約 1,471 件
https://w.atwiki.jp/orecaretsuden/pages/1034.html
(BOSS)渾沌龍タイチーロン パラメータ スロット EXスロット 出現条件 解説、攻略、その他 (BOSS)渾沌龍タイチーロン パラメータ 属性 風 HP 1800 クラス ★★★★ 攻撃 70 種族 ドラゴン 素早さ 70 対戦時アイテム カオスソウル(レア) 討伐時獲得ゴールド 268-271G スロット レベル 1 2 3 4 5 6 ★ ほほえんでいる こうげき 竜脈 ためる ためる こうげき! ★★ ほほえんでいる こうげき! 竜穴 ★★→★★★ ★★→★★★ はかいの息 ★★★ こうげき 竜脈 竜脈 ためる ためる 相克の息 ★★★★ 竜脈 ほほえんでいる 竜穴 ★★★★→★★★★★ ★★★★→★★★★★ いのちの息 ★★★★★ ほほえんでいる いのちの息 はかいの息 ★★★★★→★★★★★★ ★★★★★→★★★★★★ 会心の一撃 ★★★★★★ 竜穴 こうげき 龍脈 ★★★★★★→★★★★★★★ ★★★★★★→★★★★★★★ 相克の息 ★★★★★★★ こうげき! こうげき! はかいの息 ★★★★★★★→★★★★★★★★ ★★★★★★★→★★★★★★★★ 相克の息 ★★★★★★★★ 竜穴 こうげき! 会心の一撃 会心の一撃 はかいの息 はかいの息 EXスロット レベル 下位EX 上位EX 常時 五行相克の息 五行相生の息 出現条件 クラス合計 10~12 解説、攻略、その他 お供に白黒タマゴを連れている。 相手は攻撃・強化・回復など色々な行動をとってくるが、中でも注意すべきは【はかいの息】、【相克の息】、EX技【五行相克の息】の3つ。 【はかいの息】は全員が105程度のダメージを負わされる技だが、ドラゴン族ならばダメージを抑えられる。 【相克の息】と【五行相克の息】は全員がHPを45%削られてしまう技で、こちらはドラゴン族でもダメージを抑えられず、割合ダメージなので【シャボン・バリア・グラン】などで軽減もできない。 【かばう】持ちで引き受ければ現在HPの45%×3のダメージで即死してしまうので、できる限り控えた方がいい。
https://w.atwiki.jp/sanngokuwokurau/pages/25.html
序盤で開放される陣形 LV8で長蛇陣開放 LV16のNPCから雁月陣、錐形陣、魚鱗陣、鶴翼陣開放 必要レベル 陣形Lv 必要分勲 05 LV1→2 5 15 LV2→3 50 25 LV3→4 300 40 LV4→5 600 43 LV5→6 1000 47 LV6→7 1500 50 LV7→8 2200 60 LV8→9 3000 70 LV9→10 4000 ・長蛇陣(火) 使い所1:イベントBOSS戦で1番使える(条件:怒気+25武将が1人、怒気+50武将が3人) 使い所2:レベル40未満の陣形では一番火力が出る ステータス:クリティカル確率増加 Lv1 2% 2 4% 3 6% 4 9% 5 12% 6 15% 7 19% 8 23% 9 27% 10 33% 相克効果:【金】陣に対しダメージ3%軽減 XX① X③② ⑤④X ・錐形陣(土) 使い所:イベントBOSS戦で3番目に使える(条件:怒気+25武将が1人、怒気+50武将が3人) ステータス:追撃確率増加 Lv1 2% 2 4% 3 6% 4 9% 5 12% 6 15% 7 19% 8 23% 9 27% 10 33% 相克効果:【水】陣に対しダメージ3%軽減 ③XX ④②① ⑤XX ・魚鱗陣(水) 使い所:相手が【火】陣を使ってる場合にくらいしか活用できない。個人的に一番使えないと思ってる陣形。 ステータス:反撃確率 Lv1 2% 2 4% 3 6% 4 9% 5 12% 6 15% 7 19% 8 23% 9 27% 10 33% 相克効果:【火】陣に対しダメージ3%軽減 XX① ⑤④② XX③ ・傴月陣(木) 使い所:防御が発動したら耐えれる回数が増える場合(例えば敵から攻撃を2発喰らえば死ぬが防御が発動したら3発耐えれる) ステータス:防御確率増加 Lv1 2% 2 4% 3 6% 4 9% 5 12% 6 15% 7 19% 8 23% 9 27% 10 33% 相克効果:【土】陣に対しダメージ3%軽減 ④XX ⑤X① X③② ・鶴翼陣(金) 使い所:特出するところは無いが編成を考えるという点で使いやすい陣形だったりする ステータス:鎧貫通確率 Lv1 2% 2 4% 3 6% 4 9% 5 12% 6 15% 7 19% 8 23% 9 27% 10 33% 相克効果:【木】陣に対しダメージ3%軽減 X③① ⑤XX X④② LV40から開放される陣形 必要レベル 陣形Lv 必要分勲 40 LV1→2 5 40 LV2→3 50 40 LV3→4 300 40 LV4→5 600 44 LV5→6 1000 48 LV6→7 1500 50 LV7→8 2200 65 LV8→9 3000 70 LV9→10 4000 ・雁形陣(火) 使い所:国戦イベントでの対人対戦勝率が3割以下。耐えれる回数が増える場合。 ステータス:既定HP増加(パッシブ) Lv1 5% 2 6% 3 7% 4 8% 5 9% 6 10% 7 11% 8 12% 9 13% 10 14% 相克効果:【金】陣に対しダメージ6%軽減 X③① ④X② ⑤XX ・方園陣(水) 使い所:耐えれる回数が増える場合。 ステータス:ダメージ軽減(パッシブ) Lv1 5% 2 6% 3 7% 4 8% 5 9% 6 10% 7 11% 8 12% 9 13% 10 14% 相克効果:【火】陣に対しダメージ6%軽減 X②X ⑤③① X④X ・峰矢陣(土) 使い所:イベントBOSS戦で2番目に使える ステータス:ダメージ増加(パッシブ) Lv1 5% 2 6% 3 7% 4 8% 5 9% 6 10% 7 11% 8 12% 9 13% 10 14% 相克効果:【水】陣に対しダメージ6%軽減 ④②X XX① ⑤③X ・八卦陣(木) 使い所:個人的に対人戦で一番使える ステータス:ダメージを跳ね返す(パッシブ) Lv1 5% 2 6% 3 7% 4 8% 5 9% 6 10% 7 11% 8 12% 9 13% 10 14% 相克効果:【土】陣に対しダメージ6%軽減 ⑤X① X③X ④X② ・連環陣(金) 使い所:国戦イベントでの対人対戦勝率が7割以上 ステータス:HP吸収(パッシブ) Lv1 5% 2 6% 3 7% 4 8% 5 9% 6 10% 7 11% 8 12% 9 13% 10 14% 相克効果:【木】陣に対しダメージ6%軽減 ⑤②X X③X X④① 情報を提供していただけると助かります。 -- 管理者 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1143.html
我が骨子は捻じれ狂う/相克する螺旋で君を待つ ◆0zvBiGoI0k 誰もいない校舎の一室が、突如爆ぜた。 爆発の現場は保健室。部屋の中で手榴弾でも炸裂したかのような轟音と衝撃。 白を基調とした清潔感に溢れた部屋は見る影もなく破壊され、 消毒液特有の匂いに包まれた空間は埃にまみれた砂塵で埋め尽くされた。 「どいつもこいつもよォォ!! ウゼェ奴や邪魔クセェ奴がいたら、殺さなくていい理由なんてねェよなァ!! ――ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」 狂ったように、壊れたように笑う破壊の主――― 一方通行(アクセラレータ)。 彼を蝕んでいた世界の悪意は浸食を完了し、彼の心根を染め上げた。 一番奥にあった、小さな願いを残して。 「さァてェ!気分も体調も最高だ、さっさと出向いて殺さなきゃなァ!!」 一方通行が力を振るったのは単に脳内に湧き上がった破壊衝動に動かされただけではない。 自我など突風に吹き飛ばされるゴミみたいにかき消えてしまいそうだったが、 こと「殺す」という方向性に於いては一方通行の思考は今までにないほど冷静に、残虐に、速やかに回転していた。 そして今行ったのは自己の能力―――ベクトル操作の確認。これから始まる大虐殺へ向けての試運転。 案の定能力は絶好調だ。想定した通りに力は働き、思い浮かべた通りの光景が生まれた。 不安も迷いも雑音もない。これほど晴れやかな気分になったのはこの10何年の中で初めてではないか。 心なしか体も軽い。体の手綱を握る理性という御者が早く殺せと鞭を上げ続けている。 そうだ。殺す。殺したい。殺さなくっちゃいけない。死ね。 渦を巻く。罪が、この世の悪性が、流転し増幅し連鎖し変転し渦を巻く。 誰でもいい。何でもいい。とにかく死が欲しかった。 自分が多くの死を作りだせば、それだけあの少女の救いになれる。何の破綻もなくそう思う。 数分前の自分が聞けば狂ってるとしかいえない思考に歓喜すら覚える。 暴れ出す殺意を解き放つべく残骸の部屋を後にする。守るために、殺すために。 その1人の悪鬼の誕生を祝福するように、 『インデックスです。ゲーム開始より18時間が経過しました。第三回定時放送を開始します。』 第3回放送が、始まった。 ◆ 『続いて、禁止エリアの発表です。 3時間後、午後9時以降より立ち入り禁止エリアが3つ増加します。今回の禁止エリアは―――』 無人の市街、暗闇の世界。空から響く雑音に耳を傾けることなく黙々と歩く。 耳には通っているがそれだけだ。静かに聞いて待つという選択肢は完全に放棄していしまってる。 彼にとって少女―――打ち止め(ラストオーダー)を守ること以外の事柄は全て等価値だ。禁止エリアだけは聞いておかねば不都合なので少しだけ留めているがいつまで憶えているものか。 今すぐにでも人が集まってそうな場所にかっ飛んでいきたいが、それは出来ないと殺しに先鋭化された思考が止めにかかる。 結局己を縛る首輪の制限は消えてないのだ。制限時間を過ぎれば力が失われるのは已然としたまま。 織田信長が首輪の機能を無効化できたのは、幾つもの偶発的な要素が織り重なった結果だ。 誰あろうと今後同じ結果に至ることはないだろう。 未だ首輪に繋がれている現状に一層主催への殺意を募らせる。 一方通行が学園都市最強の能力者である所以は、無論そのベクトル操作の絶対性と応用性によるものであるが、 それを操る本人の頭脳―――演算能力もその座に就く大きな一因でもある。 標的にベクトル操作で攻撃を加えるとして、無数にある選択肢の内どの手段が効果的か、実行するにはどのベクトルどれだけをいじれば可能か、 一瞬の判断ミスが命取りとなる戦いの中でそれを正確に即決即断出来るだけの計算力を一方通行は備えている。 学園都市最強の超能力者は、学園都市最高峰の頭脳の持ち主でもあるのだ。 その一方通行でも首輪の解析、解除は難航していた。 首輪は参加者を縛りつけるもの。最低でも致死量の爆薬―――体積の少なさから液体爆薬と判断―――、 禁止エリアに侵入したことを知らせる受信機、そしておそらく自分に限っては能力を制限、調節出来る装置は仕込まれている。 大半の機能は機械で行われてるだろう。そして機械なら駆動を、運動をしているはずだ。 そして動くもの―――ベクトルを持つものは全て一方通行の支配下だ。駆動音から内部の構造を読み取り、 運動の経路を狂わせ機能を停止できるかもしれない。 それをしていないのは、やはり自分の首に繋がっているものに手を出すのは憚られたからだ。 誤作動で爆発しても自分なら問題ないだろうが主催側は自分の能力を制御している。 爆発と同時に能力が使えなくなるのは充分あり得るし、そもそも解析しようと能力を首輪に向けたら制限を受ける可能性もあるのだ。 そのため迂闊に首輪に手を出すことは控え続けていた。それに彼としては能力の制限を行っているであろう、 飛行船を墜とせればそれ以外は支障がなくなるとしていたので必要以上に気に留めることはなかった。 そして飛行船を見付けた【B-7】は既に禁止エリアである以上襲撃は後回しにせざるを得ない。 『次に、前回の放送から今回の放送までに死亡した参加者を発表させていただきます。 読み上げる順番はこちらで―――』 死亡者の名が読み上げられる。これは全く興味を示す事柄ではなかった。 誰が死んだところで彼の動きに変わりはない。むしろ今の彼はそれを振り撒ける側である。 ……実の所1人だけいたのだが、その名が呼ばれなかった以上それに気付きはしなかった。 『やあこんにちは。いや、それともこんばんはかな? いけないな、この時間帯はどうも挨拶の選択に困る……! まあ―――』 次に耳に響くのは男の声。何度聞いても不快にしか思えないクソッタレの声。 これはもう完全に無視した。これに耳を向ける要素は一片もない。あったとしても気付く余裕もなかっただろう。 時は遡るが、1回目の放送の時一方通行は放送の声を一部「反射」した。 その時点ではまだ比較的冷静な思考をしていた彼は参加者と主催者の僅かな繋がりである放送をもとに主催への切りこみ口を探していた。 ここで試みたのは放送の声の出所である。音を「反射」し放送がどのような形で伝わられているのかを調べた。 声はどこからともかく―――強いて限定するなら空の上―――から聞こえてきた。 会場に発声器はない。首輪から発せられてるわけでもない。確かな音として伝わってる以上、念話能力≪テレパス≫でもない。 他の経路も探ったが見つからなかった。どうしても途中で靄がかかったかのようになる。「反射」した音があらぬ方向へと弾けていくのだ。 現時点で原因が判明しない以上能力の無駄使いとなるためそこで打ち切り、 その後両儀式とデュオ・マックスウェルを発見し、あとは知る通りの結果である。 要するに、精神が汚濁した今の一方通行ではそんな前のことなど一々気に留めるものではないということだ。 『ああ、施設と言えば言い忘れていた……!前回の放送通りにこの放送よりギャンブル船、及び各地にある無人販売機の商品が―――』 右脳より入り込んでくる雑音が、左脳から抜けていく。 武器の追加だか言っていた気がする。だが興味はない。いや意味がない。自分は始めから最強の武器を得ているのだから。 強いて言えば銃くらいのものだが、その位は殺したヤツから奪えば済むことだ。首輪についても同様だ。 そこではたと一方通行は気付く。 (―――あァ何だ、殺したヤツの首輪を使えば済む話じゃねェか) 自分の首に巻かれている首輪だからこそ積極的な干渉は避けてきた。 なら他人の―――死人から首輪を引っこ抜けばいいだけではないか。 行動にさほど変化はない。誰かが持っているのを譲り受けるか、殺して首を断つかに大して違いはないのだから。 なぜプリシラの死に立ち会った時、スザクが真田幸村の首輪を刈った時それをしなかったのか今更ながら不思議でならない。 だが問題はない。すぐ近くにある死体には心当たりがある。魔王の業火に焼かれた弓兵が。 それに――― (どうせ俺がアイツから首輪を抜こうとしたら俺を止めようとするんだろ? 命の恩人サマの首を切るなンて真似、セイギのヒーローサマが見過ごすワケはねェよなァ……っ!!) 脳裏に浮かぶのは、彼が狂い果てる直前に会った少年。 超能力者(レベル5)である自分すら死に追い込んだ魔王に立ち向かった無能力者(レベル0)。 軽く突き飛ばして誰にも会わないように学校へと向かったが、心の何処かでアイツは自分を追ってくると思っていた。 いや、確信していたといってもいい。そういう男だったからこそかつての自分は敗れたのだから。 そう、アーチャーの首輪を取るのはついでのようなものだ。 その過程で鉢合わせするはずの男、上条当麻こそが一方通行の目的、標的であった。 右手に妙な力がある以外はまるで弱っちいクセして白ける綺麗事ばかり吐き、 自分の様な悪党であろうと手を差し伸べようとする筋金入りの偽善者。 けどそれでいて、最強の超能力者である自分を倒し、絶対能力進化計画を永久凍結させ、一万人ものクローン達の命を助けて。 恐らくそんなことを何度も繰り返して来て、そのたびに誰かを守り、救ってきただろう男。 自分と違って、正しい方法で正しく人を助けられるヒーローのような男。 脳内に満ち溢れる殺意が一刻も速くその刃を向けたいのもあるのだろう。 だがそれ以上に上条当麻への殺意は底なしとも取れるほどに膨れ上がっていた。 かつての一方通行は上条当麻のことを気に食わず、この上なく嫌悪していたが、 それでも憎んだり悪しきものと断じたりしたことは一度もなかった。 むしろ逆。正しく、万人に感謝される生き方をしているだろう。 悪とされるのも憎しみを向けられるべきも己であると自覚している。 それとそれ以外の―――どこか憧憬にも似たものを感じたことも全くないとは、言い切れなかった。 それが全て、飲み込まれる。様々なベクトルを向いていた感情が、一つの方向に収束していく。 (さっさと来いよ。そのツラも、誰も彼も救うなんて幻想も、全部木っ端微塵にブチ壊してやるからよおォォ!!!) 自分が持ち得なかった全てを手にしている正義の味方という幻想を壊すために。 この世全ての悪をも加えた憎悪を滾らせながら、一方通行はやがて来るはずの敵の到達を待ち望んだ。 ■ 抱いた希望は、至極あっさりと打ち砕かれた。 「………………」 人の気配がない夜の街、というだけでも一種のホラーじみた光景だが、 地面が抉れ、家が崩れ、巨大なビルがまっぷたつに卸されている一帯も合わせれば 安手のホラー映画などよりもよっぽど臨場感ある恐怖を味わえるだろう。むしろSFや怪獣映画の域だ。 「………………」 当然、その程度で委縮する一方通行ではない。そもそもこの破壊の一因は彼の盛大な能力行使の結果なのだから。 視線を足元に降ろし続ける一方通行。視線の先は、黒く焦げ付いたモノ。 地肌が浅黒いこともあって気付きにくいがあちこちに夥しい火傷の跡が見える。 それは死体。それは亡骸。それは残骸。既に亡きアーチャーのサーヴァント。そのなれの果て。 「……おい、どういう事だよ」 漏れた声は誰に向けたものか。ここに人がいない以上、返答などあろうはずもない。 ここまでの道のりでの仮初の目的は何の障害もなく達成できてしまった。 上條当麻も、それ以外の参加者誰ひとりとして遭遇することはなかった。 「何で来ねえンだよ、何で俺を止めに来ねえンだよォッ!何で俺に殺されに来ねえンだよォォッッ!!」 叫ぶ。狙撃など不意打ちの絶好の的になる可能性など気にも留めず喉を張り裂ける。 何故か。それは彼自身にもよくわからない。それを教える思考などとっくに失われてしまったのだから。 簡単に目的地に着いたのに拍子抜けしたのか、その道で出会うと確信していた男に会えずに苛立ったのか、 誰も殺せなかったことに殺気立ったのか、それとも止めてくれる者がいないことに絶望したのか。 答えは分からない。ただ言えるのは彼の内に渦巻く殺意は行き場なく飽和状態にあるということ。 あるいは、それを遠くから眺めているものがいるとしたら、 ―――弱々しく亡き伏せ癇癪を起こす、哀れな童に見えるかもしれない。 「―――そうかい。好きに扱ってクダサイッてことでいいんだなァっ!」 「―――そうかい。好きに扱ってクダサイッてことでいいんだなァっ!」 足元の死体を蹴り上げる。己が命を賭して戦い、救い、果てた英雄の貌を足蹴にする。 そのまま、足の付け根から裏までにかけてのベクトルを真下に集中させる。 間も無く、足の裏に置かれた頭部が、踏んで、潰された。 死後数時間は経過していたが破裂した頭蓋からは景気よく血飛沫が上がる。 ベクトル操作での加圧加重による粉砕。満杯まで水の詰まった風船が割れたような感触。 このやり方は、楽しい。 目玉が玩具のように漁っての方向に飛び出す。血の腐った臭いが皮膚が、骨が、脳漿が、 目も耳も鼻も舌も五感全てを覆い尽くす。 小さい頃、テレビで同年代の少年少女がスイカ割りに興じているのを見て 何が楽しいんだと冷めた視線で眺めていたが、今ならその楽しみが理解できる。 ただ機械的に1万人を鏖殺した時とは何もかも違う。 形あるものが壊れる刹那、整っていたものがグチャグチャにひしゃげる瞬間、全身が震えた。 全身の静脈にレモンスカッシュを流し込んでもこんな快楽には至らないだろう。 「―――――――――ぎゃは」 嫌な、音が聞こえた。 「ぎはっ、くはっぎ、ぎゃははははははははははははははははははははははははははははァァァ――――――!!!!!!」 叫ぶ、笑う、狂う、可笑しい、侵される。 血塗れた首輪を拾い上げながら破顔―――まさに顔を崩す一方通行。 楽しい。ただ死体を潰しただけの行為が全身に染み渡る。 すべての人間、生命にとって「快なるもの」を追い求めるのがこの世の心理だ。 言い方に悪意が感じられるなら「願い」でも「望み」でもよい。 では今一方通行が感じ、求めているのは彼の願いの在りようなのか。答えは否だろう。 願いへの道筋を悪意によって染められた結果、その道は大きく歪み捻じ曲げられてしまった。 「死」を介してでしかその願いを叶える手段を失ってしまった。 今感じるこれが快楽なのかさえ判断が付かないほどの電流が脳髄を焼く。 ワケがわからないまま内より湧き上がり、噴出した衝動で絶頂しそうだ。 死体でこれなら生きた人間を屍に変えた時の衝撃はどんなものなのか。あまりの一撃に憤死してしまうのではないか。 「足りねェよ、こンなンじゃ全然足ンねェンだよォ!」 こんな動かない肉塊なんかに用はない。生きて、動いている人間でいと意味がない。 そうでなくちゃ、彼女を救えないのだから。それでなくちゃ、自分には救えないのだから。 だから、駄目だ。足りない。圧倒的に足りない。 首輪は手に入れた。それならこんな誰もいない場所に用なんてない。 だが能力の無駄使いなど忘れ横たわる首なし死体に当たり散らしたくなる。 パンク、という言葉が浮かぶ。このまま誰も殺せないようなら最後は自分で自分を殺したくなりそうだ。 そこまで気を張り詰めていただからだろうか。誰もいないはずの路地裏から、小石の弾ける音の流れを感じた時には 「そォおこォおかァああああああああああああああ!!!!」 デイパックを開け、確認もせず発生源のもとへ音速度の缶コーヒーをブン投げていた。 ■ 「蛇蝎、」 本人にしか認識できない大きさで、声が鳴る。 重く、深い、魂を押し潰すかのような声。 その瞬間には、声の持ち主へ戦車砲弾もかくやという速度で飛んできた缶コーヒーはピタリと静止していた。 蜘蛛の糸の様な線が絡みついた缶は、そのまま女の足元へ落ちる。 紅い髪。橙色のコート。顔にまるで似合わない険しく厳しい表情。 この時はじめて一方通行は前にいる人物が女性であると気付いたが、特に関係もなかった。 重要なのはここに生きた人間がいて、自分はそれを殺したくてしょうがなくて、それに向けた攻撃が無効化されたという点だ。 投擲は弾かれた。否、止められた。投擲物が意志を持ち制止したように。 念動力≪テレキネシス≫、空力使い≪エアロシューター≫、いずれにも該当しない。周囲の空間に干渉する能力か。 とにかく遠距離攻撃では効果は薄い。何より長々と時間をかけるわけにはいかない。 接近して殴る。単純だが確実で、最終的な負担の少ない運用法だ。 自分に向けられたものでない、空間に作用している能力でも直接範囲内の空間に触れて「反射」させれば弾けるはずだ。 そう論理的に計算をしていたが、結局動いたのは体が先のようだった。脚力のベクトルを展開し、一瞬で10の距離を0に積める。 先程の缶コーヒーとは質量が大違いだというのに同速で移動、というより「吹っ飛ぶ」。 次いで右腕にベクトルを集中。格闘の専門家が見れば素人の軌道とタカを括るだろうが その速度と破壊力を前にすればその口も閉じるだろう。当然、気絶して。 風を切るという表現が相応しい。憐れにも引き裂かれた敗者は勝者たる右腕に傅きその力を増大させる。 だがその過程で、女は対策を施していたらしい。口元を2、3動かしただけで一方通行の到達を待つ。 罠の危険にも躊躇わずそのまま破壊槌と化した拳を華奢な顔面へ叩きこもうとする。 それを阻もうと、周囲に展開された線が流動する。線は女を囲み3つのサークルを成し、星の軌道を描いた図形に似ていた。 そしてそのサークルの最も外側の領域を足が通過した瞬間に、異変は起きた。 「あァッ!?」 「――――――」 綺麗な円形のサークルが一方通行へと伸び、その体を縛ろうとする。 すぐに「反射」を全身に適用、予想の通りに線は一方通行に触れられずあらぬ方向に弾ける。 そう、弾けた線は女へ「反射」されず、どれもが見当違いの方向へ飛び散っていった。 蛇のようにしなってのたうつ線、定規のように張り詰めて地面に突き刺さる線。 果ては粉末に霧散するものまである。そんな動きになるように一方通行は操作していない。 銃弾だろうが火炎だろうが毒ガスだろうが相手の攻撃をそのまま跳ね返し自滅に追い込む学園都市最強の要、 ベクトルの反射が正しく適用されなかったのだ。 だが一方通行の驚きはそこではない。それも気にすべき事柄ではあるがそれ以上の不可解な事態に見舞われていたからだ。 現在の彼の位置は女の目の前、丁度女を覆っていたひとつめの、一番遠いサークルがあった場所だ。 ベクトルをかき集めた拳は、力なく女の顔へ伸びたままだ。 それはつまり、一方通行の攻撃が寸前とはいえ止められたことを意味する。 (俺の方が、弾かれただとッ!?) 一方通行の今までの戦闘の履歴で、自身の攻撃を防ぐ奴はいた。かわす奴もいるにはいた。能力そのものを打ち消す奴さえいた。 能力が止められたという一点なら一番最後の奴と似てるがそれとも違う。自分の能力に干渉され、操られたような、気味の悪い感覚だ。 ……いや、気味が悪いのは感覚だけではない。胸の中心を圧迫されるような、窮屈なものも覚えていた。 それは外からの攻撃によるものではなく、一方通行自身が抱くものだった。 線は、今も女の制御下にないかのように無茶苦茶な機動を辿っている。それを見て一方通行は次なる手段に打って出る。 一方通行は計算する。1分にも満たない戦闘で得た情報から、 冷徹化され、凶暴化された頭脳がありったけの殺意を以て敵の力を示す。 投擲を止め、反射を狂わせ、拳を止めた。その全てが何かを縛り、拘束する意味を持つ。 敵の能力はおそらく「止める」力。あの線が象った円形の領域内に入った「侵入者」に対して発動するよう設定されている。 ベクトルを思うままに動かす自分とは真逆の力。 それならば先程の不可解もある程度説明できる。自分の向けた「動」の動きが、相手のかけた「静」の領域に相殺されたのだ。 タネは割れた。それなら話は早い。 確かに自分と相手の能力は似通っている。それならばこちらの攻撃(ベクトル)に干渉し動きを止められるだろう。 だが干渉されたということは干渉され得るということ。逆にこちらから相手の能力を停止させられるということだ。 現に、白い線は一方通行へ向かって来ない。自分の能力が弾かれたように、この女の能力もまた制御下を離れているのだ。 互いの手が相殺され0になったのなら、いち早く能力を再起動出来た方が勝つ―――! 開きっぱなしのデイパックに腕を突っ込み、すぐ引き抜く。 固く握りしめられた拳の中には無数の銀玉。パチンコ店からぶんどったパチンコ玉を手一杯投げつける。 ベクトル操作で放たれる弾丸の威力は散弾銃すら超える。対人地雷―――クレイモア級の制圧力だ。 この距離なら全弾命中は免れない。数十キロ粗引き肉の出来上がりというわけだ。 脳から提示された殺害方法を実践すべく一方通行は能力を開放 『立ち入り禁止区域に入りました。速やかに退去して下さい』 する寸前、殺伐した空間に似合わぬ軽快な電子音がそれを制した。 禁止エリア?その意味は分かる。そこに入れば首に仕込まれてる爆弾が作動する。時間ごとに刈り場を狭めるルールだ。 だがなぜここで鳴る?そもそもこの女はここの壁から現れ――― そこまでして、ようやく一方通行は気付いた。自分と対峙するコートの女には、首輪などはめられていないことを。 「ッックソがァッ!!」 本能が殺意を上回る。拳の開放を取りやめ一気に力の振り幅を後方にかける。 まるで巻き戻しのように体は元いた地点、【E-6】北の、禁止エリアギリギリの面まで跳躍する。 安全地帯に到達し、けたたましい音は鳴り止む。その僅かな間に、オレンジ色のコートの女の姿は、気配とともに消えていた。 「………………」 追撃はできない。これは境界だ。首輪をつけている者とそうでないものとの決定的な、絶対不可侵の領域の境界線だ。 首輪をはめられてる自分ではあの女を追えない。マヌケに自爆するのがオチだ。 「…………………………………………………………………………………………………は」 獲物が出てこない以上待ち続けても仕方ない。ならば次に向かうべきだろう。 1人にばかり構う暇はない。脳に詰まった殺意は1人や2人程度じゃ満足できないのだ。 「はは、ははは、あは、いひゃははははははははははははははははははははは!!!! そうか!もう待ってられないってかァ!!そんなに早く殺されたいですかァ!!!」 首輪を付けてない。それは首輪を解除したと示すことだが一方通行はそうは考えていなかった。 まだ1日も経過せず、生き残り半分以上いるというのに、そんな早期に首輪を解除できるものなのか。 もっと簡単な答えがあるだろう。始めから、首輪なんて付けていないという答えが。 首輪を付けてない。参加者ではない。残った選択肢は2つだろう。 外部からの侵入者か、主催の仲間かだ。 そして一方通行の直感は後者だ。前者なら普通ここの参加者を助け出そうとする奴だろう。 好き好んでこんな場所に来る奴はいねえ。 それにあの女の目、纏う気配。アレは完全にこっち側の住人だ。人の命なんて空き缶みたいに投げ捨てられる、自分と同じ救いようのない外道だ。 そう理屈詰めで結論付けたが、結局の所あの女が誰であろうと一方通行は殺意を募らせただろう。 主催―――帝愛の一味という可能性が考えられる時点であの女は虐殺対象の最前線にリストアップされていた。 「いいぜいいぜいいぜェ、せいぜい引きこもってな!俺がそこに乗りこむまでよォ! 小便済ませて、神サマにお祈りして、ガタガタ震えて命乞いする心の準備でもしながらなァァあああああ!!!」 どうして主催の仲間がてここにいるかは分からない。だがわざわざ安全な場所を出てくる位だ、 何らかの重要な役割があるのだろう。自分みたいに飼い犬に噛まれる危険を冒してでも。 それを、壊したい。奴らの企みを、こんなくだらなくてクソッタレで腐っている催しを、 それを眺めてヘラヘラ笑ってるような連中を、 バトルロワイヤルなんて大層な名が付けられた最低最悪なゲームを隅から隅まで壊し尽くしたい。 一人残らず。 一つ残らず。 何もかも。 さあ―――助け(コロシ)に行こう。 捻じれ狂った螺旋は矛盾を続けて進んでいく。その果ての終着点も見えぬまま。 【E-6北部/禁止エリア手前/一日目/夜】 【一方通行@とある魔術の禁書目録】 [状態]:精神汚染(完成) [服装]:私服 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、缶コーヒー×12、ランダム支給品×1(確認済み)、パチンコ玉@現実×多量、 缶コーヒー各種@現実×多数、首輪(アーチャー) [思考] 基本:どいつもこいつもブチ殺して打ち止めを守る。 0:どいつもこいつもブチ殺す。上条当麻は絶対に絶対に絶対に絶対に絶対にブチ殺す。 1:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません)。 2:このゲームをぶっ壊す! 3:首輪を解析する。首輪を解除出来たらあの女(荒耶)をブチ殺す。 [備考] ※飛行船で首輪・制限の制御を行っている・主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。 ※ゼクス、政宗、神原、プリシラ、スザク、レイと情報を交換しました。 ※ライダーの石化能力と藤乃の念動力の制限を分析しました。 ※式の力で、首輪の制限をどうにかできる可能性があると判断しています。 ※織田信長の瘴気の影響で精神に異常が出ました。 ※第3回放送は軽く聞き流しています。禁止エリア程度しか頭に入れてません。 ※放送は機械とも超能力とも異なる手段で流されていると思っています。 ※首輪に関して以下の考察をしています。 致死量の液体爆薬が詰まれている 禁止エリアの進入を知らせる受信機が仕込まれてる。 自分に限っては専用の能力を制限する装置が組み込まれてる。 ※橙子(荒耶)の名前は知りません。荒耶を主催の一味と思っています。 ※荒耶の能力を分析しました。超能力に類するものと思っています。 ◇ 誰もいないはずの路地の裏で、何かが動いた。 白い、蛇の様な線だ。線は、するすると意思を持つかのように空に浮きながら進む。 線は無残に放置されていた首のない死体にまで伸びる。獲物を縛りあげるように絡み、重力など感じさせずに軽々と持ち上げた。 そのまま死体は路地の闇に引きずり込まれ、再び地に伏す。その死体を見下ろす姿があった。 形は人間をしているが文字通り微動だにせず、彫像か人形のように立ち尽くす影。 表情は険しく、十分に美女といえる顔(かんばせ)を歪めてしっている。 その女―――魔術師、荒耶宋蓮は眼下の死体を睥睨する。まるで、積年の怨敵の様に。 織田信長との邂逅を終え、展示場地下への工房へ乗り込むべく行動を再開した荒耶。 禁止エリアを抜けたらそこから先は当然参加者と接触の危険性がある。 警戒の念を深めようとした矢先、禁止エリアのギリギリ外の位置に早くも参加者を発見した。 一方通行(アクセラレータ)。荒耶の知る法則とは外にいるベクトル操作の超能力者。 この場で最も会うのが憚れる人物であった。 能力の相性だけなら、悪くはない。 荒耶の起源『静止』より組み出した結界、六道境界。領域内の生物の動きを停止させる蜘蛛の糸。 一方通行の分析通り、互いの能力は相反した要素を抱えており、荒耶は彼のベクトルの攻撃への干渉に成功した。 だが、彼の知らぬこともある。荒耶が行使したのは超能力ではなく魔術、この2つは原理が根底からして違っているのだ。 超能力で組まれた水の槍なら事もなげに反射できるが、魔術により編まれた水の槍は反射を行えない。 なぜなら一方通行は魔術を理解できないからだ。彼に限らず「持って生まれた才能」から発現した超能力者は、 「才能なきもの」が異世界より編みだした魔術に対して過剰な負荷がかかるのだ。 それが荒耶と対峙した際に抱いた一方通行の圧迫感の正体である。そして理解できない攻撃に一方通行≪アクセラレータ≫は適用されない。 それでも物理的な衝撃を持つものなら弾くことまでなら可能だ。動く以上、ベクトルは存在するのだから。 加えてその魔術すらも彼のいた世界とは別の法則による魔術だ。 異世界の法則を再現したのが魔術というのなら、これもまた「異世界の魔術」といえるだろう。 一方通行に似通った能力、魔術と超能力の相違、その2点が荒耶を救った。 だが、それでも優位とはいえない。転移したこの肉体では結界の維持に不安が大きいのだ。 加えて、攻撃は防げてもこちらの攻撃もまた弾かれる。 策がないではないが元の肉体ならともかく身体能力まで落ちたこの肉体では目算は低い。 故に、ただ事の成り行きを静観していたのだが、一方通行の状態は余りに想定を逸していた。 突然叫び出したかと思えば、アーチャーの頭を粉砕し、首輪を手に取り、また喚き散らす。 その上首輪の回収という既に役割を終えたはずのアーチャーの死体に追い撃ちをかけんとするほどだった。 とっくに知っているはずの、ベクトル能力の制限時間を消費してまで。 危険な人物であるとは前もって知っていたがここまで凶悪、というより狂乱する性質でもなかったはずだ。 会場の狂化の仕掛けに今更惑わせられる器でもあるまい。 サーヴァントの死体の回収は、言峰綺麗の役割だ。既に帝愛の手を脱した荒耶に回収を手伝う義理はない。 言峰個人には払うものがあるがそれも膳立て止まりだ。実際に回収するのは言峰でなければならない。 だがそれでも―――無作為に壊されるという事態は今後の不都合になりかねない。特にアーチャーのサーヴァントは。 基本過去の英雄を喚び出すサーヴァントの中で異例である未来からの参戦者。 あまつさえその正体は世界の破滅を回避する抑止力の守護者。根源への到達を目指す荒耶を幾度も滅ぼした存在だ。 そのアーチャーをこの会場に参戦させるというのは荒耶としては不安要素だったが、 守護者エミヤと切り離されたサーヴァントアーチャーとしてなら障害にはなれないということ、 荒耶自身の目的を秘する立場であることで異を唱えはしなかった。 無論、迂闊に手を出しては直接障害にならずとも何かの切欠にならないとはいえない。 故に、一方通行に身を晒し、その意識を逸らさせた。 それにこれは確認でもあった。一方通行程の頭脳の持ち主であれば、荒耶のいる場が禁止エリアであること、 首輪を付けておらぬことから何らかのアプローチを求めてくると反応を待ったのだ。 その結果は、御覧の有様。気配を察知した瞬間に問答無用で攻撃を加えられた。 それも遠距離の投擲だけならともかく自ら禁止エリアを踏みこんでまで攻めてきた。 あまつさえ爆発のシグナルが鳴ってさえも動きは止まらなかった。 一方通行自身は気付いていないのかも知れないが、爆発は本当に紙一重だったのだ。 あと数秒、こちらに意識を傾け続けていたらその頭はあっけなく吹き飛んでいただろう。 結論は一つだ。一方通行は狂っている。それもどうしようもないほど破滅的に。 要因は、織田信長との戦闘だろう。あの最中で何らかの攻撃を受け、それが影響して精神に異常をきたした。 考えられるのは、魔王が纏うあの瘴気か。 再び獣のような声が上がる。必ず殺すと、自分に殺されるまで怯え続けろと大気を軋ませ吠え上がる。 まさに地獄の猛獣ともいえる咆哮に、だが荒耶は眉ひとつ乱さない。 ―――死の恐怖など、とうに捨てた。 一方通行に利用価値はない。あれは天災のようなものだ。条件さえそろえば無差別に発生し、無差別に周囲を破壊する。 大いなる自然の力に人がこうする手段は、逃げるだけなのだ。誘導することさえできない。 一瞬だけ意識を外に移し、行き先を見定める。あのまま進めばまもなく政庁だ。 丁度、織田信長がその暴虐を奮い逃げ延びた相手と鉢合わせする位の時間差だろう。 残党潰しには丁度いい。 体もだいぶ順応し意識の転移も1エリア程度なら飛ばすことも可能になった。 それでも可能な時間は短い。ただこれは体の適合よりもこの会場そのものの異常によるものだった。 現段階で可能な範囲で結界を見渡したが非道い様相だった。綻びは至る所に目立ち、解れ、今にも虫食い穴が生まれそうなほどだ。基点の修復も芳しくはないらしい。 だがすぐ動くわけにもいくまい。今禁止エリアを離れたら間違いなく一方通行は察知し、今度こそ全力で殺しに向かってくる。 勝てるにしても、その損害は計り知れないだろう。一方通行の首輪の製作に難儀したのが思い起こされる。 どの道あの様子では少ししたら―――他の参加者を見付けたころには忘れ去っているだろう。 急く現状であるが焦る必要はない。結界崩壊の重さは主催側も承知の上だ。 魔術に依らぬ、物理的、科学的な封鎖も予め聞いている。それでも一時凌ぎだろうが、 その間にインデックス、忍野メメ、言峰綺麗、人材を総動員して止めにかかるだろう。 次世代まで消える運命の己を輪廻の輪から引き戻したあの男も―――そろそろ動く頃合いだろう。 ふと、目が止まった。首の消えた弓兵の死体、その手に赤く光るものがあるのを見えた。 アーチャーの死という事象そのものに気を取られていた上条当麻も。 首輪の回収という目的以外は眼中になかった一方通行も気付かなかったそれを、誰よりも冷静な荒耶は見つけた。 回収しようとするが、英霊といえど受肉すれば肉体は自然の法則に依るのか、 あるいは英霊の最後の一念がこの手の中を晒されることを拒んでいるのか指は動かない。仕方ないので、手首ごと砕いた。 血の海から姿を見せたのは、血の赤ですら霞む強い存在を見せる赤く輝く宝石だった。 魔術師、遠坂凛の持つ宝石。確か、アーチャーを召喚した触媒の品だったはずだ。 魔力の残量はほぼ空だ。アーチャーが固有結界の展開に使用したのだろう。 死者すら蘇らせるほどの魔力が収められた特上の礼装も、これでは金銭的な価値しかない。 使い道は無いに等しいがあるに越したことはない。捨てるという選択肢をあえて選ぶほどでもなかった。 宝石をコートのポケットに仕舞い込み、魔術師は悪鬼が去るのを待つ。ただそれは一時的な停止に過ぎない。 この矛盾した螺旋(セカイ)の果てに到達するその時まで、魔術師の歩みは永劫止まらない。 【D-6/一日目/夜】 【荒耶宗蓮@空の境界】 [状態]:身体適合率(大)、身体損傷(中)、発現可能魔力多少低下、格闘戦闘力多少低下、蒼崎橙子に転身 [服装]:白のワイシャツに黒いズボン(ボロボロで埃まみれ) [装備]: [道具]:オレンジ色のコート、凛のペンダント(魔力残量:極小)@Fate/stay night [思考] 基本:式を手に入れ根源へ到る。 0:一方通行が去るまで少し待つ。 1:櫓の状況を確認すべく、工房に向かう。 2:体を完全に適合させる事に専念する。 3:信長を利用し、参加者の始末をしてもらう。 4:必要最小限の範囲で障害を排除する。 5:利用できそうなものは利用する。 6:可能なら、衛宮士郎の固有結界を目覚めさせ、異界として利用する。 ※B-3の安土城跡にある「荒耶宗蓮の工房」に続く道がなくなりました。扉だけが残っており先には進めません。 ※D-5の政庁に「荒耶宗蓮の工房」へと続く隠し扉がありますが崩壊と共に使用不可能になりました。 ※エリア間の瞬間移動も不可能となりました。 ※時間の経過でも少しは力が戻ります。 ※今現在、体は蒼崎橙子そのものですが、完全適合した場合に外見が元に戻るかは後の書き手にお任せします。 ※海原光貴(エツァリ)と情報を交換しました。 ※A-7の櫓に、何かしらの異常が起きた事を察知しました。 ※バーサーカーを倒したのは、ルルーシュであると確信をしています。 ※何か強力な武器が手に入ったら、信長に渡す約束をしています。 ※信長の首輪が、爆破機能と共に盗聴機能まで失ったかは次の書き手様にお任せします。 もしも機能が失われていない場合、主催側に会話の内容が漏れた可能性があります ※一方通行の異常に気付きました。好んで関わるつもりはありません。 ※一方通行に声は聞かせていません。 【凛のペンダント@Fate/stay night】 魔術師、遠坂凛の実父、遠坂時臣が遺した強力な宝石魔術。死に瀕した人間を蘇らせるほどの魔力が篭もっていた。 凛がこれを使用してランサーに襲われて死にかけていた衛宮士郎を無理やり蘇生させた。 凛が意図してのことではないがアーチャーを召喚する際の触媒にもなってる。 アーチャーの固有結界展開時に魔力の殆どを持ってかれたため、残量は極小。 時系列順で読む Back 開け、細き一条の血路(後編) Next ルルーシュと腹黒い仲間たち(前編) 投下順で読む Back 開け、細き一条の血路(後編) Next ルルーシュと腹黒い仲間たち(前編) 234 でもそれって根本的な解決にはなりませんよね? 一方通行 247 疾走スル狂喜 【壹】 239 会合、魔人二人 荒耶宗蓮 247 疾走スル狂喜 【壹】
https://w.atwiki.jp/tenj/pages/2230.html
13552019/10/01天上宝貝の強化宝石について③(2019/10/1 追記) ■天上宝貝の強化宝石の系統について 天上宝貝システムにて、天上宝貝を製作する際、 同系統の強化宝石を2つ以上付与することができません。 どのアイテムが、どの系列に属するのかにつきましては 下記に表を記載致しましたので、ご確認頂けます様お願い致します。 ■強化宝石の系統一覧(2015/4/9 更新) 修練系 属性系 相克系 能力系 武技系 特殊系 青龍石 激炎石 剣劉石 水鈴石 万眼石 紅眼石 白虎石 氷寒石 刀軟石 火鈴石 紫眼石 未明石 朱雀石 雷電石 槍懦石 土鈴石 虎眼石 玄武石 暗黒石 爪銹石 金鈴石 金眼石 雪猫石 龍涙石木鈴石 破輪石 彌猴石 血風石 白犬石 血空石 金羊石 風空石 空命石 血命石 風命石 太陽石 金月石 火金石 月木石 火木石 金木石 ■各種強化宝石の効果について ▽修練系 強化宝石 「青竜石」・・・・・・名声に追加で経験値を獲得することができる。 「白虎石」・・・・・・力に追加で経験値を獲得することができる。 「朱雀石」・・・・・・熟練に追加で経験値を獲得することができる。 「玄武石」・・・・・・耐性に追加で経験値を獲得することができる。 「雪猫石」・・・・・・名声と敏捷に追加で経験値を獲得することができる。 「彌猴石」・・・・・・熟練と敏捷に追加で経験値を獲得することができる。 「白犬石」・・・・・・力と敏捷に追加で経験値を獲得することができる。 「金羊石」・・・・・・耐性と敏捷に追加で経験値を獲得することができる。 ▽属性系 強化宝石 「激炎石」・・・・・・武技攻撃時、一定確率で攻撃対象キャラクターが5秒間体力減少。 「氷寒石」・・・・・・武技攻撃時、一定確率で攻撃対象キャラクターが3秒間移動不可。 「雷電石」・・・・・・武技攻撃時、一定確率で攻撃対象キャラクターが10秒間防御武技使用不可。 「激炎石 暗黒石」・・・・・・武技攻撃時、一定確率で攻撃対象キャラクターが10秒間攻撃武技使用不可。 【2015年5月21日 10:30追記】 ================================================ ※記載内容に誤りがありましたので、修正させて頂きました。 ================================================ ▽相克系 強化宝石 「剣劉石」・・・・・・剣キャラクターによる相克ダメージを減少。 「刀軟石」・・・・・・刀キャラクターによる相克ダメージを減少。 「槍懦石」・・・・・・槍キャラクターによる相克ダメージを減少。 「爪銹石」・・・・・・爪キャラクターによる相克ダメージを減少。 「龍涙石」・・・・・・相克被ダメージを減少、相克攻撃数値増加。 ▽能力系 強化宝石(2015/4/9 更新) 「太陽石」・・・・・・キャラクターの力と熟練度が上昇する。(2015/4/9 更新) 「金月石」・・・・・・キャラクターの熟練と耐性が上昇する。(2015/4/9 更新) 「火金石」・・・・・・キャラクターの力と耐性が上昇する。(2015/4/9 更新) 「月木石」・・・・・・キャラクターの熟練と体力が上昇する。(2015/4/9 更新) 「火木石」・・・・・・キャラクターの力と体力が上昇する。(2015/4/9 更新) 「金木石」・・・・・・キャラクターの耐性と体力が上昇する。(2015/4/9 更新) 「水鈴石」・・・・・・キャラクターの気力が上昇する。 「火鈴石」・・・・・・キャラクターの力が上昇する。 「土鈴石」・・・・・・キャラクターの敏捷が上昇する。 「金鈴石」・・・・・・キャラクターの耐性が上昇する。 「木鈴石」・・・・・・キャラクターの体力が上昇する。 「血風石」・・・・・・キャラクターの力と熟練度が上昇する。 「血空石」・・・・・・キャラクターの力と敏捷性が上昇する。 「風空石」・・・・・・キャラクターの熟練度と敏捷性が上昇する。 「空命石」・・・・・・キャラクターの敏捷と耐性が上昇する。 「血命石」・・・・・・キャラクターの力と耐性が上昇する。 「風命石」・・・・・・キャラクターの熟練と耐性が上昇する。 ▽武技系 強化宝石 「万眼石」・・・・・・武技攻撃時、一定確率で武技ダメージ数値増加。 「紫眼石」・・・・・・位置による被ダメージ数値減少。 ▽特殊系 強化宝石 「紅眼石」・・・・・・武技打撃数値増加(近接/遠距離)。(2019/5/24 更新) 「未明石」・・・・・・対人戦において、回避率上昇。 「虎眼石」・・・・・・遠距離武技被ダメージ数値減少。 「金眼石」・・・・・・近距離武技被ダメージ数値減少。(2019/10/1 更新) 「破輪石」・・・・・・武技クリティカル値増加。 ■更新履歴 2015年01月21日 情報の掲載 2015年04月09日 情報の掲載 2015年05月21日 内容の修正 2019年05月24日 内容の修正 2019年10月01日 内容の修正
https://w.atwiki.jp/ps4borderbreakimage/pages/643.html
~戦端の大鉄橋~ ~断崖の相克~imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ナヴァル岩石砂漠~断崖の相克~.jpg) ~赤土の連合戦~ ©SEGA
https://w.atwiki.jp/nezumi3/pages/2.html
めにゅー トップページ Skype 導入 Mumble1.2導入 臨時チャット Kaillera通信 Hamachi通信 リンク 相克HP 相克BLOG ここを編集
https://w.atwiki.jp/jygiga/pages/37.html
バトルシステム ※本項の内容は、初戦開始時に公式廣報へ再掲する予定です。 ⇒pixiv版『戦仕様解説』は此方(予告時点からのシステム変更はありません) 対象作品 「公式戦期間内に投稿&指定先へイメレスされた」イラスト、漫画作品全てをポイント(以下「pt」)集計対象とします。 計算は原則として運営で行います。計算のルールは下記のとおりですが、計算方法がいまいち分からないという方も深く考えなくてOKです。また、登場キャラクターを選定する際にも、「ポイントが~~~だから…」など気にする必要は全くありませんので御安心を。自由に作品を制作してください。 計算のルール(図説が必要であれば上記pixiv版の解説をご覧下さい) 基礎点 ○自分が作成したキャラクター ひとりにつき20pt ○他参加者が作成したキャラクター ひとりにつき10pt ⇒作品内登場人物全てに対して適用されます(NPC含む。ただし、モブは不可)。 加算・減算 A 五行属性の相生・相克・比和 各キャラクターが持つ五行属性には相性が存在します。『人妖戯画録』では、様々な相性関係のうち「相生(そうしょう)」「相克(そうこく)」「比和(ひわ)」の3種類を使用します。・相生 相手を生み出す関係。木は燃えて火を生む、火は灰をつくり土に還す、など。・相克 相手を傷つける関係。火は金属を溶かす、金属の刃は木を切り倒す、など。・比和 属性が重なった状態。重なった属性の力を増幅。 1、自分と仲間同士の関係性 自分が仲間に対して相生関係にある、もしくは 仲間が自分に対して相生関係にある場合…+10pt (自分⇔仲間A、自分⇔仲間Bで相生が発生する場合は10pt×2加算となります) 自分が仲間に対して相克関係にある、もしくは 仲間が自分に対して相克関係にある場合…-5pt 仲間内で同属性の重複(比和)がある場合…5pt×重複人数を加算 2、自分と敵の関係性 敵が自分に対して相生関係にある=敵が自分の力を生み出す場合…+3pt 例)自分が水、相手が金/自分が土、相手が火/自分が木、相手が水 など 自分が敵に対して相生関係にある=自分が敵の力を生み出す場合…-3pt 例)自分が金、相手が水/自分が火、相手が土/自分が水、相手が木 など 自分が敵に対して相克関係にある=自分が敵を傷つける場合…+10pt 例)自分が水、相手が火/自分が土、相手が水/自分が木、相手が土 など 敵が自分に対して相克関係にある=敵が自分を傷つける場合…-10pt 例)自分が火、相手が水/自分が水、相手が土/自分が土、相手が木 など B フィールド加算 属性のあるステージの場合、仲間内でステージ属性と同じ属性を持つものがいるときに5pt×合致人数を加算。 C 縁システム 自分のキャラクター⇔登場キャラクター間において、作者同士の了解のある相互関係がキャラシキャプションなどで確認できる場合…+5pt (自分⇔仲間A、自分⇔仲間Bで縁が発生する場合は5pt×2加算となります) なお、関係内容については良い関係(親友、恋人、血縁など)、対立関係(ライバル、逆恨み、仇など)に関わらず一律+5ptとします。 是非、様々な方との『縁』を結んでみてください。 作品ptは計算の基準になったキャラクターの勢力へ加算します。また、1作品のpt総計がマイナスになることはありません。最低でも0となります。 自キャラが複数登場する作品の場合、それぞれのキャラクターの立場で計算し、それぞれの勢力へ加算します。 戦関連作品に関するキャプション記載のお願い スムーズにpt計算を行うため、戦関連作品のキャプション記載についていくつかお願いがございます。 1.登場キャラクターは必ず全員キャプションに記載してください。 企画作品ではよく「お借りしました」という形で記載されていると思います。文字数制限の都合もありますが、余裕があればキャラシへのリンクをお願いします。文字数制限に引っかかりそうな場合は無理に記載しなくて結構ですが、 キャラシイラストIDの記載は最低限お願いします。 2.相互関係の発生しているキャラクター(=縁システム適用の相手)については、上記「お借りしました」の記載と共に「★」の記号をつけておいてください。こちらも文字数制限に引っかかりそうな場合は無視して結構です。 運営側でも集計時に確認巡回を行いますが、円滑に公式イベントを進行するためにも可能な範囲で御協力お願いします。
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/1982.html
●ボロス軍(赤白) 「罰なき正義は牙を抜かれたも同じ。罰の痛み無くしては、正義は成し得ぬ」 指導者:“ボロスの大天使”ラジア 本拠地:軍の要塞サンホーム 活動:法の執行、治安維持 性愛:取り調べ、刑罰 法を盲信し、あらゆるものを犠牲に法を執行する集団。治安維持・警察機構の役割を果たしていると言えるだろう。規律の取れた兵ゆえに、純粋な軍事力では謀略界でも最強の集団である。ただし、あらゆる土地が入り組んだ都市である相克界において、軍事力を生かせる機会・場所は制限されている。 情報収集や捜査活動といった細かな活動を苦手としており、兵力や組織暴力に頼った制圧作戦を好む。このため、警察機構とは言うものの冤罪なども多く(他ギルドの陰謀にも利用されやすい)、一般民衆からの支持はあまり高くない。 彼らは法の犬ではあるが、正義や道徳の徒ではない。法に触れさえすればボロスは嗅ぎつけ、取り押さえに来る。多くの監獄や収容所を所有し、その多くの構成員の獣欲を「取り調べ」や「刑罰」によって満たしているのだ。目をつけた相手を追いまわし、法に触れる行為を見かけさえすれば捕らえ犯して来ることも珍しくない。恐るべき法の犬なのだ。 指導者であるラジアは扇動的かつ独裁的な堕天使魔王である。相克界でも最古参の魔王の一人であり、その傲慢さと加虐性癖によって知られる。炎をまとう武装した有翼の女騎士の姿をしており、自らを「至上の存在」と呼び、魔界王や大魔王の地位への執着を隠そうともしない。彼女の言動は他組織との軋轢を生むことばかりだが、謀略界で最も危険な光の力の使い手であるる彼女と争おうとする者もまずいないのだ。 ●セレズニア議事会(緑白) 「我らと共にあるならば、すべてが平等だ。それまでは、お前の存在は無い」 指導者:名目上はいない 本拠地:都市の樹ヴィトゥ=ガジー 活動:自然調和、同朋の守護 性愛:奴隷共用、多数による陵辱での洗脳 共同体であることを何よりも重視し、平等であることが至上であると考える集団。構成員は無私無欲で同朋に尽くすが、同時に外部を排斥し個人の個性を否定して、接触した者らを自らに取り込んで行こうとする思想でもある。思想それ自体は間違っていないものの、相手や場所を選ばないため、他組織と紛争を起こすことも少なくない。 指導者は存在せず、すべての構成員による共同統治が行なわれている……と外部には宣伝している。だが、中核を為すのは意識を共有するドライアドたちの一団であり、彼女たちによる議事会こそが事実上の指導者だ。また「福音者」と呼ばれる魔将たちも多く所属しており、戦闘力においても決して甘く見ていい相手ではない。 共同体たることを重視する彼らは性行為においても集団で行動する。格下の相手であろうとセレズニアの者と交わるなら油断してはいけない。彼らは多数でもって一人を徹底的に調教し、洗脳し、セレズニアの一員へと引きずり込むのだ。その後に待つのはセレズニアの共同奴隷としての無数の欲望への奉仕だけである。 ドライアドたち(多くは魔将)が表舞台に現れることはまずない。セレズニアの代表者として世に知られるのは「福音者」たちだ。中でも男装の闇エルフ、“狼乗り”トルシミールは強力な魔将である。彼女は多くの魔獣らを率いてボロスやグルールに「弾圧」される同胞を救うべく策謀界中を駆け巡っている。相克界有数の剣士にして強固な意志の持主たる彼女は目下、セレズニアの斬り込み隊長なのだ。 ●ゴルガリ団(黒緑) 「ゴルガリは死体を埋葬しない。植えるのだ」 指導者:“ゴルガリの女王”サヴラ 本拠地:安息の無い墓スヴォグトース 活動:人間界侵略、魂と死者の収集 性愛:近親婚、子作り、奴隷狩り その活動分野を除けば、ゴルガリは実にわかりやすい武力集団だ。略奪団、盗賊団と言ってもいいだろう。彼らは人間界における「死」を徹底的に利用する。人間界を侵略し疫病をもたらし、多量のソウルを手に入れつつその死体を独自の手法で兵として使う。彼らはそうして魔界の活性化と組織の強化を図っているのだ。死体と霊魂を徹底的に利用していくその手法は、魔界本土におけるモンスター相手にも使われており、ゴルガリの兵力はいや増す一方である。 そうした死者の軍勢ではあるが、ゴルガリは魔界の活性化を真に重視する。魔族の数を増やすことに腐心し、他のどの組織よりも構成員同士の交合と新世代育成を推奨している。新たな子の誕生は大いに称えられ、生まれた子は組織全体から行き届いた環境を与えられる。ただしあくまで構成員同士によるものであるため、長いゴルガリの歴史の果て、現代ではほとんどが近親相姦のみとなっており、他組織からのゴルガリの特殊性をより高めることとなっている。 なお、相克界における人間界侵略の最大勢力たるゴルガリは、オルゾフやラクドスに売るための人間狩りにも積極的だ。ただし、人間奴隷に人格を認めたり、子を作らせたりすることは基本的にない。 指導者たるサヴラは、数多の死者を率いる闇エルフの魔女王である。外部に対して苛烈で知られるが、組織内での人望は厚い。ゴルガリの構成員ならばおそらく誰もが彼女と交わったことがあるだろう。サヴラは多くの子を組織内に持ち、多くの兄弟と親戚に囲まれている。彼女と組織内で対立する勢力として「石の死の姉妹」と呼ばれるゴルゴンの3姉妹がいるが、サヴラの勢力を上回るには至っていない。 ●ディミーア家(青黒) 「人目を盗むことは力だ。見えぬ力に刃向かうことのできる者はおらぬ」 指導者:“秘密の王”ザデック 本拠地:影の家ダスクマントル 活動:情報の掌握、暗躍 性愛:脅迫、調教、ストーキング ディミーア家は、他ギルドの一般構成員にとっては架空の組織、もしくは過去の伝説にすぎない。多くの魔族にとって、ディミーアは怪談や噂話の一つでしかない。しかし、ディミーアは間違いなく存在し、陰に隠れて相克界支配を目論んでいる。その存在を闇に隠し、地下活動や情報操作を行いつづけている。構成員たちはそれぞれが無所属や別組織の一員を装い、また互いの存在すら関知しないまま、ディミーア上層部へと無数の情報を密告している。彼らの存在を知るのは、各組織の上層部だけなのだ。 ディミーアは他のどの組織よりも都市に覆われた相克界に特化している。自然的な地形のない、全てが迷宮に覆われたような魔都の塊たる相克界は、彼らが暗躍し君臨するためになくてはならないものだ。このため、自然回帰を図るグルールには常に敵対的行動を取る。 脅迫や陰からの調教支配はディミーアが最もよく使う手段だ。彼らは暗殺や監禁などの無粋な真似はしない。組織の末端をじわじわと腐らせ、侵食し、快楽と秘密で支配した密告者を作り出していくのだ。彼らにとっては性愛も他の魔族を効果的に操作し、ディミーアの支配力を高めていくための手段にすぎない。もちろん、個々の工作員には快楽と言う十分な報酬が与えられもするのだが。 伝説的な両性具有の吸血鬼ザデックがディミーアの永代当主だ。この最古参の魔王の一人は、未だほとんど誰にも知られておらず、限られた部下とディミーアにとって重大な意味があると考えられた人物としか会見しない。ザデックは相克界のありとあらゆる情報を知り、いかなる偽りも真実も自在に広めると言われる。また、その懐刀でもある洗脳士シアクー(大魔将)は、要所要所の魔族・モンスターを洗脳し、ディミーアの勢力拡大に努めている。 ●オルゾフ教会(白黒) 「私に裏表があるって? お世辞はたくさんよ。仕事なんだから」 指導者:“オルゾフの末裔”テイサ 本拠地:取引の教会オルゾヴァ 活動:金融業、商業、流通 性愛:売春、奴隷売買 オルゾフ教会は宗教の装飾をまとい、多くの信徒を抱えているものの、全ては支配のための仮面である。彼らは自覚せる偽善者であり、相克界で最も発達した経済集団、拝金(ソウル)主義者たちである。その宗教の仮面は分厚く、狡猾に仕組まれ、信徒からソウルを吸い上げていく。無論、信徒らとて愚かではない。オルゾフの加護が「ソウルで買える」ことを重々承知している。彼らは、敬虔なる商取引の徒だ。あらゆる流通、商売にはオルゾフの目が光っている。相克界で商人となるためには、オルゾフ教会への所属と献金は不可欠なのだ。 こうした冷徹な計算を主とするため、オルゾフの上層部は人間界での経済知識を持ち、感情に振り回されることのない拝金主義のリッチたちに占められている。彼らが構成する「幽霊議会」こそ、この巨大組織の運営者たちである。 売春や奴隷売買といったことも、相克界ではオルゾフの監視下だ。魔界でもっとも代表的な経済活動であるこれらについて、随所で中間業者として入り込み、価格操作や他組織の資本抑止に務めている。直営の売春宿も多い。もっとも、オルゾフの構成員たちは銭勘定にこそ熱心であり、個人の快楽に溺れるものは苛烈な組織内競争で生き残ることはできない。 オルゾフの指導者テイサは、この大組織のオーナーだ。年若い女暗黒騎士にして魔王たる彼女は吝嗇家でも節制家でもなく、経済に明るくもない。彼女はごく普通の魔族であり、その主な役目は他組織の指導者や幹部との社交にある。上取引先であるゴルガリやラクドス、よき関係を保つべきボロスやアゾリウスとの付き合いが彼女の仕事なのだ。一説には元人間の騎士であった彼女と、その従者(あるいは執事とも)のリッチがオルゾフを作り上げたと言われている。 ●グルール旅団(赤緑) 「叩き潰せ!」 指導者:“腹音鳴らし”ボルボリグモス 本拠地:怒りの穴倉スカルグ 活動:都市の破壊、略奪 性愛:肉欲、強姦 グルール旅団は、相克界の現状を嫌悪している。全てが都市に覆われた相克界は欲望を抑圧し、弱者を強者に見せかける。それは魔界の正しい在り方であろうか。文明、経済、陰謀。全てが彼らに対する侮辱だ。グルールは感情と欲望で生き、他の者にもそうであるよう「勧告」している。そしてそのために都市を破壊し、荒野を、自然のままの土地を作らんとするのだ。 かつては強力かつ厳粛な組織であったが、今では名目のみ掲げる略奪者の集団だ。彼らは近辺の略奪と放火を行い、その廃墟と灰燼の上に居座って暮らす。そして、あらかたの略奪が終わり、食料や資源が尽きれば、また新たな略奪が始めるのだ。彼らに戦略・計画などなく、統治もない。ただその名前を利用し、破壊を望むものたちが緩やかな結束をするのみなのだ。 略奪には当然、獣欲に任せた陵辱や暴行も含まれる。彼らは集団の熱狂のままに輪姦し、気に入った相手がいれば飽きるまで連れまわす。グルールでは欲望は推奨されるが、経済活動は蔑まれる。彼らは陵辱し暴行するが、奴隷を売ることも長く所有することもない。ただ漁り味わい利用し、打ち捨てていくのだ。 このならず者達の女王が、巨大なる鬼女王ボルボリグモスだ。彼女はグルール旅団創始者の娘を自称しているが、それを信じる者はいない。そもそも彼女がグルールの主であるのも、ただ最も巨大で破壊に長けた存在であるからにすぎない。彼女は愚かな蛮勇の徒だが、決して侮れない戦闘力の持主だ。また、彼女以外にも強力なモンスターや魔将は多い。中でも巨大なるレディヒドラ“憎悪の種”ウラシュトは他組織からも畏れられている。ただの略奪団と侮るには、彼らの内容は強力すぎるのだ。 ●イゼット学会(青赤) 「しかし、それだと……おお、だが……となると、だ……すなわち……なるほど!」 指導者:“火想者”ニヴ=ミゼット 本拠地:火想者の高巣ニヴィックス 活動:知識の探求、魔法実験 性愛:アイテム・呪文の実験と実践 他の組織と異なりイゼット学会は、軍事力や権力、富、性愛と言ったものに関心がない。彼らはただただ新たな知識をのみ求める。主な研究対象は魔術と錬金術であり、並の魔族には理解しがたい狂的な研究が続けられている。無論、その研究の成果は他組織にとっても有用なものとなるのだが、それ以上に彼らの災害的とも言える実験、所かまわずの研究には非難の声が高い。 イゼットの構成員たちは自らの研究に没頭するため、性愛に溺れることは少ない。ただし、彼らの実験が思わぬ「事故」を引き起こすことは多々あるし、特に猜疑心の強い者は施設内にとてつもない量の罠を仕掛けていたりもする。こうした狂的研究者集団としてのイゼットに近づく者は少なく、彼らに助けを求める者は他のどの組織からも追われる者だけだろう。 統率者は並の魔族を遥かに凌駕する知能をもつドラゴン、ニヴ=ミゼット。彼女はあまりにも高い知能を持て余し、組織創立以来、退屈を埋めるためだけに様々な実験を行っている。イゼット学会そのもさえも、彼女の実験の一つだ。他のどの組織よりも、ここは指導者個人の私物である。組織が行う全ての研究と実験は彼女の知識を増し、また思いつきへの実践にすぎない。 ニヴは完成した錬金の秘術によって無尽蔵とも言える富を有し、損得を考えれば絶対に行なわないような実験を行なっている。巨鬼やオークらへの魔術教育や、テンタクルス「を」快楽調教すること、時間の操作などだ。予算と人材、時間によって、ニヴは多くの不可能を可能としている。争いを好まない(正確には研究の時間を割くことを)彼女だが、もし本気で対立すれば、その不条理極まりない実力を見せつけられることだろう。ニヴは相克界において真に最古の存在だ。モンスターにすぎない彼女だが、魔界王と相対できるだけの力を持っている。かつて大魔王であった相克王の時代から存在する相克界最強の竜、それがニヴ=ミゼットなのだ。 ●アゾリウス評議会(白青) 「すべての法を学ぶのに永遠の時間がかかるなら、法を犯す時間は残らない」 指導者:アウグスティン四世大判事 本拠地:秩序の尖塔プラーフ 活動:裁判と司法、保守的な立法 性愛:奴隷契約の管理 アゾリウスは立法機関であり、あらゆる裁判と書類管理を執り行う。かつて相克王によって作られた相克界政府を前身とする評議会は、立法府としての機能に特化し、現在も尚、相克界の法整備を生業としている。その為、官僚的性格が非常に強く保守的、融通と言うものがきかない。具体的には、相克界の全住人に何もさせないこと、いかなる変化を許容しない事こそ、最大の安定としている。 彼らと執行機関たるボロスの結びつきは強い。法律が各組織によって無視されている現状を良しとせず、ゴルガリ、グルール、ラクドスなどの明らかな違法組織に対して強い嫌悪感を持っており、彼らに対する弾圧を他組織に呼びかけている。アゾリウスは武力には欠けるものの、公的政府を引き継いだ組織として最大の権威を持っている。他の魔界ならば無視されるその権威も、この相克界では無力ではない。 アゾリウスは目下、違法組織への締め付けとして住民魔族と主-奴隷の関係を、評議会の書類上において徹底管理せんと勤めている。このため主従鑑定法廷と呼ばれる、公開の主従関係証明の場で、実際の行為によって証だてしなければ公式に主従として扱われない。この制度は開始早々から形骸化しているものの、公衆向けの娯楽としてそこそこの収入源と人気を得ることになっているようだ。 評議会の指導者はアウグスティン四世大判事。幼い少年の姿をしたこの盲目の魔王は、冷徹にして無感情であり法の正義に何ら疑問を抱かない。法以外の全てに対し盲目であり、その判決は絶対。故に上告は認めらず、情状酌量も存在しない。ただし、名前からもわかる通り、アゾリウスの大判事は自らの法に縛られ陥れられて、しばしば失脚する。四世の先代らも自ら作った法に裁かれ、現大判事の奴隷に身を落としているのだ。 また美しく神秘的なスフィンクス“不可解なる”イスペリアが創立時より大判事の助言者として君臨している。彼女はラジア、ザデック、ニヴ=ミゼットといった相克界の古参と個人的な強いつながりを持っており、武力に欠けるアゾリウスの権威を影ながら守護している。彼女は少なくとも魔王と対等の実力を持ち、他組織との会談などにおいてもしばしば代表として現れる。 ●ラクドス教団(黒赤) 「我がしもべよ怒り狂え。わが古き力は血をもって再び満たされる」 指導者:“穢すもの”ラクドス 本拠地:迷宮の宮殿リックス・マーディ 活動:あらゆる快楽の探求、破滅的快楽の伝道 性愛:乱交、退廃と変態行為 教団名は、創始者たる炎の魔王その人の名前からつけられている。ゆえにこの組織について語ることは、魔王ラクドス本人について語ることとなる。ラクドスは、相克界が分裂した頃から存在する古き魔王の一人だ。両性具有で享楽的、サディストにしてマゾヒスト、淫奔にして変態的なことで知られている。 しかし、間違ってはならない。ラクドス教団はイゼットのような指導者の私物ではない。ラクドスは個人の欲望を尊重する。たとえ魔人一人、オーク一体の欲望であろうと、それが明らかな欲望である限り魔王ラクドスは否定しない。ラクドスは「やりたいことを、やりたい時に。無意味な富や名誉は犠牲にし、今の快楽をこそ享受せよ」と教える。そして、その犠牲には教団外の者を傷つけ、損なう多数の破壊的・暴力的行為も含まれている。 ラクドスは常に楽しむことを前提にする。ラクドスは組織の歴史において何度も部下に討ち負かされているし、陵辱され奴隷にもなっている。だが、それでも一度たりとも教団の主が他の者に変わったことはない。ラクドスの破滅的な哲学は多く広まり、多数の支持者に囲まれるに至っている。かくしてラクドスは、長い年月を相克界で楽しんできたが、他組織の弾圧や途中で脱落する構成員も多く、その勢力は未だ大勢力と呼ぶほどには至っていない。 信徒の欲求に応えるため、ラクドスは常に新しい楽しみを探し、考えている。奇妙な薬、拷問器具、奇怪な怪物など。快楽と苦痛の技の多くが開発されており、またそれらの達人も多く抱えている。公式にラクドスと友好的な組織はないが、多くの組織の構成員がこっそりとラクドスのもたらす快楽に参加していることは公然の秘密である。 なお、ラクドス自身は主に快楽に耽っているこの組織において、実際の教団運営を取り仕切っているのは大司教“血の魔女”リゾルダ(大魔将)である。有能な統治能力を持ち、かつラクドスの心酔者たる彼女が、政治や渉外における教団のトップと言っていいだろう。 ●シミック連合(緑青) 「当然、手におえないところまで成長するだろう ――これは自身の進化を自身の手で選ぶよう設計されているのだ」 指導者:“シミックの幻想家”モミール・ヴィグ 本拠地:進化の中心ノヴィジェン 活動:生命の研究、医療、モンスター開発 性愛:モンスターとの交合、人体実験 好奇心旺盛な学者や医療師によって構成される。本来は相克界に残存する、僅かな自然の保護と医療福祉の充実を目的とした組織なのだが、現在ではその目的も失われて久しい。目下、シミック連合の目的は、生命そのものに人工的な改良を加える事で、進化の意図的な誘導を行うこと……つまり今までになかったモンスターや魔族の改造や創造である。 一般のシミック連合に対する認知は、イゼットへのそれと変わらない。知識の探求・技術の研磨・はた迷惑な実験……だが、実際にはシミックは明確な目的をもち、その計画を刻々と進めている。彼らはオルゾフを介さず直接他組織に兵器としての怪物らを売りつけ、予算を獲得し、より完全な存在を造り続けているのだ。 シミックにおいて性愛は生命活動の一環として詳細に調査されている。彼らの作り出した怪物には、性と快楽に極端に特化した怪物が数多く存在するし、新たな魔族特性・魔王特性の開発も余念がない。半ば拷問めいた生体実験も日常的に行なわれており、水面下のそうした活動が他組織に脅威を与えている。ただ嬲ったり弄ぶに留まらず、存在そのものを歪めるシミックの活動は魔族にとっても恐怖なのだ。 指導者は冷酷で傲慢、そして確かな才能を持つ賢者の魔王モミール・ヴィグ。彼女は自らが開発した、生命体と改造技術によってラヴニカの生態系を作り変えようとしている。当然ながら、相克界のあらゆる住人たちも例外ではない。そして、その実行へと向かう為の特別なプロジェクトを進めている。これは彼女とその側近のみが知るところであり、魔族を超えた魔族、それぞれのモンスターを超えたモンスターで相克界を覆い、他の全ての魔界を掌中に収めていかんとする彼女の恐るべき野望なのだ。
https://w.atwiki.jp/tenj/pages/1939.html
概要【宝貝リニューアル】 【宝石リニューアル】 備考 対応状況 コメント 概要 宝貝及び宝石システムをリニューアル致します。 【宝貝リニューアル】 1)宝貝交換機能 ①洛陽城NPC 細工師 (105,205)と[宝貝交換]で会話します。 ※宝貝(3等級)10個または宝貝(2等級)10個または宝貝(1等級)10個を所持時のみ[宝貝交換]コマンドが出力されます。 ②会話後、選択ウィンドウで、交換したい宝貝等級(2等級/ 1等級/特級)を入力します。 ※宝貝交換にて交換が可能な宝貝の種類と材料は以下の通りです。 ・宝貝(2等級):宝貝(3等級)10個、天上石3個、千年金亀内丹3個 ・宝貝(1等級):宝貝(2等級)10個、天上石3個、千年金亀内丹3個 ・宝貝(特級):宝貝(1等級)10個、宝貝細工石1個 ③宝貝等級を選択した後、材料が消費され、選択された宝貝を獲得することができます。 ※細工師の既存の[鑑定/不要な岩石/観賞石/原石]コマンドは、対象のアイテムを備えている場合のみ、コマンドが出力されます。 2)宝貝(特級)を使用する方法 ◎天上宝貝(特級)製作 ①宝貝(特級)は、既存の宝貝と同じように装備した後、洛陽城NPC 細工師 (105,205)と[天上宝貝]で対話すると、 宝石装着が可能です。 ※宝貝(特級)は、6つの宝貝宝石を装着することができるアイテムです。 ②宝貝等級を選択した後、材料が消費され、選択された宝貝を獲得することができます。 ※宝貝(特級)に宝石を装着時、以下のようなケースにご注意下さい。 ・同じ系列の宝石を重複装着はできません。 ・空きスロットがある場合、天上宝貝(特級)の製作はできません。 ・製作時に眞龍眼石(特級)がない場合、天上宝貝(特級)の製作はできません。 ◎天上龍牌(特級)製作 ①宝貝(特級)を活用して、洛陽城NPC 考古学者(72,264)と[龍の卵の孵化]で対話時、天上龍牌(特級)の製作が可能です。 ②製作方法は、既存の天上龍牌と同じです。(宝貝(特級)、孵化器1個、龍の卵10個、1億銀銭が必要です) ※天上龍牌(特級)に追加された天上龍牌専用固有の効果とペットの見た目は従来と同じです。 ◎天上宝貝(特級)/天上龍牌(特級)の宝貝分離 宝貝(特級)のアイテムを装備した後、洛陽城NPC よろず屋(109 247)と[宝貝分離]で対話すると、宝貝宝石の取り外しが可能です。 ※天上宝貝(特級)/天上龍牌(特級)の分離には、2億銀銭が消費され、構成宝石と宝貝アイテムに分離されます。 3)アイテムステータス 宝貝(特級) 【取引】○ 【倉庫】○ 【個人商店】○ 【削除】× 【売却】× 【ドロップ】× 4)注意事項 宝貝(特級)を利用して、天上宝貝及び天上龍牌製作時、失敗の確率が存在します。 【宝石リニューアル】 1)眞宝石に強化する方法 ①洛陽城NPC 細工師 (105,205)と[眞宝石強化]で会話します。 ②特級の宝石2個、宝石細工石1個、千年金亀内丹20個、気練石20個、1億銀銭が必要となります。 ③特級の宝石と材料をウィンドウに登録した後、[OK]ボタンを押すと、100%の確率で強化が成功します。 ※眞宝石に強化が可能な宝石(特級)は以下のリストをご参照下さい。 材料 確率 取得アイテム 青龍石(特級)2個 宝石細工石1個千年金亀内丹20個気練石20個1億銀銭 100% 眞青龍石(特級) 白虎石(特級)2個 眞白虎石(特級) 朱雀石(特級)2個 眞朱雀石(特級) 玄武石(特級)2個 眞玄武石(特級) 雪猫石(特級)2個 眞雪猫石(特級) 彌猴石(特級)2個 眞彌猴石(特級) 白犬石(特級)2個 眞白犬石(特級) 金羊石(特級)2個 眞金羊石(特級) 剣劉石(特級)2個 眞剣劉石(特級) 刀軟石(特級)2個 眞刀軟石(特級) 槍懦石(特級)2個 眞槍懦石(特級) 爪銹石(特級)2個 眞爪銹石(特級) 龍涙石(特級)2個 眞龍涙石(特級) 2)眞宝石の効果 ・修練系の宝石 ※修練系眞宝石は、既存の宝石と効果については同じですが、既存の極上品より効率は高いです。 アイテム名 効果 眞青龍石 名声 経験値を追加獲得 眞白虎石 力 経験値を追加獲得 眞朱雀石 熟練度 経験値を追加獲得 眞玄武石 耐性 経験値を追加獲得 眞雪猫石 名声と敏捷 経験値を追加獲得 眞彌猴石 熟練度と敏捷 経験値を追加獲得 眞白犬石 力と敏捷 経験値を追加獲得 眞金羊石 耐性と敏捷 経験値を追加獲得 ・相克系の宝石 ※相克系眞宝石は、既存の宝石と効果については同じですが、既存の極上品より効率は高いです。 ※自分の職業と同じ種類の宝石を使用する必要があります。 アイテム名 効果 眞剣劉石 剣キャラクターによる相克ダメージを減少 眞刀軟石 刀キャラクターによる相克ダメージを減少 眞槍懦石 槍キャラクターによる相克ダメージを減少 眞爪銹石 爪キャラクターによる相克ダメージを減少 眞龍涙石 相克被ダメージを減少、相克攻撃数値増加 ・防御系の宝石 防御系の宝石として眞龍眼石が新規宝石として追加されます。 ※眞龍眼石は宝貝(特級)を介してのみ作成および使用が可能で、宝貝(特級)の専用スロットにのみ装着が可能です。 ※獲得方法は今後、検討して参ります。 アイテム名 効果 眞龍眼石 襲撃時、クリティカルダメージ発生確率の減少(通常攻撃/武技適用)力+250敏捷+250耐性+250体力+30000 3)アイテムステータス 宝貝細工石 【取引】○ 【倉庫】○ 【個人商店】○ 【削除】× 【売却】× 【ドロップ】× 宝石細工石 【取引】○ 【倉庫】○ 【個人商店】○ 【削除】× 【売却】× 【ドロップ】× 備考 ・導入及び仕様につきましては、予告無く変更・取り消しが 行われる可能性が御座いますので、予めご了承下さい。 対応状況 2016年9月28日 情報の掲載・導入 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/dadata/pages/57.html
涼原 カヤ+絵肌の人魚プロローグSS 前編『白と黒の相克』 (掲載元:https //www.pixiv.net/novel/show.php?id=13385055) 結論から言おう。 私は負けた。 「負けた」という結論を述べるために、どれほどの紙幅を割けば許されるのか? 一行どころか一音節で事足りると、口さのない奴なら言うだろう。 だが、これは所詮は独白だ。 笑ってくれとは言わない、怒ってくれとも言わない。 ただ、つぶやくのを許してくれるそれだけでいいんだ。 改めて紹介しておこう、私の名はリュドミラ。姓は今はない。 数える単位は本来「人」ではない、一幅の絵画であるとも付け足しておこう。 今から百年前――つまりは二十世紀のはじめ、この世界でもヴィクトリア女王への手向けた弔いの鐘は同じ時分に鳴ったらしい。 この言い回しを誰が言い出したのかはわすれてしまったけれど、誰か見知った人がいたならリュドミラがこう言っていたよと笑ってやってほしい、もしくは怒ってやってほしい。 それくらいの折に私は生まれた/描かれた、それだけを覚えてくれればいいんだ。 そうさ、生みの親足る画家の名は知らずここまで生きてしまった。わかっているのは「リュドミラ」というこの名前だけ。 「彼」は私を生み出すにあたって死んだ娘の名前を付けたらしい。 私が生きる「もう一つの世界」で彼が妻帯した記録はなかったが、「リュドミラ」という娘がもう少しだけ長く生きたようだった。 ……少しナーバスになってしまったようだ、話を続けよう。 『Sの肖像』という絵画がある、 私のホームである『画廊(ガルリ)』に船便で送られてきた、イニシャルは「S・S」、この時点でしゃれているとは思わないかい? そうさ、私たちは酔狂で生きている。 『画廊』とは君が想像しての通り、私たちの売り場でありきっと住処(すみか)でもある。 何度だって言おう。私もまた、画だ。 白いキャンバスを離れてこの子の肌を終の棲家とさだめても、私は絵画であることに誇りを、自負を感じているのだ。 ケルメスの虫、アズールの海岸、砕いた煉瓦、それに「#C0C0C0」――、私の顔と手肌指、からだの一切合切を描く顔料はありふれていたとしても、だ。 そうだね、昔話を続けようか。 エナメル塗装の手すりを指伝いに辿って、床の上を歩いた。そうだ、この時はまだ紅いビロードを避けて、ワックスの利いた木肌の上を両の足を付ける感触のことを覚えていた。 窓を覗き込めば、外は雪。私に言わせてもらえれば、白は色。確かに色づいて要る雪の白。 「リューダ」 私は呼びかけに応じて顔を上げる。 「ココン・コラ」 彼女は――額縁から身を乗り出した深窓の少女。私と違って、まだこの現世に全身を抜け出すのは叶わない。 だから、額縁をベランダの手すりに見立てた動作を取る。 身を乗り出してこちらを覗き込み呼びかける。きっと、今が夏ならば形の良い脚を組んでベランダ越しに腰掛けるのだろうか。 だけど、今は彼女について話をする時ではないわ。 手を振って、振り返す。 「リューダ」 扉の前には私の仲間、リューダは私の愛称。 「サリシャ・グロッタ」 彼女は、世界で最も強く、素早く動くマネキン人形。もっとも、他に動く仲間を見つけられていないから暫定的な称号に過ぎないのだけど。 しかし、最も美しいマネキンであることは否定できない。 白磁で出来た全身にできた罅(ひび)は問題ない。金で継がれ、まるで葉脈のような線を走らせているから。そのことが彼女の美しさを損なうことは全くなかった。 だけど、今は彼女について話をする時ではないわ。 会釈を、会釈で返す。 「リュドミラ、服を着ろ」 「ヴァン・マイフ」 彼は――、まぁいいか。 永遠のソプラノ・ボイスを剥き出しの背中で受けながら、後ろ手に鍵を閉める。水彩でできたこの体を守るように、ぎゅっと絹布を握った。 絵画はその真価を発揮するまではシーツを被せられ、包まれ覆い隠され守られているものだ。二本の足で地を蹴るようになってもきっと私は変わらない。 麻地に描かれた肌の上に「絹」を巻きつけるのは、せめてもの高級志向だったりする。すべては私に値付けをしたこの世界に対するささやかな反抗だった。 まぁ、そんなことはどうでもいいのだけれど。 やってきたのは私の自室、円形の部屋。中央にはベッド代わりに置かれた水辺の風景画――私の故郷、私の住処、私の絵画。 その前には、梱包が施された等身大の額縁がデンと置かれていた。 話が早い。さすれば客室未満の船旅を堪能した我らが同胞を出迎えようかと梱包を解こうとして、ふと白いキャンバスを見る。 「『白い三日月』……」 ……ここで余談を挟もう。 私の当時の氏名は「芽月リュドミラ(リュドミラ・ジェルミラル)」、日本の妃芽薗(ひめその)学園・高等部に通う女学徒として名を挙げるならこちらになる。 詳細は今は伏せるのだけれど、芽月の姓は返上して久しい。今の私ではお受けできないから。 私はぐるりとこの部屋に展示された一連の絵画を見る。私は絵だ。ならば言葉ではなく、画で語るとしようか。 「『天の科刑』、『悪魔の花』、『海を渡る女神』、『憂鬱な人魚』、『儀の乙女』、『紅椿(カメリア)』……そして、『流血少女』」 これら一連の作品群は色盲画家「ストル・デューン」が描いた。モチーフは妃芽薗学園で十年強の間に群発的に発生した事件……。 と、されている。 男子不出入の環境において、一般生徒はおろか学園首脳部ですらその真相を掴めたという話は聞いたことがなかった。部外者である男性の画家ならなおさらのこと。 また、ストル・デューンが公的には2014年に消息を絶ったとされている以上、信憑性は甚(はなは)だ落ちこんでしまうというのが正直なところだ。 その上、これら事件らのいくつかは位相のズレた「異界」で発生したものも複数含まれている。かろうじて、私に伝手があったから裏は取れているのだけれど、これらタイトル自体が後付けではないかと疑問だった。 彼が実際にこれら事件を見聞きにしたという確証はなく、又聞きの伝聞、憶測とゴシップを手掛かりにこれら一連の絵画が制作された。それが妥当な推理だろう。 筆致は一貫しているので別人が制作を引き継いだという線は薄い。 けれど、その奥行きは素晴らしかった。ひとつの世界の窓にはふさわしいほどに。 これは、私が絵だからといううぬぼれもあるのだけど。 だって、私は「絵(ひと)」を見る目は確かなのだと自負しているのだから。 さて、特筆すべきは、そうだろう……。 スタンダールなら、赤と黒。 紅白めでたしなら、赤と白。 つまりは白と黒と、それと赤。色盲の肩書に恥じずと言うべきか、これら三色のみを使って描かれた色の妙はそれ以外の「色」を現出させるに足りるものだった。 話が長くなったようだけれど、私は一連の絵画の中でも一面の雪野原を描いたこの『白い三日月』という一枚が好きだった。 たとえば、野原から白い花びらを見つけてくるとしてもその一枚一異なった白い色合いを見せるように、降り積もった雪の白も、その白い雪に光を浴びせる白い三日月も、それから、それから……。 まったくの白一色で表された――という、言葉ひとつで片づけてしまえば手抜きにしか思えなくても実像は大違いなのだから! この世界にはすべての「白」という色があったということ。そういうこと。 よって、視界の片隅に雪原の絵、さまざまな白一色に塗りつぶされながらも存在を示す白い肌の少女をにらみながら、本当の本当に私は『Sの肖像』の梱包を解いた。 結論を言おう。もう一度言おう。 私は負けた。 ここからは「負けた」という結論を述べるために、どれほどの紙幅を割いたかという疑問に答えることになる。どうか容赦してほしい。 「……なんだ……、鮫氷(さめすが)しゃちじゃないか……」 震える声でそうつぶやいた言葉を覚えている。努めて消し去ろうとする記憶の中でその怯えと怒りとある感情はいつだって鮮明だった。 両の手で額縁を持つ私はまず、わなわなと震えた。 彼女の絵姿を観たときにまず覚えた感情を言おう。それは嫉妬だった。 一目見た瞬間だった。ないはずの胸の内側が熱を帯びる。指先の震えを抑え込むべく、ぎゅっと握った片側の拳を胸に当てて力を籠め続けた。 「鮫氷しゃち、鮫氷しゃち……!」 『彼女』のことを知らないわけではなかった、なぜなら「そのうちのひとり」を目にしたこともあれば、直接言葉を交わしたことだってある。 にもかかわらず、だ。 モノトーンの色彩に呑まれたことを覚えている。白と黒、境界線を描くための最低条件と考えればもしかすればそれは色ですらなく。 彼女は、私たちを取り巻く色彩の世界の前で立ち塞がった冒涜に等しかった。 けれど、彼女は美しい。 「ああ認めよう、鮫氷しゃち、貴様は可憐だと!」 白と黒だけで出来上がった境界線上の少女、そちら側にいるからこそ手を出せない美しさは、こちら側にいる私にはけして届かないのだろう、そう言いたいのだろう! 同じ絵姿だからこそ、私は嫉妬する。 久しく忘れていた感情を前に私の心は躍った、むしろ楽しんでいたように思う。 「奔放に振舞えど、いいや狂奔に振舞うな」とは誰の言葉だったか、いいえそれは私の言葉を踏みにじれ! そのことが同輩へ、同胞への裏切りになると知っていても水妖(おんな)にも取らないといけない手のひらがあった。 どれほど愚かな行為かと知っていても、きっと同じ場所と同じ時間で彼女と遭えたなら私にはそうするだろうという自信がある。 この後の振る舞いも含めてだけど、取った行動に後悔はなかった。 私は、私は……、私は! 最大限の力を込めて、精緻にして微細、柔肌にして水を撥ねる瑞々しさを備えた彼女の指を、手を鮫氷しゃちの手を取った。 すべては鮫氷しゃちの絵を私と同じ地平に押しやるため、なんて子どもじみた考えだった。 結局のところ――、この世界に居場所を知ってしまった「私」は鑑賞されるだけでのうのう同じ「絵画(はらから)」が許せないのかもしれない。 それでも、ここまで心が掻き立てられる経験はないのだけれど、私は乱れ狂う感情に全身をゆだねて、渾身の力で彼女の手を引いた。 彼女は、鮫氷しゃちは、私のことをどう見返しただろうか。 私の能力『隠れ画(エルミタージュ)』は、世界をキャンバスに見立てて渡り歩くことができるというもの、つまりは世界とはキャンバスに他ならない。 肖像画の数だけ、魂の似姿がそこには在り、極小の世界で彼ら彼女らは暮らす。 そこにいると気付けないまま、いずれ朽ち果てて逝く世界と人間のことを私は哀れに思わない。 一枚の絵として生きて、人の視線を浴びず浴びされ、いずれの時か死んでいくことを羨ましく思うのだから! すべてを知ってしまった私はあの水辺で佇み、道行く人々の足を止め、魂の一部であれそこに置き去りにしてしまえるあの頃の、ただの絵だったころには戻れないのだから! どう? その時の一瞬で私の心から全身にまで走った感情を言葉に描き出すとここまで長くなったでしょう? 実に滑稽だわ。 絵が絵の手足を引っ張ってどうなるというの!? 引っ張り返されるのが必然じゃない。 あどけない表情を浮かべた鮫氷しゃちの「肖像画」は途端にぎょっとする顔をするのも一瞬の事、なんだか面白そうな顔をして私のことを「観察」したわ。 その時の私がどれだけ間抜けた顔をしているのか、今の自分に見せてあげたいと思うのだけど、それはいいわ。 鮫氷しゃちの握り返しは思ったよりも何倍も強くて、思わず「あっ」と叫びそうになる。 私を正気に引き戻したのは「痛み」という原始的なサインだったことにいささか歯噛みをするわ。 だけど躊躇も一瞬、我に返ると、私は全力で部屋備え付けの伝声管に向けて叫んだ! 「ヴァン! サリシャ! ココン! 私は死んだと思ってここから離れろッ!!」 一瞬という時間が一体何秒だったのか数えることは今になっては出来やしない。 けれど、数えられるだけだったことは確か。 ついで、最悪の事態を避けるべく、私は立てかけられたイーゼルのひとつを蹴倒す。 私の指から手を辿り、肩口にまでやってきた鮫氷しゃち共々に倒れ込んだ。 絵の世界から現世へとやってこれるんだもの、身を乗り出して、彼女は嬉しそうだった。 もし、この瞬間で時間を止めてしまえば、私という少女に巻き付くトルソーのような形でまた固まったのだろうけど、それは叶わない妄想ね。 猛烈に床を蹴り、倒れ込む私を見たしゃちは私共々に床に身を打ちつける想像をしたのか、手を懸命に伸ばすのだけど、行先は床じゃなかった。 だって、私も懸命に手に伸ばしていたんだもの。 行き先は『白い三日月』、蹴倒したイーゼルは腰掛けていた絵を吐き出して、その犯人である私に抗議するかのようにその面を私の方に向けた。 そう、とても都合がいいことに。 白い雪化粧が施された麻のキャンバスは私たちを拒まずに飲み込んだの。 そう、それはまるで溺れ方を知っている人間のようにもがくしかなかった光景だったと言っておくわ。 「ね、カヤ」 「嫌味ではないですよね?」 「もちろん、あの時は寒かったけど、私は肌の冷たさを知ったのだから。感謝しているよ」 言葉を返す彼女の名は「涼原(すずはら)カヤ」、今の私を温める居場所。 その意味については、後ほど彼女の口から語ってもらうとして……、なら話をもうやめなくちゃいけない。 そうだね、一枚の絵という窓をくぐった私たちはまず猛烈な勢いで天空から落下することになる。巻き込むつもりだった「鮫氷しゃち」もまたきりもみに耐えられずに私から手を離すのだけど。 わたしも風圧に負けてもみくちゃにされるのだから同じく負けている。 かろうじてまぶたを開けることができた。額縁のなごりからは言いつけを守らずに部屋の中へ雪崩れ込むヴァンたちの絵が見えて、やがて視界から消えていった。 ここまでくれば「負ける」ってなんの意味だかわかりはしないな、今だから笑えるけれど、その時に漏れた笑いは苦しいものだったわ。 だけど、私は感謝している。 昇る月すら白くおぼろに塗り替える猛烈な吹雪の中で、私は肌の色を見つけたんだから!