の行、麻痺の DCを“21”に変更。 210ページ - ミイラのデータ・ブロック、特殊能力のミイラ腐敗病の項、1文目、頻度を“1回/日”に変更。 211ページ - ナーガ:ダーク・ナーガのデータ・ブロック、近接の行、噛みつきのダメージを“(1d4+2)”に変更、修得呪文の下、0レベルの行、“(6回/日)”を“(回数無制限)”に変更。 212ページ - ナーガ:ガーディアン・ナーガのデータ・ブロック、修得呪文の下、0レベルの行、“(6回/日)”を“(回数無制限)”に変更。“キュア・マイナー・ウーンズ”を削除して“ステイビライズ”を追加。 212ページ - ナーガ:ガーディアン・ナーガのデータ・ブロック、特殊能力の毒の項、頑健 DCを“21”に変更。 213ページ - ナーガ:スピリット・ナーガのデータ・ブロック、修得呪文の下、0レベルの行、“(6回/日)”を“(回数無制限)”に変更。“キュア・マイナー・ウーンズ”を削除して“ブリード”を追加。 216ページ - ナイトメア:コシュマールのデータ・ブロック、基本攻撃の行、“(+2対足払い)”を“(対足払い42)”に変更。 220ページ - オーガのデータ・ブロック、感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを+5に変更。 221ページ - オニ:オーガ・メイジのデータ・ブロック、擬似呪文能力の下、1回/日の行、“ディーパー・スランバー”を“ディープ・スランバー”に変更。 222ページ - オークのデータ・ブロック、感覚の行、“夜目”を削除、イニシアチブの行の下(訳注:防御的能力の行の下の誤り)に以下の行を追加: 弱点 光に過敏 222ページ - オークのデータ・ブロック、近接の行、ファルシオンの攻撃ボーナスを“+5”に変更。言語の行の下に以下の行を追加: その他の特殊能力 武器精通 231ページ - ラークシャサのデータ・ブロック、近接の行、ククリのダメージを“(1d4+4/15~20)”に変更。 235ページ - ライナセラスの動物の相棒の節、2段落目、能力値の下、“-4【敏】”を“-2【敏】”に変更。 238ページ - ラスト・モンスターのデータ・ブロック、近接の行、触覚の攻撃ボーナスを“+6接触”に変更。 241ページ - サテュロスのデータ・ブロック、AC の行、AC を“18、接触13、立ちすくみ15(+2【敏】、+1回避、+5外皮)”に変更。技能の行、〈芸能:管楽器〉技能ボーナスを“+19”に変更。 244ページ - シー・サーペントのデータ・ブロック、AC の行、“+17鎧”を削除して“+17外皮”を追加。近接の行、噛みつきのダメージを“(4d8+22/19~20、加えて“つかみ”)”に変更。特技の行、“《クリティカル強化”の後に“:噛みつき”を追加。 249ページ - ショゴスのデータ・ブロック、特技の行、“《朦朧化クリティカル》”を“《よろめき化クリティカル》”に変更。 255ページ - スネーク:ヴェノマス・スネークのデータ・ブロック、AC の行、立ちすくみ AC を“13”に変更。 256ページ - スペクターのデータ・ブロック、近接の行、非実体の接触の攻撃ボーナスを+10に変更。特技の行、“《武器の妙技》”を“《武器熟練:接触》”に変更。 259ページ - スクウィッド:ジャイアント・スクウィッドのデータ・ブロック、近接の行、触手のダメージを“(4d6+3/19~20、加えて“つかみ”)”に変更。特技の行、“《クリティカル強化”の後に“:触手”を追加。 262ページ - タラスクのデータ・ブロック、特技の行、“《朦朧化クリティカル》”を“《よろめき化クリティカル》”に変更。 265ページ - タイガー:ダイア・タイガーのデータ・ブロック、特技の行、“《鋼の意志》”を削除。技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+15(背高の草地では+23)”に変更。 266ページ - トリエントのデータ・ブロック、遠隔の行、岩のダメージを“(2d6+13)”に変更。 270ページ - ヴァンパイアのデータ・ブロック、感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを“+21”に変更。技能の行、〈知識:宗教〉を“+10”に変更。 271ページ - ヴァンパイア・スポーンの節、3段落目、““エネルギーに対する抵抗10”、“[冷気]に対する抵抗10””を““[電気]に対する抵抗10”、“[冷気]に対する抵抗10””に変更。3段落目の後に以下の段落を追加: ヴァンパイア・スポーンは、(訳注:PRDではこの位置に「ワイトの」を挿入している)同族作りの能力を持たない。 272ページ - ヴァルグイユのデータ・ブロック、AC の行、AC を“15、接触12、立ちすくみ14(+1【敏】、+3外皮、+1サイズ)”に変更。技能の行、技能を“〈威圧〉+5、〈隠密〉+8、〈知覚〉+7、〈飛行〉+13”に変更。 277ページ - ウィル・オ・ウィスプのデータ・ブロック、感覚の行と技能の行、〈知覚〉技能ボーナスを+17に変更。AC の行、AC を“26、接触26、立ちすくみ16(+5反発、+9【敏】、+1回避、+1サイズ)”に変更。 280ページ - ウォーグのデータ・ブロック、移動速度の行、移動速度を“50フィート”に変更。この変更はウォーグ:ウィンター・ウルフのデータ・ブロックにも繰り返す。 281ページ - レイスのデータ・ブロック、基本攻撃の行、CMD を“21”に変更。 283ページ - ジルのデータ・ブロック、技能の行、〈隠密〉技能ボーナスを“+14”に変更。 284ページ - ゾーンのデータ・ブロック、技能の行の後に以下の行を追加: 言語 共通語、地界語 292ページ - ステップ6の節、1段落目、3および4文目を削除。2文目の後に以下の文を追加: クラス技能はクリーチャーの種別より決められる(306~310ページのクリーチャー種別を参照)。(訳注:PRDには括弧の記述なし) 294ページ - 単純なテンプレートのアドヴァンスト・クリーチャーの節、再構築ルールの段落、“すべての能力値に+4”を以下の通り変更: すべての能力値に+4(2以下の【知】能力値は除く) 297ページ - ステップ2の節、3段落目、2文目、“その脅威度の英雄的な NPC”を“そのレベルの英雄的な NPC”に変更。 298ページ - 変身の節、1段落目、3文目の後に以下の文を追加: 特に記述がない限り、無期限に変身後の形態を維持することができる。 300ページ - 畏怖すべき存在の節、最初の段落の末尾、最後から2番目の文の前に以下の文を追加: セーヴに失敗した場合、4ヒット・ダイス以下の敵は恐慌状態に、それより高ければ怯え状態になる。 301ページ - つかみの節、1段落目、2文目の“特に明記されていない限り、つかみの能力はクリーチャーよりもサイズが小さな敵に対してのみ使用できる。”を削除。2段落目の後に以下の段落を追加: 特に記載がない限り、つかみはクリーチャーとサイズ分類が同じかそれよりも小さな相手に対してのみ行うことができる。クリーチャーが通常とはことなるサイズにもつかみを行うことができる場合、これはクリーチャーの特殊攻撃の行に記載される。 301ページ - つかみの節、最後の段落、“位置:個別の攻撃手段”を“位置:個別の攻撃手段および特殊攻撃”に変更。 302ページ - 肉体攻撃の節、1段落目、4文目、“攻撃ロールにクリーチャーの【筋力】ボーナスの1.5倍を”を“ダメージ・ロールにクリーチャーの【筋力】ボーナスの1.5倍を”に変更。 304ページ - 擬似呪文能力の節、2段落目、2文目を以下のとおり変更: “常時”または“回数無制限”の擬似呪文能力には使用の制限はない。特に断りのない限り、クリーチャーは“常時”の擬似呪文能力を自身自身にのみ使用することができる。 307ページ - 人造の節、特徴の節の下、5項目目、“病気”の前に“出血効果”を追加。 308ページ - 人型生物の節、4項目目、段落の最後に以下の文を追加: キャラクター・クラスと種族HDの両方を持つ人型生物は、これらの技能にそれらのクラス技能のリストを加える。 309ページ - 粘体の節、特徴の節の下、4項目目、2文目を削除。 310ページ - アンデッドの節、特徴の節の下、4項目目、“[即死]効果”の前に“出血効果”を追加。 311ページ - (アルコン)の副種別の節、瞬間移動の段落、“(超常)”を“(擬呪)”に変更。 311ページ - (エレメンタル)の副種別の節、1項目目、“麻痺”の前に“出血効果”を追加。 312ページ - (オーク)の副種別の節、最後の文の末尾に“(ハーフオークは“光に過敏”を持たない)”を追加。 314ページ - 《ふっとばし攻撃》の節、利益の段落、2文目、“敵はダメージを受け”の後に“(通常は叩きつけのダメージ+【筋力】ボーナス)、”を追加。 315ページ - 《肉体攻撃強化》の節、利益の段落、1文目の末尾に“(素手打撃を除く)”を追加。 315ページ - 《肉体攻撃強化》の節、最後の段落の後に以下の段落を追加: 特殊:この特技は複数回取得できる。効果は累積しない。クリーチャーが1回修得するたびに、この特技が別の1つの肉体武器に適用される。
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ドクターロートレックと忘却の騎士団 【どくたーろーとれっくとぼうきゃくのきしだん】 ジャンル 宝探しアドベンチャー 対応機種 ニンテンドー3DS メディア 3DSカード 発売元 コナミデジタルエンタテインメント 開発元 ウィンキーソフト 発売日 2011年7月7日 定価 5,040円(税5%込) プレイ人数 1人 レーティング CERO A(全年齢対象) セーブデータ 2個 判定 なし ポイント パリの歴史にまつわる謎解きパズル・アクション・RPGを盛り込んだ意欲作地下迷宮のギミックの主張が激しい 概要 特徴 宝の地図解読 地下迷宮 その他 評価点 賛否両論点 問題点 総評 概要 パズル、アクション、RPGと様々なゲームをこなしつつパリでトレジャーハントしていくゲーム。 謎解きを意識した『ザックとオンブラ まぼろしの遊園地』の後継作に当たる。 特徴 世界観 舞台は19世紀のパリ。エッフェル塔は建設途中であり万博を控えている。 この世界のパリの地下には、何者かが設計した謎の地下迷宮が数多く渦巻いている。地下迷宮の入り口は、なぞなぞで指し示されたパリ市内のとある場所にあり、その奥には精霊がとりついた宝(トレゾール・アビテ)が眠っている。 + 登場人物 ロートレック 宝や金儲けには全く興味がなく、ただひたすら謎を解き明かすことに無上の喜びを見出す変わり者の考古学者。 厭世的ではあるのだが、どこか面倒見のいいところもある。 ソフィー 大学でロートレックに惚れ込んで以降、助手兼秘書(自称)として彼の研究室に入り浸り、彼の謎解きを手伝っている女子大生。 実家がワイナリー。宝に宿る精霊が見えるという不思議な能力を持つ。 マリー ロートレックの研究室に、ルイ王朝にまつわる宝を携えて助けを求めてきた少女。 どうやら過去にロートレックに助けられたことがある模様。彼女も高貴な出自らしいが…。 ミレディ オペラ座の酒場を経営する仮面の美女。 地下迷宮の入り口を示す地図を売っており、彼女の酒場は地下迷宮の財宝で一獲千金を夢見る冒険者が集う。ロートレックも「謎にありつける」という理由で酒場によく出入りするようになる。 ヴィドック マリーの財宝に興味を持ち、彼女のことをつけ狙う。マリーとは遠い親戚とのこと。 ジャンルについて 様々なジャンルが混ざって構成されているゲーム。歩き回って話を聞くアドベンチャー、地下迷宮を探索する際のアクション、地下迷宮の隠し扉を開く際のパズル、最深部に眠る宝を屈服させる際のRPGが登場する。 ゲームの流れ 1 ミレディからもらった宝の地図(メインストーリーでは、マリーが持ってきた宝が示す暗号)の謎が指し示す場所をパリ市から見つけ出し、地下迷宮の入り口を探す。 入り口の目印として「ユリの紋章」が建物や植え込み、床等どこかに描かれているので、街並みを見まわしながら見つけ出すことになる。 2 トラップや警備している警官や怪人をかいくぐり、地下迷宮の最深部を目指す。ここではアクション色が強くなる。 「ユリの紋章」がある壁は、パズルを解除することで先に進めるようになる。 3 行き止まりには「トレゾール・アビテ」が眠っており、持ってきた宝や宝石の精霊の力で適度に体力を減らし承伏させる。承伏したトレゾール・アビテは仲間として以降持ち歩くことができる。このパートはRPGの色が強い。 シナリオ構成 マリーの宝物にまつわる謎を解き明かすメインストーリー、ミレディの宝の地図の地下迷宮をクリアするサブストーリーから成る。 6章までがメインシナリオで、7は残された宝の地図を消化していくこととなる。 作中で挑む宝の地図は全部で50程度。サブストーリーでも、ミレディの酒場を中心に、登場人物の素性に掘り下げるシナリオが描かれる。 + 詳細 宝の地図解読 「地図」と呼ばれるが、実際は地図に書かれるなぞなぞを解いてなぞなぞがパリ市内のどの場所を指すのかを判断しなくてはならない。 難易度はさほど高くなく、ロートレックたちの会話をよく聞いて、行くべき場所を転々としていくうちにいつかは入口にたどり着けるようになっている。パリ市の地図に行くべき場所や拠点が図示される。(赤:酒場、青:目的地(まだ行っていないところ)、チェックマーク:目的地(既に行った所) パリ市のマップには、地図のようにデフォルメされたモードと、原寸大モードの2つがある。デフォルメ時はパリ市を素早く右往左往することができ、行きたい区画に立っている時にAボタンを押すとその近辺を拡大し散策できる。また原寸大モード時には、そこにいるNPCと話したり見回したり出来る(オレンジ色のふきだしがついたNPCは話しかけると重要な情報を言うことがある)。 一度に受けることのできる地図は1枚まで。同時進行不可。しかし、過去に中断した宝の地図を再度選択するとその途中から再開可能。 宝の地図に挑戦している最中は、メインシナリオの謎に挑むことができなくなる。 依頼を受ける段階で、地下迷宮の難易度を星の数で大雑把に確認できる。メインシナリオが進むごとに、高難易度の地図が貰えるようになる。 地図には番号が振られているが、基本的にはどの番号から挑んでもよい。また酒場に入りなおすたびに受けられる地図のラインナップがランダム変動する。 入口を見つけた際に、ソフィーが自身の特殊能力で、今持っている宝の精霊と地下迷宮の精霊の戦力差を大まかに判断してくれる。(楽勝、いい戦いができる、がんばれば勝てるかも、相当厳しい戦いになる、等。) このとき引き返すか進むか選べる。 地下迷宮 本作のアクションパート。ロートレックを移動させ数々の罠をかいくぐりながら最深部を目指す 操作 十字キーorスティックでロートレックを移動させる。地下迷宮内部は鳥瞰図になっているので、ロートレックを精密に移動させたいなら十字キーが、なめらかな曲線を走らせたいならスライドパッドが重宝する。 見回し:Bボタンを押しながらスライドパッドを動かすことで、ロートレックを待機させたまま迷宮の部屋内部の構造を観察できる。 木箱 Aボタンを押しながら木箱の方へ進むと、進んだ方向に木箱を押すことができる。引くことはできない。また向こうに何か物があるときも押せない。 条件がそろえば足場にすることも可能。 障害ギミック 警官、仮面の騎士団 一定の決められたルートを巡回するが、視覚でロートレックを発見するとすばやく追跡してくる。つかまってしまうと迷宮の入り口にまで追い返されてしまう。 聴覚で直接感知はしてこない。しかし、背後からかなり接近するとこちらの「気配」に気づいてから、その場で足を止め一定時間周囲を見回しだす。 段差 ジャンプというアクションが存在しないので、いかなる段差もよじのぼったり飛び越えることはできず、階段を使って昇る必要がある。 ロートレックの全身を隠す段差や壁の陰にぴったり張り付いていれば、警官などに発見されづらくなる。上述の木箱の陰にうまく隠れていても気づかれずに済む。 逆にロートレックの腰程度の高さの段差もある。この段差ではロートレックは隠れることができない。ちなみにこのような段差の上に立っていても下に居る警官等に発見される。 警官等は階段がなければ段差を上り下りできないが、逆にロートレックはいかなる段差からも「飛び降りる」ことはできる。 矢、大岩、火炎放射器 いずれも一定間隔で無限に放たれる。いくら接触してもゲームオーバーにはならないが、ぶつかると一定時間操作不能になり、強力にはじかれる。細い道を通る機会が多いので、こういったトラップに触れると下の階層にまで落とされてしまう。 部屋の配置リセット STARTボタンをおすと最後に出入りした部屋の入口(迷宮の入り口ではない)に戻される。 動かした木箱の配置はリセットされ、警官等に追いかけられている途中であってもなかったことにできる。 パズル ユリの紋章のマークを持つ扉は、調べるとパズルが展開されそれを解くことで先に進むことができる。 簡単な迷宮だと扉の数は3程度だが、難しい迷宮になると7程度になる。 パズルのタイプは5種類。(スケルトンクロスワード、間違い探し、積み木、法則性、お絵かき) 操作はいずれもタッチペンを使う。 パズルが解かれている状態にして、「解答」ボタンを押して仕上げとなる。 制限時間はなくいつでもギブアップ可能。ヒントの電球を割ったりギブアップおよび不正解した回数によって、評価点が落ちていく。 評価点はミレディの酒場で精霊を回復するためのアイテムや、地下迷宮の入り口に戻れるアイテムを買うのに必要となる。 承伏 地下迷宮の行き止まりの部屋にトレゾール・アビテが眠っていることができ、手持ちのトレゾール・アビテの力を使って適切に弱らせることで仲間に加えることができる。(逆に0にしてしまうと消滅してしまうがアイテムで復活させることは可能。 目的のトレゾール・アビテの周囲にはいくつか台座が置いてあり、そこに手持ちの宝を置くことで攻撃となる。 まずこちらの宝が敵に攻撃を仕掛け、その次に敵から攻撃を受ける。こちらの宝は1回の承伏のうちには原則として1回分しか攻撃できない。 メインシナリオのボスの場合はHPをゼロにする必要があり、仲間にすることもできない。 トレゾール・アビテに宿る精霊にはHPのほか、攻撃・防御・および属性がある。(人・鳥・獣・魚・木) 人は魚に強く獣に弱い。体力が高い。 獣は魚と鳥に弱く人に強い。また全体的に体力と攻撃力に優れ、防御力に劣る傾向がある。 魚は人に弱く、鳥と獣に強い。 木は他の属性との強弱関係がない。防御に優れるが攻撃力がたよりない。 台座を使い切ってなお目標の精霊を承伏できないとゲームオーバーとなり、酒場に帰還するか、入り口からやり直すか、承伏をやり直すか選べる。 再挑戦 一度クリアした地下迷宮に再度挑むことも可能。また章が進むことで難しい地図が現れるようになるが、簡単な方の迷宮も依然として挑める。 すでに解いた扉は開いている。トレゾール・アビテがいた場所には精霊も出現するが、こちらは承伏する(倒してしまってもよい)と回復アイテムに変化する。 その他 オプション 登場人物が会話している時、トレゾール・アビテを承伏している時、なぞなぞを解いている時以外であればいつでもセーブ・ロード可能。 「持ち物」のページからは、持って行く最大3つの宝物のパラメータを一覧できる 「研究室」のページでは、いままで手に取ったしたパズル、アイテム、トレゾール・アビテ、宝石を確認できる。また持ち物の着脱もここから行う。 初期装備として地下迷宮には宝物、アイテムをそれぞれ3個ずつまで持ち込める。 評価点 いろいろなゲーム性が融合している パズルだけでなく、適度に探索やアクションがある。 それぞれ挿入されるゲーム性も、警官から逃げる、古代の罠を解除するなどの理由付けがしっかりしており物語の流れを損なってはいない。 アクション、パズル、RPGがとっかえひっかえで現れるためゲーム自体には飽きにくい。 チュートリアル パズルや迷宮のトレゾールアビテの承伏方法は、必ずやり方を一通り説明しようとしてくれる。 文章だけで説明するのではなく、図を使って試行錯誤させながら、覚えさせていく形式をとっており親切。 ただしもう一回見ることができないのは残念。 地下迷宮でのアクションのパズル性 地下迷宮の攻略も、一種のパズルゲームとしての楽しみがある。 木箱を動かすだけのアクションにもかなり応用ある。 警官から隠れたり、行進ルートを変更する壁としても使えるし、警官を狭いところに追い込んで閉じ込めることも可能。 警官の行進にも法則性があるので、どのようなルートでロートレックを進ませるべきか考察の余地がある。 警官のうち1人にわざと背後から近づことで、混乱させる、複数人の足並みを乱すといったこともできる。 まれにアクション重視なものもあったりとネタは多い。 美術面 メインシナリオ中は3Dムービー、イラストによるアニメーションが挿入され、全編3D表示可能。 物語の舞台であるパリが描かれており、ほぼ全編に至って3DS表示が可能。 背景の建物の表面もただの平面ではなく、きちんと凸凹を作ってくれてあるときが多い。フランスの建造物を3Dで再現できるという意味では、このゲームの価値は高い。実在の庭園をデフォルメで表現し、そこを歩けるようにするという一幕もある。 本編のカギであるユリの紋章もただの絵ではなく立体表現されている。 有名な絵画や建造物の写真もいくつか収録されている。間違い探しのパズルにもよく登場する。 キャラの立ち絵のパターンも豊富。多彩な表情が用意され逃走するといったアクションも上手に立ち絵の紙芝居によって再現される。イベントの数も多様ながら、カットの絵がちょくちょくはさまれる。 150ほどあるトレゾール・アビテのデザインについては、色違いといった使い回しこそあるが形状のバリエーションは40程度と決して少なくない。 その全てに対して説明文、イラストが作られている。承伏時には3Dモデルを見ることも可能。 パリ市の歴史資料として パリ市の歴史からいろいろなネタを引っ張ってきてなぞなぞにしている。謎々の是非や矛盾、スピードダウンなどの問題がないわけではないが、ひとつの市から拾って来たにしてはネタが非常に豊富である。 街中を移動する際は、パリ市の町並が地図のように表示されその中を闊歩できる洒落た演出をしてくれる。実在の地名ほぼ実物どおりといって差し支えない。 パリ市の道路や広場が、かつての偉人にちなんで名づけられていることが多い。その偉人のうんちくを学ぶことができる。 プレイヤーの努力は必要だが、用語辞典にパリ市のどこにどんな建物があるか知ることができる。またきちんと2人のやりとりを聞いていればおのずと、パリの歴史やフランスの大まかな歴史にはかなり詳しくなれる。 セーヌ川がどのように流れているか、ベルサイユ宮殿、凱旋門、国立自然史博物館、市庁舎等、有名な拠点に何度か足を運ぶので大まかな位置も覚えられたりする。 主要登場人物のかけあい 本作で頻繁に挟み込まれるのがロートレックとその助手ソフィーとの会話である。 ロートレックの具体的な第一印象は、謎にしか興味を示さない偏屈屋といったところ。また知識量がすさまじく会話の隅々に、たいていのプレイヤーにはなじみの薄いフランスの歴史の知見が出てくるので話の本筋を見失いやすい。 しかし話し込むうちに、実際は偏屈ながらもワインに目が無かったり、口では冷たいことを言っておきながらも人がいいところを見せるなど人間味が垣間見える。 ソフィーは良くも悪くも若く、面倒ごとに巻き込んでしまうところもあるが、彼女なりに博士に認められようと、謎解きに奮起する場面が多々見られる。 ソフィーは教授に恋愛感情を持っているが、その背景について掘り下げるイベントもあるので、ただ話題性を持たすだけの単純な設定で終わらせていない。 物語が進んでくると、しだいにソフィーも謎解きに的を得た答えを出せるようになってくる。 賛否両論点 メインストーリーとサブストーリーの世界観が乖離している メインストーリーは、きちんと悪役がいて登場人物に目的があるため、基本はひとまず押さえたシナリオといえるが、つまるところ「19世紀末フランス」という舞台設定でやる必要のないこと。 ネタバレになってしまうが、終盤に向けての一連のイベントは、明らかに『天空の城ラピュタ』の影響を受けているといわざるを得ない。 黒幕のヴィドックの一連の行動に、ムスカ大佐との共通点が多い。マリーを正当な後継者(何の後継者なのかは不明)にしようと拉致する、「空飛ぶ城」なる兵器を復活させて記念の試し撃ちとして精霊の雷をロンドンの野山に落とす始末。見たまえ、ラピュタの雷を! 本拠地の遺跡も、天空の城ラピュタ内部にあったような、壁が集積回路のような光の脈をうつSF世界。 一方で、サブストーリーが地下迷宮を踏破し、そこに眠る宝に精霊を屈服させるというオカルト路線がやや強い。…のだが時代背景からすればむしろこちらが妥当。 レビューサイトでは、レイトン教授と同じナゾトキものだと糾弾する声が見られるが、ゲーム性ではアクション要素があったりRPG要素があったりするので、十分に差別化されている範疇だと思われる。むしろシナリオのほうが著作権的に危なくないだろうか…? ただし本作のタイトルにもなっている「忘却の騎士団」は、「地下から出られずルイ王朝の財宝を代々にわたって守り続ける人々」という鉄仮面をモチーフにした存在であり、このあたりはなかなかおもしろい。 リスタートの仕様 警官に見つかると、いちいち「入り口」に突っ返されてしまうのだが、警官に見つかって追われている状態でもセーブ リロードがダンジョンで可能。この方法でタイミングさえ誤らなければ警官の脅威が激減する。 ゲームとしては欠陥のようにも思えるが、この裏技を使わないとストレスがたまりやすい。特にクリア以降の迷宮はリセットを使うこと前提な配置の場合も見られる。 6章の最後に行くダンジョンは特に難関。スタートボタンでのやりなおしがないとやってられない。 地下迷宮の壁として機能する謎解きや承伏作業にもこの裏技が有効。パズルではわざと直前でセーブしておいて答えを覚えて解きなおすといったことも可能。面白みも何もないだろうが…。 承伏もこの仕様のおかげでよほどか無謀なプレイングをしない限りは、宝を1つも死なせずに繰りさせることが可能。そのため酒場で買える回復アイテムがほぼ無意味。 またいついかなる状態でも地下迷宮の入り口に戻れるアイテムもあるが、そうしたいならわざと警官につかまるなどすれば十分。警官がいない地下迷宮のほうが稀。 地下迷宮の難易度にムラがある とにかく「入り口に追い返す警官」「ノックバックさせて下層に落として入り口にまで上らせる」といった1からやり直しにさせる仕掛けが多い。製作者の性格の悪さがにじみ出ている警官配置もちらほら。序盤はともかく終盤の難易度の高い地下迷宮では露骨。 かといって高架橋の上を歩けば、下のフロアに居る警官等をたやすく回避できる等とことんサクサクプレイできるときもある。こういったサクサク進める地下迷宮の地図を覚えておけば、レベリングにも使えなくはないので、正の側面もあったりはする。また常に頭をひねって先に進みたい人もいる一方で宝物の入手が目当てな人にとってはむしろありがたい仕様。 地下迷宮の地図には「難易度」が表記されているが、これは事実上眠っているトレゾール・アビテの強さと手に入る宝石の豪華さに影響している。そこでのトラップがどんな傾向なのかは行ってみないことには分からない。 地下迷宮パズルのワンパターン化 パズルについては評価点もある一方で、問題点もいくつか存在する。 ルールが5通り(積み木、スケルトンクロスワード、お絵描き、間違い探し、法則性)しかないので、どうしてもワンパターン化するところはある。積み木は用意されたピースが多く可能性が広がるため手ごたえがあるが、そのほかは法則性を知ってしまえば簡単にあしらえてしまう場合が多い。 間違い探しでは、写真の半分以上の面積がフランスの由緒ある建物だったりする。この建物はむやみやたらに改変できなかったようで、確実にその建物と関係のない車だったり人だったり、雲といった自然物に間違いが隠れている。 雲の違いに限ってはいやらしく設定されていることも多く、微妙に色が違うだけのときもあり3DSの性能や表示環境、プレイヤーの視覚能力によってはほぼ無理ゲーの場合あり。 スケルトンクロスワードパズルも、既に用意されているせいぜい8つ程度ある単語を辻褄が合うように並べるだけで難易度が低い。 フランスをふんだんに題材に使った(建造物やフランス語の間違い探し、単語をつかったクロスワードにした)ことで難易度を低くせざるを得ない、というしわよせがきているのかもしれない。 作業になりがちな承伏 トレゾール・アビテの承伏はとくに頭を使わない。強い宝を仲間にして、また強い宝を倒して仲間にするだけ。宝の能力、属性の相性考察、道中の宝箱の入手、寄り道を怠らなければまず負けない。 さらに言うと、うっかり倒してしまったりこちらに犠牲者が出てもリセットすればいいだけの話である。 合体技もラスボス時以外使わない、持っていける宝の数にも制約があり。あらかじめ合体技ができる組み合わせを狙うのは困難。 レベリングも不可能ではないが特に意味がない。経験値がたまりにくく時間がかかる上に、普通に地下迷宮を攻略していればよほどか強いトレゾール・アビテが嫌でも手に入る。最序盤でのミレディの言葉通り、「強い武器に持ち替えていく」ゲームである。 ゲーム終盤で、酒場から購入できる宝もあるが、このタイミングでは完全に力不足。確かに最後まで育成すれば破格の強さなのだが、育成効率がよくないので…。 レベリングの手間は省けるため、いちいち地下迷宮を何度も攻略しなくていいという意味では評価点ではある。 宝のデザインこそ多いのだが、精霊のバリエーションは少なく同じものが使いまわされる。カラーバリエーションもない。 6章のラスボスの外見とグラフィックもなぜかもう一度使いまわされる。 問題点 声の演技や配役について うまく声の吹き込みをできている人のほうが少ない。 ロートレック、ソフィー、ジャンとポールはタレント起用。 ソフィーの武井咲氏は、要所要所に感情をこめた演技をしようとしている様子が窺える一方で、全編で滑舌が怪しい。 ジャンとポールに関しては滑舌演技の抑揚ともにたどたどしい。 ロートレックたちに何度も出し抜かれたこと、ヴィドックから離反した事に関して、彼らなりに思うことを発言するシーンも有るのだが、如何せん演技の抑揚が弱すぎるので、義憤というよりもただ単にヘタレなイメージが否めない。 こういったキャラだけに掛け合いをさせるシーンは決して少なくなく、こういったタレント声優の棒読みが苦手な人には聞くに堪えない。最善な自衛手段は消音してプレイすることか。Aボタン連打で早送りすることも可能だが、シナリオの設定や地下迷宮の入り口を探すやり取りでは、ちょくちょく大事な情報も挟んでくるのでデメリットもある。 マリーの声質が安定しない。消え入りそうなかすれ声で喋ると思えば、エピローグ以降にやたらかわいらしい声になったり。 地下迷宮を見つけるまで 地下迷宮の入り口を記した地図は暗号であり、それを解読するまでもシナリオの一部になっているのは評価点で述べたとおりだが、その謎々がきちんと機能していないという問題点がある。 地図の謎々のほぼ全てがパリにまつわっているので、どうしてもフランスについての歴史や有名人を知らなければ解けない問題は多い。 そういうときはロートレックたちの会話を読み進めて、指示に従ってパリ市を右往左往し勝手に謎が解けるのを待つしかない。この謎を十分に生かせなかったゲームシステムは非常にもったいない。 またプレイヤーのまぐれ当たりで迷宮の入り口のある区画に行っても、それまでの会話の流れが切られて暗号の解説の後、迷宮の入り口を探すパートに入ってしまう。 2人が頭を深く悩ませて謎に挑んでいるときにやると雰囲気がぶち壊しになる。もっとも時間短縮の裏技としてはかなり有用ではあるが。 バックログの類がないので、会話の内容を覚えておきたいならプレイヤーがメモを取るなどの努力をする必要がある。(ロートレックたちの推理にも紆余曲折があり、解決には直接関係のない情報もちょくちょく挟まれるのでなおさら話の理解はしにくい。) ゲームでも一応進捗状況をメモにとってはくれるのだが、その内容は「○○は目的地と関係ない」「暗号文の△△はパリ市の□□を比喩している」「行くべき場所は××だ」など淡白。 特に「○○を比喩している」という判断になぜ至ったのかについての解説はメモにかかれない。 メインシナリオ終盤で、「ポイント・ゼロ」という単語を突き止めるくだりがあるが、ここのくだりがかなり難解。例によってまき戻して読み直すことができない。 ふりがな、フランス語読みが統一されていない 本文中のテキスト、特にキーワードとなる名詞には日本語とフランス語を織り交ぜた独特のスタイルがとられているが、どういうとき日本語になるのかどういうときにフランス語になるのかの統一感がまるでない。 漢字の熟語だったりカタカナでそのままフランス語を表記する場合、ルビが振ってたりなかったりと読みづらい。 また音声で読む場合も、ルビなしの漢字をフランス語で読んでみたり、フランス語のルビが振ってある熟語を日本語で読んだりする。 同じ会話中ですらあまり統一されておらず、カタカナで読み上げられているだけと思いきや、次のシーンではすぐに漢字表記になってルビふられたりなど、とにかく読んでいて混乱する。「冒険者(アヴァンチュリエ)」、「精霊(ガルディアン)」は頻出単語なのも有るかもしれないが、この2単語がとにかく統一されていない。 ルビ事体もそこからフランス語を勉強できるほど意味に忠実にふられてはいない。「作り話」に「イストワール」というルビがふられるなど大間違いでもないが、微妙なあてつけも多い。 ゲーム序盤では「承伏」に「トンプタージュ」とルビを振っているが、ゲーム中盤からは影も形もなくなる。 メニューから用語の説明もあるが、なぜかこっちはルビがふられていない。ルビの代わりにカッコ内部で改めてフランス語の呼び方を書いてあるものもあるが、逆にフランス語の読みだけをカタカナ表記してあるものもある。 ソフィーの設定 いろいろな人がソフィーのシナリオに加担したのか、彼女の設定があやふや。 精霊が見える能力について掘り下げが不足している。終盤のクエストで核心に迫る話が出るのだが、結局家系による能力だということしか分からない。 そもそも、周囲の人に見えているのか見えていないのかはっきりしない精霊もいる。 とある謎解きでマドレーヌの材料や作り方をロートレックに自慢してくるので、料理が好きかと思いきや包丁の持ち方がおかしかったり、砂糖とタバスコを間違えたりとよく分からないことになっている。 大学の考古学を専攻しておきながらフランスの歴史に疎い。 存在意義のないサブキャラが多い シナリオの設定に関与していたり、シナリオを有意義に進行させるサブキャラはミレディ、クロード、ソフィーの母くらい。残りのサブキャラは会話パートを無意味に不快にしているだけ。 冒頭のイベントで明確にロートレックを敵視しているギュスタフ教授は、彼のライバルと思いきや実際そんなことも無く、幾度と汚い手(*1)を使って勝負を仕掛けるも軽くあしらわれるだけ。むしろ後半になってとくに前触れも無く、しれっと会話に混ざってくるだけのキャラにジョブチェンジして終盤になると出番すらなくなる。 序盤はとにかく言動が下品で脳筋なところが強調される(これでも一応教授という役職である)。ひどいときは拠点の酒場の施錠されていない扉を体当たりで「ぶち抜いて」登場するなど、どう考えても理にかなっていない奇行すら描かれる始末。 会社も経営しており、彼の持ち前の悪運もあってかなり会社は順調に行ってたりする。この面を強調してやっても良かったのでは…。 ヴィドックの手下として登場するジャンとポールにいたっては存在意義すら不明。敵にいても味方にいても役に立たない。シナリオ上で女性への愛を語りつつもドジを踏むだけの役回りであり、誰かの役に立ったシーンがほぼ皆無(強いて挙げるなら本編の悪の親玉が従える部下についてちょっと知ってた程度)。 本編が終わっても謎解きに参加するでもなく、女性陣をナンパして嫌がられるなどメインキャラとろくな会話をすることすらできず、見ているこっちが居たたまれなくなること請け合い。 子供向けに会話を堅苦しくしないための措置なのかもしれないが、曲がりなりにも19世紀フランスという舞台でここまで下品なキャラを描いていいものなのだろうか。 メインシナリオにおいて、ロートレックに依頼を持ち込んだもうひとりのヒロインがサーカス団並みに身軽という設定が追加されるが、その設定が一度きりで以降役に立っている描写が描かれない。 壁を強引にぶち破れるギュスタフもそうだが、マリーは探索用のキャラとして使う予定が当初あったのかもしれない。 不親切なシステム 「持ち物」というコマンドでできるのは持っている宝の「確認」のみ。持ち替えといったことはできず、研究室というコマンドを選ばなくてはならない。 ビューポイントがエリアチェンジするギリギリのところにおいてあることが多い。そこにたつ前にパリ市の探索モードに切り替わってしまう。 用語辞典からパリ市の地形が分かることは評価点なのだが、あくまで単語を載せているだけで、たとえば「ABC順」「通り」「広場」「聖地」といったふうにソートできない。訪れた順番にしたがって掲載されるので、辞書としての活用はしにくい。 地下迷宮の設定 細かい点かもしれないが、ゲームを難しくするためにあるいは面白くするために、リアリティに乏しかったり不条理な制約が課せられる傾向がある。 迷宮に入るときに、トレゾール・アビテを3個までしか持ち込めない。 (もともと地下に住んでいて宝を守っているという騎士団はともかく)、地下迷宮に警官がとにかく張り込みすぎている。ロートレックを敵視する警部の差し金にしても、人がくるかも分からない地下迷宮に張り込ませるのはおかしい。火炎放射器や大岩がわんさか仕掛けられる迷宮を何食わぬ顔で闊歩してることもザラ。スイッチを踏むと「なにもなかったところ」から唐突に出現する警官もいる。もはや幽霊なのか…。 さらに細かいことかもしれないが、こんな超人的な警官の癖して壁を幾度と無く体当たりでブチ破ってきたギュスタフ教授についてはノーマーク。警戒している様子が全く見られない。 総評 多ジャンルのゲーム性をかき集めて作品として成立させたことは大きな評価点である。 しかし、この多ジャンルが上手に同居できたかというとそうではなく、やたらと雑に作ってあるパズルや本当に頭をひねるパズルの混在、シナリオや設定に一貫性が無かったりとムラが激しい。