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幻想卿にゆっくり虐待に生涯を捧げた虐待お兄さんがいた。 男は畑を荒らす泥棒ゆっくりを見つけては虐待し。 親子で仲良く暮らすゆっくりを探しては、親の眼の前で子供を食い殺し。 恋人同士幸せに暮らすゆっくりを探しては、仲違いさせ殺し合わせ。 元気に遊ぶ子ゆっくりを探しては、底部を焼き眼を抉り二度とゆっくり遊べないようにした。 やがてそんな虐待お兄さんにも、虐待嫁ができ虐待息子ができ虐待孫ができ。 気がつけば、いつお迎えが来てもおかしくない年齢になっていた。 死期を悟った老いた虐待お兄さん、いや虐待爺さんは人生最後にと、虐待祭りを開いた。 虐待爺さんの屋敷に近隣に生息していたありとあらゆるゆっくりを集め。 虐待爺さんとその家族は、盛大にゆっくり達を殺しいたぶり蹂躙し皆で大いに楽しんだ。 十日で、五百匹のゆっくりを虐待したこの祭りの三日後、虐待爺さんは親戚縁者に見守られ眠るように息を引き取った。 虐待爺さんの人生はこれで終わったのだが、死後の世界というものは存在し、虐待爺さんは生前の罪の裁きを受けることになった。 虐待爺さんは生前の記憶を持ったまま、三回ゆっくりに転生した後地獄行きという、非常に厳しい判決を受けた。 小さくも威厳のある幻想卿の閻魔様、四季映姫・ヤマザナドゥが言うには、 「そう、あなたは少しゆっくりを殺し過ぎた、一度虐げられる側、ゆっくりの立場に立ってみることでこれまでの無益な殺生について反省しなさい」 との事だ、判決を聞いた虐待爺さんは何度も抗議をしたが聞き入れられなかった。 映姫が槌を叩くと、その瞬間虐待爺さんは意識を失った。 目覚めると虐待爺さんはゆっくりの茎に生えた、一匹の赤ちゃんゆっくりになっていた。 「ゆっくりうまれてね!」 「ゆっくりしたいいこになるんだぜ!」 わしの真下にはゆっくりれいむが居る、そばのゆっくりまりさはキラキラした目でわしを見つめている。 多分こいつ等が、わしの両親なんじゃろう。 どうやらあのツルペタ閻魔の言っていたことは本当だったようじゃ、わしはゆっくりになってしまったようだ。 虐待爺ともあろうものがゆっくりになってしまうとは、何とも情けない話じゃ。 それにしても、よりによってわしはまりさ種に生まれてしまったのか。 せめて捕食種のゆふらんとかなら、ゆっくりを虐待しまくれるんじゃが。 そんなことを考えた瞬間、元虐待爺さんのゆっくりまりさの体に電撃が走った。 何故人間じゃないとゆっくり虐待が出来ないんだ?、何故ゆふらんじゃないとゆっくり虐待が出来ないんだ?、何故ごく平凡なゆっくりまりさはゆっくり虐待が出来ないんだ? ゆっくり虐待に必要なのは人間の体でも、ゆっくりより強い力でもない、眼の前のゆっくりを虐待したいという虐待魂だ!!! わし、いや、俺は、この第二の人生いや饅生を虐待ゆっくりとして生きるのだ!!! 自分達のかわいい愛の結晶の中に虐待ゆっくりがいることには気づかないれいむとまりさ。 ゆっくりの両親は、茎に実った可愛いわが子達に目を細めていた。 その数時間後、邪な野望を持った虐待ゆっくりは五匹の姉妹たちと一緒にこの世に生まれ落ちた。 ちなみに俺の姉妹はれいむがニ匹にまりさが三匹だ。 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!!!!」」」」」 「ゆっくりしていってね」 「ゆぅ~!れいむたちのあかちゃん!ゆっくりしていってね!」 「ゆ~!ゆぅ!みんなとってもゆっくりしてるんだぜ!」 元気に、ゆっくりしていってねと叫ぶ姉妹達。 生まれてきた我が子を見て、目に涙を浮かべながら歓迎するゆっくりれいむに、巣の中で飛び跳ねて大喜びをするゆっくりまりさ。 どいつから虐待しようかな?うきうきワクワクしてきたぜ。 親れいむは、頭に生えていた茎を落とすと赤ゆっくり達に食べるように言った。 「「「「「むーちゃ!むーちゃ!ちあわちぇ~!」」」」」 「むーしゃ!むーしゃ!幸せー!」 ゆっくりになったのだから、味覚も当然ゆっくりと同じになっているようだ。 茎はなかなかうまい、柔らかくて噛むといい匂いがする。 しばらくすれば虫や雑草を食べねばならない、そう思うと気が滅入るがゆっくりになった以上仕方のないことだ。 それに俺の味覚はゆっくりそのものなのだから、美味しく感じるはずだし今は気にすることじゃないな、まずはこの体で俺がどのくらい動けるかを試してみることが大事だ。 俺達は食事の後、親から跳ね方を学んだ。 もと人間の俺は、跳ね方のコツがつかめず苦戦したが、 「ゆ~!いそがなくていいよゆっくりおぼえてね!」 「ゆっふふ!まりさはゆっくりしてるんだぜ!れんしゅうすればゆっくりすぐにはねれるようになるのがまりさにはわかるんだぜ! と微笑みながら両親は語りかけてくれた、おお母性愛、母性愛。 俺が上手に跳ねれるようになるころには、他の姉妹共はそれぞれ遊んだり昼寝をしたり、思い思いに過ごしていた。 まさに幸せなゆっくり家族の巣といった感じだ。 俺も笑いながら姉妹たちの遊びに加わった、鬼ごっこをしたり跳ねる高さの競争をした。 せっかくゆっくりに生まれたのだ、一度姉妹のゆっくりとゆっくりの体で遊んでみるのも一興だろう。 後ろでは、両親が本当に幸せそうな顔で俺達について話している。 「れいむたちのはじめてのこどもだねまりさ!」 「ゆ~!ゆっくりしたいいこにふたりでそだてるんだぜ!」 もちろんだ、俺は最高にゆっくりした子供になってやるぜ。 俺はその後も姉妹たちと、夜遅くまで遊んでいた。 「ゆ~!そろそろおねむのじかんだよ!ゆっくりおねんねしようね!」 「「「「「ゆっくちおやちゅみなちゃい!」」」」」 「ゆっくりお休みなさい!」 五分もたつと、両親も俺の姉妹たちも、眠りの世界に旅立ったようだ。 親まりさと親れいむを中心に、俺の姉妹たちは気持ちよさそうに眠っている。 俺は笑みを浮かべながら隣で寝ている、俺より一回り小さい俺の妹、ゆっくりまりさの前に立つ。 可愛いらしい顔をしばらく眺めた後、妹の口に思い切り噛みつき引き千切る。 ぐじゃ!!っといい音がした。 「びゅ………!!!!!!!!!」 「むしゃ!ふひひ…良い味だぜ、まりさの妹…!」 口を噛み裂かれたせいで悲鳴を上げられない妹を押さえつけて、幼く穢れを知らない白く柔らかい身体を本能のまま貪り喰らう、言うまでもないが食事的な意味でだ。 餡子のつながった妹だからだろうか?それともゆっくりにとっての最高の美味はゆっくりだからであろうか。 口の中に広がる芳醇な甘みは、前世で数多食らった、どのゆっくり達にも勝るまさに至高の味だった。 食事を終えると俺は妹まりさの帽子を咥えて、家族を起こさないようにゆっくりと巣穴の外に出た。 外で、妹の帽子を吐き捨てると、巣穴に戻って俺自身も、睡眠をとることにした。。 俺は家族たちから少し離れて、ついさっき食い殺した妹の恐怖に染まった表情を思い浮かべながら目を閉じた。 「「ゆっくちおはよう!」」 「「「「ゆっくりおはよう!!!!!!」」」」 「ゆっくり起きたよ!」 姉妹たちも両親も、一匹家族が欠けている事に気がつかないようだ、さすがゆっくりだ。 俺達はその日も巣の中で、ゆっくり過ごした。 別段変ったことは無い日だったが、一つだけ素晴らしい発見があった。 どうやら、ゆっくりは同族を食うと体力や運動能力が上がるようだ。 体が昨日より明らかに軽く、素早く動けるようになっている。 今夜も誰かを食い殺して力をつけるとするか…。 俺はその日も残った姉妹のうち、一番小さい妹まりさを昨日と同じ方法で噛み殺した。 きちんと全部食おうとは思ったが、親れいむや親まりさが朝起きて娘の惨殺死体を見つけたらどんな顔をするか見たくなったので、半分ほど残してその日は寝た。 俺が目を覚ますと、ゆっくり虐待が好きな者なら垂涎の光景が繰り広げられていた。 「ゆぅぅええ!!!ぇえぇぇぇん!!!!」 「れいみゅおねーちゃんちっかりちてね!!」 妹のれいむがゲロを吐いてい痙攣しているのを見ながらおろおろしている妹のまりさ。 「ゆぅぅぇぇぇ…ぇぇ」 それを見て貰いゲロをしている姉れいむ、ゲロといっても吐いているのは餡子だからそれほどグロくないし実にシュールな光景だ。 生まれて二日目の赤ん坊ゆっくりがゲロなんて吐くなんて命にかかわる大事だ、現に妹れいむはあくまで目測だが致死量に至るだけの量の餡子を吐いているもう助からんだろうね、合掌。 ちなみに俺の両親はというと、妹の死骸、昨日の俺の食い残しの傍で騒いでいた。 「ゆぅぅ!!!あかちゃんしっかりしてね!!すーりすーり♪‥」 「れいむ…やめるんだぜ‥あかちゃんはもう…もう…」 「ゆゆ!!!うるさいよ!!あかちゃんはねてるだけだよ!!すーりすり♪…おねがいゆっくりおきてね!!」 親れいむは泣きながら俺が食い殺した妹れいむの死体に頬擦りをしている。 そんな事して生き返ると思っているのか?馬鹿なの?、今世話をしてやるべきは餡子吐いちゃってる生きてる方の妹達だろ。 一方、親まりさは親まりさで汗をかきながら、挙動不審に体を揺らしている。 御自慢のお家で殺饅事件が起きて動揺してるんだな、それにしても全く駄目だな奴だ、一家の大黒柱はもっとどっしり構えてなきゃ駄目だぜ。 結局その日は、餡子の吐きすぎで妹れいむが死んで、家族みんなで大声で泣いた。 俺はその日一日泣きまねをしなければならないので実に疲れたので、この日は夜に妹達を食い殺すことはやめておいた。 ゆっくり虐待は体が資本、体調管理は大事な仕事のひとつなのだ。 「ゆぅえぇぇん‥おねぇちゃん‥なんでちんじゃったの‥」 「ゆぅぅ‥れいみゅやまりちゃとゆっくちちたかったよ…」 夜遅くまで死んだ、妹を思って泣く姉妹たちを気にせず、俺はたっぷり睡眠をとった。 「あかちゃんはまりさがまもるんだぜ!!ゆっくりあんしんするんだぜ!!」 「ゆぅぅ‥がんばってねまりさ!!れいむはあかちゃんといっしょにゆっくりねむるよ!!」 ちなみに親まりさはゆっくりできないものが襲ってこないか寝ずの番をするそうだ、まぁゆっくりゃに襲われないようにほどほどに頑張ってくれ。 「ぷくくぅぅ!!れいむひどいよ!!まりさはおこったんだぜ!!!」 「ぷくぅぅぅぅ!!!まりさがくちだけなのがいけないんだよ!!!ゆっくりはんせいしてね!!!」 「おかーしゃんたちゆっくちけんきゃやめてね!!!」 「ぷくぅぅししゃだめだよ!!ゆっくちちてね!!」 続く? このSSに感想を付ける
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80点 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ジブリ作品でもかなりスキな作品です。 実家で妹と雫たちの青春をワーキャーいいながら観てました。特に杉村が雫にお前がスキなんだっていうところとか。 自分が中学んときはこんなまぶしい青春なかったなぁ。聖司クンとか漫画んなかの登場人物だべ。 バロンとかはなんとなく猫の恩返しにつながる感じがします。猫恩は意識してつくったんかな。 ラストの聖司が告るシーンは臭すぎてみれませんでした。 カントリー・ロードをおじいさん達とアレンジして弾きながら歌うとこが一番スキです。 時間を置いて何度か観たい作品ですな。 耳をすませば個人的名シーン
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ゆっくりと豆 30匹ほどのゆっくり家族が暮らす、大きめの巣の中。 日の昇る少し前に目覚めた母ゆっくりまりさは、彼女のはじめての娘であった 姉ゆっくりまりさの異変に気が付いた。発情したゆっくりありすが、必死に抵抗 する姉ゆっくりまりさに覆い被さっていた。ゆっくりありすにしては小柄なこと、 そのため声量が小さく、襲われている本人以外誰も気がつかなかったのだろう。 寝静まった夜中だと言うことも災いした。 『まり゛ざあああああ! しゅぎ! だいじゅぎだよぼおおおお!』 と発情するゆっくりありすを、体の大きい家族で踏みつけにすることで、大惨 事は免れることができた。ゆっくりありすが一匹だけであったこと、襲われた時 間が深夜でなかったことが幸いした。いくら小柄なゆっくりありさでも、大群に 襲われれば対処の出来ようはずはなく、また深夜であれば、寝静まった者が気付 くことも少ないからだ。 姉ゆっくりまりさは襲われていた時こそ衰弱してはいたが、日の昇る頃には小 さな枝を二振り授かり、襲われたことも忘れやがて生まれる子供たちの笑顔に思 いを馳せるくらいには回復していた。 母ゆっくりまりさからすれば、不幸な出来事とは言うものの初孫を授かること が嬉しくないわけがなく、かいがいしく娘の世話を焼いてやることにした。 付いた実はそれぞれ、5つと4つで、まりさ種が8、ありす種が1であった。 奇妙なことに、枝ぶりからすると、少しばかり生まれる子が少なく、本来子が宿 る場所には、小さく黒いつぼみがいくつか結ばれていた。 母ゆっくりは、娘に覆い被さった運命がもたらした悲しい出来事の結実である と考え、娘の頬を優しくなぜるのであった。家族の皆が見守る中、生まれてくる ゆっくり達は、未来の幸せを疑うことすらなかった。 ・ ・ ・ 私はゆっくり研究者の一人だ。 ゆっくりまりさと共に食事をとり、ゆっくりれいむと昼寝をし、ゆっくりに囲 まれて研究を行うのが日課だ。 ゆっくりありすに襲われた家族があると他のゆ っくりから聞き、生き残りを保護しにやってきたのだが。 日が沈んだばかりのこの時間帯であったためか、巣穴ではゆっくりな大家族の 幸せそうな生活か営まれていた。それどころか、子ゆっくりありすが家族と同居 しているではないか。興味を引かれた私は、そのゆっくり家族を観察させてもら うことにした。 私はその家族に向けて、ゆっくりしていってね、と優しく挨拶をする。突然の 挨拶に驚いた家族達は、私が優しそうな笑みを浮かべていること、美味しそうな お土産を持っていることを理解したのか、口々にゆっくりしていくことを勧めて 来た。彼女達の住処は小柄な私が入り口から入れるくらいに大きく、洞窟と言っ ても大げさでないほどであった。このような巨大な巣穴を作り上げたゆっくりま りさ達に感動を覚え、ゆっくりさせて貰えるお礼と共にその内心を告げると、親 ゆっくりまりさはとても嬉しそうに、ずっとゆっくりすることを進めてくれた。 その日ゆっくり達から聞いた話をまとめるた私は、少しばかり危機感を抱いた。 子ゆっくりまりさ大のゆっくりありすが、一匹だけ訪れたこと。さらに、ゆっ くりまりさがゆっくりありす種を宿した事。先日、工場近くで化学薬品の流出事 故が発生したばかりだ。近辺のゆっくり達に悪影響を及ぼし、一部のゆっくりに 突然変異を起こすきっかけとなったことは、一般には伏せられている。もしかし たら、その異変ゆっくりありす種がここを訪れたのかもしれない。 お土産をゆっくり達にくばりながら、異変がないかを探る。ゆっくり達の顔を 見回すと、……簡単に見つけられた。 だれもが、額やら頬やら側頭部やらに、黒い点をつけている。よくよく観察し てみるに、それはどうやら小さい穴のようであった。小さい子ゆっくりまりさは 数個、親ゆっくりまりさに至っては28個もの穴が開いていた。症状を聞くと、 毎朝起きると、体中に鈍痛を覚えるが、時間が経つにつれ気にならなくなるらし い。それが毎朝続いているためか、体力も乏しくなってきているようだ。 多分ではあるが、夜中のうちに誰かに穴をあけられ、しだいに回復しているだ けなのであろうと推測できた。 明日は朝早く訪れることに決めた。 ・ ・ ・ 早朝。 巣穴の外から観察していた私は、奇妙なことに気が付いた。ゆっくりの頭から、 小さい枝がいくつも生えているのだ。生殖したのではないだろう、すべてのゆっ くりがその枝を生やしていたのだ。懐中電灯を照らしてもまだ暗いため、よく見 えなかったのだが、枝には小さな豆粒ほどの実が成っているようだった。 これが、変異の影響であろうか。 枝の数をいくつかメモしているうちに、母ゆっくりまりさのそれが28個、つ まり昼間見つけた穴と同数であることに気が付いた。 これはもしや……。 思考しているうち、いくつかの子ゆっくりまりさが小刻みに揺れた。 ゆ゛っ、ゆ゛っ、と声を上げた彼女達の枝は、すぐに枯れはじめた。急いで巣 穴に入り、枝の落ちた子ゆっくりまりさを抱えると、いくつか新しい穴が開いて いるようだ。ピンセットで傷をつけぬよう注意しながら、穴を探る。穴から引き 出された物は――とても小さいゆっくりありすであった。 豆粒ほどの彼女は、抜き出された時こそくーくー寝息を立てていたものの、す ぐに起きて暴れ始めた。ピンセットでは捕まえていることは出来ず、『とかいは のありすは暖かくゆっくりするんだから!』といいながら、子ゆっくりまりさの 皮下に、勢い良く潜り込んだ。 このゆっくりありす――豆ありすとでも言うのか――はどうやら寄生体で、宿 主の体内にもぐりこんで食い荒らし、さらに一日で受精させる新種のようであった。 これはいそいで発表せねばならないと踵を返したとき、足に激痛が走り、倒れ こむ。調べてみると、豆が打ち込まれたような、小さな穴。 まさか……。嫌な汗が体中から吹き出てくる。人間にも、寄生するのだろうか? 一つの枝から5,6個の子が生まれるようで、巣穴はすでに豆ありすに埋め尽 くされていた。腕、足、胸、喉と、饅頭でもないのに容易く皮膚を食い破られ、 激痛に悶える。汚染の影響なのか新種の能力なのかわからないが、手足が痺れ、 筋肉が言うことを聞かない。 巣穴はすでに阿鼻叫喚の渦に巻き込まれていた。 母ゆっくりまりさは、体中を蝕まれ、ゆ゛っ、ゆ゛ぐっと呟くも、動きが取れ ないようだ。生まれたての子ゆっくりまりさは寄生に耐えられず絶命していた。 絶命しては受精できないからだろうか、その子ゆっくりまりさの皮を食い破って 外に出た豆ありすは、新たな獲物――ゆっくりと逃げる美味しい饅頭か、動けな い大きな肉の塊のどちらか――を見つけて、嬉しそうに近づく。 どぼじでゆっぐりぃぃぃ゛と泣き喚く親ゆっくりまりさ。 ゆ゛ぐりじだがっだゆ゛ううう、と食い破られる子ゆっくりまりさ。 そういえば、と視線を彷徨わせる。子ゆっくりありすはどうしたのだろうか。 その疑問はすぐに氷解した。 傷一つない彼女は、他のゆっくりに寄生すればすぐ殺してしまうこと、また自 分が殺されてしまうことを理解していたのだろう。とかいはをえんじょいするに は大きな肉塊が必要なことを呟きながら、嬉しそうに私に近づいてくる。獲物で ある私の顔をがっちりと掴み、『いただきます』と呟いた彼女は、そのまま私の 右目に向かって ・ ・ ・ 私の動きを制限する神経毒は、どうやら痛みも打ち消してくれるようであった。 鈍痛と緩やかな眠気の中で、かろうじて動かせる左手で、土をかき集め、出口 を塞いだ。例え子ゆっくりまりさであったとしても簡単に掘り起こせる程度の薄 い蓋であるが、豆ありすであればどうだろうか。 雨でくずれないよう、外から掘るものがいないよう、奇跡を願いながら、次第 に小さくなってゆくゆっくりまりさ達の断末魔を聞きながら。 私はゆっくりと目を閉じた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2609.html
注意! パロディ的なものが嫌な人は見ない方がいいかも その他色々 「短い話を一つだけ_2」 「だー! また負けた!!!」 「ははは!」 二人の男がゲームの対戦をしていた。 片方が悔しそうに叫び、もう片方は余裕の表情。 「あー、ここまで来ると台詞一つ一つが腹立つ!」 「はっはっは、そんなに熱くなるなよ!」 ドンッ! 「おお、何の音だ!?」 「ああ、今日ドスまりさが来るらしいから撃退した音じゃないの?」 「ふうん…、そうだ! いいこと思いついた!」 「どうせ負けた腹いせに群れの残党でも始末しに行くって言うんだろ?」 「お、何でわかった?」 「お前が単純だから」 二人は爆発音が鳴った場所に向かった。 「ゆっぎゅああ"ああ"ぁぁ"ぁああ"あ"あ!!!」 「どぼじでごんなごどするのおおぉぉぉ!!!」 ドスまりさを失った群れは当然のようにパニックを起こし、あちこちに逃げようとする。 それを一匹ずつ律儀につぶし殺している村人達。 「おお、やってるやってる!」 「んじゃ、俺は適当に潰してるから、楽しんでこい」 二人は阿鼻叫喚の広場で別れた。 ぼろ負けだった男は早速森側へ向かった。 森に逃げようとするゆっくり二匹。まりさとちぇん。 「まずはアイツら!」 「なんでドスがやられるんだぜぇえぇ!?」 「わがらないよお"おおぉお"ぉぉぉ"!!!」 ズザザザ! 「ゆ"っ!」 逃げようとしているところを先回りされた 「ゆぎゃあああぁぁぁ!って、なんなんスか?」 殺される! と思ったら、素っ頓狂な質問をされた。 「ゆ、ゆ、まりさを馬鹿にしてるのかだぜ!!!」 あからさまにバカにされたまりさは激昂し、彼我の実力差を忘れて男に体当たりする。 「下劣な悲鳴すら上げさせん」 ぐしゃ! 「…」 予告通り、下劣な断末魔を上げさせずにまりさを踏みつぶした。 「ま、まりざー!!! わがらないよおおおぉぉおぉおおお!!!」 「ぢぇんはにげるんだよー!!! らんじゃまぁぁああぁぁぁあ!!!」 そうは問屋が卸さない。 「に"ゃ!」 男はちぇんのしっぽを引っ掴み、自分の顔の高さまで持ってくる。 「悪い子には………おしおきィ!!」 バチイィィン!! 「いだよおおおおぉぉぉおお!! らんじゃま、らんじゃまあああああぁぁぁああ!!!」 「死ぬ準備は、いいですか?」 「いや"ああぁ"ぁああ"あ!!!」 「あ、『ゆぎゃあああぁぁぁ!』って言わなかったな」 ちぇんだったものを踏みにじりながらつぶやく。 「ま、いいや。次の獲物をさ~がそっと」 男が次に見つけたのはずりずりと這いずって逃げる大型のゆっくりれいむ。 頭には茎が生え、実ゆっくりが間抜け面で成っていた。 「れいむはゆっぐりにげるよおおぉおぉぉお!!!」 夫のまりさが犠牲になってくれたおかげで逃げられたれいむは急いで自分の巣を目指す。 残念ながら男に見つかってしまったため、命運は尽きたが。 「ゆ"! どぼじでにんげんさんがいるのおおぉおぉぉお!!!」 男が目の前に立つと急に悲鳴を上げて泣きわめく。 「でいぶのあがちゃんがあああぁぁぁ!!!って、なんなんスか?」 まりさと時と同様に声をかける。 「やべでね! れ"いぶはでいぶじゃないよ!!! でいむにはあかぢゃんがいるんだよ!!!」 「臭い…餡子臭ああぁぁぁい! っていうか脳みそまで餡子でしょ?」 ぶちっ! 男は遠慮することなく実ゆっくりをもいで、口に入れてかみ砕く。 「むーしゃ、むーしゃ、ゲロまずー!」げれれれ… 「でいぶのあがちゃんがあああぁぁぁ!!!」 実ゆっくりをかみ砕かれ、さらに汚らしく吐き出され、ついお決まりの台詞を発してしまうれいむ。 「自分の子供すら守れないなんて…」 「ゆぐうぅぅぅ、でいぶの、あがちゃんがああぁぁ…」 「役立たず以下なのだぁ!」 がっ! 「ゆごぼぉっ!!!」 口に蹴りを入れられ、口を破壊される。 がっ! がっ! がっ! がっ! がっ! がっ! がっ! がっ! がっ! 「ヒャアーッ! 笑いが止まらん!」 その後も適当なゆっくりを見つけては訳のわからない台詞と共にゆっくりを地獄に送っていった。 ある程度虐殺し、飽きてきたところで広場に戻り、あちこち破れ煙が立っているドスまりさに向かった。 「びんな、ごべんねぇえぇえ!!!」 口の中から爆発を受けたドスまりさ。 本来なら跡形残らずはじけ飛んでいるはずだが、 今回は予算の都合でたいした威力を持たない爆薬しか仕入れていないため、思いの外原形をとどめていた。 「お、まだ生きてるぅ!」 「ゆ"! おにいざん! おでがいじばず! どずはどうなっでもいいでずがら群れのびんなをだずげてくだざい!!!」 自分はどうなってもいい、だから、みんなを助けて。男に懇願するドスまりさ。 「いい子ぶりやがって…」 「なにいっでるの!? はやぐびんなをだずげでねえぇぇぇ!!!」 「デブ饅頭は引っ込んでください」 まるで相手にしていない。 「どずうううぅぅ! だずげでええぇぇぇ!!!」 一匹のありすがドスまりさの元へやってきた。 「おにいざん! おでがいじばず! このごだげでもたづげであげてくだざい!!!」 「シンジラレナーイ!」 男はどこから出したのか、透明な箱を用意した。 いつもならこの中に収納するのだが、今回は箱の上に剣山をセットし、その上にありすを置いた。 「いだいいいぃぃぃ!!! ごんなのどがいはじゃないいいぃぃいい!!!」 「ありずのべにぺにがあああぁぁぁ!!!って、なんなんスか?」 男はそのままありすを揺さぶる。 悲しいかな性欲饅頭はこんな状況でも発情してしまい、ぺにぺにをギンギンにたぎらせた。 プシュー! 「かっちかちだー!」 男がコールドスプレーをペにペにに吹きかけると、ありすのぺにぺには宣言通りカチカチに凍ってしまった。 「ゆ"…あ"…」 自らの生き甲斐を凍らされ、驚愕の表情のありす。 「どうなるかなぁ?」 ぱりん! 男が遠慮無くありすのぺにぺにを踏みつけると、粉々に砕け散った。 「ありずのべにぺにがあああぁぁぁ!!!」 「痛い?痛い?」 「いだいにぎまっでるでしょおおぉぉお!!! ごのいながぼのおおぉぉおお!!!」 「虐待にも、礼儀はあるのですよ?」 今度はライターと可燃性のあるスプレーを構える。 「…!!! おにいざん! それだけはやべであげでえええぇぇぇえええ!!!」 さっきから泣いてばかりのドスまりさが男が何をしようとしているのか察したようで、 必死の形相でやめるように懇願する。そんなことでやめるならそもそもやらないのに。 ごおおぉぉぉ…! 「黒焦げだじょー」 「ああ"あぁ"ぁぁ"あ!!! あ"あぁぁ"あ"ぁ!!!」 簡易火炎放射を浴びせられ、みるみる黒こげになっていくありす。 「ツマンナァーイ!」 腰を振ってにやにやしながら大声を上げる。 「よぐも!!! よぐもびんなをおおおおおぉぉぉお!!!」 変わり果てたありすの黒こげの死体を見せつけられたドスまりさはついにキレた。 「所詮!!!」 「ゆぐ…」 が、ドスまりさが最後の力を振り絞って男に反撃しようとすると、突然また大声を上げた。 気圧され、動けなくなった。 「………負け犬でしょ?」 「ゆっっがああああぁぁぁあぁぁぁぁあああああ!!!」 群れのゆっくりを虐殺され、さらには負け犬呼ばわり。 もはやドスまりさは限界だった。 これ以上群れを、ドスまりさを、ゆっくりを馬鹿にされてたまるものか!!! キノコが破裂して使えなくなった以上、使えるものは死にゆく己の体のみ。 しかし、なんとしても一矢報いてやりたかった。 二度とゆっくりを馬鹿に出来ないようにしてやる! 執念がドスまりさを突き動かしたのだ。 だが饅頭に神はいない。 「ソイヤ!」 あっさりとかわされた。 ドスぅん… 「ゆはぁ、ゆはぁ」 体中の傷が開き、もう動くことさえままならない。 「ぼう、ごろじで…」 悔しいが、もうドスまりさには何も出来ない。 「カス以下の以下がぁ~!」 男はゲラゲラ笑ってどこかへと行ってしまった。 「ゅぎぎぎぃいいぃい……!!」 ドスまりさはゆっくり、じっくり苦痛と絶望と堪えようのない怒りを味わいながらあの世に旅立った。 男がすっかり機嫌をよくし、高笑いをしていたら、うざいと近所の老人に殴られた。 終わり。 おまけ 「おーい!」 ゆっくりの群れが全滅し、皆が後片付けを終えた頃。 「ストレスは解消できたか?」 「おうよ! やっぱりケ○○の真似してゆっくりどもを馬鹿にするのは楽しいや!」 「そうか、そうか、はいこれ」 そういって男に取っ手付きの透明な箱を渡す。 中には珍しいゆっくり、ゆっくりさとりが入ってた。 「何このき「『汚い饅頭』とは失礼ですね」」 男がしゃべり終える前にさとりが遮る。 男はさとりを指さし、友人を見る。 「『なにこいつ』って思っているんですね」 男がしゃべる前にしゃべる。さとりが使う嫌がらせである。 「さっき森の方で捕まえたんだ。こいつは他人の考えてる事がわかるらしいぜ」 「その力ぁ、僕にくれなぁい?」 「ここから出してくれたら考えてあげます」 男は言われるがままさとりを箱から出してやる。 「お、おい! 出したりなんかしたら…」 案の定さとりは急いで逃げ出す。 5Mほど離れた頃、 「ゆっふっふ、ば「『馬鹿ですねあなたは』ってか?」」 「ゆゆぅ!!?」 なんと自分が行った嫌がらせを男にやられたのだ。 当然、動揺するさとり。 (ゆゆぅ!? もしかしてさとりの考えてることが読まれてるんですか!?) 「そうだよ~!」 まるで本当に心を読んでいるかのように振る舞う男。 (で、でもっ、あそこまで逃げられれば逃げ切れるんですね!!!) さとりは背の高い草で覆われた茂みに隠れようと急ぐ。 「あ、あの野郎!!!」 追おうとする友人を制し、男はその辺の石を拾い上げた。 「踊れ踊れ~!」 びゅん、がっ! 「ゆ! そんなの当たらないんですね!!!」 余裕と言わんがばかりに投石を回避するさとり。 びゅん、がっ! びゅん、がっ! その後二発の投石をかわし、茂みに入ろうとする直前で びゅん、ずぼっ!!! 「当っっっっったりーーーーーーーーーー!!!」 命中した。しかも貫通。 先ほどまでのかわせる程度の速度でしか投げてない石とは違い、 思い切り投げた石はさとりの運動神経ではよけられなかった。 男はさとりの髪を乱暴に掴み、 「浮かれてんじゃないよぉう!?」 と言い放つ。 「ゆ…ゆああ"あぁ"あぁ"ぁぁあ"!!!」 さとりは混濁する意識の中、男がこれから自分に何をする気なのかを読んでしまった。 「ごめんなざいっ! なんでもじばずがら! ぞんなごとじないでくだざい!!!」 さとりがいくら泣いて謝っても、男はさとりを無視し、 「さんきゅな! こいつ持って帰るぜ!」 「お、おう」 男はさっさとさとりを箱にしまい、帰路へついた。 「あいつ、何考えてたんだろ」 家に着くとさとりを部屋に放り込む。 窓は高所で、ドアも鍵がかかるので逃げられない。 「よいしょ」 「ゆぐっ!!」 痛い、痛いと訴えるさとり。 治療して欲しいと言うと男はさとりにゴムボールを投げてよこした。 「『玉コロ遊びでもしてなさい』って考えてますね! って、なんでそんなこというんですか!!!」 男はさとりを全く相手にせず、寝室へ向かった。 今日は暴れすぎて疲れたのだろう。 傷が癒えずに苦しむさとりとは対称的にその日はぐっすり眠れたそうな。 おまけも終わり ○ィー○や○フ○のマネしてゆっくりをバカにするのが主題なのになんか色々とgdgd。 それでもっていつもタイトル付けに頭を悩まされる。 こまったので、一話完結のSSについてタイトルが思い浮かばない場合は 「短い話を一つだけ」にしようかなと思ってます。 なんで、長めなのに「短い話」と嘘つきますが、勘弁してください。 ○○がおかしい →仕様です。勘弁してください。 なぜ突拍子もなくさとりが →お蔵入りSSからの出演です。勘弁してください。 本当はネタかぶりが発覚したのでお蔵入りです。ネタかぶり恐るべし。 今まで書いたSS? ドスまりさとゆうか1~3 ゆっくり闘技場(性)1 不幸なきめぇ丸 名物餡玉 行列の出来るゆっくり スカウトマンゆかりん前・後 ファイティング親子とゆっくり まりさの商売 ぱちゅりーの失敗1~4 盲点 進化 ぶっかけ!ぱちゅりー! 短い話を一つだけ ありふれた話 対決!ドスまりさ! 被虐のみょん_その一 とあるきめぇ丸の一日 おさんぽバターみょん さなえに首ったけ ゆっくり兵団 不安のゆっくり1 幸せなゆうかのお話 このSSに感想をつける
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「ゆっくり美容師」 1 とある晴れた日の午後、学校帰りの二人の少女達が土手を歩いていた。昨日までの梅雨空が嘘のように、今日は太陽の光がさんさんと二人にふりそそぐ。あたりにはとてもゆったりした時間が流れていた。 「うぅ~、アンケート何かいた?」 「わたし、わたし美容師って書いた。」 「えっ、もうやりたいこと決まってんの、すげぇ。おとなじゃん!」 「なにがすごいかはしらないけどさ…。でも明日ださなきゃならないんでしょ。 あきもなんでもいいから早く書けば?」 あきは困ったように口をとがらせる。 「そういうもんでもないと思うどなぁ…。やっぱ大事なことだし。 でもさ、やりたいことがもうきまってるなんて、としえちゃんはやっぱなんかすごいや。」 「だから、ほんとそんなことないけどね。なりたいってだけで特別なんかやってるわけじゃないし。」 少し照れたように、髪をいじりながらとしえが答える。 「あっ、でも昨日おとーとの髪ちょっと切ってやったらお母さんにすんごい怒られた。」 「そうだよねぇ、美容師の練習なんてできないようねぇ実際。マネキンなんかないしねぇ。」 「人でやったらすごい怒られるし。」 そのまま土手沿いを少し歩いたところで、何かをみつけたあきがあっ、と声を出した。 「そうだよ!人だからダメなんだよ!」 「なにが?」としえがあきの大きな声に少し驚く。 「美容師だよ、美容師の練習!人間がダメなら…、あれがいるじゃん!」 あきの指差す方向をとしえが見ると、そこにはまりさとれいむのゆっくり家族がいた。 2 「たしゅぇぇてぇえぇぇぇ、おかぁしゃん、まりさをはやくたしゅぇてね」 「きゃわいいれいむになにしゅりゅのぉぉぉ、はなせぇぇえ」 「はなせぇぇぇぇえ。まりさの可愛いにおちびちゃんたちにさわるなぁぁぁっぁぁ。」 「まっててねぇぇ、いまおかあさんがたすけてあげるからぁぁっぁっぁ。」 親まりさと親れいむの絶叫があたりに響き渡る。しかし人間につかまってしまった子まりさと子れいむを助けようとするが自分達もその体を押さえつけられ動くことができない。 ほんの少し前まで親まりさと親れいむ、そして子まりさと子れいむ家族が一家そろってひなたぼっこをしていた。とてもあたたかい光の中でゆっくりした幸福な時間のなかに家族はいた。しかし、その幸せは突然の闖入者によってあっというまに壊されてしまった。 「そっかぁ、ゆっくりで練習すればいいのか。」 としえはなるほどといったようにうなずく。 「確かに、髪の毛生えてるし、人間のみたいだし。いい考えじゃん!あき!」 「そうでしょ!私もたまにはやるでしょ!」 としえに褒められたのがよっぽどうれしかったのか、子まりさと子れいむを持つ手に力がはいってしまった。 「「ゆげぇええぇ」」といううめき声とともに子まりさと子れいむの口から餡子が漏れる。 「げっ、あんこでた。どうしよう。」 「あぁ、別にいいよ。こどもは。小っちゃくて練習になんないし。」 「わかった。じゃあ潰すね。」 あきは子ゆっくりを持った手を振り上げると、そのまま一気に地面に投げ付けた。子ゆっくり達はゆぎゅぇっという短い悲鳴をあげると同時に、地面に叩き付けられた衝撃でその小さな体から餡子がはじけだし絶命した。お空をというあのセリフすらいうことないあっけない最後だった。 「きったな。まっ、短いゆん生ご愁傷様でした。」ふざけた調子であきは自分が殺した子ゆっくりの死骸に向けて手を合わせた。 自分たちの理解を超える出来事を呆けたように見ていた親ゆっくり達がようやく我に返り、叫び声をあげながら拘束から抜け出そうと体を激しくうごかす。 「ゆがぁぁぁぁぁ、まりさのおちびちゃんがぁぁぁぁ。ころしてやるぅううう。」 「うるさい。」ゆっくりの反抗もあきの軽い平手打ちで終わってしまう。 「邪魔なこどもも殺したし、どっちからやる?」 「そうだなぁぁ、じゃあれいむからにしようかな。黒髪だし。」 「おっけー。じゃ、まりさはこっちで預かっとくわ。」 「よし、じゃあはじめましょうか。お客さん!」はさみをもったとしえがにっこりと笑う。 「なにいってるのぉぉぉ。れいむのかわいいおちびちゃんたちをころしたくそにんげんが ぁぁぁぁぁ。」そう言って、当然のことだかれいむは自分の大切な子どもをえいえんにゆっ くりさせた人間に攻撃しようとする。これでは髪など切ることはできない。 「……、あきぃー、なんとかしてぇぇー」 「もぉー、しょーがないなぁー。」 あきはそう言いながらも、頼られることにまんざらでもない様子であたりを見回し、道に落ちている看板に目を向けた。そして「これでいいんじゃない?」とれいむの頭にその看板を突きたてた。」 「ゆんげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」という絶叫とともに体をびくびくと痙攣させる。 「れいむぅぅぅぅぅぅ」そのれいむの姿を見て、まりさも叫びをあげるが、どうすることもできないで、ただうめき声をあげ目から滝のような悔し涙を流す。 「真ん中のちゅうすうあん?ってとこははずしてるから死んではないと思うよ。それにゆっくりって意外とじょーぶだからこれくらいじゃ死なないし。」 「さんきゅー、じゃあこんどこそ。」 としえは手に持ったはさみをれいむに近づける。 「ゆっ、ゆゆぅ。やめてねぇ、れいむになにするの。やめろっ、やめろぉぉぉ。」 頭に杭を突き立てられ、弱弱しいながらも拒絶の意思をれいむはあらわにする。 「まずはその重たいもみあげからね。ばっさりいきましょうか。」れいむの拒絶にかまうことなくじょきん、ととしえはれいむの左右のもみあげにはさみをいれる。 「ゆんやぁぁぁぁ、れいむのきれいなおかみがぁぁぁぁ。」 「あっ、ちょっと切りすぎた。」としえはぼそりとつぶやいた。しかしためらうことなく、 最後にバランスが取れればいいとどんどんはさみをいれていく。ちょきちょき、じょきじ ょきとゆっくりにとって聞きなれない、ゆっくりできない音がたてられる。 「ゆぅぅぅ、どぼちてこんなことするのぉぉぉぉ。」 「ゆやぁぁぁ、れいむのきれいなおかみがぁぁぁぁぁ」 そんなゆっくりたちの悲鳴を聞きながらとしえが髪を切りつづけて、何分か過ぎたころ、 「ああっ、だめっ、失敗しちゃった!」 「ああ、こりゃたしかにね。」 わるいと思いながらもあきは苦笑してしまった。そこにいたのはあたまに穴の開いた7虎刈りのまんじゅう。あのわさわさとしたもみあげはいまやみるかげもない。前髪もすきばさみを入れようとしたのか、それも失敗してところどころに虫食いのような禿ができている。後ろ髪も切りそろえられることなくがたがただ。 「やっぱむずかしいわ。髪切るのって。」 としえは手についた髪を払い、ため息をつく。 「はじめてだししょうがないよ。」 ふたりのそんなやりとりをよそにまりさは「れいむぅぅぅぅぅ、れいむぅのきれいな かみがぁぁぁ。」とさっきから同じような叫びをあげる。れいむは「ゆぅ、まりさぁぁぁ、 れいむどうなちゃったのぉ。」と不安げな声で答える。 「お客さんの要望もあるし、どうなってるか見せてあげれば。」 「そうだねぇ、はいどうぞ」 としえはカバンから手鏡を取り出すと、れいむに見せてやった。 「ゆぅぅぅ?まりさぁ、おかみのへんなゆっくりがいるよぉ。」 髪を切られたことはわかっているだろう。しかし、その姿、髪を切られた自分だとは 想像できないばかりにそんな間抜けなことをいったのだろう。 「れいむぅ、そのれいむがれいむなんだよぉぉぉ。くそにんげんにゆくっりさせられなく なっちゃんただよぉぉぉ。」 まりさの言葉を聞き、首をかしげるようなしぐさをした後、れいむは叫びだした。 「うそだぁぁぁ、こんなのれいむじゃないよぉぉぉぉぉ。こんなゆっくりできないゆっく りはれいむじゃないぃぃぃぃ。」 ゆっくりにとっては髪の毛はおかざりの次に大事なもの。一度大人ゆっくりになり髪の 毛が生えそろうとその後ゆっくりの髪は生えたり、伸びたりすることがない。 「うわぁっ、ちょー不評。わかっているけど、なんかゆっくりに言われるとむかつくわぁ。」 「きいてるのぉぉぉぉ。むしするなぁぁぁぁぁ。はやくれいむのかみをもとにもどせぇ。」 「いや、むりだよ。」 「ゆゆゆぅぅぅぅ!おまえがやったんだろぉぉぉぉ。おまえがやったんだからおまえがな おせぇぇぇぇぇ。」 「……うるせぇなぁ。」 「ゆぅぅぅ。」としえのドスの利いた声にびくっと虎刈りれいむ体を震わせる。 「こんのぉ、だぼが。がたがたうるせんだよ。だったらなぁ。」 としえはれいむの不揃いの髪を引っ掴んだ。 「だったら、気になんないようにしてやるよ。」 じょきじょきじょきじょきとれいむの髪を根元から乱暴に切っていく。 「ごめんなさぃぃぃぃぃ、れいむがわるかったですからもうやべてくださぃぃぃぃ。」 「やめろぉぉぉぉぉぉ、もうまりさのれいむにひどいことするなぁぁぁぁぁ。」 「だからうるせぇってんだろ。……ほらっ、坊主まんじゅうのできあがり!」 としえはれいむに刺さっていた杭を引っこ抜きあきが押さえつけているまりさの前まで蹴り飛ばした。 「ゆぎゃぁぉぉ。うぅっ、まりさぁぁ。れいむどうなっちゃたのぉぉぉぉ。」 「れいむ、れいむ、れいむぅぅぅぅ。」まりさはれいむに必死になって近づこうとするが、あきの押さえつけは緩まることはない。 「うわぁっ、坊主頭のくせにでっかいリボンなんかつけてるから、なんかキモい。ほらっ、いまあんたこんな感じだよ。」 あきは手鏡でれいむにその姿を見せてやる。そこに映るのはあきの言葉通り、髪の毛の長さが不均等でへたくそな坊主頭のゆっくりだった。 「にんげんさん。…れいむ、れいむはね。」そんな自身の姿を鏡で見ると、れいむは先ほどと異なり泣き叫ぶこともなく、ぼそぼそとなにごとかをつぶやき始めた。 「おかあさんにも、おとうさんにも、まりさにもとってもきれいなかみをしてるねっていわれたんだよ…。れいむのじまんだったんだよぉ。おうたもかりもあんまりうまくなかったけど、このかみさんだけはみんなほめてくれたんだよ。」 「うんうん、それで?」つい合いの手いれるあき。小声であほとツッコむとしえ。 「それをそれをおまえがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」 それこそ命もつきんとばかりにれいむは叫び声をあげ、としえに向かっていく。もちろんゆっくりが人間にかなうわけなどない。れいむの命をかけた突進も簡単に止められてしまう。 「確かに、ちょっとキレちゃってやりすぎたかも。それはあやまるわ。髪の毛きりすぎちゃってごめんねぇー。はいはいこれでいい?」 「ビッグダディじゃないんだから。」へたくそなモノマネなのにあきは満面の笑顔を浮かべた。 「でもさ、なに急にメンヘラみたいな自分語りしちゃってるわけ?」 「てゆーか、髪の毛しか自慢がないってイタイよ。こいつ。髪の毛がきれいってだけでゆっくりになにができるの?どうせすっきりーしかできないスケベゆっくりでしょ。」 「切ってて思ったけど、べっつにそんなきれいな髪でもなかったよ。油っぽくてなんかべたべたして汚れてたし。せめて髪だけでも褒めてなぐさめてたんでしょ。むのーなれいむちゃん。」 「そうだね。そんなゆっくりはさ、もう死んだほうがいいか」 あきはぴょんと坊主れいむに飛び乗った。 「ゆげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。」 あきに飛び乗られた衝撃に、れいむは断末魔の叫びをあげる。一瞬で苦しみが頂点に達したかのようにゆがんだ顔、口からだらりとその舌がとび出しその痛みを表しているかのようだった。 「れいむ、れいむぅぅぅ。れいむがぁ、ずっとゆっくりさせられちゃったよぉぉぉ。」 無駄とはわかっているだろうが、れいむの体をまりさがぺーろぺーろと一心不乱に舐めている。としえやあきをせいっさいしようとしないところをみると、このまりさはもう人間に悪態をついたり、はむかう気力もなくなっているようだ。自分がかなわないことはっきりわかっているのだ。 そんなゆっくり達の悲劇的様子をしり目に二人は 「すんげー潰れかたしたよ。ウケるんですけど。ていうか、あきさ、ちょっと太ったんじゃね?」 「もうー、としちゃんちょー失礼なんですけど!」 「ごめんごめん、でもいいはじけっぷりだねぇ。」 「体が大きいぶん子ゆっくりよりばぁーんてなるね。」 などと楽しげにじゃれあっている。 「れいむがいなくなってすっきりしたことだし。」 としえはまりさににっこりと笑みをむける。 「今度はまりさね。」 「ゆっ、ゆんやぁぁぁぁぁぁぁ。」 まりさはまるで死刑を宣告されたかのような悲鳴をあげた。 3 「でっ、まりさのほうはどうするの?」 「うん、れいむが失敗しちゃったのはビジョンがなかったからさ、まりさのほうはさっ、こうしよう。」 言うが早いか、としえはまりさの帽子を取りあげると、先ほどれいむと同じように頭に看板をさし、動けなくなるようにすると、その金色の頭髪にまたもやざっくりと深くはさみを入れた。 「ゆげぇぇぇぇ。いたいよぉぉ。いたいよぉぉぉ。まりさのかっこいいおぼうしがぁぁぁ。まりさのさらさらなかみのけさんがぁぁぁ。」 「えぇー、また坊主にしちゃうの。」 「ちがいまーす。まりさって金髪でしょ。だからなんか外人って感じじゃん。」 「うん、そいで。」 「だからパンク風にしようと思って。」 「あぁー、なるほどっ、なのかなぁ?」としえの言葉にあきは首を少し傾ける。 「そう、テレビで見たみたいにさ、アナーキーでロックにしてやるのよ。」 喋りながらもはさみを止めることはない。思い切りよくまりさの頭頂部にのみ髪が残るように切っていく。 「やめて、やめてねぇ、ゆやぁぁぁぁ、まりさのゆっくりした三つ編みさんがぁぁぁ。」 「だいじょーぶ、だいじょーぶ。こんどはうまくいくと思うよ?」 「疑問形ってさ。頑張ってー、お客さんちょー不安そうだから。」 「まかせてまかせて。あともうちょっとだから。……はい、カットできあがりー!」 「うわっ、へんなのー。」と髪を切られたまりさの姿を見てあきは吹き出してしまった。今やまりさに先ほどまでの面影はなく、頭頂部直径7、8センチほど円形にだけ髪が残ったハゲまんじゅうだ。 「けっこーうまくいってない?さっきよりはきれいに切れたと思うんですけど。でもさ、まだ終わってないからね。ここからセットの段階に入りまーす。」 そう言うとまりさの頭に残る毛をはらい、工作道具が入った巾着袋のなかから液体のりを取り出した。 「ヘアワックスとかスプレーなんかはまんじゅうにはもったいないしね、てか持ってないし。あんたらにはこれくらいで十分でしょ。うわぁ、でも手ぇべったべった。 「ゆっ、つめたいよ。やめてくださぃぃぃ、もうまりさにひどいことしないでくださいぃぃぃぃ。」 「ひどいことなんてしてないんですけどぉー、むしろかっこよくしてやってるから感謝してほしんくらいんなんですけどぉー、お客さん。」としえはわざとらしく不満げな声をあげながらもまりさの残った髪の毛をのりで固めてたてる作業をやめない。 「そんじゃあわたしもまりさがかっこよくなるのに協力しちゃおうかなぁ。」 あきはまりさの髪を切るためにうっちゃておいた帽子を手に取り、こちらもはさみで切り刻み始めた。もちろんまりさはその様子をみて「まりさのおぼうしがぁぁぁ」とお決まりのセリフをあげたが、あきはそんなまりさを気にすることなく帽子を傷つけていく。 「あきは何やってんの?」 「へへぇー、こいつの帽子もパンクっぽくしてやんの。」 「りょーかい、りょーかい。あぁ、それならいいもんあるよ。わたしのカバン開けてみ?安全ピンはいってるからさぁ、それでかっこよくしてあげないよ。」 「おっけー。」まりさの帽子のつばのところにいくつも安全ピンをつけていく。 「いいかんじじゃーん、あき。こっちもよくなってきたよ。」 「うわぁ、イケてんじゃん。まりさちゃん。」にやにや笑いであきは答える。 「だしょ、三つ編みよりはずっといいでしょぉ、ほらお前も自分のことみてみ。」 そう言われまりさは鏡の中の自分の姿を見たが、変わり果てた自分の姿にショックを受け叫びだしたりするような反応を起こさなかった。 「ありゃ、無反応?生きてますかー、殺しちゃってないよねぇ、わたし。」 「かんどーしすぎちゃって、声もでないんじゃない。こんなにパンクなまりさなんて他にいないもん。」 「たぶんもてもてだよ、新しいすっきり相手見つけて、こどもつくれるよ。やったねまりさ!家族が増えるよっ!」 二人の自分には理解できないやり取りをぼんやりと聞きながら、まりさは考えていた。こんなにゆっくりできない姿になってしまいこれからどうしたらいいのか。あたらしいつがいなんて見つかるわけがない。お飾りはぼろぼろ、髪の毛はおかしい。こんなゆっくりをゆっくりさせてくれるゆっくりになんて絶対にいない。むしろ、ゆっくりできないゆっくりとして、こっちがえいえんにゆっくりさせらてしまうかもしれない。 さっきれいむが人間にはむかいえいえんにゆっくりさせれたことを考えると、人間にせいっさいすることはできないし、自分の髪やお飾りも元にもどしてもらえることもないだろう。 じゃあ、いったいこれから自分はどうすればいいのか。どうしようもない。そのことを思うと、自然と不安と、恐怖、今まで経験したことのないような感情がその体に襲い掛かった。 「こんどは急に震えだしたよ。髪の毛切ったから、風邪でもひいたのかな。」 「ばかまんじゅうが風邪なんかひくわけないっしょ。」 「でもまっ、今日はいい経験できたよっ、あきのおかげ、ありがとねっ」 「どういたしまして、って、なんかあらためていわれるとすんごいてれるなぁ。」 「こんどはどのゆっくりでやろうか。」 「ありすなんかいいんじゃない、とかいはの。」 「ああっ、自称とかいはの」馬鹿にしたような笑いをとしえはたてる。 ゆっ、ゆっと震えるまりさを残し、一仕事終えた達成感につつまれふたりは帰っていく。50メートルほど離れたところで、としえはまりさのほうを振り返り、思い出したかのように「おかねはいらないからねぇー」と大声をあげた。 選択肢 投票 しあわせー! (79) それなりー (18) つぎにきたいするよ! (120)
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70点 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 出演:ロバート・ダウニー・Jr、ミッキー・ローク アイアンマンの続編。 前作から半年後。スターク(ロバート・ダウニー・Jr)はアメリカの英雄となり、父に続いて技術の祭典、スターク・エキスポを開催した。人気の絶頂にあるスタークだったが、政府からのアイアンマン提出要請や、リアクタの副作用による身体の衰弱が進み、問題も多くあった。そんな中、飛び入りで参加したレースに突如、リアクタのコピィを装着した謎の男が乱入するのだった。 期待してたんですが、前作のほうがよかったかな?という印象。設定を忘れてるのもあるんですが、シールドとか何だっけ?みたいな感じで状況が飲み込めないまま話が進んでしまいました。モーフィアスみたいなのでてくるし。新元素つくるとか前作以上のトンでもやるし。 敵役のイワン(ミッキー・ローク)はイマイチ?天才で、戦闘も出来るスターク的なキャラなんでしょうが、なんかぱっとしないし、最期の倒され方もえぇっというような肩透かし感。正直不完全燃焼な感じでした。 最初のレース乱入が一番よかったかな。 前作でも思いましたが、クライマックスの派手な戦闘シーンが夜に行われるのはもったいない気がします。せっかく派手な見せ場なのに、よくわからない状況が続くのでもやもやします。単にTVの問題かもしれませんが。 続編では多分ハマー(サム・ロックウェル)がでるんでしょうが、前作ほど続きが気になるという感じじゃないですね。 アイアンマン2予告
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※東方キャラ出現注意 ※性格の悪いゆっくり出現注意 よく晴れたコバルトブルーの空を鴉天狗の少女が忙しそうに飛んでいた。 「号外~号外だよ~幻想郷一早くて正確な『文々。新聞』だよ~」 名前は射命丸文。 彼女は『文々。新聞』という新聞の発行を行っている。 とは言ってもこの新聞の発行は不定期で多くても月五回ほどしかなく、ほとんど趣味のようなものである。 「お~い、文ちゃ~ん」 文を見つけた老人が縁側から手を振る。 それに気付き文はゆっくりと速度を落とし庭先に降りる。 「こんにちわ、田中のお爺さん。はい、『文々。新聞』です」 「いつもすまないねぇ。歳をとると出掛けるのも億劫でな。文ちゃんの持ってきてくれる新聞は数少ない楽しみの一つなんじゃよ」 「あやや、ありがとうございます」 老人の嬉しそうな顔に思わず営業スマイルも崩れ、素の笑みが浮かぶ。 どちらかというと『文々。新聞』は内容を叩かれる事が多い(主に記事にされた人間や妖怪から)。 しかし里の人間には人知を超えた熱く華麗な弾幕ファイト、そして稀に特集される美少女たちを目当てになかなかの人気を博している。 お世辞にも娯楽が盛んだとは言えない幻想郷においてこの老人のように文の発行する新聞を楽しみにする人間は珍しくないのだ。 「おおぅ、そうじゃ。これを持って行きなせぇ。あのわんちゃんと一緒に食べてくれ」 「あややや! これはおいしそうなおはぎですね。ありがとうございます」 「それでは今後とも『文々。新聞』をご贔屓に」 「おう、気ぃつけてなぁ~」 その様子を縁の下から見ていた一匹のゆっくりがいた。 * 所変わって同日の夕方、人間の里付近のゆっくり集落にて。 「ゆゆっ? しんぶんをつくるの?」 「そうだよ! しんぶんをつくってにんげんからたべものをもらうんだよ!」 文の新聞配達を老人宅で見ていたゆっくりまりさは集落に帰るとゆっくり会議でみんなにその出来事を伝えた。 この会議では冬篭りのための食料収集が芳しくない状況をどう打破するかを話し合っていた。 昨年までは人間の家から盗んできた食べ物で賄っていたが人間たちがゆっくり対策を始めたせいで容易には侵入できなくなった。 そして会議と言っても所詮は餡の集合体でしかないのでいつも碌な案が出ずにお開きになっていた。 そんな状況の中、まりさから得られた情報はこの集落のゆっくりたちが春まで生き延びるための最後の望みになった。 だが一匹のゆっくりがまりさに疑問をぶつける。 「でもしんぶんってなにをかけばいいの?」 「ゆっ!? う~ん……」 まりさは新聞というものを人間にあげれば食料を貰えるということを知っているだけで新聞自体がなんであるかは知らなかったのだ。 せっかく見えてきた希望がまた遠ざかろうとしている。 困り果てていたみんなのところへ集落一の知識者であるゆっくりぱちゅりーが現れた。 「むきゅ! ごめんなさい! ばんごはんをゆっくりたべていておそくなったわ!」 「ゆゆっ! ぱちゅりー! ちょうどいいところにきたよ! 」 「ねぇぱちゅりー! しんぶんってなにがかいてあるかしらない?」 「ちんぽー?」 打ってつけのゆっくりの登場にみんながぱちゅりーに質問する。 その辺にいる見せ掛けだけのぱちゅりー種とは違い、まともに知識を持つこのぱちゅりーは冷静に答えを導き出した。 「しんぶんはおこったできごとやいろいろなじょうほうをみんなにつたえるためのものよ! でもそれがどうしたの?」 「ゆゆっ! まりさたちでしんぶんをつくるんだよ!」 「そしてたべものをもらうんだよー! わかるよー!」 取らぬ狸のなんとやらと言う言葉がお似合いのように、ゆっくりたちはまだ見ぬ食べ物を思い浮かべ涎を垂らしている。 新聞を作るという話を聞いたぱちゅりーはみんなとは対照的に浮かない表情をしている。 「むきゅう……でもしんぶんはつくるのがむずかしいわ! そんなことよりじみちにたべものをあつめたほうが……」 「そんなこというならぱちゅりーはひとりでたべものをあつめてね!」 「れいむたちはしんぶんをつくってらくしてたべものをあつめるからね!」 「わけてあげないよー!」 「おお、みじめみじめ」 ぱちゅりーの意見はもう食べ物が手に入った気でいるゆっくりたちの耳には届かなかった。 こうしてぱちゅりーも渋々新聞作りをやらざるを得なくなったのだ。 翌日。 ゆっくりたちは食料集めもせず朝から新聞制作を開始した。 紙はその辺の民家から盗んでいた和紙、筆記具は同じく盗んできたクレヨンと鉛筆だ。 大量に作らないといけないためゆっくりは家族ごとや気の合う仲間に分かれて作業をする。 「ゆゆっ! みんなおえかきしちぇるよ!」 「れいみゅもかかしぇちぇね!」 作業を見た赤ちゃんゆっくりが勝手に新聞に絵を描きだす。 「ゆゆっ! これはあそびじゃ……」 「まってよれいむ! あかちゃんたちのえをみてごらん!」 「ゆゆ?……うわあ! すっごくかわいいね!」 「でしょ? きっとにんげんもこのえをみてゆっくりできるよ!」 「そうだね! れいむたちのあかちゃんはてんさいだね!」 また別の場所では、 「まりさたちでれみりゃをたおしたことをかくんだぜ!」 「ゆゆっ! しんぶんにかいてみんなにつよさをしらしめるんだぜ!」 自身の武勇伝を書くものや、 「とかいはのありすはしんぶんにすっきりすとをかくわ!」 「やっぱりいちばんはまりさね! あのふわふわのかみとすてきなぼうしをみるとおもわずすっきりしたくなっちゃうわ!」 どのゆっくりが一番すっきりできるかを書くものや、 「きのうはばんごはんにおさかなをたべたよー!」 「それをしんぶんにかくんだねー! わかるよー!」 昨日食べた晩御飯を書くものや、 「ちんぽー!」 「ちんぽー!」 ひたすら卑猥な言葉を書くものがいた。 そして丸一日かかって新聞を作り次の日の早朝、ゆっくり新聞の配達の日がきた。 * 「ゆっくりおきてね! ゆっくりしんぶんだよ!」 「ゆっくちちんぶんだよ!」 民家の前で家族揃って大声で叫ぶゆっくり。 程なくして住民が現れた。 「朝っぱらからうっせぇぞ! 饅頭共が何の用事だ!」 非常に機嫌の悪い男が出てきた。 早朝から不快な声で起こされ玄関に並ぶ気味悪い大小の饅頭家族が目に入ったのだ。 これで機嫌を悪くしないほうがどうかしてる。 しかしこのゆっくりの一家は全く空気が読めなかった。 「ゆゆっ! おじさん! まりさたちしんぶんをもってきたよ!」 「だからゆっくりたべものをちょうだいね!」 「ちょうらいね!」 まりさは頭の上に乗せた新聞と思われるものを男の前に差し出す。 子供たちはれいむに輪唱する形で食べ物を要求する。 「次大声出したらぶっ飛ばすぞ!」 男はゆっくりを無視しさっさと玄関を閉めてしまった。 「ゆゆぅ! どおしてうけとってくれないのおぉ!? れいむのあかちゃんもいっしょうけんめいかいたのにぃぃ!」 「きっとまりさたちのげいじゅつがわからなかったんだよ!」 「ゆゆっ! そうだね! おじさんはばかだからわからなかったんだね!」 「つぎのおうちでゆっくりたべものをもらおうね!」 今度はその隣の家の前に整列した。 「ゆっくりおきてね! ゆっくりしんぶんだよ!」 「ゆっくちちんぶんだよ!」 しばらくして中年の男が出てくる。 扉を半開きにしてゆっくりの様子を窺っているようだ。 「ゆっくりしんぶんだよ! ゆっくりよんでね!」 「よんだらたべものをちょうだいね! おかねでもいいよ!」 「おきゃねでもいいよ!」 まりさが玄関の男の前まで行き口で新聞を差し出す。 やっとこのゆっくりたちが何をしているのかを把握した男は無言でまりさを蹴り抜いた。 「ゆぶぅぅ!!」 「ま、まりざあああぁぁぁ!」 「おとおしゃぁぁん!」 まりさは木に強く叩きつけられ持ってた新聞は宙を舞った。 餡子を吐き出しながらビクビク痙攣している。 幸いにも命に別状は無いようだ。 「ゆぐぐうぅぅ! どぼぢでこんなごとずるのおおぉぉ!?」 「ゆっくちおとうしゃんにあやまっちぇね!」 「あやまれー!」 れいむと子供たちが男の入っていった家に抗議の声を上げる。 だがそれがいけなかった。 「うるせえっつたろうがこのクソ饅頭が!」 さっきの家の男である。 隣でも大声を出しているのを聞いてとんできたのだ。 男は手に持っている爆竹の束をゆっくりに投げつけた。 快音を立ててゆっくりの近くで爆竹が破裂する。 「あちゅいよ! ゆっくちやめちぇね!」 「ゆぎいいぃぃ!」 「いだい! ゆっくちできない!」 爆竹は殺傷力の低いものだったが貧弱なゆっくりには大ダメージだった。 「次はねぇぞ! いいな!」 男は爆竹でところどころ焦げたゆっくりを見ると再び家に帰っていった。 新聞は蹴られた時に遠くへ飛んだので幸いにも引火する事だけはなかった。 「ゆゆぅぅ……ここはゆっくりできないよ!」 「ほかのところでゆっくりしんぶんをくばろうね!」 「ゆゆっ! きっとこんどはたべものもらえるよ!」 まりさたちは体に負った火傷も気にせず、食べ物が貰えると信じてまた配達を始めた。 しかしその希望も空しくどこの家でも追い返されてしまった。 このままではいけないと作戦を練ったまりさたちは一旦子供たちだけで新聞を配達させる事にした。 「「「ゆっくちおきちぇね! ゆっくちちんぶんだよ!」」」 「あかちゃんたちだけならきっとうけとってくれるよ!」 「ゆゆっ! れいむのあかちゃんたちかわいいもんね! これならきっとせいこうするよ!」 子供だけならかわいさのあまり受け取ってくれるかもしれない。 自分たちなら絶対引っかかってしまうすばらしい作戦だ。 まりさとれいむは近くの木の陰に隠れて子供たちの様子を見ていた。 玄関では男と子供たちが会話しているようだ。 今まで会話すら出来なかったのだから大きな進歩だ。 やはり作戦に間違いは無かったのだと両親は思った。 「……これは何が書いてあるのかな?」 ゆっくりたちが書き殴った文字のような絵。 当然人間に読めるわけが無い。 新聞を配達し始めて初めて話を聞いてくれる人間の登場に子供たちが饒舌に説明しだす。 「これはにぇ、かっこいいおとおしゃん!」 「こっちはおかあしゃんでふたりはらぶらぶなんだよ!」 「それでにぇ、こっちはかわいいれいみゅたち!」 説明を聞いたが絵はさっぱり分からない。 果たしてこれを新聞と言ってもいいものなのか。 聞いた限りだとこれはただの絵だ。 興味本位で見てみたがどうみてもただの紙ゴミにしか見えない。 断ろうと思っていた男に驚くべき言葉が聞こえてきた。 「よんだらゆっくちたべものをちょうらいね!」 「おきゃねでもいいよ!」 「いちまんえんでもいいよ!」 どうやら新聞と引き換えに食べ物を貰おうという魂胆らしい。 しかも向こうの影でこっちの様子を窺っているゆっくりがいる。あれはこの子の両親だろう。 男はゆっくりが赤ちゃんをだしに食料を集めている事を把握した。 そしてその腐った根性に腹を立てた。 赤ちゃんを隠れる両親にも分かるように高々と摘み上げる。 「ゆゆっ!おしょらをとんでいるみたい♪」 「ああ、今飛ばしてやるよ」 そのままの体勢から赤ちゃんを傍にあった井戸に投げる。 両親が止めに行こう駆け出した時には既に遅く、赤ちゃんが発した着水音だけが響いてた。 「ま゛、まりざのあがぢゃんがあああぁぁ!!」 「れいむ゛のあがぢゃんがえじでええぇぇ!!」 「まりしゃのおねえちゃんがあああぁぁぁ!!」 「あの子みたいになりたくなかったら二度と来るなよ!」 男は音を立てて玄関の扉を閉めた。 まりさとれいむは急いで子供の落ちた井戸に駆け寄る。 井戸の縁に登って中を見ると蟻のように小さい子供が見えた。 「ぶぐぶぐ……しじゅんじゃうよ! ゆっくちたしゅけてね!」 子供は両親を信じて必死に助けを求めていた。 「おとおしゃんたしゅけてね!はやくたしゅけてね!」 しかし人間の作った井戸はゆっくりにとっては深く、降りたら最後だ。 「ごぼっどぼじてえぇぇ! なんでみんなみてるだけなおおぉぉごぼごぼ!」 普段なら助けてあげてと騒ぐゆっくりの姉妹もこの深さに黙り込んでしまった。 「もっどゆっぐぢ……しだがっだよ……」 子供の最後を見届け、れいむとまりさは悲しみに暮れながらその家を後にした。 そして悲しみに暮れたゆっくりは変貌した。 「れいむ! まりさいいことかんがえたよ!」 「どおしたのまりさ?」 「にんげんがしんぶんにきをひかれているうちにやっつければいいんだよ!」 「そうだね! れいむたちのしんぶんをりかいできないにんげんがわるいよね!」 「そーだ! そーだ!」 「まりしゃはちゅよいもんね!」 ただの強盗に成り下がっていた。 だがこのゆっくりたちは非常に運が悪かった。 普通の人間に当たっても結末は変わらないのによりによって一番当たってはいけない人間に当たってしまった。 「ゆっくりしんぶんだよ! ゆっくりよんでね!」 「よんじぇね!」 まりさたちは他の家よりも少し大きくて豪華な屋敷の前にいた。 どうせ狙うのならお金持ちの家がいいと判断した結果だ。 しばらくすると家の中から女の子がでてきた。 頭に飾った綺麗な花と黄緑と黄色と赤のカラフルな着物が印象的なかわいい女の子だ。 (「ゆゆっ! よわそうなにんげんだよ!」) (「これなららくしょうだね!」) まりさとれいむは目を合わせニヤリと笑う。 「まあ、こんな朝早くから何の御用かしら?」 女の子は他の人間とは違い早朝に押しかけたゆっくりに対してとても礼儀正しかった。 まりさは新聞を口で差し出す。 「ゆっくりしんぶんだよ!」 「へぇ! 新聞を書いたんですか? どれどれ……」 そして女の子が新聞を手に取った瞬間、 「ゆっくりしね!」 隣にいたれいむが女の子に襲いかかる……がその言葉がれいむの最後の言葉になってしまった。 襲い掛かったれいむに女の子の手が貫通していた。 れいむは口をぱくぱくさせるがそれはもはや声にならなかった。 想定外の事に残ったゆっくりも悲鳴を上げるだけだった。 「れいむがあああぁぁぁ!!」 「おかあしゃああん!!」 「へんじしてええぇ!!」 騒ぐゆっくりをよそに女の子はれいむから腕を引き抜くと瞬く間に子供たちを捕らえた。 今、彼女の広げられた左右の手の指と指の間には子供たちが全員、合計で八匹挟まれている。 その一連の動きは非常に洗練されていて、とても普通の少女が成せる動きとは思えなかった。 「ゆゆっ! ゆっくちはなしちぇね!」 「くるしいよぉぉ!」 「おとうおしゃぁぁん!」 「ふふっ、早起きは三文の得と言いますけれどもまさか本当に得になるとは……私も驚きです」 女の子は指に挟まれた赤ちゃんゆっくりを観察する。 「あら? よく見たらところどころ焦げてるわね……なかなかのセンスね」 火傷を見て何かを把握したかのように女の子は頷いていた。 まりさはあの手馴れた赤ちゃんゆっくりの捕獲を見て思った。勝てる相手ではないと。 こうなるとその後の行動は早かった。 「ゆゆっ! ずらかるんだぜ!」 「どぼじでみずでるのおおぉぉ!?」 「おとおしゃんだずげでええぇぇ!」 「うらぎりも゛のおおぉぉぉぉぉ!」 まりさは子供たちの助けを無視し逃走してしまった。 「あらら……ここに玄翁があれば始末できたのに残念……まいっか、今日はこの赤ちゃんで楽しみましょう♪」 「ゆゆぅぅぅ! たしゅけてぇぇぇ!」 「いやあぁぁぁ! だれかあぁぁぁ!」 女の子は「稗田」と書かれた表札の付いた屋敷の中へ戻った。 連れて行かれた赤ちゃんゆっくりがどうなったかは誰も知らない。 * その日の夕方。 朝出発してなかなか戻ってこないゆっくりたちに留守番していたぱちゅりーは不安になっていた。 秋の天気は崩れやすく黒い雲が空を覆い、強い風が周りの木をギリギリと軋ませている。 「むっきゅ~ん……みんなどうしたのかしら?」 そこへ瞳を涙でぬらしたありすが帰ってきた。 ただならぬ事態にぱちゅりーが動揺する。 「むきゅう! ありすどうしたの? なんでないてるの?」 「かわいいあかちゃんがみんないけにしずめられちゃったああぁぁ! ありすはとかいはのしんぶんをくばっていただけなのにいいぃぃ!」 ありすを宥めていると続々とぼろぼろになったゆっくりたちが帰ってきた。 それぞれ配達先でひどいことをされたというのが見てわかる。 ぱちゅりーは他のゆっくりたちにも話を聞いた。 そして冬篭りの食料を集めるどころか多くの仲間を失う結果となったことを知った。 子供たちを見捨てたまりさもようやく帰ってきた。 「……た、ただいまなんだぜ」 「まりさ! あなたのかぞくはどうしたの?」 「まりさはすきをついてにげたけどれいむとあかちゃんは……」 「それいじょういわなくてもいいわ! つらかったわね……」 「ううっ、ぱちゅりーはやさしいんだぜ……」 ぱちゅりーに頬を擦り付けられるまりさ。 家族を失った悲しさなどここに帰ってくるまでにどうでもよくなっていたがぱちゅりーの肌が心地よくて悲しんだ振りをしていた。 そしてれいむがいなくなった代わりにぱちゅりーと結婚しようとなどと考えていた。 ぱちゅりーの肌を堪能していたまりさだがその帰宅に気付いたゆっくりたちがぞろぞろと詰め寄ってきた。 「もとはといえばまりさがしんぶんをつくろうっていったのがいけなかったのよ!」 「そうだねー! まりさのせいだよー!」 「おかあさんをかえせ!」 「ちんぽー! ちんぽー!」 ゆっくりたちが怒りの表情でまりさを責める。 まりさ種に優しいありす種でさえ怒っている。 雲行きのよくない状況を見たぱちゅりーが間に割って入る。 「むきゅー! まりさもかぞくをうしなってかなしんでるのよ! せめるなんてひどいわよ!」 「そうだぜ! まりさはひがいしゃなんだぜ! やさしくしてほしいんだぜ!」 まりさもいつも通り自分は悪くないと言い張る。 そんな陳腐な言い訳も今のゆっくりには火に油を注ぐだけだった。 「ぜんぶまりさのせいよ! まりさのせいでありすのかわいいあかちゃんはしんだのよ!」 「ぱちゅりー! どくんだよー! まりさはここにいちゃいけないゆっくりなんだよー!」 「おかあさんのかたきいぃぃ!」 「ちんぽー!」 ぱちゅりーの必死の静止も聞かず大人から赤ちゃんまでみんなでまりさに襲い掛かる。 「やめるんだぜ! いだいんだぜ! はなずんだぜ!」 「ゆっぐりじね! ゆっぐりじね!」 「わかるよー! まりさのようなやつがいるからせんそうがおわらないんだよー!」 「くるしんでしね!」 「ちんぽー!」 運動神経が高いまりさ種だがこの人数差ではなす術もなかった。 自慢の帽子は破れ、頬も食い破られ餡子が漏れ出している。 それでもゆっくりたちはまりさを攻撃するのをやめない。 「だれかああぁ! けんかをとめてぇぇ! まりさがしんじゃうううぅぅ!」 ぱちゅりーの叫びが巣の中を木霊する。 願いが届いたのか一人の少女が巣の前に現れた。 「あやや、やっと見つけましたよ! 貴方たちが新聞を配ってたゆっくりですね? 取材を伺いに来ました射命丸文です。どうぞよろしく」 いつもの営業スマイルをゆっくりにも向ける文。 ゆっくりたちもまりさへの攻撃を止め視線を射命丸へと移す。 ぼろ布になったまりさにもその姿が目に映る。 あの時縁の下で見た光景が、みんなで楽しく新聞を作る光景がまりさの頭の中にフラッシュバックする。 「お……おまえさえいなければ……まりさは……」 まりさがずるずると這いながら文に近づく。 「あやや!? どうしたんですか? このゆっくりボロボロじゃないですか?」 「おまえさえ……いなければっ!」 自分の方を激しい憎悪を込めた瞳で睨むまりさに文は疑問符を浮かべる。 面識の無い他のゆっくりはまりさが何故文を睨んでいるのかがわからない。 「あの……私、何か粗相をしましたでしょうか?」 「まりさはわるくない! おまえのせいでこうなったんだ! ゆっくりしね!」 まりさは質問に答えず文の足首に噛み付いた。しかし相手が人間ならいざ知らず、人間を遥かに越える鴉天狗である。 渾身の力を込めた噛み付きも文の白く細い足に傷一つ負わせる事ができなかった。 「……椛」 「はい、先輩!」 文の合図に草むらに隠れていた椛が写真機のシャッターを切る。 「今の光景を写真に撮りました。今度の新聞にあなた方が非常に危険で排除するべき存在であることを写真付きで掲載させて頂きます。取材ご協力ありがとうございました」 まりさに噛み付かれながらも笑顔を崩すことなくゆっくりにお辞儀をする文。 その笑顔に見る見るうちにゆっくりたちの顔が青ざめていく。 「むきゅううぅぅぅ! それだけはやめてぇぇぇ!」 「やめてよー! ゆっくりできなくなるよー!」 「おねえさんおねがいいぃぃ!」 「私のモットーは『清く、正しく』ですのでありのままをみなさんに伝えるだけです。それでは」 文は飛び立とうとしてまだ足に噛み付いているまりさに気がついた。 「……そしてこれは正当防衛です」 腰に挿していた団扇を一振りすると目の前に巨大な竜巻が現れた。 竜巻はその場にいた全てのゆっくりを巻き込み、巣を削り壊し、草を刈り取り、木をなぎ倒し、岩を跳ね飛ばした。 「せんぱーい、少しやりすぎじゃないですか?」 先を飛ぶ文に山から伸びる一本の竜巻を見ながら椛が問う。 「新聞記者に危害を加えてきたんだから当然です……あ、田中のお爺さんからおはぎを貰ってるんで夕飯後に一緒に頂きましょう♪」 「……はーい♪」 椛はこの人だけは敵にまわさないでおこうと決心するのであった。 * まりさは水滴の滴りで意識を取り戻した。 正確には雨が降り出していた。 ボロボロになった体を起こし周りを見渡す。 そこにはまりさの家も草も木も岩もなく、小石と抉れた大地だけが広がっていた。 「ゆうううぅぅ!? みんなどこ? おうちは? ぱちゅりーは!?」 まりさは体を引きずりながら仲間を探す。 帽子を失い、頭に雨が降ってくるのも構わなかった。 しばらくして折れた木の前に髪飾りが集められている場所を見つけた。 そしてそこにぱちゅりーがいた。 「ゆゆぅ! ぱちゅりー! いきてたんだね!」 「……」 「みんなしんだかとおもったよ! でもよかったよぱちゅりーだけでもいきてて!」 「……」 「ねぇ、ぱちゅりー! いきなりだけどまりさとけっこんしてほしいんだぜ!」 「……」 「みんなしんじゃったけどまりさといっぱいすっきりしてあかちゃんつくってまたたのしくやっていこうだぜ!」 「……」 「ぱちゅりーきいてる?」 呼びかけても反応の無いのでまりさが覗き込もうとした瞬間ぱちゅりーは振り返った。 ぱちゅりーの口には尖った枝が咥えられていた。 とっさの出来事に避ける事ができず腹を貫かれる。 まりさは目の前の現実が信じられないといった顔でぱちゅりーを見た。 「ゆ゛ぐっ……どぼじで……」 「まりさの……まりさのせいでれいむもありすもちぇんもみょんも……みんなしんだのよ! なんでまりさだけいきてるのよ!」 枝が引き抜かれそしてもう一度まりさに刺さる。 「ゆ゛っ……ぱ、ぱちゅり……や゛めで……」 「きやすくなまえをよぶな!しねっ! ゆっくりしねっ! このやくびょうがみ! ごみくず!」 もう一度まりさに刺さる。 「ゆ゛っ……ゆ゛ぶっ……」 もう一度。 「ゆ゛っ……」 ぱちゅりーは自分の体が雨で溶けて動かなくなるまで何度もまりさを刺し続けた。 後日、『文々。新聞』にゆっくりが非常に危険な生物であると書かれ、人々がゆっくりを殲滅していくことになるのだがそれはまた別のお話。 ―ゆっくり新聞―おしまい <あとがき> かぶってしもた上にかなり遅れた/(^o^)\ナンテコッタイ 『文々。新聞』って幻想郷の人里の人間から見ればすごく面白いものだと思うんだけどどうなんだろ? 求聞史紀見てもカフェーで人気程度しか書いてなくてわかんね。 あとこんなかわいい子が配達してくれるなら文自身にもかなりファンが多いと思う。 そんなことを妄想しながら書いた。 (積み重なる黒歴史) ゆっくりフルフォース お兄さんの歪んだ愛 このSSに感想を付ける
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70点 出演:玉山鉄二、竹内結子、香里奈、香川照之 文庫で読んでから見てみたかった作品です。玉山鉄二が好きなんでなおさら見たかった。玉山はなんとなく三浦春馬に見えました。髪形のせいか幼く見えるな。 ピアニスト、健太は仕事をクビになり、居酒屋で泥酔し寝込んでしまった。目がさめるとそこは見たことのない部屋。部屋をでると、そこは本屋だった。健太はアロハシャツの怪しい男、ヤマキに「天国の本屋」での短期バイトを任せられてしまう。 主演が竹内結子と玉山鉄二でこのふたりのラブストーリィかと思いきや、ファンタジィ?このふたりは劇中では最後にしか会いません(竹内がおばと姪の二役で姪視点でみた場合ですが)。 ハラハラするような山場もクライマックスくらいしかないので、軽い気持ちでさらっ見れる作品でした。逆にいうとラストがぐっとこないと印象に残らない作品かも。夜の草原での花火バックのピアノ演奏は個人的は大好きな非現実感でした。 香里奈は若干演技が…な印象。香夏子(竹内)の友人、マルを演じる大倉孝二はいいですね。ピンポンや新撰組でも見てましたが、好きなタイプの俳優さんです。 時間も短くさらっと見れると思うので、きれいな映画が見たい人にはお勧めな作品です。 天国の本屋~恋火予告
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タグ希望は環境 現代にゆっくりがいます。 ゆっくりは幻想郷から落ちてきました。 おおかたどこかの誰かさんがスキマでも使ったとお思いください。 それでも幸せなゆっくりがいます。 ゆっくりと現代 近年突如現れた饅頭に知能が付与されたようなびっくり生物(なまもの)ゆっくり。 モノの数年でかなりの数に増えた彼らは、少しずつ都市部へと流れ込み始めた。 町に行けばおいしいものがあるに違いない、と妙にポジティブな希望を抱いて。 しかし、彼らに待ち受けていたものはそんな幻実ではなくありふれた現実だった。 「ゆっゆっゆっ……」 ここに跳ねているのはゆっくりれいむ。れいむは実にゆっくりできていなかった。 この『町』というところは前にいた山よりゆっくりできないものが多いのだ。 「これじゃぜんぜんゆっくりできないよ!」 そうごちりながられいむは跳ねる。 昨日も黒い四つのわっかが現れて道の真ん中で寝てた親友だったまりさが潰された。 「いたたた……」 跳ねるのを止める。ここの道は霊夢達には固すぎる。 長時間跳ね続けると皮が腫れてしまうからこうして足を定期的に休まなければ跳ねることもままならない。 「でもすーりすーりすると……」 ここにきて間もないころにれいむは子供達のにこれと同じような道ですり潰されたようむを見た。 この道で張って進む事はできない。れいむはそう思っていた。 「ゆぅ、おなかがすいたよ………」 ここ数日何も食べていない。ここは草が極端に生えていなかった。 最初はお花を食べていた。だけどお花は妙に苦かった。 それでも空腹よりはましだと思って食べていたのだが、 「花を荒らす奴は誰だ」 と人間が夜に見回りするようになったから食べられなくなってしまった 「ゆうかよりこわいよ……」。 山にいたころに長から人は怖いものと教えられてきたから人には近寄らないようにしてきた。 だから人の多い昼間は隠れている。夜がれいむ達の生活時間だ。 「ここにはれみりゃがいなくてよかったよ……」 れいむは少しだけホッとする。だがホッとしたところで空腹感は変わらない。 れいむは再び跳ねてご飯を探しに行く。 「ごみさんでもいいからなにかたべたいよ……」 ごみ集積所にたどり着く。夜にゴミを捨てる不届き者はまだまだ健在らしくゴミ袋はたくさんあった。 「ゆゆゆ、やったね!」 れいむはすなおに喜び、ごみ集積所へと跳ねていく。だがその喜びはぬか喜びに終わった。 「フーーー!!」 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 先客の猫がいたのだ。猫にとってもこういった生ゴミは貴重な栄養源。 よくわからんポッと出の丸っこい新参者にとられるわけには行かないのだ。 「ゆぅぅぅぅぅぅ………」 このれいむは勝ち目のない戦いはしないことにしていた。 このいかにも強そうな猫に戦いを挑んで食べられてしまったら元も子もない。 トボトボとその場を立ち去っていく。 空腹感は増すばかり。 「ゆぅぅぅぅぅ……こ、こうなったらにんげんさんのおうちに」 人の家に侵入する。これも山にいたとき人里にいったというまりさから聞いたものだ。 そのときに簡単な構造を教えてもらった。 まりさいわく 「にんげんさんはおうちにたくさんたべものをたくわえてるんだぜ!だからすこしぐらいもらってもいいんだぜ!」 とのこと。このまりさはしばらく後に見かけなくなったのだが多分人間に捕まったのだろう。 そう考えると怖くなってきたが 「す、すこしぐらいならばれないよね」 悪さをするのは気が引けるが自分ももう少しゆっくりしたいのだからいいよね、と自己正当化を行いめぼしい家を探すことにした。 夜道にていんていんとマンガみたいな足音が響く。 そして人の家の前に着いた。 しかしおかしい。まりさの言ってたような戸があるわけでなし、屋根へ上るための梯子もない。というか家が妙に四角い。 昔自分が遠目に見たにんげんさんの家屋はもっと平べったくなかっただろうか。 「ゆぅぅぅ・・・・・・」 どうしようか、と困っていたときれいむは一つの突破口を見つけた。 ガラス窓だ。そうだ、まりさは確かこうも言っていた。 「とうめいないたでおおってるところはいしをぶつければすぐにわれるぜ」と。 れいむはそのまりさの言葉に賭けた。 庭に手ごろな石がないかを探す。 あった。 口に入るかを確かめる。 入る。 石を口に咥えて方向を確かめ、れいむは石を噴き出した。 カィン 「ゆ? ゆぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 石は当たった。確かに当たった。しかし、音はしてもガラスは割れなかった。 技術の発展はガラスでもある程度の衝撃は防げるようになったのである。 今のへろへろのれいむの射出した石では20発撃ってやっと割れるかどうかだろう。 「ま、まりざのうぞづぎぃぃぃ………」 今は亡き無謀と勇気を履き違えたゆっくりに恨み言をこぼしもうだめだ、とへこたれるれいむ。 ふと足元の草に気づく。 「ゆっ!くささんだよ!たべれるよ!!」 そうだ、草はあまりおいしくはないが食べられるではないか。 家に入ることばかり考えていて足元にある食べ物に気づかなかったわけである。 灯台下暗しとは正にこのこと。 それはともかくれいむはくさに噛り付く。 食べる、食べる、食べる!! 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!」 寝静まっている人やゆっくりもいるだろうからか控えめの声でれいむは久しぶりの食事の喜びを表した。 数時間後、れいむは自分の巣に戻っていた。 あれから数件ほど別の家の庭に入っては草を毟り巣に運んでいたのだ。 人の家に入らずともお庭に草があったのは助かった。これでしばらくは暮らしていける。 「やっと、ここでゆっくりできそうなきがしてきたよ……」 とれいむが思った矢先、むんずと何かに掴まれる。 「ゆ?」 目線を開けるとそこには にこにことわらった 古臭いドレスを着た ふとましい体つきゆっくり。 「れ み り ゃ だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「う~♪」 ハッピーエンドが好きな一部の人には実に最悪な話なのだが れいむがれみりゃがこの町にいないというのは たまたま今まで出会わなかったというだけだ。 実際のところは数日ほど前に一匹の胴付きれみりゃが町に来ていた。 そして、れいむと同じようにご飯を探し回っていた。 だが、ここはれみりゃの住んでた森のテリトリーより広く。生きているゆっくりは森より少ない。 潰された死体はみかけるが生きたゆっくりはそうそう見つからない。 つぶれたゆっくりはおいしくない。 それだけの理由でれみりゃは生きたゆっくりを探した。貴族は食わねど高楊枝と言ったところか。 そして今日、おなかをすかせてふらふらのれみりゃはついにおいしそうな獲物を見つけたのである。 たまたまそれがさっきまで大変だったれいむなだけで別に誰でも良かった、といっておく。 「うぅ~、いただきまぁす」 「ゆべぇ!?」 頬に齧り付く。齧りとった箇所から餡子が漏れ出てくる。 「あまあまぁぁぁぁ」 甘い。今までつぶれたゆっくりを我慢してきた甲斐があったものだ。 「ひゅ、ひゅうっぐりひゃべふぇべ!?」 頬に開いた穴で満足に発声はできない。 「れみりゃはおなかすいてるんだどぉぉぉ おとなしくたべられるんだどぉぉぉ」 「ひゅヴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 齧る。齧る。啜る。毟。啜る。喰らう。 今までの空腹を癒すかのように一心不乱にバレーボールサイズのれいむを食べ続けるれみりゃ。 このサイズを食べつくしたなら数日はもつだろう。その間に次の獲物を探そう、とれみりゃは考えていた。 なに大丈夫だ、自分ならきっと見つけられるとも思っている辺りはほんと楽観主義だが。 一方食われ、餡を削られどんどん薄れ行く意識の中 (もっとゆっくりしたかった……) と思いながられいむの意識は消えていった。 明け方近くにれみりゃはれいむを食べ終えた。 「うぅ~♪ おなかいっぱ……うぅ!?」 日が昇り始めていた。 今まで森に住んでいたこのれみりゃが日傘を持っているわけがないのでこれは致命的だった。 食欲に我を忘れ、時間を考慮していなかった結果がこれだよ! 「うぁぁぁぁ、うぁぁぁぁぁぁ!!」 たちまちれみりゃの体は火傷の症状を表し始めた。このままではれみりゃは灰になって死んでしまう。 「う?」 食べていたれいむの巣だったポリバケツに気づき、慌ててれみりゃはそれを被った。 これでもう太陽に当たらない。 「うぅ~♪」 しかし、慌ててもぐりこんだせいで変に嵌ってしまいバケツから出ることができなくなってしまった。 歩けるには歩けるのだがちょこちょことしか歩けず、視界が見えないのでどっちに進めば良いのかもわからない。 「うぁぁぁぁぁぁぁぁうぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!だれがだじゅげでぇぇぇぇぇ!!ざぐやー!ざぐやー!!」 誰も来るわけがない。ここは人一倍人を恐れていたれいむが見つけた場所だ。 そんなところに人がくるわけなど当然なかった。 このれみりゃは奇特な人間が来なければ死ぬまでバケツの中にいるしかなかった。 これはほんの一部の例である。 ゆっくり達がこの世界の都市に適応するまではもう少しの時間がかかるだろう。 後書き アスファルトの床には首だけのゆっくりにはさぞかし響くだろうなぁ、と思って書き始めたらなんか違う方向に………。 しかも、先越されたぁぁぁぁぁぁ! 現代都市にゆっくりを住ませようとしたらかなりきつい感じがしました。 あいつらはいるとしたら田舎に住ませてやるべきです。それでも畑荒らしたら潰されますし、冬眠寸前の熊に食われたりと大変な気がしますが。 公園に落ちたドスとかはなんかうまくやってけそうなイメージがあります。 ドスが少食、という設定ならですが。 以前書いたもの fuku3328.txt ドスに纏わる二、三の話.txt fuku3313.txt 小ネタ.txt fuku3290.txt 中立な話.txt このSSに感想を付ける
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前 真っ暗な闇の中。幾つかの美しい光が点滅している。私も隣の男も一言も言葉を交わすことは無い。 薄暗い研究室の中では新型のゆっくりの研究が行われていた。現在はその成果と成る試験体の稼動実験をモニターしている最中だ。 暫くして観察が終了し、室内に明かりが灯ると共に一息つく。伸びをする者や溜め息をつく者、張り詰めていた空気が和らいでいくのを感じて私も体をほぐす。 「うぐぐ・・・体が硬い。こっちがゆっくりに成っちまいそうだぜ」 世の中には協定を結んで人間と上手く共存しているゆっくりもいる。 必要なのは「優秀なリーダー」なのだ。 大抵の場合はドスが無能であるか、ドゲスの群である為に協定は瓦解してしまう。 そこで考え出されたのが、新しい強化種を開発する事であった。優秀なドスに変わる存在を人工的に作り出し、それを野生に撒くのである。 「思い通りには行かんもんだな」 既存の成体ゆっくりを教育していたのでは時間も手間も掛かる。しかも、群のリーダーにするには相応の戦闘力が無ければ不可能だ。 人間に従順・頭が良い・人間のルールを理解できて・群を統率可能……しかも低コストで量産可能である必要がある。 生まれた時点で本能として生体餡子脳に「群を統率し人間に迷惑を掛けない」事を刻まれた、既存の種よりも強力な戦闘力を有する新型ゆっくり。 自然繁殖出来ない様に生殖機能を持たず、生まれた時から成体並みの体と知能を与え、人間が一切関わる事の無い状態で自立稼動可能な固体。 「お~い、コッチ来い。反省会はじめっぞー」 反省会と言われたのは、今さっきの実験結果の分析と今後の対応策についての協議の事で、各部門の責任者が集まっている。残りは昼飯に出かけた。羨ましい。 <<CASE-2894:人間の畑を荒らしたゆっくりに対する対処>> 「放置した挙句にニンゲンを攻撃するとは驚きましたね」 「まさかココまで無能だとは………」 実験結果が思わしくない為か、皆の顔にも疲労の色が濃く滲んでいる。まるで朝飯以降なにも口にして居ないかの様な空腹感溢れる顔である。中には耐え切れずに腹を鳴らす者まで居て、事態の深刻さを物語っている。 「えー前回の報告どおり、生まれた直後の状態で森に放置しても、自身の生存に問題ないだけのサバイバリティーの獲得には成功しております」 「野生のレミリア種やフラン種との交戦記録でも勝率98%を記録しており、戦闘力・生存能力に関してはほぼ完成と言って差し支えないかと思われます」 報告をする男の視線は中を彷徨い焦点を結んでいない様に思われる。はやくなにかたべないとしんでしまうぞ。 「群の形成に関しても申し分有りません。移植したドス餡が十分に生かされているものかと」 ただ強いゆっくりと言うだけでは意味が無い。森に暮らすゆっくりを統率し、管理し、人間に危害を加えない様に教育する必要がある。 「一応群では人間に近づくな的なおきては有ったみたいですが……」 「残念ながら掟を破る質の低いゆっくりを教育する所までには至らなかった……か」 言う事を聞く優良な固体のみを群に残し、人間の畑を荒らす掟を守れないゲスゆっくりはふるいに掛けて放置する。 通常のドスの群ではソレでよい。しかし我々が開発している新種は、人間へ危害を加えない様に森のゆっくりを集めて管理する目的で作られている。 ゆっくりがゆっくりする為であれば、バカな固体が自滅するのは構わないだろうが、バカな固体が自滅する事自体が人間には迷惑なのだ。 ダメなゆっくりはしっかり教育するか、畑にお出掛けして自滅する前に群で駆除して貰う必要がある。 「今回のメインであった畑荒らし役のレイムに対する対応ですが、成功とは言いがたい内容です」 「だが畑荒らしの悪事は認識していた。失敗と言うほど悲観する内容でも無かったのではないか?」 「人間が先に見つけて虐待した為に、制裁を任せたと言う見方も出来る」 「だがその後の行動は、これは如何説明する?人間に襲い掛かっている様にも見えるが」 「しかし、擬体とは言えニンゲンが負けるとは予想外でしたね。もう少しニンゲンの知能、上げられませんか?幾らなんでも対応がお粗末だったと思うんですがね」 「無理言うな、幾ら記憶を上書きしているとは言ってもベースはレミリア種だぞ。そう簡単に知能が上がったら開発だって苦労しないっつーの」 戦闘力に関しては申し分ない。ゆっくりゃやゆふらんを上回り、尚且つ群を統率する所までは来ている。後は論理思考のパターンの調整なのだが…… 「破壊されたニンゲンは破棄ですよね!食っていいですか!?」 「落ち着け…ゆっくりの食い残しなんか食う気か。もうこれで終わるから昼食にしよう」 「とにかく、この行動の理由について早急に分析を行い、本能プログラムの改修案を検討する必要があるな。残りは午後だ、解散!」 回収した黒ゆっくりは専用の台座に固定されて何本ものメンテナンスケーブルが繋がれている。 餡子脳を記憶再生機に繋いで行動や思考を分析し、問題点を調査して次回への改良とするのだ。 何故そんな事をしたのか?どうして適切な行動を取らなかったのかを問いただして行く。目も口も動かさずに独白めいた音声が蓄音機へ記録され、再生用の箱から流れてくる。正直キモイ。 「それにしてもこいつ……自伝でも出版するつもりなんですかね?」 黒ゆっくりの独特の語り口調に失笑を堪えながら若い研究員が言ったが、私は少しも面白くは無かった。 これだけお膳立てしてやってるのに、目標の数値には程遠い統率力と稼働時間。今回も早々に問題を起こして実験終了だ。 アレが現実なら破壊されるか、よしんば人間を倒せてもその後に村人総出で山狩りになって壊滅するのは眼に見えている。 そもそも、畑に被害を出した時点で我々の要求仕様としては失格なのだ。少なくとも、発見した時点で即座にレイムを殺すべきだった。 「てっきりレイムに味方して人間と戦うのかと思ったんですがね」 今までのケースでは畑荒らしを目論んだゆっくりが人間に発見された場合、目の前の人間とゆっくりを比較して本能が勝ってしまい、ゆっくりを助けようと人間に襲い掛かった例もある。 今回の黒ゆっくりは虐待前に発見したにも関わらず行動を観察していた。畑荒らしを抑えるでもなく、レイムを助けるでもなく、虐待を止めるでもなく。 「うむ、おそらくだが、本能としてインプットした論理思考に影響を受けているのだろう」 本能でゆっくりを助けたり、人間に襲い掛かったりする事を防ぐ為に、今回のバージョンでは調整を加えていた。 種としての本能的な行動よりも、論理的に正しい事を優先して行動するように、行動原理と成る部分を強化したのだ。 「あぁ、それで正義の味方みたいな事をやりたがるんですかね?」 群を作って統率したりするのはドス種の本能部分を移植したので、ゆっくり的な思考が強く出てしまう傾向がある。 それを抑える為に、論理思考回路を組み込んで自身が正しいと判断した行為を優先する様にし、常に正しい存在であり続ける事を最優先とするのだ。 「自分からは先に手を出さなかったり、口上を述べたのも自分が悪の存在になる事を本能的に回避しての行動だと思われるな」 元々、人間のルールを破ったりしないようにする為に、自身の損得より優先的に守るように組み込まれた物なのだが。 手段と目的とが入れ替わって完全に偽善の言い訳に成ってしまっている。 「コイツの中では悪いのはレイムなのだろう。せかっく教えたルールを理解しない無能なヤツが悪いのだ」 無能なヤツを管理出来なかった時点で人間から見れば同罪なのだが、コイツにはそこら辺がまだ理解できてないらしい。自分さえ正しければ良いと言う自己中心的な思想が抜けきっていない。 「他者に対する正義の徹底、群のゆっくりの行動に関しての連帯責任の意識の欠如ですか」 「元々リーダーとしての責任感が薄い感はあるな」 移植したドスの本能で群を作っているが、本来ドスは沢山のゆっくりをゆっくりさせたい為に群を作るのだ。 しかし、群を管理して人間への危害を与えなくする為に、様々な本能を多数上書きして混ぜ加えた結果、ゆっくりさせるの部分を弱める事には成功したが、群のリーダーとしての責任感が薄まった可能性もある。 今の状態では群を作るのは殆ど自己満足のために近い。 だが、元々ドスに責任感があるかは疑問であるし、群を形成する習性だけ残れば良いのだ。教育や管理は論理的な思考を上書きする事で実現するしかない。 「まぁ今回のレイムは我々が実験の為に仕向けたのだからソレは良しとしよう」 「群の長として責任感全然感じてない所は良く無いっすけどね」 「むしろ重要なのは、レイム回収時に人間に危害を加えようとした所だ」 人間の里へ降りて来て、住居不法侵入しておいて正当防衛が主張できる理屈はない。仮に正当な理由があっても、人間を攻撃する様では困るのだが。 正当な理由を正常に判断出来ないのでは、幾ら道徳と倫理感の強化を施しても改善の見込みが無い。 「あくまで自分が悪者には成りたくないと言う心理は働いてるみたいですね」 「だがその為に理屈は殆ど詭弁のレベルだ。知能が低いのではなく自己正当化して満足してしまっている」 自分が正しい事、これから行う事が既に決まっており、その為に都合の良い正義設定を組み立てている。普通逆だ。 同属に対する復讐と言いながら、助ける事無く虐待を見ていた。 捕食についても、虐待を観察してた理由には成らないし、親のニンゲンに話しかけた事とも矛盾する。 「コイツ本当に自分はニンゲンよりマシだと思ってるんですかね?」 復讐・虐待の傍観・捕食の何れをとっても明らかに劣る。 「自分で説明してるだろ“自分の卑小さを紛らす為”だと」 「ソコまで自虐されると作った俺らに失礼ってもんですよ」 確かに、そうだ。コイツを素直に蔑む事が出来ないのは、本能レベルで組み込まれた思考プログラムの開発を我々が担当している事が関係している。 実験でコイツがアホな行動や、理解不能な臭い台詞を吐く度に、研究チームの痛い視線を感じる気がする。実際はそんな事も無いのだろうが、耐えられずに胃が痛くなる。 行動パターンは何も我々が担当したコア部分の論理回路のみだけではなく、予備知識として引き継ぐ餡子知能や、思考に使用される新型餡子の配合などの様々な要素の影響を受ける。 故に、我々のチームのみがココまで責任を感じる必要は無いのだろうが、正直もう耐えられそうにない。 「今回のポエム聞きました?もう爆笑でしたよ」 この男の能天気さが羨ましい。 「それより、好戦的な性格も問題だと思うが……どう見る?」 最終的にニンゲンに攻撃を行った直接的原因は、ニンゲンからの攻撃であったのだが。ソコに至る過程は明らかに誘導が見えた。 「レイムを取り戻すなら傍観していた理由は無いですよね?」 やはり、最初から攻撃が目的で接触したとしか思えない。 「ニンゲンにレイムの虐待を任せようとした線は?」 「いや、一思いに殺せとも言ってるし、その後の発言からもそれは考えられない」 助ける為でも殺すためでもない。レイムのことは如何でも良かったとしか思えない。 「やはり捕食?しかし人肉を求めるような設計では無い筈ですが」 「一応野犬対策とか、どんな環境でも生きられる様に雑食性にはしているがな」 群のゆっくりには人里へ降りるなと伝えてあるし、普段は餌を求めて組織的に里を襲う傾向も無い。 そもそも捕食目的であれば、もっと頻繁に人を襲う必要が有る。 普段は他の野生動物を狩っている可能性もあるが、その様な場面は報告されていない。見付からないだけなのか? それでも人間と敵対するリスクを犯して、あえて捕食対象とする理由も分から無い。 仮にニンゲンを餌として襲うとしても、もっと上手い手段は幾らでもあった。 自分から声を掛けたり、虐待を黙って見ていた行動の理由も、会話の目的も一切不明である。 そう考えると今回のケースが特殊で、正当防衛や捕食と言うのは単なる思い付きで口にしたに過ぎないと言う事なのか。 とりあえず人間が如何行動するか観察した後に、人間を排除し、レイムを回収する寸法だったのだろう。 群のゆっくりへの見せしめとして持ち帰るつもりだったと考えれば、虐待後に回収に動いた行動も考えられなくは無い。 「頭が痛いな……」 人間に歯向かうなど論外だ。が問題はソコではない。 「もういっその事戦闘力下げます?」 安全性を考えるならソレが一番だろう。 「いや、その必要は無いだろう」 今の時点でニンゲンには勝てても、本物の人間を殺傷できるスペックは無い。 子供や、大人でも油断して不意打ちを受ければ危険かも知れないが、それは通常のドスや巨大ゆっくりでも変わらない。 ソコまで安全性を優先して戦闘力を削っては、群を統率する力さえ無くなってしまう。それでは意味が無い。 「それに、問題の本質はソコじゃないだろ」 畑荒らしのゆっくりを止めなかった事。強さよりもコッチの方が深刻なのだ。 規則を破ったゆっくりへの裁きよりも、同種である群のゆっくりの救出よりも、詭弁を並べてニンゲンに攻撃する事を優先した思考回路が問題だ。 人間に迷惑を掛けずに群のゆっくりを管理すると言う目的の為に与えた、人間の価値観と道徳心。 規則を遵守し、善悪を正しく判断する為に与えた知識と知能が、何故正常に働かないのかを調査して修正しなければ成らない。 「これは根気の要る作業になりそうだな……」 今回の実験の分析で分かる範囲の調整は行うが、もうしばらくは実験と調整の繰り返しに成るだろう。 「しかしなんで子供から優先的に殺したんでしょうかね?」 親の方には色々理屈を並べて時間を掛けた割に不自然だった。レイムを助ける為にニンゲンの親と接触した事は一応理解できるが、子供を攻撃した理由は何だろうか。 行動に関して、特にニンゲンへの攻撃の際や自身の正当性・正義に拘っていたと言うのに、子供を殺す時点の行動は動機的にも不可解な点が多かった。 子ゆっくりは助けようともしなかったし、これは見せしめは親レイム一匹で十分と考えた為かもしれないが。子供への攻撃理由には謎が多かった。 今までの実験ケースでも、子供への予期しない攻撃が行われた事も少なくなく、今回もやはり懸念されていた習性が現れてしまった形となった。 「自分の生い立ちに対するコンプレックス的なモノを抱えているのかも知れないな……」 実験に使ったレイム家族は片親だった。実験をやり易くする為に我々が選んだのだが、片親が何らかのキーワードとして働いているのかも知れない。 いや……偶然の一致か? 親と子の繋がり。今回用意したニンゲンも片親だった。通常とは異なる環境下でも親が子を見捨てる事無く育てている様を見る事で、自身の親の不在を拠り強く意識する可能性もある。 自分が孤独で生まれた事が、愛される子供への憎しみ、親と言う存在の行動に対して格別の興味を抱かせるのかもしれない。 この点に関しては次回以降も入念に観察する必要が有りそうだ。自身の出生に対する疑問や、不自然に高い知能と生まれ持って与えられた知識が、己のルーツへのより強い執着を生んでいるのだろう。 その辺に関する予備知識を加えてやれば、少しは行動に落ち着きが出るかもしれないと考えて、コンソールを叩き潜在意識へのインプリントを行う。 「おーい、何時までも無駄話してるんじゃない。次のセッティング終わったぞ。非献体を入れろ」 「まってくれ!ここまでやってから実働データを取りたいんだ…………よしっ回してくれ」 「黒ゆっくり、餡子脳セットアップ。メモリー初期化完了。起動準備出来ました。各部モニター正常!オールグリーンです。何時でもいけます!」 <<CASE-3225:虐待する人間が森に来た場合の対応>> 「黒ゆっくり………起動!!」 黒ゆっくり3 このSSに感想を付ける