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前100|トップ|次100 551 :原始人@初代1◆zhFdGsjV7M:2005/06/03(金)02 31 01ID UV3RITGK ?「こんちわーっす。○猫佐●急便でーす」 ナナッシ「なんだ?」 ?「お届け物です。判子お願いします」 ナナッシ「判子?そりゃオレはしらねぇだよ」 ?「判子が無ければ拇印でもいいですよ」 ナナッシ「ボインなら、かあちゃんに頼むだよ。オレにはねぇだからな」 ?「あーもう、こーやって親指を少し切ってですね・・・」 ナナッシ「ぐあーーーーーーー!!」 右手の親指を押さえて目を覚ます。 痛む親指をみると、血の跡とかさぶたがあるだけ。 傷らしい傷はなし。 徐々に痛みもおさまってくると、目の前に、こんもりと白い山が目に入る。 小さな円い板が1000枚 質感としては、以前洞窟で見つけた、キラキラする石や白い人が持ってきた砂に近い。 軽くチャラチャラと音をたてるその板には見たことも無い模様が刻まれている。 その一つが草を表していることはわかるが、それ以外はさっぱりだ。 とりあえず、しまっておこう・・・・ 552 :原始人@初代1◆zhFdGsjV7M:2005/06/03(金)02 48 58ID UV3RITGK 513 歯茎から血がでるだね・・・ 514 わからねぇ言葉がいっぱいあるだよ。 とりあえす、『酸素』ってなんだ? 526 とりあえず、造ってみただよ。 吹く方向が踏むたびに変わるだね、口が暴れてるだよ。 それと、4日もすると、カピカピになるだね、このとき踏むと壊れそうだよ 533 金とビーズがわかっただよ。 どこに行けば、これをもっと手に入るだかねぇ 538 竹箒と箒だか? こりゃべんりだねー、すげえ道具だよ。 541 コテカの造り方がわかっただよ それと、「ひょうたん」っていうのもおぼえただよ。 サイの角でつくると、おもてぇだよ。肩に紐がくいこんで痛くなるだね これで、軽い奴つくれるだよ。 545 芋っぽいものはいくつかみつけただよ。 だども、これが芋かどうかよくわからねぇだね ウコンも食べれる根っこだども、芋だか? 553 :原始人@初代1◆zhFdGsjV7M:2005/06/03(金)02 58 37ID UV3RITGK 546 ヘクソカズラみつけただよ。 葉っぱをすり潰して、刺されたところに塗ってみただよ なんか、けっこう効いてるみたいだね 547 飼い方も、捕まえ方もよくわからねぇだよ。 大きい奴を生け捕りにするのは難しいだよ。 548 鋤で土をついて、柔らかくしたり、おこしたりしてるだよ。 田をつくるのに、いぶりも使ってるだね 田下駄も使ってるだよ 水路を作るのに、竹の籠に土を入れて運んだりしてるだよ。 天秤棒を使えばもっと多く運べるだよ。 はじめは素手や袋、担架で運んでいただども、だいぶ楽になっただね 大きな土器に水を入れて、小さな土器で畑に水をまいたりしてるだよ。 狩り入れには、黒曜石で作ったナイフを使ってるだが おおきな黒曜石があまりないだで、沢山造れないだよ 554 :オーバーテクナナシー:2005/06/03(金)11 35 18ID 74M0Xm55 552 金とビーズがわかっただよ。 どこに行けば、これをもっと手に入るだかねぇ 金は「黄色のキラキラした砂」との事なので『砂金』ですね これは、上流に金の鉱脈の有る川で僅かに取れるものなので、どこででも取れるという代物じゃないです ひじょうに貴重な物なので、白い人はその場所を秘密にしていると思います。 (現代でもそういう場所が発見されると大勢の人が集って来て取り合いになり、犯罪になったりしてます) エデンは全ての資源がそろった場所らしいので、近くの川の砂の中を探せばひょっとして・・・ もしも見つけることが出来ても白い人には決して教えてはいけませんよ。侵略されてしまいます。 それくらい怖いものだということを覚えて置いてください。 ビーズは、最初は『象牙』(象の長い牙)とか『宝石』(色とりどりの綺麗な貴重な石)で作った物かな? と思っていたのですが「小さな粒の水晶のような物」とのことなので、それはたぶんガラスのビーズでしょうね 白い人がガラスを作れるということは、ナナッシさんがこれから作ろうとしている「高温に耐えられる炉」を既に完成 させているという事です。 耐火煉瓦も当然持っているでしょうし、銅も作っているかもしれません。 ガラスは『珪砂』と石灰や『鉛』等を高温の炉で溶かして作ります。 不純物が少なければ、透明で美しい物が出来ます。 大き目のビーズで装飾が施されている物を『トンボ玉』と言います。 ちなみにナナッシさん等が使っている黒曜石は天然のガラスです。 555 :オーバーテクナナシー:2005/06/03(金)12 15 14ID IZcPUDjK 神山満月ちゃん! 10 名前:ほんわか名無しさん 投稿日:2005/06/01(水)16 12 25 1 http //page.freett.com/gomaking/index.htm 556 :原始人子供@1:2005/06/03(金)13 14 08ID b2F15r8Z なんだか珍しいものが村に届いただ。白い小さな円盤がたーくさん。 大人達は取り囲んで「なんにつかうべか?」と相談してるだ。 オラたち子供も興味シンシンだ。 「なんかの遊びにつかえねえべか?」 そのときオラたちは「テコ」ちゅうのを遊び道具にしてただよ。 木から吊るしたロープに太い棒を通して両端にロープで輪っかを作っただ。 この輪っかに1人づつ座って遊ぶだよー。『シーソー』とか『ぎったんばっこん』て名前をつけただ。 子供A「Bちゃん巧く上下できないだよー;Bちゃん重すぎるだ;」 子供B「んじゃ、Aちゃん石を抱かえてくんろ!そうすりゃ吊り合うだ!」 そこに金の分配に悩んでた大人が通りかかっただが、オラたちのやり取り聞いて なにか思い付いたみてぇだ。 後日、その大人は『天秤』てのを発明しただよ。重さを計るのに使うらしいだ。 かたっぽの錘には例の小さい円盤が使われてただ。まったく同じ形で重さが同じだから 都合がいいんだと。 子供達「あの円盤で遊べなくなっちゃったね・・・」 557 :オーバーテクナナシー:2005/06/03(金)17 58 06ID R4ueEGcB 約三ヶ月ぶりに子供の人キタ━━(゚∀゚)━━ !! 558 :オーバーテクナナシー:2005/06/03(金)18 29 06ID 74M0Xm55 子供の人お久しぶりー でも、”@1”は紛らわしいから付けない方がいいって事にしなかったっけ? 559 :オーバーテクナナシー:2005/06/03(金)18 40 04ID uvGZN/Fl >ナナッシ「ボインなら、かあちゃんに頼むだよ。オレにはねぇだからな」 判子知らんくせにボイン通じるのかよ!w 560 :オーバーテクナナシー:2005/06/03(金)19 46 45ID o3TEN1zH 野生動物を捕獲するための道具を紹介します。 地形を利用したり柵を作るなどして、捕獲する生き物が逃げにくい場所に追い込んで使うのが好ましいです。 名称:『ボーラ』 技術:兵器・狩猟道具 ボーラは複数(2~4本)のロープの先に重り(石等)をくくり付け、その反対側の端を結びつけて作ります。 投げるときには、捕獲対象を狙い、重りを1つ手に持ち、もう片方の手でロープを掴み他の重りを頭上で回転させ勢いを付けてから投げます。 足に絡ませるように投げてください。 ロープのどのあたりを持つかは、練習して投げやすい持ち位置を探してください。 ロープの長さは3キューピットと4キューピットの中間くらい。 重りの重さは、白い小さな円い板500枚分と同じくらいの重さ。 ロープの長さや重りの重さは、捕獲する対象によって変えてください。 小さな生物(野鳥等)は、この半分かそれ以下の方が扱いやすいです。 逆に大型生物を相手にするときは、もっと重りを重くした方がいいかもしれません。 561 :オーバーテクナナシー:2005/06/03(金)20 00 48ID o3TEN1zH [原始人には聞こえない声] 馬を飼い慣らすことができれば、徒歩に比べて5倍の行動半径が得られる。 より多くの荷物を運ぶことも出来るし、戦闘にも優位に立てる。 馬や牛で畑を鋤くことにより、農業生産が増大するし堆肥を得ることも出来る。 牛や馬の食料に関しては放牧で一定数までなら賄えると思う。 主作物を麦にするならば、休閑のかわりにアルファルファを栽培して飼料にできる。 アルファルファは根につくバクテリアが土壌に窒素を供給し、土壌を豊かにする。 休閑した場合でも、雑草を除くための鋤き返しが必要であり、手間は変わらない。 ということで牛や馬は、非常に便利な訳だが、飼育法がわからん、誰か知らないか? 564 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/04(土)00 23 17ID 8kP/7Mep 『ボーラ』 ttp //www58.tok2.com/home/hermitage/weapon_cg/bola.jpg ttp //www58.tok2.com/home/hermitage/weapon/bola.htm 錘がひとつだと殺傷兵器『スラング・ショット』になるらしいです。 ttp //www58.tok2.com/home/hermitage/weapon_cg/slung_shot.jpg スリングと同じようにかなりの訓練が必要そう。 565 :初代1◆zhFdGsjV7M:2005/06/04(土)02 04 07ID ntET4xO3 さてさて、Web上の文字を使った説明の制限解除について説明したいと思います。 こちらの方針としては、当分解除するつもりがない!・・・・・のですが、それでは希望が持てないと思いますので ちょっとばかり、ハードルを高くしてみたいと思います。 ・金属活版印刷 ・紙の量産 ・油性インク ・蔵書・書籍の概念 ・製本 ・学校教育の普及 以上6つを満たしたときに制限解除にしたいと思います。 非常に難しいと思いますが、これを素直に許可してしまうと 『○○』・・・http //xxxxxxxxx とかで、すぐに解決できてしまうものが多数ありますので それの、予防策です(^^; あと、Web上での音声データを使った説明の許可ということで ・弦楽器、打楽器、管楽器、鍵盤楽器を各種1つ以上 ・音の記号化(音階等) ・音の科学的説明を原始人に理解させる って、ことでお願いします。 動画データについては、音声が許可になったら発表します。 566 :オーバーテクナナシー:2005/06/04(土)03 44 15ID r6AnbM7f 原始人にうまく伝える技術を自分達が身につけないといけませんねえ。 567 :オーバーテクナナシー:2005/06/06(月)11 16 32ID 9OvuURMp からあげ 568 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/06(月)14 04 43ID 8uTBWayC 511 『 ネ申の声を聞くもの 同士は言語が異なっていても、意思疎通が図れる。』 との設定ですが、以下の発言から矛盾が生じる危険があります。 ○1-484,1-529,1-530ウズメは普通に未来技術村の子供と話している。 子供には神の声を聴く能力はないわけで、 「未来技術村と海の民の言語差は方言レベルにとどまる」or 「ウズメは言語習得能力が異常に高い」 という設定が必要になるかと思います。 交通手段が極めて未発達な時代に双胴船で60日隔たった、交流の形跡がない集落同士で 言葉が通じる確立は極めて低いので、「ウズメは言語習得能力が異常に高い」 という設定が妥当性が高いです。 ○1-471ウズメのほか2名の海の民が未来技術村にとどまった。 特にこの2人が村の人と会話するシーンはありませんでしたが、 言葉が通じるとしたら、「この2人も言語習得能力が異常に高い」 ということになります。 よって、「未来技術村と海の民の言語は意思疎通困難な隔たりがある。」 「ただし、海の民の移住組は放浪生活の間に異なる言語を速やかに習得する能力を獲得していた。」 という設定が導かれるわけです。 つまり、白い人との通訳にはウズメさんが適役ということです。 569 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/06(月)14 57 36ID 8uTBWayC 551「ボイン」 音韻体系だけでなく、単語・文法についてまで日本語と酷似した言語らしいですね。 となると文字はwebサイト説明をするためにも日本語を教えるのがいいと思います。 しかし、世界でも最凶クラスの複雑な文字体系を教えるのはかなり時間がかかると思います。 ネイティヴスピーカーでさえ、かろうじて新聞が読めるようになるのは 文字を習い始めてから6年かかります。 歴史的流れからすると『漢字』→『万葉仮名』→『ひらがな』&『カタカナ』→『ローマ字』 になりますが、実用性から考えると逆の順に教えたほうが早いかもしれません。 あと、文字は 、音は[]で囲むなどの工夫が必要だと思います。 570 :オーバーテクナナシー:2005/06/06(月)15 11 13ID /p3fa8lN 569 565 でよかろう。 571 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/07(火)13 44 10ID Ym5wvpva これらの条件が満たされるのは、文明レベルが近世になってからです。 そこにいたるまで無文字で、「web上文字での説明」が可能になってから文字を教えるのは 順番から言って難しいです。 文明レベルを近世並みにするには、社会の高度化が必要で、そのためにも文字の発明が 先行すべきです。 原始人さんへ 『文字』というものを紹介します。 絵を見た目を現したものとすると文字は、言葉を表したものです。 たとえば今まで教えた『╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋』や『漢数字』『算用数字』も 文字の一種です。 人間は物忘れをします。 また、知識の深い人がその知識をほかの人に伝える前に死んでしまうこともあります。 そのような時、文字にして書いておくとその知識を思い出すことが出来ます。 572 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/07(火)14 29 24ID Ym5wvpva まずは、『漢字』を教えます。 『漢数字』 一 、 二 、 三 、 四 、 五 、 六 、 七 、 八 、 九 、 十 もまた『漢字』の一種です。 この文字は、例外も多いですが、絵を単純化したものや、意味を表したものが多いです。 山 山の形を模したもの 川 川の形を模したもの 木 木の形を模したもの 田 田の形を模したもの 火 火の形を模したもの。山と組み合わせて 火山 と書くと火の山のことを指します。 人 人を横から見た様子。上が頭、で下が手足に当たる。 糸 糸を表す。上のほうはより合わさっている様子、下のほうは解れている様子を表す。 上 上を表す。 下 下を表す。 中 物の真ん中に棒が貫いている様子。中をあらわす。 この文字は、かなりの種類があるので欲しい字があったら独力で作るか、聞いてください。 573 :ウズメ@原始人:2005/06/07(火)15 49 50ID mMfu5CY8 やー!おひさしぶりですだ。ウズメだよ。 ちょっと舟で南の島のあたりをうろうろしてただよー 録霊60さんってゆーお初なネ申さんに呼ばれた気がしたので 戻ってきただよ あたいの居ない間に色々あったみたいだね 白い人がまたやってきただか? 金とかビーズとかの宝物持ってきたそうだね。 村の女にちょっと見せてもらったけど、綺麗な物だなー 実はあたいも海の中の宝物二つ持ってるよ ひとつは南の浅い海の中に有る、木の枝ような石のような不思議な生き物。 色とりどりで綺麗なんだ もう一つは、貝の中にたま~~~~に入ってる事が有る綺麗な玉。 すっごくめずらしいんだよ 568 あたいがこの村の人達と話が出来るのを不思議がってるみたいだけど それは、あたいがここに住まわせてもらう許しを貰った時に勉強したからだよ くにのおばば様に「よそのくにに入ったらそこのしきたりに従え」って言われてただよ あたい等は海の旅人だから、よその言葉覚えるの得意なんだ こういうのを「せいかつのちえ」っちゅうだよ あと、あたい等を含めてここの人達はネ申さん達みたいに難しい言葉しゃべってねーから。 だいたい「あー」とか「うー」とか「うほうほ」とか言って、あとはネ申さん達に教えてもらった 単語をしゃべってるくらいで大体通じるだよ。 あたいが白い人との通訳するんだか? やってもいいよ それじゃ白い人の村に行ってみようかなぁ 白い人の言葉も覚えなくちゃ 574 :オーバーテクナナシー:2005/06/07(火)18 25 20ID xLbqB4c7 571 572 あんたはその調子でひらがなカタカナ50音アルファベット漢字を全部やるつもりか? もちっと考えろよ。 575 :オーバーテクナナシー:2005/06/07(火)18 49 00ID 5b/wgDnd ↓574のもちっと考えたレス↓ 576 :オーバーテクナナシー:2005/06/07(火)20 03 57ID F51Oe+Vc 573 白い人の目的が女をさらうことだという件 577 :オーバーテクナナシー:2005/06/07(火)22 59 21ID V/zsZEjf 573 576 あわわ、ウズメさんが白い人なんかにさらわれたら、嫌です・・・。 578 :原始人@初代1◆zhFdGsjV7M:2005/06/07(火)23 37 00ID Zznat4q0 562 『g(グラム)』『㎏(キログラム)』『l(リットル)』 っていうのがわかったぞー だども、真水ってどんな水だ? 川の水はまみずだか? 『錘』もわかったぞー、つくってみるから、しばらくまつだよ 564 『ボーラ』『スラング・ショット』もわかっただよ。 扱いがむずかしいだで、練習がひつようだなぁ 571-572 文字っていっぱいあるだなー 全部おぼえきれるだかなぁ 573 なんか、すげぇ久しぶりに会ったきがするだよ 毎日村で顔を合わせているはずなのに、ふしぎかねぇ 石と玉はすげぇ綺麗だなぁ とくに玉の方がオレはすきだあぁ オレのところに持ってきたら、好きな土器と交換するだよ 579 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/08(水)09 54 50ID iRWjZRvF 『ふいご』 皮なめしをして、口のところに底に穴が開いた土器をしっかりと結びつけてください。 そして、土器のあなをかまどの方向に向け、動かないように土器の左右の地面に杭を 打って、さらに紐で結ぶなどすると改善できます。 ウズメさんはじめまして(?) すごい特技を持っていたのですね。 さらわれない程度に通訳の勉強をがんばってください。 木の枝ような石のような不思議な生き物 この生き物は『珊瑚』といいます。 貝の中にたま~~~~に入ってる事が有る綺麗な玉 『真珠』ですね。 だいたい「あー」とか「うー」とか「うほうほ」とか言って、あとはネ申さん達に教えてもらった 単語をしゃべってるくらいで大体通じるだよ。 とすると 551は ・音韻体系は日本語に似ていても、文法や単語は別物。 ・ ネ申の声を聞くもの は、神や同業者に対する自動翻訳能力がある。 ・ただし、未知の概念を表す言葉は音のまま聞こえる。 ・未来技術村の言葉で女性の胸を表す言葉は ボイン という設定になる。 『真水』 混ざり物がない水のことです。 海の水のように塩などいろいろなものが混ざった水は真水ではありません。 土器にきれいに洗った蓋をして、蓋についた水は真水です。 また川の水は、ほとんど真水だと思います。 580 :ウズメ@原始人:2005/06/09(木)09 32 27ID wEmRh++7 576-577 うん?白い人は女をさらうんか?そうなの? 前に見た村に来た白い人は、そんな悪い奴に見えなかったけどなぁ・・・ あたいのこと心配してくれてあんがとなー まあ、あたいは巫女なんで、子供は産まねー事になってっから、女って事にはなんねーと思うだよ 巫女って大体何所でもそんな感じじゃねーかなぁ? 白い人のとこにもネ申さんは居るかもしんねーし、そしたらネ申の声聞く奴もいるだろーから 話さえ通じれば、そんなに手荒な事はされねーと思うだよ 579 『珊瑚』と『真珠』と言うだね。覚えたよ~ 578 ナナッシが真珠を欲しがるんか? こういうのは女が欲しがるもんだろ? ・・・さては~~、これでシー姉を口説こうってつもりだな? 協力をしてやりてー気持ちは有るけど、土器との交換じゃちょっとあわねーなぁ 581 :オーバーテクナナシー:2005/06/09(木)20 18 08ID bL/WCklg 売春の始まりが巫女の件 582 :オーバーテクナナシー:2005/06/09(木)22 36 27ID PQqhCiIx 白い人に白い液をどくどくと流し込まれたら困ります(泣 583:オーバーテクナナシー:2005/06/10(金)00 04 24ID DM1mu1LV えっちなのはいけないとおもいます 584 :初代1◆zhFdGsjV7M:2005/06/10(金)02 10 53ID EHhjkhHU すこし、昔話をしよう。 原始人たちが最初の道具を手に入れる前の話だ。 家族の構成が現代よりも大きなものが一般的な未来技術村でも 例外がいくつかある。 その一つの家は、母が一人、息子が一人、娘が一人、娘の子供が2人という構成だった。 娘の子供達の父親は、息子であるのだが、この村ではあまり珍しくも無い。 場合によっては、母が7人いたり、父が8人いたりする場合もあるのだから、たいしたことはない。 人数は少ないが、それなりに幸せな家族だった。 息子が両手いっぱいに果実を持って、帰宅したある日の事だ。 息子がみたのは、蓄えてあった果実の食い荒らされた姿と 足をケガした母、 それと、動かない娘と2人の子供だった。 いままで、この獣にケガをさせられた人はいても 殺されて者はいなかった。 しかし、死者がでたことで、村が一丸となって外敵の排除に乗り出し、 この数日後に最初の道具を手に入れ、外敵の排除に成功することになる。 村から離れた小さな丘に男が一人立っている 男の足元には大きめ石が1つと小さい石が2つ 大き目の石の近くに、沢山の果実と水晶を埋め 小さな石のしたにも、果実を埋める。 もう数日はやくこの道具を手に入れていたなら、こんなことにはならなかったのかもしれない。 今ごろには、沢山の子供に囲まれ、見慣れた少し困ったような笑顔を浮かべる彼女と 暮らせたかもしれない。 あと、ほんの少しだけ、ネ申の声が良く聞こえたなら・・・・・ 「次くるときには、綺麗な玉ももってくるだよ」 そう、つぶやいて男は丘を去っていった・・・・ 585 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/10(金)10 18 32ID US2fNDJ4 (´TωT)・・・・・・・・ 母 (?~) ┣━━┓ 無名┳娘 (?~)┃(?~†0-???) ┏┻┓ 子 子(?~†0-???) (?~†0-???) 7 :オーバーテクナナシー:05/01/21 07 25 36 ID vgSpc7li とりあえず子供を作ってもらって、原始人を量産するのはどうか。 9 :原始人@1:05/01/21 13 36 51 ID LImg5hFd 〉7 子供はたくさんいるだよ 今年も作成するだよ ただ、最近住んでいる洞窟が狭くなってきただよ。 どうにか、ならんだかね? ・・・・・・・1-009は、主語が「村には」だったのね。 586 :オーバーテクナナシー:2005/06/10(金)10 57 25ID nSzWNBHp 結婚形態が一夫一婦制じゃないので、村全体が大きな家族みたいな感じなんでしょうね 誰が誰の子供を産むのか決まっていないので、確かなのは母子関係だけ。 故に必然的に母系社会になっている 子供は村全員の財産であり、誰々の子供という概念は希薄で、皆が自分の子供のように 思っている。ということで合ってるかな? 村の女達がマックを接待攻撃したみたいだから、何人かは白い人の子供を産むかもしれないですね 純血主義とか民族主義とか無さそうだから、他種族と混ざる事にも抵抗は無さそう 中国やモンゴルには、旅行者が村を訪れると進んで妻や娘を差し出して、新しい血を入れようとする 地域もあるみたいです。 587:オーバーテクナナシー:2005/06/10(金)18 53 09ID hGDQ8baU 586 マックはそんな絶倫なのかっ!!!!!! 588 :オーバーテクナナシー:2005/06/10(金)20 51 39ID bTX4WZE+ 587 それは向こうのネ申にもよるでしょう 産めよ増やせよと煽って、それに適した薬草や食物の知識を 与えていたらそうなるかと 589 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/10(金) 22 53 25ID US2fNDJ4 ttp //www2.atwiki.jp/rokurei60/pages/46.html#id_b540269f グラムとリットルの概念が出たので、正確な薬の調合量を紹介します。 ちなみに一円玉一個分の重さの真水の量を『mlミリリットル』といいます。 『烏梅』烏梅1~2個を200mlの水に入れて、水が半分になるまで煮詰めて飲みます。 『ウコンの煎じ汁』1日量を5~10グラムとして水400mlを加えて煎じて、半分 まで煮詰めて、1日3回食間に飲んでください。 鼻血・血尿・吐血・出血・『月経』(女性の月に一度の出血)の多いときにも利きます。 『桜皮』1日量3~5グラムを適量で煎じて飲んでください。 『片栗粉』適量。 『葛湯』下痢にならない程度適量に。 『ヨモギ』 『艾葉』(ヨモギの葉と草を乾かしたもの)を1日量5~8グラムに、 水500mlを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、食間に服用します。 貧血・下痢のほかにも、便秘、鼻血、『痔』(尻の穴の傷)、血尿に利き、 食欲を増す効果があります。 『へクソカズラの汁』厚く塗って布を巻きます。朝夕一日二回取り替えてください。 しもやけ、ひび、あかぎれのときにも利きます。 肉をとらず米ばかり食べていると足が激しくだるくなり、右胸が膨らんで死に至る 『脚気』という病にかかることがありますが、ヘクソカズラの乾燥した根を刻んで 約10グラムを、水約500mlで煎じて飲むと利きます。(下痢にも利く) 590:オーバーテクナナシー:2005/06/11(土)01 33 06ID gwNu9ZMm 584 うるうるしちゃいました。 ナナッシさんにそんな過去があったとは。 ウズメさんの真珠、わけてもらえるといいですね。 なくなった家族のこと話したら、ウズメさんはショック受けるかな。ナナッシさんに奥さんがいて、子供までいたなんて。 それとも、一緒にお墓参りにきてくれるのかな。 ところで、埋葬の習慣があったということですね。 ネアンデルタール人は死者に花を手向けて、埋葬したといいます。時代的に近いのかしら。 また、種族的にもミイラ化とか、鳥葬とか風葬ではなく、埋葬をしている。 緯度とかみても現代で言う日本に近い場所なのかしらね。 591 :オーバーテクナナシー:2005/06/11(土)04 37 40ID lAyS5jpl 586 寿命40年の時代なんだから人出が増えるなら誰の子でもいいさ 592 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2005/06/11(土) 16 51 07ID n3bV/eyz 『ボタン』材料 木・貝・石・骨など硬いものなら何でも可 今回は、服などにあると便利なもの『ボタン』を紹介します。 『ボタン』は布もしくは革同士をつけるための器具で、縫い付けるのと違い、 はずしたりつけたり出来ますので、袋の口につかえます。 つけたいところの一方に小さい硬いものを布や革に糸で縫い付けます。 この硬いものを『ボタン』といいます。 その硬いものは、基本的に何でもかまいません。 もう片方には、紐の輪をつけて完成です。(ボタンホールの発明は、中世ごろだった希ガス) つけるときは、『ボタン』に輪を引っ掛け、はずすときは、輪をはずします。 ttp //www2.atwiki.jp/rokurei60/pages/59.html 袋は、背負ったり持ち運びに便利なように太目の革や布の紐をつけると 持ちやすいと思います。 593:オーバーテクナナシー:2005/06/15(水)16 20 48ID fMKCRUix 次スレになる前に金属がほしいね 594 :オーバーテクナナシー:2005/06/15(水)18 44 03ID WJEUeA19 593 前スレで書かれて、今のスレでもまとめの人が書いてるふいご作りをしてないだけ。 あ、でも石英の原石を見つける必要があるかも? 595 :オーバーテクナナシー:2005/06/15(水)19 32 06ID 5xy1udYp 実用強度のふいごになってないだけでは? 燃えたり、硬くなったり。 596:オーバーテクナナシー:2005/06/16(木)07 30 06ID E3v+Zpq7 164 :オーバーテクナナシー:05/02/03 22 50 42 ID S7yCEgof 皮、布・・・両手で広げて扇いで風を送る。 竹筒・・・竹を切って節をくりぬいたもの。顔を真っ赤にしながら数人で吹く。 竹吹子・・・細い竹の先に皮を巻いたものを穴を小さく開けた太い竹の中で押し引きすれば肺活量に頼らずにすむ。 皮吹子・・・皮袋の口を竹筒を付けて縛り、袋に板を張り、板を押し引きして風を送る。 吹皮・・・皮袋に板を張り足を引っ掛ける場所と紐を付けて両足と手で板を交互に上下させて風を送る。 皮袋は動物の首と足を切り、肉を削いだものを乾燥させて作る。胃袋を利用。 精巧な木工をするには金属が必要になるので今の技術で作れそうなふいごはこんなかんじ。 鋳造しないなら炉は使い捨てに耐える程度でよさそう。 526 名前: 録霊60 ◆CcpqMQdg0A [sage] 投稿日:2005/05/29(日)12 00 18ID Qmo0FLtq 『火吹筒』より体力を使わずに空気を吹かせる道具『ふいご(胃袋)』を紹介します。 牛を見たことがあるということは、狩って牛の中身を見たこともあると思います。 牛の中には、胴体の半分ほどの大きさを持つ袋『ルーメン』があります。 この袋を洗って、真ん中に穴を開け、先を玉にした紐を入れ、石膏で空気が漏れないように 穴をふさぎます。 紐を引っ張ると袋の中に空気がたまり、次に袋を踏むと胃の口から空気が噴出します。 これもかなり疲れますが、『火吹筒』と違って息苦しくなって気絶する危険は少ないです。 牛の胃はかなり大きいので、何本か紐をつけて数人であわせて踏んでみてください。 579 名前: 録霊60 ◆CcpqMQdg0A [sage] 投稿日:2005/06/08(水)09 54 50ID iRWjZRvF 『ふいご』 皮なめしをして、口のところに底に穴が開いた土器をしっかりと結びつけてください。 そして、土器のあなをかまどの方向に向け、動かないように土器の左右の地面に杭を 打って、さらに紐で結ぶなどすると改善できます。 597 :オーバーテクナナシー:2005/06/16(木)09 21 48ID xA57dS0q ふいごを作るのならば、もうひとつ、『弁』を教えます。 用意する物は、一節分の短い竹筒(節が有る場合は、抜いてください)と よくなめした動物の皮を一片(竹の断面より少し大きければ良いです) サイの革だと堅過ぎるので、鹿の革がいいかな(なめした動物の皮を『革』といいます) それと、にかわ 作り方は、竹の切り口をナイフでなるべく平らに削っておいてください。 その竹の切り口よりも少し大きめに革を丸く切り抜きます。 平らに削った竹の切り口の1/3~半分位ににかわを塗って、革を貼り付けます。 にかわは布や革、木や竹を接着するのに最適です。 にかわが乾いたら完成です。 竹の反対側から口で吹いてみて下さい。息は革の隙間から向こう側へ抜けてゆくと 思います。 今度は吸って見て下さい。革がぴったりと穴に張り付いて塞いで吸い難いはずです。 このように空気の流れが一方通行になる仕組みを『弁』といいます。 『ふいご』に『弁』を中に空気が入る向きで取り付ければ、火口から空気を吸い込まないので 安全で、火口から常に空気を噴出す仕組みのふいごを作ることが出来ます。 598 :初代1◆zhFdGsjV7M:2005/06/17(金)00 02 36ID GSZmO5QI コの字に組んだ小さなレンガのカマドに 大人の頭ほどの土器 その中には、緑色の石である孔雀石が入っている。 レイによって『銅』作りの実験である。 今回は前回の失敗を踏まえて、新発明のフイゴ (吹き口が固定されてて、弁もついている) が、導入された。 しゅー、ふー、しゅー、ふー フイゴが音をたてて、空気をカマドの中に送り込む 既に、カマドの中の土器の底は真っ赤であり、その温度が高いことを示している。 もちろん、中身も真っ赤だ。 さて、ここで思い出して欲しいことが2つほどある。 1つは、孔雀石は天然の者で不純物を多く含んでいることだ。 ナナッシはなるべく緑色の部分を削りだしたが、それでも多くの不純物を含んでいる。 もう1つは、レンガと土器の素材である粘土のことだ。 赤茶けた村の土は、多くの人の想像どおり鉄分を多く含んでいる。 さらに、土器としては現代のものより低温で焼かれている。 こんな土器を長時間高熱にさらすと、当然脆くなる。 ゆえに結果はどうなるかというと・・・・・ 土器の中に赤いどろりとしたものがたまり始めたときに 土器の底が抜けた。 カマドの中には暗褐色のなぞの物体が土器の破片と墨と石のようなものが 混ざり合った何かがあるだけだ。 3時間ほど汗だくになって作業した結果がこれである。 でも、まぁ、以前よりは進歩した・・・・・・・のか? 599 :オーバーテクナナシー:2005/06/17(金)08 35 19ID XczZ+70F 598 おしかったですね でもその作業をする前に、新型のカマドを完成させるのが先ですよ 珪藻土を使って、『耐火煉瓦』と『るつぼ』(孔雀石を入れて溶かすための器)を 焼かなくては 600 :オーバーテクナナシー:2005/06/17(金)16 00 34 ID yLcHOBaH 珪藻土のレンガは、珪藻土の地層からレンガの形に切り出せば出来ると思います。 珪藻土は、よく水を吸うので、ぬれているときに火にかけると割れてしまいます。 なので、珪藻土で出来たレンガで作ったかまどは、雨にぬれない洞窟内に作る事を進めます。 前100|トップ|次100
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【グモッ】人身事故スレ◆PartX【チュイーーン】 - ↑アクセスカウンタ 記号:△=踏切事故 ▲=触車 ◆=中の人(乗客乗員など)のみ負傷 ?=不確定情報 ※=後に無傷と判明 ☆=人身事故ではない ×=誤りと判明 ◎=正しい情報 開始 697番の第328番レス 常磐線 羽鳥~岩間 9月11日 時 分頃 話題発生 697番の第344番レス 当該列車 なし 特徴 ☆ 線路内点検など。異音の確認か。遅れや運転変更が発生。 伯備線 清音~総社 9月11日 7時53分頃 話題発生 697番の第395番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切支障。8時17分復旧。 西武池袋線 保谷 9月11日 10時41分頃 話題発生 697番の第354番レス 当該列車 池袋発西武秩父行き下り特急第11電車 ちちぶ11号(NRA) 特徴 池袋~所沢間・西武有楽町線・豊島線運転見合わせ。11時12分(見込み11時15分)頃運転再開。東急東横線との直通運転を中止。振替輸送を実施。 警視庁は「70代とみられる男性が死亡した」と発表。 南海高野線 千代田 9月11日 10時50分頃 話題発生 697番の第365番レス 当該列車 難波発極楽橋行き急行2905レ(2000系6両編成) 特徴 (見込み11時50分) 高校の制服のような装いの女性が通過中の急行電車にはねられ死亡。駅の防犯カメラにホームから線路に飛び込む女性の姿が写っており、大阪府警河内長野署は、女性が自殺した可能性が高いとみて身元などを調べている。高野線 金剛~橋本間で一時運転を見合わせた。(産経WEST) 「高校の制服のような装い」というのも妙な表現だが、この時点で身元は特定されていなかった。ただ、現場近くの高校(千代田高校など)ではなさそうだとも。大阪暁光高校か。 豊肥本線 水前寺付近 9月11日 11時09分頃 話題発生 697番の第377番レス 当該列車 上り普通1454M 特徴 △ 熊本~肥後大津間運転見合わせ。12時03分運転再開。 あいの風とやま鉄道線 越中宮崎~泊 9月11日 13時05分頃 話題発生 697番の第395番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切支障。14時00分復旧。 信越本線 茨目~安田 9月11日 14時32分頃 話題発生 697番の第395番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切支障(踏切の安全確認)。15時10分復旧。 呉線 安芸川尻~仁方 9月11日 19時37分頃 話題発生 697番の第412番レス 当該列車 広発安浦行き上り普通2158M 特徴 安芸川尻~広間運転見合わせ。(見込み21時00分) 広島県警は「男性(51)が死亡した」と発表。 小田急小田原線 本厚木~愛甲石田 9月11日 20時38分頃 話題発生 697番の第421番レス 当該列車 町田発小田原行き下り各停6825レ(6両編成) 新松田で特急ホームウェイ9号と小田原行き急行1095レを待ち合わせる 特徴 本厚木~小田原間運転見合わせ。新宿発○○行きは相模大野行きに変更。町田20時43分発上り各停6662は2分遅れの45分着。本厚木~伊勢原間も(見込み22時10分)運転再開。振替輸送を実施。 神奈川県警は「男性(84)が死亡した」と発表。 東急東横線 綱島 9月11日 23時10分頃 話題発生 697番の第470番レス 当該列車 特徴 ☆ 安全確認のみ。 小田急江ノ島線 東林間 9月12日 0時30分頃 話題発生 697番の第478番レス 当該列車 特徴 ☆ 「派手なホーン」。続報はなし。 9月12日 5時 分頃 話題発生 697番の第484番レス 当該列車 特徴 ☆ 首都圏で強い地震。メトロ各線安全点検のため運転取り止め。京王線もつつじが丘で最大震度を観測し、運転取り止め→25キロ制限で運転再開。武蔵野線は6時27分頃運転再開。京急線は、地震の影響で、堀ノ内~京急久里浜間運転見合わせ。土砂崩れが起きているとする情報もあったが、土砂崩落検知装置の誤作動だった。 東海道新幹線 東京 9月12日 8時40分頃 話題発生 697番の第507番レス 当該列車 名古屋発東京行き「ひかり502号」(502A 700系TEC16両編成) 特徴 ☆ 11号車から降りた男児がホームの下に転落。JR東海によると、男児は車両の扉とホームの隙間から下に落ちた。ホームにいた清掃作業員が見つけ、別の清掃作業員が救助した。男児にけがはなかったとみられるといい、家族とそのまま立ち去ったという。 安全確認のため、東海道新幹線は上下5本に最大10分の遅れが出て、乗客約5300人に影響。(朝日新聞) 伊予鉄 松山市内線 9月12日 午前 時 分頃 話題発生 697番の第756番レス 当該列車 特徴 ☆ 松山東署の情報。「大型貨物車による架線切断事故の発生」と題し、「松山市の市道で、松山市の会社員男性が運転する建設機械を積載した大型貨物自動車が市内路面電車の踏切架線に当たり、切断した」とある。 東急大井町線 九品仏~尾山台 9月12日 18時30分頃 話題発生 697番の第526番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切の安全確認。 埼京線 十条 9月12日 18時 分頃 話題発生 697番の第529番レス 当該列車 特徴 ☆ 駅内安全確認。全線運転見合わせ。ホーム下から線路上に鉄筋がはみ出している。またあは、鉄板が線路に接近?川越線、りんかい線との直通運転を中止。 山陰本線 上夜久野付近 9月12日 時 分頃 話題発生 697番の第535番レス 当該列車 特徴 ☆ 線路内人立ち入り。豊岡~浜坂間の一部列車に遅れ。 大阪市営地下鉄谷町線 9月12日 20時 分頃 話題発生 697番の第529番レス 当該列車 特徴 ▲ 信越本線 三条~東三条 9月13日 4時08分頃 話題発生 697番の第562番レス 当該列車 南長岡発新潟貨物ターミナル行き高速貨物2093レ 特徴 6時12分運転再開。長岡~新潟間の新潟方面行の一部列車に遅れ。 現場は三条市の五十嵐川に架かる鉄橋の上。男性が貨物電車にはねられ死亡。三条署によると、衣服に名前が縫い付けてあり、近くに住む男性(80)と確認。家族の話では認知症を患っていたという。運転士が線路上にうずくまっている男性に気付き、ブレーキをかけたが間に合わなかった。 男性は付近の踏切から線路内に入ったとみられる。同署が詳しい事故の状況を調べている。(産経新聞) 呉線 竹原~吉名 9月13日 5時31分頃 話題発生 697番の第554番レス 当該列車 123M(113系) 特徴 8時18分(当初見込み7時00分→7時45分→8時15分)運転再開。可部線にも影響。 広島県警は「50代の女性が死亡した」と発表。 山手線 新宿 9月13日 5時55分頃 話題発生 697番の第535番レス 当該列車 内回り504G(トウ525) 特徴 14番線ホーム。20代男性が電車に飛び込む。2両目部分に接触、挟まれの事実無し。駅員により救出済。担架にて搬出予定。内・外回りとも運転見合わせ。中央総武緩行線下りも抑止。6時10分運転再開。山手線は6時36分(当初見込み6時45分→6時30分)頃運転再開。中央快速線にも遅れ。西武は振替輸送を受託。飛び込んだといっても、接車・軽傷のもよう。 山陽本線 熊山 9月13日 7時50分頃 話題発生 697番の第580番レス 当該列車 東京貨物ターミナル発福岡貨物ターミナル行き高速貨物7053レ(EF210-140) 特徴 上郡~万富(のち、相生~万富)間運転見合わせ。上りは8時30分頃、下りも8時43分(公式には8時48分、見込み9時00分)運転再開。 岡山県警は「30代の自称フリーターの男性が骨折の可能性」と発表。15日付山陽新聞朝刊(新聞休刊日のため、14日付朝刊はない)に記事は見当たらず。 北陸本線 細呂木~牛ノ谷 9月13日 時 分頃 話題発生 697番の第587番レス 当該列車 特徴 ☆ 動物と衝突。 山陽本線 北長瀬~庭瀬 9月13日 15時13分頃 話題発生 697番の第627番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切内点検。岡山~庭瀬間、伯備線 岡山~新見間に遅れ。 東京メトロ東西線 高田馬場 9月13日 16時56分頃 話題発生 697番の第631番レス 当該列車 K1 特徴 50代男性、意識レベル200。駅員によりホーム上に救出済。挟まれは無し、列車との接触は確認中。右足切断もD-MAT要請は無し。東西線全線ストップ。西武全線振替承認。17時39分(見込み18時00分)運転再開。中央緩行線・東葉高速鉄道線ともに東西線との直通運転を中止。 当該は翌日昼頃、「三鷹で入換えしてたけど東京方前面ガラスが蜘蛛の巣状にひび割れてた」との報告あり。 警視庁は「20代くらいの男性が死亡した」と発表。 小田急小田原線 鶴川付近 9月13日 17時 分頃 話題発生 697番の第639番レス 当該列車 藤沢発新宿行き快速急行3536レ 特徴 ☆ 鶴川第二踏切上に停車していたが、まもなく発車。踏切に車がいたとのこと。 宇都宮線 間々田~野木 9月13日 18時 分頃 話題発生 697番の第659番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切の安全確認。小山~東京間に遅れ。宇都宮線から横須賀線に向かう湘南新宿ラインにも遅れ。 中央本線 9月13日 18時 分頃 話題発生 697番の第662番レス 当該列車 特徴 ☆ 車両点検。高尾~小淵沢駅間の下り線の一部列車に遅れ。 近鉄名古屋線 楠 9月13日 19時 分頃 話題発生 697番の第664番レス 当該列車 特徴 ☆ 旅客転落。 山陰本線 長門二見~宇賀本郷 9月13日 19時38分頃 話題発生 697番の第666番レス 当該列車 特徴 ☆ 動物支障。長門市~下関間の一部列車に遅れ。 山形線 羽前中山~かみのやま温泉 9月13日 時 分頃 話題発生 697番の第666番レス 当該列車 特徴 ☆ カモシカと衝突。米沢~山形間に遅れ。つばさ158号にも遅れ。 赤穂線 西浜~天和 9月13日 22時35分頃 話題発生 697番の第708番レス 当該列車 特徴 ☆ 鹿と接触。23時21分運転再開。 西浜は貨物駅なので、通常の時刻表には載っていない。赤穂線に定期の貨物列車は走っておらず、特大貨物(変圧器)の発送がたまにある程度。 西武新宿線 久米川 9月14日 12時46分頃 話題発生 697番の第710番レス 当該列車 本川越発西武新宿行き急行第2648電車 特徴 △ 現場は久米川1号踏切か。この区間に踏切は府中街道を含め3つある。小平~東村山間運転見合わせ。13時23分頃運転再開。振替輸送を実施。西武全体で今年30回目。 東村山市内に住む60代の男性が死亡。自ら線路上にうつぶせになるのを通行人が目撃しており、自殺とみられる。(読売新聞多摩版) 東武アーバンパークライン 野田線 大宮公園 9月14日 13時24分頃 話題発生 697番の第722番レス 当該列車 柏発大宮行き普通1258A(8164F 6両編成) 特徴 大宮~岩槻間運転見合わせ。14時55分(当初見込み14時30分→14時55分)頃運転再開。 千葉県野田市の無職男性(31)が電車にはねられ死亡。大宮署によると、男性がホームから線路内に入ったという。遺書などは見つかっていないが、運転士とホームにいた女性が、自ら線路に立ち入る男性を目撃している。電車は約1時間半後の14時55分に運転を再開。乗員、乗客にけがはなかった。(埼玉新聞) 線 四ツ谷 9月14日 16時 分頃 話題発生 697番の第740番レス 当該列車 特徴 ☆ 非常ボタンが押されたが、人身事故とは無関係。 山陽本線 長府 9月14日 17時07分頃 話題発生 697番の第743番レス 当該列車 特徴 ☆ 駅構内の踏切の安全確認。17時42分運転再開。 奈良線 1)JR藤森~桃山 2)稲荷~JR藤森 9月14日 時 分頃 話題発生 697番の第742番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切の安全確認。内容は異なり、1は踏切内人立ち入り、2は非常ボタンが押されたため。 鹿児島本線 原田付近 9月14日 18時00分頃 話題発生 697番の第743番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切の安全確認。JR九州公式によれば、踏切の非常ボタンが押されたため。博多~鳥栖間に遅れ→博多~荒尾間に拡大。長崎線と佐世保線にも影響。 近鉄名古屋線 佐古木 9月14日 19時55分頃 話題発生 697番の第755番レス 当該列車 名古屋発賢島行き特急7915レ(乗客250人) 特徴 相手方は男性とみられる。完全な運転再開は21時00分過ぎ。 下りホームから人が線路に飛び込み、特急電車にはねられ死亡。乗客にけがはなかった。蟹江署が身元を確認している。 近鉄によると、上下12本が運休し、54本が遅れ、約1万3000人に影響。(中日新聞) 近鉄天理線 平端~二階堂 9月14日 21時15分頃 話題発生 697番の第764番レス 当該列車 天理発平端行き普通5190レ 特徴 駅間が短く、速度も遅い。 東海道本線 米原~彦根 9月14日 21時47分頃 話題発生 697番の第831番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切支障。23時21分復旧。 湖西線 近江塩津~永原 9月15日 1時27分頃 話題発生 697番の第831番レス 当該列車 特徴 ☆ 鹿と接触。1時59分運転再開。 京王線 下高井戸~桜上水 9月15日 5時31分頃 話題発生 697番の第795番レス 当該列車 新宿発高尾山口行き下り各停5103列車(7000系) 特徴 6時05分運転再開済み。京王線での人身事故は今年12回目。 男鹿線 天王~船越 9月15日 8時29分頃 話題発生 697番の第825番レス 当該列車 秋田発男鹿行き下り普通1125D(乗客乗員約20人) 特徴 △ 9時16分(見込み9時20分)運転再開。 男鹿市船越の払戸踏切で軽乗用車の助手席側と衝突。JR秋田支社によると、車を運転していた男性が負傷。病院に運ばれ、手当てを受けている。男性は会話はできていて、意識ははっきりしているという。乗客らにけがはなかった。普通列車2本に約50分の遅れが出た。(さきがけモバイル/秋田魁新報社 NHK秋田) 東北本線 槻木~岩沼 9月15日 9時16分頃 話題発生 697番の第835番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切支障。10時49分復旧。 常磐緩行線 柏 9月15日 14時30分頃 話題発生 697番の第836番レス 当該列車 我孫子発代々木上原行き1464S(6109F メトロ車10両編成 乗客約100人) 綾瀬から1465S 特徴 綾瀬~我孫子間運転見合わせ。快速線は運転。綾瀬~松戸は15時00分前に運転再開。15時13分(当初見込み15時20分→15時10分)全線運転再開。 千葉県警は「30代くらいの女性が死亡した」と発表。 柏駅構内で、松戸市の女性(52)がホームに進入してきた上り電車にはねられた。女性は胸を強く打ち、間もなく死亡した。乗客にけがはなかった。柏署は詳しい状況を調べている。 東京支社によると、当該は43分後に運転を再開。上下6本が運休、上下8本が最大43分遅れ、乗客約3200人に影響。(ちばとぴ) 常磐線上野~取手間は千葉県、茨城県も通るが、すべて東京支社管轄。武蔵野線の南流山~新松戸間も東京支社。逆に総武緩行線の浅草橋~小岩間は東京都内であっても千葉支社。 東北本線 愛宕~品井沼 9月15日 15時09分頃 話題発生 697番の第853番レス 当該列車 特徴 ☆ 線路内人立ち入り。15時47分運転再開。仙台~小牛田間に遅れ。 和歌山線 紀伊小倉~布施屋 9月15日 15時48分頃 話題発生 697番の第858番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切内点検。踏切の非常ボタンが押されたたもの。五条~和歌山間に遅れ。 神戸高速鉄道線 高速神戸 9月15日 16時30分頃 話題発生 697番の第854番レス 当該列車 阪神梅田発高速神戸行き下り普通1561レ(5551F 5550系4両編成) 特徴 函館本線 大中山~桔梗 9月15日 16時50分頃 話題発生 697番の第894番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切支障。17時00分復旧。 近江鉄道線 愛知川 9月15日 18時15分頃 話題発生 697番の第867番レス 当該列車 貴生川発高宮行き普通138レ(乗客13人) 特徴 発生は18時50分以前→記事により18時15分頃と判明。高宮~八日市間運転見合わせ。 上りホームで電車が滋賀県愛荘町市の男子高校生(16)と接触した。高校生は右ひざを打つ軽傷。電車の乗客にけがはなかった。東近江署によると、高校生はホーム上であぐらをかいて座り、携帯電話を操作していたという。この事故で上下2本が運休、9本が最大72分遅れ、計約270人に影響。 京成本線 京成大久保~実籾 9月15日 19時02分頃 話題発生 697番の第866番レス 当該列車 京成佐倉発西馬込行き快速1886K 特徴 京成津田沼~京成成田間運転見合わせ。19時22j分運転再開。京成押上線、北総線、成田スカイアクセスにも影響。京成本線での人身事故は今年9回目。 千葉県警は「年齢不詳の男性が死亡した」と発表。 京葉線 東京 9月15日 20時 分頃 話題発生 697番の第896番レス 当該列車 東京発武蔵野線西船橋行き2029E(M7) 特徴 ☆ 乗務員手配。下り線の一部列車に遅れ。当該は東京駅(所定20時19分)を15分遅れで発車。 京浜東北線 大宮 9月15日 時 分頃 話題発生 697番の第900番レス 当該列車 特徴 ☆ 線路内人立ち入り。神田~東京間では車両点検。宇都宮線、高崎線、東海道線、湘南新宿ラインにも影響。 京急大師線 京急川崎~港町 9月15日 22時 分頃 話題発生 697番の第909番レス 当該列車 特徴 大師線全線運転見合わせ。2003年4月以降、京急大師線で「人身事故のため、運転を見合わている」との情報は配信されていない。最初から「遅れが出ている」だったものも2012年5月17日19時21分、川崎大師~東門前間で1件のみ。 神奈川県警は「男性が死亡した」と発表。 南海本線 春木~和泉大宮 9月15日 23時26分頃 話題発生 697番の第927番レス 当該列車 関西空港発難波行き上り空港急行2226レ 特徴 △ 現場は春木5号踏切。南海本線、空港線運転見合わせ。(見込み0時26分)。深夜のため、振替輸送はなし。 岸和田署の情報には「岸和田市加守町の南海本線踏切付近の軌道敷内で男性と電車が接触し、男性は死亡した」とある。 常磐線 高浜~石岡 9月16日 時 分頃 話題発生 697番の第957番レス 当該列車 特徴 ☆ 線路内立ち入り。遅れあり。 京浜東北線 大井町 9月16日 朝 時 分頃 話題発生 698番の第167番レス 当該列車 特徴 ☆ 急病人。脈がなく、AED持ち出し。 信越本線 柏崎 9月16日 8時29分頃 話題発生 697番の第962番レス 当該列車 特徴 ☆ JR貨物の情報では駅構内の踏切支障。JR東日本の公式情報は公式によると、電力装置不具合。柏崎~長岡間の下りのみ運転見合わせ。見込み通り、10時30分頃運転再開。 京浜東北線 大井町 9月16日 16時17分頃 話題発生 697番の第980番レス 698番の第19番レス 当該列車 大宮発蒲田行き南行1531B(サイ182) 特徴 20代女性(女子高校生とのうわさも)、4両目下。胸部挟。救出に時間を要する。昭和大学D-MAT出場。意識レベル300。京浜東北線全線、東海道線運転見合わせ。桜木町駅の上りは16時26分発予定の電車から抑止。山手線も防護受信でストップ。車両点検後再開。東海道線は横須賀線の線路を使って再開。川崎駅に停車しない。大船~蒲田間で折り返し運転。京浜東北線、東海道線とも17時41分(当初見込み17時00分→17時30分→未定)運転再開。サイ182はこれで4回目と思われる。1000番代では2本しかない2010年製造の1本。19時00分現在、10号車やや品川寄りの線路やレールに血が残っいてたとの報告あり。 警視庁の発表では「20代とみられる女性が死亡した」になっており、搬送先で死亡が確認されたパターンか。 根室本線 島ノ下 9月16日 時 分頃 話題発生 698番の第65番レス 当該列車 特徴 ☆ 熊と衝突。まもなく再開。が、「一部列車(おそらく当該)のみ運転を見合わせていたが、再開した」、「島ノ下駅構内に熊がいる可能性があるため、滝川~富良野間の運転を見合わせている」など、再三情報が変わる。 京浜東北線 西川口 9月16日 19時39分頃 話題発生 698番の第80番レス 当該列車 大宮発蒲田行き南行1931C(サイ121) 特徴 京浜東北線、湘南新宿ライン、宇都宮線、高崎線運転見合わせ。上野東京ラインにも運休発生。当該は前面窓ガラス破損。20時51分(当初見込み20時30分→20時50分)運転再開。当該は旧下十条運転区の留置線に入った模様。振替輸送を実施。 埼玉県警は「40~50代くらいの男性が死亡した」と発表。 京浜東北線 鶴見 9月16日 21時 分頃 話題発生 698番の第160番レス 当該列車 特徴 ☆ 線路に転落。 東北本線 館腰~岩沼 9月17日 0時10分頃 話題発生 698番の第188番レス 当該列車 仙台タ23 58発東京タ行き上り高速貨物4086レ(EH500-61) 特徴 △ 当初は「名取~館腰間」とされていたが、館腰~岩沼間に訂正。名取~白石間の上り線のみ(下りは常磐線からの列車も含め終わっている)運転見合わせ。1時42分頃運転再開。影響を受けた旅客列車は仙台発白石行き普通468M(最終)のみ。 名取市本郷の鮫踏切で、同市に住む無職男性(38)が死亡。踏切を渡ろうとしていたらしい。(河北新報) JR京都線(東海道本線) 高槻 9月17日 8時44分頃 話題発生 698番の第207番レス 当該列車 長浜発姫路行き下り新快速3421M 特徴 8時54分に京都方面行きの列車、8時55分に大阪方面行きの快速・普通列車、大阪方面行きの新快速・特急列車も9時12分に運転再開。 大阪府高槻市に住む男性(37)が停車しようとした快速電車にはねられた。男性は病院に運ばれたが、左足骨折などの重傷。(産経新聞) 函館本線 白石 9月17日 12時 分頃 話題発生 698番の第229番レス 当該列車 札幌発稚内行き特急61D サロベツ 特徴 線路内に立っていた人と接触。当該はホーム端から70~80m行き過ぎて非常停止。函館線 札幌~岩見沢間、千歳線 札幌~新千歳空港・苫小牧間運転見合わせ。函館線は13時44分、千歳線も13時27分運転再開。学園都市線にも影響。 線路に立っていた50代の女性がホームに入ってきた特急列車にはねられ死亡。女性は自殺とみられている。列車の乗客・乗員にけがはなかった。この事故の影響で、函館線と千歳線は一時運転を見合わせ、特急スーパーカムイ2本や快速エアポート20本など、計73本が運休し、約2万人に影響が出た。(札幌テレビ) 東京メトロ新木場車両基地(東京都江東区新木場4) 9月17日 13時20分頃 話題発生 698番の第271番レス 当該列車 南北線用電車(9114F 9000系6両編成) 特徴 基地内で試験運転中の電車が車止めに衝突し、先頭車が乗り上げた。東京メトロによると、基地内で南北線のモーターの制御装置を改修し、試験運転をしていたが、運転士のブレーキ操作が遅れて停止位置を越えたのが原因。(毎日.jp) 中央本線 鶴舞 9月17日 14時59分頃 話題発生 698番の第241番レス 当該列車 高蔵寺発名古屋行き上り普通152M 特徴 下りは15時23分、上りも15時37分運転再開。 東京メトロ銀座線 9月17日 時 分頃 話題発生 698番の第255番レス 当該列車 特徴 ☆ ドア点検。線路内支障物もあって、相次いで運転見合わせ。 都電荒川線 王子駅前~飛鳥山 9月17日 時 分頃 話題発生 698番の第260番レス 当該列車 特徴 ☆ バイクの単独事故の影響で遅れ。 七尾線 9月17日 時 分頃 話題発生 698番の第352番レス 当該列車 特徴 ツイッターに「昨夜は七尾線最終で人身事故あったのね。まったくメール見てなかった。知り合いの病院の患者さんの自殺だったようで´д` ; (原文のまま)」。JRの公式情報はなし。 線 9月 日 時 分頃 話題発生 698番の第 番レス 当該列車 特徴 5032M(k-08)は7分遅れ。 外房線 誉田~土気 9月18日 時 分頃 話題発生 698番の第311番レス 当該列車 特徴 ☆ 動物と衝突。千葉~大網間、東金線・内房線に遅れ。 東海道本線 掛川 9月18日 11時52分頃 話題発生 698番の第314番レス 当該列車 興津発浜松行き下り普通755M(3両編成 乗客乗員約200人) 特徴 ※ 島田~掛川間運転見合わせ。12時58分運転再開。 浜松市の男性(26)が飛び込む際車両と地面の隙間に入り込み電車通過。1両目が男性の上を通過。男性は2両目との連結部分の下から救助され、病院に搬送された。男性にケガはなかった。上下3本が全区間運休、13本が部分運休したほか、7本が66~12分遅れ、約2860人に影響。(静岡新聞朝刊) JR京都線(東海道本線) 摂津富田 9月18日 13時35分頃 話題発生 698番の第318番レス 当該列車 高槻発新三田行き普通1177C(乗客約200人) 特徴 吹田~京都間運転見合わせ。14時36分(見込み14時30分)運転再開。 大阪府高槻市の無職男性(38)が線路に転落。ホームにいた数人の客が引き上げようとしたさなかに入ってきた電車と接触した。男性は腰を打って病院に搬送された。命に別条はない。 高槻署によると、男性はホームにしゃがみ込み、線路に落ちた。運転士がブレーキをかけたが間に合わなかった。 JR西日本によると、運休や遅れが生じ、約1万3800人に影響。 東北本線 東白石~北白川 9月18日 17時47分頃 話題発生 698番の第331番レス 当該列車 特徴 ☆ 動物(猪)と衝突。18時56分運転再開。白石~仙台間の下りに遅れ。 北陸本線 南条~王子保 9月18日 18時25分頃 話題発生 698番の第336番レス 当該列車 特徴 ☆ 動物と衝突。一部の列車に遅れ。福井駅での接続確保のため、九頭竜線(越美北線)にも15分程度の遅れ。 東武スカイツリーライン 伊勢崎線 越谷 9月18日 23時 分頃 話題発生 698番の第361番レス 当該列車 中目黒発北春日部行き普通B2213T 特徴 ▲ 当該は11分遅れで運転再開。 名鉄西尾線 南安城~碧海古井 9月19日 0時20分頃 話題発生 698番の第375番レス 当該列車 新安城発西尾行き普通2450レ(4両編成 乗客約100人) 特徴 現場は愛知県安城市安城町。列車が男性をはねた。男性は40~60歳ぐらいで、即死状態。乗務員や乗客にけがはなかった。当該は最終列車で現場に1時間ほど停車した。署によると、男性運転士(46)が線路上にいる男性を見つけ、ブレーキをかけたが間に合わなかった。現場は高架上で100m南に踏切がある。署は身元や侵入経路を調べている。(中日新聞) 予讃線 中萩~新居浜 9月19日 7時30分頃 話題発生 698番の第375番レス 当該列車 伊予西条発観音寺行き上り普通512M(2両編成 乗客乗員計18人) 特徴 △ 新居浜~伊予西条間運転見合わせ。 現場は新居浜市萩生の踏切。同所の無職男性(77)がはねられた。男性は全身を強く打ち、間もなく現場で死亡が確認された。警察は事故と自殺の両面で詳しく調べている。当該は現場に1時間ほど停車し、後続の列車など11本に遅れが出た。 (あいテレビ) JR京都線(東海道本線) 長岡京 9月19日 10時49分頃 話題発生 698番の第382番レス 当該列車 上り回3008M 福知山発新大阪行き特急こうのとり8号の後回送 特徴 京都~高槻間運転見合わせ。大阪方面行き全列車、京都方面行きの普通・快速は10時59分運転再開。京都方面行きの新快速・特急は大阪折り返し。長浜方面からの新快速は米原までの運転。11時25分(見込み11時50分)頃運転再開。 特急サンダーバードが遅れ、金沢での接続待ち合わせで七尾線にも遅れ。 阪急京都本線 東向日~西向日 9月19日 15時11分頃 話題発生 698番の第397番レス 当該列車 河原町発梅田行き特急15011レ(乗客約500人) 特徴 △ 現場は京都府向日市寺戸町二枚田の梅ノ木踏切。当該は15時24分運転再開。警察の現場検証のため再度抑止。16時46分(見込み16時25分→16時55分)運転再開。 京都府向日市の無職男性(70)が特急電車にはねられ死亡。向日町署によると、男性は遮断機をくぐって踏切内に進入したという。 阪急電鉄によると、上下116本が運休するなどして約11万7200人に影響。 阪急電鉄によると、男性が踏切内の線路に座り込んだのを運転士が目撃したという。上下31本が運休や部分運休。56本が最大1時間19分遅れ、行楽客ら約3万4000人以上に影響。(産経WEST) 武蔵野線 南浦和 9月19日 15時40分頃 話題発生 武蔵野線スレの第47番レス→グモスレ698番の第418番レス 当該列車 特徴 ☆ 停車中、入り口に立っていた女性がホームに突然倒れ、頭を強打した模様。電車の運行に影響が出たかどうかはわからないとしている。 京王新線 幡ヶ谷 9月19日 15時58分頃 話題発生 698番の第406番レス 当該列車 特徴 ☆ お客様転落。 JR神戸線 芦屋 9月19日 16時19分頃 話題発生 698番の第415番レス 当該列車 特徴 ☆ お客様転落。 奥羽本線(山形線) 神町~乱川 9月19日 17時47分頃 話題発生 698番の第423番レス 当該列車 新庄発東京行き「つばさ156号」(156M) 福島から「やまびこ156号」(156B)に併結 特徴 △ 現場は第二成生踏切。「列車との接触なし」と判断されたようで、線路内人立ち入りに降格。新庄~山形間運転見合わせ。19時05分(見込み19時10分)運転再開。 外房線 9月19日 時 分頃 話題発生 698番の第425番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切内安全確認。 東急大井町線 九品仏付近 9月19日 時 分頃 話題発生 698番の第441番レス 当該列車 特徴 ☆ 踏切の安全確認。 奥羽本線(山形線) 赤湯~高畠 9月20日 0時13分頃 話題発生 698番の第450番レス 当該列車 山形発米沢行き上り普通460M 特徴 ☆ 異音の確認。赤湯~米沢駅間の上り線のみ運転見合わせ。昇格はなく、0時55分頃運転再開。 日豊本線 新田原~築城 9月20日 4時58分頃 話題発生 698番の第463番レス 当該列車 柳ヶ浦発門司港行き上り普通2520M 特徴 ☆ 鹿と衝突。車両に異常がない事を確認し、5時16分運転再開。特急ソニック102号などに遅れ。 中央本線 高尾~相模湖 9月20日 時 分頃 話題発生 698番の第480番レス 当該列車 特徴 ☆ 線路内人立ち入り。 中央快速線 武蔵小金井 9月20日 11時03分頃 話題発生 698番の第483番レス 当該列車 高尾発東京行き中央特快1014T サハE233-535他 特徴 4番線。頭部轢断852(即死状態)。R(救助隊)はいったん出場したが、途中で引き返す。11時36分(当初見込み12時00分→11時45分)運転再開。上り特快は95km/h位で通過。青梅線との直通運転を中止。 警視庁は「20代くらいの女性が死亡した」と発表。 近鉄鈴鹿線 柳~鈴鹿市 9月20日 13時57分頃 話題発生 698番の第539番レス 当該列車 伊勢若松発平田町行き下り普通1373レ(乗客乗員約120人) 特徴 △※ 14時15分現在、運転再開済み。 三重県鈴鹿市矢橋の踏切(警報機、遮断機あり)で立ち往生していた乗用車と衝突。車は大破したが、車を運転していた女性(56)は逃げ出し無事。車の乗員と乗客にもけがはなかった。 近鉄などによると、乗用車は踏切内でエンストし、身動きが取れなくなった。遮断機が下りたため女性は車を脱出。車に気付いた電車の運転士が急ブレーキをかけたが間に合わず、衝突した。鈴鹿線は上下計3本に運休や遅れが出て、約500人に影響。(産経WEST) 指宿枕崎線 東開聞~開聞 9月20日 14時09分頃 話題発生 698番の第546番レス 当該列車 枕崎発鹿児島中央行き上り普通1346D(2両編成 乗客乗員30人) 特徴 △ トラクターと衝突。山川~枕崎間運転見合わせ。警察の現場検証が続いており、16時10分現在、再開していない。事故発生から3時間以上後の17時18分運転再開。ただ、乗り鉄スレの書き込みでは「トラクターごと巻き込まれた」とかではなく、けが人はいないようだとのこと。 現場は東開聞駅近くの踏切(警報機、遮断機なし)。指宿市開門仙田の橋之口踏切で普通列車と停止していたトラクターの前の部分が衝突。この事故でトラクターを運転していた指宿市の農業男性(61)が腕に軽いけが。 列車の乗客と乗員にけがはなかった。トラクターを運転していた男性は「踏切の手前で停止していたがトラクターの先端が列車と衝突した」と話しているといい、警察で事故の原因を調べている。(南日本放送) JR宝塚線 道場~三田 9月20日 15時58分頃 話題発生 698番の第554番レス 当該列車 特徴 ☆ 線路内人立ち入り。 西武池袋線 ひばりヶ丘 9月20日 時 分頃 話題発生 698番の第557番レス 当該列車 特徴 ☆ 駅に救急車。ただし人身事故ではなく、AP連携もなし。 名鉄名古屋本線 山王 9月20日 21時05分頃(通報があった時刻) 話題発生 698番の第566番レス 当該列車 急行 特徴 21時45分現在、運転再開済み。名古屋本線での人身事故は今年12回目。山王駅では2006年6月2日以降起きていなかった。 名古屋市中川区山王3丁目の名鉄名古屋線山王駅のホームで 「男性が倒れている」と110番があった。愛知県岡崎市の契約社員の男性(44)が頭から血を流していた。心肺停止状態で救急搬送され、病院で死亡した。中川署は通過する電車に接触したとみて調べている。 中川署によると、男性はホームの端に倒れていた。直前に、かがんでホーム下の線路をのぞき込む姿が目撃されていたという。この影響で、名鉄の名古屋線や犬山線、常滑線の一部電車に遅れが出た。(西日本新聞) 終了 698番の第580番レス
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#3 Demons Out -鬼は外- いつも指名で依頼を発注してくれる、とあるお金持ちの老人からの、ナベリウスでしか取れない稀少なキノコの納品依頼を終えた明日香は暇を持て余した。この日は特にやることもなく、次の依頼も入っていない。一週間ぶりに市街地に出て必要な物を買いそろえようと市街地へ足を運んだ。 階層都市行きのポータル前で偶然にも同じチームに所属する女性に遭遇した。チームメンバーの彼女も買い物のために市街地へ向かっていた。そのまま話が弾み、二人はお気に入りのカフェで優雅なひと時を過ごすことにし、デパートでの買い物はそのあとにすることにした。 おしゃれな貴婦人のお茶会が開かれている横でマドレーヌと紅茶を楽しむ。 貴婦人と明日香たちの前を走り抜ける小さな影。白いワンピースを着た少女が走り、何かに追われているように頻りに後ろを確認している。余所見をしてしまったがために少女は躓き、足を擦りむいた。 「うっ……」 擦り剥いた膝の痛みをなんとか和らげようとしながらも、頻りに後ろを確認している様子に明日香はなんとなく嫌な予感がした。 この少女は本当に誰かに追われているのではないか。よく見ればワンピースはボロボロに破れかかっており、靴も履いていない。手足には何かで縛られたような痣や傷が見える。どう見たって普通ではない状況に少女が置かれていたのは明白だった。 少女のそのみすぼらしい格好に隣で茶会を開く貴婦人は、汚いわねぇと鼻を摘み冷たいを目を向ける。年端も行かない少女がこんな状況に置かれているのに、なぜこの大人たちは救いの手を差し伸べず蔑ろにするのかと、明日香はそんな貴婦人たちを睨み、少女の元へ駆け寄った。 「大丈夫?」 すぐにチームメンバーの女性も駆け寄って転んだ少女を抱き起こしてあげた。 「怪我、見せて。絆創膏貼ってあげる」 嫌がる少女の足に優しく触れ、絆創膏を貼る。 少女は痛いのを我慢するように食いしばり立ち上がろうとする。 「急いでたみたいだけど、靴はどうしたの?」 少女は首を横に振る。何を質問しても首を横に振る少女に困り果てていた時、彼女が来た道から足音が聞こえてくる。五人以上の大人が駆けている疎らな足音が聞こえ、少女は身体を震わせ、明日香の服の裾を掴んだ。 ――助けて。 口を動かすも少女の口から発された音はラジオに混ざったノイズのような雑音。およそヒトが発する音ではなかった。チームメンバーはその声に驚き、一瞬身を引く。しかし明日香は彼女の怯えた表情や、口の動き方などから彼女が伝えたいであろう想いを受け止め、うん、と大きく頷いた。 「ごめん、私。……この子のママを探して来ます」 「言いたくないけど、やめた方がいいよ。絶対また厄介事に巻き込まれるわ……」 「じゃあこんな幼気な子を見捨てて優雅にお茶会を続けろって言うんですか?」 少女を抱きかかえ、自身のマフラーで少女の顔を隠すように巻く。 「私は行きます。厄介事なんて上等ですよ」 「え、あ……うん。……じゃあまた今度、気を付けてね」 きっとチームメンバーの彼女にも悪気があったわけではない。 カフェの代金を彼女に渡し、人通りの多い道に飛び出した。一人取り残されたチームメンバーの女性の前を黒服の男たちが消えた少女を追うように、明日香たちと同じ方面に走っていった。 クリスマスシーズンもあってか街はカップル客で賑わう第1階層には緑と赤と白のクリスマス装飾が施されとても華やかに街を彩っていた。人混みを掻き分けながら、背後に異様な雰囲気の男たちの気配を感じながら、少女を男たちから遠ざけるようにある場所に向かう。 もう一度落ち着ける場所で、少女から事情を聞くためにも信頼のおける人物のいる階層を訪れた。 第6階層の一角、色鮮やかなメインストリートと対照的に灰色と鉄錆色の薄寂れたジャンクパーツショップの真横。薄暗い階段を登った先にある小さなオフィス。階段の上に備え付けられたジャンクパーツショップのネオンサインの端に小さく目印を立てた『便利屋NICO』の看板。 バタンと音を立て勢いよくドアを開けると、突然のことに中にいた便利屋がビクっと肩を揺らし驚いた。 「おいおい、随分と急な登場だな、来るならアポ取ってくんねぇと」 明日香はオフィスに入ると負ぶっていた少女を降ろし、 「ここなら安全なはず、ごめんねちょっと汚い所だけど我慢してくれる?」 と少女の頭を撫でた。 「汚いとは心外だな。……まさかアンタが子持ちだったとはな。……ちょっと狙ってたんだけどなぁ」 「何馬鹿なこと言ってるんですか、お客様が来たんですからお茶くらい出してください」 「まったく随分と図々しい客がいたもんだ」 便利屋はキッチンに向かい湯を沸かす。明日香は少女をソファに座らせる。 「あー! もう少し綺麗に片付けておいてください! 救急箱は何処にあるんですか!」 「ほれ、そこのファイルの下にあるだろ」 便利屋が指差した先には天井まで山積みにされたファイルの塔。その下に埋もれる救急箱。ずっと使った気配がなく埃を被ったそれを引き抜こうとすると、書類の山がぐらぐらと揺れる。部屋はまた片付ければいい、勢いよく救急箱を引き抜くと書類の山が崩れ落ち、明日香を巻き込みファイルが床に散乱する。 「おいおい、大事な仕事のファイルを、あーあー」 「大事ならもっと整頓しておいてください」 一先ず応急処置的に付けていた絆創膏を剥がし、膝の擦り剥き傷に適切な処置を施していく。 やかんがピーピーと鳴き声を上げ、湯が沸くとキッチンからコーヒーのいい香りが少女の鼻を擽る。 机の上に三人分のマグカップが置かれる。少女の前にはピンク色のマグカップが置かれるが、少女は手を付けようとしない。横でコーヒーに口を付ける便利屋の顔を下から窺う様に見ていると、便利屋と目が合う。 「どうした、コーヒーは嫌いか?」 少女は首を傾げる。 「こんな小さな子にブラックを飲ませるんですか? せめてお砂糖くらいは用意してあげましょうよ!」 「そんなものはない」 目の前に置かれた茶色い水を覗き込み不思議そうに眺める。 「……飲んでいいのよ?」 明日香の言葉を聞いて少女はようやくマグカップに手を添える。 まるで熱さを感じていないかのように飲み込むが、すぐに舌を火傷したのか、マグカップを置き丁寧にふーふーと息を吹きかけ冷まし始めた。 「……そろそろ説明してくれねえか。……この嬢ちゃんはなんだ?」 「それは、私も今から聞くところです」 明日香はココアを冷ます少女の顔を覗き込み、 「ごめんね、急にこんなところに連れてきて。私は明日香、貴方は?」 少女は首を横に振る。 「うーん、貴方はどうして追われていたの?」 またしても首を横に振る。 「話せない事情でもあるのかこの子は」 便利屋は明日香に聞くが明日香も分からないと首を振る。すると少女が口を開けた。 ――私は呪われてるの。 少女が口を開くと発せられる音はやはりノイズのような音。今回は口の動きでは何を言っているかを読み取れなかった。便利屋は少女の声に驚き、対面のソファに腰を落とした。 「こいつは驚いた。歳の割に随分とセクシーなハスキーボイスだな」 言いたいことが伝わらないもどかしさでぷーと頬を膨らませる。あたりを見渡し床に転がるペンと書類の裏紙を拾い上げるとガリガリと文字を書く。拙い言葉で自分が置かれている状況を書いていく。しかしその文字はまもとに教育を受けてないことを感じさせる。字の書き順もバラバラだが、それ以前に描きなれていないのは明白でミミズのような線に震えた文字で書かれた言葉足らずの文には、『わたしのこえはのろわれてる。わたしのこえ、みんなのこころ、すきにできるちから、おいかけてくるひと、かーすど』と書かれていた。 「カースド」 「ははーん、カースドねぇ、おい聞いたか大熊猫」 便利屋は明日香にでもなく、少女でもなく、まるでそこにもう一人誰かがいるかのように誰かに話し掛ける。 「丁度ボクたちも調べてたんだ、その『カースド』ってやつを」 部屋の隅にある書類の山の中に埋もれる宅配ドローンが喋り出す。 ドローンから発せられる声は少年の声だった。 「上層階のネットワークじゃ該当する項目は見つからなかったけど、第壱拾階層以下のもっと深い所に潜ったら、いくつか情報がサルベージできたよ。どの情報にも共通して虚空機関の名が引っ掛かるからそこから関連付けて調べてたら、二年前の組織の崩壊後、公安に逮捕されなかった構成員が中心となって作り上げた第二の虚空機関って感じらしい」 「虚空機関……」 「この子の声だけどよ、俺はどうも引っかかるんだが、この違和感、大熊猫なら分かるよな」 「言いたい事は分かるよ」 「何の話ですか?」 「二月程前、アルバス製薬っていう製薬会社が新しいナノマシンを発表したんだ。基本的にはアークス向けに今後採用されていく予定の、画期的なもので体内のダーカー因子を捕食する対抗ワクチンを投与されたナノマシンなんだ」 「すごいですね、それがあれば簡易浄化の必要性も低くなりそうですね」 「そうだね。付け加えると、このナノマシンは外部から簡単に組織情報を書き換えることが出来るんだ。ナノマシンの情報を書き換えて、対抗ワクチンじゃなく新たな神経細部として投与することも出来る。これだけなら便利なナノマシンだけど、ボクらの言う違和感っていうのはコレにあるんだ」 「違和感?」 「あぁ、今度は一週間前、ローゼンフロウって軍事企業が特定の細胞を遠隔操作することが出来るデバイスを開発しているという情報が入ってな」 「知らない組織の名前が続々ですね」 「知らなくても無理はねえ、普通のアークスにとっちゃ無縁の都市内の事情だから」 「ボクたちは、知り合いに頼まれてそのデバイスついて調べてたんだ。それは音によって遠隔操作を可能とするらしいんだが、その音がどうやら普通の人にはただのノイズにしか聞こえないらしいんだけど、人工細胞を持った人間には綺麗な唄のように聞こえるらしい」 「人工細胞って」 「人為的に作られた細胞だよ。アルバスのナノマシンだけに留まらず、ナノマシン自体は様々な目的用途で作られてるから別段珍しいものでもないんだけど……」 「タイミングがタイミングだからな、今回はそのアルバスの新作ナノマシンを対象としているんだろうってな」 「じゃあこの子の言う、皆の心を好きにできるっていうのは……」 「恐らく、ローゼンフロウの『唄』そのものだろうね」 少女は大人たちの小難しい話を理解できず首を傾げている。 「カースドが今のいままでどうやってrb 巨大政府から身を潜めて活動していたかもこれで明白になったな」 「カースドの背後にはローゼンフロウがいる、ということですか」 「そうだと思うよ、だとしたらかなり厄介な面倒事に首を突っ込んだかもしれないねコレは」 四人の中に緊張が走る。 「そしたら、私がアークスに保護を求めるのは」 「ダメだ。アークスは最終手段として取っておく」 便利屋は明日香の声を遮って声を張り上げた。 「な、何故ですか?この場合アークスがこの子を保護するのに適任だと思いますが」 「アークスはこれまで虚空機関に武器やその他装備品の開発を一任していたが組織が崩壊した。そして総司令の変更等の体制変化と共にアークスが組織のサポートのために迎え入れた民間企業の一つでもあるんだ」 「じゃあ……」 「アークス内部でローゼンフロウに通じてる奴が何処にいるか分からねぇ。分からねぇ以上、無闇に彼女をあそこに放り込むのは敵の懐に入り込むのとそう大差ないと思うんだ」 「俺は、特殊な病気や事情があって普通の病院に入れないような患者を受け入れてる医者に心当たりがある、その院長に手配してみようと思う。ただ時間は掛かると思うけどな」 「手配するまでの間どうするのさ」 「……大熊猫」 少しの間を空けて便利屋が名を呼んだ意味を理解した穴熊は慌てふためきスピーカー越しに叫んだ。 「嫌だよ!ボクのラボは迷子センターじゃない!」 「なら、俺が留守の間だけで構わん、どうせドローン越しに見てるだけなんだからいいだろ」 「えっと、どういう事ですか話が見えないんですけど?」 「このちょび髭が少しの間、この娘の面倒を見るってよ」 「……えっと、どういう事ですか話が見えないんですけど?」 「同じ事を言わせるな。この子の保護シェルターを手配するまでの間だけだ」 「私にも何か出来ないでしょうか?」 「……なら、この子母親代わりになってやれ」 「私が……母親」 腕の時計型端末に通知が入り、明日香にはチームから招集が掛かり、臨戦区域への帰還が命じられた。名残惜しそうに少女の手を離して、便利屋のオフィスから出ていく明日香を少女は窓から見送っていく。少し離れて振り返って窓を見ると、少女はまだ明日香の背中に手を振っていた。その無邪気な少女の顔に愛おしさを感じた。 明日香の背中を見つめ不安そうにする少女の小さな背中を見て便利屋は少女を安心させるために、頭をそっと撫でた。 「そういえば、明日香。この間の女の子どうなったの?」 少女を便利屋のもとに預けたあの日から一週間、長期滞在の遠征任務でウォパルに訪れていた明日香。 虚空機関がウォパルに残したという研究所に調査隊を派遣したい軍務局だったが、突然の組織崩壊でウォパルでの生物実験は強制終了。暴走した実験生物が施設に巣食っているという情報から複数のチームに依頼が発注されていた。 そのうちの一つのチームとして明日香のチームも参加していた。実験生物の多くはウォパルの海上に見られる原生生物を基にしており、それら生物の基礎データから簡単に対処することが出来ていた。あらかた実験生物を殲滅した後、任務の本題である重要機密の破棄作業で遭遇したレオマドゥラードとネプト・キャサドーラを屠るのにかなりの人と時間を浪費していた。 多くの怪我人を出しながらも任務は完遂が報告され、チームは作戦本部に帰還用のキャンプシップを要請し待機していた。 戦いの疲れを癒すべく穏やかな海を眺め、束の間の休息をしている時、チームメンバーから先日の少女の話について問われた。 「エマのことですか?」 「へぇ、エマちゃんっていうの、あの子」 「……自分の名前を覚えていないようだったので、ひとまずそのように呼んでいます」 明日香は携帯端末の待ち受けに保存したエマの写真をチームメンバーに見せる。そこにはカメラに向かって全力のピースをする件の少女エマとカメラに微笑む明日香のツーショットが映し出されている。 「ふふ、元気そうね。なんかこうやってみると、母と娘みたいね。じゃあシップに帰ったら一番に遭いに行きたいんじゃない?」 「そうですね、早く会いたいです」 帰還用キャンプシップの到着が近付いているとチームリーダーから声が掛かり、荷支度を始めるチーム一行。ウォパルの海岸で拾った貝殻や綺麗な鉱石をエマへのお土産として瓶に詰め、喜ぶエマの顔を想像する。エマの顔を思い浮かべると自然と零れる笑み、たった一週間の間でも明日香とエマの間には家族のような絆が生まれていた。 第一階層に比べると華やかさには欠けるが、露店で賑わい活気に溢れる裏通りの一角、近隣の建物と見比べてもあからさまに古く黒ずみが見られる三階建ての雑居ビルの二階に足を運ぶ。『便利屋-NICO-』と看板の掲げられたその場所はもはや第二の自宅と言っても過言ではない程頻繁に出入りするになった場所。遠慮することなくチャイムも鳴らさず、ドアを開けると少女が飛び出した。 「おかえり!」 「あら、よく私が帰ってくるってわかったね」 「ママのあしおとがしたの!」 少女の首にはチョーカーのような物が巻かれており、ノイズに聞こえていた声ははっきりとした少女の声で彼女の意思を発信していた。 チョーカーは大熊猫の友人がエマの話を聞き、短期間作った専用デバイスで、頭に装着したデバイスと首のデバイスは繋がっており、彼女の脳波を読み取って言葉を発することを可能にした装置。この装置のおかげでエマは明日香や便利屋、大熊猫との会話が出来るようになっていた。 エマは面倒な事情を持った自分を助けてくれた明日香を母親のように慕い、ママと呼ぶようになっていた。 明日香は飛びついてくる少女を抱きしめるが、少女の服が彼女を保護した時に着ていたボロボロのワンピースのままだったことに衝撃を受け、大熊猫ドローンを激しく揺さぶりカメラの向こうの大熊猫本人に声を荒げた。 「大熊猫さん、どういうことですか! 彼がエマを預かるというから安心して預けたのになんで服があの時のままなんですか!」 「そりゃボクだってよくないって思うよ」 「この子にとってあの服はカースドでの忌々しい記憶の一端なんですからそのままにしていい訳がありません!」 大熊猫のドローンが部屋の奥のクローゼットを開けると、高く積まれた日用品の段ボールの脇に掛かる子供用衣類の数々を指差す。エマくらいの少女が好みそうな子供向け番組のキャラクターの描かれた上下セットの洋服たちのほとんどはタグがついたまま一回も着られた形跡がなく吊るされていた。 「これは?」 「あいつも色々買ってきてはいるんだけど、どれもエマの好みじゃないらしくて、洗濯してはあのワンピースに着替えちゃうんだ」 事務所のドアがガチャリと開き、両手いっぱいの買い物袋を引っ提げた便利屋が帰宅する。袋に描かれたロゴを見る限り袋は全てアパレルの紙袋だった。 「おう、明日香帰ってきてたのか」 紙袋をテーブルの上に置く。 「ほら、新しい服買ってきてやったぞ」 紙袋から出てくる衣服はクローゼットのものと、どれも代り映えしないレパートリーで、派手なカラーリングでガーリーな子供向けの洋服。これまでの失敗から何も学んでいないようで、これらを着たがらないエマの意思を無視しているのか、それとも単純に彼女の好みに気が付いていないのか、微妙にセンスの悪いゆるキャラが描かれた洋服が山積みになる。 「いや!」 ニコに見せられた洋服から目を逸らし明日香の服の裾をぎゅっと掴むエマ。 その場に似つかわしくない格好で、周りの白い目線にも耐えながら店を周った便利屋の努力も空しく、それらはエマの御眼鏡には適わなかった。 流石に疲れたのかガックリと肩を落としソファにうつ伏せで寝転がる便利屋。大熊猫のドローンだけが彼の努力を認め優しく慰めるように頭を撫でる。 明日香はエマの肩を優しく掴んだ。 「エマ。確かにセンスの悪い服を着るのは嫌かもしれないけど、オジサンが折角買って来てくれてるんだから、あんまりワガママ言っちゃダメよ?」 「……うん」 ママに優しく諭されたエマは大熊猫の真似をして便利屋の頭を撫でる。 「ごめんね」 「いいさ。……今までワガママ言えない環境で育ってきたんだ。このくらいのワガママは聞いてやりてぇだろ」 うつ伏せのまま籠った声で便利屋が言う。まさかそんな優しい言葉が彼の口から出てくるなんて思いもよらなかったと明日香は驚きを隠せなかった。 「じゃあさ、二人で買い物に行ってきなよ」 大熊猫が提案する。 「エマだってここ一週間ずっと家に籠りっきりで詰まんないだろうし、明日香が帰ってんだったらエマも一緒に連れて行ってこの子の好みを聞きながら帰るでしょ?」 「おかいもの!」 大熊猫の提案にエマは反応し満面の笑みを明日香に向けた。 大熊猫のドローンが本体のいる一階のジャンクパーツショップへ行き、彼の白いパーカーを持ってくる。ドローンが器用にエマの着替えを行い、パーカーを彼女に着せる。エマの身長と服のサイズ的に一件ワンピースのように出来なくもないそれに更に黒いキャップを被せた。 「やっぱりある程度顔が隠れるものがないとね」 「いってらっしゃ~い」 ソファにうつ伏せのままエマに手を振る。 「ほら、早く準備しなよ」 ドローンが便利屋の服を引っ張る。 「え? 俺も行くのか?」 「彼女の状況を考えれば、腕の立つ用心棒は必要だろ?」 大熊猫のドローンの奥の本人の顔が目に浮かぶ便利屋は溜め息を吐いて渋々服を着替える。仕事用のスーツ一色から滅多に着ないカジュアルな服装に着替え、アイテムパックを整理する。最低限の装備だけを準備する。 エマにも、じゃあお出掛けの準備をしといてね、と伝えると、ウキウキで鞄にあれやこれやを詰め始めた。 昼が過ぎ、ランチタイムで露店周り離れていた人々がまた買い物に戻り始めた頃、エマを中心に左側に便利屋、右側に明日香と三人手を繋ぎ、繁華街の人混みを歩く後ろ姿はもはや家族のようにしか見えなかった。 ちょっとした買い物なら第壱階層まで上がるまでもなく、第陸階層でも事足りるのだが少し背伸びを、より良い物を買おうとするなら、やはり少し上階に上がるのが普通だ。第陸階層よりも色々なものが揃っていて尚且つ第壱階層よりも比較的安価な品揃えの店が多い第肆階層まで登り、目的の大柄商業施設に向かった。 ショッピングモールに到着し次第昼食を済ませ、数々のアパレル店を周った。便利屋の知らない女性服ブランドや、便利屋の頭では思いつかない色々なカテゴリの洋服店へ足を運び、エマが気に入った服は片っ端から買って歩いた。 流石普段からお洒落な恰好をしている明日香の選ぶ服装はどれもセンスが良く、エマの雰囲気に合わせながらも少し大人っぽく見せるような服装をチョイスし試着させる。鏡に映るカッコいい自分の姿に大はしゃぎするエマの後ろ姿を眺めていると便利屋の顔にも自然と笑みが零れた。 携帯端末に一通のメールが届く。送り主は大熊猫。 ――赤鬼に見つかった。 ただその一文のみ。だがそれが意味するのは相当深刻な状況だった。 便利屋たちが第肆階層に上るより二時間前。 階層一帯が工場区画に設定されている第rb 壱拾肆階層。清潔感のある白い外壁の長方形の建物が並ぶ製薬の生産工場群の一角。テレビを付ければそのコマーシャルを見ない日はない大手製薬会社『アルバス製薬』の薬品工場裏の旧工場跡地に新設された同じく白一色の研究棟。そこは清廉潔白なアルバス製薬の皮を被った、第二の虚空機関とも言わしめる『カースド』の拠点。 黄色いコンバットジャケットを身に纏った武装した集団が施設の入り口とその周辺を厳重に警備している。ただの製薬会社であれば有り得ない異様な光景だ。 すべてが白で構築された会議室のような部屋に六人の人影が並ぶ。風景に紛れるような白一色の白衣に身を包んだ白髪の老人と、コンバットスーツの上から黄色のMA-1を着込み一本角のあるヘルムを装着したダリルは実体で、残る四名はホログラムのように映し出されている。 「先日駒が一つ潰された」 ホログラムの老人がチェスの駒を一つ握りつぶす。 「リストの新参者と『死穢』によってな……」 「ワタクシたちは貴方にこの両名の抹殺を命じます。無論彼らの危険性はワタクシたちも重々承知しています。ですので可能な限りの支援と最高峰の報酬を用意するわ」 白髪の老人は言葉を発さず、ただホログラムたちの指示に頷き首を垂れる。 ダリルも同じく白髪の老人のやや後方で続いて首を垂れる。 「おぬしにとって『死穢』はかつての仲間の仇ようだな」 「あれは忘れもしねぇ思い出だな」 「新参者も『死穢』はどちらも『DOOMS』だという情報が入っているが、やれそうかね」 「その新参者がどんな奴なのか見当もつかねぇな。ここ最近はリストの確認もしてねぇ」 ホログラムの一人が壁にリストと件の新参者の姿を映し出す。映し出されたリストのページタイトルは『rb 暴虐の嵐』 黒髪で顔の左半分には特徴的なタトゥーが彫られた女性の姿。いつ撮影された写真なのか赤いドレスを着飾った姿がとても美しい。 「中々いい女だな」 「デクスターからの情報によって判明した新しいDOOMSだ。良い機会だ、可能ならば彼女の身体を調べ上げたい。もし彼女を生きて連れてくることが出来たら、その時は儂が報酬を上乗せしよう」 「尿漏れジジィの趣味に付き合うのは癪だが、金が払われるなら引き受けよう。……先に俺が楽しんじゃってもいいか?」 「あくまで我々が欲しいのは彼女の器だ」 「……では、ここで言っておきたいことがなければ、あとはホワイトに一任する。何か問題があれば、すぐに我々に報告しなさい」 「かしこまりました」 ホワイトとダリルを残し他の四人が席を立つろ、ホログラム化された姿が消え照明の一切も消灯。室内に二人だけが残される。ホワイトの車椅子をダリルが押しながら会議室を抜けると、またしても白一色の長い廊下が二人を迎えた。 長い廊下を抜けると吹き抜けの広いフロアに出る。円形状のフロアは各方面に道や階段、エスカレーターが続いており多くの人が行き交っている。白衣の研究者と思しき人物や、ダリルと同じ警備員と思われる黄色いジャケットの男たち、バーコードの記された患者服を着た幼い子供たち。その誰もがすれ違うホワイトに一礼していく。 「これまであの女はDOOMSとして名前が挙がってこなかった、力を完全に制御しているのかもしれん」 「大抵のDOOMSは命の危機に曝されれば自然とDFが表面化するが、そうじゃないとなると制御してる説が濃厚だな」 「奴の力は未知数じゃ……必要なものがあれば遠慮なく申せ、今回はローゼンフロウ協力のもとの仕事だ。いつもより贅沢が出来るぞ」 「そいつはありがたい話だ」 ホワイトを研究室まで送り届けると、そのまま研究所内でダリル及びそのグループに分け与えられたガレージに戻るとダリルと同じスタイルの格好をした角の無いヘルムの仲間たちが待機していた。任務の内容をメンバーに伝えると各々が装備品のチェックを始める。いつもの任務より厳重なチェックを行い、銃の予備弾倉や手榴弾類の小物もきっちり揃えていく。それらを全て一つの箱型の大きな鞄に収納し、トラックに積み込む。車に搭載されたマップに目的地を入力すると、トラックは全自動運転に切り替わり、目的地を目指して仲間たちに厳重に警備された搬入ゲートを抜け走り出した。 時は戻り、便利屋が第肆階層に上った頃。 下階の大熊猫のジャンクパーツショップに来客があった。その来客はジャンク品を眺める他の客とは違い、あまりにもその場に相応しくない割烹着を着、出前箱を手に店のカウンターの前に立った。 カウンター内の椅子で体育座りをしている金髪の少年が爪を噛みながら、カウンター前に立つ男を見上げる。 「どうしたの料理長、出前は頼んでないけど?」 料理長と呼ばれたその男の腰巻きにはジャンクパーツショップの斜向かいにある中華料理店のマークが描かれていた。出前箱にもそれらしい龍のイラストが書かれており、中からも中華料理らしい少し辛そうな匂いが漂っていた。 「マー坊からの少し早い節分のお誘いだ」 「節分? 早すぎじゃない? せめてクリスマスプレゼントとかにしようよ」 出前箱の中からは唐辛子や香辛料で煮詰められ真っ赤になった豆が皿いっぱいに盛られて入っていた。なにこれ、と出前箱から一応受け取ると皿の下から何十にも折り畳まれた数枚の紙が落ちる。 紙を開き、内容に目を通すと、伝言と共に何者かの詳細な情報がまとめられた資料が出てきた。 ――赤鬼が来る。鬼は外、福は内。 資料にはかつて『赤鬼』の異名で知られていた稀代の傭兵ダリルの情報がまとめられていた。 ――赤鬼に見つかった。 その一文を確認すると便利屋は血相を変えて店内を見渡した。ふとした間に明日香とエマを見失った。どこだ、どこだと辺りを探し回っていると、何者かに肩を叩かれた。 「よう、ルツ。元気そうだな」 聞き覚えのある声。振り返ると、鬼のような一本の角、丸く兜を被ったヒトの頭部を模したようなrb 機械頭。黒いタクティカルシャツに黄色のMA-1の男が立っていた。手には紙袋を提げ、買い物中を装っているが、はっきりと分かる。この男はエマを取り戻しに来たと。 「……そっちこそ、まだ錆びちゃいねぇみたいだな」 「毎日メンテナンスは欠かさないからな、そう簡単に錆はしねぇさ。……少し歩こうか」 カチャ、と背中に銃を突き付けられ、明日香とエマの居る店から離れるように促される。一見、人通りの多い通路で他の客を避けて歩いているように見えるがその間には拳銃が挟まっている。 「便利屋稼業は順調か?」 「体制強化で厳しくなったんで、今はアークスの傍ら仕事をしている」 「そうか、なら今度うちのガレージの掃除も頼もうか」 「その時の依頼料は倍額にしてやるよ」 「まあ、お互い……生きてたらな」 二人の間に沈黙が走る。 「ローレライをカースドに返せ。そうしたら事は丸く収まるぞ」 「はっ。ローレライね、随分立派な名前があったんじゃないの」 「お前の幼女趣味にとやかく言うつもりはないが、」 「幼女趣味はどっちだ。大の大人が寄ってたかって幼気な子供虐めようとしてるのを、はいそうですかって知らんぷりすることは出来ねえってだけの話だ」 「昔の好だ、出来ればお前を殺したくはねえんだよ」 ダリルが引き金に指を掛けるのが背中越しに伝わってくる。 「嘘こけ。殺意が声に現れてるぞ」 「奪い取るしかないか……なぁ!」 引き金を引くと同時に二人の後方で大きな爆発が起こる。銃声は爆発音に掻き消されたが、銃から放たれた弾丸は確実に便利屋の背中を貫き、便利屋はそのまま地面に俯せに倒れた。 衝撃波のあと爆風が一気に吹き抜けショーケースのガラスが割れ、一帯が煙に包まれる。 銃声と爆発音で耳鳴りが止まず薄れた視界の中で状況を確認する。周りには衝撃波によって飛来した瓦礫やガラス片が刺さって怪我をしている人、逃げ惑う人々が見える。被弾した腹部はシャツが真っ赤に染まるほどの血が噴き出ていたが傷は既に塞がっていた。辺りを見渡してもダリルの姿はなく代わりに黄色のMA-1を着た武装した集団が散見された。 感覚を研ぎ澄ませ、あらゆる雑音をシャットアウトして目的の音だけに意識を集中する。 「いやっ!」 エマが何かを拒絶する声が聞こえる。 顔を上げ、目を開き煙で視界の悪い中を走り、声のする方へと向かう。ジャケットの内側から一丁の回転式小銃を取り出しシリンダーに一発ずつ慎重に弾を込める。 「目標を確保。撤収する」 弾を装填したシリンダーを戻し、銃を構える。煙の中で敵の位置をはっきりと目視出来ないなか、便利屋は引き鉄を引く。放たれた銃弾は煙の中を飛び、通信を行っている男の頭部を捉え、額に風穴を開ける。 「正確無比な射撃……死穢か。G、Kをガードしながら即時撤収を」 司令塔と思しき人物の指示でエマを抱えた男ともう一人の足音が遠ざかっていく。更に離れていく二人を守るように周辺の男たちが集結する。続けて一人、二人と銃口から放たれた銃弾がイエロージャケットの隊員を的確に葬る。 音で確認できる範囲でエマを抱えた男たちと目の前にいる男たちで残るは四人。残る銃弾は三発。一発足らない。 時間が経ち、徐々に煙が濃くなってくる。気を失っている明日香をこのまま放置して戦うのはリスクが高い。 「……時間だ」 司令塔が小さな筒のようなものを放り、便利屋の足元にそれが転がる。刹那、目を覆う程の眩しい閃光が一帯を包み込む。 「くっ……!」 閃光に視界を奪われ、焦点が合わなくなる。研ぎ澄まして意識も解け、周囲の雑音が耳に入ってくる。イエロージャケットの足音は周りの音に掻き消され聞こえなくなり、エマの足取りは完全に途絶えてしまった。 「ここまでか……くそっ」 意識を失い倒れる明日香の口元に布を当て、煙を吸わせないように配慮しながらモールを出る。ショッピングモールの前には消防車や救急車が何台も並び、騒ぎを嗅ぎ付けたメディアが爆発後の様子を中継していた。 外から見るショッピングモールは酷い有様になっており、前の大型駐車場も阿鼻叫喚。当然だがそこにイエロージャケットの姿は一人としてなかった。 ジリリリリ。 黒電話のベルが鼓膜を叩く。薄っすらと目を開けるとそこには知らない天井。ゆっくりと感覚が冴えていきコーヒーの香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。 「~~~。~~~~~、~~」 誰かが喋っている声が聞こえてくる。何と言ってるかまでは聞き取れない。身体を覆うタオルケットを剥がして身体を起こすとそこには見覚えのあるドローンが立ち止まっていた。白と黒の装甲の一輪型ドローン。装甲にはマジックペンで様々な落書きが施されている、大熊猫のドローン。 ベッドから降りて声のする方へ歩く。薄く開いたドアの先には見慣れない綺麗に整頓された便利屋のオフィスがあり、便利屋に大熊猫本人と見たことのない女性の三人で忙しなく電話片手にラップトップを動かしていた。 「あらあら、まだ身体起こしちゃダメよ。頭を強く打ってたんだから」 起きた明日香に気が付いた女性がペタペタと身体を触る。 「どう、どこも痛い所とかない?」 「あ、大丈夫です」 「そう、よかった。貴方もコーヒー飲む?」 「じゃあ頂きます」 女性は備え付けキッチンに向かい明日香分のコーヒーを用意する。 記憶がだんだんと鮮明になっていき、その場にいるべき筈の人物の姿がないことに気が付く。何処にもエマの姿が見えない。 明日香は血の気が引きドスドスと足音を立てながら電話中の便利屋の前に立ち胸倉を掴み上げる。 「エマは、エマはどこですか」 「……悪い。あとで掛け直す」 「エマは何処にいるんですか!」 「……まあ、落ち着け。一旦冷静になれ」 はっ、と気が付き掴んでいた襟を離す。便利屋はシャツの襟の皺を正して椅子に座り直す。拳を握りしめ真っすぐな瞳で見つめる明日香の問いに答える。 「見ての通りだ、エマは連れていかれた」 「何故、何故そんなに平気な顔で居られるんですか……」 「連れていかれちまったもんは仕方ない、俺らの不甲斐無さが災いした結果だ」 「くっ!」 明日香は握った拳を振り上げるが、ここで便利屋を殴っても仕方ないと、拳を降ろしハンガーに掛けられたコートを羽織る。 「何処に行く気だ」 「当然です。エマを探しに行きます」 「行く宛てでもあるのか」 「そんなものはありませんよ! でも絶対に見つけ出して見せます」 「連れて行った相手がどんな連中かも知らないのにか」 「……じゃあ、何もせずに黙ってコーヒーを飲んでろって言うんですか!」 バチン。明日香の頬に痛みが走る。キッチンにいた女性が明日香の頬を叩いたのだった。突然のことに言葉が出ない明日香。女性の顔を見るとその顔は明らかに怒っている顔だった。 「ニコが何もしてないみたいに言うのはやめなさい」 「やめろ、アンジェ」 「いや、やめないわ。……自分こそ呑気に寝てただけなんだから、まずはここまで運んでくれたニコにお礼を言うべきでしょ」 「あの、アンジェも明日香さんも一旦落ち着こ?」 大熊猫はアンジェをソファに座らせる。 「……確かに彼女の言う通りでした。ここまで運んでもらってありがとうございます。でも私はここでじっとしている訳にはいきません。今もエマが苦しい想いをしてると思うと胸が、張り裂けそうです。……私は私で奴らを追います」 明日香の言葉に便利屋は何も返さなかった。アンジェは何か言いたそうにしていたがその口を大熊猫が塞ぎ、沈黙が走る。 事務所のドアに手を掛け開こうとすると、反対側から何者かによってドアが引っ張られる。 「うわ、取込み中じゃったかの」 小柄でつなぎを着た老人が手提げ鞄を手に便利屋を訪れた。大方便利屋の依頼人だろうと、老人に道を譲る。 「兄ちゃんの言ってた黄色い服のやつらの話聞き回ってきやしたぜ」 老人の言葉に思わず振り返る。老人は手提げ鞄から地図と付箋が貼られた紙を広げる。 老人の後に続いてパン屋の店員や近くの建築現場の職人などの多くの人々が便利屋を囲むようにして集結し始める。チラシの裏紙に描かれた地図が壁に貼られる。つなぎの老人が書いたというその地図は市販されているものよりも正確な情報が記載されており所々に目撃情報と思われる付箋がびっしりと貼られていた。 「おい、何してる。情報を共有するぞ」 便利屋が明日香を手招く。啖呵を切った手前そのまま飛び出していきたいところだが、先にも言われた通り黄色のジャケットの集団についての情報がなさ過ぎて捜索どころではなかった。明日香は諦めて、便利屋を中心に広がる輪に戻った。 目撃情報を纏めるとイエロージャケットは第24階層に拠点を築いていることが分かった。本来表面上、第20層より下の階層は上層階とはポータルで繋がっておらず、輸送用の巨大エレベーターなどを利用してでないと上がることが出来ないようになっている。しかしあまり知られていないが政府に管理されておらず反政府勢力に管理されているポータルを利用すれば、簡単に上層階へと移動することが可能となっている。加えてポータルの出口は自由に設定できるため、出口は市街地内に無数に存在する。 目撃した老人の話では、第肆階層の地下鉄駅周辺で『最近黄色い服の集団がよく出入りする』という浮浪者からの情報を掴んでいた。他のパン屋の店員や職人たちの話からもイエロージャケットの特徴と一致する容貌の目撃情報がある地点をリストアップする。 ポータルの出現可能地点を予想し、大熊猫が実際に使われた地点を特定、周辺の監視カメラにハッキングを掛け襲撃より少し前の映像を画面に映し並べる。そこには十数人のイエロージャケットたちが光学迷彩装備を着用して、ショッピングモールまで一直線に向かう様子が撮影されていた。 「助かったよ、ここまで詳細に調べてくれるとは思わなかったけど」 「いいんじゃよ、兄ちゃんには世話になってるからの」 「いやほんと助かったよ。……んじゃ今日の報酬です」 机の引き出しから現金をそのまま老人とその他二人に渡すと、三人は便利屋たちにお辞儀をして事務所から出ていく。老人たちそして便利屋たちのあまりの手際のよさに明日香は少々戸惑いを隠せなかった。 「あのニコさん……その、ごめんなさい」 「んや、気にしてないよ」 怒っていた女性を見ると便利屋に謝る姿をドヤ顔で眺めていた。 「そのあなたも申し訳ありませんでした」 「分かってくれればいいのよ。……お互い第一印象は最悪だったかもしれないけど今度は一緒に戦う仲間になるんだし、自己紹介しとくはね。アタシはアンジェ、整備士をしているわ」 「私は明日香と申します。よろしくお願いします」 「ちょっと、そんなに畏まらないでよ」 「まあ明日香さんはともかく、アンジェへの印象は最悪だろうね……それでニコこの後は?」 「地下街と工業地区の情報は今ウィルに確認中だ。アイツから連絡があるまで、明日香に今回の敵を明確に伝えておく必要がある。データベースから情報引っ張り出してくれ」 老人が作った地図を壁から剥がし、壁にラップトップの画面を映し出す。シップでは出生届が出た時点から政府によって個人に関する全ての情報が管理される。当然一般的には公開されることはなく、政府内でも一部の人間にしか閲覧することの出来ない機密として扱われているが、大熊猫には破れないセキュリティは存在せず、この通り簡単に中を覗くことが出来る。 映し出されたのは一人のキャストの情報と写真。写真は恐らく過去に撮影されたもので隣には便利屋の姿が映っていた。兜から伸びる一本の長い角、黄色のMA-1を着たそのダリルという男の姿に明日香は見覚えがあった。 「この人がエマを……」 「他のイエロージャケットはただの雑兵だがダリルは違う。かつてはアークスとして前線にも出ていた男だ、実際に剣を交えた経験があるなら奴の強さについては語らずとも分かるだろう。……奴は報酬さえ支払われればどんな仕事もやり遂げる。決して侮るな」 「はい」 「赤鬼相手になると準備は入念にすませないとね。……アンジェ、明日香さんに渡さなくていいの?」 「私に?」 アンジェはもぞもぞと横長の大きなバッグの中から一本のパルチザンを手渡す。原型はディムパルチザンと全く変わらないが、フォトン刃の形成箇所に何となく違和感を感じる構造をしていた。 「あなたの戦闘映像見せて貰ったんだけど、フォトンの保有量に対して武器側の出力が合ってないと思ってね、同型のものをアンジェに改良してもらったんだ。いつもより強めにフォトンを込めてみて」 大熊猫に言われた通り、いつもより強めにフォトンを流し込むと、赤いフォトンによって通常の倍程度の大きさの刃が形成された。 「アークスの武器って誰でも扱えるように作られてるからリミットが設定されててね、それ以上は出力されないように出来てるんだ。アンジェにはそのリミッターを外してもらったからこれで今まで以上に武器が使いやすくなると思うんだ」 先程よりも多く長い間フォトンを流し込むと刃は形状を変え、柄を包み込むように円錐型に形成されていく。 「これは……すごいですね!」 「アンジェは武器弄りの天才なんだ。あまり褒めると天狗になるから程々にしてね」 「ちょっと、余計なことは言わなくていいわよ」 「ありがとうございます」 「勘違いしないでね、ワタシはダーリンに言われたからそうしただけであなたの為じゃないからね」 「はい、ありがとうございます」 明日香は自分のアイテムパックに貰ったディムパルチザン改を収納する。 「地下街での奴らの動向が分かるまでにはもう少し時間がかかる。それまでにシャワーでも浴びて、戦いに備えてこい」 便利屋は明日香の肩をポンと叩いて再びラップトップの前に戻っていった。 腕の端末を起動して待ち受けで明るい笑顔を見せるエマの写真を眺めながら、絶対に助け出すという意思を固めた。 便利屋からシャワーを借り、浴室で身も心も清め、精神統一で心の準備を済ませ、事務所へと戻ってきた。そこにはもうアンジェや大熊猫の姿はなかった。奥の机に便利屋が突っ伏して寝息を立てる音、時計の秒針が進む音以外に音は無く、いつも騒がしい事務所が静寂に包まれていた。 「もう、こんなとこで寝てたら風邪引きますよ」 奥の部屋のベッドからタオルケットを引っ張り便利屋の肩に掛けてやる。眠る便利屋の表情は至極穏やかで、いつもの彼には見えない程綺麗なものだった。よく見ると意外と長い睫毛や、眼の下にホクロがあるのを見つけたり、耳に沢山ピアス穴が空いてるなど、様々な発見があった。 ふと、便利屋の頬に触れると、何かが身体に流れ込んできた。それは過去にも感じたことのある嫌な感覚。他人のフォトンが流れ込んでくるような気持ちの悪い感覚。それもただのフォトンではない、黒く穢れた死の匂い、ネガフォトンの奔流が明日香の心を攫う。 ――人の飼イ主に手を出すなんて舐めてるのかしラ? 貴女? 暗く深い闇の中、怪しげに艶めく黒い海の中に立たされる明日香。身体は金縛りのように動かず、意識だけが正確に機能していた。背後には何者か、いや何かの気配を感じた。おそらく人ではない何かの気配。 ――それも寝込みヲ襲うなんて卑怯な手を使うのネ 背後から前方に現れたそれは黒く艶やかな液体で形作られた獣の姿。流動的な身体に浮かび上がる赤い宝石のような眼玉。風を受けずとも自然にたなびく鬣はまるで人間の腕のようにも見える。 謎の獣が鼻を明日香の身体に近付け匂いを嗅ぐ。 ――どうも静かだと思ったら、あなた彼ト同じ匂いがするわ、同類ネ 明日香の中の闇が蠢く。殻を突き破って今にも飛び出しそうな勢いに胸が苦しくなる。 ――貴女の中にいるアナタも暴れたくてウズウズしてるようネ ――宿主なら、その子の欲求を叶えてあげるのも貴女の役目ヨ 獣の鬣が、流動的に動く不気味な腕が明日香の胸元に添わされる。鬣の腕が目に見えない何かを引っ張るような動きを見せると、胸に激しい痛みが走る。まるで心臓を握りつぶされてるかのような感覚。吐き気を催すような不快感が頭の中を支配して今にも気を失いそうな感覚。 動かなかった身体が闇に慣れ始め、辛うじて動かせるようになる。腕は依然何かを引っ張り出そうと虚空を強く掴み、その苦痛のあまり膝をつく。腕に抵抗しようと明日香は手を伸ばすが、その獣には触れることが出来ない。 「おい」 痛い、苦しい、誰か助けて。そう強く思った時、聞き慣れた男の声が聞こえた。手首を強く掴まれ意識を声の方に向けられる。目の前には便利屋の姿があり、周囲の風景も真っ暗闇から見慣れた事務所に戻っていた。時計の秒針が進む音を掻き消す様に頭に響く心臓の鼓動。肩で息をするほど呼吸を荒げ、額には汗をかいていた。 「大丈夫か」 思わず膝から崩れ落ち、その場にしゃがみ込む。真冬の寒空に立たされているかのように絶えの無い寒気に襲われ、思わず身を抱える。 過去のトラウマが蘇り、不安に苛まれて肩を震わしていると人の温かみが明日香を包んだ。蹲る明日香の身体を抱擁する便利屋。その身体は狂気的な闇を抱えた人物とは思えないほど暖かく、自然と明日香の不安を溶かしていった。 背後から抱きしめられた状態で少しの時間が経過する。 「落ち着いたか」 「……はい」 「立てそうか?」 「……はい」 脚に力を入れて踏み込むがあまり力が入らない。便利屋が手を差し出すが、その手を握ってしまったらまたあの闇の奔流が流れ込んでくるのではないかという不安で手を握ることが出来なかった。見兼ねた便利屋は脇に腕を通して持ち上げるようにして明日香を立たせた。 心臓の鼓動の音が小さくなっていき、脈も安定し始める。呼吸も整っていき、自然と意識もはっきりする。目の前に心配に顔を覗き込む便利屋の顔があり驚いて思わず二歩三歩と後ろに下がる。 「ん、やっと意識がハッキリしてきたな」 「はい」 「平気か?」 「はい。もう大丈夫です」 ちゃんとした受け答えが出来ることに安心したのか便利屋はキッチンに向かってコーヒーを淹れ始める。 「あのニコさん」 「ん?」 「さっきのアレは」 「……同じだよ。アンタがそこに抱えてる物と」 ダークファルス。深遠なる闇から産み落とされた破滅の偽神。明日香がその内に秘めてる闇と同じものを便利屋も抱えていた。それに何となく気が付いたのはリリーパで敵として初めて対峙した時、彼の力を目の当たりにした時だった。自身が抱えるものとは異なる形質の闇、明確な形を持たず、何処までを広がり続ける広く深い深淵。 「それと……ルツだ」 「え?」 「俺の名前だ。ニコはあくまで……社名みたいなもんだ」 テーブルにコーヒーが置かれる。コーヒーに口を付けながら純粋な疑問をぶつける。 「ルツさん」 「なんだ」 「貴方はどうやって……それを抑え込んでるんですか」 「何も。俺はコイツとの共生を望んだ、それをコイツが受け入れた。ただそれだけだ」 「そんなことで……?」 「そんなことでだ……もしかたらいずれアンタにも分かるときが来るかもな」 大熊猫が特定したポータルを管理していた仲介業者から連絡が入る。この手の連中は顧客の使用用途については言及しないのが業界の暗黙の了解だ。イエロージャケットの襲撃に加担したことなど微塵も知らないだろう。 第弐拾肆階層の一画、多くの製薬工場がある区画とは離れた場所にある、白い外壁の長方形の建物。その敷地内にある旧工場跡地に新設された同じく白一色の塔のような建物が、イエロージャケットが警備する『カースド』の拠点。 普通の製薬会社の工場では考えられないほどの厳重な警備が敷かれているのが大熊猫の友人からの情報提供により判明していた。 戦闘向きではない大熊猫やアンジェは拠点のすぐ近くで待機し、ルツと明日香がエマを取り戻すべく拠点に乗り込む。トラックごと拠点を目視できる距離までポータルで移動する。アンジェはアクセルを踏み込み、みるみるうちにスピードを上げ、正面入り口の固く閉ざされたゲートをぶち抜く勢いで前進していく。 「揺れるよ、捕まって!」 建物を警備するイエロージャケットの制止を完全に無視して前進するトレーラーに発砲するが防弾仕様のトレーラーはものともせず突き進んだ。警備員を巻き込む勢いで隔壁へと突っ込み、隔壁はボロボロと崩れ工場内部にトレーラーが急停止する。 騒ぎを聞きつけたイエロージャケットがトレーラーを囲む姿が車載カメラからトレーラー内部のディスプレイに映し出される。 「ルツ! 絶対にエマちゃん連れて帰んなさいよ!」 「あぁ、そのつもりだ」 トレーラ―のバックドアを蹴り開ける。最初にルツを迎えたのは名も知らない雑兵だった。しかし便利屋は幾許もの銃口を向けられながら感覚を研ぎ澄ませ、辺りを見渡す。 「ったく結構いやがんな……。俺が道を開けるから、アンタはエマを頼む」 言われた通り明日香はルツを置いて先に進む。その背を追いかけようとする傭兵の後ろから弾丸を撃ち込む。そこにいる全ての敵を引き付け明日香をエマの元に向かわせる。 トレーラーを囲む包囲網のおおよその人数を数えると銃に弾を込め包囲網へ突っ込む。まるで全てがスローモーションに見えているように無数に飛び交う銃弾を掻い潜り包囲網に飛び込み、雪崩れ込むイエロージャケットたちの額に確実に穴を開けていく。その眼に躊躇いはなく確実に命を奪うという強い意志が感じられた。銃と同時にナイフや簡易地雷を巧みに操り兵士たちが次々と傭兵たちが死体となり果てていく。アルバス製薬をの清廉潔白なイメージで作られた白一色の工場が徐々に赤く血に染まっていく。 蟻のように巣穴から雪崩れ込む傭兵たちの相手に気を取られていると背中を突き刺されたような痺れに襲われる。背中に撃ち込まれた電極から高圧電流が身体に流れ込み、身体から影が溢れ出す。 「電気と共に強力なフォトンを流し込まれたら、多少なりともDFに影響はあるようだな」 ダリルを先頭としてフォトミニウム合金製の黒いパワードスーツを装着した集団がテーザーガンを構えルツを囲む。ダリルの合図で順番にテーザーガンを撃ち込み電極が背中に、脚に、腕に撃ち込まれ激しい電撃がルツの身体を巡る。全身がバチバチと帯電し、藻掻き苦しむ姿が見て取れる。服の袖口や裾から真っ黒い影のような瘴気が絶え間なく流れ、ダリルたちの足元に淀む。 「アァァ、痛っデェなぁ電気は嫌イなんだよ……」 ルツの声に女性の声が混ざり聞こえる。ダリルの足元の瘴気は別にルツの周囲を漂う瘴気が顔に纏わりつくように集まり、黒い靄]に十三個の赤い宝石のような瞳が浮かびあがる。 パワードスーツの集団がテーザーガンを捨て、アークス製のアサルトライフル、ディオティグリドルを構え一斉射撃を行う。ばら撒いてるようで確実な射撃による弾丸はルツの姿を捉えてはいるが、それがルツに当たることはなかった。払うようにして振った腕から伸びた黒い液状の腕が、銃弾から身体を守る盾のように拡がり、黒い澱みの中に弾丸を沈めて吸収していく。 黒く触手の様に伸びた腕が元の場所に戻ると、鉛の塊となった銃弾を吐き出される。ルツを含むその場の全員の足元には黒く澱んだ沼が広がり、足を捕られる。 「見ない間に随分化け物に近付いちまったみたいだな、ルツ」 イエロージャケットたちの死体が積みあがった研究所前に現れたのはアークス製の振動剣『HFBブレード』を握ったダリルだった。 雑兵相手に使っていたリボルバーを手放すと足元の沼に落ち、飲み込まれていく。すると入れ替わるようにして沼の中から白い鞘の刀が浮き上がり、ルツの手の中に納まる。 「御託はいい。アンタは契約、俺はエマの為に戦う。それだけ分かってれば十分だ」 「つまらん奴だ」 脱力し、だらりと項垂れ、腰を低く強く踏ん張る。地を蹴り一瞬でダリルの懐に潜り込むと下から切り上げ頭の角を折る勢いで斬りかかる。だがダリルも熟練の戦士、瞬時に間に振動剣を挟み、斬り込みを受け止める。 他の追随を許さない剣戟は目にも留まらぬ速さで繰り広げられ、常人はその残像を目で追うのもやっとな程だった。 ルツの刀を弾き上げ、腹部に鋭い蹴りを入れ、ルツの身体が重力に逆らって浮き上がる。人間離れしたキャストの脚力で飛び上がると両手を組んで振り下ろし再度腹部に重い一撃を見舞う。重い一撃が腹に刺さり重力に逆行した身体は地面に突き刺さるように落下し、土煙が巻き上がる。飛び上がったダリルが着地するタイミングを計っていたように土煙の中から黒い影が飛び出し、足元を刈り取らんとする。一閃が煌めき剣圧によって生み出された衝撃波が飛ぶ斬撃となって襲い掛かる。 ダリルは同じく刀で斬撃を相殺し火花を散らす。ぐるりと刀を弄び、鏡面の刀身にお互いの姿を映し出し、息を吐く。 「流石にしんどいな……」 「はは、まだウォーミングアップ程度だぜ? もう疲れちまったか?」 「俺ももう歳かぁ?」 「じゃあ、ここらで退場願えるか」 「冗談抜かせ。だが一人じゃ辛いのも事実だ、ここからは若い衆にも活躍してもらおうか」 「いいねぇ、こっちも『コイツ』が暴れ足りないって言ってきたところだ」 ルツの足元の黒い沼が一帯に広がり水面が小さく波打ちながら揺れる。ルツの足元の沼の中を、何かの背びれがぐるぐると泳ぐ。 足元に潜む未知の存在に息を呑む。ダリルが手を振り上げ合図を送るとテーザーガンを構えていたパワードスーツの集団がダリルと同じ刀に持ちかえ刀身に電流を走らせる。ダリルの前で隊列を成して並び、準備万端の意志を示し、ルツの口が弧を描く。 「さぁ、踊れ――」 「エマぁ!」 明日香の声は届かずエマは深い眠りについていた。 「まったくしつこい奴だ」 エマを物の様に担ぎ上げ去っていった研究服姿の集団にようやく追いついた明日香はエマを担ぐ巨漢の男にすごむ。 「エマを解放しなさい」 「エマ? あぁこのガキのことか、なんだ名前なんか付けて飼い慣らしていたのか?」 巨漢の男は、となりの細身の男にエマを渡すと白衣を脱ぎ捨て強靭な肉体を露わにした。最新のサイバネティックによる鋼で出来た筋肉が体中を覆い、筋繊維のような筋が青く光り輝く。グパッと顎を開き、蒸気を口から排出する動きはおよそ人と言えるものか怪しかった。 「間違ってもらっちゃ困るが、コレは元々俺たちの所有物だ。それを奪ったのはお前たちの方だぜ」 「エマは物じゃない、一人の人間だ」 「これは俺たちが作った武器だ。人間だと? 笑わせてくれるぜ」 おい、と細身に何か合図を出すと細身の男は手に持っていたアタッシュケースからプラグのついたケーブルと端末を取り出し、エマの身体に張り付けていく。それを見た明日香がやめさせようと近付くも立ちはだかる巨漢の男。俊敏な動きで細身の男の背後に回ろうとも明日香を上回る速度で回り込む男。 「ツシマ、3706号の調整を急げ、最終チェックにこの女は丁度いい」 明日香の変異した腕が伸縮し、男の身体を数メートル後方に退かせるほどの重い拳を喰らわせても男は身体の前で腕を交差させ重い一撃を受け止める。 「邪魔をするなぁ!」 「崇高な研究を邪魔しているのは貴様だぁ!」 明日香は地面を蹴って殴りかかる。男もまた拳を突き出し飛びかかる。双方の腕が交差しそれぞれの頬に拳が衝突する。口端から血が出るも、痛みを忘れさせるほどアドレナリンが上昇した二人はそのまま連続で拳を打ち放つ。 千手観音の如く幾許もの腕が具現化したように思える二人の猛攻は周囲の誰をも寄せ付けない衝撃波放っていた。空間そのものが捻じ曲がるような強力な力のぶつかり合い。 「デクスター博士、装置が壊れてしまいます!」 「ちぃっ!」 端末に繋がれた3706号もといエマに視線を移した瞬間を狙った明日香の正拳がデクスターの側腹部を捉え、研究棟の壁にめり込むほどの勢いで吹き飛ばされ、研究棟全体が激しい横揺れに見舞われた。 「ぐはぁっ!」 内蔵をやられたか激しく血を吐き出し倒れるデクスター。明日香の化け物染みた怪力にデクスターの助手、津島は怯えエマの首元にインジェクターを添える。 「来るなぁ!それ以上近付けばこのガキの命は無いぞ」 「どこまでも卑劣な!」 「ま……ま……」 騒ぎに目を醒ましたエマが首に突き付けられたインジェクターに怯えている。 「待っててエマ、今助けるから」 じりっとにじり寄る明日香。 「ぼ、僕はそれ以上近付くなと言ったんだぞ!」 津島はインジェクターをエマの身体に差し何かを注射する。 「う、あ……――――――――!」 声にならないエマの喘鳴は研究棟内に響き渡り地響きを起こした。明日香とデクスターを除き津島を含み、明日香達を取り囲んでいた研究者と傭兵たちが苦しみ出しエマ同様に喘鳴上げる。 「一体何が」 「ローレライのリミッターを解除し、暴走を意図的に引き起こしたのだ」 口端に血を垂らしたデクスターが壁に寄り掛かりながら言った。 「ローレライは元々特定のナノマシンをターゲットとして、細胞に伝播する命令信号を上書きするものだ。だが、3706号は更にその上の段階まで進化した我々の実験の最高到達点なんだぜ……」 ぜぇぜぇと息を切らし、誇らしげに語るデクスター。 「ローレライの進化によってアレは、一定数値以下のフォトン保有量の人間全てに作用してその脊髄や脳を支配し、全身の筋肉に与えられる命令信号を上書きする。こうすることで自身の意思に関係なく身体を意のままに操ることができる。今回貴様らがこうしてコレを奪い返しに来ることは夜叉より事前に聞いていたからな、お前ら用に特別な命令式『ネガフォトンを有する者の強制排除』を組み込んでおいたのだ!」 「どうして、そのことを」 「知られていないとでも思ったか、お前は自分自身が思っている以上に我々の業界では注目を集めた実験対象なんだぜ。ダークファルスを宿しながらも正常な精神を保っている数少ない存在『DOOMS』 なぁ、どうやってその力を押しとどめているんだぁ?」 「黙れ」 「アークスが解明できてない数少ないダークファルスという存在と貴様はどうやって共生している、なあどうやってるんだ!」 科学者としての好奇心が全面に押し出た少年のような無邪気な問いを掛ける口を変異した腕で塞ぐ。 「黙れと言っている」 「ぐはぁっ!」 陥没する壁に更に押し込むように強く叩きつける。ゴキっと嫌な音共に津島の鋼鉄の脊髄が歪に曲がり鯖折りされたような態勢で地面に転がり、壊れたラジオのように、なぁなぁと延々と明日香に語り掛ける。 喉を枯らし喘鳴が聞こえなくなる頃、デクスターや津島を囲んでいた私兵たちが理性を失い、口をだらしなく広げ涎を垂れ流しゾンビのように覚束無い足取りで明日香に接近する。武器を持った兵は武器を振るい、何も持たない兵は無い爪を振るうように掴みかかってきていた。 「くっ!」 前腕に生えた刃のように変形した鋭利な棘を伸ばし鞭のように扱いゾンビの足首を刈り取る。足首を失ったゾンビは痛みを感じている様子はなく傷口で立ち上がったり、地面を這って尚も近付く。眼窩に爛々と輝く瞳の光はヒトのそれではなく獣のそれだった。腕を削ぎ落としても、足を刈り取っても、腹を切断してもなお動くソレには思わず吐き気が込み上げる。 倒しても倒しても復活し襲い掛かってくるゾンビの動きがピタっと止まったかと思えば、再びまた動き出す妙な動きをし始めた。動きが止まった一瞬に首を切断し再起不能にしていく中でエマが己の力に抗い戦ってる姿がゾンビの津波の奥から目に飛び込む。 「エマ!」 腕を伸ばしエマの肩を優しく掴み瞬時に腕を縮め覆いかぶさるように優しくエマの身体を抱擁する。 「大丈夫だから、大丈夫よ」 明日香の腕の中で苦しみながら声にならない喘鳴を叫び暴走する力に抗うエマ。 研究棟の外からもエマの 唄 に反応したゾンビが集結し覆いかぶさる明日香の背中に容赦なく武器を突き立てる。 背中には幾本もの剣が突き立てられ口端から血を流しじっと耐え続ける。 「大丈夫……大丈夫よ」 「ま……ま……」 変異していた腕が人間のそれに戻り、ヒトの温もりがエマの身体を包み込む。 「撃てっ!」 命令と共に明日香中心に覆い尽くすゾンビのような者たちの出来たシェルターの一部が炸裂する。派手に血飛沫を上げ見るも無残な姿になり吹き飛んでいく。地面を揺らすような轟轟とした銃声でゾンビたちは次々と吹き飛ばされ、覆いかぶさっていたゾンビたちが払われる。 何者かの声に振り向くとそこには白いコートのような形状の戦闘服を身に纏った別の集団が明日香達の周りを囲っていた。白いコート集団の垣が割れ、現れた黄緑色の髪の男性は情報参謀本部主席のカスラ、そしてエマに瓜二つの少女だった。 「どうやらギリギリ間に合ったようですね、安心してください、我々はあなた方を助けにきました」 「貴方は六芒均衡の……」 「事態は急を要しますので、我々についてはまた後程」 エマに瓜二つの少女が小走りでエマに駆け寄り、額を撫でる。すーすーと寝息を立て眠るエマに安心したようにエマの手を頬に寄せる。『医療共同体:L.I.F.E.』の腕章を付けた看護官たちが明日香の腕の中からエマの身体を離し担架に乗せ、何かを注射する。 「安心してください、安全な鎮静剤です。貴女の傷も治療しなくては」 三人の女性看護官が明日香を担架に運び眠るエマの横で怪我の治療を始める。 突如現れた情報参謀本部の重鎮と医療共同体の看護官の到着に状況を飲み込めなかった明日香だったが疲労感からか中々思ったことが口に出ない様子だったそれを察してくれたのか、カスラの方から状況の説明を始めてくれた。 「我々もアルバス製薬の裏にカースドが潜んでいる情報は掴んでいました。カースドの研究所に拉致された子供たちの救出作戦が水面下で進行していたのです。貴女たちが研究所を強襲してくれたお蔭で便乗して表立って作戦を進めることが出来ました。あなた方のおかげで捕らえられていた子供たちも既に全員こちらで保護しております」 「この子は、エマは……どうなるんでしょうか……」 「彼女はこのあと医療共同体が有する医療艦に移送され、そこで集中治療を受けさせます。一切の音を遮断する専用の治療室で手術を行います。治療中に《ローレライ》を発動されてしまっては看護官たちの身も危険ですので」 「そこは本当に安全なんでしょうか……」 「私が知る限り他のどの医療機関よりも安全な場所と言えるでしょう」 明日香の簡易治療が看護官がモノメイトを渡す。 モノメイトを吸引していると地響きと共に轟々とした音が近付き、研究棟の入り口を抉り取るように、隔壁が破壊される。 白いコート形状の戦闘服の一団が明日香やエマ、カスラ、看護官たちを爆風から守るように覆い被さる。流れ込む風によってすぐに土煙が晴らされ外の光景が目に飛び込む。 黒く艶やかで不気味な液体が付着したイエロージャケットたちがあちこちに転がり、研究棟周辺の地面は小型の流星群でも落下したのかと疑いたくなるほどボコボコになっていた。中でも一際大きなクレーターの中で凄まじい攻防を繰り広げていたのは、赤鬼と呼ばれたキャストの男と、見たこともない姿の化け物だった。 獣のような四足歩行に特化した身体、胸は裂け刺々しい肋骨が露わになり中で怪しげな光を放ち鼓動する心臓と思わしき物体。人間の腕のように不自然にたなびく鬣、鬣との境界線の分からない頭部には巨大な口が備わっている。烏賊の触腕のような尾を持ち、泥のような流動的な身体の中に浮き上がる赤い宝石のような眼。 ルツに触れた時に、ルツの中の闇で見た不気味な怪物と似た姿。 「ルツさん……?」 明日香の前にカスラが立ち、白いコート集団が隊列を組んでクレーターを囲み、怪物と赤鬼に銃口を向ける。 戦闘に夢中だった双方は周囲の気配に気が付き攻撃の手を止め、クレーターのふちに立つカスラを見上げる。 「ほう、これはこれは……誰かと思えばシュツルム・リヒターの皆様じゃあないか」 余裕げな態度とは裏腹にダリルはかなり消耗した様子で、左腕は肩から先が著しく破損しており中から人間でいう血管に等しいであろうチューブ類が露出した状態となっており、身体のあちこちに傷が目立つ。 「銃口を向ける相手を間違っちゃいないか? 向けるべきはこっちの化け物だろう」 「連邦艦隊刑法66条に基き、貴方を執行する権限が我々にはあります。我々とて無駄な血は流したくありません。武器を捨て投降してください」 ダリル同様に銃口を向けられた化け物は訝し気な視線を周囲一帯に送る。爛々とした赤い眼光に見つめられ、背筋が凍るような感覚がシュツルムリヒターの隊員たちに奔る。 空を仰ぐようにして咆哮を上げ、苦しんでいるようにも聞こえる金切り声が研究施設全域に響き渡る。不愉快な音と共に化け物の身体がドロドロと液状に変化し、中心から人の姿が浮かび上がる。上半身の衣服がボロボロに開けたルツが濁流の中に佇み、濁流は足元の影に吸い込まれていく。 ダリルは依然、残った右手に刀を握りしめ、武器を捨てる素振りは見せない。 「相変わらずアークスってのは生温い考えの奴が多いな。今ここにいる全員、あの世に送ってやってもいいんだぜ?」 「第弐拾玖階層の惨劇》のようにですか?」 《第弐拾玖階層の惨劇》という単語を聞くとダリルはにやりと笑みを溢し、一歩踏み込む。化け物もといルツに向けられていた銃口までもがダリルへと向く。 「二度は言いません。我々の準備出来ていますよ、もとよりそうなる可能性を考慮してきています」 カスラが手を振り上げるとクレーターより更に外の何処からか向けられたポインターがダリルの額に集束する。 シュツルム・リヒターの隊員たちがヘルメットの下で息を呑む。目の前の男にはここにいる全員を葬り去る力とそれを証明する過去があったからだ。風も凪ぎ静寂の中、緊張が走る。 「ダリル、無駄に命を消費するな、遊び足りなかったら獄中でいくらでも付き合ってやるぞ」 ルツの言葉に振り返った瞬間、背中に電極が撃ち込まれダリルの全身に電流が走る。 「確保ー!」 シュツルム・リヒターの隊員が十数人がかりでルツとダリルを取り押さえにかかり、それぞれに手錠と足枷を装着する。荒っぽい装着に暴れるダリルと、うつ伏せで身動きが取れなくなった状態で頭だけを動かし、眉を下げ困ったような笑みを浮かべ明日香を見るルツ。 「ルツさん……」 生産工場の敷地内に続々と集結する救急車と護送車の列。明日香とエマは救急車に、デクスターやダリル、ルツは護送車へと運び込まれた。 発車した救急車の窓から外を見る明日香の目にはアルバス製薬の生産工場と併設された研究棟には警官たちが押し寄せていく後ろ姿が映った。 その後、第2層階の医療施設に運び込まれた明日香たちは適切な治療を受け、安静を言い渡された。エマは情報参謀本部主席カスラの警護のもと医療共同体が所有する隔離病棟艦イルシールへ移送され、体内に埋め込まれた違法ナノマシンと唄の発声器官の摘出手術を行う手筈が整っているらしい。鎮静剤の効果もあってエマは静かに眠ったまま、同じ施設で育った子供たちと共に連れていかれた。 あとから聞いた話によれば、研究施設に居たカースドの構成員とイエロージャケットたちは全員もれなくシュツルム・リヒターによって全員捕縛され、重犯罪者の収容される監獄へ送られたらしいが、研究主任のホワイトと研究員の津島だけは行方が掴めておらず依然逃走中だという。 逃亡中の構成員が研究を邪魔した明日香に復讐に来る可能性を考慮し、一時的な措置として病院の警備にはシュツルム・リヒターが当たることになった。 「貴女の身柄は一度私たち医療共同体が預かります。身の安全が保障されるまでしばらくアークスとしての活動は制限されます。軽い休暇だと思ってこれを機会に身体を休めてください」 医療共同体局員の腕章を付けたの女性がベッドの横に立ち、カスラからの伝言を明日香に渡す。女性の声に耳を傾けつつ窓の外を眺めるとそこにはエマくらいの年齢の子供たちが運動場で楽しそうに走り回る姿が見えた。 「それと、これはカスラ様から明日香さん宛てに預かった書類です」 三冊ものバインダーと紙媒体の書類を渡される。一番上に置かれたバインダーの背表紙には《DOOMS》と銘打たれていた。情報参謀本部が独自に調べ上げたダークファルスの存在だった。アークスでは公表されているダークファルスは【巨躯】【若人】【敗者】【双子】の四体のみとされているが、明日香がそうであるようにその身にダークファルスを宿したアークスというのは少なからず存在していた。 「あの看護師さん、聞いてもいいですか」 「はい、なんでしょうか」 「《DOOMS》って何なんですか?」 看護師は説明した。《DOOMS》とは情報参謀本部やそれと類する機関や企業内で呼ばれるダークファルスを身に宿した人物たちの総称だという。破滅の運命を背負った者達という意味を持つらしい。 アークスにとってダークファルスとは、元来絶対悪として認識してきた倒すべき敵性存在、眷属を率いるダーカーの王。そんなダークファルスを身に宿した人が良き隣人として暮らしていたらどうだろうか、本人の人の良さを幾ら知っていようともその身に秘められた強大な力に人々は不安を隠せないのは必至だろう。故に宿主がアークスであろうと、力を持たない市民だろうが、脅威となるべく芽は摘んでおくのが吉として、密かに監視され続けているのが《DOOMS》と呼ばれる人々だった。 「中でも危険とされている《DOOMS》が貴女もよく知っているあの男なの」 ダークファルス【rb 死穢】 五年前アークスシップ内で顕現が確認されたダークファルスで、宿主はルツ。現状眷属は確認されず、顕現も五年前の一度きりだった。それが昨日二度目の顕現が明日香やカスラたちの前で確認されたのだった。 「噂ではダークファルスとも異質な存在じゃないかって言われてるらしいです。本当の所はどうか分からないんですけど」 「ルツさんは今どこに」 「ごめんなさい、私の口からそれをお伝えすることは出来ないの」 「そうですか」 再び自分の手元のファイルに目を通していくが、DOOMSファイル内に明日香の名は記されていなかった。 (アークスの方にはバレていないようだけど、あのデクスターとかいう奴は私の過去を知っていた……) 二つ目のファイルのタイトルには《第弐拾玖階層の惨劇》と書かれ、カスラがダリルに言った言葉を思い出す。その単語がカスラの口から零れるとダリルは笑みを溢し、シュツルムリヒターの隊員たちは息を呑んだ。ファイルには十五年前当時の新聞記事の他、事件の詳細をまとめた著作の抜粋などがファイリングされていた。15年前、第29階層で発生した凄惨な事件、一つの傭兵部隊がとある研究施設を襲撃し、施設内の人間を虐殺したという事件。公安局の特殊部隊が現場に到着した時点で傭兵部隊は鎮圧されたものの、生存者はたったの五人のみでそれ以外の百人近くの人々が命を落としたという。 事件発生後の公安局の調べにより、そこは虚空機関の関連施設と判明し、研究員が各国の戦争孤児などの身寄りのない子供たちを実験台に非人道的な研究を行っていたことが明白になったという。惨状の中なんとか生き延びた五人の他に、襲撃以前に別施設へ移送されていた一人は後に全員が《DOOMS》としてリストに登録されていることからその研究施設はダークファルスについて独自に研究をしている機関だということが判明したらしかった。虚空機関はこの件については、件の研究施設の暴走行為として関与を否定していたが、二年前の虚空機関総長の一件から再び組織全体の共同研究ではないかと関与が疑われているらしい。 「こういうきな臭い事件の大体に関与してますよね虚空機関って」 「やっぱり二年前のこともありますし、どうもいいイメージはないですよね……あ、もうこんな時間」 三冊目にも目を通そうとした時、明日香の膝上の書類たちが退かされる。 「そろそろ先生の所に検診に行かないといけませんね」 「あ、はい」 三冊目が気になり、サイドテーブルに手を着く時にタイトルだけを確認し看護師のあとに続いた。 タイトルは《ドルグワント石盤》
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部室。俺がそこに飛び込むと、すでに朝比奈さんと長門の姿があった。どうやら事態を察知した長門が 朝比奈さんをここに連れてきたらしい。 「あ、あの……何なんですか? 一体何が……」 終始オロオロしている彼女を見ると、どうやら説明もされていないようだ。一方の長門は黙って外を眺めていたが、 やがて俺の元に駆け寄り、 「事態は把握している」 「ああ、いきなり俺の携帯に電話して来やがった。何が何だかさっぱりわからねえが、やばいことには違いない」 俺はそう言いながら、いらだって頭を掻き上げた。相手の目的――いや、ハルヒと朝比奈さんの命を奪うことは わかっているんだが、ここまでしてどうしてそんなことをしようとしているのかが理解できない。 見たところ、雪山の遭難や以前あった未来人やら古泉と敵対している組織の連中でもなさそうだ。 「あ、あのぅ……一体どうしたんですか?」 おろおろと朝比奈さんが俺に寄ってくる。どうする? 気の弱い朝比奈さんにに言えるような話ではないが、 だからといって当事者に黙っておく訳にもいかない。やはり言うしかないだろう。 「朝比奈さん。落ち着いて聞いてください」 「は、はあ……」 「攻撃予告です。さっき俺の携帯に電話がありました。昨日、地底湖で襲ってきた奴らからです。 ハルヒと朝比奈さんを差し出さなければ、この学校へミサイルを撃ち込むと」 「ひ、ひえっ!」 それを聞いたとたん、涙目になって腰を抜かしてしまう朝比奈さん。無理もないか。 ただ、あの女ボスが【朝比奈みくる】と名乗ったことは黙っておこう。こっちを攪乱することが目的かもしれないからな。 こう話している間にさっきの電話が切れてから5分経過だ。あと5分後には予告通りならミサイルが 俺たちめがけてすっ飛んでくるって事になる。どうすりゃいいんだ。 「長門! いつも頼ってばかりで済まないが、なんとかできないか?」 「…………」 長門はしばらく黙っていたが、やがて少しうつむき加減に、 「この学校全体を攻撃から守ることはできない。介入の度合いが大きすぎる。 この地域設定に不自然な情報操作痕跡を残すことになり、それによるこの惑星に済む有機生命体への影響は計り知れない。 現保有の科学技術では不可能な事象を目撃することになる。さらに、昨日と同様、敵性である有機生命体への反撃も不可。 情報統合思念体は彼らの排除を決して許可しない」 「……今はそんな事を言っている場合じゃないだろうが!」 俺は思わず感情が高ぶり長門の肩をつかんでしまう。だが、そこではっと気がついた。 彼女から出ている感情めいた雰囲気。それはいらだちだった。恐らく彼女の親玉が何らかの制限をかけているのではないか。 そして、その措置に長門自身が納得していない。 俺は頭を抱えて椅子に座り、 「す、すまねえ。長門が悪い訳じゃないってのに……」 「いい。あなたの気持ちは十分に理解できる。今はできることをやるしかない」 「そうだな……。じゃあ、今長門ができることって何だ?」 「……この惑星の有機生命体にわたしが影響を与えないこと。その条件下で何ができるのか今考えている」 長門はそう言うと、いつもの自席にちょこんと座った。 と、俺は時計を確認する――げっ、予定時刻まであと10秒しかねえ。 そして、十秒後、予告時間通り俺の携帯が鳴る。俺はしばらく取るべきかどうか迷ったが、結局通話を開始する。 『時間が過ぎましたが、返事を聞かせてもらいましょうか?』 「…………」 俺は黙って何も言わない――いや、何も言えない。ハルヒと朝比奈さんを差し出せるわけにはいかない。 即刻殺されるのは目に見えている。これが彼女たちを利用して何かをしようとしているなら、 まだ時間稼ぎとして交渉に応じるという選択肢もあるのだろうが。かといって、このまま北高そのものを攻撃されれば、 一体どれだけの被害をこうむるのか。想像もしたくねえ。 『どうしました? 話す気がないというなら交渉拒否として攻撃を開始しますが』 「待て!」 こんなところで打ち切られてたまるか。とにかく何とか時間を…… 「目的は何だ?」 『あなたに言う必要はありません。こちらは目的を粛々と遂行するだけなので』 「……あのな。いきなり昨日襲われたかと思えば、今度は他人を巻き添えにするような攻撃をするってのは、 穏やかじゃない。もっと落ち着いて話せる場を持つべきだ。そうすれば、別の方法も模索できるはず」 『ダメです。時間稼ぎをしようとしても同じ事』 「今ここには朝比奈さんはいるがハルヒはいない! まだ登校していないんだ! 午後になったら来ると言っていたから、せめてあいつが来るまで待ってくれ! これじゃ決めようがない!」 『ならば、そこにいる朝比奈みくるだけでも構いません。返事をどうぞ』 「くっ……」 なんて一方的な交渉だよ。というかこれは交渉じゃなくてただの脅迫だろ。 『迷っているようですね。でも、こちらも時間がありませんので攻撃を開始します。さようなら』 「おい待て!」 俺が制止するのも聞かずにあの女ボス切りやがった。やっぱり最初から交渉なんてする気はねえじゃねえか。 立ち上がり、窓から外を眺める。 どうする? どうすればいい? 長門の力も借りられない。古泉は不在――こんな時にあいつどこに行きやがった。 ハルヒに説明するわけにもいかない。説明しても自分の能力を自覚していない以上、どうにもならない。 苦悩するだけで時間が進んでいく。とにかく教員に話して学校から生徒を避難させるべきだ。 いや無駄だ。おかしな奴と思われて無視されるか、適当な話をでっち上げて説明してもその間にミサイルが飛んでくるかもしれん。 ダメか? もうダメなのか? ふと、長門が俺の方を見つめていることに気がつく。そして、言った。 「一つ手がある」 言葉と一緒に指さした先。それは床に座ってオロオロしている朝比奈さんだった。 ◇◇◇◇ あたしは携帯電話を閉じる。大体の予想通りに結論を出せなかったようだ。まあいい。 「やれやれ、丁寧な言葉遣いは肩がこってたまらない。次からは素で話すことにしよう」 「その方が良いみたいですね」 伍長から返された言葉に違和感を覚え、辺りを見回してみると皆苦笑じみた笑みを浮かべている。 全くそんなに先ほどの言葉遣いがおかしかった言うのか? 「気にする必要はありません。慣れていないだけです」 「そんなことまで言う必要はない」 さすがにむかっ腹が立ったので、キツめな口調でそう言った。さすがにはしゃぎすぎたと自覚したのか、 周りの兵士たち一同の表情が引き締まる。 「……さて」 あたしはすっと立ち上がると、 「作戦を開始する。発射準備開始だ」 「了解しました」 兵士たちが滑車に載せたミサイルの移動を開始する。短距離の地対地ミサイルだ。 威力はさほど大きくはないが、この平和な世界において相手を驚かせるには十分すぎる。 そして、いよいよ発射準備となったとき――あたしは違和感を覚えた。兵士たちに微妙な空気が流れている。 ……大体予想はしていたが。 「諸君、作戦開始前に少し話しておきたいことがある。集合しろ」 あたしの一声で兵士たちはずらっと取り囲むように並んだ。1人1人の表情は変わらない。 だが、この中に明らかに作戦自体に不満を持っているものがいることを感じることは容易だった。 「ヒトラーと呼ばれた男がいたことは知っているな?」 「名前だけなら。それなりの有名人なので。しかし、かなり昔の人物ですが」 答えたのは腹心である伍長だ。彼も納得していない1人のようだ。さっきのミサイル使用云々はごまかしだな。 「その男は確かに一部では優れた技術を持ってはいたが、全体から見れば不安ばかりの軍事力で、 瞬く間に周辺国を制圧していった。なぜだと思う?」 「…………」 一同は無言。教育が崩壊したあたしの世界では個人的な趣味でもなければ知らなくて当然だが。 「当時のその世界では塹壕を掘って長期戦、ということが主流だった。だが、その男の国は長期戦など 負担の大きい戦争ができるような国力など持っていなかった。そこで持ち出したのが電撃戦と無差別爆撃。 電撃戦で敵の戦力を叩き、一方で一般市民を含め片っ端から破壊し、相手の戦意を奪っていく。 そうして敵を短期間で屈服させていった」 「しかし、彼は敗北したと聞いていますが」 どこからか飛んできた声。どうやら多少は知っている人間はいるようだな。 「その通り。それらが有効なのは相手を屈服させることまでで、その後の占領統治には大きな傷を残した。 確かに無差別爆撃で敵は屈服したが、一般市民レベルで反抗心が残ってしまった。 皆も経験があるだろうから、その辺りは理解できるだろう?」 あたしの言葉に全員がうなずく。我々も散々敵によってその仕打ちは受けている。 だからこそ、兵士たちはこの作戦に微妙な感情を見せているのかもしれない。 「だが、我々の目標は朝比奈みくると涼宮ハルヒの抹殺にある。この世界の占領などは全く必要ない。 ならば、その手を使わない理由はない。今最もまずいことは、両名がこの世界の人海の中に消えることだ。 時間・戦力・人員の制限のある我々はそれを発見することはまず不可能。できるだけ先にこちらから仕掛け、 我々の前に引きずり出す。それこそが我々の目的を達成することの早道であり、 短期間の戦闘はこの世界への被害を最も小さく押さえることができる。 ――ここであたしは全員を見回し、 「……だらだらと長引く戦乱が人々の心にどれだけの荒廃をもたらすのか、我々はよく理解しているはずだ。 目的を達成しつつ、この世界への負担をできる限り少なくする。平和なここを破壊するのはいささか気が引けるからな」 そう。人心の腐敗、教育の破綻、土地の荒廃……それがどれだけの害悪をもたらすのかあたしはずっと見続けてきた…… あたしの演説じみた話が終わったとき、先ほどまであった兵士たちの間の微妙な空気は無くなっていた。 どうやら理解させられたみたいだ。これでつつがなく作戦を遂行できる。 あたしはばっと手を挙げて、 「おしゃべりはここまでだ。時間はあまり無い。作戦を開始するぞ」 兵士全員の声が飛ぶ―― 「発射準備整いました。いつでも行けます」 腹心の伍長の声。丘に据え付けられるように置かれている地対地ミサイル。 とは言っても、使い方はほとんどロケット弾と同じだが。 「攻撃用意。発射弾数は二つ。目標位置、確認」 目標は涼宮ハルヒ――いや、彼女はいないと言っていたか。朝比奈みくるのいるハイスクールだ。 「目標位置確認完了。間違いありません」 部下からの返事にあたしはうなずく。そして―― 「――発射開始!」 「一番発射――!」 伍長の言葉と同時に地対地ミサイルの一発目が発射された。爆風と熱を立ち上らせ、それは空の彼方へ消えていく―― ◇◇◇◇ 「手ってなんだ!? いや、説明は良い! とっととやってくれ!」 自分でも情けないほどの動揺しているのがわかった。いや、動揺しない方がどうかしている展開だ。 見苦しい云々は勘弁してくれ。 長門はへたり込んでいる朝比奈さんを椅子に座らせると、 「今からあなたに情報操作能力を一部与える。正確に言うと、こちらで限定構成された情報構築体を供与する。 あなたはわたしの指示通りにそれを使えばいい」 「えっ……へええっ!? あたしが長門さんみたいな事するなんて無理ですぅ!」 涙目で首を振る朝比奈さん。確かに明らかに人選ミスだ。なら俺が代わりに―― 「それは無理。あなたへの同様の手法は情報統合思念体によって許可されない。よって不可能。 ただし、朝比奈みくるへの供与は不許可ではない」 「……どうして俺がダメで朝比奈さんは良いんだ?」 「それは違う。朝比奈みくるへの供与は【許可されている】のではなく、【不許可ではない】ということ。 恐らく確認を行えば、朝比奈みくるへの供与も【不許可】とされるだろう。だが、ここではあえて確認はしない。 確認する必要もない」 長門の口調は淡々としていたが、俺にはいらだちがこもっているように感じた。 親玉の命令拒否はできない。だったら、親玉の命令の中の隙を揚げ足取りのように解釈する。 こんな長門は今まで見たことはなかった。 「だが……だったら、古泉ならどうだ!? ここにはいないが今すぐ電話で呼び出すぞ!」 「時間がない。今は1秒でも惜しい。それにもうすでに供与した」 ふっと朝比奈さんの周辺に――何と言えば良いんだ? SF映画でよく登場する空中モニターみたいなものか? そんなものが複数出現してそれぞれが色々メータやら地図やらを表示し始めた。 朝比奈さんはきょろきょろとその空中モニターを見回しながら、 「こ、これ……なんなんですかぁ?」 「今からあなたがこの学校を守る。そうする以外は方法はない」 「む、無理ですっ! そんなこといきなり言われてもできませんっ! 長門さん――長門さんが助けてくれないと……」 「わたしはできるだけの助言を行うだけ。実行するのはあくまでもあなたの役目」 突き放しているわけではないのだろうが、長門の口調は淡々としている。一方の朝比奈さんはやはりオロオロしているだけだ。 先行きが不安どころの状態ではない。 「長門。俺にも説明してくれ。少しでも朝比奈さんのサポートできるようにな」 「わかった」 長門は一つ一つのパネルを指さして説明を始めた。朝比奈さんも涙目ながらもそれに耳を傾ける。 「今、朝比奈みくる自身に敵からの攻撃を迎撃するシステムを組み込んだ。このパネルは補助装置。 どこから敵が攻撃を仕掛けて、その攻撃物質がどこにいるのか、また後何秒後にここに到達するのかを表示する」 「何というか、映画とかに出てくるレーダ施設みたいだな」 「このシステムはこの時代に保有されている技術を元に構築した。簡略化してあるが、基本は同じ。迎撃の方法も同様。 そのため迎撃に失敗する可能性も存在している」 SFと戦争アクション映画がごっちゃまぜな展開だな、おい。 「このシステムはほぼ全自動で動く。モニターに迎撃のタイミングを知らせる。 あなたはそれに従って、自らの意思で引き金を引くだけ」 「簡単そうだな。それなら朝比奈さんでも大丈夫ですよ」 「は、はい……そうです……ね」 空中モニターを眺めながら朝比奈さん。長門は本当にぎりぎりの事をやったようだ。 敵のミサイル攻撃を防ぐ手段を構築したものの、それを長門が実行することができない。 だから、引き金だけはこの中で唯一それの供与が可能である朝比奈さんに渡す。そうすれば、長門ではなく朝比奈さんが 敵の攻撃を迎撃するという行為を行ったと解釈できるって事だ。相当強引だが、長門の親玉を出し抜けるってなら問題ない。 「ならこっちの準備は万端だ。あとは――」 「来た」 長門が指さしたと同時に、モニターが赤く染まった。警報を知らせるような【警告】というメッセージがでかでかと表示される。 この大げさな表示はきっと長門が朝比奈さんにもわかるように長門が改良しているんだろうな。 ――と思いきや空中モニターが一気に消滅する。 「おい! 長門消えちまったぞ!」 「落ち着いて、朝比奈みくるの精神状態が混乱したため、システムの稼働ができなくなっただけ」 「ふ、ふえええ……」 涙ぐむ朝比奈さん。そうか、迎撃システム自体を朝比奈さんに組み込んでいるって事は彼女の精神状態によっては、 その動作が左右されるって事だな。ますます人選ミスだ。 しかし、愚痴を言っても仕方がない。 「朝比奈さん! 落ち着いてください。長門が作ったものだし、サポートもしてくれます。俺も及ばずながら手伝います。 だから、がんばって!」 「は、はいぃぃぃ……」 か細い返事だったが、少し平常心が戻ったらしい。また空中モニターが復帰する。 再び映し出されたそれの一つには北高を中心とした地図が表示されていた。 画面の左端には光点が映し出され、中心に向かって移動している。どうやらそれがミサイルって奴だと直感で理解した。 「この光点が敵の攻撃。これを迎撃する。タイミングは迎撃システムが知らせてくれる。それに従えば良いだけ」 「わっ、わかりましたっ!」 長門のサポートに朝比奈さんなりに気合いを込めたんだろうか、妙に渋い表情に変化させる。だが、 「第2射を確認」 「ま、またですかぁ~!」 朝比奈さんのびっくり仰天な声とともに空中モニターが一瞬かすむが、今度は消えるまでは行かなかった。って二発目かよ。 「大丈夫。迎撃に支障はない。落ち着いて」 長門はモニターを見つめたまま、朝比奈さんの震える肩に手を置いた。 そのまま、数十秒が経過。そして、ミサイルが発射地点から北高までの距離の中間に到達したとき――長門が口を開く。 「ここで迎撃」 「は、はいっ! えっ……と何をすれば良いんでしょうか?」 「迎撃しますって言えばいい。早く時間がない」 「げ、迎撃してくださぁい!」 朝比奈さんが言ったのと同時に、学校全体に衝撃がぶつけられた。窓の外から空を眺めると、 何かが煙と火を噴きながら空を飛んでいく。こりゃ、学校にいる生徒教員全体への影響大だな。 学校から迎撃ミサイルっぽいものが飛んでいくのを目撃すれば、俺だって一生忘れないという自信はあるぞ。 「問題ない。やったのはわたしではなく、朝比奈みくる」 長門の無感動な声。その言い方だとまるで政治家の責任のなすりつけ合い――ああ、そんなバカなことを考えている場合か。 朝比奈さんはびくびくどころか、息切れするように肩を上下させていた。くそ、黙ってみていることしかできないのが歯がゆい。 空中モニターには一発目の敵ミサイルの光点に向かって、北高から発射された迎撃ミサイルの光点が移動を始める。 俺はふと疑問が浮かび、 「で、今長門は何を使ったんだ? 迎撃ミサイルっぽいものが学校から飛んでいったか」 「PAC3。短距離ミサイルを迎撃した実績を持っている。今の状態では最適だと判断した」 「よく知っていたな、そんな軍事兵器」 「コンピュータ研から教えてもらった情報。そっちの分野が趣味の人間から教えてもらった」 あいつら……ある意味純粋無垢な長門に何を教えてやがんだ。他に珍妙な知識を教え込んでいないだろうな? 普段なら抗議の一つでもしておきたいところだが、今はそのおかげで助かったから見逃してやる。 こんな話をしている間に敵ミサイルをこっちの迎撃ミサイルがお迎えだ。もうすぐ衝突する。 「迎撃5秒前」 長門の言葉。もうすぐ――だが、トラブルって言うのはこういうときに起こるもんだ。 「あ、ああ! 二発目が消えて!」 「ロストコンタクトしただけ。今は一発目に集中して」 朝比奈さんの驚く声をたしなめる長門の口調は相当早かった。しかし、それでも間に合わなかった。 空中モニターに表示されていた迎撃ミサイルの光点が消失する。一方の敵ミサイル一発目は健在だ。 ほどなくして消滅していた二発目の方もモニターに再表示された。 俺はそれをのぞき込みながら、 「どうなったんだ!?」 「外れた。迎撃に失敗。迎撃する瞬間に制御が甘くなったことが原因」 「す、すいませんんんんん……」 涙目で謝罪を口にする朝比奈さん。だが、謝るなら後でいい! 「長門もう一回だ! 同じ方法で迎撃できないのか!?」 「距離が近すぎる。至近距離まで引きつけ戦術高エネルギーレーザーで迎撃する」 いきなりSF臭くなったぞ。しかし、近距離でか。北高の生徒はミサイルの爆発を見て何を思うのだろう。 トラウマにならなきゃ良いが。 ――それから数十秒後、敵のミサイル一発目はもう学校目前まで迫っている。教室に位置に寄っては目視できるかもしれない。 そして、長門が再び口を開く。 「今、迎撃して」 「迎撃っ! お願いしまぁすぅ!」 必死な朝比奈さんの声が飛んでから少しして―― さっきのPAC3発射以上の衝撃が校舎を揺るがした。窓がびりびり震え、地震か竜巻でもやってきたみたいだ。 同時にどーんと腹に響く音が鼓膜を貫く。学校に当たったんじゃ――ないよな? 「一発目の迎撃に成功した」 「や、やりましたぁ!」 長門の言葉に、朝比奈さんがかわいらしくガッツポーズをするものの、 「二発目がまだ。集中して」 「あ、すいませんっ!」 そう言ってまた渋い顔に戻った。まだだ。二発目を押さえなければ何の意味もない。しかし、あっさり一発目を落とせたし、 これはうまくいきそうだ。長門様々だな。 と、このタイミングで古泉の野郎が部室に登場だ。 「遅れてすみません! 何かあったみたいです……が?」 言葉の最後が疑問符に変わっているのは、SFモードな朝比奈さんと長門を見てのことだろう。 説明は後でしてやるから黙ってみていてくれ。 長門は朝比奈さんに顔を近づけ、 「二発目はもうすぐそばまで来ている。一発目と同じ方法で迎撃する」 「わ、わかりましたっ!」 すっかり二人の世界だ。ここは黙って見ておくのが賢明だな…… ◇◇◇◇ 一発目が迎撃されたと聞いたとき、あたしは驚きと平静の表裏一体の感情に見舞われた。 TFEIならそのくらい当然と思いつつも、しかしそれをやってのける能力は一体どれだけのものなのかという驚きもある。 『目標の建造物の数キロ手前で爆発しました。ミサイルや対空砲によるものではありません。 明らかに突然空中で爆発しました。手段は不明』 弾着確認のために、目標のいる近くに配置させておいた兵士から連絡が入る。 昨日こちらの銃弾を全て防いだ方法か? だが、あまりに距離が遠い。 『今二発目を目視確認しました。一発目が爆発地点を通り過ぎています。何らかの防壁はなさそうですが……』 よくわからない事態だ。ま、迎撃されようがされまいがどちらにしてもこの攻撃でこちらの姿勢を伝えられる。それで十分だ。 ◇◇◇◇ 「迎撃可能距離まで到達。迎撃して」 「げ、迎撃しますっ!」 朝比奈さんの声とともに、俺はまたあの迎撃の衝撃に身構えた……だが、いくら待ってもそれは来ない。 「外れた。再度迎撃」 「わわわかりました! 迎撃してくださいっ!」 どうやら外れたらしい。だが、まだ余裕はある。俺は再度身構えて――だが、やはり迎撃成功の衝撃は来ない。 「また外れた」 長門の声には心なしかいらだちがこもっているように聞こえる。しかし、連続して失敗とは一発目が運が良かっただけか? 「えっええっと……ああ! もうこんな近くに! ど、どうしたら……」 「まだ余裕はある。迎撃して」 長門の冷静な声でまた朝比奈さんは迎撃するが、それも外れてしまった。やばい、もう敵のミサイルは目前だぞ! 「まだ行ける。落ち着いて」 「で、でででも、こんな近くに来て――ああ、どう……どうしたら」 間近に迫る脅威に朝比奈さんは完全にパニックに陥っていた。長門は何とか落ち着かせようとするが、もはや収拾がつかない。 俺も朝比奈さんに駆け寄り、 「落ち着いてください! もう少しだから……!」 「ああ……ダメ! できない! できません! 助けてっ!」 そう朝比奈さんが俺に抱きついてきた。同時に空中モニターが全て消失する。これは……ダメなのか!? あきらめに似た感情が生まれたと思いきや、俺は突然襟首を掴まれ床に押し倒された。俺に抱きついていた朝比奈さんも同様だ。 倒れたショックで閉じていた目を開けると、床に突っ伏している古泉の顔が見え、横には長門も地面に伏せている。 ――そして、轟音とともに部室の窓ガラスが透き飛び、ガラス片の混じった爆風と煙が俺の頭上と飛び越える。 「きゃあああああ!」 朝比奈さんの悲鳴が俺の腹の辺りで起こった。必死に俺に抱きついて鳴き声を上げている。 それから数分間が過ぎ、衝撃と轟音が収まったのを確認してから俺はゆっくりと立ち上がった。 部屋の中は爆風でものが散乱し、飛び散った窓ガラスの破片が散らばっている。 「とりあえず……終わったみたいですね」 古泉も安全だと認識したのか、すっと立ち上がる。長門も同様。だが、朝比奈さんだけは床に倒れ込んだまま、 ひっくひっくとしゃくり上げるだけで動こうとはしなかった。 俺は状況を確認すべく窓から外の様子をのぞいた。学校内は大パニックになり、生徒たちが走り回っている。 教員が数人集まって何か話している姿も見えた。そして、見上げるように頭を上げて――絶句した。 教室のある校舎の最上階の一部が崩壊している。恐らくそこに敵のミサイルが直撃したのだろう。 そして、その周辺の窓は全て破壊され、そこから顔を出した数人の生徒たちが助けを求めていた。 一人は脇に負傷した生徒を抱え、必死に救助を求めている。 「……あ……あ……」 俺は呆然とうめき声を漏らすことしかできなかった―― ◇◇◇◇ ざわめきと悲鳴。助けを求める怒声。狂乱した女子生徒の姿。負傷した友人らしき人物を抱えて走る男子生徒。 「……めちゃくちゃだ」 俺は自分の教室に戻って目の辺りにした光景を目に、呆然とつぶやいた。何だってんだ……何なんだよこれは。 ミサイルは自分の教室とは違う隣の校舎の屋上付近に直撃した。しかし、爆発の衝撃波の直撃を受けて、 教室の窓はことごとく吹き飛び、机や椅子も散乱している。そして、ガラスの破片で傷だらけになったクラスメイト多数が 息も絶え絶えにうずくまっていた。奇跡的に無事な生徒もいたが、ほとんどが混乱状態でまともに話もできない状態だ。 そんな中、見慣れた顔が俺の目にとまる。谷口と国木田だった。 「キョン! 良かった無事だったんだね」 国木田のうれしそうな声。だが、俺はそれに答えられなかった。その脇には大きなガラス片が足に突き刺さり、 多量に出血している谷口がいたからだ。 「おい……谷口! 大丈夫か!? しっかりしろよおい!」 俺は二人の元に駆け寄った。だが、谷口は全く反応せず、ぐったりとしている。 「出血がひどいんだ。でも止め方もわからない。ここで救急車を待っていたら間に合わなくなるかもしれないから、 何とか校舎の外まで運ぶと思う。キョンも手伝って」 「ああ……」 呆然としながらも気を取り直し、谷口を抱えるのに手を貸す。そんな国木田をまねるように周辺の無傷だった生徒たちも、 負傷している生徒たちに手を伸ばし始めていた。 下手なショックを与えると状態が悪化しかねないため、俺たちは慎重にゆっくりと階段を下りる。 「ううっ……」 谷口がうめき声を上げて目を開けた。意識を取り戻したらしい。 「おい……大丈夫か?」 「ああ、身体の感覚が全然ねえけどな……生きてはいるみたいだ……」 俺の呼びかけに弱々しく答える谷口。 「もうちょっとだよ。そうしたら病院に連れて行けるからがんばって」 「情けねえ……わりい」 「気にするな。お前のせいじゃないんだから」 言葉を交わしながら、俺たちはようやく昇降口から外に出て――唖然とした。校舎の周りには同じように 負傷した生徒たちで埋め尽くされていたのだ。まるで大地震でも起きたかのような光景。俺は思わず身震いを起こした。 俺と国木田は空いている場所まで移動し、谷口を地面に寝かせる。くそ、ベッドとは言わないがせめて担架ぐらいには 乗せてやりたい。 谷口は意識がもうろうとしているようで、ぼんやりと口を開く。 「一体……何があったんだよ? キョン、おまえ何か知らないか……?」 谷口の言葉に国木田も同調するように俺に目を向けた。 ――視線の集中。俺はまるで責任を追及されているような感覚に陥った。この二人はあのミサイルの事なんて知らないし、 そんなことなんて考えもしないだろう。だから、これは俺の単なる思いこみだ。そのはずだ。 だが……自責の念がありもしない事実を捏造し、俺を責め立てる。お前のせいだ。お前がやった。 お前が朝比奈みくると涼宮ハルヒを差し出せばこんな事には―― 「違う!」 ……思わず声が出た。突然の叫びに、谷口と国木田の目が丸くなった。俺ははっとバカなことをしたと認識した。 そして、恐る恐る二人の方に目を向ける。 「キョンも混乱しているみたいだ。知っているわけがないよ、谷口」 「すまねえ……変なことをきいちまった……みたいだな……」 俺の叫びに幸い二人は疑問を抱かなかったようだ。助かった……ここで本当に疑いの目を向けられれば 俺はどんな行動を取っていたかわからなかった。 「キョンも他に心配な人がいるでしょ? 探して来なよ。谷口は僕が面倒を見ているからさ」 「……すまない。国木田、谷口を頼む」 そう言って俺はその場から離れた。ごめん、谷口、国木田。ごめん、学校のみんな…… ◇◇◇◇ 俺がSOS団の部室に戻ると、散乱していた部屋はある程度片づけられていた。長門と古泉がやってくれたらしい。 ただ……朝比奈さんは部屋の隅で膝を抱えたまま顔を伏せていた。 「校舎の方はどうでしたか?」 「……思い出したくもない。ひどい有様だった」 古泉の問いかけに、俺は脱力気分に任せて椅子に座り込む。今まで変なことに巻き込まれたことは多々あった。 だが、無関係な人々をこれだけ巻き込んだことは初めてだ。 片づけを終えた古泉が俺のそばに椅子を置き、顔を寄せてくる。 「すみません。機関との連絡を取っていたんですが、まさかこの白昼堂々ミサイルなんていうものを 学校に撃ち込んでくるとは思っていませんでした。完全な失態です。僕がもっと早く部室に駆けつけていれば……」 「別にお前が謝る事じゃねえよ。それに来たからといって阻止できたともかぎらねえしな」 そうだ。古泉も長門も朝比奈さんも悪くない。悪いのはあの不謹慎にも『朝比奈みくる』を名乗った大バカ野郎だ。 関係のない人間が多数いる場所のど真ん中にミサイルを撃ち込むなんて、頭がおかしいとしか思えない。絶対に許せねえ。 俺はしばらく呆然と部室内を見渡す。古泉は深刻な表情で思案しているようだった。長門はじっと外を見つめている。 朝比奈さんはやっぱり部屋の隅で膝を抱えたまま―― はっと気がついた。そして、俺は手で顔を覆う。 何を考えている? 悪いのは攻撃してきた連中だ。当然だろ? だが、敵の攻撃を防げる条件はそろっていたはずだ。 だったら、なぜ防げなかった? 一番当然悪い奴は攻撃してきたあのおかしな連中だが、身近な奴にも原因がいるんじゃないのか? あそこで朝比奈さんがパニックを起こさずにきちんと敵の攻撃を迎撃できていれば…… 「くっ……!」 俺は苦痛で顔がゆがむほどに唇をかむ。 何をバカなこと考えている。 朝比奈さんはよくやった。一発目を見事撃ち落としたじゃないか。二発直撃していれば、これ以上の被害は確実だ。 それに普段の彼女をよく見ろ。そんなことがひょうひょうとできる人じゃない。 最初から人選ミスであることはわかっていたし、それでも朝比奈さんにやってもらうしかなかった。 大体、俺がやっていればできていたとでも言うつもりか? 自意識過剰もいい加減しろ。できるわけがない。失敗していたに決まっている。 そうだ……誰がやってもこの条件下ではできなかった。だから、唯一悪いのは攻撃をしてきた野郎ども…… 「バカな奴だ、俺は。怒りを誰かにぶつけたくなるわ、責任転嫁をしたくなるわ……」 俺のつぶやき。別に誰かに言ったのではなくただの独り言だったんだが、古泉の耳には届いたらしく、 「……仕方ないでしょう。この惨状では」 古泉の返答に俺は答えなかった。しばらく何も考えたくない――せめて気が落ち着くまで…… だが。 あのいかれた連中には俺の神経を逆なでさせることばかりしてきやがった。 唐突になる俺の携帯電話。非通知のそれは明らかにあの女ボスのものだと何の根拠もなく確信した。 俺はしばらく取るべきかどうするか迷っていた。と、古泉が代わりに手を差し出し、 「何なら僕が出ましょうか? 今のあなたには荷が重いでしょう」 自ら交渉役を買って出た。だが、古泉に押しつけるような気にはならなかった。 恐る恐る自らの手で携帯電話を開く。 『こちらからのプレゼントはどうだったかな? 一つは拒絶されたみたいだが』 一方的に浴びせられる声。それは明らかに女ボスのものだったが、口調は先ほどとは異なっていた。 やたらと威圧的で傲慢。バカにしやがって。 俺は嫌みの一つでも言ってやろうと思い、 「さっきとはずいぶん口調が違うんだな。薄汚い本性を見せたと言ったところか?」 『こちらが本来のあたしの口調だ。別にさっきまでと同じでも良かったんだが、部下に笑われてな。 それはそれでおもしろくないから、普段通りに戻したわけだ』 声は女だが口調はまるで男みたいだ。あんな無差別攻撃をやらかす野郎がかわいらしくしゃべったら、 それはそれで殺意が芽生えるだろうが。 『で、返事を聞かせてもらおうか。悠長に交渉などする来はない。朝比奈みくる――そして、涼宮ハルヒをこちらかに引き渡すか。 YESかNOで答えろ。その他の言葉など聞くつもりはない』 俺は声を詰まらせる。やはり交渉の余地はない。こいつは徹底している。よく映画に出てくる悪役のようにおしゃべりが 好きなタイプではなさそうだ。冷酷に仕事をこなす。こういうのがプロなのだろう。 『黙りか? ならば、再度攻撃を行うだけだ。おまえらに我々が本気であると言うことを理解してもらえるまでな。 次は先ほど以上の攻撃を行う。それがどれだけの悲劇を生むか、一度その結果を見ているはずだ』 どうする? 拒否すればまた無差別攻撃を仕掛けてくるだろう。だったら、要求をのむか? バカ言え。ハルヒはわからないが、やつらは朝比奈さんを殺すと明言したんだ。できるわけがない。 どうする……どうする……どうするんだよ。どうすりゃいい!? ――と、ここで突然俺の手から携帯電話が奪われた。見上げれば、古泉の手にそれがある。 そして、古泉は言った。 「わかりました。そちらの要求を飲みましょう」 俺の視界が真っ赤に染まる。頭に血が上り、思考よりも身体が勝手に動いた。全く違和感もなく古泉へ殴りかかろうと…… ばしっと後ろから腕を掴まれる。振り返れば、長門が俺の腕を制止していた。そして、彼女が見せる無表情。 そのサインは、『落ち着いて』。 「しかし、残念ながらあなたたちの攻撃のおかげで学校は大混乱です。勝手に外に出ようとすれば、教員に止められるでしょう。 またこれだけの騒ぎになっている学校の制服をきた人間がのうのうと外を出歩いている姿をさらせば、 どんな人間が見ても違和感を覚えます。よってこちらからあなた達の元に移動するのは不可能ですね」 『ほう。さっきの奴とは違って話がしやすそうだな。確かにこちらからもお前たちのいる場所を監視しているが、 どうやらお前の言うとおり、周辺は大混乱のようだ。外に出ることは簡単ではないという話も理解できる』 古泉が受信音量を上げたおかげで、かすかながら女ボスの声を聞き取れた。 「そうですね。そのためそちらから迎えに来て頂けないでしょうか? 自動車か何かできていただけば、 何とか人目につかずに二人を引き渡せるでしょう」 『二人? 涼宮ハルヒはそこにいないとさっきの奴は言っていたが』 「先ほど登校してきたことを確認してきます。即座に捕獲してそちらに引き渡せるようにするつもりです」 ――そこでしばらく沈黙―― 『……わかった。こちらから出迎えよう。用意ができ次第追って連絡する』 「こちらの申し出を了承して頂き感謝します」 胸くそ悪くなるような口調で古泉が感謝の言葉を述べた。 『一つ確認したい』 「なんでしょうか?」 『さっきの奴とは違い、お前はあっさりとこちらの条件を飲んだ。理由は何だ?』 女ボスからの問いかけに古泉はしばし考える――振りだけして、 「僕にとってはこの学校には、朝比奈みくると涼宮ハルヒ以上に大切な人間がいる。その人を危険にさらしてまで、 二人の命を守るつもりはない。この答えでは不満ですか?」 『……良い答えだ。では、また連絡する。二人をいつでも引き渡せるようにしておけ』 そこで通話終了。俺は即座に古泉に詰め寄り、 「おい。どういうつもりだ? まさかお前本当に――」 「……冗談を言わないでください」 古泉らしからぬドスのきいた声。俺は思わず何も言えなかった。平然といつものスマイルを浮かべているが こいつも内心はらわたが煮えくりかえっているのかもしれない。 だが、またすぐにさわやかスマイルに復帰すると、 「これで時間が稼げました。今の内に学校から離れます。ここでは生徒全員が人質に取られているのと同義ですからね。 機関に車を用意させました。すぐにここを出ましょう」 俺はふと思いつき、 「ハルヒはどうするんだ? まだあいつは来ていないぞ」 「涼宮さんならミサイル着弾の少し後に学校に来ているのを確認しています。もうすぐ部室に来られるかと」 本当に手回しの良い奴だ。今ほど機関っていう組織を感謝したことはないだろう。 古泉はふと長門の方に顔を向けると、 「今の内に何点か確認させてください。攻撃してきた敵についてです。知っている範囲で良いので教えて頂けないでしょうか?」 長門はこくりとうなずくと、口を開き始めた。 「現時点でわたしが把握している情報は少ない。ただ一つだけはっきりしていることがある。 情報統合思念体は今回の一件をこの時間軸よりも未来の人間たちによる抗争だと認識している」 「未来人だと? じゃあ、昨日俺たちをいきなり襲ってきた奴らは朝比奈さんみたいな連中と同じなのか? だが、どうしてハルヒや朝比奈さんを殺そうとする?」 俺の問いかけに長門はしばし沈黙した後、 「彼ら――いや、彼女らは朝比奈みくるとは別の可能性の未来に存在する有機生命体。 そして、それを率いている人物は朝比奈みくるの異時間階層同位体。朝比奈みくるの異時間同位体とは異なる個体」 長門の言葉に俺は絶句するしかなかった…… あの女ボスが未来の朝比奈さん? 一体何がどうなってやがる―― ~~その3へ~~
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…化手術、薬物投与がそれぞれ過去一回ずつ。結果はどちらも成功しています」 (…あれ、誰だっけ?この看護婦さん。チチでけぇ) 「Oh!パイオニア!彼ナラ今回ノ手術ニモ必ズ応エテクレルデショウ!成功ヲ以テ!」 (っせぇハゲだな。…あぁ。またあの夢か) 「はい博士。成功率は30%程となります」 「ワカリマシタ。デハ開始シマス」 (…あれ、なんか体痛くね?あっ、痛い痛い夢なのに痛い!) 「…脳波に異常。代謝機能及び身体値低下。どうやら失敗ですね」 「…科学ノ発展ニ犠牲ハ付キモノデス」 「ええ。道理です博士。 …では、このサンプルは記憶を消去し廃棄処分。以後の被験者リストから除外します。お疲れ様でした」 「後ノ処理ハ任セマース!ゲドー君」 --- 「という夢を見たんだ」 「…こわ!人体実験やないか!」 半年ほど時は過ぎた。小南はタチバナ学園の二年生となり、入学式その他を終えて部室へ向かう。 共に歩む原啓太が、小南が語る生々しい昨夜の悪夢に身震いした。 「前にもおんなじような夢みたんだけど、そん時は「oh!great!」とかぬかしてたから成功だったっぽいんだよ。痛くなかったし」 「…小南もうやめてーや!聞いてるだけで痛いわぁ。 …ちょっとトイレ行ってくる」 原は怖い話に弱かった。小南はネタがあるとまずは彼と矢部に話す。原のマジな反応は見ていて飽きなかった。 「先行ってるよー」 --- 部室に着いてドアに手をかけると、鍵は掛かっていなかった。 「…あれ、誰か来てる」 そのままドアを開けると、見知らぬ女の子が椅子に座っていた。 「…誰あんた?」 小南の声に、群青色の髪を裏で結わえたその子が赤い瞳を彼へ向けた。 「人に名を尋ねる際は、まず自分の名を告げるのが礼儀だろう?」 「おっと失礼嬢ちゃん。俺は小南っていいます」 「誰が嬢ちゃんだ。 私は六道聖。ここの野球部に入ることになった。…どうかよろしく」 彼女はぺこりと頭を下げ、小南も「はいよろしく」とそれに応じた。そして顔を上げ、小南に部室の鍵を渡す。 「みずきからの預かり物だ。「ごっめ~ん!今日遅れる!」だそうだ」 「ああそう?わかった」 そのまま、聖はすたすたと部室を後にした。見たことの無い顔なので、おそらくは新入生だろう。 「…入部するって…、マネージャーかな」 小南は少し考えたが、すぐに彼女を忘れる。みずきと知り合いのようだったので、後で聞けばいい。と、そう考えた。 小南は、この短い部室までの距離を、バッグを持って歩いてきただけで息切れしていた自分に気付かなかった。 気付いたとしても、「やめて半年経ってもタバコの毒は抜けないもんだな」とでも彼は思った事だろう。 そうではなかったのに。 練習の開始から一時間半程が経過した頃、遅れると言っていたみずきがようやく参じる。 彼女の横には、どこかの中学のユニフォームに身を包んだ女の子がいた。紛れも無く、先程部室にいた子だった。 「おせーよみずき。何サボってんの」 「サボりじゃないわよ!てゆーかアンタにだけは言われたくないんだけど!」 「…あー、それもそーだな。 …ところでその子は何者なのさ?確か…、六道輪廻ちゃん?」 自嘲気味に笑んだ小南は、先程みずきに聞こうとしていた事を思い出す。 「六道 聖 だ。失礼な男め」 彼は人の名前を覚えるのが苦手であった。 「…それは御尤で」 「この子新しく入部するのよ。ちょっと早いけど、練習参加させてもいいでしょ?」 みずきが主将に判断を仰ぐ。彼がすぐ快諾すると、みずきと六道は更衣室へと入っていった。 「…あ。キャプテン、みずきらが来たし休憩入れない?」 何かに気付いたそう小南が提案する。区切りが良かった事もあってか、主将はそれに従い各々に休憩を促した。 プロテクタ等とミットを外した小南が、グラウンドの端の方へと歩いてゆく。 向かう先には、今野早矢がいた。いつしかと同じ道を通り、彼女は小南達の練習を見に来たのだった。 「迷わなかった?早矢ちゃん」 「…はい。途中まで、おじさんといっしょでしたから。…はじめてじゃないですし」 「そうか。…で、その手に持ってるのは何?」 早矢は、竹片か藁のような物で織られた大きめの篭を持っていた。 「あ、あの…、みんなで…食べてくれますか」 それには、彼女が作った部員への差し入れ…、和洋様々な菓子が入っていた。 「…すげ、早矢ちゃん作ったの?」 早矢が遠慮がちに頷く。小南はそれを受け取り、部員を呼んだ。飢えた彼等はすぐ集まった。 「俺の友達からの差し入れ。食べていーよ」 そう促すが、部員はそれにすぐ手を付けようとはせず、小南に問いだ。 「…誰や小南?あの子は?友達?ウソ付くなや」 「誰でやんすか!髪サラサラでやんす!可愛いでやんす!人形みたいでやんす!」 原と矢部同時に小南へ詰め寄る。小南は焦り、部員達の視線が一斉に向けられた早矢もたじろ「だ。 「う゛…、パチンコ屋で知り合ったおっさんの姪っ子だよ。俺とは別に何にもないから! …今のところは」 そんな風に小南は必死に弁明するが、部員達の追及はなかなか落ち着かない。 そして部室のドアが開き、着替えを終えたみずきと六道が出て来た。 六道はなんとキャッチャーミットを持っている。 「…む。この匂いは!」 聖が小南に近づき、篭の中身を見る。 「おい、これはどうした」 聖の視線は、その中のおはぎに向けられているようだ。 「あー、俺の知り合いの子が作ってくれた差し入れ。ほれ、あの子」 小南が示した先にいる早矢に聖は視線を向け、彼女の元へ歩み寄った。 「…い、戴いていいか」 一瞬驚いた早矢だったが、目を輝かせる六道に対しそれをすぐ快諾する。 「は、はい。…どうぞ。み、みなさんも、どうぞ」 小南への質問攻めはとりあえず落ち着き、皆が差し入れをつまみ始める。 その隙を突き、小南は部室裏へとそそくさと逃げていった。 --- 「…おはぎなのにこし餡!?つぶ餡はダメか?…しかしこれも悪くないな。どこのを使ってるんだ?まさか餡も自家製か?」 「い、いえ…、パワ堂さんであんこは買いました。あそこのがいちばんおいしいと…思って」 「む…、私も同意だ。なかなか話が合うな。 …だが、もう少し甘い方が私は~」 部員達が差し入れを食べ、聖と早矢がおはぎ談議を繰り広げる中、そこを抜け出す事に成功した小南は、いつものように煙草を吸い始めようとしていた。 だが、とっくの昔に禁煙を誓い、それを遵守し続けている事をすぐに思い出す。 面倒事や都合が悪くなったらここに逃げ込む癖。喫煙はしないまでも、長く続いた習慣は中々変わらないものだ。 「…あーあ。クセが抜けねぇな。そのうち吸っちゃうかも…」 「…小南さん」 「はっ、はい!」 いきなりの後ろからの声に小南は焦ったが、振り向いた先にいた早矢を見て、彼は大きく溜息をついた。 「…早矢ちゃんか。どうかした?六道と話は終わったの?」 「…はい。えっと、小南さんは…食べてくれました?」 早矢は小南の横に腰を下ろし、そう聞いた。 「あぁ…、まだ食べてない。…なんか朝から体調悪くてさ」 そう言った小南は、前言を心の中で撤回する。少なくとも早矢の前では決して吸うまい。彼は改めてそう誓った。 「…そう、ですか」 普段あまり表情を変える事のない早矢だが、小南の答えを聞いた彼女のそれには、明らかに落胆の意が混じっていた。 「…あぁっ、まだあんまり動いてないからだよ!ほら!あ、甘い物だしさ?もう少し動けば食べたくなるよ!」 小南は焦った。 「・・・」 「…ごめん。」 彼は普段、あまり人を気遣わない。ゆえに、しきりに早矢を気にする小南のこの様子は、彼女が小南にとってどれだけ特別かという事を示していた。 「…小南さんに、…つくってきたんですよ…?」 一方の早矢も、普段は他人の為に食べ物を拵る事など殆ど無いし、感想を求めたりなどはしない。 小南に食べてもらっていない事実を悲しがる彼女の様も、小南が早矢にとって他人とは一線を画している事の顕れだった。 「…わかってる」 横にいる早矢の肩に手を回し、小南は彼女を寄せる。 人に触れられるのは決して好きではなかった。今も昔も、そして…これからも。 だが、唯一進んで触れてくる存在となった小南。早矢は、彼に触れられるのが心地良かった。そしてそれがとても嬉しかった。かつては彼から漂ったタバコの残り香すらも愛おしく感じた。 この半年程の月日は、二人の距離をそれだけ縮めていた。 「…泣いてる?早矢ちゃん」 「…泣いてません」 泣いてこそいないが、ほんの少しの強がり。彼女がちょっと拗ねてみせたり、頬を膨れさせたりする唯一無二の相手は彼。 「…もう練習戻るけど、何か一個取っておいてくれたら…嬉しいかな」 「…はい」 顔を上げた早矢はいつもの表情に戻っていた。やや紅潮しているようにも見えるが。 小南はそれに安心し、早矢の頭を撫でる。目を閉じてそれを受け入れる彼女に小南は笑いかけた。 そして彼は練習に戻っていった。 グラウンドの風が、少し強くなっていた。 「シンカーいっくよ!聖!」 「わかった。来い」 「…おっ?」 グラウンドに小南が戻ると、みずきが聖相手に投げ込みをしていた。握りで球種を示し、投げ、聖が余す事なくそれらを補球する。 時たま酷くイレギュラーするも、聖は決して零さなかった。 その度に部員達から感嘆の声が上がった。 「…おぉーすげえ。やるねぇ」 「あんな完璧に捕れんの他に小南位じゃね?」 「いやいや、可愛いぶんこっちが上でやんす」 「あーそれ間違いないわ」 「…たいしたもんだな」 小南も思わず感心する。聖は少なくとも捕球に関しては本当に上手かった。 後に貧打弱肩鈍足である事も明らかとなったが、それでも十分お釣りが来る程だ。 むしろそれがまたカワイイんじゃないか!との意見の方が多いかもしれない。 少なくとも、入部した時の自分よりゃ幾分まともだろう。彼はそう思った。 聖に群れる人の輪を避け、小南は再びブルペンに戻って主将の球を受け始める。ミットに収まった球を主将に投げ返す度に、小南の額からは嫌な汗が滲み出た。 早矢は、一つだけ残したおはぎを大事そうに抱え、ブルペンの横でその様子をただ見守った。 「…ぐっ」 小南が52球目を主将に返した時、同時に苦痛を訴えるかのような声を上げた。それを聞き取った主将が怪訝そうな顔をする。 「…どーかした?小南」 「ん、…なんでもない」 「…?そうか」 小南の否定を受け、その場は何事も無く流され投げ込みは続いた。 それは、さらに20球の後だった。 「…っぐぅっ!!」 同じく球を投げ返そうとした小南は、奇声とも取れる声を発すると共にそれを断念する。 球は地面に零れ落ち、主将がすぐさま小南に駆け寄り、早矢は思わず立ち上がった。 「…おい!?どーした?」 「…肩が…、肩が痛いよ…!」 ミットで右肩を押さえ込む小南。顔は苦痛に歪み、尋常ではない汗を滲ませていた。 「…みずき!加藤先生呼べ!早く!!矢部君!大京!手ぇ貸してくれ!!」 フリー打撃の守備に付いていた二人が、異常に気付いて駆け寄ってくる。その投手を務めていたみずきは校舎へと急いだ。 「…小南さん…?」 早矢はただそこに立ち尽くした。担架で医務室へと運ばれてゆく小南をただ見送る事しか出来なかった。 春風が、地に散った桜の花びらを再び舞い上げる。早矢の髪と共に。 力無く膝を崩した彼女は、春が少しだけ嫌いになった。 --- 「酷いわね…」 聖タチバナの保健医、加藤 理香は、小南の肩を見て溜息と共に率直な意見を漏らした。 小南の右肩は、赤黒く内出血を起こし、左と比較し大きく腫れ上がっていた。 同時に、裂傷にも似た傷が数箇所あり、今にも血が滲んできそうだ。 「(…この傷痕は…、間違い無く博士のメスの痕。この子は被験者…、いえ、被害者だわ)」 「…生?…先生!」 橘みずきの声に、加藤はハッと我に還る。 「はい!…え、ええ。何かしら?みずきさん」 「小南くんの肩は…、小南くんは大丈夫なんですか!?」 然るべき…且つ核心を突くその問いに、加藤は首を縦にも横にも振れなかった。 「…まだ何とも言えないわ。ごめんなさい。色々検査してみないと」 「・・・」 半ば予想された答えに、みずきは俯いた。今にも泣きそうな顔をして。 「…とにかく。彼の事は私達に任せて、あなたは練習にお戻りなさい。…他の部員の子達にも、そう伝えてなだめてあげて。…ね?」 「…はい」 みずきは力無くうなだれたまま、医務室からグラウンドへと戻っていった。 それを見届けて、加藤は再び大きく溜息をつく。そして、鎮痛剤により眠りにつく小南の肩に手を置き、独り呟いた。 「…こんな事…、いつまで続けるのかしらね。あの人達は」 --- 目を醒ました小南は病院にいた。右肩には幾重にも包帯が巻かれており、その上からギブスで固められていた。 「・・・」 包帯の下には、確かな肩の感覚があった。やや熱を帯びている気がするが、不思議と痛みはなかった。麻酔を打たれただけかもしれないが。 「おはよう。小南くん」 いつの間にか、もしくは最初から病室にいた加藤理香が小南に声をかけた。小南は気配を感じなかったが、驚きもしなかった。 「…先生。…どうも」 ぺこりと首だけを動かして挨拶をする。 「具合はどう?痛くはないかしら」 「はぁ…、おかげさまで」 加藤は何やらカルテのような物をテーブルに置き、ベッドの傍の椅子に腰掛ける。 そして長い沈黙が作られ、彼女が重く口を開いた。 「…私の話…、聞くのは怖い?」 小南は外を見ていた。夕日が沈みきる寸前の空は、あまりに綺麗な群青色をしていた。 「いいえ。…つーよりむしろその前置きが怖いすけど」 「…そうね」 互いの返事は短く、間を置かずに加藤は述べ始める。 607 :名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 00 07 41 ID P2QKJmBE まず、小南の肩はもう治らないであろうという事。肘と下半身にも同様の危険がある事。 よって野球を続けるのは不可能である事。 小南は返事も相槌もうたず、ただ外を見ながらそれを聞いていた。結論を聞き終わる頃、ちょうど夕日は水平線の向こうに消えた。 「…あなたの全身は今、切れ込みの入ったゴムのように危険なの。強い負荷がかかれば、いつでも弾け飛ぶ恐れがある」 今まで博士の手術の犠牲となってきた数多の野球少年達が、例外無くそうだったように。 「…だから、野球はもう…」 「言う事はっきり言いますよね。先生って」 小南が加藤の言葉を遮った。 「…あ…」 加藤が、やや申し訳なさそうな顔をする。 「そーいうトコ、嫌いじゃないすよ」 そう言って振り向いた小南は、いつもと変わらない顔をしていた。 「…残念だわ。本当に」 壁掛け時計の秒針だけが、二人きりの部屋に響いた。 「先生」 「…なにかしら」 再び光の消えた外を見ていた小南が加藤を呼ぶ。彼女がすぐにそれに応じた。 「少し、外してもらっていいすかね」 「…ええ」 その短い返事と共に、加藤は部屋を後にする。ドアが静かに閉まった後、小南は天を仰いだ。 --- 「電灯もつけてないのか?」 暗がりで突然響く声。そしてほぼ同時に部屋に明かりが燈った。六道聖がドアの前に立っていた。制服に着替え、手に何か持っている。 「あー…、嬢ちゃんは確か…」 「…六道聖だ。いい加減覚えろ、失礼な奴め」 小南が「ああ」と頷く。 「そうそう六道さん。どうした?練習終わったの?」 聖が表情を変えずに小南に近づき、持っていた物をテーブルに置いた。お中元にでもありそうな、各種パワリンの詰め合わせだった。 「…どしたのコレ」 「みんなで買ったお見舞いだ。入院するかなぞ知らないが、まぁ飲んでくれ」 「…ありがと。キャプテンとかみずきは?」 聖が椅子に腰掛ける。頭の後ろで結ばれた髪の毛の先端がふわふわ揺れた。 「みずきは先輩がやたら心配らしく、ぎゃあぎゃあ騒いでたのでキャプテンが連れ帰った。そしてそれを渡してくれと頼まれた」 安易に想像出来る状況に、思わず小南は苦笑した。 「…じゃあ「あんま心配すんな」っつっといてくれや」 「承る。…では私は帰るぞ」 そう言って聖は立ち上がり、さらに言葉を連ねた。 「治った後は今以上に身体を労り、決して無理はしない事だな。先輩」 そして、ぺこりと頭を垂れ踵を返す。 「六道」 ドアノブに手をかけた所で、小南が聖を呼び止めた。 「なんだ」 聖が振り向く。あまり感情の伺えない赤い瞳が、再び小南に向けられた。 「…おまえ、みずきの球しっかり捕れるか?」 聖の瞳が一瞬大きくなった。 「…?ああ。ほとんど零さないで捕れる…と思うが」 「うちの主将の球は?受けられそう?バカみたく速いけど」 小南がそう続け、聖がやや考えてから答える。 「…おそらくは。今日見た感じでは…だけど」 「ならいいや。…それだけだ。引き止めて悪かったな」 やや不自然な話の終え方が聖は気になったが、深い詮索はせんとした。聞ける程に親しい間柄ではない。 「…昨日今日入部したばかりの私は、多々なるご迷惑をかける事と思う。しかしながら、誠心誠意頑張っていくつもりだ。 同じ捕手の先輩として、指導の御鞭撻の程を…」 「あー。勿論だ」 聖は再び頭を垂れ、部屋を出て行かんとドアノブに手をかける。小南は既に聖を見てはいなかった。 「お…来たな。後は任せるぞ」 よって、聖と入れ代わりで入室してきた者に気付くのが遅れる。元々希薄な彼女の気配も、それに拍車をかけた。 「小南さん…」 彼女は小南の名を呼んだ。虚に窓を見つめる小南は、すぐさまそれに気付く。 今、一番会いたい人の声だった。今の自分を一番知られたくない人だった。先の加藤保健医からの通達。それを知られるのは怖かった。 「…早矢ちゃんか」 取り繕う言葉を思索しつつ、ゆっくりと振り向く。ドアの前に立っているは、他の誰でもない今野早矢。 「…みんなと…一緒に来 小南が紡がんとした言葉は、早矢に抱き着かれた事により途切れた。彼女の髪と匂いがふわりと舞い、小南の視界は遮られる。 「…しんぱい…しんぱいしたんですよ…?小南さん、死んじゃうかもって、わたし…!」 初めて見る、早矢の泣き顔。紫紺の瞳から溢るる涙。嘘偽るための苟且の言葉などは、瞬く間にかき消された。 「…心配かけたかな。うん…、俺は大丈夫。大丈夫だから…」 自分の胸に収まる早矢の頭を撫でると、彼女が顔を上げた。 「…ほんとに?」 「うん。ほんとに」 小南が早矢と知り合って約半年。小南が何かに誘えば彼女は必ず来てくれたし、いつも楽しく笑ってくれた。小南はそれが嬉しかった。 『知り合いの姪と遊ぶ』に過ぎなかった二人の間柄は、ここで明確な終わりを告げる。 唇を重ねてみても、早矢はさほど驚かなかった。ちょっと目をぱちくりさせたが、それだけだった。 「んっ、…ん…ぅ」 物心付くか付かない頃に、母親がしてくれた気がした。極めて親しい間柄の者同士が行う愛情表現。 …もう、これからの私には永劫縁のないもの。半年前まではずっとそう思ってた。この人と知り合うまでは。 唇を離す二人。すると早矢がみるみる顔を赤くし、小南から目を逸らした。 「…ごめんなさい。あの…、なんか恥ずかし…くて」 「…ごめん」 小南が自らのキスを咎めているのかと考えた早矢は、首を横に振り否定した。 そして、俯きかけた小南に向かい今度は早矢からキスを贈った。 「…これで、おあいこ。」 二人の距離が、また縮まった。 (…幸せ者だな。先輩は) ドアを隔てた向こうにいた聖が、一人ぼそりと呟いた。あわよくば小南の怪我の具合でも聞けるかと思い、こっそりと残っていたのだが、すぐに考えを改めた。 「…あまりに不躾だな。帰るか」 実は、早矢をここまで連れて来たのは聖だったりする。なんだかんだで面倒見のいい彼女の性分を知るのは、野球部ではまだみずき一人だけだっだ。 (…またお菓子作ってきてくれないかな…) 早矢が作った和菓子の味が、廊下を歩く聖の脳裏をよぎる。涎を垂らすかと思ったところで、彼女ははっと我に還った。 「…何を考えているんだ、私は」 --- コンコン。とのノックの音に続いて、がちゃりとドアが開く。視界はゼロと言える小南の病室に加藤理香が再び入ってきた。 「起きてるかしら?」 電灯が点いて部屋が照らされ、誰もいない室内が露になる。 「…帰っちゃったか。」 小南の今夜の入院の旨を伝えに来た彼女だったが、半ば予測していたようで、さほど驚きはしなかった。 「…若いっていいわね」 キスはもう初めてじゃない。といってもその初めてはついさっきだけど。 二人きりはとても落ち着く。彼のにおいがいっぱいする。小南さんのにおい。 二人で並んでベッドに座り、私の髪に触ってくれる。小南さんの掌が、髪から首へ。背中からわたしの胸へと回される。 人になんか絶対に触られたくないところ。人込みで触れ合うだけでも嫌。だからわたしは人込みは嫌い。 だけど、私に触れるために伸ばされるこの人の手を、わたしは拒まない。唯一無二の例外。 わたしの小南さん。 …体がむずむずする。息が荒くなる。くすぐったくてすごく恥ずかしい気がする。いや…ではない気もする。 「…万歳して」 「…?こう…ですか」 言われるままに両手をあげたら上着をまとめて脱がされた。上は下着だけ。さすがに恥ずかしい。 わたしの胸はおおきい部類に入るみたい。両の掌であらためて触られて揉まれる。むにゅむにゅと玩ばれる。 「…はッ、あぁ…、んぅ…」 くすぐったいが強くなったみたいな感覚に襲われる。どんどん強くなる。 ベッドに倒されて、腰からお腹にくちづけされた。ちゅっちゅっとエッチな音がたつ。おへそを舌でちろちろとくすぐられる。すごく恥ずかしい。 「…くすぐったい、ですよぅ…。はぁ」 声に出てしまった。けど小南さんの動きは止まらない。 「…早矢ちゃん、すげぇかわいい。色っぽい」 …むしろ、わたしが喋ると小南さんが元気になってく気がする。気のせいかな… 「…肌真っ白だね。雪みたい」 …小南さんは、もっと焼けた肌のほうが好きなのかな…。そう考えたらちょっと悲しくなった。 今日見に行った小南さんの部活に、綺麗な女の人が二人いた。私のお菓子を褒めてくれた人と、私と正反対な…太陽みたいな活発な人。 もっと自分を前に出せたら。と私はずっと願ってきた。こんな私が大嫌いだった。 でも…今はもういいんです。こんな私でも好きになってくれる人はいたから。 「…あ。」 色んな事を考えていたら、いつの間にか上の下着が無くなっていた。わたしの胸が露わになって、小南さんにじっと見られてる。ものすごく恥ずかしい。 「…あ、あの!…あんまり見られるとわたし… 恥ずかしくて死んじゃいます…」 そうお願いして、わたしは顔を覆って視界を絶った。顔から火が出るって思った。 「…あっ!」 胸の先端に、濡れた人の体温を感じた。舐められて、吸われてる。もう片方は指でくりくりされてるみたい。 むず痒くて、くすぐったい。…でもちょっと気持ちいい。恥ずかしすぎて恥ずかしくなくなった。 「…早矢ちゃんのおっぱい」 片方の胸の先からちゅぱちゅぱ音がして、もう片方はまんべんなく揉まれてる。頭がふわふわしてどこかに飛んで行っちゃいそうです… 「…はぁっ、あっん!だめですよぅ…、吸わないでぇ」 小南さんがわたしにくれる感覚は、恥ずかしいけど嫌じゃない。 でもこのままだと、もっと恥ずかしい私の様を見られちゃう気がする。それは少し怖い。 「…はぁ、はぁ…、…ふぇ?」 胸から彼の体温が離れた。恐る恐る目隠しをとってみると、わたしのズボンが脱がされようとしていた。 ベルトが外されて、ボタンも外れて、ファスナーがジーって下ろされる。 「腰浮かせられる?」 「は…い」 結局言われるがままのわたし。おっぱいを隠しながら腰をあげる。 するするとズボンは脱がされて、パンツと靴下だけにされた。我ながらなんて格好だろう。考えるだけでくらくらする。 そして小南さんも服を脱ぐ。上下の上着が無くなると、固く巻かれた右肩の包帯が目についた。どうしたんだろう? 「…肩、だいじょうぶ…ですか」 「…ちょっと、包帯がキツイかな」 彼がははっと笑い、包帯をしゅるしゅると解いてゆく。私は言葉を失った。 そこは、内出血の集まりのように、赤黒く腫れていた。今にも血が滲んできそうだった。 「いたく、ないんですか…?」 「…麻酔されてるみたいでさ。痛くはないよ。少し熱持ってる気がするけど。 でも、手先まで感覚があるから不思議だよね」 そう言って小南さんは指先を開閉してみせる。わたしから見ても、明らかに軽くはない怪我なのに。 …わたしに見られて、痛くないように振る舞ってるとしか思えない。 でもわたしは深くは聞けなかった。 小南さんが、私を起こして抱き寄せる。おっぱいが彼の胸でふにゅっとつぶれた。 「…ふぁ」 おっぱいの先っぽと、キスされる首すじがくすぐったい。小南さんの吐息がすごく近い。 そして、いつの間にか目の前にある彼の右肩。とても痛々しい色。 小南さんの攻めが緩まったので、わたしは彼の肩に舌を這わせてみる。…ちょっと仕返し。 「…うぁっ」 …彼の肩はやっぱり熱かった。他のどの所よりも。くちびるも軽くくっつけて、少しだけ吸ってみた。 「あっ…、…早矢、ちゃん…」 舌でぺろぺろしていると、彼の体にざわざわと鳥肌がたってゆく。同時に、私のお腹の下…小南さんの股間から圧力を感じてくる。何かが盛り上がってくる。 「…ふぁ?」 気になったので口を離して見てみると、彼の下着がテントを張っていた。そしてびくびくとわずかに動いていた。…すごくエッチな気がする。 小南さんが器用に下着を脱ぐ。彼のそれは、反動をつけて反り返った。 すっごくいやらしい形のそれは、小刻みに頭を上下させていた。剥けかけたような皮の先が、何かの汁で塗れていた。 「…わぁ」 後に、これがわたしのあそこに入ってくる…。想像もつかないけど。保健体育で習っただけの知識。なんて役にたたないんだろう。 「…早矢ちゃん…」 小南さんを見上げると、彼もわたしを見ていた。彼の目が「触ってほしい」と言ってる。そんな気がした。 恐る恐る指を伸ばして触れてみると、それはびくんと大きく動いた。…痛かったのかな。 「痛く…ないですか?」 ゆっくりと上手にこすりながらそう聞いてみる。どうやら、気持ちいいらしい。 「…うっ、く…、あ、は…早矢ちゃん、…握ってみて。…っく」 「…は、はい」 小指から順にかけてゆく。握りしめると、それの脈動が掌を通じて生々しく伝わってきた。 「…そのままっ…!…上下に擦って…みて」 言われるままにしゅっしゅとこすってみる。段々と、わたしの体を触られるのより恥ずかしい気がしてきた。 「き、きもち…いいんですか」 彼は答えず、首をわずかに縦に振る。小さく洩れる彼の喘ぎに、わたしは少し嬉しくなった。 「…うっ、あっ、あぁっ、早矢ちゃん…!」 わたしの手の中で、更に固くおっきくなってゆく。先っぽからの液体が、わたしの手に塗れてちゅっちゅっと音を立てた。 「…く、…早矢ちゃん、もう…いいよ」 「わ、わかりました…」 しばらく続けていたら、小南さんから止められた。掌を広げると、粘液がぬちゃっと音を立てた。 「…ひゃっ」 そしてわたしは再びベッドに押し倒される。同時に、わたしの最後の下着がするするとおろされる。 「そ、そこはっ…」 もじもじしてみたけど、たいした抵抗にはならなかった。 恥ずかしい毛を小南さんに見られてしまったと思えば、間を置かずに股を開かれて、もっと恥ずかしい所があらわにされた。 「…イヤっ。…イヤぁっ」 羞恥の余りに涙が出た。このまま見られ続けたらわたしは死ぬだろう。そう思った。 「…あっ!」 毛と入口が何かに撫でられる。体がびくんと震えた。 わたしの股の真上にある小南さんの顔。舌で舐められている。恥ずかしすぎる。 「…ふぁ、あっ、き、きたな…です…っよ、んぅ!はぁ…あっう」 小南さんの舌の動きははっきりと分かった。上下に撫でられ、入口を拡張され、中に押し込まれ、おしりの穴にも触れられる。 「はッ、あ!…っんぁっ!んぅ!ダメぇっ…!」 認めたくない感覚。初めて味わう口での愛撫。例え様のない快感。エッチな声が口から洩れる。 程なくして舌が離れると、恥ずかしさの緩和と淋しさが同時に訪れた。 「はぁ、…はぁっ、ふ…ぁ」 さっきわたしが擦ってた小南さんのあれが、ぐちょぐちょになってしまったあそこに向けられる。 そして、ねばねばとした粘液を纏い、股間同士が触れ合った。 「…入れていい?最初痛いかも」 なんにも考えられなくなったわたしは、頭をただ縦に振った。口から垂れるよだれすらも、気にかけてはいられない。 「んっ…」 体外からの別の体温の進入。熱をもった小南さんの固いものがわたしの中にめり込んでくる。 「…くっ!」 「…んぁ!」 ずぶり、と一気に突き刺された。痛い、痛くて熱い。小南さんのあれの形がはっきりとわかる。小南さんの鼓動が伝わる。 「あ…ぁ…!いっ…痛いよぉ…」 たまらず声に出た。すると小南さんは手を握ってくれて、キスをしてくれた。少しだけ痛みが引いていく気がした。 「ん…む…ぅ」 わたしからも舌を絡めてみる。濃厚でエッチなキスと共に、小南さんが腰を揺すりだす。 「んあっ…、あっ…、あっ!」 出たり入ったりを繰り返され、わたしは恥ずかしい声を漏らす。 「くぅ…、早矢ちゃん…」 小南さんは…気持ちよくなってくれてるみたい。彼の弛緩した顔を見ると、それだけで嬉しくなった。 淡々と繰り返される出し入れの所々で、小南さんはわたしの苦痛を和らげようと色々してくれた。 気持ちいいところを触ってくれたり、髪を撫でてくれたり。 痛みが消えたわけではないけど、それ以外の感覚も生まれた。依存性のある、甘美な感覚。 「早矢ちゃん…、早矢ちゃん!」 そしていつしか、小南さんは出し入れの速度を上げる。小南さんの汗がたくさんわたしに降りかかり、すごく切羽詰まった顔をしていた。 「小…南、さぁん…!」 わたしを呼ぶ声に、声を絞り出して応える。熱い、体が熱い。 終わりが近い事を悟ったわたしは、両手を広げて小南さんに抱擁をねだった。 彼がわたしの頭と背に手を回し、わたしを強く抱きしめてくれた。 もう何も怖くなかった。 「…ああっ…く!」 「ふぁっ…あ…あぁ!?」 わたしの1番深いところで、小南さんの動きは止まる。 逆に、わたしに突き刺さった小南さんのあれはびくびくと動き、わたしの中に何かをたくさん出していた。とても熱い…何か。 麻薬か或いは麻酔か。わたしの傷口を充たしてゆくそれに、わたしは次第に睡んでいった…。 しばらくして目覚めたわたしは、口で綺麗にしてっ」と言う小南さんのお願いを聞く事になった。 ついさっきまでわたしに刺さっていた小南さんのあれを、頬張るように舐めている。歯が当たると痛いらしい。 舌と唇、唾液を使って、細かいところまで浄める。最初、力無く縮んでたこれも、わたしの口の中でいつの間にか再び硬く大きくなっていた。 「はむ…、ん…ぶ、…ん」 「早矢ちゃん…うく…、そのままで…いいから、はぁっ…、聞いてくれる?」 「…ふぇ?」 見上げるわたしに小南さんは笑顔を向けてくれて、撫でてくれる。髪を擽る指はやっぱり気持ちいい。 「あ…、早矢ちゃんゴメン!…くっ!」 「…ん!…んんぅ!」 …苦い。苦くてねばねばしたものがいっぱい口の中に飛び出してきた。わたしは思わず顔をしかめる。 小南さんは、白濁のとろりとしたそれを全て出し切り、わたしの口を拭ってくれる。 「…ゴメンね」 「にがい…ですよぅ。 …きもちよかったですか?」 「…うん。すっごく」 「…えへへ」 でも、ちょっと嬉しかった。 --- 小南がその後早矢に話した事は、嘘偽りの無い自分の現状。野球との決別。 話を聞き終えた早矢は、俯く小南に向けて変わらない笑顔を見せてくれた。 そして「これから、ずっと一緒に」との言葉をくれた。 天を仰いだ小南は、今一度早矢を抱きしめた。 そして、今自分の傍にいてくれる子が早矢であること。それを何かに感謝した。 「おう、橘みずきだな。猫手の選手寮へようこそ。荷物もあることだし、早速部屋に案内しよう」 「は、はい。よろしくお願いしますっ」 今日、私橘みずきはミゾットキャットハンズ(以下猫手)へ入団する。先の甲子園大会及び予選の活躍のお陰か、高校生ドラフトで三位に引っかかる事ができた。 猫手には、女性プロ野球選手の先駆者となった早川あおい選手がいる。彼女に対しては、憧憬心とちょっとした家庭の諸事情で複雑な思いがある。 だけど私にそんな事は関係ない。同じ学校から猪狩カイザースに一位で入団した男と「シリーズで会う」と約束した。 この世界ではい上がってやると誓ったのだから。 「…ここが、今日からあんたが暮らす部屋だ。一年目は引越しはできないからな。 …知ってると思うけど、ウチには今女のプロ野球選手が既にいる。まあ、もうこの寮にはいないけど。 他んとこよりは女の子でも生活しやすくなってるよ」 「…お気遣いありがとうございます。でも私は別に平気ですんで」 「そう?まぁみずきなら平気そーだな。 …あーそうそう。俺がここの寮長だ。よろしくな。何かあったら聞いてくれ」 部屋に案内され、私は多めの荷物を下ろす。さっそく私はそこのアホ男に一つ質問する事にした。 「寮長さん。じゃあ一つ聞いていいですか?」 「おー何だ?」 「…なんであんたがここにいんのよ小南くん!!」 寮長を名乗る小南 要を精神注入棒でみずきはどついた。ベチン!とゴム特有の高い音が響く。 「痛!…何しやがる!寮長に向かって!パワリン三つやんねーぞ!」 「いらないわよ!」 「だーから俺が寮長だからだよ!ここの管理人がいないからって、おめーも知ってるカイザースの寮長に紹介されたの!」 それだけ聞いて、みずきはゴム製凶器を引っ込めた。 「…卒業した後、連絡取れなくなって…、みんな心配してたんだよ?」 「…ああ、悪かったよ」 頭を掻きながら小南は詫びた。 「後でゆっくり聞いてやるから。ほれ、練習でも行ってこいよ。元キャプテンに追い付くんだろ?カイザースの」 「…うん」 小南がパワリンを手渡すと、みずきは荷物からグラブとスパイクを引っ張り出した。 「…ってなんでその事知ってんの!?」 「この前キャプテンとは話したからな」 「私にも言いなさいってぇの!バカ!後でまた来るからね!プリンおごらせてやる!」 みずきは走って室外へと出ていく。練習に向かう彼女の瞳には力強さが宿り、小南は少し安心した。 「…どうかしました?お客さん?」 部屋の奥から、長い髪を後ろで結わえた早矢が出てくる。彼女は今日のみずきの入寮に備え、部屋の掃除と準備をしていた。 「新人だよ。知り合いの。早矢ちゃんもたぶん知ってる奴」 「そう…ですか。…あの、お部屋の準備が終わりました」 「ふぅ」と早矢が袖で汗を拭う。汗をかいた今の彼女は、普段見えないうなじが覗ける髪型のせいもあってかとても新鮮だった。 「…あ、あんまり見ないでください。」 「…可愛いなぁその髪型も」 あの時くれた言葉の通り、小南要の第二の野球人生の傍らにも、ずっと今野早矢はいた。 やっぱりちょっと内気で言葉数の少ない彼女だが、昔よりも良く笑ってくれるようになった。 この若輩者の選手寮長が、早矢の頭を撫でる。その時彼女がくれる笑顔はいつも変わらなかった。 「お疲れ様。早矢ちゃん」 その2
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ある日の夜、スネークは寝床にしているテントで夕食を作っていた。 石を積み上げた台に鍋を置き、中に水を張り沸騰させ、野菜や肉を煮て、味噌で味を着ける。 鍋からイイ匂いが漂い、スネークはよしと声を出して立ち上がる。 テントに入り、お椀と箸を探していると外からスネークを呼ぶ声が聞こえた。 「あ!いたいた。スネーク~!」 部活メンバー達が、ビニールの袋や布で巻いた箱のような物を片手に現れた。 「お前達、どうしたんだ。夜に出歩いても大丈夫なのか?」 「家の人には言って来ました。先生と夕飯食べようと思って、色々持って来たんだよ、だよ☆」 そう言ってレナが布で巻かれた箱をゆらゆらと降る。中身は重箱だろう。 「私は婆っちゃのおはぎを持って来たよ。婆っちゃが、先生に宜しくってさ。食後に食べよっ!」 魅音は紫色の風呂敷を持っている。 「私と梨花は飲み物を持って来ましたわ!」 「スネークの為に泡麦茶も持って来たのですよ。僕と一緒に飲もうなのです。にぱ~☆」 沙都子は両手に麦茶やジュースを、梨花は缶ビールとワインボトルを持っていた。 「梨花ちゃんはお酒飲んだらダメ!!」 レナは梨花を叱り、ビールとワインを取り上げた。梨花は「み~」と悲しそうな顔をしている。 圭一が大きめのビニールシートを敷き始め、テントの前はみるみる内に宴会場と化した。 「圭ちゃんは~?何を持って来たの~?」 魅音は圭一が持って来たビニール袋に手を突っ込んだ。 「ば、ばか!勝手に見るな~!!」 魅音がビニール袋から取り出した物は、……豚骨ショウガ味のカップラーメンだった。 「圭ちゃん……何じゃいコレハ?」 「し、仕方なかったんだよ!?内の親父は仕事で東京に行っちゃうし、母さんは付添いでいないしで、家には食べ物が何もなかったんだよぉ!!」 圭一は四つん這いになり項垂れる。 「かわいそ、かわいそなのです☆」 項垂れる圭一の頭を梨花が撫でて慰めた。 「うおおぉぉ!!」 圭一は悲しみのあまりか、号泣しながら梨花ちゃんに抱き着いた。顔はしっかりと胸元に埋めている。 「み、みーー!!?へ、変態さんなのですー!!」 圭一はすぐに魅音とレナに取り押さえられた。レナは鉈を首筋へ、魅音は圭一の手の甲に釘を押し付けている。 「まったく、圭一さんは困り者ですわね。警察に突き出されてもおかしくないですわよ」 「す、すびませんでした。ゆ、許しで下さい」 「まあまあ、圭一も悪気はなかったようだし、許してやったらどうだ?今日は楽しくやろう。ほら、味噌汁もあるぞ」 スネークは先程出来上がったばかりの鍋を指差した。レナと魅音は、圭一を許したのか武器を下ろす。 「そうだね。圭ちゃんも悪気無かったみたいだし、せっかく夕食だもん。許してやろっか」 そう言ってレナと魅音はビニールシートの上に座り、持参した物を広げ始めた。 沙都子と梨花も座り、紙コップなどにジュースを注いで、夕食の準備を整える。 圭一はえぐえぐ泣きながら、スネークの隣りに座り、殺されるかと思った。と、呟いた。 「あ。スネーク先生、これ装いますね」 「ん、ああ」 レナはスネークが作った味噌汁をお椀に装い、皆に渡して行く。全員に行き渡った処で、魅音が紙コップを片手に立ち上がった。 「え~では。……何に乾杯しようか?あ、そうそう。スネーク先生の就任と、部活メンバーの新しい仲間として迎えた事を祝いまして、私、園崎魅音が乾杯の音頭を取らせて頂きたいと思います。思えば、苦節うん年、私が部活を立ち上げた当時は~」 長いスピーチを始めようというお約束的な冒頭部分の台詞を吐いた処で、まわりからブーブーとブーイングの嵐。 勿論、魅音はそれを狙ってボケたのだろう。 「早く始めろ~なのです☆」 「味噌汁が冷めてしまいますわー☆」 皆も判ってて、わざとらしい野次を飛ばす。 「では改めて、スネーク先生に乾杯ー!!」 『乾杯ー!!』 皆、それぞれ持っていた紙コップのジュースを飲み干す。 「みんな……俺の為にありがとうな……」 スネークは目頭を指で押さえ、俯いてしまった。 「なんだよスネーク。嬉し涙か?」 「ち、違う!目にゴミが入っただけだ!」 そう言ってスネークは缶ビールをぐいっと飲み干した。 「はう~このお味噌汁、野菜やお肉がたっぷり入ってて、とっても美味しいんだよ~☆」 「人参、ジャガ芋、玉葱、栄養面もバッチリでございますわ」 皆、美味しそうに味噌汁を啜る。 「これは今朝、猪を捕まえてな。そいつの肉を使った猪汁なんだ」 「へ~流石はスネーク!サバイバルしてんな~」 圭一はもう味噌汁を食べ終わっていた。 「レナが持って来てくれた弁当はとても上手い。重箱4段に種類も豊富、かなりのボリュームだ」 スネークはレナの弁当に箸を伸ばして、タコさんウィンナーを口に運んだ。 「おほ!レナのはいつもすごいな。唐揚げ、ミニハンバーグ、青椒肉絲、海老チリ、なんでもあるぜ!」 圭一が海老フライを頬張ると、揚げ立てのぱりっとした音がした。 「レナは料理上手だけど作る量が多過ぎて、それが難点だね。作る量を減らすように私が注意しなきゃ重箱10段にはなってたよ」 「はう……そんなに作らないよ~。でも出来たら、あと4段は欲しかったかな、かな」 そう言ってレナは地面と手の平の距離を重箱に見立てた。 「そんなに食べたら、お腹が一杯で動けなくなってしまいますわ!」 「そして、お腹が真ん丸になって動けなくなった沙都子を、レナがお持ち帰りする作戦なのです☆」 「は、はははう~~☆タヌキっ腹の沙都子ちゃんかあいいんだよ!お持ち帰りィ~☆」 「そんなの嫌ですのー!それにタヌキっ腹とはなんですの!?レディに対して失礼でございますことよ!」 ぷいっと横を向いて、膨れっ面をする沙都子を見て、そこにいた全員が笑い転げた。 時間は過ぎ、重箱のおかずも無くなって、魅音が持って来たおはぎをみんなで摘む事にした。甘い物にはと、スネークは皆にお茶を煎れる。 魅音がさてさてと切り出した。 「夏の夜も更けて参りましたし、皆様、お約束の怪談話などに興じてみては如何でしょうか……?」 魅音は懐中電灯の光を顔に照らし、くけけと不気味な笑い顔をする。 ひえっと声を上げ、沙都子が梨花にしがみつく。 「それではどなた様か、先陣を切って下さる方はおりませんか?」 魅音が皆の顔を見回すが誰もが無言であった。 「あれぇ?誰もなにも無いのぉ?おじさん困っちゃうなぁ。梨花ちゃん、何か無い?家の神社で何か起こらないの?」 「みぃ……特に何も起こらないのです。呪われた品物を預かる事はありますですが」 「あ!そういえば梨花ちゃん、私が預けたアレはどうなったのかな?かな……?」 レナが心配そうな面持ちで梨花に聞く。 「何々!?呪われた物?聞かせてよ☆」 魅音が眼を輝かせて身を乗り出す。 「うん。もう半年くらい前の事なんだけど、私がゴミ置場で宝探しをしていたら、カツン……カツン……って何かが近付いてくる音がするの。何だろうと思って、音のする方へ行ってみると……女性の形をしたマネキンが一人でに立って動いていたの……」 魅音は生唾をごくりと飲み込む。圭一も梨花も、レナの話に真剣に聴き入っている。 沙都子は梨花の肩にしがみつき、目を瞑り全身固まっていた。 「裸で、顔の左半分は内側にへこみ、右足の膝関節は前後左右にぐねぐねと動いて、十分に体重を支えていなかった。それでも歩いていたの。 右手には尖った鉄の棒を持っていて、杖のように使ってた」 なにか嫌な気配でも感じたのか、圭一は体をぶるっと震わせた。 「マネキンは私に気付いてこう言ったの……綺麗な服を着せてえぇぇ!!!」 「ぎにゃーーー!!」 レナの台詞に驚いた沙都子は、山に木霊する程叫んだ。 しがみ憑かれれていた梨花は、沙都子の叫びに耳がツンとなったのか、目の焦点が定まらず、二人して後ろにひっくり返った。 「あはははは☆」 レナはその光景を見て満足そうに笑った。 「いや~中々怖い体験だね。それでその後どうなったの?」 魅音は続きが気になるらしい。 「マネキンが鉄の棒で襲い掛かって来たから、持ってた鉈で殴り倒して、首や腕をバラバラにして、梨花ちゃんに預けに行ったの」 「あの時は参ったのです。バラバラになったマネキンがビクビクして、まだ生きがよかったのですよ?」 「ひえ~ひえ~」 沙都子は二人羽織のように梨花の背後から抱き着いている。 「さ、沙都子?食べた物が出てしまうのです……うぷ」 梨花はとても苦しそうだ。 「マネキン、あの後どうなったのかな?かな?」 「三日三晩、動いていたのですがピタっと止まりましたのです。人形には魂が宿ると言われているので、皆も気をつけて下さいなのです」 「以上でレナの話は終わりなんだよ、だよ☆」 「それじゃ、次行ってみよう!誰か無い?人から聞いた話でもいいよ?」 「よし!次は俺の番だ!」 圭一が後ろに手を付く座りから、前のめりに座り直した。 「お!圭ちゃんか、期待してるよ~?」 「これは、俺がまだ雛見沢に越してくる前の話なんだけど……」 当時の事を思い出すように瞼を閉じ、圭一はぽつぽつと語り出した。 いつもの塾の帰り道、圭一はバス停でバスを待っている。 ……八月の暑い夜。時刻は九時を過ぎようとしていた。 ベンチに座り、数学の参考書を読んでいると、バスは程なくしてやって来て圭一の前で停まった。バスが到着する時間にはまだ早い。 おかしいな……と思ったが早く帰りたい気持ちもあり、圭一はそのバスに乗り込んだ。 お話的に、ここから何かが起きると感じ取った沙都子は、梨花の胴体にとぐろ巻きのように回している腕を一段と強く絞めた。 梨花はぐえっと、蛙の鳴き声のような台詞を上げる。 バスの中には運転手以外に、背中の中程まで黒髪を伸ばし、茶色いロングコートを着た女が座っているだけだった。 頭を垂れて、髪が顔を隠していて正確には判らなかったが、まだ20代か30歳位だろう。 女の三つか四つ後ろの席に圭一は座る。 バスが着くまで時間潰しをしようと参考書を読んでいると、勉強の疲れか圭一はウトウトしだした。 急にバスが止まり、その反動で気を取り戻した圭一は、乗り過ごしたのではと思い、窓の外に顔を向けた。 だが、外の景色は見えない。何故なら、窓を遮るように女の顔があったからだ。 そう、さっき圭一の前の席に座っていた女が、隣りに座っていたのだ……。 生きた人間とは思えない青白い顔。鼻は高く、眉はきりっとしていて美人……ではあるが、女には眼がなかった。 眼球をくり抜かれたような黒い空洞から、血が滴り落ちる。血の涙を流しているようだ。女は圭一の腕を掴み、引き寄せた。 「そして女は言ったんだ」 「なにかな…なにかな…!」 レナは怖いのか膝を抱え、眉を八の字にし、上目使いで聞いている。 「お前の眼をよこせぇぇぇぇええ!!!」 「ぎにゃあーーーーーっ!!」 先程の沙都子の反応が面白かったのか、圭一も沙都子を驚かしてみた。 予想以上に驚き、悲鳴を上げた沙都子は、抱きしめていた梨花の胴体をぎゅっと締め上げた。途端に梨花の体から、枝を折るような小気味よい音が響いた。 梨花はその場に倒れ、虚ろな目でうわ言のように…はにゅー、はにゅーと言っている。 「ああ!梨花、大丈夫ですの!?しっかりなさいましっ」 沙都子は梨花を抱き起こし、揺さ振る。梨花は一人で上体を起こし、額の汗を拭った。 「はあはあ。ま、まだ綿流し前に死んでたまるもんですか……」梨花は甦った。 「さ、さあ圭ちゃん、続きを聞かせて!?」 「お、おう……」 梨花に悪い事をした。圭一はそう思いながら話の続きを語り出した。 必死に女の腕を振り払い、運転手に駆け寄って助けを求めた。 だが、運転手も女と同じ空洞の目をこちらに向け、圭一を見る。 「なんだい。ここで降りるのかい?それじゃ……目玉2つ置いていってくれや」 運転手は運賃箱を指差してケタケタと笑い声を上げた。 無我夢中で非常用のレバーを引き、ドアをこじ開けて圭一は全力で走った。 脚が縺れる。恐怖によるものか、そんなに走っていないのに息が上がる。女が追って来ていないか、時々振り返りながらも圭一はがむしゃらに走った。 ふと、見覚えのある公園が視界に入る。圭一は必死に走っていたせいで気が付かなかったが、自宅のある近所まで走って来ていたのだ。 家のある方へ走りながら、ズボンのポケットをまさぐり、鍵を取り出す。自宅に着き、急いで鍵を開けて中に飛び込んだ。騒々しい物音を聞き付け、圭一の母親が居間から現れた。 「どうしたの、そんな血相変えて…」 「バ、バスで……変で……よ、よく判んないんだけど!!」 「ちょっと落ち着いて。汗びっしょりよ。話は後で聞くから、早く上がりなさい」 圭一は靴を脱いで這うように家に上がる。 母親は玄関の鍵を閉めて、振り返った。 「け、圭一!あなたの背中……」 「えっ……?」 玄関の下駄箱の鏡に背中を映す。 白いシャツに無数の赤い手形が着いていた……。 「そのあと警察にも届けたけど、シャツに付いてた手形は人間の血だったらしい。それ以上の事は何も判らなかった……」 圭一はお茶を一口啜り、喉を潤す。お茶は既にぬるくなっていた。 「なんだか口裂け女みたいだね…みたいだね…」 「口裂け女とは、どんな女だ?」 スネークは興味を持ったようで、レナに質問した。 「口裂け女は、整形手術の失敗で口が横に裂けてしまい、ショックで狂人になった女の人なんですよ」 「整形手術で失敗したからって、口は裂けないと思うぞ?テロリストに捕まって虐待されたなら判るが……」 「はう…てろりすと……此処は日本なんだよ…だよ」 レナは胸の前で手を組み、困った表情を見せる。 「さて、次はおじさんが話そうかね!」 「お!次は魅音か、期待してるぜ」 魅音は腕組みをして、口を尖らせた。 「う~んと、あれはまだ私が小学四年の夏休みの時、うちには地下祭具殿ってのがあって、そこの掃除をやらされちゃって……」 その日、魅音は罰として地下祭具殿の掃除をやらされた。園崎家頭首である園崎お魎が大切にしている掛け軸を汚してしまったのである。 祭具殿の鍵束を指でくるくる回しながら、箒を片手に外へ出ると、縁側からお魎に呼び止められた。 「忘れとった。立入禁止の貼紙がある部屋はやらんでいいんね。何があっても開けんでない」 「……?わかったー」 掃除する部屋が減るなら、それはそれで嬉しい。そんな事を思いながら、魅音は歩き出す。 本家から少し歩き、森の奥へ入る。するとすぐに地下祭具殿の扉が見えてきた。 魅音は鍵束から入口の鍵を探り当てると鍵穴へ挿して回し、錠を外す。 扉を開けると、中からひんやりとした空気が外へ拡散した。 魅音は中へ入ることを躊躇った。此処は何人もの人が拷問された地下祭具殿。 拷問死した者は、牢屋内の井戸へと落とされる。 そんな不気味な場所の掃除は気が滅入る処ではない。 ましてや、自分は園崎家次期頭首……死んだ者達が自分を怨んだりしないかと、魅音は不安になった。 魅音は勇気を振り絞り、一段、また一段と階段を下りて行く。階段が終わり、長い廊下を進むとまた扉が現れた。 魅音は扉を開き、手探りで壁のスイッチを押すと天井の電気が灯り、部屋を照らした。 そこはタイル張りの床と御座敷が一緒になっている拷問見物部屋であった。 その部屋を抜けると、広い部屋に拷問具一式と壁際に牢屋がいくつかある。 まずは拷問見物部屋から掃除を始めた。座敷の埃をタイル床へと落とし、水を流す。束子でタイルを擦り、カビや黒ずみの汚れを落とした。 拷問具は手入れが難しく、触らないように言われていたので、放っておく。 次に牢屋部屋へ移り、バケツに水を入れ、雑巾をしぼり、牢屋の格子を拭き始めた。 牢屋の中から拭いていると、閉じ込められるような不安に駆られ、魅音は外から拭いた。 りん、りんりん、りりんりんり……。 最後の牢屋を拭いていると、ふとオルゴールの音色が聞こえてきた。 ねんねん。ころりよ。その音色が奏でるは、子守唄のようだ。 「だ、誰かいるの?」 魅音の声に返答する者はいない。 音のする方へ魅音は歩き出す。牢屋部屋の一番奥にある扉から聞こえてくるようだ。 魅音は扉の鍵を開け、ノブを回した。ふと床に落ちている紙に目が止まった。紙には立入禁止と書かれている。 何があっても開けんでない。魅音の頭の中でお魎の言葉が響いた。 魅音はすぐに開きかけた扉を閉じようとする。が、扉はびくともしない。 オルゴールの音色が一段と高くなる。閉まって。お願いだから閉まって!魅音は心の中で叫びながら扉を押し続ける。 ついっ…。ぺたぺた…。妙な音が聞こえ、魅音は顔を上げた。 扉の端を指が掴んでいた。爪が剥がれたような白い手が、扉の端を掴み、引っ掻く。 その両手の間から、人の頭がゆっくり、段々と現れる。二つの目が、魅音を覗き込んだ。 魅音は扉から手を離し、一目散に出口へ走った。間違いなく、アレは後ろから追い掛けて来ている。 魅音は振り向かずに走った。いや、怖くて振り向けない。階段を駆け上がり、外へと逃れる。 魅音はすぐに鉄扉を閉め、錠を閉めた。その瞬間、どん。と内側から鉄扉を叩くような音と衝撃が響いた。何度も何度も何度も扉を叩く。 「わ、私、なにもしてないよ……来ないでよ!」 魅音は本家へと走った。家の中へ飛び込み、玄関をぴしゃりと閉めた。 全力で走って息が切れるのを深呼吸し、整える。 祭具殿の鍵は閉めた。もう追ってこない。もう大丈夫。大丈夫……。魅音はずっと言葉を反復し、気持ちを落ち着かせた。 「どうしたんね」 「っ!?」 驚いて振り返るとお魎が立っていた。 「なんね、よう汗かいて」 「な、なんでもないよ……そ、掃除終わったよ」 「そうかい……風呂湧いとる。ご苦労さんやったのぉ」 お魎はそれだけ言うと寝室のほうへ戻って行った。魅音は力が抜け、その場にへたり込んだ。 その夜、お魎の処へ魅音がやって来た。 「……婆っちゃ、一緒に寝てもいいかなぁ」 「なんね、怖いんか?しゃもないのぉ」 魅音はお魎の隣に布団を敷き、中へ潜った。しかし、お魎の眠る時間に合わせて布団に入ったが、こんな早くには眠れない。 いつもなら、魅音はまだ遊んでいる時間である。 一時間程経った頃、魅音は体が凍り付くように強張らせる。 ぺた…ぺた…。 誰かが廊下を歩いている。だが、今この家には魅音とお魎しかいない。判っている。魅音はこの足音が人間ではないと判っている。 「……ちゃ……婆っちゃ……婆っちゃ!」 「わあっとる。魅音、言い付けさ守らんかっとね」 「えっ…?」 「祭具殿の奥に入ったっちゅうとるん」 魅音は一瞬息が止まった。全てバレている。そして、あの足音と祭具殿がすぐに結び付くということは、お魎はアレの正体を知っているのであろう。 お魎は布団から出ると数枚のお札を魅音へ手渡した。 「部屋の四方に貼りんしゃい」 言われる間々に魅音は部屋の四隅に貼付ける。お魎は襖越しに語りかけた。 「弥生さんね?……また明日にでも顔出すからのぉ、今日ん処は部屋さ戻りんしゃい」 お魎はそう言うと布団に戻って横になってしまった。 「えっ!?ちょっと婆っちゃ!これからどうすんの!?てか、知り合い!?」 「どうもせん。アレはもう部屋には入ってこれんでな」 「で、でも~まだ襖の外でウロウロしてるよ。気味悪いよ~」 「朝ぁなったら、古手んとこに電話して来てもらったぁよかね」 「り、梨花ちゃんの……?」 お魎はそれだけ言うと口を閉ざした。魅音も仕方なく布団に入ったが、眠れるはずなかった……。 「んで次の日、朝一番に梨花ちゃんのお父さんに来て貰って、なんとか鎮めてくれたみたい。アレが何だったのか、今だに判らない間々だけどね。婆っちゃも話してくれなかったし」 魅音はこれにて一件落着、と膝をぽんと叩いた。 「なぁにが落着だよ。元はといえば魅音が扉を開けなければ、そんな一大事にはならなかったんじゃないか?」 「し、仕方ないじゃん!貼紙に気付かなかったんだから~」 魅音は口を尖らせた。 ふと、圭一は沙都子と梨花が静かなのに気が付き、二人の方へと振り向いた。 「うわぁ!?沙都子!ストップ、ストップ!」 沙都子は梨花の首に抱き着いていた。梨花は呼吸が出来ずに顔を青くしている。 レナがひざ枕をして、梨花を仰向けに寝かせた。 「梨花ちゃん、大丈夫かな!大丈夫かな!?」 「……くっ、これも新しい惨劇の形なのかしら……」 梨花はぶつぶつ言いながら空気を吸い込み、一命を取り留めた。 「さて、次に話してくれる人はいない?沙都子も怖がってないで、何か無いの?」 魅音は沙都子に視線を送る。 「す、好きで怖がっている訳じゃありませんですわ!あ、でもこんな噂を聞いた事がありますわよ。ジャンケンで勝ったら、階段を上れる遊びがありますでしょ?古手神社の階段で、あの遊びをすると自分の足音が一つ多く聞こえるらしいですわ」 「へー、なんだろね。神社の幽霊か、妖怪の仕業?やっぱり神社には何かいるんじゃないのかな~?」 魅音はそう言って、梨花へ振り返った。 梨花はレナにひざ枕されながら、何も無い空間を睨んでいた。その表情は怒っているようでもあり、呆れているようにも見えた。 「ありゃ、梨花ちゃんの家を悪く言うつもりじゃなかったんだ。ごめん…」 「みぃ?誤解なのですよ。魅ぃのことで気分を害したのではないのです」 梨花はにぱ~☆といつもの笑顔を見せ、魅音を安心させた。 「よし!待たせたな!」 スネークが分厚い胸板をドンと叩いた。 「な、なにかな、なにかな!?」 「何ってレナ、俺もなにか喋らないといけないだろう?」 「お!スネークが怪談聞かせてくれるのか!?楽しみだぜ」 「ふむ……これは軍人をしていた友人が体験した話なんだが……」 スネークは遠い目をして語り出した。 ……肌を焼き焦がしてしまいそうな熱線が、太陽から降り注いでいる。 地面の土は乾き、植物を植えても育たないであろう事は明白であった。 舗装されていない道路を、八人乗りの装甲車二台が町の中を走り抜ける。 コンクリ造りの白い建物が幾つも立ち並んでいる。同じような風景で、まるで迷路に迷い込んだようだ。……この町が戦場になる。 長年、某国に敵対するテロ組織と、そのリーダーが潜伏している場所が判明した。その拠点がこの町であった。 テロ組織の殲滅とそのリーダーの身柄を確保する為、デイビッドの所属する部隊も駆り出された。 銃声や爆発音が聞こえる。すでに別部隊は敵と交戦しているのだろう。 突然、前方で爆発音が響き、デイビッドの乗っている装甲車は、前を先に走っていた別チームの装甲車に激突した。 大尉の叫び声とともにデイビッドは装甲車から飛び出した。外はすでに銃弾が飛び交っている。 RPG!!!!と誰かが叫んだ瞬間、爆発が起こり、デイビッドの乗っていた装甲車が黒煙を上げる。 デイビッドはすぐに建物の陰から銃を構え、敵の頭を的確に撃ち抜く。一人、また一人と敵が倒れていく。撃ち漏らしは一切無い。 「デイビッド!」 大尉がデイビッドへ駆け寄る。 「ここから、奴等の本拠地が近い。俺達で先行するぞ!」 「了解!」 敵部隊と何度か銃撃戦を繰り広げ、敵リーダーが潜んでいるという四階立ての建物にたどり着いた。 此処までの道のりで、既にデイビッドのチームは大尉を入れて四人しか残っていなかった。 「大尉、ガントラックが建物の入口前に陣取っています」 「テラスにも武装した奴が何人か潜んでいる。建物に近付けば、たちまち蜂の巣にされる……」 「大尉、俺に任せて下さい。敵を引き付けますので、トラックが爆発したら突入して下さい」 「おい!デイビッド!」 デイビッドはホフク前進しながら、白壁の裏へと消えていった。 ガントラックの左、数メートル先の壁の下に崩れて出来た穴がある。二十秒くらい経った時、その穴からダンボールが現れた。 「ま、まさか……アイツ」 ダンボールは敵兵士の背後を通り、トラックへ近付いた。 デイビッドはダンボールを捨て、車体の下へと転がる。C4を設置し、トラックの後側から建物の中へ入った。 すぐに銃声と侵入者だ!という怒声が聞こえてくる。 すると、タイミングを計ったようにC4が起爆され、トラックが跳ねた。黒煙が上がり、テラスにいる敵兵から地上を隠した。 「はは!やるじゃないかデイビッド!」 大尉達は建物へ突入し、デイビッドと合流し、最上階を目指す。 敵兵と交戦し、上へ進むにつれて銃声は聞こえなくなって行く。四階の奥の部屋への扉までたどり着いた。 「いいか?」 デイビッドはMP5のマガジンを交換し、頷いた。大尉は扉を蹴破り、部屋の中へ足を踏み入れる。 そこには一人の男が椅子に腰掛けていた。 坊主頭に長いヒゲを生やした痩せ型の男で、歳は四十くらいだろうか。 「ようこそ、勇敢な戦士達よ」 男はヒゲを摘み、くるくると指に巻き付ける。 「一緒に来てもらおうか。国の偉い人が、あんたの首を欲しがっているんでね」 「残念だが、投降する気はない。裁判にかけられ、死刑になるのがオチだからね」 男は立ち上がった。 「私も戦士だ。死に場所はガス室や絞首台ではない。戦場なのだよ」 爆音が轟き、建物全体が揺れる。 「ッ!!まさか!」 「建物に仕掛けたC4が爆発したのさ」 建物がボロボロと崩れ始める。 「デイビッド!脱出するぞ」 引き返そうと部屋を出たその時、床が崩れ、デイビッドと大尉は階下へ落ちていった。瓦礫がデイビッド達を埋めていく。瓦礫が頭部に直撃し、デイビッドは意識を失った。 ……どのくらいの時間が経ったであろうか。上空を幾つも通り過ぎるヘリの音で、デイビッドは意識を取り戻した。 運よくデイビッドの周りは瓦礫が重なり、上手い具合に空間を作っていた。 「…た、助かったのか」 ライトを点ける。頭を持ち上げると激痛が走った。頭から多量の血が流れていた。 「デイビッドか?」 瓦礫の向こうから大尉が声を掛けた。 「大尉!ご無事でしたか!」 「お前こそ。しかし、瓦礫に阻まれて身動きが取れん」 「本隊と連絡を取ってみます」 デイビッドは無線機を取り出し、周波数を切り替えた。しかし、無線機はうんともすんともしない。 「だめか……下の階に落ちた時に壊れたのかもしれません……このまま死ぬのか」 「デイビッド、諦めるな。必ず救援は来る」 「しかし大尉、連絡が取れない以上、絶望的です」 「軍はテロのリーダーの死体を見つける為に、ここを掘り返す。必ず助かる。だから……諦めるんじゃない」 大尉はデイビッドを励まし、デイビッドが気落ちしないように語り掛け、元気付けた。 戦場での馬鹿話や、危機一髪で助かった話、そして話は大尉のプライベートにまで及んだ。いつの間にか、デイビッドは大尉の話に心を引き込まれていた。 「妻が作るパスタが最高でなぁ、休暇で久しぶりに帰宅すると、まずは妻にパスタを注文するんだ。そうだ、今度お前も食べに来い!」 「それは楽しみだ。ぜひ御馳走になりに行きますよ」 「ああ!来い来い!上等なワインもある」 その時、車のエンジン音が近付いて来た。車独特のドアが閉まる音がいくつも聞こえ、大勢の人の気配がする。 「ッ!!捜索隊!?大尉、捜索隊が!」 「俺の言った通りだろう?必ず助かるってな」 デイビッドは力の限り叫んだ。外にいる者達はデイビッドに気付き、瓦礫を退かし始めた。 「大尉、俺達助かりますよ!」 「……デイビッド、ちょっとの間、預かって欲しい物がある」 「大尉?」 瓦礫の隙間から大尉の指が現れる。デイビッドはその手から小さな、指輪入りの小さなケースを受け取った。 「……それを、妻に届けて欲しい」 「大尉?なぜです。大尉が届ければいいじゃないですか!」 「残念だが、俺はもう……」 瓦礫が取り除かれ、デイビッドの頭上から男が声を掛けた。 「ご無事ですか!」 「ああ!なんとか」 デイビッドは男が差し出した手を掴み、引き上げられた。担架に乗せられ、運ばれて行く。 「ま、まだだ!大尉が瓦礫の下に」 「了解しました。すぐに助け出します」 デイビッドは指輪のケースを胸のポケットに深くしまい込んだ。 ……数日後、デイビッドは大尉の埋葬式に参列していた。大勢の軍人が見守る中、棺桶が穴の中へ納められる。 大尉は、瓦礫に頭を押し潰され、即死だったそうだ。死後、六時間は経過していたらしく、デイビッドとともに落下した時には、既に死んでいたことになる。 では、デイビッドに語り掛けたのは一体なんだったのであろうか? 埋葬式が終わり、人も疎らになった。 棺桶が埋められた土の前に、一人の女性が座っている。デイビッドはその女性に近付き、声を掛けた。 「大尉の……奥様でありますか?」 女性はゆっくり振り向き、頷いた。 「自分は大尉と一緒に作戦に参加したもので、デイビッドと申します」 「デイ……ビッド、あなたが……。夫から話は聞いております。活きのいい新人が入ったと喜んでいましたわ」 蛇のように潜り込むのが得意で、ダンボールで大胆な芸が出来るとか。と女性は笑いながら話した。 デイビッドはこっ恥ずかしくなり、横を向いて頬をかいた。 「ああ、そうだ。実は……大尉から預かり物がありまして」 デイビッドはポケットから指輪のケースを取り出し、女性へ手渡した。女性は指輪を見つめ、ぽろぽろと涙を流した。 「これは……あの人が結婚記念日に買ってくれると約束していた物です。どうしてあなたが……?」 デイビッドは瓦礫の下での事を一部始終話した。 「不思議な話です。大尉は、本当はあなたに直接渡したかったはずです。死して尚、妻を思う気持ち、その力が大尉を動かしたのでしょうか……」 「違いますわ」 デイビッドは俯いていた顔を上げ、彼女の言葉に反応した。 「あなたを勇気付ける為の強い意思が、あの人を動かしたと、私はそう思いますわ」 「……それが本当なら、どこまでも部下思いのいい上司ですね」 「ほんとねっ」 女性とデイビッドは吹き出した。女性は指輪を空に翳すと、ダイヤが太陽の光を浴びて、美しく輝くのだった。 「これで俺の話は終わりだ」 スネークが顔を上げると、魅音とレナが目に涙を浮かべていた。 「いい話だねぇ~おじさん感動したよ」 「レナね。お婿さんが欲しくなっちゃったよ。なっちゃったよ!」 ぐすぐすと泣く二人。だが、梨花はクールに言い放った。 「いい話なのですが、ぜんぜん怖くないのですよ」 さく。聞こえるはずのない効果音が響き、見えない矢が、スネークの背中……否、精神に突き刺さった。 「し、しまったぁぁぁ……」 スネークは四つん這いになり、項垂れた。 「ま、まあまあまあ、いいじゃないか。怖いのばっかより、こういう話で最後はこうスキっとした気持ちになってさ!」 圭一がスネークをフォローした。 「さて、そろそろお開きにしよっか」 魅音がそう切り出すと、皆は持参した物の残骸を片付け始めた。 「そだ!梨花ちゃんと沙都子は家まで送るよ。ついでに古手神社の階段でジャンケンしてみようぜ」 「お!面白そうだね。なんか起こったりして」 圭一の提案を聞き、魅音の目が輝いた。 「ひっ!嫌ですの~!」 そのやり取りを見ていた沙都子は、木にしがみついた。 「み~☆沙都子、観念するのです」 木にしがみつく沙都子を、梨花が引きはがそうと服の裾を掴む。 「そういえば、梨花ちゃんだけ話してないんだよな。実は俺も、神社に纏わる怖い話が聞けないか期待してたんだ」 「みぃ……そう都合よくいかないのですよ」 圭一の問いに梨花は困ったような表情を見せた。 「ふむ……梨花には見えていると思ったんだが…」 「みい?」 「スネーク、何の話だ?」 「いつも、梨花の周りを着いて歩いている巫女服の女がいるんだ。お前達にはやはり見えていないのだな」 「………」 魅音、レナ、圭一は変な表情をして、一様に梨花へと振り返った。梨花は目を見開いて、驚いた表情をしている。 「……見えて…いるのですか…?」 梨花のその一言が皮切りとなった。 「ひにゃあぁぁぁ!!!」 沙都子が悲鳴を上げながら、一目散に逃げ出した。続いて、魅音、レナ、圭一も走り出した。 「み、みぃ!?みんな、待って欲しいのです!」 「うわ!梨花ちゃんが追って来た~!」 「に、逃げろー!!」 「みー!みんな酷いのですー!」 梨花は急いで皆を追い掛けた。スネークは皆が見えなくなるまで、見送った。 「はっはっ!騒がしい奴等だな」 スネークは梨花が置いていった缶ビールを手にとった。 「ん?お前は梨花に着いていなくていいのか?……」 スネークはそう言うと、右から左へ目で追い掛け、圭一達が見えなくなった森の道に視線を固定させた。 スネークはふっと笑い、缶ビールのプルタブを開けた。 翌日、教室にはいつもの部活メンバーの姿があった。だが、沙都子だけ目の下に隈を作っていた。 「沙都子ちゃん、大丈夫?」 「し、心配いりませんわ、レナさん。昨日はちょっと寝付けなかっただけですの」 「沙都子は、僕に着いている幽霊さんにびびって寝付けなかったのですよ。にぱ~☆」 「梨ぃ花ぁ~!」 沙都子は梨花の頬を摘み、伸ばしたり縮めたりを繰り返す。 「梨花ちゃん、今は幽霊は側にいないのか?」 圭一は不安気な面持ちで梨花に聞いた。 「そんなの、最初からいないのです。スネークが皆をからかっただけなのですよ」 「でも昨日、梨花ちゃんも『見えているのですか』って……」 「スネークに便乗したのです☆」 「うわ~やられたなぁ~」 圭一は頭を抱えながら机におでこを擦り付ける。 教室の戸が開き、智恵留美子が入っ来た。智恵の表情はなにやら堅い。 「起立!礼!着席」 魅音が号令を掛け終わると、智恵が重い口を開いた。 「昨日、神聖なるカレー菜園から野菜が盗まれました」 教室の空気が一段と重苦しくなる。 「ひえ~智恵先生の菜園を荒らすなんて、どこの命知らずかね?」 魅音はひそひそとレナと圭一に話しかけた。 「犯人は既に捕まえ、先生が制裁を加えました。私による、私の為の、カレーだけに使う野菜を、犯人は猪汁に使ったのです。これは断じて許されることではありません」 「イ、イノシシ……ジル?」 「委員長、なにか知っているのですか?」 魅音は首を横にぶるぶると振って、否定した。智恵は話を続けます、と教室全体に視線を戻す。 「犯人は捕まえました。しかし、共犯者がいるようです」 その言葉に部活メンバー全員の体が硬直した。 「犯人が食べた猪汁の鍋の横に、犯人を含め、六人分のお椀がありました。共犯者は五人だと推測できます」 智恵はビニール袋から何か探り出した。 「そして、鍋の近くにはこんな物が落ちていました。たぶん、共犯者の物だと思われます」 智恵の手には豚骨ショウガ味のカップラーメンが握られていた。圭一は真っ青な顔で、生唾を飲み込んだ。 「あなた達を疑いたくありませんが、共犯者は生徒の中にいると思います。正直に名乗り出てくれれば、先生は許しましょう」 智恵の話が終わると、授業が始まった。そして、次の二時間目の体育の授業になっても、スネークは現れなかった。 休み時間、圭一は魅音に話しかけた。 「なあ、やっぱりあの猪汁って……」 「うん、スネーク先生が菜園から盗んだ野菜を使ったんだと思う……」 「じゃあスネークが今日、学校にいないってことは……」 「智恵先生がなにかしたんだと思う……」 長い沈黙が流れた。そしてそれを破るようにレナが切り出した。 「わ、私達は名乗り出たほうがいいのかな、かな?」 「いずれバレると思う。その前に正直に話せば、私達は許してもらえるよ」 だが、白状する勇気が出ない間々、時が過ぎた。 学校の鐘が、四時間目の授業が終了したことを告げる。友達同士で机を付け合う昼食の時間になってもスネークは現れなかった。 智恵は今日は珍しく、教室で昼食を取っている。勿論、カレーである。一人の女生徒が智恵に言った。 「先生~またカレーですか~?」 「ふふ、今日は一味違いますよ。蛇の肉を使った特製のカレーですから」 部下メンバー全員の顔色が変わった。 蛇?蛇ってヘビ?なんの蛇?どんな蛇?なんで?ナンデ?ドウシテ?ソレハ、ホントウニ、ヘビノニク? 部活メンバーの頭の中を同じ疑問が駆け巡る。智恵はスプーンを軽く構えた。 「英語で言うと……スネークですね☆」 ……それが、圭一達を震え上がらせた、この夏一番の怪談であった……。 【ひぐらしのなく頃に・怪】 「齢咄し編」(完)
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登録日:2021/12/05 Sun 10 52 39 更新日:2024/05/15 Wed 04 44 44NEW! 所要時間:約 50 分で読めますが、他のウマ娘ちゃんたちの記事を見に行った方がいいのでは!? ▽タグ一覧 Agnes Digital I Will Always Love You うまゆる おちょぼ口 お前が推しなんだよ! かわいい そして伝説へ… どうした急に なんでもどうぞ! またデジタル殿が死んでおられるぞ やべーやつ アグネスのやべーやつ←どっちもだろ? アグネスデジタル アグネスデジタルは勇者である アリスデジタル ウマ娘 ウマ娘 プリティーダービー ウマ娘界のリコ ウマ娘界の大谷翔平 エンダアアアアアアアアアア オタク オールラウンダー カオス ガチヲタ キョンシー クソデカリボン コミュ障 コメント欄ログ化項目 ゴルシにやべーヤツと言われたウマ娘 ゴルシの天敵 スーパー万能オタク娘 セルフビッグバン ダート三銃士 ダート適性あり チートキャラ ツーサイドアップ デジたん デジたん呼んでこい トレセン学園中等部 ネタが多すぎてタグに困る項目 ハイスペック パロディ マイラー ミラクルおじさん 万能オタク娘 主人公補正 二刀流 優等生 努力する天才 努力家 史実の方も濃すぎるウマ娘 同人作家 品行方正 唯一無二 器用万能 四位洋文 変人 変態 変態という名の淑女 多芸多才 天才 天才肌 天然タラシ 奇人 妄想癖 学年最強レベル 完璧超人 実は最強クラス 尊み☆ラストスパー(゚∀゚)ート! 尊みを求めてふっかーーつ! 尊死 差しウマ 常識破りのオールラウンダー 平凡で目立たず、どこにでもいる一般ウマ娘 心の中では多弁 愛すべきウマ 愛すべき変態 愛麗♡キョンシー 所要時間30分以上の項目 才色兼備 推し沼の淵にいる人の背中を押す布教用 文武両道 最前列は譲れない! 朴念仁気質 栗東寮 残念な美少女 永世三強クラスの実力 濃すぎるキャラクター性 狙うは最前ドセンへの道! 白井最強 的場均 真の勇者 真の勇者は戦場を選ばない 真の変態は戦場を選ばない 肝心な時にしか役に立たない女 自称・一般ウマ娘 荒巻スカルチノフ 萌到讓我活過來了! 走れば勇者、黙れば美人、覗く姿は変質者 超特急入稿! 超特急!フルカラー特殊PP 鈴木みのり 限界ウママニア 限界オタク 隠しきれない歌唱力 黙っていれば美少女 画像出典:ウマ娘 公式YouTubeチャンネル「ぱかチューブっ!」より『Vol.40「アグネスデジタル」【トレセン学園生徒紹介】』 © Cygames・JRA でゅふふふ~っ、ウマ娘ちゃん尊い~♪ ず~っと見てたいよぉ☆ アグネスデジタル(Agnes Digital)とは、『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターの一人。 CV:鈴木みのり モチーフ元である競走馬『アグネスデジタル』は当該項目を参照。 + 目次 ◆プロフィール ◆概要◆人物 ◆容姿 ◆漫画版での活躍STARTING GATE! うまよん 【5thイベント グッズ購入ガイド!】 うまむすめし ◆アニメ版での活躍うまゆる ROAD TO THE TOP ◆アプリ版での活躍性能[超特急!フルカラー特殊PP] [愛麗(オイライ)♡キョンシー] サポートカードSR【デジタル充電中+】 SSR【そこに"いる"幸せ】 個別ストーリー 育成シナリオ デイズ・イン・ア・フラッシュ ◆関連キャラクター ◆余談豊富すぎるパロディ デジたんと尻尾 デジたんと尊死 隠しきれない歌唱力 ◆プロフィール キャッチコピー:ウマ娘ちゃん大好き!スーパー万能オタク娘 誕生日:5月15日 身長:143cm 体重:増減なし スリーサイズ:B74・W51・H75 靴のサイズ:左右ともに21.5cm 学年:中等部 所属寮:栗東寮 得意なこと:マッサージ技術は神業クラス 苦手なこと:カップリング論争 耳のこと:エモの波動をキャッチすると毛が逆立つ 尻尾のこと:ライブ前は美容室で毛並みを整える 家族のこと:家族の趣味は、キャンプ!フェス!BBQ! マイルール:森羅万象誰かの推し、推さずとも尊ぶべし スマホ壁紙:締め切りカレンダー 出走前は…:エッモ!!!! ヒミツ:①最後尾を走っている時はプラカードを持ちたくなる/②暑さ・寒さへの対処法の知識がプロ並み 自己紹介:お疲れちゃん!デジたんですっ!キラキラのウマ娘ちゃんたちを推してます!毎日幸せ!ヲタクに生まれて良かった~♪ 「すべてをこの手に」 望みを問われて彼女は すべてだと答えた 勇士とは欲張りなものなのだ ただし彼女は天与など待たない 脚力と技巧と才覚を頼りに 前例なき戦いを勝ち抜いて 簒奪することに挑む 往く道の厳しさを知りながら それでもなお突き進む 英雄とは型破りなものなのだ 2022年URA「名ウマ娘の肖像」アグネスデジタルより ◆概要 画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「GENERATIONS」第6弾「勇者ひしめく時代」篇 © Cygames・JRA 常識破りの オールラウンダー 【ウマ娘 プリティーダービー】CM 「GENERATIONS」第6弾「勇者ひしめく時代」篇より 馬場を問わない適性の広さで芝もダートも駆け抜け「真の勇者」と謳われた『アグネスデジタル』をモチーフとするウマ娘。 モチーフ馬についての詳細は該当項目を参照して欲しいが、まごうことなき名馬である。そしてそんな名馬から生まれたウマ娘は……。 あっちにもこっちにもウマ娘ちゃん! ハァ~、たまらん!! 今ならなんでもできますぞ~っ!! ……ガチオタの変態キャラだった。 ◆人物 愛する美少女ウマ娘を特等席で見るためにトレセン学園へやってきた、オタク気質のウマ娘。 性格はあっけらかんとしていて好き嫌いがはっきりしている。 あらゆる距離、天候、状況をものともしない(*1)オールラウンダー。(初期設定) ウマ娘オタク。大好きなウマ娘にお近づきになり、御姿を愛で、幸せな日々を送るためにトレセン学園にやってきた。 とはいえ礼節はわきまえており、迷惑行為を働いたりはしない。 あらゆるウマ娘を近くで拝みたい一心で、芝ダート問わぬ万能な走力を見せつける。(現設定・公式ポータルサイトより) 史実において『勇者』と呼ばれながらも、ファンからはその幅広い馬場適性から良い意味で(・・・・・)『変態』と呼ばれたアグネスデジタル。 なんの因果か、その『変態』っぷりがキモオタ方面でフィーチャーされて誕生したのがウマ娘のアグネスデジタルである。馬主さんもよくこんなキャラを許可したものだ。 自らもウマ娘でありながら、ウマ娘ちゃんへの並々ならぬ愛を抱く少し変わったウマ娘。 トレセン学園に入学したのもトレーニングに励むウマ娘ちゃんたちの尊い姿を近くで眺めるため。 レースで走るのも偏に青春を駆け抜けるウマ娘ちゃんの尊い姿を間近で拝むため。たまに尊さのあまり気絶したり三途の川を渡りかけているけど(*2)。 学園祭等ではイベントや公演を全網羅するつもりでいるのに、 昇天→担架→昇天→担架→(以下略) のループに陥るなど、筋金入りの限界勢。またデジタル殿が死んでおられるぞ! ウマ娘関連グッズはフィギュアでも何でも買い集めたり、ライブでは最前列でペンライトを振っていたりとまごうことなきオタクで、 日頃からほぼ中腰なのはいいとしても、口元に手を当て不気味に「でゅふふふ」「ぐふふ」と笑うなど、立ち居振る舞いもテンプレオタクのソレ。 ただしオタ活にばかり傾倒しているわけでもなく、トレーニングにも毎日全力で励んでいる努力型(*3)。 それも全てはいちウマ娘として参加し走る以上、鍛錬不足や情けない走りでレースとウマ娘ちゃんを穢してはいけない矜持からである。さすがガチ勢……。 但し、芝・ダート両方をデビュー前からトップクラスで走れるというのは努力だけでどうこうできるものではない為、天賦の才があることもまた紛れもない事実である。(*4)やはり……変態か 各メディアでも強者相手に勝利したり伯仲するレースを繰り広げる姿から、マイル~中距離限定であれば『最強格』であると言っていい(*5)。流石『勇者』の異名は伊達ではなかった(*6)。 エアシャカールのダンスレッスンイベントでは、体幹(運動神経)の良さを買われ手本として招かれていた。 父親は印刷会社に勤めているらしく(*7)、ウマ娘関連の同人誌を所持しているだけではなく自ら同人誌を作りコミケで頒布している(*8)。 もちろん(?)作中世界においてはナマモノに該当するジャンルなため、デジたん本人は創作内容をひた隠しにするゾーニングを徹底している…… ……つもりなのだが、ホーム会話でスぺシャルウィークから、デジタルが描いている同人誌の内容を(無邪気に)訊かれるというオタクにとって地獄のような会話があり、 ハロウィン衣装イベントではゼンノロブロイに対しては内容を把握してたかはともかく、完全にバレていた。 マナーと危機意識で泡を食いグロッキーになり、何故謝るかも分からないスペちゃんやロブロイにひたすら許しを請うデジたんなのであった。 ついでに題材にしようとしたキングヘイローにもバレているし、同室のアグネスタキオンにも「何かデジタルがアガる謎のイベントがある」とまではバレており、同室にサークルバレの危機も迎えている。 なお、冬はコミケ(年末開催)と有馬記念(年内最終日曜日開催)がまとめて来るわけだが、 ホーム画面では満面の笑みで入稿を完了してイベントの準備とレースの準備を整える手際の良さを見せている。 その手際の良さを表すエピソードとして、入稿時期はなんと早割。 さらにクライマックスシナリオでは、進捗が悪くて早割に間に合わなさそうな年は「今年は既刊本とペーパーだけで」と諦めモードに入りかけ、徹底して本業との両立を図っている。 あまりの手際の良さ故に、毎年秋に慢心した結果、年末に超修羅場モードに陥って割増入稿している別ゲーの某駆逐艦は流れ弾が直撃する形になった それに伴いグッズの作成も得意で、キョンシー服に装飾されている『パンダちゃんワッペン』は推しの方々に好評らしい。 コミケ以外にも多数のイベントに精力的に参加しているためか、生徒会も一目おくほど立案能力が高く、PCでの動画編集もお手の物。 特技のマッサージの技術は神業クラス(*9)。整理整頓も得意で(*10)、メイショウドトウやキングヘイローの不調を看破する観察眼も持つ他、 テイエムオペラオーとアグネスタキオンの二人から同時に無茶振りをされるという、 端から見たウマ娘からは罰ゲーム扱いされ同情されるくらいの無理難題を課されても即座に両者にとっての最適解で対応する適応力もあり、 日常会話で哲学者の言葉をさらっと引用するなどの高い教養を持っていることを伺わせる描写も。哲学者の言葉を引用するのは大抵限界オタク化してる時なのが玉に瑕だが また、趣味とレースに全力で取り組むだけでなく、学生の本分たる学業も疎かにしていないようであり(*11)、 普段の言動がアレなので目立たないが、文武両道で多くの特技を持ち、"基本は"穏やかな敬語口調でとっつきやすい品行方正な面もある『完璧超人なスーパー女子学生』だったりする。 レクチャーもまた上手く、その熱意と深い知見からデジたんを推し認定する後輩やオタク仲間が多い。 これらも史実における「逆に何なら苦手なんだ……」と呆気にとられたほどの万能性からだろうか。 SSRサポカのイベントでは推し活の為に必要な衣装代を稼ぐ為、練習やレースがない日は様々なアルバイトをしている姿が見られ、 同時に『トレセン学園では許可さえ降りれば中等部もアルバイト可能』という新事実も判明した事になる(*12)。 しかしこれほど多芸多才でありながらオタクらしく自己評価は低く、「平凡で目立たず、どこにでもいる一般ウマ娘」を自称している。どこがじゃ 絶賛された際は狼狽えながら「もっと可愛いウマ娘ちゃんがたくさんいますよ……!?」と困惑しっぱなし。うるせぇお前が最推しじゃ 苦手なことは「気配を消すこと」。 自然体のウマ娘ちゃんを見たいのに、後述の通りいつもマイペースなテイエムオペラオーすら寒気がする熱い視線を向けることで警戒させてしまうのが悩み事。 頭にクソデカリボンを付けている時点で何もしてなくても目立っていそうなのだが、それは言うまい そしてもう一つの苦手が「カップリング論争」。ウマ娘ちゃん箱推しなので必然固定カプ論争は苦手、という話なのであろう。 またオタクらしく極度のコミュ症で、オタクモードの時は独り言であっても凄まじい饒舌さを見せる一方で、 見知らぬ相手との会話では一転して途端に口下手となってしおらしくなり、涙目になってしまう一面も。誰だこの美少女 ◆容姿 サーモンピンクのロングヘアをツーサイドアップにし、ガラス玉のように透き通った碧眼、縦方向が一般的な中で横に伸びているウマ耳が特徴的なウマ娘。 頭頂部に付けている、ひと際目立つ無駄に大きなリボンがトレードマーク。 モチーフ馬の性別で付ける耳が変わる耳飾りは何故か両方につけているが、左耳は白、右耳は青色と色が異なっており、 右耳の方の色が目立っているということに着目すれば、一応モチーフ馬の性別を判別することは可能。 普段の言動などから忘れられがちだが、中等部の143cmとかなり小さい。 とはいえスタイルはツルペタ幼女体型とまでは言えない、年齢で考えれば普通程度。 しかも、小柄な体型が不利になりやすい競技(*13)に身を置きながらデジタルはそこで困っている様子は一切見られない。本当に何なんだコイツ…… ただ、小学生女児が着ていてもおかしくなさそうな私服姿はウマ娘の中でも中々犯罪臭が高いと評判である(*14)。 しかし、推しのイベント参加となれば話は別、尻尾をしっかり編み込んだ本気のお洒落服で正装するのだ。推しよりも気合いが入ったガチ衣装でイベント一般参加するヲタクの鑑 ◆漫画版での活躍 STARTING GATE! 第二章の―ウオッカとスカーレット編―では、学年別校内マラソン大会においてその実力を見せつけ、主役の二人を差し置いて空気を読まずに優勝を飾っている。 主役の二人が敗退した理由の一つが、負傷したウオッカをスカーレットが担いで走った事にある。 しかも、ウオッカの負傷原因がスカーレットへの対抗心による掛かりが要因であり、途中から体力的に限界を迎えていた為、アクシデントが無かったとしてもデジタルが優勝していた可能性が高い。 該当の三人以外だとカレンチャンとマーベラスサンデーも参加していたが、その2人に対しては普通に勝っている。 うまよん 漫画版『うまよん』でも、2着だったとは言え、芝のマイルコースでタイキシャトルに、ダートコースでスマートファルコンにそれぞれ僅差まで迫っていた。 どちらでも本人達をガン見 絶叫しながら…。 補足すると、タイキとファルコは該当レースに関してのスペシャリストであり、接戦に持ち込んだこと自体が偉業である。 実際この時のレース実況で、1着になった二人の栄光を讃えると同時に、デジタルを「非凡な走り」と絶賛している。 変態を無礼るなよ 【5thイベント グッズ購入ガイド!】 「5th EVENT 第1公演 -WISH- 」特設ページにて公開されている書き下ろし漫画。 会場物販を検討するホッコータルマエが当日途方に暮れないよう、 タルマエ(と当日参加者)へ向けて懇切丁寧に会場物販の案内をしてくれる。この時、彼女の思考を当然のように読んでいる ちなみに、ガイド役の同志デジタル殿も当日は現地参戦するらしい。タルマエ「「現地参戦」って…一緒にステージに立つ側だよ?」(*15) グッズ購入は一部を除き2点までの購入となるが、 同志デジたん的には5点欲しかったらしく"普通"に、 右手用・左手用・予備・保存用・観賞用・推し沼の淵にいる人の背中を押す布教用まで考えていたらしい。 5点どころか6点以上必要なんですがそれは… タルマエ「私の知らない普通だった…」 うまむすめし ・第27話 原稿やトレーニングの多忙さでボロボロのアグネスデジタル。 食事で体力をつけるべく、昼休み終了間際の空いた時間帯で他のウマ娘ちゃん達に気付かれないようにカフェテリアにこっそり侵入するも、そこには激辛中華の特盛フルコースを泣きながら頬張るメイショウドトウの姿があった。 昼休み終了間際で、手違いで用意された料理を食べ終われず途方にくれるドトウの涙を見て協力を申し出たデジタル、二人で連携して料理を完食していくのであった。 結末は…まぁ、お察しください。 ◆アニメ版での活躍 うまゆる ・第13話「うまゆるラップでプチョヘンザ」 過去の書籍ではちょくちょく出番はあったが、アグネスデジタルがアニメに声付きで登場するのは『Season1』が放送された2018年以降、4年8ヶ月の歳月を経て初である。 登場する主要ウマ娘の中で唯一応援席側に居たデジたん。 多数のモブウマ娘が観覧している中でセンターの特等席を確保してる辺り流石はウマ娘ちゃんオタクなだけはある ウマ娘ちゃん同士が織り成すラップバトルに尊みを感じながらも、なんとか堪えてデジたん自身もラップ風な応援していたが、 大トリのダークホースのギャップ萌えに遂に限界を迎え、鼻血を噴射しながら倒れてしまった。 2022年末最後に放送されたウマ娘のアニメのオチが尊死ENDだなんて誰が予想出来ただろうか… ・第17話「何じゃ ニンジャ ファンじゃ!」 忍者体験教室にやって来ていたファインモーションとシンボリクリスエス。 そんな中、彼女達のエモい盗撮(*16)写真を撮ろうとくノ一姿で隠密活動をしていたデジたん。史実の性別的にはファインがくノ一になるべきというツッコミは野暮だろうか 途中、物音でバレそうになるも、一時は回避していたが、最終的に二人のエモさで気が緩んでいたところを発見されてしまう。 自身の行為をデジたんが普段描いている薄いほ…、もとい創作活動みたいなグヘヘな展開みたいに厳しく問い詰められるかと思いきや…? ちなみに、三人とも史実では外国産馬である事が共通している。 17話~20話までのED曲は、なんと我らが同志デジたん(鈴木みのり氏)も歌唱担当している。 中の人が有名な作品群で歌姫やアイドル役を務めたこともあってか、、歌唱力がヤバい。 ゲーム内のライブ曲以外でのデジたんの歌唱は現在かなり希少なので、是非聞いてみて欲しい。 ・第23話「Shall we ダービー?」 うまゆる最終回直前にまさかの主役回到来。 華やかなドレス姿で城を散策していたデジタル姫だったが、なんと男装姿の『シリウスシンボリ』『シンボリルドルフ』『シンボリクリスエス』の【シンボリ冠】達から三者三様で求愛されてしまった…! モテ期到来のデジタル姫の運命や如何に……? あくまでVRゲーム内でのシュミレーション設定だったようであり、実際に三人から告白された訳ではない。 …が、ウマ娘ちゃんオタクを拗らせたデジたんにとっては、 「デジたんと推しの絡みではなく、推しと推しの絡みが見たかった」ようで、結果解釈違いという地獄を味わい発狂してしまったのであった…。 その後、コンテ 演出担当によるオマケのイラストでは、壁になるVRゲームを探す変態の姿があった…。 余談だが、男装の麗人や薔薇などの要素が近世ヨーロッパ舞台の某作品を彷彿とさせ、 史実のアグネスデジタル号産駒にもバラベルサイユという牝馬が実在する為、この回と何らかの関係性がある…かもしれない。 ROAD TO THE TOP 第4話「想いはひとつ」において、菊花賞の観覧席が写ったシーンで最前列付近にアグネスデジタルらしきウマ娘の後ろ姿が確認出来る。だいたいリボンのせい 史実では、菊花賞の2時間半前に開催された、もちの木賞(500万下)に出走し2着に入っている。時間は結構あったとはいえ、がぶりよりで見ているあたりさすがである(*17)。 そして、作中でクラシック三強の一角となった世紀末覇王が後に覚醒する怒涛の名将と共に築き上げた暗黒王朝へと終止符を打つ万能勇者の物語の始まりでもある…。 ◆アプリ版での活躍 性能 バ場 芝:A ダート:A 距離 短距離:F マイル:A 中距離:A 長距離:G 脚質 逃げ:G 先行:A 差し:A 追込:B サポートカードやアオハル杯の追加キャラとして以前から登場していたが、育成枠では2021年の9月20日に☆3で「超特急!フルカラー特殊PP」が、 2022年9月29日には新衣装の☆3「愛麗♡キョンシー」がそれぞれ実装されている。 まず目を引くのは芝A、ダートAというバ場適性。 イナリワンが新規実装されるまでは両方とも継承なしで「A」なのはデジタルだけであり、ダートの最高適性所持者自体が初期実装のハルウララと同年5月に実装されたスマートファルコンの2人だけという状態だったため、当時は3人目のダートAウマ娘ということでかなり貴重だった。 2年目以降はコパノリッキー、ホッコータルマエ、ワンダーアキュートら新規ダートトリオを始めとしたダートAのウマ娘もある程度数を増やしてはいるが、絶対数は常に不足気味で依然その希少性は殆ど失われていないといっていい。 一方、距離適性についてはマイルと中距離が共に最高適性のAなものの、残りの短距離と長距離はそれぞれFとGで、初期因子補正でもAまで底上げすることができずやや幅が狭い。 尤も、マイルと中距離だけでも芝、ダート双方の主要なG1レースの殆どに問題なく出走できるため、よほどこだわりが無ければほぼ問題なかったりもするが。 脚質適性についてはマヤノトップガンほどではないが、逃げ以外は問題なく走れるため、こちらもなかなかの万能ぶりを誇る。 [超特急!フルカラー特殊PP] 自分が走る側だったら~…って、妄想し続けてできたのがこの衣装! 画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「[超特急!フルカラー特殊PP]アグネスデジタル」勝負服 © Cygames・JRA 「アグネス」冠名で知られる渡辺孝男氏の勝負服「黄、赤袖、水色二本輪」を基調としたアイドル衣装のようなデザインとなっており、 原案と比べるとフリルが追加されるなど派手な装いになっているほか、モチーフ元の意匠がよりわかりやすくなっている。絵師の悲鳴が聞こえる……。 アイドル衣装風なのは冠名の由来となったとあるアイドル歌手(*18)にちなんでいるのが有力視されている。 この他、実馬の馬主は印刷産業に従事しており、印刷に用いられるインク色であるCMYKのシアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)からこのような色合いになっている可能性もある。 なお、衣装名のPPとは印刷技術の一つであるポリプロピレン加工の略。「同人誌等の表面のツヤツヤしたアレ」と言えば分かる人も多いだろう。 通常スキルは「後列から」という物が多く、追込で評価の高い「ウマ好み」・中距離用の「中距離直線」と幅拾い構成。 覚醒スキルでは「ウママニア(「ウマ好み」上位スキル)」とダート専用の「狙うは最前列!(「前列狙い」上位スキル)」のレアスキルを習得できる。 差し・追込ならダートだろうとマイル・中距離だろうと安定する構成なので、チーム競技場では足りない所の補強要員として非常に重宝する。ウマ娘ちゃんの隙間ならどこでもウェルカム 2ndアニバーサリー以降の進化スキルでは、「ウママニア」がスタミナ回復効果を追加した「限界ウママニア」に、「狙うは最前列!」は持続時間を伸ばした「最前列は譲れない!」or中距離限定だがダートと芝両方で発動し芝なら効果が強まる「狙うは最前ドセンへの道!」に分岐進化が可能。 その高適性故育成の幅が非常に広く、シナリオ『Make a new track』ではトリプルティアラ路線とダート路線の複合ローテーションを組めるのが強み。 一方で『アオハル杯』のアオハル特訓で得られるヒントがばらけやすくスキルを狙い辛いという欠点もある。 成長率ボーナスはスピードとスタミナに+8%、パワーと賢さに+7%と勇者らしくバランスがいい。 逆に言うと、能力の伸び方が横並びなので理想のステータスにするには育成を工夫しないといけないという、 初心者に優しいのか厳しいのかよく分からないウマ娘である。やはり……変態(ry 育成において注意すべき点は、クラシック級のマイルCSからシニア級の6月後半までに、オグリキャップと似た「G1で3回3着以内」になるという目標がある点。 恐らく史実においてこの期間にスポニチ賞京都金杯(GⅢ)、京王杯スプリングC(GⅡ)、安田記念(GⅠ)の3レースに出走したという点を再現したと思われる。 期間こそ長く見えるが、期間内に開催されるG1レースは8つ(*19)。 予想外の敗北で連続出走する羽目になって調子を落としたり、トレーニングに夢中になって出走し忘れたりすることがないように注意。 あっちも!こっちも!そっちも! 画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「アグネスデジタル 固有スキル発動」 © Cygames・JRA ぜぇんぶ!しゅき!しゅきぃ~~! 画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「アグネスデジタル 固有スキル発動」 © Cygames・JRA 萌えパワーチャージ、フルMAXぅ!! 固有スキルは「尊み☆ラストスパー(゚∀゚)ート!」。 え?名前?原文ママですが何か? 性能としては「レース終盤で2回追い抜くと速度が上がる」というもので、シンボリルドルフの「汝、皇帝の神威を見よ」の発動条件と効果を一回り小さくした感じ。 あちらと違いコーナー(並びに長距離の向こう正面)のスパート中でも発動するため、効果がやや不安定なのは否めない。 安定して発動させるなら先行より差しで育てたいが、モブブロックが怖いのであれば適性を上げて追込で育成するのも視野に入る。 2022年2月のアップデートで、僅かだがコース取りも上手くなる効果が追加されたので多少改善されたが、 やはりバ群ブロックによって安定感に欠けるため、グランドライブシナリオで条件を満たせば確実にヒントを貰える「レーンの魔術師」を覚えるのも手。 また、「汝、皇帝の神威を見よ」の小回り版という側面上、当然このスキルとも相性が良いので、差し・追込育成前提ならシンボリルドルフが継承相手の最有力となる。 幸い、相性も中程度ある。もう一人の継承相手はデジタルと相性が良く、固有も発動しやすく使いやすいオグリキャップなどどうだろうか?スケート?何の事かな……? ちなみに、演出は実装されているサポートカードに囲まれてデジタルが限界化→全力疾走、といういつものデジタル殿としか言いようがないものだが、 実はこの際に表示されるサポートカードの内容は毎回ランダムであり、また、プレイヤーが持っていないサポートカードも表示される。 そのうち全身にサポートカードを貼り付けた新たな勝負服で走りそうである。 ヒィィ~ッ!ありがたき幸せ~~~っ!! [愛麗(オイライ)♡キョンシー] 萌の導きでキョンシー復活! 画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「[愛麗♡キョンシー]アグネスデジタル」勝負服 © Cygames・JRA 中国の妖怪キョンシーがモチーフで、袖がだだ余りなアグネスと同じくこちらも萌え袖に。 額に貼ってあるお札には「求命随身護ウマ娘」と書かれ、正面にデカデカと「推」と書かれた服装。 背中側には「愛麗數碼」と書かれたお札とサイリウム2本が装備されている。 この「愛麗數碼」は香港で実際に使われたアグネスデジタルの馬名表記。 「數碼」は「デジタル(Digital)」の直訳で、「愛麗」が「アグネス」にあたるため、衣装名は「アグネスキョンシー」ということになる。 こちらの成長率はスピードとスタミナに+7%、パワーと根性に+8%。やっぱりバランスの良さは健在である。 覚醒スキルでは「アガってきた!(「ペースアップ」上位スキル)」とダート用新スキル「捲土重来(「盛り返し」上位スキル)」のレアスキルを習得可能。 通常衣装と同様に、色んな意味でデジタルにベストマッチな「ウマ好み」はもちろん続投。 しかし、覚醒レベル上げは全日本ジュニア優駿優勝レイ(以下全日本レイ)を要求される関係で難儀する。 というのも、これは育成で同レースに勝利するか、一日三回限定ショップ(ランダム)で購入するしか入手手段がない上、 全日本ジュニア優駿が目標レースになっているウマ娘も存在しないため、意識して出走・購入しないと集めるのに苦労するのだ。 ちなみに、全日本レイを要求されるウマ娘は現状ハロウィンデジタルが唯一。 進化スキルは「アガッてきた!」が「超特急入稿!」に、「捲土重来」が「尊みを求めてふっかーーつ!」に進化。共に持久力がわずかに上がる効果が追加される。 …見つけた…キョエーッ! あああ…尊ぃ~~! ヒィ! 供給~! ハッ! 荒ぶるヲタがワッショイワッ! ( ˘ω˘ )スヤァ… 画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「[愛麗♡キョンシー]アグネスデジタル 固有スキル発動」 © Cygames・JRA 固有スキルは「萌到譲我活過来了!」。 意訳するならば「萌えの力で生き返ります~~~っ!」みたいな感じ。 発動条件と効果は「中盤のコーナーで中団以降にいるとき近くのウマ娘ちゃんが3人以上いると、萌えパワーで速度が上がる」というもの。 演出ではキレのあるヲタ芸で荒ぶっているところにお札を貼られ、( ˘ω˘ )スヤァ…の顔で昇天するというもの。なおこちらもランダムでサポカが登場する。 なお一定条件(*20)を満たすと( ˘ω˘ )スヤァ…のテクスチャだけ残って顔グラが透明化するバグが発見されてネタになった この! 熱は! どんなお札でも抑えられませんぞぉーー!! 固有二つ名は共通して「万能オタク娘」。 取得条件は「ジャパンダートダービー、マイルCS、フェブラリーS、安田記念、天皇賞(秋)、有馬記念(シニア級)を勝利する」というもの。 フェブラリーSと安田記念は目標レース外だが、上述の理由でG1に出走する必要があるため、そこはさしたる障害ではないだろう。 問題はシニア級有馬記念。素の長距離適性がGのため、継承で長距離適性をC以上まで上げることが必須となるが(*21)、 ハルウララの有馬チャレンジと違ってバ場適性は問題ないため、ある程度やりこめば比較的簡単に取れるかも。 ただし、プロジェクトL Arc(ラーク)シナリオでは育成システム上、固有二つ名が取れない点に注意(*22)。 サポートカード 汎用RのほかSR【デジタル充電中+】が実装されており、また2022年2月8日にはSSR【そこに"いる"幸せ】が実装されている。 SR【デジタル充電中+】 得意練習はパワー。 「マイル直線〇」「中距離直線〇」など、マイルや中距離の差し向けのスキルを所持しており、完凸すれば高めのファン数ボーナスが獲得できるほか、トレーニング効果10%を得られる。 SSR【そこに"いる"幸せ】 得意練習は同じくパワー。 RやSRとは所持スキルが異なっており、距離・脚質指定の「マイル直線〇」「差し直線〇」「ありったけ」のほか汎用の「ウマ好み」「左回り〇」、ダート専用の「前列狙い」を所持している。 また固有ボーナスだが、「編成しているサポートカードのタイプが5種類以上ならトレーニング効果アップ」といういかにもデジタルらしい発動条件。 5種類にはたづなさんや樫本理事長代行などの友人サポートカードも対象となり、条件を満たした際のトレーニング効果は15%。 それ以外にもパワーとスタミナの両方へのボーナスを所持しているほか、上限まで解放すればレースボーナス5%、ファン数ボーナス10%を獲得できる。 連続イベントでは選択肢次第で「集中力」「栄養補給」のヒントを入手可能で、 最後まで進めると確定で「狙うは最前列!(「前列狙い」上位スキル)」のヒントレベル+3or1を入手可能だが、下の選択肢を選ぶとスピード+35と「ウマ好み」のヒント入手になる。 なおサポートカードイラストだがデジタルがウマ娘のサイン会に来ているというシチュエーション。 そのウマ娘だが、青と金色の耳飾りを右耳につけており、流星が特徴的な鹿毛といういで立ちであり、ファンの間ではこれらの特徴から 世界各地を転戦しGⅠを7勝、史実のデジタルと活躍時期が近く血縁関係もある(*23)ファンタスティックライト が最有力候補とされている。 ほかにもブラックホークやアドマイヤドンなど様々な候補がいるが、公式から詳細は語られていない。 ちなみに、サポートカードも含めて2Dイラストのデジタルはおちょぼ口である場合が多い。 但し、ゲーム版3Dモデルやコミック等では普通の口型の為、オタクモード時限定の演出と思われる。常におちょぼ口だと推しのドトウとキャラ被りしちゃうからね仕方ないね 個別ストーリー 愛するウマ娘ちゃんにお近づきになるためにトレセン学園に入学し、オタ活とトレーニングに励む日々。 しかし、選抜レースの日が刻一刻と近付きながらも、アグネスデジタルは勝てるかどうか不安になる……以前に出走するかどうかを悩み続けていた。 というのも、アグネスデジタルは芝・ダートのどちらでも問題なく走れるという稀有な資質を持っているのだが、 それだけに、どちらか一方を選択してしまったら、レースに出る都合上選ばなかった方で走るウマ娘ちゃんをリアルタイムで見ることができないというジレンマを抱えてしまったのだ。 そんなあたしが選べると思いますぅ!? 芝ウマ娘ちゃんか、ダートウマ娘ちゃんのどっちかを!? 無理無理、そんなの無理ぃ!! マンドリンをピックなしでかき鳴らすのと同じくらい無理ですってー!!(*24) 芝、あるいはダートしか走れないのならば、資質の問題だから諦めもつく。 しかしどちらも選べる以上、全てのウマ娘を等しく愛するアグネスデジタルにどちらかを選ぶ覚悟は持てず、やがて、そんな生半可な覚悟で走るのは一生懸命にレースを走る他のウマ娘に申し訳ないと、走ること自体を諦めようとしていた。心意気は立派だけど何故そうなる が、そんな彼女の才能と努力に目を付けたあるトレーナーの提案が、アグネスデジタルの運命を決めた。 「芝かダートか選べないのなら、選ばなければいい」 彼女の悩みを逆手に取った提案をされたことで、アグネスデジタルは、芝もダートも両方走る「オールラウンダー」を目指すことを決意するのであった。 そして、学園は衝撃のニュースでざわめく。 アグネスデジタルが「芝とダート、両方の選抜レースに出走する」という前代未聞のスタートを切るというのだから。 無事、選抜レースを両方快走してみせたデジたん。 その万能っぷりと確かな実力を目の当たりにしたトレーナー陣からさっそくスカウトが来るも、先約とばかりにウマ娘オタク仲間のトレーナーを連れてそそくさ。 「本気で芝とダートを両方妥協なく走らせてくれるトレーナーなんてまずいない」。互いの約束と覚悟をもって、はてしなく長いオタク坂道を登り始めたのだ……! 育成シナリオ レースを勝ち抜き、ウマ娘を思う存分hshsする愛でる日々を送るも、かつてとは違って自分もレースの当事者となったことで、 自分が勝利したことによって、敗北した愛しのウマ娘ちゃんを悲しませてしまうという、新たな悩みも生まれる。 そんなデジたんをキングヘイローやテイエムオペラオー、メイショウドトウといった先達・強敵たちとの激闘と語り合いが、彼女を『真の勇者』へと導いていく。 育成中の特殊イベントにはクラシック級宝塚記念があり、一足早くテイエムオペラオーとメイショウドトウの両者と戦うことができる(*25)。 また朝日杯FSor阪神JF、桜花賞、NHKマイルカップ、マイルCS、フェブラリーS、ヴィクトリアマイル、安田記念を含むマイルG1を7勝すると隠しイベントが発生し、 URAファイナルズ(もしくはアオハル杯決勝)の直前にスピードとパワーがアップし、「上昇気流」「負けん気」のヒントレベル+1を入手できる。 更に、2022年8月19日のアップデートで新たに盛岡競馬場が追加された事で念願のマイルCS南部杯に出場可能(*26)となり、目標レースでは無いが追加イベントが発生、 レース後、各種ステータスアップ・スキルポイントに加え「盛岡レース場」「急浮上」のヒントレベル+1を入手可能になった。 南部杯の開催時期が「クラシック級・シニア級 10月前半」で、どちらか片方出走すればいいのでイベントを発生させたい場合は登録を忘れずに。 特殊実況はシニア級の天皇賞(秋)に設定されている。 育成最終目標であり、1着を求められる関係でスキップしない限りは聴くことができるが、ここまでで芝2000mのG1未勝利であることが求められる。 ホープフルステークスやクラシック級天皇賞(秋)、大阪杯などに勝利していると聴くことができないので注意。 現在は全日本ジュニア優駿、川崎記念、かしわ記念、マイルCS南部杯などダートG1が充実しているため、取得難易度は下がっている。 なお、作戦が追込だと条件を満たしていても聞けない模様。このことから、先行or差しで勝つ必要があるようだ。 + 特殊実況 ※ネタバレ注意 これは納得の強さアグネスデジタル! 芝の2000m戦でも見事G1を制してみせました! (元ネタ:2001年天皇賞(秋) フジテレビ 塩原恒夫アナ) その天皇賞(秋)だが、史実通り天候は雨、重バ場固定の演出が入る。 そして、この目標のイベントこそ『勇者アグネスデジタル』の集大成であり、勇者の出陣を後押しするかの様に主人公補正並みの演出が入る為、最初から最後まで必見推奨である。 たくさんのウマ娘ちゃんファンが見ててくれてる! だから──だから──! 観客席に向かって走れぇぇぇぇ!(*27) アオハル杯においては、スマートファルコン、シンコウウインディと並んで貴重なダート適性を持つ通称「ダート三銃士」の一角。 余程の運の悪さが無い限りは3度目のアオハル杯までにチームに加入してくれる。彼女自身のSRサポカもアオハル杯との相性がいい(*28)。 シナリオリンクを持つ確定加入メンバーの内、ダート適性を持つのはハルウララのみだが、マイル適性がBなので、ダート・マイル適性共にAのアグネスデジタルは重宝する上、 他のダート適性持ちは実質ダート専門なのに対しデジタルは芝適性も持つので、芝のマイル・中距離の面子が足りなければそちらに回せるという使い勝手の良さも魅力。 ただし、アオハル杯のチーム編成を自動割り当てにしていると、チーム全体の総合力を高める編成にすることが優先されるのか芝のマイルに編成されることが多いので、 アグネスデジタルをダートに編成したい場合は、きちんと手ずから編成した方が良い。 そもそも自動割り当て自体そこまで信用できないので、慣れてきたら初回で機能をオフにした方が良いかも ちなみに、クライマックスシナリオ実装と同時に、全ての重賞を勝利することで入手出来る称号『○○全冠』(○○には達成したウマ娘の名前が入る)が追加されているのだが、 適性が広いデジタルはこれが狙いやすいため、是非狙って欲しい。ちなみに、デジタル殿がセルフでビッグバンを起こすランダムイベントもある。 デイズ・イン・ア・フラッシュ 2022年ハロウィンのイベントストーリー。 同時に『ウマ娘アグネスデジタル』の実質的な追加ストーリーでもあり、デジタル視点を主軸に物語が進行していき、要所で彼女の胸中が独白として挟まっている。 (──聖蹄祭) (春と秋の2度行われる、ファン感謝祭。体育祭的な雰囲気である春のソレに対して、秋の感謝祭にはそんな素敵な名前がついている) (クラスやチーム、有志の集まりなどによって出展される出し物系がメインの、いわばトレセン学園における"文化祭"……) (つまりウマ娘ちゃんたちの貴重なレース外での姿を堪能出来る激レア最強神イベント!!なのである!!) (さて、私の名前はアグネスデジタル。どこにでもいる 平 凡 な ウマ娘) (普段は見えない空気のフィルター1枚越しに息をしている。だというのに!) この後、デジタルのセリフが入り直後にまた独白が入ったりと、ストーリー開始早々、この濃さである…。 聖蹄祭に向けて、ひょんな事から『ウインディちゃん魔王城計画』に協力する事になったデジタルとドトウ。 途中、メジロパーマーとダイタクヘリオスを仲間に加え、 『魔王シンコウウインディと四天王』、更に爆逃げコンビの派手な呼び込みで加わった生徒達と共に計画を進めて行く中で、 デジタル自身のオタクとしての矜持による弊害や悩み、それを励まし導いてくれる仲間達…。 (一方通行でよかった。推しとヲタクの関係だから、と。……一方通行でなければいけない、と、思い込んでいた) (だけど、今の私は──) (見えない空気のフィルターに、ほんの小さな穴が開く。そこから新しい空気が、かすかに、けれど勢いよく、ごうっと舞い込んだ) ドトウに背中を押されたこともあり、"一介の傍観者"ではなく"一人の仲間"になる決意をしたデジたん。 アスリートとして研鑽し高め合う"好敵手"としてではなく、 同じ目標に向かって皆で協力し合う"仲間"としての楽しい日々はあっという間に過ぎて行った…。 (見えないフィルターのその先で、あなたたちと、息をしている) ◆関連キャラクター エアシャカール、タップダンスシチー 史実における同期。ただ適性やローテなどの関係でエアシャカールとの対戦経験はなく、 タップダンスシチーとは宝塚記念及び有馬記念で対戦しているが、安田記念以降既に燃え尽きており両方デジタルの惨敗に終わっていた為、どちらともライバル関係には至らなかった。 エアシャカールとは取り立てて深い間柄ではないが、彼女自身のサポカイベントや育成シナリオ、シニア級の夏合宿でのイベントで後述の後輩ちゃんの境遇を語る際など、 史実で関わりがあった以外のウマ娘の中では、デジタルのシナリオやイベントでシャカールの出番・絡みは割と多めである。 サポカイベントでは、 「相手の出方を読まなきゃ攻撃できねェ。相手の思考を読めなきゃ守れねェ。どっちも知ってるヤツが本物なんだよ」 と、暗に彼女に備わったオールマイティーな脚質・バ場適性にも通じる助言を授けている。 育成シナリオでは、「ライバルの存在が必要かもしれない」とトレーナーから助言を受けたデジタルが最初にライバルになってほしいと掛け合ったが、 理論的にレースを走るシャカールからは、自身のペースを崩す要素の介入を好まないとして即断られている。 条件を満たすと後に彼女の方から挑まれるイベント(*29)が発生し、そこに介入して来たタキオンと壮絶な争奪戦になった。同時にデジタル本人は歓喜で尊死風になった。 また、上述の通りエアシャカールのダンスレッスンの練習相手として来ており、彼女の踊りを見て倒れていた(*30)。またデジタル殿が(ry 一方、タップダンスシチーはウマ娘としての発表が遅めだった為に、デジタル視点での絡みは無かったが、彼女が実装されてからは多少ながら交流が見られるようになった。 ホーム会話では新たに、【デジタル・シャカール・タップ】の同期三人の会話が追加されており、 タップから、「いつかアタシの城で笑って暮らさないか?」とシャカールと共に同棲を持ちかけられている。 タップ曰く、デジタルもシャカールも誰にも語らない秘めた情熱を持ち、自分からは繋がりを求めないヤツらであり、だからこそ気軽にいつでも遊びに誘いたいとの事。 ちなみに、同期三人で並んだ場合、身長がタップ(170cm)とシャカール(168cm)に対してデジタルは143cmとメチャちっこい為、ホーム会話を見てその凹凸差に驚愕したトレーナーも少なくない。 また、タップダンスシチー側のシナリオでは既にドバイや香港にも遠征しており、時系列的にはデジタルのストーリー終了後となっている模様。 後、史実に沿ってシニアの宝塚記念でライバルとして登場するのだが、言動が完全に不審者のソレ アグネスタキオン ルームメイト。同じアグネスの冠名を有しているがメジロ家のような家系や血の繋がりはない。 デジタルとは方向性が違うが、項目を見てもらえば分かるようにタキオンもタキオンで結構な変人であるため、 冠名が同じということで、「ヤバい方のアグネス」→「どっちだよ」というのはもはや決まり文句。馬主さんもよくこんなキャラを(ry マッドサイエンティストめいた言動で他者から避けられがちなタキオンであるが、アグネスデジタルにとっては彼女も立派な『推し』である他、 同室故に生活力に欠けていることを理解されているのか、年下のデジタルが洗濯等の手伝い等をするなど、それなりに親しい様子。 さすがにモルモットくんも踏み入れない領域のお世話分の謎が解けた タキオンも「普段は観測する側の自分が観測されるのは興味深い」という理由でデジタルに好意的に接していて、 普段からそれなりに世間話もする間柄らしく、「ウマ娘ちゃん好きのトレーナー」の存在を既に聴いていたり、 適切な距離感を取るのが苦手な傾向にあるデジタルくんが上手くいくかを見守るなど、彼女なりに気に掛けている。それでも時折寒気がするらしい お出かけイベントでは、実験ついでとは言えデジタルに最適なデオドラントを作っており、彼女程ではないが、よくしてくれている様子。 キングヘイロー 先輩で最推しのウマ娘の一人。 育成シナリオでは、キングが不調にあえぐ中、そんな彼女を励まそうとしたデジタルが、 夏合宿の合間を縫って「オリジナル応援コール本or応援イラスト合同誌(*31)」を本人に渡すという強火のオタクぶりを見せている。 当初はキングメインの本文16P日常漫画を描くつもりだったが本人バレしかけたため、公開しても大丈夫な内容に変更した。 キングもそんなデジタルの姿勢に励まされる一方で、 「ウマ娘ちゃんを眺める『傍観者』でありながら、自身もまたレースを走る『当事者』になってしまった」 というデジタルの二律背反の悩みを見抜き、夏合宿後もデジタルと共に練習してくれる。 「出遅れようが、つまずこうが取り戻せないものなんてない!」 「だから私は『マイルCS』までに必ずよかった頃のフォームを取り戻す。」 「その私に情けをかけ、本気で走れないと言うなら……。」 「あまりにも失礼よ。一流の私にも、あなた自身の才能にも。」 「はい……。はい……。あたし、勘違いしてましたッ。」 「一流の欠片……いただきましたッ。これを胸に……。」 「あたし、『マイルCS』までトレーニングに励みますッ! キングさんに恥じないように!」 そしてその姿をもってデジタルに「ウマ娘が走るとはどういうことか」を教え込み、マイルCSでの激突の後、 「真のオールラウンダーとなりなさい」と訓示を残し、デジタルの覚醒を促した。 勇者の旅立ちを激励する王様の様に…。 キングの株価急騰(2回目)の要因。 「落ち目のキングが出たマイルCSで大穴のデジタルが勝った」のは史実通りの成り行きだが、この組み合わせは登場まであまり注目されていなかった。 キングはデジタルの不得手である距離適性面でのオールラウンダー(勝ってないけど)だったのも対照的かもしれない。 テイエムオペラオー、メイショウドトウ 史実における天皇賞(秋)で争った相手であり、現在の最推しカプとのこと。 また、史実においてデジタルは「オペラオーとドトウが王道GⅠの1・2着を独占する」という暗黒時代を打ち破った『勇者』である。 それだけにアプリ版でも彼女たちとのやり取りが見られ、本調子を出せていないドトウにアドバイスを送ったりしている他、 デジタルの育成シナリオでは、良き先達であるオペラオーとドトウに導かれたデジタルが、シニア級の天皇賞(秋)にて、 「勇者」として「覇王たち」に挑むことになる。 この二人だからこその見解として、オペラオーは「類まれなオールラウンダーなデジタルくんには競り合い高め合うライバルがいない」という点を指摘したことも。 なおタキオン同様、オペラオーもアグネスデジタルの視線に時折寒気がするとこぼしている。 また2022年のハロウィンイベントでは、ドトウと共に新衣装が実装された。 イベントストーリー終盤、重大な岐路に立たされ悩むデジタルをドトウが励まし導いている。 「私にも……憧れの方がいます。誰よりも強くて、前向きで、キラキラしていて……きっと……ひとりでも、大丈夫な方。」 「それでも、私は……ひとりにしたくないって、思います。」 「あの方の……仲間でいたいって、思います。」 ゼンノロブロイ、シンボリクリスエス 史実ではデジタルの引退試合である有馬記念で対戦しており、 ロブロイはその史実に沿ったであろうホーム会話がある(*32)。 デジタルのランダムイベントで、得意の整理整頓で図書委員の仕事を手伝ったりラーメン屋で苦戦するロブロイを陰ながら手助けしたりしている。 また勇者と英雄と呼ばれたという共通点もある。デジタルに勇者要素は薄いけど クリスエスは有馬記念の前に宝塚記念と天皇賞(秋)でも対戦経験があったが、安田記念のレコード勝ちを最後に完全に燃え尽きていた当時のデジタルとは全く勝負になっていなかった。 負けても 推し活 ファンじゃ!※仮説の話 「ゆるにゃん」 上記のSRサポカにおける推し。 今のところは「ゆるにゃん」という通称と、コールが「TSUI☆GEKI」であることしか分かってない。 デジタルの持つ団扇にウマ娘がうっすら描かれているが、その勝負服の色合いがシンボリルドルフと同じシンボリ冠の勝負服に似ており、 さらにデジタルが首にかけているマフラータオルには「03」と書かれている。 これらのことからモチーフは恐らく03年の天皇賞(秋)、あるいは有馬記念の勝ち馬時のシンボリクリスエスの可能性が濃厚だが、果たして…? 史実だと上述の通りデジタルはこの2レースでどっちも惨敗している。 つまりこの状況は自分が惨敗したレースのウイニングライブに客として参加しているということになるし、万一有馬なら自分の引退レース直後である……。 ネオユニヴァース、ヒシミラクル 史実では2003年の宝塚記念で対戦経験があると同時に、 ネオユニ(日本ダービー)→デジタル(安田記念)→ヒシミラクル(宝塚記念)の三連コンボで億超えの配当金を手に入れた「ミラクルおじさん」の逸話繋がりがある。 その縁あってか、彼女達の育成ストーリーやイベントではちょくちょく出番がある。 「うわぁあああやっぱりそうだ!!!なくしたと思って三日三晩泣きわめいた推しグッズ!お前こんなところにいたんか!」 スペシャルウィーク 上記の通り、ホーム会話においてナマモノ同人誌について質問され別の意味で死にかけている。 この二人、史実では同じ厩舎であり片や日本総大将、片や万能の勇者と呼ばれる程の活躍をした二頭でもある。白井最強。 余談だが、二人を巡ってウマ娘同士で軽い修羅馬…もとい、争奪戦が起こっており若干天然タラシな部分も共通している(*33)。白井最強。 また、『うまよん』において、(話数は別だが)アイネスフウジンの主役回で1コマ目において大樹のウロへ叫んでいる。 「次は絶対勝ぁーつ!!」 「尊ォーい!!」 更に、シンコウウインディの主役回ではヨダレを垂らす音だけでウインディを軽いノイローゼ状態にしていた(*34)。 「じゅるりら…☆」 「じゅるりら…」 お前ら… スマートファルコン、ワンダーアキュート ファル子ことスマートファルコンは「ウマドル様」呼びの推しウマドル。 いつも最前列でサイリウムを振っているからかファル子からは顔というかその目立つリボンを覚えられており、 ホーム会話で直接お礼を言われた際に感極まって立ったまま気絶してしまったり、個別ストーリーでファンサービス旺盛なファル子の神対応に限界オタクと化したりしている。 一方で、ファル子側からはライブの盛り上げに一役買っているデジタルに感謝しつつも、 同じダートを走るウマ娘としては明確にライバル視している事がファル子本人から明かされている。 また、2022年夏にはコパノリッキーの実装をきっかけにダートウマ娘が大幅に追加されたが、 その中でもファル子と鎬を削りあった古豪・ワンダーアキュートが、ファル子について「赤鬼のように強い」と評した事で彼女の「ダート最強ウマ娘」の地位を確かなものにすると同時に、 そんなファル子からマークされているデジたんの評価も相対的に上がる事になった。 またしても知らない内に強キャラ設定を盛られたデジタル殿 ワンダーアキュート実装と同時にホーム会話において、ファル子×アキュート×デジタルのやりとりが追加された。 コパノリッキー、ホッコータルマエ 上記のファル子とアキュートの後輩であり、共に譲れない夢の為にライバルとして互いに切磋琢磨している純粋なダートウマ娘の二人。 ダート界の代表とも言えるファル子程ではないが、デジタルも地味に関わりがある。 リッキーに関してはキョンシー服に興味を持たれ、彼女からマンツーマンで風水講座を(*35)、 タルマエに関しては彼女自身の育成ストーリー内でダンスのパフォーマンス向上の為に意見を請われている。 更に上記にある通り、5thの会場物販ガイドの書き下ろし漫画で共演もしている。 史実では、アキュートと共にデジタル号産駒との対戦等で関わりがあった。 ユキノビジン 上述の南部杯イベントにて登場。 里帰りのついでに『南部せんべい』を手土産に応援に来てくれる。 何気にゲーム版ユキノの私服姿初披露である。 また、南部杯イベントで走りに魅せられた地元のウマ娘達が『デジタルのファン』になってしまいレース後にサインや握手を求めて殺到。 危うくいつものように尊死しかけるも、トレーナーからの『推しの期待に応えるのがヲタク』という言葉で持ち直し、戦闘力53万のフルパワーで推しへのファンサを完遂した。 なお握手の後、「この手はしばらく洗いません!!」と言っていたが流石に衛生面は配慮してくだされデジタル殿… ニシノフラワー 上述のマイル制覇の隠しイベントにて登場。 パラレルワールドにおいて『マイル王』と呼ばれるようになってしまったデジタルは、アイデンティティを守るため、 『オールラウンダー』か『マイル王』どちらかの称号を諦めなければいけないと勝手に頭を悩ませていた所にフラワーとタイキの二人が現れ… 「アグネスデジタルさん、レース、いつも拝見しています。あの……。」 「よければ今後、胸を貸していただけませんか?私、尊敬していて……。」 「貸しますッ!胸どころか、もう丸ごとッ!!!!!」 「デジタル……?何やってんだお前ェっ!!!!」 フラワーに頼られた事でアッサリ手のひら弧線のプロフェッサー。 「オールラウンダーだから、いくら称号を増やしてもウマ娘ちゃんと絡んでも、おけ。」と勝手に自己解決し、 以降は『オールラウンダー兼マイル王』として生きていくと決めたのだった。 カレンチャン、マーベラスサンデー 『STARTING GATE!』において学年別校内マラソン大会で二人に勝利している。 カレンチャンはデジタルの推しウマスタグラマーであり、 頻繁に更新される彼女のウマスタ投稿は毎日欠かさずチェックしているらしい。 史実では下記の後輩ちゃんの娘である。 マーベラスサンデーとは直接の絡みは少ないが『うまよん』でマヤノトップガンと共に三人で遊ぶ回があり、「ブートキャンプ」レベルのハイテンション遊戯に一日中付き合いグロッキーになっていた。 またマーベラスの育成イベントにおいて、ロブロイと共に同じクラスと思われる描写もある。 ファインモーション 推し事探訪~出張編~その1 彼女の育成ストーリー内のイベントでデジタルが登場している。 何をとち狂ったのか推し活を知る為に殿下自らデジタルの元を訪れ「推し活とは何か」を学んでいた。 推し活指導の為、逃げ切りシスターズのライブを満喫した後にファインの担当Tより「ファインには推しはいる?」と聞かれて、 「デジタルちゃんはかわいいし」とデジタルを推しの1人として見ている様子だった。流石です殿下。 その後、1番の推しについて含みのある問答をするも、ファインTが回答する前にデジタルがファインの真意を察してエモで倒れてしまった為、うやむやのまま終わってしまった。 もう少し空気を読んで尊死してくだされデジタル殿 余談だが、デジタルが使った「応援うちわ」をファインが別のイベントで使うシーンがあるのだが(*36)、 奇しくもファインの親友兼ライバルのエアシャカールも彼女自身の育成イベントで、デジタルを介して同じ物を使用するイベントがある。 s(自分がウマ娘ちゃん同士の間に間接的に入ってたと知った時のデジたんの反応が気になる} ヴィブロス 推し事探訪~出張編~その2 まさかのおかわり、しかも今回はヴィブロスの切れ者イベントにおける重要人物である。 スマートファルコンとホッコータルマエのコラボライブで登場直後から召される寸前だったデジタル殿。 そこで出会った(デジタル曰くみんなの妹)ヴィブロスにウマドルとは何かただのオタク語り真言を説き、努力をしてこそ甘やかしてもらえるという結論にヴィブロスを導くのであった。そしてデジタル殿の残機もごっそり減ったのだった 史実では活躍した年代が違うが、ファル子とタルマエを含めてドバイで出走した経歴がある。 更に、デジタルとヴィブロスに絞ると香港にも出走した共通点もある。 シンコウウインディ トレセン学園の問題児その1。基本的に人の言うことを聞かず誰彼構わず噛みつく(物理)気性難。 そんな彼女も挑むでもなく嫌がるでもなくひたすらすこるばかりのアグネスデジタルは苦手とするらしく、 ウインディは「噛んでごめんなさいなのだ」と素直に謝るなど非常に恐れており、上述の通り軽いノイローゼ状態に陥っている場面もある。 いっぽう、当然ながら(?)デジたんはウマ娘ちゃんであれば誰相手でも昇天するので、攻撃極振りの紙装甲といった塩梅。……塩梅? 『デイズ・イン・ア・フラッシュ』では、ウインディちゃんの落とした計画書(ノート)をドトウと二人で勝手に読んで絶賛した事がきっかけで、 ウインディの最初の仲間として受け入れられ、お互いにイベントにおける表と裏の主人公として活躍した。 中の人繋がりでウインディとの絡みを汚い山紫水明とか言った奴は屋上 ちなみにウインディとは「史実でフェブラリーステークス勝利後安田記念にも参戦した」という共通点があるのだが(他に日本テレビ盃も)、 アグネスデジタル号が安田で久しぶりに勝利したのに対し、先行例でもあるシンコウウインディ号は13着と惨敗していた。 ゴールドシップ トレセン学園の問題児その2。自由奔放に学園内でやりたい放題暴れる為、生徒会や委員会関係者の悩みの種となっている。 そんなゴルシでも、デジタルに対しては畏怖を感じており、育成イベントでは奇行で投げた自身のスマホの匂いを嗅ぎ付けられて全力疾走で取り返しに行く程。 また、デジたんはシナリオのイベントで、ゴルシは自身のチャンネル『ぱかチューブっ!』にて、ビッグバンを起こし宇宙を創造してしまう異業?をなしてしまった。 史実では直接的な接点は無いが、どちらもGⅠを6勝しており、色々な意味で大量の馬券を宙に舞わせた珍馬としても有名である。 メジロパーマー、ダイタクヘリオス 陽キャな爆逃げコンビでお馴染みのギャル達。 上述の『デイズ・イン・ア・フラッシュ』で共演し、彼女達の活躍が『魔王城計画』を進める為の推進力となった。 また、ハロウィン衣装のイベントにおいて、魔王と四天王+トレーナーでカラオケに行った際に、 さりげなく周囲に気を配るデジタルの行動を同じく気配り上手なパーマーにだけは気付かれており、 感謝されると同時に「ウチらさ、意外と似た者同士だよね?」と笑顔で答えられていた。 ダイワスカーレット、ウオッカ ウマ娘の鉄板カップリング。 デジタルも当然ご相伴にあずかっており、二人の口喧嘩パターンを把握し妄想で完璧に再現して驚かせている。 傍目から見てもこの二人のやりとりはケンカップルにしか見えないようである。 なお繰り返しになるがデジタルの苦手なものは推しカプ論争。ウオ×スカかスカ×ウオか聞くのは止めておこう。 史実では活躍していた時代が違うので対戦したことはないが、ウオッカとは一時期騎手が四位洋文だったという繋がりがある。 シンボリルドルフ 地味に交流回数が多い。 『うまよん』ではレース活躍を労ってデジタル自身はウマ娘ちゃん布教によるものだと勘違いしていたが直々にバレンタインのお菓子を贈呈し、 育成シナリオでも同じようにクリスマスプレゼントを贈られている(*37)。テイオー嫉妬案件 ファン感謝祭では、デジタルのオタク目線にたった配慮により大盛況に収める活躍に対して陰の立役者と絶賛していた。 次期生徒会長候補? また、実力と実績、雑務能力、何よりウマ娘ちゃんを想う気持ちの強さから、「テイオーの対抗バとして、デジタルも次期生徒会長候補になるのでは?」との声も多い(*38)。 もっとも、すぐ尊死して仕事が滞りまくる可能性も非常に高い為、的確なバックアップが出来るサポート役は必須だろうが… オグリキャップ クライマックスシナリオのランダムイベントで、"芝とダートの両方を練習を行うのに最適の人材"として、オグリ側からコンタクトがあり、 いつものように尊死しかけるも「推しの頼みは断れない」とギリギリのところで復活を果たした。 ちなみにこの二人、史実では安田記念で当時のレコードを記録しており、デジタルが塗り替えたのはオグリのレコードである。 メジロドーベル、ライスシャワー クラシック期の夏合宿で条件を満たすと登場するウマ娘。 ドーベルに関しては何故秘密を知っていたかは謎(*39)だが、拝み倒してキングヘイローのイラストを寄稿して貰っていた。 実は、この三人全く繋がりが無いように見えるが接点がいくつかある。 ウマ娘においては何かしらの漫画を描いている(ドーベルは少女漫画、ライスは絵本、デジタルは…)というか前述のイベントがその繋がり。 史実においてはライスとデジタルはどちらも同じ騎手で今でも語り草となるGⅠレースを勝利しており(*40)、ドーベルとデジタルはGⅠを5勝以上した名馬同士(*41)。 という共通点がある。 また、アオハル杯アップデートで【チーム ダブルデュアル 】という、合同サークル…、もといデジタルとドーベルのペアも新規追加された。 これにより、デジたんと同志ベルちゃんとの関係性をより強固なものにしたと言えなくもない… マヤノトップガン 直接的な絡みは現状『うまよん』くらいしか無いが、 同級生(設定が変更されていなければ) 同じ身長(143cm) ツーサイドアップ 大抵のことはこなせる天才肌 ゲームでも「幅広い適性」を持つウマ娘 等々、色々と共通点が多く見られる。 後輩ちゃん 育成シナリオで登場する将来有望な後輩ウマ娘。デジタルも一押しのスーパールーキー。 4番枠でNHKマイルカップに出走し、ここを圧勝、この時実況から「舶来の衝撃!」と称されていた。 続く神戸新聞杯でも好走し、天皇賞(秋)で対決するはずだったが、出走枠を確保できず叶わなかった。 正体は恐らく…というかどう考えてもクロフネ。 カレンチャン号の父親にして、史実における2001年、つまりデジタル4歳時のNHKマイルカップ勝ち馬であり、 秋天出走に当たってデジタルとひと悶着あった競走馬である。 詳しくは史実項目参照。 ライトハロー グランドライブシナリオ実装に伴い登場した、ゲーム版オリジナルウマ娘。 デジタル自身がシナリオリンク対象ウマ娘ではない為、直接的な交流は無いが… ハイスペックに対して自己評価が低く褒められ慣れていない 形は違えど全てのウマ娘の幸せを願っている オタク気質 マッサージが得意 等の共通点があり、親子または姉妹設定でも不思議ではないくらいに性格が似通ってる為、絡んだら意気投合の末、確実に同志になると思われる。 その場合お互いノーガードの褒め殺し合いに発展しそうだが 担当トレーナー 相方と書いて「せんゆう」と読む間柄。トレーニングに励むウマ娘の姿を見て思わず応援した彼/彼女とデジタルの応援が被ったことで知り合った。 その出会い方からシンパシーを感じたらしいデジタルに、どう勘違いしたのか「ウマ娘ちゃん好きの人」という少し響きが不審者っぽい覚え方をされた。 その後は上記の通り彼女にオールラウンダーの道を示し、デジタルと半ば彼女からの逆指名に近い形でパートナーとなった。 なお、このトレーナー別にオタク趣味がある訳ではなく、あくまで『一般人』である。 一方のデジタルはトレーナーをオタク仲間と誤解している節があり、『同志』として接するためにちょっとズレたやり取りになることも多いが、 職業柄ウマ娘の知識は豊富なことと、「デジタルが喜ぶなら」というスタンスで彼女と調子を合わせて接しているため、 たまにデジタルに「どうした急に」とツッコんだりもするがデジタルとは良好な関係を築いていく。 デジたんいわく「他の人だとちょっと変な空気になることが多い」ので、ちょうどいい距離感を自然に取れるトレーナーとはバッチリな様子(*42)。 ちなみに、デジタルは自己肯定感が低めなためか(*43)、トレーナーとのやり取りでは若干朴念仁であり、 社交ダンス体験会のパートナーや(所謂ファンネル扱いで)コミケに誘ってきたり、バレンタインデーの日にナチュラルにチョコを食べさせにきたり(*44)、 いい意味で変態呼ばわりしてきたりと、距離感自体は非常に近いのだが、自分がトレーナーの「最推し」という認識はないらしく、 トレーナーから褒めちぎられたり、バレンタインにチョコを渡される等で好意を示されると、困惑や照れで普段とは打って変わって大人しくなる。誰だこの超絶美少女。 なお彼/彼女の最推しウマ娘は「アグネスデジタル」。「お前が推しなんだよ!」が担当たちの合言葉である。 しっぽの毛いりますッ!? ◆余談 豊富すぎるパロディ オタクキャラらしく、育成シナリオは他作品のパロディネタがかなり多い。例を挙げると、 シナリオ短縮中、モノローグで「オッス! オラ、デジたん」と言う。 バレンタインイベントで「アッハイ」「アイエエエ! チョコナンデ!?」と言う。 上述のマイルG1を7勝すると発生する特殊イベントにおいて、『偉大なる路【グランドマイル】』を制覇し『マイル王』となる。 他にもあるかもしれないので探してみよう。 個別ストーリー中のネタでは、「オールラウンダー」の提案をされた際、「エンダアアアアアアアアアア!!」と絶叫し、 その後「いやー」から話し出す(*45)という、オタクというかMAD文化に親しんだ層向けのネタ台詞が特に有名。 ちなみに直前で「タイタニック」を例えに出しているが、これも「エンダアア(ry」が「タイタニック」の曲だと勘違いされやすい(*46)ことが元ネタと思われる。 担当声優であり、他作品でも頭一つ抜けた歌唱力で有名な鈴木みのり氏の肺活量が無駄に活かされた「アアアアアアアアアア」部分の声の伸びと恍惚顔でくるくる回るデジタルと、 明らかに元ネタに寄せた「いやー」の発音は、特に元ネタを知るオタクプレイヤーの笑いを誘った。 また、ホーム会話での『たとえ火の中、水の中』発言や育成最大評価時の『あなたこそがウマ娘ちゃんマスターですっ!』等、今や国民的人気ゲームのアニメを代表するテーマ曲のパロディネタも有名ではあったが、 2023年に入り長年主人公を一貫してきたアニポケにも遂に世代交代が入り、主人公役とテーマ曲を兼任してきたレジェンド声優からバトンタッチされた形で、なんとデジタル役の鈴木みのり氏が新主人公の一人として抜擢されている(*47)。 更に、性格的にも変態なデジタルと比べたら大人しめな部分以外はデジタルと重なる部分が多々あり、ウマ娘トレーナーの大半は既視感を覚えたとか…。 デジたんと尻尾 上述のように、「尻尾のキモチ」という本を描いたりトレーナーに自身の尻尾の毛を譲渡しようとしたりしており、度々ファンの間では深読みや様々な意見が飛び交っていたが…、 その行動がとんでもない大事だという事が判明する事態が遂に発生してしまった。 発端は10月に実装されたヤマニンゼファーの育成イベント『純情清風注意報』での出来事。 トレセン学園の生徒たちの間で大ブームだという青春ドラマにて、「ウマ娘たちが互いの尻尾同士を絡ませる」シーン、ネイチャ曰く『尻尾ハグ』が生徒たちの話題を攫い、 ドラマは見ていないが、概要を聞いて興味を示したゼファーが「自分もやってみたい」とイクノにやろうとするも「特別に仲が良い子同士でやるもの(意訳)」と断られ、 その後、「特別な相手」と聞いて隣にいるトレーナーを連想したゼファーが彼/彼女を尻尾で触るというイベントがあるのだが、 実際にされたトレーナーはもちろんのこと、それを目の当たりにしたネイチャはおろか普段は冷静沈着なイクノですら慌てふためいていた。 この反応と、ゼファーにかいつまんで説明する際に(言い淀みつつ)「うんと特別な相手」と特別なタイミングでするものと『尻尾ハグ』を説明したことを鑑みるに、 本来『尻尾ハグ』は『親しい相手にしかやらない過激なスキンシップ』であり、今回ゼファーがやったように公衆の面前でやるのは憚られること、 そして、尻尾でトレーナーを意図的に触ったゼファーをネイチャたちが「大胆」と称したことから、『ウマ娘が尻尾で特定の誰かを触る』こと自体が割と大胆な行為であることが発覚した(*48)。 この直球な爆弾投下により、ゼファー実装後間もなく『尻尾ハグ』というワードがTwitterでトレンド入りしてしまう程、トレーナー達は衝撃を受けた。 …ここまで言えばお分かりだろう。 それだけウマ娘の尻尾は特別なものという事実が改めて判明した今、 デジタルが実行しようとした"尻尾"に纏わる行動の意味と重大性が丸っきり変動してしまう可能性が高まったのである(*49)。またしても知らない内に(ry デジたんと尊死 その限界ガチ勢のオタクっぷりから、Twitterやpixivで尊いウマ娘のイラストが投稿された時に、デジタルが卒倒したり昇天した二次イラストやコラ画像がリプ欄を埋め尽くすことが多い。 そのため生まれたのがタグにもある「またデジタル殿が死んでおられるぞ」である。 2021年12月にモチーフ馬であるアグネスデジタル号が死去した。 アプリリリース後では初のウマ娘のモチーフに選ばれた競走馬の訃報となり、 元からの競馬ファンだけでなく、ウマ娘公式やウマ娘を通じてアグネスデジタル号の活躍を知った人々から哀悼の言葉が送られた。 史実においては奇しくも因縁あるシンボリクリスエスと同じ命日(12月8日)である。 ※注意※ それまで通りウマ娘のアグネスデジタルに対して「またデジタル殿が死んでおられるぞ」を使うのはともかく、 モチーフ馬であるアグネスデジタル号に対しては、とんでもなく不謹慎なので使わないように注意してほしい。 また、聖地巡礼と称して牧場や墓参りをする際は事前に必ず牧場主へ連絡し、許可を得た上で指示に従うようにしましょう。 牧場の不法侵入や許可を得ない撮影行為は厄介オタクな行為でしかなく、デジタルの同志でありたいならば身勝手な行為は慎みましょう。 隠しきれない歌唱力 上述の通り、担当声優の鈴木みのり氏は高い歌唱力で有名であり、それは『ウマ娘』でも存分に活かされている。 そのため、彼女が声をあてるデジタルも、ウマ娘の中でも屈指の歌うまキャラクターとなっている。 ただでさえ高スペックな子なのに歌まで上手いとなると最早無敵と言ってもいいような(*50)。 ちなみに、詳しくは鈴木氏の項目などを見れば分かるように、俗に『シンデレラ一門』(*51)と言われるような濃い人物像でも知られており、 そのためか、歌唱力以外でも「デジタルのオタクっぽい台詞や奇声」の演技力についても高評価を得ている。 あぁ、これが……モニタ越しじゃないトレセン学園のウマ娘ちゃん…。 そう思って追記・修正した瞬間── ──もうね、頭バクハツしましたよね!!!! △メニュー 項目変更 この項目で尊みを感じたなら……\しゅきぃ…/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 コメントログ うまむすめしに出たけど今回も駄目だったよ(いつもの) -- (名無しさん) 2023-10-25 15 08 28 ここだけ記事の熱量が異常に高くて草 -- (名無しさん) 2023-10-28 19 58 14 来年にはRTTTの続編で勇者VS覇王、怒涛との死闘がアニメ化されるのを期待してる。 -- (名無しさん) 2023-10-29 07 40 48 てか、ソロ曲はいつでるんだ、ずっと待ってるんだが・・・ -- (名無しさん) 2023-10-29 08 43 09 描写を見る感じ料理もそれなりに出来そうだからスペック的には弱点ないのではと思う。 -- (名無しさん) 2023-11-05 06 44 44 ワンシーンでいいからデジたんのアニメ通常の等身が見たいな… -- (名無しさん) 2023-11-06 06 25 15 普段着は萌えで選んでるらしいし、ウマ娘としては平凡と言いつつも自身が美少女って自覚はありそう。 -- (名無しさん) 2023-11-09 12 39 41 同期二人と並ぶとデジタル小さ過ぎる可愛い -- (名無しさん) 2023-11-24 06 48 37 早くフィギュア出ないかな -- (名無しさん) 2023-11-28 21 22 18 ↑きっとダイヤちゃんの勝負服以上に製作コストがでかいんだろうな -- (名無しさん) 2023-11-28 21 24 45 アニメやライブのテーマでデジタルがピンポイントですっ飛ばされ続けてるのは良い意味でのフラグと捉えていいんですかね公式さん・・・? -- (名無しさん) 2023-11-29 22 04 22 ずっとソロ曲出ないの納得いかない -- (名無しさん) 2023-11-30 00 59 22 ↑中の人が優秀すぎて録音機会ない説 -- (名無しさん) 2023-11-30 02 53 51 ↑みのりんごが優秀すぎなのとデジたんが特殊なキャラ過ぎて電波に振り切るかガチの曲にするのか、作詞作曲が進んでない可能もある -- (名無しさん) 2023-11-30 06 51 00 香港の育成シナリオ来たらクラウン辺りとも絡むのだろうか -- (名無しさん) 2023-12-11 21 16 56 芦毛の怪物から芝とダートでイナリ以上と評価されている平凡なウマ娘(自称) -- (名無しさん) 2023-12-26 08 41 28 最前列(ダート)の次はドセン(芝・中距離)を狙いに行ったオタク勇者。 -- (名無しさん) 2023-12-27 23 55 16 RTTTからジャンポケまで飛ばされたか…、4番の後輩ちゃんが出てこない事でピンポイントに弾かれた勇者の出番はいつになるのか… -- (名無しさん) 2023-12-28 00 40 05 そう言えば今日は中の人がアヤベと一緒に中山競馬場に来る日か珍しいな年末最後に相応しいレアな光景だ -- (名無しさん) 2023-12-28 13 41 47 ↑2 いや映画の時期は史実での彼女の全盛期でしょうが。しかもRTTTの精神的(?)続編で、背景として出てきたタキオンとカフェが映画の主要キャラになっているし..。 -- (名無しさん) 2023-12-31 00 28 46 アグネスデジタルの勇姿をアニメで見れる日を2024年も待っている。 -- (名無しさん) 2023-12-31 21 13 50 分岐進化スキルがオペドド絶対差す勇者。 -- (名無しさん) 2024-01-07 19 08 16 船橋のデジたん記念でアグネスデジタルの孫が勝つ奇妙な奇跡、グッズも完売したみたいだし人気やなデジたん。 -- (名無しさん) 2024-01-18 01 48 22 何故ヴィブロスのイベントにって調べたら香港とドバイ走った共通点あるのかどっちも -- (名無しさん) 2024-01-19 19 18 14 デジタルの項目だけ情報の熱量もポチッとの数が文字通り桁違いで笑う -- (名無しさん) 2024-02-22 23 22 02 お前のような平凡なウマ娘がいるか -- (名無しさん) 2024-03-09 09 25 32 このキャラで追込バじゃねーのかよってNPC見ながら思ってたけど、因子で盛れるのね -- (名無しさん) 2024-03-09 09 27 22 執拗にデジタルを表舞台で活躍させないのはフラグと見てよろしいのか公式よ? -- (名無しさん) 2024-03-28 21 03 00 やたらと関連キャラ多いな。デジたんなら納得だが。 -- (名無しさん) 2024-04-12 19 49 25 デジタル誕生日おめでとう!!! -- (名無しさん) 2024-05-15 04 44 24 名前 コメント すべてのコメントを見る
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西村修平・街宣名誉毀損裁判:東京地裁判決(平成22年4月28日判決言渡)後編 (西村修平・街宣名誉毀損裁判:東京地裁判決(前)より続く) 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(名誉毀損性)について (1)本件演説部分について 本件演説部分は、これと一体をなすその余の部分、とりわけ創価学会がオウム真理教に比類する巨大なカルト集団であり、亡明代の謀殺事件に関わっていると断定的に主張する部分及び前後の文脈等の事情を総合的に考慮し、一般の聴衆の普通の注意と受け取り方を基準として判断すると、亡明代は、自殺したのではなく、計画的に殺害されたと断定的に主張した上、東村山署副署長であった原告が捜査に当たり、亡明代が自殺したものとして処理したことについて、原告が、同署刑事係長及び地検八王子支部の検察官2名とともに、 亡明代が計画的に殺害されたことを知りながら、あえてこれを自殺事件に仕立て上げて隠蔽しようとしたと主張し、さらに、上記検察官2名は亡明代の謀殺事件に関わっている創価学会の学会員であって、原告及び上記刑事係長もこれと結託して上記隠蔽に加担する不正を行った同類のものであると主張し、上記各事実を適示するとともに、同事実を前提にその行為及び人格の悪性を強調する意見ないし論評を公表したものと解するのが相当である。 したがって、本件演説部分は、原告の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものというべきである。 (2)本件記事について 本件記事部分は、これと一体をなす本件記事の表題及びその余の部分、とりわけ本件窃盗被疑事件の被害店舗の経営者を「創価学会信者」と記載し、原告を同店舗の「ガードマン(?)として登場する創価学会の怪!」と記載している部分及び前後の文脈を総合的に考慮し、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すると、亡明代が、自殺したのではなく、計画的に殺害されたと断定的に主張するとともに、東村山署副署長である原告は、創価学会の関係者であって、捜査に当たり、亡明代が計画的に殺害されたことを知りながら、あえて自殺と断定して、これを隠蔽しようとしたもので、その隠蔽工作として亡明代が万引きをしたという虚偽の事実をねつ造したと主張し、上記各事実を摘示するとともに、同事実を前提にその行為の悪性を強調する意見ないし論評を公表したものと解するのが相当である。 したがって、本件記事部分は、原告の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものというべきである。 (3)被告は、本件表現は、東村山署の機関である副署長としての原告の捜査指揮を批判したもので、原告個人を対象としていないと主張する。 しかしながら、本件各表現は、捜査を担当した東村山署副所長(ママ)である原告を特に名指しし、原告の行為ないし人格の悪性を強調するものであるから、原告個人を批判する側面を有するものと認められる。 したがって、被告の上記主張は採用できない。 (4)よって、本件各表現は、原告の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させ、その名誉を毀損するものであると認められる。 2 争点(2)(違法性阻却事由)について (1)(※公共性、公益性、真実性について説明) (2)公共性及び公益性について 本件演説部分は、東村山署副署長として原告が行った本件転落死事件に関する捜査指揮に関連するものであり、本件記事部分も、原告が行った本件転落死事件等に関する捜査指揮等に関連するものであるから、本件各表現は、事柄の性質上、公共の利害に関する事実に係るものといえ、また、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる。 (3)真実性について ア 本件各表現で摘示又は前提とされた事実の重要な部分について (ア)前記認定事実に照らせば、本件演説部分において摘示された事実、あるいは意見ないし論評の前提としている事実のうち、重要な部分は、(1)亡明代が自殺したのではなく、計画的に殺害されたものであること、(2)原告が、(1)の事実を知りながら、あえてこれを自殺事件に仕立て上げて隠蔽しようとしたこと、(3)創価学会が亡明代の謀殺事件に関わっており、原告は、創価学会の学会員である検察官2名と結託して上記隠蔽に加担する不正を行った同類のものであることであると認められる。 (イ)前記認定事実に照らせば、本件記事部分において摘示された事実、あるいは意見ないし論評の前提としている事実のうち、重要な部分は、亡明代が自殺したのではなく、計画的に殺害されたものであること(上記(ア)(1)の事実)、原告が、亡明代が計画的に殺害されたことを知りながら、あえて自殺と断定して、これを隠蔽しようとしたこと(上記(ア)(2)の事実と同趣旨である)、(4)原告がその隠蔽工作として亡明代が万引きをしたという虚偽の事実をねつ造したことであると認められる。 イ 本件各表現の事実の重要な部分の真実性について (ア)前記認定事実、証拠(甲5、11、19,20,38、乙4の1・2、9の1、11、34、42の2、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1)○○は、平成7年6月19日、東村山署警察官に対し、以前から面識があり、万引きをしたと疑っていた亡明代が本件洋品店に来たことから、防犯ミラーを通して注視していたところ、Tシャツを万引きしたのを目撃したので、立ち去る亡明代を約20メートル追跡して追いつきとがめたところ、亡明代がTシャツを落としたのでこれを取り返したが逃げられたことなどを被害申告した。東村山署警察官は、同申告を受けて、当日客として同店に居合わせ、○○が犯人から上記Tシャツを取り返す状況等を目撃したという者や、同人らが犯人は亡明代だと述べていたのを現場で目撃したという者らの事情聴取をするなどの裏付けをとった。東村山署は、亡明代を被疑者として任意で3回取り調べを行ったが、亡明代は万引き事件は政敵によるでっち上げであるとして犯行を否認し、万引き事件当日午後3時過ぎころ、レストラン「びっくりドンキー」において矢野と一緒に食事をしていた旨のアリバイを申し立て、アリバイの裏付け資料として、同レストランが発行した「レギュラーランチ」を食べたとするレジジャーナルの写しを提出した。しかし、裏付け捜査の結果、同レストランが保管する同レジジャーナルの伝票や同レストランの店員の説明から、同レジジャーナルの写しは亡明代以外の第三者が食事をした際のものであることが判明したことなどから、原告は、警視庁本部の関係課と協議した上で、署長の決裁を受けて、同年7月12日、亡明代を被疑者とする本件窃盗被疑事件を地検八王子支部検察官に書類送検した。 原告は、同日午後5時ころ、上記検察官送致を機に、新聞社の記者らの取材に応じて、上記事案の概要を公表するとともに、「捜査の結果、アリバイは信用できないことや目撃者が複数いることなどから、警察は朝木市議による犯行と認め、本日、被疑者を窃盗罪で知見に書類装置した。」などと広報した。(甲5、20、乙4の1・2、42の2、原告本人) (2)送致後、東村山署は、亡明代が本件窃盗被疑事件が発生したとされる時刻前に北海道拓殖銀行東村山支店のキャッシュサービスコーナーに立ち寄ったことについて裏付け捜査をし、同銀行の防犯カメラが撮影した亡明代と思われる人物の白黒写真を入手したが、○○にこれを見せると、犯人の特徴と一致している旨供述した(甲20、乙4の2、原告本人) (3)矢野は、平成7年10月5日、検察官に対し、アリバイについて、亡明代が警察官に対して「レギュラーランチ」を食べたと供述したのは、亡明代の記憶間違いであり、正しくは「日替わりランチ」だっとと(ママ)供述した。しかし、裏付け捜査の結果、上記レストランが保管していた伝票から、矢野と亡明代が食事をした時間帯には、「日替わりランチ」は完売のため品切れで食べることはできないものであったことが判明した(甲20)。矢野は、亡明代の上記アリバイを最初に自分が思い出したとしているが(甲5)、矢野及び直子の共著に係る「東村山の闇」と題する書籍(乙32。以下「本件書籍」という。)の「第六章 謀殺のプロローグ」の中で、アリバイに関して、「私の記憶だと、メニューの内容から見て、食べたのは、どうもレギュラーランチではなく、『日替わりランチ』だった。」、「店長から渡された『レジの記録』には、よく見ると『レギュラー』を示す文字が入っていたのだ。」、「そうすると、このレストランへ行った日にちが六月一九日でなかったか、六月一九日は合っているが、時刻がちがうか、どちらかだ。」、「一〇日も経っており、記憶も薄れ、完全には思い出せないことはたくさんある。」などと記述しており、上記レストランに行った日にちが本件窃盗被疑事件当日ではなかった可能性等を認め、アリバイに関する記憶が薄れているなどとしている (乙32)。 (4)亡明代は、平成7年9月1日午後10時ころ、前記のとおり本件マンションの5階と6階の間の非常階段から転落したが、同日午後10時30分ころ、同所付近の飲食店店長が血を流して倒れている亡明代を発見し、「大丈夫ですか。」と声を掛けたところ、亡明代は「大丈夫です。」と答え、さらに「落ちたのですか。」との質問にこれを否定し、同店店員が「救急車を呼びましょうか。」と申し出たのに対して、亡明代はこれを断ったが、同店員は、東村山駅前交番に負傷者がいると届け出た(乙42の2)。 (5)亡明代は、救急搬送後、平成7年9月2日午前1時ころ、搬送先の防衛医科大学校病院において、多発外傷に基づく出血性ショックを主体とする外傷性ショックにより志望した(乙9の1、11)。 (6)原告は、上記飲食店店長及び店員から上記(4)の事実を聴取するなどした後、平成7年9月2日午前7時ころ、新聞社等の記者の取材に応じ、東村山署の広報担当として、広報案文に基づき、本件転落死事件に関し、「現在までの捜査状況」として、「本部鑑識課員等の応援を得て、事件、事故の両面から捜査中である。今後は、不明の靴やカギの発見、目撃者の発見等事実解明のため所要の捜査を行う。」と口頭で述べるとともに、手持ち資料に基づき、「事件性の有無」について、「現場の状況、関係者からの聴取及び検視の結果等から事件性は薄いと認められる。」などと発表した。 また、原告は、現場に急行した警察官が本件マンションの5階から6階に至る非常階段の手すりに手指痕跡を発見したが、同所には他に争ったような特異な痕跡がないこと、転落現場の鉄製フェンスが同手指痕跡の直下で折れ曲がっていたことをそれぞれ確認したこと、亡明代の死亡前の言動、警察官が聞き込み捜査をしたところ、転落当時悲鳴及び墜落音を聞いた本件マンションの住人がその際に人が争う気配はなかったと供述していること、検死の結果、亡明代の遺体には、墜落によるものと認められる創傷以外の防御創傷がないとされたこと、解剖の結果、血液及び胃の内容物には、揮発性薬物、劇薬物、アルコールの検出が認められなかったこと、死因は多発性肋骨骨折等による出血性ショック死であり、執刀医の所見は「右側前身に認められる損傷は人力では不可能であり、墜落による損傷と見て矛盾はない」というものであったことなどから、犯罪性はないと判断し、東村山署は、同年12月22日、「他人が介在した状況はなく、犯罪性はないと認定した」という意見を付して、被疑者不詳の殺人事件として地検八王子支部検察官に送致した。 なお、本件転落死事件後に行われた東村山署による現場付近の捜索によっても、亡明代の靴が本件マンション付近から発見されることはなかったが、本件鍵束は同捜索後に本件マンション2階階段において発見された。(甲19、20、38、乙42の2、原告本人) (7)東京慈恵会医科大学法医学教室の医師らは、平成7年9月2日、亡明代の遺体の司法解剖を行い、その後平成10年7月21日までの間、必要な検査を実施した結果、同日付けで本件司法解剖鑑定書を作成した。同鑑定書には、「創傷の部位、程度」として皮下出血を含む傷害が記載されており、上肢につき、前記前提事実(3)ウのとおり、皮下出血を伴う損傷があることなどが記載されている。また、本件司法解剖鑑定書には、亡明代の遺体につき、血中及び尿中からはアルコールは検出されなかったことが記載されている。 (8)直子らは、本件司法解剖鑑定書記載の上腕部内側の皮膚変色部(以下「本件上腕部内側の皮膚変色部」という。)について、鈴木教授に鑑定を嘱託し、鈴木教授は、平成20年5月26日付け鑑定書(以下「平成20年5月26日付け鑑定書」という。)を作成した。 東京高等裁判所は、別件訴訟の平成21年1月29日付け判決において、平成20年5月26日付け鑑定書は、「左右上腕の皮下出血部は、その位置は、いずれも、自分の手の届く範囲であるが、正常の人なら、自分の上腕内側を自分で皮下出血が生じるほど強く掴まなければならない様な事態が生ずることはあり得ない。」、「皮下出血を伴う上腕部内側の皮膚変色部が生じた原因は、自分で強く掴むとか、救急隊員が搬送する際に強く掴むとか、落下の際、手すりにより生じたことも、落下の途中で排水縦パイプに衝突して生じたこととか、落下して地面のフェンスとか、排気口との衝突で生じたこともあり得ず、したがって、他人と揉み合った際に生じたことが最も考え易い。」と記載されているところ、「『自分で強く掴む』ことがあり得ないことは、『正常の人なら』そのような事態が生じることはあり得ないとするものであるが、明代が正常な状態でなければ(明代が自殺したとすれば、正常な状態でなかったということができる。)、そのような事態が生じることがあることを否定していないと考えられ、また、他の可能性を否定する根拠も十分なものでないといわざるを得」ないと判示し、同鑑定書のうち、上記上腕部内側の皮膚変色部が生じた原因について、「自分で強く掴むとか、救急隊員が搬送する際に強く掴むとか、落下の際、手すりに生じたことも、落下の途中で排水縦パイプに衝突して生じたこととか、落下して地面のフェンスとか、排気口との衝突で生じたこともあり得ず、従って、他人と揉み合った際に生じたことが最も考え易い。」という記載は採用することができないと結論付けた(甲11)。 そこで、直子は、同判決に反駁するため、再度、鈴木教授に対し、鑑定補充書を作成するよう嘱託し、鈴木教授は、平成21年3月17日付けで、本件鑑定補充書を作成した。本件鑑定補充書には、「朝木明代殿が仮に自殺しようとして、正常な状態でなかったとしても、この左右上腕の皮下出血は自分で掴んで生じた可能性はない。」、「他人と揉み合った際に、左右上腕が手指で強く掴まれた際に生じた可能性が強い皮下出血である。」などと記載されている。 (イ) 亡明代が自殺したのではなく、計画的に殺害されたものであること(前記ア(1))について (1)本件上腕部内側の皮膚変色部について a 本件司法解剖鑑定書には、前記のとおり、本件上腕部内側の皮下変色部の記載があるが、これが他人と揉み合ってできた可能性があることを示唆する記載はされていない。 b 鈴木教授作成の本件鑑定補充書は、本件上腕部内側の皮膚変色部について、「その生成原因として、明代が他人ともみ合って上腕を強くつかまれた可能性があることが認められるだけであり、明代が他人に突き落とされて本件転落死したことまで推認できるものでないことは明らかである。」とした東京高等裁判所平成21年1月29日付け判決に反論しているが、鈴木教授は、本件上腕部内側の皮膚変色部について、従前、同人の平成18年8月20日付け意見書(以下「平成18年8月20日付け意見書」という。)において、「転落現場で救急隊により担架に乗せられる際、両腕を揉まれた可能性の他、他人と揉み合って上腕を強く揉まれた可能性も推認できる。」旨の意見を述べていたところ、同人の平成20年5月26日付け鑑定書においては、「左右上腕の皮下出血部は、その位置は、いずれも、自分の手の届く範囲であるが、正常の人なら、自分の上腕内側を自分で皮下出血が生ずるほど強く掴まなければならない様な事態が生ずることはあり得ない。」などと述べ、さらに本件鑑定補充書においては、「朝木明代殿が仮に自殺しようとして、正常な状態でなかったとしても、この左右上腕の皮下出血は自分で掴んで生じた可能性はない。」などと述べるに至ったものであるから、鈴木教授の意見の内容には変遷があり、しかもその変遷に合理的理由があるとは認められない(なお、平成18年8月20日付け意見書及び平成20年5月26日付け鑑定書は、いずれも本件において証拠として提出されていない。)。 また、本件鑑定補充書によっても、自殺をしようとして正常な状態でなくなっている人の自傷行為が自殺に結びつくような合目的的な行為に限定される理由が明らかでなく、かえって正常な状態にないのであれば、自殺に結びつかない不合理な行動をとったとしても不自然とはいえないのであるから、本件上腕部内側の皮下変色部が亡明代と他人が争った際に生じたことが最も考えやすいとする本件鑑定補充書の記載は採用することができない。 c 加えて、前記認定のとおり、亡明代が転落したと考えられる本件マンションの5階から6階の間の非常階段の手すりに残された手指痕跡の増したで鉄製フェンスが折れ曲がっており、亡明代が転落時に同フェンスに衝突したことがうかがえること、警察官の聞き込み捜査では、転落当時悲鳴及び墜落音を聞いたという本件マンションの住人がその際に人が争う気配はなかったと供述していることなどに照らせば、本件鑑定補充書を全面的に採用することはできず、本件上腕部内側の皮膚変色部は、亡明代が他人と揉み合ったことにより生じたとしても矛盾しないという程度の証拠力を有するにとどまるといわざるを得ない。 d ちなみに、別件訴訟の東京高等裁判所平成21年3月25日付け判決書(乙33)も矢野及び直子らが本件転落死事件につき「他殺の可能性を示す証拠があると信ずるについて相当の理由がなかったとはいえないというべきである。」とするにとどまり、他殺の可能性を示す証拠があることが真実である旨認定するものではないし、本件上腕部内側の皮膚変色部については、「明代の市報解剖鑑定書には他人と揉み合った際に生じることがある上腕内側の皮膚変色部が存在したことが記載されている」と記載するにとどまる(なお、同平成21年3月25日付け判決書及び本件鑑定補充書は、平成21年1月29日付け判決に係る上告受理申立ての際に提出されたが[甲17]、上告不受理決定がされている。)。また、別件訴訟の東京高等裁判所平成19年6月20日付け判決(乙37)も、本件上腕部内側の皮膚変色部が「他殺を疑わせる証拠となるようなものであること」を信じたことについては「相当の理由があるというべきである。」とされたにとどまる。 (2)被告の主張するその余の点について 次に、その他、被告が主張する亡明代他殺の証拠〔(被告の主張)イ真実性(イ)〕を検討する。 a 本件転落死事件当日に亡明代が矢野に対して「ちょっと気分が悪いので休んでいきます。」と電話した際の音声が生命の危険に直面した状態での音声であったと鑑定されたこと((1)c)、亡明代が当日の午後、本件窃盗被疑事件の弁護人から同事件がねつ造でなければ完全な人違いである旨の説明を受けて、同事件が不起訴とならなければあくまでも戦い抜く闘志を燃やしていたこと((1)d)、亡明代が当日、自宅から本件マンションまで歩いていった事実が存在しないこと((3)a)本件マンションの踊り場から亡明代が自力で手すりに上って落下することが不可能であること((4)b)、亡明代が転落直後、亡明代が倒れているのを発見した本件マンション1階の飲食店主に対し、「飛び降りてはいません。」と判然と述べたこと((4)c)は、いずれもこれを認めるに足りる的確な証拠はなく((3)aの点について、東村山署による捜索によっても亡明代の靴が本件マンション付近から発見されなかったことは前記認定のとおりであるが、そのことから亡明代が靴を履かずに本件マンションに赴いた可能性が否定されるものではない。)、本件転落死事件に創価学会が関与していたとする点((5))は確たる証拠がない。 なお、付言すると、本件音声鑑定書(乙10)によれば、日本音響研究所の鈴木松美は、平成8年3月22日、精神的緊張により音声の基本周波数が上昇するという因果関係があることなどを前提として、亡明代が平成7年9月1日午後9時19分に矢野に電話を架けた際の亡明代の音声の基本周波数の推移から、当時、亡明代が相当な精神的緊張状態にあったと推測したことが認められるものの、同鑑定は亡明代の音声が「生命の危険に直面した状態での音声であった」とするものではない。 b 本件鍵束が本件転落死事件後に行われた現場付近の捜索後に本件マンション2階階段において発見されたこと((3)b)は、前記認定のとおりであるが、そのことから直ちに亡明代を殺害した犯人が本件鍵束を同所に置いたという事実が推認できるわけではない。 c その他、東村山署が亡明代を殺した犯人から本件鍵束が亡明代の物であることを聞いていたなどという点((3)c)はこれを認めるに足りる証拠はなく、亡明代の政治的・社会的活動歴等((1)b)から、直ちに亡明代が自殺した可能性を否定することはできないし、本件転落死事件当時、本件マンションの住人が「ギャー!」という叫び声を聞いたことなど((4)A)が仮に認められるとしても、その際に人が争うような気配があったことをうかがわせる証拠はないから、これらをもって亡明代が何者かに殺害されたと認めることはできない。 d 被告は、本件窃盗被疑事件がえん罪であるから亡明代には自殺する動機がなかったと主張する((1)a)ところ、本件窃盗被疑事件がえん罪であるとする根拠(ア)について検討するに、直子が本件窃盗被疑事件当時亡明代が着ていた洋服と同じ洋服を着て写真(乙5の1・2)を撮影したこと((3))、北海党拓殖銀行村山支店において撮影された写真に○○の犯人識別供述と矛盾する映像があること((4))、亡明代にアリバイがあること((5))は、いずれもこれを認めるに足りる証拠はなく、本件窃盗被疑事件に創価学会の関与があるとする点((6))は確たる根拠がなく、他に本件窃盗被疑事件を亡明代が犯していないことを認めるに足りる証拠はない。 e 亡明代が平成7年9月3日に宗教法人法の改正の問題及び政教分離等について討論する市民団体のシンポジウムにパネリストとして参加する予定であること((1)e)が、同年8月27日、新聞に報じられているが(乙12)、これをもって、同年9月1日の本件転落死事件当時、亡明代が自殺するはずがないと断定できるものではない。そして、仮に他人により本件マンションから転落させられたため重傷を負ったのであれば、これを発見した第三者に対して、通常は転落の事実を申し述べるなどして、必死に救助を求めると考えられるところ、前記認定事実によれば、亡明代は、転落直後、重傷を負ったにもかかわらず、発見者に対して転落の事実を否定し、救急車の手配さえ断ったというのであり(上記イ(ア)(4))、これは亡明代が自分が本件マンションから転落し負傷したことの発覚をおそれたものとみることができ、他人により高所から転落させられるような危害を加えられた者の言動としては不自然であること、被害者が亡明代が犯人である旨供述し、被害者が現場から犯人を追跡し、被害品を取り返したところなどを目撃した第三者らもこれに沿う供述をしていたこと、亡明代がレジジャーナルの写しをアリバイの証拠として提出したが、原告ら捜査機関において裏付け捜査の結果、アリバイの主張は信用性がないと判断されており、警察官による被疑者取調べや原告による広報(上記イ(ア)(1))などを通じて、亡明代もそのことを知っていたと考えられることなどに照らせば、本件転落死事件当時、亡明代を被疑者とする本件窃盗被疑事件が地検八王子支部へ書類送致されていたところ、検察官送致後、被疑者である亡明代が本件窃盗被疑事件につき、自己が今後起訴されて刑事責任を問われかねない厳しい立場に置かれていることを憂慮していたことがうかがえる。 したがって、被告の主張するその余の点を考慮しても、本件転落死事件当時、亡明代に自殺の動機がなかったとはいえない。 (3)小括 以上によれば、被告の主張するその余の点を考慮しても、亡明代が殺害されたことや、これが計画的なものであったことを認めることはできない。 (ウ)その余の事実の重要な部分(前記ア(2)(3)(4))について 以上のとおり、亡明代が自殺したのではなく、計画的に殺害されたものであること(前記ア(1))は認められないが、仮に亡明代が殺害された可能性があるとしても、本件において、原告が、(1)の事実を知りながら、あえてこれを自殺事件に仕立て上げ、またはこれを断定して、隠蔽しようとしたこと(前記ア(2))、創価学会が亡明代の謀殺事件に関わっており、原告は、創価学会の学会員である検察官2名と結託して上記隠蔽に加担する不正を行ったこと(前記ア(3))、原告がその隠蔽工作として亡明代が万引きをしたという虚偽の事実をねつ造したこと(前記ア(4))は、いずれも客観的にこれを認めるに足りる証拠はない。 ウ 結論 よって、本件各表現について、摘示又は前提とされた事実の重要な部分が真実であることが証明されたとはいえず、違法性は阻却されない。 3 争点(3)(故意又は過失の阻却事由)について (1) 事実を摘示しての名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明がないときにも、行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失が否定され(前掲最高裁判所昭和41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁、前掲最高裁判所昭和58年10月20日第一小法廷判決・裁判集民事140号177頁参照)、また、ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、意見ないし論評の前提としている事実がその重要な部分について真実であることの証明がないときにも、行為者において上記事実の重要な部分を真実と信じるについての相当の理由があれば、その故意又は過失は否定されると解するのが相当である(最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁参照)。そして、故意又は過失を否定する者が、上記事実を信じるについて相当の理由があったことの説明責任を負うものと解される。本件各表現は、公共の利害に関する事実に係るものと認められ、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったことは前記2(2)のとおりであるから、以下、相当の理由があったと認められるか否かについて検討する。 (2) 原告は、東京高等裁判所平成21年3月25日付け判決書及び本件鑑定補充書は、本件演説及び本件記事の後に作成提出されたものであるから、相当性の根拠とすることは許されないと主張する。確かに、行為者において真実と信ずるにつき相当の理由があるかどうかは、故意、過失の問題であるから、当該名誉毀損行為時を基準として判断すべきであるので、行為後の事情そのものは基本的には考慮すべきではないが、行為後に作成された資料を、行為時の相当性の判断の一資料とすることは許されるというべきである。 (3)ア そこで、東京高等裁判所平成21年3月25日付け判決書及び本件鑑定補充書も、被告の本件各表現当時の相当性の判断の一資料として考慮するに、これを考慮に入れても、本件上腕部内側の皮膚変色部は、客観的には、亡明代が他人と揉み合ったことにより生じたとしても矛盾しないという程度の証拠力を有するにとどまることは前記のとおりである。 イ 証拠(乙46,被告本人)によれば、本件演説及び本件記事発表当時、被告が主としてその前提事実の重要な部分の根拠として直接把握していたものは、本件司法解剖鑑定書(ただし、添付写真を除く。)、本件音声鑑定書、国会議事録(乙30)等のほかは、主として、乙骨正生著に係る「怪死」と題する書籍(乙28)、本件書籍(乙32)、週刊文春(乙21)等の週刊誌等の記事であったことが認められる。 なお、被告は、被告本人尋問において、鈴木教授の意見を確認した旨供述するが、被告が本件各表現をした後に本件鑑定補充書を確認したことは認められるものの、平成18年8月20日付け意見書及び平成20年5月26日付け鑑定書については、本件において証拠として提出されておらず、被告がこれらの意見書等を本件各表現以前に確認していたとの上記記述はにわかに採用できない。 ウ そして、上記各資料のうち、既にその内容を認定した本件司法解剖鑑定書及び本件音声鑑定書を除くものについて、証拠(甲27,37,39,乙6,21,22,28,30,32,33)によれば、要旨、以下の内容が記載されていることが認められる。 (ア) 平成7年11月30日に開催された第134回国会参議院宗教法人等に関する特別委員会の会議録には、出席した委員保坂三蔵が「本件転落死事件が単純な偶発的な事件でなく、計画された事件であったら大変なことである。本件転落死事件を創価学会が起こしたとは言わないが、疑われている。」などと発言したこと、その際、政府委員として出席した警察庁刑事局長野田健が「本件転落死事件につき、現在、警視庁において、所要の捜査態勢の下であらゆる可能性を視野に入れ、自殺、他殺両面からの捜査を進めており、早期に捜査を遂げて総合的な判断をしたい。」などと発言したことが記載されている(乙30)。 (イ) 乙骨正生著に係る「怪死」と題する書籍は、平成8年5月20日、第1版が発行されたもので、その内容は多岐にわたっているものの、本件転落死事件に関しては、「手すりについた指の跡から指紋が採取されていないこと、亡明代の靴が発見されず、警察犬が臭跡を発見できなかったこと、警察犬が発見できなかった事務所の鍵が平成7年9月2日に本件マンション2階の飲食店店員によって発見されたこと、東村山署が本件転落死事件直後の現場検証後、現場保存をしないなどその捜査が不自然であることなどから、原告が本件転落死につき事件性がない旨判断したことには疑問があること」などが記載されている(乙28)。 (ウ) 矢野及び直子が著した本件書籍は、平成15年11月10日、初版が発行されたものであるが、「東村山署の捜査及び広報の責任者である原告が、他の捜査担当者らとともに、本件窃盗被疑事件について亡明代を犯人であると速断して捜査を尽くさないまま書類送検し、本件転落死事件についても早々に『万引きを苦にした自殺』説を打ち出して、外部に広報し、他殺の証拠を無視し、捜査をねじ曲げたもので、その職務は適正ないし公正さを欠くものであった」などと記載されている(乙32,33)。 (エ) 週刊文春(乙21)等の週刊誌等の記事の要旨は、別表記載のとおりである(甲27,37,39,乙6、21、22)。 エ 上記認定によれば、被告が参考にした上記資料には、左上腕部後面等に皮下出血を伴う皮膚変色部があること、本件転落死事件直前の亡明代の声からは亡明代が自殺したとするには不自然な点があることなどが記載されているにすぎないのに、被告は、原告が本件転落死事件につき早々に本件被疑事件を苦にした自殺説を打ち出して他殺の証拠を無視したなどと記載されている本件書籍等を前提とし、これに沿うように上記資料を解釈して、本件各表現を行ったものと認められ、これらの事情に照らすと、被告が報道等に携わる者ではないことを考慮しても、裏付け調査を十分にしたとはいえず、本件各表現当時、亡明代が自殺したのではなく、計画的に殺害されたものであること(前記2(3)ア(1))を被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできない。ましてや、本件において、原告が同(1)の事実を知りながら、あえてこれを自殺事件に仕立て上げ、またはこれを断定して、隠蔽しようとしたこと(前記2(3)ア(2))、創価学会が亡明代の謀殺事件に関わっており、原告は、創価学会の学会員である検察官2名と結託して上記隠蔽に加担する不正を行ったこと(前記2(3)ア(3))、原告がその隠蔽工作として亡明代が万引きをしたという虚偽の事実をねつ造したこと(前記2(3)ア(4))は、被告の推測にすぎず、本件各表現当時、これらの事実を被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできず本件各表現の意見ないし論評が公正な論評として許容される範囲内であるともいえない。 (4) したがって、被告が、本件各表現について、摘示又は前提とされた事実の重要な部分を真実と信じるについて相当の理由があったとは認められず、故意又は過失は阻却されない。 4 争点(4)(損害)について 以上のとおり、本件各表現は、原告の行為や人格の悪性を強調し、その名誉を毀損するもので違法かつ有責であるが、本件は、現職の東村山市議会議員が、同市内で発生した本件窃盗被疑事件の被疑者として書類送検される中、同市内において本件マンションから転落死したという事案であり、本件各表現は、当時捜査の指揮に当たっていた責任者に対して、本件転落死の事件性や本件窃盗被疑事件に関する捜査等のあり方を批判し、公正な捜査と事件の真相の解明を求める側面及び東村山署という組織の活動に対する批評としての側面もある。 その他、本件に現れた諸般の事情を総合考慮すると、原告の被った精神的苦痛を慰謝するには10万円が相当であると思科する。 第4 結論 よって、原告の請求は主文1項の限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。なお、仮執行宣言については、相当でないから、これを付さないこととする。 東京地方裁判所立川支部民事第1部 裁判長裁判官 飯塚宏 裁判官酒井英臣及び同尾藤正憲は、いずれも転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官 飯塚宏 ソース(りゅうオピニオン):その5・その6・その7・その8・その9・その10・その11・その12(了) 2011年1月20日:ページ作成。
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前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔 第三十四話 最終戦争の一端 赤色火焔怪獣 バニラ 青色発泡怪獣 アボラス 岩石怪獣 ネルドラント 毒ガス怪獣 エリガル 古代暴獣 ゴルメデ 噴煙怪獣 ボルケラー 透明怪獣 ゴルバゴス 登場! 古代遺跡から発掘されたカプセルから蘇った、怪獣バニラ。 才人とルイズはウルトラマンAへと変身し、これを迎え撃った。 しかし、強靭な肉体とメタリウム光線をも防ぐ火焔を持つバニラの前に、エースはエネルギーを使い果たして倒れてしまう。 バニラの吐き出す火焔に包まれるウルトラマンA。 この、悪魔のような大怪獣を倒す方法は、はたしてあるのだろうか…… 「うわぁぁっ……」 バニラの火焔が作り出した山火事の中に、ウルトラマンAは沈んでいった。 かつて、ミュー帝国の街を蹂躙したであろう紅蓮の業火と同じ炎の中が、容赦なくエースを焼き尽くそうと燃え盛る。 このままでは、確実に死んでしまう。エネルギーが尽きかけたエースは、最後の手段をとった。 「ヌゥゥ……デュワッ!」 横たわるエースが、腕を胸の前でクロスさせ、大きく開いた瞬間、エースの体が白色に輝いた。 ちかちかと、光は燃え尽きる前のろうそくの炎のようにエースを包んでまたたく。そして、最後にわずかにまばゆく 発光したかと思われた瞬間、エースの姿は炎の中に溶けるように消えてしまった。 怪獣バニラは、勝利の雄叫びをあげるとくるりときびすを返した。燃え盛る森を背にして、いずこかの方角に去っていく。 後には、轟音をあげて燃え盛る森と、炎から逃げ惑う鳥や動物の悲鳴だけが残される。 ウルトラマンAは、死んでしまったのだろうか……? いや、そんなことはない。エースが倒された場所から、数十メートル離れた森の中に才人とルイズが横たわっていた。 あの瞬間、エースは残された最後の力を使って、変身解除と同時に二人をわずかな距離ながらテレポートさせて 炎から救っていたのだった。 しかし、バニラの起こした山火事の勢いはなおも衰えず、二人の倒れている場所にも次第に迫ってきた。 雨はなおも降り続いているが、炎はそれに反抗しているがごとく天高く黒煙をあげ、二人を狙ってくる。 生木を枯れ木同然に焼き、下草を燃やしながら炎は獲物を狙う蛇のようにうごめき、とうとう二人は火災の 中に取り残されてしまった。 業火の中、死んでしまったかのように、ぴくりとも動かず横たわる二人。 飲み込まれれば、人間など骨も残さず焼き尽くされてしまうだろう。 だがそのとき、炎から一つの影が浮き出るように現れ、その異形のシルエットを二人にかぶせていった。 一方そのころ。まだ異変の発生を知るよしもないトリスタニア。 遺跡を飛び立ってから、およそ二時間後。王宮において、アンリエッタに謁見したエレオノールは、 自身を呼び出したアンリエッタ王女から、耳を疑う知らせを受けていた。 「ルイズが伝説の虚無の系統? そんな、信じられませんわ」 単刀直入にアンリエッタの口から語られた真実を、エレオノールは最初信じようとはしなかった。しかし、 軍の正式な報告書に記された、想像を絶する魔法の炸裂と、水晶に浮かび上がったその映像。そして、 冗談などでは決してない、真剣な表情のアンリエッタの説明が、エレオノールに曲げようのない事実を 突きつけていた。 「信じられないのは無理もありません。わたくしも、今日まで虚無とはなかばおとぎ話だと思っていました。 ですが、現実はこのとおりであり証拠も揃っています。わたくしも考えましたが、ルイズの姉であり 優秀な学者であるあなたしか信用できる人はいないのです。どうか、信じていただけないでしょうか」 「ちょ、ちょっと待っていただけませんか! ルイズが、あのちびルイズが虚無? あの、あの……」 普段の彼女の凛々しさからは考えられないほど、エレオノールは狼狽していた。もはや、仕事中に 呼び出された不満も吹き飛び、頭の中は許容量を超えてしまった情報で混沌と化している。その末に、 目眩を起こして倒れかけたところへ、慌てたアンリエッタに抱きとめられた。 「エレオノールさま、大丈夫ですか!? お気を確かに」 「はっ! こ、これは無礼をばいたしました。どうか、平にご容赦くださいませ」 どうにか正気を取り戻したエレオノールは、謁見の間での失態に顔を赤くして謝罪した。 普段冷静な彼女だが、頭がいいことが災いして、自分の知識の及ばない出来事が起こると脳がフリーズ してしまうようだ。平謝りし、どうにか気を取り直したエレオノールは、頭の中で聞かされた事柄をまとめると、 自分に言い聞かせるようにアンリエッタに向かって復唱していった。 「……つまりは、ルイズがこれまで魔法が使えなかったのは、その系統が虚無ゆえで、あの子には聖地を エルフから取り戻すという使命が与えられたというのですね?」 「祈祷書に記されたとおりなら、そのとおりです」 「馬鹿げてるわ! 始祖ですらできず、数千年に渡って負け続けてきたエルフとルイズが戦わなければ ならないですって!? 悪い冗談にもほどがありますわ。姫さま、まさか貴女はルイズを旗手に聖地奪還の 戦を再開なさろうとしているのでありませんでしょうね? もし、そんな愚考をしておられるようなら!」 「落ち着いてください! まだ、そうなると決まったわけではありませんわ。ルイズの意思は確認しましたし、 わたくしも彼女に聖地を奪還させようなどと考えてはおりませぬ」 つかみ掛かってきそうなくらいいきり立つエレオノールを、アンリエッタはたじたじになりながらも必死に抑えた。 ルイズとともに、ヴァリエール家との付き合いは長く、エレオノールとも小さいころから何度も会っているが、 この気性の強さと迫力はいまだになかなか慣れない。 「はあ、はあ……申し訳ありませぬ。わたくしといたしたことが取り乱してしまいました」 「いえ、ご家族の人生に関わることです。怒られて当然ですわ。ともかく、この事実を知っているのは、 ルイズの友人数人とわたくしと、お姉さまのほかにはおりませぬ。しかし、虚無の存在を知れば、 今おっしゃられたとおりに悪用しようともくろむ輩も出てくるでしょう。実際に……」 シェフィールドと名乗る謎の人物に狙われていることを語ると、エレオノールは再び怒りをあらわにした。 けれど、アンリエッタから「ことがことだけに、わたくしも表立って助けることができません」と、苦悩を 告げられ、敵からルイズを守るためには虚無の謎を解き明かさねばならず、信用できて且つそれができるのは 貴女しかおりませんと頼まれると、自分の肩にかけられた荷の重大さを悟った。 「わかりました。微力ながらお引き受けいたしましょう」 「ありがとうございます、エレオノールさま」 「いえ、いくら出来の悪いとはいえ、妹のことを他人にはまかせられませんわ。わたくしを頼っていただけたことに、 こちらこそ感謝いたします」 二人は手を取り合って、それぞれ感謝の言葉を述べ合った。 「さあ、では具体的な話に入りましょう。指令をいただけても、今のままでは自由に動けませんわ」 それから二人は、これからのエレオノールの権限などについて話を進めていった。現在、アカデミーの研究員、 学院の臨時教諭と掛け持ちをしているが、これに虚無の調査も加えたらとてもではないが身が持たない。 だが、話がまとまらないうちに、突然謁見の間の扉があいさつもなしに開かれた。 「何事です?」 あらかじめ、ここには呼ぶまで誰も入れるなと人払いをしていたはず。なのに何か? まさか、今の話を 盗み聞きされたのではと二人が振り向くと、なんとずぶ濡れの騎士が蒼白の表情で駆け込んできた。 「ほ、報告……トリスタニア東方、三十リーグの森林地帯に……あ、赤い怪獣が出現。迎え撃ったウルトラマンを 倒して、トリスタニア方面に進行中」 「なんですって! ウルトラマンを、倒して!?」 想像もしていなかった報告に、アンリエッタは愕然とした。彼は、ミイラを追っていた魔法アカデミーの騎士の 一人だった。あのときミイラに撃ち込まれた『ライトニング・クラウド』によってバニラが復活し、その猛威から 命からがら逃げ延びた彼は、すべてを見た後でここまで駆けてきたのだった。 「怪獣は、あと数時間でトリスタニアまで到達するでしょう。は、早く手を……うぁ」 騎士は、息も絶え絶えの状態で、絞り出すようにそう報告すると倒れた。 「しっかり! 誰か、誰か!」 気を失った騎士にアンリエッタが駆け寄り、呼び起こしながら侍従を呼んで医者を手配させた。すぐに 宮廷の従医が呼ばれ、彼を担架に乗せて運んでいく。さらに、怪獣が接近していることが明らかになったので、 直ちに迎撃の準備を命ずる。今のトリスタニアは、結婚式典のために大勢の人間がやってきている。 市街地への侵入を許したら大惨事になるのは必然だ。 そしてエレオノールは、報告を持って来たのが魔法アカデミーの雇い騎士だったこと。現れたのが、 赤い怪獣だという内容から、一つの仮説を導き出し、全身の血が引いていく音を聞いていた。 「しまった……ヴァレリー!」 様々な思惑と錯誤、謎と現実が交差しながら、時の流れは残酷にその歩みを止めない。 場所を戻し、激しい戦いのおこなわれたあの森に舞台は返る。 一時は天にも届くほどの勢いで燃え盛っていた山火事も、天からの恵みには屈服し、炭と化した木々が 薄い煙のみを吐いている。その一隅の、雨を避けられるある場所に、才人とルイズは並べて寝かされていた。 「う、ぅぅ……」 かすかなうめきと、吐息が二人がまだ生きていることを如実に示している。しかし、怪獣バニラとの戦いで 大きなダメージを受けた二人は、いまだ無意識の世界……暗く、生暖かい不思議な空間の中をさまよっていた。 ”おれは……いったいどうしたんだろう” 浮いているような脱力感と、激しい疲労から襲ってくる眠気に耐えながら、才人の意識はただよいながら考えていた。 そこは、ぼんやりとものを考えることはできるけれども、体を動かすことはできない。例えて言うならば、 春の日差しの中でうたたねしているみたいな、夢と現実のはざまのような世界。そこで、夏の波打ち際に 体を預けているような心地よい感覚に、才人は身を任せていた。 「おれは……いったいどうしたんだろう」 もう一度、才人は同じことを思った。いや、もしかしたら一度だけでなく何度も同じことを考えていたのかもしれない。 現実感のない世界で、才人にできるのは考えることだけだった。いや、起きようと頭では思うのだけれども、 意識が現実に覚醒することがない。疲労で深い眠りについているというよりも、なにかの力で夢の世界に 閉じ込められているような、そんな気さえする。 ここは、強いて言うなら変身している際に、三人で意識を共有している精神世界と似ているような気もする。 しかし、エースなら不必要に二人の心に干渉するわけはない。ならば何故? と思っても、それを考えるだけの 思考力は得られない。 ふと、才人はこの精神世界の中に自分以外の誰かがいる気配を感じた。とはいえ、すぐに相手のほうから 呼びかけてきたから、確認する手間ははぶけた。 「サイト?」 「ルイズか?」 不思議なことに、二人とも意識がはっきりとしていないのに、相手の存在だけははっきりと理解することができた。 それが、自分たちが肉体と意識を共有しているかはわからないけれど、二人にとってはどうでもよかった。 寄り添うように手と手を重ねると、二人は安心したように力を抜いた。 互いのことを感じあえるところにいることで、緊張を失った二人の心は無意識のさらに深くへと沈んでいく。 ところが、閉じ行く意識の中で、才人とルイズの目の前に突如現れたものがあった。 「あれ、は……?」 ぽつりと、唐突に現れたそれを、二人は閉じかけた心のまぶたを開いて見た。沈んでいく水底のような世界の中で、 海底に沈んだ一粒の真珠のように、小さな、しかしはっきりとした光がはげますように二人の前に現れていた。 「なにかしら、きれい……」 消えかけた意識の中で、ルイズは自然に光に手を伸ばしていた。あの光からは、どこか懐かしいような、 どこかで見たようなそんな不思議な感覚がする。さらに、才人の意識もルイズにひきずられるように、二人は 手を握り合い、いっしょになって落ちていった。 「深い……サイト、わたしたちどこまで沈んでいくの」 「心配するな。どこまでだって、おれがお前についていってやる」 自分たち以外に誰もいない世界で、才人ははげますようにルイズの手を握った。 ひたすら、深く、深く。二人の心は沈んでいく。 光は、どれほどの深さがあるのか知れない深淵の底から、しだいに輝きを強めていく。 もうすぐ見える……期待と不安とが入り混じる。二人は、まもなく到達するであろう精神世界の最深部で、 何かの正体を見極めようと目を凝らす。そして、輝きを放っていたものがなんであるかに気がついたとき、 同時にそれの名前をつぶやいていた。 「始祖の……祈祷書?」 見間違えるはずもなく、それは始祖の祈祷書そのものだった。表紙の汚れも、破れ具合もすべて見覚えがある。 そして、祈祷書が間近にまで見えるようになったとき、ルイズの脳裏に不思議な声が響いた。 「呼んでる……」 「ルイズどうした? 呼んでるって、誰が?」 「わからない。けど、祈祷書がわたしを呼んでるの」 自分でも不可思議なことを言っているとはわかっている。夢の中だとしても、おかしいといわざるをえない。 でも、聞こえたことを否定する気にはならなかった。低い、おちついた大人の声で「来い」と言われた。 聞き覚えはないけれど、どこか懐かしいようなそんな声……わからないけれど、祈祷書を持てば、その答えが わかるような気がする。 「サイト……」 「お前の好きにしろ。どうしようと、おれはそれでいい」 わずかなためらいを、才人の言葉でぬぐい払うと、ルイズは祈祷書に手を伸ばした。触れたとたん、指先から まばゆい光があふれて二人を包み込んでいく。 「わあっ!?」 あまりのまぶしさに、二人は思わず目をつぶろうとした。しかし、ここは精神世界であるから、まぶたはあるようで 実は存在しない。光はさえぎるものなく二人の世界を白一色に染め上げ、やがて唐突に消えるとともに、 二人の目の前がさあっと開けた。 「これは……砂漠?」 突然現れた風景に、二人は周囲を見渡しながらつぶやいた。 今、二人は広大な砂漠地帯を見渡す空の上に浮かんでいた。 しかし、吹きすさぶ風も照りつける熱射の熱さも感じることはない。どうやら、自分たちはこの場所では幽霊の ようなものであるらしいと当たりをつけると、才人はルイズに尋ねた。 「ルイズ、ハルケギニアにこんな砂漠があるのか?」 「いえ、ハルケギニアに砂漠なんてないわ……いいえ、正確にはハルケギニアにはないけれど、そのはるかな 東方の世界には、サハラと呼ばれる大砂漠地帯があるはず。ここは、多分」 タバサまではいなかくても、様々な史書を読み漁ったルイズの知識の中でも、このような光景は他には 考えられなかった。サハラ……聖地に通じる、エルフの住まう場所。数千年の長きに渡って、聖地を奪還 せんものとする人間とエルフの果てしない抗争の続いた地。 はてしなく広がる砂の地には、人の影ひとつ、虫一匹の姿すら存在せず、ただ砂丘と吹き荒れる砂嵐のみが 擬似的な生命のように動き回っている。まさにこれは死の世界と呼ぶにふさわしい光景。 無の世界に戦慄する二人の見ている中で、景色は急速に流れ出した。砂漠をどんどん超え、地平線の かなたへと景色が進んでいく。まるでジェット機から地上を見下ろしているかのようだ。 やがて、砂漠が途切れて緑の山や平原が見えてくる。ここがサハラだったとすると、あれが恐らくは ハルケギニアか? ルイズはハルケギニア全土の地図を思い出し、サハラに隣接する場所に当たりをつけた。 「きっと、あれはガリアのどこかよ。人間とエルフは、ガリアの東端を国境線にしているの」 ルイズの説明に、才人もなるほどとうなづいた。二人の見下ろす先で景色はさらに流れ、砂漠から 草原や山岳地帯へと入っていく。このまま進めば、どこかの町も見えてくるだろう。そう二人は考えた。 しかし、結果からすれば、二人の思ったとおりに町……人の住んでいるところはすぐに見えてきた。 ただし、それは二人の想像していたものとは似ても似つかない形で現れたのである。 「サイト! ま、町が」 「怪獣に襲われている!?」 凄惨としかいえない光景が二人の前に広がった。 町が……いや、町だったと思われるところが怪獣によって破壊されていた。それも、一匹や二匹ではない。 少なく見ても五匹以上の怪獣が、せいぜい人口千人くらいの町を蹂躙している。 火炎や熱線が建物を炎上させ、元の町の姿はもう見受けることはできない。当然、人間の姿もどこにも見えない。 「ひどい……」 「くっ! こんなことになってるのに、この国はなにをやってるんだ!」 思わず怒鳴った才人の声も虚しく、二人の体はどんどんと流されていく。山を、川を飛び越えて山麓に 広がる次の町が見えてくる。赤い炎と黒い煙とともに。 「ここでもっ!? 怪獣が」 その町も、同じように怪獣によって蹂躙されていた。ざっと見るところ、街を破壊しているのは二匹、 全身が岩のようになっているのは透明怪獣ゴルバゴス。口から火炎弾を吐いて街を焼いている。 ドリルのような鋭い鼻先を持っているのは噴煙怪獣ボルケラー。口から爆発性イエローガスを吐き、 街の建物をけり壊している。 町は先程の町と同じように業火に覆われ、元の姿をうかがい知ることはできない。 けれど、ここでは先の町とは明らかに違う点があった。町は無人ではなく、まだ大勢の人間がいた。 ただし彼らは炎や怪獣から逃げるでもなく、その手には槍や剣、それに杖があった。彼らは二つの陣営に 分かれて、それぞれが相手に武器を向け合っている。 「戦争をしてやがる……」 それしか考えられる答えはなかった。そこにいる人間たちは、全身を覆う分厚い鉄の鎧に身を固め、 武器をふるい、魔法をぶつけあって互いを倒して炎の中へと放り込んでいく。目を覆いたくなるような、 大規模な凄惨な殺し合いの風景。それは、戦争と呼ぶ以外に表現する術はない。 だが、怪獣が暴れているというのに人々はそれには目もくれずに、ひたすら戦い続けている。そういえば、 ゴルバゴスやボルケラーは町は壊すものの、地上で戦う人間たちには目もくれていない。いや、そうではない と才人は二匹の行動を見て思った。 「怪獣たちも戦っている、のか」 町の惨状に幻惑されていたが、両者は確かに戦っていた。火炎弾やイエローガスの撃ち合いだけでなく、 ゴルバゴスの岩のような腕がボルケラーを打ち据え、負けじとボルケラーも風の音のような鳴き声をあげて、 巨大なハサミ状になった腕でゴルバゴスを締め付ける。 その怪獣同士の激闘は、町をさらに無残な状況へと変えていく。 「あいつら、やりたい放題じゃない」 「ああ……だけどなんであの二匹が……ハルケギニアだとはいえ、あれらは戦うようなやつらじゃないのに」 才人は、普通なら戦うことになるはずのない二匹が戦っていることに、大きな違和感を感じていた。 ゴルバゴスは山中に潜み、体を擬態して獲物を待つ怪獣。対してボルケラーは火山地帯に生息し、 大半は地底にいる怪獣、生息地が大きく違う上に、どちらも人里に下りてくるような怪獣ではないのだ。 「ねえサイト、あの怪獣たちの後ろにいるやつら、何かしら?」 「え? なんだ……あいつら」 ルイズに言われて目を凝らした才人は困惑した。二匹の怪獣の、それぞれ後ろに一人ずつ人間が立っていた。 そいつらは、戦っている人間たちが鎧兜などの重装備をしているのに対して、まるで休日の街中を散歩する ような軽装で、怪獣に向かってなにやら手振りしているように見える。 「もしかして、怪獣を操っているのか……?」 「まさか! 人間にそんなことができるわけが……」 ない! と言い切れない事例をこれまでに二人は嫌というほど目にしてきていた。よくよく見てみれば、 声は聞こえないものの、軽装の人間は兵士たちに向かってなにやら指示をしているようにも観察できる。 ならばあれが指揮官かということは容易に連想することができた。 しかし、怪獣を操って戦争の道具にするなどと、そんな恐ろしいことを……いや、宇宙人が地球を攻撃する ための手段として怪獣を使うのは、誰もが知っている常套手段である。ならば当然、兵器としての怪獣同士での 戦争などは、地球以外の星からしてみれば当たり前のことなのかもしれない。 ただ、状況は奇異につきた。あの、怪獣を操っているものが人間であれ宇宙人かなにかであるにせよ、 人間の軍隊までも率いて戦争している理由がわからない。怪獣どうしの戦闘のすぐ横で、槍や剣を使った ”普通”の戦争がおこなわれているアンバランスさ。それに、ルイズも確認してみたのだが、兵士たちは トリステインはおろか、アルビオン、ガリア、ゲルマニアのどの軍隊とも装備が違っていた。少なくとも、 今のハルケギニアの兵士は竜騎士など一部の例外を除いて、全身鎧などという化け物じみた装備を使わない。 目の前で起きていることの答えを見つけられぬまま、二人はさらに空を流されていった。飛びゆく先の空は、 夕焼けを悪意の色で塗りなおしたかのような、凶悪な赤で染まっている。それを見下ろせる空にたどり着いたとき、 不安と恐怖を編みこんだ予測の刺繍絵は、現実と極めて近い形で眼前に姿を現したのである。 「ここでも、あそこでも……なんなのよこれ。どうしてどこでもここでも殺し合いをしてるのよ!」 「暴れまわってる怪獣の数も尋常じゃねえ。それに、あれは人間じゃないな」 信じられないことに、戦いは人間や怪獣ばかりではなかった。 ある場所では、翼人の一団とコボルドの群れが。またある場所ではミノタウロスとオークの群れが斧を ぶつけあい、火竜がワイバーンや風竜と空戦をおこなっているところもある。 「自然の秩序にしたがって生きているはずの亜人まで……でたらめじゃない」 しかし、二人がこれが序の口に過ぎないことを知るのはこれからだった。 空を飛び、ゆく先々の町や村はすべて怪獣に襲われるか、襲われた後の廃墟として二人の目の前に現れた。 それだけではなく、移動する先々の山々や森林も焼き払われ、ひどいところでは砂漠化しているところまである。 そのどこでも、圧倒的な破壊がおこなわれた後……もしくは、それをおこなっている最中の破壊者の姿がある。 人間、エルフ、翼人、獣人、幻獣、怪獣……そして、それらを統率している正体不明の人間たち。 この世界のどこにも、平和はなかった。 「違う……これは、わたしの知ってるハルケギニアじゃないわ」 愕然とするルイズの言うとおり、どこまで飛ぼうとも、いくら戦場後を乗り越えようとも破壊の跡が視界から 消えることはなかった。それどころか、進むほどに戦火は激しくなり、まるで地上すべてがフライパンの上の 肉のように煮えたぎっているかのようにも思える。 空の上には翼人やドラゴンが、地上には人間の軍勢や亜人、そして怪獣たちが無秩序に暴れている。 いったいなんのために戦っているのか、それすらもわからない。 唖然とする二人。と、そのとき二人の耳に聞きなれた低い声が響いた。 「やれやれ……とうとう見ちまったか」 「その声は!」 「デルフか! お前、どこにいるんだ!?」 唐突に響いたデルフリンガーの声に、反射的に周りを見渡す二人。しかし、あの無骨な大剣の姿はなく、声だけが どこからともなく聞こえてくる。 「落ち着け、お前ら。いいか、今お前らは祈祷書に記録されているビジョンを見せられてるんだ。そこは、 かつて俺が生まれた世界……六千年前のハルケギニアだ」 「な……なんだって」 「この荒廃した世界が」 続く声もなかった。この、破壊と混沌にあふれた世界が、あの平和で美しいハルケギニアだとは。 絶句する二人の耳に、重く沈んだ様子のデルフの声が少しずつ入ってくる。 「ふぅ……嫌なこと、思い出しちまったなあ。ブリミルのやつめ、遺品にいろいろ細工してたのは知ってたけど、 よもやこんな仕掛けを祈祷書に残してたとは気づかなかったぜ」 「デルフ、もっとわかるように説明してくれよ」 「ああ、すまねえな。要するに、これは祈祷書に記録されていた過去のビジョンが、お前らの頭の中に投影 されてる光景らしい。六千年前、この世界は見ての通りに、いくつもの勢力が戦争を繰り広げていた。 今でも、エルフとかのあいだではシャイターンとかヴァリヤーグとか、そのときの勢力の名前のいくつかが 語り継がれているらしい。いや、これはもう戦争と呼べる代物じゃなかったな。人間にエルフ……世界中の、 あらゆる生き物を巻き込んだ、際限のないつぶしあいだった」 「いったい、なんでそんな無茶苦茶なことに……」 愕然とする才人の質問に、デルフはすぐに答えなかった。 「すまねえ、まだそこまで記憶が戻ってねえんだ」 いつになく沈んだデルフの答えに、才人とルイズは頭に血を登らせかけたものを押し下げた。六千年分の 記憶と一言にいえば簡単だけれど、それは地層の奥深くに沈んだ化石を掘り返すようなものだろう。 一気に掘り返そうとすれば、デルフが持たないかもしれない。発掘は、赤子の肌を拭くように慎重に 時間をかけなくてはならない。 「わかった。じゃあ、あの怪獣を操ってる連中はなんなんだ?」 いっぺんに聞くのをあきらめた才人は、とりあえず一番気になっていることを尋ねた。 「あれが、この戦いの元凶さ。エルフに悪魔と呼ばれてるのは、あの連中のことだ。あいつらは、この世界に 元々いた怪獣や、どっかから探してきた怪獣なんかを武器にして戦争やってたんだ。ちょうど、今のメイジが 戦争で使い魔を利用するみたいにな」 「怪獣を、兵器に……」 恐ろしい想像が当たっていたことを、才人は喜ぶ気にはもちろんならなかった。 地球人も、怪獣を兵器にという構想はすでにマケット怪獣で実用化の域にある。しかしそれを人間どうしの 戦争に利用しようなどとは考えられもしない。そんな愚かな時代は、かつて核兵器の脅威によって人類絶滅の 危機におびえた前世紀で充分すぎる。 「まあ、コントロールできなくて暴れるにまかせるしかなかったのも少なからずいたらしいが、この混乱の中じゃあ 些細なことだったろうな」 「いったい何者なんだ? 怪獣を操るなんて、並の人間にできるわけないだろう」 「わからねえ……いや、思い出せないんじゃなくて本当に知らねえんだ。俺が作られたのは、連中が現れてから しばらく経ってからのことらしいからな。ただ、なにかしらすさまじい力を誇っていたのだけは確かだ」 デルフの説明は、後半は余計だった。怪獣を操る時点で、手段はともかく常人のそれではない。 現在、二人の見下ろす先にいる怪獣は三匹、いずれも才人の知るところではない姿をしている。 一体は、全身を乾いた岩の色をした二足歩行の恐竜型怪獣。体はごつごつとしていていかついが、 顔つきはどこか柔和なものが感じられる。これは、才人の故郷とは違う地球で岩石怪獣ネルドラントと呼ばれている、 ゴモラなどと同じく古代恐竜の生き残りといわれている怪獣。 もう一体は、同じく二足歩行型で、顔の形がどことなくカンガルーに似ている怪獣。これも、毒ガス怪獣エリガルと 呼ばれてる種類の怪獣で、肩の部分にそのガスの噴出孔がフジツボのようについている。 最後の一体は、ここにキュルケかタバサがいたならば、その姿に記憶のページから同じしおりを選んでいただろう。 古代暴獣ゴルメデ……才人とルイズの知らないところ。エギンハイム村で、翼人たちの伝説に残されていた あの怪獣がそこにいた。 三体の怪獣は、ほかの怪獣たちと同じように、何者かのコントロールを受け、目に付く木々を踏み潰しながら 前進していく。本来ならば彼らにも意思があり、こんな戦いに加わるはずはない。才人とルイズは、道具として 操られている怪獣たちに、一抹の同情を胸に覚えると、デルフに問いかけた。 「なにがしたいのか知らないけど、ひどいことをしやがる」 「わたしは、戦いは名誉や国……なにかを守るためにするものだと教えられてきたわ。けど、この戦いには なにも感じられない。ただ戦うために戦ってるみたい。ねえ、この戦いの結末はどうなったの? いったい 誰が勝ち残ったっていうの?」 「誰も、残らなかったのさ」 「えっ!? うわっ!」 ぽつりと、恐ろしいことをつぶやいたデルフの言葉が終わると同時に、二人の視界をまばゆい光が照らした。 太陽ではない。まして、戦闘の戦火でもない。不可思議な極彩色の光に、二人がおそるおそる目を開けてみると、 そこには幻想的な光景が広がっていた。 「虹……? きれい……」 思わず口から出た言葉のとおり、空には虹色の光が溢れていた。しかし、それは虹などではなく、よく見たら 虹色をした蛍のような小さな光が、雲のような集合体をなしているものだった。 「くるぞ……この戦いを混沌に変えた。本当の悪魔が」 デルフの言ったその瞬間、虹色の雲から光の塊が地上に向かっていくつも降り注いだ。 「なんだっ!?」 それは、虹色の雲から流星が落ちたように地上からは見えたことだろう。流れ星は、まるでそれ自体に 意思があるかのようにネルドラント、エリガル、ゴルメデに吸い込まれていった。 「どうしたっていうのよ……えっ! なに!?」 「ただの戦争だったら、それが一番よかったかもしれねえ。けど、戦いの混沌につけこむように奴らは突然現れた。 そしてこれが、終わりの始まりになったんだ」 淡々と話すデルフの言葉を、才人とルイズは驚愕の眼差しの中で聞いていた。 夢の世界の中で、始祖の祈祷書が語ろうとしている歴史は、まだ先があるようだった。 だが、時を同じくした頃、魔法アカデミーではエレオノールが予感した最悪の事態が起ころうとしていた。 エレオノールに依頼され、ヴァレリーは青い液体の入ったカプセルの開封作業に入った。助手は、先日 アカデミーに入った中ルクシャナという新人研究員。性格的に少々調子のよすぎる感はあるが、入学以来 様々な分野で目覚しい実績を上げている彼女を、ヴァレリーは迷うことなくパートナーにすえた。 「ヴァレリー先輩、私に折り入っての仕事って何ですか? 先輩からご指名されるくらいですから、さぞや 重要な研究なんでしょうね!」 最初から期待に胸を躍らせた様子のルクシャナに、ヴァレリーは苦笑すると同時に頼もしさも覚えた。 彼女は若いくせに、自分やエレオノールに輪をかけた学者バカな気質なようで、男性研究者の誘いも 一つ残らず断って、毎日新しい発見があるたびに目を輝かせている。 「先日、あなたといっしょに遺跡で発掘した青い液体のカプセルがあるでしょう。あれの開封作業に入るわ。 あなたはいっしょに発掘された碑文の修復と解読を急いでちょうだい」 「ええーっ! そんなあ、どうせなら先輩のお手伝いをさせてくださいよ」 「わがまま言わないで、理由は言えないけど急ぐ仕事なのよ。それに、砕けた石碑を修復するには、 根気もそうだけど直観力も大切なの。あれが解読できたら遺跡の秘密にも一気に迫れるわ。一番頼れるのは あなたなの、引き受けてもらえるかしら」 「……わかりました。引き受けましょう」 最後には快く引き受けたルクシャナに、ヴァレリーは内心で素直ないい子だと感心した。彼女はあまり 自分のことを語りたがらないが、わずかに語ったところでは国に婚約者を待たせているらしい。きっと、 その男も彼女のそんなところに魅かれたのだろう。もっとも、それ以外の部分にはさぞ苦労させられているに 違いないが。 ルクシャナに碑文の復元を任せたヴァレリーは、さっそくカプセルの開封作業に移った。これまでの経過から、 物理的な衝撃や、『錬金』による変質も受け付けないとわかっていたので、それ以外の方法を模索する。 今までは内部の破損を恐れて、強行的な手段は避けてきたけれど、非常事態ゆえにヴァレリーは多少 強引な手段を用いてもカプセルを破壊することに決めた。 一方のルクシャナは、碑文の破片の復元作業のおこなわれている部屋にやってきていた。ここでは、 数千ピースに及ぶ石の破片を元通りにする作業が続けられている。これには、さしもの魔法も役には 立たないので、取り組んでいるのは雇われた平民が多数であった。 ルクシャナは、部屋に入るなり彼らに向かって告げた。 「これから、私が復元作業に当たることに決まったわ。あなたたちはご苦労様、ほかのところを手伝ってちょうだい」 命令を受けた平民たちは、ほっとした様子で速やかに部屋を出て行った。彼らとしても、延々と続く石くれとの 格闘には飽き飽きしていたのだ。そして、部屋が無人になったのを確かめると、ルクシャナは復元途中の石碑に 手をかざして、つぶやいた。 「蛮人はだめね。このくらいのことを、何日かかってもできないなんて。でも、私も精霊の力をこんなことに使って、 叔父様に怒られちゃいそうだけど、ね……さて、では石に眠る精霊の力よ……」 いたずらっぽく微笑んだルクシャナが呪文をつぶやくと、バラバラだった石碑の残骸が動き出し、まるで生き物の ように自然に組み合わさっていく。数分もせずに、残骸は一枚の石版の姿を取り戻し、さっそく彼女は書かれている 文字の解読に当たった。 「これは、私たちが使ってた中でも、もっとも古いとされている文字じゃない。これは興味深いわ、なになに……」 好奇心旺盛に、ルクシャナは碑文を読み上げる。 だが、読み進めるうちに彼女の顔からは急速に笑みが消え、読み終えたときには蒼白に変わっていた。 「いけない! そのカプセルを開けてはいけない!」 脱兎のように、ルクシャナは碑文の部屋を飛び出していった。 けれど運命は残酷に、破滅への秒読みを進めつつある。 「おう、ヴァレリー教授、どうやらカプセルが開けられそうですよ」 研究室で、実験台の上に置かれたカプセルに、微細なひびが入りつつあった。加えられているのは、 アカデミーの風のメイジの使用した電撃の魔法である。ヴァレリーはこれまでの実験結果から、高熱や衝撃では このカプセルには通じないと知っていたので、いくつかの可能性を吟味して電撃に賭けたのだ。 「やったわ! 成功のようね」 「おめでとうございます。ヴァレリー教授」 「ええ、これで中身の分析もできるわ。六千年も生きていたミイラの守っていたもの……もしかしたら、 本当に不老不死の妙薬かもしれない。もっとパワーを上げて、一気に砕くのよ」 期待に胸を膨らませて、ヴァレリーはひび割れゆくカプセルを見守った。エレオノールには悪いけれど、 大発見の一番乗りとして自分の名前が歴史に残るかもしれないという、むずがゆい快感もわいてくる。 ところが、ヴァレリーがさらに電撃のパワーをあげるように命令しようとしたとき、ルクシャナがドアを 蹴破らんばかりの勢いで部屋に駆け込んできたのだ。 「待ってください! そのカプセルを開けてはいけません。中のものは、悪魔なのです」 「なんですって!? 悪魔?」 ルクシャナの剣幕に驚いたヴァレリーは思わず聞き返した。そして、意味がわからないという顔をしている 彼女に、ルクシャナは震える声で説明した。 「文字の解読ができたんです。これには、こう書かれていました」 ”未来の人間に警告する。かつてこの地は大いなる災いによって滅ぼされた。 生き残った我々に残された文明も、いずれ消え去るであろう。 しかしその前に、我々は世界を破滅へと導こうとした、巨大なる悪魔たちの一端を捕らえることに成功した。 赤い悪魔の怪獣バニラ。青い悪魔の怪獣アボラス。 我々は彼らを液体に変え、防人とともにはるかなる地底の悪魔の神殿に閉じ込めた。 決してこの封印を破ってはならない。もしこの二体に再び生を与えることがあれば、人類は滅亡するであろう” 語り終わったときには、ヴァレリーもすでに顔色をなくしていた。もはや、どうしてこんなに早く解読が できたのかということなどは思考から消し飛んでいる。 「じゃあ、この液体は青いから……怪獣アボラス!」 愕然とつぶやいた瞬間、ひび割れたカプセルが卵の殻のように割れた。その傷口から、青い液体が どろりと零れ落ちる。 「しまった。遅かった……」 愕然とするヴァレリーとルクシャナの見ている前で、青い液体はどんどん広がっていく。 そして、液体から白煙があがり、流動する液体が何かの形を作りながら巨大化し始めた。 「いけない! みんな逃げてーっ!」 あらんばかりの声で叫び、ヴァレリーは出口へと駆け出した。しかし、怪獣が実体化する速度は彼女たちが 逃げ出すよりも早く、天井を突き破り、床を踏み抜いて研究塔を破壊した。 「間に合わな……きゃぁぁっ!」 ヴァレリーの足元の床が抜け、壁と天井が巨大な瓦礫と化して彼女の上へと降り注いでいった。 アカデミーの研究塔は一瞬のうちに崩れさり、中から青い体をした巨大怪獣が姿を現す。 青色発泡怪獣アボラス……その復活の雄叫びが、廃墟と化した魔法アカデミーに高々と鳴り響いた。 続く 前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔
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登録日:2014/11/04 Tue 11 35 00 更新日:2024/05/02 Thu 16 25 29NEW! 所要時間:約 17 分で読めます ▽タグ一覧 2001円府中の足袋 ほとんどダジャレ ロケ 一覧項目 何故か立ってしまった項目 名ばかり 場合によってはハズレ 岩清水→イワシ水 座布団 笑点 笑点の歴史がわかる項目 誰得 豪華賞品 賞品 ○○さん、座布団10枚獲得おめでとうございます。 賞として○○を差し上げます。 本項目では、テレビ番組『笑点』の大喜利コーナーにおいて、座布団を10枚獲得したメンバーに贈られる豪華(?)賞品について述べる。 座布団が9枚の状態(*1)で最後の1枚が積まれた瞬間、座布団運びとアシスタントが出てきてメンバーを大量の紙吹雪で祝福(*2)。そして司会者の上記のフレーズとともに賞品が目の前に運ばれる。 豪華賞品と言われているが、ロケを伴うまともな商品といわゆるネタ商品が混在する。 マトモな商品の場合のロケ先は単なる旅行から、伊勢参り・善光寺参りのような古典落語の時代っぽい場所まで多種多様。 小遊三師匠のパラオ旅行や木久扇師匠のカッパドキア旅行のように、行き先で落語家としての仕事をするケースも。 ネタ商品に関しては豪華商品を謳いながら実際にはその辺で売っていそうな物だったりすることも多い。 そのため大喜利でも「司会者が座布団十枚の賞金(褒賞用の予算の意味と思われる)を着服した」などのネタにされるケースも有る。 が、それがかえって落語家らしさを醸し出しているといえる。 たいていは3問目で10枚座布団が出た時点でお開きになるケースが多く、また翌週からは10枚達成者を含む全員の座布団の数がリセットされて座布団1枚からとなる。 10枚獲得のペースは数か月から1年程度。 歴代商品の中には時代を感じさせる物も多く、今やるとクレームの出そうなキツいネタもある。 とは言え当時はそれでお茶の間が純粋に楽しく笑っていたことを忘れてはいけない。 以下に座布団10枚の賞品と獲得者、賞品内容を記載する。 ※なるべく当時の雰囲気を再現するため、旧名の時期に起こったことは旧名表記といたします。また、いわゆる三遊亭楽太郎師匠については、本人の強い要望により「6代目圓楽」ではなく「6代目円楽」と新字体表記とします。 ■談志、前武時代 ■三波時代 ■5代目圓楽時代 ■歌丸時代 ■昇太時代 ■番外編・座布団10枚以外 ■談志、前武時代 香港に行って餃子が食べられる 1967年6月4日放送 歌丸、小痴楽(2代目春風亭梅橋)が獲得。座布団10枚賞品記念すべき第一号。写真だけだったが、それが実際に10日間の船旅を楽しんだ何よりの証拠となった。歌丸師匠はまさか後に自分が商品を与える立場になるとは思ってなかっただろう。 石鹸箱一つ ただみんなで笑うだけ 拍手だけ この頃は、司会者の思いつきで賞品を決めて渡していたのでデータがほとんど残っていない。 ■三波時代 ボーナスがもらえる 5代目圓楽が獲得。棒と茄子がもらえた。 海の幸三昧 歌丸が獲得。しかし、自分で海に潜って獲るものだった。 長良川の鵜飼い 1971年8月1日放送 4代目小圓遊が獲得。 ヌードデッサン 1971年ごろ放送 木久蔵(現・木久扇)が獲得。モデルは自分で探す羽目になり、挙げ句女性に噴水に突き落とされる。 アフリカで猛獣狩り 1971年ごろ放送 4代目小圓遊が獲得。としまえん・アフリカ館での猛獣見学だった。 イギリスでダービーが見られる権利 1971年ごろ放送 5代目圓楽が獲得。しかし現地まで自腹で行けと言われ、結局行けなかった。 歌手デビュー 1972年ごろ放送 4代目小圓遊が獲得。レコード「マドモワゼル」を出した。ジャケットには、座布団10枚獲得時の写真が使われている。 花の都の人力車運び 1973年5月13日放送 木久蔵が獲得。銀座で人力車運びに興じる様子は新聞でも取り上げられた。 胴上げ 1973年7月29日放送 5代目圓楽が獲得。誤って落とされて左足を捻挫し、現存する最古の映像である浅草大喜利では左足に包帯を巻いている。 旅館の美人女将に会える権利 1974年ごろ放送 木久蔵が獲得。伊豆の旅館へ行ったものの美人女将に散々こき使われ、タダ働きさせられた。 お伊勢参り 1974年5月19日~26日放送 4代目小圓遊が獲得。 笑点カレンダー 1975年1月放送 6代目圓窓が獲得。これが現在も発行されている笑点カレンダー第1号。 隅田川珍身遊び 1975年5月4日放送 4代目小圓遊が獲得。 ギリシャマラソン日記 1975年9月7日~14日放送 歌丸が獲得。松崎真と聖火を掲げてアテネを走ったが、おもちゃの聖火だった。アテネの街を走り、オチは海に入って泳ぎながら日本へ向かうというものだった。放送では後楽園ホールの舞台で笑点メンバー・観客とこのフィルム映像を見る場面があり、画質こそ良くないが映像も残されている。 美女と遊園地でデート 1975年9月28日放送 こん平が獲得。後楽園ゆうえんちで僕と握手…ではなく、幼稚園児の格好をさせられ、師匠夫人である海老名のおかみさん(後の二代目三平ら4児の母)に振り回される。 善光寺参り珍道中記 1977年1月23日放送 木久蔵が獲得。 豪華食べ歩きの旅 1977年3月27日放送 5代目圓楽が獲得したが、番組を卒業するため三波が司会者特権で獲得(強奪?)。このため歌丸らの反感を買い逆襲に遭う。圓楽にはニンジンが贈られた。最後まで馬面キャラであった…。 東海道五十三次二人旅 1978年3月26日放送 夢之助、楽太郎(現・6代目円楽)が獲得。実際は東海道中膝栗毛風コントだった。 落語一席披露権 1978年8月13日放送 こん平が獲得。落語「宮戸川」披露。 湯屋番奮闘記 1978年10月1日放送 夢之助が獲得。「お風呂屋さんの番台に座れる」とのことだったが、実際は下町の銭湯で煙突を掃除するというものだった。 珍佐渡情話 1979年4月22日~29日放送 夢之助が獲得。こん平がガイド役でお供してきて、佐渡情話たらい舟編を楽しんだ。 餅つきお大尽 1979年12月23日放送 こん平が獲得。九蔵(現・好楽)、楽太郎、こん平の3人で餅つき。 最後の楽園騒動記 1980年6月1日放送 九蔵が獲得。池田湖でイッシー探し。「行き先は夢の島(お台場・中央防波堤)だよ」 徳島阿波踊り 1980年8月24日放送 木久蔵が徳島公演回で獲得。地元の人たちと阿波踊り。 美女と沖縄バカンス 1981年4月19日放送 こん平が獲得。日本航空のキャンペーンガール・津島要嬢と沖縄バカンスを楽しんだ。今度はちゃんとした美女だった。 花見の狂宴 1982年4月25日放送 楽太郎が獲得。しかし、上野公園で花見の場所取りを押し付けられただけだった。 光り輝く小粒の貴重品 1982年10月6日放送 朝次(現・7代目才賀)が獲得。マッチ箱。 ■5代目圓楽時代 家一軒 1983年1月16日放送 歌丸が獲得。家一軒といっても犬小屋。キーワード自体は三波氏の存命時に発表された。 皇居一周マラソン 1983年10月23日放送 歌丸、木久蔵が獲得。木久ちゃんは完走したが、歌さんは早々に担架で運ばれていた。 エアロビクス入門 1986年4月13日放送 歌丸、小遊三が獲得。日頃卓球で鍛えている小遊三は軽快なフットワークを披露。一方、歌丸は開始早々へたり込んでいた。 ドッキリ中吊り広告 1987年11月22日放送 歌丸が獲得。都営地下鉄の車内に歌丸の中吊り広告が1両中に張り出された。ドッキリというのは、電車の乗客にこの広告についてインタビューしている後ろから歌丸がやってくるというもの。 ゴルフinハワイ 1988年3月6日放送 才賀が獲得。ワイアラエゴルフクラブでゴルフを楽しんだ。 テレホンカード 1988年5月22日放送 復帰したての好楽が獲得。 プロ野球入門 1988年9月18日放送 木久蔵が獲得。当時日テレの野球解説者だった元巨人・堀内恒夫氏と新設されたばかりの東京ドームで野球観戦。 クィーンエリザベスIIの夕べ 1989年5月21日放送 歌丸が獲得。恐妻富士子夫人と豪華客船でクルージング。 奥の細道 1989年11月12日放送 木久蔵が獲得。工事中の「尾久の舗装道」を探訪。 黒潮紀行 1990年7月22日放送 こん平が獲得。 花火指南 1990年11月25日放送 小遊三が獲得。黒潮紀行の翌週にキーワード発表がなされその三ヶ月後だったので、季節はずれの線香花火。 パリで自由にショッピング 1991年4月7日放送 歌丸が獲得。その意味は「自腹でパリに行き自腹でショッピングしていいよ」というものであったため、実際に行ったかどうかは不明で、仮に行ったとしてもそのシーンは放送されていない。 長崎から船に乗ってどこかへ行ける 1991年4月21日放送 こん平がわずか2週間で獲得。翌週の収録地となった倉敷まで手漕ぎボートでの移動を命じられた。 カールルイスと対決 1991年6月2日放送 楽太郎が獲得。本物のカール・ルイスと100m走対決。くしくも当時日テレが放映権を持っていた世界陸上が2か月後に東京で開催されることからその絡みの企画でもあった。※対決会場に大会マスコットの着ぐるみが登場している。なお、この年は大会のために24時間テレビが7月放送に繰り上げられた。 徳川家御埋蔵金 1991年12月15日放送 こん平が獲得。与えられた地図を頼りに群馬県の某山中に出向き、ようやく掘り当てたのは徳川家の家紋入りの雑巾5枚(ごまいぞうきん)だった。 岩清水 1992年5月10日放送 メンバー全員が獲得。山田君が汲んでいた水を途中でこぼし、鰯を漬けた水(イワシ水)を出してきた。ここから「山田降ろし」ネタが始まる。 ハワイ5泊6日の旅 1992年5月24日放送 好楽が獲得したが、メンバー全員が5泊6日の旅に同行。 つけまつげ 1993年2月28日放送 小遊三が獲得。 美女と茶摘 1993年5月23日放送 好楽が獲得。小遊三も同行し時代劇コントによる脱線もあったが、美女に囲まれながら新茶を摘むことができた。 道路工事のお手伝い 1993年7月25日放送 こん平が獲得。 美女と滝修行 1993年11月14日放送 木久蔵が獲得。三重県のお寺に美人の尼さんを訪ねたが、出迎えたのは怖い和尚さんだった上、ふんどし一丁で0度の滝に打たれてビジョビジョになっていた。番組ブレーンの一人で心霊研究家の新倉イワオ曰く「あなたの知らないレイ度の世界」(*3)。 白樺高原の休日 1994年3月6日放送 歌丸が獲得。楽しみにしていた雪見風呂は、スキー場の真ん中に立つドラム缶風呂だった。 故郷に錦を飾る 1994年7月10日放送 小遊三が獲得。山梨県大月市をオープンカーで凱旋し、故郷に綿…じゃなくて錦を飾る。母校へと赴き、後輩から「錦の座布団」を贈られる。 秋の香り満載 1994年10月30日放送 楽太郎が獲得。松茸かと思いきや、山田君が運んできたのはギンナン。しかも焼きたてだったので、会場にギンナンの臭いが漂った。ちなみに、明治神宮のイチョウ並木で拾い集めてきたものなので制作費は笑点史上最安価の0円。 川中島の決戦 1995年4月16日放送 こん平、小遊三が獲得。新潟出身のこん平は上杉謙信、山梨出身の小遊三は武田信玄に扮し卓球対決。小遊三が勝ったが、こん平の影武者作戦でご祝儀はこん平のものに…。 稲刈り奮闘記 1995年10月22日放送 木久蔵が獲得。苦労して収穫した新米でおにぎりを作りメンバーに振る舞った。 一攫千金を夢見てヒスイ取り大作戦 1996年9月15日放送 好楽が獲得。しかしこの時期はヒスイが取れず、結局圓楽の顔の形に似た細長い石を持ち帰る羽目になってしまった。 長嶋監督におめでとうの座布団を贈る権利 1996年10月13日放送 こん平が獲得。巨人優勝を記念して、長嶋茂雄氏におめでとうの座布団を贈った。まさにメークドラマ。 木久蔵に弟子入りできる権利 1997年5月4日放送 「プライベートでいくら仲がよかろうが尊敬してようが、いざ司会席や座布団に座れば…」な笑点だからこそ?できた内容。楽太郎が獲得、その直後に弟子入りさせられた。当然他のメンバーには不評で、この期間中は「いい答えの時に座布団を没収、悪いと獲得」という普段とは逆のルールだった。楽太郎師匠が何をどこまで教わったのかは不明だが、ラーメンの売り方は教わらなかったと思われる。なお、当然ながらこの賞品の期間も木久蔵は普通に参加している為、木久蔵自身が10枚獲得する可能性も存在していたのだが、その場合の対処法は実現しなかった為不明。 那須トリックアート 1997年9月14日放送 木久蔵が獲得。那須とりっくあーとぴあへ行ってトリックアート製作のお手伝い。なお賞品説明は「羽田へ行って飛行機が見られる」だった。 流行りのマウンテンバイク 1998年8月30日放送 小遊三が獲得。だが出てきたマウンテンバイクに乗れず、結局子供用の三輪車をもらった。 私が木久蔵です大作戦 1999年1月24日放送 もちろん木久蔵が獲得。上越新幹線の窓から見えた、雪原の中にポツンと立つ「私が木久蔵です」の巨大看板。 楽園パラオのバカンス 1999年6月20日~27日放送 小遊三が獲得。本当の目的はパラオに第2若竹を建てることだった。楽太郎・こん平も同行してイベントを開催。現地の人たちの前で落語「桃太郎」を披露。 世界の大スターに会える権利 1999年9月5日放送 歌丸が獲得。その大スターとは(かつて『ずうとるび』の一員として紅白に出演し、ハリウッド映画にチョイ役で一回出演した)山田君だった。「みかん色の恋」が流れるや否や歌丸も露骨に嫌な顔をするばかりだった。そして、あまりのスターアピールに立腹した歌丸は、渡された山田君のサイン入り写真パネルをバキバキに折り曲げて破壊した。 ある組の長になれる権利 1999年12月12日放送 木久蔵が獲得。「ある組の長」とは幼稚園の一日園長先生であり、そのキャラと相まって非常に和やかな雰囲気であった。「大きなおならが、ブー!」 好きな番組を製作できる権利 2000年7月9日放送 木久蔵が獲得。木久蔵ラーメンinタイ。現地で菊川怜らと合流し、ツムギアリの卵入りラーメンを提供した。なお、座布団10枚獲得から特番放送まで1年の空白ができている。これは獲得後に木久蔵に胃がん(この時点では公表していなかった)が発覚したためであり、幸い手術は成功・術後の回復も順調だったため回復を待ってロケ撮影を行った。ちなみに胃の3分の2を切除し40日間入院したにもかかわらず笑点の収録には穴を開けなかった。 写真集 2000年12月3日放送 歌丸が獲得。その中には女装している写真もある。出版を請け負う出版社がなかったため結局圓楽の自費出版で10部のみ製本し、視聴者プレゼントした。気味の悪い着物やスーツの女装姿はかなりのインパクト。 2001年宇宙の旅 2001年8月12日放送 小遊三が獲得。宇宙服姿の山田君が持ってきた、2001円の府中の足袋。 いざさらば 雪見にころぶ 所まで 2001年12月5日放送 楽太郎が獲得。「笑点」ロゴと豪快に笑う5代目圓楽の似顔絵が描かれたスノーボード。しかし「師匠を足の下に敷くなど滅相もない」と使う気になれなかった。「歌丸師匠の顔だとよく滑る」 花の雲 鐘は上野か 浅草か 2002年3月31日放送 こん平が獲得。賞品は「花見場所取りセット」であり、内容は「笑点ご一行様」と書かれたプラカード、敷物のビニールシート、カラーコーン、ロープ、テント、豪快に笑う5代目圓楽の似顔絵が描かれたおまる(トイレに立った隙に他の人に場所を取られないようにするため)という物。 夏草や 兵どもが 夢のあと 2002年8月25日放送 小遊三が獲得。夏草や→夏クサヤということで、新島でクサヤ作りを体験。 三顧の礼 2003年4月6日放送 歌丸が獲得。千円札一枚(3個の「0」)。 旅は道連れ世は情け 2003年8月31日放送 こん平が獲得。山田君を道連れにタヒチへ仲直り旅行。その後休演するため奇しくも最後となった10枚獲得にふさわしい商品に。 似たもの夫婦 2003年12月28日放送 歌丸が獲得。鍋焼きうどん。「煮た物をフーフーしながら食べろってことじゃないだろうね!?」 古池や 蛙飛び込む 水の音 2004年4月25日放送 楽太郎が獲得。バリ島の古池に飛び込んで腹を白くする。好楽とこん平の案内でカルデラ湖近くの滝壺へ行くが拒否(*4)。高級リゾートのジャグジーに飛び込みバリ式マッサージで腹を白くした。 濡れ手で粟の一掴み 2005年5月15日放送 歌丸が獲得。一掴みのペソ紙幣を持ってセブ島カジノツアー一攫千金の旅。楽太郎が同行し、スロットマシンで1000ペソ稼ぎ、ルーレットで一攫千金を狙う。楽太郎の黒に対抗して赤に賭け続けたが大敗。ここまで40年近くに渡り回答者であった歌丸が獲得した最後の座布団10枚の賞品である。 明日は明日の風が吹く 2005年10月16日放送 小遊三が獲得。圓楽宅にあった古い扇風機。この直後、圓楽が脳梗塞で翌週から休演したため、これが5代目圓楽時代通常放送最後の座布団10枚となった。 少年よ大志を抱け 2006年5月7日放送 圓楽休演中(*5)の司会代行時唯一の座布団10枚で、こん平の代理出演だったたい平が獲得。タイの道端に落ちていた一抱えもある石で、しかも自分で贈呈時の収録地から持ち帰らなければならなかった。が、その後たい平が笑点メンバー一同にサインをしてもらい、横浜にぎわい座に収蔵された。現在は秩父の実家を改装した「たい平美術館」に展示されている。 ■歌丸時代 理不尽なことで座布団を取られたり、座布団ジェノサイドなどもあって10枚座布団がより厳しくなった。 芸は身を助ける 2006年12月24日放送 好楽が獲得。この年最後の放送だったため歌丸は冒頭「10枚でなくても座布団が一番多かったメンバーに賞品を贈る」と言っていたが、好楽はきっちり10枚貯めたうえで賞品を受け取った。その中身とは、レイザーラモンHGのコスプレ。意外とノリノリで「フォーーーッ!!!」と本家さながらに暴れていた。まさに「(ハード)ゲイは身を助ける」? 天災は忘れた頃にやってくる 2007年4月29日放送 楽太郎が獲得。韓国済州島で天才ゴルフ少女と対決。負けた楽太郎は、罰ゲームとしてお馬さんごっこの馬に…。 花より団子 2008年3月9日放送 昇太が獲得。団子屋を経営する元ボクシング世界チャンピオン輪島功一の揮毫による掛け軸。 耳をすませば 2008年12月14日放送 昇太が獲得。五代目圓楽師匠の笑い声が流れる笑い袋。楽太郎はありがたそうに拝んでいた。 渡りに船 2009年9月13日放送 たい平が獲得。海外で豪華クルージング…というのはウソで、実際はスコールが降り注ぐベトナムのジャングルを屋根もない手漕ぎの小舟で下るというものだった。その後、ホーチミンでベトナム美女と食事デートを楽しむが、シクロの運転手やレストランの店員(実は好楽)に邪魔された上、最後は好楽のスパイ活動によってたい平の妻・千華さんにこれまでの事が密告され、電話に代わったたい平が携帯電話に向かって土下座する羽目に。「あったよね 錦江湾でも こんなこと」 身から出た錆 2009年12月20日放送 昇太が獲得。文字通りネタからわさびがたっぷりはみ出した寿司。しばらく食べるのをためらい、意を決して食べるもあまりの辛さに悶絶した。 瞳を閉じて 2010年6月6日~13日放送 木久扇が獲得。歌丸が「瞳を閉じて」考え付いたのは、河童ネタをよくやる木久扇にちなんでトルコ・カッパドキアの旅だった。山田が同行し、まず陶器の絵付けや熱気球に乗ってカッパドキアの遺跡をめぐり、続いてイスタンブルへ。「カッパドキアでラーメンを食べる河童」の絵柄を皿に描いて視聴者プレゼントにした。 至福の時 2011年6月12日放送 6代目円楽が獲得。温泉旅行in台湾。ただし自分で温泉を掘って自分で入るもの。さらに途中参加の小遊三と好楽により臭豆腐を食べさせられるという罰ゲームが。「台湾で たいわんな目に あっちゃった(友達できないね)」ちなみに海外ロケのガチ賞品はこれ以降実現していない。 会いたかった 2012年4月8日放送 好楽が獲得。足つぼマット。「あっ、痛かった」 晴れたらいいね 2012年8月12日放送 たい平が獲得。テント。なお本当はこれを使って無人島でのキャンプのロケを行う予定があったが、台風により中止になったらしい。ちなみに放送ではその事について言及しておらず、2016年発売の番組本『笑点五十年史』でたい平から初めて明かされた。「張れたらいいね」 人の振り見て我が振り直せ 2013年4月14日放送 木久扇が徳島公演回で獲得。33年前と同様地元の人たちと阿波踊り。木久扇の踊りが下手なので、歌丸が「地元の人の踊りをよく見て下さいよほら、人の振り見て我が振り直せ」と言うも本人は踊りに夢中で全く聞いていなかった。 日本テレビ開局60周年にちなんだすばらしい賞品 2013年12月1日放送 小遊三が8年ぶりに獲得。同年の汐留のアトラクションである歌丸スライダーに使用されていた巨大歌丸人形。その後は落語芸術協会の備品となり、芸協のイベントなどで担ぎ出されることもあったが、2018年の歌丸の死去を受けて人形も断捨離天国へ旅立ったという。 おもてなし 2014年6月29日放送 たい平、木久扇が獲得。(映像が現存するものとしては)史上初、2週連続の10枚座布団。歌丸の地元横浜でおもてなしを受ける。2人はそば屋でたくさん注文するが、その値段が想像を絶する金額だった。「歌丸も こんななるとは おもってなし」 銀の匙 2014年11月16日放送 好楽が獲得。日本テレビ社食利用カード。限度額:無制限、有効期限:死ぬまで。やったね、好楽さん!しかも、親族から一門にまで及ぶ。ただしこの畳半畳ほどのでかいのが見本じゃなくて現物。しかしICが埋めこんであり実際に使える。「ヒマだから 毎日来てやる 食堂に」 笑点50周年にちなんだものすごい賞品 2015年5月17日~31日放送 たい平が獲得。正月や24時間テレビの際に使っていた日テレ麹町スタジオの地下3階倉庫に眠るものすごい賞品の鍵。日テレの60年間の歴史が詰まった倉庫。その中には笑点や日本テレビに関連する懐かしいお宝写真が沢山残されていた。その中から1枚だけ好きな写真を持ち帰れる事になり、最終的にたい平は笑点開始初期の1967年に、歌丸が妻の冨士子さんと共にトーク番組「ご両人登場」に出演した際の写真を選んだ。 超ものすごい賞品 2016年5月8日放送 昇太、6代目円楽、たい平、木久扇が獲得。まず昇太が10枚座布団で高級箒を獲得、続いて円楽、たい平、木久扇も掃除を手伝わせるために大盤振舞いで、計4人が10枚座布団になったところで座布団のストックが尽きたためお開きに。「南部箒」と言って完成するのに1年半かかり、価格にして一本50万円という正真正銘の「超ものすごい賞品」。そして恒例のオチは「その箒で次週の50周年スペシャルに備えて舞台を掃除する権利」。 ■昇太時代 2017年11月12日からはキーワード制ではなくなり、また2020年10月18日までは十両箱を象った「十枚箱」なる物が登場し、その中に賞品の目録が収められていた(なお内容は時折変えられているらしい)。第2592回(2017年12月17日放送)では、この十枚箱が「経費節約」と称して段ボールの箱になったこともあった。 昇太が回答者時代にろくな賞品がもらえなかった腹いせなのか就任から6年に亘りロケを伴う「ガチ賞品」が贈呈された事がなかった(*6)。その所為か、第2834回(2022年11月6日放送)の演芸枠で『座布団十枚座談会』と称した座談会を行った際にメンバーの希望賞品を訊いた結果、全員が各々の希望に基づく何かしらのロケを伴う企画を提案する事態となり、この回からはここで各自が出した希望賞品を贈呈することになった(*7)。 演芸コーナーで好きなことができる権利 2017年3月26日放送 好楽が獲得。ただし、「観客を必ず笑わせる」という条件つき。演芸コーナーで好楽とその家族や弟子と、お笑い芸人いつもここからで「悲しいとき」のコラボネタを披露。 Shot"e"nならぬShot"a"nカレンダー 2017年11月5日放送 円楽が獲得。表紙が大喜利メンバーの写真で飾られているが中身は昇太の趣味の城跡巡りの自撮り写真ばかり、さらに12月は昇太のキス顔のアップ写真だった。この回で円楽は座布団10枚を2回も達成し、カレンダーを2部獲得。うち1部は観客にプレゼントした。 カニいっぱい 2019年3月17日放送 たい平が獲得。十枚箱登場後初の座布団10枚達成。この回は鳥取での地方収録だったため、十枚箱には「鳥取の特産品がいっぱい」と書かれた紙が入っており、カニ1杯(1匹)がプレゼントされた。 笑点特製の電動アシスト自転車 2020年10月18日放送 円楽が獲得。タイヤの部分に昇太の顔があしらわれている。当の円楽は「こんなの恥ずかしくて乗れないよ!」と照れていたが、「昇太さんのタイヤだけに“回転”がいい」と粋に返していた。因みにこの時、三平が10枚にリーチがかかっていたが、昇太に理不尽に没収され初の達成はならなかった。 笑点放送開始55周年記念・番組特製ジグソーパズル 2021年9月5日放送 好楽、たい平、木久扇、円楽、小遊三が獲得。笑点の収録時などに撮影され、2021年現在日本テレビに残る2万3000枚の番宣用のスチール写真から5000枚以上を使ったモザイクアートで、完成すると笑点の舞台セットをバックに歴代司会者と現メンバーが勢揃いした絵になる。最初に座布団10枚を獲得した好楽には笑点55周年にちなんだ5500ピースの巨大ジグソーパズルが進呈されたのだが、完成した状態でお披露目したあとにわざと崩され、5500ピースを一から並べなおさせられるというオマケも付いた(*8)。ちなみに最初に達成した好楽以外はミニサイズのレプリカが贈呈されたが、5人座布団10枚が出たところであえなく三平だけ獲得ならずお開きというオチに。ネタ枠扱いとはいえ、クオリティ自体はガチな賞品である。なお、三平は同年12月26日放送分をもって卒業したため、色紋付導入以来座布団10枚を獲得しなかった唯一の回答者となった。また、円楽は翌年1月30日放送分を最後に脳梗塞の為休演した後9月30日に逝去した為、生前最後の10枚達成賞品となった。逝去直後の追悼特番で昇太の計らいで座布団10枚となったが本人不在のため拍手のみであった。 夢を叶える券 2022年12月4日・2023年1月1日放送 この年メンバー入りしたばかりの宮治が獲得。初の10枚達成に加えて、9枚目のリーチ座布団と10枚目の金座布団の初獲得者という嬉しいオマケ的栄誉まで手に入れた。前述の座談会で「家族におもてなし」を希望(*9)していた為、番組の予算と力を借りた家族サービスを実現させる事となった。なおこの時宮治は2問目で達成しており、1問を残した状況でたい平も10枚にリーチをかけていたものの、3問目で昇太イジリネタを出して座布団全没収となりあえなく夢は散ってしまった。ロケの模様は翌2023年のお正月スペシャルで放送され、昇太の指令VTRに従って宮治が福岡県の玄界灘まで出向いて魚を釣り(*10)、その魚を寿司屋で自ら捌いて寿司を握り(*11)家族にもてなした。 おもてなし後には、家族から裏地を宮治の着物の色である若草色にしたオーダーメイドの帽子と手紙の逆サプライズを受け、暖かなムードで企画は終了。最後は昇太オススメの温泉宿に1泊した。 やりたいことを叶える権利 2023年10月22日・11月12日・19日放送及び2024年1月1日以降のオープニング 木久扇が獲得。勇退までにやりたいことをできるだけ叶えるとのこと。第一弾は獲得翌月に『大喜利の司会がしたい』と言う希望を叶えたが、「本家大喜利の司会をやらせるのは不安」(*12)と言う昇太の判断により若手大喜利の司会を2週連続で託された。第二弾は、『番組のオープニングの絵を描きたい』という希望から木久扇にとって2度目となるオープニングアニメーションのイラストを担当。2024年の正月から使用されている。因みに獲得した際の問題が「アナウンサーになって日常のことを実況し、大歓声のSEの後更に一言」という物だったのだが、木久扇が9枚目を獲得してリーチをかけた後に回答権を得たたい平がこの状況を煽る実況をした事で(半ばそれに押される形で)木久扇が10枚目を獲得した為、他メンバーの回答が10枚達成の決まり手となる珍事が発生している。 ■番外編・座布団10枚以外 ミス桜の女王とキスできる権利 1978年5月7日放送 サンフランシスコ大喜利で4代目小圓遊が獲得。ミス桜の女王とは女装した松崎氏だった。 ハワイ美女とキスできる権利 1980年10月12日放送 ハワイ大喜利で楽太郎が獲得。こちらは本物の美女だった。 トイレットペーパー1999本 1999年12月26日放送 年忘れ大喜利で木久蔵が獲得。 ゴジラ賞 2021年5月16日放送 笑点55周年のゲストとして登場した野球界のゴジラこと松井秀喜選手のサイン入りバットとグローブ。じゃんけんの結果、三平がバット、小遊三がグローブを獲得した。 チコちゃんと「叱れる」権利 2023年3月12日放送 2023年にNHKと日テレが共にテレビ放送開始70周年を迎える事から、コラボウィークの一環で行われた『チコちゃんに叱られる!』とのコラボレーション大喜利での商品。当時大喜利メンバーに加入して間も無かった一之輔が獲得。この回の進行を昇太と共に務めたチコちゃんと、彼女の決め台詞である「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叫んだ。(この際、チコちゃん同様に一之輔の顔もデカくなる演出も行われている) 追記・修正は10枚ためた方がお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 「おもてなし」は「表なし」で円楽さん関連かと思ってた -- 名無しさん (2014-11-04 12 34 45) 結構くだらない内容が多いんだよなぁ・・・・。「銀の匙」というのもどうなることやら。 -- 名無しさん (2014-11-04 13 04 16) 「三顧の礼」ってキーワードでさんこのれい→三個の0→五代目円楽師匠のポケットマネーの1000円プレゼントもあったな。誰が貰ってたか忘れたけど -- 名無しさん (2014-11-04 14 33 48) 夏草や つわものどもが 夢のあと →「夏といえば『くさや』ですよ」 で、くさやが商品だった回があったような -- 名無しさん (2014-11-04 14 42 01) 「似たもの夫婦」で鍋を食べる(煮た物をふーふーする)とかもあったきがする -- 名無しさん (2014-11-04 14 47 39) 他にも一杯あるし、本家wikiに全部書いてある。ネタ要素は無いし不十分だし、建てた理由がよく分からん。 -- 名無しさん (2014-11-04 15 40 21) 楽太郎が6代目円楽になったばかりのとき「温泉ご招待」=「自分で掘る」にふき「やっぱり歌丸(ピー)しておけばよかった」という円楽のセリフに吹いた。 -- 名無しさん (2014-11-04 19 05 51) モノじゃないのも多いんだなww -- 名無しさん (2014-11-05 01 40 52) レイザーラモンHGのコスプレは笑ったw -- 名無しさん (2014-11-05 10 08 24) 2001年宇宙の旅→2001円府中の足袋ってのもあったと思う。 -- 名無しさん (2014-11-05 11 04 51) 何だかんだ日テレの顔だよなぁ -- 名無しさん (2014-11-06 10 09 32) 五代目圓楽時代、歌丸が写真集(但し女装)を出したのも十枚記念だっけ -- 名無しさん (2014-11-10 15 04 00) ただで食えるカードってあんなでかいの持ち歩けるか!? -- 名無しさん (2014-11-16 17 58 05) ↑あぁ、今回の賞品、「あれで終わりなんてそんなバカな、何か裏があると思ったのに!」と思ったんだけど、そういうことだったのか -- 名無しさん (2014-11-23 19 23 14) IC部分だけ切り取ろう(適当) -- 名無しさん (2014-11-28 11 49 59) こんないろいろやってんのね -- 名無しさん (2014-11-28 14 14 13) ゆうべ得損見たけど、好楽さん今のうちに食生活改善しないと「有効期限」が近づくかも -- 名無しさん (2015-04-10 15 31 43) いつだったか、三顧の礼で0が3個の1000円札ってなかったっけ? -- 名無しさん (2015-04-15 15 25 53) 早速更新されてる -- 名無しさん (2015-05-17 18 11 20) 昨日の放送見れなかったが、座布団10枚出てたのか…てか更新はえーよw -- 名無しさん (2015-05-18 17 07 40) ふと思ったけど、商品があまりにも、な物が多いんで、圓楽さん、10枚ためるの放棄してるのかな、もしかして? -- 名無しさん (2015-12-09 06 54 15) 夢之助の湯屋番奮闘記がない -- 名無しさん (2015-12-16 01 40 55) 5代目圓楽さんは座布団10枚でろくな目にあわなかったな…棒とナスでボーナスだったり、胴上げされて足を捻挫したり、英国ダービーに自腹で行けなかったり、豪華食べ歩きを三波に強奪されたり…。今で言う残念なイケメンの元祖だわ -- 名無しさん (2016-01-05 19 31 59) チェックして気付いたが、1999年9月5日の「世界の大スターに会える権利」が抜けてます。歌丸獲得の奴。 -- 名無しさん (2016-04-13 12 13 42) ↑の件による追加おつ -- 名無しさん (2016-04-15 17 58 58) 先日の50周年スペシャルではギリシャマラソンが歌丸さん初の10枚座布団って言ってたけど、あくまで「映像が残ってるものでは」だからな。 -- 名無しさん (2016-05-18 19 58 49) 何が悲しくて師匠の嫁と遊園地デートせにゃあかんのかw -- 名無しさん (2016-07-15 08 05 23) 歌丸の巨大人形は、大阪の高島屋で展示されていたよ -- 名無しさん (2016-08-30 13 44 24) ↑の巨大人形の事で知り合いに話したら「どうやって -- 名無しさん (2016-09-28 17 44 55) ↑ミス どうやって家に置いてるんだ?」って反応してたのを思い出すが、まさかそんな所に展示されてようとは。 -- 名無しさん (2016-09-28 17 46 01) 笑点で一番金がかかった賞品って何なんだろう?歌丸のギリシャマラソン(当時の円ドル相場300円前後、ヨーロッパまでの旅行代が30万円、ハイライト1箱170円の時代)か、トルコ・カッパドキアの旅行か、カール・ルイスを呼んでの勝負だろうか? -- 名無しさん (2018-07-14 10 46 10) 見た目を整理、ついでに少し飾ってみました。 -- 名無しさん (2019-09-19 19 38 37) 少しどころじゃない良編集乙!山田くん、↑1さんに座布団持ってきて -- 名無しさん (2019-09-19 20 00 00) ↑3 確か4本出た? 南部箒じゃない? 1本50万の4本で200万だし -- 名無しさん (2020-08-24 08 12 39) 年末の対抗大喜利で歌丸グッズが勝者への商品として出た時期がある模様 -- 名無しさん (2020-10-20 00 51 35) 今更なこと言うんだけど、そもそも台本があるから賞品も適当なタイミングで出してるだけなんじゃないかな -- 名無しさん (2020-11-13 20 05 46) 1000円札と扇風機は覚えてるw -- 名無しさん (2021-02-11 21 39 20) わさび寿司、笑い袋、掛軸と自分の回答者時代の商品が微妙だからなのか昇太司会は何かケチ臭い -- 名無しさん (2021-10-22 19 57 24) 木久扇師匠が10枚当てた時はだいたいまともな景品な気がする -- 名無しさん (2021-12-29 11 30 24) モザイクアートジグソーパズルは普通にいい商品なんじゃないかなって -- 名無しさん (2022-03-20 16 05 45) 円楽さん意地悪で座布団くれなかったときもあるのに良い商品はもらってるよな(至福の時では好楽に踏まれ、天災では韓国のゴルフ少女におうまさんごっこされ酷い目に遭うが) -- 名無しさん (2022-09-06 13 50 27) 前は賞品のキーワード出てたけど、最近そういうのないよね -- 名無しさん (2024-05-02 16 25 29) 名前 コメント