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希望の船、絶望の城 ◆tu4bghlMIw 「ジャグジーはん、船のエンジンってどうやって入れればええんかなぁ?」 「ふ、ふふふ藤乃さん!! 止めましょうよ、無理ですって!!」 隣でジャグジーが情けない声を出してうろたえている。静留は艶やかな笑顔の裏で彼について考えていた。 ジャグジーと出会って数時間、ある程度の人柄は掴めて来た。 彼は凄く純真で、そして臆病な人間。 だけど――強い。涙と震える声の裏側にあるのは紛れもなく、いくつもの修羅場を潜って来た強者の証。 ただ彼の腕っ節に関しては、正直心もとない。 自分がその気になれば三秒と掛けずに切り刻んでナマスにする事も可能である。 とはいえ、強さなんて曖昧な基準。 腕力や様々な特殊能力にしても最大の武器が最大の弱点になる事もある。 力が強いだけの者なんていくらでもいるのだ。 だけど、心が強い者は少ない。 初対面の人間に弱い人間を守るためならば、自分は人殺しだってする、などと告白出来る人間がどれだけいるだろう。 普通そういう事は思っていても言わないもの。 とんでもないお人よし……こういう状況では長生きしそうにないタイプだ。 しかし山がそこにあるから登るのだ、と言ったのはどこの登山家だっただろう。 船がそこにあれば動かしてみたい、と思うのはある種の道理。 うちの考えはソレほど突飛だったのか、静留は少しだけ不思議に思った。 静留とジャグジーはクルーズ客船の中心、メインブリッジに来ていた。 浮かぶ絶景、様々な機器。もちろん静留に船の構造など分からない。故に総動員するのは勘。 手当たり次第触ってみて反応を見る。 「だ、駄目ですよ!! 勝手に触ったら怒られちゃいます!!」 「怒られるって……こないところに放置するほうが悪いと違うん?」 ジャグジーの言葉を話半分で受け流し、静留の探索は続く。 このガラスに覆われたメーターはなんだろう。そもそもこの規模の客船は何を燃料に動くのか。 根本的な知識が足りない。だから触れて確かめる。 別にスイッチを押したらミサイルが発射されたり、いきなり船が自爆したりする訳も無い。彼は心配し過ぎなのである。 人が造り出した機械だ。ある程度の簡略化はされているだろうが、素人でも分かる部分は必ずあるはずなのだ。 「ん……」 自らのデータベースでは覚束ない計器類が立ち並ぶ中、操舵用のアレ(よく映画などで船長が握っているハンドルのようなもの)の近くに明らかに妙な一角があった。 例えるならそこだけ車のキーを刺す部分を移植して来たような感じ。 もっと言えばデパートの屋上にある、百円を入れると動く変な機械の硬貨入れの部分だけ鍵穴に挿げ替えたような感じだ。 ソレはシックなデザインの室内において、分かり易いくらい異様な雰囲気を放っている。 なぜなら―― 「なぁ、ジャグジーはん」 「は、はい」 静留とジャグジーはその明らかに後から付け足した感に溢れた物体を見下ろしながら顔を見合わせる。 「これ、なんだと思います?」 「……鍵……穴、じゃないですかね」 「やよねぇ……」 もう一度その"鍵穴"のような物が付いた物体に視線を移動。若干、形自体は歪ではあるが確かに鍵を刺すべき場所なのだろう。 そして考える。 おそらく自分達の頭に浮かんだ疑問は全く同じ筈。 だって、これはあまりにも……ちょっと、なぁ。 仕方なく静留は切り出す。考えている事は同じ。ならば、いつまでもモヤモヤしたままでいる意味も無い。 というか、とりあえず口に出してしまいたい。このままスルーし続けるのはどうにも困難だ。 「なぁ」 「はい」 「なんで渦巻きみたいな模様がついてるん?」 「…………それは、ちょっと……分からないですね」 二人は鍵穴を中心に右回りの螺旋を描く計器を眺める。そして、小さく溜息をついた。 沈黙が場を支配した。 だが、その時。 背後から紙束をグシャグシャにしたような音が響いた。 ノイズ。それは人の声を真空管、アンプを通して増幅する際に流れる独特の空震。 ブリッジの上部設置されたスピーカーを通して行われる船内放送の合図。 静留とジャグジーはすぐさま反応した。突然の襲撃者を迎え撃つが如く、音の方向へと向き直る。 数秒後、放送が始まった。 "船内におられます、お客様方各位に申し上げます。 本日はご乗船頂きまして、真にありがとうございます。 私――案内役を勤めさせて頂く、高遠遙一と申します……" ■ 「……おい、デイパックの口ちゃんと閉めてあるか? 大丈夫か? ピッタリと密封してあるか?」 「なんでよーあんな所に閉じ込めるなんて、ポルヴォーラが可哀想じゃない」 アレンビーがぷうと頬を膨らませて反論する。 ご機嫌ナナメ、女性の心の動向には誰よりも敏感な事を自負しているキールでなくても、十分に分かる露骨な不機嫌のサイン。 確かに俺としてもレディにそんな顔はさせたくはない。 だけど状況が状況だ。何しろ争点になってるのがポルヴォーラ。命に関わるなんてレベルを三段階ほど突き抜けている。 ここに居合わせたのが俺だった奇跡に感謝して貰いたいくらいだ。 「まったくよぉ、アレンビー。何度言やぁ分かるんだい? アイツは爆弾。それ以上でもそれ以下でも無いんだっつーの。 見た目に騙されてギューッと抱きしめでもしたら、その瞬間『ドカン!!』だ。 爆死するにしても一回じゃ足りねぇ、三回も四回も十回だって死ねるクラスの爆発さ!」 「爆発させなければいい話でしょ、キール。それにあなたも同じ動物同士、きっと良いお友達になれるわ」 未だ不満タラタラな表情のままぶー垂れるアレンビー。 背中に背負っているガッシュの深刻そうな表情とはあまりにも対照的。 彼女の機嫌が悪いのにはもちろん訳がある。 数分前、デイパックにポルヴォーラをしまうか否かで大論争を繰り広げられたのだ。 頭の上に爆発物を乗っけたまま、スキップしながら歩を進めるアレンビーにキールが忠告を促す、という形で。 結局、最終的にはアレンビーが折れた。 俺が無理やりに、それでも極めて慎重にデイパックにポルヴォーラを突っ込んだ時の彼女が見せた極めて嫌そうな表情は印象深い。 いや、まぁそういう所こそ可愛いと言えるんだが。もっとも、今の発言だけは頂けないけどな。 「分かってない、分かってないねぇアレンビー!! あんな爆弾生物と高貴なる生き物の俺様を同一視するなんて!! レディにあるまじき失態だぜ?」 「どっちも愛玩動物じゃない。……それにポルヴォーラの方がそんな事言うキールよりよっぽど可愛いわ!」 「おい、おぬしら――」 「聞き捨てならねぇなぁ、アレンビー!!」 「何よカラスの癖に!!」 注意の喚起は文句の言い合いに、そして口論というか口喧嘩のレベルにまで発展する。 ギャアギャアと互いを罵り合う両者。 黒羽の鳥と青髪の美少女が取っ組み合いの喧嘩をする異様な光景へのカウントダウン。 改めて見なくても非常識な集団である。 個々人の主観に文句を付けても所詮議論は平行線に過ぎない。 もしこの場にアレンビーとキールの二人しか居なかったならば、おそらくこの醜い言い争いは放送が始まるその時まで続いただろう。 両者共に熱くなったら止まらない、分かり易く言えば熱血バカな側面を持ち合わせている。 ただ一つ違ったのは――彼女達は二人?組ではなくて"三人?組"だった事である。 「いい加減にするのだ、おぬしら!!」 「あ……」 その呟きはどちらのものであったのだろう。 母音一つによって表現されたその言葉から二人の心情を抜き出すとすれば、おそらくソレは――忘却、の一言で言い表す事が出来るのではないか。 陽が、昇る。もう朝だ。 暗闇は姿を消し、存分に光を浴びあらゆる物体が元の色彩を取り戻す。 そう、だから二人の眼にも声の主の表情がよく見えた。 アレンビーの背中、凄まじい形相で両者を睨み付ける――ガッシュの姿が。 数分後。 アレンビーとキールはガッシュから説教を受けていた。 怒髪天。ガッシュは金色の髪を震わせて二人の前に腕を組み仁王立ちしている。 一方で、怒られる立場にいる二人の心境は同じ。 つまり―― 『どうして"私(俺)"が怒られなきゃならないんだ。悪いのはあっちなのに』 両者のぶすっとした態度は変わらない。 ガッシュは小さく一回溜息を付くと、二人に向けてもう一度状況の確認を求めた。 「全く……おぬしらは事の重大さが分かっていないのか」 「まぁ、一応は……」 「私達は一刻も早く清麿やドモン、ジンを探さなければならないのだ。それに――」 「……ああ、さっきの男の人の言っていた事でしょ?」 地面に座らされていたアレンビーが呟く。 ポルヴォーラを巡ってアレンビーとキールが大立ち回りを披露したこれまた数十分前。 アレンビー一行はクルーズ客船の入り口付近で『高遠遙一』と名乗る男性と出会っていた。 彼は三人にある"重大な情報"を提供してきたのだ。 「ああ、"希望の船"とか言う奴だろ。人を探して歩き回るなら一緒にソレも宣伝してくれって言ってたねぇ。 にしてもあんな気が弱そうで貧弱な男にしちゃあ大胆な事を考えるもんだ」 「でも悪人には見えなかったし、凄い考えじゃないかな。礼儀正しくて良い人そうだったし」 出会った直後、彼は三人を船内へと誘った。 この船をベースに人を集め、大きな力を持ったグループを作りたい、彼はそう語った。 だが探し人がいるためその提案には乗れないと断ると、それではこの船の事を宣伝してくれないか、と頼まれたという訳。 「うむ。この状況にも関わらず誰よりも先に他の人間を率いて行こうとするリーダーシップ、中々大したものなのだ」 「うん、立派。あと……何だっけ。何か変な事も言ってたよね、"個人的なメッセージ"だっけ」 「あー言ってたな。確か……」 キールは思案する。記憶の扉をこじ開ける。 大体どんなニュアンスの言葉を言われたかならば、パッと思い出す事が出来る。 ただ完璧にその内容を再生するとなると別だ。 男が自分達との会話のラスト、"必ず"一緒に伝えて欲しいと念押しまでして来た事項。 それは―― 「『金田一君、明智君、剣持君、一時休戦と行きましょう。君達との勝負はここから脱出してからという事で』だったか」 【F-3/都市高速道路上/1日目/早朝】 【アレンビー・ビアズリー@機動武闘伝Gガンダム】 [状態]:健康 [装備]:背中にガッシュ、右手にブリ、左手にランタン [道具]:支給品一式、ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:生きてる) 爆弾生物ポルヴォーラ@王ドロボウJING 不明支給品1~3(本人確認済み、少なくともブリよりリーチの長い近接武器は入っていない) [思考] 基本思考:螺旋王にドモンとダブルゴッドフィンガー! 1:高嶺清麿を最優先で捜索! 2:ドモン及びジンを捜索! 3:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める 4:悪いヤツにはビームブリをブチかます! 5:強い人が居たら、ファイトしてみたいと心の片隅では思ってたり…… [備考] ※いきなりキールに口説かれてから今までノンストップなので、名簿の確認はまだ。 ※シュバルツと東方不敗は死人と認識。 ※キール、ガッシュと情報交換済み ※高遠を信用できそうな人物と認識。 【キール@王ドロボウJING】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:支給品一式、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING [思考] 基本思考:とりあえず、さっさと会場から逃げ出す 1:仕方ないので高嶺清麿を探してやる 2:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める 3:アレンビーと二人でウエディングブリに入刀したい 4:ジンも探さしてやるか 5:他にも女性が居たら口説くつもり、野郎には興味なし [備考] ※いきなりアレンビーを口説いてから今までノンストップなので、名簿の確認はまだ。 ※アレンビー、ガッシュと情報交換済み ※高遠を信用できそうな人物と認識。 【ガッシュ・ベル@金色のガッシュベル!!】 [状態]:健康、おでこに少々擦り傷 [装備]:赤い魔本@金色のガッシュベル!! [道具]:支給品一式、ウォンのチョコ詰め合わせ@機動武闘伝Gガンダム [思考] 基本思考:螺旋王を見つけ出してバオウ・ザケルガ! 1:なんとしてでも高嶺清麿と再会する 2:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める 3:ジンとドモンを探す [備考] ※高遠を信用できそうな人物と認識。 ■ 「なぁ」 「はい」 「……どう思う?」 「正直……信用できるか、難しい所だと思います」 「……うちもやわ」 高遠遙一と名乗った男の放送が終わってから数分、静留とジャグジーは未だ船のブリッジにいた。 放送の内容は大雑把に説明するとこうだ。 まず彼、高遠洋一はゲームに乗っていない事を明示した上でこの船を主催者側に対する一大拠点にするつもりだと宣言した。 確かに移動可能であり、なおかつ数々の設備を備えたこのクルーズ客船は人が立て篭もるには絶好の場所だろう。 だが同時にそんな堂々と螺旋王に対して反旗を翻すような行動を取って大丈夫なのか、そんな疑問も当然ながら湧き上がる。 しかし彼は続けて「おそらくこの船は動かされる事を前提に設計されている。 その証拠としてブリッジの舵の隣に分かり易い鍵穴があった。そしてその鍵はどうも他の参加者に支給されているらしい」とも言っていた。 つまり彼の望みは『出来るだけ多くの参加者にこの船の事を宣伝し、ここを脱出を目指すものの本拠地にしたい』という物だった。 平行して豪華客船の起動キーの捜索も頼みたい、との事。加えて既に何人か他の参加者にも協力を要請したらしい。 「難儀やなぁ。この放送、どう考えてもうちら当てやろ?」 「……ですね」 静留は逡巡する。それは明らかに自分達に対するメッセージである。 高遠遙一という人間がどんな人物かは分からない。 名前、そして先程の放送を聞く限りで判明する情報は精々日本人である事ぐらい。 元の世界で何をしていた人間なのかは一切不明だ。 そう、精確な身元は分からない。 元の環境でどんな人間だったかなど自由に偽れる。 英雄だった人間が"生き残る"為に殺人鬼に身を窶す可能性も、凶悪な殺人犯だった人間が"生き残る"為に先頭を切って脱出を目標に動く可能性も共に孕んでいる訳だ。 とはいえ―― うちにとって多くの参加者がこの場所を目指して集まって来るのは非常に好都合。 「まぁいいわ。行きましょか」 「へ……それって」 ジャグジーが間抜けた表情を浮かべる。 予想外。その三文字を体現したような声色で奏でる。 「どちらにしろ、ここには仰山人間が集まるんやろ? とりあえず適当な所で戻って来るのは悪くないやろ。 案外、ジャグジーはんの探し人やなつきもやって来るかもしれんしなぁ」 「なるほど! ……で、でででも! 逆にゲームに乗った人間ばかりがやって来る可能性もありますよ!!」 ジャグジーの不安、いやどちらかと言えば男の頼みを聞くことに対する拒否感か。どちらにしろ的を射ていると静留は思った。 このゲームには明らかに常人とはかけ離れた能力を持つ参加者が多数参加している。 希望を掻き集めたはずの船が殺戮パーティの会場となる可能性もある。 とはいえ、情報が伝達されるのはある程度信用に足る人物が主なはず。 彼のこの言い分も臆病風に吹かれた訳ではなく、信用がいかないかもしれない情報を流した場合の危険性を考慮した発言に思えた。 ただ、ゲームに乗っていない人間が主に集まる場所、というのは非常に魅力的ではある。 自分達が流した情報のおかげでなつきと再会出来る可能性が高まるかもしれない。 仕方ない。静留は若干の罪悪感を覚えながら決心した。 少しだけ卑怯なやり方だろうが、今回だけは彼の"心の強さ"を利用させて貰うとするか。 「そん時はほら――ジャグジーはんがうちを守ってくれるんやろ?」 予想通りジャグジーはうろたえる。クリティカルヒット、まさにぐうの音も出ない、という感じ。 先程自らが強く言い切った言葉をそのままオウム返しされては彼が取れる行動はもはや限られてくる。 あとは最後の一押しで―― 「まさか口からでまか――」 「そ、そんな事はないです!! 何があっても静留さんは私が守ります!!」 瞳を涙で塗らしてジャグジーが大声で言い切る。 頬は赤らみ、瞼から流れ落ちた液体が顎まで伝い流れる。 ここまで面と向かって言われるとさすがに確信犯気味だった静留も嬉しくなった。 最初はどうなるかと思ったが、十分に頼もしいではないか。 「ほな、決定やな」 「は、はい……あの……そういえば静留さん。ずっと気になっていたんですけど、"ソレ"なんですか?」 「ん……ああ、これな。これは――」 ぽんと手を叩き、ブリッジを出て行こうとする静留。 だがここでジャグジーがとある事に気付いた。いや、ようやく突っ込んだと言った方が正しいか。 静留は部屋でシャワーを浴びてからずっと妙な物体を首からぶら下げ、妙な靴を履いていたのだ。 「こっちは元居た場所を思い出させる、懐かしい人の声が入ったものやね……さすがにボリュームは切ってあるんやけど。 んでこっちがローラースケート。物凄いスピードで移動が可能、とか何とか」 そう呟くと静留は掛けてあったヘッドホンを掴むと名残惜しそうにソレをデイパックにしまった。 ジャグジーは静留の見せた物憂げな表情に一瞬、違う人間を見ているような気分になった。 「はぁ……そうですか」 「ジャグジーはんも支給品の確認はしたんやろ? 自分の身を守る武器ぐらいは準備しておいた方がいいんやないか?」 「……いや、それが……ですね」 支給品、という言葉を聞いた瞬間ジャグジーは気まずそうな表情を浮かべる。 静留は疑問に思う。それほどハズレの道具を引いたのだろうか。 ただ、自分に支給されたヘッドホンも大して役に立つ道具ではないし、もう一つの支給品も力はあるものの使用状況は激しく限定される。 大当たり、と手放しで喜べる引きではなかった。ジャグジーのソレもまさか何もかもがハズレ、という訳でもあるまいに。 「重いんですよ」 「?」 「ちょっと在り得ないくらい重い銃とか……料理酢とか……」 そう呟きながらジャグジーがデイパックから取り出したのは、よくぞまぁここまで無骨な一品を造り上げたと感心したくなるような大型の銃だった。 説明書によると『ワルサーWA2000』という名前の銃らしい。とりあえず、手に持ってガン・ファイトに興じる武器としては不便と言わざるを得ない。 台座やスコープが付いているからにはおそらく狙撃銃なのだろうが……。 「……ジャグジーはん、やっぱりうちが前に出て戦おうか?」 「いえ、が、頑張ります」 「…………泣いたらあきまへんで」 訂正。 やっぱり「泣いてない、泣いてないよぉ」と泣きながら愚図つく彼を見ていると、うちがある程度は頑張らないといかんなぁ、と思えてくる。 まぁ、何よりもなつきが最優先であるという事は確定事項なのだけれど。 【F-3/道路/1日目/早朝】 【藤乃静留@舞-HiME】 [状態]:健康 [装備]:船で調達した洋服、雷泥のローラースケート@トライガン [道具]:支給品一式、風花学園高等部三年女子制服@舞-HiME、マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ、ランダムアイテム1(本人確認済み) [思考]: 基本思考:なつきを守る。襲ってくる相手には容赦はしない。 1:なつきを探す事を最優先する。 2:なつきの事を知っている人間を探す。 3:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める。 【備考】 ※「堪忍な~」の直後辺りから参戦。 ※マオのヘッドホンから流れてくる声は風花真白、もしくは姫野二三の声であると認識。 (どちらもC.C.の声優と同じ CV ゆかな) 【補足】 【マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ】 マオがいつでも着けているヘッドホン。C.C.(ロワ未参加、CV ゆかな)の様々な声がエンドレスで流れ続けている。 C.C.に対する狂気じみた愛情によるものなのか、人の思考を読む能力で精神が崩壊しないようにするための措置なのか。 【雷泥のローラースケート@トライガン】 GUNG-HO-GUNSの一人、雷泥・ザ・ブレードが愛用する特殊ローラースケート。 雷泥の脚力が凄いのかローラースケートの性能が良いのか、数メートル程度の距離なら瞬時に相手の背後に回れるスピードを誇る。 直線以外にも円の動きを得意とする。ゴツゴツした荒野でも大丈夫。 【ジャグジー・スプロット@BACCANO バッカーノ!】 [状態]:健康、涙 [装備]:ワルサーWA2000(6/6)@現実 [道具]:支給品一式、バルサミコ酢の大瓶@らき☆すた、ワルサーWA2000用箱型弾倉x4、ランダムアイテム1(本人確認済み・重いもの) [思考]: 基本思考:主催者に抗う。 1:静留と一緒に行動する。 2:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める 3:アイザック、ミリア、なつきを探す 4:できるだけ殺したくない。 5:4が無理の場合、自分が戦う。 [備考] ※参戦時期はフライング・プッシーフット号事件の最中、ラッド・ルッソと出会った直後あたりで 【ワルサーWA2000@現実】 ドイツワルサー社のオートマチック式狙撃銃。 ボルトアクションの狙撃銃並みの命中精度をもち、H K社のPSG-1と同様に高性能な狙撃銃として知られている。フラッシュハイダー(スコープ)付き。 総重量は8kg近くありながら、全長90cmと狙撃銃としては小さめ。 Fate/Zeroにて衛宮切嗣が使用。 【バルサミコ酢の大瓶@らき☆すた】 バルサミコスーでお馴染みのアレ。ブドウを原料とし、熟成して作られる調味料。1リットルのガラスの大瓶(中身入り) 独特の甘み、芳香は洋風料理に重宝する。魚介ベースのパスタなどに良く合う。 ■ 男女の二人組が客船から出て行く姿を監視カメラ越しに見送ると、高遠遙一は小さく溜息を付いた。 ここまで、計画は順調である。 参加者の中にあんな小さな子供や言葉を喋る鳥が存在している辺りが精々のイレギュラーか。 だがロージェノムの目の前で起こった非現実的なアクションと比べれば取るに足らない事象ではあるのだが。 私はアレンビー・ビアズリーの一行と接触し、とある協力を願い出た。 この豪華客船に信用出来る人物を集めて欲しい、建前上はゲームに乗っていない人間の一大本拠地を築くという計画だ。 【希望の船】 自分でも陳腐な名前だと思ったがこれが何よりも適している、そんな気がした。 もちろん真意は芸術的な殺人を行うための役者集めに他ならない訳だが。 だが、この行動にはいくつかの反論が挙がる。 一例として普段の自分であったなら素顔を見せたまま他の人間と接触するなど在り得ない行動である点。 加えて愛用の変装道具も所持していない。 つまり完全な"生の"高遠遙一として他の参加者との会話を行ったわけだ。 目も鼻も耳も何一つとして偽る事は出来ない。 しかもここは八十二人の人間が"確実に居る"という事が明示されている箱庭。 他人と接触し、提供した情報が鼠算的に拡散していく可能性を大いに秘めた状況である。 しかし静留とジャグジーという名前の二人組に対しては顔を出さず、声だけで計画の説明をした。 (ちなみにブリッジ内での会話は予め放送管を操作しておいたので、管制室には筒抜けだった) では何故あの三人?組の前には姿を現したのか。 それは現実味を持たせるため、である。 例えばこの極めて限定された環境において最もやってはならないミスとは何だろうか。 簡単に思いつくのが『偽名を使う』事である。 まず空間に存在する人間が限られている以上、名簿という前提条件によって参加者以外の名前を名乗るというやり方は封じられている。 なぜならある程度頭の切れる人間ならば、このリストを発見した時点で全参加者の名前を頭に叩き込んでいる筈だからだ。 愚図を発見する為の踏み絵にも使えなくはないが、逆に相手がある程度洞察力に長けた人間であった場合のフィードバックが怖い。 第一印象は他者との関係を築く上において何よりも重視すべき事項。 相手に"胡散臭い"というイメージを持たれてしまっては元も子もない。 ではいっそ『リストに存在する他人の名前を名乗る』という手段はどうか。 名簿に乗っている人間――例えば一番上にある日本人の男性名『相羽シンヤ』を使うとしよう。 つまりこれ以後、私は全ての人間に『相羽シンヤ』として認識される事となる。 犯罪者としての高遠遙一は消え去る。金田一達が流布するであろう私の本性も、高遠遙一ではなく相羽シンヤとなった私には関係ない。 全ては丸く収まる…………訳が無い。 コレは正直な話、相当に頭の悪い御粗末な偽装だ。 まずこのゲームの参加者は完全にランダムな母体から、個々人を抜き出して選出されたものではない。 おそらくコレは私ならば金田一や剣持、明智と言った知り合い関係を含むグループ単位でのノミネートなのだ。 そしてこの選出基準は他の郡体にも当て嵌まる筈。 例えば、 柊つかさと柊かがみ――同じ苗字、漢字を使用しない名前。おそらく血縁関係があると思われる。 エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック――こちらも同じ。エルリックはそれほど一般的な性ではない。 クロとミーとマタタビ――日本式の猫の名前、おそらく何らかの組織におけるコードネームだと思われる。 軽くほぼ確定なものを挙げてみてコレだ。 つまり参加者の大半には"自らの知り合い"が存在する事となる。 そう……もしも『相羽シンヤ』として行動していた私が彼の知り合いに遭遇した場合は? 最悪、もはや喜劇のレベルだが本人と出会ってしまった場合はどうなるだろうか? そこでチェックメイトだ。まるで先見性が無い。 当座を凌ぐための嘘だとしてもあまりにも愚か。 目的を最後まで生き残る事ではなくて当分生き残るに設定しているのならばまだしもだが。 現実味を持たせる。つまりそれは『高遠遙一は信頼出来る』と思わせる事に他ならない。 だが、その為には三名ほどお邪魔虫がこのゲームには紛れ込んでいる。 奴らへの対策は主に二つ。 一つは対抗して『こちらも奴らの悪評を流す』というやり方。 これは悪くない。最終的に金田一とのイーブンゲームに持ち込めれば悪くない。 だがもう一つの方法、つまり『奴らに貶められる人間を演じる』というやり方も中々の物である。 他の人間を先導し、計画を立てる気弱ながら意志の強い男。 もしも私がそんな人間を演じ切る事が出来れば、自然と『金田一達が追い込まれる立場になる』のではないだろうか。 この【希望の船】計画は私自身が他の人間から信頼される、という目的も多分に含まれる。 参加者達が持つ最も普遍的な望み。ソレはずばり脱出。 無事にゲームから帰還する事が可能だとすれば大半の者が強い興味を示す筈。 だがそこまで大きく出るつもりは無い。精々主催者側に抵抗するため結集しましょう、程度だ。 とはいえそれでさえ十分な餌にはなる。 弱者、人探し、仲間探し……どちらにしても建前上ゲームに乗っていない物が集まる空間とは非常に貴重なのだ。 それに私のような、一見人畜無害を装いつつもその心は殺意に満ちた連中がやって来るかもしれないのは面白い。 故に私はこれから自らを『ゲームを打破する為、脱出する為、動いている正義感に溢れる人間』と見せ掛ける事とする。 勿論、心の弱い者の後押しをする事も忘れない。 だが、目指すは極上の殺人空間の構成。 どこかでお人よしの馬鹿、加えて高い戦闘能力を持つものを懐柔し私個人が殺して回るのも悪くはないが、非効率的だ。 なぜならこの空間に存在する人間は誰もが警戒状態にあり、いつ戦いが起こってもおかしくない。 もしも異能力者の戦闘に巻き込まれてしまった場合は? 8x8四方の正方形において、バラバラに散った参加者を探して回るのも一苦労だ。 そう、だから――集めるのだ。 このために用意したのが豪華客船の案内役としての高遠遙一というフェイス。 だが『凶悪な殺人犯らしい高遠遙一が客船に人を集めている』と判断するものも出てくるはず。 ここで最後のメッセージが生きてくる。 例え元の世界で殺人犯であってもこの空間で"必ず"ゲームに乗るとは限らない。 だが、会場には自らの手を汚す事を好む殺人狂も多く存在するはず。 そんな連中に比べれば私の存在など可愛いものだろう。 なぜなら所詮、私自身は特別な能力を持たない一介の奇術師に過ぎないのだから。 餌に釣られた人間は必ず――ここにやって来る。 それに姿を隠そうとしても限界があるのではないか、そんな気もしないではない。 私の支給品は訳の分からない人形と客船のメインキーに船内資料。そして暗殺用のナイフだった。 ここで注目すべきは"船内資料"について。 船の資料が支給されるのならば例えば更に詳しい情報が記述された地図や参加者の個人データを集めたものなどが支給されている可能性もある。 つまり初めから私の情報を握っている人間が金田一達だけ、と断定するのさえ危険なのである。 「まぁ……しばらくは出歩くのは止めておきましょう」 ここで待っていれば直におそらく金田一一行の誰かがやって来るだろう。 幸い船内には案内図などは一切無く、食堂から脱出ボート置き場まで地図を持たない人間は適当に歩いて探し回るしかない。 立て篭もるには絶好の場所。 まぁ、慌てる必要も無い。 ゆっくりと待てば良い、この絶望の城の奥で。獲物が餌に掛かる時を。 【E-3/豪華客船内・情報管制室/1日目/早朝】 【高遠遙一@金田一少年の事件簿】 [状態]:健康 [装備]:スペツナズナイフ@現実x6 [道具]:デイバッグ、支給品一式、バルカン300@金色のガッシュベル!!、豪華客船のメインキーと船に関する資料 [思考] 基本行動方針:心の弱いものを殺人者に仕立て上げる。 0:善良な高遠遙一を装う。 1:しばらくは客船に近寄ってくる人間に"希望の船"の情報を流し、船へ誘う。状況によって事件を起こす。 2:殺人教唆。自らの手による殺人は足がつかない事を前提。 3:剣持と明智は優先的に死んでもらう。 4:ただし3に拘泥する気はなく、もっと面白そうなことを思いついたらそちらを優先 [備考] 【希望の船】 高遠が豪華客船に人を集める為に作り上げた嘘。 主な内容としては 対主催グループの拠点を築く 船の鍵を探す(実際には高遠が所持) 金田一達へのメッセージ で構成されています。 ※船の起動に螺旋力が関わっている可能性あり。また他の道具を使って起動できる可能性も。 【スペツナズナイフ@現実】 説明不要のパロロワにおけるレギュラー支給品。 スイッチを押すことで刃が10mほど発射されるロシア軍愛用の特殊ナイフ。 その速度は弾丸並みで、死角から扱えばほとんど見切られる事は無い。 普通のナイフとしての能力も十分に備える。 時系列順で読む Back セカンドチャンス Next 世界の中心で、叫ぶ 投下順で読む Back セカンドチャンス Next 世界の中心で、叫ぶ 061 睡蓮-あまねく花 ジャグジー・スプロット 105 蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る 061 睡蓮-あまねく花 藤乃静留 105 蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る 061 睡蓮-あまねく花 高遠遙一 123 カサブタだらけの情熱を忘れたくない 061 睡蓮-あまねく花 アレンビー・ビアズリー 107 剣持警部は忠実に職務を遂行する 061 睡蓮-あまねく花 キール 107 剣持警部は忠実に職務を遂行する 061 睡蓮-あまねく花 ガッシュ・ベル 107 剣持警部は忠実に職務を遂行する
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モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け Blu-ray初回限定生産版 発売日:5月28日 世界累計利用者数5400万人突破!大人気スマホアプリ 世界累計4億回再生アニメ「モンスターストライク」の劇場版第3弾がBlu-rayで登場! 【特典】 ・描き下ろしイラスト使用三方背ケース ・新規ブックレット(32P) ・モンスターストライク 特製アクリルフィギュア 絶望の絆 ルシファー カエサル MV ここを編集 2020年11月公開。モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタに続く劇場第3作。プライムビデオが配信開始。 https //anime-movie.monster-strike.com/2020/ 監督 静野孔文 助監督 山口雄大 脚本 本田雅也 アートディレクター ハヤシヒロミ コンセプトアート フジサワトミオ、岡嶋美樹、陸井優花、佐藤功基、平地史昂、東村有里、岡崎洋祐、徳山暖紘、池田七海 キャラクターデザイン ぎばちゃん、山岸雄歩、松本ルーク、丹羽茂雄、近藤雅之、池田七海、椿春雨、クレタ イメージボード 松本真一、上野拡覚、伊藤嘉康、上田賢一、岡崎洋祐、野口陽汰、徳山暖紘 絵コンテ 江口摩吏介、三嶽理絵、チュウチュウ、柳澤太佑 アクション監督 園村健介 CGディレクター 中村友紀、東郷宏樹 CGスーパーバイザー 釜幸介、住田永司(公式HPに記載) キャラクターモデリングスーパーバイザー 柴田和人 ルックデベロップメントスーパーバイザー 吉田愛佳 プロップスモデリングスーパーバイザー 堤真士 エンバイロンメントスーパーバイザー 熊澤直紀、窪田雅之 テクニカルスーパーバイザー 小椋玲央奈 マットペイントスーパーバイザー 小野信直 リギングスーパーバイザー Miquel Campos アニメーションスーパーバイザー 寺田直樹、成松健太郎、鶴之園龍一、黒崎志王、杉本涼 エフェクトスーパーバイザー 中村祐輔、河村公治、大宮剛、山口昌伸 ショットスーパーバイザー 大井貴文、孫斛涵、柳隆 編集 堀善介、金山慶成、徳田俊 音響監督 明田川仁 音響効果 上野励 フォーリーアーティスト 十河圭祐 録音 進藤公隆、岡田奈都美、大寺文彦 録音助手 飯塚和奏、関俣莉桜子 サウンドミキサー 根岸信洋 アシスタントミキサー 鎌田佳那恵、田邊萌乃 音楽 横山克 ロゴデザイン・ポスターデザイン 市古斉史 アニメーション制作 アニマ、ダイナモピクチャーズ プライムビデオ:モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け 監督静野 孔文 出演日笠 陽子, 水樹 奈々, 内田 真礼 再生時間:127分 初公開日/初回放送日:2020年11月6日 ■関連タイトル モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け Blu-ray初回限定生産版 アニメCGの現場 2021 ーCGWORLD特別編集版ー 劇場版「モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」オリジナル・サウンドトラック 主題歌収録 エンターテイナー 初回限定盤 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! 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Ready For Star 2巻 缶バッジ付 Switch エーペックスレジェンズ チャンピオンエディション New ポケモンスナップ -Switch 【PS4】BIOHAZARD VILLAGE PLAMAX 聖戦士ダンバイン サーバイン ノンスケール PS製 組み立て式プラスチックモデル スーパーミニプラ 無敵ロボ トライダーG7 3個入りBOX 魔道祖師 前塵編 完全生産限定版 HGUC 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Ξガンダム MG 機動戦士ガンダムSEED モビルジン 1/100スケール カンチ 青 ノンスケール ABS&ダイキャスト製 塗装済み完成品 ☆赤ver 魔女の旅々17 ドラマCD付き特装版 クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYOND TIME AND SPACE 時空を超えて るるぶアズールレーン からかい上手の高木さん15からかいカレンダーカード付き特別版 「武装神姫」原案イラスト集 ALLSTARS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 17 キャラクターブック付き限定版 とある科学の超電磁砲T OFFICIAL VISUAL BOOK Aqours 5周年記念アニメーションPV付きシングル「smile smile ship Start!」【BD付】
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本項目ではPSP用ソフト『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』と、カップリング移植版であるPS4/PSV用ソフト『ダンガンロンパ 1・2 Reload』に加え、PC移植のSteam版『Danganronpa Trigger Happy Havoc』とDMM.com版の紹介をしています。 ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 概要 ストーリー 特徴 システム その他(演出など) 評価点 キャラクター シナリオ 「学級裁判」 その他 賛否両論点 問題点 総評 余談 制作秘話 以後の展開 ゲーム以外の派生作品 ゲスト出演等 ダンガンロンパ1・2Reload 概要(1・2) 特徴(1・2) 問題点(1・2Reload) Danganronpa Trigger Happy Havoc(Steam) 概要(Steam) 特徴(Steam) ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 / ダンガンロンパ1+2(DMM.com) 概要(DMM.com) ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 【だんがんろんぱ きぼうのがくえんとぜつぼうのこうこうせい】 ジャンル ハイスピード推理アクション(ADV) 対応機種 プレイステーション・ポータブル 発売・開発元 スパイク 発売日 2010年11月25日 定価 パッケージ 5,229円ダウンロード 4,200円(各税5%込) レーティング CERO D(17才以上対象) 廉価版ほか PSP the Best 2011年11月23日パッケージ 2,940円 / ダウンロード 2,800円超高校級の限定BOX 同日発売/5,229円(各税5%込) 判定 良作 ポイント サイコでポップな異色の推理ADV演出性を重視した推理パート「学級裁判」も特徴的デスゲームを題材にしたゲームの草分け独特の世界観・キャラにハマるファン多し推理要素は本作時点ではややぬるめ ダンガンロンパシリーズ 概要 『侍道』『喧嘩番長』シリーズなど、一風変わったゲームをリリースしてきたスパイクによる新規タイトルのADVゲーム。 プロデューサーは『侍道』の寺澤善徳氏が、シナリオは『名探偵コナン 金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵』のシナリオライターだった小高和剛氏がそれぞれ担当している。 公称ジャンルは「ハイスピード推理アクション」で、学園内で起こる殺人事件の謎を解く「学級裁判」パートでは、シューティング・リズムアクション・パズルなど、様々なジャンルが融合した推理を行う。 開発陣は本シリーズのデザインテーマを「サイコポップ」と称し、少年少女の「コロシアイ」という重く壮絶な内容のシナリオでありながら、画風・キャラクター・音楽などを軽めの雰囲気でまとめている。 ストーリー 各分野において優れた才能を持つ「超高校級」の高校生のみが入学できる「私立 希望ヶ峰学園」は、卒業できれば将来は約束されたも同然とすら言われている。 そこに新入生として足を踏み入れた主人公・苗木誠は、エントランスに入った途端に急なめまいに襲われて意識を失ってしまう。 苗木が見知らぬ教室で目を覚ますと、学園内は完全に外の世界と断絶された閉鎖空間となっていた。 同じ境遇に置かれた他の新入生14人と合流したところで、一行は入学式と称するセレモニーに召集され、 そこに現れた喋る謎のヌイグルミ「モノクマ」から恐ろしい校則を突きつけられる。 「新入生たちは、残された一生を全て希望ヶ峰学園内のみで過ごさなければならない。 学園から脱出するための唯一の方法は、仲間を殺して「卒業」すること。」 こうして、彼らの生き残りを賭けたコロシアイ学園生活は始まった。 特徴 システム 学園内を歩き回って調査を行うADVパートと、事件の犯人について生徒たちで議論を交わす学級裁判パートの2つに大別できる。 一方、ゲーム内では殺人事件が起こる前を「(非)日常編」と、事件が起こった後を「非日常編」と呼んでいる。 章建てで進行し、各章は「(非)日常編」(ADV) ⇒「非日常編・捜査」(ADV)⇒「非日常編・学級裁判」(ADV+アクション)という構成になる。 ADVパート 主にストーリーを進めながら、学園内の各教室や施設を探索して情報を集めるパート。最初の内は行動範囲が限られているが、ゲームが進むごとに行ける場所は増えていく。 ADVパートでの会話の中には一部の単語が紫の文字になっていることがある。この際にボタンを押すことで 「Re アクション」 と呼ばれる返答ができ、紫の文字の部分について突っ込んで質問することで会話を広げられる。 このRe アクションを行わないとストーリー会話が進展しないこともある。 調査以外にも「自由行動」の時間が設けられていて、他のキャラクターと会話をして交流を深めたり、ゲームを有利に進めるスキルを獲得したりできる。 自由行動でのみ明かされるキャラクターの詳細な設定もあるため、キャラクターへの思い入れを強める上で重要なパートである。 交流の概要は、ゲーム中の「通信簿」に記録されいつでも観賞できる。 ゲーム中で入手する「モノクマメダル」を消費して「モノモノマシーン」というガチャガチャを回すと、アイテムを入手できる(*1)。 これらはストーリー進行とは関係ないが、自由行動時に他のキャラクターにプレゼントすると好感度に影響する。増減の量はアイテムによって異なり、好みのものをあげれば好感度が多く上昇する。好みは概ね察する事ができるものから、意外に思えるものまであるので探してみるのも一興。 メニュー画面の学園内全体マップには、特定の場所に一発でワープできる機能がある(*2)。 攻略上必ず調査しなければならないポイントには「!」印がつき、広い学園内でも目的を見失わずに進められる。 学級裁判パート 学園内で生徒同士の殺人事件が発生すると、事件に関する調査を行うADVパートの後に「学級裁判」が開かれる。このパートではADVパートで集めた情報を使って、「犯人が誰であるか」を生存している生徒全員で議論しあう。 殺人事件が起こり、死体が一定人数に発見されると、ゲームの主催者であるモノクマによって一定の捜査時間が生徒達に許された後、学級裁判が開催される。一定時間と表現されてはいるが、実際はすべての証拠が揃うまで学級裁判が開かれることはない。 学級裁判において決まりや段取り、決められた役割はなく、全員が平等の扱いで自由に会話できる。主催者のモノクマは犯人を知っており、議論には参加しない。 学級裁判終了時に、参加者全員による多数決投票形式で犯人を指名する。 指名された者が犯人であった場合は犯人以外の生徒たちの勝利となり、「クロ(真犯人)」は「おしおき」と称した残虐な処刑を下される。 逆に、犯人でない者が指名された場合はクロの勝利となり、クロは「卒業」して閉鎖された学園から脱出できる。それ以外の生徒は全員処刑される。 つまり、他人を出し抜いて殺人を犯し、なおかつ他の生徒たちの目を欺き通して犯人だと疑われなかった者だけが勝ち抜けられる…というルールである。 裁判中は議論の進行に合わせて、主観視点STGの形式で他人の発言の矛盾を指摘する「ノンストップ議論」(詳細は後述)、同様の操作でキーワードの穴を埋める「閃きアナグラム」、リズムACTの形式で討論する「マシンガントークバトル」、マンガのコマを埋めて事件の全貌を総括する「クライマックス推理」の4種のゲームが行われる。これらはすべて制限時間付き。 時間切れになったり、ミスを繰り返して主人公の「発言力」ゲージがなくなるとゲームオーバーとなる(ただしその場でリトライ可能)。 「発言力」ゲージの他に「集中力」ゲージというものも存在し、R1ボタンを押すことで「集中力」ゲージを消費して特殊効果(*3)を発動出来る。 全ての議論が終了すると、その流れに従って自動的に犯人が指名される。 このパートは難易度設定が可能。推理難度とアクション難度に対し、それぞれ「シンセツ」「ユルヤカ」「イジワル」の3段階がある。 推理難度を下げると証拠の選択肢が減り、アクション難度を下げるとスピードや妨害要素が減る。 ノンストップ議論 学級裁判パートのメインとなるゲーム。各キャラがそれぞれ意見を出し合い、議題に対する答えを導き出す。 ここでは議題に対する参加者それぞれの発言が、STGの“的”のように画面を飛び交う。 一部の発言は「ウィークポイント」として黄色で表示され、これが主人公が狙う目標となる。 主人公が集めた証拠は、作中では「言弾(コトダマ)」と呼ばれ弾丸で表現される。 前述したウィークポイントの中から手持ちの情報と食い違う発言を見つけ出し、有効な言弾をヒットさせることで矛盾を指摘し、議論が展開していく。 ゲームが進むにつれ、ウィークポイントの数及び言弾の装填数(提示する証拠の選択肢)や、こちらの言弾を妨害する紫色の「雑音セリフ」が増え難易度が上がっていく。装填された言弾が複数ある場合は、Lボタンで言弾一覧の展開、その状態から方向キーかアナログスティックで発射可能な言弾の選択が可能。 邪魔な雑音セリフを○ボタンの「サイレンサー」で撃ち落として退かせたり、手持ちに有効な言弾が無い場合は、△ボタン長押しで他人の発言をキャプチャーして撃つ、といった搦め手も必要となってくる。 閃きアナグラム 既存の証拠だけでは確定させられない事案に対し、言葉をひらめくことで打開するゲーム。 画面奥から飛んでくる文字を○ボタンで順番に撃ち落とし、キーワードを作りだす。文字の色によって撃たなければいけない回数は異なる。 画面左下に文字数などが開示されるので、それをヒントにして答えを導く。 マシンガントークバトル 主人公と意見が対立するキャラクターとの討論勝負となるゲーム。 リズムゲームの要領で、○ボタンで発言のロックオン、△ボタンで発言の破壊を行い相手の発言力にダメージを与えていく。ただし、ゲームが進むと発言のロックオンには弾丸状のゲージを消費するという制約が追加され、□ボタンで適宜弾丸の補充(ゲージ回復)を行わなければいけない。相手の発言力を削りきった後、トドメの証拠を叩きつければ勝利となる。 コンボ数が一定以上になると、テンポアップしてリズムに乗るのが難しくなる。 さらにゲームが進むと、弾数無限&ミスがノーカウントになる「フィーバータイム」の発動と、マーカーが見えなくなる「ネガティブタイム」の発生が追加される。 その他(演出など) 本作は「サイコポップ」と称されるとおり全体的にポップアート的なデザインで統一した上で、陰惨なシーン、グロテスクな描写なども多く含むブラックな雰囲気で構成されている。 グラフィックは、全体マップや室内の背景を3D、人物を2Dで描く「2.5D」で表現されている。 場所が切り替わった際に、舞台や人物がパッと出現するのではなく徐々に組み上がる「飛び出す絵本」的な演出がされているのも特徴。 人物立ち絵はアニメ的なデフォルメ調、イベントシーンの1枚絵やムービーシーンは油絵調で描かれる。 下ネタやパロディといったお遊びが多め。 キャラクター、アイテムのデザインや、「俺の占いは三割当たる!」といったキャラクターの台詞など、隙あらばパロディネタが仕込まれている。カバーしているジャンルの幅は広く、1人で全て把握するのは困難。 例として後述の「大神さくら」の場合、「地上最強」「格闘家」「通称オーガ(*4)」「さくら」「セーラー服」という一見した構成要素はパロディのそれである。 モノクマも声優の関係から「ドラえもん」のパロディが多く見受けられる。 「モノクマメダル」を消費することで、設定資料やムービー・一枚絵・BGMのギャラリーを見られる。 廉価版以降は設定資料が追加されており、発売当時の販促用画像なども見られる。 評価点 キャラクター 主要人物は、主人公を含む生徒15名とモノクマだけでも16人と、かなり数が多い。キャラデザインは癖が強く賛否が分かれる。 しかし、いずれも一癖も二癖もある魅力的な面々ばかりである。 超高校級 希望ヶ峰学園の生徒たちは全員、各分野において「超高校級」と賞賛される才能の持ち主。 その肩書きは「超高校級の野球選手」「超高校級のプログラマー」など様々だが、中には「格闘家」「ギャル」「暴走族」「ギャンブラー」といった変り種も多い。 容姿についても、大きな縦ロール、極端な肥満体型などと分かりやすく特徴づけられたキャラクターが多い。 小松崎類氏のキャラクターデザインも、まさしく「サイコポップ」と言うべき、ポップなデザインとアングラ・ダーティな色調を両立した独特な画風ながら、男女問わず受け入れやすいものとなっている。 これら容姿・肩書きで付けられた個性によって誰が誰であるかを大変理解しやすくなっており、大人数のキャラが冒頭から登場して覚えづらいという問題が大きく緩和されている。 中でも、『ストリートファイター』シリーズの豪鬼(*5)や『ドラゴンボール』のブロリーを彷彿とさせる筋骨隆々の体型でセーラー服を身にまとう女子高生、「超高校級の格闘家」大神さくらのインパクトは凄まじい(*6)。 しかも声は『NARUTO』の大蛇丸役で有名なくじら氏。たしかに女性の声だが、間違いなく格闘家だと認識できる威圧感に気圧されること必至。 そんなインパクト抜群の第一印象とは裏腹に、作中では曲者揃いのキャラクターの中で落ち着きと良識を備えた屈指の人格者として描かれており、ギャップに惹かれた人々は「さくらちゃん」「かわいい」「天使」と絶賛している。 演技力豊かなボイスも、彼らのキャラクター性を大いに引き立てる。特に、フルボイスで繰り広げられる学級裁判パートの盛り上がりは大きな見所となっている。 声優のキャスティング自体も豪華である。 主人公・苗木誠役の緒方恵美氏と彼のライバル的存在となる十神白夜を演じる石田彰氏は『新世紀エヴァンゲリオン』において対立関係ながらも惹かれ合う碇シンジと渚カヲルを演じており、極めて心憎い配役となっている。 ほかにも大本眞基子氏や鳥海浩輔氏、山口勝平氏とその道のファンなら声を聴いただけでわかりそうなベテランが揃っている。少ない若手もまた実力派揃いで負けず劣らずの顔ぶれが並ぶ。 イベントシーンやADVパートはフルボイスではないが、「フッ」「なるほどね…」「だべ」といった一言ボイスが多数用意されている。 キャラクターの特徴を捉えた耳に残りやすいフレーズばかりであり、メッセージ内容に合わせて使い分けられる。 モノクマ 中でも舞台の立役者であるクマ型のキャラクター「モノクマ」は、行動・発言・外見とあらゆる面においてプレイヤーに強烈な印象を残す。 モノクマはマスコットライクな容姿ながら、生徒たちに過酷なルールを課しコロシアイの「動機」を促す非情な存在として描かれている。 一方で、モノクマは頻繁に露骨なボケを飛ばして場を茶化し一行を挑発する。ギャグキャラでもあり、憎むべき敵役でもあり、シリーズのマスコットでもあるのだ。 そして、声を当てているのは先代『ドラえもん』こと大山のぶ代氏。多くのプレイヤーは、その能天気なボイスとのギャップに驚きと戸惑いを覚えるだろう。 スパイクとしても発売前より「ドラえもん降板後初の出演(*7)」をフィーチャーしており、ゲーム内の小ネタにもドラえもんネタをふんだんに取り入れている(*8)(*9)。 初めはドラえもんの印象がどうしても残るだろうが、本作を象徴するキャラクター性からじきに「モノクマとして」見えてくること必至である。というか、ドラえもんのイメージを消し飛ばす台詞が満載である。 割とダメ元のオファーだったようだが、台本を見た彼女が興味を示しキャスティングが実現した。本作で処刑が「おしおき」と表現されているのは彼女のアイデアである(*10)。 シナリオ シナリオについては多くを語ることを避けるが、息をつかせぬ衝撃的な展開やどんでん返しが連続し、読み手をぐいぐいと物語へ引き込む非常に大きな牽引力を持っている。 最後の最後に突きつけられる真実は驚愕必至。 本作では、生徒同士による生き残りを賭けた殺し合いが行われていく。 いわゆる「クローズド・サークル」系のストーリーと「デスゲーム」要素を混ぜた世界観であり、殺した人間・殺された人間は常に見知ったクラスメイトである。そのため「死」の喪失感は、いわゆる推理物の中でも特に大きい。 当然ながら、シナリオや自由行動で交流を深めたキャラクターが殺されてしまうこともあるし、実は殺人者だったということもある。 気に入ったキャラが唐突かつ理不尽に殺されることもあり、気に入ったキャラを「お前が犯人だ」と告発しなければならないこともある。 またこの絶望的環境から信頼や希望が目覚めるというのも本作の醍醐味である。 この繰り返しがプレイヤーに絶望感を与え、ゲームへの没入をさらに深めさせていく。 + ※軽度のネタバレを含むので注意 希望ヶ峰学園内では、衣食住が完全保障された上でストーリーが進む。つまり、本作で発生する殺人事件の「動機」には、例えば食料の奪い合いなどといった基本的な生命維持に関するものはない。 同じ境遇におかれた仲間であると同時に敵でもある、という極限状態に追い込まれた生徒たちがそれぞれ何を思い、誰を殺すのか。心の弱みに付け込まれた彼らの人間ドラマもまた、本作の物語における1つの見所である。 本作のシナリオは、閉鎖空間や校則といった過酷な設定により、登場人物たちの争いを殊更に煽るような内容となっている。そうして調査と学級裁判を繰り返すことで1つ1つのドラマと接していく内に、黒幕と希望ヶ峰学園の真実が次第に明らかになっていく。この巧みな物語運びのため、止め時を見失うプレイヤーが続出した。 通称「通信簿会話」とも呼ばれる自由時間の会話も特筆すべき出来。 かなり突飛な性格で、メインストーリー中ではなんでこんな性格に…?と思わされるようなキャラが、この会話で生い立ち等を聞かされることでその性格付けに大きく納得させられたり、逆にこの会話がメインストーリー中の行動の大きな伏線になっていたり…といった例が複数ある。 概要だけを言えばさほど長くない会話イベントがキャラ毎に何回かあるというだけなのだが、この会話を見ることで大きく印象が変わるようなキャラも複数おり、単なるおまけ会話と切って捨てることはできない重要な要素となっている。 もちろん、この会話自体でキャラへの親近感が強まり、前述のように被害者や犯人になった場合の心の動きを増幅させる意味合いも大きい。 「学級裁判」 本シリーズのメインである「学級裁判」は、1人用の証言台を円形に繋ぎ合わせた裁判場で行われる。 ノンストップ議論中は発言者が変わるたびにカメラがグルグルと回り、ドラマチックな雰囲気を引き立てている。 一般的にアドベンチャーゲームの立ち絵は単純なフェードイン、アウトで表示されることが多いが、本シリーズの学級裁判ではこのカメラワークで大きく臨場感を増している。 このカメラ演出とフルボイスが合わさって、十数人ものメインキャラクターが思い思いに喋る様子は非常に目まぐるしく、他のゲームでは味わえない「会話」感が味わえる。 殺害やおしおきで死亡したキャラクターの証言台には遺影が配置される。ゲームが進むたびに遺影が増え、会話する人数も減っていく。 カメラ演出もあって遺影は頻繁に目に入るし、会話の人数が減っていくことも会話頻度で強く実感させられる。これらにより、嫌でも仲間を失う喪失感を突きつけられる作りとなっている。 喋っていないキャラでも表情がコロコロ変わっているので、注意して見るのも面白い。 ノンストップ議論の的となる発言も、普通は右から左に流れるところ、力強い発言は奥から手前に揺れ動きながら飛び出してくる、畳み掛けるような発言は上下から時間差で流れてくるなど、2Dに立体的な表現を持たせて見飽きさせない。 「おしおき」と称したクロの処刑は数少ないムービーシーンになっており、その描写は本当に惨い。 いずれもブラックユーモアが強く、人の命で遊んでいるような残酷な殺し方に背筋が寒くなること請け合いである。 事後の結果だけ1枚絵で見るようなタイプ(事件現場など)の残酷描写とは、受ける印象が格段に違う。 残酷であると同時にあまりにもシュールであるため、独特のノリにつられて笑いが生じてしまうという人もいる。 こういった描写は、犯人を追いつめたという達成感以上に仲間を失う悲壮感を感じさせるという、作品の特徴を強めるものになっている。 その他 BGMについても、自由行動中は軽快に、事件が発生したらシリアスに、モノクマが現れればヘンテコなテーマが流れ、学級裁判の佳境ではハイピッチで盛り上げて…と、かなり大胆な緩急がつけられている。 学級裁判で議論が深まり、犯人を追いつめていく際の「議論-HEAT UP-」や「議論-HOPE VS DESPAIR-」なども勿論人気はあるのだが、事件の緊迫感を煽る「イキキル」や、新展開を盛り上げる「ニュー・ワールド・オーダー」など、裁判外のイベントシーンで印象に残る人気曲も多いのが特徴である。黒幕との最終決戦ではメインテーマ「DANGANRONPA」が流れ、熱い演出に仕上がっている。 これらのBGMを担当しているのは『killer7』や『地球防衛軍』シリーズ等の音楽を手がけた高田雅史氏で、氏は以降もシリーズにおいて多数の名曲を手掛けている。 システム面は親切 セーブ&ロードはすぐに行えて、間違ってもやり直しできる。 賛否両論点 サイコポップというオブラートに包まれてはいるものの、やはりブラックな描写が多いため人を選ぶ。 血液は赤ではなく、鮮やかなピンク色で表現されている。残酷表現への自主規制と、グラフィックとしての表現を両立させようとした苦肉の策なのであろう。 『ダンガンロンパ』の「サイコポップ」の雰囲気が象徴されているとして問題ないとするファンも多いが、「ペンキみたい」と否定的に捉えられることも少ないとは言い難い。 猟奇的な殺され方をしているシーンもあり、緩和されてはいるが死体のグロテスクさが消失したわけでは決してないことは述べておく。 ミニゲームの導入については賛否両論。 中心となる「ノンストップ議論」については演出やフルボイスも相まってゲームの雰囲気作りを大いに助け好評だが、それ以外のミニゲームには欠点も各々指摘される。 「閃きアナグラム」にしろ「マシンガントークバトル」にしろ、裁判のアクセントと見るか不要なミニゲームと見るかで評価はやや分かれる。 「マシンガントークバトル」は操作方法が説明不足な部分もあり(*11)、リズムゲー要素もあるため、慣れないうちは何度かリトライすることになりやすい。 「超高校級」の才能がシナリオ内で活かされる度合いに、各々のキャラクターでかなり差がある。 殺害のトリックやシナリオの重要な部分で使われるものもいれば、単に「それっぽい性格をしている」というキャラ付けに留まっているものもいる。 無論シナリオ上の限界はあるが(閉鎖空間で活かしようがない才能もある)、指摘がそこそこあったため、『2』以降は改善が図られている。 ADVとしては、マンガやアニメなどのオタク文化、下ネタにある程度の慣れがある人向けの世界観。 モノクマを始めとした一部のハイテンションなキャラクターは、普段サブカルチャーにあまり触れない人間にはやや拒否反応が出るだろう。 + ※中程度のネタバレを含むので注意 ストーリーは事件の犯人・被害者が固定されている一本道シナリオであり、マルチ展開などは無い。 通しでクリアする場合のボリュームはADVの標準クラスなので、相対的にボリュームがやや少ないと言える。 主要人物である15人の生徒たちは、物語が進むにつれて一人、また一人と死亡していく。だが前述通り一本道シナリオであるため、どのような攻略をしても事件や死亡するキャラは絶対に変化しない。 魅力的なキャラクターの多いゲームだが、だからこそ上記の理由により、初回プレイ時から特定キャラに入れ込むのは危険。 主人公の苗木に好感を持っていると思われるヒロインは複数居るのだが、シナリオルートの変化が無いため、苗木と共に終盤まで生き残るヒロインは明確に定められている。 ただし、序盤で退場するキャラクターにはその前に一定の掘り下げがなされるシナリオ構成にもなっているため、生き残ったメンバーに比べて犯人or被害者の存在感が薄くなるということはない。逆に犯行の動機や他キャラとの関係性が深く描かれることで、プレイヤーに強く印象を残すキャラクターもいる。 人気投票などを見ても、序盤で退場したキャラクターが上位に食い込んでいる。 終盤、本作の世界観の核心に関わる「ある事件」と黒幕についての説明が極端に少なく、やや駆け足気味の展開である(伏線などはちゃんと用意されてはいる)。また、その黒幕の正体に関するトリックもミステリ小説等に慣れているプレイヤーとしては稚拙に感じる出来で、少し尻すぼみ感が拭えないものとなっている。主人公苗木に対する因縁も薄く、苗木に固執する理由もイマイチ。 エンディングの展開も続編を匂わせており、ともすれば「投げっぱなし」と感じられるものである。もう少し掘り下げられなかったのだろうか。 この点は、小説などの外部作品や続編である程度補完されている。 問題点 難易度が低く、ゲームとしての歯応えはあまり無い。 作り手の想定する標準的な難易度は、最高設定の「イジワル」である。そのイジワルでも、ゲーム慣れしたプレイヤーには簡単な部類に入るだろう。 特に推理要素については、言弾(証拠品)を手に入れる場面や議論の際におけるセリフで結構な量のヒントが出てしまう。 トリックに関しても奇抜なものが多い訳ではなく、一部には証拠集めの段階で犯人どころか事件の詳細まで予想できてしまうような事件もある。逆に、裁判パートの終盤になるまで犯人が全く予測できない事件もあり(日常パートで一応の伏線は張られているが)、「推理物=犯人当て」とした見た場合、難易度のばらつきがかなり大きい。裁判パートの途中で重要な新事実が判明し、事件の様相がそれまで認識されていたものからがらりと変わる、という展開も頻発するため、いわゆる推理小説のような「全ての情報が出揃った状況から論理を組み立てて真相に至る」という形式を想像するとアンフェアに感じる。 プレイヤーからの視点ではあからさまなことでも、物語中では推理段階でまだわかっていない、という齟齬から推理を間違えることも多々ある。 また、主人公とは別に探偵役を務めるキャラが存在するのも低難易度の一因と思われる。 ストーリー上の都合でもあるが、そのキャラは卓越した観察眼と推理力によって主人公より先に真相に辿り着いたりプレイヤーの知らない情報を独自に入手したりする為、そのキャラに誘導される形で推理をする展開も多く、謎を解く爽快感を削いでいる部分もある。 ライターの小高氏によれば「アクション要素もあるし、推理アドベンチャーがマイナーであることを考えると、考える楽しさより正解の快感で勝負したほうがいいと考えた(*12)」というが、やはり結果的には不満意見も多く出た。 『2』では「シンセツ」でも難易度が高めになっており、推理の歯ごたえが増している。 周回プレイに対する追加要素の類は無い。 スキルとモノクマメダルは周回で引き継げるため、モノクマメダルを消費してCG・ムービー・設定画・サウンドの鑑賞モードを開放するという要素はあるのだが、多くのメダルを獲得できる学級裁判パートは何度もやり込むタイプのゲーム性ではないため、作業的になってしまう。 「自由行動」パートでのキャラクターとの会話は、前述のようにスキルを獲得できる実用性とキャラクターの一面を知れるストーリー性、「通信簿」の項目を増やせるやり込み性を兼ね備えており、ファンとしては興味深いものである。しかし、この会話要素が1周プレイしただけではコンプリートに程遠く、おまけに自由行動パートだけを繰り返すことがシステム上不可能であるために無駄に作業量が増えて非常に面倒。 効率的にコンプリートするとしても「ある章を初めから開始して会話や探索パートを進め、自由行動パートまで終えた以降でセーブ」を何度も繰り返さなければならず、大変無駄が多い。 『2』や後述のVita版では、クリア後にコロシアイ無しで仲間達と絆を深める「スクールモード」が追加されたことで解消された。 自由行動のキャラ掘り下げは面白いのだが、見返し機能がなく一度見てしまうとそのデータでは二度と見られない。 会話前のセーブデータを取っておけば見直し可能だが、一人二人分ならともかくそれ以上となると現実的とは言いがたい。 議論パートでゲームオーバーになった場合の展開は、「主人公が罪を着せられて犯人の特定に失敗、犯人は無事に『卒業』成功」という展開で固定。 「主人公以外の犯人ではない人物が犯人であると疑われるような場面」であろうと「犯人がほぼ特定され、後は決定的な証拠を見つけて自白させるだけという段階」であっても、ゲームオーバーになると唐突に主人公が冤罪になるという理不尽な展開になる。 シナリオ展開による制約やネタバレ防止などの都合上、仕方がないことではあるのだが。 不自然だったためか『V3』ではこの演出はなくなった。 「Re アクション」システムについてはあまり必要性が感じられない。 会話にひと手間増えているだけで、特に凝った演出がある訳でもない。返答という要素を入れることで会話に没入させる意味もあったのかもしれないが、その割には自由度の高いシステムではなく、基本的には一本道のADVである本作の構成とも噛み合ってはいない。 敢えてRe アクションで質問できる紫文字をスルーして進めてみても、展開が変わったりすることもなく単に会話が終わってしまうだけで、再度会話してRe アクションを行わないと結局物語が進まない、という無駄な労力を払わされるケースも多い。 こういった無意味さが本作の時点で指摘されたため、このシステムは本作のみで削除された。 一部、UIに不親切な面がある。 通常状態でのマップ移動やメッセージスキップの速度がやや遅い。 前者はスキル「ランニング」によるダッシュ機能で幾分解消できるが、スキルでなく標準でダッシュできる仕様で良かったとの声は多い。 マップ移動については、廉価版で標準でダッシュできるように変更された。 室内の調査において、調べられる箇所と人物などが密集している場合、目的の箇所に照準を合わせるのに手間取る。また、どこを調べられるかはアイコンを当てないとわからないため、やや不親切。 後者はスキル「観察眼(*13)」を入手すれば多少解消できるものの、標準で欲しいという意見も多かった。そのため前述の「ランニング」と共に廉価版では削除され、標準で装備されている。 学級裁判パートのクライマックス推理に、「画面レイアウトがせせこましくてコマが見にくい」「どういった状況を表している絵なのか分かり辛い」「似たようなことをやっている構図があり、正解の組み合わせがどちらなのか分かりにくい」といった難点がある。他パートとイラストのテイストが異なるのも原因と思われる。 前述のように移動は一人称視点で行うが、カメラの回転がノーマル固定でリバースが選択できないため、リバース操作に慣れていると違和感を感じやすい。 総評 舞台設定や裁判のルールなどで緊張感を持たせ、全く性質の異なる複数のゲーム形態を使い分けてスピード感を表現しメリハリをつけることで、個々の要素は既存の形式を踏襲したものでありながら総合的には過去のどの作品とも一線を画する、新しい裁判物ADVとして仕上がっている。 15人の生徒たちを始めとするキャラクターたちはそれぞれが個性的であり、人数が多いにもかかわらず埋もれるようなキャラクターがいない。ゲーム内容と調和の取れたBGMやグラフィックなどを見ても、作品全体の完成度の高さが窺える。 持ち前のブラックテイストが人を選ぶ、周回プレイに耐えるタイプの作りではないといった欠点はあるものの、「きれいにまとまった部分」と「突き抜けている部分」を絶妙なバランスで同居させた快作であることは間違いない。 余談 本作は、体験版と製品版でシナリオが微妙に異なる。その他にも、体験版で不評であった部分を短い期間で修正(*14)している。 製品版には体験版の差異画像も収録されているが、すでに購入した人も体験版をプレイしてみてはいかがだろうか。 本作で頻出する「超高校級」という語句だが、これ自体は本作以前から存在した言葉である。特にスポーツ分野で、頭角を現した学生アスリートの表現としてしばしば用いられていたが、本作が発売される頃にはあまり使われなくなっていた。 しかし本作で有名になって以降、本作が元ネタだと思われたり、過去に使用された例についても本作が引き合いに出されたりすることが多くなった。後者についてはそれを快く思わない人も少なくないので、控えるべきなのだが…。 ある言葉を広めた事でその元ネタだと思われる、と言う事については似た例に『Steins;Gate』の「世界線」がある。「超高校級」はあちらのように広く用いられるようになったという程ではないが。 海外では公式な海外版が発売されるまで数年を要したため、インディーズ翻訳による非公式の翻訳版や動画が出回ったが、そこでは「超高校級」を敢えて直訳で「Super High-School Level」(SHSL)と呼んでいたため、こう呼ぶ動きが定着した。しかし、後に発売された公式の海外版では「Ultimate」(アルティメット、究極の)とシンプルな意訳が行われた。 2010年の発売当時から、第2章以降のプレイ動画配信が「公式に」禁止されていた。 逆に言えば「第1章の配信は認める」という、先が気になる推理ゲーム・デスゲームならではの試みであった。 当時のプレイ動画・ゲーム実況ジャンルが誕生から2~3年目程度、未だ黎明期~過渡期にあった時代背景を考えても、非常に先進的。 他ゲームタイトル=特に推理ゲーム・アドベンチャーゲームや、「犯人」のネタバレが致命的な『ペルソナシリーズ』なども同様のアナウンスを行うようになったが、本作はその先駆けだったと言える。 なお本作の配信規制は、2022年12月24日、発売13年目と「特別な日付」を祝して解禁された。 制作秘話 2011年9月に行われたゲーム開発者向けカンファレンス『CEDEC 2011』において寺澤氏と小高氏が登場し制作秘話を語った。以下抜粋して紹介する。 当時『侍道』『喧嘩番長』程度しかキラータイトルが無かったスパイクは早急に新規タイトルの制作を迫られており、寺澤氏は常々新規タイトルを作りたかったことから『名探偵コナン 金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵』のシナリオライターだった小高氏に企画書を送り、「今までにないもの」をテーマに制作を進めた。 この時点から「15人の高校生」「クロ」「コロシアイ」といったワードも登場し、決定稿よりちょっと細いモノクマも出来上がっていた(*15)。が、イメージはコンクリート風など相違点も見られ、ゲームもマルチエンディングつきの一般的ADVだった。 そこで改良を図り、本作のイラストを担当した小松崎類氏によるサイコポップなイメージ キャライラストでより原型に近づいた。 が、社内からは「PSP×ADVなんて良くて4万本」「中高生向けならアドパをつけないと」といった反対意見もありさらなる改良が必要となった。 その後も企画を煮詰めてジャンル名「ハイスピード推理アクション」や「超高校級」「2.5D」「マシンガントークバトル」「フルボイス学級裁判」など製品に大きく近づいて行った。 実際に推理シーン、処刑シーンも完成していたが処刑のあまりのグロさにやはり反対が続出(本人もやりすぎたと反省したほど)。辞表覚悟でOKをもらいようやく販売にこぎつけた。 また、大山氏についても上述と通り、ダメ元でのオファーをかけたところ快諾してくれた。 発売時期はキラータイトル『モンスターハンターポータブル 3rd』の影響もあり、初週2万弱と低調な出だし。 しかし、良作という評判が徐々に広がりダウンロード版合わせ10万本を達成、その後は廉価版を合わせ総計20万本以上を売り上げた。販売数の大半が初週消化であるゲーム業界において驚異的なジワ売れである。 ちなみに、小高氏が10万本達成をツイッターで報告しようとしたところ、「10本」と誤って報告してしまい、その後すぐ訂正したことで一時話題になった。 上記制作秘話について、詳しくはこちらの記事を参照されたし。→I・II なお、本作を製作するに当たって影響を受けた作品のひとつとしてDCの『ILLBLEED』が挙げられている。 以後の展開 2011年11月に廉価版が発売されており、視認性や操作性を向上させる改良、追加コンテンツが収録されている。 通常版とはセーブデータに互換性が無いので、今から始めるならこちらか、あるいは後のスマホ・Vita・Steam移植版をオススメしたい。 本作は発売時点では販売の規模が小さく限定版は存在しなかったが、人気が確立したため廉価版で新たに限定版を用意するという変わった試みを行っている。 2012年8月にスマートフォンアプリ版が発売された。内容は基本的に廉価版に準拠。 PSP版のような体験版はプレイ出来ないが、代わりに本編1章が丸々無料プレイ可能となっている。 低画質版と高画質版がオプションで選択可能。 ミニゲームの操作方法などが一部変更されている。難易度設定は出来ず、スマホ版独自のものとなっている。 ノンストップ議論では論破やサイレンサーがタッチのみで行えるようになり(*16)、やや難易度が下がっている一方で、マシンガントークバトルのロックオンが、各発言の位置をタイミングに合わせてタップしなければならなくなったため、タイミングよくボタンを押すだけでよかった移植元より難易度が上昇している。 なおiOS8以降には対応しておらず、ひっそりと2015年に配信終了となっている。 その後シリーズ生誕10周年を記念した『Anniversary Edition』として2020年に改めて配信。こちらは『1・2Reload』準拠の移植。 ギャラリー機能にキャラクターの表情差分やボイス再生、親密イベントの回想や設定資料の閲覧などが追加されている。 2013年10月10日にPS Vitaで『2』とのカップリング移植『ダンガンロンパ 1・2 Reload』が発売。詳細は後述。 2016年2月29日に『Danganronpa Trigger Happy Havoc』のタイトルでPC(Windows/Mac OS/Linux)版がSteamで配信開始された。詳細は後述。 シリーズページにも挙げられている通り様々な派生作品が展開されているが、 シリーズ未見であるなら本作から触れることを推奨する。 以降の作品では本作の重要な伏線や黒幕などが大きくネタバレされており、初見の楽しみを損なう可能性が高いためである。 この影響で発売当時以上にネタバレを踏みやすくなっているので、必要以上の攻略情報を探らないようにした方が良いだろう。 本作以後もモノクマ役は大山氏が担当していたが、後に健康状態の関係で降板し、2016年の舞台版の再演からは『ちびまる子ちゃん』でお馴染みのTARAKO氏に交代している。 ゲーム以外の派生作品 2012年12月10日に本作のTVアニメ化が発表され、2013年7月から放映された。 1クールで終わらせるためか、各事件がかなり圧縮気味になっており、語られずに終わったエピソードも多数ある。 アニメという媒体上、学級裁判以外のパートもフルボイスになっているため、大山氏のモノクマの演技などがまた新鮮なのが救い。OPでモノクマが踊るセクシーダンスはある意味必見。 2013年6月にはアニメの展開を基としたアニメ版コミカライズ(作画は月見隆士氏)、2013年9月にはアニメ版ノベライズ(作者は川上亮氏)も出版されている。 2010年10月からファミ通コミッククリアで本編コミカライズ『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』が連載された。作画は燈谷朔氏。 ストーリーはゲーム本編とほぼ同じだが、各章で視点となるキャラクターが異なり、事件の流れが一部しか説明されないことや、キャラクターの行動などにオリジナル展開もあり単体では作品を追いにくいことから、本編をプレイした後に読むのが望ましい外伝的作品となっている。後に単行本も発売された。 ちなみに、ゲーム発売前には同サイトにて同作者による体験版コミカライズが公開されており、ゲーム中では明らかにされなかった体験版の犯人とおしおきが描かれていた。 この体験版コミカライズはゲームの店舗別予約特典の1つとなっていたが、単行本化はされておらず、現在は入手が難しくなっている。 その上、2012年6月末をもってウェブ公開も終了しているため、こちらは読むことすら困難になっている。 2011年9月に外伝小説『ダンガンロンパ/ゼロ』が上下巻で発売。ゲーム同様、小高氏が手掛けている。 ただし冒頭から本作の黒幕が隠す気0で出るなど、非常にネタバレが多い。そうでなくとも、本作未プレイでは理解できないような部分も多いので、購入の際には注意が必要である。 なお上巻の内容は公式サイトで無料で公開されている(ただし、挿絵は含まれていない)。繰り返すが、本編をクリアした人前提の内容となっており、遠慮一切無し全力全開の本編ネタバレがこれでもかと襲ってくる。閲覧注意!! 2013年9月から、本作の登場人物である霧切響子の幼少時代を描いた外伝小説『ダンガンロンパ霧切』が発売。作者は『城』シリーズなどで有名な推理作家の北山猛邦氏。 2014年11月には舞台化が行われた。16年に再演も行われている。 各事件の流れを変えずに圧縮したアニメ版とは違い、小高氏の完全監修の上で中盤の流れを大胆に変更することで3時間の舞台に纏めている。 シリーズの大ファンを公言する神田沙也加氏が江ノ島盾子役で出演し、主題歌を担当している。 後にはシリーズ最新作『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』にて赤松楓の声を担当する事となった。同じく不二咲役の石田晴香氏も同作にて入間美兎役として出演。 神田氏はこの舞台共演がきっかけで大和田役(再演版)の村田充氏とご成婚したというエピソードがある。後に離婚したが。 2015年11月には、本作の登場人物である十神白夜を主人公とした外伝小説『ダンガンロンパ十神』が発売。作者は『鏡家サーガ』『1000の小説とバックベアード』『デンデラ』で有名なミステリ作家の佐藤友哉氏。 2016年7月には、シリーズの完結編アニメ『ダンガンロンパ3 The End of 希望々峰学園』が放映された。 後日談である『未来編』と『2』の前日談である『絶望編』の2つを1クール内に放送するという特殊な形態を取っており、実質的な分量は2クールに相当する。 双方の作品が放送終了した後、完結編である『希望編』が放送された。ただし、作品の評価は結末を含めて賛否両論の傾向にある(*17)。 同年3月には講談社発行の漫画雑誌『別冊少年マガジン』にて外伝漫画『ダンガンロンパ害伝 キラーキラー』の連載も行われ、翌年5月に完結した。 ゲスト出演等 2016年に発売した『クリプト・オブ・ネクロダンサー』PS4/PSV版に今作のBGMが数曲収録。また『ネクロダンサー』経由で『GROOVE COASTER 3』に今作の「議論 -HEAT UP-」「だんがんろんぱ!」のアレンジバージョンが収録された。 グルコス収録の出典こそ『ネクロダンサー』表記だが、ジャケット・お約束の背景演出そのものは完全にダンロンを意識したものとなっている(*18)。 グルコスでのイベント報酬として、モノクマ、苗木、江ノ島が2Dアバターにて登場した。 グルコス側は2023/01/31に削除。 開発・販売のスパイク(及び、合併後のスパイク・チュンソフト)の別作品にも本作のネタが登場する事がある。 2011年発売の『ガチトラ! ~暴れん坊教師 in High School~』に本作のセーブデータを読み込ませる事で、主人公のコスチュームとしてモノクマの着ぐるみが入手可能。また、同作中の映画館では本作のPVを見る事ができる。 2015年発売の『喧嘩番長6~ソウル ブラッド~』ではモノクマが隠しキャラとして登場し、しかも戦う事が出来る。 2018年発売の『ザンキゼロ』にはモノクマがゲスト登場する。 こちらはダンガンロンパシリーズスタッフが手掛けただけあってかダンガンロンパを想起させる要素が多い。 ダンガンロンパ1・2Reload 【だんがんろんぱ わんつーりろーど】 ジャンル ハイスピード推理アクション(ADV) 対応機種 プレイステーション・ヴィータプレイステーション4 発売元 スパイク・チュンソフト 開発元 シェード 発売日 PSV 2013年10月10日PSV(Best)/PS4 2017年5月18日 定価 PSV ・パッケージ 4,980円・ダウンロード 4,476円・the Best版 2,980円PS4(共通) 3,800円(各税別) レーティング CERO D(17才以上対象) 判定 良作 概要(1・2) 続編『2』と統合する形でのPSVへの移植版。 上述のテレビアニメ版の放送直後に発売されており、そちらの視聴層を取り込もうという狙いもみられる。 特徴(1・2) 追加要素として、『2』で加わった「アイランドモード」を『1』の世界観に逆輸入したおまけモード「スクールモード」が新たに追加されている。 特に『1』での早期退場キャラのファンには嬉しく、既プレイヤーでもこのモードのために買い直したという者も出た。 このうち、とあるキャラは他のキャラとは一味違うエンディングを迎える。詳しくは書かないが、ユーザー歴が長い人ほど感慨深いものがあり、評価が高い。 もっとも、仕様上『1』本編をクリアしないとおまけモードが解禁されないため、既プレイヤーは本編のやり直しを迫られる事になるのだが。 これにより、上述の「通信簿イベントのコンプリートやメダル稼ぎが面倒」という問題もほぼ解決されることとなった。 ただし、スクールモードは僅かながら『2』のネタバレも含まれている。 無理強いはできないが、新規プレイヤーは『1』本編→『2』本編としっかりやりきってからスクールモードを遊ぶことを推奨しておきたい。 本編は基本的にベタ移植だが、ハード変更による高画質化とタッチパネルへの対応、学級裁判リザルト表示の『2』仕様への統一(裁判終了後に一括判定)などが図られている。 また、PSVではダウンロードできない『1』の体験版も同時収録されている。 劣化要素は一切無いので、PSVを持っているのであれば新規購入はこちら一択とされている。 とはいえ、「スクールモード」以外にさほど大きな追加要素がある訳でもない。PSV本体を買うのは躊躇するというようであればPSP版でも十分だろう。 その「スクールモード」についてもSteam版にも収録されているため、PCでプレーできる環境があればそちらを選ぶ手もある。 2017年5月18日にPS4版が発売。同日にPSV版の廉価版も発売。 2019年4月24日、『1・2Reload』と『V3』がセットになった『ダンガンロンパ トリロジーパック』が発売された。 問題点(1・2Reload) 『1』の終盤のモノクマ劇場でスピンオフ作品『絶対絶望少女』のPVが流れるシーンがある。 素直に見ただけでも1の最終的な生存者、更には 黒幕の名前 までも予測がつく作りになっており、物語の本筋が盛り上がってきた所で公式が思いっきりネタバレで冷や水を浴びせてくるという致命的な展開になっている。 PSPでの原作発売時は当然同作は存在しておらず、スパイク・チュンソフトの別のゲームを宣伝するというギャグだった。 Danganronpa Trigger Happy Havoc(Steam) 【だんがんろんぱ とりがーはっぴーはぼっく】 ジャンル ハイスピード推理アクション(ADV) Steam版 対応機種 WindowsMac OS XLinux + SteamOS 発売元 スパイク・チュンソフト 開発元 スパイク・チュンソフトAbstraction Games 発売日 2016年2月18日 定価 3,600円(税込)⇒ 2,138円(税込) 判定 良作 概要(Steam) 『Danganronpa Trigger Happy Havoc』のタイトルでSteamにて配信されているタイトルでPC(Win/Mac/Linux)版。 特徴(Steam) Steam版は『ダンガンロンパ 1・2 Reload』の『1』の単体移植にあたり、追加要素であった「スクールモード」も収録されている。 ただし海外で体験版が配信されていなかった影響か、本作では体験版を遊ぶことができない。 配信当初は残念ながらタイトル通りUIと字幕は英語のみで、日本語への変更はできず、吹き替えのみ英語と日本語を選択可能となっていた。 しかし、2016年8月5日に続編『2』も合わせ、アップデートで日本語&中国語テキスト追加パッチが無償配信され、これにより事実上日本語版としてのプレイが可能になった。 『2』とセットで買うと割引になるお得なバンドルセットも存在するため、未プレイの人は充分購入候補になるだろう。 2017年6月29日には『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』発売に伴い定価が値下げされ、同作との3本セットバンドルも販売開始された。 ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 / ダンガンロンパ1+2(DMM.com) ジャンル ハイスピード推理アクション(ADV) 対応機種 WindowsMac OS X 発売元 スパイク・チュンソフト 開発元 スパイク・チュンソフトAbstraction Games 発売日 2017年7月28日 定価 単品 2,138円(税込)1+2 4,104円(税込) 判定 良作 概要(DMM.com) DMM.comで『2』と共に配信。起動に使用するゲームクライアントが異なることを除いてはSteam版とほぼ同内容。
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獲得ルーン ルーン images.php?file=5344207035.jpg images.php?file=1633120597.jpg images.php?file=7381657223.jpg images.php?file=8980853844.jpg images.php?file=4253392827.jpg images.php?file=4859965112.jpg 個数 2 4 1 2 4 1 ハイルーン images.php?file=0643168497.jpg images.php?file=4435421307.jpg images.php?file=9530511914.jpg images.php?file=5920615938.jpg images.php?file=2089895918.jpg images.php?file=9304724953.jpg 個数 1 スタールーン images.php?file=6800477849.jpg images.php?file=1482160508.jpg images.php?file=1299529086.jpg images.php?file=0614012135.jpg images.php?file=5361648401.jpg images.php?file=8293814641.jpg 個数 宝箱
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希望の船?絶望の城?(後編)◆10fcvoEbko 高遠の立てたプラン自体は簡単なものだ。 固まって行動することは避け、チェスはアレンビーと船の機動を、高遠とガッシュは脱出に必要な道具の調達をそれぞれ担当する。襲撃を受けた場合は戦おうとせずひたすら逃げる。 戦力比がチェスの側に傾いているのは船の起動を優先した高遠の判断である。 「ここね!」 アレンビーとチェスはブリッジに辿り着くと乱暴に扉を開け転がり込むように中に飛び込んだ。 幸いにもあれから一度も襲撃は受けていない。ちまちまとした走りに、それでもチェスにとっては全力だったのだが、痺れを切らしたアレンビーがチェスを抱えて爆走したのだ。 それなりに消耗していたチェスは数百年の常識を覆されるような人間離れしたスピードに何度か意識を失いかけたのだが、結果的には功を奏したと言える。 「鍵穴ってどこ!?」 「ここだよ!アレンビー姉ちゃん!」 首を振って叫ぶアレンビーにチェスは目聡く舵の横に設けられた穴を見つけ指を差した。 身長が足りないため飛びつくようにして確認する。奇妙な螺旋状の形は鍵と一致しており、間違いはないだろう。 「よし!じゃあ、チェス君!」 「うん!」 チェスは最短の動作でポケットから鍵を取り出すと突き刺すように鍵穴に差し込んだ。勢いをそのままに右に捻る。 鍵は抵抗もなくチェスの手に従って回り、そのまま問題なく二人の役目は完了すると思われた、が。 『螺旋力を確認できません。出港は不可能です』 聞こえてきたのは船を動かす駆動音ではなく、絶望を告げるハスキーな女性の声を模した機械の音声だった。 「うそ、何で動かないのよ!螺旋力ってなに!?」 汗を浮かべて何度も鍵を回し直すチェスの後ろでアレンビーが声を上げる。 まさかこんな訳の分からない理由に邪魔をされるとは思ってもみず、アレンビーの怒りはチェスにとっても全く同感だった。抑揚の変わらない機械音が何度も同じ内容を告げる。 (螺旋力だと?博物館にも似たような言葉があった。 何だというのだ?螺旋王は何を考えている? 私達は皆貴様に踊らされているとでも言うのか!) 必死で鍵を回すも、結果に変わりはない。焦りを通り越し、チェスの表情にも怒りが込み上げてきた。 頭の片隅で錬金術師の自分が冷静な思考を訴えてくるが、そのための情報が圧倒的に不足しているのはそいつも十分承知しているようだった。 一向に好転しない状況に、チェスの手から力が抜ける。絶望に襲われそうになったそのとき、チェスの体は横に押しのけられた。 「ちょっと代わって!」 「あ、アレンビー姉ちゃん!」 「何だかわかんないけど挫けちゃ駄目、要は気合よ!うおおおおおおおお!!」 アレンビーは一旦鍵を引き抜くと、叫びとともに再び鍵穴に叩き付ける。 中の機構もろとも殴り壊さんばかりの衝撃に、チェスは船室が一瞬大きく揺らいだように感じられた。 そうして右に捻る。チェスがやったのと同じ小さな動作のはずが、そこに使われているエネルギーには何十倍もの差があるように見えた。 「絶対みんなで助かるんだから!こんなとこで邪魔される訳にはいかないのよ!だから、うごけえええええええええ!!」 船室中の大気をびりびりと弾き飛ばすように叫ぶアレンビーの背中を見ながら、しかしチェスの思考は現実的なものだった。 アレンビーの言葉には賛同するし、諦めようとしないその心根は賞賛に値する。だが、だからと言ってそれで船が動く訳ではない。 あの男の策は外れたのだ。何か別の手立てを考えなくてはならない。 見ろ、アレンビーがいくら叫び声を上げたところで鍵穴の周囲にしつらえられた渦巻状の模様に緑色の光が満ちていくだけだ。 そして、その光が模様を満たし淡い光を発したところで事態は何も―― 『螺旋力確認。出航します』 「え?」 淡い光を発したところで聞こえてきた、さっきまでとは違う内容の機械音声にチェスは思わずすっとんきょうな声を上げてしまった。 「やったぁ!ね、チェス君、言ったとおりだったでしょ?」 汗だくになりながらアレンビーが勝利の喜びに満ちた表情でチェスにウインクをする。 鍵穴から発するのと同じ緑色の光を湛えたその瞳を見ながら、チェスは茫然と頷くしかなかった。 船の起動を終えた後のブリッジには、チェスが一人で残っていた。 アレンビーは先に行かせた。一緒に高遠達のところへと走る振りをしながら、少しずつ歩調を落とし気付かれないように一人で戻ってきたのだ。 彼女の脚力ならばれたら連れ戻されるのは一瞬だろうが、問題はない。用事はすぐに済む。 アレンビーには疲れも見えたしすぐに気付かれるということはないだろう。 気になることがあった。チェスは緑色に淡く発光する鍵穴を見上げる。 (螺旋力……博物館のことと言い、一体何のことだ? アレンビーは要は気合いと言い、そしてその通り船は動いた。それに、あのときの瞳……) 揺れを増した船室の中で、チェスは文字通り色を変えていたアレンビーの緑色の瞳を思い出す。 (放送でも奴はしつこいくらいに螺旋力について触れていた。 そして、それが無くては動かない装置をこうして置いておく……) 久しく見せていなかった錬金術師としての一面が顔を覗かせ、論理的な思考を積み重ねさせる。 その背後に、黒い影がそっと近寄った。 (試されているとしか思えんな。殺し合いと言いつつ、その実私達が用意された解答にどこまで到達できるか見ているようだ。 高遠のように趣味に走る馬鹿ばかりでもないだろう。まるで実験……実験、そうか) 何かを掴んだような表情で頷くチェスの背後で、影は刀を構えゆっくりと腰を落とす。 そのまま一息に首をはねようと静かに息を整え―― 「……ぐぅ!」 「残念だったな」 懐に飛び込んできたチェスの小さな両手で、軍用ナイフを胸に突き立てられた。 抉り込むようにナイフに力を込めながら嘲るようにチェスが笑う。 「そういつまでも上手くいくと思うな。 ……螺旋力などどうでもいい。今は……貴様を殺す!」 老獪さと獰猛さに唇を歪ませながら、チェスはさらに手に力を込めてナイフを突き出した。 ◇ 正直なところ、高遠はティアナの死をどう受け止めたものか決めかねていた。 騙されて殺人までさせられたと知りながら、変わらずに慕ってくれたのは素直にありがたいと思う。 だが、これまでの犯罪人生の中でそのような経験をしたことはなかった。 そもそも、自分が殺人を教唆した犯人達は高遠の考える芸術犯罪を汚したと判断した時点で容赦なく切り捨ててきたのである。 どうにも、いつもと違う立ち位置というものには慣れない。 「むう、高遠。道具はもうよいのか?」 「ええ、十分です。ありがとう、ガッシュ君」 高遠の謝辞にガッシュが目を輝かせて喜びを表現する。 自分もこれくらい素直なら、と少し思わないでもない。 だがそういったものを切り捨てる形で、望んだ今の姿を手に入れたのだ。 後悔するほどのことではない。 「静かなのだ。チェスとアレンビーは大丈夫だろうか」 「アレンビー君の身体能力には目を見張るものがあります。滅多なことはないでしょう。 チェス君は……私に心配されても嬉しくないでしょうから、止めておきます」 「ウヌゥ、仲良くするのだ」 高遠の言葉を真に受け、ガッシュが慌てるようにたしなめる。 先程からのガッシュの様子は必要以上にキョロキョロ周囲を警戒するなど、明らかに落ち着いていない。 ティアナとジェットを失ったと知ったときの悔しがりようを見れば無理もないことと言えるが、それにしてもこのような警戒の仕方に効果があるとは思えなかった。 「落ち着いてください、ガッシュ君。敵は床から現れたりしませんよ」 「わ、私は落ち着いて……いないのだ。本当を言うと怖いのだ。 これ以上仲間を失くてしまうかと思うと……」 「それは私も同じことです。 それに、このような無粋極まりない形で私の脱出計画を邪魔されてはたまりませんし」 「ウヌゥ、それでも高遠はこうやって率先して働いておる。偉いのだ。 だというのに私は……」 がっくりと肩を落とす。 どうやら相当に参っているようだ。 ふむ、と高遠は思案する。一人の奇術師としては、落ち込んだ子供を元気付けるに吝かではない。 どれ程効果があるかは分からないが、ちょうどそれに使えそうな物にも心当たりがあった。 「まぁ、今は目の前の状況に対処することを考えましょう。 これを差し上げますので、元気を出してください」 「ん……?お、おお!バルカンではないか!!」 菓子箱に割り箸を付けただけの適当な代物でどれだけ喜ばせることができるか、奇術師としての腕の見せどころのつもりだったがどうやらその必要はないようだった。 ガッシュはそれを一目見るなり飛び付き大喜びで戯れている。というか、そもそもガッシュが持っていたものらしい。 「おや、お知り合いでしたか。それは良かった」 「うむ!バルカンなのだ!清麿が私のために作ってくれた友達なのだ! 空気ミサイル300発に、ナオミちゃんにどれだけ虐められようと帰ってくる強い体を持っておる!! おお、二人いれば一緒にゲームで遊ぶこともできるのだぞ!! 今度高遠も一緒に遊ぶのだ!!」 「お誘いいただき光栄です。覚えておきましょう」 苦笑しつつ、鷹揚に返す。まさかここまで受けるとは思わなかった。 「うむ、きっとだぞ!なぁ、高遠……」 「はい?」 「高遠は良い奴だな」 曇りのない顔でガッシュにそう言われ高遠はかなり面食らった。 甲板上では確かに許すと宣言されたが、こうまで心の底からの笑顔を見せられるとは想像していなかった。 呆れつつもなるほど優しい王様とは伊達ではないなと思い、さらにそのような肯定的な感情を持った自分に対して驚いた。 照れ隠しという訳ではないが、少しからかうような口調で言う。 「そんなことを言っていいのですか? ……こんなことをしながら、また新たな犯罪計画を練っているかも知れませんよ」 「そ、そんなことはやめるのだ!それは悪い奴のすることなのだ。 ウヌゥ、しかし高遠はバルカンを守っていてくれていたし……良く分からなくなったのだ」 両腕を組んでう~んと考え込む。本気で悩んでいる様子だ。 一々素直な反応を返すガッシュとの対話を楽しんでいたとき、船ががくんと大きく震えた。 同時に、揺れが大きくなりどこからか機械音が聞こえ始める。 「おお!船が動き始めたぞ」 「成功したようですね。さすがはチェス君」 窓の景色が流れ始めたのを確認する。今のところ計画に支障は出てないようだ。 「では、我々も急ぎましょうか」 「うむ!」 ガッシュを促し、連れだって高遠も歩き始める。 元気良く先を行こうとするガッシュの背中を眺めながら、高遠は思った。 (さて、申し訳ありませんティアナ君。 私はあなたのために泣いてあげられるような人間ではありません。そのような心性はとうの昔に過ぎ去ってしまった。 ですが……そうですね。あなたに膝枕をして頂いていたとき。 その間だけは私は確かに「安らぎ」のようなものを感じていたように思います) 今は、これでどうかご勘弁を。 最後だけ口に出して呟くと、ティアナへの追悼を終えた高遠は再び目的地に向けて歩き始めた。 チェス達は無事だろうかと、そのようなことを思いながら。 ◇ 両腕から伝わってきた感触にチェスは歯噛みした。硬い。明らかに、何か金属質のものに刃を止められている。 そう思い手を引いた瞬間、チェスはビシャスに突き飛ばされ大きく吹き飛んだ。 自動で動き続ける舵に強かに頭をぶつけ、意識を失いそうになる。 霞んで消えそうになるチェスの視界が、銃のようなものを向けるビシャスの姿を捉えた。 そして、UZIの放つ9mmパラベラムの弾丸がチェスに降り注ぐ。 咄嗟に転がって回避しようとしたが、かなりの数を食らってしまった。お陰で意識がはっきりしたのはありがたかったが。 問題なく再生が行われているのを確認し、チェスは立ち上がると愛らしい見た目に不釣り合いな憎悪の顔中に浮かべてビシャスを睨み付けた。 高遠の言う通り、この場ではどういう訳か不死者の再生力に限界があるらしい。 趣味の悪い悪魔がいたずら心でもだしたか。首を折られたとき、あれは実は危なかったか。 とはいえ、これまでの経験からしても肉体の破壊などの致命傷を負わなければ大丈夫だろうとチェスは考えていた。 (もっとも、人間の致命傷がどのくらいだったかなど半分忘れてしまったがな) 自嘲ぎみに心中で付け加える。 こちらの武器は軍用ナイフとアゾット剣、それに回復力のみ。冷静にそう分析していると男が懐から何かを取りだし、忌々しげに顔を歪めた。 どうやらそれがチェスの刃を止めたものの正体らしい。表情を見るに一矢は報いたか。 だが、まだ足りない。高遠達との取り決めも忘れてチェスは思った。 「貴様は私の手で殺し尽くしてやる。貴様は……貴様だけは!」 怒りの叫びとともにチェスはビシャス目掛けて飛び出した。 もとより戦闘は得手ではない。再生力にまかせて押しきるしかなかった。 一気に駆け寄り、捨て身でナイフを突きだす。だが、交差する形で放たれたビシャスの刃が両ももを深々と切り裂き、勢いをなくしたチェスの体は床に叩きつけられた。 「ぐぅ!」 顎を打った嫌な衝撃が脳を揺らす。降り下ろされた一撃は予測していたため、何とか転がって回避する。 (懐には潜り込んだ。後はどれだけ切られようと構わん!少しずつでも切り刻んでやる) 首や心臓への攻撃さえ避ければいい。後はひたすら突っ込み、敵の体力を消費させる。 いくら切っても立ち上がることに僅かでも恐怖を感じさせることができればなおのこと良い。 幾度も刃を振るい、傷を負いながらチェスは思った。 (ごめんね、アイザックさん。僕じゃあなたの代わりはできないよ。 だってさ、僕はこいつがどうしようもなく憎いんだ。 アイザックさんならこんな気持ちでも許しちゃうのかな?) 心中で語りかけても、当然返事はない。だが、アイザックの記憶の片隅にある目の前の男との邂逅の様子を見ればあり得なくはないと思えてくる。 (ううん。でもやっぱり僕にはミリアお姉ちゃんが殺されたらなんて想像はできないや。 それくらい、二人はぴったりだったから。 離れ離れになるなんてあり得ないくらいに) ミリアの笑顔が再び浮かび上がってきた。 アイザックの記憶、アイザックの中にあるチェス君の表情。 どれを見ても二人の仲は完璧だったと知れる。 それを引き裂いたのはチェスだ。そして止めを指したのが目の前の男だ。 その事実に、チェスは自分の血が頬にべちゃりと張り付いたことにも構わず皮肉げに笑った。 (仇討ちなどと言えた義理ではないがな。 本来ならこの刃は真っ先に私に突き立てるべきなのだろうが、まぁいい。 そんなことは後でいくらでもしてやる。今はただ、こいつを!) こいつを殺す。 目の前にいる漆黒の男を。 奪えないはずのミリアの命を奪ったこの男を。 そうしてミリアの ミリアの仇を。 ミリア。 眼前に、ミリアの顔が現れた。 「…………ふ、ぇ?」 男が放り投げてきたそれを、反射的に受け取ってしまう。 それは、甲板にあるはずの切り離されたミリアの頭部だった。 原形を止めない程にぐしゃぐしゃに潰されたミリアの首がチェスの眼前に広がる。 舌を抉られ耳を削がれ、額は骨が覗くまでにばっくりと割られている。綺麗なブランドの髪は血で真っ黒に染められ元色の部分はほとんど残っていない。 それでいて本人と判別できるだけのラインはぎりぎりで保たれたそれは、どれ程記憶を辿っても決して見ることのできないミリアの新しい表情だった。 チェスの中の全ての記憶が消し飛んだ。頭の中がまっさらになる。 「う、あ」 言葉がしゃべれない。やり方を忘れてしまった。五感が閉じていくのを辛うじて感じる。 「き。き」 それでも体は一方的に、感情を言葉にして紡ぎだそうとする。 脳は既に、一切の思考を放棄していると言うのに。 「貴様ああああああああああああああああ! あああああああああああああああああああ!! あああああああああああああああああああ!!!」 喉の皮が破れ血が噴出する痛みも感じないまま、チェスは絶叫した。 「赤い涙を流すがいい」 そうして一片の策も持たず狂人のように突進を始めたチェスは、待ち構えていたビシャスの一閃により首を撥ね飛ばされた。 刈り取られた首は、衝撃で吹き飛んだミリアの首と一緒にころころと寄り添うように床を転がり、壁にぶつかって止まった。 二人の首は、仲の良い男女がよくそうするように真っ直ぐ視線を合わせて向かい合っていた。 【チェスワフ・メイエル@BACCANO バッカーノ! 死亡】 ◇ 最初に甲板上で襲撃を受けた時点で高遠は通常の方法での脱出は不可能だと確信していた。 身体能力に差がありすぎる。普段のように十分に道具を揃えた状態ならともかく、今の高遠は怪我人だ。 加えて、高遠以上の重傷を負っている者も何人かいた。 彼等を放置するのは人道的にでもなんでもなく、全員での脱出を決意した高遠の矜持が許さない。 奇術師として、不可能と思われる状況からの脱出は得意とするところである。大前提であるはずの全員で、という部分は既に大幅に崩されてしまったが。 怪我人の集団である高遠達が無事逃げおおせるために、確実に敵の手の届かないところまで移動する必要があった。 船から飛び降り、闇夜に紛れるなどという方法ではまだ足りない。確実に誰かは追い付かれ殺される。アレンビーからもたらされた情報で、この案は完全に却下された。 下に逃げても追跡は避けられない。ならば、どうするか。下が駄目なら上に逃げればいい。 相手が追跡を諦める程の高みへと、一瞬で。 「そこで、高速道路ですよ」 「ウヌゥ……緊張してきたのだ」 甲板上は数刻前までとは打って変わって叩きつけるように海風が吹いていた。ライトアップされたその場所に、身を隠すように高遠とガッシュが潜んでいる。 「資料によるとこの船は停泊していた島の周囲を右回りに2時間程度で周回するようです。 結構なスピードでしょう?チャンスは一瞬です。 だからこそ価値があり、同時にわくわくもするというものです」 高遠の計画は船内の備品である太縄を道路の高架に巻き付け、船が道路の下を通るのに合わせてそれに掴まり脱出するというものだった。 そうして高遠達は高速道路に登り、殺人鬼を一人残した船はあっという間に遥か彼方へと去っていくという寸法だ。 もちろん、技術はともかく高遠にはそんなに高くに縄を投げるような腕力はない。 だがアレンビーや、あるいはガッシュのような常人離れした能力があれば十分に可能だと判断していた。 「我ながら力技も良いところで少々お恥ずかしいですが、まぁ贅沢は言わないでおきましょう」 未知というものに頼るのも中々に悪くないですし、と続ける。 「滑車の原理を利用して自動的に縄が我々を道路まで引き上げてくれるという、怪我人に配慮したプランもあったのですが……その必要はなくなってしまいましたからね」 「……もう誰も死なせないのだ。絶対に皆で脱出してみせる。 この船だけではない。この争いそのものを止めさせるのだ」 ほんの少し悔しさを滲ませる高遠に対し、ガッシュははっきりと告げる。 高遠は苦笑した。この年でこれ程までに強い決意を見せるとは、感心するほかない。 「そうですね、バルカンと遊ぶ約束もありますし。そのためにもお二人には早く 戻ってきてもらいたいものですが……ああ、いらっしゃいました。アレンビー君!こちらです!」 甲板にアレンビーの姿を認めて高遠は声をかけた。向こうもすぐこちらに気付く。 だが、近付いてきたアレンビーは何か焦っているように見えた。 「……お一人ですか?」 原因はすぐに知れた。チェスの姿がない。 「うん……ごめん、二人とも。 船を動かすところまでは一緒にいたんだけど、 戻ってくる途中ではぐれちゃったみたいで…… ほんとごめん!すぐ探しに戻るから!」 「わ、私も行くのだ!」 沈痛な面持ちで船内に戻ろうとするアレンビーの後をガッシュも続こうとする。 高遠は二人を押し止めるように強く、けれども口調だけは静かに言った。 「いえ……その必要はないでしょう。お二人は、とにかく脱出を。 もう、時間がない。どうしてもというならチェス君は私が探します」 高速道路はもうすぐそこまで近付いていた。これを逃せばもう後がない。 高遠がそう言ったのには理由がある。チェスが単独行動をしようとする訳には心当たりがあった。 なおも納得しない様子の二人に続ける。 「チェス君なら大丈夫です。彼を甘く見ると痛い目に遭うことは誰よりもこの私がよく知っている。 はぐれたのではありません。一人で行動したいだけの用事が彼にはあったのでしょう。 彼は見た目よりもずっと大人です。老獪と言っても良い程にね」 具体的な理由までは触れなかった。言えば二人は飛び出していくだろうし、自分のせいで脱出のチャンスを潰すのはチェスの本意ではあるまい。 どうしても邪魔されたくないものは誰にだってある。 ガッシュはまだ迷っているようだったが、アレンビーは理解してくれたようだ。多少逡巡しつつも、納得したように足を止めている。 「……分かったわ、高遠。チェス君にはどうしても残りたい理由があった。そうなんだよね?」 「ええ、そう考えて間違いありません」 「自分がやらなくてはいけない戦いというものはあるのだ……だが、本当にそれで良いのか。 ウヌゥ……分からないのだ」 「チェス君を、そしてこの高遠遙一を信頼してください、ガッシュ君。 それこそが……うっ!」 うつむき瞳を震わせるガッシュを諭す高遠の言葉を遮るように、船ががくんと一際大きくな揺れを示した。船内のどこかで爆発でも起きたのか、震動が伝わってくる。 そして、船が徐々にその速度を落とし始めついには高速道路の高架下に差し掛かる寸前で緩やかに停止した。 「……基幹部をやられたようですね。どこまでも邪魔をしてくれる。 さぁ、もう一刻の猶予もありません。アレンビー君、あなたならあそこまで飛び上がることはできますか?おあつらえ向きに穴が空いている」 「うん。そんなに高くもないし、行けるよ」 高速道路を指差して聞く高遠にアレンビーは力強く頷いた。高遠も満足気に首肯を返す。 「結構。ではまずガッシュ君からお願いします。ガッシュ君、デイパックをお預けします。 全員分の荷物をまとめてありますので」 「う、うむ……」 未だどう判断するか決めかねている様子のガッシュに無理やりデイパックを背負わせる。そして、決断させるように背中を押した。 たたらを踏んだガッシュが、不安そうに高遠を見る。 高遠はできるだけ子供を安心させられるような表情を心掛けながら、にんまりと笑った。 「ただの順番ですよ。私もすぐに引き上げて貰います。 もちろん、彼が望むのであればチェス君もね」 「……分かったのだ。約束だぞ高遠。皆で一緒に脱出するのだ」 「ええ、約束です。バルカンと遊ぶのでしょう?」 その言葉でようやくガッシュは決心、というよりは安心することができたようだ。 デイパックを背負い直し、準備運動を終えたアレンビーに抱き抱えられる。 「じゃあ、先に行くわね。って言っても私はすぐに降りてくるけど」 「お願いします。計画が失敗した場合は速やかに去るのが私のモットーでして」 高遠がそう言うとアレンビーはふっと笑った。 そうして走りやすい形にガッシュを抱え直すとその表情を一気に引き締める。 「じゃあ、飛ぶわよ。ガッシュ、しっかり掴まっててよね」 「う、うむ。任せるのだ」 「上等!うおおおおおおおおお!!」 アレンビーは数歩助走をつけると、ダンと踏み抜かんばかりの大きな音を立てて甲板を蹴り飛び上がった。 高遠が見守る中、重力を無視するかのように高速道路へと手を伸ばす。 (やれやれ、この場所は全く反則ばかりだ) 呆れつつも、ひとまず全滅は避けられたことに安堵の息を漏らす。 アレンビーが今まさに高速道路に足をかけんとするのを見ながらさてチェスをどうしようかと思案を巡らせたところで、 月明かりの中、無数の銃弾がアレンビーの体を貫くのを見た。 ◇ 甲板にいる高遠と、船に背を向ける形のアレンビーには見えなかったが、空中で船を見下ろすガッシュにははっきりとそれが見えた。 さっきの男が、凍てついた刃物ような視線でデイパックから突き出した砲塔をガッシュ達に突き出している。 警告する間もなくその先端が火を吹き、同時にアレンビーの体が小刻みに揺れた。 「あ……」 そんな音がアレンビーの口から漏れ、高速道路を目の前に勢いをなくした体が静かに落下を始める。 「ア、アレンビー!しっかりするのだ!死んではならぬ!」 「う……お」 抱き抱えられているガッシュにはアレンビーの蜂の巣のように穴だらけになった背中しか見ることができない。 弱々しい吐息が耳に届く中、砲身を反転させた男が通路で使ったのと同じロケットランチャーを発射するのが見えた。 「アレンビー!!」 「う……おおおおおおおおおおおおお!!」 ガッシュがこれまでで一番大きな叫びを上げた瞬間、伏せられていたアレンビーの顔がぎっと前を向いた。 口から大量の血が溢れるのも構わず、アレンビーは全身を大きく捻りガッシュを掴むと高速道路の中目掛けて全力で放り投げる。 「どおおおおおおりゃあああああああ!!」 ガッシュは見た。アレンビーの歯は痛みを叩き潰すかのように力強く食いしばられ、両の瞳には緑色の光が煌々と輝いている。 届く訳がないと知りながらもガッシュが空中で手を伸ばしたとき、アレンビーのその表情が緩み慈しむような優しいものへと変わった。 「頑張ってね、応援してるから!そうだ。ドモンに、ドモンに会ったら――!」 着弾したロケットランチャーによりアレンビーの体は爆散し、その続きを聞くことはできなかった。 衝撃の余波を受けたガッシュもまた、気を失い高速道路の中に吸い込まれるように落ちていった。 【アレンビー・ビアズリー@機動武闘伝Gガンダム 死亡】 ◇ アレンビーの体の残骸が甲板上に落下したのを確認し、ビシャスはパニッシャーをデイパックへと仕舞った。 代わりに、強奪したデイパックに入っていた愛用の刀を取り出す。レーダーは破損してしまったが残るはすぐ近くの男のみ。戦闘に秀でているようには見えない。 苦もなく葬ることができるだろう。 さすがに疲労を感じながら立ち上がって歩きだそうとし、背後に感じた固い気配に動きを止めた。 「ポロロッカって知ってるか?」 ビシャスの後頭部にコルトガバメントの銃口を向けながら、ジェットは言った。 全身を水で濡らし、飛びそうになる意識を意地で繋ぎ止めながら言葉を続ける。 「ある女が言ってた話だ。 何でも宇宙のどっかにゃそんな名前の星があって、この殺し合いはその星の入国審査なんだと。 は、俺やお前さんがこうしてやってることは全くの茶番って訳だ。 どうだい、あんたこんな与太信じるかい?」 話の途中で、レンズのピントがぼやけるようにジェットの視界がぶれる。 ビシャスは何も答えない。 「俺は信じるぜ」 絶対の確信をもって、ジェットは言った。 「だってそうだろうが?死んだと思ったのは実は眠りから覚めるだけで、晴れて入国した暁には飯にも金にも一切不自由しない生活が待ってるときたもんだ。 肉抜きの料理も、ハネっ返りの女も、馬鹿な相棒ともまとめておさらばできるってんだ。 こんな上手い話信じない手があるか?」 内容の正確さにも構わず、まくし立てる。 息が上がるのを、無理やりに笑うことで抑えた。 俺はいつからこんなにお喋りになったのかと思いながら。 「上手い話にゃ裏があるっていうが、この話ばっかりは例外だ。 何せ、これを聞かせてくれたのは裏も表もないまっさらな女なんだからな」 ビシャスは身じろぎ一つしない。 聞いているのかいないのか、その表情を窺い知ることはできない。 「最近じゃあ珍しい、優しい女だったよ。この銃を持ってた女だってそうだ。 色々厳しい目にもあったが、最後は仲間を想ってわんわん泣いていた。 さぁこれからってときに夢から覚めちまったがな」 自分の女を自慢するかのように、ジェットは言う。 構える銃はその女との間で奇妙に行き来したものだ。 「何でこんな話をするのかって?意味はねぇ。ただ、お前さんが殺しちまったのはそういう女だったってだけの話だ。 青臭ぇか?青臭ぇよなぁ? だがな、今はどうしようもなくそういうことを言いたいんだよ!俺はなぁ!!」 ついに、ジェットは激昂した。 言いたいことを腹の底から言い終えたジェットが黙り、二人の間に静寂が満ちる。 聞こえるのは、黒い波の音のみ。 ビシャスは何も答えない、かと思われた。 「死んだ女のためにできることなどない」 その言葉がビシャスより発せられたものだと理解するのに、ジェットは数秒の時間を必要とした。 この男が言葉を発することなど、完全に想定の外にあった。 ジェットは答えず、ただへっとだけ笑うと銃を構え直した。 そのまま、ただ静かに時が過ぎる。 しばらくして、ジジ、という音とともに機械を通した能天気な声が響いた。 『エドです。地図に載っている施設を全部、良く調べてみてください。すごいお宝を発見ができるかもしれません』 名乗られずとも分かった。ビバップ号で散々に聞かされた声だ。 『詳しい情報は追って連絡しますが、ラセンリョクという物を用意してください。それが絶対必要なんだそうです!』 軽やかな声が、二人の間を通りすぎていく。 その声を聞きながらジェットは思った。 『もしも見つけてしまったらぁ~一切、粉砕、喝采ぃ~八百屋町に火がともる~!』 何だよ、お前らもちゃんと働いてんじゃねぇか、と。 始まったときと同じジジ、という音を最後に、声は聞こえなくなった。 甲板の上に、再び静寂が戻る。 その静寂がもう一瞬だけ続き。 数発の銃声と白銀の一閃が交錯した。 【ジェット・ブラック@カウボーイビバップ 死亡】 ◇ 直撃を受け吹き飛ぶアレンビーとそこから放り投げられたガッシュの姿を、高遠は見上げていた。 ガッシュが高速道路の中に消えるのを確認し、視線を正面に戻す。 姿勢良く伸ばされた背中には何の感情も含まれておらず、その表情を確認することはできない。 高遠はしばらく、そのままの姿勢でただ立っていた。 特に動くこともなく、外界の刺激に反応することもなく。 背後にコツコツと足音が近付いてくるそのときまで、高遠は微動だにしなかった。 その間、高遠が何を考えていたのかは分からない。 だが、少なくとも。 「いかがでしたか、私の脱出マジックは?」 くるりと向き直り、背後に迫ってきたビシャスに向かってそう言った高遠の顔には、これまでと変わらない奇術師然としたにんまりとした笑顔が浮かんでいた。 「自己評価を申しましょうか。散々と言う他はありません。 ガッシュ君に全てを押し付ける形になってしまい、何より私が脱出できていない」 おどけるように笑った。 観客はつられてはくれなかったが。 「彼の今後を思うと心苦しいですが、まぁ信じるより仕方ないですね。 彼はやる男だと思っていますよ、私は? あなたもその怪我では追跡は諦めて休まざるを得ないでしょう」 ビシャスの体には幾つかの銃痕が生まれ、血が滲んでいた。 動きからも、最初に見せた敏捷さが失われている。 「かくして私の脱出劇は幕、となります。続きの舞台はガッシュ君に任せ、役目を終えた奇術師は退散するといたしましょう。 夢から覚めるか地獄に落ちるか、はたまたおかしな名前の星で楽しく暮らすことができるのか、楽しみにしながらね」 ビシャスが腰だめに刀を構えるのを見ながら、 奇術師は恭しい仕草で腰を折った。 「それでは、Good Luck」 ◇ 傷の手当てを終えしばしの休息をとったビシャスは、奪取したデイパックに入っていた水上オートバイを駆り豪華客船を後にした。 レーダーは破壊されたが、代わりに自分の得物と移動手段を手に入れた。 戦果を考えれば十分収穫があったと言える。 いくつか傷をもらいはしたが、まだ十分戦える。 人が見つからなければ更に休息を取ることも視野に入れながら、 ビシャスはこれまでと一切変わらない冷徹な視線で闇夜の水上を駆けた。 船中で起きた全てのことに一切の感慨を持たず、ビシャスは高速道路を潜り闇夜に消えていった。 ビシャスが走り抜けた高速道路の直上に、全身をぼろぼろにしながら夢の中に沈み込む少年の姿があった。 道路を縦断する巨壁にもたれ、希望を詰め込んだデイパックを肩にかけながら、少年は未だ目覚める気配すらない。 彼がいつその気高さを秘めた意識を取り戻し、そしてそのとき何を思うのか、まだ知ることはできない。 ただ、少年の手には菓子箱に割り箸を付けただけのいい加減な造りのおもちゃが、しっかりと握られていた。 【E-3水上を移動中/1日目-夜中】 【ビシャス@カウボーイビバップ】 [状態]:疲労(大)、胴体にダメージ大、左肩と右脇に銃創(応急処置済み) [装備]:ビシャスの日本刀@カウボーイビバップ 、ジェリコ941改(残弾7/16)@カウボーイビバップ、軍用ナイフ@現実、水上オートバイ [道具]:支給品一式×3(内一つの食料:アンパン×5)、パニッシャー@トライガン(重機関銃残弾80%/ロケットランチャー残弾50%)、日出処の戦士の剣@王ドロボウJING ウォンのチョコ詰め合わせ@機動武闘伝Gガンダム、アゾット剣@Fate/stay night、レーダー(破損)@アニロワオリジナル コルトガバメント(残弾:3/7発)、UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実、防弾チョッキ@現実、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等) [思考] 基本:参加者全員の皆殺し。元の世界に戻ってレッドドラゴンの頂点を目指す。 1:皆殺し。確実に仕留められる参加者が見つからなければ休む。 2:武器の補充 [備考] ※地図の外に出ればワープするかもしれないと考えています 【E-3 高速道路・巨大文鎮の南側/1日目-夜中】 【ガッシュ・ベル@金色のガッシュベル!!】 [状態]:おでこに少々擦り傷、全身ぼろぼろ肉体疲労(大)、精神疲労(大)、気絶 [装備]:バルカン300@@金色のガッシュベル!! [思考] 基本:やさしい王様を目指す者として、螺旋王を王座から引きずり落とす。 1:…… 2:なんとしてでも高嶺清麿と再会する。 3:ジンとドモンと明智を捜す。 [備考] ※剣持、アレンビー、キール、ミリアと情報交換済み ※螺旋力覚醒 [持ち物]:支給品一式×8(ランダムアイテム0~1つ ジェット・高遠確認済み、内一つは食料-[全国駅弁食べ歩きセット][お茶][サンドイッチセット]) 【武器】 巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING ドーラの大砲@天空の城ラピュタ(大砲の弾1発) 東風のステッキ(残弾率60%)@カウボーイビバップ ライダーダガー@Fate/stay night 鉄扇子@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日- スペツナズナイフ×2 【特殊な道具】 テッカマンブレードのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日- 賢者の石@鋼の錬金術師 ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!! リボルバー・ナックル(右手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6、予備カートリッジ数12発) ドミノのバック×2@カウボーイビバップ アイザックの首輪 【通常の道具】 マオのバイザー@コードギアス 反逆のルルーシュ、剣持のライター、豪華客船に関する資料、安全メット、スコップ、注射器と各種薬剤、拡声器 【その他】 ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:生きてる)、アンディの衣装(-帽子、スカーフ)@カウボーイビバップ アイザックのパンツ、アイザックの掘り当てたガラクタ(未識別)×1~6、カウボーイ風の服とハット、血塗れの制服(可符香) 時系列順で読む Back 希望の船?絶望の城?(前編) Next エミヤ 投下順で読む Back 希望の船?絶望の城?(前編) Next エミヤ 224 希望の船?絶望の城?(前編) 高遠遙一 224 希望の船?絶望の城?(前編) チェスワフ・メイエル 224 希望の船?絶望の城?(前編) ガッシュ・ベル 234 どうでもよくなった理由 224 希望の船?絶望の城?(前編) ジェット・ブラック 224 希望の船?絶望の城?(前編) アレンビー・ビアズリー 224 希望の船?絶望の城?(前編) ビシャス 230 Rising Moon the Samurai & the Gunman(前編)
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ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 THE ANIMATIONアニメ公式/Wikipedia 話数:全13話 放送時期:2013年7月~9月 ■劇伴音楽 高田雅史 ■主題歌オープニング主題歌 ▽第1話 「DANGANRONPA」 作曲・編曲:高田雅史 ※インスト。 ▽第2話、第3話 「Never Say Never」TKDz2b 作詞:小高和剛、西田恵美、Marchitect、JasMace、Tribeca 作曲・編曲:高田雅史 ▽第4話 「モノクマおんど」小林幸子 feat.モノクマ 作詞:小高和剛 作曲・編曲:渡辺和紀 ▽第5話~第11話 「Never Say Never」TKDz2b 作詞:小高和剛、西田恵美、Marchitect、JasMace、Tribeca 作曲・編曲:高田雅史 ▽第12話、第13話 なしエンディング主題歌 ▽第1話~第12話 「絶望性:ヒーロー治療薬」スズムfeat.そらる 作詞・作曲・編曲:スズム ▽第13話 「再生 -ribuild-」緒方恵美 作詞:em óu 作曲:岩瀬聡志 編曲:前口 渉挿入歌 ▽第1話 なし。 ▽第2話 「ネガイゴトアンサンブル」舞園さやか(大本眞基子) 作詞:中垣雄一郎 作曲・編曲: MOSAIC.WAV ▽第3話~第13話 なし。
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《蘇(よみがえ)る絶望編(ぜつぼうへん)/Reviving Despair Edition》 この夜、ある強大な組織が復活した。 あの、ミスターニンテンドーことマリオに幾度となく挑んできた……クッパ軍団だ。 彼にやられては懲りずに立ち上がり、その度にまた立ち上がっていくことで、有名となった悪の軍団。 だが、この夜に復活した彼らは……何かが違っていた。 そう、何かが……。 そして始まる 完全に生まれ変わった彼らと、混沌世界の住人たちとの… 壮絶な戦いが 主な登場人物 マリオ 言わずと知れたミスターニンテンドー。 クッパ軍団が生まれ変わったという事実を聞き、再び阻止をしようとする。 レインド フラン ミシェル キルビス モララー ディーヴ シャウル 大覇王クッパ帝国軍団 大覇王クッパ 大覇王クッパ帝国軍団の総帥。 混沌世界を支配するため、これまでの事件で数多くの組織と戦ってきた者たちが邪魔なので、排除しようと企む。 大覇王クッパ帝国軍団を築き上げ、クッパに乗り移っていた黒幕が「ダークソウル」だということが判明(下記参照)。 レインド、マリオ、フランの三人との戦闘により、敗れる。 知天将イギー 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人。 キルビスとの戦闘により、敗れる。 黒鬼神モートン 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人。 ミシェルとの戦闘により、敗れる。 幻影王レミー 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人。 レインド、フラン、こんにゃくとの戦闘により、敗れる。 獄将ルドウィッグ 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人にして、そのリーダー。 レインドとの戦闘により、敗れる。 魔震ロイ 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人。 ディーヴとの戦闘により、敗れる。 海女帝ウェンディ 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人。 フランとの戦闘により、敗れる。 皇豪神ラリー 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人。 シャウルとの戦闘により、敗れる。 冥督クッパjr. 大覇王クッパ帝国軍団の最強幹部、「8皇神」の一人。 モララーとの戦闘により、敗れる。 その他の登場人物 ダークソウル 本作の黒幕。『GAME OVERE編』ではラスボスとして登場し、アオたちを苦しめた。 人の悪の心、負のイメージを吸い込んで蘇った後、 今度はクッパ本人に乗り移ることで大覇王クッパとなり、大覇王クッパ帝国軍団を築きあげる。 混沌世界と新世界を繋ぎ、混沌と秩序の二つを合わせて完全なる新世界を創り上げようと企んだが、レインドたちとの壮絶な戦いの末に敗北し、最期はマリオの切り札とフランの斬撃を受けて消滅した。 X 「GAME OVER編」で登場したナナの仮の姿。 当の本人は女神事件で既に消えている(混沌の女神という称号だけ)。 本作に登場したのは大覇王クッパの謎の力に創られた、レプリカである。 大覇王クッパの側近。 地上に舞い降りてレインドたちに襲い掛かるも、突如現れたウィノによって吸収された。 関連ページ 関連画像 歴史 其の四へ戻る コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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何度か来たことがあるはずなのにまるで初めての場所に来たような感覚がするのはここが鬼ごっこの舞台だからか地獄であるからかはたまた両方か。 宮原葵はおっかなびっくり女子トイレから出たあとシアターへ移動しようとしていた。同じアミューズメントフロアにあるゲームの筐体から流れる音が酷くうるさく聞こえる。自分の足音や呼吸音、衣擦れの音がかき消されていることから、自然近くに鬼が潜んでいることにも気づかないのではないか気づいていないだけですでに潜んでいるのではないか、そう不安は増す。なによりショッピングモールに誰もいないという状況は、まるで世界そのものから迷子になったかのような感覚を覚えるのだ……日常からの迷子という意味では間違いはないのであろうが。 「!?」 ふと自分の肩口が触られた気がして弾かれたように振り返る。誰もいない。このショッピングモールと同じように無人だ。いや無人だから誰もいないのは当然でだがそもそも無人というのは異常で―― (落ち着こう私、前の時みたいな鬼だったら足音も大きいし変な歌歌ってたりするし、大丈夫、気づける。) 背後を柱に預け数秒息を止め、ゆっくりと吐く。そしてゆっくりと大きく吸い、また吐く。それを何度か繰り返すうちに頭に酸素が回ってきた。 冷静になれば、まだ鬼ごっこだと確定したわけではない。もしかして夢かもしれない、というのはちょっと現実味がないけれど、またあんな鬼ごっこをするなんてことよりはリアリティがある。それか自分が思いの外長くトイレに入っていてその間に店内の人が何らかの事情で避難した、というのもありえる。 (だったら悠は待っててくれてるはず。まずはこの階を探してみよう。) 自分の中で方針が決まると踏み出す足にも力がこもる。何が起こるかわからない未知のエリアからちょっと不気味な場所ぐらいに思えてきた。そうしてトイレから出て数分して一人の男――川尻浩作と出会った。 私の名前は吉良吉影……訳あって今は川尻浩作と名乗っている、平穏を愛する男だ。この鬼ごっこでは鬼の役をやっている。地獄というものが本当に存在することには驚いたが、この沖木島という場所は一般的な日本の離島のイメージとそう遠くないものだ。といってもスマートフォンというパソコンのような携帯電話に入っていた地図で把握した限りだが……話が逸れたな、私はこの鬼ごっこが始まると気がつけばショッピングモールにいた。どうやらここが鬼の牢獄らしい。地図には無いがルールに書かれていることからそう察する。なぜショッピングモールなのかはわからないが、物資が充実していることはプラスだ。そういえばゾンビもののB級映画では良くショッピングモールに籠城していたりするが、そのオマージュだろうか――ん? 「子供か……子の役か?」 一つにまとめた髪が見えて私はより慎重に気配を消して移動する。中学に上がる前ぐらいの女児を私は発見した。手はまあまあ奇麗だがまだまだ女性らしさに欠けるな。 「――キラークイーン。」 距離を詰めて私はスタンド――ある種の超能力を使う。私の傍らに現れた人形のビジョンは同じスタンド使いにしか見えず、そしてスタンドにはそれぞれ異なった能力がある……らしい。専門家でもないので詳しくは知らないが、私はこれが極めて有用な存在であると知っている。例えばこうやって10m程離れた人間の肩に触れることができる。 「!?」 (キラークイーンは見えていない……つまり彼女はスタンド使いでは無いということだ。) これだけならただのちょっとした念力だが……キラークイーンは触れたものを爆弾に変えることができる。つまり、あの女児は既に私がスイッチ一つで跡形もなく消し飛ばせる生きた爆弾になったのだ。さて、これで私の安全は確保された、そろそろ姿を見せるとしよう―― 「じゃあ川尻さんも気がついたらここに?」 「ああ、偵察として会社の人間と来たはずが気がつけばこんなことになってて……どうやらこのショッピングモールでなにかあったようだね。」 私が見つけた男の人、川尻浩作さんはそう言うとため息をついた。 川尻さんはカメユーというデパートチェーンに勤めるサラリーマンで、ここには会社の出張(別の会社ってことはM Aの下見?)で来たら私と同じように巻き込まれたらしい。前回の鬼ごっこでも荒木先生が巻き込まれてたし、もしかしたら鬼ごっこには子供と大人が一緒に参加するなんらかの必要性がある、なんて考えてみたけど今それを考えても仕方ないので口には出さずに保留しておく。それよりも私は言うか言わないか迷っていることがあったから。 (小学校でのことと悠のことは言わない方が良いかな……) こんな場所で大人に会えたことは心強いけど、同時に別の意味で怖くも思う。ゲームセンターで知らないおじさんと会っても普通は話さない。だからか川尻さんにどこまで話していいかわからなくて、困る。悠のことを話せばもし川尻さんが危ない人だった時が怖いしそれに本人の許可無く勝手に知らない人に紹介するのはマナー違反だ。小学校のことについてはそもそも信じてもらえるかも怪しい。私が大人だったら子供の下手な冗談だって扱っちゃうかもしれないから。となるとここは―― 「川尻さん、一緒に他の人がいないか探してもらえませんか?」 (やはりバイツァ・ダストは使えないか……) 衝動的に爪を噛もうとするのを気合いで耐えながら川尻こと吉良は葵と共にアミューズメントフロアで他の参加者を捜索していた。彼女の提案になにか嫌なものを直感で感じてはいたが断る理由が無い。ショッピングモールという地形を活かして親として違和感の無い嘘をついたつもりだったが『出張に来たってことはここのこと詳しいんですよね?遠足だって行く前に下調べするんですし。』とやたらキラキラした目で言われれば違うとは言いづらい。であるからして彼は葵と行動を共にしていたが、しかしそれは彼の心の平穏を乱す原因ではない。 バイツァ・ダストが使えないというのもなんとなくわかっていたことだ。あれは杜王町での平穏な暮らしを実現する為のものであって単に時間をふっ飛ばすようなものではない。同時に吉良自身バイツァ・ダストの能力を完全には把握していない。自分の死から新たな能力に目覚めるまでを冷静に思い返すと、把握していない条件があるようだ。 (年齢を考えれば子供、だから役は『子』というのは安直!そんな保証はどこにもない。) (では『鬼』か?鬼役は鬼の牢獄からスタートする……?支給品は持っていないようだが個人差があるのか隠しているのか……?) (そして『親』ッ!鬼ごっこにはない役だ。これはどういう意味なんだ?その名の通り『子』の親のことを指すのか?) 一筋汗が流れた。 吉良の苛立ちの原因は、参加者の役の判断方法が無いことに気づいたことだ。各役の人数や勝利条件はわかってはいるが、肝心の見分け方がわからない。自分以外の71人についてはほぼ情報がゼロであるため自分を基準に考えるしかないのだが、それでは精々鬼がどのようなタイプか推測ができるだけである。そしてその推測がより吉良を苛立たせる。鬼が自分のように姿を変えていた場合外見では判断がつかないのだ。 (わからないといえばこのスマートフォンとかいう機械だ。一時から使えると書いてあるが地図と時計以外に機能があるのか?こんな小さな機械で電話の機能までできると?) (それにこの紙袋、明らかに容量がおかしい。ちょっとした小部屋ぐらいありそうだ。) (……!まて、鬼の勝利条件は過半数が鬼になるというものだった。だが鬼かどうかを判断する方法は無い。つまり……) (同士討ちが容易に有り得る!) 「川尻さん!」 「――なにかな?」 「凄い汗かいてますけど大丈夫ですか?先から遠い目をしてるし。」 「……徹夜明けでね、少し疲れが溜まっているようだ。すまない。大丈夫さ。」 葵に顔を覗き込まれ、汗をハンカチで拭う。どうやらこの鬼ごっこ、想像以上にめんどくさい。12人しかいない鬼が潰し合うことがあれば鬼全体が不利益を被るのだが、このルールではそのような事態は頻発するだろう。吉良はこの機械にそれを防止する何かでもあってくれとスマートフォンを見た。 幸運なことに彼の祈りは通じた。 この会場で支給されているスマートフォンは、鬼は鬼、子は子で、それぞれ全員と同時にチャットが行える。支給された人間の顔と名前が端末毎に紐づけされて。 その機能が使用可能になるのは午前1時。 あと35分。 【F-05/00時25分】 【宮原葵@絶望鬼ごっこ】 [役]:子 [状態]:爆弾化 [装備]:『水晶』 [道具]:若干のお小遣いなど [思考・行動] 基本方針:死にたくない。 1:川尻さん(吉良吉影)とアミューズメントエリアを捜索。 2:鬼に警戒。 3:幼なじみが巻き込まれていたら合流したい。 ※その他 自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 吉良吉影のキラークイーンによって爆弾化しました。 【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】 [役]:鬼 [状態]:健康、姿は川尻浩作 [装備]:ー [道具]:四次元っぽい紙袋、不明支給品3つ [思考・行動] 基本方針:親の振りをしながら鬼以外を始末する 1:まずは宮原葵と同行する。 2:参加者の役を見分ける方法を考える。 ※その他 バイツァ・ダストは杜王町でないことと本人が能力を把握しきっていないことで使用不可。 宮原葵をキラークイーンで爆弾化しました。
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どうあがいてもぜつぼう【登録タグ あるちゅうま~さん と オンナスキーP 初音ミク 曲 殿堂入り】 作詞:あるちゅうま~さん 作曲:あるちゅうま~さん 編曲:あるちゅうま~さん 動画:オンナスキーP 唄:初音ミク 曲紹介 う え て し ぬ(´・ω・`) この動画はノンフィクションであり、あるちゅうま~さんの日常風景です。(投コメより) すさまじいサムネブラックホールで、殿堂入りを達成した。 歌詞 ただ 支払いのためだけ 嗚呼 働いてるよ いつか 人と関わらずに 生きて いけたらいいのに 金のために 酒のため 俺は生きてるんだろう 先月の支払いも 間に合わず 途方に暮れる カードが止まったら 金もない そんな暮らし う え て し ぬ コメント 名前 コメント
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「心底理解に苦しむね」 辟易したように眉尻を下げて肩を竦める青年は凡愚の身形をしていなかった。 黒の長髪に僧職を思わす五条袈裟を纏った上でその背丈も日本人離れした高さとなれば風格は自ずと後から付いてくる。 その上でモデルやアイドルに転向したとて通じるだろう端正な顔立ちまで備わっているのだから、天は人に二物を云々の訓はとんだ虚言といえた。 そんな彼は辟易したように肩を竦めながら、隠すつもりもない嘲笑を自らの主へと向けていた。 しかしてあるのは嘲りだけではない。 その奥には主への嫌悪が蜷局を巻いている。 ディスプレイの明かりが並ぶ机の前で椅子に腰掛けて青年を見つめる主君は、ひどく華奢で色素の薄い少女だった。 英霊に年齢という概念を適用して語るのも妙な話だが、外見だけで見たなら彼よりも十歳以上は確実に下だろう。 そんな娘が、かつて最悪の呪詛師と呼ばれた男を三画の刻印のみを頼りに従えている。 ひどく可笑しな話だった。 彼も…他でもない娘自身もそう思っていた。 「君は元の世界に帰りたい。そして私は聖杯を手に入れ生前果たせなかった理想を叶えたい。 利害が一致しているのならば、後は最短距離で目的の達成に向け漕ぎ出すべきだと思うんだけどな」 彼らの道は決して別れてはいない。 元の世界に帰るにしても、この異界を抜け出す手段が確立されていないのだから現状は聖杯戦争に勝つ事のみがそれを叶える唯一の術になる。 キャスターのサーヴァントたる彼が全ての敵を滅ぼして熾天の頂へ至る事。 それが"帰りたい"という彼女の願いを叶える最適にして最短の手段なのだ。 娘もそこに異論は唱えなかった。 彼女が拒んだのは勝利するという方針ではなく、それを貫く上で彼が行わんとしていた所業の方だ。 「再三に渡り説明したつもりだが…不足だったようだからもう一度講釈してあげよう。 この異界の街に存在する人間は全てNPC(ノンプレイヤーキャラクター)、つまり人形のようなものだ。 誰かが聖杯に至って戦争が平定されればどの道世界ごと消滅する泡沫以下の蜃気楼さ」 呪霊操術。 それが呪詛師の彼が用いる術式だ。 読んで字の如く呪霊を操る術式。 彼が所有する六千体以上の呪霊を意のままに解き放ち動かす究極の手数。 これを用いてNPCを対象とした魂喰いを行いつつ、異界東京都に潜むマスター達を炙り出し叩く。 自軍を肥え太らせながら着実に敵も減らせる妙手である。 しかしこのやり方を彼のマスターは頑なに拒んだ。 強行するなら令呪を使ってでも止める、その勢いでの拒否だった。 「それらの犠牲を厭う君の考えは"優しさ"なんて高尚なものじゃない。 心の贅肉というものだ。ひどく愚鈍で有害な、今すぐに切り落とすべき甘さだよ」 彼とて最悪のケースは想定していた。 敵を倒すのはいいがマスターまで殺すのは止めろとか、そういう甘ったれた事を言い出す可能性は考えていた。 だが魂喰いという合理的な戦略にまで難色を示されるのは想定の外。 討伐令を下す監督役や裁定者のサーヴァントが存在しないこの東京において、それは最も優れた食い扶持である。 それをつまらない感情に任せて拒むとはとんだ無能に呼ばれてしまったものだと、そう思わずにはいられない。 瞳の奥に数多の命を奪い踏み潰した凶光を一筋灯しながら、改めて己のマスターへと問いかける。 頭が痛かった。 本当は契約関係で繋がれているだけでも腹立たしいというのに。 今回の件を抜きにしても――この娘は己にとって頭の先から足の先まで、骨は愚か魂の髄まで忌まわしい嫌悪の対象であるというのに。 「それでも君は人形の死を拒むのか?」 「うん――それでも」 少女はただ真っ直ぐに呪詛師の目を見上げていた。 寒色の髪に色の薄い肌。 力を込めれば呪力に頼らずとも簡単に手折れそうな程か細い手足。 体のどれを取っても弱々しい印象しか与えない羽虫のような小娘であるにも関わらず。 彼女はただ毅然と、呪詛師(キャスター)が。 「わたしはもう、あなたに誰も殺してほしくない」 …また誰かの命を奪うのは嫌だと、我儘を吐いていた。 時計の針は宵の刻を指している。 呪詛師・夏油傑は憚る事もなく嘆息した。 彼にとって人間一人の感情を変えさせる事などは造作もない。 どれだけ強情な人間でも皮を剥いて神経を弄ってやれば。 あるいは安らかとは程遠い死の気配を味わせてやれば、その心は容易く砕け散る。 研鑽を積み正しい力を持って邁進する呪術師ならばいざ知らず。 「いいご身分じゃないか。自分は安楽椅子に座っているか強者の影に隠れるかしかできないのに、意志の強さだけは一丁前とは」 術式も持たず。 覚悟もなく。 挙句の果てに存在するだけで呪いの生まれる土壌を形作る。 「胸を張るといい、宵崎奏。君は実に模範的な猿だ――君達の事が大嫌いなこの私が保証するとも」 そんな猿の心根一つ動かせないのが今の夏油だ。 宵崎奏というちっぽけな猿の手にある令呪が。 そして、要石無くして英霊は存在できないという忌々しい"縛り"が。 夏油をこの猿の飼い犬に貶めていた。 そうでなければこんな猿の一匹、話を聞く間もなく呪霊の腹にでも押し込んでやるだけなのに。 令呪と要石という二つの縛りが…最悪と呼ばれた呪詛師の采配を、鉛で塗り固めたように重く鈍いものへ歪めているのだった。 ◆ ◆ ◆ 英霊の断末魔は猿共のそれと何ら変わらない。 大概は無念の色に彩られている。 英霊の座というのも玉石混淆なのだろう。 玉から石まで選り取り見取りということか。 逃げ去るマスターの体を地から這い出た巨大な芋虫が丸呑みにして咀嚼する。 骨が砕けて肉と混ざる音を他人事のように聞きながら踵を返す夏油。 本戦までの道すがらに立ちはだかる敵を一つ潰せたと言うのに、その表情に浮かれた様子はなかった。 道化じみた笑顔も鳴りを潜め。 ただ虚ろな無の貌(かんばせ)だけがそこにはある。 自分に、これ以上手を汚さないで欲しいと願った娘の顔が思い出された。 高尚な事を言っていた。 だが結局はこれだ。 アレに実際に凶行を止められるだけの知恵はない。 目前で犯そうとすればそれこそ令呪も使いかねない危うさはあるが、何も言わず影で殺す分にはアレは自分を止められない。 その実に猿らしい無力さは夏油にとって本来愉快痛快。 しかして彼は嗤わない。 そうする事すら疎ましい程、夏油はあの娘の事が嫌いだった。 「戻ったよ」 望み通り当面は魂喰いは控えよう。 しかしあくまで当面の話だ。 敵は殺す。 再契約を結ばれる危険を避ける為にも敵のマスターは呪霊の餌にする。 そしていつか状況が整えば、当初の予定通り魂喰いを決行して自軍の総力を高める工程に入る。 その時もまだ立ち塞がるというならば。 その時はマスターの鞍替えすら視野に入れて考える。 猿の浅い性根を騙し欺く事など、夏油に言わせれば赤子の手を捻るように造作もない些事なのだから。 「…戻ったと言っているんだけどね。相変わらず良いご身分で」 「あ――ごめん、キャスター。無視した訳じゃないんだ」 戻ってきた家の中には明かりの一つも点いていない。 宵崎奏は机の前に座り、無機質なブルーライトに照らされながらキーを叩いていた。 そこに視線をやれば表示されているのは譜面。 ゲームか何かに興じているのかとも思ったが、すぐに違うと分かる。 彼女は曲を創っているのだ 自分の頭と指で新たな音楽をこの世に生み出そうとしているのだ。 平穏から切り離されたこの異界東京都の只中にありながら。 何度目かの溜息が口をついて出た。 更には厭味ったらしい小言も。 「君は選ぶべきだ」 夏油に音楽の心得はない。 だが画面を見ればそれが高度かどうかの判別は付く。 奏の曲作りは単純な趣味の範疇に収まるものではなかった。 自分の人生を擲つ勢いで心血注いで打ち込む"存在証明"。 非術師が何を創り何に命を懸けようが夏油の知った事ではなかったが… 「両方は選べない。人生はそう都合よくは進まない」 人は誰しも全能を空想する。 夏油にとってそれは"最強"だった。 自分達ならば何でもできると本気でそう信じていた。 典型的な若気の至りだ。 早く夢から醒めていれば良かったものを。 敗北の泥と喪失の澱に呪われるまで、ついぞ自分は気付けなかった。 そして今も。 夏油傑は夢を見ている。 見続けている。 現実という汚泥の中で楽園の夢を空想し続けている。 「死ねば君の曲が何かを産む事もない。誰かの心に届く事もない。 君のような非力の猿に両方を選ぶ道は歩めない。 力ある者にすら歩む事の叶わない道を、術の一つも使えない小娘が歩めるものか」 非術師を淘汰した呪術師だけの世界。 呪霊が生まれる事がなく。 そして力無き弱者という名の衆愚に正しい者達が足を引かれる事もない極楽浄土。 それが夏油の抱く願いであり野望だ。 聖杯を手に入れたなら彼の生まれ育った世界から、彼が猿と呼ぶ人種は草の根残さず消え去るだろう。 その願いの元彼は此処に居て。 この呪いを呼び寄せた奏は、その死と呪詛に塗れた願いを知っている。 そうでなくば"もう"誰も殺して欲しくない等という言い回しはすまい。 なのに―― 「やっぱり優しいね、キャスターは」 なのに何故、この娘はそんな言葉が吐けるのか。 矛盾している。 潔癖じみた善性を謳いながら非術師の虐殺を是とする呪詛師を従え、あまつさえ優しいだなどと評するなんて。 苦笑しながら奏はまた夏油の顔を見上げた。 アイスブルーの瞳の奥底にあるもの。 その正体がようやく分かる。 「キャスターの言う事は…正論だと思うよ」 「ならば」 「でも、見捨てたくないんだ」 「――何故」 「ずっと昔に決めたから」 一歩踏み外せば死が待つ呪わしき死滅の儀式にありながら。 誰かを犠牲にしたくはないと、見捨てたくないと夢を見る娘。 その根底にあるものはなんてことのないありふれた概念。 夏油傑もよく知る慣れ親しんだもの。 人間という生物がこの世に発生した恐らくその瞬間から存在した病。 「どんな人でも救える曲を作るんだって――決めたから」 あぁ。そういう事かと。 夏油はやっと納得できた。 宵崎奏は呪われている。 誰かを救うという縛りを自らに科して。 自分自身を呪いながら誰かを救う、後先のない救世主。 いつか燃え尽きる身代わり人形。 その道に先は無い。 茨の道を歩き続けた末に、報われる事もなく断崖を転げ落ちて死ぬだけだ。 もしくは挫折して歪み果てるか。 傲慢な正論を得意げに振り翳して最強を騙り、夢破れて死を振り撒く事しかできなくなった誰かのように。 ヒトの出会いは引力のように引き寄せ合う。 ならば宵崎奏が…全てを救う事を志す傷だらけの救世主が。 数多の死の上に立ちながら救世を謳う敗残者を呼び出してしまったのは、つまりそういう事なのだろう。 夏油傑は誰かを救うという生き方の成れの果てだ。 弱さという名の醜さに尊さという仮面を被せて見ないフリをし続け。 それでもと彼らに寄り添い続けた男の腐乱死体こそが夏油傑(これ)なのだ。 「わたしにできる事があれば何でもする。危険な事だって頑張るから」 「思い上がるな。君にできる事など何一つない。 君は私をこの世界に留める要石で、私が理想を遂げる為の道具に過ぎない」 「じゃあキャスターがわたしを使って。わたしはあなたの道具なんでしょ?」 「君は…」 眉根を寄せる。 それは家族達の前に立つ救世主としての顔ではなく。 現実に呪われ悪夢に酔う事を選んだ、あの日の人間の顔だった。 「――お前は、何がしたいんだ」 その答えは夏油自身分かっている。 宵崎奏は救世主なのだから。 縛りは誰かを救う事。 得られる対価は、生きる事。 そんな女のしたい事があるとすれば。 それは愚かしいまでの―― 「わたしは」 決して救われる事のない優しさで、誰かに手を差し伸べ続ける事以外にある筈もない。 「――あなたにも、救われてほしいと思ってる」 ◆ ◆ ◆ その夢を認める事はできない。 宵崎奏は夏油傑の生涯を垣間見てそう思った。 彼の理想は他人の死を前提としている。 力無き者全て。弱き者全て。 非術師の猿を皆殺しにし、呪いが生まれる事のない完全無欠の世界を実現する――それは。 誰かを救える曲を作りたいと願い呪われた少女にとって、許す事のできない世界だったから。 しかし奏には夏油を否定できなかった。 彼の見る世界はいつだって汚泥に塗れていて。 その生涯はまるで泥の中を泳いでいるよう。 そして奏は思った。 気付いた、と言うべきか。 ――この人はわたしかもしれない。 正しい想いで誰かを救っていた。 しかしいつしか闇を無視できなくなってしまった。 守るべき弱さが憎むべき醜さにしか見えなくなって。 間違った答えを得てしまったから戻れなくなった。 救うと決めた手で誰かを殺して、壊して。 最後の最後にほんの微かな救いに触れて、そしてそれでもまだ解けない呪いに苦しんでいる。 誰かを救う事の意味。 誰かを救い続ける事の重み。 宵崎奏はまだそれを知らない。 奏自身、その自覚はあった。 その目前に突き付けられた"もしも"の自分(わたし)。 …助けたいと思った。 救ってあげたいと、そう思った。 このままじゃ彼は永遠に救われない。 きっと聖杯を手に入れたとしても。 それでもきっと――この人は救われないんだろうなと。 根拠も無いのにそう分かってしまったから。 だから奏は作り続ける。 この世界でも、作り続ける。 誰かを救える曲を。 汚泥の底に沈んでしまった優しい人の魂にも届くような音楽を。 伸ばしたこの手がいつか届くと信じて。 その体を傷つけながら。 他でもない自分自身を勘定の外に弾き出しながら。 宵崎奏は夏油傑を救いたい。 親友の手で与えられた安らかな眠りに、いつか彼が帰れるように。 清らかな光と心で闇の中へと歩んでいく。 いつものように。 そう、いつものように。 【クラス】 キャスター 【真名】 夏油傑@呪術廻戦 【パラメーター】 筋力C 耐久B 敏捷D 魔力A+ 幸運E 宝具EX 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 陣地作成:A 呪術師として"帳"を下ろす。 展開部と外界を遮断し、内部を外から認識できないようにする。ただし認識を阻めるのは魔術、呪術の素養がない非術師に限られる。 更に帳に特殊な条件を加える事で別個効力を付与する事も可能である。 呪術師(呪詛師)として最高位の技能を持つキャスターの場合、特定個人の侵入を妨げる帳の展開すら可能とする。 【保有スキル】 呪霊操術:A++ 呪霊を取り込み操る術式。 降伏した呪霊を球体に変化させて経口摂取で取り込む。 サーヴァントの使い魔は愚か、サーヴァント本体でさえ魂の組成次第では術式の対象になり得る。 最大の強みは圧倒的な手数の多さ。呪力行使は呪霊自身の呪力によって行われる為燃費も極端に良い。 キャスターは合計して6000体以上の呪霊をこの術式によって取り込んでいる。 呪詛師:A+ 呪力を操り呪いを祓う人間を呪術師と呼ぶが。 逆に呪力を用いて他人へ害を及ぼす者はこう区別される。 キャスターは当代に数える程しか存在しない特級術師である為ランクが高い。 術式の行使は勿論、呪力による肉体強化等幅広い応用の幅を持つ。 カリスマ:D 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である。 【宝具】 『呪霊操術・百鬼夜行』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~1000 最大補足:1000人以上 彼が最悪の呪詛師と呼ばれるに至った所以の大規模テロ。 新宿と京都の二都市にそれぞれ千体以上の呪霊を放ち非術師の皆殺しを目論んだ、"新宿・京都百鬼夜行"。 それをサーヴァントとなった現在の霊基で再現する、大規模軍勢召喚/百鬼夜行再演宝具。 『うずまき』 ランク:EX 種別:対城・対霊宝具 レンジ:1~50 最大補足:500人 極ノ番。呪霊操術の最大奥義。 所持する呪霊を一つに圧縮し、高密度の呪力の塊を放出する。 その威力は非常に高いが、呪霊操術の強みである手数を捨てる事にもなる為一長一短。 が――力の真髄はそこではない。 この宝具により一定以上の格を持った呪霊を圧縮した時、術式の抽出と呼ばれる現象が発生する。 呪霊から術式そのものを吸い出して自らの物にできるという破格の奥義。 生得術式を複数使用するという規格外を実現可能であり、また当該術式の項で触れた通り聖杯戦争においては時にサーヴァントすら呪霊操術の術式対象となり得る。その条件を満たしたサーヴァントを取り込めた場合、当然この奥義で術式抽出を行う事も可能である。 【weapon】 特級呪具『游雲』 【人物背景】 最悪の呪詛師と呼ばれた男。 新宿・京都百鬼夜行事件の首謀者。 【サーヴァントとしての願い】 世界の清浄。かつて思い描いた地平の実現。 いずれはマスターである宵崎奏をも殺して理想を叶える心算。 【マスター】 宵崎奏@プロジェクトセカイ 【マスターとしての願い】 元の世界に帰る 【能力・技能】 作曲家としての抜きん出た才能。 本職の作曲家をして賞賛させ、同時にその自信を喪失させる程の天賦の才。 奏にとって祝福でもあり呪いでもあるギフト。 【人物背景】 救世主たれと呪い呪われた少女。 そして実際にそうあれる才能を与えられた幼子。 【方針】 協力できる相手とは手を取り合いたい。 キャスターの事も救ってあげたい