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「随分、惨い殺し方だな……」 ホーム内に放置されている遺体を調べていたら、無意識に口から言葉が漏れていた。 そう言いたくなるほど、この遺体は酷かった。 ――――なにしろ、尻の辺りにおびただしい量の血が溜まっているのだ。 おそらく、尻からの出血が原因で死亡したのだろう。 何故、そんな場所から死ぬ程の出血をしているのかは分からないが。 (…………) これで、2人目だ。 こんな所で、誰かの遺体を見るのは。 ……当然、良い気分はしない。 (全く、どうなってるんだ) そんな時だった。 辺りを包みこんでいた静寂を、轟音が打ち破った。 ◆ あれからどれほど経っただろうか。 時間は、誰に対しても平等に流れている訳だから、その点は他の参加者と変わらない。 「……………………」 あのライオン頭を吹き飛ばした後、00号は何故か吹き飛んだ方向とは逆の方に向かっていた。 あれほどの攻撃で生きていられる人間はいない――――そう頭の中に入っているからだ。 その前提があるからこそ、ライオン頭の生死を確認せずに、反対の方向に向かったのだ。 それが正しい判断かは、彼には分からない。 ただ、自身の心にのみ従っているだけだからだ。 心――――本能、と言い替えてもいいかもしれない。 人の本能……相手を打ち倒し、自分が優位に立つ……。 ある意味、一番シンプルな欲求だ。 「………………」 そして。 ゆっくり歩を進めていた00号は、ついに駅に辿り着いた。 もちろん、巨大な体躯で入り口をすんなり通れる訳も無い。 所々、派手に音を立てながら、駅を破壊しながら侵入していく。 足を踏みだすたびに、足音が大きく響き渡る。 「確か、さっきの音はこの辺りから……」 そして、戦場へと新たに足を踏み入れる男が、一人。 その名は、藤田茂。 本来の運命通りに事が進んでいたなら、既に命が絶たれていた男。 果たして、運命は変わるのか?それとも、運命には逆らえないのか? 「――――何だ、こいつは」 ――――見えない場所で、運命は変化している、のかもしれない。 ◆ 「――――何だ、こいつは」 ただ、驚くしかできなかった。まぁ、当然だろう。 音に気がついて歩いてくれば、そこには巨大な化け物がいたんだから。 ――――クルリ、と化け物がこちらを向く。 ……逃げなければ。逃げなくちゃならない。 思考でも、感情でもない。自分の理性が。 「早く逃げろ、コイツはヤバい」と語りかけてきている。 だが、体は。 まるで、コンクリートで固められたみたいに、硬直している。 早く、逃げないと! 焦れば焦る程、体は硬直していく。 逃げたい、逃げたい、逃げなければ! でも、逃げられない、逃げられない、逃げられない……! そんな間にも、化け物は、ゆっくりと手に持つ標識を振り上げている。 まるで……恐怖心を煽るかのように。 このままじゃ、殺される――――! 「……うわぁぁぁっ!!」 ブウン、と風を切る音と共に、標識が振り下ろされた……。 ――――それと同時に、体の硬直が解け……ドッ、と横に倒れこむ。 (た、助かった……!) いや、助かってなんかいない。 化け物は、標識を2本持っているんだ。 今回はたまたま助かったが、今度は……殺される。 体の硬直は、既に解けている。今度は、逃げなければ! 荷物なんか、回収している暇はない。 何も持たずに立ち上がり、とにかく逃げる。 逃げる。 逃げる……? ……逃げるって、どこへ? ここは、狭い駅の中だ。逃げ場なんて、ない。 走って逃げても、あの標識でやられるだけ。 それ以前に、さっきまで固まっていた状態での、全力なんてたかが知れている……。 ――――つまり、もう、何をやっても無駄と言う事になる。 走っても逃げられない。そのままでいれば殺される。 八方塞がり。 ――――出来れば、このタイミングで気付きたくは無かった。 (そうか…………ああ、やんなっちまうなぁ) ……化け物は、再度、攻撃体勢に入っている。 おぼつかない手つきで、さっき落とした銃を拾う。 ……あの、妙な男が落として行った銃だ。 狙いなんて、この際どうだっていい。 とにかく、滅茶苦茶に引き金を引いて、銃弾をバラ撒く。 ――――全ての弾丸を撃ちつくしてしまえば、俺は。 おそらく、その時が。 俺の、最期だ。 そして、カチッ、と弾切れを知らせる音が、小さく響いた。 それと同時に、標識が目の前まで――――。 「――――すまんな、」 【藤田茂@SIREN2 死亡】 ◆ 血の海。 そして、その中に転がる、かつて人だったもの。 頭部は原型を留めぬほど破壊され、その他の部分も、損傷が酷く、直視出来る物ではない。 じわじわと、しかししっかりと、駅の中に血液特有の臭いが立ち込めて行く。 凶器となった標識からは、未だに血液が滴り落ちている。 良く見ると、所々組織片もこびり付いている。 「…………」 00号の体には、小さな傷が出来ていた。 さっきの、銃弾による傷だ。 だが、まるで気にしていない様子である。 ……拳銃弾程度では、ダメージを与えることすら叶わないのか? ――――いや、違う。 あくまで、00号は生物だ。生命が宿っている。 小さな積み重ねが、いずれは大きな形になるように……。 この小さなダメージも、いつかは、多大なるダメージになるだろう。 だが、当の本人は、その可能性に気付けない。 与えられた使命に従うだけの、「殺人マシーン」であるが故に。 「………………あぁ」 再度、00号は歩き出す。 次の標的を、探すために。 【一日目・深夜/A-4】 【被験体00号@オリジナル】 [状態]:健康 [装備]:交通標識×2 [所持品]:なし [思考・行動] 基本:全て殺す 1:……。 ※A-4の駅が多少壊れています ※駅内部に、ワルサーP99(0/15)、シングルアクションアーミー(6/6)@MGS3 藤田茂のデイパックが放置されています おつかれさま 投下順 [[]] ライオン嫌い 被験体00号 [[]] ツミナガラ…と彼は謂ふ 藤田茂 GAME OVER
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新しいものを上に追加していく形にしましょう 2014年08月26日 18 00 2014年07月27日 14 30 2014年07月27日 15 00 2014年07月20日 22 00 2014年07月20日 15 00 2014年07月18日 23 001班 2014年07月17日 23 001班 2班 2014年07月16日 22 001班 2班 2014年07月16日 20 00 コメント 2014年08月26日 18 00 遊撃 Ra視点(白桃) その1 遊撃 Ra視点(白桃) その2 2014年07月27日 14 30 青塔 Ra視点(白桃) その1 青塔 Ra視点(白桃) その2 2014年07月27日 15 00 青塔 Ra視点(白桃) その1 青塔 Ra視点(白桃) その2 2014年07月20日 22 00 紫塔 Fo視点(白桃) その1 紫塔 Fo視点(白桃) その2 2014年07月20日 15 00 紫塔 Ra視点(白桃) その1 紫塔 Ra視点(白桃) その2 2014年07月18日 23 00 1班 白塔 Fo視点(KAMA) その1 2014年07月17日 23 00 1班 青塔 Ra視点(白桃) その1 青塔 Ra視点(白桃) その2 紫塔 Fo視点(KAMA) その1 紫塔 Fo視点(KAMA) その2 2班 青塔 Fo視点(みん) その1 青塔 Fo視点(みん) その2 紫塔 Fo視点(もじゃお) その1 紫塔 Fo視点(もじゃお) その2 2014年07月16日 22 00 1班 西側 Ra視点(白桃) その1 西側 Ra視点(白桃) その2 Fo視点(KAMA) その1 Fo視点(KAMA) その2 Fo視点(もじゃお) その1 Fo視点(もじゃお) その2 2班 Fo視点(みん) その1 Fo視点(みん) その2 2014年07月16日 20 00 Fo視点(KAMA) その1 Fo視点(KAMA) その2 外部募集 Ra視点(白桃) その1 外部募集 Ra視点(白桃) その2 コメント 名前
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先程の邂逅から約二十分。 夕焼けに似た不気味な空の元、二人の少年、織田敏憲と豊穣礼佑は連れ立って歩いていた。 「ねぇお兄ちゃん。どこへ行くの?」 「なるべく鬼の来なさそうな所へさ。僕一人だけならともかくお前も連れてるからね」 「ふーん、でもそれだと他の参加してる人にも会えなんじゃない?」 「心配いらない。まず鬼のいなさそうなところへ行こうっていうのはみんな考えることだ。 だから学校みたいな如何にも人が集まりそうな所よりも少し外れた所の方が人には会いやすいはずだ」 バイクにも乗っていないのにフルフェイスヘルメットで表情を隠しつつ、織田はわずかにその不細工な眉をひそめた。 今同行しているこのクソガキ奴僕、時々発言が妙に聡いところがある。 最初出会った時は迷子のように語っていたにも関わらず、今は鬼ごっこの参加者の視点に立って自分に話しかけてきている。 それも、至極冷静に。 勿論そこまで違和感を感じる訳ではないし、今の所脅威は感じない。 ただ、少し引っかかるだけだ。 (まぁ、いい。このまま人と出会わず昼を過ぎるか、おかしな動きをしたら撃ち殺してやるだけさ) 懐のワルサーの感触を確かめつつ、「イヒッ」と下品な笑みを漏らす。 彼はあまり人と出会わない様ならば足手まといを抱えて歩くつもりは毛頭無く、この見た目幼児を容赦なく切り捨てる心づもりだった。 第六十八回戦闘実験プログラムでも彼はゲームに乗っていた人間であり、例え幼児であろうと、利用し、切り捨てられる人間だった。 (なーんて、不細工面に似合った事考えてるんだろうなぁ) そんな織田の下卑た考えは、四歳児をはるかに超越した頭脳を持つ礼佑にはお見通しなのだが。 とは言え、このままでは不味いのは事実である。 四歳児離れした頭脳を持っているとはいえ、礼佑は肉体的には幼児でしかないし、武器になりそうな物も取り上げられてしまっている。 彼はそれを丁度いいハンディだと思っているがそろそろ状況を変える新たなカードが欲しい。 そう思った時だった。 ―――ザザッ はいぱーびじょんだいありーからノイズのような音が走る。 未来がまた、変化した音だった。 子供らしい無邪気な表情を崩さず、礼佑は織田に感づかれていないか様子を伺う。 あくまで冷静に。あまり未来日記を信用しすぎず、慌てて予知を確認しないのが『エリート』というものだろう。 しかし、彼の懸念に反して織田は別の音に気を取られているようだった。 次いで、礼佑もまた近づいてくる音を聞き取る。 足音ではない――これは、エンジン音だ。それも、大型車両の。 ■ 「WRYYYYY!タンクローリィだッッッ!」 邪悪の化身DIOは、紙袋に入っていた支給品であるタンクローリーを『世界』に運転させつつ、そのパワー・スピードにそれなりにハイになっていた。 初めて運転するため、時折ハリウッドのカーチェイスもかくやという勢いで電柱や看板にぶつかっていたが、気にせず走り抜ける。 帝王に後退はないのだ。 「ムッ!」 機嫌よく走り初めて十分ほど後、吸血鬼として異常発達した視力が、二つの人影を捉える。 背丈から類推するに、あれは子だろう。つまり捕まえるべき獲物だ。 世界にハンドルを切らせ、DIOは邪悪な笑みを浮かべた。 そして、世界を支配する力を放つ。 「世界―――時は止まる」 ■ 「……な、何ッ!?」 「えっ…?」 織田と礼佑。二人の少年は揃って驚愕の声を上げた。 無理もないだろう。先程までこちらに向かってきていたタンクローリーのトレーラーが忽然と消えてしまったのだから。 どこかにぶつかった、というわけではない。それならば二人も無事では済まないはずだ。 あのトレーラーは一体何処に…奇しくも二人の心境が重なったその時だった。 「―――君たちは、ドードーという鳥を知っているかな?」 背後で、良く通る男の声が響いた。 「モーリシャス諸島に生息していた鳥なのだが…その鈍重さと鳥であるにも関わらず、 『飛べない』という弱点を持っていた彼らは人間の進出により僅か80年余りで絶滅した」 2人がゆっくりと振り返る。 「飛べもせず、ノロマ、外敵のいない平和な島で育ち、警戒心もない彼らが滅びるのは必然だったと言えるだろう」 傍らには紙袋を抱えた。ギリシャの彫刻のように筋肉を漲らせた美しい男。 紡ぐ言葉には思わず聞き入ってしまう、魔的な力がある。 「だが…私は彼らが絶滅した原因は『勇気』が無かったからだと…思っている 堕落した日々に甘んじ、彼らは『進化』しようとはしなかった 現在の『限界』を超えようとしない生物は種を問わず脆い…君たちはどうかな?」 男はDIOと名乗った。 ■ ―――織田敏憲には嫌いな人種が三種類いる。 その一、顔の良い男。その二、背の高い男。その三、下品な男だ。 DIOという急に話しかけて下品に自分を驚かせ、同行を提案してきたパツキン奴僕はこのうち三つをコンプリートしている。 「驚かせて悪かったね、これでも『親』なものだから。『子』らしき者を見ると捨て置けなかった」 「い、いいですよ、気にしてませんから!」 (クソがぁ~!何故高貴な俺がこんなパツキン奴僕に…いや、クールになれ織田敏憲。 こうなるのは計算通りのはずだろ) このままクソガキ奴僕共々肉壁として使い倒してやる。 織田少年はそう強く誓い、下手に出続ける。 (……ちょっと手強そうなのが出てきたね。面白くなってきた) 豊穣礼佑は対照的に無邪気に新たな同行者の分析楽しむ。 彼は先ほどのタンクローリーを突然消したのはこの男だろうとあたりを付けていた。 それもチャチなトリックではない。未来日記の予知能力のような、本物の異能だ。 更に、予知した内容ではこの男は自分にDEAD ENDフラグを立てなかった。 少なくとも昼までは。 DIOがこれからどう動くかはわからないが、これで織田も自分に手を出しにくくなっただろう。 (次は、このDIOってヤローがどんな奴かを見極めないとね……) 礼佑の口から笑みが零れる。 そして、先行しているため二人からは表情が伺えないDIOも、同じ笑みを浮かべていた。 (……最初は即刻捕まえて牢屋に連れていこうと思ったが、考えてみれば一人二人チマチマ捕まえていくよりも纏めて『一網打尽』にした方が良い) それが、DIOが自分の役職を親だと偽った理由だった。 無論、自分が鬼と発覚したときは世界で捕まえるか、殺す必要があるだろうが、スタンドに目覚めていない子供など、それこそ赤子の手をひねるが如く、だ。 (もっとも、豊穣礼佑とか言った子供は何か隠しているようだがね…織田敏憲という少年は何の力も無いようだが……良い悪の素質がありそうだ) 悪の才能とはすなわち、弱者を自分のために踏みにじることができる者だ。 悪の帝王であるDIOは、2人がそんな人種である事を直感していた。 そのため生かして泳がせる事を選んだのだ。 (フフ、せいぜい利用させて貰うぞ二人とも―――) (((勝つのは私/俺なのだから))) それぞれの思惑を抱えながら、絶望鬼ごっこは進んでいく。 【H-08/01時15分】 【豊穣礼佑@未来日記】 [役]:子 [状態]:健康 [装備]:はいぱーびじょんだいありー@未来日記 [道具]:『スマートフォン(子)』 [思考・行動] 基本方針:このゲームに勝利してエリートであることを示す。 1:DIO、織田敏憲を利用しながら情報を集める。 2:ピエロ(ペニーワイズ)との接触を避けるため、西北西方面に逃走したい。 3:未来日記所有者は優先的に殺す。 ※その他 自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 未来日記による予知である程度の未来を把握しました。この場に留まると高確率でペニーワイズに殺害されます。 【織田敏憲@バトル・ロワイアル(漫画)】 [役]:子 [状態]健康 [装備]:ヘルメット、防弾チョッキ、ワルサーP38、ランドセル、トートバッグ [道具]:ランドセルに飲食物、トートバッグにガスマスクや包丁、洗剤といったもの [思考・行動] 基本方針:利用できそうな親か子と合流する。鬼らしき相手がいたら逃げる。 1:豊穣礼佑、DIOを利用しながらプログラムに備える。 ※その他 各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 自分の役が『子』だと推測。 【DIO/ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [役]:鬼 [状態]:健康 [装備]:タンクローリー、不明支給品(確認済み) [道具]:無し [思考・行動] 基本方針:子全員捕まえ、親は血を吸うか下僕とする。 1:織田敏憲、豊穣礼佑を利用して子を集める。 ※自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間を把握。 ※時間停止は五秒ほどです。
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32話 決着!宇宙一!!そして絶望の始まり!
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夢への道 トワ~ver~ 希望のプリンセスと絶望の魔女 「夢への道」のほんの少し前、まだきららに再会する前のトワのお話。 レス番号 作品タイトル 作者 備考 競3-26 1話 悲しみのプリンセス ドキドキ猫キュア 長編「夢への道」の少し前のお話。ホープキングダムで今日もバイオリンを弾くトワを見守るのは、カナタとすっかり成長したパフ。だが、カナタはトワのバイオリンの音色に混じる、悲しみが気になって……。 競3-27 2話 絶望 蘇る悪夢 ドキドキ猫キュア 毎夜悪夢にうなされるトワ。その夢に出てくるのは、絶望の魔女ディスピア。不安が募り、トワがゆいに貰ったスケッチブックを抱き締めて涙すると、その時……! 競3-28 3話 新なキー 夢への想い ドキドキ猫キュア ゆいがコンクールで入賞したと知って、大喜びで祝福するはるか。でも同時に思うのは、今は会えない親友のこと。トワちゃんにも、ゆいちゃんの絵本を読んでほしいのに――はるかがそう思った時、新たなキーが現れて……。 競3-29 4話 再会~ 溢れる思い ドキドキ猫キュア 久しぶりにノーブル学園を訪れたはるか。思い出すのは、仲間と共に過ごした日々。みなみのこと、きららのこと、そして――トワのこと。その時、丘の上で何かが光り、そこに立っていたのは……!? 競3-30 5話 悲しみのエチュード トワイライトの調べ ~ ドキドキ猫キュア 夢が浜にやって来ても、相変わらず悪夢を見てしまうトワ。そんな彼女に、はるかが取った行動とは? そして、トワが何だか元気がないと、はるか、ゆい、パフが心配するのだが……。 競3-31 6話 希望のプリンセスと絶望の魔女 ドキドキ猫キュア 思い切って悩みを打ち明けたトワに、はるかは語りかける。絶望は消えない。でも大丈夫! 夢を思う気持ちがあれば、きっと乗り越えられる。はるかの励ましを受けて、トワは……。そして絶望を乗り越えた先には、また新たな夢が広がっていた。レッツゴー! プリンセス。
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「……ふぅ」 時間は昼頃・場所は病院ロビー。 日向創は担当していた狛枝の世話を終え、今は罪木に任せて休憩中である。 暇を持て余した彼は、電子生徒手帳を弄り始めた。 機能の一つとして付属されている電 子ペットの様子を見ようと思ったのだ。 「……はぁ」 そのペットの顔が、あの憎たらしい白黒熊になっていた。 ため息交じりに 手帳から目を放し、虚空を見る。 (きゅるる~) 耳入って来た、ある種呑気な音。 空腹を知らせる、身体の生理反応。 「…そういや今朝何も食べてなかったな…」 その通り。今朝は狛枝と澪田の発病が発覚し、そのゴタゴタ騒ぎで日向は朝食を摂るのを すっかり失念していたのだ。 (ちょうど休憩時間だし、レストランへ残り物でも食いに行こうか。 でも少し遠いし面 倒だな……) そう思っていた、矢先の事だった。 ガチャリ、という音を立てて病院の出入り口が開く。 (……超高校級のメイドなんていたっけ?) 一瞬、そう誤解し、その一瞬後に気付いた 「……小泉か」 メイドだと思ったのはエプロンドレスを身に纏った、同じく罪木に任せて休憩中の小泉真 昼であった。 手には、いくつかの袋を下げていた。 「お弁当、持ってきたわよ」 「ありがとう、助かったよ …その格好は?」 「……気分転換」 その言葉も、あながち嘘ではない。 七海に砂浜で竹トンボ等を教えていた時、目に付いたヤシ型のガチャガチャ。 帰りになんとなく、本当にただなんとなく弄ってみたら出てきたのがコレだった。 ……可愛い。 女の子たちを日向から守る(という妄想の)ため、彼を誘惑するに当たってこの服を選ん だのはそのためだ。 男に媚びるのは嫌だが、自分が気に入ってる=自分で選んだ服なら、という認識ならば嫌 悪感は薄れた。 今付けている下着も、全く同じ理由で穿いているのだ。 何よりこんな状況。 気分を変えないと、イライラで無用な爆発をしてしまいそうだった。 あちこちに迷惑をかけているとはいえ、必要以上に自分をストレスで罰するべきではない。 「……」 日向は小泉の姿を眺める、時間が止まったかのように。 「どうしたの? 似合わないって思ってる? ……こっちが好きで着て「似合ってるよ」だ から……え?」 虚を突かれた。 「いつもの小泉とは違う感じがある、意外さがあって良い」 小泉の胸に、奇妙な感覚が走る。 心地良い、毒が入ったような。 「………………ありがと」 そっぽを振り向きながらも顔を赤くしながら礼を述べる小泉。動作はともかく、いつもの の彼女なら「お世辞言っても何にも出ないわよ」ぐらいの言葉は出るだろうに。 それには当人も気付いていなかった。……絶望病のために。 だから「じゃあ罪木も呼んで一緒に食べよう」という日向の言葉に「蜜柑ちゃんはまだ良 いでしょ、かえってお仕事の邪魔になるから」と返した。 日向が気付くべきだったのだ。 同性には優しい彼女にしては、奇妙な言動だと。 尤も、直前まで狛枝凪斗という最悪の不発弾の相手をしていた彼にその配慮は酷であった かも知れない。 おかげで別の爆弾をも抱え込む事となったが。 二階の会議室でテーブルを広げ、日向と小泉は向かい合う形で座って弁当を食べ始める。 弁当の中身は握り飯・卵焼き・マカロニサラダにタコさんウィンナー。 日向は一つ一つを 口に入れ、噛み締める。 「ふまい」 シンプルで正直な感想が、自然と出た。 「アンタ、行儀悪いわよ ちゃんと 呑み込んでから、ね」 小泉はそう言いながらも、クスクス笑っている。日向の顔が田中の飼っているハムスターのように頬 張っているのは何処かおかしく、可愛らしい。 (そうだ) 小泉は愛用の一眼レフカメラで日向を撮り始めた。 日向はいつもの事だとは思いつつ、妙にくすぐったい気分だった。 それでも三大欲求の一 つに突き動かされてるため、視線は弁当の中身を覗き、手は箸を動かす事を優先した。 最後のマカロニを、日向が呑み込む。「おかわりいる?」 小泉はそう言って自分の弁当 を差し出すが 「いや、もう十分だよ、ごちそうさま」 手を重ねて、弁当と真昼への感謝を表す日向。 「どう致しまして」 小泉も、上機嫌に 応える。 「いや、本当に美味かったよ 良い意味でシンプルな味があった」 日向は一切のおべっかは言ってない。 本心からの告白だった。 今は亡き花村の料理が食べる芸術品ならば、小泉の作った弁当は、まさに家庭の味。 王 道の喜びがあった。 「さすが、家では家事全般やってるだけはあるな 良いお嫁さんになれるよ」 無意識に、極めて自動的にそんな言葉が出た。 立派な母親とぐうたらな父親という環境 が生み出した、素敵な少女を褒める言葉を。 ―普段の彼女なら仄かに顔を赤らめて視線を逸らし、「な、何言ってんのよ…」と呟いた だろう。 しかし、やはり『今』の彼女は違った。 絶望病で、人格の一部を変えられてる『今』は。 「うん、ありがとう」 言葉はさっき通り素直なお礼、そして動作は満面の笑顔を日向に向けられているというも の。 …日向は、褒めたはずの自分の方が恥ずかしくなってきた。 気付くと、小泉の指が日向の顔へ。(なんだ?)と日向が思うと彼の唇を撫でる。 「!?」 日向が驚いてると、その指は彼女の前へ。 白い物が、こびり付いてる。 「御飯、くっ付いてたわよ」 ………… 「はは、な、なーん「勿体無い」 小泉は、その米粒を舐めとった。 「!!!?!!?!!!」 日向は一瞬、脳がショートした感覚に襲われた。 それだけ今の光景はショッキングだっ た。 (な、なんだこれ)日向は混乱していた。(小泉のキャラじゃない) 澪田が九頭龍が復帰したパーティーの時『勢いで産んでみたけど父親が分からない』とい う謎の曲を歌おうとしたが、真っ赤になって止めた。 会話のタネにこけしを渡し、それでキレられた事があった。 今の小泉は、あの曲を(まぁ実際には聞いてはいないが)うっとりとして聞き、こけしを 渡しても夢中に頬ずりしそうな雰囲気があった。 普通に考えれば、絶望病のせいだとわかるのだが。 終里・狛枝・澪田とは比較にならないほどの変化を見せる彼女に、僅かな恐怖と中ぐらい の困惑 そして大きくて何故かある羞恥に日向は― 「ちょ、ちょっと寝てくる! なんかあったら休憩室で、な!」 会議室から逃げ出した。 そのため、日向はまたも小泉が絶望病にかかっていると気付くチャンスを逃した。 一人残った小泉は思考する。 (…手料理なんて、男にはお父さん以外食べてもらった事ないもの) 視線はカメラへ。 (良い記念になったわね。現像が楽しみ) 思考は妄想へ、変化する。 (私もお母さんになったら、これ娘に見せるんだ 「初めてパパに食べさせてあげた時の写真だよ」って……ん?) 「…………」 小泉は自分の行動と思考を、振り返る。 ガタン! 思わず立ってしまった。 「……っ ……っ!」 声が、出ない。 彼女の顔色は茹蛸となっていた。 (なななななんで日向と結婚しようとしてててててててて) 目的がおかしくなってる事に、今更気付いた。 (そそそそういやご飯粒さっきさっきさっききききき……) そして気付いてはいけない事を思い出した。 日向の唇に付いてた、ご飯粒を取って舐めと「いやあああああああああああああああああ ああ」 小泉の顔は茹蛸から、赤そのものへ変化していた。 きっと今の彼女を海に入れたら、沸騰する事あろう。 一応は病院内、暴れないだけの最後の理性はあった。 しかしそれ故に暴れるという代償行為で羞恥から逃げ出す事も出来ず 小泉は希望と絶望が入り混じった奇妙な感覚の中、数時間己の仕出かした事に打ちひしが れるしかなかった…。
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一般に、陸地は暖まりやすく冷えやすいが、海は暖まりにくく冷えにくい。 そのため日中、陸上の空気は海上の空気より速く暖められ、上昇する。 これによって地表付近の気圧が下がるため、海辺では海から陸へ風が吹く。 一方、日が沈むと、陸上の空気は海上よりも速く冷え、陸から海へ風が吹く。 しかしながら……この異常な超自然の空間は、昼とも夜ともつかない。太陽は出ていないが、空は不気味に赤い。 時計は深夜をさしているが、それほど暑くも寒くもない。裸でいれば少し肌寒くは感じるが。 ならば一体、風の向きはどうなっているのか? 風は止まり、凪いでいるのか? 答えは……『海から陸へ』吹いている。原理はともかく、今はそうなっている。島を取り囲む不気味な霧の作用、なのだろうか。 そして、この海風によって、『大場大翔』は酷く迷惑していた。 (くっ……臭い! 鼻が曲がる! 頭がどうにかなりそうだ!) 口と鼻を抑え、臭いの源から必死に遠ざかる大翔を、海風に乗った悪臭が追ってくる。 走る。走る。闇雲に逃げる。その先に―――― ◆ 悪臭の源は、革靴だ。それを履いている男も、また臭い。しかもブリーフ一丁だ。変態だ。 その変態の傍らで、機関銃を構えて臥せている男がひとり。彼は変態ではない。ちゃんと服も着ている。それほど臭くもない。 では、なぜ彼―――『オルガ・イツカ』は、この臭い男の傍らにいるのか。 それは悪臭男―――『水泳部の田所』を追跡し、こちらへ向かってくる者たちがいるからだ。 (わけがわからねえが、あのガキどもに話を聞くしかねえな……この変態はまあ、アレとして) 海から陸へ、すなわち、接近してくる二人の子供の方向から、オルガと田所へ向かって風が吹いている。 田所の放つ悪臭は、二人の子供へは届かない。はずだ。しかし、こちらへ向かってくる。 (つまり、この変態の足跡と、それについた臭いを追って来てるわけだが……) 田所は、オルガにねっとりした視線を向けつつも黙っている。下手な動きをすれば、機関銃の銃口がこっちを向くだろう。 一応田所も日本刀を持っているが、フィクションの剣豪でもあるまいし、機関銃相手に勝てるとは思えない。 とにかく、自分を追っている誰かを誘き出すつもりなのだろう。それが何を招くかは、いまのところ分からない。 ◆ 「海岸線の物陰を伝いながら、ね。風がこっちへ吹いてるってことは……、あった、足跡。臭いもする」 少し前。哀れな少年『円谷光彦』から服と靴を奪った少女『プルツー』は、靴下とブリーフだけになった光彦を連れて、彼が見たという男を追っていた。 聞くならく、男は色黒で中肉中背、ブリーフ一丁、刀を持っていて、臭い。どうもまともな人物像が浮かんでこない。狂人や変態だろうか。 だが、現状唯一の手がかりだ。スマートフォンとかいう通信機器はあるが、まだ通じない。光彦から取り上げた『お守り』とやらは胡散臭い。 手元に武器はないが……石ぐらいは落ちている。刀相手に接近戦を挑む必要もない。自分なら、小石を投げても並の男なら倒せるだろう。 いくつかの小石を拾い、ポケットに入れると、男の追跡を再開する。 獲物を狙う野獣に睨まれているような感覚。野獣の臭い。面白い。なんとかいう英雄は石を投げてライオンを倒したという。 生身の人類の最強の武器は、拳でも蹴りでも、爪でも牙でもない。投擲能力だ。遺伝子の奥からふつふつと狩猟者の感覚が呼び起こされる。 その時……プルツーは僅かな殺気を感じた。野獣の、ではない。銃口がこちらを向いている。例の悪臭男か。あるいは別の存在か。 「伏せろ。狙われている」 小声で光彦を制し、地面に伏せさせる。どうする。銃に投石で挑むのは、流石に無謀か。ならば……。 「待て。敵意はない。そちらとの対話を望む」 プルツーは右手を掲げ、殺気と悪臭の方向へ呼びかけた。言葉が通じる相手であれば、言葉こそが最強の武器となり得る。 ややあって、物陰から男が二人、姿を現した。ブリーフ一丁の刀を持った男と、もうひとり。特徴的な髪型をした、機関銃を構えた男。 「ああ……こっちも、子供を撃つのは好きじゃない。いろいろ話も聞きたいしな」 「それはなにより。こちらも突然状況に投げ込まれて、困惑しているんだ」 【A-02/00時42分】 【オルガ・イツカ@機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ】 [役]:親 [状態]:健康 [装備]:UZI@現実 [道具]:デイパック(不明支給品1) [思考・行動] 基本方針:とにかく生き残る。 1:子供たちと会話する。少女(プルツー)と臭い男(田所)を警戒。 ※その他 自分の役・各役の人数・会場の地図・制限時間は全て未把握。各役の勝利条件は一応把握。 【水泳部の田所@昏睡レイプ! 野獣と化した先輩】 [役]:親 [状態]:健康 [装備]:日本刀、野原ひろしの革靴@クレヨンしんちゃん、ブリーフ [道具]:デイパック、睡眠薬(持参) [思考・行動] 基本方針:家に帰る。 1:とりあえず誰かの話を聞き、現状を把握したい。 ※その他 自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 【プルツー@機動戦士ガンダムZZ】 [役]:子 [状態]:健康 [装備]:『スマートフォン(子)』、『お守り』、光彦の服と靴 [道具]: [思考・行動] 基本方針:生き残る。 1:この鬼ごっこの目的と自分の記憶について考える。 2:機関銃の男と会話する。もうひとりの男(田所)にはあまり近づきたくない。 ※その他 自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 地獄の雰囲気にのまれてニュータイプの力が若干鈍っていましたが、慣れつつあります。 この鬼ごっこを「記憶を操作された人間に関する実験」だと考察しました。 【円谷光彦@名探偵コナン】 [役]:子 [状態]:健康 [装備]:パンツと靴下のみ [道具]:DBバッジ(現在通信不能) [思考・行動] 基本方針:生還の為に行動。子や親と合流したい。 1:このゲームは誰が、どのように、何故行ったのかを考える。 2:機関銃の男と会話する。もうひとりの男(田所)にはあまり近づきたくない。 ※その他 自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 この鬼ごっこを「記憶を操作された人間に関する実験」だと考察しました。 ◆ 「ハァ、ハァ、ハァ。ああ、気持ち悪かった……」 やや内陸に逃れ、やっと悪臭から解放された大翔は、大きく深呼吸する。 悪魔が出現する時は悪臭を放つこともあるというが、その前触れだったのだろうか。悪魔というか、この会場では鬼か。 とにかく、あそこへは近づかないでおこう。反対側へ、内陸へ逃げなくては。そして仲間を見つけなくては。 それにしても、人がいない。まずは民家を探してみよう。誰か隠れているかも知れない。 【B-02/00時43分】 【大場大翔@絶望鬼ごっこ】 [役]:子 [状態]:健康 [装備]:『お守り』 [道具]:若干のお小遣いなど [思考・行動] 基本方針:とにかく人と会う 1:鬼と異臭を警戒。 2:幼なじみが巻き込まれていたら合流したい。 ※その他 自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 ◆ 銀髪の妖艶な美女がひとり、密かに歩む。露出度の高い服装で、頭に簪。腰から無数の帯を生やし、三本足の下駄を履く。 全身には―――ヒビのような紋様。唇からは牙が覗く。然り、彼女は紛れもなく『鬼』だ。名を『堕鬼』。 兄の『妓夫太郎』と一心同体、人から鬼に堕ちて百年、悪行非道は数知れず。 鬼退治されて地獄に堕ちて、やれと言われたのは『鬼ごっこ』。 丸一日の期限内に、島の中にいる生者を捕まえろ。子は三十六匹、子を守る親の役は二十四匹。子とろの鬼は十二匹。 子は過半数を捕まえればよく、殺して数を減らせばなおよい。そうすりゃ、現世へ戻れると。 ―――いやはや、さすがは地獄の鬼。なに、やることは現世と変わりはしない。 人間に化けることは出来る。帯を分けて分身を作り、島に潜ませて子や親を襲わせてもいい。ただ……まだるっこしい。 時間は充分あるし、他の鬼も張り切っている。全力で楽しもう。愉しもう。 醜い人間を捕まえて、何もかもを奪ってやろう。神も仏もあるものか、いれば必ず殺してやろう。 そう思い、早速襲った連中は、意外な反撃をかましてきた。帯が焼け、体が焼けた。殺せなかった。 焼いた奴は反動で死んだらしいが、こちらには幸先の悪い始まりとなった。負傷は再生中だが、気分が悪い。 なに、も少し楽に殺せそうな連中を探し出し、いたぶり殺して、気晴らしにしてくれよう。ああ、憎い憎い。 「くさぁい、くさい。におう、におう。なにやら子どものにおいがするねえ」 【B-02/00時43分】 【堕鬼(妓夫太郎)@鬼滅の刃】 [役]:鬼 [状態]:負傷(再生中) [装備]:無し [道具]:四次元っぽい紙袋、不明支給品2つ [思考・行動] 基本方針:殺し、食らい、現世へと復活する。 1:幸せそうな子や親を食い殺し取り立てる。 ※その他 スマートフォン(鬼)の所在は不明。落としたのかも、元から入ってなかったのかもしれません。
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希望と絶望と最後 最後の無理ゲーが始まる 解説 アンニュイ(humi)氏による、新章希望絶望シリーズの第5弾にして最終回。 新章としては8年、旧章も含めると11年の歴史のフィナーレとなり、 新章では最多となる希望軍125名、絶望軍95名の参加者による絶望的な戦いが繰り広げられる。 ルール 基本的なルールはこれまでの新章と同じ。 ランセレによるシングル戦で1P側が希望軍、2P側が絶望軍である。 希望キャラが絶望キャラに勝つと、その絶望キャラを仲間にできる(引き分けの場合は仲間にならない)。 しかし、元絶望キャラが同じく絶望側のキャラに勝ってもその絶望キャラは仲間にならない。 引き分けは両者1敗。希望側は3敗、絶望側は1敗で退場となる。 今回は無差別戦はないが代わりに10試合毎に1回,タッグ戦が行われ、 この試合では希望側が絶望側に勝ったとしてもその絶望キャラは仲間にできない。 タッグ戦はまず希望側がタッグになり絶望側がシングルで戦い、次のタッグ戦では絶望側がタッグになり希望側がシングルで戦う。 これを交互に繰り返す。 10キャラ脱落する毎に希望軍・絶望軍の中からランセレにより、退場した内の一人が復活する。 出場選手 + 希望軍(125名) キャラ名 カラー 製作者/AI製作者 設定 ボウケン 1P humi氏 Aはぁと 7P aaa氏 AILv:11 空条承太郎 交差氏 傭兵氏製AIパッチ適用AILv:2、ゲージMAX、強化モード:0お手軽永久:ON、ザ・ワールド1R使用回数:2 S炎邪 1P A,c,c氏 AILv:8、毒でトドメをさせる/永久スイッチ:ON R-久那妓 7P lunatic氏 ワンダ 1P way-oh氏 カオス同盟氏製AIパッチ適用 オム君 3P 七紙零氏 素晴らしきヒィッツカラルド 7P しーぽん氏 慢心:OFF、指パッチンの威力:通常・ガード時共に999999 竈門炭治郎 5P あんころね氏 ゲジマシ量:4 G名雪 2P rakurai氏 AILv:4、リコイル率:9 カムイクロウ 4P aaa氏 基礎攻撃力:1.5 Aアステカ 4P STG氏 フェイロン ですからー氏 609z氏製パッチ適用パワー回復:30、回復レベル:3、コンボ補正:0根性レベル:4、瀕死根性:2、攻撃中無敵:2コンボ抜け:30、3ゲージ即死:ON、ガー不レベル:1 レオパルドン ふうりん氏 LIFE:2000 モノノフ 12P 木。氏 強化スイッチ:3 ステラ・キルエット 11P 木。氏 プロテクションアーマー:ON、装甲値:10 Sまこと 7P seto氏 ダウン回避:OFF、ブロLv:31 サイドロープ本田 4P 軟骨カレー氏 禍忌BOSS ピヨ=ブラックバーン氏 ゲージ収率:1.0、バニッシュ効果持続時間:480 瑞麗 11P kayui uma氏 たくし上げの人(yuki)氏製AIパッチ適用チャンスメイク:8、チャンスメイク有情スイッチ:1 ストロングスーパーマリオ 1P SuperMario193281氏 巨大NESマリオ・ルイージカート・ストライカー大量出現:なし地蔵マリオ使用/食らい抜け:なし、やられ時ゲージ増加量:0 遠野三貴 1P としあき氏 強化スイッチ:ON たべるんごのこ ni-san氏 強化:1、ゲジマシ:3 孫悟飯(セル編) 7P 280号氏 フェリーライト 2P OWATANKS氏 アーマー持続時間強化:ON アライさん かまぼこサイハ氏 AILv:30、常時けものゲージ&スキルゲージMAX 錬金術マン 11P 八式特攻人形氏 AILv:3、弾幕増加:2 デスティニーガンダム 1P 961000氏 ステゴロ少女カオリ 1P 影縫氏 べしまじなり氏製強化パッチ適用性能自重:0、リコイルガード確率:10 デッドリー 1P seto氏 ヒット抜け:35、デッドリーローズ耐性弱化、ATK&DEF:90 天河朔夜EX 5P rakurai氏 ブロッキング率:10、コンボ限界値:25 ストライダー飛燕 1P K3nShin氏 ジャッキー 9P リック氏 DEF:80 有間美鈴 12P 夫氏 軟骨カレー氏製パッチ適用 神ベガ marancv氏 名無しのぽろろ氏製AIパッチ適用行動パターン:2、ブロッキング率:800 A美凪 1P aaa氏 永久コンボ:あり、食らい抜け:20 FR繭 7P EINZBERN氏 マスタークリス humi氏 強化:ON アナザーブラッド 12P AkagiK氏 QAZ氏製AIパッチ適用AILv:12 有間都古COH 12P 如月竜人氏 開幕覚醒、覚醒状態的イントロ、覚醒設定:1開幕BH後常時ゲージ増加、ファイナルアーク:0、12P専用AI:ON 赤 9P rakurai氏 直ガ:5 羅将神ミヅキ lom2b氏 絶命奥義打ち放題(同梱テキストに沿って改変) シャルロット masquer氏 〇〇うめぇ氏製パッチ適用AILv:10 ストライダー飛竜 kong氏 風見氏製パッチ適用AILv:12、飛竜の攻撃力:95、ウロボロスレベル調整:4ウロボロスドーナツ射出量:5、ウロボロスゲージ回収効率:13、無敵ウロボロス:1 Red Hero 1P No.26氏 タンホイザー 9P 薙氏 AILv:100 禍忌B 7P test(udo)氏 AILv:3、防御力:0.3 朱恋 6P スー氏 全身針氏製カラーパッチ適用ゲージ回収率:2 クローンブロリー 6P 駄菓子菓子氏 Madness Sergent キヰ氏 本気になった京 1P 黒い鳩氏 AILv:7 遠野明日翔 9P rakurai氏 虹法結界-緑-:10 荒ぶる大地の社 8P モジャック氏 AILv:2 荒れ狂う神鳴のシェルミー 10P みーご氏 朱鷺宮神依 7P 匿名スマブラー氏 自動で死祀:ON、アルカナゲージ常時MAXフラグ:1ダメージ補正無視フラグ:1、受身不可能時間補正無視フラグ:1 マスターロズウェル 4P ゴンドワナ氏 ゲージ回収:1.5、特殊受け身設定:2 蛟竜第三期 9P ドットゾーン氏 パワーゲージ引継ぎ:ON 仮面ライダーG3-X 12P miyaji氏 無差別攻撃:1、一撃使用条件:6、一撃当身使用条件:5AILv:10、AIガトリングモード使用率:1 アルビノジョーカー 1P 鮪氏 一括設定:2 冨岡義勇 2P 栄光夜氏 パワーゲージ自動上昇量:40、ライフ自動回復量:1 オロチソウル 9P モジャック氏 羅刹 7P 熄癈人氏 Lv5&禁技&狂衝封心封印、AILv:1負けたときAILvUPなし 東方不敗マスター・アジア 9P yes氏 >天<製AIパッチ適用運送:2 シンボリルドルフ 5P olt-EDEN氏 ゲジマシ:10 ロバートNアレンジ ni-san氏 強化:3、AILv:10、ダメキャン:なし 野生七夜 9P humi氏 狂紳士ルガール 6P ピヨ=ブラックバーン氏 EU_KUNG_FU 2P さいき氏 AILv:3 シャントット 4P さいき氏 ミシャクジ様 7P halkaze氏 AILv:6 ソウルキャリバー・インカーネーション 3P 交差氏 ハッピーバレンタイン 7P みーご氏 ゲジマシ:10 大魔道士ポップ 11P 三吉氏 コン氏製AIパッチ適用AILv:10、ベホマ:使用不可 ジョンス・リー 11P キシオ氏 前田慶次 11P 月砂氏 旧版 Lord of library 12P 紅毛玉氏 AILv:6、賢者の石:2 美脚春麗 7P みーご氏 Hei_F 11P FLAM氏 昇リュウ 雑魚氏 ヒット数設定:15 激おこジョィンジョイン・トキィ humi氏 リュウ 7P P.o.t.S氏 K2氏製風の拳パッチ適用 服部半蔵 masquer氏 SABA(ファンタズマ)氏製AIパッチ適用 暁絶N 3P 十字星Nkz氏 Try氏製AIパッチ適用AILv:6、Fベロシティ制限:0、無常の太刀LV4以上:2Fベロシティ脳:OFF、狂モードAI:ON、対狂モード:2ゲージ自動増加:3 ザガン 11P 軟骨カレー氏 覚醒:2R目から ダイブキック凪 みーご氏 エモスイッチ:2 ピッチ姫 1P seki-rou氏 永久狙いAI、技中無敵:2相手が攻撃ガード時ガードクラッシュ:ON常時ゲージMAX、ペナ:なし 騎士団メイド長ノエル 1P 圧縮箱氏 クールタイム:900 高野レン 7P 全自動氏 ユヴィッチネント氏製強化パッチ適用グワァラゴワガキーンに当身追加+空振り時ライフ消費 ルナティック輝夜 12P HM氏 あどやご氏製AIパッチ適用AILv:10、学習型当て身有効当身使用率:6、バリア使用率:6 絶対神王牙-X 3P ワーグナー氏 AILv:10 R舞 7P nyarochi氏 みーご氏製ボイスパッチ適用 修行を積み直したジョンス 2P NoName氏 拳王 7P シオン好きの名無し氏 ralhorn氏製AIパッチ適用AILv:10、共通ゲージ類:1ゲージ自動増加:130 アチチルノ 2P リン酸トリエステル氏 全盛期のガイル くねくね氏 AILv:8、空中食らい中無敵:なし、真空投げ:使用可 姫イド 1P rakurai氏 ブロッキング率:6、ゲージ溜め:2、食らい抜け許可:0 織坂雷華 4P 黒巻氏 鬼武者 覇王丸 1P KN*RS氏 攻撃中常時無敵:あり、攻撃力調整:2.0 ブライアン・バトラー 1P Usual氏 強化モード:ON、開幕ゲージMAX、ゲジマシ:30攻撃アップ:2.0、防御アップ:1.5 堕瓏 7P Usual氏 AILv:10、強化モード:1、パワーゲージ:3、スキルゲージ:2奥義・多重幻影暗剄発動時投げ無敵 センジョウデナニカニメザメタクラーク 1P モジャック氏 パワーゲージ:3、MAXゲージ:0コンボ補正:2、MAX:2 セーラー戦士マリン 1P キヰ氏 ゲージ増加率:5、謎の火力アップ:2 弱体版六丸都古 3P 609z氏 パワー回復:15、喰らい抜け:15 熊EX 1P ぜろ+しょ号機氏 AILv:11、我慢補正スイッチ:1、空中受身スイッチ:1 Psyqhical_MB 1P KSO氏 AILv:1 ユリ・サカザキ96 7P FLAM氏 AILv:11、ガードクラッシュ:ON挑発時的パワーゲージ減少/気絶:OFF 雪慧冴冬音 1P 黒巻氏 攻撃力補正反映力:3、厳冬の見切り:あり、同初期値:5HIT数抜け:20 ルガール5th 5P STG氏 白幻七夜 4P ツキノア氏 ゲージ効率:0 黒夢志貴 4P ツキノア氏 ゲージ効率:1.0 グローリア 1P プレート氏 ATK:110、DEF:120微ゲジマシ:4(製作者の許可確認済み) マスタークラウザー 4P サクラ@蚕糸氏 カイザーボール発動済み、ヒット数抜け:なし 全力の餓狼アンディ 1P ni-san氏 AILv:11、幻影不知火:20、ゲジマシ:OFF ライヤ 日本破壊結社NHK氏 蜂百合氏製AIパッチ適用AILv:10、逆根性値/補正:0コンボ設定:2、反応誤差:0当て投げ・差し込み・反撃・対空・反応速度:700 サスカッチ Sander71113氏 yanagi氏製AIパッチ適用AILv:3 マスター都古 3P STG氏 喰らい抜け:OFF、コンボ抜け:30ゲージ回収率:半分、ゲジマシ:1 Mr.師範 12P poikre氏 GURI氏製AIパッチ適用 超鬼畜Mr.師範 1P SAMSARA氏 一撃強化:OFF、エーテルが勝手に出る:ON 置きロバ humi氏 KUSAINAGII 7P mettu氏 両儀死姫 5P カリン糖氏 回避レベル:5、ゲジマシ量:0 ソリッド・スネーク 3P STG氏 ゴンザレス seki-rou氏 交差氏製AIパッチ適用前方回転受け身常時無敵、超ガン攻めAI マスター墓標ハワード 路傍氏 パッコーン:OFF、墓石本来の質感:ON ネス K.Y-Shanxi氏 ゲージmax(改変) + 絶望軍(95名) キャラ名 カラー 製作者/AI製作者 設定 ゴッドワルド 1P SAMSARA氏 Aカイン 1P A,c,c,氏 AILv:2、設定:2 魔砲少女リリカル@シャンハーイ 4P lunatic氏 硬さ:脆い、弱体化:ON ADS2 7P pkrs氏 ブールブール・イージー 敵の敵氏 初期ライフ管理:100、無敵時間:30(共に改変) マシロふぁんぐ 1P lunatic氏 少量ゲジマシ(改変) S赤屍 1P piitpiiii!氏 耐久値:5 S美鈴 1P 熄癈人氏 AIちょっと本気自重解除 GM諏訪子 3P lunatic氏 十五漢ジョンス・リー 11P humi氏 葬志貴old 1P STYM氏 旧版アザゼル 1P SAMSARA氏 機皇帝ワーロック∞ 12P kuron氏 無敵・くらい抜け・大ダメージ無効・LIFE回復:OFF sss-strike amaiba氏 禍雨心傘GxRv 3P 黒巻氏 オプションカスタム設定有効、超必殺頻度半減、時間喰らい抜けの設定:600手加減スイッチ&タイムアップ回復無効、防御レベルの設定:4蓄積ダメージキャンセル値設定:999、オーレリーズバリアの耐久値設定:1オーレリーズバリアのProj耐性スイッチ:0DeepDeepDeep発動時に%nF1デバックキー攻撃を使うか:OFF ナタリア・フォーリンアビス 4P illness氏 七夜死貴 9P 3104氏 3R目覚醒 氷帝スペルビオラ 7P シィグマ氏 真田小次郎殺戮style 7P 熄癈人氏 攻撃力調整:2.0 ガンドロイド・ルイス 7P 交差氏 ペネ:20、無双覚醒スイッチ&覚醒ゲージ増加率:1 邪神ガタノゾーア muu氏 黒白雛R 8P 交差氏 ペネ:30 紫道化師 10P NeST氏 回復使用制限:1 Aジェダ 10P aaa氏 アナスタシア 10P rakurai氏 オロチG3エクスキューション 6P GGG氏 AILv:3、本体強さスイッチ:59、覚醒ラウンド:0 Ex 7P noname氏 ゲジマシ:8、ダメージキャンセル:800、ヒット抜け:7攻撃力:焔未使用時は1.0・使用後は2.0 The_Child_of_Flog 2P seki-rou氏 地母神の加護:4、権能返し:30、ヘルパーフライング防止用:ON Mr.M 6P seki-rou氏 ゲージ最低値:1000、喰らい抜けHit数:50奥義封印スイッチ:-1、5P以降干渉強化スイッチ:2 怪獣無法地帯 レッドキング 5P サメ竹輪氏 コルウェル 7P STG氏 ゲージ回収率:半分 ジェネラル・ワーグナー 7P ゴンドワナ氏 攻撃力補正:1.5、ゲージ増加率:5.0 武士道妖夢 12P ユヴィッチネント氏 弾き率:97 波ボウケン 7P seto氏 アレンジズェピア 4P りゅりゅう氏 ゲジマシ量:5 RBS(紅き獣の選別者) スー氏 血の歓び:3、血の猛り:2 複製型 居合アーサー 1P ルピ氏 ゲジマシ量:50、回避:5、被ダメージ率:0.3回避時被ダメージ率:0.0、無敵レベル:3、攻撃力補正:全てON 限界突破ブロリー 5P かませ氏 開始モード:SSJ5、SSJ5モード時間設定:3000 パイロン 12P くねくね氏 K2氏製強化パッチ適用 S魔理沙 12P 軟骨カレー氏 開幕超必ぶっぱ禁止 ドレッドノート 7P 信楽氏 隠形設定:OFF 焔 9P Aegis氏 K2氏製脱衣KO&性能改変パッチ適用くらいパワーゲージ増加量:2、シノビリフレクションライフ回復量:1ド根性:1、攻撃力補正値:1.7以下全てON脱衣KOスイッチ/常時炎展開/六爪獣煉獄無限/紅蓮舞ループコンボ 緋色の傷の博麗さん 1P ルナ氏 ダメージ反射レベル:3 モルテンコア 5P STG氏 ゲジマシ:3 緋宵霜 黒巻氏 手加減:OFF、連穿斬:5緋影数:10、緋影発動時の被ダメ補正:4 宇宙元帥戒厳 12P みるきー氏 AILv:11、チャンスメイク率:10、シンパシー:ON ファントムダイバー政宗 SAMSARA氏 殺傷力強化:OFF 弾幕マガキ 12P としあき氏 AILv:2、常時ライフ回復:2、常時ゲージ増加:2ライフ減少によるゲージ増加:2 青鬼 9P スー氏 AILv:2、ゲージ回収率:5 レヴィアタン 1P SAMSARA氏 ソニックヴァネッサ 11P みーご氏 エンハンス数:3、ゲジマシ量:8 降龍ザンギエフ el氏 レベル:4 Xevel 9P CJJを好む単細胞氏&illness氏 移動技性能:1、覚醒ラウンド:99被弾後無敵時間:5、攻撃性能強化:OFF 至高天の剣豪 不律 6P ツキノア氏 宝具強化レベル:0、宝具ゲージ増加量:1.0 [雷迅卿]アルベール 12P 残河氏 武器設定:5、デバフ時間:10800、無敵設定:4 涅槃 8P STG氏 邪呀王 邪頭 1P mage氏 パワーゲージ:2、コンボ補正:1、ストライカー怨霊ズ:2当身使用/色々強化:ON、バースト使用:2 冥蛇 1P NeST氏 侵食レベル:開幕5・最低8・最高10『怒り状態』設定:0、ゲジマシ&侵食ゲージマシ(改変) ェル・シュタイム・ベレシュティア 7P Mapelao氏 アーキタイプ・テロスタイプ・コンボ制限:無し「戦乙女の気紛れ」初期値:-1000 悪魔の異形遣い 1P KN*RS氏 次元之手確率:3500、ダメージ制限+ダメージキャンセル:OFF防御力:0.5、アーマー時被弾無敵:0 雷 12P 影縫氏 Schreckgespenst 7P 熄癈人氏 ナイトメアリベンジ封印、AILv:2、AILvUP:1回復魔法禁止、アイシクルアーツ黄竜展開時間:1、スキルゲージ:全ラウンド1スタート コードホルダー 7P lunatic氏 ガーネットクロウ 9P macbeth氏 軽量化版 傀儡将ルーミア 1P Nanachi氏 無敵強化スイッチ:1 S依姫 8P 圧縮箱氏&季節風氏 被弾無敵:50 赤騎士リメイク 5P アロイ氏 ゴールデンムカイ 10P リン酸トリエステル氏 ゴールデンバースト:1 グランドン 9P キヰ氏 ビルドアップ使用率:0、被弾後無敵設定:20 XIII 10P mugenプレイヤーの下っ端氏 ダメージキャンセル:450 Marluxia 9P mugenプレイヤーの下っ端氏 設定3:2500、設定7:0 獄殺豪鬼 3P kakeyぷらい氏 フラペナ強化スイッチ:0、ボスモード:OFF シビィ 11P ゆっくり氏 パーフェクトセルKN.Edit 6P KN*RS氏 ダメージキャンセル&ダメージカット:OFF防御倍率:1.0、パワーゲージ上昇:7 カーネイジ・オーバーキル 雑魚氏 狂の躯 12P 鳥羽色氏 AIパターン:2、食らい抜け:500 Abyssal Chaser 信楽氏 N-aerolite 1P FXNULL氏 AILv:2、AI常時起動:1、常時ゲジマシ:1 範馬勇次郎 7P tokage氏 609z氏製攻撃強化パッチ適用 ケシェト 5P Mapelao氏 HIGE 1P しげふらいど氏 ゲジマシ:5倍 煙緋 1P ドドコ氏 印上限値増加・印常時最大・印(大)常時最大:ON印(大)封印:OFF、素晴らしい旅攻撃力上昇倍率:3倍HP回復割合:200、会心率:75、スタミナ常時最大:ONゲジマシ:75、フラペナ:ON 赤セイバー 11P ni-san氏 AILv:8 神アドン aniki01adon氏 名無しのぽろろ氏製AI+微改変パッチ適用「ハルマゲドンモード」スイッチ:ON ミズチTYPE-M 7P 608氏 狂版 主席異端審問官ドラノール 7P ni-san氏 AILv:11、ペネトレイト:35、ゲジマシ:5 ArchiMuderer 8P 貧弱一般未満人氏 バリア初期値:50、有情スイッチ:ON 波動リュウ 1P buti氏 常時AIもどき:1、初期波動レベル:3波動のけぞり時間:60、食らい抜け:10 バルバトス・ゲーティア 1P クロガネ氏 覚醒:あり、鋼体最大値:75 ラップランド 6P シィグマ氏 ベリアル 12P 608氏 全盛期の右京さん 9P ni-san氏 AILv:4 スーパーメカ翡翠 仮氏 孫悟空(宇宙サバイバル編) 1P 280号氏 初期形態:身勝手の極意”兆”、変身:あり、ステ抜け:なし超即死使用フラグ:0、ダメキャン:OFF、究極技:使用不可 デストルド・エデン 1P みかえる氏 関連大会 + 一覧 狂キャラシングルミニ大会 狂以上神以下 希望軍団vs絶望軍団 無理ゲー?挑戦大会 論外未満 新時代 希望vs絶望 無理ゲー!挑戦大会 論外未満 殺戮の神 希望vs絶望 無理ゲー!?挑戦大会 論外未満 第四弾 希望vs絶望 無理ゲー!!挑戦大会 生きているって素晴らしい大会 レアアクマ被害者の会 シングルランセレ大会 レアアクマ被害者の会 第二回大会 レアアクマ被害者の会 第三回大会 ワンチャンアレバカテルー大会 第三回 ワンチャンアレバカテルー大会 新章・希望vs絶望 無理ゲー挑戦大会 殺戮の祭 第二回 新章 希望vs絶望 無理ゲー大会 狂クラス 激闘以上殺戮未満 シングル大会 【狂中位・下位】 新章 第三回 希望vs絶望 無理ゲー大会【狂・神下位】 第四回 ワンチャンアレバカテルー大会 第二回 激闘以上殺戮未満 シングルランセレ大会 新章 第五回 希望vs絶望 final無理ゲー挑戦大会 第五回 ワンチャンアレバカテルー 大会 新参vs古参 ~令和から懐かしき日まで~ 歴史を超えたチームバトル 論外・凶悪・強キャラ 低画質俺フォルダ5ポイント制大会 論外・凶悪・強キャラ7ポイント制ランダムタッグバトル大会 ウジャウジャいるよ! カオストーナメント 強・狂・凶 ランダムタッグ大会 エビルケン クラス タッグトーナメント(sm8342753)【削除済み】 神・狂 カラー差別 7ポイント制シングル大会(sm9296826)【削除済み】 神・狂・凶・強 シングル大会 狂クラス審査員オルタネイティヴミニ大会(sm11626612)【削除済み】 狂クラス リハビリ大会(sm12409833)【削除済み】 狂・神 審査員 アンリミテッド大会 神の遊びタイムアタック 人を無条件で信じてみた大会 大将討ち取りチームバトル(sm16950438)【削除済み】 レアアクマ感謝祭 おまけ企画 無理ゲー大会 【凍結】 キミから・・・離れられない!トーナメント 一秒の世界 特殊チャレンジ系 続! 一秒の世界 特殊チャレンジ系 ゲージ補給型 密室殺人事件大会 【凍結】 第五回 一秒の世界 特殊チャレンジ系 新章 一秒の世界 特殊チャレンジ系 意地の男女対抗戦祭り 【凍結】 純粋に人を信じてみた大会 コメント やっぱホウオウは出禁されて然るべき性能だったんだな。そしてそこにパーフェクトで勝てる初代SF勢よ -- 名無しさん (2022-11-15 11 55 29) アンニュイ(humi)氏、いつかまた会いましょう お疲れさまでした -- 名無しさん (2022-12-05 22 49 47) humi氏はMUGEN止めたわけじゃないぞ 希望VS絶望が最後なだけで -- 名無しさん (2022-12-10 16 50 33) 名前 コメント マイリスト
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前ページ絶望の使い魔 自らの髭をさすりながら古い本を読んでいる老人がいる。 本の題名は『始祖ブリミルの使い魔たち』。 老人─オールド・オスマンはちらりと傍らにある鏡に映し出されている光景を見る。 森の中で一人のピンクの髪の少女が巨大なオークと本を挟んで向かい合っているのだ。 何か話しているようではあったが音声は拾えない。 話し合いがひとしきり終わると森の開けた場所までオークと移動し、 そして向かい合うと少女は背負っていた剣を抜く。 ここで少女を映していた鏡はただ老人の顔を写すだけとなる。 ここ最近オスマンはこの少女の様子を観察することが多くなっていた。 先程見た一連の動きはパターン化されているといってもいいほど毎日のことである。 分かるのは少女が戦闘を行おうとすると遠見の魔法は常に見えなくなることと、 彼女が人間を食べるはずの凶悪なオークと意思疎通を行っていることだ。 前者は何らかの阻害魔法を使うことでできそうである。 しかし後者はモンスター心通わせる能力を持っていることになる。 魔物を従える──まるで始祖ブリミルの使い魔の一匹、ヴィンダールヴの能力ではないか。 彼女の使い魔のルーンはガンダールヴであったはずだ。 手にしている本を見ても間違いなくガンダールヴであることを示している。 伝承では虚無の呪文は詠唱が長く、その時間を稼ぐために使い魔がいたと聞く。 ルイズ本人の戦闘能力の上昇はガンダールヴと言える。 ここにきてヴィンダールヴの能力まで保持していることがわかった。 始祖の使い魔2体の能力を有するメイジ。 ここで問題なのは『使い魔ではなくメイジである少女がその能力を持っていること』だ。 結論としては少女が扱っている力はけっして始祖の力ではないということだ。 おそらく使い魔の先住魔法か何かであり、その魔法の副作用のようなものでルイズの性格、 性質が変化してしまったのだろう。ルイズが力を得る前、召喚した直後の危険と判断したときに 亜人を始末して置けばよかったと何度も考えたが過ぎたことは仕方がない。 使い魔を始末するための魔法の選定は終わった。すべては計画通り。 あとは彼女の行動次第である。 _________ 夜が更け、ろうそくの灯りに照らされながらルイズは手紙を書いていた。 誘拐未遂からもうすでに3週間ほど時が経っており、 噂されることの中心はルイズの行ったことから離れている。 その中には土くれが牢からまんまと逃げ果したという話があった。 あの怪我でよく逃げられたものだ。 現在書いている手紙は実家のほうに金を無心するためのものである。 今、ルイズはお金の重要さを実感しているのだった。 というのも、人を動かすということに金がかなりかかることに気付いたのだ。 ルイズが作らせた組織は少しずつ不必要な構成員を減らしているとのことで出費は減るだろうが ルイズの小遣いだけではいささか不安であった。そしてこのたびの報告内容だ。 アルビオンの方面への輸送経費が恐ろしくかかると手紙に書いてあった。 浮遊大陸であるアルビオンへの交通の便は恐ろしく悪い。 そこに行くには大量に風石を積んだ船で空を駆けなければならないのだ。 風の力を溜め込んだ風石は高価であり、できるだけ消費を少なくするのが当然である。 よってアルビオン─トリステイン間の航路はアルビオンがもっとも近づいてきた時に活発となる。 しかしルイズはアルビオンの位置に関係なく連絡を密にするように言っていたので その交流時期の外れた数少ない貴重な便に乗せてもらうために余分に金が必要となったのだ。 こうしたことにより、普段から使わず大量に貯めてあった財布の中身が警告を発し始めたのだ。 ルイズ自身が組織を作れと言っておいて金払いがよくなくなるのは信頼の失墜に繋がってしまう。 リーダーの男はともかく他の連中は金が切れれば離れていくだろう。 よって金の工面は優先事項となった。 当初、ルイズはこの組織にはアルビオンのことを調べてもらうだけのつもりであった。 すでにアルビオンの反乱が成功することは確定している。ここで切っても痛手はない。 しかし、上げてくる報告書は思っていたよりも広く調べられており、 この間読んだときには注目すべきおもしろい情報が載っていたのだ。 それはトリステイン貴族にアルビオンの貴族派の仲間と思われる者がいるというのだ。 すでに何人かリストになっている。確実であると判明しているのはどこも中小貴族ばかりだが 大貴族の中にも怪しい者がいるようだ。アルビオンの反乱軍、レコンキスタの手が思ったよりも 伸びていることに驚いた。これならトリステインとの戦争になるのはそう遠くない。 こうしたことからルイズは切らない方が有益であると判断した。 この2週間にあったことをゆっくり思い出す。 あの後、オークに魔道書を説明してもらった。 やはり身振りだけでは難しかったが少しづつ分かる文字を増やしていき、 だいたいの概要を把握するまでになった。 魔道書に載っていた魔法陣は契約するためのもので、契約をすることで先住魔法が使えるようになるらしい。 その日からルイズはオーク監修の元、魔道書に載っていた魔法と契約し始めた。 初めて呪文の契約をした時、ルイズは喜び勇んで呪文を唱えた。 るいす”のこえは やまびことなって あたりに ひびきわたった! とりあえずオークの胸倉を掴んで思いっきり引き寄せ睨みつけたが、その光景はデルフリンガーから見れば 体格差により詰め寄ると言うよりぶら下がって遊んでいるように映ったという。 もちろんからかってきたデルフリンガーには仕置きをしておいた。 さらに詳しく理解してくるとなぜ使えないのかがわかった。 まず、この先住魔法にも適性と言うものがあるらしい。適性がないと契約しても使えないらしい。 次に魔法を唱える術者の力量。系統魔法のようにメイジを明確にランク分けしているわけではないがやはりそれなりのレベルと言う区切りがあるらしい。 今回の魔道書に載っていた先住魔法はほとんどが戦闘用の魔法であることがわかったが その中でルイズがほしかったものがあった。 回復魔法である。 誘拐時にオークが唱えたその効果を見て以来、ルイズは期待していた。 しかし無残にもその適正はルイズにはなかったのである。 回復呪文の中で、もっとも簡単だと思われる「ホイミ」が使えなかったのだ。 ヒャドなどの水系統を唱えられるのなら回復魔法もいけると考えていたルイズは 1時間ほど膝を抱えて地面に座り込んでしまった。 しかし神は救いも与えている。幾つかの攻撃魔法と便利な補助魔法が少しだけ使えたのだ。 補助魔法も闇の衣で効果がないと考えていたが試してみると重ね掛けができ、ルイズは興奮して 淑女にあるまじき狂態を見せてしまった。 それを見ていたのは一本の剣と一匹のオークだけであった。 忠実なオークはもちろん剣の方も再三ルイズをからかって酷い目に合わされていたので その時のことは一匹と一本の記憶の片隅にしっかりと保存されることになる。 実戦経験の少なさを補うことと、新しく覚えた魔法を用いた戦闘に慣れるために ルイズはデルフリンガーが言っていたオークとの剣の修練を行うことにした。 とはいえ、補助魔法の影響下で滑らかに動けるようになることが目標としていたため、 ただ実戦さながらに戦うだけであった。 デルフリンガーの期待に添えたかははなはだ疑問であるが、 オークと戦っているとデルフリンガーは剣の扱いがどうのとうるさく言ってこなくなったので 諦めたのだろうと思う。彼にはこれからも剣という名の鈍器としてがんばってもらいたい。 羽ペンを置いたルイズは書き上がった手紙を読んでいく。 その文面は己の使い魔を出汁にしたものだ。 大筋の内容は『寝たきりの使い魔を起こすために水の秘薬を買ってみたが効果がない。 もっといろんな薬を試したいのでお金を送って欲しい』となっている。 使い魔に関わることなのできっと大丈夫だろう。 手紙をしっかりと封蝋したルイズは部屋から出て、兵の詰め所に行く。 これは普段なら手紙の宛名方面に行く荷馬車に任せるのだが、 早く手紙を送るならここにいる衛兵に頼めばよいと聞いたことがあったからだ。 詰め所にいた兵士にしっかりと明日の朝一番で送るように告げるが胡乱な目でルイスを見てくる。 兵士は気だるそうにしていたがルイズが金貨を5枚ほどテーブルに置くと 馬の使用の手続きをいきなり始め、緊急だ!と奥の兵士に声を掛ける。 掛けられた者はテーブルにあった金貨を確認した後、 3枚取るとルイズの手紙を丁寧に懐に入れてそのまま厩に向かってしまった。 手続きを行った兵士は残った金貨を懐に入れながらできるかぎり急がせましたとルイズに報告する。 やはりお金は大事だと再確認したルイズであった。 ───────────── 夢を見た。 身体が揺れている感覚がする。視界は少し暗いだけ。 小さな小船の上で毛布を被り泣いていたようだ。 目を手で覆い、身体を縮めて震わせている。 これは小さい頃の夢だ。ヴァリエール公爵領の本邸で叱られて逃げ出した時、 自分だけの秘密の場所―庭の池に浮かぶ小船に隠れて過ごす。 「泣いているのかい、ルイズ」 その声に顔を上げる。 被っていた毛布を頭から外すが、その人物は日を背負い逆光になって顔が見えない。 泣いている顔を見られたくなかったルイズはすぐに顔を毛布に埋める。 これは違うとルイズは感じていた。こんなものはだめだ。 次の瞬間、ルイズの手にはデルフリンガーが握られており、体からは力強い躍動を感じる。 目の前の優しく声を掛けてくる敵を袈裟切りにする。 さっきまで優しげな顔をしていたその人物は何が起こったのかわからないといった顔で血を吐く。 裏切りを受けた者の表情とはなんと甘美なのだろう。 そして視界すべてが闇に塗りつぶされ、闇がルイズを包んでくれる。 毎晩与えられる優しく抱きしめてくれるような感覚にルイズは溺れてしまっていた。 ──────── その日の最初の授業は風の盲信者ギトーの講義であった。 久しぶりに授業に出たというのにギトーの授業がくるとはなんと運の悪いと自らを嘆きながら ギトーが熱弁をふるう様を半目で見ているとそれが耳に入ってきた。 皆、ギトーの演説には辟易しているのであまり真剣に聞かずに話していたのだが、 その中の使い魔品評会という単語をルイズの耳は拾ってしまった。 そういえばもうすぐそんな季節である。授業どころか最近はいつも外に出ていたため全く気付かなかった。 使い魔品評会・・・毎年行われる新しく召喚された使い魔に芸をさせるというものだ。 最近使い魔にしつけをする場面に出くわすことが多かったがそれが理由か。 ルイズの使い魔は眠ったままである。しかも行われるのは明日らしい。 使い魔が動かなければ、どうすることもできないではない。 ルイズはメイジとなったというのに学院の他のメイジと同じようにこなせない自分に怒りを覚える。 そのとき手元でメリっと音が鳴り、前後や近くの生徒がこちらを見てくる。 彼らは一様に顔を青くした後、授業中であるにも関わらずゆっくり席を立ち、ルイズの近くから離れていく。 ルイズも自分の手を見やると机の天板を握りつぶしてしまっていたことに気付いた。 この机の修理や片付けはどうなるのだろうかとルイズが考えていると 教室全体の雰囲気が慌しくなる。何事かと思うが原因はキュルケが炎を出していた。 どうやらギトーが挑発し、それにキュルケが応えようとしているようだ。 結果はギトーがキュルケの炎を吹き飛ばして終わり。 「諸君、風の前ではすべての者は立つことはできない。火、水、土そして伝説の虚無さえもなぎ払うだろう。 私はここに風の最強の証を君たちに見せよう!ユビキタス・デル・ウィンデ・・・・」 詠唱が終わった後、教壇には三人のギトーがいた。 「これは風の遍在だ」 ギトーの二体の遍在はそれぞれに向かって風の魔法を使う。風の魔法エアハンマーがぶつかり合う。 生徒の注目が集まっているのを見てから遍在2体が消滅する。 「風は遍在する!いかに相手が強かろうが数の力には適わない!これが風最強の証明だ!」 そのとき戸口が開いてコルベールが入ってきた。ずいぶん慌てているように見える。 生徒に強さを見せつけたことで機嫌のいいギトーは朗らかに対応する。 「どうしました?ミスタコルベール。今は授業中ですぞ」 「授業は中止です、はやく外に出て準備をしてください。 急な話ですが明日の使い魔品評会ですが王女、アンリエッタ姫がご観覧なさるのです。 ゲルマニア親善訪問より戻られた足でこちらに向かわれており、本日到着予定だそうです」 それだけ言うとすぐに扉より出て行ってしまう。 そして少しずつ伝えられた内容が頭に染み込んでいくと、生徒たちの間でざわめきが起こった。 生徒たちが整列し道を作り、目の前を騎士に護衛された馬車が通っていく。 時折馬車の中から微笑みながら手を振る少女に歓声を上げていた。 その少女は馬車の外から見えない位置に座ると大きくため息をついた。 「姫様。ため息をつくのはこの馬車の中でだけですぞ」 頭に小さなティアラを乗せた少女、トリステインの王女であるアンリエッタ・ド・トリステインは 自分に話しかけてきた目の前に座る人物に目を向ける。 トリステインの政治で辣腕を振るうマザリーニ枢機卿。権力の集中により彼はよく悪く言われるが 間違いなくトリステインのために行動している。 このたびのゲルマニア訪問も彼が調整したものであった。 今回の訪問によりアンリエッタの将来が決まってしまったことで恨み言の一つも言いたいが トリステインのためを思うなら一番の選択肢であろう。しかし今回のこと問題を残していた。 その問題を知るのはおそらく自分だけだろう。そしてこの問題は公にすることができないため、 アンリエッタは目の前の人物に相談することもできない。だからこそ自分は気分転換にかこつけて 親友がいるこの学院に来たのだ。この問題を解決できるであろう人物に会うために。 「此度のことで姫様は何か悩んでらっしゃるようですが大丈夫です。 私がすべて取り計らいます。何も心配はいりません」 マザリーニ枢機卿の言葉にさらに自分がなんとかせねばなるまいとアンリエッタは決心した。 学院の生徒たちが王女に注目していたとき、ルイズはその隊列の中でも魔法衛士隊を観察していた。 一人ひとりがトライアングル以上のメイジであり、かなりの剣の腕前まで持っている。 最終的にトリステインを平らげるにはこいつらが立ちふさがるであろう。 だがこのルイズを相手にグリフォンに乗っているのは失敗である。いつか来るそのときが待ち遠しい。 歓迎式典が終わり、授業が無いことを確認したルイズは図書室にいた。 読んでいるのはマジックアイテムの本。魔法陣については分かったがそれ以上に気になるものがあった。 それは夢で見た光る玉だ。まさに夢で見た効果は天敵と言えるほどではないだろうか。 これについては調べるにしても他の者に知られるのはまずい。 なんと言ってもルイズにとっては危険な物である。 例え信用が置ける者であっても知られるわけにはいかない。 同じく図書室にいたタバサも誘わず黙々と探し続けた。 ────────── 今日、使い魔品評会が午後から行われる。 すでに中央広場にちょっとした舞台会場が設置され、学園内は魔法衛士隊の面々が巡回を行っている。 昼食の時間になった頃に使い魔の目が覚めていないことを確認し、 ルイズは使い魔品評会を辞退することにした。 ぎりぎり間に合うのではないかと考えていたが、そんな都合のよいことは起きなかった。 落胆の念がかなり強く、立ち上がるだけなのに苦労する。 医務室を出てすぐに会ったコルベールに使い魔品評会を辞退することを告げると、 コルベールも使い魔が起きない現状を知っていたので了承し、 握りこぶしを作って報告するルイズが落ち込まないようにと励まそうとする。 「あなたの使い魔はすばらしい力を持っています。 心無い人は眠っているだけだと言ってくるかもしれませんが、優れていることは間違いありません。 メイジの実力は使い魔を見ればわかると言います。 優れているが眠っている使い魔と同じく貴方の力もまた使い魔と同じくまだ眠っているだけなのです。 あなたは間違いなく最高のメイジですよ」 コルベールがルイズをメイジとして持ち上げるように話すのを聞き、ルイズは少し冷静になることができた。 魔法が使えるようになってから自分がメイジだと変に意識しすぎていたことにルイズは気付いたのだ。 もともとルイズが剣を持ち始めたのも、型に当てはめずに自分を強くしようと思ったからである。 コルベールに礼を言って別れると図書室に向かうことにする。 今回のことで初心を思い出し、自分に精神的な未熟さを実感した。 それにまだまだ振り回されるかもしれないことに頭を痛める。 致命傷にならないうちになんとかしないといけない。 使い魔品評会はタバサの風竜が最優秀賞を勝ち取ったそうだ。 その夜、ルイズが部屋でデルフリンガーと先住魔法について話していた。 普段なかなか喋らせてもらえないデルフリンガーは機嫌がよさそうだ。 「お前さんのは契約はしているがエルフとかが使う先住魔法とはちょっと違うんだよなぁ」 「エルフがどんな先住魔法を使っているか知らないけどオークが持ってきた奴だからね。 でも回復魔法が使いたかったわ。あれほど恐ろしい魔法はないわよ。 死んでなければ大怪我を負っても回復できるとかありえないわ」 「確かにありゃすげぇよな。あいつとおめえさんとの剣の修練の名を借りた殺し合いで どちらも死んでねぇのは間違いなくあの「べほまら」とかいう魔法のおかげだ。 戦うのはいいけど心臓に悪いぜ」 「あんたのどこに心臓があんのよ」 「ひでえな。こんなに心配してやってんのによ。 こんなことならおめぇさんが失敗した時にもっとからかってやればよかったよ」 「あんた息の根止めるわよ?」 「俺は剣だから息なんてとうの昔に止めてらぁ。むしろ息なんてしたことねぇ」 「それは私への挑戦と受け止めたわ」 そう言うとルイズはデルフリンガーを手に取り、折るように力を加える。 「あ、ごめん、言い過ぎました。申し訳ございません」 すぐに謝罪してきたデルフリンガーに半目を向けながら、床に放り出す。 床に投げられたデルフリンガーは先程の殊勝な態度はどこへやらすぐに文句を返してくる。 「ったく。剣の扱いが荒いぞ。もっと丁寧に扱えよ」 「あんたの減らず口が減ったら考えてあげるわよ」 デルフリンガーの不満にしっかりとルイズは返す。 「嬢ちゃんとはこんだけ馬が合うってのになぁ。相棒じゃねぇのが残念だよ」 ルイズはふと気になる言葉を聞いたので眉を動かす。 「また剣の振り方がどうとか言い始めるんじゃないでしょうね。そんなの習得するのに何年かかるのよ。 戦闘への慣らしの方が重要でしょ。技術ってのは後から付いてくるって聞くしね。 ところで、相棒じゃないってどういうこと?あんたは私の剣でしょ?」 ルイズは少なからずこの剣に心を許していた。現段階でルイズの裏側を一番知っていると言える存在だ。 しかしここでそれが否定されるように感じてルイズは不安を抱いた。 「いや、それはもういいよ。おめえさんには必要なくなった。 それと相棒ってのはな、持ち主とか使用主ってことじゃねぇよ。 ええっと、・・・なんだっけ?忘れちまったなぁ」 マヌケなデルフリンガーの返答があったとき、ルイズの部屋にノックが響いた。 デルフリンガーへの追求を抑え、軽く闇の衣を纏う。 先程の会話を聞かれていたかもしれないことに背筋が寒くなる。 ルイズは慎重に扉を盾にしながら開ける。そこにはローブを纏った不審人物がいた。 部屋に入ってこようとするので、肩を掴み壁に押し付け、精一杯ドスを効かせた声で話しかけた。 「どちら様でしょうか?不審な動きをすると唯ではすみませんよ?」 「ル、ルイズ?」 どこかで聞いたたことあるような声に首を捻る。言葉に焦りが混じるローブの人物がフードを外した。 下から現れたのは頭にティアラを乗せた同年代くらいの少女。 その顔を見てやっとトリステイン王女であるアンリエッタだということに気付いた。 まさかの訪問客に思考が停止しそうになったが被り振りながら冷静になろうと努める。 なぜ王女がこのように人目を忍んでくるのかが疑問に思うが、 とりあえず部屋に入りたそうにしているので入れてやる。 部屋に入った王女はディテクトマジックで部屋を探索した後、懐かしそうに話始めた。 うれしそうに昔話に興じる王女の相手をしながら考える。 様子からしてルイズとデルフリンガーの話は聞いていなかったように見えた。 ルイズと王女はそれなりに親しかった事もあり、会いにきただけということもあるかもしれない。 宮廷で言えないような愚痴でも言いにきたのだろうか? さっさと本題に入りたいルイズはアンリエッタに質問をする。 「姫様。それで今日は旧交を温めに来られたのでしょうか?」 ルイズが促すとアンリエッタは途端に浮かない顔をしてきた。 「私、結婚するの」 合点がいく。アンリエッタはこの事で愚痴を言いに来たに違いない。 確かこの娘はアルビオンの王子が好きだったはずだ。 いつぞやは逢引のために抜け出す時に身代わり役として寝床に潜っていたこともあった。 アルビオンの戦況ではその王子の属する王党派が終わろうとしている。 今入っている情報は反乱軍の兵士によって城の包囲が完了しそうであるとのことだ。 その暗い表情のアンリエッタに口の端で笑いながらもしっかり手で隠して事情を伺う。 「おめでとうございます。それでお相手の方は?」 「ゲルマニアの皇帝です」 それを聞きルイズはなるほどと頷く。 「今回のゲルマニア訪問の目的はそれでしたか。 まあ今のアルビオンでの内乱で、貴族派の反乱が成功すれば次はトリステインですからね。 ゲルマニアとの同盟は賛成します。王族としての責務大変であろうことをお察しします」 ゲルマニア─トリステイン間の婚姻による同盟。 当然考えられることであった。しかしこれはまずいことになってきた。 同盟が成立すれば反乱軍が攻めにくくなってしまう。この婚姻は妨げなければならない。 どうしたものか・・・ しかしアンリエッタはその言葉に絶句する。おそらくルイズならゲルマニアの皇帝との婚約に怒りを感じて そんな境遇の自分に同情すると思っていたのだ。 部屋に入る時といい、冷静なルイズの言葉に戸惑いが生まれる。 「その通りです。ですが、問題があるのです。 アルビオンのウェールズ様を覚えておりますか?」 「覚えてますよ。あのアルビオンの凛々しい王子様ですね?」 「そう、そのウェールズ様に私はある手紙を出してしまったのです」 「手紙を出すくらいで問題にはなりませんよ」 「いいえ、違うのです。 その手紙にはゲルマニアに送られれば婚約は解消されるほどのことが書かれているのです。 ・・・はっきり言ってしまいましょう。手紙私からウェールズ様への恋文です。 婚約解消となればトリステインは独力で反乱軍と戦わねばならなくなります。 この国のためにもなんとしてもその手紙を回収しなければなりません。 それも絶対の信頼の置ける者でなければこんな任務を拝命させるわけにはいかないのです。 しかし私が信頼できるような者は宮廷にはいません。どうすればいいのでしょう。 誰か罪深い私を助けてくれるような者はいないのでしょうか」 アンリエッタはちらちらとルイズを見ながら事情を説明してくる。 話し方からして、ルイズが自分から志願してくれるのを待っているようであった。 まさに渡りに船の申し出であった。この任務に失敗すれば同盟の話はなくなる。 その様を思い浮かべたルイズはアンリエッタににっこりと微笑みを送る。 「姫様!ここに私がいるではありませんか。私にどうか命令してください。 手紙を見事手に入れてこいと。それだけで動く貴方の友が宮廷にはいなくともすでに目の前にいます」 驚いているような顔を作りながらアンリエッタは言葉を返す。 「いけません!貴方をそのような危険な場所に行かすなどどうしてできましょうか」 「姫様のためならば危険なぞ省みない覚悟です」 「本当に行ってくれるのですか?」 「もちろんです。私以外にこれほど適任な者もいないでしょう。 このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、トリステイン貴族として、 そして何よりあなたの親友として!この任務果たしてみせます」 「ああルイズ!私はなんとよい友を持ったのでしょうか」 「任せてください。すべてうまく行きますよ。すべて、ね・・・」 アンリエッタは最初に感じた違和感を忘れ、 ルイズの微笑みと自信のこもった言葉に大きな安心を覚えていた。 自分の指から指輪を抜いてルイズに手渡す。 「ルイズ。これは王家の宝、水のルビーです。これをあなたに。 もし路銀が足りなくなればそれを売り払ってください」 ルイズはありがとうございますと言いながら受け取り自分の指に嵌めた時、 突如大きな音をたててその扉が開いた。そこにいたのは金髪の優男。 その名をギーシュ・ド・グラモンという。 ずいぶん前にルイズに決闘でフルボッコにされた男だ。 「話は聞かせていただきました!その任務、私にも任せてもらえないでしょうか?」 どうやら聞き耳を立てていたようだ。 ルイズはため息をついてからアンリエッタに視線を送る。 アンリエッタは純粋に驚いているだけのように見える。 とりあえず提案だけでもしてみる。 「この女子の宿舎に忍び込んだネズミは始末したほうがよいですね?」 「それは少し過激です。でも聞かれた事が事ですし仕方ないのかもしれませんね」 その会話を聞いてギーシュは失敗という言葉が頭をよぎる。 トリステインの一輪の花、アンリエッタ殿下に名前を覚えてもらい、 もしかすれば親しくなれるかもしれないチャンスに舞い上がり、 部屋に突入してしまったが窮地に立たされてしまった。 ギーシュはルイズの恐ろしさを文字通り身に染みて理解していた。 決闘での悪夢はいまだに夢に見てしまう。 そして土くれのフーケを学院長室まで引きずっていったのをギーシュはしっかりと見ていた。 なんのためらいも無くやると言ったらやる性格。 使い魔を召喚してから変化した凶悪なルイズが今は口封じという口実を手にして ギーシュに視線を向けている。顔から血の気が引き、手がぶるぶる震え始める。 「お、おお、お待ちください。私、ギーシュ・ド・グラモンはトリステイン貴族の一人として 姫殿下のお役に立ちたいのです」 その言葉にアンリエッタが反応する。 「グラモン?あなたはグラモン元帥の身内の方ですか?」 「息子であります!」 「あなたも私の力になってくれるのですか?」 「このギーシュ。姫殿下のためならばどのようなことでもやり遂げて見せます」 二人のやりとりを横から見ながらルイズは考えていた。 危機を脱しようと思っているギーシュはなかなか饒舌である。 しかしギーシュを連れて行くとどうなるだろうか。連れて行くなら先住魔法は使えない。 打算の結果、不可との結論が出る。 「だめよ。貴方じゃあ足手まといにしかならないわ。身の程を知りなさい」 しっかりと釘を刺すがアンリエッタがにっこりと微笑む。嫌な予感しかしない。 「ルイズ、そう言わずともいいじゃない。彼は彼で私のために動こうとしているのです。 そんな貴族の忠誠を無碍にはできません。ぜひ彼も連れて行ってください」 「そ、そうだ!ドットとはいえメイジだぞ。ゼロの君とは違う!」 どうやらアンリエッタは本当に足手まといとなるとは考えていないようだ。 そして彼女に支持されたギーシュはかなり勢い付いてしまっている。 その言い草にルイズは静かに怒りを覚える。 「そのゼロにボロクズにされたのは誰かしら?ミスタグラモン? まあいいわ付いてくるのはいいけどこの任務は非公式だから死んでも名誉の戦死とはいかないわよ?」 「の、望むところだ。表に出なくとも貴族としての行動ならば誰が謗ろうとも恥じることはない」 名誉がない。そのことを聞いてギーシュは唾を飲み込んだがアンリエッタがこの場にいることを思い出し、 見栄をを張り通してきた。 仕方がない。ギーシュには途中で死んでもらうことにしよう。 それよりこのような任務を任せるほどアンリエッタが自分を信頼していることにルイズは注目する。 信じれる者が近くにいないとはなんとおもしろい姫だろうか。 もっとも信頼しているのが昔いっしょに遊んだだけのルイズであるというのが一番の笑い話である。 ルイズはアンリエッタが小娘である自分にこのような任務を与えることを馬鹿にするように考えていた。 しかし、貴族王族といった権力の渦の中でそのようなものに煩わされない友であり、 最近、トリステインで暴れていた土くれのフーケを捕まえるという偉業を達成しすることで 実力を示したルイズはアンリエッタからしてみれば今回の任務にまさに打ってつけの人材であったのだ。 アンリエッタよりウェールズへ宛てた手紙を受け取り、ギーシュとアンリエッタが帰った後、 一通の手紙を書く。その手紙を持ってタバサの部屋に行く。 扉をノックしたが返事がないので勝手に入ることにした。 部屋にはベッド、机、本棚だけであり、かなり殺風景と言えるだろう。 タバサは机に向かい椅子に座って本を読んでいたが、 ルイズが視界に入ると本にしおりを挟み机に置いて向き直ってきた。 「タバサ、今からちょっと付き合ってくれない?」 タバサが頷いて了承を示したのを確認するとルイズは使い魔で近くの森まで運ぶように頼んだ。 すぐにタバサは窓まで行き、口笛を鳴らす。ルイズとタバサはすぐに飛んできた風竜に乗り込み、 森の入り口に向かった。ルイズ持っていた手紙を手近な木の枝に結びつけるとすぐに学院へ帰る。 もちろん魔法衛士隊の巡回に見咎められたが、今日行われた使い魔品評会でタバサとその使い魔は よく知られていたためすぐに開放された。 何事もなく終わったがタバサの風竜がずっとこちらを睨んでいたことが気にかかった。 元々使い魔には避けられていたが明確な敵意を向けるのはシルフィードだけだ。 タバサの風竜はアルビオンへ渡るのに使えるだろうが、タバサを完全に支配下に置いていないことから 協力を断念せざるを得ない。まだ彼女には光があるのだ。 タバサの母はおいしいネタだが、シルフィード然りまだルイズを裏切る余地がある。 それを完全に消すまでは弱みをみせることはできない。 朝が来る。 ルイズはすぐに寝巻きから旅装に整えてデルフリンガーを背負い、使い魔のいる医務室に向かう。 ルイズが使い魔に会いに行くのは毎朝の日課となってしまっていた。 今だに寝続けている使い魔に変わった様子は観られない。 今日から少し長く使い魔と離れることになる。 魔法が使えなかったルイズが始めて成功した魔法で呼び出された使い魔。 ゼロと陰口を叩かれていたルイズに新しい価値観と力を与えてくれた存在。 そして毎晩のように夢の中で安らぎ教えてくれている。召喚してからルイズは与えられてばかりである。 これでは主人とはとても言えないだろう。 いつまでも使い魔におんぶに抱っこでは格好がつかないではないか。 せめて目覚めさせなければ。 使い魔がいままで夢の中でルイズに伝えていたことを考える。 とにかく人間が負の感情を抱くようにすればよかったはずであった。 希望を見出せない世界を創ることはルイズ自身も望むことである。 「言っとくけどあんたのためにアルビオンに行くんじゃないんだからね。 私は私がやりたいから行くのよ。勘違いしないようにね」 使い魔には感謝をしているというのに口をついて出たのは憎まれ口であった。 眠っていて聞いてないであろう相手とはいえどうにも素直にはなれない。 そんなルイズの目に一瞬だけ黒く輝いた使い魔の左手のルーンの光が飛び込んだ。 返事は期待していなかったルイズは激励を受けたように気分が高揚してくる。 「あら?このルーン。もしかしてこのすごいのが相棒だったのか? じゃあ嬢ちゃんは・・・」 デルフリンガーが何かを言っているがルイズは無視して使い魔を見つめる。 「ついでだしあんたも叩き起こしてあげるわ!感謝しなさい!」 堂々と啖呵切ったルイズは医務室から出る。 まだごちゃごちゃ言っているデルフリンガーは鞘にしっかり入れて黙らせた。 ルイズはそのまま集合場所に着いたときすでにギーシュが馬を用意して待っていた。 「ルイズ、馬の用意をしておいたよ」 ギーシュがルイズに話しかける。 この任務で大事なのはすばやく手紙を奪取し、それをゲルマニア皇帝に送ることだ。 確かにゆっくりと旅して間に合わなくなり、貴族派の手に手紙が渡っても 高確率でゲルマニアの皇帝に送られるだろう。 しかし少ない可能性だがアンリエッタとゲルマニア皇帝との婚姻がアルビオン側に伝わることになれば ウェールズ王子が自ら手紙を処分することもあるかもしれない。 できるかぎりの速さが必要なのだ。 馬の具合を確かめているとギーシュが話しかけてくる。 「あの、つ、使い魔を連れて行ってもいいかな?」 メイジの使い魔を連れて行くことは別段おかしいことではない。 疑問に思っていると地面が膨らみ、何かが顔を出す。 それは1メートルを超えるでかいモグラだった。ルイズから隠れるようにギーシュの後ろに行くが 鼻をすんすん鳴らしながらつぶらな瞳でルイズの方を見ている。 ルイズはその使い魔が自分の手元を見ていることに気付き、右の眉を上げる。 その反応を敏感に捉えたのかギーシュは反対されると思ったのかまくし立て始める。 「ごめんよ。急ぎの任務であるのに地面を進むジャイアントモールを連れるなんてだめだろう。 馬鹿なことを言っていると僕だってわかってる。でも僕とヴェルダンテは一心同体なんだ!」 いきなり使い魔を抱き始めたギーシュは放っておき、手を動かす。動く手に沿ってジャイアントモールの 瞳も動く。どうやら指輪を嵌めている手を見ているようだ。指輪をはずしポケットに入れる。 視線がポケットに向けられているのを確認し、もう一度付け直す。 「ギーシュ、このモグラ、私の指輪を見ているようだけど?」 「え!・・・そ、それはヴェルダンテの習性だよ。彼はよく鉱石を見つけ、集めてくれる。 土メイジとしてはすばらしいパートナーだろ?」 使い魔を自慢するギーシュは本当に殺したい。 「連れて行ってもいいわよ」 「ほ、本当かい?ありがとう!」 地獄に仏を見つけたかのような顔をするギーシュに釘を刺す。 「ジャイアントモールは土の中を移動するけれどその潜行速度は馬並みよね? ただし遅れたら放って行くわよ」 ベルダンテベルダンテと騒いでいるギーシュはこの旅の中でその短い生涯を遂げることになるだろう。 今の内に騒いでおくといい。 そのときルイズはギーシュの後ろにこちらに近づいてくる影を見つけた。 見たところ年齢は二十台後半といったところか、かなりの美形で体格もよい。 騎士の一人なのだろう。こんな朝早くから騒いでいるので様子を見に来たのかもしれない。 足音が聞こえるようになってやっとギーシュもその騎士に気付いた。 「ええと、朝から騒いでしまい失礼しました。特に問題はないので・・・」 「いや、僕は君たちの護衛を任されたのだよ。 私は魔法衛士隊グリフォン隊隊長のジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ」 ルイズはそれを聞いて歯噛みする。護衛を付けられてしまった。 それもそうだ。普通に考えてこれは当たり前の処置。 いくらアンリエッタがルイズを信頼していてもこれは国家の大事なのだ。護衛が付くのは当然だろう。 だがルイズから見れば護衛ではなく監視でしかなかった。 魔法衛士隊と言う実力でしか入ることのできない部隊。 その隊長を務めるからにはこのワルドはかなりの実力者なのだろう。 だが予定は特に変わらない。『貴族派の刺客』に殺されるのが二人に増えるだけだ。 しかしこのワルドの実力がどれほどのものであるかがわからなければうかつなことはできない。 「久しぶりだね。僕のルイズ」 微笑みながら話しかけてくるワルドに不審な物を見る目を向ける。 「おや?僕のことを忘れてしまったのかい。婚約者に忘れられるなんて僕は悲しくて死んでしまいそうだよ」 そう言われてルイズは自分に婚約者が居たことを思い出す。 たしかにワルドはルイズの婚約者であった。そういえば憧れていたような気もする。 最近いろいろあったので綺麗に忘れていた。死んでしまいそうならそのまま死んでくれたらいいのに。 「すっかり忘れていました。それに婚約は親が勝手に決めたことです。 それに振り回されてはいけませんわ」 ワルドはルイズの綺麗な笑顔での忘れていました宣言に対しても全く動揺した様子を見せない。 なかなかに面の皮が厚い。 「なんと言うことだ。でもこの旅できっと二人の間を縮めてみせるよ」 ワルドが口笛を吹くとグリフォンが空から降りてくる。 それにワルドが騎乗し、ルイズに向かって手を差し出してきた。 「ルイズ、こちらにおいで」 ルイズが素直に寄っていくと突如グリフォンが暴れだした。 ワルドは不意を突かれてグリフォンから落とされたが、きれいに受身を取って起き上がる。 グリフォンは威嚇音を出しながらそのままワルドに爪を向けようとした。 「止めなさい」 それをルイズが止める。グリフォンはワルドから目を離さないように動きながら ルイズの横にくると従者であるかのように伏せる。このグリフォンの動作に笑みを堪えきれず、 ルイズは手で釣りあがる口元を隠す。 これがルイズが始めて魔物を従えるということに成功した瞬間であった。 オークは最初から従順であったのでルイズはしっかりと自覚できていなかった。 これまで学院の使い魔たちには避けられ、本当に魔物を操れるのか不安であったが、 そんな悩みを一掃してしまった。使い魔となった魔物だけが従わないのだと理解できた。 ルイズは愛おしそうにグリフォンの鼻先をなでてから馬に乗せようとしていた荷物をグリフォンに付け直す。 ギーシュとワルドはそれを見て絶句していた。 しっかり飼いならされ、訓練を受けたグリフォンが騎士に逆らい、初めて会った少女に従っているのだ。 「ワルド子爵。この子、貴方を乗せたくないみたいよ?嫌われたわね。 この子には私だけが乗っていくから貴方は用意した馬に乗って頂戴」 あっさりとそう宣言した後、自分の荷をくくり付け終わり、ルイズはさっさと出発しようとしている。 「ヴィンダールヴ?いや、しかし使い魔はガンダールヴのはず・・・ 始祖の魔法か?・・・・」 ワルドの呟きは誰にも聞かれず空に解けて消えた。 魔法学院の学院長室。 オールドオスマンはその出発の様子をしっかりと見ていた。 隣にいる王女にはよくぞルイズを国から離してくれたと喝采を送りたい。 「しかし大丈夫なのでしょうか。頼んだのはいいですがやはり不安です」 「そのためにグリフォン隊の隊長殿を付けたのでしょう? それに貴方が思っているよりもミスヴァリエールは強いですぞ」 「そうですね。さっきも騎士のグリフォンを奪うなんてことして・・・ あの子は昔から変わっていたけど、ここでも変わらないのね」 アンリエッタが微笑ましそうに見ていたその光景はオスマンから見れば異常としか言いようがない。 訓練を積んだグリフォンが主人に攻撃したのだ。異常でなかったらなんだというのだ。 「彼女らに始祖ブリミルの加護のあらんことを・・・」 祈る王女から視線をはずしこれからのことを考える。 アルビオンに行くには浮遊大陸がもっとも近づいてきたときでないと航行便は出ないだろう。 3日以上はまだトリステインにいる計算になる。 王党派と連絡を取るのに手間取ると任務終了までにどれだけ時間がかかるかわからない。 亜人を滅するのは彼らがアルビオンについてからでいいだろう。 前ページ絶望の使い魔
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