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81 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 20 17.15 ID 9iHyps2F0 説明をロクにしない 十数年前、学生サークルの新入生時代にされたことがあるな。 システム名は忘れたが、独特なルールにWOL(日本語訳は「幸運の風」とかだった)ってのがあるゲーム。 些細な幸運に助けられる、と云うヒーローポイント的なものなのだが 頼り過ぎると後でしっぺ返しを受ける(規定回数を超えると不運に見舞われる?)との説明があった。 どの位使うとどの程度のペナルティがあるのか説明を求めたのだが、 経験者の先輩方は「知らない方が楽しめるから」と称して一切の説明を拒否。 ルールを所持しているのはGMのみだったのだが、ルールブックを借りて読む事すら禁じられた。 石橋を叩いて渡る性格の私は 「PCを続けるのが不可能なレベルの障害を負ったり、 シナリオ続行が不可能になるレベルの事故に見舞われてはたまらん」 とWOLを一切使わず。 楽しげにWOLを使いまくる先輩を冷めた目で見ていた (この先輩は『自分が楽しければミッションの成否なんか二の次』と云うルーニー気質なので、 「気軽に使っているからにはペナルティは軽いに違いない」と推測するのは危険だと判断した)。 このセッションをまるで楽しめなかったのは言うまでもない。 82 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 22 01.20 ID SlOLfq7b0 81 さすがにそれは邪推が過ぎるだろ。クロちゃんにもなかったっけ? ヒーローポイント温存してどつぼにはまる輩が多いってネタ 83 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 22 53.56 ID yyFsxdMn0 些細な事だけにこだわる奴は、間違い無く幸せを逃しとるなw それなら無いものとして楽しめばいいのに、何故先輩を冷めた目で見たり、 使った先の不幸を気にしたり、そんな意味のないことをしたしw 84 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 33 10.66 ID wkYmdeJ40 お前らちゃんと報告読んでる? どの位使うとどの程度のペナルティがあるのか説明を求めたのだが、 経験者の先輩方は「知らない方が楽しめるから」と称して一切の説明を拒否。 ルールを所持しているのはGMのみだったのだが、ルールブックを借りて読む事すら禁じられた。 85 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 37 16.62 ID SlOLfq7b0 84 それ、GMは知らなくても使用に差し支えないと明言してるようにしか見えんけど しかも規定回数を超えるとって言ってるのに一切使ってないんだぜどう フォローしたらいいんだ?愚痴スレでならゲームが合わなかったんだよで 済むけど、このレベルで先輩かGMいずれかあるいは双方を困あつかい されるんじゃする報告者の方がひどく感じる 86 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 38 06.30 ID V/wtMrDw0 まぁ微妙なラインだ 警戒し過ぎとも思うがあまり先輩を信用できなかったようでもあるし 87 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 41 02.87 ID 2ECIZICu0 経験者の先輩方は「知らない方が楽しめるから」と称して一切の説明を拒否。 こういうこと言い出す人を信用しろとかちょっと無理がないですかね。 あ、規定回数はいくつかって説明はあった? 88 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 43 49.66 ID yyFsxdMn0 84 その説明から「使わない」を選択したんだろう? ならそのスタンスで普通に楽しめばいいのに 「(ククク、先輩には一度も残されていないかもしれないチャンス。 だが私にはまず絶対に確実に使用できそうな幸運が確実に残されている ・・・これはとてつもないアドバンテージ!世界を取れるでぇ!!)」 ぐらい声に出して楽しんでもいいレベル 89 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 46 13.57 ID SlOLfq7b0 88 ゲームデザイン的に幸運の風は使うことが推奨されてるんだよ… 使えば使うほど幸運の風自体の成功度も上がるデザインなんで その考えだといざ使おうとしたときに判定が成功する可能性は低いの 90 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 46 32.84 ID q0vaQMLJ0 ついでにここも重要だな (この先輩は『自分が楽しければミッションの成否なんか二の次』と云うルーニー気質なので、 「気軽に使っているからにはペナルティは軽いに違いない」と推測するのは危険だと判断した)。 そして幸運の風といえばギアアンティークだが、あれってここまで隠すほどのスパイスだったっけなあ…? 91 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 49 36.78 ID 2ECIZICu0 なるほど、システム知識前提で語れる人にとっては報告者困に見えると 92 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 49 56.35 ID yyFsxdMn0 89 違う違う 気にし過ぎて楽しめなかったので、 もうちょっと気楽にしてれば良かったのに、ってだけだw 93 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 50 18.72 ID E7e6285G0 ルールブックを読むことすら禁止というのは嫌がらせにしか見えんが。 というかこれ、ギア・アンティークだと思うがその先輩方が余計なこと (疑問に思わせておきながら恣意的にPLレベルでの情報収集の禁止)をした、てだけの話だろう。 94 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 51 35.47 ID iahQk46X0 報告者自身よく分かってないみたいなんで明言はしづらいんだけど やったことのないシステムにくっついてる独特のルールについて(シナリオギミック的な要素を含むなら別として)説明を求めるのってそんなにおかしなことでもないと思うけどなぁ 95 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 53 10.31 ID mKCr4pX+0 ダブルクロスでたとえるなら「浸食率を上げてしまったらジャーム化するよ」のジャーム化のラインを教えてないようなものじゃないの? 96 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 54 09.16 ID hcQMbZ4x0 上のOBといい、傍から見ると嫌がらせにしか見えない親切をぶつけてくる人は意外と多いみたいね 97 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 54 49.34 ID SlOLfq7b0 94 しっぺ返しで被るペナルティがギャグ的なものでランダムに決まるから初見の相手に かくして見たいってのは分からないでもない 98 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 19 57 16.52 ID 29Ui/QdO0 95 その例えなら、「浸食率上げ過ぎると悪いことが起きるよ」とだけ言われて、 「どこまでなら上げてOKなのか(バックトラックも含めて)」とか「"悪いこと"とは何なのか」とかを教えてない感じだな 99 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 00 37.72 ID mKCr4pX+0 98 俺も書き込んでからそっちの方が表現的に正しいと思った。 まあプレイヤーの気質しだいだろうけと普通に考えちゃ楽しめないだろうな。 本人が教えてもらわなくてもいいや、ならともかく 教えてといって隠されたら余計に。 100 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 01 32.06 ID q0vaQMLJ0 95 いや、ジャームと違って取り返しがつかないわけじゃないんだよな 例えるならロイスの1つが強制的に「向こうがこちらに熱を上げているブス」に強制的に書き換わる感じだ 101 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 02 49.93 ID E7e6285G0 「知らない方が楽しめる」という姿勢はPL同士の相互理解とルール把握が重要な卓ゲーだと いらん摩擦を生むだけだなあ。 97 システム初見の後輩がそれをされてどう考えるか、という部分に思い至らないのであれば困の思考回路だな。 フォローできるような話術があったりおふざけを許容してくれるだけの信頼関係があるのでなければ やってることは先輩後輩間の力関係を使って「笑いものにする」ことが目的の下種な行為。 102 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 03 54.79 ID 29Ui/QdO0 100 最初から「ペナルティがその程度」と言う情報があったならともかく、 何も教えてもらえないんじゃ「最悪キャラロストとかするんじゃね?」くらい考える人はいると思うの 103 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 04 41.82 ID mKCr4pX+0 100 それは結果論と、ゲームを理解しているから言えることだろ? 報告者はゲームをよく知らず、そのペナルティがどのレベルかわからない状態だったんだから。 それこそ取り返しがつかないのかつくのかどうかさえ判断できないんだし。 104 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 08 59.42 ID eXIIaN9K0 ハメる気満々だよな。その先輩 105 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 09 06.36 ID SlOLfq7b0 101 初見のゲームに誘われてGMが開示する情報信じられずに遊びを楽しめないなら そのGMと信頼関係構築できてないってのは同意だね GMが必要な情報出してるのに深読みしてゲーム楽しめなかったのまで GMを困扱いされるなんてどんだけお客様なんだ? 106 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 11 19.31 ID SlOLfq7b0 104 そういうゲームじゃない。システム的にもPCは基本一般人だから失敗を 幸運の風でフォローしていくのが始めればすぐわかるゲーム。しかも 積極的に使ってる面子がいてしっぺ返し受けてないならその水準までは 安全に使えると普通の頭があれば判断できるだろ 107 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 12 23.54 ID mKCr4pX+0 105 >どの位使うとどの程度のペナルティがあるのか説明を求めたのだが、 >経験者の先輩方は「知らない方が楽しめるから」と称して一切の説明を拒否。 >ルールを所持しているのはGMのみだったのだが、ルールブックを借りて読む事すら禁じられた これを見る限り、報告者が知りたかった情報は出されてないと思うけど? 108 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 14 17.80 ID SlOLfq7b0 107 「知らない方が楽しめる」と宣言してるじゃないそれを信用せずに遊んで はめられた訳でも何でもなく、自分からどつぼにはまって楽しめなかったんだろ GMを信用して嵌められたならご愁傷さまだけど、勝手に邪推して深みにはまったのは違うだろ 109 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 16 19.42 ID E7e6285G0 105-106 報告嫁。ルールブックを読むことすら禁じられた状態だぞ? 112 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 20 07.92 ID SlOLfq7b0 109 そっちこそ読めよ。GMは不要と判断してるってことだろ。初見のゲーム誘われて GMが出してる情報でゲーム回せる量出てるのはっきりしてるじゃないか しっぺ返しの規定値と内容以外で不満書かれてないよ 115 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 21 43.19 ID mKCr4pX+0 112 ルールブック読むことが不要か? 正直初めてのシステムでルールブックすら読むこと禁じられたら 嵌められるかも、と思っても不思議じゃない。 116 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 22 53.79 ID E7e6285G0 110 それでもGMとPLで共有できる情報としてルールブック等があるわけで、 81の報告だと先輩側は説明不足に加えて「恣意的にルールブックを参照させない」という行動に至ってるわけだ。 ぶっちゃけ不信を抱くなという方がおかしいわな。 118 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 27 31.11 ID SlOLfq7b0 115 嵌められるかもしれないなんて困スレにいると当然浮かぶ考えだけれど 基本、初見のGM相手には浮かばないよ。だから直近の 81みたいな 報告あるんじゃないの。 ただ、今回のはGMの言うこと普通に信じておけば回避された報告だから、 どっちかと言えば愚痴スレ向きの内容だって言ってるんだけど 119 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 29 21.06 ID mKCr4pX+0 118 良く読め。 初めてのシステムとは書いてるけど先輩自体は初めてじゃない。 120 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 30 10.42 ID yyFsxdMn0 115 それは、普段からの信頼度の問題だけだw 優しくて嫌がらせなんて絶対せず、面白い事なら少々突飛でもやっちゃう、 そんな先輩なら「ああ、またかw」で済む まあ 81では信頼がなかっただろうから、 PLをGMで齟齬が生じてるんだろうけどねーw 121 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 32 45.58 ID SlOLfq7b0 119 読み直した。複数の経験者が知らない方が楽しめるといってるなら なおさら素直に受け取っておくべきじゃないか?事前に困をうかがわせる 言動あったならともかくそういうのなく、せいぜいルーニーがいるぐらいなら 123 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 35 24.27 ID E7e6285G0 112 GMは絶対者とか考えてる口かい? GMは「卓上で」システム上の裁定を担当するんであって 「卓の外で」システムに関する基本情報やルールブックの閲覧を制限する権限なんてありゃしないだろうに。 そのあたりを履き違えたのが 81の先輩GMや先輩PLなんだろうけどな。 124 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 36 37.48 ID 3NHK+e4H0 パラノイアみたいな特殊なゲームでもない限り 「ルールブック見るのを禁止する」って時点で充分困じゃね? 125 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 36 48.25 ID SlOLfq7b0 123 そういう話じゃないだろ。システムの内容知らない方が楽しめると言われて それを信用できる土壌があったかかどうかだろ 126 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 38 17.41 ID 29Ui/QdO0 GMが 「ペナルティの内容は知らない方が楽しめるだろうから言わないけど、そう重いものじゃないから気楽に使っていいよ」 みたいなことを言っておけば防げてそうなケースではある 127 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 40 35.44 ID 4HLC9S7V0 なぜかルールブックを読ませたがらない人にそんなこと言われても… 128 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 45 32.11 ID 3NHK+e4H0 ID SlOLfq7b0は関係者か何かなの?それとも自分も似たような事をよくしてるとかか? 未経験者相手に中途半端な説明しかせず、読みたがってるルルブすら読ませないって時点で信頼関係なんて築ける訳ないだろ。 129 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 45 41.85 ID ss7zylzJ0 自分から信頼損ねてくる人を信用しない報告者がアホ!もっと信頼しろ!とか言われましても… 130 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 47 43.45 ID xwmXQ6Bb0 125 そうだよ。 その上で、そのシステムを知らせないようにする仕方が相手を疑心暗鬼に陥らせるようなものだったから 81は楽しめなかったのだし、ここでも先輩方のやり方がまずいよね、って話になってるの。 131 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 48 53.70 ID SlOLfq7b0 128 いや、結局は 120なんだろうけどそれを一方的に被害者視点で 書いてる報告者にいらついてるだけ。困スレにいるとマヒするけれど 卓の面子を信用するのは前提だろ 132 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 50 27.07 ID cTGd1c5m0 なにかつい最近暴れた人と同じ匂いがするぞ…… 同一人物でないなら少し落ち着け 133 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 50 56.27 ID E7e6285G0 参加者(GM、PL問わず)がシステムに関して共通認識を得るための情報源がルールブックなんだから 俺は「意図してルールブックを参照させない」という行為自体が論外だと考える。 それをやった時点でそいつは卓内で相互理解を行う気がない、とも。 ゲームが成立する以前の問題。 140 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 20 57 25.29 ID q0vaQMLJ0 133 待て待て、先輩方はある程度説明はしているぞ 些細な幸運に助けられる(略)との説明があった。 後「GM」と「先輩方」と「先輩」の使い方が不明瞭すぎて読みづらい。 結局これって 先輩方「幸運の風に頼りすぎると後でしっぺ返しがあるけど安心して使ってね!」 GM「大丈夫大丈夫、大したことは起きないから(ルールブック隠匿)」 先輩「大丈夫大丈夫、大したことは起きないから(ルーニー視点)」 81「そっちがその気ならこっちは石橋を叩いて渡らない地蔵プレイしちゃうぞ」 ということで三者三様に困なんだよな…無論81の困成分はぐっと低いんだが 162 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 21 19 27.81 ID oPhQCGgt0 50%の成功率で嬉々としてロールする人もいれば、悩みまくってロールする人もいる ペナルティの重さも人によって受け取り方は様々、-2なら気にしない人もいれば、 真剣に受け取る人だっている。 報告者は気にするタイプだったってだけの事だろ でも件の先輩やGMは困った人だと思うわ。結局、プレイ中に報告者は「幸運の風」を 使わなかったわけだろ。ルールの説明を拒否して、使ってみれば解ると返した以上、 使用者が使ってないならフォローする必要があったはずだ。 175 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 21 35 05.31 ID xwmXQ6Bb0 まとめてみた ・GMの説明で問題ない、十分な説明だし、疑う報告者のほうがひどい( 85,106,108,125,164,167,174) ・ゲームデザイン的に隠したくなるのは普通( 89,97) ・信頼関係ができてない、でも疑う報告者のほうが悪い( 105) ・自分なら信じる、うまく対処できる( 118,146) ・結果的には信じたほうがうまくいっただろ、だから信用しなかった報告者が悪い( 118,138,147) ・報告者の書き方がイラつく( 131) ・疑ってかかった報告者が楽しめないのは当然、自業自得( 155,156) 要するに報告者のことが嫌いなんだろ? 211 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 22 05 42.77 ID wrUVv7cA0 というか、まとめの部分読み返してみたけど 「幸運の風はガンガン使っていく事を前提としてデザインされている」のならそれこそ ルルブ見せるなりなんなりして「気軽に使っていくもの」であることを理解してもらうべきだろう やんなくていいのに閲覧禁止とかするからおかしくなる 257 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/01/09(水) 22 53 29.86 ID jRFfIyR+0 kskしてると思ったらw まぁ自演かとも思ったのだが、熱くなり過ぎだろw 81読んでの個人的感想。GMもPL(=報告者だよね)も下手ゆえにおきた行き違い。 まぁ報告者は新人だったみたいだから仕方ないとして、GMは新人相手に偉ぶれるほどの腕はなさげ。 たぶんGM本人は全然そう思っていなかったんだろうけど。 まぁ妙な上下関係に縛られがちな学生サークルには時々ある不幸な事故の範疇じゃないかなぁ。 スレ344
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034話 信頼と、友愛と、疑心暗鬼と… レイコは戸惑うピアスの少年を強引に座らせると傷口を広げないように矢を抜き、回復魔法を掛けた。 少年の背中に手を当て、精神を集中させる。自分に宿るガーディアン・妖精ナジャが暖かな力を貸してくれる。 だが、どうしてもいつものような力が沸いてこない。 ライドウが言うように、自分の首に書き込まれた呪いの文様が回復魔法の効果を妨げているのだろうか。 確かに回復魔法使い放題では、殺し合い前提のこの街において使える人間が圧倒的に有利だ。 使うタイミング次第では傷一つ負わずに永遠に戦っていられることも可能な力である。 これを封じると理由は…おそらく手っ取り早く死亡者を稼ぐためだ。 どうしてそこまでして自分たちに殺し合いを強要するのか謎である。 だが、考えを巡らせている内にレイコは一つの結論に達した。 ひょっとしたら…いや、おそらく。 「どうした。止めを刺す気になったのか?」 少年が、別のことを考えているレイコに向かって、ぶっきらぼうにそう言い、 レイコは一瞬動きを止めそうになった。自分の意思とは真逆のことを言われたからだ。 別にこうやって甲斐甲斐しく手当てをしてあげることで逃げ出すチャンスや、ましてや殺すチャンスを探しているわけではない。 ただ、怪我をしている人間を放っておくことが出来なかったのだ。 殺されかかったライドウを救うためとは言え、鳴海が本当に矢を当てるとは思っていなかった。 自分の考えは、やはり甘いのだろうか。 だけど、たった今自分の中に出てきた可能性を信じるなら、無意味な殺し合いを続ける必要は無いのだ。 「終わりましたよ。」 何とか傷が塞がり、レイコは顔を上げると額の汗を拭い、眼鏡のずれを直した。 一息付くと、かなり強い脱力感に襲われたが、ここで倒れるわけには行かない。 「敵の傷を治して、どういうつもりか聞かせてもらおうか。」 少年は振り返ると、静かにそう聞いてきた。 「敵…ですか。私が貴方に対してそう思っていなかったとしても?」 「君の仲間を殺そうとした。これだけでは敵になる理由にならないのか?」 「何故、葛葉さんを…彼だけを狙ったのか教えてください。 本当に勝つことが目的なら、武装している男の人ではなく、最初に私のような手ぶらの女を狙うのが道理でしょう。 だけど貴方の狙いは葛葉さんだけだった。鳴海さんと…私には一切眼をくれず。」 驚いた。この少女は先ほどの混乱の中、ちゃんと冷静に状況を観察していたのである。女性というのはいつでも侮れない存在だ。 この少女に嘘をついてもすぐに見抜かれるだろう。正直に話すことにした。 「あの男は…」 少年は地面に置いていた剣を取り、厳しい視線でそれを見つめながら語った。 「俺の大切な人を殺した。それだけだ。」 その言葉を聞いたレイコは、口をぽかんと開き、眼を丸くした。あの温和なライドウが、とても信じられない話だった。 「そ…そんな…それは何かの…」 言いかけた所で言葉に詰まる。 昨晩ライドウが突然飛び出し、今朝になって帰って来た時に血みどろになっていたのを思い出したからだ。 昨日はライドウに一体何があったのか…。何故か聞いてはいけない雰囲気がして、レイコも鳴海も詳しい事情には眼を瞑った。 だが、本人は無傷であったのにも関わらず、全身が真っ赤に染まっていたのは普通ではない。 どうひいき目に考えても返り血にしか見えなかったのである。 レイコの頭を、今までで自分の知っているライドウが反芻する。 魔神皇の説得は危険だからと何度も説得するライドウ。 不安で冷えきった手を、不器用ながらも暖かく握ってくれたライドウ。 ピアスの少年…目の前にいる彼が奇襲を仕掛けてきた時、真っ先に自分を庇ってくれたライドウ。 そして、彼の大切な人の命を奪ったというライドウ―――。 あまりにも噛み合わなかった。しかし、何か予測のつかない事故で血を浴びることになったのなら、どうしてそれを話してくれないのだろう。 ライドウのことは信用したい。だけど、それには彼を知らなさ過ぎる。彼は何故黙っているのか。 もしかしたら本当に……。 レイコは、いつの間にか自分が疑心暗鬼に駆られていることに気付いてはっとした。 自分から信用できないのかと怒っておいて、今のこの有様は何なのだろう。 「君は何かの間違いだと言いたいみたいだな。 だが俺は見たんだ。あの黒マントの男が…無抵抗な彼女から包丁を奪って冷酷に刺し殺す所を。」 強い怒りと悲しみを押し殺しながら語る少年を、レイコは否定しようとしたが、言葉が見つからなかった。 一度浮かび上がった不信感はなかなか拭いきれない。 頭では違うと言い聞かせているのに、何故か心の底では解ってくれない。そんな自分が苛立たしかった。 「だから、俺が彼女の仇を討つ。それから先は…また考えるさ。」 立ち上がる少年を、レイコは止めた。 「待って。彼を追うなら私も連れて行ってください。」 「……。」 無言だが、不思議な吸引力のある瞳をこちらに向けていた。 だがその吸い込まれそうな眼が、今は必死で自分を拒否しているのだ。 「君の仲間を君の目の前で殺すつもりなんだぞ、俺は。」 「彼は…そのことは何かの間違いです…。」 自分で言いながら、どこまでが本当なのか確信が持てない。つくづく自分が厭な女だと、胸の奥が痛む。 だけど、ライドウを見捨てる程、彼を突き放せないことも嘘ではないのだ。 「…だから、私もついて行って、自分が納得出来るまで…あの人と話がしたいんです。」 「…まぁ、いいだろう。だが俺は俺であいつを今度こそ斬り捨てる。それは覚悟していてもらうぞ。」 「……。」 レイコは、ライドウが握ってくれた自分の手に眼を落としながらこっくりと頷いた。 そうすることしか出来なかった。今の自分に彼を止める資格など無いことを、彼女は彼女なりによく解っていたのだ。 【赤根沢レイコ(if…)】 状態 やや疲弊 武器 無し 道具 ? 現在地 蓮華台に向かう山道 行動方針 魔神皇を説得 ライドウたちを探す ゲームからの脱出 【藤堂尚也(ピアスの少年・異聞録ペルソナ)】 状態 正常 武器 ロングソード 道具 ? ペルソナ ヴィシュヌ 現在地 同上 行動方針 葛葉ライドウを倒し、園村麻希の仇をうつ Back 033 Next 035
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っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟? (後編) ◆h6KpN01cDg ※ 「……」 落ちたのは、沈黙。 俺とタママは、二人残された部屋で何も話せずにいた。 ああ、畜生、どうしてこんなことになった? 俺が軽々しく話し合おう、などと言い出したことに問題があったのだろうか?しかし、あの場で他にどうすればよかった? タママの敵意に気づかないふりをしてあの中にいればよかったとでも?……そうなれば、副司令辺りが俺に目をつけるかもしれないだろう。 そうでなくても、そんな集団は崩壊する。俺が生き残るためには、ある程度強い人間と行動することが必要なのだから。 「……それで、タママ君。俺とわざわざ二人になるなんて……よほど言いたかったことがあるように思えるけど……?」 くそ、ここで死ぬなんて冗談じゃないぞ。 柄にもなく焦っているのは自覚している。しかし、タママの武器は一般人に毛が生えた程度の俺にはあまりの凶器、神経を逆なでだけはしないようにしよう。 「……」 しかし、タママは無言。 ……おいおい、冗談じゃないぞ。明らかに敵意丸出しだっただろ? 「タママ君、特に用事がないなら―――」 「……カジオー」 「……?」 「……本当は、カジオーはボクたちのことなんてどうでもいいって思ってますよねえ?」 いきなりの、図星。しかし、それくらいは予想の範囲内だ。 あれだけ睨まれていたのだ、その程度疑われていても何の不思議もない。 「……あんたはそう思うのか?」 「……ボクには分かるんですよお、同族って言うんですかねえ、ニコニコ笑ってても腹の底で黒いもの抱えてる奴ってえのはねえ……」 おい、まさか、これは……。 「……つまり、タママ君は、俺は本当は皆を騙している、そう言いたいのか?」 もしや―――本当に本物の、直感だけで生きている生物なのか? 眩暈がした。 「そうでないなら、サッキ―のものを盗む必要はないですよねえ?」 ……見られていた、か。あの状態で気付くとは思わなかったが―――これも勘なのか?その可能性は大いに高そうだ。 知略の欠片もなさそうな理由だが―――逆に、それがものすごく厄介だ。 単純明快で酷くあからさまな態度でありながら、その言葉は紛れもない心理を付き、冷静な大人を困惑させる―――そう、子供。 見た目と同様に、このタママというカエル星人は、子供なのだ。 アスカの顔が頭をよぎる。あの少女は、何を思ってケロロやタママに攻撃を加えたのか。 こんな場所に連れて来られ疑心暗鬼に陥るのは理解できるが、俺にまで思いっきりやってくれるとは思わなかった。 ……知り難い。子供の考え、ってやつは。 「……盗む?何のことだ?」 とぼけて見せるが、タママはごまかされてはくれなかった。 「嘘つけですう!ボクは、この目でちゃんと―――!」 「証拠は?」 うっ、とタママが一瞬言葉に詰まるが、負けじと気迫で押し返す。 「ボクの直感とこの目ですう!」 ……こりゃあ駄目だ。話にもなりやしない。 「……ディパックを見せてほしいですう」 「駄目だな」 タママが瞳を見開く。 「それは後ろめたいことがあるからですかあ?」 ……ない訳ではないが。 「……違う。あんたには証拠はない。それは逆に言えば、俺が何を持っていてもそれを『自分はこれを盗んでいるのを見た!』と主張できるってことだろう?俺が仮に武器を持っていたとして、それをあんたの一方的な感情から取り上げられちゃたまったものじゃない」 まだ、カプセルはごまかしようがある。もしもの時のことを考えて紙は捨てておいた。問題は、カップの底に隠してある銃の方だろう。 あからさまに見えないよう偽装してあるという時点で、もし知られたら疑いの目を向けられることは確実。 「……そんなこと言っていいんですかあ?」 俺の口元がひきつる。 「……さっきの女みたいに、痛い目あいたいんですう?」 さっきの女―――アスカ、か。いや、お断りだ。謹んで辞退しよう。 「……脅すようなことを言っていいのか?サツキちゃんが可哀相だろう」 タママにとって、サツキは泣き所のはずだ。俺にとってはただの目の上のたんこぶでしかないんだがな。 「……カジオーに騙されている方がもっともおっと可哀相ですう」 「はは、違いない―――それが本当ならな」 再び落ちる、沈黙。 タママが明らかに何かに耐えているのは、すぐに分かった。 表情で容易に分かる―――怒りだ。おそらく俺に今すぐにでも飛びかかって怪我でも負わせたいのだろうが。 「……まあ、とりあえず仲良くしないか?何はともかく、俺もあんたも皆と協力してやっていきたいのは一緒だろう?」 時計を見る。11時50分―――放送まであと少しだ。 副司令達には放送までには元に戻ると言っていた。早いうちに蹴りをつけないとな。 「……」 「……俺のことをすぐに分かってくれとは言わない。ただ、せめて協力し合っていこうぜ。俺たちは全員、こんな殺し合いに巻き込まれた被害者なんだからな」 タママの瞳が動くのを、確認して。 「サツキちゃんに言ったことを責めているなら、謝罪する。悪かったな。悪気はなかったんだ。……だがあんただって、サツキちゃんみたいな弱者を―――」 そう、悪気などあるはずがない。ただ正論を述べただけなのだから。 俺が全ての言葉を紡ぐより早く……タママの拳が俺の体を弾き飛ばしていた。 「ぐっ……!」 咄嗟のことに体がついていかない。 二人になった以上危惧していたはずだ。暴力に訴えられることを。 どうやら俺は―――失言をしちまったらしい。 それがどこかも何となく分かっていたのに、俺は何をやってるんだ? 「……違うですう……」 壁に叩きつけられる。背中を鋭い痛みが走るが、意識はある。 しかしタママはそれでも動きを止めず、上半身を起こした俺の喉元に手をかける。 気づいてはいた。だが、怪我人の俺が人間以上の運動能力を持つこいつに反応速度で勝てる訳がない。 ぎり、とタママの小柄な手が俺の声帯の震えを妨げる。強い力で喉元を抑えつけられているからだ。 壁面に背中が押し付けられ、みしりという音がした。 「……っ……」 「サッキ―は……サッキ―は……弱くなんかないですう!」 やはり、地雷も想像通りの内容。 駆ける痛み。しかも二か所からのダブルパンチ。 「……サッキーは強い……それを分かってないカジオーは、ダメダメですう……」 「……っい、いいのか……?俺に危害を加えて……」 ようやく声を絞り出す。……くそ、だから嫌だったんだ、タママと二人になるのは。 俺はただ生き残りたいだけ、それだけでこんな生きるか死ぬかの賭けなんてさせられてたまるか。 「俺は無罪かもしれないんだぞ?」 食い込む拳。 「安心しろですう。殺しはしませんですよお。傷が残らないように、僕が手加減して本当のことを吐かせてやるですよ」 にやりと笑うその顔は、……紛れもない腹黒い人間、否カエルが見せるそれ。 「それに―――無罪かどうかは今から調べればいいですう」 冗談じゃない……どこまで本気か知らないが……。 ディパックにそっと手を伸ばしたが―――それも後ろ足で蹴り飛ばされる。 打つ手なし、か? 「……さあ、まずはディパックの中を見せてもらうとしますかねえ……」 タママはそう言って俺からわずかにその小柄な身体を離すと、俺のディパックに手を伸ばし――― その時。 俺の背中が、―――浮いた。 「……な?」 壁に背中を押しつけられているならば絶対に感じるはずのない、加速度。 ―――……冗談だろ!? 俺は瞬間的に悟った。 そう、壁が―――抜けている?馬鹿な。 そう考えている間にも、俺の体は重力に従い落下していく。 「……はあっ!?なっ……なんですう……?」 タママは素早く俺から小柄な体をひきはがし、後ろに飛びのく。 俺も体制を立て直したい、のはやまやまだったが―――全身を刺すような痛みに上手く対処できず、そのまま一枚の壁と共に床に叩きつけられた。 「……っ」 わずかの間意識が飛ぶが、すぐに視界が戻ってきた。俺は傷口が開かないようにそっと立ち上がり、みっともない姿を曝させてくれた張本人を見据えた。 そして。 「……何だこりゃ」 俺は、わが目を疑ったさ。 何故だって?だってそこには、―――あっさりと外れた壁の先には―――もう一つ、真っ暗でこじんまりとした一室があり、床には謎の紋様が書かれていたんだからな。 ☆ ボク自身、どうしてあんなに感情的になったのかよく分からない。 一応、サッキーや軍曹さんに迷惑はかけないようにって我慢はしていたつもりだったんですけどぉ…… いえ、本当は分かっているですぅ。 サッキ―は、弱者なんかじゃない。 カジオーのサッキ―へのその言葉に、ボクは頭に血が上り、気付いたらカジオーを締め上げていたんですぅ。 違う。サッキ―は、サッキ―は弱者なんかじゃない、そう言い切れるですぅ。 だってサッキ―は、ボクを許してくれた。 酷いことをされたり、大切なものを奪われたりしたら、許せないのは当たり前。 ボクも、軍曹さんを奪おうとするあの女を許せませんからぁ……それと同じ。 ましてや、ボクはサッキーを傷つけた。サッキーはボクを見放しても仕方がなかった。なのに――― サッキ―は、ボクを許してくれた。 「ありがとう」って、ボクを抱きしめてくれた。 そんなサッキ―は、弱くなんてない。 そりゃあ力はボクの方がずうっと上ですけどぉ、でも、サッキーは絶対に弱い人間なんかじゃない。 サッキーは確かに、何の力もない女の子かもしれないですぅ。でも、カジオーからだけは、サッキーが弱いなんて言わせない。 それが分からないカジオーは、サッキーのことを見てなんかいないですぅ。 ―――そうですぅ、本当はボクだって、人のことを責められる立場じゃない。 ボクだってフッキ―に出会った頃は、こう思っていたはずですぅ。 『足手まといをわざわざ抱え込むなんて、あんまり気が進まない』 だから、ボクはカジオーの言葉を、本当は間違っているとは思っていない。 だけれど、だからこそ―――こいつを許すわけにはいかないんですよぉ。 ボクや軍曹さんやサッキ―やフッキ―を利用しようとしているカジオーは! でも、カジオーを傷つけるのはまだ、早い。 それを、サッキーや軍曹さんはよく思わないと思いますからぁ。 だから―――あくまでボクがかるうく、調べてみるですぅ。 ……ボクには理由がない、と言ってごまかしてますがぁ、それでも頑なに見せないってことは何かあるに違いないからですぅ。 もうボクは、今更信頼なんてできないんですよぉ! でも……げひゃひゃひゃひゃひゃ!こうなったからにはもうボクにぼこられるしかカジオーに道はないぜぇ! 「……さあ、まずはディパックの中を見せてもらうとしますかねえ……」 ボクはけたけたと笑い、カジオーが何を隠しているのかを調べようとした。 ……したん、ですけどぉ。 ボクだってまさか考えにも入れてなかったんですよぉ! 突然、カジオーの背後がかぱっと開けるなんて。 「……はあい?ですぅ……」 壁が外れている、ボクはそう理解してカジオーから離れる。 カジオーは逃げようとしていたみたいでしたが、できずに頭を打っていたみたいですぅ。ざまあ! 「……っ、おいおい……」 でも、ボクはすぐにそんなことも言っていられなくなった。 その壁の向こうには、部屋みたいな場所があって、そこにぐちゃぐちゃした模様みたいなのが書かれていたんですぅ。 「……何だこりゃ」 カジオーが思わず零すのも、癪だが納得できた。 「……何ですかあ?」 突然部屋の中から姿を現した新たな部屋の存在にしばらくぽかあんとしていましたが、―――はっとボクは自分のすることを思い出しました。 そうだ、ボクはこんなものに気を取られている場合じゃないんですぅ。今のうちにカジオーのディパックを調べて…… ああ、ボクったら何て冷静なんですかねぇ!軍曹さん褒めて褒めて! カジオーの様子をそっと窺うと―――カジオーはその部屋の前で座り込み、じっと白で書かれたその変な模様を眺めていた。 「……地上絵、か?」 そして呟く。 「タママ君はこの紋様に心当たりは?」 カジオーに問われて、ボクはかなりムカっときた。 無視してもよかったかもしれないですけどぉ……でもボクだって、何でこんなものが普通の民家にあったのか気になるですしぃ。 ボクはじっとその模様を見る。……うーん、ケロン星ではこんな変なぐにゃぐにゃした絵は見たことないですぅ。 「……ないですぅ」 「そうか……あんたみたいな宇宙人なら心当たりがあると思ったんだがな」 さっきまでボクにぼこぼこにされかけていたであろうとは到底思えないくらいの落ち着きっぷり。……そんなところも実に腹立たしいですぅ。 そっとボクはほったらかされたカジオーのディパックに手を伸ばす。そして掴みかけて、 「タママ君、ちょっと手伝ってくれないか」 カジオーの言葉に、ボクは顔をあげる。……最低のタイミングですぅ。 こいつ絶対、図っていたなあ……! 見るとカジオーは、いつの間にかその部屋の中に足を踏み入れていた。 「……お前の言うことなんて絶対に聞かないですぅ」 「これがもしかしたら主催者の残したキーワードの可能性があってもか?」 「……な……」 カジオーの言葉に、ぴくりとボクの動きが止まる。 色々あったけど、結局ボクは早いとこモモッチ達のところに軍曹さんと一緒に戻りたいんですからね、気になるってもんですよぉ。 「……ボクを罠にかけるつもりなら騙されませんですぅ」 「俺のさっきの驚きようが演技に見えたか?」 あくまで飄々と答え、カジオーは顎を手で触る。 「……もちろん、主催者のメッセージ、ってのはただの憶測だ。だが、こんな妙なところに隠されていたとなると、俺たちみたいな参加者が自主的に隠したものではないだろうな。そうすると、あのお嬢ちゃんと男が用意したものである可能性が高い」 そして、カジオーは話す。相変わらず信じることなんてできなかったですけどぉ……。 腹立たしいですが、この場ではボクよりカジオーの方が賢いですぅ。 「……同時に、こんなところに隠してあったってことは、罠の類じゃないだろう。罠ならもっとうまく引っ掛かりやすそうなところに仕掛けるだろうからな。となると、残りは……」 「だ、脱出装置!?」 それは凄いですう!本当なら元の地球に帰れるですよぉ! そんなものがあるならすぐにでも…… 「そこまで上手くはいかないだろうが……何かの働きを持っている可能性は高いな」 ……ちっ、カジオーの言葉に期待したボクが馬鹿だったですぅ。 カジオーははあ、と小さくため息を漏らした。 そして辺りを窺うように窓の外に視線を向ける。 「……調べてみるか」 そう言ってカジオーは部屋の中に足を踏み入れる。ボクはどうしようかすごく迷いましたが、カジオーが何か仕掛けるかもしれないですよねぇ。 ボクにはカジオーが何かしないか見張る義務があるですぅ。さっきのでボクが簡単にカジオーをぼこぼこにできることは身をもって体験したでしょうしぃ、そんなに無茶はさすがにしないですよねぇ? だからボクはカジオーに続いて、その謎の場所に押し入った。―――決して離さないように、カジオーのディパックも一緒に握り締めたまま。 「…………うあ……」 そこは本当に真っ暗で、床に書きなぐられた変な模様のみが白く浮かび上がって見えて―――すごく……不気味ですぅ……。 別に怖くなんてないですけどぉ。 「……この手のものが意味することと言えば……どうなってる?」 カジオーは何かをぶつぶつ呟きながらその白線に軽く触れて。 ―――光が走った。 「!?」 「……はっ……!?」 ボクとカジオーの足元から、突然黄色いシャワーみたいに光が湧き出てきた。 引き込まれるような気分、ですぅ。 これは、何だか、タイムトラベルの時みたいな…… 「……くそ、罠か!?」 多分違う、ボクはそう思ったけどカジオーには教えてやるもんかと口を噤む。 ―――『力』の、匂い。 少なくともボクが感じたことのある力じゃないですけど、何かある。 攻撃的な感じはしない。 これは、主催者とかいうあの暗そうな女と冴えなそうな男の仕業ですかぁ? そんなことを考えているうちにいつの間にか――― ボクの意識は途絶えていた。 ※ 夢を見た。 初めは俺の死ぬ直前の光景かと思ったのだが、どうやら違ったらしい。 思い返せば学生時代―――葛城や赤木とつるんでいた時のことだ。 どうして今更そんな頃のことを、と思ったが、だいたい理由ははっきりしていた。 おそらくその当時が、俺がもっとも自由に生きていたからだろう。 若いっていいな。いいことだ。 それでふと、思う。 もし俺が、まだシンジ君やアスカくらいの年齢だったら、この場でもっと清らかに生きられたのだろうか。 高町なのはのように、ケロロのように、人を守ることに必死になれたのだろうか。 まあそんなこと―――今更汚い大人の俺が知ったところでどうにもならないんだけどな。 「……っ……」 俺は、目を覚ました。 そうだ、つい先ほど、光に呑まれるように――― 何だったんだ、あれは? 我に返り、体を起こす。 全身が悲鳴を上げる。左腕が痛み故持ち上がらない。……アスカからの怪我のせいで、どうやら疲れきっているらしい。 こんなんじゃ生き残れない。……くそ。 こうなったら本当にアスカに、全ての責任を押し付けておかないと…… 俺はタママの様子を伺おうと、視線を右にずらして 「……」 さて、これはどう反応すればいいのか。 副司令から宇宙人の話を聞いた時と同じくらい、今の俺は動揺している。 「……冗談だろ」 どうして、森の中なんだ? いや、落ち着け。こんなの、使徒やエヴァに比べればずっと現実的だ。ただ俺の感覚がマヒしているだけだ。 背後に視線をやる。先の方に広がるわずかな茶色。……砂、か? ディパックから地図を取り出す。それによると、I-07地区周辺には砂漠が広がっているらしい。……砂漠? I、だって? 時計に視線を落とす。……11時58分。放送まであと何分だってんだ。 おい、これじゃあ、どう考えても…… 「……カジオー」 名前を呼ばれる。タママだろう。 俺に敵意剥き出しだった数分前とは違い、ぽかんとしている。 「ここは、どこですかぁ?」 「……I-07……辺りだと思うが……確証はない。……なんだってこんなところに……」 「……ええ!?それじゃあ軍曹さんたちと……」 皆まで言わずとも、そんなことは理解できる。 さて、問題はどうやってここに来たか、だ。 ……どうして、こんなことになっちまったんだか。 しかも、……どうやら、俺の荷物もタママに奪われちまったらしい。迂闊だった。 俺は自分の計画が瓦解しつつあることを悟り、深々と溜息を吐いた。 時系列順で読む Back っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟?(前編) Next のこされるもの 投下順で読む Back っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟?(前編) Next のこされるもの っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟?(前編) ケロロ軍曹 のこされるもの 冬月コウゾウ 草壁サツキ タママ二等兵 加持リョウジ
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ラクス 「こんにちは」 アル 「あ、ラクスさんだ」 シュウト 「こんにちはー」 ラクス 「あの、キラはご在宅でしょうか」 アル 「キラ兄さん? どうだろうね」 シュウト 「さっき出かけたような……あれ、なんかいい臭いがする」 ラクス 「ええ、今日、クッキーを焼いてみましたの。なかなかおいしく焼けたと思いましたので、キラにも食べてみてほしい、と思いまして」 アル 「へー、そうなんだ」 シュウト 「ラクスさんって料理も出来るんだね。すごいなあ」 ラクス 「うふふ。アルさんたちも、お一ついかがですか?」 アル 「え、いいの?」 シュウト 「やったー、いだきまー」 その瞬間、一つの影が凄まじい速さで駆け込んできて、ラクスの手からクッキーの入った箱を奪い取る。 ラクス 「あ……!?」 キラ 「むぐ、むぐむぐむぐ、むぐっ……!」 アル 「あーっ!」 シュウト 「ひどいやキラ兄さん、クッキー全部食べちゃった!」 キラ 「ボリボリボリボリ、ごっくん……ふ、ふふ……ら、ラクスの作ったクッキーは全部僕のものさ! 君たちには一つだってあげられないね!」 ラクス 「まあ……」 アル 「ちぇーっ、キラ兄さんのケチーッ!」 シュウト 「ケチーッ!」 ラクス 「うふふ……それでしたら、今度はアルさんたちの分も別に焼いて参りますから」 キラ 「いや、それはだめだ!」 ラクス 「えっ……!?」 キラ 「ら、ラクスには、僕のためだけにクッキーを焼いてほしいんだ……! いや、クッキーだけじゃない、ラクスの作るものは、全部僕だけで食べておきたい!」 ラクス 「そ、そんな……ああ、そんなことを仰られては、私困ってしまいますわ……」 アル 「……なんか熱くなってきたね」 シュウト 「うん……よく分かんないけど。家の中でアイスでも食べようか……」 ~数十分後~ キラ 「ふ、ふふ……ようやくラクスが帰ってくれた……! 今日も我が家が毒電波に汚染されることは防がれた! そうさ、毒電波の犠牲になるのは僕だけで十分だ、弟たちに毒電波を経口摂取させてたまるもんか……!」 シン 「あんたの言ってることの方がよっぽど電波だぞ……」 ロラン (ここまで来ると真剣にラクスさんが可哀想ですよ……) アムロ (なに、とりあえず結婚までこぎつけてしまえば、誤解はじょじょに解けていくはずだ……!)
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1 澪律 2010/06/02 http //yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1275479738/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る なんだこの可愛い生き物… -- (名無しさん) 2017-03-17 01 44 59 かわいいかわいい澪ちゃんかわいい -- (名無しさん) 2014-03-02 15 40 08 ばかわいい澪もいいなぁwwww サンジュ系とかなら殺意が沸くのにこっちじゃ今すぐにでも頭なでなでしたい -- (名無しさん) 2013-04-13 20 47 44 ばかわいい澪ちゃんは最強、これ常識 -- (名無しさん) 2012-09-14 19 29 17 最後の全部分かってた、これって仕返しじゃなくて強がりって解釈で良いのかな? -- (名無しさん) 2012-07-20 20 38 51 名言がうまれたなwww全部わかってた、か…w -- (名無しさん) 2012-07-20 19 47 40 澪ほど天然アホが可愛いキャラもいないと思う -- (名無しさん) 2012-07-20 14 40 15 黒板しかけられてちゃ危ないってwww チョークの粉まみれじゃなく、血まみれになっちゃうよ。 -- (名無しさん) 2012-03-27 04 26 14 かっくいーってwww -- (名無しさん) 2012-03-27 04 20 48 澪可愛いwwwwww -- (名無しさん) 2012-03-27 02 36 15
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疑心暗鬼(偽信案忌) ◆0UUfE9LPAQ 午前5時半の西東診療所―そこには一人の少年と一人の青年がいた。 少年は髪をまだらに染め、右耳には三連ピアス、左耳には携帯電話のストラップをぶら下げている。 それだけでもかなり目を惹く外見だったが、最大の特徴は顔の半分を覆う禍々しい刺青だった。 青年は少年とは対照的にいわゆる『当たり前』の外見、スーツに身を包み髪型はオールバック。 ただ一つ、刃物によって切り裂かれたのだろう背中の痛々しい傷が彼を『当たり前』たらしめていなかった。 少年の名は零崎人識―殺人鬼である 青年の名は零崎双識―同じく殺人鬼である 零崎人識が本来の歴史なら二ヶ月後に訪れていた場所で彼は現在意識が無い自分の兄―零崎双識の手当をしていた。 傷を縫い合わせようとしているようだが、本来の医療行為とは程遠く彼の手は傷から離れたところにあり、しゅるしゅると音がしている。 「よし、こんなもんでいいだろ。全く兄貴ともあろうもんが情けねぇ…一回死んでアホになったか?」 この会場に集められた時系列が違うため双識はまだ死んでいないのだが、人識にはわかるはずもない。 そして傷口に直接触れないまま、傷口の縫合は終了していた。 彼が使ったのはいたって普通の医療用の糸、但し使った技術は普通のものではなかった。 曲絃糸―本来は病蜘蛛≪ジグザグ≫と呼ばれる女が使っていた技術である。 「傷痕は残るけどしょうがねえだろ。抜糸しなくていい分あの時よりは楽だが…やっぱ呪い名が絡んでるのかねぇ」 呪い名6名が組んだ裏切同盟を撃退した2年前、そして先程の時宮時刻との遭遇を思い出し一人ぼやく人識。 実際は捉えようによっては呪い名よりもタチの悪い過負荷、球磨川禊を双識は相手していたのだが。 尤も、まともに戦わせてすらもらえないというのは呪い名・過負荷両方に共通する特徴ではある― 「呪い名が相手となると面倒なことになるな…。兄貴の支給品に糸があったのはラッキーだった。バラバラにすんのは難しくても絞め殺すくらいできるだろ。でもこれはねぇよ…」 人識の目線の先にあったもの―それは 大量の箱庭学園に通う女子高生のジャージだった。 「何考えてんだあの変態兄貴は…」 もちろんまともな使い道を考えつくはずもなく、ジャージの山は脇に寄せてある。 傷の処置も完了し、双識のデイパックの中身を探る作業を再開する。 「これはカッターナイフの刃…?何か意味があって持っていると見た方がいいな…ちぇ、ナイフは無しか。んじゃ、あいつらの漁るとするかね」 そう言い、今度は(人識には区別がつかなかったが)病院坂黒猫のデイパックを探る。 「こいつは刃物だけどナイフじゃねーな…っておいおい、マジかよ」 人識が「マジ」と言ったもの、それは裏切同盟が一人、罪口摘菜が製作した「七七七(アンラッキーセブン)」だった。 同じく裏切同盟が一人、時宮時雨を撃退するときに使ってそれきりだったはずだ。 そしてもう一つ出てきたのは―四季崎記紀が作りし完成形変体刀が一つ悪刀・鐚。 説明書を読み、自分の強化と双識の治療両方に使えることを理解した上で扱いを保留する。 「全く―傑作だぜ」 そう嘯き、次は病院坂迷路からはぎ取ったデイパックを調べる。 情報を整理しなければいけない中、荷物の整理・双識の様子見も兼ねて放送まで診療所で時間を潰していた。 「あー、そういや放送で殺したやつの発表ってされんのかな。そうなるとヤベーんだけど」 哀川潤との約束を破ってしまった手前、自分の名が放送で出るのはまずい。 例え相手が匂宮出夢で不可抗力だったとしてもあの女は怒るに決まっている、いや怒るどころじゃ済まされない。 でも― 「出夢と話せたってのは悪くはなかったかな。つっても戯言だけどよ、かはは」 この会場のどこかにいる戯言遣いの口癖を借り、放送まで待つ。 そして、午前6時― □ □ □ 「目が見える…ここは、どこだ…?…痛っ」 「おう、お目覚めかい兄貴」 「…!人識、いや蝙蝠!」 「は?何を言っちゃってくれてるんですかこのアホ兄貴は?どこからどう見ても零崎人識だろ、蝙蝠って何のことだ?」 「騙されるものか、蝙蝠、お前が人識に化けていることはわかっている」 双識は球磨川から受けた視覚異常と螺子込まれた言葉、西条玉藻から受けた攻撃の影響で人識を真庭蝙蝠が変化した姿だと錯覚している。 だが、ここにいる零崎人識は正真正銘本物の零崎人識であり真庭蝙蝠のことも知らないため、双識の言っていることを半分も理解できない。 その結果― 「一体全体なんなんだよ!認めたくねーが死んだはずの兄貴に会えて嬉しいのに曲識のにーちゃんは呼ばれちまったし伊織ちゃん探さなきゃいけねーし 予想通り欠陥製品も死色の真紅もいるしわけわかんねーことだらけだ! で!一番わけわかんねーのは言うに事欠いて兄貴が俺を別人だと考えてるってことだ! 何のためにわざわざ兄貴おぶってここまで来て治療してやったかわかりゃしねぇ、いっそここで殺して解して並べて揃えて晒してやろうか!?」 人識はキレた。 一方で双識も人識の言ったことを理解できない。 「俺が死んだ…?伊織ちゃんとは誰のことだ…?お前は本物の人識なのか…?」 「あぁ!?兄貴は俺の目の前で死んだじゃねーか、俺と伊織ちゃんの目の前で。伊織ちゃんは兄貴の新しい妹だ。そんでもって俺は零崎人識だ、他に名乗る名前なんてねーよ」 (噛み合わないというには何かがおかしい…蝙蝠が化けているにしたって、伊織などという妹の名前を出す必要は無い。やはり目の前にいるのは本物の零崎人識なのか…?) 双識の考えを知ってか知らずか人識は話を続ける。 「一緒に見た白黒の、クソつまらねえシリーズ物の映画の話でもすればいいのか? 薦めてくれた小説の話でもすればいいのか? 読まなかったけど薦めてくれた漫画の話でもすればいいのか? ガキの俺相手に本気でボールをぶつけて病院送りにしたキャッチボールの話でもすればいいのか? 切りつけられて切られる痛みを知った、与えてくれたナイフの話でもすればいいのか? あれこそが最悪だってくらい不味かったカレーの話でもすればいいのか? これでも疑うってんなら俺が改めて地獄に送ってやる!」 「いや、これ以上はいい。疑って悪かった。」 双識は人識だと信じたわけではない。 蝙蝠が自分に変化したときに口調は変わらなかったことから可能性は低そうだが脳―つまり知識や経験まで変化できるかもしれないという懸念があったからだ。 仮にそうであったとしたら、何を聞いても無駄だ。 結局双識は人識に対する態度を保留したのだが、その態度は人識に伝わってしまう。 「(やっぱりどこか兄貴らしくねえ…俺があそこに行くまでに何があった?)ちっ、まぁいい。兄貴に聞きたいことがいっぱいある」 「それは私も同じさ、人識。まずは…今は何月だ?」 「なんでそんなこと聞くんだ…?今は9月だろ」 「私は6月だと思っていたんだが…あの爺さんの計らいのつもりか」 「じゃあなんだ?兄貴は死んでないってか?傑作にも程があるぜ…ったく」 「さっきから死んでないと言ってるだろ。…まさか私に妹ができていたとはね」 会場に集められる前の情報を整理した上でやっと本題に入る。 「兄貴は寝てて聞いてなかったからな、一応死亡者と禁止エリアメモっといたが…曲識のにーちゃんのことは本当か?」 「…本当だ。死体を確認したから間違いない」 「カッターナイフの刃を持ってたのはそのためか」 「あぁ、そうだ…って何で知っている」 ここでようやく自分のデイパックを調べられたことに気付く双識。 「いくらなんでも女子高生のジャージは無いと思うんだがこの変態」 「人識…お前、って痛」 「あーやっぱそうすぐには治らないよなー、一応言っとくと兄貴の背中をやったのは西条玉藻だ。覚えてんだろ、『小さな戦争』で大将と散々やり合ってたやつだよ」 「殺気は全く感じなかった…嘘をついているんじゃないよな?」 「んなわけねーだろ。あ、そうそうさっき大将に会ったんだった」 「なんだと…なんで一緒に行動しなかった」 「しょーがねーだろ、出夢との先約があったんだ。大将と会ったのは不要湖ってとこだ」 「不要湖…トキの店からは遠いな」 「曲識のにーちゃんの店?クラッシュクラシックのことか」 「トキが死んでいたのがあそこだ…」 「よりによってそこかよ…あそこはにーちゃんの鉄壁の要塞、いや箱庭じゃなかったのか」 「そのはずだが、抵抗する間もなくあっさり殺されていた…例え『彼女』でも不可能なことだ」 「真紅がにーちゃんを殺した…ねぇ、ありえねー話じゃねーが…」 「だからまずはカッターナイフを持った人を探している。人識、念のため聞くがお前は持ってないよな?」 「んなもん持ってねーよ」 「そうか。ここに来るまで誰に会った?」 「さっき言った西条玉藻に大将だろ、後は櫃内様刻、病院坂黒猫、病院坂迷路、時宮時刻、鑢七実、匂宮出夢、貝木泥舟ってのと球磨川禊だ」 「球磨川…!お前は何もされなかったのか?」 「…?別になんもされてねーけど兄貴は何かされたみてーだな」 「されたもなにも彼に目を見えなくされた。今は大丈夫みたいだが」 「時宮も死吹も関係ねーじゃねーか…んだよあいつだったのかよ…だったら殺して解して並べて揃えて晒してくりゃよかったぜ…で、兄貴は誰と会ったんだよ」 「校門の前にいた少女と球磨川禊、真庭蝙蝠だけだ」 「その少女が西条玉藻だよ。蝙蝠ってのはさっき言ってたやつのことだよな、どういうやつだ?」 曲識にかけた眼鏡に残したメッセージのことは伝えなかった。 人識が蝙蝠だった場合、みすみす殺されにいくようなことになってしまう。 双識は蝙蝠の名を出して様子を見たが変化は無い… 目の前の人識が本物だろうと偽物だろうと伝える分には問題無いと判断して双識は続けた。 「変装なんてレベルじゃない、文字通り相手に変態するんだ。身長も体重もおそらく自由自在にな」 (それで俺を疑ってるってわけか―おそらく今も、だが違和感の正体はそれだけじゃねぇな…) そう思いつつも人識は話を変える。 「傑作にも程があるだろ…真庭ってのなら全部で4人いて2人放送で呼ばれたがそいつらとその蝙蝠ってやつも関係あるんだろうな」 「だろうな、やつは真庭忍軍十二頭領と言っていた…12人いてもおかしくないがいたのは4人か…」 「事情ってもんがあるんだろ、ベリルポイントの爆弾魔がここにはいないようにな」 「…か。零崎として情報を共有しとくぞ、真庭忍軍は零崎の敵となった。その名簿に記載されている真庭忍軍とその関係者は皆殺しだ。もちろんトキを殺したやつもだ」 「かったるいなー、んな顔すんなよ、了解了解。殺して解して並べて揃えて晒してやんよ、で背中まだ痛むのか?」 「少しはな…別に私もプロのプレイヤーだ、これくらいじゃ…痛」 「痛むんじゃねーかよ…やっぱりこいつは兄貴に使うか」 そう言いながら人識が取り出したのは忍者が使うような苦無。 それを双識の胸目がけて振り下ろす―――! (やっぱり人識ではなく蝙蝠なのか?…それに殺気を感じない、感じられないのか?くそ、避けなければ…体が動かない…!) 一瞬で逡巡した双識だが痛みで動くことができない。 そして―――悪刀・鐚は双識の胸に突き刺さった。 □ □ □ 「―で、調子はどうなのよ」 「お陰様ですこぶる良好だよ。全く、こんな便利なものがあったとはな…」 「俺も無駄に曲絃糸使う必要なかったかもな、かはは」 「極限技?そんなもんいつの間に覚えた」 「極限技じゃなくて曲絃糸だよ。また言い間違えてんじゃねーか、かはは」 人識が使ったのは扱いを保留した悪刀・鐚、刺したものを活性化させる刀である。 自身をプラスに持っていくより双識のマイナスを埋める方を優先したのだ。 怪我の治療目的に使ったため殺気を感じないのも当然ではある。 そして双識の背中の傷は傷跡も残らず完治していた。 一方で、双識が保留した人識への疑いは― (自分に刺して強化することもできたのにわざわざ私に使う…信用させるためか?) なくなっていなかった。 これでも五分五分以上に持っていけてるだけマシなのかもしれないが。 (だが…この人識がどっちだった場合でも家族を守るためには見張る必要がある) 目の前の人識が本物だった場合、一緒に行動しなければならない。 目の前の人識が偽物だった場合、ここで別れると家族を狙われたり、仲間を集められる可能性がある。 結局双識は一緒に行動することを選択した。 「私が出せる情報はこれで全部だ。」 「俺もこれ以上はねーな。後そのスーツ見苦しいから着替えろ、背中パックリってどんなファッションだよ。あんなにあれば一着ぐらいサイズ合うもんあるだろ」 「おいおい、私に女子の服を着せるなんて何をばかげたことを言ってるんだお前は」 「俺だってんなもん見たかねーよ。結局俺の荷物には服なんてなかったからな、そんな服で出られるよりはマシってだけだ」 (やっと軽口は叩けるようになったがまだ一度も笑ってねえ、重要な情報も多分隠してるんだろうな…) 人識は思考するが、口には出さない。 全ての情報交換を済ませ、ついでにいやいやながらも双識を着替えさせ(双識は喜んでいる風だったが)、これからの方針について話し合おうとしたそのときだった。 診療所のドアを開ける者がいた。 「水倉りすかなのが私の名前なの。男の子のキズタカを見たと答えるのが貴方たち」 二人はまだ知らなかったが、零崎曲識を殺した張本人―水倉りすかの登場である。 □ □ □ 時間は少し遡る。 りすかにとって放送は禁止エリアを確認するためだけのものだった。 自分が殺した髪の長い男―零崎曲識―の名前は聞かずじまいだったし、キズタカとツナギの名が出なかった以上死亡者の読み上げに意味は無い。 名簿を見ながら、早く二人と合流しなければ…まずは情報だけでも、と考え目についた建物―西東診療所へ向かった。 そこに二人の鬼がいるとは思いもせずに― □ □ □ 先に反応したのは双識だった。 りすかが先程、真黒と話したときと同じようにいつでも逃げられるようにカッターを持っていたのが災いした。 悪刀・鐚の効果で活性化した双識の肉体は驚異のスピードでカッターを持つりすかの右手首を掴みにかかる。 りすかの左手はドアにかかったまま―とっさに双識から逃れようとするも間に合わない―! そして双識はりすかの右手首をがっちりと掴み、カッターを奪い取った上で、後ろを警戒しながら言う。 「人識、刃を持って来い。確認する」 こんなに動けるなら兄貴に使わず俺に使えばよかった―とかそんな呑気なことを考えていた人識は双識の言葉を受けて合点がいく。 双識はこの赤い少女を曲識殺しの犯人だと考えているのだ。 「ほらよ、これだろ」 そしてそれは大当たりだった――のだが、カッターは血こそ付いていれど欠けてはいなかった。 カッターナイフの利点は刃を折り取れば新品同様の切れ味を持続できる点にある。 曲識の体を貫いてぼろぼろになった刃をいつまでもそのままにしておくはずがない。 当然折り取った刃に使い道などあるはずないので捨ててしまっていた。 つまり、物的証拠はもう無い― 「合わない…か。カッターの刃を折り取ってしまえばそれまでだからな―ここに来る前は誰かに会ったかい?」 緊張していたのだろう、女の子相手に大人気ない行動をとってしまったことに気付き、優しく話しかける双識。 しかし、掴んだ手首に込める力は抜いていない。 「あ、会って初めてなのがあなたたちなの…」 ただならぬ空気を感じ、とっさに嘘をつくりすか―だが 「いや、嘘だろ。いくらこの会場が広くても6時間もあって誰にも会わないはずがないな」 間髪を入れず人識が言う。 実際放送まで誰とも会うことが無かった否定姫のようなケースもあるのだが、ここは揺さぶりをかける意味の方が大きい。 「そ…そんなことはn」 りすかの言葉が途中で終わった理由、それは人識の手刀がりすかの後頭部を直撃したからだ。 殺人鬼としては二流でもプレイヤーとしては一流―いつか双識がそう言ったように人識にとって体が未発達な女の子一人を気絶させるなど造作もない。 「こんなもんでいいだろ、その状態じゃめんどくせぇ」 「人識、お前何を…」 「いくらなんでも限定条件を満たしてるこいつがにーちゃんをあっさり殺したなんて信じられねえが、もしそうだったら色々と聞かなきゃなんねーことがあるからな…犯人だったら殺さなきゃなんねーし―それに」 「兄貴はまだ俺を疑ってんだろ?」 「ッ―――――!」 「さっきの真庭蝙蝠ってやつが俺に変態してるってまだその疑念を取り除けてねえ、違うか?」 「……その通りだ」 「あーあ、やっぱりそうか…ちぇっ、ならここから動けねえじゃねかよ…怪しい動きしたら即敵認定じゃねーか」 伊織ちゃん探さなきゃなんねーのに、と人識はぼやいたがどうも本心から言ってるわけではなさそうだ。 「わかったよ、疑いが晴れるまで一緒にいりゃーいいんだろ。目の前にそいつ連れてくるっつっても信じてくれそうにねーし」 (それに兄貴に何があったか調べねーとな…何かがおかしい) 「…勝手にしろ。それでこの子はどうするんだ」 「墓森の領分だが拷問…冗談だよ、冗談。最低限拘束だけはさせてもらうぜ…ってそういや縄無かったんだった、曲絃糸使うか」 言うが早いかりすかの手と足を縛る人識。 さすがに手と足同士を縛ることはなかったが。 「糸短くなっちまったけど…射程は2mってとこか。それだけ使えりゃ十分だろ。で、これからどうすんだ?」 「気絶させたお前が言うか」 「問題は一つずつ解決した方がいいだろ。後言っとくけどな、いくら俺が兄貴しか家族だと思ってないって言ってもにーちゃん殺されて黙ってる程薄情ってわけでもねえ」 返さなきゃいけねー恩もあったしな、と続ける。 尤も、後半部分は双識には聞こえなかったようだが。 「お前がそんなこと言うようになるとはな…」 「俺も伊達に全国放浪してねーっつーの…あれ?これ言うの2回目か」 「で、その問題だが…さっき自分で結論出していたじゃないか」 「あ…そーいやそーか。さてこいつどうするかね」 「気絶させたのはお前だろ」 「じゃ起きるまでほっとくか…こいつがにーちゃん殺した張本人だったらどうするんだ?…ま」 「何わかりきったこと聞いてるんだ…お前の言葉を借りるなら」 口を揃えて二人は言う。 「「老若男女、容赦なしだ」」 【一日目/朝/B‐4 西東診療所】 【零崎人識@人間シリーズ】 [状態]健康 [装備]小柄な日本刀 、医療用の糸@現実、グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ [道具]支給品一式×3、千刀・ツルギ×2@刀語、七七七@人間シリーズ、ランダム支給品(1~6)(服、縄、カッターナイフは無い) [思考] 基本:兄貴の違和感の原因をつきとめる 1:兄貴の信用を得るまで一緒に行動する 2:りすかが目覚めたら曲識を殺したかどうか確認する 3:時宮時刻に注意 4:球磨川は後でぼこる 5:難しいとは思うが七実と合流する [備考] ※曲絃糸の射程距離は2mです ※曲絃糸の殺傷能力(切断・絞殺など)は後の書き手さんにおまかせします 【零崎双識@人間シリーズ】 [状態]健康、悪刀・鐚の効果により活性化 [装備]箱庭学園指定のジャージ@めだかボックス、カッターナイフ@りすかシリーズ [道具]支給品一式、体操着他衣類多数、血の着いた着物、カッターの刃の一部、ランダム支給品(1~5)(ナイフは無い) [思考] 基本:家族を守る 1:目の前の零崎人識を完全には信用しない 2:りすかが目覚めたら曲識を殺したかどうか確認する 3:他の零崎一賊を見つけて守る 4:零崎曲識を殺した相手を見付け、殺す 5:真庭蝙蝠、並びにその仲間を殺す 6:二度目の放送の後にクラッシュクラシックに戻る [備考] ※他の零崎一賊の気配を感じ取っていますが、正確な位置や誰なのかまでははっきりとわかっていません ※現在は曲識殺しの犯人が分からずカッターナイフを持った相手を探しています ※真庭蝙蝠が零崎人識に変身できると思っています ※鐚の制限は後の書き手さんにお任せします 【水倉りすか@りすかシリーズ】 [状態]気絶中、手足を拘束されている、腹七分目 [装備]無し [道具]支給品一式×2(片一方の食糧、乾パンは食べました)、ランダム支給品(0~2) [思考] 基本:まずは、相棒の供犠創貴を探す。 1:この戦いの基本方針は供犠創貴が見つかってから決める。 [備考] ※新本格魔法少女りすか2からの参戦です。 ※治癒時間、移動時間の『省略』の魔法は1時間のインターバルが必要なようです。(使用可能) なお、移動時間魔法を使用する場合は、その場所の光景を思い浮かべなければいけません。 ※大人りすかについての制限はこれ以降の書き手にお任せします。 正義の味方 時系列順 ローリンガールなロンリ―ガール 正義の味方 投下順 ローリンガールなロンリ―ガール 冒し、侵され、犯しあう 零崎人識 ナイショの話 冒し、侵され、犯しあう 零崎双識 ナイショの話 魔のつく二人の人探し 水倉りすか ナイショの話
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悲鳴嶼が放送を聞いたのは、山を登り始めたときだった。 「なんと奇怪な……。どれほどの力があれば、このようなことが……」 虚空に大きく映し出されるボンドルドの顔に、悲鳴嶼は驚嘆の声を漏らす。 たとえ盲目でなかったとしても、悲鳴嶼がいた日本ではこのような光景を見ることはできなかったであろう。 悲鳴嶼は、改めて自分たちが立ち向かおうとする相手の強大さを思い知らされる。 彼の心情をよそに、放送ではボンドルドに代わって現れた空助という男が死者の発表を始めた。 『坂田銀時…その身体の名は両津勘吉』 「!!」 悲鳴嶼の心が、激しく揺れる。 名前の読み上げと共に映し出されたのは、まさしく今自分の意識が宿っている体。 侍・坂田銀時。 体を返すべき相手は、出会うこともかなわずこの地で命を落としてしまった。 (おそらくは殺し合いに乗った者と勇敢に戦い、力尽きたのであろう……。 どうか安らかに……) 悲鳴嶼は涙を流しながら念仏を唱え、銀時の成仏を祈る。 だが、衝撃はまだ終わらない。 『童磨…その身体の名は擬態型』 「上弦の弐だと!」 空中に映し出された男の目には、十二鬼月の一員であることを示す漢字が刻まれていた。 名前がわからぬまま討ち取られた、上弦の弐。 それがまさかこの殺し合いに参加していて、しかもすでに死んでいるなど、悲鳴嶼にとってはあまりに予想外だった。 (上弦の弐といえば、カナエを殺した鬼……。 この報せを聞いたしのぶの心が、乱れていなければいいのだが……。 くっ、こんな時に側にいてやれぬとは! 別行動をとったのは失敗だったか!) おのれの決断を悔やむ悲鳴嶼。そこに、最後の衝撃が襲いかかる。 『煉獄杏寿郎…その身体の名は相楽左之助』 「なんと……。また逝ってしまったか、杏寿郎……」 誰よりも熱く生き抜いた炎柱、煉獄杏寿郎。 かつてと同じように、またしても彼は悲鳴嶼よりも早くその命を燃やし尽くしてしまった。 (今さら疑う余地もない……。鬼殺隊としての使命を全うして死んだのだろう。 だがかなうならば……もう一度おまえと言葉を交わしたかった……) 悲鳴嶼の目から、再び涙があふれ出た。 ◆ ◆ ◆ (さて、情報を整理せねばな) 放送終了後、心を落ち着かせた悲鳴嶼は改めて与えられた情報を確認する。 お館様と無惨は、共に健在。 ゆえに、自分の方針に大きな変更はない。 禁止エリアに関しては、自分の近くには設定されなかったため現時点では問題なし。 街に向かったしのぶたちにも、特に影響はないだろう。 最後に、精神と肉体の組み合わせが記された名簿。 これがあれば助かるのは間違いないが、入手条件が他者の殺害となれば積極的に求めていくわけにもいかない。 何かの偶然で手に入れば御の字、くらいに考えておくべきだろう。 (こんなところか……。 とりあえず、現状では方針を変える必要はない。 改めて、竈門家を目指すとしよう) 地図を片手に、悲鳴嶼は改めて山を登り始めた。 ◆ ◆ ◆ それから、しばらく後。 悲鳴嶼は、山の中の一軒家へとたどり着いた。 (ふむ……。おそらくはここで間違いあるまい) 年季の入った民家の外観を、悲鳴嶼はまじまじと見つめる。 (彼らはこの家で、家族と仲睦まじく暮らしていたのであろう……。 だがその幸せを、鬼によって理不尽に奪われ……。 改めて思い返しても、なんと残酷な話か……) 炭治郎たちの過酷な人生に思いを馳せ、悲鳴嶼はまたしても滂沱する。 その時、家の中から彼に声がかけられた。 「おい。なんで家の前で泣いてるんだ、おまえは」 その言葉と共に姿を見せたのは、いぶかしげな表情を浮かべた美少女だった。 ◆ ◆ ◆ 時は、放送時点まで遡る。 脹相が放送を聞いたのは、竈門家までもう少しという地点でのことだった。 告げられる死者の中に、脹相の心を動かすような人物はいない。 彼にとって有益な情報といえるのは、両面宿儺がまだ生存しているとわかったことくらいだ。 (やはり、やつは力を保ったままということか? いや、まだ殺し合いは序盤だ。 この6時間、俺と同じように誰とも会わなかったとしたら、たとえ無力な子供になっていたとしても生き残ることはできる。 判断するには、まだ情報が足りん) 両面宿儺については引き続き保留とし、脹相は思考を切り替える。 彼が放送の中で気になった点といえば、他には新たな名簿の存在がある。 当初はそこまで考えが回らなかったが、弟である虎杖の肉体が誰かに与えられている可能性もある。 もしそうであるならば、せめて体だけでも持ち帰ってやりたい。 新たな名簿があれば、弟の肉体の有無が確認できる。 だがそれを手に入れるには、他の参加者を殺害しなければならない。 殺し合いに乗っているのであればまったく問題ないが、脹相は殺し合いに反抗する立場だ。 そして、協力者を求める立場でもある。 名簿のためだけに殺人を行って協力できそうな参加者からの信頼を失うのは、リスクが大きすぎる。 (これに関しては、諦めた方が良さそうだな。 しかしそうなると、どこに向かうべきか……) これからのことを考え、脹相は頭を悩ませる。 今の彼には、行き先を決める指針がない。 東は殺し合いに乗った強力な参加者がいる可能性が高いので向かいたくないが、 他の方向に行ったところで強敵に遭遇する可能性は存在する。 新たに地図に浮かび上がった施設の中に、脹相に縁のある施設があるわけでもない。 よって、「とりあえずここに行ってみるか」という動機付けもない。 (直感で決めるのもありだろうが……。 ここはじっくり考えるか。 それなら、屋内の方がいいだろうな) そう判断し、脹相は再び竈門家へ足を踏み入れる。 悲鳴嶼がやってきたのは、その少し後だった。 ◆ ◆ ◆ そして、現在。 「これは先客に気づかず、失礼を。私は鬼殺隊の悲鳴嶼行冥という者。 どうやらこの家は仲間の一人が住んでいたものらしく、調べに来た次第」 姿を見せた脹相に対し、悲鳴嶼は丁寧に自己紹介を行う。 「鬼殺隊に縁のある者ならこの竈門という名前に気づき、ここを目指すのではないかと考えたのだが……。 そちらに、何か心当たりはないだろうか」 「いや、悪いがおまえの言う単語に、ピンと来るものはない。 俺はたまたまこの家を見つけて、拠点にしていただけだ」 悲鳴嶼の問いに、脹相は淡々と返す。 だがその心中では、ざわつきが生まれていた。 (キサツタイ……。おそらく、鬼を殺す隊と書くのだろうな……。 こいつ、呪術師側の人間か?) 鬼殺隊の名に脹相は聞き覚えはないが、鬼は呪霊と置き換えることもできる。 すなわち悲鳴嶼と名乗ったこの男は、呪霊を狩る立場の人間である可能性が出てくる。 となれば立場上、脹相とは相容れないということも考えられる。 (見たところ、殺し合いには乗っていないようだ。 それに、たたずまいに隙がない。おそらくは、そうとうに場数を踏んでいる。 できれば味方につけておきたいが……。上手く交渉できるか?) 脹相は、味方を作るために考えを巡らせる。 一方の悲鳴嶼も、ある点で脹相に対して疑念を抱いていた。 それは、脹相の体にわずかながら血が付着していることだ。 むろん、血がついているからといって殺し合いに乗っていると判断するのは短絡的すぎる。 襲撃を受け、それを返り討ちにした際に付着した可能性もあるのだから。 だが、眼前の少女が流血するような事態に遭遇しているのは事実。 その詳細を突き止めないことには、信用することはできない。 お互いが相手を信じられぬ中、交渉が始まろうとしていた。 【C-3 山・竈門家/朝】 【脹相@呪術廻戦】 [身体]:ゲルトルート・バルクホルン@ストライクウィッチーズシリーズ [状態]:健康 [装備]:竈門炭治郎の斧@鬼滅の刃、三十年式歩兵銃(装弾数5発)@ゴールデンカムイ [道具]:基本支給品、デビ太郎のぬいぐるみクッション@アイドルマスターシャイニーカラーズ、アタッシュショットガン@仮面ライダーゼロワン、零余子の首輪 [思考・状況]基本方針:どけ!!!俺はお兄ちゃんだぞ!!!主催者許さん!!!ぶっつぶす!!! 1:殺し合いには乗らない。 2:「出来る限り」殺しは控える。 3:悲鳴嶼と交渉し、味方につける 4:ユニットを捜索する。 5:両面宿儺を警戒。今は遭遇したくない 6:もし虎杖の肉体が参加させられているなら、持ち帰りたい 7:お前が関わっているのか?加茂憲倫…!! 8:どう動くにせよ協力者は必要になるだろう。 [備考] ※渋谷事変終了後以降からの参戦です。詳しい時系列は後続の人にお任せします。 ※ユニット装着時の飛行は一定時間のみ可能です。 ※虎杖悠仁は主催陣営に殺されたと考えています。 ※竈門炭治郎の斧に遠坂凛(身体)の血が付着しています。 ※服や体にも少量ですが血が飛び散っています。 【悲鳴嶼行冥@鬼滅の刃】 [身体]:坂田銀時@銀魂 [状態]:健康 [装備]:海楼石の鎖@ONE PIECE、バリーの肉切り包丁@鋼の錬金術師 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1、病院で集めた薬や包帯や消毒液 [思考・状況] 基本方針:主催者の打倒 1:脹相と話し、信用できそうと判断したら協力関係を築く 2:探索を終えたら病院へ戻り、しのぶ達と合流 3:無惨を要警戒。倒したいが、まず誰の体に入っているかを確かめる 4:デビハムの話には半信半疑。桐生戦兎と大崎甜花に会い、真相を確かめたい [備考] 参戦時期は死亡後。 海楼石の鎖に肉切り包丁を巻き付けています。 75 姉畑はソレを我慢できない 投下順に読む 77 Ψ難再び!柊ナナの憂鬱(前編) 時系列順に読む 45 兄と姉の探し物 脹相 93 人の過ちにはいつまでもとやかく言うもんじゃない 59 不安の種 悲鳴嶼行冥
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っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟?(前編) ◆h6KpN01cDg ☆ ……あの男の化けの皮を剥いでやるですぅ。 カジオーは支給品を何食わぬ顔で盗んでいました。見逃すはずありませんですぅ。 フッキ―が信じてくれないなら……軍曹さんに教えるべきですかねぇ。 フッキ―はカジオーと元の世界からの知り合い……疑いたくないのは分かるですぅ。ボクだって軍曹さんが隠れて悪いことをやっている、なんて言われても信用しないですから。 でも――― 発言からして、カジオーが一番邪魔に思っているのは間違いなくサッキーですぅ。ボクは……僕はサッキーを守るです。……絶対に。 ボクはフッキーより前を歩き、カジオーとサッキーと軍曹さんが残っている部屋に一足先に戻る。 いくら軍曹さんがいるとは言え、カジオーにサッキーを任せてなんておけないですぅ。 「……」 ボクが部屋に入ると、カジオーはサッキーに視線をくれていた。薄く笑いながら。 でも、カジオーはすぐにボクの姿に気づき、実に自然な動作でサッキーから目線をそらし、ボクと後ろから入ってきたフッキーに声をかけた。 ……こいつ、絶対何か企んでいたに違いないですぅ! 「お疲れ様です、副司令。タママ君。俺も手伝えりゃよかったんだけど……」 ふん、騙されないですよ。ボクはサッキーの様子をうかがった。 ……よかったですぅ、とりあえず今のところは異常はない、ですねぇ。 まあ軍曹さんがいましたから大丈夫だろうと思ってはいたですがぁ…… 「結構ですぅ。ボクとフッキーだけで十分、カジオーの出る幕なんてないですぅ」 「はは、手厳しいな」 思いっきり睨みつけてやったのに、へらへら笑っているばかり。……本当に腹の立つ男ですぅ。 臭い、臭すぎる……ボクと同じ匂いがするんですぅ。 僕が黒い気持ちを抑えて笑う時の顔―――それと同じなんですぅ。 「……サッキーに酷いことを言ったんだから自業自得ですぅ」 「……タママ、口を慎むであります。加持殿は我々の仲間でありますよ」 愛する軍曹さんの言葉に、ボクはぴくりと反応する。 叫びだしたくなるのをぐっとこらえて、そりゃもう思いっきり右手を握りしめる。 軍曹さん、騙されてますですぅ!こいつは、カジオーは危ない奴で――― 「いや、俺はサツキちゃんを足手まといだと言ったつもりはなかったが……そう捉えられてもおかしくない発言をしたのは事実だ。タママ君が怒るのも無理はない」 「いえ、そのようなことはないでありますよ!些細な誤解というのはどこでもあることでありますから……それに、加持殿のように立派な方がサツキ殿を足手まといだなんて思う訳ないと吾輩は存じております!」 ……軍曹さんはあてにならないかもしれない、ボクは悟った。 そう言えば軍曹さんはどうしようもないお人好しだったですぅ。そんなところも大好きではあるんですけどぉ……軍曹さんは、すっかりカジオーを信頼しきっているみたいですぅ。 ここでボクがカジオーを責めれば、軍曹さんはボクを責める……いや、軍曹さんは元々ボクの仲間なんですからぁ、フッキ―がカジオーを悪く思いたくないみたいに軍曹さんもきっとボクのことを……いや、今の軍曹さんの様子じゃあ、どうなるか…… 軍曹さんにサッキーの支給品について聞きたかったんですけど、これじゃああまりあてになりませんねぇ。 「そうでもないさ。俺にだって後ろ暗いことの一つや二つある」 「それは誰でもそうでありますよ。我輩も……まあずっと忘れてたけど……本来は加持殿や冬月殿のような方々を滅ぼす活動をしている訳でして……」 「でも今の君には友達がいるんだろう?それならいいじゃないか」 何やってるんですか軍曹さぁん!そいつを信用しちゃだめですよぅ! 「……すまなかった、タママ君。誓って言おう、俺は誰かを切り捨てたり利用したりするつもりはない。信じてくれ」 カジオーはボクにそんな言葉を言って、微笑みかける。 怒りで背中がぞくぞくするですぅ……この身の毛のよだつ感じ……ああああああ、この、嘘吐きが! なあにが『信じてくれ』だこの腹黒男!てめえが信じられないようなことをするからだろうが! ……そう、ボクだって分かっているんですぅ。 サッキ―はボクを信じるって言ってくれたけど、本当は―――それはすごく難しいことだってことくらいは。 「……タママ君」 名前を呼ばれ、はっとする。フッキーに声をかけられなければ、ボクはずっとカジオーを睨み続けていたかもしれない。 「……仲間は、信じるものだよ」 フッキ―はボクだけに聞こえるくらいの小さな声で、そう言う。 その言葉はもう三回も聞いた。聞き飽きた。フッキ―が優しい人だってことは分かっていますけどぉ…… 「……」 ボクはフッキ―には何も返さずに、カジオーを見る。 ―――怪しい。怪しすぎるですぅ……。 あの女をけしかけたくせに、素知らぬ顔をしているなんて、全くなんて腹黒い男ですぅ…… フッキ―や軍曹さんがカジオーを疑わなくても、僕だけは絶対に信じてやらないですぅ。 絶対に、化けの皮を剥いでやらぁ! そう、そのためにはまず、サッキ―のディパックの中身を知る必要があるですぅ。 ボクはカジオーから視線を外し、軍曹さんを横目で見る。 軍曹さんは眠っているサッキーの額の汗を拭っていた。 サッキー本人は眠っている。 そして、今度はカジオーとフッキーに。二人はやや部屋の隅で何か話していた。…… ボクには聞こえないですぅ。 ―――今なら、いける。 ボクはそう判断し、そっと軍曹さんに近づいた。 「軍曹さぁん」 お、今のボクはかなり可愛いかもしれない。 「……何でありますか?タママ」 軍曹さんの声には、用心の欠片もない。 ……カジオーが危ないことを考えているなんて、思いもしてなさそうですぅ。 軍曹さんに顔をよせ、問う。 「……サッキ―の支給品って、何だったんですかぁ?」 「サツキ殿の支給品?何でそんなことを聞くのでありますか?」 「いやあ、さっき変な虫が出てきたですよねぇ?それで、他に何か役に立つものがあるのかなあと思ったんですぅ」 「ゲロゲロリ……ふうむ、吾輩が見たのは拡声器くらいでありますよ」 「他には何かなかったですかぁ?」 ボクはすぐに尋ねる。 「……そこまでは確認していないでありますよ、タママが気になるなら今調べても―――」 「いえいえいえいえ!結構ですぅ、大丈夫ですぅ」 今ここで調べられたら、カジオーに探っていることがばれてしまうかもしれませんからねぇ。 ……ちっ、軍曹さんも把握していないとなると、ボクと出会った時気絶していたサッキ―は間違いなく中身を知らないに違いないですぅ。 例えカジオーがものを盗んでいたとしても、ボクにはそれを証明する手立てがない……。 てめえ、サッキーに何かしやがったらただじゃおかねえですよぉ! 今すぐにでも殴りかかりたくなる衝動を抑え、ボクはカジオーをじっと監視する。 すると突然、カジオーは僕に視線を向け、……妙なことを言い出しやがったんですぅ。 そりゃあもう、ボクの怒りが一瞬にして沸騰するくらいの。 ※ ―――タママとかいうカエル星人が、いやに自分に突っかかってくる。 それは、俺が草壁サツキのディパックから毒を拝借した辺りから感じ取っていた。 明確に俺に攻撃をしてくる訳ではない。ないのだが、時折隙を見ては俺を睨みつけてきたり、俺に反発してみせたり。 ……ばれた、のか?俺のしたことが。 ひやりとする。軽率な行動だっただろうか? あのタイミングで彼が俺のことを見ていたとは考えにくいが、『彼が人間より勘が鋭い』、だとかそんな可能性だって考えられたのだ。 ……それともただ、うっかり本音を零してしまった俺が気に入らないだけだろうか。 どうしてあんなことを言ってしまったのか分からない。焦っていた、それは認める。自らの手を塞いでまで何もできない彼女を救わなければならないことへのいらだちもあっただろう。 さっきから凡ミスを繰り返している気がする……ちっ、煙草がないから思考が鈍っているのか? 何にせよ―――今行動に移すのは困難を極める。 俺に対する負の感情を隠し切れていないところを見るに、俺や副司令に比べれば頭脳の方は残念みたいだが……逆にそのような奴の方が厄介でもある。 先ほどのアスカに対する攻撃。……聞いてはいたが、本当にすごい力だ。タママと揉め事を起こしてあんなものを食らったら、俺はあっさりと死んでしまうだろう。 幸い、今の自分は信頼を得ている。タママは保留として、ケロロとサツキに関しては問題ないだろう。俺のことを全面的に信用している。副司令も今のところ俺を疑っている様子も、何か行動を起こす気配もない。役立たず、だ。 腕の痛みに一瞬意識が飛ぶが、いやまだだ、と頭を振った。 ―――そう、今の一番の問題はタママ。 俺の杞憂であれば一番いいんだが、そうでない可能性もある以上なんとかしておきたい。 だから、俺は提案しようと思っていた。 彼が俺に敵意を向ける理由があるなら、今のうちに解決しておきたい。……そうしないと、ここでは生き残れないからな。 タママは強い。味方につけておいた方がずっといいだろう。 「……加持君」 タママに話を持ちかけようとしていたところで、タイミング悪く副司令に声をかけられた。動揺は見せず、あくまで冷静な声で答える。 ちらとタママに視線を向けると、奴もどうやらケロロと話しているらしい。……こちらにはどうでもいいことだが。 「何です?」 「……いや、あまりこんなことは聞きたくないのだがね」 ……?副司令の戸惑うような態度に、俺は首を傾げた。 言うか言わざるべきか、迷っているようにも見える。 「……副司令?」 「加持君、……君は、我々の味方かね?」 妙なことを聞く、そう思った。 してくれるも何も、今現在味方中じゃないか。 ―――まあ、あと何回の放送を超すまでかは不明だが。 「何言ってるんですか、もちろんですよ、副司令」 俺の答えにも、副司令の表情はすぐれない。 ……何だ?まさか、疑われているのか? わざわざ仲間を庇ってみせた今の俺を疑うなんて―――いや、俺の正体を知っている副司令なら、あるいは。 「……いや、すまない、そうだな、それなら構わない。妙なことを聞いて申し訳ない」 「いえいえ、俺は構わないですよ」 顔では笑いながら、俺は着々と思考を展開する。 ―――探られている? やはり、副司令は侮れない。まだ安心はできそうにない。 そして副司令も完全に俺を信じきっていない以上、一刻も早くタママとの関係は改善しておくべきだ。 ―――それに、まさかとは思うが…… タママと副司令は俺と出会う前からこの場で出会っていた。まさかその時から俺を疑うよう説明していた?……考えにくいが、100%無いとも言えない。 何はともあれ、今は、タママだ。 タママとの信頼を築ければ、自然と副司令も俺への疑いを薄めるだろう。 だから俺は、話し終わったらしいタママに、ゆっくりと提案した。 「タママ君、何か俺に言いたいことがあるんじゃないのかい?」 その時の奴の顔と来たら―――そりゃあもう、笑えるくらいだった。 目を血走らせ、まるで親の仇を見るような、恐ろしい形相だったんだから。 「……カジオー……」 「何か誤解があるのかもしれない。俺にできる限りは弁解も謝罪もさせてもらう。どうだい?何か不満があるなら話してくれないか?」 何を怒っているのかは(心当たりはあるが)見当もつかない。それならいっそ、俺が上手く丸め込んでしまえばいい。 上司であるケロロの様子を見ているに、所詮人間より単細胞な生命体の姿をした生き物、説得するのにそう骨は折れないのではないだろうか。 向こうが逆切れして襲いかかってくるという可能性もなくはないが―――さっきの様子を見ていると、タママはサツキに対してはやや甘い。 彼女の傍で、一応は『仲間』である俺を傷つけようとはしないのではないか。 ……まあ、所詮宇宙人だ、人間様とは価値観が違うのかもしれないが。なんて、仲間を裏切ろうとしている俺が言えた義理じゃないが。 「……加持殿、申し訳ないであります、タママが―――」 「いや、俺も彼と話をしてみたかったところだ。どうだろう?」 タママは俺をひたすら睨み続けていたが―――後ろのサツキが不安そうな顔をしているのを見て、小さく頷いた。 「……ボクは、構いませんけどお……」 そう、こいつに断る理由などないはずだ。 奴の上司もいるこの場では、タママも仲間と険悪な雰囲気になりたくはないと思っているだろう。そうなれば彼の憎悪の対象である俺に直接話した方が皆の気を荒立てなくて済む、それも分からないほどの馬鹿ではないと思いたい。 それに、一般人の俺よりタママの方が強いのは明白。俺がタママに殺されることはあっても、タママが俺に殺されることなどありえない。仮に俺がマシンガンを握っていたとしても、タママのタママインパクトとやらがあれば一瞬で消し墨になることだろうし。 ―――まあ、もちろんそれは、頭を使わなければ、の話なんだがな。 「そうか、じゃあ決まりだ」 「……ただあ、一つ条件があるんですけどお」 やや表情が落ち着いたらしく、声は小さい。しかし、相変わらず瞳だけは絶え間なくこちらを冷やかに睨みつけていたのだが。 ―――……変更。骨が折れるかもしれない。 タママが俺に抱いているらしき敵意とやらはどこから来ているのか。あまり考えたくなかった。 条件、だと?何か、嫌な感じがした。 「……何だい?聞くから」 「……フッキ―Ⅱと軍曹さんとサッキ―には、席を外してほしいですう」 背筋が、わずかに凍る。 二人?いや、確かにその可能性は十分あった。 しかし、まさか本当に言い出すとは思いもしなかった。 「三人には先に公民館へ向かってもらいたいですう。ボクとカジオーが二人で話をつけるですからあ。放送までには必ず戻りますう」 この、カエル……何を考えている? 俺とタイマンで話をつけたいのなら、ただ部屋を離れるだけで構わないはずだ。それを、わざわざ公民館に向かえ、後で行くから、だと? ―――俺を殺すつもりか? そんな軽率な行動はさすがにとらないだろうと思っていたのだが―――こいつは俺の思っていた以上にずっと単純なのかもしれない。 ちょっと待て、さすがにお前みたいな危険な奴と二人っきりなんてまっぴらごめんなんだよ。 「……すまない、さすがにそれには賛成しかねるな。何故なら三人は戦力的に―――」 その時、副司令が前に進み出る。 「……しかしタママ君。戦力の分散は危険だ。この場で話はつけられないのかね?それに、サツキ君の体調はまだ完璧とは言えない」 よし、そうだ、副司令。このカエルを説得してやってくれ。 「……ボクはカジオーと二人でお話したいんですう」 俺に向ける視線とは真逆の、マスコット的な愛らしい笑顔を向けるタママ。 ……なんつう猫かぶり……蛙かぶりか?な奴だ。 そしてあいにく俺にはカエルと二人っきりで過ごす趣味はない。美人だったら大歓迎だったんだがな。 「あんたが俺に言いたいことがあるのはよく分かったけど、しかし―――」 このままいけばタママも折れるのではないか、そう思いかけた横から、何とも腹立たしいタママ擁護の言葉が聞こえた。 「……冬月殿、加持殿……タママがああ言っているのであります。聞いてやってほしいでありますよ」 「……ケロロ君、しかし、」 「吾輩には加持殿もタママも特に問題はないように見えるのではありますが……お二方の間で何かあると言うのならば、二人で話をつけた方がいいと思うのでありますよ」 この、カエルが……! 舌打ちを必死で抑え込む。上司なんだから部下の面倒くらいみたらどうだ。 信頼してます、ってか? ネルフではこんな信頼なんてもんは感じ取れなかったがな。 「……サツキ殿は、吾輩と冬月殿で連れていくであります。……まあ大変だと思うけど……でも、タママが言うのだからきっと大切なことなのだと吾輩は思うであります」 「……ぐんそうさん……」 大切?冗談じゃない。早く誰かそんな無謀はやめろと言え。 俺の口からは、そんなことを言える訳がない。―――提案したのは俺だ、ここで俺が酷く抵抗すればそれだけタママは俺への信頼をさらに失くす。ひいては、他の皆も。 あとは副司令が説得してくれればいいが……。 「……分かった」 ……その答えに俺は、本気で頭を抱えた。 ☆ ボクは、カジオーの言葉に目を見開いた。 お互い、話をしよおおおお? 何を考えているんですか、この男……全く理解できんですぅ。 いや、考えろ、KOOLになれタママ二等兵。 軍曹さんの様子を見るんですぅ。僕の軍曹さんは、明らかにカジオーを信じ切っている。 あの女に自分を襲わせた自作自演に、軍曹さんは騙されているんですぅ。 そしてボクはずううううっとカジオーを監視していた……もしかして、それに気付かれた、ですかぁ? ……悪知恵は働く男のようですし、おそらくそうなのですぅ。 だとすれば、カジオーがボクと会話する理由―――それは一つのはずですぅ。 ボクを、利用して最終的に始末するために。 きっと、あんなに優しいサッキーが邪魔なら、ずっと歯向かっているボクはサッキ―のずっと邪魔なはずですぅ。そうなれば、カジオーはきっとボクのことを殺そうとしてくる! 馬鹿にするなですぅ。ボクはそんなに弱くないです―――カジオーにだけは死んだって負けないですよぉ! でも、カジオーはサッキーの支給品を持っている。 もしそれが、ボクでも到底かなわないような強力な武器だったら? ……まさか、ボクがあんな腹黒あんちくしょうに負けるはずなんて……っ! いや、ダメですぅ。油断をしたら、またあの女みたいなカジオーの味方が突然襲ってくる可能性もあるんですからぁ……。 自然に拳に力がこもる。 ボクは、ボクはカジオーにはぜえったい利用されてやらないですぅ! ……気づけば、ボクはあることを口にしていた。 「……フッキ―と軍曹さんとサッキ―には、席を外してほしいですぅ」 そう、ボクには証拠がない。カジオーは悪いことを企んでいる、ボクはそう確信しているんですけどぉ、それはフッキ―やサッキーや軍曹さんには伝わらない。軍曹さんもサッキ―のディパックの中身を知らなかったくらいなんですからねぇ。 多分、こう言う時には、カジオーが何か悪いことを企んでいる『証拠』を見つけることが先決だと思うんですぅ。 でもきっと、カジオーは今までの様子じゃそんなものを見せてくれるはずがない―――それなら、ボクがこの手でカジオーの悪事を暴きだしてやれば――― ボクが命を狙われることにはなりますが、ボクが死ぬわけないですぅ。 あの女と協力して軍曹さんを襲わせたって証拠も、きっと出てくるはずですぅ。……出てこないなら、無理やりにでも聞き出せばいいですしねぇ。 そのためには、カジオーを信頼している軍曹さんやカジオーの仲間であるフッキ―は傍にいない方がいいですぅ。 ……それに、サッキーに、もう傷ついて欲しくもない、ですぅ。 サッキーを見ていると、モモッチを思い出すんですう。 ボクは、モモッチと同じ名前で呼んでくれる優しいサッキーを苦しめたくない。 だからこの場でボクが一人でカジオーの化けの皮を剥いでやるんですぅ! ボクが、負けるはずないですぅ! 「……しかしタママ君。戦力の分散は危険だ。この場で話はつけられないのかね?それに、サツキ君の体調はまだ完璧とは言えない」 ……う。フッキーの言葉に、口ごもる。 そうだ、サッキー……まだ、うまく歩ける状態じゃあないはずですよねぇ……。 でも、だからと言ってここに寝かせておくなんて…… サッキーもカジオーに騙されているとしたら、サッキーはカジオーが痛い目に合ったら辛くなるはずですぅ。だから、サッキーの前では……。 「……冬月殿、加持殿……タママがああ言っているのであります。聞いてやってほしいでありますよ」 ボクの思考を中断させたのは、軍曹さんの言葉。 軍曹、さん……。軍曹さんは、ボクの味方をしてくれるですかぁ……? 「吾輩には加持殿もタママも特に問題はないように見えるのではありますが……お二方の間で何かあると言うのならば、二人で話をつけた方がいいと思うのでありますよ」 いや、違うですぅ。軍曹さんは、カジオーの企みには気づいていない。 多分、ボクがカジオーに冷たい態度を取っているって分かって、そしてそれを解決させようとしてるんですぅ。 ―――サッキーのためにも。 「ぐんそうさん……」 愛しの軍曹さん。そして、優しいサッキ―。 二人を守るために、ボクは何としても、カジオーをしょっぴいてやらなきゃいけないですぅ。……そう、今度こそ決めたですぅ 「……分かった」 ふと、フッキ―がそう口にした。ボクとカジオーはほぼ同じタイミングでフッキーを見る。 「……ケロロ君の言葉に従おう。加持君とタママ君は、ちゃんと話をつけてから公民館に来る。……それでいいかね?」 さっすがフッキ―、よく分かってるですう。 ボクの話したことを考えてくれたんですかねえ? 「ふ、副司令……ご冗談でしょう?危険です、サツキちゃんは怪我人で……」 クールな態度をとっちゃあいますが、カジオー、動揺しているのばればれですぅ。 「大丈夫でありますよ加持殿!吾輩加持殿の優しさと勇気に心打たれました故、加持殿のように立派になれるよう精進するであります。であるからして、ここは大ザクにでも乗った気持ちで吾輩に任せて欲しいのでありますよ!」 どん、と胸を叩く軍曹さん。 「……いや、しかしサツキちゃんは今眠って……」 「……大丈夫です。……歩くくらいなら、何とか」 サッキ―がいつの間にか、椅子から立ち上がろうとしていた。 「さ、サッキー、大丈夫ですか?」 ボクが起こしてしまったんじゃ……。多分、そうですよねえ……ごめんなさいですぅ……。 「うん。……大丈夫。……二人に喧嘩してほしくないから、お願い」 サッキ―は少し暗い顔でそう言い(多分、さっきあの女に襲われたことのショックですよねぇ。カジオー許すまじ!)、フッキ―の肩にもたれかかる。 「……サッキ―……」 「ですから大丈夫でありますよ。……サツキ殿は、吾輩が必ず守るであります」 「……」 カジオーが、沈黙する。 「……ありがとうですぅ、軍曹さん、フッキ―Ⅱ、サッキー……すぐ向かうですから」 ボクの言葉に、サッキーは少しだけ笑ってくれたけど。 それでも、やっぱりどこか、暗い顔をしていた。 ―――こうなったら、後はボクが何とかするしかないですぅ。 ボクは家から出ていく軍曹さんと二人の姿を見ながら、そう誓った。 時系列順で読む Back 少女が見た理想 Next っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟?(後編) 投下順で読む Back 舌は踊り、血は騒ぐ Next っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟?(後編) 命の選択を:急 ケロロ軍曹 っていうか、疑心暗鬼で呉越同舟?(後編) 冬月コウゾウ 草壁サツキ タママ二等兵 加持リョウジ
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私の名前は秋山澪。 人前に立つことや虫や爬虫類、オバケその他気持ち悪いもの怖いもの大嫌い。 趣味はベースを弾くことと詩を書くこと。 自分で言うのも何だけど詩作りの腕前は中々だと思う。 部屋には自慢の詩がつまったノートが山ほど置いてある。 前に一度ママに見せたらそのまましばらく固まってしまった。 感動のあまり言葉を失っちゃったんだ。 きっと心の中では 「やだこの子これで食べていけるんじゃないかしら?いや絶対いけるよしそうと決まれば早速デビューよ!」 とか思ってたんだろうな。 でもごめんねママ私は放課後ティータイムのベースとして食べて行くのが夢だからそれは無理なんだ。 ああ、私ってすごい親不孝者。 いやこの話はどうでもいいんだ。 実は今私にはたった一つだけ、それでいてとても大きな悩みがある。 私の幼馴染が、田井中律が最近私に冷たい。 今まではいくら私が嫌がっても 「みーおみーおー、グヘヘヘ今何色のパンツ履いてるのぉ?」 なんてちょっかい出してきたくせに今は私に関わろうとしてこない。 私から話しかけてもうんうんと頷くだけでそれ以上話が続かない始末。 そのくせ、私以外の人には普段どおり接している。 え?なんでこれが大きな悩みなのかって? だって私は律のことが好きだから。 ライクじゃない、ラブだ。 手繋いだり一緒に映画見たりチューしたりしたい。 あと、エッチなことも……なんて。 とにかく私は律が大大大好きだ。 ノー律ノーライフ。 語呂わるっ。 ノーりっちゃんノーライフ。 よしこれだ。 とにかくその悩みのせいで詩は思い浮かばないベースはうまく弾けない食欲は落ちる体重は別に減らないちくしょう。 だけど私はある可能性を思いついた。 もしかして最近私に冷たいのはすべて律のイタズラの内ではないのだろうか? 私が律を好きだということをすでに知っていて、わざと私に冷たくして私を落ち込ませようとしてるのではないのだろうか? それでついに私が律に構って構ってと泣きついた時に 「よちよち、澪ちゃんは寂しがりですわねぇ。でもレズきもい話しかけるな近寄るな」 なんて言うのではないだろうか? うわぁ律のドヤ顔が目に浮かんで何だか腹が立ってきたぞ。 いやもちろん私が悪戯に引っかかった時の律の笑顔も好きだよ。 あの無邪気な笑顔にどれだけ救われたことか。 私が落ち込んだ時何度も救われてきた。 しかし私にも我慢の限界というものがある。 今までずっと律に騙されて騙されて騙されて騙されての繰り返しでいいかげん悔しいのだ。 こうなったら私はこれからしばらく律のやることなすこと全部信用しない。 絶対に! だけど、ただ信用しないだけじゃつまらない。 日ごろからからかわれてるから何か仕返しをしたい。 そうだ、ワザと律の悪戯に付き合い、最後に律がネタばらしをした時に私はドヤ顔でこう言ってやるのだ。 「ふふ、最初から全部わかってたよ」 かっくいー。 そして翌日。 時刻は朝八時五十分。 場所は桜ヶ丘高校の三年二組の教室。 そこに私はいた。 唯はいつも通り天然ボケをかまし、和は冷静につっこむ。 ムギはそのやりとりを笑顔で見守り、律は……。 あれ?律は? 澪「唯」 唯「なぁに?」 澪「律はどこ?」 唯「りっちゃんはあそこー」 唯が指差した場所は律の席。 律はそこで肘をついて何か考え事をしてる様子だった。 考え事をしてる時の真剣な顔の律もかっこいいなぁ。 その考え事が私に関係してることだったらいいのに。 うーん澪を振り向かせるにはどうすればいいかなぁ、なんて。 大丈夫だぞ、私はいつでも律を見てるからな! すると律は視線を感じたのか私のほうを見てきた。 律「!」 しかし何も言わずすぐ机に顔伏せてしまった。 もしかして私の顔に何かついてるのか? さては律のやつ何か落書きを? 澪「和、私の顔に何かついてる?」 和「ううん。何もついてないわよ」 澪「ふぅん」 それじゃあ私が怒るような新しい悪戯でも考えていたんだろうか。 でも残念だな律。 今の私はすべてを信用していないし、何も怖くないからな。 言うなればスーパー無敵秋山澪だ。 紬「あ、澪ちゃん背中に虫ついてる」 澪「ひぃぃ!?ムギ取ってぇぇぇ!」 ……スーパー無敵秋山澪だ。 それから特に何もないまま時間は進み、あっという間に放課後になる。 しかし律はずっと何かを考えてるようだった。 珍しく寝ずに授業を受けてたがボーっとしてるだけ。 一体どれだけの悪戯を思いついたんだこいつは。 そっちがその気ならこっちも全力でいくぞ田井中律。 私がせっかく授業中ノートも取らずに四方八方見回してイタズラに備えていたのに意味がなかった。 しょうがない後でムギの綺麗な綺麗なノートを見せてもらおう。 そんなちょっとせこいことを考えていると唯が私の元にテケテケと寄って来た。 唯「澪ちゃん、部活いこぉ!」 澪「うん、行こうか」 唯「ムギちゃんもりっちゃんもー」 律「あー……悪いちょっと先行ってて」 唯「ほぇ?どうかしたの?」 律「いいからいいから。あと澪」 澪「はい!」 いきなり話しかけるなよマイワイフ。 思わず敬語になっちゃったじゃんか。 律「ちょっと澪も残って」 澪「へ?」 もしかして何か私にするつもりなのか? 授業中ずっと考えていた悪戯を今私にやるつもりなのか? よしいいだろうかかってこい。 もう昔みたいに何でも怖がって何でもビックリする私ではないっていうことを証明してやる。 紬「じゃあ唯ちゃん先いってようか」 唯「うんー」 は、待てよ。 もしかしてこの二人もグルなんじゃないんだろうか。 律が私のことをひき止めそのうちに部室では秋山澪ビックリ大作戦の準備が着々と進められるんじゃ。 澪「ちょ、ムギ待って!」 紬「ごゆっくりー」 ちくしょうお前ら大嫌いだ。 律「あの、さ」 澪「……何」 なるべくそっちけない態度を取ってはやくこの場を抜け出さなければ。 ああ今頃ドアの上の部分に黒板しかけられてるんだろうな。 お願いだからチョークの粉は少なめにしてね。 律「あー……ここじゃちょっと話しづらいから屋上いこうぜ」 澪「屋上?」 律「な」 澪「……わかった」 まさかこれは呼び出しというやつではないのだろうか。 お前最近舐めすぎじゃけんのぉ屋上こいやワレこらカレーパンかって来いよオラ、ということではないだろうか。 まずい、力では律に勝つことはできないぞ。 そして私は律の後ろをついていく形で屋上まで上っていく。 律は背中もかわいいなぁ。 後ろから思い切り抱き着いて 「わぁ、律の背中あったかぁい」 「こらこら澪、こんなとこで恥ずかしいZO☆」 とか言われながら頭なでなでされたい。 もしかしたらこれからぼこぼこ時間になるかもしれないのに私の頭の中はふわふわ時間。 だけど律にぼこぼこにされて私の魂がふわふわになったらそれはそれでいいかもしれないな。 そんなことを考えているうちに私と律は屋上へ繋がるドアの前へ着いた。 ガチャガチャ 律「あ、あれ」 どうやら鍵がかかってたようだ。 ばんざーい。 澪「屋上いけないんなら仕方が無いな。早く部室にいこう」 早く早く早く早く。 あーもう私の座るイスに画鋲がセットされてる頃だろうな。 いやもしかしたらお菓子の中に危ない薬をいれられてるかもしれない。 律「あー……じゃあここでいいや。どうせ人こないし」 人がこない。 これはボコボコ確定だ。 服の上からは見えないあらゆるところが痣だらけになるんだ。 そして私はお風呂に入るたびにすすり泣くのだ。 もうお嫁にいけない……と。 あーでもそれなら律に責任とってもらえるじゃんハッピーエンドじゃん。 律「澪……」 澪「こ、こい!」 律「……」 澪「……?」 律は私に殴りかかろうとせずそのまま自分の足を見るようにうつむいてしまった。 これもあれか、作戦か。 油断したところで私を階段の上から落とそうとしてるのか。 律「あの、さ」 澪「うん」 律「えと……」 澪「……?」 律「わ、私!ずっと澪の好きだった!だからそのよければ私と付き合ってください!」 ソーリーワタシニホンジンダカラエイゴワカラナイネー。 あ、今解読できた。 つまり律は私と恋人同士になりたいということかハッハッハ。 いよっしゃあぁぁぁぁぁぁぁ! なんて少し前の私ならその場で狂喜乱舞してたかもしれない。 しかしスーパー無敵秋山澪はである私はこれが律の悪戯だということに十秒で気づいた。 きっと私が喜んだ瞬間悪魔のような笑顔を浮かべ 「澪ってレズだったんだキモーいまじ縞パーン」 なんて言って私を絶望のどん底へ落とすつもりだ。 いいだろうその悪戯に付き合ってやる。 澪「……うん、いいよ」 律「ほんと!?」 澪「本当だよ。これからもよろしくね律」 律「は、はは……やった!やったぁ!」 律は犬のようにその場でぴょんぴょんと飛び跳ねて喜びを表現していた。 いや、喜んでる「ふり」か。 でもかわいいなぁ、頭をなでなでして骨っこあげたい。 澪「お手」 律「へ?」 澪「なんでもない」 きっと心の中では私のこと単細胞ミジンコウンコとか思ってるんだろう。 いいさ好きなだけ思うがいい。 さぁイタズラにひっかかってやったんだから早くネタばらししてしまえ。 付き合うわけないだろバーカと言ってしまえ。 律「じゃあ、明日早速遊びにいこうぜ!あ……デートか」 あれ?まだネタばらししないのか? そうか二日間かけての悪戯か手が込んでるな。 だけどいくらなんでもひどくないか。 私は律のことをこんなに愛しているのに律はそれを知った上で悪戯で私に告白をする。 やばいちょっと涙でてきた。 澪「ひ……ぶふっ……ひえっ」 泣くな空気よめ私の涙腺やめろやめろ声上げるな泣いたら負けだ。 澪「……うぇぇぇん」 あーダメだもう止まらない。 律「ど、どうした澪!?泣くほど嬉しかったのか!?」 澪「ちが……律、律、律が……律がぁ……」 律「私!?私がどうかした!?」 澪「りづ、律が、私に悪戯するからぁ……ぶふっ」 律「は!?え?悪戯?ん?」 それから私は顔をくしゃくしゃにしながら今までのことをすべて話した。 主に私がどれだけ律を愛してる、ということを。 律「……アホか」 澪「だって!だって今までずっと!」 律「そりゃあ悪戯したりからかったりしたけどさぁ……それは全部澪が好きだからこそで」 律「ずっと私の気持ち伝えたかったけどなんか恥ずかしくて……」 澪「じゃあ何で今頃になって言うのさ……」 律「だってもう三年生だしさ……もうチャンスなくなっちゃうかなぁて」 澪「……ばか」 律「澪だって私がここ最近ずっとそのことで悩んでたこと知らないだろぉ」 澪「……ふ、ふふ」 律「うん?」 澪「最初から全部……わかってたよ」 終わり 戻る
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「気のせい、ですかね」 そう呟き、ヴァイスは去った。 「ちょっとそこの兄ちゃん、さっき変な男が中学生の女の子に声かけとったで!不審者や!ヘンタイや!」 「ヘンタイか…崎原さん狙われてなきゃいいけど」 「ウチが突撃しようとしたら去ってったし…ほんまキモいわぁ。」 (空橋くんも、不動さんもミコトが嫌いだったんだ…そっか、みんなミコトが嫌いなんだ。仲良くしよう、なんて嘘だったんだね) 「崎原さん、おはよう」 「…」 「あれ?」 「嫌いなら来ないでください。」 「え、どうしたの?嫌いなんて言うわけ」 「空橋くんと不動さんが組んでミコトをいじめてるのも、それはミコトが嫌いだからってことも、全部知ってるんですっ!」 「ちょっと待ってよ、なんで」 「嫌いです!不動さんも空橋くんも、みんな…みんな大っ嫌いです!もうミコトに話しかけないでください!」 美琴は泣きながら走り去った。 「あ…」 「おい、お前ら」 「な、何よ…きゃっ」 司は、先日美琴に悪口を言っていた女子生徒に掴みかかった。 「お前ら、崎原に何言った!?」 「ちょっ、なんのこと!?」 「お前らが崎原にでたらめ言ったんだろ!毎回毎回陰湿だなとは思ってたけどそこまで最低だとはな。女子だから殴られないとか思うなよ。」 「あ、あたしらがやったのは机にゴミと上履きだけだってば!崎原には直接何もやってない!」 「どういうことだよ、おい…じゃあなんであんなこと」 「崎原さんに何が…まさか、昨日の変な男じゃ」 「変な男!?なんだそれ」 「凪姉に似た女の子が、中学生に声かける変な男を見たって教えてくれたんだ。崎原さんは僕とそんなに身長変わらないから中学生だと思ったのかも。」 「空橋!なんでもっと早く言わなかった!そいつに崎原がなんかされてからじゃ遅いんだよ、今から探しに行くぞ!」 「ふ、不動くん!」 司は冬也の手を引っ張って学校を飛び出した。 (ミコトはもう…ひとりなのですね。)