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少女―――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはメイジであった。 魔法を行使し、その力をもって力を持たない人々、平民を治める特権階級。 この世界の大陸、『ハルケギニア』の「トリステイン」という国ではそういう制度であり、事実、メイジと平民の間に横たわる壁であった。 ここはその中にあるメイジを養成する魔法学院の進級試験を兼ねた使い魔召喚の儀式が執り行われていた。 (今度こそ、今度こそ成功してみせるわ・・・!) しかし、彼女は魔法の発動と行使を今まで正しく行えたことは一度たりともない。 故に、「ゼロ」という不名誉な二つ名を与えられ、雌伏の時を過ごしてきた。 先程も使い魔召喚の魔法『サモン・サーヴァント』を幾度も失敗させ、爆発現象を起こし、周囲の同期の生徒達の笑いものになっている。 それでも、彼女は諦めなかった。 自身の「ゼロ」を否定し、乗り越えるために、今一度『サモン・サーヴァント』の呪文を唱える。 「宇宙の果てのどこかにいるわたしの下僕よッ。神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ! わたしは心より求め、訴えるわ……我が導きに、答えなさいッ!!」 その呪文に応え、現れる鏡にも似た次元の扉。 そこまでは今までとさして変わることはない。また爆発を起こし、失敗するだろう。 周囲の生徒達はそう思っていた。 しかし――― 『私に呼びかける者へ、問います。』 「えっ!?」 「な、なんだ!?」 「声!?」 「嘘だろう!?」 「まさか、精霊かなにか!?」 「『ゼロ』のルイズが!?」 「ありえないわ!」 『扉』の向こうから神聖さに満ちた声が聞こえてきたことで、ルイズと、周囲の生徒が驚きの声をあげた。 『私を呼び、望むものは何ですか?』 「嘘・・・。どうして、声が・・・?」 その問いかけに暫し呆然とするルイズ。 もし、神や精霊のような上位存在ならば、この契約は今までのようなただの使い魔とのものとは一線を隔する。 自身の返答次第ではこの契約は反故になるだろう。 だからこそ、少女は答えた。 「我が名、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの名にかけ、ここに誓うわ! 私の望みはあなたと共に在り、共に生きること! だから、私の呼びかけに応えてッ!!」 自身の精一杯の誠意と敬意を込めて。 『そう。それが答えなのね。』 慈愛に満ちた『声』がこちらに返って来ると、『扉』がいっそうの輝きを増す。 『あなたの召致に応じましょう。』 その宣言と共に『扉』は一際強く輝き、その場にいたすべてのメイジ、彼らに呼び出されたであろう使い魔達はその眩さに目を閉じた。 光が晴れ、目を開けると、一人の女性が瞳を閉じ、そこに姿を現している。 白銀の髪は太陽の光を受け、その身にまとう装束と相まって、神話にある女神を彷彿とさせる。 双眸が開かれると、そこには闇夜を晴らすかに見える金色。 そして、『女神』はルイズを目に映し、名乗った。 「私はミカヤ。貴女の呼びかけに応えた者。 貴女と共に在り、共に生きることを誓いましょう。」 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 序章 『召喚(ルイズの章)』 「嘘だ・・・。」 「『ゼロ』のルイズが『サモン・サーヴァント』に成功した・・・。」 「メイジ? いや、あれはきっと女神様よ・・・。」 「いや、いずれにしてもありえない・・・。」 ルイズの召喚したミカヤと名乗る女性を見て、騒然とする生徒達。 彼らの監督役としてその場にいた壮年のメイジ、コルベールも前代未聞の事態の収拾をはかりかねていた。 『扉』越しに対話をしたことも、人間の姿をした―――神聖な気配を漂わせているが、おそらく人間のメイジであろう彼女。 いずれにしても、人間を召喚したことは前例にないことであった。 「ミ、ミスタ・コルベール。」 おずおずとした口調でうかがいを立てるルイズの声にコルベールは意識を戻す。 「何かね? ミス・ヴァリエール。」 「わ、私、あ、あのお方と『コントラクト・サーヴァント』しても良いのでしょうか?」 ミカヤの雰囲気に当てられ、動転しているのか、彼女を『あのお方』と言ってしまうルイズ。 「う、うむ。確かに恐れ多いとは思うが、決まりだよ。」 コルベールもまた、ややどもりつつもルイズに説いて聞かせる。 「二年生に進級する際、君達は使い魔を召喚する。それによって今後の属性を決定し、それにより専門課程へと進む。一度呼び出した使い魔は 変更することはできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だ。好む、好まざるに関わらず、あのお方、ミス・ミカヤを使い魔にするしかない。」 「で、でも・・・。」 ルイズは恐縮しつつ、ミカヤを見る。 すると、二人の話を黙して聞いていた彼女は、鈴を転がすような美声で、口を開いた。 「事情は概ね理解しました。」 二人、否、その周囲を取り巻く生徒達もがミカヤと正対する。 あたかも、神の啓示を受けるかのように。 「ヴァリエールさん、いえ、ミス・ヴァリエールと呼んだほうがいいでしょうか? 私は貴女の呼びかけに応え、ここに現れました。私が貴女と共にあることに使い魔になることが必要であるならば、それに応じます。」 「で、ですが、ミス・ミカヤッ。い、い、いいのですか?」 「ええ。私は先程の誓いを必ず果たします。」 「・・・・・・。」 ミカヤの言葉に沈黙するルイズ。 そこへコルベールが言葉をかける。 「ミス・ヴァリエール。ミス・ミカヤがこう申しているのだ。それに、これは伝統であり、例外は認められない。何回も何回も失敗しつつも、ミス・ミカヤのようなお方を召喚できたことは、まさに僥倖。儀式を続け、契約を。」 「そうだそうだ!」 「叶うなら僕が契約したいぐらいだ!」 「ミス・ミカヤとの契約拒否なんて始祖ブリミルの罰が下るぞ!」 「『ゼロ』のお前には勿体無いんだ!早くしろ!」 コルベールの促しに続き、周囲―――主に男子生徒からそんな野次が飛ぶ。 もはやこうなっては、ルイズも後には退けない。 「・・・わかりました。ミス・ミカヤ、屈んでいただけますか?」 「分かりました。」 ルイズの言葉に従い、彼女の背と同じ高さに屈むミカヤ。 「では、目を閉じてください。」 「ええ。」 ミカヤは目を閉じ、ルイズの次の行動を待つ。 それを見たルイズはミカヤにほんの木の棒程の長さの杖を振り、使い魔との契約の魔法、『コントラクト・サーヴァント』の呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ。」 そしてミカヤの頬に手をそえ、契約の口付けを交わした。 ―――後に、『双月の女神』と呼ばれることになる、二人の伝説のメイジはここに契約を果たした。
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――――――双つの月をいただく世界、『ハルケギニア』。 その中でも魔法を使える人間達、メイジが力を有する王権国家「トリステイン」の魔法学院でこの日、歴史が動く。 鍵を握る人物の一人が、異邦の地から「使い魔」として召喚された。 その者の名を、ミカヤ。 後の歴史に、そして人々の記憶に刻まれる、当時、魔法を使えなかったがために、落ちこぼれと言われたヴァリエール公爵家三女、ルイズの従者。 その顔立ち、纏う気配から女神、或いは始祖ブリミルの生まれ変わりとまで噂される程の存在だった。 『サモン・サーヴァント』で亜人ではない人間の姿をした者を召喚したことは、長い歴史を持つトリステイン魔法学院では前例のないことである。 立会人となった『炎蛇』の二つ名を持つ博識なメイジ、コルベールは老練のメイジ、学院長オスマンの元へ、急遽ミカヤを招いた。 そしてミカヤから、彼女の住んでいた異なる世界、女神が治めていた唯一の大陸『テリウス』について語られる―――― ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第二章 『双子の月』 トリステイン魔法学院の中の、本塔の最上階にある学院長室。 学院長であるオスマンが椅子にかけ、ここまで案内をしてきたコルベールはその左脇に立つ。 彼らとテーブル越しに相対する位置に、ミカヤはいた。 ルイズに案内され、共に教室で『使い魔召喚後の使役』についての授業を受けた後、コルベールに招かれたのである。 互いの紹介をコルベールを介してすませた後、長く真っ白な髭と髪の老人、オスマンが重い口を開いた。 「まずは歓迎の言葉を述べよう。ハルケギニアにようこそ、ミス・ミカヤ。」 「ご丁寧な挨拶痛み入ります、オールド・オスマン。」 オスマンからの言葉に謝辞を述べるミカヤ。 一連の仕草を見たオスマンの鋭い観察眼が、彼女は人間ではあるが、かつてやんごとなき身分であったことを理解した。 神と人は意識に相違があり、神は絶対の権力者。 自身より格の劣る者を、慈しむことはあれど、敬意を払うことは無い。 しかしながら、かつて女神ユンヌの巫女であったためか、神聖な気配を纏っている。 どのような神かはオスマンには分からないものの、神格の高い、高次元の存在がついていたことは疑いようがなかった。 ミカヤもまた、オスマンの心を読み、こちらへの害意はないことを認める。 自身の召喚者であるルイズの師として、信用に足る人物達であることも。 故に、ミカヤは二人に、自身の存在について話すことにした。 「まず始めに私はこの大陸、恐らく世界の住人ではありません。『ハルケギニア』という大陸の名は聞いたことがありませんし、私のいた『テリウス』大陸以外の陸という陸は、太古の大洪水で沈んでいますから。」 「なんと、そのような未曾有の災害が?」 「確かにハルケギニアではそのような大洪水の伝承は存在しませんな。『テリウス』という大陸名も聞き及んではいません。」 ミカヤの言葉に驚きを隠せないオスマンとコルベール。 しかし、異世界の住人と確証を得るには証拠になるものが少ない。 「その証拠と言えるものが、これです。」 そう言ってミカヤが長杖を持たない左手で、左右一対各二連、本―――光の魔法を宿した魔導書を収めたホルダーの内、左から『ライト』の書を取り出し、机に置く。 「これは・・・。」 『ライト』の書を手に取り、解析の魔法で調べるコルベール。 そして内容を見るためにページを開く。 「ハルケギニア語ではありませんな。」 「それは精霊と契約し、「古代テリウス語」で契約の呪文を詠唱することで力の行使を可能にします。」 ハルケギニア語ではない不可思議な言語で呪文らしきものが書かれているため、内容を読むことができなかった。 『ライト』の書を返しつつミカヤの説明にむう、とうなるコルベール。 「精霊魔法・・・。先住魔法のそれをこの一冊の魔導書で可能にするとは・・・。」 「その『テリウス』大陸では一般的なものなのかね?」 内心コルベール同様驚愕しつつも、ミカヤに尋ねるオスマン。 「はい。ですが、魔法の使用用途は戦闘用に特化しているため、このハルケギニアのように生活の延長に使えるものはありませんでした。特に浮遊や飛行の魔法には正直、驚きました。飛べるとなれば天馬、飛竜、『ラグズ』の「鳥翼族」か一部の「竜鱗族」だけでしたから。」 ラグズ―――獣に化身し、通常のヒトの数倍の力を誇る獣人族の総称。 虎、猫、狼、獅子の姿に化身する獣牙族。鷹、烏、鷺に化身する鳥翼族。 そして、竜に化身する竜鱗族をそれぞれ指す。 この世界における韻獣、韻竜に当たる存在のことを聞き、息を呑む二人。 「ここから先は、テリウス大陸の成り立ちと歴史について、そして私の生きた足跡も併せて話します。」 そう区切り、二人が頷いたのを確認し、オスマン達の認識で人間を指す『べオク』、全てのヒトのルーツの創造神たる女神についても合わせて説明をし、テリウスの歴史について 語りだした。 その種族の意識の違いから度々戦争があったこと。 その悲しみから女神は先に語った大洪水を起こしたこと。 それを起こした罪の意識を感じ、正と負の意思に女神が別れ、古の争いの果てに眠りについたこと等を話す。 そして、自身はべオクとラグズの間に生まれた子供の子孫であり、その因果で女神の声を聞き、神降ろしの器になったこと。 再び大陸全土を巻き込んだ戦争が起こり、窮状の打破のため、負の女神ユンヌをミカヤを寄り代に目覚めさせ、合わせて覚醒する正の女神アスタルテと共に審判を仰ごうとしたこと。 それよりも先に判決を下され、裁きの光が世界中に降り注いだこと。 最後に、ヒトの存亡を懸けた女神との決戦――― 「そして、女神を討った後、数十年をかけての故国の復興を終え、夫が亡くなった時、私のテリウスでの役目が終わった。そう思い、私も「勇者」に倣い、新天地を目指し、旅に出ました。後の顛末はミスタ・コルベールが確認した通りです。」 「・・・いやはや、ミス・ミカヤから感じられた気配の要因は理解できましたが・・・。」 「まさか、これほどまでのお方をあのミス・ヴァリエールが召喚するとはのぅ。」 元一国の女王であり、女神の器。 そして熟達の聖杖使いにして光の精霊魔法の担い手。 一介の学生の、それも落ちこぼれの噂のメイジが召喚出来たのは類稀、としか言いようがない。 だからこそ、二人はある想像が結論に出かけていたが、今はそれの確証が得られない以上、これ以上の話は困難という考えに至った。 「今日はもう日も落ちた。話はこれまでとしよう。ミス・ミカヤ、この度は召喚に応えていただいたこと、まことに感謝する。」 「ミス・ヴァリエールを、よろしくお願いいたしますぞ。」 「分かりました。」 二人の心からの感謝と願いの言葉を受け取り、頭を下げるミカヤ。 「この学院で分からぬことは遠慮なくわしか、ミスタ・コルベール、ミス・ヴァリエールに尋ねられよ。さて・・・、迎えも来たことじゃ。」 探知の魔法『ディテクト・マジック』で、学院長室へ呼ばれた者を確認する。 3回の扉のノックの後、少女の声が聞こえた。 「オールド・オスマン。ラ・ヴァリエール、呼び出しに応じました。」 「うむ、入るがいい。」 「失礼します。」 扉を開き、入って来たのはルイズだった。 「ミス・ヴァリエール、ミス・ミカヤを君の部屋まで案内を。後は親睦を深めるのも自由ですぞ。」 「分かりました。では、ミ・・・、ミス・ミカヤ、行きましょう。」 「ええ。では、失礼いたします。」 コルベールの言葉に頷き、『ミカヤお姉さま』と言いかけるのを必死に押さえ込んだルイズ。 そんな彼女にミカヤは微笑みかけながら、オスマン達に一礼。 「では、下がってよい。ミス・ミカヤ、ミス・ヴァリエール、良い夜を。」 「はい。失礼します。」 そしてミカヤとルイズは学院長室を後にした。 学生寮の中のルイズの部屋。 そこでミカヤとルイズはテーブルを挟み椅子に掛け、夜食を摂りながら二人は互いのことを話し合っていた。 「信じられないわ、ミカヤお姉さまが異世界から来たメイジだったなんて。」 「ええ、私も世界を渡るなんて経験したことがないわ。」 自身がデイン王国女王であったことは彼女の心を刺激する可能性があったため、伏せて話した。 「いいなぁ、私もその杖や魔導書、使ってみたいわ。」 壁に立てかけられた杖やホルダーごと壁掛け―――ルイズが家財の一部を使って良いと言ったため利用している―――に掛かった魔導書を見ながらそう言う。 「古代語の習得やそれぞれ相性もあるから難しいかも知れないわ。でももし、機会があれば古代語を教えるから、その時に属性の相性を見てみましょう。」 「うん。よろしくね、ミカヤお姉さま。」 自分を抱きしめてくれた時、恐らくミカヤは自身の『ゼロ』の意味を理解している。 そうでなければあの時、ずっとつらい思いをしてきたことを分かっているように慰めてはくれなかっただろう、と確信に近い思考をするルイズ。 ミカヤもまた、ルイズが正しく魔法の行使が出来ないことを、あの時にルイズを含めたその場の全員の心を読んでいたため、理解していた。 彼女はテリウスの魔法を使えるか、あるいはハルケギニアの魔法で当てはまるものを共に探すこと、そのためにこの世界の魔法の仕組みを理解する必要があると考えていた。 ふと窓から空を見上げると、ハルケギニアの象徴とも言うべき双子の月が見える。ルイズもつられ、二つの満月を眺めた。 「ねぇ、ミカヤお姉さま。あの月、私とお姉さまに見えない?」 子供じみた言葉と思いながらも、そうありたいと思うルイズ。 「ええ、そうあれたらいいわね。」 心からそう思い、返すミカヤ。 二人を祝福するように、二つの満月は慈悲の光を投げかけ、二つの影を作っていた。
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ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第一章 『契約』 契約の口付けを終え、ゆっくりと離れるルイズ。 「終わりました。ミス・ミカヤ、目を開けても大丈夫です。」 「分かりました。」 そのの言葉を聞き、目を開けたミカヤ。 「まさか契約に口付けが必要なんて、っ!?」 困ったような笑みを浮かべながらルイズに話をしようとした瞬間、身体に焼きごてを当てられたような痛みが彼女に走った。 思わずルイズは手を取ると、ミカヤの身に起こっていることを説明する。 「大丈夫です。契約完了の証に使い魔のルーンが刻まれています。」 「・・・っ。」 身を焼くような熱さは、幾度の戦場を越えたミカヤには耐えられないことではないが、平和になり、政のみに従事するようになって以来、この苦痛を受けなくなって久しい。 やがてルイズの言葉を証明するように、彼女の頭部に、サークレット越しに光を発しながら文字らしきものが刻まれる。 「・・・ふう。」 ルーンが完全に刻まれると痛みが治まり、一息つく。 「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんと出来たね。」 その始終を見届けたコルベールは、嬉しそうにそうルイズに声をかけた。 「く、契約を一発で成功なんて。」 「『ゼロ』のルイズ、お前は運がいいんだからな!」 「ミス・ミカヤのような『女神様』との契約なんて生意気だぞ!」 周囲の生徒達は悔しそうな表情でルイズに野次を飛ばす。 「何よ! 私だってたまにはうまくいくわ!」 「ほんとにたまによね、『ゼロ』のルイズ。今回の『たまに』で当たりを引いたからって調子に乗らないでよね。」 ルイズの反論に金髪の巻き髪の少女―――『香水』の二つ名を持つメイジ、モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシがそう揶揄した。 それにいきり立ち、侮辱の言葉を返そうとしたが――― 「ミ、ミス・ミカヤ!?」 ミカヤが、ルイズをかばうように前に立つ。 「ミス・ヴァリエールへの心無い言葉は許しません。」 毅然とした姿勢でそう言い放ち、生徒達を睥睨する。 その視線に萎縮したのか、彼らは鳴りを潜める。 ミカヤは生来から人の心を読む「力」を得ている。 モンモランシー以外にも彼女と同じように考えていた生徒達の思考をも把握している。 心を読めるがために、他人を傷つけようとする意思には敏感であった。 特にルイズの姿は、かつて女神への挑戦の道程で、一国の皇帝であり、当時少女だった大切な「妹」が、言葉と現実に傷つけられ、涙した姿が重なった。 だからこその行動でもあった。 「ミス・ミカヤの言うとおり。貴族は互いを尊重し合うものだ。」 コルベールがそれに加わり、生徒達をたしなめた。 ミカヤに向き直ると、深々と頭を下げる。 「うちの生徒が申し訳ありません、ミス・ミカヤ。ミス・ヴァリエールも気を悪くしないでくれたまえ。時にミス・ミカヤ、サークレットを取っていただいても? 契約完了を示すルーンを確認致します。」 「分かりました。」 コルベールの謝罪に矛を収めたミカヤは、頭部のサークレットを外す。 「ふむ・・・珍しいルーンだな。ありがとうございました、もうよろしいですぞ。」 額に刻まれたルーン文字をひとしきり眺め、言葉をもらす。 そしてそれ以降の思考を一時保留した彼は、ミカヤに感謝の言葉を言うと、生徒達を急かすように告げた。 「さてと、じゃあ皆教室に帰るぞ。ミス・ヴァリエール、ミス・ミカヤを教室までお連れしなさい。」 「はい。」 コルベールの指示に従い、頷くルイズ。 ミカヤがサークレットをつけ直す間に、浮遊魔法『フライ』を行使し、浮かび上がった。 ルイズを除く生徒達もそれに続く。 そのまま大きな城らしき建造物―――恐らく教室がある場所へと飛んで行く。 「『フライ』や『レビテーション』を使えるのも、今回はなぁ・・・。」 「ミス・ミカヤをエスコートする役目を、何で『ゼロ』のルイズが・・・。」 「馬鹿! 滅多にそれを言うなよ!」 「そうよ、後でミス・ミカヤの怒りを買うわよ。」 生徒達はそうぼやきながらも二人から離れていった。 「・・・まったく、?」 そんな生徒達に溜め息をつくミカヤ。 すると、ルイズがこちらに思考と視線を向けていることに気づく。 「さっきは、ありがとうございました。私を、庇ってくれたんですね。」 目には涙を溜めながらも、喜びの表情を見せていた。 それを見たミカヤはルイズの傍まで歩み寄り、前からその小さな体を抱きしめた。 「・・・ずっと、つらい思いをしてきたんですね。」 心を読み、ミカヤはおぼろげながらも目の前の少女の過去を知った。 やはり、似ているのだ。普段は気高く、脆い一面を隠してきた、祖母を同じくする、大切な妹―――サナキに。 「うっ・・、えふっ、うぅえええ・・・・・!」 言われ、頭を撫でられたルイズは、感極まり、その場で泣き崩れてしまった。 そんな彼女を見て、自分がここに召喚された意味の一つがここにあると確信したミカヤだった。 しばらく、そうしていると、ルイズは涙を拭き、ミカヤ見上げ、言った。 「ミス・ミカヤ・・・。」 「何でしょう?」 そう返す彼女に、羞恥のためか赤面し、たどたどしいながらも言葉を紡ぐ。 「あの・・、その・・・、ミ、ミ、ミ、ミス・ミカヤが、めめめ迷惑でなければその・・・、普通に、接してください。それと・・・・。」 自身の心の置き所にし、かつ、自身を受け入れてもらう『魔法』を。 「『ルイズ』と、呼び捨てにしてほしいの。私も、二人だけの時はミス・ミカヤのこと、『ミカヤお姉さま』と、呼ばせてください。」 その言葉を受け、呆気に取られたが、その言葉と心を理解し――― 「分かったわ、ルイズ。」 慈愛のこもった笑みと共に了承した。 「この世界で大切な、私の、「妹」。」
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小鳥の囀りとともに床から目覚めるミカヤ。 朝日が窓から入り、すぐに意識が立ち上がる。 右隣の布団を被るルイズはまだ夢の中。 しかし、学生である以上、自分と違い、学業もある。 そろそろ起こそうと思い、ミカヤは一度背伸びをし、ベッドから出る。 優しく右頬を撫でつつ、ルイズの目覚めを促す。 「ルイズ、ルイズ。朝よ。そろそろ起きて。」 「ん・・・、うう~ん。」 身をよじり、ゆっくりと意識が覚醒してゆくルイズ。目を開ければ、そこには『女神』。 「あ、えと、あ・・・。」 今まで朝は自分だけだったためか、動揺するが、昨日のことを思い出し、一人頷く。 そう、彼女は女神。『ゼロ』と呼ばれ続けた自身が、この世界へと招いた自分だけの女神がそこにいる。 ならば、朝目覚め、なすべきことは――― 「おはようございます、ミカヤお姉さま。」 朝の挨拶からである。 「おはよう、ルイズ。」 陽光のような笑みで、ミカヤは応えた。 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第三章 『紅蓮の悪友』 扉を開け、身支度を終えた二人は寮の廊下に出る。 ミカヤは聖杖『マトローナ』を右手に持ち、腰に下げている左右のホルダーは光の魔導書を全て収めている。 ホルダーの頭には杖が一対ずつ。 「ミス・ミカヤ、何も完全装備でなくても。 魔法学院は安全なのよ?」 外では話を聞かれる可能性があるため、努めて『ミス・ミカヤ』と呼んでいる。 魔導書は武器であることはミカヤにすでに教えてもらったため、いぶかしげに訊ねるルイズ。 「ハルケギニアにはテリウスの精霊魔法が存在しないから、この魔導書は今の所複製できないわ。 それに複製もできない上位魔法もあるから、盗人が入り込んだりして盗まれるわけにはいかないの。」 特に上位魔法や最高位の光の精霊との契約を要する最上位魔法の魔導書も手元にあるため、これを盗まれれば 一巻の終わりである。 「それに、使い魔の役割は、主の護衛でしょう? なら、何時でもルイズを守れるようにしておかないとね。」 「う、うん・・・。」 そう返したミカヤに、思わず赤面しつつ頷くルイズ。 使い魔の役割としてあげられるものの一つに、召喚者との感覚の共有があげられる。 視覚、聴覚を共有することで、使い魔を偵察、潜入をさせた際に、見ているもの、聞いているものを召喚者も把握できる というもの。 しかし、人間を召喚したためか、あるいは別の要因があるのか、ルイズはミカヤと感覚を共有できていない。 二つ目は、召喚者の望む物の収集。 秘薬の原料になる薬草や鉱石等をその使い魔の知識、嗅覚で発見、召喚者に提供する。 これも異世界から召喚されたミカヤの知識に該当するものがある可能性は極めて低いため、これも除外。 最後に、最も重要な役割、それは召喚者の護衛。 これはミカヤの持つ魔法と、治療や様々な補助を可能にする杖の力ならば、十分に果たすことが出来る。 (それに、昨日から杖や魔導書に触れていると、使い方から精製 に必要な知識までもが手に取るように分かる・・・。) 恐らくこれは自身に刻まれたルーンの影響と推察する。 だが、このことはまだルイズには話すべきではないと考えたミカヤは、それ以上の思考を棄却した。 ちょうどその時、一人の女学生が別の部屋から出てくる。 紅蓮の炎を思わせるウェーブがかった髪と、艶のある褐色の肌の、成熟した女性と言っても遜色ない少女。 そのプロポーションはあまねく、同年齢の少女には理想ともいえるものだった。 ルイズの同期の学生―――『微熱』の二つ名を持つキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー はこちらを見やると、一度驚いた表情を浮かべるものの、人の悪い笑みを浮かべ、挨拶をする。 「おはよう、ルイズ。」 たちまちに不機嫌な表情になるルイズ。 「おはよう、キュルケ。」 挨拶を返すが、如何にも嫌そうにする。 「貴女も恐れ多いことをしたわね。『サモン・サーヴァント』で『女神様』を呼んで、使い魔にするなんて。」 「うるさいわね。むしろあんたのほうがミス・ミカヤに対して無礼じゃない。」 使い魔は召喚者と一心同体。自分への侮辱はすなわちミカヤへの無礼と同義と考えているルイズは、キュルケを睨みつつ言った。 しかし、ミカヤはキュルケの心を読み、悪意はないことが分かる。 いつも心の中でルイズを気にかけている、素直になれない友人。 そう、苦笑を浮かべつつ納得する。 本人達に告げれば声を合わせて否定されることであろうとも。 「ミス・ミカヤ!貴女までもこの女は侮辱しているのよ! 笑い事じゃないわ!!」 それを見咎めたルイズは顔を真っ赤にし、抗議する。 「ごめんなさい、ルイズ。でも、彼女の言葉からは悪意を感じないわ。 ただ、二人の掛け合いが面白かったから、つい。」 「ミカヤお姉さま!!・・・・あ。」 ミカヤが苦笑混じりに漏らした本音に怒りの臨界点を突破し、テンションが高くなったルイズはつい、 『ミカヤお姉さま』と言ってしまい、気がついて顔をうつむかせた。 選りにも選って一番聞かれたくない相手に聞かれてしまったからだ。 「あっはははははっ!『お姉さま』、て何よ? もしかしてそういう趣味なわけ?貞操観念も『ゼロ』だなんてねぇ?」 案の定、言葉尻を取り、からかうキュルケ。 「ツェルプストーッ!!違うわよ!」 「ルイズ、そのぐらいにしておきなさい。からかいを助長するだけよ。」 顔から蒸気が出かねない勢いで怒りをぶつけるルイズをたしなめるミカヤ。 うう、とうなりつつも、矛を下げる。 「ふふ、そうしていると出来の悪い妹の面倒を見る姉ですわね。」 あくまでからかうようにしつつも、その光景を微笑ましく感じたキュルケ。 ミカヤに諭された手前、怒鳴りはしないものの、睨みつけるルイズ。 「さて、そろそろ自己紹介をしなければ本当に無礼になりますわね。 私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。 そちらのミス・ヴァリエールと同期にあたります。 キュルケと呼び捨てで構いませんわ。」 「分かりました。ではキュルケと呼ばせてもらいます。 私はミカヤ。ミス・ヴァリエールの使い魔になります。」 互いに笑顔で自己紹介を済ませると、どちらからともなく握手を求めた。 「では、ミス・ミカヤと。 私の使い魔もお目にかけますわ。フレイム、いらっしゃい。」 キュルケに促され、後ろから紅い鱗に覆われた人よりやや大きな巨躯の、尻尾に炎を宿した、竜と見紛う立派なトカゲが 姿を現す。 ミカヤを見ると、知力が高いのか、フレイムと呼ばれた大トカゲは 恭しく一礼。 「フレイム、あなたにも分かるのね?ミス・ミカヤが敬意を払う べき存在ということ。」 「それってサラマンダー?」 フレイムの頭を撫でるキュルケに、面白くなさそうに質問するルイズ。 「そうよ、この鮮やかで大きい炎の尻尾の火トカゲは間違いなく、 火竜山脈のサラマンダー。 素敵でしょ?私の属性にぴったり。」 「あんた、火属性だもんね。」 後にミカヤも知るが、ハルケギニアでもこれだけ立派なサラマンダーは非常に稀で、召喚者のキュルケの実力が 相当のものであることを証明していた。 それが分かるため、ミカヤの召喚者とはいえ、面白くないルイズは キュルケをふん、と睨む。 「ええ。私の二つ名は『微熱』のキュルケ。ささやかに燃える情熱は微熱。 でも、男の子はそれだけでイチコロなのですわ。」 そう言って区切ると、ミカヤとルイズを見比べて一つ。 「最も、ミス・ミカヤの神聖な魅力には劣るかも知れませんが。 ホント、『ゼロ』のルイズには勿体無いくらい。」 ルイズへの皮肉を挟みつつ、心からそう謙遜しているキュルケに苦笑するミカヤ。 ルイズはその皮肉に怒りが沸騰寸前にまであがり、顔が赤くなっていた。 「ミス・ミカヤ、少し、よろしいですか?」 「何でしょう?」 耳打ちするような姿勢でたずねて来たため、ミカヤは顔をキュルケに近づける。 「・・・・・ミス・ミカヤを召喚できたことは、きっとあの子の心の支えになります。 ルイズのこと、どうかよろしくお願いいたしますわ。」 ルイズには聞かせられない、「悪友」を自認する本音を聞き取られないように言うキュルケ。 「・・・・・分かりました。」 それに微笑をもって応えるミカヤ。 それを確認し、満足の笑みを浮かべるのは一瞬。すぐさま意地の悪い笑みに切り変わり、ミカヤから離れる。 「じゃ、お先に失礼。お・ね・え・さ・ま。」 ルイズとミカヤに皮肉たっぷりに言ってみせ、フレイムを伴い、その場を後にした。 「きぃぃぃぃっ!!なんなのあの女! 火竜山脈のサラマンダー引き当てたからって、偉そうにッ!」 完全に姿が見えなくなると、とたんに怒りを爆発させ、金切り声を上げるルイズ。 「あら、ルイズは私じゃあ不満なの?」 「ち、ちがうの、ミカヤお姉さまッ! 私はただ、あのツェルプストーが・・・!」 しかし、苦笑しながらのミカヤの切り返しに動揺し、わたわたとしてしまう。 「ルイズ、貴女が邪険にするほど、彼女は悪人ではないわ。 恐らく私の目が確かならば、彼女は得がたい友人になるはずよ。」 「・・・・・でも、ツェルプストーは私達ヴァリエール家にとって 天敵以外の何者でもないわ。」 ルイズとキュルケは先祖代々からのいさかいを受け継いでいる。 その血筋故か、ルイズのヴァリエール一族は、隣国ゲルマニアの貴族であるキュルケのツェルプストー一族に妻、ないし夫を 寝取られ、その度に血で血を洗う争いを繰り広げてきた。 ミカヤが言うほどにルイズは割り切れるものではなかった。 それでも、ミカヤは彼女に優しく助言する。 「でも、心には留めておきなさい。 からかいつつも彼女は常に、友人を思いやることが出来ている。 彼女のことをもっと大事にしなさい。」 そうして、桃色のブロンドをすくようにやさしく撫でる。 「・・・・最も、お互い面と向かっては素直にはなれない でしょうけどね。」 そんな言葉を聞き、ルイズは頬を赤くしつつ、そっぽを向く。 「・・・・・それでも、キュルケは私の敵ですわ。」 あえて敬語を使い、拗ねて見せると、歩き出した。 「食堂へ案内します。ついて来て下さい。」 「・・・・・本当に、素直になれないのね。」 後ろを振り返らずに呼ぶルイズに、思わず微笑ましく感じた ミカヤは溜め息混じりにそっとつぶやき、彼女の後に続いた。
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その日の夜、ミカヤはルイズに、今夜の「授業」の中止を申し出た。 無論、ルイズにとって大事な時間が無くなることは、彼女の眉を顰めさせる。 「今日に限ってどうしてなの?」 「ごめんなさい。実はキュルケに晩餐に誘われたの。」 申し訳無さそうにそう告げるミカヤ。 「キュルケに?」 ミカヤの言葉や、タバサの存在もあり、以前のようには邪険にしなくはなったものの、やはり、先祖から続く因縁もあり、 快く思えないルイズは、頬を膨らませる。 「ごめんなさい。きちんと埋め合わせはするわ。」 頭を撫でつつ、そうルイズに言い聞かせるミカヤ。 「・・・・・。」 頭を撫でられ、嫌な気分はやや失せたものの、ルイズはこの大切な一時を潰したキュルケに後で文句の一言も言ってやろうと 思いつつ、今日という日がどのような日だったかを思い出し、一つの提案をした。 「・・・・・明日は『虚無の曜日』、休日だから王都に行くから。 お買い物に付き合ってくれるならいいわ。」 言いつつぷい、と頬を赤くしながらそっぽを向き、了承した。 「ありがとう。じゃあ、行ってくるわね。」 それに微笑を浮かべ、むくれるルイズを宥めるようにもう一度頭を撫でると、自室を後にする。 廊下に出ると、迎えに来たのか、フレイムが扉の前で此方を見ていた。 「お待たせしました。それじゃあ、案内をお願いね。」 ミカヤの言葉にきゅる、と軽く鳴き、頷くと、隣にあるキュルケの自室に向かう。 それに続き、歩みを進める。 部屋の前に立ったフレイムは二本足で立ち、器用に扉を開け、ミカヤに入室を促す。 笑みを浮かべながら会釈をし、案内を労うと、明かりを消されているため、暗い室内に入る。 「扉を閉めて。」 キュルケの声が暗闇から聞こえる。その声に従い、フレイムは扉を閉める。 その様子にいぶかしむが、キュルケの思考が伝わることで、演出であることが分かり、苦笑する。 「随分と凝った演出をしますね。」 「そうおっしゃらないで下さいな。 貴女をお招きする為に、メイド達に夕食を運ばせ、ボーイフレンド達の誘いを全て断って来たのですから。」 そう笑う声が聞こえると、指を弾く音が響き、周囲にあった蝋燭に一斉に火がともった。 灯火に照らされるテーブルには、所狭しと並ぶ食器と料理。 そして、相対するであろう席には、彼女の艶やかさを際立たせる礼装のドレスに身を包んだキュルケが腰掛けていた。 「ようこそミス・ミカヤ、灯火の晩餐へ。 さ、遠慮なくかけてくださいな。」 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第八章 『灯火の晩餐』 テーブルを挟む、キュルケの前の位置にかけたミカヤ。 フレイムが窓際の床に座り、眠るようにしつつ、外の様子に耳をそばだてている。 「さて、何に乾杯しましょうか?」 キュルケが恐らく、年代物になるであろう、古めかしいラベルのワインを開け、二つのグラスに注ぐ。 「そうですね・・・。」 グラスを取る動作は流麗に、ミカヤは思案する。 「私達の出会いとルイズに、というのはどうかしら?」 「ふふふっ、面白いですわね。」 彼女の思いついた乾杯の文句に、愉快そうに笑うキュルケ。 悪友たる自身に、「姉」たるミカヤの為にあつらえられたような文句だったからである。 「では、それにしましょう。」 そう返し、キュルケもグラスを取る。 どちらともなく、二人はグラスを中程の位置に掲げ、軽くガラス同士が当たる音を響かせた。 「乾杯。」 「私達の出会いとルイズに。」 ミカヤと、キュルケはそう軽く言葉を交わし、ワインを飲み干した。 「過日の決闘、私も見ていましたの。」 「友人の為にしたこととはいえ、大人気ない事をしたかも知れません。」 料理に舌鼓を打ちつつ、キュルケの切り出した話にそう返すミカヤ。 「いえ、ギーシュには事実、良い薬になりましたわ。 これに懲りて、色を好む悪癖も治まればと思いますし。」 むしろ、ミカヤの取った行動を当然、と賞賛する。 そうしながらもグラスを向けてワインをもらい受け、優雅な動作で口にする。 「ルイズは我が儘を言ってきてはいませんかしら?あの子、結構独占欲強そうですもの。」 「甘えられこそすれ、目を瞑る程の我が儘しか感じていません。」 「あらあら。もしミス・ミカヤが同い年で殿方だったら、違ったかも知れませんわね。」 悪友というよりはむしろ、姉に近い心配をするキュルケに微笑を浮かべ、答えるミカヤ。 ふと、フレイムが立ち上がり、窓の外をのぞくように見回す。 「どうしたのかしら?」 「さて?寝惚けた梟でも過ぎたのでは?」 その様子が気になったミカヤは訊ねようとするが、キュルケは気にした様子もなく、そう言う。 大方、今夜の交際を断られた男子学生達が、新しい男が出来たのではないかという猜疑心からのぞきに来たのだろうと、思考 した彼女から、ミカヤも納得する。 この少女もまた、火遊びを好む性格なのだ、と。 「あら、ミス・ミカヤ。今、私がギーシュと同じと思っていませんかしら?」 「どうしてそう思いました?」 「だって、今苦笑を浮かべていましたもの。」 自身の思考に合わせたような苦笑だったこともあり、目ざとく見抜いたキュルケは艶のある笑みを湛えつつ、聞く。 自分のふとした所作から、読心の力を見抜かれてしまい、心の中で諸手を上げつつ、困った笑みで返した。 「ルイズには秘密にしていてくださいね。」 「ゲルマニアの女は、「女の秘密」には口が固いものでしてよ。」 そう、笑みを浮かべながら、言葉通りの心を向けて来たことに感謝した。 グラスを取ったミカヤに、キュルケからワインを注がれる。 「初日の授業の時、ルイズを庇ってくれたこと、感謝しています。」 「・・・本当、ミス・ミカヤには隠し立て出来ませんわね。でも、貴女の御蔭でもありますわ。 もし、召喚されたのがミス・ミカヤで無かったならば、あの子を庇うようなことは、ツェルプストー家の面目もありましたから 出来なかった事ですわ。」 やや照れたように頬を染めたキュルケが、今度は此方が困った笑みを浮かべることになった。 ―――――そうして、注しつ注されつ、マルトーの料理を挟みつつ、桃色髪の少女の保護者達の、ささやかな宴は続く。 双子の月が眺める夜は、ゆっくりと更けていった・・・。
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アルヴィーズの食堂。メイジが意匠を凝らし、作り上げた魔法人形の名にちなみ名付けられた。 それを証明するのは、この食堂の壁際に整然と並ぶ、精巧な彫像。 貴族であるメイジの、テーブルマナーの教育場でもある。 しかし、ミカヤは次々に頭の中に流れ込んでくる食堂内の人々の思考の中から、給仕としてせわしなく働くメイド達、 厨房の中から調理人達の思考を読み取る。 「・・・・・ここの給仕の人達、厨房の人達もかしら? あまりここでの奉公を喜んでいないみたい。」 隣のルイズには聞き取られないよう、つぶやいた。 かつてデインを治めたいた頃は王宮内や、城下の人々の心を直に掌握し、彼らの生活と心を守ってきたミカヤ。 このトリステインは選民思想があり、恐らく平民であろう彼らから嫌悪感が読み取れた。 この状況は彼女にとって芳しいものではない。 「厨房に私の口利きで食事を用意させるわ。 ミス・ミカヤは待っていて。」 そんなミカヤの心情を露知らぬルイズは、そう言い厨房に向かおうとする。 「待って、ルイズ。」 「え?」 それをミカヤは静止する。 「厨房には私が行くわ。」 「え?どうしてミス・ミカヤが? 平民への話をつけるなら、私で十分なのに。」 当惑するルイズに、ミカヤは笑みを浮かべ、こう告げた。 「これからも世話になるところには、自分から挨拶に行くのが礼儀なの。 それと、少し時間をもらうわね。」 そして、近くを通ったメイドを見かけ、声をかける。 「少し、よろしいでしょうか?」 「は、はい!」 メイジのような姿の女性であるミカヤに声をかけられ、恐縮するメイド。 カチューシャで纏められた短い黒髪の、純朴そうな少女だった。 そのメイドに彼女は、貴族ならば決してしない提案をしてきた。 「私も貴女達の手伝いをさせてください。 料理長に会わせていただけませんか?」 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第四章 『治める者とは』 「料理長!!」 先程ミカヤに声をかけられたメイド―――シエスタは大慌てで厨房へと駆け込んできた。 「どうした、シエスタ?また貴族の餓鬼に何かやられたか?」 その様子を確認し、また貴族に無理難題を申し付けられたと思った魔法学院料理長―――マルトーは苦い表情をしながら 訪ねる。 「い、いえ!その、あの・・・!」 シエスタは話を切り出そうにも気が動転してしまい、要領を得ない。 「失礼いたします。」 ちょうどその時、マルトーが声のした方向を見やる。 そこには銀色の髪の、彼の好かない貴族の気配を超越した、『女神』がいた。 「お・・・・・。」 思わず見惚れ、手を止めてしまうが、咳払いをして、落ち着かせる。 何故かは分からないものの、杖を持つことからメイジと判断するが、他の貴族とは何かが違う神聖さを感じたマルトーは 嫌な顔をしない。 ひとまず、用向きを聞くことにした。 「貴族様、こんな厨房に何の御用で?うちらのメイドが何かしましたかね?」 「いえ、彼女にはここまでの案内を頼みました。 貴方が料理長ですね?」 隣のシエスタはおろおろとしながら二人を交互に見る。 その間も話を進めていく二人。 「ええ、マルトーと申しまさぁ。」 「貴方に頼みごとがあって案内していただきました。」 貴族の学生達からの無理難題を押し付けられることは多々あった。 それは権力者の威光を借りた傲慢なものが多かったのだ。 「伺いましょう。何でさぁ?」 だが、マルトーは彼女からは嫌味や傲慢さを感じない。 むしろこちら側、『平民』寄りのものに思われた。 ミカヤの話を促す。 「ええ。食事の配膳の時だけでいいのですが、メイドとして 手伝わせていただきたいんです。」 「は・・・・・?」 その突拍子もない頼みごとに一瞬、思考回路が停止したマルトー。 「私はミカヤ。ミス・ヴァリエールの使い魔です。 確かに杖を持ち、魔法を使いますが、貴族ではありません。 私も、『平民』ですから。」 彼らの勘違いを正すために、そう名乗るミカヤ。 無論、王位を退き、更にはこうして異界に使い魔として召喚されたため、彼女の言葉に偽りはない。 「では、ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔って、貴女だったのですか?」 「しかもあんた、貴族じゃないのか?」 噂に聞いた、ルイズの使い魔が目の前にいることに驚くシエスタと、自身を『平民』と名乗るミカヤに更に驚いたマルトー。 同時に、自分達と同じ平民という認識から、口調も砕けた。 「はい。ただ使い魔でもあるので、手伝えるのは食事の時 だけになります。」 暫し呆けたままのマルトーだったが、改めてミカヤに向き直る。 心積もりは決まったように、一度頷き、訊ねた。 「あんた、給仕の経験は?」 「ここに来る前に少々。」 今は亡き夫、サザと出会う前、そしてデイン解放の義賊団を創設する以前は生きるために様々な仕事をしていた。 その経験の幅は広く、レストラン等の給仕もこなしていた。 破顔したマルトーは、ミカヤとシエスタに告げる。 「よし、じゃあミカヤと呼ばせてもらうぜ。よろしくな! 早速だが手伝ってくれ。シエスタ、『新入り』の面倒を頼むぜ。」 「はい!」 それにシエスタも笑顔で応えた。 「・・・・・ミカヤお姉さま、何時までも何を話しているのかしら?」 一方ルイズは食卓に腰掛けながら、時間をもらう、と言って戻ってこないミカヤのことを考え、ふてくされていた。 そうこうする間に食卓に豪奢な料理が並び、朝食の時間が近づいてくる。 一緒に食事を摂りながら『テリウス』大陸での話を聞かせてもらいたかった彼女だったが、何時まで経っても戻ってこない。 仕方なく、ハルケギニアに魔法をもたらした賢者、始祖ブリミルと、 トリステインを統べる女王への食前の祈りの言葉を唱和する。 「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を与え給うたことを 感謝いたします。」 そして、ナイフとフォークを取り、食事に取り掛かったその時――― 「失礼いたします。」 「・・・・・、!?!?」 自分に飲み物を配りに来たメイドを見て、驚きの声をあげるのを両手で口を塞ぎ、必死に押さえ込む。 「ミ、ミ、ミミミ・・・・・・・っ!」 メイドはミカヤだった。 ゴシック調のメイド服は、銀髪と程よいプロポーションによく似合う。 咳払いをしてひとまず落ち着く。 「・・・どうしてメイド服を?」 「料理長と話をして、食事の間、働くことになったの。」 会話をしている間も手を止めず、慣れたようにグラスにワインを注ぐ。 「使い魔だからって無理やりやらされたの!?」 「似合わないかしら?」 食後、厳罰に処するように申請しようと怒りを露にしたルイズを、ミカヤは笑顔で軽くいなす。 「それは、すごく綺麗で似合うけど・・・・・・って、そ、そうじゃなくて!」 話をそらされ、頬を膨らませるものの、顔を赤くしていた。 確かに似合うのだから。 「ルイズ、貴女は貴族。 人を治め、守る人になりたいと思うならよく覚えておいて。」 ミカヤは他のメイドのように甲斐甲斐しくルイズの世話をしつつも、 説いて聞かせる。 「貴族だから敬われるのではなく、末端と言われる一人一人に至るまで心を砕き、その人々の痛み、求めるものを共有する。 だから『貴き一族』なの。 そのためにも平民の生活、心を知ることで、見えるものがあるわ。」 「・・・・・。」 汚れたナプキンは直ぐに新しいものに取り替える。 そんなミカヤを見つつ、ルイズは思考する。 まるで、彼女が人を治める立場にいたことがあるように思えた。 (ミカヤお姉さま、貴女がいた所はどんな世界なの?) やはり疑問が深まるばかりだった。 そんなルイズの思考を受け止めつつ、ミカヤは彼女の料理で 汚れた口許を優しく拭うのだった。
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《三日月の女神 ディアンナ》 プログレスカード レベル4/赤/P10000/G4000/S1 【女神】/【武器】 リンクフレーム なし 《自》リンク-リンクステップ開始時【リンク(7)-4】あなたの赤のプログレスが4枚以上いるなら、 そのターン中、あなたのプログレスすべてのパワーを+2000。 「下手に飛び出すのは禁物よ。獲物と間違えてしまうでしょ」 illust △○□× 青蘭の聖少女で登場のレベル4の赤色のプログレスカード。 各色に存在するレベル4・全体2000パンプテキストを持つプログレスの1枚。 関連項目 《一匹狼 音羽ツバサ》 《愛の魔法少女 アビー》 《祈りの天使 アンジェラ》 《タイプHU-50ニナ お料理モード》 収録 青蘭の聖少女 B1-085 R 同型カード 青蘭の聖少女で登場した、同色4枚以上で全体2000バンプを所持するレベル4のプログレス《必中の射手 志藤凛花》 《剣舞の月乙女 セレスティア》 《三日月の女神 ディアンナ》 《コードΣチカル フルパワーモード》
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三日月の女神 空には三日月がある。 ぐにゃぐにゃと歪んだ三日月だ。 でも、あれは本当に三日月なのか? そもそも月であるのかさえ、私にはわからない。 ただ黒い空に、歪んだ白いひび割れが一本浮かんでいるだけだから。 なにしろ、今まで戦っていた私は、ろくにここの空をみていなかったのだから、あれが月ではなく泳いでいる尺取り虫である可能性も高い。 将来的に私の顔に落ちてきて、頭から食べられる可能性もあるので、そうしたら焼き殺さなくてはならない。 ただでさえヒグマの皮を被った人が私を襲ってきたのだ。 よくわからない観音様も付きまとってきた。 何が来てもいいように備えなくては。 気持ち悪い観音様は、戻って来てはいない。 どこかに消えていた。 ほとんど何の物音もしない。 生木が熱で弾ける、パチパチという音が遠くを囲んでいるだけだ。 見回してみると、辺り一面、私を中心にして森の木がなくなっている。 でも、それならば綺麗な円形に広場ができているはず。 それなのに、木の消えた広場は私を真ん中に置いて、三日月のようにへこんでいた。 私の前の森がとても近くに寄って、黒い塊を見せてくる。 人の形をした、焦げ臭い塊だ。 イヤだ。 こっちに来ないでよ。 後ろを振り向けば、背後も横も、森はとても遠い。 私の目に、火は映らない。 歪んでいた森の火が、もうわからない程になっている。 それでも、森の端はぶすぶすと煙を上げていって、どんどんと焦げていく。 熱い。 ただ黒く、焦げていく。 炎の輝きは見えない。 目の前の焦げ臭い塊を蹴った。 当たらなかった。 脚はくの字に折れ曲がっていて、どう蹴っても当たらない。踏みつぶそうとしても、塊より先に地面に当たる。 焦げ臭い塊が、目の前から離れない。 腕は、バネのようにぐるぐる渦を巻いていたし、自分の背骨だって松の木みたいに歪んでいる。 ――ああ、もっともっと歪んでよ。そうしなきゃ戦えないじゃない。 そうして彼女は、自分の中に座り込んだ。 佐天涙子の体は、彼女の中で、音を立ててきしみ始める。 ねじれた骨肉が、更にその巻きを強める。 何周もきつく歪んで、元の位置に戻る。 見上げた空に浮かぶ月は、もっと細長く歪んで、彼女の口元に垂れ下がってきていた。 ○○○○○○○○○○ 夜闇の中を、風を切って飛ぶ。 月明かりは、街の空気に霞んでか良く見えない。 ワニの革のようにひんやりした鱗に掴まって、私は視界一面に広がる島の夜を見ていた。 眼下の摩天楼。 明かりの落ちた人気のない道々。 広がる森林と、大きな温泉から立ち上る湯気。 水平線が島の端に黒く控えている。 目指す先には、わずかに燻った炎を上げている森の一角。 暗い景色の中で、そこはほとんど唯一の光だった。 考えているうちに数瞬後。 あっという間に近づいたビルの壁に、ふんわりと着地。 そしてそのまま屋上を走り抜けて再び空へ。 顔と髪を撫でていく涼やかな風。 ゆるやかな滑空は、おとぎ話の出来事のようだ。 ――学園都市にも、こんな楽しいアトラクションはなかった! 「皇さぁん! これ見た目によらずすっごいですね! 楽しいです!」 初春飾利は、自分を背負っているアニラの耳元で華やいだ声を上げる。 当のアニラは一瞬、目だけを振り向けて返事に替えた。 トビトカゲのような皮膜を目一杯広げ、持ち前の脚力で疾走してビルの間を滑空する。 アニラ自身だけなら普段から行なっている行為であり、そう苦労もない芸当だ。 ただ、二人分の支給品と少女を背負っていては体力の消耗が激しい。 離着陸の衝撃緩和にも気を使わねばならず、以降の活動効率の低下を思うに、二度はやりたくない作業だった。 ――上官はいつもこういう、苦労を味わっていたのだろうか。 背中に負ぶさっている女子の、無邪気な笑顔。 それの対価としてならば、さほど悪くもない仕事なのだろうか。 ビル群が切れ、住宅の屋根、公園の遊具、舗装道路、そして細い路地へとアニラは走り込む。 目前に広がる森林の木々の間を跳躍し、その樹冠にまで上り詰めた。 一時停止して周りを見回す。 恐らく、既にB-3の東南の位置に来ているのだろう。 「皇さん、この掌と足の裏って、見てもいいですか? どうしてこんな自由に壁や道を走れるのか、気になるんです!」 一息つきながら、背中に向けて左手を見せる。 初春飾利は、それに触れながらしげしげと眺めた。 アニラの掌蹠には、非常に微細な毛が密生していた。 その毛の『長さ』は、人間の髪の毛の『太さ』ほど、0.05ミリ程度に過ぎない。 そしてその毛の側面から先端から、さらに微細な毛が生えており、電子顕微鏡でも使わねば確認が困難なレベルに至っている。 アニラの手を触れる初春には、ただすべすべとした、ヒダがわかるのみだった。 ヤモリなどに見られる『スパチュラ』という構造だ。 巨大な表面積と、接触点それぞれに働く分子間力により、アニラは壁面や天井に張り付きながらの走行ができる。 また、慣性を打ち殺して、尋常の生物では再現不可能なフットワークを可能にしているのもこのスパチュラだ。 忘年会恒例の隠し芸大会では天井タップダンスくらいしか披露してこなかったが、その気になればバシリスクやアメンボのように、水上を走ることも可能であった。 「う~ん……よくわかんないですねぇ……。吸盤? それとも美坂さんみたいに磁場でくっついてるとか……?」 初春は首を捻る。 アニラが、初春の言う能力を理解できなかったように、初春も、アニラが手を示しただけではその原理を理解できはしなかった。 アニラは口を開きかけた。 即座に、初春飾利の体を抱き寄せて、胸の中に抱え込んでいた。 「え? ちょっとちょっと、皇さん?」 ドォーーーー……ン。 遠くから、低く、地震のような音がした。 だいぶ遅れて、かすかに風が吹き抜ける。 振り向けば、島の中央にある山が、赤く火を噴いていた。 噴火したのだ。 アニラの眼は、強烈な赤外線のようなものが、島の中央で発せられるのを捉えていた。 直後に火山の噴火。花火などとは比べ物にならない、見上げるような高さまで噴煙が上がる。 何が起きたのかは解らないが、桜島の例から見て、山の周囲は大量の溶岩・落石・降灰に見舞われるのは確実だろう。 ひとまずは距離をとり、早急に当初の目的を果たすべきだと思われた。 「……は、早く行きましょう!」 二人の意見は一致していた。 焦った表情の初春を背中に掴まらせ、アニラは再び木々の上を飛び跳ねていく。 くすぶっている森には、丸く、木々の消失した広場ができていた。 焼け落ちたのではない。 もとから広場として作られたかのように、真円形の地面が広がっていた。 燃えているのは、その広場の縁の一端。 広場の中央に、うずくまる一人の女子がいた。 黒い長髪であり、背中にいる初春飾利と同じ制服を着ている。 地面に降りれば、彼女もその女子のことに気がついたようだった。 「ああ! 佐天さん、佐天さんじゃないですか! 良かった、無事だったんですね!」 心底嬉しそうに叫んで、うずくまる女子の方へ駆けて行く。 どうやら、出会った当初から気にかけていたらしい目的の知人のようだった。 懸案事項が早々に消化できたのなら、自分と初春の行動は良好な選択だったと言えよう。 ――ただ、それにしても。 アニラは広場の周囲を見回す。 ――この臭気はなんだ? 広場には、木の燃える臭いのみではなく、硫黄を含んだ蛋白質の燃焼する、独特の臭いが混ざっていた。 中央の女子が火傷でも負ったのかとも思ったが、外見は正常、体温も平常。 どこかに炎症のあるような熱感ある赤外線の出し方はしていない。 視界の右端に、黒く焦げた生物の死骸が映る。 ――ああ、あれの臭いだ。 ヒグマだろうか。 周辺にはなんらかの機械の破片だと思われる金属塊も転がっている。 状況からして、あの女子がヒグマと戦闘を行い、火炎放射器か何かで対象を焼き殺したということだ。 初春が、女子のすぐ傍にまで寄って、声をかけようとしている。 ――だが、不自然だ。 女子は、両の下腕を覆うように、見慣れぬ金属の円筒を嵌めている。 恐らくあれが武器なのだろうが、一見して、あの筋肉量の女子が扱える重量には見えない。 そして、自分たちが森の火炎を発見してから、少なくとも数十分は経っているはずだ。 ――今まで、ずっとここにいたのか? 「佐天さん。 ……? どうしたんですか佐天さん――」 初春の声がする。 自分は、今一度、ヒグマと思われる焼死体を見つめていた。 『君ら独覚兵はな、発達しすぎた五感の膨大な情報処理と、人間としての思考作業を、脳ミソがさばききれんことがあるんだよ。 なまじ気配を読む能力が優れているから、一旦「何の気配もない。安全だ」と思い込むと、思考作業に専念する時、無意識に感覚機能を抑えちまう。 その瞬間が一番危ないぜ。気をつけなさいね』 死者部隊を率いる指揮官、『親父さん』の言葉だ。その訓辞に、倣う。 そうだ。あの死体はヒグマにしては小さい。 そして体格と五体のバランスは、ヒグマというよりもむしろ――。 視界の端で、佐天という名の女子が顔を上げた。 金属の装置がついた右腕を、初春へ差し出すように持ち上げていく。 自分は走り出していた。 佐天という女子は、笑っていた。 ――上官たちが人間を喰い殺す際に浮かべる、あの笑顔だった。 ○○○○○○○○○○ 私の中に、私は座っていた。 座りながらぐるぐる回って溶けて、自分の中の隅々まで歪んで入って行った。 景色が私の中で雑巾みたいに絞られて、裏返って裏返って、もとの景色になる。 三日月も私の中にぐるぐる入った。 白いひび割れが、私のお腹の中や毛穴の中から染み出してくる。 イヤな気分だったけどしょうがない。 これで、みんな歪みきって、元通りに見える。 これで、私は戦って生き残れる。 「佐天さん」 初春の声がした。 またあの夢か。 顔を上げていくと、私の隣に初春の体があった。 「どうしたんですか佐天さん――」 折角もと通りになったんだから、やめてくれないかな、初春の真似。 気持ち悪いから。 ようやく手にした、私の能力を掲げていく。 もう私は欠陥品じゃないから。 レベル0の無能力者と言われて、肩身の狭い思いをすることもない。 美坂さんや白井さんから守られるのではなく、みんなを守る側に立てる。 初春だって、私が守る。 どんな犯罪者でも、幻覚でも観音様でも、私が殺してあげる。 「――うるさいから、消えてよ」 冷えた空気が、あたりに吹き荒ぶ。 そうして、私の世界は一面の白に染まった。 ○○○○○○○○○○ 佐天涙子が顔を上げた時、初春飾利は背後にあの音を聞いた。 遠くから暗がりを裂く足音。 口の端を限界まで釣り上げた、笑みが見える。 佐天が何かを呟いた、その空気が耳に届く前に、初春飾利の体は地を離れていた。 ――ジャッ。 「……なにあんた。 ドラゴン? 近頃の幻は手が込んでるんだから、ほんと……」 「す、皇さん……!?」 摩擦音を残して、アニラは停止する。 佐天涙子が行動する寸前。 アニラは最短距離を直進して初春飾利を抱えていた。 そして一瞬の間も置かず、彼は佐天の目前を直角に走り抜けた。 佐天の右手から放たれた攻撃は、広場の4分の1ほどを扇状に覆っていた。 ――氷。 白銀の世界とでもいうような霜と氷が、広場の地面を埋め尽くしていたのだ。 アニラの左脚の痛覚神経が信号を発している。 下腿の外側面が、白く結氷していた。 あまりにも広範囲に及んだその攻撃を、避けきることができなかったのだ。 (何だあの装置は。火炎放射器ではなかったのか?) (水流操作(ハイドロハンド)か何か? 佐天さんの能力なの?) 正体不明の能力であることは、アニラにも初春にも同様だった。 さらに初春には、目の前の佐天が自分を攻撃したという事象が、まったく理解できなかった。 佐天涙子が、ふらふらとした足取りで立ち上がる。 「――まあヒグマでもドラゴンでも、なんでもいいわ。 やっぱり私を襲おうとするんだ。ヘンな幻とか使ってさ。 ――いいかげんに、消えてよ」 佐天の左手が持ち上がっていた。 満面で笑う。 アニラと初春は、その動きに対応するには逡巡しすぎた。 「……『第四波動』!!」 「佐天さぁぁーーん!!」 初春は叫んでいた。 喉が潰れるほどに、絞り出した。 皇の黒い巨体が、守るように自分を包みこんだのを、彼女は覚えていた。 そして視界は、真っ赤な炎に埋まる。 ぎゅっと、彼の胸を掴んでいた。 そして爆風は、初春の意識を体ごと吹き飛ばしていた。 ○○○○○○○○○○ 「あは。ははははは……。……ハハハハハハハハッ!!」 声を出して笑った。 目の前には、誰も、何も、残ってはいなかった。 焦げた地面と、少し奥に後退して、さらに焦げていく森。 それだけだった。 二本脚で歩いていたドラゴンも、目の前にうっとうしく残っていた人型の黒い塊も、もうない。 ――そして、初春飾利の体も。 「……ねぇ。初春。あなた、本物だった、の……?」 彼女は、はっきりと、私の名を呼んでいた。 彼女の顔は――。 彼女の顔は、歪んでいたか? あの夢の中の気持ちの悪い幻影のように、歪んでいただろうか。 なにしろ、今まで戦っていた私は、ろくに初春の顔をみていなかったのだから、あれが幻ではなく紛れ込んでいた本人である可能性も高い。 仮に幻だったとしても。 なんで私はあんな、何もしない幻から逃げた? なんで私はあんな、害のない幻を消し去ろうとした? ……歪んでいたから? 『佐天さぁぁーーん!!』 悲痛な泣き声が、ずっと耳に響いている。 彼女の目。震えた体。恐怖に開かれた口。満開の花飾り。 見慣れた顔のはずだ。 ドラゴンに抱えられた彼女は、初春飾利だった。 ……歪んでいたのは、最初から、私だったんだよ。 「うっ……。うああ……。ああああああっ!!」 口を突き破って、三日月のような吐き気が襲ってきた。 体中の歪みが、渦を巻いて歓んでいる。 私の中の佐天涙子が、ずたずたの紅白なますになって悶えている。 ……気持ち悪いよ。 誰か、助けてよ。 自分の心臓を投げ捨てたいような、そんな気持ちなのに。 私はもう、戻れない。 誰ももう、私を守ってくれはしない。 誰ももう、私を愛せない。 誰ももう、私は守れない。 誰ももう、私は愛せない。 欠けて歪んだままで、自分のことしか考えなかった罪だ。 自分の歪みを見たくなくて、代わりに周りを歪ませていた罰だ。 自分独りのことしか考えないで、私は大切な親友さえ、歪ませてしまったんだ。 私は、戦いを、楽しんでいた――。 自分のこの力だけが、この上もなく愛おしかったんだ――。 体中に狂った月がひしめいている。 私が望んだ私の両腕から、真っ白く割れた月が突き出ている。 もう二度と、丸くはなれない。 私は指先から白く汚れていく。 目に見えないほどに歪みきった細胞が、胸の奥まで埋めていく。 喘いだ。 息がつまりそうだった。 「ういはる……、初春……ッ!! ああああああぁぁッ!!」 森は静かに焦げた。 ただ黒い空に、佐天の声は、真っ白に昇った。 ○○○○○○○○○○ ――なぜ、無事なのだ。 吹き飛ばされた木々の陰でまずアニラは、その現実をいぶかしんだ。 背部全面の痛覚神経は、信号を発火させている。 『第1度熱傷である』という事実をアニラの脳へ伝えていたが、それだけだった。 あの『第四波動』なる装置の火炎が、焼死体となっていた人物の死因であることは間違いないだろう。 だが、それだけの火力を受けて、自分はなぜこの程度の損傷で済んでいる? 本来自分は今頃、彼女とともにただの消し炭に成り果てていただろうに。 掻き抱いていた初春飾利の体を、下草の上にそっと横たえる。 気絶しているだけで、心音も呼吸音もしっかりと聞こえた。 すぐに目を覚ますだろう。 彼女は、自身のことを、『レベル1程度の能力者』と言っていた。 自分のこの形態のことを、『メタモルフォーゼ』なる聞き慣れぬ能力だと思っていた節もある。 考えられる生存の理由は、その能力なるもののお陰くらいだろうか。 ――彼女がいなければ、自分はここで死んでいた。 油断していたわけではない。 だが、理解が追いつかなかった。 そして、殺さずに相手を無力化できる手段が、あまりに乏しかった。 あの時、初春の体を掴まずに、そのまま佐天という女子の首を刎ねることもできたはずだ。 ――躊躇していた。 殺人を犯した人物だとわかっても、初春の知人であるという可能性に、すがりたくなっていたのだ。 ――合理性に欠ける判断である。 幸か不幸か、今、初春の意識はない。 佐天という女子は、この場で、殺す。 あまりにも危険だ。 あの殺傷能力と凶暴性は、確実に殺さなくてはならない――! 「ういはる……、初春……ッ!! ああああああぁぁッ!!」 佐天の叫びが聞こえた。 知人を手に掛けたと思って、後悔したのだろうか。 だとしても、遅い。 一度は、敵対者として、躊躇なく攻撃を仕掛けてきたのだから。 震えながら背筋を伸ばす。 足の底で息をする。 脊髄の奥から、体中に炎を巡らせる。 渦を巻く真っ白な炎。 目に見えないほどに燃え上がった細胞が、胸の奥まで埋めていく。 「ヒュウウゥルィイイイイイイィ――!!」 広場の気配が、森の気配が、その声に応えてざわめく。 淡い月光を反射して、アニラの声は、鋭い刃のように昇った。 【B-3森/黎明】 【佐天涙子@とある科学の超電磁砲】 状態 疲労(小)、ダメージ(大)、精神的動揺 装備 アルター化した左天の腕輪@NEEDLESS・スクライド 道具 なし 基本思考 対ヒグマ、会場から脱出する 1 初春、初春、初春……。 ※第四波動とかアルターとか取得しました。 ※異空間にエカテリーナ2世号改の上半身と左天@NEEDLESSが放置されています 【初春飾利@とある科学の超電磁砲】 状態 気絶(きっかけがあれば目覚めると思われる) 装備 サバイバルナイフ(鞘付き) 道具 基本支給品、ランダム支給品×1~2 基本思考 できる限り参加者を助けて、一緒に会場から脱出する 1 佐天さん、どうして……? 2 佐天さん、無能力者じゃなかったの? 3 佐天さんと、一緒にいたいよ……。 3 皇さんについていき、その姿勢を見習いたい。 【アニラ(皇魁)@荒野に獣慟哭す】 状態 疲労(軽度)、左下腿に凍傷、背面に熱傷(全て短期的な戦略行動に支障なし) 装備 MG34機関銃(ドラムマガジンに50/50発) 道具 基本支給品、予備弾薬の箱(50発×5) 基本思考 会場を最も合理的な手段で脱出し、死者部隊と合流する 0 佐天の、殺傷能力と凶暴性は、殺す。 1 佐天の両腕の装置は、冷却装置と火炎放射器であろうか。 2 参加者同士の協力を取り付ける。 3 脱出の『指揮官』たりえる人物を見つける。 4 会場内のヒグマを倒す。 5 自分も人間を食べたい欲求はあるが、目的の遂行の方が優先。 ※アニラと初春がほとんど無傷で済んだのは、初春の能力である『定温保存(サーマルハンド)』のためです。 No.072 クマカン! 本編SS目次・投下順 No.074 スーパーヒーロー大戦H No.070 人間という名の獣 本編SS目次・時系列順 No.075 バトルスタート No.052 何故鶏は道路を渡ったか 佐天涙子 No.093 風になれ~みどりのために~ No.046 Monster A Go Go 初春飾利 アニラ(皇魁)
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オラクルシンクタンク - ヒューマン グレード〈3〉 ノーマルユニット (ツインドライブ!!) パワー 11000 / シールド - / クリティカル 1 起【V】【LB4】:[CB1,あなたのリアガードの《オラクルシンクタンク》を1枚選び、呪縛する]あなたの山札の上を公開する。それが《オラクルシンクタンク》なら手札に加え、そのターン中、このユニットのパワーを増やす。増やす数値は、この効果で公開した《オラクルシンクタンク》の元々のパワーである。違うなら、そのカードを山札の下に置く。そのターン中、この能力は使えなくなる。 永【V】:あなたのソウルに「満月の女神ツクヨミ」があるなら、このユニットのパワー+2000。 永【V/R】:盟主 フレーバー:月の輝く夜もあれば、月の出ない夜もある。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 コメント
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第0話 第1話 第2話 第3話 第4話 第0話 お月見 第0話 月下の狩人 AP5 カルデアゲート 推奨Lv.10 絆P 230 EXP 550 QP 2,800 報酬 ムーンセル・オートマトン Ev-0-1 剣8 1/3 ウェアウルフLv3(剣)HP1,381 ウェアウルフLv3(剣)HP1,381 2/3 ウェアウルフLv5(剣)HP2,072 ウェアウルフLv5(剣)HP2,072 ウェアウルフLv5(剣)HP2,072 3/3 ウェアウルフLv5(剣)HP2,072 ウェアウルフLv10(剣)HP12,665 ウェアウルフLv5(剣)HP2,072 ドロップ ウェアウルフ 月見団子 1個 1枠 ウェアウルフ[3B] 特選団子 2個 1枠 備考 サポートはNPCミス・オリオン(選択時点では名称不明)Lv33のみ(※)の報酬はプレゼントボックスに直接付与されます。 第1話 お月見 第1話 アントワネットご一行さま AP5 カルデアゲート 推奨Lv.10 絆P 230 EXP 550 QP 2,800 報酬 呼符×1 Ev-1-1 剣1 騎1 殺1 1/1 マリー・アントワネットLv13(騎)HP21,304 デオンLv10(剣)HP13,558 サンソンLv10(殺)HP10,050 Ev-1-2 剣1 術1 殺1 1/1 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトLv15(術)HP27,785 サンソンLv10(殺)HP10,050 デオンLv10(剣)HP13,558 ドロップ マリーモーツァルト 特選団子 3個 1枠 デオンサンソン 月見団子 2個 1枠 備考 特選団子10個で解放サポートはNPC ミス・オリオンLv33のみ(※)の報酬はプレゼントボックスに直接付与されます。 第2話 お月見 第2話 海岸線の戦い AP5 カルデアゲート 推奨Lv.15 絆P 00 EXP 00 QP 3800 報酬 呼符×1 Ev-2-1 騎2 殺1 1/1 ゲオルギウスLv25(騎)HP36,255 マルタLv15(騎)HP20,177 小次郎Lv15(殺)HP12,124 ドロップ ゲオルギウス 特選団子 3個 1枠 マルタ小次郎 月見団子 3個 1枠 備考 特選団子40個で解放サポートはNPC ミス・オリオンLv33のみ(※)の報酬はプレゼントボックスに直接付与されます。 第3話 お月見 第3話 荒城の月 AP5 カルデアゲート 推奨Lv.20 絆P 430 EXP 00 QP 4800 報酬 呼符×1 Ev-3-1 剣1 狂1 1/1 カエサルLv20(剣)HP38,936 カリギュラLv20(狂)HP47,013 Ev-3-2 剣1 騎6 1/1 ワイバーンドレッドLv8(騎)HP5,700 アルテラLv25(剣)HP62,872 ワイバーンドレッドLv8(騎)HP5,700 ワイバーンドレッドLv8(騎)HP5,700 ワイバーンドレッドLv8(騎)HP5,700 ワイバーンエビルLv8(騎)HP8,294 ワイバーンエビルLv8(騎)HP8,294 ドロップ カエサル 特選団子 3個 1枠 カリギュラ 月見団子 3個 1枠 ワイバーンドレッドワイバーンエビル 月見団子 2個 1枠 アルテラ 特選団子 3個 1枠 備考 特選団子100個で解放サポートはNPC ミス・オリオンLv33のみ(※)の報酬はプレゼントボックスに直接付与されます。 第4話 お月見 第4話 月の女神はお団子の夢を見るか? AP5 カルデアゲート 推奨Lv.25 絆P 530 EXP 2770 QP 5800 報酬 呼符×2 Ev-4-1 弓1 1/1 ミス・オリオンLv33(弓)HP98,989 備考 特選団子200個で解放(※)の報酬はプレゼントボックスに直接付与