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饒舌り過ぎる 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)奉行職《ぶぎょうしょく》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)野|十太夫《じゅうだゆう》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12] ------------------------------------------------------- [#6字下げ]一[#「一」は中見出し] 奉行職《ぶぎょうしょく》記録所《きろくじょ》の役部屋へ、小野|十太夫《じゅうだゆう》がはいって来る。彼は汗になった稽古着《けいこぎ》のままで、ときには竹刀《しない》を持ったままのこともある。 「おい土田」と十太夫はどなる、「今日は帰りに一杯やろう、枡平《ますへい》へいこう、いいな」 それから四半|刻《とき》もするとまたやって来る。やっぱり稽古着のままで、額に汗が光っている。 「枡平はよそう、土田」と十太夫はどなる、「あそこは気取ってて面白くない、袖《そで》町のよし[#「よし」に傍点]野で一杯やろう、いいな」 また或る日は、やはり汗になった稽古着のままとび込んで来る。汗止めもそのまま、片手で袴《はかま》を掴《つか》んで、湯気の立っているような顔で、せいせいと荒い息をしている。 「おい土田」と十太夫はどなる、「まだ終らないのか、まだ仕事があるのか」 土田正三郎は黙ったまま、机の上をゆっくりと手で示す。まだ仕事の残っているときは、机の上には書類や帳簿がひろげてあり、硯箱《すずりばこ》の蓋《ふた》があいてい、彼の手には筆が握られている。仕事がもう終っていれば、そこには書類も帳簿もないし、硯箱には蓋がしてあるし、机の上はきれいに片づいている。 「よし、道場へ来てくれ」と十太夫は片づいている机の上を見てせきたてる、「ちょっと道場へ来て相手になってくれ、癇《かん》が立ってしようがないんだ、一本でいいから相手になってくれ、さあいこう、おい、手っ取り早くしてくれよ」 そこで土田正三郎は立ってゆく。道場は三の丸の武庫の脇にあり、刻限のまえなら門人たちがいるし、刻限過ぎでも次席の安川大蔵がいて、土田が稽古着になるのを助ける。早く来いよ、と十太夫がせきたてる。いつまでかかるんだ、手っ取り早くしろよ、じれったいな、などと云って足踏みをし、少しのまもじっとしていない。土田はすっかり道具をつけるが、十太夫は素面《すめん》素籠手《すこて》である。というのは、打ち込むのは十太夫で、土田は受けるだけだからだ。 「さあ」十太夫は竹刀でびゅっと空を切って叫ぶ、「ゆくぞ」 土田正三郎は竹刀を青眼にとる。まだ門人たちがいる場合は、羽目板際に並んで見ているし、安川ひとりのときは、彼だけが祭壇の下に坐ってこの稽古を見る。十太夫はするどく絶叫し、大きく踏み込んだり、脇へとびのいたり、また土田の周囲を敏速に廻ったりする。絶叫の声は道場ぜんたいの空気をつんざくように聞えるし、床板はいまにも踏み破られそうに悲鳴をあげる。このばかげてやかましい物音と、眼まぐるしいほどの十太夫の動作に応じて、土田は竹刀を青眼につけたまま、ゆっくりと躯《からだ》の向きを変え、つねに十太夫と正対するようにした。このあいだに幾たびか、十太夫は「引き太刀《だち》」という秘手をこころみる。十太夫自身のあみだした技《わざ》で、この手にかなう者はないと定評がある。だが土田正三郎だけはその手にのらず、一度も打ちを取られたことがない。やがて十太夫は汗まみれになり、肩で息をしながら竹刀をおろす。 「これまでだ」と十太夫はどなる、「汗をながして来るから待っていてくれ」 十太夫が出てゆくと、安川大蔵が立って来て、土田が稽古着をぬぐのを助ける。面《めん》をとると、土田の顔にも汗の滲《にじ》んでいるのがわかる。 「三度めの引き太刀は凄かったですね」と安川が云う、「てっきり一本と思いましたよ」 土田はなにも云わない。 「私にはどうしてもあの手が避けられません」と安川は云う、「ずいぶんくふうしてみるんですが、どうしてもだめですね」 「そう思いこんでるだけさ」と土田が静かに云う、「腕は五分と五分だよ」 「私がですか」 土田は黙って微笑し、安川の肩をそっと叩く、そこへ十太夫が、着替えた袴の紐をしめながら出て来て、さあ帰ろう、なんだまだ汗も拭かないのか、早くしろよとせきたてる、といったようなことが、月に二度か三度は必ずあった。 おかしなことだが、小野十太夫がそんなふうにおちつかなくなるのは、土田といっしょのときに限っていた。ふだんでもどちらかというと気の早いほうだが、土田といっしょにいるときほどせっかちで、こらえ性のないような例はなかった。また土田正三郎も平生はもっと話をするし、動作や挙措《きょそ》もまわりの人たちと変ったところはなかった。それが十太夫といっしょにいるときだけは、まるで人が違ったように無口になり、することが鈍重になるのであった。しかも二人は「寝るとき以外ははなれたことがない」と云われるほど仲がよく、十太夫が念流修業のため江戸へいっていた三年間をのぞいて、およそ五歳のときから二十六歳になるまで、一日として顔を合わさない日はなかったのである。 土田の父は正兵衛といって、四百石あまりの中老。正三郎はまだ家督を取っていないが、奉行職記録所の頭取心得《とうどりこころえ》を命ぜられ、役料十人|扶持《ぶち》を貰っている。長島藩は三万八千石、城代家老の忍田外記《しのだげき》でさえ五百石とちょっとだから、土田の四百石は高禄の内にはいる。正三郎は一人息子で、妹が一人あったが、これは十二歳の年に死んだ。母親のなほ[#「なほ」に傍点]は忍田氏の出であるが、との忍田は城代家老の分家であり、跡継ぎがないため絶家になっていた。――小野十太夫は近習頭《きんじゅうがしら》で百三十石、二十二歳で剣術道場を預かり、二十五歳で師範になった。まえの師範は柳川又左衛門といって、やはり念流を教えていたが、家職は書院番であったし、四十歳を越すころから国学に凝《こ》りだして、剣術の面倒をみるのがおっくうになったのだろう、師範の役を十太夫に譲ったうえ、自分は隠居してしまった。 小野と土田の家は、まえには隣りあっていた。土田は敷地も広く建物も広く大きく、小野は小屋敷であったが、ごく幼いころから二人は仲がよかった。としは同じで、隣り同志だから絶えず往き来をしていたが、一度も口論をしたことがないし、十太夫のほうがおとなびて、なにごとによらずあにきぶっていた。それは彼が早く父親に死なれ、十六歳で家を相続するという、困難な境遇にもめげなかった性格のあらわれであったかもしれない。――十太夫にはせい[#「せい」に傍点]という母親と、亀二郎《かめじろう》という弟がいた。彼は少年ながら家職を勤め、母親に仕え、剣術に励みながら、自分で弟を浅間家へ養子にやる奔走までした。このあいだも土田との往来はずっと続いていたのだ。――十太夫が家督をするまえ、米町の民家から出た火が武家町まで延焼し、御蔵の辻の小屋敷三十数棟を灰にしたのち、小野の家で焼止った。幸い土田は無事だったが、小屋敷はところ替えになり、小野は的場下へ移された。そこは武家町の殆んど端に近いので、そのため土田へゆくにはお城の大手をまわって、煙硝蔵《えんしょうぐら》のある二の丸下まであるかなければならなかったが、それでも一日に一度は必ず、どちらかが訪ねあうのであった。 かれらが二十六になった年の十一月、雪の降る日のことだったが、下城の刻のちょっとまえ、例のように、記録所へ十太夫が走りこんで来た。もちろん、例によって汗まみれの稽古着である。 「おい、土田」と十太夫がどなった、「まだ終らないのか」 土田正三郎は机の上へ手を振ってみせた。そこはきれいに片づいており、硯箱にも蓋がしてあった。 「よし、帰りに袖町のよし[#「よし」に傍点]野へゆこう」と十太夫がどなった、「雪見酒をやろう、よし[#「よし」に傍点]野で雪見酒をやろう、いいな」 まわりにいた下役たちは、それぞれの机の前で、にやにやしながら眺めていた。十太夫はとびだしてゆき、すぐに戻って来た。 「おい、土田」と十太夫はどなった、「よし[#「よし」に傍点]野はだめだ、あそこでは雪なんか見えやしない、今日は枡平にしよう、気にいらないが枡平なら雪が見られる、いいな、枡平だぞ」 半刻のち、二人は枡平の座敷にいた。そこは天神山の丘を背にし、前に芝野川の流れる広い眺めがあった。そのあたりには富裕な商人の隠居所や、藩の重臣の別宅があり、枡平はただ一軒の料理茶屋で、三人きょうだいの評判娘と、代銀《だいぎん》の高価なことで知られていた。客はおもに中以上の侍たちで、金まわりのいい商人たちも来るには来るが、侍客のあるときには遠慮して、小さくなって飲み食いするというふうであった。――正三郎と十太夫がいったときには、まだ時刻が早いのでひっそりしていた。大きな手焙《てあぶ》り二つに、炭火をいっぱい盛って、障子はあけ放しのまま、雪を眺めながら飲みだした。肴《さかな》は鶉椀《うずらわん》に鴨が主で、甘煮《うまに》にはきのこ[#「きのこ」に傍点]が三種はいっていた。初めに案内したおわか[#「わか」に傍点]という女中が、二本めまで給仕に坐った。 「どうなすったんです」とおわか[#「わか」に傍点]は土田に訊《き》いた、「ずいぶんお久しぶりじゃありませんか、ほかにいいおうちができたんですか」 土田は黙っていた。 「いいうちができたのさ」と十太夫が答えた、「もっと安くって美味《うま》い物を食わせて、あいそのいいきれいな女のいるうちがね」 「へえ」とおわか[#「わか」に傍点]はとぼけた顔で云った、「袖町あたりにそんなうちがありましたかしら」 「袖町とはなんだ」 「このごろずっとよし[#「よし」に傍点]野がごひいきなんでしょ、あのうちはとしより夫婦に小女《こおんな》がいるだけの筈ですけれどね」 十太夫は咳をして云った、「袖町ではよし[#「よし」に傍点]野だけが呑み屋じゃあないぜ」 「とするとどこでしょう」おわか[#「わか」に傍点]は首をかしげた、「小花かしら、千石かしら」 [#6字下げ]二[#「二」は中見出し] なにを数えてるの、と云いながら、この家の娘おみの[#「みの」に傍点]がはいって来た。三人きょうだいのいちばん姉で、としは二十二。背もいちばん高いし、ぜんたいがおっとりしていて、いつか十太夫が土田に、女でも総領の甚六《じんろく》というのかな、と訊いたことがあるし、妹の二人はかげで「ぐず」と云っているそうであった。二女はおきぬ[#「きぬ」に傍点]、三女はおしん[#「しん」に傍点]。十八と十七であるが、十太夫たちの座敷にはめったにあらわれない。土田正三郎と小野十太夫は姉のもの、ときめているためだという。 「だめだ、だめだ」十太夫は無礼にもおみの[#「みの」に傍点]に手を振った、「おれたちは二人で雪見酒をやってるんだ、おわか[#「わか」に傍点]もいってくれ、おれたちの邪魔をするな」 「いいわよ」とおみの[#「みの」に傍点]は二人のあいだに坐り、徳利を取って土田に酌をした、「――あたしだって雪見酒をするんですもの、わか[#「わか」に傍点]ちゃん、こっちへお酒とお燗《かん》の支度を持って来てちょうだい」 「おれたちは」と十太夫がまじめに云った、「人に聞かれたくない相談があるんだ」 「ようござんすよ、百日以上も待ってたんですもの、はいお一つ」 「勘のにぶいやつだな」十太夫は酌を受けながら、露悪的な口ぶりで云った、「おれはおまえが嫌いだ、土田もおまえが嫌いなんだ、二人ともおまえが嫌いなんだぞ」 「そんなにひとをおだてないで」 「よく聞け、いいか」 「お酌して下さらないの」おみの[#「みの」に傍点]は盃を取って云った、「きれいな雪だこと」 土田正三郎がおみの[#「みの」に傍点]に酌をしてやった。十太夫は土田を睨《にら》み、おみの[#「みの」に傍点]を睨んだ。 彼女は二人の恋人だったのだ。十太夫が念流の修業から帰ったのは二十一歳のときで、その帰国祝いに、二人は初めてこの枡平へ来、おみの[#「みの」に傍点]の給仕で小酒宴をたのしんだ。そして十太夫は一遍でおみの[#「みの」に傍点]が好きになり、せっせと枡平へかよいだした。枡平は勘定の高いので有名だから、三日にあげずというわけにはいかなかったが、少なくとも七日に一度ぐらいは、休まずにかよいつめた。さそうのも十太夫であり、勘定も十太夫が払った。土田が心配すると、十太夫は笑って「じつは内職をしているのだ」とうちあけた。富裕な商家の息子とか、家中《かちゅう》の裕福な家の伜《せがれ》などに、内密で稽古にかよい、毎月それから謝礼を取るのだそうである。土田はそうかなと首をかしげたが、おそらく事実だろうと思った。それから二年のち、――十太夫はおみの[#「みの」に傍点]が土田のほうに好意をよせている、ということを感づいた。土田もまたおみの[#「みの」に傍点]が好きらしく、そう気づいてから注意してみると、二人がひそかに意中をしめしあうようなそぶりをする。紛《まぎ》れなしと認めたから、或るとき土田に本心を訊いた。土田はびっくりし、口をあけて十太夫の顔を見まもり、ついで微笑しながらそれは逆だと答えた。慥《たし》かに自分はおみの[#「みの」に傍点]が好きだが、おみの[#「みの」に傍点]は十太夫にのぼせている。だから自分はなるべく二人の邪魔をしないようにしているのだ、と云った。嘘ではないらしい、それならおみの[#「みの」に傍点]の気持を訊いみようということになった。おみの[#「みの」に傍点]の答えは、「お二人とも同じくらいに好き」だというのであった。土田さまも好きだし小野さまも好き、どちらがどちらよりも好きだと比べることはできないし、お二人をべつべつに考えることもできない、と困ったように告白した。面倒くさいことになった、男二人に女一人ではどう片づけようもない、暫くこのままでようすをみよう、と十太夫が提案した。三人の気持が変るのを待とう、というわけであろう。そのときおみの[#「みの」に傍点]は十九で、そろそろ縁談が断われなくなっていたが、「ぐず」と云われるにしては芯が強く、やんわりと躰《たい》を躱《かわ》してきた。心の中ではひそかに、十太夫か土田の嫁になるつもりだったらしい。二人のほうでも三者の気持のおちつきようで、おみの[#「みの」に傍点]を妻にしてもいいと思っていたのだが、この三|竦《すく》みの関係はまる三年、つまり今年の春まで続き、十太夫がはらを立ててしまった。 ――こんな子供じみた、通俗な、ばかばかしい話があるか、と彼は云った。おれも土田もおみの[#「みの」に傍点]も呆《あき》れ返ったやつだ、もう打切りにしよう。 こうして十太夫たちは枡平を避けるようになったのだ。酒が飲みたくなれば、袖町とか米町などの気楽な店で、町人たちにまじって飲み、家中の祝儀不祝儀でやむなく枡平へあがらなければならないときでも、おみの[#「みの」に傍点]とはできるだけ接近することを避けたし、おみの[#「みの」に傍点]もまたしいて二人に近づこうとはしなかったのである。 「さあ、相談があるならなさいな」おみの[#「みの」に傍点]は五つめの杯を啜《すす》りながら云った、「まさか謀反《むほん》の計略でもないでしょ、あたしは雪を見ていますから」 「強情なやつだな」と云って、十太夫は土田を見た、「――まえから話そうと思っていたんだが、どうだろう土田、机の上の仕事なんか誰にだってやれる、この辺でおれといっしょにやる気はないか」 土田正三郎は十太夫を見て、静かに眼を細めた。 「そうさ、剣術だよ」十太夫は一と口飲んで頷《うなず》いた、「専門にやらなくたっていい、一日に一刻か一刻半、道場へ来て稽古をつけてくれればいいんだ」 土田は細めた眼で十太夫を見まもり、それから首を左右に振った。 「道場に席のあるやつは三十七人」と十太夫は続けた、「みんな凡くらばかりで、おれのあとを任せられるような人間は一人もいない、いやわかってる、安川大蔵のことは云うな、土田には安川の能力がみぬけないんだ」 土田正三郎はおみの[#「みの」に傍点]を見た。おみの[#「みの」に傍点]は彼の盃に酌をした。 「そんなことはない」と土田が低い声で云った、「安川はいいよ」 十太夫がやり返そうとすると、おわか[#「わか」に傍点]が小女たちと共に、角樽《つのだる》や片口《かたくち》や、燗鍋《かんなべ》をかけた火鉢などを運んで来、賑やかに燗の支度を始めた。十太夫が「やかましい」とどなり、おみの[#「みの」に傍点]が燗番をひき受け、おわか[#「わか」に傍点]たちは去っていったが、出てゆくときにおわか[#「わか」に傍点]は振返って、十太夫にぺろっと舌を見せた。 「枡平は女中の躾《しつけ》がいいな」と十太夫は云った、「そこを閉めろ」土田は焙った鴨を、両手で※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12]《むし》りながら喰べた。 「お客さまも躾がいいじゃありませんか」とおみの[#「みの」に傍点]が云った、「はいお酌」 「よく考えてみてくれ、土田」十太夫は飲みながら云った、「べつにいそぐわけじゃない、おれはどうしても土田が欲しいんだ」 「あたしを欲しくはないの」おみの[#「みの」に傍点]は手酌で酒を啜った、「あたしもう二十二にもなってしまったのよ」 「飲みすぎたな」と十太夫が遮《さえぎ》った。 「今日は飲むの」おみの[#「みの」に傍点]は嬌《なまめ》かしい表情で微笑し、手でまた酒を啜った、「これまでずっと胸にしまっておいたことを、今日はすっかり云うつもりよ、枡平の娘とお客さまではなく、土田さま小野さまとおみの[#「みの」に傍点]、男と女の対でいきましょう、いいわね」 「おれの失敗だったな、土田」と十太夫が云った、「よし[#「よし」に傍点]野にすればよかった」 「初めてお二人がみえたのはあたしが十七のとしだったわ」とおみの[#「みの」に傍点]は続けた、「それから十九のとしにあの話が出たのよ、いったい二人のうちどっちが好きだ、土田かおれかって、小野さまが膝詰めで仰《おっ》しゃった」 「とんだ雪見酒になったぞ」と十太夫が云った、「まあお酌をしよう」 「あたし途方にくれちゃいました」十太夫の酌を受けながらおみの[#「みの」に傍点]は続けた、「あなた方はいつもお二人ごいっしょだし、土田さまも小野さまもいいお方だし、一人ずつべつにお会いしたことはないでしょ」 「その話ならむし返すことはない」と十太夫が云った、「三年まえに相談しあって、ちゃんときまりがついている」 「あたしはまだ娘のままよ、なんのきまりがついたんですか」 「三人の気持が変るのを待とう、ということだったろう、だが肝心な点は一つ、おみ[#「み」に傍点]公が誰を選ぶ気持になるかということだ」 「卑怯だわ」とおみの[#「みの」に傍点]は云い返した、「あたしは二人とも好きだし、この気持は変りようがないんですもの、こういうことは男の方のほうできめるのが本当じゃありませんか」 「おれはみの[#「みの」に傍点]公が欲しい」と十太夫がまじめに云った、「けれども土田を押しのけてまで、自分のものにしようとは思わない」 「あなたは」とおみの[#「みの」に傍点]は土田を見た。 土田はからの盃をじっとみつめていた。十太夫とおみの[#「みの」に傍点]はそのようすを眺めながら、やや暫く待っていた。 「おい――」と十太夫が云った、「おまえ饒舌《しゃべ》り過ぎるぞ、土田」 土田正三郎は十太夫を見て、てれ[#「てれ」に傍点]たように頭を下げ「うん」と口の中で声を出した。それまで饒舌り続けていたが、注意をされて口をつぐんだ、というふうにみえた。 「つづめて云えば」と十太夫が云った、「おれが代りにつづめて云えば、土田の考えもおれと同じだということなんだ、つまり彼もまたおれを押しのけてまでおみ[#「み」に傍点]公を女房にする気はないんだ」 「じゃあどうすればいいの」おみの[#「みの」に傍点]は盃の酒を呷《あお》るように飲んで云った、「あたしもう二十二よ、縁談は片っぱしからはねつけて来ちゃったし、こんなとしになってはもう嫁に貰ってくれるとこなんかありゃあしないわ、いったいあたしはどうしたらいいのよ」 「それはだな」十太夫は少なからず押されぎみになり、唸《うな》声をもらしてから云った、「つまるところ、みの[#「みの」に傍点]公はこの枡平の長女で、だとすれば跡取りだから、いずれ自然と婿を貰うことになるんじゃないか、そうだ」と彼は自分の着想に勇み立って続けた、「嫁にゆくことなんか考えるな、枡平の身代《しんだい》とみの[#「みの」に傍点]公の縹緻《きりょう》なら、婿に来てはそれこそ芝野川の砂利だぞ」 「あたしがお二人のほかの人といっしょになれると思うんですか」おみの[#「みの」に傍点]は手酌で一と口啜ってから、訝《いぶか》しげに十太夫の顔を見た、「――なによ、芝野川の砂利って」 「なんでもない、忘れてくれ」と十太夫は手を振って云った、「だいたいこういう話は世間にありふれていて、ちっとも珍しくないし洒落《しゃれ》にもならない、今日は雪見酒だ、そんな話はよそうじゃないか」 [#6字下げ]三[#「三」は中見出し] 柳平を出たとき戸外は昏《く》れていた。風はないので、合羽《かっぱ》と笠《かさ》をつけた二人は、雪の中を暢《のん》びりあるきだした。危なかったなあ、と十太夫が云って、可笑《おか》しそうに笑った。みの[#「みの」に傍点]公のやつ居直ったぜ、あたしをどうしてくれるんだって、冗談じゃない、結婚の約束をしたわけじゃあるまいし、三人の気持が変るまで待とうと云っただけじゃないか。今でもそれが変らないとなれば、責任はおれたちだけにあるんじゃない、おみ[#「み」に傍点]公にだってあるんだ。みの[#「みの」に傍点]公は自分をも責めなければならない筈だぞ、そうだろう、と云って土田を見た。 「そうかもしれないが」と土田が答えた、「笑いごとじゃあないな」 「そこでよせ」と十太夫が遮った、「おまえは饒舌り過ぎる」 土田正三郎は黙った。笑いごとじゃないさ、おれたちはこれが三度めだぜ、と十太夫が云った。初めは北園の娘、二番めは安川の妹、覚えているか。土田正三郎は黙って頷いた。初めは十五のとしだったろう、火事のあるまえ、小野の家が御蔵の辻にあったころ、同じ小屋敷の中に北園勝兵衛という納戸役《なんどやく》がおり、そこに菊乃《きくの》という娘がいた。三男四女という子福者であり、菊乃は二女で十六歳だった。十太夫は北園の長男の勝之丞《かつのじょう》と剣術なかまで、家も近いことだし、菊乃が好きになった。以前から知ってはいたが、好きだと思いはじめるとすぐに、土田正三郎を伴《つ》れていって、菊乃にひきあわせた。男の十五と女の十六歳は一つ違いとは云えない、女のほうが躯も感情もずっとおとな[#「おとな」に傍点]である。十太夫は自分が子供扱いにされているように誤解し、対抗しようとして土田を伴れていったのだが、すると、土田も菊乃を好きになったことがわかった。菊乃は左の眼が少し斜視で、人をみつめるとそれが先かしく、媚《こび》をふくんだようにみえる。菊乃について語りあったとき、二人はどちらもその眼つきに魅せられたことを知ったし、お互いの気持がどんなに熱しているかも理解した。まもなく、土田正三郎は北園へゆかなくなった。十太夫のほうが古くからの知り合だから、自分は身をひくべきだと思ったのだが、十太夫もすぐにそれを察して、菊乃のことは諦めてしまった。 ――おれは小野家を背負っているんだからな、と十太夫は分別ありげに云った。いまから女のことなんか考えていらりゃしないよ。 安川の妹はしづ[#「しづ」に傍点]といった。これは二人が十八歳のときで、小野が修業のため江戸へゆくまで、一年ちかく続いたものだ。しづ[#「しづ」に傍点]は縹緻も十人並だし、どこといって特徴のない、ふっくらとした感じの、おとなしい娘で、としは十五歳だった。安川の母と土田の母とが娘時代の友達だったため、安川の母が娘のしづ[#「しづ」に傍点]を伴れて、しばしば訪ねて来た。しづ[#「しづ」に傍点]が十歳くらいのときから土田正三郎は知りあっていたが、好きだという感情がめざめると、これまた十太夫を同席させずにはいられなくなった。半分はしづ[#「しづ」に傍点]を見せる気だったろう、いくらかは自慢したかったとも云えるが、十太夫は一と眼でしづ[#「しづ」に傍点]にのぼせあがってしまい、十太夫がのぼせあがったことを土田正三郎も感じ取ったのであった。また鉢合せだ、と二人はお互いに思ったが、こんどは譲らないぞ、とはらをきめたことも一致していた。 ――二十歳になったら嫁に貰おう、おれは小野の当主だから、早く身をかためなければならないんだ、と十太夫は思った。 ――妹が死んでおれは一人息子だ、と土田は土田で思った。早く嫁を貰って親たちを安心させなければならないからな。 二人ともまず彼女の心を掴もうとした。しづ[#「しづ」に傍点]の気持をしっかり掴むほうが勝ちだ、縁談はそれからのことだと思い、かれらなりにいろいろ努力をした。もちろん十太夫は勤めのほかに道場での稽古があったし、土田正三郎は奉行職記録所へ勤務の命が出たから、努力をした、というのはおもに主観的な意味で、実際にこれこれのことをした、という実績はあまりなかったようだ。このあいだに、二人の感情には幾たびかの波があった。すなわち、十太夫は土田が早くしづ[#「しづ」に傍点]の心をとらえればいいと思い、土田正三郎も同じことを十太夫に期待し、それが逆になって、こんどこそおれがしづ[#「しづ」に傍点]を嫁に貰うぞと、互いに心の中でいきり立つ、というぐあいだったのだ。そうして、十太夫が江戸へ修業にゆくことになり、それといっしょに土田もしづ[#「しづ」に傍点]から遠ざかった。 ――親友の留守に親友をだしぬくのはいやだ、と土田正三郎は言明した。 そのとき十太夫と土田と喧嘩になった。そんな例はあとにも先にもない、たった一度のことなのだが、問題はしづ[#「しづ」に傍点]で、自分が留守のあいだ安川へ近よらないというのは侮辱だ、と十太夫が怒りだしたのである。それは恩きせがましいうえに高慢だと云い、土田も珍しく、安川から遠ざかるのはおれの自由だとやり返した。兄弟よりも仲のいい二人、いつも形と影のようにはなれない二人が口論をはじめたので、周囲の者たちは半ば吃驚《びっくり》し、半ば好奇心を唆《そそ》られて、そのなりゆきを見まもっていた。十太夫は赤くなってどなりたて、土田も肩をいからせて叫び返し、やがて下城の刻《とき》が来て、大手門を出るまで続いた。そのころには大勢の者が二人のあとからついて来、二人はついに取っ組みあいに。なった。十太夫のほうが先にとびかかり、土田を押し倒したが、土田はすぐにはね返して、反対に十太夫を押えこんだ。 ――さあどうだ、と土田が云った。 ――ちょっと待て、と十太夫が云った。 ――待てとはなんだ。 ――まわりを見ろ、と十太夫が云った。こいつらはおれと土田が無二の親友だということを知っている、にもかかわらず、二人の喧嘩を止めようともせず、面白そうに見物しているとは不人情じゃないか。 ――それはそうだ、と土田は手を放した。 ――こんな不人情なやつらに見物させることはない、と云って十太夫は立ちあがった。こいつらから先にやっつけてやろう。 見物していた者たちが逃げだしたのは云うまでもないし、二人の喧嘩もそれで終った。十太夫は江戸へゆき、土田正三郎はしづ[#「しづ」に傍点]から遠ざかった。 「おい、ちょっと待て」十太夫が急に雪の中で立停《たちどま》った、「その話で思いだしたが、安川の妹はどうした」 「知らないな、もう嫁にいって子供の二、三人もいるんじゃないか」 「うん」十太夫は指を折ってみて頷いた、「そうだろうな、もう二十三ぐらいだからな」 「北園の娘はどうしている」 「あれは嫁にいって死んだよ」と十太夫はまたあるきだしながら云った、「いったさきの名は忘れたが、初めてのお産がひどい難産、そのために死んだということだ」 土田正三郎は黙ってゆっくりと頷いた。十太夫は笠のふちを指ではじいて雪をとばし、合羽をばたばたと、鳥の羽ばたきのように振って雪を払いながら、口の中でぶつぶつ独り言を呟《つぶや》いていたが、急になにどとか決心したように、「じゃこれで」と云いさま辻になっている道を、せかせかと右のほうへ曲っていった。 その翌日から五日のあいだ、十太夫は土田の役所へあらわれなかった。役部屋の者たちはふしぎそうな、そして、なにか始まるぞという刺戟的《しげきてき》な期待のために仕事も手につかないような眼つきで、ひそかに土田正三郎のようすを見まもっていた。頭取の加地宗兵衛《かぢそうべえ》は三日めに気がついたらしい。頭取部屋は役所の中で一人だけ別になっているが、三日めの下城の刻が近くなってから、仕切の襖をあけて、土田の机の側へやって来た。 「どうしたんです、あの豪傑は」と頭取は温厚な笑顔で問いかけた、「二、三日みえないようだが、なにかあったのですか」 「私はなにも知りません」と土田は答えた、「たぶんいそがしいのでしょう」 「あのくらいそうぞうしい人間もないが、来ないとなると気になるから妙なものだ」と頭取は云った、「病気でなければいいがな」 五日目にも姿をみせないので、役所が終ったあと、土田は三の丸の道場へ寄ってみた。十太夫は素面素籠手で、上位の者に稽古をつけていた。汗止めはもとより、稽古着も汗びっしょりであるが、これまでに見たことのないくらい力のこもった、精悍《せいかん》な稽古ぶりであった。道場の臆病口《おくびょうぐち》で見ていると、安川大蔵が側へ来て目礼した。 「元気なようだね」と土田が去った。 「あのとおりです」安川は苦笑した、「もう二刻以上も休まないんですよ」 「なにかわけでもあるのか」 「そのようですが」安川はちょっと口どもった、「口止めされていましてね」 「この四、五日とんと姿をみせないんだ、病気でもしているんじゃないかと思ってね」 「あのとおり元気いっぱいです、いずれ小野さん自身から話されるでしょう、決して心配することはありませんよ」と云って安川は向うへ頷いてみせた、「――気がついたようですね」 十太夫が走って来て、荒い息をしながらどなった、「どうした土田、ちっともあらわれないじゃないか、風邪でもひいたのか」 [#6字下げ]四[#「四」は中見出し] 「当時、長島藩では治水工事に関して面倒な事件が起こり、普請《ふしん》、材木、勘定の三|奉行《ぶぎょう》と重職とのあいだに、三年越しの吟味が行われていた。――工事は芝野川と久呂川との合流点に、水量を調節するための二重水門を造る計画で、もう七年もまえから着手されたのだが、出水のために二度失敗したうえ、計上費や用材の不正が発見され、その責任問題がやかましくなっていた。 だからといって、家中ぜんぶがその紛争に関係しているわけではない。工事の担当者とか、吟味に当る役人や重職のほかは、平常と変りのない生活をしていた。土田の属する記録所は、役目の性質から多少は事務が煩雑《はんざつ》になり、ときには下城が一刻もおくれることなどもあったが、吟味事件そのものにはむろんかかわりはなかった。 十太夫の無沙汰《ぶさた》はさらに十日ちかくも続き、それから或る日、例のように突然、稽古着のままとびこんで来た。 「今日はいっしょに帰ろう」と十太夫は片手で額の汗を拭きながらどなった、「久しぶりで一杯やろう、いいな」 下役の者たちは忍び笑いをし、仕切の襖をあけて加地頭取が覗いた。十太夫はそんなことは眼にも入れず、とぶようにして出ていったが、またすぐに戻って来た。 「帰るまえに道場へ来てくれ」と十太夫はどなった、「ちょっと相手をしてもらいたいんだ、いいな」 土田は眼で返辞をし、十太夫は走り去ろうとしたが、その役部屋にいる若侍の一人を認めると、部屋じゅうに鳴り響くような声で咎めた。このごろ稽古を怠《なま》けている、そんなことでは上達しないぞ、どうして道場へ来ないんだ、とたたみかけるように云った。その若侍は赤くなった顔を机の上へ貼りつくほど伏せ、口の中でなにやら答えながら、さもいそがしそうに筆を動かしていた。 「またそうぞうしくなるようだな」加地頭取が襖を大きくあけ、土田の側へ来て、机の上を眺めながら云った、「道場へゆくんならもう片づけるがいいでしょう、済んだ分だけ受け取りますから」 「いまお届け致します」と土田は答えた。 道場には十太夫と安川だけで、ほかには誰もいなかった。十太夫の脇に道具が置いてあり、土田正三郎を見るなり、待ちかねたように面《めん》籠手《こて》をつけ始めた。 「今日はおれが受ける」と十太夫は云った、「土田が打ちをやってくれ」 土田は十太夫を見た。 「文句を云うな」と十太夫は面の中からどなった、「そっちで打ちを入れるんだ、遠慮はいらない、おれを粉砕するつもりでやってくれ」 土田正三郎はもの問いたげな眼をした。 「文句を云うな」と十太夫は竹刀《しない》を取って素振《すぶ》りをくれた、「さあ、支度をしてくれ」 土田は稽古着に着替えながら、なにがあったのかと、安川大蔵に訊いた。安川はただ肩をゆりあげただけであった。道場へはいっていった土田は、自分の竹刀を取って立ち向うと、十太夫の面と胴へ、みごとな打ちを二本入れた。 「弱い、弱い」と十太夫が叫んだ、「もっと力いっぱいやれ」そしてさらにどなった、「おれをかたきと思って打ち込むんだ、さあ」 土田正三郎はするどい打ちを面へ入れ、十太夫が受けると、竹刀を返して躰当りをくれた。十太夫は転倒し、転倒したまま十二、三尺も滑《すべ》ってゆき、「これまで」と叫んで面をぬいだ。ばか力だ、よけいなことを、と云いながら十太夫は足を投げだした恰好で、籠手を外し、胴をぬいだ。安川がそれを助け、十太夫は額の汗を手で押しぬぐった。 半刻のち、十太夫と土田は芝野川に沿った畷道《なわてみち》をあるいていた。 「おれは安川のしづ[#「しづ」に傍点]を嫁に貰う」と十太夫が云った、「異存があるか」 土田は眼をそばめて十太夫を見た。 「安川大蔵の妹だ、忘れたのか」と十太夫が云った、「――このまえ二人で話してから、気になったので安川に訊いてみたんだ、するとまだ未婚のままうちにいるという、母親に亡くなられて女手がないため、主婦の代りになったので婚期を逸したということだ」 十太夫の口ぶりにはなまなましい感動がこもっていた。彼は安川家へ訪ねてゆき、しづ[#「しづ」に傍点]と会って話した。彼女が嫁にゆかなかったのは、主婦代りをしなければならなかったからではなく、土田と十太夫の二人を忘れることができず、そのどちらかでなければ、一生をともにする気になれなかったためである、と告白した。十太夫は続けて安川家へゆき、そのたびにしづ[#「しづ」に傍点]と話しあった。安川大蔵はすでに結婚して、二歳になる子供もある。しづ[#「しづ」に傍点]は父親や弟の世話をするだけだから、その機会さえあれば、いつ嫁にいってもいい立場であった。これらの事情を話しあっているうちに、しづ[#「しづ」に傍点]の気持は十太夫にかたむいてき、十太夫もしだいに心がきまってきた。 「おれは抜け駆けをしたかたちだが、卑怯ではなかったつもりだ」と十太夫は肩を怒らせるような調子で云った、「――会って話すたびに、必ず土田のことを話題にし、むしろ土田を推薦するようにつとめた、けれども、しづ[#「しづ」に傍点]の気持は少しも迷うようすがなく、おれとの結婚なら承知すると云った」 十太夫が立停ったので、土田正三郎も足を停めた。昏《く》れかかる空は青ずんで高く、斑《まだら》に雪の残った河原の向うで、芝野川の流れが静かに瀬音をたてていた。 「仔細《しさい》はこのとおりだ」と云って十太夫は土田を見た、「そっちに異存があれば聞こう」 土田正三郎は高い空を見あげ、唇を舐めながら、暫くのあいだ黙っていた。 「よし、もうそのくらいにしろ」と十太夫が云った、「土田はいつも饒舌り過ぎる」 土田正三郎はてれ[#「てれ」に傍点]たような苦笑をもらし、十太夫はおうと吼《ほ》えながら、力をこめて、右手の拳《こぶし》を空へ突きあげた。若い精力が躰内に満ち溢れていて、どうにもじっとしていられない、というふうな声であり動作だった。 「少し寒くなったようだな」土田が去った。 「待て、まだ話が残ってる」と十太夫が遮《さえぎ》った、「土田はこれから枡平へゆくんだ、今日はもとより、これから先も暇があったら、自分ひとりで飲みにゆくんだ、わかるか」 土田正三郎は眼を細めた。 「おい、先ばしったことを思うな」十太夫は土田がなにか云ったことを制止するように続けた、「まず聞け、いいか――安川のしづ[#「しづ」に傍点]がなぜおれを良人《おっと》に選んだか、その理由がわかるか」 土田は黙っていた。十太夫はすぐに続けた。 「それはな、おれが一人で安川へいったからだ、初めからの計画じゃない、しづ[#「しづ」に傍点]が未婚のままにうちにいると聞いて、どんなふうに変ったかを見たうえ、まだあのころのように美しかったら土田もさそってゆくつもりだった、嘘じゃないぞ、本当にそう思って訪ね、しづ[#「しづ」に傍点]と二人だけで話した、その初めて訪ねていった帰りに、おれはしづ[#「しづ」に傍点]のようすに昔とは変ったところがあったことに気づいた、――よく聞いてくれ、いいか、ここが肝心なところなんだ」 まえにはどこかに隔てがあった。こっちをみつめるまなざしにも、話しぶりにも、しな[#「しな」に傍点]を作った羞《はにか》みようにも、薄い紙一重を隔てて見るような、もどかしさが感じられた。それがとんどはまるで違う、すべてがしっくりと、割った木を合わせるように、お互いの感情が隙間なしに通じあうのだ、と十太夫は云った。 「お互いがそれだけとし[#「とし」に傍点]をとった、つまりおとなになったためだろうか、と考えてみた、婚期におくれたしづ[#「しづ」に傍点]の気持が、男を求めてあせっているからではないか、いろいろ考えたが、そうじゃない、問題はしづ[#「しづ」に傍点]のほうにだけあるんじゃなく、おれのほうにもある、おれの気持もあのころとはまったく違っているんだ」と云って十太夫は、土田を咎めるような眼でみつめた、「これはどういうわけだ、二人のこの変りようはなんだ、――おれはそれがどんな原因によるものか知りたかった、それで土田をさそうまえに、その理由をつきとめようと思い、二度、三度と一人で訪ねた」 「寒いよ」と土田が云った、「すっかり昏れてしまった」 「そうして二人だけで会っているうちに」と十太夫は構わずに云った、「おれはだんだんにわかってきた、なんだと思う、しづ[#「しづ」に傍点]とおれの気持がぴったりよりあい、結婚にまで踏み切れた理由はなんだと思う」 土田正三郎は黙って空をにらんでいた。 「それはこうだ」と十太夫は云った、「その理由はただ一つ、おれが土田といっしょにではなく、一人で訪ねてゆき、しづ[#「しづ」に傍点]と差向いで話しあったからだ、つきつめたことを云えば、男女の仲は一対一ということなんだ、また、そこで思い当ったんだが、いつの場合でもおれと土田は一躰同様だった、おれが好きになれば土田も好きになる、そしてお互いの友情を裏切らないためだと思って、二人いっしょでなければどの娘ともつきあわなかった、ばかばかしい、娘のほうではこれをどう感じるか――こっちが二人で一躰同様なら、娘のほうでもそのとおりに感じただろう、だから枡平のみの[#「みの」に傍点]公のように、おれたちのほかの男とは結婚できないが、おれたちのどっちを選んでいいかもわからないと云うことになる、これでわかったろう、おれたちは極めて子供くさい、ばかげた廻り道をしていたんだ」 土田正三郎はくしゃみをし、懐紙を出して洟《はな》をかんだ。 「土田はこれから一人で枡平へゆけ」と十太夫は云った、「一対一でやればみの[#「みの」に傍点]公の気持ち片づくだろう、そうしたら二た組でいっしょに式をあげよう、いいな」 [#6字下げ]五[#「五」は中見出し] その翌年の二月、小野十太夫は安川しづ[#「しづ」に傍点]と祝言《しゅうげん》した。土田正三郎にも婚約者ができたが、例の治水工事にからまる吟味が終りかかっていて、役所の事務が多忙なため式が延び、九月になってようやく祝言をすることができた。相手は枡平のおみの[#「みの」に傍点]ではなく、城代家老の姪《めい》に当る篠原《しのはら》しのぶ[#「しのぶ」に傍点]であった。 ――どうしたんだ、あんなに仲のよかった小野と土田が、このどろすっかり疎遠になったじゃないか。 ――生活が変れば感情も変るさ、両方とも結婚したからだろう。 ――そうだ、二人ともおとなになったのさ、あの友情はおとなのものではなかった、幼年時代からずっと続いていて、つまり遊び友達という気持が抜けなかったまでだ、それが二人とも妻帯したので、ようやくおとなになったというところだろう。 ――はかなきものだね。 家中の人たちはそんなふうに評しあった。慥《たし》かに、二人はほぼ一年くらい疎遠にみえた。そのあいだにも、土田は三日か五日に一度は道場へゆき、半刻くらい十太夫と立合いをした。躯《からだ》をやわらかくしたいというのが目的で、べつに剣術修業という意味ではなく、一と汗かくとやめてしまう。以前ならそこで「一杯やりにいこう」という段取になるのだが、そうはせず、まっすぐにお互いが帰宅する、という状態が続いたのである、――大多数の例では、これがそのまま自然のなりゆきというかたちになるであろう、生活が変れば人間の感情も変るものだ。はかないと云えばはかないだろうが、十太夫と土田の場合はそうはならなかった。かれらが結婚した年の冬にかかるころから、いつとはなしにまた接近しはじめたのである。いつそれが始まったかはわからない、或る日、十太夫が「今日は一杯やろう」と云いだし、それから五日おき、三日おきに飲み、いっしょに稽古をしたあと、道場で話しこむというぐあいだった。そうして、周囲の人たちがそれと気づいたときには、二人はまったく以前の二人になっていたのであった。 「土田は酒が弱くなったな」と十太夫が云った、「もう酔ったようじゃないか」 十月下旬のかなり強い風の吹いている夕刻、袖町という横丁にある「よし[#「よし」に傍点]野」の店で、二人はつけ[#「つけ」に傍点]板に向って腰を掛けていた。台を隔てて主人の留吉《とめきち》と女房のおいせ[#「いせ」に傍点]がいる。おいせ[#「いせ」に傍点]は燗番《かんばん》であり、留吉は肴《さかな》を作る。まだ早いので、客は二人だけだし、留吉夫婦は二人の気性を知っていたから、なるたけ話の邪魔にならないようにとつとめていた。 「酔ったのでなければ、なにか心配ごとでもあるのか」と十太夫が云った、「そうだろう、うちでなにか気にいらないことでもあったんだろう、どうだ」 土田正三郎は盃の中をじっとみつめた。 「むだなお饒舌りはよせ」と十太夫はまた云った、「土田はみの[#「みの」に傍点]公を貰えばよかった、みの[#「みの」に傍点]公を女房にしていればうまくいったんだ、――いったいどうしてみの[#「みの」に傍点]公を貰わなかったんだ、え、どういうわけだ」 土田正三郎は静かに手をあげて、右の耳のうしろを撫《な》でた。どう答えたらいいか考えているようすで、しかしやがて、僅かに首を左へかしげた。 「わけなんかないさ」と土田は云った、「――つまり、小野が結婚してしまったんで、あの娘も拍子ぬけがしたらしいよ」 「拍子ぬけだって」十太夫は軽蔑したように唇を片方へ歪《ゆが》めた、「こんな場合に拍子ぬけなんて言葉を使うやつがあるか、枡平には金が預けてあったんだ、土田が一人で飲みにゆくようにって、ところが預けた金はそっくり枡平から返してよこした、つまりおまえは枡平へゆかなかったんだろう」 「いったさ」と云って土田は十太夫を見た、「――どうしてゆかなかったなんて思うんだ」 「金がそっくり返って来たと云ったろう」 「おれは役料を十人|扶持《ぶち》取っている」と土田は穏やかに云った、「父からきまって貰う小遣《こづかい》もある、それに、枡平では勘定をろくさま取らないんだ」 「どうして勘定を取らないんだ」 土田は考えてみてから、云った、「――たぶん拍子ぬけがしたんだろう」 「おまえはお饒舌りのくせに言葉を知らないやつだ、それも拍子ぬけなんていう問題じゃないじゃないか」 そして十歳か十一歳のころ、土田が同じように当てずっぽうなことばかり云った例を幾つかあげ、それでよく記録所などに勤めていられるものだ、ときめつけた。やがて十太夫も酔ってきて、話を元へ戻し、家庭でどんな不愉快なことがあったか、と訊き直した。土田正三郎は考えこんだ。なにが不愉快だったろう、今日うちでなにか気にいらないようなことがあったろうか、とふり返ってみるようすだったが、そんなような記憶はないもようであった。 「じゃあ訊くが」十太夫はもどかしそうに土田を見ながら云った、「土田は女房とうまくいっているのか」 土田正三郎は平手打ちでもくらったように、眼をみはって十太夫を見返した。十太夫はまた土田のその眼をじっと見まもっていて、それから唇で微笑した。 「よし、それ以上饒舌るな」十太夫はいかにも先輩らしく云った、「土田は結婚してまだ三十日ちょっとしか経《た》たない、おれはもうその十倍も経験しているんだ、いいか、ほぼ三百日も結婚生活をしているが、まだ女房とのあいだに一度だって不愉快なことが起こったためしはないんだぞ」 土田正三郎は手酌でゆっくりと飲んだ。おいせ[#「いせ」に傍点]が新しい燗徳利を二本持って来、二人の前にあいている徳利と替えていった。十太夫は新しい徳利から酒を注《つ》ぎ、横眼で土田を観察しながら、独りでしきりになにか合点していた。 「そうだ、そのとおりだ」と十太夫は頷《うなず》いて云った、「結婚生活をうまくやってゆくにはその点が大事だ、その点さえ故障がなければ、たいていの不平不満は解決されるものだ、土田はそこに気がつかないんだろう」 土田正三郎は唇をまるくしながら、やむを得ない、とでも云うふうに首をかしげた。 「心配するな、おれがうまく指南してやる」と酒を啜《すす》って十太夫が云った、「おれも二月に祝言して、しづ[#「しづ」に傍点]と寝所をともにするようになってから気がついたんだ、おれたちは、と云うのはつまりおれと土田のことなんだぞ、――おれたちは二人ともおんなを知らなかった、酒は早くから飲みだしたし、娘に惚《ほ》れることは惚れた、しかしおんなに触れる機会はなかったから、まるでお先まっ暗だった、あんなにまごついたことはないぜ、まったく、まったくまごついたよ、ああ」十太夫は喉で笑った、「ばかばかしい話さ、なんだっておれたちは遊ばなかったんだ」 土田正三郎は当惑したように、片方の肩をむずっと動かした。 「饒舌るな」と十太夫が云った、「なにも理由なんかありやしない、潔癖だとか、志操《しそう》堅固なんていうものでもない、要するに、その方面にかけては育ちそくないであり怠け者っだったんだ、そうだろう」 土田正三郎は考えてみて、そうかな、というふうに首をかしげた。 「そうさ、それだけのことさ、きまってるじゃないか」と十太夫は云った、「土田だって結婚したときにはまごついたろう、おまえは融通がきかないからな、どんなにヘどもどしたかおれには見えるようだぜ」 土田は静かに「知ってたよ」と云った。 「知ってたって」十太夫は不審そうに問い返した、「――なにを知ってたんだ」 「小間使から教えられたんだ」と土田はゆっくりと云った、「十二のとしにさ」 十太夫の眼が大きくなり、土田を睨んだまま眼球がとびだしそうになった。 「こま」と十太夫は吃《ども》った、「――小間使に教えられたって」 「十二のとしだったそうだ」 「おい、少しはなれろ」十太夫は顔をしかめながら身を反《そ》らした、「きさま、――不潔なやつだな、冗談じゃない、十二やそこいらで、ちえっ、いやなやつだな、どの小間使だ、こその[#「こその」に傍点]とかいったあのちびか」 土田正三郎は首を振って否定した。 「でないとすると太っちょのほうか」 「おれは知らないんだ」 「そんなことを教えられたのにか」 「少しおれに話させてくれ」 「土田は饒舌り過ぎる」 「おれではないんだ」と土田が云った、「おれはおまえと同様、なにも知らなかった、知っていたのはしのぶ[#「しのぶ」に傍点]のほうで、聞いてみると十二のとしに、小間使から教えられた、と云うんだ」 十太夫は反らせた躯を元へ戻し、土田を眼の隅で睨みつけながら酒を啜った。土田正三郎は済まなそうな顔で、だがなにも云わずに手酌で飲んだ。 「それなら、なにをそんなに気に病んでいるんだ」と十太夫が問いかけた、「女房と喧嘩でもしたのか」 土田正三郎は「なんにも」と云って、片方の肩をまたむずっと動かした。 土田正三郎には不愉快なことも、気に病むこともなかった。実際は小野十太夫こそ、そのとき大きな心配があり、気分がおちつかず、いらいらしていたのである。そうして、その日から十四五日のち、十太夫は目付役へ呼びだされ、数回にわたって吟味役から取調べを受けた。理由は、治水工事で不正のあった商人と、材木奉行、郡奉行《こおりぶぎょう》らと関係があり、不当の金品を受取った、ということであった。 [#6字下げ]六[#「六」は中見出し] 十太夫に続いて土田が呼び出された。土田が証言をし、枡平の主人が呼び出され、それで十太夫に対する嫌疑はきれいにぬぐい去られた。――疑われたもとは、治水工事で不正をはたらいた主謀者たちの中から、十太夫に金が渡っていたことがわかったからであるが、これは十太夫がこれらの子供たちに剣術を教えた謝礼であり、その金は別途収入として土田と飲食に使ったものだし、枡平もその裏付けをしたので、結局なにごともなく済んだのであった。 「おまえ道場を引受けてくれ」事が片づいたあとで十太夫が土田に云った、「――目付役に呼び出され、吟味を受けたようなからだで人に剣術の指南はできない、土田の腕なら申し分なしだ、頼むからおれのあとを引継いでくれ」 土田正三郎は答えなかった。十太夫は暫く土田のようすを見まもっていて、ごうをにやしたように向き直ったとき、昔どこかの藩にたれそれ[#「たれそれ」に傍点]とかいう侍があった、と土田がゆっくり云いだした。 「どこの藩だか、なんという名の侍か忘れたがね」と土田は語った、「役目が勘定方《かんじょうがた》だったことは慥かだ、或るときその役所で五十両という現金がなくなった、どうしたのかわからない、役部屋の者に嫌疑がかかり、厳重な吟味が行われたが、それでも金は出てこないし、盗まれたのか紛失したのかもわからなかった、そんなことはよくあるものさね」 「肝心な話になると」十太夫はいらいらして云った、「土田のお饒舌りはちっとも進まなくなる、それからどうしたんだ」 「その事は解決のつかないまま、結局うやむやに終ってしまった、ところが」と土田は一と口酒を啜ってから云った、「――ところが無解決のまま吟味が終ったあとで、たれ[#「たれ」に傍点]某という一人の侍が辞任を願い出た、こんな疑いを受け、吟味取調べをされた以上、この役にとどまるわけにはまいらない、それでは自分の良心がゆるさない、そう主張してゆずらず、やむなく役替えになった、つまり当人の主張がいれられたわけなんだな、まことに出処進退のいさぎよい男だといわれたそうだが、暫く経つと妙な噂が弘《ひろ》まった、――彼はなぜ辞任したのか、ということだね、吟味取調べを受けた者は、ほかにも大勢いる、彼だけが疑われたわけではない、それであるのに、彼一人だけがその役所を去ったのはなぜだ、かえりみてやましいことがあったんじゃないか、その役所にとどまっていると、気が咎めて耐えられないようなことが、――こういう疑惑は、五十両という金に対して現実的な責任が明らかにされたよりも、却《かえ》って彼のために不利であり、ぬぐうことのできない汚点となるものだ」 「それでどうした」 「噂は弘まるばかりだし、無実を証拠立てる方法もない、たれそれ[#「たれそれ」に傍点]とかいうその侍は、たまりかねてその藩を退身した、たぶんこらえ性のない男だったんだろうな」と土田は巧みにま[#「ま」に傍点]をおいて云った、「――彼が退身したあとで、問題の金が発見された、どういういきさつだったか忘れたが、ともかく五十両はちゃんと出て来たんだ、けれども、退身したたれ[#「たれ」に傍点]某に同情する者はなく、彼に対する疑惑が誤りだったと云う者もなかった、つづめて云うと、彼は出処進退を明らかにしたことによって、却って自分を不当な」 「その話はいつか聞いた」と十太夫が遮った、「おまえはおれに師範を続けさせようとして、そんな話をもちだしたんだろう、だがそいつはでたらめだ、作り話だ」 「それなら云ってしまうが、これはこの長島藩であった事なんだ」 「ばかなことを」 「古い人は知っている筈だ」と土田は云った、「おれは父に聞いたんだがね、御先代の治世にあった事で、その侍の名は矢野五郎兵衛というんだよ」 十太夫の口がだんだんに大きく開いた。錠《じょう》の外《はず》れた木戸がしぜんと開くように、少しずつ大きくなり、下顎が垂れさがるようにみえた。 「矢野五郎兵衛だって」と十太夫は唾をのみこんで反問した、「――それは土田の」 「そう」と土田は頷いた、「おれの母の外祖父だ、母は忍田の養女になっていたが、じつは矢野家の出なんだ」 十太夫は唇をひき結んだ。矢野五郎兵衛という名を聞いて、彼もまたその話を思いだしたのであろう。ふきげんに手酌で二杯飲んだ。 「おまえは饒舌り過ぎる」と十太夫は顔をしかめて云った、「いちごんで云えば、師範のあとを引受けるのがいやなんだろう」 土田正三郎は黙って微笑した。 「それならそう云えばいいんだ」と十太夫は云った、「なにも譬《たと》え話なんかもちだすことはありやしない、いやだと云えばわかることだ、まったく土田は面倒くさいやつだよ」 土田正三郎はなにも云わなかった。そのとき二人は、袖町の「千石」という店で飲んでいたのだが、そこを出てから「よし[#「よし」に傍点]野」へゆき、腰を掛けたかと思うとすぐに、十太夫が「枡平へゆこう」と立ちあがった。土田正三郎は反対しようとしたが、十太夫は「饒舌るな」ときめつけ、土田の手を掴《つか》んで外へ出た。枡平ではおみの[#「みの」に傍点]が給仕にあらわれ、十太夫としきりにやりあったが、土田は聞くだけで話には加わらず、しまいには肘枕《ひじまくら》で横になってしまった。 二人の生活は完全にもとどおりになった。十太夫に子供が生れ、土田正三郎は父の隠居で中老職を継いだ。そして記録所頭取を兼任することになったが、相変らず十太夫は「おい、飲みにいこう」とか、「道場で一本つきあってくれ」とか、云ってとび込んで来るし、そうでなければ土田のほうからでかけてゆき、どちらにせよ下城のときは必ず二人いっしょだった。一般にはこういう関係は嫌われるか、笑い話にされるものだが、この場合はごく自然に受けいれられ、家中《かちゅう》の人たちはむしろ好感をもって二人を見ていたばかりでなく、長島藩の「名物」というふうに考えていたようである。一例をあげると、或るとき十太夫に江戸詰の沙汰《さた》が出た。小姓頭という役目だから、もうとっくに江戸詰に当っていなければならなかったのだが、精武館道場の師範であるため延びていた。それがいよいよ延ばせなくなったわけで、その沙汰を申し渡すことになったのだが、老職たちの中から誰が云いだすともなく、十太夫を江戸へやるなら土田も江戸へやらなければなるまい、という説が出た。しかし国許《くにもと》の中老職は動かせないため、協議をかさねた結果、ついに十太夫の江戸詰は延期することになった。それほど二人の友情が大事にされた、というのではなく、かれらをはなればなれにすることがなんとなく「不自然」であるように思えた、というほうが事実に近いようだ。 土田は三十歳のとしに女子を儲《もう》け、それと前後して枡平のおみの[#「みの」に傍点]が婿を取った。――土田は女児にすず[#「すず」に傍点]と名付けたが、十太夫はすず[#「すず」に傍点]を自分の子の小十郎の嫁にすると主張した。かくべつな意味はない、世間の親たちがよく考えることだし、それが実現することもあり、年月の経つうちに忘れられることもある。だが二人の場合にはほんの少しだが変ったところがあった。というのは、結婚以来はじめて、お互いの家族のことが話題になった、という点である。かれらは少年時代まで、――つまり十太夫の家が御蔵の辻の土田家と隣りあっていたころは、お互いにその家を訪ねあっていたが、火事のあと十太夫が的場下へ移ってからは稀《まれ》になり、ことに結婚してからは一度も訪ねあったことがない。城中や戸外では絶えずいっしょになるけれども、お互いの家族とはまったく交渉がなかったのだ。――したがって、十太夫がよく、そのすず[#「すず」に傍点]を伜の嫁にきめた、と主張したのは珍しいことであり、云われた土田はけげんそうな顔をしたし、主張した十太夫も、主張したすぐあとでばつ[#「ばつ」に傍点]悪そうな顔をした。 二人が三十二歳になった年の十一月、十太夫が吐血して倒れた。道場で稽古をしているとき、突然よろめいて膝を突き、吐血したのであった。知らせを受けた土田正三郎は、すぐに医者を呼べと命じたが、自分はそのまま事務をとり続けていた。道場から二度も迎えがあり、三度めに医者が来たと告げられてから、ようやく机の上を片づけて立った。 「どうしたんだ」下役の者たちは、土田のうしろ姿を見送りながら囁《ささや》きあった、「小野さんが吐血して倒れたというのに、なにをぐずぐずしていたんだろう」 「御用はそれほどいそぐものではなかったのにな」 「動顛《どうてん》したんだろう」と一人が云った、「吐血といえば尋常なことではないからな」 土田正三郎がいったとき、十太夫は道場のまん中に夜具を敷いて寝ていた。若い門人が三人ばかりで、床板を拭いており、枕の脇には医者の桂慈石《かつらじせき》と安川大蔵が坐っていた。話をしてはいけません、と医者が注意するのを聞きながして、十太夫は「おそいじゃないか」と口を尖《とが》らし、安川と三人で話すことがあるから、みんなちょっと遠慮してくれ、と云った。 「話はあとだ」と土田はやわらかに拒絶した、「雨が降ったら傘をさす、病気になったら医師の指示にしたがわなければならない、たまには人の意見も聞くものだ」 「雨が降ったらだって、ふん、饒舌り過ぎるぞ」十太夫は救いがたいと云わんばかりに首を振り、眼をつむった、「――土田の悪い癖だ、おまえはいつも饒舌り過ぎるぞ」 土田正三郎は医者の顔を見た。桂慈石は無表情のまま、十太夫の胸に当てた濡れ手拭を取り替えた。軽い症状ではないという意味か、いまは見当がつかないという意味か、どちらにせよ土田の眼に答えるようすはなかった。 「病気のときぐらいおとなしくするものだ」と土田は十太夫に云った、「――どこか痛むのか」 「話しかけないで下さい」と医者が云った。 十太夫は口の中で「それみろ」と呟《つぶや》き、白っぽい唇に微笑をうかべた。 [#6字下げ]七[#「七」は中見出し] 十太夫はそのまま道場で一夜をすごし、明くる日の午後に自宅へ帰った。土田正三郎も朝まで側にいたが、医者も付きっきりだし安川大蔵もいたので、十太夫と二人になる機会はなかった。医者も二人のことは知っているから、話をする隙を与えないように、絶えず気を配っていたし、土田もそれを察したように、なるべく十太夫を見ないようにしてい、夜が明けて十太夫が眠ったのを慥《たし》かめると、安川にあとのことを頼んで、城をさがり、家へ帰った。 土田正三郎は一睡もしなかったが、帰宅すると風呂《ふろ》を焚《た》かせて躯《からだ》を洗い、平生どおり髪を直し髭《ひげ》を剃《そ》って、父と朝食をともにした。事情を訊かれたので、あらましのようすを話すと、父の正兵衛は登城を休めと云った。母も側から休むようにとすすめたが、彼は欠かせない御用があるからと断わり、時刻になると登城して、自分の役部屋へはいった。 「小野さまはいかがですか」と下役の者がすぐに訊いた、「もうよろしいのですか」 土田正三郎は単符と呼ぶ紙片へなにか書き、自分の印を捺《お》してその下役に渡した。 「お蔵へいって、この記録を出して貰ってくれ」と土田は云った、「それから中林、昨日の書類はまだか」 「もうすぐです」とその中林が答えた。 「いそいでくれ」と土田は云った、「このごろ事務がはかどらないようだな、郡奉行からの期届《きとど》けはまだか」 「まだまいりません」と他の下役が答えた、「催促いたしましょうか」 「まあよかろう」土田は机の上へ書類をひろげ、硯箱《すずりばこ》をあけて朱墨を磨《す》りだした、「――郡奉行か」 下城の刻が近くなったとき、安川大蔵が役部屋へ来て、半刻ほどまえに十太夫を家まで送ったと告げた。 「病気はなんだった」 「胃だろうと云うことです」安川が答えた、「吐血したのは初めてだが、知らないうちに胃が爛《ただ》れていて、下血《げけつ》していたに相違ない、躯がすっかり弱っていると、医者は申しました。私どもは毎日会っているせいか、そんなふうには思えませんでしたが」 「酒も弱くなっていたようだ」と云って土田は安川を見た、「道場のほうは頼むよ」 「帰りにお寄りなさいますか」 「いや」と土田は顔をそむけた、「当分そっとしておくことにしよう」 安川大蔵はじっと土田の横顔をみつめていたが、やがて挨拶をして去った。 三日のちの朝、土田正三郎が登城の支度をしていると、十太夫の家から使いがあり、ぜひ来てもらいたいという口上を伝えた。十太夫がまた吐血をし、土田に会いたがっている、妻女もこころぼそそうだということであった。土田は当惑したように、いそぎの御用があるので、登城の刻限におくれるわけにはいかない、いとまができたらゆこう、と答えて使いの者を帰らせた。――土田は十太夫をみまいにゆかなかった。それほどいそぐ事務があろうとは思えないのに、毎日たれよりも早く役部屋へはいり、下城の刻が来てもあとに残って仕事をした。小野家からはその後なにも云っては来なかったが、安川大蔵がたびたびあらわれて、十太夫の容態を伝え、みまいにゆくようにとすすめた。 「そのつもりだ」と土田はいつも答える、「からだがあきさえしたら訪ねよう、もう四五日したら時間ができると思う」 「なにかおことづけはありませんか」 「ないようだな」と土田は首を振る、「あれば会ったときに話すよ」 けれども土田は小野家を訪ねなかった。 十太夫の容態は少しずつ快方に向っているという。土田正三郎に対する家中の評は、しだいに悪くなるばかりだった。あれほど仲がよかったのにどうしたことだ、肉親のきょうだいより親密で、いつもはなれたことがなかったではないか。それなのにどうしてみまいにゆかないんだ、会いたいという使いさえ受けたそうだが、それでも訪ねてゆかず、みまいの伝言もしないという。それでも親友だろうか、平穏無事なときはつきあうが、病人には用がないというわけか。そういうような非難が弘まり、しばしば土田の側で、聞えよがしに云う者さえあった。 「なにか仔細《しさい》があるのですか」と或る夜、妻のしのぶ[#「しのぶ」に傍点]が訊いた、「いろいろ噂があるそうで、実家《さと》の篠原でも案じておりましたが」 土田は黙っていた。 「あれほどお親しくしていらしったのですから、さぞ待ちかねていらっしゃることでしょう、どうぞ一度みまってあげて下さいまし」 土田正三郎は頷いただけで、なにも云おうとはしなかった。十二月になってまもなく、夜の十時すぎに安川大蔵が訪ねて来、十太夫の病状が急変したこと。その日の夕食のあとで激しい吐血がおこり、一刻ちかく失神していたこと。医者は桂慈石のほかに阿部|甫悠《ほゆう》が立会い、夜半が峠だろうと云っていることなど、走って来たために肩で息をしながら、おろおろと告げた。 「万一のことがないとは云えません、どうかいっしょにいらしって下さい」 「おちつけ」と土田は静かに云った、「これからいったところで、医者が面会をゆるす筈はない、朝になったら訪ねよう」 「しかし万一のことがあったら」 「なにができる」と土田は安川の言葉を遮って反問した、「二人の医者が付いていて、それでもだめなものなら、私がいったところでどうしようもないではないか、うろたえるな」 「うろたえる」と云って安川は土田の眼をするどく睨んだ、「――土田さんは平気でそんなことが仰しゃれるんですか」 「云っておくが」と土田は声を低くした、「私は十太夫の友人であるだけではない、中老という重任があり、奉行職記録所の頭取という役目も兼ねている、いまは十二月で、どちらにも欠かせない御用がたまっているのだ、わからないことを云うな、安川」 「わかりました、それがあなたの友情だったのですね」と安川は云った、「――失礼します」 安川は踵《きびす》を返して去った。 この問答を父の正兵衛は聞いていたらしいが、そのことについてはなにも云わず、寝所へ立つときに、正三郎の居間の外から、「雪になったぞ」と声をかけていった。その夜半すぎに十太夫は死んだ。正三郎は父に弔問《ちょうもん》を頼んで登城し、葬儀も父に代ってもらった。年があけて三月はじめ、宗光寺で十太夫の七十五日忌がいとなまれたとき、初めて土田は焼香しにいったが、ほんの形式だけの焼香ですぐに帰ろうとした。 安川はもちろん、知った顔ばかりだったが、誰も土田には挨拶をしなかったし、眼を合わせることさえ避けていた。 土田もそんなことには無関心なようすで、接待で刀を受取り、そのまま出ようとすると、十太夫の妻のしづ[#「しづ」に傍点]が、幼児を抱いて小走りに来、声をかけた。 「こんにちは有難《ありがと》うございました」としづ[#「しづ」に傍点]は低頭して、抱いている子を見せた、「これが小十郎でございます」 「そうですか、丈夫そうなよい子だ」土田は幼児に笑いかけた、「坊や、幾つだ」 小十郎は母の顔を見、それから片手を出して、慎重に三本を伸ばして差出した。 「ああ三つか、おりこうだな」土田は手で幼児の肩をそっと叩《たた》いた、「お父さまに負けない立派な侍になるんだよ」 「あの」としづ[#「しづ」に傍点]が云った、「わたくしうかがいたいことがございますのですけれど」 「失礼ですが御用がありますから」と土田は遮って云った、「――どうぞお大事に」 そして顔をそむけてそこを去った。 土田正三郎は十太夫の危篤《きとく》が伝えられたとき、仏間にともって夜を明かした。そういう噂が弘まった。十太夫の死後も、七日|毎《ごと》の供養をひそかに行なった。家人の誰にも知れないように、仏間で夜明けまで誦経《ずきょう》してすごした。――こういう噂も伝えられた。土田の妻しのぶ[#「しのぶ」に傍点]の実兄である篠原|頼母《たのも》から出た話で、妻のしのぶ[#「しのぶ」に傍点]だけが知っていたのだという。だが、そんな噂も土田正三郎に対する反感をたかめる役にしか立たず、その評判は少しもよくならなかった。そして六年という月日が経ち、土田正三郎は三十九歳になった。 その年の十二月はじめ、少し早めに下城した土田正三郎は、まわり道をして宗光寺へ寄り、小野十太夫の墓参をした。香華《こうげ》をあげるでもなく、手ぶらでいって、墓に合掌したのち、暫くそこで、あたりを眺めまわしていた。 ――ぼんやりしていたので気づかなかったが落葉を踏む足音が近づいて来、囁《ささや》くような声で呼びかけられ、振返って見ると、小野しづ[#「しづ」に傍点]がそこに立っていた。黒の紋付に濃紺の頭巾をしていたが、頭巾を取りながら挨拶をし、墓参の礼を述べた。 土田はその後のようすを問い、しづ[#「しづ」に傍点]は小十郎が健康に育っていること。実兄の安川が後見になり、二人きりでは淋しいので、安川の末弟の伊四郎が寄宿していること、などを答えた。 ――それで話は途切れた。土田も父母は健在だし、娘のすず[#「すず」に傍点]の下に男の子が生れ、鶴之助《つるのすけ》と名付けて今年三歳になっていた。しかし問われないのに話すきっかけもなく、土田は別れを告げて去ろうとした。するとしづ[#「しづ」に傍点]が微笑しながら、一つだけ聞かせてもらいたいことがある、と呼び止めた。 「あれからまる六年になります」としづ[#「しづ」に傍点]が云った、「世間の噂も、すっかり消えてしまったようですから、もう本当のことを仰しゃって下さってもよろしゅうございましょう、――小野が倒れましてから亡くなるまで、土田さまは一度もみまいに来ては下さいませんでした、どういうわけでいらっしゃらなかったのか、わけを話していただけませんでしょうか」 土田正三郎はしづ[#「しづ」に傍点]の顔を見た。 [#6字下げ]八[#「八」は中見出し] しづ[#「しづ」に傍点]は微笑しているのではなかった。かすかに赤らんだその顔には、おそれと期待と、好奇心とがいりまじって、しかもそれをあらわすまいとする努力が、微笑しているような印象を与えたのであった。 「過ぎたことですが、人には知られたくないのです」と土田は空へ眼をやりながら静かに云った、「あなたは秘密を守ってくれますか」 「はい」しづ[#「しづ」に傍点]は力づよく頷いた。 土田正三郎は履物《はきもの》の爪先で、地面に散っている落葉を掻きわけた。ひっそりとした墓地の中で、落葉の触れあう乾いた音が、おどろくほど高く聞えた。 「十太夫は私に、道場の師範役を継がせるつもりでした」と土田は話しだした、「――かなりまえからのことで、私は相手にしなかったが、彼は幾たびも繰り返し、飽きることなく私をくどいたものです、師範の次席には安川大蔵がいるし、安川は師範として充分の腕をもっていました、十太夫はどういうわけかそれを認めようとしません、そのうちに、――彼はあなたを娶《めと》りました、安川の妹であるあなたをです」 しづ[#「しづ」に傍点]の顔がひき緊まり、その眼はなにかをさぐるように、土田の云う言葉の裏にあるものをさぐり当てようとでもするように、熱心に土田の表情を見まもった。 「十太夫には口実がふえたわけです、妻の兄に自分の役目を継がせることはできない、とね」土田は非情ともいえる口ぶりで続けた、「私がみまいにゆけば、必ずその話が出たでしょう、道場で倒れたときも、私はその話に触れないようにつとめました、もし危篤の病床で頼まれれば、いやとは云えませんし、約束してしまえば反故《ほご》にはできない、それでは済まない、私の中老という職からいっても、安川大蔵に対してもそれでは済まないことになる、それでみまいにはゆけなかったのです」 しづ[#「しづ」に傍点]の顔にさみしそうな、失望のいろがあらわれた。土田正三郎はすばやくそれを認めたが、声の調子は変えなかった。 「無情なやつだというような噂はずいぶん聞きました」と云って土田は片手をゆっくりと振った、「噂などはなんとも思わなかった、云うだけ云えば飽きるものですからね、けれども、みまいにゆけないという辛《つら》さは、耐えがたいものでしたよ、あなたならわかって下さるでしょう、私は辛かった」 しづ[#「しづ」に傍点]は頷いたが、それは力もないし、意志も感じられない頷きかたで、心はもうそこにないようであった。 「それだけでございますか」としづ[#「しづ」に傍点]は細い声で問い返した、「ほかに仔細はなかったのでしょうか」 土田正三郎は黙っていた。 「よくわかりました」しづ[#「しづ」に傍点]はそっとじぎをして云った、「これでわたくしの気持ちおちつきます、決して他言はいたしません、――有難うございました」 土田は会釈《えしゃく》をしてそこを去った。 彼の顔には、しづ[#「しづ」に傍点]とは反対に、明るく挑戦的な微笑がうかんでいた。眼に見えない誰かを空《くう》に描いて、そのものに得意なめまぜでもするような、満足げな微笑であった。 「どうだ十太夫、みごとなものだろう」――寺の山門を出ると、土田はそう云いだした、「おれがみまいにゆかなかったのは、あの人のためさ、いつかおまえは云ったな、おれたちは二人いっしょにいると一人になってしまう、おれたちはいつも同じ娘に恋してしまうし、娘のほうでもどっちが好きか判別がつかなくなる、奇妙な、有り得ないことのようだが、事実がそのとおりだったことは、おれとおまえがよく知っていた」 「死んでしまったいまは、おまえにも見とおしだろう」と土田は続けた、「おれが枡平のおみの[#「みの」に傍点]と結婚しなかったのは、おみの[#「みの」に傍点]が拍子ぬけしたのではなく、おれのほうで興味がなくなったからだ、十太夫といっしょでなければ、これっぽっちも興味がわかないんだ、これが本当のことなんだ」 ――おまえは饒舌り過ぎるぞ。 「その小言はもうきかないな、十太夫はこの世の人間じゃないんだから」 ――土田は饒舌り過ぎる。 「おれがみまいにゆかなかったのは、危篤の病床にいる十太夫に、あの人とおれの並んだ姿を見せたくないと思ったためだ」と土田は云った、「――そしてまたあの人にも、おれと十太夫の二人がいっしょにいるところを見せたくなかった、いまになればつまらないことのようだ、子供っぽい心配のようだが、あの当時のおれたちのあいだでは大切なことだった、十太夫にもしづ[#「しづ」に傍点]さんにもおれにも、そうだろう、その証拠はいま、あの人の顔にあらわれていた、おまえもあの表情は見ただろう、おれが師範のあと継ぎの話をしたときの、あのがっかりしたような顔つきをさ」 ――もうそのくらいでよせ。 「そうしよう」と云って土田はまた微笑した、「だが断わっておく、安川を師範に据《す》えようと思ったのも事実なんだぜ、いいよ、おれは饒舌り過ぎた、これでやめるよ」 土田正三郎はゆったりとした大股《おおまた》で、御蔵の辻のほうへ曲っていった。 底本:「山本周五郎全集第二十九巻 おさん・あすなろう」新潮社 1982(昭和57)年6月25日 発行 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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暇だから女友達にイタメール その1275 760 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 18 53 37.41 ID jcmRrM250 一つだけ質問 女友達とか「全く」いない漏れなんだが、二つだけ女のアドレスがある。 一つは実家の携帯(一応オカンとオトンの共用なんだが、ほぼオカン専用) もう一つが姉なんだ。 ここで姉にキモメするのってアリでつか? 763 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 18 55 38.50 ID 7nBgIHUs0 760 もちろんありだ 764 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 18 57 39.28 ID 8hHmRk0o0 760 姉にイタメした勇者って意外といるんじゃないか? 766 :760:2006/05/19(金) 18 58 25.92 ID jcmRrM250 763 マジありがとう。 最近キモメの存在を知って、是非一度やってみたいと思ってたんだ。 最初は自分と相手のスペックとか書いたらいいのかな? 771 :760:2006/05/19(金) 19 00 00.22 ID jcmRrM250 764 ネタ的に美味しくない? 美味しくないならROMに戻る(つд`) 772 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 00 42.73 ID i8/VJVzr0 771 そんなこといわんでやっておくれ 778 :760 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 07 50.52 ID /KYIsXoZ0 『760』 ・性別:[男] ・年齢:[26] ・特徴:[178cm 65kg 見た目も性格も性癖もキモイ ] ・性交渉経験:[1人] ・相手との関係:[姉弟] ・相手に送るメールの方向性など:[なんでもアリ] 『相手の特徴』 ・ニックネーム:[姉] ・性別:[女] ・年齢:[29] ・特徴:[エロ耐性多分高い、笑いには煩いクセに笑い耐性低い] ・性交渉経験:[アリ] 『その他』 ・タゲに対する自分の思い:[家族の中では一番俺の事を知ってるしわかってくれる] ・勇者との仲の良さ :[悪くは無い] ・タゲの詳細 :[体系:ぽっちゃり、顔面偏差値40ぐらい?、普通じゃない] 『NGライン』特になし 780 :マネジャ ◆pLAYdeBByU :2006/05/19(金) 19 09 05.29 ID Zw3WIXTN0 778 こては数字以外でヨロ 784 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 11 28.57 ID /KYIsXoZ0 780 ゴメンナサイ。変更しました とりあえず最初のメール内容(とっかかりなんで軽め希望) 810の人お願いします 792 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 12 35.68 ID /KYIsXoZ0 800に変更で・・・orz 800 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 13 51.16 ID 7nBgIHUs0 ねぇ、ちゃんと風呂入りたいんだけど 804 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 15 16.28 ID /KYIsXoZ0 800送ります。 携帯メール打つの遅いから時間かかるかも。 805 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 16 38.22 ID Zw3WIXTN0 804 長文はPCから携帯にメールして 転送が吉 807 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 18 13.33 ID /KYIsXoZ0 805 なるほど。勉強になります。 次からそうします。 今送信しました。返信までしばらくお待ち下さい。 808 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 18 23.87 ID wPoCs7ga0 800なんて糞短いほうじゃねえかwwwww 809 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 19 21.00 ID i8/VJVzr0 808 貴重な勇者をいじめんであげてください 810 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 21 30.25 ID /KYIsXoZ0 808 全くその通りなんですが、書き込み時間を見てもらえばわかるように 携帯メール打つの物凄く遅いんです。ゴメンナサイ 姉の事を「ねえちゃん」とは呼ばないので、 今回のネタはスルーされそうな予感します。 今回のネタを姉がスルーしちゃったらゴメンナサイ 817 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 25 41.54 ID /KYIsXoZ0 姉から返信が来ません・・・ 追加爆撃を 820の方お願いします。 809 SMは嫌いじゃないですけど、叩かれるのは苦手デス 808ぐらいなら全然OKデスヨ 820 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 28 24.61 ID cXP2B8Ym0 ところで結婚しようと思ってる子がいるんだけど・・・・・ まだ親には内緒な。 828 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 33 16.98 ID /KYIsXoZ0 820送信しました。 姉は普段レス早いんですが、なんでこんな時に限って・・・ 動きなくて皆さんゴメンナサイ まだたった2通しか送ってないのに、脇の下に嫌な汗がタラタラと・・・ でも他の勇者様くるまでは頑張るョ! 835 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 34 24.98 ID cXP2B8Ym0 828 ごめんwwww送信してたのかよwwwww すまんが再安価してくれ。 837 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 35 43.83 ID XSFHTAZ60 830って変態用? 838 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 38 02.56 ID /KYIsXoZ0 837 みたいですね。 835 追加で 830の下2行送信しときますネ 844 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 19 39 49.10 ID x9rC5K7j0 838 安価以外は勝手に送信するな。 852 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 42 38.25 ID /KYIsXoZ0 844 ゴメンナサイ 820の方が途中で書き込みしちゃった みたいだったので追加しようカト・・・ でもまだ送ってないからセーフです。 877 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 19 59 36.68 ID ALRkSw/20 家に帰るので次はID変わりマス ついでに姉から返信あるまでROMりマス gdgdで本当にゴメンナサイ 暇だから女友達にイタメール 1276 146 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 22 04 53.78 ID FY49iqG20 他の勇者様達が冒険中みたいですネ ようやく姉から返信来たんですけど、 少し時間置いてから冒険させて貰った方が良いですかネ? 149 :マネジャ ◆pLAYdeBByU :2006/05/19(金) 22 05 37.70 ID Zw3WIXTN0 146 何を遠慮してるんだ さあ 返信と案下を 156 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 22 08 11.30 ID FY49iqG20 送信内容:ところで結婚しようと思ってる子がいるんだけど・・・。まだ親には内緒な。 受信:Re はぁ・・・マジなん? なにやらテンツョンがよめません・・ 安価 165 165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 22 10 34.08 ID ltW4XQG+0 はぁ・・・マジなん? 210 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 22 28 24.23 ID FY49iqG20 165さんの内容で送信しました。アリガトウゴザイマスm(_ _)m なんか姉・・・仕事中かもしんないデス(つд`) 多分俺の報告はgdgdになると思われますので先に謝っときます。 ゴメンナサイm(_ _)m 218 :マネジャ ◆pLAYdeBByU :2006/05/19(金) 22 31 06.04 ID Zw3WIXTN0 210 だからなんでそんなに恐縮してんだよ 元気に行こうジェイ 239 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 22 38 06.41 ID FY49iqG20 早速TELきちゃいましタ・・・(゜д゜;) とりあえず切りましたが、次かかってもとるべきじゃないですよネ? 218 今日は素面なのでこんな感じデス お酒入ると別人になるらしいデス 記憶は毎回アリマセン・・・(ノ∀`) 276 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 22 47 59.83 ID FY49iqG20 送信: 165 返信:Re3 今彼女といるから返信遅くなるぞ(絵文字) てか気になるからさっきの審議を教えろよ! 今日は彼女の家にお泊りしてるらしいデス 返信安価 290の方オネガイシマスm(_ _)m 290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/19(金) 22 51 05.36 ID BVM51WHX0 3Pしたいナリ! 291 :マネジャ ◆pLAYdeBByU :2006/05/19(金) 22 51 07.55 ID Zw3WIXTN0 姉はタチだっけ? 306 :埼玉から雨の中実況中 ◆/3z6hwRLc6 :2006/05/19(金) 22 54 56.17 ID nna6fp/y0 変態 ◆EqtePewCZE ・性別:[男] ・年齢:[26] ・特徴:[178cm 65kg 見た目も性格も性癖もキモイ ] ・性交渉経験:[1人] ・相手との関係:[姉弟] ・相手に送るメールの方向性など:[なんでもアリ] 『相手の特徴』 ・ニックネーム:[姉] ・性別:[女] ・年齢:[29] ・特徴:[エロ耐性多分高い、笑いには煩いクセに笑い耐性低い] ・性交渉経験:[アリ] 『その他』 ・タゲに対する自分の思い:[家族の中では一番俺の事を知ってるしわかってくれる] ・勇者との仲の良さ :[悪くは無い] ・タゲの詳細 :[体系:ぽっちゃり、顔面偏差値40ぐらい?、普通じゃない] 『NGライン』特になし 341 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/19(金) 23 03 14.63 ID FY49iqG20 290送信しましタ。アリガトウゴザイマスm(_ _)m 291 ちなみに姉は思いっきりタチですネ。 文中に出てきたカノジョというのはかなりカワイイでス・・・(≧▽≦) 顔面偏差値80↑は確実なLVデス。 カノジョにも多分メル見られてるかと思うと興奮しマス(*´д`*) 548 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 00 23 22.36 ID j1HJNXRF0 超ハイテンスオンな俺が来ましたよw つかもう姉ダメだわw お詫びといったらなんだが、新しいタゲ発見! ついさっき元カノからアドレス変更しましたのメル来ましたw 逝った方が良い? 555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 00 24 27.13 ID 4YcJOHiI0 548 無論いくべき 557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 00 24 44.84 ID SM1PLBgB0 548 待ってた 570 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 00 27 44.27 ID j1HJNXRF0 スペック書いとく 【タゲネーム】 カナ(仮名) 【年齢 】 27 【性別 】 女 【性経験】 ヤリマソ 【特徴 】 ちっちゃくて巨乳だったw 【 タゲとの関係 】 元カノというか唯一突きあった女 【 メールの方向性 】 破滅OK! 【 将来の関係 】 多分今後接触無しw 【相手に対する思い】 未練無し! 【 NG項目/詳細等】 オールOK! 579 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 00 29 12.59 ID j1HJNXRF0 受信:オヒサ~♪ アドレス変えたから登録しといてね さて、どうしようかw 安価 595 595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 00 33 35.21 ID SM1PLBgB0 なんで・・・・ なんで俺がお前のことやっと忘れることができたときにこんなメール・・・・・・・ くそ!お前なんか・・・・だい・・・ss k あsこがhがh; あr ゴメン なんか 電波悪いみたい・・ あ;gだ 605 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 00 37 18.76 ID j1HJNXRF0 595 未練ないってのにwしかもいきなり電波wwおkwww送信したwwww 前スレで長文はPCから送って転送とか言ってくれた人 初めてそれだけの価値がある長文きたよwthx 現在ウィスキーのボトル1/3空いたw 639 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 00 48 57.53 ID j1HJNXRF0 返信キ━━━━(・∀・)━━━━タ 返信:え~!!今ごろそんな事言われても・・・ 私結婚してるの知ってるでしょ? そういうことは結婚する前に言って欲しかったな(ハート) 途中文字化けみたくなってるけどなんて書いてあるん? 言い忘れてたが、タゲは既婚&子持ちw 勿論出来ちゃった結婚だぜwwwww 返信安価 645 645 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 00 50 41.17 ID SM1PLBgB0 日本の離婚率は右肩上がりらしいな。 つまりは流行の最先端は離婚ってことだ。 俺が何を言いたいか、聡明なお前ならわかるよな? 657 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 00 53 27.88 ID j1HJNXRF0 645 うはwフラグ立てるつもりかよw送るぜw 追記 タゲは過去に何度か離婚するかも・・・みたいな事を俺に言ってるw 俺ヤバスw 682 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 00 58 24.55 ID j1HJNXRF0 こいつ返信はえぇw 返信:え~?私お馬鹿だからわかんな~い(笑) 離婚したら子供いるし生活どうすればいいの?(変な絵文字) ヤベwマジでフラグ立ちそうな勢いだぜwwww 返信安価 690 690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 01 00 06.97 ID N2u+vJ+X0 オレが面倒みるよ 718 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 01 05 20.76 ID j1HJNXRF0 690送信 返信:それ本気? これなんてフラグ? 安価 735 735 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 01 08 02.75 ID +qXGlDcu0 ・いちいち愛しいんだよ!バカ! 760 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 01 14 57.08 ID j1HJNXRF0 735送信 返信:馬鹿って言うなぁ(怒り) でも愛しいって言葉は嬉しい(笑い) 本当に本気になっちゃうよ? 俺の独身生活秒読み入ったか!? 安価 775 775 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 01 19 02.12 ID SM1PLBgB0 ああ。本気になってもいいよ。 でも棘の道なのはわかってるよな? 俺はお前とならどこまでも歩いていきたい。 ずっと・・・・お前が幼稚園の頃から見つめ続けてきたからさ・・・・・ 今でも俺の部屋はお前の写真で埋め尽くされてるぜ? 835 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 01 29 41.73 ID j1HJNXRF0 775送信 返信:お笑い芸人の「アマーイ」って言う人の真似?(笑い) でも言われると嬉しい(はーと) 旦那まだ帰らないけど帰ったら真面目に話してみる 頼む・・・旦那帰るまでには破滅にもっていってくれ・・・ このままの方向性だと俺の人生が破滅だ・・・orz み な ぎ っ て き た ぜ !wwwwwwww 安価 855 855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 01 34 08.84 ID 4YcJOHiI0 いや俺は足長おじさんのようにお前を影から支えてやりたい。 俺にはお前の家庭を壊す気などさらさらないよ。 お前の旦那さんとこの前飲みながら話したんだがいい男じゃないか。 885 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 01 40 22.09 ID j1HJNXRF0 855送信 返信:え?嘘!旦那と飲んだの(!?) そんな話聞いてないよ(・・・)私 離婚はするなって言ってるの? 旦那と会った事1回しかないんだがw 明らかにあやしすぎw 状況少しだけ良化?www 安価 900 900 名前:積式(案下↓) ◆WCXOi6.ELM :2006/05/20(土) 01 43 50.46 ID YlXcfPR10 KSK 901 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 01 43 51.62 ID SM1PLBgB0 うん。 自分はイケメンだからどんなに浮気をするのが 仕事だからしょうがないけど最後に帰るのはタゲだって。 こんなセリフ並みのイケメンじゃ言えないよな。 男として負けたと思ったよ・・・・・・ 903 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 01 44 52.25 ID j1HJNXRF0 899? 901? 904 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 01 45 12.60 ID 4YcJOHiI0 901だな 944 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 01 52 33.75 ID j1HJNXRF0 901送信 受信:そのセリフずっと前浮気でケンカした時も聞いた(・・・) もう旦那のそういう言葉信じられないモン(泣き) それに旦那より(俺)の方が絶対良い男だよ(はーと) 安価 945 945 名前:埼玉から雨の中実況中 ◆/3z6hwRLc6 :2006/05/20(土) 01 53 00.58 ID NjLNBX4y0 954 名前:変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 01 56 25.60 ID j1HJNXRF0 再安価 970で 970 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 02 01 14.24 ID SM1PLBgB0 じゃあ何で俺と別れたの? 前スレ 暇だから女友達にイタメール その1277 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 02 11 41.60 ID SM1PLBgB0 変態 ◆EqtePewCZE sage 2006/05/20(土) 00 27 44.27 ID j1HJNXRF0 スペック書いとく 【タゲネーム】 カナ(仮名) 【年齢 】 27 【性別 】 女 【性経験】 ヤリマソ 【特徴 】 ちっちゃくて巨乳だったw 【 タゲとの関係 】 元カノというか唯一突きあった女 【 メールの方向性 】 破滅OK! 【 将来の関係 】 多分今後接触無しw 【相手に対する思い】 未練無し! 【 NG項目/詳細等】 オールOK! 27 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 02 13 45.94 ID j1HJNXRF0 前スレ 970送信 受信:昔の事だから詳しくは覚えてない(汗) でも嫌いで別れたんじゃないよ?(泣く) 返信 45 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 02 19 02.42 ID SM1PLBgB0 俺なんて今でも好きだよ。 やべ!酒の勢いかな。お互いのためにも今のは忘れろ! 59 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 02 25 42.41 ID j1HJNXRF0 45送信 受信:私も好き(はーと) お酒飲んでるの?私も一緒に飲みたいな~(お酒) 話したい事もあるし今度いっしょに飲みに行こう(星) ついにウィスキーのボトルが空になった。 安価 65 65 :うぃん 安価↓ ◆8beNgqf11. :2006/05/20(土) 02 27 29.52 ID /xPY/REX0 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 02 27 31.83 ID riFzi72j0 もっこり断る! 98 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 02 36 04.56 ID j1HJNXRF0 65→ 66送信 受信:ひどい~(泣き) いじめないでよぅ(大泣き) でもなんでもっこり断るなの? そろそろ寝ないと仕事が・・・_| ̄|○ ここから破滅へ持ってって終了か明日以降に持ち越しかどっちが良い? ちなみに起床は7時ねw 安価&↑の希望 110 110 :ぬふぅ ↓ ◆tBIjMrUV7E :2006/05/20(土) 02 40 54.41 ID zYMssN3f0 111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 02 40 57.63 ID SM1PLBgB0 タゲのこと思ったらもっこリしっぱなしだからちょっと抜いてくる。 タゲ以外の女をオカズにしてね。 俺が射精するまでまだ寝るなよ? 127 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 02 46 00.88 ID j1HJNXRF0 110+今日も仕事あるし寝るぽ で送信 今気づいたけど、明日15時間勤務だから寝ないとヤバイんだった_| ̄|○ 生きてたら明日以降に冒険再開する! お先に失礼しますわ 131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 02 48 26.71 ID SM1PLBgB0 127 乙! また遊んでね! 307 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 09 00 07.21 ID zsgzTEcp0 誰かスナイポしてくれる方いらっしゃいますカ? いれば冒険再開してみたいんですガ・・・ 311 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 09 18 41.48 ID zsgzTEcp0 それでは僭越ながら再開させて頂きマス 127送信 受信:彼女横にいるの? 一緒に寝てくれる彼氏で羨ましい そして(俺)のアレが元気なのね 読み返してみてお酒の勢いとはいえ恐ろしい展開デス 返信安価 315 315 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 09 22 16.26 ID KSa5eUhC0 もう 15時間も 起ちっぱなし。 319 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 09 32 01.08 ID zsgzTEcp0 315送信 受信:それは流石に嘘でしょ(笑い) (俺)が元気なの知ってるけどさ(はーと) 今仕事中じゃないの? 返信安価 335お願いしマス 335 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 09 42 58.47 ID rKC/ubDK0 俺今日から二ートだし仕事ないの だから一日中暇なんだよ 337 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 09 51 18.57 ID zsgzTEcp0 335送信しましタ。アリガトウゴザイマス 受信:今日は仕事だって昨日行ってたでしょ? 言ってる事バラバラなんだけど大丈夫? 本当は休みなの? 返信安価 345お願いしマス 345 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 07 04.41 ID 4O7cOp030 ダビンチコード に気づかないのか このバカ珍が!! 346 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 07 57.60 ID wqSUW942O まぁとにかくアレだ、 仕事にも精力剤が必要だしおっぱい写メをくれないか? 355 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 10 23 55.78 ID zsgzTEcp0 345送信しましタ。アリガトウゴザイマス 受信:わかんないよぅ(泣き) だから馬鹿っていうなぁ(怒り) 本当に仕事なの?それとも休み? 安価 355お願いしマス 356 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 24 08.26 ID wqSUW942O 351 変態 消えた 変体? 357 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 10 24 26.42 ID zsgzTEcp0 安価ミス 365でお願いしマス 365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 26 47.52 ID wqSUW942O 346 373 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 10 35 24.60 ID zsgzTEcp0 365→ 346送信しましタ。アリガトウゴザイマス 受信:ヤダ(笑い)恥ずかしいもん(照れ) 仕事終わったら直接見に来る? それならちょっと考えるよ(はーと) 皆さん・・・最後には私の希望通り鬼畜・電波系で破滅させてくれますよネ? 大半が純愛系のスナイプなのでちょっと怖いんデス・・・orz 356 仕事中なもので一応人目を避けながらの書き込みもなので テンポ悪くてゴメンナサイ 安価 385お願いしマス 380 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 38 01.64 ID HoSvHYr30 373 破滅おkとは書いてあるけど破滅したいとは書いてないんじゃね?ww 385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 38 31.82 ID GP1dMD2j0 やりたい 390 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 42 51.17 ID 8FwJDEq1O 373 木にすることはないと思う 俺も授業中だしな 397 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 10 52 35.51 ID zsgzTEcp0 385送信しましタ。アリガトウゴザイマス 受信:本気じゃないよね?(笑い) なんか昨日から様子おかしいし・・・ 彼女にバレたら怖いんじゃない?(笑い) 380 ゴメンナサイ。是非是非破滅の方向でお願いしマス 390 スナイポしてくれるのは大変ありがたいですが 授業も真面目に受けて下さいネ 安価 405お願いしマス 405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 55 08.30 ID jxM24PQm0 いや彼女はアナリスクさせてくれないから 最近ちょっとご無沙汰なんだ。 アナリスク知ってる? お尻にフリスクいれるんだよ。 めっちゃ気持ちいいからタゲはやらせてくれるよね 394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 10 51 36.71 ID wqSUW942O ところで変態は何で絶縁したいんだ?巨乳とセクロスできるのに… 410 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 11 04 52.98 ID zsgzTEcp0 405送信しましタ。アリガトウゴザイマス 受信:それ普通は嫌がるって(笑い) 食べ物使うのは抵抗あるもん 普通にお尻でするのじゃダメなの?(笑い) 394 理由+ウザイからというのが理由デス しかし、タゲは全く引いてくれませんネ・・・ 安価 420お願いしマス 420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 11 07 19.15 ID N2u+vJ+X0 俺達別れよう。 他に好きな人がいるんだ。 これ言ったらお前引くかもしれないけど、 相手って元カノなんだ。 どうしてもその人の事が忘れられない おまえには本当に悪いと思ってる (送った直後、「ごめん相手間違えた、今のは気にしないで」と送信) 432 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 11 16 24.41 ID zsgzTEcp0 420送信 受信:もしかして相手って彼女? 別れるつもりなん? 大事なメールは宛先間違っちゃダメだよ(はーと) 何か期待してる気がしマス・・・ 嫌な汗がタラタラと流れてますョ・・・orz 安価 440お願いしマス 440 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 11 18 26.20 ID u74oKjjT0 いや、浮気相手 切っても切っても続くから大変だよ、イケメンはつらい 458 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 11 27 08.81 ID zsgzTEcp0 440送信しましタ 受信:浮気してるの(!?) うちの旦那と一緒やん(・・・) サイテ~(怒り) ようやくいい感じになってきましたョ 安価 465お願いしマス 465 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 11 30 48.87 ID N2u+vJ+X0 なんて嘘に決まってるだろ。 まあ今の彼女はある意味浮気相手だけどね。。。 好きだったのはずっとおまえだから・・・ 484 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 11 41 14.96 ID zsgzTEcp0 465送信しましタorz 受信:本当に×∞本気? 昨日も言ったけど本気なら旦那に話する! 真面目にどっちか教えて? 死亡フラグ立ちそうなんでなんとか回避したいデス・・・ 安価 490お願いしマス 490 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 11 43 50.42 ID Jzop+dYm0 本気本気。 今俺を信じないでいつ俺を信じる? 514 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 11 57 28.70 ID zsgzTEcp0 490送信しましタorz 受信:わかった。今日旦那帰ったら話する(剣) (俺)とも話したいから直接会わない? 私は何時からでもOKだよ(ハート) マジ死亡フラグ・・・ 誰か蘇生させて下サイ・・・orz 安価 525お願いしマス 525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 12 00 11.10 ID u74oKjjT0 おいおい、本気にしたか? 前もこんなことして ガツンと言われたな笑 好みじゃない?こういうの きっと怒ってるだろうな 550 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 12 24 55.13 ID zsgzTEcp0 525送信 受信:怒るに決まってるでしょ(怒り) 昨日の夜も同じ様な事してるし(怒り×2) そんな事する人じゃなかったじゃない(泣き) ようやく破滅へと進みだしたカモ でもタゲは本当にウザイ性格してるナ 安価 560 558 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 12 27 22.97 ID zsgzTEcp0 お昼休みなのでご飯食べてきますネ 戻り次第 560送って再開しますネ 560 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 12 27 43.08 ID u74oKjjT0 ヒント、縦読み 667 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 14 19 03.55 ID zsgzTEcp0 お腹一杯でちょっと眠くなってきたョ 560送信 受信:ヒント?たて読み? もしかしてまた馬鹿にしてる?(無き) こういう話し方吐き気がする・・・ 安価 675 675 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 14 22 03.48 ID KSa5eUhC0 お~ま~え~は~あ~ほ~か~ 694 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 14 28 21.25 ID zsgzTEcp0 675送信 受信:アホちゃうもんお馬鹿だもん(怒り) アホ言うた方がアホやもん(笑い) ムカツク・・・ 安価 699 699 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 14 29 41.47 ID ETHWttnJ0 じゃあ俺がアホ、お前がバカ。 知ってるか?アホはアホの坂田みたいに冗談で通じるが、 バカはホントに救えないんだよなw 705 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 14 32 13.47 ID Xv9ylZGh0 変態は元カノにひどい言い様だなwwww 昔はそう言うところがすきだったんだろ?www 709 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 14 38 12.95 ID zsgzTEcp0 699送信 受信:馬鹿はいい意味で使う事あるもん! でもアホはそんなの無いよね? だから馬鹿の勝ち~(星) 705 あの頃はやりたい盛りだった・・・ 穴さえあれば誰でも良かった・・・ 安価 715 710 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 14 40 04.21 ID zsgzTEcp0 705 追伸:このタゲのおかげで女が嫌いになった。 時間をかけてある程度克服した。 今では立派なバイです。後悔はしていません。 715 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 14 42 38.81 ID Xv9ylZGh0 縦読みがわからないから バカと言ってるんだよ! さっきのメールの左から一文字目を 縦に読んでみ? 728 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 14 50 23.82 ID zsgzTEcp0 715送信 受信:たて読みってそういう事なんだ でも本音がわかんないから会って話しようよ(笑い) 時間とれないなら(電話)でもいいよ(音符) 誰か核爆弾をありったけ下さい・・・orz こいつの細胞まで塵にしてやりたい・・・ 安価 740 740 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 01 24.04 ID xW5aLnm20 うんこでもしてろ、バカ 745 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 15 04 38.13 ID zsgzTEcp0 電話かかってきた!どうしよ? 748 :シコルスキー ◆LrG3XHcSJU :2006/05/20(土) 15 05 55.02 ID wqSUW942O 745 電話安価! 754 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 15 11 11.19 ID zsgzTEcp0 とりあえずキレられてます。 俺:もしもし タゲ:昨日から何!?好きだって言ったり逆の事言ったり!からかってるの!? 俺:・・・ タゲ:何か理由があるなら言ってよ! 俺:・・・なんとなく・・・ タゲ:なんとなくって何!?ふざけてんの!? 俺:なんて言うか・・・ 俺:ちょっと頭沸いてるからかけなおす プツッ 電話安価 755-765あたりで 755 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 11 42.87 ID ETHWttnJ0 756 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 11 44.89 ID 1CBEH9xd0 終止コロ助口調 757 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 11 52.06 ID Xv9ylZGh0 マジ告白 本気で口説く 758 :コンピュータ法務部だって!sageないと逮捕されるらしいぞwwww :2006/05/20(土) 15 11 55.62 ID 3OwdtLnK0 759 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 12 08.87 ID xW5aLnm20 うんこと10回叫ぶ 760 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 12 16.28 ID rKC/ubDK0 君が大好きなんだ愛してるこれはうそじゃない 761 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 12 25.84 ID Xv9ylZGh0 プロポーズする 762 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 12 54.10 ID kmbSCAVc0 なぁ、さすがに人生の岐路になりそうなとこは真面目に対応した方がよくないか?w 安価↓ 763 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 12 55.12 ID ETHWttnJ0 終始相手を元カノの名前で呼ぶ 764 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 13 04.50 ID xW5aLnm20 妊婦犯すのが夢なんだ・・・と言う 765 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 13 07.51 ID Xv9ylZGh0 黙れよ肉奴隷 とっととだんなと 別れてまたひらけや 767 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 15 13 46.11 ID zsgzTEcp0 多分この電話で最後になると思いますのできついのお願いします。 安価 -775までに変更 768 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 14 34.91 ID Xv9ylZGh0 今すぐタゲに会いたい 会って抱きしめたい 結婚して欲しい 769 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 14 45.45 ID ETHWttnJ0 今度一緒にエンゲージリングを買いに行こうと言う 770 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 15 03.28 ID rKC/ubDK0 頼む旦那と別れてくれ俺は君がいないと駄目なんだ 俺が一生かけてやしなうから 771 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 15 04.64 ID /TlrV8w9O マムコだけ あ い し て る 772 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 15 04.84 ID xW5aLnm20 うんこくえよ 773 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 15 14.38 ID 1CBEH9xd0 お前なんてマンコがあれば他はいらねーし 774 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 15 23.43 ID Xv9ylZGh0 市ねよ。ブス、カス、ゴミ、クズ、ヤリマン、ボケ 775 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 15 50.60 ID ETHWttnJ0 でもそんなあなたがすき 776 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 15 56.46 ID Xv9ylZGh0 うるせえまんこみせやがれ 795 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 15 24 48.44 ID zsgzTEcp0 755-776使わせてもらいます。 相手の反応を予測しつつ全部使えるようにまとめてから電話します。 後ほど会話の流れを報告でよろしいですかね? 796 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 15 25 52.72 ID Xv9ylZGh0 795 kwsk報告頼む!! 897 :変態 ◆EqtePewCZE :2006/05/20(土) 16 35 49.76 ID 2d/wq6vh0 すいません。仕事で外出しなきゃなんで後でまとめさせて貰います。 ちなみに電話終わってから携帯が震えっぱなしですw 今から着信拒否しますw 901 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/20(土) 16 37 38.67 ID D14is+90O 897 乙~報告待ってるノシ 変態2
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登録日:2009/11/08 Sun 03 15 29 更新日:2024/05/07 Tue 11 51 35NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 LIVE A LIVE NTR お姫様 アリシア スクウェア スクウェア三大悪女 トラウマ ヒロイン ルクレチア 中世編 寝取られ 濃すぎるキャラクター性 王女 王族 美姫 自害 荒川美穂 裏切り 麗しい LIVE A LIVEの中世編の登場人物で、ルクレチア王国の王女。 同編における重要人物の一人である。 CV:荒川美穂(リメイク版) ~以下、全体的にネタバレ注意~ ●中世編での動向 ある時ルクレチア王国で開かれた武闘大会。優勝者には王女アリシアとの結婚が待っていることもあり盛大な盛り上がりを見せていた。 主人公オルステッドは決勝戦まで勝ち残り、親友のストレイボウを下し、優勝の座を得ることとなった。 「オルステッド様とおっしゃいましたね? とても男らしい・・・・戦いぶりでした。 よろこんで、あなたの妃になりましょう・・・・」 宴を経てその夜、城のテラス。 「これからは父上よりも・・・・いいえ、誰よりも・・・・ あなたを・・・・信じます。」 そして抱き合い…と幸せな時も束の間、突如として王女を狙う魔物が襲い掛かる。 (リメイク版ではアリシアが微妙に遠いところで恐怖に伏せる中、オルステッドが魔物と戦う光景が繰り広げられる) からくも魔王を倒したもののそれは囮だったらしく、今度は魔王山より飛んできた魔王が、アリシアをさらっていく! オルステッドに助けを求めるアリシアの叫びだけが、夜空に溶けていった…… 「オルステッド!! オルステッドーッ!!」 この一夜を経た後、王様からの願いも受けてオルステッドは魔王討伐とアリシア奪還に向かう。 既に彼の中では特別な立場らしく、中世編のゲームオーバー時には何処かの深部で魔王と思しき存在を前にアリシアが 「助けて オルステッド・・・・」とか弱く助けを求める場面が流れ、タイトルに戻るようになる。 親友の魔導師ストレイボウ、かつて魔王を倒した僧侶ウラヌスと先代勇者ハッシュの力を借り、勇者オルステッドは魔王をついに倒す。 これでようやく全てが終わり、後は王女を… と思ったところでハッシュが告げる。「バ・・・・バカな・・・・ 魔王ではない!」 そんな事実に驚く間もなく病を患っていた身体に限界が訪れ、力尽き倒れるハッシュ。 偽魔王を倒した事によって部屋が揺れ出し、脱出を試みるも逃げ遅れ落盤に巻き込まれるストレイボウ。 アリシアの行方も依然として掴めぬまま、オルステッドとウラヌスは失意の帰還をすることとなってしまった…。 その夜…オルステッドの見た夢か、いや誰の視点なのかもわからぬ光景で、見覚えのある何処かの深部でアリシアは本当の魔王を前に叫ぶ。 「来ないで!」と… だが目覚めて間もなく何者かの術中にハマってしまったオルステッドは、国王を魔王の幻と共に斬り捨ててしまう。 勇者から一転魔王と呼ばれ恐れられ、追放されるも何処にも安息の地はなく、戻ってきたオルステッドは投獄されてしまう。 だが、拷問の末に瀕死の状態であった、隣の牢のウラヌスの最期の力を振り絞った魔法により脱出する。 「さ、行くのじゃ・・・・お前には・・・・まだなすべき事が・・・・信じる者がいるではないか・・・・」 ウラヌスの今際の言葉を聞き、過去に自分を信ずると言ってくれたアリシアとの思い出を胸に、オルステッドは王国を後にし魔王山を往く。 岩盤で塞がっていたはずの扉は開き、夢か幻かで見た魔王山の最深部に以前は見つけられなかった隠し通路を発見。その先へと駆け出し… 「やはり 来たか!」 魔王山の最上部にそびえたつ謎の像…その中から出てきたのはあのストレイボウ本人だった。 そしてオルステッドに対し真相を語ってゆく。 「俺が‥‥ここにいる事が不思議そうだな。 あの時の落盤は魔王山のしかけなどではない‥‥。 俺はあの時魔王山の秘密に気がついた‥‥。 その瞬間俺の‥‥今まで抑えていた気持ちが爆発した! お前を出し抜いて‥‥ 俺がアリシアを救おうと! そして、いかにもここに 仕掛けられていたワナのように 俺は魔法を唱えた!」 …………魔王山の偽魔王を倒してからの一連の展開と事態は、全てオルステッドを陥れるために、アリシアを代わって救おうとせんとストレイボウが仕組んだことだったのだ…………。 「フフフ… ハハハハハ! ヒャァーッヒャアア!! おもしれえほど簡単に引っかかったぜ。 ハッシュもブザマにおっちんだあとだったしな! 後はてめえを絶望のドン底に突き落とすため王殺しの罪を負わせた! だが… てめえはここに来やがった!! てめえはいつもそうやって、俺のしてえことをブチ壊しやがるッ!! 昔ッからそうだ! 俺がどんなに努力しても、てめえはいつもそのひとつ上を行っちまうッ!! あの決勝大会の時もなあッ! 俺があの夜どんなに苦しんだか… てめえにッ! てめえなんかにッ!! わかられてたまるかよッ!! だが…俺は今までの俺じゃねえ… 今こそッ! てめえをブッ倒しッ!! てめえの引き立て役だった過去に決別してやるッ!!」 あの世で 俺にわび続けろオルステッドーーーーッ!! 親友への嫉妬心に狂い、多くの破滅をバラ撒いたストレイボウを倒すと、彼が身を潜めていた魔王像の中からようやくアリシアが姿を見せる。 流れた血は少なくなかったが、これで彼女を助け出し、後は目の前で叫ばれたであろう真実を国民に伝えれば誤解が消えるだろう。 と、思われたが…… アリシアは突然「来ないで!」とオルステッドを拒絶する。まるで、どこかで見た夢のように。 「・・・・オルステッド・・・・なぜ・・・・来てくれなかったの・・・・?」 「私は待っていたのに‥‥ ・・・・この人は・・・・ストレイボウは来てくれたわ!」 「・・・・この人は・・・・いつも あなたのかげで苦しんでいたのよ・・・・ あなたには・・・・この人の・・・・負ける者の 悲しみなどわからないのよッ!!」 アリシアのあまりにも唐突な態度に動揺するオルステッド。 誤解だとも、騙されていたんだとも言い返すこともできない。最後の唐突な発言にさえも。 そんな彼をよそにアリシアは… ストレイボウ‥‥ もう 何も苦しむことはないわ‥‥ 私が‥‥ ずっと いっしょにいてあげる! 躊躇いなくナイフを自らの腹に突き立て自害。ストレイボウの死体に覆いかぶさるように倒れるという、あまりにも後味の悪い最期を遂げた。 一人残されたオルステッドは… 武闘大会の優勝後とその晩のアリシアの言葉を、 ハッシュとウラヌスが今際に残したそれぞれの言葉を、 ワナにはめられ国王を手にかけてしまい、魔王という名の濡れ衣を着せられたあの晩の出来事を… これまでの出来事を思い出し、絶望と共にへたり込む。 そして全てを失ったオルステッドは、プレイヤーの意志を離れて自分の心を口にする。 かつての勇者が人間に絶望し、魔王オディオが誕生した瞬間である―― ●最終編での動向 故人ではあるが、最終編の、僅かな生き残りを残してほぼ壊滅したルクレチアの民の魂が彷徨う『心』のダンジョン最深部にも登場する。 アキラの最強武器「ど根性グラブ」を取るとそこから泣きながら現われる。 彼女の心を読むと、 『お願いです‥‥止めてください‥‥オルステッドを‥‥』 という声が聞こえ、パーティは自動的にダンジョンを脱出する事になる。 声優の演技の光るリメイク版ではストレイボウ共々生気を失ってしまったような様子になっており、これがプレイヤーの前で自らの命をも顧みず、憎悪を爆発させたあの二人と同一人物なのか?という気持ちさえ浮かんでくる。 真実を知らないまま死してなおオルステッドを魔王とみなしている大臣のような例もあるのだが…。 ●アリシアに関するあれこれ アリシアのあまりにも唐突な行為は、多数のユーザー達の怒りを買い、彼女は「スクウェア三大悪女」の一人として名を連ねる事となった。 『心』のダンジョンにおいて、自分の行為を後悔する発言が存在しなかった事も、ユーザーの彼女への怒りに油を注いでいる。 ただし一部では「あんな異常事態なら真っ先に助けに来たストレイボウのこと信じきってもおかしくない」「外の状況知らなかったから、国がどうなってるかわからなかった」「ストレイボウに色々と吹き込められた」「そもそもオルステッドと結婚することになったのは武闘大会で優勝したからでしかない」といった擁護の声も存在する。 また、彼女のそんな支離滅裂な行為に説明を付けられる推察として、「黒幕は魔王像で、ストレイボウやアリシアは魔王像に操られた」もしくは「負の感情を異常に増大させられた」という説がある。 魔王山頂点に存在する魔王像は「憎しみ」等の負の感情を増幅して力にするものではないか? というものである。 ストレイボウの裏切りは親友への嫉妬心を増幅されたのものあり、アリシアも魔王にさらわれたり、助けを待っている間にストレイボウの策略で父である王を殺されたりと、負の感情はかなり強かったので、同様に狂わされたのでは?という事である。 また、中世編冒頭では「王妃はアリシアを身籠っている時に魔王にさらわれた」という過去が語られている。王妃がさらわれている最中、つまり生まれるより前から魔王の何らかの企みに巻き込まれていたという可能性もなくはない。 この説が正しいとすれば、本当に悪いのはストレイボウやアリシアではなく、魔王像或いはそれを作った魔王であって、むしろ彼らは、 オルステッドを魔王にするために魔王像に利用された上に、説明が無かったが故に極悪人のレッテルを貼られた被害者という事になるが… 残留思念の言葉が妙に大人しいことも気になるところである。何せ、相手は魔王オルステッド。父を殺し、愛する人を殺し、国を滅ぼした憎き仇敵である。「あの悪魔を殺して」と言ってきてもおかしくはない。 この不自然さは何か。 上記を推定の一つに、リメイク版ではストレイボウもオルステッドもこの作品の定義である【魔王】=【憎しみ】にとらわれている際には赤黒くなっており、魔王オディオの欄でもあるが、現実世界の20年以上の時を超えて新たなるオディオが出現したことにより【魔王(憎しみ)を出現(復活)させるための贄にされた】と推定することもできる。 あるいはその魔王偽装事件と同じく、アリシアもまたストレイボウに騙された被害者だった可能性もある。 「恐るべき魔王に目的すら知れぬままに囚われている」という極限状態に置かれた世間知らずのお姫様の精神状態など、とうていまともなものではなかった事は想像に難くない。(*1) そこに付け込んだストレイボウに「オルステッドは未だ二の足を踏んでいますが、俺は諦めず真っ先に助けに来ました」などとある事ない事吹き込まれていたり、もっと直接的に魔法や幻術の類で洗脳・籠絡されていた可能性だって否定はできないのである。 中世編のストーリーには、彼女の行動以外にも、「魔王がどこにもいなかったのなら、最初に倒した偽魔王は一体何だったのか?」「オルステッドは何故、ただ魔王になると宣言しただけで本当に魔王になれたのか?」といった、不自然な点が存在する。 こうした意見が出る背景として、アリシアというキャラクターがどのような存在なのかプレイヤーからはさっぱり解らないというのがある。 彼女が登場するのは中世編の冒頭と最期の2つのみで、プレイヤーとオルステッドからしてみれば、あの時初めて顔を合わせ言葉を交わした女性の、「信じてる」というあまりにも曖昧な一言を頼りに戦っている。 これはLIVE・A・LIVEという作品は、既存の王道的なヒロイックRPGのアンチテーゼとして作られた作品であるというのが大きいだろう。 中世編以外の7人は、それぞれがぞれぞれの確固たる理由を持って戦っている。 それに対して、オルステッドは何故オルステッドが戦いに赴くのかという理由付けが明確には明かされていない。 単純に、「魔王にさらわれた姫を救う」という状況があるだけで、オルステッド自身がアリシアをどう思っているか(*2)、何故魔王と戦うのかというのはプレイヤーにも一切明かされない。 オルステッドが初めて自分の意思を示したのは、すべてが終わって魔王に目覚めてからである。 中世編は、言ってしまえば最終編のラスボスである「オディオ」が何故、どのようにして生まれたのかという物語であると同時に、RPGの「お約束」の否定や問いかけを行う話でもある。 勇者は何故戦うのか? 戦うとはいったい何なのか? そして、勇者が英雄に至るとはどのような事なのか? 英雄とは何か? RPGの、英雄になることが約束された勇者の、その約束がなくなった時、勇者はどうなるのか。 アリシアとオルステッドが当時の王道的RPGのある種テンプレート的なキャラクターである事。 そして、そのテンプレートを覆すあのラストとは何だったのか。 その事をよく考えてみると、LIVE・A・LIVEという作品の本当の魅力が見えてくるかもしれない。 作曲を担当した下村氏曰く「時田氏の女性観みたいなのが反映されてる」らしい。 また時田氏は、公式攻略本のスタッフインタビューで、「アリシアみたいな女の子女の子してて私かわいいでしょみたいな奴ほど残酷なことするもんです」「『心』のダンジョンでの台詞でちょっとだけフォローしたつもりだった」という趣旨のコメントをしている。 あのセリフでアリシアの言動を「ちょっとだけフォロー」したつもりだったというのなら、もしかすると本来、もっとひどいことを言わせるつもりだったのでは ちなみに、2006年に中世編を原作とした演劇「魔王降臨 Live SIDE Evil SIDE」が公開されている。 こちらのアリシアは大まかな立ち位置こそ原作と同様ながら、フルネームが「アリシア=ブルターク」と設定され、 政略結婚を嫌って勇者ハッシュの様に強い男と結婚したいとわがままを言って父のユリウス王に武術大会を開かせた等、王族としても人間としても問題のある性格にされている。 ただし演劇版は原作ゲームとは異なる世界観であり、一部の設定や展開が変更されている(いわばパラレルワールド)。 そのため、演劇での彼女の設定がゲームにそのまま反映されるわけではない点には注意されたし。 追記・修正はずっといっしょにお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- キャラクターや作品に対しての愚痴や批判、誹謗中傷等を行った場合、I/P規制・コメント欄の撤去等の措置がされる可能性があります。 ▷ コメント欄 [部分編集] 予告通りコメントをリセット致しました。上記注意書きを確認の上、ご利用下さい。 -- 名無しさん (2016-12-08 02 18 21) 自分なりの解釈だけど魔王像の前にいたアリシアは本当は彼女の体を乗っ取った魔王だったんじゃないかな? 魔王は自分の肉体に限界が来ていた為強い体の人間と融合(その系統の魔法は相手の心が弱っているのが条件)する必要があった。 最初は(人間不信に陥っている)ハッシュと融合するためまず(さらわれた事で心が弱っている)アリシアを自分の体と入れ替えて遠隔操作で勇者たちと戦わせた。(ハッシュが「魔王ではない」と言ったのも中身がアリシアだから) だが肝心のハッシュが死んでしまい計画が狂ってしまった。 その時ストレイボウにほんの少しだけオルステッドに対する憎しみの心があることに気づいた。 魔王はその心を大きく膨れ上がらせ二人を戦わせた。 そして勝者のオルステッドの心を傷つかせ自害とともに彼と融合する事に成功した・・・といったところかな。 まあそんな都合の良い魔法なんて設定どこにもないけどな。 -- 名無しさん (2017-02-15 23 25 10) 王女と言う公的な立場に縛られて私的な感情を一切見せる事ができなかったんじゃないかとも思う。結局のところ立場に見合わなかったが無理して続けて爆発したのが本編なんだろうとも、爆発してしまった後に自己嫌悪してる -- 名無しさん (2017-02-25 17 02 37) メタ的に見れば、彼女もテンプレお姫様の役を押しつけられた被害者と言えるとは思う その上で勇者(≒プレイヤー)を裏切ったから悪女呼ばわりなんて、さすがにちょっと同情するな -- 名無しさん (2017-04-25 16 07 29) ↑ それ言い出したら善玉、悪玉の配役が崩壊するぞ。むしろ嫌われる役どころなんだから作り手の想定通りでしょ -- 名無しさん (2017-04-25 16 11 19) 前にも似たようなこと書いたが、心のダンジョンで今更謝ってもそれはそれで白々しいとか言われてたと思う。 -- 名無しさん (2017-06-04 20 57 08) 中世編は、「オルステッドが絶望する事ありき」として作られているせいで、アリシアにしろストレイボウにしろ、裏切りが急すぎるしその理由も事情も薄くて、「ただ裏切るためだけに生み出された、現実味の薄いキャラ」に見えるんだよな。だからそこが気になって、相手の事情を考えたくなっちゃう人も多いんだと思う。 とはいえ、理由も事情もよく見えない急な裏切りだからこそオルステッドの絶望にインパクトが出る訳で、「整合性よりインパクト」のシナリオとしてアレが正しいとも思うんだが。 -- 名無しさん (2017-06-04 21 48 11) 少なくとも他の7つのシナリオは、必要最小限の整合性やキャラ描写がしっかりしてた。SF編での人間の醜さや思わぬ存在(OD-10)の裏切りも、あの短い中でも納得できるように成立してたし。だからなおさら、中世編の唐突さと不自然さが目立つんだよな。アリシア達の裏切りはもちろん、偽魔王の正体とかも含めて -- 名無しさん (2017-06-06 18 58 54) 描写不足で悪女扱いってのもどうも不憫だよなあ -- 名無しさん (2017-06-06 19 25 33) 実際ストレイボウがオルステッド倒してアリシアとハッピーエンドと思ったら胸糞だけどな、ストレイボウが間接的に父親殺した事実を知らずに2番手境遇に同情してるのは不幸だし、ある意味こいつも被害者だな -- 名無しさん (2017-10-21 19 41 34) 描写不足に関してはともかく、最初からシナリオが決まってたから悪女扱いされてかわいそうってのは違うような。それを言い出したら、すべての悪役がかわいそうになってしまう -- 名無しさん (2017-10-21 20 20 38) 最初から悪役にされてたから可哀想なんじゃなくて、悪役としてもいい加減なキャラ作りをされたから可哀想って事だろ。最初から悪役だというのなら、大臣のように明確に悪人だと納得できるように描写するなり、OD-10のように裏切りに至る説得力のあるいきさつを作って説明するなりしていれば、単純に「こいつは悪女だった」で収まったのに。短編シナリオだから描写できなかった、なんてのは理由にならないし(他のシナリオは短編でも整合性やキャラ描写ができていた) -- 名無しさん (2017-10-25 18 49 15) オルステッドとアリシアがもともと恋人同士だったという設定なら、もっと整合性や絶望感があったんじゃないか?あの流れではちょっと話しただけのオルステッドよりも実際に助けてくれたストレイボウの言うことを鵜呑みにするのはしょうがないとしか思えなかった -- 名無しさん (2018-01-02 06 11 25) あの娘はいい娘と思っていたら、世渡り上手の卑怯者の糞に賛成票垂れ流すだけのしょうもない凡々としたOLだった。程度の女。姫の器じゃないんだよな。 -- 名無しさん (2018-07-15 00 43 21) ↑2 自分はあの展開、面識があるのだと解釈してたな。ストレイボウの事を知り尽くしているかのような言動にも見えるし、そうまでしないと自決した事に納得が行かない。この場合、軽率にオルステッドと愛の契りを交わした無責任さの方が問題で、酷い女には違いないんだけど悪女とは違う気がした。↑9 なんかもう、何発言しても叩かれてた気がする -- 名無しさん (2018-08-15 21 30 26) ↑×4 ×8も同じ人かな? RPGのアンチテーゼありきの仕掛けとインパクト、メタが前提のシナリオだし他編と異質かつ描写不足も狙ってやっていると思われる -- 名無しさん (2018-09-11 19 28 59) それってさ、報告されたバグを「バグじゃなくて仕様」って言い張るのと似たようなものなんじゃない? アンチテーゼってのは物語の中の一部なんだから、何かを描写しなかったせいで物語自体が破綻したら、それは単に失敗って事だよ。アンチテーゼとか言っても、何でもかんでも普通と逆の事をすれば良いってもんじゃないんだから -- 名無しさん (2018-09-12 19 22 58) ↑それは自分自身に当てはまっていないか?w(単に失敗/何でもかんでも普通と逆の事をすれば良いってもんじゃない) -- 名無しさん (2019-08-16 17 08 45) でも確かに、全員が全員魔王像の前に立ってからおかしくなってるよね・・・ -- 名無しさん (2019-12-07 22 58 54) オルステッドに対してのトリガーになったという意味では悪なんだろうけど、それが悪意あってのものではないだろうと思う。 -- 名無しさん (2020-02-05 06 53 54) 時田氏のツイッターによるとアリシアは悪女じゃなく籠の中の鳥をイメージした模様 つまり無知 温室育ち -- 名無しさん (2020-05-28 22 27 43) オルステッドの話を全魔王像前の会話は多分聞こえてなかったんだろうな、あんな「すべてお前を陥れるための自作自演でした」、なんて言ってるのを聞いてたなら「さっきの話は本当か?」とか何かしら触れないのはおかしい オルステッドの言い分を全く聞かなかったのは間違いなくアカンが -- 名無しさん (2020-05-28 22 51 11) そういや魔王像からアリシアの出てくるタイミングって都合よすぎじゃない?オルステッドとストレイボウが戦っているのが見えてたなら止めるために出てきたりとかあったんじゃないの?そもそも魔王像内部ってどんな状態だったの? -- 名無しさん (2020-06-01 14 13 23) 内部は知らないけど、魔王像に意思みたいのがあったとしたら解放のタイミングとか操れるんじゃない? -- 名無しさん (2020-06-01 16 06 07) ↑3 自分を助けたストレイボウと、特になんの関わりもないオルステッドの言い分どっちを信じる?ってことになって言い分を聞かないのは普通のこと -- 名無しさん (2020-10-08 06 46 27) あとストレイボウは明確に裏切ってるけどアリシアは絡み薄いから裏切りでもなんでもない。騙された王宮の連中と同じで悪意があってやったわけじゃなかろう -- 名無しさん (2020-10-08 06 52 52) アリシアはともかくストレイボウはいうほど描写不足か?容量の都合で仲間になる場面の前にもうひと悶着(葛藤してるシーンなど)があれば良かったのにとは思うが。カインと同じ流れで裏切りキャラだから安易に作られたってわけでもないしそう感じないわ自分は。 -- 名無しさん (2020-12-03 09 23 53) 「信じますとは言ったけど、いきなり会ったばかりの男を信用できるか!」ってことなんだろうな、あとストレイボウが「助けに来てくれたのは嬉しいけど、オルステッドは何故いないの?」 という問いに「あいつは怖じ気づいた」とか吹き込んだ可能性もあるな -- 名無しさん (2021-02-15 01 49 03) 新説思い付いた、実はアリシアは偽魔王にさらわれた段階で殺されていて、ストレイボウも実は落盤で本当に死んでいた、んで魔王像がその死体を操り人形にしてオルステッドを殺害或いは次の魔王にしようとしていた。これなら不自然な部分も、そう演じされられていただけ、と説明できる、そしてアリシアのオルステッドを止めてくれ、も 体を操られていながら何もできなかったから、と解釈できるのでは -- 名無しさん (2021-02-15 02 03 40) 個人的な推測なんだけど、魔王の正体はゲゲゲの鬼太郎に出てきた牛鬼みたいな存在だったんじゃないかと思う。牛鬼は本来肉体を持たない魂みたいな存在で、牛鬼を倒しても魂だけ逃げて、自身を倒したものの肉体を奪い新たな牛鬼が生まれる。あの偽魔王もある意味本当の魔王で倒されたことで魔王の魂がストレイボウに乗り移った。ハッシュが倒した後に魔王ではないと言ったのはただの抜け殻だったからそう考えてしまったんじゃないかな?ストレイボウに乗り移ったのは、ハッシュは病気で死ぬ寸前、ウラヌスは老人で老い先が無い。オルステッドよりストレイボウのほうが悪意が大きかったからストレイボウに乗り移った。さらにストレイボウを倒したオルステッドに乗り移ったとも考えられる。 -- 名無しさん (2021-08-28 20 46 41) ↑それに加えて最悪なケースとしては、その仕組みたる魔王像を作ったのが人間という場合だな。負の想念という見えないが無限に存在するエネルギーに器を与えて魔王とし、人類共通の脅威として諸々に対する言い訳に使っていたのが忘れられ、ただ魔王として恐れられるだけのシステムになったとか。これなら「魔王はいない」にもなる。 -- 名無しさん (2021-08-28 22 11 47) ↑2 ff10のエボン=ジュかな? -- 名無しさん (2022-02-11 19 24 56) 父親殺して救てくれた人殺した助けに来てくれなかった人を信じれる奴なんていないって、 -- 名無しさん (2022-02-11 23 02 38) 今の時代に見ると逆に分かりやすいキャラかもしれない。snsで陰謀論や過激な思想にハマった人みたいに、悪い人では無いけどパワーの強い話を鵜呑みにして明後日の正義を振りかざす愚かな善人みたいな感じにも見える。 -- (2022-02-13 21 35 24) リメイク版でこの辺りの裏も明らかになってほしいものである。 -- 名無しさん (2022-02-16 23 04 52) キャストが気になる。ストレイボウが程嶋さんだし、まさか甲斐田さん…? -- 名無しさん (2022-02-16 23 25 56) ・アリシアは父が殺されたことを知ってたのか?→たぶん知らなかった、ストがそんなことしゃべるわけないし、聞こえてたなら言及がないのはおかしい。・なぜ先に来たストと遅れてきただけ(のはず)のオルスが殺し合いをするのを不思議に思わなかったのか?→魔王像に洗脳を喰らってた・なぜ他編のボスの石像が魔王山にあるのか?→?・最初の魔王を「魔王ではない、弱すぎる」と言ったのは何故か?また、何故弱かったのか?(少なくとも姿は前に現れた魔王と同一らしい) →?・以前の魔王はアリシアを身ごもった王妃を魔王山にさらい、ハッシュとウラヌスに倒されたが、その時は隠し扉のある魔王像前で終わったのか?→(多分)終わってた、そうじゃなかったらハッシュかウラヌスが「そこに隠し扉があって、先があるぞ」とか言及していたはず -- 名無しさん (2022-02-21 20 34 48) ストレイボウに比べて心境が分かりづらいね -- 名無しさん (2022-02-26 13 36 12) ストックホルム症候群なのかな。 -- 名無しさん (2022-06-05 07 28 07) 自分の行為を後悔する発言も何もそもそも悪事してないよね?せいぜいオルステッドに悪口言ったぐらい -- 名無しさん (2022-06-15 04 39 29) 基本的にどいつも舞台装置でしか無いから、描写不足も当然だとは思う -- 名無しさん (2022-07-19 08 54 27) アンチテーゼという意外性で一世を風靡したとはいえ昔のRPGにそこまでも求めてどうするってのはある。悪女扱いも嫌悪から更なる嫌悪(後悔してないから糞)を呼んでる感じだし。というか泣いて止めてくださいってのが後悔してる証左じゃないんかい -- 名無しさん (2022-07-27 01 36 56) リメイク版の演技は必見 あとセントアリシア -- 名無しさん (2022-07-27 14 33 52) >仮に偽物や幻影だった場合、それをすっぱり忘れて本物だと思い込んだオルステッドとプレイヤーはあまりにチョロすぎると言わざるを得ない。 -- 名無しさん (2022-07-27 18 43 54) いくら蛇蝎の如く嫌われてるからって都合のいい憶測に「まんまと騙されたプレイヤーとオルステッドが間抜け」みたいな書き方はアクロバティック擁護が過ぎる キバヤシになってるぞ -- 名無しさん (2022-07-27 18 45 28) 中世編は開始から終了までかなりの時間が経過しているとのこと。なのでアリシアの言動は発狂した人のそれなのだろう、整合性や理性を求めてはいけない。 -- 名無しさん (2022-07-28 09 34 21) ↑それをゲーム内でプレイヤーに伝えてない場合プレイヤーがアリシアに整合性や理性を求めるのは当然だぞ -- 名無しさん (2022-07-28 11 47 03) ↑整合性や理性もおかしくね?アリシアの言ってることそのものは事実ではあるんだし。助けに来てくれらと信じてたのに来なかった、来てくれたのはストレイボウでってんだし。はっきり言えば悪意も何もないんだもの。父親がオルステッドに殺されてることも知らんだろ。 -- 名無しさん (2022-07-28 23 52 12) アリシアの行動の不自然さや極端さは単に「王道を逆張りするためだけに作られた負のご都合主義的キャラだから」ってだけでしょw -- 名無しさん (2022-07-29 02 33 28) 理由ないとか言いながら直後に理由説明してるのは何の冗談なんですか -- 名無しさん (2022-07-29 03 42 44) まぁ何とか擁護したいっていう気持ちは伝わってくるけど推察通りならプレイヤーがチョロいのが悪いっていうのは暴論にすぎる -- 名無しさん (2022-07-29 23 28 20) 100%妄想の仮説立ててその言い草はひどいな。その部分消しとくか -- 名無しさん (2022-08-03 11 23 08) リメイクで掘り返されたおかげで詫び続けろ感が増した。中世編に限ってもコイツだけ挙動おかしいって! -- 名無しさん (2022-08-04 20 58 51) 魔王山最深部から移動させてもらってないのにストレイボウは助けに来たと認識してたのはなぜなんだ -- 名無しさん (2022-08-04 22 08 50) リメイク版の赤黒いオーラや追加ボスのおかげでストレイボウもオルステッドも黒幕には操られてたって見方がより強まったけど、そのおかげでこいつはガチで裏切っちゃった -- 名無しさん (2022-08-07 03 46 34) 途中送信失礼。ガチで裏切っちゃったようにしか見えなくなり余計にダメさ加減が強まったような気がする…それと同時に声の荒川さんの演技のおかげでストレイボウに対してヤンデレじみてるようにも見えるから色々な意味で印象が強まったよ。 -- 名無しさん (2022-08-07 03 50 57) アリシアって所詮、男にとって都合の良い女でしかないんだよね。普通の女はもっと冷淡だからわざわざストレイボウの後追い自殺なんてしないでのうのうと生きてる。ただ男に対しての都合の良さがオルステッドではなく、ストレイボウに向いていただけなんだよね。声ついたら終始一貫他人事のように話していてるように感じた。セントアリシアの悲鳴も微妙だった。あんまり役者がうまくないように感じた。 -- 名無しさん (2022-08-12 10 46 25) 「あなたには負けるものの気持ちが分からないのよ!」とほざいていたけど、初見は(舐めるなッ!メスブタッ!)と思ってしまった -- 名無しさん (2022-08-12 11 03 35) ↑✕5 早々と精神崩壊してたから魔王が憎悪とか植え付ける必要が無かったのかも -- 名無しさん (2022-08-13 15 09 12) 色々な擁護意見めっちゃ見てけど、それでも一ミリも擁護出来ないなぁ本当に -- 名無しさん (2022-08-23 21 47 21) ストレイボウがマジであの世で詫び続けてるのと比較してしまうとね… -- 名無しさん (2022-08-23 22 36 49) まあ悪女ってか精神が不安定な人でしかないと思うよ、もたらした結果が最悪だから嫌われて叩かれるのは当然だけど。 -- 名無しさん (2022-08-24 13 24 55) 姫はお前を信じている、と何度も繰り返してますが、人は孤独状態が2週間も続くと、うつ病になるらしい。言いたかないですが、アンシャントロマンのダムが決壊しても水呼吸が出来れば大丈夫!に近いような。 -- 名無しさん (2022-08-26 20 30 03) 時田氏の私って可愛いでしょ的な女の子が残酷な女性感、間違ってはいないですが、攫われて日数は経っていたそう。その状況の女性が一番最初に話し相手になった相手に依存するのは、そこまでおかしくないと思うのですが。アリシアがのんびり城で待っていて、魔王討伐から中々帰って来ないオルステッドの婚約を一方的に破棄、『あなたはそばに居なかった』と言われれば、人間性に問題はありますが。なんというか、件の女性観を持ち出すには状況がアンフェアな気がする。まあ、RPGの世界において、攫われる女性のメンタルが強靭なのが常識なので、その辺のリアルの感覚を持ち出さないもんなのかもしれないが -- 名無しさん (2022-08-26 20 38 18) うーん、自分はやっぱりストにいいくるめられた説かなぁ -- 名無しさん (2022-08-27 07 41 47) 一番最初に助けに来たであろうストレイボウ、どんな風に話をしたか分からないですが、閉鎖状態に置かれた相手に対して『あなたの婚約者の影で長年苦しんでいた』主旨の内容を語る。アリシアを連れずに山を降りてすることは、幻術をかけて国王を間接的に殺す。個人的に、真っ当な男なら、誘拐被害者に安心させることを言うなり、救助するのが普通。誘拐されていて精神が不安定かつ、籠の鳥で育てられたアリシアに『親友の愚痴を言って、危険だからと言って山から降ろさないこの男はなんだか変』という洞察力はなかったと思われる。 -- 名無しさん (2022-08-27 07 56 28) ↑3つまり、勇者だけでなく囚われの姫は囚われの姫でそれなりのレベルが求められるが、残念なことにアリシアはそのレベルに達していなかった、と。 -- 名無しさん (2022-08-28 10 45 32) リメイク版の演技をふまえて、魔王山山頂のアレは「心がからっぽ故によく響いた」という事なんだろうか -- 名無しさん (2022-08-28 11 05 17) 育ちが良く、おそらく恋愛経験が少ないので、ダメ男に引っかかってしまう要素は多い。後はまあ、男に尽くす傾向もあるので、後追い自殺もそれかもしれない -- 名無しさん (2022-08-28 14 49 00) それに加え、当時のアリシアの精神状態を考えると、ストレイボウへの傾倒は、ダメ男に惹かれる要素に加え、変な宗教に嵌ったようにも見える。あの自殺も一種の殉教にも見えなくもない -- 名無しさん (2022-08-28 15 02 11) あー、宗教ぽいってのはなんとなくわかる -- 名無しさん (2022-08-30 22 56 33) 中世編は一般RPGだけではなくこれまでに遊ぶ7つの編のアンチテーゼ的な面があるけれど、アリシアもそれだと気が付いた時はちょっと震えてしまった…特に原始編のべるとの関係がド直球で鏡像過ぎる -- 名無しさん (2022-09-12 21 28 19) というか中世編の人間関係を綺麗にして物語の結末をハッピーエンドにするとまんま原始編なんだよな -- 名無しさん (2022-09-21 23 37 09) アリシアが悪女と言われる(言われた)のは、そこに至るまでにストレイボウの策略が綺麗にハマりすぎてオルステッドが絶望盤面に陥っているのに、「あんたみたいな勝利者には分からない」という決めつけから即自殺っていう言い逃げかましたところ そいつのせいでウラヌス死んでんねんぞ! んで最終編の心ダンジョンでストレイボウが少しでも後悔してるのと比べて、言い逃げしたアリシアは真実を知ったであろうに何の反省も無かったところがプレイヤーの神経逆撫でした理由 「当時」のアリシアは洗脳とかで仕方なかった可能性はあっても、亡霊アリシアはなんの擁護も出来ない いやまじでトドメお前やぞ、止めてくださいじゃねぇんだわ -- 名無しさん (2022-11-20 20 18 15) 周囲に従順・弱者に弱い・死んでも男について行くのが理想の女だったりするからねえ……ストレイボウ視点じゃ素晴らしい女性だったんじゃないかな。事件が起こる前のオルステッドにとっても。 -- 名無しさん (2022-11-20 21 19 54) やったこととその結果は最悪だけど視点をなぞればそうなるのも無理はないと言えるし、明確に性格が悪いわけじゃないから「悪女」って言い方は少し違うよね。ストレイボウと比較されることの多い「自分がしでかしたことが原因でオルステッドが魔王になったことを深刻に受け止めてない」点も「そんなことすら分からぬほどの世間知らずだった」と解釈する方がしっくりくる気がする -- 名無しさん (2022-12-12 01 30 48) 英文版だと「元々ストレイボウと恋仲で、オルステッドへの愛はなく、一連の行動は完全にアリシアの素面だった」とされるが…ならオルステッドはどうすればよかったんですかね -- 名無しさん (2022-12-14 18 54 10) ↑2 悪女って言われる方がましな言われようだ… -- 名無しさん (2023-01-02 21 25 36) たぶんストの暴露は魔王像の中にいて聞こえなかったんだろうけど、ストが死んで数秒で顔出せるような場所にいた、ていうかストが死んだことを察して顔を出してきてるのにストの高笑いやら大声での暴露が聞こえてないってのはさすがにご都合主義だなと思った。 -- 名無しさん (2023-01-21 19 30 24) ↑幻見せて王様殺させたりとかしてるぐらいだし、そのあたりごまかす手段はあったのかもしれないね -- 名無しさん (2023-01-22 17 33 43) 身も蓋もない事を言うと、オルステッドと結婚が決まった日の晩ぐらいには攫われてるから、信頼関係もクソもないんだよな。割と真面目にあの信じますという発言がノイズになってる -- 名無しさん (2023-01-22 17 39 01) ログ読んでると「普通の女はもっと冷淡だからわざわざストレイボウの後追い自殺なんてしないでのうのうと生きてる」「周囲に従順・弱者に弱い・死んでも男について行くのが理想の女だったりする」の辺りが理解不能(自分の価値観では人間って普通の女とか男とか纏められるものじゃないし、理想の女は自分の意見持ってる人)で、そういう決めつけが現実にも蔓延ってること自体が「ストに言いくるめられてオルステッドは弱者の気持ちがわからないと決め付けたアリシア」ってキャラに説得力を持たせてる気がする。 -- 名無しさん (2023-02-08 09 09 11) 大会の賞品として引き合わされた精々数十分の面識しかない男への社交辞令を理由に粘着されてアレな連中からは悪女呼ばわり。不幸すぎだろ -- 名無しさん (2023-02-08 09 41 26) 「お願いです止めてください」がなんで「フォローしたつもりだった」なのかいまだによくわからん。「私のせいであの人は…」とまではいかずも「私にはもうどうすることも…」とかでもあればわかるけど -- 名無しさん (2023-02-19 14 43 20) うーん十分悪女だな擁護派は痛々しいねなんか -- 名無しさん (2023-02-20 03 23 21) 悪女連呼は恥ずかしいけどね。なろうみたいに頭も尻も軽いのがお好みって感じが -- 名無しさん (2023-02-27 17 15 44) すぐ「〇〇!」って名詞つけたくなるのは京極夏彦で「理解不能なものに名前を与えてカテゴライズすることで辛うじて理解できるよう思い込んで安心感を得る」っていってたけど、そういうようなもんだろうね。想像の余地があっていいキャラだとは思う。好き嫌いは別だが。 -- 名無しさん (2023-02-27 18 17 21) コメントの投稿規制をした方がいい気がする -- 名無しさん (2023-03-01 15 35 47) 別ゲーのコラボでストレイボウ版オディオの「オディオ・S」がセントアリシア使うらしい なんならアリシア版オディオの「オディオ・A」とかも有り得たのか…? -- 名無しさん (2023-04-23 17 31 15) ストレイボウにそそのかされた状態のままだったら大臣とかと同じで魔王を倒してって言い方しただろうし、死んだ後にオルステッドを止めてという言い方になってるってことは生前は多少なりとも魔王像の影響下にあったんかね -- 名無しさん (2023-07-23 00 52 08) 父親殺しの黒幕のストレイボウに入れ込んでる時点で擁護できねぇな -- 名無しさん (2023-07-23 09 32 06) あのナイフで最初のパチモンくらい刺せたよな… -- 妹がウゼえ (2023-08-15 11 29 52) 自分としては悪女というよりはアホ女とかそういう類に分類されてるな。 -- 名無しさん (2023-10-09 15 39 34) sorya -- 名無しさん (2023-10-09 19 13 08) ずっと攫われてたんだから父の仇とか知るわけないしストレイボウに都合のいいこと言われた可能性もあるからアホとも思わん -- 名無しさん (2023-10-09 19 15 40) リメイク版の中の人はピングドラムの陽毬ちゃんの人だったのね -- 名無しさん (2023-10-09 20 31 22) 「(オルステッド)はこなかった!助けに来てくれたと思ったストレイボウは父上を殺した!私は何を信じればいいの!?」ならまだアリシアの言い分も一理あったんだけどね。ストレイボウのカミングアウトのあとにあれでは・・・ -- 名無しさん (2023-12-24 09 01 19) 名前 コメント
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前ページ次ページルイズと無重力巫女さん あぁ。やっぱり今日は、あまりにも運が良い方に向いてこない。 一人で片付けるはずだった問題に三人もの異分子が紛れ込み、個人的に歓迎できない事態へと変化している。 他人というのは好きでもないが嫌いでもなく、まぁ自分がイラつくような事をしなければ危害を加えたりはしない。 もしも自分の邪魔をしたり過度のちょっかいを掛けてくるというのならば、それ相応の対応をとるだけのこと。 しかし悲しきかな、今の自分をイラつかせる相手は…下手な行動一つで死んでしまうかもしれないのだ。 (そのまま座ってなさいよ…!っていうか、何で後ろに下がろうとしないの?) 自らが直面している状況に憤慨の思いを吐露しつつ、霊夢は心の中で祈りを捧げている。 彼女に安全祈願を向けられているのは、ワザワザ自分から危険な事をしようとしているルイズであった。 先程、唐突な奇襲を仕掛けてきた偽レイムのすぐ横にいる今の彼女は、いわば大きな爆弾。 油で塗れた導火線に火がつき、大爆発を起こす様な事があれば今よりも更に面倒くさい事になってしまうだろう。 無論霊夢自身も下手に動くことができず、相手の動きを観察している。 そして火種である偽レイムはというと、光り輝く赤い目で霊夢を凝視し続けていた。 まるで油の切れたブリキの人形みたいに少し身構えた姿勢のまま、本物である彼女がいた場所に佇んでいる。 ナイフを投げ捨て、素手で殴り掛かってきた事には驚いたが、今では驚く暇も無い。 馬鹿みたいな冷静さを纏わせたその顔と目と…そして体からの気配を察知した霊夢は、改めて思った。 コイツは危険だ。早いうちに何とかしないと命に関わるぞ―――と。 「とはいっても…今の状況で動いたらルイズだって動くだろうし」 しかし霊夢はそれでも攻撃を仕掛けようとは思わず、右足の靴でトントンと地面を叩きながらどうしようかと思考する。 お札や弾幕と違い、慣れない武器を使ってアレを短時間で倒せるとは思えず、ましてやあのルイズが近くにいるという状況。 下手に接近したら巻き込まれるだろうし、何より爆発しか出せない彼女の魔法は危険なのだ。 ぶっ倒してやると意気込んで突撃し、無駄な死で人生の終わりを迎えたくは無いのである。 「かといってこのままだとルイズが勝手に攻撃しそうなのよねぇ」 いよいよもって立ち上がろうとするルイズの姿を見て、彼女はうんざりしたと言いたげにため息を突く。 この年の四月に始まり、今もなお続く幻想郷での異変を引き起こした名家生まれの末っ子の少女。 彼女が下手に動いて死ぬような事があれば、元から難しい異変解決は更に難易度を増す。 (このままじゃ埒が明かないしし…性に合わないけど、突っ込んでみようかしら?) ナイフを握る手に力を込め、待ちかまえる相手に切りかかってみようかと思った。その瞬間であった。 「ファイアー…ボール!」 偽レイムの後ろから、艶やかな女の声が呪文としての形を成して聞こえててくる。 一体何なのかと思ったか、偽レイムとルイズがハッと後ろを振り向いた瞬間、両者共に驚愕の表情を浮かべた。 そんな二人の近くにいた霊夢も、先の二人と同じ様な表情でもって飛んできた『ソレ』を凝視する。 彼女らの方へと真っ直ぐに飛来してくる『ソレ』の正体…それは轟々と燃える、大きな火の玉であった 牛の頭程の大きさの物体が、燃え盛りながら突っ込んでくる。 『ファイアー・ボール』…それは四系統ある内で、最も戦いに優れると言われる火系統の魔法。 放ったメイジの力にもよるが並み以上の者であれば、この魔法はかなり恐ろしい武器へと変貌する。 「っ…!」 「きゃっ」 当たったモノを焼き尽くすかのような極小サイズの太陽が、こちらへと飛んでくる。 それを先に理解したのは偽レイムであり、彼女はその場で地面を蹴って勢いよく横へと跳ぶ。 一方、立ち上がったばかりのルイズは偽レイムほど体が動かない為か、小さな悲鳴を上げてもう一度地面に倒れた。 実技はてんで駄目であるが座学には自信がある彼女は、ファイアー・ボールが怖ろしい魔法だと知っている。 流石に自分を狙っているワケは無いと思ってはいたが、直撃する可能性は大いにあった。 だからこそ地面に倒れたのが、結果としてその選択肢が彼女の命を救ったとも言っていいだろう。 二人の人間に避けられた火の玉は真っ直ぐに…その先にいる霊夢目がけて飛んでいく。 妖怪退治や異変解決をこなしてきた彼女も、流石にこの時は驚かざるを得なかった。 何せ大きな火の玉がかなりの速度で飛んでくる。それに対し彼女の勘が先程よりも凄まじい警鐘を鳴らしている。 「ちょっ!まっ…!」 慌てたような声を上げつつその場しのぎの結界を貼り、何とかその玉を跳ね返そうとする。 ある程度の疲労が溜まっていた上に火の玉の速度も速い故、回避が間に合わないと判断したのだ。 しかし、僅かな時間でくみ上げた薄い結界は、火の玉を防ぐという役目を果たす事はなかった。 何故なら火の玉は、霊夢の結界に当たるまで後一メイルというところで急に止まったのだ。 まるで走っている馬車の手綱を引いて急ブレーキを掛けたかのように、ぐっとその球体が大きく揺れる。 突然の事に霊夢がキョトンとした表情を浮かべる暇もなく、ストップした火の玉がゆっくりとバックし始めた。 一体何事かと思った瞬間、火の玉の速度が再度上がり、先程避けた二人の内一人の方へと飛んでいく。 その一人こそルイズよりも先に相手の攻撃を察知し、回避していた偽レイムであった。 「なっ…くっ!」 先程と同じ勢いでこちらに突っ込んでくる火の玉を見て狼狽えたのか、彼女の目が一瞬だけ丸くなる。 しかしすぐに元に戻ったかと思うとその場で軽く身構え、火の玉を迎え撃とうとする。 その様子を見て何か可笑しいと思ったのだろうか、偽レイムに向けてこの場にいる一人が声を上げた。 「残念ですけど。私のファイアー・ボールはいくら避けても無駄でしてよ」 艶やかな声と、火の玉と同じ色をした赤く燃えるような色のロングヘアーに褐色の肌。 その特徴を持つ彼女―――キュルケがそう言った直後、小さな爆発音が周囲に響き渡る。 地面に倒れていたルイズがそちらの方へ向けると、すぐ後ろで黒い煙がゆっくりと薄暗い空へと上っていく。 まるでそこだけ切り取ったかのように煙が立ち込める場所は、身構えたばかりの偽レイムが立っていたところ。 つまり、原因は知らないが偽レイムとぶつかったファイアー・ボールが爆発したのだと考えるのが妥当だろう。 「あらあら、どうしたのかしらヴァリエール?また倒れるくらいにここの地面が好きになった?」 そんな時であった、思わぬ援護をしてくれたキュルケが声をかけてきたのは。 明らかに挑発と取れるそれにルイズはムッと表情を見せると上半身だけを地面から上げ、口を開く。 「この馬鹿ツェルプストー!下手したらアタシが火達磨になるところだったじゃないの!?」 「御免なさいねヴァリエール。貴女は見た目通りに素早いから避けてくれると思ったのよ」 「…それって、アタシが小さいって事かしら?」 甲高いルイズの抗議に対し、勝者の余裕を見せるキュルケは前髪をかき上げつつ言葉を返す。 助けられたのは良いが同時に馬鹿にされている事に、ルイズの表情は険しくなっていく。 親友であり好敵手である彼女の顔色を見て、キュルケはふぅ一息ついた。 「全く、せっかく助けてあげた私に文句垂れるなんて…貴族としてのマナーが成ってないわね」 「いやいや、当たったら火達磨になるような魔法をぶっ放されたら誰だって怒るぜ?」 見事なまでに自分の行いを棚に上げるキュルケに、横にいた魔理沙が静かに突っ込みを入れる。 黒白の魔法使いの顔に喜びの色が浮かんでいる事から、キュルケのファイアー・ボールを見れたことに満足はしているようだ。 それで今更と言わんばかりに突っ込むその姿は、裁判所の証言台で犯人を非難する元共犯者である。 自分の事を擁護してくれたが、キュルケを止めようともしなかった魔理沙を睨みつつ、ルイズは苦言を漏らす。 「マリサ。…言っとくけどそんな顔してキュルケを非難しても、全然嬉しくないわよ」 「私は自分の感情に素直な人間だからな。キュルケの魔法を見れてついつい喜んでるだけだよ」 「あら、以外と面白い事言うじゃないの?いいわねぇ、キライじゃないわそういう性格」 「…先に言っとくが、私にそういう性癖は無いからな」 「ちょっと!私を置いて何二人で和気藹々と話し合ってのよ!」 勝利の後のムードを漂わせる二人の間で板挟みとなるルイズの叫び。 それを離れた所から見つめている霊夢一人だけが、目を細めて警戒し続けている。 (よくもまぁ、あんなに騒げるわね。まだ終わってもいないというのに…) 彼女は既に気づいていた。あの程度の攻撃ではまだヤツを仕留めきれないと。 何せ自分と瓜二つなのである。それならば、キュルケの魔法でやられるとはそう考えられない。 いつでも動けるようにと身構えた姿勢を崩さぬ彼女であったが、そんな時に限って邪魔が入るものだ。 「私がうまく避けられたからいいものの、下手したらトリステインから永久追放されてたわよ!?」 「それって私たち以外の第三者でもいないと無理じゃないかしら?」 「確かにそうだな。下手に喋って共犯者扱いでもされたら堪らないぜ」 「ちょっと待ちなさい。さっきのアンタはどう見ても、キュルケの凶行を許した共犯者じゃない?」 「まぁアレだよ。どっちにしろお前は怪我一つしなかったし、結果的に問題なしという事で…」 多少の安心感を取り戻したルイズが怒鳴り、キュルケと魔理沙はマイペースで彼女の相手をする。 一見、ちょっとしたガールズトークをしているようにも見える中、霊夢が一人呟く。 「そんなにお喋りしたいなら、このまま帰ってくれると有難いんだけどねぇ…」 変に盛り上がり始めたルイズ達の耳に入る巫女の言葉は、氷水のような冷たい雰囲気を放っていた。 場の空気を白けさせるような彼女に対し、背中を見せていたキュルケがゆっくりと振り返る。 「ちょっと~、一人放置されてるからって拗ねるの…は―――――…ッ!?」 大方挑発でもしてみようかと思っていた彼女の顔が突如として、驚愕の色に染まる。 そして、急に言葉が途切れた事に不思議がった後の二人もそちらを見やり、同じ反応を見せた。 「嘘でしょ…あんなの喰らって…まだ…」 目を見開き、小さな両手で口を押えたルイズに同調するように、魔理沙も口を開く。 「流石霊夢とそっくりなだけあるぜ。往生際の悪さまで同じとはな…」 似すぎるのも問題だな。最後にそう言い加えた魔法使いの苦笑いは、場の空気を読んでいた。 薄くなる黒煙の中、霊夢が目にしたのは赤く光る双眸であった。 どうやら攻撃してきたキュルケではなく、自分を優先的に殺したいのだと彼女に自覚させる。 「成る程…今のアンタにとって、他の三人はもう視界に入らないってことなのね」 ゆっくりと空に舞い上がっていく煙の奥にいるであろう相手に、博麗の巫女は囁く。 それを合図にしてか、しっかりとした歩みで煙の中から゛彼女゛は再び霊夢の前に現れた。 両の拳を青白く光る結界で覆い、煤けた巫女装束と頑丈なロングブーツをその身に纏った霊夢と瓜二つの少女。 ただ一つ違うところは赤く光る両目と、頭に着けたリボンが無くなっているという事だ。 前者は元からであったが、後者の方は恐らくキュルケの魔法を防いだ代償として消し飛んだのだろう。 年相応とは思えぬ彼女の力の一部を正面から喰らったうえでそれだけで済むならば、安いものかもしれない。 しかし、その代償を支払ったことにより彼女――――偽レイムの印象は本物と比べ大きく変化していた。 先程までリボンで拘束され、ようやく自由を得た黒髪がサラサラと風に揺られている。 まるで黒いカーテンの様に波打ち模様を見せる髪に霊夢は何も言わず、ナイフを構える。 すると不気味に光り輝いているガンダールヴのルーンがより強く輝き、彼女の顔左半分を青白く照らしつける。 …武器を取れ―――構えろ―――斬りつけ、倒せ――― 頭の中で性別不明としか言いようのない声を聞きな゛から、霊夢はひとり「言われなくても…」と呟く。 これ以上事態が悪化すれば面倒な事にもなり得るし、何よりルイズたちという厄介な存在もいる。 だからこそ彼女は決意した。今手に持っている武器を用いて、勝負に打って出てやると。 彼女の動きにつられて偽レイムも腰を低くしたところで、霊夢は行動に出た。 「そこまでして私と戦いたいというのなら、こっちから相手してやるよ」 最後の警告と言わんばかりの言葉を吐き出した霊夢は、ナイフ片手に突撃した。 対する偽レイムも、結界に包まれた左手にグッと力を入れた後、地面を蹴飛ばすようにして跳躍する。 離れた所から見ていたルイズたちハッとした表情を浮かべ、両者の決着を見届けようとした。 その瞬間であった。まるで見計らったように霊夢がその場で足を止めて、飛び上がったのは。 偽者とは違って能力によって足が不自然に地面から離れ、スッと跳び上がった偽レイムの方へと飛んでいく。 次いで左手のナイフを逆手に持ち替えると空いている右手を前に突き出し、左手を腰元に寄せて力を入れる。 ふと顔を上げれば、自分よりも高く跳んだ偽レイムが交差した両腕を光らせ、こちらに向かって落ちてくるのが目に入る。 ガンダールヴのルーンが光る左手により一層の力を込めた霊夢はその場で動きを止め、逆手のナイフを勢いよく振り上げる。 それと同時に偽レイムも左の拳を勢いよく振りかぶり、本物の頭へと力強く殴り掛かった。 昼方から夕暮れまでの、数時間通して続いた巫女とミコの戦い。 その決着はあまりにも一瞬でつき、そしてあまりにも納得の行かない終わりを迎えた。 既に陽が落ちかけ、赤と青の双月が大陸の空へ登ろうとしているこの時間。 人が消えた旧市街地へと続く入り口で、パッと赤い花びらの様な血が飛び散った。 まるで情熱を具現化させたような真紅の薔薇と同じ色の体液が、薄暗い空に舞い上がる。 それに混じるかのように、おおよそ空を飛ぶとは思えぬ五本の突起物を付けた丸い物体がクルクルと回転しつつ、地面に落ちていく。 妙に柔らかく、それでいて生々しい嫌な音を立てて落ちてきたのは―――――人間の゛左手゛。 手の甲に穴が空き、そこと切られた手首部分からドクドクと赤いを血を流す、彼女の一部゛だった゛モノ。 ついで浮き上がっていた血の雨が地に落ち、ぴたぴたぴた…と雨の様な水滴音を奏でている。 嫌というほどルイズたちの耳に赤い雨の音が入ってきて数秒後であった。――――偽レイムの叫び声が聞こえたのは。 「ウワァァアアッ…!!ウゥ…アァアアアアッ…―――――!」 おおよそ少女の上げる叫びとは思えぬ程、それは痛みに泣きわめく悲鳴ではなく、むしろ堪えようとして上げる怒号に近い。 相手に手首から下を切り落とされた彼女はそこを右手で押さえつつ、彼女は涙すら流さず叫び声を上げている。 今の彼女を真正面から見ている者がいたのならば、これ程不気味な光景は滅多に無いと感じた事であろう。 そして今の自分が完全に不利だと悟って撤退しようとするのか、偽レイムは呻き声を上げつつも弱々しく立ち上がる。 本来ならば生死に関わる致命傷のうえに、左肩に刺さったままのナイフを通して流れる血の量も含めれば、いつ死んでもおかしくはない。 それでも彼女は立ち上がると左肩のナイフをそのままに、よろよろと歩きながら近くの路地裏へと向かっていく。 足をもたつかせ、夜の帳に包まれた狭い隙間へと逃れるその身を見つめる者は、誰一人としていない。 何故なら今のルイズたちには、それよりも先に気になる者を見つめていたのだから。 そう…偽レイムの左手を切り落とす直前に、彼女に頭を殴られ血を流す博麗霊夢の姿を。 「れ…レイム…」 鳶色の瞳を丸くさせたルイズは丁度自分たちの足元で着地し、その場に腰を下ろしている巫女に、恐る恐る声を掛ける。 震える声で自らの名を呼ぶ彼女に、頭から血を流し続ける霊夢は力の籠っていない声でぼそぼそとした言葉を返す。 「想定外だったわ。まさか…瞬間移動する…霊力も残ってなかったなんて……ね…」 「だったら最初からスペルカードなり使っとけば、そんな大けがしなくても済んだんじゃないか?」 その顔に自嘲的な笑みを浮かべて喋る彼女に、今度は魔理沙が口を開く。 気取ろうとしているがルイズと同じように声が震え、その腕が彼女の体を支えようと前へ前へと動いている 左手から力を抜き、握ったままのナイフを地面に落とした霊夢は、そんな魔法使いにも声を掛ける。 今まで光っていたガンダールヴのルーンはいつの間にか既にかその輝きを失い、ただのルーンへと戻っていた。 「相手が相手よ…上手く避けられて…返り討ちに、あったら…元も子も無いじゃないの…」 「…っというか、最初から全部話してればこういう事にはならなかったでしょうに?」 「ばか…言う、んじゃ…――ない、わよ…」 ルイズたちの後ろから聞こえてくるキュルケの横槍に、霊夢は苦々しい言葉を贈ろうとする。 しかし、偽レイム程でもないがそれなりの怪我を負った彼女には、これ以上喋る力は残っていなかった。 「アンタたちと、一緒なら……まだ、一人の…方が…―――――」 せめて最後まで言い切ろうとした直前、かろうじて開いていた瞳がゆっくとり閉じ、霊夢は意識を失った。 ルイズは悲鳴の様な声を上げて彼女の名を叫び、箒を落とした魔理沙が倒れ行く巫女の体を支える。 流石の魔法使いもこの時ばかりは焦った表情を浮かべ、霊夢の名を呼んでいる。 残されたキュルケは、今になって偽レイムがいなくなった事に気づくが、それは後の祭りというモノ。 ほんの少しだけ驚いた表情を浮かべて辺りを見回すが、もう何処にもいないと知るやため息をつく。 今の彼女は何処へ消えた得体の知れぬ偽者よりも、目の前の三人の事が知りたかった。 生まれた時から好敵手であり、これまで学院で何度も戦ってきたヴァリエール家の末女であるルイズ。 しかし彼女は変わった。自分の目に入らぬ場所で好敵手は、今や得体の知れぬ少女の一人と化していた。 彼女は知りたかった。先祖から続く因縁の相手がどういう状況にいるのか。 視界を覆う濃霧の様な幾つもの謎を振り払い、自分の近くで何が起きているのか知りたい。 それは人間が本来持つ好奇心を人一倍強く持って生まれた、キュルケという少女の望みであった。 しかし、今ここでそれを問いただすという事をする気も無かった。 生まれてこの方、ある程度好き放題に生きてきた彼女でもこの場の空気を読めてないワケではない。 「全く、こんな状況で流石に根掘り葉掘り聞くってワケにいかないわよね?」 そんな事をルイズたちの後ろで一人呟きつつ、彼女はこれからどうしようかと考え始める。 そんな時、彼女の耳にこの場では似合わぬ声が聞こえるのに気付き、すぐに振り返る。 日も暮れて、初夏の暑い熱気が涼しい冷気へと変わっていく旧市街地。 自分たちよりも一人頑張り、そして傷ついて倒れた巫女の名が響き渡る中… 振り返ったキュルケが目にしたものは、こちらへと駆けてくる衛士たちの姿であった。 時間をほんの少し遡り、数分前――――― キュルケが偽レイムへファイアー・ボールを放つ前の出来事――――― 珍しくジュリオの気分は高揚していた。初めて目にする存在を前にして。 ましてや、それが国を傾かせる程の容姿を持つ美女の形をしているのなら尚更であった。 場所が場所ならちょっと一声掛けていたかもしれない。彼はそんな事を思いつつ、女に話しかける。 「こんなにも良い夜に会えるなんてね。正にグッドタイミング…って言葉が似合うかな?――無論、君にとってもね」 「あぁそうだな。私は人間に好意を抱く程度の良心を持ち合わせてないがね?」 ジュリオの前に佇む美女、八雲藍は突き放すかのようにキッパリ言うと、一息ついて喋り始める。 「あまり時間を取りたくないので単刀直入に聞くが―――アレはお前たちの差し金か?」 「…二人目の゛巫女゛の事だろう?残念だけど、僕としてもあんなのは想定外だったよ」 藍の質問に彼は首を横に振った後、その場から右に向かって歩き始めた。 履いている白いロングブーツが石造りの床を当蹴る音は、静寂漂う夜の中では不気味な雰囲気を漂わしている。 だがそれを゛小さくした゛耳で聞いている藍には何の効果も無く、むしろジュリオに対しての警戒を一層強めた。 「ホント困るよね。あぁいう細部までそっくり…ていうのは、遠くから見ると本当にわからないんだ」 場の空気が悪い方へ進んでゆく中で、ジュリオは先程の質問をそんな言葉で返す。 しかし、それは予想の範囲内だったのだろうか。藍はあまり疑うことをせず次の質問を投げかける。 「まぁそうだな。そこはひとまず同意しておくとして…お前はなぜ足を動かしている?」 「だって立ちっぱなしだと足が棒になってしまうだろう?別に何処かへ行こうってワケじゃない」 大げさそうに両腕を広げながらそう答えた彼に、藍は首を傾げつつもこう言った。 「そうかな?じゃあ、お前の歩く先に扉が見えるのは私の目の錯覚という事になるが…」 ―――生憎健康には自身がある。最後にそんな言葉を付け加えた直後、ジュリオは微笑みがら言葉を返す。 「別に逃げるっていうワケじゃないけどさぁ…まぁ今日はこのくらい―――ッという事で!」 言い訳がましい言葉を口から出し終えた直後、彼は唐突に地面を蹴って走り出した。 まるで天敵から逃げるウサギとも思える彼の行く先には、屋上から建物の中へと続く扉がある。 幸いにも扉は開いており、下の階へと続く階段が彼の目に映っている。 (あと一メイル―――…ッ!) ほんの少しで屋上から屋内へ入れるというところで、背筋に冷たい物が走った。 まるで首筋に刃物突き付けられた時の様に、その場で足を止めろと自身の本能が暴れ叫ぶ。 しかし一度走り出してすぐには足を止められる筈もなく、やむを得ずその場で倒れ込んだ。 階段まであと数サントというところの位置で倒れ込んだ彼の眼前に、三本もの赤い刃物が地面に深々と突き刺さっていた。 ナイフにしては極端と言えるほどに菱の形をしたそれ等は、稀に東方の地から輸入される暗殺用の武器と瓜二つである。 ジュリオ自身仕事の関係で何度か目にしてはいたが、目に良くない影響を与えそうな程毒々しい赤色ではなかった。 「お前、人間にしては中々良いじゃないか」 倒れ込んだ自身の背中に掛けられる、藍の冷たい声。 それに反応したジュリオはついつい頭だけを後ろへ向けた瞬間。彼はあり得ないモノを目にしてしまう。 奇妙な帽子を被っている頭にはイヌ科の動物と同じ耳と、臀部からは九本もの狐の尻尾が生えていたのだ。 金色の髪の中に紛れ込むようにして出ている耳は、尻尾を見れば狐のモノだとすぐにわかる。 そして尻尾の方は女の美貌に負けぬくらい立派であったが、何処か怖ろしい雰囲気が漂ってくる。 まるで今までボールだと思っていた物が爆弾だったのだと気づいた時のような、体中の毛が逆立つ恐怖。 ジュリオはそんな恐怖を今、僅かながらに目の前の彼女から感じ取っていた。 「驚いたよ…薄々勘付いてはいたが、まさか本当に人間じゃあ無かったとは」 無意識の内に口から出たその言葉を、九尾としての正体を見せた藍はその場から動かずに返す。 「勘が良いな。大抵の人間は、単に小さくしただけの尻尾と耳にすら気づかないモノだが…」 「仕事の都合上、動物とは付き合いがあるからね。君の体から漂ってきた獣特有の臭いでただモノじゃないと思っただけさ…」 頭に生えている狐耳をヒクヒクと軽く動かす彼女に、ジュリオは笑いながら言う。 しかし彼の口から出た「獣特有の臭い」という言葉に彼女は表情を曇らせ、九本の尻尾が不機嫌そうに揺れる。 「お前の言う通り、見た目から判断すれば獣の物の怪だが…あまり狗や狸の類と一緒にしないでくれ」 意外にも身近な動物の名を耳に入れながらも、藍の苦言に「わかった、わかった」と言いつつ、ジュリオは立ち上がる。 階段まで後少しというところだが、警戒されている今動けば碌な目に遭わない事は、火を見るよりも明らかだ。 「…で、僕は何も知らないし、君たちと話すことは今は無い。―――そんな僕に、君は用があるんだね?」 少し砂埃がついたズボンを手で軽くはたきつつ、そんな事を聞いてみる。 その質問に九尾の女は油断するような素振りを一つとして見せず、居丈高な素振りでもって返す。 「別に私とてこれ以上聞くことは無い。ただ、少しだけ顔を合わしてもらいたい゛お方゛が一人いるだけだ」 彼女の返答に一瞬だけ怪訝な表情をを浮かべたジュリオだったが、すぐに笑みが戻ってくる。 だがそれに良くないものを感じ取ったのか、若干心配性な彼女の方が怪訝な表情を浮かべてしまう。 「ん…おいおい?何をそんなに怖がってるのさ」 両手を横に広げた彼の言葉に、それでも油断はできぬと判断した九尾の顔は、未だに硬くなり続ける。 そんな彼女と対面しながら、先程逃げようとした者とは思えぬ態度でもって、ジュリオは喋り続けた。 「まぁ突然表情を変えて、すぐに戻したのには理由があったんだよ。君はおろか、僕にとっても単純な理由がね?」 言い訳にもならない弁に藍は「理由?」と首を傾げ、ジュリオは「そう、単純な理由」と返す。 そして彼曰く゛単純な理由゛を口から出す為か一回深呼吸死をした後… 言葉にすれば、短いとも長いとも言えぬ゛理由゛を、彼は告げた。 「僕にもいるんだよ。君たちの様な【異邦人】と話をしたい、とても大切な゛お方゛が」 ―――――その瞬間であった。旧市街地の方角から、小さくも耳をつんざく爆発音が聞こえてきたのは。 獣の耳を持つがゆえに音に敏感な藍は唐突な音に目を見開き、その身を大きく竦ませる。 ジュリオもまたビクッと体を震わせ、驚いた表情を浮かべつつも、音が聞こえてきた方へと目を向けた。 先程まで霊夢達がいたであろう旧市街地の入り口周辺から、黒い煙が上がっていた。 彼に続いて顔を向けた藍もまたその顔に驚愕の表情を浮かべ、旧市街地の方を見つめている。 「あれは…!」 「おやおや。思ってた以上に、彼女たちは派手好きなようだ」 無意識に出たであろう藍の言葉にそう返しつつ、彼は右手に着けた手袋を外そうとする。 左手の人差指と親指で白い手袋の薬指部分だけを摘み、勢いよく上とへ引っ張る。 たった二つの動作だけで行える行為の最中にも、藍は気にすることなく旧市街地の方を見つめていた。 相手がこちらに気づいていない事を確認してから、彼は意味深な笑みを浮かべつつ、口を開く。 「しかし、あれだけ派手だと直にここも騒がしくなる。どうだい?今日はお互い、ここで身を引くという事で…」 「…っ!何を―――――…ッッッ!?」 ―――――言っている。再び自分の方へと振り向こうとする藍が全てを言い終える直前、 ジュリオは右手の゛甲゛を静かに、彼女の目に入るよう見せつけたのだ。 その瞬間であった。藍の目が見開いたまま止まり、言葉どころかその体の動きさえ停止したのは。 まるで彼女の体内時計のみを止めたかのように微動だにせず、ジュリオの右手の゛甲゛を見つめている。 否、正確に言えば…その甲に刻まれた゛光り輝くルーン゛を見て、彼女の体は止まったのだ。 「言っただろう。僕は仕事の都合上、動物との付き合いがあるって」 ジュリオは一人喋りながら、左手の人差指で右手の゛ルーン゛を軽く小突いて見せる。 まるで蛇がのたくっている様にも見えるソレは青白く光り、薄闇の中にいる二人を照らしていた。 「バケモノであれ何であれ…少なくとも君が動物だったという事実は、僕にとって本当に良い事だよ」 何せコイツを見せれば、すぐに逃げられるんだから。余裕満々のジュリオがそう言い放つと同時であった。 フッと意識を失った藍の体が、力なく前に倒れ込んだのは。 まるで激務の後にベッドへ横たわるかのように、その動作に何ら不自然性すらない。 ただ一つ、ジュリオの右手に刻まれた゛ルーン゛を見てしまった―――という事を除いて。 そのジュリオ自身はフッと安堵のため息をついて藍の傍へ寄るとその場で中腰になり、ルーンがある右手を彼女の前にかざす。 手袋の下に隠していた白い肌と゛ルーン゛を露わにした右手でもって、規則的で生暖かい息吹きに触れる。 ついで彼女の表情がゆったりとした寝顔を浮かべている事を確認した後、ゆっくりとその腰を上げる。 既に陽が三分の二も沈み、空に浮かぶ双月がその姿をハッキリと地上に見せつけ始めていた。 幼いころから見慣れてきたその空を眺めつつ、ジュリオは一人呟く。 「もう少し待ってててくれよ。君たちはともかく、僕たちにはもう少しだけ準備する時間が欲しいんだ」 君たちから離れはしないけどね。そう言って彼は踵を返し、ドアの方へと歩いていく。 昼の熱気を消し去るような涼しい夜風を身に受け、何処かから聞こえてくる馬の嘶きを耳に入れながら。彼はその場を後にする。 まるで初めからこうなるべきだと予想していたかのような、優雅な足取りで。 地上に初夏の熱気をもたらした陽が沈み、ようやく夜の帳が訪れてきたチクトンネ街。 昼頃の暑さが日暮れとともに多少の鳴りを潜め、涼しい風が吹いてくるこの時間。 今宵もまた、ここチクトンネ街は夜の顔とも言える部分をゆっくりと出し始めていた。 そんな街の中心を走る大通りの隅を歩きながら、二人の少女が楽しそうに談笑していた。 二人の内一人…腰まで伸ばした黒色の髪が街頭に照らされ、艶やかな光を放っている。 もう一人はボブカットにしており、一目見れば長髪の少女と比べ何処なく控えめな性格が垣間見えていた。 「…でさぁ、一通り見たんだけど…あのカッフェって店はそう長く持ちはしないだろうね!」 「はぁ…そう、なんだ…」 長髪の少女、ジェシカは大声で喋りながら、ボブカットの少女で従姉のシエスタの肩をパンパンと軽く後を立てて叩く。 ジェシカとは違い大人しい所が目立つ彼女は、自分の従妹の大声が迷惑になっていないか気にしているようだ。 実際繁華街と言ってもまだこの時間帯に騒ぐような人はいない為か、何人かが自分たちの方をチラチラと見ているのに気づく。 そんな事を気にしながらも、大人しい彼女は大声で喋る従妹の言葉に適度に相槌を打っている。 別にジェシカ自身酒で酔っているワケでも無く、どちらかと言えばそういうのに強い少女だ。 単に彼女が目立ちたがり屋なのと、そうでなければいけない仕事をしている関係でその声が大きいのだ。 一方のシエスタは騒がず目立たずお淑やかに努めるよう心掛けているので゜、二人の性格は正に正反対と言っても良い。 だからだろうか、他人から見れば酔っぱらったジェシカが素面のシエスタに絡んでいるようにも見えた。 「話に聞けば老若男女誰でも気軽に入れるって宣伝してるけど、出してる品物は若者向きなんだよ」 「そりゃあ…あそこは、結構若い人たちとかが住んでるし…」 人目を気にせず笑顔で喋るジェシカはシエスタの肩を叩きつつも、世間話を楽しんでいる。 大事な家族であり放っておけないくらい魅力的な従姉は苦笑いを浮かべて、そんな言葉を返す。 そんな彼女にジェシカは「わかってないなぁ…」と呟いて首を横に振ると、自分の言いたい事をあっさりと口に出した。 ここやブルドンネ街を含めたトリスタニアには、色んな人たちが色んな目的を持って街中を移動する。 そういう場所ではあまり下手な事を表立ってしてはいけず、注意しなければいけない。 「…例えばさっき話したように、老若男女誰でも入れるといって若者向けの料理とお茶しか出さない店がそうさ」 彼女はそこで一呼吸おいて話を中断し、隣にいるシエスタの反応を少しだけ伺ってみる。 従姉の顔は相変わらず苦笑いであったが、話自体に嫌悪感や鬱陶しさを感じていないのがすぐにわかった。 これは続けても良いというサインか。一人でそう解釈したジェシカは口を開き、先程の続きを始めた。 「まぁあそこで出してる東方からのお茶っていうのが、は割とお年寄り向けとは聞くけど…それ以外はてんで駄目だし なにより、あの店の内装も今時の子をターゲットにした感じの作りなんだから。本当、矛盾に満ちた店だったわ。 でも料理とかデザートは割と美味かったのは足を運んで良かった~…とは思ったけどね。それとこれとは話が別というものよ。 とにかく、私が言いたいのは老若男女何て言う曖昧な嘘じゃくなてハッキリと、若者向けの店ですって宣伝すればいいという話!」 わかった?最後にそう言い放ち、自信に満ちた表情を横にいるシエスタへと向ける。 恐らく優しい従姉は「そんなヒドイ言い方は…」と苦言を漏らすに違いないがまぁそれも良いだろう。 久しぶりに会えた上に一日中二人きりっで遊べたのだ。せめて見送る最中にこういうやり取りをしても罰は当たるまい。 …とまぁ、そんな事を考えながら振り向いたジェシカであったが、横にいたシエスタは彼女の顔を見てはいなかった。 ジッと前方を見据えたままその場で足を止めた彼女の表情には苦笑いではなく、怪訝な色が浮かんでいる。 「ジェシカ…あれ…」 どうしたのかと聞く前にシエスタはポツリと呟き、少し進んだ先にある大きな十字路を指差した。 それにつられたジェシカも顔を前に向けると、従姉が足を止めた理由が、なんとなく分かったのである。 ついで彼女自身も怪訝な表情を浮かべ、視線の先にあるいつもとは違う通りの様子を見て、一人呟いた。 「何だいアレ…あっ、衛士隊の馬車…?何でこんな所に…?」 二人の視線が向けられた先にある大きな十字路の前で、多くの人たちが足を止めていた。 その理由はジェシカ口にした通り、この街の平和を守っている衛士隊御用達の馬車が堂々と通りを移動していた。 トリステインの王家の家紋である白百合の刺繍が中央に施された荷車を見れば、その馬車が一目でどこのモノなのかは分かった。 雨が降った時に使われるミルク色の幌を付けた荷車の周りには、薄い鎧を身にまとう衛士が数人仁王立ちで佇み、誰も近づけさせないようにしている。 荷車を牽引するのは何故か栗毛の軍馬一頭で、衛士たちに前方を守られながら蹄を鳴らしてゆっくりと歩いている。 当然一時的に通行を止められた人々は馬車とそれを守る衛士隊に向けて、不平不満を出していた。 「おいおい、どういう事だよこりゃ!何で馬車が通り切るまで通行止めになるんだよ!?」 「何があったか知らないけど、こっちは急いでるんだ。ちよっと脇を通るくらい良いじゃねぇか」 「衛士さん、衛士さん!酒の肴として何があったか教えてくれよ?このままじゃあ、故郷から来た友人を待たせちまうんだわい!」 「ちょっとちょっと!通行止め何てされゃあアタイが仕事に遅れちゃうわ!そうなったらアンタたちが責任とってくれるのかい!?」 老若男女のうえに地方や他国訛りの言葉が飛び交う中で、衛士たち慣れた様子で対処している。 とはいっても石化したようにその場で突っ立っているだけだが、誰一人突破しようと思うものはいない。 各々が利き手で槍を持って仁王立ちをしている姿を見れば、武器を持たぬ者なら喧嘩を吹っかけようとは思わないだろう。 一体何が起こったのかわからぬまま、二人は目の前の光景を見つめている。 そんな中で、ふとジェシカが何かを思い出したかのような表情を浮かべ、ついで口を開いた。 「あっ…う~ん、参ったねぇシエスタ」 突然そんな事を従妹に聞かれた彼女は「えっ、何が…」と返す。 街中での珍しい景色に見とれていた従姉の様子にため息を突きつつも、ジェシカは言葉を続ける。 「学院行きの馬車だよ、馬車!このまま足止め喰らってたら…今日の分は到底間に合いそうにないって」 出来の悪い生徒に教える教師の様な態度で話す彼女に、シエスタはアッと驚いて思い出す。 ブルドンネ街には結構な規模の馬車駅があるが、陽が沈み始めると荷車を引く馬たちを厩へ入れてしまう。 しかもシエスタの仕事場であるトリステイン魔法学院行きは、今の時間帯なら一時間後に動く馬車が最後の便となる。 これを逃せば簡単には学院へ戻れず、厩で高い料金を払って馬を一頭借りなければ行けない羽目になってしまうのだ。 「どうしよう…私が帰らなかったら心配する人たちもいるし…それに明日の御奉公もできないわ」 明日の事を考えて呟くと、シエスタの顔が段々と不安染まり始める。 それを見てどうにかできないかと考えるジェシカであったが、一向に良い案が浮かばない。 「ここからブルドンネの駅まで行くのに大分時間かかるし、何よりこの様子だと遠回りしなくちゃあ駄目だよコレは…」 群衆と衛士たちの押し問答を見ながら、別々の様子を見せる二人の黒髪少女。 熱気と怒号に満ちた通りを冷やすかのように吹く冷たい風が、少女たちや人々の体を撫でていく。 そんな時であった。ゆっくりと通りを進む荷車の中から、『ソレ』が舞い上がったのは。 まるで『ソレ』自体が魂を持ってしまったかのようにスルリと、滑らかに波打ちながら飛び出した。 衛士たちは周りの民衆に警戒し、通りの民衆は衛士たちを睨みつけていた為に気づくモノは一人もいない 「―……?ねぇ、ジェシカ…アレ」 最初に気が付いたのは、どうやって帰ればいいのか悩んでいたシエスタであった。 少し強めの風が吹き荒ぶ街の空を舞い上がっていく細長く赤い何かを、彼女は目にしたのである。 従姉の言葉に何なのだろうかと顔を上げ、ついで『ソレ』を目撃した。 人口の光に照らされた赤い『ソレ』は、まだ何者にも汚されていない星だらけの夜空を飛んでいる。 それはまるで、力を得た鯉が真紅の龍となって飛び立つかのように、波打ちながらも舞い上がっていく。 風向きが空の方へ向いていれば、それは何処までも…それこそ空よりずっと上にある星の海へと旅立っていただろう。 「アレって一体…あ、風向きが変わって…」 「コッチに…」 しかしソレの行く先は不幸にも地上、夜空と違い自然を失って久しい人々の文明圏へと落ちていく。 白いフリルをはためかせて地上へと降りていく赤いソレは何の因果か、彼女たちの元へ向かっている。 自分達の方へと落ちてくる事に気が付いた二人の内シエスタが、反射的に両腕をスッと上へ伸ばした。 学院で掃除や炊事などの仕事をしているにも関わらず、彼女の肌は真珠のように白く美しい。 そんな手に吸い込まれるようにして落ちてきた『ソレ』が、見事の彼女に掴まれてしまう。 『ソレ』を手にしたシエスタが最初に感じたことは、『ソレ』が何かで゛濡れている゛事と―――――異常なまでの゛既視感゛。 まるでいつも何処かで見ていたと錯覚させる『ソレ』の正体がわからず、シエスタは首を傾げそうになる。 しかしその錯覚は従妹の…ジェシカの一言によって掻き消された。 「ソレって、…まさか――――あのレイムって子のリボンじゃ…」 「えっ―――――――」 従姉の言葉に目を丸くさせた彼女は慌てた風に、リボンと呼ばれた『ソレ』をもう一度凝視する。 赤を基調としている為に、白いフリルや模様がよく目に入る目立ちやすいデザイン。 自分の記憶が正しければ『ソレ』…否、赤いリボンは確かにルイズの使い魔として召喚された霊夢のリボンだ。 それに気が付いたと同時にシエスタは、何がこのリボンを゛濡らしていた゛のにも、気が付く。 シエスタはリボンを持つ両手の内左手だけを離し、恐る恐る掌に何が゛付いている゛のか確認した。 数匹の蛾が纏わりつくカンテラの下にいる彼女の目に入ったのは、リボンと同じ色をした―――自分の左手だった。 無意識の内に小さな悲鳴を漏らし、ジェシカは咄嗟に口を押さえて驚愕の意を表している。 本当ならリボンを投げ捨てているだろうが、律儀にもシエスタは手に持ち続けたままソレを眺め続けている。 目を見開き、恐怖で若干引きつった表情でリボンを持つ彼女の姿は、傍から見れば相当なモノだろう。 同僚や上司から綺麗だな、羨ましいと言われていた白い手は、真っ赤な色に染まっている。 それもトマトやペンキとは思えぬほど変に生暖かく、僅かに鉄の様な臭いをも放つそれの正体を、二人は知っていた。 そしてその疑問を恐る恐る口にしたのは、意外な事にリボンを手にしたシエスタ本人であった。 「これって…まさか………――――血?」 彼女の口から飛び出た言葉に、ジェシカは即座に返す言葉を見つけられず狼狽えている。 ただただ口を押え、両手を血で濡らした従妹の背中越しから、そのリボンを見つめ続けていた。 シエスタの頭の中に疑問が浮かぶ。どうしてこんな所で彼女のモノを見つけ、手に取る事が出来たのか。 本来の持ち主は何処へ行ったのか、そして付着した血は誰のものなのか。 運命の悪戯とも言えるような偶然さで霊夢のリボンを手にした彼女の脳内を、知りようのない疑問が巡っていく。 シエスタの後ろにいるジェシカも見慣れぬ血を間近で見たせいか、口を押えて絶句の意を保ち続けている。 静寂に包まれた二人に声を掛ける者はおらず、皆が皆自分の為だけに足を進めて動き続ける。 「おい、お前たち。そのリボンを持って何をしている」 リボンを手にして一分も経たぬ頃…誰にも見向きされず、見咎められない二人に声を掛けた者がいた。 それは鎧とも呼べぬ衛士用の装備を身に纏った金髪の女性―――アニエスであった。 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん
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■ローマン・アルカナ [#RomanArcana] 20XX年、肥大化するアジアを凋落していく日本と米国が抑えられなくなり、ついに第3次世界大戦が勃発した。 世界は破滅の淵へ追いやられ、人類は世界の覇者の座を降りた。 そして数千年後。 人々は大戦を神話とし、新たな文明を築いていた。神々の戻ってきた「剣と魔法」の世界である。 かつて地中海沿岸と呼ばれていた地域には新生ローマン帝国が生まれ、北の森のドルイドたち、東のペルシア王国、西の小国ケルト国と覇権を競っていた。 そんな中、西のケルト国から亡命者が来訪し、ローマン皇帝へ謁見を願い出る。ローマン皇帝は快諾したが、謁見のとき、ドルイドの暗殺者が「空を歩いて」謁見室に忍び込み、皇帝に火球をぶつけようとした! 空を飛ぶあやかしの敵に苦戦を強いられる近衛たち。しかし、亡命者の小娘は、懐から金属の筒を取り出すと、筒から放たれし雷撃で以って、これを阻止した。ローマン皇帝は大いに喜び、亡命者の小娘に、「この筒をあと100本用意し、無敵の軍隊を組織せよ」と命じた。 小娘はニヤリと笑い、「では、護衛を何人か頂ければ、故郷から取り寄せましょう」と請け負った。彼女たちは知っていたのだ、輪廻する歴史の輪の中で、新生ローマン帝国こそが次の覇者となることを。そして、勝者に自分たちを高く売りつけることを決めたのだった。 これを受けて、ローマン皇帝は4人の護衛を選出した。近衛、愛妾、魔術師、北の森の捕虜の人狼の4人である。 そして5人の旅が始まった…… ■ローマン・アルカナ [#RomanArcana] ■GURPSのルールについて [#AboutGURPS]☆簡易版ガープス(GURPS Lite) [#GURPSLite] ☆ガープス・ファンタジー [#wfb429b4] ■背景世界 [#World]☆暦 [#Calender] ☆ローマン帝国の版図 [#RomanEmpireMap] ☆ローマン帝国の宗教 [#RomanEmpireReligion]▼神と精霊 [#GodsAndSpirits] ▼生贄 [#Sacrifices] ☆ローマン帝国の宗教的ライバル [#RivalBeliefs]▼メナードの林 [#GrovesOfTheMaenads] ▼ミスラ教 [#Mithraea] ▼イシス神 [#TemplesOfIsis] ☆魔法 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ローマン帝国では太陽暦が使われています。私たちが現在使っている暦と同じです。 広く世界中で使われている暦は災厄暦(After Disaster)と呼ばれるもので、10000年ほど前に起きたとされる世界災厄(The Disaster)の年を紀元としています。略記はA.D.です。 世界災厄の前には魔法が無く、技術の力でより高度な文明が築かれていたと言われていますが、真偽のほどは定かではありません。 ☆ローマン帝国の版図 [#RomanEmpireMap] #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (512) このうち、イタリア(ITALIA)とエジプト(Aegyptus)はローマン皇帝の直轄領です。本来のローマン市民とはこの直轄領で生まれ育った者を指しますが、現在(A.D.10150)ではローマン市民権は以下のように拡大されています。 正式な婚姻の関係にあるローマ人の両親より生まれた男子はローマン市民となります 解放奴隷にはローマ市民権が与えられますが、彼らは以前の主人と主従関係にあり、そのクリエンテス(従僕)となります 解放奴隷の子供には自動的にローマ市民権が与えられます ローマ人の軍団兵(百人隊長は除く)は正式に結婚はできず、内縁関係から子供があっても兵役期間内は子供にはローマ市民権が与えられませんでした。しかし除隊・退役後には子供には認められました ローマ市民権を持たない者でも高額な金額を出資できれば市民権を買う事ができました 入隊当時ローマ市民権を持たなかったローマ支援軍の兵は兵役期間を務め上げ退役すると世襲のローマ市民権が授与されました。その子供は自動的にローマ市民権を持つ事になり父とは違いローマ市民権を持つ者から構成されるローマ正規軍への参加が可能となっっていました ローマに対して大きな貢献をした者にはローマ市民権が与えられました。補助兵でも上位の隊長クラスになると、満期除隊を待たずにローマ市民権を得ました ☆ローマン帝国の宗教 [#RomanEmpireReligion] ローマンは法と秩序の街であり、宗教すら例外ではありません。神や精霊と人々は“契約”関係にあります。つまり、「我、汝軍神マルスに蛮族100体を捧げる。しかれば次の戦いの勝利を約せよ!」というような感じです。 ローマンの宗教は多神教です。家内安全、軍事、都市、あるいは帝国そのものが見返りを与える代わりに神や精霊の助けを得ています。人々の中には神聖な力を得ることができる者もいますが、それは特別な計らいであり、神の主たる役割ではありません。 訳注)日本の神社に、大量のお供え物の代わりに目に見える形で助けを与えてくれるという特質を加えたものを想像すると、少しは理解しやすいかもしれません。 ▼神と精霊 [#GodsAndSpirits] 執筆中 ▼生贄 [#Sacrifices] ローマン世界では生贄を捧げることで神や精霊の魔法的な加護を得ます。最も一般的な捧げ物は動物です。動物を捧げることで、その動物のHP分の2倍のマナ、あるいは5HPごとに2CP分の才能として利用できます。ただし、この才能は才能に含まれる技能数回までしか役立ちません。複雑な作業には多くの生贄が必要なのです。また、$150を消費することを1HP分の生贄とみなすこともできます。 動物の生贄を正しく捧げるには、動物使役判定と宗教儀式判定に両方成功する必要があります。生贄を捧げるとき、神の加護が得られたら生贄を捧げますという誓いで以って代えることもできます。これは「誓い」の特徴とは違います。なぜなら、誓約が果たされなければ、神や精霊は天罰で以って報いるからです。 同意の無い対象(正しく捧げられなかった動物の生贄や、あなたの敵など)を生贄とする場合には、それを本来の1/3のHP(切捨て)の生贄として取り扱います。 ☆ローマン帝国の宗教的ライバル [#RivalBeliefs] ▼メナードの林 [#GrovesOfTheMaenads] 酒神バッカスはローマンの神々の一柱です。しかし、彼の宗派は常に市井の祭りでは満足できない信者を魅了してきました。彼らは素面の人に時折恐怖を抱かせる野生的な祝祭に熱狂していたのです。 酒神の礼拝者として、バッカス信者やメナードは豹変した集中状態を際立たせます。新たな信者は“聖なる酩酊”状態を体験し、超自然的なパワーを発揮します。GURPSの用語で言うと、彼らは聖なる力を源とした超能力者です。 以下、取るPCがいないので、しばらくの間、執筆中 。 ▼ミスラ教 [#Mithraea] ミスラは戦士の神であり、狩猟、炎、光の神でもあります。そして、戦士たちの 以下、取るPCがいないので、しばらくの間、執筆中 。 ▼イシス神 [#TemplesOfIsis] イシスは才能と魔法の処女神です。 信者の多くが女性ですが、男性に門戸を開いていないわけではありません。また、グレコ・ローマンに入ってからのイシス神はデメテルやセレスと同一視され、信者に必ずしも処女性を要求しません。 イシス神の僧侶になるには魅力[5/L]、商売上手・癒し手・水夫[10/L]のいずれかの才能が必要で、イシスの洗礼を受けると、準備が必要の限定が掛かった才能をゲーム中に習得できます(推奨項目です! これはイシスの超自然的なパワーによる才能の強化を表しています)。また、イシスの洗礼を受けていて、魔法の素質[5+10/L]があれば、魔法を習得することもできます。イシスが授ける呪文の典型は風霊、情報伝達、魔化、治癒、幻覚、知識、呪文操作、死霊、防御/警戒、水霊の各系統です。イシスの魔術師は儀式魔法技能の代わりに魔法理論技能で魔法を習得します。イシスの信者はイシス神からゲーム中に魔法の素質を授かることがありますが、たいてい、それは単系統の魔法(-40%)の限定が掛かったものになります。他は通常の魔術師(Sorcerer)と同じです。 ☆魔法 [#Sorcery] ▼魔術師(Sorcerer) [#Sorcerer] 魔術師は儀式魔法(精神・至難)と魔法/系統(精神・至難)との組み合わせで魔術を行使します。また、あらゆる呪文を儀式魔法-6を技能なし値として行使できます。いずれも魔法の素質のレベルを加えることができます。魔法/系統の最大レベルは儀式魔法のレベルであり、ある系統の魔法/系統を習得していると、その系統の呪文を難易度:難のテクニックとして習得できます。新しい呪文を習得する際には、1CPを魔法/系統に割り振り、技能なし値=魔法/系統-その呪文を習得するのに必要な前提のうち前提数が最小となるもの、のテクニックとして習得します。呪文は関連する魔法/系統のレベルを超えて成長させることはできません。 マナは都市ではマナ密度:並です。他の場所ではマナ密度:密です。異教の神殿などの高いレベルの聖域ではマナ密度:疎あるいはなしです。 ▼エジプト魔術(Egyptian Sorcery) [#EgyptianSorcery] エジプト魔術の魔術師は〈魔法理論〉(知力+魔法理論の素質・至難)と〈魔法/系統〉(知力+魔法理論の素質・至難)との組み合わせで魔術を行使します。また、いくつかの魔法/系統を魔法理論-6を技能なし値として行使できます。いずれも魔法の素質のレベルを加えることができます。魔法/系統の最大レベルは儀式魔法のレベルであり、ある系統の魔法/系統を習得していると、その系統の呪文を難易度:難のテクニックとして習得できます。新しい呪文を習得する際には、1CPを魔法/系統に割り振り、技能なし値=魔法/系統-その呪文を習得するのに必要な前提のうち前提数が最小となるもの、のテクニックとして習得します。呪文は関連する魔法/系統のレベルを超えて成長させることはできません。 マナはイシスの神殿がある都市ではマナ密度:密です。他の場所ではマナ密度:並です。異教の神殿などの高いレベルの聖域ではマナ密度:疎あるいはなしです。 ☆財産と地位そして階級 [#WealthAndStatus] ローマン帝国には地位と3種類の社会的階級があります。女性は軍人階級を取る事ができません。 3種類の社会的階級は官僚階級、軍人階級、宗教階級の3つです。ローマン皇帝はこのいずれにおいても高い地位を持っています。 ▼財産 [#Wealth] ローマ市民の地位・階級はその家の財産レベルと密接な関係があります。財産/どん底から財産/富豪までは一般人(Plebian)です。彼らのなれる階級は(P)とあるものに限られます。また、地位レベルの上限は3です。財産/デクリアルになると、(D)とある階級への道がひらけます。また、地位4が可能になります。財産/エクスクエトリアンはエクィテスと呼ばれ、有事には公馬が支給され、また、財産/セネトリアル以上の財産を持つ元老院階級の影響力の増大を恐れた皇帝によって、(E)の階級が積極的に与えられました。財産/セネトリアルは元老院に所属するものの財産です。 財産表: 財産/大富豪3[125]($80’000’000) 地位3付随 以上、初期財産10倍ごとに+25CP 財産/大富豪2[100]($8’000’000) 地位3付随 財産/セネトリアル[85] 初期財産($2’000’000) 地位3付随 財産/エクスクエトリアン[75] 初期財産($800’000) 地位2付随 財産/デクリアル[60] 初期財産($200’000) 地位1付随 財産/富豪[50] 初期財産($75’000) 地位1付随 財産/大金持ち[30] 初期財産($15’000) 財産/富裕[20] 初期財産($3’750) 財産/快適[10] 初期財産($1’500) 財産/標準[0] 初期財産($750) 財産/貧乏[-10] 初期財産($375) 財産/赤貧[-15] 初期財産($150) 財産/どん底[-25] 初期財産($0) ▼地位 [#Status] ローマン市民(citizen)は0以上の地位を持ちます。生来のローマン市民(ordinary citizen)や平民(plebeian)は充分な財産があれば、1~3の地位を持てます。奴隷(slave)は通常地位-2ですが、より高い地位を持つ奴隷もいます。奴隷であることは地位ではなく、社会的弱者/被支配種族[-20]で表現されます。ローマン帝国の女性は生まれながらにして市民ではない(社会的弱者/二等市民[-5])ですが、適切な額の金を払えば、ローマン市民になれます。ゲーム的には、全ての女性PCは既にこの不利な特徴を買い戻しているものとして扱います。ローマン市民が4以上の地位を持つためには、相応の財産が必要です。財産/デクリアル($200000)[60]やそれ以上の財産が必要です。しかし、こうした高い地位を持つキャラクターは相応の階級を持たなければならないため、自由に行動できません。結論として、財産/デクリアル以上の財産レベルや4以上の地位レベルはPC向けではありません。 ▼官僚階級 [#AdministrativeRanks] PCがこれらを取る事は、行動の自由を制限するため、余り推奨されませんが、将来の相続物として予約しておくのは悪くない選択でしょう。(S)(E)(D)はその階級に就くのに財産/セネトリアル、エクスクエトリアン、デクレアルが必要であることを示します。この財産は本人のものでなくても構いません。財産/デクレアルの地方都市の二頭政治家の息子は本人の財産に関わりなく、地方都市の財務官になります。そして、いずれは父の財産を継承して二頭政治家になります。潜在的有利な特徴の欄も参照してください。 階級 例 8 (皇帝)、法務長官(E) 7 執政官(S)、地方知事(S)、エジプト長官(E)、都市長官(S)、穀倉長官(E) 6 法務官(S)、地方代官(E)、消防夜警団長官(E) 5 造営官(S)、地方代官(E) 4 地方代官(E)、地方都市の二頭政治家(D) 3 財務官(S)、地方代官(E)、地方都市の造営官(D) 2 小判事(S),地方都市の財務官(D) 1 書記官(P) 0 伝令役(P) ▼軍人階級 [#MilitaryRanks] ローマン軍隊はたくさんの独自の階級システムを採用しています。エリートである近衛兵、レギオン、アウクシリア、ローマン指揮下の蛮族部隊、都市長官配下の都市コホート歩兵部隊、そしてローマン海軍は全て独自の階級制度を持っています。以下の表は、ローマンの開拓地を守る、レギオン、アウクシリア、海軍を扱っています。 階級 例 8 総軍団長(S)、(近衛長官)、(皇帝) 7 軍団長(S)、海軍長官(E) 6 野営隊長官(E)、ラティクラウィウス護民官(S)、艦隊司令長官(P) 5 アングスティクラウィウス護民官(E)、熟練騎兵(E)、古参兵(P) 4 筆頭百人隊長(P)、軍団長官(E)、ベネフィカリウス(P) 3 上級中隊長(P)、支援軍熟練兵(P)、操舵手(P) 2 百人隊長(P)、艦艇下士官(P) 1 シグニファー(P)、副小隊長(P)、連絡士官(P)、資材管理兵(P)、十人隊長(P)、漕手長(P)、水兵(P) 0 戦士(P)、漕ぎ手(P)、海兵(P) ▼宗教階級 [#ReligiousRanks] 宗教階級は神学校に入るところから始まります。神学校によって昇進のシステムは様々で、統一された標準というものはありません。僧侶であることは政治的・軍事的階級の補助的役割を果たすものです―ただし、ユピテル神官、聖なる物の王、ウェスタの巫女は日々の全てを職務に捧げます。ウェスタの巫女は皇帝に次ぐ最も高い地位を得ますが、宗教階級が僧侶たちに何かを与えることはありません。しかしながら、いくつかの神学校は洗練された年功序列のシステムを持っています。 階級 例 8 聖なる物の王(名誉階級) 7 (最高神祇官としての皇帝) 6 ユピテル神官(S)、聖なる物の王(S)、ウェスタの巫女(S) 5 神祗官(S) 4 マース神官(S)、クゥイリーヌス神官(S)、鳥占官(S)、属国の神官(D) 3 イタリア神託解釈官(S) 2 下級神官(P)、エピュロン(S) 1 下級僧侶(S/E)、オーガスタリス神官(F) 0 家長(S/E/D/P/F) ■追加特徴と特典・癖・技能等 [#NewAttributesAndSkills] ☆容貌 [#Appearance] ローマン世界にはエルフ、ドワーフ、ハーフリング、オークなど様々な種族が居ます。容貌は個人の特性であると同時に、種族特性でもあります。 もし、容貌に標準のCPを使ったなら、それは自分の種族と自分の種族に近しい種族、あるいはその世界の支配的種族に、反応修正が適用されます。もし、両方に反応修正が適用されるなら、汎用的である(+25%)という増強が施されているものとします。 例1:オークは容貌/悪い(反応修正-1)を持っています。これは人間やその他の種族、例えばエルフに適用されるでしょう。しかし、オーク自身は気にもとめないでしょう! 例2:エルフは容貌/魅力的(反応修正+1)を持っています。これは人間やその他の種族、例えばハーフリングに適用されるでしょう。しかし、エルフ自身は自然なものとして受け入れているでしょう。 ☆有利な特徴 [#Advantages] 方向感覚 鋭敏感覚 仲間グループ 祝福 祝福を別の形で取ることが可能です。 信仰の鎧 幸運の特徴のように買います(防御的:-20%;盟約:-5%)。一般的な盟約は、小さな誓いです。11CP 王の写し身 特別な絆のように働きますが、対象は国そのものです。治めている国土の状態が、距離に関係なく、また知力判定の必要も無く分かります。国土を傷つけるものはあなたをも傷つけます、また、逆も然りです。歴代ローマン皇帝はこの特徴を自動的に得ます。10CP 情報屋 自意識のある魔法の品物は、安全な場所に置かれているなら、仲間ではなく情報屋として獲得します。 記憶力 記憶力[5]は習得できる有利な特徴です。歴史ファンタジーの世界では、吟遊詩人、伝承口伝者、魔術師などがこの特徴を取るでしょう。 このレベルの記憶力は瞬間的に記憶出来るといったものではありません。文章を覚えるには書き写すか、はっきり読み上げる必要があるでしょうし、映像を覚えるにはスケッチするための時間が必要でしょう。 暗視 夜の生き物にとっては、暗視は0CPの特徴です。 後援者 神や精霊が後援者となることもあります。これは強力な個人として扱います。 階級 財産と地位そして階級 を参照して下さい。 毒舌 形態変化 スキンバウンド(さまざま) 変身のみ。 スキンターナー(-37.5%) 変身のみ。 専用アイテム 25EP/1CP 一意専心 才能 以下の才能を追加します。 魅力[5/L] 踊り、性愛術、化粧、性的魅惑、歌唱 吟遊詩人[5/L] 紋章学、文学、超演奏、作詞、演説、歌唱 勤行[5/L] 自己暗示、悪魔祓い、瞑想、宗教儀式 良妻[5/L] 料理、診断、園芸、家事、裁縫 水夫[10/L] ボート、水夫、輸送、紐結び、気象学、航法、造船 天才建築家[5/L] 建設、大工、エンジニア、強行突入、石工 賢者[10/L] 考古学、専門家技能、地理学、紋章学、秘伝、哲学、調査、神学 盗賊[10/L] 登攀、強行突入、鍵開け、尾行、すり、窃盗、隠匿、言いくるめ、裏社会、忍び、宝石屋、罠 執筆中 ☆不利な特徴 [#Disadvantages] 執筆中 ☆追加・変更あり技能 [#NewSkills] 地域知識 戦闘系技能/型・スポーツ 犯罪学/TL2 時事知識/TL2 魅了 専門技能 占い師 競技知識 危険物取扱/TL2 言語学 農業/TL2 騎乗 礼儀作法 投擲武器 空手 東方から技術が伝わっていないので、要・特殊な背景 柔道 東方から技術が伝わっていないので、要・特殊な背景 レスリング (パンクラチオン) ボクシング (ピュージラトゥス) 執筆中 ☆追加テクニック [#NewTechnique] 戦車搭乗射撃(Chariot Archery)(難) (技能なし値:弓-6;前提技能:弓、弓レベルが上限) 鞍隠れ(Hang From Saddle)(難) (技能なし値:騎乗-3;前提技能:騎乗、騎乗レベルが上限) 人馬一体(No Hands Riding)(難) (技能なし値:騎乗-3;前提技能:騎乗、騎乗レベルが上限) 財布切り(Purse Cutting)(難) (技能なし値:ナイフ-5;前提技能:ナイフ) 高速反転(Sharp Turn)(難) (技能なし値:御者-1;前提技能:御者、御者レベルが上限) 背後射ち(Shoot Backward) (技能なし値:弓-4;前提技能:弓、騎乗、弓レベルが上限) 騎乗射ち(Shoot Over Mount) (技能なし値:弓-4;前提技能:弓、騎乗、弓レベルが上限) 執筆中 ■PC構成とテンプレート [#Template] ☆基本パック [#BasicSetOfPC] TL2、CR4、開始時財産$750(ただし、標準以上の財産なら、一旦、80%を家財などに費やしてください。なお、この家財は冒険開始時に払い戻されます) あなたたちの背後には気紛れなローマン皇帝その人が控えています!(9;特別な力を持った存在:+50%;援助要請が必要:-50%)[30] しかし、あなたたちは未知の国家レベルの強大な敵に狙われています(9)[-45] また、常に使命を帯びています。[-15] ▼読み方 [#FormatOfTemplate] (215-85/200CP) これは、有利な特徴215CP、不利な特徴-85CPが既に組み込まれており、未使用CPを含めたCP総計が200CPであることを示します。つまり、あなたは70CPを使ってこのキャラクターをカスタマイズでき、また、さらに追加の不利な特徴15CPまでを取ることで、最大85CPを使ったカスタマイズができることを示します。 慣れている方はフルカスタマイズに挑戦しても構いません。ただし、特徴の変更についてはGMの認可を受けてください。また、種族パックをカスタマイズする際には、有利な特徴を削ると、同じ額の不利な特徴を取得した扱いになることに注意してください。種族パック内の不利な特徴は不利な特徴の上限に含まれません。 ▼PCたちの背景 [#BackgroundOfPCs] 基本的にはPCたちは「ヴェテラン」では無く、皇帝に見聞を広めるよう旅に出された「エリート新人」です。技能レベルは10でアマチュア、12でプロ、14で中堅プロ、16で名が知られていないとおかしいレベル、だと思ってください。 PCたちは3版で言うところの100CP相当キャラ+皇帝と敵のキャンペーンパック、程度の能力です。4版になって、能力値や技能レベルの基準が、10を基準に±1Lvあたり約2倍の価値を持つようになったことに気をつけてください。 PCたちは皇帝の直接の所有物です。これには有利な側面と不利な側面があります。有利な側面は、皇帝の名をちらつかせることで、相手から好意的な反応を得られることです。不利な側面は、皇帝の命令に絶対服従しなければ、暗殺者やレギオン一個中隊などが追いかけてくるだろうことです。 ▼技能レベルと実力の評価 [#SkillLvAndActualAbillity] 技能レベルは10でアマチュア、12でプロ、14で中堅プロ、16で名が知られていないとおかしいレベルです。初期キャラクターがメイン技能張れるくらいの技能レベルは14前後でしょう。白兵武器技能に関して言えば、腕狙って3/4近く当たりかけるのですから、十二分です。 相手を「倒す」ではなく「降伏させる」手段にはいくつかの選択肢があります。ひとつは武器落としですが、十手やサイなどの専門道具でもなければ成功は覚束ないでしょう。むしろ有効なのは、剣の平や槍の柄で殴ったり、組み付きからのチョークスリーパーを行うこと、近くの木でもぶん殴って「お前もこうなりたくなけりゃ、とっとと失せろ!」と〈脅迫〉することなどです。 ▼ローカルルール [#LocalRule] 能力値の上限は14です。これは魔法の道具や効果による増強分を含みません。また、初期CPを使って、15以上に成長させることもできません。ただし、種族パックによる増加分はこの制限に数えません。 初期の技能レベルはテンプレートの値の±1を目安としてください。必須技能なら8CP前後、推奨技能なら4CP前後、背景技能なら2CP前後が相場です。ただし、能力値の上下、才能や魔法の素質などによる補正は除きます。 武器防具は基本的にローマン帝国から支給されます(官製品セット)。ローマン皇帝から特別なものを支給されることもありますが、ローマン皇帝は登場頻度(~9)で、気紛れ(反応判定を要求する)です。パーティーの全員が登場判定を振り、1人でも成功したなら、全員に援助を受けるチャンスがあります。各自が反応判定を行い、「中立」以上の結果を得たなら援助が得られます。 1セッションは1~3回の遭遇とその解決を指します。CPはセッションごとに0~5点程度、支給されます。冒険の終わりには大量のボーナスCPがあります。仲間・足手まとい・敵・後援者などの登場判定は前のセッションの終わりに行います。 基本的に技能を後から取るには、関連する「才能」や「聖職者+宗教的地位」、別技能や能力値からの技能なし値によって判定を成功させた経験、金と時間、のうちのどれかが必要です。特徴を後から取るのはきわめて困難です。 選択ルールのCPで成功を買うのうち、致命的失敗を失敗に変更(コスト:2CP)のみ採用します。ただし、NPCはこの限りではありません! ☆PC1:近衛兵(男性)(215-85/200CP) [#PraetorianGuardTemplate] あなたは皇帝の近衛兵(Praetorian Guard)を勤めていた軍団兵(Legionary)です。 あなたは長剣術と短剣術を身に着けており、盾を構えて戦います。 初期能力値:ST12[20] DX11[20] IQ10[0] HT12[20] 初期副能力値:突き1d-1 振り1d+2 BL14 HP12[0] Will10[0] Per11[5] FP11[0] BS5.5[0] BM5[0] 有利な特徴:戦闘即応[15] 健康[5] 軍人階級1[5] 有利な特徴(30CP分選択):方向感覚[5]、両手利き[5]、技術者[10/L]、カリスマ[5/L]、宗教階級(ミスラ神の洗礼を受けている)[5]、危険感知[15]、恐怖を感じない[2/L]、警察階級[5]、財産(快適)[10]、健康を非常に健康にアップグレード[10] 不利な特徴:戦士の名誉重視[-10]または秘密[-10] 不利な特徴(-15CP分選択):かんしゃく[-10*]、冷淡[-5]、強迫観念(賭博または寄付)[-5*]、熱狂[-15]、狭量[-5 または -10]、好色[-15*]、指がない[-2 または -5]、命知らず[-15*]、片目[-15]、自信過剰[-5*]、人嫌い[-5*] 必須技能:片手剣(並)DX+2[8]=13 短剣(並)DX+2[8]=13 盾(易)DX+2[4]=13 行軍(並)HT+2[8]=13 推奨技能:脅迫(並)Will+1[4]=11 監視(並)Per-1[1]=10 礼儀作法(軍隊;易)IQ+1[2]=11 兵士(並)IQ+2[8]=12 武器投げ(槍;易)DX+1[2]=12 +以下から1つ選択:砲手(カタパルト;易)DX+2[4]=13、大工・応急手当・石工(易)IQ+2[4]=12、武具屋・間接射撃(カタパルト)・指揮・鍛冶屋・指導・罠(並)IQ+1[4]=11、楽器演奏(トランペット;難)IQ[4]=10 背景技能:跳躍(易)DX+1[2]=12 生存(任意;並)Per[2]=12 水泳(易)HT+1[2]=12 外交(難)IQ-1[2]=9 以下の技能から4つ:社交(易)HT+1[2]=12、収集(易)Per+1[2]、格闘(易)DX+1[2]=12、忍び(並)DX[2]=11、管理・武具屋・賭博・気象学・航法(地上)(並)IQ[2]=10、宗教儀式(難)IQ-1[2]=9 職業:近衛(Praetorian Guard) 前提条件:地位0 ST12+ HT12+ ショートソード12+ 職業判定:外交。ファンブルなら1dダメージを受けた上、近衛からの反応-1 月収:$750 職業レベル:標準、地位0 ☆PC2:皇帝の愛妾(女性)(175-85/200CP) [#CourtesanTemplate] ローマン皇帝の愛妾(Courtesan)の一人です。その美とカリスマで人を惹きつけます。 夜の相手としては最高ですが、彼女には秘密があって…… 初期能力値:ST10[0] DX11[20] IQ11[20] HT12[20] 初期副能力値:突き1d-2 振り1d BL10 HP10[0] Will11[0] Per12[5] FP12[0] BS5.75[0] BM5[0] 有利な特徴:容貌/魅力的[4] 性的魅力の才能1[5] 財産/快適[10] 有利な特徴(25CP分選択):アルコール耐性[1]、性的魅力の才能[5/L]、聖職者/イシスの洗礼[5]、異文化適応[10]、共感[15]または感受性[5]、ファッションセンス[5]、言語の才能[10]、言語[1~6]、耐性/病気[3または5]、容貌/魅力的[4]を美人[12]または超美人[16]に変更 不利な特徴:社会的弱者/少数派(みだらな女)[-10] 秘密[-5] 不利な特徴(-10CP分選択):かんしゃく[-10*]、名誉重視/プロフェッショナル[-5]、強迫観念/浪費または宴会[-5*]、嫉妬[-10]、自信過剰[-5*]、自尊心が強い[-5*] 必須技能:社交(易)HT+1[2]=13 専門技能/高級娼婦(並)IQ+2[8]=13 性的魅惑(並)HT+2[4]=14 推奨技能:礼儀作法/上流社会(易)IQ+1[2]=12 以下から3つ:地域知識・時事知識・ゲーム(易)IQ+2[4]=13、化粧(易)IQ+3[4]=13、歌唱(易)HT+3[4]=15、踊り・性愛術(並)DX+2[4]=13、目利き・作詞・政治(並)IQ+1[4]=12、演説(並)IQ+1[4]=12、外交・文学・楽器演奏(難)IQ[4]=11 背景技能:以下から4つ:ナイフ、裁縫(易)DX+1[2]=12、調理、園芸、身振り(易)IQ+1[2]=12、ボディランゲージ・監視(並)Per[2]=12、会計・美術/インテリア・毒物(難)IQ-1[2]=10、嘘発見(難)Per-1[2]=11 職業:高級娼婦(Courtesan) 前提条件:容貌/魅力的 性的魅惑12+ 礼儀作法12+ 職業判定:前提技能のうち一番低いもの。ファンブルなら、パトロンの援助を失う。他の街で成功するまで収入は無い。 月収:$1350。成功度/失敗度による修正を受ける 職業レベル:快適、地位1 ☆PC3:魔術師(性別問わず)(170-75/200CP) [#SorcererTemplate] あなたは宮廷に雇われていたフリーの魔術師(Sorcerer)です。 多彩な呪文を使いこなし、一行を支えます。 初期能力値:ST10[0] DX10[0] IQ14[80] HT10[0] 初期副能力値:突き1d-2 振り1d BL10 HP10[0] Will14[0] Per14[0] FP10[0] BS5[0] BM5[0] 有利な特徴:魔法の素質0L[5] 有利な特徴(25CP分選択):カリスマ[5/L]、記憶力(1時間の準備が必要:-50%)[3]、写真記憶(1時間の準備が必要:-50%)[5]、魔法の素質[10/L]、後援者(導師;特殊な能力:+50%)[さまざま]、一意専心[5]、社会的尊厳(畏怖)[5/L]、財産[10 または 20] 不利な特徴(-15CP分選択):かんしゃく[-10*]、嫉妬[-10]、人嫌い[-5*]、誇大妄想[-10]、自信過剰[-5*]、戦闘後硬直[-5*]、誓い[-5~-15]、財産/貧乏[-10]、特異点[-15]、ワーカホリック[-5]、異種族愛好[-10] 必須技能:研究(並)IQ[2]=14 儀式魔法(至難)IQ[8]=14 魔法/系統(至難)IQ-1[4]=13 推奨技能:瞑想(難)Will-2[2]=12 魔法/系統(至難)IQ-2[2]=12 背景技能:神秘学(並)IQ-1[1]=13 指導(並)IQ-1[1]=13 以下から2つ:占い師・秘伝・作詞(並)IQ-1[1]=13、美術(ボディアートまたは幻影)・自然知識・哲学・魔法シンボル(難)IQ-2[1]=12、伝統療法(難)Per-2[2]=12、夢見・除霊(難)Will-2[2]=12 呪文:任意の呪文4つ(難)技能なし値+1[2] 職業:魔術師(Sorcerer) 前提条件:魔法の素質0 儀式魔法+14 職業判定:儀式魔法。ファンブルなら、敵対的な超常生物と出会い、-6の修正で恐怖判定を行わなければならない 月収:$1000。成功度/失敗度による修正を受ける 職業レベル:快適、地位1 ☆PC4:スキンターナーの剣闘士(性別問わず)(210-90/200CP) [#GradiatorTemplate] あなたはジャーマンの森で捕虜になった獣人化の秘儀を自らに施している剣闘士(Gradiator)です。 非常時には狼に変化して、敵の懐に回りこんで噛み付きます。 初期能力値:ST11[10] DX12[40] IQ10[0] HT12[20] 初期副能力値:突き1d-1 振り1d+1 BL12 HP11[0] Will10[0] Per10[0] FP12[0] BS6[0] BM6[0] 有利な特徴:戦闘即応[15] 健康[5] ST+2[20]またはDX+1[20] 形態変化/知性ある狼(スキンターナー†:-37.5%)[15] 特殊な背景/スキンターナー[10] 有利な特徴(15CP分選択):容貌/魅力的[4]、祝福(英雄的能力)[10]、カリスマ[5/L]、情報屋(剣闘士生活の間に得た)[さまざま]、恐れを知らない[2/L]、痛みに強い[10]、傷の回復が早い[5]または傷の回復が非常に早い[15]、特典[1]、社会的尊厳(畏怖)[5/L]、財産/快適[10]、健康を非常に健康にアップグレード[10] 不利な特徴(-30CP分選択):かんしゃく[-10*]、好奇心[-5]、闘技場の名誉重視[-10]、強迫観念(賭博または宴会)[-5*]、片手[-15]、指がない[-2または-5]、片目[-15]、自信過剰[-10]、地位-2[-10]、正直[-5*] 必須技能:以下の7種類のパッケージから選択 ベストラリウス:盾(易)DX+2[4]=14 槍(並)DX+1[4]=13 鞭(並)DX+1[4]=13 ディマチェラス:片手剣(並)DX+3[12]=15 エキューズ :片手剣(並)DX[2]=12 乗馬/馬(並)DX+2[8]=14 槍(並)DX[2]=12 ミルミッロ :片手剣(並)DX+2[8]=14 盾(易)DX+2[4]=14 レティアリウス:ネット(難)DX+1[8]=13 槍(並)DX+1[4]=13 セクター :ナイフ(易)DX+2[4]=14 ランニング(並)HT+2[8]=14 スラシャン :盾(易)DX+2[4]=14 ショートソード(並)DX+2[8]=14 推奨技能:競技/闘技場(易)IQ+1[2]=11 演技(並)IQ+1[4]=11 戦術(難)IQ[4]=10 背景技能:脅迫(並)Will+1[4]=11 以下から1つ:格闘(易)DX[1]=12、時事知識/スポーツ・応急手当(易)IQ[1]=10、社交(易)HT[1]=12、賭博・裏社会(並)IQ-1[1]=9、性的魅力(並)HT-1[1]=11 テクニック:以下の中から必須技能パッケージと同じカテゴリのもの1つを習得 ベストラリウス:フェイント/槍(難)槍+2[3]=16 ディマチェラス:二刀流 または 逆腕訓練/片手剣(難)片手剣-2[3]=13 エキューズ :ブレーシング(難)槍-2[3]、人馬一体(難)乗馬-1[3]=13、飛び乗り(難)乗馬-1[3]=13 ミルミッロ :武器落とし(難)片手剣+2[3]=16、フェイント(難)片手剣+2[3]=16、武器保持(難)片手剣+2[3]=16 レティアリウス:フェイント(難)ネット+2[3]=15 セクター :フェイント(難)ナイフ+2[3]=16 スラシャン :武器落とし(難)ショートソード+2[3]=16、フェイント(難)ショートソード+2[3]=16、武器保持(難)ショートソード+2[3]=16 職業:剣闘士(Gladiator) 前提条件:演技11+、武器技能12+ 職業判定:前提技能のうち最も低いもの。ファンブルなら、勝負に負け、死ぬ 月収:$1350。成功度/失敗度による修正を受ける 職業レベル:快適、地位1 †スキンターナー 特殊な儀式を施した獣の皮を被ることで、獣の形態に変化する種族です。このキャラクターは狼に変化します。以下に狼時の能力の変化を記します。 能力値修正:DX+2(マニピュレーターの性能が悪い:-40%)[24] IQ-4[-80] HT+2[20] 副能力値修正:SM0 Will+5[25] Per+8[40] BM+3[15] 有利な特徴:超嗅覚[15] DR1[5] 毛皮[1] 暗視2[2] 変身に毛皮が必要ない[5] 声が通る[1] 歯(鋭い歯)[1] 気温の変化に強い1[1] 不利な特徴:爬行姿勢[-35] 野生動物[-30] あなたが変身するには特殊な儀式を施した毛皮が必要です。この毛皮はDR2 HP10 SM-2で、通常の方法では修理できません。また、策略などによって盗まれることがありますが、他人には利用されません。これらは-37.5%の限定に相当します(計算済みです)。 ☆種族パック:ドワーフ[35] [#Dwarf] 能力値修正:HT+1[10] 副能力値修正:SM-1 Will+1[5] 有利な特徴:アルコール耐性[1] 才能/技術者1[10] 黄金探知(曖昧:-50%)[3] 寿命が長い1[2] 追加加重体力+2[6] 暗視5[5] 不利な特徴:強欲(15)[-7] ☆種族パック:エルフ[69] [#Elf] 能力値修正:ST-1[-10] DX+1[20] 副能力値修正:Per+1[5] 有利な特徴:容貌/魅力的[4] 魔法の素質0[5] 完全平衡感覚[15] 望遠視覚1[5] 不老[15] 美声[10] 種族的習得技能:目利き/自然環境(並)IQ[2] ☆種族パック:ハーフリング[20] [#Halfling] 能力値修正:ST-5[-50] DX+1[20] HT+2[20] 副能力値修正:SM-2 Will+2[10] 有利な特徴:才能/緑の親指1[5] 死ににくい4[8] 音を立てない4[20] 不利な特徴:平凡な人生[-10] 太り気味[-1] 癖:飲み食いが好き[-1] 地下住まいを好む[-1]
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できるだけ急いで戻ったとはいえ、農場に着いた頃にはやはり日没を過ぎていた。日が落ちるとぐっと気温が下がり、余計に寒い。……早く戻らないと。 身震いしてロワジィは主一家の住む母屋を訪れた。 「ロワジィ、」 母屋へ向かう中途で、末娘と中の娘が彼女を見止めて手を振り、駆け寄ってくる。ありがたい。なんて都合がいいんだろう。そう思った。彼女が探していたのも、農場の主の男ではなく、その娘たちだったからだ。 「お仕事帰り、……?」 戻ってまっすぐ母屋に向かったので、返り血やら砂汚れやらでわりと全身ひどいことになっているはずだ。あたりが暗くなっているので、はっきりと見えないとは思われるが、臭うかもしれないと思った。 せめて顔くらい洗って来ればよかったかな。ちらと後悔したが、今さらどうにもできないので開き直る。 「ええ、野犬退治のね。もっと手間取るかと思ったんだけど、思ったより早く終わったの」 汚れててごめんね、一言謝ると、慣れてるしわたしたちも畜舎帰りだから大丈夫よ、娘たちはそう返す。町の人間なら顔をしかめるところかもしれないが、さすがに農場育ちだと思った。 野犬を打ち殺すだとかそこまで物騒な荒事はしなくても、生き物の世話をしていれば、日々の糞尿の始末のほかに、出産だの角切だの去勢だの、汚れもにおいも、滲みつく仕事はいくらでもあった。慣れている、と娘たちが口にしたのはそう言うことだ。 「ギィさんは、一緒じゃないのね」 彼女がひとりでいるのを見て、末娘がたずねる。そうなの、頷きながら、ここに長女が居なくてよかったと思った。 「まだ後始末があってね。あのひとには残ってもらったのよ」 恋をする女の勘は鋭い。得意でないロワジィの嘘は、上の娘にきっとすぐに見通されてしまっただろうと思う。 「……それでね、ちょっとお願いがあるんだけど」 言いながらロワジィは胸元をさぐり、体を丸めておとなしく寝ていた仔犬を取り出した。なに、と興味津々で覗きこんでいたふたりは、取り出されたそれを見てうわあ、と小さな声をあげる。なに。なにこれロワジィ。すごく可愛いんだけど、どうしたの。 彼女のぬくもりから離された仔犬は、すん、と鼻を鳴らしよく開かない目で周囲をさぐる。ちいさな前足指がたよりなげに宙を掻き、そのしぐさにまた娘たちがそわそわと色めきたった。 「えーどうしたのこれ。さわりたい。……さわってもいい?」 「この仔の世話を、すこし頼めるかな」 「いいわよ。いつまで?」 彼女から仔を受け取り、前掛けの中に包んで、ふたりはきゃあ、だとか、やだ小さい、だとか悲鳴を上げている。彼女がたずねるとすぐに返事がもどってきた。 「あたしが戻ってくるまで、お願いしたいのだけど」 「わかったわ」 家畜の世話で慣れている娘たちは、二つ返事でうなずいて、……じゃあお乳をあげないと。どうする?わたし山羊のところで絞ってくる。わかった。じゃあわたしはボロ布とか、入れる箱、探してくるね。 すぐ手はずを整えて、互いに頷きあう。 「ごめんね」 可愛いのは確かだが、世話には手間がかかる。彼女たちは今晩、仔が乳を欲しがる毎に、乳を温め、麦わらで吸い上げたものを口先へ運び、満足するまで飲ませる作業をしなくてはならない。なんだか申し訳なく思えて彼女がそういうと、ロワジィなんで謝るの、不思議な顔をされてしまった。こんな可愛いもの、放っておけるわけないじゃない。 若くてもやはり母性というものなのかなと思う。それから若いとはいえ、自分はこの年にはすでに、絵描きの男と娶わされていたなとも思う。そうして、若いだとか既婚だとかそんなのは結局のところ関係ない、可愛いから放っておけないと、ただそのままに言える率直さがうらやましいと思った。 そうして笑われた。 「ロワジィって、いつもごめんねって言うのね」 「……そうかな」 言われて戸惑う。 「ありがとうでいいのよ」 娘ほど年のはなれている少女から諭されてしまった。そうね、苦笑し素直に返す。 「ありがとう。お願いね」 男と別れたあたりに戻ると、やはり深更近くになっていた。どんなに急いだところで、人間の足には限界があるのだなと、おかしなところで納得してしまう。車や馬のようにはなれないのだ。 朝小屋を出てからほぼ休みなく一往復半したため、太腿の付け根が痛み、靴の中にはまめができていた。歩くことには慣れていても、自分のペース以上に無理を押せばそうなる。すこし引きずる形になったが、それでも足は止められなかった。 小屋に寄り、目についた暖をとれそうな掛け物を、とりあえずまとめて縛って負ってきている。寒い、と震えていた姿がロワジィの頭から離れなかった。……温めてあげないと。そう思う。 本当だったら、戸板か荷車にでも乗せて運びたいところだ。けれど戸板はロワジィひとりでは運べなかったし、整地された場所ならともかく、藪の中を車輪は進めない。最悪男を背負って彼女が頑張る、という手もあったけれど、縦にも横にも図抜けている男をどれだけ運べるかはロワジィにもわからない。 とりあえず休ませて、体力の回復をはかり、少し無理をしてでも農場へ戻るしかないと思う。できれば戻るまで待ってほしいと思った雪は、ちらつきはじめていた。 視界の悪くなったのも相まって、男を置いて行った近くまで戻ったはずなのに、居場所を見つけるのにだいぶん手間取った。 ……たしかこの辺だったのに。 焦る気持ちばかり先走り、あちらこちらの藪を覗いて、そうしてようやく燻ぶる焚火のそばにうずくまる姿を見つけた。焚火の火勢はほとんど消えている。木を足すことができなかったのだなと思った。 なんだか胸がいっぱいになってしまった。 とりあえず獣に襲われずにいてくれたな、だとか。でもこのまま近づいて息をしていなかったらどうしよう、だとか。 だから茂みを鳴らして、おそるおそる彼女は近づいた。音が聞こえたのか男の肩が僅かに揺れる。顔をあげる元気はないようだった。眠っているのかもしれない。 それでも崩れることなく、膝を抱えたまま体勢を保っていられるのだから、大丈夫、ロワジィはおのれにそう言い聞かせる。 重病人は腰が据わらない。座った姿勢を保てない。おのれの体重をおのれで支え切れなくなるからだ。 近づき、まずは木切れを焚火へいくつか放り込んで、熾火をかいた。燻ぶりをあげていたそれは、燃えるものを与えられ、ちろちろと表面をなめ、木肌をたしかめるとすぐに燃え移る。 周囲がうっすら明るくなった。それだけで少しほっとする自分がいる。 橙になった闇に、男が身じろぎ、今度は膝の間から頭をもたげる。緩慢な動きだ。木をくべたロワジィを見止め、うん、とわずかに息を漏らした。おかえりだとか、戻ったのかだとか、そんなことを言いたいのだろうなと思ったので、ただいまと言っておく。 「ただいま。遅くなってごめんね」 ごめんね、と言いかけて、つい先ごろ、農場の娘たちから笑われてしまったことを思い出した。そんなにごめんねって言っていたろうか。そのときはそう思ったけれど、わりと口癖になっているらしい。 「……待っててくれてありがとう」 言い換えた。言い換えると、日頃の自分ではないようで妙に気恥ずかしくて、ロワジィは目をそらし背負ってきた荷を解くことに専念する。顔が赤くなっているかもしれないが、この暗がりと焚火の照り返しでどうとでもごまかせる。よかった。 ありがとうなんて、やっぱりガラじゃないわ。 そんなふうに思う。 「――食べれそうなら、なにか、食べる」 「いや……、いい」 男がのろのろと首を振った。 まあ、この状態なら食べられないわね。 納得して、それから結わえていた紐をほどき、厚手の布だの毛布だの大判の木綿布だのすべて重ねて、男にかぶせてやる。 小屋から持ち出してきたありったけの上掛けだ。 「まだ寒い?……寒いよね」 「いや、」 「ちゃんと言って。ひどい顔」 男の頬と額のあたりは浮腫んで赤くなっているのに、唇は青く、全体的に色も悪い。うなじに手を当て、それから手首と足首もたしかめる。頭や首回りはひどく熱いのに、手足は凍るように冷たいのだ。 顔が曇っていたのか、男がこちらをうかがう気配がした。目をあげるとやはり彼女を見ている。なに、目で問うた。どこか苦しい? 手を取りごしごしと摩ると、男がちいさく開けた口から息を漏らす。 「あんたは、あったかいな」 「まあ、ずっと歩いてきたしね」 息せき切るように急いだロワジィの体は、湯気が立ちのぼるほどあたたまっている。言われて自分の体温に気がついた彼女は、この熱を利用しない手はないかとふと思いついた。 「えーと、……そうね」 男を包んでいた掛け物を一度はがして自分の背に回し、 「ちょっと失礼しますよ」 言って後ろから覆いかぶさるように抱きついてみる。 これが普通の相手だったら、おそらく上背のある彼女は胸のうちに相手を抱えられたのだろうけれど、なにしろ男は規格外の大きさだったので、後ろからしがみつくような態になる。ちょっと笑ってしまう。 傍目から見たらだいぶん滑稽にちがいない。 抱きつくと、男が身じろぐのが判った。いきなり接触されて不愉快なのだろうなと理解はしたが、 「なんていうか、厭だろうとは思うけど、緊急事態っていうか、背に腹は代えられないってやつだから、いまは我慢してね」 言って回した掌で男の鎖骨あたりをとんとんと叩く。 「……いや、」 胸板を叩くなだめるような動きをぼんやりと眺めていた男が、気持ちがいい、そう返す。 「あんたが、冷たくて、気持ちがいい」 「あたしが冷たいんじゃなくて、あんたが熱すぎんのよ」 ……まったく、あったかいやら、冷たいやら。 呆れた口調になってため息をつきながら、彼女は腰につけていた水袋を差しだした。 「寒いけど。水飲んで、もう寝ちゃいなさい。あとはあたしが見てるから。寒いけど。寝たら、ちょっとはマシになるわ……、……たぶん。ろくな寝具もないし、雪降ってきたし、寒いけど」 「いや、」 十分だ。 水袋を受け取るついでに、冷え切った指を包んでいた彼女の手に重ねて、男がゆるく笑う。 「あんたといると、あったかい」 「本当は、横に寝かせてあげたいけどね……、」 男が飲み終わった水袋を今度は彼女が受け取りながら、ロワジィは上を向いて思案した。 横にはなれないのだ。 不寝番をかってでる自分がいたとしても、同じことだった。 冬季、屋外で夜を明かすときには、基本的に地面には横臥しない。どれだけ下敷きを敷いたところで、所詮野外である。霜も降りれば夜露も垂れた。接地する面が多ければ多いほど、体温をうばわれる。昨日今日の寒さなら、そこから凍死につながる恐れもあった。 「うーん」 ロワジィは勿論、男も山の仕事をひとりでこなしていたのだから、それを知っている。熱があって、眩暈がひどくても、姿勢を崩さず膝を抱えて座っているのは、そう言うことだ。 「俺は、このままでも、十分、」 大丈夫、言いかけた肩をぐいと彼女はおのれの側へ引き寄せる。普段よりこらえのできない男の体は、簡単に彼女の体に倒れ、もたれた。 うわ、とちいさく声をあげて、胸元に沈んだ男が、慌てて起き上がろうともがくところを、ぐいと押しとどめ、半ば羽交い絞めにしながら、 「こら、おとなしくしなさい」 「待て、俺、重い」 「このくらいなんともないわよ。……じっとしてなさい。熱あがるでしょうが」 「いや、でも」 「寝かせてあげたいけど、横になれないんだから、だったらこうしてちょっとでも寄っかかって楽になりなさいよ」 「だが、」 「いいいいいいから。厭だってのはわかってるの。でも我慢しなさい。具合悪いんだから。あのね、あんたには、できる限り回復して、農場まで自力で歩いて帰ってもらわないとならないのよ。あんまり暴れると、すまきにしちゃうわよ」 わりと本気で凄(すご)む。それでもあきらめ悪く暴れていた男は、けれど彼女の腕が緩まないのを知ると、やがて徐々に力を抜き、大人しくなった。 ひとつため息をつき、そのあとは観念したのか、目を閉じている。 とくにそれ以上話すこともなかったので、彼女も口を噤み、しばらく互いに黙り込んだ。 火の爆ぜる音だけが数度闇にのぼり、煙につられてあおのくと、空から粉雪が下りてくる。 これは積もるかもしれないな、魅入られて口を開け、次々と降り落ちる白いつぶてをそのまま眺めていたロワジィに、 「仔は」 男が不意にぼつりと口を開いた。 「預けて来たわ」 「娘」 「そう。下の子と、真ん中の子に会ったから」 男に答えながら、ふと今なら勢いで聞ける気がして、ねえ、と彼女は続けて呟いた。 「一番上の子」 「うん、……?」 「あんた、好きって言われたんでしょう」 「言われたが」 「それで?」 「……それで、というのは」 いぶかしげな顔になり、男が彼女にもたれかかりながらうっすら目を開ける。言われている意味が判らない、目で問われ、……だって、と彼女は口ごもった。 「可愛い子じゃないの」 「そうか」 「……そうか、って、それだけ?」 「それ以外、なにかあるのか?」 「……そう言うわけじゃあ、ないんだけど……、」 歯切れ悪く返す。好きだって言われたんでしょう、あんたは彼女のことどう思ってるの。率直に聞けたら端から苦労はない。聞けないからぐだぐだ悩むのである。 うかがうように、彼女の表情が変わるのへ目をやっていた男は、逆に聞くが、と静かに言った。 「娘のこと、どうして、気になる」 「えぇ……、」 どうしてと言われても、答えようがない。あんたのことが好きだから、他の子が好きだって言ってたら気になるのよ。そんなふうに言えたらやっぱり苦労はない。 ごにょごにょと口中で呟くロワジィを、じっと見つめ、しばらく思案するそぶりを見せてから、俺もひとつ聞いてもいいかと言った。 「……なに?」 「あんた、なんで、村を出た」 「――、」 それを聞かれるとは思わなかった。不意を突かれて思わず男の顔を見下ろす。顔色が変わっただろう自覚はある。たしかにこわばったからだ。 狼狽をおもてに出したロワジィを見て、言いたくないなら言わなくていいと、続けて男は言った。慌てる様子はない。彼女が動揺するのを大方予想していた口ぶりだった。 「無理に、聞く、いやだ」 気を使っているのだろう。気づいて、すこしだけおのれの頬のこわばりがほぐれるのが判る。聞かれておいて、気を使われるのがうれしい、というのもおかしなものだと思ったけれど、実際そうだから仕方がないのだ。 「別に、とくべつ秘密ってわけじゃないのよ、……ただ、聞いたってちっとも楽しい話じゃないってだけ」 「聞いてもいいか」 「そうねぇ」 あんた、楽しくもないあたしの重ーい話聞いて面白いの?真顔で尋ねると、あんたの話なら何でも聞きたいと真顔でかえされてしまった。困る。そんなように率直にかえされるのも、熱で茹だったひどい顔をしているのに、じっと彼女を見上げてくるのもたいへんに困る。 だから彼女は男のまぶたへ手を置き視界をふさいだ。そういえば前に昔語りをしたときは、男が自分の目に掌を当てていたな、だとかどうでもいいことを思い出す。 あのときも夜で、野外だった。 「いいわ。話す。でも聞いたら何も言わずに、黙っていい子で寝ちゃいなさいね」 そのまま、風がないためまっすぐに空から降りてくる雪が、炎の中に溶けて消えてゆくのを眺め、 「今日みたいな日だった」 彼女は口を開いた。 ロワジィと、すこし風変わりな絵描きの男が、暮らし始めてから三年が経ったころ、ふたりの間に子供が生まれた。 女児だった。 夫によく似た黒い髪と黒いまなこの赤ん坊だった。内心、赤毛にならずにほっとしている自分がいた。同じように赤くなって、同じように村の子供らにからかわれるのはかわいそうだと思ったからだ。 生まれたばかりの我が子を抱いて、夫がまず言ったのは、なんて君に似て器量よしなんだ、年頃になったら悪い虫がきっと付いてしまう、付いたら僕はどうしよう、で、聞いた彼女は呆れたあとに笑ってしまった。まだ握った掌も開いていない赤ん坊に何をいまから。 けれどその心配の方向の明後日具合が、夫らしいとも思えた。 小さな家で赤ん坊と三人の暮らしがはじまり、熱が出ただの腹を下しただの、そのたびに大騒ぎして、それでもとても楽しかった。赤ん坊の居る分、家事も増え、忙しかったろうに、日に日に成長してゆく姿をいつくしみ、絵描きの夫はたくさんの我が子の絵を描いた。彼の描いた絵の中の子は、かならず髪に一輪の赤い花を挿していた。 ――これは君だよ。 絵描きの彼は言う。 ――黒にはいっとう赤が合うんだ。 矢のように毎日は流れて行って、気がつけば家族が増えてから二年過ぎ、三年目を迎えようとしたあたりの話だ。 町へ雑貨を買い付けに行った村の人間が、穏やかでない話を聞き込んで戻ってきた。 ――隣の国で大きな戦があって、負けた方の兵士がたくさん、この国へ流れ込んだって。徒党を組んで、山城にこもり、近隣の村を襲って回ってるって。いや、噂ってだけじゃねぇんだ、げんに、ほら、山ふたつ向こうの村もやられたって……、……。 ――被害届をお役所にだしたって言ってたけど、ほら、どうかな、町の人間は自分たちが危なくなけりゃあ、棄ておくんじゃあないかね。 近隣の村を交えて、夜更けまで何度も話し合いがもたれ、最終的に、自分の身は自分で守るしかない結論に至った。公的機関に頼っていられない。お役所は腰が重いのだ。このままではそのやられた村の二の舞である。 やられる前にやれ。 有志で討伐隊を組み、山城を叩くことになった。 野盗退治は恐ろしい。元兵士ともなればなおさらだ。けれど周囲にろくな防衛柵もない部落であったから、反対するものはいなかった。襲撃を受けた場合、防ぐすべがないことはだれもが判っていたからだ。 ロワジィは討伐隊に志願した。 若さと腕っぷしを考えて、村の男どもにひけを取らない自分が行くべきだと思ったし、夫は足が不自由だ。 平穏な暮らしを守りたかった。 志願したと伝えたその日の夜、絵描きの夫は結婚後はじめて声を荒げて、僕はいやだと言った。 君が言っていることも判る。たしかに野盗がやってきたら、ひどいことになるのも判る。でも僕はいやなんだ。君はどうしても行かないといけないのかい。やられるからやれ、君のそんな姿をあの子に見せたくないんだよ……、……。 綺麗ごとだわ。 ロワジィは言い返す。 あなたの言ってることはきっと正しいのだろうけれど、理想論でしかない。目の前に腹をすかした狼が羊の群れにせまっているのに、見ないふりをして花を摘んでいるのと同じ。追い払わないと喉元を食いちぎられるのが判ってるのに、それでも現実から目を背けるの? 話し合いは平行線だった。互いの言っていることは頭では判っている。判っているが、それを認めることができなかった。 手斧と短弓を腰に挿し、夫の制止の声を聞かずに家を出た。 近隣の部落からも志願したものどもを合わせると、軽く一個小隊ほどの人数になった。隣の村に、むかし軍籍に身を置いていたものがいて、その人間の指示で隊列を組み、彼女たちは山城に向かった。 数日かけてたどり着いた、山城とは名ばかりの崩れかけた見張り塔には、誰もいなかった。たしかに先ごろまで人が生活していたらしい跡はあったけれど、塔にもあたりの藪にもなにもいなかった。 ――逃げたのか。 誰かが言った。俺たちに恐れをなして逃げたんだ。 張りつめていた空気がふと和らいで、みなが笑った。それまでどれも家族と今生の別れを覚悟してきたような顔色だったから、そのゆるみは明らかだった。 その時、ひとりの張りつめた声が頭上で聞こえた。絶叫だった。 崩れかけてはいたけれど、当初建てられた見張り塔としての目的の高さは失っておらず、そのてっぺんに何の気なしに上った人間の喉からほとばしった絶望の声だった。 向かいの尾根向こう、彼らの村がたしかにある方向から、いくつもいくつも狼煙のように煙が立ち上っているのだ。 あまりに遠くだった。だから見えるはずがないのに、真っ赤に燃える炎が、家と家族となけなしの貯えを焼きつくす情景が、誰の目にも見えた。 夜を徹し、みな無言で部落のあった場所へと戻った。 「……ひどい光景だった」 ロワジィは呟く。 数日かけて山城へ向かったのだから、どれほど急いでもやはり同程度の時間はかかる。村は嵐が過ぎ去ったあとで、野盗の姿はとっくにどこかへ消えていた。村の広場に逃げ惑った姿のまま、後ろから切り付けられた老人や女子供の体があって、その体には霜が降りている。 生きていた人間はほんの一握り、それもたまたま山や野畑へ出ていて村にいなかったものだけだった。 「あたしはすぐ家へ戻った。前も言ったけど、あたしの家は村からすこし離れたところに一軒だけ建ってたから、火付けされずにそのまま残ってた。家の周りもそんなに荒らされた様子はなくてね、だからきっと、あの子を連れて逃げてくれたんじゃないかなって思った」 そんなことないのにねぇ。 漏らした息で彼女は言葉をなぞる。 生き延びていた人間は、燃え残った家に身を寄せ合って、討伐に行った男どもが帰ってくるのを待っていた。だから、その場に無事な姿がないというのは、そう言うことだ。 それが判っていたのに、痺れたように思考の止まった頭は現実を受け入れない。 「暖炉の火は消えていた。かけてあったシチュー鍋がひっくり返っていてね。それから、床に転がったあのひとの体が見えたの。一間の小さい家だから、隠すものなんて何もないでしょう。あの子を背に、庇うようにして、あのひとは前からばっさりやられてた。……手には、」 手には鉞(まさかり)があった。 「ああ、このひと、逃げなかったんだって思ってね。あんなに争いごとをきらって、あんなに大きな声を出して、きれいごとを譲らなかったひとが、逃げなかったんだって。鉞なんて持ったことないひょろっちい腕と、萎えて棒切れみたいな足で、だのに娘を守ろうと思ったんだなって」 ロワジィは薄く笑う。涙は枯れた。もう十年も昔の話だ。 「だから、」 なにかを言いかける男の口をもう片方の手で塞いで、こら、と彼女は咎める。 「聞いたら黙って寝なさいって言ったでしょう」 「あんたは、」 「こーーらーー」 塞いだ掌の下からあきらめ悪く声を出す男へ、だが結局、そうよと彼女は返してやる。 「だからあたしは八つ当たりしてるの。憂さ晴らしかな。村をめちゃくちゃにした人間がどいつかなんて、もう誰にも判らない。名前も顔も知らない。今生きてるかどうかも定かじゃない。じゃあ片っ端から悪いやつ倒しちゃったら、そうしたら、そのうち、もしかしたらかたき討ちもできてるかもしれないって、……そういう、効率悪い正義の味方」 自分でも判っている。こんなことをして何になる。それで死んだ人間は浮かばれるのか。何度も自問自答し、なお言い訳の存在理由にあきらめ悪くしがみついていた。 振り上げた拳を振り下ろす場所がほしかった。 「同情しないでね」 男のまぶたに手を当てていてよかったと思った。こんな感情がぐちゃぐちゃになっている顔を見られたくなかった。 「かわいそうな女だって見られるのは厭なの」 雪のちらつきがだいぶ増えてきたように感じる。これは朝までに何度かテントの雪下ろしをしないといけないなと思った。 あたりはとても静かだ。 これだけ大量の細かな氷の粒があとからあとから降り落ちてくるのに、音を吸収してしまう仕組みがいまひとつ判らない。おかげで何も聞こえない。それが不思議だとロワジィはいつも思う。 不思議ねぇ、いつの間にか声でも呟いていた。あのときからずっとひとりで生きてきた気がする。 肩肘張って、男に混じって、莫迦にされないように生きてきた。売られた喧嘩はすべて買ったし、負ける気もしなかった。仕事仲間と意気投合し、次の仕事も同じように受けて群れているようでいて、それでも自分はずっと寂しかった。 「……なんだか、世界でふたりだけみたいね……、」 ここに男がいて、寄り添っている。いまは寂しくないと彼女は思う。 朝になっていた。 あのあと、雪の中、明るくなるまで彼女は男を抱いていた。 男はうつらうつらと浅い眠りをくり返し、時々うすく目を開けては彼女の顔を見上げる。なにかもの言いたげではあったけれど、明け方近くから咳き込みはじめ、喉の腫れもあるようだ。もともと語尾がかすれたような発声をしていたけれど、今はほとんどかすれている。 熱もまだある。 このままここで復調を待つのは厳しい。 抱えていこう。ロワジィは決めた。 このままここにいて、いっそう悪化させるよりは、おそらくいい。幸い雪は止んでいる。足場は悪いが、晴れているだけましだと思う。 そうして出立の準備をまとめる耳に、遠くから、おのれの名を呼ぶ声がした気がして、彼女は顔をあげた。空耳かと思ったのだ。 だが何度も彼女を呼び探す声がして、幻聴ではないことを確認する。応じると、驚いたことに農場の上娘が、驢馬(ろば)に橇(そり)を引かせて、林の向こう側からやってきた。 「……ああ、よかった……!」 橇に乗っていたのは、娘と、供の下男だ。下男の方は農場で働いている顔で、ロワジィも何度か話を交えたことがある。 「山犬退治は終わったみたいって妹たちが言ってたのに、戻ってこないし、なんだかロワジィいつもより急いでたってあの子たち言うし、雪が降ってきたし、……、きっと何かあって難儀してるんじゃないかって」 そう言ってうずくまり顔を伏せるギィの傍へ駆け寄った。……ギィさん。呼ばれて男は顔をあげるが、ぼんやりとして状況がよく判っていないようだ。 「ギィさん、具合悪いの」 「風邪だと思うんだけど……、怪我はないの、ただ熱と咳があって」 「今、小屋にお連れしますね」 そう言って供の男に、ギィを橇に乗せるように指示する。下男はうなずき、ギィに近寄ると脇に手を差し込んで肩を貸し立たせ、橇の荷台へ連れてゆく。 ロワジィと同じほどの背丈であったが、やはり男だ。ギィの大柄な体を抱えても揺らがず、しっかりと支えている。 「どうして、ここが」 その動きを負いながら、娘のやってきたことが信じられなくてロワジィは呟いた。 「仔犬を預けに来たときに、巣の場所を言ったでしょう。あの子たちから、だいたいの場所は聞いたの。あとは、近くに行ったら、判るかなって」 「判るかなって……、狩り損ねた犬の残りがいるかもしれないのに」 「大丈夫よ。ほら」 言って娘は手にした草刈り鎌を彼女に示す。ひとりで来たわけじゃないし、いざとなったらこれで身を守るわ。 「……、」 鎌を見せられてロワジィは苦笑う。襲われたら防ぐしかないのだし、たしかに対処法としてなにも間違ってはいないし、自分もそうして鉞をふるっているわけなのだが、さすがに農場育ちで逞しいというか、 ――これが恋する強さってやつかしら。 そんなようにも思った。なにかあったのではないかと察する勘も、実行に移す行動力も、段違いだ。 ……かなわないなぁ。 気圧されてしまう。抱えて戻る手立てしかなかった自分がなんだか情けなかった。 だが娘の好意はひどくありがたいのは確かだ。橇に乗れば、無理を押さずともギィを農場まで連れて帰ることができるし、かかる時間もよほど早い。 荷台に固定され、毛布で包まれた男と、娘を順に見比べて、 「お願いね」 ロワジィは言った。 驢馬がいくら小柄なわりに力があり、輓曳(ばんえい)に向いているとはいえ、足元の悪いのも鑑みて三人が限度と思ったし、だったら元気な自分は歩くべきだ。 「ロワジィ?」 「荷物もあるし、あたしは後から追うから」 「でも、」 娘はためらった。驢馬の引ける重さのことにまでは頭が回らなかったようだ。そんなひたむきなところも、可愛らしいとロワジィは思う。 「あたし、見た目通り重いの。こんな大きいのまで乗っちゃあ、驢馬がかわいそうよ。雪道なんだし、途中でへばっちゃったら本末転倒でしょう。大丈夫。あたしはどこも悪いところはないんだし、どうぞ先に行って。そのひとを早く横に寝かせてあげて頂戴」 ほらほら、言って彼女は笑って手を振る。いくらか逡巡した娘は、だがロワジィの言葉に促される形になって、頷いて手綱をとった。 「お願いね」 もう一度頼むと、ロワジィも気をつけてきてね、返される。声をかけると驢馬は手綱の鈴を鳴らしてゆっくり歩き出した。手を振り見送り、橇が見えなくなったところで、無理に作った笑みが消えた。 「厭だなぁ」 ぽつんと声が漏れる。 おのれに対しての嫌悪の声だ。 こんなところまで探しに来てくれた人間に対して、自分はどうしようもなくみっともない嫉妬をしている。自分にも橇があったらよかったのに、だとか、ギィを苦もなく支えられる下男の力がうらやましい、だとか。 地獄で仏とはこのことで、本当なら感謝してしきれない状況のはずなのだ。仮に予定通りロワジィが男を支えて戻ったとして、男が完全に自立歩行できなくなった場合、共倒れになる危険がある。毛布を巻いて縄で縛り、男を曳いて行ったとして、どれだけ進めるかもわからない。完全に意識気を失った人間の体は想像以上に重い。 たかが風邪だ。暖かくして寝ていれば治るもので、大騒ぎする必要はどこにもない。だが暖かさも、横になれる場所もない野外で、男がどれだけ持つかは誰にも判らない。現にロワジィも、こじらせてひどい目に遭ったのだ。 だから、男を橇に乗せ、連れて戻ってもらえるのは本当にありがたかった。ありがたいはずだった。 だのに、なんだかひどくみじめだ。 変におどけて明るく見せて、その実、男を楽に運ぶ方法を簡単に示して見せる娘に、内心ひがみを持つだとか、本当に自分が厭になる。 「厭だなぁ」 荷物をざっとまとめて背に負う。 重いから、驢馬がかわいそうだなんて、嘘だ。 たしかに自分が乗れば過重だと思われるし、降りたての固まっていないやわらかな雪を進むには、三人がぎりぎりだろうけれど、彼女が辞退したのはそういうことではなくて、ただ同じ荷台に乗り込む自分がみじめに思えるから、それだけだった。 「厭だなぁ……」 内面の美しさが表に出る、だとかいう謳い文句。美しさはあなたの内側から。表のつくりを飾るより、まずは自分磨きをしましょう。おすすめの生薬そろってます。お求めは〇〇薬屋で!にっかり、という言葉がぴったりの白い歯を見せる笑顔が書かれ、町のあちらこちらに貼られた張り紙。 だったら今、自分はきっとひどく醜い顔をしているだろうなと思った。鏡がなくてよかったと思う。 とぼとぼと歩きながら後ろを向く。雪の上の足跡はロワジィのものひとつで、気づいたら余計に落ち込んだ。お前はずっとひとりなのだと言われているようだった。ふたりきり、だなんて、闇に浮かれたおのれの幻想だった。 ふと見下ろすと、手首に揺れている組み紐が見えた。……こんなものがあるから。そう思い、勢いで腰のナイフを引き抜くと、結び目に当て、ひと思いにぶつと切った。腹立たしかった。 こんなおそろいの紐なんか巻いているから、もしかしたら一緒にいていいんじゃないかって、勘違いするんじゃないの。 くしゃくしゃと掌で丸め、藪に放り投げる。 放り投げて、けれどすぐにどうしようもなく悲しくなって、慌ててロワジィは下生えを掻き分け、たった今棄てた組み紐をべそをかきながら探す。 ……結んでくれたのに。 ギィと自分は雇った側と雇われたがわの人間で、男は契約上ここにいるだけだ。判ってる。たとえば金を充分に渡し、今から自由の身だと伝えたら、男はきっと自分から離れていくに違いないと思う。 一緒にいたい、でも束縛したくはなかった。 目をこすりながらあちこち探すと、からたちの枝にかかっている組み紐を見つけ、指を伸ばした。甲あたりをからたちの棘が引っかけていったけれど、かまっていられない気持ちで取り上げた。急いで手首に当て、結びなおそうとしてかじかんだ指先ではうまくいかないことに気がつき、ため息が出る。 なにしてるんだろう。 そっとふところにしまって、それからおもむろに手近の雪を掬い、顔を洗う。 「あたしこんなところで何やってるの」 それは自身への叱咤だ。 「ひとりでも生きていくって決めたんでしょう」 ぶるりと顔を振って、それで終わりにする。 そうして十年生きてきたのだ。 だというのに、 「えぇ……」 頼む男を前にして、ロワジィの口からえらく情けない声が漏れる。 「パン粥が食べたい」 遅れて戻ったロワジィが小屋の戸を開けると、内部はこのひと冬の内かつてない快適温に暖められていた。小屋の板壁をぐるりと一枚補強し、内側には厚布を垂らして、火鉢が四つに増えている。 使っていた藁床に藁が足され、倍ほどの厚みになって、そこに男が寝かされていた。 暖かな部屋の中で、横になった男の顔色は、林で別れた時よりもだいぶ調子がよさそうで、見たロワジィはほっとした。 それはいい。 小屋の大改造を下男と共にしたらしい上の娘は、しつらえのみならず、病人の口に合いそうな食事を何種類か用意して置いて行ってある。料理上手でもあるので、恋する男のため張り切って作ったのだろう。やわらかに煮た野菜スープだの、ほろほろに崩れるほど肉に火の通ったシチューだの、その他にもりんごが籠に盛られ、横には擦り鉢、喉によさそうな根菜のはちみつ漬けも置いてあり、おまけに輪切りの蜜柑と氷が浮かべられた水差しまであった。 そうして本人は、病人が余計な気を使わないよう、用意だけ整えてさっと母屋に去ってしまっている。 完璧だ。 こういうの女子力とか言うんだろうか。こまやかな心遣いに感動して震えてしまう。 勝ち負けの問題ではないことは判っていたが、どうしたって勝てそうにない。上の娘の女子力が100力としたら、せいぜい自分は13力くらいだ。ロワジィは思った。蚊とんぼレヴェルである。 だがそれも別にいい。 重要なのは、男の容態がよくなることなのであって、ロワジィと上娘の女子力の差ではない。判っている。 問題は、戻ったロワジィに男が放った一言だ。 腹が減ったと男は言った。 それはそうだろう。昨日から丸一日男は水以外口にしていない。だったらここにある、娘が用意したものを、と鍋のふたを開けたロワジィへ、 「あんたの作ったパン粥が食べたい」 言われてふたを取り落とした。 こちらが気を回す以上に、体調がすぐれないとき、たとえば食べたいもの、飲みたいものが変わることはある。わかる。 幸い小屋には、男が焼いた甘藷入りのパンがまだ残っており、山羊の乳もあった。外には薪があり、かまどが備え付けられている。作れない話ではないのだ。けれど、 「……いや、そうだけど、これだけいろいろ用意されてて、なんかどれもこれもおいしそうで、……、で、なんでパン粥?」 「食べたい」 「いや、……、ご期待されてるところものすごく申し訳ないけど、別に、作れるけど、……でも、パンちぎって、温めた乳の中に入れるだけよ?特別な味付けとかできないわよ?」 「食べたい」 「う、」 ロワジィはわりと単純な押しに弱い。 しかも熱にうるんだ目でまっすぐに見つめられるだとか、 「うう、」 あっさり負けた。 「わかったわ……」 しぶしぶ頷き裏手に回る。 手鍋を火にかけながら、えーでも、だとか、やっぱり、だとか、わき出る不安はぬぐえない。 熱に浮かされて、ちょっと正しい判断ができなくなっているんじゃないだろうか。こんな適当なもの、できたからどうぞと出して、思ってたのと違うとかで、がっかりされたらどうしよう。 むかし村にいた、あのメシマズ美人妻ほど、おのれを卑下するつもりは彼女にはないが、百人並みだと思っているし、実際そうだと思う。下手ではないけれど取りたてて上手なわけでもない。 なにも難しい工程はないので、玉杓子を片手に、百面相している間に出来上がる。出来上がったものを器に入れ、人肌に冷まして、小屋へ戻り差し出すと、男はさっそく木匙で粥を掬い、口に入れた。 「うまい」 そう言う。 喉も腫れて飲みこみにくいのだろう、常よりいくらかゆっくりと咀嚼する動きではあったけれど、それでも男はたちまち一杯を平らげ、おかわり、と椀を差し出した。 「えー……、」 のけぞり気味に器を受け取る。頭の中は不信感でいっぱいになっていた。大丈夫?無理してない?作ってくれって言って、あたしがなんか厭々作ったから、頑張っておかわりしないと、とかそういうのじゃない?平気? 上目遣いに男をうかがうと、不思議そうな顔で見返された。どうした、視線で問われて、 「なんでもないなんでもない」 慌てて手鍋の残りを椀にうつした。うつす動きを追っていた男がふと一点に目を止めて、紐、と呟く。 かすれた声だ。結んでいないことに気づいたのだなと思った。 「あ、」 「邪魔だったか」 「……違う、そうじゃない、そういうのじゃないの」 なんとはなしに悲しそうな目をされた気がして、焦ってロワジィはふところから手ぬぐいに包んであった飾り紐を取り出した。自分で切っておいて、なんて言い草だろう。 「あのね、藪に引っかかったときに、切れちゃって」 結び目をまっすぐナイフで切ったのだ、見ればすぐにわかる嘘もたいがいだと思う。けれど男はしばらく切れた飾り紐を見つめたあと、結んでもいいかと尋ねた。 「え、」 「切れたから、もう一度、結ぶ、いいか」 「……別に、いいけど」 右手を差し出したはいいものの、その手を取る男を見ていると妙に気恥ずかしくなった。こういうとき、神妙な顔をしていたらいいのか、それとももう少しふさわしい顔があるものなのか、彼女にはよく判らない。 誰か教えてくれたらいいのに。 ロワジィの腕に紐を結んだ男は、そのまま差し出した手をじっと見つめ、藪の棘に掻いて細く赤い線になったみみず腫れに気づいたようで、その線をなぞるように撫ぜた。 「ああ……、なんか、からたちのね、枝が」 「あんたは見ていないと、すぐ傷だらけになる」 そんなことを言う。 「なにそれ」 「……ここも」 言って男は手を伸ばし、指の腹でロワジィの頬を撫ぜた。 「パ、パン粥」 恥ずかしさの沸点を越えて彼女は思わず目を瞑りながら、ぐい、と椀を男に押し付ける。これ以上は勘弁してほしい。 「食べないと冷めるし。食べて、寝ちゃって、」 「うん、」 真っ赤になった彼女をそれ以上追う動きはせず、男は言われた通りおとなしくまた匙を手にした。 娘のものも食べたら、彼女が勧めると、それはあんたが食べてくれとかえされる。 「俺は、あんたのがいい」 「……いやいやいやいや」 恐ろしい殺し文句を素面で吐いて、そうして食べながらなるほど、だとか真面目な顔でうなずいている。その頷きをたしかめながら、ちら、とロワジィは横目で荷物と一緒にまとめられている酒瓶を見た。 煽ろうか。 一瞬ロワジィは本気で思った。酒が入ったノリなら、なんとか躱せるような気がする。 「なるほどって、なによ」 「あんたが、言ってたこと、わかった」 「……言ってたこと?」 「あんたが作る、飯はうまい」 それはきっと味付け以上に大切なもの。 言われて今度こそロワジィは停止した。 男が二杯目を食べ終わるころ、ようやく我をとりもどし、手近の椅子を引いて座る。 籠に盛られたりんごをひとつ手に取ってくるくると回しながら、彼女は男を見る。 「ギィ」 「うん……、?」 「うさぎりんご、食べる?」 じっと彼女を見ていた男が、食べる、と小さくうなずいた。 (20180402)
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背信者(廃心者) ◆xR8DbSLW.w 一見三竦みのようにも見えるが、その実零崎人識が圧倒的有利な状況下であった。 曲絃糸。糸を繰る技。 時には撥ねて――時には裂いて――時には解して――時には時には。 この時間軸上の人識には不可能にせよ、勿論使い方次第では殺人術としても機能する。 そして、この術の本質は索敵や拘束にも用いることができる点だ。 ただ糸を操るだけ。シンプルな技。しかしそれだけにその使い勝手は凄まじい。 「俺はこれまで、心っつーのは物体的なものだと信じて疑わなかった。 てゆーか今でもそう信じてるんだけどな、しかし反して心なんていうものはどこにも見当たらない訳だ」 さながらマリオネットのように、糸に吊られた二人の人間は素面の表情のままに、しかし内心どうしたものかと、頭を働かせる。 刀を振ろうと試みるが、糸が相手なのにどうしてか切り落とすことさえ叶わない。 宗像形はそれを、雲仙冥利の《鋼糸玉(ストリングボール)》かと連想したが、どうにもその様なものとは思えずにいた。 一方で真庭蝙蝠は、人識のとった攻撃の考察などせず、まさに生死の境目とも言える場面に出くわして、これから判断に迫られている。 ――突如降臨したその《鬼》はそんな様子ににやにやと眺めた。 「さっきの戦場ヶ原ひたぎの心だってそうだった。 あいつは頭にあるとかぬかしてやがったが、どこにも見当たらなかった。 これに限らずこれまで確か十何人の人間の心を覗き見ようとしても、どこにもない」 俯瞰的に現状を確認してみよう。 舞台はネットカフェのその一階。 ロビーと連なっていたその部屋には、今現在は約五百の剣が咲き誇っている。 内一本は四季崎記紀が生み出しし、完成形変態刀が一振り、絶刀・鉋であり、 その他の剣は同じく完成形変態刀が一振り、千刀・ツルギだ。 「だから俺は、やっぱり諦めるべきなんじゃないかと思うわけ。 一度そうしたんだから、これからもそんなものを追い求めなくてもいいんじゃないかって俺もいるんだ。 何分一度、クソッタレな赤色から答えを明示させられちゃあ、敵わねえよな」 その巨大な空間の中心で、《冥土の蝙蝠》真庭蝙蝠と《枯れた樹海》宗像形は向かい合い、制止している。 ピクリとも動かない。すぐ隣で人識が佇んでいるというのに、しかしどうすることもできずにいた。 人識は手袋をはめ、しっかりと指で糸を繰りつつ滔々と語る。 「それでも、心を見てみたいという俺は確固たるものとして存在している。 どうしようもなくアホで、おそらくそれ故に死んでしまった兄貴に教えてやりてえのさ。 ――普通であり続けたいと願う、アホな兄貴によ。ま、せめてもの手向けっつーやつか」 らしくもねーか、と独り言つ。 かはは、と笑う人識の正面、真庭蝙蝠と宗像形は短く紡ぐ。 「宗像」 「なんだ」 少女の声――りすかの声をした蝙蝠が声を発する。 それは確かに小声ではあったが、人識にだって聞こえているだろう。 だが、こうなってしまった以上はやむをえまい。 おおよそ気紛れで戯言を垂れ流している内に――と。 「一瞬だけ協力しろ」 「……なんだ」 眉を顰めるが、しかしこのままでは自らの命の危機であることには変わりない。 瞬間の逡巡の後に簡単に返す。 それを由とした蝙蝠は横目で人識の姿を窺いつつ、箱庭学園で邂逅した《王》を想起する。 人識は斬刀を力強く握り、誤って糸を斬らない範囲で切っ先を蝙蝠に向けた。 「どっちつかず、別段今の俺に拘りがあるわけでもない。 だからこれで最後にしようと思ってるんだ。これで出るなら好し、出ないのならまた好し。だから」 人識は何の容赦もなく、斬刀を突きつける。 チクリとした感触がした。それはつまり、蝙蝠と斬刀との距離は零であることを示す。 反して蝙蝠は落ち着いた口調で――《王》を――《「魔法使い」使い》を――《死線の蒼》を頭に浮かべ、宗像に問う。 「《異常(アブノーマル)》ってなんだ」 極めて簡素な問い。 宗像形は答える。 「《何かをすれば必ずそうなる》こと――《自分は「そういう存在」と思う》ことだよ」 かつて雲仙冥利が言ったことを。 先刻玖渚友に対して言ったように、告げる。 宗像らの持つ――その《絶対性》を。あくまで逃れることのできない一種の呪縛を。 そんな宗像の言葉に重ねるように、人識が一人、言葉を続ける。 「おめーら二人は知ってるかい? 心っちゅーんがどこにあるかをさ。教えてくれよ、てめーらの冥土の土産によ」 冥土の土産。 その言葉を聞いて、蝙蝠は僅かに口角をあげて。 「分かった。じゃあこれでまた敵同士だ」 瞬間の同盟を破却した。 そして。 彼の思考は一つの人物に絞られる。 意識する意識する。 認識する認識する。 確信する確信する。革新する。 《王》、《発信(アクティブ)》、《創帝(クリエイト)》。 そんな彼の異常性――曰く《人の心を操る》ことが自分にもできると。 「――――《跪け(ヒザマズケ)》」 ○ 改めて説明するまでもないが、真庭蝙蝠が誇る忍法の一つ《骨肉細工》は相手を模倣する技だ。 姿かたちは勿論のこと声質・体質、時に本質そのものさえも吸収する。 相手の才能や天性までをも、自らのものとして体現してしまう、そんな技なのだ。 思い返して見てほしい――尤も今現在の真庭蝙蝠の時間軸とはそぐわない話ではあるが――彼が鑢七花に化け、絶刀・鉋で襲った場面。 つまりは真庭蝙蝠の死に際のことを振り返ってみよう。彼の敗因はなんだったであろうか。 そう、鑢七花を体現しきったが故に起きた悲劇。 《刀を扱えない》特性、つまり《刀を使用としても必ず失敗してしまう》特性故に敗北を喫した。 それは、人間の《異常性(アブノーマル)》さえも体現する証左に他ならない。 そして今現在、零崎人識が跪き、その反動で曲絃糸が解かれ、真庭蝙蝠と宗像形が自由の身となったこの場面を引き起こしたのは、 紛れもなく真庭蝙蝠の《骨肉細工》――いや、この場合は《骨肉小細工》と言うのが適切か――の再現性の賜物と言ったところだろう。 宗像形の助言に従い、《創帝(クリエイト)》都城王土が出来ることは自分にも絶対にできると認識した。 曰く――人の心を操る。箱庭学園にて能力(スキル)の持ち主から直接聞いたことである。 「――――成程ねえ。確かにこれは説明が難しい」 いつの間に声帯を変えたのか、供犠創貴の声で一人得心する。 実際、都城王土の《異常性》の仕組みそのものは理解してはいるが、だからといって、使い方を学んだわけではない。 自分は人の心を操れるという絶対的な確信が、現在起きている現象を引き起こしたの過ぎないのだ。 「《言葉の重み》か。懐かしいな、だから殺す」 宗像形は手にしていた千刀を振り上げる。 目掛けるは零崎人識の頭。《悪》を殺すべく、確固たる意志を以て。 跪く人識の頭は、実に狙い易かった。 そんな時だった。 「う、うう、うおおおおおおおおーーーーーーーーーーーー!」 刀を振り下ろし――もう間もなくで人識の命が断たれるとなったその直前。 跪いていた当の本人、零崎人識が熱烈に叫んだ。 叫んでから、人識は跪いた姿勢から横に跳ねる。 それから一秒も待たず、数瞬前まで人識の頭があった場所に、ミリとも違わず千刀が振り下ろされた。 「へえ、動けるのか。だから殺す」 攻撃の手を緩める道理はない。むしろここからが千刀巡りの真骨頂とも言える。 宗像はそこらに刺さっている次の千刀に手を伸ばした。 さも当然のように柄は宗像の手に収まり、すかさず人識に追撃する。 跪いた拍子に斬刀を手放してしまった彼は、宗像と同様に近くに転がっている千刀を抜き取り、宗像の攻撃を弾く。 右腕で放たれた一撃目を弾いたはいいものの――宗像により地に刺さっていた千刀の一本が蹴り飛ばされる。 円を描く千刀は綺麗に人識へと向かう。弾くのは無理と咄嗟の判断を下し、軽快なステップで後方へ飛ぶ。 未だ宗像の追撃の手は緩まらないが、一息つく暇は出来た。そこで思いの丈を叫んだ。 「び、ビビったあ! なんでテメーが《ソレ》を使えんだよ! あー、気合とはよく言ったもんだぜ。見たこともねえ善吉くんとやらには感謝しなきゃな」 戦場ヶ原ひたぎと共に都城王土と遭遇した直後のこと。 《一度味わったことのある》、という戦場ヶ原の言葉に疑問を覚えた人識が尋ねたときの話である。 その時に様々なことを聞いたのだが――中でも特筆すべき内容は、人吉善吉という少年が、《言葉の重み》に耐えたというものだ。 仕組みは単純明快。気合と根性。少年ジャンプさながらの理論である。 それで、現在。 零崎人識は再び立ち上がる。 気合と根性の力を遺憾なく発揮して、《言葉の重み》を打破した。 結界術などに耐性を持つことができた人識の器用さを加味しても不可能な事柄ではないだろう――。 というのも理由として挙げられるが、それではあんまりにあんまりなので、ここで説得力を補強しよう。 真庭蝙蝠が《言葉の重み》を使用した時の状況を思い返す。 基部は零崎軋識、右腕と両足は都城王土、喉は水倉りすか、とつまりは忍法《骨肉小細工》を使用していた真っ最中であった。 《骨肉小細工》には瞬時に身体の一部を変態させられる点と複数人の身体を同時に変態させられるという点。 主に二つの利点がある反面、最大にして致命的な欠点がある。 それは、変態した人間の力を良くても80%程しか使用できない点だ。 すなわち、今回真庭蝙蝠が使った《言葉の重み》は不完全なものに過ぎないのである。 都城王土本人の、換言すると100%の力を出し切った《言葉の重み》を味わった人識には確かに温いものだったのかもしれないだろう。 「はあ……、おれの奥の手があっさり打ち破りやがって、ふざけた野郎だ」 人識の質問には答えず、ある種の呆れの混じった口調で応える。 そう答える真庭蝙蝠はネットカフェの窓枠にしゃがみこんでいた。 未だ宗像形と零崎人識はせめぎ合う中、一人戦線を離脱しようとしている。 「きゃはきゃは――やってられっかよ。おれはここで退散するとするぜ」 勝てない勝負を真っ向からするわけがない。 彼はしのびなのだ。――先ほどまでが、おかしかっただけ。 刀の毒に犯されてしまっただけであり、彼の本分は卑怯卑劣、不意を打つことにある。 だから逃げた。 非難を浴びようがなんだろうが、繰り返そう――彼はしのび。 勝てない勝負を、ましてや真っ向勝負などするはずがない。 彼は姿を消し、その場には宗像形と零崎人識だけが残る。 蝙蝠の行為を許すまいと引きとめようとした人識であったが、一人の人間が間に入る。 立ち塞がったのは、宗像形だった。 《正義》の、男である。 「おいおい、逃がしていいのかよ」 もう完全に蝙蝠の気配を逃してしまった人識は諦めたように肩をすくめ、宗像に問うた。 宗像はピクリとも表情を変えず、坦々と答える。 「彼は確かに敵だ。殺さなくちゃいけない。 でも、それでも優先すべきはきみだ。また変な技を使えないうちにね」 「ちっ、やっぱ気付いてやがったか」 人識は露骨に嫌そうな顔をして答える。 確かに現在、人識は曲絃糸が使えなくなった。 理由としては明瞭で、跪いた際に糸が絡まったこと、及び宗像形が糸を斬ってしまったに起因する。 元々はただの糸だ。そこに特別性など皆無である。それなら宗像が糸を斬り落とすことだって、何らおかしくない。 千刀で一撃を振るいながら、人識の問いに対する答えを続ける。 「それにさっきの口ぶりだと、既に戦場ヶ原ひたぎって人を殺しているらしい。 それは見過ごせない。僕は火憐さんに代わり、悪を裁くんだ」 阿良々木火憐の志を引き継ぎ――だけども彼女にはなれなかった彼は、人識を殺す覚悟を固めていた。 《正義の味方》でなく、《正義そのもの》であろうとする彼は、人識に刃を向ける。 対する人識は抜き取った千刀で宗像の攻撃をいなしながら、へらついた表情を浮かべた。 「あーそう。そりゃ重畳。殺人鬼が世間的には悪ってのは否定すべくもないな」 元々武器の扱いそのものには難のある宗像――加え片腕が欠損した隻腕の彼を相手は容易い。 おまけに出血多量で意識も正常ではないのであろう。剣筋が時折ぶれている。満身創痍であった。 それでも、人識は宗像を殺すに至っていない。 理由の一つに、どうせ殺すなら斬刀・鈍がいいということ。 二つに、意識が朦朧としているとは言え、殺されない技術にも精通する宗像の隙そのものは零に等しいこと。 面倒くさいと内心毒を吐きつつ、坦々と宗像の攻撃をいなし続ける。 「ちなみに火憐ってのはお前が看取ったりでもしたんか?」 「僕が引導を渡したんだ」 「ふーん、まあ変に気負うなよ。俺だって似たようなことをやったんだしな」 匂宮出夢のことを想起しながら適当に相打つ。 そこで、ふと思い出す。 「火憐って阿良々木火憐だよな? もしかすっと八九寺真宵って名前に聞き覚えはねーか?」 「……知らないよ。知ってても教えるつもりもないが」 《負完全》球磨川禊が起こした七面倒臭い事態の解法でも見つけられたらとも思ったが、そんなに上手く事は運ばないようだ。 思い返せば思い返すだけ、薄幸な女児だと感じるばかりである。 「まあ、いいや」 考えていても仕方のないことだ。 少なくとも、この場を何とかしない限りは。 ここに立ち寄ったのは失敗だったかなあ、とぼんやりと思う人識である。 「で、なによ。火憐の遺志を引き継いで正義の味方にでもなるんかい?」 「違うよ。僕は正義そのものになるんだ。火憐さんの遺志を引き継ぐなんてたいそれたことはできないけどね」 あの時。 殺人衝動が消えた時。 阿良々木火憐に誓ったこと。 火憐に寄り添い生きていくことを、彼は今でも鮮明に覚えている。 「宗像くん、俺は他人の考えを理解しようだなんて殊勝な奴じゃねえが、 それでも一つだけ、道を説いてやるよ。――なんて、殺人鬼に説かれちゃ終(し)めーだよな」 宗像の一太刀を払いながら、かはは、と笑みを零す。 「人一人殺した程度で何かがどうにか変わるかよ。 感傷に浸るのは勝手だろうが、履き違えちゃいけねえよ」 ――だとしたら、俺は五月に十二回は転生している。 人識は冗談めかして嘯く。 「よくいうじゃん。スプラッター映画やゲームが人間に悪影響を与えるっての。 俺は順序が逆だと思うんだよな。――暴力や流血沙汰が好きだからそういう映画とかを観るんだろ? ってな。 人間は人間を変えられないように、人間は人間では変わらないんだよ」 変われない男。 自分と鏡映しの欠陥製品を思い浮かべながら言う。 つまりは、自分に言い聞かせる風でもあった。 「だから、背負わなくたっていいんだぜ? 変に縛られないでよ、好きなように生きればいいんじゃないのか?」 変に気負っても兄貴みてーに死ぬだけだぞ。 宗像にも聞き取れないような声で呟く。 宗像は多少の間をあけ、それから彼の言葉を否定する。 「それも違うよ。零崎人識くん。人間は人間を変えることが出来る。 それが――あんまり寓話的なことは言いたくないんだけど――きみの言うところの心の力だ」 阿良々木火憐の姿が脳裏をよぎる。 哀川潤の言葉が脳裏をかすめる。 様々な出会いがあった。別れがあった。 ――その中で、ようやく宗像形と言う存在は変わることができたんだと、彼は覚える。 「人を裁く以上、多少の無茶はあるかもしれない。ともすれば火憐さんの望まないことだってやる羽目になるかもしれない。 それでも僕は、火憐さんの心に応えたいんだ。それが、僕のしたいことだから」 彼女の信じた、自分自身を信じる。 ――《正義そのもの》としての使命を、全うしたい。 人識にしてみればついていけない思考だった。辟易とした表情を浮かべる。 「わっかんねえなあ。じゃあ教えてくれよ。心はどこにあんだ?」 先ほどの問いを繰り返す。 宗像は迷うことなく答えた。 「だったら殺してみなよ。僕の中には火憐さんのような、燃える心があるはずだから」 だから、殺すと。 凄まじい速さで突きを繰りだす。 人識は愉快そうに頬を歪ませる。 「へえ」 ここでようやく、人識の意識が宗像へ向く。 藍色の瞳の奥で燃える情動を感じた。 そういえば、《正義そのもの》の属性(カード)は解してねえな、と独り言つ。 「そりゃあいいや」 人識の瞳の色が変わる。 飄々とした、掴みどころない態度が一変した。 少しでも近づけば、良いも悪いもなくすべて等しくバラバラにされそうな佇まい。 《殺し名》序列第三位の座に違わぬ気迫――鬼迫。これはまさしく、《鬼》の証。 宗像の突きを人差し指と中指で挟む。 それだけで、刀の動きが完全に静止する。 宗像は刀を手放し、一度距離を置く。 だが、攻撃の手はあくまで緩めない。 偶然の産物でしかないが――今この場は、千刀巡りの舞台の上。 宗像の土俵の上なのだ。次なる刀を携え、地と並行に構える。 人識は挟んだ刀を刀身から折って捨てる。 そして新たに千刀を握った。斬刀ではないのが口惜しいが――それは蝙蝠の時のためにとっておこう。 意を改め、標的を両の瞳が捉える。両手に刀、つまりは臨戦態勢だ。 今ここで言うべき言葉は決まっている。 「そんじゃいっちょ、殺して解して並べて揃えて、晒してやんよ」 「だから裁」 ――――ボン、と鳴り響く軽い音。 「く」 その次の言葉を繋ぐはずの口が、頭もろとも宙を舞う。 頭部をなくした身体が、徒然と立ち尽くしている。 爆発による火花が原因だろう、宗像の首元だったであろう場所は、微かに燃えていた。 ○ 供犠創貴と真庭蝙蝠とが宗像形とはどういう人間かの説明を受けた後。 つまりは玖渚友とネットカフェで対談した後のこと――真庭蝙蝠は一人退室するように促される。 理由としては宗像形の見張りという尤もなものであったが、しかし真庭蝙蝠が真面目に仕事をしたかと言うとそんなことはなかった。 真庭蝙蝠は考える。 裏切るのならそろそろ頃合いなのではないかと。 しかし、供犠創貴、及び玖渚友が単なる無能ではない、同時に非力な人間であることは承知していた。 結果としてまだその時機ではないと判断する。殺す機会はいずれあるだろう――ともすれば、自分が手を下す必要もないかもしれない。 それでも、何か弱みを握ることはできないだろうかと、残された供犠と玖渚の会話に耳を傾ける。 真庭忍軍は暗殺に特化したしのびではあるが、忍者である以上諜報活動などの基礎などは会得していた。 幸いなことに、ネットカフェに防音装置は備え付けられてなかったので辛うじて会話を聞きとることができる。 蝙蝠からしてみれば残念ながら、二人の(ついでに場に居合わせている水倉りすかの)弱みなどを握ることはなかった。 それでも無駄であったかと言ったら、そういうわけではなかった。 耳にしたその瞬間こそ、大して意味のない行為であったと流したが、思い返して見ると中々愉快な会話である。 「――つまり、都城王土の《異常性(アブノーマル)》は《人心掌握》というよりかは、《電気操作》っていうことか」 「そう。環境次第では雷の放出も可能なようだけど、行橋未造がいない今は不可能だとは思うよ」 供犠が言葉にして整理するのを、玖渚が補足を加えながら確かな情報として固める。 これそのものも蝙蝠にとっては有益な情報ではあったが、《異常性》の使用法を認知していない。 そこまで重要性を感じずにいた。 「確かに人間には電気信号が流れている――その電気を操れば擬似的な《人心掌握》は可能だな」 「厳密に言うと機械と人間とに流れている電気は別物なんだけど――まあ結果として操れるんだからその辺は良いかな」 そこで一度会話が途切れた。 仕切り直す様な溜息が蝙蝠の耳にも届く。 「しかし驚いちゃった。きみたち、都城王土に遭遇していたんだね。それはなんともな奇縁だよ」 「ぼくとしてはあんたが都城王土を知っていることの方が驚きだけどな」 「その辺は追々としてさ、何か掴めた?」 しばらくの間が合って、供犠の声が聞こえる。 「さっき首輪の構造とか解説してたけどさ。――言って首輪も所詮はコンピュータで動くような代物だろ?」 「まあ、そうだね。現状どうしようもないっていうのが判明したけど、設備と道具さえしっかりしてれば何とか出来なくもない……ってのは話したよね」 「ああ、その点に関しては信用するほかないからな。信用はしている。けど」 そこで、供犠は言葉を区切る。 推察するに、頭の中で情報を整理して、何か言葉を選んでいるようだ。 「あいつの《電気操作》は主催者の一員の能力だ。都城王土が実地班だったことを踏まえても、あまり対策が練られてないんじゃないかと思ってな」 「確かにそうかもしれないけど、それがどうしたの? 話を聞く限り――行橋未造を探さないことには、彼をこちら側の駒として考えるのは早計じゃない?」 「その通り。だけど、そいつの力なら首輪の解除ぐらいなら可能である確率は高そうなのには違いない」 「むー、もしかして首輪の解析なんて無意味だって言いたいの? 僕様ちゃんの苦労を全否定だなんておーぼーだー! 英語風に言うとOH Border!」 「そういうつもりもないんだがな、これまで通り首輪の解析にも努めてほしいんだが……」 そこで、供犠は会話を打ち切った。 まだ確証を持てることではない。話すような時機ではない、と。 しばらくの間をおいて、今度は玖渚から言葉を切り出す。 「……さっきは、ああ言ったけど、都城王土が必ずしも首輪を解除できるかって言うと、そういうわけじゃないことは覚悟しておいてよ。 人質が囚われている件といい、元々の不知火袴との関係性を顧みても、彼は主催の中でも単なる末端である可能性は重々ある」 「末端ならば切り捨てても構わない――首輪の構造なんて知る必要もないってことか」 「敢えて常識に囚われるんならさ、解析解除なんて、構造を知ってこその話じゃない? それこそ、彼に僕の《異常性》でもあれば話は別だけどね。残念ながらそうじゃない」 「蓋を開けてみないことには分からない、か。どちらであれ、もう一度会う必要があるようだ」 どちらのものかも分からない溜息を聞いて、蝙蝠は静かに鼻を鳴らす。 首輪の解析なんて関係ない。結局のとこ、ルール無視をしない限り、自分が優勝すればいい話なのだ。 随分と昔にも感じるが、スーパーマーケットで某戯言遣いが真庭忍軍の長・真庭鳳凰に告げたように、 優勝した後、不知火袴と言う老人が当初の約束事を反故する可能性もある。 最後となった者の首輪を爆発して幕を締めくくる――なんて落ちも考えられる以上、そりゃ首輪を解除するに越したことはない。 しかし、それでも最優先に考えるべきことにはどうしても思えない。 これ以上はいいだろう――と真庭蝙蝠は踵を返し宗像形の眠るロビーへと向かう。 足音一つ立てずに歩く様は、まさにしのびの鑑と言えた。 ○ その姿は――不思議と整ったものである。 傲然とした風貌に、逆立つ青髪に、青い瞳。 真庭蝙蝠が変態した姿は、紛れもなく都城王土と、玖渚友。 《改竄(ハッキング)》と《発信(アクティブ)》の結合体だ。 忍法《骨肉小細工》応用編。 複数人の姿に擬態して――他人の《異常性(アブノーマル)》を複合するという技術。 今回の場合は玖渚友の《超人的電脳理解》及び《改竄技術》と、都城王土の《電気操作》の複合により、超越的な改竄能力を手に入れた。 それは、このバトルロワイアルにおいて肝ともなる首輪の誤作動を招くほどの力を持っている。 真庭蝙蝠は逃げちゃいなかった。 むしろ、ずっと機を窺っていたのだ。 宗像形の溢れんばかりの殺意に紛れてひっそりと、ネットカフェの外で。 殺意に敏感な零崎人識でも捉えきることは出来なかった。 曲がりなりにも、身を隠すのはしのびの得意分野なのだ。 そして現在。 宗像形の首輪が爆発し、宗像形の首が宙を舞っている。 明らかに――火を見るよりも明らかに、死んだ。 「――っ!」 人識は僅かに垣間見た殺意の出所へ駆けつけるべく、ネットカフェを窓から飛び出した。 しかしそこには人の姿はとっくになく、もぬけの殻である。 「蝙蝠、か?」 言葉にしてみるが、返事が返ってくるわけもない。 しばらく沈黙し、考察してみるも、これといった妙案が浮かぶ訳もなく、確固たる証拠を発見することもなかった。 手詰まりである。 深い溜息を吐き、げんなりと肩を落とす。 結局のところ、人識は何の成果を得ることもなかったのだから。 殺そうと思えば、曲絃糸で縛りあげた時に殺せただろう。 しかし零崎人識はそれをしなかった。 率直に告げるなら、恐れたのだ。 零崎一族の切り込み隊長にして長兄・零崎双識から伝え聞いている奇襲。 曰く、手裏剣砲。口から凶器を解き放つ技だという。 そんなものがあると聞いちゃあ、のこのこと近づく訳にはいかなかったのだ。 故に確かめるように一歩一歩着実に歩を進めたのだ――その結果が今現在だと言うと、てんで笑えないが。 それでも人識は笑う。 かはは、といつもと変わらぬ調子で。 「逃げられちまっちゃあ仕方ねえか」 気持ちを切り替えた人識はネットカフェに戻り、突き刺さった千刀の幾つかを見繕い、落ちていた斬刀と絶刀を拾い上げる。 ついでにと、宗像のものであったろうディパックの中身を移し替えた。斬る 少し整理の必要があるとも感じたが、斬る、最終的にはドラえもんよろしく四次元ポケット空間の利便性に、斬る、甘んじる。 どれだけ入れても、斬る、満たされないというのはありがたいものだ。 出発の準備を済ませて軽く身体を伸ばす。 軽く欠伸をしながら斬る。 宗像形の身体を切り刻む。 液体と固体との区別がつかなくなった頃、彼は手を休めた。 「…………ねえじゃんかよ、正義の心」 やれやれといった調子で呟いて、されど昔ほど気に留めることもない。 むしろ良く斬れる斬刀・鈍の切れ味に興味が惹かれる。 ――何でも切れるとはよく言ったものだ。 骨も肉も関係ない。この刀を前にしたら、そんなものはもはや同一である。 実はこの時、誤って薄刀・針をも斬ってしまったのだが、認識もしてない人識には関係のない話だった。 満足いったのか、にやりと口角をあげると。 「さてと、そろそろ欠陥製品が死にかけててもおかしくない頃かな」 戯言遣い――《なるようにならない最悪》――《無為式》。 死んだ魚のような目をした彼をちょっくらおちょくりに行くかと歩み出す。 玄関に差し掛かったところで、はたと電話の主を思い出す。 欠陥製品を思い浮かべていたら、あの溌剌とした声を連想したらしい。 「そういや無事に、禁止エリアから逃れられたのかね」 心配する間柄でもない。 それでも聞いてしまった以上は意識してしまう。 もしかすると先の宗像形のように首が飛んでいるかもしれない。 「――なんて、そんな柄でもなさそうだな」 あの一瞬だけで理解した。 理解させられた――というべきか。 なるほど、欠陥製品の知り合いなだけある。 人識は一人納得し、場所も場所だし案外近くに居るかもなと――適当なようで殊の外事実をかすったことを口走るが、 彼としても深く考えて喋った訳ではない。あっさりと流す。 「あー、そういや」 何も考えなくてもいい時に限って、無駄に頭は働くものだ。 鮮烈な印象を残した彼女との会話を思い返していると、会話中に出てきたあのスパッツ女を思い出す。 あーあ、と漏らしてから、面倒臭そうに。 「伊織ちゃんはどうしてっかねえ。いまいち気乗りしねえが、どーすっかなあ」 呟くのであった。 【1日目/夜中/D-6】 【零崎人識@人間シリーズ】 [状態]健康 [装備]斬刀・鈍@刀語 、携帯電話その1@現実 [道具]支給品一式×11(内一つの食糧である乾パンを少し消費、一つの食糧はカップラーメン一箱12個入り、名簿のみ5枚) 千刀・ツルギ×6@刀語、 手榴弾×1@人間シリーズ、青酸カリ@現実、小柄な日本刀、S W M29(6/6)@めだかボックス、 大型ハンマー@めだかボックス、グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ、デスサイズ@戯言シリーズ、彫刻刀@物語シリーズ 携帯電話その2@現実、文房具、炸裂弾「灰かぶり(シンデレラ)」×5@めだかボックス、賊刀・鎧@刀語、お菓子多数、絶刀・鉋@刀語 [思考] 基本:戯言遣いと合流する。 1:水倉りすか、供犠創貴を捕まえるか殺す。この辺りにはいるんだろうし。 2:伊織ちゃんと連絡を取る。合流するかどうかは後から決める。 3:零崎を始める。とりあえず戯言遣いと合流するまでは。 4:哀川潤が生きてたら全力で謝る。そんで逃げる。 5:黒神めだか? 会ったら過剰防衛したとでも言っときゃいいだろ。 [備考] ※曲絃糸の射程距離は2mです ※曲絃糸に殺傷能力はありません。拘束できる程度です ※りすかが曲識を殺したと考えています ※Bー6で発生した山火事を目撃しました ※携帯電話その1の電話帳には携帯電話その2、戯言遣い、ツナギ、無桐伊織が登録されています ※携帯電話その2の電話帳には携帯電話その1、戯言遣い、ツナギ、玖渚友が登録されています。 ※参加者が異なる時期から連れてこられたことに気付きました ※球磨川禊が気絶している間、鑢七実と何を話していたのかは後続の書き手にお任せします ○ さて、行方を眩ました真庭蝙蝠。 彼の行った作戦は成功でもあり――同時に失敗でもあった。 確かに見事、首輪を爆発させるという結果には辿りつく。 だが、実のところ真庭蝙蝠が狙ったのは宗像形ではない。《殺人鬼》零崎人識である。 さもありなん、これまでの《零崎》との奇縁を断ちきる必要もあり、かつ、人識の力が想像よりもはるかに強大だったからだ。 《言葉の重み》に一定の耐性を得てしまった今、正体不明の奇術・曲絃糸を何度も何度も使われては敵わない。 加え、陰から覗いてみるに、何も彼の本分は曲絃糸にあるわけではないらしい。 観察すればするほどに、出鱈目な奴である。 だから排除しようとした。 しかし、ここで計算違いが起こる。 というよりも、単純に蝙蝠が見誤っていた。 正鵠を射るならば、過信をしてしまったというべきか。 真庭蝙蝠が当初推測したように、忍法《骨肉小細工》の再現度は良くて精々が80%。 仮に玖渚友と都城王土との異常性の再現度が並立して100%を誇ることに成功したならば、今回の失敗は起こらなかったかもしれない。 だが現実には、忍法《骨肉小細工》で80%を越すことはない――完璧とはよほど言い難いのだ。 ならば。 多少の過ちが起こることは道理とも言える。 完璧ではないのなら、それが偶然であれなんであれ、どうしても綻びは生じてしまう。 間違って宗像形の首輪を爆発させてしまったという過ちも、起きる可能性は十分にあった。 彼の名誉のために補足するならば、ただでさえ蝙蝠が忍法《骨肉小細工》を使用したのは、先ほどが初めてなのだ。 使い勝手など掴めていなくても仕方のないこと――《異常性》の結合させるという応用技術を実行できただけでも本来なら称賛に値する。 失敗したのには、確かに彼自身に非はあるだろう。それでも責められるべき話ではないのだ。 さらに付け足すならば、変態する相手の片割れが玖渚友であったというのは始末が悪かった。 玖渚友自身、自ら内包する《異常性》を御しきれているかというとそうではない。 あの青髪を――天才ゆえの劣性の証を見れば、一目瞭然である。 身体を崩壊させてしまうほどの過剰すぎる《異常》――極めて特異な代物を他人の《異常性》と併用できるはずがない。 ましてや失敗したからと言って、首輪の爆発を連続して起こせるはずもない――そんなことをしたら蝙蝠の身体が自壊する。 「――――っっっ」 目眩がする。 かつてないほどの嘔吐感が苛む。 組み合わせとしてはこれ以上ないほど上出来なものだったが、噛み合わせはこれ以上なくなく悪かった。 《暴君》と《王》の手綱を一度に引きうけるのは、流石に無茶が過ぎる。 失敗を悟った蝙蝠は、直ぐ様――今度こそ真の意味で戦線を離脱する。 人識とは紙一重。 身体が都城王土であったことが幸いした。 全身から発せられる、肉体が引きちぎられるような強烈な違和感の中、それでも辛うじて逃げることができる。 走りながら《骨肉小細工》を使用して、変態する片割れを玖渚友から零崎軋識へと代えた。 そうすることで、徐々に身体を蔓延っていた苦痛が収まっていく。 忍法《骨肉小細工》は、皮肉なことに名前の通り、所詮は小細工にすぎず、小手先でしかない。 万事がうまく進むだなんて、あり得ない――それこそ《「魔法使い」使い》のように、作戦を入念に練り闘うことを滅多にしない蝙蝠のことだ。 今回の首輪の爆発だって、転がっていた断片(フラグ)を拾い上げただけに過ぎないのだから。 失敗はどうであったって、ついて回る。 人識を撒けたと判断し、足を止めて呼吸を整える。 一息ついたところで、お家芸である《骨肉細工》で姿を都城王土で統一した。 なんだかんだで、やはり一つの身体で統制を執るのが落ち着くことに違いない。 「忍法《骨肉小細工》」 さて、どうしたものか。 身体に生じる違和感――正直なところ、もう二度と味わいたくない。 それでも、可能性を感じる技であることには確信を持っている。 事実、ルールを無視したわけでもないのに首輪を爆発させる離れ技をやってのけた。 これは是非とも活用したい。もっともっと、自分の可能性を確かめてみたい。 ――とはいえ、乱用できないのは正直なところだ。 他の身体で組み合わせたらどうなるのか、まるで見当が付かない。 もしかすると、今回蝙蝠が味わった不快感を上回る衝撃が襲うかもしれない。 そうなるといよいよ逃げることさえ叶わなくなるだろう。 首輪を爆発させることだって同様だ。 今回こそ、運悪く――いや、運よく宗像形の首輪が誤作動したけれど、あの場面、真庭蝙蝠の首輪が誤作動する恐れだって、十二分にあった。 陰からこっそり奇襲を仕掛けようとして、勝手に自滅していては、それこそ目もあてられない事態に陥る。 まだ研究が必要だ。 まだまだ追究が必要だ。 それまでは封印するべきか……? しかし使用してみないことには探求もなにもない。 堂々巡りする思考の果て、一つの案に収斂する。 「ここまで来たんだ、あのがきを利用するだけ利用し尽くしてやるか……?」 自称するだけあり、彼の頭脳は利用する価値がある。 実際、蝙蝠が《骨肉小細工》という発見に行きついたのも――首輪を爆発させるという発想に辿りついたのも、供犠創貴の言葉があったが故だ。 懸念要素として、彼自身は非力ではあるが拳銃と言う凶器が挙げられる。それでも心臓さえ守れさえすれば十分に対応できる。 「そりゃいいや」 きゃはきゃは、といつものように笑う。 すっかりいつもの調子を取り戻したようだ。 「つっても、ちょいと疲れちまったな……」 宗像形の戦闘の際の傷は、先ほどの《変態》で癒されている。 さもありなん。彼の《骨肉細工》は本来《擬態》に意味があるのだ。 余計な傷のついた擬態に何の意味がある? そんな邪魔でしかない傷など残すわけがない。 どうやって? ――小さな子どもから巨漢の男まで変態する彼に、今更その程度の理屈を求める方がどうかしている。 しかし、それでも疲れは溜まるものだ。 慣れないゆえか、余計な神経を使う《骨肉小細工》の使用も相まって、想像以上の疲労が蓄積されている。 嘆息しながら腰を下ろす。 「どうすっかねえ」 真庭蝙蝠は零崎人識の声でけらけら笑う。 それはそれは、愉快そうに。 【1日目/夜中/E-5】 【真庭蝙蝠@刀語】 [状態]身体的疲労(中)、都城王土に変態中 [装備]軋識の服全て(切り目多数) [道具]支給品一式×2(片方名簿なし)、愚神礼賛@人間シリーズ、書き掛けの紙×1枚、ナース服@現実、諫早先輩のジャージ@めだかボックス、 少女趣味@人間シリーズ、永劫鞭@刀語 [思考] 基本:生き残る 1:創貴たちと合流するか? あるいは休むか? 2:強者がいれば観察しておく 3:行橋未造も探す 4:黒神めだかに興味 5:鳳凰さまが記録辿りを……? まさか川獺が……? [備考] ※創貴と同盟を組んでいます ※現在、変形できるのはとがめ、零崎双識、供犠創貴、阿久根高貴、 都城王土、零崎軋識、零崎人識、水倉りすか、宗像形(144話以降)、元の姿です ※放送で流れた死亡者の中に嘘がいるかも知れないと思っています ※鑢七実の危険性について知りましたが、嘘の可能性も考えています ※供犠創貴に変態してもりすかの『省略』で移動することはできません。また、水倉りすかに変態しても魔法が使えない可能性が高いです ※宇練銀閣の死体を確認しましたが銀閣であることは知りません ※体の一部だけ別の人間の物に作り替える『忍法・骨肉小細工』を習得しました。 ○ 切り刻まれた死体がある。 約五百の墓標に沈む、解された死体があった。 元の名を、宗像形と言う。 その姿は凄惨かつ悲惨なものだった。 あくまで正義を標榜し、邁進した男の末路にしてはあまりに憐れな幕切れである。 恐らくは死ぬその直前まで、何が何だか分からなかっただろうに――。 ――それでも彼は救われたのだろう。 最後の最後まで、正義を信じ、阿良々木火憐と共に寄り添うことができたのだから。 誰が何と言おうとも、報われ、悪を排する正義に殉ずることが出来たのだ、と。 なんて、心にもないことを言うつもりはない。 宗像形。 《正義》に囚われた男。 人は決して他人になれるわけないのに、《正義そのもの》に妄執しまった男。 人を愛した殺人鬼、ここに死す。 ――人間の死には《悪》って概念が付き纏うんだとよ じゃあ、彼にとっての《悪》とはなんだったのだろう。 真庭蝙蝠が引き起こした偶然で死んでしまった彼の、なにが《悪》かったのだろう。 【宗像形@めだかボックス 死亡】 残り風 時系列順 三魔六道 球磨川禊の非望録 投下順 三魔六道 変態、変態、また変態 零崎人識 玖渚友の利害関係 変態、変態、また変態 真庭蝙蝠 陽炎 変態、変態、また変態 宗像形 GAME OVER
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咲夜8 うpろだ589 今思えば、私は嵌められたのだと思う。 「咲夜さん、これを」 それは普段着ているようなメイド服でもなく、柔らかくさらりとした手触りの光沢のある黒のドレスだった。 普通の女の子なら一度は憧れる代物だ。 身体のラインを強調するような黒のそれは太腿から深いスリットが入っていた上に、胸も必要以上に強調されるようなデザインになっていて、 それを着るには大分勇気を必要としたけれど、レミリアが着ろと言うのだから逆らうことも出来はしない。 美鈴に手伝ってもらいながら何とか四苦八苦してドレスに腕を通した。 「咲夜さん、凄く綺麗です」 そう言って、美鈴は軽くメイクを落としていく。咲夜さんの肌は綺麗ですね、だからあんまり弄らなくてもいいかな。 アイラインを引いて、口紅を差す。 いいですよと言われて目を開ければ目の前の姿見に見知らぬ女が映っていた。 揺るぎない銀の髪が辛うじて自分であることを知らしめる。 「これ、履いてってレミリア様が・・・・」 「・・・・分かったわ」 ドレスと同じ黒のエナメルの靴を履く。 大きく背中の開いたドレスといい、華奢な造りと高い踵の靴といい、全てが心許なかった。 「咲夜さん、その・・・・私たちの事・・・・」 「美鈴、留守を頼んだわよ。・・・・・さあ咲夜、行きましょうか?」 現れたレミリアにはいと頷く。 美鈴はどこか悲しそうな顔をして、私が連れて行かれるのを見ていた。 行きましょうか、と言われたものの、何処へとは聞けなかった。 聞いていいような雰囲気ではまかり間違ってもなかった。 飛行しながら、流れる景色をぼんやりと見つめながら思う。果たして私は、何処に行くのであろうかと。 数分もかからずにレミリアは地上に降り立った。 それを見てこちらもゆっくりと下降する。 先に降り立ったレミリアが促すようにその手を伸ばしてくる。 少し躊躇った後に指先を重ねて動きにくい靴と格闘しながらのろのろと歩いた。 きっと靴擦れが酷いことであろう。 目の前には数回訪れたことのある屋敷があった。 重厚な扉を開いて、人のいない廊下を歩く。 かつかつと信じられないほど大きく足音が響く。柄にもなく緊張しているのかもしれない。 どうしてこんな格好をしているのかは知らないけれど、これから会いに行く人物には心当たりがあった。 こんな屋敷で用のある人物といえば、ただ一人。 「待たせたわね」 思っていた通りの場所でドアを開けたレミリアに、ある種の落胆と絶望が滲む。 「・・・・・待つ時間っていうのは、どうしてこうも長いんだろうね。レミリア、咲夜」 「・・・・・・」 他の給仕も執事も、誰もいない部屋で彼は一人静かに佇んでいた。 明るい茶色の目と視線が合う、と思った瞬間にはすでに彼は目の前にいた。 いつの間にかレミリアに預けていた手は彼に繋がれている。 「最後に会ったのはあの悪魔の妹君と一緒の時だよね、咲夜」 「・・・・っ、△△・・・・」 「○○、だよ。咲夜が呼びやすい呼び方で呼べばいいけど苗字は駄目」 今日から咲夜は俺のお嫁さんになるんだから。 確かな笑みと共に吐き出された言葉に驚愕した。 そんなことは、知らない。 何かの間違いではないのかとレミリアを見遣ったが、ただ静かに微笑み返されただけだ。 それだけで十分だった。彼の言葉が紛れもない真実だということを思い知るには。 目の前が真っ暗になって、力が抜ける。 みっともなく床の上に崩れ落ちるかと思ったけれどそんな無様な姿になる前に、○○に腰を取られた。 そのまま抱え上げられてソファの上に横たえられる。 ふわふわと沈み込む柔らかな感触が、まるで浮世離れしているのではないのかという錯覚を起こさせた。 理由なんて分からない。 けれどこの格好はその為だったのかと合点がいった。 勿論分かったからといって嬉しくも何ともない。 「咲夜」 「レミリア・・・・様」 「こうなったのは私の責任よ。・・・・私が、彼に負けたから。恨む?」 「・・・・・・」 無言で首を振る。 嫌で嫌でたまらなかったがだからといってレミリアを恨むのはお門違いだ。 例え本当にレミリアの言うとおり彼女の行為の何かが原因だったとしても恨めるはずがなかった。 「・・・私は、いいんです」 「・・・私は貴女の幸せを心から願っているわ。貴女が嫌だと言うのならこの話は―――」 「レミリア」 静かな、威圧的な声だった。 ぞっと皮膚が粟立つ。 初めて出会ったとき、この男はこんな声はしていなかった。 震える拳をきつく握り締めて、真っ直ぐに見上げた。 薄らと笑う瞳と視線がかち合う。 それからレミリアを見遣った。・・・悲しそうな、顔をしていた。 「・・・いい、です。結婚でも、何でもします」 「咲夜・・・・」 「紅魔館の皆さんのことを、よろしくお願いします」 それだけしか言えなかった。 覚悟を決めても所詮はその程度ということだ、情けない。 温かなレミリアの手が頭に触れた。 そのまま小さな子供を宥めるように、くしゃりとひとつ髪を掻き混ぜられる。 たったそれだけのことで身を切られるような思いだった。 この温もりはもう二度と手に入れられないのかもしれない。 「○○」 「分かってるって、レミリア。ちゃんと幸せにするよ・・・咲夜」 のろのろと顔をもう一度○○に向ければ毒を持った笑みで返された。 幸せになんてなれるはずがない、美鈴もパチュリーもフランも小悪魔も敬愛する主君であるレミリアもいない世界に自分の望む幸せがあるとは到底思えなかった。 投げ出したままの左手を取って、その薬指に指輪を嵌められる。 細くて華奢でシンプルな指輪だ。 虹色の石が嵌っているがそれが何なのかは生憎と分からなかった。 「オパールだよ。綺麗だろう?似合うと思ったんだ」 そう言って指輪を嵌めた(彼のものになった)手をそっと握って、口付けられる。 そのまま強く指に歯を立てられた。 反射的に逃れようとしたら更に強く手を握られる。 おそらくは血が滲んだのだろう、赤く濡れたものが見えた。 「・・・・っ、あ」 「浮気防止に、もう一つ」 ぺろりと唇を舐めて、爽やかに笑う。 レミリアの表情は悲しげなまま凍りついたように動かない。 だから、それ以上彼女に負担はかけたくなくて、大丈夫ですと言えば無理矢理納得したような顔をしてそれでもしっかりと頷いてくれた。 「・・・・じゃあ、私はこれで」 「いつでも遊びに来ていいって、紅魔館のみんなに言ってあげて」 「お気遣い、結構よ」 それだけ言ってくるりとレミリアは後ろを向く。 その背中が全ての言葉を拒絶していて、だから何も言えなかった。 彼女の後姿がドアの向こうに消えて、その足音すら捕らえられなくなって、もう一度ソファに沈み込んだ。 靴はすでに○○によって脱がされていた。 思考が同じ所で停滞している、何もかも考えるのに疲れた。 張り詰めた神経が緩むこともなくそのままいつか切れてしまいそうだと思いながら、目を閉じる。 とにかく今は眠りたかった。 目が覚めたら全ては夢だったという都合の良い話はないだろうか。 瞼を閉じたらとうの昔に枯れたはずの涙が二粒、頬を流れ落ちた。 補足。 十六夜咲夜 元紅魔館のメイド長。 咲夜に目をつけた○○とレミリアの賭け戦闘でレミリアが負けてしまったため、○○の嫁になることを決定付けられる。 それ以降すこぶる腹黒な旦那に振り回される毎日を過ごすことに。 ○○にあまりいい感情を抱いていない(レミリアを負かしたので)。 ○○ レミリアより強い、最強?な○○。 性格はすこぶる黒い、とにかく黒い。腹の底まで真っ黒。 事実かどうかは分からないが全て計算づくの上で奸計用いて咲夜をゲットしたとかしなかったとかいう、そんな。 多分十中八九本当のこと。 意外にも結婚生活自体にはどちらかと言えば乗り気なようで、ことあるごとにあの手この手と咲夜を虐めては(困ってたり屈辱に打ち震えていたりする姿を見て)楽しんでいるらしい。 心の底から性悪ですね。 でも咲夜のことを本当に心から、 レミリア・スカーレット 親馬鹿、咲夜馬鹿。 ○○との戦闘に負けて泣く泣く咲夜を嫁に出すことになってしまった。 彼女が嫁に行った日は一人で枕を濡らしていたとか何とか。 ───────────────────────────────────────────────────────── うpろだ591 俺がプロポーズしてから一月ちょっと 彼女が十六夜に別れを告げて一月弱 特に変わったわけでもなく、ただいつものように、毎日が過ぎて行っている 正直に言えば彼女が来てから店の方も繁盛してるし、人でも増えて楽になった でもまだ何となく、その・・・嫁に来たという実感が湧かないのも事実だ いまだ恋人のまま、同棲しているような感覚 いったい結婚とはなんなのだろうか? 「幻想郷に・・・紅魔館に来て、お嬢様のお世話をして、パチュリー様にお茶を入れたり図書館の掃除をしたり、メイドたちをまとめたり、サボってる美鈴を怒ったり」 彼女はまるで遠い遠い昔の事ように話す、瞳は悲しげに、口調は柔らかく 「霊夢や魔理沙が遊びに来て、たまにそれを撃退したり歓迎したり、異変の時も色々と大変だったわ・・・それでも凄く・・・楽しかった」 俺があまり知らない彼女のメイド生活、だか実に解り易く・・・光景が目に浮かぶようだ 俺の知らない彼女を、見て見たいなんてすこし、思った 「このまま年老いて死ぬのも悪くない、むしろ恵まれているなんて思ってた・・・でも」 俺とであった、俺に恋をしてくれた、そして俺も恋をした 「まさか自分が普通の人間みたいに・・・人を好きになって、体を重ねて、プロポーズまでされちゃって・・・幸せすぎて、夢なんじゃないかって、でも夢じゃなくて」 もし夢でも、俺は夢から現実まで出張って、君をさらいに行くよ 「紅魔館にいたときが一番幸せなんだと思ってた、いろんな人に大切にされて、幸せだった、危険もあったけど、充実してたし、満足してた」 「・・・じゃあ、何で君は俺との生活を選んだ?」 俺は、彼女も俺とおなじ事を言ってくれると信じて、一つの質問を、投げかけた 「それは・・・私はあなたを愛してるから、そして彼方が私を愛してくれるから――」 俺も、同じ気持ちだ 俺達は愛し合ってる、だけどまだ夫婦ではない、まだ俺達は彼氏彼女なのだ 何か区切りが必要なのだ、人によって色々だが、最も一般的なのは結婚式だろう、それと 「・・・古くは蛤の殻などを渡していたらしいが」 「?」 「まぁ一般的に・・・これが一番だと思ってな」 いつ渡そうか、ずっと出番を待っていた控え選手 温めていた身体、待ちわびていた気持ち 「え・・・指輪・・・」 「あんまりいいものじゃ無いが(推定月収8か月分)外から取り寄せてもらうのに金が掛かっちまってな・・・」 「綺麗・・・白金?」 「ああ、君には銀が似合うと思ったんだが・・・まぁいつまでも色あせない二人の愛情と言う意味も込めて・・・白金で」 ああ、俺はなに言ってるんだ、よくもまぁ恥ずかしい台詞をいえたものだ、素面なのに 「あ、ありがとう・・・やだ、嬉しすぎて」 涙が、ぽろぽろと零れ落ちた 俺もつられて泣きそうになるが、其処は男ですから、しっかりと胸で受け止めてやらんといかん 「咲夜、結婚式とやらををあげようか」 「え?・・・な、なんで?」 「区切りをつけよう、それと・・・お世話になってる連中に、幸せになる、って宣言しなきゃ・・・な」 お嬢様と妹様と引きこもりと小と中国とメイドsと霊夢と魔理沙とアリスとそれから、それから・・・ 「そうね・・・うん、皆に自慢しなきゃね、私幸せですよ、ってね」 なんか違う気もするが、彼女はそれでいいのだろう、周りも、俺も・・・たぶん 陽気ぽかぽか、昼寝をするには丁度いい昼下がり あの人がいなくなって、怒られる回数は減ったけど・・・ちょっと、いやだいぶ寂しい 「美鈴、頑張ってるかしら?」 「・・・・・さ、咲夜さん!?きょ、きょうはどおして!?」 「ふふふ、ちょっとね」 久しく聞いたのは、偉く上機嫌で、透き通るように綺麗な声だった 「お嬢様、いらっしゃいますか?」 久しく聞いた従者の声、幻聴かと思ったが間違いなく、其処に姿があった 「咲夜!?まさかもう・・・別居!!?」 「ち、違いますよ!そんなことは全然」 あの男に任せて、良かった、そう思わざるを得なかった 咲夜がこんなに幸せそうに・・・ 少し、いや凄く悔しい 「今日はちょっとした、報告とお願いを」 「報告とお願い?」 「私達・・・結婚式を挙げる事にしました」 To be continued! ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 58 理由は特に無かった。 人を好きになることに理由は要らないという言葉は本当らしい。 彼女を目で追い始めたのは何時からだったろうか。 ここは紅魔館のとある一室。 丁寧に掃除をしながら俺はいつものように彼女のことを考える。 十六夜 咲夜、俺の心を捉えて放さない人。 最初はそれほど気になる人ではなかった。 周りのメンバーの印象が強すぎて、常識人に見えたのが彼女くらいだった所為なのだろうが。 話せば長くなる成り行き上、ここで仕事をすることになった俺の上司。 ただ、彼女はそうであるはずだったのに。 何時からか変わっていた。 彼女の性格、仕草、言葉。 そういった何気ないものが俺にとって妙に気になるものになっていた。 「さて、こんなものか」 部屋の隅から隅まで掃除し終えた俺は部屋に置いてあった椅子に腰掛ける。 その状態から椅子にもたれかかり、天井を見上げる。 「何やってんだろう、俺」 彼女を想い続け、数年が経った。 何時までこんな半端な状態を維持するつもりなのだろう。 何度も彼女にこの想いを伝えようと思った。 その度に俺の中にある理性が必ず警告するのだ。 断られればそのあとはどうなるのか、と。 咲夜さんと今までのように接することができなくなる。 それどころか、俺は告白する覚悟など持ち合わせていないのだ。 現状維持――その言葉がいやに俺の頭の中を駆け巡る。 どんなに悩んでも変わらない、もどかしい状態が続いてきた。 彼女を見ていると何時だって俺という存在が霞む気がした。 大した力も無い、ドジを踏む、融通が利かない、器量も普通。 それに比べて彼女は完璧と呼ぶに相応しい。 そんな俺が彼女と共に居たいと思うとはなんともおかしな話だ。 「は、自虐が過ぎるか」 そう弱気な自分を一蹴してみてもやはり皮肉の言葉が沸きあがってくる。 「ああ、畜生。どうしてこんなに愛おしいんだ。どうしてこの感情を伝えられないんだ。どうしていつも踏みとどまっちまうんだ」 自分でも気がつかないうちに言葉が勝手に紡がれる。 少しずつ声が大きくなっていく。 分かっているのに、抑えられなかった。 ガタ…と部屋のドアから音がした。 誰か居るのかと思ったころにはもう遅く、既にその誰かへと呼びかけていた。 「誰だ?」 言い終わった直後に気配を消しながら音を立てずに素早く動きドアを開ける。 そこに居たのは驚いた顔で俺を見つめる、先ほどまで俺が思いを馳せていた咲夜さんその人だった。 「咲夜さん?どうしてここに?」 いきなりドアが開いたことに対して咲夜さんは驚いているようだ。 それもそうか、時間を止めようとしている間にこうなれば。 「え、あ…その…そろそろ掃除が終わったかと思って様子を見に来たのだけれど…」 戸惑いながらも彼女はここに来た理由を告げる。 しかし、何故か妙に落ち着きが無い。 本来の彼女なら既に平静を取り戻しているはずなのに。 ……嫌な予感がする。 俺はその嫌な予感を確かめるために彼女に一つ質問をした。 「あの、さっきの言葉……聞いていましたか?」 「い、いえ。聞いてないけど」 嘘だと直感した。 何故だか分からないが、俺と同じような感じがしたのだ。 「嘘ですね。そもそも、この部屋には防音加工が施されていないですし、あれくらいの声ならば聞こえてもおかしくは無いはずです」 「っ!」 咲夜さんの一瞬見せたその顔で俺は確信した。 「図星ですね」 彼女が慌てて取り繕ってももう遅かった。 それからしばらく言いようの無い、居心地の悪い静寂が辺りを包んだ。 「その・・・ごめんなさい」 「いえ、別に構いませんよ」 言葉が続かない。 さっきからバクバクと早鐘を打つ心臓が酷くうるさい。 彼女に聞かれていた恥ずかしさと、今後の彼女との関係はどうなるのだろうという不安が綯い交ぜになって、本当に落ち着かない。 「あの、私でよければ相談してくれないかしら」 なんとなくわかっていた。 彼女ならそう言うのでは、と。 その言葉を聞いた途端に彼女との距離が遠くなった気がした。 「そういうこと、私には経験が無いけど、私ができる範囲内なら協力してあげるから・・・」 そう言って微笑んだ彼女の表情はまさしく俺を連想させた。 本当に悲しそうで、本当に辛そうな、秘めこんで消してしまおうとする表情を見て、俺はただ、ここで何かを言わなければならない気がした。 「いえ、その必要はありませんよ」 自分の心を奮い立たせて言葉を紡がせる。 何を戸惑う、ここで言わなければ全てにおいて後悔する。 それで本当にいいのか。 「え・・?」 「聞かれていたのなら、もう踏みとどまる必要はありませんからね」 さあ、言おう。 秘め続けたこの想いを。 ただ、その為に今の俺はここにいる。 「咲夜さん、俺は貴女のことが好きです」 一度溢れたら、もう流れは止められない。 なんと思われようが構うものか。 今この瞬間だけはこの想いをぶつけたい。 「咲夜さんの声をもっと聞きたい、咲夜さんの笑顔をもっと見たい、咲夜さんの心に少しでも触れたい、 咲夜さんに少しでも近づきたい、咲夜さんを近くで感じたい、咲夜さんのことを知りたい、咲夜さんを愛したい。――――」 俺の言葉は止まるところを知らなかった。 最初は口をぽかんと開けて呆けた表情を浮かべていた彼女だが、次々と述べられる言葉を理解していく内に、その顔が徐々に赤く染まり、 遂には視線を泳がせて慌てふためき始めた。 「あ、う・・あ、あの・・その・・・」 もはや彼女は、完全に落ち着きを失っている。 その様はいつオーバーヒートしてもおかしくない程だ。 対して俺は、自分の心から次々と湧き上がる言葉をただただ口に出すことに必死なので、まったくといっていいほど彼女の様子を気にしていなかった。 「こんなことをいきなり、しかも勝手に言って迷惑なのは承知しています。けれど・・・駄目でしょうか」 「っ、そんなことない!」 ほぼ即答だった。 「私だって、あなたのことが・・!その・・す、好き・・」 段々と消え入りそうになる声。 しかし、最後の言葉ははっきりと聞こえた。 そう言われて俺は気がついた。 彼女も同じだったのだと。 そう分かると、なんだか顔が一気に熱くなってきた。 たぶん耳まで真っ赤なのだろう。 「えっと・・本当、ですか?」 「嘘でこんなこと、言わないわよ・・っ!」 ああ、これではっきり分かった。 そして、なんとなく顔が綻んでいるのが自分でも分かる。 再び沈黙が辺りを包んだが、今度はあの居心地の悪いものとは違う、どこかむずがゆいような…まあ、悪くない沈黙だった。 「えーっと、咲夜さん、ってあれ?!」 気づいた時には、彼女はもうそこにいなかった。 恐らく時間を止めて何処かに行ったのだろう。 「・・・まあ、いいか」 そう、まだ時間はたっぷりある。 ようやく進展したのだ。 もう恐れる必要は少なくとも無い。 さっそく、彼女を探しに行こう。 どんな顔をして会えばいいか分からないが、とにかく会いたい。 そう思った瞬間、彼女との距離が近づいたような気がした。 さあ、行くか。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 207 う~ん、今日はヒマだなー 黒白も紅白も来ないし、毎日こんなだといいなー って咲夜さん!?いつからここに? え?ヒマだなーの辺りですか?いや確かにヒマだっていいましたけどサボってたわけじゃ…… ちょ、咲夜さんナイフはやめてください! ~少女説得中~ はあはあはあはあ、た、助かった…… それにしても咲夜さん今日はやけに機嫌、悪いですね さては○○さんと何かありました? え?何で分かったかって?そりゃ分かりますよ これでも私咲夜さんの何倍も生きてるんですからよ 恋をしたことだってありますし結婚だってしましたよ、子供は……できませんでしたけどね …………そんなに珍獣を見たみたいに驚かないでくださいよ まあ彼は人間でしたからもう死んじゃったんですけどね 悲しくなかったのかって?そりゃ当時は泣きましたよ、泣いて泣いて泣いて それこそ泣かなかった日なんてないぐらいでした でも、それでも私はあの人と結ばれたことを後悔はしていません だから、咲夜さんも後悔はしないでくださいね これは人生の先輩からのアドバイスとでも思ってください ○○さん、もう咲夜さん行っちゃいましたよ 私の話、聞いてましたよね?だったら私の言いたい事分かりますよね 咲夜さんにも言いましたけど後悔だけはしないで下さいね ふぅ、二人とも世話が掛かるなぁ でも、あの二人を見てると昔のわたしたちを思い出すなぁ…… あなた、私は今日も元気であなたを愛しています 美鈴は妖怪で長生きだから昔結婚しててもおかしくないんじゃないか? って事で書いてみた美鈴しか喋ってないけどwwww ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 430 「フラン!早く部屋に戻りなさい!!」 「やだっ!もうあんな暗いところは飽き飽きよ!!」 紅魔館の中を縦横無尽に走り回るスカーレット姉妹、どうやら妹様があの部屋から脱走なされたようだ 「○○!フランを止めなさい!」 「ええっ!?私が!!?無理です!無理です!!」 「ゴメンね○○」 俺の横を抜ける時に妹様は確かにそういった すぱっ、っと綺麗に腕を切られてしまった 「ちぃっ!あのバカ妹!!」 そう言ってレミリア様も何処かへ行かれてしまった 「・・・切られ損・・・左腕どうしようかなぁ」 俺は吸血鬼(出来損ない)なのでこれぐらいはなんとも無いが・・・痛いorz とりあえず切られた左腕を拾って途方にくれた 「パチュリー様、治癒魔法って使えます?」 仕方がないので図書館へと足を運んだ 紅魔館の頭脳!引きこもり!エレメントマスター!喘息患者! 魔法使いパチュリー・ノーレッジ 彼女に聞けば大抵の問題は解決してしまうのだが 「咲夜に頼めば?彼女裁縫は得意よ?」 「いや・・・治癒力が弱いもので・・・」 「貴方腐っても吸血鬼でしょ?表面さえくっつけば遅くとも1日ぐらいで治るはずよ」 彼女はすぐに読書に意識を向けた、こうなってはもう言葉も届かないだろう 仕方がないので咲夜さんの所へ 「腐っても吸血鬼か・・・ほんとに腐ってるから笑えないなー腐った死体に改名しようか」 「何をブツブツ言ってるのよ、怪しいわよ」 「あ、咲夜さん、丁度いい所に」 「?」 これまでの経緯を説明し左腕の表面をくっつけてくれるようにお願いした 腕の接合なんて嫌がられるかと思ったがすんなり受けてくれた 「貴方も吸血鬼何だから避けるなり受けるなりしなさいよね」 「は、ははは・・・」 「ちょっと!?こんな事で落ち込まないでよ!」 「いや・・・此処に来てから一度も役に立ってないな、と思って」 妹様に逃げられる、侵入者を止められない、掃除も料理も並以下 出来るのは夜の見回りとメイド達が出来ない力仕事ぐらい 「はぁ・・・俺は、駄目だなぁ」 「・・・少なくとも、メイド達は貴方の事頼りにしてると思うわ」 「そう、ですか?」 「優しいし、何でもよく気付くし、力持ちだし、家具の移動とか楽になったわ」 「・・・少しでも役に立ててるなら幸いです」 「私は・・・貴方が此処に来て最初は胡散臭いと思ったけど・・・今は、大好きよ」 「へ?・・・え?大好きってその・・・」 「さぁ、腕もくっついたし、仕事に戻りましょ!」 「あ、ありがとうございます、あ、あの、咲夜さん?」 「ん?」 「それってどういう 彼女は優しく微笑んで部屋から出て行った、俺はその笑顔があまりにもまぶしくて思わず見とれてしまった それ以上に自分で何を言われたかまだ理解できないでいた 「―ッ!」 彼女の言葉と微笑を、理解したと言うか、思い出したというか とたんに恥ずかしくなってその後は仕事にならなかった 「LOVEなのかvery LIKEなのか・・・うーん」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 671 「いらっしゃい・・・なんだ、君か」 里のはずれの方に建つ一軒の怪しげな家、いや正確には店、か 「お客になんだとは失礼ね」 其処に訪れたのはメイド服のパッdげふんげふん、十六夜咲夜だった 「頼んでいおいたのは出来てる?」 「ばっちり、あまり乱暴に使うなよ、すぐ刃毀れするからな」 そう言って数十本の短剣を渡した 「わかってる、けど投げナイフはもともと消耗品でしょ」 代金を払い、短剣を鞄にいれた 「・・・」 「・・・」 じっと見つめあう、よくわからないが張り詰めた雰囲気だ 「わかったよ、お茶飲んでいきなお嬢さん」 「ありがと♪今日もゆっくりしていくわ」 ナイフ研ぎで2時間も3時間も粘られるとは・・・しかし常連さんなのである 「・・・帰らなくていいのか、吸血鬼のお嬢様が待ってるんじゃないのか?」 「いいのよ、今日は一日休みだから」 「ふ~ん、お前さんにも休みがあるんだな」 「○○なんて毎日休みみたいなものじゃない、お客も私ぐらいでしょ?」 「そんなことは無い!へんな爺さんとか二刀流の幼女とかも来るぞ」 数年に一度だがね、週一で来るのは咲夜ぐらいだろう、客が少なすぎるが生活になんら問題はない 「それじゃ帰ろうかな」 「ん、気をつけてな」 店を出て、帰路に着いた 「・・・引き止めてはくれないか」 ため息を吐きながら、自然と言葉が出た 「やだ、これじゃまるで」 そう、彼に・・・恋してるみたい 「いつか、○○のほうから・・・お茶に誘ってくれないかな」 吐く息が白くなる、私の隣は空のままだ ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 677 「○○ここの荷物を4倉庫にお願い」 「はい、解かりました」 最近は咲夜さんにあごで使われてばかりだ 掃除も料理もお茶も駄目な俺は重量級の荷物整理、深夜の雑草ぬき、深夜の門番 これぐらいしか仕事がないもんだから暇でしょうがない 暇な時間はフラン様の話し相手をしたり、レミリア様から有難い講釈を受けたり パチュリー様から実験のサンプルを取られたり、そんな感じ 「お疲れ様、休憩にしましょう」 彼女は本当によく出来たメイドだ、一言で言えば堅い でも、時折見せる少女のような一面に、おれはメロメロ(死語)だった 休憩時間のことだった、窓の外に話しかけてる咲夜さんをみた 霊夢さんとでも話してるのかと思ったら、小鳥に話しかけてた いやもう、かわいいね、やばいよあれは けっこう華奢でね、腕なんかすごーく細いのよ 前に大きめの荷物を持とうとしてね、持てたんだけど重くて足の上に落しちゃったみたいなんだよ すっごい涙目でね、でも我慢してるんだよ 人目を忍んで痛かったーとかいってるのよ いや、もうね、あのギャップ、惚れたよ 普段は完璧なメイドを演じてて、実はか弱い年相応の少女ってのはね、おじさんぐっと来るね 「○○ー!この荷物をー」 「はいっ!ただいま」 いけね、へんな妄想をしてしまった 「これとこれを、終わったら今日はおしまいよ」 せっかく腕力があるんだから、こういう仕事でがんばるしかない 咲夜さんが小さい荷物を運ぼうとしててを滑らせた 「ッ!」 落としたのはこの前と同じ足の上 「あ、この前と同じとこ・・・」 「み、見てたのね!?この前私が―」 「わーごめんなさいごめんなさい、偶然見たんですよー」 頭を庇って、下を向いた・・・あれ? 「咲夜さん!?血!足血がでてます!」 咲夜のエロいじゃなくてきれいな足の甲から血が滲み出ていた 「あら、ほんと・・・大丈夫よこれぐら「救護班!手当てをー」 「ちょ!?○○!?」 音より速く、咲夜を抱えて(もちお姫様抱っこ)救護が出来るメイドの所へ駈けた 「はい、これで大丈夫ですよ、意外ですねメイド長がうっかりミスで怪我だ何て」 咲く夜は少し恥ずかしそうに、俺は横で心配そうに、メイドは何だかニヤニヤしながら 「それじゃ私はこれで、あまり足に負担をかけないでくださいね」 「ありがと・・・ほかの子には黙っててよ」 「ふふふ、解かりましたよ」 「・・・よかったー」 「○○さん」 メイドにが耳元でボソッとしゃべって言った 「○○GJ!咲夜フラグげとー!」 意味不明な呪文を呟いて部屋を出て行った、何だあれは? 「○、○○・・・その・・・あ、ありがと」 これはヤヴァイ、いつも気丈な咲夜が、頬を染めて、素直に、礼を言ってる 少し申し訳なさそうな感じが可愛さを更に引き出して、これは・・・がんばれ理性! 「い、いえ、当然のことをしたまでですよ」 「・・・そうね、そうよね、貴方は誰にだって優しいよね・・・」 なぜそんな悲しそうな顔をするんだ、俺は君の笑っている顔がすきなんだ 曇った顔は、暗い顔は 「咲夜さん?なにか・・・」 「はは、なんでもないの、仕事に戻りましょ」 部屋を、出て行こうとした彼女の手を、握った、俺は彼女を引きとめた 「俺で、俺でよければ・・・話してください」 「そう、ね・・・私、好きな人がいるんだけどね、そいつは鈍くて、何処か抜けてるけど・・・とても優しいの、誰にでも・・・誰にでも優しいのよ」 咲夜さんに好きな人?俺は・・・いやだ、そんなのは嫌だ、でも・・・彼女は 「そいつ・・・幸せな奴ですね!咲く夜さんにこんなに想われてて」 黒い感情を押し殺した、でないと俺はきっと酷い事を言ってしまう、醜い 「・・・そうよ、こんなに想ってるのに、あの莫迦鈍くて・・・」 彼女の瞳を涙が濡らす、泣いている姿をみて、不謹慎にも、綺麗だと思った 「咲夜さん・・・泣かないで」 「誰のせいで泣いてると思ってるのよ!!ばかー!!!」 ぱしーん、と勢いよくびんた、そのまま彼女は走っていった いたい・・・なんで俺が 「誰のせいで・・・・鈍くて・・・誰にでも・・・・・・」 彼女の言葉を思い返して整理して 「え・・・俺?もしかして、もしかしなくて俺?」 いや、この結論に至った事を妄想乙とか言われても構わない 彼女の言葉からは、行動からは、それが最も正しい― 「はっははは、俺が・・・咲く夜さんが俺を」 生まれて初めて、嬉しくて泣いた、嬉しすぎて笑った 笑いながら泣いた、そして走って行った十六夜咲夜の後を追って走った ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 747・750 「なぁ咲夜、俺は・・・お前の事が―」 ぴぴぴぴぴぴぴがちゃ 「ん・・・夢だよね、あの人がそんな事・・・」 もう少し時計が鳴るのが遅ければ、あの人のセリフを 溶けるくらい甘いセリフが頭をよぎった、自分で恥ずかしくなった、馬鹿馬鹿しいと思って 「早く着替えなきゃ、仕事が」 すぐに着替え、身支度を済ませ仕事へと向かった 部屋を出た、瞬間何かにぶつかった 「きゃっ!」 どす、っと堅いものにぶつかった・・・あれ? 「大丈夫ですか!?咲夜さん?」 ○○さんの胸、らしい、頭のすぐ上から○○さんの声がする・・・ 「ご、ごめんなさい、私ったら急いでて・・・その」 あんな夢を見てすぐに○○さんに会っちゃうなんて、恥ずかしくて顔が見れない 「咲夜さん?どうしたんですか!?顔が赤いですよ?熱でも」 「大丈夫です、大丈夫ですから」 なんでもないからそんなに近づかないで!今は― 俯いてるのに○○さんの顔が正面に見えた・・・え? おでこが、おでこが あの例のあれ(おでことおでこで熱を測るの) ぱたっ 私は私の倒れる音を聞いた 「あ、メイド長、気がつきましたか」 「ここ、は?」 「医務室ですよ、メイド長いきなり倒れたんですよ?」 「そうだ、○○さんは!?」 とんだ失態を見せてしまった、というか恥ずかしくてしょうがない 「かっこいいですよねーメイド長を軽々と抱えて医務室まで来られたんですけど」 私が知らないうちに私はいい思いをしてたらしい、意識がないのが悔しい所ね 「すっごくあわててましたよー、お姫様抱っこって絵になりますよね」 おおおおお姫様抱っこ!??きゃー 「もう大丈夫ですよ、熱中症という事にしておきますから」 メイドはさっきからニヤニヤしている 「ニヤニヤしないでよ、私だって恥ずかしいんだから」 「あ、いえいえ、そういうことではなくてですね・・・メイド長、いえ咲夜さんは○○さんにとってとても大切な人なんだなぁって」 「な、なにを」 「だっていつもクールで優しい彼があんなに取り乱して、あれだけ思われてる咲夜さんが羨ましいですよ」 「そんなこと・・・ないわよ、彼は誰にだって優しいわ」 「・・・まぁいいですけど、思ってるだけじゃ思いは想いのままですよ?」 「・・・ありがとう、仕事に戻るわ」 「はい、がんばってくださいね咲夜さん・・・陰ながら応援させてもらいます!」 「ふふ、ありがと」 「これからどうなるかwktkしますね」 「わくてか?」 きにしないでください 「咲夜さん!もう動いて大丈夫なんですか!?」 「ええ、全然大丈夫です、すいません、朝から迷惑ばかり」 「いえ、咲夜さんが元気ならそれでいいんですよ!迷惑だなんて、ぜんぜん」 この人が私を好き?私の大好きなこの人が、私を好きでいてくれるの?本当に・ 「○○さん・・・今日は何時まででしたっけ?」 「仕事ですか?確か5時半までだったと」 「・・・6時に・・・中庭で、その・・・待ち合わせしませんか?」 「何か相談とか、ですか?」 「え、ええそんな所です、いいですか?」 「構いませんよ、それでは6時に中庭で」 その後はいつもどおりに仕事をした、仕事をすることで、少しでも気がまぎれればと思った 「メイド長!」 「な、なに?いきなり」 「○○さんを誘ったんですね~!」 「き、聞いてたの!?」 「聞いたんではありません、聞こえたんです、不可抗力であって自己の意思による選択の(ry」 「・・・今朝も言ったけど他のメイドには秘密だからね!?わかってる?」 「ええ、ちゃんと把握してますよ、こういう秘密は秘密にするからこそ面白いんですよ」 「・・・今夜は・・・がんばるわ、どんな結果であれそれを受け入れる」 「がんばってくださいね、私は咲夜さんを応援してますよ」 ほーほー ふくろうが鳴いてる、今は5時45分、私は少し早く来てしまった 待ちきれなかった、期待と不安に押しつぶされそうだった、早く楽になりたかった 楽になれるといいのにな 「せっかちさんですね、約束まであと十分ほどありますよ」 ○○さんが、来た 「呼び出しておいて遅れるの失礼だと思って」 「そうですか・・・それでなぜ私を?」 言おう、言うぞ、言えっ! 「私はっ・・・」 声が震える、上手く声がでない、なんで!? 「私は」 恐怖か不安か、黒い感情で声が震える、悔しくて涙が出た 今朝とは違う、衝突ではなく抱擁、私は、彼に抱きしめられた 「何があってどういうことなのかは解かりません・・・でも泣かないでください」 あったかい、人肌がこんなに心地いいなんて 「○○さん・・・私・・・あなたの事が好きです、大好きなんです」 「咲夜さん・・・俺も言いたい事があるんですけど、いいですか?」 「は、い」 拒絶か、怖くなって身構えた、衝撃で、壊れないように 「俺は、○○は、十六夜咲夜が好きで好きでしょうがない、大好きだ・・・だから」 「○○さん・・・」 また抱きしめられた、いや今度は違う、お互いに、抱きしめ合った 私は、私たちは、自然と、お互いの唇を求め合った 「・・・よかったですねメイド長!ぐすぐす」 遠くから二人の様子を見守っていたメイドがぼろぼろ泣きながら喜んでた レミリア様に朝早く咲夜の部屋を出て行く○○が目撃されてしまうのは別の話・・・ ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 807 「いらっしゃいませ~」 「こんにちは」 此処は調味料、珍味、漢方原料取扱店「ヰ茶主列度」 「こんにちは咲夜さん、今日は何をお求めですか?」 「パチュリー様の要望でね、この紙に書いてある物を」 「かしこまりました」 十六夜咲夜は既に買出しを終えたらしい、持っている荷物の量からするとうちが最後か 「大変ですね、買出しからお遣いから、館のあれこれ」 「もう慣れたわ、流石にね」 世間話をしながら商品を探し、揃えていく 守宮の尻尾~蜥蜴の青尾~♪コウモリこうもっり♪るるるー 「これで全部です、お化けきのこは切らしてるので、申し訳ない」 「じゃあそう伝えておくわ・・・」 …流石の咲夜さんもお疲れのご様子で 「これオマケしときますね」 「なにそれ?」 「栄養ドリンクヰ茶磨れすぺしゃる、です」 「…怪しすぎる、大丈夫よね?」 「少し飲んでみて駄目だったら門番か魔法使いに上げてください」 拳大ほどの瓶に容れられたワインレッドの液体・・・ とりあえず貰える物は貰う、ポケットにそっと仕舞った 「あの・・・えっと・・・来週がですね・・・その、休みなんですよ」 「久しぶりの休みですね、ゆっくり出来るといいですね」 「そうじゃなくて・・・その・・・よかったら、いえ、時間があればでいいんです!私と・・・その・・・」 ガラス細工を触るように、咲夜の唇に触れた、指だよ? 「お嬢さん、来週もしお時間が有れば、この私と、過ごしてもらえませんか?」 「あ・・・は、はいっ!喜んで!」 その晩、暗い部屋に一人、明かりを灯し瓶を眺める少女 「早く来週にならないかなぁ」 瓶の中で、真紅の液体がころがった ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 411 ドアの閉まる音に首を向けると咲夜が立っていた。 「あれ、レミリア様のところにいなくてもいいのか?」 「ええ。なんだか体調が優れないとか言って、早々に寝ちゃったわ」 「ふうん。――ま、座れよ。紅茶と珈琲どっちがいい」 「それくらいなら私が……」 「いいって、俺にも少しはやらせろよ。で、どっちだ?」 「じゃあ……紅茶。美味しく淹れなきゃだめよ」 悪戯っぽく咲夜は笑う。いつも張り詰めたままの表情も年相応に見えた。 震える手で紅茶を渡すと、微笑んでそれに口をつけた。 「まあまあね。ま、ぎりぎり及第点って所かしら」 「……厳しいなぁ。結構自信あったんだぜ?」 「自信があっても結果が伴うとは限らないのよ。精進することね」 「妙に実感篭ってるな…。――まさか咲夜も昔は?」 「何のことかしら?」 「はは、じゃあ気にしないでおくぜ」 月が照らす部屋で俺と咲夜は小さな声で笑った。 誰が聞くこともない、笑い声が部屋に染み込んでいった。 「なんで私がここに、とは訊かないのね」 「恥ずかしいからな。あえて、だ」 「ふふふ、そう。じゃあ、恥ずかしいついでに踊りましょうか」 「おいおい、俺はステップなんて知らないぜ?」 「大丈夫、私が教えてあげる」 「そうか、なら安心だな」 「今宵、私の時間は貴方のもの。踊りましょう、日が昇るまで」 ───────────────────────────────────────────────────────────
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紫16 うpろだ1133 愛してるわ、結婚しましょう。 信じられないな。 なぜ?私はあなたをこんなに愛しているのに。 一言で言えば胡散臭い。 でもあなたはここに居る、帰る機会も逃げ出す機会も、私を殺す機会だって与えたというのに。 お前が好きだからな。 ではなぜ私を拒むの? 自分の心も信じられない。 あなた自身が考えてあなた自身が決める事も信じられないの? お前が居るからな。 境界を操ったとでも言うのかしら? 可能性の話だ、もしかしたら吸血鬼に運命を弄られたのかも知れん、 ハクタクに過去を捏造されたのかも知れん、妖怪の賢者に心を操作されたのかも知れん。 そんなことないわ、私がそんな事させない。 だが保障はできまい、俺の心が俺のものであるという確証は無い。 では何故あなたは私の元に居てくれるのかしら。 お前が好きだからな。 矛盾しているわね。 人間なんてそんなもんだ。 焦れた私があなたを食べてしまうとしても応えてくれないのかしら。 そうしたいならそうすればいい。お前はそんな事しないと思っているし そうされたなら俺の見込み違いだ、大人しく腹に収めてもらおう。 捻くれた人間ね。 常識が通用しない事は十二分に見せてもらったからな、何も信じるつもりはない。 無論、この世界自体が「事故か何かで植物状態になった俺の見てる夢」という説も捨てん。 襲っちゃおうかしら、性的な意味で。 好きにしろ、心まではくれてやらん。 まったく・・・どうして欲しいの? 現状維持で構わん、こうして土を弄る仕事を全うして家族と一緒にうまい飯を食えるだけで俺は満たされている。 あら、家族だとは思ってくれるのね それすら偽装かも知れんがな 結局あなたは何も信じてないのね 信頼はしない、信用はしている。 あら、意外ね。 好きだからな、嘘でも作り物でも好意を持つ相手を無碍にできん。 それでも私の愛は受け取ってくれないのね。 好きだからな、嘘や作り物だったら俺は俺を許せない。 あなたを納得させるにはどうすればいいのかしら? さてな・・・・・・俺もそれが知りたい所だ。 ねぇ○○。 なんだ紫。 愛してるわ。 ありがとう、俺もお前を愛している。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1159 八雲家の縁側で紫の膝の上に乗っている○○ ○「どうして、紫さまって晴れてるのに傘持ってるの?」 紫「聞きたい?」 ○「うん」 紫「……本当に、聞きたいの?」 ○「え、う、うん」 紫「もしかしたら後悔するかもしれないけど、本当に聞きたいの?」 ○「え……じゃ、じゃあいいや……」 紫「あらそう。残念ねぇ、○○は私の事なんてどうでもいいのね……」 ○「や、やっぱり聞く!」 紫「本当に後悔したいのね?」 ○「ぁ、ぁぅぅ……」 困り果てている○○の頭を、紫の手が撫でる。 紫「冗談よ。ちょっとからかっただけ」 ○「うぅ……」 紫「そうね、私が傘を持っている理由ね……」 ○「…………」 紫「…………」 ○「ゆ、ゆかりさま?」 紫「……考えた事無かったわ」 ○「えぇ……」 紫「でも、一つだけ分かってる事はあるわ」 ○「?」 紫「いつでも貴方をこの中に入れる為よ」 そう言っていつも持っている愛用の日傘を拡げる。 その傘が、二人を太陽の光から遮断する。 ○「?」 紫「今はまだ分からなくて良いわ。その内分かってくるから、ね?」 紫が、後ろから○○の頬に口付けをした。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1166 夜風の吹く平地にて。俺と紫は対峙していた。 「今夜も負けることになりそうね?」 「いやさ、絶対勝ってやる」 二言三言、軽くやり取りをした後に俺は後ろに下がって間合いを取った。 「それじゃあまず私から、かしら?」 紫が取り出したのはスペルカード。俺自身も身構えた。 「まずは軽く試運転、か」 俺の周りを飛んでいたオレンジ色の球体に頭の中で命令を下し、右手の先に固定する。 戦いは、始まった。 *** *** 何故、こんな事になったのか。始まりは一ヶ月前の事だった。 突然紫が俺の家に押しかけてきて、『私と決闘するんでしょう?』と無理矢理連れ出されてしまった。 どういう事かまったくわからないため紫に質問すると、帰ってきたのは弾幕の嵐。……二、三日寝込むほどの重傷を負ってしまった。 その後に、ちょうど買い物の最中で顔を合わせた紫の式神に話を聞くと…… 数日前、宴会で俺は紫に決闘を申し込んでいたらしい。それも俺が勝つまで決闘は終わらない、との事。 宴会中の出来事……そう言われて俺は頭を抱えてしまった。俺はどうも酒に酔っている時の事は覚えていない性質らしく、前にも宴会後の朝に山の巫女が俺の隣で寝ていたというハプニングもあった。 まあ、アレは俺が山の巫女……東風谷を介抱していただけで、別に……そういうわけではなかったらしい。 式神に『悪いが決闘の約束を取り消して欲しいんだが』と頼んだ所、『構いませんが、……そんな事をしたら紫様に殺されますよ?』と帰ってきた。 誰が?と聞くと、『あなたがです。……それはもう楽しんでましたからね』と返ってきた。……なんのこっちゃ? 式神の話を要約すると、『俺は酔った勢いで紫に決闘を申し込み、なぜかは知らんがもうこちらから取り消しに出来ない』という事だ。 ……ここからはもう必死になった。絶対に勝たなければ俺が死ぬ。いろんな意味で。 幸い、俺の記憶の中に敵の弾を消せる能力を持った武器があったので、それを再現する事にした。 その武器……フォースは今、俺の右手に固定されて避け切れなかった弾を吸収させている。 「本当に、あなたのそれは反則よね?……普通の弾幕ごっこじゃないから使用を認めているけど」 「まあね。こいつの元になった作品では『無敵の武器』とまで称される位だからな」 紫の言葉に返す余裕は無いが、何とか口にする事は出来た。 「さて。……『形状変化 「チェーン・フォース」』!反撃させてもらうぜ!」 オレンジ色の球体の周り、ちょうど中心から真横の線上に三本のコントロールロッドが生まれ、右手の手首にリストバンドが装着された。そこから伸びるチェーンはフォースに繋がっている。 「それっ!」 紫に向けてフォースシュートを行うが、当然ながら避けられてしまう。 「……あら、これで終わりかしら?」 「いや?まだ攻撃は続いてるぜ?」 右腕を動かし、フォースにこちらに戻るよう命令する。……背中からの攻撃なら当たるはず。 「後ろからなんて、紳士的ではないわねぇ」 しかし、避けられてしまった。……それでも俺は慌てずに、フォースを紫の方に動かす。 「もう、こんな単調な攻撃じゃあ妖精でも避けられる……」 「そう言うと思ったよ。……ただ、一つ忘れてないか?」 ……何故数あるフォースから一番使いにくい、というかレーザーが一部役に立たないチェーン・フォースにしたか。それは…… 「ええ、この鎖のことでしょう?」 気付かれた!?すぐにチェーンを引いて紫を締め付けようとしたが時すでに遅し。隙間を使って逃げられていた。 そう。このチェーンにも当たり判定がある。……フォースだけでなくチェーンでも相手を攻撃出来るのだ。 「……どこに行った?」 チェーンと一緒に戻ってきたフォースを右手に固定し、辺りを見回す。 紫の隙間という移動手段は非常に手ごわい。いつ、どこから出てくるかわからない。奴が神出鬼没たるのも隙間があるからこそ…… 「……もう、言い当てられたぐらいで焦ってる様じゃあ失格よ?」 「っ!?『形状変化 「ミラーシールド・フォ……」 突然、耳元で紫の声が聞こえ、慌てて防御用のフォースを出そうとするが。 衝撃。……そして意識の暗転。 ……どうやら、弾を撃たずに殴ってくれたようだ。 *** *** ……辺りが騒がしい。これは、宴会の風景?えっと、確か、俺は紫と決闘中にぶん殴られて…… 『相変わらずひでぇな、この有様は』 俺の、声。……という事は、もう起こった出来事、なのか? 『あら、そう言うあなたも酷い顔よ?』 『言ってくれるな。宴は馬鹿騒ぎしてこそ宴だろ?』 隣にいるのは、紫。……なんで紫が俺の隣に? 『にしてもなぁ……最近俺には幸せってもんが抜けちまってんのかな……』 ふう、と俺はため息を付いて、紫に愚痴り始めた。 『この前の宴で、早苗ちゃん、だっけ?彼女が隣に寝ててさ。それで何をどう捉えたのか片方の神様は怒り狂って俺をボコボコにするしもう片方の神様は『子供はいつ生まれるの?』とか聞かれるし……』 『あれは結局、その子を介抱していただけだ、と本人が証明してたわよね』 『他にもな、大抵宴の後になんかしら不幸が舞い降りて来るんだよな……』 紫は何も言わない。……素面の状態で見てみると紫の顔にありありと『それは自業自得では?』と書かれていた。 『あ、そうだ。紫、お前らが住んでるマヨヒガって、そこの物を一つ持っていくと幸せになれるんだったよな?』 『ええ、それがどうしたの?』 『俺に一つくれ』 その言葉に、紫は少しの間呆けた後にクスクスと笑い出した。 『そんな事を言ってもねぇ……誰でもあの家に着いたら一つ持っていっていいのよ?』 『何だ、そんなに簡単なのか?……いや、簡単じゃないな。マヨヒガを探さなきゃならないし』 『確かに簡単ね。探すんじゃなくて迷えばいいだけですもの』 紫の台詞になんだ……と小さく呟いた後。俺はとんでもない事を言い出した。 『それじゃあつまらん。……そんなに簡単に幸せになるんなら、俺と紫で決闘でもして、俺が勝ったらその品をもらう、とかの方がいいな』 いやいやちょっと待て!そう俺に突っ込みを入れて、ようやくこの出来事が何なのかわかった。 これは、一ヶ月前に俺が紫に決闘を申し込んだ時の記憶だ。 『あなた、それは本気で言ってるの?』 『ああ、本気も本気。やっぱりそれくらいの苦労をしないと幸せを手に入れたって実感できないじゃん』 俺の馬鹿ー!何無責任な事言ってるんだー!そう心の中で叫ぶが届くわけが無く。 『……面白いわね。その決闘、受けて立ちましょう』 ……なんでこんな事を頼んでしまったんだ。俺の頭の中に後悔の二文字が飛び交う。 ……って、あれ?ふと疑問に思う事が一つ。この決闘、俺がこだわるならともかく、何で紫がこだわるんだ? その答えを考える間もなく、俺は現実に引き戻された。身体は地に伏せている。殴られたか倒れたときに打った頭が痛い。 「まだ、やるのかしら?」 「……ああ、当然」 すぐに立ち上がり、フォースを構える。 それにしても、何故だろう。紫は何故この決闘にこだわるのだろうか……? *** *** 数十分後、俺は地面に四度目のキスをした。 今度はもう体が持ち上がることが無い。肉体的に限界が近づいてきたのだろう。 「もう降参したらどうなの?あなたが死んだら元も子もないじゃないの」 確かにな。声が出せずに心の中で呟く。元はといえば俺の幸せのために始めた事だ。幸せを感じずに死ぬなんて…… 「そうよ、あなたが死んでは意味が無い。だから……もう、やめましょう?」 言葉を紡いだ紫の顔は……もう、泣きそうだ。まるで、童女のような…… ――じゃあさ、もし……俺が勝ったなら……――をくれ。 その泣き顔を見た瞬間、頭の中に響いた俺の声。 「……っは。は、ははは……ぁ」 まいったな。こんなタイミングで全部を思い出しちまうなんて……ついに、繋がらないと思っていた全部が繋がった。 俺が聞いたときのあのブチ切れようも、俺が決闘を断れない理由も。……今の、ガキみたいな泣き顔も。 だけどな、紫。……いや、だからこそ、か。だからこそ、負けるわけには、行かなくなったんだよ! 「――に、が――――のぉ、か……ぁ、だれ――――ら、なぁ、い――」 無意識のうちに、ある歌を口ずさんでいた。外にいたときに、好きだった歌を。 「た――ぇ、きずぅ、つ、いて――ぇもぉ……」 これを聞いていると、力が湧いてくる気がした。 「……ぃたみにた、ぁえて、たぁっ、ち、あっがれぇ――っ!」 だから、今も歌う。歌うしかないんだ。 「ねえ、まだ戦うの?もうあなたはボロボロなのよ?身体も心も疲れきってるのに……なんで立ち上がれるの?」 顔には出していないが、声が必死に俺を止めているように聞こえる。だけど…… 「かぁーこーのしがらーみにぃ……はばまれたとしぃてもぉ……」 離れて落ちていたフォースを呼び戻す。その行動でついに諦めたのか、紫は俯いて止まった。 「わかったわ……そこまで戦いたいなら、最後の命を削り取ってあげる。覚悟なさい……」 「こぉどぉうがはしりだすぅ――ぁあついはぁととぉきぃはなぁ――ってぇ――!」 紫がスペルカードを出した。……彼女の唇が、ごめんなさい、と言う様に動いた気がした。 「『弾幕結界』」 宣言と共に、紫を中心にしてまさに弾の幕が生まれた。……しかし、俺はそれに怯むことなく。 「『オヤスミ、ケダモノ ~last dance~』」 スペルの宣言をした。手に持つフォースの輝きが増し、赤い光が混ざる。 「せなかあーわせのぉ、せかいぃー、からまわぁーりでもぉ――」 弾の雨の中を掻い潜って進む。ただひたすらに、紫のもとに。 「ぜぇーつぼうが、おしよーせてもぉ――」 反射した弾がこちらに向かってくる。が…… 「たちむかえる、ひぃとりじゃなぁーい――!」 それを気にせず進み、足に被弾した。しかし痛みはもう感じない。……脳内麻薬が多量に出てしまっているのだろう。 「そらにちぃーったこぉころのぉ――さけびをぉ、むねにぃ――」 フォースの光が赤から白に変わった。すぐにフォースの固定を解除し、直接手で持つ。 「きぃーぼぉのみぃーちをつぅむいだ――」 右手の指先からボロボロになっていく感覚がわかるが、もう気にしない。後は…… 「こぉーのそらへとぉ――」 紫に…… 「あすへとぉ――」 限界まで…… 「みらいへぇ――――」 近づいて…… 「……と――――ぉ」 ただ、こいつを…… 「っべぇ――――――――――――!!」 ……ぶっ、放すッ! 最後に見えたのは、指先からボロボロと崩れていく右腕と、紫のちょっと驚いた、でもなんとなく嬉しそうな泣き顔だった。 *** *** ……ようやく思い出した、記憶の残滓。 『……面白いわね。その決闘、受けて立ちましょう』 いい暇つぶしが出来た、という風な顔で紫が言った。 『で、だ。ちょっと俺の要望を聞いちゃくれないか?』 『あら、幸せになれればそれでよかったんじゃないの?』 『まあ、そうなんだが……もらう側の俺が言うのもなんだが、ちょっとした注文だ。聞いてくれるか?』 その質問に、紫は少し悩んだ後に…… 『まあ、仕方ないわね。で、どんな物がお望みなの?』 肯定の答えを出してくれた。よしきた、とばかりに俺はしゃべりだす。 『じゃあさ、もし……俺が勝ったなら……お前をくれ』 『あら、そんな物で……って、え?』 どうやら俺の言葉を理解できていなかったらしく、紫が呆けた顔をした。 『だから、俺が欲しいのは『八雲紫』だっての。つまりお前。英語だとユー。関西弁だと自分。わかったか?』 珍しく俺の台詞をゆっくりと反芻して、一分位かけてようやく意味を理解したのか、顔を真っ赤にして俺から離れた。 『え、え、え、ええええっ!?』 『……ちょっと待て。いろいろと突っ込みたい所があるがそれはさておき。……なんで逃げる?』 『ちょ、ちょっと待って!そ、そんないきなりそんなこと言われても私には心の準備というものが……』 ……これがあの幻想郷一の妖怪、八雲の者か?なんともまあ、今の紫は見た目相応、もしくは見た目以下の少女に見える。 『別に、理にかなってると思うが?欲しい物は倒して奪え。それは世の理だろう?』 『で、でも……』 『おーい、さっきまで余裕綽々の大妖怪サマはどこへ行ったんだー?』 『あうぅ……もう、ばかぁ……』 *** *** 目を開けると、そこはどこかの屋敷の部屋。身体を起こそうとするが、ろくに動こうとしない。それどころか…… 「……っ、いだだだだだだ!」 痛みが走る始末。……こりゃしばらく安静、かな? 「……お、目が覚めたか?」 先ほどの叫びを聞き、やってきたのは紫の式神。 「あ、藍さ、いててて……」 「今は動くな。肉体修復をしたせいでリハビリなどが必要な身体なんだからな、お前は」 「え、リハビリ?」 「ああ、紫様がお前を連れてきたんだが、その時には肉体の半分以上が消滅していて、魂も剥がれかけていたからな」 その事実を聞き、俺は少し恐怖した。……そこまで凄かったんだ、俺の体。 「って、紫は、あいつはどうした!?」 痛みをこらえて藍の方を向く。少なくとも、俺のスペルを直撃していたはず…… 「それは……」 「自分で説明するからいいわ、藍」 藍の横から顔を出した子供がそう言って、俺が寝ている布団の近くまで寄ってきた。 「……あ、もしかして……お前、紫、か?」 「ええ、大正解。……ねえ、あなたが最後に撃ったスペル、あれはどういう物なの?」 子供、というか小さい紫に突然質問され、一瞬戸惑ったがすぐに答えを述べた。 「アレか?……俺の持ってたフォースの元になった作品の、『最後の一撃』を元に作ったんだ。すべての諸悪の根源を滅ぼす最後の一発。それがあのスペルなんだ」 「……やっぱりね。とりあえずそのスペルは使用禁止という事で」 「まあ、毎回毎回使えるわけじゃないしな、アレも」 あはははは、と軽く笑うと、紫がむっとした表情で俺に詰め寄った。 「違うわ。あのスペル自体が妖怪を簡単に殺せるからよ。……妖怪を殺せる物は、何も謂れのある武器だけじゃない。人間の強い『思い』も武器になるのよ」 「強い思い?」 「あなたの世界で有名な漫画の、あの槍もそう。一人の人間の妖怪に対する憎しみが昇華してどんな妖怪も一撃で屠れる様な強い武器になったんだから」 そう言われ、ああ、と俺は納得した。確かに、あの槍は家族を失った人間の憎しみによって生まれた。 「あなたの一発を受けて、私の体に風穴が開いたわ。……それだけならよかったけど、急に体の腐食が始まって大変だったんだから」 ちなみにこの身体は予備のものよ、とくるりと一回転しながら紫が言う。 「侵食を抑えて修復してはいるけど、いつになったら終わるやら。……あなたにはその責任も取ってもらわないと、ね」 「あ、ああ。そうだったな」 そうだ。俺は紫と約束をしていた。 「じゃあ、約束通りお前をもらうぜ、紫」 「ええ、喜んで身を捧げますわっ」 そう言いながら、紫は俺に飛びついて……あ。 直後、俺の絶叫が屋敷内に響いた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 新ろだ10 そろそろ紅葉が顔を見せ始める秋。 紅葉で着飾る山の麓にある一軒の真新しい家。 そこで生活する一人の男。名を○○と言う。 見た目は里に居る若者と変わらない。ただ、青年は退魔を生業としていたというだけ。 「もうすっかり秋だなぁ」 ○○は縁側から夕日と紅葉のコントラストを眺める。 手元にはお茶が入った湯飲み。ホカホカと湯気を立てている。 湯飲みに手を伸ばそうとした瞬間、空間がパックリと割れ、にゅっと現れたのは八雲紫。 彼女も起きたばかりなのか少々眠たそうだった。 「おはよう。紫」 「おはようございます。何年ぶりかしら」 「さあ、俺にはわからないよ」 「私たちに時間は関係ないもの。貴方はまだ布を取らないのですね」 目覚めるたびに交わされるこの挨拶。何度交わされたのかも分からない。 この挨拶を交わすたびに紫は○○の目を覆う、出所不明のマジックアイテムについて触れる。 「変わったことはあった?」 ○○は縁側に座布団を置き紫に手招きをする。いつの間にかお茶まで準備している。 「ええ、外の世界から二柱の神が引っ越してきましたわ。それから……」 「霊……の類かな」 「ええ、そうですわ。人では無くなったとはいえ退魔の者としての勘は鈍っていないようですわ」 「あはは、ありがとう。この勘があるから紫が来たらすぐに分かるよ」 「それは嬉しいことです」 「なあ、紫。俺さ、紫に出逢えて本当に良かったよ。目覚めて紫に逢う……」 「目覚めて紫に逢う。それだけでも俺は幸せだよ」 紫は○○の声色を真似て続きを言う。 「似てないよ」 コロコロと人懐っこい笑みを浮かべる○○ ――今の紫をこの目で見たい 静寂が二人を包む。 「貴方の瞳が見たいですわ」 「俺さ……」 紫は○○の頬に両手をあて、○○の膝の上に移り対面で穏やかな笑みを浮かべる。 ○○は湯気を立てる湯飲みを両手で持ち、自分の頬にある紫の手の上に自身の手を重ねる。 「怖いんだよ。この目がさ……」 呟くような独白。紫には筒抜けだろう。 「暖かい手……そう、私は貴方の瞳が忘れられませんわ。その瞳に何を写すのかしら」 「この瞳は……なんだろうね。俺にはわからないや。それより他人行儀な言葉遣いをやめてくれよ」 どの様な表情をし、どの様な髪型にしているか、紫に対する想いを馳せながら勤めて明るい声で言う○○。 「いいえ、そういう……」 左手は紫の腰にまわり、紫を抱き寄せる。右手は紫の頭を撫でる。 初めは啄ばむようなキス。唇を離せば見つめ合う。 今度は紫から。 お互いの唇を荒々しく貪り合い、唇を合わせる時間は重ねるごとに増える。 時間にして10分ほど。二人は再会を祝うように口付けを繰り返す。 「起きるのが遅れてごめんね。眠っている間、ずっと紫の夢を見ていたよ」 優しく、呟くように。 また二人の唇が重なり合う。 ○○の両腕は紫を優しく包み込むように、慈しむように。 そして○○からキスをする。 「どんな夢かしら」 紫の機嫌が戻って○○は笑みを浮かべる 「俺と紫の子供が出来る夢。紫に似て可愛い娘だったよ。だから中々起きれなかったんだよ」 「そう……(こ、子供!欲しいけど!欲しいけど!!○○に似て優しい子になってくれれば(ry)」 言葉少なめに、子供の姿を幻視したのか紫は笑みを浮かべる。 「そろそろ風が冷えてきたから中に行こうか。外野が三人ほどいるようだしね」 繋がれた手は、恋人つなぎ。 「そうしましょう、○○(ふ、二人っきり……素数を数えて落ち着きましょう。1、3、5、7……)」 「やっと呼んでくれたね、○○って」 紫に笑顔を向ける。 当の○○は真っ赤な顔をした紫に○○は気付かない。 感じたのは体温が少し上がったかな、くらいのものだろう。 ○○と繋いだ手に少し力が入った。 ○○の家の傍の木から覗くのはブン屋の天狗に九尾の狐さんにその式。 式の式は目隠しされているのは言うまでも無い。 じゃあ、と呟く○○。隣に座った紫の手を引き家の中へ。 当然のように○○の膝の上に座る紫。 「紫、結婚してくれない?」 「ええ。○○とずっと一緒にいたいもの(……けけけけけけけけっこん?今結婚って言ったわよね)」 「ありがとう、紫。愛してる」 「わ、わ、私もよ。……て……」 「ん?なんだって?」 「あ、あ、愛してるわって言ったのよ、○○(言っちゃった……とうとう言っちゃったわ……)」 「ありがとう、紫。これ、受け取ってくれないかな」 笑みを浮かべる○○ お互いに顔を赤くしながらも、差し出すシンプルなシルバーのエンゲージリング。 婚約指輪を眺める紫を後ろから優しく抱き締める○○ 「俺たちの境界は無くなったね」 「ええ、そうね」 そうして二人は再び唇を重ねる。 翌日の文文。の一面を飾ったのは『八雲紫氏婚約!』 八雲紫を知る幻想郷中の人妖が博麗神社に集まり二人の為だけに酒宴を開いたのはまた別の話。 fin ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1248 マヨヒガの邸宅から少し離れた森の中にある空き地、 そこに一人の青年がたっていた。 「……」 精神を集中させ、手から勢いよく弾幕を放つ。 ドガァ!! 弾幕は標的用に用意した岩を打ち抜いた。 間髪いれずにスペルカードを発動させる。 爆符「爆砕○穴」! お気に入りのアニメキャラの技を意識して自作した自慢のスペルカードである。 岩は粉々に砕け散った。 「ちょっと休憩するか」 倒木に腰掛ける。 「ここに来てもう3ヶ月くらいか」 青年○○は趣味の山歩き中に幻想郷に迷い込んだ。 そして、妖怪に襲われている所を八雲紫に助けられたのだ。 現在は居候させてもらい、恩返しのために家事手伝いなどをしている。 「見事なものね~」 声がした方に顔を向ける。 そこにいたのは秘かに思いを寄せているあのお方……。 「紫さん……」 「ちょっとお話しない?」 紫は○○の隣に腰掛ける。 「あなたすごいわね~。この短期間でスペルカードまで使えるようになっちゃうなんて…… あの弾幕も勢いがあって素晴らしいわ」 紫さんは笑顔で俺に話しかけてくる。 「ありがとうございます」 ○○は魔術の修行をしている。暇さえあればマヨヒガにある魔法関連の書籍を読み漁ったり、 この空き地で弾幕を放ったりしている。 「なんでそこまでがんばるの?」 「そ、それは……」 「あ、もしかして好きな子にアピールするため?」 紫さんは悪戯っぽい笑みを浮かべて問いかけてくる。 俺は図星を衝かれて心臓が跳ね上がった。 こうなったら正直に答えよう。 この方に嘘はつきたくない。 「紫さん……俺の話を聞いていただけませんか?」 しっかりと紫さんの目を見つめて、真剣な顔で話しかける。 「ええ……いいわよ」 紫さんも真面目な顔つきになり俺の顔を見つめる。 「あの方はとても力の強い妖怪です。でも俺はなにもないちっぽけな人間です。 だから、あの方は俺なんか見てくれないと思います。だから強くなりたいんです 強くなってあの方を振り向かせたいんです。そして、あの方のお傍に行きたいんです。 一緒にもっと近くでお喋りしたりお酒を飲みたい……。あの方を守りたい……。 一緒に戦いたい……」 3ヶ月間胸に秘めてきた思いを口に出す。 「……」 紫さんは表情一つ変えずに俺を見つめている。 はっきりと言うしかない! 「紫さんあなたのことが好きです!!妖怪から助けてもらったあの日からずっと……」 言い切ると俺は下を向いた。 こんな独りよがりな気持ちに答えてくれる筈がないな……。 でも伝えられただけで満ぞk ふわっ…… 突如、鼻に甘い香りを感じる。 俺は紫さんに抱きしめられていた。 「ゆ……紫さん!?」 心臓の鼓動が否応なしに高まってしまう。 ぎゅー 「紫さん苦しい!ギブギブ!!」 「あらあら、ごめんなさい」 熱い抱擁から開放された俺は紫さんの顔を見つめた。 紫さんの顔はほんのり赤かった。 「うれしくてつい……」 一瞬耳を疑った。 「そ……それってもしかしt」 紫さんは俺の唇に指先をあてて言葉を制した。 「あなたと一緒にお出かけしたり、お喋りしたり、晩酌したりするのがすごく楽しいのよ。 初めは只の人間としか思ってなかった。だけど、あなたと一緒にすごしている内に あなたのことをもっと知りたい、近くに感じたいと思うようになっていたわ。 ○○は人間、私は妖怪……相容れない存在……だけど自分の気持ちに嘘はつけないわ」 俺は嬉しすぎてどうにかなりそうだった。 「紫さん……」 「○○……大好きよ」 俺たちはお互いに口付けを交わし愛を誓った。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1332 「戸締りよし、火も消したし大丈夫だろう」 一通り家の中を見回り鍵の確認をする。 マヨヒガに迷い込んで暫く経つが、この幻想郷にも慣れてきた。 そして今も八雲一家にお世話になっている。迷惑ではないかと思ったりもしたが、むしろ新しい家族が増えてうれしいと言われた。 何の力も持たない俺が出来ることといえば簡単な手伝い、戸締りの確認だ。 意外にもこの行為が藍さんに喜ばれた。いつも戸締り、火の始末は彼女が行っていたそうで俺が代わりにすることで早めに眠れるそうだ。 まぁ、そこまで苦労させてる主の方に問題があると思うのだが…… 「くぁ……ねむ……」 あくびをかみ殺し布団に入って明かりを消す。 今日も一日おつかれさまでした。明日も良い日でありますように…………。 どたどたどたどたっ ……誰だ、夜中に廊下をドタバタ走るバカものは? チルノ……がここに居る訳ないしな。 ぼんやりとしたまま考えを巡らせていると元凶が襖を叩きつけるように開けて俺に飛び掛ってきた。 「ぐっいぶに~~~~んぐ!!」 アベシッ!? こ、こんなことするのは一人しかいないっ! 慌てて明かりを点けるとはたしてその元凶、八雲紫がそこにいた。 「い、いきなり何すんだっ! アンタはっ!!」 「む~、みんな眠っちゃってつまらないのよ~」 「橙は良い子ですし、藍さんは疲れているんだ。ゆっくり眠らせてあげましょうよ。 ってゆうか、つまらないからって人にフラングボディプレスするんですかあなたは」 「つ~ま~ら~な~い~」 聞いちゃいねぇ……。 「はいはい、わかりましたよ。付き合えばいいんでしょ、付き合えば」 「やったー○○話せるわー」 「じゃ、とりあえず何か飲むもの持ってきます」 「コップなんてまどろっこしいから一升瓶ごと持ってきなさい」 「いや、普通のお茶ですよ。こんな夜更けから酒盛りする気ありませんから」 「ぶ~。じゃあ戸棚の奥にある芋金つばとほうじ茶でお願い」 「わかりました」 台所に戻り、一旦消した火を起こしてお湯を沸かす。 そして戸棚を開けてお茶請けを探すと、たしかに金つばはあったが、藍さんの字で『とっておき。勝手に食べるな』と書かれていた。 ……まぁ怒られるのは俺じゃないからいっか。 二人分金つばを切り分けて湯呑みにお茶を注いで部屋まで持っていく。 できれば幽々子さんのところに行ってくれればこのまま眠れるのになぁと淡い期待を胸に襖を開けた。 「紫さん、お茶がはいり……」 そこには俺の枕を抱きしめて涎を垂らして眠っているゆかりんがいた。 ……まったくこの人は引っかき回すだけ引っかき回して勝手に終わらせるんだから困ったもんだ。 しかしそれでも許せるだけの何かを持っているんだよな、この人。 「う~ん、○○~」 「えっ、ちょっ!?」 俺は不意を突かれ枕の変わりに抱きしめられてしまった。 振りほどこうにも、がっちりと両手両足でホールドされて動けない。 こうなれば彼女自身を起こして解いてもらうしかない。 「ちょっと紫さん、起きてくださいっ……」 「ん~、いやぁ……」 「いやじゃなくて、って、えっ!?」 ごちゃごちゃとうるさい俺を黙らせるために紫さんは口づけをしてきた。 激しく、でも決して乱暴ではない舌使いにしだいに頭の中がボーッとしてきた。 俺が動きを止めたのがわかると口を離して、すりすりと匂いつけとするように胸に顔を埋めてまた眠ってしまった。 「はぁ……困った人だ……」 どうやら今日はこのまま眠るしかないようだ。 しかし、いい夢は見られそうだ。眠りに落ちる瞬間、彼女の寝言が聞こえたような気がした。 「ふふ、○○好きよ……」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1428 「また寝ているのか?」 未だ雪の白さが残るマヨヒガの八雲家(仮)。 縁側に寝そべっていた俺の顔を覗き込んで、藍様がそう言った。 「冬眠の季節ですから」 「莫迦。もう小春日和を迎えているよ」 「そういえば暖かいですね、最近」 「だから雪も溶けてるだろう」 「暖かいから、眠くなります。おやすみなさい」 「起きろと言っているんだ」 頭を蹴られた。あまり怒らせても後が怖いので渋々起きることにする。上半身だけ。 「こんな真昼から寝ているのは、お前と紫様くらいだよ」 「紫様、本当に良く寝ますよね」 「その紫様のお世話をするのもお前の仕事だろ」 今度は背中を蹴られた。そういえば今日は、紫様の布団を取り換える日だった。 冬眠中は布団が無くても全然起きないらしいが、そこは気分の問題というやつで、 俺や藍様は定期的に紫様の布団を新しいもの(洗って干したもの)と取り換えている。 「あ、そうだ。服はどうしましょうか」 「お前がやってくれるの?」 「無理です」 「なら、やらなくていい。明日私がやっておく」 貴婦人の衣服を一つ一つ丁寧に脱がし、一糸纏わぬ姿にさせた後、 その体から発せられる香りに耐えながら、手拭いで光る汗を拭き取り……俺には無理。 とりあえず仕事をする為、寝ぼけ眼をごしごしと擦りつつだるい体を引きずって紫様の部屋へ向かう。 後ろで藍様の大きな溜息が聞こえた。 ―――― 紫様の部屋の前に立ち、外と内を隔てる障子をそっと開けると、我らがご主人の寝姿が拝見できた。 以前布団を取り換えた時と変わりなく、ゆっくりとお休みになっておられる。随分と美しい寝顔じゃないですか。 「失礼します、紫様……」 部屋に入らせていただき、音を立てない様に障子を閉める。 さて、あまり女性の寝室にいるのも失礼だし、手際良く準備をしないといけない。 まずは襖を開けて新しい布団を引っぱり出し、床に敷いて綺麗に整える。いい仕事してますね。 次に紫様を起こさない様に(と言ってもまず起きないが)、その御身体をおそるおそる抱き上げる。 「……よっ、と……相変わらず、軽い……」 誰も見てないから良いものの、お姫様抱っこで眠り姫を寝床から抱き上げるなんて、どこの王子様だと言いたくなる。 ぶっちゃけ、結構恥ずかしい。紫様の太腿が柔らかいとか考える余裕も無いくらいだ。 「紫様、本当に冬眠中の栄養、足りてるんですか……?」 あまりの軽さに尋ねてみるが、当然答えてくれるわけも無い。 幻想郷にその名を轟かす大妖怪だし、俺が心配する必要も無いのだろうけど。 「………………」 それにしても、無防備に寝てるこの人も凄い。寝てる間に誰かに狙われるとか考えないのだろうか。 俺も男だし、もしかしたら理性のタガが外れて、どうこうしてしまうかもしれない。紫様を支える手にぐっと力が入る。 「……いかん、いかん」 余計な事は考えないようにして、紫様を新しい寝床に降ろし、掛け布団を羽織らせる。 どんな葛藤が俺に生まれようと、俺にこの役回りを押し付けたのは他ならぬ紫様。 折角信頼して頂いているというのに、それを無碍にするような人間にはなりたくない。 早急に仕事に戻り、手早く使用済みの布団からシーツを剥ぎ取る。それを洗濯籠に入れた、その時。 「仕事熱心ね」 何かが、聞こえた。背後から。 この声……俺の耳がおかしくなっていなければ、俺のご主人のものだ。 冬の間一度たりと聞かなかった程度で、敬愛するご主人の声を忘れたりはしない。 しかし振り向いてみると、彼女は相変わらず目を閉じている。起きる気配も無い。もしかして寝言だろうか。 「嫌いじゃないわ」 突然、おめめをぱっちりと開ける紫様。起きてたよ、この人。 「おはようございます」 「ええ、おはよう」 とりあえず挨拶して場を繋ぐ。何故、この時期に起きているのだろうか。 普段は春、しかも半ばにならないと起きてこないというのに。 「……まだ、冬ですよ」 「そうみたいね。寒いもの」 肩まで布団に入り、ちょこんと顔だけ出して答える紫様。 「では、何故に」 「だって、独り言がうるさいんだもの」 「え……!?」 独り言がうるさい。俺がぶつくさ言っていた事で、紫様の眠りを妨げていたらしい。 本来なら今も熟睡している筈だった、という事を考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 俺の心を埋め尽くす罪悪感。 「というのは、冗談」 「……?」 「独り言なんて、全然聞いてないもの。今起きたところだし」 紫様、驚かさないで欲しいです。今まさに本気で土下座の準備をしていたところです。 「本当は、なんとなく起きちゃっただけなの。どうしてかは分からないけど」 「なんとなく、ですか……」 「眠りから覚める時にはよくある事よ。次の日の出来事が楽しみで、眠りが浅かったり」 小さい頃、遠足に行く前日は興奮して眠れなかったものだが、それのことだろうか。 「紫様も、何かを楽しみにしつつお眠りになられた?」 「うぅん……ああ、そういえば」 どうやら心当たりがあったらしい。 「贈り物」 「贈り、物?」 「貴方が、毎年くれるでしょう」 贈り物……あれだろうか。 俺は外の世界の風習を今でも多少なりと引きずっていて、 (外界で)何かしら行事がある時期には、毎年それに因んだ物を紫様達にプレゼントしている。 無論幻想郷の住人からすれば、奇異な行動にしか映らないだろうけど。 「でも、今年は無いみたいね」 紫様は、ちらっと周りを見回して、悲しげな顔をした。 藍様や橙と違い、紫様が冬眠の習慣をお持ちなのは周知の事実。 だから、クリスマスプレゼントやホワイトデーのお菓子といった冬に渡すようなものは、 春にお目覚めになる際に枕元にまとめて置いておくのが、ここ数年のお決まりとなっている。 「いえ、ありますよ。毎年、春になってからここに置かせていただくので」 「あ、やっぱりあるのね」 ころっと反転して、嬉しそうな表情の紫様。毎回プレゼントの中身は大したものではないが、 あれを楽しみにしてくれていたと言うのなら、俺も無い銭を叩いた甲斐があったと言うものだ。 「だけど……今年は更に、特別良い贈り物が待っていてくれたわ」 「……?」 紫様は、プレゼントの中身を知らない筈だ。それに今年に関しては、俺は他に何も用意していない。 今すぐに渡せそうな物と言えば、向こうの世界から持ってきたデジタル時計か携帯電話くらいなのだが。 「申し訳ないのですが、特別良い物なんて……」 「もう、何言ってるの? ここにあるじゃない」 次の瞬間、腕を紫様に引っ張られ、体ごと彼女の布団の上に倒れてしまう。 粗相してごめんなさい。食べないで下さい。でも温かいし、柔らかい。 「長い眠りから覚めた時、そこに好きな人がいる。私にとって、こんなに嬉しい贈り物は他に無いもの」 ―――― 「やれやれ、遅いと思ったら……」 「あ、藍様。これは……」 「いい、何となく分かるから」 藍様が呆れたように俺達を見ている。一つの布団に二人で抱き合って寝ている俺達を。 「蹴飛ばしても起きない紫様を起こすなんて、お前も大したヤツだな」 紫様は本当に寝ているのだが、藍様は紫様が一度起きたと分かったらしい。 何をもって見分けたのかは分からないが、流石に付き合いが長いだけある。俺も見習わなくては。 「って、蹴飛ばしてたんですか?」 「お前がここに来る前は、よくやってた」 「可哀想な紫様……」 「あれ、私が悪役なのか?」 付き合ってられん、といった様子の藍様。まあ無理もない。 「起きた以上、春まで寝られても困るわ」 「それは俺も困ります。抱き枕にされてるんで、俺が餓死してしまう」 「だから、晩御飯までは寝てていいぞ」 「今すぐ紫様を起こす、って選択肢は?」 「……そんな幸せそうな顔を見て、蹴飛ばす気になるものか」 藍様はくくっと笑うと、逃げる様に何処かへ行ってしまった。 このいかにもな空気に耐えられなくなったのだろうか。 確かに藍様の言う通り、紫様は幸せそうだ。しかし、俺はまだ紫様に返事をしていない。 今だって、一方的に好きだと言われて、そのまま成り行きで一緒に寝ているだけだ。 それなら、言うしか無いだろう。ずっと恋い焦がれていた女性に、好きです、って。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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幸組飲み会 ある村から命からがら逃げてきた3人。 どうやら、何やら、あの日過ごしただけでは計り知れない何かを抱えてるらしい。 なので今夜は飲みに行くぞ! アルコールの力を借りれば、腹を割って話せるんじゃないか? 参加者 ▼ハン卓/KP:そんなものは居ない 長良木 水緒 / 牛ちん 霜浦 柚 / 草ちゃん 辻 美鶴 / 朱絽 ログ ▼ハン卓ログ +2019.12.16 KP :ある日突然、桃源郷へと飛ばされた3人は、飲みの約束を取り付け、都内のとあるバーにて落ち合うことにした。 霜浦 柚 :ここで合ってるかな~…? 辻 美鶴 :おーいちゃん柚~!こっちこっちー(手を振る) 霜浦 柚 :みつるさん!お久しぶりです~その説はどうもどうも…(ぺこぺこ) 長良木 水緒 :「仕事が立て込んでいるので遅刻します。先に始めてください(らいん)」 辻 美鶴 :久しぶり。元気そうでなによりよ。 辻 美鶴 :はぁ~残業モンスターに食べられてるってさ、長良木さん。 霜浦 柚 :ながらきさん…私もお世話になってましたけど、忙しそうでした… 霜浦 柚 :早めにかたづくといいですねえ 辻 美鶴 :まーお医者様ですものね....仕方ないか。 バーテン :お二人様、ご注文はいかがなさいますか? 辻 美鶴 :そうか、ちゃん柚は長良木さんとこ通ってたんか。 霜浦 柚 :そうなんです~。私はオレンジジュースで~! バーテン :かしこまりました。そちらのお客様は? KP :バーテンは注文を聞き終えると KP :聞き終えてないですね… 辻 美鶴 :んじゃースクリュードライバーで バーテン :かしこまりました。少々お待ちください。 霜浦 柚 :みつるさんは…帰ったあと、大丈夫でした? KP :バーテンは注文を聞き終えると、カウンター裏のキッチンでせっせとお酒を作り始めた。 辻 美鶴 :んーまあ、まあ....大丈夫。家族には心配されたけど...。 霜浦 柚 :CCB =50 心理学 Cthulhu (1D100 =50) → 73 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =65 心理学 Cthulhu (1D100 =65) → 80 → 失敗 霜浦 柚 :心配…?大丈夫なら何よりですけど… 辻 美鶴 :帰りが遅いって、携帯もつながらないって...そんな感じ。 霜浦 柚 :あの…私はなんかちょっと…ええと…桃の香り?が苦手になっちゃって 霜浦 柚 :もしそういうの…みつるさんもあったりしたら、無理しないでくださいね 辻 美鶴 :あたしも流石に桃タルトは食えなかったわ...。今日は桃系頼まないようにするね。 霜浦 柚 :そっか、しばらくスマホ使えませんでしたしね… 長良木 水緒 :「終わりました。今から向かいます。(らいん)」 霜浦 柚 :桃以外においしそうなものにしましょう~! 辻 美鶴 :「(いそげ!のスタンプ)」 霜浦 柚 :ふふ、急かしてる 辻 美鶴 :おーけー!柚ちゃん飲みたいのあったら頼んでいいよ。あたし残り飲むからさ。 霜浦 柚 :えっほんとですか?うーん何がいいかな~ 辻 美鶴 :へへへ~何がいいんだ~?おじさんなんでも奢っちゃう。 バーテン :お待たせいたしました。オレンジジュースのお客様。 KP :バーテンがそういうと、オレンジジュースが柚の前に置かれた。 KP :コップにはオレンジの切れ端が添えられ、底の方にはつぶつぶとした果肉が見える。 KP :搾りたてと言ったところだろうか。 KP :鼻につんと来る酸っぱい香りが、柚の嗅覚を刺激した!!!! 霜浦 柚 :ふわ~~おいしそう!!なんか高級ですねえ… バーテン :そして、こちらはスクリュードライバーになります。 KP :スクリュードライバーが美鶴の目の前に出される。 KP :柚の頼んだオレンジジュースよりも、黄色みを帯びた鮮やかな色だ。 KP :柑橘系の香りの中に、ウォッカの独特な癖のある香りもする。 霜浦 柚 :写真撮ってもいいですか?へへ… 辻 美鶴 :やったーきたきた!あたしも撮ろー バーテン :是非、どうぞお撮りください。 霜浦 柚 :CCB =30 写真術 Cthulhu (1D100 =30) → 78 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =10 写真術 Cthulhu (1D100 =10) → 30 → 失敗 霜浦 柚 :あれえ?あんまりきれいに映らないものですねえ KP :店内が暗いせいだろうか…あまりよく撮れなかった 辻 美鶴 :照明に近づけなきゃダメかな... 長良木 水緒 :「どこに座ってますか?(らいん)」 霜浦 柚 :まあいっか~!ながらきさんが来たら乾杯しましょう 辻 美鶴 :「奥の方!」 霜浦 柚 :来るかな?…あ、いた~。ながらきさーん(手をふる) 長良木 水緒 :お待たせしました。遅くなってすみません。 辻 美鶴 :お疲れ様でーす!何飲む?スピリタス? 霜浦 柚 :お疲れ様です~。 KP :長良木参上!!!! バーテン :お連れ様でございますか?大変失礼いたしました。ご注文をお伺いします。 長良木 水緒 :お疲れさまです。さすがにそれは遠慮しておきましょうか 長良木 水緒 :カミカゼをお願いします。 KP :かしこまりました。すぐにお作り致します。 辻 美鶴 :やるぅ バーテン :(シャカシャカ) 長良木 水緒 :美鶴さんは軽いお酒から始めたんですね 辻 美鶴 :最初はね。飛ばしすぎもよくないかなって。 霜浦 柚 :(てすと) 辻 美鶴 :あたしは今日、2人の柔らかいところを突きに来たので、見届けるまで酔うわけにはいかない。 霜浦 柚 :ええ…?柔らかいとこって…お腹はだめですよ!? 霜浦 柚 :(お腹を手で隠す) 辻 美鶴 :じゃあ二の腕はいいのね?(ムギュ) 長良木 水緒 :お手柔らかにお願いしますね 霜浦 柚 :アギャーーッ 長良木 水緒 :(温かい目ー) 辻 美鶴 :よきかな(にぎにぎにぎにぎ) 霜浦 柚 :うう…ひどいわみつるお姉さま… バーテン :お待たせいたしました。カミカゼでございます。 KP :ごろっとした氷によく冷やされたお酒が美味しそうだ!!ライムも添えられている!!! 辻 美鶴 :減るもんじゃないし、いいだろぉ~? 霜浦 柚 :ああっほらっながらきさんもお酒来ましたからあ~~ 長良木 水緒 :ありがとうございます。さぁ乾杯しましょうか。 辻 美鶴 :お、はいはい。(お酒持ちましょ) 霜浦 柚 :はーい、じゃあかんぱ~い! 辻 美鶴 :かんぱーい♪ 長良木 水緒 :乾杯。 KP :チン 辻 美鶴 :はぁー労働の後の酒はうめぇな。 霜浦 柚 :(ごくごく…)わあ~オレンジ濃い!そのまま飲んでるみたい 長良木 水緒 :先ほどの激務が嘘のようだ。たまには酒もいいですね。 辻 美鶴 :普段あんまり飲まないの?長良木さん。 長良木 水緒 :ええ。仕事に響くと面倒ですからね。 辻 美鶴 :そうか...酔いどれ医者は勘弁してほしいな...。長良木さんはあの日、帰った後大丈夫でした? 長良木 水緒 :吐き気と頭痛と酷いものでした。しかし無事に帰れただけでも感謝しなければ。 長良木 水緒 :本当にありがとうございます、美鶴さん。 辻 美鶴 :幻聴とか、幻覚とかさ...。 霜浦 柚 :私も、改めてありがとうございます。 辻 美鶴 :あ、いえいえ...あれは長良木さんの薬のお陰だしさ。こちらこそ、ありがとう。 霜浦 柚 :二人がいてくれてよかったです…本当に 長良木 水緒 :しかし危なかったとは言え、薬を使ってしまったこと後悔していました。 辻 美鶴 :....そんなにやばいやつなの? 長良木 水緒 :鬱病患者や精神病患者に投与する薬です。健常な人間に使うものではありませんよ。 辻 美鶴 :ぐ、具体的にはどんなことになってしまうんデスカ....? 霜浦 柚 :でも…あの時は誰も健常じゃなかったですもんね… 長良木 水緒 :それはそうですが…副作用で脳障害もあり得ます。 霜浦 柚 :ひええ!みつるさん頭大丈夫ですか!? 辻 美鶴 :こっわ....そんなの持ち歩いてるの? 霜浦 柚 :あっなんかこれだとすごい失礼な言い方になっちゃった… 辻 美鶴 :ちょっと失礼だぞちゃん柚.....頭大丈夫だわよ...。 霜浦 柚 :よかったあ~~ 長良木 水緒 :(ほほえましい目) 辻 美鶴 :まさか柚ちゃんにもそれ処方して...? 辻 美鶴 :(疑いの目) 長良木 水緒 :してませんよ。簡単にお話を聞いただけです。ね?柚さん。 霜浦 柚 :はい~。色々聞いてもらうのって大事ですね 辻 美鶴 :カウンセリングか、よかった。 長良木 水緒 :柚さん、途中から雑談ばかりでしたが… 霜浦 柚 :えへ…ついつい… 辻 美鶴 :何話したの? 霜浦 柚 :何話しましたっけ…色々言ったような気がして覚えてないや… 辻 美鶴 :長良木さぁん?(覚えてるでしょ?の目) 霜浦 柚 :なんか変なこと話してました!?私‥ 長良木 水緒 :元カレの話ばかりでしたね 辻 美鶴 :詳しく。 霜浦 柚 :ええ?ばかりってことはない気がしますけどぉ~… 辻 美鶴 :どんな人だったの?おねーさん知りたい。 長良木 水緒 :食べ物の話と元カレの話が8割でしたね。この話はしてもいいんですか? 霜浦 柚 :あれ~…?あ、全然いいですよ~ 辻 美鶴 :店員さん、ダイキリひとつ(小声) 霜浦 柚 :聞いてくださいよ~元彼なんですけど、料理が下手って言ってフってきたんですよ! 霜浦 柚 :元々向こうが付き合おう~みたいなの言ってきたくせに、勝手ですよねー! バーテン :かしこまりました。お待ちください。 霜浦 柚 :私だって頑張ってお料理したのに…ひどいですよねえ 霜浦 柚 :ぶつくさ… 辻 美鶴 :おうおう、溜まってんな...。料理ぐらいお前が作れってんだよなぁ、よしよし。 霜浦 柚 :ほんとですよお~~みつるさんはやさしい~~ 霜浦 柚 :(すりすり) 長良木 水緒 :(2週目なので温かい目) バーテン :(シャカシャカ)(ちょっと笑っている) 辻 美鶴 :器がなってねぇな。あたしだったら不味くても食う。 霜浦 柚 :かっこいい…♡ 長良木 水緒 :男前ですねぇ 辻 美鶴 :どや....(どや顔) 霜浦 柚 :いいなあ~みつるさんみたいな人が彼氏だったらいいのに~ 霜浦 柚 :いいひといないかな…しばらくはいいけど… 辻 美鶴 :お嫁にくるか~?あたしは尽くすタイプだぞ。 霜浦 柚 :えっいいんですか~!?お掃除とかは頑張りますよっ(ガッツポーズ) 長良木 水緒 :美鶴さんはお料理得意なんですか? 辻 美鶴 :まあほら、世の中男なんて35億いるしさ。...てあれ、マジ? 辻 美鶴 :んー料理な...まあ、人並みには作れるぞ。 霜浦 柚 :いいなあ~。よかったら今度教えてください~ 辻 美鶴 :凝ったのはムリだけど、一人でも生きていけるぐらいには...。 辻 美鶴 :んふふ、おしえたげる。 霜浦 柚 :わあい!がんばります~! 霜浦 柚 :あっ、バーテンさんソルティードッグおねがいします! バーテン :かしこまりました。ソルティードッグですね。 辻 美鶴 :ちなみに何作ったの?柚ちゃん。 霜浦 柚 :えっと‥オムライス! 霜浦 柚 :あと…お肉のハーブ焼き。すごい顔されちゃいましたけど 辻 美鶴 :.............どこに失敗する要素が? 長良木 水緒 :おいしそうなメニューじゃないですか。 霜浦 柚 :私も特に…そんなにまずいかな~?て思ったんですけどね… 霜浦 柚 :おいしくなかったみたいです。 辻 美鶴 :逆に食べてみたいな.........。 霜浦 柚 :うーん…頑張ってみますね…? 霜浦 柚 :ながらきさんはお料理するんですかー? 辻 美鶴 :聞きたいなぁー。 長良木 水緒 :お恥ずかしながら、外食ばかりですよ 霜浦 柚 :そっかあ…お忙しそうですし、作るのも大変ですもんね 辻 美鶴 :外食ばっかの割には痩せてますなぁあんちゃん。 KP :話が弾んでいるさなか、ダイキリとソルティードッグが柚と美鶴それぞれに提供される。 KP :ソルティードッグは乳白色のお酒だ。 KP :広めのグラスの縁には塩が振りかけられており、グレープフルーツのさわやかな香りがする。 KP :また、小さめのカクテルグラスに注がれた、透明でキラキラとしたお酒が美鶴の前に出された。 KP :フレッシュなライムの香りがわずかに漂ってくる。 長良木 水緒 :1人分というのがなかなか面倒で…結構食べてるつもりなんですけどね… 辻 美鶴 :ありがとうございますー、美味しそう! 霜浦 柚 :ありがとうございます!飲んでみたかったんだ~これ… 辻 美鶴 :結構食べてるのに痩せてるパターンか?うらやま....。 霜浦 柚 :確かに~。一人分って労力に見合いませんよね… 霜浦 柚 :CCB =24 酒ェ!CON対抗 Cthulhu (1D100 =24) → 96 → 致命的失敗 霜浦 柚 :わあ~~なんか…わあ…ぽかぽかしてきた… 辻 美鶴 :はぇえな?? 長良木 水緒 :早いですね…一口では…? 辻 美鶴 :おねーさんによこしなさい、ほら。 霜浦 柚 :ふへ~~あげます~~どんぞ~! 長良木 水緒 :バーテンさん、彼女に水を バーテン :お冷、こちらになります。こちらのお客様だけでよろしいですか? 霜浦 柚 :あひがとうございます~~…(ごくごく)つめたいおいしい… 辻 美鶴 :あ、普通に離してくれる子で助かるわ。(ソルティー強奪) 辻 美鶴 :あたしはまだいいかな。(お水) 長良木 水緒 :大丈夫です。ありがとうございます。(みず) バーテン :かしこまりました。ピッチャーをこちらに置いておきますね。(グラスとピッチャーおいとく) 辻 美鶴 :長良木さんすすんでます?店員さん、梅酒のロック二つ! バーテン :梅酒ですね。少々お待ちください。 辻 美鶴 :あたし好きなんですよね、梅酒。 長良木 水緒 :飲んでますよ。ロックか…久々だな… 辻 美鶴 :いつもは....ソーダ割? 長良木 水緒 :私も好きですが、いつもは水割りですね 辻 美鶴 :おや、炭酸は苦手かな?すっきりしていいよね、水割りも。 長良木 水緒 :炭酸も好きですよ。ウィルキンソン、いつも飲んでます。 辻 美鶴 :あれ強くない? 長良木 水緒 :シャッキリするから好きなんですよ 辻 美鶴 :あぁー....眠い時に最適なやつだ....。 長良木 水緒 :今こそ柚さんに必要なものですね 辻 美鶴 :確かに。 バーテン :お待たせしました。梅酒ロックになります。 KP :梅酒のロックが2つ。美鶴と長良木の目の前にそれぞれ出される。 KP :梅の強い香りが一瞬鼻を刺したが、すぐにさわやかな香りへと変化する。 KP :酸っぱい匂いが唾液腺を刺激した!!!! 辻 美鶴 :わぁい来た!長良木さんかんぱーい! 長良木 水緒 :乾杯 霜浦 柚 :ふへー…(ぼやぼや) 辻 美鶴 :んん~♡やっぱ最高! 辻 美鶴 :ちゃん柚、たくさんお飲み。(水の入ったグラスをカンッ) 霜浦 柚 :ふぁ~いかんふぁ~い 辻 美鶴 :CCB =88 酒だオラ! Cthulhu (1D100 =88) → 41 → 成功 辻 美鶴 :水の水割りはうまいか~? 霜浦 柚 :(ぐびぐび)…おいひ~~!! 辻 美鶴 :あかんな。 長良木 水緒 :ダメですね。 辻 美鶴 :柚ちゃん、体重いくつ? 霜浦 柚 :たいじゅう…たいじゅうはあ~~~… 霜浦 柚 :40kg台になりた~い! 長良木 水緒 :(耳塞ぐ) 辻 美鶴 :それは軽すぎじゃないかぁ?すげー酔ってる.... 霜浦 柚 :べろべろ…でろでろ…(ぐでえ) 霜浦 柚 :みつるしゃ~ん結婚して… 霜浦 柚 :およめにもらって… 辻 美鶴 :軽率にそんなこと言わないの....(なでなで) 長良木 水緒 :CCB =60 Cthulhu (1D100 =60) → 15 → 成功 霜浦 柚 :んふ~きもちい~… 長良木 水緒 :小動物… 辻 美鶴 :困ったら養ってあげるわ。(わしゃわしゃ) 霜浦 柚 :みつるしゃんしゅき… 辻 美鶴 :お、おう...。 長良木 水緒 :熱烈なラブコールですね、美鶴さん 霜浦 柚 :ながらきしゃんもしゅき… 辻 美鶴 :精神科医どうにかしてよ。 辻 美鶴 :お。 長良木 水緒 :はは…ありがとうございます。泥酔患者は専門外ですかね… 霜浦 柚 :ふふ…すぴ~…… 辻 美鶴 :照れてる?(長良木しゃん) 長良木 水緒 :まぁ… 辻 美鶴 :へ~~~~え?んふふ 辻 美鶴 :ね、寝とる.....。(つんつん) 長良木 水緒 :コート、掛けてあげてください(みつるさんにこーとわたすー) 霜浦 柚 :すぴぴ…… 辻 美鶴 :あら、やさし。(コートかけたげよ) 辻 美鶴 :てんいんさーん、梅酒おかわり。二個ね。 長良木 水緒 :私は水割りで 辻 美鶴 :ロックで。 辻 美鶴 :二個ともロックで。 バーテン :かしこまりました。 バーテン :お2つ、ロックで。 長良木 水緒 :・・・。 長良木 水緒 :酔ってたり、しません…? 辻 美鶴 :いいえ~?口を割ってほしくってなんてそんな....? 長良木 水緒 :…。 辻 美鶴 :聞きたかったの。あの時、あなたは何もしゃべれなくなってたから...。 辻 美鶴 :なんか、重いもの抱えてるのかなって。 長良木 水緒 :期待しているほど、大したものではありませんよ 辻 美鶴 :そう?まあ無理に話してとは言わないんだけどさ...。 辻 美鶴 :ごめん、聞いちゃってさ。お父さんと何かあったの? 長良木 水緒 :父とは…疎遠でしてね… 辻 美鶴 :疎遠...なの。ずっと話してないとか? 長良木 水緒 :昔から父のことが苦手なんです。何を考えているのか理解できなくて…。 辻 美鶴 :ははぁ、まあ...親子と言えど全ては分からないもんだけどね...。 辻 美鶴 :大丈夫?ひどい事とか、されてない...? KP :梅酒ロックのおかわりが2人の前に置かれる。一緒に出された豆皿に、小さなカリカリ梅が3つ乗せられている。 長良木 水緒 :酷い…ということはありませんでしたね。 辻 美鶴 :そか、それはよかった。 辻 美鶴 :やった、カリカリ梅だ! 辻 美鶴 :ささ、飲んで! 長良木 水緒 :いただきます。 長良木 水緒 :では、私のつまらない話はこの辺で。美鶴さんのご家族の話を聞かせてください。 辻 美鶴 :えーなんで?!終わり?もっと聞かせて...? 辻 美鶴 :あたしの家族の事はいいからさー。 長良木 水緒 :面白い話ではないですから、美鶴さんの楽しい話を聞かせてください 辻 美鶴 :えっ、え...面白いとか面白くないとかじゃなくてさ...?ほら、よかったら相談にのるよーって... 辻 美鶴 :いやお節介なのはわかってるんだけどさ...。 長良木 水緒 :素面では喋れそうにない…か…。……口が滑るようにしましょうか…(ロック一気飲み) 辻 美鶴 :ほほう、望むところだ。(同じく一気飲み) 長良木 水緒 :CCB =40 Cthulhu (1D100 =40) → 82 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =60 酒だ酒だオラァ!! Cthulhu (1D100 =60) → 39 → 成功 辻 美鶴 :どうかしら?喋る気になったかしらぁ? 長良木 水緒 :ふぅ…慣れないことをしました…。これは…回りますね…。 辻 美鶴 :お水、あげますよぉ?(グラスに注いで渡すけども) 長良木 水緒 :(ぐびー) 辻 美鶴 :聞かせてよ。その、面白くない話。 長良木 水緒 :本当に面白くない話ですよ… 辻 美鶴 :いーのいーの。 長良木 水緒 :父は…厳しい人でした…。医局の幹部で、その椅子に私を座らせたかったみたいで…。 長良木 水緒 :小さい頃から勉強ばかりで…不出来な私は怒られてばかりでしたね…。 辻 美鶴 :親の押しつけね....。自分の子供だからって、同じことができるとは限らないのに...。 辻 美鶴 :そんな環境で医者になったって、ずっと親のことがチラついて仕方がなさそう。 長良木 水緒 :病院にいる限りそうですね…ずっと怖いですよ 辻 美鶴 :嫌ね。そんな毎日押しつぶされちゃう。 辻 美鶴 :子は親を選べないのが辛いわね。親も子を選べないけど...。逃げたい、とは...思わなかった? 長良木 水緒 :今すぐにでも父のいる病院から逃げ出したい…そう毎日思っていますよ。 長良木 水緒 :精神科医を選んだのは父への、せめてもの反抗です 辻 美鶴 :そうよね...。いつか自分の病院つくりましょうよ。 辻 美鶴 :でも、ちゃんと医者になれたのだから、長良木さんは偉いね...。尊敬する。 長良木 水緒 :人から褒めてもらうなんて何時ぶりですかね…不思議な気分だ… 辻 美鶴 :ふふ、あたしでよければ沢山褒めますよ?えーと、眼鏡が素敵! 長良木 水緒 :眼鏡…眼鏡…ね…。(はずす) 辻 美鶴 :どう、....ん? 辻 美鶴 :CCB =50 目星 Cthulhu (1D100 =50) → 100 → 致命的失敗 KP :次の酔っぱらい判定が40になりました 長良木 水緒 :伊達、ですよ 辻 美鶴 :おわ、そうなの?ど、どうして....。 長良木 水緒 :目を合わせるのが苦手でね 辻 美鶴 :ほほう...目を合わせるのが.....。 辻 美鶴 :CCB =65 心理学 Cthulhu (1D100 =65) → 15 → 成功 長良木 水緒 :CCB =35 心理学 Cthulhu (1D100 =35) → 93 → 失敗 辻 美鶴 :嘘ついてる、でしょ? 長良木 水緒 :…。 辻 美鶴 :視線が泳いでたけど....それ以外の理由があるんじゃないかなって。 辻 美鶴 :伊達かぁ...見えてる訳ね。(顔のぞきこんだろ) 長良木 水緒 :…目を合わせたら、また叱られる。そう思ってしまうんです。(めそらしー) 長良木 水緒 :(びっくり) 辻 美鶴 :....ごめん。(正面むいとこ) 辻 美鶴 :大丈夫よ、あたしも、柚ちゃんも...目を合わせても叱らないからさ。(柚ちゃん肩ぽん) 辻 美鶴 :笑顔なら怖くないでしょ?ほら、へへ 霜浦 柚 :すよよ…ん~~~むにゃむにゃ… 霜浦 柚 :…ぐう 辻 美鶴 :おーい連れ帰れないぞー?(ゆさゆさ) 霜浦 柚 :ん~~…あと5ふん… 長良木 水緒 :…ありがとう。お二人は…そう…だな…。 辻 美鶴 :霜浦ァ!遅刻だぞ!!(ゆさゆさゆさ) 霜浦 柚 :やあ~~~…うーん…んー?? 霜浦 柚 :あれー…おはようございまふ… 辻 美鶴 :あたしでよかったら、練習台になりますよ。無理して直さなくてもいいような気はするけど。 辻 美鶴 :うむ、おはよう。 霜浦 柚 :あれーねちゃってました…?すみません… 長良木 水緒 :おはよう 霜浦 柚 :おはようございます~ ちょっとすっきりしました… 辻 美鶴 :そりゃよかった。カリカリ梅食べる? 霜浦 柚 :わ、たべます~!いただきます 霜浦 柚 :練習台…??ってなんの話してたんですかー?(かりかり) 辻 美鶴 :んふふ、ひみつの特訓! 霜浦 柚 :ほへ~ ながらきさんが何か特訓するんですか?がんばってくださいね~ 霜浦 柚 :(ながらきさんの筋肉がムキムキに…??) 長良木 水緒 :いつか、そうですね…できるようになるといいですね(眼鏡かける) 霜浦 柚 :(なにやるんだろう。ボルダリングとかかな) 辻 美鶴 :そーね!(小声で、「柚ちゃんにも言ってみたら?きっと快諾してくれるよ」って長良木さんに) 長良木 水緒 :善処します(小声) 辻 美鶴 :ふふ、おっけ。てんいんさーん、おかわり! バーテン :かしこまりました。梅酒ロックですね 辻 美鶴 :そそ、おねがいしまーす! バーテン :こちら、梅酒のロックになります。お待たせいたしました。 霜浦 柚 :それ何杯目ですか~? 辻 美鶴 :ありがとうございます~。ふんふふん~三杯目! 辻 美鶴 :4杯目!!! 辻 美鶴 :CCB =40 酔い判定だオラァ! Cthulhu (1D100 =40) → 39 → 成功 長良木 水緒 :本当に強いですね、美鶴さん(ちょい酔い) 辻 美鶴 :へへ、長良木さんはよってる? 長良木 水緒 :ええ、少し。 霜浦 柚 :バーテンさ~ん、ノンアルカクテルのパイナップルクーラーお願いします~ バーテン :承知いたしました。パイナップルクーラーですね 霜浦 柚 :(わくわく) 辻 美鶴 :なぁに?それ。パイナップル? 霜浦 柚 :おいしそうだな~と思って…(メニュー見ながら) 辻 美鶴 :いいなぁ、ちょっとちょうだい? 霜浦 柚 :どうぞ~んふふ できあがりが楽しみですね! 霜浦 柚 :ながらきさんも一口飲んでみます~? 辻 美鶴 :シェアハピか? 霜浦 柚 :シェアシェア~!! 長良木 水緒 :有難くいただきましょう。ストローを… 霜浦 柚 :そういえば私が気絶してた間、なんの話してたんですか? 辻 美鶴 :ン"ン"....長良木さん......?(話してもいいの?の目) 長良木 水緒 :ふむ…美鶴さんにお任せします。 霜浦 柚 :?? 霜浦 柚 :話したくない…?ことだったら無理には聞かないですけど… 辻 美鶴 :ふむふむ..............お父さんと目線が怖い系男子って話を、だな。 霜浦 柚 :お父さん…と目線?ああ~でもわかる気がします… 霜浦 柚 :お父さんって怒ると怖いですよね~…。 霜浦 柚 :目線?もじーっくり合わせようとするとなんとなく…逸らしたくなったりするし 辻 美鶴 :どこの父親も怖いもんなんだな....。 辻 美鶴 :柚ちゃん長良木さんとにらめっこしてみ? 長良木 水緒 :…! 霜浦 柚 :よおし(変顔) 長良木 水緒 :(微妙に目そらしー) 霜浦 柚 :あっ苦笑いしてる! 辻 美鶴 :んふふ(わろてる) 霜浦 柚 :勝ち~!ながらきさんも変顔で目線合わせる練習します?? 霜浦 柚 :相手を先に逸らさせれば勝ちですよっ! 長良木 水緒 :柚さんの方がスパルタだったようですね… 霜浦 柚 :あれ~? バーテン :お待たせいたしました。パイナップル・クーラーとストロー3本になります。 KP :細く背の高いコップは、パイナップルの鮮やかな黄色のグラデーションを湛えている。 KP :パイナップルの果肉やチェリーがトッピングされ、ターコイズブルーのマドラーもよりドリンクを華やかにしている。 KP :果肉の甘酸っぱい香りが、置きたての柚の食欲を煽り立てていく… 辻 美鶴 :ふっ....ごめんごめん。 霜浦 柚 :わあ!綺麗ですね~おいしそう!! 霜浦 柚 :CCB =30 写真をとるぞ Cthulhu (1D100 =30) → 40 → 失敗 辻 美鶴 :CCB =10 しゃしんじゅちゅ Cthulhu (1D100 =10) → 47 → 失敗 KP :2人の撮った写真は全く映えなかった… 霜浦 柚 :やっぱり暗くて撮れないですね…まあいっか!飲みましょう~いただきます! 辻 美鶴 :加工なら得意なんだけどな....素材がクソ...。 霜浦 柚 :甘酸っぱくておいしい~!ささ、お二人もどうぞどうぞ! 辻 美鶴 :わーいいただきます! 辻 美鶴 :ジュースだこれ(カクテルだと思ってた) 霜浦 柚 :おしゃれな名前のジュースですね… 辻 美鶴 :パイナップルあんまり頼まないからなー美味しいねこれ 霜浦 柚 :ね!はい、ながらきさん! 長良木 水緒 :いただきます。 長良木 水緒 :サッパリしていて良いですね、酔いが覚めてきます。 辻 美鶴 :店員さん、ハイランドクーラー二つ。 霜浦 柚 :ちょっとはすっきりしますかね~? 霜浦 柚 :みつるさん、それなんですか~? バーテン :かしこまりました。 辻 美鶴 :レモンジュースと、ジンジャエールと、ウィスキーかな。 霜浦 柚 :ウィスキーかあ…強そう 長良木 水緒 :柚さんにはきついかもしれませんね バーテン :(様々な材料を入れてシェイクしている) 辻 美鶴 :ちょっとクセがあるもんね。 霜浦 柚 :みつるさん、ちょこ~~~っとだけ飲んでみてもいいですか…? 長良木 水緒 :いや、アルコールが…飲みたいなら止めませんが… 辻 美鶴 :うぅ~む....おねだりしてみて。 霜浦 柚 :お願い~…おねえさま! 辻 美鶴 :う~ん10点! 霜浦 柚 :うわあん 辻 美鶴 :もう一声。 霜浦 柚 :ええっ~?ん~ん~~…ちょっとだけ、ね?おねがいっ(ぎゅっ) 霜浦 柚 :(みつるさんの腕をぎゅ~) 長良木 水緒 :(バーテンさん、ピッチャーの水を足してあげてください) 辻 美鶴 :んーーーーーー......いっか♡ 霜浦 柚 :やったあ! バーテン :承知いたしました。(ピッチャー交換) バーテン :こちら、ハイランドクーラーになります。 KP :金色に輝くカクテル。大きめのグラスに粗めの氷が敷き詰められ、 KP :しゅわしゅわと小さな泡が氷の合間を縫って浮かんでは消えていく。 KP :レモンの爽やかな香りと、ウィスキーの大人な香りが漂ってきた。 長良木 水緒 :いい香りだ。 辻 美鶴 :んね!おさきどーぞ。(柚ちゃんに) 霜浦 柚 :わ~いありがとうございます!(ちょびっと飲んでみる) 長良木 水緒 :(心配な目) 霜浦 柚 :CCB =24 ハイランドクーラーに負けるのか Cthulhu (1D100 =24) → 57 → 失敗 霜浦 柚 :うぶぇ…苦い… 辻 美鶴 :あや、ダメだったか...? 霜浦 柚 :もうちょっと甘めのやつの方が飲みやすいかも…大人カクテルでした… 辻 美鶴 :甘いのかぁ...ミルク系かな。 辻 美鶴 :長良木さん、乾杯! 長良木 水緒 :カルーアとかどうでしょう 長良木 水緒 :乾杯 霜浦 柚 :かんぱ~い(飲みかけパイナップル) 辻 美鶴 :カルーアでも酔いそうだけどね....。 長良木 水緒 :CCB =40 ハイランドクーラーきっつ Cthulhu (1D100 =40) → 39 → 成功 霜浦 柚 :おふたりとも強いですねえ~すごいなあ~~ 長良木 水緒 :私はそんなにですけどね… 辻 美鶴 :CCB =40 酔い判定だオラァ!オラァ!!! Cthulhu (1D100 =40) → 54 → 失敗 長良木 水緒 :美鶴さんもそろそろ切り換えては?相当飲んでるでしょう 辻 美鶴 :あ”----・・・・・・ 辻 美鶴 :ウス。 霜浦 柚 :だいじょうぶ…?よしよし~(背中さすさす) 辻 美鶴 :う”---もうちょい上... 霜浦 柚 :は~い(さすさす) 辻 美鶴 :へへ(嬉しそうだ!) 長良木 水緒 :さて美鶴さん?我々は身の上をお話ししました。等価交換といたしましょう。 辻 美鶴 :そ、そうね....フェアじゃないもんね....? 辻 美鶴 :何が聞きたい(いい声) 長良木 水緒 :どんな話でもいい。些細なこと、楽しかったこと…教えてください。 辻 美鶴 :あや、世間話か...ちょっと安心した。 辻 美鶴 :そーだなー?この前のイベント!楽しかった。あたし趣味でコスプレやっててさ。 長良木 水緒 :ふむふむ 霜浦 柚 :コスプレ~!みたいな~~みたいな~~~ 辻 美鶴 :同じジャンルで合わせしたんだけど、皆衣装凝っててさぁ...。 辻 美鶴 :あ、見る?(カメラシャーーーーってやって見せるプの女だ!) 長良木 水緒 :是非 霜浦 柚 :ほわ~~これみつるさん?かっこいい!キレイ…! 長良木 水緒 :衣装も凝ってますね…これは自作なんですか? 辻 美鶴 :すごいでしょー!自分で作ってるよ! 霜浦 柚 :料理もできてお裁縫もできるの~…??つよい… 辻 美鶴 :任せな........あたしは尽くすタイプだって言ったろ? 霜浦 柚 :さすがです!!これはもう私が旦那さんになるべき~? 辻 美鶴 :養ってくれ..........(切実) 霜浦 柚 :がんばって高給取り目指します~~ 辻 美鶴 :待てよ?お医者様の収入は?(長良木さん) 長良木 水緒 :おや、こんなおしどり夫婦では立つ瀬がないですね、ペットにでもなりましょうか 辻 美鶴 :んふっ....ペット!(ウケた!) 長良木 水緒 :人並ですよ、残念ながらね(収入) 霜浦 柚 :ながらきさんペットがいいの?よしよし~(なでなで) 辻 美鶴 :そういうのがすきなのかぁ(小声) 長良木 水緒 :冗談ですよ 霜浦 柚 :ありゃ~なんだあ 楽しいお家になりそうだな~っておもったのに~ 辻 美鶴 :んね~?わんわん? 長良木 水緒 :…わん、でいいですかね 辻 美鶴 :んふふふふ、録音させて? 長良木 水緒 :柚さんの方が犬のようで可愛らしいですよ。ぜひそちらへ(逃避) 霜浦 柚 :わん! 長良木 水緒 :ほら、乗ってくれましたよ 辻 美鶴 :(真剣な表情でビデオ撮っている) 辻 美鶴 :お手!! 霜浦 柚 :わん!! 霜浦 柚 :…あーっビデオ撮ってますね!?ダメダメ!NG~~ 辻 美鶴 :よし!(なでなで) 霜浦 柚 :わ~い… 辻 美鶴 :えーだめ?(携帯隠す) 霜浦 柚 :ええ~誰かに見せたりしなければいいですけど~~ 辻 美鶴 :よっしゃ。(ガッツポーズ) 辻 美鶴 :柚ちゃんはさ、楽しい事なかった?(わしゃわしゃ) 霜浦 柚 :楽しい~…ん~そうだなあ 霜浦 柚 :この前パン屋さんに行ったらすっごいイケメンの店長がいて~… 霜浦 柚 :パンがめちゃくちゃ飛び交ってました~! 長良木 水緒 :…? 辻 美鶴 :うん??? 長良木 水緒 :柚さん、水…必要ですか…? 霜浦 柚 :のみま~す!!! 辻 美鶴 :夢の話? 霜浦 柚 :夢~~~ 霜浦 柚 :夢かも~~~??? 辻 美鶴 :CCB =65 心理学 Cthulhu (1D100 =65) → 49 → 成功 霜浦 柚 :CCB =35 心理学対抗 Cthulhu (1D100 =35) → 71 → 失敗 辻 美鶴 :酔ってるからわかんね...。 長良木 水緒 :ですね…。 霜浦 柚 :おいしいパンだったのでおすすめですよ~~ 辻 美鶴 :なんてお店? 霜浦 柚 :くろやぎさんってところです! 辻 美鶴 :ふーん?メモしとこ。 長良木 水緒 :おいしいパン屋さんも教えて頂いたところで、美鶴さんにバトンを返しましょうか。 辻 美鶴 :んおお?!今度は?! 霜浦 柚 :みつるさんの好きなタイプは~!? 辻 美鶴 :俺様系.....! 辻 美鶴 :強い子がいいな...。 霜浦 柚 :強い子かあ~~私じゃだめかもぉ(しょんぼり) 長良木 水緒 :あら、振られてしまいましたね 辻 美鶴 :可愛い子も好きよ?! 霜浦 柚 :はえ~私セーフ~?? 辻 美鶴 :あり!! 霜浦 柚 :やった~♡ 辻 美鶴 :二人の好きなタイプも気になるなぁ? 霜浦 柚 :わたしはみつるさんみたいにかっこいい人すき~ 長良木 水緒 :これと言って…特には… 辻 美鶴 :んふふ、守って欲しいタイプか? 辻 美鶴 :好きになった人がタイプってか?許されないぞその解答は.... 霜浦 柚 :確かに守られたいかも~ 引っ張ってくれる人はかっこいいですよね~! 辻 美鶴 :わかる。手を引いてほしい...。 霜浦 柚 :ね~! 長良木 水緒 :許されない…とは… 辻 美鶴 :はっきりした回答を求む!! 長良木 水緒 :はっきり…はっきり… 辻 美鶴 :(わくわく) 長良木 水緒 :そう…ですね…自分の意見をはっきり言える女性には好感が持てる…かもしれません…ね。 辻 美鶴 :それって、あたし?? 霜浦 柚 :なるほどなるほど~~みつるさんは素敵ですよね!うふふ~ 長良木 水緒 :確かにそうですね、言われてみれば… 長良木 水緒 :CCB =30 Cthulhu (1D100 =30) → 72 → 失敗 辻 美鶴 :言われてみれば?! 長良木 水緒 :タイプ、というかは分かりませんがね 辻 美鶴 :はえぇ....長良木さん彼女いないの? 長良木 水緒 :いませんよ。 辻 美鶴 :付き合ったことは? 辻 美鶴 :もしや彼氏? 霜浦 柚 :(どきどき) 霜浦 柚 :(わくわく) 長良木 水緒 :まぁ、そこそこには…ちゃんと女性ですよ 辻 美鶴 :ほう.........。 長良木 水緒 :バーテン、テキーラを。二人分 バーテン :かしこまりました。 辻 美鶴 :テキーラだって...?マジで言ってる? 長良木 水緒 :ここまで来たら引き下がれませんからね。 長良木 水緒 :景気づけに、ね 辻 美鶴 :や、やってやる...! 長良木 水緒 :色々聞かせて頂きますよ。今度こそね。 辻 美鶴 :色々いってるとおもうんだけどなぁ? 辻 美鶴 :しっかし、こんなに弱いとは思わなかったなー。(ちゃん柚の二の腕がお気に入りにぎにぎ) 霜浦 柚 :ああ~にぎられている…… バーテン :お待たせいたしました。テキーラになります。ショットグラスでお召し上がりください。 KP :よく冷やされたショットグラスに注がれたテキーラが2人の前に出された。 KP :琥珀色に輝き、冷やされているためか香りも抑えめ。飲みやすそうな印象を受けた。 辻 美鶴 :きやがったな....。 長良木 水緒 :さ、頂こうか。 辻 美鶴 :乾杯!!!!(ヤケ) 辻 美鶴 :CCB =30 酔い判定だオラァ! Cthulhu (1D100 =30) → 70 → 失敗 長良木 水緒 :乾杯 霜浦 柚 :かんぱーい!(お水) 長良木 水緒 :CCB =20 乾杯…! Cthulhu (1D100 =20) → 60 → 失敗 辻 美鶴 :(あーーーーーこれやばいやつ) 辻 美鶴 :まわりますな........! 長良木 水緒 :そう…だね… 辻 美鶴 :あちくなってきたな。(服ばさばさ) 辻 美鶴 :んでなんだ?何がききてえんだ?ん?? 長良木 水緒 :君の家庭は…どんな家なんだい…?教えてくれ。 長良木 水緒 :家庭 辻 美鶴 :どんなぁ...?ううんと....うん......(長良木さんをチラ見) 辻 美鶴 :お父さんが....二人.....でさ? 長良木 水緒 :続けて 辻 美鶴 :まあその、優しいお父さん達だね。いわゆる私の叔父さんと、おじさんのパートナー的な...? 辻 美鶴 :あとは、双子の弟が一人。 辻 美鶴 :男ばっかりなんだわ。くさい。 長良木 水緒 :でも、その話をしている君は楽しそうだ。いい家庭なんだね。 辻 美鶴 :んふふ、まあね。不満はないわ。 辻 美鶴 :やさしい父さんを摂取したけりゃ、うちにくるといーよ。 辻 美鶴 :とうさんらのほうが、長良木さんもしゃべりやすいんじゃなぁい? 長良木 水緒 :一度、お邪魔してみたい。自分の父以外の父親を見てみたいよ。 辻 美鶴 :へへ、父親紹介するのもおかしな話だな。 霜浦 柚 :…ズビ 霜浦 柚 :ながらきしゃ~~~ん苦労してるのぉ~~…グスグス 長良木 水緒 :聞いたのはこちらだからいいんだよ。柚さん落ち着いて… 霜浦 柚 :やざじい(ずびずび) 辻 美鶴 :紙いるか?(鼻かむやつ) 霜浦 柚 :いります~~~…ズビビ!! 辻 美鶴 :いやん、激しいな....。 霜浦 柚 :わたしなんかじゃあんまり…良い相談役できないかもですけど~… 霜浦 柚 :なにかあったらいつでもお話ききますよお みつるさんもながらきさんも~! 霜浦 柚 :(両方なでる) 長良木 水緒 :十分聞いてもらったよ。ありがとう(撫で返しだ!) 辻 美鶴 :そお?じゃあ何かあったらよろしくね。たまにはやーらかいのも必要なんだわ。(にひひ、と柚ちゃんに笑いかける) 霜浦 柚 :えへ~~ 霜浦 柚 :また飲みましょうねえ~ 辻 美鶴 :のみましょーね! 長良木 水緒 :是非。 バーテン :お客様。そろそろ閉店のお時間となります。 霜浦 柚 :あえ~~もうそんなお時間なんですね… 霜浦 柚 :がんばって帰りましょ~ 帰るまでが遠足ですよ~~ 辻 美鶴 :いっしょにタクシーのるかー? 霜浦 柚 :いいんですかー?のります~! 辻 美鶴 :おじさん奢っちゃう! 長良木 水緒 :ここくらいは出させてください。最年長の顔を立ててもらえると嬉しい。 辻 美鶴 :ごちになります!!(遠慮などない) 霜浦 柚 :いいんですか…?出世払いいたします~! 辻 美鶴 :偏見ない人でよかった、あんがと長良木さん。 辻 美鶴 :かえろーか! バーテン :ではお会計失礼いたします。(省略) バーテン :またお越しくださいませ。(ぺこ) 霜浦 柚 :ごちそうさまでした~! 辻 美鶴 :ごちそうさまでしたっ! KP :3人はバーを後にした… KP :幸謳う飲み会 KP :~完~ 感想