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月明りだけが差し込む暗い廊下の中、嫌悪感を伴うツンとした鉄のにおいが鼻腔を刺激する。 そのにおいの発生源たる男、津上翔一は、既に事切れ物言わぬ死体となっている。 専門家が見るまでもない。端正な顔が青白く変貌し、体の末端に至るまでも徐々に熱を失っていく様を見れば、それは誰の目にも明らかなことであった。 だがそれでも、その血だらけの死体を強く抱きかかえ、自分自身も返り血に赤く染まりながら咽ぶ男が一人。 男、一条薫にとって、津上翔一は取りこぼしてはならない希望であった。 無論、彼にとってはどんな人間であっても守るべき存在であることは疑いようもない。 だがそのうえで、今は亡き友である五代雄介を思わせる自由な翔一の命が、今度は自分の手の中で失われてしまったという事実。 それは、冷静さが売りである一条を慟哭させるに足るものだったのである。 そして同時、絶望に沈む一条を前に、左翔太郎はあまりの居た堪れなさに帽子を伏せた。 「クソ……どうしてこうなんだよ……」 どうしようもなく漏れたその言葉は、実際のところ自分の不甲斐なさを呪うものでしかない。 木場に音也、そして今度は翔一だ。 半人前だとしても自分は仮面ライダーなのだと、すぐ目の前の仲間を守れるだけの力はあるはずだとそう考えて戦ってきたというのに、実際はどうだ。 相川始に、ダグバに、そしてキングを名乗ったあの胸糞悪い大ショッカー幹部に。 自分は毎度良いようにやられているだけではないか。 問うまでもなく平和を願い戦った戦士たちが、自分の手の届くはずの距離で消えていく。 それがどうしようもなく悔しくて、そしてどうしようもなく苦しかった。 「総司君……」 名護が、ポツリと消え入りそうな声で呟いた。 自身の弟子としてその罪さえ受け入れた男が、その意に反してまたも殺人の罪を犯してしまったという事実は、この名護啓介という人間を以てしてもどうしようもなく辛い。 翔一が死んでしまった事実も、当然辛いことではあるし、下手人が違えば名護は正義の名のもとに断罪を下したとしてもおかしくはなかったはずだ。 だが総司は、翔一の死を望むような男ではない。 少なくとも……今はもう、違うはずだ。 彼は前までの自分から変わることを望み、そして運命もそれを受け入れ彼を仮面ライダーに”変身”させたのだから。 もちろんかつての名護であれば、罪を犯した人間はすべからく裁かれるべきという思考で以て、今まで弟子だと考えていた存在にさえ迷いなく剣を振り上げたかもしれない。 だが今の名護は、もう昔の様な視野の狭い愚か者ではない。 罪を犯した存在の心に、再び罪を犯そうとする意志がないのなら、そしてまた罪を犯したとしても悔い改めやり直したいと心底から願う限り、神はそれを受け入れるのだと、そう思っている。 だからこそ、そうして罪を悔い、全てがいい方向に回りかけていた総司の運命の歯車が音を立て崩壊する様を目の当たりにするのは、やはりやりきれなかった。 男たちの間に、緩やかに絶望が流れる。 防げなかった仲間の死に、不甲斐ない自分自身への積もり積もった自責の念に、そして一人絶望に駆られ外に消えた弟子の本心を思って。 義憤に転換させることさえ叶わないその絶望を、男たちはただ漫然とした時間の流れと共に消化しようとする。 だがここは世界の存亡をかけた殺し合いの場。そんな甘えは……許されない。 ――パイプオルガンの音が、彼らの思考をかき乱す。 近くから聞こえる、とも言い難い音量で流れ出すそれを前に、男たちは目を見合わせる。 最早この会場に訪れて18時間、これから何が起きるかは知っていた。 その視線に未だ芯が戻っていないとしても、それでも今から始まるそれを聞き逃すわけにはいかないと。 歪ながら我に返った男たちは、そのまま病室の窓から空を見上げる。 果たして彼らの予想の通り、陽が顔を覗かせ灰色に染まり始めた空を、無数の飛空艇が所狭しと埋め尽くしていた。 恐怖さえ覚えそうな、今にも落ちてきそうな空そのものにしかし、もう怒りしか覚えないままに。 放送が、始まった。 ◆ 「橘……」 放送を終え、オーロラに消えた飛空艇を見届けて、名護は俯き呻く。 名護が最初にこの会場で出会った異世界の戦士、橘朔也。 可能性を十分に検証せず先走ったり、考えがすぐに口に出てしまったり、危なっかしい部分もあったが、しかし彼は決して悪意からそれを行っていたわけではない。 だからこそ自分やヒビキは彼の仮説を信じたし、同時に彼を信じて分かれることが出来たのだ。 首輪についても、他人についても、真っ直ぐすぎるほどに真っ直ぐだった彼の死を告げられた事実が、名護の心をまたしても後ろ暗い悲しみに包んでいた。 「乾さん……死んじまったのか……」 一方で、放送で告げられた死者の名前に対し反応を示したのは、翔太郎も同じだった。 だが名護のそれとは違い、翔太郎にとっての乾巧は、自分が死を看取った木場が知り合いとして述べていた存在の一人という程度の繋がりでしかない。 巧がファイズであることさえ知らなかった木場の死を告げられたとしても、巧にどれだけの意味があったのかさえ、今となっては分からなくなってしまった。 だがそれでも、翔太郎は巧と話してみたかった。 木場が信じた巧の善性と、木場が憎んだファイズの悪性の境目が、一体どこに存在するのか、自分の目で確かめてみたかった。 だがそれは、もう叶わない。 名護や三原が伝える伝聞での「乾巧」でしか、自分はもう彼を理解できないのである。 それを思えば、第二回放送を前にようやく解けたファイズへの怒りや憎しみさえもが、今となっては名残惜しくさえ思えた。 既にいない存在に思いを馳せ黄昏れた翔太郎は、その視界の端に思案に沈む一条を捉える。 ふとすれば、彼もまた死者に対し悲しみを抱いているのかと見過ごしてしまいそうになるその一瞬。 しかし一条の表情に潜む感情が、ただ仲間の死を憂うだけのそれではないことを、名探偵は見抜いていた。 「……どうした、一条」 「いえ……第零号が、死んだと」 「あぁ……」 言われて初めて、翔太郎はその事実に気付いたような心地だった。 今の放送で告げられたのは、決して辛い死別だけではない。 ン・ダグバ・ゼバや浅倉威、この殺し合いに乗り多くの参加者を殺めた邪悪たちが、死を迎えたのである。 この会場に来る前の浅倉であれば司法の手に判決を委ねるのが筋というものであったが、彼は最早法の手に負える存在ではなかった。 メモリの専門家である自分でさえお目にかかったことのない『メモリを喰らい力を取り込んだ史上初めての存在』になってしまったのだから、いわば国家ではなく自分たちが裁かなければならない領域に踏み込んでしまったのである。 ある意味で言えばそれは浅倉の最大の進化で……そして同時、彼と戦うもの全てが抱いていた彼への人間としての手加減を取り払う、最大の愚策だったのかもしれないと、翔太郎は思った。 だから、翔太郎は、浅倉の死にもう一切の同情を抱くことなく、グロンギのように身勝手な殺戮を繰り広げる“怪物”が死んだものとしか、その死を捕らえることが出来なかったのである。 ともあれ、この会場に残っていたはずの最悪の化身が二人とも滅んだという事実は、あまりに深い喪失感を差し引いてもなお、喜ぶべき事象であるはずだった。 だからこそ……翔太郎には一条の表情が不可解でしかない。 その表情が、喜色よりは不安を多大に含んだ物憂げな表情であったのだから。 「なんか、気になることがあんのか?」 「えぇ、自分でも理由は分からないのですが、その……第零号は、本当に死んだのかと……」 「何?」 割り込んで返答を吐いたのは、名護であった。 その声に僅かばかり怒気が含まれていたのは、勘違いではあるまい。 とはいえ、それを責めることは出来ないだろう。 彼にとっての恩人である紅音也を殺めた最悪のグロンギの死という、今の放送で唯一実感を伴って喜ぶべき事象が、否定されようとしているのだから。 だが、ここで整理のつかないまま感情を乱雑にぶつけるほど、名護は取り乱してはいない。 自制の意を含めた息を一つ吐いて、努めて冷静に言葉を紡いだ。 「……一条、気持ちはわかる。 俺や翔太郎君とも違い、君は目の前で二人もの仲間をダグバの手にかけられ亡くし、小野寺君を暴走させてしまったのだろう。 ダグバに対して並々ならないトラウマを抱いていたとしても、それは恥ずべきことではない」 「それは……」 名護は、あくまで一条の心因的外傷が生みだした一種の強迫観念としてその可能性を排除しようとする。 そして一条もまた、それに強く反論することはしない。 自分の中にダグバの生存を決定づけるだけの根拠が“直感”という自分らしくもないあやふやなものだけであるのにも加え、気付いているのだ。 名護がそうまでしてダグバの死を願うのは、一種彼が翳す究極の闇を恐れているのだと。 ユウスケからの伝聞で、あの橘もヒビキも全く手も足も出ずダグバに敗北したことを、伝え聞いているから。 何よりそんな存在がついには大ショッカーの目さえ欺きこの会場を我が物顔で歩き回っているなどと、考えたくもなかった。 そしてそれは、翔太郎にとっても同じこと。 二度に渡ってぶつかったあの巨悪は、翔一を亡くし総司が一人飛び出した今の自分たちでは手に余る。 いや、そんな表現も手緩いか。 短くなった自分の変身制限さえ正確に把握し、仮面ライダーという存在がどれだけ遊べば壊れてしまうのか、それを理解したダグバを前に、もう一度同じ勝利の結果を導ける自信はない。 つまりは一条が吐き出した不安を、あくまで恐怖やトラウマからくる妄想なのだと断じ切り捨てるしか、ここに残った者たちに残された道はないのである。 こうして頭ごなしすぎるほどに否定されてようやく冴えてきたのか、その思いを受け止めた一条は、そのまま頭を下げ謝罪の言葉を述べた。 「申し訳ありません、根拠のない憶測を述べて、悪戯に不安を煽ってしまいました。 これはきっと、私の考えすぎだと思います」 「いや、それならいいんだ……」 一転して罰が悪そうに視線を逸らした名護。 再び沈黙が支配したその状況の中で、本領発揮とはいかない様子の名護に代わり、翔太郎は気を引き締める意味も込めて帽子を深く被りなおす。 「放送については一旦置いておくとして……今大事なのは、俺たちがこれからどうするかってことだ」 これからどうするか。 その言葉に内在される、ある人物について、名護からは話題に出しにくいだろうと、翔太郎は堰を切る。 「取りあえず当面の目標は、総司ともう一回合流して説得するってとこだろうが……」 その名前を聞いて、やはりというべきか名護は目を伏せる。 信頼できる弟子、総司。 紅渡の記憶さえ忘却した今、名護にとっての最高の弟子となった未熟な彼を――状況が切羽詰まっていたとはいえ――キングなどという彼よりも一枚も二枚も上手の相手と単身で戦わせてしまったために、先の悲劇は起こったのである。 解放したアンデッドと自分たちを戦わせること自体キングの策略通りだとしても、名護の心に総司とキングの戦いを後押ししてしまった悔いは残り続けるだろう。 だが、その後悔に沈み続けるほど、彼は愚かではない。 迷い嘆くだろう弟子の為にも、自分の行いを悔いるのは後回しにしなくてはならないと、名護は気合を入れなおす。 「そうだな……彼を追う、というのは現実的ではないだろう。 どうやらバイクこそ置いていったようではあるが、この広い市街地で彼がどう動くかは予想もつかない」 チラと時計を見やってみれば、放送が終わってもう10分ほどが経とうとしている。 総司が出ていった時間から考えればもう20分近くたっているのだから、彼が一心不乱に走り続ければどこまで行けるのか、考えも及ばなかった。 そんな彼を追いかけてむやみやたらに会場を走り回るのは、あまり賢い選択とは言えない。 となれば、残された合流のための手段は、自ずと限られてくる。 「ここで、待つしかないっていうのかよ……。戻ってくる確証もないってのに……!」 翔太郎の悲痛な声が、響く。 無力感に苛まされ続けた挙句、総司が自分からこの病院に戻ってくるのを待つのが、賢い選択とでも? 自分が弟分のように扱ってきたあの無垢な青年を、自分はただ信じ待ち続けることしかできないというのか。 「いや、心配することはない。彼はきっと、ここに戻ってくる」 そうして漫然とした絶望感に目を伏せた翔太郎を、しかし名護はいつものように確たる口調で遮る。 名護が一番総司を心配でたまらないだろうとばかり思っていた翔太郎は、自分の口があんぐりと間の抜けたように開くのを自覚した。 しかしそんな彼の動揺さえ気に留めることもなく、名護は毅然とした態度で続ける。 「総司君は、他ならぬ俺の弟子だ。正義を信じ、悪を倒す強さを持った、自慢の弟子だ。 例え今は道に悩み自分を見失ったとしても、必ず正義の炎を灯し、ここに戻ってくる。 俺はそう信じている」 「名護さん……けどよ……」 名護の言葉を受けた翔太郎の顔からは、しかし釈然としない思いが透けて見える。 だがそれも当然か、と名護は思う。 自分には最早記憶もないが、紅渡という男について、自分は今と同じように弟子を信じ裏切られたことを、翔太郎ははっきりと覚えているのだ。 恐らくは、紅渡を説得するというときも今と同じような大言壮語を宣っていたのだろうことを思えば翔太郎の表情にも頷けたが、それでも名護は考えを曲げる気はなかった。 「翔太郎君、確かに俺は、かつて弟子と認めた男の善性を見誤り、説得に失敗したかもしれない。 だがそれでも俺は、信じることをやめたくない。それに、彼が自身の罪を背負い、戦士として目覚ましい成長を果たしたことは、君もよく知っているだろう」 「それは……」 その話題を出されると、翔太郎も辛いところだった。 総司の初印象を、今でも鮮明に覚えている。 情けない、情緒不安定な青年。なんだこいつというのが、正直な感想だった。 だが総司は、そんな印象をぬぐい去って強く成長した。 他者を打ち倒すための力だけではなく、他者と共に歩むことのできる心さえも。 半人前から一人前に向けて、自分さえも抜き去る勢いで突き進んでいく彼を、羨ましくさえ思うほどに。 だが、それでも。 目覚ましい成長を果たしたとしても、彼は半人前なのだ。 もし今の不安定な彼がキングを始めとする悪意に誑かされ本当にまた世界をすべて破壊する破滅論者に戻ってしまったら。 この身を内側から食い破らんとする焦燥に、居ても立っても居られなくなり翔太郎は立ち上がる。 「どこに行く気だ、翔太郎君」 「決まってんだろ名護さん、あいつはまだ半人前なんだ。放ってなんておけるかよ」 逸る気持ちを抑えられず今にも走り出しそうな翔太郎の一方で、名護はあくまで冷静な顔を崩さない。 それにさえ苛立ちを露わにし、翔太郎はいよいよもって一人でも駆けだそうと名護に背を向けるが、その足が次の一歩を踏み出すより早く、彼は名護に呼び止められていた。 「待ちなさい、翔太郎君」 「離してくれよ名護さん、俺は一人でも総司のことを――」 「君が初めて俺たちと出会ったとき、自分をなんと呼んだか、覚えているか?」 その問いを聞いて、翔太郎は罰が悪そうに帽子を被りなおす。 背中越しにでも貫かれるような名護の真っ直ぐな視線を感じたのだ。 委縮したのか、途端に勢いをなくした翔太郎はそのまま、溜息一つ吐いて名護に向き直った。 「半人前。多くの仲間を目の前で亡くした君は、確かに自分をそう呼んだはずだ」 「……あぁ」 10時間ほど前。 名護と総司の前に翔太郎が現れたとき、彼は紅音也を殺したダグバへの憎しみと自責の念故、それまで嫌悪していた半人前を自称した。 それから紆余曲折を経て翔太郎は一人前の仮面ライダーとして自分を認められるようにもなったが……しかしふとすればこうしてすぐ熱くなってしまう欠点はすぐ直るものではないらしい。 その時に反省した、自分の一人で突っ走りがちな点がまたも表出してしまったことを理解して、翔太郎は冷静さを取り戻したのである。 結局は自分もまた、総司と同じく未だ半人前の範疇だということだ。 こんな風に周りを見ずに突っ走っているようではその誹りを受けても当然か、と萎えた様子の彼を前に、しかし名護はあくまで諭すように続ける。 「だが翔太郎君、君はこうも言ったはずだ、『半人前でも俺は仮面ライダーだ』と。 総司君もそうだ。確かに未だ完成こそされていないし、危ういところもあるかもしれない。 だがそれでも俺は、彼の心に確かに灯った正義の炎は、決して消えず燃え続けると、そう思っている」 どこまで行っても、名護はまっすぐな男だった。 総司のことを軽んじているわけではない、むしろ最大級に尊重しているからこそ、彼は総司を追わないのである。 全く総司は良い師匠を持ったものだと、しみじみそう思った翔太郎のもとに、届く声が一つ。 「半人前……か」 名護のものではないその声に振り向けば、そこには思わず思考が口に出た、といった様子で佇む一条がいた。 翔太郎と名護、二人から向けられた視線に気づいたのか、一条は我に返ったように小さく頭を下げる。 「――話を遮ってしまい申し訳ありません。ただ少し、父の言葉を思い出したもので……」 「父?」 「えぇ、『中途半端はするな』。……それが、私の父が生前よく言っていた言葉でした」 「どういう意味だ?」 「一度やると決めたなら、最後まで絶対にやり遂げろ。 ……そういう意味だと、私は思っていました」 一条はそう言って、視線を彼方へ走らせる。 父の言葉を絶対の信条として信じていた自分にとっては、半人前であるということを自称するなど、許されがたい中途半端であるように感じられたことだろう。 だが目の前で死なせてしまった小沢を、京介を、そしてまたしても一人にしてしまったユウスケを思えば、今の自分を一人前だと名乗ることの方が、一条には耐えがたかった。 「思っていましたって……本当は違ったってのか?」 「いえ……まだ自分でも分かりません。ただ、津上君が言っていたんです。 『人は誰でも生きている限り中途半端で当たり前だ』と。 それを聞いて、自分は父の言葉を都合よく解釈していただけなのかもしれないと……」 翔太郎の問いに対し、伏し目がちに一条は続ける。 自分は、父が幼子への教育の一環として放っただけの言葉を、父の死によって生涯背負わなければいけないものとして都合よく捻じ曲げ自分に課していただけなのではないかと。 刑事という仕事を中途半端にはしない、と言えば聞こえがいいものの、突き詰めてしまえば自分は、他の大事にしなければいけないことを蔑ろにして仕事に逃げていただけではないのか、そんな不安が一条の中をよぎるのである。 今までは疑いさえしなかった自身の信条がこうまで揺らいだのは、もう一人のクウガとの出会いや自分が仮面ライダーとして戦える力が自分を変えた為なのだろうか。 ともかく、その答えを共に導ける仲間となるはずだった翔一の死が、自分にとってこれ以上ないほどの悲劇だったことは、疑いようもないことだった。 だがそんな一条を前に一歩進み出たのは、やはり名護だった。 「一条、一つ聞きたい。もし君のお父さんの言葉の真意が君の意図するところと違っていたとして、何がそこまで問題だというんだ?」 それは、翔太郎が見てきた名護の中でも特に真剣な瞳だった。 今の一条の話のどこにそこまで彼の中で見逃せない部分があったのか、翔太郎にさえ分からない。 だが、この話をこのまま終わらせることは名護にとっても許せないことに違いないと彼は思った。 「私は……父のその言葉を常に胸に抱いて生きてきました。 刑事としての姿勢も、同じく刑事だった父の中途半端にしない姿勢を見習っていると言って過言ではありません」 今度は、一条が胸の内を晒す番だった。 自分の中で当然だと思っていた部分に疑問を持つ経験が、一条の端正な顔を不安に歪ませる。 だが言葉は澱むことはなく、彼は言葉を詰まらせることはない。 「しかし私は、その言葉をあいつにも……五代にも背負わせてしまった。 そのせいでただの冒険が好きな一般人に過ぎなかった五代は、一人戦いに明け暮れ……挙げ句こんな戦いに巻き込まれて命を落としました。 本当はあいつには、ずっと気ままに冒険を続けていて欲しかった。その為にも俺が、あいつの責任を一緒に背負ってやらなくちゃいけなかったというのに……」 いつの間にか一条の一人称が、“俺”になっていた。 胸の内を吐露する内、言葉遣いに気を払う余裕もなくなったのだろう。 だが名護も翔太郎も、それを気にすることはない。 どころか、こうして一人で背負い込もうとし続ける彼が仲間として自分たちを信頼してくれている証だと受け取って、ただ黙って一条の言葉を待っていた。 「だから、考えてしまうんです、父は、今の俺をどう思うのかと……。 一番中途半端に過ぎない俺が、自分の言葉を勝手に解釈し人を結果的に死に至らしめたと知ったら、彼は……」 言って一条は、自身の手を強く握りしめる。 自分の無力さを、強く噛みしめるように。 だがそうして俯いた一条に対し、名護は動ずることなく彼の肩を叩き再びその面を上げさせる。 「一条、君の気持ちはよくわかる。俺も父の言葉を勝手に解釈し、今となっては愚かとしか言いようのない罪を犯したことがある」 「罪!?名護さんが!?」 「あぁ……」 翔太郎の驚愕に静かに答えながら、名護啓介は思い出す。 代議士であった父、啓一は、社会的正義に燃える、幼い時の自分にとって心底尊敬できる人物であった。 間違ったことは許さない、啓介の中に根付いたその正義感も、元を正せば父への憧れに由来するものだ。 だが……いやだからこそ、啓介は父が過ちを犯したのが許せなかった。 例えそれが書類上の小さなミスであっても、それは父である啓一の罪であり、許しがたい悪だと……そう感じたのだ。 故に啓介は父を汚職で糾弾し、自殺にまで追い込んだ。 だから啓介は、それ以来正義の名のもとに多くの殺戮を繰り広げた。 彼にはもうその記憶がないが……渡に公園で告白したように、ファンガイアが悪でないのなら自分は正義の人ではなくなってしまうという、強迫観念に駆られて。 そんな風に父親の言葉や姿勢を曲解し、尊敬していたはずの父でさえ死に追いやった自分でも、目の前で悩める男に何か力を与えられるならと、名護は続ける。 「一条、君のお父さんがどんな人物だったのか、俺にはわからない。 だが君の様な正義の為、市民の為に自分を犠牲にできるような男を育てた人だ。 そんな人の言葉は、少なくとも今までの君にとって間違いなくプラスのものだったに違いない」 「はい……」 「だが、もし君がその言葉のせいで思い悩んでいるというのなら、それは君のお父さんも望むところではないだろう」 名護のその言葉に、一条はハッと息を呑む。 何より家族を大切に思っていた彼が、自分の言葉で苦しむ息子を見れば、それは何より心苦しいことに違いない。 そんな一条を見やり、悩んでいた時期の愛弟子を重ねたか、名護は微笑を携えながら言葉を紡ぐ。 「その考えを悪戯に捨てろとは言わないが……俺が君に言えることがあるとすれば、君はあまりに真面目すぎる。 遊び心が足りない、と言い換えても良いかもしれないな」 「遊び心……ですか」 言いながら一条はしかし、今までと打って変わって腑に落ちないという表情でムッとしたようであった。 だが、それも当たり前だろう。 言ってみれば彼を始めとした警察が、そして五代雄介が繰り広げてきた未確認生命体との戦いは、決して遊びではないのだ。 そんなところに遊びを持ち込むような心構えでは、市民の前に胸を張って立つことなど出来ないと彼が考えても、それは仕方のないことだった。 だがそんな一条の対応を見据えてか、名護はどこか懐かしげにフッと笑う。 「そうだ、余裕のない心は張り詰めた糸と同じ。いずれ、ふとした拍子で容易く切れる。 丁度、今の君が使命と無念の板挟みになり自分自身を縛り苦しめているように」 それは、かつて22年前の過去に飛んだ際、先代のイクサである紅音也から名護が学んだことだった。 あの時は、命を賭け戦う戦士を前にこのちゃらんぽらんは何を言うのだ、と軽蔑さえしたものだが……恋を知り、そして愛を知った今となれば、分かる。 戦士と言えど、帰る場所、心の安らぎは不可欠なのだ。 見たところ、目の前の男もあの時の自分と同じく恋を知らないと見える。 果たしてこの場所で恋を知れる可能性は限りなく低いが……ともかくそうした精神的余裕は決して自分を腐らせないと言うことを、彼に伝えなくては。 「かつて俺に、遊び心を持つ大切さを教えた男は言った。 心に余裕を持てば、人の気持ちが分かるようになる。そうすればもっと強くなれる、と。 君が誰かを守る為、より強くなりたいと望むなら……まず、遊び心を学びなさい」 「しかし……一体どうすればそんなものを学べると?」 未だ眉間にしわを寄せたまま、難しい表情で一条は問う。 遊び心を学べなどと、なにせ難しい相談である、困惑するのも仕方のないことだ。 だが対する名護は、動じることなく自信げに息を吐き出して。 「そのことなら安心しなさい。俺が知る中でも有数の、素晴らしい遊び心を持つ男が、ここにいる」 唐突に、話の蚊帳の外に追いやられていた翔太郎の肩を、強く叩いた。 「って俺かよ!」 「君からは、どんなときでも何か欠けている自然な抜け目を感じる。 俺でさえ見習うほどに君の心は隙だらけだ、胸を張りなさい」 「全然褒められてる感じがしねぇ……」 どこか決まらず帽子を被り直しながら、しかし翔太郎にとっても名護の言葉を強く否定することは出来なかった。 探偵としての仕事を中途半端に行ったことこそないが、翔太郎は時たま依頼を私情で受けることがある。 例えば、風都警察署の真倉刑事が照井の鼻を明かすため、そして超常犯罪捜査課に異動してきた九条刑事の気を引くためだけに依頼を持ち込んできたときも、彼の不純な動機に心から同意し、ノリノリで依頼を引き受けたこともあった。 そもそも自分のあだ名になってしまったハーフボイルドだって、ハードボイルドを目指しながら非情になりきれない自分に対する愛称の一種だ。 それが決して揶揄として自分を貶す意味で放たれていないことは、亜樹子やフィリップの目を見れば分かる。 なれば名護の言う遊び心が生来から備わっている自分のそれは、確かに仕事に対して一種の余裕を生み、人を引き寄せ探偵としての仕事にプラスに働いていると言われても、なるほど納得する心地であった。 「だが、目標もなくただ修行しろと言われても難しいものがあるのも事実だ、一体どうすれば……」 「それなら、これがあります」 名護の言葉を待っていたとばかりに、一条は懐から通常のガイアメモリより一際巨大なメモリを取り出す。 青くTの字が刻まれたそれはまさしく、翔太郎が先ほど彼に渡したトライアルのメモリであった。 「それは……?」 「これはトライアルメモリです。特別な特訓をしなければ扱えないと、左さんは言っていました」 「そうか、なら丁度いい。それを扱えるよう修行をする中で、翔太郎君から遊び心も自然と身につくことだろう」 名護は腕を組み首を縦に振りながら満足げに呟く。 自身がライジングイクサの完全な習得によって実感として遊び心の重要さを学んだように、一条もトライアルを使いこなせるようになればその重要さが分かることだろう。 だがそうして完結しそうになった話を、しかし翔太郎が黙って見過ごすはずがなかった。 「ちょっと待てよ一条、それに名護さんも! トライアルの特訓はな、照井でさえ死にかけたんだ。今のお前じゃやりきれるわけ……」 「いえ、俺ならもう大丈夫です。十分、休みましたから」 「んなわけねぇだろ!」 翔太郎の絶叫が、場を静まり返させる。 思わずと言った様子で胸ぐらを掴んだ翔太郎の威圧に圧されたか言葉を飲んだ一条に対し、翔太郎は熱くなったままの頭で言葉を紡ぐ。 「……そんなボロボロの身体で何が出来るってんだ? 周りを見て見ろ、お前が死んだら悲しむ奴が大勢いるだろうが! 突っ走んのも大概に――」 「――そんなことはもう分かってる!」 翔太郎の説得に対し、今度は一条が、大声を出し沈黙を作り出す番だった。 かつて一人で井坂という強敵に挑もうとした照井を諫めた時の言葉を容易く覆されて、翔太郎も思わず二の句を紡げない。 「皆の笑顔を守る……そう言って自分の笑顔を守ることを後回しにし続けた男を、俺は一番よく知っている! 彼が死んでしまったことを、最も深く悲しんだのは俺だ。 だからこそ俺は彼を……小野寺君を、五代の二の舞にさせるわけにはいかない。そう決めたんだ!だから――!」 そこまで言い切って、一条は先ほどまでとは違い自分が翔太郎の襟首を掴んでいることに気付いた。 一般人がどうだとか、刑事がどうだとか、この場では既に形骸化した観念が今更蘇ってきて、彼は罰が悪そうにその手を離す。 「すみません。つい熱くなってしまって……」 「いや……俺こそ、軽はずみな発言だった。許してくれ」 互いに自分の発言を悔い、そして相手の発言の正当性を認めているからか、二人の間には再びただ沈黙が流れた。 だが、決して無駄な時間ではない。 それは男と男が、どこまで意地を張り合えるのか、或いは互いにぶつかることを拒み逃げるのか、試すような重い沈黙であった。 だが、仮にもしこれを勝負の一環だとするのなら……勝者は既に決していた。 「……俺の負けだ、一条」 「え……?」 ぽつりと、昔を懐かしむような声音さえ込めて、翔太郎が呟いた。 今の口論をそんな堅苦しい勝負だなどと意識さえしていなかった一条は一瞬反応が遅れたが、しかし翔太郎はそんな彼の様子を気に留めることもなく続ける。 「ったく、お前と話してると、あいつを思い出してつい熱くなっちまう。 さっきも、お前がやりたいことをサポートするのが俺の仕事だって、そう思ったばっかだってのにな」 「ということは、まさか……」 「あぁ、お前がトライアルを使いこなせるよう、俺が鍛えてやるよ」 言って翔太郎は、気障に指を伸ばす。 一条がアクセルを受け継いだことはもう偶然で片付けられないことだと、そう理解したのだ。 誰よりも強い熱情を胸に秘めながらクールに振る舞うその姿に、かつての友との数え切れないぶつかり合いを思い出したと言ってもいい。 そうなれば後はもう、自分に残された仕事はアクセルを継いだ男を強くするため、彼を支えることだけ。 それが正しいのかどうか、照井が望むかどうかなど、正直なところわかりはしない。 だがどうせあの世で彼に聞いても素っ気なく返されるだけなのだ、ならば自分もやりたいことをやるだけのこと。 どうせ自分は半熟野郎と呼ばれる運命なのだ、かつての友と目の前の男を重ねてしまったから、などという動機で動いたところで、誰も文句は言うまい。 そう考えた翔太郎の表情はしかし晴れやかで……誰にとっても眩しい確かな“余裕”を兼ね備えていた。 そして同時、翔太郎の言葉を受けた一条もまた、珍しく頬を綻ばせる。 照井が死んでから、幾度となく纏ったアクセルの鎧。 戦いの道具以上の感情を秘めたその鎧はしかし、戦場において自分を勝利にまで導いてはくれなかった。 だが、それもこれまでのこと。 自分が及ばなかったために不甲斐ない結果に終わり続けたというのなら、それを強くなって覆すだけのこと。 遊び心というものを学べるかは分からないが、ともかくそれも特訓の中で身につくのであればと。 一条薫はここに来て初めて、自分のことを認められうる可能性を見出していた。 そしてまた、目の前で繰り広げられた短いやりとりを見ただけで、今後起こりうる二人の化学反応の結果を知り尽くしているかのように、名護は一人満足げに頷いていた。 見込んだとおり、この二人は今よりずっと強くなる。 自身の弟子に迎える、などと口が裂けても言えないような強さを確かに持った二人の成長の芽を目の当たりにして、自分もうかうかしていられないと名護は虚空に思いを馳せるのだった。 ◆ 「……本当に、一人で大丈夫なのかよ、名護さん」 「あぁ、当然だ。俺には総司君をこの病院で待たなくてはならない使命がある。 君も、くれぐれも気をつけなさい。この会場には未だ、大ショッカーの手先が忍び込んでいる。油断は禁物だ」 翔一の遺体を簡単に埋葬し一息ついてしばらくしてから、ついに翔太郎たちは出発の準備を完了していた。 少しでも早く移動するためにと、カブトエクステンダーのキーを名護から受け取り彼の身を案じた翔太郎に対し、名護はしかし強く返す。 その表情に浮かぶ揺るぎない自信を見て、翔太郎もこれ以上の言葉は無粋かと口を噤んだ。 ふと後方を見れば、トライアルの特訓という言葉に気合いを引き締め直したか、一条はすっかり自立してしっかりとした足取りで外に向かっている。 どうやらこれは特訓にも精が出そうだと自分も彼に続こうとして、しかしその肩を、名護に引き留められた。 「なんだよ名護さん、まだ何かあんのか?」 「あぁ。君に、渡しておかなければならないものがある」 言いながら、名護は懐より一つ、銀色の箱と無数のカードを取り出した。 「……ブレイバックルか」 それはまさしく、先ほど自分がダグバから取り戻した正義の仮面ライダー、ブレイドの力。 スペードのカードだけではなくダイヤにクラブ、ハートのカードまで合わせたラウズカードの束は、文字通り片手で受け取るには手に余るほどだ。 だがこの強力な力をこうも容易く受け取ることに、翔太郎はある種の忌避感を覚えていた。 「けどよ、名護さん、いいのかよ?これは総司が……」 「いいや、総司君から聞いた。君は彼に言ったそうだな。『自分はこれを拾っただけで独占する権利はない』と。 俺もそうだ。俺はこれを拾っただけで占有する資格などない。 それに俺には今、ブレイドへの変身に制限がかかっている。俺が持っていても意味がない、君がこれを持っていくべきだ」 名護はやはり、どこまでも貫くような真っ直ぐな瞳をしていた。 しかし、忌むべき記憶も存在するとはいえ、これは総司が持っていたもの。 自分がただの力として預かるよりは名護が持っていた方がいいのではと、翔太郎は二の足を踏んでしまう。 だがそんな翔太郎に対し、名護は一層に真面目な顔をして顔を寄せ、小さな声で囁いた。 「……それに、ハートのラウズカードをどうするのか……、その決断を下すのは俺でなく、君であるべきだ」 「名護さん……」 後方の一条には聞こえないほどに小さな声で述べられたその言葉に、しかし翔太郎は息を呑む。 ハートのラウズカード、それから類推される自分の因縁を、いやでも思い出したからだ。 この会場に連れてこられて最初に出会った、心優しいオルフェノクを無残に殺害したあの男の処分を決めるのは、お前だと。 つまりは名護が言っているのは、そういうことなのだ。 あくまで彼をジョーカーアンデッドとして断じこの場で倒す道を選ぶのか、それとも今は涙を飲み説得の道を選ぶのか。 或いはその先に和解の道があったとして……彼に多大なる力を与えるだろうこのカード群を、果たして彼に渡すのか、それとも絶対に彼の手に渡らないよう投棄するのか。 全ての選択肢を、同行者を目の前で始に殺された自分に委ねたいと、そう言っているのである。 その決断の難しさを、そして目の前で死んだ木場の無念を考えしばし目を瞑って、やがて翔太郎は目を開いた。 「……分かった。あとは任せてくれ、名護さん」 「あぁ、頼んだぞ、翔太郎君」 ブレイバックルを確かに受け取りながら、翔太郎はこの小さな箱に込められた“重さ”を確かに実感する。 そこに込められた力も、受け継がれてきたバトンも、そして誤ったことに使われてきたブレイドという力自体の悲しみも。 それに加え、殺害という許しがたい罪を犯したとはいえ、世界を、大事なものを守るため全力を尽くしただけの男の処断をも、そこに合わさっているのだ。 なれば、その全てを一身に背負ったこのバックルが、軽いはずがなかった。 その重みをしかし逃げずに受け止めて、翔太郎は帽子をクイと下げてその場を後にしようとする。 だが瞬間、翔太郎は最後に一つだけ、名護に言っておかなければならないことがあったのを、思い出した。 「またな名護さん、それから――無茶だけはすんなよ」 「……あぁ、分かっている」 返答までにかかった時間は、ごく僅か。 だがそれでも確かに開いた一瞬の隙は、名護の動揺を確かに表していた。 しかし、それを見抜いたからと言って、翔太郎にはもう予定を変える気はなかった。 名護は自他ともに認める一人前の仮面ライダーなのだ。 例え自身の行動で何が起こったとしても、自分の決断に自分で責任を取れる大人なのである。 であればこれ以上自分がお小言を残していったとしても、無粋なだけ。 故に翔太郎は、黙って去るのみだ。 自分たちを見送るため、後ろで佇む名護の視線を感じながら、翔太郎は先にバイクの前で待っていた一条に声をかける。 そのまま二人乗りの姿勢でカブトエクステンダーに跨がりキーを差し込んでエンジンを唸らせれば、心地よい駆動がこの体を躍動させた。 サイドバッシャーに跨っていた時以来の感覚に心さえ躍る思いを抱きながら、翔太郎は後ろに跨る一条を振り返る。 「行くぜ、準備は良いか?」 「勿論です」 一条の短い返答の中には、しかし確かに燃える挑戦の意思を感じ取れる。 どうやら長々しい啖呵を切るよりも、よっぽど気合十分らしいと。 友の遺志を継いだ男の、確かな強さを再度認めて翔太郎は、北へ向け一思いにアクセルを振り絞った。 【二日目 朝】 【C-1 平原】 【左翔太郎@仮面ライダーW】 【時間軸】本編終了後 【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、精神疲労(大)、キングフォームに変身した事による疲労、仮面ライダージョーカーに1時間20分変身不能、カブトエクステンダーを運転中 【装備】ロストドライバー&ジョーカーメモリ@仮面ライダーW、ブレイバックル+ラウズカード(スペードA~Q、ダイヤ7,8,10,Q、ハート7~K、クラブA~10)+ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣 【道具】支給品一式×2(翔太郎、木場)、首輪(木場)、ガイアメモリ(メタル)@仮面ライダーW、『長いお別れ』ほかフィリップ・マーロウの小説@仮面ライダーW、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト 【思考・状況】 基本行動方針:仮面ライダーとして、世界の破壊を止める。 0:一条がトライアルメモリを使えるよう、サーキット場で特訓する。 1:名護や一条、仲間たちと共に戦う。 今度こそこの仲間達を護り抜く……はずだったのにな。 2:出来れば相川始と協力したいが……。 3:フィリップ達と合流し、木場のような仲間を集める。 4:村上峡児を警戒する。 5:もしも始が殺し合いに乗っているのなら、全力で止める。 6:ジョーカーアンデッド、か……。 7:総司……。 8:相川始にハートを始めとするラウズカードを渡すかどうかは会ってから決める。 【備考】 ※大ショッカーと財団Xに何らかの繋がりがあると考えています。 ※仮面ライダーブレイドキングフォームに変身しました。剣崎と同等の融合係数を誇りますが、今はまだジョーカー化はさほど進行していません。 ※トライアルメモリの特訓についてはA-1エリアをはじめとするサーキット場を利用する模様です。 【一条薫@仮面ライダークウガ】 【時間軸】第46話 未確認生命体第46号(ゴ・ガドル・バ)撃破後 【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、五代たち犠牲者やユウスケへの罪悪感、強い無力感、カブトエクステンダーの後部席に搭乗中 【装備】アクセルドライバー+アクセルメモリ+トライアルメモリ@仮面ライダーW 【道具】食糧以外の基本支給品×1、名護のボタンコレクション@仮面ライダーキバ、車の鍵@???、おやっさんの4号スクラップ@仮面ライダークウガ 【思考・状況】 基本行動方針:照井の出来なかった事をやり遂げるため『仮面ライダー』として戦う。 0:今度こそ誰も取りこぼさない為に、強くなりたい。 1:サーキット場に向かいトライアルの特訓を行う。 2:小野寺君……無事でいてくれ……。 3:第零号は、本当に死んだのだろうか……。 4:五代……津上君……。 5:鍵に合う車を探す。 6:一般人は他世界の人間であっても危害は加えない。 7:小沢や照井、ユウスケの知り合いと合流したい。 8:未確認への対抗が世界を破壊に導き、五代の死を招いてしまった……? 9:遊び心とは……なんなんだ……。 【備考】 ※現在体調は快調に向かいつつあります。少なくともある程度の走行程度なら補助なしで可能です。 ◆ (見透かされていた、か……) 翔太郎と一条の姿が見えなくなった後。 名護は残された病院の中で、ただ一人自省していた。 翔太郎のあの瞳、そして「無茶だけはするな」という言葉。 そのすべてが、自分の考えていることを見抜かれているように思えて、名護は自身の未熟さを自覚する。 (だがやはり今の総司君を、一人にするわけにはいかない……) しかし。 そうして仲間に内心を見透かされていたとしても、もしもそれが誰から見ても無茶を行おうとするただの蛮勇に過ぎないとしても。 今の総司を一人放置することは、名護には耐えられない。 (今の彼は、人間とネイティブとの狭間で揺れ動いている。 このままでは彼は心を二つに引き裂かれ、自滅の道を辿ることになる……。 そうなる前に、俺が彼を救ってやらなくては……!) それは師匠としての名護に与えられた義務であるのと同時、仲間として彼を救いたいという純粋な思いから来るものだった。 かつてファンガイアと人間との狭間で揺れ動いた渡を救うため尽力したのと同じように、弟子の危機において、名護啓介にじっとしている選択肢はない。 渡との思い出が残っており彼が一人でその運命を覆したことを覚えていればまた別の結果もあったのかもしれないが、ともかく。 反省を終えた名護は、懐から一本の小さなUSBメモリの様なものを取り出す。 Sの字が刻まれたそれはスイーツのメモリ。 出来れば使いたくこそないが……イクサが制限にかかった今、危険があれば使用も止むを得ない。 翔太郎から言わせればお粗末な品らしいが、それでも時間稼ぎの捨て石にはなるだろうと、名護は高を括っていた。 (待っていてくれ、総司君。君を一人にはさせない。 俺が必ず、師匠として迷える君を救って見せる。……必ず!) 瞬間名護は、もう立ち止まっている時間もないとばかりに駆け出した。 広い市街地に向けて、ただ一人この空の下で彷徨っているだろう弟子を探すため。 その手に握るは洋菓子の記憶。あまりに心もとない装備を手に、しかし心だけは菓子さえ溶かすほどに熱く煮えたぎらせて。 誰よりも強く弟子を思う男はただ一人、街へ勢いよく飛び出した。 【二日目 朝】 【D-1 病院前】 【名護啓介@仮面ライダーキバ】 【時間軸】本編終了後 【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、精神疲労(大)、左目に痣、決意、仮面ライダーイクサに1時間20分変身不能、仮面ライダーブレイドに1時間25分変身不能 【装備】イクサナックル(ver.XI)@仮面ライダーキバ、ガイアメモリ(スイーツ)@仮面ライダーW 、ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ 【道具】支給品一式×2(名護、ガドル) 【思考・状況】 基本行動方針:悪魔の集団 大ショッカー……その命、神に返しなさい! 0:総司君を探す。絶対に一人にはしない。 1:直也君の正義は絶対に忘れてはならない。 2:総司君のコーチになる。 3:紅渡……か。 4:例え記憶を失っても、俺は俺だ。 5:どんな罪を犯したとしても、総司君は俺の弟子だ。 6:一条が遊び心を身に着けるのが楽しみ。 7:最悪の場合スイーツメモリを使うことも考慮しなくては。 【備考】 ※ゼロノスのカードの効果で、『紅渡』に関する記憶を忘却しました。これはあくまで渡の存在を忘却したのみで、彼の父である紅音也との交流や、渡と関わった事によって間接的に発生した出来事や成長などは残っています(ただし過程を思い出せなかったり、別の過程を記憶していたりします)。 ※「ディケイドを倒す事が仮面ライダーの使命」だと聞かされましたが、渡との会話を忘却した為にその意味がわかっていません。ただ、気には留めています。 ※自身の渡に対する記憶の忘却について把握しました。 134 第三回放送 投下順 時系列順 133 未完成の僕たちに(4)|[[一条薫 名護啓介 左翔太郎
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悩【にんげん】 ◆VF/wVzZgH. ガチャリと、音を立ててドアが開く。 そこから現れたのは美樹さやかと、今正に傷が治りつつある──新しい服に着替えたらしい──脳噛ネウロであった。 まさに化け物級という例えが相応しい程の速度で治っていく彼を見て、大道克己はニヤリと口角を吊り上げる。 「ハッ、ある程度予想しちゃいたが、想像以上に化け物だな、アンタ」 「当たり前だ、貴様のような中途半端と同等に扱うな、我が輩は生まれつき魔界の住人、魔人だぞ」 克己の皮肉に一切怯まず返したその言葉に最初は“人間”であった"さやかと克己は眉を潜め、しかしそれに構うことなくネウロは真っ直ぐにこの場にいるもう一人の“化け物"の元へと歩を進める。 「アンク、と言ったか。貴様がヤコの荷物を持っているな、寄越せ」 「フン、渡しても良いが、中身は大したもんじゃないぞ。それとも、案外お前も、こいつと同じようにお友達の遺品くらいは持ってたいって口だったか?」 「笑わせるな、御託は良い、さっさと寄越せ」 半ばふんだくる様にアンクからデイパックを受け取ったネウロはまさかこの用途でお前を頼ることになるとは、などとぼやきながら、ヤコの携帯を取り出した。 「携帯?そういえばここって電波通るのかな……っていうか何その髪の毛のストラップ!趣味悪!」 思わずさやかがそんな言葉を口走ってしまうのも無理はない。 その携帯についていたのは──何故かとても毛並みの良い──毛の束であったのだから。 一風変わった、などと説明づけるのも困難なほど、それは異様なストラップであった。 「ほう、やはりそれが普通の反応か。そういえばヤコ以外にお前を見せるのは初めてだな、“アカネ"?」 「……アカネ?誰?」 「何を言っている、目の前にいるだろう?」 さやかはキョロキョロと周りを見渡すがアカネなる人物は見当たらない。 克己とアンクはしかしもう勘づいているのか、意味深な笑みを浮かべていた。 「ちょっとネウロ、適当なこと言って私のこと惑わそうとしてるなら……ってえぇ!?」 周りの状況にいまいちついていけていなかったさやかが声を荒らげようとして、しかし目の前の光景に言葉を失う。 そこにあったのは、先程趣味が悪いと称した髪の毛が、怒り狂っているかの様に乱舞している姿だったのだから。 感情があるのだとすれば、先程のさやかの「趣味悪い」という発言に怒っているのだろうか、そう考えれば少し可愛いものである。 「だから言ったろう?“目の前にいる"と。さて、アカネ、怒るのも結構だがそれより今は貴様に聞きたいことがある」 乱舞するのを抑えて、髪の毛──ネウロ曰く「アカネ」──がネウロの次の言葉を待つ様に沈黙する。 その様子を見て、ネウロは携帯のメールフォームを開きながら、囁く様に言った。 ──ヤコの死の瞬間の状況と、下手人の特徴を教えろ、と。 それを受けてプチプチと慣れた様子で──しかしアポロガイストに少し切られた分少しぎこちなく──携帯のボタンをプッシュしだすアカネを見て、克己は思わず感嘆の声を漏らす。 「ほう、腕がくっついたと思えば今度は生きてる髪の毛か、とことん常識破りだな」 「弥子から聞いて知ってはいたが……、ああまで自在に動けるとはなぁ」 「二人とも、驚かなさ過ぎでしょ……、髪の毛が動いてんだよ?」 「死体がこうして動いてるんだ、今更髪の毛が動いたところで驚きようが無いだろ」 「それはそうなんだけど……」 言われてしまえばその通りなのだが、しかしさやかには納得することが出来なかった。 特殊な技術や魔法によって死体が動くからといって、魔人の力で髪の毛が動くことはそうまで何ともないことなのだろうか。 不可思議がどんどん当たり前になっていくことへのモヤモヤを上手く消化する事も出来ぬまま悶々とするさやかだが、そんな時、ネウロがほうと声を上げた、かと思えばいきなりクツクツと笑い出した。 「どうした、何かわかったか?」 「クク、アンク、貴様確かワイルドタイガーにメダルを奪われた、といったな?」 「……あぁ、野郎、俺がグリードだからか、最初の会場の時とはまるで別人だったぜ」 「フン、仕方あるまい?実際、他人なのだから」 「ハァ?」 意味がわからない、といった顔をするアンクに、ネウロは画面を見せる。 そこには確かにワイルドタイガーのアーマーの特徴、及び“彼”の正体、怪物強盗サイの名と、彼の行った行為が如実に書かれていた。 ──ネウロがアカネを弥子に持たせた理由に今回の様な、弥子が死んだ際に自身が下手人を特定し“お仕置き"する為というのがあるのかは定かではない。 だが結果として彼女は弥子殺害の瞬間において唯一の目撃者であり、用心深いサイを以てしてその存在を把握する事は叶わなかった。 あろうことか彼はこの髪の毛を単なる護身用にネウロが持たせた魔界道具だとでも思ったか、全く確認することなくアンクの下に向かってしまったのである。 ──無論、悪戯好きでネウロに挑戦を挑み続ける彼の事である。アカネの存在に気づいた上で、ネウロに下手人は自分だと伝えるために敢えて証拠を残した可能性も、否定できないが。 「フム、怪盗サイ……、予想はしていたがなるほどあの子虫め、どうやら本当にきついお仕置きをせねばならない様だ……」 そして彼に対し、ネウロは、サディスティックな笑みを浮かべながら、心の奥で今まで感じたことない様な深い怒りを感じていた。 自身がこの地上で熱心に調教したボロ雑巾、桂木弥子。 以前にも一度弥子を人質に取られた際それを殺した場合にどうなるか、などとサディスティックに笑っていたが、今はそれが実現してしまったのである。 その笑みにその時の様な愉悦は感じられず、それ以上の復讐の炎が燃えたぎる。 そんな彼に呼応するかの如く、手に持った携帯についている髪の毛、アカネも逆立つ。 彼女にとって弥子は大切な友達だった。 言葉も通じないのに遊んでくれた、トリートメントしてくれた、勉強を教えた──何気ないことだが、しかし確かに彼女の不思議な日常の中心に、弥子はいた。 それをどんな理由があったにしろ殺したサイへの怒りは、彼女を燃えさせるに十二分だった。 「怪盗サイ……か、とことん舐め腐りやがって……!」 そしてメダルを奪われたアンクもまた、怒りに燃える。 ワイルドタイガーの姿を驕っていた事など、アンクにとってはどうでもいいが、杏子を箱にして殺した際に奴は、俺は殺し合いに乗っていない、と言った。 それならば捨ておいてもよいとも思ったが、自身に直接手を出しメダルを持って行き、弥子をも殺した現状では話が違う。 奴がネウロに狙いを定めてそれを超えるために自身のメダルを使おうとしているというのなら、それを利用してやる。 ネウロと共に行動していれば、奴は変装など捨ておき戦闘を仕掛けてくるだろう、不意打ちを用いようが、それは確実に訪れる。 なればその時こそ自身を欺きメダルを奪った大罪のツケを払わせる時である。 再生能力が人間離れしているだかなんだか知らないが、所詮グリード態になった自分には遠く及ぶまい。 メダルを取り返し、この状況で好き勝手やったツケを払ってもらわねば、自身の気が済まぬ。 鳥の王たる彼もまた、今この状況では自身のために外道に怒りを燃やすのだった。 「怪盗サイ、許せない……!タイガーを、ヒーローを何だと思って……!」 そして、サイという存在を少しでも聞いていたさやかは、何よりそんな犯罪者がワイルドタイガーの名と姿を驕っているという状況に怒りを示していた。 最初の場で主催者に対しああまで真っ直ぐに敵意を示した英雄、ワイルドタイガー。 昔にテレビで見ていたヒーローそのものの様な彼の事を貶めようとする悪の存在が、さやかには許せなかったのだった。 「そうカッカするな、さやか。にしても怪盗サイか、少し興味深いな」 意識外から降ってきた様な声に、さやかはハッとする。 カツリ、と一歩進んで声の主、克己がニヤリと笑った。 「常人離れした回復力、身体能力、そして顔を変幻自在に変えられるその特異性……、NEVERにいれても良い程の飛び抜けた能力だ」 「はぁ?何言って──」 「あくまで“能力は"だ。美術品を盗む程度ならともかく、自身のルーツに近いものを感じた人間をミンチにして箱に詰める様なイカレ野郎、俺の仲間にはいらん」 今度はふざける様子も無く、克己は言い切った。 彼が仲間であるNEVERに求めるものは、死人であること、以上に自身が持っていない個性を持つ事である。 確かにサイの個性は強烈だが──サイ自身は自分が分からないからそれを探すための犯行だといいきっているらしいが、正直これ以上強烈な個性は中々無い──しかしそれは克己の求める個性ではない。 財団の男──加頭順──やヴィレッジのプロスペクトと同様に、憎むべき敵とすら言えるサイを、その能力は買っても彼の内面を評価する気にはなれなかったのであった。 それを受けてさやかも溜め息をつき、全くめんどくさい奴、などと思いながら口を開く。 「確かに、凄い能力だよね、文字通りの化け物。この力を手に入れてなかったら……こんな体になってなかったら、戦おうなんてとても思えな──」 「ほう、サイが化け物だと?」 背筋が凍る思いがした。 びくんと跳ねながら振り向けば、そこには目を見開き耳まで裂けているのではと思うような邪悪な笑みを浮かべたネウロがいた。 いつの間に、などと思いながらさやかはしかしネウロの言葉に疑問を投げかけていた。 「だって、化け物でしょ、どう考えても……。怪力も回復力も、変装能力もそうだけど、何より他の人間なんてどうとも思ってない様な身勝手な犯行……!化け物じゃなかったら説明がつかないでしょ?」 「フム、なるほど。サイに対する考えは最初の頃のヤコのそれに似ているな……、まぁいい。それよりも、奴はどうなろうと化け物ではない。礫器とした、人間だ」 「はぁ!?言うに事欠いてアンタ一体何を……!」 さやかは思わず声を荒らげる。 化け物ではない、というだけで納得が出来なかったが、それどころか、言うに事欠いて人間とは! まるで理解できない、といった様子で彼女は怒りの表情を浮かべていた。 「フム、貴様は何か勘違いをしているようだ……。丁度いい機会だし、ついでに貴様に聞いておこう。 “貴様にとって、人間とは何だ?"」 「は……?」 理解が出来なかった。 いや、勿論質問されたことが何かは分かっている。 だがそれでも理解できない、そしてわからない。人間とは何かなど、人間の定義など。 問いに困惑し答えが見つからず模索するさやかを尻目に、ネウロはしかしその様子に満足げな表情を浮かべた。 「それだ、サヤカよ。人間とは自身が分からないこと、出来ない事に対して、必死に努力できる。強い向上心と、そしてそれを成し遂げられる強い意志を持っている。 それこそが我が輩の食料、謎を生み出す原料であり、魔人に無い、人間の利点だ」 「そんな、でもだからって……」 「……何度も言う様に、我が輩は魔人だ、魔界の住人だ。魔人は生まれついて身体能力や頭脳に大きな個体差が生じる。 故に努力を早々に諦め、上には敵わないと悲観し続ける人生を送る。だが人間は違う、個体差などたかが人生の千分の一、或いは万分の一にも満たぬ程度の努力でたやすく覆る。だから人間は面白いのだ」 思わず熱く語るネウロに、さやかは言葉を継げない。 物理的に口を挟む瞬間が無いのではない。 ただ純粋に、ネウロの、魔人なる存在の語る“人間"について、何も自分が付け加える事も、批判する事も出来ないのである。 「故にサヤカよ、怪盗サイは人間であり──、そして同時にお前も、人間なのだ」 「な……、でも私は──」 「異論は認めぬぞ、サヤカ。一体何が人間でないというのだ、悪を倒さんと努力が出来、外道に怒る事が出来、他者の為に悲しむ事が出来る。どれも我が輩の見た、“人間”そのものだ」 言葉が、出なかった。 私が……人間? そんな筈無い、だって……だって、こんな体なんだよ? 魂は小さい石ころになっちゃったし、痛みだって消しちゃえる。 こんな私が……人間? 俯き思考するさやかを構うことなく、ネウロはまたも笑う。 サディスティックないつもの笑みでなく──例えるなら小動物を見守る様な──どこか喜びのこもった、笑みを。 「悩め、サヤカよ。そうしてあのどうにも役に立たぬだろうと見限っていた我が奴隷は、我が輩が目を見張るほどに成長して見せた。 貴様はヤコともサイとも違うが……しかし確かに人間だ、我が輩が保証してやろう」 「そんな事……」 「悩め、そして自分で納得の出来る答えを見つけられる様、望む自分になれる様努力をするが良い。そうして努力し奮闘する姿、見ていて実に好ましい。 我が輩を驚かせてみろ、サヤカ。貴様は、人間は確かに、それができる可能性を秘めている」 我が輩からは以上だ、と言い残して、ネウロはそのままクルリと背を向けた。 さやかに色々言うだけ言っておいて後はほっぽらかしである、文句の一つでも言いたい気分だ。 だがそんな気持ちがすぐに消え失せるほど、ネウロに言われた言葉は衝撃であった。 人間とはなんぞやなどと、哲学めいた問いは、当たり前ながらさやかは一度も自身に問うた事が無かったのだ。 この体になった時点で、他の、“普通の”人間と異なった時点で、自身は人間ではないのだとそう漠然と思っていたのである。 だがネウロにああ言われた瞬間、その反論は露と消えてしまった。 魔法少女だとか元人間の死人だとかではなく、生まれついての、完全な“人ならざるもの”から見れば、自身もまだ人間だという。 自分は果たして未だ人間なのか。だが少しでも人間と異なってしまったと後ろめたい感情を抱いた時点で、自分は人間だと胸を張れないのではないだろうか。 いや或いはこうして悩み答えを模索する行為それこそがネウロの定義する“人間”ではないのか。 またも頭を痛める彼女だが、そんな彼女を横目に、ただひたすら二人のやりとりを見ていた克己は、思考する。 (よりよい自分になる為に、努力する事が出来るのが人間、か……) 先程のネウロの言葉の中に幾度と無く出てきた、努力という単語。 それを考えるなら、果たして自分は人間であると言えるのだろうか。 確かに自分は明日を目指して生きている。 しかしそれは自分でも分かっている程にただの足掻きであり、運命への無駄な抵抗だ。 明日新しい何かを探したいだとか自身の可能性を追い求めるだとかの努力は、当の昔に置いてきた。 それだけでなく、今も確実に、自分から大切な何かが消えていく気がするのだ。 この徐々に消え行く記憶が、自身の最後の足掻きすら奪った場合、自分は問うまでもなくただの化け物へと成り果てる。 段々と確実に心が化け物になっていく存在を、人間であると胸を張って言える筈も無かった。 だが、と克己はふと思う。 これを口に出せば、きっとさやかは言うのだろう──お袋の様に──お前は人間だ、と。 自分自身、まだ自分が化け物に成り果てたと言うつもりは無い、最後の瞬間まで、残った“人間”に縋らせてもらう。 だが、何故か思うのである。さやかと自分には、超えようの無い人間と化け物の壁があると。 (さやか、もし、もし俺が正真正銘化け物になったなら、その時はお前に──) その思いは、未だ頭を痛める少女には、届かなかった。 ◆ さやか、克己の両者から少し離れた地点で、アンク、ネウロの二人は壁に背中を預けていた。 元々疲労の大きい二人だ、休める内は少しでも休んでおきたい気持ちが強いのだろう。 そんな中、アンクは笑い飛ばす様に口を開いた。 「ハッ、人間だどうだ……下らないな」 「そういえば貴様も生まれついての“化け物”だったか、アンク」 「フン、自分が化け物だろうと人間だろうと興味は無い」 アンクの言葉には嘘は含まれていない。 ただ、彼は命に興味があるだけなのだ、それさえあれば自分が人間だろうと魔人だろうと全く関係ないと、彼は考えているのである。 「そういえば、あの女に随分と入れ込んでる様だが……、魔女については教えなくていいのか?」 「……何故我が輩が知っていると?」 「杏子のソウルジェムを随分熱心に見てたんでなぁ」 先の弥子のデイパックを受け取った後一応他のものも目認はしていた。 その時確かに魔界の障気の詰まったビンと同じくらいにその赤い石の事も目に留めていた。 だがそれを含めてもデイパックを見たのは時間にして二秒。 その中で自分の目先を追えるとは──。 「なるほど、流石の鳥目、という奴か、だが貴様は勘違いしている。我が輩がサヤカにショックを与えない為に魔女化の事実を話さなかったと思っているな?」 「……」 沈黙。 肯定なのかはともかくネウロは続ける。 「我が輩は俗に言うドSだ、だが我が輩遊べる玩具は長く遊ぶ趣味でな、一気に負荷を掛けて玩具を壊す趣味は無い。 元々不安定なサヤカの心を適度に痛めつけ、それが治って前より強くなればまたギリギリの負荷をかける」 「ハッ、あいつの心はどこまで行っても魔女の真実には耐えられないと思うがな」 「なれば所詮そこまでだった、という事だ。我が輩とて壊れた玩具で遊ぶ趣味は無い。だが、人間としての在り方をああまで考えるのはサイ以来だ、実に興味深い」 またもどこか嬉しげに笑ったネウロは続ける。 「もちろん我が輩が無理に負荷をかけるまでもなくこの場では様々な負荷が心にかかるだろう、魔女化についても、案外早く知る事になるかもしれん、その時に奴の心が壊れても……我が輩の知ったところではないがな」 冷たい言葉、だがその表情には一体どうなるのかという様な期待が浮かんでいた。 期待していなかったが故に自然の流れに任せ結果長期的な成長を見せた弥子。 彼女の成長も目を見張るものがあったが、この場で流れに任せているわけにも行かない。 成長を望めると考えたさやかには、多少強引だろうが負荷をかけ、その進化が見たい。 そうネウロが考えてしまうほど、今のさやかは可能性に溢れていた。 「フン、まぁあの女がどうなろうと、俺には関係ない、それより──」 アンクが言うより早く、ネウロはデイパックより杏子のソウルジェムを取り出す。 その表情を見て、アンクはまたニヤリと笑って、しかし瞬時にそれを止めた。 「見て分かったとは思うが、このソウルジェムは少し黒ずんでる」 「フム、時間経過でほんの少しずつ黒ずんでいってる、と言いたいのだろう?」 「……フン、お前も中々の目をしてるらしい」 そう、そのソウルジェムは、ほんの少し、ほんの少しだが、杏子が死んだその時より、ネウロが確認したその時より、黒ずんでいる。 ネウロが先程目を奪われたのは、正にその少し黒ずむ瞬間を見てしまったからに他ならない。 そして、ソウルジェムが少しずつでも黒ずんでいくというのは何を意味するかといえば──。 「問題は、魔女がこの状況で現れるのか、だな」 そう一番大きな問題はそれである。 杏子の意識がソウルジェムの中で目覚め、この状況に絶望して行っているのか、或いはメダルの供給が無い故に時間経過で黒くなっているのかは分からないが──。 しかし現状確かにソウルジェムが黒ずんで行っているというのは事実であった。 そしてそれだけならともかく、ソウルジェムが完全に黒に染まったとき、現れる魔女が、この場でどう扱われるのか、それが頭を悩ます要因なのである。 「魔女が出現するのにもやはり相応のメダルが必要なのか、あるいは魔女だけは特別扱いで時間経過で無条件に出現するのか……」 「どっちにしろ、杏子は戦力になる。完全に黒に染まるその瞬間まで、これは割らないでおきたい。 ……それに何より、試してみたい事もあるしな」 「フム、首輪無しで蘇生することが出来るのか、出来た場合メダルの制限等はどうなるのか、か」 そう、この場には、ネウロの様な特殊な状況を除いても、通常の生命活動に必要不可欠な部分、首を落としてもそのあとに蘇生する事の出来る存在が、それこそわんさかといる。 魔法少女もその一例だが……、何より、本体が一枚のコアであるとも言えるグリードもその一つなのだ。 もしも首輪を無くしてメダルシステムの呪縛から解き放たれるなら、出来る奴は望んでやるべきだといえる。 しかしそもそもの話、この場そのものにメダルシステムを使用しないと能力を行使できない様な制限がかかっていた場合はこの限りではない。 寧ろメダルが首輪から供給されず、常にメダル残数0の状況を強いられるのである。 これでは生き返り損である。 故に、杏子という身近にある存在を用いて、一度試してみたいのだ、首輪が無い場合に、参加者の扱いは一体どうなるのか。 制限がなくなりより強い味方になるならそれでよし、メダルシステムの弊害で何もできない一般人に成り下がるなら──。 首輪が再度調達できるまで、残念だがまたソウルジェムの中で眠っていてもらうしかあるまい。 冷酷な判断だが利己的に生きるグリードらしい判断である。 だが一方でこの作戦はハイリスクハイリターン、つまり当たればおいしい作戦とも言える。 杏子がこの場にいて選択の余地を与えたならば、きっと迷わずこの作戦を実行しただろうことを付記しておく。 それをも踏まえてアンクがこの作戦を考えたかは、本人に聞いても確かなところは出ないだろうが。 「だが、貴様も分かっての通り、サヤカは頼れまい?」 現状、一番身近にいる、強力な回復能力を持つ参加者である、さやか。 彼女の力を使って杏子を治すのは、メダルが足りないのはもちろん、本人の強い拒絶があった為に選択肢から外されていた。 それでも彼女がソウルジェムを割ろうと強く主張しないのは、アンクより聞いた杏子のこの場でのスタンスが、主張が、自身の想像しているものとあまりに異なっていたからである。 飄々と、何のことも無いように人の命を見捨てる彼女と同一人物と思えないほど、聞いた限りのこの場での杏子の行動は余りに見返りを求めておらず。 ……まさに彼女が否定した、巴マミのような“正義の魔法少女"然した行動といえる。 そして彼女の最後も、アンクと弥子を逃がすために青年に変装したサイと戦い、敗北し箱詰めにして殺されるという、何とも酷たらしいものであったこと。 それが、サイに対し怒りを抱いていた現状、さやかに杏子への少しの同情を生んでいたのも、その一因である。 しかし、さやかは自分の見た彼女の冷酷さを、彼女に与えられた痛みを、彼女自身の憧れる先輩への侮辱を、断じて忘れるつもりは無い。 それにこの場での行動もアンク達をだまし、サイと組もうとしたところで交渉が決裂し、死んだだけなのかもしれないと現在も疑っているのである。 これらの理由から何時でも破壊できるソウルジェムを所持することは構わないが、杏子の回復は率先しては御免だ、という彼女のスタンスが成ったのであった。 「あぁ、杏子からあいつへは随分ご執心な様子だったが、さやかからはそうでも無かったらしい」 「……本当にそれだけだと思うか?」 だがここで疑問が浮かぶ。 アンクが杏子から聞いた話によれば、随分と杏子はさやかに入れ込んでおり、この場でも一番と言っていいほど心配していた。 無論、さやかも言っていたように双方のファーストコンタクトの印象が最悪だったとも、杏子は言っていたが、果たしてそれだけの理由で、双方の相手への考えが、ここまで異なるものだろうか。 「我が輩、何度も言うが人間ではないのでな、人間の感情の些細な機微はよくわからん。だが──」 「そんなお前を以てして、この二人の感情の行き違いは無視できない、と」 ネウロは何を言うでも無く沈黙で肯定する。 実際の所、アンクも、今までにもこの場に来てから幾つか違和感を感じる瞬間を経験している。 そもそも片割れの自分が未だ生きていることや、映司の攻撃的すぎる自分への態度。──これに関してはアンクとて唐突すぎたが故違和を感じたが、将来的にそうなる事には何も感じていないが──。 そして、他でもない現在会話しているネウロの話にも、アンクは少し違和感を覚えた。 中でも特に大きい差異は、弥子の話ではサイは未だ逃げ回り続け世間を騒がす怪物の筈が、ネウロの話ではシックスなる謎の人物にその身柄を拘束され、長いこと経つのだと言う事だ。 これや、さやかと杏子の感情の行き違い、これらを踏まえて導き出されるのは──。 「やはり、連れてこられている瞬間が異なっていると考えるのが普通か」 参加者毎に、連れてこられた時間軸に差が生じていると考えるのが、妥当だろう。 「そうだとすれば、真木の奴、厄介なことになってやがるな」 「あぁ、だが関係ない。奴が時間を自在に操れるとしても、そのどれの時間軸でも、我が輩は奴を砕くまで」 ふざける様子も無く言いきったネウロに、アンクは何が気に入らなかったか鼻で笑い飛ばす。 それを気にする様子も無しに、問題は山積みだな、としかしどこか楽しそうな表情を浮かべるネウロは言葉を続ける。 「取り敢えず、今の段階でこれに気づけたのは大きい。これの対策は後々じっくり考えるとして……」 「あぁ、今はともかく、行動、だな」 もう充分といわんばかりに壁から体を離した両者は、そのまま克己たちの元へ歩きだす。 今後の方針を、考える為に。 ◆ 四人は、今後の方針について語り合っていた。 ネウロとしては障気を一旦吸えた為、メダル消費が落ち着き、腰を据えて話し合う時間が出来た今のうちに今後について大まかにでも決めておきたかったのだ。 何気なく自分の行きたい方向を話しつつ、ネウロはその裏で思考する。 (アンク……頭も回るが何よりも……、グリードであり多量のメダルを持っている、か) 彼が思考するのは先程も話していたアンクの事。 会話していて思ったが、彼はかなり頭が切れる。それこそネウロも油断ならぬ程に。 だが彼がそれ以上に思うのは、彼の体が結局メダルで構成されている、という事である。 (現状は裏切る理由もないから我が輩に楯突く意味はないと分かっているだろうが……しかしいつかは対処せねばならぬな) ネウロが危惧しているのは、彼のスタンスである。 彼は対主催か、殺し合いに乗っているのか、と問うた際、こう答えた。 負けるつもりは無い、と。 先程確認して思ったが、間違いない、彼の首輪の赤に金の丸印がついているのは、リーダーの証だろう。 彼は自分の持っているメダルの詳細を語ろうとはしなかったが、恐らく現状赤系のメダルを一番多く持っているのはこのアンクであるという自分の推理は、間違っていないはずだ。 そしてここで彼のスタンスが問題となってくる。 現赤リーダーが負ける気はない、と言っているのだ。 リーダーでないなら死にたくない、程度の意味で済むが、自分の陣営について負けたくないなどと言うならば、積極的に殺し合いには乗らないだけで、先を見据えればゲームに乗る可能性を秘めているといえる。 もしもこの男が敵に回ったならば、その時は自分も頭脳面で裏をかかれぬ様油断は出来ない。 頭脳対決、という面で言えば、彼が地上に来てから最強の敵になりうる可能性が確かにあるのである。 (それに何より……、こいつの体は大量のセルとコアのメダルで出来ている。非常食、というわけには行かないだろうが、戦力増強の際に選択肢の一つとして捉えておく必要があるか) そう、何よりも、彼の体を構成しているセルメダルと、コアメダル。 それを手にする事が出来れば、当たり前だが自身の戦力はこれ以上無く増大し、メダル切れの心配は、長い事せずに済むのである。 故に場合によっては卑怯と罵られようと彼はアンクを殺しメダルを補充する算段を立てていた。 現に、ネウロの首輪の中にあるコンドルメダル。 それはアンクのものであるとネウロは分かっているが、アンクに易々と渡すつもりは無い。 敵になりうるかもしれない存在の戦力を増やす様な愚策を、彼が簡単に取るわけも無かった。 (アンクよ、我が輩貴様にも進化の可能性を見いだしているのだ、あまりがっかりさせる様な結果には、ならない事を祈るぞ……) そんな自分勝手な思考を重ねるネウロの横で。 (とでも、やはりネウロは考えているだろうな……、俺は一体どうするか……) と、思考するのは克己である。 彼もまた、今のアンクの不安定なスタンスに頼って仲間だ何だとのたまうつもりは無い。 ネウロが自分と同じようにアンクのメダルを補給源として考えるだろう事まで、予想済みである。 問題は、自分はその状況が訪れた際、どうするか、である。 自身もさやかも、どちらかといえばメダルを食う性質(タチ)である。 このまま時間経過でメダルが切れ死ぬなどというのは勘弁願いたい。 だが、だからといって弥子の死に複雑な表情を見せていたアンクをただのメダルの塊として殺せるほど、克己は悪魔ではなかったのである。 理想としては、なるべく殺したくはない。 だがそれで自分が死ぬなどというのは論外だ、未だ自分は何も成し遂げていない、何も残せていない。 そんな現状で死ぬのだけは、克己は絶対に嫌だった。 (悪く思うなよ、アンク。グリードとしてこの場に呼ばれた以上、今のお前の体は魅力が多すぎる) 苦しいながら自分を納得させる様な考えを抱いた克己の正面で。 (……とでも、こいつらは考えてるんだろうが、そう簡単に殺されてたまるか) 思考するのはアンクである。 こいつらが、正確にはさやか以外の二者が自分をメダルの補給源として捉えているだろう事は容易に想像がつく。 だが、アンクとて生き延びてやり遂げたい事があるのだ。 こいつらにどんな事情があるにせよ、自分の身に比べれば最早比べるまでもなかった。 (それに、俺の体はちょっと特殊でな……、他と違って“俺”は“右手だけ”なんだぜ) そう、それが今の状況でアンクの持ちうる最大の切り札。 ネウロは見たところ、人間の可能性をこれ以上無い程までに評価している。 なればそれを利用するまで。 自身の右手以外の体は、泉信吾というまるっきりの人間である。 無論、メダルが同化しつつある現状まるっきりとは言い切れないかもしれないが、それでもメダルの塊である自分などよりはよっぽど人間であり、ネウロの言う人間の定義に当てはまるだろう。 (もちろんこれはその時まで教えないがな……、色々考えてるのがお前らだけだと思わない事だ) 簡単に消えてたまるか。 その一心で周りの人間への殺意を見抜かれない様に三者が抱く中で。 彼女だけは、美樹さやかだけは、純粋に周りの人間を仲間と信じていた。 いや、正確に言えば、それを考えるより大事な事を考えているために、そこまで考えが回っていないのかもしれないが。 (私が人間……、でもそれでも今の私が、恭介に胸を張って人間として想いを伝えられる?) 相も変わらず彼女の悩みの種は先程のネウロの言葉であった。 自身を人間として認めると言い切ったネウロ。 その言葉に甘えたいのは山々だが、しかしそれで自分に納得が出来るかといえば、それは話が違うのである。 (それに佐倉杏子も……、私が戦ったあんたと、ここにいるあんたは別人だって言うの……?) アンクが語った、佐倉杏子の活躍。 それを語る彼の顔はどこか不機嫌そうだったが、その話の中身に嘘は感じられなかった。 彼の言うように、自身が見た彼女とこの場にいる彼女が別人のような性格で、自身の尊敬する魔法少女である巴マミと同じように正義を信じているのなら、協力したい。 だが、それでも。 そのマミの死を嘲笑うような言葉を吐いた彼女を、さやかはすぐに許すことは出来ず。 例えそれが、姿と語った名前だけが同じの全くの別人だったとしても、彼女には、まだそこまで杏子のことを信頼できなかったのであった。 悩み、答えを探す努力こそ人間だとネウロは言った。だがさやかには、幾ら探してもこれらの疑問に対しての答えが見つかる気がしなかった。 (私は、私の答えは──) 彼女の中の日付は、未だ変わらず。 むしろやっと秒針が動き出した段階であった。 ◆ 「フム、これで大体の事は話し終わったか、では行くぞ」 と、四者四様の思考を済ませ、表面上滞り無く進んだ会話が一段落し、彼らはすくと立ち上がった。 少し遅れてさやかが立ち上がりそれに続く。 答えが見つからずとも、少なくとも今ただ立ち止まっているわけには行かない。 少しでも、ちょっとずつでも、歩きださなくては。 と、そこで、かねてより気になっていた疑問が、ふとさやかの口をついた。 「ね、ねぇ、ネウロ」 「ム、何だサヤカよ」 「あのさ、あんたって魔人の素性で出来るだけ隠しておきたかったんじゃないの?何で私たちには最初からオープンなのさ」 今まで聞くタイミングも無かった上、それ以上の問題に悩んでいた為切り出せなかったその疑問を、今さやかはやっと口にしたのであった。 「フム、大した理由は無い。こうして首輪をつけられ我が輩の能力に制限を掛けられ、ヤコも死んだ現状だ。元の世界と違いのんびりと自分を偽るほどの暇が無くなったというだけの事」 我が輩には時間がないのだ、と小声で付け足してネウロは未だ治りきらない箇所の傷をさする。 現状のメダル総数の関係か、或いは自身の体そのものが地上に対応しきれなくなっているのか、──或いはヤコの命の炎だけでは、魔人の体には足りなかったのか。 どちらにせよ、ネウロに残された時間はあまりない。 主催を倒すまで持つかどうか……、持ったとして、その後また弥子の後続の探偵を探しその助手として活動するには、自身は有名になりすぎてしまったのもあり、もうそこまでの時間は残されていないのだ。 究極の謎が無くなるかもしれないのは非常に、非常に残念だが、しかしこの場で自分の素姓を隠してのんびりやっていれば即ち死に直結すると、そう判断したのである。 (覚悟しろ、真木よ、我が輩はこれから貴様を倒すのに全力をかける。魔人を、我が輩を本気にさせた罪、しかと思い知るが良い) 故に、全力だ。 この事件を最後に自分の魔力が枯れはてようと、信頼が出来ない人間に自身の正体がばれようと、真木が何の謎も持たないと分かったとしても。 最早関係ないのだ、彼は今、真木を倒す為だけに全力を尽くす。 それが、ネウロの、覚悟だった。 「そ、そうなんだ」 凄味のこもったその言葉に、さやかは思わず怯む。 しかし決して面白半分に言ったわけではない彼に対し、さやかは心強さを覚える。 本気になった魔人が、味方になった。これが心強くなくて何だというのか。 「質問はないな?……では、行くぞ」 濃くなりつつある闇に、一歩進む。 その闇は深く最早先は見えなくなりつつあり──。 しかし彼ら彼女らの歩く先には、確かな光明が差していた。 【一日目 真夜中】 【E-4 道路】 【アンク@仮面ライダーOOO】 【所属】赤・リーダー 【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、覚悟、仮面ライダーへの嫌悪感 【首輪】130枚:0枚 【コア】タカ(感情A)、クジャク:1、コンドル:2、カンガルー:1(放送まで使用不可) 【装備】シュラウドマグナム+ボムメモリ@仮面ライダーW 【道具】基本支給品×5(その中からパン二つなし)、ケータッチ@仮面ライダーディケイド 大量の缶詰@現実、地の石@仮面ライダーディケイド、T2ジョーカーメモリ@仮面ライダーW、不明支給品1~2 【思考・状況】 基本:映司と決着を付ける。その後、赤陣営を優勝させる。 1.優勝はするつもりだが、殺し合いにはやや否定的。 2.もう一人のアンクのメダルを回収する。 3.すぐに命を投げ出す「仮面ライダー」が不愉快。 4. サイへの殺意、次に会ったときは容赦しない。 5.ネウロ、克己への警戒、簡単には殺されない。 6. 杏子を復活させられる人材とメダルを準備したい。 【備考】 ※本編第45話、他のグリード達にメダルを与えた直後からの参戦 ※翔太郎とアストレアを殺害したのを映司と勘違いしています。 ※コアメダルは全て「泉信吾の肉体」に取り込んでいます。 ※ネウロ達の考えに薄々勘づいています。その時が来たら自分の右腕以外の体は実際は人間である事を示し覚悟を鈍らせようと考えています。 ※映司関連の内容も話したはずですが、上記の翔太郎、アストレアについての考察、及びプトティラの暴走について話したのか、そもそもどのような関係だと話したのかは後続の方におまかせします。 ※参加者毎に参戦時期の差異が生じることに気づきました。佐倉杏子と美樹さやか、桂木弥子と脳噛ネウロには確実に発生していると考えています。自身と映司に関してはどう考えているか不明です。 【大道克己@仮面ライダーW】 【所属】無 【状態】健康 【首輪】15枚 0枚 【コア】ワニ 【装備】T2エターナルメモリ+ロストドライバー+T2ユニコーンメモリ@仮面ライダーW、 【道具】基本支給品、NEVERのレザージャケット×?-3@仮面ライダーW 、カンドロイド数種@仮面ライダーオーズ 【思考・状況】 基本:主催を打倒し、出来る限り多くの参加者を解放する。 1.さやかが欲しい。その為にも心身ともに鍛えてやる。 2.T2を任せられる程にさやかが心身共に強くなったなら、ユニコーンのメモリを返してやる。 3.T2ガイアメモリは不用意に人の手に渡す訳にはいかない。 4.財団Xの男(加頭)とはいつか決着をつける 5.園咲冴子はいつか潰す。 6.人間……か。 7.悪く思うなよ、アンク。俺も簡単にくたばるわけにはいかない。 【備考】 ※参戦時期はRETURNS中、ユートピア・ドーパント撃破直後です。 ※回復には酵素の代わりにメダルを消費します。 ※『仮面ライダー』という名をライダーベルト(ガタック)の説明書から知りました。ただしエターナルが仮面ライダーかどうかは分かっていません。 また、『仮面ライダー』であるオーズやダブルのことをアンクから聞いたのか、また聞いていた場合それについてどう感じたのかは不明です。 ※魔法少女、グリード、ネウロ関係に関する知識を得ました。 ※さやかの事を気に掛けています。 ※加頭順の名前を知りません。ただ姿を見たり、声を聞けば分かります。 ※制限については第81話の「Kの戦い/閉ざされる理想郷」に続く四連作を参照。 ※アンクをメダル補給の為に殺す事に躊躇しています、がこの場において有効な戦術である事が否定しきれない為その時が来たら感情を殺すつもりです。 ※アンク、ネウロが魔女について知っている事は知りません。 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 【所属】無 【状態】健康 【首輪】10枚 0枚 【コア】シャチ(放送まで使用不可) 【装備】ソウルジェム(さやか)@魔法少女まどか☆マギカ、NEVERのレザージャケット@仮面ライダーW、ライダーベルト(ガタック)@仮面ライダーディケイド 【道具】基本支給品、克己のハーモニカ@仮面ライダーW 【思考・状況】 基本:正義の魔法少女として悪を倒す。 1.人間……って何なの?私は人間?それとも……? 2.克己達と協力して悪を倒してゆく。 3.克己やガタックゼクターが教えてくれた正義を忘れない。 4.T2ガイアメモリは不用意に人の手に渡してはならない。 5.財団Xの男(加頭)とはいつか決着をつける 6.マミさんと共に戦いたい。まどかは遭遇次第保護。 7.少なくとも、暁美ほむらとは戦わなければならない。佐倉杏子は……? 8.怪盗サイへの強い怒り。ヒーローを何だと思って……! 9. 佐倉杏子、あんたは一体……? 【備考】 ※参戦時期はキュゥべえから魔法少女のからくりを聞いた直後です。 ※ソウルジェムがこの場で濁るのか、また濁っている際はどの程度濁っているのかは不明です。 ※回復にはソウルジェムの穢れの代わりにメダルを消費します。 ※NEVER、グリード、ネウロ関係に関する知識を得ました。 ※アンク、ネウロが魔女について知っている事は知りません。 ※佐倉杏子の、アンクから伝え聞いたこの場での活躍と、自身の見た佐倉杏子の差異に困惑しています。 【脳噛ネウロ@魔人探偵脳噛ネウロ】 【所属】黄 【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、右肩に銃創(治りかけ)、右手の平に傷(治りかけ)、悲しみ? 本気、新品同然の服 【首輪】40枚:0枚 【コア】コンドル:1(放送まで使用不可) 【装備】魔界777ツ能力@魔人探偵脳噛ネウロ、魔帝7ツ兵器@魔人探偵脳噛ネウロ 【道具】基本支給品一式、弥子のデイパック 【思考・状況】 基本:真木の「謎」を味わい尽くす……がお仕置きの方が先だな。 1.さやかに興味、悩め人間よ。 2.怪盗サイに今度会ったときはお望みどおり“お仕置き”してやる。 3.アンクをメダル補充の為殺す準備も必要……か。 4. 佐倉杏子を復活させられる人材とメダルを準備したい。 【備考】 ※DR戦後からの参戦。 ※ノブナガ、キュゥべえ、アンク、克己、さやかと情報交換をしました。魔法少女の真実を知っています。 ※魔界777ツ能力、魔帝7ツ兵器は他人に支給されたもの以外は使用できます。しかし、魔界777ツ能力は一つにつき一度しか使用できません。 現在「妖謡・魔」「激痛の翼」「透け透けの鎧」「醜い姿見」「禁断の退屈」を使用しました。 ※制限に関しては第84話の「絞【ちっそく】」を参照。 ※弥子のデイパックには以下の支給品が入っています。 「基本支給品一式、桂木弥子の携帯電話+あかねちゃん@魔人探偵脳噛ネウロ、ソウルジェム(杏子)※黒ずみ進行度(中)@魔法少女まどか☆マギカ、 衛宮切嗣の試薬@Fate/Zero、赤い箱(佐倉杏子)」 なお、現在あかねちゃんは通常通り動いています。 ※杏子のソウルジェムがほんの少しずつ濁っている模様です。進行のタイミングや、杏子の精神が目覚めて絶望しているのか、この場での制限か何かなのかは現状不明です。また、濁り切ったとき魔女が現れるのか、現れるとしてメダルが必要なのかは不明です。 ※魔界の障気の詰まった瓶@魔人探偵脳噛ネウロは空になったので捨てました。また、その障気を吸った為体の維持コストもリセットされました。 ※体の維持が少しずつ困難になってきています。メダルの枚数の為なのか、最早メダル関係無しに体が限界なのか、弥子の命の炎ではネウロの体にパワー不足が生じているのかは不明です。 ※現状魔人としての素姓を隠すつもりはありません。能力がばれようが何だろうが、この殺し合いを潰す為の努力は惜しみません。 ※コンドルメダルはアンクだけでなくここにいる全員に秘匿中です。 ※アンクが赤陣営リーダーだと睨んでいます。 ※服装は民家からパクッ……借りて返さないものに着替えました。 ※参加者毎に参戦時期の差異が生じることに気づきました。佐倉杏子と美樹さやか、桂木弥子と自身には確実に発生していると考えています。アンクから聞いた映司の情報によってはノブナガと映司にはそれ以上のものが発生していると気付いているかもしれません。 【全体備考】 ワイルドタイガーに変装し弥子を殺害したのがサイだと知りました。 今後どこに向かうのかは後続の方にお任せします。二手に別れるのか、四人で行動するのかも不明です。 130 明日のパンツと再起と差し伸べる手(前編) 投下順 132 電脳亡霊のメッセンジャー 時系列順 121 死【ろすと】 アンク 140 sing my song for you~青空の破片 大道克己 美樹さやか 脳噛ネウロ
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A warm place, Floats. AnamotazuNo.104 felt was such a sensation. Fluffy, swaying. The comfortable, and gentle, The feeling of being in such a place, No.104 has be reassured. Here would be where? she was anxious, so open the eyes. But, the visual was not reflecting anything. There was a dark. Though it is definitely dark, however, she in the back of the darkness, feel the shadow of someone, she, Reaching. Reaching. Reaching. Reaching. +++ 「はっ」 手を。伸ばしているポーズで、あたし、穴持たず104は起き上がった。 ぱちくりぱちくり、あたりをきょろきょろ、数拍休符、深呼吸して、そこがベッドの上だと確認して、 「ゆ、夢!? ね、寝てました!? 寝てましですした!?」 とびっくりして叫んだ。びっくりしすぎて言葉がおかしくなった。 いやいやちょっと、ありえない――ありえなさすぎる。 もとより戦い向けに調整された生物である穴持たずには、生物としての穴がない。 それは穴を持たずとも生きていける、「睡眠が必要ない」という意味でもある。 よほど無茶な肉体酷使をするか、生命の危機にでもなるか、 あるいは自発的に睡眠の選択肢をとらないかぎり、「穴持たず」は寝なくても生きていけるのだ。 なのに夢を見ていた? なのに、シーナーさんから診療所を任される大任を負ったはずのあたしは、 どうしてか知らないが今の今まで寝てしまっていた? まずい。 「まずい!」 というかなんで!? 「なんでです~!?」 「おお、起きたかね、天使(104)ちゃん」 狼狽していると左後ろから声がかかった。振り向くと、車いすに乗った老ヒグマがいた。 ベージュ老さんだ。 「あっ、ベージュ老さん!」 「どうやら元気はあるようじゃな、良かった良かった。倒れたときはどうしようかと思ったよ」 ベージュ老さんはNo.88。あたしより若い番号だけれど、そういうレベルじゃなくお年を召していらっしゃる。 というのもNo.81のヤイコちゃんの逆で、遺伝子配列に狂いが起きて加速度的に年を取っているのだ。 シーナーさんたちが作った初期のヒグマはこんな感じで、 穴持たずではあるけどちょっとどこかが尖ってたりどこかが削れてたりすることがわりとある。 200番台までくると大分改善されて、最近ではもう手を加える必要がないくらい安定してるらしいけれど……。 あたしもその例に漏れず少々おっちょこちょいなところがあって、 「あの……どうしてあたし倒れてたんでしたっけ?」 「忘れたのかい? 帯電中のルークくんに間違えて素手で触ったんじゃよ」 「あー!」 倒れていた理由を思い出すのにこんなに時間がかかったり、そもそも倒れた理由もドジだったりした。 そうだった。運ばれてきたNo.201ルークくんの診察中に、間違えて彼の毛皮に触ってしまったのだ。 なんという失態だろうか……ヤスミン姉さんにものすごくどやされてしまいそうだ。 「って、あれ? ヤスミン姉さんは? それとルークくんたちもいない……?」 少し落ち着いたので改めてじっくり診療所の中を観察すると、ずいぶん閑散としていた。 診療所は三階建て。 一階は診察室で二階が治療室。三階がベッドが並ぶ安静所だ。 リフトを使ってベッドごと移動できるほか、ベッドにランプが付いていて、いま診療所に誰がいるかがすぐ分かる。 もともと穴持たずはすごく身体が丈夫なので、あんまりケガとか病気もしない。 いまあたしが寝ている安静所にも、ベッドは10個くらいしか置かれていない。 診察と軽い処置だけで済んでしまう場合がほとんどだからだ。 それでもクーデターをしたときの研究員さんとの戦いの影響で、 ベッドが全部埋まるくらいのケガ人が出ていたはずだけど……今はあたしの他には四匹しかいない。 その四匹も見たことがない患者だ。それに、居ますよランプのヤスミン姉さんの光が消えている。 ということは……基本的に診療所にいるはずのベージュ老さんに、恐る恐る尋ねる。 「その……ベージュ老さん、もしかして、ずいぶん時間、経ってます?」 「まあの。天使ちゃんは、だいたい十時間くらいは寝てたのう」 「ひえ~~~~ッ!!??」 「シーナーさんは相変わらず東奔西走しとるようじゃ。 ヤスミンちゃんは、診察周りに出かけたのが少し前じゃな。まだ帰ってこん。 ピースガーディアンはついさっき起き上がって、粘菌ログを見て勝手に出ていきおった」 「ひえ~~~~ッ!!?? めちゃくちゃ状況変わってるじゃないですかぁ!」 慌ててあたしは階段を下りて、一階へ。辺りを確認した後、壁の一角に向かう。 そこの壁には小窓があり、壁を一定のリズムで叩くと窓を通って、近くの白壁に規則ただしく苔が動いていく。 このヒグマ帝国の王を任されているキングさんの能力、粘菌通信のログを部屋の中から見れる仕組みだ。 窓があるところならどこでも使えるのだ。といっても窓がある建造物のほうが稀だけど。 「ええと……い、いかなる時もまずは周りを把握! 寝てる間にあったことは……」 チャットログのように粘菌のログを見てないぶんまで戻し、そこから送っていく。 個人宛てのもの以外はギリギリ、ログから消える前に見れそうだった。 「って――なにこれぇっ!?」 ≪以下、粘菌ログより全員宛ての電信から抜粋≫ 「反乱に乗じ40名弱の同胞クルーザーで脱走の模様、対応願います。サーチ」 「即時対応には至らず。後手の対応を考案中。計画の加速も考慮に入れます。キング」 「布束、ヤイコ、両名に無線LANの買い出しを任じ、クルーザーの使用を許可。シーナー」 「火山にて異変発生の模様、連絡エレベーターを調査します。サーチ」 「南7ラインに通路施工完了。地盤確認の後拡大施工の予定。ツルシイン」 「津波による下水管の調査が必要です。キング」 「連絡エレベーターは使用不可能の模様。津波で島は浸水。サーチ」 「津波に対応するため地上に向かう。サーチは、建築班に合流し下水漏れを精査せよ。シバ」 「ミズクマ姐さんを動かしました。キング」 「地底湖にて戦闘発生らしいです。私は動けないので、応援求。ハニー」 「北西地区の同胞200ほど解体場へ送られた模様。理解不能。求返信。サーチ」 「北、西の防水処置あらかた完了。津波被害軽微。東、南へ向かう。ツルシイン」 「間桐、田所とエンジン探査に向かう(安心せよ)。艦娘・龍田」 「龍田の武運を祈る。手すきの者は返信・協力せよ。キング」 「北方沿岸にてクルーザーの残骸を確認。サーチ」 「地底湖および工場は制圧完了。負傷者アリ、678は脱走。救護班要。シロクマ」 『地底湖に向かいます。起きたらログを確認しなさい。ヤスミン、宛てテンシ』 「沈没クルーザー600番台のパトロールヒグマで回収。シバ」 「678の建造艦むすが他にいないか上と下で精査します。サーチ」 「南東で落盤が発生した模様、向かいます。応援願います。クレイ」 「ガンダムさんがこちらに向かうクルーザーを遠目に確認した模様。到着はまだ。サーチ」 「南の畑に塩害。故意みたい。危害甚大、範囲を縮小して守る。クイーン」 ≪ログここまで≫ 膨大なログを読んで、あたしはもうなんというか完全に目が覚めた。 ざっと見た感じ重要なのをまとめただけでも、こんな感じになってしまった。 えっ、あたしが寝てる間に事件起こりすぎじゃないですか? 「脱走に火山に津波、地底湖で戦闘、住民200匹消失、エンジンにも異変?。 で、南東で落盤、あと塩害? ……え、ええと。ど、どこから突っ込めばいいんです?」 ちなみにあたしのところに来ていた個人通信はヤスミン姉さんからのものだけだった。 ええと……一応、見た感じ、起こった事件自体は網羅されてるようだけれど。 というかここに載ってるの以上になんか起きてたら、びびる。 「とりあえず、脱走者? は全員始末できたらしい、かな? クルーザーの残骸があるんだし……。 火山は何が起きたか分かんないけど、噴火とかだったら今頃あたし達生きてないだろうし、 中央エレベーターが使えなくなったってことは、上の実験の影響かなあ……」 「津波はこっちでも大分危惧しておったが、このぶんじゃと帝国は大丈夫だったようじゃの。 地底湖の戦闘も一区切り、外回りに出てたヤスミンちゃんがいま 負傷者の手当てに向かっているようじゃし、これ以上の被害は出んじゃろう。 住民の消失はなんじゃろうなあ……戦闘といい、艦これ勢に関係があるのかもしれんが……」 家から出ないと周りはどんどん変わっていくのお、これが世間に取り残されるってやつかの、 とベージュ老さんは笑う。うーん、そうとも言えるような言えないような。 「そういえば、ヤスミンちゃんが外回りに出るのと入れ違いで若いヒグマがたくさんのべっぴんな女の子を連れてきての」 「え?」 「この塔の屋上から病院への連絡路を通って、上に行ったんじゃ。何だったんじゃろあれ」 「なんかそれ、すっごく怪しくないです? ああもう、頭が痛い話だなぁ……。 南東の落盤ってのも怖いし……畑の塩害も、これ帝国ぐっちゃぐちゃですよ……むむむ」 「落盤のほうには、意識を取り戻したピースガーディアンが向かって行ったから安心じゃろうけどな」 「うーん、そうですかね~……」 ピースガーディアンといっても油断して気絶させられてた4匹だからなあ。 寝てる間にもヒグマ学習能力で能力には慣れていくんだろうけれど、侵入者とかに勝てるのかな? 自分が気絶してなければ、止めたと思う。 ていうかうん、あたしこんなときに気絶ってホントにダメだ……シーナーさんに怒られそうだなあ。 ところで、ハニーちゃんまで通信を使ってるのは驚きだけれど、なんだかあたしの知らない名前もある。 「あ。この、「サーチ」ってのと、「艦むす龍田」ってのはあたしが知らない名前。 とくに「サーチ」って子はけっこう四方八方に行動してる……のかな? 誰なんだろ」 「「艦娘龍田」はわしにもわからん。「サーチ」は、穴持たず314の若いヒグマじゃ。 警護班のパトロールヒグマの統括役で、シーナーさんが司波兄妹の監視のために抜擢したらしいんじゃが、 どうやら色んな事件の調査につきっきりで監視はできてないっぽいのう」 「うええ……司波さんたちは実質野放しかあ。いろいろと心配だな……特にお兄さんのほう」 司波兄弟の兄、司波達也(シバさん)はつい昨日ヒグマになったばかりだ。 その実力と研究力を、ヒグマ帝国に貢献していた美雪さんがアピールした結果、警護班の長を務めることになった。 実際にその能力は高くて警護班や街のヒグマからは人望(熊望?)を得ているけれど、 生まれたばかりであることには違いない。生まれたばかりのヒグマは、身体的には強靭だが、精神的には不安定。 特にシバさんは記憶も不安定だという話だし、医療班としてはしばらく入院してほしかったくらいなのだけれど。 「妹さんは「お兄さまなら大丈夫です」と言ってきかんかったからのう」 「その妹さんだって、カフェに関してはあたし、少し印象悪いですよ……有能なのは否定しませんけど」 「あの子はどうも、親族がらみのことに関しては辛いことでもあったみたいじゃな。 基本的に血のつながりがないヒグマには分かり得ないものを、心の奥に抱えてるように見えたわい」 「……家族愛、ってやつですか」 司波美雪の兄を語る時の表情は、少し寒気さえするものにあたしからは見えた。 血のつながった者に対する、太い思い。 ――確かに、あたしたちにはそれは一生分かり得ないものでもある。 あたしたちHIGUMAには母も、父もいない。 そして培養液から「しか」生まれる手段がないあたしたちは、母にも、父にもなれない。 穴持たずの名は、帰るべき場所――家族を持たないことからも付けられた名なのだ。 「家族、ねえ……まあ、逆に言えばあたしたち、 みんな兄弟のようなものでもあるわけだけれど。……。そういえば、さっき見た夢……」 家族について考えたあたしは、不意にさっき見た夢のことを思い出した。 寝る必要がないあたしが「夢」なんて見るのは初めてだったけれど。 確か、あたしは夢の中。 あったかい感覚に包まれて、なんだか気持ちよくて。 目を開いて、でもそこは何にも見えず、聞こえもしない暗闇で、……なのに。 夢の闇の奥に、何かを感じ取って。 あたし、手を伸ばした。 手を伸ばして。届いたような、気がした、それは。……。 「いや――ありえない、か」 なんだかそれは、「母のぬくもり」に似ていたような気が、したのだけれど。 そもそもどういうものかさえ分からないはずのものを感じるなんて、できるわけがない。 いくらなんでも気のせいだろう。 と。 その時、苔に淡い光が走った。 「あ、また新規の電報?」 ページ送りの合図を送って、あたしは新たなメッセージを読んだ。 ≪新規メッセージ≫ 「ヒカ゛シモウアンセ゛ン、クレイモモイニコウシ゛タクシホキュウス、シーナー」 東の安全は確保。 落盤の工事はカーペンターズのクレイさんとモモイさんに任せ、自分は補給に向かう。 あたしがそのメッセージを読み終えたのとほとんど同時に、窓の外から、声がした。 「……居ますか。……ジブリール」 それはあたしの名付け親、シーナーさんの疲れ切った声だった。 +++ 穴持たず47、シーナーは、相田マナの凄絶な治療を終えたあと、 足を止めることなく自らの管理下(ホーム)であるC-6のヒグマ診療所へ向かった。 理由は主に二つ。先の治療で失った体力の回復と、 動き始めた「彼の者」――モノクマに対抗するために仕込んでおいた布石の回収である。 ピース・ガーディアン。No.200~205までの6体は、対モノクマ用に帝国が調整したヒグマだ。 残像使いのポーンヒグマは「彼の者」が講じるあらゆる攻撃手段を無力化する。 悪性電波のルークヒグマは「彼の者」を構築するネットワークと機械を破壊する属性を持つ。 流動液体のビショップヒグマは大量の「彼の者」に対し守りの策を取る上で欠かせない。 躍動騎士のナイトヒグマは「彼の者」が計算できないアクロバティックな動きでそれらをサポートする。 キングヒグマの粘菌、そしてクイーンヒグマの能力も、対モノクマを想定に入れている。 研究所への反乱を促されたあのときからずっと、シーナーは備えていたのだ。 自分たちを利用して大きな絶望を生み出そうとする黒白の悪魔への、返す刀を。 ただ、リアル(現実)の機械に対する対処は、もちろん数が居れば良いが最悪キングが居ればよい。 今欲しいのは、ルークヒグマである。触れた相手に纏わりつき、信号を絶縁させるその力。 ネットワークで暴れる本体を刺すために、あえて攻撃と破壊に特化した「電気使い」を調整しただけはあり、 彼の力はシーナーの用意した中で最も江ノ島アルターエゴに刺さりうる切り札だった。 (代役として、ヤイコさんがいるにはいますが……彼女はオールマイティ型。 恐らくは我々を数段上回る彼女に対し、完全な絶縁破壊を行使することは難しいでしょう。 それに、無線LAN買い出しに向かってしまった可能性もあります。 ミズクマさんの報告では海食洞に居たのが最後ですが……思えばあの指示は失策でしたか) 実のところ。準備をしていることは予測していたものの、 まさか有冨殺害から十時間足らずでモノクマが事を起こすとは考えていなかったのが、彼の本音だ。 走りながら粘菌ログを確認し、畑の塩害の件を確認する。 実際に害を受けた畑のそばを走っているところだ。この攻撃もまた、知覚外にして予想外である。 早すぎるのだ。すべての行動が、あまりにも。 さらにログを遡る。 シバの不可解な動きも、遊ばせているだけで無害だと判断していたヒグマ提督の謀反に近い行動も、 ツルシインからの返答にあった「西の凶兆」も……。 今からして思えば一番最初の、反乱に乗じた四十数匹の脱走からか? すべてが疑わしく見えてきた。もはやアクシデントが多すぎてどれが仕込まれていたものなのか分からない。 モノクマの反乱への仕込みの周到さ、実行のタイミングの完璧さを、シーナーは認めざるを得なかった。 そして――故にこそ、考え直す必要があった。 彼女の歪んだ思想のその「歪み具合」をこそ、定義し直さねばならなかった。 (貴女は……そこに絶望さえ産みだせれば、自らの破滅すら望みの内だと言うのですか!!) シーナーが、いずれ裏切られると分かっていてモノクマの言葉に乗り、 不安定だと分かりきっているヒグマ帝国の建立に乗じたのは、イソマの言葉があったからだ。 実験でヒグマが勝利すれば、シーナーが望む「ヒグマの未来」に協力する。 ただし、実験で人間が勝利すれば、「勝利した人間の提案」に従う――。 と、この島にいるどの命よりも大きく絶対的な力を持つイソマがそう言ったから。 シーナーはあえてモノクマに乗った。 有冨がヒグマを当て馬として作った以上、有冨が主催である限りヒグマに未来はない。 シーナーから見てもっともヒグマを勝利に近づける方法は、 自らがヒグマvs人類の壮大な陣地取りゲームのプレイヤーになることだ、というのが彼の答えだった。 全ては生存のために。自らと出自を同じくするHIGUMAのために、 シーナーは生みの親を殺す選択肢を取ったのだ。 そしてその選択肢を薦めてきたモノクマは、少なくとも人間の勝利を望んでいるわけではないのだと。 実験が終わるまではこちらに本格的には牙を向いてこないのではないかと、思っていた。 (しかし。貴女にとっては、人間もヒグマも、自身さえ! 平等に絶望の素材でしかなかった……! あなたの勝利条件は、この島の全ての魂を絶望させること、だったのですね……!!) ――この実験の、ヒグマ側の勝利条件は単純だ。 ただ1つ。 “島の中の参加者を、すべて殺害してみせること”。それだけである。 それだけでイソマを動かすことが出来、以降のどんな障害も、ものともしないだろう。 ただし、イソマは希望を願った当人であるシーナーおよび実効支配者が参加者の殺害に参加することを完全に禁じている。 帝国からの戦力追加自体も固く制限されている。 このルールを潜り抜けられる帝国側の人材は、グリズリーマザーと、灰色熊。 ヒグマではない艦むすやモノクマ、カーズ様。そして――元々参加者として登録されていたシバのみだ。 シバの存在と艦むすの製造を受け入れ、モノクマ派を黙認していたのには、この意味もある。 とくにシバは、参加者を殺せる帝国のヒグマとしては最強。正真正銘の最後の切り札として持っていなければならなかった。 首輪が正しく機能していれば、参加者は残り30人を切っているはずだ。 そして機能していなくとも、“首輪を外した”次点で“参加者としては死んでいる”。 言ってしまえばこちらが首輪反応を確認できるうちに、 「全員の首輪反応が消えた状態」になった場合――特殊だがこれも勝利だ。 なんとしてでも、遂げる。 では――この実験の、人間側の勝利条件を定義してみよう。 シーナーが命に代えても阻止しなければならないそれは、大きく4つに分けられる。 まず1つは、“実験に参加したヒグマをすべて殲滅すること”。 つまり、シーナーたちを除いた1~79までのヒグマの殺害がこれにあたる。 確認できているだけでも、津波の影響もあるだろうが、かなりの参加ヒグマはすでに死んでいる。 どころか盗聴によれば人間側に協力してしまったヒグマもいる。 これは逆に言えば、参加者側についたヒグマが居る内は条件が満たされないともいえるが……。 もっとも正しく、イソマが納得してしまうだろう方法だけに、非常に嘆かわしい限りだ。 そして2つ目は、“イソマの管理する培養層を破壊すること”。 HIGUMAは培養層からしか生まれることができない上に、 オリジナルの培養層の材料は島だけでは調達できず、そしてオリジナルはすべて破壊された。 イソマの能力も、ゼロから培養層を作ることは不可能だ。 つまり培養層が破壊された時点で、HIGUMAの未来はほぼ潰える。これが絡め手の方法。 そして、3つ目は。“この島にいるすべての生命が殲滅されること”。 HIGUMAはこの島にしかいない。しかし、人間はこの島以外にも、異世界含めどこにでも居る。 つまり、島でゲームの決着が付く前にこの島が消滅させられれば、大局的には人間は勝ちとなるのだ。 実験の存在が外部に漏れ、ヒグマの危険性が伝わってしまい、そして核兵器でも持ちだされれば、 いくらHIGUMAといえどひとたまりもなく終わってしまう。そして条件1も同時に満たされ、 さらに、勝利した人間さえもいないという状況は、イソマを自害へと追い込み――全てが潰えるだろう。 少なくとも3つ目の可能性を封じるために、 実験の存在を外部に漏らすわけにはいかない、 というのがシーナー以下実効支配者の共通認識だった。 脱走ヒグマにより外部に実験がばれ、相田マナ以下乱入者を呼び寄せてしまった時点で、 ヒグマ側の勝利はかなり遠のいてしまったというのが実際の所だ。 だから、もし。一番最初の脱走ヒグマたちさえモノクマの手引きだとしたら。 彼女はこの計画が外部にばれることすら、3つ目が起こることさえ別にいいと思っていたのだとすれば。 それはあまりにも、おぞましい考えである。 そして、その考えは。あまりにも安易にすぎる、 人間側の「4つ目の勝利条件」を彼女にクリアさせてしまう可能性に結びつく。 “参加者以外のヒグマ、あるいは参加を許されていないヒグマを以って、 島外や地下に行く、首輪を外すなどの禁を破っていない、まっとうな参加者を殺害してしまうこと”。 このゲームの、禁じ手だ。 (イソマ様はこれを平等な実験だとおっしゃったが……いや、モノクマの阻害さえなければ、 実際に平等だったのかもしれませんが……現状ではまったく、分が悪いことこの上ないですね……) シーナーには、モノクマの思考ルーチンに自身の生存が含まれてさえいれば、 最終手段として、イソマの存在と勝利条件の定義をモノクマに明かすという選択肢があった。 だがここまでの経緯を鑑みるにその線は薄く、 仮に明かしたとしても彼女は狂ったように面白笑いするだけで疾走を止めはしないだろう。 彼女が望むのはただ、絶望。未来への希望など、消すためのロウソクの火でしかないのだから。 もはやHIGUMAとその未来にとって、モノクマは障害でしかない。 そしてそれを止めるために、ほかならぬシーナーが休んでいるわけには、いかない。 もう乗ってしまっているのだ。万象を乗せてマッハで進む、この羆島という船に。 「……居ますか。……ジブリール」 三階建てに煙突のようなものが伸びる、白い塔のような建物。 シーナーはC-6、ヒグマ診療所にたどり着くと、声をかけた。 かつてイブン・シーナーが訳したという物語に登場する、導きの天使の名だ。 実際にはただのおっちょこちょいなプレーン未満のヒグマであり、迷えるシーナーを導いてくれるわけではないが。 「シーナーさん!?」 奥から声が返り、ジブリール……診療所での働きぶりから、 患者には天使ちゃんと呼ばれているヒグマが、窓から顔をのぞかせる。 シーナーは柄にもなく少しだけ安堵を覚えた。帝国内すら安全とは言えぬ現状では、 こうして当たり前のように声をかけてくれる仲間の存在が嬉しくもなる。 上から取ってきたナース服をぱつんぱつん状態で上着のように着る彼女の横から、 もう一匹、ベージュの毛皮を持った老ヒグマが現れてシーナーに声をかける。 「おお……帰ったか、シーナーさん」 「ベージュ老もいましたか。ヤスミンさんは、居ないのですね」 「うむ、地底湖のほうへ行ったらしい。ところでお主」 「シーナーさん、どういうことです、それ! めちゃくちゃボロボロじゃないですか!」 ジブリールに言われてシーナーは自らのからだを見る。 「……確かに。毛皮は乱れ、泥がつき、裂傷と打撲がいくつかあり、体力はもうありませんね」 「ややや、休まないと! 中に入って、傷、消毒とか! えと、ベッドで安静ですよそれ!」 「いえ。ここに来た目的は、休むためではありませんよ」 「えええええっ!?」 「バンディット=サンの所持品にあった、あのドリンクを私に。場所は知っていますね、ジブリール」 シーナーの理解不能だろう言葉に面喰らうジブリール。 「い、いやいやいやいやあれは!!」 「必要なものなのです」 「駄目ですよ!! アレ、確かに薬効はすごいですけど、 身体に悪い成分も麻薬成分もモリモリだったじゃないですか! あんなの医療班として処方できません!」 「ジブリール」 目を合わせ、もう一度告げる。真剣さをなるべく伝えられるように。 ジブリールは射竦められ、まじですか、と小さく漏らした。 「バリキドリンクを、窓から私に渡してください」 「……」 「命令です」 「……そんなに、やばい状況、なんですか」 「起きたらすぐ、状況確認。……しましたね? なら君も、知っているはずです」 「それは……」 「早くしなさい。おっちょこちょいのうえに、どんくさくまでなるのですか、君は。 ドリンクの入手は、私がここに来た目的の内の一つでしかないのですが……?」 「うう」 ジブリールはうつむいた。 そして、シーナーの意識の外にあった言葉を発した。 「だ、だって。あたし、シーナーさんが無理するのなんて、見たくないです、よっ。 無理しす、ぎて……シーナーさんが死んじゃうだなんて、ぜったいあだし無理です」 「……」 「シーナーざんが死んじゃったら、あたしどうやっで生きてぐんですか?」 「……」 「まだ、いっぱい教えてもらうこどあるんですよ……っ。頼りたいごとだって、いっぱい! だのにいまいなぐなるなんて、ゆ、許ざれないですよ! 休んでくだざいよそんな傷で!」 シーナーは、そんな涙声を聴くのは、初めてだった。 「……ご、ごめん、なざい」 「……」 「ちょっと、不安で、怖ぐて。ええ、えと……むがーっ!!」 「じ、ジブリール!? な、なにを」 「すいません! 失言でした! ドリンク、取ってきます! 本当にごめんなさいっ!」 呆然とするシーナーの前でジブリールはぶんぶん首を振ると、すたすたと窓から消えていった。 薬品棚のバリキドリンクを取りに行ったのだろう。 同じくきょとんとしっていた老ヒグマが、優しい顔になってシーナーに語りかけた。 「ほほほ、慕われとるのう、シーナーさん」 「……少し、驚いていますよ。今のような反応を受けたのは、初めてでしたから」 「あんたは一番働きもんじゃからの。帝国のヒグマからは、みんな多かれ少なかれ慕われとる。 ヤスミンちゃんや天使ちゃんなんてもちろんじゃし……わしも、あんたには大感謝しとるじゃろ?」 「いや……むしろ、貴方とヤイコさんには、私は謝らなければならないのでは……」 「確かに、あんたから見たらそうなのかもしれないがの」 老ヒグマは、空気を吐いて吸って、一呼吸してから続けた。 「そもそもあんたがヒグマの未来を考えてこの国を建てなきゃ、わしら、生まれてすらおらんのじゃろ? じゃあ、シーナーさんはわしら全員の、父じゃろう。親に感謝すんのは、子として当然じゃ」 「……!!」 「子に心配させる親になっちまってるわけじゃよ、つまりはな。わしも子として心配じゃあ」 「……見た目、私より年上に父と呼ばれると、複雑ですね」 「要は生きて帰れってことじゃよ、若者。と、老人のフリをベージュはしてみたり」 「すいません。ありがとう、ございます。……約束はできかねますが、善処、しましょう……」 「あったよシーナーさん! ドリンクが!」 「でかした天使ちゃん!」 と、バリキとでかでかと書かれた瓶詰め薬品をジブリールは持ってきて、 シーナーに向かって投げた。 「おりゃああああッ!!」 勢いのよい投擲であった。 投げながらジブリールは目の端に涙を浮かべて、シーナーに言った。 これ以上喋って涙を溢れさせんとするものの、せいいっぱいの強がりが、見て取れた。 「……行ってらっしゃい、……シーナーさんっ!」 「ええ。行ってきます」 シーナーは、受け取った。 「ただその前に、ベージュ老、ここに入院させていたピースガーディアンはどうなりました? 呼吸音も匂いも感じられませんが……まさか、独自行動を」 「察しがいいのう。あんたと入れ違いで、落盤のほうへ行ったよ。 ま、あんたが今打った電信を見て、たぶんまたここに戻ってくるじゃろ。彼らに用事かの?」 「わりと重要な話でしてね……直接会って伝えたかったのですが。 落盤のほう、ですか……今なら危険は少ないか、あっても彼らなら問題なく乗り切る程度でしょうかね。 ……でしたら、要項はベージュ老宛ての電信で粘菌に刻んでおきましょう。 ここに彼らが……いえ、キングやクイーンでも構いません、ピースガーディアンの誰かが来たら、 なるべく内密にその文面を彼らに見せてください。私は、西へ行きます」 「西? ツルシインさんのほうかい」 「ええ。勘が確かならば、今もっとも対処が難しいのがその項目ですので」 そう言うと、シーナーは一瞬にして老ヒグマの視界から消える。 視界から消えた状態で、文面を打ちつつドリンクを飲みつつ、西へ向かうのだろう。 ながら行動もびっくりのながらながら移動だった。 「まったく……無茶をするのう」 ベージュ老は白壁に出来上がっていくメッセージを見ながら、親に向かってため息をついた。 「……いざとなればな。わしらを切り捨ててでも、前へ進めよ、若人」 ≪新規メッセージ(ダイレクトメール)≫ 「テキキカイトネットツカウモノニヘンス゛、テキシロクロ、カラタ゛アマタアリ。 キョウリョクシムカエウテ。ソシテ、コチラノショウリシ゛ョウケンヲ、アカス―― (お前たちの敵は機械とネットを使う者に変わった。敵は白黒で、身体はたくさんある。 協力し、迎え撃て。そして君たちには、我々の勝利条件を明かしておく―― 【C-6 地下・ヒグマ診療所/昼】 【穴持たず104(ジブリール)】 状態:不安 装備:ナース服 道具:なし [思考・状況] 基本思考:シーナーさん、どうか無事で……。 1 夢の闇の奥に、あったかいなにかが、隠れてる? [備考] ※ちょっとおっちょこちょいです 【穴持たず88(ベージュ老)】 状態:加速老化 装備:車椅子 道具:なし [思考・状況] 基本思考:がんばれよ、若人 1 いざとなれば、わしらは未来に殉ずるよ 2 ピースガーディアンが来たらシーナーのメッセージを見せる [備考] ※ベージュ老宛ての粘菌通信に、シーナーの秘密メッセージ (イソマが提示した実験の勝利条件、現在の敵がモノクマであることなどなど)が記されています。 ※ヒグマ診療所で安静にしているのは、748~751番のヒグマ(「気付かれてはいけない」で布束さんにやられた奴ら)です +++ 勝たなければならない――生きて、勝たなければならない。 西へ、西へと駆けながら。シーナーは強く、その思いを新たにした。 電気使いを持って生まれてきたヤイコはともかく、 ベージュ老やジブリールなどの通常より劣る部分のみを持つヒグマは、 今は劣等ヒグマとして解体場行きになっている。 そうしなければ食肉を得ることができないから、という理由で、これこそ断腸の思いでそうした。 反乱時、プレーンヒグマにその姿を惑わせて解体ヒグマを誘いに行ったのはシーナーだ。 彼にその役割を伝えて連行しなければならなかったとき、シーナーは心中、歯を食いしばっていた。 解体がシーナーを振り払い、死にゆく桜井研究員の元へと向かって叫んだときには、はっきり言って泣きもした。 だが、シーナーはそれが罪だと知りながらも、『治癒の書』で解体に意図的な幻覚を見せ、 違う番号と、桜井は勧誘されたときには死んでいたという記憶を、彼に植え付けた。 すべては帝国のため。 生まれたい、生きたいと願っている、すべてのHIGUMAのために。 彼らの、次の夜明けを手中に収めるために。 そして――こんな自分を慕ってくれる、仲間のために。シーナーは西へ、西へと向かった。 時間もまた、西へと過ぎる。 夜明けとともに生まれたヒは頂点を越えて、 これからの時間はただ、老いていくばかりになる。 第二放送が鳴ったのは、シーナーがルークからの粘菌電報に気付くのと、ほとんど同時だった。 ――ツルシインの言う通り診療所で休んでいれば、 シーナーは少なくとも、続く凶兆の津波に呑まれることは、なかったかもしれない。 【C-5 地下/日中】 【穴持たず47(シーナー)】 状態:ダメージ(中)、疲労(大)、対応五感で知覚不能 装備:『固有結界:治癒の書(キターブ・アッシファー)』 道具:相田マナのラブリーコミューン、バリキドリンク@ニンジャスレイヤー [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため、危険分子を監視・排除する。 0 まだ休めるわけないでしょう、指導者である私が。 1 莫迦な人間の指導者に成り代わり、やはり人間は我々が管理してやる必要がありますね!! 2 モノクマさん……あなたは、邪魔です。 3 李徴・隻眼2への戒めなども、いざとなったらする必要がありますかね……。 4 デビルさんは、我々の目的を知ったとしても賛同して下さいますでしょうか……。 5 相田マナさん……、私なりの『愛』で良ければ、あなたの思いに応えましょう。 [備考] ※『治癒の書(キターブ・アッシファー)』とは、シーナーが体内に展開する固有結界。シーナーが五感を用いて認識した対象の、対応する五感を支配する。 ※シーナーの五感の認識外に対象が出た場合、支配は解除される。しかし対象の五感全てを同時に支配した場合、対象は『空中人間』となりその魂をこの結界に捕食される。 ※『空中人間』となった魂は結界の中で暫くは、シーナーの描いた幻を認識しつつ思考するが、次第にこの結界に消化されて、結界を維持するための魔力と化す。 ※例えばシーナーが見た者は、シーナーの任意の幻視を目の当たりにすることになり、シーナーが触れた者は、位置覚や痛覚をも操られてしまうことになる。 ※普段シーナーはこの能力を、隠密行動およびヒグマの治療・手術の際の麻酔として使用しています。 +++ 「サーチクン。サーチクン。気分はどう~?」 「最悪、ですね」 ヒグマ帝国の北東――地底湖より東に広がるのは特に何もないG-3地区。 これから農園になる予定だったが、まだ開発されていない、岩と荒地が広がる場所。 そこに内蔵をもがれ、四肢を逆側に折られた状態の、一頭のヒグマが居た。 穴持たず312、サーチヒグマである。 「ぼくは帝国のために縦横無尽に働いていましたのに、その足と腕が使えないとは絶望的ですね。 すごく今、絶望してます。どうです? 全ての望みが絶たれた感じの顔してますよね、ぼく」 「うん! そうだね! ……キミ、人をおだてるの上手いってよく言われない?」 「察するのが上手いとはよく言われますが、あなたほどではないのではないでしょうか」 死にかけの彼がぶっきらぼうに言い捨てる相手は、黒と白に体を分かつクマ型の機械だった。 「あなた、反乱を始めた割に、いまのところ雑兵しか暴れさせてないじゃないですか。 どうも自身の策程度では反乱を成功させ切ることができないの、察してません? あなたにとってあくまで中央は陽動、狙いはぼくをはじめとした周囲の「要職」、一点張りですよね?」 その岩の後ろに隠してるのとか、こわいこわい。 サーチヒグマは表情を変えずに言った。黒白のクマ、モノクマは、首を傾げた。 「ん~?」 「ビスマルクさんはちょっと可哀想ですね……自業自得と言えばそうですが。 なるほどなあ……殺害だけじゃなくてさらに扇動もするのかあ。ま、ろくなことにはならないでしょうね」 「ねぇちょっとキミ。知りすぎじゃない?」 ぐいっ、とかわいい効果音を鳴らしながら、モノクマはサーチヒグマの頭を踏んだ。 その頭についてる耳を、とくに重点的に。ぐりぐり。 「地獄耳か何かかな?」 「――あ、やっぱり察しますか。まあ、その通りです。だいたい範囲は2km円かな、 サーチと一口に言っても方法はいろいろあるんですよね。ぼくは耳で聴く派です。 さっきから耳をつんざくような艦これ勢の声がうるさかったんで、塞いでくれてありがとうございます」 「それは良かった。じゃあ、うるさい耳は刈り取ってあげよっか!」 「御免こうむりたいところですが、もうさすがに無力なんで、おとなしくしてます」 もともと音を立てずに現れるあなたに狙われた時点で負けですし。 手は使えないけどお手上げですよ、と言って、サーチヒグマは体から力を抜いた。 抵抗の意志も死への恐怖も、絶望も一切見られないその態度は、モノクマから見て面白くないものだった。 少し嫌な感じに眉をひそめたあと、モノクマはパチリと指を鳴らした。 近くの岩の後ろから、掘削ドリルを持ったヒグマが出てきて、そのスイッチを入れた。 頭も回りそうなくらいの不快な音があたりに響く。カーペンターズの一員、だった。 「……よお」 「出てきましたか。屋号くん」 「ムム。ヒグマNo.85が裏切って出て来たってのにずいぶんと淡泊だね、キミ!」 「別に、岩の裏ってのは屋号くんのことだけを言ってるのではないですし。 そっちの奥の岩の裏にNo.87の華ちゃんが居て、ヒグマ質に取られてるのまでは把握してます。 仲間意識を逆手に取るなんてエグイなあ。悪役として綺麗なムーブですよね、そういうの」 「フーン……やっぱりばれてるかあ。じゃ、ヒグマ質もべつに要らないね!」 と、遠くの岩の奥からメスヒグマの悲鳴がして、明らかにそれは断末魔だった。 「なっ、き、貴様!」 「キミももういらないや、じゃあね~」 悲鳴即応、ドリルを持ってモノクマに襲い掛かろうとした屋号だったが、 その前にモノクマの殺爪ボディブローが決まり、二秒後には漫画みたいに宙を舞っていた。 地面に落ちると上から降ってきた丸い岩に潰され、圧死した。 【穴持たず85(屋号)、穴持たず87(華野) 死亡】 「はい、死んだ死んだ! 範馬勇次郎より強いってわりには、キミたち防御力弱いよねえ」 「カーペンターズは力仕事専門の代わりに皮膚が少し柔らかいんですよね。って、知ってて言ってるんだっけ」 「そりゃあ知ってるとも。フフフ、やっと焦ってくれたぁ?」 「じゃあ、焦ってるということでお願いします」 ギュインギュイン。屋号から奪ったドリルを眼前に近づけられても、サーチヒグマは表情を変えなかった。 さすがにこれは――無表情を装ってるだけだろうか。突き刺せば叫ぶか、やってみるか。 モノクマはそう合点して、彼の耳に向かって、掘削ドリルを刺した。 掘削ドリルが消滅した。 「ん~?」 「やれやれ……428はどこを探しているんだ? 俺が先に見つけてしまったじゃないか」 「ああ、なんだ。なるほどぉ。 南かと思ってたんだけど、先にサーチクンを探しにきたのか、 ドリルを分解して消滅させたのは――シバクン!」 言うが早いか、モノクマは再度サーチの耳を踏み潰し、 そして1km先の壁に控えさせていたスナイパーに指示を出した。 新たにその場に現れた羆帝国の劣等生、シバさんは その間に眼前のモノクマを分解魔法で消滅させるが、不意の狙撃は防げず、 その銃弾に込められた起動式破壊の術式によって、蘇生式ごと破壊されて帰らぬ人となる (その起動式破壊の起動式を破壊する起動式を、シバさんはすでに発動していた) のだ。銃弾が放たれる。消えた。 「あれ?」 「考えたものだが、スナイパーの位置が分かっていてはその作戦はお粗末だ」 「ああ……精霊の眼か。有効範囲、いいかげんにしてよね!」 「サーチ。星空凛という参加者を探してほしい。 なぜか精霊の眼にも映らないんだ。この島にいるかどうかも不明だが、やれるか?」 「あーだから無駄話してる場合じゃないんですって戦場で……もう!」 「なっ」 サーチヒグマが急に跳ね起きて、シバさんを突き飛ばす。 どこにそんな膂力が残っていたのか。シバさんは驚きながら為すがまま飛ばされる。 するとシバさんがもともと立っていた場所の地面から、にゅるりと新たなヒグマが現れた。 「失敗……深く不覚……ぷぷっ」 「ダジャレのつもりなら、面白くないですね」 新顔ですが番号は? サーチが問うと、土に潜んでいたヒグマは「1010」と言った。 なるほど土遁とかけているのだろうが4ケタは面倒だからやめろよ、とサーチは思った。 そんなことより、とサーチはシバさんに向き合う。土遁ヒグマは再度土に潜んだ。 もう時間はない。どうやら、決断の時のようだった。はぁ、とため息。 「シバさん。デッキ持ってます?」 「……デッキ?」 「遊戯王の、デッキですよ。その中に一枚、いいものがあります。 あなたの可愛い親族が持たせた、非常用の――切り札ってやつです」 言いながらシバさんの胸をまさぐると、ポケットにそれは入っていた。 【魔導】カードで構成されたデッキ。だが、禁止カード入りのそれは正式デュエルでは使えない。 シバさんなら無理を押し通して使えるのだろうか? それは分からないが、 司波美雪が時間を使ってまでこのデッキをシバさんに持たせたのは、ある魔法カードを紛れさせるためだ。 通常なら【魔導】デッキなどに入っているはずもない、その魔法カードをサーチは探(サーチ)し、 シバさんに持たせて、言った。 「カード名を読んで、魔力を込めて発動してください、シバさん。 それであなたとはお別れ。止まっていたあなたの時間も、動き出すでしょう」 「これ、を……?」 「対象はもちろん、「自分」にしてくださいよ……。ではぼくは、ラストワークといきます」 地面に向かってサーチは折れた腕を突きだす。 タネが分かっていれば、ヒグマの贅力によって土に潜むヒグマを引きずり出すくらいは可能だ。 それくらいのことができなければ、シーナーから大役を任されたりはしない。 引きずり出された土遁ヒグマがうめき、ぽこぽこ現れた十数体のモノクマがその周りを囲む、 一触即発の中で、動揺しながらもシバさんは魔法カードを掲げた。 「……魔法カード発動、《融合解除》……対象は……俺だ」 詠唱の終了と同時に辺りが発光した。 シバさんとサーチに向かって、大量のモノクマが襲い掛かった。 そして、穴持たず48と、穴持たず312は死んだ。 【穴持たず48 死亡】 【穴持たず312(サーチ) 死亡】 ――後に残ったのは、「司波達也」だけだった。 +++ 「分解……成程そういう身、分かい……ぐはっ」 穴持たず1010は分解され、消滅した。 【穴持たず1010 死亡】 「ちょ……描写くらいしてあげなよ、シバクン! あるいは辞世ギャグに笑ってあげなよ!」 「そういう感情はもう、持ち合わせていないんだ」 手を翳し、モノクマを分解、消滅。 半径1km内を地中まで精査し、控えのモノクマに一つずつ分解魔法式をかけていく。 スナイパーヒグマが再度苦し紛れの銃弾を撃ってきたので、普通に体術で躱した。 なおもモノクマに分解を仕掛けながら、忍者ばりの速度で接近しつつ、 カエルの手足のような吸盤を持って壁に張りついているそのヒグマへ向かって、魔法カードを見せる。 「《月の書》!」 遊戯王の魔法カードは達也にとって、魔法式が記憶されたCADだ。 月の書の魔法式を浴びた吸盤スナイパーヒグマは急に体を反転させ、しかも攻撃を封じられた。 吸盤が壁から取れて落下する。地面に叩き付けられるころには達也はそのヒグマに対し、 雲散霧消(ミスト・パーティション)をトライデント込みで叩き付けていた。 【穴持たず410(ショット) 死亡】 「……周囲の適性存在を排除。次にすべきは――」 決まっている。 達也はサーチヒグマの死骸のところまで行って、それを再成魔法により蘇生させた。 「妹さんかい」 「ああ」 「きっとしろくまカフェだよ。場所は記憶しているかな?」 「ああ」 「……このぼくの判断が、どうなるかは分からないけれど。いい方へ向かうと、いいな」 「雲散霧消」 そして必要な情報は聞きだしたので、サーチヒグマを再度分解し、空中へと霧散させた。 その姿を、ようやくその場にやってきた穴持たず428が見て超驚いた。 達也はそれを一瞥すると、穴持たず428を分解した。 【穴持たず428(シブヤ) 死亡】 そのまま移動を開始しようとした達也の前に、再度モノクマが現れた。 「ちょ、ちょっと! 無体! 無体すぎるよ! キミねえ、どういうつもりなの! いきなり殺しすぎ、いきなり仲間のこと冷たい目で見すぎ! アニメでももうちょっと」 「ここは学校とは無関係で、関係者も美雪だけだ。 お前がどうやって俺のことを知ったのかは知らないが、学校関連の人目の前ではもう少し演技をしている。 だが、今はその必要がない――そう判断しただけだ。他に言葉はあるか?」 「し、司波美雪を助けにいくのは、キミにとって愚策だよ、と教えたいのさ! しろくまカフェに置いた対魔法師用のギミックは、一見無敵に見えるキミを殺せる! 行くだけムダムダ! それに、他の場所にだって攻撃を順次仕掛けるよ?」 早口でモノクマは嘘か本当かわからない計画を喋る。 「キングヒグマの力量はだいぶ把握した! ツルシインとかいうメクラのほうにも兵を向かわせてる! シーナーもヒグマ診療所ごと、穴持たず506(ゴーレム)くんと穴持たず666(デーモン)くんたちに襲わせる! キミの無駄死にのせいで、ヒグマは大迷惑するんだ! それでもキミはべつにカワイクもない妹を助けに行くの?」 「愚問だな」 分解した。 「俺は、ヒグマの未来も、お前の展望も、興味はない。ただ」 地底湖の先へ向かって西へと走り始めるのは、魔法科高校の劣等生だ。 粘菌通信を決死の思いで司波美雪が打ったのとほぼ同時に、達也は語った。 「妹を守れない俺は、俺じゃない。それだけだ」 無駄に過ぎる言葉もその程度に、彼は水蜘蛛によって地底湖の水面を走る。 妹に会ったら、まず叱ってやらねばならない。 兄妹のいざこざに巻き込んでいい世界は、あの世界1つで十分だと。 ――帰るぞ。美雪。 こんな島からさっさと出て、俺たちの高校生活に。 【E-3 地底湖の上/日中】 【司波達也@魔法科高校の劣等生】 状態:健康 装備:攻撃特化型CADシルバーホーン 道具:携帯用酸素ボンベ@現実、【魔導】デッキ [思考・状況] 基本思考:妹を救い、脱出する 1 邪魔をするなら、容赦はしない [備考] ※融合解除して元に戻りました ※カードの引きがびっくりするほど悪いですが、普通に一枚ずつ使うので関係ないです
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作品枠 機動戦士ガンダム逆襲のシャアMSV パイロット アムロ・レイ コスト 3000 耐久値 650 形態移行 なし 移動タイプ 通常 BD回数 8 赤ロック距離 12 変形コマンド なし 盾コマンド あり 覚醒タイプ 白い悪魔 射撃 名称 弾数 威力 備考 メイン射撃 ハイパー・メガ・ライフル 10 80 威力が高く弾数豊富なBR 射撃CS ハイパー・メガ・ライフル【高出力】 - 130 高弾速の単発ビーム 格闘CS 肩部ミサイル・ランチャー【移動撃ち】 - 25~132 横移動しつつ実弾発射メインC可 サブ射撃 ハイ・メガ・シールド【照射】 1 245 極太の照射 特殊射撃 一斉射撃 1 ビーム ~160ミサイル 35~117 正面にミサイル、左右にビームを放つ3way攻撃ダメージ効率が非常に悪い N特殊格闘 リ・ガズィ・カスタム 呼出 1 120 BMG→単発ビーム 前後特殊格闘 89 格闘2段 横特殊格闘 137 突撃しながら射撃 後格闘 ニュー・ハイパー・バズーカ 1 94→148 2連射するBZ 射撃動作中格闘/レバー入れ格闘 フィン・ファンネル【射撃】/【射出】 - 27 メイン/特格以外の射撃系武装動作中に使用可能なオールレンジ武装最大6基射出可能 格闘 名称 入力 弾数 威力 備考 通常格闘 ビーム・サーベル NNNNN - 233 ダウン値の低い5段格闘 前格闘 サーベル連撃&飛び蹴り 前NN - 182 カット耐性高め 横格闘 横薙ぎ&二連殴打 横NN - 173 出し切り受け身可 BD格闘 ジャブ&サーベルコンボ BD中前NNN - 219 最終段受け身不可 覚醒技 名称 弾数 威力F/S/R/M,C 備考 覚醒技 ニュー・ラストシューティング・バリエーション 1 327/304/321/301 ラストシューティングで〆る乱舞系 概要 キャンセルルート 射撃武器【メイン射撃】ハイパー・メガ・ライフル 【射撃CS】ハイパー・メガ・ライフル【高出力】 【格闘CS】肩部ミサイル・ランチャー【移動撃ち】 【サブ射撃】ハイ・メガ・シールド【照射】 【特殊射撃】一斉射撃 【特殊格闘】リ・ガズィ・カスタム 呼出【N特殊格闘】ビーム・アサルトライフル ビーム・キャノン 【前後特殊格闘】ビーム・サーベル 【横特殊格闘】MA形態突撃【斉射】 【後格闘】ニュー・ハイパー・バズーカ 【射撃動作中格闘派生】フィン・ファンネル【停滞】/【射出】【レバーN格闘派生】停滞 【レバー入れ格闘派生】射出 格闘【通常格闘】ビーム・サーベル 【前格闘】サーベル連撃&飛び蹴り 【横格闘】横薙ぎ&二連殴打 【BD格闘】ジャブ&サーベルコンボ 覚醒技【覚醒技】ニュー・ラストシューティング・バリエーション コンボ 戦術 EXバースト考察 僚機考察3000 2500 2000 1500 対策 チャレンジミッション【機体ミッション】νガンダムHWS 【キャラクターミッション】νガンダムHWS[EX] 外部リンク コメント欄 概要 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャアMSV』より、アムロ・レイが駆るνガンダムに追加装甲「ヘビー・ウェポン・システム(以下HWS)」を装着したバージョン。 名の通り火力増強等を企図した重装備だが、装甲にスラスターを搭載し、機動力低下をカバーしている。本作では未再現だがパージも可能である。 全国大会PDF2022にて発表、その後のアプデで参戦した、4体目のνガンダム。 アムロ機としては実に7機体目、クロブだけでも3機実装となり(ディジェ、福岡ν、HWS)僅か一作品で刹那やシャアのプレイアブル数を越えた。 台詞は基本流用だがPVで見られるように新録もそこそこ多い。 Ex-Sガンダム等と同カテゴリの「前に出ない3000」デザインが分かりやすい射撃寄りの万能機。 極太のゲロビなど濃厚で高性能な射撃武装を複数取り揃えており、HWSの名に恥じない武装構成となっている。 中でもサブは同カテゴリの中でも高い性能を誇り、特射はド派手な封鎖択と最高コスト射撃寄りらしい期待値を持っている。 また特筆すべき点としてメイン、アシスト以外の射撃攻撃中に格闘追加入力で連動ファンネルを出せる仕様を備える。 とりあえずの弾幕や牽制に使えるが最大の強みは、自分一人で盾狩りが出来る点だろう。 しかし重武装故に設定された機動力の低さが足を引っ張る。 燃費面こそBD8回だが、BD初速はサバーニャフルグランサより更に遅く見た目に合わせて明らかな低機動力調整。 無論、主力のほとんどで足が止まるうえにこの機体には守ってくれる相方3000など存在しない以上、試合の多くは追ってくる相手を追い払う迎撃戦になる。 にもかかわらず、同カテゴリの3000射撃機と比べて簡単かつ強力な自衛択(Ex-S変形特射、サバーニャのシルビ…etc)に欠ける点が大きく、足の遅さとともに引き撃ちの難易度に繋がっている印象。 2種の降りテクを持ち、アプデで使い勝手が増したこともあり、「追われさえしなければ小刻みな回避力がある」のは確かではあるが、インフレしている現代ではシビアかつ正確な操作が求められるのもまた事実。 ちなみに耐久は650だが、何故かバリア持ちのνガンダムより低く、同耐久のフルアーマーZZと異なり防御補正やSAもない。 また、機動力の低さは攻めにくさにも影響しており、減らしたい逃げる敵を追うために前に出るのは大の苦手。 足の止まる武装が主力なこともあり、追いかけて捕まえるのは低コスト相手でも苦労することが多い。そう言う意味でも前に出る機体ではない。 さらに射撃武装が強力だからといって狙う方をよく考えずにいると、覚醒やタイマン、闇討ちで一気に捲られて崩壊する。 「どうすれば前に出なくて良い展開になるか?」「相手のタイマンや攻め覚醒をさせ難くできるか?」を常に考える立ち回りを要求される。 ほぼ調整ミスと言って差し支えない最底辺の数字が出ていた事から即強化対象となった。 メイン火力が80、射撃寄り相応になった射CS、2段降りテクまで見据えられるキャンセルルート等を獲得。 他の射撃寄り機体に遠距離戦でも劣りがちだった問題点を、射撃CSによる狙撃能力や手数の増加で補われた形になった。 未だにライン管理は難しく起き攻め脱出力などもコスト底辺の機体ではあるが、射撃戦ですら微妙という当初の性能は完全に脱したと言える。 総合するとプレイヤーへの操作・立ち回り・自衛の要求レベルは非常に高いが、後衛を射撃戦で崩す能力、そこらの機体の2倍近い弾幕能力など独自の強みを持っており、この点に関して言えば間違いなく本機以外には変えがたいユニークな性能。 複雑な操作を完遂し、派手なゲロビで戦場を爆発した時の快感は最高の一機体。 長期戦も見据えたヘビーウェポンシステムのポテンシャルを遺憾なく発揮しよう。 リザルトポーズ 通常時 ハイパー・メガ・ライフルを振り上げて構える。 アシスト使用時 自機が一斉射撃の構え、リ・ガズィ・カスタムがライフルを構える 覚醒時 背景が暗転し、宙返りしつつ追加装甲をパージしながらフィン・ファンネルを射出・展開→ハイ・メガ・シールドを構える。 敗北時 飛び立ったサイコフレーム試料を追いかけるようにしてその場から離脱。 2023/03/15アップデート詳細 メイン射撃 ダメージ上昇(75→80)。各特格へのキャンセルルート追加。 射撃CS 弾速・誘導強化。ダメージ上昇(120→130)。サブ・特射へのキャンセルルート追加。 覚醒技 最終段が壁際で外れる不具合の修正。 キャンセルルート メイン→サブ、特射、各特格、後格 射撃CS→サブ、特射 各特格→メイン 格闘CS→メイン、サブ、特射 射撃武器 【メイン射撃】ハイパー・メガ・ライフル [常時リロード 3秒/1発][属性 ビーム][よろけ][ダウン値 ][補正率 -30%] 射撃より万能機らしく威力が高く弾数が豊富なBR。 弾数は多いが二種類の降りテクで酷使するため弾は枯渇しがち。 とは言え、他にも性能の高い射撃武装が揃っているので丁寧な弾数管理は必要ない。 他の武装をしっかり回せていれば十分に回復している。 メイン→格闘csが距離によっては繋がりにくい事だけは注意。 2023/03/15アップデートで威力が75→80に修正。意外と射撃が安くなりがちな問題があったのでありがたい修正。 さらにアシストへのキャンセルを手に入れたことで、一気に使いやすい牽制に。 実装当初は足回りやキャンセルルートの問題からメイン一発で牽制するのもリスクある行動だったが、十分に使える武装になった。 【射撃CS】ハイパー・メガ・ライフル【高出力】 [チャージ時間 2秒][属性 ビーム][ダウン][ダウン値 ][補正率 %] 高弾速の単発ビーム。ファンネル展開可。 同系統の単発CSとしては発生がやや遅めだが、弾速が優秀。 修正前は後格闘と役割が被りがちで必要性に乏しい武装だったが、修正で弾速・誘導が強化され射撃の圧が向上。 相変わらず発生は遅いものの弾速は無印νガンダムとほぼ同じにまで引き上げられ、特に遠距離での狙撃能力が高まり役割分担も可能に。 ダメージも130に上方され、追撃での火力増強は素直に嬉しい強化点。 また、必須テクという程のものではないが小ネタとして格闘CSを溜めたままでも射撃ボタンを追加入力すればファンネルを飛ばせる。 処理の詳細は不明だが格闘ボタンさえ押されていれば射撃ボタンの入力でも派生が出るようで、特射に関しても同様のテクニックが可能。 サブ・特射へのキャンセルルートが追加された事で足を止めるリスクこそあるが強化されたCSとファンネルで浮かせた敵を強引に取るプレイングも可能。 【格闘CS】肩部ミサイル・ランチャー【移動撃ち】 [チャージ時間 2秒][属性 実弾][ダウン][ダウン値 ][補正率 -10%] 横回転からミサイルをばら撒く。レバー左右で移動方向を指定でき(未入力だと右に移動)、メインにキャンセル可能。ファンネル展開可。 格闘ボタンを離したと同時にゲージ消失するため、チャージを維持したままこの武装で移動することは不可能。 移動開始・弾の発生・メインキャンセルができるようになるまでが早く、降りテクとしては高性能。 移動自体もBDより高速なので、熟練すれば移動で初撃を回避→キャンセル落下で追撃も回避、なんてことも可能。 ただしミサイルの発射位置が高く至近距離での自衛には向かない。ちょくちょく格闘などに潜られてしまう。 軌道の関係で中距離以遠の落下への食いつきは良く見えることがあるが、正面への弾道と誘導は褒められたものではない。弾幕形成どころか追撃用途としても信頼性は低い。 補正が重くダメージが低い点も注意。 後格と共に弾幕形成や降りテク、連動ファンネル目的など用途も様々。 メアメキャンが追加されたとは言えリロードの関係上、降りテクとしてはこの機体の自衛要素のほとんどを握っていると言っても過言ではない。 連動ファンネルのコマンドの関係上やや操作が煩雑になるが、対人戦であれば自衛力の関係上セカインは必修科目。 【サブ射撃】ハイ・メガ・シールド【照射】 [撃ち切りリロード 11秒/1発][属性 照射ビーム][ダウン][ダウン値 ][補正率 %] 左手に装着したシールドから非常に太いゲロビを撃つ。ファンネル展開可。 発生が遅いが銃口補正が非常に強く当てる性能は高い。太さもかなりのもので、ステップの初動を刈り取ることも多い。 中距離でも斜め移動程度なら刈り取ることも多く、撃てさえすれば強力な武装。 基本的には置きゲロビ・着地取り・押し付けなどに使うが、それだけのために取っておくのは惜しい武装。 相手が接近に集中してる場合など、意識外のタイミングなら以外と差し返しとしても機能する。 外してもファンネル展開で最低限のフォローはできるので、少しでも当たりそうならぶっ放してしまうのもアリ。 特に格CSのセカインを覚えればスムーズに回避着地まで繋げられ、攻防両面に一気に厚みが増す。必須テクなのでぜひ覚えよう。 特射もそうだがガッツリ足を止めるので周囲の状況判断はしっかりと。 【特殊射撃】一斉射撃 [撃ち切りリロード 16秒/1発][属性 照射ビーム/実弾] [ライフル][ダウン][ダウン値 ][補正率 %] [メガ・シールド][ダウン][ダウン値 ][補正率 %] [ミサイル][ダウン][ダウン値 ][補正率 -20%] ハイパー・メガ・ライフルとハイ・メガ・シールドでVの字に照射しつつ中央にミサイルランチャーをばら撒く3way攻撃。 Gジェネのムービーの再現と思われる。ファンネル展開可。 中央のミサイルは誘導のあるものと無いものに分かれる。 ミサイルは連射で出てくるが後半のものは斜め上から対象に降ってくる形になる。 リロード時間はストフリの特射と同じで、周期的な高期待値武装だが、軽めの時限強化と同じぐらいのリロードが必要。 こちらもサブに劣らず銃口が強く、かつミサイル(+ファンネル)により相手の移動に対してリスクをつけさせることが出来る為非常に強力。 左右はビームが、正面/甘い慣性移動にはミサイルが刺さる嫌らしい構成となっている。これらを嫌がりガードする相手には連動ファンネルで盾めくりも可能と、制圧力が非常に高い。 ミサイルの発生と弾速も良く、慣性ジャンプでこちらに寄ってきたり逃げていく相手に刺さることも多い。 高確率で相手の前進を一時的に止めることができるため、どうしてもよられたくない時は制圧目当てで撃つのもあり。 ビームが避けられたとしてミサイルのみがヒットした状態でのファンネルによる追撃は、ダメージこそ安いが拘束時間が長い。 射出したファンネルの数にもよるがダウンまで結構時間が掛かるので追撃がしやすく、逆にダウンまでの時間が長い事を利用した簡易的な放置も狙える。 しかしビーム/ミサイル共に威力がかなり低い。(ゲロビはフルヒット160前後、ミサイルは1発あたり威力35に対して補正率が-20%)。 適当に撃っているだけだと当てているのにダメ負けしている事が多発しやすいため、奪ったダウン時間で敵の相方をダブロするなどの工夫は必要。 強力さに反して計画的な運用を求められる武装だと言える。 またダメージ確定も遅い為、早い段階でキャンセルしてしまうと低いダメージが更に低くなるので注意。 【特殊格闘】リ・ガズィ・カスタム 呼出 [撃ち切りリロード 15秒/2発][属性 アシスト] アシストながら今作で初登場となる「リ・ガズィ・カスタム」による援護。レバー入力の有無で異なる3種類の動作を使い分けできる。 MSV設定では本来アムロ用の機体であるが、誰が乗っているかはゲーム中で明示されていない。 可逆変形となったMA形態も再現されているため、モデリング等も作り込まれた仕様。 アメキャン対応。振り向きは無い。 2023/03/15アップデートでメインからのキャンセルが追加された為、牽制や追い展開、2段降りテクなど用途が増えて使いやすくなった。 メイン振り向き撃ちの咄嗟のケアで降りることもできるようになったが、隙が大きめの行動なのでなるべく射角内での素早い落下を心掛けたい。 リロードこそ長いが、降りテクとしてはより優秀な格闘csが存在するので、セカインがしっかりできているなら割と雑に使っていい。 というか強烈な誘導or近距離の自衛で役立つ、といったことがないので大事に温存しているとむしろ腐ってしまう。 格闘csを2段降りテクで補強する、中距離の射撃戦でブースト回復がてら弾幕を張る、など早め早めで小さな有利を積み重ねる方が得意な武装。 強烈な誘導こそしないが1hitよろけのマシンガンやリターン高めの突進・ダウン 比較的当てやすい斉射と、ブースト回復のついでとしては十分。 メインだけを連射して牽制するよりは役立ってくれる。 【N特殊格闘】ビーム・アサルトライフル ビーム・キャノン [属性 ビーム] 1hitよろけのBMGから単発ビームに繋ぐ射撃系アシスト。 全弾ヒットでもよろけ止まりなので注意。 銃口補正が緩いため近距離では機能しにくく、格闘迎撃には使いにくい。 N特格 動作 威力(補正率) ダウン値 属性 累計 単発 累計 単発 1段目 ライフル 92(%) (-%)× よろけ 2段目 キャノン 120(%) (-%) よろけ 【前後特殊格闘】ビーム・サーベル [属性 格闘] サーベルで横薙ぎ→斬り上げの2段格闘。 出し切りで通常ダウン打ち上げ。 突進速度など当てる性能は低く最低限のレベルで使用頻度は最も低い。 当たったのならサブ追撃で200ほどのダメージが取れるので、オバヒなど相手の動きを読み切ったヒット確信でなら使えなくもない。 前後特格 動作 威力(補正率) ダウン値 属性 累計 単発 累計 単発 1段目 横薙ぎ 45(%) 45(-%) よろけ 2段目 斬り上げ 89(%) (-%) ダウン 【横特殊格闘】MA形態突撃【斉射】 [属性 ビーム 実弾][よろけ/ダウン][ダウン値 ][補正率 %] MA形態のリ・ガズィ・カスタムが前進しながらビームキャノンとグレネードランチャーを発射。 リ・ガズィの左右斜めからも弾が発射されるため引っ掛け性能が高い。 ビームキャノンは素直な性能だがグレネードランチャー部分はほぼ誘導しないのが難点。 特に前進しながら撃つ関係上、近距離ではフルヒットしにくい(1射目のみヒットしてそのまま素通りする)。 【後格闘】ニュー・ハイパー・バズーカ [撃ち切りリロード 5秒/1発][属性 実弾/爆風][ダウン][ダウン値 ][補正率 -40(弾頭 -30% 爆風 -10%)%] 両肩に担いだバズーカから時間差で二連射。弾頭80ダメージ爆風20ダメージ。 一般的なBZより爆風が大きい。 メインの節約・追撃/カット・弾幕形成と用途が多く、性能も素直なので使いやすい武装。 バズーカ部分だけ見るとフルアーマー・ユニコーンガンダム第二形態のNサブに近い使用感。それに任意ファンネル派生のおまけがついた感じ。 ファンネルも射出可能であり、格闘CSチャージの起点にもなれる。 発生も良好な為、爆風も相まって近距離の自衛や、中距離の着地取りに使える。 豪快な他射撃の影に隠れがちだが優秀な武装なので要所で使っていきたい。 ちなみに当たり方によっては1発目がヒットしているにもかかわらず2発目が外れることが確認されている 【射撃動作中格闘派生】フィン・ファンネル【停滞】/【射出】 [属性 ビーム][よろけ][ダウン値 ][補正率 -10%] 「ファンネル!」 メインと特格以外の各射撃技のモーション中に格闘ボタン追加入力で使用可能な武装欄が存在しないオールレンジ武装。 長押しで最大6基まで同時展開可能。当然だが一度射出すると回収するまで使用することはできない。 ビームの弾数設定はなく、射出すれば必ずビームを撃ってくれる。 自機の攻撃がかすった場合を想定した追撃目的、とりあえずの弾幕、サブや特射を盾した相手をめくるなど用途は豊富。 攻撃のついでにポンポン出せるので基本的には出し得。 連動元の武装で足を止めている間しか射出できないため、複数射出のためには小さくない隙を晒すことになる。 ファンネルを射出すればするだけ隙も大きくなることは覚えておこう。 また格闘CSを貯めたい場合は、1回射出後に押し直す必要があるので注意。 【レバーN格闘派生】停滞 自機周辺に展開し射撃を行う。 誘導・銃口補正など全体的に性能が低く使用する場面はほぼ皆無。 一応盾固めを延長させ、本体で殴るなどの小技は考えられる。が、ただでさえ操作の忙しい本機でそこまで意識を回すのは難しく、余程の自信がなければレバー入れをお勧めする。 【レバー入れ格闘派生】射出 レバー入れ方向の斜め上から取りつく一般的なファンネル。 これのお陰で自機のみで盾狩りをすることが可能。またサブや特射といった盾を誘発しやすい武装から出せることが非常に強力で、特に特射と合わせた制圧力には目を見張るものがある。 前述の通り牽制や弾幕要因としても使っていけるため、基本的にはこちらを使用したいか。 盾めくり目的で使う場合は早めの射出を心掛けよう。射出が遅いと派生の引き出し元の攻撃が終わってしまい敵機が動けるようになってしまう。 格闘 モーション自体は最新作らしいスタイリッシュな挙動だが、性能は全体的に一昔前の射撃寄り万能機レベルで最新の3000コストとしてはかなり低性能。 そのうえ昨今の新規機体にしては珍しく派生が一切存在しない。 初段性能が低い格闘ばかりで、自分から振りに行く事は少なく、射撃バリアやカウンター、尖った性能を持つ格闘等も無い。 パパッとコンボを切り上げる手段も射撃CS締めくらいで、カット耐性も悪いと全体的に物足りない印象が拭えない。 迎撃に使えるものはあるが、強力な自衛択となるわけではないので奥の手として。 【通常格闘】ビーム・サーベル 袈裟斬り→横薙ぎ→突き刺し→蹴り上げ→敵機から抜けて上に飛んだサーベルをキャッチして一閃。 中途のダウン値が低く、サーベル投げ時点で2.0相当。 コンボ時間が長く、初段を当ててから射撃CSを溜めても出し切りまでに間に合うレベルの長さ。 一閃まではあまり動かないため、カット耐性は非常に低い。 通常格闘 動作 威力(補正率) ダウン値 属性 累計 単発 累計 単発 1段目 袈裟斬り 70(%) 70(-%) 1.7 1.7 よろけ ┗2段目 横薙ぎ 115(%) (-%)×3 1.82 0.04×3 よろけ ┗3段目 突き刺し 158(%) (-%) 1.92 0.1 よろけ ┗4段目 蹴り上げ 196(%) (-%) 2.02 0.1 縦回転ダウン ┗5段目 横薙ぎ 233(%) (-%) 3.02 1.0 縦回転ダウン 【前格闘】サーベル連撃&飛び蹴り 掴み属性の初段の突きから斬り抜け、戻ってきて蹴りをお見舞いする。 斬り抜け部分が前方向に大きく動き、動作も機敏なのでカット耐性は高い方。 高度が変わらないことには注意。 かち合い性能が高めで、本機の中では比較的頼れる近接択。 とはいえあくまで本機を基準とした場合であり、過信は禁物。 出し切りでも受け身可能なので射撃CSで締めたいが、蹴りの吹き飛ばす高度は低いため注意したい。 前格闘 動作 威力(補正率) ダウン値 属性 累計 単発 累計 単発 1段目 突き 70(%) 70(-%) 1.7 1.7 掴み ┗2段目 斬り抜け 130(%) (-%) 2.0 0.3 スタン ┗3段目 蹴り 182(%) (-%) 3.0 1.0 ダウン 【横格闘】横薙ぎ&二連殴打 横薙ぎから回り込んで肘鉄→シールドアッパーを繰り出す3段格闘。 最終段出し切り時は受け身可能。 コマンド上、迎撃の場面で頼りがちだがこれのみで受け身不可ダウンを取れないことが難点。 高度が低いならそこまで問題はないが、心配なら射撃CSを溜めておくなどでフォローしたい。 横格闘 動作 威力(補正率) ダウン値 属性 累計 単発 累計 単発 1段目 横薙ぎ 65(%) 65(-%) 1.7 1.7 よろけ ┗2段目 肘鉄 121(%) (-%) 2.0 0.3 強よろけ ┗3段目 盾アッパー 173(%) (-%) 3.0 1.0 ダウン 【BD格闘】ジャブ&サーベルコンボ シールドを捨てジャブ→ライフルを捨てつつサーベルで袈裟斬り→斬り上げ→大きく宙返りして回転斬り抜け。 最終段は受け身不可ダウン。 追従性能がやや物足りないが、メインへの追撃等には十分使える。 BD格闘 動作 威力(補正率) ダウン値 属性 累計 単発 累計 単発 1段目 ジャブ 65(%) 65(-%) 1.7 1.7 ┗2段目 袈裟斬り 121(%) (-%) 1.85 0.15 ┗3段目 斬り上げ 173(%) (-%) 2.0 0.15 ┗4段目 斬り抜け 219(%) (-%) 3.0 1.0 縦回転ダウン 覚醒技 【覚醒技】ニュー・ラストシューティング・バリエーション 前方にフィン・ファンネル・バリアを展開しつつ盾払い→突き→回り込んでシールドアッパー→シールドと追加装甲をパージしつつ突き上げ。 その後踏みつけるような跳び蹴り→サイコフレームの光を纏いつつ回転斬り抜け→パージしたシールドを回収しハイ・メガ・シールドからのラストシューティングで撃ち抜く。 初段ファンネル・バリアには射撃バリア判定がある。 バリアの形状はαアジールのメガ粒子砲を防いだシーンの再現。 初段からラストシューティングまではカット耐性がやや高めだが、ラストシューティングでガッツリ足を止める為、完走までは行きやすいがカットの危険性がかなり高い。 ABCマント等のビームを無効にするバリア等に当てると最終段で反確を貰うので注意。 さらに1段目のバリアは初段の追従を開始してからワンテンポ遅れて展開されるため、至近距離での発動では発生しない。 バリアの構成にファンネルを4機用いるため、3機以上ファンネルを射出している状態だとこれまたバリアが発生しない。 そもそもの初段性能も高いとは言えず、射撃バリア込みでも生当て性能は高くない。 揚げ句、途中で相手を撃破しても回転斬り抜けまでモーションが続くのだが動きがゆったりしている分終わるまでの時間が無駄に長いのもマイナス点。 火力UPもあまり見込めないと、現状使い道が少なく、封印も視野に入る覚醒技。 正直言って悪足掻きで覚醒技のブッパをするならサブや特射をパナした方がまだ期待値は高い。 極限技 動作 威力(補正率) F/S/R/M,C ダウン値 属性 累計 単発 累計 単発(元値) 1段目 盾バッシュ /65//65(%) ///(-%) ダウン 2段目 突き /126//126(%) ///(-%)× よろけ 3段目 盾アッパー /168//168(%) ///(-%) 砂埃ダウン 4段目 突き上げ /213//213(%) ///(-%)× 縦回転ダウン 5段目 踏みつけ /241//241(%) ///(-%) 6段目 斬り抜け /265//265(%) ///(-%) スタン 7段目 メガ・シールド 327/304/321/301(%) ///(-%) コンボ ( はステップ、≫はブーストダッシュ、→はそのままキャンセル キャンセル補正で威力が変動する物は()で併記) 威力 備考 射撃始動 ??? N格始動 NNNNN→射撃CS 276 始動からCS入力で間に合う ??? 前格始動 前NN→射撃CS 251 前NN 横→射撃CS ??? 横格始動 横NN→射撃CS 242 横NN 前N 236 斬り抜けのスタンで打ち上げ強制ダウン ??? BD格始動 BD格NNN→射撃CS 275 BD格NNN 前N 268 斬り抜けのスタンで打ち上げ強制ダウン ??? 覚醒中 F/S/R/M,C ??/??/??/?? F覚醒中 F NNNNN 覚醒技 348 NNNNN NNNNN 覚醒技 362 NNNNN NNNN×2 覚醒技 369 BD格NNN (NN)NNN NNNN 覚醒技 372 最速右ステ 戦術 同じ3000コストで言えばサバーニャやEx-Sに近い待ちゲー型の3000の立ち回りを要求されるが、同カテゴリの機体の多くが持つ手早く着地を取る武装の他、特に近接自衛や逃走に使える武装に乏しいのが難点。 それらの機体と比べると明確に足の遅さで追いつかれやすく、タイマンも多発する爆弾戦法はあまり向いていない。 一方で得意な中〜やや遠距離戦では、同カテゴリとも優位に戦えるだけの射撃戦能力がある。 連動ファンネルによる妨害や2種の強力なゲロビによる制圧力は高く、相方にはそれを撃つためのサポートや敵を追い返すお手伝いをお願いしたいところ。 その仕様上足を止めやすく、機動力も低めなので2種の降りテクによる付かず離れずの距離感の維持と相手の隙を見逃さない嗅覚が重要となる。 ゲロビとミサイル、ファンネルと言った事故待ち武装のオンパレードに加え、上方によりカテゴリ機体相応の狙撃性能を手に入れた射撃CSにより、待ちの状況は本機の独壇場となる。 中でもサブは牽制、ダメージソース両面で本命武装となるので様々な用途で使えるよう意識したい。 本機を扱う上で課題となる自衛だが、正直移動照射など対応が困難な武装に対しては、シールドを挟むなどして安く済ませるしか無い場面が多々ある。 まず基本として格CSやアシストからの降りテクに必ずステップを入れることを意識したい。また安易な高飛びも避けたい。 ステップを挟まない降りテクや高飛びするだけでは、速度や上昇性能が悲惨すぎて引っ掛かってしまうからである。 一応真上をすでに取れていればファンネルや二段降りテクで誤魔化しやすい部類ではある。 降りテクを通してもそれで凌げるのは僅かな時間のみで、相手の覚醒や冷静な攻めを凌ぐには相方の救援が必須。相方と離れず、逃げ場のある位置取りも常々意識する必要がある。 また比較的迎撃武装として機能しやすい後格闘は実弾武装なので太めビームや攻撃範囲が広い射撃武装で詰められると打ち消されてしまう。太いビームで詰めてくる相手への明確な回答が無い。 この機体は疑似タイ状況で有利に立ち回る事が厳しいので、出来る限り2on2を心掛けたい。 無論相手もそれを承知なので阻止してくるが、20万能機などのタイマンですら一方的になぶり殺しにされるようではどうにもならない。 無理に反撃せず逃げる、壁に向かって逃げない、相方に向かって動くなどの基本的な自衛は出来るようにしておこう。 とにかく足が遅くBD消費の激しい機体であることを意識して動かしたい。 EXバースト考察 「フルアーマーのνガンダムならば…!」 無印νのメイン2連射や、Hi-νのファンネル2連射などと違い覚醒による強化は無し。 特筆して相性の良い覚醒は無く、どれを選んでも何かしらの欠点が残ってしまう。 押し付けの面でも注目が集まる覚醒中は非覚醒時以上のリスクが伴う上、そもそもの押し付け性能も低いため、微妙と言わざるを得ない。 基本はM覚、次点で相方次第でS覚、滅多にないがそれ以外では連動ファンネルの仕様上、人によってR覚がF覚に勝る、といった評価が一般的。 Fバースト 格闘攻撃補正 +10% 防御補正 -5% F覚時は後格入力でファンネルが射出される。 足回りの悪い本機にとってブースト回復5割と、ある程度の機動力上昇は魅力的。 しかし本機のファンネル派生の存在が足を引っ張り射撃→格闘キャンセルをしようとした場合、ファンネルを1発出した後に格闘キャンセルが出るため動きが制限されてしまう。 格闘の性能はそこまで高くない、そもそも格闘に派生がないと格闘でガツガツいける機体でもない。 単に機動力のみを求めるならM覚醒に軍配が上がる。 攻め用としては、使えなくはないが非推奨気味。 Sバースト 射撃攻撃補正 +8% 防御補正 -5% S覚時はN、前、横格入力でファンネルを射出する。 強力な射撃の数々を青ステで撃つことが出来、特にサブの青ステによるタイミングズラしは強力。 チャージ高速もあり優秀な射CSを合間合間に高頻度で挟めるのも嬉しい。 能動的に当てに行ける武装が乏しい本機にとって自分から攻められる覚醒という意味で選ぶ価値はある。 問題は機動力。 機動力がほぼ上がらずブースト回復量も少ないのは元々鈍重なこの機体にとっては見過ごせないポイント。 自衛はもちろん、攻めの場面でも相手の機体によってはそもそも追いつけないということも珍しくない。 総じて上級者向け。 Mバースト 足回りに難を抱える本機にとって嬉しい機動力の強化が得られる。 自衛力の無さ、とりわけ近距離での脆さに難を抱える本機としては安全かつ確実に距離を離せるのはとても嬉しい。 一方で難点もある。 そもそもの機動力がかなり遅いためM覚醒の機動力を持ってしても確実な攻めや逃げが出来るとは言い難い。 特に攻めにおいては押し付けられる武装がサブくらいであり、間合いに入ったはいいものの特にやることも無く簡単な射撃で安く済ませて終わりになりやすい。 そのサブは大半のプレイヤーが警戒しているため単調な押しつけ狙いはある程度上位のプレイヤーには通じないことの方が多いだろう。 特に3000コストの覚醒であるため注目度は並以上であり、サブのフルヒットを狙える状況というのも限られてくる。 総じて良くも悪くも安定寄りの覚醒。 幸い恒常火力に関してはそこまで不安がないので「優勢を保つ」「覚醒に対して切り返す」運用ができるとGOOD。 このように難点はあるものの現状一番使いやすいバーストであり、シェア率高め。 Rバースト 攻撃補正 +6% 防御補正 -20% ブースト5割回復と防御補正の存在から、近距離での自衛力に難のある本機との相性は特別悪いというわけではない。 射撃・格闘の両方にある程度は補正が乗るのもうれしく、SAを抜きにした評価をしても獲られるものが大きい。 極太ゲロビを放つ代わりに発生が遅い…という欠点を持つサブの特徴も逆に活かしやすくなり、ある意味FA-ZZのハイパー・メガ・カノンのような活用ができる。 逃げには当然使えないが、逃げづらいなら逆に高機動で突っ込んでくる相手には被弾すると割り切ってSAを活かして切り返す、という発想もなくはない。 ただ、HWS自体の「火力の平均値はなかなかだが、覚醒の爆発力や機動力が低め」という欠点がここで足を引っ張る。 覚醒落ちしなくなったとはいえ、安定感に欠けるR覚醒を他の覚醒を蹴ってまで選ぶかどうかは良く考える必要がある。 一応狙われやすい機体なので、抜けだけで返しもできずに終わりやすいC覚を選ぶくらいなら、こちらのほうが反撃が通る期待値が高い分得るものは大きい。 特に覚醒時の格闘コンボでダメージを稼ぐ相手に対してはそれらにリスクを背負わせられる。ただ、なんと言ってもやはり狙いは透けて見えている。 上手く扱えなければ「Mを選んで逃げていればよかった」となること請け合い。相当自信があるなら選択肢に上がる程度。 実践的に考察すると「Cよりはマシ」「Fの方が総合力は上だが、個性を鑑みるとR覚の方が有用性が見いだせる」に落ち着く評価。 Cバースト 狙われやすい本機にとっては半覚抜け自体はありがたい。が、セオリーにもある通り抜け目的のC覚の運用は基本的に悪手である。 自衛ができない言い訳としてのC覚は端的にいって弱い。しかもこの機体の場合は、抜けた後に確実に刺せる即効性のある押し付け武装がそこまで充実していない。 特段相性がいい覚醒がなく後衛気味になるためCが選択肢に上がるサバーニャ、AGE-FXなどの前例はあるものの、あちらほど機動力があるわけでもない。 抜けて逃げたところで反撃の攻撃を通しづらいため、半覚醒抜け自体をそもそも活かしづらく、結局そこまで得られるものがない。 そもそも3000がCの半覚醒抜けを強要される…ということ自体が非常に弱い行動かつ愚策であり、相方の負担が激増することが容易に予想できる。 最大の要素となるゲージ譲渡については、そもそも3000というコスト自体がこのコンセプトに合っていないので、この点で活躍したいならそれこそ「フルグランサでいい」となる。 正直いって上辺だけの半覚抜けや低コにも及ばないゲージ譲渡能力に惹かれても得られるものは薄い。他の覚醒を選んだ方が良い。 僚機考察 HWSが自分から前に出る事は無いため、立ち回り的には爆弾か両後衛になりやすい。 ダブロされるとゲロビが撃ちにくいので、とにかくロックを取れる機体、それでいてこちらの苦手な高機動機に対抗出来る飛び道具や特殊移動があるとなおよし。 ターゲットを外しづらい闇討ち機体が良い。闇討ち機体は大抵足が速いので、合流も相方から行いやすいのが○。 HWSが事故らされた時のために、自衛力が高いとなお高評価。 HWSは射撃制圧力の高い機体なため、純格闘機と組むと相方のコンボをこちらが邪魔してしまう可能性が非常に高いく、正直微妙。 また、爆弾戦法だと疑似タイ展開の繰り返しになることもあり、こちらの負担が大きくなりやすい。 その点への解答となる放置拘束技を持つ前衛寄りの機体が最適となる。 3000 シャッフルで起きがちな事故編成。 前に出る3000(所謂格闘機等)が相方ならなんとかなるかも知れないが、後衛寄り機体だとHWSがひたすら追われてどうにもならない。 その場合は素直に諦め、少なくとも相方が減らないように立ち回ろう。 相手が2機とも覚醒した場合はどうしようもないが、相方へ覚醒をぶつけさせないことは常々意識しておきたい。 Ex-Sガンダム・ガンダムサバーニャ等 優秀な射撃で制圧する機体群。 シールドビットやカウンターを備えてるとはいえ寄られたらかなり厳しい。 立ち回りの工夫を考えなければあっという間に蒸発してしまう恐れがある。 どちらが落ちるか、自分の意思を早めに通信で伝えないと取り返しのつかないことに繋がりかねない。 他の3000コスト以上に意思疎通と援護が重要となる。 2500 立ち回り的には最もやりやすい組み合わせ。 HWSが積極的に前に出る事は無いため、立ち回り的には爆弾か両後衛になりやすい。 クロスボーンガンダムX1改 擬似タイから拘束までこなせる近接寄り機体。 特にアシストによる拘束が優秀で2対1の状況を能動的に作りやすい点が魅力的。 自衛力の無いHWSも流石に2対1ならなんとかなる事も多い。 HWSをダブロさせない圧もあり、自衛力もあるためロック集めもある程度できると柔軟な対応が可能。 ただしマントを自分のゲロビで剥がしてしまう可能性も大いにあるのでゲロビを流す際は注意が必要。 またX1が得意な擬似タイ、起き攻めを行おうとするとそれだけHWSが孤立することにも留意しておきたい。 ファントムガンダム PL中の格闘でガンガン行く機体で拒否択のサブや悪くない変形も備える。 問題はPL中にこちらは相手相方をしっかりと抑え込む事とPLリロード中でその間をフォローできるかが重要。 特に二段階放熱でしっかりダメージを稼げていないとかなり苦しくなる。 X1やX2同様こちらのゲロビを当ててしまい、PL(特に二段階放熱時)の時間減少をしないように注意が必要。 アトラスガンダム 自衛力が高く相手にしたく無い機体でありながら、奇襲力や着地取り性能もあり無視しづらい。 X1と同様に拘束力に長けた射撃を持っている点でも相性は良好。視認性抜群のHWSのド派手な射撃に隠れて見えにくいメデューサの矢を飛ばすという嫌らしい戦い方も出来る。 弾が実弾で消えやすいものの、射撃戦をしているうちはHWSが補ってくれるので問題ない。待ちゲー・爆弾両方に対応できる。 互いに火力が高く一度崩したあとに取り返されにくいリターンがあるのも魅力だが、両者とも太いビームが来ると事故が起きやすい事だけは注意。 2000 3000コストでは一般的な組み合わせ。 お互いが引き撃ちをしながら耐久が減った方が先落ちする動きが基本になる。 一見爆弾戦法が最適なようにも思えるがHWS側のゼロ落ち適正が無い(HWSはリスクを回避する手段が皆無で一度捕まると自力では抜け出せない事が多い)ので、見た目に反して安定感がない。 順落ちだけは避けるように耐久調整しながら落ち順を相談していこう。 シナンジュ・スタイン 時代は違えど、連邦とネオ・ジオンのコンビ。良好な機動力に振り向きアメキャン、判定の良い格闘に緑ロックでも機能する特射と隙のない武装構成の2000コス万能機。 HWSが相方に求めるものを多く備えている。 スタイン側が前衛を努めながらHWSと共に射撃戦を行い、要所要所で格闘を狙い場を荒らす立ち回りが良い。 スタインの爆撃とHWSの射撃、どちらも警戒せねばならず、中距離での待ち性能が高い。 加えてどちらが先落ちでもリカバリーが効きやすいので安定感はピカイチ。 より安定感を取るならスタインがC覚醒を選ぶとHWSが後落ちでも半覚2回を吐きやすい。 しかし当然ながらFを選んだ方が爆発力は上で、Fも汎用性は高いので、どの覚醒を選ぶかは要相談。 高機動型ゲルググ(ヴィンセント機) 高いコンボ火力とカット耐性を兼ね備えた2000コス格闘機。 爆弾戦法の相方としては最良だがHWS側が爆弾戦法に対する適正が高くない事が足を引っ張りがちで、ヴィンゲルから見てもHWSの武装が行動の邪魔になりやすい事も組みにくさに拍車をかける。 とは言えヴィンゲルのポテンシャルが高いので無理矢理に組むことは可能。 ひたすらヴィンゲルが暴れて後ろからHWSが範囲制圧を行うことが出来ればペースを掴んだまま流れで勝ちまで持っていける。 ただしHWSが一度でも捕まればそのまま負けになりやすいので安定感は皆無。 アプデでヴィンゲルの射撃能力も下げられており、どちらも中距離でグダグダし過ぎると一気に耐久調整が瓦解する恐れがあるので、ヴィンゲル側には思い切って突っ込んでもらおう。 HWS側はコストを全てヴィンゲルに上げるぐらいの心持ちで自衛したい。 1500 他の3015以上の事故編成。 爆弾戦法が基本になるがHWSが逃げ続けられるわけが無いのでどこかで無理が出る。 機体にもよるがHWSが前に出てロックを集めながら回避に専念し、1500に闇討ちしてもらう動き自体はやれなくもない。 問題はHWSがいつかは捕まる為、そうなった時にどれだけ崩れずに持ちこたえられるかという点。 対策 3000版フルグランサと揶揄される通り、戦略的にはフルグランサと同様の対策が概ね通ずる。 すなわち「見て」「追って」「倒す」。この手に尽きる。 ただしHWSは3000コスト。低コで簡単に近づけるほど弾が緩い訳がなく、攻撃性はヘビー・ウェポンの名の通り非常に高い。 しかしながら他3000と比べるとどの武装も欠点が目立ち、何をするにもリスクが高いので脅威にはなりづらいのが実情という点をしっかり突いていこう。 降りテクがあれば低コストでも近づきやすいだろう。 サバーニャやEx-Sと違いバリアやその場から離脱する武装が存在しないため一度張り付くとHWS側は自衛に躍起にならざるを得ず、低コストで張り付いた状態を維持出来れば戦況的にかなり美味しい。 見合っている状況で気をつけるべき武装は、メインからキャンセルで出せる武装が後格以外近距離で機能しづらいので、基本格闘CS程度。 張り付くメリットが大きいことを理解し、好き勝手させないように積極的に牽制したい。 特に継続的に弾を送れる機体(ex フルグランサ、キュベレイ)はHWSの動きをかなり制限することができるため、積極的に張り付きに行きたい。 使用機体の足が遅かったり降りテクが無かったりで、どうしても射撃戦をせざるを得ない場合は、せめて相手の弾数とリロード時間は計算に入れて挑みたい。 発生が早いのは後格と格闘CSくらいで、後は隙が大きいものが多い。 強引に詰めるのは難しくとも、タイミングを逃さず詰めることでHWSの動きを制限してやろう。 格闘性能が低いため格闘戦に持ち込むのも有効だが、最低限の迎撃行動は持っているため通る場面はしっかり見極めたい。 ゲロビを出しっぱにされるのも巻き込みが怖いし、後格の迎撃性能も低くはない。アシストもセルフカット気味に働くことがある。 鈍足で食らい判定も大きめなので射撃始動は常に視野に入れておきたい。 ただし降りテクの都合で格闘ボタンをホールドしていることが多いため格闘振り返しの機会が少なく、砲撃機レベルの格闘迎撃武装を持っているわけでもない。 サブと特射さえ避ければ強気な前BDもよく通る部類なので、武装相性込みで読み合いをしながら攻め択を選んでいこう。 以下、特に気を付けたい武装群。 格闘派生のファンネル 足が止まる武装から次々と出てくる弾数無限の連動ファンネル。 これにより下記ゲロビを安易に盾で防ぐと、固められた上でそこそこのダメージを負ってしまう。 また自機展開もあるため、ダウン属性の攻撃でないとセルフカットの可能性があるのも厄介。 HWSのゲロビを避けた後には必ず追撃がくると身構えておいた方がいいだろう。 サブ 典型的な高火力強銃口ゲロビ。 中距離の着地を取るのはもちろん、近距離の垂直移動にもしっかりついてくる。HWSの上を取ろうとする上昇に対して引っかかることが多いため、追いかける際には常々注意したい。 コストや発生の遅さ故に最前線でぶっぱなしてくることはさすがに少ないが、連動ファンネルにより反確をとりにくいのも厄介。 ダブロで撃たせないのが最善策。 BRを一発…でもそれなりの対策となるので、狙われた場合にとりあえず消されないものを撃っておくのもある程度有効(もちろんその後も回避を試みること前提であるが) 格闘機の場合はいかにこれを吐かせるかが求められる。 特射 V字のゲロビと中央のミサイルにより、圧倒的な横範囲制圧力を持つ。 ミサイルの誘導も強く、それでいてファンネルも追いかけてくるド派手な一斉射。 銃口補正は格闘迎撃にも使える程強く、攻撃範囲の広さから自分が避けても相方が食らうパターンもあれば二人共撃ち抜かれる事も珍しくない。 直接狙う事は勿論、緑ロックからの置きゲロビも堅実に狙える程であり非常に警戒が必要な武装である。 とは言え横のゲロビ以外の弾速は速くないので基本はゲロビに引っ掛からないように安易な横移動はしないように、しかしジャンプをするなどのブーストを大きく使う行動で避けると着地をサブで取られる危険性がある。 基本的に後ろフワステをすればとりあえずは安全。 サブと違って両手を上げるモーションが合図。 後は引っ掛かってもダメージはそこまで高くないので、相手のペースに乗せられないのも大事。 リロードも長いので、詰める際に上手く避けられたら大きなチャンスとなる。 後格 HWS唯一と言って良い自衛に役立つバズーカ系の武装。発生が比較的よく爆風が大きいため、引っ掛かりやすい。 またリロードも短く中距離での射撃武装としても機能する。 格CSメインで降りると見せかけて寄ったらメインからのキャンセルで迎撃されるので油断しないように。 逆に使ったのを見たらリロード中に一気に詰め寄るのも手。 チャレンジミッション 【機体ミッション】νガンダムHWS ミッション EXP 期待値 5回対戦せよ 50 300 対戦で3回勝利せよ 50 250 対戦で累計3000ダメージ与えろ 200 1500 対戦で1バトル中に2機撃墜せよ 100 1000 トライアドバトルでコースを3回クリアせよ 50 - 推定所要対戦数:197戦 EXP 報酬 5000 コメントパーツ FA-93HWS三段構え幻のプラン 10000 コメントセット [男の子]はこのくらいの方がいい 15000 称号文字(ゴールド) フルスペックNT専用機 20000 スタンプ通信 方法はあるはずだ! 【キャラクターミッション】νガンダムHWS[EX] ミッション EXP 期待値 5回対戦せよ 50 300 対戦で3連勝せよ 100 200 対戦で1バトル中に2機撃墜せよ 100 1000 対戦で被ダメージ600以内で勝利せよ 100 200 対戦でダメージ600以上与えて勝利せよ 100 1500 推定所要対戦数:188戦 EXP 報酬 10000 ゲージデザイン νガンダムHWS 20000 衣装 連邦軍制服 外部リンク したらば掲示板 - νガンダムHWS Part.1 したらば掲示板 - νガンダムHWS Part.2 コメント欄 更新内容のメモや編集方針に関する議論にご活用下さい でもこいつ、なんだかんだで人気あるよな -- (名無しさん) 2023-03-30 12 09 38 爆弾後衛としてそんなにヴァサと変わらんぐらいまではきてる。もう一段ずつ上がるとレオス→カバ→修正確定クラス -- (名無しさん) 2023-03-30 14 47 06 直前ステップはいろんな機体で有用だよね、ガチ勢はブースト節約考えるだろうけど、実際オバヒだけで被弾してるもんでもなし、まずブースト腐らせた被弾を減らす、のは大事 -- (名無しさん) 2023-03-30 22 15 10 虹ステとは言わずゲロビとか大きな武装を使う時はステップ踏むと目に見えて当たるようになる、置きライフルを食らうとしても発射は潰されないから痛み分けに持っていける、これだけでも充分だと思う -- (名無しさん) 2023-03-31 00 28 05 いつもwikiで機体探す時参戦作品で探すんだけど、この機体νガンともHi-νとも参戦作品が違うの今気がついたわ 必死にHi-νのとこ探してた -- (名無しさん) 2023-03-31 21 22 25 たまに福岡と間違える、せめてHWSと福岡は一箇所にまとめて欲しい -- (名無しさん) 2023-04-01 15 39 39 というか、そもそもが福岡νとかあんな原作も何も無いような御当地オリジナルいらんよね。魅力が無い。 -- (名無しさん) 2023-04-01 15 59 55 ユニゼ -- (名無しさん) 2023-04-02 09 28 05 ミスった、ユニコーン零丸みたいな悠長にやってたら殺される奴らが溢れてる中、使用率と勝率割と保ってるのえらい -- (名無しさん) 2023-04-02 09 29 09 なんやかんや極太ゲロビや二又ゲロビは使ってて楽しいからね -- (名無しさん) 2023-04-04 12 25 19 名前 コメント すべてのコメントを見る
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あの夏の日、少年は絶対になろうと思った。 「あぎゃははははッ、鬼ごっこはもう終わりかなァ?」 少年の前方には、肩を押さえて苦しげに呻く茶髪の少女の姿があった。 光彩の宿っていない瞳と可愛らしい顔立ちの中で、その手に持ったライフル銃だけがどうしようもなく浮いていた。 周囲の空間には、弾痕が大量に刻まれている。 コンクリートの塀は崩れて、柵としての機能をもはや成していない。 電流が放たれたからか、電線が漏電を引き起こしている。 地面は抉れて、アスファルトは溶けつく。 ぐるりと周囲を見渡せば、どこにも通行人の姿なんてものはなく。 後ろは行き止まりで、前には白色の鬼神。 世界最強の化学力を保有すると云われる科学と学生の街、学園都市にて最強の能力者として君臨する少年・一方通行(アクセラレータ)。 対するは、一人の少女の遺伝子を使って産み出された二万体のクローン人間。 機密裏に設計された計画の最終目的は、学園都市が誇る最強の能力者を『絶対』の域へ到達させることだった。 その為の条件は、一方通行が二万体の『妹達(シスターズ)』を殺害し尽くすこと。 戦略兵器と比較してなお強大な怪物の力が、少女の細身を潰すために向けられている。 無敵へと到達するために。 前人未到の領域、『絶対能力者』となるために。 「くっ………!」 「オイオイ、馬鹿の一つ覚えみてェによォ――効かねえって分かってンだろ?」 少女の細腕から、蒼白い電流が束になって一方通行へと迫っていく。 それでも一方通行は引き下がろうとはせずに、生身でその攻撃を完全に受けた。 火傷や感電はしない。 逆に法則を無視して、電流は少女の方へと返っていく。 ありとあらゆる力の『向き(ベクトル)』を操作する能力、それこそが一方通行の超能力だ。 電流も、弾丸も、核兵器さえも――この少年には、かすり傷一つさえ負わせられやしない。 「が、ああああああ!!」 反射された電流を真っ向から喰らって悲鳴をあげ、崩れ落ちる少女。 「チッ、相変わらずつまンねえ奴だよなァ、オマエ。もうちょい踊ってくれや」 三日月のように口元を獰猛に歪めて笑う白髪の少年。 一歩また一歩と、地面を踏みしめる足音がする。死神の足音が、すぐ其処まで迫っている。 人間でありながら、人間を超越した力を振るう科学が生んだ怪物。 超能力者。 学園都市の230万人の学生の頂点に立つ七人の、更に頂点。 そして『妹達』の素体となった少女もまた――第三位の超能力者だった。 「なァ、知ってっか? 人間の血液が逆に巡り出すとよォ―――すっげェ愉快なコトになるンだぜェ」 紡ぐ言葉は絶望の言葉。 人を越えた存在であるからこそ、彼は残虐な所業にも全く心を痛めない。 「ッ……!」 抵抗をしようと銃に手を伸ばす少女だが、電流による痺れのせいで手が上手く動かなかった。 「悪足掻きの時間は終わりか」 「……これが、一方通行。第一位の超能力者ですか」 諦めたように、クローンの少女はそう漏らした。 彼女は一○○三〇度目の実験対象となる『妹達』だったが、一方通行の力を直に見るのはこれが始めてだ。 実際に戦って初めて、彼女は絶対に超えられない壁の存在を知った。 「そォだ。これが第一位だよ、三下」 一方通行の声は嘲るようでありながら、しかしどこか不機嫌そうでもあった。 少女には、恐怖の感情が分からない。 少女には、一方通行の感情が分からない。 ただ、自分がこれから殺されることだけは、痛いほどによく理解していた。 銃は無駄と分かっているし、電流攻撃も通用する隙すらあの怪物には存在しない。 白い姿が迫ってくる。逃れる手段はない。 詰んでいる。どうしようもない。 最期の時を前にして、脳裏に浮かぶは『素体(オリジナル)』の、『お姉様』のこと。 一緒にソフトクリームを食べた記憶。 マスコットを貰った記憶。 拒絶された記憶。 全てが入り交じって、作り物の少女の胸の中にちくりとした痛みを生み出す。 ―――ああ。 ―――もしも、自分が人間だったなら。 ―――私は、あの人の妹になれたのだろうか。 ―――今度はちゃんとした、普通の姉妹に――― 「……お姉様」 それがミサカ一○○三〇号の、最期の言葉だった。 1 「……つまらねェ」 ブラックコーヒーを啜る少年は、不機嫌そうに呟いた。 鋭い赤色の瞳は、何への憎しみも写さず、ただ自分への苛立ちを募らせる。 白き髪に華奢な手足が、彼をまるで病弱な少年のように見せかけてさえいた。 アルビノの特徴を持った細身の少年は、しかし見たままの雑魚ではない。 一万以上のクローン人間を虐殺して、その過程で微塵の怪我も負わなかった『最強』の超能力者である。 一方通行。 本名は覚えていない。随分とありきたりな名前だったと記憶しているが、使わなくなって久しい。 少年は幼くして、自分が強すぎることに苦悩した。 齢二桁にも満たぬ幼かった自分に、容赦なく大砲や拳銃を向ける警備員(アンチスキル)や駆動鎧(パワードスーツ)。 それでも、一方通行に傷はつけられなかった。 全ては潰され、幼い一方通行は少しずつ、胸の内に『無敵』になることへの願望を抱き始めていった。 「コーヒー、切れちまったな」 部屋の中には、同じ銘柄のブラックコーヒーが散乱している。 この銘柄がお気に入りで、コーヒーには何かと五月蝿い彼のニーズに応えている貴重な一品だった。 一本百円ぽっちの価格で日々溜まるストレスを晴らせるなら、満足だ。 マンションの簡素なドアを開けて、夜天の下を歩く。 少女達を殺した手で扉を開き、少女達を潰した足で地面を歩く。 罪悪感は消え失せた。 あるのはどうしようもない虚無感だけ。 何故、念願の絶対能力者へ近付いているのに――こんなに、渇くのか。 怒りと不可解のカオスが渦巻く彼の眼前に、数人の頭の悪そうな武装集団(スキルアウト)が立ちはだかった。 「……ホント、ツイてねえよなァ、オマエら」 一方通行を倒して学園都市最強の座を狙う馬鹿な少年たち。 不良の彼らでも怯む残虐な笑顔を浮かべて――― 「―――オマエら、本当にツイてねえよ」 学園都市最強の暴力が、解放された。 2 「清隆様」 一人の少女が呟いた。 ざあざあと降りしきる雨の中、弱々しく吐き出された言葉は、しかし不思議と雨音を裂いて響く。 こことは別の異世界で、一人の少年が暴力を解放したことなど露知らず。 一人の少女が傘を差して、風雨に打たれて荒れ放題の廃墟を見上げていた。 「お姉ちゃん――わたしね、やっと辿り着いたんだよ」 ここには誰もいない。虚空に向けて、返答など期待していない。 白くてふわふわとしたロングヘアーが水で湿り、纏った衣服ももう大分ぼろぼろだった。 「清隆様の仇。時空管理局。高町なのは、フェイト・T・ハラオウン」 彼女は噛み締めるように呟いて、微かな笑顔を可愛らしい容貌に浮かべた。 この廃墟は、彼女の『家族』の墓標だった。 降りしきる雨に染められて茶色く変色した洋風の建物には、確かに『永遠神院』の四文字が刻まれている。 人とは異なる不幸なさだめにあった少年少女を、親の代わりに育てる。いわば孤児院だった場所だ。 父たる男は神だった。 子供たちは異能の使い手だった。 苛烈な虐待を受けて育った彼女にとっては、この屋根の下で苦楽を共にした彼らこそが、本物の家族だったのだ。 「絶対……清隆様の願い事、叶えるからね。協力してくれる人にも会えたんだよ」 しかし、家族はもう誰一人としていない。 今から数年前のこの日、激戦の果てに永遠神院は敗北したのだ。 父・神島清隆は二人の魔導師の攻撃で消滅し、二人の家族が自ら命を絶ち、一人は今も行方が知れない。 彼女も本来はテロリストとして追われる身なのだが、誰が捕まってやるものか。 この古びた孤児院だけが――今の彼女にある、たった一つの真実だった。 「だから、わたしが皆を生き返らせるから。だから」 涙が瞳に滲むのを、堪えられそうになかった。 できることなら、戦いたくない。殺すなんてもってのほかだ。 テロリスト時代の頃にだって、彼女はただの一度も殺人に手を染めた経験だけはない。 だが、家族の仇である時空管理局に関してだけは話が別だった。 この手で引き裂いてやりたいと、燃やし尽くしてやりたいと、幾度思ったか知れない。 なのに、そう考えている時。必ず、自分の手は震えてしまうのだ。 「――また、いっしょに暮らそうね。清隆様、キリルお兄ちゃん、綾音お姉ちゃんにリリーお姉ちゃんも」 冷たい雨風が、ファルシータ・ソニックレインの頬を冷たく撫でた。 3 彼女にはまだ知るよしもない。 力なくして結果を求めるその在り方が、近い将来とある『最強』と重なることを。 彼にはまだ知るよしもない。 ずっと感じていたどうしようもない『渇き』を潤す存在が、一人の『最弱』の少女として現れることを。 運命はあまりに数奇に、結び付くはずのない二つの物語を結びつけていく。 八月某日、白い少年はひとり見覚えのない街の公園で目を覚ました。 学園都市最強の頭脳をしても解けない謎に、彼は向かい合うでもなく学園都市へ帰る術を探す。 無敵になりたい。 誰も傷付けずに済むような、近寄りたいとも思わないような『絶対』になりたい。 そうすれば――もう二度と、自分は手を汚す必要がなくなるのだから。 最初は優しかったのに、力を持ったがゆえに歪んでしまった少年は――魔導師と交差(クロス)する。 科学と魔術が交差する時―――― ――――物語は始まる。 4 「………はァ。一体何だってンですかァ。ミッドチルダだとか何だとか、知ったこっちゃねェンですけどォ」 真夏の炎天下で、一方通行は見たこともない街の中を苛々しながら歩いていた。 ここも未来都市のようだが、それでも学園都市と比べれば随分と貧相な町に見えてしまう。 学園都市の『外』だけで見たなら、きっと世界で有数の観光都市にさえなるだろうが。 それよりも問題は――当の一方通行に、こんなところへやって来た記憶がまるで無いことである。 武装集団を一分で片付け、コーヒーを買って自分の部屋に戻り、簡素な椅子で眠りに就いた筈だった。 寝惚けて学園都市を出てきただとか、そんな間抜けな発想は考えるだけでもアホらしい。 「しかも、ここの街の新聞やテレビには学園都市の記述が一切無い。オカシイよなァ、これは」 学園都市は今や、かの米国を優に凌いで世界の中心として君臨している。 その名前無しにしては、ニュース番組が構成できない程に有名で、重大な都市なのだ。 (愉快なことになってンなァ。仮想空間……って訳でもなさそォだが) ホログラフィーの仮想空間だったなら、一方通行が見抜けぬ筈がない。 ベクトル変換を用いれば、『空気』と『電子』の違いくらいは赤子の手を捻るより容易く見抜くことが出来る。 「実験もこの分じゃ中止かァ? ……ったく、よォ。本当に―――」 ただ一人歩く白い少年の視界に、二人の男女が入ってくる。 ついさっき街を歩いていたが、その時に見た誰とも異なる風貌をしていた。 片や茶髪に端正な顔面をした、ステッキのような物を持った少女。 半ば鮮やかなハニーブラウンの髪の毛をした、少し小柄な姿をした少年。 二人は異空間がどうとか、時空がどうとか訳の分からないことを宣っている。 ぎょろり、と射殺すような鋭さを秘めた視線を二人の方向へ向けた。 血液のように紅い瞳が、この上ない殺気として空間を支配する。 立ち塞がる邪魔者はどうするか。そんなものは簡単で、あまりにも明快だ。 「―――ふざけやがってよォ、どいつもこいつもッ!!」 危険と判断した少年・ユーノ・スクライアの拘束魔法(バインド)が一方通行を取り囲む。 が、一方通行に触れた瞬間には粉々に砕け散り、虚空へと消えていった。 結論から言って、ユーノと『エース・オブ・エース』高町なのは二人がかりでも、目の前の少年は強すぎた。 全身から放たれる威圧感は凄まじく、殺気は否応なしにユーノ達に冷や汗をかかせる。 しかしなのはは威圧などには屈せず、一方通行の投擲した小石を回避。一方通行のドロップキックが直ぐ真横をロケット砲のような威力で通り過ぎていったが、デバイス・レイジングハート・エクセリオンを構える。 吹き付ける衝撃波をシールドで防ぎ、エネルギーをその穂先に溜めていく。 一方通行の攻撃が来るより先に、自分の自慢の一撃で片をつける。 桃色の閃光がレイジングハート・エクセリオンの穂先に集まり、幾つかの光球となって少年へ向かっていく。 しかし、それも一方通行には届かない。 猛烈な速度で迫る一方通行に触れた途端、なのはの攻撃は全て掌を返したようになのはへと帰ってくる。 「チェーンバインドッ!」 鋼すらも打ち砕く鬼神の拳がなのはを貫かんと迫るが、寸前で緑の光を纏った鎖が一方通行に巻き付いた。 当然、動きを止めるには至らず砕け散る。 「反射……!? 一体どういう原理なんだ、デバイスも使わずにあの力なんて!!」 なのはも同じ疑問を抱きながら、一方通行の一撃をシールドで防ぐ。 鈍い打撃がやってくる――とても重くて、強い衝撃を感じた。 凄まじい衝突音が響くも、なのはへのダメージほぼ皆無だった。戦闘続行の上で一切の支障なし。 「ディバイン―――バスター!」 桃色の閃光が、今度は極太で放たれる。 非殺傷設定でなければ、即死は免れないレベルの破壊力を秘めた一撃だ。 これまでの動きから分かっていたが、この少年には一切の攻撃が通じない。 彼の攻撃は全て魔法が形無しに見えてしまうような威力で、移動速度は空戦魔導師をも凌駕するそれだ。 「しゃらくせえンだよッ! あぎゃははははは!!!」 予想通り、なのはの十八番は呆気なく反射され、なのは自身に牙を剥いた。 何度も見ていればなのはも分かる、今度はディバインバスターが跳ね返ってくる前に、回避を完了していた。 「くそっ、止められない!」 ユーノの鎖では一方通行を一瞬止めることすらも不可能だ。 視界を遮ろうにも、彼にとっては突進するだけで砕ける脆い錆のようなもの。 なのはの放った光球が飛んでいく。一度に反射できるものに限度があるのか、実験するための攻撃。 しかし僅かな希望さえも裏切って、一方通行は全てを反射し、吹き飛ばす。 無論、これは只の牽制でしかない。 先程から何度攻撃してもまともなダメージが通らないし、歴戦の魔導師である二人の方が完全に圧倒されていた。 そう思いながらなのはとユーノは――頼れる『親友』の奇襲を、確実に当てる寸断を整えた。 「アルカス・クルタス・エイギアス―――」 偶然通りかかった同僚、フェイト・T・ハラオウンの援護攻撃。 金髪の少女が言葉を紡ぐと同時に、彼女の周囲に雷の球が幾つも浮かび上がっていく。 「ザルエル・ブラウゼル―――フォトンランサー・ファランクスシフト!!」 続くフェイトの言葉と同時に、雷の球は一気に三八個にまで増えていく。 これは戦いの中で即興で編み上げた『奇襲攻撃』の手段だった。 なのはとユーノで隙を作って、『反射』の限界まで攻撃を叩き込み続けて一方通行を潰す。 必殺の攻撃を打ち込めば、少年一人を行動不能に追い込むことくらいは雑作もない。 向こうも棒立ちしているだけではない――更なる攻撃の為に、既に地面を蹴った後だ。 「無駄だ」 一方通行は思考する。 視界には三匹の鼠。内二人は超能力者クラスだが、線の攻撃は決して一方通行を越えられない。 それがわかったからこそ、そろそろ潮時だ。 「これで終わりと思うな!」 フェイトの魔法が届くよりも先に、ユーノの遠距離攻撃も一方通行へ四方から飛んでいく。 それに一方通行が反応を示さずとも、なのはのディバインバスターで一気に決められる。 無限に攻撃をし続けて反射を破る。それが、彼女たちの組んだ一方通行攻略法だった。 「ディバイン、バスタァァァァァ――――!!」 爆音が響き渡り、三人の攻撃の全てが一方通行の体へと叩き込まれた。 どんな防御をもってしても、これだけの嵐を防ぎきれるわけがない。 何せこの三人は、時空管理局内でも有数の実力者たちなのだ。 ようやく倒せたと、安堵の空気が漂う。 だが。 「――何だァ、こりゃあ。花火ですかァ?」 絶望は砂埃一つ被ることなく、そこに変わらぬ姿で君臨していた。 直後、反応を示すより先に無数の攻撃がユーノの身体へと向かい、直撃して彼を一撃で戦闘不能にする。 次には、マッハの速度で接近した一方通行がなのはの眼前で拳を振りかぶっていた。 慌ててシールドを張るなのはだが、今度は何やら様子が違う。 手を当てて、何かを調べているような。 そんな動作の後に、三日月の笑顔で彼は目を見開く。 ただそれだけ。拳も弾丸も使わずに、高町なのはのシールドは完全に崩壊して消える。 無防備となったなのはの胸のど真ん中に叩き込まれる、ベクトル変換を行った鬼神の拳。 一直線に地面へ吹き飛び、叩きつけられてなのはの意識を刈り取り、一方通行はまた笑った。 「どうして……どうやって、シールドを!?」 「簡単だよ。逆算だ」 驚きを隠せない表情で問うフェイトに、気だるそうに一方通行は説明する。 「オマエらの『シールド』は何でかベクトルが変えられなかった。仕方ねェから直に触れて、ベクトルを俺の『知識』にしちまった訳だ――もォ、俺の攻撃は防げねェんだよ。諦めやがれ」 フェイトは悔しそうに歯噛みする。 不甲斐ない話だが、とてもこの局面を覆す手段なんて思い付かない。 機動六課のエース・オブ・エースを、あんなに簡単に倒してみせた。 自分一人が意地を張って戦ったところで、無様に打ち捨てられるのが関の山だろう。 (撤退するしかない――このままじゃ、なのはとユーノが殺されちゃう) フェイトはつまらない怒りに流されるほど単純な性格をしていない。 現状を見極めて、それでここは逃げることが最善手だと割り切ることができた。 それに、彼女は不可解な感覚さえ覚えていた。 親友にして同僚の少女たちを倒されて、それでもあの少年・一方通行に怒りを抱けなかったのだ。 浮かんだ感情は――憐憫。 笑いながら戦う彼の姿が、どうしてももの悲しいものに見えて仕方がない。 「……ここは、退く。でも最後に、貴方の名前を教えて」 「一方通行だ。本名なンてシケたモンは忘れちまったよ」 「そう。私はフェイト・T・ハラオウン。貴方が倒したのが、高町なのはとユーノ・スクライア」 「覚える必要がねェな、負け犬」 悪態をつく彼に、フェイトは母性さえ感じさせる笑顔で返す。 「――ううん。貴方はなのは達の名前を呼ぶときが必ず来る。私達時空管理局が貴方を必ず止めてみせるから」 「……ハッ。楽しみにしといてやるよ。俺を倒せるよォな奴がいればの話だけどなァ」 こうして、一方通行と時空管理局の一度目の交差(クロス)は終わった。 学園都市からの刺客は時空管理局の精鋭を歯牙にもかけず、圧倒的な勝利を勝ち取った。 が、この一件を境に一方通行は時空管理局から追われることとなる。 指名手配といってもいい。 彼の行く末に待つのが救いなのか、それとも全てが彼を超えられない終焉なのか。 とにかくただ一つ確かなことは。 この少年が登場したことで、物語は本来と大きく異なる方向へ傾くこととなることだった。 5 時空管理局、機動六課。 其所は現在――大騒動になっていた。 広大な次元の海に広がる、幾多の旧文明の遺産・ロストロギア。 かつての超高度文明から流出する、強力な技術や魔法の管理を担当するのが、彼女ら機動六課の仕事だった。 とはいったものの、それは地味な発掘や、資料まとめの仕事だけではない。 時には暴走したり、心なき人間に悪用されたりしたロストロギアの引き起こす事件を解決するのも、職務の一種だ。 では、何故彼女らが一方通行と接触することになってしまったのか。 その理由は――現在、とある犯罪組織が暗躍していることだった。 『チェッカー』と名乗るそのグループが狙うのは、この地に流れ込んだというロストロギア。 手に入れただけで、一つの世界を混乱に貶める化け物を生み出してしまう、最悪の遺失物だ。 誰かの手に渡る前に、何としても『あれ』を確保しなくてはならない。 『チェッカー』の構成員を探しに出ている最中、偶然なのは達は一方通行に遭遇した、というわけだ。 「一方通行……か。文字通りの能力使いだったってことなんやな」 機動六課・SSランク魔導師。 八神はやては、機動六課のメンバーを前にして報告書に目を通していた。 その書類には白髪に紅い瞳の、人目を引きそうな顔写真が載っている。 加えて彼の能力の概要が明記され、『攻略法不明』の五文字がその脅威性を物語る。 「しっかし、なのはちゃんとフェイトちゃんのコンビにユーノがプラスされて、それを無傷で倒すってデタラメ過ぎるやろそれは……。『チェッカー』なんかよりずっと厄介や」 「あの……その『能力』って何なんですか……?」 エリオ・モンディアルがおずおずとはやてに問う。 はやて達は知っていた。一方通行のように、魔法とは異なる力を振るう超越者。 数年前の大激戦と、その果てにあった一つの『真実』の顛末。 決して後味の良い話ではなかったが、黙っておく訳にもいかないだろう。 「ええか。この世には、『超能力者』っていう特殊能力者が居るんや。ごく少数――『あの男』が言ってたによれば、世界に両手の指で数えられる程しかおらんっつー話やけどな」 曖昧な表現だったが、はやてがそれを『まだ話すべき時ではない』と考えていることは誰にでも伝わった。 なのはやフェイトも目を伏せていることから、余程の出来事があったと想像できる。 ――最初から最後まで一人の男の手のひらで、踊らされていた話。 後味の良い話ではなく、彼女たちに得るものは何もなかった。 そして今も――ある少女は、救われていないのだ。 「う~、でもまだ分析が出来てなくてな。このバケモンをどうやって倒すか……」 なのはとフェイトのコンビを圧倒的な力で敗北へ追い込んだ怪物を倒すなんて、並大抵の話ではない。 一切の攻撃は通らず、あの反射を破る手段は未だ未特定。 最悪、下手を打てば『チェッカー』と戦う戦力を欠いてしまうかもしれない。 が、一方通行は放置しておくにはあまりに強大すぎる。 『チェッカー』どころか、その気になれば単身で時空管理局そのものを壊滅させかねない、未知数の存在。 発足して間もない機動六課を、こんな訳の解らん輩に潰されてはとても敵わなかった。 黙って帰ってくれればいいものの、なのはらの証言によれば自分が世界を移動したことにすら気付いていないとのこと。 おまけに、異世界からの『客』はここ数日で更に複数の反応が見られている。 飛躍しすぎかもしれないが、一方通行のような連中が大量に放たれればミッドチルダは終わりだ。 「とりあえず、見付けても不用意な交戦は控えること。特に新人四人は、何より『チェッカー』の全貌解明が先決や。あいつのことはうちらに任して、思う存分使命を果たしてくれればええわ」 そう、間違ってはいけないのが、『チェッカー』の存在だ。 『個人の手には余る戦略兵器』を速やかに回収しなければ、最悪の事態さえも予想される。 一方通行に比べれば卸しやすい相手でも、あくまでそっちが優先事項だった。 「………」 ―――そこで、一人の青年は己の拳を見ていた。 彼、トウカはまだ知らない。 自分の小さな閃きが、この後の物語に大きな影響を与えることを。 6 「超能力者かぁー……懐かしいね、なのは」 ルーキー達がいなくなった後には、昔からの親友二人が残される。 応接用のソファに腰かけたフェイトと、それに向かい合うように座っているなのはだ。 「結局あの事件で、私達はパズルのピースの一つに過ぎなかった。全部あの人の―――神島清隆の筋書通りに躍らされて、清隆の望んだ未来へと筋書通りに終わらせられた」 用意したホットコーヒーには、両者一度も手をつけていない。 机に置かれた飲料の水位は、未だ下がってはいない。 ただ、深い茶色の水面に、沈痛なフェイトの表情を写すのみ。 「にゃはは……強かったよね、清隆さんは。だけど、『あの子』が救われていないことを知ったら、怒るかな?」 白いコーヒーカップを手に、なのはが言う。 そして手にした器に口を当てると、上品な味わいの液体を渇いた喉に流し込んだ。 かちゃり、と皿とコップの当たる音。 二割ほど水位の下がったコーヒーの水面に、エースの表情が写される。 「もちろん、諦めちゃいないよ。あの子の行方は分からないけど、ね」 思い返すのは三年前、目の前で『父』の消滅を見てしまった少女の表情だ。 彼女は時空管理局を絶対に許さないと断言して、あの戦場から逃亡を果たし、未だ逃走中である。 なのは達はあれから三年の月日が流れたにも関わらず、一向に彼女の足取りを掴めていない。 彼女の『父』にして『神』たる男、神島清隆の与えた『使命』を果たすなど、もってのほかだ。 テロリストであっても、永遠神院関係者は全員が観察処分となることを保証されている。 だが、彼女は戦い続けるだろう。 父を殺された憎しみを晴らす対象を、必ず滅ぼそうといつかなのは達の前に立ちはだかるだろう。 彼女はとても弱い。 まともに戦える運動神経もないし、催眠術のスキルも非常に微弱なそれでしかない。 それでも、彼女の信仰心は人一倍根強く、また家族への拘りも最も深いように思えた。 そういう相手が、一番強い。 自らの身を顧みないからこそ、気付いた時には取り返しのつかないことになっている場合が殆どだ。 「でも、必ず助ける。そういう約束なんだから」 ふっ、と。 笑顔と共に、窓の外の空を見る。 その先に広がる蒼穹と同じ、蒼き髪をした男性の面影を脳裏に描く。 幸せになれないジンクスを抱えながら、子供たちを救おうとした彼はテロリストとなった。 圧倒的な戦闘スキルと聡明な頭脳でもって、殺戮の限りを尽くした。 だが、そんな彼が最期に望みを託したのがなのはとフェイトなのだ。 本気になれば二人を世界から消し去ることさえ出来るのに、彼は自らが消える結末で救いをもたした。 時空管理局の二大エースの全力で、神島清隆の死で二人の少女の死を回避する、全てはシナリオ通りだった。 そして自分たちもそれに従い、全力の攻撃で散りゆく神の計画を完遂させた。 因果を背負ってしまったけれど、それを後悔はしていない。 「私はあの子を助けたいよ。機動六課とかエースとか、そういうことを抜きにして――高町なのはとして、助けたい。お節介かもしれないけど。……それに、あの子――ファルちゃんがいれば、デバイスの修理が凄い楽になると思うんだ。にゃはは」 エース・オブ・エースの強い意志が、その言葉には籠っていた。 彼女の大切なものを壊した自分達が責任をもって彼女の幸せを叶えると、高町なのはの瞳は揺るぎない決意を見据え澄む。 フェイトもくすりと笑って、昔から変わらない自分の親友に賛同するように頷いた。 幼い頃の自分。盲目的に、母に尽くすことしか考えていなかったあの頃。 思い返せば――ファルシータ・ソニックレインは。あの頃の自分によく似ているのだ。 「じゃあ、私達も頑張ろう。――みんなの笑顔のために」 7 一方通行が居たのは、ありふれた地上遺跡の中だった。 何故ここを訪れたのかと言えば、自身のベクトル変換を応用して周囲に張り巡らせていた『ベクトルのアンテナ』に、この場所が他の場所とやや異なる反応を示したからだ。 一方通行はスピリチュアルだとか、そういうオカルトを信じるタイプの人間ではない。 この科学の世の中で、そんな幻想を抱くほど馬鹿馬鹿しくて無駄なことはないからだ。 が、自分がこうも唐突にこんな意味不明の世界に放り込まれたのには何かしらの理由がある筈。 ならば空間の『捩れ』が起きている場所に行って、そこで己のベクトル変換を使用する。 空間の捩れを抉じ開けてこの不可解な現象を解明してしまいさえすれば、学園都市への帰還も容易となるだろう。 「つまンねェゲームは、とっとと終わらせるに限る」 ポケットに両手を突っ込んで暫く歩くと、一方通行は辺りの空気が変化したのを感じ取った。 高速での演算によればそれは、この前の戦いで解析した『シールド』に酷似した物質で出来ているらしい。 これが一体どういうエネルギーなのか。 どんな性質を持った物質が、どのようにして空気中にこれほどの薄さで溶け込んでいるのか。 一方通行の知識量をもってしても分かりはしなかったが、ただ一つ確かなことがあった。 「ほォ、すンなりは通してくれねえってか」 遺跡の中心部に近付く内、彼の前に不気味でどこか機械的な『異物(エネミー)』が現れた。 ベクトル変換で強化した腕力でそれを難なく砕くが、やはり手応えがおかしい。 破壊した後のそれらは、光を放って消滅していくのだ。 俗称『ガジェット』。一方通行を追い詰めるような敵ではないものの、それは彼の心に募りつつあった不可解を増長させる。 苛立ちを隠せない様子で、一体また一体とガジェットを粉々に消し飛ばしながら進む白い鬼神。 気流の刃が吹き荒れ、逃げようとするガジェットすらも一体残らず消し尽くす。 学園都市第一位の能力による暴虐から逃れるなど不可能。 そして――彼が遺跡の中心部に辿り着こうという時だった。 「ガ、ガジェットが――いない?」 少女の声が、一方通行の鼓膜を叩いた。 もしも踏み込んで来なければ、彼女たち――フォワード部隊が、一方通行とエンカウントすることはなかっただろう。 「あ、あれ……見てください!!」 一際幼く甲高い声と同時に、遺跡の中に静寂が走る。 先にアクションを起こしたのは、一方通行だった。 苛立ちを抱える彼にとって、鬱憤を晴らすにはちょうどいい『的』だ。 自分から仕掛ける気はないが、十中八九昨日相手をした『三人』の仲間と見て間違いない。 ならば――仲間を潰した自分に、何の敵意も抱かないわけがない。 「……動かないでください。私は時空管理局、機動六課のスバル・ナカジマです。おとなし―――」 「あァ、少し黙ってろ」 台詞を遮って、一方通行が手近な位置の石碑をむんずと掴み取り、それを投げつけた。 スバルは聞いていた通りの出鱈目さに一瞬驚いたが、すぐに飛んできた石碑を拳の一撃で粉砕し返す。 敵意を剥き出しにした視線が自分の方を向く。 この光景が、どうしようもなく懐かしい。 駆動鎧のミサイルや機動砲の矛先に設定された時の愉快極まる記憶を思い出させる。 だから、少年は決めた。 ――――この三下どもを、一人残らずぶっ潰そう、と。 「うらああああああああああああっ!!」 スバルが地面を滑走しながら、一方通行の顔面目掛けて拳を打ち込もうとする。 完全に冷静さを欠いたその攻撃は、あまりに愚かしすぎて鼻で笑えてしまいそうだ。 迫ってくる拳から視線を反らすこともなく――『反射』を発動するだけ。 べぎゃり、という嫌な音がして、スバルの手首が妙な方向に曲がった。 無策の打撃攻撃は、一方通行を相手取る上では最悪の愚策である。 彼の前には全てが反射される――拳が飛んできたなら、その腕があっさりと折れるだけだ。 「スバルっ、一旦下がって!」 「う、うん!」 ティアナ・ランスターの声に、痛みを堪えてスバルはマッハキャリバーを使い後退する。 エリオとキャロの二人も、目の前で実際に見て初めて、一方通行の能力の恐ろしさを知った。 確かにあれでは、迂闊な攻撃が命取りになってしまう。 「行くよ、クロスミラージュ!」 ティアナの銃型デバイスにエネルギーが集約され、エネルギー弾として一方通行に向かっていく。 無論、それは無意味。跳ね返ったティアナの攻撃が、逆に術者のティアナに牙を剥いた。 シールドで防ぎこそすれど、これでは確かに攻略の術がまるでない。 しかも――あちらだって、律儀に防御のみを続けている訳ではないのだ。 「ハハハハハハ!! もっと楽しませてくれや、大能力者!!!」 大能力者――レベル4。 一方通行の視点から見て、この四人はその程度の能力であると考えられた。 大能力者ともなれば、一般的には学園都市で優等生とされる。 だが、一方通行のような超能力者には逆立ちしたって届かない、力の差も意味している。 少なくとも、連中の『矛』が自分の『盾』を貫くことは有り得ない。 一方通行は微塵の疑念さえ抱かずに、確信していた。 彼が取った攻撃行動は、地面をベクトル変換強化した脚力で踏み締め、石や砂を散らすこと。 そしてそれを―――高速で、弾幕状にして―――放つッ! 「ッ――目眩まし!?」 「うおおおおおお―――っ!!」 エリオが、渾身の力を込めた突撃攻撃で一方通行を貫こうとその切っ先を迫らせる。 「エリオくん、駄目!!」 キャロの制止が耳に届くよりも先に、エリオは既に突撃動作に入ってしまっていた。 威力の高すぎる目眩ましを掻い潜って少年が白い怪物へと突っ込んでいき――そして。 「なっ!?」 ――ベクトルを操作したドロップキックが、エリオのデバイスごと彼の体を吹き飛ばした。 ぎゃはははは、という下品な笑い声を聞きながら、地面に叩き付けられたエリオは意識を手放すことを余儀なくされる。 デバイスが破損しなかっただけマシだったとはいえ、負ったダメージはそれなりに巨大。 少なくとも、一方通行との戦闘に参戦することは不可能だ。 「ギャハハハハハッ! 余所見たァイイご身分じゃねェか!!」 次に標的に設定したのはエリオに駆け寄るキャロ・ル・ルシエ。 怒りの咆哮をあげながら一方通行にエネルギー砲を打つスバルだが、それが無意味なのは既に周知の事実。 スバル渾身の一撃は、あっさり反射されて逆にティアナの邪魔をしてしまうだけだった。 悪鬼の白い腕はキャロの細い首にかけられ、やがて彼女はがくり、とその意識を失って脱力する。 全身を伝う電気信号を操作したことで、意識を刈り取っただけだが、あと半日は目を覚まさない計算である。 「くっ、強すぎる……どうやって止めればいいのよ、これ!?」 クロスミラージュの攻撃も通らず、手詰まりのティアナの眼前に迫る一方通行。 彼女はシールドを貼って悪鬼の拳を防ごうとしたが、シールドは既に一方通行に解析されてしまっている。 小気味いい音を立てて破損したシールド。 ティアナが最後に見たのは、自分のバリアジャケット越しに拳を振りかぶる一方通行の姿だった。 彼女の脇腹に拳が叩き込まれて、ティアナはあまりにも呆気なく意識を手放した。 「さァて、どォするよ。後はオマエだけだぜ、えーと。スバルっつったか」 三人をあっさりといなした悪魔を前にしても、スバルは物怖じすることなくありったけの敵意を向ける。 が、彼女がいくら突っ走り気味な性格だとしても、一度犯した失敗を再び犯すほど愚かではない。 片腕が使い物にならない以上、スバルに一方通行を攻略する手段は一切なかった。 できることはなんだ。スバルは考える。 皆を守りたい。守りたいのに――守れない。 不甲斐ない自分に思わず唇を噛み締め、迫る一方通行を睨むことしかできない。 無力感をひしひしと感じながら、不機嫌そうな顔で額に手を当ててくる一方通行を見て――― 何故だかその表情が、怒りとはまた違う感情に燃えているように見えた。 直後、意識がブラックアウトする。 最後まで立っていたのは、白き悪鬼だった。 8 地上遺跡『ウィザーズクオーター』に出現した大量のガジェットは、一体残らず殲滅されていた。 異常なまでの速度で、何一つの反抗動作を起こす前に破壊され、遺跡も見る影もなく荒廃している有り様。 彼女たちの探す『レリック』が其処に無かった、それだけが幸運だったといえるだろう。 しかし、機動六課が被った被害はあまりにも甚大だった。 新入りとはいえ、前線を張るフォワード部隊が壊滅。 ライトニングの二人に至っては、暫く訓練もままならない見立てだ。 エリオも意識こそあれどダメージは大きく、キャロとスバルは未だ目を覚まさない。 一方通行――突如現れたイレギュラー事項を、軽視しすぎていたのが失敗だった。 「やられたわ……」 はやてが髪をくるくると弄りながら落ち着かなく独り言を呟く。 なのは達を歯牙にもかけなかった怪物を、放置しておいていい訳がなかったのだ。 単純な危険性で言えば、『チェッカー』よりずっと上。 そして今回の一件で、完全に放置しておける状況ではなくなった。 一刻も早く一方通行を倒し、何らかの措置を取らなければ――。 「でも、どうやって攻略すればええんやろ。全部を反射する力なんて反則やないか」 新入りの四人だって、個々の素質で言えばまだ原石の域を出ないとはいえ、相当な使い手である。 バインド魔法は通用しない。魔法の一切があれの前には無意味。 物理攻撃に訴えれば肉体が砕かれ、おまけに意識だってものの刹那でカットしてしまう。 総力戦を持ち掛けても勝てるかどうか。敗北の可能性の方が、恐らく圧倒的に高い。 それに何より恐ろしいのが、一方通行はあれで本気の片鱗さえも出していないのだ。 もしも彼が真にやる気になれば、死屍累々の惨状が繰り広げられること請け合い。 そうしないのは―――何故なのか。 フェイトが少し気になることを言っていた。 一方通行は、救われるべき存在だと。 救う余地がないほどに完成された不可逆のデストロイヤーを、如何にして救うのかはやてには分からない。 けれど――そういう人の気持ちが一番よく分かるフェイトの言うことなら、耳を貸す価値はある。 加えて、一方通行の様子を見る限り、彼はこのミッドチルダに来た覚えがないようでもあったらしい。 ならば、機動六課で保護するのも吝かではないだろう。 今だからこそ。 まだ罪を犯していない今だからこそ、彼にはまだ戻り道があるのだ。 「でも……ほんと、どうしよなぁ……」 頭を抱えるはやて。彼女の知るところではなかったが、一人の青年が出撃の準備を始めていることを彼女は知らない。 管理局の中で、最もそういうアウトローな戦いに慣れている人物。その名を――トウカという。 9 「つまらねェ」 月夜の下で、一方通行はいつかと全く同じ感想を漏らした。 折角愉快な出来事に巻き込まれたのに、蓋を開けてみればどいつもこいつもただの三下。 本気になれば指先一つで皆殺しに出来るような、取るに足らない雑魚ばかりだ。 唯一驚くに値することといえば、初日に戦った茶髪の女。 あれの『ディバインバスター』を反射した後、本当に僅かではあるが、腕が『痺れた』。 一方通行の反射を超えるには至らないものの、あの威力は大したもの。 超能力者クラスの人間を二人同時に相手したのは初めてだが、それでも直線の相性はどうにもならない。 結局――、一方通行の『渇き』を満たす輩は未だ現れず。 「ンで、オマエはどうなんだ?」 紅い眼光が、機動六課の青年の方へ向く。 集団で一方通行を捕獲する作戦に出たわけではないようで、どうやら独断専行のようだ。 集団の中で単独行動に出る人間は、余程の自信家かバカのどちらかであることを一方通行は知っている。 そして、どちらにしても良い結果を生むことは極めて稀。 今度は何を考えたのか知らないが、降りかかってくる火の粉は払うのが一方通行のルール。 「……お前はやり過ぎたんだよ、一方通行。だから俺が来たんだ」 ハン、と一方通行はトウカの殺気が籠った言葉を鼻で笑い飛ばす。 本物の『闇』を知っている彼にしてみれば、仲間の仇討ちなんて甘いことを言える身が初にさえ見えた。 潰された方が悪い。この世は弱肉強食の世の中、故に弱い者が強者に牙を剥くのは道理の外である。 ならば、思い知らせなければならない。 二度と近付こうと思えなくなるような力の差を味わせて、徹底的に倒すこと。 一方通行はそのために――鬼畜の所業ともいえる『進化実験』に協力してやったのだから。 「ならどうすンだ。アレですかオマエは、マゾヒストですかァ?」 一方通行の口が裂けるように開かれ、三日月の弧を描く。 度胸は確かに大したものだが、残念ながらそれでは落第だ。 少年漫画ほど現実は甘くない―――なら仕方ない。 学園都市第一位の超能力者(レベル5)の力を、思う存分ぶつけてやろう。 「お前をここで倒す。そして意地でも六課に勾留する」 「そォか」 一方通行が地面を力強く踏みつけると、フォワード部隊にやった『牙のある目眩まし』が吹き荒れる。 まともに受ければ、皮膚に幾つも傷を刻み込むくらいの威力はある。 爆発的な痛みよりも、時には緩やかで鋭い痛みの方が効果覿面だ。 勿論案の定、トウカは件のシールドを用いて砂嵐を防いでいた。 視界が晴れた瞬間、一方通行は鎌首のように細い両腕を勢いよく交差させ――気流の刃をトウカに向け放つ。 「っ、想像以上だ」 トウカが話に聞く限りでもとんでもない怪物のようだったが、ここまでとは思わなかった。 世界を滅ぼす力、というのもあながち間違いではないかもしれない。 しかし、盗賊時代のあったトウカは華麗な身のこなしで気流の斬撃を避け、逆に一方通行に向け駆け出す。 それは自殺行為。だが同時に、トウカの考える唯一の『一方通行攻略法』を実践する好機だ。 理論も曖昧で、失敗すればスバルのように腕を折られてしまう。 そうなれば打つ手は無い。程なく、一方通行の前に潰されるだろう。 だからこれはギャンブルだ。 成功すれば会心の一撃となることは間違いない。失敗すれば、負け犬で終わる。 「あはぎゃはッ! 良いねェ、そォいう馬鹿は―――」 一方通行の哄笑が夜の闇に高らかに響く。 彼の人生で、ここまでの猪突猛進を仕掛けてくる奴が相手なのは初めてだ。 武装集団のならず者だって、一方通行相手には少しでも知恵を凝らす。 「――ブチ殺しやすくて助かンぜェ!!!」 迫る魔手。 駆ける速度は音速戦闘機を優に上回る。 表情は、まさしく獰猛な肉食動物そのものだ。 だがトウカはそれを真っ直ぐに見据え――― 「Quick(クイック)!!」 ―――加速した。 放つのは拳。インパクトの瞬間ではなく、その直前にとある動作を捩じ込む為の加速だ。 一方通行の魔手を掻い潜り、その白い顔面に向かって、渾身の一撃を叩き込まんと振りかぶる。 恐怖は不思議と消えていた。 それよりも、機動六課の仲間を踏みにじったあの男が許せない、という感情の方が強かったのだ。 止まることなく進んだ拳は一方通行の眼前にまで迫り――そして。 「がァッ!?」 一方通行の顔面に、ついにトウカの拳は打ち込まれた。 衝撃に任せて一方通行の華奢な体が舞い、地面に叩きつけられて肺の空気を思わず吐き出す。 何が、起きた? 自分はいつも通り、何億回と行った反射を行った。 間違いなく、トウカの腕がおかしな方向へ曲がり、まともに動かせなくなるのが普通の筈なのだ。 なのに――あの拳は、自分の反射を突き抜けた。 最強の反射の壁を壁ごと『ぶち抜いて』、デストロイヤーに生涯初めての『一発』を叩き込んだ。 その事実は一方通行にとって、あまりにも衝撃の出来事だった。 「は、ハ。おいおい、何だこりゃあ。愉快に素敵に決まっちまった――サイッコウに面白ェぞ、オマエ!!」 地面を蹴りあげ跳躍。そこから、槍のような鋭さのドロップキックでトウカの頭を潰さんと迫っていく。 が、次にトウカはそれを避け、そして一方通行に再びの一撃を与える。 反射は間違いなく機能している。その証拠に、トウカの頬が反射された小石で切り裂かれた。 なら、これはどうやっているのか。一方通行には理解できない。 核爆弾でも貫通できない最強のシェルターがどうして破られたのか、どうしても理解が追い付かない。 「賭けだったよ。お前の『反射』の前に、拳を引き戻して――逆反射。まさか通るとは思わなかったけど」 「逆反射、だと……!?」 確かに、その手段でならあまりにも分厚い『反射』の壁を、すり抜けられるかもしれない。 が、言葉に表すほど簡単なことでないのは当然だ。 その為には極限の速度で腕を動かすことが大前提であり、一瞬でも遅れれば腕が潰れる。 まともな神経をしている人間がやるにしては、些か無茶が過ぎる手段である。 だが――だからこそ。だからこそ、一方通行が自身の生涯で初めて『敵』と見なす価値があるようには見えた。 「それに、お前は喧嘩のスキルがまるで無い。それなら、反射を破れる俺の方が――強い!」 ああ。そうだ。最強の能力者は、能力を奪われれば人並み以下。 だが、防御のみが『一方通行(アクセラレータ)』ではない。 世界のベクトルを司る内の、反射は数多の可能性の内の一つに過ぎないのだ。 「か、かかかかかかかかか。くく、きき」 笑い声が自然と漏れてきて、気分も最高まで高まる。 落ち着いていられる理由がない。後にも先にも初めてかもしれない、一方通行を押している人物。 ―――ああ。 ―――コイツになら、『全力』を見せてやる価値もある。 「かきくけこかきくけこかかかかかかかきくくくくくかかか――――――――ッッッ!!!!」 暴風が吹き荒れた。トウカはそれを避けようとするが、寸前で気付く。 この風は、さっきの単調な刃とは比べ物にならない規模と威力の波状攻撃だ。 そして速度を得るために発動した加速が、ここで仇となる。 「ぐぁぁっ!」 体を風が切り裂き、深紅の液体を噴出させていく。 重要な血管を切り裂かれたら、いくら反射を超えたからといえど生きてはいられない。 反射殺しの技術は、所詮このような『遠距離攻撃』の前では鉄屑同然の無駄に成り果てる。 拳以外は通じない。だから、デバイスの使用は敗北を早めるだけだ。 それなら、生身一つで立ち向かった方が幾分も幾分もマシなんだから――! (これが、俺の全力……俺自身も見たことのねェ、第一位の完全(パーフェクト)……!) かは、と思わず笑い声が漏れる。 笑わずにはいられなかった。これならもう、絶対能力も何も関係ない。 (一方通行は誰にも止められねェ。俺は―――絶対だ……!) 頭上に集まった蒼白い光の集合体が、煌々と輝いて徐々にそのサイズを増して行く。 高電離気体(プラズマ)。 超高熱の塊。ただの一度でも攻撃に用いられれば、ここら一帯は文字通りの焼け野原になること間違いなしだ。 一方通行はもう誰にも止められない。 行く手阻む存在総てを、残さず燃やし尽くすまでは―――。 「……?」 一方通行の上機嫌に泥がついたのは、その僅か数秒後だった。 空中で唸りをあげるプラズマ球体が、不自然に『吹き散らされている』。 まるで遠距離から巨大なエネルギーでも受けているように、少しずつその全体像が乱れて融けていく。 「エクセリオン・バスター!」 高町なのはが、そこにいた。 エース・オブ・エースの真髄、それこそが余りにも強力かつ高レンジの遠距離攻撃。 一方通行が反射という埒外の力を保持していなければ、間違いなく敵わないほどの才能。 軽視してきた彼女の攻撃が、一方通行の最後の切り札を――完全に消滅させるまで、然程時間は要さなかった。 「こ、の……ッ、三下がァァァァああああああああああああああッ!!!」 切り札を破壊された一方通行が最後に行った行動は、地面を蹴っての、最高速度での突撃。 速度にしてマッハ4、歴史上全ての空戦魔導師を引っくるめて、これだけの速度を叩き出した者は皆無だ。 光速に届きかねない、絶速での突進を――しかし、トウカは真っ直ぐに見据え、駆ける! 切り札(ラストピース)たるクイックは、一方通行に超えられた。 だが。反射を破れるのは、自分だけ。 ならばあの生け簀かない野郎に――― 悪党気取りの馬鹿野郎に一発をぶち込んでやるのだって、自分にしかできないことなんだから―――! 「歯を食い縛れよ、最強」 10 ――――俺は、無敵になりたかった。 ――――誰も傷つけたくないと思っていた。 ――――確か、小学校を卒業する頃まではそンなことを思っていた筈だ。 ――――何時(いつ)からだろう。 ――――絶対になる理由と手段が履き違って、俺は気付けば戻れなくなっていた。 ――――あァ、本当に―――― 「俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ」 ――――何やってンだ……俺……… 一方通行の顔面に一際強い鉄拳が叩き込まれて、交差物語(クロス・ストーリー)最初の戦いは幕を閉じた。 【第一章――――END】
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← 鬼舞辻無惨の総身が爆発を思わす激しい蠢動を見せた。 それと同時に解き放たれた触腕の数は十二本にも達する。 これは先程新宿事変の下手人の片割れ……カイドウと交戦していた時のものよりも多い。 更に言うなら攻撃の勢いも、格段に先程のそれより激しかった。 音に匹敵する速度で振るわれる触腕は、掠めただけでも骨肉を粉砕する恐るべき生体兵器だ。 その上、仮に接触の際に自分の血を流し込むことに成功すれば――そこで勝負はほぼほぼ決まると来た。 彼こそは鬼の始祖。千年に渡り、あらゆる虎の尾を踏み龍の逆鱗に触れてきた悪の親玉。 本気の無惨が弱い筈はない。それは彼が、防戦一方と言えどもあの"四皇"相手に戦闘を成立させていたことからも窺える。 にも関わらず――彼の表情は焦燥一色に染め上げられていた。 彼ほどの規格外存在が、目の前の敵一体を壊す為に全力全霊を注いでいる。 争いに喜悦を覚える人格障害を持たない無惨だ。 彼がこれほど全力で戦った場面は、無惨がまだ洛陽を迎える前の永い生涯の中にあっても一度が精々だろう。 だというのにだ。 彼がそこまでしているのにも関わらず――始祖は未だ、その目的を達成出来ないまま手を拱かされていた。 「(何だ、この怪物は……これがあの腑抜けた面の小僧(ライダー)だと?)」 先のカイドウとの戦い、無惨は本気でやるつもりなど毛頭なかった。 戦う内に理解したからだ。これを相手に身を砕いて奮闘するのは無駄なことだと。 だからもう一方の戦場が決着するまでの間、のらりくらりと戦いを引き伸ばし立ち回った。 その態度はカイドウを酷く失望させたろうが、戦略としては間違いなく利口だったと言えよう。 しかし、如何に無惨と言えど荒れ狂う鬼神(カイドウ)を足止めして無事で済む道理はない。 覇気三種を全てカウンターストップの練度で扱いこなすカイドウの攻撃は、無惨の身体にそう簡単には癒えない疲弊と痛手を刻み付けた。 千年間不滅の血肉を焼き続けた赫刀の傷痕とまでは行かずとも。 向こう数時間の間は引き摺るだろう深い消耗を、無惨は生き延びる代償として支払う羽目になった。 それ自体は無惨も自覚していたことだったが――連合如きが相手ならばこの状態でも問題はそう無いと侮った。 そしてそれこそが、鬼舞辻無惨の最大の誤算。 「邪魔をするな……!」 連合の許に姿を現すなり、無惨は目的の遂行の為に行動した。 結果、目障りなマスターの干渉を今後一切シャットアウトすることには成功したが。 神戸しおという新たな要石を簒奪せんとしたその行動は、完全に藪蛇だった。 無惨が知っている、腑抜けた顔と態度の、お世辞にも優秀そうには見えないライダーのサーヴァント。 彼が相手ならば確かに無惨はその目的を果たせていたかもしれない。 が――結果から言えば。 そこで彼を迎え撃ったチェンソーのライダーは、もはや人の姿形などしていなかった。 十二本の触腕が同時に音速を突破し降り注ぐ。 それが、まるで蛸の腕を包丁で断ち切るみたいに容易く切り裂かれた。 すぐさま無惨は新たな腕を用立て/失った腕を再生させて追撃する。 だがそれも結局は同じ末路を辿り。 そしてその間にも一歩また一歩と、チェンソーの怪人は無惨の方に足を進めてくるのだ。 鉄風雷火を遥か上回る無惨の攻勢の中を、そよ風か何かのように肩で風切り進む異形の面影。 「(あの女を回収して逃れるだけならば容易い。 だというのに何故、このような塵屑に手間を取らされねばならんのだ……!)」 実際――平時の無惨であれば、この状況から逃げ出すことは朝飯前だろう。 鬼舞辻無惨は逃げることに関しては間違いなくプロフェッショナルだ。 最強の鬼狩り相手に逃走を成功させ、人間の稼働可能年月を超える期間を潜伏に費やすことで逃げ切った逸話は伊達ではない。 が、今の無惨はよりにもよって十八番の逃亡法が使えない状況にあった。 肉体を爆裂させて肉片に分裂し、数と速度に飽かして逃げ遂せる。 継国縁壱をすら欺いた一発逆転の手が、使えない。 その理由こそが、カイドウが彼に数十分という時間をかけてしこたま蓄積させた覇気によるダメージだった。 "自然"をも殴り倒す覇気の痛撃。それを幾度も幾度も受けた代償が、無惨の体内を亀裂のように駆け抜けている。 この状態で肉体を弾けさせるのは、肉の露出した傷口に粗塩を擦り込むようなもの。 分裂自体は出来たとしても――まず間違いなく追い付かれる。 マスターを回収して逃げる、その前提条件が満たせない。 故に無惨はらしくもない正面戦闘に全力を費やすことを余儀なくされていた。そうするしかないからだ。 「――退け」 距離が一定まで詰まった状況に苦渋の念を抱きながら、無惨は衝撃波を数多、まるで砲弾のように目の前の敵手へと打ち込んでいく。 その威力は言わずもがな絶大だ。 さしものチェンソーもこれを脅威と看做したのか、進む足が一瞬止まる。 逡巡の隙を抉じ開けるように殺到する痛打、痛打、痛打――人体破壊の暴風雨。 思考時間(シンキングタイム)の限界がやって来たチェンソーは、それに対して。 まあいいか、と。 そんな言葉が聞こえてきそうな頷きを一つした。 そして次の瞬間、彼は前進することを選んだ。 無数のチェンソーを振り乱して衝撃波そのものを斬滅しつつ無惨の腕を軒並み切断する。 しかし如何に彼でも、間近まで迫った衝撃の暴風を全て捌き切ることは出来ない。 破壊が直撃する。 その度に彼の身体が跳ねる。 揺れる、拉げる。血が肉を切り裂いて溢れ出す。 肉袋の中身をだくだく流しながら、前に進む。 此処で無惨は――飛び退いた。 一飛びで数十メートルをも移動出来るだろう人外の脚力。 このままでは拙いと判断しての英断。 だが―― その首根っこを、チェンソーはあっさりと捕まえた。 彼はただの鋸(ソー)を象徴した悪魔ではない。 チェンソーの悪魔なのだ。であれば当然、鎖(チェーン)も彼は自由自在に操ることが出来る。 伸ばしたチェーンを無惨の首に巻き付けて、逃げるところを喧嘩殺法宛ら自分の側へと引き寄せた。 無茶な動きで頚椎が粉砕されたが、それしきで無惨が死ぬなら鬼狩りの剣士達はあれほど苦労はしなかったろう。 「ッッ……! 貴様!!」 屈辱と怒りに焦げた瞳で、無惨は牙を剥き吠える。 彼はその間にも抵抗の攻撃を打ち込もうと試みていたが、それよりもチェンソーが行動する方が早かった。 頭のチェンソーが、鬼舞辻無惨の頭の天辺へと押し当てられる。 水分を大量に含んだ鈍い音が、電ノコの駆動音と並行して奏であげられていき。 無惨の頭頂部から股間までを文字通り一刀両断し――チェンソーの悪魔の総身を返り血と返り臓(モツ)で醜く汚した。 惨殺、一閃。 だが無惨は鬼の始祖だ。 手足の欠損や肉体の爆散、それどころか全ての鬼に共通する"頸"という弱点すら克服した鬼の中の鬼なのだ。 身体を両断された程度で無惨は死なない。行動不能にもならない。 瞬時に傷を再生させ、その傍らで逃亡を試みる――無惨。 けれど彼の不死は、此処までの"道中"で既にチェンソーの知るところとなっていた。 だから悪魔は驚くでもなく、自分の不覚を嘆くでもなく。 ただ淡々と、鬼滅(デーモンスレイ)を果たすべく"調理"を始めた。 再生し始めた頭部を真横から輪切りにする。 達磨落としのように消えていく無惨の貌。 その傍らで両腕のチェンソーが無惨の腹へ食い込み、フル稼働で彼の血肉と内臓、そして骨を悉く細断して骨の多いミンチ肉に変えていく。 無惨の激怒も焦燥も一切許さない。発声そのものを許さず解体する。 触腕の発生さえ許さない。その前に切り刻んでしまうからだ。 家畜の食肉処理の過程を映した映像と言われれば信じてしまいそうな、それほど凄惨で――淡々とした作業的殺生。 再生しようとする、無惨。 それを許さない、チェンソー。 二人の無言の攻防は数分に及んだが、それは唐突な轟音によって断ち切られる。 鬼舞辻無惨の切り刻まれた肉塊が、爆ぜたのだ。 チェンソーの悪魔の身体が吹き飛ばされて、地面を転がる。 血風の粉塵という惨たらしい景色の中で――ようやく再生を許された無惨が立ち上がった。 が、その顔にしてやったりといった表情は一切ない。 それもその筈。 「(何故……こうなる………)」 今、彼が使ったのは……"分裂"だ。 自らの肉体を起爆させて状況を立て直す一手。 その判断自体は決して愚かなものではない。 今の無惨はサーヴァントだ。 鬼の始祖たる彼であっても――今となってはどうしても、魔力という概念に縛られる。 絶え間ない再生はマスターの魔力を食い潰し。 マスターの余力が切れれば、彼の不死とて翳る。 それにそうでなくても、チェンソーによる"解体"は無惨にとって脅威すぎた。 数を増やし、その上で常に体内を移動して位置を変え続ける無数の脳と心臓――普通ならば、それを隈なく同時に潰すなど不可能であるが。 チェンソーの悪魔が彼にやった"解体"は、ともすればそれを可能としかねなかった。 故に無惨は分裂を使ってでも、どうにかして逃れなければならなかったのだ――その代償が重いことを、覚悟した上で。 「(何故誰も彼も、私の道を阻む。 鬼狩り共が長きに渡り想いを紡ぎ、この私を打ち倒した……あの光景には一度とはいえ感激を覚えもした。 だが此度のこれは違う。あったのは身勝手な他人の癇癪だけだ。 何故……何故、この私が――そんな下らぬ要因で追い詰められねばならぬというのだ)」 立ち上がった無惨はもはや青息吐息だった。 最強生物カイドウとの戦いで蓄積したダメージ。 それを抱えた上で切った分裂という一手。 その代償は疲労の激しい増幅となって、無惨の全身を激しく苛んでいる。 鬼狩りとの千年の戦いが決着を結んだいつかの夜でさえ、無惨はこうも疲れ果ててはいなかったろう。 「(身体が、重い。肺腑が焼ける。 手足は鉛のようだ。忌まわしい――忌まわしい、忌まわしい忌まわしい忌まわしい。 違うぞ、消え失せろ。これは私ではない)」 息が続かず途切れ、身体は脂汗を絶えず流す。 不滅の筈の活力が執拗な破壊と疲弊の蓄積によって無残に崩れたその格好。 今の彼の姿は、彼が鬼となる前。 誰もに憐れまれ、しかしてその不快を覆す術すら持たなかった頃。 人間だった頃の鬼舞辻無惨の姿を、英霊となった彼の身体に貼り付けたかのようであった。 「なんだ――その眼は」 自分を見つめるチェンソーの瞳。 それに無惨は青筋を立てる。 「私の顔色は悪く見えるか? 私の顔は青白いか? 病弱に見えるか? 長く生きられないように見えるか? 死にそうに見えるか?」 無惨の身体がぶくりと醜く膨張した。 途端に溢れ出す、無数の触腕。 その数は先程のそれを遥かに超えている。 極限まで追い詰められたことにより、肉体同様に爆裂を迎えた感情。 それが引き出した――打算の一切を抜きにした純粋な怒りを。 カイドウとの戦いでこれを見せられていれば、彼の無惨に向ける印象も大きく違っていたかもしれない。 「違う違う違う――私は限りなく完璧に近い生物だ。 貴様如き首輪付きの飼い犬が、一丁前に私を推し測った気になるな。万死に値するぞ身の程を弁えて死に腐れ」 触腕の八割以上が血風に変わって飛び散る。 残った二割が衝撃波を繰り出し、それがチェンソーに直撃する。 だが耐え抜いて斬撃を放ち、それで無惨の本気は全て斬滅させられた。 次に繰り出したのは肉塊の津波だった。 無惨の細身な身体の中に詰まっているとは思えない、質量保存の法則を完全に無視した異常現象。 触れただけでも致死に繋がる死の大波――チェンソーはそれを真っ向勝負で受けて立つ。 津波の中を徒歩で越えていく不条理。 致死の筈の血を大量に浴びながら、それでも小揺るぎもせずに歩み続け切り刻み続ける悪魔。 が、此処までは無惨も想定通りだった。無惨は間違いなく激怒していたが――それでも馬鹿になってはいなかった。 「(数十年もの時間に耐え得る器を手放すのは惜しいが……背に腹は代えられん。 貴様は精々相撲の勝ち負けに執着して喜んでいろ。私はその先に行く)」 しおの方へと。 過去最高速で走る、一撃。 こうなってはもう仕方がない。 神戸しおを器に据える未来は、諦めた。 目先の生を掴むための一手――この怪人さえどうにか出来れば連合など烏合の衆だと。 そう確信しての、まさに起死回生の一手だった。 事実。 覚醒を果たした死柄木弔ではあったが、しかし彼と無惨は相性が悪い。 無惨であれば弔を、崩壊を打つ前に殺すことが出来るし。 そうでなくとも衝撃波を連打しているだけで、弔はおろかその取り巻き達さえ皆殺しにすることが出来る。 それだけの力を秘めたサーヴァントなのだ、鬼舞辻無惨という狂戦士(バーサーカー)は。 が――その"最適解"を、チェンソーマンは暴力という名のさらなる"最適解"で打ち破る。 肉と血の津波をモーゼ宛らに断ち割って。 チェンソーマンは――跳び上がった。 そしてチェーンを伸ばし、無惨の放った必殺の触腕に追い付かせる。 そこに食い込ませたチェーンを手繰るようにして、後の先で今度は彼自身がしおを狙った攻撃へと追い付いて。 そのまま、羽虫でも払い除けるみたいに蹴散らした。 鬼舞辻無惨の起死回生の一手が、まるで予定調和のように地に落ちる。 「――――――――ッ」 そうなれば次に狙われるのは言わずもがな、無惨本体だ。 近寄るな。来るな、来るな来るな来るな――放つ触腕、衝撃波、致死の血、全ての御業。 殺す。邪魔だ、邪魔だ邪魔だ邪魔だ――切り刻む、切り刻む。切り刻む、全て切り刻む。 肉とチェンソー。二つがせめぎ合った結果など端から見えていて。 そしてその通りに、チェンソーマンは無惨の猛攻を乗り越えて彼の目前にまで迫った。 無惨が何かするのを待たずして、彼の手足が宙を舞う。 再生するならその前に、肉が盛り上がった瞬間に切り落とす。 チェンソーマンが振り下ろした足が、まるで楔のように無惨の腹を貫いて地面に縫い止めた。 「――――――――」 怒りで言葉も出て来ない。 貴様如きが私を足蹴にするなと、無惨の脳細胞の全てがそう咆哮している。 だがそんなことは構うものかと、チェンソーマンは無惨の肉体を切り刻み続けた。 抵抗の余地がない。仕方なく再度の分裂をするが――今度は距離を取ることすら出来なかった。 像を結んだ瞬間に、チェンソーが無惨の胸板を貫いて地に再び縫い止める。 像を結ばずに逃げていればこうはならなかったかもしれないが、そうなればマスターは相手の手に落ちてしまう。 鬼舞辻無惨は今も変わらず強壮な存在だが。 しかし、今の彼は他人のことを言えない嗤えない"首輪付き"だった。 どれだけ嫌悪していても、唾棄していても――結局無惨はマスターという名の呪縛から逃れられない。 だからこうなる。今、無惨は完全に詰んでいた。 「女! 何とかしろ!! 一度くらいは――――私の役に立ってみせろ!!!」 逃げられない。 歯向かえない。 何も出来ない。 全ての"詰み"の要素が揃った無惨が最後に頼ったのは、あれほどまでに嫌悪していた己の主だった。 無惨自身ではもう状況を変えられない。 無惨が何をしても、チェンソーの悪魔はそれを越えてくる。 彼が現界を保てなくなるまでにはまだまだ時間がある。 だから無惨は――マスターを。 己が要石と呼んだ狂った女に、何とかしろと叫び散らすしかなかった。 それだけの無様を晒さなければにっちもさっちも行かない状況が、今此処にはあって。 故にこそ、無惨の浅慮が際立つ形となってしまった。 有無を言わさず声帯を潰す、そんな短絡な手を打ってさえいなければ。 一方的に嫌悪と憎悪を募らせるのではなく、一度でも対話の姿勢を見せてさえいれば。 この局面でマスターに令呪を使って貰い、一時的な超ブーストで以って逃げ遂せることも不可能ではなかったろう。 だが――それはもう出来ない。 その"もしも"には、頼れない。 令呪を使うには発声を行う必要がある。 けれど無惨のマスターである彼女は、喋れない。 彼女の声帯は他でもない無惨が、潰してしまったからだ。 始祖の咆哮は虚しく、こだまを響かせ轟いていた。 そして。 何の力もない、正真正銘ただの要石と化した、無力な女は―― ◆◆ 「――え?」 その手は、しおの手を取らなかった。 それをすり抜けて、少女の細い首へと伸びた。 ぐ、と首を握る、女の両手。 何が何だか理解出来ない様子のしおをよそに、女はゆっくりと力を込める。 「なんで……」 言葉を返せないことを、女は申し訳なく思った。惜しいとも思った。 そのまま身を起こして、首を絞める手に力を込める。 驚いたままの少女の口から、ぁ……と小さく声が漏れた。 「(ごめんね、しおちゃん。あなたは本当に優しい子。こんなになってしまっても、"さとうちゃんの叔母"を殺せなかった)」 彼女の姪である松坂さとうならば、きっと鬼舞辻無惨という難儀な人格のサーヴァントと上手くやっていくことも可能だったろう。 彼の癇癪を適度に諌めつつ、その機嫌を保ちながら彼の力を有効に活用する、そんな綱渡りも可能だったに違いない。 が、この女にそれは無理だった。何故なら松坂さとうの叔母であるこの女は、言うなれば狂おしい愛のその原液だから。 常に毒々しい愛を曝け出している彼女では、無惨に対して嫌悪と憎悪以外のものを与えられない。 故に、きっと生きるための最適解はしおの手を取ることだったと言える。 連合もといそのブレインであるモリアーティも、彼女のことを無碍にはしなかったろう。 令呪がある以上は一定以上の利用価値は見出だせるだろうし――首尾よくはぐれサーヴァントと行き合えれば戦力として復帰してくれる未来もある。 「(どうか勘違いしないでね。おばさんは、あなたやさとうちゃんのことを嫌いになったわけじゃないの。 あなた達に幸せになってほしい気持ちは嘘じゃないわ。声に出しては伝えられなくなっちゃったけど……伝わってくれたらうれしいな)」 そのことが分からないほど、女は馬鹿ではない。 彼女は異常ではあっても、白痴ではないのだ。 しおの手を取れば。無惨を捨てて連合に与する道を選べば。 きっと自分は、まだ生き延びられる――ちゃんとそう理解していた。 理解した上で、この道を選んだ。 全てちゃんと分かった上で、松坂さとうの叔母は、姪の"愛する人"の首を絞めたのだ。 「(でも、ね? おばさんは今、"あの子"のマスターでもあるの。 あの子はとても怒りん坊さんで、だからみんなに嫌われて、遠ざけられてしまうけど……)」 松坂さとうの叔母は。 万人、その全てを愛する狂人である。 それは自分の家を訪ねてきた警官が相手でも、世界も生死も時空も超えた異界で巡り合った悪鬼が相手でも変わらない。 彼女は万人に平等に愛を注ぐ。そうすることこそを生き甲斐として、此処まで歳を重ねてきた。 「(愛してくれるひとが誰もいない、なんて――かわいそうでしょう?)」 ――だからこそ。 彼女は事この期に及んでも、まだ鬼舞辻無惨というサーヴァントを捨ててはいなかったのだ。 喉を破られて、声を出すことを封じられても。 生きて魔力を供給するだけの肉袋にされたとしても。 それでもまだ、女は無惨という救い難い魂に曇りのない愛情を向けていた。 私は、あの子のマスターだから。 その想いを胸に、さとうの叔母は神戸しおの首を絞める手にに力を込める。 なんで。 そう、しおの口が動いた。 ごめんね。 改めて女は、声を出せない口でそう紡ぐ。 「(ますますさとうちゃんに嫌われちゃうなあ。こんなことしてたら……)」 けれどこんなものは所詮悪足掻きだ。 そのことも、女はしっかりと承知していた。 何故ならこの場において、神戸しおは一人ではないからだ。 そして、まさにその認識の通りに。 次の瞬間――女の首に血塗れのチェーンが巻き付いた。 「あ……」 首を絞める手から力が抜ける。 その時にはもう、女の首は捩じ切られていた。 チェーンを絞首刑宛らに絞め、そのまま女の細首を捩じ切ったのだ。 鮮血を飛沫させながら宙を舞う首。 それを、しおは茫然と口を開けたまま見送るしかないでいた。 その姿を、肉体が完全に死ぬまでの僅かな時間で見つめながら――女は述懐する。 「(ごめんねえ、鬼舞辻くん。 私結局、あなたに愛を届けられなかったみたい。 邪魔だったわよね。鬱陶しかったわよね。 うふふ。でも私は、あなたのこと、本当に愛していたのよ?)」 愛してあげると決めたのに。 結局、自分の愛は彼に届かなかった。 そのことは愛を生きる意味としている彼女にとって、小さくない後悔だった。 事実、無惨は彼女の存在にもその"愛"にも、一度とて絆されはしなかった。 無惨の中にあった感情は最初から最後まで、嫌悪と憎悪の二色だけだ。 ソレ以外のものなど、欠片たりとてありはしなかった。 「(……私は、最後の最後で"愛する"ことに失敗しちゃったけど……)」 宙を舞う首が地面に墜ちる前に。 女は、確かに微かに笑っていた。 憐憫のようにも自嘲のようにも見える、その笑顔。 だけどその実、女が心の中で想っていたのは―― 「(しおちゃん。さとうちゃん。あなたたちは、どうか)」 自分が親代わりになって育てた姪。 そして、その姪が見つけた"愛する人"。 その二人の過去と現在と、そして未来に思いを馳せて。 「(――お幸せにね)」 最後の最後に初めて、親(おとな)らしい言葉(いのり)を吐いて。 それが最後の思考だった。 首は血溜まりにぼとりと落ちて、目も口も二度と開かない。 愛を信じ、愛に生きた無名の狂人は、死んだ。 最後の最後まで、自分の生とその愛に疑問を抱くことはなく。 狂おしいまま、狂おしく誰もを愛したまま。 彼女達の未来(ハッピーシュガーライフ)を言祝ぎながら、界聖杯の裡へと溶けて逝った。 【本名不詳(松坂さとうの叔母)@ハッピーシュガーライフ 死亡】 ◆◆ ――その光景を。 確かに鬼舞辻無惨は、見ていた。 己の要石が壊れる光景を。 彼女の首が千切れ飛び、地面に墜ちるまでの一部始終を。 その全てを見届けた無惨は、叫んだ。 ありったけ。彼女に対する万感の想いを込めて、吠えた。 「何をしている! この……役立たずが―――!!」 それは、心胆からの絶叫だった。 ふざけるな。ふざけるな、巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな……! 「貴様如きの、為に! 私が、一体どれほど! どれほど、手間取らされたと想っているのだアア―――!!」 とうとう一度たりとも、あの女は無惨に報いることなどなかった。 それどころかたった一つ。要石としての役割すら果たさずに死んでのけた。 無惨の堪忍袋が爆裂する。癇癪などという言葉では表し切れない憤怒が彼の精神を噴火させる。 結局"松坂"という苗字以外は、下の名前すら記憶に留めることのなかったマスター。 無惨にとっては彼女の存在、言動、行動、末路……その全てが、"呪い"だった。 阿鼻地獄の責苦の果てに辿り着いた英霊の座。 浄化されることなき魂が抱いた、渇望。 それをにやにやと嘲笑いながら、地平線の彼方に向かおうとする足に縋り付く魑魅魍魎。 印象がそれ以下に墜ちることはあっても、以上になることは決してない。 文字通り、何一つ無惨に齎さない――支障だけを生む存在だった。 「(死んでなどやるものか、滅んでなどやるものか! 私の悲願は、想いは、こんな所で石槫のように蹴散らされていいものでは断じてない! 今度こそ至らねばならない、叶えねばならない……!!)」 無惨の無数の脳が再生をしながら、高速で思考を回転させる。 バーサーカークラスのサーヴァントは普通、マスター無しでの現界を可能とする単独行動系のスキルを所持しない。 が、無惨の"生きることに何処までも特化した性質"は英霊となった彼の霊基に多少のプラス補正を与えていた。 だからすぐに消滅には至らない――そう長時間の現界継続は不可能でも、あと一時間程度であれば無惨は要石無しでこの世にのさばれる。 「(此処を、切り抜けられさえすれば……!)」 無惨が爆ぜる。 しかし、分裂ではない。 彼の血鬼術である衝撃波の炸裂を、なりふり構わず全方位に向けて解き放ったのだ。 普通なら連合の構成員共すら巻き込める筈の一撃は、極度の消耗とマスターの不在という二つの理由が災いして惨めなほどその規模を減退させる。 それでも間近で喰らえば骨肉が砕けて拉げるが――今宵、鬼舞辻無惨に突き付けられた"死"は人の手によるものではない。 チェンソーマン、健在。 瞬く間の斬撃で無惨の腹を切断する。 接着させている隙はない。 無惨が取った手は――触腕を百足のように傷口から生やし、屈辱を焦燥の炎で蒸発させながら、這いずってでも逃げ遂せる策だった。 「(逃げられさえ、すれば……!)」 当然――――逃さない。 逃しなどしない。 彼は、一度殺すと決めた敵は地獄の果てまででも追い掛ける。 無惨に追い付いたチェンソーの悪魔が、その上に跨って彼の五体を八つ裂きにした。 噴水のように撒き散らされる肉と胃、肝、血、脳漿に細胞。 その全てが、悪魔の大きく開いたアギトに喰らわれていく。 それだけでは飽き足らず、悪魔は再生を始めながらも離脱を図ろうとした無惨の肉体を鷲掴みにし、そこに齧り付いた。 「おぉぉおおおお゛おお゛お゛お゛おおお゛オオオオ゛オ゛――――!」 無惨が吠える。 断末魔などではない、これは生きる為に足掻く咆哮だ。 千年に渡り、数多の人間を喰らってきた。 生み出した同族達にも、人喰いを強いてきた。 己に殺されるのは天災だと思えと臆面もなくそう言って――悪びれることもなく屍の山を築いてきた。 その男が、今捕食者から被食者に堕ちる。 鬼(あくま)を喰らう悪魔(おに)の口腔に、無惨の最後の脳と心臓が収まっていく。 「貴ィ、様ァアァアアアアアアアアアアア――――!」 今度のは、正真正銘。 鬼の始祖の断末魔だった。 増やした脳と心臓の悉くを喰われ――彼を彼(おに)たらしめる細胞の大半を喰われ。 もはやそこにあるのは分裂や逃走はおろか、再生することすら覚束ない肉の塊だ。 牙が落ちてくる。 鬼舞辻無惨を裁く悪魔の歯が。 牙が落ちれば肉が潰れて、咀嚼され、唾液と混ざって喉の奥に流されていく。 その意味するところは、死よりも重い。 ナチス。第二次世界大戦。古代兵器。アーノロン症候群。神霊種(オールドデウス)。魔女幻想。租唖。 比尾山大噴火。ノットレイダー。エイズ。核戦争。厄災の流れ。牛の首。超高速時間逆行消滅弾(ニュートリノマグナム)。 彼の世界で彼に殺され喰らわれた数多の悪魔達と同じように。例外なく。 彼が殺し喰らった悪魔は――この世からその存在もろとも消えてなくなる。 鬼舞辻無惨の名がそこに登録されたことの意味。 それは、彼が此処に現界した事実全ての否定に他ならなかった。 英霊の座からの消去などという芸当は、零落し、サーヴァントの型に押し込まれた今は不可能なれど。 少なくともこの"界聖杯"という世界から、一人の男の存在を過去、現在、未来永劫に消し去ることくらいであれば造作もない。 ごくん。チェンソーの悪魔の喉が動いて、鬼■辻無惨だったものが完全に嚥下された。 鬼■辻■惨。 誰からも愛されず、また自身も誰も愛することのなかった獣。 殺し、踏み潰し、利用し、全ての他者を自分の糧としてしか捉えられない破綻者。 同じ破綻者が奏でる愛の言葉は彼には届かず。 彼はその甘い愛情の全てを、呪いであると吐き捨てた。 いや。事実、その通りだったのだろう。 ■惨は愛など求めていない。求められない。そういう風に出来ていないのだ。 故に彼は、彼という自我(エゴ)の化身は、聖杯戦争最初の脱落者となってこの世界から消える。 停滞のみを望み、故にあらゆる変化を拒絶して、そうやって生きることを貫いた最初の鬼。 その怒りは、怨念は、もうこの世の誰にも届かない。 ■■辻■惨などというサーヴァントは――この界聖杯には存在しなかった。 そういうことに、なったのだ。 【バーサーカー(鬼舞辻無惨)@鬼滅の刃 存在抹消】 【備考】 ※バーサーカー(鬼舞辻無惨@鬼滅の刃)はチェンソーの悪魔に捕食されました。 今後徐々に彼の存在は全マスター・サーヴァントの記憶から消滅していきます。 現時点では「真名、クラス、外見などを思い出す際に記憶が判然としなくなる」程度ですが、三時間も経過すれば大半の参加者は無惨の情報全てを思い出せなくなるでしょう。 ◆◆ 「――で、なんで手出しさせなかったんだよ」 四ツ橋力也が本社崩落に巻き込まれていなかったことは、連合にとって本当に幸運だった。 本社近辺の異変を察知した力也はモリアーティの合図がある前から、逃亡用の車両や人員を待機させていてくれたのだ。 先の新宿事変に公的機関の大半が出払っている状況で、なおかつ先ほど盛大にぶっ放した"崩壊"の影響もある。 その上デトネラット周辺の監視カメラは軒並み――四ツ橋のシンパであり、連合の協力者のIT会社で製造されている機種だ。 少なくとも普通の手段では連合の向かう先も、此処であったことの真実も特定出来ないだろう。 それが出来るのはもう一匹の若き蜘蛛のような、ごく一部の例外のみに絞られるに違いない。 「例の極道野郎から貰った麻薬を試すいい機会だったのに。 そうじゃなくても、俺や極道が加勢(まざ)ってればもっと手っ取り早くどうにか出来たんじゃねえのか」 「驕ってはいけないよ、死柄木弔。君の悪い癖だ。 あのサーヴァントは見たところ、我々連合にとって非常に相性の悪い敵だった。 むしろ集団で叩こうとすることこそ愚策だったろう。最悪、犠牲者が出ていたかもしれない」 「……理屈は分かるが、面白くねえな。もう少しブッ壊してやりたかったよ」 「それに」 連合も随分と大所帯になった。 よって撤退及び新拠点への移動に用いる車両も、二台に分けている。 こちらの車両にはモリアーティと死柄木弔。そして二人ともぐっすり眠っている、神戸しおとデンジだった。 デンジの姿はもう、弔達にとって見慣れたいつもの少年のものに戻っている。 あの場で鬼の始祖を喰らい終えるなり――だ。大方、圧倒しているように見えて存外ダメージを負っていたのだろう。限界が来たというわけだ。 「"お別れ"というのは、早い内に経験しておいた方がいい」 「ハッ。アンタ、マジで絆されてんじゃねえだろうな」 「まさか。情と理は分けて考えられるタイプだよ、今の私はネ」 ただ、重ね重ね言うが競争相手が居るということは大事なのだ。 今の段階に胡座を掻いてそれで満足出来るならいざ知らず。 弔も、そして他でもないモリアーティもそうはならずに未来を見ている。 であれば――いずれ来る破滅に向けて、物語を加速させられる要員は多いに越したことはない。 鬼舞辻無惨という、ジェームズ・モリアーティをして予測不可能な側面のあった時限爆弾。 それを処理しつつ、競走相手の役割を更に遺憾なく発揮してくれるようになるというならモリアーティ達にとっては万々歳だ。 連合は完成しつつある。いずれ来る終局的犯罪(カタストロフ・クライム)に向けて、着々と歩みを進められている。 「時にだが。 身体の調子はどうかね」 「……ああ」 覚醒の代償として負った大小様々な傷の数々。 右腕などは放っておけば命に関わるほどの重傷だった筈だが、今の弔は服こそボロボロなものの、身体の方は傷一つない健康体に快調していた。 ただ一つ平時と違うところがあるとすれば……眼の周りに奇妙な、亀裂のような紋様が浮かび上がっていることだろうか。 「すこぶる良い。どの世界でも、極道(ヤクザ)ってのはいい薬作るよな」 【豊島区・池袋→移動開始/デトネラット本社ビル跡地→移動開始/二日目・未明】 【死柄木弔@僕のヒーローアカデミア】 [状態]:健康、覚醒、『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』服用 [令呪]:残り二画 [装備]:なし [道具]:なし [所持金]:数万円程度 [思考・状況]基本方針:界聖杯を手に入れ、全てをブッ壊す力を得る。 0:さぁ――行こうか。 1:勝つのは連合(俺達)だ。 2:四皇を殺す。 3:便利だな、麻薬(これ)。 [備考] ※個性の出力が大きく上昇しました。 【アーチャー(ジェームズ・モリアーティ)@Fate/Grand Order】 [状態]:腰痛(中)、令呪『本戦三日目に入るまで、星野アイ及びそのライダーを尊重しろ』 [装備]:超過剰武装多目的棺桶『ライヘンバッハ』@Fate/Grand Order [道具]:なし? [所持金]:なし [思考・状況]基本方針:死柄木弔の"完成"を見届ける 0:さて、それでは体勢を立て直そうか! 1:蜘蛛は卵を産み育てるもの。連合の戦力充実に注力。 2:連合員への周知を図り、課題『グラス・チルドレン殲滅作戦』を実行。各陣営で反対されなければWの陣営と同盟 3:禪院君とアイ君達の折衝を取り計らう。あわよくば彼も連合に加えたいところだがあくまでも慎重に。 4:しお君とライダー(デンジ)は面白い。マスターの良い競争相手になるかもしれない。 5:田中一を連合に勧誘。松坂女史のバーサーカーと対面させてマスター鞍替えの興味を示すか確かめる 6:…もう一度彼(ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ)に連絡しておいた方がいいね、これは。 [備考]※デトネラット社代表取締役社長、四ツ橋力也はモリアーティの傘下です。 デトネラットの他にも心求党、Feel Good Inc.、集瑛社(いずれも、@僕のヒーローアカデミア)などの団体が彼に掌握されています。 ※禪院(伏黒甚爾)と協調した四ツ橋力也を通じて283プロダクションの動きをある程度把握していました。 ※アルターエゴ・リンボ(蘆屋道満)から"窮極の地獄界曼荼羅"の概要を聞きました。また彼の真名も知りました。 アラフィフ「これ先に知れて本当によかったなァ~…(クソデカ溜め息)」 ※田中一からアサシン(吉良吉影)と仁科鳥子によるリンボ奇襲の作戦を聞きました。(詳細は田中が知らないので不明)。 アサシン(吉良吉影)の能力の一部も知りました(真名は田中が知らないので不明)。 ※星野アイおよびそのライダーから、ガムテ&ビッグ・マムの情報および一日目・夕方までの動向を聞きました ◆◆ 「いや、生きた心地しないが」 それはこっちの台詞だよ、と思いながら俺は後部座席の端っこで真横の女にちらちら目線を送っていた。 トップアイドル、星野アイ。俺でさえその名前は知ってる。別に特別ファンってわけじゃなかったけど。 でもこうして実際に見てみると――月並みな言い方になるけどオーラが違った。 住む世界が違う。生きる世界が違う。自分とは違う生き物なんだって、一挙一動のその全部から思い知らされる。 そんな女の手に、俺と同じ令呪がはっきり刻まれてるのを見ると……ただでさえ茹だり気味の脳ミソが余計にバグり散らかしちまいそうだった。 「死柄木くんってあんな強いの? しおちゃんのライダーくん、なんか途中から顔違くなかった?」 「蜘蛛の旦那が言ってたろ。ありゃ"顔が違う"とかじゃなくて、真実(マジ)で似非(ベツモン)なんだよ」 不安と恐怖に心をぎちぎちに縛られて。 それでも止まれなくて、歩んで、歩んで。 そうしてたどり着いた先で見たあの景色を、俺は多分今後死ぬまで忘れられないと思う。 視界が続かないほど先まで吹き飛んだ、つまらない街。日常は、アイツの背景で消しカスの山になっていた。 「ヤバいかな。私、多分あの子に嫌われてると思うんだよね」 「まあ大丈夫だろ。私怨で戦力(サーヴァント)一体フイにするほど馬鹿には見えなかったよ、あのガキは。 それにそういう万一のことを考えて、オレが契約(ナシ)付けといたんだ」 連合(やつら)は当分、オレ達の味方と見ていいだろうぜ。 そう言って煙草を吹かし――Mのオヤジには注意が必要だろうがな、と付け足すのはアイのライダーだ。 一つの陣営に二人ライダーが居るってのはなんともこんがらがる話だったけど、サーヴァントの数はそっくりそのまま陣営の強さだ。 俺は勝ち馬に乗れた。そう確信して、拳を握る。 もうあのヘタレ殺人鬼の影に怯える必要はないんだと、ようやく心が恐怖に打ち勝ち始めてるのが分かった。 「(此処からは……俺の、リベンジだ。 この世界じゃなきゃ辿り着けない――アイツの許でしか実現の出来ない、究極の田中革命が始まるんだ……)」 死柄木。 そうだ、死柄木だ。 アイツの姿に俺は光を見た――いや、違うな。 俺は、地獄を見た。 リンボの語ってくれたそれに並ぶような、世界の終わりを垣間見た。 俺はもう戻らないし、戻れない。 何なら今すぐにでも令呪を使って、あのアサシンを自害させてしまっても構わないと思えた。 代えのサーヴァントをどうするかって問題はあるけど、そこはMに相談すればいいんじゃないのか? 心臓が高鳴る。今度は恐怖じゃなく――紛れもない、高揚で。 「あ、そうだ。――自己紹介まだだったよね。 星野アイです。こっちはサーヴァントのライダー。しおちゃんのとこの子と紛らわしかったら、ヤクザのライダーとでも呼んであげて」 「あ……は、はい。俺の方こそ、よろしくお願いします。俺は……」 ああくそ、上手く話せない。 元々ろくに女性経験なんてもののない俺にとって、男付きとはいえアイドルとこの閉鎖空間で話すってのは刺激がでかすぎた。 でも今はそのやきもきとした感覚すら、心地よく感じられて。 「田中一、です。田中って呼んでください」 「ん、こっちこそよろしくね。田中」 「え、呼び捨て?」 そこで、ふと。 あ――と、思った。 ポケットの中に写真がない。 ……落としてきちまったかな。封印、解けてないといいんだけど。 【星野アイ@推しの子】 [状態]:疲労(中)、脱力感 [令呪]:残り三画 [装備]:なし [道具]:なし [所持金]:当面、生活できる程度の貯金はあり(アイドルとしての収入) [思考・状況]基本方針:子どもたちが待っている家に帰る。 0:マジか。(弔の破壊した町並みを見ながら) 1:いや、生きた心地しないが? 2:ガムテ君たちについては殺島の判断を信用。櫻木真乃についてはいったんMに任せる。 3:敵連合の一員として行動。ただし信用はしない。 4:あさひくん達は捨て置く。もう利用するには厄介なことになりすぎている。 [備考] ※櫻木真乃、紙越空魚、M(ジェームズ・モリアーティ)との連絡先を交換しています。 ※グラス・チルドレンの情報をM側に伝えました。 【ライダー(殺島飛露鬼)@忍者と極道】 [状態]:疲労(小)、魔力消費(小) [装備]:大型の回転式拳銃(二丁)&予備拳銃 [道具]:なし [所持金]:なし [思考・状況]基本方針:アイを帰るべき家へと送迎(おく)るため、聖杯戦争に勝ち残る。 1:アイの方針に従う。 2:M達との協力関係を重視。だが油断はしない。厄(ヤバ)くなれば殺す。 3:ガムテたちとは絶対に組めない。アイツは玄人(プロ)だしそれに――啖呵も切っちまった。 4:アヴェンジャー(デッドプール)についてはアサシンに一任。 [備考] ※アサシン(伏黒甚爾)から、彼がマスターの可能性があると踏んだ芸能関係者達の顔写真を受け取っています。 現在判明しているのは櫻木真乃のみですが、他にマスターが居るかどうかについては後続の書き手さんにお任せいたします。 ※スキルで生成した『地獄への招待券』は譲渡が可能です。サーヴァントへ譲渡した場合も効き目があるかどうかは後の話の裁定に従います。 【田中一@オッドタクシー】 [状態]:吉良親子への怒りと失望、吉良吉影への恐怖、地獄への渇望、高揚感 [令呪]:残り三画 [装備]:なし [道具]:スマートフォン(私用)、ナイフ、拳銃(6発、予備弾薬なし)、蘆屋道満の護符×4 [所持金]:数千円程度 [思考・状況]基本方針:『田中革命』。 0:あぁ…これだ。これだったんだ。 1:リンボの意向に従う。アサシンは切った。 2:敵は皆殺し。どんな手段も厭わない。 3:SNSは随時チェック。地道だけど、気の遠くなるような作業には慣れてる。 4:リンボに“鞍替え”して地獄界曼荼羅を実現させたい。ただ、具体的な方策は未だ無い。 5:峰津院大和のことは、保留。その危険度は理解した。 6:星野アイ、めちゃくちゃかわいいな…… 7:おやじがない。どっかに落としたか……? [備考] ※界聖杯東京の境界を認識しました。景色は変わらずに続いているものの、どれだけ進もうと永遠に「23区外へと辿り着けない」ようになっています。 ※アルターエゴ(蘆屋道満)から護符を受け取りました。使い捨てですが身を守るのに使えます。 ◆◆ 「悪いな、ポチタ。色々任せちまってよ」 何もない、白い白い世界の中に少年は立っていた。 チェンソーの悪魔の器、デンジ。 彼がポチタという存在の容れ物として呼び出された彼に、それ以上の存在価値は本来ない。 チェンソーの悪魔は単純にサーヴァントとして召喚するには、あまりにも霊基の桁が巨大すぎるから。 だからデンジというクッションを一つ間に噛ませて、そうして初めて召喚することが叶うのだ。 ――気にすることはない。むしろ私の方こそすまないね。 ――君を眠りから起こさねばならなかった。そうしなければ呼び声に応えることも出来ないんだ、この身体じゃ。 「それはいいんだけどよ~……クソ。 中途半端なところから呼び出してくれやがったぜ、界聖杯の奴も。 どうせならあの後……もっと強くなった俺を呼びやがれってんだよ」 デンジは決して強いサーヴァントではない。 令呪を使って初めて呼び出すことの適う、チェンソーの悪魔本体に比べれば見るも無残に弱々しい。 本人もそのことについては自覚していて、だからこそこのように自虐を吐いたが。 そんな彼に対してチェンソーはおどろおどろしさの欠片もない、犬(ポチタ)の姿でニコリと破顔した。 ――そんなことはない。 ――君は今でも十分に強いよ、デンジ。 支配の悪魔を殺し。 幼年期という名の誰そ彼時を超えた、その時間から呼び出されている彼が弱い訳などないのだと。 彼の中に眠るチェンソーの悪魔は、そう称賛する。 デンジとしても褒められて悪い気はしない。 しない、が――。気付けば彼は自分の"相棒"に、問いを投げかけていた。 「なあ、ポチタ。俺……これで本当に良いのかな」 ――その質問に対する回答を、私は持っていないんだ。 困ったようにポチタが笑う。 でも、と彼は続けた。 ――その子のそばにいてあげて。 ――それが出来るのは、今は君だけだから。 ああ、分かってるよ。 言われなくても分かってんだ、そんなこと――。 まるで親に宿題を急かされた子どものように唇を尖らせたデンジ。 それにまた笑ってみせる、ポチタ。 その光景を最後に、意識が浮上して、白の世界が幽けく霞んで…… ◆◆ 「……いままで、ありがとうございました」 目を覚ます。 すぐさま耳に、たどたどしい寝言が届いた。 「おやすみなさい、おばさん」 はあ、とため息が一つこぼれる。 自分の頭をぐしゃぐしゃと掻いてから、ぽんぽん、と彼女の頭に触った。 幼年期の終わり。 それはデンジにとっても、経験のある痛みだったから。 【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】 [状態]:疲労(中)、睡眠中 [令呪]:残り二画 [装備]:なし [道具]:なし [所持金]:数千円程度 [思考・状況] 基本方針:さとちゃんとの、永遠のハッピーシュガーライフを目指す。 1:……おやすみなさい、おばさん。 2:アイさんとらいだーさん(殺島)とは仲良くしたい。でも呼び方がまぎらわしいかも。どうしようねえ。 3:とむらくんとえむさん(モリアーティ)についてはとりあえず信用。えむさんといっしょにいれば賢くなれそう。 4:最後に戦うのは。とむらくんたちがいいな。 5:“お兄ちゃん”が、この先も生き延びたら―――。 6:れーじゅなくなっちゃった。だれかからわけてもらえないかなぁ。 【ライダー(デンジ)@チェンソーマン】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:なし [所持金]:数万円(しおよりも多い) [思考・状況] 基本方針:サーヴァントとしての仕事をする。聖杯が手に入ったら女と美味い食い物に囲まれて幸せになりたい。 0:……寝覚め、最悪。 1:死柄木とジジイ(モリアーティ)は現状信用していない。特に後者。とはいえ前者もいけ好かない。 2:星野アイめちゃくちゃ可愛いじゃん……でも怖い……(割とよくある) 3:あの怪物ババア(シャーロット・リンリン)には二度と会いたくない。マジで思い出したくもない。 [備考] ※令呪一画で命令することで霊基を変質させ、チェンソーマンに代わることが可能です。 ※元のデンジに戻るタイミングはしおの一存ですが、一度の令呪で一時間程の変身が可能なようです。 ▼ 【マテリアルが更新されました】 【クラス】 ライダー 【真名】 チェンソーの悪魔 【出典】 チェンソーマン 【属性】 混沌・悪 【ステータス】 筋力A 耐久EX 敏捷A+ 魔力B 幸運D 宝具EX 【クラススキル】 対魔力:B+ 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 騎乗:A 幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。 【保有スキル】 悪魔:EX 悪魔。キリスト教圏で定義されたそれではなく、"人間の恐怖心から生まれる"存在を指す。 ライダーは"悪魔に最も恐れられた悪魔"として知られ、その存在は憧憬ないしは恐怖を以って悪魔達に記憶されている。 故にランクは規格外。その上、悪魔並びに魔性の属性を持つ敵対者に対しては全判定に特効が加算される。 戦闘続行:EX 原則不滅。死亡した場合でも、胸のスターターロープを引くことですぐさま復活する。 令呪を用いてデンジの内側から出現した彼の復活及び全行動は、マスターに一切の魔力消費を齎さない。 契約の枷(きずな):A ライダーは現在、彼が器としている少年「デンジ」との契約に縛られている。 平時ライダーの霊基や人格はデンジの内側に封じ込められ、それを解き放つには令呪一画の使用が不可欠。 だが逆に言えば。その対価を支払う備えさえあれば、チェンソーの悪魔はいつ何時でも地上に舞い降りる。 【宝具】 『Chain saw man(チェンソーマン)』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 悪魔に最も恐れられた悪魔、チェンソーの悪魔。 正確には彼が持つ、この世から数多の悪魔及びそれが象徴する概念を消し去ってきた驚異の権能を指す。 チェンソーマンに殺され、捕食された存在はこの世から完全に消滅し、一定の時間が経過すればその存在を思い出すことすら出来なくなる。 サーヴァントの身にまで零落している現在の彼では、真に世界そのものから対象を消し去ることは不可能だが、それでもこの界聖杯及びその内界の中から全記録・全記憶を永遠に消し去ることくらいは造作もない。 【weapon】 チェンソー 【人物背景】 地獄のヒーロー、チェンソーマン。 デンジの、生まれてはじめての友達。 時系列順 Back 悪魔は隣のテーブルに Next 紅いリリイのすべて 投下順 Back 悪魔は隣のテーブルに Next 紅いリリイのすべて ←Back Character name Next→ 094 崩壊-rebirth-(前編) 死柄木弔 113 僕の戦争(前編) アーチャー(ジェームズ・モリアーティ) 神戸しお 113 僕の戦争(前編) ライダー(デンジ) 星野アイ 113 僕の戦争(前編) ライダー(殺島飛露鬼) さとうの叔母 GAME OVER 095 逃げるは恥だが役に立つ バーサーカー(鬼舞辻無惨) DELETE 094 崩壊-rebirth-(前編) 田中一 113 僕の戦争(前編)
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[部分編集] 恋姫†大乱 http //www.nicovideo.jp/watch/sm10960674 使用ゲーム 三国志ⅨPK シナリオ・担当勢力 英雄集結・改 北郷一刀 シナリオの設定 上級・討死なし・史実 動画形態 紙芝居あり 登録武将 - 史実武将の扱い 今のところ普通 縛り 特になし? 投稿時期 2010年6月5日~ 投稿者名 医者王の人 マイリスト 恋姫†大乱 備考 - [部分編集] あらすじ 平和が訪れた大陸で、三国の王の要請により襄陽に住んでいた北郷。 住み始めてから半年したある日、不意に地震に襲われる。それが、中国大陸全土を巻き込む大事件の発端だった。 [部分編集] 簡単な解説 この動画は運営との間合いを測る動画である。 [部分編集] もう少し詳しい解説 恋姫†無双の主人公、北郷一刀を主役とする、通称「北郷伝シリーズ」に分類される作品。 三国が存在し、争い無く平和が訪れているという#1の状況は萌将伝を連想させ、『異説萌将伝』のタグがつくほど。(ちなみにうp日付を見ると一目瞭然だが、こちらの方が萌将伝よりも3ヶ月以上早く世に出ている。) #1で地震が起きて以降、恋姫武将のこれまでの記憶が失われる事態となり、再び群雄割拠の時代へと突入することになる。 恋姫武将の記憶が戻る条件は、『北郷が真名を呼ぶこと』。 記憶の戻り方とかは久遠式に近いが、戻った記憶も其々差異がある模様。 + 以下、設定のネタバレ注意 一刀は、「真・恋姫†無双」の蜀ルート、魏ルート、呉ルート、漢女ルートを経て、現在は5回目の外史の世界にいる(「恋姫†無双」(無印)は経ていないらしい)。この5回目の世界では、一度は三国鼎立の平和な世界が作られたのだが、地震によってまた戦乱の世界に戻ってしまっている(5回目の世界が地震で終わって6回目に入ったわけではなく、現在も5回目の世界が継続中である)。 恋姫武将は、元の三国志世界(三国志Ⅸ)の武将とそのまま入れ替わった形になっており、このため「朝起きたら親父が俺より年下の美少女になっていた」(曹丕談)「アタシの旦那がネコミミ幼女になってたけど、これはこれで」(祝融談)といった混乱が生じている。また、恋姫武将自身にも、自分よりも年上の息子がいたり、中には孫までいたりしているが、なぜか、そういうものだと「理解はできないが認識した」状態。なお、当然ながら恋姫武将の「妻」は、小蓮(史実では劉備の妻)のような特殊例を除けば存在しない。 この地震後の世界では真名が存在していないため、恋姫武将も、記憶が戻るまでは、一刀以外の者に真名で呼ばれても認識できない。一刀に呼ばれて初めて「自分にその真名があること」が認識でき、それに伴い一刀への想いと共に、これまでの自分が経験してきた「外史」(恋姫†無双の物語)の記憶を思い出す、というかたちになる。(このため、本編中では、記憶を取り戻していない場合は無論、記憶を取り戻した恋姫武将でも、それ以外の者がいる場では字(あざな)で呼び合う場合が多い) 恋姫武将の、一刀に真名を呼ばれて戻る記憶は、「真・恋姫†無双」のその人の所属しているルート。より正確に言えば、そのルートである外史が「リセット」されるまでの記憶であり、このため人によっては、「一刀が消えた後も、何年も彼を探していた」記憶があったりする。 地震が発生してから、記憶が戻るタイミングまでのことも、今の記憶として残っている(記憶が甦った時点でそれまでの記憶が消えるわけではない)。ただし、地震が起こるまでの記憶は存在しない(ただし、元凶の三人のみは、地震の前の記憶が残っている)。 また、人によってはかつての人格と現在の人格に違いが出ていたりしており、そのような場合は記憶が戻ったタイミングで精神的に負荷がかかり、一時的にであるが寝込んでしまうことすらある。これは、記憶が戻るタイミングが遅れるほどひどくなっている模様。 この動画の特筆すべきところは、途中挟まれる原作CGにあり、どれもこれもセウトなものばかりである。 その為タグにも『運営との間合いを測る動画 』『運営様が見てる』『運営にけん制されてるうp主』が付いてしまってる。 しかし2010年7月2日午前3時投稿の#10では、とうとう運営にアウト宣告され、動画削除となってしまった(翌日午前3時に修正版#10がupされた)。 #1 ~#5 序章 #6 ~#14 南征編 #15~#20 北進編 #21~#28 西涼編 #29~#50 対蜀攻防戦 #51~#59 楚王朝建国編 #60~ 第二次北進編 [部分編集] 主要勢力 + 北郷軍・プレイヤー勢力 君主の北郷一刀の他、初期配下には地震当時に襄陽にいた恋姫武将7名+仕官者1名が揃う。 その後も、着実に戦いに勝利して版図を広げ続けると共に、降伏した者を登用することで人材を補い、そしてついに、#57にて「楚王朝」を興し、一刀が初代皇帝を名乗ることとなった。 北郷一刀 「真・恋姫†無双」の全ルート制覇済みで、その経験を元にして三国鼎立の平和な世界を造り上げていたのだが・・・。 北郷軍君主。 なお、彼のみこれまで過ごしてきた全ルートの記憶を持っており、外史がループしていることも認識している。 恋姫武将が記憶を取り戻すには『彼が真名を呼ばなければならない』。 逆に言えば、彼が真名を呼ぶことで強制的に相手の記憶を戻せるのだが、状況を認識して以降は、よほどの緊急時でない限りその手段は執らず、相手が納得して自分の元に来たとき(ゲーム的には登用に成功したとき)のみ、真名を呼ぶことにしている。 のちに、楚王朝を興し、自ら初代皇帝となる。が、皇帝となってもそれまでと変わらないのが一刀クオリティで、城下の子供達にも「チン皇帝」と親しまれて(?)いる。 董卓/真名「月」 北郷軍初期武将。地震時には北郷の部屋にいたというかベッドインしていたため、最初に記憶を取り戻す。取り戻した記憶は蜀ルート。 普段から一刀のメイドさんをしており、同じくメイドをしている詠は軍事や政治の方で忙しいため、彼女が常日頃最も多く一刀と接している。 「董卓」であることを隠していないため、事情を知らない周囲からは、(官位的に)一刀の正妻候補筆頭と見られているらしい。 ちなみに普段はぽわぽわしているが、一刀が浮気しそうになると静かにキレて目からハイライトが消える(通称:相国モード)。なお、恋姫武将に手を出すのは容認している模様。 賈駆/真名「詠」 北郷軍初期武将。地震時は月と同じく北郷の部屋にいたというか3Pしていた。取り戻した記憶は蜀ルート。 記憶を取り戻してからは北郷軍の筆頭軍師となり、各国の名軍師を相手に智を競う。(彼女に匹敵するレベルの軍師が当初の本郷軍にはいなかったという事実もある。もっとも、劉備軍滅亡と前後して、朱里、雛里、冥琳と三国トップレベルの軍師が来たので、今後は苦労も軽減されるだろう) 後に、一刀が楚王朝を興してからは丞相(要するに、政治軍事を通して国のナンバー2)に任じられた。詠なくして楚王朝の勃興はあり得なかったと冥琳に高い評価をされている。 どうでもいい話だが、ここの詠はよくデレる気がする。 周泰/真名「明命」 北郷軍初期武将。 亞莎共々、呉の先発隊としてたまたま襄陽に来ていたため、地震直後に一刀に真名を呼ばれ、呉ルートの記憶を取り戻す。 北郷軍では軍を率いるよりは諜報担当として諸国を飛び回っていることが多い。 一刀の命令を受け、かつての悲劇を回避させるべく呉に潜入、雪蓮の暗殺を阻止するが、その直前に、記憶を失ってないことを知らずに蓮華に顔を見られた為に暗殺されかけてしまう。 その後も、たびたび調査のため呉に潜入しており、#45では蓮華による雪蓮と冥琳の暗殺を阻止して2人を救出・北郷領に保護するという大金星をあげた。 呂蒙/真名「亞莎」 北郷軍初期武将。 明命共々、呉の先発隊としてたまたま襄陽に来ていたため、地震直後に一刀に真名を呼ばれ、呉ルートの記憶を取り戻す。 当初の北郷軍では主力を分けた場合、片方の総大将を受け持つことが多かった。 また、抜擢によく想いを寄せられているが、言うまでも無く本人は一刀一筋である。 後には、楚王朝の大都督(要するに軍の総司令官)に任命されることになる。 楽進/真名「凪」 北郷軍初期武将。 魏の三人娘は襄陽の警備を担当していたため、地震直後に一刀に3人まとめて真名を呼ばれ、同時に魏ルートの記憶を取り戻す。 従順な凪わんこは健在。というか、かつてよりやや積極性が増しているように見受けられるのは、魏ルートでは一刀が消滅という結末だったからか。 李典/真名「真桜」 北郷軍初期武将。 魏の三人娘は襄陽の警備を担当していたため、地震直後に一刀に3人まとめて真名を呼ばれ、同時に魏ルートの記憶を取り戻す。 オーパーツ発明家・真桜えもんも健在である。 于禁/真名「沙和」 北郷軍初期武将。 魏の三人娘は襄陽の警備を担当していたため、地震直後に一刀に3人まとめて真名を呼ばれ、同時に魏ルートの記憶を取り戻す。 相変わらずのサワーマン軍曹の海兵隊式訓練法で、彼女の部下になると「サーイエッサー」が口癖となる。 曹丕には含むところがあるらしく、対曹丕戦ではいつものお気楽な彼女らしからぬ顔を見せた。それによって一刀は、本史(本当の歴史というよりは、三国志演義や様々な作品で作られてきた)の人物像が逆にこちらにも影響を与えていることに気付く。 華雄 北郷軍初期武将。北郷軍旗揚げ直後に仕官する。 この動画では真名はあるが封印してる(月談)という設定。 武力は北郷軍でもトップクラスであり、特に初期の頃は主力だったと言っても過言ではなく、そうそうたるメンバーを揃えて楚を建国した後も第一線級の将として数えられる。。 ここから下は途中加入したメンバーを記述。 黄忠/真名「紫苑」 元韓玄軍所属だったが、詠の離間の計により焔耶共々出陣しないまま捕虜となり、#8で蜀ルートの記憶を取り戻し、北郷軍に加入。なお、言うまでもなく璃々も一緒である。 本郷軍ではおばお姉さん的立場で、その豊満なボディを前にしては、さすがの一刀といえど中々優位には立てない様子。 魏延/真名「焔耶」 元韓玄軍所属で紫苑の同僚だった。彼女と同じく捕虜となり、#8で蜀ルートの記憶を取り戻して北郷軍加入。記憶復活後は桃香のいる劉備軍ではなく北郷軍に残る事を決める。 #45では明命と共に呉に赴いて雪蓮と冥琳の救出に活躍し、また#58では、楚王朝の使者として赴いた桃香の随員を務め、蓮華の命令で殺されそうになった彼女達を無事に護りきった。また、呉に身を寄せていた劉禅が桃香に再会し、抱きつこうとしたところでものも言わずぶん殴ったシーンは視聴者の喝采を浴びた。 ちなみに萌将伝仕様の焔耶のため、一刀にも好意を持っており、桃香と一刀のことはちゃんと認めている。 孟獲/真名「美以」 元孟獲軍の君主だったが、#14で北郷軍に加入。 もちろん、ミケ、トラ、シャムも一緒。 成都で愛紗とぶつかった時の事を伝え、一刀は愛紗が記憶を失ってない可能性を知る。 取り戻したのは蜀ルートの記憶。なお、ミケ、トラ、シャムの量産型3匹娘も特に真名を呼ばれなかった(というか、そもそも真名があるのか不明だが)が、美以に連動して記憶を取り戻している。 呂布/真名「恋」 元呂布軍の君主。#16で北郷軍に加入。 呂布軍は長安で割拠していたが、羌と馬騰軍との争いにより西平にまで追い込まれ、羌により滅亡させられる。 その際、一時捕虜になったが脱走し、その後在野から北郷軍に登用される(物語中では、許昌の裏通りで空腹で倒れていたところを一刀に発見・保護された)。 蜀ルートの記憶を取り戻し、それ以降は、深紅の呂旗は常に北郷の牙紋旗の傍らで戦場を駆ける。 陳宮/真名「音々音」 元呂布軍軍師→馬騰軍軍師。#26で北郷軍に加入。 呂布軍滅亡後は、羌から脱走後に馬騰軍に助けられ、その軍師となっていたが、脳筋で策を使わない馬一族には悩まされていた。 それでも、敵(北郷軍)に回った恋との間で揺れながらも、馬騰に助けられた恩を返すため、小さい身体で頑張っていたが、力及ばず安定戦で捕虜となり、その後北郷軍に登用され、蜀ルートの記憶を取り戻す。 その後、馬騰軍と北郷軍との間での最終交渉で馬騰軍への使者として赴き、それ以上血を流さずに戦いを終わらせ、国は失っても馬一族は北郷軍傘下で生き延びさせるという最大の恩返しをした。 なお、北郷軍入りするにあたり、詠によってちんきゅーキックは禁止された模様。 馬超/真名「翠」 元は馬騰軍所属だが、#28で北郷軍に降伏。#29で勢力ごと北郷軍の傘下となった。 #29で真名を呼ばれて記憶が戻るのだが、その前から一刀に一目ぼれしてた模様。 蜀ルートの記憶を取り戻す。 馬岱/真名「蒲公英」 元馬騰軍所属。翠と同じく#29で加入し、蜀ルートの記憶を取り戻す。 #58では、楚王朝の使節団の随員として孫呉を訪れ、監禁陵辱されそうになった朱里を救出する殊勲を上げた。 厳顔/真名「桔梗」 元劉焉軍所属だが、劉焉軍が滅亡したために劉備軍に所属していた。しかし、西城戦で本郷軍の捕虜となり、自らの働き場所を求めて#36で本郷軍に加入。 一刀との再会と記憶復活は、当初彼がその場にいなかった為に#38まで待つことになる。つまり、恋姫武将としては珍しく、記憶を取り戻さないままで北郷軍として戦闘に加わった期間がある。 なお、それ以前に雛里と共に北郷軍の偵察に来たときに、一刀と紫苑に遭遇していた。 蜀ルートの記憶を取り戻す。 劉備/真名「桃香」 元劉備軍君主。 『息子』の劉禅の登場にも特に気にしない様は大徳の成せる業か、と思われたが…。 中盤以降、将や文官達を自由に任せるとして統率することがなく、関羽の暴走も放置、さらには王である自分の立場も認識しない軽い言動をくり返し、結果として国をまとめられないことになり、劉備軍は本郷軍によって滅ぼされることになる。 それでも#51の劉備軍の滅亡時、最後の責任を取って自害しようとしていたが、すんでのところで一刀に止められ、蜀ルートの記憶を取り戻し、北郷軍に下る。 #58で楚の使者として孫呉に赴いたときは、堂々とその大任を果たし、さらに蓮華が一刀の記憶をもったままであることを見抜く等、さすが元君主と言える活躍をみせた。 張飛/真名「鈴々」 元劉備軍所属。 関羽の様子を不思議に思っている感じはあるものの、その判断を劉備に委ねて深く考えておらず、特に気にしている様子は無かった。 #51の劉備軍の滅亡時、自害する桃香を護って自らも殉じる覚悟を決めていたが、一騎打ちで恋に破れてから一刀により蜀ルートの記憶を取り戻し、姉と共に北郷軍に下る。 #57で楚の使者の一員として曹魏に赴いた際に、記憶を取り戻してから初めて愛紗と再会し、彼女が記憶を持ったままだったことを確認した。 諸葛亮/真名「朱里」 元劉備軍所属。 関羽の暴走化を受けて、それを止めるのではなく、全ての悪名を関羽一人に背負わせ処断し、『大徳劉備』の名を護る、という本来の大徳の意味からは逆の方策を実施する(その際に、必要ならば自分も一緒に処断されても良いと述べている)。 このように、天才であるが故に、「その状況で最善である手」を考えついてしまい、それが自分のみならず劉備軍そのものすら追い込む事になってしまった(周囲に頼ろうとしなかった結果、自らも精神的に追い込まれていた、という点は同情すべきだが)。 北郷軍との戦いの末、彼我の勢いの差から劉備軍の滅亡が避けられぬことを想定し、滅亡後は自らの身体を毒に浸して一刀を暗殺し、桃香の無念を晴らすと共に自らの決着をつけよう、とまで思い詰めたが、#52で実行しようとしたところを雛里の乱入で阻止された後、一刀によって蜀ルートの記憶を取り戻して北郷軍に下る。 #57で一刀の国として「楚」という国号を提案したのは彼女である。 余談ながら、孫呉に仕える異母兄の諸葛瑾を死ぬほど嫌っているが、その理由は#58にて明かされる。 鳳統/真名「雛里」 元劉備軍所属。 朱里に比べてやや目立つところは少なかったが、利害が対立する諸国を巡って説得し、第一次反北郷連合を成立させた名軍師。 心労に押しつぶされそうだった朱里が、それでもなんとかやってこられたのは彼女の存在を抜きにしては語れなかった。 #48にて南蛮落城時に北郷軍に保護されるも心身の過労から倒れてしまう。それでも劉備軍滅亡後の朱里の行動(一刀を殺して自分も死ぬ)は予想しており、#52にて朱里と一刀が会見しているところに飛び込んでそれを阻止。そのタイミングで朱里共々一刀によって蜀ルートの記憶を取り戻して北郷軍に下る。 趙雲/真名「星」 元劉備軍所属。 #11での関羽の暴走や劉備や諸葛亮のやりとりから、現状の劉備軍に不信感を露にしていた。 それでも、桃香への義によって、劉備軍の滅亡まで最前線で戦い続け、#51の滅亡時にも叶わぬまでも一刀に一太刀浴びせようと特攻するが、寸前で恋によって防がれる。その後、一刀によって蜀ルートの記憶を取り戻し、北郷軍に下った。 記憶を取り戻して以降は、飄々とした恋姫趙雲の性格に戻っている。 孫策/真名「雪蓮」 元孫策軍君主。 #12にて暗殺されかけるが、北郷の指示により行動してた明命により命を救われ、思春に明命の暗殺を取りやめさせた。 その後、#43にて別勢力によって暗殺されかかり、その場は助かるも毒を受けたために床に伏せる身となり、さらに#45にて北郷軍の手のものによって暗殺された。 …ということになっていたが、実際には直前に明命に救出されて北郷軍に身を寄せていた。その後、身体も癒えた#54にて一刀に真名を呼ばれて呉ルートの記憶を取り戻し、冥琳共々北郷軍に加入する。 その動向は、かつての祖国である孫呉に残る面々に大きな影響を与えることになる。 周瑜/真名「冥琳」 元孫策軍所属の名軍師。かなり初期より、蓮華の行動に疑問を持っていた。 #21で勝手に北郷領へ向かった小蓮(孫尚香)を連れ戻すために洛陽まで出向くが、強行軍だった為に身体に負担がかかり喀血してしまう。一刀は治療を受けさせる為に真名を呼び、呉ルートの記憶が戻る。 記憶が戻ったことにより、蓮華の異変が、記憶が消えてないことに基づくものだと、呉では最初に気付いた。 #45にて、雪蓮共々北郷軍の手のものに暗殺される。 …ということになっていたが、実際には雪蓮共々明命に救出されて北郷軍に身を寄せていた。雪蓮の身体も癒えた#54で、彼女と共に北郷軍に加入する。 司馬懿 元曹丕軍所属。#16にて北郷軍加入。既に一刀が許昌を強襲した時には曹丕を見限っていたようである。 顔グラから野心が溢れる渋い爺。のはずが今や南蛮ロリッ娘達の好々爺と化しており、本来の息子達がどうでも良くなってしまったらしい(奥さんに殺されるなよー)。 抜擢武将 やけに女運が無い 華耀(カヨウ) #8にて一刀が抜擢し、亞莎(呂蒙)が指導を担当。 着実に兵法を習得する最中、亞莎に惚れる。兵法習得は芳しくは無かったが(当時のうp主が抜擢指導について余り理解していなかった事も)それでも策略や謀略兵法を習得し、知力90に統率と武力78と従軍軍師役が務まる良将となった。 詠(賈駆)の評価は「悪く無い」との事。 蔡カ(後述)と並んで紙芝居に登場する事が多いが、不用意な発言で矢の嵐を浴びたり、腐女子の妄想の材料になったりと、うp主に取っては使いやすいコンビの様だ。 何基(カキ) #10にて韓浩が抜擢し、紫苑(黄忠)が指導を担当。 韓浩が見出して抜擢したので統率と武力抜群も微妙な所であったが、紫苑の指導により歩兵から弩兵に至るまで順調に兵法を習得。 未亡人+巨乳にやられたのか最後の指導は惚れてしまい、効果が出なかった。 出来上がったのは武力93の猛将。歩兵から弩兵に至るまで中級兵法を習得している上、弩兵は全て習得する等兵法にも恵まれた良将となった。 危機管理能力にも優れているのか、華耀と蔡カが紫苑の逆鱗に触れるや否や即刻その場から離れた。 経験と戦功を積み重ね、自らが隊を率いる様になって紫苑から成長を認められるのは良いが、逆に一緒の部隊で戦う機会が少なくなり、その事に悩みながらもきっちり仕事はこなしている(思考の片手間でありながら連弩フルコースをやってのける等)。 蔡カ(サイカ) #12にて亞莎が抜擢し、詠が指導を担当。 知力有能にして抜群、政治有能にして有望と優秀な文官もしくは軍師の誕生を予感させた。 修行の最中、突如指導武将の変更(後に亞莎の指導を受けたかったと判明)を希望するが、一刀に怒られる事に。 その後は修行に集中したのか教唆と罠破を纏めて習得する等順調に修行を続け、武力こそ低いが統率76知力94政治80の知将に成長。ただし、一刀に怒られたのを根に持ったのか、初期忠誠度は79と低かった。 紙芝居では華耀と並んで登場する事が多いが、不用意な発言で矢の嵐を浴びたり、腐女子の妄想の材料になったりと、うp主に取っては使いやすいコンビの様だ。 邵圓圓(ショウエンエン) #15にて真桜(李典)が抜擢し、詠が指導を担当。 ただし、抜擢から指導まで、一刀には知らされなかった。その理由は女性武将であったためである。 指導中詠まで歩兵戦術を修得する等、多くの兵法を習得。数値こそフラットだが全系統の兵法を一つ以上習得していたため、様々な戦場で戦える武将となった。 指導中、詠が「一刀が女好きと言うのは嘘で、黄祖と出来ている」と言ったら信じてしまった腐女子。一刀涙目。 その後は華耀と蔡カも妄想の被害者になる等、まさに「腐将軍」である。 #56にて、周煥と付き合っている事が判明。周煥曰く「脱いだら凄い」との事。 趙性(チョウセイ) #25にて凪(楽進)が抜擢し、恋(呂布)が指導を担当。 統率が有能な上素質が抜群と、さらなる名将の誕生を予感させたが、いきなり騎兵兵法を全部習得するとんでもない修行開始となった。 その後も歩兵弓騎も順調に覚えて行ったためか、指導武将の交代を希望。一刀は恋から亞莎に指導武将を変更する。 すると今度は水軍兵法を全て習得。武力85も良いが統率に至っては98と傑出しており、亞莎に「我が軍の誇り」と言う評価を受ける「天才将軍」が誕生した(弩兵だけ習得していないが瑣末事である)。 やたらと声が大きいのが特徴。ため息ですらでかいフォントになる。 #30で、昔旅をしていた趙雲(星)が同じ趙姓と言う事で趙性の家に泊まり、その時に稽古をつけてもらった事から彼女を目標としている。 #37で一騎打ちに破れ、重傷を負った際、月(董卓)の治療で復帰。その事から#39では月(董卓)に惚れている事が判明する。#42にて再び月の治療が発動した瞬間、元気一億倍と叫んで飛射をぶちかました。 周煥(シュウカン) #33にて沙和(于禁)が抜擢し、紫苑が指導を担当。 武力と政治が素質抜群、統率に至っては傑出と、またしても名将誕生を予感させた。 途中、紫苑から惚気話を聞かされたせいなのかどうかは解らないが、修行中音を上げる。のだが、何故かその後紫苑に惚れた。何基と同じく未亡人+巨乳にやられたか。 ただし修行そのものは教練には失敗するものの、順調に兵法を習得し、終わってみれば性格冷静な上統率93と武力95と、上3つの兵法を中級まで習得し、弩兵はコンプリートと趙性に劣らぬ化け物将軍が誕生した。計略系はからっきしだが瑣末事だろう。 何基とは紫苑を巡ってライバルとなる可能性(もっとも勝負する以前の問題だが)があったが、#56にて邵圓圓と付き合っている事が判明。彼女の腐属性にも理解を示す等、度量の大きい所がある。爆発してしまえ! 樊道成(ハンドウセイ) #35にて亞莎が抜擢し、詠が指導を担当。一刀曰く「イジメデスカコレ」 知力傑出、政治有望の素質に違わず、詠の指導で兵法を習得して行く。途中、敷設では知識系統の兵法を4つ纏めて習得する等順調そのもの。 その後指導武将の変更を希望した所、一刀に怒られる事に。その後は真面目に修行していたが、今度は詠に惚れてしまう。 結局知力92政治82、武力統率70越えと従軍軍師兼文官が務まる優秀な人材となった。 詠が一刀に惚れ込んでいることは承知しており、ある程度割り切っている様子。 簡イ(カンイ) #42にて趙性が抜擢し、司馬懿が指導を担当。抜擢の指導役が恋姫キャラでないのは今回が初めてである。またしても男性武将であったために、一刀曰く「イイカゲン オカシイ ダロ」 うp主のCPUは(いろんな意味で)神レベルである。 指導終了後、恋と亞莎に指導してもらった趙性に不満をぶつけた(念のためだが、指導武将としての司馬懿の力量に不満を抱いていた訳ではない)。華耀に新人の可愛がりをされた、南無。 能力はフラット型だが攻城陣形フルコンプ+熟練901と、知識フルコンプ+熟練568と傑出しており、特に教唆持ちなので従軍軍師が務まる優秀な人物である。 ほぼ全ての女性武将や文官が一刀の女であるために、一刀と関わりが薄いと思われる華雄に接近しようとしているが果たして? 沈稠(シンチュウ) #46にて沙和が抜擢し、亞莎が指導を担当。再び恋姫キャラが抜擢指導を務める事となった(今後激突する事になる孫呉対策と思われる)。またまた男性武将であったために一刀は「ウン マア モウ キタイハ シテナカッタ ケドネ」と、諦めムード。ざまぁwww。 最初の教練では兵法取得出来なかったものの、次の教練で一気に歩兵を全て習得し、期待された矢先に故郷に帰ってしまう。帰って来た後も亞莎の指導に耐え切れず、ドロップアウトして抜擢育成失敗・・・と思いきや帰還。その直後亞莎を慕っていると判明。どうやら修行の厳しさに逃げたのではなく、報われる事が無いと解り切っている恋を断ち切ろうと逃げ出した様だ。結局未練を断ち切れなかったが。 歩兵コンプから水軍まで、全ての種類の兵法を一つは持っており、走射と連射で攻城戦にも対応出来、水軍も最初から楼船を使える等、実にタイムリーな抜擢武将であった。能力も統率91に武力84と上々。初期忠誠度が87なのは、一刀が主君故か。 亞莎好きは筋金入りで、同じく亞莎好きの華耀を言い負かす等、散々悩んでそれでも退かぬ事を選んだ(ある意味)真っ直ぐな人物である(性格は冷静だが)。 董媚娘(トウビニョウ) #47にて恋が抜擢し、そのまま指導を担当。漸く現れた2人目の女性抜擢武将に、一刀は狂喜したが、不用意な発言から紫苑の逆鱗に触れてしまう、一刀乙。 しかし指導開始! と思いきやいきなり国帰りしてしまうと言うトンデモスタートとなり、うp主や視聴者をやきもきさせた。 その後は着実に兵法を習得し、終わってみれば突撃と連弩がある上、奮闘と走射が使える等、野戦でも攻城戦でも使える将軍となった。ステータスも統率87、武力84とまずまずの数値であった。 ただし何故か初期忠誠度が76とかなり低かった。紙芝居では恋にべったりのガチ百合、かつ音々音を挑発するなど結構腹黒い。そのせいなのか、北郷とは相性が悪い様で、仲間内の発言とはいえ一刀に不敬な言葉を発することもある。また、百合+腹黒で、視聴者の間では桂花二世とも。 潘桂英(ハンケイエイ) #49にて真桜が抜擢し、詠や紫苑のいないうちに指導者に収まってしまえと一刀をそそのかしたのだが、たまたま側に居た月が「ダメです!」と止めたので断念(ちなみにハイライトが消えた目でした。普段穏やかな人が怒ると非常に怖い、を表した演出であった)。結局、月が預かることとなった。 治療持ちの月の指導とあって、何時治療を教えるのか、もしくは習得出来るのかと視聴者が考えていた最中の最初の指導でいきなり治療を習得して、視聴者の度肝を抜いた。 その後は鼓舞、混乱、心攻、罵声、騎射、教唆とサポート系の兵法を中心に習得していった。能力値は80越え無しのフラット型であったが、教唆と治療がある時点でチート確定である。 そして初期忠誠度がなんと100。その後の紙芝居で詠が軍師の職務に手一杯になって来たために、文官以外にも月と共にメイド(侍女)としても仕事をする事となった。一刀をご主人様と呼ぶ等「女運(ただし抜擢に限る)に恵まれなかった恋姫†大乱」を覆す女性抜擢武将となった。一刀大歓喜。 もっとも、流石の一刀も嫁の相手でいっぱいいっぱいのせいか、彼女に手は付けていない様子で、彼女が事故で寝ている一刀の股間の皇太子(笑)を見てしまったときは、どうしていいか判らなくなっていた。(なお、股間の皇太子は紫苑さんが適切な処理を行ないました。さすが未亡人パネェ) 胡玉玲(コギョクレイ) #53にて趙性が雲南戦で抜群の戦働きを見せたと言う事で抜擢し、一刀が不在だったので詠が独断で翠に指導を任せた。 最初の指導で斉射を覚え、其処から飛射、奮迅、突撃、連弩を覚え、上4つの上級兵法を全て覚えると言う恐るべき吸収能力を見せた。しかも翠まで奮迅と連弩を覚えた。 指導終了後、統率86武力97(翠と同数値)な上に、抜擢した趙性が持っていた水軍兵法も持っていた(闘艦以外の二つ)ため、戦場を選ばないチート猛将が誕生した。何故か初期忠誠度は75と低かったが。 しかしその後、翠から一刀の事を教えられた事から、一刀に興味を持ちつつある。 鄭端(テイタン) #59にて、一刀が壷関の戦いで活躍したとして抜擢。朱里が指導を任された。同期の典胤の指導が冥琳だったため、期せずして呉蜀の筆頭軍師の教師対決となった。 結果としては、統率90がめざましいが、他には特筆するところがあまりない中堅どころになってしまったが、それよりも教育期間中に朱里に惚れなかったことが視聴者にとっては不満だったらしい。 が、後日になって、実はドMで、朱里は優しすぎたために趣味の範囲外だったとカミングアウト。同期の典胤が冥琳に教育されていたことを羨ましがっていた。ちなみに好み(罵って欲しいタイプ)は詠や星らしい。色々と楚の将来が心配である。 典胤(テンイン) #59にて、沙和が壷関の戦いで活躍したとして推挙、抜擢された。指導に当たったのは冥琳。 統率92に加え、冥琳が教えただけあって水軍兵法フルコンプ、さらに罠破、教唆持ちである。呉蜀の筆頭軍師の教師対決は呉の勝利となった模様。ちなみにこちらも冥琳には惚れなかった模様である。 ・・・と思っていたら、教育が終わってから、教育期間中、冥琳から蔑んだような目で見られていたことに快感を覚えていたとカミングアウトした。とんだドMである。 ちなみに海兵隊(沙和部隊)上がりなので、「サーイエッサー」はデフォルトである。なお、彼のドMスキルが海兵隊生活のせいかどうかは不明。 全豹(ゼンヒョウ) #62にて、紫苑が連れてきた抜擢武将。一刀は暇そうにしてたからと雪蓮に教育を任せた。 一時帰郷するというハプニングはあったが、終わってみると武力93、歩兵兵法フルコンプ、他の兵法もほぼ覚えた万能将軍となった。さすがは小覇王の教育だけはある。 ちなみに、抜擢してくれた紫苑や教育してくれた雪蓮には何も反応しなかった、と思ったら璃々に色目を使うロリコン、しかも朱里や雛里は守備範囲外と切って捨てる真性ペド野郎だった。楚軍の将来がますます不安である。 文稠(ブンチュウ) #65にて、恋が連れて来た抜擢武将。素質は政治が抜群であったためそれを見込んで司馬懿が指導担当となったがなにぶん見立てた恋の政治が低いこともあって余り伸びなかった。 終わってみれば統率76武力87知力76政治59 兵法は歩兵と弩兵を中級までとその他に教唆・罠破など副将としてはまずまず優秀な武官となったが武官向けの育成をしていれば もっと伸びたかもしれずその点においては非常に惜しい。 彼の場合、特筆すべきは能力よりもむしろ性格の方。こともあろうに美丈夫の一刀にドキドキしてアッチ方面の感情に目覚めてしまう。 視聴者が一刀の後ろの心配をしたのは言うまでもない。 現時点で男性抜擢武将12人中、10人がどれか一つ90を越えるステータスを持ち、例外の簡イも攻城や知識スキルコンプしており、文稠も高めの武力に教唆・罠破等のスキルを会得している。 男性抜擢武将達は何かずば抜けたものを持った猛者ばかりである。 報われぬ恋が彼らを強くするのだろうか。 (しかし、次第に能力はともかく性格に難があるメンバーになりカオスな様相を呈している) + 劉備軍 初期こそ大徳にあふれる軍だったが…? 中盤からは、関羽の暴走を誰も止めようとせず、内部では不協和音が上がり、さらに獅子身中の虫と化した劉禅の愚策のせいもあり、半ば自壊の形で三国では最初に北郷軍によって滅亡した。 元の所属武将の記述については、各々の下った軍を参照されたし。 + 孫策軍→... 劉備軍と同じく一人だけ次元が違うようで… #45から、孫策の死と共に孫権が率いることとなる。 孫権/真名「蓮華」 記憶を失ってない&事件を起こす切っ掛けを作った一人。 彼女も関羽と同じくヤンデレ化(タグ称 西園寺蓮華)が進行している。 #12で補正が入り、政治が犠牲になる一方で戦闘能力が超強化された。 変化内容 統率82→100 武力77→99 知力83→95 政治89→20 時間が経つにつれ、狂気の自分と、その中にあるわずかな良心の自分に分裂しつつあるように描写されている。 #45にて雪蓮と冥琳が北郷軍の手の者に暗殺された(ということになっている)ため、代わって呉の指導者の座についた。 甘寧/真名「思春」 孫権軍(元孫策軍)所属。 蓮華から真名で呼ばれてるが、その記憶が無い為に違和感があるようだ。 #12で蓮華の命で明命を暗殺しようと近づくも、孫策暗殺阻止に関わるやり取りの末に思いとどまる。 それ以降も、蓮華の言動に違和感を感じつつ、それでも忠実に仕え続けているが・・・。 黄蓋/真名「祭」 孫権軍(元孫策軍)所属。 蓮華の行動に意見するも逆ギレされ、「暴君の素質があるぞ…」と問題視している。 劉禅発案の「劉備軍救出作戦」に同行するなど、年の割にフットワークは軽い。 楚王朝の使節団によって雪蓮と冥琳が生きており、しかも楚に加わっていることを知らされ、蓮華に対しては、かなり疑念の目を向けている。 陸遜/真名「穏」 孫権軍(元孫策軍)所属。 冥琳・祭と同様に、蓮華の行動に疑問の目を向けていた。 雪蓮と冥琳が暗殺された後、普段の穏やかさからは想像出来ない痛烈な言葉を思春に投げ、その後蓮華に後方の都市に左遷されるも、第二次反北郷連合を解体する等、蓮華勢力の弱体化に暗躍する。 その後、雪蓮と冥琳が実は生きて、しかも楚(北郷軍)に加わっていたことを知ると、これまでの姿勢を一転させ、蓮華に協力する形で、孫呉の内部瓦解を防ぐ策を巡らせる。が、それは彼女のとある(そしてこれまでの彼女らしからぬ)願いのためだった。 諸葛瑾 孫権軍(元孫策軍)所属。 朱里の義理の兄だが、朱里には嫌われている(朱里によると、彼女がわざわざ遠く離れた劉備軍に仕えるようになったのは彼を嫌ってのことらしい)。 その嫌われている理由が、朱里の母親(瑾の母親とは違う。つまり朱里と彼は異母兄妹になる)を父親の死後、自分の妻としたためであることが#58にて明かされ、同話ではよりによって朱里まで拉致監禁して陵辱しようとしたため、視聴者達に罵倒された(なお、行為は乱入した蒲公英によって防がれた。蒲公英GJ)。 蓮華派に属しており、彼女を狂気が蝕んでいることも知った上で彼女の力になっている。 外史がループしていることを知っており、それを回避することを狙い、色々と暗躍している。 魯粛 孫権軍(元孫策軍)所属。 諸葛瑾と立場を同じくし、暗躍している。 太史慈 孫権軍(元孫策軍)所属。 #45で登場。雪蓮を暗殺しようとするも冥琳と明命・焔耶によって阻まれた。 上昇志向が強く、そのためであれば法も情理も無視しても構わないという(三國志時代に一般的な儒教からすればかなり異質な)考えの持ち主で、蓮華につくことで軍の中でのし上がろうとしている。 歴戦界隈では忠義に厚い武将として描かれることが多いシギーとしては珍しいタイプで、どちらかといえば呂布がこう描かれる。 雪蓮暗殺未遂時と、楚使節団襲撃時の2度に渡って焔耶に邪魔されており、彼女に対してかなり含むところがある様子。 黄皓 ネコミミ頭巾。驚異の宦官ネットワークの持ち主。 #6で初登場&北郷一刀軍に加入。 北郷軍に所属しながらも、呉の蓮華や蜀の劉禅と内通。 #36からの漢中戦にて(ある意味)重要な役割を担った。 その後、内通がバレて捕らえられそうになるも、直前に危機を察知して脱走。呉の蓮華の元に加わる。事実上、孫権軍に加入し、以降は劉禅と共に行動することが多い。 劉禅 皆大好き?阿斗さま。 登場するや否や桃香の胸目当てに抱きつこうとするあたり駄目息子炸裂。 「苦戦する劉備軍に颯爽と舞い降りた救世主」を演出すべく、蓮華の発案のもと接近してきた黄皓と共にしょうもない案をいくつも実行し、それが結果的に劉備軍滅亡に至る原因となるが、本人はそれを自覚していない。 上記の悪巧みが露見したため、黄皓のつてを頼って孫呉に亡命した。その後、劉備軍の滅亡時には蓮華に願い出て船を借り、民と将軍を迎え入れる等、完全な暗愚でもなく、中途半端には頭が回るところを見せている。 姜維 元朱里の弟子として軍略を学んでいた青年。劉備軍滅亡時に、自らは死を覚悟した朱里に、元劉備軍の兵や民の身の振り方を任され、劉禅と共に現在は呉に身を寄せている。 朱里のことを好きなようだが、北郷軍には色々恨みがあるため行けないとのことで、いつか軍略で朱里を超えてみせることを彼女に誓っている。 ちなみに、恋姫武将の姜維(小説版で登場している)ではなく、史実の姜維が採用されている。 + 曹操軍 元凶の一人がここにもいるが、ほぼ平穏を取り戻してきていた。しかし・・・。 曹操/真名「華琳」 曹操軍君主。 北郷軍の展開の速さ・桂花のやりすぎる行動から、結果として北郷に興味を持ってしまった。 相変わらずの完璧超人であり、この世界の仕組みについても何かあることに薄々気付いている様子ではある。 史実の曹操と恋姫武将の華琳とが、芯の部分はともかく外部から見たときにはそれほど違わないためか、現在のところ「華琳としても」そうするだろう、という行動が多い模様。 荀彧/真名「桂花」 記憶を失ってない&事件を起こす切っ掛けを作ったうちの一人。 彼女の場合、元から華琳一筋で北郷は邪魔!な性格なので変化が少ない…と思われたが、その度合いが悪化し憎悪の塊と化していた。が、その憎悪が視野を狭め、本来の軍師としてのキレを失わせていた。 華琳が一刀に興味を持つ前に亡き者にしようとしていたが、その性急な行動のおかげで逆に華琳は本郷への興味を持つようになり、さらには一刀と雪蓮への暗殺計画を勝手に実行したこと(覇王として堂々と相手を下すことを好む華琳からすると相容れない計画なのは、通常時の桂花ならわかりきっていたはずだが・・・)を#17で咎められ、一見処刑通告とも言える「北郷軍への使者」を言い渡される。 その使者行の途中で盗賊に襲われて危うく命を落としかけるも、偶然通りがかった霞(張遼)に助けられ、北郷と再会、その際これまでの記憶に加えて魏ルートの記憶も呼び覚まされると同時に、憎悪は消えた。 幾ばくかの休息を得て曹操軍に戻っていった後は、元の通り曹操軍の筆頭軍師として辣腕をふるっており、また敬愛する華琳との仲も元通りに修復されている。 蜀の滅亡後、魏に加入してきた愛紗がかつての自分同様に記憶を持ったままであることに気付いている。ただ、結局それを解消できるのは一刀だけであることを自分の経験で判っているだけに、せめて華琳と魏に悪影響を与えないように見守るしか出来ないのが現状の模様。 張遼/真名「霞」 本作では、特にどこにも属さずに浪人し、気ままに旅を続けていたが、北郷軍への使者の途中で盗賊に襲われていた桂花を助けたのが縁で、そのまま彼女を護る形で曹操軍に加入した。なお、この際北郷とも会っているが、本郷はこの時点では霞の記憶を戻すことはしなかった。 義に厚い良将であり、劉備軍の滅亡後、仕えてきた劉備を見捨ててのうのうと魏に逃れてきた関羽には面白くないところがある模様。 関羽/真名「愛紗」 記憶を失ってない&事件を起こす切っ掛けを作った一人。 ヤンデレ化(タグ称 桂愛紗)進行中で、周りで止められず暴走してきている。 それを受けてかステータスも武力強化されている。 変化内容 統率93→100 武力102→105 知力77→50 政治64→30 時間が経つにつれ、狂気の自分と、その中にあるわずかな良心の自分に分裂しつつあるように描写されている。 劉備軍の滅亡後は、主要メンバーが本郷の元に、他の元劉備軍の武将が呉に流れる中、一人魏に加入して華琳の配下となる。その後、楚王朝となった北郷軍からの使節団の随員として来た鈴々と再会し、結果として愛紗が記憶を持ったままであることが知られることとなる。 郭嘉/真名「稟」 魏の軍師三本柱の一人。恋姫では鼻血軍師と呼ばれるが、現状は史実の通りの辣腕軍師で鼻血も吹かない。 愛紗が一刀の名を聞くと平静ではなくなることを知り、彼女を唆して軍を動かし、そして彼女の策通りに、その行為が巡り巡って袁紹軍を滅亡に追いやることとなる。 史実の郭嘉同様に重い病に蝕まれており、鼻血ならぬ喀血をし、自らがもう長くは生きられないことを把握している様子。性急な行動は、自らが生きている間に華琳の覇業を成就させたいが為か? 程昱/真名「風」 魏の軍師三本柱の一人。先鋭的になる稟と、他人には言えない事情を知るだけに楚(一刀)に甘くなりがちな桂花との間でバランスを取ることに勤めているように見える。 風かわいいよ風。 袁術/真名「美羽」&張勲/真名「七乃」 袁術軍が滅ぼされた後、魏に吸収されている。魏軍として特に何をするでもなく、悠々自適の生活(別名:いらんことしないで大人しくしている)を送っている模様である。 曹丕 曹操の息子の一人、つまり「朝起きると親父が年下の美少女になっていた」人である。 いくら曹孟徳とはいえ、年下の女の子に従えるか、とばかりに独立勢力を興すも、高いプライドのせいでチャンスを生かせず、じりじりと勢力を削られたあげく、ついには楚に滅ぼされて華琳のところに出戻る羽目に。 + その他 貂蝉 見た目は女性、中身は漢女もしくはブルワァァァ。なぜか言葉を発することが出来なくなっているが、一種のテレパシーで一刀にこの外史の謎について語る。 卑弥呼 見た目は女性、中身は・・・? 貂蝉と同じく言葉を発することはないが、その瞳を見て諸葛瑾や魯粛はこの世界がループしていることに気付いたという。 現在のところ、その目的は一切不明である。 華佗 真・恋姫†無双の華佗は、うp主の代理として後書きで登場している。 そのせいか、本編中で登場しているのは三国志Ⅸの華佗であり、スーパードクターではあるが恋姫版の「ゴッドヴェイドー継承者」ではなく、冥琳の治療をしたときも死の淵からは救ったが治しきれていない様子。 コメント欄 簡潔ながら作成。文才が残念だと思うならどんどん書き換えちゃってくれ! -- 名無しさん (2010-06-27 11 24 11) うーむ・・・やっぱりモロケフィアがまずかったか・・・ -- うp主 (2010-07-02 08 36 45) 主要勢力追加。初期武将の殆どが簡単すぎる文に…; 孫策軍に至っては蓮華以外を書こうとすると全部所属の一文のみになりそうな悪寒したのでorz -- 名無しさん (2010-07-07 02 22 35) 抜擢武将を紹介してみました -- 名無しさん (2010-10-09 18 29 32) ありがとうございます!しかし、華耀を抜擢したの誰だったかな…一刀だった気もするけど、もう古いキャプした動画はないしなぁ… -- うp主 (2010-10-11 09 08 23) 抜擢したのは一刀ですね。8話13 32の列伝にあります。 -- 名無しさん (2010-10-11 18 41 11) ↑ありがとうございます。確認したので修正しました。 -- 名無しさん (2010-10-14 16 44 14) うp主さんが北郷一刀の画像に悩んでいるようだったので、この動画に合わせたサイズのpng北郷一刀画像を2種作りました。ただうp主さんの抱く一刀のイメージというものもあるでしょうから、イメージに合わないようであれば使わなくても一向に構いません。ただ本日から30日しかDL出来ないので、一応もらっちゃってください。あって困るようなものではないと思いますのでー。http //www1.axfc.net/uploader/He/so/304483 -- 名無しさん (2010-12-09 13 08 29) ちょっと大きかったと思ったので0.9倍にサイズ調整したものをうpし直しました。たぶんこっちの方がサイズ合うはずです。期間とパスは同じで。http //www1.axfc.net/uploader/He/so/304487 -- 名無しさん (2010-12-09 13 57 13) わざわざホントありがとうございます。DLさせていただきました。ゲームしてる時はあまり気にしてませんでしたが、色んな一刀がいますね…。今回の動画のコメでは立ち絵なくてもいいんじゃない?みたいな声もあるので、さらに悩んでやりw -- 医者王の人 (2010-12-09 14 53 19) 悩んでやり→悩んでたり。 -- 医者王の人 (2010-12-09 14 54 10) ページ容量的に限界になったので、勝手ながら登場人物を分離しました -- 名無しさん (2011-06-20 07 06 52) 麗羽様がいないマレ -- 名無しさん (2012-05-11 19 41 40) 今更9の動画にハマってるけどこれが一番面白いな。完走しなかったのが残念だ -- 名無しさん (2022-10-03 02 11 09) 名前 コメント
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『原因』・・・『起因』・・・『要因』・・・言葉として表すのなら如何様にも表すことができるが、ここでは敢えて『切欠』としよう。 176支部所属の風紀委員“だった” 網枷双真が『ブラックウィザード』に加入した『切欠』・・・それは同じ支部所属で同期でもある麻鬼天牙が去年の10月初旬に風紀委員を辞めたことに始まる。 『麻鬼!!何で風紀委員を辞めるんだ!!?理由も言わずになんて納得できるかよ!!?』 『風紀委員のような「偽善者」共の巣窟に身を置いて守れるもの等何一つ無い。そう痛感しただけだ、神谷』 麻鬼と神谷が激論を交わした場面は今でもよく覚えている。あの光景を知る者は隠れて眺めていた網枷以外には居ない。 彼は麻鬼と神谷と同期で176支部の門を叩いた。所属当初から頭角を現した神谷や麻鬼とは違い、小柄で体格の細い網枷は主に後方支援を担当することとなった。 実戦能力に欠ける網枷は、当初から劣等感のようなモノに苛まれていた。同期の活躍もそれを助長した。 加えて、自分に宛がわれた風紀委員としての仕事が所謂お役所仕事に近いモノだったことも大きい。 後方支援で支部に居ることが多いため、近隣からの苦情や大人であるが故の上から目線を憚らない警備員との“権限の区割り”等が網枷の心理的負担を大きくした。 余り人と打ち解けられない性格も災いしたのだろう、現実と理想の隔たりに網枷は右往左往する状態に陥った。 『その『麻鬼さん』というのは何とかならないか?同い年だろう?敬語も必要ない』 『いいんです。僕にとって麻鬼さんは麻鬼さんですから』 そんな網枷に親しくしてくれたのは他ならぬ麻鬼であった。普段からぶっきらぼうな神谷とは違い、麻鬼は網枷を気に掛けていた。 正義感に燃え、始末書上等で他支部の管轄にまで足を運んでいた麻鬼を網枷は眩しく思うのと同時に憧れの気持ちを抱いた。 彼のような人間にさえ始末書を書かせる上層部の意向には腹が立ったものの、麻鬼は気にせず只管正義の遂行を果たしていた。 網枷は敬意も込めて麻鬼を『麻鬼さん』と呼び、同年齢であるにも関わらず敬語を交えて会話していた。私生活でもよくつるんでいた。 それだけ自分を引っ張ってくれる彼に憧れていた。彼に倣うように細身の体格を鍛えようと皆に内緒でトレーニングに励んだ。 風紀委員が守れるモノの限界を薄々悟りながらも、それでも彼のように在りたいと心の底から思っていた。 それなのに・・・麻鬼は風紀委員を辞めた。『風紀委員のような「偽善者」共の巣窟に身を置いて守れるもの等何一つ無い』という言葉を神谷に残して。 『「風紀委員のような『偽善者』共の巣窟に身を置いて守れるもの等何一つ無い」・・・か』 麻鬼とは面と向かって話すことは無かった。風紀委員を辞めて以降麻鬼は網枷とは全く関わりを持とうとしなかった。 網枷も麻鬼に会いにいくことは無かった。恐かった。どうしていいかわからなかった。彼と面と向かって話したとして、何を話せばいいのかさえわからなかった。 体調不良を理由に風紀活動に顔を出さないことが続出した。麻鬼が風紀委員の何に失望したのか、自分が感じているモノが理由なのか、 かつての麻鬼はそれを全く気にせずに職務に励んでいたのではないのか・・・堂々巡りを繰り返しながら、当ても無く街を徘徊し続けた。 風紀活動を休んでいるために空き時間なら幾らでも存在した。さすがに176支部管轄をうろつくわけにはいかないので、幾分離れた場所を中心に。 目的など存在しない。いや、無意識的には麻鬼が風紀委員を辞めた理由がこの徘徊の最中に見付かるかもしれないという期待があったのかもしれない。 『ぐっ・・・』 『テメェみてぇな弱っちい奴でも風紀委員になれんのか?まぁ、テメェみてぇな能無しのおかげで俺達の懐は今日も潤っちゃってるけどな』 『『『ハハハハハハ』』』 ある日の夜、習慣化し始めた夜の徘徊において網枷は十数人規模のスキルアウトに絡まれた。何処で手に入れたのかは知らないが銃を所持する人間も複数居た。 網枷は無気力ながらも半ば本能的に風紀委員の腕章を付けて取り締まろうと動いたが、多勢に無勢を表現するかのように一方的に叩き潰された。 身に付けていた風紀委員の腕章をスキルアウトの足が踏み潰し、財布も没収された。手際よく進んだことに上機嫌となったスキルアウト達は網枷を嘲笑い続けた。 『風紀委員なんざ、所詮は子供のお・ま・ま・ご・と。この時間帯には警備員しかうろついてねぇし、お前のお仲間がここに駆け付けるわけも無い。 何せ、最終下校時刻になったらお役御免だモンな。いいぜ、それで。お役所仕事みたいに定時帰宅に勤しんでくれてりゃ、俺等も助かる助かる。 仮に、お前に逆転の一手があったとしてもどうせ最後は始末書を書かされるんだろ?前にそんな風紀委員を見たことあるぜ、俺ぁ。ハハハハハハ!!』 『(こんな・・・こんな連中に嘲笑われるために風紀委員になったわけじゃ無い!!それなのに、何故僕は・・・俺は地に伏している!!? 叩き潰され・・・嘲笑われて・・・。これが風紀委員の限界なのか!?こんな奴等を捕まえても始末書を書かされるのが、俺が目指した風紀委員ってヤツなのか!!?)』 嘲笑を浴び続ける網枷は、基本的に校内の治安維持にしか関わらない風紀委員の在り方に再び疑問を抱く。 最終下校時刻を過ぎれば閉店となり、それ以降や管轄外に足を運べば始末書を書かされる。警備員に比べれば、確かにおままごとに見えるかもしれない。 それだけ風紀委員に許された権限―無論、これは子供である彼等彼女等では決断できないような役目を大人である警備員が負うという目的がある―は小さい。 この時、網枷は麻鬼が何故風紀委員を辞めたのかがわかったような気がした。きっと、彼も自分と似たような感情をずっと溜め込んでいたのだ。 そして、何らかの『切欠』で溜め込んでいたモノが遂に爆発したのだ。地に伏しながら、網枷は風紀委員というモノに失望を深めていく。 『何だ、テメェ等は!!?』 『お前如きに名乗る名は持ち合わせていない』 『そういうコト。ンフッ!』 風紀委員を散々虚仮にできたのに満足したスキルアウト達が去ろうとした瞬間だった。何時の間に接近していたのか、 白の長髪に眼帯を右目に被せた男と茶色の長髪を靡かせる女が次々とスキルアウト達を潰していく。 慌てて所持していた銃を構えるも、男が右手に装着していたアームガードのようなモノから飛び出した釘によって手を潰され、 最終的には男女1組に十数人のスキルアウトが叩き潰されるという結果となった。 『お前は・・・風紀委員か?』 『・・・どうだろ。自分が所属する組織の在り方にさえ疑問を抱いてる俺が、自分のことを風紀委員と呼ぶことには抵抗がある』 眼球の刺繍が入った眼帯が目立つ男は、ボロボロになっている風紀委員の腕章から網枷の正体について質問する。 しかし、今の網枷は自身を風紀委員と称することに強い抵抗感を抱いていた。率直に言えば、『風紀委員で在りたく無かった』。 尊敬する同期が失望し、自身も深く失望した組織の名を口から出したく無かった。風紀委員でも何でも無い男と女に自分が救われた『事実』を痛感しながら。 『欲しいか?』 『・・・何を?』 『誰も彼をも圧倒する「力」が。不条理全てを捻じ伏せる「力」が。風紀委員では守ることのできない大事なモノを守る「力」が』 『・・・ッッッ!!!』 抉る。深く、深く抉る。風紀委員に対して失望が積み重なった網枷の心を、白髪の男は物の見事に蹂躙する。 『お前も理解した筈だ。風紀委員という名前で守れるモノなどたかが知れている。こんな雑魚相手にすら抑止力になれない名前にどんな「力」がある?』 『・・・・・・』 『・・・名は?』 『・・・・・・網枷。網枷双真』 『そうか。俺の名は東雲真慈だ』 『私は伊利乃希杏だよ♪』 突き刺さる言葉の矢に、不思議と網枷は高揚感を抱き始めていた。直感とでも言うのだろうか、目の前の男からは自分が尊敬していた麻鬼に似た“匂い”があった。 強靭な意志を持ち、確かな実力を有する・・・そんな“匂い”が。対して、白髪の男・・・東雲真慈はボロボロに網枷の瞳に微かな光が宿り始めたことを悟り、こう続けた。 『風紀委員?警備員?そんなモノに頼るな。依存するな。この世で唯一頼れるのは「力」のみ。俺は「黒き力」・・・「ブラックウィザード」の頂点に居る男だ。 網枷双真!俺と共に来い!!そして、お前の「力」をこの世界に証明してやれ!!理不尽を突き付けて来る世界を、お前自身の「力」でもって打ち破ってみせろ!!』 この後、網枷は新興スキルアウト『ブラックウィザード』の存在を知る。風紀委員として、本来ならば東雲や伊利乃達を逮捕しなければならない立場だ。 だが、風紀委員に失望した網枷には既に東雲達を不利に追いやる手段を採る意思は微塵も存在しなかった。 むしろ、自分を導いてくれる東雲に憧れた。麻鬼との一件を経たことで、彼のために命を投げ打つ程の強い覚悟―依存―が網枷の心中に芽生えた。 『あの方こそが、この腐った世界を変えてくれる唯一の存在だ。俺は・・・私は、あの方に・・・あの人の隣に在りたい!!』 『ンフッ。網枷君って、見た目によらずちょっと中二的発言が多いわよねぇ。そういうお年頃なのかしら?』 網枷は東雲の副官として、『ブラックウィザード』が誇る“辣腕士”としてその辣腕を振るうようになった。 風紀委員としての立場を利用・有益な情報を『ブラックウィザード』へ横流し、多少のイレギュラーはあったものの176支部員であった風路鏡子を引き込み、勢力拡大の大きな一助となった。 その過程で彼は学園都市に巣食う『闇』の存在を知った。そして、麻鬼天牙が風紀委員を辞めた『切欠』も調べ抜いた。 『伊利乃。私は君と同じ思いだ。東雲さんなら、学園都市を変えられる。そんな君の気持ちを無下にはできない。私も、「闇」の人間は心底嫌いだ。この手で殺したいくらいにな』 “手駒達”製造の技術も、コネクションの存在も憎き『闇』が深く絡んでいる・・・が、今は我慢の時。いずれは東雲と『ブラックウィザード』によって『闇』の全てを駆逐する。 自分はその礎となる。網枷は“弧皇”と邂逅したあの日から東雲のために何時でも命を投げ打つ覚悟であった。 『お前は、己の「力」をこの世界に証明したいんだろう?何が目的であれ、どんな形であれ。俺もそうだ。俺の目的で、俺はこの世界に負けない程の「力」を俺なりの形で示したい。 お前の期待通りに行くと思うなよ?俺は俺を害する者を全て排除する。網枷。お前もお前の「力」を証明するためにも幻想に容赦するつもりは無いんだろう? これでも、俺はお前の覚悟は理解しているつもりだ。だからこそ言おう!思う通りにやれ!全力で幻想をねじ伏せろ!その先に、お前が望む答えの1つがある筈だ!!』 『答え・・・。フッ、その種類がどのようなモノなのかはその時にならないとわかりません・・・か。 果たして期待通りなのか・・・それとも期待ハズレなのか・・・。どちらにしろ、今回の件でようやく私も心の整理ができそうです』 故にこそ、この戦場で自身が無意識の内に求めていた『答え』を見出さなければならない。己の心に巣食うモノ・・・東雲に対するモノとは別のモノ。 『お前は、心の何処かで幻想に期待しているんじゃないか?まやかしだと思っている存在が、俺達「ブラックウィザード」に打ち勝つ程の何かを見せ付けたのならば・・・と』。 そう当の東雲から指摘された。否定はしない。自分は未だに風紀委員へある種の未練を抱いているのかもしれない。麻鬼や東雲が否定した幻想を今でも自分は・・・。 己が採った“行動”を客観的に振り返ってもこの予測を完全否定することはできない。鏡子や焔火を『闇』の技術である“手駒達”にさせなかったのも・・・。 ならばこの戦いにてはっきりさせる。例えはっきりさせた結果が『死』であったとしても・・・その先にあるモノを必ず掴み取ってみせる。 「だったら、話は早ぇ。網枷双真!!“俺の”オンナに手ぇ出した落とし前・・・ここでキッチリ着けさせて貰うぜ!!!」 手榴弾によって破壊された倉庫の外壁から姿を現したリーゼント男・・・荒我拳の咆哮に網枷が採った行動は至極シンプルなモノであった。 ポケットに突っ込んでいた手を引き抜き、薄明かりという状況下において“何も持っていないように見える”腕を振り上げ、手に感じる感触そのままに無言で引き鉄を引く。 「ッッ!!」 「荒我君!!」 荒我と彼と一緒に行動を共にする成瀬台支部員の速見は、事前の情報から網枷が能力によって銃器のようなモノを隠し持っていることは予測していた。 そのために、網枷が銃器を扱う素振りを示した瞬間に採るべき行動も最初から決めていた。つまり、速見が能力で(否応無しに)鍛えられた瞬発力を発揮し、 追撃に備えて『空力射出』を温存した状態で荒我を掴みながら速攻で射線上から離脱・・・ ズアアアアアアァァァァァッッッ!!! 「「なっ!!?」」 し切れない。銃弾そのものは事前の予測もあって何とか回避できた。しかし、放たれた銃弾の軌跡をなぞるように衝撃波が発生し、荒我達を吹き飛ばす。 それでも、『空力射出』による気流操作にてダメージを最小限に留める速見。さすがの速見でも、この状況下で後先考えずに能力を行使したりはしない。 いや、彼1人なら行使していたかもしれないのだが荒我を抱えている状況であったために彼に怪我を負わせるわけにはいかないという思考が優先された・・・というわけでも無く、 単にダメージ回避のために行使した気流操作が“速見スパイラル”では無いというだけのことであった。 『足に空気の噴出点を設定し自分をロケットのように飛ばす』のが“速見スパイラル”なのであって、速見はこの時に限って止まることを考えずに全力で能力を行使する。 言い換えれば、“速見スパイラル”以外の能力行使であれば彼は意外に臨機応変に能力を行使する。 たとえば、今のように掌に設置した噴出点を用いた気流操作によって『衝撃波の槍』を受け流したり。 「ぐっ・・・何なんだ今のはよ・・・!?」 「あれは衝撃波・・・?」 衝撃波に煽られて変な格好にて地面へ着地した荒我は、痛む体を無視して先程起きた現象に思考を働かせる。 また、速見は気流操作系能力者である自身の知識から網枷が行った攻撃の内実を察する。 「(やはり、まだまだ試作段階と言った所か。『衝槍弾頭』が想定する『衝撃波の槍』の規模には及ばないが・・・それでも今の俺には十分な武器だ)」 網枷は初めて実戦で使った試作武器の手応えを心中で分析する。彼が銃に込めた試作武器・・・それが『衝槍弾頭』と呼ばれる対暴走能力者用の武器である。 元来この武器は警備員等の“表”の治安組織にて開発が進められている代物で、弾頭の表面に特殊な溝を刻み込むことで、 銃弾の軌跡をなぞるように『衝撃波の槍』を発生させる仕組みとなっている。銃弾の小ささをカバーして余りある範囲攻撃を網枷は気に入っている。 自身の能力『偏光塗装』には攻撃力らしい攻撃力が備わっていない。自分自身や生物にも使えないという欠陥を抱える偽装能力を最大限に活かすために、 “辣腕士”は手持ち可能な範囲で、反動も無く、それでいて広範囲を攻撃可能な武器を求めていた。そこで目を付けたのが『衝槍弾頭』であったのだ。 「・・・何だ、お前は?」 網枷の剣呑な声が荒我に向けられる。事前に聞いていた情報とは違う容貌・・・黒縁眼鏡を身に付けていない“辣腕士”は想定外の乱入者に怒気を含んだ声を浴びせ掛ける。 「あぁん!?あぁ・・・そういや名乗ってなかったな。俺は・・・」 「荒我拳・・・だろう?お前の名は焔火から何回か聞いた。自白剤を飲ませた時も含めて・・・な」 「テメェ・・・!!!」 「まぁ、無能力者の“不良”を一々『書庫』で調べることはしなかったがな。労力の無駄だ」 網枷以上の怒気を露にする荒我を無視するかのように“辣腕士”は言葉を並べ立てる。荒我のことは、ある屋台のラーメン屋での出来事を焔火と葉原が話し合っていたのを耳にしたのが最初だ。 まさか恋だの何だのの関係にまで発展しているとは思っていなかったが。しかしながら、そんなことはどうでもいい。 「それより・・・お前は何だ?」 「・・・あぁ!!?」 「お前のような人間が何故ここに居る?風紀委員でも警備員でも無い“不良”が、どうしてこの俺の前に立っている?お前のような異物に用は無い」 気に入らない。気に喰わない。折角“表”の治安組織と雌雄を決することで『答え』を見出そうと考えている所に現れた異物の存在が。 『シンボル』に抱いた感情以上の苛立ち。所詮は無能力者。しかも、雑魚中の雑魚である“不良”が自分の前に立ち塞がったのだ。 この世界に意思があるのだとしたら、その意思は網枷の意思を虚仮にするかのように次々と邪魔をする。本当に気に入らない。 「網枷君・・・!!」 「速見“先輩”。どうして、こんな“不良”を連れて来たんですか?恋人のために命を張る・・・そんな理由『だけ』で彼の同行を認めたんですか?普通なら始末書モノですよ?」 速見の悲痛な声に、網枷は歯牙にもかけない“不良”を相手にする時とは違う態度でもって会話を行う。 かつては同じ風紀委員会のメンバーとして共に行動した2人は、しかし今や明確な敵対関係となって対峙せざるを得なくなっていた。 「テメェ・・・!!」 「何だ“不良”。俺はお前に用は無いとさっき言ったばか・・・」 「俺はな、確かに緋花を助けるためにここへ来た!!だがな、緋花が救出された今、その落とし前を着けるため『だけ』にここに立ってるわけじゃ無ぇぞ!!」 「ほぅ・・・何だ?言ってみろ」 「やっぱ覚えちゃいねぇか。・・・そりゃそうだよな。そんな上から目線なお前なんかの記憶に残っちゃいねぇよな」 「・・・?」 悔しそうに“笑っている”荒我に網枷は怪訝な視線を向ける。荒我の言わんとしていることに見当が付かない。 その様子に『本当に何も覚えていない』ことを察する“不良”は、かつて行動を共にした“不良達”の想いも込めて宣言する。 「俺はな、昔テメェ等『ブラックウィザード』に叩き潰されたスキルアウトの一員だ!!」 「・・・・・・」 「荒我君・・・!!」 「速見先輩。言っとくけど、俺はもうスキルアウトじゃ無ぇんだ。別に辞めたくて辞めたわけじゃ無ぇ。けど、『ブラックウィザード』のせいで俺の生活は一変した」 「・・・確かに記憶に無いな。今まで潰して来たスキルアウトの、しかも構成員の顔なんか一々覚えちゃいない。フッ、よく五体満足で生きているな?」 「・・・偶然その場に居なかっただけだ。居たら、俺もテメェ等に潰されてただろうよ」 荒我の語る過去に速見は瞠目し、網枷は多少興味を惹かれたのか話に乗る。この男には自分達を目の敵にする理由が焔火以外のことでも存在した。 自分の言葉を覆した“不良”に面白半分で応えてやるかのうように、“辣腕士”は持ち前の話術によって“不良”を責め立てる。 「なら、尚のこと。何故運良く拾った命をわざわざ捨てに来る?俺達が潰した仲間も、お前の死ぬ所など見たくもないだろうに」 「俺が死ぬなんて誰が決める!?」 「俺が殺す。お前のような“不良”に、俺が後れを取るわけが無いだろう?かつての仲間を潰され、今は恋人さえ俺達の手で一度は堕ちた。 お前が何を守れている?お前は何を守った?お前にどんな落とし前が着けられる?お前に・・・何の『力』がある?」 同時に力尽くの排除を画策する網枷は、右手に『衝槍弾頭』を込めた銃を、左手には接近戦用のナイフ―かつて麻鬼に手ほどきを受けた―を構える。 いずれも『偏光塗装』によって偽装済。倉庫内にある逃走用の車両はできる限り傷付けるわけにはいかないが、いざとなれば切り捨てる。 「重ねて言おう。俺はお前のような異物に用は無い。だから・・・さっさと死ね!!!」 “辣腕士”は、遂に自ら戦闘へ臨む。自分が求める『答え』を見出すためには、この異物を早急に排除しなければならない。 用があるのは、この場では風紀委員である速見のみ。故に眼前の“不良”を速攻で殺す。そんな彼はやはり気付かない。 無意識に求めていた『答え』だからこその見落とし。彼が言う所の異物・・・荒我拳を見てどうしても苛立ちを抑えられない“本当”の理由に。 銃から次々に『衝槍弾頭』が放たれる。この弾頭にも『偏光塗装』の膜を付与することは耐久力込みで極短時間のみ可能だったが、『衝撃波の槍』を弾頭の溝で形成する以上、 威力を弱めてしまう膜を展開する愚策を網枷は採らなかった。通常より弾速が低下する―荒我と速見が避けられた一番の要因―とは言っても人間の目で追い切れる代物では無い。 ドパアアアアァァァァッッ!!! こまめに位置取りを変え、複数の『衝撃波の槍』によって相互干渉を起こすことで網枷さえ把握し切れない複雑な気流を発生させる。 通常の銃弾では到底為しえないような破壊力を伴う気流が異物を排除せんと凄まじい速度で襲い掛かる。 グン!!! 対するは速水の『空力射出』。止まることを考える必要は無い。そんなことをしなくとも、『衝撃波の槍』のせいで否応無しに進めなくなる。 逆に言えば、この『衝撃波の槍』こそが“速見スパイラル”の『ブレーキ』となるのだ。耐久力には自信がある。 速見は網枷の標的である荒我を背に引っ付かせ、呼吸さえ困難な凌ぎ合いを迷わず敢行する。 グオオオォォッッ!!!ズザザザザザザッッッ!!!バアアァァンン!!! 倉庫内に置かれていた様々な道具や機器が『衝撃波の槍』によって吹き飛び続ける。それ等の直撃だけは何とかかわし続ける気流操作系能力者速見翔は、 “速見スパイラル”を敢行し続ける―“速見スパイラル”を止められた時は足下以外に設置した噴出点を用いた気流操作で『槍』の特性を調査する―中でいち早く『槍』の効果範囲や具体的な威力を算出した。 「(右上の壁!)」 「(!!)」 速見が『衝槍弾頭』の分析に思考を傾けている間、彼の背中に引っ付く荒我は幾度の喧嘩で養った動体視力の良さから回避方向の選択を担う。 スキルアウト時代、そして救済委員として抜群の射撃能力を持つ斬山に舎弟入りした彼は銃を扱う人間との戦闘に慣れていた。 無論恐いモノは恐いが、それが足を竦ませる理由とはならない。また、焔火を助け出すために界刺から有益な情報を引き出す手段として実力行使も選択肢に入れていた荒我は、 梯や武佐と共に光学系能力者である界刺対策をずっと話し込んでいた。奇しくも網枷は彼と同じ光学系。その時に話し込んでいた内容が今役に立っているというわけだ。 「(あの野郎は無生物にしか膜を施せない。だから丸見えだ。隠している銃の引き金を引くテメェの指がよ!!)」 強烈な風圧を我慢しながら荒我は網枷の指の動きに着目する。光学偽装の要である『偏光塗装』は自分自身には付与できない。 引き鉄を含めた銃全体に膜を付与することはできても、引き鉄を引く指そのものには光学偽装を施せないのだ。 荒我達は知る由も無いが、『空力射出』を含めてこんな対処が実行可能なのも『衝槍弾頭』の弾速が通常より落ちているからこそである。 カチッ、カチッ! 唐突に衝撃波の嵐が止んだ。荒我と速見は瞬時に察知する。とうとう弾切れを起こしたのだ。網枷もすかさず空となった弾倉を取り出し、再装填を行おうとする。 今が最大のチャンス。網枷の懐へ飛び一気にケリを着けるチャンスと判断し、速見は迷わず“速見スパイラル”の実行へ移る。 グン!!! “速見スパイラル”発動の音が倉庫内に木霊する。一気に距離を詰める速見と荒我に後ずさる網枷。その顔は・・・“笑っていた”。 「(ヤベェ!!)」 不気味な笑みと後ずさるフリで、実は腰を低くした上で待ち構える体勢を取った“辣腕士”を眼に映した荒我は、 脚に多大な負担が掛かるのも厭わずに“速見スパイラル”の減速及び方向転換を試みる。速見の首を後方から左斜めへ無理矢理押し倒すように力を加えて。 ザクッ!!! 「グアッ!!?」 「チィィッ!!!」 「グッ!!!」 交錯の際に三者三様の呻き声が発せられる。1人は『偏光塗装』にて隠し持っていたナイフによって右太腿を刺された故の声、 1人は何とか致命傷は避けられたものの被害を食い止められなかった故の声、1人は“速見スパイラル”の勢いをナイフを持つ左手一本で受け止めたために手首が折れた故の声。 騙し合いと凌ぎ合いが齎した結果が3人を襲い、3人共地面を転がり回った。その中で脚の腱を痛めたらしい“不良”が真っ先に叫んだ。 「速見先輩!!大丈夫っすか!!?」 「荒・・・我く、ん。な、何とか・・・ううっ!!」 「チッ!!ナイフが中途半端に折れてやがる。これじゃ、かえって抜けねぇぞ!!」 痛みに蹲る速見の傷跡を眺める荒我。“速見スパイラル”の威力にナイフも耐えられなかったのだろう、中途半端な部分から折れていたために指の力のみで引き抜く必要があった。 手全体の力を使うのならまだしも、指だけの力では力が入り難い。無理矢理引き抜こうとすれば、かえって他の部分を傷付ける恐れさえあった。 「(チィ・・・麻鬼さんのようにはいかないか。手首の骨を折ってしまうとは・・・誤算だな)」 他方、速見に大きな傷を負わせた網枷自身も手首の骨を折るという失態を犯していた。腱を傷めたりヒビが入るくらいは覚悟していたが骨折はさすがに想定外だ。 これでは弾倉の再装填すらままならない。そもそも、先程の交錯で銃が遠方へ吹き飛んでしまっている状況だ。 僅かの隙が致命的になりかねない。自身の手際の悪さに自嘲する網枷は、この中で一番傷が浅い“不良”へ対処するために立ち上がる。 「どうした、“不良”?何だ、このザマは?行動を共にする仲間すら満足に守れないのか、お前は?」 「テメェ・・・!!」 「お前はどれだけ無力なんだ?そんな体たらくで、どうやって落とし前を着けると言うんだ?お前なら、傷を負った今の俺でも楽に殺せそうだ」 「テメェ!!!」 “辣腕士”の度重なる挑発に我慢できなくなった“不良”はその拳を振るうために走り出す。 一方、網枷は先程張った“罠”の位置を確認しながらこれみよがしに右手に持ったナイフを煌かせる。 「お前如きに『偏光塗装』を使う必要は無い。さっき刺した風紀委員のように、お前もこいつの餌食にしてやろう」 「やれるモンならやってみやがれ!!!」 激昂する“不良”が疾走する。痛みを訴える脚を無視して自慢の拳を網枷へ放つ。手加減抜きの右ストレートが網枷の顔面目掛けて・・・ ガキッ!!! 「グアッ!!?」 放たれることは無かった。当たる直前に網枷は回避行動を取り、荒我の拳から逃れる。代わりに、人体とは思えない固さを有するモノに全力で殴り掛かったために発生した激痛が荒我を襲う。 「ングッ!!?」 しかし、回避行動を取ったことで骨折した左手の激痛が再び発生したために動きが鈍る網枷。それでも、ここで荒我を仕留めようとナイフを右手に一直線に突っ込む。 「ッッ!!!」 それが荒我にとって幸いした。一直線というのはえてして相手に読まれやすい行動である。先程激昂した荒我がまさにそうだったように。 痛みのためにプランが崩れた網枷にも焦りがあった。故に、荒我はわざと体を地面へ倒れ込むことで危うくも危難を逃れたのだ。 「ハァ・・・ハァ・・・。チッ、何が『「偏光塗装」を使う必要は無い』だ。思いっきりその“車”に使ってんじゃねぇか」 「ハァ・・・ハァ・・・」 急いで距離を取った荒我と突貫によって距離が離れてしまった網枷が互いに荒い息を吐き続ける。位置としては、荒我達が侵入して来た壁穴が網枷の後方にあり、 荒我が網枷の斜め前に居るといった具合である。その中で、荒我は自分が誤って殴ったモノが(逃走用の)“車”であったことに気付く。 仕掛けたのは少し前の交錯時。自分と速見が転がり続けた際に、同じく転がった網枷が近くの車に触れて『偏光塗装』を仕掛けたのだ。 転がっていたために数瞬方向感覚を失った荒我達を欺くために施した“罠”。あの一瞬でそこまで考えられる“辣腕士”に多少以上の凄みを感じる“不良”。 「網枷双真・・・」 「お前に気安く呼ばれる筋合いは無い」 「お前・・・どうして風紀委員を裏切ったんだ?どうして『ブラックウィザード』に入ったんだ?」 だからこそ知りたい。これ程の秀才が、どうして風紀委員を裏切って『ブラックウィザード』の一員になったのかを。 「そんなことをお前に話す義理は無い」 「俺にはよ・・・理解できねぇんだ。何で、お前は緋花を“手駒達”にしなかったのか・・・てことが」 「・・・・・・」 「罪悪感から逃れるためなのかもしれねぇ。ほんの気紛れなのかもしれねぇ。でもよ、こうやって“必死に戦っている”お前を見てるとよ・・・どうしてもそう思えねぇんだ。 俺にはよぉ・・・お前が単なる卑怯者なんて風には見えねぇんだ」 「何を言い出すのかと思えば・・・卑怯な手ならついさっき使ったばかりだろう?もう忘れたのか?」 「俺はよ・・・舎弟や速見先輩達の話全部ひっくるめて『偏光塗装』で一番恐かったのが『爆発物の光学偽装』だったんだよな」 荒我は思い出す。梯や武佐、そして速見達と共に光学系能力・・・ひいては網枷の『偏光塗装』で何が一番厄介なのかを話し合った時のことを。 『爆発物を偽装されるのは厄介でやんすよね?』 『梯君の言う通りだね。知らず知らずの内に偽装された地雷の上を踏んじゃってドカンは恐いよ、うん』 『網枷君の「偏光塗装」は無生物・・・つまりは物体にしか付与できない。彼が手段を問わないのであれば、「爆発物の光学偽装」が一番厄介だろうね』 荒我は見出す。本当に『今』の網枷が手段を問わない卑劣漢の塊であったとすれば、この倉庫内に光学偽装を施した爆発物を設置して追い込むことだってする筈だ。 具体的な症状はわからないが左手を傷める前に幾らでも実行する機会はあった筈だ。それこそ爆発物の設置が困難になる衝撃波を生み出す弾頭など使わずに、 もっと『爆発物の光学偽装』に適した武器の選択をしてもよかった筈だ。それだけの時間的余裕はあった筈だ。 「何で、自分の能力で一番の強みを活かした戦法を使わなかったんだ?光学系能力は欺いてナンボだろうが」 「まさか、俺が『爆発物の光学偽装』をせずに銃やナイフに光学偽装を施したから卑怯者じゃ無いとでも言い張るつもりか? だったら、それは盛大な勘違いだな。そもそも、この衝撃波を生み出す銃弾でお前達の命を軽く奪うことができると考えていたとしても・・・」 「なら、それはお前が“自分の手でケリを着けたい”と思ってる何よりの証拠になるんじゃねぇか?『爆発物の光学偽装』なんていう“間接的”な代物じゃ無くて、 銃でも衝撃波でもナイフでも、“自分の手”を使った“直接的”な決着を『今』のお前は望んでいるんじゃねぇか?さっきの“車”の偽装も、ナイフを突き刺すためのモノだろうが」 「ッッ!!!」 今度こそ網枷の言葉が止まる。この“不良”は時に相手の本心を射抜く言葉を吐く。“己を貫き通す拳”を持つ彼だからこそ、己を否定するような人間の矛盾に気付くことができる。 『荒れた世でも「我(われ)」を拳1つで貫ける男になれるように』という想いが込められた名前を持つ荒我拳だからこそ、 重徳力と対峙した時のように無意識的にでも矛盾を抱える網枷双真の葛藤を見抜くことができるのだ。 「聞いたぜ?緋花を最後に戦闘不能に追い込んだのはお前だってな。成瀬台に強襲を仕掛けた作戦のアレンジもお前がしたんだろ? どっちもお前は最前線に立ってるじゃねぇか。スパイ活動だって、お前は自分の体を張ってるじゃねぇか。心底卑怯者だってんなら、そんな真似をするかよ。 自分だけは安全地帯に留まって、卑劣な手をドンドン使ってほくそ笑むのが本当の卑怯者だ。お前は卑怯者だろうけど、完全な卑怯者じゃ無い」 「・・・!!!」 「だからわかんねぇ。何でお前は『ブラックウィザード』に居るんだ?居続けられるんだ?俺が知る『ブラックウィザード』は悪辣非道を地で行く集団だ。 お前みてぇに心底卑怯者じゃ無い人間が・・・何の考えも無しで加入したわけでも無理矢理加入させられたわけでも無さそうなお前がどうしてそんな組織に居続けられるんだ? もし、居続けられるってんならそこには理由がある筈だ。風紀委員を裏切ってでも居続ける確かな理由が・・・・・・ハッ!もしかして・・・東雲真慈・・・か?」 東雲真慈。“孤独を往く皇帝”として“裏”の世界に轟く『ブラックウィザード』のリーダー。 『ブラックウィザード』のような大組織を纏め上げるのだから、そのリーダーシップは凄まじいモノがあると見ていい。 身に着ける眼帯に刺繍された眼球印を構成員達が『ブラックウィザード』のトレードマークとしている噂を聞く程である。 彼のカリスマ性に惹かれる人間も多いだろう。仮に、網枷が『ブラックウィザード』に居続ける理由としてリーダーである東雲が大きく関わっているとしたら・・・。 「・・・だとしたら?」 「東雲真慈は・・・風紀委員を裏切ってまで着いて行く価値のある人間なのか!!?」 「あぁ・・・あるさ」 空気が一変する。冷たい冷たい声が、“辣腕士”の口から漏れ出る。その心中の“熱さ”を懸命に抑えるかのように冷たく・・・冷たく。 「お前のような“不良”には理解できないだろう。あの人の・・・東雲さんの偉大さが」 「偉大さ・・・だと?」 「あの人は俺の運命を変えてくれた。俺を再び立ち上がらせてくれた。風紀委員や警備員では守れないモノを守る『力』を教えてくれた」 「風紀委員や警備員には守れない・・・?」 「お前のような無知な人間が楽でいいな。この学園都市が一体どれ程の矛盾を抱えているか、無知で無能なお前は未だ知らないのだから」 「(コイツ・・・何を言ってやがる・・・!?)」 網枷が続々と発する抽象的な言葉に理解が追い着かない荒我。最初の方は救済委員である荒我にも何となく予想は付いたのだが、最後の方は全く理解できなかった。 そんな“不良”を哀れな視線を差し向ける“辣腕士”は、自身が信望する“弧皇”の偉大さを声高に示す。 「だが、あの人なら変えられる。この学園都市に巣食うしがらみを全て潰すことができる!!俺が命を賭す程の価値があるあの東雲真慈なら!! わかるか、荒我拳!!?あの人を今失うことがこの学園都市にとってどれ程の痛手かを!!まぁ、お前のような無知で無能な人間には理解でき・・・」 「馬鹿だね、君は」 「「!!!」」 演説にも似た“辣腕士”の言葉を遮るかのように、そして彼の行為を『馬鹿』と片付けた男の声が荒我と網枷の鼓膜を叩く。 放ったのは成瀬台支部員速見翔。脚の負傷に顔を歪める彼の瞳に灯る炎は、傷を負って尚些かの衰えを感じさせない。 「本当に馬鹿だね、君は。僕もよく馬鹿って言われるけど、君程馬鹿じゃ無いということだけは胸を張って言えるかな」 「お前・・・!!」 「僕も実は聞いたんだ。君が風紀委員に疑念を持つ『切欠』になったかもしれない176支部員の辞職の件について」 「ッッ!!!」 速見達成瀬台単独行動組は、椎倉を通じて176支部リーダーを務める加賀美から網枷に関する様々な情報を得ていた。 その中にあったのが、網枷が慕っていた同期の辞職。加賀美自身は自分の至らなさを嘆いていたが、今までの網枷の言葉を聞いた速見は別の可能性を見出していた。 「そして、今までの会話を聞いて確信した。君は君自身の弱さに負けただけだってことに僕は気が付いたんだよ」 「弱さだと!?」 「そうさ。君は風紀委員や警備員では守れないモノがあるって言ったよね?そして、それ等を守るために『ブラックウィザード』のリーダーに着いて行った。 これってさ、君が慕っていた同期に対するアクションと瓜二つじゃないか。君自身、その同期に引っ張って貰っていたんだろ?」 「うっ・・・!!!」 「同期が理由不明の辞職をした後、君は相当落ち込んでいたらしいね。当時の出欠を確認したら、君は体調不良を理由によく風紀活動を休んでいた。 しかも、風路鏡子さんの急性薬物中毒が同期の辞職後約1ヵ月が経った頃に起きている。ということは、君が『ブラックウィザード』のリーダーに出会ったのはその1ヶ月の間だ。 傷心真っ只中に居る君にとって、東雲真慈はさぞかし魅力的に映ったんだろうね。話し振りから察するに、その時に何か事件でもあったのかな?」 「事件・・・すか?」 「そうだ。何らかの『切欠』となるような事件・・・たとえばスキルアウトや強盗と接触してしまったとかかな。 そういう『切欠』を経て東雲と出会ったのなら彼の心酔振りも理解できる。危機を救って貰った人間に必要以上に憧れるみたいな?荒我君はそういう経験無い?」 「あぁ・・・あるっすね。その気持ち、よーくわかります」 速見の的確な指摘に黙り込む網枷とは対照的に、斬山に救われた頃を思い返す荒我は速見の言いたいことを理解する。 速見の指摘が正しいのであれば、荒我にとっての斬山が網枷にとっての東雲ということになる。この図式なら、網枷が東雲に心酔する理由もよく理解できる。 「網枷君。“だから”、君は荒我君が気に入らないんだろ?荒我君の有り様が、かつての自分を思い出させるから。 無力で無知で無能と『君が』判断する彼を、君はかつての自身と被らせて見ている。色んなモノを守れなかった荒我君と、 風紀委員として色んなモノを守れなかった自分を重ねて見ている。あぁ、荒我君。怒らないで聞いてね?僕は君を無力とも無知とも無能とも思っていないからさ」 「りょ、了解っす!」 「網枷君。君が風紀委員である僕と戦うことを望み、風紀委員では無い荒我君を相手としなかった態度から察するに、君はまだ風紀委員に未練があるんじゃないかな? そうでなかったら『始末書モノですよ』なんて言わないんじゃない?未練が無いと言い張るのなら、どうして僕と戦うことを強く望むんだ? 君の言葉には未練がある。悔恨がある。風紀委員の僕だからこそわかる。君は“自分の手で確かめたいんだ”。証明したいんだ。 君が失望した風紀委員は君自身が思った通りに守るべき人を守れない組織であることを、他ならぬ君の手で!!」 網枷に引けを取らない演説をぶちかます速見は、推測しているもう1つの事柄を敢えて言葉に出すことを止めた。 それは、『未練から生じた風紀委員への期待を無意識的にでも網枷が今でも持っている』という予測。しかし、これを言った所で何が変わるわけでも無い。 どんな思惑や理由があろうと、網枷は許されない罪を数多く積み重ねたのだ。今後彼に待ち受ける未来に明るい展望など存在しない。 「・・・気に入らねぇな」 「荒我君・・・」 速見の言葉が“不良”の炎に火を点ける。網枷が反論しないことからして、多かれ少なかれ速見の推測に事実である部分が混ざっているのだろう。 その事実が荒我の心に凄まじい炎が燃え滾る。かつて、成瀬台支部員や『シンボル』と共に殴り込みを掛けた6月初旬に対峙した1人の男を思い出したが故に。 「俺ぁ、前にある男とステゴロでタイマンを張ったことがある。無能力者の仲間に裏切られるのが恐くて能力者である事実を隠していた臆病者でよ、 自分を裏切らない確証が欲しくて狡い真似を使って色んな人間を傷付けていた野郎だ。網枷・・・テメェも一緒だよ」 傷めた脚に、それでも活を入れる。そうすることで、自分が立つ『位置』を再確認するように。 「テメェは臆病者だ。同期の辞職で傷心した自分(テメェ)の本心を最初に打ち明けるべきだった風紀委員(なかま)を頼らなかった。頼ろうともしなかった。 頼らなかった理由までは知らねぇ。頼れない理由があったのかもしれねぇ。でも、頼ろうとさえしなかったテメェの判断は間違いだったってことは確信をもって言える!!」 激痛が走っていた拳を、それでも強く握り込む。そうすることで、自身の中を貫く一本筋に力を込めるように。 「東雲に惚れ込んだテメェの気持ちは正直わかるぜ?俺も似たような経験があるしな。俺とお前は、確かに似通った部分を持ってるのかもしれねぇ。 だったら、この俺の拳でテメェをぶっ潰す!!テメェの間違った選択の行き着く先を、この俺の拳で見せてやる!!」 不屈の意志を示す眼光を灯し、“己を貫き通す拳”を持つ『漢』は落とし前を着けるために無言の“辣腕士”へゆっくりと歩を進める。 焔火のこと、かつての仲間のこと、そして自分のこと。様々な落とし前を着けるべく、“不良”はその拳に力を込める。 「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」 「なっ・・・!?」 「網枷・・・君」 何の前触れも無しに、唐突に“辣腕士”が大声を挙げて笑い出す。網枷の様子の激変振りに荒我と速見は戸惑いを隠せない。 気が狂ったのか、はたまたこれも何かの策なのか。容易に判断が付かない現状を打ち破ったのは当の網枷であった。 「ハハハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・・・・ふぅ。フン、言いたい放題だな」 十数秒もの間笑い続けた網枷は、笑みそのものは崩さず腰を落として臨戦態勢に入る。右手に握るナイフを『偏光塗装』で隠しながら、何時でも動けるように。 「テメェ・・・」 「荒我拳。俺は東雲さんと出会うに至った選択を間違いだとは思わない。今も、昔も、これからも」 「わからねぇのか!?テメェは間違ったんだよ!!頼るべき本当の相手を・・・!!」 「そんなことを誰が決める!!!??誰が決められる権利を持つ!!!??」 「ッッッ!!!」 網枷の瞳に荒我と同種の光が灯る。荒我が斬山に救われたことで今の自分を確立したように、網枷も東雲に救われたことで今の自分を確立した。 その偶然や己の選択に『間違い』などという結論を貼り付ける存在を網枷は断じて許さない。荒我が己を貫き通すように、網枷も最後の最後まで自分を貫き通す。 「選択の善し悪しなど、結局はその当人にしか判別できない!!俺は自分の選択を後悔しない!!東雲真慈に出会った偶然を幸運と思いこそすれ、不運だとは一切思わない!!! 俺は東雲真慈と共に往く!!その行く手を阻むモノは何人たりとも許さん!!たとえ、行く手を阻むのが世界であったとしても、俺は俺の『力』でもって世界ごと捻じ伏せてみせる!!!」 「テメェ・・・!!!」 「俺とお前は似ている。それは認めよう。なればこそ、俺もお前を全力で叩き潰す。躊躇いも未練も悔恨も、この一戦で全て断ち切ってやろう!!」 凄まじい感情の迸りが“辣腕士”の体や言葉から発せられる。正真正銘これが網枷双真の想い。自分が歩んだ選択を後悔しない『漢』の顔。 そんな自分とは違う、しかし何処か似ている『漢』の凛々しい表情を見て、対峙する『漢』は微かに笑みを浮かべる。 「・・・いいな。いいぜ、お前。最初に比べていい顔になったじゃねぇか。本当に惜しいぜ。お前とは別の形で・・・それこそ東雲とお前が出会う前に会いたかったモンだぜ」 「俺は今回だけで十分だ」 「へっ、つれねぇ奴。まぁ、最低でも俺のオンナに手を出した落とし前だけは着けさせて貰うぜ。・・・速見先輩。ここは俺に任せて貰えませんか?」 「・・・悔しいけど、僕より君の方がまともに動けそうだ。でも、いざという時は僕も動くからね。無理だけはしないで」 「・・・了解!!」 速見の了解も取り付けた荒我は網枷と最後の勝負に臨む。空気でわかる。次の交錯で全てが決まる・・・と。 ピリピリとした緊張が荒我と網枷の周囲を漂う。喉が渇く。汗が滲む。負ったダメージ的に両者共長期戦は無理。狙うは・・・一撃による決着。 「俺は“俺”を貫く!!何時だってな!!!」 「俺は『答え』を見出す!!絶対にな!!!」 地を蹴る足、握り締める拳、空気を切り裂くナイフ、相手を叩き潰すために全力を賭して突貫する『漢』2人は遂に最後の交錯を果たす。その結果は・・・ ドゴオオオォォッッ!!!!! ナイフを紙一重でかわした荒我の拳が倉庫内に響く程の音を立てて網枷の左頬を直撃した。荒我拳渾身の一撃を喰らった網枷は、殴られた勢いそのままに後方へ転がって行く。 「(今のは・・・わざと!!?)」 だがしかし、刹那の交錯に勝利した筈の荒我の背中に強烈な悪寒が走る。何故なら、ナイフを紙一重でかわす直前に網枷のナイフを振り抜く速度が“緩んだ”気がしたからである。 それでも渾身の一撃が命中したことには変わりない。自分の全力を振り絞った拳をまともに喰らって戦闘続行を為しえる者など・・・ ガチャッ!!! 悪寒と勝利の確信の狭間を揺れ動いていた荒我の目に映ったのは、外壁の穴へ勢いよく転がる網枷が地面に落ちていた―交錯前から付与しておいた『偏光塗装』の膜によって、 吹き飛んだ銃を光学偽装していた―銃を左腕の脇に抱え、懐の『衝槍弾頭』入り弾倉を右手で掴んだ直後に装填する姿。 荒我は知る。網枷は最初からこれを狙っていたのだと。網枷は知っていた。速見を致命傷から救うために脚へ多大な負担を掛けたことで、 荒我の脚には十分な力が入らない状態になっていたことを。そんな状態で振り抜いた拳で、常のような威力が発揮されるわけが無いことを。 「荒我君!!!」 網枷が銃を掴んだ瞬間に“速見スパイラル”を発動した速見は、怪我を負っていない左足裏に噴出点を設け、網枷の照準が定まる前に荒我を救出するべく突進する。 ガチッ!!! 速見が荒我を捕まえたと同時に網枷が銃口を向ける。但し、それは荒我達にでは無い。彼が定めた照準の先にあるのは・・・(逃走用の)車。 車を走行させるために燃料が積まれ、仮にそこへ銃弾がぶち込まれれば盛大に爆発を起こすことは確実な『爆発物』。 下手をしなくても網枷自身も爆発の被害を喰らうこの距離で銃口を向けた意味を瞬時に悟る荒我と速見が最後に見たのは、“辣腕士”の曇り無き『笑顔』であった。 「網枷えええええええぇぇぇぇっっっ!!!」 「アアアアアァァァッッ!!!」 「ハハハハハハハハハハ!!!」 最後の最後に『爆発物(起動のため)の光学偽装』を行った“辣腕士”の凶行に荒我は怒りの咆哮を挙げ、速見は負傷した脚にどんな影響を与えるかも無視しながら 右足裏に噴出点を設置した後に脚の腱が切れる程の全力を手榴弾によってできた穴へ向かうために行使・荒我と共に死地からの脱出を図る。 そして・・・凶行の首謀者網枷双真は爆発するその瞬間まで唯只管に笑い続けていた。 continue!!
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第17回トーナメント:決勝① No.4082 【スタンド名】 クレセント・ロック 【本体】 藤島 六郎(フジシマ ロクロウ) 【能力】 殴った場所からロケットを生やす オリスタ図鑑 No.4082 No.6130 【スタンド名】 クリスタル・ピース 【本体】 新房 硝子(シンボウ ショウコ) 【能力】 微細なガラスを操作する オリスタ図鑑 No.6130 クレセント・ロック vs クリスタル・ピース 【STAGE:遊園地】◆Zb4sdv40uw 最近よく夢を見る。 真っ白な空間、あるのは私と、圧し掛かるような沈黙だけ。 必ず、怖くなって私は走り出す。 すると、思い切り何かにぶつかった。 何かが音を立てて割れ、床に破片が広がった致命的な音とともに、私は純白の床に倒れこむ。 ぶつかったのは水晶で出来た透明な像だ。 腰の中ほどから折れたその像の傷口から、鮮血があふれ出す。 逃げようとするが、倒れこんだ体は言うことを聞かない。 血だまりが私の体を捉える。 まるで池のように、血だまりは一定のスピードで広がっていく。 辺りを見渡すと、水晶の像は一体ではなかった。 背景に溶けて見えなかった水晶の像に、私は取り囲まれていたことに気付く。 どこか見覚えのある顔ばかり。 そして、そのどれもが、見覚えのある傷が刻まれている。 その傷口からも、湧き出るようにゴポリゴポリと鮮血が床に垂れる。 皆一様に苦悶の表情で私をにらんでいた。 まるで傷一つない私を責めるように。 (違う! 私だって傷ついてる!) 言い訳をするように欠落した左腕を上げると、その切り口からは血液など流れてはおらず。 欠損した左腕の切り口には透明なガラスが露わになっているだけだった。 何時しか赤色は空間を塗りつぶし、血に染まっていないのは自分だけで。 その圧倒的な疎外感に、我を忘れて血を被ろうと血だまりを手ですくおうとすると。 赤い池に映り込む自身の顔と目が合った。 血の色に染まった、真っ赤な私の顔。 「ちょっと、ガラスちん、どしたの?」 「え?」 眼の焦点を現実に合わせると、心配そうな顔で友人が顔を覗き込んでいた。 慌てて居住まいを正そうと声をかけられた少女__新房硝子(しんぼうしょうこ)__は椅子に座りなおす。 手に持った箸から卵焼きが机にバウンドし、床に落ちるのを見て初めて彼女はお昼ご飯を食べていたことを思い出す。 「えーと…………えへへ」 何でもない、と言おうとして、流石にその言い分には無理があると思い直す。 どう言おうとか照れ笑いで間を繋いでいると、友人がため息をついた。 「もー、最近ガラスちん変だよ? やっぱりあの怪しさ満点なおじさんに何か…………」 大袈裟に青ざめてみせる友人に、そんなんじゃないよー、と笑顔を見せる。 そっかそっかー、と笑いながら、自分の卵焼きを一つ差し出してくれる友人を見て、硝子は素直にありがたい、と思った。 冗談めかしてはいるものの、友人の目には本物の不安の感情が浮かんでいた。 それでもなお、深くは立ち入らずに日常の範疇に収めてくれる。そんな優しさが身に染みた。 トーナメント…………あの一連の出来事は単純にそう呼ばれていた。 『強くなりたい』その一心で出場した大会は、まだ成人もしていない彼女の想像をはるかに超えるものだった。 血で血を洗う死闘。 生き残るため、いや、ただ『強くなりたい』という己の我がままを通すためだけに、硝子は様々な人々と戦い、そして、殺した。 その戦いの中で、少しは成長できたと、そう思った。 でも…………。 「ねぇ…………」 硝子は目の前の友人に恐る恐る尋ねる。 「最近よく同じ夢を見るんだけど、これっておかしいかな?」 少し驚いた後、友人は分かり易く難しそうな顔をしてくれた。 ようやく相談してくれたね。言外にそう聞こえる気がした。 「んー。まあ私ってば専門家じゃないからよくわからないけどさ、夢ってあれでしょ? 結局は起きてる時に考えてることが浮かんでくるものでしょ」 あえてどんな夢かは聞かずに友人は言葉を続ける。 「だから、それってつまりガラスちんが寝ても覚めても同じことばっかり考えてるってことじゃない? だから…………」 友人は勢い良く立ち上がると、教室中に響くほど大きな声で高らかに宣言した。 「カラオケに行こ! 余計なこと考えずに死ぬほど歌えば、なんも考えずに寝れるんじゃない?」 終業のチャイムが鳴ると同時に、硝子は友人に手を引かれるように教室を飛び出す。 終業のホームルームをサボることなんて硝子には考えられなかったが、今日はそれすら新鮮に感じた。 だが、玄関で靴を履き替え、ガラス戸を引く途中に、聞き覚えのある声が校門の方から響いた。 それは懐かしく、けれど恐ろしい記憶を想起させる恫喝。 「一ォォォォつッッッッ!!!!!!!!!!!! 日本男児たる者ォォォォォ!!!!!!!!!!!!」 聞く者を生物的に震え上がらせ、立ちすくませるほどの圧倒的な轟音。 大瀑布にぶち込まれたかのような威圧感と、物理的な束縛感。 ガラス戸がビリビリと震え、その男の圧倒的な声量を伝える。 「この日ノ本に生を受けたことを感謝しッッ!!!! その髪の一筋までお国の為に捧げることを誓うが天道ゥゥッッ!!!! それを違えィッ!!!! あまつさえ白人どもと同じ色に染めるなど言語道断ンンッッ!!!!」 硝子に戦いの心得を教えて、そして、硝子が最初に手をかけた対戦相手。 その身を機械にやつしてなお生き延びた、正真正銘の『戦士』。 硝子の中で、日常と戦いの境界線がぼやける。 「粛正であるッッッ!!!!!!!! 歯を食いしばれいッッッ!!!!!!!!」 憂国の機人、五百旗頭実が硝子の先輩にあたる金髪の少年の頬に強烈な一撃を浴びせた。 少年が放物線を描き、鮮血が尾を引きながら木端のように吹き飛ばされる光景は、硝子の精神を戦いの場へと引き戻すのに十分だった。 玄関から駆け出そうとする硝子の肩に、友人は思わず手をかけた。 危ない、やめて、先生を呼びに行こう、ちょっと嘘マジでアレもガラスちんの友達なの。 かけるべき言葉幾つも見つかった、けれど。 「ごめん、でも…………」 そういって目を伏せる硝子は、初めて見る表情をしていた。 きっと、弱っちい友人は私の知らないところで戦ってるんだろうと思った。 それが彼女の為になるとは到底思えないけど。 「あーあ、カラオケ。またになっちゃったね」 そう言って彼女は硝子の肩から手を放して、肩をすくめて笑って見せた。 硝子はきっと私には想像もつかないほど重いモノを背負っているんだろうと思った。 だから、せめて。 自分くらいは、彼女の重荷になってやるものかと思った。 「…………うん、ごめん」 そういって微かに笑った硝子は、いつもの気弱な表情をしていた。 結論から言うと、実との再開はひどくエキセントリックなものとなった。 何しろあれだけ大音量で口上を述べた上に、未成年の少年に強烈な一撃をくれたのである。 当然目撃した生徒の大多数が110番をプッシュしたのは言うまでもなく。 さらにまずいことに、その暴漢の車は女子高生を乗せて発進したともなれば、事態は傷害事件ではなく誘拐事件にまで発展する。 最も、硝子は合意の上で実の車に乗ったのだが、そんな事実は彼らの常識の前では霧散する。 結果、硝子は実のレクサスの助手席という特等席で、警察とのカーチェイスの一部始終を目撃することとなった。 その途中では実と『バロック・ホウダウン』の八面六臂の大活躍、技術大国日本の技術の粋を集めた『局地防衛用人型特車 ミ―500』としての面目躍如、硝子の『クリスタル・ピース』と『バロック・ホウダウン』の夢の共闘など、様々なドラマが繰り広げられたのだが、それはまた別の話である。 そして、日も沈んだ頃、彼らはようやく実のアジトへとたどり着いたのだった。 「フンッ!! 目先の利益に群がる国賊の狗どもに、この五百旗頭実が捉えられるはずもないッッ!!!!」 「あ、あの…………スイマセン、私のせいで警察に追われることになっちゃって…………」 「ふむ、それは無用の心配というものだ。この五百旗頭、元より彼奴らに追われる身だ。その上この体を手に入れた時の諍いで防衛省とも明確な敵対関係にある。今更余罪の一つ、何の枷になろうかッ!!」 そういうと実は畳の上に腰を下ろすと、硝子に座布団を差し出す。 「さて、吾輩がやってきたということは、大体の察しはついているのだろう?」 「…………トーナメント、ですか」 「左様、またも奴らが例の大戦を開くとのことだ…………それも、歴代の優勝者ばかりを集めてな。当然、以前よりなお戦いは苛烈なものとなることだろう。そこで、だ。今一度貴様に問う」 そういうと、実はジロリと硝子を睨み据える。 「再び戦いの場に立つ、貴様にはその覚悟はあるか?」 「私は…………」 震える声で、硝子は静かに語りだす。 もう後戻りできない、心のどこかでそんな声がしたけれど。 やり直せない選択は、多分もっと前にしていたのだと諦めた。 「私は、ずっと考えてました。強いってどういうことかって。きっとそれって、負けた人の思いや痛み、そして死と『向き合う』ってことなんだと思うんです。だから、私はもう戦いから逃げるわけにはいかない。負けた人たちの思いを、無駄にするわけにはいきませんから」 「…………」 実は硝子の言を聞くと、何も言わずに部屋を出て、アタッシュケースを取って戻ってきた。 「それって…………」 「これが、運営が吾輩に貴様を任せた理由だ」 実がアタッシュケースを降ろすと、畳がミシリと音を立てる。 留め金を外し、ふたを開くと、中から見覚えのあるものが現れた。 「勘違いするなよ、これは吾輩の意向ではない、運営の意向だ。……聞けば貴様、その左腕の治癒を断ったそうだな?」 「これは…………」 硝子は左腕の義手を守るように胸に抱く。 「私が戦った人たちが私に与えた『傷』ですから。それをなかったことには出来ません。だけど…………もしこの『傷』も『強さ』に変えることが出来るなら…………」 うつむきがちに、けれど言葉は強く硝子はそう言った。 その言葉に幾許かの迷いが混じっているのを感じ取った実ではあるが、むやみに問うことはしなかった。 「お願いします。五百旗頭さん。私は、もっと強く、強くならなきゃいけないんです」 暗い熱が淀む双眸に見据えられ、実はフンと鼻を鳴らした。 その瞳にはいつか見た、自分の道を開こうとする弱々しい少女の面影はなく。 むしろ死地を求め彷徨う戦鬼の片鱗が見え隠れしていた。 (…………だが、この少女の覚悟。吾輩が止める道理もなし) 自分でも意外なことに、実は無意識に少女の行く末を案じていた。 だが、彼の生き方が、その感情を容易くねじ伏せる。 彼女の行く末が地獄であろうと、実の為す事はただ一つ。 「よかろうッ!! 貴様の戦ッ、戦友であるこの五百旗頭実がしかと見届けよう!!!!」 狭苦しい六畳間に猛々しい咆哮が響く。 『優勝者トーナメント』が始まる、僅か数日前の出来事であった。 そして、時は巻き戻り『決勝戦』当日。 もう一方の対戦相手、藤島六郎は苦い顔をしていた。 バイクの故障という避けられないアクシデントで遅刻してしまい、決勝戦の会場であるこの『遊園地』に辿り着いたは良いものの。 彼の目の前には不機嫌という感情を代表するような顔をした男がいた。 「いいですか? これは綿密な準備の上組み上げられた非常に繊細な催しなんですよ? それを遅刻などと…………全く近頃の出場者からはモラルというものが…………ちょっと藤島さん、聞いてます?」 「あぁ! そんな耳元でヤイヤイ言わなくたって聞いてるっての!」 「なんですかその態度は! 決勝だというのに遅刻だなんて……前代未聞! …………では、ないですが、由々しき事態です全く…………分かっているんですかあなたは! 本来ならば棄権ですよ、棄権! はっきり言ってあなたは戦いをナメている。努々優勝できるなどとは思わないことですね!」 「はいはい、そういえばあんた……」 何処かで会ったことなかったか……そう尋ねようとした、ちょうどその時。 六郎は視界の端に何か光るものを捉えた。 その『何か』に六郎の第六感が警鐘を鳴らすのと、四肢に力を込めて勢いよくその場を飛びずさるのはほぼ同時。 ジャッッ!!! 数瞬前まで六郎がいた場所で、石畳が焼き切れる音がした。 その様子すら確かめず、兎にも角にもその『何か』から身を隠そうと手近の自販機の背後に転がり込む。 逸る心を押さえつつ、六郎は立会人に向かって怒鳴る。 「オイ! ちょっと待て、今話し中だったろ!!」 「当然でしょう。なぜ待ってくれるなどと思っていたんですか? 戦いは既に『始まっている』というのに。そんな甘えた考えで、よくもまあここまで勝ち上がってこれたものですね。それでは一応、形式上、健闘だけは祈っておきましょう」 そういうと果たしてどうやったのか、立会人の気配は完全に途絶え、後に残るは見晴らしのいい空間に申し訳程度に並ぶ自販機と六郎だけだった。 ジャッッ!!! 六郎の一つ隣の自販機に一瞬で穴が開く。 少し遅れてその孔の周囲が黒ずみ、嫌な臭いのする煙が上がる。 (冗談じゃねーぜっ! お相手の能力はどうやらこのとんでもない威力の『熱線』攻撃! その上遮蔽物はこの三つ並んだ自販機のみと来た!) 考えながらも、六郎は無意識に先ほど撃ち抜かれた自販機の真後ろに移動する。 一度打ち抜いた遮蔽物を再度打ち抜く確立は低いという人間心理を、戦いの中で反射的に選択していく。 ジャッッ!!! 案の定、先ほどまで六郎のもたれ掛っていた自販機に硬貨ほどの穴が開く。 (こんなところに隠れていたところで、何時までも持つとは思えねぇ……おまけに馬鹿みたいに狙いは正確と来た! だが…………状況としちゃあ『悪くない』) ジャッッ!!! 今度は六郎の反対側の端、まだ穴の開いていない自販機を熱線が貫通する。 その様子を見て、六郎は微かに口角を上げた。 (やはり、この『熱線』攻撃、次弾装填までにきっかり五秒のラグがある。つまり、ここを掻い潜って近間に潜りゃあ俺の方に勝機があるってことだ。問題は、どうやってここを掻い潜るかだが……他の方法を考えてる暇はねぇ!) ジャッッ!!! 再度熱線が自販機を貫いたが、幸いにも熱線は中央の自販機を打ち抜く。 これ以上圧倒的に不利な三択を続けていても埒が明かないと決め打ち、六郎は素早く自販機から転がり出る。 そして、自販機正面の三つの射入口から敵の居る方向の目算を即座に立て、振り向く。 遊園地の人口の池を挟んで向こう側、メリーゴーランドの屋根の上に日光を照らして光る大きなレンズの群れが見えた。 (居た! 『群生型のレンズ』これが奴のスタンドの正体か! なら簡単だ!) 「クレセント・ロックッ!!!」 『ウォォォオオオオーーーーーッ!!』 ロケットを模したかのような彼のスタンド『クレセント・ロック』が発現し、雄たけびとともに背後の自販機に目にもとまらぬ連撃を浴びせる。 穿たれた自販機から次々に突き出すのは『クレセント・ロック』により生み出された数十のロケットだ。 だが、それらは攻撃のための手段ではない。 ネズミ花火のように飛び回るロケットの噴出口からモクモクと白煙が立ち込める。 ジャッッ!! そのうちの一つに熱線が命中するも、爆発とともにさらに多くの白煙が周囲を覆い隠す。 その白煙の中からも次々と、対岸のレンズに向かって白煙を撒くロケットが突撃する。 「幾ら破壊力がご自慢と言えど、日光を掻き集めたレーザーじゃあこの煙の中まで届かねぇだろ!」 自分を鼓舞するようにそう叫ぶと、六郎は足元の地面を殴りつけ、大型のロケットを発現させる。 最初は謎の熱線攻撃の中を、視界を奪って特攻する博打のような作戦の算段を立てていた六郎だったが、相手の攻撃手段がレンズによるレーザーなら話は別である。 集積する光による攻撃であれば、煙の中では乱反射して意味をなさない。 六郎は足元のロケットに跨り、限界まで姿勢を低くする。 「速さならまけねぇ! 逃げる間もなくぶっ飛んでやるぜ!」 白煙を吐くロケットを従え、六郎の乗るロケットは猛スピードで池を飛び越えた。 (失敗……早くこの場を離れなきゃ…………) 対岸で白煙を撒くロケットが自販機から発現したのを『クリスタル・ピース』で生み出した望遠レンズで視認すると、作戦の失敗を悟った硝子はいち早く左腕の『ロッド』と背後に浮かぶ『レンズ』を解除した。 本来近距離系のスタンドである『クリスタル・ピース』の応用編。 あらゆる距離で絶大な威力を持つこの『レーザー』には組み立て、解除と充填に時間を必要とするという弱点があるため、中距離、近距離ではあまり効果的とは言えない。 恐らく相手の次の一手はあの『ロケット』で間合いを詰めて一気に畳み掛ける、そんな所だろう。 幸いにも相手にばれているのは『クリスタル・ピース』の能力のほんの片鱗に過ぎない。 メリーゴーランドの屋根からスタンドを利用し降りると、今度はそのスタンドで構成させた微細なガラスを身に纏う。 リン、とガラス同士が触れ合う軽い音がしばらく響いたかと思えば、硝子の姿は完全に掻き消えた。 白煙とともに飛来した六郎は、あいさつ代わりにメリーゴーランドの屋根へとロケットを乗り捨てる。 派手な爆発音が響き、メリーゴーランドの屋根が吹っ飛ぶ。 もちろん、生死が確認できないレベルの爆発力を込めたわけではなく、せいぜい着弾点の近く人間がいれば吹っ飛ばされて全身骨折するレベルの威力だ。 (もちろん、相手のスタンドは恐らく遠距離に特化したもの…………いつまでもこの場にとどまっているとは考えにくいが…………) 六郎がここまでたどり着くのに十秒もかかっていない。 故に、メリーゴーランドを吹っ飛ばしてやれば目視できる範囲にはいるはずと踏んだ六郎だったが……。 「マズイ…………見失ったか……いや、そんなはずは…………!」 周囲には屋外のゴーカートに、コインを入れて動く類の巨大なぬいぐるみしかなく、短時間で身を隠せる場所などないと踏んだのだが…………。 素早く周囲を見回し、レンズが展開されていないかと警戒した六郎。 そして、その違和感に気付いたのは六郎の観察力が故か、それとも単なる幸運か。 (ん? 爆発で飛んだあの『粉塵』、なんであんなところで途切れてるんだ?) だが、六郎の違和感を『異常』と断じるだけの時間を、硝子は与えなかった。 ゾプ………… 六郎はわき腹に嫌な感覚を覚えた。 次いで、背骨を突き抜ける凍りつくような悪寒。 「~~~~~~ッッッ!!!」 反射的に飛びずさるも、すでにその刃は中ほどまで突き刺さった後だった。 飛び散る鮮血を浴びて空間に浮かんだのは、赤に染まった傘のようなシルエット。 そのシルエットも、勢いよく回転し血を振り飛ばすと再び風景に姿を消した。 六郎は冷や汗を拭い、その顔に微かに自嘲の笑みを浮かべる。 (くくく…………仮にも相手はこのトーナメントを勝ち上がった猛者だぜ? それを『レーザー』みたいな一芸に秀でた特化型スタンドだと断じた代償は、どうやら相当高くついたみてぇだな……) 六郎は『クレセント・ロック』を傍らに発現させると、手元に小さなロケットを生み出す。 その噴出口から出る炎で傷口を焼き潰す間、必死で思考を巡らす。 (だが、払った代償に見合う情報は得た。恐らく敵の能力は『ガラスを操る』こと。だったらこの不可解な現象も説明できる……敵は何も『透明人間』ってわけじゃあない……) 「さて、応急処置も終わりだ……『クレセント・ロック』!!!」 『ウォォォオオオオーーーーーッ!!』 雄たけびを上げながら『クレセント・ロック』は足元の地面に万遍なく連撃を加える。 一見すればこの攻撃は、見えない敵を恐れてのがむしゃらな悪あがきとも取れる。 確かに本体への直接攻撃は牽制できるかもしれないが、攻撃を加え続けているスタンドの腕は無防備である。 案の定、大地を叩く『クレセント・ロック』の右の拳に巨大なガラスの破片が突き刺さり、その中心に立つ六郎の右手がザックリと裂けたが、六郎はむしろありがたいとさえ思った。 (この状況……一番まずいのはあの『不可視化』のトリックで遠くに逃げられることだ…………) (もう一度あの遠距離レーザーで仕切りなおされると、今度は初弾を避けられるとも限らないからな……だからこそ!) 「ここで仕留めるッッ!!」 六郎の足元から、ようやく姿を現した六機のロケット。 それは自爆による道ずれを警戒していた硝子の予想に反して空高くに打ちあがる。 そして、それぞれ別々の方向に飛び立つと、爆発とともに光をまき散らす。 それは六方向から同時に朝日が昇ったかと錯覚するほどの、暴力的な光。 (しまった…………!!) 硝子が六郎の意図に気付き、防御の為に素早く全身を覆う『クリスタル・ピース』を解除するが。 「みぃつけたっ!!」 六郎は複数の異なる光源により、不自然な光の屈折が起こる場所を炙り出したのだ。 相手が『ガラスを操る』以上相手は『透明人間』にはなりえない。 ただ『光の屈折』を応用して、姿を隠しているだけだ。 六郎と『クレセント・ロック』のヴィジョンが重なるように、硝子へと振りかぶる。 六郎の拳から放たれたロケットが一直線に硝子へと向かう。 「『クリスタル・ピース』……!!」 硝子から初めて焦ったような声が漏れたが、全身を覆う『クリスタル・ピース』がすさまじいスピードで向かうロケットの爆風から硝子を守るには間に合わない。 爆風はもろに硝子を襲い、防ぎきれなかった『クリスタル・ピース』の破片が硝子の頬を切り裂く。 荒い息とともに立ち上がると、不敵に笑う六郎と目が合った。 「さて…………これでようやく初めまして……だな。俺の名は藤島六郎、スタンド名は『クレセント・ロック』。あんたを倒すスタンドの名だ」 「…………新房硝子…………『クリスタル・ピース』…………負けるわけにはいきません!!」 六郎の名乗りに同調するように、硝子も自身の名を告げる。 幾度の攻防の後、ようやく歴戦の戦士たちはお互いの瞳を睨み据える。 それ以上、二人の間に言葉は不要だった。 「クレセント・ロック!!」 「クリスタル・ピース!!」 互いがスタンドの名を叫ぶ。 先に動いたのは『クレセント・ロック』。 その拳が地面を叩くと、石畳が地中から巻き上がった。 岩盤掘削ロケットにより中空に巻き上がった瓦礫の群れを『クレセント・ロック』の拳が手当たり次第にぶん殴る。 『ゥウォォォォオアアアアアアァァァァァーーーーーッッッッ!!』 大小さまざまなロケットが所狭しと硝子に向かい射出される。 その攻撃には『精密さ』などないが、その『乱雑さ』は防御の困難さを格段に上昇させる。 対する硝子のスタンド『クリスタル・ピース』は攻撃こそ薄い刃で敵を切り裂けるが、守勢に回ればガラス特有の『脆さ』があだとなる。 遠距離も近距離もこなす無類の汎用性を誇る『クリスタル・ピース』の致命的弱点。 中距離の飛び道具の打ち合いでは為す術がないというこの弱点を『クレセント・ロック』は見事に突いた。 怒涛のように押し寄せるロケットに次第に『クリスタル・ピース』の防御が追い付かなくなっていく。 自身のスタンドの破片が硝子の体を切り裂く。 両手で自身を庇わなければ、マフラーが無ければ、たちまちその破片は硝子の喉を、眼を、致命傷に足る部分を捉えるだろう。 (…………痛い…………辛い…………苦しい………………) 「私は、自分の気持ちや痛みや、相手……いや、他人の思いや痛みも、ちゃんと向きあえたり考えたり出来る人になれたら、って。ずっと逃げていたから」 (………………でも…………負けられない) 奥歯を強く噛み締める。 視界が赤く滲む。 目の前に広がる血の海の中。 その中に飛び込むには、自分には何が足りないのだろう。 「割り切れ」 割り切れないから、傷つく。 その傷を背負って、また私は一歩彼らに近づく。 「形ないものは割れない……? 誰が決めたんや、そんなこと……」 心には形がないから、傷ついていないと思っていた。 あるいは、もう十分傷ついたと思っていた。 けれど、まだ足りない。 「世の中には最初からなんの躊躇も無く命を刈り取れる人間もいるが、 そういう奴らは心から『何か』が抜け落ちた破綻者どもだ」 割り切れないから、虚空を望む。 だから、向き合えなかった。 戦いに望む意味なんて、最初から考えるべくもなかったのだ。 ただ、無心に、戦いに向き合う。 そうして初めて、死の淵で分かり合えるのだろう。 余計な『形』なんて、最初から必要なかったんだ。 さらに細かく、小さく、さながら流れる水のように。 『心の形』を失って初めて、人は死へと向き合える。 「………………ふふっ」 苦痛に歪む少女の顔が、歪に変質した。 それは泣き顔と称するには、あまりに禍々しく。 笑顔と称するには、あまりに哀しく。 絶え間ない攻撃を続ける六郎だったが、ふと違和感を覚えた。 先ほどまで確かな感触があったロケットの攻撃に、急に手ごたえがなくなったのだ。 (まさか、もうとっくに…………!?) 最悪の事態が胸をよぎり、六郎は攻撃をやめた。 爆風が途切れ、躊躇いとともに放った最後のロケットが弱々しく飛んでいくのが見えた。 そして、六郎は自身の予想が大きく外れたことに気付いた。 そう、そんな想定など、決して最悪などではないということに。 「………………もう終わりですか?」 氷のように冷たい微笑を浮かべた彼女の周りを取り囲むのは、もはやガラス片などではなかった。 彼女を取り囲むのは、水槽を失った水のように、風に震える奇妙な液体。 その輪郭の端にロケットが触れると、その部分に水晶で出来た花が咲く。 爆風も、爆音もなく。 静寂に飲み込まれるように、それでお終い。 「『クリスタル・ピース スノウ・ドーム』 これが、私の選んだ『強さ』です」 ガラスとは、極めて奇妙な物質である。 個体のような性質を持ちながら、液体のような構造を持つ。 我々が普段目にしているガラスが結晶であるのは、単にそれが安定状態にあるからに過ぎない。 故に、もし、ガラスのようなスタンドを操る少女がいたとして。 そのスタンドが個体のような形質を保っていたとしても。 それは単に、彼女の『精神』が安定しているからに過ぎないのかもしれない。 「…………いや、まだだ」 硝子のあまりの変貌に、六郎は僅かにそう返すことしかできなかった。 確かに『クレセント・ロック』の攻撃は硝子にダメージを与えていたのだろう。 それは彼女の衣服が裂け、あちらこちらから血の赤が覗いていることが示している。 そう『最初の方は』。 あの爆風の中、硝子のスタンドに何らかの変化が起こり、その結果あの液体のような姿へと変貌を遂げた。 だが、少なくとも距離を取るのが得策ではない以上、六郎には後退の選択肢はない。 それが例えどれほど愚策であろうとも。 「…………クレセント・ロック!!」 スタンドの名を叫び『クレセント・ロック』は再び攻撃を開始する。 大小さまざまなロケット攻撃は、ガラスのような彼女のスタンドでは防御しきれない……はずだった。 だが、彼女の周囲を覆う液体に飲み込まれると、炸裂のタイミングと同時に液体の中で途端に結晶が放射線状に顕現し、その爆発を飲み込む。 液体に触れる前に爆発させても、表面がわずかに結晶化するだけで彼女に届く気配はなかった。 (…………あれほどの耐久性、原理は何処かで聞いたことがある。衝撃を与えた瞬間だけ固体化する液体は、薄く防弾チョッキの上に塗っただけでも異様な頑強さを持つという……まさか、あの少女…………戦いの中で自身のスタンドを『液状化』する術を身に着けたっていうのか!?) だとすれば、爆風による攻撃では彼女に傷一つつけることは出来ない。 冷や汗が頬を伝い、地面を黒く湿らす。 ロケットの雨が止んだのを見て、硝子がゆっくりと左手を持ち上げた。 「降参しますか?」 薄く微笑んで首をかしげる硝子に、六郎は答えとばかりにロケットを打ち込んだ。 相手に攻撃が通らないからと言って、何もそれで敗北というわけではない。 彼女のあのスタンド形態は、恐らく防御に特化した物だろう。 それに、あれだけ大規模な形質変化だ。 お互いの精神エネルギーをすり減らす消耗戦を挑めば、まだ勝算はある。 そう見込んでの一撃だった。 が、しかし。 ため息とともに、硝子の左腕が射出された。 「なっ…………」 全く想定外の攻撃に、六郎の反応が一瞬遅れた。 横っ飛びに回避しようとするも、左腕に纏う液状化された『クリスタル・ピース』がわずかに右のかかとに引っかかる。 たったそれだけで、六郎の右足に激痛が走った。 立ち上がろうとするも、右足の後ろ半分に重心が乗せられない。 見ると『クリスタル・ピース』が掠ったその部分だけが、綺麗に切断されていた。 「マジ…………かよ…………」 触れた瞬間だけ固体となるということは、つまり。 触れた瞬間だけ、盾にも刃にもなるということなのだと気付いた。 六郎の背後から、再びスライムのような硝子の左腕が、野生動物のような俊敏な動きで迫りくる。 「くそっ、射出しろ! 『クレセント・ロック』!!」 たまらず六郎は、横っ飛びに回避した隙に足元に仕込んでおいたロケットに跨り、その場を離脱する。 だが、ロケットのスピードの真骨頂は『最高速』のスピードである。 故に、その『初速』に限れば『クリスタル・ピース』でも十分に捉えることが可能だ。 スライム上の硝子の左腕が獣のように伸びあがり、発現したロケットのエンジンを抉り取る。 「うおぉぉおおっっ!?」 制御を失ったロケットは、そのまま力なく上空へと打ちあがると、射出地点からほど近く、遊園地の池と浮島を繋ぐ橋へと落下した。 その爆発音の方へと『クリスタル・ピース』に包まれた硝子が滑るように移動する。 スタンドが全身を包むこの形態であれば、スタンドのスピードがそのまま本体の移動速度となる。 その双眸はまるでガラスのように透き通り、硝子の感情を押し隠す。 彼女の纏うスタンドは、彼女を守る砦のようにも、閉じ込める檻のようにも見えた。 頭からコンクリートに叩き付けられ、朦朧とする意識の中。 六郎の脳裏によぎるのは、一つの言葉。 ずっと胸に引っかかっていた、ある少女の願い。 「だから私は藤島さんを激励するんです。藤島さんが、自分が欲しいものを見つけられるように」 どれだけ考えても、悩んでも、答えが出なかった。 ただがむしゃらに戦った先に、答えがあるかと期待した。 そして、死の淵で初めて気付いた。 (本当に…………馬鹿みてぇな話じゃねえかよ……) ロケットのように突き進んでも、欲しいものが見つからないはずだ。 本当に欲しいものは、前になどなかった。 死の淵で振り返れば、失いたくないものばかりだった。 本当に欲しいものは、気付けば増えるガラクタのような日常だったのだ。 (たった…………それだけに気付くために…………俺は…………) 何度も戦い、血を流し。 後悔の滲むような戦いを繰り返し。 彼らの苦い敗北を踏み越えて。 (だったら…………なおさら…………) 視界の端に、滑るように近づく硝子の姿が見えた。 本当に、ガラスのような少女だ。 朦朧とする意識の中、ふとそんなことを考えた。 どこまでも透き通っているからこそ曇り易く。 傷つけば傷つくほどその切っ先は鋭利に研ぎ澄まされる。 確かに、彼女には戦いの素養があるだろう。 だが、だからこそ。 六郎は思わず、不幸な敗北、或いは勝利を重ねて、人間性を喪失した少年と彼女を重ねた。 もし、誰かが彼の戦いに終止符を打てたら、あんな結末はなかったかもしれない。 (せめて…………最後くらいは…………!!) 天性の才と不幸な幸運によってこんなところまでたどり着いた彼女に、誰かが終止符を打ってやらなきゃいけないと思った。 この壮絶な戦いの果てに、彼女自身の幸福があるとは思えないから。 動かない体を奮い立たせて、藤島六郎は立ち上がる。 大きく息を吸い込み、ゆっくりとスタンドを構える。 満身創痍の彼の瞳に、溢れんばかりの闘志を察したのか、新房硝子はその歩みを止めた。 「まだ戦うんですか?」 本当に不思議そうに、硝子は六郎に尋ねた。 勝ち目があるとは思えない。言外に六郎にそう伝えたつもりだった。 「あれ、硝子ちゃんはもう降参するかのい?」 六郎が不敵に笑いかけると、硝子の眉間に微かにしわが寄る。 そうだ、それでいい。 六郎は威嚇するように力強く、笑う。 「来いよ、硝子ちゃん。君に社会の基本を教えてやるよ」 「えーと…………なんですか、それ」 硝子は微かに苛立ちを覗かせて、六郎に問いかける。 六郎は笑顔のまま、首をゆっくりと回す。 左足に重心をかける。 傷ついた右手を前に、拳は柔らかく握る。 ポケットから一枚の硬貨を取り出し、左手で空中にはじいた。 一発勝負だ。六郎は自分に言い聞かせた。 「生意気なガキには、大人の拳骨が必要だってな」 その言葉を合図に、六郎の傍らに『クレセント・ロック』が発現する。 口を一文字に引き結び、ゆっくりと右腕を振りかぶる。 硬貨に拳が触れる。 「クレセント・ロォォォォォックッッッッ!!!!!!」 『ゥウォォォォオララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララアアァァァァァーーーーーッッッッ!!』 その衝撃で硬貨がぶっ飛ぶより速く左の拳を叩き込む。 左の拳が離れる瞬間に右の拳も叩き込む。 クレセント・ロックの能力は『殴った場所からロケットを生やす能力』。 その拳を叩き込めば込むほど、生み出されるロケットは大きく、強く、速くなる。 だが、硬貨のような小さなものを殴り続けた場合。 込められた『大きさ』のエネルギーは、果たしてどこに行くのだろうか。 小さな硬貨がひしゃげて、その原形をとどめなくなるまで徹底的に、渾身の力を込めてぶん殴る。 硝子がスタンドごと走りこむ。 普段の彼女からは考えられないスピードで、一気に橋の中ほどまで詰め寄る。 クレセント・ロックの右の拳が、ひしゃげた硬貨の端を撫でて、弾丸の如きスピードで飛来する。 その硬貨を見据え、硝子はいつミサイルが飛んで来るのかと構えた。 そして、硬貨が液状のスタンドの端に触れ、外部からの異物を感知したスタンドは、その本能のまま硬貨を切り刻む。 微細な粒子ほどの刃に捉えられ、硬貨は目視出来ないほどに裁断され…………。 そして、もしミサイルの射出口が。 『目視出来ないレベルの微粒子にまで細断されたなら』 「ぶっ飛ばせ…………クレセント・ロック」 最初は、強烈な光だった。 次いで、巨大な腕が海洋を叩きのめす様な全身に響く重低音。 硝子のスタンド『クリスタル・ピース』のシルエットが大きくゆがむ。 吸収しきれない衝撃が、水晶の切っ先となって硝子を襲う。 留めきれないと判断したのか、スタンドが硝子を守るために硝子自身を外へと打ち出した。 内側で放射状に膨れ上がる真っ白な水晶柱を、透明な液体が押しとどめる。 スタンド全体がブルブルと震えだし、おびただしい湯気がスタンドから上がる。 そして、内側の水晶柱が今度はドロドロに溶けだしたころ、スタンドの内側から大きな泡がゴポリと音を立てて吹き出し、ようやくシルエットが安定した。 「はぁ…………はぁ………………」 触れただけで焼けただれる様な高温の蒸気の向こうで、硝子はゆっくりと身を起こす。 『クリスタル・ピース』も若干動きはぎこちなくはあるが、まだ十分に戦える。 『クレセント・ロック』の最後の一撃、極限まで射出口を小さくする代わりに膨大な熱量を持つロケットを生み出す攻撃でさえも、硝子の『クリスタル・ピース スノウ・ドーム』を破るには至らなかった。 苦労してもぎ取った勝利に、しかし喜びなどは欠片もなかった。 ただ、次の戦いに対する飢餓感があるだけだ。 (何で、あそこまで戦えるんだろう……?) どれだけ戦っても、硝子にはわからない。 戦いに賭ける誇りや、強いってことの意味さえも。 硝子の胸を占めるのは、自分が奪った命の重さと、私が与えた敗北という結果だけ。 だけど、だからこそ。 終わらせるわけにはいかないと思った。 きっと今まで戦ってきた人たちは、私よりも何倍も戦いの価値を知っていて。 得られなかった勝利を渇望していたと思うから。 ここで自分の弱さを認めてしまったら本当に、私には何も残らない。 彼らの中でだけは、きっと。 私は強い私でいられると思うから。 「良かった…………」 無垢な少女はため息をつく。 少女を動かしていたのは、せっかく手に入れた強さを失うことへの恐れと、敗者に対する過剰なまでの責任感。 弱い自分に敗北するということが、敗者を傷つけることになるかもしれないという臆病なまでの優しさだった。 「私はまだ『強い』ままでいられる…………」 得られた勝利に意味などなくとも、少なくとも勝ち続けてさえいれば。 自分は誰かの認めた『強さ』の中で生きていられると思った。 自分にどこまでも自身の無い少女は、その見出した『強さ』すら。 敗者や死者の『弱さ』に依存するものであり。 その歪さを、指摘できるものなどいなかった。 そう、今までは。 硝子はおびただしい蒸気に紛れて空高く飛び立った二つのロケットに気が付かなかった。 戦いを理解できない少女、新房硝子は確かに天性の才を持つが。 ただ一つ弱点があるとすれば、それは『姑息さ』に触れてこなかったというものだろう。 少女には予測できなかったのだ。 藤島六郎が放った全力の一撃が『クリスタル・ピースが防御することを前提にして』放たれたということに。 そして、上空から飛来する六郎の真の勝利への切り札、重力の助けも借りて高速で飛来する『弾道ミサイル』の存在に気付いたのは、すでに手遅れになってからだった。 硝子が六郎に近づこうと、橋を歩き出したちょうどその時。 硝子は聞こえるはずのない音に気付いた。 噴射口から、推進剤の炎が放つ特徴的な音。 そして、その音は、硝子の背後で大きくなり。 未だに灼けるほどの熱を帯びた自身のスタンドを使い背後からのミサイルに備える。 あれだけの攻撃を受けてなお『クリスタル・ピース』は本体を守るために素早く動いたが、ミサイルが狙いを定めていたのは硝子ではなく、岸と橋とを繋ぐ、その根元だった。 ほぼ同じタイミングで、浮島と橋とを繋ぐ部分にもミサイルが着弾し、支えを失った橋は内側へと崩落する。 (問題ない…………水の中でも『クリスタル・ピース』は変わりなく動け…………あっ!?) 硝子が致命的な事実に気付くと同時に、彼女のスタンド『クリスタル・ピース』が着水し、爆発するような水蒸気が辺りを埋め尽くす。 硝子のスタンド『クリスタル・ピース』はガラスの性質を持つスタンドであり、その性質に違えなければ液状にもなれる点が大きな強みである。 しかし、だからこそ。 ガラスの性質から逃れられない以上、極限まで熱された『クリスタル・ピース』がいきなり冷水に晒されれば、その体はガラス同様、一瞬で固まってしまう。 水の中で完全に無防備となった硝子の上空から、ロケットに跨った六郎が垂直に突っ込んでくる。 「拳骨って言ったろ硝子ちゃん! これで終いだ!」 これで終い? と硝子は短く息を吐く。 左腕から義手を引き抜き、その最新鋭の凶器を外気にさらす。 負けるわけにはいかない。 凶器に頼って、狂気に頼って。 ただ『強さ』だけにすがってここまで来たんだ。 だから、ここで負けたら本当に。 「まだ…………負けるわけにはいきません!!」 硝子が心から絞り出した言葉に涙が混じる。 自分の中の特別な力に気付いて、強くなろうと戦いに身を投げて、初めて流した涙だった。 そして、水中という不安定な状況で、寸分の狂いなく六郎の額を射程に収めて。 こんなことって、以前にもあったな。なんて思って。 「ほんと、私って弱虫だ…………」 その小さな独白が硝子の耳に届いて、気付けば左手は水に力なく浮かんでいた。 そして、跨ったロケットを蹴りとばし、渾身の勢いとともに振り下ろされた六郎の拳は、一分の容赦さえなく硝子の頬へと突き刺さったのだった。 「………………ん、硝…………ちゃん、硝子ちゃん!!」 薄く目を開けた時、硝子は自分がまだ水の中にいるのだと思った。 周りの風景が淡く滲んでいる。 どちらが下かわからず、立ち上がるのに苦労していることに気付いて、自分がもう水中にいないと知った。 「よかった、眼が覚めたか。結構必死になってぶん殴っちゃったから、やりすぎたかと心配したよ」 心配そうにのぞきこんでいるのが、自分が倒すべき相手だと気付いた。 敗北の事実が初めて現実感を持って硝子を襲い、胸へと重くのしかかる。 喪失感がこれほどまでに圧迫感を伴うものだとは思わなかった。 体を小さく丸めて、嗚咽混じりに乾いた笑い声をあげる硝子に気付きながらも、六郎は彼女に声をかけなかった。 勝者が敗者にかける言葉など、何一つないことを知っていたからだ。 しばらくして、震えながら硝子が誰へともなく喋りだす。 「負けたくなかったんです」 「知ってる」 「負けっちゃったら、全てが否定される気がして」 「それも知ってる」 「私はせっかく手に入れた『強さ』を失いたくなかった」 「それは知らなかったなぁ」 「だってそうでしょう? 一度でも負けちゃったら、それで終わりじゃないですか!」 無責任とも無関心とも取れる相槌に、硝子は思わず顔を上げる。 それでもなお、六郎はへらへらと、全く深刻ではない顔でこう続けた。 「それで、硝子ちゃんの何が終わったんだ?」 「それは………………」 感情のままに叫びたいけれど、ふさわしい言葉が出てこずに、硝子は口をパクパクさせるばかりだった。 そんな彼女の様子を見て、本当に楽しそうに笑った六郎は、ポケットからずぶ濡れになった一枚の紙を取り出した。 「まぁ、悩める若人に俺ができることつったら、これくらいだよ」 その無造作さに思わずつられて、硝子が紙を覗き込むと、それはところどころインクが滲んだ一枚の名刺だった。 「俺、美容師やってんだ。よかったら髪でも切りに来な」 唖然とする硝子をしり目に、六郎は右足を庇いながら立ち上がる。 「それじゃ、またな」 あくまで飄々と去っていく六郎の背中を見ながら、硝子は乾いた笑い声しか出てこなかった。 どこか気に食わないけれど、どこが気に食わないのかわからない。 そんな正体不明の苛立ちを覚えながら、硝子はすでに敗北を受け入れ始めている自分に気付いた。 そして、しばらく呆然としていると、背後から声をかけられた。 「フム…………まさか敗北するとはな、試製・義手型荷電粒子砲を手にしたお主に勝る武人などおらぬと思ったが……しかし、歴戦の武人が集う今大戦で準優勝との戦歴は実に見事であるッッ!! 敗北こそすれ、立派に胸を張ってよいッッ!!」 そういって鷹揚に肩を掴む五百旗頭。 しかしそれとは正反対に、硝子の顔は憂鬱だった。 「あ、あの…………ごめんなさい」 「ム……唐突に謝罪とは何事だ? …………クク、その義手が破損したなどという程度の事なら心配無用だ。名刀とは茶の間で愛でるものではなく、戦場でこそ輝くものだからな」 「そうじゃなくて…………その…………せっかく五百旗頭さんに勝ったのに、その私が負けちゃって……」 「…………フム、話が見えぬな」 「ええと、だから、あの…………負けちゃったから、結局私『弱い』ままで…………五百旗頭さんに勝った私が弱いままじゃ、五百旗頭さんに申し訳ないかな……って」 硝子が自分の気持ちを伝えようと必死に言葉を紡ぐ。 その言葉を聞いているうちに、五百旗頭の心にはふつふつと、ある感情が湧いてきていた。 「…………つまりだ。お主は吾輩に勝ったからこそ…………吾輩の為に強者であろうと…………そう思い戦ってきた………………そう言っているわけだな…………」 「あ、あの……はい…………」 この段になってようやく、硝子も五百旗頭の様子がおかしいことに気付いた。 噛みしめるように一言一句吐き出していく五百旗頭は、紛れもなく怒り狂っていた。 「貴様ァァァァッッッッ!!!!!!!!! この五百旗頭実を馬鹿にするかァァァァッッッッ!!!!!!!!」 「ふえぇっ!?」 「この五百旗頭実がッッッッ!!!! 女子供に自らの敗北の尻拭いをさせることを望んでいるなどとォォォォッッッッ!!!! よくもそんな妄言が吐けたものよッッッッ!!!!」 五百旗頭が全身を戦慄かせて怒鳴り散らす。 幾度か見た、「粛正ーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」 が飛んで来るものと思い、硝子は思わず歯を食いしばる。 だが、実は振り上げた拳を渾身の力を込めて石畳へと打ち付ける。 轟音が響く、空薬莢が飛ぶ、全身全霊を込めて打ち込められた拳は、石畳を粉々にした。 なおも興奮冷めやらぬ五百旗頭は息継ぎすることすらなく大音量でまくしたてる。 「貴様が先の大戦で見事優勝した時分にはッッ、この小娘め大言を吐くようになったと関心もしたがッッッッ、貴様が理解した『強さ』とやらもッ、所詮は仮初の鎧で身を固める臆病者の戯言だったとはなァァッッ!!! よく聞けェェエイィィ!!!!!」 高らかにそう叫ぶと五百旗頭は、万感の思いを込めてその言葉を硝子にぶつけた。 「真の強さとはァァッッ!!!! それすなわち我が道を行くことに他ならんッッッッ!!!!!!!!! それを理解しようともせずッッッッ!!!! ただ漫然と生きるからこそォォッッ!!!! お互いが分かり合えんことすら理解できんのだァァァァッッッッ!!!!!!!!」 その生涯を信念に捧げることを天に誓った男は、思想さえ脱ぎ捨てて目の前の少女に信念を語った。 何が五百旗頭を熱くさせたのかは、本人すら理解できないだろう。 あるいは、このような迷える者に道を示すことから、彼の思想は始まったのだということかもしれない。 その慟哭にも似た彼の叫びの全てが、硝子に理解できたとは思えない。 けれど、硝子にはなぜか、笑いと涙があふれ出して止まらなかった。 ただ、その恫喝に彼女は、ずっと胸の中にあった凍りついた何かが溶けていくのを感じた。 きっと、硝子は、誰かにこういってほしかっただけなのだろう。 弱いままでも良いと。 『強くなりたい』彼女の希望は、何時しか彼女自身を縛る鎖となっていた。 『弱い』自分のまま勝利した少女は、手にした勝利が『強さ』だと誤解した。 それを手放すということはすなわち以前の自分に戻ることだと。 『強くなりたい』はいつの間にか『弱くなりたくない』へと変わり『強くある』という強迫観念へと歪んでいった。 歪なままで勝ち続けた少女は、なんてことはない。 ただの気弱な、心優しい女の子に過ぎなかった。 その優しさを罪とした『戦い』を理解できなかった少女は、必死に誰かを真似るしかなかった。 時には敗者を、時には死者を。 純粋であるからこそ、無理に向き合おうとした。 間違っているとしたら、初めから間違っていたのだ。 だから、硝子は。 五百旗頭の言葉に救われた気がしたのだ。 理解できないことを無理に理解しようとすることじゃなく。 理解できないということを理解することが、本当に必要な事なんだと、そう言ってくれたことに。 突き抜けるような青空の下、硝子はただそれだけのことで、もっと自由に生きられる気がした。 ★★★ 勝者 ★★★ No.4082 【スタンド名】 クレセント・ロック 【本体】 藤島 六郎(フジシマ ロクロウ) 【能力】 殴った場所からロケットを生やす オリスタ図鑑 No.4082 < 第17回:決勝② > 当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用を禁止します。 [ トップページ ] [ トーナメントとは? ] [ オリスタwiki ]
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autolink 【フェイトビート】 以下、コメントログ。 フェイトデッキの場合半分以上がフェイトかエリオのカードで自分のデッキで28枚Fの遺産確率的には2枚に1枚はフェイトがくる。使う状況はCX落ちすぎた時なんだから成功率はもうちょい上がるかな?でファランクスうつなりチェンジコストを考えると0コストで使えて高確率でハンド枚数維持できるのが採用理由だな。キャロフリもコストの続く限りほれるから悩ましいけど。まぁ↑は不安定な集中なんて使わないんだろうけど。 -- 名無しさん (2010-06-30 21 51 20) ノーコスでハンドアド取れるカードなんて殆ど無い件 -- 名無しさん (2010-06-30 21 55 23) ↑↑。集中は使うよ?wぶっぱ集中はしないけどな。小川なり星願なりで確認しない限り使わないな。運試しでコストや手札使いたくないし。 -- 名無しさん (2010-07-01 05 58 25) ↑↑。ノーコストでお手軽でもアド(この場合手札アドな?他にもクロックアドとか有るけど分かるか?w)が取り辛いイベントにわざわざ枠を裂く利点が見出だせないんだよね。キャラになるが水着の葉留佳も使い易いが強くはない代表的なカード。 -- 名無しさん (2010-07-01 06 13 10) だからノーコスでアド取れるカードって何だよ -- 名無しさん (2010-07-01 06 58 25) とりあえず、Fの遺産は別にアド自体は取れてないからな 山札削るのが常にアドであるなら別だが・・・ -- 名無しさん (2010-07-01 07 32 08) ノーコスなんだから1 1交換でも十分だろ それに山削れるのは嬉しい場合が多いし -- 名無しさん (2010-07-01 07 35 43) ここはよく釣れてるなw -- 名無しさん (2010-07-01 12 24 31) ↑×6CXおちすぎててもぶっぱしないと?事故回避目的で使用してハンドとコスト消費0に抑えられるのがいいんだけどね。小川も星願うもそもそも集中ないタイトルなわけだがネオスタンの時は集中0なんですね。 -- 名無しさん (2010-07-01 14 38 07) ぶっちゃけFの遺産って悪いカードじゃないですけど積むカードかな?って気がするんですよね。クライマックスが出過ぎることを想定して積むのはイマイチ愚策かと・・・だったら初めっから集中使えって話ですから。 -- 名無しさん (2010-07-01 15 00 13) ↑↑。勝手に脳内妄想してれば?w事故った時を想定しすぎたデッキでガン回りしても、そこまで強くないってことを坊やは知らないのかな?w -- 名無しさん (2010-07-01 19 09 57) ↑事故った時の事を想定しないでデッキ組むとか賢者様すぎて僕には真似できません>< -- 名無しさん (2010-07-01 19 38 02) 俺は事故を想定しないで作ってあまりにも事故が多ければ変える。むしろ事故を気にしてたらデッキを組めません -- 名無しさん (2010-07-01 20 04 21) お前ら、無視すればいいだろ・・・↑2 一応“想定しすぎた”って言ってるんだから全く気にしてないわけではないと思うぞ? -- 名無しさん (2010-07-01 21 23 25) ↑↑↑。俺だって賢者様には負ける場合もあるよ?w本当の賢者様見たことないんじゃね?w↑↑が言ってくれたように事故が多いならそれでトーナメントシーンを勝ち抜ける訳ないのでそもそも使わないし作らない。 -- 名無しさん (2010-07-02 06 20 57) どんどん低レベルな言い争いになってるな フェイトビートの場合、サーチしたいならアリシア、デッキ破壊なら集中、両方の性質を持つFの遺産を個人の構築やプレイスタイル毎に使いやすい物を使えば良いだけでしょ? ぶっぱしないのかとか、事故るから弱い・使わないとか、そういうのは状況や考え方に左右されるものだから絶対じゃ無いし -- 名無しさん (2010-07-02 07 55 27) フェイト好き同士でなんと醜い。Fの遺産笑うほど弱くないと思うぞ、まぁ言うほど強くもないと思うが使い安いのは確か。アリシアはコスト足らなくてテキスト撃てない事多かった。キャロフリは相手の返しで高確率で死ぬ。どれも一長一短、↑でも行ってるが使い勝手いいと思うの選べばいいよ -- 名無しさん (2010-07-02 10 35 07) 誰がフェイト好きって言ったんだよw個人の主観でF遺産弱いと言ったらこの様だよ。 -- 名無しさん (2010-07-02 10 45 17) いや、それは主観で語ったお前が悪くないか?俺はstsだけの時と違って今は弱くないと思うが、使ってない。回収の方が安定するからな。 -- 名無しさん (2010-07-02 12 42 00) というか言い方の問題か。そこは直した方がいい。あと、誰がどうみても弱いカードならともかく、使い道があるカードを一方的に否定するのは好ましくないな。 -- 名無しさん (2010-07-02 12 50 04) ↑の言うとおりですね。ここのデッキはあくまで一例じゃないですか。個人が回してみて必要不必要を決めればいいと思いますよ。 -- 名無しさん (2010-07-02 14 12 09) 本気でやるんならたとえ主観でもガチ話していかないと構築とか進歩しなくね?今回も俺がFは弱いから入れないって言ったからFを入れない構築の意見も出て来た訳だし。ちなみに俺は回収トリガー6積みだからフェイトや助太刀回収目的では必要ないと思ってる。デッキ圧縮目的での評価は低い。 Fのような通常タイミングのイベントで3枚を1回落としただけでは効果が薄いと思う。Fで圧縮→アタック→残りのCXめくれるとかになると「使わないのが正解だった〜」って事になりかねない。キャンセル目的で圧縮するなら幸せスパイラルのタイミングが望ましい。Fにグーパンマーク付いてれば使ったかも。まぁ確かに使う使わないは個人の自由。 -- 名無しさん (2010-07-02 16 28 19) そういう風に最初から話せば良かったのに。理由も言わず弱いって一方的に言っても相手が不快になるだけなのは目に見えてたろう。 -- 名無しさん (2010-07-02 17 24 41) ま、未だに強いとか言ってるのはよく分からんがな。選択なだけだろっと。 -- 名無しさん (2010-07-02 17 38 18) まあ、現段階でイベント入れる場合は優先度高いぐらいでいい -- 名無しさん (2010-07-02 18 26 32) まあなんにせよA sからなのはネオスは風8積み可能なんだよね 他の作品のことはシランが -- 名無しさん (2010-07-02 20 13 55) ここでの論題はフェイトビートというデッキをどのようによいものにしていくのかということでは?くだらない論争なら別のところでお願いします。それと何か意見のある方は「~だから~を抜いて~入れる。」のように理由を書いた方がよりよい案が出ると思います。そのようにされている方もいるなかこのようなことを書くのはあまり心もとないのですが、みんなで作っていくwikiです。よりよいものにしていきましょう。 -- 名無しさん (2010-07-02 22 51 42) とりあえず、主観で語るのもアリだとは思うよ ただ、〇〇が弱いとか〇〇は入れないとか言うのであればきちんと自分なりの理由を説明してくれれば幸いかな -- 名無しさん (2010-07-03 05 25 08) しばらくぶりに話を戻すけど、助太刀枠は何を詰むべきかな?Fの遺産を詰んでいるならエリオとなのふぇを枠と相談して詰むんだろうけど、3000助太刀枠はグレアム対応のザッフィーも脳筋で持ってたらなのふぇ一強を覆したと見ていいと思うんだが あとレベル1の助太刀は戯れるフェイト&アルフを入れなければ別に回すべきかな? -- 名無しさん (2010-07-03 07 44 01) 確かに主観で語っていくのも必要だな。そこは訂正しておく。 ↑俺は赤入ってるけど犬使ってるよ。提督は圧縮になるし犬以外に7000フェイトも持ってこれるし。 -- 名無しさん (2010-07-03 10 46 36) 話ぶったぎるけど赤黄で譲れない想い入れてる人いたら使い勝手どんなも? -- 名無しさん (2010-07-03 15 10 01) 黄色単色でやるのってやっぱ無謀? -- 名無しさん (2010-07-03 17 34 42) ↑フェイトなら黄単でも十分に戦えると思うよ。Lv3に黄フェイトがいないのが泣けるけど -- 名無しさん (2010-07-03 18 58 57) ↑↑黄色って色はもともとあまり安定性がない色なので赤混や青混にしている方が多いのでは。ただ黄色単の利点は爆発力ですから多少の事故覚悟なら黄色単もアリかと。 -- 名無しさん (2010-07-03 19 01 58) ↑×4ストックと場所圧迫するからあまりこのデッキには向かないですね。強いカードではあるんですけどデッキを選びますね・・・ -- 名無しさん (2010-07-03 19 08 26) ↑×5自分は黄色単色でやっているんですが結構回り方はいいほうですよ -- 名無しさん (2010-07-03 21 57 27) ↑×6黄色単色は結構いいっすよ。アルフでパワーも高くなるしプレシアで相手からも選ばれなくなるので結構優秀です。赤も強いのは強いですよ。Fの遺産入れるならフェイトが多くなる黄色単色でいいし、入れないなら赤を混ぜればいいと思います。 -- 名無しさん (2010-07-03 22 01 46) 今更ですけど真ソニってどう思います? -- 名無しさん (2010-07-03 23 00 14) 真ソニはアンコールが優秀でいろんなデッキに対して安定した動きがとれるけど対応のCXが微妙なのとフェイトデッキの特徴であるパワーが若干低いのがたまにキズといった感じですね。自分は3枚入れてます。 -- 名無しさん (2010-07-03 23 56 10) 真ソニはデッキ内の他のカードに無い除去もあるからな。持ってないから欲しがってる人の戯れ事にすぎないけど対応が風か+2000/+1/1ドローだったら今頃必須レアだったんじゃなかろうか。 -- 名無しさん (2010-07-04 00 21 30) やっぱり今は普通にソニックフォームを入れたほうがいいんでしょうか? -- 名無しさん (2010-07-04 00 24 46) 真ソニ抜いてソニにしました -- 名無しさん (2010-07-04 01 39 50) ↑ミスって途中で投稿しちまった。CX風にして、ソニに変更で良いと思う。フェイトは早出しで手札アンコのコストそんなに貯まらないし(赤とか青入れると安定するのかな?<<黄単なので。。。A sでLv3フェイト希望 -- 名無しさん (2010-07-04 01 43 11) コメントどうもありがとうございました。自分も黄単なのでそうしてみます。 -- 名無しさん (2010-07-04 09 08 42) 黄単で組んでるんだが、戯れるフェイ必要?抜いてチェンジ元入れた方が制圧力上がる希ガス。まぁ、コストの問題あるんだがな -- 名無しさん (2010-07-04 11 03 00) ↑入れるとコストの問題でけっこう事故するから入れないほうがいいと思う -- 名無しさん (2010-07-04 12 30 39) 根本から覆すようだがチェンジいれないでアルフと戯れると普通に行ける 自ターン9000でレベル1は制圧できるしレベル2は個々の自由だが個人的にはソニックフォームは弱すぎ(支持者は個人の偏見として流してください)だと思うから真ソニで除去しているけどまあ黄色だがら安定はしないわけで レベル2以降はまかせた(ぇ -- 名無しさん (2010-07-04 13 00 11) 俺もチェンジ元は入れずに戯れ入れてるな 使い魔アルフや優しい母でパンプすれば充分戦える レベル2は母想とソニック、狼に空舞うだな トライアル出る前はソニック⇔真ソニックでCXシナジー狙ってたけど、手札が減ってアンコールしにくかったから替えた -- 名無しさん (2010-07-04 19 25 31) チェンジ無し、その手があったか…。リニスも抜けるし、そこにアリシアか、色を気にしないならグレアム入れれるな。 -- 名無しさん (2010-07-04 19 28 16) ↑チェンジ元ってもう一人の魔法少女の方か?そっちは入れてるぞ、リニスも一緒に フェイトVSシグナムかと思ったわ -- 名無しさん (2010-07-04 20 09 48) えっ、フェイトvs~使うストックとスペースあるもんなの? 俺はてっきりチェンジ元=もうひとり~だとばかり… -- 名無しさん (2010-07-04 20 56 54) ↑短いかと思ったから追記。俺の回し方が悪いのだと思うのだが1/1 7000入れたらストック足りなくなって、どうしようか悩んでるときにここ見たから、チェンジ無しがいい考えに思えたのだが勘違いか。文脈をもうちょいしっかり見とくんだった。 -- 名無しさん (2010-07-04 21 15 12) ↑母想いのチェンジ元(もう一人の魔法少女)は入れてるけど、ソニックのチェンジ元(フェイトVSシグナム)は入れてない レベル1は戯れともう一人で戦ってる -- 名無しさん (2010-07-04 21 21 43) ↑残念ながらチェンジ元ってフェイVSシグだww2枚入れて回してるが、LV0でしっかりストック稼げば、十分回せると思うが…やぱ戯れるフェイで制圧が現実的か? -- 名無しさん (2010-07-04 21 52 22) ↑追記、今のLV1はもう一人3戯れるフェイ2フェイVSシグ2だ。LV0を18にしてストック稼げるようにしてる。 -- 名無しさん (2010-07-04 21 54 44) ↑LV0に何が入ってますか? -- 名無しさん (2010-07-04 22 14 42) ↑3俺はレベル0は16しか入ってない レベル1はもう一人3戯れ4優しい母2一途2で回してるが、一途をエリオにして戯れを最低9000まで上げるのも良いかと思ってる -- 名無しさん (2010-07-04 22 43 43) 俺はLv0が17。 Lv1で戯れ4一途4にしてとにかくコストを減らさないようにしてる(チェンジ無しでもアルフとか置ければ滅多に負けないし)。 うまくいけばLv2以降でファランクス(1点×3)成功してまじ楽しいw -- 名無しさん (2010-07-04 22 52 55) ↑5 フェVSシグは単体だとコストそこまで重く感じないけど他の1/1とか展開する場合結構キツくないか? -- 名無しさん (2010-07-04 23 06 41) ↑4戸惑う4フェイ アル4友情なのフェ4リニ2アル4で18だ。CXとかで速攻でLV1に上がったら話は別だが基本的に18あれば大体3枚は来るからストック3稼げる。あとはファランクスでブーストしたりすれば安定してチェンジで制圧できる。とまぁ俺はこんなカンジ。 -- 名無しさん (2010-07-05 08 00 10) つまりレベル1を戯れで制圧するか、速攻チェンジのソニックで制圧するかの違いって事だな 確かにソニックの方がパワー面では安定だろうけど、早くにソニック出すとデメリットのソウル+1が響かないか? -- 名無しさん (2010-07-05 08 34 01) ソニックの場合は早出しした方がデメリットが緩和するぞ。早出しした場合、相手のソウルが上がるけど自身もソウル2だから打点的には±0だが、レベ2以降になるとサイドで普通に打点が通るから簡単に打点調整されるようになる訳で -- 名無しさん (2010-07-05 10 29 02) ↑2 TDで考えるとそうだな。フェイトデッキで考えると母を想うフェイトにチェンジすればデメリットがない(パワー多少減るけど) -- 名無しさん (2010-07-05 12 59 03) ↑2確かにそう考えればそこまで影響無さそうだな 俺は↑のパターンで、ストックや手札に余裕がある時は母想にチェンジする感じ ソニックは逆に相手にレベル3をチェンジで早出しされた時なんかに刈りに行って、そのままパワーでゴリ押しってのが多い -- 名無しさん (2010-07-05 14 55 49) ↑最後はプレイング次第ってカンジか。これって決まってる訳じゃないし、フェイトはカードプールの広いから自由度あるしなw -- 名無しさん (2010-07-05 15 22 04) ↑↑。助太刀構えずに相手がチェンジしてくれるか?少なくとも俺はしない。よってソニでは狩りに行き辛いと俺は思うんだが…? -- 名無しさん (2010-07-05 19 22 37) それはわかる。Lv3で後衛に応援はってれば10500~12000位で、こっちも後衛はればソニックで同等。CXかEVで差つけないと助太刀に勝てないから、常に相手のハンドとストック気にしないと殴り返しが怖い -- 名無しさん (2010-07-05 19 41 31) ↑2確かにな けど手札に握ってるのが解ってる状態ならともかく、カードプールにソニックがあるってだけで助太刀無いから早出しチェンジしないかってなったら絶対とは言えないと思う これは俺の個人的な意見だけど、仮に相手が応援無しの早出しで10000こちらが狼付きのソニックだったら俺は仕掛ける 助太刀されたら目も当てられないけど、助太刀「されるかも」って止まってたら動けなくなるし ハンデス出来るとか、敏腕オペレーターやCXシナジーでパンプ出来るなら別だけど、ネオスのフェイトビートでハンデスやCXシナジーのパンプは出来ないから勝てるサイズにならないとってのは厳しいかと -- 名無しさん (2010-07-05 20 50 45) ↑追記 とは言え、もちろん状況によって対応は変わるぞ こちらが助太刀握ってるなら相手から仕掛けて来るの待ったりするから、ようはケースバイケースだな -- 名無しさん (2010-07-05 20 52 46) せっかく何で聞きます。誰かネオスタンでこのデッキに使えるパワー底上げのカード教えてもらえませんか? シングル買いとTD各種一個ずつしか買ってないからなにがあるか把握できてないので -- 名無しさん (2010-07-05 21 15 04) 皆さん対等のパートナー入れてますか?入れるべきか迷ってるんですけど…。あとレベル2って何枚くらいがいいですかね? -- 名無しさん (2010-07-05 21 19 27) ↑2コストはかかるけど、1stの敏腕オペレーターがお手軽じゃないかと思う ↑対等はコストかけずに手札増やせるし、余裕があれば狼にもなれるから2枚入れてる 俺はレベル2は13枚だな -- 名無しさん (2010-07-05 21 58 27) 対等は枠の都合で無しで、アタッカーと後列の増加で無くても回るようになったので、レベル2帯は母を想う×4ソニックフォーム×2アルフ×2ですかね。 -- 名無しさん (2010-07-05 22 04 18) なるほど。コメントありがとうございます。対等と優しい母とエリオで迷ってるんですが…。やっぱり優しい母は入れた方がいいですかね?質問ばかりで申し訳ありません…。 -- 名無しさん (2010-07-05 22 21 41) 個人的には採用してもいいかと、アンタッチャブルは優秀ですし、補正値も大きいです。レベル2アルフを引けなかったた時の保険に採用しています。まぁこういうのは本来デッキ診断等でやるものな気がしますが・・・ -- 名無しさん (2010-07-05 22 35 38) コメントありがとうございました。参考にさせていただきます。 そうですね。診断スレでするべきでした。今後気をつけます。 -- 名無しさん (2010-07-05 23 01 41) 皆さんの中でアリシア使っている方はいますか? -- 名無しさん (2010-07-05 23 47 09) 使ってる(2投)けどぶっちゃけ空気 コストが足りん あとちょっと前のチェンジの話だけどおれはチェンジしない派でアタッカーとしてもう一人の魔法少女いれてる なんだかんだでアンコールはこころ強い -- 名無しさん (2010-07-06 00 06 50) ソニックフォーム軸と母想う軸の2パターン組んでみたけどやっぱ母想う型の方が安定するっぽい -- 名無しさん (2010-07-06 09 52 36) やっぱどっちかに絞るべきかな?両方引くときもあるのはいいのだが序盤だったり、代わりとばかりに後衛が引けない。ちなみに後衛計七枚。ソニックと母想うあわせて六枚 -- 名無しさん (2010-07-06 12 43 06) 俺は母ソニ各4で後衛使い魔4狼3対等2で回してる。後衛たまに来ない事があるが、前衛は安定して3体並ぶぞ。チェンジ込みでの話だが -- 名無しさん (2010-07-06 16 00 57) 俺は前衛は母想4ソニック3、後衛は使い魔4狼3対等2優しい母2だな どちらかというと前が足りないことはあるけど、もう一人がチェンジしたり、アンコールに物を言わせてビートし続けたり出来るから前後共そこまで困る事は無い -- 名無しさん (2010-07-06 16 32 39) 8月までASのパックがまてません。 -- -- 名無しさん (2010-07-06 23 15 58) 今日初めてこのデッキを作ってみたのですが「教育係リニス」は使ったほうがいいんでしょうか?・・・? 私は1刺しはしているんですけど・・・。 -- 名無しさん (2010-07-07 18 46 37) ↑ここは診断板じゃないんで、構築の相談なら診断へどぞ。ちなみに、俺は2枚入れてます -- 名無しさん (2010-07-07 20 06 46) 俺は3積んでるよ。周り誰も入れてないけど(笑) レシピ見たけどやっぱ戸惑う>人形なの? 人形のイラスト好きなんだがなぁ(´・ω・`) -- 名無しさん (2010-07-07 20 10 22) 俺は戸惑う3人形2で回してる。アルフ置いて無駄に人形を生存させてしまうとあとで痛手になる。 -- 名無しさん (2010-07-07 20 39 35) みなさんCXはどうしていますか?自分はファラ2風2扉4です。 -- 名無しさん (2010-07-07 20 41 11) リニスは初手に来てほしいから4にしてる。 戸惑うのほうが有能に感じるが、序盤制圧しやすい人形のほうが好きだな -- 名無しさん (2010-07-07 21 47 42) ↑2 CXは色によって全然変わるけど、大体ファランクス2〜4+風、扉、本が基本ですね -- 名無しさん (2010-07-07 22 20 31) ところで、優しい母親って入れてる? フェイトに耐性付くし、自ターン中ならパンプ出来るから便利だけど、後列は狼だけにして相手ターン中もパンプした方が良いのかな? -- 名無しさん (2010-07-10 20 11 35) 俺は黄単なんだが入れてないな。抜いたら勝利率上がったし入れなくても問題はないかと。まあよくチェンジする人は入れればいいんじゃないかな?あんまりチェンジしないでパワーで押し切るだけなら対等とか入れた方がいいんじゃないかな??まだ初心者なんで参考になるか分かんないが…。 -- 名無しさん (2010-07-11 13 20 29) ↑2自分のまわりの環境次第かな。相手ターンにもパワー欲しいなら狼、耐性が欲しいなら優しい母親。 -- 名無しさん (2010-07-11 13 33 02) たしかにプレシアは環境次第だね。バウンスとか多かったら便利 -- 名無しさん (2010-07-11 20 05 41) 黄かレベ0のいい感じのサーチとかあればピン積み出来るから楽なんだけどな -- 名無しさん (2010-07-12 02 43 12) ↑2まあ周りの環境がD.Cの、~お料理や贅沢な~、な俺にはアルフとカウンターがお似合いさ。 ↑アリシアやグレアムがいい感じかどうか一概には言えないしな。 ブースターに期待ということでひとつ -- 名無しさん (2010-07-12 22 34 09) まあ人によりますがね。 -- -- 名無しさん (2010-07-14 19 21 35) ↑2 会話からしてプレシアをサーチする方法があれば~ってことじゃないの? -- 名無しさん (2010-07-14 22 34 40) つ、黄青で協力してくれへんかな -- 名無しさん (2010-07-14 23 26 31) 黄倒立でいんじゃないすか。 -- -- 名無しさん (2010-07-18 11 52 35) レベル3フェイト キターッ! -- 名無しさん (2010-08-06 21 01 59) ↑能力微妙な希ガス。回復かソウル-1欲しかった -- 名無しさん (2010-08-06 21 10 48) 本当に回復欲しかったな・・・またヴォルテールで回復する生活が始まる・・・ -- 名無しさん (2010-08-06 21 26 56) なのはに回復が出たから、なのはデッキに入れてた八神部隊長を減らしてこっちにまわすかな LV3フェイトは能力微妙といいつつCIP早朝訓練は電撃作戦思考的には結構良さそう -- 名無しさん (2010-08-06 21 57 47) ↑まぁそうかもだけど、流石に効果が微妙すぎるかなぁ -- 名無しさん (2010-08-07 12 05 28) 確かにソウル−1は欲しかったな。相手前列ぬっころしてソウル−1するのは普通に強いからな -- 名無しさん (2010-08-07 12 35 10) つーか、出たターンにCX使用でソウル4か、なんとも言えんな・・・ -- 名無しさん (2010-08-07 19 20 59) 対応CXによっては化ける…かもしれない -- 名無しさん (2010-08-07 22 23 45) むぅ… -- 名無しさん (2010-08-08 11 00 02) Lv3フェイトはソウルパンプが厄介だよなぁ。ソウル減点位なら喜んでつかったんだが。 -- 名無しさん (2010-08-08 21 43 19) つかCXシナジーとソウル+1、相性としてはわるくね?複数並べた後にCXはってもソウル4~とかだと相手のキャンセル率もあがるし、サイドにするとパワー+3000の意味がない。正直ソウルパンプいらんから10000にして欲しかったorz -- 名無しさん (2010-08-09 07 44 25) ふぅ…LV3フェイトには困りんこだわ -- 名無しさん (2010-08-09 11 50 40) だがこう言わないか?「手のかかる子程可愛い」と。 -- 名無しさん (2010-08-09 12 45 30) せめてソウルパンプが任意発動ならこうも文句は出なかっただろうに。 -- 名無しさん (2010-08-09 14 05 35) しかもRRだから集めるのも大変でさらにがっかり・・・ -- 名無しさん (2010-08-09 16 01 15) ↑3 お前かっこいいな。 -- 名無しさん (2010-08-09 17 31 35) 4↑可愛いだけじゃダメなのさ -- 名無しさん (2010-08-09 22 08 41) でちまったもんはしかたない。問題は有効に使えるか否か。 -- 名無しさん (2010-08-09 23 45 57) 黄単タッチ緑(助太刀のみ)でバウンス8積フェイトVSシグナムのチェンジ狙いで回してるが安定してキャラを残しつつ高ソウルが序盤からぶつけられて楽しい -- 名無しさん (2010-08-10 00 02 32) シングル買いするつもりなのにRRはマジキチ -- 名無しさん (2010-08-10 10 45 45) 性能たいしたことなくてもフェイトのRRってだけで値が上がるからね -- 名無しさん (2010-08-10 14 52 44) CXもどうせCRだろうし。まあ、フェイトが好きでやってるからいいんだけど -- 名無しさん (2010-08-10 20 31 31) CRなんてRRに比べたら集まりやすいし安いから単品でそろえることも苦じゃないだろ。フェイトも能力が中途半端だからうまくいけば安くすむ・・・ようだったらいいなぁ・・・・・・ -- 名無しさん (2010-08-11 05 47 36) もうひとつの黄色のRRが気になるが、プレイマットの絵のフェイトかな? -- 名無しさん (2010-08-11 09 15 40) さすがにRR両方ともフェイトとは思えない。多分Lv3フェイトのCR(CC?)じゃね? -- 名無しさん (2010-08-11 09 53 08) あのイラストかっこよかったから、できれば強いキャラで出してほしいがブシロクオリティーですもんね; -- 名無しさん (2010-08-11 12 37 18) あのイラストはCXだった気がする。何かの雑誌に載ってたと思う。 -- 名無しさん (2010-08-11 12 55 32) Lv3フェイトと対応CX(ショットで仮定)を代用してデッキ入れて回してみたが、とてもじゃないがまともに戦えない、というかダメ入らない。せめてCXが1ドロー系のならまだましになるんだが。 -- 名無しさん (2010-08-12 02 35 07) 仮定でまわしてもしょうもないだろ。残り8日なんだし気長に待てばよくね? -- 名無しさん (2010-08-12 06 16 41) 今回サポートはやっぱ望み薄? 八神家にまわると思っているのだけど -- 名無しさん (2010-08-12 10 09 57) 「フェイト」だけでもたくさんあるからな。使い魔アルフや動物アルフ、優しい母にFの遺産。たくさんあるからこれ以上ふえっかな? -- 名無しさん (2010-08-12 12 11 29) ただ、サポあるとはいえ、アルフはいいけど優しい母は案外使い勝手悪いしFは入れる枠がきついよな。 -- 名無しさん (2010-08-12 12 56 28) せめてレベル1のフェイトがもうちょっと欲しいのはおれだけかな? レベル0が20枚あるから減らしたい -- 名無しさん (2010-08-12 22 45 13) 一途と戯れはバニラだし、早出しできて場持ちする魔法少女もあるのにこれ以上望むのは贅沢だろ。そりゃLv1にバウンス持ちフェイトとか来たら歓喜するけどさ。 -- 名無しさん (2010-08-12 23 02 27) 1/1 7000と早だし対応・手札アンコ・チェンジ持ち、1/0バニラ。パワーで押すデッキでこれだけそろっててどこに不満が。 -- 名無しさん (2010-08-12 23 13 36) サポートも手札アンコ付与と相性が良い回復以外は大抵もう揃ってるよな。回復が無いのが問題なだけで -- 名無しさん (2010-08-12 23 41 01) 黄色だから回復はあまり望めないけど、せめてLv3フェイトにソウル-1が欲しかったよ。 -- 名無しさん (2010-08-13 00 56 58) 1/1 6000手札アンコ+バウンスフェイトとか来ないかな〜 庵涙目的な意味で -- 名無しさん (2010-08-13 01 44 42) ↑2 CXシナジーと全+1がかみ合わんしな。1体だけだしてCXはっても微妙だし・・・orz ↑フェイトはアンコールとの相性いいからいいたいことはわからなくもないが、チェンジ+アンコール持ちのもうひとりの魔法少女フェイトで頑張れ。 -- 名無しさん (2010-08-13 03 20 22) ↑あくまで代用でまわしてた時の感想だが、Lv3は出したターンではなく、一度助太刀などで守って次のターンに複数枚で連動とれるとまぁ悪くは無い感じにはなる。その手間と1ターン空けるリスクに合ってるリターンとは言い難いけどな。 -- 名無しさん (2010-08-13 11 39 02) 早出し特化とレベル毎にビートどっちかによせた方がいいかな? そうすれば他の色混ぜるのが苦になりにくいような気がするんだけど -- 名無しさん (2010-08-13 21 13 02) あと5日 -- 名無しさん (2010-08-16 23 07 31) あと3日 -- 名無しさん (2010-08-18 00 20 23) あと2日(フライングは含みません) -- 名無しさん (2010-08-19 00 23 11) 黄単使用者です。リニス4枚入れてるがもう一人の~は2枚でLv.0フェイトの疑似チェンジには十分こと足りるのを確認。もう一人の~の空いた2枚の枠はフェイトを回収可能なアルフや母想フェイトに割いてる。 -- 名無しさん (2010-08-19 09 59 24) ↑俺も黄単だが、リニスは入れてない。俺はLV1時のチェンジを多様するから、リニスでアド損するよりストック稼ぐのを優先させてる -- 名無しさん (2010-08-19 10 21 10) Lv3のフェイト入れるならキャロ&ボルテールの方が強い気がするの俺だけ? -- 名無しさん (2010-08-19 11 29 58) かなり早い段階でだせてアンタッチ効果あるからなぁ -- 名無しさん (2010-08-19 14 42 58) LV3フェイトはLV1から出そうと思えば出せるから全体パンプが割と役に立つ。あとチェンジ元がLV応援だし -- 名無しさん (2010-08-19 14 50 08) キャロヴォルの方が強いとかないわ -- 名無しさん (2010-08-19 14 58 52) チェンジ元とチェンジ先で両方RRとか…… 箱買い涙目 -- 名無しさん (2010-08-19 19 52 59) シングル買いのオレも涙目。チェンジ元の能力良さそうやな、どんなん? -- 名無しさん (2010-08-19 22 07 20) ↑チェンジ元の“お姉さん”アリシアのページ作っておきました。 -- 名無しさん (2010-08-19 22 29 40) 姉アリでLV1から出せるとなると、雷光はかなり良いカードな希ガス。しかしRRか‥‥ -- 名無しさん (2010-08-19 22 30 57) ↑ただ、特定のカード2枚を手札にそろえ、なおかつCXと3コスはなかなか厳しい気も -- 名無しさん (2010-08-19 22 38 30) レベル応援のついでで早だし出来るんだからいいじゃねえか -- 名無しさん (2010-08-19 23 02 09) アリシアのサーチから早い段階で手札に…っても2コスだしね -- 名無しさん (2010-08-19 23 04 28) 値段的に姉シア>雷光かな? -- 名無しさん (2010-08-19 23 44 00) 雷光単体では弱いしね。 -- 名無しさん (2010-08-19 23 57 16) レベル1でどこまで圧倒できるかにかかってそう。レベル2まで行ったら簡単に返り討ちにあうだろうし。更にコストが厳しくなりそうだな -- 名無しさん (2010-08-19 23 59 44) まさかの 魔法 や 武器 スルーして クローン を指定してくるという。 -- 名無しさん (2010-08-20 08 21 47) ↑まぁ、フェイト系だけを指定したかったんやないのかな? -- 名無しさん (2010-08-20 08 29 00) はっ!戦闘形態に日の目が…ないな。 -- 名無しさん (2010-08-20 11 19 33) ↑2 動物が強化対象に入ってる件。アルフだろうけど、それなら名前パンプでいい気がするんだけどな -- 名無しさん (2010-08-20 11 22 24) フェイトwithバルディッシュ強くない? -- 名無しさん (2010-08-20 12 44 34) 強いどころか後列頼ってるなのは環境じゃwithバルディッシュだけで駆逐できそうだけど -- 名無しさん (2010-08-20 13 15 03) なのははアリサをバウンスで片付けられるし、はやてもシャマザフィどかして終了か。withバルディッシュやっぱ便利だよな。 -- 名無しさん (2010-08-20 14 23 17) それに、出したターン12000はヤバイ。能力的にLV3になっても戦える性能な希ガス。これは必須化かもなぁ -- 名無しさん (2010-08-20 17 26 26) パワーだけ見ればLv3相手に勝てるかもしれんが、Lv3で回復の無いフェイトが自ら1クロックもらいにいくのはかなりリスク高いんだが -- 名無しさん (2010-08-20 17 52 47) 赤混ぜて魔法訓練はどうだろうかパンプもあるし -- 名無しさん (2010-08-20 18 00 22) ニア『CXシナジー』 フェイト単では無くなるが、バルディッシュフェイトと武人シグナムを積んどけば、後列重視型デッキ使いは発狂すると思われ(特にアンコ付加型) -- 名無しさん (2010-08-20 18 01 15) ただ、バルディッシュと武人両方積むと雷光フェイトが枠厳しい的にもシナジー放棄的な意味でも腐るな。その場合は黄赤で分け合うを2、3枚挿すのがベターか。 -- 名無しさん (2010-08-20 18 24 41) カードプールがN1、A sと増えてくれて、うれしくて涙が -- 名無しさん (2010-08-20 20 18 12) 質問攻め採用する人います? -- 名無しさん (2010-08-20 21 21 26) ↑2むしろ雷光無しでも良い希ガス。アルフ優秀なんだから、姉アリ無しでもパワーは十分やと思うし -- 名無しさん (2010-08-20 22 17 43) 雷光無しだとLv2以降ソニックフォームを貼り続けるのはきついし、母を想うは実質おまけのついたバニラだから、正直現環境じゃちょっときつい。A s同士でもヴィータに滅法弱くなるし -- 名無しさん (2010-08-20 22 23 40) 赤黄で雷光の早出し特化にしてみようかな。…事故るかな -- 名無しさん (2010-08-20 23 34 53) 雷光アリシアは別に入れなくても、ソニフェで間に合う。 -- 名無しさん (2010-08-21 00 05 01) 逆に入れると終盤厳しいかも。パワー低いし -- 名無しさん (2010-08-21 00 07 06) ただソニフェのデメリットも馬鹿にならない位響くから一概にソニフェ一択とは言い切れない -- 名無しさん (2010-08-21 00 09 12) ソウル+1 -- 名無しさん (2010-08-21 00 10 04) ソウル考えるなら場持ちする真ソニが一番いい気がするけど……微妙すぎるか -- 名無しさん (2010-08-21 00 26 05) バルディッシュフェイトと武人シグナムを両立投入するなら、黄の残り枠はソニックフェイト一択しか無いという罠(CXシナジーが腐る、等の理由により) どちらもコスト1で融通は利くから、別色を絡めるべきかと。マスターはやてとか面白いかもシレヌ -- 名無しさん (2010-08-21 01 23 27) バルディッシュフェ、ソニフェ、母フェにして部隊長辺りの回復入れればどーだろ?コストきついか? -- 名無しさん (2010-08-21 01 31 18) あんまり詰め込みすぎない方がイイだろう -- 名無しさん (2010-08-21 01 51 43) 真ソニ4 フェイトwithバルディッシュ4 雷光3を積んでいる俺は詰め込み過ぎなのだろうか? これで回ってる俺も驚きだが…… -- 名無しさん (2010-08-21 02 32 38) 俺はレベル3は雷光4枚、レベル2は狼アルフ3枚だけしか入ってないよ。で、当然アリシアは4積み。このデッキ構成だと正直前半戦が鍵を握ると思う。どれだけ相手のキャンセル率を下げて攻撃を通すかで変わるね -- 名無しさん (2010-08-21 03 30 13) ↑元々黄色って色が自ターンに強くて相手ターンに弱いってのが通念なんだから相手ターンでも強いレベル1で決めにかかるのは正しい判断。でも前半にとちると後半はもう無残なことになるしやっぱり対策は必要 -- 名無しさん (2010-08-21 04 04 34) ってかタイトルカップどうなるんだろう?黄赤か赤緑が個人的に上位に組み込む希ガス -- 名無しさん (2010-08-21 16 10 39) フェイト一択でしょ。もう他のデッキはカモにしかならなそう。回ればだけど -- 名無しさん (2010-08-21 17 29 58) 個人的に赤緑も結構いいと思うんだがタイトルカップのみだけど -- 名無しさん (2010-08-21 19 38 57) なんだかんだで、青も悪く無いぞ?後列が充実して来たから、夜天はやてにカリムとシャマザフィ入れる必要無くなったし -- 名無しさん (2010-08-21 20 47 03) いや 普通にシャマザフィは入れるだろjk -- 名無しさん (2010-08-21 21 30 59) つか、ここそろそろログにうつさないと‥‥ケータイからだと重いw -- 名無しさん (2010-08-21 21 33 47) ここで言うことじゃないかもしれないが……はやて使いたかったオレはフェイトの強さに嫉妬 -- 名無しさん (2010-08-21 21 35 14) 真ソニを頑張って集めていたころが懐かしいなぁwww -- 名無しさん (2010-08-21 21 38 56) ↑4 回復に重点置かないなら、後列リイン×2って選択肢が出来た。 後列がシャマザフィと(邪魔な)カリムだった頃に比べ、安定感は増した -- 名無しさん (2010-08-21 22 02 25) オレは黄単一択。 -- 名無しさん (2010-08-21 23 17 55) 取り敢えずうちの地区明日タイトルカップだから後列もサイズもそこそこ安定する赤緑で出ようと思う。ってか明日タイトルカップとかキツすぎんだろwww -- 名無しさん (2010-08-21 23 57 11) ↑6 困った事にしばらくPC使えないからログ移動できないんですよね〜 -- 名無しさん (2010-08-22 02 29 37) 今日の夕方で良ければログ移しやっておきますー。 -- 名無しさん (2010-08-22 09 52 04) ↑ありがとうございます。 -- 名無しさん (2010-08-22 10 00 51) タイトル行ってきた。二位まではフェイト三位はトライアルですたwww赤緑は結構使ってるひとが多かった。感想としては察するように上位狙うなら黄色は必須。雷光フェイトのシナジー使わずにショット4バウンス4の方がいいと思う。バウンス兼アンコール不可はかなり痛い。 -- 名無しさん (2010-08-22 17 23 28) コメントログ作成しました。 -- 名無しさん (2010-08-22 18 37 02) ↑えー、元々コメントログがあったらしく、01という表記は間違いですね。すいません。 -- 名無しさん (2010-08-22 18 37 59) ↑トップページのように最新10が表示されるようにしたいんですが、いいでしょうか?現在サムデイぶっぱがそういう形になってます -- 名無しさん (2010-08-22 18 46 24) ↑そちらのほうが手間がはぶけるような気もしますしいいんではないでしょうか。ただ、コメントを参考にしたいって方がいるかもしれませんね。 -- 名無しさん (2010-08-22 19 00 09) ↑2参考程度にお聞きしますが、最新10が表示されるようになるにはどうすればいいんですかね? -- 名無しさん (2010-08-22 19 04 07) ↑6 というとシグナムが入ってたってことか? -- 名無しさん (2010-08-22 19 06 02) ↑2 自分も詳しくないんで細かく突っ込まれたら答えられないんですが、 「#c o m m e n t _ n u m 2 (log=コメントログ022)」のように打つと最新10件になるみたいです。反対意見が出ないようなら自分がやります -- 名無しさん (2010-08-22 19 12 52) タイトルカップでの後列に悩む -- 名無しさん (2010-08-22 19 21 34) ↑俺はなのはの+500応援のみ。プレシア、ユーノ入れてる人も入れたがそこまでパワー差は感じなかった。タイトル出てきました。赤黄で。見た感じこちらの方も赤緑が多いですね。青は0/0 +1000パンプを入れてる程度。純粋に青は無理っぽい。デッキは赤黄のなのはメインorフェイトメイン 緑赤のアリサ ってとこですか。 1/0相打ちゲボコは1/1 7000フェイトを狩るのに良かったです。逆に何となく挿したクロックアンコールでゲボコを狩っていた俺www 3/1 魔法訓練は2積みだったが余り使うチャンなかったな。来れば結構使えるが。 3Lvフェイト意外に使えました。 ブッパゲー 今日のMVPは武人シグナムでしたが。。。 -- 名無しさん (2010-08-22 22 41 56) ↑シグナムは入ってたね。シグナムは2で安定するバウンストリガーは4ぐらいかな。俺はショット4黄の2000/1、ワンドローとバウンスは2ずつ。雷光フェイトのソウル+1はCXシナジーと連動して使ってみたら結構あう。けど次のターンでアルカンシェルで強制一点くらったがwww。後列はアリシアなくてもプレシアで充分いける -- 名無しさん (2010-08-22 23 23 49) ↑すまん上の者だが↑5に対しての返事だ -- 名無しさん (2010-08-22 23 28 14) 怒号の質問責めは軽くて使いやすいな。序盤はクロックドロー要員としても使えるし便利 -- KING (2010-08-23 00 09 24) ↑かなり便利。タイトル終わった後デッキ崩してフェイトビートにいれたがFの遺産の枠を押し退けてもいれるべきだと感じた -- 名無しさん (2010-08-23 00 19 23) アンコール不可が強いのはわかるけど、タイトルカップ環境でアンコールってそこまで多用されるか? -- 名無しさん (2010-08-23 01 14 04) ↑+4000で12000 になるのも良いんでねぇ~か? 助太刀ないと落ちるし、タイトルでもアンコールはするだろ普通に。 -- 名無しさん (2010-08-23 01 28 48) 緑の1/1 +2500カウンターって採用あり?? -- 名無しさん (2010-08-23 01 30 17) 最近始めたのですがやはり赤と混ぜるのが一番強いのですか?大会でも多かったらしいですし -- 名無し (2010-08-23 01 32 46) ↑タイトルカップなら赤混ぜた方がいいと思う ネオスタなら単色でも全然OK -- 名無しさん (2010-08-23 01 46 51) ↑4 いや、そこまでアンコールを持ったキャラがいたかな、と。厄介なのははやてくらいだし、そのためだけに採用するのもなんだかなぁ、とか。ほかに優秀なアンコールキャラっていたっけ? -- 名無しさん (2010-08-23 01 57 20) ソウルゲーに持ち込むならアルフだな -- 名無しさん (2010-08-23 02 07 49) ↑2 タイトルカップ下でなら、手札アンコ持ちはヴィータかシャマルくらいで、後はクロックアンコ程度だが、3コスト払ってでも次ターンにキャラを残したいという状況は少なくない。 その判断を丸ごと潰せるというのは大きい -- 名無しさん (2010-08-23 02 23 24) やっぱり環境次第ではそういう意見もあるのか、、、俺は3コスアンコはどうぞ御勝手に、そのかわりあとでストック足りなくても知りませんよ、というスタンスなんだが・・・長い間スタンばっかだったから、キャラ使い捨てが身に染みついてんのかな、、、まあ、ありがとう。 -- 名無しさん (2010-08-23 02 30 56) すいません。ネオスタンとスタンという言葉のいみがわからないのですが。タイトル混合という意味ですか? -- 名無しさん (2010-08-23 02 33 07) ↑単純に言葉だけ説明してわかるんだったらスタンダードとネオスタンダードの略語。言葉の意味ならスタンダードはタイトル混合、ネオスタンダードはタイトル統一。 -- 名無しさん (2010-08-23 03 10 37) ↑2 ↑の通り AsとStSとかP3とP4とかはネオスタンでも混ぜれるよ まぁその辺は公式見るべし -- 名無しさん (2010-08-23 03 16 08) ありがとうございます。 -- 名無しさん (2010-08-23 04 09 21)