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クリスマスプレゼント配達 メッセージ 11-00243-01:アポロ・M・シバムラ:-10 合計消費マイル:-10 お届け先:英吏・M・シバムラ(アポロ・M・シバムラ個人ACE) メッセージ: 英吏さん、メリークリスマス! この間会ったあとに 危ない目にあった(もしくはあうかもしれなかった)と聞きました。 すごく心配しました。怪我してませんか、大丈夫ですか? いつも、何もできないでいてごめんなさい… もう、早めにクリスマスプレゼントのセーターは渡してしまったけど、 ちゃんとクリスマスにもプレゼント届けられるようだったので もう一回贈っちゃいます。 この間のセーターを「毎日使う」って言ってもらえたのがすごーく嬉しかったので 毎日使ってもらえそうなマグカップを作ってきました。 調子にのってごめんなさい、でも使ってもらえると嬉しいな。 英吏さん大好きよ、愛してます。 いつもあなたのことを考えてます。 アポロより プレゼント(URLなど):手作りのマグカップ+近況写真 はーとくらふとさんでの判定ページ 手作りのマグカップ:http //idress.chinchill-a.com/heartcraft/index.php?%E5%88%A4%E5%AE%9A%2F83 プレゼント用のページ(クイーンと共同):http //academic.meganebu.com/~gosyuyu/xmas_e/x1.html /*/ お届け先:クイーンオブハート(アポロ・M・シバムラ個人ACE) メッセージ: クイーン、メリークリスマス! いつも英吏さんの傍で英吏さんを守ってくれてありがとう。 この間は初めて会えてうれしかったです。もっとクイーンとも仲良くしたいな。 あなたがいると、英吏さんがとても嬉しそうなので私も嬉しいです。 クイーンに丁度よさそうな大きなバンダナを作りました。 怪我したところに巻いたりもできるので、邪魔じゃなかったら使ってね、 と英吏さんにお願いしておきますね。 クイーンにとって、どうかこの世界にいることが幸せなことでありますように。 アポロより #クイーンは読めないと思うので、英吏さんに読んで聞かせていただければと思います。 プレゼント(URLなど): はーとくらふとさんでの判定ページ 手刺繍バンダナ(大判):http //idress.chinchill-a.com/heartcraft/index.php?%E5%88%A4%E5%AE%9A%2F84 プレゼント用のページ(英吏さんと共同):ttp //academic.meganebu.com/~gosyuyu/xmas_e/x1.html
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アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国さんからのご依頼品 長らくお待たせして申し訳ありません!! ログのどこも素敵でどうしようかかなり悩みましたが アポロさんのかわゆさに悶絶してる英吏さんをかかせていただきました。 喜んでいただければ嬉しいです! おまけは英吏さんの専属ナースなアポロさんですv 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) ぎゃーありがとうございます!!悶絶(って英吏さんがするのが想像つかなかったのですが)英吏さんをありがとうございまする…あゆみさんの描いてくださった英吏さんがすてきで私が悶絶しております。ナース姿もありがとうございます!こんなナース服着てみたいです(ごろごろ -- アポロ (2009-09-11 17 47 19) 名前 コメント ご発注元:アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one namber=1862 type=1783 space=15 no= 製作:久珂あゆみ@FEG http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=2224;id=UP_ita 引渡し日:2009/08/28 counter: - yesterday: -
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「宰相府の秘書官たち」 03/31小笠原ゲーム まつり: こんばんは 22時から1時間生活ゲームをお願いしておりましたのでまいりました 芝村: 記事どうぞ まつり: (記事転載 省略) よろしくお願いします 南天: 今晩和、宜しくお願い致します 芝村: イベントは? 南天: ええと、雷電たちの様子を見に行きたいのがまず1番で それから、現在の様子など高之さんにお伺いしようと計画しております なので、二匹は宰相府の厩舎でしょうか? 芝村: なるほど。 2分待ってね 南天: あと、申し訳御座いません lが通るか見ていただきたいのでお願いします!(汗) l:南天は週に3日は必ず厩舎に立ち寄り、アヤフジ、フジトラの世話をしている。 l:英吏さんに教えてもらったことを元に試行錯誤して訓練や世話に勤しんでいる。 はとおりますでしょうか 芝村: 通った まつり: #よかったー 南天: 有難う御座います!! 芝村: で、いいのかい? まつり: はい 南天: はい、すみません 芝村: OK 1分待って /*/ 芝村: ここは宰相府の前だ まつり: 「改めて入るのもなんだか変だけど(笑) 南天さん行こうか」 南天: 「そうだね、じゃあこっち」 南天: 厩舎の方へ移動します まつり: 南天さんの後ろをついていきながら高之さんを探してます 芝村: 厩舎には英吏がいる まつり: 「あれ?」 芝村: のんびり世話してるよ 南天: 「あ、う(汗)」ちょっと固まります まつり: r:南天さんを肘でつつきます 南天: 「え、英吏さんですか?えと、芝村英吏さんですか?」 まつり: r:(声を出さずに笑ってます なんじゃそりゃー) 英吏:「・・・それが、なにか」 南天: ダッシュで走っていって、抱きつこうとして手を握ります。 「ご無事で…」 まつり: うーん。お邪魔な気がしてきました 厩舎に高之さんがいらっしゃらないなら探しに行きます 南天: #ご、ごめん(汗) まつり: #どんまい 英吏:「名前を忘れられていたのはショックでしたが、まあ無事でした」 英吏:「失礼」 芝村: 英吏はさっていった まつり: 「あー、英吏さんまってください」 南天: 「お待ち下さい!」 まつり: Q:行っちゃいました? 南天: r:追いかけます 芝村: ええ。いってしまった 姿は見えない まつり: 南天さん犬妖精使えば 南天: r:犬妖精の追跡を使います 芝村: ログアウトしたようだ。 南天: orz 南天: うう、だって、自分の会ってた英吏さんじゃなかったらと思って… まつり: r:私も高之さんを探しに行きます r:呼んでみます まつり: 「たかゆきさんー?」 中庭まで出てきました 芝村: 高之は女性たちの談笑の輪から出てきたよ まつり: Σ 高之:「いよう。ひさしぶり」 まつり: 「お邪魔しました?」 高之:「まさか」 芝村: 高之はにこっと笑った。 まつり: 「…」 笑います 高之:「怒るなよ。人気取りも仕事の一つだ」 まつり: 「お元気そうで安心しました はい」 抱きつきたいけど我慢して手をとります 指先だけ握る感じで 芝村: 高之は小さく微笑んだ。 南天: Q:こちらから英吏さんに呼び出しをかけることは出来ますか 芝村: A:無理 南天: Q:10マイル使っても無理でしょうか 芝村: A:凄い勢いで特殊発動中 まつり: #曲解されてるんじゃないか… 南天: Q:手紙は届けられますか? 芝村: A:ええ 南天: では今書きますー 書きながら厩舎にもどってアヤトラの様子を見ます 高之:「?」 まつり: 「えっと。来月お誕生日でしょ? それで あう約束をとりつけたりしようかなって」 「思ってたんですけど」 高之:「ああ。いいね。派手に誕生パーティでも」 まつり: 「派手に?」 (ちょっとがっかり) 高之:「地味でもいいが」 まつり: ちょっと首をかしげて 小声で「デートしてもらおうと思ってた…」 高之:「どうしようかな」 芝村: 高之は少し笑った。 高之:「いいとも、どこにいく?」 まつり: 「どこでも。貴方とふたりなら」 まつり: Q:これは宰相府の中庭ですよね 周りに人はいますか? 芝村: A:ええ。遠くでtactyと森と風野が まつり: 「た、たかゆきさん えっと、厩舎の方に行ってもいいですか!」 まつり: r:職場でした! という顔 高之:「ん。ああ」 芝村: 一緒に移動していい。 ギャラリーも移動してる まつり: いやーん(笑) まつり: 「もう… あの人たち……」 「どこでもいいですもう」笑います 高之:「なんだありゃ」 まつり: 「なにって?」 「カップルが珍しいんじゃないかしら」 高之:「いや、いじけて手紙かいてる」 まつり: 「ああ… さっき変なこと言って英吏さんの機嫌を損ねちゃったんです」 「素直に抱きつけばよかったのに…」 南天: えっと、自分は厩舎で手紙を書いていると思うのですが…(しょぼん アヤフジとフジトラはいますか? 芝村: ええ>南天 南天: Q:繭ですか?まだ幼生ですか? 芝村: A:幼生だよ 南天: r:手紙を発送します 南天: 英吏さんへ さっきは取り乱してしまって、申し訳御座いませんでした。 最近お姿を拝見していなかったので、 戦闘に出て、英吏さんに何かあったのではと 苦しくて気が狂いそうでした。 やっとお会いできたので、嬉しくて嬉しくて まさか見間違いではないかと、思わず確認してしまうなんて 恥ずかしくて顔から火が出そうです… お許しいただけるのであれば、もう一度 23時までは宰相府の厩舎におりますから お顔をお見せ下さい… 英吏さんに嫌われたままでは、生きてはいられません どうぞ、宜しくお願い致します。 #ちょっと獣の匂いのする手紙です。 南天: r:二匹をいつもどおり世話しながら待ちます まつり: 「高之さん」顔を見上げます 高之:「?」 まつり: 「戦争が」 高之:「戦争ね」 まつり: 「起こったらデートどころじゃないんじゃないかって」 高之:「俺はデートを優先するが」 まつり: 笑います 「安全な場所なら…」 高之:「どこでもいいがね。俺としては」 まつり: 「ん。わかりました」 「慌てないで 無事に戻ってこられるようにします」 芝村: 高之は笑って貴方にキスをした。 まつり: 嬉しくて笑います #南天さんごめん! 次のページへ
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クリスマスプレゼント配達 メッセージ 14-00287-01:南天:-5 合計消費マイル:-5マイル お届け先:芝村英吏 メッセージ: 英吏さんへ 師走のお忙しい中、英吏さんはいかがお過ごしですか? こちらは今、そちらから1万光年離れたところに来ています。 すぐに会えないと思うと、寂しく、とってもお逢いしたく思います。 また、こうして、英吏さんにご連絡したり出来るのが信じられません。 信じられないくらい喜ばしく、幸せを感じます。 嬉しすぎて、手紙かくというのに、さっきから惚けてばっかりで… まったくもって我ながら間抜けに思います。 お口に合うか分らないのですが、クリスマスのプレゼントに ティラミスとマグカップを贈らせて頂きました。 気に入っていただけるといいのですが… そちらに戻れるのは、年明けと思いますが またお会い頂けるのを、こっそり希望いたします。 メリークリスマス、良い新年をお迎え下さい。 南天 プレゼント(URLなど):http //www26.atwiki.jp/minamitennka/pages/110.html
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アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国様からのご依頼品 深い霧に包まれた森の国、玄霧藩国。 その中心地、政庁のお膝元とも言える公園の近くの一戸建ての家の玄関に、一人の青年が佇んでいた。 藩国民の大部分を占める、長い耳の森国人ではない。 鮮やかな金髪の、端正な顔立ちの青年である。 長身の割りに痩せぎすな体躯が不健康にも見えるが、常に背筋を伸ばした姿勢がそれを補って余りあった。 しかし、この青年はその美貌ではなく、その才覚によって名を知られている。 彼の名は英吏・M・シバムラ。 このNWを守る組織、ISSの指揮官である。 そして彼は、一人この玄関の前で悩んでいた。 といっても、この家が犯罪組織の隠れ家であるからだとかそういう理由ではない。 ここは玄霧藩国の医師、アポロ・M・シバムラの家である。 英吏は、彼女から食事をご馳走したいという誘いを受けてここにやってきたのだ。 「……」 そういう訳で家の前までやってきた所で、英吏は悩んでいた。 苗字からわかるように、二人は浅からぬ仲である。控えめに言っても恋人同士だ。 鈍感を通り越して曲解の天才とまで呼ばれた(周囲の評なので自覚はないが)、英吏の目から見てもそれは疑いようがない。 そんな相手の家で食事をご馳走になるという事に何も感じないほど、彼はまだ達観していなかった。 アポロの家を訪れるのは初めてではなかったが、やはり気恥ずかしい。ついでに緊張する。 そもそも、前回は調子を崩した彼女を心配して訪れたのだ。 いわば緊急時の非常措置、(自分でもこういう言い方はどうかと思うが)衛生兵の真似事のようなものである。 向こうから誘われた今回とは話が違う。 その緊張たるや、芝村の家名を与えられた時ですらここまでではなかった。 とにかく、こうしていても始まらない。 待ち合わせの時間までもう一分もないのだ。 初めて雷電に触れた時の勇気を思い出しながら、意を決して呼び鈴に指を伸ばした瞬間。 「いらっしゃいー、英吏さんー!」 煉瓦色の髪を翻したアポロが、玄関の扉を開けた。 その表情は森から差し込む陽光を思わせる笑顔だったが、英吏にはあいにく見とれる余裕はなかった。 「そろそろかと思って、出ちゃった」 少し恥ずかしそうに、少しだけ体を縮めてアポロが言う。 「なるほど」 冷静に考えれば説明になっていないのだが、その様子が却っていつもの彼女らしい。 それにあわせて、英吏もいつもの調子を取り戻す。 「調子は、いかがですか?」 「あー……」 すでに元気になっているのは今の様子を見ればわかったが、会話のきっかけとして英吏はあえてその話題を選んだ。 それに万が一という事もある、変にこじらせて医者の不養生になってしまっては笑い話にもならない。 「もう、大丈夫、あの時は心配かけてごめんね…」 照れているような、落ち込んでいるようなそんな顔をする。 出会った頃こそ戸惑ったものだが、今の英吏はアポロのその豊かな表情が気に入っていた。 「英吏さんこそ、大丈夫?」 そんな事を考えて気が緩んだ瞬間、思わぬ反撃が返ってきた。 「また痩せましたが、これはまあ」 少しばつが悪い思いをしながら、英吏は答えた。 実際、最近の健康状態は良いとはいえないだろう。 ISSの食糧事情はだいぶましになったが、多忙から食事は抜くことも多いし睡眠時間も不規則だ。 自分では太る必要もないと思っているので、あまり気にしていないのだが…… 「だめだよ…あんまり痩せると心配なんだから」 アポロはひどく心配そうだった。 以前同僚に自分でも言った事なのだが、どうも痩せていれば女に好かれるというわけではないらしい。 「と、とりあえずあがってくださいなー」 不思議なものだと思いながら、英吏は促されるままにアポロの部屋に上がった。 本当に、また痩せてる。 英吏を部屋に案内しながら、アポロは彼の言葉を実感していた。 ちらちらと横目で見るだけでも、それは明らかだった。 とはいえ、見たところ怪我の跡などはない。 動乱真っ只中というFVBに行っていたという話も聞いていたので、少しだけ安心できた。 好きな人が怪我もなく生きていてくれる、ただそれだけで。 「なにか?」 そうやっていると、視線に気づいたらしく聞き返された。 「うん…FVBにいたって聞いたあとから、英吏さんの様子がわからなかったから、心配で」 リビングに案内しながら、素直に気持ちを白状する。 「ああ、幸い、無事治療を受けられました」 すると、ちゃんと答えが返ってくる。 治療を受けたということは怪我はしていたのだろうが、それをごまかさずにちゃんと教えてくれたのは嬉しかった。 「そか、それならよかった…」 それで本当に安心できて、アポロはいつの間にか彼を抱きしめていた。 日の光が差し込む明るいリビングの中で、どこか骨ばった英吏の体の感触が伝わってくる。 「え、ええとなにか」 しばらくそうしていると、英吏が照れた様子で呟いた。 それを聞いて、やっと自分のしている事に気づく。 「あ、ええとそれでですね」 それで今度はこっちまで照れてしまった。 確かにこれは恥ずかしい、かもしれない。 「はい」 「今日は英吏さんにご飯ごちそうしたくって」 恥ずかしさをごまかすように、えへへと笑う。 「一生懸命作ったんだー、食べていってくれる?」 「……」 少しだけ、考えた後。 「わかった」 英吏は頷いてくれた。 「ありがとー!」 それが素直に嬉しくて、アポロは無邪気に笑った。 もう一度抱きしめなおしてから、体を離す。 よく考えると旅行社を通じて連絡していた気もするが、それはそれ。 うきうきとした気分で、アポロは早足に台所へ向かった。 「土産でもかってくればよかった」 リビングの椅子に座って、英吏はぽつりと呟いた。 目の前ではアポロがテーブルに、温野菜らしいもののサラダを並べている。 どうにもする事がないというのは、落ち着かない。 「気をつかわなくていいのに」 そんな英吏の内心を知ってか知らずか、アポロは嬉しそうに笑いながら台所と居間を行ったり来たりしている。 その度に、煉瓦色のポニーテールが揺れるのが目に入った。 「うまそうだな」 目の前に置かれた海鮮とブロッコリーの炒めものを見ながら、英吏は素直に感想を述べた。 すると、アポロはなぜか照れたように笑う。 「そ、そうかな?私あんまり料理得意じゃないからそんなに凝ったものじゃなくてごめんね・・・」 男の目から見ればこの並んだ料理、例えばレトルトではない麻婆茄子など十分以上に手が込んだ料理に思えたが。 それを口にするより先に、今度は不安そうな顔でこちらを覗き込まれた。 「嫌いなものとか、無い?」 「いや、特には」 まあ、もしあったとしても、答えは変わらなかっただろうが。 「実は、好き嫌いがない」 「そうなんだ、よかったー!」 単に戦場暮らしが長いとそうならざるを得なかっただけなのだが、それで喜んでくれるのなら何よりだった。 お手紙かなにかで聞いておけばよかった、と言いながら今度は炊飯ジャーごとご飯を持ってきた。 「えへへ、それならどうぞー召し上がれー!」 よそったご飯を箸と共に英吏の前に差し出して、アポロがにっこり笑う。 食事もそうだったが、この笑顔を見れるだけでもここに来た甲斐はあった。 「いただきます」 行儀よく手を合わせてから、英吏は箸を手に取る。 口にした料理の味は、その見た目と匂いを裏切らないものだった。 英吏さん、美味しそうに食べてくれてる。 しばらくの間アポロは箸をつけずに、彼の食事する様子を眺めていた。 誰かの為に料理を作るのは初めての経験だったけれど、こうして美味しそうに食べてもらえるとやっぱり嬉しい。 その気持ちだけで、自分まで何だか満たされるみたいだった。 「そなたは?」 そうやっていると、やっぱり気になったみたいで英吏さんに聞かれた。 「うん、私も食べるけど。英吏さんが食べてくれるのが嬉しくて、見ちゃってた」 素直に答えると、英吏さんは何故か黙り込んでしまった。 「あまり面白くはないと思うが」 しばらくしてから、本当に不思議そうに英吏さんが言った。 それが自分ではわがままだとわかっていても、何だか寂しくて、自然と拗ねたような言い返してしまう。 「…だって英吏さん最近痩せちゃってるから…たくさん食べて元気になってくれたら嬉しいもん…」 英吏さんはまた不思議そうな顔をする。 「……太ってる方が健康なのか?」 言われてみればそうかもしれない。 「うーん」 最近、メタボリックとか問題になってるし。 だけど… 「でも、英吏さん健康的にダイエットしてやせたんじゃないじゃないー」 痩せるにしたってちゃんとしたやり方とそうでないやり方があると思う。 実際、今の英吏さんはスマートっていうより針金みたいだ。 「……色々あったから」 自分の声が、風船みたいにしぼんでいくのがわかる。 「心配だったの……」 「ユーリンチーがうまい」 話を逸らそうとしたのか、英吏さんが料理を褒めてくれる。 それから英吏さんはお箸を置いて、言葉を続けた。 「……おわったことだ」 ユーリンチーを褒められた事と、英吏さんがそう言ってくれたことが嬉しくて、気持ちが明るくなった。 「……うん」 「きにするな」 英吏さんは今までの全部を思ってか、優しくそう言った。 「……ありがと、うん、食べてね」 きっと自分は、笑っているだろう。 アポロの言葉に促されるように、英吏は食事を再開した。 しかし、先ほどまでは夢中になって食べていたから意識することはなかったが…… 「人と話しながら食べることがあまりない」 今更ながら、何というか。恥ずかしいというか、そんな気分になった。 我ながら言い訳がましいと思うが…… 「最近、普段は一人で食べているの?」 「健司と食べるときは競争だな。会話はない」 そういえば広島にいた頃から、一人の時もそうでない時も、食事は大抵そんな感じだった。 「ふふふ、そうなんだ。それも楽しそうー」 ……男同士で競争しながら食べるというのが楽しく見えるのだろうか。 まあ、とにかく。 「だが、こういうのもいいな」 そういうと、アポロは顔を赤くした。 「あ、ありがとう……」 何とはなしに、箸を動かす手が止まる。 「英吏さんさえよければ、ずっと作りたいな」 箸を動かす所ではなくなった。 「……」 ……さすがにこの意味がわからないほど、鈍感ではない 「色々な意味にとれるが、ああ」 本当に、色々な意味だろうが。 「イエスだ」 大事なことなのでというわけではないが、二度肯定した。 顔に熱が集まるのが、自分でもわかる。 「え、ええと、どんな意味かって言うと」 手をばたつかせながら、アポロがいったんそこで言葉を切る。 そして。 「一緒に暮らしたいとかそういう意味なんだけど、それでもイエス…?」 覚悟を決めたように、顔を近づけながらそう言った。 「あらゆる意味で」 「あらゆる……」 お互いの言葉の意味を考えながら、二人は会話を続ける。 「お、お嫁さんにもらってって言ってもイエスなんですかっ」 最後に確認するように、アポロが少し大きな声で迫ってくる。 「まあ、さすがに内縁の妻とかにはしたくないな。俺でよければ」 言われるまでもなく、というかそもそも結婚しないという選択肢がなかった。 「あ、ありがとうございます」 アポロがなぜかお辞儀をしてくる。 「お嫁さんにしてください」 「俺からも頼む」 それにあわせるように、英吏も頭を下げた。 言ってしまってから自分達が大変恥ずかしいやり取りをしていることに気づき、英吏は盛大に照れた。 家の中とはいえ、何ということを言ってしまったのか…… そんなことを考え始めた瞬間、体に優しい重さを感じた。 表情を覗き込むと、アポロは泣きそうな顔をしている。 「食事中だぞ」 言葉とは裏腹に、出来るだけ優しさを込めて。 英吏は、「お嫁さん」を抱きしめた。 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) 名前 コメント ご発注元:アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one namber=1477 type=1464 space=15 no= 製作:アキラ・フィーリ・シグレ艦氏族@FVB http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1804;id=UP_ita 引渡し日:2009/1/21 counter: - yesterday: -
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アポロ@玄霧藩国さんからのご依頼品 大っ変お待たせしました……! 頭に花びらのっけて待ってる英吏さんにきゅんときたので、その場面を描かせていただきましたv 大きいサイズは壁紙加工してみました。1024*768ですが、よろしければどうぞ。 http //l2-s.hp.infoseek.co.jp/aporo.jpg 某ケータイCMが好きで……えへ。花びらに埋もれたいという願望を勝手に投影させていただきました……(笑) 本来のサイズはこっちです。ちょっと大きいです。 http //2style.in/hius/oga/img_o/aporo_ot.jpg なんか英吏さんの顔の向きが同じですいません……!!orz アポロさんの英吏さんを参考にさせていただいたのですが(服も。でも配色にセンスなくてすいませ……orz)かっこよさが全然及びませんですみません。ぐおー。 どうぞお幸せにですv ご依頼ありがとうございましたー!! http //2style.in/hius/oga/aporo.html 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) こちらでのコメント遅くなりまして本当に申し訳ございません!ギャワー!あたまに花びらのせてる英吏さんがかわいかっこよすぎ!と、見た瞬間叫んでおりました。花びらに埋もれるのも素敵ですよね、4コマまでありがとうございました! -- アポロ (2008-07-02 06 18 37) 名前 コメント ご発注元:アポロ@玄霧藩国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one namber=173 type=123 space=15 no= 製作:鍋 ヒサ子@鍋の国 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1032;id=UP_ita 引渡し日: counter: - yesterday: -
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アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国さんからのご依頼品 きっと一番らぶであろうシーンを選ばせていただきました。ちょっと英吏さんふっくらめかもしれませんがすみません。 うちのがお世話になっております。お互い頑張りましょう。 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) 素敵な英吏さんの絵をありがとうございます!英吏さんが半端なくかわいくてどうしようかと思いました。お願いできてよかったです。こちらこそ、ゲームにお邪魔していたようで…どうも、お世話になりました。頑張りましょう~ -- アポロ (2008-08-23 08 40 55) 名前 コメント ご発注元:アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one namber=937 type=842 space=15 no= 製作:山吹弓美@愛鳴之藩国 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1361;id=UP_ita http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1362;id=UP_ita 引渡し日: counter: - yesterday: -
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11月14日室賀兼一in小笠原 プレーログ ニンジャ: お世話になっております。小笠原ゲームを遊びにきました。 ニンジャ: 今お時間よろしいですか? ニンジャ: (お忙しいのかな) 芝村: いいすよ。 芝村: 記事どうぞ 芝村: 忙しくはないですね。 ニンジャ: はい。記事を転載します. ニンジャ: ●小笠原ゲーム 【予約者の名前】3400678:室賀兼一:リワマヒ国 【実施予定日時】2007/11/14 15:00~16:00 【ゲームの種別】小笠原ゲーム 【イベントの種別:消費マイル】 ・ミニイベント(1時間):10マイル 【召喚ACE】 ・斉藤奈津子:藩国滞在ACE:0マイル 【合計消費マイル】計10マイル 【参加者:負担するマイル】 ・3400678:室賀兼一:リワマヒ国:仮入学(既):10マイル 記事こちらになります. 芝村: イベントは? ニンジャ: ええと、9 冒険 でお願いします. ニンジャ: なっこちゃんとの試練ですので、彼女があせらない奴はなにかなあとおもったら、冒険かなあと思いまして 芝村: OK. 芝村: 2分ほどお待ちください ニンジャ: はい。よろしくお願いします。 芝村: /*/ 芝村: 学校です。 芝村: 奈津子は突然倒れた。 芝村: 奈津子:「えーと、これのどこが冒険でしょう!」 室賀兼一: 「おおっと。」 私も同じくこけつつ 室賀兼一: 「いや、これから冒険に出るところということで」 室賀兼一: あたりを見回します。 いつもの教室かしら。 芝村: 学校の前だね。 芝村: 宰相府発表の地図によると、ここには英吏の宝があるらしい。 室賀兼一: おお。 っていろいろ宝がある人だなあ。 室賀兼一: 「興味湧きますね。英吏さんが他に大事にしてるものがあるなんて」 芝村: 奈津子:「えー」 芝村: 奈津子:「め、めがねでしょうか、やっぱり」 室賀兼一: 「意外にもっとかわいいものかも」 目配せします。 室賀兼一: 歩きやすいよう今日は高位南国人+学生+歩兵アイドレスを着用中です。 「何が宝なのかわかったら、プレゼントを用意するときの参考になるかもしれませんよ?」 芝村: 奈津子:「そうですね」 芝村: 奈津子は笑顔になった。 芝村: 奈津子:「行きましょうっ!」 室賀兼一: 「ええ!」にっこり笑って捜索にGO! 芝村: 今は授業中みたいだね。 芝村: どうする? 室賀兼一: 来客用のスリッパで入っていきましょう。って自分達は生徒でしたっけ。 室賀兼一: では、守衛さんにみつからないようにこっそり入っていきましょう。授業ぬけだしてるのがばれないように、、、 芝村: はい。侵入しました。 芝村: 奈津子:「英吏さんもさすがに授業中でしょうね。宝はどこに…・・」 室賀兼一: 「英吏さんの普段いらっしゃるところはどこでしょうね。厩舎かな?」 室賀兼一: 「普段いるところに身近に置いているのかも」 芝村: 奈津子:「……」 芝村: 奈津子:「厩舎に一度いってみましょうか」 室賀兼一: ??、、、 「そうですね。いってみましょう」 室賀兼一: 厩舎に向かいます。 芝村: 厩舎には沢山の雷電がいる 室賀兼一: わあ。 クイーンオブハートはどこかな。 室賀兼一: 間違いなく英吏さんの大事にしてるものの一つだけれども。 芝村: クイーンがいた。 芝村: 丸まって眠ってる 室賀兼一: 「クイーンに聞いてみましょう。私は動物と話せますので」と、奈津子さんに声をかけます。 室賀兼一: あら、可愛い。 芝村: 奈津子:「ええ。それ以上に。きっとクイーンに守らせていると思うんです」 室賀兼一: クイーンの部屋(?)の周りはどうですか? 何か変わったものはありませんか? 芝村: 見た感じは普通だね。 芝村: うーん。目立つものは何もなさそうだ。 室賀兼一: ううむ、なるほど。 「奈津子さん、クイーンを起こして聞いてみようと思います」 芝村: 奈津子はうなずいた。 芝村: 奈津子は小さくドアのかんぬきを開いた。 芝村: クイーンが顔をあげた 室賀兼一: 「クイーン、クイーン」 ドアの外から声をかけます。 室賀兼一: 「こんにちは。 室賀兼一です。 室賀兼一: クイーン、あなたにお願いが会ってきました。 室賀兼一: 英吏さんの大事にしているものを知りませんか? 同じ物が手に入ったら、奈津子さんと二人でプレゼントしたいと思うんです。 芝村: クイーンはちょっと首を傾けた。 芝村: 奈津子をくんくんかいでいる。 芝村: 奈津子:「ちょ、やめてくだ」 室賀兼一: 「ははあ。なるほど。クイーン、ありがとう」御礼を言います。 室賀兼一: 「奈津子さん、英吏さんの大事にしてるものがわかりましたよ」 芝村: 奈津子:「え?」 室賀兼一: 「あなたですよ、奈津子さん。 クイーンは、英利さんの大事なものとは、あなただと言ってるんです」 芝村: 奈津子、びっくり 芝村: 奈津子:「えー!」 室賀兼一: 「確かに学校にあるし、英吏さんのすぐそばにある。何かあってもクイーンが守ってくれる。」 芝村: 奈津子顔を真っ赤にしている。手をふってる。 芝村: 奈津子:「違いますよ違いますよ、ぜったいたぶんちがいます」 室賀兼一: 「こまりましたね、プレゼントのしようがない」にこにこ笑いながら。 芝村: 奈津子:「違うはずです・・・」 芝村: 奈津子、照れている。 室賀兼一: 「同じ物はふたつとない。 いいじゃないですか奈津子さん。 それだけ身近に感じてもらってるということで」 芝村: 奈津子:「そんな・・・ほんとうにそうでしょうか・・・」 室賀兼一: クイーンに御礼を言ってまた寝かせてあげましょう。 「クイーン、起こして悪かったね。」 といって二人で厩舎を出ます 芝村: 授業が終わったようだ。 芝村: そろそろ学生が外に出たりし始めているぞ 室賀兼一: おっと。二人の仲を取り持ってるみたいで、英吏さんが悪く思うかもしれない。 言い含めておこう。 室賀兼一: 「まあ、英吏さんにあったら、無理に聞いてみるより、そばにいてあげたらいいんじゃないかなあ。 きっと喜びますよ」 室賀兼一: 「では、私はこれにて。 いや、良い冒険でした」 とそそくさと。 芝村: 奈津子は貴方の気遣いに不意に気づいたようだ。 芝村: 微笑んで、ありがとうございますと元気に貴方に声をかけた。 室賀兼一: 「はあい。ではでは~」 いいこだなあ。 芝村: /*/ 芝村: はい。お疲れ様でした。30分きったので10マイル返金されます。 ニンジャ: ありがとうございます。 あっという間でした。 芝村: こりゃ見直さんといかんな。 芝村: 評価+1+1 芝村: 試練は何事もなく越えました。 ニンジャ: おお。ということは友情+5。 ありがとうございます! ニンジャ: 試練もパスですね。 やったーー! 芝村: 優月夜曲勲章を手に入れます。 芝村: 適用第一号だね ニンジャ: ゆうづき やきょく くんしょう、ですね。 ありがとうございます! ニンジャ: (ゆうげつかも) 芝村: ゆうげつやきょくだね。 芝村: ついでに斉藤奈津子のコインを手に入れるよ ニンジャ: わかりました。 コイン?といいますと、どんな効果があるんですか? 芝村: 大抵のゲームで召喚出来るよ 芝村: ま、使う機会は少ないだろうけど、記念品みたいなものさ。 ニンジャ: なるほど。 ありがとうございます。 芝村: 友情を一つ得るたびに、このコインが手に入る。 ニンジャ: 微笑青空のように、個人ACEになったりはしないんですね。 芝村: ええ。かわりに友人はいくらいてもいいので、貴方とかならそのうち複数の友人を召喚できるようになるだろう。 ニンジャ: なるほど。ありがとうございます。 芝村: 英吏やクイーンは+3友情だし ニンジャ: おお。英吏もですか。ありがとうございます。 芝村: はい。ではそういうことで。解散しましょう。ま、真価はゲーム進めるといいですよ(笑) ニンジャ: なるほど。 では引き続きゲームを進めてみます(笑) 今日はありがとうございました! ニンジャ: おっと、そうでした。 芝村: ではー 芝村: なに? ニンジャ: 秘宝館への依頼ですが、1:1でよろしいでしょうか? 芝村: ええ1・1で結構です ニンジャ: ありがとうございます。 ではそのようにいたします。 ニンジャ: では、失礼いたします~ 芝村: ではー ニンジャ: ではー
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アポロ@玄霧藩国様からのご依頼品 /*/ 勉強時間。 英吏は周囲を見ていた。 教室は閑散としている。 アポロ以外には誰もいなかった。 アポロは、 「どうも、よろしくお願いします英吏さん」 そして頭を下げた。 「あまり人がいてもいけませんもんね、お仕事上・・・」 と、もごもごと、 「あ。いや、そ、そうなのか」 英吏は少し照れているようだった。 アポロもつられて照れて、 「え、ほ、ほら、他の人の恋のお話になりますし!」 そして頬を赤らめて、 「…2人なのは、嬉しいですけど…」 英吏は、一歩後退り、 「う、うれしいとは」 英吏はせきばらいした。 アポロはえへへ、と笑って返した。 英吏は真摯な態度で、 「すまぬ。いや、中々自分で向いてる話ではないとは思ってる」 アポロは照れつつ笑っている。 「そうなのですか?でも、英吏さん優しいから向いてるかもですよ?」 英吏はよろけた。 「冗談も時と場所を選ぶべきだな」 アポロは、 「うわ、すみません、誠意があると言ったほうがよかったですねえ・・・」 と困った様子をみせた。 英吏は、照れている。 アポロは、そんな英吏もいいなあと思いつつ、 「でも大変ですよね、いろんな方の恋愛の手助けなんて」 英吏は、額に手をあて、ため息をついた。 「あまりに被害が多いらしい」 そして顔をあげ、 「困ったものだ」 と再びため息をついた。 アポロは、 「被害…」 と確かめるように口にして、 「私の友人たちも色々と大変みたいです…ここの、恋愛で」 「ああ」 英吏はうなずいた。 「そこで、まあ、まずいことをやりそうな人に声をかける。我々の仕事は簡単にいうとそうだ」 アポロは、ぽんと手を打った。 「ああ、なるほどー」 英吏は、簡潔に言葉を選んでいる。 「注意を促す、それだけ。出来れば、気づかれないように」 だがそれは、言うほど簡単には思えなかった。 アポロは、 「気づかずにまずいことやっちゃいますもんねえ…」 英吏の説明にうなずき、 「ふむふむ」 疑問を口にした。 「女性には、英吏さんが注意を促すのでしたっけ?」 英吏はそうだ、と言って、 「まあ、女は俺が、男は鋸山が相手することになっている。例外はあるがな」 そして、 「ああ。まあ、なんというか、さすがに俺を見て恋敵には思わないだろう」 アポロはそう言う英吏をじーっと見て、 「…そうは思えませんが…?」 英吏は見られて目を逸らした。 英吏は、何も気づいていないようだ。 「何のことだ?」 そして、 「というか、さすがに俺を好きなのは、いないと思う。源ならまだしも」 と、悪友にして親友の名を告げた。 アポロは、言うか言うまいか迷って、 「うーん・・・」 言ってみることにした。 「あの、すみません」英吏を見つめながら、自分を指差す。 「ここにいるんですが」 英吏はびっくりしてアポロを見ている。 顔が真っ赤だ。 英吏は声を震わせながら、「あまり冗談は言うべきではない」 アポロはうつむいて、 「うーん、冗談、に見えますか」 言った。 アポロは、告白の返事が冗談は言うな、と言われては、あんまりである。 少し悲しくなりながら、いや、がんばろうと思った。 「あ、いや」 英吏は照れている。 英吏は、眼鏡を押し上げついでに、顔が赤いのを隠そうとしている。 「その、あまり女性には縁がなく」 アポロは、冗談にされてしまった告白に、 「あ、いえ、その、英吏さんに今すぐ何かしてって訳ではないので…」 思ったまま言った。 「そのまんまです、そのまま聞いておいてやってくださいな」 ちょっと寂しそうに笑いながら言った。 英吏は照れたまま、 「ああ。いあその」 英吏は母を思い出して、 「悲しそうな表情は、やめていただきたい」 アポロはすぐにそれに気づき、 「ああ、すみません」元気なフリをした。 「大丈夫ですよっ」 英吏は、女性からの好意になれておらず、 「……自分が何が出来るか分らないが」 ちょっととんちんかんな答えをした。 「出来ることは、その、やります」 そんな英吏の様子にアポロは、 「ううう、そ、そんなに肩に力入れなくてもー」 アポロはだがめげずに、 「そ、そうですね、でもそういって下さるのは嬉しいです」 英吏は少し微笑んだ。 英吏のいまの心境は、 「自分はアドバイスする側なのにアドバイスが欲しいと思っている」 アポロは恋しい人のとまどいに、 「…英吏さんは、そのままでいいですよ」 告白、した。 「ふつーにしてる英吏さんが好きですよ」 英吏は表情に困った。 そういうことは言われたことがないようだ。 アポロは、困らなくていいのにな、ととりあえず笑顔で返した。 英吏もかなり引きつった笑顔を向けた。 中々、人生初が続いているようだ。 アポロは、英吏のとまどいを、かわいいなあ、もうと思った後、 「あはは、なんだかびっくりさせちゃって、ごめんなさい」 そして思い切って、 「あーそうですね、何かお願いができるとしたら・・・」 英吏は顔が紅い。 「いや、なんというか」 アポロは笑顔で、少し照れつつ、 「たまに、こうやって一緒にいてもらってもいいですか?」 「分かった」 急に英吏は冷静になった。 英吏は眼鏡を指で押した。 「承知した」 アポロはその口調に笑いながら、 「承知ですか!」 お礼を言った。 「ありがとうございます、英吏さん」 アポロは元気に、 「私に何かできることがあったら英吏さんも言ってくださいねー」 英吏はすっかり勘違いから冷静になっている。 「ああ」 英吏は寂しそうに微笑んだ。 アポロは寂しそうな微笑みの意味がわからない。 「…?」 当然である。 告白した相手に、時々でいいから一緒にいたいと、なかなか甘い言葉をささやいただけである。 英吏は、さっきまでの調子を取り戻し、 「まあ、我々の普段の仕事は、巡回だけだ。ある意味暇だな」 アポロもさっきまでのペースに戻って、 「パトロールしているのですか…」 英吏は、「どういうアドバイスをするかが問題だ」 難しい顔をして、 「ああ。うまく到着できればいいんだが」 アポロはこれまでの小笠原のことを思い出し、 「いろんなところで問題が起きてたりしますからねえ」 英吏は窓まで歩いた。「ああ」 英吏は、窓の外を見ている。 「とはいえ、始終監視しておくのもかわいそうだ」 アポロは窓の外に何かあるのかと後ろから見てみながら、 「そうですね、恥ずかしいですもんねえ、恋愛ですし」 窓の外には何も見えない。 英吏は窓から景色を眺めただけだった。 「ああ」 アポロは恋愛のアドバイザーって大変だな、ふむふむ、なるほどと納得した。 英吏は黒板まで移動した。 アポロは窓際でそのまま英吏を見ていた。 「それじゃ、私も英吏さんと一緒に普段巡回してればいいのかな…?」 首をかしげて、 「お手伝いするならば」 英吏はふむとうなずいて、 「そうなるな」 嬉しそうにアポロは、 「英吏さんの傍でお手伝いできるなら、嬉しいですね、うん」 英吏は寂しそうに微笑んだ。 アポロは、英吏がなぜ寂しそうに微笑むかわからない。 「…お邪魔ですか?」英吏は、眼鏡を押し上げ表情を隠した。 「いや。とても助かる」 そして、 「さて、そろそろ時間だな。今日はとても疲れたと思う、ゆっくり休んでいただきたい」 アポロは英吏の様子がおかしい意味がわからない。 「…疲れてないです、大丈夫です」 寂しそうな英吏を気づかった。 「英吏さんこそ」 英吏は貴方を見た。 英吏は、 「私は話しているだけです」 アポロは落ち込んでいる。 「私、ずうずうしいことばかり言っちゃって…」 英吏は、 「そんなことはない」 そして、「貴方はとても立派だ」 英吏は遠くを見た。 アポロはがくっと転けたい気持ちになりながら、 「立派って何ですか!」 声を大にして、 「私は普通にしてるだけですー!好きな人に好きって言っただけです!」 そして最後にもう一度、 「立派じゃないです…」 英吏は混乱している。何か誤解してたようだ。 急に慌てだした。 英吏は、 「あ、いや、別に」 軽くパニックになってから、 「何を落ち込んでおられる……」 アポロは告白がある意味スルーされたのだから、落ち込んで当然である。 「だって立派だなんて」 英吏は、まだ混乱しているようだ。 「……失礼した」 そして言葉を探し、思いつかずそのままを言った。 「なんといえばいいか分からない。私はアドバイザー失格だな」 英吏は、 「すまない……」 アポロは、落ち込みながらも、 「ううう、私も何言ったらいいかわかりません…でも、あやまらないでー」 アポロも困った顔をして、 「…アドバイザー失格だなあ…」 とつぶやいた。 英吏は、少しだけ微笑んだ。 アポロは英吏を見て、やっぱりどうしたらいいかわからなくて、少し微笑んだ。 /*/ 携帯版 http //blog.m.livedoor.jp/ogasawara_ss/index.cgi?sso=985b281cf32104bf735d6050835cbe293541cfde 至らぬ所多いと思います。 ご意見ありましたら何でも言って下さいませ。 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) ありがとうございます!ぐあー、英吏のかわいい雰囲気が素敵に伝わってくる感じでとっても良いですー! -- アポロ (2007-12-08 15 56 54) 名前 コメント ご発注元:アポロ@玄霧藩国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=241;id=gaibu_ita 製作:藤原ひろ子@FEG http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=527;id=UP_ita 引渡し日: counter: - yesterday: -
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カラ、コロ、 カラ、コロ。 境内に続く石畳の上を、下駄履きの素足が小走りにしていく。道の左右に広がるのは、社を守る高い木々によって構築された豊かな空間で、夜をその身に落としたアスファルトよりもひんやりと、霊所に相応しい土の匂いを一帯に漂わせている。高木がしめやかな土から立ち上る冷気をその傘の中に捉え、逃さないでいるのだ。そのうす暗がりを、ちらほらと、人影が楽しむように点在していて、ひそやかな会話たちが、森閑とした中を、耳にではなく、肌身に聞こえるように満たしている。 そんな中を、歩調こそ違えど、似たようないくつもの足音…ぺたりぺたりと草履の音も重なって、今は珍しく灯の入った石灯籠が構えた、階段脇に集まりやがて止んでいく。まあるく人の手と歳月が一緒になって削り出した石灯籠の内側から、ゆらゆらと、生きた火にしか出せない淡さで放射されている光、浮かび上がるのは男女種々の浴衣姿。影が、はしゃいでいるかのように、とめどなく揺れていた。 風が熱く、そしてどこかしら甘い、夏の夜のことだった。 /*/ ~祭囃子:前編~ /*/ 祭りの会場からはひっきりなしに上がる屋台の掛け声、子供たちの不思議によく通る甲高い声で、あれやこれやの珍しい品々を子らなりに品評している面白おかしそうな様子や、その面倒を見ている大人達の彼らを追いかけるゆったりとした足音、それに、射的や、祭りに付き物のフランクフルト、焼きそば、たこ焼き、いか焼き、お好み焼きといった、すぐに暖まる焼き物のじゅうじゅう鳴る脂ぎったうまそうな音、綿あめを回す機械のごうんごうんと低く響き渡る音などが、ぎゅうぎゅうに詰まって立ち上っている。 「では、行こうか。人数が多いからはぐれないように。はぐれたら、やぐらのところに集合ね」 浴衣の袂に手をつっこみながら、穏やかな調子で述べたのは、後ほねっこ男爵領の領主である火足水極であった。彼の同行者たちはあんまりに人数が多いものだから、中心人物となる2つのゲストを取り巻いて、二つの同心円を描いており、一つには、いかにも引率らしい先生と呼ばれる男とその賑やかしい細君を中心に、もう一つには、これまた友好国である愛鳴藩国の面々と国元の仲間が取り巻く、一人の少女と男を中心にしたグループとで構成されている。 その、少女のグループの、やや後ろの方からみなを促すように、火足は全体を視界に収めて立ち位置を決めていた。引率といえばこれも引率らしく、はぐれるもの、不都合の出るものがいないよう、しんがりで見ているつもりなのだろう。やや面長の、見るものをおっとりさせるような落ち着いた雰囲気が、その行動に違和感を持たせない。 わらり、それまでにも賑やかにしてた集団が、突如の来訪者によって緊張を帯びた。 /*/ 神社の裏山に現れた英吏と斎藤奈津子は、眼下の喧騒を避けて、ぐるりと迂回しながら進んでいた。 「……」 「ここが未確認の勢力下であることを忘れるなよ、斎藤」 「あ、はい!?」 ごくん、と生唾を飲みながらもの欲しそうにしていた斎藤は、英吏に手を引かれながら図星をつかれて二重の意味でどぎまぎした。 はわわ、手、手をつないじゃってます! 加えて彼女の高性能な両の目は、それでもこんな暗がりから容易に祭り会場の催し物を判別し続ける。ああ、あのお面はなんでしょう、猫のような狸のような…リンゴ、リンゴも、なんだかぴかぴか光ってます。透明な何かに包まれて、うわーおいしそう! いけないまた英吏さんに怒られる、でもでも、うわー、うわー、バナナが、バナナがチョコで綺麗でおいしそう…! そんな人間最終兵器の内心の挙動不審を、見透かしているのか、いないのか、英吏に幼体の頃から躾けられた動物兵器である狐型雷電クイーンは、きゅんとも鳴かずに二人の後ろを追走している。 英吏は油断なく索敵を行っていた。状況を掌握していない地域において、何が起こるかわからない。女性にしては長身な斎藤よりも遥かに高く、でかいその巨躯を、機敏に体捌きながら林の中を突き進む。身につけた銃器の重みが心強い。じりじりと、祭りの会場に近づきながら目を配る。実弾はフルに込めてある、素性はなんだかわからんが、ああして動いている限りは生物だろう、生物なら、こいつを喰らって無事で済むものもいるまい。 「―――!!」 「ふぇ?」 気の抜けた声を漏らした斎藤の口を無意識のうちに押さえながら英吏は立ち止まる。あの姿、確か―― 「~~~~!!」 「暴れるな…静かにしていろ」 手元でこくこく斎藤が頷くのを感じながら、たった今、ちらりと目にした少女の情報を頭の中で検索。 肌の色は前に見たより幾分白いか、髪も、ストレートに変わっている。だが、骨格などの特徴が記憶と合致する。 周りを取り巻いているのは…りゅうへんげとやらの仲間だろう、ちょうどいい、あれを人質に問い質してやる。 「行くぞ、斎藤」 「は、はい!!」 英吏さん、手、手に私のつばが…! 言われるがまま、慌てて身構えながらも、斎藤の頭の中はさっぱり状況についていっていなかった。 /*/ 「では、行こうか。人数が多いからはぐれないように。はぐれたら、やぐらのところに集合ね」 しんがりをつとめているらしい、長髪の男がそう言ったのを見計らい、英吏は飛び出し懐から機関拳銃を抜き放った。飛び出した、とも言えぬほど、静かでひそやかな、しかし示威的な挙動だった。 「!!」 みなが緊張し身構える中、火足はとっさに後ろを振り返った。せっかくの祭りに、どんな誤解があっても寂しい。皆が必要なことをしているのなら、自分はそれ以外の必要なことをしよう。そう思った。 果たして少女、後藤亜細亜の後ろ、構えられた機関拳銃の射線上に、射的会場はなかった。 /*/ 英吏は警戒しているようだけど、なっこちゃんは展開についていってない。トーゴさんが身構えていないのなら、この場はきっと安心なのだろう。誤解をまずは解きながら、亜細亜ちゃんのいいようにしてあげられるといいな。 火足は眼前で進む展開を見守りながら、そんなことを思っていた。 あ、亜細亜ちゃん舌噛んだ。ガチガチだなー。 「逃げないあたりに進歩が見れますね」 押し倒せー!との、自分の奥方の野次をさておきながら、吹雪先生は火足に話し掛ける。何度か会って、通じるものがあると感じてくれているのだろう。頷きながら、 「ちょっと荒療治かともおもわんではないのですが。目覚しいですな」 さておかれた方の吹雪先生の奥さんは、旦那につっこみを入れられて夫婦喧嘩を始めている。ものすごい勢いで亜細亜をプッシュ、というよりけしかけようとしている奥さんに、さすがと火足は笑いながら感心した。さすが、子供と遊ぶ時も手を抜かないでコテンパンにするひとだなあ。 展開の方はというと、自分が知らない英吏の女性関係がいきなり次から次へと繰り広げられて、なっこちゃんがほとんど怯えるように緊張している。英吏は英吏で相変わらず銃を構えたまま、人を殺せそうな目で、亜細亜に対して尋問まがいの会話を続けている。 「やっぱり抱きついてキスしたほうがはやいんじゃないの?」 「だれかこの人とめてくれ!」 「お前夫だろう」 トーゴが吹雪夫妻の喧嘩につっこみを入れた。 「先生が止めんで誰が止められるんですかー」 火足も続いてつっこみを入れた。 一方とうとう緊迫感が頂点に達してしまった会話に、亜細亜もなっこちゃんも泣き出した。たまきとミーアがそれぞれぎゅうっと安心させるように彼女らの手を握る。 「さっきからずっと思ってたんだが、りゅうへんへんげってなんじゃね」 「ああ。この間海法よけ藩国の人がですね。あ、いいですか、解説」 しかめっ面で英吏が連呼する名前について聞き返すトーゴに、なんとか奥さんの攻撃から脱しながら吹雪先生が答える。 火足はひたすら状況を見守りながら、促した。 「吹雪先生よろしく」 /*/ 後藤亜細亜は緊張していた。 一つには、英吏ともう一度会えるから。 一つには、自分で英吏ともう一度会おうとしているから。 一つには、周りのみんなを騙して、あの時の英吏と、もう一度会おうとしているから。 シロ宰相からもらったマイルで呼び出す相手を藩国逗留の英吏から、何も知らずに呼び出されてしまった英吏に切り替えた。着用アイドレスを、吹雪先生の奥さんの着付けで夏祭り用の金魚風浴衣に着替える時も、それで緊張した。 まんまるくて大きなぬいぐるみに、こっそり英吏と名前をつけて可愛がっていた。ガンオケ緑の英吏は格好いい。自分で直接会ってみて、ますますその思いが強まった。 火足さんたちから、また小笠原に行こうと声を掛けられた時、ひそかにこの計画を実行しようと思いついて、我ながら驚くほどの行動に、やっぱり緊張した。先生の奥さんに一所懸命お化粧してもらって、自分でもちょっとびっくりするくらい変わった姿に、ほんの少しだけ、心が期待で躍った。 いつもより、ずっとずっと、緊張した。周りにいっぱい人がいて、わーっとなるのより、周りの人たちに気付かれて何か言われないか、英吏さんにまた会えるけどほんとに会ってしまったらどうしようどうしよう、とか、そんなことで緊張した。 唾がのみこめないくらい、緊張した。 いきなり現れた英吏に突きつけられたのは、銃口だった。 /*/ 「英、吏、さん……」 英吏がこういう人間だということは知っていた。だから亜細亜はそのことでは動揺しなかった。 「なぜ私の名前を知っている?」 「し、調べましたっ」 少しでも、英吏に答えよう、答えようと、必死に会話を続けた。 「どうやって、調べた?」 英吏は人殺しのような冷たい目で、自分を見ている。 「もう一度尋ねる。どうやって調べた?」 「イ、インターネットです」 冷たい口調に、知らず、ぎゅうと手を固く握りこんでいた。 「それはナショナルネットワークのようなものか」 頭がかーっとなって、冷たくなって、頬が強張った。英吏さんのいる世界は第五世界で第五世界はインターネットがなくて、ええと、ナショナルネットワークってどんなものだっけ、何か答えないと、何か答えないと…… 「あと、ゲームです。ガンオケ緑を買ってもらって」 「りゅうへんげが言っていたのだな。どういうものだ。いえっ!」 怒鳴られた。 /*/ 「怒鳴らないであげて!」 隣で誰かがしゃべってる。 「子供を泣かせるのが貴方の趣味ですか?英吏さん。」 また別の誰かが言う。 違う。違うの。 思いながらぼろぼろ涙がこぼれてきた。 「まあまあ、子供相手に大人気ないかと」 涙をぬぐうことすら思いつかずに、凍りついて立ち尽くしながら、唇を噛む。 違うの。 英吏さんは悪くない。 英吏さんは悪くない。 悪いのは私。 みんなを騙して、英吏さんを怒らせてしまった私。 なっこちゃんの泣いてる音もする。誰かがなっこちゃんに寄り添ってる。 ごめんなさい、なっこちゃん。 ごめんなさい、先生。ごめんなさい、先生の奥さん。ごめんなさい、トーゴさん。 ごめんなさい、みんな。 ごめんなさい、英吏さん。 ごめんなさい。 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。 ごめんな、さい… 立ち尽くしている肩に、暖かな手が置かれた。 /*/ 火足は、ずっと懐に差し込んでいた手を抜いて、亜細亜の肩に手を置いた。それで少しは落ち着いたのだろうか、手に感じる亜細亜の体はわずか、ほぐれたようだった。 吹雪先生がみんなに状況説明を始めている。一人、ほねっこの仲間が飲み物を買いに走ってくれた。ありがとうと思いながら自分も説明に耳を傾ける。 「ああ。この間海法よけ藩国の人がですね。あ、いいですか、解説……亜細亜に聞いたんですが、亜細亜と英吏を呼んだらしいんですよ。それでその、まあ、英吏は大変不機嫌だったようで、イベントは夏祭りだったかな。まあ、ところがですね。亜細亜はあれ以来どういうわけだか英吏英吏とうるさくて。ぬいぐるみに英吏って名前をですね」 ここまで説明が来て、亜細亜が不意に火足の手から逃れて走り出した。真っ赤になって、英吏の顔を見てからのことだった。 ありゃ。 「あああ、下駄で走ると危ないってばー」 慌てて声をかけるが恥ずかしくて聞いていない。かわりに彼女を追いかけてくれる仲間たち。よし、そっちは任せよう…任せた! 「ところで、吹雪先生。あなた、学校で女生徒から何か言われたりしませんでしたか、もー(この無神経!)」 火足は、落ち着きかけた場に一服の清涼剤となるべく、吹雪先生に話し掛けた。 華麗にスルーされた。 /*/ 気に食わん、と英吏は思う。 気に食わんことだらけだ。 状況は不明で、にも関わらず相手方には自分の情報を相当のところまで握られている。当人達にそのつもりはないのだろうが、ぬいぐるみだの、女の子の特権だの、あれこれと余計な話が間に加わってくると、余計にいらいらする。 亜細亜は逃げる、状況はさっぱり把握できない、にも関わらずこいつらは必要以上に慌てない。苛立っている自分の方が弱い立場にいるようで、ますます頭に来る。 「ここはどこで、お前達はなにかだ。そこから話せ」 例の、しんがりに立っていた髪の長い男、亜細亜に先ほどまで手をかけていた、火足とかいう奴が、話し出した。やはりこいつがこの一群のリーダーか、と思いながら、荒唐無稽な話を聞く。 「私達は、自分達の世界をニューワールドと呼んでいます。かつていた世界から、我々は落ち延びました。そこで世界を発見、開拓しました。こことは別です」 「頭が痛くなるようなおとぎ話だな。それを信じろと?」 意外なことに、冷静な答えが返ってきた。 「そうですね、まず仮定として考えてくれても構いません」 /*/ 事情を聞いてみると、思ったより状況は悪くないようだった。 「あなたに会いたい、そういう人がたくさんいたからです。英吏さんの都合をお聞きできなかったのは、申し訳なく思いますが」 「自由に呼び出せるわけではありません。想いが一定量にならないと、奇跡めいた現象はおきません」 「人に焦がれ、一目でも姿を、声を、存在を感じていたいという想いです。それは魔術と呼ぶには、少しばかり原始的に過ぎる」 自分が誰かの思い通りに無限に呼び出される危険性はないと、わかっただけでも充分だ。試すまでは、信用できないが、思ったよりこの男は話せた。言っていることは曖昧で感傷的な言い回しをするが、言おうとしていることが何なのかは、よくわかった。 「…………」 なにより一番大事なことは。 俺を呼ぶ、こいつらがいなくなれば二度とこういうことは起こらないと理解出来たことだ。 /*/ わあ、なんだか賑やかな催し物がやってますー、英吏さんと二人きり、て、手をつないでもらって…… などとのん気に思えていたのはほんの少しの間だった。 「お願い、ちょっと待って!」 「あいにく、私は私の勝手にやる、人に命令されるのはまっぴらだ。給料でもでないかぎり。抵抗するなら射殺する」 気付いたら、英吏さんは知らない人たちの前に立って拳銃を突きつけている。しかも、なんだかよくわからないけど、お、女の子が英吏さんの前に出てきて、しししかも英吏さんとしりしり知りあいみたいであああああ。 「この間、さらわれて、こりてなかったと見える」 さらった? 英吏さんが、この女の子を? 「押し倒せー!」 無責任な野次が心に刺さる。そ、そうなの? そうなんですか、英吏さん? 「やっぱり抱きついてキスしたほうがはやいんじゃないの?」 の、ノー!! 「りゅうへんげが言っていたのだな。どういうものだ。いえっ!」 なぜだかわからないけど、英吏さんが大声を出して、それでもう緊張の糸が切れてしまった。斎藤は、誰かに手を握られながらほろほろ泣いた。知らない人に涙をぬぐってもらいながら、はー、はー、と落ち着くために深呼吸。 「なっこちゃん、大丈夫?」 「ありがとうございます。でも、まあ、そうですよね」 二人きりで、一緒なんて。 こんな私にそんなラッキーなことが起こるわけなんて、 「そんなにうまくいくわけもなく……」 /*/ 亜細亜は暗いところで一人しゃがみこんで泣いていた。 ジュースを差し出されても、反応がない。 /*/ 「こいっ、クイーンオブハート!」 英吏の朗々たる韻律を持った声があたりに響き渡り、闇から獣が立ち現れた。 /*/ -The undersigned:Joker as a Clown:城 華一郎