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魔道 その1 「キィエアアアァァァッ文我一如!!」 「文即是空――ッ!!」 「文学キエーッ!!」 朝。薄暮を劈く文学少女達の哮り。 希望崎学園文芸部。回廊の窓より門徒らの執筆の様を眺める影も、少女である。消灯の屋内にあって、僅かに反射する丸眼鏡。黒く流れる長髪。そして……尋常ならぬ文気。 ――文学少女であった。名を、空木啄木鳥(うつぎきつつき)と云う。 そして今、空木の傍らには影の如く小姓が控え、報告を囁いている。 「師範代。図書館地下の件、検視報告をここに」 「――下手人の特定。有か、無か」 「無にございます。文芸にて死した以外の事実は、一切」 「……結構」 報告を止める一言に、小姓はやはり影めいて姿を隠す。そういった存在である。 空間には、再び門徒達の執筆の喊声のみが残った。文我一如。文即是空。正しき文学を志すものは、すべからく自我と空とをひとつに成さねばならぬ。不要な我欲を滅した先、全てが許される純 文学。未熟なライトノベルが為して世に邪悪の誹りを受ける過激な暴力描写も性描写も、正しき純文学が為すのであれば、俗悪ではない。 しかしこの風景に、空木は僅かな苛立ちを覚えた。秩序。ほんの前夜の無残――希望崎図書館に降りた文学少女達の死をも、すでに忘れ去ったようにすら。 (二十と三の文学少女が殺られたのだぞ。我ら希望崎学園文芸部の門徒が) 希望崎の文芸部が、文壇の頂点に君臨する最強ではなかったのか。如何なる戦闘者が相手であれ全殺せしめる純文学が。 ――下手人は文学の遣い手。当然、そうであろう。正統たる彼女らの文芸が打ち斃される以上、相手はそうでなければならぬ。しかし。 (誰が、それを成し得た) 空木と比すれば遥か未熟であれ、地下探索行の任を負った文学少女二十三名、並なる遣い手ではない。下手人は想像を絶する文章力であろうと評価する他ない。空木啄木鳥自身ならばその離れ業とて可能なことだ。だが、自らの他はどうか。“四文鬼”の残り三人のいずれかか。関西の野で文を磨くと聞く、耳長の小説家か。あるいは彼女の理外に存在する、強力な文芸者の手によるものなのか。 修行の有様を横目に、空木は回廊を引き返す。偉大なる文芸部室。長い壁面には、かつての偉大なる文芸部長新島マリアがしたためた、「ゴーイングマイジャンル」の書。庭では門徒の一人が、三点リーダを三度続けて用いた咎で、囲まれ棒で打ち据えられていた。全身の骨が折れ、既に絶命しているであろう。珍しい事態ではない。 師範代である空木は、この過酷な早朝修練をとうに免れた身である。そして彼女自身が自らに課す執筆の凄まじさは、この門徒達の比ではない。“四文鬼”の内、誰よりも基礎文章力を高め、誰よりも禁欲的なる純文学を用いる、文芸部の求める理想たる文学少女。各部活代表同士の殺戮の果てに部費を定めるという――文学少女にとっては遊戯の如き――鬼雄戯大会に、空木が誰よりも先に名乗りを挙げた理由は、その誇りにこそあった。 敵対者は全殺あるのみ。 (その矢先に兇徒。……凶兆か) 果たして、危惧の通りであった。視線の先――いまだ夜闇が重く残る廊下の突き当りに、白い文学少女の影があった。今この時まで、努め忘却し続けていた存在であった。 「志筑」 「鬼雄戯大会への御出座――まこと、おめでとう御座います」 「志筑。その、書は……貴様」 志筑綴子(しづきつづりこ)であった。三月の時を隔てなお、かつての妹弟子の相貌からは、無情より他の心を読めぬ。彼女の白魚の如き指が掴む書の方が、余程雄弁に事実を伝えていた。 幾人もの黒い血に塗れた書。存在しないとされる真性奥義書。……文学少女達が果てた、希望崎図書館地下の。 「貴様か。貴様が書を獲ったか。門徒共を殺したか!」 「これはしたり。うふふ。あれは文芸部の者達でしたか。余りに稚拙な文芸でしたゆえ……。気付かぬ不行儀をお許しいただきたい」 侮蔑の色を込めた不遜な笑いが漏れるも、志筑の表情筋はやはり氷の如き無情である。淀み濁った白い瞳からも、何も読めぬ。 空木は覚悟を決めた。相手が“魔文”の志筑であれば、そうせねばならぬ。自身が正しき文学の全てを収めた師範代であり、相手が道を追われた邪道の妹弟子であったとしても。 「文芸の道は、奥義書の存在を認めぬ。渡せ」 「無論、このようなもの。お返しいたしますとも。……今は、私の目前に」 もっと欲しいものが御座ります――。 その声が響いた時には既に、叩き伏せられた空木の肉体が、床板を割っていた。 ---- 一日後、報道部室。文芸部の参加選手として、インタビューを受ける少女の姿があった。それは文学少女である。 「本来出場を予定されていたが残念なアクシデントにより辞退となってしまいましたが……志筑桜子様、鬼雄戯大会の意気込みに関しては、如何でしょうか」 ただしそれは、白い髪の少女であった。 少女は問いに対して一言――全殺、と答えるのみである。 瞳からは、無情より他の意志を読めぬ。 文芸部選手……志筑綴子、参戦! 応援作品へ移動<<|メニューへ移動|>>志筑 綴子の個別ページへ移動
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文芸部室 ニキビ女「どう考えてもあのカップリング最高でしょー」 デブ女「いやいやそれは邪道だよー」 ニキビ女「ねえ?秋山さんはどう思う?」 澪「え…(よくわからないよ…)」 私は秋山澪、文芸部に入った事を後悔しています こんな事なら律の言うとおり軽音部に入っておけばよかったかな・・・ 澪「あ…律、今日はいっしょに帰らない?」 私は今日部活を休もうと思いました なんだか思っていたものと違ってたから… 律「ごめん澪!今日は軽音部の皆と楽器選びに行くんだ♪」 律はいつも軽音部のことで忙しいみたいです 私と居るときもいつも楽しそうに軽音部の話ばかりします 律「あ、よかったら澪も来くるかー?」ニコニコ 律はとても優しいです、私みたいな裏切り者でも昔と変わらず接してくれます でも私は人見知りなので軽音部の人達と遊びに行くなんて想像もつきません 澪「あ…いいよ、誘ってくれて悪いけど…」 律「そっか…」 唯「りっちゃーん♪部活いこー♪」 どうやら軽音部の友達が律を迎えに来たようです 律「あっそれじゃな澪ーまた明日ー」 澪「うん…」 私も仕方ないので文芸部へ向かう事にしました 澪「こんにちは…」 デブ女「澪ちゃん、遅刻よ!罰金!」 ニキビ女「ギャーハハハッ」 澪「…」 何かのアニメの真似なのでしょうか 私にはよくわかりません 私は席に着くと小説の続きを考える事にしました 地味で人見知りな女の子と誰にでも優しくて活発な男の子の恋愛物語です デブ女「澪ちゃん何かいてるのー」バッ 澪「あっ!」 デブ女「えーどれどれ♪」 澪「か…かえしてください!」 中には恥ずかしいポエムなどが沢山書いてある それを読まれたら末代までの恥だ デブ女「君を見てるといつも私のハートがどきどきしちゃうの(笑)」 ニキビ女「ブッフォwwwwww」 澪「か…かえしてよぉ…」ワナワナ デブ女「タイトル・ふわふわ時間wwwPN・プリンセス・サンジュwww」 ニキビ女「テラスイーツwwwwww」 澪「かえしてぇ…ねぇ…かえしてよぉ…」グズグズ デブ女「いつも頑張ってる気味の横顔ずっと見てるけど気付かないね(笑)夢の中だったら二人の距離縮められるのにな(笑)」 ニキビ女「ちょwwwwwこれニコ動にうpしようぜwwwwww」 気が付けば私は泣きながら文芸部から飛び出していました どうして軽音部に入らなかったんだろう… 後悔が胸をよぎります もしあそこで律のいう通りにしていたら… 私にも律以外の友達が出来たのかもしれません… 澪「軽音部に入っておけばよかった…」ポロポロ どれだけ走ったでしょうか 気が付けば町の中を走っていました ドンッ ?「きゃっ!」 澪「あ!大丈夫ですか?」オドオド 無我夢中で人とぶつかってしまいました 怖い人だったらどうしよう… ?「あー、確かりっちゃんのお友達だよね」 それは聞き覚えのある声でした 澪「たしか…平沢さん…?」 唯「うれしいなー名前知っててくれたんだー♪」 平沢唯、律の友達で同じ軽音部のメンバーです 彼女は無邪気な表情でえへへ笑いました 悪い人ではなさそうです 澪「うん、律からいつも話は聞いてたから…」 唯「秋山澪ちゃんだよね?」 澪「え?」 唯「りっちゃん部活だといつも澪ちゃんの自慢ばかりするんだー♪」 どうやら平沢さんはさっき軽音部と別れてきたそうです そして律がいつも私の事をどう言ってるのかを教えてくれました 律「澪はさー、馬鹿な私をいつもやさしく面倒見てくれるんだー」 律「しかも最近文芸部で小説ってのを書いてるらしいんだ」 律「すげーよなー、かっこいいよなー!」 律「ほんとは澪を軽音部に入れたかったんだけど澪には自分のやりたい事をやってほしいんだ」 律「澪が頑張ってるんだ、私達も練習頑張ろうぜ!」 私は涙が溢れました 私は律が思っているようなかっこいい人間なんかじゃありません 文才もないし一人ぼっちだしずっと軽音部に入ればよかったと後悔しているような惨めな人間でした 澪「うぅぅ…律ぅ…」 唯「わわわっ澪ちゃんどうしたのー?」 突然泣き出す私に平沢さんは慌ててしまったようでした 澪「私は…そんなかっこいい人間なんかじゃないんだ…」ヒック 平沢さんもどうやら察してくれたようで いままで見せていたおとぼけた表情ではなく なんだか優しいお姉さんのような表情になりこちらに向かってきました 唯「お話聞かせてくれるかな…?」ギュウウゥゥ 不意に抱きしめられて驚きましたが なんだかとても暖かくて安らかな気持ちになりました 私はいままでの事をあらいざらい話しました 唯「うん、大変だったんだね…うん」 平沢さんは自分の事のように話を聞いてくれました 唯「もしよかったらさ…軽音部に入らない?」 澪「え…」 軽音部への転部 私もそれは考えなかったわけではありません でももう私の弾けるベースのポジションは埋まっているだろうし いまさら律に軽音部に入りたいなんていえません 唯「あはは、そんな事かー」 澪「え?」 唯「大丈夫だよ、澪ちゃん」ニコッ どういう事なのかわかりません 私は恐る恐る尋ねてみました 澪「ベースは誰かがもうやってるんじゃないですか…?」 唯「ううん、ベースは誰も居ないよー」 律から聞いた話と違います 部活は4人以上じゃないと認められないし 軽音部はドラム、ギター、キーボード、ベースで構成されていると聞きました それなのにベースがいないとはどういう事なんでしょうか 唯「えへへー」 照れた口調で平沢さんが教えてくれました どうやら律は自分を含めて3人しか部員が集められず、一度は軽音部をあきらめたようでした でも文芸部で頑張る私を見て、このままバンドも組めずに廃部にしてなるものかと いろいろ考えたそうです、その結果 唯「生徒会の和ちゃんの名前を借りたんだー♪」 とりあえず近いうちにベースを探し出すから、との事を条件に 生徒会の平沢さんの友達を説得して幽霊部員として入部させたようです 唯「だからベースは澪ちゃんしかいないよ!」 澪「でも…いまさら…律に顔向けなんてできないよ…」 いまさら入部しても律に迷惑をかけると思いました 最初に誘ってくれたのを断ったのは私だし どこにいってもジャマ者な私みたいなのが入部したらきっと軽音部の人間関係を悪くします せっかく律の作った部活を駄目にしたくないし 私はこれまでどおり文芸部で馬鹿にされながら小説を書くのがお似合いです 澪「だから…ごめんなさ ?「そんなわけないだろ澪ー!」 澪「え?」 いつも聞きなれた声、振り返ってみると律がいました 澪「律…」 律「澪が軽音部に入って悪い事なんてあるかよー!」 律「私だって本当は澪といっしょにバンドやりたかったよ! 」 澪「!」 律は胸の内を語りだしました 律「でも澪が文芸部で頑張るっていうから応援したんだ…」 律「本当は止めたかったさ…でも出来るわけないじゃないか親友を束縛するなんて…」 澪「律…」 こんなにまじめな律の姿を見るのは初めてかもしれません 律「だけど澪がもう疲れたって言うんなら…」 律「もし少しでも軽音部に入ってもいいかなって思うなら…」 律「私のために…」 律「軽音部のために力を貸してくれないか…」 澪「律ぅ…律ぅぅぅ…」グスッ もう私の心に迷いはありませんでした 今日はなんだかよく涙が流れる日でした 1回目は悲しみの涙、2回目は悔しさの涙、 そして最後に幸せの涙… 私は律に抱きつきます、律もギュッとしてくれました そういえばよく抱き合う日だったような気もします 唯「ありゃー、澪ちゃんとられちゃったかー…」 律「おーよしよし泣くなよ澪ー」 澪「だって嬉しいんだよ…しょうがないだろー?…」グスッ 律「なーに言ってんだよ、あのとき約束しただろー」 律「私がドラムで、澪がベースで、ずっとバンド組もうねって…」 澪「あれ…そうだったっけ…」 律「それでプロになったらギャラは7:3ねって」 澪「捏造するな!!」 ゴンッ 律「あいたっ!」 唯「あっははははは、りっちゃうおかしー」 律「うるせー」 つい自然に手が出てしまう、こんな絡みをするのは久々だ たぶん律の奴が私を元気付けるためにわざとおちゃらけてくれたのだろう 私も自然と微笑が溢れた 余談だけれど律が何故ここに来たのかというと平沢さんがおっちょこちょいでギターを買ったくせにそのまま店に忘れて帰ったから届けに来たらしい さっきまでお姉さんのような態度だったのに買って早々忘れてしまうドジな平沢さんの態度がまた面白くて3人で笑いあった 私が始めて高校で友達が出来た瞬間だった 数日後 私は軽音部にいます。 文芸部をやめるというときはとてもとてもこわかったけれど 律たちが応援してくれたから、私は勇気を出せました 律「澪ー、この前書くっていってた歌詞どうなったー?」 澪「うん、書けたよ」ピラッ 私は最高の力作を律に見せ付けてあげました 文芸部上がりの私の実力を見たら腰を抜かすに違いありません 律「きみを見てるといつもハートDOKDOKI…」 律「ぶっふぉwwwww」 澪「あー!笑うなー」 律「あははは、ごめんごめんだって澪がこんなかわいらしい歌詞かくなんて思わなかったからさーww」 律の奴も私の歌詞を笑いましたが文芸部と違いとてもとても優しさのある笑い方だと思いました。なので私は悲しくありません 唯「みせてみせてー」 律「ほれっ」 唯「すごい、いい歌詞だ!!」 律「マジかよ!?」 紬「皆さん、お茶が入りましたよー」 澪「ちょっと待て練習は!?」 律「しょうがないなーちょっとだけやるか」 澪「まったく…」クスッ 私は軽音部に入れて本当に幸せだと思います 文芸部と比べてとても充実していて今じゃ友達も出来ました 本当に律と友達でよかったです 律「よしじゃあいくぜ、ふわふわ時間だ!」 これからもきっと私達のふわふわ時間は続くと思います。 おしまい! 私は必死にそれを取り戻そうと抗っていた 無駄な努力だったけど… デブ女「これからもきっと私達のふわふわ時間は続くと思います。wwww」 ニキビ女「なんなのこれwwww澪さんの妄想パネェっすwwww」 澪「…」 その通り 全部私の妄想だ、稚拙な文章ととってつけたようなハッピーエンド 誰も感動しない茶番でしかない物語だ ブス女「そもそも律って田井中さんの事でしょwwww」 ニキビ女「もうとっくに澪さんの事なんて忘れてるっしょww」 ブス女「別に文芸部やめてもいいよwwwどうせあんたみたいなのどこも入れてもらえないと思うからさwww」 現実にはこんな仲間や親友なんてそうそういないもんだ こうやって脳内で妄想するのが関の山 でも…もしあの時軽音部に入部していれば変わったのだろうか 後悔しても仕方がなかった 明日もあさっても明々後日も私はきっと文芸部に足を向けるのだろう 私はPNプリンセス・サンジュ…文芸部の道化なんだから… おしまい 戻る
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温泉旅館にて楽しんでいる一行。 一同はここ、ゲームコーナーに来ていた… スチャッ、ドドド、ドッコーン 「な…すげぇ…」 「…そうか?」 「真顔な顔して手つきは神だ…」 「真紘、こんな特技があったの…?」 「ああ。俺はゲーマーだよ?大体のネトゲランキングは一位だから。」 飄々と話す真紘。 「(あっ、だからあのモンスタースナイパー、どんなにがんばっても一位になれないわけだ←)」 と思うのは大野啓である← 「要くん、卓球やろうよ!」 「いいですよ!ちなみに、俺は4年連続卓球世界大会で優勝してますから!」 「…えっ?」 「いきますよ…えいっ!」 シュボォォォン← 「なっ、なんだ今の音…!」 と啓が走った先には… 「あ、ノイケン…」 とほたるが倒れていた… 「ほたるさん…大丈夫ですか?」 「いやー、ははは、流石世界大会優勝者…強いや…」 「世界大会?卓球の?」 「うん…強いのなんのって…」 「とりあえず、休んでいてください。俺が敵をうちます!」 「…総平くん、彼、俳優なの?」 「ああ、彼、学芸会を踏み台に俳優を目指してるらしいんです。ホントのところはわかりませんが←」 「あは、ははは…」 「さあ、いきますよ!」 「はいっ!」 カンッ カカ、カカンッ とラリーが続いている← 「なかなかっ、やりますね…!」と要。 「流石、世界優勝者…!」と啓。 「二人とも凄いね…」とほたる。 「よし、そろそろ決めます!『風紅蓮ノ舞』!」 「…!啓くんっ!」 「俺も、やってやるぜ!『氷城季ノ舞』!」 「…!?」 シババババ← 「けっ、煙!?」 「なんだとっ!?」 「ふー…」 「大丈夫?みんな…」 「ああ、意外に大丈夫←」 「こっちもです←」 「お前ら、何やってんだ?」と釜人さん。 「あっ、釜人さん!」 「卓球です。釜人さんもやりますか?」 「おお、やる…」 「…でさ、なんで相手が要くんなの!?」 「大人げない←」 「別に平気だ。やるぞ?」 「はいっ!」 「せーの…」 カンッ、カンッ、カカンッ、カカッ 「おおお…」と驚愕気味の啓。 「総平に啓くんって、卓球経験は?」 「ん…小五から一年だけ。」と総平。 「小一から二年です!」と啓。 「へぇ~…」 「……ラリー長いな。」と釜人さん。 「〆ますか?こっちが行きましょうか…」と要。その表情は余裕そのものだ。 「いや、勝負をふっかけた俺から〆る。氷零炎天下破滅弾‼」 「へ、ヒョウレイエンテンカハメ…って待て待て…!」 ビュシャァァァ 「なんだ…⁉」 真紘にしては珍しく、煙の方向を向く。手はずっとゲームのほうに集中してるけど。 「なんだ、どうした!?」 煙の中に立っていた二人は、なんとか平気だったようでびっくりしながらもお互いを見つめていた。 「あ…」 「あ…はは、凄くないですか?」 「あー・・・、言ってなかったけど、俺さ、卓球の世界大会で準優勝してるんだよね。」 「ほんとですかー!?えー、マジかよ…」 「皆さん、もういいんですか?今日は貸し切りみたいなもんですから、思いっきり楽しんでってくださいよ~!」 「おお、番頭さん!」 「番頭さん、俺と卓球勝負してくれよ!」
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用語:SOS団 概要 正式名称は「世界を大いに盛り上げる為の涼宮ハルヒの団(*1)」で「宇宙人や未来人(*2)や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」が目的(*3)。 正団員は団長のハルヒ、副団長の古泉一樹、副々団長の朝比奈みくる、文芸部と掛け持ち扱いの長門有希、「雑用係」扱いのキョン。活動費は文芸部のものを使用している。
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━━━【キャラ紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ヴァニラ・H 私立聖祥大付属中学校2年生 文芸部部員 概要:文芸部のエロい先輩。 ただ苗木先輩曰くルートに入ればピュアな部分が見えて来る、――らしい? 美少年の美しい青春を書くことを趣味にしている。 なお本当はHはアッシュと読む。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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6章 すべてを解く鍵 わたしが元の世界に帰還できたからくりは理解した。そしてそれを実施するにはわたしが再び過去に行かなければならない。 しかし、あれから1週間経っても彼が、再び過去に時間遡航するそぶりは見せなかった。このままほっておいたらあと1年ぐらいはやらないような気がする。彼はいつ実行しても問題はないと考えているのかもしれないが、近い未来にそれこそ階段から転落して大けがを負うような事件に巻き込まれる可能性がないわけではなく、再改変を遅らせることはリスクをはらむことである。 「彼に直接促してみては?」 と提案したのは喜緑江美里。 それは、できない。なぜならば世界再改変は彼の意志で行うことだから。わたしが促すのは筋が違う。 「困りましたね。あなたがそんなに強情だったとは思いませんでした。何かいい方法があればいいんですけど」 しかし、そんな心配は杞憂に終わる。 冬合宿から帰ってちょうど一息ついた時、電話が鳴った。 「長門。俺だ。今から12月18日に行こうと思っている。今からそっちに行ってもいいか」 「いい」 「今から1時間後に行く」 雪山での遭難事件が発端になったのか、彼はやっと決断したようだった。 しばらくして、彼と朝比奈みくるがやってきた。彼が朝比奈みくるに事情を説明し終えると休む間もなく時間遡航をすることになった。今から行く時間には、世界改変前のわたし、再改変をしようとする彼と朝比奈みくる(大)、そして朝倉涼子がいる。そこにわたしと彼と朝比奈みくるの3人が加わるのだから、空間的にも時間的にも多くの人が密集することになる。そのすべての人を欺かなければならない。 わたしは朝比奈みくるに世界改変直前の時間を伝え、その時間に移動した。 12月18日未明。その時間に着いたとき、校門の前に『わたし』が立っており、物陰には彼と朝比奈みくる(大)がいる。まだあれから1ヶ月も経っていないが、ずいぶん前のことのように感じられる。 『もし、困った事態に直面したら彼とはじめて出会ったときのことを思い出して欲しい。彼に対して行ったこと、それが鍵になる』 彼と初めて会ったのは今から3年前。 朝比奈みくると2人でわたしのマンションに訪れ、3年後の世界に帰りたいとわたしに懇願した。 そのときわたしは何を行ったか。 絶対に不可能と思えた元の世界に帰還する方法。それは驚くほどシンプルだった。 そう。答えは時間凍結を行い、世界再改変を3日後にずらすこと。 『目の前にいるわたし』が校門の前で右手を上げ宙に向かい呪文を唱え、世界改変が起こるその瞬間 ここにいるすべての人が『世界改変をしようとするわたし』に目が向いているその隙に、わたしは誰にも聞こえないように小さな声で呪文を唱えた。時間凍結の呪文を。 彼らは蝋人形のように動きが止まった。 それを確認した後、わたしは世界改変をしようとする『わたし』の前に立つ。この時、わたしの記憶では、『わたし』は驚いているはずなのだが、実際は逆に驚くほど無表情だった。こうして目の前に自分がいると、違和感がある。 「わたしは未来から来た。あなたに、忠告しなければならないことがある。世界再改変を円滑に進めるために次のことをしなければならない。必ず実行してほしい」 わたしは過去の記憶を辿りながら、わたしが聞いたことをそのまま伝えた。 それを聞いた『わたし』は 「あなたの忠告を受け入れる。必ず実行する」 と言ってくれた。 伝えるべきことは言った。しかし、ここで時間凍結を解除するわけにしない。今、時間凍結を解除すれば、彼が再改変を実施してしまうからだ。今わたしがここにいるのは、このときはなにも起こらず3日後に緊急脱出プログラムを実施する歴史があったからこそだ。『わたし』が世界改変を実施しても、そのまま時間凍結を続ける必要があった。 改変後の『わたし』は何も事情を知らず、闇の中へ消えていく。辺りは静まりかえっていた。わたしはその場に座り空を見上げる。ここには情報統合思念体もいなければ、観察対象もない。それは静かな夜だった。 ◇◇◇◇ 世界改変からちょうど3日後の夜。わたしは時間凍結を継続し続けていた。 しんと静まりかえった北高の前にこの時間の『わたし』がやってきた。彼が脱出プログラムによって消え、悲しみにくれていた『わたし』は悲壮感を漂わせ、校門の前に立ち止まり、右手を挙げ世界改変の呪文を唱えるまねごとをする。 『わたし』が立っている場所、ポーズ、服装、時刻、そのすべてが3日前と全く同じだった。その時を見計らい、時間凍結を解除する。彼らが3日後にワープしていることに気づくことはない。 わたしが元の世界に帰還できた訳。その答えは、再改変の時間を3日間ずらすこと。 世界改変後すぐに再改変があれば、再改変後の世界と、緊急脱出プログラムを起動させる世界の2つに分岐が起こる。しかし、脱出プログラム起動後に世界再改変を行えば、世界の分岐は起こらない。 絶対に不可能と思えた元の世界に帰還できた理由。 それは、そもそも『帰還』をしていないから。 脱出プログラム動作後に、パラレルワールドへの移動や時間遡航をする必要はない。彼と過ごした文芸部の思い出も、世界再改変もすべて同じ時間軸で起こったものだった。 緊急脱出プログラムの期限が3日以内だった理由も今ならはっきりわかる。世界再改変前に脱出プログラムを発動しなければ世界が分岐してしまうから。 3日後に移動したことに気付かない彼は、『3日後のわたし』に語りかける。 「お前のしわざだったんだな。やっぱりアッチのほうがいい。この世界はしっくりこねえな。すまない、長門。俺は今のお前じゃなくて、今までの長門が好きなんだ。元に戻してくれ。お前も元に戻ってくれ」 彼は『わたし』に銃口を向ける。そのとき、朝倉涼子がナイフで刺し、彼が倒れた。 そして、もう一人の彼が登場する。彼が倒れなければ、今のわたしがこの時間に来ることはなかった。朝倉涼子の復活はどうしても必要だった。 この後起こったことをあらためて説明する必要もないだろう。 こうして、世界改変の事件は終結し、平穏な毎日が戻ってきた。 マンションの一室に戻ったわたしはごろんと横になり、大の字になった。 あぁ、疲れた。本当に疲れた。わずか3日間。でもそれはとても長い3日間だった。 ふと部屋の隅に積んである本に目が留まる。 わたしはふと思い立ち、部屋の隅に積んであった本を持ち上げた。そこには、『あの3日間』にわたしが書いた小説の原稿があった。わたしは原稿を広げペンを持った。わたしが本当に書きたい物語を書くために。 ◆◆◆◆ 昼休みに扉が開いた。ナツだった。 「入部届けを顧問の先生に持って行くわ。入部届けはある?」 「入部届はない。文芸部は定員割れで廃部が決まっているの。悪いけど入部は受け付けていないわ」 「どうして! 廃部の話があるのは知っているけどまだ諦めるのは」 「うるさい。あなたは本に興味あるの。いつも彼と雑談してばかり。文芸部は本を読むクラブなの。なりふり構わず部員を集めて、お遊びクラブにするつもりはない」 私は叫ぶように言い放った。 「……わかった」 ナツはそう言うと部室を出て行った。 放課後、部室に彼が来た。 私は言う。 「文芸部を廃部にしようと思う。私たちはがんばった。けど結局、部員を増やすことはできなかった。最初から無理だったのよ。こんな陰気なクラブに誰も来るはずないか」 気づけば目に涙があふれていた。これでいいんだ。すべて終わり。 もう文芸部は私の居場所じゃない。そこは教室と同じ孤独を感じる空間だった。私の好きだった文芸部はもうとっくにない。どうせ文芸部は廃部になる運命だ。ちょうどいい機会じゃないか。 こころの中で彼に言う。 さようなら。今まで楽しかったよ。 そう思うとますます涙があふれた。 違う! 今でも文芸部は特別な場所だ。 今でも文芸部は好きな場所だ。 今でも文芸部は存続して欲しいと思っている。 私の中の心の叫びは次第に大きくなった。 私は彼が好きだ。だから彼とナツが仲良くなっていく様子を見たくなかった。私が文芸部で感じたのは孤独ではない。いとおしい人に愛してもらえない寂しさだった。私が廃部にしようと考えたのは定員不足でも、お遊びクラブにしたくないからでもない。ナツに嫉妬したから。このまま彼とナツが仲良くなっていくぐらいなら、今の状況を変えてしまえばいいと思った。文芸部がなくなれば2人が会う機会も減ると思った。でも、その考え方は違う。そんなことをして何が変わるというのだろう。大切なものを失うだけで何も変わらないじゃないか。変わらなければいけないのは私。私が変わらなければ何も変わらないのに。 私は取り返しのつかないことをしてしまった。あんなことを言ってしまったんだ。ナツはもう戻って来ない……これで許してくれる人がいたらそれは相当なお人好しだろう。もう、元には戻れない。いや。私は自分を変えると言ったんじゃないのか?!あれはデマカセだったのか?!ここで怖じ気づけば何も変えられない。ダメでもともと。たとえ1パーセントでも可能性があるならば、私が今やらないといけないことがあるじゃないか。 「ごめん。待ってて」 とだけ彼に言い残し部室を飛び出した。 鞄もなにも持たず校門を出て坂を駆け下りた。 帰宅途中の学生でごったがえす歩道を飛び出し車道を走り、途中の階段を3段飛ばしで降りた。息が荒くなり、足が悲鳴をあげた。必死だった。駅前の交差点に差し掛かったとき、その小さな背中を捉えた。 ナツの姿を捉えた私は出せるだけ大きい声で叫んだ。 「ナツ。ごめん」 ナツだけでなく周りの生徒も振り向いた。だが、そんなことをかまっていられない。 「さっきはごめん」 ナツは何も言わず私を見ている。 「あんなこと言ってしまってごめんなさい。私にとって、文芸部はただ本を読む場所じゃない。私にとってすごく大切な場所。 私は臆病だった……文芸部存続のことも、機関誌のことだってすぐに諦めた。でも、私は自分を変える。今までより、ずっと賑やかで楽しい誰もがうらやむ部にしたい。世界一楽しいクラブにしたい。そのためにはナツが必要なの。自分勝手なことだとはわかってる。もう一度チャンスを与えて欲しい。文芸部に戻ってきてほしい」 ナツは私の目をまっすぐ見て、小さく、でもはっきりとうなずいた。 それは承諾を意味した。 私は嬉しくなり思わず笑みが溢れ出た。 「ただし」 ナツは言った。 「私を楽しませること。私は掛け声だけで実態が伴っていないってのが一番きらいなの。世界で一番楽しいっていう目標を掲げるんだったら、本当に世界一になりなさいよ。もしつまんなかったらすぐ退部届け叩きつけてやるんだから」 「約束する。今までの文芸部がなんだったの?って言いたくなるぐらい楽しいクラブにするわ。そのかわり、今までみたいに好き勝手にはやらせないわよ。覚悟しなさい」 それはナツへの宣戦布告だった。 ◆◆◆◆ 原稿を書き終えて、わたしはほくそえんだ。 この半月でわたしは変わった。『性格』そのものが変わったわけではない。もののとらえ方が変わった。いや、変わっていたことに気がついたと言った方が正確かも知れない。傍観者から当事者に変わった。涼宮ハルヒを観察し、情報統合思念体に報告する役割だったはずのわたしが、情報統合思念体の計画を妨害し、SOS団を護る立場になってしまった。いつか情報統合思念体とSOS団が対立する時がやってくるかもしれない。そのときわたしは…… ふう 茨の道を歩まなければならない自分に対してついたため息なのか、朱に染まって赤くなってしまった自らを自嘲したものなのかはわからないが、そっと息を漏らし、空を見上げた。空には、わたしのため息など関係ないと言わんばかりに、たくさんの星が輝いていた。 エピローグに続く
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朝_____ 「起きなさいひろし!遅れるよ」 台所からひろしの母の声が聞こえる。 「全くお寝坊さんだねぇ…。佐月さんやピョン吉もとっくに起きてると言うのに……」 そうぶつぶつ言いながら朝ご飯を作っているひろしの母。 「悪いけど、起こしてくれないかい?二人とも」 「任しとけぃ!」 承知のピョン吉。 「どうやって起こすのさ?」 「簡単さ。ど根性で大声で叫ぶんだ。起きろぉーーーって」 「……ど根性」 「zzz…zz……」 「起きろぉーーーひろし!!学校に遅れるぞぉぉーーーーーーーーー!!!」 「わあああぁぁぁ!!!」 鼓膜が破れそうなくらいのピョン吉の怒鳴り声にひろしはふとんからとび上がる。 「何しやがるこの平面ガエル!」 「せっかく起こしてやったんだぞ!少しは感謝してよ!」 「何やってんだい。兄弟ゲンカはやめて早く朝ご飯食べなさい」 ひろしの母が朝ご飯を持ってきた。 「いただきまーすっ!」 「あんぐぐ……」 飲み込むようにご飯を食べるひろし。 「はい、お弁当だよ」 と、ひろしとピョン吉の分の弁当を差し出す。 「サンキュー!」 ガタンッ! 朝ご飯を食べ終わり、茶碗をテーブルに置く。 ガチャッ 「いってきまーすっ!」
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6章 すべてを解く鍵 わたしが元の世界に帰還できたからくりは理解した。そしてそれを実施するにはわたしが再び過去に行かなければならない。 しかし、あれから1週間経っても彼が、再び過去に時間遡航するそぶりは見せなかった。このままほっておいたらあと1年ぐらいはやらないような気がする。彼はいつ実行しても問題はないと考えているのかもしれないが、近い未来にそれこそ階段から転落して大けがを負うような事件に巻き込まれる可能性がないわけではなく、再改変を遅らせることはリスクをはらむことである。 「彼に直接促してみては?」 と提案したのは喜緑江美里。 それは、できない。なぜならば世界再改変は彼の意志で行うことだから。わたしが促すのは筋が違う。 「困りましたね。あなたがそんなに強情だったとは思いませんでした。何かいい方法があればいいんですけど」 しかし、そんな心配は杞憂に終わる。 冬合宿から帰ってちょうど一息ついた時、電話が鳴った。 「長門。俺だ。今から12月18日に行こうと思っている。今からそっちに行ってもいいか」 「いい」 「今から1時間後に行く」 雪山での遭難事件が発端になったのか、彼はやっと決断したようだった。 しばらくして、彼と朝比奈みくるがやってきた。彼が朝比奈みくるに事情を説明し終えると休む間もなく時間遡航をすることになった。今から行く時間には、世界改変前のわたし、再改変をしようとする彼と朝比奈みくる(大)、そして朝倉涼子がいる。そこにわたしと彼と朝比奈みくるの3人が加わるのだから、空間的にも時間的にも多くの人が密集することになる。そのすべての人を欺かなければならない。 わたしは朝比奈みくるに世界改変直前の時間を伝え、その時間に移動した。 12月18日未明。その時間に着いたとき、校門の前に『わたし』が立っており、物陰には彼と朝比奈みくる(大)がいる。まだあれから1ヶ月も経っていないが、ずいぶん前のことのように感じられる。 『もし、困った事態に直面したら彼とはじめて出会ったときのことを思い出して欲しい。彼に対して行ったこと、それが鍵になる』 彼と初めて会ったのは今から3年前。 朝比奈みくると2人でわたしのマンションに訪れ、3年後の世界に帰りたいとわたしに懇願した。 そのときわたしは何を行ったか。 絶対に不可能と思えた元の世界に帰還する方法。それは驚くほどシンプルだった。 そう。答えは時間凍結を行い、世界再改変を3日後にずらすこと。 『目の前にいるわたし』が校門の前で右手を上げ宙に向かい呪文を唱え、世界改変が起こるその瞬間 ここにいるすべての人が『世界改変をしようとするわたし』に目が向いているその隙に、わたしは誰にも聞こえないように小さな声で呪文を唱えた。時間凍結の呪文を。 彼らは蝋人形のように動きが止まった。 それを確認した後、わたしは世界改変をしようとする『わたし』の前に立つ。この時、わたしの記憶では、『わたし』は驚いているはずなのだが、実際は逆に驚くほど無表情だった。こうして目の前に自分がいると、違和感がある。 「わたしは未来から来た。あなたに、忠告しなければならないことがある。世界再改変を円滑に進めるために次のことをしなければならない。必ず実行してほしい」 わたしは過去の記憶を辿りながら、わたしが聞いたことをそのまま伝えた。 それを聞いた『わたし』は 「あなたの忠告を受け入れる。必ず実行する」 と言ってくれた。 伝えるべきことは言った。しかし、ここで時間凍結を解除するわけにしない。今、時間凍結を解除すれば、彼が再改変を実施してしまうからだ。今わたしがここにいるのは、このときはなにも起こらず3日後に緊急脱出プログラムを実施する歴史があったからこそだ。『わたし』が世界改変を実施しても、そのまま時間凍結を続ける必要があった。 改変後の『わたし』は何も事情を知らず、闇の中へ消えていく。辺りは静まりかえっていた。わたしはその場に座り空を見上げる。ここには情報統合思念体もいなければ、観察対象もない。それは静かな夜だった。 ◇◇◇◇ 世界改変からちょうど3日後の夜。わたしは時間凍結を継続し続けていた。 しんと静まりかえった北高の前にこの時間の『わたし』がやってきた。彼が脱出プログラムによって消え、悲しみにくれていた『わたし』は悲壮感を漂わせ、校門の前に立ち止まり、右手を挙げ世界改変の呪文を唱えるまねごとをする。 『わたし』が立っている場所、ポーズ、服装、時刻、そのすべてが3日前と全く同じだった。その時を見計らい、時間凍結を解除する。彼らが3日後にワープしていることに気づくことはない。 わたしが元の世界に帰還できた訳。その答えは、再改変の時間を3日間ずらすこと。 世界改変後すぐに再改変があれば、再改変後の世界と、緊急脱出プログラムを起動させる世界の2つに分岐が起こる。しかし、脱出プログラム起動後に世界再改変を行えば、世界の分岐は起こらない。 絶対に不可能と思えた元の世界に帰還できた理由。 それは、そもそも『帰還』をしていないから。 脱出プログラム動作後に、パラレルワールドへの移動や時間遡航をする必要はない。彼と過ごした文芸部の思い出も、世界再改変もすべて同じ時間軸で起こったものだった。 緊急脱出プログラムの期限が3日以内だった理由も今ならはっきりわかる。世界再改変前に脱出プログラムを発動しなければ世界が分岐してしまうから。 3日後に移動したことに気付かない彼は、『3日後のわたし』に語りかける。 「お前のしわざだったんだな。やっぱりアッチのほうがいい。この世界はしっくりこねえな。すまない、長門。俺は今のお前じゃなくて、今までの長門が好きなんだ。元に戻してくれ。お前も元に戻ってくれ」 彼は『わたし』に銃口を向ける。そのとき、朝倉涼子がナイフで刺し、彼が倒れた。 そして、もう一人の彼が登場する。彼が倒れなければ、今のわたしがこの時間に来ることはなかった。朝倉涼子の復活はどうしても必要だった。 この後起こったことをあらためて説明する必要もないだろう。 こうして、世界改変の事件は終結し、平穏な毎日が戻ってきた。 マンションの一室に戻ったわたしはごろんと横になり、大の字になった。 あぁ、疲れた。本当に疲れた。わずか3日間。でもそれはとても長い3日間だった。 ふと部屋の隅に積んである本に目が留まる。 わたしはふと思い立ち、部屋の隅に積んであった本を持ち上げた。そこには、『あの3日間』にわたしが書いた小説の原稿があった。わたしは原稿を広げペンを持った。わたしが本当に書きたい物語を書くために。 ◆◆◆◆ 昼休みに扉が開いた。ナツだった。 「入部届けを顧問の先生に持って行くわ。入部届けはある?」 「入部届はない。文芸部は定員割れで廃部が決まっているの。悪いけど入部は受け付けていないわ」 「どうして! 廃部の話があるのは知っているけどまだ諦めるのは」 「うるさい。あなたは本に興味あるの。いつも彼と雑談してばかり。文芸部は本を読むクラブなの。なりふり構わず部員を集めて、お遊びクラブにするつもりはない」 私は叫ぶように言い放った。 「……わかった」 ナツはそう言うと部室を出て行った。 放課後、部室に彼が来た。 私は言う。 「文芸部を廃部にしようと思う。私たちはがんばった。けど結局、部員を増やすことはできなかった。最初から無理だったのよ。こんな陰気なクラブに誰も来るはずないか」 気づけば目に涙があふれていた。これでいいんだ。すべて終わり。 もう文芸部は私の居場所じゃない。そこは教室と同じ孤独を感じる空間だった。私の好きだった文芸部はもうとっくにない。どうせ文芸部は廃部になる運命だ。ちょうどいい機会じゃないか。 こころの中で彼に言う。 さようなら。今まで楽しかったよ。 そう思うとますます涙があふれた。 違う! 今でも文芸部は特別な場所だ。 今でも文芸部は好きな場所だ。 今でも文芸部は存続して欲しいと思っている。 私の中の心の叫びは次第に大きくなった。 私は彼が好きだ。だから彼とナツが仲良くなっていく様子を見たくなかった。私が文芸部で感じたのは孤独ではない。いとおしい人に愛してもらえない寂しさだった。私が廃部にしようと考えたのは定員不足でも、お遊びクラブにしたくないからでもない。ナツに嫉妬したから。このまま彼とナツが仲良くなっていくぐらいなら、今の状況を変えてしまえばいいと思った。文芸部がなくなれば2人が会う機会も減ると思った。でも、その考え方は違う。そんなことをして何が変わるというのだろう。大切なものを失うだけで何も変わらないじゃないか。変わらなければいけないのは私。私が変わらなければ何も変わらないのに。 私は取り返しのつかないことをしてしまった。あんなことを言ってしまったんだ。ナツはもう戻って来ない……これで許してくれる人がいたらそれは相当なお人好しだろう。もう、元には戻れない。いや。私は自分を変えると言ったんじゃないのか?!あれはデマカセだったのか?!ここで怖じ気づけば何も変えられない。ダメでもともと。たとえ1パーセントでも可能性があるならば、私が今やらないといけないことがあるじゃないか。 「ごめん。待ってて」 とだけ彼に言い残し部室を飛び出した。 鞄もなにも持たず校門を出て坂を駆け下りた。 帰宅途中の学生でごったがえす歩道を飛び出し車道を走り、途中の階段を3段飛ばしで降りた。息が荒くなり、足が悲鳴をあげた。必死だった。駅前の交差点に差し掛かったとき、その小さな背中を捉えた。 ナツの姿を捉えた私は出せるだけ大きい声で叫んだ。 「ナツ。ごめん」 ナツだけでなく周りの生徒も振り向いた。だが、そんなことをかまっていられない。 「さっきはごめん」 ナツは何も言わず私を見ている。 「あんなこと言ってしまってごめんなさい。私にとって、文芸部はただ本を読む場所じゃない。私にとってすごく大切な場所。 私は臆病だった……文芸部存続のことも、機関誌のことだってすぐに諦めた。でも、私は自分を変える。今までより、ずっと賑やかで楽しい誰もがうらやむ部にしたい。世界一楽しいクラブにしたい。そのためにはナツが必要なの。自分勝手なことだとはわかってる。もう一度チャンスを与えて欲しい。文芸部に戻ってきてほしい」 ナツは私の目をまっすぐ見て、小さく、でもはっきりとうなずいた。 それは承諾を意味した。 私は嬉しくなり思わず笑みが溢れ出た。 「ただし」 ナツは言った。 「私を楽しませること。私は掛け声だけで実態が伴っていないってのが一番きらいなの。世界で一番楽しいっていう目標を掲げるんだったら、本当に世界一になりなさいよ。もしつまんなかったらすぐ退部届け叩きつけてやるんだから」 「約束する。今までの文芸部がなんだったの?って言いたくなるぐらい楽しいクラブにするわ。そのかわり、今までみたいに好き勝手にはやらせないわよ。覚悟しなさい」 それはナツへの宣戦布告だった。 ◆◆◆◆ 原稿を書き終えて、わたしはほくそえんだ。 この半月でわたしは変わった。『性格』そのものが変わったわけではない。もののとらえ方が変わった。いや、変わっていたことに気がついたと言った方が正確かも知れない。傍観者から当事者に変わった。涼宮ハルヒを観察し、情報統合思念体に報告する役割だったはずのわたしが、情報統合思念体の計画を妨害し、SOS団を護る立場になってしまった。いつか情報統合思念体とSOS団が対立する時がやってくるかもしれない。そのときわたしは…… ふう 茨の道を歩まなければならない自分に対してついたため息なのか、朱に染まって赤くなってしまった自らを自嘲したものなのかはわからないが、そっと息を漏らし、空を見上げた。空には、わたしのため息など関係ないと言わんばかりに、たくさんの星が輝いていた。 エピローグに続く
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きうり【登録タグ 著き 著者】 本検索 著者紹介 リンク ブログ 旧ブログ「文藝yaminave」 twitter 小説家になろう パブー 本 イタコに首ったけ! 月刊群雛 (GunSu) 2014年 04月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~ 月刊群雛 (GunSu) 2014年 06月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~ 光速文芸部 (九院高校文芸部シリーズ) コメント 名前 コメント
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プロフィール 名前 夏目真尋 部活 文芸部 学年 2年 年齢 17歳 誕生日 4月20日 星座 おうし座 身長 153cm 体重 44kg B-W-H 79cm-57cm-77cm 得意科目 現代文 血液型 AB型 好きな食べ物 きなこもち 嫌いな食べ物 ゆでたまご 趣味 恋愛小説(読む・書く)、クロスワードパズル おとなしく物静かだが、さらりと辛らつな言葉を口にする。照れ隠しでそっけない態度やきつい言葉を返してしまい、あとで後悔することもしばしば。文芸部では文芸作品を発表する一方で、密かに恋愛小説も書いている。