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できるだけ急いで戻ったとはいえ、農場に着いた頃にはやはり日没を過ぎていた。日が落ちるとぐっと気温が下がり、余計に寒い。……早く戻らないと。 身震いしてロワジィは主一家の住む母屋を訪れた。 「ロワジィ、」 母屋へ向かう中途で、末娘と中の娘が彼女を見止めて手を振り、駆け寄ってくる。ありがたい。なんて都合がいいんだろう。そう思った。彼女が探していたのも、農場の主の男ではなく、その娘たちだったからだ。 「お仕事帰り、……?」 戻ってまっすぐ母屋に向かったので、返り血やら砂汚れやらでわりと全身ひどいことになっているはずだ。あたりが暗くなっているので、はっきりと見えないとは思われるが、臭うかもしれないと思った。 せめて顔くらい洗って来ればよかったかな。ちらと後悔したが、今さらどうにもできないので開き直る。 「ええ、野犬退治のね。もっと手間取るかと思ったんだけど、思ったより早く終わったの」 汚れててごめんね、一言謝ると、慣れてるしわたしたちも畜舎帰りだから大丈夫よ、娘たちはそう返す。町の人間なら顔をしかめるところかもしれないが、さすがに農場育ちだと思った。 野犬を打ち殺すだとかそこまで物騒な荒事はしなくても、生き物の世話をしていれば、日々の糞尿の始末のほかに、出産だの角切だの去勢だの、汚れもにおいも、滲みつく仕事はいくらでもあった。慣れている、と娘たちが口にしたのはそう言うことだ。 「ギィさんは、一緒じゃないのね」 彼女がひとりでいるのを見て、末娘がたずねる。そうなの、頷きながら、ここに長女が居なくてよかったと思った。 「まだ後始末があってね。あのひとには残ってもらったのよ」 恋をする女の勘は鋭い。得意でないロワジィの嘘は、上の娘にきっとすぐに見通されてしまっただろうと思う。 「……それでね、ちょっとお願いがあるんだけど」 言いながらロワジィは胸元をさぐり、体を丸めておとなしく寝ていた仔犬を取り出した。なに、と興味津々で覗きこんでいたふたりは、取り出されたそれを見てうわあ、と小さな声をあげる。なに。なにこれロワジィ。すごく可愛いんだけど、どうしたの。 彼女のぬくもりから離された仔犬は、すん、と鼻を鳴らしよく開かない目で周囲をさぐる。ちいさな前足指がたよりなげに宙を掻き、そのしぐさにまた娘たちがそわそわと色めきたった。 「えーどうしたのこれ。さわりたい。……さわってもいい?」 「この仔の世話を、すこし頼めるかな」 「いいわよ。いつまで?」 彼女から仔を受け取り、前掛けの中に包んで、ふたりはきゃあ、だとか、やだ小さい、だとか悲鳴を上げている。彼女がたずねるとすぐに返事がもどってきた。 「あたしが戻ってくるまで、お願いしたいのだけど」 「わかったわ」 家畜の世話で慣れている娘たちは、二つ返事でうなずいて、……じゃあお乳をあげないと。どうする?わたし山羊のところで絞ってくる。わかった。じゃあわたしはボロ布とか、入れる箱、探してくるね。 すぐ手はずを整えて、互いに頷きあう。 「ごめんね」 可愛いのは確かだが、世話には手間がかかる。彼女たちは今晩、仔が乳を欲しがる毎に、乳を温め、麦わらで吸い上げたものを口先へ運び、満足するまで飲ませる作業をしなくてはならない。なんだか申し訳なく思えて彼女がそういうと、ロワジィなんで謝るの、不思議な顔をされてしまった。こんな可愛いもの、放っておけるわけないじゃない。 若くてもやはり母性というものなのかなと思う。それから若いとはいえ、自分はこの年にはすでに、絵描きの男と娶わされていたなとも思う。そうして、若いだとか既婚だとかそんなのは結局のところ関係ない、可愛いから放っておけないと、ただそのままに言える率直さがうらやましいと思った。 そうして笑われた。 「ロワジィって、いつもごめんねって言うのね」 「……そうかな」 言われて戸惑う。 「ありがとうでいいのよ」 娘ほど年のはなれている少女から諭されてしまった。そうね、苦笑し素直に返す。 「ありがとう。お願いね」 男と別れたあたりに戻ると、やはり深更近くになっていた。どんなに急いだところで、人間の足には限界があるのだなと、おかしなところで納得してしまう。車や馬のようにはなれないのだ。 朝小屋を出てからほぼ休みなく一往復半したため、太腿の付け根が痛み、靴の中にはまめができていた。歩くことには慣れていても、自分のペース以上に無理を押せばそうなる。すこし引きずる形になったが、それでも足は止められなかった。 小屋に寄り、目についた暖をとれそうな掛け物を、とりあえずまとめて縛って負ってきている。寒い、と震えていた姿がロワジィの頭から離れなかった。……温めてあげないと。そう思う。 本当だったら、戸板か荷車にでも乗せて運びたいところだ。けれど戸板はロワジィひとりでは運べなかったし、整地された場所ならともかく、藪の中を車輪は進めない。最悪男を背負って彼女が頑張る、という手もあったけれど、縦にも横にも図抜けている男をどれだけ運べるかはロワジィにもわからない。 とりあえず休ませて、体力の回復をはかり、少し無理をしてでも農場へ戻るしかないと思う。できれば戻るまで待ってほしいと思った雪は、ちらつきはじめていた。 視界の悪くなったのも相まって、男を置いて行った近くまで戻ったはずなのに、居場所を見つけるのにだいぶん手間取った。 ……たしかこの辺だったのに。 焦る気持ちばかり先走り、あちらこちらの藪を覗いて、そうしてようやく燻ぶる焚火のそばにうずくまる姿を見つけた。焚火の火勢はほとんど消えている。木を足すことができなかったのだなと思った。 なんだか胸がいっぱいになってしまった。 とりあえず獣に襲われずにいてくれたな、だとか。でもこのまま近づいて息をしていなかったらどうしよう、だとか。 だから茂みを鳴らして、おそるおそる彼女は近づいた。音が聞こえたのか男の肩が僅かに揺れる。顔をあげる元気はないようだった。眠っているのかもしれない。 それでも崩れることなく、膝を抱えたまま体勢を保っていられるのだから、大丈夫、ロワジィはおのれにそう言い聞かせる。 重病人は腰が据わらない。座った姿勢を保てない。おのれの体重をおのれで支え切れなくなるからだ。 近づき、まずは木切れを焚火へいくつか放り込んで、熾火をかいた。燻ぶりをあげていたそれは、燃えるものを与えられ、ちろちろと表面をなめ、木肌をたしかめるとすぐに燃え移る。 周囲がうっすら明るくなった。それだけで少しほっとする自分がいる。 橙になった闇に、男が身じろぎ、今度は膝の間から頭をもたげる。緩慢な動きだ。木をくべたロワジィを見止め、うん、とわずかに息を漏らした。おかえりだとか、戻ったのかだとか、そんなことを言いたいのだろうなと思ったので、ただいまと言っておく。 「ただいま。遅くなってごめんね」 ごめんね、と言いかけて、つい先ごろ、農場の娘たちから笑われてしまったことを思い出した。そんなにごめんねって言っていたろうか。そのときはそう思ったけれど、わりと口癖になっているらしい。 「……待っててくれてありがとう」 言い換えた。言い換えると、日頃の自分ではないようで妙に気恥ずかしくて、ロワジィは目をそらし背負ってきた荷を解くことに専念する。顔が赤くなっているかもしれないが、この暗がりと焚火の照り返しでどうとでもごまかせる。よかった。 ありがとうなんて、やっぱりガラじゃないわ。 そんなふうに思う。 「――食べれそうなら、なにか、食べる」 「いや……、いい」 男がのろのろと首を振った。 まあ、この状態なら食べられないわね。 納得して、それから結わえていた紐をほどき、厚手の布だの毛布だの大判の木綿布だのすべて重ねて、男にかぶせてやる。 小屋から持ち出してきたありったけの上掛けだ。 「まだ寒い?……寒いよね」 「いや、」 「ちゃんと言って。ひどい顔」 男の頬と額のあたりは浮腫んで赤くなっているのに、唇は青く、全体的に色も悪い。うなじに手を当て、それから手首と足首もたしかめる。頭や首回りはひどく熱いのに、手足は凍るように冷たいのだ。 顔が曇っていたのか、男がこちらをうかがう気配がした。目をあげるとやはり彼女を見ている。なに、目で問うた。どこか苦しい? 手を取りごしごしと摩ると、男がちいさく開けた口から息を漏らす。 「あんたは、あったかいな」 「まあ、ずっと歩いてきたしね」 息せき切るように急いだロワジィの体は、湯気が立ちのぼるほどあたたまっている。言われて自分の体温に気がついた彼女は、この熱を利用しない手はないかとふと思いついた。 「えーと、……そうね」 男を包んでいた掛け物を一度はがして自分の背に回し、 「ちょっと失礼しますよ」 言って後ろから覆いかぶさるように抱きついてみる。 これが普通の相手だったら、おそらく上背のある彼女は胸のうちに相手を抱えられたのだろうけれど、なにしろ男は規格外の大きさだったので、後ろからしがみつくような態になる。ちょっと笑ってしまう。 傍目から見たらだいぶん滑稽にちがいない。 抱きつくと、男が身じろぐのが判った。いきなり接触されて不愉快なのだろうなと理解はしたが、 「なんていうか、厭だろうとは思うけど、緊急事態っていうか、背に腹は代えられないってやつだから、いまは我慢してね」 言って回した掌で男の鎖骨あたりをとんとんと叩く。 「……いや、」 胸板を叩くなだめるような動きをぼんやりと眺めていた男が、気持ちがいい、そう返す。 「あんたが、冷たくて、気持ちがいい」 「あたしが冷たいんじゃなくて、あんたが熱すぎんのよ」 ……まったく、あったかいやら、冷たいやら。 呆れた口調になってため息をつきながら、彼女は腰につけていた水袋を差しだした。 「寒いけど。水飲んで、もう寝ちゃいなさい。あとはあたしが見てるから。寒いけど。寝たら、ちょっとはマシになるわ……、……たぶん。ろくな寝具もないし、雪降ってきたし、寒いけど」 「いや、」 十分だ。 水袋を受け取るついでに、冷え切った指を包んでいた彼女の手に重ねて、男がゆるく笑う。 「あんたといると、あったかい」 「本当は、横に寝かせてあげたいけどね……、」 男が飲み終わった水袋を今度は彼女が受け取りながら、ロワジィは上を向いて思案した。 横にはなれないのだ。 不寝番をかってでる自分がいたとしても、同じことだった。 冬季、屋外で夜を明かすときには、基本的に地面には横臥しない。どれだけ下敷きを敷いたところで、所詮野外である。霜も降りれば夜露も垂れた。接地する面が多ければ多いほど、体温をうばわれる。昨日今日の寒さなら、そこから凍死につながる恐れもあった。 「うーん」 ロワジィは勿論、男も山の仕事をひとりでこなしていたのだから、それを知っている。熱があって、眩暈がひどくても、姿勢を崩さず膝を抱えて座っているのは、そう言うことだ。 「俺は、このままでも、十分、」 大丈夫、言いかけた肩をぐいと彼女はおのれの側へ引き寄せる。普段よりこらえのできない男の体は、簡単に彼女の体に倒れ、もたれた。 うわ、とちいさく声をあげて、胸元に沈んだ男が、慌てて起き上がろうともがくところを、ぐいと押しとどめ、半ば羽交い絞めにしながら、 「こら、おとなしくしなさい」 「待て、俺、重い」 「このくらいなんともないわよ。……じっとしてなさい。熱あがるでしょうが」 「いや、でも」 「寝かせてあげたいけど、横になれないんだから、だったらこうしてちょっとでも寄っかかって楽になりなさいよ」 「だが、」 「いいいいいいから。厭だってのはわかってるの。でも我慢しなさい。具合悪いんだから。あのね、あんたには、できる限り回復して、農場まで自力で歩いて帰ってもらわないとならないのよ。あんまり暴れると、すまきにしちゃうわよ」 わりと本気で凄(すご)む。それでもあきらめ悪く暴れていた男は、けれど彼女の腕が緩まないのを知ると、やがて徐々に力を抜き、大人しくなった。 ひとつため息をつき、そのあとは観念したのか、目を閉じている。 とくにそれ以上話すこともなかったので、彼女も口を噤み、しばらく互いに黙り込んだ。 火の爆ぜる音だけが数度闇にのぼり、煙につられてあおのくと、空から粉雪が下りてくる。 これは積もるかもしれないな、魅入られて口を開け、次々と降り落ちる白いつぶてをそのまま眺めていたロワジィに、 「仔は」 男が不意にぼつりと口を開いた。 「預けて来たわ」 「娘」 「そう。下の子と、真ん中の子に会ったから」 男に答えながら、ふと今なら勢いで聞ける気がして、ねえ、と彼女は続けて呟いた。 「一番上の子」 「うん、……?」 「あんた、好きって言われたんでしょう」 「言われたが」 「それで?」 「……それで、というのは」 いぶかしげな顔になり、男が彼女にもたれかかりながらうっすら目を開ける。言われている意味が判らない、目で問われ、……だって、と彼女は口ごもった。 「可愛い子じゃないの」 「そうか」 「……そうか、って、それだけ?」 「それ以外、なにかあるのか?」 「……そう言うわけじゃあ、ないんだけど……、」 歯切れ悪く返す。好きだって言われたんでしょう、あんたは彼女のことどう思ってるの。率直に聞けたら端から苦労はない。聞けないからぐだぐだ悩むのである。 うかがうように、彼女の表情が変わるのへ目をやっていた男は、逆に聞くが、と静かに言った。 「娘のこと、どうして、気になる」 「えぇ……、」 どうしてと言われても、答えようがない。あんたのことが好きだから、他の子が好きだって言ってたら気になるのよ。そんなふうに言えたらやっぱり苦労はない。 ごにょごにょと口中で呟くロワジィを、じっと見つめ、しばらく思案するそぶりを見せてから、俺もひとつ聞いてもいいかと言った。 「……なに?」 「あんた、なんで、村を出た」 「――、」 それを聞かれるとは思わなかった。不意を突かれて思わず男の顔を見下ろす。顔色が変わっただろう自覚はある。たしかにこわばったからだ。 狼狽をおもてに出したロワジィを見て、言いたくないなら言わなくていいと、続けて男は言った。慌てる様子はない。彼女が動揺するのを大方予想していた口ぶりだった。 「無理に、聞く、いやだ」 気を使っているのだろう。気づいて、すこしだけおのれの頬のこわばりがほぐれるのが判る。聞かれておいて、気を使われるのがうれしい、というのもおかしなものだと思ったけれど、実際そうだから仕方がないのだ。 「別に、とくべつ秘密ってわけじゃないのよ、……ただ、聞いたってちっとも楽しい話じゃないってだけ」 「聞いてもいいか」 「そうねぇ」 あんた、楽しくもないあたしの重ーい話聞いて面白いの?真顔で尋ねると、あんたの話なら何でも聞きたいと真顔でかえされてしまった。困る。そんなように率直にかえされるのも、熱で茹だったひどい顔をしているのに、じっと彼女を見上げてくるのもたいへんに困る。 だから彼女は男のまぶたへ手を置き視界をふさいだ。そういえば前に昔語りをしたときは、男が自分の目に掌を当てていたな、だとかどうでもいいことを思い出す。 あのときも夜で、野外だった。 「いいわ。話す。でも聞いたら何も言わずに、黙っていい子で寝ちゃいなさいね」 そのまま、風がないためまっすぐに空から降りてくる雪が、炎の中に溶けて消えてゆくのを眺め、 「今日みたいな日だった」 彼女は口を開いた。 ロワジィと、すこし風変わりな絵描きの男が、暮らし始めてから三年が経ったころ、ふたりの間に子供が生まれた。 女児だった。 夫によく似た黒い髪と黒いまなこの赤ん坊だった。内心、赤毛にならずにほっとしている自分がいた。同じように赤くなって、同じように村の子供らにからかわれるのはかわいそうだと思ったからだ。 生まれたばかりの我が子を抱いて、夫がまず言ったのは、なんて君に似て器量よしなんだ、年頃になったら悪い虫がきっと付いてしまう、付いたら僕はどうしよう、で、聞いた彼女は呆れたあとに笑ってしまった。まだ握った掌も開いていない赤ん坊に何をいまから。 けれどその心配の方向の明後日具合が、夫らしいとも思えた。 小さな家で赤ん坊と三人の暮らしがはじまり、熱が出ただの腹を下しただの、そのたびに大騒ぎして、それでもとても楽しかった。赤ん坊の居る分、家事も増え、忙しかったろうに、日に日に成長してゆく姿をいつくしみ、絵描きの夫はたくさんの我が子の絵を描いた。彼の描いた絵の中の子は、かならず髪に一輪の赤い花を挿していた。 ――これは君だよ。 絵描きの彼は言う。 ――黒にはいっとう赤が合うんだ。 矢のように毎日は流れて行って、気がつけば家族が増えてから二年過ぎ、三年目を迎えようとしたあたりの話だ。 町へ雑貨を買い付けに行った村の人間が、穏やかでない話を聞き込んで戻ってきた。 ――隣の国で大きな戦があって、負けた方の兵士がたくさん、この国へ流れ込んだって。徒党を組んで、山城にこもり、近隣の村を襲って回ってるって。いや、噂ってだけじゃねぇんだ、げんに、ほら、山ふたつ向こうの村もやられたって……、……。 ――被害届をお役所にだしたって言ってたけど、ほら、どうかな、町の人間は自分たちが危なくなけりゃあ、棄ておくんじゃあないかね。 近隣の村を交えて、夜更けまで何度も話し合いがもたれ、最終的に、自分の身は自分で守るしかない結論に至った。公的機関に頼っていられない。お役所は腰が重いのだ。このままではそのやられた村の二の舞である。 やられる前にやれ。 有志で討伐隊を組み、山城を叩くことになった。 野盗退治は恐ろしい。元兵士ともなればなおさらだ。けれど周囲にろくな防衛柵もない部落であったから、反対するものはいなかった。襲撃を受けた場合、防ぐすべがないことはだれもが判っていたからだ。 ロワジィは討伐隊に志願した。 若さと腕っぷしを考えて、村の男どもにひけを取らない自分が行くべきだと思ったし、夫は足が不自由だ。 平穏な暮らしを守りたかった。 志願したと伝えたその日の夜、絵描きの夫は結婚後はじめて声を荒げて、僕はいやだと言った。 君が言っていることも判る。たしかに野盗がやってきたら、ひどいことになるのも判る。でも僕はいやなんだ。君はどうしても行かないといけないのかい。やられるからやれ、君のそんな姿をあの子に見せたくないんだよ……、……。 綺麗ごとだわ。 ロワジィは言い返す。 あなたの言ってることはきっと正しいのだろうけれど、理想論でしかない。目の前に腹をすかした狼が羊の群れにせまっているのに、見ないふりをして花を摘んでいるのと同じ。追い払わないと喉元を食いちぎられるのが判ってるのに、それでも現実から目を背けるの? 話し合いは平行線だった。互いの言っていることは頭では判っている。判っているが、それを認めることができなかった。 手斧と短弓を腰に挿し、夫の制止の声を聞かずに家を出た。 近隣の部落からも志願したものどもを合わせると、軽く一個小隊ほどの人数になった。隣の村に、むかし軍籍に身を置いていたものがいて、その人間の指示で隊列を組み、彼女たちは山城に向かった。 数日かけてたどり着いた、山城とは名ばかりの崩れかけた見張り塔には、誰もいなかった。たしかに先ごろまで人が生活していたらしい跡はあったけれど、塔にもあたりの藪にもなにもいなかった。 ――逃げたのか。 誰かが言った。俺たちに恐れをなして逃げたんだ。 張りつめていた空気がふと和らいで、みなが笑った。それまでどれも家族と今生の別れを覚悟してきたような顔色だったから、そのゆるみは明らかだった。 その時、ひとりの張りつめた声が頭上で聞こえた。絶叫だった。 崩れかけてはいたけれど、当初建てられた見張り塔としての目的の高さは失っておらず、そのてっぺんに何の気なしに上った人間の喉からほとばしった絶望の声だった。 向かいの尾根向こう、彼らの村がたしかにある方向から、いくつもいくつも狼煙のように煙が立ち上っているのだ。 あまりに遠くだった。だから見えるはずがないのに、真っ赤に燃える炎が、家と家族となけなしの貯えを焼きつくす情景が、誰の目にも見えた。 夜を徹し、みな無言で部落のあった場所へと戻った。 「……ひどい光景だった」 ロワジィは呟く。 数日かけて山城へ向かったのだから、どれほど急いでもやはり同程度の時間はかかる。村は嵐が過ぎ去ったあとで、野盗の姿はとっくにどこかへ消えていた。村の広場に逃げ惑った姿のまま、後ろから切り付けられた老人や女子供の体があって、その体には霜が降りている。 生きていた人間はほんの一握り、それもたまたま山や野畑へ出ていて村にいなかったものだけだった。 「あたしはすぐ家へ戻った。前も言ったけど、あたしの家は村からすこし離れたところに一軒だけ建ってたから、火付けされずにそのまま残ってた。家の周りもそんなに荒らされた様子はなくてね、だからきっと、あの子を連れて逃げてくれたんじゃないかなって思った」 そんなことないのにねぇ。 漏らした息で彼女は言葉をなぞる。 生き延びていた人間は、燃え残った家に身を寄せ合って、討伐に行った男どもが帰ってくるのを待っていた。だから、その場に無事な姿がないというのは、そう言うことだ。 それが判っていたのに、痺れたように思考の止まった頭は現実を受け入れない。 「暖炉の火は消えていた。かけてあったシチュー鍋がひっくり返っていてね。それから、床に転がったあのひとの体が見えたの。一間の小さい家だから、隠すものなんて何もないでしょう。あの子を背に、庇うようにして、あのひとは前からばっさりやられてた。……手には、」 手には鉞(まさかり)があった。 「ああ、このひと、逃げなかったんだって思ってね。あんなに争いごとをきらって、あんなに大きな声を出して、きれいごとを譲らなかったひとが、逃げなかったんだって。鉞なんて持ったことないひょろっちい腕と、萎えて棒切れみたいな足で、だのに娘を守ろうと思ったんだなって」 ロワジィは薄く笑う。涙は枯れた。もう十年も昔の話だ。 「だから、」 なにかを言いかける男の口をもう片方の手で塞いで、こら、と彼女は咎める。 「聞いたら黙って寝なさいって言ったでしょう」 「あんたは、」 「こーーらーー」 塞いだ掌の下からあきらめ悪く声を出す男へ、だが結局、そうよと彼女は返してやる。 「だからあたしは八つ当たりしてるの。憂さ晴らしかな。村をめちゃくちゃにした人間がどいつかなんて、もう誰にも判らない。名前も顔も知らない。今生きてるかどうかも定かじゃない。じゃあ片っ端から悪いやつ倒しちゃったら、そうしたら、そのうち、もしかしたらかたき討ちもできてるかもしれないって、……そういう、効率悪い正義の味方」 自分でも判っている。こんなことをして何になる。それで死んだ人間は浮かばれるのか。何度も自問自答し、なお言い訳の存在理由にあきらめ悪くしがみついていた。 振り上げた拳を振り下ろす場所がほしかった。 「同情しないでね」 男のまぶたに手を当てていてよかったと思った。こんな感情がぐちゃぐちゃになっている顔を見られたくなかった。 「かわいそうな女だって見られるのは厭なの」 雪のちらつきがだいぶ増えてきたように感じる。これは朝までに何度かテントの雪下ろしをしないといけないなと思った。 あたりはとても静かだ。 これだけ大量の細かな氷の粒があとからあとから降り落ちてくるのに、音を吸収してしまう仕組みがいまひとつ判らない。おかげで何も聞こえない。それが不思議だとロワジィはいつも思う。 不思議ねぇ、いつの間にか声でも呟いていた。あのときからずっとひとりで生きてきた気がする。 肩肘張って、男に混じって、莫迦にされないように生きてきた。売られた喧嘩はすべて買ったし、負ける気もしなかった。仕事仲間と意気投合し、次の仕事も同じように受けて群れているようでいて、それでも自分はずっと寂しかった。 「……なんだか、世界でふたりだけみたいね……、」 ここに男がいて、寄り添っている。いまは寂しくないと彼女は思う。 朝になっていた。 あのあと、雪の中、明るくなるまで彼女は男を抱いていた。 男はうつらうつらと浅い眠りをくり返し、時々うすく目を開けては彼女の顔を見上げる。なにかもの言いたげではあったけれど、明け方近くから咳き込みはじめ、喉の腫れもあるようだ。もともと語尾がかすれたような発声をしていたけれど、今はほとんどかすれている。 熱もまだある。 このままここで復調を待つのは厳しい。 抱えていこう。ロワジィは決めた。 このままここにいて、いっそう悪化させるよりは、おそらくいい。幸い雪は止んでいる。足場は悪いが、晴れているだけましだと思う。 そうして出立の準備をまとめる耳に、遠くから、おのれの名を呼ぶ声がした気がして、彼女は顔をあげた。空耳かと思ったのだ。 だが何度も彼女を呼び探す声がして、幻聴ではないことを確認する。応じると、驚いたことに農場の上娘が、驢馬(ろば)に橇(そり)を引かせて、林の向こう側からやってきた。 「……ああ、よかった……!」 橇に乗っていたのは、娘と、供の下男だ。下男の方は農場で働いている顔で、ロワジィも何度か話を交えたことがある。 「山犬退治は終わったみたいって妹たちが言ってたのに、戻ってこないし、なんだかロワジィいつもより急いでたってあの子たち言うし、雪が降ってきたし、……、きっと何かあって難儀してるんじゃないかって」 そう言ってうずくまり顔を伏せるギィの傍へ駆け寄った。……ギィさん。呼ばれて男は顔をあげるが、ぼんやりとして状況がよく判っていないようだ。 「ギィさん、具合悪いの」 「風邪だと思うんだけど……、怪我はないの、ただ熱と咳があって」 「今、小屋にお連れしますね」 そう言って供の男に、ギィを橇に乗せるように指示する。下男はうなずき、ギィに近寄ると脇に手を差し込んで肩を貸し立たせ、橇の荷台へ連れてゆく。 ロワジィと同じほどの背丈であったが、やはり男だ。ギィの大柄な体を抱えても揺らがず、しっかりと支えている。 「どうして、ここが」 その動きを負いながら、娘のやってきたことが信じられなくてロワジィは呟いた。 「仔犬を預けに来たときに、巣の場所を言ったでしょう。あの子たちから、だいたいの場所は聞いたの。あとは、近くに行ったら、判るかなって」 「判るかなって……、狩り損ねた犬の残りがいるかもしれないのに」 「大丈夫よ。ほら」 言って娘は手にした草刈り鎌を彼女に示す。ひとりで来たわけじゃないし、いざとなったらこれで身を守るわ。 「……、」 鎌を見せられてロワジィは苦笑う。襲われたら防ぐしかないのだし、たしかに対処法としてなにも間違ってはいないし、自分もそうして鉞をふるっているわけなのだが、さすがに農場育ちで逞しいというか、 ――これが恋する強さってやつかしら。 そんなようにも思った。なにかあったのではないかと察する勘も、実行に移す行動力も、段違いだ。 ……かなわないなぁ。 気圧されてしまう。抱えて戻る手立てしかなかった自分がなんだか情けなかった。 だが娘の好意はひどくありがたいのは確かだ。橇に乗れば、無理を押さずともギィを農場まで連れて帰ることができるし、かかる時間もよほど早い。 荷台に固定され、毛布で包まれた男と、娘を順に見比べて、 「お願いね」 ロワジィは言った。 驢馬がいくら小柄なわりに力があり、輓曳(ばんえい)に向いているとはいえ、足元の悪いのも鑑みて三人が限度と思ったし、だったら元気な自分は歩くべきだ。 「ロワジィ?」 「荷物もあるし、あたしは後から追うから」 「でも、」 娘はためらった。驢馬の引ける重さのことにまでは頭が回らなかったようだ。そんなひたむきなところも、可愛らしいとロワジィは思う。 「あたし、見た目通り重いの。こんな大きいのまで乗っちゃあ、驢馬がかわいそうよ。雪道なんだし、途中でへばっちゃったら本末転倒でしょう。大丈夫。あたしはどこも悪いところはないんだし、どうぞ先に行って。そのひとを早く横に寝かせてあげて頂戴」 ほらほら、言って彼女は笑って手を振る。いくらか逡巡した娘は、だがロワジィの言葉に促される形になって、頷いて手綱をとった。 「お願いね」 もう一度頼むと、ロワジィも気をつけてきてね、返される。声をかけると驢馬は手綱の鈴を鳴らしてゆっくり歩き出した。手を振り見送り、橇が見えなくなったところで、無理に作った笑みが消えた。 「厭だなぁ」 ぽつんと声が漏れる。 おのれに対しての嫌悪の声だ。 こんなところまで探しに来てくれた人間に対して、自分はどうしようもなくみっともない嫉妬をしている。自分にも橇があったらよかったのに、だとか、ギィを苦もなく支えられる下男の力がうらやましい、だとか。 地獄で仏とはこのことで、本当なら感謝してしきれない状況のはずなのだ。仮に予定通りロワジィが男を支えて戻ったとして、男が完全に自立歩行できなくなった場合、共倒れになる危険がある。毛布を巻いて縄で縛り、男を曳いて行ったとして、どれだけ進めるかもわからない。完全に意識気を失った人間の体は想像以上に重い。 たかが風邪だ。暖かくして寝ていれば治るもので、大騒ぎする必要はどこにもない。だが暖かさも、横になれる場所もない野外で、男がどれだけ持つかは誰にも判らない。現にロワジィも、こじらせてひどい目に遭ったのだ。 だから、男を橇に乗せ、連れて戻ってもらえるのは本当にありがたかった。ありがたいはずだった。 だのに、なんだかひどくみじめだ。 変におどけて明るく見せて、その実、男を楽に運ぶ方法を簡単に示して見せる娘に、内心ひがみを持つだとか、本当に自分が厭になる。 「厭だなぁ」 荷物をざっとまとめて背に負う。 重いから、驢馬がかわいそうだなんて、嘘だ。 たしかに自分が乗れば過重だと思われるし、降りたての固まっていないやわらかな雪を進むには、三人がぎりぎりだろうけれど、彼女が辞退したのはそういうことではなくて、ただ同じ荷台に乗り込む自分がみじめに思えるから、それだけだった。 「厭だなぁ……」 内面の美しさが表に出る、だとかいう謳い文句。美しさはあなたの内側から。表のつくりを飾るより、まずは自分磨きをしましょう。おすすめの生薬そろってます。お求めは〇〇薬屋で!にっかり、という言葉がぴったりの白い歯を見せる笑顔が書かれ、町のあちらこちらに貼られた張り紙。 だったら今、自分はきっとひどく醜い顔をしているだろうなと思った。鏡がなくてよかったと思う。 とぼとぼと歩きながら後ろを向く。雪の上の足跡はロワジィのものひとつで、気づいたら余計に落ち込んだ。お前はずっとひとりなのだと言われているようだった。ふたりきり、だなんて、闇に浮かれたおのれの幻想だった。 ふと見下ろすと、手首に揺れている組み紐が見えた。……こんなものがあるから。そう思い、勢いで腰のナイフを引き抜くと、結び目に当て、ひと思いにぶつと切った。腹立たしかった。 こんなおそろいの紐なんか巻いているから、もしかしたら一緒にいていいんじゃないかって、勘違いするんじゃないの。 くしゃくしゃと掌で丸め、藪に放り投げる。 放り投げて、けれどすぐにどうしようもなく悲しくなって、慌ててロワジィは下生えを掻き分け、たった今棄てた組み紐をべそをかきながら探す。 ……結んでくれたのに。 ギィと自分は雇った側と雇われたがわの人間で、男は契約上ここにいるだけだ。判ってる。たとえば金を充分に渡し、今から自由の身だと伝えたら、男はきっと自分から離れていくに違いないと思う。 一緒にいたい、でも束縛したくはなかった。 目をこすりながらあちこち探すと、からたちの枝にかかっている組み紐を見つけ、指を伸ばした。甲あたりをからたちの棘が引っかけていったけれど、かまっていられない気持ちで取り上げた。急いで手首に当て、結びなおそうとしてかじかんだ指先ではうまくいかないことに気がつき、ため息が出る。 なにしてるんだろう。 そっとふところにしまって、それからおもむろに手近の雪を掬い、顔を洗う。 「あたしこんなところで何やってるの」 それは自身への叱咤だ。 「ひとりでも生きていくって決めたんでしょう」 ぶるりと顔を振って、それで終わりにする。 そうして十年生きてきたのだ。 だというのに、 「えぇ……」 頼む男を前にして、ロワジィの口からえらく情けない声が漏れる。 「パン粥が食べたい」 遅れて戻ったロワジィが小屋の戸を開けると、内部はこのひと冬の内かつてない快適温に暖められていた。小屋の板壁をぐるりと一枚補強し、内側には厚布を垂らして、火鉢が四つに増えている。 使っていた藁床に藁が足され、倍ほどの厚みになって、そこに男が寝かされていた。 暖かな部屋の中で、横になった男の顔色は、林で別れた時よりもだいぶ調子がよさそうで、見たロワジィはほっとした。 それはいい。 小屋の大改造を下男と共にしたらしい上の娘は、しつらえのみならず、病人の口に合いそうな食事を何種類か用意して置いて行ってある。料理上手でもあるので、恋する男のため張り切って作ったのだろう。やわらかに煮た野菜スープだの、ほろほろに崩れるほど肉に火の通ったシチューだの、その他にもりんごが籠に盛られ、横には擦り鉢、喉によさそうな根菜のはちみつ漬けも置いてあり、おまけに輪切りの蜜柑と氷が浮かべられた水差しまであった。 そうして本人は、病人が余計な気を使わないよう、用意だけ整えてさっと母屋に去ってしまっている。 完璧だ。 こういうの女子力とか言うんだろうか。こまやかな心遣いに感動して震えてしまう。 勝ち負けの問題ではないことは判っていたが、どうしたって勝てそうにない。上の娘の女子力が100力としたら、せいぜい自分は13力くらいだ。ロワジィは思った。蚊とんぼレヴェルである。 だがそれも別にいい。 重要なのは、男の容態がよくなることなのであって、ロワジィと上娘の女子力の差ではない。判っている。 問題は、戻ったロワジィに男が放った一言だ。 腹が減ったと男は言った。 それはそうだろう。昨日から丸一日男は水以外口にしていない。だったらここにある、娘が用意したものを、と鍋のふたを開けたロワジィへ、 「あんたの作ったパン粥が食べたい」 言われてふたを取り落とした。 こちらが気を回す以上に、体調がすぐれないとき、たとえば食べたいもの、飲みたいものが変わることはある。わかる。 幸い小屋には、男が焼いた甘藷入りのパンがまだ残っており、山羊の乳もあった。外には薪があり、かまどが備え付けられている。作れない話ではないのだ。けれど、 「……いや、そうだけど、これだけいろいろ用意されてて、なんかどれもこれもおいしそうで、……、で、なんでパン粥?」 「食べたい」 「いや、……、ご期待されてるところものすごく申し訳ないけど、別に、作れるけど、……でも、パンちぎって、温めた乳の中に入れるだけよ?特別な味付けとかできないわよ?」 「食べたい」 「う、」 ロワジィはわりと単純な押しに弱い。 しかも熱にうるんだ目でまっすぐに見つめられるだとか、 「うう、」 あっさり負けた。 「わかったわ……」 しぶしぶ頷き裏手に回る。 手鍋を火にかけながら、えーでも、だとか、やっぱり、だとか、わき出る不安はぬぐえない。 熱に浮かされて、ちょっと正しい判断ができなくなっているんじゃないだろうか。こんな適当なもの、できたからどうぞと出して、思ってたのと違うとかで、がっかりされたらどうしよう。 むかし村にいた、あのメシマズ美人妻ほど、おのれを卑下するつもりは彼女にはないが、百人並みだと思っているし、実際そうだと思う。下手ではないけれど取りたてて上手なわけでもない。 なにも難しい工程はないので、玉杓子を片手に、百面相している間に出来上がる。出来上がったものを器に入れ、人肌に冷まして、小屋へ戻り差し出すと、男はさっそく木匙で粥を掬い、口に入れた。 「うまい」 そう言う。 喉も腫れて飲みこみにくいのだろう、常よりいくらかゆっくりと咀嚼する動きではあったけれど、それでも男はたちまち一杯を平らげ、おかわり、と椀を差し出した。 「えー……、」 のけぞり気味に器を受け取る。頭の中は不信感でいっぱいになっていた。大丈夫?無理してない?作ってくれって言って、あたしがなんか厭々作ったから、頑張っておかわりしないと、とかそういうのじゃない?平気? 上目遣いに男をうかがうと、不思議そうな顔で見返された。どうした、視線で問われて、 「なんでもないなんでもない」 慌てて手鍋の残りを椀にうつした。うつす動きを追っていた男がふと一点に目を止めて、紐、と呟く。 かすれた声だ。結んでいないことに気づいたのだなと思った。 「あ、」 「邪魔だったか」 「……違う、そうじゃない、そういうのじゃないの」 なんとはなしに悲しそうな目をされた気がして、焦ってロワジィはふところから手ぬぐいに包んであった飾り紐を取り出した。自分で切っておいて、なんて言い草だろう。 「あのね、藪に引っかかったときに、切れちゃって」 結び目をまっすぐナイフで切ったのだ、見ればすぐにわかる嘘もたいがいだと思う。けれど男はしばらく切れた飾り紐を見つめたあと、結んでもいいかと尋ねた。 「え、」 「切れたから、もう一度、結ぶ、いいか」 「……別に、いいけど」 右手を差し出したはいいものの、その手を取る男を見ていると妙に気恥ずかしくなった。こういうとき、神妙な顔をしていたらいいのか、それとももう少しふさわしい顔があるものなのか、彼女にはよく判らない。 誰か教えてくれたらいいのに。 ロワジィの腕に紐を結んだ男は、そのまま差し出した手をじっと見つめ、藪の棘に掻いて細く赤い線になったみみず腫れに気づいたようで、その線をなぞるように撫ぜた。 「ああ……、なんか、からたちのね、枝が」 「あんたは見ていないと、すぐ傷だらけになる」 そんなことを言う。 「なにそれ」 「……ここも」 言って男は手を伸ばし、指の腹でロワジィの頬を撫ぜた。 「パ、パン粥」 恥ずかしさの沸点を越えて彼女は思わず目を瞑りながら、ぐい、と椀を男に押し付ける。これ以上は勘弁してほしい。 「食べないと冷めるし。食べて、寝ちゃって、」 「うん、」 真っ赤になった彼女をそれ以上追う動きはせず、男は言われた通りおとなしくまた匙を手にした。 娘のものも食べたら、彼女が勧めると、それはあんたが食べてくれとかえされる。 「俺は、あんたのがいい」 「……いやいやいやいや」 恐ろしい殺し文句を素面で吐いて、そうして食べながらなるほど、だとか真面目な顔でうなずいている。その頷きをたしかめながら、ちら、とロワジィは横目で荷物と一緒にまとめられている酒瓶を見た。 煽ろうか。 一瞬ロワジィは本気で思った。酒が入ったノリなら、なんとか躱せるような気がする。 「なるほどって、なによ」 「あんたが、言ってたこと、わかった」 「……言ってたこと?」 「あんたが作る、飯はうまい」 それはきっと味付け以上に大切なもの。 言われて今度こそロワジィは停止した。 男が二杯目を食べ終わるころ、ようやく我をとりもどし、手近の椅子を引いて座る。 籠に盛られたりんごをひとつ手に取ってくるくると回しながら、彼女は男を見る。 「ギィ」 「うん……、?」 「うさぎりんご、食べる?」 じっと彼女を見ていた男が、食べる、と小さくうなずいた。 (20180402)
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背信者(廃心者) ◆xR8DbSLW.w 一見三竦みのようにも見えるが、その実零崎人識が圧倒的有利な状況下であった。 曲絃糸。糸を繰る技。 時には撥ねて――時には裂いて――時には解して――時には時には。 この時間軸上の人識には不可能にせよ、勿論使い方次第では殺人術としても機能する。 そして、この術の本質は索敵や拘束にも用いることができる点だ。 ただ糸を操るだけ。シンプルな技。しかしそれだけにその使い勝手は凄まじい。 「俺はこれまで、心っつーのは物体的なものだと信じて疑わなかった。 てゆーか今でもそう信じてるんだけどな、しかし反して心なんていうものはどこにも見当たらない訳だ」 さながらマリオネットのように、糸に吊られた二人の人間は素面の表情のままに、しかし内心どうしたものかと、頭を働かせる。 刀を振ろうと試みるが、糸が相手なのにどうしてか切り落とすことさえ叶わない。 宗像形はそれを、雲仙冥利の《鋼糸玉(ストリングボール)》かと連想したが、どうにもその様なものとは思えずにいた。 一方で真庭蝙蝠は、人識のとった攻撃の考察などせず、まさに生死の境目とも言える場面に出くわして、これから判断に迫られている。 ――突如降臨したその《鬼》はそんな様子ににやにやと眺めた。 「さっきの戦場ヶ原ひたぎの心だってそうだった。 あいつは頭にあるとかぬかしてやがったが、どこにも見当たらなかった。 これに限らずこれまで確か十何人の人間の心を覗き見ようとしても、どこにもない」 俯瞰的に現状を確認してみよう。 舞台はネットカフェのその一階。 ロビーと連なっていたその部屋には、今現在は約五百の剣が咲き誇っている。 内一本は四季崎記紀が生み出しし、完成形変態刀が一振り、絶刀・鉋であり、 その他の剣は同じく完成形変態刀が一振り、千刀・ツルギだ。 「だから俺は、やっぱり諦めるべきなんじゃないかと思うわけ。 一度そうしたんだから、これからもそんなものを追い求めなくてもいいんじゃないかって俺もいるんだ。 何分一度、クソッタレな赤色から答えを明示させられちゃあ、敵わねえよな」 その巨大な空間の中心で、《冥土の蝙蝠》真庭蝙蝠と《枯れた樹海》宗像形は向かい合い、制止している。 ピクリとも動かない。すぐ隣で人識が佇んでいるというのに、しかしどうすることもできずにいた。 人識は手袋をはめ、しっかりと指で糸を繰りつつ滔々と語る。 「それでも、心を見てみたいという俺は確固たるものとして存在している。 どうしようもなくアホで、おそらくそれ故に死んでしまった兄貴に教えてやりてえのさ。 ――普通であり続けたいと願う、アホな兄貴によ。ま、せめてもの手向けっつーやつか」 らしくもねーか、と独り言つ。 かはは、と笑う人識の正面、真庭蝙蝠と宗像形は短く紡ぐ。 「宗像」 「なんだ」 少女の声――りすかの声をした蝙蝠が声を発する。 それは確かに小声ではあったが、人識にだって聞こえているだろう。 だが、こうなってしまった以上はやむをえまい。 おおよそ気紛れで戯言を垂れ流している内に――と。 「一瞬だけ協力しろ」 「……なんだ」 眉を顰めるが、しかしこのままでは自らの命の危機であることには変わりない。 瞬間の逡巡の後に簡単に返す。 それを由とした蝙蝠は横目で人識の姿を窺いつつ、箱庭学園で邂逅した《王》を想起する。 人識は斬刀を力強く握り、誤って糸を斬らない範囲で切っ先を蝙蝠に向けた。 「どっちつかず、別段今の俺に拘りがあるわけでもない。 だからこれで最後にしようと思ってるんだ。これで出るなら好し、出ないのならまた好し。だから」 人識は何の容赦もなく、斬刀を突きつける。 チクリとした感触がした。それはつまり、蝙蝠と斬刀との距離は零であることを示す。 反して蝙蝠は落ち着いた口調で――《王》を――《「魔法使い」使い》を――《死線の蒼》を頭に浮かべ、宗像に問う。 「《異常(アブノーマル)》ってなんだ」 極めて簡素な問い。 宗像形は答える。 「《何かをすれば必ずそうなる》こと――《自分は「そういう存在」と思う》ことだよ」 かつて雲仙冥利が言ったことを。 先刻玖渚友に対して言ったように、告げる。 宗像らの持つ――その《絶対性》を。あくまで逃れることのできない一種の呪縛を。 そんな宗像の言葉に重ねるように、人識が一人、言葉を続ける。 「おめーら二人は知ってるかい? 心っちゅーんがどこにあるかをさ。教えてくれよ、てめーらの冥土の土産によ」 冥土の土産。 その言葉を聞いて、蝙蝠は僅かに口角をあげて。 「分かった。じゃあこれでまた敵同士だ」 瞬間の同盟を破却した。 そして。 彼の思考は一つの人物に絞られる。 意識する意識する。 認識する認識する。 確信する確信する。革新する。 《王》、《発信(アクティブ)》、《創帝(クリエイト)》。 そんな彼の異常性――曰く《人の心を操る》ことが自分にもできると。 「――――《跪け(ヒザマズケ)》」 ○ 改めて説明するまでもないが、真庭蝙蝠が誇る忍法の一つ《骨肉細工》は相手を模倣する技だ。 姿かたちは勿論のこと声質・体質、時に本質そのものさえも吸収する。 相手の才能や天性までをも、自らのものとして体現してしまう、そんな技なのだ。 思い返して見てほしい――尤も今現在の真庭蝙蝠の時間軸とはそぐわない話ではあるが――彼が鑢七花に化け、絶刀・鉋で襲った場面。 つまりは真庭蝙蝠の死に際のことを振り返ってみよう。彼の敗因はなんだったであろうか。 そう、鑢七花を体現しきったが故に起きた悲劇。 《刀を扱えない》特性、つまり《刀を使用としても必ず失敗してしまう》特性故に敗北を喫した。 それは、人間の《異常性(アブノーマル)》さえも体現する証左に他ならない。 そして今現在、零崎人識が跪き、その反動で曲絃糸が解かれ、真庭蝙蝠と宗像形が自由の身となったこの場面を引き起こしたのは、 紛れもなく真庭蝙蝠の《骨肉細工》――いや、この場合は《骨肉小細工》と言うのが適切か――の再現性の賜物と言ったところだろう。 宗像形の助言に従い、《創帝(クリエイト)》都城王土が出来ることは自分にも絶対にできると認識した。 曰く――人の心を操る。箱庭学園にて能力(スキル)の持ち主から直接聞いたことである。 「――――成程ねえ。確かにこれは説明が難しい」 いつの間に声帯を変えたのか、供犠創貴の声で一人得心する。 実際、都城王土の《異常性》の仕組みそのものは理解してはいるが、だからといって、使い方を学んだわけではない。 自分は人の心を操れるという絶対的な確信が、現在起きている現象を引き起こしたの過ぎないのだ。 「《言葉の重み》か。懐かしいな、だから殺す」 宗像形は手にしていた千刀を振り上げる。 目掛けるは零崎人識の頭。《悪》を殺すべく、確固たる意志を以て。 跪く人識の頭は、実に狙い易かった。 そんな時だった。 「う、うう、うおおおおおおおおーーーーーーーーーーーー!」 刀を振り下ろし――もう間もなくで人識の命が断たれるとなったその直前。 跪いていた当の本人、零崎人識が熱烈に叫んだ。 叫んでから、人識は跪いた姿勢から横に跳ねる。 それから一秒も待たず、数瞬前まで人識の頭があった場所に、ミリとも違わず千刀が振り下ろされた。 「へえ、動けるのか。だから殺す」 攻撃の手を緩める道理はない。むしろここからが千刀巡りの真骨頂とも言える。 宗像はそこらに刺さっている次の千刀に手を伸ばした。 さも当然のように柄は宗像の手に収まり、すかさず人識に追撃する。 跪いた拍子に斬刀を手放してしまった彼は、宗像と同様に近くに転がっている千刀を抜き取り、宗像の攻撃を弾く。 右腕で放たれた一撃目を弾いたはいいものの――宗像により地に刺さっていた千刀の一本が蹴り飛ばされる。 円を描く千刀は綺麗に人識へと向かう。弾くのは無理と咄嗟の判断を下し、軽快なステップで後方へ飛ぶ。 未だ宗像の追撃の手は緩まらないが、一息つく暇は出来た。そこで思いの丈を叫んだ。 「び、ビビったあ! なんでテメーが《ソレ》を使えんだよ! あー、気合とはよく言ったもんだぜ。見たこともねえ善吉くんとやらには感謝しなきゃな」 戦場ヶ原ひたぎと共に都城王土と遭遇した直後のこと。 《一度味わったことのある》、という戦場ヶ原の言葉に疑問を覚えた人識が尋ねたときの話である。 その時に様々なことを聞いたのだが――中でも特筆すべき内容は、人吉善吉という少年が、《言葉の重み》に耐えたというものだ。 仕組みは単純明快。気合と根性。少年ジャンプさながらの理論である。 それで、現在。 零崎人識は再び立ち上がる。 気合と根性の力を遺憾なく発揮して、《言葉の重み》を打破した。 結界術などに耐性を持つことができた人識の器用さを加味しても不可能な事柄ではないだろう――。 というのも理由として挙げられるが、それではあんまりにあんまりなので、ここで説得力を補強しよう。 真庭蝙蝠が《言葉の重み》を使用した時の状況を思い返す。 基部は零崎軋識、右腕と両足は都城王土、喉は水倉りすか、とつまりは忍法《骨肉小細工》を使用していた真っ最中であった。 《骨肉小細工》には瞬時に身体の一部を変態させられる点と複数人の身体を同時に変態させられるという点。 主に二つの利点がある反面、最大にして致命的な欠点がある。 それは、変態した人間の力を良くても80%程しか使用できない点だ。 すなわち、今回真庭蝙蝠が使った《言葉の重み》は不完全なものに過ぎないのである。 都城王土本人の、換言すると100%の力を出し切った《言葉の重み》を味わった人識には確かに温いものだったのかもしれないだろう。 「はあ……、おれの奥の手があっさり打ち破りやがって、ふざけた野郎だ」 人識の質問には答えず、ある種の呆れの混じった口調で応える。 そう答える真庭蝙蝠はネットカフェの窓枠にしゃがみこんでいた。 未だ宗像形と零崎人識はせめぎ合う中、一人戦線を離脱しようとしている。 「きゃはきゃは――やってられっかよ。おれはここで退散するとするぜ」 勝てない勝負を真っ向からするわけがない。 彼はしのびなのだ。――先ほどまでが、おかしかっただけ。 刀の毒に犯されてしまっただけであり、彼の本分は卑怯卑劣、不意を打つことにある。 だから逃げた。 非難を浴びようがなんだろうが、繰り返そう――彼はしのび。 勝てない勝負を、ましてや真っ向勝負などするはずがない。 彼は姿を消し、その場には宗像形と零崎人識だけが残る。 蝙蝠の行為を許すまいと引きとめようとした人識であったが、一人の人間が間に入る。 立ち塞がったのは、宗像形だった。 《正義》の、男である。 「おいおい、逃がしていいのかよ」 もう完全に蝙蝠の気配を逃してしまった人識は諦めたように肩をすくめ、宗像に問うた。 宗像はピクリとも表情を変えず、坦々と答える。 「彼は確かに敵だ。殺さなくちゃいけない。 でも、それでも優先すべきはきみだ。また変な技を使えないうちにね」 「ちっ、やっぱ気付いてやがったか」 人識は露骨に嫌そうな顔をして答える。 確かに現在、人識は曲絃糸が使えなくなった。 理由としては明瞭で、跪いた際に糸が絡まったこと、及び宗像形が糸を斬ってしまったに起因する。 元々はただの糸だ。そこに特別性など皆無である。それなら宗像が糸を斬り落とすことだって、何らおかしくない。 千刀で一撃を振るいながら、人識の問いに対する答えを続ける。 「それにさっきの口ぶりだと、既に戦場ヶ原ひたぎって人を殺しているらしい。 それは見過ごせない。僕は火憐さんに代わり、悪を裁くんだ」 阿良々木火憐の志を引き継ぎ――だけども彼女にはなれなかった彼は、人識を殺す覚悟を固めていた。 《正義の味方》でなく、《正義そのもの》であろうとする彼は、人識に刃を向ける。 対する人識は抜き取った千刀で宗像の攻撃をいなしながら、へらついた表情を浮かべた。 「あーそう。そりゃ重畳。殺人鬼が世間的には悪ってのは否定すべくもないな」 元々武器の扱いそのものには難のある宗像――加え片腕が欠損した隻腕の彼を相手は容易い。 おまけに出血多量で意識も正常ではないのであろう。剣筋が時折ぶれている。満身創痍であった。 それでも、人識は宗像を殺すに至っていない。 理由の一つに、どうせ殺すなら斬刀・鈍がいいということ。 二つに、意識が朦朧としているとは言え、殺されない技術にも精通する宗像の隙そのものは零に等しいこと。 面倒くさいと内心毒を吐きつつ、坦々と宗像の攻撃をいなし続ける。 「ちなみに火憐ってのはお前が看取ったりでもしたんか?」 「僕が引導を渡したんだ」 「ふーん、まあ変に気負うなよ。俺だって似たようなことをやったんだしな」 匂宮出夢のことを想起しながら適当に相打つ。 そこで、ふと思い出す。 「火憐って阿良々木火憐だよな? もしかすっと八九寺真宵って名前に聞き覚えはねーか?」 「……知らないよ。知ってても教えるつもりもないが」 《負完全》球磨川禊が起こした七面倒臭い事態の解法でも見つけられたらとも思ったが、そんなに上手く事は運ばないようだ。 思い返せば思い返すだけ、薄幸な女児だと感じるばかりである。 「まあ、いいや」 考えていても仕方のないことだ。 少なくとも、この場を何とかしない限りは。 ここに立ち寄ったのは失敗だったかなあ、とぼんやりと思う人識である。 「で、なによ。火憐の遺志を引き継いで正義の味方にでもなるんかい?」 「違うよ。僕は正義そのものになるんだ。火憐さんの遺志を引き継ぐなんてたいそれたことはできないけどね」 あの時。 殺人衝動が消えた時。 阿良々木火憐に誓ったこと。 火憐に寄り添い生きていくことを、彼は今でも鮮明に覚えている。 「宗像くん、俺は他人の考えを理解しようだなんて殊勝な奴じゃねえが、 それでも一つだけ、道を説いてやるよ。――なんて、殺人鬼に説かれちゃ終(し)めーだよな」 宗像の一太刀を払いながら、かはは、と笑みを零す。 「人一人殺した程度で何かがどうにか変わるかよ。 感傷に浸るのは勝手だろうが、履き違えちゃいけねえよ」 ――だとしたら、俺は五月に十二回は転生している。 人識は冗談めかして嘯く。 「よくいうじゃん。スプラッター映画やゲームが人間に悪影響を与えるっての。 俺は順序が逆だと思うんだよな。――暴力や流血沙汰が好きだからそういう映画とかを観るんだろ? ってな。 人間は人間を変えられないように、人間は人間では変わらないんだよ」 変われない男。 自分と鏡映しの欠陥製品を思い浮かべながら言う。 つまりは、自分に言い聞かせる風でもあった。 「だから、背負わなくたっていいんだぜ? 変に縛られないでよ、好きなように生きればいいんじゃないのか?」 変に気負っても兄貴みてーに死ぬだけだぞ。 宗像にも聞き取れないような声で呟く。 宗像は多少の間をあけ、それから彼の言葉を否定する。 「それも違うよ。零崎人識くん。人間は人間を変えることが出来る。 それが――あんまり寓話的なことは言いたくないんだけど――きみの言うところの心の力だ」 阿良々木火憐の姿が脳裏をよぎる。 哀川潤の言葉が脳裏をかすめる。 様々な出会いがあった。別れがあった。 ――その中で、ようやく宗像形と言う存在は変わることができたんだと、彼は覚える。 「人を裁く以上、多少の無茶はあるかもしれない。ともすれば火憐さんの望まないことだってやる羽目になるかもしれない。 それでも僕は、火憐さんの心に応えたいんだ。それが、僕のしたいことだから」 彼女の信じた、自分自身を信じる。 ――《正義そのもの》としての使命を、全うしたい。 人識にしてみればついていけない思考だった。辟易とした表情を浮かべる。 「わっかんねえなあ。じゃあ教えてくれよ。心はどこにあんだ?」 先ほどの問いを繰り返す。 宗像は迷うことなく答えた。 「だったら殺してみなよ。僕の中には火憐さんのような、燃える心があるはずだから」 だから、殺すと。 凄まじい速さで突きを繰りだす。 人識は愉快そうに頬を歪ませる。 「へえ」 ここでようやく、人識の意識が宗像へ向く。 藍色の瞳の奥で燃える情動を感じた。 そういえば、《正義そのもの》の属性(カード)は解してねえな、と独り言つ。 「そりゃあいいや」 人識の瞳の色が変わる。 飄々とした、掴みどころない態度が一変した。 少しでも近づけば、良いも悪いもなくすべて等しくバラバラにされそうな佇まい。 《殺し名》序列第三位の座に違わぬ気迫――鬼迫。これはまさしく、《鬼》の証。 宗像の突きを人差し指と中指で挟む。 それだけで、刀の動きが完全に静止する。 宗像は刀を手放し、一度距離を置く。 だが、攻撃の手はあくまで緩めない。 偶然の産物でしかないが――今この場は、千刀巡りの舞台の上。 宗像の土俵の上なのだ。次なる刀を携え、地と並行に構える。 人識は挟んだ刀を刀身から折って捨てる。 そして新たに千刀を握った。斬刀ではないのが口惜しいが――それは蝙蝠の時のためにとっておこう。 意を改め、標的を両の瞳が捉える。両手に刀、つまりは臨戦態勢だ。 今ここで言うべき言葉は決まっている。 「そんじゃいっちょ、殺して解して並べて揃えて、晒してやんよ」 「だから裁」 ――――ボン、と鳴り響く軽い音。 「く」 その次の言葉を繋ぐはずの口が、頭もろとも宙を舞う。 頭部をなくした身体が、徒然と立ち尽くしている。 爆発による火花が原因だろう、宗像の首元だったであろう場所は、微かに燃えていた。 ○ 供犠創貴と真庭蝙蝠とが宗像形とはどういう人間かの説明を受けた後。 つまりは玖渚友とネットカフェで対談した後のこと――真庭蝙蝠は一人退室するように促される。 理由としては宗像形の見張りという尤もなものであったが、しかし真庭蝙蝠が真面目に仕事をしたかと言うとそんなことはなかった。 真庭蝙蝠は考える。 裏切るのならそろそろ頃合いなのではないかと。 しかし、供犠創貴、及び玖渚友が単なる無能ではない、同時に非力な人間であることは承知していた。 結果としてまだその時機ではないと判断する。殺す機会はいずれあるだろう――ともすれば、自分が手を下す必要もないかもしれない。 それでも、何か弱みを握ることはできないだろうかと、残された供犠と玖渚の会話に耳を傾ける。 真庭忍軍は暗殺に特化したしのびではあるが、忍者である以上諜報活動などの基礎などは会得していた。 幸いなことに、ネットカフェに防音装置は備え付けられてなかったので辛うじて会話を聞きとることができる。 蝙蝠からしてみれば残念ながら、二人の(ついでに場に居合わせている水倉りすかの)弱みなどを握ることはなかった。 それでも無駄であったかと言ったら、そういうわけではなかった。 耳にしたその瞬間こそ、大して意味のない行為であったと流したが、思い返して見ると中々愉快な会話である。 「――つまり、都城王土の《異常性(アブノーマル)》は《人心掌握》というよりかは、《電気操作》っていうことか」 「そう。環境次第では雷の放出も可能なようだけど、行橋未造がいない今は不可能だとは思うよ」 供犠が言葉にして整理するのを、玖渚が補足を加えながら確かな情報として固める。 これそのものも蝙蝠にとっては有益な情報ではあったが、《異常性》の使用法を認知していない。 そこまで重要性を感じずにいた。 「確かに人間には電気信号が流れている――その電気を操れば擬似的な《人心掌握》は可能だな」 「厳密に言うと機械と人間とに流れている電気は別物なんだけど――まあ結果として操れるんだからその辺は良いかな」 そこで一度会話が途切れた。 仕切り直す様な溜息が蝙蝠の耳にも届く。 「しかし驚いちゃった。きみたち、都城王土に遭遇していたんだね。それはなんともな奇縁だよ」 「ぼくとしてはあんたが都城王土を知っていることの方が驚きだけどな」 「その辺は追々としてさ、何か掴めた?」 しばらくの間が合って、供犠の声が聞こえる。 「さっき首輪の構造とか解説してたけどさ。――言って首輪も所詮はコンピュータで動くような代物だろ?」 「まあ、そうだね。現状どうしようもないっていうのが判明したけど、設備と道具さえしっかりしてれば何とか出来なくもない……ってのは話したよね」 「ああ、その点に関しては信用するほかないからな。信用はしている。けど」 そこで、供犠は言葉を区切る。 推察するに、頭の中で情報を整理して、何か言葉を選んでいるようだ。 「あいつの《電気操作》は主催者の一員の能力だ。都城王土が実地班だったことを踏まえても、あまり対策が練られてないんじゃないかと思ってな」 「確かにそうかもしれないけど、それがどうしたの? 話を聞く限り――行橋未造を探さないことには、彼をこちら側の駒として考えるのは早計じゃない?」 「その通り。だけど、そいつの力なら首輪の解除ぐらいなら可能である確率は高そうなのには違いない」 「むー、もしかして首輪の解析なんて無意味だって言いたいの? 僕様ちゃんの苦労を全否定だなんておーぼーだー! 英語風に言うとOH Border!」 「そういうつもりもないんだがな、これまで通り首輪の解析にも努めてほしいんだが……」 そこで、供犠は会話を打ち切った。 まだ確証を持てることではない。話すような時機ではない、と。 しばらくの間をおいて、今度は玖渚から言葉を切り出す。 「……さっきは、ああ言ったけど、都城王土が必ずしも首輪を解除できるかって言うと、そういうわけじゃないことは覚悟しておいてよ。 人質が囚われている件といい、元々の不知火袴との関係性を顧みても、彼は主催の中でも単なる末端である可能性は重々ある」 「末端ならば切り捨てても構わない――首輪の構造なんて知る必要もないってことか」 「敢えて常識に囚われるんならさ、解析解除なんて、構造を知ってこその話じゃない? それこそ、彼に僕の《異常性》でもあれば話は別だけどね。残念ながらそうじゃない」 「蓋を開けてみないことには分からない、か。どちらであれ、もう一度会う必要があるようだ」 どちらのものかも分からない溜息を聞いて、蝙蝠は静かに鼻を鳴らす。 首輪の解析なんて関係ない。結局のとこ、ルール無視をしない限り、自分が優勝すればいい話なのだ。 随分と昔にも感じるが、スーパーマーケットで某戯言遣いが真庭忍軍の長・真庭鳳凰に告げたように、 優勝した後、不知火袴と言う老人が当初の約束事を反故する可能性もある。 最後となった者の首輪を爆発して幕を締めくくる――なんて落ちも考えられる以上、そりゃ首輪を解除するに越したことはない。 しかし、それでも最優先に考えるべきことにはどうしても思えない。 これ以上はいいだろう――と真庭蝙蝠は踵を返し宗像形の眠るロビーへと向かう。 足音一つ立てずに歩く様は、まさにしのびの鑑と言えた。 ○ その姿は――不思議と整ったものである。 傲然とした風貌に、逆立つ青髪に、青い瞳。 真庭蝙蝠が変態した姿は、紛れもなく都城王土と、玖渚友。 《改竄(ハッキング)》と《発信(アクティブ)》の結合体だ。 忍法《骨肉小細工》応用編。 複数人の姿に擬態して――他人の《異常性(アブノーマル)》を複合するという技術。 今回の場合は玖渚友の《超人的電脳理解》及び《改竄技術》と、都城王土の《電気操作》の複合により、超越的な改竄能力を手に入れた。 それは、このバトルロワイアルにおいて肝ともなる首輪の誤作動を招くほどの力を持っている。 真庭蝙蝠は逃げちゃいなかった。 むしろ、ずっと機を窺っていたのだ。 宗像形の溢れんばかりの殺意に紛れてひっそりと、ネットカフェの外で。 殺意に敏感な零崎人識でも捉えきることは出来なかった。 曲がりなりにも、身を隠すのはしのびの得意分野なのだ。 そして現在。 宗像形の首輪が爆発し、宗像形の首が宙を舞っている。 明らかに――火を見るよりも明らかに、死んだ。 「――っ!」 人識は僅かに垣間見た殺意の出所へ駆けつけるべく、ネットカフェを窓から飛び出した。 しかしそこには人の姿はとっくになく、もぬけの殻である。 「蝙蝠、か?」 言葉にしてみるが、返事が返ってくるわけもない。 しばらく沈黙し、考察してみるも、これといった妙案が浮かぶ訳もなく、確固たる証拠を発見することもなかった。 手詰まりである。 深い溜息を吐き、げんなりと肩を落とす。 結局のところ、人識は何の成果を得ることもなかったのだから。 殺そうと思えば、曲絃糸で縛りあげた時に殺せただろう。 しかし零崎人識はそれをしなかった。 率直に告げるなら、恐れたのだ。 零崎一族の切り込み隊長にして長兄・零崎双識から伝え聞いている奇襲。 曰く、手裏剣砲。口から凶器を解き放つ技だという。 そんなものがあると聞いちゃあ、のこのこと近づく訳にはいかなかったのだ。 故に確かめるように一歩一歩着実に歩を進めたのだ――その結果が今現在だと言うと、てんで笑えないが。 それでも人識は笑う。 かはは、といつもと変わらぬ調子で。 「逃げられちまっちゃあ仕方ねえか」 気持ちを切り替えた人識はネットカフェに戻り、突き刺さった千刀の幾つかを見繕い、落ちていた斬刀と絶刀を拾い上げる。 ついでにと、宗像のものであったろうディパックの中身を移し替えた。斬る 少し整理の必要があるとも感じたが、斬る、最終的にはドラえもんよろしく四次元ポケット空間の利便性に、斬る、甘んじる。 どれだけ入れても、斬る、満たされないというのはありがたいものだ。 出発の準備を済ませて軽く身体を伸ばす。 軽く欠伸をしながら斬る。 宗像形の身体を切り刻む。 液体と固体との区別がつかなくなった頃、彼は手を休めた。 「…………ねえじゃんかよ、正義の心」 やれやれといった調子で呟いて、されど昔ほど気に留めることもない。 むしろ良く斬れる斬刀・鈍の切れ味に興味が惹かれる。 ――何でも切れるとはよく言ったものだ。 骨も肉も関係ない。この刀を前にしたら、そんなものはもはや同一である。 実はこの時、誤って薄刀・針をも斬ってしまったのだが、認識もしてない人識には関係のない話だった。 満足いったのか、にやりと口角をあげると。 「さてと、そろそろ欠陥製品が死にかけててもおかしくない頃かな」 戯言遣い――《なるようにならない最悪》――《無為式》。 死んだ魚のような目をした彼をちょっくらおちょくりに行くかと歩み出す。 玄関に差し掛かったところで、はたと電話の主を思い出す。 欠陥製品を思い浮かべていたら、あの溌剌とした声を連想したらしい。 「そういや無事に、禁止エリアから逃れられたのかね」 心配する間柄でもない。 それでも聞いてしまった以上は意識してしまう。 もしかすると先の宗像形のように首が飛んでいるかもしれない。 「――なんて、そんな柄でもなさそうだな」 あの一瞬だけで理解した。 理解させられた――というべきか。 なるほど、欠陥製品の知り合いなだけある。 人識は一人納得し、場所も場所だし案外近くに居るかもなと――適当なようで殊の外事実をかすったことを口走るが、 彼としても深く考えて喋った訳ではない。あっさりと流す。 「あー、そういや」 何も考えなくてもいい時に限って、無駄に頭は働くものだ。 鮮烈な印象を残した彼女との会話を思い返していると、会話中に出てきたあのスパッツ女を思い出す。 あーあ、と漏らしてから、面倒臭そうに。 「伊織ちゃんはどうしてっかねえ。いまいち気乗りしねえが、どーすっかなあ」 呟くのであった。 【1日目/夜中/D-6】 【零崎人識@人間シリーズ】 [状態]健康 [装備]斬刀・鈍@刀語 、携帯電話その1@現実 [道具]支給品一式×11(内一つの食糧である乾パンを少し消費、一つの食糧はカップラーメン一箱12個入り、名簿のみ5枚) 千刀・ツルギ×6@刀語、 手榴弾×1@人間シリーズ、青酸カリ@現実、小柄な日本刀、S W M29(6/6)@めだかボックス、 大型ハンマー@めだかボックス、グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ、デスサイズ@戯言シリーズ、彫刻刀@物語シリーズ 携帯電話その2@現実、文房具、炸裂弾「灰かぶり(シンデレラ)」×5@めだかボックス、賊刀・鎧@刀語、お菓子多数、絶刀・鉋@刀語 [思考] 基本:戯言遣いと合流する。 1:水倉りすか、供犠創貴を捕まえるか殺す。この辺りにはいるんだろうし。 2:伊織ちゃんと連絡を取る。合流するかどうかは後から決める。 3:零崎を始める。とりあえず戯言遣いと合流するまでは。 4:哀川潤が生きてたら全力で謝る。そんで逃げる。 5:黒神めだか? 会ったら過剰防衛したとでも言っときゃいいだろ。 [備考] ※曲絃糸の射程距離は2mです ※曲絃糸に殺傷能力はありません。拘束できる程度です ※りすかが曲識を殺したと考えています ※Bー6で発生した山火事を目撃しました ※携帯電話その1の電話帳には携帯電話その2、戯言遣い、ツナギ、無桐伊織が登録されています ※携帯電話その2の電話帳には携帯電話その1、戯言遣い、ツナギ、玖渚友が登録されています。 ※参加者が異なる時期から連れてこられたことに気付きました ※球磨川禊が気絶している間、鑢七実と何を話していたのかは後続の書き手にお任せします ○ さて、行方を眩ました真庭蝙蝠。 彼の行った作戦は成功でもあり――同時に失敗でもあった。 確かに見事、首輪を爆発させるという結果には辿りつく。 だが、実のところ真庭蝙蝠が狙ったのは宗像形ではない。《殺人鬼》零崎人識である。 さもありなん、これまでの《零崎》との奇縁を断ちきる必要もあり、かつ、人識の力が想像よりもはるかに強大だったからだ。 《言葉の重み》に一定の耐性を得てしまった今、正体不明の奇術・曲絃糸を何度も何度も使われては敵わない。 加え、陰から覗いてみるに、何も彼の本分は曲絃糸にあるわけではないらしい。 観察すればするほどに、出鱈目な奴である。 だから排除しようとした。 しかし、ここで計算違いが起こる。 というよりも、単純に蝙蝠が見誤っていた。 正鵠を射るならば、過信をしてしまったというべきか。 真庭蝙蝠が当初推測したように、忍法《骨肉小細工》の再現度は良くて精々が80%。 仮に玖渚友と都城王土との異常性の再現度が並立して100%を誇ることに成功したならば、今回の失敗は起こらなかったかもしれない。 だが現実には、忍法《骨肉小細工》で80%を越すことはない――完璧とはよほど言い難いのだ。 ならば。 多少の過ちが起こることは道理とも言える。 完璧ではないのなら、それが偶然であれなんであれ、どうしても綻びは生じてしまう。 間違って宗像形の首輪を爆発させてしまったという過ちも、起きる可能性は十分にあった。 彼の名誉のために補足するならば、ただでさえ蝙蝠が忍法《骨肉小細工》を使用したのは、先ほどが初めてなのだ。 使い勝手など掴めていなくても仕方のないこと――《異常性》の結合させるという応用技術を実行できただけでも本来なら称賛に値する。 失敗したのには、確かに彼自身に非はあるだろう。それでも責められるべき話ではないのだ。 さらに付け足すならば、変態する相手の片割れが玖渚友であったというのは始末が悪かった。 玖渚友自身、自ら内包する《異常性》を御しきれているかというとそうではない。 あの青髪を――天才ゆえの劣性の証を見れば、一目瞭然である。 身体を崩壊させてしまうほどの過剰すぎる《異常》――極めて特異な代物を他人の《異常性》と併用できるはずがない。 ましてや失敗したからと言って、首輪の爆発を連続して起こせるはずもない――そんなことをしたら蝙蝠の身体が自壊する。 「――――っっっ」 目眩がする。 かつてないほどの嘔吐感が苛む。 組み合わせとしてはこれ以上ないほど上出来なものだったが、噛み合わせはこれ以上なくなく悪かった。 《暴君》と《王》の手綱を一度に引きうけるのは、流石に無茶が過ぎる。 失敗を悟った蝙蝠は、直ぐ様――今度こそ真の意味で戦線を離脱する。 人識とは紙一重。 身体が都城王土であったことが幸いした。 全身から発せられる、肉体が引きちぎられるような強烈な違和感の中、それでも辛うじて逃げることができる。 走りながら《骨肉小細工》を使用して、変態する片割れを玖渚友から零崎軋識へと代えた。 そうすることで、徐々に身体を蔓延っていた苦痛が収まっていく。 忍法《骨肉小細工》は、皮肉なことに名前の通り、所詮は小細工にすぎず、小手先でしかない。 万事がうまく進むだなんて、あり得ない――それこそ《「魔法使い」使い》のように、作戦を入念に練り闘うことを滅多にしない蝙蝠のことだ。 今回の首輪の爆発だって、転がっていた断片(フラグ)を拾い上げただけに過ぎないのだから。 失敗はどうであったって、ついて回る。 人識を撒けたと判断し、足を止めて呼吸を整える。 一息ついたところで、お家芸である《骨肉細工》で姿を都城王土で統一した。 なんだかんだで、やはり一つの身体で統制を執るのが落ち着くことに違いない。 「忍法《骨肉小細工》」 さて、どうしたものか。 身体に生じる違和感――正直なところ、もう二度と味わいたくない。 それでも、可能性を感じる技であることには確信を持っている。 事実、ルールを無視したわけでもないのに首輪を爆発させる離れ技をやってのけた。 これは是非とも活用したい。もっともっと、自分の可能性を確かめてみたい。 ――とはいえ、乱用できないのは正直なところだ。 他の身体で組み合わせたらどうなるのか、まるで見当が付かない。 もしかすると、今回蝙蝠が味わった不快感を上回る衝撃が襲うかもしれない。 そうなるといよいよ逃げることさえ叶わなくなるだろう。 首輪を爆発させることだって同様だ。 今回こそ、運悪く――いや、運よく宗像形の首輪が誤作動したけれど、あの場面、真庭蝙蝠の首輪が誤作動する恐れだって、十二分にあった。 陰からこっそり奇襲を仕掛けようとして、勝手に自滅していては、それこそ目もあてられない事態に陥る。 まだ研究が必要だ。 まだまだ追究が必要だ。 それまでは封印するべきか……? しかし使用してみないことには探求もなにもない。 堂々巡りする思考の果て、一つの案に収斂する。 「ここまで来たんだ、あのがきを利用するだけ利用し尽くしてやるか……?」 自称するだけあり、彼の頭脳は利用する価値がある。 実際、蝙蝠が《骨肉小細工》という発見に行きついたのも――首輪を爆発させるという発想に辿りついたのも、供犠創貴の言葉があったが故だ。 懸念要素として、彼自身は非力ではあるが拳銃と言う凶器が挙げられる。それでも心臓さえ守れさえすれば十分に対応できる。 「そりゃいいや」 きゃはきゃは、といつものように笑う。 すっかりいつもの調子を取り戻したようだ。 「つっても、ちょいと疲れちまったな……」 宗像形の戦闘の際の傷は、先ほどの《変態》で癒されている。 さもありなん。彼の《骨肉細工》は本来《擬態》に意味があるのだ。 余計な傷のついた擬態に何の意味がある? そんな邪魔でしかない傷など残すわけがない。 どうやって? ――小さな子どもから巨漢の男まで変態する彼に、今更その程度の理屈を求める方がどうかしている。 しかし、それでも疲れは溜まるものだ。 慣れないゆえか、余計な神経を使う《骨肉小細工》の使用も相まって、想像以上の疲労が蓄積されている。 嘆息しながら腰を下ろす。 「どうすっかねえ」 真庭蝙蝠は零崎人識の声でけらけら笑う。 それはそれは、愉快そうに。 【1日目/夜中/E-5】 【真庭蝙蝠@刀語】 [状態]身体的疲労(中)、都城王土に変態中 [装備]軋識の服全て(切り目多数) [道具]支給品一式×2(片方名簿なし)、愚神礼賛@人間シリーズ、書き掛けの紙×1枚、ナース服@現実、諫早先輩のジャージ@めだかボックス、 少女趣味@人間シリーズ、永劫鞭@刀語 [思考] 基本:生き残る 1:創貴たちと合流するか? あるいは休むか? 2:強者がいれば観察しておく 3:行橋未造も探す 4:黒神めだかに興味 5:鳳凰さまが記録辿りを……? まさか川獺が……? [備考] ※創貴と同盟を組んでいます ※現在、変形できるのはとがめ、零崎双識、供犠創貴、阿久根高貴、 都城王土、零崎軋識、零崎人識、水倉りすか、宗像形(144話以降)、元の姿です ※放送で流れた死亡者の中に嘘がいるかも知れないと思っています ※鑢七実の危険性について知りましたが、嘘の可能性も考えています ※供犠創貴に変態してもりすかの『省略』で移動することはできません。また、水倉りすかに変態しても魔法が使えない可能性が高いです ※宇練銀閣の死体を確認しましたが銀閣であることは知りません ※体の一部だけ別の人間の物に作り替える『忍法・骨肉小細工』を習得しました。 ○ 切り刻まれた死体がある。 約五百の墓標に沈む、解された死体があった。 元の名を、宗像形と言う。 その姿は凄惨かつ悲惨なものだった。 あくまで正義を標榜し、邁進した男の末路にしてはあまりに憐れな幕切れである。 恐らくは死ぬその直前まで、何が何だか分からなかっただろうに――。 ――それでも彼は救われたのだろう。 最後の最後まで、正義を信じ、阿良々木火憐と共に寄り添うことができたのだから。 誰が何と言おうとも、報われ、悪を排する正義に殉ずることが出来たのだ、と。 なんて、心にもないことを言うつもりはない。 宗像形。 《正義》に囚われた男。 人は決して他人になれるわけないのに、《正義そのもの》に妄執しまった男。 人を愛した殺人鬼、ここに死す。 ――人間の死には《悪》って概念が付き纏うんだとよ じゃあ、彼にとっての《悪》とはなんだったのだろう。 真庭蝙蝠が引き起こした偶然で死んでしまった彼の、なにが《悪》かったのだろう。 【宗像形@めだかボックス 死亡】 残り風 時系列順 三魔六道 球磨川禊の非望録 投下順 三魔六道 変態、変態、また変態 零崎人識 玖渚友の利害関係 変態、変態、また変態 真庭蝙蝠 陽炎 変態、変態、また変態 宗像形 GAME OVER
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咲夜8 うpろだ589 今思えば、私は嵌められたのだと思う。 「咲夜さん、これを」 それは普段着ているようなメイド服でもなく、柔らかくさらりとした手触りの光沢のある黒のドレスだった。 普通の女の子なら一度は憧れる代物だ。 身体のラインを強調するような黒のそれは太腿から深いスリットが入っていた上に、胸も必要以上に強調されるようなデザインになっていて、 それを着るには大分勇気を必要としたけれど、レミリアが着ろと言うのだから逆らうことも出来はしない。 美鈴に手伝ってもらいながら何とか四苦八苦してドレスに腕を通した。 「咲夜さん、凄く綺麗です」 そう言って、美鈴は軽くメイクを落としていく。咲夜さんの肌は綺麗ですね、だからあんまり弄らなくてもいいかな。 アイラインを引いて、口紅を差す。 いいですよと言われて目を開ければ目の前の姿見に見知らぬ女が映っていた。 揺るぎない銀の髪が辛うじて自分であることを知らしめる。 「これ、履いてってレミリア様が・・・・」 「・・・・分かったわ」 ドレスと同じ黒のエナメルの靴を履く。 大きく背中の開いたドレスといい、華奢な造りと高い踵の靴といい、全てが心許なかった。 「咲夜さん、その・・・・私たちの事・・・・」 「美鈴、留守を頼んだわよ。・・・・・さあ咲夜、行きましょうか?」 現れたレミリアにはいと頷く。 美鈴はどこか悲しそうな顔をして、私が連れて行かれるのを見ていた。 行きましょうか、と言われたものの、何処へとは聞けなかった。 聞いていいような雰囲気ではまかり間違ってもなかった。 飛行しながら、流れる景色をぼんやりと見つめながら思う。果たして私は、何処に行くのであろうかと。 数分もかからずにレミリアは地上に降り立った。 それを見てこちらもゆっくりと下降する。 先に降り立ったレミリアが促すようにその手を伸ばしてくる。 少し躊躇った後に指先を重ねて動きにくい靴と格闘しながらのろのろと歩いた。 きっと靴擦れが酷いことであろう。 目の前には数回訪れたことのある屋敷があった。 重厚な扉を開いて、人のいない廊下を歩く。 かつかつと信じられないほど大きく足音が響く。柄にもなく緊張しているのかもしれない。 どうしてこんな格好をしているのかは知らないけれど、これから会いに行く人物には心当たりがあった。 こんな屋敷で用のある人物といえば、ただ一人。 「待たせたわね」 思っていた通りの場所でドアを開けたレミリアに、ある種の落胆と絶望が滲む。 「・・・・・待つ時間っていうのは、どうしてこうも長いんだろうね。レミリア、咲夜」 「・・・・・・」 他の給仕も執事も、誰もいない部屋で彼は一人静かに佇んでいた。 明るい茶色の目と視線が合う、と思った瞬間にはすでに彼は目の前にいた。 いつの間にかレミリアに預けていた手は彼に繋がれている。 「最後に会ったのはあの悪魔の妹君と一緒の時だよね、咲夜」 「・・・・っ、△△・・・・」 「○○、だよ。咲夜が呼びやすい呼び方で呼べばいいけど苗字は駄目」 今日から咲夜は俺のお嫁さんになるんだから。 確かな笑みと共に吐き出された言葉に驚愕した。 そんなことは、知らない。 何かの間違いではないのかとレミリアを見遣ったが、ただ静かに微笑み返されただけだ。 それだけで十分だった。彼の言葉が紛れもない真実だということを思い知るには。 目の前が真っ暗になって、力が抜ける。 みっともなく床の上に崩れ落ちるかと思ったけれどそんな無様な姿になる前に、○○に腰を取られた。 そのまま抱え上げられてソファの上に横たえられる。 ふわふわと沈み込む柔らかな感触が、まるで浮世離れしているのではないのかという錯覚を起こさせた。 理由なんて分からない。 けれどこの格好はその為だったのかと合点がいった。 勿論分かったからといって嬉しくも何ともない。 「咲夜」 「レミリア・・・・様」 「こうなったのは私の責任よ。・・・・私が、彼に負けたから。恨む?」 「・・・・・・」 無言で首を振る。 嫌で嫌でたまらなかったがだからといってレミリアを恨むのはお門違いだ。 例え本当にレミリアの言うとおり彼女の行為の何かが原因だったとしても恨めるはずがなかった。 「・・・私は、いいんです」 「・・・私は貴女の幸せを心から願っているわ。貴女が嫌だと言うのならこの話は―――」 「レミリア」 静かな、威圧的な声だった。 ぞっと皮膚が粟立つ。 初めて出会ったとき、この男はこんな声はしていなかった。 震える拳をきつく握り締めて、真っ直ぐに見上げた。 薄らと笑う瞳と視線がかち合う。 それからレミリアを見遣った。・・・悲しそうな、顔をしていた。 「・・・いい、です。結婚でも、何でもします」 「咲夜・・・・」 「紅魔館の皆さんのことを、よろしくお願いします」 それだけしか言えなかった。 覚悟を決めても所詮はその程度ということだ、情けない。 温かなレミリアの手が頭に触れた。 そのまま小さな子供を宥めるように、くしゃりとひとつ髪を掻き混ぜられる。 たったそれだけのことで身を切られるような思いだった。 この温もりはもう二度と手に入れられないのかもしれない。 「○○」 「分かってるって、レミリア。ちゃんと幸せにするよ・・・咲夜」 のろのろと顔をもう一度○○に向ければ毒を持った笑みで返された。 幸せになんてなれるはずがない、美鈴もパチュリーもフランも小悪魔も敬愛する主君であるレミリアもいない世界に自分の望む幸せがあるとは到底思えなかった。 投げ出したままの左手を取って、その薬指に指輪を嵌められる。 細くて華奢でシンプルな指輪だ。 虹色の石が嵌っているがそれが何なのかは生憎と分からなかった。 「オパールだよ。綺麗だろう?似合うと思ったんだ」 そう言って指輪を嵌めた(彼のものになった)手をそっと握って、口付けられる。 そのまま強く指に歯を立てられた。 反射的に逃れようとしたら更に強く手を握られる。 おそらくは血が滲んだのだろう、赤く濡れたものが見えた。 「・・・・っ、あ」 「浮気防止に、もう一つ」 ぺろりと唇を舐めて、爽やかに笑う。 レミリアの表情は悲しげなまま凍りついたように動かない。 だから、それ以上彼女に負担はかけたくなくて、大丈夫ですと言えば無理矢理納得したような顔をしてそれでもしっかりと頷いてくれた。 「・・・・じゃあ、私はこれで」 「いつでも遊びに来ていいって、紅魔館のみんなに言ってあげて」 「お気遣い、結構よ」 それだけ言ってくるりとレミリアは後ろを向く。 その背中が全ての言葉を拒絶していて、だから何も言えなかった。 彼女の後姿がドアの向こうに消えて、その足音すら捕らえられなくなって、もう一度ソファに沈み込んだ。 靴はすでに○○によって脱がされていた。 思考が同じ所で停滞している、何もかも考えるのに疲れた。 張り詰めた神経が緩むこともなくそのままいつか切れてしまいそうだと思いながら、目を閉じる。 とにかく今は眠りたかった。 目が覚めたら全ては夢だったという都合の良い話はないだろうか。 瞼を閉じたらとうの昔に枯れたはずの涙が二粒、頬を流れ落ちた。 補足。 十六夜咲夜 元紅魔館のメイド長。 咲夜に目をつけた○○とレミリアの賭け戦闘でレミリアが負けてしまったため、○○の嫁になることを決定付けられる。 それ以降すこぶる腹黒な旦那に振り回される毎日を過ごすことに。 ○○にあまりいい感情を抱いていない(レミリアを負かしたので)。 ○○ レミリアより強い、最強?な○○。 性格はすこぶる黒い、とにかく黒い。腹の底まで真っ黒。 事実かどうかは分からないが全て計算づくの上で奸計用いて咲夜をゲットしたとかしなかったとかいう、そんな。 多分十中八九本当のこと。 意外にも結婚生活自体にはどちらかと言えば乗り気なようで、ことあるごとにあの手この手と咲夜を虐めては(困ってたり屈辱に打ち震えていたりする姿を見て)楽しんでいるらしい。 心の底から性悪ですね。 でも咲夜のことを本当に心から、 レミリア・スカーレット 親馬鹿、咲夜馬鹿。 ○○との戦闘に負けて泣く泣く咲夜を嫁に出すことになってしまった。 彼女が嫁に行った日は一人で枕を濡らしていたとか何とか。 ───────────────────────────────────────────────────────── うpろだ591 俺がプロポーズしてから一月ちょっと 彼女が十六夜に別れを告げて一月弱 特に変わったわけでもなく、ただいつものように、毎日が過ぎて行っている 正直に言えば彼女が来てから店の方も繁盛してるし、人でも増えて楽になった でもまだ何となく、その・・・嫁に来たという実感が湧かないのも事実だ いまだ恋人のまま、同棲しているような感覚 いったい結婚とはなんなのだろうか? 「幻想郷に・・・紅魔館に来て、お嬢様のお世話をして、パチュリー様にお茶を入れたり図書館の掃除をしたり、メイドたちをまとめたり、サボってる美鈴を怒ったり」 彼女はまるで遠い遠い昔の事ように話す、瞳は悲しげに、口調は柔らかく 「霊夢や魔理沙が遊びに来て、たまにそれを撃退したり歓迎したり、異変の時も色々と大変だったわ・・・それでも凄く・・・楽しかった」 俺があまり知らない彼女のメイド生活、だか実に解り易く・・・光景が目に浮かぶようだ 俺の知らない彼女を、見て見たいなんてすこし、思った 「このまま年老いて死ぬのも悪くない、むしろ恵まれているなんて思ってた・・・でも」 俺とであった、俺に恋をしてくれた、そして俺も恋をした 「まさか自分が普通の人間みたいに・・・人を好きになって、体を重ねて、プロポーズまでされちゃって・・・幸せすぎて、夢なんじゃないかって、でも夢じゃなくて」 もし夢でも、俺は夢から現実まで出張って、君をさらいに行くよ 「紅魔館にいたときが一番幸せなんだと思ってた、いろんな人に大切にされて、幸せだった、危険もあったけど、充実してたし、満足してた」 「・・・じゃあ、何で君は俺との生活を選んだ?」 俺は、彼女も俺とおなじ事を言ってくれると信じて、一つの質問を、投げかけた 「それは・・・私はあなたを愛してるから、そして彼方が私を愛してくれるから――」 俺も、同じ気持ちだ 俺達は愛し合ってる、だけどまだ夫婦ではない、まだ俺達は彼氏彼女なのだ 何か区切りが必要なのだ、人によって色々だが、最も一般的なのは結婚式だろう、それと 「・・・古くは蛤の殻などを渡していたらしいが」 「?」 「まぁ一般的に・・・これが一番だと思ってな」 いつ渡そうか、ずっと出番を待っていた控え選手 温めていた身体、待ちわびていた気持ち 「え・・・指輪・・・」 「あんまりいいものじゃ無いが(推定月収8か月分)外から取り寄せてもらうのに金が掛かっちまってな・・・」 「綺麗・・・白金?」 「ああ、君には銀が似合うと思ったんだが・・・まぁいつまでも色あせない二人の愛情と言う意味も込めて・・・白金で」 ああ、俺はなに言ってるんだ、よくもまぁ恥ずかしい台詞をいえたものだ、素面なのに 「あ、ありがとう・・・やだ、嬉しすぎて」 涙が、ぽろぽろと零れ落ちた 俺もつられて泣きそうになるが、其処は男ですから、しっかりと胸で受け止めてやらんといかん 「咲夜、結婚式とやらををあげようか」 「え?・・・な、なんで?」 「区切りをつけよう、それと・・・お世話になってる連中に、幸せになる、って宣言しなきゃ・・・な」 お嬢様と妹様と引きこもりと小と中国とメイドsと霊夢と魔理沙とアリスとそれから、それから・・・ 「そうね・・・うん、皆に自慢しなきゃね、私幸せですよ、ってね」 なんか違う気もするが、彼女はそれでいいのだろう、周りも、俺も・・・たぶん 陽気ぽかぽか、昼寝をするには丁度いい昼下がり あの人がいなくなって、怒られる回数は減ったけど・・・ちょっと、いやだいぶ寂しい 「美鈴、頑張ってるかしら?」 「・・・・・さ、咲夜さん!?きょ、きょうはどおして!?」 「ふふふ、ちょっとね」 久しく聞いたのは、偉く上機嫌で、透き通るように綺麗な声だった 「お嬢様、いらっしゃいますか?」 久しく聞いた従者の声、幻聴かと思ったが間違いなく、其処に姿があった 「咲夜!?まさかもう・・・別居!!?」 「ち、違いますよ!そんなことは全然」 あの男に任せて、良かった、そう思わざるを得なかった 咲夜がこんなに幸せそうに・・・ 少し、いや凄く悔しい 「今日はちょっとした、報告とお願いを」 「報告とお願い?」 「私達・・・結婚式を挙げる事にしました」 To be continued! ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 58 理由は特に無かった。 人を好きになることに理由は要らないという言葉は本当らしい。 彼女を目で追い始めたのは何時からだったろうか。 ここは紅魔館のとある一室。 丁寧に掃除をしながら俺はいつものように彼女のことを考える。 十六夜 咲夜、俺の心を捉えて放さない人。 最初はそれほど気になる人ではなかった。 周りのメンバーの印象が強すぎて、常識人に見えたのが彼女くらいだった所為なのだろうが。 話せば長くなる成り行き上、ここで仕事をすることになった俺の上司。 ただ、彼女はそうであるはずだったのに。 何時からか変わっていた。 彼女の性格、仕草、言葉。 そういった何気ないものが俺にとって妙に気になるものになっていた。 「さて、こんなものか」 部屋の隅から隅まで掃除し終えた俺は部屋に置いてあった椅子に腰掛ける。 その状態から椅子にもたれかかり、天井を見上げる。 「何やってんだろう、俺」 彼女を想い続け、数年が経った。 何時までこんな半端な状態を維持するつもりなのだろう。 何度も彼女にこの想いを伝えようと思った。 その度に俺の中にある理性が必ず警告するのだ。 断られればそのあとはどうなるのか、と。 咲夜さんと今までのように接することができなくなる。 それどころか、俺は告白する覚悟など持ち合わせていないのだ。 現状維持――その言葉がいやに俺の頭の中を駆け巡る。 どんなに悩んでも変わらない、もどかしい状態が続いてきた。 彼女を見ていると何時だって俺という存在が霞む気がした。 大した力も無い、ドジを踏む、融通が利かない、器量も普通。 それに比べて彼女は完璧と呼ぶに相応しい。 そんな俺が彼女と共に居たいと思うとはなんともおかしな話だ。 「は、自虐が過ぎるか」 そう弱気な自分を一蹴してみてもやはり皮肉の言葉が沸きあがってくる。 「ああ、畜生。どうしてこんなに愛おしいんだ。どうしてこの感情を伝えられないんだ。どうしていつも踏みとどまっちまうんだ」 自分でも気がつかないうちに言葉が勝手に紡がれる。 少しずつ声が大きくなっていく。 分かっているのに、抑えられなかった。 ガタ…と部屋のドアから音がした。 誰か居るのかと思ったころにはもう遅く、既にその誰かへと呼びかけていた。 「誰だ?」 言い終わった直後に気配を消しながら音を立てずに素早く動きドアを開ける。 そこに居たのは驚いた顔で俺を見つめる、先ほどまで俺が思いを馳せていた咲夜さんその人だった。 「咲夜さん?どうしてここに?」 いきなりドアが開いたことに対して咲夜さんは驚いているようだ。 それもそうか、時間を止めようとしている間にこうなれば。 「え、あ…その…そろそろ掃除が終わったかと思って様子を見に来たのだけれど…」 戸惑いながらも彼女はここに来た理由を告げる。 しかし、何故か妙に落ち着きが無い。 本来の彼女なら既に平静を取り戻しているはずなのに。 ……嫌な予感がする。 俺はその嫌な予感を確かめるために彼女に一つ質問をした。 「あの、さっきの言葉……聞いていましたか?」 「い、いえ。聞いてないけど」 嘘だと直感した。 何故だか分からないが、俺と同じような感じがしたのだ。 「嘘ですね。そもそも、この部屋には防音加工が施されていないですし、あれくらいの声ならば聞こえてもおかしくは無いはずです」 「っ!」 咲夜さんの一瞬見せたその顔で俺は確信した。 「図星ですね」 彼女が慌てて取り繕ってももう遅かった。 それからしばらく言いようの無い、居心地の悪い静寂が辺りを包んだ。 「その・・・ごめんなさい」 「いえ、別に構いませんよ」 言葉が続かない。 さっきからバクバクと早鐘を打つ心臓が酷くうるさい。 彼女に聞かれていた恥ずかしさと、今後の彼女との関係はどうなるのだろうという不安が綯い交ぜになって、本当に落ち着かない。 「あの、私でよければ相談してくれないかしら」 なんとなくわかっていた。 彼女ならそう言うのでは、と。 その言葉を聞いた途端に彼女との距離が遠くなった気がした。 「そういうこと、私には経験が無いけど、私ができる範囲内なら協力してあげるから・・・」 そう言って微笑んだ彼女の表情はまさしく俺を連想させた。 本当に悲しそうで、本当に辛そうな、秘めこんで消してしまおうとする表情を見て、俺はただ、ここで何かを言わなければならない気がした。 「いえ、その必要はありませんよ」 自分の心を奮い立たせて言葉を紡がせる。 何を戸惑う、ここで言わなければ全てにおいて後悔する。 それで本当にいいのか。 「え・・?」 「聞かれていたのなら、もう踏みとどまる必要はありませんからね」 さあ、言おう。 秘め続けたこの想いを。 ただ、その為に今の俺はここにいる。 「咲夜さん、俺は貴女のことが好きです」 一度溢れたら、もう流れは止められない。 なんと思われようが構うものか。 今この瞬間だけはこの想いをぶつけたい。 「咲夜さんの声をもっと聞きたい、咲夜さんの笑顔をもっと見たい、咲夜さんの心に少しでも触れたい、 咲夜さんに少しでも近づきたい、咲夜さんを近くで感じたい、咲夜さんのことを知りたい、咲夜さんを愛したい。――――」 俺の言葉は止まるところを知らなかった。 最初は口をぽかんと開けて呆けた表情を浮かべていた彼女だが、次々と述べられる言葉を理解していく内に、その顔が徐々に赤く染まり、 遂には視線を泳がせて慌てふためき始めた。 「あ、う・・あ、あの・・その・・・」 もはや彼女は、完全に落ち着きを失っている。 その様はいつオーバーヒートしてもおかしくない程だ。 対して俺は、自分の心から次々と湧き上がる言葉をただただ口に出すことに必死なので、まったくといっていいほど彼女の様子を気にしていなかった。 「こんなことをいきなり、しかも勝手に言って迷惑なのは承知しています。けれど・・・駄目でしょうか」 「っ、そんなことない!」 ほぼ即答だった。 「私だって、あなたのことが・・!その・・す、好き・・」 段々と消え入りそうになる声。 しかし、最後の言葉ははっきりと聞こえた。 そう言われて俺は気がついた。 彼女も同じだったのだと。 そう分かると、なんだか顔が一気に熱くなってきた。 たぶん耳まで真っ赤なのだろう。 「えっと・・本当、ですか?」 「嘘でこんなこと、言わないわよ・・っ!」 ああ、これではっきり分かった。 そして、なんとなく顔が綻んでいるのが自分でも分かる。 再び沈黙が辺りを包んだが、今度はあの居心地の悪いものとは違う、どこかむずがゆいような…まあ、悪くない沈黙だった。 「えーっと、咲夜さん、ってあれ?!」 気づいた時には、彼女はもうそこにいなかった。 恐らく時間を止めて何処かに行ったのだろう。 「・・・まあ、いいか」 そう、まだ時間はたっぷりある。 ようやく進展したのだ。 もう恐れる必要は少なくとも無い。 さっそく、彼女を探しに行こう。 どんな顔をして会えばいいか分からないが、とにかく会いたい。 そう思った瞬間、彼女との距離が近づいたような気がした。 さあ、行くか。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 207 う~ん、今日はヒマだなー 黒白も紅白も来ないし、毎日こんなだといいなー って咲夜さん!?いつからここに? え?ヒマだなーの辺りですか?いや確かにヒマだっていいましたけどサボってたわけじゃ…… ちょ、咲夜さんナイフはやめてください! ~少女説得中~ はあはあはあはあ、た、助かった…… それにしても咲夜さん今日はやけに機嫌、悪いですね さては○○さんと何かありました? え?何で分かったかって?そりゃ分かりますよ これでも私咲夜さんの何倍も生きてるんですからよ 恋をしたことだってありますし結婚だってしましたよ、子供は……できませんでしたけどね …………そんなに珍獣を見たみたいに驚かないでくださいよ まあ彼は人間でしたからもう死んじゃったんですけどね 悲しくなかったのかって?そりゃ当時は泣きましたよ、泣いて泣いて泣いて それこそ泣かなかった日なんてないぐらいでした でも、それでも私はあの人と結ばれたことを後悔はしていません だから、咲夜さんも後悔はしないでくださいね これは人生の先輩からのアドバイスとでも思ってください ○○さん、もう咲夜さん行っちゃいましたよ 私の話、聞いてましたよね?だったら私の言いたい事分かりますよね 咲夜さんにも言いましたけど後悔だけはしないで下さいね ふぅ、二人とも世話が掛かるなぁ でも、あの二人を見てると昔のわたしたちを思い出すなぁ…… あなた、私は今日も元気であなたを愛しています 美鈴は妖怪で長生きだから昔結婚しててもおかしくないんじゃないか? って事で書いてみた美鈴しか喋ってないけどwwww ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 430 「フラン!早く部屋に戻りなさい!!」 「やだっ!もうあんな暗いところは飽き飽きよ!!」 紅魔館の中を縦横無尽に走り回るスカーレット姉妹、どうやら妹様があの部屋から脱走なされたようだ 「○○!フランを止めなさい!」 「ええっ!?私が!!?無理です!無理です!!」 「ゴメンね○○」 俺の横を抜ける時に妹様は確かにそういった すぱっ、っと綺麗に腕を切られてしまった 「ちぃっ!あのバカ妹!!」 そう言ってレミリア様も何処かへ行かれてしまった 「・・・切られ損・・・左腕どうしようかなぁ」 俺は吸血鬼(出来損ない)なのでこれぐらいはなんとも無いが・・・痛いorz とりあえず切られた左腕を拾って途方にくれた 「パチュリー様、治癒魔法って使えます?」 仕方がないので図書館へと足を運んだ 紅魔館の頭脳!引きこもり!エレメントマスター!喘息患者! 魔法使いパチュリー・ノーレッジ 彼女に聞けば大抵の問題は解決してしまうのだが 「咲夜に頼めば?彼女裁縫は得意よ?」 「いや・・・治癒力が弱いもので・・・」 「貴方腐っても吸血鬼でしょ?表面さえくっつけば遅くとも1日ぐらいで治るはずよ」 彼女はすぐに読書に意識を向けた、こうなってはもう言葉も届かないだろう 仕方がないので咲夜さんの所へ 「腐っても吸血鬼か・・・ほんとに腐ってるから笑えないなー腐った死体に改名しようか」 「何をブツブツ言ってるのよ、怪しいわよ」 「あ、咲夜さん、丁度いい所に」 「?」 これまでの経緯を説明し左腕の表面をくっつけてくれるようにお願いした 腕の接合なんて嫌がられるかと思ったがすんなり受けてくれた 「貴方も吸血鬼何だから避けるなり受けるなりしなさいよね」 「は、ははは・・・」 「ちょっと!?こんな事で落ち込まないでよ!」 「いや・・・此処に来てから一度も役に立ってないな、と思って」 妹様に逃げられる、侵入者を止められない、掃除も料理も並以下 出来るのは夜の見回りとメイド達が出来ない力仕事ぐらい 「はぁ・・・俺は、駄目だなぁ」 「・・・少なくとも、メイド達は貴方の事頼りにしてると思うわ」 「そう、ですか?」 「優しいし、何でもよく気付くし、力持ちだし、家具の移動とか楽になったわ」 「・・・少しでも役に立ててるなら幸いです」 「私は・・・貴方が此処に来て最初は胡散臭いと思ったけど・・・今は、大好きよ」 「へ?・・・え?大好きってその・・・」 「さぁ、腕もくっついたし、仕事に戻りましょ!」 「あ、ありがとうございます、あ、あの、咲夜さん?」 「ん?」 「それってどういう 彼女は優しく微笑んで部屋から出て行った、俺はその笑顔があまりにもまぶしくて思わず見とれてしまった それ以上に自分で何を言われたかまだ理解できないでいた 「―ッ!」 彼女の言葉と微笑を、理解したと言うか、思い出したというか とたんに恥ずかしくなってその後は仕事にならなかった 「LOVEなのかvery LIKEなのか・・・うーん」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 671 「いらっしゃい・・・なんだ、君か」 里のはずれの方に建つ一軒の怪しげな家、いや正確には店、か 「お客になんだとは失礼ね」 其処に訪れたのはメイド服のパッdげふんげふん、十六夜咲夜だった 「頼んでいおいたのは出来てる?」 「ばっちり、あまり乱暴に使うなよ、すぐ刃毀れするからな」 そう言って数十本の短剣を渡した 「わかってる、けど投げナイフはもともと消耗品でしょ」 代金を払い、短剣を鞄にいれた 「・・・」 「・・・」 じっと見つめあう、よくわからないが張り詰めた雰囲気だ 「わかったよ、お茶飲んでいきなお嬢さん」 「ありがと♪今日もゆっくりしていくわ」 ナイフ研ぎで2時間も3時間も粘られるとは・・・しかし常連さんなのである 「・・・帰らなくていいのか、吸血鬼のお嬢様が待ってるんじゃないのか?」 「いいのよ、今日は一日休みだから」 「ふ~ん、お前さんにも休みがあるんだな」 「○○なんて毎日休みみたいなものじゃない、お客も私ぐらいでしょ?」 「そんなことは無い!へんな爺さんとか二刀流の幼女とかも来るぞ」 数年に一度だがね、週一で来るのは咲夜ぐらいだろう、客が少なすぎるが生活になんら問題はない 「それじゃ帰ろうかな」 「ん、気をつけてな」 店を出て、帰路に着いた 「・・・引き止めてはくれないか」 ため息を吐きながら、自然と言葉が出た 「やだ、これじゃまるで」 そう、彼に・・・恋してるみたい 「いつか、○○のほうから・・・お茶に誘ってくれないかな」 吐く息が白くなる、私の隣は空のままだ ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 677 「○○ここの荷物を4倉庫にお願い」 「はい、解かりました」 最近は咲夜さんにあごで使われてばかりだ 掃除も料理もお茶も駄目な俺は重量級の荷物整理、深夜の雑草ぬき、深夜の門番 これぐらいしか仕事がないもんだから暇でしょうがない 暇な時間はフラン様の話し相手をしたり、レミリア様から有難い講釈を受けたり パチュリー様から実験のサンプルを取られたり、そんな感じ 「お疲れ様、休憩にしましょう」 彼女は本当によく出来たメイドだ、一言で言えば堅い でも、時折見せる少女のような一面に、おれはメロメロ(死語)だった 休憩時間のことだった、窓の外に話しかけてる咲夜さんをみた 霊夢さんとでも話してるのかと思ったら、小鳥に話しかけてた いやもう、かわいいね、やばいよあれは けっこう華奢でね、腕なんかすごーく細いのよ 前に大きめの荷物を持とうとしてね、持てたんだけど重くて足の上に落しちゃったみたいなんだよ すっごい涙目でね、でも我慢してるんだよ 人目を忍んで痛かったーとかいってるのよ いや、もうね、あのギャップ、惚れたよ 普段は完璧なメイドを演じてて、実はか弱い年相応の少女ってのはね、おじさんぐっと来るね 「○○ー!この荷物をー」 「はいっ!ただいま」 いけね、へんな妄想をしてしまった 「これとこれを、終わったら今日はおしまいよ」 せっかく腕力があるんだから、こういう仕事でがんばるしかない 咲夜さんが小さい荷物を運ぼうとしててを滑らせた 「ッ!」 落としたのはこの前と同じ足の上 「あ、この前と同じとこ・・・」 「み、見てたのね!?この前私が―」 「わーごめんなさいごめんなさい、偶然見たんですよー」 頭を庇って、下を向いた・・・あれ? 「咲夜さん!?血!足血がでてます!」 咲夜のエロいじゃなくてきれいな足の甲から血が滲み出ていた 「あら、ほんと・・・大丈夫よこれぐら「救護班!手当てをー」 「ちょ!?○○!?」 音より速く、咲夜を抱えて(もちお姫様抱っこ)救護が出来るメイドの所へ駈けた 「はい、これで大丈夫ですよ、意外ですねメイド長がうっかりミスで怪我だ何て」 咲く夜は少し恥ずかしそうに、俺は横で心配そうに、メイドは何だかニヤニヤしながら 「それじゃ私はこれで、あまり足に負担をかけないでくださいね」 「ありがと・・・ほかの子には黙っててよ」 「ふふふ、解かりましたよ」 「・・・よかったー」 「○○さん」 メイドにが耳元でボソッとしゃべって言った 「○○GJ!咲夜フラグげとー!」 意味不明な呪文を呟いて部屋を出て行った、何だあれは? 「○、○○・・・その・・・あ、ありがと」 これはヤヴァイ、いつも気丈な咲夜が、頬を染めて、素直に、礼を言ってる 少し申し訳なさそうな感じが可愛さを更に引き出して、これは・・・がんばれ理性! 「い、いえ、当然のことをしたまでですよ」 「・・・そうね、そうよね、貴方は誰にだって優しいよね・・・」 なぜそんな悲しそうな顔をするんだ、俺は君の笑っている顔がすきなんだ 曇った顔は、暗い顔は 「咲夜さん?なにか・・・」 「はは、なんでもないの、仕事に戻りましょ」 部屋を、出て行こうとした彼女の手を、握った、俺は彼女を引きとめた 「俺で、俺でよければ・・・話してください」 「そう、ね・・・私、好きな人がいるんだけどね、そいつは鈍くて、何処か抜けてるけど・・・とても優しいの、誰にでも・・・誰にでも優しいのよ」 咲夜さんに好きな人?俺は・・・いやだ、そんなのは嫌だ、でも・・・彼女は 「そいつ・・・幸せな奴ですね!咲く夜さんにこんなに想われてて」 黒い感情を押し殺した、でないと俺はきっと酷い事を言ってしまう、醜い 「・・・そうよ、こんなに想ってるのに、あの莫迦鈍くて・・・」 彼女の瞳を涙が濡らす、泣いている姿をみて、不謹慎にも、綺麗だと思った 「咲夜さん・・・泣かないで」 「誰のせいで泣いてると思ってるのよ!!ばかー!!!」 ぱしーん、と勢いよくびんた、そのまま彼女は走っていった いたい・・・なんで俺が 「誰のせいで・・・・鈍くて・・・誰にでも・・・・・・」 彼女の言葉を思い返して整理して 「え・・・俺?もしかして、もしかしなくて俺?」 いや、この結論に至った事を妄想乙とか言われても構わない 彼女の言葉からは、行動からは、それが最も正しい― 「はっははは、俺が・・・咲く夜さんが俺を」 生まれて初めて、嬉しくて泣いた、嬉しすぎて笑った 笑いながら泣いた、そして走って行った十六夜咲夜の後を追って走った ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 747・750 「なぁ咲夜、俺は・・・お前の事が―」 ぴぴぴぴぴぴぴがちゃ 「ん・・・夢だよね、あの人がそんな事・・・」 もう少し時計が鳴るのが遅ければ、あの人のセリフを 溶けるくらい甘いセリフが頭をよぎった、自分で恥ずかしくなった、馬鹿馬鹿しいと思って 「早く着替えなきゃ、仕事が」 すぐに着替え、身支度を済ませ仕事へと向かった 部屋を出た、瞬間何かにぶつかった 「きゃっ!」 どす、っと堅いものにぶつかった・・・あれ? 「大丈夫ですか!?咲夜さん?」 ○○さんの胸、らしい、頭のすぐ上から○○さんの声がする・・・ 「ご、ごめんなさい、私ったら急いでて・・・その」 あんな夢を見てすぐに○○さんに会っちゃうなんて、恥ずかしくて顔が見れない 「咲夜さん?どうしたんですか!?顔が赤いですよ?熱でも」 「大丈夫です、大丈夫ですから」 なんでもないからそんなに近づかないで!今は― 俯いてるのに○○さんの顔が正面に見えた・・・え? おでこが、おでこが あの例のあれ(おでことおでこで熱を測るの) ぱたっ 私は私の倒れる音を聞いた 「あ、メイド長、気がつきましたか」 「ここ、は?」 「医務室ですよ、メイド長いきなり倒れたんですよ?」 「そうだ、○○さんは!?」 とんだ失態を見せてしまった、というか恥ずかしくてしょうがない 「かっこいいですよねーメイド長を軽々と抱えて医務室まで来られたんですけど」 私が知らないうちに私はいい思いをしてたらしい、意識がないのが悔しい所ね 「すっごくあわててましたよー、お姫様抱っこって絵になりますよね」 おおおおお姫様抱っこ!??きゃー 「もう大丈夫ですよ、熱中症という事にしておきますから」 メイドはさっきからニヤニヤしている 「ニヤニヤしないでよ、私だって恥ずかしいんだから」 「あ、いえいえ、そういうことではなくてですね・・・メイド長、いえ咲夜さんは○○さんにとってとても大切な人なんだなぁって」 「な、なにを」 「だっていつもクールで優しい彼があんなに取り乱して、あれだけ思われてる咲夜さんが羨ましいですよ」 「そんなこと・・・ないわよ、彼は誰にだって優しいわ」 「・・・まぁいいですけど、思ってるだけじゃ思いは想いのままですよ?」 「・・・ありがとう、仕事に戻るわ」 「はい、がんばってくださいね咲夜さん・・・陰ながら応援させてもらいます!」 「ふふ、ありがと」 「これからどうなるかwktkしますね」 「わくてか?」 きにしないでください 「咲夜さん!もう動いて大丈夫なんですか!?」 「ええ、全然大丈夫です、すいません、朝から迷惑ばかり」 「いえ、咲夜さんが元気ならそれでいいんですよ!迷惑だなんて、ぜんぜん」 この人が私を好き?私の大好きなこの人が、私を好きでいてくれるの?本当に・ 「○○さん・・・今日は何時まででしたっけ?」 「仕事ですか?確か5時半までだったと」 「・・・6時に・・・中庭で、その・・・待ち合わせしませんか?」 「何か相談とか、ですか?」 「え、ええそんな所です、いいですか?」 「構いませんよ、それでは6時に中庭で」 その後はいつもどおりに仕事をした、仕事をすることで、少しでも気がまぎれればと思った 「メイド長!」 「な、なに?いきなり」 「○○さんを誘ったんですね~!」 「き、聞いてたの!?」 「聞いたんではありません、聞こえたんです、不可抗力であって自己の意思による選択の(ry」 「・・・今朝も言ったけど他のメイドには秘密だからね!?わかってる?」 「ええ、ちゃんと把握してますよ、こういう秘密は秘密にするからこそ面白いんですよ」 「・・・今夜は・・・がんばるわ、どんな結果であれそれを受け入れる」 「がんばってくださいね、私は咲夜さんを応援してますよ」 ほーほー ふくろうが鳴いてる、今は5時45分、私は少し早く来てしまった 待ちきれなかった、期待と不安に押しつぶされそうだった、早く楽になりたかった 楽になれるといいのにな 「せっかちさんですね、約束まであと十分ほどありますよ」 ○○さんが、来た 「呼び出しておいて遅れるの失礼だと思って」 「そうですか・・・それでなぜ私を?」 言おう、言うぞ、言えっ! 「私はっ・・・」 声が震える、上手く声がでない、なんで!? 「私は」 恐怖か不安か、黒い感情で声が震える、悔しくて涙が出た 今朝とは違う、衝突ではなく抱擁、私は、彼に抱きしめられた 「何があってどういうことなのかは解かりません・・・でも泣かないでください」 あったかい、人肌がこんなに心地いいなんて 「○○さん・・・私・・・あなたの事が好きです、大好きなんです」 「咲夜さん・・・俺も言いたい事があるんですけど、いいですか?」 「は、い」 拒絶か、怖くなって身構えた、衝撃で、壊れないように 「俺は、○○は、十六夜咲夜が好きで好きでしょうがない、大好きだ・・・だから」 「○○さん・・・」 また抱きしめられた、いや今度は違う、お互いに、抱きしめ合った 私は、私たちは、自然と、お互いの唇を求め合った 「・・・よかったですねメイド長!ぐすぐす」 遠くから二人の様子を見守っていたメイドがぼろぼろ泣きながら喜んでた レミリア様に朝早く咲夜の部屋を出て行く○○が目撃されてしまうのは別の話・・・ ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 807 「いらっしゃいませ~」 「こんにちは」 此処は調味料、珍味、漢方原料取扱店「ヰ茶主列度」 「こんにちは咲夜さん、今日は何をお求めですか?」 「パチュリー様の要望でね、この紙に書いてある物を」 「かしこまりました」 十六夜咲夜は既に買出しを終えたらしい、持っている荷物の量からするとうちが最後か 「大変ですね、買出しからお遣いから、館のあれこれ」 「もう慣れたわ、流石にね」 世間話をしながら商品を探し、揃えていく 守宮の尻尾~蜥蜴の青尾~♪コウモリこうもっり♪るるるー 「これで全部です、お化けきのこは切らしてるので、申し訳ない」 「じゃあそう伝えておくわ・・・」 …流石の咲夜さんもお疲れのご様子で 「これオマケしときますね」 「なにそれ?」 「栄養ドリンクヰ茶磨れすぺしゃる、です」 「…怪しすぎる、大丈夫よね?」 「少し飲んでみて駄目だったら門番か魔法使いに上げてください」 拳大ほどの瓶に容れられたワインレッドの液体・・・ とりあえず貰える物は貰う、ポケットにそっと仕舞った 「あの・・・えっと・・・来週がですね・・・その、休みなんですよ」 「久しぶりの休みですね、ゆっくり出来るといいですね」 「そうじゃなくて・・・その・・・よかったら、いえ、時間があればでいいんです!私と・・・その・・・」 ガラス細工を触るように、咲夜の唇に触れた、指だよ? 「お嬢さん、来週もしお時間が有れば、この私と、過ごしてもらえませんか?」 「あ・・・は、はいっ!喜んで!」 その晩、暗い部屋に一人、明かりを灯し瓶を眺める少女 「早く来週にならないかなぁ」 瓶の中で、真紅の液体がころがった ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 411 ドアの閉まる音に首を向けると咲夜が立っていた。 「あれ、レミリア様のところにいなくてもいいのか?」 「ええ。なんだか体調が優れないとか言って、早々に寝ちゃったわ」 「ふうん。――ま、座れよ。紅茶と珈琲どっちがいい」 「それくらいなら私が……」 「いいって、俺にも少しはやらせろよ。で、どっちだ?」 「じゃあ……紅茶。美味しく淹れなきゃだめよ」 悪戯っぽく咲夜は笑う。いつも張り詰めたままの表情も年相応に見えた。 震える手で紅茶を渡すと、微笑んでそれに口をつけた。 「まあまあね。ま、ぎりぎり及第点って所かしら」 「……厳しいなぁ。結構自信あったんだぜ?」 「自信があっても結果が伴うとは限らないのよ。精進することね」 「妙に実感篭ってるな…。――まさか咲夜も昔は?」 「何のことかしら?」 「はは、じゃあ気にしないでおくぜ」 月が照らす部屋で俺と咲夜は小さな声で笑った。 誰が聞くこともない、笑い声が部屋に染み込んでいった。 「なんで私がここに、とは訊かないのね」 「恥ずかしいからな。あえて、だ」 「ふふふ、そう。じゃあ、恥ずかしいついでに踊りましょうか」 「おいおい、俺はステップなんて知らないぜ?」 「大丈夫、私が教えてあげる」 「そうか、なら安心だな」 「今宵、私の時間は貴方のもの。踊りましょう、日が昇るまで」 ───────────────────────────────────────────────────────────
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紫16 うpろだ1133 愛してるわ、結婚しましょう。 信じられないな。 なぜ?私はあなたをこんなに愛しているのに。 一言で言えば胡散臭い。 でもあなたはここに居る、帰る機会も逃げ出す機会も、私を殺す機会だって与えたというのに。 お前が好きだからな。 ではなぜ私を拒むの? 自分の心も信じられない。 あなた自身が考えてあなた自身が決める事も信じられないの? お前が居るからな。 境界を操ったとでも言うのかしら? 可能性の話だ、もしかしたら吸血鬼に運命を弄られたのかも知れん、 ハクタクに過去を捏造されたのかも知れん、妖怪の賢者に心を操作されたのかも知れん。 そんなことないわ、私がそんな事させない。 だが保障はできまい、俺の心が俺のものであるという確証は無い。 では何故あなたは私の元に居てくれるのかしら。 お前が好きだからな。 矛盾しているわね。 人間なんてそんなもんだ。 焦れた私があなたを食べてしまうとしても応えてくれないのかしら。 そうしたいならそうすればいい。お前はそんな事しないと思っているし そうされたなら俺の見込み違いだ、大人しく腹に収めてもらおう。 捻くれた人間ね。 常識が通用しない事は十二分に見せてもらったからな、何も信じるつもりはない。 無論、この世界自体が「事故か何かで植物状態になった俺の見てる夢」という説も捨てん。 襲っちゃおうかしら、性的な意味で。 好きにしろ、心まではくれてやらん。 まったく・・・どうして欲しいの? 現状維持で構わん、こうして土を弄る仕事を全うして家族と一緒にうまい飯を食えるだけで俺は満たされている。 あら、家族だとは思ってくれるのね それすら偽装かも知れんがな 結局あなたは何も信じてないのね 信頼はしない、信用はしている。 あら、意外ね。 好きだからな、嘘でも作り物でも好意を持つ相手を無碍にできん。 それでも私の愛は受け取ってくれないのね。 好きだからな、嘘や作り物だったら俺は俺を許せない。 あなたを納得させるにはどうすればいいのかしら? さてな・・・・・・俺もそれが知りたい所だ。 ねぇ○○。 なんだ紫。 愛してるわ。 ありがとう、俺もお前を愛している。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1159 八雲家の縁側で紫の膝の上に乗っている○○ ○「どうして、紫さまって晴れてるのに傘持ってるの?」 紫「聞きたい?」 ○「うん」 紫「……本当に、聞きたいの?」 ○「え、う、うん」 紫「もしかしたら後悔するかもしれないけど、本当に聞きたいの?」 ○「え……じゃ、じゃあいいや……」 紫「あらそう。残念ねぇ、○○は私の事なんてどうでもいいのね……」 ○「や、やっぱり聞く!」 紫「本当に後悔したいのね?」 ○「ぁ、ぁぅぅ……」 困り果てている○○の頭を、紫の手が撫でる。 紫「冗談よ。ちょっとからかっただけ」 ○「うぅ……」 紫「そうね、私が傘を持っている理由ね……」 ○「…………」 紫「…………」 ○「ゆ、ゆかりさま?」 紫「……考えた事無かったわ」 ○「えぇ……」 紫「でも、一つだけ分かってる事はあるわ」 ○「?」 紫「いつでも貴方をこの中に入れる為よ」 そう言っていつも持っている愛用の日傘を拡げる。 その傘が、二人を太陽の光から遮断する。 ○「?」 紫「今はまだ分からなくて良いわ。その内分かってくるから、ね?」 紫が、後ろから○○の頬に口付けをした。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1166 夜風の吹く平地にて。俺と紫は対峙していた。 「今夜も負けることになりそうね?」 「いやさ、絶対勝ってやる」 二言三言、軽くやり取りをした後に俺は後ろに下がって間合いを取った。 「それじゃあまず私から、かしら?」 紫が取り出したのはスペルカード。俺自身も身構えた。 「まずは軽く試運転、か」 俺の周りを飛んでいたオレンジ色の球体に頭の中で命令を下し、右手の先に固定する。 戦いは、始まった。 *** *** 何故、こんな事になったのか。始まりは一ヶ月前の事だった。 突然紫が俺の家に押しかけてきて、『私と決闘するんでしょう?』と無理矢理連れ出されてしまった。 どういう事かまったくわからないため紫に質問すると、帰ってきたのは弾幕の嵐。……二、三日寝込むほどの重傷を負ってしまった。 その後に、ちょうど買い物の最中で顔を合わせた紫の式神に話を聞くと…… 数日前、宴会で俺は紫に決闘を申し込んでいたらしい。それも俺が勝つまで決闘は終わらない、との事。 宴会中の出来事……そう言われて俺は頭を抱えてしまった。俺はどうも酒に酔っている時の事は覚えていない性質らしく、前にも宴会後の朝に山の巫女が俺の隣で寝ていたというハプニングもあった。 まあ、アレは俺が山の巫女……東風谷を介抱していただけで、別に……そういうわけではなかったらしい。 式神に『悪いが決闘の約束を取り消して欲しいんだが』と頼んだ所、『構いませんが、……そんな事をしたら紫様に殺されますよ?』と帰ってきた。 誰が?と聞くと、『あなたがです。……それはもう楽しんでましたからね』と返ってきた。……なんのこっちゃ? 式神の話を要約すると、『俺は酔った勢いで紫に決闘を申し込み、なぜかは知らんがもうこちらから取り消しに出来ない』という事だ。 ……ここからはもう必死になった。絶対に勝たなければ俺が死ぬ。いろんな意味で。 幸い、俺の記憶の中に敵の弾を消せる能力を持った武器があったので、それを再現する事にした。 その武器……フォースは今、俺の右手に固定されて避け切れなかった弾を吸収させている。 「本当に、あなたのそれは反則よね?……普通の弾幕ごっこじゃないから使用を認めているけど」 「まあね。こいつの元になった作品では『無敵の武器』とまで称される位だからな」 紫の言葉に返す余裕は無いが、何とか口にする事は出来た。 「さて。……『形状変化 「チェーン・フォース」』!反撃させてもらうぜ!」 オレンジ色の球体の周り、ちょうど中心から真横の線上に三本のコントロールロッドが生まれ、右手の手首にリストバンドが装着された。そこから伸びるチェーンはフォースに繋がっている。 「それっ!」 紫に向けてフォースシュートを行うが、当然ながら避けられてしまう。 「……あら、これで終わりかしら?」 「いや?まだ攻撃は続いてるぜ?」 右腕を動かし、フォースにこちらに戻るよう命令する。……背中からの攻撃なら当たるはず。 「後ろからなんて、紳士的ではないわねぇ」 しかし、避けられてしまった。……それでも俺は慌てずに、フォースを紫の方に動かす。 「もう、こんな単調な攻撃じゃあ妖精でも避けられる……」 「そう言うと思ったよ。……ただ、一つ忘れてないか?」 ……何故数あるフォースから一番使いにくい、というかレーザーが一部役に立たないチェーン・フォースにしたか。それは…… 「ええ、この鎖のことでしょう?」 気付かれた!?すぐにチェーンを引いて紫を締め付けようとしたが時すでに遅し。隙間を使って逃げられていた。 そう。このチェーンにも当たり判定がある。……フォースだけでなくチェーンでも相手を攻撃出来るのだ。 「……どこに行った?」 チェーンと一緒に戻ってきたフォースを右手に固定し、辺りを見回す。 紫の隙間という移動手段は非常に手ごわい。いつ、どこから出てくるかわからない。奴が神出鬼没たるのも隙間があるからこそ…… 「……もう、言い当てられたぐらいで焦ってる様じゃあ失格よ?」 「っ!?『形状変化 「ミラーシールド・フォ……」 突然、耳元で紫の声が聞こえ、慌てて防御用のフォースを出そうとするが。 衝撃。……そして意識の暗転。 ……どうやら、弾を撃たずに殴ってくれたようだ。 *** *** ……辺りが騒がしい。これは、宴会の風景?えっと、確か、俺は紫と決闘中にぶん殴られて…… 『相変わらずひでぇな、この有様は』 俺の、声。……という事は、もう起こった出来事、なのか? 『あら、そう言うあなたも酷い顔よ?』 『言ってくれるな。宴は馬鹿騒ぎしてこそ宴だろ?』 隣にいるのは、紫。……なんで紫が俺の隣に? 『にしてもなぁ……最近俺には幸せってもんが抜けちまってんのかな……』 ふう、と俺はため息を付いて、紫に愚痴り始めた。 『この前の宴で、早苗ちゃん、だっけ?彼女が隣に寝ててさ。それで何をどう捉えたのか片方の神様は怒り狂って俺をボコボコにするしもう片方の神様は『子供はいつ生まれるの?』とか聞かれるし……』 『あれは結局、その子を介抱していただけだ、と本人が証明してたわよね』 『他にもな、大抵宴の後になんかしら不幸が舞い降りて来るんだよな……』 紫は何も言わない。……素面の状態で見てみると紫の顔にありありと『それは自業自得では?』と書かれていた。 『あ、そうだ。紫、お前らが住んでるマヨヒガって、そこの物を一つ持っていくと幸せになれるんだったよな?』 『ええ、それがどうしたの?』 『俺に一つくれ』 その言葉に、紫は少しの間呆けた後にクスクスと笑い出した。 『そんな事を言ってもねぇ……誰でもあの家に着いたら一つ持っていっていいのよ?』 『何だ、そんなに簡単なのか?……いや、簡単じゃないな。マヨヒガを探さなきゃならないし』 『確かに簡単ね。探すんじゃなくて迷えばいいだけですもの』 紫の台詞になんだ……と小さく呟いた後。俺はとんでもない事を言い出した。 『それじゃあつまらん。……そんなに簡単に幸せになるんなら、俺と紫で決闘でもして、俺が勝ったらその品をもらう、とかの方がいいな』 いやいやちょっと待て!そう俺に突っ込みを入れて、ようやくこの出来事が何なのかわかった。 これは、一ヶ月前に俺が紫に決闘を申し込んだ時の記憶だ。 『あなた、それは本気で言ってるの?』 『ああ、本気も本気。やっぱりそれくらいの苦労をしないと幸せを手に入れたって実感できないじゃん』 俺の馬鹿ー!何無責任な事言ってるんだー!そう心の中で叫ぶが届くわけが無く。 『……面白いわね。その決闘、受けて立ちましょう』 ……なんでこんな事を頼んでしまったんだ。俺の頭の中に後悔の二文字が飛び交う。 ……って、あれ?ふと疑問に思う事が一つ。この決闘、俺がこだわるならともかく、何で紫がこだわるんだ? その答えを考える間もなく、俺は現実に引き戻された。身体は地に伏せている。殴られたか倒れたときに打った頭が痛い。 「まだ、やるのかしら?」 「……ああ、当然」 すぐに立ち上がり、フォースを構える。 それにしても、何故だろう。紫は何故この決闘にこだわるのだろうか……? *** *** 数十分後、俺は地面に四度目のキスをした。 今度はもう体が持ち上がることが無い。肉体的に限界が近づいてきたのだろう。 「もう降参したらどうなの?あなたが死んだら元も子もないじゃないの」 確かにな。声が出せずに心の中で呟く。元はといえば俺の幸せのために始めた事だ。幸せを感じずに死ぬなんて…… 「そうよ、あなたが死んでは意味が無い。だから……もう、やめましょう?」 言葉を紡いだ紫の顔は……もう、泣きそうだ。まるで、童女のような…… ――じゃあさ、もし……俺が勝ったなら……――をくれ。 その泣き顔を見た瞬間、頭の中に響いた俺の声。 「……っは。は、ははは……ぁ」 まいったな。こんなタイミングで全部を思い出しちまうなんて……ついに、繋がらないと思っていた全部が繋がった。 俺が聞いたときのあのブチ切れようも、俺が決闘を断れない理由も。……今の、ガキみたいな泣き顔も。 だけどな、紫。……いや、だからこそ、か。だからこそ、負けるわけには、行かなくなったんだよ! 「――に、が――――のぉ、か……ぁ、だれ――――ら、なぁ、い――」 無意識のうちに、ある歌を口ずさんでいた。外にいたときに、好きだった歌を。 「た――ぇ、きずぅ、つ、いて――ぇもぉ……」 これを聞いていると、力が湧いてくる気がした。 「……ぃたみにた、ぁえて、たぁっ、ち、あっがれぇ――っ!」 だから、今も歌う。歌うしかないんだ。 「ねえ、まだ戦うの?もうあなたはボロボロなのよ?身体も心も疲れきってるのに……なんで立ち上がれるの?」 顔には出していないが、声が必死に俺を止めているように聞こえる。だけど…… 「かぁーこーのしがらーみにぃ……はばまれたとしぃてもぉ……」 離れて落ちていたフォースを呼び戻す。その行動でついに諦めたのか、紫は俯いて止まった。 「わかったわ……そこまで戦いたいなら、最後の命を削り取ってあげる。覚悟なさい……」 「こぉどぉうがはしりだすぅ――ぁあついはぁととぉきぃはなぁ――ってぇ――!」 紫がスペルカードを出した。……彼女の唇が、ごめんなさい、と言う様に動いた気がした。 「『弾幕結界』」 宣言と共に、紫を中心にしてまさに弾の幕が生まれた。……しかし、俺はそれに怯むことなく。 「『オヤスミ、ケダモノ ~last dance~』」 スペルの宣言をした。手に持つフォースの輝きが増し、赤い光が混ざる。 「せなかあーわせのぉ、せかいぃー、からまわぁーりでもぉ――」 弾の雨の中を掻い潜って進む。ただひたすらに、紫のもとに。 「ぜぇーつぼうが、おしよーせてもぉ――」 反射した弾がこちらに向かってくる。が…… 「たちむかえる、ひぃとりじゃなぁーい――!」 それを気にせず進み、足に被弾した。しかし痛みはもう感じない。……脳内麻薬が多量に出てしまっているのだろう。 「そらにちぃーったこぉころのぉ――さけびをぉ、むねにぃ――」 フォースの光が赤から白に変わった。すぐにフォースの固定を解除し、直接手で持つ。 「きぃーぼぉのみぃーちをつぅむいだ――」 右手の指先からボロボロになっていく感覚がわかるが、もう気にしない。後は…… 「こぉーのそらへとぉ――」 紫に…… 「あすへとぉ――」 限界まで…… 「みらいへぇ――――」 近づいて…… 「……と――――ぉ」 ただ、こいつを…… 「っべぇ――――――――――――!!」 ……ぶっ、放すッ! 最後に見えたのは、指先からボロボロと崩れていく右腕と、紫のちょっと驚いた、でもなんとなく嬉しそうな泣き顔だった。 *** *** ……ようやく思い出した、記憶の残滓。 『……面白いわね。その決闘、受けて立ちましょう』 いい暇つぶしが出来た、という風な顔で紫が言った。 『で、だ。ちょっと俺の要望を聞いちゃくれないか?』 『あら、幸せになれればそれでよかったんじゃないの?』 『まあ、そうなんだが……もらう側の俺が言うのもなんだが、ちょっとした注文だ。聞いてくれるか?』 その質問に、紫は少し悩んだ後に…… 『まあ、仕方ないわね。で、どんな物がお望みなの?』 肯定の答えを出してくれた。よしきた、とばかりに俺はしゃべりだす。 『じゃあさ、もし……俺が勝ったなら……お前をくれ』 『あら、そんな物で……って、え?』 どうやら俺の言葉を理解できていなかったらしく、紫が呆けた顔をした。 『だから、俺が欲しいのは『八雲紫』だっての。つまりお前。英語だとユー。関西弁だと自分。わかったか?』 珍しく俺の台詞をゆっくりと反芻して、一分位かけてようやく意味を理解したのか、顔を真っ赤にして俺から離れた。 『え、え、え、ええええっ!?』 『……ちょっと待て。いろいろと突っ込みたい所があるがそれはさておき。……なんで逃げる?』 『ちょ、ちょっと待って!そ、そんないきなりそんなこと言われても私には心の準備というものが……』 ……これがあの幻想郷一の妖怪、八雲の者か?なんともまあ、今の紫は見た目相応、もしくは見た目以下の少女に見える。 『別に、理にかなってると思うが?欲しい物は倒して奪え。それは世の理だろう?』 『で、でも……』 『おーい、さっきまで余裕綽々の大妖怪サマはどこへ行ったんだー?』 『あうぅ……もう、ばかぁ……』 *** *** 目を開けると、そこはどこかの屋敷の部屋。身体を起こそうとするが、ろくに動こうとしない。それどころか…… 「……っ、いだだだだだだ!」 痛みが走る始末。……こりゃしばらく安静、かな? 「……お、目が覚めたか?」 先ほどの叫びを聞き、やってきたのは紫の式神。 「あ、藍さ、いててて……」 「今は動くな。肉体修復をしたせいでリハビリなどが必要な身体なんだからな、お前は」 「え、リハビリ?」 「ああ、紫様がお前を連れてきたんだが、その時には肉体の半分以上が消滅していて、魂も剥がれかけていたからな」 その事実を聞き、俺は少し恐怖した。……そこまで凄かったんだ、俺の体。 「って、紫は、あいつはどうした!?」 痛みをこらえて藍の方を向く。少なくとも、俺のスペルを直撃していたはず…… 「それは……」 「自分で説明するからいいわ、藍」 藍の横から顔を出した子供がそう言って、俺が寝ている布団の近くまで寄ってきた。 「……あ、もしかして……お前、紫、か?」 「ええ、大正解。……ねえ、あなたが最後に撃ったスペル、あれはどういう物なの?」 子供、というか小さい紫に突然質問され、一瞬戸惑ったがすぐに答えを述べた。 「アレか?……俺の持ってたフォースの元になった作品の、『最後の一撃』を元に作ったんだ。すべての諸悪の根源を滅ぼす最後の一発。それがあのスペルなんだ」 「……やっぱりね。とりあえずそのスペルは使用禁止という事で」 「まあ、毎回毎回使えるわけじゃないしな、アレも」 あはははは、と軽く笑うと、紫がむっとした表情で俺に詰め寄った。 「違うわ。あのスペル自体が妖怪を簡単に殺せるからよ。……妖怪を殺せる物は、何も謂れのある武器だけじゃない。人間の強い『思い』も武器になるのよ」 「強い思い?」 「あなたの世界で有名な漫画の、あの槍もそう。一人の人間の妖怪に対する憎しみが昇華してどんな妖怪も一撃で屠れる様な強い武器になったんだから」 そう言われ、ああ、と俺は納得した。確かに、あの槍は家族を失った人間の憎しみによって生まれた。 「あなたの一発を受けて、私の体に風穴が開いたわ。……それだけならよかったけど、急に体の腐食が始まって大変だったんだから」 ちなみにこの身体は予備のものよ、とくるりと一回転しながら紫が言う。 「侵食を抑えて修復してはいるけど、いつになったら終わるやら。……あなたにはその責任も取ってもらわないと、ね」 「あ、ああ。そうだったな」 そうだ。俺は紫と約束をしていた。 「じゃあ、約束通りお前をもらうぜ、紫」 「ええ、喜んで身を捧げますわっ」 そう言いながら、紫は俺に飛びついて……あ。 直後、俺の絶叫が屋敷内に響いた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 新ろだ10 そろそろ紅葉が顔を見せ始める秋。 紅葉で着飾る山の麓にある一軒の真新しい家。 そこで生活する一人の男。名を○○と言う。 見た目は里に居る若者と変わらない。ただ、青年は退魔を生業としていたというだけ。 「もうすっかり秋だなぁ」 ○○は縁側から夕日と紅葉のコントラストを眺める。 手元にはお茶が入った湯飲み。ホカホカと湯気を立てている。 湯飲みに手を伸ばそうとした瞬間、空間がパックリと割れ、にゅっと現れたのは八雲紫。 彼女も起きたばかりなのか少々眠たそうだった。 「おはよう。紫」 「おはようございます。何年ぶりかしら」 「さあ、俺にはわからないよ」 「私たちに時間は関係ないもの。貴方はまだ布を取らないのですね」 目覚めるたびに交わされるこの挨拶。何度交わされたのかも分からない。 この挨拶を交わすたびに紫は○○の目を覆う、出所不明のマジックアイテムについて触れる。 「変わったことはあった?」 ○○は縁側に座布団を置き紫に手招きをする。いつの間にかお茶まで準備している。 「ええ、外の世界から二柱の神が引っ越してきましたわ。それから……」 「霊……の類かな」 「ええ、そうですわ。人では無くなったとはいえ退魔の者としての勘は鈍っていないようですわ」 「あはは、ありがとう。この勘があるから紫が来たらすぐに分かるよ」 「それは嬉しいことです」 「なあ、紫。俺さ、紫に出逢えて本当に良かったよ。目覚めて紫に逢う……」 「目覚めて紫に逢う。それだけでも俺は幸せだよ」 紫は○○の声色を真似て続きを言う。 「似てないよ」 コロコロと人懐っこい笑みを浮かべる○○ ――今の紫をこの目で見たい 静寂が二人を包む。 「貴方の瞳が見たいですわ」 「俺さ……」 紫は○○の頬に両手をあて、○○の膝の上に移り対面で穏やかな笑みを浮かべる。 ○○は湯気を立てる湯飲みを両手で持ち、自分の頬にある紫の手の上に自身の手を重ねる。 「怖いんだよ。この目がさ……」 呟くような独白。紫には筒抜けだろう。 「暖かい手……そう、私は貴方の瞳が忘れられませんわ。その瞳に何を写すのかしら」 「この瞳は……なんだろうね。俺にはわからないや。それより他人行儀な言葉遣いをやめてくれよ」 どの様な表情をし、どの様な髪型にしているか、紫に対する想いを馳せながら勤めて明るい声で言う○○。 「いいえ、そういう……」 左手は紫の腰にまわり、紫を抱き寄せる。右手は紫の頭を撫でる。 初めは啄ばむようなキス。唇を離せば見つめ合う。 今度は紫から。 お互いの唇を荒々しく貪り合い、唇を合わせる時間は重ねるごとに増える。 時間にして10分ほど。二人は再会を祝うように口付けを繰り返す。 「起きるのが遅れてごめんね。眠っている間、ずっと紫の夢を見ていたよ」 優しく、呟くように。 また二人の唇が重なり合う。 ○○の両腕は紫を優しく包み込むように、慈しむように。 そして○○からキスをする。 「どんな夢かしら」 紫の機嫌が戻って○○は笑みを浮かべる 「俺と紫の子供が出来る夢。紫に似て可愛い娘だったよ。だから中々起きれなかったんだよ」 「そう……(こ、子供!欲しいけど!欲しいけど!!○○に似て優しい子になってくれれば(ry)」 言葉少なめに、子供の姿を幻視したのか紫は笑みを浮かべる。 「そろそろ風が冷えてきたから中に行こうか。外野が三人ほどいるようだしね」 繋がれた手は、恋人つなぎ。 「そうしましょう、○○(ふ、二人っきり……素数を数えて落ち着きましょう。1、3、5、7……)」 「やっと呼んでくれたね、○○って」 紫に笑顔を向ける。 当の○○は真っ赤な顔をした紫に○○は気付かない。 感じたのは体温が少し上がったかな、くらいのものだろう。 ○○と繋いだ手に少し力が入った。 ○○の家の傍の木から覗くのはブン屋の天狗に九尾の狐さんにその式。 式の式は目隠しされているのは言うまでも無い。 じゃあ、と呟く○○。隣に座った紫の手を引き家の中へ。 当然のように○○の膝の上に座る紫。 「紫、結婚してくれない?」 「ええ。○○とずっと一緒にいたいもの(……けけけけけけけけっこん?今結婚って言ったわよね)」 「ありがとう、紫。愛してる」 「わ、わ、私もよ。……て……」 「ん?なんだって?」 「あ、あ、愛してるわって言ったのよ、○○(言っちゃった……とうとう言っちゃったわ……)」 「ありがとう、紫。これ、受け取ってくれないかな」 笑みを浮かべる○○ お互いに顔を赤くしながらも、差し出すシンプルなシルバーのエンゲージリング。 婚約指輪を眺める紫を後ろから優しく抱き締める○○ 「俺たちの境界は無くなったね」 「ええ、そうね」 そうして二人は再び唇を重ねる。 翌日の文文。の一面を飾ったのは『八雲紫氏婚約!』 八雲紫を知る幻想郷中の人妖が博麗神社に集まり二人の為だけに酒宴を開いたのはまた別の話。 fin ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1248 マヨヒガの邸宅から少し離れた森の中にある空き地、 そこに一人の青年がたっていた。 「……」 精神を集中させ、手から勢いよく弾幕を放つ。 ドガァ!! 弾幕は標的用に用意した岩を打ち抜いた。 間髪いれずにスペルカードを発動させる。 爆符「爆砕○穴」! お気に入りのアニメキャラの技を意識して自作した自慢のスペルカードである。 岩は粉々に砕け散った。 「ちょっと休憩するか」 倒木に腰掛ける。 「ここに来てもう3ヶ月くらいか」 青年○○は趣味の山歩き中に幻想郷に迷い込んだ。 そして、妖怪に襲われている所を八雲紫に助けられたのだ。 現在は居候させてもらい、恩返しのために家事手伝いなどをしている。 「見事なものね~」 声がした方に顔を向ける。 そこにいたのは秘かに思いを寄せているあのお方……。 「紫さん……」 「ちょっとお話しない?」 紫は○○の隣に腰掛ける。 「あなたすごいわね~。この短期間でスペルカードまで使えるようになっちゃうなんて…… あの弾幕も勢いがあって素晴らしいわ」 紫さんは笑顔で俺に話しかけてくる。 「ありがとうございます」 ○○は魔術の修行をしている。暇さえあればマヨヒガにある魔法関連の書籍を読み漁ったり、 この空き地で弾幕を放ったりしている。 「なんでそこまでがんばるの?」 「そ、それは……」 「あ、もしかして好きな子にアピールするため?」 紫さんは悪戯っぽい笑みを浮かべて問いかけてくる。 俺は図星を衝かれて心臓が跳ね上がった。 こうなったら正直に答えよう。 この方に嘘はつきたくない。 「紫さん……俺の話を聞いていただけませんか?」 しっかりと紫さんの目を見つめて、真剣な顔で話しかける。 「ええ……いいわよ」 紫さんも真面目な顔つきになり俺の顔を見つめる。 「あの方はとても力の強い妖怪です。でも俺はなにもないちっぽけな人間です。 だから、あの方は俺なんか見てくれないと思います。だから強くなりたいんです 強くなってあの方を振り向かせたいんです。そして、あの方のお傍に行きたいんです。 一緒にもっと近くでお喋りしたりお酒を飲みたい……。あの方を守りたい……。 一緒に戦いたい……」 3ヶ月間胸に秘めてきた思いを口に出す。 「……」 紫さんは表情一つ変えずに俺を見つめている。 はっきりと言うしかない! 「紫さんあなたのことが好きです!!妖怪から助けてもらったあの日からずっと……」 言い切ると俺は下を向いた。 こんな独りよがりな気持ちに答えてくれる筈がないな……。 でも伝えられただけで満ぞk ふわっ…… 突如、鼻に甘い香りを感じる。 俺は紫さんに抱きしめられていた。 「ゆ……紫さん!?」 心臓の鼓動が否応なしに高まってしまう。 ぎゅー 「紫さん苦しい!ギブギブ!!」 「あらあら、ごめんなさい」 熱い抱擁から開放された俺は紫さんの顔を見つめた。 紫さんの顔はほんのり赤かった。 「うれしくてつい……」 一瞬耳を疑った。 「そ……それってもしかしt」 紫さんは俺の唇に指先をあてて言葉を制した。 「あなたと一緒にお出かけしたり、お喋りしたり、晩酌したりするのがすごく楽しいのよ。 初めは只の人間としか思ってなかった。だけど、あなたと一緒にすごしている内に あなたのことをもっと知りたい、近くに感じたいと思うようになっていたわ。 ○○は人間、私は妖怪……相容れない存在……だけど自分の気持ちに嘘はつけないわ」 俺は嬉しすぎてどうにかなりそうだった。 「紫さん……」 「○○……大好きよ」 俺たちはお互いに口付けを交わし愛を誓った。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1332 「戸締りよし、火も消したし大丈夫だろう」 一通り家の中を見回り鍵の確認をする。 マヨヒガに迷い込んで暫く経つが、この幻想郷にも慣れてきた。 そして今も八雲一家にお世話になっている。迷惑ではないかと思ったりもしたが、むしろ新しい家族が増えてうれしいと言われた。 何の力も持たない俺が出来ることといえば簡単な手伝い、戸締りの確認だ。 意外にもこの行為が藍さんに喜ばれた。いつも戸締り、火の始末は彼女が行っていたそうで俺が代わりにすることで早めに眠れるそうだ。 まぁ、そこまで苦労させてる主の方に問題があると思うのだが…… 「くぁ……ねむ……」 あくびをかみ殺し布団に入って明かりを消す。 今日も一日おつかれさまでした。明日も良い日でありますように…………。 どたどたどたどたっ ……誰だ、夜中に廊下をドタバタ走るバカものは? チルノ……がここに居る訳ないしな。 ぼんやりとしたまま考えを巡らせていると元凶が襖を叩きつけるように開けて俺に飛び掛ってきた。 「ぐっいぶに~~~~んぐ!!」 アベシッ!? こ、こんなことするのは一人しかいないっ! 慌てて明かりを点けるとはたしてその元凶、八雲紫がそこにいた。 「い、いきなり何すんだっ! アンタはっ!!」 「む~、みんな眠っちゃってつまらないのよ~」 「橙は良い子ですし、藍さんは疲れているんだ。ゆっくり眠らせてあげましょうよ。 ってゆうか、つまらないからって人にフラングボディプレスするんですかあなたは」 「つ~ま~ら~な~い~」 聞いちゃいねぇ……。 「はいはい、わかりましたよ。付き合えばいいんでしょ、付き合えば」 「やったー○○話せるわー」 「じゃ、とりあえず何か飲むもの持ってきます」 「コップなんてまどろっこしいから一升瓶ごと持ってきなさい」 「いや、普通のお茶ですよ。こんな夜更けから酒盛りする気ありませんから」 「ぶ~。じゃあ戸棚の奥にある芋金つばとほうじ茶でお願い」 「わかりました」 台所に戻り、一旦消した火を起こしてお湯を沸かす。 そして戸棚を開けてお茶請けを探すと、たしかに金つばはあったが、藍さんの字で『とっておき。勝手に食べるな』と書かれていた。 ……まぁ怒られるのは俺じゃないからいっか。 二人分金つばを切り分けて湯呑みにお茶を注いで部屋まで持っていく。 できれば幽々子さんのところに行ってくれればこのまま眠れるのになぁと淡い期待を胸に襖を開けた。 「紫さん、お茶がはいり……」 そこには俺の枕を抱きしめて涎を垂らして眠っているゆかりんがいた。 ……まったくこの人は引っかき回すだけ引っかき回して勝手に終わらせるんだから困ったもんだ。 しかしそれでも許せるだけの何かを持っているんだよな、この人。 「う~ん、○○~」 「えっ、ちょっ!?」 俺は不意を突かれ枕の変わりに抱きしめられてしまった。 振りほどこうにも、がっちりと両手両足でホールドされて動けない。 こうなれば彼女自身を起こして解いてもらうしかない。 「ちょっと紫さん、起きてくださいっ……」 「ん~、いやぁ……」 「いやじゃなくて、って、えっ!?」 ごちゃごちゃとうるさい俺を黙らせるために紫さんは口づけをしてきた。 激しく、でも決して乱暴ではない舌使いにしだいに頭の中がボーッとしてきた。 俺が動きを止めたのがわかると口を離して、すりすりと匂いつけとするように胸に顔を埋めてまた眠ってしまった。 「はぁ……困った人だ……」 どうやら今日はこのまま眠るしかないようだ。 しかし、いい夢は見られそうだ。眠りに落ちる瞬間、彼女の寝言が聞こえたような気がした。 「ふふ、○○好きよ……」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1428 「また寝ているのか?」 未だ雪の白さが残るマヨヒガの八雲家(仮)。 縁側に寝そべっていた俺の顔を覗き込んで、藍様がそう言った。 「冬眠の季節ですから」 「莫迦。もう小春日和を迎えているよ」 「そういえば暖かいですね、最近」 「だから雪も溶けてるだろう」 「暖かいから、眠くなります。おやすみなさい」 「起きろと言っているんだ」 頭を蹴られた。あまり怒らせても後が怖いので渋々起きることにする。上半身だけ。 「こんな真昼から寝ているのは、お前と紫様くらいだよ」 「紫様、本当に良く寝ますよね」 「その紫様のお世話をするのもお前の仕事だろ」 今度は背中を蹴られた。そういえば今日は、紫様の布団を取り換える日だった。 冬眠中は布団が無くても全然起きないらしいが、そこは気分の問題というやつで、 俺や藍様は定期的に紫様の布団を新しいもの(洗って干したもの)と取り換えている。 「あ、そうだ。服はどうしましょうか」 「お前がやってくれるの?」 「無理です」 「なら、やらなくていい。明日私がやっておく」 貴婦人の衣服を一つ一つ丁寧に脱がし、一糸纏わぬ姿にさせた後、 その体から発せられる香りに耐えながら、手拭いで光る汗を拭き取り……俺には無理。 とりあえず仕事をする為、寝ぼけ眼をごしごしと擦りつつだるい体を引きずって紫様の部屋へ向かう。 後ろで藍様の大きな溜息が聞こえた。 ―――― 紫様の部屋の前に立ち、外と内を隔てる障子をそっと開けると、我らがご主人の寝姿が拝見できた。 以前布団を取り換えた時と変わりなく、ゆっくりとお休みになっておられる。随分と美しい寝顔じゃないですか。 「失礼します、紫様……」 部屋に入らせていただき、音を立てない様に障子を閉める。 さて、あまり女性の寝室にいるのも失礼だし、手際良く準備をしないといけない。 まずは襖を開けて新しい布団を引っぱり出し、床に敷いて綺麗に整える。いい仕事してますね。 次に紫様を起こさない様に(と言ってもまず起きないが)、その御身体をおそるおそる抱き上げる。 「……よっ、と……相変わらず、軽い……」 誰も見てないから良いものの、お姫様抱っこで眠り姫を寝床から抱き上げるなんて、どこの王子様だと言いたくなる。 ぶっちゃけ、結構恥ずかしい。紫様の太腿が柔らかいとか考える余裕も無いくらいだ。 「紫様、本当に冬眠中の栄養、足りてるんですか……?」 あまりの軽さに尋ねてみるが、当然答えてくれるわけも無い。 幻想郷にその名を轟かす大妖怪だし、俺が心配する必要も無いのだろうけど。 「………………」 それにしても、無防備に寝てるこの人も凄い。寝てる間に誰かに狙われるとか考えないのだろうか。 俺も男だし、もしかしたら理性のタガが外れて、どうこうしてしまうかもしれない。紫様を支える手にぐっと力が入る。 「……いかん、いかん」 余計な事は考えないようにして、紫様を新しい寝床に降ろし、掛け布団を羽織らせる。 どんな葛藤が俺に生まれようと、俺にこの役回りを押し付けたのは他ならぬ紫様。 折角信頼して頂いているというのに、それを無碍にするような人間にはなりたくない。 早急に仕事に戻り、手早く使用済みの布団からシーツを剥ぎ取る。それを洗濯籠に入れた、その時。 「仕事熱心ね」 何かが、聞こえた。背後から。 この声……俺の耳がおかしくなっていなければ、俺のご主人のものだ。 冬の間一度たりと聞かなかった程度で、敬愛するご主人の声を忘れたりはしない。 しかし振り向いてみると、彼女は相変わらず目を閉じている。起きる気配も無い。もしかして寝言だろうか。 「嫌いじゃないわ」 突然、おめめをぱっちりと開ける紫様。起きてたよ、この人。 「おはようございます」 「ええ、おはよう」 とりあえず挨拶して場を繋ぐ。何故、この時期に起きているのだろうか。 普段は春、しかも半ばにならないと起きてこないというのに。 「……まだ、冬ですよ」 「そうみたいね。寒いもの」 肩まで布団に入り、ちょこんと顔だけ出して答える紫様。 「では、何故に」 「だって、独り言がうるさいんだもの」 「え……!?」 独り言がうるさい。俺がぶつくさ言っていた事で、紫様の眠りを妨げていたらしい。 本来なら今も熟睡している筈だった、という事を考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 俺の心を埋め尽くす罪悪感。 「というのは、冗談」 「……?」 「独り言なんて、全然聞いてないもの。今起きたところだし」 紫様、驚かさないで欲しいです。今まさに本気で土下座の準備をしていたところです。 「本当は、なんとなく起きちゃっただけなの。どうしてかは分からないけど」 「なんとなく、ですか……」 「眠りから覚める時にはよくある事よ。次の日の出来事が楽しみで、眠りが浅かったり」 小さい頃、遠足に行く前日は興奮して眠れなかったものだが、それのことだろうか。 「紫様も、何かを楽しみにしつつお眠りになられた?」 「うぅん……ああ、そういえば」 どうやら心当たりがあったらしい。 「贈り物」 「贈り、物?」 「貴方が、毎年くれるでしょう」 贈り物……あれだろうか。 俺は外の世界の風習を今でも多少なりと引きずっていて、 (外界で)何かしら行事がある時期には、毎年それに因んだ物を紫様達にプレゼントしている。 無論幻想郷の住人からすれば、奇異な行動にしか映らないだろうけど。 「でも、今年は無いみたいね」 紫様は、ちらっと周りを見回して、悲しげな顔をした。 藍様や橙と違い、紫様が冬眠の習慣をお持ちなのは周知の事実。 だから、クリスマスプレゼントやホワイトデーのお菓子といった冬に渡すようなものは、 春にお目覚めになる際に枕元にまとめて置いておくのが、ここ数年のお決まりとなっている。 「いえ、ありますよ。毎年、春になってからここに置かせていただくので」 「あ、やっぱりあるのね」 ころっと反転して、嬉しそうな表情の紫様。毎回プレゼントの中身は大したものではないが、 あれを楽しみにしてくれていたと言うのなら、俺も無い銭を叩いた甲斐があったと言うものだ。 「だけど……今年は更に、特別良い贈り物が待っていてくれたわ」 「……?」 紫様は、プレゼントの中身を知らない筈だ。それに今年に関しては、俺は他に何も用意していない。 今すぐに渡せそうな物と言えば、向こうの世界から持ってきたデジタル時計か携帯電話くらいなのだが。 「申し訳ないのですが、特別良い物なんて……」 「もう、何言ってるの? ここにあるじゃない」 次の瞬間、腕を紫様に引っ張られ、体ごと彼女の布団の上に倒れてしまう。 粗相してごめんなさい。食べないで下さい。でも温かいし、柔らかい。 「長い眠りから覚めた時、そこに好きな人がいる。私にとって、こんなに嬉しい贈り物は他に無いもの」 ―――― 「やれやれ、遅いと思ったら……」 「あ、藍様。これは……」 「いい、何となく分かるから」 藍様が呆れたように俺達を見ている。一つの布団に二人で抱き合って寝ている俺達を。 「蹴飛ばしても起きない紫様を起こすなんて、お前も大したヤツだな」 紫様は本当に寝ているのだが、藍様は紫様が一度起きたと分かったらしい。 何をもって見分けたのかは分からないが、流石に付き合いが長いだけある。俺も見習わなくては。 「って、蹴飛ばしてたんですか?」 「お前がここに来る前は、よくやってた」 「可哀想な紫様……」 「あれ、私が悪役なのか?」 付き合ってられん、といった様子の藍様。まあ無理もない。 「起きた以上、春まで寝られても困るわ」 「それは俺も困ります。抱き枕にされてるんで、俺が餓死してしまう」 「だから、晩御飯までは寝てていいぞ」 「今すぐ紫様を起こす、って選択肢は?」 「……そんな幸せそうな顔を見て、蹴飛ばす気になるものか」 藍様はくくっと笑うと、逃げる様に何処かへ行ってしまった。 このいかにもな空気に耐えられなくなったのだろうか。 確かに藍様の言う通り、紫様は幸せそうだ。しかし、俺はまだ紫様に返事をしていない。 今だって、一方的に好きだと言われて、そのまま成り行きで一緒に寝ているだけだ。 それなら、言うしか無いだろう。ずっと恋い焦がれていた女性に、好きです、って。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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幸組飲み会 ある村から命からがら逃げてきた3人。 どうやら、何やら、あの日過ごしただけでは計り知れない何かを抱えてるらしい。 なので今夜は飲みに行くぞ! アルコールの力を借りれば、腹を割って話せるんじゃないか? 参加者 ▼ハン卓/KP:そんなものは居ない 長良木 水緒 / 牛ちん 霜浦 柚 / 草ちゃん 辻 美鶴 / 朱絽 ログ ▼ハン卓ログ +2019.12.16 KP :ある日突然、桃源郷へと飛ばされた3人は、飲みの約束を取り付け、都内のとあるバーにて落ち合うことにした。 霜浦 柚 :ここで合ってるかな~…? 辻 美鶴 :おーいちゃん柚~!こっちこっちー(手を振る) 霜浦 柚 :みつるさん!お久しぶりです~その説はどうもどうも…(ぺこぺこ) 長良木 水緒 :「仕事が立て込んでいるので遅刻します。先に始めてください(らいん)」 辻 美鶴 :久しぶり。元気そうでなによりよ。 辻 美鶴 :はぁ~残業モンスターに食べられてるってさ、長良木さん。 霜浦 柚 :ながらきさん…私もお世話になってましたけど、忙しそうでした… 霜浦 柚 :早めにかたづくといいですねえ 辻 美鶴 :まーお医者様ですものね....仕方ないか。 バーテン :お二人様、ご注文はいかがなさいますか? 辻 美鶴 :そうか、ちゃん柚は長良木さんとこ通ってたんか。 霜浦 柚 :そうなんです~。私はオレンジジュースで~! バーテン :かしこまりました。そちらのお客様は? KP :バーテンは注文を聞き終えると KP :聞き終えてないですね… 辻 美鶴 :んじゃースクリュードライバーで バーテン :かしこまりました。少々お待ちください。 霜浦 柚 :みつるさんは…帰ったあと、大丈夫でした? KP :バーテンは注文を聞き終えると、カウンター裏のキッチンでせっせとお酒を作り始めた。 辻 美鶴 :んーまあ、まあ....大丈夫。家族には心配されたけど...。 霜浦 柚 :CCB =50 心理学 Cthulhu (1D100 =50) → 73 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =65 心理学 Cthulhu (1D100 =65) → 80 → 失敗 霜浦 柚 :心配…?大丈夫なら何よりですけど… 辻 美鶴 :帰りが遅いって、携帯もつながらないって...そんな感じ。 霜浦 柚 :あの…私はなんかちょっと…ええと…桃の香り?が苦手になっちゃって 霜浦 柚 :もしそういうの…みつるさんもあったりしたら、無理しないでくださいね 辻 美鶴 :あたしも流石に桃タルトは食えなかったわ...。今日は桃系頼まないようにするね。 霜浦 柚 :そっか、しばらくスマホ使えませんでしたしね… 長良木 水緒 :「終わりました。今から向かいます。(らいん)」 霜浦 柚 :桃以外においしそうなものにしましょう~! 辻 美鶴 :「(いそげ!のスタンプ)」 霜浦 柚 :ふふ、急かしてる 辻 美鶴 :おーけー!柚ちゃん飲みたいのあったら頼んでいいよ。あたし残り飲むからさ。 霜浦 柚 :えっほんとですか?うーん何がいいかな~ 辻 美鶴 :へへへ~何がいいんだ~?おじさんなんでも奢っちゃう。 バーテン :お待たせいたしました。オレンジジュースのお客様。 KP :バーテンがそういうと、オレンジジュースが柚の前に置かれた。 KP :コップにはオレンジの切れ端が添えられ、底の方にはつぶつぶとした果肉が見える。 KP :搾りたてと言ったところだろうか。 KP :鼻につんと来る酸っぱい香りが、柚の嗅覚を刺激した!!!! 霜浦 柚 :ふわ~~おいしそう!!なんか高級ですねえ… バーテン :そして、こちらはスクリュードライバーになります。 KP :スクリュードライバーが美鶴の目の前に出される。 KP :柚の頼んだオレンジジュースよりも、黄色みを帯びた鮮やかな色だ。 KP :柑橘系の香りの中に、ウォッカの独特な癖のある香りもする。 霜浦 柚 :写真撮ってもいいですか?へへ… 辻 美鶴 :やったーきたきた!あたしも撮ろー バーテン :是非、どうぞお撮りください。 霜浦 柚 :CCB =30 写真術 Cthulhu (1D100 =30) → 78 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =10 写真術 Cthulhu (1D100 =10) → 30 → 失敗 霜浦 柚 :あれえ?あんまりきれいに映らないものですねえ KP :店内が暗いせいだろうか…あまりよく撮れなかった 辻 美鶴 :照明に近づけなきゃダメかな... 長良木 水緒 :「どこに座ってますか?(らいん)」 霜浦 柚 :まあいっか~!ながらきさんが来たら乾杯しましょう 辻 美鶴 :「奥の方!」 霜浦 柚 :来るかな?…あ、いた~。ながらきさーん(手をふる) 長良木 水緒 :お待たせしました。遅くなってすみません。 辻 美鶴 :お疲れ様でーす!何飲む?スピリタス? 霜浦 柚 :お疲れ様です~。 KP :長良木参上!!!! バーテン :お連れ様でございますか?大変失礼いたしました。ご注文をお伺いします。 長良木 水緒 :お疲れさまです。さすがにそれは遠慮しておきましょうか 長良木 水緒 :カミカゼをお願いします。 KP :かしこまりました。すぐにお作り致します。 辻 美鶴 :やるぅ バーテン :(シャカシャカ) 長良木 水緒 :美鶴さんは軽いお酒から始めたんですね 辻 美鶴 :最初はね。飛ばしすぎもよくないかなって。 霜浦 柚 :(てすと) 辻 美鶴 :あたしは今日、2人の柔らかいところを突きに来たので、見届けるまで酔うわけにはいかない。 霜浦 柚 :ええ…?柔らかいとこって…お腹はだめですよ!? 霜浦 柚 :(お腹を手で隠す) 辻 美鶴 :じゃあ二の腕はいいのね?(ムギュ) 長良木 水緒 :お手柔らかにお願いしますね 霜浦 柚 :アギャーーッ 長良木 水緒 :(温かい目ー) 辻 美鶴 :よきかな(にぎにぎにぎにぎ) 霜浦 柚 :うう…ひどいわみつるお姉さま… バーテン :お待たせいたしました。カミカゼでございます。 KP :ごろっとした氷によく冷やされたお酒が美味しそうだ!!ライムも添えられている!!! 辻 美鶴 :減るもんじゃないし、いいだろぉ~? 霜浦 柚 :ああっほらっながらきさんもお酒来ましたからあ~~ 長良木 水緒 :ありがとうございます。さぁ乾杯しましょうか。 辻 美鶴 :お、はいはい。(お酒持ちましょ) 霜浦 柚 :はーい、じゃあかんぱ~い! 辻 美鶴 :かんぱーい♪ 長良木 水緒 :乾杯。 KP :チン 辻 美鶴 :はぁー労働の後の酒はうめぇな。 霜浦 柚 :(ごくごく…)わあ~オレンジ濃い!そのまま飲んでるみたい 長良木 水緒 :先ほどの激務が嘘のようだ。たまには酒もいいですね。 辻 美鶴 :普段あんまり飲まないの?長良木さん。 長良木 水緒 :ええ。仕事に響くと面倒ですからね。 辻 美鶴 :そうか...酔いどれ医者は勘弁してほしいな...。長良木さんはあの日、帰った後大丈夫でした? 長良木 水緒 :吐き気と頭痛と酷いものでした。しかし無事に帰れただけでも感謝しなければ。 長良木 水緒 :本当にありがとうございます、美鶴さん。 辻 美鶴 :幻聴とか、幻覚とかさ...。 霜浦 柚 :私も、改めてありがとうございます。 辻 美鶴 :あ、いえいえ...あれは長良木さんの薬のお陰だしさ。こちらこそ、ありがとう。 霜浦 柚 :二人がいてくれてよかったです…本当に 長良木 水緒 :しかし危なかったとは言え、薬を使ってしまったこと後悔していました。 辻 美鶴 :....そんなにやばいやつなの? 長良木 水緒 :鬱病患者や精神病患者に投与する薬です。健常な人間に使うものではありませんよ。 辻 美鶴 :ぐ、具体的にはどんなことになってしまうんデスカ....? 霜浦 柚 :でも…あの時は誰も健常じゃなかったですもんね… 長良木 水緒 :それはそうですが…副作用で脳障害もあり得ます。 霜浦 柚 :ひええ!みつるさん頭大丈夫ですか!? 辻 美鶴 :こっわ....そんなの持ち歩いてるの? 霜浦 柚 :あっなんかこれだとすごい失礼な言い方になっちゃった… 辻 美鶴 :ちょっと失礼だぞちゃん柚.....頭大丈夫だわよ...。 霜浦 柚 :よかったあ~~ 長良木 水緒 :(ほほえましい目) 辻 美鶴 :まさか柚ちゃんにもそれ処方して...? 辻 美鶴 :(疑いの目) 長良木 水緒 :してませんよ。簡単にお話を聞いただけです。ね?柚さん。 霜浦 柚 :はい~。色々聞いてもらうのって大事ですね 辻 美鶴 :カウンセリングか、よかった。 長良木 水緒 :柚さん、途中から雑談ばかりでしたが… 霜浦 柚 :えへ…ついつい… 辻 美鶴 :何話したの? 霜浦 柚 :何話しましたっけ…色々言ったような気がして覚えてないや… 辻 美鶴 :長良木さぁん?(覚えてるでしょ?の目) 霜浦 柚 :なんか変なこと話してました!?私‥ 長良木 水緒 :元カレの話ばかりでしたね 辻 美鶴 :詳しく。 霜浦 柚 :ええ?ばかりってことはない気がしますけどぉ~… 辻 美鶴 :どんな人だったの?おねーさん知りたい。 長良木 水緒 :食べ物の話と元カレの話が8割でしたね。この話はしてもいいんですか? 霜浦 柚 :あれ~…?あ、全然いいですよ~ 辻 美鶴 :店員さん、ダイキリひとつ(小声) 霜浦 柚 :聞いてくださいよ~元彼なんですけど、料理が下手って言ってフってきたんですよ! 霜浦 柚 :元々向こうが付き合おう~みたいなの言ってきたくせに、勝手ですよねー! バーテン :かしこまりました。お待ちください。 霜浦 柚 :私だって頑張ってお料理したのに…ひどいですよねえ 霜浦 柚 :ぶつくさ… 辻 美鶴 :おうおう、溜まってんな...。料理ぐらいお前が作れってんだよなぁ、よしよし。 霜浦 柚 :ほんとですよお~~みつるさんはやさしい~~ 霜浦 柚 :(すりすり) 長良木 水緒 :(2週目なので温かい目) バーテン :(シャカシャカ)(ちょっと笑っている) 辻 美鶴 :器がなってねぇな。あたしだったら不味くても食う。 霜浦 柚 :かっこいい…♡ 長良木 水緒 :男前ですねぇ 辻 美鶴 :どや....(どや顔) 霜浦 柚 :いいなあ~みつるさんみたいな人が彼氏だったらいいのに~ 霜浦 柚 :いいひといないかな…しばらくはいいけど… 辻 美鶴 :お嫁にくるか~?あたしは尽くすタイプだぞ。 霜浦 柚 :えっいいんですか~!?お掃除とかは頑張りますよっ(ガッツポーズ) 長良木 水緒 :美鶴さんはお料理得意なんですか? 辻 美鶴 :まあほら、世の中男なんて35億いるしさ。...てあれ、マジ? 辻 美鶴 :んー料理な...まあ、人並みには作れるぞ。 霜浦 柚 :いいなあ~。よかったら今度教えてください~ 辻 美鶴 :凝ったのはムリだけど、一人でも生きていけるぐらいには...。 辻 美鶴 :んふふ、おしえたげる。 霜浦 柚 :わあい!がんばります~! 霜浦 柚 :あっ、バーテンさんソルティードッグおねがいします! バーテン :かしこまりました。ソルティードッグですね。 辻 美鶴 :ちなみに何作ったの?柚ちゃん。 霜浦 柚 :えっと‥オムライス! 霜浦 柚 :あと…お肉のハーブ焼き。すごい顔されちゃいましたけど 辻 美鶴 :.............どこに失敗する要素が? 長良木 水緒 :おいしそうなメニューじゃないですか。 霜浦 柚 :私も特に…そんなにまずいかな~?て思ったんですけどね… 霜浦 柚 :おいしくなかったみたいです。 辻 美鶴 :逆に食べてみたいな.........。 霜浦 柚 :うーん…頑張ってみますね…? 霜浦 柚 :ながらきさんはお料理するんですかー? 辻 美鶴 :聞きたいなぁー。 長良木 水緒 :お恥ずかしながら、外食ばかりですよ 霜浦 柚 :そっかあ…お忙しそうですし、作るのも大変ですもんね 辻 美鶴 :外食ばっかの割には痩せてますなぁあんちゃん。 KP :話が弾んでいるさなか、ダイキリとソルティードッグが柚と美鶴それぞれに提供される。 KP :ソルティードッグは乳白色のお酒だ。 KP :広めのグラスの縁には塩が振りかけられており、グレープフルーツのさわやかな香りがする。 KP :また、小さめのカクテルグラスに注がれた、透明でキラキラとしたお酒が美鶴の前に出された。 KP :フレッシュなライムの香りがわずかに漂ってくる。 長良木 水緒 :1人分というのがなかなか面倒で…結構食べてるつもりなんですけどね… 辻 美鶴 :ありがとうございますー、美味しそう! 霜浦 柚 :ありがとうございます!飲んでみたかったんだ~これ… 辻 美鶴 :結構食べてるのに痩せてるパターンか?うらやま....。 霜浦 柚 :確かに~。一人分って労力に見合いませんよね… 霜浦 柚 :CCB =24 酒ェ!CON対抗 Cthulhu (1D100 =24) → 96 → 致命的失敗 霜浦 柚 :わあ~~なんか…わあ…ぽかぽかしてきた… 辻 美鶴 :はぇえな?? 長良木 水緒 :早いですね…一口では…? 辻 美鶴 :おねーさんによこしなさい、ほら。 霜浦 柚 :ふへ~~あげます~~どんぞ~! 長良木 水緒 :バーテンさん、彼女に水を バーテン :お冷、こちらになります。こちらのお客様だけでよろしいですか? 霜浦 柚 :あひがとうございます~~…(ごくごく)つめたいおいしい… 辻 美鶴 :あ、普通に離してくれる子で助かるわ。(ソルティー強奪) 辻 美鶴 :あたしはまだいいかな。(お水) 長良木 水緒 :大丈夫です。ありがとうございます。(みず) バーテン :かしこまりました。ピッチャーをこちらに置いておきますね。(グラスとピッチャーおいとく) 辻 美鶴 :長良木さんすすんでます?店員さん、梅酒のロック二つ! バーテン :梅酒ですね。少々お待ちください。 辻 美鶴 :あたし好きなんですよね、梅酒。 長良木 水緒 :飲んでますよ。ロックか…久々だな… 辻 美鶴 :いつもは....ソーダ割? 長良木 水緒 :私も好きですが、いつもは水割りですね 辻 美鶴 :おや、炭酸は苦手かな?すっきりしていいよね、水割りも。 長良木 水緒 :炭酸も好きですよ。ウィルキンソン、いつも飲んでます。 辻 美鶴 :あれ強くない? 長良木 水緒 :シャッキリするから好きなんですよ 辻 美鶴 :あぁー....眠い時に最適なやつだ....。 長良木 水緒 :今こそ柚さんに必要なものですね 辻 美鶴 :確かに。 バーテン :お待たせしました。梅酒ロックになります。 KP :梅酒のロックが2つ。美鶴と長良木の目の前にそれぞれ出される。 KP :梅の強い香りが一瞬鼻を刺したが、すぐにさわやかな香りへと変化する。 KP :酸っぱい匂いが唾液腺を刺激した!!!! 辻 美鶴 :わぁい来た!長良木さんかんぱーい! 長良木 水緒 :乾杯 霜浦 柚 :ふへー…(ぼやぼや) 辻 美鶴 :んん~♡やっぱ最高! 辻 美鶴 :ちゃん柚、たくさんお飲み。(水の入ったグラスをカンッ) 霜浦 柚 :ふぁ~いかんふぁ~い 辻 美鶴 :CCB =88 酒だオラ! Cthulhu (1D100 =88) → 41 → 成功 辻 美鶴 :水の水割りはうまいか~? 霜浦 柚 :(ぐびぐび)…おいひ~~!! 辻 美鶴 :あかんな。 長良木 水緒 :ダメですね。 辻 美鶴 :柚ちゃん、体重いくつ? 霜浦 柚 :たいじゅう…たいじゅうはあ~~~… 霜浦 柚 :40kg台になりた~い! 長良木 水緒 :(耳塞ぐ) 辻 美鶴 :それは軽すぎじゃないかぁ?すげー酔ってる.... 霜浦 柚 :べろべろ…でろでろ…(ぐでえ) 霜浦 柚 :みつるしゃ~ん結婚して… 霜浦 柚 :およめにもらって… 辻 美鶴 :軽率にそんなこと言わないの....(なでなで) 長良木 水緒 :CCB =60 Cthulhu (1D100 =60) → 15 → 成功 霜浦 柚 :んふ~きもちい~… 長良木 水緒 :小動物… 辻 美鶴 :困ったら養ってあげるわ。(わしゃわしゃ) 霜浦 柚 :みつるしゃんしゅき… 辻 美鶴 :お、おう...。 長良木 水緒 :熱烈なラブコールですね、美鶴さん 霜浦 柚 :ながらきしゃんもしゅき… 辻 美鶴 :精神科医どうにかしてよ。 辻 美鶴 :お。 長良木 水緒 :はは…ありがとうございます。泥酔患者は専門外ですかね… 霜浦 柚 :ふふ…すぴ~…… 辻 美鶴 :照れてる?(長良木しゃん) 長良木 水緒 :まぁ… 辻 美鶴 :へ~~~~え?んふふ 辻 美鶴 :ね、寝とる.....。(つんつん) 長良木 水緒 :コート、掛けてあげてください(みつるさんにこーとわたすー) 霜浦 柚 :すぴぴ…… 辻 美鶴 :あら、やさし。(コートかけたげよ) 辻 美鶴 :てんいんさーん、梅酒おかわり。二個ね。 長良木 水緒 :私は水割りで 辻 美鶴 :ロックで。 辻 美鶴 :二個ともロックで。 バーテン :かしこまりました。 バーテン :お2つ、ロックで。 長良木 水緒 :・・・。 長良木 水緒 :酔ってたり、しません…? 辻 美鶴 :いいえ~?口を割ってほしくってなんてそんな....? 長良木 水緒 :…。 辻 美鶴 :聞きたかったの。あの時、あなたは何もしゃべれなくなってたから...。 辻 美鶴 :なんか、重いもの抱えてるのかなって。 長良木 水緒 :期待しているほど、大したものではありませんよ 辻 美鶴 :そう?まあ無理に話してとは言わないんだけどさ...。 辻 美鶴 :ごめん、聞いちゃってさ。お父さんと何かあったの? 長良木 水緒 :父とは…疎遠でしてね… 辻 美鶴 :疎遠...なの。ずっと話してないとか? 長良木 水緒 :昔から父のことが苦手なんです。何を考えているのか理解できなくて…。 辻 美鶴 :ははぁ、まあ...親子と言えど全ては分からないもんだけどね...。 辻 美鶴 :大丈夫?ひどい事とか、されてない...? KP :梅酒ロックのおかわりが2人の前に置かれる。一緒に出された豆皿に、小さなカリカリ梅が3つ乗せられている。 長良木 水緒 :酷い…ということはありませんでしたね。 辻 美鶴 :そか、それはよかった。 辻 美鶴 :やった、カリカリ梅だ! 辻 美鶴 :ささ、飲んで! 長良木 水緒 :いただきます。 長良木 水緒 :では、私のつまらない話はこの辺で。美鶴さんのご家族の話を聞かせてください。 辻 美鶴 :えーなんで?!終わり?もっと聞かせて...? 辻 美鶴 :あたしの家族の事はいいからさー。 長良木 水緒 :面白い話ではないですから、美鶴さんの楽しい話を聞かせてください 辻 美鶴 :えっ、え...面白いとか面白くないとかじゃなくてさ...?ほら、よかったら相談にのるよーって... 辻 美鶴 :いやお節介なのはわかってるんだけどさ...。 長良木 水緒 :素面では喋れそうにない…か…。……口が滑るようにしましょうか…(ロック一気飲み) 辻 美鶴 :ほほう、望むところだ。(同じく一気飲み) 長良木 水緒 :CCB =40 Cthulhu (1D100 =40) → 82 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =60 酒だ酒だオラァ!! Cthulhu (1D100 =60) → 39 → 成功 辻 美鶴 :どうかしら?喋る気になったかしらぁ? 長良木 水緒 :ふぅ…慣れないことをしました…。これは…回りますね…。 辻 美鶴 :お水、あげますよぉ?(グラスに注いで渡すけども) 長良木 水緒 :(ぐびー) 辻 美鶴 :聞かせてよ。その、面白くない話。 長良木 水緒 :本当に面白くない話ですよ… 辻 美鶴 :いーのいーの。 長良木 水緒 :父は…厳しい人でした…。医局の幹部で、その椅子に私を座らせたかったみたいで…。 長良木 水緒 :小さい頃から勉強ばかりで…不出来な私は怒られてばかりでしたね…。 辻 美鶴 :親の押しつけね....。自分の子供だからって、同じことができるとは限らないのに...。 辻 美鶴 :そんな環境で医者になったって、ずっと親のことがチラついて仕方がなさそう。 長良木 水緒 :病院にいる限りそうですね…ずっと怖いですよ 辻 美鶴 :嫌ね。そんな毎日押しつぶされちゃう。 辻 美鶴 :子は親を選べないのが辛いわね。親も子を選べないけど...。逃げたい、とは...思わなかった? 長良木 水緒 :今すぐにでも父のいる病院から逃げ出したい…そう毎日思っていますよ。 長良木 水緒 :精神科医を選んだのは父への、せめてもの反抗です 辻 美鶴 :そうよね...。いつか自分の病院つくりましょうよ。 辻 美鶴 :でも、ちゃんと医者になれたのだから、長良木さんは偉いね...。尊敬する。 長良木 水緒 :人から褒めてもらうなんて何時ぶりですかね…不思議な気分だ… 辻 美鶴 :ふふ、あたしでよければ沢山褒めますよ?えーと、眼鏡が素敵! 長良木 水緒 :眼鏡…眼鏡…ね…。(はずす) 辻 美鶴 :どう、....ん? 辻 美鶴 :CCB =50 目星 Cthulhu (1D100 =50) → 100 → 致命的失敗 KP :次の酔っぱらい判定が40になりました 長良木 水緒 :伊達、ですよ 辻 美鶴 :おわ、そうなの?ど、どうして....。 長良木 水緒 :目を合わせるのが苦手でね 辻 美鶴 :ほほう...目を合わせるのが.....。 辻 美鶴 :CCB =65 心理学 Cthulhu (1D100 =65) → 15 → 成功 長良木 水緒 :CCB =35 心理学 Cthulhu (1D100 =35) → 93 → 失敗 辻 美鶴 :嘘ついてる、でしょ? 長良木 水緒 :…。 辻 美鶴 :視線が泳いでたけど....それ以外の理由があるんじゃないかなって。 辻 美鶴 :伊達かぁ...見えてる訳ね。(顔のぞきこんだろ) 長良木 水緒 :…目を合わせたら、また叱られる。そう思ってしまうんです。(めそらしー) 長良木 水緒 :(びっくり) 辻 美鶴 :....ごめん。(正面むいとこ) 辻 美鶴 :大丈夫よ、あたしも、柚ちゃんも...目を合わせても叱らないからさ。(柚ちゃん肩ぽん) 辻 美鶴 :笑顔なら怖くないでしょ?ほら、へへ 霜浦 柚 :すよよ…ん~~~むにゃむにゃ… 霜浦 柚 :…ぐう 辻 美鶴 :おーい連れ帰れないぞー?(ゆさゆさ) 霜浦 柚 :ん~~…あと5ふん… 長良木 水緒 :…ありがとう。お二人は…そう…だな…。 辻 美鶴 :霜浦ァ!遅刻だぞ!!(ゆさゆさゆさ) 霜浦 柚 :やあ~~~…うーん…んー?? 霜浦 柚 :あれー…おはようございまふ… 辻 美鶴 :あたしでよかったら、練習台になりますよ。無理して直さなくてもいいような気はするけど。 辻 美鶴 :うむ、おはよう。 霜浦 柚 :あれーねちゃってました…?すみません… 長良木 水緒 :おはよう 霜浦 柚 :おはようございます~ ちょっとすっきりしました… 辻 美鶴 :そりゃよかった。カリカリ梅食べる? 霜浦 柚 :わ、たべます~!いただきます 霜浦 柚 :練習台…??ってなんの話してたんですかー?(かりかり) 辻 美鶴 :んふふ、ひみつの特訓! 霜浦 柚 :ほへ~ ながらきさんが何か特訓するんですか?がんばってくださいね~ 霜浦 柚 :(ながらきさんの筋肉がムキムキに…??) 長良木 水緒 :いつか、そうですね…できるようになるといいですね(眼鏡かける) 霜浦 柚 :(なにやるんだろう。ボルダリングとかかな) 辻 美鶴 :そーね!(小声で、「柚ちゃんにも言ってみたら?きっと快諾してくれるよ」って長良木さんに) 長良木 水緒 :善処します(小声) 辻 美鶴 :ふふ、おっけ。てんいんさーん、おかわり! バーテン :かしこまりました。梅酒ロックですね 辻 美鶴 :そそ、おねがいしまーす! バーテン :こちら、梅酒のロックになります。お待たせいたしました。 霜浦 柚 :それ何杯目ですか~? 辻 美鶴 :ありがとうございます~。ふんふふん~三杯目! 辻 美鶴 :4杯目!!! 辻 美鶴 :CCB =40 酔い判定だオラァ! Cthulhu (1D100 =40) → 39 → 成功 長良木 水緒 :本当に強いですね、美鶴さん(ちょい酔い) 辻 美鶴 :へへ、長良木さんはよってる? 長良木 水緒 :ええ、少し。 霜浦 柚 :バーテンさ~ん、ノンアルカクテルのパイナップルクーラーお願いします~ バーテン :承知いたしました。パイナップルクーラーですね 霜浦 柚 :(わくわく) 辻 美鶴 :なぁに?それ。パイナップル? 霜浦 柚 :おいしそうだな~と思って…(メニュー見ながら) 辻 美鶴 :いいなぁ、ちょっとちょうだい? 霜浦 柚 :どうぞ~んふふ できあがりが楽しみですね! 霜浦 柚 :ながらきさんも一口飲んでみます~? 辻 美鶴 :シェアハピか? 霜浦 柚 :シェアシェア~!! 長良木 水緒 :有難くいただきましょう。ストローを… 霜浦 柚 :そういえば私が気絶してた間、なんの話してたんですか? 辻 美鶴 :ン"ン"....長良木さん......?(話してもいいの?の目) 長良木 水緒 :ふむ…美鶴さんにお任せします。 霜浦 柚 :?? 霜浦 柚 :話したくない…?ことだったら無理には聞かないですけど… 辻 美鶴 :ふむふむ..............お父さんと目線が怖い系男子って話を、だな。 霜浦 柚 :お父さん…と目線?ああ~でもわかる気がします… 霜浦 柚 :お父さんって怒ると怖いですよね~…。 霜浦 柚 :目線?もじーっくり合わせようとするとなんとなく…逸らしたくなったりするし 辻 美鶴 :どこの父親も怖いもんなんだな....。 辻 美鶴 :柚ちゃん長良木さんとにらめっこしてみ? 長良木 水緒 :…! 霜浦 柚 :よおし(変顔) 長良木 水緒 :(微妙に目そらしー) 霜浦 柚 :あっ苦笑いしてる! 辻 美鶴 :んふふ(わろてる) 霜浦 柚 :勝ち~!ながらきさんも変顔で目線合わせる練習します?? 霜浦 柚 :相手を先に逸らさせれば勝ちですよっ! 長良木 水緒 :柚さんの方がスパルタだったようですね… 霜浦 柚 :あれ~? バーテン :お待たせいたしました。パイナップル・クーラーとストロー3本になります。 KP :細く背の高いコップは、パイナップルの鮮やかな黄色のグラデーションを湛えている。 KP :パイナップルの果肉やチェリーがトッピングされ、ターコイズブルーのマドラーもよりドリンクを華やかにしている。 KP :果肉の甘酸っぱい香りが、置きたての柚の食欲を煽り立てていく… 辻 美鶴 :ふっ....ごめんごめん。 霜浦 柚 :わあ!綺麗ですね~おいしそう!! 霜浦 柚 :CCB =30 写真をとるぞ Cthulhu (1D100 =30) → 40 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =10 しゃしんじゅちゅ Cthulhu (1D100 =10) → 47 → 失敗 KP :2人の撮った写真は全く映えなかった… 霜浦 柚 :やっぱり暗くて撮れないですね…まあいっか!飲みましょう~いただきます! 辻 美鶴 :加工なら得意なんだけどな....素材がクソ...。 霜浦 柚 :甘酸っぱくておいしい~!ささ、お二人もどうぞどうぞ! 辻 美鶴 :わーいいただきます! 辻 美鶴 :ジュースだこれ(カクテルだと思ってた) 霜浦 柚 :おしゃれな名前のジュースですね… 辻 美鶴 :パイナップルあんまり頼まないからなー美味しいねこれ 霜浦 柚 :ね!はい、ながらきさん! 長良木 水緒 :いただきます。 長良木 水緒 :サッパリしていて良いですね、酔いが覚めてきます。 辻 美鶴 :店員さん、ハイランドクーラー二つ。 霜浦 柚 :ちょっとはすっきりしますかね~? 霜浦 柚 :みつるさん、それなんですか~? バーテン :かしこまりました。 辻 美鶴 :レモンジュースと、ジンジャエールと、ウィスキーかな。 霜浦 柚 :ウィスキーかあ…強そう 長良木 水緒 :柚さんにはきついかもしれませんね バーテン :(様々な材料を入れてシェイクしている) 辻 美鶴 :ちょっとクセがあるもんね。 霜浦 柚 :みつるさん、ちょこ~~~っとだけ飲んでみてもいいですか…? 長良木 水緒 :いや、アルコールが…飲みたいなら止めませんが… 辻 美鶴 :うぅ~む....おねだりしてみて。 霜浦 柚 :お願い~…おねえさま! 辻 美鶴 :う~ん10点! 霜浦 柚 :うわあん 辻 美鶴 :もう一声。 霜浦 柚 :ええっ~?ん~ん~~…ちょっとだけ、ね?おねがいっ(ぎゅっ) 霜浦 柚 :(みつるさんの腕をぎゅ~) 長良木 水緒 :(バーテンさん、ピッチャーの水を足してあげてください) 辻 美鶴 :んーーーーーー......いっか♡ 霜浦 柚 :やったあ! バーテン :承知いたしました。(ピッチャー交換) バーテン :こちら、ハイランドクーラーになります。 KP :金色に輝くカクテル。大きめのグラスに粗めの氷が敷き詰められ、 KP :しゅわしゅわと小さな泡が氷の合間を縫って浮かんでは消えていく。 KP :レモンの爽やかな香りと、ウィスキーの大人な香りが漂ってきた。 長良木 水緒 :いい香りだ。 辻 美鶴 :んね!おさきどーぞ。(柚ちゃんに) 霜浦 柚 :わ~いありがとうございます!(ちょびっと飲んでみる) 長良木 水緒 :(心配な目) 霜浦 柚 :CCB =24 ハイランドクーラーに負けるのか Cthulhu (1D100 =24) → 57 → 失敗 霜浦 柚 :うぶぇ…苦い… 辻 美鶴 :あや、ダメだったか...? 霜浦 柚 :もうちょっと甘めのやつの方が飲みやすいかも…大人カクテルでした… 辻 美鶴 :甘いのかぁ...ミルク系かな。 辻 美鶴 :長良木さん、乾杯! 長良木 水緒 :カルーアとかどうでしょう 長良木 水緒 :乾杯 霜浦 柚 :かんぱ~い(飲みかけパイナップル) 辻 美鶴 :カルーアでも酔いそうだけどね....。 長良木 水緒 :CCB =40 ハイランドクーラーきっつ Cthulhu (1D100 =40) → 39 → 成功 霜浦 柚 :おふたりとも強いですねえ~すごいなあ~~ 長良木 水緒 :私はそんなにですけどね… 辻 美鶴 :CCB =40 酔い判定だオラァ!オラァ!!! Cthulhu (1D100 =40) → 54 → 失敗 長良木 水緒 :美鶴さんもそろそろ切り換えては?相当飲んでるでしょう 辻 美鶴 :あ”----・・・・・・ 辻 美鶴 :ウス。 霜浦 柚 :だいじょうぶ…?よしよし~(背中さすさす) 辻 美鶴 :う”---もうちょい上... 霜浦 柚 :は~い(さすさす) 辻 美鶴 :へへ(嬉しそうだ!) 長良木 水緒 :さて美鶴さん?我々は身の上をお話ししました。等価交換といたしましょう。 辻 美鶴 :そ、そうね....フェアじゃないもんね....? 辻 美鶴 :何が聞きたい(いい声) 長良木 水緒 :どんな話でもいい。些細なこと、楽しかったこと…教えてください。 辻 美鶴 :あや、世間話か...ちょっと安心した。 辻 美鶴 :そーだなー?この前のイベント!楽しかった。あたし趣味でコスプレやっててさ。 長良木 水緒 :ふむふむ 霜浦 柚 :コスプレ~!みたいな~~みたいな~~~ 辻 美鶴 :同じジャンルで合わせしたんだけど、皆衣装凝っててさぁ...。 辻 美鶴 :あ、見る?(カメラシャーーーーってやって見せるプの女だ!) 長良木 水緒 :是非 霜浦 柚 :ほわ~~これみつるさん?かっこいい!キレイ…! 長良木 水緒 :衣装も凝ってますね…これは自作なんですか? 辻 美鶴 :すごいでしょー!自分で作ってるよ! 霜浦 柚 :料理もできてお裁縫もできるの~…??つよい… 辻 美鶴 :任せな........あたしは尽くすタイプだって言ったろ? 霜浦 柚 :さすがです!!これはもう私が旦那さんになるべき~? 辻 美鶴 :養ってくれ..........(切実) 霜浦 柚 :がんばって高給取り目指します~~ 辻 美鶴 :待てよ?お医者様の収入は?(長良木さん) 長良木 水緒 :おや、こんなおしどり夫婦では立つ瀬がないですね、ペットにでもなりましょうか 辻 美鶴 :んふっ....ペット!(ウケた!) 長良木 水緒 :人並ですよ、残念ながらね(収入) 霜浦 柚 :ながらきさんペットがいいの?よしよし~(なでなで) 辻 美鶴 :そういうのがすきなのかぁ(小声) 長良木 水緒 :冗談ですよ 霜浦 柚 :ありゃ~なんだあ 楽しいお家になりそうだな~っておもったのに~ 辻 美鶴 :んね~?わんわん? 長良木 水緒 :…わん、でいいですかね 辻 美鶴 :んふふふふ、録音させて? 長良木 水緒 :柚さんの方が犬のようで可愛らしいですよ。ぜひそちらへ(逃避) 霜浦 柚 :わん! 長良木 水緒 :ほら、乗ってくれましたよ 辻 美鶴 :(真剣な表情でビデオ撮っている) 辻 美鶴 :お手!! 霜浦 柚 :わん!! 霜浦 柚 :…あーっビデオ撮ってますね!?ダメダメ!NG~~ 辻 美鶴 :よし!(なでなで) 霜浦 柚 :わ~い… 辻 美鶴 :えーだめ?(携帯隠す) 霜浦 柚 :ええ~誰かに見せたりしなければいいですけど~~ 辻 美鶴 :よっしゃ。(ガッツポーズ) 辻 美鶴 :柚ちゃんはさ、楽しい事なかった?(わしゃわしゃ) 霜浦 柚 :楽しい~…ん~そうだなあ 霜浦 柚 :この前パン屋さんに行ったらすっごいイケメンの店長がいて~… 霜浦 柚 :パンがめちゃくちゃ飛び交ってました~! 長良木 水緒 :…? 辻 美鶴 :うん??? 長良木 水緒 :柚さん、水…必要ですか…? 霜浦 柚 :のみま~す!!! 辻 美鶴 :夢の話? 霜浦 柚 :夢~~~ 霜浦 柚 :夢かも~~~??? 辻 美鶴 :CCB =65 心理学 Cthulhu (1D100 =65) → 49 → 成功 霜浦 柚 :CCB =35 心理学対抗 Cthulhu (1D100 =35) → 71 → 失敗 辻 美鶴 :酔ってるからわかんね...。 長良木 水緒 :ですね…。 霜浦 柚 :おいしいパンだったのでおすすめですよ~~ 辻 美鶴 :なんてお店? 霜浦 柚 :くろやぎさんってところです! 辻 美鶴 :ふーん?メモしとこ。 長良木 水緒 :おいしいパン屋さんも教えて頂いたところで、美鶴さんにバトンを返しましょうか。 辻 美鶴 :んおお?!今度は?! 霜浦 柚 :みつるさんの好きなタイプは~!? 辻 美鶴 :俺様系.....! 辻 美鶴 :強い子がいいな...。 霜浦 柚 :強い子かあ~~私じゃだめかもぉ(しょんぼり) 長良木 水緒 :あら、振られてしまいましたね 辻 美鶴 :可愛い子も好きよ?! 霜浦 柚 :はえ~私セーフ~?? 辻 美鶴 :あり!! 霜浦 柚 :やった~♡ 辻 美鶴 :二人の好きなタイプも気になるなぁ? 霜浦 柚 :わたしはみつるさんみたいにかっこいい人すき~ 長良木 水緒 :これと言って…特には… 辻 美鶴 :んふふ、守って欲しいタイプか? 辻 美鶴 :好きになった人がタイプってか?許されないぞその解答は.... 霜浦 柚 :確かに守られたいかも~ 引っ張ってくれる人はかっこいいですよね~! 辻 美鶴 :わかる。手を引いてほしい...。 霜浦 柚 :ね~! 長良木 水緒 :許されない…とは… 辻 美鶴 :はっきりした回答を求む!! 長良木 水緒 :はっきり…はっきり… 辻 美鶴 :(わくわく) 長良木 水緒 :そう…ですね…自分の意見をはっきり言える女性には好感が持てる…かもしれません…ね。 辻 美鶴 :それって、あたし?? 霜浦 柚 :なるほどなるほど~~みつるさんは素敵ですよね!うふふ~ 長良木 水緒 :確かにそうですね、言われてみれば… 長良木 水緒 :CCB =30 Cthulhu (1D100 =30) → 72 → 失敗 辻 美鶴 :言われてみれば?! 長良木 水緒 :タイプ、というかは分かりませんがね 辻 美鶴 :はえぇ....長良木さん彼女いないの? 長良木 水緒 :いませんよ。 辻 美鶴 :付き合ったことは? 辻 美鶴 :もしや彼氏? 霜浦 柚 :(どきどき) 霜浦 柚 :(わくわく) 長良木 水緒 :まぁ、そこそこには…ちゃんと女性ですよ 辻 美鶴 :ほう.........。 長良木 水緒 :バーテン、テキーラを。二人分 バーテン :かしこまりました。 辻 美鶴 :テキーラだって...?マジで言ってる? 長良木 水緒 :ここまで来たら引き下がれませんからね。 長良木 水緒 :景気づけに、ね 辻 美鶴 :や、やってやる...! 長良木 水緒 :色々聞かせて頂きますよ。今度こそね。 辻 美鶴 :色々いってるとおもうんだけどなぁ? 辻 美鶴 :しっかし、こんなに弱いとは思わなかったなー。(ちゃん柚の二の腕がお気に入りにぎにぎ) 霜浦 柚 :ああ~にぎられている…… バーテン :お待たせいたしました。テキーラになります。ショットグラスでお召し上がりください。 KP :よく冷やされたショットグラスに注がれたテキーラが2人の前に出された。 KP :琥珀色に輝き、冷やされているためか香りも抑えめ。飲みやすそうな印象を受けた。 辻 美鶴 :きやがったな....。 長良木 水緒 :さ、頂こうか。 辻 美鶴 :乾杯!!!!(ヤケ) 辻 美鶴 :CCB =30 酔い判定だオラァ! Cthulhu (1D100 =30) → 70 → 失敗 長良木 水緒 :乾杯 霜浦 柚 :かんぱーい!(お水) 長良木 水緒 :CCB =20 乾杯…! Cthulhu (1D100 =20) → 60 → 失敗 辻 美鶴 :(あーーーーーこれやばいやつ) 辻 美鶴 :まわりますな........! 長良木 水緒 :そう…だね… 辻 美鶴 :あちくなってきたな。(服ばさばさ) 辻 美鶴 :んでなんだ?何がききてえんだ?ん?? 長良木 水緒 :君の家庭は…どんな家なんだい…?教えてくれ。 長良木 水緒 :家庭 辻 美鶴 :どんなぁ...?ううんと....うん......(長良木さんをチラ見) 辻 美鶴 :お父さんが....二人.....でさ? 長良木 水緒 :続けて 辻 美鶴 :まあその、優しいお父さん達だね。いわゆる私の叔父さんと、おじさんのパートナー的な...? 辻 美鶴 :あとは、双子の弟が一人。 辻 美鶴 :男ばっかりなんだわ。くさい。 長良木 水緒 :でも、その話をしている君は楽しそうだ。いい家庭なんだね。 辻 美鶴 :んふふ、まあね。不満はないわ。 辻 美鶴 :やさしい父さんを摂取したけりゃ、うちにくるといーよ。 辻 美鶴 :とうさんらのほうが、長良木さんもしゃべりやすいんじゃなぁい? 長良木 水緒 :一度、お邪魔してみたい。自分の父以外の父親を見てみたいよ。 辻 美鶴 :へへ、父親紹介するのもおかしな話だな。 霜浦 柚 :…ズビ 霜浦 柚 :ながらきしゃ~~~ん苦労してるのぉ~~…グスグス 長良木 水緒 :聞いたのはこちらだからいいんだよ。柚さん落ち着いて… 霜浦 柚 :やざじい(ずびずび) 辻 美鶴 :紙いるか?(鼻かむやつ) 霜浦 柚 :いります~~~…ズビビ!! 辻 美鶴 :いやん、激しいな....。 霜浦 柚 :わたしなんかじゃあんまり…良い相談役できないかもですけど~… 霜浦 柚 :なにかあったらいつでもお話ききますよお みつるさんもながらきさんも~! 霜浦 柚 :(両方なでる) 長良木 水緒 :十分聞いてもらったよ。ありがとう(撫で返しだ!) 辻 美鶴 :そお?じゃあ何かあったらよろしくね。たまにはやーらかいのも必要なんだわ。(にひひ、と柚ちゃんに笑いかける) 霜浦 柚 :えへ~~ 霜浦 柚 :また飲みましょうねえ~ 辻 美鶴 :のみましょーね! 長良木 水緒 :是非。 バーテン :お客様。そろそろ閉店のお時間となります。 霜浦 柚 :あえ~~もうそんなお時間なんですね… 霜浦 柚 :がんばって帰りましょ~ 帰るまでが遠足ですよ~~ 辻 美鶴 :いっしょにタクシーのるかー? 霜浦 柚 :いいんですかー?のります~! 辻 美鶴 :おじさん奢っちゃう! 長良木 水緒 :ここくらいは出させてください。最年長の顔を立ててもらえると嬉しい。 辻 美鶴 :ごちになります!!(遠慮などない) 霜浦 柚 :いいんですか…?出世払いいたします~! 辻 美鶴 :偏見ない人でよかった、あんがと長良木さん。 辻 美鶴 :かえろーか! バーテン :ではお会計失礼いたします。(省略) バーテン :またお越しくださいませ。(ぺこ) 霜浦 柚 :ごちそうさまでした~! 辻 美鶴 :ごちそうさまでしたっ! KP :3人はバーを後にした… KP :幸謳う飲み会 KP :~完~ 感想
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レミリア13 Megalith 2011/06/06(2011/03/03投下分の改訂版?) 既に日が落ち、辺りが闇につつまれるなか月明かりだけが静かに外を照らす。 月の周期が一周した本日は満月。いつより余計に輝いております。 「今日はゆっくり自分の時間が楽しめるな」 いつも何故か、こうした綺麗で素晴らしい夜に限って現れていた来訪者もとい邪魔者が来ることは無い。 そいつは今頃盛大に行われているであろう博麗神社での宴会を楽しんでいるのだから。 催しに本を読むという崇高な理由で参加しなかった俺は、自宅にこもり一人ランタンを付けいそいそと本を読むシチュエーション作りに勤しんでいた。 「べ、別に誘われなかった訳じゃないんだぞ。ほんとだぞ!」 いい夜では静かに読書をするのが俺のジャスティス。 と 誰に聞かれたでもないが勝手に弁明をしておいた。 あの面子の騒ぎに巻き込まれてはこんな雰囲気を堪能できないのは眼に見えているじゃないか。だから、俺は今回の宴会には参加しないとに決めていたのだ。 ……とは言ったものの、実のところ気分にもよるのであしからず。騒ぎたい時だってあるさ漢の子だもの。 さて、準備へと戻ろう。 ただ本を読むだけであるが、雰囲気を得るためにもセッティングは重要なのだ。 まず、月明かりが一番に差し込む窓側へ香霖堂で吟味し頂戴した木製の椅子と机を配置、そしてテーブルクロス。 これは無理をいって裁縫の魔女に作っていただいたものだ。ん? 人形使いだったっけ? まぁその辺の疑問は横においておこう。 シンプルながらも輝いを放つクロスを掛けられたテーブルはただ掛けただけなのに何処から見ても高級ホテルなどである机そのものに思える。 準備はコレで終了。 呆気無くできた絢爛な席へと着席し、淹れたての紅茶を優雅にたしなむ。するとどうだ。自然と流れてくるダバダーという脳内BGMと共にちょっとリッチな気分に浸れるのだ。 おおっ、なんだか高揚してきたぞ。 「ふふふ、今の俺は違いが分かる男。そうだろ? ふははは」 誰に尋ねるでもなくつぶやき高笑いを決め込むのもまたこの俺、違いがわかる男を演じるならでは。 人格が変わるほどのテンションを素直に表すなら、High――――最高にハイって奴だ。 「ふふ、これぞ至福のひととき。堪らんな……」 シチュエーションは整った。後は本を読むとしようか。 勿論朝までコースで。そうして優雅に静に素晴らしい夜を過ごそうではないか―――― 「ほんと脆いわねこの扉。前にも言ったじゃない。私のために修理しなさい、と」 突如として大きな音を立て崩れる玄関の扉の方へ目を向けると、来訪者の少女、レミリア・スカーレットが呆れ顔で立っていた。 その手に我が家のドアノブを持っている。 ははーん、なるほどね、理解したぞ。 俺の一人静かに本を楽しむという行為を彼女の来訪により目前のドアのように脆くも壊れ去ってしまったのだということにな。 ――――クソッ俺の優雅な夜、返せよちくしょう……。 「あと、○○は来客者へのおもてなしの心がなっていないんじゃないの?」 などという、俺の渾身の思いもどこ吹く風。 レミリアは手に持ったドアノブをその辺に捨て自らの家の敷居をまたぐよう自然に入ってきた。 「まったく、こうした突然の来訪者に対して咲夜なら――――」 いきなりのイチャモンかよ。と嘆息しながら、彼女が置いていったカップへ紅茶を注ぎソーサーの上へ置いた。 衝撃的来訪にも行動停止させない驚くほどの流れる動作は慣れた事だからこそ出来るもの。 環境は否が応にでも人を変えてしまうのだ。 まぁ、現世なら考えられない事が次々と起こるこの幻想郷だからイヤでも変わる。変わらないほうがおかしい断言しよう。 この変化の良し悪しがどちらなのかは分かりかねるが、ここに順応できている証とした分にはそれはまぁいいことなんだろと思いたい。 「ん、ありがとう。なかなかいい香りね。味もまぁ、ギリギリで私の口に合っているわ。まぁ咲夜が淹れるのよりは遥かに下になるけど」 淹れた紅茶への辛口評価に苦笑。 味なんかよりも驚かずに手際よく茶を用意する俺を是非とも評価していただきたいのだけどねえ、ってそんな俺への心遣いはこのお嬢様には無理か。 あとさ、お前のところの瀟灑な従者のあの人と比べないでもらえないかな。 何故かって? 比べられちゃうと可哀想だろ? 誰がといわず俺が。 勿論すごく惨めという意味で俺が。重要なことなので二度言いました。 「やれやれ、せっかくの来店早々に申し訳ないけどな。残念ながらタッチの差で店じまいしたものでね、それ飲んだら出ていって欲しいんだけど」 「ふーん。で、いつからこの小汚い部屋はお店になったのかしら?」 「……ただお帰りください、って意味で言ったんだけど。あと小汚いは余計だろ小汚いは」 これでも頑張って掃除しているんだぞ。 「見たままを言ったまでよ」 「でしたら、ここのお部屋にいてはお嬢様のお洋服が汚れてしまいます故に、どうかお帰り下さいませ」 「なにその対応気持ち悪い……まぁ悔しかったら私の部屋位には綺麗にすることね」 いやまったくもって悔しくはないし、そのしたり顔をやめろ。 お前の部屋が素晴らしいほど綺麗なのは、あの優秀な従者の瀟灑さんがやってくれているわけでお前が威張ることじゃないだろ。 それなのになんでそうも自分の事のように自慢できるんだよ? 溺愛してるのか? それならば彼女はさぞ幸せじゃないか。 なんといったか、主従冥利に尽きるってやつだよなこれ。やったじゃん褒められてるよ。さすがだね瀟灑従者さん。 「はいはい、精進しますよこんちくしょう。しかしよくもまぁ、至福のひとときを邪魔しに来てまで今日は何の用なんだよ」 「邪魔だとはよく言ったわね。私自らこんなところに、こうして出向いてやったというのに」 「こんな小汚い所に何度となくブッ壊して来ているのは何処の吸血鬼様でしょうかね」 「何よそれ? もしかして、仕返しのつもりか」 「いや、本当のことで仕返しも何もないだろ。貴様は自分が壊したドアの数を覚えて」 「いない」 「さいですか」 既におわかりただけただろう。 何度も、といったのはその言葉通り、最初に綴った「綺麗な夜に現れる来訪者」とは今、目の前でふんぞり返っている彼女のこと。 何故かはわからないが、いい夜の日には決まってドアをちぎっては投げちぎっては投げ、この小さな吸血鬼、紅魔館の主レミリア・スカーレットは乱入してくるのだ。 「……ったく」 それでも俺は「来るな」とは言わない。 陰湿な自分としては静かな方が好きではあるものの、賑やかなのも嫌いじゃない。 勿論、それは時と場合による。今日はそんな気分じゃないのは冒頭で言ったとおりなのであしからず。 「ん? 何よ人の顔なんかじっと見て」 「人じゃねえだろ」 大体、なんでここの連中はアポ無しで人の家に上がりこんでくるの? いちいちドアぶち壊してまで乱入してきてなんなの? いじめっ子なの? 勘弁していただきたいね。 お前らの気まぐれ来訪で仕方なく壊されるドアの身にもなってもみろ。悲しくなってくるだろう。 無残にも母体を壊されそこに転がっているドアノブを見てみろ。本当に、ほんっとうに、悲しくなってくるだろう。 「この悲しみがわかるか!?」 「知らないわよ」 「ですよね」 いきなりの怒声にため息をつかれ変なモノを見るような目で見られた。 ちょっとドアの気持ちが乗り移ってしまったんだ。すまんかった……って何に謝ってるんだ俺はさ。 「まぁ、扉の件は私だって軽く開けるように努力はしてるわ。それでも壊れるのだから仕方ないじゃない。脆いのが悪いのよ」 確かに最初の来訪時は比喩無しに木っ端微塵に吹っ飛んでいた。あれは盛大にブッ壊れたよなほんと。 それからはアレも段々と弱まっていって……なんと、そういう事だったのか。 自分なりに治していってはいるんだな。ちょっと感動した、が、 「壊れている事実は変わらないわけで……」 「脆いのが悪いんでしょ。もっと強くすればいいじゃない」 とは簡単に言いますがね。 脆いのが悪い強くしろ、と言われたが実はドアは壊される度に毎回強度を上げている(つもり)。 それなのにコレだぜコレ。まったく、ありえないぜ悪魔超人パワー。 「まぁいいや。それで、ドアで話が逸れたからもとに戻すけど、今日の来客理由はなんなのさ」 「特に無いわ」 「いやいやいや。それはないだろ。ハハーン、あれか? それは照れ隠しだな? 本当は凄くこの家に来たかったけど恥ずかしいから本当のこと……やだなーほんの冗談じゃないですかハハハハ」 睨まれた。 そんな怖い顔するなよチビるだろ。 「勘違いされては困るからいっておくけれど、ここに毎回寄るのは私の散歩のコースの途中にあるからよ。今日だって休憩程度に仕方なく無く寄っただけよ」 仕方無しに我が家は毎回ブッ壊されてたのかよ。我ながら不憫すぎるな。 「ここは休憩所じゃねえぞ……」 レミリアの言葉に突っ込みで応戦していてある所に気づく。 「ちょっと待て、今日は神社で宴会だろ?」 本日、博麗神社では大宴会が開催されている筈。 このレミリアはあの奇々怪々の面子の中でも一際目立つ一人だ。そんな奴が宴会をほっぽり出して単独行動なんて珍しいにもほどがあった。 「あぁ、それね。悪酔いしたから頭を冷やすために散歩をしていたの。さっきも言ったでしょう散歩の休憩に寄ったと」 ため息をつきながらそう説明する。 吸血鬼でも悪酔いをするということに正直、驚いた。今度阿求さんに教えてあげよう。 「後は咲夜達に任せてきたわ。そうそう、今日はフランも参加してるのよ。あの子本当に楽しそうで……一緒に連れてきてあげて正解だったわ」 今頃魔理沙とじゃれあっているんじゃない、とケラケラ笑いながら言った。 なんだ、ちゃんとお姉ちゃんしてあげれているじゃないか。 「いやいや。それなら尚更、俺の家なんかでだべっている暇無いだろ? 酔いが冷めているなら早く戻らないと」 「まだ冷めてないわ」 「嘘つけ。絶対今素面だろ」 「そんなことは無いわ。あ、酔ってるから目の前でしゃべっている人間の血がとても美味しそうに見えてきた」 「やめてっ!」 レミリアはクスクスと笑いながら話を続ける。 「まぁ、宴会途中で私が他の場所へ一人出歩くのは珍しいことじゃない。それは〇〇もわかってるわよね」 すまん、初めて聞いたわソレ。 「……毎回宴会であの巫女さん連中に御開きになるまで楽しそうに絡んで愚痴愚痴やってる人の言葉とは思えないぞ」 「いちいちウルサイわね馬鹿。ほんと空気が読めないのね馬鹿」 「今のところで読む空気がどこにあったんだよ」 「馬鹿なんだから考えるよりまず先に感じなさい」 「無理だっつうの」 重要なことだから二度三度と言いましたってか。 俺の言葉にバツが悪そうに顔をしかめ、悪態を付く。またその姿がおかしくてまた苦笑。 「まぁ、あの面子ならそうそう問題起きないだろうし、そういう事にしておいてやるよ」 「何よもう」 「さて、今更だけど一応歓迎してやるよレミリア。小汚い我が城へようこそ」 「本当に今更ね。でもその上から目線がやっぱり凄くムカツクわ」 調子に乗りましたごめんなさい。 「まぁ、いいわ。あ、そうそう。ちょうど〇〇の家に居ることだ聞いておきたいことがあるのよ」 「ん?」 「なんで宴会の誘いを断ったのかしら?」 宴会を断ったことは霊夢から聞いたのだろか、それとも運命がなんちゃらなのか……どうでもいいな。うん。 「今日はそんな気分じゃなかったから」 「それだけ?」 「それだけ」 簡潔なその答えに一体何が不服なのか、レミリアはテーブルに肘をつくとブスッとした顔で睨んできた。 そういえば、この世界にきて初めて宴会の誘いを断ったのかもしれない。 あの宴会では他の現世から迷い込んだ人たちとの交流も出来るのとタダ酒が飲めるという利点がある。 それを断るのがおかしい、というのだろう。うん、一里ある。ただ香霖堂の店主は色々な理由を付けて何度も断っているようだけど。 「本当に今日はその気分じゃなかったから行かなかっただけだって」 「誘いを断ってまで家に引きこもってるくらいなら出ればよかったじゃない」 「ははは、ご冗談を。これが引き篭っているように見えるのか?」 「見えるわ」 予定がないならそれはごもっともな意見だ。 「まぁ、気分以外に他の理由があるんだけどな」 「他?」 「今日はいつもよりも月が綺麗ないい夜にだろ。滅多に出会えないであろういい夜だから静かに読書をしたかっただけ」 「ふーん」 「レミリアも読むならご自由にどうぞ。どうせ今、手持ち無沙汰ってやつなんだろ」 手にとった本に目を落としながら机の上にある他の本を手差す。 すると彼女はそうね、と返事をした。 「……これ、何よ。ほとんどが絵じゃないの」 「ん? あぁ、これは漫画。一応コレ紅魔館で借りたんだぜ?」 「ふーん。こんなのもあるのね」 「まぁ、外の世界の絵本みたいな奴だな。そして今読んでいる奴は俺が外の世界にいた頃にお世話になっていた作品であってだ、な……」 そこまで説明をして 言葉を失った。 「……」 「へぇ、○○ってこんなのが好きなのね」 何故、と聞かれれば、目の前に彼女が居たからと答えよう。 本当に一瞬の出来事だった。 これにはオレモビックリ。 「あーなんだ。レミリアさんは何処に座られているのですか?」 「椅子よ」 椅子ですかそうですか。 ただレミリアの言うソレは椅子ではなく俺の脚、詳しく言うと太ももなんですが。 「向かい側にも椅子があるのだからそっちに座ればいいじゃないか」 「嫌よ。ここがいいもの」 しかし、彼女からの返答はとても簡潔なものだけで膝の上から動こうとはしない。 一応、他に動いている所があるのだけどそれはレミリア自身の羽。ちょっとくすぐったい。 「は、羽がくすぐったいから向こうへ」 「嫌よ。ここがいいもの」 なんだよ畜生。 そんなにこの席がいいなら俺が移動するからせめて退いてくれ。両腕の間なんて場所は窮屈だろう。と促すも、 「嫌よ。ここがいいもの」 すっぽりと収まった彼女から先と全く同じ回答が返された。 壊れたファー○ーかよ。狂うまで撫で回してやろうか? あぁん? ……本当にもう訳がわからない、が、両腕の間に小さく収まる彼女の姿がなんだかおかしく、笑みが溢れる。 「な、何を笑っているの?」 いいや、別に。 「あんな広い館に住んでいるのに狭いところが好きとはまた面白いな、と思っただけだよ」 「……うるさいわね。そんなことはどうでもいいから、さっさとページ捲りなさい」 「はいはい、わかりましたよお嬢様」 「わかればいいのよ。わかれば」 ペラリとページを捲れば足の上に乗った少女は満足そうな返事を寄こす。 閑散とした部屋にはページを捲る音静かに流れるとともに、二人だけの時間もゆっくりと流れていくのだった。 Megalith 2011/11/10 ○○(以下、○)「食事の時間だぜお嬢様」 レミリア(以下、レ)「…また貴様か。咲夜はどうした」 ○「代わりに行って来いって言われたもんでね。駄賃は不機嫌な顔と銀のナイフが五本だ」 レ「貴様の駄賃には丁度いいな」 ○「危うく三途の渡し賃になるところだったがな」 レ「いい気味だ」 ○「まぁいいからとりあえず喰ってくれ。さっさと片付けたいんだ」 レ「…料理どころか皿もフォークもスプーンもワイングラスも何もないのに?」 ○「料理ならあるだろ。目の前に」 レ「…嫌」 ○「何も取って食えとはいわねぇよ。つーかそんなの俺だって御免だ」 レ「嫌。貴様はA型だろう。それもO型との混血。私はB型、それも純血が好きなんだ。絶対嫌」 ○「俺だって嫌だけどよ、駄賃にナイフが飛んできたら行くしかねぇだろうがよ」 レ「なんだって貴様のような混血を呑まないといけないのだ!B型の血を持ってこい!」 ○「そのB型純血の持ち主はナイフぶん投げた後に貧血で倒れちまったよ。誰かさんが血を抜きすぎるから」 レ「…全く貴様が来てから咲夜の完璧さが総崩れだ」 ○「人に罪なすりつける暇があんならとっと喰えこのチビ」 レ「んなっ何がチビよ!まだ成長期なだけでそのうち大きくなるわよ!」 ○「うるせぇ ならAだろうがOだろうが好き嫌いすんな。Bが肉ならAOは魚と野菜だ」 レ「何その理屈…訳わかんないわ…」 ○「あ?なんだ?ノスフェラトウは偏食が許されるってか?」 レ「私のような貴族はそんな下賤な食べ物を口にしないから」 ○「てぇことはアレか?栄養が偏りまくってェ、腹ばかり膨らんで手足はガリガリの餓鬼みたいなスタイルが良いってか?ァ?」 レ「えっ」 ○「リンゴ体型の中年太りみたいな姿の吸血鬼がァ」 レ「うっ」 ○「背格好はチビのままでェ」 レ「ぐっ」 ○「お嬢様ァ?」 レ「うぅ…」 ○「貴族ゥ?」 レ「…」 ○「俺のヘソで茶を沸かすつもりかテメェー」 レ「…グスッ」 ○「…すまん、ちょっと言い過ぎた」 レ「…腕を出しなさい」 ○「あー痛くしないで下さいお願いしますマジで」 レ「そんな甘言がまかり通るとでも?」 ○「ですよねー って痛ェ!あ、こら、爪を喰い込ませるのはやめろォ!」 レ「うっさい!いい年こいて子供苛める汚い大人はこうなればいいのよ!」 ○「ストップ!ジャストモーメン!それ以上喰いこんだら貫通するってのぉぉおぉぉぉぁぁぁぁああああ……」 レ「大人しくしなさい。…ぺろ…」 ○「痛ェ 痛ェ 痛ェ あー…せめてコップだけでも持ってくれば良かったな…」 レ「こんな風に舐められるのは嫌い?」 ○「指と爪でちぎるように付けた傷口を、そんなえぐるように舐められたら誰だって嫌いになる──って痛ェっつってるだろ!」 レ「そう、ならコップは使わない。貴方のリアクション面白いし」 ○「へーへーそうですか…ったく 鬼だの悪魔だの言っても事実にしかならねーから意味ねぇな」 レ「…れろっ…」 ○( …この顔を可愛いと思うのも、魔性の起こす錯覚なのかなぁ ) レ「…んっ…ふはぁ」 ○( たまに本気で怖くなる時があるのに、それでも俺はレミリアになら殺されても良いと思う… ) レ「…ふー。箸はないけど箸休み」 ○「俺を失血死させる気かこのヴァンパイアは」 レ「そんなに脆い男じゃないでしょう。ゴキブリ並みのしぶとさの癖に」 ○「あー…良いから早く喰ってくれ。腕の感覚無くなってきた」 レ( …本当、何なのかしらね、こいつ ) ○「…やれやれ…」 レ( 意地悪されて本気で怒りたくなる時もあるのに、○○なら許してもいいって思えてくる… ) レ「…ん…ちゅ…くぷっ…ちろっ… ふぅ…御馳走様」 ○「お粗末さんでしたっと…。痛かったぁなぁホント…消毒液あったっけな」 レ「何度も言うけど、吸血鬼の唾液なら傷をふさいだり消毒したり出来るんだけど?」(ダレン・シャンとか参照) ○「うるせぇ 人間にそんなアブネーもん使うな」 レ「貴方も十分非人間でしょうに。寝て起きたら傷が治る時点で十分」 ○「俺が人間だと思った時から人間だよ、俺は」 レ「つくづく変な理屈ね」 ○「人間の空想から妖怪が生まれたんなら、妖怪の本質は人間に通じるだろ。だから人間で良い」 レ「はいはい。そしてその人間は吸血鬼の館で門番兼雑用係兼図書館学芸員兼執事見習いしている変人だったわね」 ○「変人で結構」 レ「そう。なんにしても食事は終わりよ。食後の紅茶とケーキを持ってきなさい」 ○「咲夜はぶっ倒れたってさっき言ったんだがな」 レ「ならもう貴方でいい。貴方の紅茶とケーキ私に食べさせて頂戴」 ○「畏まりましたお嬢様。っと。期待すんなよ?」 レ「その下手な謙遜は聞き飽きた」 ○「もうちょっと上手く褒めてくれたら本気だす」 レ「…私は貴方が淹れたダージリンが飲みたいの。そして貴方が作ったザッハトルテが食べたいわ」 ○「…仔細承知いたしました、お嬢様。腕によりをかけてお作りいたします」 ○「といいつつ実はもう作ってあったりして」 レ「おい○○貴様ァ!」 ○「おーっといいのかァおぜうさまァ コイツ(ケーキ)が宙を舞って床に真っ逆さまになるぜェ」 レ「にア ころしてでもうばいとる E:グングニル」 ○「えっ あっ うそうそごめん好きにしないで意地悪しないから許して後生や堪忍や」 レ「いい心がけだ 女性に対して甘いものを人質(物質/ものじち?)にするなど阿呆のやることだからな」 ○「お前のネゴシエーションでスイーツ(笑)がヤバい」 レ「ブツクサ言ってないでさっさと寄こしないハリーハリーハリー」 ○「おねだりするならもっと可愛らしくしろよ」 レ「じゃあ …ねぇ…○○の(ケーキ)…頂戴…?(はぁと」 ○「おーけーおーけー100対0でお嬢様の勝ちです」 レ「やーいやーい顔真っ赤ー」 ○「…可愛かったんだから、仕方ないだろ…///」 レ「…えっ」 ○「ほら、ケーキだぞ、食えよ」 レ「ちょっとそこは"やーいやーい顔真っ赤ー"ってやり返すとこでしょ ねぇ」 ○「俺が食っちまうぞ?」 レ「…嫌。欲しい。食べたい」 ○「…はい」 レ「…!」 ○「あ、お気に召さない?これは失敬…」 レ「…ん!」 ○「!」 レ「んー…」 ○「…」 レ「…相変わらず素晴らしい味だわ」 ○「無駄に頑丈なこと以外の唯一の取り柄ですので」 レ「…お皿とフォークをよこしなさい」 ○「え、ああ、はい」 レ「…はい」 ○「…!」 レ「お気に召さない?」 ○「…んぐ」 レ「…」 ○「んん うめぇ さすが俺」 レ「じゃあ、はい。また私の番」 ○「あいよ」 レ「んっ」 ○「次は俺の番」 レ「そら」 ○「あむっ」 レ「私の番」 ○「ほい」 レ「はむっ」 ○「俺の番」 レ「はい」 ○「ぱく」 レ「私の番」 ○「これで最後だな」 レ「あ、そうみたいね」 ○「…ほら」 レ「…いただきます」 ○「はい、お粗末さんでしt───」 レ「…ん!」 ○「─────」 レ「─────」 ○「お前今何を」 レ「ケーキを半分こ」 ○「お前今何を」 レ「日ごろの仕返し」 ○「…お前今何を」 レ「…キス」 ○「………」 レ「………」 レ「…私の初めての、口付け」 ○「初めてはここ一番に取っておけよ馬鹿かお前今の絶対ノリと勢いだったろ」 レ「貴方ならいいと思ったもの」 ○「嘘付くな俺なんかに使っちまうなんてもったいないことを」 レ「何が?」 ○「だから俺になんか」 レ「なんか?」 ○「…」 レ「"なんか"で片づけられるような下賤な人間を召使に雇った覚えはない」 ○「そう言う意味じゃない 気の迷いで召使にキスするなんて」 レ「貴様になら意地悪されても自然と許してやりたくなるのだ」 ○「」 レ「貴方に可愛いって言われると胸がじんわりするのよ」 ○「」 レ「…そう言う意識の果てにあるのはこういう結果でしょう?」 ○「」 レ「……私を惚れさせた責任、取ってもらうわよ」 ○「」 レ「…」 ○「 う」 レ「…○○?」 ○「ちょっとまって もうちょっとで人生初の嬉し泣きができそうなんだ」 レ「…まったく、貴方って人は」 ○「だってそうしないと不公平だろ」 ○「おまえ、今まで見たことないぐらい涙でいっぱいじゃないか」 レ「…」 ○「ちくしょうずりィよ こんなことになるなら俺から先に言っておくんだった お前が愛らしすぎて殺されたって文句ないって」 レ「そう、なら殺さない。貴方みたいに意地悪だけど良い男、絶対に殺すもんですか」 ○「くそっ神様はなんて意地悪なんだ 普段通り終わるはずの夕食でこんなことになるなんて思わなかったぞ」 レ「日ごろの行いが悪いからこうなるのよ 反省しなさい」 ○「あーそれならもうちょっと運命の神様に媚売っとくんだったなぁ」 レ「私はこうなる運命だって最初からわかってたけどね」 ○「それだけは絶対に嘘だってわかるぜ」 レ「ばれたか」 ○「なぁ、本当に俺で良いのか?自分でも性格悪いなって思うときがあるぐらいなんだぜ?」 レ「これが惚れた弱みって奴よ。貴方こそいいの?私もちょっと我儘過ぎるかなって思うときがあるけど」 ○「だからこそちょっと意地悪してからかいたくなって、…つまり可愛いから許す」 レ「あーもうっ!可愛いって言うなぁ!」 ○「分かった、なら愛してるって言う」 レ「…本当に…意地悪なんだから…」 ○「泣き笑いしながら言ったって笑えるだけだぜ」 レ「貴方の泣き顔もそれ以上に笑えるわよ」 ○「はは…ならお互い疲れるまで笑おうか…」 レ「うん…いっぱい、いっぱい笑い合いましょう…」 なんか全力で書き殴ったら全力で迷走した おぜうさまかわいいよおぜうさま Megalith 2011/11/19(Megalith 2011/11/10続き) ttp //tohoproposal.toypark.in/megalith/?mode=read key=1320851565 log=3 ←これの続きらしい 「○○は、寝てる、か…」 「…Zzz…」 今、私は○○の部屋にいる。紅魔館の最上階にある私の部屋から一番遠い、紅魔館一階の倉庫がそれだ。 初め、三階の客間で生活していた○○は、紅魔館で執事見習いをすると言いだしたその日のうちに 倉庫へ移動し自分の部屋にしてしまった。客人から従者へ、ある意味格下げのような扱いになったことは認める。 だけど、私を含め、誰一人としてそこまで冷遇をする気などなかったのに。 「…Zzz…」 ○○はぐっすりと眠っている。いつも通り、憎たらしいほど幸せそうな顔で、ベッドのすぐ隣に立っている私のことを介することなく。 憎たらしい、はずだった。いつからだったか、私はこの顔を見ても取り立てて悪感情を抱くことも無くなった。 現在に至っては、何故だろう、微笑ましさすら感じる。これが、人を好きになるということなのだろうか。 「○○…」 この世に生を受けて五百有余年、既に『過ごす』時間は使い果たし、これから永きにわたる寿命の到来まで、 『潰す』時間に苦心することを予見していた矢先の恋心。○○と過ごす時間はこれからどれくらいあるのだろう。 ( …こんなに質の悪いベッドで寝ているのね ) 起こさない程度に、○○の寝ているベッドの質感を確かめる。私がこのベッドで一晩寝ていたら、 体の節々が痛くなりそうな、不親切なもの。客間にあったものの方がまだマシ。 レミリアは外の世界から来た男を倉庫に閉じ込めて粗末なベッドで寝かせている、なんて、そんな風に新聞に書かれたら 皆が本気にするかもしれない。今まで気にしていなかったけど、明日にでも倉庫を改装して立派な個室にしてあげないといけない。 ベッドもこんな寝苦しいものじゃなくて、最低でもメイド妖精が使っているようなフカフカで高品質なものに取り換えなくては。 ( …従者。従者、か… ) 従者、という言葉で思い出した。私と○○の関係はなんだろう。世間一般で言うところの恋人同士にあたるのだろうか、 従来通り、主と従者なのか。これからの関係はどうあるべきか。主と従者、恋人、男と女、夫と妻、知己ということもあるか。 お互いに相手への好意を自覚して、打ち明けたのだから、表面上はまだしも、本質的には今まで通りの主と従者で居ることはできない。 今の私は○○についてもっと知らなければならないことが沢山ある。だが、しかし。 ○○は外の世界で何をしていたのだろうか。 ○○は外の世界で何を見てきたのだろうか。 ○○は外の世界で何を置いてきたのだろうか。 ○○は今でも外の世界に未練があるだろうか。 ○○は今でも外の世界に残してきた物を取りかえしたいだろうか。 ○○は今でも外の世界に帰りたいだろうか。 ○○はいつまで私のそばに居てくれるだろうか。 ○○はある日突然消えてなくなったりしないだろうか。 ○○は本当に私のことを愛しているのだろうか。 怖くて聞き出せないことも沢山ある。それを聞いた瞬間、○○という存在が幻のように消えてしまうような気がして。 恥ずべきことだけども、私に対して友好的な存在とは紅魔館に居る者たちぐらいで、ひとたび外に出れば大抵私は嫌われているか、 眼中にないかのどちらかで。分け隔てなく接する霊夢に好意を抱いていたぐらい、マイナスから見ればゼロでもプラスに感じるという 諧謔的な状況に慣れ過ぎていた。 吸血鬼とは最強の生命体であるがゆえに、妖怪の間でも忌み嫌われる種族。そんな吸血鬼の私を好きになる人が出来たなんて、 今この瞬間でさえ、何かの間違いなんじゃないかと思ってしまう…。 「…っ!」 不安が一杯になって、胸の奥から込み上げてくる。○○が私を愛しているのは私が無意識に魅了の魔眼を使ったせいだったとか、 今までの記憶は一夜の夢が見せた幻に過ぎなかったとか、普段なら馬鹿馬鹿しい妄想と判断することにまで真剣に考えてしまう。 私は弱くなったのだろうか。いや、おそらく違う。今まで経験したことのない事態に直面して右往左往しているだけだ。 ならどうすればいい?この不安を打ち消す方法は?今目の前にいる○○が私を好いていることに不安を抱く状況で、 彼のそばにいるのは間違いか? 何も、分からない。一人で急に不安がって、オロオロしているような自分が、情けなくてしょうがない。 此処にいても何も解決しない。○○が起きる前に出て行ってしまおう。 「…主よ、どこへ行かれるのですか」 そう、思って、背中を向けて、外に出ようとドアノブに手を掛けたら、私の声じゃない、後ろから、寝ているはずの○○の声が はっきりと聞こえて、私は瞬間的に石造のように固まって、心臓が急に騒がしく脈を打って、そして、そして、私は、ぎこちない動作で、 振り返った。○○と目が合った。 「あ、貴方、いつから起きて」 「『○○、は、寝てるか…』よりずっと前から。というかさぁ、お前自分が吸血鬼ってことを忘れてないか?」 「どういう意味よ」 「お前が近付いてくる気配で目が覚めたんだよ。少しは影とか霧とか蝙蝠になるとかしてくれ」 「…それは悪いことをしたわ。でも、なんで狸寝入りなんか」 「何か頼みごとをするつもりだったら誤魔化そうと思っただけだ。そしたら俺の名前を呟いたと思いきやベッドを弄るわ、 それが終わったら急に不安そうな息ついて部屋から出て行こうとするわ…アレか?俺の布団がクセーのか?」 「…」 ○○が実は起きていたこと、私の気配は眠気覚ましになること、私の不安を何も理解してないこと…一瞬のうちに三つも把握して、 いつものように軽口を飛ばす彼を見ていると、…不愉快になった。私は真剣に悩んでいたのに、コイツはどうして肝心な時に 空気が読めないんだ、と。 「…何よ。あんたの体臭がそんなに臭かったら部屋に入る気も起きなかったでしょ。」 「じゃあ何で俺の部屋にいるんだ。ガキは寝る時間だろ」 「貴方の部屋に入る理由が必要なわけ?」 「主が従者の部屋に意味もなく入ってくる…ああ、抜き打ちの内部調査かなんかか?わざわざ夜中にやるこたぁねぇだろ…」 どこまで空気読めないんだ。少しは私が相談しに来たってことを考慮しないのか。…それとも、○○はやっぱり、 「…本当は私のことが嫌いなの?」 心の中だけで呟いたつもりの言葉が、私の口からこぼれ落ちていた。しまった、と思った瞬間、○○が飛び起きて、 私の前で跪き両肩を乱暴に掴んだ。 「ちょっ…○○っ…!?」 なんとなく呆けるような表情だった○○が、今では修羅のように睨みつけてくる。あまり怒ることのない○○が、怒っている。 「俺は面倒が嫌いなんだよ。寝ているところを起こされて俺は不機嫌なんだよ。お前は俺を怒らせるために来たのか?」 「そんなつもりじゃ…」 「ならどうして俺がお前のことを嫌いにならなくちゃいけないんだ!?お前が何考えてんのかさっぱり分かんねェよッ!!」 「なっ…!」 瞬間的に罵られた反動で、頭の中がカッと熱くなって、浮かんだ言葉を思案する間もなく口から飛び出していく。 「どうして分からないのよッ!馬鹿なの!?貴方が本当に私のことを好きなのか不安だったのよ!」 ああ 「私は吸血鬼!幻想郷でも爪弾きにされる嫌われ者なの!紅魔館ならいざ知らず、外じゃ誰も私を好きになった奴なんていない!」 もう 「そんな吸血鬼のところに現れた人間の雄が!どうして私のことを好きになるのッ!?何かの間違いなんじゃないかって思ったわッ!」 止まらない 「あんたみたいなお調子者だったらこんなこと考えないでしょうけどッ!」 止められない 「ずっとずっと疎まれ続けてきた私にはッ!私にはっ…!」 目の奥が熱い 「誰かを愛することは出来てもっ…!誰かに愛される、なんてっ…簡単な、ことじゃ…ないっ……」 喉が苦しい 胸がしくしくする 肩が強張る 不安が溢れだして足が震える 涙で 前が 見えない… 「…ちゃんと正直に話してくれただけ、よしとしようか。ほら、涙拭いてやる」 ○○が私の体を少しだけ引き寄せて、指先で頬を拭った。こうしてみると、○○の手は綺麗で長い…。 「どうせお前あれだろ?一人でウダウダ考えて袋小路にはまってヒステリー起こしたんだろ?」 「…」 反論の余地はない。その上八つ当たりして泣きわめいて、まるで獣みたいだ。情けない。 「それ自体を怒る気はねえよ。俺にだって良くあるから分かる。泣きたくなることもな。 お前は、本当は俺がお前のこと嫌いなんじゃないかって思って、それであんなこと言ったわけだ。 人に愛されることに慣れてなくて、それでいろんなことが不安になっちまって、ついカッとなっちまう気持ちも今なら分かる。」 ○○が私の頭を撫でてくれた。長くて大きい掌全体で、私の髪を愛でるように、優しく…。 「 さっきは突然何馬鹿なこと言ってんだって思ってつい怒鳴っちまったが…素直に言ってくれれば俺は邪険にはしないぜ? だから、早まるなよ。俺も紅魔館の従者だ。主の不安には親身になって相談する責務がある。 俺みたいなのがどれだけ役に立つかは分からねぇが、それでもだ。」 ○○が役立たずなんて嘘でも言えない。○○は意地悪なことをするけど、他の誰かでは出来ないことが、沢山あるんだから。 「そして…何よりも、」 一拍間をおいて、○○の顔が近付いて───私と○○は、静かにキスをした。○○の手はわたしの背中に、私の手は、○○の首筋に。 数秒間そうしていて、また静かに離れる。 「…愛するレミリアの為なら俺はなんだってやってやる」 ずるい。この男は本当にずるい。平然とこんなことを言えるなんて。こんなに真剣で馬鹿正直で熱い心を今まで隠していたなんて。 「…ごめんなさい。私だって○○を愛してるのに、一人で不安になって疑ったりして…」 月並みな言葉しかないけれど、自己満足にしかならないけれど、ちゃんと口に出して言わなければならない。 私を愛してくれる男への謝罪と感謝を。 「言うなよ。俺だって不安だったんだ。レミリアが俺のことを好きだって行ったのは単なる悪戯だったんじゃないか、とかな」 フォローしているつもりじゃないみたいだった。本当に、○○も不安だったんだろうか?だとしたら、私たちは本当に似た者同士だ。 そんな彼の為に、今の私が出来ることは、彼の不安を取り除いてあげること。 「そんなわけない。言ってはならない嘘ぐらいは心得ているもの。」 ちょっと不意打ち気味に、今度は私の方から口付けをした。一瞬だけ○○の体が強張ったような感覚が伝わってきたけど、 すぐにまた私の背に手を回して抱きしめてくる。嬉しくて、たまらなくて、少しだけ長くキスを続ける。 私が口を離した後の言葉は、とてもすんなりと滑り出てきた。 「私のキスは嘘をつかないわ。今までも、これからも」 頭の奥が霞がかったように惚けてくる快感に任せて、精一杯の笑顔を彼にプレゼントした。 ○○の不安が、少しでも消えてなくなるように。 …って、思っている間に向こうからもう一度口付けされた。 ちょっと対抗心が芽生えたのでやり返す。…そうしたら舌を入れられたっ。やり返す。 気付いたら結局いつも通りの競争に戻った。馬鹿らしくなって、しょうもなくて、そんなやりとりが楽しくて、落ち着いて、心安らぐ一瞬。 「『疑ってみたり不安だったりそして最後にキスで〆るのさ』…ってな」 いつにも増してキザな言い回し。それが何よりも、私の中に残っていた不安の残滓を完全に洗い流していった…。 次の日から私は、○○の部屋で寝ることにした。従者とか主とか関係なく、私がそうしたい。○○は、小言半分に私を優しく迎えてくれた。 ○○はこれからも此処にいる。私も○○のそばに在る。一晩寝るごとに○○との心の距離が縮まっていくような感覚が恥ずかしくて、 嬉しくて、○○も、まんざらではなくて。 「お邪魔するわ、執事見習い」 「お休みなさいませ、お嬢様…ってな」 今日も○○のベッドで一緒に寝る。○○が私の部屋に来る準備はしてあるのだけれど、○○は自分の立場を考えて遠慮してしまうか、 私の部屋に着く前に咲夜に見つかってしまって追い払われるかのどちらか。最初は辛抱強く待つつもりでいたけれど、 最近はもう我慢していても仕方ないと思い始めた。 「ねぇ、○○。一つ良いかしら」 「何だ?」 「今日の寝物語は趣向を変えましょう。」 「俺様の武勇伝に飽きたのか?」 「フィクションとしては面白いんだけどね。…今日は、今日はね」 従者と主の逢瀬が赦されないのなら、私はこの関係を一歩進めることにした。 「○○が外の世界で何をしていたのか、聞きたいかな」 聞いてしまったら○○が居なくなるような気がしていた。きっとそれは、私が○○と結ばれる覚悟が足りなかったせいかもしれない。 今の私は、○○のことなら何でも知りたい。何も後悔しない。○○を誰かに渡したりなんかしない。 私はもう、何も恐くない。
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咲夜5 4スレ目 433(うpろだ0024) //////////////////////////////// 明るい将来設計と家族計かk(ry 『レミィ?用事って?』 「夜分遅く済まないね、パチェ」 『テレパス会話なんて何年振り?』 「百から先は数えて無い―――咲夜に内緒話するなんて、あんまり無いわ」 『それも、盗聴含めて絶対にバレない方法で? ―――で、何をすれば良いのかしら』 「恩に着る―――愛してるわ、パチェ」 『感謝の極み、とでも言っておくわ、マイスイート』 「で、本題だけれど―――用意して欲しいものが有るの。 一つは簡単だけれど、直ぐ用意すべき品。 もう一つは急がなくて良いけど、とてもとても難しい品。 多分、私達だけでは無理なものね」 『―――必要なのね。あの子の為に』 「ええ―――急ぎ足の灰被りが、どんなに急いでも、絶対に帳尻を合わせる時計よ」 「お早う御座います、お嬢様」 「今晩は、咲夜。いつも御苦労様」 広く深い紅魔間の一室、一面深い紅で塗られた部屋。 中央にベッド、壁際に箪笥、その他諸々。 もはや語るまでも無く、当館が主、レミリア=スカーレットの寝室である。 「ふわぁ~……」 「今日は少々お早いですね」 欠伸に合わせて寝巻きから細く小さな腕と、一対の蝙蝠羽が、可愛らしく伸び上がる。 そこへさり気無く手を伸ばし、慣れた手並みで召し物を替える従者の姿も、また定番。 「ん。今日は咲夜に言って置く事があったからね」 「私に、でしょうか?」 一声交わす間に、着替えは完了。 姿見の前で『完璧』と誉のお言葉も、何時もの光景である。 「そうねぇ―――あ、そーだ」 「はい?」 ただ、最近の紅魔館にも、ちょっとした変化が訪れていた。 「指輪は、ちゃんと着けなさいな?」 「しかし」 「私を嘗めてんのか。んな安物の銀製品何ざ堪えないわ」 ぴくり、と従者の目尻が引き攣る。 それを横目で眺めつつ、紅の悪魔の、 「それとも―――嫌いなのかしら?それ―――」 あっさりとした一言を。 「―――そんな事ありませんッ!!」 瀟洒とは程遠い態度で、従者は遮る。 瞳は激情に踊り、主を見る視線は、まるで親の敵を見るかのよう。 「―――んなムキにならんでも……っふふ」 「え―――っあ」 一瞬の従者の変わりように、くつくつと抑えた笑いを隠せない悪魔嬢。 直ぐに従者の顔も、『やられた』と伏せられてしまう。 ―――控えめな、ノックの音がした。 「聞いてた?」 その一言を許諾とし、控えめな音を立ててドアが開く。 「……お嬢様よぉ、人が悪いにも限度があるぞ、それ」 扉からおずおずと入ってきたのは、窮屈そうに着崩した礼服が目立つ、一人の男。 片手で顔を覆うように翳し、指の隙間からは、壁の色に負けない程度の赤面が覗く。 彼、○○は幾年程前に、幻想郷へと迷い込んできた客人。 紅魔館に身を置く理由は『働かざるもの食うべからず』のもと、彼が選択した居住先が此処だった、だけのこと。 幸いにして、その手の仕事を向こうで日雇い程度には稼いでいる為か、『使えない』と言う理由で 放り出される事も無かった。 そして現状の通り、紅魔館が誇るパーフェクトメイド・十六夜咲夜に御執心らしく、 また彼女も、プレゼントの2、3は受け取る程度の関係までにはなっていた。 ―――指輪を渡したのは、つい最近のことである。 「お、お嬢様っ」 事の次第を理解した途端、従者の顔が茹で上がる。 こちらは壁など勝負にならない程に赤かった―――とは後の悪魔嬢の談。 「あーあどーしよ、咲夜取られちゃったーしくしく悲しいなー♪」 それはもう腹黒兎のかくやのしたり顔で、扉の側へと歩いていくお嬢様。 「あ、あの、こ、これは」 「諦めろ咲夜さん……全ては『運命通り』と言う奴なんだろ―――この人のな」 どちらも羞恥のあまり半泣きの体を顕してきた従者二人。れ・みぜらぶる。 「うわーんこーしてやるぅ♪」 「あ゛ッ痛っ!?」 片手で『噴水のような涙を流してランナウェイ』のポーズを構えると同時、 もう一方の手で、従者崩れの男を後ろから張る。 悶絶して体勢を崩した男の倒れた先には、面食らった従者と―――大きなふかふかベッド。 「ひゃあ!?」 「おふぁ!?」 暗黙の了解のような『お約束』か、○○に押し倒される格好になるメイドさん。 振り向けば――― 「でも悲しいけれど~♪悪魔と人間ですものね~♪ならば私はあなたの為に身を引くわ~♪」 相も変わらず似非オペラ風味のイントネーションをつらつらと吐くお嬢様。 既に部屋の外、ドアの隙間からハンカチ片手に目元を拭う可憐な少女―――無論芝居である。 「―――とゆーわけで、私はこのハートブレイクをフランやパチェに慰めてもらうから♪ さくやー、あなた今日はお休みで良いわ」 嘘泣きをはたと止め、ちろりと赤い舌を出して、 「ちょ、お嬢―――」 「反論は一切聞かないのであしからず。あ、出血大サービスで部屋は自由に使って良いわよ」 形容するなら『あくまの笑み』を浮かべて、 「では、ごゆっくりー(はぁと)」 部屋の扉を閉じた。 ご丁寧に、鍵付きで。 「……つーか咲夜さん。何故に向こうから鍵掛けられるんか?」 「お、お嬢様がお忍びで不意に外出したりするから―――っていい加減退きなさいっ」 「と、とは言っても―――っわわ、動くな色々と当た―――ご」 最高の角度で、○○の鳩尾に肘鉄が入った。 「おお゛お゛お゛お゛お゛ッ……」 「あーもう、お嬢様ったらこんな結界の類何処で……」 悶絶する○○を他所に、咲夜は扉の検分を始める。 だが当然といえば当然か、華奢な造りの筈の扉はびくともしない。 「せめて、洗面所や火の元その他全て完備なのが、幸いかしらね」 「っ……あと飯も酒もな。言われて運んで来た」 こうなると最早完璧なスイートルームである。 「はぁ……」 眉間に手を当て、途方に暮れる瀟洒な従者。 さしものパーフェクトメイドも、こうなるとほぼお手上げである。 「ま、しゃーないさ」 一方の○○は、一転して降参のご様子。 ベッドに腰掛け、自分が持ってきたワゴンの中身を改め始めた。 「仕様が無い、って―――」 「それよりも―――っと失礼」 詰め寄ろうとした咲夜を制し、その左手を取る。 「……何時の間につけたんだか」 「あ……」 その薬指には、如何にも安物です、と言わんばかりの銀の指輪。 「古道具屋でパン一斤が化けたような代物だってのに……有り難い事で」 言葉も無い、という表情で、その手を優しく諸手で包む。 その表情に咲夜は無言。ただ僅かに頬を染め、呆けた目で○○の顔を眺めていた。 「……俺で、良かったのか」 ふと漏れた、自嘲交じりの、消え入りそうな声。 その一言に、咲夜は悪戯っぽく微笑む。 「そうね―――確かに色々足りないわね」 「ったく、容赦ないな」 「ええ、なって無いわ、全然」 そのまま○○の隣に座り、見せ付けるように指輪を翳す。 ふと○○気が付けば、右手にはナイフ。 「だから、こうしちゃう」 「は?」 かつん、と。ナイフの切っ先が指輪に立てられ――― ―――次の瞬間には、膝の上に、二つに増えた指輪が転がっていた。 「うわ、また手の込んだ」 手にとって見れば、銀の指輪は螺旋状、丁度互いに噛み合う形でスライスされていた。 中程で一端斬り飛ばされ、完全な輪にはなっていない。 「ええ、私から見たらその指輪程度。 ここに転がり込んで精々数年。未だ弾幕の一つ飛ばせず空も飛べず、弾除けとしては毛玉にも劣る。 貴方が掃除をすれば、舞う埃の方がだいぶ多くて、猫イラズにもなりはしない。 外から持ってきた土産話も、果たして何時底を付くのやら」 「……うわーい、舌先だけで薄っぺらい俺のプライドボッコボコ」 「ボコボコになる程あるの?」 ○○のハートが廃棄決定の針休めのようになって来たところで、 「でもね」 と、項垂れた○○の手を取る。 「それでも、初めて会ってから今までずっと。 私を等身大の人間として接し、気に掛けてくれたのよね」 目を伏せ、その両手を抱くように包み、静かに頬に当てる。 ○○は、赤ら顔を背け、蚊の鳴くような声で呟く。 「……だってあんた、お嬢様の事になるとテンパリがちだし、 意外に抜けてる事あるし……休んでる姿とか、あんま見ないし」 「余計なお世話よね。これでも生涯現役・悪魔の狗よ?」 「で……一生死ぬ人間、なんだよな」 背けた眼を再び戻し、真摯な視線を咲夜に向ける。 彼女はただ頷くのみで、続く言葉を待つ。 「あんたに何かあれば、あのお嬢様も、妹様も、本の虫も、美鈴も。 そしてあの巫女さんや白黒―――あんたを知る人皆が悲しむ」 「そんなに縁深い人妖関係を築いたつもりは無いのだけれど?」 浴びせられるのは、突き放すような冷たい声。 「さ、私にこの指輪を渡すまでは良いわ。 あとは、その契約が、私が受けるに足るかどうか。 ―――言って御覧なさい? どんな口上で、この悪魔の狗を従えるのかしら?」 それまでとは一変。 それこそ、彼女の象徴の一つであるナイフの様な鋭さを以って、 彼へと詰め寄る。 だが○○は首を振り、優しい表情で続ける。 「時を操るあんたにとって。 自分が死んだ後、あの人たちがどうなるのか。悲しむのなら、その人をどれだけ苛むのか。 そして、自分に続く者は、ちゃんと現れるのか―――怖いことといったら、そのくらいだろ」 何より、と顔を寄せ、手を優しく解き、 「それをあのお嬢様に当て嵌めて考える。その事が何よりも、それこそ想像するのも恐ろしく、辛い――― ……と、俺は勘違いを承知で思ったんだが」 肩から、浅く、柔らかく抱きしめた。 「育ての親であり、遺す娘であり―――必ず置いて逝く、家族だものな」 「何が出てくるのかと思えば―――とんだ妄想ね」 辛辣な口調は変わらないが。 その眼は潤み、表情は、温かい笑みに変わっていた。 「でも面白い話。―――で、そんな私に対して、貴方の売りは何?」 「紅魔館で、あんたと同じ時間単位の人間が増える。 そーすりゃ、節度わきまえて休み取るようになるし、能力に任せた無茶もやらなくなる」 「私がどうもしなければ意味ないじゃない―――他に無いの?」 「単純に人手が一人増える。あんたの手間が減る」 「そこまで鍛え上げる手間も考えなさい―――次」 「あんたの世話係に、一切の遠慮なく使える人手だ。それも今すぐ」 「余計なお世話よ」 そのうち咲夜も腕を回し、彼の背に手を置く。 「もう無いのかしら?」 「ある。ここからは取っておきだ」 どっかの本で見たかもしれない。ただの二番煎じかもしれない、と。 そう前置きして、優しく言う。 「仮にあんたに置いてかれても、俺は絶対に悲しまない。あんたの為に」 「その時にならないと解らないわね」 「出来ないことは無いさ。その時は確実に、あんたが待ってるんだから」 「天国と地獄で別れたら?」 「閻魔に伝言と花束ぐらいは頼むとしようか。 他に、泣いている奴が居たら、叩いて引き摺り立たせて、そして笑顔に変えてやれる」 「他の誰かでも、出来るわね」 「応とも。が、ここが肝だ。 ―――絶対にあんたより長生きして、あんたに出来ないフォロー済ませて。 そして必ず、あんたの所に辿り着く。あんたの待っている所に。 ―――この約束を出来るポジション、今の俺以外に早々無いと思うんだが?」 「―――自惚れにも限度があるわ」 「先刻承知」 「皮算用って知ってる?」 「出来なくても差し引き零。マイナスにはならんな」 「―――前置きのせいで、興醒め、よ」 「元より以下略。俺にゃどーも似合わないし、取って付けた感があるんでな」 ○○の背に、より強い力が掛かる。 「……俺だけで用意できるのは、もう打ち止めだ」 「じゃあ、一つ、質問」 いつの間にそうしていたのか。 ○○の胸に埋められていた、咲夜の顔が上がる 「それだけ……用意されて……断ったら、わた、し、どん……っな、女に、見られるのよ」 ―――涙でぐしゃぐしゃになった、満面の苦笑が。 「それこそ、俺のマイハートブレイクで済む問題だ。 他の誰にも、文句は言わせないし―――」 ○○はすかさずハンカチを取り出し、涙その他で色々当てられなくなった顔を整えてやる。 「自分を貫く為なら、お嬢様の為なら、神様だってナイフ一本で捌いちまう。 そんな怖い怖いメイドさんが―――」 最後に、涙の跡さえ拭い去り、満足げに微笑み、言い切る。 「俺の―――愛しい愛しい十六夜咲夜だ」 「―――申し分無いわ。―――お受けしましょう」 次に現れたのは、言うまでも無く。 元通りの『完全で瀟洒な微笑み』を浮かべる、可憐な乙女だった。 「そっ―――か」 途端、脱力する○○。音を立ててベッドに背を投げ出す。 見る見るうちにその表情が綻び、やがて汗がだらだらと流れ―――そして耳まで赤ら顔へ。 「うへー、すっげ恥ずかしい上に臭ぇ台詞吐いちまったー…… しかも、もしかしなくても俺って滅茶苦茶キモイー?」 「撤回は許さないわよ?」 「当たり前だっての―――ただ、俺今すごーいイタタタタな人だよなーって」 「んな事何時までも言ってると、色々と当てられなくするわよ? 『歯医者』って知ってる?」 「げ、やめてそれマジ勘べ―――ッ!??」 ○○の口は、より積極的且つ情熱的且つディープな方法で塞がれた。 ―――つまりは、咲夜の唇によって直接、である。 「―――っは」 艶やかな残滓を伴って、二人の顔が離れる。 一体どれだけ、組み伏せていたのか。 ○○の顔に羞恥とは違う赤みが混じる辺り、決して短くは無い。 「ふふ……こっちの方が良いわね、やっぱり」 「さ、咲夜さ―――」 間髪居れず。但し先程より長く。 「―――っふ、私は息継ぎなんて『停めれば』問題ないけど、貴方はどう?」 「……そう、くるか……っ何で……」 鼻は使えるが、向こう側から『吸われて』いる為、 流石に三度目となると、人類の肺活量記録に挑戦することになる。 「色々あるんだけれど……そうね、先ず一つだけ」 紅潮した、妖艶さの滲む笑みで、上から○○を見つめる咲夜。 「咲夜、って呼んでくれるなら、止めてあげる」 「……それ、いまいちデメリットが良く解らんのだが……」 「あら失礼、なら皆まで言ってあげるわね」 「……呼んでくれたら止めてあげる―――その後は、貴方のものよ」 (省略されました。全てを読むにはここにFINAL波動砲を16連射してください:猶予時間2秒) 「で き る か ーーーーーーーーーッ!!!?」 「ブブーハイ残念時間切れー」 「あ゛ーーーーーーーーー!!!?」 「はいはい出歯亀出歯亀」 レミリアの一言により、水晶球が曇り、何も写さなくなった。 彼女の力により件の結界を介し繋がっていた『糸』が、断ち切られた為である。 「そして証拠隠滅&記録防止ちょっぷー」 パチュリー御用達の高級水晶球が、極超音速のギロチンドロップにより木っ端微塵に粉砕された。 「うわぁい徹底しているわね高級品よ10年ものよロイヤルフレアすんぞこの悪魔」 「じゃあ残してたらどーしたの?」 「無 論 百 万 回 保 存 す る」 「オーケィ、パチェ。お前とは後で弾幕言語で熱烈に愛を確かめ合う必要があるらしい」 「それは良いわね。向こうよりも熱烈になるよう、腕によりを掛けるわ」 素敵な友人関係である。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよアンタッ!?」 半泣き状態の顔のまま、本日の来客者が異議申し立てに入った。 「承諾条件の一つにこんな千年に一度あるかないかのディープシチュエーション閲覧権限があったから わざわざ永遠亭まで来たってのに!?意義有りッ! ニアそ」 「やかましいぞ永遠の引き篭もり。立会人になる権限をやるとは言ったが、そこまでは範囲外。 それともあの中に乱入するか?永遠に魂刻まれるのがお好みなら止めないが」 「そ れ も ま た 良 し ッ Σd( ゚皿゚ )」 「正直なのは良い事だ。気に入った。―――おい隙間」 「はいはい地下室一名ごあんなーい」 「ギャーーーーーッ!!!?えーりんえーりんたすけてえーr(とす)あふぅ」 「姫、ぶっちゃけたい所を敢えてオブラードに包みまくって控えめに言いますと、 今作業の邪魔しやがりますなら、今直ぐにでも蓬莱の薬中和剤開発に着手しますが。 参考程度に、今の心境なら姫専用一人分限定で10秒で仕上がります」 「死刑宣告ッ!!!?」 「魔理沙、ウザイから即効性でお願い」 「人の恋路を以下中略、ファイナルスパークッ!!!!!!」 凄まじくごたごたとした喧騒(約一名分)を、虹色の魔砲が光に還元していく。 後に残った灰は小悪魔が掻き集め、隙間に放り込んでいった。 「で、開発部、どのくらい掛かるのかしら」 邪魔者に一瞥くれてやった後に、レミリアは『開発部』要員に呼びかける。 図書館内の閲覧室一つ分をちょろまかし、永琳の術によって咲夜の空間操作に便乗、改竄を行い、 隙間に蓋を仕上げさせ、留めに知識人に隠させて作った区画。 「彼女の能力の歴史のみ抜き出せとは……極上の無茶を言うものだ」 咲夜の近辺の消耗品を検分しているのは、歴史を操る半獣。 「あら、無理ではないのね?」 「当然だ。胸焼けするほど良い歴史を拝ませてもらったし―――蔵書を幾つ見ても良いのだろう? 甲斐はある」 「能力の複製も、そこまで手間は掛からないわね。正直、姫が居なければ一生掛かっても無理だったわ。 報酬、期待しているわよ?」 永琳が断片化した能力の残滓を部品と呼べる段階まで術式変換し、輝夜の術によりそれを固着化する。 「んー、式はこんなものでよいかしら」 「紫様……それでは術者の負荷が大きすぎるのでは」 「えー?また効率化?これ以上自由度を減らすのは勿体無いわよ?」 「限定的で良いんですってば。大き過ぎるモノだとあの巫女でも感化できません」 固着した能力の断片を配置する回路としての式を編むのは、八雲の仕事。 「緋々色金じゃ駄目ね。これだけ精密な装置だもの、もっと軽く高純度でも魔的位階が高いモノでないと」 「げげ、後はミスリル位しか残ってないぞ?」 「当て、ある?」 「……事情を霊夢に話して、陰陽玉一つ頂くしかないかもな」 「アレを核にするのー!?設計から練り直しじゃない!?」 膨大且つ強大なそれらを、実像として結び支える『器』を用意するのは、寄蒐家二人。 「……ふーっ、神酒や霊薬でドーピングしても、これだけの負担……厳しいわ」 その全工程で消耗される魔力を、七曜の賢者が一手に担う。 「パチェ、大丈夫?」 「問題ないわ―――たかが大奇跡程度、悪魔の加護の前に敵ではない。 ええ、それこそ一週間で形にしてみせようとも」 疲労の色を隠せない表情で、しかし何時もの半眼ではなく、覇気ある眼で友に応える。 周囲も、それに続く。 「一週間とは言ってくれる」 「貫徹決定ね、私はともかく、他は大丈夫?」 「なら敢えて今のうちに寝ておこうかしら。後で問題が出たら事だわ」 「解りました、お休みなさいませ―――橙、屋雀の屋台にひとっ走り頼む」 「あいあいさー♪」 「八卦炉は仕組みから全然違うしなぁ……あ、肝吸いを頼む」 「頭に栄養が欲しいわねー、冥界のに茶菓子もお願い」 「ぐはぁーーッ!!!?」 ずばむ、と扉を開け放ち、全身真っ黒焦げの輝夜が帰ってきた。 「Wellcome back, Etarnal Lunatic "NEET".」 「誰が永狂ニートかこの悪魔ッ!?つまるところ同類の分際でッ!! ―――あ、素材ならウチにあるミステリウムから漁って良いわよ―――けふぅ」 そこまで言って力尽きたか、口から煙を吐き、尻餅をつく。 「悪いわね―――妹は落ち着いた?」 「今はまた妹紅が相手してるわ。引っ張ってきて正解。―――何をやったのよ?」 「ちゃっちゃっと、時空間操作の能力のうち、『パラドックス自動解決』っぽい部分をちょっとだけ、ね。 因果上、この世に一つの能力を、間借り出来るようにしてみたわ」 ぼすん、と盛大な音を立てて五体倒地する月の姫。 「んな発狂ギリギリ、禁忌的にも完全ビーンボールすりゃ、反動でパニック症状も起こすわよ。 ―――素面のアンタのほうがおかしいわ」 フランドールの能力はありとあらゆる物を、望む規模で破壊することさえ可能だとされる。 ただ、それを認識・知覚する必要があり。 ―――万物の法則を超える能力のピンポイントとなると、それこそ姉の領分のほうが都合が良い。 「そーでもないわ。今は日光どころか月光も毒ね。もースカスカ」 「閻魔は黙認?」 「寧ろこっそり支援されたかも―――理由は多分、私の動機と同じだろうがね」 ―――ぴくり。 動機、という言葉に、全員が反応する。 「そーいやそうね。これ何のために作るのよ?」 「ウチの可愛い狗を嫁に取ろうなんて言い出す馬鹿に、のしつける為よ」 「だーかーらー、何で普通の人間にあのメイドの能力をのしつける必要が有るの?」 「何だ、私なんかより倍以上生きていて、そんなことも見当付かないのか」 途端、レミリアの表情が満面の笑みに変わる。 「そう遠くないうちに、咲夜に長い暇を出す日が来る―――具体的には、一年程」 「―――ん~成る程~」 思い至ったか、蓬莱の姫も全く同じ表情を浮かべる。 他の面々も、気付いたものは、頬の笑みを隠せない。 「何が可笑しい?」 「悪魔でも楽しみなのね、そういうの」 「ああ、楽しみだともさ―――うふ」 「ふっふふふふ」 「「うふ、うふふふふふふふふふふふ―――」」 余りにも不似合いな笑みを浮かべる大物二人にさえも。 気に障る者等、一人も居なかった。 「うふ、うふふふふ、うふふふふふ―――」 「いやいや魔理沙」 誘爆したもの一名。 「いやいや、気の早いことだけれど、笑みが止まらない」 すっかり笑みに細まった眼で、作業代の『ソレ』を見つめる。 ―――ほんの、一年で良い。 その時間を買う為なら、どのような財でも投げ打とう。 ―――たかだか人間でも、我が愛娘も同然。 その一年で、彼女の幸せを『買える』のだ。 財を払う範囲で得られる幸せなら、安いものだ。 その幸せを運んでくれる、あの婿への礼にも丁度良かろう。 精々、幸せな日々に馬車馬よりも働くがいい。 ―――そこでふと、思い出す。 「そういえば、奇遇ね」 「何が?」 不便だと半ば戯れに定めた、愛娘の誕生日。 その初めての記念日に渡したものと、結果的に同じものとなってしまった。 ―――流石にこれは、読めなかった。 全く、『縁とは異なるもの』とは悪魔にも適応されると言うのか。流石は幻想郷。 「あの子に初めて贈ったプレゼントと同じか―――懐中時計」 「小町」 「何です、映姫様」 「子供を愉しみにし、それが産まれて来る幸いを守ること。それはまっこと尊い善行なのです」 ―――ええ、子供は世の宝ですとも。それが安息に世に生まれ落ちるなら、閻魔様の眼も緩みますとも」 「何回目ですかその台詞。そりゃーそんな糸目じゃ何も見えないでしょーに」 「あらやだ小町ったら正直者ねぇ」 「(うへぇ、気持ち悪い)」 ―――二十四時間後。 「お休みはどうだったかしら、咲夜」 「ええ、実に充実した一日でしたわ」 「一日と3時間、でしょう?」 「流石はお嬢様、お見通しでしたか」 「FINAL16連射は失敗だったけれどね」 「あら、意外と片付いているのね、部屋」 「立つ鳥跡を濁さず、と言います」 「―――随分と長く、延長試合に縺れ込んだようだけれど」 「お互い、決定的リードを奪えずに―――熱烈な一戦でしたわ」 「点取り合戦?」 「守備に回ることなど、頭に有りませんでした」 「……そこで徹底的にスルー?動じなくなったわね」 「それはそうですとも」 「瀟洒な母にならなくてはいけませんから」 「(ぱーちぇー……予定早めないと拙いわ。五日で出来る?)」 『(むりぽ)』 ////////////////////////////// 本日の基本コンセプト。 →咲夜さんを幸せ一杯に泣かせたい。 本日の発展系コンセプト。 →親心全開なお嬢様が見たい。 結局のところ、この二つで全てです。 途中からオーバーな部分も出ましたが、後悔だけはしておりません。 ……さて、愛しの霊夢は何処行ったOTL 浮気御免なs(夢想転生 4スレ目 668 「悪魔の狗ってお前が呼ばれるなら、俺は悪魔の狗の狗になってやる!」 せっかくだから俺は下僕フラグを立てるぜ! 4スレ目 853(うpろだ0048) 変人と言ったら変かもしれないが、一風変わった店を経営している知り合いがいる。 そいつの店は何とも奇妙な品ばかりが並んでいて、まさしく趣味でやっているような店だった。 「こーりん元気か?」と、お決まりのセリフとともに店へ入る。 すると、そこには、こーりんの他に見慣れた紅白の巫女と白黒の魔女、そして初めて見る客がいた。 そして、この時が俺と彼女の最初の出会いだった。 最初、その見慣れない客は、他の二人の客と話をしていた。そして、俺は客がきていても暇そうにしている こーりんに小さな声で話しかけた。 「こーりん、あのお客さんは?」 「ああ、霊夢達の知り合いで、湖に大きな館があるだろう?そこで働いているメイドだよ」 「へぇー」 俺はじっと、そのメイドの横顔を見ていた。すると突然、こちらの視線に気付いたのか、横目で鋭い眼差しを向けてきた。 それは一瞬だったが、俺はその目から発するプレッシャーの様なものに負けて、思わず顔をそむけた。 「お前、ほれただろう」 目の前のこーりんがニヤニヤした目で言った。そう言われた時、俺の顔、特に耳が熱くなった。・・・そして、こーりんの言葉を否定することはできなかった。 あの人の目は鋭く、威圧感もある。だけど落ち着いてもいて、どこか優しそうな雰囲気も併せ持っている。なんとも不思議だ。 しかし、ずっと見とれたまま、再び目が会うと気まずそうな予感がしたので、適当にこーりんと下らない話をして、店の品を眺めることにした。 趣味が悪いと思える物、昔から売れ残っているもの、買わないけれどお気に入りのモノ、様々なものが不規則にならんでいる。 「失礼、そこを通らせて頂いてよろしいかしら」 彼女の声は突然聞こえた。俺は申し訳なさそうな顔をして、急いで通路からどく。すると、彼女は微笑しながら一言ありがとう、と言って店から去っていった。 気付けば紅白も白黒も店から出ていく所だった。 「やはり気になるか」 こーりんは後から声をかけてきた。そして、俺は彼女は普段店にくるのかと訪ねると、何度か店に来た事はあるが、 殆ど店でたむろしている、霊夢や魔理沙が目的だと教えてくれた。また、霊夢がこーりんに対して、館の主である吸血鬼が いつも神社でたむろしていて、時々だが従者である彼女が迎えにくることがあることも、伝えてくれた。 ただ、これを聞いても俺にはどうしようもなかった。ただ、こーりんの言っていた通り、神社に主を迎えにきた彼女を遠くから見ることだけはできた。 いや、それだけしかできなかったと言うべきか。俺は、彼女は、ずっと遠いままの存在で終わることを予感していた・・・。 そのまま、月日が流れ、いつしか俺の心の中の彼女は消えそうになっていた。人の心とは移ろいやすいものだ。 だが、事件は突然やってくるものだ。それは俺が再びこーりんの店へ行って帰る道中の出来事。 薄暗い林道の中を歩いていると、茂みの方から小さなうめき声が聞こえた。その声には聞き覚えがあった。 …彼女だ! 気がついたら、俺は無我夢中になって彼女を探していた。そして、ようやく見つけた彼女は、全身傷だらけで倒れていた。俺は急いで彼女の元へと駆けつける。 「だ、大丈夫か!?」 俺は大声で呼びかけた。すると、彼女はまた小さな声で苦しみながらも、やがて俺の声に気付いて目を覚ます。 ただ、同時に彼女は驚き、とっさに俺を突き飛ばして、距離を取った。そして、服に隠し持っていたナイフを取り出して構える。 が、俺の顔をよく確かめると、彼女は平静を取り戻し、ナイフをしまった。 「ごめんなさい」 彼女は申し訳なさそうに言った。それに対して俺は気にしないでと返す。 どうやら、彼女はお嬢様と呼ぶ、館の主を迎えにいく途中、妖怪に襲われたらしい。それで彼女は闘い、妖怪は退けたものの、彼女自身も疲れ果て、気を失ってしまったようだ。 落ち着いた彼女は、再び膝を地につけた。まだ力が出ないらしい。ひとまず、ここでじっとしている訳にもいかないので、彼女を抱いて家のある村へ向かった。 道中、俺と彼女は様々な話をした。例えば、館の話、主の話、巫女の話なんかもした。また、以前、神社の近くで俺が彼女を見ていたことに気付いていた、という事にも触れた。 俺はそれを聞いて、凄く恥ずかしく思ったが、彼女は悪い気はしなかったと笑った表情で言ってくれた。 俺達は、陽が沈んだ後、ようやく村につき、落ち着いた。しかし、ホッとした次の瞬間、俺は村の入り口に一人の少女が居ることに気付いた。 彼女もこれに気付き、慌てた様子で少女に声をかけた。 「お嬢様!」 「…全く、迎えにもこないと思ったら、館にも居ないし、ずいぶん探したわよ」 「…申し訳ありません。」 彼女は急いで俺の腕から離れ、少女の元へと向かった。それから彼女の側へ寄ると、こちらに振り向いて言った。 「咲夜と申します。今日はありがとうございました」 そして、彼女は少女と共に闇へと消えていった。 後日、俺が自宅で暑さに倒れていると、突然、客がきた。急いで服装を直して玄関に迎え出てみると、 そこには以前にも増して魅力的な瞳を輝かせた彼女が居た。 「何故か、急にお暇を頂いたので、先日のちゃんとしたお礼に参りました」 とりあえず、玄関で立たせたままなのも申し訳ないので、挨拶をすませると家の中へと招き入れた。 そこから、俺が背を向けて奥へ案内しようとした時、いきなり彼女は肩から腕を回して抱きついてきた。 「今日は一日、あなたの側に置かせて貰ってよろしいでしょうか」 無論、俺にはそれを断ることなどできなかった。 4スレ目 861 俺なんて一行告白が精一杯だぜ。 「時を操るからなんだってんだ。 あんたは一人の女性で…… 俺が惚れてしまうほどにいい女なんだ」 →咲夜 うーん?うまくいかないなあ。 4スレ目 862 俺も咲夜に一言いっておくか。 「能力の所為じゃない、俺の時間は君の魅力のおかげで止まってしまったんだ。」 ξ・∀・)<臭いセリフ 5スレ目 304 「咲夜お手」 「わん」 「咲夜おすわり」 「わふん」 「うぎぎぎぎgかぁわいいなぁー咲夜はぁ~」 「??」 「よーし、パパ咲夜と一緒に風呂に入るぞぉ~」 カポーン 「こら咲夜!あばれるんじゃない!風呂桶に毛が入るじゃないか!」 「く~ん」・・・ 「ほ~らよしよし良い子良い子、あとでジャンキー食わせてやるよ」 「わん!わん!」 5スレ目 585 月がこんなに綺麗だから、思わず紅魔館の屋根に登ってしまった。 何で紅魔館かって?消去法でここしか残らなかったんだよ。 まず候補に入ったのが永遠亭。だが、月見だんごに何を盛られるか分かったもんじゃないから却下。 次に候補として上がったのは博麗神社。毎年毎年どんちゃん騒ぎで収集が付かなくなるから却下。 あと、萃香に月見酒の呑み比べなどを挑まれようものなら最悪だ。月見酒はしんみりと嗜むのが通なのだよ。 で、残るは紅魔館。ここは湖が近くて涼むには最高の場所だ。レミリアは霊夢の所に行ってて不在だけど。 ちなみに正式に招待されてないから不法侵入扱いなんだなこれが。カリオストロよろしく壁をよじ登って潜入する。 「よっ、と。おぉ、絶景かな絶景かな」 遠くの山やら空の雲やらが月明かりに照らされて浮かび上がる。手を伸ばせば月さえも掴めそうだ。 しかし風が強い。庭の木々はざわめき、空の雲はもの凄い勢いで流れて行く。 「あら、あなたも涼みに来たの? 呼んだ覚えは無いんだけれどね…」 どうやら先客がいたようだ。屋敷のメイド長が屋根の上で佇んでいた。 この強風でも靴下とスカートの間の絶対領域は揺ぎ無い。少しくらい見えても良いものの… え?何がって?そりゃあ旦那、こっちはスカートを履いたメイドさんを見上げる形になるんだぜ? 「屋根とメイドと夕涼み、か。なんかミスマッチで面白いな」 「もう深夜よ? それに、招待していない客人には即刻退場して頂かないとね」 「堅いこと言うなって。隣座るぞ? だめか?」 そう言いながら腰を降ろす。世の中やったもの勝ちなのだよワトスン君。 「言いながら座らないの。……仕方が無いわね。今夜の月に免じて特別よ?」 「サンキュ。いやぁ、屋根の上から見る夜景はいいなぁ」 「この辺りにはここ以外に建物が無いから、見渡す限り真っ暗よ?」 「なあに、どんなに暗い夜でも俺の北極星はいつでも輝いているから問題無い」 そう言いながら咲夜の肩を抱き寄せ……ようとしたが逃げられた。 「……その程度じゃあ口説いている内には入らないわね」 そうは言っているが、頬が少し紅く染まっているように見えるのは、屋敷の壁の色のせいだろうか? 「その割には顔、真っ赤だぞ?」 「えっ? あ、そ、そんなことは……」 「嘘。暗くて見えないよ」 「っ!?」 おぉ慌ててる慌ててる、こんな珍しい光景滅多にお目に掛かれないからな。いやぁご馳走様でした。 「ま、いつもお仕事お疲れ様ってことで」 「言うようになったわね……仕返しよ」 刹那、時の流れが止まったかと思うと ちゅ 頬に何か柔らかいものが触れた感触と同時に時が動き出す。 「……真っ暗で見えないわね?」 「そ、そうだな……」 「……ふふっ」 「あれ、今珍しく笑った? 笑ったよな?」 「…………さぁ」 うーむ、どうも咲夜さんは難しいな…… 5スレ目 599 「お嬢様の命令なの。ごめんなさい…」 咲夜さんの声に、いつもの優しさは……ない。 何かの冗談かと思いたかった。しかし、咲夜さんの目の色を見て冗談でないというは分かった。 「…っはは、何でさ」 乾いた笑い。 普段の「オレ」を演じるコトは、できなかった。 「自分では気付いていないみたいだけど、あなたはイレギュラーな存在。 スキマ妖怪の能力もお嬢様の運命操作も通用しない。そんなあなたが負の方向へ目覚めたら……」 幻想郷のパワーバランスは崩れて、世界そのものが崩壊する……か。図書館の主も言っていたな。 つまり、スキマ妖怪の力で元の世界へ戻せないのなら―― あとは俺を殺すしか方法が無いというのか。 いくらイレギュラーな存在とはいえ、今の肉体は生身の人間そのもの。殺すなら今のうちという訳だ。 ぶしゅり。 そんな音と共に、オレは地に伏した。どうやら右足を斬られたらしい。 ……逃がすつもりは毛頭無いってことか。 「他に方法が無かったの。容赦はしないわ」 二度目の衝撃。 銀色に光るナイフの刃が、今度は左足を切り裂いた。 容赦しているんだかしていないんだか、わからない。 足を刺すなんて面倒な事をする前に、腹でも頭でも刺せたのに。 そう。その気になれば、赤子の手をひねるぐらい簡単に、俺を殺せる。 時を止めて、1080度全方位からナイフの集中砲火を浴びせればいい。 何故だか、俺は。 咲夜さんに看取られて最期を迎えられるなら、幸せかなぁ……などと考え始めていた。 それで、気付いてしまった。 つまりオレは、どうしようもなく咲夜さんのコトが好きだったというコトに。 「これで最期ね。何か言い残すことはあるかしら? もう少し抵抗するかと思ったけど、何もしてこないのね」 見れば、咲夜さんはナイフを振り上げている途中だった。 ここで何も言わなければ、彼女はナイフを振り下ろすだろう。 ……だけど、そんなコトは、出来るはずがない。 「馬鹿なこと言うな。俺が、あなたの事を傷つけられる筈が無い。 それに、オレはあなたに殺されたって別に構わない。 最期まで昨夜さんの傍にいられて、オレは本当に幸せだったんだからさ これだけは最期に言っておく」 俺はな。…お前に殺されるなら、後悔なんて一つたりともないんだか…r 急に目の前が真っ白に染まり、俺の身体は地面に崩れ落ちた。 どうやら両足からの出血が予想を遥かに上回る量で、体中の血液が抜け落ちたらしい。 これがウワサの出血多量ってヤツか。 ――ナイフは、いつまでたっても落ちてこない。 当然だ。 咲夜さんは、ナイフを捨てて俺の身体を抱き起こしているのだから。 もう目の前は白一面の世界で何も見えないハズなのに、ふと瞼を開いてみると… 咲夜さんは泣いていた。 あぁ、もう少しだけ……この顔を眺めていたい。 …でも、そろそろ限界だ。 まぁ、単なる貧血に過ぎないだろう。 咲夜さんは必死に何かを叫んでいるけど、もう何も聞こえない。 ――次に目が覚めて、紅魔館か永遠亭のベッドで起きた時に、また彼女に会えると期待して 俺は瞳を閉じた。 Ending No.19 伝えられなかった想い(咲夜編) (後日談を見たければ、ノーマル以上でノーコンティニュークリアをめざそう!!) 5スレ目 823 咲夜さんにアタックをしかける事数週間 努力の甲斐あってか、遂に向こうからアプローチが来た! そう、それは激しい雨の降る日だった…… ……雨は雨でも、ナイフの雨だったけどな! 「う! あああああああああ…… ヒトゴロシーーーッ!! ハァ、ハァ、ハァ いきなり何をするんですか咲夜さん!! 死んでしまうじゃないですか!!」 「あら? 少し激し過ぎたかしら? ごめんなさい。 うふっ、あなたって案外ノーマルなのね。 でも人殺しよばわりはひどいわ。 また今度、あなたの準備が出来てから、ゆっくりと愛を確かめあいましょう、○○」 「さ、咲夜さん! そんな! それが君の愛し方だなんて! 激しいよ咲夜さん! 激し過ぎるでヤンス~~~~~~!!」 正直、反省してる だが俺は謝らない
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妹紅4 13スレ目 498 うpろだ1000 (慧音 うpろだ989~の派生) 「ありゃ?・・・おかしいな」 釣竿が無い 確かにここにおいてたはずなんだが あー・・・もしかして 頭の中には、一人の人物と、ある場所 自信を持って、その場所へと出向く事にした やはり、いた そこは以前一緒に釣をした場所 そこは、彼女と 「もーこうっ」 「ひゃぁぁっ!?」 ふざけ半分で、後ろから抱きついた まぁ俺としては慧音ほどは無いとは言え妹紅の幼さを残して成長を止めてしまった禁断の果実の方が好みな訳でして あわよくば、いやいや、あくまで事故ですよ?ははは、そんな後ろから鷲掴みとか、焼かれちゃいますって 「だーれだ」 「え、あ、○、○○!?って手の位置が違うでしょ!」 「ははは、ついうっかり(棒読み」 「い、いつまで触ってんのよ!ばかっ!」 俺は潔く手を離した 恐らくこれ以上からかえば、レアな焼死体が・・・ 「勝手に釣道具を持ち出した仕返しだ」 「それは、いや、でも」 「それは、今の胸の分でチャラ、と言う事で」 妹紅は顔を真っ赤にして、そっぽ向いてしまった 「ざ、残念だったね、慧音ほど無くってさ・・・」 ぐはぁ こ、これはなんと言う威力の高さ 個人的な意見だが 胸が小さいから好きなわけではなくて 胸が小さい事を気にしているところがまたストライクなのではないかと しかもそれが普段は気の強い感じだと更に! 「そ、そうか・・・俺はお前ぐらいのほうがいいかと」 「・・・な、なんだ、ちっさい方が好いって?変態かよ」 「おいおい、そんなこと言ったらお前は変態にしか需要がないことになるぞ」 何でこんな話をしてるんだ 真っ昼間からこんな所で しかしフォローのつもりが変態扱いかよ、酷いじゃ無いか妹紅 「こ、この話はここまで!なんか変な方向に行きそうだからっ」 「同意、変な方向に行きそうだ」 危うく違う板の話になる所だった 「それで・・・釣れたのか?」 「・・・餌とか、結び方とか」 要するに何にもわからないってことか 俺に声掛けりゃいいものを・・・ 「オーケーオーケー、じゃあまず仕掛けの作り方から説明しよう」 ~かくかく、しかじか~ 「結び方はこの二つ憶えておけばいい、重りはウキにあわせて、後は・・・」 妹紅は熱心に話を聴いている だから俺も、この機会に色々と教えておく事にした 「餌は?」 俺は朽ち木をひっくり返して、その下に居たミミズを釣り針に引っ掛けた 「こういうのでもいいし、川に入って蟲を取るでもいいし、まぁ蟲なら何でも食べるだろうから」 そういえばこいつには伸べ竿しか教えてないなぁ でも俺もこれ使うしな・・・ ああ、そういえば向こう岸は竹林じゃ無いか リュックから鉈とナイフを取り出して 「今教えたとおりに釣ってみろ、俺はちょっと向こう岸に行ってくる」 「結構、あるなぁ」 なんともでかい竹林 鋸があれば楽だろうに、鉈じゃ面倒だが・・・まぁいい 自分の腰ぐらいの高さの所を鉈で、何度も打ちつけた 十や二十では断てない 反対側に回って鉈を打ちつけた それから数分 半分以上切れて、今にも倒れそうだ 「最後はーかっこよくー」 鉈を地面においた 少しだけ距離をとって、蹴った めきめき、がさがさがさ 葉音を立てて、竹は折れた 「さて、上の方の葉をおとさにゃ」 がさごそがさごそ 「よう妹紅、釣れたか」 「○○・・・何とか一匹」 バケツにはいいサイズの魚が泳いでいる 「おお、やったな」 「それ何?」 「ん?ああ、お前の釣竿だ」 「えー、この竿の方がいい」 「おま、初心者は竹竿と相場が決まってるんだよ、ってかそれは俺の竿だ」 まだ乾燥させたり先っぽを変えたりはせなんが、まぁこのままで釣れなくも無い 「・・・幻想郷って言うくせに棲んでる魚は外と変わらないのな」 「へぇ、そうなんだ」 住んでる人はこうも違うのに 自然ってのは変わりようが無いのかね 「仕掛けの作り方も憶えたし、自分の竿もできた、これで一人でも釣が出来るな」 「え・・・うん、そう、だね」 「・・・日が、暮れてきたな」 俺がそういうと、妹紅はバケツを川にひっくり返し、魚を逃がした 「よかったのか?」 「うん、だって最低3匹は釣らないと・・・一匹じゃしょうがないでしょ」 「・・・帰るか」 道具を片付けて、帰路につくことにした 夕日が、沈もうとしている 里を歩く、もうすぐ家に着く そうすれば慧音が迎えてくれて、温かい夕食、一人ではない― 「ああっ、あんた!そこの家の人だよね!?」 「え?俺?」 面識の無い・・・いや、確か 「ああ、お向かいさん」 「いやぁ最近姿を見ないと思ってたんだけどねぇ・・・これ、あんたのだろ?」 彼が差し出したのは、俺の財布 「外の物みたいだけど里に落ちてるのはおかしいなって思ってね、そういえばあんたは外から着たんだったなって思い出してね」 「あ、ありがとうございますっ!」 嗚呼、俺の財布 中身を見ると、家の鍵も、全財産もまったく無事だった 何か礼を、と言うと お向かいさんだしね、袖振り合うのがなんとやら と言って家に帰ってしまった 俺も妹紅もぽかーんと固まっていた 俺は固まったままだったが、妹紅に服の端を引っ張られて、我に帰った 「ねぇ○○・・・今日は、帰ろうよ」 「・・・そう、だな、慧音にも報告しないといけないし」 「そうか・・・よかったな○○」 「本当に・・・世話になった、ありがとう」 慧音に事の成り行きを説明しつつ、最後の晩餐を、味わっていた また明日から一人の食卓になるかと思うと、寂しかったが、元に戻るだけだと思うことにした 「寂しくなるな・・・たまには遊びに来てくれ、いつでも歓迎する」 「ああ、寂しくなったら遊びに来るよ」 嘘だ、俺はもうここには来ないだろう たぶん、この機会にきっぱりと、分かれてしまわないと 俺には、ここは暖かすぎるよ 居心地がよすぎて、駄目になってしまう 「嫌だ」 「・・・え?も、妹紅?」 「○○は、ここにいて欲しい、よ」 ずっと黙っていた妹紅が、消え入るような、だが確かにそう言った 「!?ごめん、私、○○・・・ごめん」 勢いよく飛び出していった、いったい何処へ行こうというのか 「・・・すまないな○○、あの子はお前のことを」 「解ってる・・・こういう時、追いかけなきゃならんのだろうな、男だし」 「ああ、行ってこい」 俺も、家を飛び出した 彼女の姿は、すぐそこにあった 遠くに行って無くてよかったと、思った 「妹紅」 俺の声に身体を震わせて、振り返った 「○○・・・頭冷やしたよ、もう大丈夫・・・大丈夫」 タバコを、吸っていた そういえば俺が来てからは一度も吸ってなかったな、なんて思い出した 俺はそのタバコを取って、靴で火を消した 「なっ、なにす「強がんなよ、ほれ」 俺の胸に飛び込んできなマイハニーといった感じで両手を広げて だが妹紅は来なかった 「ば、か・・そんな優しく、しないで」 ぽろぽろと、涙が、零れていた 俺と妹紅の距離、一歩でも歩けばぶつかるほど近いのに だから、俺が、その一歩を踏み出した 「なぁ妹紅、俺はお前のこと大好きだ、お前は、どうだ?」 「ばか、私のほうが、ぜったい大好き」 「・・・いや、俺の大好きは半端無いぞ?」 「私の好きはこれ以上がないもん」 「ああ、それなら互角だな、俺の負けはなさそうだな・・・勝ちもなさそうだ」 より強く、抱きしめた この腕の中の少女が、あまりに愛おしくて すると、彼女の方から抱き返してきた 細い腕が、俺の背中に回されて 「ねぇ○○・・・愛してる」 「ん、おれも、愛してる」 俺たちは、初めてのキスをした 甘酸っぱいとかレモンとか、そういうのは全然解らなかったが すごく、暖かい気持ちになることが、できた end 13スレ目 626 「まぁ、俺は永遠には生きられないけど、亡霊になってでもお前を想い続けるよ」 うpろだ1129 人里の寺子屋。 上白沢慧音は今日も今日とて子供らを前に教鞭を振るっていた。 しかしどうしたことか生徒たちの様子がおかしい。 そわそわとしてまるで落ち着きが足りないのだ。 普段であればすぐに慧音の頭突きなりなんなりが飛ぶのだろうが、それもない。 何故か? 彼女自身もその理由をよく判っているがために。 そして『それ』はここ暫くの恒例であり、不可避のものであるからだ。 「……一旦ここまでとする。昼食を摂ったら続きを――」 『それ』は定期的に訪れるものではないが、予兆は存在する。 今回の例でいえばそれは―― 新しく居を構えたある家屋の扉が今朝方、轟音とともに吹っ飛ばされたことだったり。 その家に住むことになった若者の名前を罵る少女の怒声だったり。 竹林に向かって飛んでいく火の鳥などがそうだった。 「うわーーーーん! けーねーーーーーー!!」 まさに天災。 人知を超えた理不尽な暴力。 『それ』、その名を夫婦喧嘩という。 そしてその片割れ藤原妹紅、堂々の襲来である。 その瞬間を持って平和な昼下がりは消し炭と成り果てた。 「……ああ妹紅すまないが今私は授業中だ忙しい。帰れ」 「休憩って言った。それより○○が非道いんだ!」 待ち構えてやがったのか。 そのまま二人分の昼食を取り出す妹紅。 逃がす気はさらさら無いようだ。 慧音は溜め息を深々とつき、仕方なしに茶を用意した。 思いっきり渋く。そして熱く。 酒があれば一番よいのだが、生憎と真昼間なので断念。 素面で愚痴や惚気に付き合うのはまさしく苦行であり、それが両方同時ともなれば拷問に近いというのに。 「で、今度は何事だ。また味噌汁のダシを変えたのに気づかなかったか」 「そんなんじゃないってば!」 味噌汁のダシ云々は前々回の痴話喧嘩の理由だ。 その騒動は幻想郷を局所的に巻き込み、ついには「出汁事変」として博麗の巫女すら首を突っ込まざるを えない状況になったが割愛する。 それを指して「そんなん」とは、すわ一大事かといえばそうではない。 本人らにしてみれば一過性のものに過ぎないのだ。 たとえ周囲の被害がどれだけ酷く、尾を引くものだったとしても。 「……あれから暫くは、味噌汁が甘ったるく感じたぜよ」 生徒の一人が苦々しく呟いた。 部屋にいる生徒は半分ほど。 我先にと避難した者と、怖いもの見たさに残る者。 好奇心で猫が死ぬなら野次馬根性で人死にがでても可笑しくはない筈だが、物好きなことである。 「もう駄目だ、今度ばかりは私たちお終いかもしれないっ」 よよよ、と泣き崩れる妹紅。 しかしこれも毎度のことだ。 演技ではなく本気でやってるのも毎度のことだ。 慧音はそうかそうかと適当に相槌を打ちながら、出された握り飯の包みをほどく。 丸い塩むすび、所々に具のついたそれはどうやら人の顔を模しているようだ。 「本当は○○に渡そうと思ってたんだけど……。もう、あんなヤツのお昼ご飯なんて知らないんだからっ」 限定してるのは無意識なのか否か。 間抜け面の顔むすびに慧音は怨嗟を込めて齧り付く。 鼻にあたるだろう部分を上に、半分ほどを一口で頬張る。 あー、と残念そうに声をもらす妹紅。 どうしろってんだ。 「ん、コホン。話は今日の朝までさかのぼるわ」 早朝、人里の端っこにある○○の家の中。 小鳥の囀りに目を覚ました妹紅は、甲斐甲斐しく朝食を用意するべく布団を出た。 ――ここで、愛しい人の温もりに溢れた布団と腕枕の抗い難い魅力を身振り手振りつきで力説されるが省略。 朝餉を作り昼食の弁当を包み終え、いざ○○を起こそうとしたところでふと思いつく。 今日は少しお洒落をして朝から驚かせてやろうと。 どんな反応をするものか、期待に胸を膨らませ目尻をだらしなく下げながら猫撫で声で朝を告げた。 しかし揺り起こされた○○は習慣となった朝の挨拶を返すだけ。 ――この朝の挨拶「おはよう、愛しい妹紅」を物真似で再現されるが、浸りすぎの為か全く似てなかった。 何か気づかないかと匂わせてみても寝ぼけ顔で呆けるばかり。 10秒で期待は落胆に、落胆は憤怒に変わった。 「○○のっ、バカーーーーっ!!」 罵声とともに繰り出されるは少女の怒りを乗せた一撃。 季節は春、紅葉が舞うには早すぎる。 因ってパーではなくグー。 乙女心の右拳が盛大に炸裂した。 「……と、いうわけなの」 慧音はそーなのかーと適当に聞き流しつつ、胃から込み上げてくる何かを茶で流し込む。 火傷しそうな程に熱かった筈のそれはすでに飲み頃に冷めていた。 「それで朝に家を飛び出して……今まで何をしていたんだ?」 「輝夜んトコで暴れてきた」 長きに渡る因縁がもはやただの八つ当たりとは。 対象が眼中に入ってない分、輪をかけて非生産的だ。 そんなことしてるから輝夜は○○にちょっかいを出すのだろうか。 「ちなみに、そのお洒落というのは……」 「見て判らない? リボンを増やしてみたんだけど」 なるほど、彼女の長い髪先にアクセントとしてつけられているリボン。 それが一つ? 増えていた、らしい。 とはいっても容姿が劇的に変化するわけでもなし。 そもそも結わえるのなら一つで十分、二つ目に意味など特にないのだから幾つにしたところで言わずもがな。 この場にいる全員が言われたところでサッパリだった。 たとえ気が付いたところでどんな感想を抱くにも至らないだろうが。 「他には?」 「それだけだよ」 判るか、そんなモン 「私、○○に嫌われちゃったかな……」 先程までとはうってかわってしおらしく呟く。 自分の無茶苦茶っぷりに気づいた、訳ではない。 張本人に一発、輝夜相手にスペカを6枚ほど、そして慧音に愚痴(惚気)を聞かせたこの時点で鬱憤が綺麗さっ ぱり晴れただけのこと。 出すだけ出してしまったあとは、平時であれば四六時中べったりな○○がいなくて寂しくなっただけだ。 しかし自分から会いに行こうとはしない。 何故ならば、今この状況も、そしてこの後の展開も、全て予定調和に過ぎないのだから。 彼女にしてみればそれは王道。 周囲にしてみればとんだ茶番。 「妹紅ぉおおおーーーーーー!!」 この状況を作り出した原因にして、この場を収束させうる唯一無二の登場人物。 足音も高く、○○。堂々の見参である。 ああ、しかし心せよ。 物事が好転するわけでは決してない。 昼下がりの愛憎劇、『憎』が消えたらどうなるか? ひたすらのラブシーン、致死量の『愛』がばら撒かれるのだ。 「探したぞ妹紅っ、こんな所にいたのか」 探すも何も妹紅の駆け込み先などたかが知れている。 慧音相手に泣きつくのが大半で、自然と寺子屋もしくは彼女の自宅に高確率で行き着く。 探しているというのは建前で、彼女の機嫌が落ち着くまで時間を潰しているというのが本当のところではない かと思われるが、何分この二人のことだからわからない。 妹紅曰く「二人の思い出の場所」とやらを巡って一人で気分を盛り上げていたとしても可笑しくはない。 「っ……何よ、今さら来てどういうつもりっ」 口調だけなら勇ましい。 しかし○○に背を向けた妹紅、頬がぴくぴくしている。 いい感じで心細くなってきたところに図ったように現れた想い想われ人、内心は嬉しさヴォルケイノなのだ。 「私の……気づかなかった○○なんて、もう知らないんだからっ」 語尾に八分音符が付きそうなぐらい跳ね上がっていた。 もう媚び媚び大喜びだ。 「わかっていたさ! リボンが増えていたことなんて、一目でわかった!」 気づいてたんかい。 この女にしてこの男ありというほかない。 お互いにのみ発揮される観察眼には脱帽である。 「じゃあ、どうして!」 と、妹紅は切羽詰った風に言ったつもりらしい。 だが実際には、間延びした猫撫で声で「じゃーあー、どおしてぇー?」と頬に両手をあてていやんいやんと上 半身をくねらせての発言だ。 「それは、いつもと違う妹紅に……。いつもより可憐で美しい妹紅に心奪われてしまっていたから!」 どうやら気づかなかった訳ではなく、気づいたうえで見惚れて放心したとのこと。 そういうからにはそれが真実なのであろう。 たとえそれがどんなに馬鹿馬鹿しく白白しいものだったとしても。 こいつらは二人揃えば予想と常識の斜め上を平気で飛び越えるのだ。 「……っ、○○!」 「妹紅!」 感極まって振り向き、走り出す妹紅。 ゲートが開くのを待ち構えていた競走馬のようだ。 そしてそれを抱き留めた○○。 二人は抱き合いながら部屋の中央でクルクルと回りだす。 学び舎であったはずのそこは酷い有様となっていた。 見物を決め込んだ生徒は机に突っ伏している。 逃げ出した生徒の内、頃合を見計らい損ねた者は部屋の入り口付近で折り重なって倒れている。 いつから覗いていたのか、かの妖怪はスキマから上半身だけをだらりと垂らしてぴくりとも動かない。 正気を保っているのは慧音だけだ。 そんな地獄絵図のなかで幸せそうに笑いあう二人組。 「ぶっちゃってごめんね? 痛かったでしょ」「もう平気だよ。それに妹紅の受けた痛みに比べればこんなもの、 なんでもない」「ううん、いいの。だって○○のこと信じてたから」「俺も信じてたよ。またこうして抱き合える ってね」「○○ったら……ほら、ほっぺた見せて、消毒してあげるから。――んっ」「っはは。くすぐったいよ妹 紅。よし、お返しだ」「んっ、ゃん。私はぶたれてないってば――あんっ」「泣かせてしまったな。いつか約束し ただろう? 妹紅の涙は全て拭い去るって」「違うよ、これは嬉し涙だ。○○が迎えに来てくれたのが嬉しかった の」「たとえそうであってもだ。妹紅の涙は綺麗だから、全て俺のものにしたい」「んっ、酷いな。私の全てはと っくに○○のものなのに」 ……とかなんとか。 愛の弾幕はハート型弾自機狙い、脅威の128WAY。 一歩でも動けば即被弾間違いなしの超高密度。 本体を止めなければ時間無制限でばら撒かれ続けるのだ。 そのままちゅっちゅくちゅっちゅく乳繰り合っていたが、いよいよのっぴきならなくなってきたらしい。 頬への口付けから今にも本格的な接吻に移りそうである。 それだけは、というかその先は未然に防がねばならない。 そしてそれが出来るのは今となっては彼女だけ。 「貴様ら……」 痺れた脚に力を込め、ゆらりと立ち上がるその様は幽鬼のよう。 振りかぶられた手には空の湯飲み、書かれた文字は色即是空。 「いい加減にせんか、この⑨ップルがーーーーッ!!」 上白沢慧音、渾身の一投。 狙うは色ボケ結界唯一の当たり判定。 今まさに一つになろうとしている口腔粘膜接触部。 「ぉぷす!」ピピチューン どちらが上げたか間抜けな悲鳴とともに倒れる二人。 荒く息をつく慧音。 死屍累々の教室。 午三つの鐘が鳴らされる。 ここに此度の痴話喧嘩騒動は終結を迎えた。 「……しかしこれで終わったと思うな……いつか第二、第三の素敵な二人が……」 「うるさいうるさいダマレダマレ」 うpろだ1305 幻想郷に迷い込んで早一年。すっかりこちらの生活にも慣れた。 今の生活は、竹林でぶっ倒れていた所を妹紅に助けられたことから始まる。 気がついてから里へ連れて行かれて、妹紅の友人である慧音さんから 幻想郷について色々な事を教えられた。 こちらに残ることを決めたオレに、慧音さんは職と住む場所を与えてくれた。 のちに慧音さんから教えてもらった外来人に対するルールを考えれば、 自分はとても運が良い部類に入るんじゃないだろうか。 命があり、五体満足なのだから。 幻想郷の暮らしは外の世界から来た自分には大変なものだけど、 充実した生活を送れている。 ただ、元々自分は幻想郷の人間ではないので最初は周囲から警戒されて なかなか街の人達の中にとけ込めなかったけど、慧音さんの計らいで 歓迎会兼親睦会を開いてもらい、思ったより早く馴染むことができた。 そして、たまに妹紅が尋ねてきてくれて他愛無い世間話をできたことが、 まだ里に馴染む前の自分にとっては本当に助けになった。 その事について妹紅に礼を言うと、拾ってきたのは自分だし、 少しくらい面倒を見るのは当然だ。気にするな、とそっぽ向いてしまうが、 その気遣いが嬉しくて、やっぱり「ありがとう」と礼を言ってしまう。 --------------------- 外はすっかり日が落ち、木枯らしが吹いている。まさに冬である。 元々幻想郷の住人ではない自分にとっては、この季節は外の世界で 使っていた数々の暖房器具が恋しくて仕方がない。 無い物ねだりな思考のまま炬燵に手足を突っ込みつつ、天板の上に顎を乗せる。 今日は珍しく妹紅が夕食を作ってくれるというのでのんびり待っているのだが、 正直ちょっと不安だったりする。何故って、妹紅の料理スキルが如何程なのか まったく知らないのだ…… さっきから野菜を切る音と、何やらガチャガチャと音が聞こえてくるのだが、 主に後者の音の発生源が不安でならない。 「お~い、妹紅~」 つい、不安になって声をかけてしまう。 少しすると音が止み、台所の入り口から妹紅が半身を覗かせて「どうしたの?」と 聞いてくる。 「すっかり聞きそびれてたんだが、今日の夕飯って何?」 「あれ……? 言ってなかったっけ?」 どうやら、妹紅は言ったつもりになっていたらしい…… 聞いてないことを伝えると、何やら満面の笑みになってこう切り出してきた。 「今日は鍋だ。この間○○が言っていた『もつ鍋』っていうのをやってみようと思うんだ」 料理くらいなら懐かしいものを食べてみたいだろ?と妹紅は続けた。 そういえば、本格的に寒くなる前に慧音さんと3人で鍋をした際に、外の世界にいたとき 好きだった『もつ鍋』について話してたことを思い出した。 「もつ鍋のこと良く覚えてたな……。覚えていてくれてありがとな、妹紅」 「っ! …そ、そんなの当たり前だろ。お前が好きなもの位覚えていてやるよ」 妹紅が覚えていてくれた事が堪らなく嬉しくて、自然と綻んでしまった顔で礼をしたのだが、 なんだか妹紅の反応がいつもと違う。…なんでさ? 《side Mokou》 あのタイミングで微笑むのは、ちょっと反則だろ? 流石というか、○○は今日のことを不思議に思っていない。 これなら、私の計画も予定通り遂行できる…… 今日は慧音も里の寄合でしばらく帰ってこない。計画通り○○と二人きりだ。 これで、誰にも邪魔されない。 台所に戻り、○○が河童に作ってもらった『冷蔵庫』という入れ物から、 ○○が大好きな『もつ』と取り出す。 もつ鍋は牛か豚の腸を使うって○○は言ってたけど……鶏の内臓を入れても良いよね。 ねぇ、○○。何があっても私達ずっと一緒だよね? うpろだ1333 今朝起きると敷き布団のシーツが破れていて、苔色の麻地が縦に裂けて中から花柄の下地が見えていた。 裁縫なんか生涯としてまともにやったことがないので、はてどうしたものやらと朝飯のお茶漬けを食べながら思案していたところ。 何故かその裂け目が剥き身の蟹肉に見えてしかたがなくなってきた。 「とどのつまり、何が言いたいんだ? その話は」 「蟹が食べたい。蟹をくれ」 「起きたまま寝言いってんじゃない」 ピシャリ 乾いた音は、はたかれた頬だったか、閉ざされた戸口だったか。たぶん両方だ。 「要は繕えばいいんだろう? その破れ目さえどうにかすれば、寝ぼけて不届きなことを言う口は永劫に閉まるってことだ」 早朝の竹林は物の怪の喧騒もほどなく、哲学すら閃きそうな静謐に満ち満ちていた。薮から差し込むわずかな朝日が体を舐めてゆく。 妹紅は欠伸を押し殺そうともせずに、もんぺに片手を突っ込んで俺の前を歩く。空いた手には裁縫道具と思しき木箱を携えて。 「朝早い時分になんだと思えば―――全く……」 思えば寝ぼけていたのかしらん。 実際、妹紅の宅を訪ねたのに大した意味はない。ないが、俺が彼女の家を訪ねる場合、意味を伴うことは少ない。 何となく訪れ、そこでお茶をしたり、外界の見聞を披露したり、碁を興じたり、本を貸し合ったり、永遠亭のお姫様とやらとの一騎打ちに巻き込まれたりが常だ。 それに安息を感じる己にはとうの昔に気がついていた。対する彼女も、言行は荒いが特別に迷惑がる様子もないので、俺の竹林に向かう足は止まない。 妹紅は、良い友人だった。 俺の住居は人里から幾らか離れた低平な土地にある。 あまり人好きのする性分ではないので、こうした遠すぎず近すぎずな位置は非常に気に入っている。 妹紅は畳の上に胡坐をかきながら、甲斐甲斐しくシーツを繕っていた。 「意外だな」 卓の上に、たくあんと緑茶を置く。 「何だい。私に家事が出来ると変てか」 「とんでもない。意外とそういう格好が似合うな、って思っただけさ。どこの嫁に行ってても不思議ない」 さっそく湯のみに手をつけていた妹紅が、にわかに吹き出した。 「おいおい」 「おいおいはお前だ。変なこと言いやがって」 やにわに妹紅の顔がみるみる赤くなってきたので、俺は慌てて布巾を取り出しつつ謝罪した。 「何だかわからんが済まん」 「全く。……」 妹紅は俺から受け取った布巾で口と零した茶を拭った。しかし顔は赤いままだ。恐らくさっきの言葉の中で、何か失礼なことを言ってしまったことに違いない。 時として俺は、こうして何事か妹紅を赤くさせることがしばしばある。 いくら考えても俺の言行のいずこに角が立ったのか判然としないこともある。そういう時に俺は自身の口下手を自覚する。 何となく、気まずい雰囲気が流れた。 「っつ」 「どうした」 妹紅が指を傷つけたのは多分必然のことだった。先ほどから見るからに手の動きがたどたどしくなっていたからだ。 薬指に赤い球体が膨らんで行き、つうと指を伝って流れ落ちてゆく。 「絆創膏、持ってくるかい」 「いや――平気」 俺が席を立ちかけた次の瞬間には、出血は止まり、流れた赤い雫だけが残るのみとなっていた。 不死身。 普段顔を付き合わしている分には、ただの気安い女性なので、たびたび俺はそのことを失念する。 しかし、痛みはあるのだ。流れ落ちた血を見ていると、不意に申し訳ない気持ちが一杯に押し寄せてきた。 「妹紅」 「なんだよ……」 「やはり見ていられない。俺が何か悪いことを言ったんだろう? はっきりと謝らせてほしい」 「そんなんじゃ――ないさ」 妹紅はばつが悪そうにそっぽを向いた。 繕い終わったらしい布団のシーツを敷き布団に被せなおしている。 その背中が、気丈に振舞う普段の姿よりもめっきりと縮こまって見えた。俺はこのことが、このまま捨て置いてはいけないことに思えてならなくなった。 「誰ぞの嫁……と言ったのが気に障ったのか」 後ろ背中に声をかけると、はっきりと妹紅の動きが止まった。 「嫁……嫁か」 そう上の空に呟くと、再びこちらに向き直って胡坐をかいてくる。 その目は沈んでいる。 「○○、私が蓬莱の秘薬を飲み、不老不死の身になっていること、話して久しいよな」 「ああ」 「私、さ」 「千と……数百年。昔は自分が、その歳月を過ごすことに、今ほどの恐れも持ち合わせてなかったよ……。 でも、だんだん、だんだんだ。気付いてゆき、気付かれていくのさ。世間と自分の決定的な隔絶が。 私は一つところに留まって生きるということが出来なくなっていた。 おおくの人間には排斥され、親しくなったわずかな者たちには先立たれる。それはそれは、暗いかめの水底のような心地だ。 巡り巡って、今私を支えている唯一の生き甲斐が、同じ蓬莱の者――私をこんな体にした、輝夜との殺し合い。 最も憎むべき相手にのみ生かされている自分が、芥も残らぬほど焼き尽くしたくなる」 妹紅の瞳が、話の中の暗いかめの水底になるのを、俺は黙って見つめている。 俺が口を差し挟まないのを見ると、妹紅は静かに言葉を連ねた。 「私は誰とも具せない……」 「そんな私にずけずけと入り込んでくるのがお前だ、○○。 どうせお前も、いずれ私を恐れるかくたばるかして、私の前からいなくなってしまうのだろう? 陳腐な話だが、私は何かを失う辛さより、持たざる孤独に慣れた人間さ。そしてそれに慣れようと考えている。そうでなければ生きて行かれない。 私が奪い奪われる関係は、同じ不老不死のあいつだけでいい。お前みたいな普通の人間が、こうして私にかまけていると、ろくでもないことになる」 「そう、ろくでもないんだ。お前といると、調子が狂う。 ○○が平凡に暮らしているように、私も暮らせるような気がしてくる。○○が言うと、冷たかった人の言の葉が、色味を帯びて熱くなる」 「もう、止してくれ……。私の蓬莱人としての覚悟には……堪らないことだ」 気がつくと、窓から差し込む陽光はすっかり明るくなっていた。 湯のみから上がっていた湯気は消えている。 「俺は」 「謝りたいと言ったけど、折角だが謝らないことにした」 「俺はさあ、おつむは良かないし、気の利いたことも何一つできない、冴えない普通の人間だよ。 そんな普通の人間からすると、その、妹紅が、俺みたいに暢気に暮らしちゃいけない理由がわからないんだ。 なあ、生きてるって、そんな、つまらないもんじゃないよ。そんな風にずっと考えていたら、いずれ心を亡くしてしまうよ。 ただ臓物が脈を打ってるだけで、死んじまってるようなものさ……。お前がもしそうなっちまったら、悲しむ人間がいるんじゃないか。 妹紅、お前は人間なんだよ。確かにちょっと強かったり頑丈だったりするけれど、俺が見るところじゃ可愛くて綺麗な娘さんだ。 そんなお前が、人間を止めて生きてゆく覚悟をしている。 俺は……それが悲しくてならねえんだよ。藤原妹紅のあんたに、生きていてほしいんだよ」 俺の家は、これほどまでに静かだったろうか。 いつも蔵にある糊をつついて騒がしい小鳥の声すら、今は絶え果てている。馬小屋からもいびきがさっぱり聴こえない。 そういう風に気が散っていたのは、余りに沈黙が長かったからだ。 妹紅は俺の話を聞くと、さっきとは比べ物にならないほど真っ赤になって俯いていた。 弱った。もしかしてまた俺は変なことを言ってしまったのか。 と慌て始めた矢先に、妹紅がいきなり俺に抱きついてきた。 「もう知らないぞ、○○! そんな、そんなこと言うんだったら、とことん私に付き合ってもらうぞ! お前がよぼよぼのじじいになってくたばるまでだ! 嫌だって言ったってきかないからな!」 妹紅は俺の胸の中で、ぐしゃぐしゃになって泣いている。 突然の事態に、慣れない長い話をして熱過労を起こしつつある俺の脳味噌は、更なるオーバーヒートを迎えた。 「ちょ、ちょっと、妹紅、落ち着け。羊を数えて落ち着くんだ。あれ? なんか違う……」 「ここここれが落ち着いてられるもんか! 羊が一匹二匹よんひき!」 まるで計ったかのように、元通りに敷かれた敷布団の上に俺は押し倒された。 そんでもって―――。 結局、シーツはまた破けた。 俺達は、真昼ぐらいになってやっと、ほったらかしにしていたお茶とたくあんを食べた。 冷めていたはずだけど。 なんだか熱い気がした。 「今度、何かもっとうまいものを食べに行こうか」 「そうだな―――」 『蟹とか?』 なんで俺達が、同じことを思いついたのかは知れない。 うpろだ1361 ――いつもどおり、今日も夜の竹林を歩いていたところだった。 迷ってる人間などを里に帰してやるのをいつもの日課としていた。 急病で永遠亭に向かうという人間の護衛も終わり、だんだんと夜も更けてきた今、そろそろ引き返して休もうとしていたところだ。 闇夜に光る歪な半月も、傾いている。 「…少し休むか」 私は目の前にあった大きい切り株に腰掛ける。 空を見上げたまま、しばし体を休めていた。 カサッ 「…?」 …足音? 今確かに枯れ葉を踏む音が聞こえた。 自分の音じゃない… それに、かすかに人間とは違うにおいがする。 軽く身構えると、音の生まれた場所を凝視した。 ――ガサッ ――ガサッ …近い。 座ったまま、少量の気を右手にためる。 ――カササッ 葉が揺れる。 …来る。 ガサンッ 「のわっ」 影が深緑の景色の中から飛び出てきた。 「ぐへぅ」 ドサン。 緑の中から現れたのは、 10代半ばの体つきをしている、"人間"の男だった。 「…っつぅ」 男はゆっくりと体を起こすと、服についた土を枯れ葉をたたき落とした。 たたき終えたところで、ようやく私の存在に気づく。 暗闇の中で目が合い、私と男は少しの沈黙に包まれる。 「…大丈夫か?」 私が座ったまま問いかける。 「…あ、あぁ」 鳩が豆鉄砲食らったような驚いた顔をしながら、男は少し笑った。 それがこいつに出会った最初だった。 「…迷い人か?」 「ん、…まぁそんなものかもしれん」 男は私の隣に座り、一緒に半月を見上げていた。 「私は迷い人を里に帰すのが日課だ。送って行くぞ」 腰をたたき、少しついた汚れを落としながら立ち上がる。 「ん?…別にいいさ。迷ってるわけじゃなければ里の人間でもない」 「…?」 私はよく意味がわからず、また切り株に腰掛けた。 「どういう意味だ?」 「ん?そのままの意味だ」 「ふむ…」 埒が明かないと感じた私は、それ以上の追及をやめた。 この男が送って行けというなら里に送るし、大丈夫だというなら私は少し休んでから戻るだけだ。 「…あんた、名前は?」 男が不意に問いかけてきた。 「…自分はただの健康マニアの焼鳥屋だ」 そういうと男はプッと軽く吹き出して 「なんだよそれ…」 と笑った。 「そういうお前はどうなんだ?」 と、逆に問いかけた。 「ん?俺、か…しがない占い師だ」 占い師、か。 「いつも大きいローブにくるまりながら、人の手を見てそいつの人生を占っている」 「へぇ」 私は少し感心したように、男の話を聞いた。 今まで何人占ったか、どんな人間がいたか、どういう町を歩んできたか。 「人の手を見ながらいろいろな街を歩んでいく…か、面白そうな職業だな」 「ん…そうでもないさ」 男は少し空を見上げる。 「最初にそういうことができるって気づいたときはうれしかった。それを使えばお金だって儲けられるし、夢見てた旅も実現できるってな」 男は続ける。 「でも、毎日毎日同じことの繰り返し、新しい進展もなければ戻ることもできない場所まで離れた」 「…」 私は男の話を聞いている。 男はいったん話を区切ると、ポケットの中から煙草を取り出した。 「…煙草は体に悪いぞ」 「ん…いいさ」 男は煙草を口に咥えると、またポケットを探り始めた。 「んー…おっかしいな…ライター…」 「…」 私は軽く指を鳴らすと、煙草の先端に火をつけてやった。 「…!」 男が一瞬驚愕の顔をしてから、ゆっくりを笑顔になった。 「あんた、すごいな…どういう手品だ?」 「極まった健康マニアならできるのさ」 私は少し得意げになって、空を見上げた。 「今回だけだぞ」 私は後から付け足した。 「ありがとう」 そういうと男は、煙草を吸い始めた。 「そういえば、お前家族は?そんな歳でこんな時間まで出歩いて、両親が心配しないのか?」 男は、煙草を咥えたまま、ずっと歪な半月を見ていた。 「両親は…物心ついたときにはいなかったな」 「…。そうか、すまなかったな」 私は失言を悔やんで謝罪をした。 「謝んなさんな、気にしてない」 男は煙を口から吐き出しながらいう。 「あんたはどうなんだ?」 「…自分は健康マニアの焼鳥屋だ」 「…ちぇっ」 自分のことは黙秘にしていることにやっと気づいたのか、男はそれから追及することはなくなった。 「だったら、左手貸してみ?少し占ってやろう」 男が右手を差し出してきた。 私は占いに多少の関心を持ち始めていたので、左手を右手に乗せた。 …暖かい人の肌の感触だ。 男はすでに手慣れているのか私が女でも気にしてないらしい。 …本当に久しぶりの人の肌に、もしかしたら顔が赤くなってるかも知れない。 「…ふむ」 男がまじまじと左手を食い入るように見つめる。 「今いる大切な人を、大事にしてやったほうがいい。いるだろう?」 「…すごいな」 この男がいったのは、多分慧音のことだろう。 「なんでもわかるのか?」 「左手っていうのは、その人間の人生…生きた証、歩み方をそのまま表す」 左手のしわにあわせて、男は指をなぞらせる。くすぐったい。 「健康運はばっちりだな…まぁさすが健康マニアといったところか…」 そういうと男は笑った。 「これからも病気は少ないが…多少運が悪い時期があるかも知れん」 …輝夜の襲来に用心しとくか…。 「最後に生命運だな…」 男はまた指でしわをなぞる。 「どれどれ…」 男は生命運とやらのしわを見つけると、また食い入るようにみつめる。 「…?」 男はなぜか何度も何度も繰り返し見る。 「…おかしいな」 …? 「あんた…何回死んで、いや」 「何年生きてる?」 「…!…すごいな、そんなことまでわかるのか」 私は本当に占いに驚いた。 そこまでわかるものなのか。 「…ここのしわでわかるんだが…圧縮されすぎてあんたの歩みが見えん。この分だと軽く千や二千は年を越してるだろう…?」 「…お前はすごいな」 「まぁな…まぁきかんでおこう。どうせ健康マニアの焼き鳥屋だろう?」 「わかってるじゃないか」 そういうと、私と男は二人で笑い出した。 そろそろ明け方、空に明るみが出てきたころだ。 「今日は楽しかった、今までいろんな人間を見てきたが、あんたみたいな人間ははじめてだ」 「私もだ。まさか私の経歴がわかるほどすごい人間がいるとはなぁ…」 里への道を歩きながら、二人で会話をしていた。 「里への道まで教えてもらって悪いな」 「気にするな、日課だからな」 「そうか、ありがとう」 男は感謝をいうと、私も少し微笑んでやった。 「…またきてもいいか?」 「きてもいいが、見かけても私からは声をかけないぞ?」 「いいさ、自分であんたのこと見つけ出す」 男は空を見上げながら、そんなことを言い出すもんだから少し照れくさくなってしまった。 「…ここからずっとまっすぐに歩いていけばもう里だ」 「そうか」 私は立ち止まり、男だけが先に歩いていく。 「今日は本当にいい日だった。また夜に会いにくるよ」 「見つけられればいいな」 そういうと男は苦笑いをする。それを見て、私は少し笑った。 「んじゃ、"また"な、妹紅」 「あぁまた…?!」 今、私の名前を… 「名前ぐらい、しわで簡単なんだぜ?ふふん」 男はそうとだけいうと、里に向かって歩き始める。 「…一本とられたな」 私はそういうと、久しく名前を呼ばれたからか、暖かい心を持ちながら竹林に戻っていった。
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小悪魔4 358 さて、今日は世に言う一年の締め括り、大晦日と言う奴である。 とは言え、我等が紅魔館は先週のクリスマスパーティー以降、軽い燃え尽き症候群に陥っていた為、 特に何かしようという動きも無く、まったりとしたムードになっていた。 レミリアお嬢様が、「どぅもー――! ハードレズでぇー――す!! 今宵は霊夢とオールナイトで年越しフォー――――!!!」 とか叫びながら、咲夜さんを伴って夕方頃から博麗神社に出掛けてしまった事も、館の空気を弛緩させるのに一役買ってしまっている。 『晦日(つごもり)』の名に相応しく、今夜の月の光は人間の目では捉えられない程に弱々しい。 まあ、咲夜さんも傍らについている事だし、あのお嬢様に限って身の危険を案じる必要も無いだろう。 ……それよりも、だ。 「げほっ、げほっ!!」 「あぁっ、パチュリー様、しっかりして下さい」 本当は、俺とリトルも含めたパチュリー御一行もお嬢様に同行する予定だったのだが、 パチュリーが寒気に中てられて喘息を拗らせてしまい、大人しく館でお留守番、という事になってしまったのだ。 「……御免なさいね。貴方たちも神社に行きたかったでしょう」 「お母さん、それは言わない約束でしょ」 リトルが病床の母をいたわるような目でパチュリーの手を取った。 ……誰がお母さんだ、誰が。 「けほっ、……あぁ……本当にいい子ね、リトルは」 ――なでなで。 「ああ……お母さん、こんなに手が冷たくなっちゃって……」 ……二人とも結構余裕があるようで、何よりだ。 何だかひと昔の昼メロみたいになってきたので、俺も一役買う事にした。 「あ~~あっ、さっさとババアの遺産で放蕩三昧してぇなあぁ~~~!?」 現代風味の不幸者チックな馬鹿婿を演じてみた。 「なっ、何言ってるんですかあなたっ!!」 ――ばちこーんっっ!! リトルに勢いよく頬を張られた。 ……かなり気持ちい……じゃなかった、かなり痛い。 「ううっ……ゲホッ、ゲホッ、この鬼婿……呪ってやる、呪ってやるわ……ゴホッ!」 細く生気の無い目を険しく吊り上げて俺を睨むパチュリーの背後に、どす黒い般若の形をしたオーラが浮かび上がっていた。 (ひぃっ、あ、あれは……何て事なの……!) 寝室の入り口の物陰から、家政婦ならぬ門番が見ていた。 「なんだ美鈴か。どうした?」 何だか昼の連ドラというより火曜幻想郷サスペンス劇場みたいになってきたので、いい加減に切り上げて素面に戻る事にした。 「いえその、お客様がいらしていますので、ご報告に」 「客? こんな時間に?」 パチュリーがベッドから上体を起こし、眉を顰める。 もう二時間もすれば年号がひとつ繰り上がるような時刻で、厨房の人たちがそこに向かって猛ピッチで蕎麦を湯掻きまくってくれている最中だ。 「……まったく。不躾にも程があるわ」 そう吐き捨てて、嫌悪も顕わに頭を掻く。 レミリアお嬢様と咲夜さんが不在な現状、この館の最高責任者は彼女という事になる。 「何処のどいつかしら。面倒事は真っ平御免よ」 「それなら心配は御無用だと思いますよ。皆さんよく知った人たちです」 「?」 何故か苦笑交じりに頬を掻く美鈴に、三人揃って首を傾げる。 まあ、ここでジッとしていても埒が開かないので、病床の主に代わって俺とリトル、美鈴の三人の裁量で応対する事となった。 ………… 「……何やってんの、君ら……」 門前に集まっていた顔触れに、思わず頭を抱えてしまった。 輝夜姫様に永琳、鈴仙とてゐに、数十名のイナバの子たち。 永遠亭の面子一同が、どでかい風呂敷を抱えて、夜逃げさながらの様相でその場に佇んでいた。 「……話せば、長くなるんだけどね」 輝夜姫が、ゲンナリした表情で重々しく口を開いた。 「それは、今朝の事だったわ……」 少女回想中…… 「姫さまっ、師匠っ!! た、大変です!! 巫女が腹肉を弛ませながら、羅刹のような形相で押し入って来ました!!」 「何ですって!?」 ――スパー――ンッッ!! 「ゲエェーッ!! お前は博麗の巫女!! は、早過ぎる?」 「あんた達ッ!! こんなブヨ腹じゃ元旦の演舞もロクに出来ないじゃないのよ!! さっさと解毒剤とお詫びの豊胸剤を作りなさいケヒヒィィー―――ッッ!!!」 ちゅどどどどどどどー――――んっっっ。 ………… 「という訳で、屋敷がフッ飛んじゃったのよ」 「それは何と言うか……」 流石に怒らせた相手が悪かった。 「最初はスキマ妖怪を頼ろうとしたんだけど、考えてみればあの女、住処がさっぱり分からないのよね」 まあ、神出鬼没を絵に描いたような人だからなあ。 それに、どの道彼女はあの後すぐに冬眠に入ってしまったと聞いている。 この間のパーティーの時は、少々無理をして来てくれていたのかも知れない。 目を覚ました暁には、気付けに俺の得意料理『デスソース混入不惜身命ライチ味チャーハン』を、あの時頂いた中華鍋で振舞う事にしよう。 今日も今日とていい事を考えていると、輝夜姫が勢いよく頭を下げてきた。 「この間あんなにお世話になっておいて申し訳無いのだけど、もう此処しか思い当たる宛てが無いの。 こちらからも無事に残った食糧を提供するから、今夜一晩、寝床を提供して頂けないかしら」 「分かりました。困った時はお互い様です」 リトルの即答。 「……いいのかな。俺たちで全部決めちゃって」 「だって、こんなに寒いのにまた放り出すなんて、可哀相じゃないですか」 確かに。 見渡すと、元々寒さに不得手であろうイナバの子たちが、皆涙目になって唇を青くしながら、ガタガタと小さな体を震わせていた。 「う~~~ん、寒い、寒いよぉ~~~」 てゐがブルブルと身を縮こませながら、段ボール箱の捨て犬のような上目遣いでこちらを見ている。 ……途端に、全てが嘘臭く視えてきた。 「ちょうど良かったです。今あったかいお蕎麦を作って頂いているところなので、みんなで食べましょう」 「決まりですね。それじゃどうぞ、入った入った」 これで決まりとばかりにリトルがポンと手を叩き、美鈴が門を開けて永遠亭ご一行を先導した。 「ありがとう……この恩は、覚えている限りは忘れないわ」 輝夜姫が、色々な意味で当たり前の事を言いつつ頭を下げてきた。 「ほらほら寒かったでしょう? もう大丈夫だからね」 保母さんよろしく、リトルがにこにことイナバの幼な子たちの手を引いている。 そんなあたたかな背中に、永琳さんが呆れたような苦笑を見せた。 「……あの子、本当に小悪魔なのかしらねぇ」 俺も常々そう思う。 ………… 「……という事になった」 「お世話になります」 永遠亭代表の永琳さんを伴い、パチュリーに報告を済ませた。 リトルと美鈴には、メイドさんや厨房の人たちへの伝達を頼んである。 「まあ、仕方が無いわね……今更文句を言うのも面倒だし、節度を守ってくれれば構わないわ」 「ええ。そこはきつく言い聞かせておくわ」 「あとは、そうね……今少し喘息の調子が良くないから、ここに兎の子たちを近づけないように」 そこまで言って、ごほ、とパチュリーの喉が痛々しく鳴った。 皆あんな姿をしているので兎である事を失念しそうになるが、確かにアレルギーが出る可能性も否定出来ない。 「分かったわ、くれぐれも留意しておきます。……本当にありがとうね。 あの使い魔の子、ウチに欲しいくらいのいい子だわ」 「「だが断る」」 即座に俺とパチュリーの拒絶の声が重なった。 最初から冗談のつもりでしか無かったらしい永琳さんの顔に苦笑が浮かぶ。 「冗談よ冗談。流石に大事な使い魔兼婚約者を連れ出したりは出来ないわ」 「う……」 「見たわよ、彼女の左手。おめでとう」 あの短いコンタクトで全てお見通しとは、まったくもって恐れ入る。 あれ以降、館の人々から散々玩具にされて慣れてきてはいたが、外の人から言われるのにはまた違ったダメージがあった。 「あ~もう。俺、リトルを迎えに行って来るよ」 気恥ずかしさに負けて席を立ち、慌ただしくその場を退散する事にした。 「ご馳走様~」 永琳さんのからかうような声が、背中にこそばゆかった。 ………… 「……ふふ、青いわね」 遠ざかる彼の背中に永琳が軽く微笑む。 「あんまり面白がって弄らない方がいい。反動で凄まじい変態行為が来るわ」 「あら。刺激的なのは結構好きよ」 ……この月人の思考は、相変わらず何処かピントがずれている。 ほう、と一つため息を吐いた瞬間、激しい咳嗽の発作が来た。 「げほっ、げほっ!! ……っ、ぐっ、ごほっ」 気管を灼くような痛みに肺腑を圧迫され、目尻に涙の粒が浮かぶ。 「大丈夫?」 「……、五月蝿い。何でもないわ、こんなの」 差し伸べられた永琳の手を、明確な意思を以って拒絶する。 私が取るべき手は、この紅魔館と魔法の森にしか無く、今この場には存在しない。 天井を仰いで荒い息をつく私に、永琳は何処かいけ好かない微苦笑を寄越し、持ち込んできた風呂敷をごそごそと漁り始めた。 「仕様が無いわね。そんな強情な魔法使いさんに、意地悪なお姉さんからプレゼント」 そう言って永琳が風呂敷から引っ張り上げてきたのは…… 「? 何なの、これ」 「マスクよマスク。煩わしい雑菌や粉塵を完全シャットアウト、その上で抜群の保湿性と通気性。 夏場に所用でこしらえた、天才永琳印の特別製よ」 「……要らない。そんな大層な物、頂いちゃ悪いわ」 「いいのいいの。お邪魔させて貰ってるんだから、せめてこの位のお礼はさせて頂戴」 「…………いいの?」 「最初からそう言ってるじゃないの。受け取ってくれる?」 「そう…………ありがとう」 消え入るような小さな声で礼を言い、永琳からマスクを受け取る。 指と指が、軽く触れた。 ………… 「♪兎美味しい、彼の山~~~♪」 パチュリー様が何時か教えてくれた残虐童謡を口ずさみながら、軽い足取りで廊下を歩く。 静かな年越しというのも良いけど、お客さんと一緒に賑やかに迎える新年というのも、魅力的な話だ。 メイドさん達に、永遠亭の皆さんの寝床の用意をお願いしないといけない。 「あ、いたいた。すみませ~~~~ん」 曲がり角の方に、咲夜さんが居ない間メイドさん達の指揮を任されているチーフさんの姿を見つけ、声を飛ばす。 私の声に振り向くと、彼女はおっとりとした笑顔を見せた。 「あら、あのクソ忙しい時間に二人のうのうとイチャついていたリトルちゃんじゃないの」 「え゛」 「え、なになに。皆クタクタに疲れて眠りこけていた夜中に構わず二人バーニングしていたリトルちゃんですって?」 「まあっ、ご主人様を差し置いて一人春爛漫、人生大絶頂期なリトルちゃんのお出ましよ、みんな!!」 ――ぞろぞろぞろぞろ。 「えっ、あ゛、そのっ」 一体何処から湧いて来たのか、曲がり角の向こう側から続々とメイドさんが現れ、あっと言う間に取り囲まれてしまった。 「ねえリトルちゃん、あれから彼とはどう?」 「式はいつ挙げるの?」 「その指輪、幾らぐらいしたの?」 「子供は何人くらい作る予定なの?」 嫉妬の炎を背後に揺らめかせながらメイドさん達が肩を組んで円陣を組み上げ、グルグルと私を中心にして回転し始めた。 「う、うぅ……」 お客さんの来訪に浮かれて、失念していた。 あのパーティー以来、私たち二人の姿を見るなりずっとこの調子なのだ。 いつもは彼が神殺ビューティフル空手(彼命名)で撃退してくれているけど、今この場にいるのは、折悪く私独りだ。 『さあさあリトルちゃん、観念なさい!!?』 回転数が上がり幾つもの顔面の残像がぶれまくって、ハッキリ言って無茶苦茶気味が悪い。 「あぁ……助けて……」 予期せぬ窮地に、半べそになってこの場に居ないあの人に助けを求めた瞬間、 ――ずどどどどどっっ!!! 「くおおぉらお前ら!! イジメ、カッコ悪い!!!」 私の大事な人が、何故か白黒模様のボールを蹴り転がしながら颯爽と現れた。 彼は足元にボールをぴたりと留めると、メイドさん達に人差し指を突きつけ、 「あの日の誓い以降も、俺たちの生活は不沈艦大和の如く大安泰なり!! だけど式なんて挙げる金も立場も無えよアホンダラ!! あと、指輪はセオリーどおり、給料の三ヵ月分!! 子供は、リトルに似た女の子が二人は欲しいと思います!!」 ……律儀にも全ての質問にしっかりと答えた。 「くっ、出たわね変態亭主!! みんな気をつけてっ、迂闊に近付くと妊娠させられるわ!!」 酷い言われようだった。 「ぃやかましいっっ、見損なうな!! 唯一人の伴侶を定めた以上、貴様ら有象無象に差し向ける性欲など、1ナノグラムも存在せんわ!! 喰らえ我が一世満身の大スペル、屁符『ヘルスカンク・マッドジャイロ』!!」 そう叫ぶと、彼は前屈姿勢になって尻を突き出し、 ――ぷぷぷぷぷぷぷっっ。 放屁音を轟かせ、そのままの体勢でプロペラのように回転しながらメイドさんの集団に突っ込んで行った。 「…………うぅ、ぐすっ」 言っている事は凄くカッコ良く、不覚にも涙がこぼれるくらい嬉しかったけど、 やっている事が致命的にカッコ悪かった為、今度は情けなくて涙が出てきた。 「きゃあああああっっ、キモくて臭い要するにキモ臭いっっ!! たっ、退散、退散っっ!!!」 チーフさんの撤収命令に、さっとメイドさん達の波が退く。 「はっはっはお前ら、お客さんが来てるから寝床の用意を夜露死苦!!!」 軽やかに着地を決め、泡を食って遠ざかる背中の群れに、ようやく本来の目的の一声。 私たち二人と、温く酸っぱい匂いだけがこの場に残った。 「……ふっ、悪は去った。大丈夫か、リトル」 彼が一仕事終えた爽やか極まりない表情で汗を拭う。 「…………ぐすっ」 臭気が目に染みて、またひとつ涙がこぼれた。 ………… 厨房への伝達は美鈴が問題なく済ませてくれていたようで、程無く十分な量の年越し蕎麦が完成した。 ほかほかと出汁の香りの効いた湯気を立てる特大鍋を二つばかりロビーに構え、 美鈴とリトルの二人が、行列を作ったイナバの子たちに戦時中の配給所さながらの様子で配膳している。 まさに師走の名に相応しい慌ただしさだったが、皆楽しそうで何よりだ。 「はいっ、どうぞ。熱々だよ~~」 「ありがとう、門番のお姉ちゃん!」 うんうん、ちゃんと礼が言えるのはいい事だ。 額に玉のような汗を浮かべながら忙しなく働く二人の顔にも、にこにこと笑みが浮かんでいる。 上機嫌で目の前の風景を眺めていると、リトルの方の列で、てゐの出番が巡って来た。 「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね」 「うふふ、幸せそうね。ところで、いい保険の話があるんだけど、興味は無いかしら?」 「えっ?」 二人の間に慌てて駆け出し、 「当館での詐欺行為は、その全てを禁止させて頂いております!!」 ――どばばばばばっっ!! 場を弁えない詐欺兎の椀に、地獄唐辛子を山盛りぶち込んだ。 「な、何すんのよっ! 体に悪いじゃないの!!」 「やかましい!! 唐辛子は脂肪を燃やしてくれるありがたい香辛料だから、俺に感謝しながらたんと食え!!」 まあ、紅魔の館の名に相応しい特製ブレンドではあるが。 「う゛~~~~~」 ジト目でブー垂れながらも、てゐは大人しく仲間の元に戻って行った。 ……かと思ったら、何やら物言いたげな視線で、指を咥えながら鈴仙のお椀を覗き込んでいる。 「? どうしたの、てゐ」 「……いいな。鈴仙のお蕎麦、私のよりちょっと多い」 「あら、そうなの? いいわよ、交換してあげる」 何も知らない哀れな月の兎が、てゐに向かって花のような笑顔を見せた。 「ありがとう! だから鈴仙の事、大好き」 「ふふ。本当にしょうがないわね、てゐは」 ま さ に 外 道 ! はてさて、永遠亭の人々への配給も無事終了し、あとは俺たちの分を残すのみである。 後ろの方から何だか火を吐く轟音と悲鳴が聞こえるが、そんな細かい事をいちいち気にしていては、良い新年を迎える事など出来はしない。 「お疲れ様。それじゃ俺たちの分も用意して、早いとこ部屋に戻ろうぜ」 「そうですね。きっとパチュリー様も永琳さんも、首を長くして待ってらっしゃいます」 主人と客人を待たせたとあっては、従者失格もいいところだ。 四つの椀を盆に抱え、迅速に主の寝室へと赴く事にした。 「お待たせ」 「ただ今戻りました……あら?」 部屋に戻るなり、リトルが主の出で立ちに目を丸くした。 「どうなさったんですか? 今まで、薦めてもマスクなんてして下さらなかったのに」 「別に何も。貰った物を活用しているだけの事」 何とまあ、永琳さんからの贈り物とな。 素っ気無い物言いではあったが、先程よりも少しは楽そうに見える。 前面に書かれた『地獄上等』の筆文字が、とてもチャーミングだった。 「今日は喘息の調子もいいから、とっておきの反社会魔法、見せてあげるわ」 「そ、そんなの見せないでいいです」 何だか変な方向に元気になっていた。 「ほら、年越し蕎麦。パチュリーの分も用意してきたけど、食べられるか?」 「……少しだけなら」 「十分」 やはり、これが無いと一年の締め括り、という感じがしない。 四人揃って手を合わせ、 『いただきます』 湯気薫る蕎麦を、箸で突付き始めた。 「ん、美味い」 「はあ、沁みるわね」 「はふっ、はふっ、温かいです」 「……美味しい」 マスクを顎にずらして露を啜ったパチュリーが小さく息を吐いた瞬間、 ――ぼーん。ぼーん。ぼーん………… 暦の移ろいを告げる鐘の音が鳴った。 全員一旦箸を置いて、 『あけまして、』 深々と頭を下げる。 『おめでとうございます』 ……昔から思っていた事なんだが。 「何でこう新年の挨拶ってのは、こんな白々しいのかしらねえ……」 思っていた事を、先に永琳に言われた。 さて、いい大人が夜更かしという訳にもいかない。元日の朝でもいつもの仕事が待っている。 蕎麦を食べ終え、永遠亭の人たちの寝床が準備できたところで、早々と眠りにつく事にした。 ……良い初夢(出来ればややエッチ風味)が視れるといいのだが。 ………… お客さんが来たところでそこは変わりない、二人だけの寝床。 同じベッドで、既に整った息を立ててしまっている彼の寝顔を、何とは無しに眺めている。 彼の育った所では、初夢をその一年の運勢の暗示として、重要視していたらしい。 ……私の夢、視てくれたらいいのにな。 そんな気恥ずかしい事を考えていると、 「…………う~ん…………リトル~~…………」 「っ?」 彼の口がむにゃむにゃと動き、まさしく私の名前を紡いだ。 (わっ、本当に私が出てるんだ……) 喜んだのも束の間、途端に彼の寝言が苦しげな呻きに変わる。 「う、う~ん……だ、ダメだリトル……そんな……」 ……せっかく自分を視てくれているのに、悪い夢になどして欲しくない。 彼の額に浮かんだ汗を拭おうと指を伸ばした瞬間、 「…………そんなマニアックな道具、俺たちにはまだ早い……!」 「年の初めから、何て夢視てるんですかっ!!」 ――ばちこーんっっ! 「…………はっ」 つい、思いっ切り彼の頬を張ってしまった。 「ああっ、ごめんなさいっ」 「う、う~ん……リトル?」 赤く腫れた頬をゆるゆると撫でながら、呆、と瞳が開かれる。 「……何だ、まだ眠れないのか? ……しょうがないなぁ」 まだ寝惚けているのかもごもごと呟くと、彼は私の後頭部を掴んで、一気に胸板に引っ張り込んできた。 「きゃっ!……も、もうっ、寝惚けてますね」 「ん~~? 起きてるよ~~……」 半目を開けて鼻提灯を膨らませながら喋る姿は、ある意味芸術的だった。 「ほら、こうしてると安心して眠れるだろ?」 そう言って、夢見の悪い子供をあやすように、おでこをそっと胸板に押し付けられる。 「……はい……」 初めてお互いの気持ちを確かめ合ったあの日、泣きじゃくる私を受け止めてくれたあの時から。 ここが私の一番大切な、貴く暖かい、帰るべき場所だった。 「……はい……ここなら、私はいつでも何煩う事無く眠れます……」 一切の悲嘆も不安も、今ここには無い。 今年最初の夜は、蕩けるような甘いまどろみに身を委ねる事で、静かに幕を閉じた。 ………… ――そして翌日、めでたき元旦。 しっかりと朝食が雑煮とお節になっている辺り、ここは本当に悪魔の洋館なのかと、疑問を抱かずにはいられない。 まあ、旬の料理を何処に在っても美味しく頂けるのは、とてもありがたい事だ。 「う゛っ……も゛、餅が喉に゛…………」 サツマイモのように顔をど紫色にするパチュリー。 「あーもう絶対やると思ったよこの気管支狭窄ラクトガール!!」 「わ、私に任せて下さいっ、ていっ!!」 ――ズバッッ!! すぽーんっ!! 手馴れた様子でリトルがパチュリーの首筋にチョップを落とし、喉から餅の塊を叩き出した。 デビルチョップはパンチ力。まったく惚れ惚れする手際だった。 ……そんな比較的平時どおりの朝食を終えて、俺たちは永遠亭の兎たちを遊びに誘ってみる事にした。 「なあ、せっかく元旦だし月の兎も居る事だから、みんなで餅つきしようぜ」 「「「さんせー――――いっっ!!」」」 「えー……」 イナバの子たちのノリノリな反応と裏腹に、鈴仙が心底ゲンナリした表情をしている。 「何だ鈴仙、餅のつけない月の兎なんて、乳の小さいウチの門番みたいなもんだぞ?」 「いやその、何時かみたいに一人で延々つき続けるのが嫌なだけで」 「それなら心配ないわよ。最初に少し手本を見せてくれたら、あとはみんなで交代しながらにするから」 「……そんな大層なものでもないわよ?」 パチュリーの説明に謙遜気味に苦笑を返すが、何はともあれ交渉成立。 何故か館に置いてあった木臼と杵を持ち出し、ぞろぞろと連れ立って庭に出た。 「よっし。それじゃ行くわよ、てゐ」 「ん、いつでも」 杵を軽く揺らして肩を慣らす鈴仙に、介添えに就いたてゐの平坦な声が応える。 「……せぇーのっ」 ――ぺたんっ。どすんっ。 ――ぺたんっ。どすんっ。 ――ぺたんっ。どすんっ。 杵と平手が蒸し米を叩く音が、軽快なリズムで交互に響く。 教科書に載せてやりたいくらいの完璧なコンビプレイだった。 「……と、こんなところね。そんな難しい作業じゃないでしょ?」 「そうね。肝は、パートナーとの呼吸かしら」 「そういう事。さ、次は誰がやる?」 『はーいはいはい!!』 イナバの子達と、何故か近くを通ったメイドさん達が元気良く手を挙げる。 「ほらほら、順番順番」 もうすっかりイナバの子達に懐かれたリトルが、上手い事状況をまとめていた。 ……しかし俺の愛の眼差しは、実はリトルも餅をつきたくてウズウズしている事を見逃す筈も無かった。 杵が多くの手を巡り、そろそろ昼食に十分な量の餅が出来上がってきた。 ……と言うか、出来た先からメイドさん達が醤油を塗ったくって振舞っているので、既に満腹を訴えている子もいるくらいだ。 「う~~ん、えーり~~ん。もう満腹で動けないわ~~」 「こらこら姫。食べてすぐ横になるのはだらしないですよ」 部下たちを差し置いて一人満腹絶頂の竹取ニート姫が、芝生の上でだらしなく大の字になっている。 ……色々といい頃合だと思ったので、リトルの肩をぽんと叩いた。 「よし、トリは俺たちで飾らせて頂こう」 「……は、はい!」 顔を喜色に弾ませ、リトルがイナバの子から杵を受け取る。 「ふっふっふ。お前ら、俺たちの愛のワンダープレイを観て、腰を抜かすんじゃないぞ?」 「……貴方が言うと、どうにもいやらしい意味にしか聞こえないのよねぇ」 パチュリーが要らんツッコミを入れてくるが、無論この胸を炙り焦がすのは、それしきで消えるような朧げな炎ではない。 「それじゃ、始めようか」 「はっ、はい、頑張ります!!」 「ん。……せーのっ」 ――ぺt ズドンッッ!!! ――ぺt ズドンッッ!!! ――ズドンッ、ズドンッ、ズドンッッ!!!!! 「痛いわ阿呆おおおおおお!!!」 「きゃっ!!?」 リトルが一心不乱に打ち下ろしまくった杵が全弾余たず俺の右手を直撃し、餅をついているのか俺の右手をついているのか分からない状態になった。 「ある意味、完璧なシンクロニシティね……」 永琳がうんうんと頷き、あれだけリトルの事を慕っていたイナバの子達が、一転してガクガク怯えまくっていた。 「わざとかっ、わざとやっているのかお前はっっ!!!」 ――ぽよんぽよんぽよんっっ。 キャッチャーミットのように腫れ上がった右手で、童顔に似合わぬ84のDカップに往復ビンタを見舞った。 「やっ、きゃっ、ご、ごめんなさいっ」 切なげな悲鳴に溜飲を下げて右手をフーフーしていると、珍しい姿がこちらに向かって駆けて来るのが見えた。 「ねっ、ねっ、私も混ぜてっ!!」 「い、妹様っ、走ると傘からはみ出しちゃいますよ!」 元気一杯に手を振りながら走って来る妹様に、あたふたと美鈴が日傘を宛がっていた。 「……妹様。勝手に外に出たら……って、もう遅いか。ちゃんと加減は出来る?」 一瞬表情を引き締めて身を乗り出したパチュリーだったが、すぐに諦観のため息をついた。 「大丈夫、任せてよ」 「いいんじゃないの? この時間この天気じゃ、どの道ロクに力も出ないだろ」 「それもそう……かしらね。それじゃ妹様、くれぐれも気をつけて頂戴ね」 「分かってるって」 妹様は片手で杵をブン回して肩を慣らし始めた。 背後で必死に杵を避け回りながらも決して傘を動かさない美鈴のプロ根性には、まったくもって恐れ入る。 「ふふ、それじゃ私も混ぜて貰おうかしら」 意外にも永琳さんが声を上げ、介添えの位置に陣取り、珍しく邪気の無い笑顔を妹様に向けた。 「どうぞお手柔らかにね? 悪魔の妹さん」 ………… 「ふうっ、やっぱりこの時間は辛いわね。もう少し神社に居れば良かったかな」 「まあまあ、我が家はもうすぐそこですよ。……あら?」 訝しげな咲夜の視線を追ってみると、庭先に随分多くの人手が集まっていた。 『よいっ、しょっ! よいっ、しょっ!』 ――ぺったんっ、ぺったんっ。 妹と蓬莱人が、メイドや兎に囲まれて、楽しそうに餅をついている。 「……いつから私の館は純和風の兎小屋になってしまったのかしらねえ」 だが、不思議と、怒る気にはなれなかった。 私達の帰還に真っ先に気付いたフランが、大声を上げた。 『あっ、お姉さま~~~!!』 ――どかんっっ。 振りかぶるモーション中にいきなりこちらを向いたので、大きく逸れた杵の尻が、美鈴の顔面にめり込んだ。 『ふぐっ、ぐぐぐぐぐ……』 鼻血を吹き出し、ダメージに膝をガクガク言わせながらも、美鈴は日傘をフランの頭上に気合で押し留めていた。 ……気に入った!! 地下室に来て、妹をフ×ックしていいぞ!! 不具合を押してでも、この時間に帰って来て良かった。 「咲夜、急ぐわよ」 「……はいはい」 何だか、とても楽しそうではないか。 「何やってるの貴方達! 私達も混ぜなさい!!」 ――A Happy new year! 湖のほとりの紅き館に、どうか今年も幸あれ。 512 2月14日って知ってるかい? 昔、撲師が牧殺されたって言うぜ! 今は奈良のお祭りだ。ボヤボヤしてっとたいまつでボウボウだ! どっちもどっちも……どっちもどっちも! 1(アインス)!2(ドゥエ)!3(ドライ)!4(ドゥティーレ)! 5(オウ)!6(リュウ)!7(ジェット)!8(エイト)! 究極…… 「何やってんですかアンタは」 いわゆるイントロ(現実逃避)をやってる最中に、突然の突っ込み。 「……いやな。ちょっと、電波と言う物が入ってな」 「それと牧師と撲殺の文字が違います」 「そこには突っ込むなわざとやったんだから」 そこまで言って、ようやく声のした方を向く。 そこには、まさに司書!と叫びたくなるような服を着たまいらばー小悪魔がジト目で立っていた。 楽助ぼお氏、本当にGJでした! 「って、また電波が入ったな。……どうも最近ワイヤレスが多くて困る」 「困るのはあなたの馬鹿な発言を聞いてる私です。それと仕事を溜め込まないで下さい」 彼女の腕に光る腕章。そこには「私は読書狂です」とでかでかと書いて 「ありません。話を逸らさないで下さい」 「むう。いやな、世間にはこういう言葉がある。『マイペース、マイペース』と言う言葉が!」 「それってあの人の言葉じゃないですか。あれは悪い意味で使われてますよ」 「いやいや。俺は感動したぞ。……そうだ小悪魔、お前も少しは休憩をとった方がいい」 「休憩を取れない原因が何言ってるんですか」 ジト目に少々殺気を匂わせているが気づかないふりをして一言。 「だからそんなに胸がちいさ」 (大玉+クナイ弾=凶悪弾幕) 「少しは反省したらどうなんですかこの阿呆人間」 「ああんもっと罵ってぇ」 久々に小悪魔の弾幕を食らったせいか体がついていけず、すぐに落とされてしまった。 「……まあ、ふざけるのはこれくらいにして。仕事を再開しますよ」 「あいよ母ちゃん」 頭部ギリギリで大玉が飛んでいった。 「……冗談だ」 これ以上ふざけたら命はないだろう。 そういうわけでとっとと仕事に戻る事にした。 * * * ここに勤めて何年になるだろう。最低でも……一年も過ぎてないか? まあいい。とにかく俺は何とかこの紅魔館で働いてる。 最初は外の警備だったんだが、あまりにも過酷なため別の部門に転属を願ったところ、この図書館勤務が出てきた。 正直言って最初は『よっしゃ楽に仕事が出来る』と思ってたんだが…… 「あ、こら待て!」 急に飛び上がった魔道書を追いかけ、すぐに空に浮かぶ。 「捕縛『投網攻撃』!」 正確な狙いもつけずにスペルを発動。……だが、見事に魔道書をキャッチ成功。 『投網攻撃』はいわゆる全体攻撃のような物だ。方向さえ決めていれば視界全域をカバーできる。 ……俺が配置されているのは『魔道書部門』。意思を持った、もしくは本自体に魔法がかけてある物たちを取り扱う部門だ。 「ほんと、なんだかなぁ。何で俺がこんなところに……」 もうちょい静かに仕事が出来る(本音:楽にサボれる)と思ったのに…… 「おう、お疲れさん」 「ああ、ほんとに疲れるよ……」 そう言いかけてもう一度『投網攻撃』のチャージを開始する。 「って、出たなコラ」 「おう落ち着け落ち着け。私は何もしてないぜ」 それもこれも今目の前にいるこの白黒魔法使いが原因だったりする。 「これからするんだろう?魔理沙」 「……やれやれ。ただ本を借りてるだけじゃないか。何でそんなに目くじら立てるんだよ」 ……網じゃ足らんな。スペルを捕縛用から攻撃用に変換する。 「まあそうだよな。館長の断りもなく禁書指定区域に行っては読みふけった本をそのままにしてたり本を整列させずにばらばらに並べて入れたりさらにはお前のは借りてるんじゃなくて持って行ってるって言うんだこの白黒姫」 「待て待て。私は黒姫(あいつ)ほど自分勝手で鬼畜じゃないぞ」 うん。限界。なんか館長に止められてるっぽいけど知らん。 「双斧『デュアルトマホーク』」 俺の両手に斧状の魔力塊が握られる。 「ライチ汁っぽい物ブチ撒けろこのデモン・ザ・キッチン!」 斧を思いっきり振りかぶって…… 「待ちなさい」 殴りかかろうとした瞬間に向かい風の強風にあおられる。 「か、館長……」 突風を吹かせ、台所の悪魔の前に浮いているのはこの図書館の館長、パチュリー=ノウレッジ。 「今日の彼女は正式な客人として来ているわ。ゆえに手荒な歓迎はしないように」 ……なるほど。どおりで魔理沙専用トラップの類が静まってるわけだ。 「……失礼いたしました、お客様」 すぐにスペルを解除し、一礼。 「うむ、ご苦労」 「それと魔理沙。ごめんなさいねうちの従業員があなたに……」 まあ、客として招かれたのなら俺が咎められなければなるまい。暴走したのは俺だし。 「正当防衛を……いえ、略奪阻止を働いて」 ……へ?何気に本音が混じってませんか館長? 「どっちにしろ悪いのは私か……まったく、交換条件じゃなかったのか?」 「誰も魔道書を……アレの代価として渡すなんて言ってない」 「……なんだ、じゃあこの件は無しでいいんだな」 魔理沙の言葉を聞いた瞬間、館長の顔色が変わった。 「ちょっ……魔理沙!?」 「お前が言ったんだぜ?『代わりにこの図書館の書物を二、三冊持って行っていい』って」 「確かにそう言ったけど!でも魔道書は持って行っていいって言ってないじゃない!」 「……まあ、その辺は私に頼んだお前自身を恨むんだな。私は高いんだ」 ……なんか修羅場っぽいな…… 「小悪魔、小悪魔」 「なんですか?」 ちょうど近くを通った小悪魔を呼ぶ。 「アレ、どういった経緯で……ああなった?」 「私も知りませんよ、パチュリー様は教えてくれるはずもないし、そもそも聞けません」 そうだよな。小悪魔は形としては館長の奴隷だし。 「……今、何かすっごくフケツな妄想しませんでした?」 「いやいや小悪魔」 確かに館長と浣腸って似てるなとは思ったが。それはともかく。 「館長、俺は仕事に戻ります」 すでに俺の事を忘れて魔理沙と話していた館長に一言断り、すぐに仕事を再開した。 * * * 結局魔理沙は魔道書を少し持っていき、館長の『もってかないでー』がまた聞こえた。 小悪魔が慰めていたが、ずっとぶつぶつ言い続けていてかなり不気味だ。 さらに魔理沙が仕事を増やしていったせいで、仕事時間がかなり長引いてしまった。 ……今度来たら絶対に剥く。 「ういじゃ、お疲れ様。……って、夜の点検があったな」 「あ、それについてパチュリー様からの伝言があります。 『点検は小悪魔に任せて、あなたは私の部屋にいらっしゃい』との事です」 「ふむ。……わかった。じゃあ点検よろしく」 「早急の用らしいですので、今すぐ行った方がいいですよ」 あいよと言い残し、俺は館長の書斎へ向かう。 館長の書斎は図書館と直結しているので、本棚から少し移動するだけですぐに扉の前に着く。 ノックをして、ドアを開け…… 「ちょっと待って」 られない。よく見たらドアの下に根っこが生えていた。 扉越しに聞こえてくるガタンバタンという音が少し経ってから静かになり、ようやく扉の根っこが消えた。 「どうぞ」 ……館長の部屋ってそんなに片付いてなかったのか? そう思いながらもドアを開けると、館長は自分の椅子に座っていた。 ここに入るのは大抵が小悪魔なのでこの部屋の中は少ししか知らなかったが、やはりここも本が多かった。 「それで、用件は何でしょうか」 とりあえず単刀直入に聞く事にした。 「今日は聖ヴァレンタインデーということなので」 机の上にあった数個の箱を取り、それを俺に渡した。 「紅魔館のみんなから渡すように頼まれてね。チョコレートよ」 「……ありがとうございます」 館長から渡されたチョコを見て、しばしの間立ち尽くす。 「どうしたのかしら?」 「……いえ、こうやってチョコをもらえたのが嬉しくて」 そう言いながら箱を壊さない程度に握りしめて、ふと気づく。 「あれ、この箱生暖かい……」 「……それは私のね」 館長の言葉にえ?と思わず濁点付きで返してしまう。 「……仕方ないじゃない、チョコを渡すなんて外の世界の事は昨日初めて知ったんだから」 あ、それで魔理沙を呼んだわけか。 「魔理沙に教えてもらって、ついさっき完成したのよ。水と風をフル使用して冷ましたんだけど……」 それはまたかなりの能力無駄使いですね。 と言うわけにもいかず、黙ってチョコの箱を見る。 「……あれ、数が違いませんか?」 そういえば紅魔館の人達……メイドさん達を除く人数は6人。 「一個足りませんね」 俺の手にあるのは一人分少ない5個。 「それはそうよ。私がつい材料のつぎ足しに……というのは冗談」 館長は静かに笑う。 「残りの一人は、決まっているじゃない」 * * * 「よう」 そして、しばらくしてから。 俺は図書館に戻り、左手を後ろに隠しながら点検中の小悪魔と顔を合わせた。 「用は済みましたか?」 「ん、向こうでの用はな」 そう言って、左手を小悪魔に向ける。その手には花束。 「ほい、バレンタインプレゼントだ」 「……え」 あっけに取られた顔をする小悪魔。 「俺んとこの世界の一部じゃ、男がプレゼントを渡す国もあるんだ。それがこいつさ」 ……まあ、俺もつい先ほど館長に教えてもらったんだが。 「あ、ありがとう、ございます」 「すまんな、数が少なくて」 プレゼントを渡すのも貰うのも初めてだったのでなんか恥ずかしいが。 「……あの」 「なんだ?」 「顔、変わってます」(http //scapegoats.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/dust/box /dust_0405.jpg) 「え、あ、そう」 むう、恥ずかしさのあまりイメージ画像まで変わってしまったか。 「それで、催促するようだが……チョコは……」 「あ、その」 突然な事を言われてあたふたする小悪魔。 「……やっぱり、いいや。チョコの代わりにお前を貰うから」 「はい?」 ……うん、恥ずかしい。こりゃやばい。でも言ってしまったなら仕方ない。 恥ずかしいついでに一気に言いきった。 「だからさ、俺はお前が欲しい。お前を好きなんだ」 *** *** はい尻切れトンボです(ぇ 答えを書く勇気がありません。 おまけ(ボツ文 「開けても、いいですか?」 いいわよという答えを待たずに包みを開ける。 ……って。 「何か妙に赤いですね」 「その包みは咲夜のね。何かしら」 臭いを嗅ぐ。……こ、これはっ!?と思い一欠け口に入れると…… 「……かさぶただ」 モロに血の味。……かさぶたというよりはむしろ凝固血液? 「あら、どうやらレミィへの物と間違えたらしいわね」 「なんちゅうもんを食わせてくれるんや十六夜はん……」
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【名前】 金田一 終(きんだいち おわり) 【性別】 男 【学年/年齢】 高3 18 【系列/ランク】 超能力系 E 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】 犯人はお前だ 【能力効果】 指差した人物を何らかの事件の犯人にすることができる 【容姿】 黒髪ロングの童貞 【性格/趣味】 基本的にはバカであり、事件の時には誰もが恥ずかしくて口にできないような迷推理で事件を迷宮へと持ち込む。 しかし「犯人はお前だ」の能力のおかげで、結果的に事件は毎回解決している 趣味はエロ本 【備考】 金田一耕輔と血のつながりは無い 【名前】 イーエ・ケフィア 【性別】 女 【学年/年齢】 高3 / 年齢 18 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】 コンニャクリン 【能力効果】 触れた物体をゴム質のようにぐにゃぐにゃに出来る。(大きさは鉛筆ぐらいまで) 【容姿】 ブロンドのショートカットヘアー 【性格/趣味】温厚 趣味:漫画、小説を書くこと 【備考】いつもイケメンのことしか考えていないので人の話をろくに聞けず、 動きが鈍い、そして能力があまり役にたたない。(修行を積めば定規がぐにゃぐにゃにできるぐらいは行ける) 本人は将来が不安でもなくイケメンのことしか思っていない。 【名前】結城名城 【性別】女 【学年/年齢】 高1/17歳 【系列/ランク】超能力系 /E 【科】 アクター 【能力名】 探求の蒼眼 【能力効果】相手の癖や体格、筋肉の動き、スリーサイズまで見抜ける 【容姿】 162cmくらいの長い黒髪でロリ顔 【性格/趣味】 重度のショタコンであり趣味は街でのショタ探し 【備考】 能力が戦闘向きではないためテコンドーを利用して戦っているもののあまり強くはない 【名前】レミア・バルスレッド 【性別】女 【学年/年齢】 小3 年齢9歳 【系列/ランク】 超能力系/E 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】 我が息こそ死(ブレス・ザ・ディザスター) 【能力効果】 己が吐いた息に触れた者は死ぬ。相手が能力者の場合、こっちのランクが圧倒的に優ってない限りレジストされ効果がない。 たとえばEランクの能力者を殺すには自分がBランクぐらいじゃないと不可能らしい(現在のデータによる推測なので確定ではない) 【容姿】身長は約130cm。体重は約26kg。長髪ブロンドに蒼い瞳、白くて透き通るような美しさを持つ肌。服装は、母親がゴスロリ好きでよく着せられていたため基本ゴスロリ。 【性格/趣味】無口。お人形ごっこ 【備考】 幼い頃に能力発言。母親に朝のあいさつをしたら母親が死亡。そこに来た父親も死亡。 能力者だと判明し、学園へ。自分が親を殺したという罪悪感から何度も自殺をしようとした。 彼女自身のランクが低いので、能力者相手にはまず効かないと判明しているが、両親を殺した時の事を忘れられないため人との接触を恐れている。 買い物などは全て通販を利用している。 【名前】 関直弘(せきなおひろ) 【性別】 男 【容姿】 大柄だが不幸を背負ってそうな陰気くさい顔をしている。大体うつむいてる。 大体黒い服を着ている。目の周りが黒くてマリリンマンソンみたいになってる。 【学年・役職/年齢】 2年 18歳(一年留年) 【ランク】 E 【能力・属性】 虎よ!虎よ!(タイガー・タイガー) 構成操作系 基本設定・一定時間身体をものすごく頑丈にすることができる、ただそれだけの能力 一トン程度の衝撃までなら耐えることができる。また、身体能力に変化はない ・その間は顔を含め体表に虎のような黒い模様が浮き出る 裏設定 ・実は本人の怒りが最高潮に達すると、恐ろしい怪物の姿になる(ただし今まで一度も起きたことがない。本人もそのことを知らない) ・身体能力、頑丈さ、パワーすべてが桁違いである ・パンチ力時速300km キック力1t ジャンプ力20m 100m3秒 【 科 】 リフィター(元々アクター寄りの能力だが本人の意向により) 【備考】基本的におとなしく穏やかな性格だが、非常に内政的かつ自閉的な性格で、あまり他人と関わりたがらない。 一方で一度した約束は必ず守るような誠実な面もある。 趣味は消しゴムで似顔絵を彫ること。上手い。 何をやらせてもトロくさいので基本的にみんなから疎まれている。本人もそのことを承知した上で静かに学園生活を送る 覚醒するとAかBくらいの力が出るのだが本人含め誰もそのことは知らない。 将来は頑丈な体を生かして危険地帯の土木作業員になろうかとか考えてる。 【名前】間宮正人(まみや まさと) 【性別】 男 【学年/年齢】中2/14 【系列/ランク】 構成操作系 /E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】化物化(クリーチャー) 【能力効果】憎しみの感情が増した時のみ、発動する。 爬虫類の様な皮膚になり、龍人の様な姿になる。 能力発動中は理性が無く、暴君と化す そのパワーは、Aランクをも凌駕する。 【容姿】特徴無し、アホ毛があるだけ 【性格/趣味】臆病、温厚、心優しい、天然、自分の能力に恐れてる/絵描き(絵はかなり上手い) 【備考】 能力の覚醒は幼少の頃、家庭内暴力が酷かった父親に憎しみが湧き、覚醒、父親を死に追いやる。 その後母親が罪を被り逮捕、幼少期のトラウマとなる。 親戚の家に引き取られ、その家の娘と仲良くなり、同じ能力者だったことで、共に入学。 能力が未覚醒とみなされ、Eクラス しかし幼なじみがDQNに強姦され、その憎しみから再び能力が覚醒、DQNを惨殺する 【名前】成宮 桐子(なりみや きりこ) 【性別】女 【学年/年齢】高2 / 17歳 【系列/ランク】超能力系/E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】千変版化(せんぺんばんか) 【能力効果】 身につけているコスチュームに相応しいスキルと知識を得る。例えばナースなら看護・応急処置、メイドなら給仕・家事etc スキルは彼女がそのコスチュームに持っている印象や想像力に左右されるため、「メイドは三度に一度は茶をひっくり返す」というイメージを持っていればドジッ娘スキルが付与される。 【容姿】 メガネをかけ三つ編みを結っている。どちらも目立ちたくないから地味にしようとした結果。もちろん伊達メガネ。 【性格/趣味】 普段はぱっとしない物静かな文学少女だが内心は違う自分に憧れている。性に関して耳年増なところがあり、たいていのコスチュームにおいて無駄にエロい方向へのスキル・知識を持っている。詳しくは割愛。 【備考】 素の自分に求められるのは「早着替え」の技術だけであり、コスプレ中はスキル任せ。ということで能力を伸ばすにはたゆまない着替えの努力とイメージを得るための読書等調べ物という変わったものになっている。 【名前】 飯田 美里(いいだ みさと) 【性別】 女 【学年/年齢】 高1 / 16 【系列/ランク】 超能力系/ E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 サテライト・アイ 【能力効果】 自分の場所から半径4kmまでに見えるあらゆる事象を正確に観測できる。 ただし、見えなければいけないので、障害物がある時はその後ろは見えない。 逆に、見えれば良いので、鏡、窓など反射して見えれば観測は可能。双眼鏡などを通して見たものも可。 主に遠距離攻撃をサポートする役目。 【容姿】セミロング・色白・身長はやや高め。 【性格/趣味】 おとなしくてやや怖がり。趣味はバードウォッチング 【備考】 学校の出席率は良いが、いつもどこか変な方向を見ている。その為勉強は苦手。 普段はおとなしいが、仲の良い友達相手だと元気に行動する一面も。 怖がりな為、自らの能力を活かしてライフル等で攻撃する事は殆ど無い。 視力は自称3.0 【名前】 葉加瀬(はかせ) 【性別】 男 【学年/年齢】 小6 / 12 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 見抜き 【能力効果】 相手の能力を見抜く。 【容姿】 メガネ。おかっぱ。ちび。 【性格/趣味】 生意気。怖がり。パソコン大好き。 【備考】 僕のデータによると・・・ 【名前】 尾奈 金太郎 【性別】 男 【学年/年齢】 中2/14 【系列/ランク】自然能力系/E 【科】アクター(戦闘員) 【能力名】噴火(ボルケイノ) 【能力効果】凝縮された熱エネルギーを放ち、着弾点から上方へ火柱が立ち上るシンプルな攻撃能力。 熱エネルギーはとめどなく体内から湧き出しており、またその蓄積量に上限は無く、 本人の意思とは無関係に絶えず増大を続けることにより 攻撃力は無尽蔵に高まっていくが、その分コントロールも難しくなり暴発の危険性も高まる。 【容姿】身長体重、共に平均。どこにでもいる普通の子だ。ほぼモブ 【性格】争いや暴力を好まない、心優しい少年。 だが体内エネルギーが蓄積されていくと同時に闘争本能的なものも増大し、 ふとした拍子に興奮状態へ移行すると、溜まったエネルギーを放出してしまうまで 気持ちを静めることは難しい。 【備考】週一で自発的に放出しているが、その都度激しい罪悪感に苛まれる。 【名前】 沖 伊澄(おき いすみ) 【性別】 女 【学年/年齢】 中三/15 【系列/ランク】 超能力系/E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 以津真天 【能力効果】「以津真天」と呼ばれる妖怪鳥を使役している。 「以津真天」は死体をいつまでも放置しておくと、どこからか現れ「いつまで?いつまで?」と鳴きながら死体を喰らう。「死体掃除屋」 【容姿】 普通。背は少し低い。真っ黒な腰まで長く伸ばした髪を結っている。髪飾りには鈴が二つつ付いている。目が悪い。 【性格/趣味】暗い。何を考えているか分からない。周りに興味を示さない。頭はいい方。 【備考】自分の能力にも大して興味は無い。ただ、これが自分の仕事であり、生まれてきた意味だと思っている。 妖怪鳥のことは気持ち悪くて好きになれない。 【名前】水瀬 守生(みなせ もりお) 【性別】 男 【学年/年齢】 高2 / 年齢 17 【所属】元生徒会 【系列/ランク】 超能力系 / A → E相当 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 瞬身(テレポートcase3) → 百舌鳥(アルカウドーン) 【能力効果】 ただの声真似。ただのと言っても能力によるものなので模写は完璧で、人間の耳や機械の音声認識も問題無くごまかせる。 【容姿】 人肌鳥肌羽毛に覆われた身体。両腕が翼。顔の筋肉も釣り上がり、人というよりは猛禽類のそれ。2mを越す体躯でありながら力強く空を飛ぶ。事件前は爽やかな笑顔の似合う好青年だった。 【性格/趣味】 困った者を見過ごせないナイスガイだったのは過去の話。今は一見して言葉が通じるかどうかわからない存在になってしまった。趣味は捕らえた人間を木や避雷針に突き刺しておくこと。人の叫び声を聞くと涙を流して喜ぶ。 【備考】 極普通のテレポーターから華麗に、というか事故で転身。テレポートした先に野生の百舌鳥がいて遺伝子レベルで融合、半人半鳥になってしまう。 能力も変異。使い勝手が良く希少だったテレポートは消失し、声帯模写という微妙過ぎる能力になった。代わりに強靭な肉体と人に劣らぬ知恵を併せ持つクリーチャーとなる。 夜な夜な人を襲っては高いところに晒す恐怖の怪人 【名前】 如月双衝(きさらぎ ふたつき) 【性別】 男 【学年/年齢】 変身前、小1。変身後、大4 /変身前、6歳。変身後、22歳 【所属】生徒会 【系列/ランク】構成操作系 /変身前、E 変身後、S 【科】 変身前、リフィター(非戦闘員) 変身後、アクター(戦闘員) 【能力名】 メタモルフォーゼ 【能力効果】自分の体を一時的に(3分間)成長させ、無敵に近い肉体を再現する。 (老体の場合は若くなり、22歳の肉体だったら普通にパワーアップする) 能力無効、物理無効、筋力増強、反射神経向上 大人時の記憶はショタ時の記憶に反映されない(ショタ時の記憶は大人時に引き継がれる) 一度使うとしばらく使えない。使う度に少しずつ変身後のチカラが劣化していく 【容姿】 変身前 ショタ 変身後 高身長超絶イケメン 【性格/趣味】 変身前 オドオド 変身後 破天荒。肉食系男子(笑) 【備考】 【名前】時雨 静(しぐれ しずか) 【性別】 男 【学年/年齢】 中3 / 15歳 【所属】生徒会 【系列/ランク】 超能力系 E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 無限の内側(メビウス・インターナル) 【能力効果】 思考時間を無限にもつことができる能力。 無限の時間内は考えることのみが可能であり、それ以外のことは能力を解除するまで何も行えない。 器用に途切れ途切れで発動すれば、スロウで相手を見れるかもしれない。それにどう対応するかが問題だが。 【容姿】 ぱっとしないめがね君。目が隠れるくらいの髪の長さ。低身長で痩せ型。制服が好き。 【性格/趣味】 自分に自信が持てない、見た目どおりの引っ込み思案、うだつのあがらない男の子。 【備考】 生徒会では主に情報処理の分野で活躍。 ネタバレ:何かの戦闘に巻き込まれ死ぬ直前に能力を発動、解除した瞬間死ぬのは確定的に明らか。 その無限の恐怖から能力が変化(元からそうだったのかも)し無限の時の中を自由に動けるようになる。 変化後の能力名は無限の外側(アウトサイド・オブ・ザ・メビウス)能力は時間制限のない「ザ・ワールド」そのもの 多分変化後はめがね外して、髪切るかオールバックかな。実はイケメン的な。まあ、悪い人にはならないだろう。 【名前】水瀬 守生(みなせ もりお) 【性別】 男 【学年/年齢】 高2 / 年齢 17 【所属】元生徒会 【系列/ランク】 超能力系 / A → E相当 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 瞬身(テレポートcase3) → 百舌鳥(アルカウドーン) 【能力効果】 ただの声真似。ただのと言っても能力によるものなので模写は完璧で、人間の耳や機械の音声認識も問題無くごまかせる。 【容姿】 人肌鳥肌羽毛に覆われた身体。両腕が翼。顔の筋肉も釣り上がり、人というよりは猛禽類のそれ。2mを越す体躯でありながら力強く空を飛ぶ。事件前は爽やかな笑顔の似合う好青年だった。 【性格/趣味】 困った者を見過ごせないナイスガイだったのは過去の話。今は一見して言葉が通じるかどうかわからない存在になってしまった。趣味は捕らえた人間を木や避雷針に突き刺しておくこと。人の叫び声を聞くと涙を流して喜ぶ。 【備考】 極普通のテレポーターから華麗に、というか事故で転身。テレポートした先に野生の百舌鳥がいて遺伝子レベルで融合、半人半鳥になってしまう。 能力も変異。使い勝手が良く希少だったテレポートは消失し、声帯模写という微妙過ぎる能力になった。代わりに強靭な肉体と人に劣らぬ知恵を併せ持つクリーチャーとなる。 夜な夜な人を襲っては高いところに晒す恐怖の怪人 【名前】生徒A 【性別】 男 【学年/年齢】 高2 【所属】無所属 【系列/ランク】なし/ランクE 【科】戦闘員 【能力名】ジエンドオブザワールド 【能力効果】世界を終わらせるほどの大爆発を起こす あらゆる能力の干渉を受けない 【発動条件】いけにえ:鮮度の高い本マグロの切り身(100g)、セブンイレブンのレシート(30分より以前のものは無効)、 まだ産まれる可能性のある鶏の有精卵、未成年女性の陰毛(採取より二時間以内) 場所:視界内に喫煙者・非喫煙者・処女・童貞・母親、それぞれ一人のみを収めていないと無効 時間:最後にものを口にした瞬間から一時間(誤差5秒以内) 詠唱:常備している漢字辞典に載っている草かんむりのついた漢字を全て思い浮かべる 【容姿】モブとほぼ同じ 【性格/趣味】何かにつけて主人公に絡んでくるが戦闘力が低く、 能力もほぼ発動しないため相手にされない ギャクパート担当 【備考】本名は山田孝彦 【名前】六道 太平(りくどう たいへい) 【性別】男 【学年/年齢】高3/17 【所属】生徒会 【系列/ランク】超能力系/E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】一念五百生 【能力効果】数多の自分が存在する世界を覗き見る事が出来る。見るだけで干渉する事は出来ない。 見る事が出来る世界は自分さえいれば、過去・未来、平行世界、死後の世界や前世・来世、物語や他人の夢にまで及ぶという。 能力の発動時は目を瞑る。意識は別世界に集中しているが、音は聞こえるし触られれば分かる。 本人曰く、360度スクリーンの超リアルな映画を観ている感じ 【容姿】身長は普通で痩せ型。髪型がアシメ。女顔。 【性格/趣味】照れ屋で誰に対しても敬語。真面目だがチキン。某SNS系サイトが趣味。 【備考】この能力の存在を知っているのは学園でも極僅かな人物のみ。戦闘能力は無いに等しい。 世界の規律を乱す危険性が非常に高く、能力を隠す目的でEの判定を受けている。 表向きの能力は「夢で自分の過去を見る事が出来る(この世界に限る)」というもの。 能力効果と能力により見たことを他言する事は学園側から固く禁じられている。 別世界を見るが、それが本当に別の世界なのかは、行ける訳ではないので本人も分からない。 【名前】大江 徳光(おおえ とくみつ) 【性別】男 【学年/年齢】大4/22 【所属】無所属 【系列/ランク】超能力系/E(鬼時→B) 【科】アクター(戦闘員) 【能力名】神便鬼毒酒(しんべんきどくざけ) 【能力効果】とても良い香りで誰もが飲みたくなり、飲めばまた飲みたくなる美味な酒(アルコール度数は非常に高い:日本酒系統) 自分以外の能力者が飲めば、この酒が体に残っている間だけ自らの能力を失う。(アルコールの分解速度は普通の酒と一緒) 自らが飲めば、この酒で酔っている間だけ、体毛が赤くなり、角が5本生え、鬼の力を扱う事ができる。 無能力者が飲んだ場合、潜在的な何かしらの能力に目覚める事がある、らしい。(真相は不明) 神便鬼毒酒は能力で創った瓢箪から無限に湧き出るので無くなることは無い。 【容姿】痩せ型で背も低め。適当な服に、腰には瓢箪。絶世の美青年だが、いつも酒ビン(普通の酒)片手に酔っている。アル中。 【性格/趣味】笑い上戸で泣き上戸で怒り上戸。非常識。嘘が大嫌い。 4歳で高校生程度の知能を持っていた所謂、天才。現在IQは156以上(酔っていた為、正確な計測が出来なかった) 趣味は酒宴。宴会を開いていると、いつの間にか現れ勝手に楽しく呑んでいる。 【備考】素面を誰も見たことがない。小学校の頃の友達でさえ「あの頃から酔っていた」と話す。酒を呑んでいれば幸せな人。当然ザル。 【名前】 御手洗 大(ミタライ マサル) 【性別】 男性 【学年/年齢】 --- 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 --- 【能力効果】 くしゃみをすると周囲の人間の便意を強烈に刺激し、最悪脱糞に至らしめる能力。 【備考】 ウンコしたくなったら戦闘どころじゃなくなる件。 【名前】工藤 真緒(くどう まお) 【性別】女 【学年/年齢】 高1 / 15 【所属】陸上部 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】地翔け(アベストゥルース) 【能力効果】走るための身体強化のみに特化。停止した状態から一瞬で時速60kmにまで達する。 【容姿】 肩口まで伸びた黒髪。前髪が邪魔にならないようにピンで留めている。登校休日問わずジャージ着用。伏し目がち。 【性格/趣味】極度の恥ずかしがり屋で人に注目されたり派手な服装(肌の露出が多いもの等)を着るのを避ける。制服のスカートにも嫌悪感を示す。 しかしながら大雑把な面も持ち合わせており、たまにスカートを穿いた時などはパンツが見える危険性を配慮しないアクションをかます。 【備考】 陸上部に所属しているがもちろんそこでは能力を使わない。ただ走るのが好きなだけ。 使わないとはいえ能力のせいで公式な記録は残らないがそれでも元々足が速い。 部活なんてあるか知らないけど暫定的に所属 【名前】岩崎 真也(いわさき しんや) 【性別】 男 【学年/年齢】 高3 / 年齢 18 【所属】無所属 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】 弔心(クリサンテーモ) 【能力効果】 念動力。生物に作用しにくい代わりに無生物に対しては特に大きな力が働く。 例えば全力を賭けてようやく人間の小指の骨を折ることが出来るところを、バスに向けてそれと同じだけの力で能力を使用した場合ぺしゃんこにしてしまう程の差がある。 【容姿】 細目。バンダナを巻いた金髪。身長に対して若干痩せ気味。 【性格/趣味】 守銭奴。ただ金銭に執着はあるがその稼ぎ方は自らの命を省みないものがほとんど。 彼にとって生きることとは金銭を手に入れることの喜びと達成感だけ。 【備考】 特に壮絶な過去があるわけでもないのに異常と言わざるをえない程の守銭奴っぷり。 いわく「金が無いのは死んでるも同然」。 【名前】釈 晴彦(しゃく はるひこ) 【性別】 男 【学年/年齢】 高3 / 18 【所属】 風紀委員 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】奪眼(カラミターレ) 【能力効果】効果範囲内のすべての視線を奪う能力。 発動中は彼から決して目を離せなくなる。 【容姿】清潔感溢れる爽やかイケメン。背骨が右に2゚傾いていることだけが“唯一”の欠点。※ただし外見に限って言えば 【性格/趣味】若干クールを気取る節がある以外、特に人間社会で生活することに何の弊害も無い人間性を持つ。 だ が 重 度 の シ ス コ ン 。 妹からお兄ちゃんと呼ばれるたびに歓喜に震えるが、同時に兄妹という越えることのできない壁を実感して落ち込む忙しい人。 クールを気取っているため露骨に妹を愛でることはないが、端から見ていると溺愛ぶりが見え隠れして少し恥ずかしい。 【備考】好きな異性のタイプは妹。妹っぽい人、ではなく“妹”。 妹の能力とのコンビネーションは強力で“決して誰の視線にも留まらなくなる”急造の暗殺者に早変わり。 妹にたかる羽虫どもを体よく払い除けるためだけに風紀委員への所属を決めたバカ。 【名前】鈴村 千鶴(すずむら ちづる) 【性別】 女 【学年/年齢】 高1 / 15 【所属】無所属 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】覗き魔(ズビルチャータ) 【能力効果】ぶどうの房のように眼球が連なった空飛ぶ化け物を作り出す能力。それらの眼球はすべてが脳とリンクしており、その瞳の映したものが見える。 眼球は各個切り離すことが出来る。破壊されてもダメージは無く何度でも再生・増殖が可能。 グロテスクな見た目もある意味武器。物理的な攻撃力は皆無。 【容姿】黒髪のストレートで古風な髪型。スタイルは良い意味でスレンダー。盲目。 【性格/趣味】線が細く病弱な深窓の令嬢、というのは周囲の認識。 盲目というハンデに負けない強い人だと思われているが、むしろ能力のおかげで常人以上によく見える。 覗きが趣味で人の秘密を知ってはほくそ笑む。プライバシー(笑) ただそれで脅したりはせず、自分の心の中にしまい込む。反撃の恐ろしさを知っているからだ。 自分に出来ることと出来ないことを熟知し、出しゃばることをしない。腹黒いわけではないが打算的。 自分の能力をグロカワイイと愛でるナイスセンス。 【備考】能力の発現と同時に視力を失った。『“能力があれば目はいらない”と身体が判断したからでは』というのが研究者らの見解。 学校の中庭の木に知りたいことを書いた紙を吊しておくと、翌日にはその答えが書かれているという噂が囁かれているが真相は謎。 【名前】牧原 咲(まきはら さき) 【性別】女 【学年/年齢】高3 / 17 【所属】無所属 【系列/ランク】構成操作系 / E 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】六槍(アルバルダ) 【能力効果】一突きで六度刺す魔槍を具現化する能力。 槍の一+能力の五の計六。 槍の一突きから最大で一尺離れた位置に能力による二突き目を。同様に三、四、五、六と“前の突きから”一尺以内に撃ち込む。つまり最長で一突き目から六つ目の突きまで約1.5m離すことが出来る。 説明上撃ち込む箇所は順に定めることとしているが実際に撃ち込まれるのはすべて同時。 わかりづらいね。 【容姿】腰に届く白髪の三つ編み。スラリと伸びた手足のモデル体型。引き締まった腹筋が自慢の見せたがり。 【性格/趣味】竹を割ったような豪快な娘。ツライことも大口を開けて笑い飛ばせるサッパリした性格。 幼い頃から槍術を磨くためにたびたび祖父とともに山篭もりしていた。 出席日数が足りないと学校から何度も注意されていたところに能力の発現が確認され、これはラッキーとばかりに島にやってきた。 【備考】人を傷つけるために腕を磨いたわけではないと能力の使用を躊躇う。 槍術の腕は達人のそれで、棒を持つだけで並の能力者なら圧倒できるレベル。 【名前】 蒼海力 【性別】 男 【学年/年齢】 大1 / 19 【所属】無所属 【系列/ランク】 構成操作系 / E 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】 至高のマッスルポイント 【能力効果】 身体の一部に筋力を集め打撃の威力や防御を一時的に強化する 【容姿】 サラサラのロングヘアーにムキムキのボディ 顔は爽やか 【性格/趣味】 暑苦しくなく実に爽やかな性格をしており知的である(ムキムキだが) 趣味は筋トレと読書 その鍛え上げた肉体は一部の筋の人達からは尊敬され、また一部の人達から恐怖されている 夢は筋肉に関する論文を発表することであり能力発現については異常に喜んでいる(いろいろ調べれるためらしい) 【名前】藤崎 秀樹(ふじさき ひでき) 【性別】男 【学年/年齢】 大1 / 19 【所属】ボクシング部 【系列/ランク】 超能力系 / E 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】一打再現(マニアート) 【能力効果】与えたダメージを一度だけ再現する能力。 たとえば相手の顔面を殴り飛ばした場合、同じ箇所に任意のタイミングで再び同等のダメージを与える。 能力は武器を用いても適用される。 【容姿】天パ。三白眼。細身ながら筋肉質。 【性格/趣味】人の意見に耳を貸さない猪突猛進。 典型的な口より先に手が出るタイプ。 ボクシングは島に来る前から続けている。ちなみにベタ足のインファイトが持ち味。 【備考】ダメージ効率が単純に倍になる能力。たぶん不便。 【名前】初音(はつね) ランカ 【性別】女 【学年/年齢】高1/16 【所属】軽音学部 【系列/ランク】超能力系/E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】至高の歌姫 【能力効果】 万人に愛される歌をうたう事が出来る。発動は任意 能力発動時の歌声は、どんなツンデレさんでも「初音ランカちゃん萌え」等と言った趣旨の発言を叫んでしまうレベルで、味方が強くなったりもする 【容姿】 158cm/42kg 髪は水色のボブカット 【性格/趣味】 アイドル歌手を目指す女の子。科学の限界を越えてやって来た超時空シンデレラ(自称) 能力を使えば簡単にトップアイドルだが、あくまで自分の実力で成りたいと思っている。今日も地道に路上ライブ 幼少期に家族を失っているが、その時の記憶はない 好物はネギ 【備考】 完全オリジナルキャラです 元ネタになったキャラなんていません 【名前】氷室 清(ひむろ せい) 【学年/年齢】 大3 / 21 【所属】自警団 【系列/ランク】自然能力系/E 【科】アクター(戦闘員) 【能力名】氷雨針(ひさめばり) 【能力効果】細い氷の針を創り出して射出する能力、人差し指と中指で針を挟んで対象に向けて放つ 針の長さは15cm程で超高速で放たれる。視認できない程細い上、たとえ見えても通常の身体能力で回避するのは非常に困難 体に刺さっても痛みはなく血も出ない、かわりにその大きさからは考えられない規模の冷気を体内に流し込むので、 敵に何本も撃ち込むことで内側から身体機能を低下させることができる。 一撃一撃の威力が小さいため舐めてかかると、最悪の場合相手は全身に凍傷を負うことになる 針は一本ずつしか創り出せないが、射出した直後に次の一本を一瞬で創れるのでまあまあ使い易い 常軌を逸して硬いものに刺すには、更に硬度を上げる必要があり、そうすると少し疲れる 【容姿】背筋がしゃんと伸びた長身のハンサムガイ(≠イケメン) 終始偽りの笑顔を貼付けているが氷のような冷たい眼だけは決して笑わない 白スーツがよく似合い、色付き眼鏡(伊達)をかけている。 懐にはチャクラムを大量に所持していてこれがメインウェポン 【性格/趣味】爽やかな外面とは裏腹にその内面は冷酷で狡猾、卑怯な下衆野郎 能力でいたぶるだけいたぶってから相手にとどめを刺すなどあらゆる行動に性格が滲み出る。 戦闘が大好き。というのも自分を見くびって戦っていた相手が急に身体の自由が利かなくなり、 自分に負ける瞬間の屈辱と驚愕の表情がクセになってしまったためである 戦闘スタイルは始めは専ら能力を隠しチャクラムで戦う。この時チャクラムの刃を人差し指と中指で挟んで投げることがあるが これは同時に氷雨針を撃ち込んでいるからで、チャクラムに気を取られている相手はより速い速度で放たれた氷雨針に気付かず次第に弱っていく 自警団に所属しているのも一番戦う機会が多そうだから、というだけであって島の治安を守ろうなどという気はさらさらない このように利害の一致的な理由で所属しているのでたまにそれが一致しないことがあれば氷室本人が自警団に摘発されかねない問題を起こすこともある 能力は弱いが単純戦闘能力が高く、頭も切れるので戦い方によってはAランクをも凌ぎうる 【備考】たまには武器に重きを置くキャラを 【名前】小羽戸 ハル(こばと はる) 【性別】 女 【学年/年齢】 高1 / 16 【所属】無所属 【系列/ランク】構成操作系 / E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】化けの皮(スコルツァ) 【能力効果】能力の皮で身体を覆って変身する能力。 体格を無視した変身が可能。感覚としては着ぐるみに近い。 一度でも相手の身体に触れればその化けの皮を生成できる。再現度は五感だけでは決して見破られないレベル。 人間はもちろん、動物や昆虫の皮も生成可。皮とは比喩であり外見の意味。 一度触れてしまえばストックに際限は無い。 他者に対しても有効で、触れることで化けの皮をかぶせることができる。 皮は僅かに傷がついただけで消滅してしまう。皮の強度は複製元に依存する。 【容姿】短い黒髪を二本に結ったツインテ風味。ふにゃっとした笑顔。行動がそそっかしい。小動物系。 【性格/趣味】基本的な考え方はしっかりしているが極度のマイペース。焦るのは取り返しがつかなくなった後だけ。 演技が好きで将来はその道に進みたいと考えている。 実際に演技力は目を見張るものがあり、それは能力の行使にいかんなく発揮される。 自分じゃない誰かを演じるのが楽しくて仕方がなく、能力の訓練・演技の勉強と称してよくイタズラまがいのことをしている。 【備考】能力は見た目、声、肌質などを完璧に再現。 見破られる原因としては話し方、動き、視線の移動などの本人独特の癖。会話の切り返しや反応などの人格的な差異。 相手の洞察力が鋭かったり違和感に敏感だったりすると一目で見破られることもある。 どちらにせよ長時間騙し続けることは不可能。 ただし皮の元になった人の顔しか知らないような相手であればまず看破されない。 【名前】雪橋 威吹(ゆきはし いぶき) 【性別】男 【学年/年齢】高2 /16 【所属】無所属 【系列/ランク】超能力系 / E 【科】アクター(戦闘員) 【能力名】オハン=シールド 【能力効果】使用者の心の叫び(強い意志)に呼応してレベルの上がる板状のバリアを張る能力 基本状態では強度もそこそこ、サイズは人一人隠れる程度で一度に一枚しか行使出来ない レベルを上げる程強度も上がり、限界サイズも大きくなり、同時に展開出来る枚数も多くなる なぜランクがここまで低いのかというと、この能力は『叫び』により際限なくレベルを上げることが出来るが、 あまり意志を強く込めすぎると使用者がバリアとシンクロしてしまい 体にバリアで受け止めた攻撃ダメージの一部が流れてしまうという本末転倒な特性を持つからである (レベルが高い程シンクロ率も高く、流れるダメージも多くなる) このため、使用者はシンクロしない臨界点を探りながら使うしかなく、必然的に強度を思い切り上げることも躊躇われる 要するに宝の持ち腐れ。超強度、超大量、超巨大なバリアを張ると逆に使用者がボロボロになってしまう ちなみに上位Aランクの攻撃を防げるレベルの強度の時、シンクロ率はダメージの1/4が使用者に流れるぐらいの程度 【容姿】制服をだらし無く着崩した男。平均身長より若干低い 長い髪を後ろで一つに束ねている 少しツリ目気味 歩く時は基本両手はポケットの中 【性格/趣味】快楽至上主義者、今が楽しければ全てよし。今日出来ることは明日やる 三段論法を多用する(「今日はいい天気だ、つまり絶好の昼寝日和。ってな訳で授業サボるわ」) 自分の弱さは重々承知しているので能力を本気で使い、あえて傷つこうとすることはない 普段はチャラけた態度を取っているが、男として『強くあること』に挫折した過去を持ち、無自覚に強者に対し畏敬と等量の嫉妬を抱えている 快楽に逃げるのも自分の限界が思い知らされるのを無意識に恐れているため 自分では『強くなりたい』などという願いなどとうの昔に捨てた子供染みた夢想だと割り切っているつもりだが 心の奥深い所、深層心理では未だに強さへの憧憬が燻っている 【備考】主人公の相方的ポジションをイメージして創った。 どんどん強くなる主人公に置いてかれることを苦悩したり…… 果たして彼が漢になれる日は来るのだろうか。 【名前】南雲 貴理衣(なぐも きりえ) 【性別】女 【学年/年齢】高1 / 15 【所属】生徒会(研究機関) 【系列/ランク】構成操作系 / E(→C相当) 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】鮮血爆弾(デフラグランテ) 【能力効果】血液を火薬のように爆発させる能力。自分の血液であれば体外に零れ落ちていようと任意で爆破可能。 他者の血液でも自分の身体に触れていれば望む規模で狙った位置を爆破させられる。 【容姿】肩まで伸びた黒髪を、腰まで届く長い紐で結ってポニーテールにしている。 左手首の包帯。均整のとれたプロポーション。フリフリのランジェリー。 【性格/趣味】生後間もなくして身寄りが無くなり本島の施設に拾われて育てられる。 しかしそこは能力者を集めて育成する非合法の機関であったため、学園から派遣された能力者らによって破壊された。それが8歳の時。 一人逃げ延びた貴理衣は学園への復讐を誓うが行き倒れる。そこを三滝に拾われる。 三滝の気まぐれで能力の指導が始まったが、施設での訓練で作られた土台と生まれ持った才が相俟って目を見張る成長を見せた。 12歳になった時、三滝の口利きで学園に入る。計画が成功すれば学園に復讐出来ると信じて。 性格は直情的。他人を信じない。なまじ優秀な分、何でも一人でやろうとする。 優しくされると懐く。三滝には感謝しており頭が上がらない、というか引っついて甘えっぱなし。 趣味は下着集め。用途がアレな下着を見つけては悶々とする。基本的にはカワイイのが好き。 【備考】まさに全身爆薬。戦いが長引いて傷を負えば負うほど有利な戦場になっていく。 能力測定では仇に値踏みされるのが嫌で全力で手を抜いた。学園のデータベースには『自身の体内の血液を爆発させる能力』として記録されている。 生徒会へは情報収集のためだけに入った。何か疑われている気がしないでもない今日この頃。 【名前】利根川 豊(とねがわ ゆたか) 【性別】男 【年齢】22 【所属】研究機関(自警団) 【系列/ランク】超能力系 / E 【科】 アクター(戦闘員) 【能力名】過負荷(フォルデロ) 【能力効果】対象に負荷をかける能力。全体か一部かの選択が可能。効果は重複する。 対象をとる方法は、 1.目視して手をかざす 対象は1つで、負荷の強さが調整出来る。下記の2.との併用も可。 2.殴る 複数対象可。殴った時点で負荷の強さを設定し変更することは出来ない。また時間の経過とともに負荷は弱まっていく。 以上の二通り。 例えば人間が対象になった場合、大リーグ養成ギブスを付けられたような負荷がかかる。何この例え。 戦闘においては敵の行動の抑制に。日常においては適度な負荷をかけることで身体を鍛えることが出来る。 【容姿】金色に染めた短髪。サングラス。細マッチョ。 【性格/趣味】気さくな兄貴分。厳しくもあり優しくもあり。 能力柄サポート専門だが、タイマンに限り一発殴れば後は動けない相手をフルボッコに出来る仕様。 高校時代に自警団で組んでいた友人を死なせてしまったことを後悔している。 自警団に入団した兵藤歩の教育係。無鉄砲をたびたび叱るが直す様子が無い歩に呆れ気味。 本職は研究機関の警備員で、自警団の仕事には学生時代の延長で関わっている。 【備考】いつものように何も考えないで真っ向から攻撃を仕掛ける歩を守って死ぬ。 守 っ て 死 ぬ 。 【名前】小野 運河 (おの うんが) 【性別】男 【学年/年齢】高1/ 年齢16 【所属】 無所属 【系列/ランク】 超能力系/E 【科】 リフィター(非戦闘員) 【能力名】 確率逆転(アンチギャンブラー) 【能力効果】 自分を中心とした半径5メートル程度の球空間内の確率を逆転する。 能力は普段から発動準備万端で、「かわれ」と思うだけで変わる。一日に数回使用可能。 無意識下での能力発現は無制限であり、自分で予期できない。 逆転する割合が多いものは変えられない場合が多く、不発になる。 ↑限りなくゼロパーセント、例えば健康体の人間がいきなり心停止で死ぬ確率などは変えられない。 【容姿】 長めの茶髪、特徴なし。 【性格/趣味】 趣味、というか習慣は朝の占いを見ること。 順位が上であればあるほどその日は若干強気になる。ちなみにいて座。 基本的には周りを客観視できる冷静さを持っている。 ↑普段から何が起こるかわからないのでこうならざるを得ない。 【備考】 一人称俺。 口癖は「この世に絶対なんてない」「これは事故だ」 【名前】蓮園 蓮(はすぞの れん) 【性別】男 【学年/年齢】中1/13 【所属】無所属 【系列/ランク】超能力系/E 【科】非戦闘員(リフィター) 【能力】コラージュビーンズ 【能力効果】口から粘着性の強い種みたいなものを発射し、ぶつける 【容姿】パッとしない、眠そう 【性格/趣味】内気でネガティブ 趣味は植物の種の臭いを嗅ぐこと 【備考】 吐き出した種みたいなものはひっつくとクレーターのように形成される。だいたい特殊メイクのようなイメージ。 その見た目は蓮コラそのもので、喰らった人によっては盛大に吐く。 【名前】椿 氷無(つばき ひな) 【性別】女 【学年/年齢】高2 / 16 【所属】風紀委員会 【系列/ランク】構成操作系 / E 【科】リフィター(非戦闘員) 【能力名】アンチ・ソリッド 【能力効果】彼女の周囲ではモノを固化させることができなくなる。さらに言うとその場に新たに『固体を創る』ことができなくなる この能力の発動は使用者の任意で行え、効果範囲も調節可能 物理的な現象、例えば液体を凍らせ氷を作るというようなことは勿論、 能力を使って武器を召還したり周囲の物体を変形させ、別の固体にすることも不可能 上記のように能力で新たな固体を創ろうとすると、一瞬その形をとるかとらないかの内に霧散する この能力の及ぶ範囲外から物理的に固体を運び込むことは可能だが、最大効果範囲はかなり広め ちなみに召還の場合は効果範囲内にその召還したい物体があっても、目の前に呼び出すことはできない 限定的ではあるが能力無効化であり一部の能力者にとっては相性最悪の能力 【容姿】黒髪ロングヘア、メタルフレームの眼鏡、目元は涼やか、微乳 足が長くて美脚 【性格/趣味】クール。見た目、性格、話し方、どれをとってもひたすらクール。テンプレ通りのクール 能力の使い勝手が悪いのであまり現場には出ず、おもに事務処理担当 起きた事件と相性がよい時だけ現場に呼び出される 自分のキャパシティをわきまえていて、でしゃばることをしない。自身のすべき事はしっかりとこなす インスタントコーヒーが好き。本当はブラックが一番好きだが、諸事情につきミルクたっぷりで飲んでいる 【備考】諸事情は御察しの通りです