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いかにあてはまる人は立派な捨て駒 ●緑色が好きになった ●オクラが好きになった ●いつの間にか身の回りに緑色のものが増えている ●時間があるなら広島に行ってみたい ●広島に住んでいて厳島に行く頻度が上がった気がする ●て言うか厳島に対する好感度がうなぎ登りに上昇 ●ついでに四国も好きになってしまった ●広島出身の友人、知り合いが羨ましい
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武家屋敷 立派な手水鉢 ( ) 【家具】 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Nol06111801.JPG) 価値 重量 種別 特殊効果 属性 屋外 なし − 幅 奥 高 ◇ ◇ 3.5 3.5 1.0 1 6 備考(入手方法など) 鍛冶家具之ちで生産 情報募集中 一度間違えてbmpファイルを登録してしまいました。 -- ぐにゅう 名前 コメント
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武家屋敷 立派な手水鉢 ( ) 【家具】 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Nol06111801.JPG) 価値 重量 種別 特殊効果 属性 屋外 なし − 幅 奥 高 ◇ ◇ 3.5 3.5 1.0 1 6 備考(入手方法など) 鍛冶家具之ちで生産 情報募集中 一度間違えてbmpファイルを登録してしまいました。 -- ぐにゅう 名前 コメント
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武家屋敷 立派な手水鉢 ( ) 【家具】 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Nol06111801.JPG) 価値 重量 種別 特殊効果 属性 屋外 なし − 幅 奥 高 ◇ ◇ 3.5 3.5 1.0 1 6 備考(入手方法など) 鍛冶家具之ちで生産 情報募集中 一度間違えてbmpファイルを登録してしまいました。 -- ぐにゅう? 名前 コメント
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上位(集★6~) 立派なクチバシ → イャンクックから剥ぎ取り 5% 立派なクチバシ → イャンクック亜種から剥ぎ取り 5% 集★6・密林:素材ツアー → ×1、捕獲報酬、3% 集★6・挟撃のイャンクック! → ×1、捕獲報酬、3% 集★6・挟撃のイャンクック! → ×1、捕獲報酬、3% 集★6・挟撃のイャンクック! → ×1、基本報酬、5% 集★7・森丘:素材ツアー → ×1、捕獲報酬、3%
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立派に成長した牡鹿 生息地 ゴツゴツ山 外見 ステータス HP 565 MP 427 攻撃力 640 守り 388 魔防 403 素早さ 416 武器 [風]風の書LV.5 所持金 811G 技 シルフィード 守りの風 天使の羽 夢幻双乱舞 鳴き声 勝利 敗北 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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前ページ次ページご立派な使い魔 ルイズは思う。 夢は夢のままであり続けるから美しいのだ。 夢が現実になってしまえば、それはたちまち輝きを失ってしまうのだと。 あれだけ望んでいた、誰からも一目置かれる強力な使い魔を、いざ手に入れてみればどうしたことか。 なるほど誰からも一目置かれている。が、それがなんだというのだ。 『ゼロのルイズ』の名は今や消えたといってもいい。……これも、夢見ていたことなのに。 今、彼女を呼ぶ名はひとつ。 そう…… 『ご立派なルイズ』、と。 「私本人は立派じゃないわよぉぉぉ!」 ルイズの悲痛な叫びが、部屋に木霊した。 「はぁはぁ……落ち着くのよ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 あれをどうにかするためには、いつだってクールでないといけないわ。 それだけ強大な相手なんだから」 とにかく、冷静に考える。 例えば使い魔の素行が悪いというだけなら、それは矯正すればすむことだ。 鞭をくれてやれば、まあ、大抵の使い魔なら怯むはず。 きっと平民の使い魔なんていたら、鞭で叩いてもあんまり効かなくてこう、色々アレだったりするのだろうけれど…… (って平民の使い魔って何よ。本当に落ち着きなさい私) 何かの記憶でも混信したのかもしれない。 ともあれ、だ。あのマーラは、実に信じられないことだが素行は悪くない。 率先して主の雑用を勤めようとするところまである。……やめてほしいのに。 意外とあれで言うことはちゃんと聞いてくれるし、実力もなかなかのもののようだし、それは悪くない。 悪いのはただ一点。 外見だ。 「それが一番問題なのよぉ……」 なのだ。 あんなもん人前に出すもんじゃない。常識的に考えて。 しかもなまじ実力があるだけに、おぞましき未来が脳裏をよぎる。 もし、あの使い魔のお陰で、歴史に名を残してしまったとしたら。 突拍子のない想定にも思えるが、何かの間違いでそうなったとしよう。 すると歴史に残るのは、『ナニを使い魔にした魔法使い』の名である。 未来永劫、その名は刻まれ続けるのだ。 そして遥か未来のお子様どもにまで、 「おい、今日の歴史の授業はご立派なルイズが出てくるんだぜ!」 「やった! これは授業に出ない訳にはいかないでしょう!」 とか言われるのだ。 あまりにも絶望的な未来。想像するだけで身が重くなってくる。 無論、これは可能性の低い、ありえないはずの未来、なのだが…… 昨今の情勢を思うと、戦乱が近いなどという噂もあるし、 「戦争ってナニが起こるかわからないからね……」 貴族は戦場に立つもの。戦場で何が起こるか分からないのは人の世の常。 である以上、大功を立ててしまう可能性は、使い魔がアレではゼロとは言い切れない。 「それなら」 今のうちだ。 今のうちに、マーラはなんとかしなければならない。 一度召喚した使い魔は常に主と共にあるのが定めといえ、例外だってもちろん存在している。 それは使い魔が死んだ時。 使い魔が死んでしまえば、サモン・サーヴァントはやりなおさざるを得ない。 そちらが成功するかどうかはわからないけれど、それでも今よりは。 ああ、今よりは。 「今よりはずっといいわ。そう、ずっと……」 ルイズの頬を、透明なものが一滴。零れて落ちた。 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは恋多き女性である。 これはギーシュと違って、実践しているところからもその名は大きい。 しかしそんなキュルケは、ここ数日その呼び名の如く微熱をずっと感じ続けていた。 あのルイズが呼び出した使い魔を思ってのことである。 「一目見ただけなのに、まだ動悸が収まらないわ。これは恋なんて次元を圧倒してしまっている……」 「僕が一緒にいてもかい、キュルケ」 「そうだよキュルケ」 「今日はなんだかおかしいよ、キュルケ」 部屋には三人、四人。もっと多いのかもしれない。まあ興味がないのでどうでもいいが、それだけの男がいる。 確か夜に来てくれるようにと約束をしていたような気もするが、今のキュルケには本当にどうでもいい。 「あの時とは気が変わってしまったのだもの。 今となっては、あなたたちには興味がないわ」 「そんな!」 悲鳴をあげる男達。だが、次の言葉で。 「では、この中で、ルイズの使い魔よりも己が立派だと言える人はいるのかしら?」 たちまち、一同しゅんとなってしまう。 「それは反則だよキュルケ……」 「あんなモノ、到底敵わないじゃないか」 キュルケはため息をつく。 そういうことではないのだ。 確かにアレほどに立派なモノはない。が、そこで負けを認めてしまうのが不甲斐ない。 例え大きくなかろうとも、他の部分で勝負をすればよいものを…… 「それじゃあ、今日はみんなお帰りなさい」 鬱陶しそうに杖を振ると、みんな炎とともに吹き飛ばされていく。 まったく、こんな男ばかりだから、ますますあの御方が輝いて見えてしまうというものだ。 「そうはいっても、本当にあの方を誘うとなるとそれはそれで難しいのよね」 ベッドの上で、熱い吐息を漏らしながらキュルケは思う。 あれ、どうやっても入らないんじゃないかと。 「いくらあたしでも無理よねあれは……」 でももしも受け入れたのならその時はどんな世界が広がって 「……キュルケ、アレ知らない?」 「あらルイズ。珍しいじゃない」 際限の無い妄想を止めたのは、通称ライバルであるところのルイズだった。 「アレって……ああ。アレ?」 「そう、アレ。なんだか部屋に帰ってこないんだけど……」 「あんな立派な使い魔なんだから、逃げられただなんて話はなしにしてよ?」 「……逃げてくれるならずっといいわよ」 どうもこの反応は珍しい。 大抵は突っかかってくるルイズなのだが。 「何よ。今日はおかしいじゃない、あなた」 「おかしい……まあ、そうかもしれないけど…… でも色ボケのツェルプストーのところにもいないなんて、どこにいったのかしら……」 色ボケ、というのは、まあ、いつもの憎まれ口だろう。 それくらい聞き流す余裕はある。 「いや、いくらあたしでもあれは入らないわよ」 「……本当にどこにいったのかしら。あと入るとか入らないとかツェルプストー自重して」 さて。 そのマーラは、ある使い魔に呼び出されて、さる生徒の部屋にいた。 マーラを呼び出した使い魔は、今は主の下でじっとしている。 使い魔とは、モグラの姿である。 「お待ちしておりました」 「ワシを呼び出したのはお主か。ギーシュよ」 そこには土下座してマーラを出迎えるギーシュの姿がある。 「はい。お聞きして頂きたいことがありますのでお呼び致しました」 「ほほう。話を聞こうではないか」 ギーシュは顔を上げる。 その目には、決然としたものが篭っていた。 「真の愛の道を歩むには、やはり僕には足りないものがあると気づいたのです。 それは、貴方の如きご立派…… ご立派のみが愛を体現するとは思いません。が、ご立派あってこその愛の道であるのも事実。 そこで、ぜひとも貴方からご立派の道を学びたいのです」 「ご立派道は地獄道。そうと知っても貫けるかな」 ギーシュの目は、揺らぎを見せない。 「無論です。例えこの身が砕けようとも」 「生半可な覚悟では、立派どころか粗末に堕ちようぞ」 「望むところです!」 「よくぞ申した。これよりお主は我がアプレンディスだわな」 「ありがとうございます、先生!」 マーラの触手が伸ばされる。 ギーシュはそれを握ると、きらきらとした目で師となったモノを見上げた。 「何してるのよギーシュ」 「……あなた、何か変わった?」 それを見ていたのは、二人でマーラを探していたルイズとキュルケだ。 ようやくマーラを発見したと思ったら、ギーシュがおかしなことをのたまっている。 「ああ、ミス・ヴァリエール。それにミス・ツェルプストーじゃないか。 僕は愛の道を究めようと思ってね。こうして先生に道を教わろうと決意したのさ」 「何の道よ」 「ご立派道さ」 へえ、とキュルケは感心したように目を見開く。 一方、ルイズは顔を赤くして、プルプルと震え始めた。 「グワッハッハッハ、なかなかに見所のある若者だわな。これは将来が期待できるぞ」 「恐れ入ります、先生」 そしてルイズが。 爆発する。 「こここ、このバカギーシュ! それにバカマーラ! ああああ、あんたたち何考えてるのよこのバカ! バカ!」 「バカじゃあない。これは愛のためさ」 「小娘も道を究めてみるかな。グワッハッハ」 「ばっ……」 バカぁぁぁぁ、というルイズの叫び声と。 ギーシュの部屋が爆発するのは実に同時だったという。 前ページ次ページご立派な使い魔
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前ページ次ページご立派な使い魔 結論から言おう。 ルイズの呼びかけに、確かにそれは答えたのだ。 宇宙の果てのどこかから、神聖…なのかはともかく、(ある意味)美しく、強大で雄雄しく凛々しい使い魔が、彼女の呼びかけに答えた。 爆発の向こうに見えた姿は、一見すると巨大な異形だった。 ぼんやりと見える輪郭に一抹の不安を覚えつつも、ルイズは思わず快哉を叫ぶ。 「ほら、見なさいよ! あんなに大きくて、立派な幻獣……が……」 その叫びは煙が収まるとともに消えていく。 煙が消えて、その先に見えた姿は、ルイズの想像を圧倒していた。 「た……確かに、ご立派だ……」 「ゼロのルイズが……こんな、ご立派な……」 「ゼロのルイズじゃなくてエロのルイズだろ……常識的に考えて……」 周囲で見守る同級生も、呻くばかりである。 何しろその煙の先に見えた姿は、これはどう見ても、 「……これはエロい」 モンモランシーの呟きが象徴するかの如く。 どう見てもチン○です。本当に有難うございました。 「グワッハッハッハ! このワシを召喚するとは、小娘、命が惜しくないと見える! ワシは魔王マーラ! お前達とはモノが違うわな! モノが!」 「……いやぁぁぁぁぁぁぁ!」 ルイズの絶望の叫びが、トリステイン魔法学院を駆け抜けた。 ご立派な使い魔 「ミ、ミミミミミミミスタ・コルベール! やり直しを! しょしょしょ召喚のやり直しを! 断固として要求します! 何がなんでも! 私の命に代えても!」 「なんじゃ、失礼な小娘じゃのう」 マーラの渋く低い声を脇において、ルイズは涙目、いや号泣しながら教師のコルベールに食ってかかった。 しかしコルベールは、必死なその生徒の視線から心底気の毒そうに目をそらし、小声で反応する。 「気持ちは……本当によく理解できます、ミス・ヴァリエール。 出来うるものならば認めてやりたい……私の偽らざる本音ですが…… しかし、本当に残念なことに、この使い魔の儀式は神聖なものです。やり直しは…… まことにお気の毒ですが……出来ません」 「で、ででででも! ミスタ・コルベール、いくらなんでも、コレは! コレは! まだいっそ平民が出てきてくれた方が! 平民とFirst Kissから始まる二人の恋のヒストリーを紡いだ方が遥かにマシです!」 「……本当にお気の毒だとは思います」 いつもならルイズを囃し立てる同級生達も、この時ばかりは静かなものである。 というより、男は皆、マーラの威容に己の根本的なナニかが敗北したと感じ、小さくなっていた。 そして女は、両手で顔を覆っている者が多い。だがよく見ると、その指の間からちらちらとマーラを見ている。 誰もがこのマーラの姿から目を離せないのだ。それほどご立派な姿なのだから。 「ミ、ミミミミスタ・コルベール? そ、そそそそれじゃ、ここここれとコントラクト・サーヴァントを行え、と?」 「…………」 非常に沈痛そうな面持ちで、コルベールはまたしても目をそらした。 「残念ですが……」 「グワッハッハッハ! 遠慮せずともよいわ、小娘! 呼ばれたからには遠慮はいらん、さあ! 一発ヤってもらおうではないか!」 マーラの放つ大音声に、ルイズはとうとう顔を向けてしまう。 涙は止まるどころか勢いを増しているが、これはもう、やるしかないようだ。 「あ、貴方は……つ、使い魔になんてなりたくないでしょ……?」 「構わん、構わん。何しろワシは魔王だからのう、ひと時の戯れで使い魔なんぞになるもよし! なぁに、幾たびかは、メシアやらに使役されたこともあるこの身よ! 小娘の使い魔一つ、容易く勤め上げてみせるわ! グワッハッハッハ!」 なんと豪快で男らしく、雄雄しい姿なのだろうか。 これが、こんな形状でなければ頼もしい使い魔と思えたものを…… ルイズは絶望しながらも、コントラクト・サーヴァントの手順に入る。 (もう……もうおしまいだわ、これならいっそゼロのままでよかった…… ああ、私、こんなモノに……ああああああああ) そして、ルイズは己の使い魔となるべきモノに顔を近づけていき。 むちゅう、と。 まさにFirst Kissから始まる二人の恋のヒストリー。 運命に魔法をかけて、ナニが突然現れた。 嫌に肉感溢れる音を立てて、マーラの……その、マーラの唇に自らのそれを重ねた。 唇があったのかというと意外に思えるが、ちゃんと顔っぽい部分があるマーラである。 (な……生暖かい……) 心底嫌な感触が伝わってくる。 それは実際は一瞬だったのだろうが、ルイズにとっては途方も無い永遠のように思えた。 嫌なことをしている時って本当に時間が流れるのが遅いからね。 「ぶはー! ぶは、はあ、はあ……こ、これでいいんでしょ! 契約!」 「ぬう、なかなか大胆な契約だわな……むう!」 マーラの左の方にあるアレに、奇怪な紋様が浮かび上がった。 これこそ契約のルーンであり、激しい熱とともに受けるものなのだが、マーラは微動だにしない。 「おお、心地よい刺激ではないか。これで名実ともに、小娘よ、ワシはおぬしの使い魔という訳だな! 改めて誓おう、ワシは魔王マーラ! 今後ともよろしく頼むぞ! グワッハッハ!」 しかしそう言われたルイズは、マーラから離れ、近くの木によりすがっていた。 そして下を向いて、 「ごえええええ……」 「うぬ、小娘め……第一話からヒロインが吐きよったわ」 「ミス・ヴァリエール……気持ちは、本当に、本当によくわかります……」 コルベールは涙を流しながらそう呟いていた。 「疲れた……もう、何もかも疲れたわ……寝よう、泥のように眠ろう……」 昼の使い魔の騒動から一転、静かな自室でルイズはベッドに横たわっていた。 こんな恐るべき事態になろうとは、誰が予測しただろうか。 あんな……あんなおぞましい使い魔を召喚してしまうだなんて。 「きっとこれは夢。そうよ夢よ。ゼロって呼ばれるのに耐え切れなかった私の精神が、こんな悪夢を作って私を苛んでいるんだわ。 だから目を覚ませばきっと、まだ使い魔は召喚なんてされてないの。 そして私はみんなから笑われながらサモン・サーヴァントを唱えて、平民を召喚するの。 それから紆余曲折あって、第二期が始まったりするのよ。そうよ目を覚ませばそうなる……はずなのに……」 「現実逃避はいかんぞ、小娘。萎えるからのう」 「どうしてあんたは! 私の部屋の中にいるのよ!?」 ベッドの傍に控えるマーラである。 何しろ大きくご立派なので、部屋に入りきるかも怪しかったが、どうにか収まっていた。 しかし冷静に考えれば、一緒の部屋にいる理由がまるでない。 「他の大型の使い魔は、外に寝泊りしてるでしょ!?」 「小娘。ワシは魔王じゃぞ。あんな低級な獣どもと一緒の場所になぞおれぬわい」 「で、ででで、でも! 使い魔なんだからそんなことは……」 「それだけ上等な使い魔ということだわな。誇るがよいぞ、小娘」 「ほ……誇りたくないわよあんたは……」 梃子でも動かない構えのマーラを見て、ルイズはどうにかするのを諦めた。 物理的に動かそうにも、こんなのを触るのは嫌だ。 「じゃ、じゃあ……せめて静かにしててよ、私、もう寝るから……」 「うむ。ワシは寝る前に屈伸運動でもしようかと思うておったが」 「やめて……卑猥な運動はやめて」 身に着けたものをさくさくと脱いで、ルイズは今度こそベッドに潜り込んだ。 脱いだ下着はまだ手の中にある。これを使い魔に洗わせる、というのも、主従を教え込む手段のはずなのだが…… (嫌。絶対、嫌。あんなのに下着を洗われるだなんて、死んでも嫌) 固く決心していたので、明日使用人を呼んで洗わせようと、そう思っていた。 なのだが。 「おお、小娘。丁度良いわ、明日になったらお主の衣類をワシが洗濯してくれようぞ」 「い、嫌! ……じゃなくて、あ、貴方にはそんなの期待してないから!」 「ほほう、何故じゃ? 使い魔というのは、主の雑事を片付けるものではないのか?」 「そ……それは例外のケースよ。普通は主と五感、精神を共有……あんたとはしたくないし、実際してないけど……」 「確かにの」 「そ、それから、秘薬を集める。これは……出来るの?」 「舐めるなよ、小娘。ワシは偉大なる魔王じゃからのう。知識なぞ無限にあるわ」 「そ、そう。安心ね。それから主の身を命にかえてでも守る……これは……まあ、楽勝そうね……」 「うむ、任せておけい」 つまりは、共感の力以外は使い魔として十分にあるのだ、これが。 こんな姿だが。 確かにマーラは、優秀で、強大で、(ある意味)美しい使い魔だったのだ。 「……そ、それだけ出来るんなら、わざわざ雑用なんて頼む必要ないから。 せ、洗濯なんて、し、しなくてもいいわよ」 「まあそう遠慮するでないわ。普段、夜魔どもに身の世話をさせておると、むしょうに細々としたことがやりたくなるのよ。 こんな機会は滅多にないからのう……ワシの厚意は素直に受けるがよいわな」 「い、嫌だって言ってるでしょ!」 「グワッハッハッハ、照れるでないぞ」 「誰が照れるか!」 結局、ルイズは朝方近くまで悶々として眠れなかった。 むしろマーラが、魔王のくせに堂々と眠りこけているのを見て、ルイズは唖然とし続けていたのだが。 前ページ次ページご立派な使い魔
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前ページ次ページご立派な使い魔 決闘の場所、ヴェストリの広場は、時ならぬ騒然とした雰囲気に包まれていた。 あのギーシュが、よりにもよって、かのご立派なルイズの使い魔に決闘を挑んだというのだ。 それはイコールギーシュの公開処刑とも思える。 あのご立派さからギーシュがどれだけ凄惨な最期を遂げるのか、そのような思いから人々は集まっている。 突き殺されるか、はたまた…… そんな残酷な期待を背に受けつつも、広場の中心にただ鎮座するマーラの姿があった。 気負いの様子も見えず、ただ悠然と構え、動かないまま前方を見続けている。 そして、 「まったく、見れば見るほどご立派だな……嫌になってくるね」 そこにギーシュが姿を現す。 これが見納めかと思うと、生徒達は複雑な顔になった。 鼻持ちならないギーシュだが、しかしそれにしても。 「ほほう、よう逃げなかったものじゃな、小僧」 「と、当然だ。決闘を挑んだのは僕なのだからね」 (あれ? なんで僕が挑戦者みたいになってるんだ? ここは僕の方が待ち受ける場面じゃなかったか?) どうも状況が逆転している気がして、ギーシュは頭を振った。 この際、攻守の順序などどうでもいい。 いやこの場合はどうでもよくないかもしれない。守に回ってしまうと後ろの方が危ない気もする。 「と……とにかく。 僕はメイジだ。メイジらしく魔法を使わせてもらうが文句はないだろうね?」 「ならば、ワシは魔王ゆえに、あらゆる手段を使わせてもらおう」 「りょ、了解した」 あらゆる手段。 想像するだにそれは……ギーシュの背筋を氷のような悪寒が伝う。 「は、初めから全力を尽くさせてもらおう! いくぞ、ワルキューレ!」 悪寒を振り払うように、愛用する造花の杖をギーシュは全力を込めて振るう。 花びらは七枚舞い散り、見る間にその姿を変えていく。 青銅の女戦士像。ギーシュの生み出したものの姿である。 「オールド・オスマン、よろしいですか?」 学院長室に入ったコルベールは、見ていけないものを目撃した。 今にも秘書のロングビルに襲いかかろうとしている、学院長オスマンの姿である。 「いい加減に……やめてください、オールド・オスマン! それは度を越えて……います!」 「よいではないかよいではないか」 これはセクハラという域を超えている。 この爺を焼き殺してやろうかとコルベールが決意したあたりで、オスマンは我に帰った。 「お、おお。す、すまんのうミス・ロングビル」 「冗談ではすみません、本当に……!」 頭をかいて誤魔化そうとする。 セクハラという時点でも犯罪だったが、実力行使に出ようとしたらそれはもう重罪だ。 「い、いや、何故だかここ数日嫌に性欲が……すまん! 本当に申し訳ない! 決してこれは私の意志ではなくて……そ、そうじゃ! これのせいなんじゃ!」 オスマンが慌てながら杖を振るう。 壁にかかった鏡の中に、映像が現れる。 緑色をして、てかてかと光る物体である。つまりマーラだ。 「最近学院内に現れたこやつを見ているとじゃな、ついつい気持ちが若くなってしもうて…… それで……」 「今日のような蛮行に及んだ、というのですか」 「……すまん。いや本当にすまん」 オスマンを見るロングビルの目は冷たい。 この光景にはコルベールも引いていたが、マーラの姿を見てああ、と声をあげた。 「オールド・オスマン。そのモノについて話があるのですが」 「お、おお。コルベール君ではないか。どうしたのかね?」 「それはあのヴァリエールが召喚した使い魔なのですが、やはり教師としましてはあれは卑猥に過ぎますので、 どうにかして処理できないものかと相談に」 「うーむ。処理といっても……」 まさか使い魔を殺す訳にもいくまい。殺せるかどうかはさておいて。 しかしあのビジュアルは、野放しにしておけば学院の風紀を壊滅させるであろうことは確定的に明らかだ。 実際、オスマンからして暴走しかけたくらいなのだ。 「確かに十八禁な姿をしている訳じゃし、そりゃあ子供には悪影響じゃが…… さりとてモザイクをかける訳にもいかんじゃろう」 「モザイクは、かえって劣情を煽る可能性もありますね」 ロングビルの補足に、オスマンはうんうんと頷いた。 なまじモロにさらけ出すより、隠していた方がそそるというのはオスマンの人生経験がはじき出した法則である。 「この私をも駆り立てる姿というのは問題じゃからの。 どうにかしたいのは山々じゃが、しかし……」 「オールド・オスマン、それについては貴方が勝手に暴走しただけなのでは」 不毛な議論を続けるオスマンとコルベールを無視して、ロングビルは鏡の映像を見つめていた。 映し出されているのはマーラだが、どうもおかしな状況に見える。 やけに生徒が集まっているし、マーラの前にはギーシュがゴーレムを作り出しているではないか。 「オールド・オスマン。この状況は妙ではありませんか?」 「だからいっそ、コルベール君の顔を模したマーク、名づけて禿げ男であの頭を隠すように…… なんじゃね、ミス・ロングビル?」 「この映像なのですが、どうも妙な……」 「うむ? これは、グラモンのせがれではないか。ご立派とグラモンのせがれがにらみ合ってナニを」 マーラの様子は普段通りでまったく落ち着いたものだが、ギーシュは表情からも決死である。 決闘でもあるまいし。そう言おうと思ったコルベールは、決闘という単語に自分でも驚いた。 「まさか決闘!?」 「……ミス・ロングビル。ただちに眠りの鐘の使用を教師どもに伝えるんじゃ」 「は、はい!」 オスマンの顔が一気に険しくなる。 その迫力に押されて、ロングビルは弾き飛ばされたように部屋から出て行った。 残ったオスマンとコルベールは、苦々しい表情で鏡を見つめる。 「まったく暇と性欲をもてあました貴族ってやつは…… 相手を見極められんのか。まったく」 「オールド・オスマン、このままでは恐らく」 「だから眠りの鐘を使わせるんじゃ。もっとも……あのご立派に通用するかどうかは怪しいが」 オスマンの目はますます厳しくなっていく。 「一刻も早くせんと……このままではとんでもないことになるぞ」 「やはり、殺……」 「殺されるだけですめばよいがな。……グラモンのせがれめ。菊を散らせるような場面は見せてくれるなよ」 「ギーシュ・ド・グラモンは薔薇を使っていますが……菊?」 「比喩的表現じゃよミスタ・コルベール……」 大人の表現であった。 さりげなく、ギーシュは杖を持たない手で尻を押さえた。 相手は前方にいるのだが、なんだか、そこを守らないといけないと、本能が伝えてくる。 「い、いけ! ワルキューレ!」 そして号令をかけて、女戦士像を突撃させる。 日頃磨いた錬金によって作り出した、自慢のゴーレム達であるのだが…… しかし今回に限っては、この美しい姿が仇になると、ギーシュはここで気づいた。 「は……8Pだ! ギーシュが8Pをしかけたぞ!」 「複数で挑むのか!」 野次馬達のその声によってである。 Pってなんだそりゃ。 薄々意味に気づいていながらも、ギーシュは問わずにいられなかった。 「良いセンスをしておるわな。これだけ美しい戦士を作り出すとはの。 お陰でワシも滾るというものよ」 「た……滾る……」 マーラがぐっと身をかがめた。 近づいてくるワルキューレに対応してのものだろう。 「か、かかれェ!」 語尾が裏声になりつつ、ギーシュの号令が飛ぶ。 一気に飛び掛るワルキューレだが、マーラは口元をニヤリと歪め、 身をかがめたことで蓄えたパワーを頭に集めて、 一気に解放する。 「グワッハッハッハ! まとめて相手をしてくれるわ!」 マーラの頭部が、凄まじい勢いで振り回された。 技で言うところの、大暴れ……それがついに発動したのである。 「ワ、ワルキューレェェェェ!」 ギーシュの絶叫も、聞くものがあればこそ。 マーラの大暴れを受けたワルキューレ達は、それぞれモノ凄い勢いで天に打ち上げられたのだ。 「おお……見ろ!」 「ギーシュのワルキューレが……!」 そして天頂近く、まさに頂点とも呼べるところまで吹き飛ぶと、ワルキューレは…… 一斉に爆裂四散し、その欠片を撒き散らした。 「り……立派すぎるよ……」 ギーシュが涙声でそう呟く。 そして周囲からは、 「ギーシュのワルキューレが!」 「たった、一突きで逝かされて!」 「悶絶昇天しちまったぞ!」 「なんて……なんてご立派なんだ!」 予想されたこととはいえ、この結果の凄まじさは筆舌に尽くしがたい。 そして余韻が収まると、今度は誰もが視線をギーシュに向ける。 この後に待ち受けているのは果たして何であろうか。 凄惨な死か……あるいは…… 「もう手はないのかね?」 「あ……あ、ひ、ああ……」 ゆっくりと。 それまで待ち受けるだけだったマーラが、動き始めた。 ゆっくりと。そう、ゆっくりと、頭を突き出したポーズでギーシュに近づいてくる。 そのおかげで、頭の先っぽが近づいてくる様が、ギーシュにはよく見えた。 「ひ、ひぃぃ……!」 「もう手はないのか。ならば……いよいよ終わりじゃのう……」 ギーシュも、彼の作り出したワルキューレ達と同じく…… あのご立派なモノを叩き込まれて、五臓六腑を撒き散らして昇天する羽目になるのであろうか。 人々は恐怖しながら、ただ、見守る。 「むう……?」 しかしギーシュの目前で、マーラは動きを止めた。 あと少しで射程内だというのに一体どうしたのか。 一瞬の命拾いをしたギーシュは、訳もわからず目前のモノを見る。 「ふん。決闘に水を刺すとはつまらぬ者どもだわな。 ……ぬうん、シバブー!」 「ひっ!」 何事かをマーラが叫んだので、慌ててギーシュは身を隠す。 が、彼には何も起こらない。周囲を見ても、変わった様子はなかった。 「い、今のは……?」 「なに、無粋を咎めたまでよ。まあよいわ。 小僧……決闘を挑んだからには覚悟はできておろう」 「あ……い、あ、それは……」 助けを求めるようにギーシュは周囲を見渡した。 しかし、これだけ沢山の生徒が集まっているのに誰も割り込もうとはしない。 決闘なのだから、という建前はあるが、しかしなんと薄情な…… 「ここで改めて問うぞ、小僧よ。 お主は複数の子女を弄びたいか……?」 「それは……ああ、それは……」 決闘の切欠となった問いだ。 これを否定したためにこんな有様になっている、と考えると、ここは肯定するべきなのだろうか。 肯定するだけで生き延びられるなら、肯定したことによる悪評など恐れる必要はないはずだ。 だとするなら、今度は自分の意志で頷いてもよいのではないか。 そこまで考えたギーシュはもう一度だけ周りを見る。 そして観衆の中に、ケティとモンモランシー、二人のガールフレンドの姿を見つけた。 (ああ、今日も美しいねモンモランシー。そして不安そうな姿の君も可愛いよ、ケティ。 まったく二人ともが僕の好みだからね、薔薇は沢山の人に愛でられ……) そこまで考えた刹那、ギーシュの目に光が宿った。 「……そうだ、薔薇は愛でられ、そして愛でてこそ……」 「どうなのだね、小僧……」 「……ああ! 僕は沢山の女の子と付き合いたいさ!」 こいつ命惜しさに認めやがった。 誰もがそう思ったであろう。モンモランシーとケティも、思いっきりため息をつく。 しかし。 「だがこれは僕の煩悩、欲望で思っていることではない! 僕は心から! 沢山の女性に愛を与えたいと願っているのだ!」 「むう? 小僧、それは……」 「僕の愛は一人に注ぐだけでは到底満たされぬのだ! 薔薇は気高く咲いて散る魂! 散る前に、一人でも多くの心を愛するのが定め! 僕は! 僕の運命として複数の女の子を幸せにする義務がある!」 なんか格好いいように聞こえるが、結局開き直っているだけなのでは。 やっぱりみんなそう思う。 「小僧。欲望によらずということは、いかなる相手をも愛さねばならぬのだぞ。 それでもなお……その道を選ぶのかね。選べるのかね、その茨道を」 「え、選ぶとも! どんな女性も僕は愛するさ! 手始めにだね、ケティとモンモランシー! この二人を同時に、そして最大限に愛するさ! ああ愛するとも! 愛して愛して愛しつくすさ!」 モンモランシーとケティが嫌そうに顔を歪める。 ところが、それを聞いていたマーラは、 にこりと笑って、 「見事! 見事な領解である!」 「……へ?」 「よくぞ認めたぞ小僧。いや、ギーシュ・ド・グラモン! 煩悩を拒むのではなく、自然として乗りこなす道を選んだか! 悟りの道はそこからよ! これからも進んでいけい、ギーシュ!」 「は……はい?」 「グワッハッハッハ!」 そして機嫌よさそうに、マーラは後ろを向いて歩き始める。 「お主の勝ちじゃ! よくぞワシを負かしおった! グワッハッハッハ!」 敗北を認めつつ、堂々と去っていったのであった。 「か……勝てた?」 首を傾げるギーシュ。そこに。 「ギ、ギーシュが……勝った……」 「ギーシュの奴……やりやがった……」 「ご立派様に勝ったんだ、ギーシュが……」 見守っていた生徒達が一斉に駆け寄ってきたではないか。 「ギーシュ! 畜生、ついにやりやがったな!」 「震えが止まらねえぜ! へへ、お前って奴は!」 「俺は前からやる奴だと思ってたんだ、ギーシュ!」 「き、君たち……」 生徒達はギーシュを取り囲み、一気に持ち上げる。 「ギーシュ! ギーシュ! ギーシュ! ギーシュ!」 「ありがとう……ありがとう、みんな……!」 ギーシュは泣いていた。 ただただ、泣いていた。 そして感謝の気持ちがこみ上げてくる。 (そうか、マーラ様は僕に、煩悩による愛ではなくまことの愛に目覚めよとおっしゃられたのだ…… そのためにこんな決闘騒ぎを……感謝いたします、マーラ様……) そして胴上げが終わり、地面に降ろされるギーシュ。 その花道を迎えるように、ケティとモンモランシーが近づいてきた。 二人とも満面の笑顔である。 「さあ、君たちも聞いていただろう! 僕はついに真の愛の道を歩み始めた! 手始めに君たちを愛するとしようじゃないか! 早速寝室へ!」 それを聞いて、ケティとモンモランシーは、笑顔のままギーシュに近づき、その右肩と左肩を支える。 そしてもう一度、ギーシュに笑いかけると、 左右の両方から痛烈な膝を叩き込んだ。 「ぐはっ!」 「最低です、ギーシュさま!」 「いい加減にしなさいよギーシュ!」 そしてギーシュを地面に叩き落すと、二人とも足早に去っていく。 「まあ、当たり前だよな」 「人間として最低だもんな」 「恥を知れギーシュ」 「ところで食堂に行かないか? デザートまだ食ってないよ」 「いいね!」 持ち上げていた観衆も去っていった。 しかし倒れているギーシュは…… 「ふふふふ……僕の戦いはまだ始まったばかりさ……」 笑い続けていたという。 ちなみにその後、眠りの鐘を使おうとしていた教師数名が金縛りとなり、倒れているのをロングビルが発見している。 突然金縛りにあい、どうすることも出来なかったのだと彼らは言ったそうな。 前ページ次ページご立派な使い魔
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前ページ次ページご立派な使い魔 「ということは、ここは僕の出番のようだね!」 強がっているアンリエッタの後ろからそんな声がする。 直後に扉が開け放たれて、そこには薔薇を携えたギーシュが不敵に笑っていた。 「話は全て聞かせて頂きました。姫殿下! ここは是非、この僕にもご命令を!」 「ギーシュあんた……盗み聞きしてたの?」 「違うともさ! かぐわしき女性の匂いがしたので寮内を彷徨っていたところ、偶然にもミス・ヴァリエール。 君の部屋に辿り着いていたという訳さ!」 「匂いって。あんたなんか人間離れしてない?」 「修行を積んでいるからね。先生のお陰で」 ギーシュは、マーラに向かって優雅に一礼する。 「うむうむ。精進しておるようじゃなギーシュよ」 「はい! 先生」 「ええと、こちらの人はこの、ルイズの使い魔さんの……」 アンリエッタの問いに、ギーシュはまたしても優雅な礼で答えた。 「その通りでございます。この僕、ギーシュ・ド・グラモンはご立派道を邁進するもの。 姫殿下にも、是非僕のご立派を拝見していただきたく」 「ってバカ!」 ルイズがギーシュのみぞおちに一撃入れた。 ぐふ、とギーシュは揺れるが、しかし倒れない。 「いやあの……聞かれていたというのはまずいというか」 アンリエッタはあまりついていけないらしく、いささか呆然としている。 するとそこに畳み掛けるように、ギーシュは薔薇を揺らしながら言う。 「この僕、ギーシュ・ド・グラモンの名に賭けて、姫殿下を必ずやご満足させてみせましょう」 「グラモン……するとグラモン元帥の?」 「父は父。僕は僕でございます。父のようなテクニックはありませんが若さで勝負いたしましょう」 「それは頼もしいですね」 ギーシュの言葉がなんかズレて受け取られているが、まあ、この場合はそっちの方がいい。 つーか盗み聞きよりも、今ギーシュが言っている言葉の方が極刑ものじゃないかと、ルイズは思った。 「姫さま、これはさっさと縛り首にした方が」 「では、ギーシュさん。あなたにもアルビオンへ……」 「お任せください! 帰ってきた暁には、姫殿下を必ずや!」 全然話が噛みあってない。 「で、では、手紙を書きますから、それを……」 アンリエッタがその手紙を書き始める。 その間、ギーシュはマーラに近寄り、頭を下げていた。 「如何でしょうか、先生。僕のトークは」 「いささか焦りすぎじゃのう。もっとずっしりしておらねばならぬ」 「これはしたり。僕もまだまだ未熟ですね」 奴らを炎で焼き尽くせたらどれだけいいことだろう。ルイズは真剣にそう思う。 悩みは深まるばかりだ。 翌日、ルイズは朝から必死で馬の用意をしていた。 とにかく馬で出立しないと、これはいかにもまずい。 三度目の正直というが、またアレをするのは駄目だ。本当に駄目だ。 慣れるとかそういう問題でもない。とにかく、アレにまたがっての移動なんて最悪だ。 「小娘、何をしておるのじゃ?」 「馬よ! 馬! 馬使うのよ今度こそ!」 「ワシに乗ればよいものを」 「だから! もうあれは嫌なのよ、もう!」 痴女は嫌、痴女は嫌、と呟きながら、とにかくルイズは馬に乗る。 そこで脇を見ると、ギーシュが堂々とマーラに乗っていた。 「……あんた正気?」 「先生の上に乗らせて頂くとは光栄の極みだよ。ほら、ヴェルダンデも喜んでいる」 ギーシュの傍らにはモグラがいる。 随分と大きなモグラだ。使い魔という話だが。 「ヴェルダンデもまた、僕と同じくご立派の道を歩み始めたのだよ」 「主従揃って心底どうしようもないわね」 などと言ったら、そのヴェルダンデが突如としてルイズに飛び掛ってきた。 一気に押し倒され、地面に押さえつけられるルイズである。 馬から引き倒されたらそれは相当危ないのだが、よく見ると落ちる時の衝撃はヴェルダンデが自分で引き受けて、ルイズには無傷となっている。 意外と細かい動きの出来るモグラらしい。 が、今のルイズにはそれどころではなかった。 「ちょ、ちょっとぉ!? 何よこれ!?」 「む……ヴェルダンテは……」 そのままルイズの身体のあちこちをまさぐる。 「って……ま、まさか……」 ルイズは顔を青ざめさせた。 「……ギ、ギーシュ! あんたまさか……」 「ふむ……僕の使い魔だからね、ヴェルダンテは。 ご立派の道を共に歩む同士なのだが、ああ、そうか…… 喜びたまえ、ミス・ヴァリエール。君はヴェルダンテの劣情を」 「待てぇぇぇぇぇえ!」 物凄い危機だ。 ルイズは慌ててヴェルダンテを引き離そうとするが、これがなかなか力が強い。 「は、離しなさいよ! わたしこんなのに捧げるつもりなんてぇ……」 「ふむ、ギーシュよ。戯れも程ほどにな」 「これは、先生にはお見通しでしたか」 ギーシュがさらりと薔薇を振ると、ヴェルダンテはたちまち引き下がった。 「安心したまえ。別に君の姿に欲情した訳ではないよ、ルイズ。 ヴェルダンテは君のその、姫殿下のルビーに引かれていたのさ」 「え、これ?」 ルイズの手の中には、アンリエッタから託されたルビーがある。 それをかぎつけていた、ということなのだろうか。 「だが嫌がる女性を無理やり、というのは僕の道に反するからね。 ヴェルダンテも僕とともにあるものだから、まあ、この場は引き下がるさ」 「まったく……主が主なら使い魔も使い魔よ」 ぶつぶつ呟くルイズだが、その言葉にギーシュはふむ、と目を閉じて言う。 「なるほど。主が主なら使い魔も使い魔とは、君と先生の関係もそうなのだろうね」 「あ」 言葉の刃がそのまま自分に返ってくるルイズだ。 「小娘も言いよるわな。グワッハッハッハ」 「あああああ、もう!」 マーラだけでも扱いづらいというのに、このギーシュもどうも変な方向に成長してしまっている。 ルイズはもうこの時点で嫌になってきたが、そこに。 空から、彼女の希望が舞い降りてきた。 「おっと! 何とか間に合ったかな」 グリフォンとともに降りてくるその人物。 羽根付き帽子を被った、その男性こそ…… 「あ……ああ!」 ルイズは、沈みに沈んでいた気持ちが一気に浮かび上がるのを感じた。 地獄の底から、たちまち天上へと吹き飛んだのと同じくらいだ。 「あなたは……! あなたは!」 「姫殿下より命を受けてね。ご立派なガードがいても、やはり何の手助けもないのはお心苦しいとのことで…… 僕が、君たちの護衛についたという訳さ」 「ワ、ワルドさまぁ!」 話の途中なのに、ルイズは駆け寄ってワルドに抱きついた。 そのまま大粒の涙を流し、胸に顔をすりつける。 「ど、どうしたんだい、僕のルイズ?」 「『僕の』! ああ、なんて素敵な響きでしょう!」 このワルドこそ、グリフォン隊隊長にして風のスクウェアメイジである人物なのだ。 そしてルイズの、今となってはたった一つの希望でもある。 「あなたに会いたくて枕を濡らす日々でしたわ! ワルドさま!」 「え……あ、ああ。そうか。僕も嬉しいよ、ルイズ」 「ワルドさま……ワルドさまぁ」 ルイズの喜びようは尋常ではない。 それを見て、マーラとギーシュは軽く首を傾げると、 「小娘は欲情でもしおったかな」 「そうでしょうね。いやミス・ヴァリエールもアレでなかなかアレのようです」 そういう雑音は、今のルイズには届かなかった。届いていても気にしない。 「いや、なんというか……はは。参ったね」 ワルドは妙に戸惑っている。 こういう反応は意外だった、というか。まあ。なんというか。 ルイズも苦労してるのだ。 それらの姿を、学院長室で見下ろす者達がいる。 「フーケが脱走したそうですな」 見下ろしつつ、そう言うオスマンの姿が何故か異様なまでに若々しく感じられて、アンリエッタは首をかしげた。 300年も生きているという話の割りに、元々年齢を感じさせないような飄々とした人物だったのだが…… 何故か、今は精力がにじみ出ているような感まである。 なんというか、いやらしいような気もした。 「ア、アルビオン貴族の暗躍なのでしょうか、これも……」 「確かに。ですがまあ、心配の必要など欠片もないでしょう。 何しろ我々には、偉大なるモノがありますからな」 その言葉を受けて、アンリエッタは窓の下にあるオブジェに目をやった。 やっぱりどう見てもアレだ。 「その、ですが、やはり風紀上問題が……」 「古来より人は生命力そのものを崇めた、と言いますな。 始祖ブリミルへの信仰も無論ありますが、素朴な信仰心と言えば……」 何度見てもアレ以外には見えない。 「生命の源であるその、ナニを拝むというのは自然なこと。 その、まさに生命の源がついているのです。これでトリステイン勝つる」 「……まあうっすらと理解はできますが」 なんか語調までおかしくなったオスマンを見るのが年頃の乙女として嫌になってきたので、アンリエッタは目をそらす。 そらした先には例のオブジェがあるので、もうどこを見ればいいのやらとぐるぐる目を回した。 「それはいいんですが、何も学院の中にあのようなモノを設置するのは……」 「いやいやこれがなかなかに評判もよろしい。姫も一度、さすってみてはいかがですかな」 「い、いや、遠慮を……」 「恋愛成就のご利益もあると評判ですぞ」 「……そ、それは少し興味もありますね」 ちょっぴり心引かれたアンリエッタであった。 前ページ次ページご立派な使い魔