約 40,705 件
https://w.atwiki.jp/gensousyusyu/pages/278.html
ロワラニ/Lowalangi インドネシアのニアス島における至高神。男神。生と死を司る、全知に近い神である。 天上に住む。太陽や光など、あらゆる善いとされるものの源泉とされるほか、人間を創造したとされる場合もある。妻はシレウェ・ナザラタ。兄ラトゥレ・ダネとは敵対関係にある。 世界の始まりの際、神から樹が生え、多くの実がなった。ラトエレという神が、一番下の2つの実の所有権を主張した。するとバリオエが、「その実で人間を造ることが出来たらお前の物だ」とけしかけたが、ラトエレは造ることが出来なかった。ロワラニがバラシ・ロエロエに人間を造るよう命じ、男女を造らせたが、それらにはまだ命がなく、動かなかった。そこでロワラニは一握りの風をバリオエに与え、「これを全て吸い込ませれば永遠の命を与えられる」と言った。しかし人間は途中で吸い込むのを止めたので、命には限りがあるようになったという。 また、人間はロワラニの所有物=豚を意味するため、豚を大切に扱えば人間のことも大切にしてくれる。雄鶏・ライノー鳥・鷲を聖鳥とする。人々の祈りや厳粛な誓いにおいても、ロワラニの名が登場する。 参考文献 山北篤監修『東洋神名事典』新紀元社
https://w.atwiki.jp/gensousyusyu/pages/515.html
ロア/Loa マーシャル諸島の創造神・至高神。 原初の世界、ロアは島ひとつない海に1人でいた(別説では、空からやってきたとする)。孤独と退屈に苛まれたロアは、「ムムムムム」と鼻歌を発することで島々や礁や砂州を創った。もう一度鼻歌を歌うと、植物や動物が現れた。さらに、四方に4柱の神と、常に空を回るカモメ神を創った。ロアの足の血から最初の男ウレブと最初の女リムドゥナニジが生まれたという。また、ロアは島々に刺青師を送って、被造物の1つ1つに印を彫らせた。ロアに創造された原初の人間は椰子の葉で作った籠に島々を入れ、西にカロリン諸島、まっすぐ一列にマーシャル諸島を並べたが、ナモリク(ナモリク環礁)は籠から落ちてしまった。並べ終えると彼は籠を捨て、それがキリ島になったという。 ポリネシアのタンガロアに相当する。 別名 ロヴァ/ロワ 参考文献 山北篤監修『東洋神名事典』新紀元社 D・リーミング,M・リーミング著/松浦俊輔訳『創造神話の事典』青土社 ロズリン・ポイニャント著/豊田由貴夫訳『オセアニア神話』青土社 アーサー・コッテル著/左近司祥子,宮元啓一,瀬戸井厚子,伊藤克巳,山口拓夢,左近司彩子訳『世界神話辞典』柏書房
https://w.atwiki.jp/gensousyusyu/pages/154.html
ワティ・クチャラ/Wati-kutjara オーストラリアで広く伝承される人間の祖先。アボリジニの「夢の時神話」に登場する。 ワティ・クチャラは2人おり、白いイグアナ(ゴアンナ)をトーテム(祖霊)とするクルカディと、黒イグアナをトーテムとするムンバである。 地下で眠っていた祖先霊が目覚めて地上を彷徨っていた時(夢の時)、ワティ・クチャラが山から下りてきて、儀式に使う道具であるインマ板を作って人々に与えた。天の川の黒い点(カドゥリ・パルヴィルピ・ウル)はワティ・クチャラが天に置いたインマ板だという。2人は、2人の静脈の血で作った赤いオーカー土の丈夫な丘で休憩した。また、月の人クル(もしくはキディルリ)が最初の女を強奪しようとした時、ワティ・クチャラはブーメランを投げてクルを殺した。これが最初の死だったという。 異説では、ワティ・クチャラが切り離したキディルリの男根は円錐型の小丘になった。襲われた最初の女たちは天へ逃れてプレアデス星団になったという。 別名 ワディ・クジャラ/ワディ・グジャラ 参考文献 山北篤監修『東洋神名事典』新紀元社 ロズリン・ポイニャント著/豊田由貴夫訳『オセアニア神話』青土社 アーサー・コッテル著/左近司祥子,宮元啓一,瀬戸井厚子,伊藤克巳,山口拓夢,左近司彩子訳『世界神話辞典』柏書房
https://w.atwiki.jp/occultfantasy/pages/494.html
北海道 アイヌ シャチのカムイは、アイヌの間で、くじら関係がレプンリリカタイナウウクカムイを最高のカムイとして、適当なパンテオンみたいなのを作る際に崇拝の対象とされたシャチの方のカムイである。 レプンカムイ「rep(沖)un(いる)kamui(カムイ)」 アトゥイコロカムイ「atuy(海)kor(領有する)kamui(カムイ)」 トマリコロカムイ「tomari(入江)kor(領有する)kamui(カムイ)」 など、地方により多彩な名で呼ばれる。 海にいるカムイの中で、もっとも高位のカムイと考えられた。 ヤンケソッキコロカムイ(沖のシャチのカムイにして海の支配者)が、若いシャチの支配者とされ、「海幸」を授けるとされるが、日本語のサチは外来魂とされ、あ、オルカを指す日本語シャチと海幸山幸のサチは同系で、「サチが具現化している」ことになっていた。 シャチに殺されたクジラが浜に打ち上げられることがあり、サハリンではそのようなクジラをシャチ「アトゥイコロカムイ」からの贈り物として村を挙げて肉や脂の採集に赴いた。またイソヤンケクル(海幸を浜に上げるお方)、イコイキカムイ(それをいじめるカムイ)の異称もある。 参考資料 北海道の項を参照のこと。 山北篤監修『東洋神名事典』174頁 『知里真志保著作集 1 説話・神謡編 1』336頁
https://w.atwiki.jp/occultfantasy/pages/546.html
北海道 アイヌ カムイ アイヌ文化において、人間に対して存在するとされた存在。 多くの動植物や天体はカムイが扮装した姿と考えられ、風や雷もそれらを起こすカムイが存在すると考えられた。 また、人造物であっても、家、舟、精魂を込めた刺繍などにも存在すると考えられた。 ちなみに、北海道アイヌ語では単にカムイといえば熊のカムイ、樺太アイヌ語ではアザラシのカムイを指す。 カムイは普通、アイヌモシリ(人間の国)とは別個に存在するカムイモシリ(神の国)に人間と変わらない姿で生活しており、神が製造できない酒や木幣が欲しくなると、それぞれの扮装をしてアイヌモシリにやってくると考えられた。 そのためアイヌは、この世のものにはすべて役割があると考え、利用するために狩猟・採集した動植物には、酒や木幣を付けて神の国に「送る」事が行われた。 白川静『字訓』によれば、日本語の神の「ミ」は上代特殊かなで乙音であり、そのミはおそらくえー「ムイ」と発音したと考えられる。のでこの辺はお互いで何らかの交流があったらしい 参考資料 北海道の項を参照のこと 山北篤監修『東洋神名事典』540頁 カムイの皆さん シャチのカムイ 狸のカムイ 天然痘のカムイ 火のカムイ ヨモギのカムイ オコジョのカムイ 国造りのカムイ 熊のカムイ 雷のカムイ 竜蛇のカムイ 利用されない食べ物のカムイ 狩猟に関わるカムイ 狼のカムイ シマフクロウのカムイ 水のカムイ
https://w.atwiki.jp/gensousyusyu/pages/247.html
ワーケア/Wakea ハワイ神話における天の男神・創造神。妻はパパ(ハウメア)。ハワイ島ではパパと共に、最初の王家ウルとナナウルの祖先とされる。 ワーケアはパパと交わってハワイ島とマウイ島を創ったが、パパの不在時にヒナと密通してモロカイ島を産ませた。パパはこの密通に怒り、ルアとの間にオアフ島を作った。ワーケアはパパの元に戻り、和解した2柱はカウアイ島やニハウ島などを産んだという。 ワーケアはパパとの間に儲けた娘ホオホク・オ・カ・ラニと交わり、その結果、根のような形の男児ハー・ロアが生まれた。彼を地面に埋めると、そこからタロイモが生えてきた。その後ワーケアはパパと交わり、ハワイの民を産んだ。そのため、ハワイの人々にとってタロイモは兄なのだという。 創世神話においては、パパが瓢箪(カラバシュという容器)と蓋を創ると、ワーケアは蓋を投げて天にし、果肉を太陽に、種を星に、白い裏面を月に、熟した白い肉を雲に、果汁を雨にしたという。また、ワーケアは生贄にされそうになった際、ハウメアの呪術によってパンノキを通り抜けて脱出したという神話がある。 ワーケアの原義は空気とされる。 別名 アーケア/ワケア 参考文献 山北篤監修『東洋神名事典』新紀元社 ロズリン・ポイニャント著/豊田由貴夫訳『オセアニア神話』青土社 松村一男,森雅子,沖田瑞穂編『世界女神大事典』原書房 アーサー・コッテル著/左近司祥子,宮元啓一,瀬戸井厚子,伊藤克巳,山口拓夢,左近司彩子訳『世界神話辞典』柏書房 山本節著『神話の森 イザナキ・イナザミから羽衣の天女まで』大修館書院
https://w.atwiki.jp/occultfantasy/pages/551.html
北海道 アイヌ 熊のカムイ 肉は食用、胆嚢は薬用、毛皮は衣類にと多大な恩恵を人間に与えてくれるため、全道的に篤く敬われたカムイ。北海道アイヌ語で、単にカムイといえば熊のカムイを指すほどである。 そのため多くの呼び名があり、 キムンカムイ「kim(山に)un(いる)kamui(カムイ)」 ヌプリコロカムイ「nupuri(山)kor(領有する)kamui(カムイ)」 シユク「si(真の)yuk(獲物)」 キムンエカシ「kim(山に)un(いる)ekasi(長老)」 キムンニシパ「kim(山に)un(いる)nisipa(旦那)」雄グマ・雅語 キムンカッケマッ「kim(山に)un(いる)katkemat(淑女)」雌グマ・雅語 キムンチャチャ「kim(山に)un(いる)chacha(お爺さん)」 へペレ「heper(子熊)」 エペレ「eper(子熊)」 カムイチコイキプ「kamui(神の)chikoikip(獣)」雅語 メトッウシカムイ「metot(山奥)us(いる)kamui(カムイ)」雅語 など、年齢、性別、日常語、雅語と無数に呼び名は存在する。住み場所によっても、山裾にいる熊は人間に危害を加える機会が多いために格下とされ、 ヌプリケスンプリウェンクル「nupuri(山)kes(下手)un(いる)puriwenkur(性悪者)」 などとよばれた。 同じ熊でも、尾が長い、自ら人に危害を加えるなどの特徴を持つ熊はカムイではなく熊の姿をした化け物と考えられた。ただし普通の熊でも、食べかけの獲物などを横取りするとどこまでも取り返しに来るとされそのような行動は忌まれた。これは実際の熊の性質にかなっている。 参考資料 北海道の項を参照のこと 山北篤監修『東洋神名事典』122頁
https://w.atwiki.jp/gensousyusyu/pages/310.html
ロヒアウ ハワイの神話に登場する男。ある島の若き首長。 魂を美しい女性の姿に変えた女神ペレと愛し合った。3日後、ペレは彼の為に造った彼の家まで、使者を送ることを約束して島を去った。後日、ペレの妹ヒイアカが使者として送られるが、道中に様々な妨害があり到着が遅れた。その間にロヒアウはペレに恋い焦がれ、悲嘆に暮れて死んでいた。ヒイアカはロヒアウの漂う魂を捕まえ、肉体に戻して蘇らせるが、ペレと人間の結婚に反対する様々な精霊の妨害に遭った。ペレはヒイアカの帰りが遅いことから、ロヒアウとの関係を邪推した。ヒイアカはペレの化身であるペレ・ウラという女預言者と、ロヒアウを賭けたゲームを行った。これはキルというもので、気に入った者の前に杭を打ち、糸を紡ぐ瓢箪をそれに当てるという形式である。ゲームの結果、ヒイアカが勝ち、ロヒアウの番になると彼はヒイアカへ想いを打ち明けた。しかしヒイアカは姉を欺くことをためらい、姉の住むくぼみの縁へ連れて行った。ヒイアカは自分の林の木立が焼け焦げ燻っている様を見て悲しみと錯乱に打ちひしがれ、ロヒアウを抱きしめた。その様子を見たペレは激怒し、2人を溶岩で焼き尽くした。ヒイアカは無事だったがロヒアウは焼け死んでしまう。ヒイアカは再び彼の魂を見つけ出し、復活させて2人でロヒアウの故郷に戻ったのだという。 名は「身体の精悍さ」の意。 参考文献 山北篤監修『東洋神名事典』新紀元社 ロズリン・ポイニャント著/豊田由貴夫訳『オセアニア神話』青土社 松村一男,森雅子,沖田瑞穂編『世界女神大事典』原書房 アーサー・コッテル著/左近司祥子,宮元啓一,瀬戸井厚子,伊藤克巳,山口拓夢,左近司彩子訳『世界神話辞典』柏書房
https://w.atwiki.jp/gensousyusyu/pages/265.html
ロンゴ/Rongo ポリネシアで信仰される農業の神。 天の男神ランギと大地の女神パパの間に生まれた複数の神々の一柱。兄弟はタウヒリ、ハウミア、タネ、タンガロアらである。 巨大な法螺貝の姿をしており、「こだまを作る者」と呼ばれることがある。 最初、神々と人間はランギとパパの手の中に閉じ込められていた。外に出たいと考えた彼らは、まずロンゴが、次にタンガロアが両親を引き離そうと試みたが失敗した。最後にタネが、地を支えにし天を足で押し上げて両親を切り離した。しかし両親への迫害に怒ったタウヒリが嵐を起こし、ロンゴは地下に逃げ込んだ。そこから栽培の植物が生えるようになったという。 マンガイア島民からはアテアとパパの間の次男とされ、島民たちはみなロンゴの子孫であるという。ロンゴを気に入っていたパパは、ロンゴの所有物が多くなるようにと、赤色の食べ物(聖なる食べ物)はタンガロアの物とし、それ以外の全てをロンゴの物とした。そのためタンガロアはマンガイア島を去り、他の土地を探しに行くことになった。 後の時代になると、ラロトンガ島からの祖先である偉大な首長タンギイアが、タンガロアとロンゴの兄弟として神格化された。ンガリキ族からは、ロンゴの3人の息子が自分たちの祖先だと考えられた。マンガレヴァ島でのロンゴは雨の神で、虹の中に姿を現すという。ツアモツ諸島ではタネとヒナの子で王族の祖先であり、虹はロンゴの誕生を記念して現れるものだとされる。マルキーズ諸島では、歌の守護神としても信仰された。 名は「響き」「音」の意。タヒチではロオ、ハワイではロノ、カロリン諸島ではロンガラ、マルキーズ諸島ではオノやモ・ロンゴと呼ばれる。 別名 オノ/モ・ロンゴ/ロオ/ロノ/ロンガラ/ロンゴ・マ・タネ 参照 ロオ/ロノ 参考文献 山北篤監修『東洋神名事典』新紀元社 D・リーミング,M・リーミング著/松浦俊輔訳『創造神話の事典』青土社 フェルナン・コント著/蔵持不三也訳『ヴィジュアル版ラルース 世界の神々神話百科』原書房 ロズリン・ポイニャント著/豊田由貴夫訳『オセアニア神話』青土社
https://w.atwiki.jp/occultfantasy/pages/714.html
北海道 アイヌ オオカミのカムイ ホロケウカムイ「Horkeu-kamui」 単にホロケウとも オロケウカムイ「orkeu-kamui」 単にオロケウとも オンルプシカムイ「onrupus(狩りをする)kamui(カムイ)」 ウォセカムイ「Wose(ウォと吠える)kamui(カムイ)」(※この語は山犬だとも云う) ヌプリパコロカムイ「Nupuri(山)pa(上手)kor(領有する)kamui(カムイ)」 ユッコイキカムイ「Yuk(鹿)koyki(いじめる)kamui(カムイ)」 など、地方によりさまざまな呼び名があるが、基本的には全道で「ホロケウ」「オロケウ」の語が通じたという。 ジステンバーの流行と人為的な駆除の為に現在の北海道からエゾオオカミは絶滅してしまったが、かつてのアイヌにとっては深く畏敬されたカムイであった。イヌ以外の家畜を飼う習慣が無く、他地域のように家畜を襲うオオカミと敵対するということが無かったため、アイヌにとってオオカミは高潔であり武勇に優れるカムイであると考えられている。他のカムイたちが悪神のため死んでしまってもオオカミのカムイはまだ耐え抜いている、という筋の昔話もある。 他のカムイたちはほとんどがカムイの国に住んでいるのに対し、オオカミのカムイは人間の国にいないときは天の国に住んでいると考えられている。またイヌの祖神であるとも云われ、子孫であるイヌのピンチには天の国から駆け下りてくるという話がある。 またオオカミのカムイは、人間に肉を分け与えてくれるカムイでもあった。女性は送り儀礼ができないために動物を狩ることができないため、寡婦はよそから分けてもらわないと肉を食べることができなかった。そのような家では、オオカミの遠吠えが聞こえるとその場に駆けつけたという。オオカミのカムイが捕らえたシカなどが残されているからである。もちろんオオカミは人間を恐れて逃げ出したに過ぎないのであるが、アイヌにとってそれはオオカミのカムイが肉を食べられない家庭に下された獲物なのである。十勝本別ではケナスパ「Kenas(木原)pa(上手)」という場所がそういったオオカミの餌場であり、アイヌがその場所の生き物を殺すのは固く戒められていた。 参考資料 山北篤監修『東洋神名事典』71頁