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とにかく、俺は責任を取らないといけない。女の子が落ち込む姿なんか見たくないんだ。決意を胸に、朝比奈さんの手を取った。 「元の世界に帰れるまで、俺の家にいてください」 「えっ!」 「大丈夫、親はいませんから」 「え、ええっ!」 あれ?なんで、引き気味なんだ?顔を真っ赤にして、泣きそうな顔になっている。あっ! 「いや、そういう意味じゃありません!あの殺風景な家に、独りぼっちにしたくないってことです!もちろん部屋は別ですよ!」 セクハラじみた発言を非常に後悔した。俺は、なんつー大馬鹿野郎なんだ! 「ぷ、あはは……」 あれ?さっきまで泣きそうになっていたのに、笑っている。なんでだ? 「前から思ってたんですけど、キョン君に似てますね」 「キョンに?」 「顔は全然違うんですけど、雰囲気とかいろいろ似てます。ふふ……」 なんか、ほんの少しだけ複雑な気分になったが……、まあいいさ。朝比奈さんが笑ってくれんだからな。 家に帰った後、再び朝比奈さんと今後の行動について検討することにした。きっと、何かいい方法が必ずあるはずだ。諦めてたまるかよ。 「やっぱり、ここは元々俺がいた世界です。何も変わってませんでした」 「あたしは、念のため連絡をしてみたんですが、何の反応もありませんでした。この世界の未来には、時間移動というものがないのかもしれません……」 16年、何の変哲のない世界で生きてきたんだ。未来人なんてとんでもない存在は、当然ありえないって、俺は認識してる。だが、朝比奈さんは違う。朝比奈さんにとって、未来人の存在そのものが、現に存在しているもので当たり前のものなのだ。 だが、この世界には無いものが、俺の世界には存在している。それが朝比奈さんという存在。だったら、朝比奈さんだけ、この世界に来た理由は一体なんだ? 「あの……、朝比奈さんが昨日寝るまでの行動について教えてください。変わったことはありませんでしたか?」 「特に変わったことはありませんでした。お買い物に出かけた後、家にいました」 「じゃあ、この世界で過ごして、何か気になることがありませんか?」 「そのっ、あまりにも世界が違いすぎるんです。あたしの部屋も、全然違っていましたし……、あれ?」 「どうしました?」 「えっと、あたしが起きた部屋に元々いた人は、どこに行ったんですかぁ?」 なんてこった。朝に教室で感じた違和感の正体はこれだったんだ。朝比奈さんに気を取られ、この世界の変化に気づいていなかった。朝比奈さんにとって、この世界は異質そのものだ。だが、俺にとってはどうだ?ほとんど、元の世界と同じだった。ある部分を覗いては、の限定条件でな。 次へ
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群雄伝・豊臣伝 群雄伝・織田伝 群雄伝・武田伝 群雄伝・上杉伝 群雄伝・豊臣伝 リストの見方 勝利条件 敵軍の称号 敵大将名 敵軍のデッキ+敵軍デッキ(難易度:難で増える場合のみ、増えた武将を記入) イベント一覧 イベントコンプ必要武将 豊臣伝 群雄伝・豊臣伝リストの見方 豊臣伝 第一章 武士への道第一話 旅立ちの時 第二話 今川家退転 第三話 小六との出会い 第四話 尾張の大うつけ 第五話 長良川撤退戦 第六話 稲生の戦い 第七話 秀吉とねね 第八話 桶狭間の戦い 第九話 小一郎参上 第十話 墨俣一夜城 コメント 第一章 武士への道 第一話 旅立ちの時 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長 開幕 - - 2 羽柴秀吉 開幕 - - 3 羽柴秀吉、[今川033]UC松下之綱 戦闘開始 味方統率UP 秀吉の統率UP 4 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長 接触 味方武力UP 移動速度UP 秀吉の武力+5 秀長の武力+5 5 羽柴秀吉、[今川003]R朝比奈泰能 一定時間 味方武力UP 97c頃朝比奈の武力+4 6 羽柴秀吉、[今川033]UC松下之綱 一定時間 味方統率UP 二人の統率UP 7 羽柴秀吉、[今川032]UC松井宗信 接触 味方武力UP 秀吉の武力+4 松井の武力+4 8 [今川033]UC松下之綱、[今川028]SR太原雪斎 攻城 味方士気UP 松下で攻城 9 羽柴秀吉、[今川033]UC松下之綱 戦闘勝利 - - 10 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長、[今川033]UC松下之綱 終幕 - - 11 羽柴秀吉、[今川033]UC松下之綱、[今川012]SR今川義元 終幕 - - イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長、[今川003]R朝比奈泰能、[今川012]SR今川義元、[今川028]SR太原雪斎、[今川032]UC松井宗信、[今川033]UC松下之綱 第二話 今川家退転 通常勝利 大名 織田信広軍 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉 開幕 - - 2 羽柴秀吉、[今川033]UC松下之綱 戦闘開始 味方兵力UP 全員の兵力UP 3 羽柴秀吉、[今川028]SR太原雪斎 接触 味方士気UP 士気+6 4 羽柴秀吉、[今川028]SR太原雪斎 攻城 味方統率UP 雪斎で攻城秀吉の統率UP 5 羽柴秀吉、[今川029]C鳥居元忠 撃破 味方武力UP 鳥居で1体撃破鳥居の武力+5 6 羽柴秀吉、[今川009]C飯尾連竜 一定時間 味方武力UP 87c頃秀吉の武力+3 飯尾の武力+3 7 羽柴秀吉、[今川025]C菅沼定盈 撤退 味方兵力UP 菅沼が撤退秀吉の兵力UP 8 羽柴秀吉 落城勝利 - - 9 羽柴秀吉 終幕 - - 10 羽柴秀吉、[今川033]UC松下之綱 終幕 - - イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、[今川009]C飯尾連竜、[今川025]C菅沼定盈、[今川028]SR太原雪斎、[今川029]C鳥居元忠、[今川033]UC松下之綱 第三話 小六との出会い 通常勝利 大名 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 開幕 - - 2 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 開幕 - - 3 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六、[他023]R六角義賢 戦闘開始 味方士気UP 士気+3 4 [織田027]R蜂須賀小六、[他023]R六角義賢 接触 味方武力UP 統率UP 小六の武力+5 統率UP 5 羽柴秀吉、[他006]UC蒲生定秀 接触 味方統率UP 秀吉の統率UP 6 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六、[他022]C吉田重政 撃破 味方武力UP 小六で2体撃破吉田の武力+15 7 [他008]C後藤賢豊、[他005]C蒲生賢秀 一定時間 味方武力UP 91c頃後藤の武力+5 蒲生の武力+5 8 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 攻城ダメージ 味方武力UP 統率UP 部隊撤退 小六の武力 統率UP 秀吉撤退 9 [他023]R六角義賢、[織田027]R蜂須賀小六 戦闘勝利 - - 9 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 終幕 - - イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六、[他005]C蒲生賢秀、[他006]UC蒲生定秀、[他008]C後藤賢豊、[他022]C吉田重政、[他023]R六角義賢 第四話 尾張の大うつけ 通常勝利 家老 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 開幕 - - 2 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六、織田信長 戦闘開始 味方士気UP、敵武力UP 士気+4、全敵武力+2 3 羽柴秀吉、織田信長 一定時間 味方武力UP 97c頃秀吉の武力+4 4 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 接触 味方武力UP 統率UP 利家の武力+6 秀吉の統率UP 5 [織田027]R蜂須賀小六、[織田001]UC安藤守就 接触 味方兵力UP 二人の兵力UP 6 羽柴秀吉、織田信長 撃破 味方士気UP 武力統率兵力UP 信長で3体撃破士気+? 秀吉がUP 7 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 戦闘勝利 - - 8 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 終幕 - - 9 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 終幕 - - イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、織田信長、[織田001]UC安藤守就、[織田027]R蜂須賀小六、[織田033]SR前田利家 第五話 長良川撤退戦 生存 大名 斎藤義龍軍 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、織田信長 開幕 - - 2 羽柴秀吉、[織田036]村井貞勝、[織田033]SR前田利家 開幕 - - 3 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 戦闘開始 味方統率UP 移動速度UP 秀吉がUP 4 羽柴秀吉、織田信長 一定時間 味方士気UP 士気+6 5 羽柴秀吉、[織017]SR柴田勝家 接触 味方武力UP 秀吉の武力+5 6 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 撃破 味方統率UP 兵力UP 利家で2体撃破秀吉がUP 7 [織田014]佐久間信盛、[織田036]村井貞勝 計略 味方武力UP 佐久間が使用佐久間の武力+5 村井の武力+5 8 羽柴秀吉、[織田022]R丹羽長秀 大筒占拠 味方士気UP 丹羽で大筒占拠士気+6 9 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 戦闘勝利 - - 10 羽柴秀吉、[織田012]R吉乃、織田信長 終幕 - - 11 [SS002]SS木下藤吉郎、[SS001]織田信長 撃破 味方武力UP 信長で3体撃破信長の武力+20 イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、織田信長、[織田012]R吉乃、[織田014]佐久間信盛、[織田022]R丹羽長秀、[織田027]R蜂須賀小六、[織田033]SR前田利家、[織田036]村井貞勝、[SS001]織田信長、[SS002]SS木下藤吉郎 第六話 稲生の戦い 通常勝利 城主 織田信勝軍 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 開幕 - - 2 羽柴秀吉、織田信長 戦闘開始 味方統率UP、敵武力UP 秀吉の統率UP、勝家の武力30 3 羽柴秀吉、[織田029]C塙直政 接触 味方兵力UP 二人の兵力UP 4 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 一定時間 味方武力UP ?c頃秀吉の武力+5 利家の武力+5 5 羽柴秀吉、[織田016]R佐々成政、[織田039]R森可成 撃破 味方統率UP 兵力UP 秀吉で1体撃破秀吉がUP 6 織田信長、[織田039]R森可成 撃破 味方兵力UP 信長で2体撃破二人の兵力UP 7 羽柴秀吉、[織田002]R池田恒興 計略 味方武力UP 恒興の計略使用恒興の武力20 8 織田信長 攻城ダメージ 味方武力UP 統率UP 信長の武力+7 9 羽柴秀吉、織田信長 戦闘勝利 - - 10 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家、[織田034]SRまつ 終幕 - - 11 [SS002]SS木下藤吉郎、[SS004]前田利家 攻城 武力UP、移動速度UP 藤吉郎の武力UP、移動速度UP イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、織田信長、[織田002]R池田恒興、[織田016]R佐々成政、[織田029]C塙直政、[織田033]SR前田利家、[織田034]SRまつ、[織田039]R森可成、[SS002]SS木下藤吉郎、[SS004]前田利家 第七話 秀吉とねね 落城 大名 織田信賢軍 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、[織田023]Rねね 開幕 - - 2 羽柴秀吉、織田信長 戦闘開始 味方武力UP 兵力UP 秀吉の武力+6 兵力UP 3 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 接触 味方武力UP 秀吉の武力+11 利家の武力+5 4 羽柴秀吉、[織田018]SR滝川一益 撃破 味方統率UP 兵力UP 一益で3体撃破秀吉の統率UP 一益の兵力UP 5 羽柴秀吉、[織田017]柴田勝家 攻城 味方武力UP 兵力UP 勝家で攻城秀吉の武力+16 勝家の武力+6兵力UP 6 羽柴秀吉、[織田028]UC林秀貞 計略 味方統率UP 林の計略使用二人の統率UP(林の統率+6) 7 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 落城勝利 - - 8 羽柴秀吉、織田信長 終幕 - - 9 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家、[織田034]SRまつ 終幕 - - 10 [SS002]SS木下藤吉郎、[SS003]滝川一益 撃破 味方武力UP 藤吉郎の武力+7 一益の武力+7 イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、織田信長、[織田017]柴田勝家、[織田018]SR滝川一益、[織田023]Rねね、[織田028]UC林秀貞、[織田033]SR前田利家、[織田034]SRまつ、[SS002]SS木下藤吉郎、[SS003]滝川一益 第八話 桶狭間の戦い 落城 大名 今川義元軍 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、[織田040]UC梁田政綱 開幕 - - 2 羽柴秀吉、[織田023]Rねね 開幕 - - 3 羽柴秀吉、織田信長 戦闘開始 味方士気UP、敵統率DOWN 士気+7 4 羽柴秀吉、[織田040]UC梁田政綱 一定時間 味方統率UP 95c頃二人の統率UP 5 羽柴秀吉 接触 敵武将撤退 敵松下と接触 松下撤退 以後登場せず 6 [織田033]SR前田利家 特定敵撃破 無し 敵直盛を撃破 7 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 計略 味方士気UP 武力UP 士気+? 利家の武力+11 8 羽柴秀吉、[織田029]C塙直政 一定時間 味方武力UP 79c頃塙の武力+9 9 羽柴秀吉、織田信長 落城勝利 - - 10 羽柴秀吉、[織田023]Rねね 終幕 - - 11 羽柴秀吉、織田信長 終幕 - - イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、織田信長、[織田023]Rねね、[織田029]C塙直政、[織田033]SR前田利家、[織田040]UC梁田政綱 第九話 小一郎参上 生存 城主 稲葉一鉄軍 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長 開幕 - - 2 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長、[織017]SR柴田勝家 開幕 - - 3 羽柴秀吉、[織017]SR柴田勝家 戦闘開始 味方武力UP 兵力UP、敵武力UP 秀吉の武力+5 兵力UP、敵全部隊武力+2 4 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長 接触 味方移動速度UP 二人の移動速度UP 5 [織田033]SR前田利家、[織田024]R羽柴秀長 撃破 味方武力UP 兵力UP 利家で3体撃破利家の武力+3 6 羽柴秀吉、[織田022]R丹羽長秀 接触 味方統率UP 秀吉の統率UP 7 羽柴秀吉、[織017]SR柴田勝家、[織田016]R佐々成政 一定時間 味方武力UP 74c頃秀吉の武力+5 勝家の武力+10 成政の武力+10 8 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長、[織017]SR柴田勝家 戦闘勝利 - - 9 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長、[織023]Rねね 終幕 - - 10 羽柴秀吉、織田信長 終幕 - - イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、織田信長、[織田016]R佐々成政、[織017]SR柴田勝家、[織田022]R丹羽長秀、[織023]Rねね、[織田024]R羽柴秀長、[織田033]SR前田利家 第十話 墨俣一夜城 通常勝利 城主 稲葉一鉄軍 イベント一覧 No 参加武将 発生条件 効果 備考 1 織田信長、[織017]SR柴田勝家 開幕 - - 2 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 開幕 - - 3 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 戦闘開始 味方統率UP 二人の統率UP 4 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長 一定時間 味方士気UP 97c頃士気+5 5 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長 計略 味方武力UP 秀吉が計略使用秀吉の武力+10 6 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長 計略 敵士気DOWN 秀長が計略使用 7 羽柴秀吉、[織田027]R蜂須賀小六 攻城 味方兵力UP 小六で攻城小六の兵力UP 8 羽柴秀吉、[織田033]SR前田利家 一定時間 味方士気UP 武力統率兵力UP、敵兵力武力UP 60c頃士気+? 利家がUP(武力+3、兵力200%)、美濃三人衆がUP(兵力200%になる) 9 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長、[織田027]R蜂須賀小六 戦闘勝利 - - 10 羽柴秀吉、織田信長 終幕 - - 11 羽柴秀吉、[織田024]R羽柴秀長、[織023]Rねね 終幕 - - イベントコンプ必要武将 羽柴秀吉、織田信長、[織017]SR柴田勝家、[織023]Rねね、[織田024]R羽柴秀長、[織田027]R蜂須賀小六、[織田033]SR前田利家 コメント 編集が苦手な方はこちらへ訂正指摘等々、お願いします 名前 7話のNo.10が、秀吉と信長でクリア出来ました… - 名無しさん 2012-12-22 01 45 45 17の十 - 名無しさん 2011-12-26 17 36 49
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* * * 「ふふっ、涼宮さん」 「なっ、なん、ですかぁ朝比奈先生?」 水ソファーの背もたれに体重を預けつーんと横を向いていたハルヒは、 後ろから首に抱き付かれての囁きにどこかうわずった声で言った。 ああ、朝比奈さん(小)ですら強烈なんだからな、 朝比奈さん(大)にあのポジションを取られたら、 肩に伝わる一瞬だけでも正直もう、たまりません。 しかし、ついさっきまでジャージにひっつめ髪とある意味この場の教師に相応しい格好だった筈だが、 いつの間にやら女教師スタイルに早変わりお見事です。 「ふふっ、ご機嫌斜めね涼宮さん」 「ん、んむむっ!!」 さすがに先生相手に無礼を通すのもあれだと思ったのか、 そっちを向いたハルヒの口は、一瞬にして朝比奈さん(大)の舌鋒鋭い侵略により物理的に陥落していた。 「む、むっ、んん、んっ!…んんんっ!?」 「んふふっ、涼宮さぁん、このハイレグバニーちゃんの湿りはなんですかぁ?」 「ち、ちょっ、なっ、あさひ、せんせ、はううっ!!」 「ふふっ、この黒い布地の上からでも分かりますよー。興奮しちゃったんですかぁ涼宮さぁん?」 「や、あ、はああんっ!!」 「かわいーですねぇ涼宮さん」 おいおい、朝比奈さん(大)先生バージョンから地が出てるって言うのかこれ? むしろじれったいぐらいにバニーの布地の上からほっそりとした指の先端を走らせ、 ぴちゃぴちゃと耳朶を舐めながら左手は頬から首、その下へと、 「ふふっ、ぷるんっ、ですって涼宮さん。 やっぱり若いんですねぇ、この張り、この張りですぅ」 「たたたっ、やっ、あ、あんっ」 「あらごめんあさーせ」 ちょっとの間ぎゅっと掴まれた激痛に悲鳴を上げていたハルヒも、 元々谷間丸出しのバニーからぷるんと丸出しにされた豊満な膨らみ、 そのピンク色の先端を吸われながら左手でやわやわと包み込む様にされると 白い喉を見せて喘ぎ始める。 それを把握した朝比奈さん(大)は、 毎度の白ブラウスの前を全開にしてハルヒをぎゅっと抱き締める。 ああ、ハルヒも見事なモンだがやっぱりボリュームが一桁違うぜその柔らかさに呑み込まれそうだ。 「ひゃんっ!」 そんなハルヒの喉から胸から反り返って引っ繰り返った様な声が響く。 緩んだ黒い布の下で、 朝比奈さん(大)の手があえて音を立ててぴちゃぴちゃと蠢いている事からも色々と想像は出来る。 「や、あっ、駄目、あ、あっ…」 「どうしたんですかぁ涼宮さぁん」 うわぁ、こりゃあ、いや、決して不快だからではない。 一旦指の動きを止めた朝比奈さん(大)が、ソファーの上のハルヒに覆い被さる様に動き出したんだが、 これが又全開フルパワーと言うか何と言うか。 栗色の髪の毛を時折払いながら、中身丸出しのブラウスを辛うじて引っかけて、 タイトミニの存在も着用してそのまんまなのを意図的に気にしていないとしか思えないし。 とにかく、途方もなく色っぽい笑みを浮かべてのし掛かる朝比奈さん(大)に、 ハルヒが、あのハルヒが圧倒されてるって、それも、分かる。これぞ大人としか正直、こぇー。 「や、あああっ!!あっ、あ…」 遠目にも分かる、ぢゅうぢゅう唇からそこら中の急所を吸い尽くす様なキス。そして蠢く両手。 突き抜けようとして突撃した壁にぶつかった様なハルヒの声。 ああ、ハルヒってこういうのが一番堪える質だったっけな。それが何遍でも繰り返されて。 「あ、ああっ、…あ…朝比奈、先生ぇ…はあぁ、あっ…」… 「はぁい、どうしましたかぁ涼宮さぁん?」 楽しんでる、絶対楽しんでる。 って言うか、なんか復讐のスメルが漂ってるのは気のせいでしょうか朝比奈さん? 「はうんっ!ん…ああっ!!お、ねがい、ああっ、 お願いですああっ朝比奈先生お願いもう我慢出来ないはああっいかせて先生 朝比奈先生の気持ちいいのああっもういかせて下さいああもう我慢が駄目おかしくなっちゃ お願いですはううううっっっ!!!」 「うふふっ、素直になりましたねぇ、可愛いです涼宮さぁん」 「はあぁ朝比奈先生むんんっ」 「さあ、涼宮さん。涼宮さんもくるみ先生を気持ちよくして下さいねぇ、 ほら、こんな綺麗な指なんですから自分でもいつもしてるんでしょう涼宮さん」 「はい、朝比奈、くるみ先生ぃ、ああっ」 「キョンくん」 ああ、エンジェルボイス、マットの上に寝そべって正にバカになりながら聞いていると それだけで果てしなく酔い痴れそうな。 まして、にっこり上から覗き込まれて、 その幼いぐらいの可愛らしい天使の微笑みのすぐ下ではぷるーんとどーんと ああ今すぐにでもむしゃぶりつきたい。ついさっき誰がその大盛りプリンにトッピングしたかって知った事か。 これで他の女に向ける頭の容量なんてある筈もなく、 ましてや唇を塞がれたらだな。 「あ、あんっ!」 目の前で、ぶるんっ、って大盛りが大揺れするぶるんっ、て。 それに合わせて栗色の髪の毛もばさっ、ばさっと上下に斜めに揺れ動き、 可愛らしいミルキーボイスが段々と甘くも切ない色彩を帯びて赤身の差した顔も普段とは違う、 お姉さんから女へと着実な進化を、なんて、噛み締めてる余裕なんてないって毎回毎回。 揺れる、揺れる度にだな、俺の下半身にはそう、 とろとろに潤い溢れてきゅうきゅうと柔らかくも確かな手応えで俺を噛み締める そう朝比奈さん(小)の生々しくも生々しい感触がじゅるじゅると電流走りっぱなし、たまりません。 「ふふっ、妬けちゃいますかぁ涼宮さぁん」 「なっ!?ちがっ、うむっ…」 「あ、あっ…」 「ふふっ、長門さん可愛い」 「あ、駄目…」 「こんなにしちゃって、長門さんもやっぱり興奮するのこういうの?」 あー、なんか聞こえるなぁ、あっちの方か… あ、朝比奈さん(小)の顔がちょっと怒った様な、たっ、ペースアップおおおっ、 ちょっと待って下さい朝比奈さん(小)、 もうちょっとだけ朝比奈さん(小)の感触楽しみたいんでここは俺が引き締めて集中して、 「ん?やっ、ああっ!!駄目っ長門さ、ああんっ」 「…お返し…ああっ…」 「はっ、ああっ、いいっ、いいですぅ涼宮さぁん」 「ああっ、くるみ先生、くるみ先生私もぉああっ」 「んふふっ、大丈夫ですよぉ涼宮さぁん、ちゃあんと戻って来ますから。 だから今は私とぉああっ」 んー、これは、って疑問なんて吹っ飛ぶ今の一瞬一瞬が精一杯。 俺の目の前ではあの朝比奈さん(小)あの朝比奈さん(小)が スパートスパートスパートローションに濡れ光ったままの大盛りが ピンクに尖った先っぽも可憐にぶるんぶるんぶるんって。 その小柄で可愛らしい表面からあらゆる色気の解き放たれた外見もそうだが、 何よりも一番肝心の所、そこが激しくひたすら激しく、しかしそれでも優しく包み込んで、 だから、余所に向けてる余裕なんてだな、ある筈がだな、ほら、 「あっ、キョンくんっ、あ、ああっ、今は、今はぁはあぁぁーーーーーっっっ!!!」 ほら、ほら来たっ。 * * * 俺の上で神々しい輝きすら見えた気がした、 今は俺の上でぐったり脱力してその柔らかすぎる弾力をまんま俺に預けて密着してる。 名残惜しさを残しつつ、そんな朝比奈さん(小)を ちょっと脇にどけて水マットの余ったスペースに仰向けに転がす。 ほら、これほどあれほどたっぷりの大盛りもぷるんって上を向いたまんまなのが実に見事で名残惜しい。 「くるみ先生ぇ」 「あらあら」 あっちじゃあ、ハルヒが朝比奈さん(大)に絡み付くと言う珍しい光景が展開してる。 バニー衣装はほとんど縮こまった布切れと化して、女教師ブラウススカートも引っ掛かってるだけ。 そんな白くて柔らかな裸と裸が絡み合って、と、言うか、 どっちかって言うとソファーに掛けて余裕朝比奈さん(大)にハルヒが這い上ってるって言うか。 「はうぅ…あんっくるみ先生ぇ」 「うふふっ、涼宮さん可愛い」 おいおい、ソファーに掛ける朝比奈さん(大)の体をするする這い上ってるハルヒが、 朝比奈さん(大)にくすぐられた喉を鳴らしてへたっと力が抜けて。 あの強烈なお目々が今はとろーんって完全に飼い慣らされた猛獣って言うか、 何と言うか、朝比奈さん(大)も仰る通りそんなハルヒってこれすっごく… 「はうぅ…はあんっ。あ、あっ、あ、あっ…」 「キョンくん」 「ん、朝比奈さん」 朝比奈さん(大)の右手がするりと下の方に潜り込むと、 ハルヒの体と声がぴくんっ、て跳ねた。 潤んだ怨みっぽい目で朝比奈さん(大)を見つめながら、 ハルヒの声と体は小刻みにひくひく震えてる。 ぬるり、と、そしてぷるんと柔らかな弾力が俺の体に巻き付いたかと思うと、 俺はマットに寝そべって朝比奈さん(小)と唇を交わした。 少しの間まどろむ様にそうしていたが、 そのまま感覚が溶け合う前に朝比奈さん(小)はするりと立ち上がっていた。 一部機能を回復させておいた天井シャワーをじゃーっと浴びた朝比奈さん(小)は、 ぱちんと、ああ、お姉さん天使のウインクを残して、 それでもどこかよちよちと頼りない足取りでシャワールームを去っていく。 ふわりとした栗色の髪の毛と、あれだけ豊満でいながら歌にでも出て来そうな可愛いお尻、 月並みな表現でなんだが、たまりません。 ああ、朝比奈さん(大)も、するりと立ち上がってひらひら手を振って歩き出す。 特盛り丸出しで引っ掛かってただけのブラウスもタイトミニもとうとう脱ぎ捨てられて、 文字通り汗を流しにこっちに向かっている。 ああ、今の朝比奈さん(大)の汗と言い髪の毛と言い、 それがどれほど芳しいものか俺だって知らない訳じゃない。 だから色々勿体ない所もあるのだが、俺もぼちぼち行動開始だ。 ほら、すれ違いざまに朝比奈さん(大)のウインク。 フル稼動でお答えする事が出来ない俺、実に勿体ないやれやれだ。 「ようハルヒ」 「何よエロキョン」 「この状況で言われたくないもんだな」 そう言われると、ハルヒはふんっ、と口を尖らせてそっぽを向く。 口調はいつも通り、と、言いたいが、どこかかすれている、 それでいてえらく艶っぽい余韻が響くのは否めない。 バニー衣装を爪先辺りまで引っぺがされて解き放たれた長い黒髪は生きた黒蛇の大群。 何もかも丸出しで相変わらずやけにグラマーな全身は血色良くピンク色に染まって これ又旨そうにほこほこ湯気まで立って。 そんな具合でソファーにぐんにゃりしたままのお出迎えとあっては、 さすがのハルヒのド迫力も何割カットでその代わりひたすらに色っぽい。 「な、何よぉ」 いや、何と言うか、そんな状況でちょっと怨みっぽく視線をこっちに戻されるとだな。 大体、バニーの耳が奇跡的に無事って言うのは反則だぞ。 つまり、今のハルヒの状況は、状況は… 「うっさい、バカキョンっ」 その、今のハルヒの状況、と言うか感想をそのまま口に出した、 そのまま口に出したその文言を答えよ? 聞くな、妄言だ。 その妄言を聞いたハルヒの反応はこの通り、ほらな、妄言だろ。 ハルヒの返答を聞くに、語尾に微かに、 ほんの僅かにどこかむずかる様なそんなくすぐったさが俺の何かを刺激する。 「何よ、バカ、キョ…」 本来驚異の体力バカでもあるハルヒが本調子になる前に、 ああ、たまにはそんなハルヒもいいモンだからな。 俺の近すぎる顔を見て、ハルヒはぱちくりと瞬きをする。 そこで俺はもう一度、確信を込めて今のハルヒ、 いや、結局の所ハルヒは全般にそうであると確信した、 今の直感を信じた妄言をもう一度小さく呟く。 やっぱり相当な妄言なのだろう。ハルヒの目は真ん丸に見開かれて張り裂けそうだ。 普段から、この後で特大の雷、拳の一発も振って来るモンなんだが、 「っさいバカキョンッ!!」 その手、その腕は俺の背中にガッチリ回されて一撃されたのは唇の方だ。 下手すりゃお互い前歯が折れるんじゃないかって勢いを、 如才ないハルヒのカンピューターが絶妙に、刺激的で済む程度に制御したらしい。 「…あ、ああっ…」 何だ?どこからか微かに、実に控え目にだが間違いなく煩悩に塗れた声が。 「あ、あっ、駄目…朝…先輩あ…」 「え?朝比奈、せんぱ…ああんっ!!」 「うふふっ、朝倉さんもこんなになっちゃって」 「ち、ちょっ、あうっ、あああっ!!」 「長門さん可愛いですもんねぇー。朝倉さんもずっとこーやってうずうずしてたんですよねぇ。 こーゆー長門さんも朝倉さんもすっごく可愛いですぅ私もこーやってはああんっ」 何と言うか、そちらに視線を向けたハルヒも毒気を抜かれたらしい。 俺もそうらしいな。ハルヒはそんな俺を見てふんと鼻を鳴らす。 ああ、まだちょっと分かってないらしい。 ここまで幾人もの美女達を導いて来た、ああ、経験値だけは一応な、指技の出番って奴か。 ん?古泉の奴用具室から出て来たか。やれやれっと感じで腰を叩いて。 おお、W朝、いや、いつの間にかトリプル朝になってるぞ、 鮮烈美女軍団に捕獲されて長門がお留守番のエリアに引きずり込まれてやがるやれやれだ。 「あっ、ちょっキョンあっ、ああんっ」 分かってる分かってる、言うまでもない事だからな。 だから、又何か毒づく前にその唇、きっちり塞がせてもらおうか。 まずはオーソドックスに唇と唇で塞いで、 次に、ぐにゃぐにゃになったやけにグラマーな裸体ハルヒをソファーから引きずり下ろす。 そうしてやるとだ、ハルヒはギロッと一瞬刺し殺される様な視線を上目遣いに向けてから、 まるでむしゃぶりつく様に自分からその口を塞いでくれるんだ俺の体を使って。 ああ、榎本リーダーに朝比奈さん(小)と 贅沢すぎる先輩フルコースを味わってさすがにお疲れ気味だったのもつかの間、 やっぱりハルヒのやけにグラマーを直に抱いてりゃそれだけでも下半身に来るモンさ、 ハルヒのバルカン砲なお口を塞ぐには十分過ぎるぐらいにな。 そんなハルヒの艶やかに黒い頭を掴んでフル充填された所からじゅぽんと引き離し、 そのまま床に引っ繰り返す。 そして、頭のウサギさんは取り外して バラバラに乱れた黒髪を一つかみにして茶色いリボンで一纏めに括り束ねる。 「もうっ、キョ、んっ」 黒髪がまとまり露わになった白い背中に覆い被さり、 まとめられた黒髪とその下のうなじをこの目と時々舌で堪能しながらこの手を伸ばす先は、 まずは下向きでぷるぷる言ってるやけに大きなおっぱい。 こっちからじゃよく見えないが綺麗なピンク色なんだよな、 それが大きさと言い硬さと言いコリッといい感じに尖って。 そのおっぱい責めを途中から左手オンリーにしてからは、 既にしっとり湿った草むらを通り過ぎて源へと、 途中の小さな蕾にも丹念にハルヒ自身の蜜を塗りつけてやればほらこうだ。 「やっ、あ、あんっ、んっ、ああっ…」 責めるだけじゃ能が無いからな。時折休憩を挟み、そうしながら舌先で露わなうなじをくすぐってやる。 で、気が付いた時には、ふーっとハルヒの後ろで一休みしている俺の前で、 四つん這いになったハルヒの白く形もいいヒップがくねくねぷりぷりと 色づき滴らせた花弁も鮮やかに悩ましく揺れ動いている状態で、 「ちょっ、キョッ、何さぼてんのよこのっバカキョンッ!! ほらもう意地汚くギンギンにおっ勃ててんじゃないのよ いいからさっさとあんたのそのチ○ポ私のおま○こにぶち込みなさいって言ってんのっ とっくに濡れ濡れで我慢出来ないんだからねっ見て分かんないのこのエロキョンッ!! はああああっ!!!」 雑用係たる者神聖なる団長様の仰せのままにそれはもうバックから力一杯ぶち込んで 見た目も中身も優秀過ぎる団長様のその素晴らしさを身をもって味わい尽くすと言う事で お許し頂きたいものですな団長様。 返事?ああ、聞くまでもなさそうだ。ハルヒはハルヒらしく、 ほれこの通り俺の下で全身で力一杯元気いっぱいストレートに返答してくれてるって訳だ。 次話へ進む 小説保管庫へ戻る
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俺はホテルで朝を迎えた。 まず最初にすることは決まっていた。 昨日の出来事が夢でなかったかどうかだ。 洗面台へ行き、顔を確認する。 細い目をした二枚目がそこにいた。 9月9日 俺が古泉に替わって二日目。 昨日と同じく俺は古泉のままだ。 この調子ならおそらく古泉は長門に、長門は朝比奈さんに、朝比奈さんは俺になったままだろう。 地下の食堂でバイキング形式の朝食を取り、 早めにチェックアウトを済ませた。 普通、高校生が独りでこんなビジネスホテルに泊まっているところを見られたら 家出人として警察へ通報されそうなもんだが、 ホテルの従業員たちはとても丁寧な対応をしてくれた。 古泉の紹介のホテルだ。 きっと古泉のいう『機関』とやらが関わっていると思って間違いあるまい。 ホテルの玄関からでたすぐのところに、 小柄な女の子が柱にもたれかかりながら立っていた。 長門有希・・・今は古泉がその体に宿っている。 「よく眠れましたか」 「ああ、昨日はなんだか疲れたからな」 長門(古泉)と一緒に学校へ向かう。 一見他から見ると美男美女の組み合わせだが、 中身は男同士である。 「昨日はあの後大変だったんですよ。 あなたに電話した1時間後にですが・・・閉鎖空間が発生しました」 一瞬頭の中にあの灰色の空が浮かび上がる。 昨日古泉からの電話を受けて、一番に考えた「最悪の事態」を思い浮かべる。 誰もいない空間で複数の青い光の巨人がビルを壮大に破壊している。 灰色の空間は瞬く間に広がり、空と大地と海を覆いつくしていく。 「小さな規模でしたが出動は久しぶりのことでした。 僕……いや私もこの体で動けるのか少し不安でしたが、 やはり能力的には変化がなかったようで、無事神人を退治することが出来ました。 ですが、ことはそれだけでは収まらなかったのです。 今朝方……つまりつい先ほどになるんですが、 また閉鎖空間が発生したのです。 ……今度は少し大きめでした」 長門(古泉)が眉を下に下げてワンパクな子供に手を焼いている母親のような表情を見せる。 「ここのところは大変落ち着いていたはずだったんですが、 急にまた様子がおかしくなってきたのです。 数時間おきに閉鎖空間を生み出す……まるで中学生時代の涼宮さんを見ているようです。」 中学時代のハルヒがどうだったかは知らないが、 その頃の古泉の睡眠時間はだいぶ削られていたことだろう。 「おかげで今日も朝ごはん抜きです」 長門(古泉)は昨日のハルヒの言いつけを律儀に守ったといえる。 俺はそんな約束を今頃思い出しながら長門の姿で青い光の巨人と戦う古泉を想像していた。 そんなことがあったにも関わらずホテルのベッドでグースカ寝ていた俺こと古泉一樹の体は、 やはり超能力の素質はないと考えられる。 これでは閉鎖空間に閉じ込められてもあの巨人を倒すことは果たして出来ないであろう。 「ご飯といえばそうでした。昨日のお昼はきちんと食べられましたか? お金を渡すのを忘れていましたね」 といって長門(古泉)は定型封筒を手渡してくれた。 中には千円札が3枚ほど入っていた。 昼飯代にするには十分すぎるくらいだ。もちろん余ったお金は俺のものにすることにした。 このくらいの手当てをもらったところでバチは当たるまい。 クラスについて鞄を置く。 ホームルーム前の時間は朝の挨拶やら昨日のテレビ番組の話やらでくだらない賑やかさを演出していた。 特待生クラスといってもこの辺は俺のいた5組と同じだった。 こうしてみるとこの9組も5組もクラスの雰囲気は変わらないようだ。 目を瞑れば5組にいると錯覚してもおかしくはない。 どちらもどこにでもよくあるクラスといった感じで、 全国を探せば同じようなクラスは雨後の竹の子のように探しあてることが出来るだろう。 ハルヒが前に言っていた「自分が世界で一番楽しいと思っていたクラス出来事も、 日本の学校どこにでもありふれたものでしかない」というのも間違いではないのだろうな。 だがなぁ、ハルヒ。 お前がもし俺の体に乗り移ってみたらわかることだろうぜ。 お前のいるこのクラスにはいつも突拍子のない言動をするヤツがいて、 全く先の読めない思い付きでいつも周りを巻き込む事件を起こしていることをな。 しかもそいつは我侭で自分勝手で他人のことに一切関心をもたないくせに、 自分の願っていることを全て叶えながらも、 自分ではそのことに気づいていない変なヤツなんだ。 1年5組は世界で一番楽しいクラスではないかもしれないが、 世界で唯一お前がいるクラスなんだぜ。 2時間目の授業は物理だった。 なんと読んだらいいのかわからない記号が黒板にズラズラと陳列し始めた。 これでは授業を見ていても仕方がない。 外の景色を眺めてみると5組の連中がグラウンドを走っていた。 今日の体育は陸上か。 こうして自分のクラスを見学するのは初めてだな。 その中で一番目立つのはやはりこの女だろう、涼宮ハルヒ。 いつものように豪快なステップでハードルを……なぎ倒していた。 100mの間にあるハードル10個全てをなぎ倒してスタスタとベンチへ向かう。 普通、倒したハードルは自分で直すものだろうに…… この様子ならタイムを計るまでもなくクラスで一番だろう。 でもな……ハードルは倒さないで飛び越したほうがずっと早く走れることを知らないのか? 春にやった体力測定のときはうまく飛んでいたように記憶していたが気のせいだったか? それともアメリカのなんとかという選手を真似て走法を変えたのだろうか。。 その後を走っている男子も……今日は目立っていたな。 俺の中では今一番気になる存在だ。 「うんしょっうんしょっ」と掛け声が聞こえてきそうなおぼつかない足取りで、 今にもこけてしまわないか心配である。 ハードルの前に立つとハードルに手を掛け、 大きく足を投げ出しゆっくりと跨いでいく。 ハードルって飛び越す物じゃなかったっけ? 100mのハードルを50秒くらいかけて歩いているんじゃないだろうか。 周りの女子からはクスクスと笑い声が、男子からは野次のようなものまで飛んでいた。 ああ、こんな姿見たくない! 長門の力でこの数日間の記憶はなかったことにできないだろうか。 少なくとも野次を飛ばしていた男子は今後朝比奈さんに好かれることはないだろうがな! 背中に何かが当たるような違和感を感じふと脇のほうをみると、 後ろの席から左手がこっそりと伸びている。 小さな手につままれているものは、ノートの切れ端のようだった。 じゃあ、次のところを。と物理教師が言ったところでようやく理解できた。 さきほどから前の席から順番に問題を当てられている。 まさしく今前の席の女子の発表が終わり、 次は古泉一樹の番である。 って俺じゃないか! そう、もらったノートの切れ端には記号が並べられていたのだ。 しかもその記号にフリガナまで振ってある。 だから瞬時にこの状況を理解できた。 俺はすっと立ち上がりノートの切れ端の記号をさらりと読み上げ席に着いた。 もらったノートの切れ端を裏返し「ありがとう」と書いて そっと後ろの席へ返した。 後ろの席の人間に感謝したのは高校に入ってからは初めてのことだった。 4時間目の授業も無事に終わり昼休みになった。 俺はこの学校の食堂で飯を食ったことがなかったが、 食堂常連のハルヒいわく、 人気メニューは早い段階で売り切れるから最初のダッシュが肝心なのよ!だそうだ。 それではと立ち上がろうとしたとき、 右隣に座っていた女子からの視線に気づいた。 じっとこっちを見つめ何か言いたそうだ。 「……あ、あの、い、一緒にお弁当食べませんか」 見ると両手で抱えるような大きな弁当箱である。 その合図待っていたかのように周りの女子たちもさっと集まり始め、 みんなでお弁当交換会をしましょうという流れになった。 俺は何も持っていないのだから交換ではなく単なる譲渡だ。 ここからの流れは割愛する。 俺自身、古泉の自慢話ほど聞いていて腹の立つ話はないことをよく知っているからだ。 「もう元の体に戻らなくてもイーンダヨー!」 そんな天の声が聞こえてきても誰が俺を責めることができるのであろうか。 放課後、クラスの女子の全員とさよならを交わして部室へと向かう。 この後、大食い大会とやらに出なくてはいけないのはわかっているが、 朝も昼も食べてしまった俺は優勝候補から最も遠い存在だ。 部室の扉をノックすると俺(朝比奈さん)の声がした。 中に入ると俺(朝比奈さん)が朝比奈さんの定点、お茶汲みポジションに座っていた。 見ると破産宣告を受けた債務者のように暗い表情をしている。 「キョンくん……ごめんね……」 俺(朝比奈さん)の表情がどんどん暗くなる。 「ごめんね、わ、わ、わたしがうまくできなくて……その、 キョンくんに迷惑をかけちゃって……」 最初から潤んでいた目はついには大きな水溜りとなって流れ落ちた。 「わたし……男の子になるのは向かないみたい…… クラスで変なあだ名がついちゃいました。 ……オカマって……うぅ……」 ああ、なんとなくわかっていたさ。 だが誰と誰が言ったのか後でたっぷり谷口に聞き出すとして、 今つらいのは朝比奈さんの方だ。 俺の替わりにトイレや風呂など、嫌でも男の体を意識しなければならない時間を強制されるのだ。 さっきの体育の時間だって6組に移動して男子の中で着替えるのは耐え難いものであっただろう。 男の体になったからといってそれをいじくって楽しむような趣味は朝比奈さんには絶対にないと言い切れる。 「もう私……ぐす、つらくて……ごめんなさい。 キョン君の体なのにこんなことを言って……本当に……ごめんなさい……ごめんなさい」 この人は感情を全て感情に出してくれる。 こんな人が未来の組織からの指示で、 俺の体を使って何かを企むことなんて出来るわけがない。 そんなことをしたらすぐにハルヒにバレるだろう。 肩を両手で支え、そっとハンカチを差し出す。 早く元に戻りたいね、と言いながら涙を拭う仕草は、 紛れもなく朝比奈さんのものであった。 俺(朝比奈さん)の姿に元の朝比奈さんの姿が投影して、とてもいとおしく見えた。 それからじっとこちらを見つめながら何かを言いたそうにしている。 口元がかすかに震えて潤んでいる。 これは我ながら可愛い……のかもしれない。 肩に置いた両手がずっと離したくない気持ちになる。 ドサッ 何かが扉の方で落ちる音がして2人の体がビクッと反応し、とっさに離れる。 いつのまにか扉は開いていた。 音もなく扉を開けてそこに立ち尽くしていたのは朝比奈さんに扮した長門でもなく、 長門に扮した古泉でもなく。 ああ……ハルヒであった。 「へぇ~~~~~」 ハルヒの左右の眉がピクピクと痙攣を起こしているのを見て、 中学のときにやったカエルの解剖の実験のときの、 あの太ももの筋肉の動きを思い出した。 ハルヒは怒っているのか驚いているのか笑っているのかよくわからない表情で立ち尽くしていた。 朝比奈さん(長門)の顔がハルヒの肩越しに覗いている。 ハルヒと一緒についてきていたのだろうか。 こちらを見ながら首を傾け、何か不思議そうな顔をしている。 今俺は何をしていた? そう、俺こと古泉は今俺(朝比奈さん)の肩を揉んでいただけだ。 お互い向き合ってだがな。 別にやましいことをしていたわけではないぞ。うん。 ……こんな言い訳では余計誤解を招く。 何も言わない方がまだ被害は少なくて済む。 俺(朝比奈さん)は血の気の引いた顔で震えていた。 さっきまで泣いていたので目も赤く充血している。 俺(朝比奈さん)の方に向かってそれとなくアイコンタクトを送るが、 それをどう受け取ったか、戸惑いながら「ち、違うんです……」と言った。 ハルヒの方へそっと目をやるとさっき落とした自分の鞄を拾いながら、 汚いものを見るような目でこちらを見ている。 「へぇ~~~~~~~~」 2へぇをもらった。さきほどから送っているアイコンタクトはむしろ逆効果か? 「なんか昨日からキョンの様子がおかしいとは思っていたのよねえ」 俺(朝比奈さん)の体がビクッと反応する。 ハルヒは昨日から俺(朝比奈さん)の様子がおかしいって気づいていたのか。 そりゃそうだわな。 気づくに決まってる。 朝比奈さんは絶対映画女優には向かない。 見た目は大変よろしいがこの人を女優にしようという監督などまずいまい。 せいぜいハルヒが監督する映画くらいだろう。 いつかハルヒが映画を作るなどとふざけたことを言い出さなければいいのだが。 「こういうことだったのね」 どういうことだ。 変な納得をしないでほしい。 俺は朝比奈さんが心配なだけだ。 古泉だったらもっとうまい言い訳を考えられるんだろうが、 その点、俺はまだ古泉になりきれていない。 「ま、いいわ」 よくない。非常によくない。 「恋愛は自由よ」 性の垣根を飛び越えるような自由はいらない。 ハルヒはわざとらしく俺たち2人を軽く避けるような仕草をしながら 団長机に歩いていき、足を投げ出して座った。 デスクトップパソコンに電源を入れてからもずっと不機嫌な顔をしている。 「こ、古泉くん。古泉くん」 俺(朝比奈さん)が服の袖を必死に引っ張っている。 今くっつかれるとまた怪しまれると思いつつも振り向くと、視線の先に淡い肌色が映った。 朝比奈さん(長門)が制服を脱いでいた。 もう下着に手を書ける寸前であった。 あわてて2人で廊下に出る。 朝比奈さん(長門)も一言くらい言ってから着替えろって。 そもそもなんで朝比奈さん(長門)がいきなり着替え始めてるんだ? これから5時に駅前の大食い大会に出るというのにわざわざ着替える意味がわからない。 扉の前で待機していると、廊下の向こうから長門(古泉)が歩いてきていた。 「今、朝比奈さんが(長門)着替え中だ。もちろんお前でも中に入っちゃダメだぞ」 無表情でコクンと小さくうなずく。 無言のまま昨日と同じホテルの鍵を古泉(俺)に手渡す。 こいつ、だんだん長門の真似がうまくなっている。 「12時30分、閉鎖空間発生。本日二回目」 廊下の壁に背をつけてまっすぐ遠くを見ながら長門(古泉)がつぶやいた。 「ついさっきおわった」 恐ろしいことをさらっと言ってのける。 「今までで最大級」 真剣な瞳がこちらを貫く。 今ハルヒの身に何かが起きているのは間違いないらしい。 それは俺たちの態度の変化に対してなのだろうか? それとも他に要因があってのことなんだろうか。 変な様子がなかったか俺(朝比奈さん)に聞いてみる。 「う~ん……変な様子といえば涼宮さん今日はずっと不機嫌でしたねぇ。 あと……あ、そうだ。今日私、お昼食べてないんですよ」 はい? 意味が今ひとつ掴めず、目が点になる。 「あ、あ、違うんですよ。 お昼休みに涼宮さんに大食い大会に出るんだから食べるなって言われまして…… それでずっとお昼は涼宮さんに連れられて校内不思議探索をしていました。 探索中もずっと不機嫌でその途中でもあの空間を発生させていたわけです……」 なるほどね。ハルヒ監修の元、お昼を堂々と取るのは難しかったかもしれない。 「でも、不思議なんですよねえ。 涼宮さんもお昼取らなくて良かったんですかね? 今日は涼宮さん大食い大会に出るつもりないみたいなこと言ってませんでしたっけ」 そういえばそうだ。 ハルヒは昨日大食い大会に4人は登録したが、 自分は監督だから出ないと言っていた。 もしかしたら俺達が昼メシを抜くのに自分だけ食べるわけにはいかないという、 ハルヒなりの優しさとでもいうべきなのだろうか? すまんが古泉(俺)は昼飯は食べてしまっている。 あるいは急に気が変わってハルヒ自身も参加するつもりなのかもしれないな。 あの大食い王だ。 自分で優勝をかっさらいたい欲求が出てきて不思議はない。 「もーいーわよ」 中からハルヒの投げやりな声が聞こえて部屋に入る。 朝比奈さん(長門)がピシッとメイド服を決めてお茶を入れるためのお湯を沸かしていた。 少し、いつもの朝比奈さんっぽい仕草に見て取れる。 「もう少ししたら行くからね」 時計をちらりと見ながらハルヒがぶっきらぼうにつぶやく。 お前は今何を考えているんだ? そんなに気に入らないことがあるならみんなにぶつけてくれた方がまだマシだ。 重い空気の部室でハルヒの方を見ないようにしながら朝比奈さん(長門)の入れてくれるお茶を待った。 「お、とっとっと……」 突然お盆を持った朝比奈さん(長門)がゆっくりと棒読みのようなセリフを吐いた。 お茶の載ったお盆を左右に振り子のように振りながら、 スローモーションのようにこちらに倒れ掛かってきた。 ガッシャーン!バシャ! 熱熱熱あつあつあつーっ! 豪快にお盆の上のお茶がこぼれ机の上に散らばった。 熱気を帯びた湯気が一瞬部屋を白く覆った。 異変を感じ、とっさによけたが足に少し掛かってしまった。物凄く熱い。 上靴を脱いで足にふーふーと息をかける。 あわてて俺(朝比奈さん)が雑巾を持ってきて床を拭いた。 「ドジだから……」 朝比奈さん(長門)が割れた茶碗を拾いながらポツリとつぶやく。 えええ?まさか……まさか今のわざとか? 「あーっはっはっは、みくるちゃんサイコー! あはは、あはは、いい!いいわ!そうよ、みくるちゃん。 やればできるじゃなーい! それこそメイドでドジっ娘! 萌えの最強な組み合わせパターンよ! これであなたは無敵の萌え娘に一歩前進よ~!」 そう叫ぶとハルヒは机のどこからか腕章を取り出しマジックで「メイド長」と書きなぐった。 「喜びなさい! 今日からみくるちゃんはメイド長に昇進よ! そうだ!もう今日はどうせだからその格好で大食い大会に出場よ! いいわね?」 朝比奈さん(長門)が腕章を受け取りながらこくりと首を縦に振った。 俺(朝比奈さん)が露骨に嫌な顔をし、がっくりとうなだれる。 だがおかげで男2人の怪しい空気を吹き飛ばしてくれたのだ。 朝比奈さん(長門)が機転を利かせてくれたのかもしれない。 長い坂を下る。 いつもなら帰り道だが、これから俺たちは大食いの大会に出なければならないらしい。 開催場所の北口駅はここから歩くと結構な距離がある。 ハルヒは先頭を軽快に歩きながらドン・キホーテのテーマを歌っている。 その後を右腕にメイド長と書かれた腕章をつけたメイドがシャキシャキと歩き、 高校生3人が後に続く。 俺(朝比奈さん)の足取りが少し重い。足元がちょっとふらふらしている。 「ちょっと貧血気味で……大丈夫です。なんとか歩けますから……私をあまり心配しないで……」 体を支えようとしたところで前のハルヒが振り向いて不機嫌そうな顔でこっちを見ていた。 あわてて離れる古泉(俺) 俺は何をやってるんだほんとに。 俺(朝比奈さん)の話だとハルヒも昼飯を食べていないはず。 ならちっとは元気を落とせ。まったく。 「本当に……私なら大丈夫ですから心配なさらずに」 にっこりと俺(朝比奈さん)が微笑む。 この俺(朝比奈さん)はあまりしゃべらないほうがいいかもしれない。 ちっとも俺らしくする素振りなんてない。 これじゃあオカマといわれても仕方ないか…… でもそれだけ本当の朝比奈さんは女らしさに満ち溢れているということなのだ。 体が男になろうとも女らしさを失わない。 ハルヒも一度朝比奈さんに乗り移ってもらえ。 一日で今までの評価を一変できるぞ。 駅前広場についた。 大会種目はカレーライスのようだ。 昨日チラシをよく見てなかったからよく覚えてはいないが、 北口駅前の広場には異常なまでのカレー臭が漂い、カレーの街と化していた。 夕飯の支度帰りの主婦や、会社帰りのサラリーマンなどが野次馬になってごった返している。 この様子だと北高の生徒もかなり見ていることだろう。 隣にいる俺(朝比奈さん)の顔がまた暗くなっていく。 大会受付本部には大きなテントが張られ。 カレーライスの大食い大会を知らせるでっかい垂れ幕が堂々と掲げられている。 TV局も来ているらしく、 意外に大きい大会らしい。 TVカメラマンがメイド姿の朝比奈さん(長門)を見つけてカメラを回していた。 ニュースの時間にでも流すのだろうか。 この映像が使われないことを祈る。 ハルヒが受付からゼッケンを4つ持ってきた。 「じゃ、頑張るのよ! SOS団のメンツにかけても絶対に優勝すること! いいわね!」 それだけ言い切ると手刀を切るような仕草をして、 観客席の見やすいほうへとずかずかと人を掻き分けていった。 本当にハルヒはこの大会に出ないらしい。 出れば優勝候補になれると思うんだが。 控え室となるテントの中へ移動する。 みれば相撲取りのように太っている選手もいれば、 ガリガリにやせている選手もいる。 全部で20人くらいいるだろうか。 優勝しても商品券程度の物しかもらえないというのに良くやることだと関心する。 大会開始10分前になった。 舞台のテーブルに一列に並び、観客の視線を大量に浴びる。 かなり恥ずかしい状態だ。 司会者が一人一人名前を読み上げていく。 前回の優勝者が先ほどのガリガリ君だというから意外だ。 俺たちの登録名はSOS団団員1号、2号、3号、4号であった。 ハルヒのネーミングセンスの男らしさにはいつものことながら頭が下がる。 朝比奈さん(長門)がSOS団団員3号として紹介されると、 会場からへぇーとかほぉーといったため息交じりの歓声が沸き上がった。 やはりメイド服の美少女はかなり目立っているようだ。 その歓声を聞いて団員1号の俺(朝比奈さん)が顔を真っ赤にしてうつむいている。 ちなみに古泉(俺)の名前は4号。 数字は入部した順番である。 机の前に大皿に盛られたカレーが並べられていく。 ルールは20分で何杯のカレーライスが食べられるかという単純なもの。 一杯500gと言っていたので結構な大皿だ。 食べる前からお腹イッパイだな。 ま、こういう大会に一生に一度くらい出るのもいいだろう。 開始の合図を待ちながら俺の心はもうすでにギブアップしていた。 そのとき団員2号の長門(古泉)が素早くポツリとつぶやく。 「……閉鎖空間発生」 ………。 なんだって? 横を振り向くと俺(朝比奈さん)は左耳を手で押さえ、 朝比奈さん(長門)は右手にスプーンを握り締めたまま虚空をじっと見つめている。 いつかみた光景そのままである。 この真剣な顔つきはカレーの大食いにかける意気込みとは違うようだ。 いつぞやの野球大会みたいに優勝しないと世界が大変なことになるとかそんなんじゃないだろうな? 「わからない。前回と違い、始まる前から発生している。 この大会との因果関係が不明。とにかく急速に拡大中」 おい長門(古泉)、お前本当に中身が古泉か? 一人だけ元に戻っているようなしゃべり口だ。 すぐにでも長門(古泉)に駆けつけてもらいたいところだが、 これから大会が始まろうとしている段階で抜け出すわけにはいかない。 「こらー! キョーン! 絶対優勝するんだからねー!! みくるちゃーん! 頑張ってテレビにガンガン映るのよー!!」 観客席の一番前に陣取ったハルヒが大声で叫んでいる。 こうして見る限り、ハルヒは非常に元気である。 それにこれからみんなの試合が始まるというのだ。 こいつが本当に今閉鎖空間を広げているのか? とてもそうは見えない。 本当はハルヒと違う人物が閉鎖空間をつくっているんじゃないのか? そう思えてきた。 長門の魔法のような力を使えば簡単に優勝できるかもしれない。 しかし、テレビも回っている大勢の観衆下の元でそれを使うのは余りにも危険である。 出来る限り実力でケリをつけるべきである。 今この4人の中で一番この競技に向いているのはSOS団1号の長門(古泉)であろう。 得意のカレーライスとなればかなりのものだ。 物理的な胃の容量が違うとしか思えない。 ただ、心配なのはこの長門はいつもの長門と違って、 中身が古泉だということだ。 これがどのように影響するかはわからない。 とにかく長門(古泉)! 頼んだ! お前の食いっぷりに任せた! さっさと優勝して光る巨人を倒しに行ってくれ! 運命の開始のブザーが鳴った。 15分が経過。 自分の胃の領地は全てカレー色に占領されていた。 2皿食った。もうお腹一杯だ。 朝比奈さん(長門)は4皿の目の中ほどまで食べたところで、 スプーンに乗せたカレーを凝視している。 長門にとって大好きなカレーもさすがに朝比奈さんの体には応えたか。 「こら、バカキョーン!! 休んでる場合じゃないでしょー! カレーなんて口の中に全部詰込んじゃえばいいのよ! 食べるんじゃなくて全部飲み込む感じよ! こうやって、があぁーって! ああ!んもう! みんなしっかりしろー!」 ハルヒは見てるだけのクセになかなか無茶ばかり言ってくれる。 俺(朝比奈さん)はなんとか2皿完食していたが、 3皿目には手もつけず、グッタリとしていた。 もうみんな限界が近い。 それでも長門(古泉)は頑張っていた。 自分の背負った使命の重さは地球の重さである。 その顔には必死さと真剣さが伝わってくる この大食い大会の結果次第では世界の破滅もありえるのだ。 ガ・ン・バ・レ・長・門(古泉)! その一口には人類の明日が掛かっている! コップの水を口に含みながら隣の席の朝比奈さん(長門)がため息混じりにつぶやいた。 「閉鎖空間の拡大が加速している」 なんだって?これでもダメなのか? 長門(古泉)の前には空の皿が7枚積み上げられている。 たしかにこれは女子高生としてはすごいのかもしれない。 だが、前回優勝者の意地か、ガリガリ君の食べる速度はそれ以上のものがあった。 すでに10枚。もうすぐ11枚目のお皿が積まれるところだ。 長門(古泉)は負けているなりにも立派に健闘している。 これに勝たないとハルヒのイライラは収まらないのか? ハルヒの方を見ると爪を噛みながら恨めしそうな顔でこちらを睨んでいる。 さきほどとは違ってまるで鬼気迫る表情だ。 なんとなく閉鎖空間の拡大もうなずけるような気がする。 今勝つための最低ボーダー、カレー12皿は女性の一日辺りの消費カロリーの3倍に達している。 ここまでやらせると危険である。 長門(古泉)の手が急に止まった。 額にはすさまじい量の汗が溜まり、目は充血していた。 いかにも苦しそうな表情を浮かべた長門(古泉)は口パクで「無理」と言っているようであった。 こうなったら仕方ない。 頼む。なるべくばれない方法を使ってくれよ…… 朝比奈さん(長門)の口元が素早く何かをつぶやいたかのように見えた。 一瞬動きが止まったかに思えたが、 そこからいきなりスプーンの回転速度が加速した。 4皿目を一気に流し込んだ朝比奈さん(長門)は 5皿目から皿を持ち上げてそのまま一気にサラサラと口の中へ放り込んだ。 食べているというよりもほとんどどこか異空間へ捨てている感じである。 現にお腹が膨れていく様子もない。 よく見ると朝比奈さん(長門)の喉が全く動いていない。 だがそこはうまく皿を持ち上げることで周りから見えないようにカバーしている。 会場は壮絶な盛り上がりを見せた。 メイド服を着た上品で可愛い女の子がすさまじい食いっぷりを披露しているからだ。 朝比奈さん(長門)のその姿はメイドとしてはあまり上品な食べ方とは言えないだろうが、 この際贅沢は言っていられない。 こうなると次の皿にカレーを盛るのが間に合わないくらいである。 司会者が残り一分を告げたところで、 朝比奈さん(長門)があっという間に20皿目のカレーを異空間に流し込み それを見たガリガリ君はついに諦めたか、手を止めた。 会場はの歓声はヒートし、大盛り上がりを見せた。 市内大食い選手権大会の歴史にSOS団団員3号朝比奈みくるの名が刻まれた。 「表彰状、SOS団団員3号朝比奈みくるどの。 あなたは第6回市内大食い選手権大会において……」 表彰式の最中、すでに長門(古泉)の姿はなかった。 あの満腹の体で閉鎖空間の巨人とどこまでやれるのか知らないが、 朝比奈さん(長門)の優勝により、 幾分か閉鎖空間の拡大は抑えられているということだったのでたぶん大丈夫だろう。 この優勝は無駄ではなかったと思いたい。 ハルヒには長門は急用で帰ったと伝えておくか。 それにしても朝比奈さん(長門)の食いっぷりは見事という他なかった。 見事すぎて逆に怪しまれないか不安である。 実際、前に野球大会でインチキを使ったときも相手チームにはかなり怪しまれたものだが、 今回も周りの選手たちからは疑いの目としか思えない視線が注がれていた。 これ以上SOS団という名前でこのように目立つことをするのは大変危険である。 しかし、ハルヒにはそんなことはどうでもよかったらしく、 「やったわ!みくるちゃん!優勝賞品の商品券でみくるちゃんの新しい衣装を買ってあげるからね! そうだ!今度は女王様なんてどう?結構高いのよ、ああいう服は。」 と朝比奈さんにとっては何ともありがたくないであろう公約を掲げていた。 ハルヒは朝比奈さん(長門)の手から商品券を当たり前のように奪い去りながら自分の鞄の中に入れていた。 その横で俺(朝比奈さん)がぐったりとしながら、自分にはさも関係のない話のようにしている。 俺ももうしばらくカレーは食いたくない。 大会を終えた4人はすることもないのでそのまま帰宅の途についた。 辺りはすっかり暗くなっている。 「ねえ、キョン」 なんだよ、と返事をしそうになった。 そうだ。俺は今、古泉である。 キョンと呼ばれたら俺(朝比奈さん)が返事をする役目である。 道路のカーブにある反射鏡を見上げるとしっかりとそこに反射鏡を見上げる古泉(俺)の姿がある。 俺(朝比奈さん)は呼びかけに何も答えず、考え事をしていたのか黙々と足を進めていた。 「こら、バカキョン!」 「いたたたっ! は、は、はい! なんでしょう?」 左上腕部をぎゅっとつねられて初めてハルヒの呼びかけに気づいた俺(朝比奈さん)はあわてて振りむく。 「んもう、さっきから何ぼーっとしてんの? どーせみくるちゃんのことずっと見てたんでしょうけど。 ……言っとくけど、みくるちゃんはあたしの物だからね! 変な気起こさないでちょうだいね」 ハルヒは朝比奈さん(長門)に後ろから抱きつくと、 まるで自分のおもちゃを自慢する子供のような顔で朝比奈さん(長門)を軽々と持ち上げた。 持ち上げられた朝比奈さん(長門)は無抵抗なまま ハルヒの右腕の上で一回転したところで放り出されるようにして着地した。 俺(朝比奈さん)はなにか言いたげな顔をしていたが、 今ハルヒの力で俺たちが入れ替えられているのであれば、 やはり俺たちはみんなハルヒの物といっても過言ではないのかもしれない。 ……いや、そんなことはさせないぞ! させたくないが…自分の体が自分の物でないこんな状態ではあまり説得力もない。 「あたしん家こっちだから、じゃあね」 とハルヒは一言だけ言い切ると、そのまますぐに十字路を左に曲がり暗闇に颯爽と消えていった。 ハルヒは本当に元気なままだ。 何か不機嫌な要素を残しているとは思えない。 そのことが余計こちらを不安にさせる。 俺(朝比奈さん)とも次の角でわかれ、 そこからしばらくは朝比奈さん(長門)と二人きりとなった。 朝比奈さん(長門)はいつものとおりの長門らしくずっと無言のままだ。 途中すれ違う人たちが朝比奈さん(長門)のメイド服姿に驚いていたが そんなことはまるで目に入っていないようだ。 光陽園駅が見えてきたところで朝比奈さん(長門)は急にまま立ち止まった。 朝比奈さん(長門)の右腕についたメイド長の腕章が風にゆれ動く中、 体は1ミリも動かさず顔だけをゆっくりこちらへ向けてきた。 長門がこんな風な行動を取るときは必ず何か重要な意味がある。 あるのだが、その行動は少し遅い。 早く言えって。 「……わたしの家に来て」 突然心臓の音がドクンからドキンに変わったような気がする。 いつか本物の朝比奈さんにこんなことを言われる日が来てほしいものだ。 「なんで?ここでは話せないこと?」 「話したいことがあるの」 朝比奈さん(長門)の目は真剣そのものであった。 長門のマンションは昨日来たばかりだ。 あのときはだいぶ混乱していたな。俺も。 二日たって落ち着きは取り戻したが、肉体は取り戻せないままだ。 エレベーターに乗って7階を押す。 「何か食べたいものある?」 朝比奈さん(長門)が珍しく人の注文を受けようとしている。 「…冷凍庫にカレーしかないけど」 思わず驚いてしまった。 そして少し笑ってしまった。 長門、お前いつの間にか冗談がうまくなったなぁ。 部屋の電気をつけてコタツ机に座っていると、 朝比奈さん(長門)が台所から盆に急須と湯飲みを載せて持ってきた。 いつか最初にこの家に来たときと同じ状況なのだが、今ここにいるのは朝比奈さんと古泉だ。 周りから見たら全然違う風景である。 さきほどのようにドジッ娘発動でお茶をこぼさないうちに空中で茶碗を受け取った。 「話ってなにかな?」 こちらから切り出してもすぐに話し出さないのが長門の癖だ。 俺もとりあえず飲めといわんばかりに出されたお茶に口をつけて押し黙った。 朝比奈さんの入れたお茶と少し味が違う気がする。 だがこれはこれでおいしいと思えるから不思議だ。 朝比奈さんの体からはお茶をおいしくさせる成分が抽出されているのだろうか。 ふと、昨日長門(古泉)が言っていたことが気になった。 「ところでお前、朝比奈さんの体になってから、ハルヒに対する観測の視点とやらに変化はあったのか?」 昨日の長門(古泉)からの電話のときの話題だ。 長門はもしかしたら今回の事件を意図的に起こした張本人かもしれないというものだ。 今日のハルヒの様子を見ていると、もしかしたらこの長門という線も考えられなくはない。 人間を入れ替えるなんてことが出来るのはあとは長門くらいのものだからな。 朝比奈さん(長門)はうつむいたまま何も答えない。 何か心の中で葛藤しているのか。そしてようやく口にしたことばは… 「もしかしたら私たちは……元の体には戻れないかもしれない。」 な、なんだって? 「私を含め団員の4人は恒久的にこの体のまますごすことになる可能性がある」 衝撃的かつ無責任な発言だ。 古泉が言っていた最悪な予感の一つを自ら宣言したのである。 そのくせ俺の質問には何も答えていない。 …待ってくれ長門。昨日と話が違うぞ。 お前が俺たちの体を元に戻せないとなったら俺たちはどうすればいいんだ? またハルヒのきまぐれで俺たちの体をシャッフルする日を待てというのか? それともそうさせるように仕向けろというのか? しかもハルヒには入れ替え事件を知らせずにだぞ? 話は長くなる、といったん前置きをおいた後お茶を静かにすすって答えた。 「今回の騒動の発端は涼宮ハルヒ。 彼女による小規模時空変換の際に、私の中にある変化がもたらされた。 それは人間が有機生命体である以上、体内細胞に微小ながら蓄積される思考情報の残骸。 …あなた達の言葉で言うところの残留思念ともいうべきものを解析したときに起こった」 残留思念などという言葉を使ったことなどないが、 とにかく体に残った記憶のようなものだろう。 そんなものがあるなんて気づかなかった。 じゃあ、この古泉の体にも残留思念があるというのだろうか。 しかしながら俺は今、古泉の使う超能力もなければ意識も記憶も何も持っていない。 「人間にはどのようなデバイスを用いてもこの残留データから情報を汲み取ることは出来ない。 このことは未来人である朝比奈みくるも同じこと。つまり私だけにできる…」 と言って朝比奈さん(長門)が急に隣に体を寄せてきた。 ドキっとして思わず体を反らそうとしたが朝比奈さん(長門)密着してくる。 そして右手の人差し指をゆっくりと古泉(俺)の額に伸ばし、軽く触れた。 いや、触れたのだろうか。触ると同時に感覚がなくなったのでわからなかった。 目の前が突然真っ暗になったのである。 いや、急に暗いところに来た時のフラッシュバックともいえる状態だろうか。 徐々にボンヤリと周りの状況が確認できる。 ぼんやりと明るい灰色の空、無音の空間、誰もいないビル群。 …閉鎖空間である。 だが不思議なことに今回の閉鎖空間は今までと感覚を全く別にしていた。 言葉では説明できない何かをたしかにそこに感じていた。 誰かがここにいる。わかる。 そして戦っている。あの光の巨人とだ。 そしてこの空間を生み出した主の存在をはっきりと感じる。 ──ハルヒ。 急にまたフラッシュバックした。今度は眩しい。 気づくとまた長門の部屋にいた。 朝比奈さん(長門)の指がゆっくりと目の前から離れていく。 今の映像が古泉の体にあった残留思念なのだろうか。 やけに生々しい。今起こっている出来事のようであった。 「朝比奈みくるの情報を解析しているうちに、意識下における情報の中で、 今回の騒動の原因の因子とみえる意識の片鱗を捕らえた」 つまり、朝比奈さんに原因の一部があるってことか? もしかしてそれを言うために俺をここへ呼んだのか? 「朝比奈みくるは自己の言動により涼宮ハルヒへ大きな影響を与えたことを無意識の元に自認している。 そのことが今回の入れ替え騒動を引き起こした原因になったかもしれないということも。 しかしそれは…朝比奈みくるとして、言ってはいけないことが含まれている。」 なんだそれは。 知っているけど教えてくれないというのだろうか。 朝比奈さん特有の禁則事項とでもいうのか? 朝比奈さん(長門)は押し黙ったままうつむいている。 「……以前の私なら言えたこと。 私は…朝比奈みくるの残留思念のもたらすエラーにこれ以上対処できない」 どうしても教えてもらえないのか? 「わからない。このことがなぜか朝比奈みくるにとっての意識の中で特別なカテゴリーを持ち、 その情報は身体における理解の分別の中にいくつかの情報とともにタブーを伴って存在している」 タブー…それは未来人としての特性なのだろうか。 とにかく長門の使う言葉がわかりにくく、理解が全てに及ばない。 こういうのをなんていうんだっけ? 長門は情報の伝達に齟齬が発生するって言ってたな。 「私は現在、情報統合思念体と直接同期できない。 このことが個としての私本体の能力に限界をもたらすと同時に、 朝比奈みくるから受ける情報同期への回避行動を不可避なものへとさせている。 そして、朝比奈みくるによってもたらされた蓄積情報が、 排除できないデブリとなって私に大きなエラー情報を与えている。 いつか私にもたらされるかもしれない大きなバグが情報回路に形成されつつある。 それが発動したときの行動を予測できない。 きっとあなた達を元に戻すことは出来ないだろう」 長門は普段は全くの無言だが、しゃべるとなると一気にしゃべる癖がある。 お茶はすっかり冷たくなってしまっている。 頭の中もすっかり冷めてしまった。 長門にとって朝比奈さんの体でいることはいろいろと不都合があるらしい。 だからハルヒの能力による規制が外れても、 そのまま能力が落ちたままになる可能性があるということだろう。 ざっとこんな感じの意味だったと理解した。 これ以上は今の俺にはついていけない。 「ところで、長門の今の状態が徐々に変化していくものとして…、 9月12日になった時点で俺たちの体を元に戻すことのできる可能性はどのくらいあるんだ?」 「おおよそ…99.9996%」 ほぼ確実に大丈夫じゃないか。 たったの0.0004%がそんなに長門を不安にさせる材料となっているのか。 いや、長門のことだ。 この極少の確率がいずれ大きな可能になることを知っているのかもしれない。 だから俺にそのことを警告しているのだ。 そのときが来たら助けてくれと言いたいのかもしれない。 部屋から出たときに初めて気づいた。 俺は今まで、朝比奈さんと二人きりで一緒の空間にいたのだということを。 中身は長門にしろ、体はあの犯罪的なボディーである。 むしろ中身が長門であるからこそ間違いが起きても朝比奈さんにはわからないということで… いや、間違いはないんだが、もちろんする気はないんだが、何言ってるんだ俺は。 せっかくの貴重な時間を何もせずにただ話を聞いているだけに終わってしまった自分を情けなく思った。 さっさと帰ろう。っと今日も泊まりはホテルだ。我が家が恋しい。 古泉が用意してくれたホテルは昨日と同じ、 部屋の番号だけが違う部屋であった。 部屋の配置などに変化もない、つまらないビジネスホテルの一室。 シャワーを浴びて横になると同時に携帯が鳴った。 長門(古泉)からだ。 「やあ、すいません。もう寝ていましたか?まだ大丈夫でしたらお伝えしたことがありまして」 すっかり口調は古泉だ。 昼間の長門(古泉)とは別人のような語り口である。 「いえいえ、あれは長門さんのフリですから。 うまくなったものでしょう?僕も俳優やらせたらなかなかの物になるんじゃないですかね?」 「疲れてるんだから用件だけ言え」 「ああ、すいません。もちろん他でもない涼宮さんの話なんですが」 長門の次は今度はハルヒか。 SOS団は問題ばかり発生する団ともいえるな。まさにSOSだ。 「閉鎖空間の発生が頻発しています。 あなたと別れた後もあれから二回も閉鎖空間が発生しました」 やっぱり原因はハルヒなんだろうか。 古泉がそう感じるだけで他の人が作り出した閉鎖空間ってことはないのだろうか。 さっき朝比奈さん(長門)は自分の力が制御できないと言った。 さらに朝比奈さん自身に原因の発端があるとも言った。 「いいえ、それはありません。 間違いなくこの閉鎖空間を発生させたのは涼宮さんです わかってしまうのだから仕方がないのです。」 そう、それはさっき古泉の体とシンクロしたときなんとなく感じていた。 あの一瞬で今ハルヒの心の中に抱えている意識下ストレスの大きさがわかったのだ。 だから古泉の言いたいことはよくわかる。 「今までの涼宮さんの場合、閉鎖空間を広げるときは何か物事がうまくいっていないときでした。 そういうときの涼宮さんの様子であれば、顔色や態度からなんとなく読み取れるはずでした。 ですが今回は違いました。 あなたも目の前で見ていたでしょうが、 涼宮さんの提案した大食い大会に優勝しているにも関わらず、ストレスは増大していったのです もちろん閉鎖空間の規模もどんどん大きくなっています。 今まではあなたの力でかなり涼宮さんのストレスを抑えることが出来ていました。 少なくともイライラの原因を推し量ったり、 涼宮さんの行動をコントロールしたりはできましたからね。 ですが、今僕たちは自分の体を離れ、各々の行動を制御できません。 あの朝比奈さんではあなたの肉体を使って涼宮さんのストレスをとめることは出来ないのです」 俺はもうハルヒの相方として離れることができない存在だとでも言いたいのだろうか。 俺はアンコウの雄と雌じゃない。 あいつの伴侶としていきるつもりは毛頭ない。 だが、このまま灰色の世界に飲み込まれて消えるのはもっと嫌だ。 「このまま行くと明後日くらいが持ちこたえられる限界です。 長門さんの力で元に戻してもらうにしても 少なくとも9月12日まではこのままでいなくてはなりません。 もしかしたら……」 もしかしたら? 「もしかしたら9月12日という日は人類滅亡の期限なのかもしれませんよ」 人類の滅亡だと? そういうことを軽々しく口にする古泉の癖にはもううんざりする。 早く電話を切ってくれ。 「この調子では明日は学校に行けないかもしれません。 そのときは涼宮さんを頼みます。 とにかく涼宮さんのストレスの原因を探ってください。お願いします。では」 頼まれてもどうしようもない。 さっき古泉がいったように俺は今古泉になっているせいでハルヒに対して影響力が少なくなっているからだ。 そしてその体を動かしている朝比奈さんは今回の原因について何も話してはくれてはいなかった。 朝比奈さんの体に乗り移っている長門もだ。 細かいことは明日直接聞くしかない。 まずはハルヒのストレスの原因を探ることから始めなくては… 携帯を机の上に置き、ぐったりと横になって時計を見ると時間は12時を差していた。 明日は9月10日。 何をするのか具体的にはつかめぬまま、とにかく明日にかけるしかない。 古泉になって二日目の夜が更けていった。 第3章
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第10回トーナメント:準決勝① No.6552 【スタンド名】 エロティカル・クリティカル 【本体】 クリームヒルド・ブライトクロイツ 【能力】 自分が投擲した物を絶対に命中させる オリスタ図鑑 No.6552 No.6136 【スタンド名】 ディプレッション&ラジィ 【本体】 朝比奈 薫(アサヒナ カオル) 【能力】 怠惰・憂鬱状態にさせるガスを発生させる オリスタ図鑑 No.6136 エロティカル・クリティカル vs ディプレッション&ラジィ 【STAGE:美術館】◆aqlrDxpX0s クリームヒルドが美術館の敷地内へ入る門の前に立つと、そこから美術館の建物へはずいぶんと距離があることがわかった。 ずっと上り坂を歩いてきて、門のところでやっと着いたと思っていたクリームヒルドは、ひとつため息をついて遠くに見える美術館の建物へ向かって再び歩き出した。 高原の中に建つ美術館は敷地内の庭も一面に芝生が広がっており、その中に一本だけ舗装された歩道が通じている。 クリームヒルドが歩くたびに揺れる長い髪は名の通りアーモンドクリームのような美しい色をしており、身に纏う真っ白なコートの裾が風で少しだけ翻る。 コートの裾からは鈍い光沢を放つ鉄製の武器がチラリと顔をのぞかせる。 クリームヒルドはコートの中に自らの得物である「クナイ」を忍ばせていた。 美術館の正面入り口が近づいてくると、そこに1人の男が立っているのが見えた。 真っ黒なスーツを着ているが、フォーマルな出立ちとはいえなかった。 ズボンは腰骨あたりまで下げてダボダボにし、ジャケットの下にはパーカーを着てフードをかぶっている。 あげくの果てにはフードの中にキャップまでかぶっていた。 そのわけのわからない装いの男はクリームヒルドに気がつくと、ニタニタしながら近寄ってきた。 歩きづらそうだなとクリームヒルドは思った。 「コンチャっす! おねーさん、クリームヒルド?」 「うん、そーだけど。あなたは何? 対戦相手? だったらあと3秒で決着つけたいところなんだけど」 クリームヒルドはそう言ってコートの中のクナイをすばやく手に取ると、ダボダボスーツの男は慌てて制した。 「まっ、まっ、ちょ待ーっ! 立会人! 立会人だって、この試合の!」 「はあ。立会人ですか、そーいう人たちもいるんですね」 「コ、コホン! じゃあ改めて……」 「オイラはこの試合の立会人! 上路遊助(ウエジ ユウスケ)、です!」 男は右手で敬礼のポーズを取って、左右に小刻みに揺れてそう言った。 可愛らしさアピールなのかもしれないが、お世辞にも20代にすら見えないその男の態度に、見てるこっちが恥ずかしくなるとクリームヒルドは思った。 「『ユウちゃん』って呼んでもらっても構わないよっ!」 「はあ。それでユウちゃん、あなたが立会人なら、私の対戦相手はどこにいるの? まだ着いてないのかな?」 「うん、対戦相手はもう着いてて中にいるんだけどさ」 「ええっ!? それじゃあ私、待ち伏せられることになるんじゃあ……ないの?」 「いややっ、それよりさ、クリームちゃんにお願いがあるんだけど」 「なによ、クリームちゃんって」 「お願いだから、降参してくれない?」 立会人は顔の前で手を合わせ、懇願した。 チャラけた態度だが、冗談を言っているわけではなかった。 「ヤバいんだって! 朝比奈ってヤツ、連続殺人鬼なんだ。マトモに戦って勝てる相手じゃないし、立ち会いしてるオイラまで死んじゃうかもしれないんだって!」 「対戦相手は、連続殺人鬼なの?」 「あう……思わず言っちゃった」 「あなた、出場者である私に降参することを要求するなんて、立会人としてどうなのよ」 「いや、そーなんだけど! 命が一番大事でしょ!? クリームちゃんのためにも言ってんのよーっ! ホントはオイラが立ち会うはずじゃなかったし……」 「ん?」 「あ……いやこっちの話。とにかく……オイラのためにも降参して、ねえっ!?」 「ムリ言わないでちょうだい、こんな面白い企画……ここで帰ったら、メインディッシュが来る前にスープ飲んだだけで会計するようなモンじゃないの」 クリームヒルドは困惑する立会人を尻目に美術館の扉に手をかけ、ゆっくりと押し開けて中へ入った。 「んー……じゃあオイラは外で待ってるからねぇー。クリームちゃんが無事に出てくるのを祈ってるよぉ……」 それだけ聞こえた後、美術館の扉は閉まった。 美術館のエントランスホールで最初にクリームヒルドを迎えたのは、大きな大理石の石像。 中央にそびえ立つ女性の体を模した石像の艶かしい美しさと、とても高い天井から下がっている豪華なシャンデリアの輝きを見ただけで、 この美術館がどれほどすばらしいものを収めているかを知ることができた。 1回戦で舞台となった美術館も隅々まで掃除が行き届き、意欲的な作品に満ちたすばらしいミュージアムであったが、 大きさは明らかにこちらの美術館のほうが大きかった。 クリームヒルドは目の前の女性の石像に鼻がつくほど顔を近づけた。 ここの展示品をすべて眺めていたらいったいどれくらいかかるんだろう……とクリームヒルドが観賞をはじめようとしたところで、彼女は本来の目的を思い出した。 (いけないいけない、また『悪癖』が出てしまうところだった) 外ならまだしも、ここでまた展示品に集中しはじめていたら敵に何をされるかわかったものじゃない。 もしかしたらわかる前に死んでしまうかもしれない。 (死んでしまう――かもしれない) そういえば、そう立会人は言っていた。 ここへ入ってからまだ一度も姿を見ていない、『連続殺人鬼』……それが対戦相手だ。 「…………」 だが、単なる好奇心でこのトーナメントに臨んだことをいまさら後悔してもいられない。否、後悔などしていない。 とにかくは身をもって知ることだ。そのために私はここへ来たのだから。まだ、前菜しかいただいていない。 そうクリームヒルドは思って対戦相手を探しはじめた。 1階の広い展示スペースには企画の展示品が並んでいる。 同じ時代の作家が制作した絵画や彫刻品が展示されており、どれも目をひくものばかりだが、 それを眺める客はひとりもいない。 クリームヒルドは展示品に目移りしながらも、手にクナイを持ったまま周囲を警戒する。 (相手が先に入った割には、その痕跡がどこにもないなあ……私なら対戦相手がくるまで、そこかしこにトラップを仕掛けるけど) ざっと1階のフロアを見渡したあと、中央階段から2階へ上がった。 2階は開放的だった1階とはずいぶん様子が変わり、質素な床板と壁紙の廊下に沿って、学校の教室ほどの大きさほどの部屋が並んでいた。 廊下と部屋の間の窓から中を覗くと、ここでもいくつかの展示品が並べられていた。 おそらくここは個展用の貸しスペースなのだろうとクリームヒルドは思った。 他の部屋の中にはいくつか空き部屋もあった。 こんな街から離れた高原の美術館に誰が個展など見に来てくれるのだろうかと考えながら廊下を歩いていくと、 クリームヒルドは廊下の奥の部屋の異変に気がついた。 窓から中の様子を見ても、何も見ることができない。 というのも、部屋中に真っ黒な煙が充満しており、締め切られた空間の中でもくもくと広がっている。 クリームヒルドは改めて周囲を見回すが、この部屋以外におかしな点は見られない。 背後にある部屋は空き部屋になっており、隠れられるスペースもない。 空き部屋の天井を見ると中央には煙探知機がついており、小さなランプが点灯している。 (この煙が充満している部屋にも同じ煙探知機がついているのなら、煙が部屋じゅうに広がる前に火災報知機が館内で鳴り響いているはずだよね…… っつーことは、この煙はホンモノの煙ではない……スタンド能力と考えてもよさそうかな) 部屋の煙を見つめながらクリームヒルドは考え込んだ。 (スタンド能力だとしたら、この煙の中へ入ったり、吸い込んだりしてもいいことはなさそうだね) どうするべきか? クナイを投げて調べてみるか? いや、目で見ている以上の情報は得られないだろう。 まだ見てもいない相手に能力を発動することなどできない。 そんなことを考えながらクナイを手でクルクル回していると…… 「はあ……もう待つのめんどくせえ」 「ッ!?」 突然、クリームヒルドの「真上」から男の声が聞こえた。 クナイを振りかぶり声のするほうへ投げようとする前に、 天井裏から廊下へ上半身だけを逆さに出した学生服の男――朝比奈薫(アサヒナ カオル)は『ディプレッション&ラジィ』のガスをクリームヒルドに吹きつけた。 ――――――――――――――― ―――――――――― ――――― 連続殺人鬼という裏の顔を持つ男子高校生の朝比奈薫は決してトーナメントに出たかったわけではなかった。 彼は表面上はごく普通の学生生活を送っていたので、手紙が彼の住むアパートの部屋へ届くこと自体に何もおかしいことは無かった。 たとえそれが不気味な赤い封筒であっても。 しかし、玄関ポストの封筒を手に取り中を確認すると彼の表情は凍りついた。 そこにあった「スタンド」という文字。 彼がスタンドを使うのは、人知れず残虐な行為を行っているときだけだった。 「スタンド使い」としての朝比奈に手紙が届くということは、このトーナメント運営の団体は彼の本性を知っているということに他ならなかった。 もし自分がこの手紙を無視したらどうなるだろうか? 自分以外に自分の本性を知っている者が存在することに変わりはない。 少なくともこの手紙を開いた時点で自分にとっての平穏な日常は崩れてしまった。 朝比奈にとってこの招待状は脅迫状にしか見えなかった。 救いがあるとすれば、この手紙の最後の一行だけ。 〝このトーナメントで貴方が優勝した暁には――〟 ――――― ―――――――――― ――――――――――――――― 「がほっ! ごほっ!」 『ディプレッション&ラジィ』のガスを吸い込んだクリームヒルドは激しくむせこんでしまい、クナイを投げることができなかった。 その隙に朝比奈は天井裏から2階の廊下へ降りた。 「……部屋の煙はスタンドとは関係ない。ただの煙。煙探知機が作動しなかったのは、単に俺が壊しただけ」 「…………ごほっ、ごほっ!」 「ガス吹きつけずに殴っても良かったんすけどね……あんたがなんかの能力で避けても面倒だから、先に『吸って』もらった」 (っ! なんだか……急にけだるくなってっ……?) 「動きを封じるためにね…… 『ディプレッション&ラジィ』!」 真っ黒な甲冑騎士のような朝比奈のスタンドは拳をクリームヒルドめがけ振り下ろす。 クリームヒルドはそれを間一髪でかわし、朝比奈に背を向けて走り出した。 「あれ……ガスの量が少なかったかな」 朝比奈もすぐに走り出し、クリームヒルドのあとを追った。 朝比奈とクリームヒルドとでは当然朝比奈のほうが体力は優っている。 さらにクリームヒルドは腰ほどまであるコートを羽織っており、見るからに走りづらい格好をしている。 追いつくのは時間の問題である……そう朝比奈は思っていた。 「ええい……『エロティカル・クリティカル』!」 そう叫ぶと同時に、クリームヒルドは前を向いたまま1つのクナイを投げた。 それを見ていた朝比奈はその行動を不可解に思えたが、すぐに意味を理解した。 クナイは物理法則を無視し、きゅるんと向きを変えて朝比奈のほうへ向かっていった。 「な……防御しろ、ディプレッション&ラジィ!」 向かってくる2つのクナイを朝比奈のスタンドは両手で弾いた。 鉄製のクナイを弾いて朝比奈の手がビリビリと痺れる。 (この感触は……スタンドのそれじゃあない、ホンモノの鉄だ。とすると……ああ、考えるのメンドクサイ) 朝比奈はクリームヒルドのスタンド能力を朧げに把握しつつも、深く考えるのをやめた。 考えるのが、いやそれだけでなく何かとめんどくさい。 そんな感情は、クリームヒルドにも襲い掛かっていた。 (あー、なんだかさっきより体がだるい気が……やっぱガスのせい? あー走るのもうヤダけど……つかまったらそれで終わりな気もするし…… なんでこんなめんどくさくなってきてるんだろう私) クリームヒルドはクナイで牽制しつつ朝比奈から逃げ続けていた。 クナイを投げるたびコートは軽くなっているが、それよりもクナイを持つ手の感触がだんだんと重くなっている気さえしている。 投げ続けなければ追いつかれてしまうのはわかっているが、投げるたびにクナイを持つことすら億劫になってしまっていた。 そして、朝比奈との距離は確実に縮まってきている。そして、体のけだるさも脚まで襲いつつあった。 (ああーくそっ……もう仕方ない、集中せえー集中ッ!) クリームヒルドはすうっと大きく息を吸う。 「あーっ……ガスによって身の倦怠感、憂鬱状態が引き起こされる外的要因として考えられるのは亜酸化窒素、セボフルランに代表される吸入麻酔薬、映画やマンガでよく見られるのはクロロホルムではあるが、本来では吸入した時点で眠りにつくわけではなく、眠りにつくまでには時間のかかるものであり、今身に起こっている事態もそれによるものと考えられ、吸入麻酔薬について笑気やエーテルは浸した綿花を患者の鼻や口においたり、大きな袋の中に入れて吸入させたりして使用されてきて今日なおその作用機序については不明な点があるものの吸入麻酔薬はスムーズな導入と速い覚醒を得ることができるようになっており、かのスタンド能力もそれに類似したものと仮定すればこのままでは知覚麻痺と意識消失に至ると予測され筋弛緩も引き起こしつつある現状を鑑みれば極めて回避できぬ自体であることは否定できず吸入麻酔薬分子が細胞脂質膜に溶け込むことにより疎水性膜の拡張がおこり麻酔が起き……」 「…………!?」 突然クリームヒルドは早口に一本調子で演説を始めた。 日々図書館で身につけた知識を、それっぽく説得力がありそうにただべらべらと繋げ、語り続けていた。 朝比奈から逃げながら、クナイをときどき投げながら。 クリームヒルドは自らの『悪癖』……「集中しだすと周りが見えなくなる」ことを逆に利用した。 『ディプレッション&ラジィ』の引き起こす怠惰状態に対抗するために。 当然、朝比奈にとってすれば意味不明な行動である。 しかし先ほど少し近づきはしたものの、クリームヒルドが論じ始めてからは距離をそれ以上詰めることができなかった。 「外的要因以外にこの精神状態に類似した症状といえば所謂鬱状態があり、現代の医学によれば精神療法に限らず投与薬によっても解消することが証明されている。ただし投与薬の副作用として倦怠感やだるさが引き起こされる場合があり、その原因としてはセロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリンの体内での分泌量に変化が生じホメオスタシスが崩れることにある。薬による副作用を薬で抑えるのは堂々巡りといえるため確実ではなく自己治癒力によって乗り切るほかは無い。この倦怠感、憂鬱状態が気づく限り私の敗北は濃厚になる故に早急に対策を練らねばならず、このような不測の事態に陥った場合の対処法を示す論文は存在せず、もっとも原始的な、それでいて確実な、言い換えれば強引な対処法をこの場で自身に施さねばならない……」 とはいえ、クリームヒルドは逃げ続けるだけでは勝ち目が無いのは明らかだった。 もちろんそれをクリームヒルド自身も理解している。 彼女は逃げながらある場所へ向かっていた。 「ここは……エントランスホールか」 クリームヒルドが向かっていたのは美術館のエントランスホールだった。 そこにはクリームヒルドが入ってきたときに見たものと同じ大きな大理石の女性の像と、豪華なシャンデリア、そして……受付のカウンター。 クリームヒルドはそのカウンターの中へ入り、身をかがめた。 「何のつもりですかね、そこに隠された逃げ道でもあるんすか」 「私が1階を物色しているとき、カウンターの中にある『モノ』があることを今思い出し……ええと、しゃべるのもめんどくさい」 クリームヒルドがカウンターの中から立ち上がると、手にはある『モノ』が握られていた。 「『救急箱』…………この中に、私が求めていたモノがあった。鎮痛剤という名の化学兵器……」 「…………はァ」 「『アン○ルツヨコヨコ』がね」 容器の注意書きには『1.次の部位は使用しないこと (1)目の周囲、粘膜など』と記されている。 クリームヒルドはその『アン○ルツヨコヨコ』をよく振って、フタを開けた。 ツンとした刺激臭が漂う。 「ただ黙って倦怠感が抜けるのを待っていたら負けてしまう……私が必要としていたのは気つけ薬だったのよ」 そういうとクリームヒルドはその『アン○ルツヨコヨコ』を鼻の下に塗った。 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」 エントランスホールに響き渡る断末魔の響き。 鼻から吸った刺激臭は脳を刺して耳から抜けていくように感じる。 「痛゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」 朝比奈はただ立ち止まっていた。 クリームヒルドに逃げ道はないし、そんなもので自分の能力を打ち消されるとは思っていなかったからだ。 しかし、朝比奈にとって予想外のことが起こる。 「ン゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ッ゛…………」 「…………」 「はあ、スッキリしたわ」 「……マジかよ」 クリームヒルドはシャッキリと背筋をのばし、目をぱっちりと開けている。 果たして本当に薬品の痛みが効いたのか、はたまたプラシーボ効果だったのか、それとも単に能力の効果時間が切れただけなのかはわからない。 しかし確実にいえることは、『ディプレッション&ラジィ』のガスの効果はクリームヒルドに残っていないということである。 「まあ……いいや。フツーに叩きのめすことにします」 「フン、ずいぶん自分のスタンドに自信がおありのようでございますが、考えが甘いのではなくて?」 「…………何すか」 「あなたごときのスタンドで、私のスタンドに勝てると思ってるの?」 「まだアンタのスタンド見てないんすけどね」 「そんなに見たいの?」 「……別に。もう行きますよ?」 「フフ…………後ろよ、う・し・ろッ」 「!!」 朝比奈はぐるりと振り返り後ろを見る。 いつのまに回っていた相手のスタンドの攻撃に対処するために。 今まで姿を現さなかったのは、遠隔操作型だったからか。 しまった、もう少し考えながら追えばよかった。 そう朝比奈は思ったが、背後にスタンドらしき姿は無い。 「うわあ、ホントにひっかかりやがった」 「…………『ディプレッション&ラジィ』!!」 「なーんつってな、本当は上だよ上」 「聞くかッ、アイツをぶん殴」 そこまで言いかけた時、朝比奈の頭上から何か巨大なものがのしかかる。 朝比奈はその重さに耐えかねて、床の間に押し潰された。 白い床の上に倒れた朝比奈の周囲に、キラキラとしたものが降り落ちている。 それらの中に金色の鎖や装飾のガラスが飛び散っているのを見たが、そこで朝比奈の意識は途絶えてしまった。 「私のスタンドは遠隔操作型……接近戦なら勝ち目はない。ただしここなら……あなたに勝ちうる手段があった」 朝比奈の背中にのしかかっているのは、エントランスホールの高い天井から吊り下げられていたシャンデリアだった。 クリームヒルドはエントランスホールに入って、カウンターの中へ向かっているときから 彼女のスタンド『エロティカル・クリティカル』をシャンデリアの根元へ向かわせていた。 スタンドがシャンデリアの支えを壊すのに時間はかかったが、 朝比奈はうまくいきすぎなくらいに、シャンデリアの真下に位置どっていた。 「これで、私の勝ちということでいいんだろうか。あの立会人、外にいやがるからなあ」 そのとき、床とシャンデリアの間でうつ伏せで倒れている朝比奈のポケットから何かがコロコロと転がっていった。 クリームヒルドのいる位置からは反対側の、美術館の2階へ上がる階段のあるほうへと向かっていた。 クリームヒルドはそれに近づき、手にとって確かめた。 「これは…………ヨーヨー?」 そのときだった。 ヨーヨーを手にとって見ていたクリームヒルドの背後で大きな破壊音がした。 それはシャンデリアが朝比奈の上に落ちたときの音に似ていたが、それよりもさらに大きく激しい音だった。 何が起きたのか。またシャンデリアが落ちたのか。いや、エントランスホールに巨大なシャンデリアはひとつしかなかった。 だが、今聞こえた音は確かにシャンデリアのものだった。 クリームヒルドはちらりと後ろを見た。 するとそこには、ついさっきまでシャンデリアの下で寝ていたはずの朝比奈が立っていた。 朝比奈の後ろの正面入り口の扉にはシャンデリアが打ちつけられ、粉々になって破片が扉に刺さっている。 「うしゅるるるるるるルルルルるるるるルルルルるるるるルルルルるるるるルルルルるるるる」 目を見開かせ、言葉にならぬ声を出し続けている。 朝比奈の顔や服からは血のしたたりがポタポタと落ちている。 クリームヒルドは、美術館に入る前の立会人の言葉を思い出した。 (連続殺人鬼なんだ) それを聞いて直に朝比奈を見たとき、クリームヒルドにはとてもそうは見えなかった。 だが、えてしてそうは見えないのが普通なのだろうと思っていた。 しかし、クリームヒルドは確信する。今の朝比奈が、連続殺人鬼としての顔なのだと。 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛あああああああああああアアアーーーーーーー!!」 まるで産声をあげるかのように殺人鬼の朝比奈は吼えた。 そして視線をクリームヒルドへ向けた。 「ま、まずいって!!」 クリームヒルドは恐怖を感じ、踵を返して駆け出した。 美術館から出るというより、とにかく朝比奈から離れるために。 (まーそりゃ『何があっても不思議じゃない』とは聞いてたけどなっ、こんなスリリングさは求めてないんだってば!) 「ひゃあーーーーーーーァはははははハハハハはははぁハハハハ!!!」 さっきとは逆に、1階から2階へ、そして3階へと階段を登りながらクリームヒルドは逃げていった。 今度はクリームヒルドは『ディプレッション&ラジィ』のガスは吸ってはいないものの、狂人と化した朝比奈に追いつかれるのは時間の問題だった。 階段は3階で終わっていた。 クリームヒルドは朝比奈と対面する前に3階には上っていなかった。 したがって、3階がどのようになっているのかクリームヒルドにはわからなかった。 「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺ろろろろろろろろろろろろろろろろろろろすすすすすすすすすすすすすすすすすすすすすすすすすす」 とにかく、朝比奈から離れなくてはならない。捕まってしまったら、遠隔操作型の自分のスタンドでは確実に力負けしてしまうのだ。 クリームヒルドは廊下のガラス戸を開けた。 ガラス戸の外は屋上テラスだった。 高原の上に立つ美術館なので、フェンスの向こうには木か雲に覆われた真っ白な空しか見えない。 クリームヒルドが屋上テラスに出ると、続いて朝比奈も飛び出してくる。 屋上テラスには、今出てきたガラス戸以外に出入り口のようなものはなかった。 「くぅうううう~~~~~~~~ッッ!」 クリームヒルドがうなり声をあげる。 朝比奈もクリームヒルドに逃げ道がないことを理解するが、今度は余裕ぶって待つことをしない。 勢いを止めないままクリームヒルドに掴みかかろうとする。 クリームヒルドはフェンス際まで追い詰められた。 胸ほどの高さがあるフェンスの向こうは当然なにもない。 見下ろせば庭の芝生が広がっているだろう。 だがクリームヒルドは止まらなかった。 フェンスに飛び乗り、そのまま向こう側へ落下した。 「はああああああああああああああああ!!!!??」 朝比奈は当然、クリームヒルドがそこで止まるものと考えていた。 だが彼女は止まらずにフェンスから外へ落ちていった。 狂ってるとはいえ、さすがに自分も落ちていくようなマネはしない。 クリームヒルドの姿を確認しようと朝比奈はフェンスから上半身を乗り出して下を覗き込んだ。 クリームヒルドの姿はそこにあった。 それは真下に落ちている最中でも、あるいは地面の血だまりの上で横たわっているのでもなく、 ほんとうに『そこ』にいた。 「ヘーイ、グーテンターク」 クリームヒルドは下から上に浮き上がっていたのだ。 右手の『ヨーヨー』に引っ張りあげられて。 「なあッ!!?」 離れようとしたときにはすでに遅かった。 クリームヒルドのヨーヨーは糸が朝比奈の首にぐるぐると巻きつき、 クリームヒルドの体重が首にのしかかった。 「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐゥゥゥゥ…………!」 「『エロティカル・クリティカル』、能力は投げたものを『必ず』命中させること。 それが対象とは逆方向に投げられたクナイであっても、それが落下中に屋上へいる対象へ投げられたヨーヨーであっても。 私の『エロティカル・クリティカル』は否が応でも命中させる」 ヨーヨーの麻糸が朝比奈の首を締めつける。 力を込めて真っ赤になっていた朝比奈の顔面は、首が絞められていることにより徐々に青くなっていく。 一方のクリームヒルドも無事ではない。 ヨーヨーをつける指のわっかを広げ、手首に巻いたとしても手首がちぎれそうになるほど痛く、 また血が止められてどんどん痺れて感覚が無くなっていく。 (早く~~~~~~早く~~~~~~) だが、どちらが辛いかは明白である。 朝比奈はついに耐え切れず、クリームヒルドの体重に引っ張られてフェンスの外側へずり落ちていった。 「!!」 それを見たクリームヒルドは密かにコートに忍ばせていた『かぎ縄』を出して屋上テラスのほうへ投げ込んだ。 かぎ縄はフェンスにひっかかり、クリームヒルドはかぎ縄にしがみついた。 朝比奈がフェンスから落ちてくる前にヨーヨーの輪っかを手から離して、フェンスから屋上テラスへよじ登った。 入れ替わりに朝比奈は屋上テラスから真下へ落ちていく。 どこまでも響く叫び声をあげながら。 「ウウウウウウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!」 ――――――――――――――― ―――――――――― ――――― 〝このトーナメントで貴方が優勝した暁には、貴方の願いをひとつ叶えて差し上げます〟 朝比奈の受け取った招待状の最後にはそう書かれていた。 トーナメント運営は、自分の本性を知った上で招待状を送り、なおかつ『願いを叶える』と手紙に書いたのだ。 朝比奈はそう思ったが、その真意まではわからなかった。 あるいは、ただの酔狂か。 どのみち、朝比奈にとって選択肢などなかった。 本当の自分の姿を知る存在をほうっておくことなどはできなかった。 かくして朝比奈はスタンド使いの集まるトーナメントに参加することを決意した。 手紙の最後の一行に望みを託して―― ――――― ―――――――――― ――――――――――――――― 「!」 美術館の庭の芝生の上で仰向けに倒れていた朝比奈は目を覚ました。 全身に激しい痛みを感じる。だが、立てないほどではなかった。 朝比奈はゆっくりと立ち上がり、『ディプレッション&ラジィ』のガスを吸って心を落ち着かせた。 「立つんかい……」 美術館の屋上から下を見下ろしていたクリームヒルドは呟いた。 3階とはいえ、1階のエントランスホールを含めた天井の高さを考えれば、屋上から地面まではビル5階分ほどの高さはあった。 (……ここで倒れるわけにはいかない、俺の望みを叶えるために) 朝比奈は全身の痛みに耐え、苦悶の表情を浮かべている。 (俺は……俺は、自分の狂気を捨て、普通の生活をしたい……!) 「俺は、勝たなくてはならないんだッ!!!」 朝比奈の持つ狂気は、敢えていうならば彼にとっての正気だった。 普段はそれを自身のスタンド能力で抑えているに過ぎない。 だが、『正気の沙汰』の一方で、自らの狂気に苛まれる想いもわずかに存在していた。 これまでの十数年間の狂気と殺戮に満ちた日々の中で、彼を癒すものは何一つ無かった。 癒えることなどありえないと思っていた。普通では不可能であると、彼自身は思っていた。 だが、そんな彼のもとに此度の招待状が届いた。 死人以外に知られるはずのなかった本当の朝比奈薫に向けた招待状が。 だからこそ朝比奈は希望を感じたのだ、招待状の最後の一行に。 蝕み蝕まれた自らの人生をやり直すために、彼は立ち上がった。 「『ディプレッション&ラジィ』ーーーッッ!!」 美術館の屋上のクリームヒルドは、朝比奈に戦う意思が残っているとわかると、 コートの中から手にもてるだけのクナイを取り出した。 「まだ、やるというのなら……テッテーテキにやってやろうじゃないの」 クリームヒルドは片手に4本ずつ、指の間にクナイを持って両手を振りかぶった。 「私の能力は『投げたものを必ず命中』させること……私の真下にいるあなたに、このクナイを投げ下ろしたら、どうなると思う? ……クナイは落下で速度を増して、そのままあなたに襲い掛かる!」 クリームヒルドは両手を同時に振り下ろし、8本のクナイを真下にいる朝比奈に向けて投げた。 通常なら、朝比奈に当たりそうなクナイは1本か2本だろう。 だが、8本のクナイはなだらかな弧をえがくように、すべて朝比奈へ猛スピードで向かっていた。 「殴り落とせェーーーーッ!」 『ディプレッション&ラジィ』は真上へ向けてラッシュを放った。 向かい来るクナイを防御するために。 いくら速く、いくら多いクナイでも、それに対抗しうるほどのパワーとスピードを自身のスタンドは持っていると朝比奈は確信していた。 一方のクリームヒルドも8本のクナイだけでは終わらない。 投げた後すぐさまコートに手を入れ、新たにクナイを取り出して再び投げ下ろし続けた。 狙いなど定めなくとも、投げたクナイはすべて朝比奈に向かっていた。 「せぇぇぇぇえええええりゃぁぁああああああーーーーーっ!!!!!!」 『LAAAAAAAAAASIEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!』 (いったい……いくつのクナイを隠し持っているんだ? すでに100は超えているのに……) (女は常に何かを隠しているというでしょう?) だが、それでも無限ではなかった。 クリームヒルドがコートの内側に入れた手にクナイの感触が少なくなってくると 自然と手数は少なくなっていった。 ついにコートの中のクナイが数個になると、攻撃の手は完全に止まってしまった。 「ハァ……ハァ……」 だが、それでも朝比奈は立っていた。 息を切らし、手は血だらけアザだらけになっている。 しかし朝比奈は競り勝った。 「…………」 「……もう、終わりか?」 朝比奈は上を見上げてつぶやいた。 もちろん、屋上のクリームヒルドには聞こえないのだが。 「これで……カンバンだッ!」 クリームヒルドは最後に残った5個のクナイを思いっきり投げ下ろした。 「今更こんな残りカスが通用するかッ、『ディプレッション&ラジィ』!」 迫り来る5本のクナイ。 それを朝比奈の『ディプレッション&ラジィ』は次々と弾き飛ばしていった。 1本、2本、3本、4本……何の問題もなかった。 そして、最後の5本目…… 「!!」 『ディプレッション&ラジィ』は5本目のクナイを弾き飛ばす。 それ自体に何の問題はなかった。 だが、弾き飛ばした5本のクナイ……そのあとにもうひとつ、クリームヒルドが投げていたものに朝比奈は気づいた。 それは空に広がる雲の色にまぎれた、真っ白な容器。 朝比奈は見えていた5本のクナイを弾き飛ばしたところで、完全に手を止めていた。 しかし、気づいたところでそれを弾き飛ばすのはもはや遅かった。 容器が朝比奈の顔に当たり、パシャンと中の液体が降りかかった。 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛! ! ! ! ! !」 その液体は目に染みて激痛を走らせ、きつい臭いが鼻を通って脳を刺激した。 朝比奈は顔を手でおさえて悶絶する。 地面に落ちた容器には「アン○ルツヨコヨコ」と書かれていた。 注意書きには『1.次の部位は使用しないこと (1)目の周囲、粘膜など』と記されている。 「あなたが何を望んでこのトーナメントに参加したのかは知らない。 けれど殺人者であるあなたが、他人の望みを断ってきたあなたが、いまさら何の望みをかなえられるというの? そんな都合のいいことが、あなたにあると思っているの?」 「ウ゛ウ゛ッ……ア゛ア゛ア゛……」 朝比奈はよろめきながら美術館の建物から離れようとする。 「今度こそ、きっちり決着つけるわよ」 そういうとクリームヒルドは自身のスタンド『エロティカル・クリティカル』に自分の体を抱えさせた。 「コレがホントの『落とし前』」 『エロティカル・クリティカル』はクリームヒルドをそのままフェンスの向こう側へ投げ落とした。 垂直に落ちていくクリームヒルド。 だが地面スレスレで、狩をするツバメのごとく地をすべるように水平に飛んでいき、朝比奈の後頭部へ膝蹴りを喰らわせた。 朝比奈はめまいと共に頭が真っ白になり、地面に突っ伏した。 「おおっ、クリームちゃん無事だったんだね!」 美術館の敷地へ入る門に立っていた立会人は、近づいてくるクリームヒルドに向けて手を振った。 「外にもいないと思ったら、こんなとこまで避難してたんだなアンタは」 「ヘヘッ、万が一クリームちゃんのクナイが飛んできたらあぶないからね!」 「へ? 何、観てたのあなた」 「オイラたち立会人はね、どこにいても戦いの内容はすべてお見通しなんだよっ! ちゃんと観てたよ! クリームちゃんが朝比奈を3回もノックダウンさせたとこ!」 「ふ~ん……まあちゃんとジャッジしてくれてんならそれでいいや。……私は帰るわよ」 「じゃあオイラは後処理があるから! じゃーねクリームちゃん!」 立会人は坂道をおりていくクリームヒルドに向けて両手を振った。 クリームヒルドは振り返らぬまま、空を見上げた。 「……雨が降ってきたわね」 ★★★ 勝者 ★★★ No.6552 【スタンド名】 エロティカル・クリティカル 【本体】 クリームヒルド・ブライトクロイツ 【能力】 自分が投擲した物を絶対に命中させる オリスタ図鑑 No.6552 < 第10回:準決勝② > 当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用を禁止します。 [ トップページ ] [ トーナメントとは? ] [ オリスタwiki ]
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仮説4 タイムスリップ直後 使うのを忘れいていたシーン ハルヒと古泉と長門にはそれぞれ時差を置いて遭遇したので使えなくなった 「じゃ朝比奈さんのタイムトラベルで帰りましょうか」 俺は朝比奈さんの顔を見た。朝比奈さんの柔らかな表情が突然固くなり、真っ青になった。 「どうしました」 「TPDDがないわ。壊れちゃいました。未来と通信もできないわ」 「ええっ、そんな」 朝比奈さんは前にも一度なくしたことがある。あれは壊れたんじゃなくて自分に取り上げられたのだったが。 「壊れるって、機械やらモノじゃなくて概念みたいなものなんだと言ってませんでした?」 「そうなんだけど、現に使えなくなっちゃってるの」 「自己修復機能みたいなのはないんですか」 「それもだめみたい。もう帰れないわ」 朝比奈さんはホロホロと涙を流した。(小)ならまだしも、大人の朝比奈さんが泣き出すことがあるなんて思ってもいなかった。 「みくるちゃん大丈夫?キョンにいじめられたの?」 おいおい、そこでなんで俺なんだ。 「ありがとう涼宮さん。大丈夫……」 俺は朝比奈さんをハルヒに任せて、残る二人と協議した。 「困りましたね。朝比奈さんはいざってときの保険だったんですが」 人をアフラックみたいに言うな。そもそもお前の超能力が放射能みたいに漏れたからだろう。 「長門、なんとかならないか」 「……TPDDには大きく二つの要素があり、意識レベルの概念とナノマシンで構成される。主要な概念の部分が破壊されれば修復は無理」 「つまりは忘れちゃったってことなのか」 「……そう。さきほどのオーバーロードが要因」 やれやれ、こっちも過負荷か。落雷で開拓時代に飛んだり、タイムマシンってのはエネルギーにシビアなんだな。 「そもそも時間移動は空間のエネルギーを歪ませてるので当然かもしれません。防止策も要検討ですね」 古泉が腕を組んで思案げに言った。そうだな、帰ったら事故対策も考えないとな。突発的なタイムスリップにそう何度も付き合わされるのは身が持たん。
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「古泉一樹は私のもの。誰にも渡さない」 これは長門。 「そ、それはこっちのセリフです!古泉君は私のです!」 これは朝比奈さん。 「ちょっと待て。古泉は俺のものだぞ」 これは俺。 今日の部室にはハルヒと古泉の姿は無く、俺と長門と朝比奈さんだけである。 ハルヒは担任からの呼び出し、古泉はそれが原因で発生した神人狩り。 なぜ俺たち3人が喧嘩してるのかというと、朝比奈さんのある一言が発端だった。 「古泉君がいないと寂しいです~、死んでしまいそうです~」 「ちょっと待ってくださいよ朝比奈さん。ひょっとして古泉の野郎のことが好きなんですか?」 「そうですけどぉ、、何か問題があるんですか?」 「この時間では恋人とか作るの禁止じゃなかったんですか!?」 「そうですけどぉ、、我慢できなくて・・・古泉君がいないと私・・・」 「なんで古泉の野郎なんですか!!」 朝比奈さんが半泣き状態になりながら 「あの・・キョン君ごめんなさい・・・私・・・キョン君に気持ちには応えられない」 「早く古泉のことは諦めてくださいよ。未来人はこの時代では恋愛禁止ですよ」 「ごめんなさい・・・私、キョン君にこと好きじゃないの。」 「はぁ?何を言ってるんですか?」 「え?何って・・・?キョン君わたしのこと好きなんじゃ・・・」 「違いますよ。俺も古泉のことが好きなんですよ」 その言葉を聞いた朝比奈さんは急に挙動不審になった。 「きょ、きょ、きょ、きょ、キョン君・・・・・・ウホッ?」 昨日の友は今日の敵。 まさに今の俺にとって朝比奈さんは敵である。 たとえ上級生だとしても敬語で話す必要は無い。 「そうだけど、何か問題でもあるのか?」 急に乱暴な口調になった俺に対して朝比奈みくるは更に挙動不審になった。 「あの、、キョン君、、そういうのは止めといた方がいいと思います。 やっぱり、、その、、ウホッ!はまずいと思います・・世間体とか・・・」 朝比奈ミクルは慎重に言葉を選びながらそう言った。 「ならお前はどうなんだ?未来人なのに、この時間で恋愛をしてもいいのか?」 「ダメですが、、でも、、もう我慢できないのです!」 「なんだと!自分のときだけ都合いいこと言って!」 そして俺と朝比奈ミクルは取っ組み合いの喧嘩になった。 もちろん俺が優勢である。 どうせ未来人だし、やってしまっても法は適応されないし、何かあったら長門に頼めばいい。 そして俺は調理場においてあった包丁を手に取り、朝比奈ミクルを刺そうとしたその時 誰かの手が俺を止めた。 その手の主は長門だった。 そして、「私も古泉一樹のことが好き」と言った。 「争いはしない方がいい。もしSOS団の1人でも欠けたら世界が崩壊する。 そうなれば古泉一樹にも会えなくなる」 さすが長門だぜ・・・ 俺はちょっと熱くなりすぎてたな。 朝比奈さんはオシッコを漏らしながらヒイヒイ泣いていた。 「もう大丈夫だぞ朝比奈ミクル。もう変なことはしない」 「ウゥ・・本当ですか・・・?」 「とりあえずトイレに行ってパンツを脱いでこい。ここで脱がれると吐き気がする。 女の着替えほど気持ち悪いものは無いぜまったく」 数分後、朝比奈ミクルはトイレから帰ってきた。 その直後、長門が口を開いた。 「私にいい考えがある。ここは公平に勝負で決めるべき」 その後、俺の教室で何やら勝負をしようといった長門は1人で 俺の教室に向かって歩いていった。 教室には谷口と国木田がいた。 「あれ?キョン、何やってんだ?」 「朝比奈さん、長門さん、こんにちは」 2人はそう言った。 長門はそんな2人を無視して 「我々3人は今から勝負をするから出てって」と言った。 そして朝比奈ミクルが 「私と長門さんとキョン君とで古泉一樹君を賭けて勝負するんです」 開いた口がふさがらない谷口と国木田 「キョン、、お前、、古泉のことが好きなのか? でもお前、、男だよな?実は女だったというオチはないよな?」 「今まで黙っててスマなかった。実は俺、ウホッ!なんだ」 「キョン・・・お前、、なんで今まで黙ってたんだよ」 「そうだよキョン。別に隠し事しなくてもいいのに」 「でも、、いろいろまずいだろ・・」 そして谷口と国木田が2人同時にこう言った。 「気にするなって、俺らもそうだから!」 話をまとめると、こういうことだ。 谷口と国木田は入学式当日から付き合ってたらしい。 そしてそれを俺に隠してたと。 「キョン、お前、古泉を狙ってるのか?あれは俺のランキングではAAAだぞ」 「そうなんだ、、でも・・・」 「ならさ、3人で小泉君にいたづらしない?」 国木田は3人で分け合おうという考えを提案した。 しかしその直後、俺と谷口と国木田と朝比奈ミクルは 何かの力によって黒板へ叩きつけられた。 「・・・」 その力を放ったのは長門だった。 結局、古泉は長門の物となった。 しかし肝心なのは古泉自身の気持ちである。 いくら長門が強くてもそんなのは関係ない、古泉の気持ちが第一である。 そして俺たちは文芸部室へ戻ることにした。 部室の扉を開こうとしたとき、中から変な声が聴こえてきた。 「あぁぁぁ!もっと激しくぅぅぅ!」 俺は扉を開けた。 なんと部室の中でハルヒと古泉がセックスをしていたのである。 「あんた達なんの用?じゃまだからさっさと帰ってよ」 「これはこれは、、恥ずかしいところを見られてしまいましたね」 古泉の裸を見た俺と谷口と国木田は理性を抑えることが出来ず、 服を脱いで全裸になって古泉のほうへ走っていった。 朝比奈ミクルと長門も我慢できずに服を脱いで全裸になって古泉の方へ走っていった。 俺は古泉を押し倒し、古泉の顔の上にまたがった。 「さぁ舐めろ」 谷口は古泉の両足を持ち上げ尻の穴に挿入しようとしている。 「力を抜け」 国木田は古泉の棒を嘗め回している。 「気持ちいいだろ?」 その次の瞬間である。 国木田の体が中に浮き上がり、窓の外へ飛んでいってしまった。 そして庭にゆっくりと着地した。これも長門の仕業だろう。 長門は今度は谷口の方を睨んだ。 谷口はガクガクと震えていたが、なかなか長門は力を使おうとしない。 古泉の裸を見たせいで&部室が不思議なパワーで溢れ返って 長門の力を減退させてしまっているようだった。
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織田家 武田家 上杉家 今川家 浅井朝倉家 本願寺 他家 織田家 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 3.5 [10/10]SR織田信長(制)(柵)(魅) [9/2]SS織田信長(肉) 3 [9/10]SR織田信長(魅)(制)[9/9]SR明智光秀(柵)(狙) [10/2]SR前田慶次(気)(魅)[9/8]SR柴田勝家(城) 2.5 [8/8]R丹羽長秀(制)(柵)[8/8]UC織田信長[8/6]SR滝川一益(忍) [9/3]SR前田利家(気) [8/9]R徳川家康(制)(魅) 2 [8/2]R池田恒興(気)[7/9]UC堀秀政(柵)(魅)[7/8]R細川藤孝[7/7]R佐々成政[7/6]SS滝川一益[6/9]R蜂須賀小六(制)(伏)[5/11]BSS竹中半兵衛(城)(制)(魅) [7/7]R島左近[7/6]R蒲生氏郷(魅)[7/5]UC佐久間盛政[6/8]SR織田信忠(制)(魅) [8/5]C坂井政尚[8/2]SS前田利家(魅)(制)[8/2]R森長可[8/1]SS千鳥(忍)(魅)[7/6]UC荒木村重(柵)[7/5]R本多忠勝(気)[7/4]R森可成(城)(気) [8/3]R稲葉一鉄(制)(柵)[5/11]SR竹中半兵衛(城)(制)(魅) 1.5 [6/5]C滝川益氏[6/4]UC金森長近(制)[6/3]UC橋本一巴[5/7]C織田信包[5/6]R佐久間信盛[5/2]C織田信勝[4/7]C筒井順慶[4/6]C村井長頼(制)(柵)[4/5]SR帰蝶(柵)(魅)[3/8]SS羽柴秀長(魅) [5/4]C河尻秀隆[4/7]C高山重友[4/5]UC氏家卜全 [6/3]C塙直政(制)[6/1]R毛利新助[5/6]UC梁田政綱(伏)[5/6]UC榊原康政(気)[5/5]UC安藤守就(制)(伏)[4/9]SR羽柴秀吉(城)(魅)[3/9]R平手政秀[3/8]R羽柴秀長(柵)(魅) [6/1]UC伴長信(忍)[4/7]EX羽柴秀吉(柵)(魅)[4/5]SS木下藤吉郎(魅)[4/4]UC林秀貞 1 [3/3]C山内一豊[2/4]SRまつ(魅)[2/4]C高山友照(柵)[2/2]C原長頼(気)[1/5]EXねね(魅)[1/5]C武井夕庵(伏)[1/4]C村井貞勝 [3/5]C溝口秀勝[2/4]UC冬姫(魅)[2/3]R吉乃(魅)[1/5]Rねね(柵)(魅)[1/5]UC土田御前(魅)[1/5]UC千代(魅)[1/2]UCお鍋の方(魅) [2/6]C沢彦宗恩 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 武田家 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 3.5 [10/11]SR武田信玄(魅) 3 [10/5]SR山県昌景(魅)[10/3]SR武田勝頼(気)(魅)[10/2]SS秋山信友(気)[9/8]SS武田信玄(魅)[8/12]SR武田信玄(城)(魅)[8/10]SR真田幸隆(城)(伏) [9/7]SR馬場信春(城)(気)[9/6]EX真田幸村(気)(魅) 2.5 [9/6]UC飯富虎昌(城)[8/8]UC武田信玄[8/7]R山県昌景(気)[7/10]R高坂昌信(魅) [8/9]R内藤昌豊[6/10]SR山本勘助(城)(制)(伏) [8/9]R武田信繁(制)(柵)(魅)[7/10]R馬場信春(制)(気) 2 [8/4]R甘利虎泰[8/3]UC三枝守友[8/2]C武田義信[7/8]UC一条信龍(魅)[7/5]SR秋山信友(気)[6/9]SR真田昌幸(制) [8/4]UC保科正俊[8/1]UC禰津神平(忍)[7/9]R板垣信方(柵)[7/7]R原虎胤(城) [8/1]R富田郷左衛門(忍)[7/8]R小山田信茂 1.5 [5/6]C跡部勝資(柵)[4/5]UC穴山梅雪(伏) [6/4]C木曾義昌[5/5]UC土屋昌次[5/4]C里美(魅)[4/8]UC原昌胤[3/7]Rおつやの方(魅) [6/4]C小幡昌盛[5/6]C矢沢頼綱(伏)[5/5]UC横田高松[5/1]UC出浦守清(忍)[4/7]UC小畠虎盛 [6/5]C多田満頼[4/1]R恭雲院(忍)(魅)[3/6]R諏訪姫(魅) [5/1]SR望月千代女(忍)(魅) 1 [3/4]C大熊朝秀[2/4]C三条夫人(魅)[2/3]UC黄梅院(魅)[2/2]BSS松姫(魅)[1/6]C駒井高白斎(伏) [3/4]C諸角虎定[1/6]C武田信廉[1/5]R琴姫(魅)[1/5]UC禰々(魅) コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 上杉家 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 4 [12/7]SR上杉謙信(魅)[12/7]SS上杉謙信(魅) 3.5 3 2.5 [9/6]R斎藤朝信(魅)[8/10]SR宇佐美定満(伏)(魅) [9/7]UC村上義清[9/3]R柿崎景家(気)[8/8]UC上杉謙信 [9/1]SR鬼小島弥太郎(気)[7/10]BSS上杉謙信(城)(魅) 2 [8/4]R本庄繁長[8/2]R小笠原長時[7/9]R直江景綱(柵)[7/6]UC河田長親(伏)(魅)[7/5]SR長尾政景[7/5]UC上条政繁(柵) [9/1]UC荒川長実[8/3]R水原親憲(魅)[8/1]SR加藤段蔵(忍)[7/5]SR甘粕景持(気)[7/5]R上杉景勝(制) [8/2]BSS鬼小島弥太郎[7/3]R北条高広(気)[6/9]R樋口兼続(制)(魅)[6/9]SS直江兼続(制)(魅) 1.5 [6/2]C吉江景資(柵)[5/6]UC金津義舊(制)[4/7]C本庄実乃(気) [6/3]C色部勝長[5/6]UC山浦国清[5/3]C加地春綱(気)[4/6]R上杉景虎(魅)[4/6]BSS上杉景虎(魅) [6/1]UC新発田重家[5/3]C安田長秀(気) [4/6]C新発田綱貞[3/9]R小国頼久(柵)(魅) [5/5]UC竹俣慶綱(気)[5/4]UC中条藤資(城)(気) 1 [3/2]UC高梨秀政[2/6]C高梨政頼[2/4]C山吉豊守[1/4]UC絶姫(魅)[1/4]SS綾姫(魅) [2/5]C上杉景信[2/4]C大石綱元(柵)[2/3]R虎御前(魅)[2/3]UC天室光育[2/2]R上杉憲政[2/2]SR華姫(魅)[1/5]R綾姫(魅)[1/4]UC伊勢姫(魅) [3/5]C新発田長敦 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 今川家 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 3 [7/12]SR太原雪斎(城)(伏)(魅) 2.5 2 [6/4]R酒井忠次(柵) [6/3]R朝比奈泰朝 [7/8]SS今川義元(魅)[7/1]R朝比奈泰能(気)[6/10]SS太原雪斎(城)[6/7]SS今川義元(魅)[6/5]R井伊直盛(城)(伏) [7/7]SR今川義元(制)(魅)[6/8]SR松平元康(魅)(柵)[6/6]SR岡部元信(城)(気) 1.5 [6/3]UC天野景貫[4/7]SR井伊直虎(魅)[4/5]C葛山氏元(伏) [6/4]UC松井宗信(制)[6/3]UC朝比奈信置[5/6]C菅沼定盈(気)[4/7]UC関口氏広(伏)[4/6]UC鵜殿長照(柵) [6/5]C伊丹康直[5/5]C岡部正綱[5/4]C鳥居元忠(制)[4/7]C安部元真[4/6]UC富士信忠(伏)[4/5]R鵜殿長持(制)(伏)[3/8]R寿桂尼(柵(魅)[3/8]SS寿桂尼(柵)(魅) 1 [3/1]UC浦原氏徳(柵)[2/4]C奥平貞能(伏)[2/4]UC松下之綱[2/3]UC早川殿(魅) [3/4]C井伊直親[2/5]C飯尾連竜[2/4]UC定恵院(魅)[1/6]Rお田鶴の方(魅)[1/4]C鵜殿氏長[1/3]SR瀬名(魅) [1/1]R今川氏真 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 浅井朝倉家 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 3 [9/9]SR浅井長政(魅) 2.5 [8/8]UC浅井長政(魅) [9/5]R遠藤直経(制)(魅)[9/2]R真柄直隆(気) [8/8]SR朝倉景健(柵) 2 [8/4]UC磯野員昌[7/6]UC赤尾清綱(制) [8/2]R真柄直澄[7/6]UC雨森弥兵衛(城) [7/6]UC海北綱親(気) [8/1]R富田勢源(忍) 1.5 [5/6]UC鳥居景近[5/5]UC朝倉景鏡(伏) [6/4]R藤堂高虎(城)[5/6]C宮部継潤[4/7]C河合吉統(制)(気) [5/5]C山崎吉家(伏)[4/6]UC斎藤龍興(柵)(魅) 1 [3/2]C朝倉景紀[2/5]C印牧能信[2/4]C高橋景業(柵)[2/4]R初(魅)[2/4]SS江(魅)[2/2]SR朝倉義景(伏)(柵)[1/5]C前波吉継(伏) [2/5]SRお市の方(魅)[2/4]SR茶々(魅)[2/4]SS初(魅)[2/4]UC浅井久政[1/5]R小少将(柵)(魅)[1/5]SR江(柵)(魅)[1/5]SS茶々(柵)(魅) コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 本願寺 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 3 [10/5]SR雑賀孫市(制)(魅)(狙) 2.5 [9/4]R土橋守重(柵)(狙)[8/9]SR下間頼廉(気)(狙)[8/8]UC雑賀孫市(狙) [8/10]SR本願寺顕如(城)(気)(魅) 2 [7/6]R鈴木佐太夫(柵)(狙)[6/8]R鈴木重兼(柵)(狙) [8/1]C超勝寺実照(気)[7/5]UC下間頼旦 1.5 [6/2]UC無二(魅)(狙)[6/2]C下針(狙)[5/6]R蛍(魅)(狙)[5/3]UC岡吉正(忍)(狙)[5/2]C鈴木重泰(気)(狙)[4/6]C徳田重清(柵)(狙) [6/3]C七里頼周[5/8]UC下間仲孝[5/7]C本願寺教如[5/5]UC願証寺証恵(伏) 1 [2/2]R小雀(魅)(狙)[2/2]C鶴首(狙) [4/1]C下間頼成[3/3]C願証寺証意[2/6]C下間頼龍[2/5]C下間頼照(伏)[1/6]R如春尼(柵)(魅) コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 他家 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 3 [9/8]SS流浪剣豪ヒロ(制)(魅) [9/10]SR斎藤道三(城)(魅) 2.5 [8/9]SR松永久秀(制)(伏)(魅)[8/7]SS無双流アツシ(制)(魅) [9/2]SS金狼流アキラ(城)[8/10]SR長野業正(柵)[8/9]SS松永久秀(気) [9/6]R斎藤義龍(柵)[8/9]R三好長慶(制)(魅) [11/3]SR上泉信綱 2 [8/4]C十河一存[7/6]SS槍のマキダイ [6/10]SS竹中半兵衛(柵) [9/1]SS陸奥辰巳[8/4]R足利義輝(気)(魅) 1.5 [5/5]UC長野業盛 [6/2]UC岩成友通[5/6]C後藤賢豊[5/1]SS霧隠れのウサ(忍)[5/1]UC和田惟政(忍)[4/8]C一色藤長 [5/7]UC三好義賢[5/4]SS弓のタカヒロ[5/3]UC三好長逸[5/1]SS風読みのマツ(忍)[4/8]UC蒲生定秀(伏)[2/7]SS阿国(魅) [6/6]R六角義賢[6/5]R北畠具教[6/3]UC三好政康 1 [3/3]C安宅冬康[2/6]C三好康長[2/4]C鳥屋尾満栄 [3/2]C吉田重政[1/6]C諏訪頼重[1/6]R足利義昭 [4/1]C蒲生賢秀 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽
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……混沌が続く、「組織」本部内にて 「…Sさん、私たちも、皆さんの手伝いしなくていいんでしょうかぁ?」 「少し、待て……調べたい事がある。それが終わってから…」 ぱら、ぱら、と資料をめくる、黒服S 紗江良の心配そうな視線を受けながら、見ているその資料は…朝比奈 秀雄に関する物 この騒動の発端となった男の資料だ 朝比奈 秀雄は、何らかの強い意志を持って行動し、この騒動を起こしている ……ならば、その目的は? 自己顕示欲が強く、支配欲が強いらしい、という話は聞いている ………だが、それだけではないのではないか? それを感じ取った紗江良の勘に従い、黒服Sは資料を改めて確認する事にしたのだ 何せ、学校町には来たばかりの二人 朝比奈 秀雄に関する情報も、まだ口頭でしか聞いていなかったのだから 「……朝比奈 秀雄………施設の出身か……」 今では、ハーメルンの笛吹きが起こした事件で、責任者が代替わりした、とある施設 赤ん坊の頃、その施設に入れられた秀雄は、4歳の時に朝比奈家に引き取られている ……最も、その引き取られ先も、あまり良い環境ではなかったようだ 性格の大元が作られたのは、ここでか 秀雄はそこで、引き取り先の朝比奈家にふさわしくあるべく、エリートコースを進んでいっている 「…あらぁ?この女の人の写真は?」 「うん?……セットになって資料が纏められている、という事は、朝比奈 秀雄の関係者、だろうな」 横から覗き込んできていた紗江良が、その写真に気づいた 若い、女性の写真だ それをじっと見つめて………紗江良がぽつり、呟く 「この、女の人……その、朝比奈 秀雄、って人の、大切な人だったんじゃないでしょうか?」 「……大切な人だった、か」 紗江良の勘が、それを過去系で告げてきている Sは、秀雄の資料とセットになっていた、その資料も目を通す 「…………門条 晴海………19年前に死亡しているな。死亡原因は………………」 …その、死亡原因を、目にした瞬間 黒服Sは……やや、嫌悪感を感じたような表情を浮かべた 不思議に思った紗江良が、その欄を覗き込もうとした、その時 悲鳴が、二人の耳に届いた 「え?今の悲鳴はぁ…」 「…隣の、仮眠室かっ」 二人は、悪魔の囁き騒動で忙しい黒服達の邪魔にならないよう、人気のない仮眠室の隣で資料を確認していた 確か、その仮眠室には…前日に、意識を失った黒服Cが、そのまま寝かせられていたはず 二人は急いで、隣の部屋に飛び込む 「どうした、C!?」 「いやぁあああああああああああっ!?ふ、二人の全裸筋肉が女の人を!女の人を!!??」 「「本当に何があった!?」」 思わず、ダブルで突っ込むSと紗江良 …どうやら、何らかの悪夢で目が覚めたようだ ぷるぷると、黒服Cはその小柄な体を震わせている 「大丈夫ですかぁ?」 「ぁ……は、はい……」 紗江良に声をかけられ…こくり、頷くC どうやら、少しは落ち着いたようだ 「一体、何があって意識を失っていたんだ?」 触れれば、自分の能力でわかる事ではあるが 一応、本人に確認を取るS …それを、聞いて…Cの顔に、恐怖の色が浮かんだ 「ぁ………そ、そうです。あ、あの、朝比奈 秀雄の動きは……っ!?」 「今、学校町全体で、朝比奈 秀雄とその部下達によると思われる騒ぎが起きている。朝比奈 秀雄の元には、D-No.962が向かったと聞いているが…」 「---っだ、駄目です!!」 半ば、悲鳴じみた声をあげたC カタカタと、体を震わせて………それを、口にする 「だ、だって……朝比奈 秀雄の、三つ目の、都市伝説は………っ、あ、あんなの………か、勝てるはずが、ないです……っ」 「………?」 …どう言う事だ? 悪いと思いながらも、SはそっとCに触れて、彼女が手に入れてしまった情報を、読み取ろうとした そして 「………な!?」 見えた、その事実に 彼女が感じた恐怖を、理解した to be … ? 前ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
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時は西暦200X年。 この平和な日本に、ただ一人の男の野望のためだけに結成された秘密組織があった。 その組織は北高1年5組軍隊と呼ばれ、 全身黒タイツの十五、六の少年少女型のチョッカーで構成されていた。 その軍の最高指揮官、 オ・カーベ(36歳独身)はハンドボール界のルールであり、 彼そのものがハンドボールであった。 オ・カーベはハンドボールをオリンピック競技とすべく、 時たま幼い子をさらい、己の支配下に置き、 ハンドボールプレイヤーとしてその子らに熱血指導を施していた。 今日もまた、幼き天使に伸びるハンドボールバカの魔の手 その様な時代、地獄の底より囁かれる悪魔の声を断ち切るべく、 一人の少女が立ち上がった! ハンドボール界の人々は彼女をこう呼ぶ、 「燃え盛る炎を纏いし究極戦士・朝比奈みくる」 と!! さあ話を進めないと、と思った矢先、 上のアホ過ぎるナレーションに先を越された。 これも涼宮さんの力だと言うのか…言うんだろうなあ。 では、気を取り直して。 「少女が、少年が、私を呼んでいる……!」 きりっ、とヒーローとして覚醒した朝比奈さんは闘志に燃える瞳で呟いた。 「少女、少年とは、キョンくんとハルヒちゃんの事ですか?」 正座を止めて立ち上がる。 多分、彼女の言う少年少女とはこの二人で間違い無いのだろうが、 もし全く関係の無い人々の事を言っているのだったら、 森さん達に連絡して冒頭でチョッカーと呼ばれていた黒タイツ共を 片付けて貰わないとならない。 いや、あの森さんなら既にボッコボコのズッタズタにしているかもしれない。 「ひえ!?」 力強く結ばれていた朝比奈さんの唇は一気に緩み、驚きの声を発した。 ……何かまずいことを言ってしまったのだろうか。 「どうしてわかっ……」 そこまで言って朝比奈さんは、はっ!と両手で口を押さえた。 そして何でもない、とでも言う様に首をぶんぶんと横に振る。 「え? あ……ああー! そうですよね、ハルヒちゃんとキョンくんはお使いをしているんですから、 道に迷いでもしない限り、助けなんて呼ぶ訳ありませんよね」 そうか、『変身』ヒーローは覆面ヒーローと同義なのだから、 正体を知られてはならないのか。 「そう!そうなの。 さっきのたすけをよんでいるってゆーのもね、みくる、あそんでただけなの。 だれもみくるのこと、よんでないよぉ」 朝比奈さんは今度は首を縦に振った。 巧みに台詞を全て平仮名に戻していらっしゃる。 それなら、と僕はダンボール箱の脇に置かれていたおんぶ紐を取り上げて、 長門さんを抱き上げて台所へと向かう。 「では、僕は有希ちゃんを背負ってヨーグルトぶちまけチキンライスの続きを作るので、 みくるちゃんは出来るまで遊んでいて下さいね」 「はあい!」 朝比奈さんを部屋に独りきりにするため、素早く退室して扉を閉める。 まな板には向かわず、そのまましゃがみ込んで扉に耳をくっつけて中の様子を伺った。 「良かったあ…バレたかと思っちゃった……」 心配しなくても、もろバレです。 「普通の人だと思ってたのに……一樹先生って一体…?」 空間限定エスパー、しかし今はその能力も消滅してしまって、 いつ動物になるかと冷や冷やしている高校生……そんな所か。 「うん、これで誰にも見られない」 聞かれてはいます。 「迸る情熱は少年少女の為に! 究極戦士みくるっ」 扉の向こうから籠った声が聞こえた。 「へぇええーん…」 バチバチバチィッ、と電気が走る不吉な音がする。 「しんっ!」 カッ、と扉の隙間から光が廊下に差し込んだ。 「装着! 『信』の闘神武甲胄 バトルアーマー・ゼロ・ディフェクト…!」 またえらく大層な名前の変身ス 説明しよう! バトルアーマー・ゼロ・ディフェクト とは、みくるがマッド・サイエンティスト・ディペット博士に頼み込み、 世間一般には極秘で発明した、記憶形状型超特製銀メタンを異粒子状にまで分解し、 みくるに秘められし未知のパワーを最大限に発揮できる効能を持った バトルアーマーである!! また乗っ取られたー! さっきから誰!? ついでにディペット博士も誰! 「今日も放たれるSOSのサイン……どうして、どうして…っ…… どうして人は同じ星に生まれた人を、動物を、木々を、仲間を、家族を! 傷付けてしまうんだーー!!!」 誰ーーーーーっ!?!? 「その様な人々に必要な正しい道へのしるべ……それがお前じゃろうて」 「ディペット博士!!」 呼んでもないのに来た! 「しかし…私は、私がしている事は…… 幼い子どもを傷付ける不届きな輩を、傷付けて成敗しているだけなのです…… 暴力を解決するのに暴力を振るう、これは誠の正義なのでしょうか…」 「下らない事で愚図愚図するな!」 博士のキャラ変わった!? 「さあ。ゆけ、ゆくのだ!選ばれし究極戦士みくるよ。 いじめっ子を懲らしめるには同じく、否、それ以上にいじめるしか無いのだ! お前もヒーローの端くれなら戦えぃ!!」 「そんな、そんなの……」 「甘えるな!!真の正義は綺麗事では済まされないのだ!」 「くっ……!」 「貴様が行かなくては誰が行くと言うのだ! 貴様が行かなくては誰が――」 「誰 が 少 年 少 女 を 救 う と 言 う の だ!!」 「…………博士」 「………」 「私は甘えていました」 「………」 「しかし、もう甘えません、迷いません。 何故なら私は――」 「私は彷徨える人々への唯一の道しるべなのですから!!」 「やっと解ったか」 「はい」 「今のお前は、とても良い目をしておる 」「はい。では、少年少女のもとへ、行って参ります!」 突如、バリーン!と、窓ガラスが叩き割れる音がした。 ……ガラス!? 「そうだ…みくるよ、お前はそれでいいのだ…思う存分、悪と戦って来い。 そして、また一つ成長して帰って来」 「突然ですが失礼しま、うわ! マジでガラス割れてる!」 「ひしゃん」 「下の道に人がいたらどうするつもりだったんですか!大怪我ですよ」 「おお、これはこれは。君達は確か… いつもみくるがお世話にな」 「そこのおじいさん、 塵取りと箒とゴム手袋とゴミ袋を持って来て下さい。 探せば直ぐに見つかりますから」 「え?ワシが? この天才科学者ディペット博士が、こんなオスガキに命令されているじゃと?」 「あ、こら、長門さん! 危ないから窓に近付かないで下さい」 「わかっちゃ」 「いやいやいや、言った側から ああもう、有希ちゃん、おんぶするから動かないで下さい」 「ん」 「えー…… ……ディペット博士、こんな紐でどうやったら子どもを背負えるんですか?」 「全く、最近の若造はこれじゃから…ほれ、貸してみい」 いきなり現れた黒タイツ集団(確か冒頭の謎のナレーションではチョッカーと呼ばれていた) そいつらを片っ端からギッタギッタのメッタメッタにしていると、 ド派手に赤いピチピチスーツを着て、戦隊もののレッドみたいなヘルメットを被った子どもが 三輪車をキコキコ言わせながら公園の入口までやって来た。 「ディペットの野郎、メンテナンスサボったな……あんのハゲちょろびんがぁ… なぁにが『お前もヒーローの端くれなら戦えぃ』だ… 端くれどころか私が全ヒーローのドンだっつーの」 怖がっていたのも長くは続かず、「ねーおじさーん、ひーろーはいつくるのー?」 と呑気に多丸兄に聞いていた涼宮ハルヒは、 そう恨めしげに呟く赤スーツを見た途端、隣にいた対象Bと共に歓声を上げた。 この二人の心臓は剛毛が生えてるに違いないわ。 「マシン・みくるREXターボ改がエンストするなんて…」 はぁはぁと息を切らせながら、三輪車から降りる。 みくる、という事はこの小さなヒーローは朝比奈みくるで、 お使いに向かわせる際涼宮ハルヒと対象Bに財布を渡し忘れたバカ泉との電話で聞いた 涼宮ハルヒの発言から考えるに、今この子は未来人ではない、と。 更に長門有希は魔女っ娘、アホ泉は喋る動物。 …ややこしい事になりそうね。 「唯一機能しているのはこれだけ…」 レッドが三輪車のハンドルの間にある小さなボタンを押すと、 その場に喧しいクラクションが鳴り響いた。 その途端、私達が再起不能にしたチョッカー以外に僅かに残っていた 黒タイツ数人がキーキーと叫ぶ。 「あれ?少なっ…… え?」 朝比奈みくるはゴーグル越しに、チョッカーを粗方片付けていた私達を見た。 「いち」 立てた人差し指で自分を指差し、 「にー」 次に倒れ伏したチョッカーの背中に片足を乗せた私を差し、 「さん」 ばらばらに地面に散らばるタイツ集団を一ヵ所に纏めている新川を差し、 「しー」 それを手伝う多丸弟を差し、そして最後に 「ごー」 涼宮ハルヒと対象Bを背中に庇い、戦闘態勢を取っている多丸兄を差した。 「もしかして、まだ目覚めない戦士達…? ……いや、違うか。オバハンとジーさんとデブと若ハゲ。 ヒーローには不相応だ」 ガキに言われたくないわね、誰がオバハンよ。 朝比奈みくるが一人で指を曲げたり伸ばしたりしていると、 やっと自分達の役割を思い出したか、生き残った黒タイツ数人が彼女に飛び掛かった。 それをやたらと格好を付けて地面を転がり、素早く回避した朝比奈みくるは、 「私だって、私だって本当は戦いたくないんどぅわーーー!!」 絶叫しながら、どこに隠していたのやら、バズーカ砲を肩に担いだ。 おおっ!と涼宮ハルヒと対象Bが声を上げる。 「君達だってそれは解っている筈だ! この戦いは何も生み出さないだがしかしっ!」 一気に言い切り、朝比奈みくるはバズーカ砲を担ぎ直す。 「それでも君達がそこの少年少女を傷付けると言うのならば……やむを得ない。 せめて苦しめずに一瞬で葬る!」 「かっけー!」 どの辺が? と私は全く同時に叫んだ涼宮ハルヒと対象Bに聞きたかった、けれど止めておいた。 「うぉおおぉお! 血で血を洗う極悪惨烈みく、じゃないヒーローバズーカ!!」 バズーカ砲から飛び出て来たのは、紐で繋がった万国国旗だった。 隠し芸大会レベルじゃないの。 ひらひらと万国国旗はチョッカーの頭上に降り注ぎ、 ちょんと体のどこかに当たっただけで何故か彼等は吹っ飛んだ。 あんなのでダメージ食らうか。 「ルール無用の残虐ファイター、それが私!」 残虐さをどこにも見出だせないままでいる私達を放ったらかしに、 朝比奈みくるは涼宮ハルヒと対象Bのやんやの拍手を受けながらチョッカーに突っ込む。 「おっぱいミサイルやりたかったけどそーだ園児だから無いじゃん出来ないじゃんキィーック!」 えらい長いわね……これ技名? 普通にヒーローキックでいいわよね? っていうか、おっぱいミサイルは変身ヒーローじゃなくてロボットでしょう。 「仁義無き戦いこそが真の戦い! 私に勝ちたくば義理や人情のたぐいは捨てろ!」 涼宮ハルヒのヒーロー像に疑問を持ちながら、 もう私に出番は無いわねと、チョッカーの背中から足を退けた。 朝比奈みくるの攻撃は続く。 今やこじんまりとしたこの公園は、完全に彼女の独り舞台だった。 「ヒーローパンチ!」 「ヒーローアタック!」 「ヒーローバックドロップ!」 「みくるチョップ!」 「ヒーローアッパーパンチ!」 今一回みくるって言った! 気付いてしまっただろうか、と涼宮ハルヒを伺うと、 彼女は嬉しそうにきゃーきゃー言っていた。 「この究極戦士がいる限り、悪が栄える事はない!!」 全てのチョッカーを地面に転がした朝比奈みくるは、声高らかにそう叫んだ。 途端に涼宮ハルヒが勢い良く拍手し、隣の彼がそれに倣い、 ああ、うん……と歯切れ悪く呟きながら私と新川とダブル多丸も手を打ち鳴らした。 このままサイン会でも始まるのかしら、と思っていると、何の前触れも無く、 「いい気になるなよ、究極戦士!」 との台詞と共に耳障りな高笑いが聞こえた。 まだなんか一芝居あるのね……。 「これ位楽にこなして貰わないと、俺の宿敵は務まらん!」 「その声は…!」 朝比奈みくるが勢い良く、声の在処である滑り台の天辺を振り仰ぐ。 「1年5組軍最高指揮官 オ・カーベ…!」 朝比奈みくるの怒りに包まれながらも緊迫した声が公園に響く。 強盗宜しく鼻の下から顎までをバンダナで覆い、ジャージを着た男がそこに立っていた。 涼宮ハルヒ達の担任、岡部ね。 ラスボスを名乗るんなら、もうちょっと衣装に金掛けなさいよ。 「少年少女には指一本触れさせないっ!」 朝比奈みくるが岡部に、そこから降りて来いと大怪我な身振りを取る。 「俺が欲するのは最早ガキ共では無い!」 「何っ!?」 「俺の素晴らしい計画を尽く邪魔する、目障りな貴様の命だ!!」 岡部はそう叫び、どこに隠し持っていたのか、バズーカ砲を担いだ。 またか。 主人公とラスボスの武器が被るなんて有り? しかしそう考えているのは私だけの様で、涼宮ハルヒは、 「あぶないっ、にげてー!」 と窮地に立たされた朝比奈みくるに対し、激しく大声を上げていた。 「ハンドボール爆撃! 標的ロック・オン!!」 そのまんまな技名と共に、バズーカ砲からハンドボールが続け様地面に打ち付けられる。 万国国旗もハンドボールも、バズーカ砲に入れる利点はどこにあるの。 「ぐぁああぁあ!」 滑り台の天辺から朝比奈みくるの足元へと、滝の様に振るボールに彼女は呻いた。 ちなみにボールは一つも当たっていない。 「いやっ!!」 涼宮ハルヒが見ていられない、と両手で目を塞ぐ。 いや、心配しなくても当たってないわよ。 これはあなたの力ね。 「ぐっ……」 ハンドボール爆撃が止み、朝比奈みくるは さもダメージを体力の限界まで受けたかの様に膝を地面に付けた。 途端に、朝比奈みくるに青い電気が走り、彼女を包んでいた赤いスーツが消えてゆく。 まずい、涼宮ハルヒに朝比奈みくるが変身ヒーローとバレてはならない、 と、彼女の目を覆う手の上に更に私の手を重ねた。 対象Bの視界は多丸弟が私と同じ様に遮る。 「ハッ、所詮この程度か…」 つるつるつる~と滑り台を尻で滑って降りて、 跪いた朝比奈みくるの前に立ち、息を切らした彼女の額に、 ポケットから取り出した……えーと…格好付かないわね……水鉄砲をぴたりと当てた。 「命乞いしな」 まるでピストルを突き付けた様な残酷な瞳の岡部。 まるでピストルを突き付けられた様な絶望した表情の朝比奈みくる。 しかし、朝比奈みくるは正義だった。 「断る」 彼女は悪に屈することを良しとしなかった。 岡部は、朝比奈みくるを下劣に細めた目で見下ろし、耳障りな笑いを喉から洩らす。 「地獄へと旅立つ前にこの世界に言い残す事は無いか。 聞いてやろう」 朝比奈みくるは一つ大きく息を吸い込む間だけ時間を空け、 「お前に言う台詞等持ち合わせていない。 私は、今まで私を支えてくれた、たった一人に……」 それまで痛みと屈辱に歪んでいた朝比奈みくるの顔が、 元の儚げな可愛らしさを取り戻していた。 涙を目尻に浮かべ、慈悲深き女神の如き微笑みを浮かべ、 「フローラ……永遠に愛しているよ…」 誰よ。 「私も永久に愛してるよダニエーーール!!!」 だから誰よ。 大絶叫と共に、公園に面した道路から目茶苦茶に長い緑色の髪をなびかせ、 セーラー服の少女が岡部と朝比奈みくるの間に突進した。 言わずもがな、その少女は私達も良く知る鶴屋家の娘だ。 「フローラ…… 危険だから、里で待っていてくれと…… 子ども達を…ミッシェルとタカシを置いて来ては……駄目だろう……」 子持ちかよ。 別に致命傷を負った訳でもないのに息も絶え絶えな朝比奈みくるを 鶴屋家長女は己の胸に彼女を寄せ、力一杯抱き締めた。 「ダニエルっ、ダニエルっ!! ミッシェルとタケルの為に、生きて…私の為に、勝って…… ずっとあなたは悪と戦っているのに、私はあなたの帰りを待ってるだけ。 それはもう嫌にょろ……」 にょろで全てが台無しね。あとタカシ可哀想。 「ダニエ……いや、みく、違うね……ちるちる」 鶴屋家長女は朝比奈みくるを抱き締めていた手を肩に置き、 彼女の目を力強く見つめた。 「今更出て来て、女子供に何が出来ると言うのだ」 岡部が水鉄砲を手先で弄び、彼女等に非難を浴びせる。 「ちるちる、ずっと黙ってたけどね…」 岡部の野次にも負けず、鶴屋は朝比奈みくるの前髪を片手で掻き上げ、 己の剥き出しの額をそこにぴたりと貼り付けた。 「何を……?」 「目、閉じるっさ」 困惑する朝比奈みくるに鶴屋がそう言うと、彼女は大人しく瞼を降ろした。 「ハハハ! 戦いの神が悪戯に選んだメスガキ如きに、 貴様等デコっぱち一族の蘇りの儀式が利く訳――」 狂った様な高笑いを暫く響かせて、岡部はそれを唐突に詰まらせた。 朝比奈みくると鶴屋が繋がったその額から、眩い光が放たれたのだ。 ペカァアァアー、みたいな光が。 「何だとぉおぉお!?」 驚愕に満ちた岡部を、二人の間から漏れ出た光が包む。 瞼を開けた鶴屋は、朝比奈みくるの額から己の額を離した。 「今までずっと黙っててごめんにょろ、ちるちる。 君を一目見た時から私は解っていたのさ…… 君が、千年に一度生まれると言い伝えられている幻の黄金律の輝きを持つ、 レジェンド・オブ・デコリストだと!」 ふーん。もう何でも有りね。 「私が…?」 「そうにょろ! 君にヒーローとしての力を与えた神は、君が伝説のデコリストだって知ってたのさ! だから神は君こそがヒーローに相応しいと考え、究極戦士の力をお与えなさった」 「しかし、そんな話すぐには……」 「これでもかい?」 パチン、と鶴屋が指を鳴らすと、 一塊にされていたチョッカーの中から一体の黒タイツが立ち上がった。 そいつは顔を覆っていたマスクを破り、朝比奈みくるの前に進み出る。 オールバックから垂れた前髪が根元でぶつ切りになっているその男は、 確か「朝比奈ミクルの冒険」にちょい役で出演し、池に嵌まっていた谷口とやらだった。 次に朝比奈みくるの前に進み出たのは、 公園の植え込みから姿を現した喜緑江美里だった。いつから隠れていたのだろう。 最後に一歩踏み出したのは、私の真横に立っていた新川、ってお前!! 「ちょ、ま、あらか…」 「今の私は、あなたが良く知る機関の新川では御座いません」 「はぁ?」 「デコ友の会・会員ナンバー004、それが今の私の全てです」 「はぁあぁああ!?」 聞いてないわよこんなん! 私達の困惑は無視して、新川達は朝比奈みくると鶴屋のもとへと迷い無く足を進め、 そして朝比奈みくるに自分達の顔を見せる形で跪いた。 「彼等は…?」 「デコっぱち一族の生き残りにょろ。 他の皆は…ホッペタ一族との壮絶な戦争で、粗方……」 鶴屋がそこで言葉に詰まり、唇を噛み締める。 くっ、と谷口は辛い過去を思い出したのか、歯ぎしりし、 喜緑江美里は悲しげにゆるゆると頭を振った。 新川は寄せた眉の下、瞼をそっと閉、もっかい聞くけど何してんのお前!! 「そうか…これだから争いは……」 朝比奈みくるは苦虫を噛み潰した様な表情になった。 そろそろあんた等の後ろで突っ立ったまんまの岡部に構ってあげなさい。 「ちるちる、私達で良かったら、オ・カーベを倒す力を貸すよ」 あー良かった、このまま岡部は放置かと思った。 鶴屋の申し出に、朝比奈みくるは、 「しかし…」 「独りで戦うの者だけがヒーローとは限りませんぞ」 おまっ、新川、あんた帰ったら森園生☆必殺お尻ぺんぺん千叩きの刑ね。 もちろん金属バットよ。 「いいのか…?」 「あったりまえっさ! ね、みんな」 朝比奈みくると鶴屋に見つめられ、新川達は力強く頷く。 「ありがとう…本当に、ありがとう…」 じわり、と再び涙を滲ませた朝比奈みくるの小さな手を、鶴屋は優しく取った。 「じゃ、みんな、あの儀式やるにょろ」 後ろの新川達に鶴屋が言うと、 彼等四人は個々が正方形の頂点の位置になる様に移動し、また地に跪く。 その中心に朝比奈みくるを立たせた鶴屋は、 「みんな、目ぇ閉じるっさ」 五人が瞼を降ろした直後、パァアァアァア、と眩いばかりの光が四人の額から放たれ、 空中で太陽にも負けない程の明るい一つの光になった。 そしてその球は朝比奈みくるの小さな額に降り、 そこに吸い込まれるように段々と小さくなった。 「これが……レジェンド・オブ・デコリストの力………」 全ての光が朝比奈みくるに注ぎ終わると、彼女は閉じていた瞼を上げ、 拳を開いては閉じ、閉じては開きを繰り返した。 まるで、己に新しく備わった力に慣れようとするかの如く。 暫くの間そうして、皆が見守る中、朝比奈みくるは口を開き―― 「変身っ!!」 公園が、目も開けられない程の強烈に眩い光で包まれた。 余りの眩しさに思わず腕で顔を覆いそうになるが、 涼宮ハルヒの視界を手の平で防ぐ事に専念する。 もう色々な事が起こり過ぎで、どこまでが涼宮ハルヒの望みで どこからが個人が涼宮ハルヒの力が直接働いた訳ではなく、 おかしくなっているのかが解らない。 光が治まり、目を開けても問題無い状態になるまでたっぷり一分は要した。 恐る恐る公園の中心に目をやると、そこには、カラフルなスーツを着た五人が威風堂々と立っていた。 そして、合図も無しに声を揃え、誰一人として全くずれずに、 「ツルピカ戦隊デコレンジャー!!」 ……うん、そんな事だろうと思ったわ。 ツルピカ戦隊デコレンジャー、怒涛の後半へと続く! 「……あれ?今回僕達の出番ってこれだけですか?」 「そうじゃろうな」 「まあ、たまにはこのような回があっても良…… 博士まだいたのか」 「いちゃのか」 六へ続く