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『ゆっくり退化していってね!5』 38KB 観察 考証 同族殺し 番い 野良ゆ 赤ゆ 都会 現代 独自設定 退化 公園に着くと、そこはゆっくりの大合唱だった。 「ゆっぐぢ!!ゆっぐぢ!!ゆっぐぢ!!ゆっぐぢ!!」 「ゆっぐぢいいい!ゆっぐぢいいいい!ゆっぐぢいいいいいい!」 「ゆぐぢ!ゆぐぢ!ゆぐぢゆぐぢゆぐぢゆぐぢぢぢぢぢぢぢ!」 大量のゆっくりが思い思いの仕方と口調で「ゆっくち!」と叫んでいる。 ただでさえ声のでかいゆっくりが、病気のせいで全力で叫ぶのだ。 今までの飯をたかる懇願の方がまだよかった。 これはただひたすら、自分たちの不満と苦痛を周囲にぶつけているだけだ。 「おかあさあああん!おかあさん!やめてね!ゆっくちっっていうのやめてねええ!」 「やめてよ!もうやめてよおお!ゆっくりしてるよ!おとうさんはゆっくりしてるよ!」 「ゆんやああああ!おとうさん!おかあさん!れいむだよ!れいむがわからないのおおお!?」 「ゆっくち!ゆっくち!ゆっくっち!ゆっくっち!」 「ゆっくちゆっくちゆっくち!ゆっくちゆっくちゆっくち!」 俺が見つけたのはれいむとまりさの番と親子だった。 以前ビスケットをあげたまりさの家族かと思ったが違うようだ。 れいむが二匹にまりさが一匹という組み合わせの子どもたちは、非ゆっくり症を発症した両親を見て途方に暮れている。 あさっての方向を見て叫ぶ親まりさに、子まりさは精一杯愛情を込めて頬をすり寄せる。 「すーりすーり!すーりすーり!まりさだよ!おとうさん!まりさがすーりすーりしてあげるよ!」 「ゆっくちいい!ゆっくちいい!ゆっくちいいいいいいいいい!」 「あああああ!どうしてえええ!おとうさん!おとうさん!まりさここだよ!まりさっていって!ゆっくりしていってねっていってよおおお!」 子まりさを無視した親まりさの反応は、子まりさに涙を流させるのに十分すぎるほど残酷なものだった。 一方子れいむたちは、横倒しに倒れて痙攣する親れいむを左右から優しくぺろぺろと舐めている。 「ぺーろぺーろ……ゆっくりよくなってね、おかあさん……ぺーろぺーろ………」 「れいむたちがぺーろぺーろしてあげるよ。ゆっくりできるよ!できるよね!できるよねええ!?」 「ゆくちちちちち!ゆくちちちち!ゆくち!ゆくち!ゆくち!ゆくちい!」 「……おかあさん……おかあさぁん……ひどいよ…どうして……どうしてなの……」 「おかあさぁん!れいむもうわがままいわないよ!いっしょにゆっくりするよ!だからなおって!なおってよおおおお!」 親れいむも親まりさと同様に、子どもたちがどれだけ慰めようとしても何の反応も返さない。 中枢餡を締め付け、全身の餡子を刻む発作の苦しさに正気さえ失ったようだ。 俺が近づくと、れいむが真っ先に気づいた。 「にんげんさん!おねがいします!おかあさんをなおしてください!おねがいです!」 「おねがいだよ!にんげんさんはゆっくりよりもずっとゆっくりしてるよ!だからおとうさんをゆっくりさせて!」 「おねがいします!おねがいします!だいすきなおかあさんとおとうさんなんです!おねがいしますううう!」 三匹はすぐさま一列に並ぶと、俺に土下座を始める。 手慣れた動作だ。 きっと、毎日こうやって人間に頭を下げて、その日の食事をすがってきたのだろう。 そのうちゆっくりの特技の「お歌」「お家宣言」「すりすり」「ぺろぺろ」以外に、「土下座」が加わるかもしれない。 俺は親ゆっくりを見てみた。 たしか、非ゆっくり症には段階がある。 症状が浅い間はまだ発作的に「ゆっくち!」と叫ぶだけで正気だ。発作でまともな行動を取られないだけだ。 症状が進むと、とにかく「ゆっくち!」と叫ぶだけになり、意思の疎通が完全にできなくなる。 この発作はゆっくりの中枢餡に非常な苦痛を与えるらしく、ここまで進行するとたいていのゆっくりは発狂する。 そうなるともう完治は不可能だ。 「無理だね。お父さんとお母さんはもう治らないよ」 この親れいむと親まりさはあっさりと重症になったようだ。 ただ単に喋れなくなったのではなく、完全に正気を失っている。 「そ…そんなああああああああ!」 「やだああああ!おとうさんとおかあさんがなおらないなんてやだよおおおお!」 「おねがいです!たすけてください!たすけてください!たすけてよおおおおおお!!」 俺があっさりと子ゆっくりたちの希望をへし折ってやると、三匹はそろって悲痛な叫び声を上げた。 こっちは医者じゃない。 せいぜい、その悲嘆で歪んだ顔をデジカメのメモリーに残すことくらいしか俺はしない。 「だから無理だって。もうこれから、死ぬまで君たちの両親は「ゆっくち!」って叫びながら苦しむだけだよ」 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……」 「やだよお………おとうさん………おかあさぁん…………」 「すーりすーり……すーりすーり……れいむだよ……わかるよね……わかるよねぇ…………」 ショックのあまり痙攣している子まりさの横で、うわごとのように両親を呼ぶ子れいむ。 子れいむの一匹は現実逃避を始めたらしい。横たわったれいむに何度もすりすりしている。 「今はまだ叫ぶだけだけど、そのうちどんどん苦しむようになるだろうね。ゆっくりできないから、餡子を吐きながら転げ回ると思うよ」 「やだよぉ……いわないで……おにいさん…そんなひどいこといわないでよぉ……」 「そんなことないよおおお!おとうさん!まりさがついてるよ!ゆっくりしてるよ!ゆっくりだよねええええ!」 「ゆふふ……おかあさぁん…れいむのほっぺたゆっくりしてるでしょ……ゆっくりしてるよっていってよぉ……」 俺の容赦のない言葉に涙して、もみあげを振るわせるれいむ。 現実を否定して、必死になって親まりさに呼びかけるまりさ。 完全に心を閉じ、虚ろな笑みを浮かべてすりすりを止めないれいむ。 「あ……ゆ……ゆぁ…そんな……おとうさん…おかあさん…れいむ…れいむは……れいむ!ゆっくち!ゆっくち!ゆっくちいいいいいいいい!」 壊れてしまった家族に、ショックを受けていた子れいむは耐えられなかったようだ。 たちまちれいむの口から、ほかの発症したゆっくりと同じかん高い「ゆっくち!」という声が発せられる。 「ゆっくちいいいいいいい!ゆっくち?ゆっくち?ゆっくちぃ!ゆっくちいいいい!」 自分の口が勝手に動くことに驚愕し、さらに子れいむは狂乱する。 びたんびたんと跳ねて何とかしようとするが、その度に「ゆっくちい!」と叫んでしまう。 「あああああああ!おねえちゃんが!れいむおねえちゃんがああ!どうじでっ!どうじでなのおお!」 「……だいじょうぶだよ……みんな…みーんな…れいむがゆっくりさせてあげるからね………ゆっくりだよ……」 「ゆっくちいいいい!ゆっくちいいい!ゆっくちいいい!ゆっくちいいい!」 日なた、日陰を問わずそこらじゅうで跳ねるゆっくりたち。 響きわたる「ゆっくち!」の声は耳がおかしくなりそうだ。 その叫びは、ゆっくりを求めながら手に入らなかった苦しみそのものだった。 あれだけ全身全霊を尽くして叫ぶのだ。 ただでさえ餌不足で衰弱したゆっくりたちは、数をどんどん減らしていくだろう。 数を減らす。それが退化の結果。 これだけのカタストロフィを経てなお、ゆっくりの姿はまだまだ街にあふれている。 本当にこれはただの退化なのだろうか。 人間によって管理された飼いゆっくり以外の、この街のゆっくりが数を減らしていく。 それの行き着く先は何だ? *** 「ゆっくりただいま……おちびちゃんたち」 「ゆっくりかえったよ……おちびちゃんたち」 まりさとれいむが中に入ると、鼻の曲がりそうな腐った臭いが段ボールの巣に満ちる。 今日も、食卓で生ゴミがふるまわれる。 どれもひどい悪臭を放っているが、食べられるだけましである。 「ゆっくち!ゆっくち!ゆっくち!」 「ゆっくちー!ゆっくちー!」 「おかえりなしゃい……おとうしゃん」 「まってたのじぇ……おかあしゃん」 変色してぼろぼろになったタオルのベッドから、四匹の子どもたちがずりずりと出てきた。 次女れいむと次女まりさの顔には、涙の痕がくっきりとできていて取れない。 毎日、二匹は巣の中で泣いている。 長女れいむと次女まりさに涙の痕はないが、二匹から言葉は奪われた。 いつも発作に怯え、不定期に「ゆっくち!」と叫んでは中枢餡の痛みに身をよじらせる。 二匹は非ゆっくり症を発症していた。 「ごはんさん、いっぱいとってきたよ……」 「さあ、みんなでたべようね……」 赤ちゃんたちの出迎えの言葉も、両親の言葉もどんよりと暗く濁っている。 幸せなんかかけらもない。ゆっくりなんか何もない。 今までの辛すぎる生活が、家族から一切の笑顔を奪い取っていた。 帽子の中から、口の中からぶちまけられる生ゴミ。 見る見るうちにどろどろの汁が、段ボールに染み込んでいく。 腐臭が巣の中いっぱいに広がった。 人間がここに顔を突っ込んだら、間違いなく嘔吐するレベルの臭いだ。 「ゆう……なまごみしゃん……だにぇ………」 「くちゃいのじぇ………あんこしゃん……きもちわりゅいのじぇ………」 「ゆっくち!ゆっくちゆっくち!」 「ゆっち!ゆっち!ゆっくち!」 目の前に不潔な生ゴミをぶちまけられ、次女まりさと次女れいむの顔は泣きそうなものになる。 次女まりさに至っては、一生懸命こみ上げてくる吐き気をこらえていた。 食いしん坊の次女まりさには、特にこの食事は辛いに違いない。 「おさのぱちゅりーのところのごはんしゃんは、かいゆっくちからもらったゆっくちふーどしゃんだよ……」 「でざーとにしゅてきなあみゃあみゃしゃんもありゅって……しゅごくうらやまちいのじぇ…………」 赤ゆっくりたちの不満は、自分たちの食べものが生ゴミだからだけではない。 ほかのゆっくりたちが、自分たちよりもずっとリッチで美味しいものを食べていることを知っているのだ。 飼いゆっくりからもらったゆっくりフード。 デザートに素敵なあまあま。 何て甘美な響きなのか。 ほかのゆっくりたちの優雅さが、赤ゆっくりたちの境遇の惨めさを加速させる。 どうしてこんなものを食べなくちゃいけないんだろう。 同じゆっくりなのに、どうしてこんなに違いがあるんだろう。 自分たちが生ゴミをかじっているのに、ほかのゆっくりは美味しくゆっくりフードやあまあまに舌鼓を打っている。 その事実が、赤ゆっくりたちをのプライドを踏みにじる。 次女まりさと次女れいむの心に、尊厳というものはもはやほとんど残っていなかった。 「ごめんね……ごめんね……ほんとうにごめんね……」 「おちびちゃん……だめなおかあさんをゆるしてね…………」 まりさとれいむは涙をぼろぼろこぼしつつ、ひたすら子どもたちに頭を下げる。 家族をゆっくりさせられない自分たちが、あまりにも恥ずかしく惨めで仕方がなかった。 これがまりさとれいむの現実なのだ。 まりさの家族は、あれから公園に流れ着いた。 商店街のゆっくりたちの結束は崩壊し、隣近所の助け合いはなくなった。 なかよしだったありすとぱちゅりーは、ある日狩りに行くと言ったまま帰ってこなかった。 まりさはこのままじわじわとゆっくりできなくなるよりはと、引っ越しを決意した。 行き着いた先がこの公園である。 公園はゆっくりたちにとって安心できる住処のため、今までは力が強くて優れたゆっくりしか住むことはできなかった。 しかし、度重なる災難の結果公園のゆっくりたちの数が減り、住処に空きができたのだ。 ちなみに長はぱちゅりーである。 いくつかの規則を作って公布し、何とか野良ゆっくりたちの統制を保っている。 ぱちゅりーの両脇には常に群れ一番の凄腕の護衛がつき、それが権力の象徴にもなっていた。 まりさはぱちゅりーに何度もお願いし、群れの一員として受け入れてもらえた。 新入りでこれといった特技もないまりさの家族は、ヒエラルキーで言えば一番下。最下層だ。 ランクは、共同で行った狩りの結果に反映される。 狩り(ほとんどゴミ漁りと乞食)を終えたゆっくりたちは一旦ぱちゅりーの前に集まり、収穫を差し出さなければならない。 それをぱちゅりーと専門のゆっくりが検分し、最終的にランクの高いゆっくりから順に取らせる。 当然、高いランクのゆっくりたちが新鮮なもの、美味しいもの、甘いものを取ることができる。 今日は物乞いチームが、何とシュークリームを取ってきたのだ。 まりさとれいむは、その匂いをよだれを垂らしながらくんくんと嗅ぐことしかできなかった。 シュークリームはぱちゅりー一家のものになった。 まりさを始め最低ランクのゆっくりたちに残されたのは、ほかのゆっくりが見向きもしないような腐ったゴミだけだ。 それを先を争って帽子と口の中にできるだけ沢山かき込み、まりさたちは巣に戻る。 背中には、生ゴミにがっつくまりさたちをあざける視線がちくちくと刺さっていた。 「「ゆっくりいただきます…………」」 「「ゆっくちいただきましゅ…………」」 「「ゆっくち!ゆっくち!ゆっくち!」」 それでも、食べなければならない。 食べなければ、いつかゆっくりする日を迎えることはできない。 ゆっくりすることを夢見て、ひたすらまりさたちは生ゴミを食べる。 茶色くしなびた野菜。かちかちに固まった唐揚げ。変色したご飯。 赤ゆっくりたちが食べるのは、まだましな残飯である。 「むーちゃ…むーちゃ!……うぶっ!ゆげぇっ!」 「おげぇっ!えごおっ!……むーちゃ……むーちゃ!」 何度もこみ上げる吐き気をこらえながら、子どもたちは食べていく。 目をつぶって悪臭の塊にかぶりつき、なるべく舌に触れないようにして噛み砕いて飲み込む。 飲み込む度に、最低の味と喉越しに、次女まりさと次女れいむの体がビクッ!ビクッ!と痙攣する。 悪臭を放つ魚。かびが生えて緑色になったパン、どろどろで原形をとどめていないうどん。 どう見ても食物とは言えないものが、まりさとれいむの食事だった。 「むーしゃ…えげぇっ!……むーしゃ……うぇろぉっ!」 「げぼぉっ!……むーしゃ……ぶぐぅ!……むーしゃ!」 まりさは、自分が今食べているのか、吐き気をこらえているのかもはや分からなかった。 食べるとはすなわち吐き気を催すことであり、味や臭いなんてものは考える必要さえない。 自分が今むーしゃむーしゃしているものが何なのか、絶対に考えてはいけない。 考えた瞬間、こらえにこらえた吐き気は暴走するからだ。 まりさは薄目を開けて、次に食べるものを見定めた。 見てしまった。 今まさに食べようとした腐った肉から、ウジ虫が次々と這い出してきたのを。 てらてらと汁に濡れて光る肉と、白くぶよぶよしたウジ虫。 しかもそれはもぞもぞと動き、まりさの舌に触れた。 「えおげぇぇええええ!げおぉおおおおお!お゙ぅ゙え゙ぇ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙!」 我慢できるはずがなかった。 ついにまりさは吐いた。 盛大に体を振るわせ、これでもかとまりさは食卓に生ゴミと餡子の混じったゲロをぶちまけた。 れいむの顔と子どもたちの顔に、まりさの口から吹き出した餡子と生ゴミがぶっかけられる。 「ごめっ…ごめんね……ごめんね……まりさ…おとうさんなのに…ごめんね……ごめんねぇ……」 まりさは泣きながら、家族全員に頭を下げる。 惨めで仕方がなかった。悔しくて仕方がなかった。 家族のために立派なゆっくりになりたかったのに、いったい何をしているんだろう。 こんなところで汚い生ゴミを必死に頬張りながら、吐き気をこらえている。 これが、まりさの理想の父親像なのだろうか。 懸命に謝るまりさを、家族は死んだ目で見ていた。 誰もまりさを咎めることはないが、誰もまりさをいたわることもない。 一通りまりさが謝罪を終えると、家族は食事を再開する。 ゲロのこびりついたもの食べるなんて、今までのまりさたちの生活からしたら信じられないことだ。 けれども、次女まりさと次女れいむは思っていた。 (すこしだけ……おとうしゃんのあんこしゃんであみゃくなったよ…うれちいにぇ………) そんなことを考えるほど、子どもたちからゆっくりは遠ざかっていたのだ。 「むーちゃ!ゆっくち!むーちゃ!ゆっくち!ゆっくち!」 「むーちゃむーちゃ!ゆっくちゆっくち!むーちゃむーちゃ!ゆっくち!」 言葉のない食卓で、長女れいむと長女まりさだけが騒がしい。 二匹は生ゴミを咀嚼する度に、「ゆっくち!」と叫んで口からぼとぼとこぼしている。 食べる度に発作を起こしているのだ。 汚い生ゴミを食べるというゆっくりできない行為で、二匹の食事は発作と隣り合わせだ。 「おちびちゃんたち………たべられないんだね…………」 顔中を生ゴミの汁とカスだらけにし、発作で目を白黒させる我が子の様子は、まりさにとって直視に耐えないものだった。 しかし、自分が何とかしてあげなければならない。 まりさは虚ろな目で、流しの三角コーナーから出たと思われる生ゴミのミックスを口に入れた。 「うぶぅ……むーしゃむーしゃ……おちびちゃん、おくちをあけてね………」 意識して味を感じないように努力し、まりさは口移しで長女れいむに口の中の生ゴミを食べさせた。 「ゆっくち!………………ゆっくち!」 何とか飲み下した長女まりさは、発作で苦しみながらも「ありがちょうにぇ……おとうしゃん」と目で言っていた。 「れいむもするよ……むーしゃ…むーしゃ………」 まりさをれいむも真似た。 異様な臭いの魚の内臓を口に入れたと同時に、れいむの頬が膨れ上がる。 「おぶぅっ……ぶべぶっっ!」 あまりの悪臭と味に、れいむは餡子と生ゴミを吐き戻しそうになったのだ。 しかし、どうにか耐えてれいむは食卓にゲロをまき散らすことはしなかった。 「ゆっく!ゆっく!……………………ゆっちゆっち!」 吐き気に耐え、れいむはまりさと同じように口移しで生ゴミを食べさせる。 長女まりさは発作と親れいむのあまりの哀れな姿に、涙を流しながら体を震わせていた。 「おねえしゃん………はやくなおっちぇにぇ……れいみゅ…おはなちちたいよぉ………」 「まりちゃも……いっちょにゆっくちちたいのじぇ……こんなの……いやなのじぇ………」 食べ終わってお互いの顔についたゴミを舐め取っていた次女れいむと次女まりさは、変わり果てた姉の姿にまた涙をこぼす。 もう、姉たちと楽しくお話しすることはできない。 今までは両親がいなくても、四匹一緒ならほんの少しはゆっくりできた。 頼もしい姉。ゆっくりした姉。大好きな姉。 非ゆっくり症が、妹たちから姉を奪い去った。 今は両親が狩りに出かけている間は、ひたすら目をつぶってゆっくりした昔を思い出そうと努力している。 そうしていても、嫌でも耳に入ってくるのだ。 姉たちの「ゆっくち!ゆっくち!」という発作の悲鳴と、苦しさに体を段ボールの壁に叩きつける音が。 ゆっくりなんてどこにもない。 救いも、どこにもない。 「「ごちそうさまでした…………」」 「「ごちそうしゃま…………」」 「「ゆっくちぃ!」」 どうにか、腐った生ゴミは全部まりさたちの口の中に収まった。 後はじっくり時間をかけて、餡子に変わってくれるのを待つしかない。 その間、ずっと不快感に耐えるだけの時間が過ぎる。 まりさの家族は顔を見合わせると、自然と泣き出した。 「ゆぐっ……ゆええ……ゆえええええん!」 「ゆわあああああん!ゆわあああああん!」 「まりちゃかなちいのじぇ!ゆえええええん!ゆああああん!」 「れいみゅかなちいよぉ!ゆっくちちてないよぉ!ゆえええええええん!」 「ゆっくち!ゆっくち!ゆっくちゆっくちゆっくち!」 「ゆっくち!ゆーっち!ゆーっくち!」 一斉にまりさたちは号泣した。 否が応でも分かる。自分たちがどれだけ惨めで、どれだけ汚く、どれだけゆっくりできていないのかが。 まりさたちの尊厳も、愛情も、誇りもすべて粉々に砕かれた。 最低のゆっくり。それが今のまりさたちだ。 お互いにすりすりしながら、まりさたちは声が嗄れるまで泣き続けた。 いきなり三匹のゆっくりが、断りもなくまりさの家にずかずかと入ってきた。 「むきゅ。ほうこくのとおり、こどもたちがびょうきのようね。ちょっといいかしら」 「みんなにだいじなはなしがあるんだぜ」 「はやくそとにでてね」 長のぱちゅりーとその護衛だ。 まりさは護衛のだぜまりさに見覚えがあった。 憲兵隊の隊長のようなステータスにあるこのまりさは、頭に一本の釘が刺さっている。 人間で言えばこめかみに根本まで刺さったそれは、まりさの中枢餡をかすめているらしい。 そのせいか、このまりさは少しもゆっくりしていない。 気が違っているわけではないが、側にいても全然ゆっくりできないのだ。 普通、ゆっくりはゆっくりの側にいると中枢餡が共鳴するらしくゆっくりできる。 ドスまりさはこれを大規模に発生させることができ、それがいわゆるゆっくりオーラである。 ゆっくりには人間に感知できない特殊な周波数の音波を発しているらしく、それが群れの形成や維持に一役買っている。 だが、護衛まりさには何もゆっくりできる要素がない。 護衛まりさ自身が、ゆっくりを必要としていないかのようだ。 とにかく放つ雰囲気が冷たくて恐い。 「ゆっ!な、なんなの?どうしたの?」 「れいむたち、なにもわるいことしてないよ!おきてもまもってるよ!」 突然の来訪に、まりさとれいむは跳び上がって段ボールの隅に逃げ込む。 その動きに子どもたちも従った。 「しょうだよ!おとうしゃんはなにもわりゅいことちてないよ!」 「ゆっくちちてりゅのじぇ!だいじょうぶなのじぇ!」 次女れいむと次女まりさは、親まりさの髪の毛から顔を出してぱちゅりーに言う。 まだ自分を頼りにしてくれている。 まりさは少しだけ餡子が温かくなるのを感じた。 「いいから、さっさとでなさい。そこのびょうきのふたりもだわ」 ぱちゅりーは家族の言葉をまったく聞いていなかった。 聞く必要などない、とぱちゅりーの態度は告げている。 「ゆっくり……りかいしたよ…………」 「おちびちゃんたち……おそとにでようね……」 「ゆっくち!」 「ゆっちゆっち!」 まりさたちに「No」という選択肢は用意されていない。 長ぱちゅりーに逆らうことなど、最底辺のまりさにできるはずがない。 非ゆっくり症の子どもたちをれいむは連れて行き、その後を次女れいむと次女まりさが追う。 最後にまりさが出ようとした時、護衛まりさが巣の中を見回すとうんざりした顔でこう言った。 「くさいんだぜ。しんだゆっくりのいえにはいったことがあるけど、ここのほうがもっとくさいのぜ。あたまがおかしくなりそうなくらいくさいんだぜ」 それは、まりさの辛うじて残っていたプライドをずたずたに引き裂くのには過剰な一言だった。 「ごめんなさい……ごめんなさい…ごめんなさい……くさくてごめんなさい……きたなくてごめんなさい………」 まりさは涙を必死でこらえながら、護衛まりさに何度も頭を下げた。 その謝罪はもはや、まりさの存在そのものを謝っていた。 ここにいてごめんなさい。こんなまりさでごめんなさい。ゆっくりに生まれてごめんなさい。 まりさはそんな思いさえ抱いて、護衛まりさに詫びた。 「ゆっくち……ゆっくち……ゆっくち……」 「ゆっくち………ゆっくちゆっくち…………」 唇を噛みしめて屈辱にうちひしがれる親まりさに、そっと二匹の赤ゆっくりがすりすりした。 長女れいむと長女まりさである。 父親の痛々しい姿は、非ゆっくり症の発作に苦しむ二匹であっても、看過できないものだったのだ。 それが、最後のスキンシップだった。 段ボールハウスの前に連れ出されたまりさ一家を前にして、ぱちゅりーは胸を張った。 自分が群れの長であることを得意に思ってるのがよく分かる仕草だ。 「むれのけっていをつたえるわ。よくききなさい」 「はい…………」 どんなゆっくりできないことを言われるんだろうか。 まりさたちはぱちゅりーの次の言葉を予想できず、ただ怯えて縮こまる。 「ゆっくちしかいえなくなるゆっくちびょうは、ほかのゆっくりにかんせんするのよ」 「ゆ……ゆゆううううううう!?」 「ゆうううう!?」 左右に護衛まりさと護衛れいむを従えた長ぱちゅりーは、まるでゆっくりえーきであるかのように傲慢に言い放った。 ゆっくちびょうとは、要するに非ゆっくり症のことである。 非ゆっくり症はゆっくりが多大なストレスを感じたときに発症する病気であり、感染するはずがない。 どうやらこの長ぱちゅりーは、自称森の賢者のタイプのようだった。 態度はでかく自分が正しいことを疑わないが、その実頭の中身はお粗末という二流リーダーである。 「ゆっくちびょうのゆっくりがいるだけで、ほかのゆっくりがきけんにさらされるわ」 しかし、現に長ぱちゅりーは群れのリーダーである。 左右に強力な護衛を連れている。 誰がぱちゅりーに逆らうことができるだろうか。 まりさは顔を公園の地面に叩きつけた。 ほぼ同時に、れいむも顔面を地面にこすりつける。 二匹はゆっくりにあるまじき素早さで、ぱちゅりーに土下座した。 「ごべんなざい!ごべんなざい!ごべんなざい!ででいぎまず!ずぐにおぢびぢゃんだぢどででいぎまず!」 「めいわぐがげでずびばぜん!ででいぎまず!ずぐにででいぎまず!ごべんなざい!ごべんなざああい!」 まりさとれいむは顔でごしごし地面を磨き、ぱちゅりーに謝る。 後ろでは両親の発言を理解できない次女まりさと次女れいむが叫んでいた。 まだ周囲を理解できる長女たちも同様に声を上げる。 「ゆ……ゆんやああああああ!ひどいのじぇえええええ!」 「やじゃあああ!こうえんからでるのはやじゃああああ!」 「ゆっくち!ゆっくちゆっくち!ゆっくちい!」 「ゆっち!ゆっちぃ!ゆっくちゆっくち!」 公園は一家がやっと見つけた、かろうじて生きていける場所だ。 ここを出ることなど考えられない。 また一家で、恐ろしい都会をさまよわなくてはいけない。 それも、非ゆっくり症で苦しむ長女たちを連れてだ。 だが、まりさとれいむは子どもたちの願いを聞くことはできない。 それよりも、今はぱちゅりーに謝らなくてはいけない。 もし、群れにリンチされるようなことになったら。 それは考えるだけで恐ろしい刑罰だった。 土下座しかしない両親と泣きわめく子どもたちを見て、長ぱちゅりーはため息をついた。 「おちつきなさい。べつにけんこうなまりさたちにでていけっていってるわけじゃないわ」 がばっとまりさとれいむは顔を上げた。 見る見るうちに両目に涙が盛り上がり、たちまち決壊したダムのように流れ出す。 「ゆあぁ……ありがどうございまずううう!ばりざだぢごうえんがらでだらじんじゃいまず!ほんどうに!ほんどうにありがどうざいまじだあああ!」 「ありがどうございまず!うれじいでず!ゆっぐりできまず!ゆっぐじでぎででびぶはほんどうにうれじいでずううう!」 まりさは地獄の底で蜘蛛の糸をつかんだ気持ちだった。 追い出されるとばかり思っていた。 これから一家だけで暮らしていくことを思うと、目の前が真っ暗になるほどの絶望だった。 しかし、長ぱちゅりーはここにいていいと言ってくれた。 なんて優しくてゆっくりした長なんだろうか。 まりさはぱちゅりーにすがり、そのあんよにキスさえしたい衝動に駆られていた。 「かんせんしたゆっくりが、こうえんのそとだろうとなかだろうとそんざいしてはいけないわ」 「ゆっ!?」 「ゆあぁ?」 だからこそ、まりさとれいむは長ぱちゅりーの言っていることが理解できなかった。 希望は絶望を二乗する。 絶望の中から見いだした希望。 それが砕かれて再び絶望のど真ん中に落下するとき、味わう苦痛は二乗にも三乗にもなる。 「かんせんしたゆっくりがひとりでもいたら、みんながびょうきになるのよ。ぱちぇもかなしいけど、こうえんにすむみんなのためよ」 「あ…あああ……あああああああああああ!!」 「ゆあああああ!ああああああああああ!」 「ゆっくちびょうにかかったこどもふたりをころしなさい。これはおさのめいれいよ」 言わんとしていることを感じ取り、歯と歯茎を剥き出しにして絶叫するまりさとれいむに、長ぱちゅりーは冷たく告げた。 自分たちの子どもを殺せと。 「い…い…いやでずううううううううううううううううううう!!」 「だいじなおぢびぢゃんなんでず!ぞんなのいやです!いやでずううううう!」 「やじゃああ!やじゃああ!やじゃああああ!」 「ゆんやあああ!おねえしゃぁぁん!ちんじゃやじゃあああ!」 「ゆっくちいいいいいいい!ゆっくちいいいいいい!」 「ゆっくちゆっくち!ゆっくちゆっくちゆっくち!」 案の定、まりさ一家は狂乱した。 家族は一匹残らず、地面を転げ回り泣きわめく。 まりさもれいむも、だだをこねる赤ゆっくりのように叫んだ。 それだけはできない。絶対にできない。できるはずがない。 かわいい我が子を自分の手で殺すなんて、考えることさえできない。 後ろでは子どもたちが同様に叫んでいた。 非ゆっくり症の長女たちは激しい発作に襲われ、「ゆっくち!」と叫びながら跳ねる。 それにすがり、次女たちがわんわん泣いている。 姉を失うことに、次女たちが耐えられるわけがない。 「ころしなさい。ころすしかほかにほうほうはないのよ」 「でぎまぜんんんんんんん!でぎまぜん!でぎまぜん!ばでぃざはがわいいおぢびぢゃんをごろずなんでぜっだいにできまぜんんんんんん!」 「なおりまず!ぜっだいになおっでまだゆっぐりじまず!ほんどうでず!ぜっだいでず!だがらごろざないでぐだざい!おねがいでずうううう!」 れいむは長女たちが絶対治ると、叶うはずのないことを口にしている。 恐らくれいむ自身も、それが不可能だと分かっているだろう。 しかし、そう言わざるを得ない。 絶対治る、と馬鹿の一つ覚えのようにわめくしかない。 そうしなければ、殺されてしまうのだ。 「どうがおねがいじまず!なんでもじまず!どんなごどでもじまず!ばでぃざはじんでもいいでず!だがらおぢびぢゃんは!おぢびぢゃんはだずげでぐだざいいいいい!」 「でいぶがあ!でいぶががわりにじにまず!じにまずううう!だがらおぢびぢゃんはごろざないでぐだざい!おぢびぢゃんはでいぶのいぎがいでず!だがらものでずううううう!」 「そういういみじゃないのよ…………」 挙げ句の果てに、まりさたちは自分を殺すように言い始めた。 でたらめな話だ。非ゆっくり症のゆっくりを殺すのが目的なのに、健康なまりさたちを殺しては意味がない。 長ぱちゅりーは呆れと哀れみが混じった目で、哀願する二匹を見つめた。 「ゆあああっ!れいみゅが、れいみゅがおねえしゃんのかわりにちぬにぇ!れいみゅをころちてにぇえええ!」 「まりちゃがちぬのじぇ!まりちゃをころちてほちいのじぇ!それでゆっくちなのじぇえええ!」 「ゆっくち!ゆっくちぃいいいい!」 「ゆくちゆくち!ゆっくち!ゆっくちー!」 両親に引き続き、子どもたちも自分を殺すようにぱちゅりーに頼む。 下らない自己犠牲ごっこの開幕である。 長女たちも「ゆっくち!」と叫んでいるが、言いたいことは分かる。 「れいみゅがちぬにぇ!おとうしゃん、ちんじゃだみぇだよぉ!ゆっくちちてにぇ!」 「まりしゃちぬよ!ちなないとおかあしゃんがちあわしぇーになれにゃいなら、まりしゃちぬのきょわくにゃいよ!」 どうせそう言いたいのだろう。 だったらさっさとその場で頭をかち割ればいいのに、どいつもこいつも自分が死ぬ、と叫ぶだけでいっこうに死のうとしない。 まりさたちは本気かもしれないが、所詮それはただの死ぬ死ぬ詐欺とでも言うべきアピールだった。 「わかったわ」 そんな茶番に飽きたのか、長ぱちゅりーは投げやりに言った。 「ゆあああ!」 「ああああ!」 「どうしても、こどもたちをころすことはできないわけね」 「はいいいいい!ぞうでず!でぎまぜんんんん!」 もしかしたら助けてくれるかも、と最後の希望を胸にまりさはぱちゅりーの前に土下座した。 「なら、ぱちぇたちがころすわ。やりなさい」 まりさが反応するより先だった。 護衛まりさと護衛れいむの口から飛び出したフォークが、長女れいむと長女まりさを一撃で貫いていた。 捕鯨で使う銛のようだ。 「ゆぢぃいいいいい!」 「いぢぃぃぃいいいい!」 眉間を突き刺された二匹は、そろって体を痙攣させて激痛に悶える。 「あ……お…おぢびぢゃあああああああああああああん!」 「れいむの……おぢびぢゃんがああああああああああああ!」 「れいみゅのおねえしゃんがあああああああああああ!」 「まりちゃのおねえしゃんがあああああああああああ!」 少し遅れて、家族は一斉に絶叫した。 「ゆぎっ!ゆぎぢっ!ゆぎっぢ!ゆっぎじいいいいいい!」 「ゆっぎいいいいいい!ぎぢ!ぎぢ!ゆっぎゃぢいいいいいいい!」 串刺しにされた長女れいむと長女まりさは、下半身をぐねぐねと振ってもがいた。 しーしーとうんうんが盛大に流れ出して地面を汚す。 今まさに死のうとする二匹は、この世の名残に最大の苦しみを味わっていた。 「やべでぐだざい!やべでやべでやべでやべでええええええええ!いだがっでまず!ぐるじがっでまず!じんじゃいまず!ごろざないでぐだざいいいいいい!」 「おねがいでず!おねがいでず!やめで!やべでえええええ!ごんなの!ひどいっ!ゆっぐりじで!ゆっぐりじでぐだざい!ゆっぐりざせでぐだざいいいいいいい!」 気が違ったようにまりさとれいむは護衛たちにすがる。 涙をまき散らし、顔をべちゃべちゃにし、餡子の漏れ始めた額をさらに地面にこすりつけ、どうにかして許してもらおうと懇願する。 二匹の恥も外聞もないお願いを、護衛たちは一切聞くことはなかった。 「ゆっぐ……ぢ…………ゆぐ…………ちっ…………」 「ゆっ…………ちっ…………ゆぐ…………ぢぃ……」 時間にして一分ほどだったが、まりさは一時間のように感じた。 恐らくそれは、死んでいく長女たちもそうだっただろう。 次第に長女れいむと長女まりさの悲鳴はかすかになり、もがく動きも弱々しくなっていく。 そして、ついに二匹の動きは止まった。 食いしばっていた口がだらしなく開き、舌がだらんと落ちた。 護衛たちがフォークを引き抜くと、二匹の体はただのものとなって地面に転がった。 長女れいむと長女まりさは、死んだ。 「かわいそうだけど、これしかほうほうがないのよ」 言っていることとは裏腹に、長ぱちゅりーはまったくかわいそうに思っている様子はなかった。 それをなじるものはいない。 「あああああああああ!うわああああああああああああああああああああああ!」 「あおおおおおおおおおお!おあああああああああああああああああああああ!」 「ぴぃいいいいいいい!ぴぎゃあああああああああああああああああああああ!」 「ゆぴぃぃいいいいい!ゆっぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 長女の亡骸にすがり、狂ったように親子は泣いていた。 ぱちゅりーも護衛たちも、まりさたちの目に入っていない。 存在すらしていなかった。 四匹は息絶えた長女の死体にすりすりし、ぺろぺろし、号泣する。 あれだけ泣いたというのに、まりさの目からは無尽蔵に涙が流れて止まることがない。 我が子の死。 それはまりさのゆん生最大の悲しみだった。 どれだけ泣いても、まりさたちが泣きやむことはなかった。 「いきましょう。これがむれのためなのよ」 立ち去る長ぱちゅりーたちは、家族を思いやる様子は一切なかった。 自分の巣に戻ろうとする長ぱちゅりーと護衛たちに、数匹のゆっくりが跳ねてきた。 「おさあああ!たいへんだよおおお!」 「またゆっくちびょうだよおお!こわいよおお!」 「ゆっくりできないよおお!うつったらやだよおおお!」 長ぱちゅりーはそれを見ると、うんざりした様子でつぶやいた。 「むきゅ。またなの……。しかたないわ。だれであろうとゆっくちびょうのかんじゃはころさないと…………」 長ぱちゅりーの論理では、ゆっくちびょうのゆっくりを排除した自分の群れではゆっくちびょうは発症しないはずだった。 しかし現実は異なる。 後から後から、ゆっくちびょうを発症したゆっくりが発見されるのだ。 だが、長ぱちゅりーはこれを自分が間違っているからだとは思っていなかった。 どこかに、ゆっくちびょうを発症したゆっくりが隠されているはずだ。 長ぱちゅりーが間違えるはずはない。そんなことはあってはならないのだ。 予想通りにならないのは、群れの誰かが長ぱちゅりーに従わないからだ。 無能なゆっくりがいるせいで、長ぱちゅりーの苦労が報われることはないと信じ込んでいた。 息を切らせて、ゆっくりたちが長ぱちゅりーのそばにやってくる。 「それで、こんどはだれがゆっくちびょうなのかしら」 「つれてきたよ。おさ、ゆっくりみてね!」 悠然と長ぱちゅりーは、他のゆっくりたちによって連れてこられたゆっくちびょうのゆっくりを見た。 自分では、リーダーらしく威厳を持ってカリスマにあふれた仕草で見たつもりだった。 その動作が、凍り付いた。 「ゆっくち!ゆっくち!ゆっくちぃ!」 「ゆっくちゆっくちゆっくち!ゆっくちゆっくちゆっくち!」 捕らえられたゆっくちびょうのゆっくりは、見覚えがあった。 長ぱちゅりーそっくりの賢そうな顔。 長ぱちゅりーそっくりのゆっくりした形。 長ぱちゅりーそっくりの素敵なお帽子。 それは長ぱちゅりーが目に入れても痛くないくらいにかわいがっていた、最愛のわが子たちであった。 ぱちゅりーは知らないが、子ぱちゅりーたちは恵まれた生活を送っているようでいて、実際はかなりのストレスを感じていた。 自分の判断が絶対と信じて、群れの非ゆっくり症のゆっくりたちを殺していく母ぱちゅりー。 その子どもたちは虐められることこそなかったが、周囲からいつも冷たい眼差しを浴びていた。 ゆっくりできない親の行動が、子どもたちを非ゆっくり症のゆっくりに変えてしまった。 「むきょきょおおおおおおおおおおおおおおおお!どぼぢでばぢぇのおぢびぢゃんがゆっぐぢびょうなのおおおおおおおおおおお!!」 そうとも知らない長ぱちゅりーは、生クリーム混じりの唾を空中に飛ばしながら絶叫した。 こんなことあるはずがない。 あっていいはずがない。 間違いだ。間違っている。間違っているに決まってる。 森の賢者の長ぱちゅりーに過ちはないと、天が保証しているのだ。 「むぎょおおおおっ!ごればなにがのまぢがいよおおおおお!ぢがうわ!ごればゆっぐぢびょうじゃないわ!ちがうびょうぎよおおおおおお!」 長ぱちゅりーは髪の毛を振り回してわめき散らす。 徹底的に否定した。 間違っていると森の賢者の知性で糾弾した。 しかし、ゆっくちびょうにかかった子ぱちゅりーたちはそのままであり、変わることはない。 「おさ……かなしいけど、しかたないよね」 「むれのためだよ……。おさのきもちはわかるけど」 「ころさないと……いけないよ」 「どうしようも、ないんだよ………」 ぼそぼそと群れのゆっくりたちが口にする。 いつの間にか、ゆっくりたちは長ぱちゅりーと子ぱちゅりーを取り囲むようにしていた。 逃げられないように包囲している。 「おだまりなざいいいいいい!ちがうったらちがうのよおおおおお!みどめない!もりのげんじゃのばぢゅりーはごんなのみどめないわよおおおおおおお!」 群れのゆっくりたちは長ぱちゅりーをじっと見る。 その中の何匹かは、子どもを殺されたゆっくりだ。 その中の何匹かは、親を殺されたゆっくりだ。 恋人を殺されたゆっくりがいる。友人を殺されたゆっくりがいる。 長ぱちゅりーを、じっと感情のない目で見つめている。 「ゆっくちー!ゆっくちー!」 「ゆくち!ゆくちゆくちゆくち!ゆっち!」 なにやら訴えている子ぱちゅりーの声が、煩わしくて仕方がない。 長ぱちゅりーは子ぱちゅりーたちに急いで詰め寄った。 このうるさい「ゆっくち!」という声を止めなくてはいけない。 「あああああああ!おぢびぢゃあああああん!ぱちぇのいうごどをぎぎなざい!ゆっぐぢいうのをやべなざい!ふづうにじゃべるのよ!でぎるでじょおおおおおお!」 「ゆっくち?ゆっくちー!ゆっくち!ゆっくち!」 「ゆくちゆくち!ゆっくち!ゆっくちー!」 「ゆっぐぢいうのをやべろっでいっでるだろうがあああああああああああああ!!」 天才に従わない無能な子どもたちに激高し、長ぱちゅりーは口汚く我が子をののしった。 口からまき散らされる唾が、子どもたちの顔を濡らす。 長ぱちゅりーは気づいた。 護衛まりさと護衛れいむが、子どもの側にいる。 二匹は同時に、処刑人でもあった。 「やべでええええええ!めいれい!ばぢぇのめいれいよおおおお!おぢびぢゃんをごろずな!ごろずなああ!ごろじだらおまえもごろじでやる!ごろずううう!」 本気だった。 もし子どもを殺すようなら、長のぱちゅりーが相手になってやる。 かみついてやる。髪の毛を引き抜いてやる。目玉をえぐってやる。 殺してやる!絶対に絶対にぶっ殺してやる! ありったけの殺意を込めて叫ぶ長ぱちゅりーを、あのゆっくりしていない護衛まりさは鼻で笑った。 「やってみるんだぜ。もしかてるとほんきでおもってるんだったら、えんりょなくかかってくるんだぜ」 「ぶきゅぅぅうううううおおおおおおおお!?」 長ぱちゅりーの本気が、歯牙にもかけられなかった。 相手にする価値もないと、あざけられた。 プライドをずたずたに引き裂かれた長ぱちゅりーは、四方八方に怒鳴り散らす。 「うるざいいいいいいいいい!おざのめいれいだあああああああ!きけっ!きけっ!ぎげえええええええ!ぎぐんだ!おざっ!おざっ!ばぢぇはおざ!おざなんだああああああ! ゆっぐりはぜんいんおざのぱぢぇのめいれいにはぜっだいにふくじゅうずるんだああああああああああああああ!!」 権力を振りかざしてわめく長ぱちゅりーの姿は、かろうじて残っていた長ぱちゅりーに対する群れの忠誠心を砕くのに十分だった。 ぱちゅりーは長でもなんでもなかった。 ただの我が子かわいさに平気で規則を破るような、どうしようもないゆっくりでしかないのだ。 「もうぱちゅりーはだめみたいだね。みんな、あたらしいおさをきめようね」 絶妙のタイミングで言った護衛れいむの言葉に、群れのゆっくりたちはうなずいた。 この瞬間、長ぱちゅりーはただのぱちゅりーになった。 もう、自分に権力はない。ただのゆっくりに成り下がった。 力もない。人間に媚びる能力もない。 誰かが従ってくれなければ何の役にも立たない、最下層のゆっくりに落ちたのだ。 「むっぎゅううううう!ごのおんじらずどもおお!ぱちぇがどれだげおまえらをだずげでやっだとおぼっでるんだ!めいれいぐらいぎげごのぐぞゆっぐりがああああああ! ぐぞゆっぐりども!ぐぞゆっぐりども!やぐだだずども!おぢびぢゃんはびょうぎじゃないっでいっでるのがぎごえないのがああああああああ!びょうぎじゃない!びょうぎじゃない! ばぢぇがびょうぎじゃないっでいっでるがらびょうぎじゃないんだあああああああああああああああああああああああああ!!」 誰も相手にしないことに気づかず、ぱちゅりーは地団駄を踏んで騒ぎ立てる。 無様で哀れな本当の姿が衆目にさらされる。 あまりにも惨めな末路だった。 ぱちゅりーの元護衛の口からフォークが飛び出した。 「おねがいじまずうううううう!ぱぢぇの!ぱぢぇのおおおお!おでがいでず!おねがいでずううううう!おぢびぢゃんをごろずのはやめでぐだざい! うつりまぜん!ゆっぐぢびょうはほがのゆっぐりにうづりまぜんんんんんん!だがらおぢびぢゃんをごろざなぐでもだいじょうぶでずうううう! ぱぢぇがまぢがっでまじだ!ぱぢぇはどうじようもないぐぞゆっぐりでず!ぐぞゆっぐりをがわいぞうにおもっでだずげでぐだざぁいいいいいいい!」 ぱちゅりーはまりさとれいむにしがみつくと、二匹の前でばんばんと顔を地面に叩きつけた。 一世一代の土下座だった。 プライドが高く自分がゆっくりの中で一番偉いと思っていたぱちゅりーが、情けなくかつての護衛に慈悲を請うたのだ。 だが、ぱちゅりーは忘れていた。 自分が同様の訴えをしたゆっくりの家族や友人や恋人を、無視して殺してきたという事実を。 「まりさは、ゆっくちびょうがうつるかどうかわからないのぜ」 頭に釘が刺さったままのまりさは、涙とよだれと汗でぐちゃぐちゃになったぱちゅりーを冷たい目で見た。 ぱちゅりーは、今まで自分のしてきたことがどれだけ非道だったのか、ようやく理解した。 理解したからと言って、子ぱちゅりーが殺されるのを認めるわけにはいかない。 「むぎゅぎゅうううう!だっだら!だっだらだずげでっ!おぢびぢゃんをだずげであげでええええええ!」 最後の希望であるまりさの慈悲にすがり、ぱちゅりーはわめく。 しかし、まりさはまったくゆっくりしていなかった。 「でも、いままでぱちゅりーはゆっくちびょうがうつるっていって、たくさんのゆっくりをころしたんだぜ。 だから、じぶんだけおちびちゃんをたすけてもらえるなんて、むしのいいことはかんがえないほうがいいのぜ」 「あ……あ…ゆがああああああああああああああああああああああああ!!」 顎が外れるほど大きく開いて叫ぶぱちゅりーの目の前で、フォークが子ぱちゅりーに突き刺された。 公園の出入り口に、ぱちゅりーがいた。 ほんの半時間前まで、群れの長だったぱちゅりーだ。 あの根拠のない自信に満ちていた姿は消え失せた。 「おちびちゃん……ぱちぇのかわいいかわいいゆっくりしたおちびちゃん…まちがってるのはみんなよ……」 髪を振り乱し帽子のずれたぱちゅりーの目は虚ろで、生きているはずのゆっくりなのに死んでいるかのようだ。 ぶつぶつとぱちゅりーは呟いている。 ぱちゅりーは口で二匹の子ゆっくりの死体を引きずっていた。 頭を割られて苦悶の表情を浮かべたまま息絶えた、ぱちゅりーのかわいい子どもたちだ。 「むきゅきゅ、みんなまちがってるわ………。おちびちゃんはしんでなんかいないわ……。びょうきでもないわ……。 そうよ!ぱちぇのかわいいおちびちゃんはゆっくりしてるだけなのよ!ゆっくりしてるわ!ゆっくりしてる!してるわああああ! むきゅきゅきゅきゅううううう!ぱちぇはてんさいよおおおおおおおおおおおおおおお!」 子ぱちゅりーは生クリームを垂らして死んでいるにもかかわらず、ぱちゅりーは話しかけるのを止めない。 挙げ句の果てに、急に空を見上げてぱちゅりーは呵々大笑した。 だが次の瞬間、ぱちゅりーは子ゆっくりにすりすりして大泣きする。 「むぎゅ……むぎゅ…むぎゅうううううううう!!おぢびぢゃぁああああん!ごめんねえっ!ごめんねえっ! ぱちぇをゆるじでね!むのうなぱぢぇをゆるじでねえええええええ!おぢびぢゃぁああああああん!!」 ぱちゅりーは、自分を無能だと認めた。 それは、ゆっくりしていないゆっくりだと認めたに等しい。 無能という語は、ぱちゅりー種にとってありす種のいなかものと同レベルの軽蔑の言葉だ。 むのうなぱちゅりー。 自分のことをそう評したぱちゅりーは、自分を最低レベルに貶めた。 ぱちゅりーの非ゆっくり症に対する対処は間違っていた。 しかし、ぱちゅりーの自分に対する評価は正しかったと言えよう。 疑心暗鬼に駆られたゆっくりたちは、こうして同族殺しを繰り返した。 ついに同族さえも、ゆっくりたちをゆっくりさせなくなったのだ。 Cのケータイに、A主任からのメールが入った。 内容は一文だけだ。 そこにはこう書いてあった。 『そろそろ始まるよ』 (続く)
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●ヴィンセント・バリー/パートナー:グスタフ 【術】 ゾニス頭の角から竜巻状のエネルギーを放つ。威力は低いが射角を変えることで移動・飛行と応用が効き、様々な場面で使用できる。初級 ガルゾニス回転しながら突進する術。自身の移動にも使える。ガ級 ドルゾニス腕にドリル状のエネルギーを纏う接近戦用の呪文。盾破壊に適している。ゴウ級 ギガノ・ゾニス頭の角から巨大な竜巻状のエネルギーを発射する。例にもよって飛行・移動にも使える。ギガノ級 ゾルシルド手から盾を出す術。初級 ディガル・ドルゾニス自身が回転し、そのまま全身をドリル状にして突進する術。ギガノ級 アラドム・ゴウゾニス手から爆発の性質を持った無数の竜巻を発生させる。零距離爆発の火力に弱所突きの性質も合わさり、ギガノ+級でダメージの様子がないデゴスを一撃で倒し、キースにも戦闘不能に近いダメージを負わせる。弱所突きでディオ+級 ゴウ・ゾルシルドゾルシルドの強化版。名前だけならゴウ級だが作中ではディオ級術と相殺する事が出来た。ディオ級 アム・ラ・ゾルク両手に竜巻のエネルギーを纏わせ相手の術を受け止め跳ね返す強化術。散弾系の術ならこれでギガノ級までは止める事が可能。ゴウ級 ディオガ・ゾニスドン巨大で入り組んだ竜巻状のエネルギーを発射するバリーの最大術。作中では弱所突きで超ディオガ級呪文を一方的に打ち破る事が出来た。ディオガ級 (シン・ドルゾニス)送還後に魔界で修得。両手にドルゾニスが出るだけの地味な技だが威力は桁違い。バリーの弱所突きも合わさり凄まじい突破力を誇る。その威力は完全体クリアの核を守る非常に強固な皮膚を削る程。シン級 【身体能力・戦術】 技量の高さは魔物の中でもトップクラス。弱所突きが可能なコンビは複数いるものの、術無しで実行出来る魔物はバリーのみ。 ロデュウやアシュロンと言った思考を張り巡らせながら闘う魔物とは真逆のタイプ。魔界の王を決める戦いの中で培ってきた戦闘経験と磨き上げられた直感を活かした戦い方が出来るので、脳筋とは言い切れない。 「アースと戦ったら勝てるのか?」という質問に「勝てる・・・かも?」といった公式の回答発言が存在するため、それを踏まえるのであれば同ランクだが格上。 【長所】 作中屈指の術補正。バリーの高い技量を重ねる事により、威力を2ランクほど上昇させる事が可能。1ランク程度の差であれば弱所突き無しでも相殺可能。防御術も例外ではない。 格闘技術が非常に高く、接近戦での打ち合いに特化した強化術との相性が良い。ある程度の応用も利く。 勝利に対する執着が強く、魔物の中でも屈指の粘り強さを持つ。 グスタフとの連携力が非常に高く、掛け声だけで指示や意思疎通が可能。 【短所】 素の力はキース程度。粘り強いというだけで耐久力が飛び抜け高い訳ではない。ディオガ級をまともに受けると戦闘不能になると推定。 最大術はあくまで「ディオガ級」である。それを何回も耐える魔物には手詰まりの可能性が高い。弱所突きの性質上先出し不可能な為、ディオガ+級以上を相殺or打ち破る事を目的に使用する場合は必ず後手に回る必要がある。 相手がキースだったから良かったものの、とりわけ頭が良く隙を見せない魔物に100%の弱所突きが成功するとは限らない。 ●アース/パートナー:エリー 【術】 ソルド剣を強化する術。初級 ソルセン剣先と同じ形状の波動を飛ばす。ガ級 ゴウ・ソルド剣を強化するソルドの上位術。ゴウ級 ジャン・ジ・ソルド巨大な剣で相手を串刺しにする術。ギガノ級 ボルセン幻影を作る術。 ウルソルト剣速を上げる術。強化された剣で地面を叩く事で高速移動も可能。ゴウ級 ジェルド・マ・ソルド超スピードで居合い斬りをする。一度唱えると剣を振るまでは持続する。体制を崩せない為発動中は高速スリ足で移動。ディオ級 バルバロス・ソルドン巨大な剣を横薙ぎにする術。アース曰く相殺に向いている術で「~オウ系」の呪文に特効性がある。ディオガ級 ギャン・バギャム・ソルドン巨大な剣を降り下ろして攻撃。単純な攻撃に特化している。ディオガ級上位 ゴディマ・ソルドゴウ・ソルドの強化版。剣のオーラが長くより広範囲を切りつけることができる。ディオ級 ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドンアースの持つヴァルセーレの剣に貯めた魔物の力を一気に解放し、無数の剣を放つアースの最大術。剣が今までに吸収し蓄積した魔力を放つため、特性上一発限りの術。作者曰くゴーム戦時にはディオガ級4発分の威力があった。超ディオガ級 (シン・ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドン)魔界送還後に修得。攻撃方法はヴァルセレと同じだが、一発限りではなさそう。シンを冠するだけあって威力は比べ物にならない。シン級 (リゴウ・ソルド)『2』で登場。2つの剣を強化させる術。ゴウ級。 【身体能力・戦術】 特筆するほどの身体能力は無いが、ある程度の強化術(武器)を持っていること、その武器も後述の能力を持っているため接近戦は得意。 アースの持つヴァルセーレの剣が相手の魔力を吸収する性質を持っている。相手が剣に触れるだけで微弱ながらダメージになる。 【長所】 ヴァルセーレの剣が上記の能力を持っている為、近距離での撃ち合いに強い。相手が武器の性質を見破らない限りアドバンテージを維持出来る。 接近戦もさることながら、距離を置いた戦いにも非常に強い。初級~ディオガ級までの術を幅広く持っており、エリーが言う「奥の手」3つがディオガ級以上。最大呪文がディオガ級止まりの相手にはバルバロス・ソルドンまでの呪文で対処可能。 パートナーも病弱であるが、心の力の量が多く判断力に優れている。 【短所】 特に身体能力が高い訳でもなく、ディオガ以上の発動が遅い。テッドやウマゴン、カルディオと言った肉体強化やスピードの高さで立ち回る相手には相性が悪いので、劣勢になりやすい。 パートナーが病人なので、持病の発作によって戦況が一気に瓦解する可能性が非常に高い。ゴーム戦では術を唱えるタイミングで発作が出てしまい、攻撃のチャンスを逃してしまった。
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内線:6324 広島大学は、障害のある学生に対する修学支援やアクセシビリティ(利用しやすさ・参加しやすさ)に関して、先進的な取組みを行なっている大学の1つである。 広島大学は日本学生機構の障害学生支援ネットワークの拠点校(全国に9校)の1校になっており、障害学生支援に関する他大学からの相談対応なども行なっている。 広島大学が開発し平成18年度から開始した「アクセシビリティリーダー育成プログラム」は、現在は広島大学を含む全国5大学2企業でも実施されている。 アクセシビリティセンターの役割 ①障害のある学生に対する修学支援、アクセシビリティに関する支援の拠点 広島大学は、「学びの公平性」を担保するために、 すべての学生に同一で質の高い教育を保障することを基本方針として、修学に関するアクセシビリティの支援を積極的に行なっている。 「見えない」「聞こえない」「移動が困難」「筆記が難しい」「発作がある」「著しく苦手な作業や状況や空間等がある」など、修学上の不自由や困難が生じている学生に対して、授業中の配慮、教材支援、情報支援、学内生活支援等を行なっている。 アクセシビリティセンターはこのような支援の拠点となり、アクセシビリティに関する助言やコーディネート、アクセシビリティや支援に関する授業の開講、支援者の育成・派遣等、大学全体や学部の取組みを支援している。 ②「アクセシビリティ」に関する教育・人材育成 「人に優しい社会」「多様な可能性を開拓する社会」をリードする人材の育成を目指して、「アクセシビリティリーダー育成プログラム」を推進している。 アクセシビリティリーダー育成プログラムとは? 「アクセシビリティリーダー育成プログラム」は「教育課程」「資格認定」「インターンシップ」「キャンプ(研修合宿)」で構成される総合人材育成・活用プログラムで、広島大学の学生は誰もが参加でき、意欲に応じたステップアップが可能。 WebCTで受講できるオンライン・アクセシビリティ講座(導入編・基礎編)を修了すると、2級AL認定試験を受験できます。(教職員も資格取得可能!) オンライン講座を修了し、教養教育の指定授業(実習×2、講義×2)の単位を取得すると、1級AL認定試験を受験できる。 1級AL資格を取得すると、インターンシップ(学内、地域、企業)やキャンプに参加することができます。年間20人〜30人のインターンが学内や地域や企業で活躍している。
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キャラクター名 [ラスク (ラスク=ラクスウェル)] キャラクター説明文 15才女性で身長148cm金髪碧眼ポニー。(※『OB覚醒』後灼眼に) 冷凍睡眠前はラクスウェル・コンツェルンの社長令嬢(養子)。幼い頃に預けられた、特殊戦闘技術訓練所『通称S.A.T』の出身で、主席で卒業してる。当時の教官の影響もあり銃/特に狙撃銃の扱いに長ける。 過去のトラウマで発作を持っていて、精神に極度の負担があると苦しみだす。また、元々情緒不安定な傾向があり、不利になると態度がおかしくなる。(※『覚醒』後、更に顕著に) 読書と楽器演奏/歌唱、料理が趣味で、電子機器全般や学問に対しては優秀。無類のオムライス好きだけど、料理に成功したことは無い。 自分以外の為に何か行動を起こすのを嫌う傾向がある。特に肉体労働を嫌う。生まれつき他人に感じないものを感じ取ったり、人の心情の変化に敏感だが本人は表情・感情の変化には乏しい。(最近は必要意外あまり喋らなくなった) 生まれのせいか「他人は道具」と見てる節が常々ある。桜花は余りに純粋すぎて疑うのが馬鹿みたいなので、数少ないマインドリンケージ共用者。 プレイヤー名/MasterLinkProtection 【悠飛あるは】 / ffdssd115-44 フライングメッセージブレート名 【クロスフォーアイ (X4eye・クロすけ)】 ディスティニーポイント 現在 最大 0000 0370 キャラクターパラメータ部 パラメータ名 能力値 OB補正値 合計値 Hp 09/13 00 13 Sp 00/05 00 05 Mp 14/14 00 14 キャラクター基本能力部 パラメータ名 能力値 OB補正値 合計値 体力 05 00 05 敏捷 08 00 08 知力 14 00 14 生命 13 00 13 特殊能力 現在値 最大値 覚醒 012+1 012 戦闘系パラメータ部 攻撃反応 ダメージ コメント 基本殺傷力 1D6-5 体力影響下 防御反応 反応値 コメント 避け 05 行動/2 受け 07 武器技能/2 止め 00 盾技能/2 行動反応 反応値 コメント 行動力 06+3 敏捷+体力/4 防御システム系 防御SYS 物理 光熱 精神 NT コメント 試作型携帯シールド/Lカスタム 02 02 00 00 合計値 02 02 00 00 攻撃システム系 攻撃SYS 殺傷力 TYPE Lv 抜打 正確 射程 試作型無反動ガン/Lカスタム 2D6+2 物理 敏捷-2 /2 2 10m 試作型電磁ナックル/Lカスタム +4 物理 敏捷-1 -1 3 1m 所持アイテムリスト アイテム名 Lv 個数 メモ 拳銃弾 通常 -- 20 拳銃弾1発 医療キット 知力-3 01 回復アイテム1D-1回復する HP、SP対象 緊急パッチ 知力-2 05 回復アイテム1D-3回復する HP、SP対象 携帯バッテリー01 -- 01 携帯用バッテリー 100Ep回復 カップメン(ノーマル味) -- 非常食。 スキルデータ 技能/パッシブ Dp Lv 内容 マインドリンケージ 【桜花・テレス】 80 2 同じマインドリンケージ所持者とのコンタクトが取れる。 また相手の深層意識に侵入する際は知力+Lv判定 ドライリンク -- 1 イベントにより上昇 らしいよ。 マスタリングプロテクト -- 1 イベントにより上昇 らしいよ。 帯電体質 -200 1 機械系操作するとき生命-Lv判定。失敗した場合機械故障 バーサーク -100 4 戦闘中クリティカル受けるかファンブルすると精神判定。 失敗すると全てのパラメータを+Lv判定。 但し行動はマスターに委任。Lvターン経過で正気に戻る 発作 -180 3 緊急時、HP-Lv判定。失敗するとLvターン行動不能。 方向音痴 -100 2 知力-Lv*2判定に失敗すると、迷ってしまう。 怠惰 -160 2 作業する時精神-Lv判定。失敗した場合行動不可 ドジ -100 1 ここぞと言う時知力-Lv判定。過度でなければそれも愛嬌? 敵性感知 70 1 敵の位置や判断を行う時に必要。知力+Lv判定 集中力 200 2 集中に関わる判定の時、Lv補正 美声 100 1 交渉や歌唱など、声を使った判定にLv補正 俊足 180 3 行動力に+Lv補正 集中視力 80 1 遠くの物体を見るとき知力+Lv補正 基本戦闘技術統括 10 -- 基本戦闘技術習得に必要 ここまでのDP 残り490 ■技能/アクティブ(戦闘) Dp Lv 内容 銃術:スターライト銃術 10 08 S.A.T式銃術の自己アレンジ。足を止めての銃技に秀でる。 装備:ガン 70 14 基本戦闘技術統括 装備:スナイパーライフル 90 16 基本戦闘技術統括 戦術:精密射撃術 10 08 スナイパーライフルLv10 集中視力Lv1 SP1消費 部位の選択が可能。 戦術:遠距離狙撃 10 08 スナイパーライフルLv11 集中視力Lv1 SP1消費 構えの1ターン消費消滅。正確を即座に適用可。 戦術:ゼロ距離射撃 10 08 俊足Lv2 集中力Lv1 基本戦闘技術統括 SP2消費 密着射撃実行、回避不可・防御無視でダメージを与える事が出来るが、自分も同じ状態になる。 ここまでのDP 残り290 ●技能/アクティブ(一般) Dp Lv 内容 言語学 20 15 言語/地球 10 14 言語学Lv10 犯罪学 10 14 鑑定学(鑑識学?) 10 14 犯罪学Lv12 天文学 20 15 惑星学 10 14 天文学Lv15 宇宙学 10 14 惑星学Lv12 軍学 10 14 戦術 10 14 軍学Lv11 情報分析 20 15 敵のデータ割り出し。 戦術情報分析 20 15 戦術Lv10 敵の行動パターン割り出し。 暗号解析 10 14 鑑定学Lv13言語学Lv15 電子工学 10 14 電子機器 10 14 電子工学Lv8 コンピュータ操作 10 14 電子工学Lv10電子機器Lv8 コンピュータプログラミング 20 15 コンピュータ操作Lv10・電子工学Lv12 コンピュータハッキング 10 14 コンピュータ・プログラミングLv15 常駐型コンピュータウイルス 10 14 コンピュータ・プログラミングLv15・犯罪学Lv10 開発/個人兵装(電子) 10 14 電子工学Lv14宇宙学Lv13 水泳 30 15 装備潜水 10 13 水泳Lv15 歌唱 10 13 残りDP 00
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NO.1 ハリセン一閃! レアリティ:C コスト:2 大属性:闇 小属性:地 このカードが使用されたとき、 相手の攻撃を一度だけ無効とする。 自分のAPを-1する。 NO.2 過去の想い レアリティ:C コスト:2 大属性:光 小属性:地 このカードの効果は2ターン継続する。 相手のAPを-1する。 NO.3 発作の痛み レアリティ:UC コスト:4 大属性:闇 小属性:地 自らのHPを5減らして、 APの元の値を一度だけ倍にする。 NO.4 馬鹿ども阿呆ども レアリティ:UC コスト:3 大属性:光 小属性:地 相手からの攻撃を無効にする。 このカードを使用したキャラクターが 地属性のカードだった場合、HPを3回復する。 NO.5 EDGE レアリティ:R コスト:8 大属性:闇 小属性:地 このカードの効果は永続する。 相手から受けたダメージ分、APを追加する。 もしも最終ターンにこのカードが使用された場合、 APを+8する。 NO.6 帰るべき場所 レアリティ:R コスト:5 大属性:光 小属性:地 このカードの効果は3ターン続く。 そのターンに受けたダメージを、効果ターン分だけ軽減し、 軽減した分だけHPを回復する。 もしもこのカードが最終ターンに使われた場合、 全てのダメージを軽減し軽減した分だけ相手にダメージを与える。 NO.7 駄目……だよ? レアリティ:C コスト:1 大属性:闇 小属性:風 このカードが使われたとき、 相手の先攻後攻を交代する。 ターン終了時にこの効果を強制終了し、HPを1回復する。 NO.8 バスケ大好き! レアリティ:C コスト:3 大属性:光 小属性:風 このカードの前のカードが共存カードの場合、 コストに+2する。相手のAPを-1する。 NO.9 姉さんばっかり! レアリティ:UC コスト:6 大属性:闇 小属性:風 このカードがシーンバトルに負けた場合、 強制的に相手のシーンカード効果を打ち消す。 シーンバトルに勝った場合、 次のシーンカードのコストを+3する。 その代わり、共存は適用されない。 NO.10 それでも、貴方が…… レアリティ:UC コスト:3 大属性:光 小属性:風 HPを3回復する。 相手のシーンカードが場に残っている場合、 そのシーンカードが共存していればその効果を打ち消す。 カード一覧に戻る シーンカード 11~20へ
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製造:不明 所属:リズ連邦軍 武装:アームホーン・ヒートカッター・レーザーライフル・アシッドスコール・ジュエルクラック・ダイアモンドカッター・レインボゥフラッシャー・レインボゥスモーカー・ラストシューター 調和:ゲヘナークレヴァス パイロット:アリエール・エラテン リズ連邦により開発されたアームヘッド。 全身に鮮やかな宝石のような発光器がちりばめられており、対し灰色の体と黒い翼を持つ奇怪な姿をしている。 性能は特殊であり、威嚇・撹乱向きの武装を多数持ちながら、純粋な戦闘用として利用できるだけの基本性能を持ちあわせている。 最も特徴的な武装が、全身の発光器・レインボゥフラッシャーである。 これは強力なエレクトロニック・フラッシュを高速で点滅させ、相手のカメラの認識を狂わせ撹乱したりモニターを見えなくしたりする妨害が出来る。 また敵パイロットに光過敏性発作を起こさせるための直接攻撃にもなる。 その際、トメラメル内のモニターからは、特殊明視カメラに切り替えてある為に外部は通常通りに見える。 ヒートカッターはその名の通り、高熱で敵機を切断する接近武器である。 コトレインのレアメタルプレートを流用して作られているため、熱耐性が高く、カッター自体が溶けることはまず無い。ただし、敵の装甲の熱耐性が高いと全く使い道が無いという弱点もある。 巨大な傘のような兵器・アシッドスコールは、高速回転する傘から強酸の雨を降らせる凶悪な武器である。 敵はおろか、味方や自分自身を溶かしてしまう可能性を孕んでいる。 また、ジュエルクラックは自身の発光器を射出し攻撃する隠し武器である。 発光器内にも強酸が仕込まれており、敵にぶつけて飛び散らせ広範囲を溶かす事が可能。 拳に隠されたダイアモンドカッター、黒い翼から七色の煙幕を放出するレインボゥスモーカー、胸の発光器からレーザーを発射するラストシューターなど、敵の意表を突くための兵装が多い。 手先はマニピュレータではなく、洗濯バサミのような形状になっている。これはイーフェメロに真似されている。 アームコアにはリムーの守護者の一体、ベドニーゼが使われている。 アリエール曰く、極彩のボディは様々な色を持つ世界そのものを表し、漆黒の翼は堕天使を表す。つまりトメラメルは『堕ちた世界』を表し、それを駆る者は世界を動かし導かせる者である。・・・との事。
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■人為アクシデント プロセス消化中に発生する人為アクシデントには、運転アクシデントと徒歩アクシデントがあります。 運転アクシデントはドライブ・ダイスで、徒歩アクシデントはクエスト・ダイスで使用します。 ■運転アクシデント 出目 アクシデント名 概要 事前準備 対処方法 失敗率 ペナルティ 1 メシマズ! 多くが地下出身のスカベンチャーは、大抵の場合バカ舌で、どうしようもない味覚の持ち主だ。そんなお前らをしてもなお、支給品のレーションは我慢ならないほど不味かった!誰かこのゴミ食材を食えるものに仕上げてくれ!さもないと、引き返してしまいそうだ。 誰かが[調理]で美味しい料理を作るか、[応援]して頑張って食べてもらう。 5 障害:『メシマズ哀歌』を得る。 2 眠れない夜は君のせい 寝不足!昨晩ちょっと忙しかったせいか、メンバーは全員ちょっとした寝不足だ。小休止して仮眠を取らないと、とてもおちおち前には進めない。でも全員寝るのはまずいよな。体力自慢を一人見繕って、そいつに見張りをしてもらわないと。 [監視]か[威嚇]か[忍耐]で、夜通し見張りを続ける。 8 障害:『一同寝不足』を得る。 3 トイレが詰まった! ある意味最悪の事態だ。トイレが、トイレが詰まりやがった。このままだとアレとかアレとかの臭いがビークルの中に充満しだしやがる。一刻も早く対処して、快適なビークル生活を取り戻してくれ! [修理]するか[清掃]するか新しいトイレを[製作]して対処する。 11 障害:『悪臭充満』を得る。 4 食中毒!? どうやら、レーションが傷んでいたらしい。味も駄目で安全性も駄目とかお前の存在意義は一体どこにあるんだ……とか言っても仕方ない。腹を壊した仲間がいるのは揺るぎない事実。早くなんとかしてあげよう。 ランダムにPCを一人選ぶ。そのキャラクターは、腹痛を起こしたキャラクターである。 [調理]で質の良いものを与えるか、[治療]で腹痛を治療するか、[応援]する。本人が上手に[休養]してもよい。 14 窮地:ランダムなキャラクターが『腹痛死』する。 5 ホームシック これから向かうのは、お前たちが普段生活しているゲットーからは遠い場所。見慣れない世界はワクワクとドキドキをプレゼントしてくれるが、人によっては慣れない世界に拒否反応を発することもある。そういうときキッチリ宥められるかどうかが、これからの旅の行方を左右するだろう。 ランダムにPCを一人選ぶ。そのキャラクターは、ホームシックを起こしたキャラクターである。 周りが[応援]したり[交流]したりして元気づける。もしくは本人が[忍耐]したり[休養]したりしてなんとかする。 17 障害:ホームシックを起こしたキャラクターは『無気力』を得る。 6 乗り上げた! 廃棄異郷(ハイキョ)に限らず、どこでも起こりうるアクシデント。突然目の前に現れた出っ張りに、思いっきり車が乗り上げてしまった。こうなると対処方法はひとつだけ。皆で力を合わせて車を持ち上げるか、乗り上げたものをぶっ壊すしかない。あ、運転手はハンドルを握っててくれよ。 直前にドライブダイスの判定を行っていたPCは参加できない。 障害物を[破壊]するか車を[運搬]して対処する。 20 障害:『ビークル故障』を1枚得る。 7 環境の変化 人は大抵、環境が急に変わると体調を崩すもんだ。廃棄異郷(ハイキョ)よりよっぽどなクソ環境で暮らしてるスカベンチャーであっても、そうなる奴は必ず出る。こういうのは気持ちから来るものもあって、どうしようもない部分もあるけれど……だからって、放置してもおけないよな。 ランダムにPCを一人選ぶ。そのキャラクターは、体調を崩したキャラクターである。 体調不良を[治療]するか、[清掃]して生活環境を整えるか、周りが[応援]する。 23 障害:体調を崩したキャラクターは『負傷』を2枚得る。 8 知識欲暴走する それは、散策のためにちょっと外に出たときのこと。仲間の一人が、何かを見つけた途端豹変した。『これは宝の山だ!もっとじっくり観察していかないと!』どうやら廃棄異郷の遺物に知的好奇心をくすぐられたらしい……が、今やらなくちゃならないことはそれじゃないからね? 判定前にランダムにPCを一人選ぶ。そのキャラクターは観察に執着しているキャラクターであり、対処を行うことができない。 [統率]や[交渉]、[威嚇]、[誘惑]によって説得する。または[捕獲]や[運搬]によって無理矢理連れ帰る。 26 窮地:最初に選ばれたキャラクターが『失踪死』する。 9 フラッシュバック 廃棄異郷(ハイキョ)の何かに反応して、とある仲間の脳裏に過去の陰惨な光景がフラッシュバックする。重たい重たいトラウマを思い出してしまったらしい。こういうとき、しっかり支えてやれるかどうかが、良い仲間かどうかを証明するよな。 判定前にランダムにPCを一人選ぶ。そのキャラクターはフラッシュバックを起こしたキャラクターであり、対処を行うことができない。 [応援][交流]によって弱った心を支える。 29 障害:『PTSD』を得る。 10 腐ってやがる 食料庫から漂ってくる謎の異臭……うわっ、臭え!どうやら食材の中に腐ったものが混じっていたようだ。今すぐより分けて安全なものを確保しなければならない。だがちゃんと見分けられるか?臭いはともかく、レーションは最初っから腐ったような見た目しかしてないぞ。 [調理]や[治療]による知識によってより分けるか、[山勘]で分類するか、[監視]して状態を確認する。 32 窮地:ランダムなキャラクター一人が腐ったものを食べて『腹痛死』する。 11 鍵が壊れた! あれ?おかしいな、扉が開かな…あれれ?ビークルのドアが壊れて、ドアが一切開かなくなってしまった。無理やり壊して開けるか、鍵を修理するか……このまま車に閉じ込められて終わるのは嫌だぞ! 鍵を[修理]するか、[破壊]で無理矢理こじ開ける。 35 障害:『閉じ込め』を得る。 12 睡魔に突然殴られて さっきから、車の様子がおかしいぞ。どうしたんだろうと運転席を見に行けば、いっそすがすがしいほど爆睡するドライバーの姿。おいおいおいおいそこ代われ! と言うが早いかそれとも遅いか、車は風に煽られて横転を――――…… 直前にドライバーだった者は、判定に参加できない。 [運転]でハンドルを奪い取って体勢を立て直す。 38 窮地:全員『衝突死』する。 13 断水トラジェディー 飲料水のタンクに穴が空いていたらしく、飲み水がなくなってしまった!仕方がないので廃棄異郷(ハイキョ)の水をくみ上げて濾過するしかないが……設備はある?あと、安全性はちゃんと確保できる? [拾得]で水を見つけ出すか、[製作]で地下水をくみ上げるかした上で、[鑑定]で安全性を確認する。 41 窮地:全員『脱水死』する。 14 疑心暗鬼 お前たちはこのミッションのために急遽集められた急造チーム。命を賭ける任務にあたっては仲間同士の信頼関係は重要だが、すぐに構築できるってもんじゃない。そうこう言ってる内に仲間の一人の気がちょっと立ってきたらしい。さっさと取りなして次行くぞ。 [統率]か[交渉]によって、仲を取り持つ。 44 障害:『不和』を得る。 15 なにもしてないのに壊れた おかしい。ビークルが何故か動かなくなった。さっきまで元気にしていたのに。今はもう動かない。原因不明、犯人不明。犯人捜しは不毛だが、原因は即座に見つけて潰さないとな。そうしないとこのままずっと、壊れた車の中に居続けることになっちまうぜ。 [学問]か[洞察]して原因を特定した上で、[修理]する。 47 障害:『ビークル故障』を5枚得る。 16 ガス欠! プスンプスン。思わぬところで止まるビークル。何事かと思ったら、予想より燃料の消費が多かったらしく、道半ばでタンクが空っぽになってしまった。鉄屑平原にはオイルだまりの池が点在しているが、質の良いものを見分けるのには腕が必要だ。もし見分けられないと…… [鑑定]か[学問]によって、得るべきオイルを見定める。 50 窮地:全員『爆死』する。 17 ガソリンタンクが蜂の巣だ。 ガス欠で止まってしまった車。今回は、単に使い潰したのより更に一段まずいことになっていた。ガソリンタンクに穴が開いていたのである。こうなってくると、塞ぐ手段も一緒に考えないといけないわけで……修理人には高い技術力が求められることになりそうだ。 [修理]するかよりよいタンクを[製作]する。 53 障害:『ガス欠』を得る。 18 正面衝突! 突然倒壊した建物が目の前に立ちふさがる。このままでは正面衝突して車両は大破、哀れスカベンチャーたちはここで立ち往生の憂き目となるだろう。逃れる手段は二つ。ブレーキを全力で踏むか、目の前の壁をたたき壊すかだ! 二人以上で[破壊]するか、ドライバーが[軽業]でブレーキを踏む。 56 窮地:全員『衝突死』する。 19 拒否反応 ふとしたとき、突然倒れて苦しみ始める仲間。この兆候は、出発前に教わっていたものと同じだ。メタモライザを注射された人間が稀に起こす発作のようなものらしい。なんとか落ち着かせないと、最悪の場合死に至るとかなんとか。 判定前にランダムにPCを一人選ぶ。そのキャラクターは発作を起こしたキャラクターであり、対処を行うことができない。 [治療]か[応援]によって回復を促す。または本人の[忍耐]によってなんとかする。 59 窮地:発作を起こしたキャラクターは『暴走死』する。 20 サプライズニンジャ襲来!? ビークルに突然飛びついてきた黒装束の謎の男!男はビークル内に侵入してくると、突然お前たちに襲いかかってきた!何がなんだか分からないが、どうやらお前たちは殺されようとしているらしい。訳が分からないが、何はなくとも撃退だ! [回避]の判定には、全員が参加させられる。 殺されないように[回避]した上で、[殺害]に成功する。 62 窮地:[回避]判定に失敗したキャラクターは、『切断死』する。
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果たして、メスがオスを、オスがメスを好きになるのは何が原因なのだろうか? もしかすると、種の保存というひとつの目的が、細胞レベルで人間の脳味噌に組み込まれているからではないのだろうか? 愛だの恋だの言うけれども、実際は、本能というものにゆり動かされて発生する感情ではないのだろうか? 自室のベッドで寝転がりながら、剣崎 棗はそう考える。 学校で授業を終えた棗は、特に用もないので寄り道もせずに家に戻っていた。 我ながら灰色の放課後タイムだと思う。 薬はとうに摂取し、うまくいけばこのまま次の日の朝まで持ちこたえられるだろう。 定期的な摂取はおっくうではあるが、仕方がない。 本当に、面倒な体だと思う。 学校では暴れたりしているけれども、その実、この体は弱い。 発作が起きれば、すぐにばたりと倒れてしまう。 病弱であることは、棗にとってひとつのコンプレックスであった。 普通とは違う、という要素は、周りの人間に対してどうしようもない溝を発生させるからである。 もしも、体育の時に倒れてしまったら。 もしも、国語の朗読時間最中に倒れてしまったら。 そんな不安を、棗は毎日味わってきた。 追い詰められるようなあの感覚は、慣れようと思っても慣れることはない。 だから外面だけの、殻の自分を強くしようとして、『普段は冷静』という名の仮面をつけた。 それと同時に、『漱石のネタでからかわれると暴れる女』という仮面も。 そうでもなければ、不安に押しつぶされて、誰かに助けを求めそうだったから。 他力本願は、嫌いだったから。 同情されているのは慣れていたが、助けを求めるのはいつまで経っても慣れなかった。 こちらが助けを求めているからといって、相手がこちらを助ける義理などは微塵もないのだ。 いつも人が自分を助けてくれるとは限らない。 「だから、ひとりがいいのに。なのに……」 佐藤 有真。 あの馬鹿と阿呆ばかりで構成されたクラス内で、静観ばかりしていつも笑っている男。 「いつからだろう、惚れたの」 思い出したくもないし、その原因も探りたくはない。 種の繁栄本能のせいで惚れた……などとは思いたくないのだが。 とにもかくにも、棗は有真というオス個体に対し、並々ならぬ感情を抱いてしまった。 恋愛というのか、友愛を越えた感情というのか。 そこの辺りの線引きは、棗にとっても曖昧で、よくは分からない。 ただ、軽い気持ちではない、ということだけは、棗自身も分かっていた。 「……んっ。やっぱ淫乱気味なのかな、私」 彼のことを思いつつ、股間に手を当てる。 下着の奥にある生殖器を撫でれば、そこにはぬめぬめとした液体が付着していた。 棗の指に付着したその透明な液体は、てらてらと妖しい輝きを放ち。 蛍光灯に照らされれば、ことに淫靡なさまとなりて、棗の指の上を走り抜ける。 どろり、と指先に付着したそれは流れ落ち、彼女の指から手を流れ、手首を通過。 やがてぱたぱたと音を立てて、シーツに落ちた。 白いシーツに染みが出来る。 さながら、そこだけ雨が降ったかのように。 棗は思う。 これが、有真の指だったのならば、どれほどの快楽がこの身に降りかかるのだろうか、と。 正直な話、有真とそういった関係になっても、いや、なりたいと棗は思っているが。 それは駄目だと理性が主張する。 何故ならば、棗は、『病弱』だからだ。 棗は、自分のことを欠陥品であると考えている。 他の病人たちには失礼な考えかもしれないが。 病気持ちの棗は、ただただ自分のことを欠陥品のガラクタだと考えている。 正直な話、棗のかかっている病気は、いつどこで体をむしばむのか分からない。 全くの未知であるがゆえに、何がおこってもおかしくはない。 とんでもない話だが、有真へと向けて放った冗談のような事態が、本当に起こってしまうとも限らない。 いつ果てるか分からない、こんな人間を好いてくれる者などいようか? 仮にいたとしても、こちらから歩み寄れるか? 答えは否だ。棗は、人に歩み寄れるほどに強くない。 それほど彼女のコンプレックスは重いものだった。 また、恋愛に対してどこか冷めた目を向けてしまうからこそ、そういった感情に頓着しない、という理由もある。 一応、棗は、愛だの恋だのといったことに対して興味はある。 だが、自分はそれによって生じる渦に巻き込まれたくはない、という気持ちの方が強い。 自分の劣等感で相手に迷惑はかけたくなかったし、こんな欠陥品を相手にするよりかは、正規品を相手にした方が幸運であろう、と。 いささかゆがんだ主張ではあるが、棗はその考えを曲げずにいた。 だから有真と友人のままでいる。 有真と完全に決別することが出来ないのは、彼女の弱さが顕著に表れている証左であろう。 昼食を一緒に摂取する時のような、流れるように優しいひとときを大切にしたい。 そんなささやかな思いが鎖となり、有真を遠ざけられない。 病持ちの彼女は、孤独になれなかった。ひとりになるには、弱すぎた。 「駄目……」 湿った股間を撫でるたび、彼女は罪悪感のため、身を焦がされるような痛みを覚える。 それはあの発作の苦しみにも似て――。 「なんか、やつれてきてない?」 翌日。有真と共に中庭で昼食を摂取する棗であったが、いきなり彼にそう言われて、内心慌てふためく。 されど、見せる表情は鉄のそれ。 いつものように平然としたままに、髪をかき上げてひとつ溜息。 「気のせいよ。ちょっと寝不足なだけだから、気にしないで」 「でも……」 「いいからっ! なんでもないから気にしないで!」 思わず叫んでしまい、まずいことをしたと棗は気付くも、時すでに遅し。 よもや、「あなたのことを考えて自慰をして自己嫌悪して具合悪くなりました」などと言えるはずもなく、結局爆発。 棗が有真の方を見やれば、彼は驚いたような表情をしつつも悲しげに目を伏せている。 罪悪感が、つのる。 雑念を振り払うように首を振ってから、棗は有真の目を見た。 「ごめんなさい。今日は……生理だから、気が立っていて」 「ちょ、ま、待った! そういうことあけっぴろげに言うもんじゃないでしょうが!」 「ん、でも……。まあ、怒鳴ったの悪いと思っているから。その……本当にごめんなさい」 吐き気がした。 媚びたような台詞を吐く自分に。 悪いと思いつつも、有真の「そんなことない」を期待している汚い自分の心に。 あわよくば彼に近付こうとしている自分の弱さに。 短気であることをごまかしつつ、しおらしい態度を見せている自分に。 もしも自分自身というものが棗の眼前に出ていたのならば。 彼女はすぐさま、それにつばも痰も吐瀉物をも吐きかけてやりたい所存だった。 やっぱり自分は欠陥品なのだな、と棗は思った。 昼食摂取は再開されたが、いったん気まずくなった空気は元に戻ることすら困難だった。 棗も有真も、目に見えて食べる速度は上がり、会話の回数は激減。 ふたりの間を漂う雰囲気は、いつしか冷たいものへと変化していた。 途中、ちょっとしためまいのようなものを感じたので、食事を中断して棗は薬の準備をする。 発作を抑える薬は昔から飲んできたが、どうにも最近のそれは強力であるような気がしてならない。 ちょっと放置しただけでも頭が痛くなるのである。 原因不明の病、というのも難儀なものだ。 医者やらの専門職の人たちの研究を、ただただ待たなければいけないのだから。 私はドーピング野郎かよ、と内心自嘲しながら、錠剤をかぱかぱと飲む棗。 色々な意味でしまらなかった。 「発作?」 会話の糸口をつかみたいのだろう、分かりきったことを有真はたずねてくる。 正直、棗もその糸口が欲しかったので、とりあえずは話に乗ることとした。 「ん、そう。不便よね、これは。いつも薬を持ち歩かなきゃいけないし、水も常に用意してなきゃいけないし」 「医学研究、進展は?」 「あったら毎日こんな渋面していると思う?」 「そりゃそうだね」 右手の指を器用に使い、プラスティック製の箸をかちかちと鳴らす棗。 やはりと言うべきか、まだ空気が気まずい。 普段ならば、もっと相手をからかったり、今日に起きた失敗談を聞いたり。 もう少し深い場所まで会話をもぐりこませることが出来るのだが。 好きじゃない、こういう空気は全くもって棗は好きではない。 もっと変なことを、馬鹿なことを、色々と言い交わして笑って、そんな空気が好きだったのに。 今日は、それが、ない。 あまりに寂しく、あまりに落ち着かない。 もっと笑っていたいのに、もっと馬鹿なことばかり言って楽しみたいのに。 凍った空気が許してくれない。 それに気付くと同時、棗の口は勝手に動いていた。 「アッー! 気まずいっつーの! なに、これは!? この『俺、あの木の葉が全部散ったら、この命もあの葉のように散ってしまうんだ……』みたいな空気は!? もっと楽しくいきましょうよ! やっぱり空気戻すにはエロネタよね!? この前ちょっと茂みに入ったら太ったカップルがアオカ」 「やめろやめろ! 暴走するなってば! ごめん! ごめんってばごめんなさい! いつもの大人しい棗に戻れ!」 「結合部からしたたり落ちる粘性の高い液体が飛び散って。 膣から噴き出した白濁液は、太陽に向かって伸びたタンポポに、ドモホルンリンクルよろしく一滴一滴垂れ落ちて……!」 「いい加減にしろ、このドアホォォォッ!」 棗、後頭部を有真に殴られて卒倒。 彼女はたまに空気が読めないのである、合掌。 やっちまった、と有真は頭を抱えた。 虫がそこここにいる中庭、そこに倒れるのは、美をつけてもなんら差し支えない少女、棗の姿。 やたらめったらエロネタを連発し、垂れ流し、だだ漏れにするものだから。 思わず突っ込みを入れてしまった結果がこれ。 相手が女だろうと男だろうと、殴るのならば殴れる有真ではあるが、これはさすがにまずいと思った。 なにせ、相手は病気もちであるのだし、その上、親しい友人となれば。 その罪悪感は通常の比ではなく、きりきりと有真の胃をしめつける。 仕方ない、と有真は溜息を吐いて、棗の体をおぶさった。保健室に運ぶためである。 正直、同年代の少女を背負うのに抵抗がないわけでもなかったが、相手はあの棗である。 胸を触られても「ああ、事故ね。仕方ないわね」で済ませる少女だ。 が、そういう、論理で割り切れる要素とは裏腹に。 有真の心臓は早鐘のように鳴り響き、冷たい汗は出る始末。 背中に感じる絶妙な柔らかさ、女性特有の甘やかなる香り。 さらさらとした髪がうなじを撫ぜるその感触。 シャンプーの匂い、どこか艶かしい吐息、歩くたびに漏れ出る鼻声。 制服と制服が擦れ合う音、視界に映る雪のように白い肌と細い指。 全ての要素が、圧倒的な威力の艶となりて、有真の脳味噌に常時衝撃を与え続けてくる。 幸い、中休みの終わりまで、かなりの時間的余裕がある。 それぞれの生徒が教室にこもっているので、あまりおんぶの場面は目撃されずに済んだ。 中庭のようなその場所は一階にあり、保健室と近い点、あまり他の生徒と関わらない点が、いくらか有真の心を軽くした。 とはいえども。 「……ん、んんぅ……ゃ……」 背中から感じる少女の吐息は、有真の想像以上に艶やかで、あまりにも色っぽい。 赤面を抑えきれず、早足で歩きたいが、棗のことを考えるとそうも行かず。 結果として、ひとりどぎまぎしながら保健室に行くことしか出来なかった有真であった。 「俺は、猿か?」 ムンクの叫びで出てきた人物よろしくの顔になりながらも、有真は校舎一階の保健室に潜入することに成功。 白い床、白いベッド、白いカーテン。 白ばかりが目立つそこは、薬品臭さはあったけれども、不思議とその匂いは有真の心を落ち着かせた。 保健室内に、人の気配は感じられない。 とりあえず、有真は棗の体を、部屋の奥に設置されてあったベッドの上へと寝かせた。 「……ん」 吐息ひとつ、棗はむにむにと鼻声を出しながら、ゆっくりと小さな呼吸をくり返す。 とりあえずは大事に至ってないようだった。 彼女の寝顔を一瞥、安堵の思いに包まれた有真は、近くにあった椅子を引き寄せて座る。 養護教諭はいないようだ。 恐らく、職員室でコーヒーでも飲んでいるのだろう。もしくは教師たちと麻雀でもしているか。 今考えると、とんでもない高校に入ったな、と有真は思う。 それでも毎日を楽しく過ごせているのは、そのあまりの突飛ぶりが気にいったからだろう。 友人も出来たし、趣味も出来た。毎日食事を一緒にしてくれる人も出来た。 幸せではあったのだろう。ただ、何かが欠けているような気はしていた。 まるで、最後のピースをなくした、未完成のパズルにでもなった気分。 ベッドに寝転がる棗の姿を見やる。 彼女はいつの間にやら口元に笑みを浮かべて、シーツを軽く握って眠りに入っていた。 時折、わけの分からない寝言が聞こえてくるが、本人はいたって幸せそうだ。 すうすうと寝息を立てるその姿は、人形はだしの容姿とも相まって、なんとも愛らしく、可憐である。 特に、その黒髪は白いシーツの上にさざなみのごとく広がるさまは、美麗と称するのにはあまりにも無粋と思われるほど。 「まあ、こんな時を過ごすのもいいかも」 そう、たまには授業をさぼるのだって許されるのかもしれない。 社会的には駄目駄目な行為ではあるが。 くうくうと眠る棗の姿を見たまま、有真は苦笑し、保健室の窓を開けた。 涼やかなる微風が、有真の頬を撫でる。その心地良さに、彼は目を細めて。 この瞬間感じた、小さな小さな心の揺れ動きを、彼は自覚出来ずにいた。
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青コリ最強伝説 水替えで取り出した水草にくっついたまま放置しても余裕で生きてる。 他のコリが落ちる水温でも、温泉気分で余裕。 氷点下でも平気。砕氷船のごとく割り進む。 ナマズだけに地震に敏感。 いたずらしようとした猫のヒゲをむしりとり、自分に移植して他のコリに自慢する。 南米で捕獲されたのは実はわざとで、日本のアカムシというものを食べたかっただけ。 核の直撃を受けても持ち前の丈夫さで耐える。 3匹買って5匹生き残るのは当たり前、3匹買って8匹生き残る事も 青コリにとっての繁殖は分身のしそこない 水槽すべてアロワナ、底面も全てポリプテルスの状況から繁殖 一回のモフモフでヒゲが三倍に見える プレコとTポジションが特技 水槽に入れただけでコルレアが泣いて謝った、心臓発作を起こすヤマトヌマエビも 買われても納得いかなければ自力でペットショップに帰ってきてた あまりに死なないから溶岩の中で飼育 その溶岩でも繁殖 フードタイマーを一睨みしただけでコリタブが落ちてくる オスだけでも繁殖 フィルターを使わずに体内で濾過してたことも メガロドンの化石の胃袋から生きてる青コリが発見され学会が紛糾 2009年世界10大事件の一つ「青コリ水質悪化で死亡」 飼い主が寿命で死んでから青コリが死ぬ方が長かった 青コリを食べようとしたピラニアと、それを食べようとしたガー、肺魚、ピラルクともども水槽から吹っ飛ばした 赤コリ派のヤジに流暢な日本語で反論しながらTポジション 青コリが死ぬたびに総理大臣が専用ヘリで供養に来る グッとガッツポーズしただけでハイブリッドが5匹くらい生まれた フィルターが壊れると自分でフィルター内部まで泳いで直していた モフモフでハリケーンが起きたことは有名 客の車に飛び乗って家の水槽まで行くというファンサービス モーゼが海を割ったのではなく、青コリが泳いで海を割った 青コリは、いつも店先のディスカスを物欲しそうに眺める少年に冷凍アカムシを買ってあげたことがある ハンデとして水槽に水を入れない飼育法も導入されたが全然ハンデにならなかった 同居するクーリーローチに対して堂々のTポジション 死んだ飼い主を食べてしまったことも有名 その後も引き取られた青コリは死んだ飼い主を食べてしまった END
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プルスティア合同騎象警察 iprstìa asizi ýžaxem アシジに騎乗する警官 標語:******** 略称 IAÝ(イアーイー) 設立 前身機関 職員数 1名(3,000万疑似個体) 年間予算 管轄 国家機関 活動管轄 人口 運営主体 一般的性格 運営 運営者 本部 合同騎象警察(プルスティア語:iprstìa asizi ýžaxem、イプルスティア・アシジ・イージャクセム)とは、シルア象(アシジ)に騎乗する警察・法執行機関。 目次 概要 装備 過去に参加した主な戦争・作戦・事件 概要 振り向く騎象警官 基本的にプルスティアは集合意識であるため、警察組織は必要とされてこなかった。しかし、変異体による都市国家の成立に基づき、警察組織を形成した。また、調停者たちが関係する平和維持、防衛対応など実質的にプルスティア軍と言うべき実力を持っているが、その兵器は非殺傷性の高いものが多く、大宇宙諸国が持つ軍事実力と比べると執行性が高く、影響が低いものが多い。 警官は疑似個体であり、苛烈な戦闘になったとしてもプルスティア自身はさして気にせずに投入される。 装備 シルア象(プルスティア語:asizi)……暴徒鎮圧などに出動する。全シルア労働者連盟から輸入しており、各個体にプルスティア語での愛称が付与されている。 イーナ(プルスティア語:ýna)……微細なナノマシンの集合体であり、機械や兵器の内部に入り込み、コントロールを奪う。敵兵器や機械の動作停止に用いられ、任務が完了すると自壊するため、鹵獲や再利用は不可能になっている。 タバリージェ(プルスティア語:tabalýže)……電気警棒、持ち手部分から先の鉄製部分に70万ボルトの電流が流れており、厚手のコートなどの上からでも相手を感電させ、気絶させる。持病を持つ者に使用した場合、心臓発作などにより死亡することもあるため、使用は限られる。 過去に参加した主な戦争・作戦・事件 ルリスティア内戦第一次ルリスティア内戦……暴動鎮圧 第二次ルリスティア内戦……内戦対応、治安維持 第三次ルリスティア内戦……治安維持、四者会談の警備 第四次ルリスティア内戦……個人勢ファンの保護、警備 第五次ルリスティア内戦……アンドロイドの保護 第六次ルリスティア内戦……RAVTの武装解除、個人勢ファンの保護 ガルスティア内戦……疑似個体に対する無限戦争への対応・鎮圧