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説明 「美奈子ちゃんの憂鬱」シリーズの一覧です。 数話にわかれて収録されているものはリンクが外れているか、リストから除外していますのでご注意下さい。 長編 壊れたココロ 怪談話はお好きですか?? 何が原因!? 呪われた姫神 熱血男はお好きですか?? 胸と着物とお茶 刀と嫉妬と看板娘 お嬢様達のナイトメア 明光学園イベント 詩乃先生の憂鬱 暴露話はお好きですか? ケンカはお好きですか?? はっぴーばーすでぃ! お酒はお好きですか? ホットなお味はお好きですか? 学校のかいだん 短編 明光学園 水瀬女装(?)イベント 演技と料理と大失恋 悠理ちゃんの災難 僕達の甘くせつないミッション イベント 水瀬×美奈子 怪談話はお好きですか? 短編 イベント 水瀬×日菜子 プリンセス・ワルツ 短編 イベント 羽山×涼子 お姉さんはお好きですか? 短編 イベント 綾乃VS美奈子 選びし乳 8センチ差の破壊力について 短編 イベント 綾乃VS萌子 銃と中学生と小姑と 短編 イベント 綾乃VSナターシャ ショタコンお姫様はお好きですか? 過去と赤提灯と雑談 短編 イベント 綾乃VSルシフェル カップと嫉妬とお引っ越し 転校生は世界最強!? 短編 ルシフェル暴走イベント 最初のお酒・最後のお酒 短編 福井かなめイベント 秋篠君の幸福?災難? ひみつのかなめちゃん 短編 イベント 南雲×未亜 未亜ちゃんの日記 南雲教諭の、ありがち(?)な災難について 短編 桜井葉子イベント 歯医者さんはお嫌いですか? 短編 その他、イベント 水瀬、風邪をひく 白銀と小学生とドナドナと 華雅女子学園 イベント お嬢様達のナイトメア 副会長の割とヒマな一日 子羊ちゃんのお願い 狼さん達の誤解 リンク 月夜茶会 「美奈子ちゃんの憂鬱」の大本のページです。 字数制限があるので、「小説家になろう!」収録作品の簡略版になっている作品もいくつもあります。 少しだけ、他作品も収録しています。 月夜茶会 美奈子ちゃんの憂鬱専用ページ 美奈子ちゃんの憂鬱シリーズ正規の作品リストです。 ネット小説ランキングで直リン禁止を理由に削除された曰く付きのリストです(3年間これで通っていたのにぃ!( _ )) 鷹嶺綺羅のページ サイト「小説家になろう!」様のページです。 長編小説を中心に掲載しています。
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次元大介の憂鬱 ◆KKid85tGwY 『六時間でこれだけと思うのか、六時間しか経っていないのにこんなにと思うのか。それは受け取る君たちに任せるよ』 V.V.のまだ幼さの残る声が、どこからとも無く――強いて言えば天空から周囲一体に響き渡る。 ダークスーツを身に纏いつばの広いソフト帽を目深に被った痩身の男、次元大介は 半分以上が灰になったタバコを咥え、自宅の廊下を進んでいるような弛緩した足取りで朝焼けの町を歩いていたが 放送が聞こえてくると足を止め、しばらくはいかにも茫洋とした様子で天を仰いだ。 そしてコンクリート製のビルの壁を背に座り、大儀そうに地図と名簿を取り出した。 一見した次元の様子は、まるで今そこが殺し合いの最中である事を忘れたかのように隙だらけに見えるが 実際は周囲への警戒を全く怠っていない。 もっとも周囲に人の気配は無いことは察知しているため、すぐに襲撃をされる懸念は少ないが それでもどんな罠があるかは分からない。 それに何より傭兵として、あるいはルパンの相棒として数え切れないほどの修羅場を潜ってきた次元は 戦場において『絶対』は無い、何が起こるかわからないことを誰よりも熟知している。 いつでも胸元に差し込んだデリンジャーを抜ける態勢を維持していた。 弛緩しながら日常的な動きを行いつつ、警戒態勢を保つ。 修羅場を日常とする者だけが持ち得る所作を、次元は身に付けている。 しかもそれは、世界最高レベルと言っていいほどの水準でだ。 世界を股にかけ、あらゆる種類の悪党と戦い泥棒稼業を続けてきたルパン一味。 危機的状況からの『逃走』と『生存』のスキルに掛けては、恐らく並ぶ者は存在しないであろう。 だから日常的な何気ない所作でも、警戒態勢を取っていられるのだ。 そしてそれは今に始めたことではない。 次元は殺し合いの最初から、食事をしていようと交渉をしていようと1度たりとも周囲への警戒を緩めてはいなかった。 詩音とロロを相手に交渉をしている時もそうである。 次元があの時2人の間に入ろうとしたのは、実はそれが最も安全な位置だと判断したからだ。 まずあの状況でロロ自身がそのまま次元に襲い掛かる懸念は少なかったと言える。 何故なら詩音のAK-47で牽制されていた、つまりAK-47を恐れていたからだ。 あの場でロロが下手に次元に仕掛ければ、詩音を刺激する可能性も充分にあった。ロロもそれは避けたかったはずだ。 そして詩音に殺意が無かった以上、あの状況で最も怖いのは、次の3つのケースである。 1つはロロが詩音のAK-47を奪い、自分もそのAK-47で撃たれること。 1つはロロが詩音を襲い、詩音がAK-47で反撃してその流れ弾に当たること。 もう1つが第三者(あの場合は第四者と言うべきか)から急襲を受けること。 しかし次元が2人の間に立てば、最初の2つのケースは防ぐことが出来るし 最後のケースで考えても最も安全な位置と言える。何しろ前後を2人が盾になっている形だからだ。 つまり次元はいかなる状況でも、『生き残る為のスキル』発揮できる人間なのである。 当然それはルパンなどにも言えることだ。 だから次元としては、実はルパンたちの心配はほとんどしていなかったのだが……。 次元は禁止エリアを告げられると、地図上の該当箇所に指定時間を書き込み 死亡者を告げられると名簿上の該当者の名前の上から線を引いた。 やがて放送が終わると、次元は根元まで吸い切ったメンソールをアスファルトの上に投げ捨てた。 「…………16人か……。またずいぶん、派手に死んだもんだな……」 ソフト帽を頭の上から押し付けるようにしてさらに深く被り、押し殺すような声でごちる。 6時間で16人。 こういった形式の殺し合いを他に知らない次元には、このペースが早いのか遅いのか判断のしようが無いが 単純計算すれば、誰かの優勝にせよ全滅にせよ殺し合いが終わるまでに1日とかからないペースになる。 幸いルパンと五ェ門は無事だったが、V.V.への手がかりとして目星をつけていたルルーシュは死んでしまった。 そのルパン達も、今の状況では安泰であるとは到底いえない。 何しろ、あの銭形が早々に死んでしまったのだ。 常にルパンを取り逃がしている印象が強い銭形だが、彼は紛れも無く優秀な警察官である。 そうでなければそもそも、ICPOの中でもルパン専属の捜査官と言っていい立場に居られない。 仮に双方が正面から本気で命を奪い合うような戦闘となればルパン、次元、五ェ門の何れでも危うい。 3人がかりでも勝利は難しいほどの相手なのだ。 ルパンたちが常に逃げ果せるのは、銭形が無能だからではない。ルパン一味の逃走技術が、あらゆる局面で卓越しているからだ。 その銭形が殺された。 銭形は自殺をするような人間ではない。事故で死ぬような間抜けでもない。 あの銭形の命を奪うほどの者が、ここには居るのだ。 次元は新たなメンソールを咥え、火を点けた。 発生した煙を、肺まで吸い込む。 美味い、がやはり物足りない。 「やはり俺にしちゃ、ちょっとばかり甘すぎたぜ……」 次元は殺し合いが始まってから6時間の、自分の行動を振り返る。 殺る気のないガキに銃を向けられ主導権を握られて、状況に流され立ち話をしていた。 その後、違うガキと下らない口げんかをした。 そしてタバコを探して、カップ焼きそばを賞味していた。 何とも呑気な話だ。事態は、切迫していたと言うのに。 必要な作業を終えた次元は、手早く荷物をまとめ立ち上がる。 もっとも、どれだけ急いだ所でこれからどこに向かえばいいのかの当てなど無いのだが。 とりあえず、じっとしていても始まらないと歩み出す。 6時間もあって、碌に情報も集められなかったのだ。 やはり、これまでのやり方が温過ぎたと言わざるを得ない。 例えば交渉の場面でも、上手く主導権を握る方法は幾らでもあった。 銃を向けてきた詩音が相手なら、取り押さえても構わなかったはずだ。 そしてもし詩音が下手に抵抗してきたのなら、殺すことになっても仕方ない場面ですらあった。 この殺し合いの場では殺人が必要な場面が出てくるだろう。 少なくとも次元は必要な殺しを躊躇する人間ではない。 次元はルパンと五ェ門のことを考える。 2人は確かに、生存と逃走に類稀なスキルを持っている。 だが2人とも多分に甘い部分も持っている人間だ。 2人とも特に女には甘くて弱い。ルパンなど毎度同じ女に騙されているような始末だ。 だが自分ならば、2人ができない仕事もできるのではないか。 女子供が相手でも、危険人物なら牽制しあるいは制圧し――あるいは始末する。 無論、自分から無用な揉め事を起こすつもりは毛頭無い。 下手に強硬な真似ばかりを繰り返して、周囲に自分が危険人物だと見られては笑い話にもならない。 誰が危険人物かを判断するのも慎重に行わなければならないだろう。 ここでは善良な人間を装って背後から襲うような者も、当然現れるだろうから。 それにロロからスザクは危険人物だと教えられていたりするが、ロロ自身の信用し切れない以上 この場合、やはり自分でスザクを見極める必要がある。 ここでは情報が錯綜や虚報が極めて起こり易い上、1度の判断ミスが命取りになる。 そもそも焦ったために犯したミスで自分が死んでは、本末転倒もいい所だ。 やはり慎重になるに越したことは無い。 当座の行動方針は固まった。 慎重に、しかし早く確実に危険を排除しルパンたちと合流する。 たとえ血塗られた道を行くことになろうと。 「ルパンのついでに、違うタバコも探すとするか……」 次元は思う。 今から進む道はルパン一味の流儀に反することかもしれない。 それでも自分の信じるやり方でやらして貰う。 それがお前と、袂を分かつ結果になろうとだ。 何せ生きて帰らなきゃ、後悔も出来やしないんだからな。 俺も、お前も。 そうだろ――――ルパン。 【一日目朝/G-8 北部】 【次元大介@ルパン三世(アニメ)】 [装備]レミントン・デリンジャー(2/2)@バトルロワイアル [支給品]支給品一式×2、水鉄砲@ひぐらしのなく頃に、庭師の如雨露@ローゼンメイデン、レイピア@現実、 前原圭一のメモのコピー@ひぐらしのなく頃に、知り合い順名簿のコピー、 バージニア・メンソール×五箱(六本消費)@バトルロワイアル、 北条悟史の金属バット@ひぐらしのなく頃に、確認済み支給品0~1個 [状態]健康、満腹 [思考・行動] 1:V.V.を殺して、殺し合いを止める。 2:ルパン達を探す。 3:ロロを完全には信用しないため、ロロから与えられた情報も半信半疑。 4:危険人物には容赦しない。 [備考] ※庭師の如雨露をただの如雨露だと思っています。 ※ギアス世界の情勢を知りました(ただしギアスについては知りません) ※ギアス勢の情報を入手しました、スザクのみ危険人物だと教えられています。 時系列順で読む Back Innocence Next adamant faith 投下順で読む Back Innocence Next adamant faith 072 Ultimate thing(後編) 次元大介 [[]]
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10: 333 :2017/01/29(日) 15 05 57 フローデ達の憂鬱 番外編 帝宮訪問 皇紀4954年 ケンルー ジントは修技館の寮で休んでいた。 椅子に座ってため息をつく。最近忙しかったからだ。 ライシャカル・ウェク・ソーダル・クリュブ クリューヴ門沖会戦は帝国の勝利だった。敵は壊滅し、逃げ去っていったという。 勇壮な突撃で一時は追い詰められたものの、レンド提督の指揮で逆に包囲殲滅した。 エーフ そのような内容の情報が思考結晶網に流れていた。 僕はなぜこんなに速成教育されなければならないのか。疲れもあって愚痴じみた考えが浮かぶ。 ラブール 修技館からの卒業生で足りなければ予備役を招集すればいいだけなのだ。星界軍の予備役は大量にいるのだから。 アーヴの人生は長い。200年から300年も生きる彼らは大抵の場合、一つの業種に人生を捧げるということはしないのだ。 数十年の間一つの業種に勤めては別の業種に移る。それはアーヴ社会自体が硬直化するのを防ぐために必要な措置だからだ。 そして大抵のアーヴは軍士を経験する。さらに生粋のアーヴは肉体的な衰えというものに無縁だ。これが何を意味するか? すなわち星界軍の予備役には、別の職業に就いているものが少なくとも億の単位でいるのだ。 ボスナル いざとなれば殆どが専門的訓練を積んだ軍士として復帰できる。これこそがアーヴ最大の強みである。 彼らが現代の遊牧騎馬民族と呼ばれるのはこのあたりに理由がある。民族を構成する殆どが士官同然の働きができるのだ。 ウィクリュール そういうわけで今ラクファカールでは大量の、そう本当に大量の軍艦が建造されていた。 その規模たるやジントが思わず頼もしさより不安を感じてしまったほどだ。 これでまだ再建途中というのだから、アーヴには数を数える天才的才能があるのではないかとジントは思う。 あまりにも多すぎて、数を数えるのが馬鹿らしく思えるくらいなのだ。 「うん?通信…。」 クリューノ ふと気がつくと手首の端末腕輪が主人に通信が来ていることを知らせようとしていた。 表示されている名を見てジントは思わず顔をほころばせる。 ラフィールからの通信だった。 「やあラフィール。どうしたんだい?」 『なんだジント。せっかく私から連絡をよこしたのに、気の利いた言葉の一つや二つくれてもいいだろう。』 思わず苦笑する。僕はどうもそのあたりが鈍いようなのだ。 しかし久しぶりに聞いた彼女の声に安心を感じるのも確かだった。 忙しさから、最近はラフィールとあっていなかったのだ。 「ごめんごめん。僕も君と話せてうれしいよ。それで何か用事かい?」 『ああ。今度の休み、一緒にどこかへ行かないか?』 休み、の言葉に少し考え込む。 今の所休みはあまりない。数少ない休日も、他の用事で埋まっていた。 しかしせっかくのラフィールと会う機会。なんとか時間は作れないだろうか。 考えた結果、ジントは友人達との予定を少し早めに切り上げることにした。 いつも付き合わされているんだ。これくらいは許してもらおう。 「ああ、いいよ。それでどこに行くか決めているのかい?」 ルエベイ 『うん。帝宮に行きたいと思っている。』 11: 333 :2017/01/29(日) 15 07 07 ルエベイ スピュネージュ 帝宮は言うまでもなく皇帝の住むところである。 フリューバル しかし同時に帝国の行政を司る役所でもある。 これほど広大な版図を治めるのには巨大な施設が必要になるのだが、帝宮はそれを可能にする。 端的に言ってしまえば、帝宮は大きいのだ。 巨大、広大、絶大。どんな言葉を使っても言いきれないほどである。 元はと言えば八つもの都市船だったのだ。 それら一つ一つでさえ、人類が生み出したいかなる建造物よりも大きなものだったのに、さらに八つを結合させてその上千年に 渡って拡張を続けてきたのだ。 皇帝の住居に各種役所、そこに勤務する人々の居住施設に娯楽施設。庭園から湯殿、遊技場に宝物庫。 ナヘーヌ それらを合わせて詰め込んでもまだ余る。地上世界の大規模都市を丸ごと収めてなお一般人に開放するだけの区画がある。 ゲーセル・クリュブ ジントとラフィールはそのうちの一つ、樟日神社に来ていた。 「宇宙空間にこんなに大きな森があるなんて…。」 「そなた、アーヴであろ。そんな地上人むき出しの事を言うな。」 深い森の中でつぶやくが、ラフィールにいつも言われていることを繰り返されてしまう。 ジントは苦笑して、そばの木に手をつく。ごつごつした木肌は経てきた膨大な日々を無言の内に物語っている。 天井から降り注ぐ光は人工のものだが、それを覆い隠す樹冠で薄暗い。 大きな洞を持つ大木。木々の陰からのぞく動物達。足元の草葉を鳴らすのは虫だろうか。 「このあたりは基本的にアブリアル星系に根を下ろしてから拡張した空間だからな。木々も若いだろう?」 「ごめん聞き間違いかな。今僕の耳にはこの大木たちが若いって聞こえたんだけど。」 深い樹海の中。耳の尖ったアーヴは、魔法としか思えない超科学を操るにも関わらずこの自然に溶け込んでいた。 こうしてみるとまるで御伽噺に迷い込んだようだ。アールヴみたいだな、とジントは何度目かの感想を思い起こす。 空気は荘厳で、薄闇の向こうには人知を超えた何かを感じる。 アーヴならこういうときに、神を感じるというんだろうなと思った。 「うん?若いぞ。なんせ千年も経ってないのだからな。」 ジントは思わず絶句する。 千年という月日を短いと思うアーヴの時間感覚はやはりおかしい。 流石は五千年続く帝国。マーティン人には想像もできないほど長い歴史を歩んできたのだろう。 二人が暫く歩くと一際巨大な大木が見えてきた。 リムダウ キュムネー 白い注連縄が巡らされているのを見ると神木らしい。 バーシュ 「これがクリューヴの神木だ。軌道都市クリューヴが作られたとき、一緒に植えられたのだ。」 12: 333 :2017/01/29(日) 15 07 57 「これが…。」 思わず見上げる。しかし下からでは頂は見えず、首が痛くなるばかりだ。 クリューヴが作られたとき。それはつまり二千年前ということだ。 この木は二千年もの間、生きてきたことになる。 つまり現状最長老の生物の一角なのである。 「我らは建造物を作ったとき、必ず一本の木を植える。だからアーヴは木と共に育つのだ。」 見上げるラフィールの目に浮かぶのは郷愁か、畏怖か。 ジントにはそれが言葉で言い表せないものに思えた。 大木が連なる樹海の中でも一際大きな神木。 どんな生物よりも長く生きてきたそれが、生物としての本能を、畏怖の感情を呼び起こす。 ああ、とジントは唐突に理解した。 アーヴはこれを神と呼ぶのか。 アーヴ 「人は我らを長寿だと言う。だが我ら自身そう思うことはない。…天人として生まれ、そして死ぬまでの生の何倍も木は生きる のだからな。」 人間もアーヴも、等しく見下ろす歳月という神。 ラフィールはまるで木に宿る精霊のように、生気に満ちていた。 ガノトゥード きっとこれが、アーヴの種としての根源なのだろう。大和人の精神の根幹なのだろう。 より長く続いてきたものに敬意を払い、自らもそうあろうと努力する。 フリューバル 帝国自体がその結晶なのだ。 「アーヴの寿命は所詮300年。だがこの木は2000年、そして帝国は5000年。我らはこれを背負っていかねばならぬ。 子孫のために、未来のために、現在につなげてくれた過去の者達のために。」 ファサンゼール それはきっと皇族としての決意なのだろう。 フィズ・アブリアルサル 彼女もまた天照の一族の一員なのだ。 13: 333 :2017/01/29(日) 15 10 48 投稿は以上です まとめwikiへの転載は自由です もしかしたら後で続きを書くかもしれません
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267 :百年戦争:2016/10/01(土) 20 01 54 1917年。日英独の連合軍によるヴェルダン要塞攻略戦が進められる上空で、人造の猛禽たちによる熾烈な争いが繰り広げられていた。 「よぉし、やったぞ!」 赤く塗られたアルバトロスD.Ⅲの操縦席でマンフレート・フォン・リヒトホーフェン騎兵大尉は快哉を叫び、錐揉みしながら地上に墜ちていくフランスのスパッド S.XⅢに視線を向けた。 60機目の撃墜を成し遂げた撃墜王は我知らず口角を上げ――自機の後方で起きた機銃の発砲音に目を見開く。 慌てて振り返ったリヒトホーフェンはエンジンを撃ち抜かれたニューポール17を発見し、自分が撃墜寸前だった事に気が付いて戦慄する。 「助けられたのか……」 敵機を追うのに夢中になっていた自身の悪癖に冷や汗を流しながら、リヒトホーフェンは自分を救ってくれたRAF&倉崎S.E.5に手を振った。 S.E.5の操縦士は軽く手を上げてリヒトホーフェンに応えると、一気に上昇して周辺を警戒していた僚機と合流する。 滑らかな動きで一分の隙も無い編隊を組み上げるS.E.5の翼には大きな赤い丸が描かれていた。 「あれがヤーパン自慢のレイヴンたちか」 日本が絶対の自信を滲ませて送り込んできた海軍航空隊は欧州の空を転戦し、その移動の多さからワタリガラスの異名を戴いていた。 始まりは一部の日本人操縦士の自称だと噂されるが、彼らが空で敵に凶兆を告げる存在である事は間違いない。 二機一組の集団戦法を基本とする日本海軍航空隊の航空戦術は、騎士道に従うリヒトホーフェンや他の大勢の欧州パイロットには納得しかねる物であったが、海軍航空隊設立に努力した若手士官自らが参戦してフランス相手に実績を積み上げる事でその戦術の正しさを証明していた。 集団戦法という戦術は気に入らなくても、指揮官陣頭というその姿勢には率直に共感できる。 第11戦闘機中隊中隊長として自分もあのようにならねばならないとリヒトホーフェンは決意し、以降は時折突出しながらも撃墜王兼空戦指揮官として部隊全体を統率していく。 戦後、日本で『帝国海軍三羽烏』と呼ばれるようになっていた嶋田繁太郎に赤い男爵からこの時の礼を述べる手紙が届き、有名人を助けていたとは知らなかった嶋田を驚愕させる事になる。 268 :百年戦争:2016/10/01(土) 20 02 24 夢幻会の憂鬱 第四次太平洋戦争の勝利は、日清戦争と第三次太平洋戦争で傷付けられた明治政府の威信を回復させる事に成功した。 仏露の牽制により不完全燃焼に終わった第三次太平洋戦争の復讐は日本国民の溜飲を下げさせ、日清戦争の遠因であった中華市場への進出は政財界を中心に大いに満足させるものであったからだ。 しかしながら、そんな日本よりも第四次太平洋戦争の結果に喜んでいる国があった。 念願の新市場を獲得した世界帝国イギリスである。 これまで日本を間に挟んだ間接貿易か小規模な朝貢貿易しか中華市場で行えなかったイギリスは、満州朝鮮という大々的な橋頭堡と中華という巨大市場を手に入れた事に狂喜した。 日本本土に近すぎるが故に軍事力を配備して植民地にすることは不可能だが、それは逆にいえば日本との友好関係と同盟が維持されている限り、日本の軍事力の庇護の元で商売に専念できるという事だ。 中華市場で日本と競合するのは若干の問題だが、長い付き合いで日本人の考え方は良く分かる。 公平な正論と対等な立場で真っ向から正々堂々と競争するだけなら日本人は理不尽に怒り出したりしないし、むしろ下手に陰謀を巡らす方が無駄にコストがかかる上に日本との関係に悪影響を及ぼす。 大日本帝国という友好的な競争者の存在は程よい刺激となり、健全なる市場競争は19世紀から続く大英帝国の栄光をさらに輝かせるはずだ。 ……気取った建前はそれぐらいにして、とにかく新市場の開拓を! こうしてイギリスは『日英同盟バンザイ!』と叫びながら、日本が困惑するほどの勢いで中華大陸へと乱入していく。 1906年には日英共同で満州鉄道株式会社を設立。 1908年にドイツ帝国・オーストリア=ハンガリー二重帝国の間に三帝同盟を成立させて国際関係の安定を図りつつ、独墺伊に満鉄への出資を求めて更なる関係の強化を推進。 日本と共に清国に資金を貸し付けて様々な利権を買い漁り、北京天津上海モンゴルへと延びる鉄道の敷設権を購入すると、潜在敵国であるはずのロシアと協力してアメリカの代わりに日英露の三ヶ国でユーラシア鉄道の建設を開始する。 そして中華大陸を嬉々として動き回るイギリスが、ジョンブルとしての本領を最大限発揮する好機が――清国にとっては悲劇が――発生する。 269 :百年戦争:2016/10/01(土) 20 03 22 日清戦争の敗北は清王朝の支配体制に深刻な打撃を与え、それから立ち直る為の国政改革に欧米列強が好き勝手に干渉した結果清国内部に無数の軍閥が台頭。 清国政府の制御を離れた軍事力は急速に革命勢力と結びつき、1911年に辛亥革命が勃発する。 革命勢力が中華民国の建国を宣言すると、清国宮廷の有力者である袁世凱は自身の大総統就任を条件に宣統帝溥儀を退位させ、至極あっさりと清国を滅亡させてしまった。 当初日本は夢幻会を中心にこの中華革命を傍観する立場をとっていたのだが、満面の笑みを浮かべたイギリスの行動に愕然とさせられる。 中華民国大総統に就任した袁世凱と接触したイギリスは中華民国政府と地方勢力との仲介を提案。 袁世凱の了解を取り付けると資金をばら撒きながら有力軍閥の間を飛び回り、チベット・ウイグル・モンゴルを中華民国から独立させてしまう。 しかも1913年には退位したばかりの宣統帝を王に据えて満州王国を建国し、ついでのように朝鮮王国を成立させると、中華大陸の混乱に付け込んで九龍半島を買収してイギリス悲願の極東植民地である香港を獲得した。 国内勢力の取り纏めを期待してイギリスに交渉を許可した袁世凱は瞬く間に自国の領土を切り取られて唖然とし、にこやかな紳士の提案によって満州王国に収まるしかなかった清国宮廷は憮然とする。 鮮やか過ぎるイギリスの手際に流石の日本も若干引き気味になりながら、それでも長年の友好国の謀略を手伝って独立した各国に利権を獲得。 旧清国の領土を細切れにしたイギリスはロシアと協調する事でチベットとウイグルを両国の緩衝地帯として新しい勢力圏を安定させると、倍増した市場を前に『最高に「ハイ!」ってやつだ!』とか言い出しかねないテンションで高笑いを上げようとして――欧州大陸で発生した大戦争に目を丸くする。 1901年にアメリカ外交が暴走を始めると、日英はアメリカを軍事的に孤立させるために仏露が併呑した地域への干渉を開始。 ロシア支配下のフィンランド・ベラルーシ・ウクライナ、そして日英が間接的に滅ぼしてフランスに併合されたオランダで独立運動を支援し、仏露を欧州大陸に拘束しようと計画した。 日英の目論見通り国内の不安定化に動きを封じられた仏露はアメリカと協調する事が出来ず、単独で第四次太平洋戦争に突入せざるを得なかったアメリカを叩き潰すと日英は独立運動支援から手を引いていく。 欧州大陸の混乱は日英にとって歓迎すべき事象ではあったが、自国内にアイルランドと言う火種があるイギリスは欧州で盛り上がる独立運動へ関わる事には慎重にならざるをえなかったのだ。 ……しかし一度火が付いた独立運動はイギリスの思惑を超えて確実に延焼を続けていた。 まず潜在敵国の国力低下と自国の勢力圏拡大を望むドイツ帝国が日英のばら撒いた火種に油を注いで回り、国内不安を煽られてドイツへの憎悪を滾らせた仏露はドイツの同盟国であるオーストリア=ハンガリー牽制の為にバルカン半島への干渉を強化する。 とばっちりで勢力圏に踏み込まれたオーストリアはドイツ経由で日英との連携を深め、ボスニア・ヘルツェゴビナ獲得を目指して仏露の支援を受け始めたセルビア王国との対立を激化させていった。 イギリスは自分がばら撒いた火種が原因である為に迂闊に干渉する事も出来ず、とりあえずこの状況が自国へ飛び火する前に国内を安定させようと、1910年に長年準備していたアイルランド自治法を施行する。 この法案の施行によって自治権を獲得したアイルランドは他の連合王国を構成する「一国内の国々」同様の存在として名実共にイギリスへと統合されていき、1801年以来百年以上の時をかけてようやく『グレートブリテン及びアイルランド連合王国』が虚名ではない存在として成立した。 1845年のジャガイモ飢饉による方針転換から半世紀以上の時間をかけて最大の国内問題を解決したイギリスは祝杯を挙げたが、アイルランドの自治権拡大は欧州大陸の独立運動に希望の光と受け取られ、欧州情勢を一気に悪化させる。 270 :百年戦争:2016/10/01(土) 20 03 53 1911年には火種に注ぐ油の量を間違えたドイツが自国を含めたポーランドに飛び火させ、ロシアはついに軍事力による独立運動制圧を決定。独露国境は両国の軍事力が入り乱れる火薬庫の様相を呈し始めた。 そして欧州全土で盛り上がる民族主義に刺激され、第二次ナポレオン戦争以降対仏感情を悪化させ続けていたオランダ系住民がフランスからの独立を決意。 1912年にネーデルランド連邦共和国の復活を宣言し、フランスに対して第二次オランダ独立戦争を開始する。 当然これを認めないフランスは正規軍を投入してオランダの独立を阻止しようとするも、明らかにドイツの支援を受けているオランダ軍と彼らが駆使する伝統の洪水線によって戦況は文字通り泥沼化。 この状況を打破する為に、フランスは同じく独立運動を煽られて血圧を上げているロシアと共に対独戦へ向けた国内の動員を始め、ドイツへ対して仏露国内への内政干渉を止めるよう強く通達する。 これをドイツは旧オランダ総督との血縁関係を盾に拒絶して総動員を開始。 言い分としては完全に仏露の主張が正しかったのだが、世界は正論だけで正しい方向に向かってはくれなかった。 仏露は日英の戦力に後背を脅かされるよりも早く東西から侵攻してドイツを屈服させようと戦争を計画し、ドイツは内線作戦による兵力の戦略機動によって仏露戦力の撃退を目指した。 双方共に目論んでいたのは敵国を完全占領まで戦う総力戦ではなく、戦場における敵軍事力の撃破による外交的勝利。 すなわち古き良き19世紀型欧州の戦争を望んでいたのだが、科学技術と戦争手段の発達はそんな欧州首脳の理想を嘲笑いながら血と泥濘の中に飲み込んでいく。 第一次南北戦争をその萌芽として、北米大陸で進化し続けていた戦場の悪夢が欧州人たちへと襲い掛かったのだ。 1913年。動員を完了したフランスとロシアの兵力はドイツ帝国に宣戦を布告すると一気にドイツの東西国境線へと雪崩れ込み、組織的に運用される機関銃の弾幕という近代戦の地獄に遭遇する。 短期決戦を目指す仏露軍は積極的にドイツ軍へ攻撃を仕掛けて損害を積み重ね、反撃に転じたドイツ軍は辛うじて東西の戦線を国境まで押し返す事に成功するが、膨大な死体の山を築いて戦線は膠着状態に陥ってしまう。 有刺鉄線と塹壕と機関銃という、情緒の欠片も無い悪魔たちの支配する戦場では防御側の優位は絶対的ですらあった。 北米での戦訓はそれぞれの同盟国を通じて欧州に伝えられていたのだが、欧州の人間の過半数はどれほど悲惨な未来であっても自分達で経験しない限り信じる事は出来なかったのだ。 こうして誕生した地獄の戦場へ、三帝同盟に従ってイギリスとオースリア=ハンガリーが参戦。 シベリアでロシアと塹壕戦という悪夢に顔を引き攣らせた日本が日英同盟に引きずられて参戦するに至り、第二次オランダ独立戦争は仏露協商と帝国同盟の世界大戦へと発展する。 271 :百年戦争:2016/10/01(土) 20 04 24 不本意ながら同盟の信義を守った日英の参戦は、当初仏露が恐れたほど致命的な圧力となる事も、ドイツが望んだほど劇的に戦況を改善 させる事も出来なかった。 日本はシベリアでロシアと戦いながら地球の裏側へ派兵する為に時間がかかり、イギリスも海を越えて欧州大陸に戦力を展開する時間を必要とした。 そもそも日英は北米で動き出すであろうアメリカ合衆国に備える為にカナダ国境へ戦力を配置し続ける必要があり、アメリカへの牽制を目的として構築された戦略的仏露包囲網は、塹壕戦となった世界大戦で短期間のうちに戦術的効果を上げる事は不可能だったのだ。 それでも日英は1915年に入ると仏露に対する攻勢を開始。 シベリア戦線でロシア軍の戦力を拘束して帝政ロシアの補給線に過大な負荷をかけながら、海外植民地を制圧してフランスの国力を切り崩しに掛かった。 迎撃に出てきたフランス海軍をアムステルダム沖と地中海において撃破した日英は、1916年になるとドイツに対して本格的に陸上戦力の増援を始め、日英共同開発で旋回砲塔を装備して産まれたMk.Ⅰ戦車(日本名称:74式)を大量投入する事で東西の戦線を大きく仏露へと押し込むことに成功する。 これにより総力戦の負担に耐えられなくなったロシアでは革命が勃発。 帝政ロシアが崩壊して成立した臨時政府は大戦を継続する事で国家体制が破綻した祖国を取り纏めようとするが、その努力は一人の男の存在によって水泡に帰してしまう。 アレクセイ・ルイ=ナポレオン・ボナパルト。 第二次ナポレオン戦争後にロシア帝国へと亡命してきたナポレオン3世の孫である。 当時ロシア海軍参謀部に勤務する大佐だった彼は政治的野心など何もない完全に中立で誠実な一ロシア軍人に過ぎなかったのだが、革命にナポレオンが居合わせるという事実そのものが急進的共和主義者やボリシェビキの恐怖を刺激し、ボリシェビキは急進的共和派を取り込んでペトログラード労兵ソヴィエトを結成。 1917年に臨時政府に対するクーデター=共産革命を成功させ新たなロシア政府として人民委員会議を設立すると、ドイツ帝国との間にブレスト=リトフスク条約を締結し世界大戦から離脱した。 革命勃発直後からボリシェビキによる執拗な襲撃を受けたアレクセイ=ナポレオンは家族ともども辛うじてその襲撃から生き延びるが、それ以降彼は完全に反ボリシェビキの王党派として行動するようになり、1918年には日英の支援を受けてロマノフ王室亡命作戦を決行。 クロンシュタット軍港のバルチック艦隊を掌握し、ロマノフ王室と共にイギリスを経由して日本へと亡命する。 日英独の海上封鎖と植民地の占領により国民生活が困窮し始めていたフランスでは、ロシアの離脱により厭戦感情が増大。 アメリカで発生したインフルエンザパンデミックのフランス上陸を受けて反戦暴動が発生し第三共和政が崩壊し、中立を維持していたイタリアとセルビアに仲介を依頼して帝国同盟に停戦を申し込む。 これをロシアと同じように総力戦による浪費で国家が限界を迎えかけていたオーストリア=ハンガリーが受諾する方向に動き、フランスは海外植民地の返還と引き換えにオランダの独立を承認。崩壊したロシア帝国からフィンランド大公国・ポーランド共和国・バルト伯連合公国・ベラルーシ共和国・ウクライナ連合共和国が独立する事で、丸5年続いた世界大戦はようやく終結した。 272 :百年戦争:2016/10/01(土) 20 07 24 投下は以上となります アメリカの出番が無いのは書き忘れではありません 273 :百年戦争:2016/10/01(土) 20 09 40 あ、wiki転載などはOKです いつも掲載ありがとうございます
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307 :影響を受ける人:2015/03/01(日) 21 40 37 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第五十一話 ―大人達の戦争― 新型ネウロイの被害は、先の“アホウドリ”初襲来の比ではなかった。 戦線をあっさり食い破られ。 進軍を阻止しようとしたウィッチ達を、蠅のように蹴散らした。 地上の防御陣地も蹂躙され、地上型ネウロイが我が物顔で突破して町が襲われた。 それを尻目に大型ネウロイはもっとも内陸側に有った都市に進軍、灰燼の海に沈めて去った。 この大型ネウロイ帰還と同時に一週間以上続いた襲撃は終わり、ようやく一息つける事が出来た。 もっとも、それは末端中の末端。まだ被害にあっていない民間人の感想でしかない。 前線で戦い続けた兵士達には重い現実がのしかかり、失われた戦友に涙する。 指揮官達は頭を抱え、戦力の調達と拡充を急がねばならなかった。 本土にいる政治家達もこの襲撃には驚き、軍部に大慌てで問うたが彼等もまた混乱の最中に有り、状況が錯誤しているありさま。 事態が沈静化したのは翌日の夕方・・・ その夜分、緊急招集された夢幻会上位幹部たちは、前回よりも更に暗い表情で報告し合っていた。 「・・・以上です。」 「そんなに戦車が食われたのか・・・」 「ちょうど撤退するタイミングであり。気が少し緩んでいたせいでしょう。」 「避難の呼びかけがぎりぎり間に合って、乗員が多少助かっただけでも善しとすべきか?」 「結界士のウィッチ6名が陣地ごと消滅。 予備待機の4名も、緊急展開した結界障壁の維持で魔力消失病にかかり、緊急搬送で本土に帰還している。 熟練結界士ウィッチ6人の戦死は痛すぎる。」 「・・・ぬぅ。更に、野戦病院近くに実弾攻撃が着弾、負傷者多数か。」 「まだそれは良い・・・ いや、よくは無いが・・・ 襲撃された都市部の被害状況の方が問題だ!!」 「民間人に死傷者多数発生、行方不明も含めるとなると・・・」 「強制避難で、一時的に集結していたのが裏目に出たか。 しかも鼻の効く新聞社が、こぞって政府の失策を批判している。」 「現政府に倒れられるのは困るぞ? まだ我々の影響を受ける人材の配置が終わっていない。」 「今政権を渡されても、すぐに責任を取らされて解散するのが目に見えているからな・・・」 現状の把握だけでも頭痛いのに、政治も考えなければならない。 一応政権奪取・・・と言うか、なるべく穏便に政権を頂きたい。 しかし現状では尻拭いが強いので、現政権に踏ん張ってもらわないといけないのだが・・・ 豊臣秀吉の子孫、豊臣秀文は祖先とは違って政治家にはとんと向いていないように感じる。 いや、平時ならば良い首相で終わる事が出来ただろう。 だが現状はそれを許してはくれない。日々変化する戦場について行かねばならないのだ。 更に軍部に対しても、強い意思を持って押さえてくれないと困る。 陸軍は大戦が始まって以降、人材の入れ替え等で正常化しているので問題は無い。 問題は海軍の方と言える。 「堀井一派に対しての工作は進んでいるのか?」 誰かが発現すると、矢面に立っている山本が答えた。 「以前より進んでいない。 堀井大将を含めて防御に回っているようだ。 尻尾もつかめないのではなどうしようもあるまい。」 村中も動いているが、以前より小さくなったとはいえ未だ最大派閥の堀井一派、手強い相手に変わりは無い。 九鬼嘉明大将が味方に付いていてくれたのが慰めではあるが・・・ 辻が強く咳をして空気を入れ替える。 308 :影響を受ける人:2015/03/01(日) 21 41 09 「現状を嘆くのはやめにしましょう。 これからどうするか? それを話し合うべきです。」 「そうだな。」 杉山が同意すると東条が立ち上がる。 「敵大型ネウロイですが、取りあえず目標を“オニグモ”と呼称する事が決定しました。 大型らしく強大な火力と、高い再生能力を有しています。 わかっているだけでもレーザー発射口が34門、実弾発射口が26門です。 ほぼ胴体に集中配備されていますが、六つの足には実弾発射口は設置出来なかったのか、レーザー発射口のみです。 タコのような形状通り一瞬ですが、瞬時の加速を行えるようです。 更に、常に円心運動をしているので並行飛行しての継続ダメージが入りません。 墳進弾を四発叩き込んだという情報もありますが、効果は薄いようです。 硬さも比例して硬いのでしょう。」 聞けば聞くほど暗澹たる気持ちになっていく。 原作で中ボス的だった“アホウドリ”が雑魚に見える。 東条はそのまま報告を続ける。 「奴の行動ですが、出現から一直線で襲撃した都市まで飛行しています。 途中の基地など無視をして、です。」 「無視だと? 今までのパターンとは違うな・・・」 「はい。 今ままで“アホウドリ”を中心として陣地、もしくは基地を破壊をしていくのが通例でした。 しかし今回は、明らかに別の目的で動いていると思われます。」 「兵站潰し・・・か?」 山本が呟くと触りと周りが騒がしくなる。 「まさか・・・ 奴ら、戦術を使い始めたのか!?」 「いや、強行突破するのが目的のネウロイなのやもしれん。 戦術を使うというのは、早合点ではないか?」 「いや、あいつらの対応の速さを見誤ってはいけないぞ! マブラヴみたいに情報漏れが無いとはいえ、BETAの様に戦術を使ってきたらこっちは負けてしまう!!」 「そうだ! 危機感を持って挑むべきだ!」 「あいつ等は金属反応が強いポイントを攻めると聞く。 物資集積を担っていた都市でもあったのだ。そのせいで襲われたとは考えられないか?」 「いや、それって二次創作の設定じゃなかったか?」 「原作設定・・・だったと思う。」 「ここはアニメの世界ではない! れっきとした現実だぞ! 二次創作がどうだ、なんだと議論すべき場所ではない!!」 「なにぃ! 俺達にイチャモン付ける気か!?」 「イチャモンは付けてはいない! ただ現実を見ろと言っているのだ!!」 「そうだ! 何時までも女子に頼りきりなのは、日本男児として恥ずべきことだ!!」 喧々諤々・・・ 平成世界からの転生者が述べれば、憂鬱世界の転生者が述べる。 ここにきて双方の意識の違いが出て、殴り合いになりそうな雰囲気が出来てしまった 知識の違いが生み出した軋轢と言えよう。 怒鳴り声が会議室を占領し、怒気が膨れ上がっていく。 醜い言い争いは続き、唾を吐き双方席から立ち上がった。 もう我慢ならない・・・ 片や転生の先輩、片や古き良き昭和の人間。 辻たちは決して山本達を下に見ようとは思っていなかったはずだ。 しかし、初めて転生を経験した山本達を導くと称して上から見ていたのかもしれない。 山本達は初めて経験する転生に、少なからずストレスを感じていた筈だ。 知っていて違う故郷。見知っていて見知らぬ親類。 大の大人になって老衰し、生まれ変わったら若くなっていた。 そして溜められ続けていたのが、今回ついに噴出してしまったのだ。 見かねた山本は音を立てて立ち上がる。 「むっ!?」 「おぉ?!」 309 :影響を受ける人:2015/03/01(日) 21 41 45 驚いた双方の視線が山本五十六に集中する。 「貴様らいい加減にせんか! 大の大人が子供じみた喧嘩度するな! そんなに喧嘩がしたいのなら外でしろ!!」 「「「「「・・・・・・」」」」」 この一喝に、双方頭が冷えたのかお互いに頭を下げて謝り、静々と着席した。 怒気が去っていき、少しだけ気まずい空気が流れる。 山本は双方が矛を収めたのを見計らい、大きな音をたてて席に座る。 それを見計らい、隣に座っていた辻が小声で話しかける。 (ありがとうございます。私では上手くこの場を収められなかったでしょう。) (ふん・・・ 本当ならこの役目は、嶋田なんだがなぁ・・・) (いえいえ。中々似合っていましたよ。) 小さく笑うと、山本は苦虫を潰した顔になってげんなりする。 (・・・・・・南雲の奴め。) 天井を見上げていた視線を、南雲忠一に向ける。 この世界に転生した南雲は海軍には入らなかった。 この世界では、以前は無かった南洋島の他にも、入植している島々がある。 その為海軍の規模は前世よりも大きかった。更に海保的な組織もすでにある。 今度は大丈夫では?とは思たのだが・・・ 他の転生者の存在をして一転、海保に入る事にした。 入ったらまた海軍との調整役にされそう・・・ 被害妄想ではあったが、実際にその役目をさせられている転生者がいるので間違いではなかった。 前世での経験もありとんとん拍子に出世。 いまでは海保の重鎮の一人になっている。 そのせいで海軍に進んだ仲間内から「楽しやがって・・・」と恨まれていたりする。 山本としても使える人物であっただけに、居ないことに落胆したものだ。 居たらいろいろ擦り付けていたのに・・・ もっとも、海保との仲がいいのは彼の存在が当てこそ。そう思って置く事にする。 「それで、例の大型ネウロイ・・・“オニグモ”の対処は?」 「現行の陸戦兵器、ウィッチの武装で撃破は不可能と判断しています。」 古賀が資料を見ながら問うと、素早く答えがかえてきた。 その答えに全員が落胆する。 「エース級を揃えてもか?」 「各戦線にネウロイが現れないというなら、問題ないです。」 それは現実的な判断ではない。 ネウロイが一点のみに現れるなど、夢を見るしか方法は無いだろう。 ではどうするか? 悩み始めた一同を前にして、東条は表情も変えずに言い放った。 「本作戦において、海軍の協力が必要です。 必要な戦力は打撃艦隊・・・戦艦の主砲をもって撃破します。」 以上です。 たまには憂鬱要素も入れないと、ただ単にハードモードなストパンの二次創作になってしまうwww そして原作の作戦の前倒しです。
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日本男児の象徴 「は、はあ。お手柔らかにお願いします」 「なかなかいいお尻してるじゃないかね、キョンくん」 鶴屋さんに俺の青っ白い尻をぺしっと叩かれるとなぜか気も心も尻も引き締まった。 「ハルにゃんに長門っち、こっち来てみなよ。どうだい、めがっさ引き締まってると思わないっかなぁ」 「あらっ、意外といいケツしてるわねキョン」ぺしっ。 「……美尻」ぺしっ。 お、お前ら人の尻で遊ぶんじゃない! ぶるすこ 『新郎新婦に盛大な拍手を!』 「ハルヒが壊れたファービーみたいで怖いんだが、とりあえず一時停止にさせてくれないか」 「……分かった」 『新郎新婦にファーブルスコ……ファーブルスコ……ファー』 俺の顔が、というより全員が真っ青になった。 「あの、長門?ハルヒ大丈夫なのか、どっかに修理に出したほうがいいんじゃ」 「……問題ない。単なる欲求不満」 『なでなでしてぇー』 古泉、怖がってないでなでてやれ。 谷川流の憂鬱II 「谷川さん、こんなところでなにしてんですか」 「長門有希の晴れ姿を一目見ようと、世界の境界線を越えてやってきたんだよ」 「困りますよ。みんなに見つかったらなんて説明するんですか」 「ちょっとくらいいじゃないか。産みの親なんだもの」 「分かりましたから、目立たないでくださいね。スピーチとかいいですから」 「僕の……僕の有希がとうとう他人のモノに。ううっ」 なに泣いてんですかあんた、あっちの世界に帰っちゃってください。 みくるの憂鬱 「わたしの出番って今回これだけなんですかぁ?」 「ごめんねみくるちゃん。それだけなの。だってあんたが出てくると男キャラが血迷ってしまうんだもの」 「……彼を惑わすのは、やめて」 「わたしは惑わしてなんかいませんよう。キョンくんが飢えてるだけですぅ」 「朝比奈さん、俺が飢えてるだなんて、ひどい言われようじゃないですか」 「あらっキョンくんいたのね」 「それに俺はもう他人の旦那ですから。手出し厳禁です」 「谷川さん、わたしの旦那様はまだぁ?」 「あ……ごめん、考えてなかったよ」 「ひどいわひどいわ」 「じゃあ僕で手を打たない?」 「旦那様にするには谷川さんは歳が離れすぎてるわ」 「失敬だな。じゃあ聞くけど、みくるちゃんは自分の本当の歳を知ってるのかな」 「ええっと……禁則事項です。うふっ」 はいはい。歳が分かるまでロマンスはお預けね。
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『汐華初流乃の憂鬱』 エピローグ 語り部 キョン 「ねぇ、キョン」 ハルヒが後ろから声をかけてくる。 北高の教室での、いつもの光景だ。 「ちょっと、聞いてるの?」 ハルヒが何か言ってるようだが、俺は無視して外の景色を眺めていた。 声を無視していると、シャーペンで軽く背中を突付いてきたが構うものか。 構うものか・・ かま… かゆ…うま 「って、いっでぇぇぇぇぇ!?」 無視してたら思いっきり刺してきやがった。 「分かってるんならちゃんと返事くらいしなさいよっ」 だからって刺すことないだろうがっ!! 「なんだ一体」 「汐華君、どうしてるかしらね?」 旅行が終わってから3日程過ぎたが、俺達二人はこの所ずっとこんな調子である。 初流乃の奴はどうしているんだろうな・・・通える学校くらいは見つかったんだろうか。 そうこうしているうちに担任の岡部がやってきて、HRが始まった。 「あ~みんな突然だが、このクラスに転校生が入る事になった」 転校生? 「ご両親の都合で、長い事海外で暮していたそうだ」 また海外か そのネタはもう腹一杯だぞ・・・当分もう良いって感じなんだが 「まだこちらに慣れていないのと思うので、みんなも慣れるまで色々手を貸してやって欲しい」 それから岡部に言われて、転校生が教室に入ってきた。 その時の俺の顔をどう表現したら良いんだろうね。 ここ最近の記憶で一番近いのはおそらく文化祭でハルヒがバニー姿でステージに現れた時だろう。 このときの俺は多分アレに近い顔をしていたんじゃないかと思う。 実際心理的な衝撃度はそれに匹敵するほどだったぜ。 転校生が名乗りを上げるよりも前にハルヒが自分の席を立って飛び出す。 一瞬あっけに取られた岡部が、何か叫んでいたが構う物か 俺もハルヒに続いて、転校生の下に駆け寄った。 バカだな・・・腕章はピンで留めれば十分なんだぞ。 転校生の制服には「団員候補生」の文字が書かれた腕章が、しっかりと縫いとめられていた。 「これで・・・合格かい?」 それから、数日後の日曜日 ハルヒがはじめから、アイツが日本まで来ると本気で信じて「団員候補生」腕章を手渡したのか それとも、この再会に巡り合わせに何かを感じたのか 俺にはどっちだからわからないが、ともかく顔を見たときからハルヒの腹は決まっていたらしい。 何はともあれ、今日は新入団員を迎えての久々の市内不思議探索だ。 家から飛び出た俺は、いつものように自転車で待ち合わせの場所に向かう。 いつもいつも、なぜか最後に来ておごりをさせられている俺だが、今日ならば最後にならない自身がある まだ、このルールを知らないアイツは、丁度の時間にやってきて面う食らうに違いない。 不意打ちみたいでフェアじゃない気もするが、こっちは探索のたびに奢らされているんだ まぁ、一回くらいは代わってくれてもいいだろう? 「っと、残念ですけどキョン、ルールの事なら昨日朝比奈さんが教えてくれましたよ」 後ろから声がしたかと思うと、アイツの乗った自転車が俺の横を颯爽と抜き去っていった。 く、朝比奈さん、こういう時までいつものやさしさを出さなくってもっ!! 残念だが仕方がない 俺は、自転車の速度を上げてアイツの横に並んだ。 「お前も自転車か」 「時間も同じとは思わなかったよ、かなり余裕で出たはずなんだけどね」 ハルヒたちの待ち合わせの異常な早さは5分前行動なんてもんじゃないからな まぁ丁度いい、ここは俺とお前で白黒つけようじゃないか。 「良いいとも、ネアポリス市警から逃げ回った僕のテクを見せてあげるよ」 「お前こそ、ここでは俺に地の利があるという事を忘れるなよ」 俺は、ペダルに力を入れて全速力で駆け抜けた。 結局、俺達の決死の競り合いもむなしく、結局待ち合わせ場所で待ち構えていたハルヒの命により、俺達は同着ビリ 要するに、二人で奢れって事になってしまった。 俺はともかく新人にも容赦ないな。 ハルヒ達は俺達二人が来たのを確認すると、先に喫茶店に向かった。 「ハルヒの無茶苦茶ぶりは相当なもんだからな、覚悟しとけよ」 俺は自転車に鍵をかけながらいってやった 「はは、楽しみにしてるよ。さぁ、行こうかキョン」 遅れるとまたうるさいだろうから、あいつらの元に早く言ってやるとしようか 「じゃあ、行こうぜ、初流乃」 こうして 汐華初流乃は、俺達SOS団の元にやってきた。 汐華初流乃の憂鬱 第一部イタリア編-完-
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【検索用 thuss music 1-20 ゆううつのめめんと 登録タグ CD CDT thusCD】 + 目次 目次 CD紹介 曲目 リンク コメント 前作 本作 次作 100 from a Decade thus's music 1-20 憂鬱のメメント thus s music 21-40 牙剥かる性善無垢 thus 発売:2023年06月10日 価格:¥(税込) 流通:配信 CD紹介 CD名:『thus's music 1-20 憂鬱のメメント』(thus's music 1-20 ゆううつのめめんと) 曲目 部活風景 ソンザイイギ チョコレートの友達 (;_;) splendid isolation (middle-ver.) no-eye deer persevere examination アイドリング (,‘▽`)ノ トロンボーイの憂鬱 (*, - ) LIth 腐 ヒューリスティクス (下)僕 双極性フラグメント ニンフズサイ ステレオティピカル・ガールフレンド アイドリングストッパー ノンバイオレント・エクストリーミスト アイドリングメメント アイドリングメメント (instrumental) リンク 各種配信サイト コメント 名前 コメント
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涼宮ハルヒの憂鬱 第19話 2/3 ★このページをお気に入りに追加! bookmark_hatena このページに登録されているタグ 涼宮ハルヒの憂鬱アニメ 無料 動画 YouTube wiki ひとこと言う 15532回×2週間って…耐えられん。 - 名無しさん 2009-08-16 17 54 42 名前 YouTubeアニメ無料動画@Wikiのトップページへもどる 合計の人気ページランキング 君に届け デュラララ!! 『低燃費少女ハイジ』まとめ 第1話~第5話 イナズマイレブン けいおん!! バカとテストと召喚獣 あたしンち 四畳半神話大系 WORKING!! Angel Beats! 化物語 けいおん! 君に届け 第1話「プロローグ」 アクセス解析ログ けいおん! 第14話(番外編2)「ライブハウス!」 刀語 ぬらりひょんの孫 リクエスト・視聴不可・不具合報告 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破 君に届け 第12話「恋愛感情」 昨日の人気ページランキング 荒川アンダーザブリッジ OP「ヴィーナスとジーザス」Full らき☆すた 第14話「ひとつ屋根の下」 【マイムマイム】マサオミマイム【紀田正臣】 君に届け 第13話「恋」 屍鬼 コメント/ひだまりスケッチ×365 第11話「9月28日 パンツの怪」 デュラララ!!ラジオ 略して デュララジ!! 第1回 デュラララ!! 公式パーフェクトガイド けいおん!の歌のシーンを集めてみた 今日の人気ページランキング にゃんこい! 第4話「美しい人」 おまもりひまり 第2話「海ねこスクランブル」 クレヨンしんちゃん シロをレンタルするゾ
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415 :ひゅうが:2012/01/25(水) 19 15 00 ネタ「銀河憂鬱伝説」――演習対戦 ――同 日本帝国宇宙軍大学校 第1演習実技室 「なるほど。考えたな。」 嶋田茉莉中将(本人は繁太郎としての意識が強いが)は、自分の知識と照らし合わせ、ヤン・ウェンリーが行おうとしている戦術を見てニヤリと笑った。 目の前では、立体映像で再現された軍艦のブリッジで歯を食いしばっている彼(彼女?)の後輩たちの姿がある。 第1演習実技室では、ホログラムを用いた実技演習が行われてた。 交流の一環としてこの演習設備を使ってみるという名目であるが、同盟側にしてみれば国力で圧倒する日本帝国に対し一矢を報いるという気持ちであったし、日本側はともすれば慢心しかねない部下たちに気合を入れるという気分であった。 やれやれ。早く引退して今度こそ平穏な日常生活を送りたいものだ。と嶋田は思う。 この世界にやってきてから数十年を平穏に過ごせたことから、嶋田は「嶋田繁太郎」だった時のように生涯のほとんどを仕事に費やした頃のような平穏への渇望をやや和らげている。 が、それが夢幻会の一同の嫉妬を買ったらしく、こうして仕事を次々にもらう結果となっていた。 根が真面目な嶋田としてはやらないという選択肢を持っていなかったが、いくら処理能力が転生と電脳化で底上げされていてもいささか精神的な疲れは覚えるものだった。 まして、元が大日本帝国宰相を経験した男であるだけあって要領がよくどんどん出世してしまうとあっては。 「さて『提督』。どうするかね?回廊へ後退し迎撃網を再構築するか?」 嶋田は、今回の演習の指揮官役である宇宙軍大学校学生に向かって言った。 「いえ閣下。それをやってしまっては後方で伏せられている部隊による伏撃を食らいます。釣り野伏は勘弁です。ここは現宙域に停止し迎撃戦を開始します。ついては後備部隊については独自に行動され、敵の兵站への圧力をお願いします。」 うん。まぁ合格点だな。と嶋田は頷いた。 今回の想定は、日本帝国全域と自由惑星同盟領を舞台とした戦闘だ。 想定状況は同盟内で一部財閥と軍が結託したクーデターにより軍事独裁政権が成立。 主力艦隊はイゼルローン回廊から侵出してくる敵艦隊への対処のためにパランティア星系から動けずに待機している。 これに対し日本側は同盟最高評議会委員のよる要請を受けクーデターへの介入を決定、クーデター政権側も保有する艦隊による迎撃を敢行しようとしているというものである。 日本側の勝利条件は、バーラト星系の奪取とクーデター政権艦隊の撃滅。 同盟側の勝利条件は、日本側が投入する機動鎮守府級戦艦1隻以上の撃破もしくは艦隊司令部1個の殲滅(エア回廊の一定宙域の確保も含む)である。 なお、投入戦力は同盟側が4個艦隊4万6千隻。日本側は、3個機動鎮守府級戦艦と2個艦隊2万5000隻であった。 まず、同盟側の総指揮官をつとめるシトレ大将と艦隊司令官役のヤン中佐は艦隊の全力を挙げてエア回廊へ遮二無二侵攻。 出動準備を整えていた日本側艦隊は、学生である国木田少佐(第10期首席)を総指揮官とし高橋少佐を艦隊司令官に、嶋田を艦隊司令官兼機動鎮守府級戦艦「薩摩」艦長として助っ人に置いていたがこのうち高橋艦隊(高速艦で編成される)を迎撃に先発させていた。 もとが日本側主導による侵攻作戦であるために相互支援が可能な位置に高橋艦隊をおき国木田艦隊(+機動鎮守府2隻)が主隊として迎撃と侵攻を図ったのだが、そこへヤン艦隊がエア回廊への突入コースをとっているという報告が入った。 あわてた国木田艦隊は高橋艦隊に回頭と合流を下命するも、合流前に今度はシトレ艦隊が高橋艦隊方向から時間を見計らって突進。 結果、高橋艦隊の合流と入り乱れ、乱戦状態が出現してしまったのである。 ――日本側は、後方に展開するヤン艦隊の来襲前に司令部を回廊まで後退させるか、乱戦覚悟でシトレ艦隊の排除にかからなければならなくなってしまったのだった。 416 :ひゅうが:2012/01/25(水) 19 15 39 「了解したよ。これで高橋艦隊を見捨てて回廊へ逃げ込もうとすれば、君に鉄拳制裁をやっているところだ。ヤン艦隊の自爆攻撃を食らっていたと思うからね。」 「自爆攻撃・・・ですか?」 「そうだ。ヤン艦隊の目標はエア回廊への突入ではない。シトレ艦隊が総数3万8千を超えているのを見てもわかるだろう?ヤン艦隊は自分を囮にしたのさ。 君は回廊への突入を図るのだから『シトレ総司令を囮にし、ヤンが主力を率いて突入を介した』と判断したが実は逆だったというわけだ。 ここで君の頭の中でヤン艦隊は囮として規定されてしまった。釣り野伏を想定したのはまぁ合格点だが、攻撃的な運用がなされるとは『囮』という固定観念が邪魔をした――まぁそういうことだろう。」 嶋田はクスリと笑った。あの魔術師め。やはりやってくれる。 顔色を変えた国木田少佐は、「勉強になりました」と一礼した。 「急げよ。あとは数と数のぶつかり合いだ。私がハイネセンへの直接侵攻を図っても、数で勝る敵艦隊が旗艦を落としてしまうのが早いかもしれん。」 「は!」 それからの国木田艦隊は、彼が首席であるという事実を示すかのように高橋艦隊によるシトレ艦隊後方への「逆包囲」の展開と機動鎮守府級戦艦をほとんど丸裸にしての国木田艦隊による包囲突破へと戦術を移行させた。 対するシトレ艦隊も、乱戦の隙を逃がさず旗艦へ肉薄を試みつつある。 同室の机の向こうでありながら遮音措置がとられた同盟側旗艦(のホログラム)では、シトレ大将が少し目じりを下げていた。 「どうやら、容易に勝たせてはくれんか。」 「さすが、というべきでしょうな。我々の意図を見破り、即座に対処した。これは、ヤン艦隊別働隊による横撃は中止させた方がいいでしょうな。」 参謀長役となっているジェラルド・エイレネー少将が肩をすくめる。 「航続距離が足りない機動陣地を回廊に残してくるのを読み切り、この策を展開したヤン中佐。策士ですな。エル・ファシルの一件、運だけではないようで。」 「そうだろう?あれは怠け癖があるが、首から上の有能さは保証書をつけてもいいくらいだ。」 「なら、やるべきですな。ヤン『参謀長』の言を信じて。」 艦隊司令官役の一人であるルイ・マクヴィッツ大佐が、これまで見せていたヤンへの隔意をまったくなくした様子で楽しそうに笑う。 「敵移動要塞後方より識別信号!ヤン艦隊です!」 通信員役の簡易電子知性の報告に、シトレは口元を吊り上げる。 あいつめ。すでにこちらの様子を読み切って艦隊の再合流とこちらへの突進を選択したか。 「よし、いまだ!全艦突撃!イゼルローン攻略のために鍛え上げられた艦隊運動の精華を新たな友邦に見せてやれ!」 シトレ艦隊本隊とヤン艦隊は、全面攻勢を開始した。 ――演習の結果は、判定により同盟側の勝利となった。抜け目のない嶋田は、高速艦と機動陣地のうち航続距離延伸型を先発させてハイネセン近傍まで到達させたのだが、嶋田座乗の機動鎮守府級戦艦「薩摩」による包囲網が完成する寸前に、同盟側は自軍の7割以上の撃沈破と引き換えにヤン艦隊に所属する無人艦8000隻は総司令部へ向け乾坤一擲の突入態勢を完成させていたのである。 この時点で国木田少佐は戦術的敗北を宣言したのだった。