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http //www.zolge.com/graphic/teisei.html (観覧不可、Internet Archiveで観覧可能) 単行本や雑誌記事などの誤記誤植を訂正するコーナーです。 これ以外にもなにか大きなミスがあった場合は逐次更新していきますのでご一報ください。ただ、更新するワタシが手間なので、小さなミスはできるだけ目をつぶってね。 ●「美食倶楽部バカゲー選科」 (※)正しい書籍名は「バカゲー専科」。 訂正コーナーで更なる間違いを重ねる、流石の低脳っぷり。 P91 「軍人将棋」レビュー。今だから白状しますが、「今度こそ鰹」の画面写真は、私が一から作った再現画像です。実物の画像を掘り起こせなかったから、できるだけソックリに作ったのですが、今まで誰にも指摘されなかったのが不思議。 P96 「冒険男爵ドン」のゲーム内容に関する具体的な記述がまったく抜けてますが、横スクロールのシューティングです。これは原稿を削りすぎたのね。 P170 「香港1997」のタイトル名は、正式には「香港97」ですね。これ、作ったのはクーロン黒沢さんなんですが、「レビュー書いてるんで本贈ります」と言っていまだに送ってません。ごめんなさい。 P196 多分ダレも突っ込まないとおもいますが、スパイクの耳を描き忘れました。 P200 「虎殺狂介」の読みは正しくは「こさつきょうすけ」です。ルビ振り忘れて「と」の欄に入ってしまってます。 P202 「スターソルジャー」のパッケージでカッコつけてる包帯男ですが、実は彼こそがスターソルジャーではないかという情報が、そういえば自機の名前は「シーザー」だし。 ●「美食倶楽部バカゲー選科2」 (※)上に同じく、正しくは「バカゲー専科2」。 尚、書籍紹介コーナーの方でも「バカゲー選科」と誤字っている。勿論、1~3全部。 P184 テスタドゥーラは西葛西から神田の交通博物館そばに移転しました。秋葉圏でまともなイタリアンが食えるわけで、結構いいかも。 P186 奥山さんが「ヒカル~」とうわごとを叫んでいますが、実は「ヒカ碁」での奥山さんのお気に入りはヒカルではないと津田さんより。じゃあ誰なのかとは怖いから聞いてませんが。 ●「謎のゲーム魔境」 P95 「スペーススパルタン」の画面写真が「ホースレース」のものと入れ替わっています。 P120 光速船のソフト総数ですが、ジョン・ドンジラがまた数を増やして、わけがわからなくなっています。くわしくは、http //www.classicgamecreations.com/までどうぞ。 P160 暴露まんが「がっぷ君」で、本人談によると、コウモリの格好でコウモリ型ソリに乗っていたのは「コウモリ団」というビデオを作ろうと思っていたからだそうで、決して無意味な行動ではなかったとのこと。なんでそんなビデオを作ろうと思うのかやっぱり意味不明だと思うんですが。 ●「謎のゲーム魔境2」 P44 X68000版の「スターウォーズ」をアタリ版の移殖と取れる書き方をしてしまいましたが、これはネタ元と、ワイヤーフレームなところ以外は別物です。 P59 なんと原稿が半ページ分まるまる抜けています。見開きでいきなり火山が噴火してびっくりしたと思いますが、こういうイントロが最初に入るはずだったのです。以下引用しますので、お持ちの方は補完して読んでみてください 魔の木曜日 1929年(昭和4年)10月24日、木曜日のこの日、アメリカ、ウォール街の証券取引所は重苦しい雰囲気に包まれていた。 それまで順調に伸びつづけていた株価が、突如暴落し始めたのだ。 原因は誰にもわからなかった。 ただ、その時人々を覆っていた漠然とした不安、すなわち、自分たちが先日買ってしまったアタリの「E.T.」が面白くないのは、プレイしている自分が悪いのではなくて、実はゲーム自体がすげえつまんないからではないか、ということに思い至ったとき、誰からとも知れずこんな叫び声が上がったのだ。 「アタリだ!アタリのせいに違いない!」 「そうだ!アタリをやっつけろ!」 暴徒と化した群集は口々にアタリを罵り、街に放火して強盗や殺人を始めた。 (以下見開きページに続く) P132 ウェールズ在住の天才プログラマー、ジェフ・ミンターの個人ホームページは閉鎖されたっぽいです。しかし彼の個人会社(多分)「ラマソフト」では、最近も「GRIDRUNNER++」という相変わらずな偶蹄目テイストのゲームを出したりしてますので、よかったら覗いて見てね。 http //www.llamasoft.co.uk/ P151 この当時NUONデッキを所有していませんでしたが、その後アタリ団のみなさんの温かいお心遣いで無事N501を入手できました。(ある日突然に家まで送ってきた)ありがとうございます。 P200 飯田慶太さんによると、このアタリソフトリストは資料的にちょっと古いそうです。でも全部集めるのって至難のワザなんだよおおおおお。 おまけ 誤記とは違いますが、本当にアタリが復活しちゃいました。 ただし、思ったとおり、アンフォグラム(フランス風に呼んでます)がブランド効果だけを狙って「アタリ」の名前だけを使っているようで、あんまり興味ないかもな感じです。 とりあえず「斑鳩」のGC版がなぜかアタリブランドになるそうなので、そこだけ注目してます。 なぜか「東亜プラン」から出た「武者アレスタ」程度のインパクトはあるかと。 ●「謎のゲーム魔境3」 はじめに この本、ページ数も多く資料的にも一番大変だったので、その分間違いも多く、いろいろツッコまれました。チェックもほとんど自分ひとりでやらねばならず、大変だったのにシクシク。 P8 主な登場人物で、北根編集長のところになぜか別の写真が入っています。これは本文の通り「片岡ビル・ゲイツ」ですのでお間違えなきよう。 P11 MSXのVDPについて、ずっと「V9918」と表記してましたが、これは「TMS9918」が正しいようです。どうも「V9938」「V9958」などとごっちゃにして記憶してたようですね。なんかものすげえツッコミを受けました。 P14 PC-8001の登場年が間違ってます。1979年ですね。1982年だと9801のほうです。 P41 「一寸法師のどんなもんだい」と「描きくけコン」の画面写真が入れ替わっています。 P81 「ハイドライド3」が45点とは何事だ!と言われましたが、そんなこと言われたってさー P83 「アレスタ」の彼女は死んでないと言われましたが、知ってるよ!そこは笑うところなんだよ! P105 写真のキャプションがF1IIとになってますが、これはもちろんA1です、ここは本来写真が二点載るはずでしたので、キャプションがすれたんだと思います。 P119 「アシュギーネ伝説の聖戦士」の主人公は「ラルフ」でなく「ライル」でした。ラルフだと昔懐かしいグラフィックツールですね。 P121 「吉田建設」の説明がわかりづらかったようです。「MSX2+に標準搭載された縦横スクロールに、新たに対応したアッパーバージョン」と書き直します。 P123 MUSICAの画面写真が、同ソフトが収録されていたMSXディスク通信のタイトル画面になってしまってます。 P135 「MSX応援団」についての記事で、文章の最後が書き換えられています。本当は 「実はこの雑誌を編集していたのは、この本の発行元であるマイクロハウス出版局で、じゃあバックナンバーとか、当時の資料でもなんか残ってないかと聞いてみたらこれがまったく、いやホント、カケラも残ってないそうで、つくづくいい会社だなマイクロハウス。この本もきっとカケラも残してくれないぞ。」 だったんだけど、太字部分を津田さんがこっそり書き直したのね。チキン! P137 ターボRハード紹介の最下段がなぜか「CF-2200」となってますが、みての通り「FS-A1ST」の間違いです。たしかゲラの段階では間違ってなかったと思うんだけど、なんでこんな誤植になったのか不明。下の穴埋め写真はSTカタログの周辺機器ですが、なんかキャプションが残ってます。これも気にしないでね。 P156 「スペースマンボウ」のオープニングで、やられる宇宙艦隊は、マンボウ本人にやられているわけではないそうです。説明書読んではじめて知りました。 P179 「コナミ80sウルトラパック」の紹介で、「一部で中身はエミュレート」とありますが、普通に「中身はエミュレート」です。 P184 MSX TURBO-Rの説明で、一行分抜けています。正しくは、 TurboRとは、ガンダムで言うと「足なんか飾りですよ」と言われて上半身だけ出撃したジオングみたいなものでしょうか。 しかもパイロットがシャアじゃなくて学徒動員兵。 二秒でアムロに撃墜されるのは火を見るより明らかな存在でありました。 シャアが乗っていればガンダムと互角だからね。 P239 ソフトリストはやっぱり完全なものはなかなか存在しないようで、これもいろいろ言われております。つーか、そんなに言うならだれかまとめて下さい! その他 なんで「ソーサリアン」に触れないんだ!と言われましたが、あんまり私が好きじゃなかったからです。ごめんなさい。
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ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 「Wiki」創設者のPC 競売に - auone.jp ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 真女神転生5攻略Wiki|メガテン5 - AppMedia(アップメディア) アイプラ攻略Wiki|アイドリープライド - AppMedia(アップメディア) ポケモンBDSP(ダイパリメイク)攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 【テイルズオブルミナリア】リセマラ当たりランキング - TOルミナリア攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) Among Us攻略Wiki【アマングアス・アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】チャンピオンズミーティングの攻略まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】フジキセキの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【シャーマンキング】リセマラ当たりランキング【ふんばりクロニクル】 - ふんクロ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) サモンズボード攻略wiki - GameWith 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】サーナイトの評価と性能詳細【UNITE】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウインドボーイズ】リセマラ当たりランキング(最新版) - ウインドボーイズ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ”(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? 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https://w.atwiki.jp/tez_okano/pages/65.html
http //g-bri.com/modules/news/?p=4774 page=2 (観覧不可、web魚拓で観覧可能) 続いての質問は、「先生ご自身が一番思い出に残っている、好きだったゲームは何か?」ということ。 ゾ そうですね、結構中に描いちゃったので、描いてないもので挙げてゆくと『マーカム』っていうサン電子のがすごく好きでしてね。ボタンを押してる間は降下して、離すと水平に飛んでくミサイル、あれがカッコいいのよ。(現実の)世の中にそんなミサイルないんだけどね。 編 『グラディウスIV』のミサイル(6番装備)みたいですね。 ゾ こっちのほうが早いんだよ!(笑)『マーカム』は当時にしては珍しくメロディが長かったの。ゲームサウンドの。普通はせいぜい4小節とか8小節ぐらいだけどあれは延々やってたのね。もちろんアカデミックな人が書いたわけじゃないから、どこかで破綻してる音楽なんだけど、すごくカッコ良くって。あんまり盛り上がってなかったけど、個人的にはとても大好きなゲームです。『4Dウォリアーズ』と『マーカム』は速攻で基板買って。でも遊ぶかっていうと遊ばないんだけどな(笑)。何であんなにミサイルが気持ち良かったかっていうと、狙って当てるっていうのは実は楽しいけどやるのは大変なんですよ。『マーカム』の場合、実はY軸見てるだけなので、狙った気持ちになれるという。求められるスキルとリターンが割といいバランスにあるのね。 編 “操作してる感”ですね。 ゾ そうそう。基板買ったら15分で飽きたけどな(笑)。というわけで『マーカム』は割といいゲームだったかなと。 編 もう一つの『4Dウォリアーズ』は。 ゾ あれはいいよ! 卓球場になぜか『4Dウォリアーズ』が置いてあったんですよ。俺しかやってなかったんだけどね。もう帰れといわんばかりのチョイス。あれすごいんだよ、もう。客を呪ってるとしか思えないようなゲーム内容で(笑)。グラフィックといいサウンドといい、全体的に俺の大好きなグロテスクでドロドロとしてサイケデリックなのがいろいろ詰まってるのよ。それがあまりにも最高でね、周囲では俺しか遊んでなかったんだけれども、1ヵ月ぐらいで消えちゃって、後から一生懸命基板探したんですよ。当時ファミコンが流行ってた頃で、これも隠しステージとかこだわってるんですけれど、何がすごいって、たとえば『ゼルダの伝説』ならわかるじゃない、爆弾置いたら穴が開いて入れるとか。でも無茶苦茶よ『4Dウォリアーズ』は、地面からイソギンチャクが生えてくるから入りましょうとかそんなのばっかりで(笑)。説明も一切なし。うっかり入ったら死ぬ所まであったりしてね。何でそういうゲームが僕らの心を惹きつけたかというと、漫画とかアニメとかは、周囲に事前情報があったでしょ。こうやったらどうなるっていうのがある程度分かっていて。でもゲームはとにかくオリジナルで、俺たちが体験しないと分からなかった。そういった意味で特に参加人数が少なかった『4Dウォリアーズ』は最高。気持ち悪いボスキャラが出るでしょう。あの時のアイテムを99まで集めて倒すとものすごい点行くよ。プレイヤー人口少ないからハイスコアにあんまり意味ないんだけどね(笑)。あれはいいゲームだと思います。 編 思わぬ攻略法も聞けましたね。 ゾ 先に言っとくけど、つまんないです(笑)。 体験ゲームはアーケード中心だったかというと、決してそんなことはない、とゾルゲ氏。 ゾ うちのママは賢くてですね、こいつがゲームやった瞬間に全てが崩壊するだろうなと見抜いて、ファミコンを買ってくれなかったんですよ。当時ですね、ブルーチップってあるでしょう。貯めるといろいろ交換してくれるやつ。あれを貯めてたわけですよ。何冊か貯めるとファミコンがもらえたんだね。で、一生懸命貯めたのよ。「そろそろファミコン!」と思って家に帰ると、見たことのない地球儀と真新しい鍋が置いてあってね(笑)。「ちょっとお母さん、この鍋と地球儀は……」みたいな。その時ファミコンは手に入らなかったんだけど、そのおかげであまり人生誤らずに済んだというありがたい教訓のお話でございます。 編 でものちにファミコンは手に入れるんですよね。 ゾ そうです。おかげで留年しました。ほかにもいろいろありましたけど(笑)。 編 ではファミコンの中で一番好きなタイトルは? ゾ そうですね……。そうだね……。どれか一本と言われると『ドラクエII』になるのかもしれません。 編 『ドラクエII』、いいですね。 ゾ PC持ってなかったからね。(最初にやった)RPGは『ドラクエ』だったのね。ほんとに目から鱗が落ちた。何たって仮にネームエントリーで「ゾルゲ」って打ったら「おお ゾルゲよ!」って呼んでくれるじゃん、名前。そんなんないもん、オレの今までのゲーム人生で。何てことないんだけど、初めて見た人間はあれはビビるね。というか、あれでビビるぐらいのセンスだったのよ、当時のバガガキは。多分、俺はゲームっていうのは何がいいかっていうとインタラクティビティ、双方向性ね。あれが一番グッと来ると思ってるんだけども、それを個人的に一番端的に示してくれたのが『ドラクエ』の入れた名前を呼んでくれる、物語がそこにあって自分がその中に入れるというのをやってくれたことだと私は思います。 編 結構執筆作品の中ではアクション、シューティング系が多いので、RPGが好きだというのが意外なんですけれども。 ゾ 実は私RPGが大好きでして。 編 そうなんですか。他にもRPGで『ドラクエII』以外に面白いのがあれば。 ゾ 『ヘラクレスの栄光』でしょう! あれは最高です。「闘人魔境伝」だよ、全くわかんない(笑)。「闘人」って何? 戦士とか勇者とかはわかるよ、でも闘人って何する人だっていう。しかも「魔境」だよ。 編 腰巻ひとつですからね。主人公。 ゾ しかも(パッケージで、主人公の)横にホステスみたいなおばさんがしなだれかかっていて「こいつを助けろ」って言われても「全然助けたくないよこんなの」っていう(笑)。たとえば『ドラクエ』を岩波書店の「ゲド戦記」とするなら、『ヘラクレスの栄光』は、ひばりコミックスの「侵略ガニ」みたいなドロドロしたものを味わわせてくれたというか(笑)。 編 その頃からデータイーストがお好きなんですね。 ゾ そうです。ただ、データイーストは、流線堂のRootさんっていう本当の先駆者がいらっしゃって、その人の同人誌を読んで面白いと知ったってのがあります。それから糸がつながっていくんですが、世の中の面白いゲームや変なゲームは大体デコに集まってゆくという。最初駄菓子屋で見た『アストロファイター』っていうのは、敵を逃すと自機が段々上がってゆくっていう。最初はいいよ。逃すとドンドン上がっていって、ゲームにも何もならなくなっちゃうっていう(笑)。 と、データイーストについて語りだすと止まらなくなるゾルゲ氏。 ゾ ただデコについては、私はどっちかというと後追いなので、あれは流線堂のRootさんの功績がでかいと思います。 次の質問は、「8bit年代記」の登場人物はすべて実在か? ということ。 ゾ 大変微妙です。そのまま持って来たやつもいるし、2、3人混ぜくりかえしたやつもいるし、でも一応みんなフィクションということで。 編 登場人物の中で一番お気に入りのキャラっているんですか? ゾ ノリでしょう! 編 ノリというのは、バーモントカレー事件の。(第六回「ゼビウスの衝撃」) ゾ そうです。面白いやつでね、学校で調理実習ってあるでしょう、あれでカレーを作るんだけど、あいつはハナから作る気がないの(笑)。懐にバーモントカレー忍ばせておいて、ズルする気マンマンなのね。意味無いじゃん、そんなことやったってさ。先生怒るしさ、匂いでモロバレでさ(笑)。いや、こんなことで笑い転げてもしょうがないんだけどさ、ホントにあいつは最高だった。 編 ノリは実在の人物がモデルなんですね。 ゾ そうです。でも皆さんも中学校時代の友達って、一番バカで面白かったでしょ? たとえば今日ここで僕らが、そんなバカなことなんてもうしないからね。若い頃のバカセンスって本当に大事だと思う。 編 主人公の「ぼく」というのは、やっぱり先生がモデルということでいいでしょうか? ゾ 最初は考えたんだよ、こういう漫画で野郎が主人公って、それだけでダメじゃん。だから萌え萌えの女の子にしようかなと思ったんですよ。でもこれまで8年ぐらいの間、萌え萌えの女の子を描いてきても、いっぺんも受けた試しがなかったので、多分やっても無駄だろうという気がしてきて(笑)。そうこうしてるうちに締切も迫ってきて、しょうがないかなと。一人称が「ぼく」とヒネリも何にもないのは、割と時間切れでしょうがなかったというのがあります。 編 でも逆に無個性だからこそ、読者さんが感情移入しやすい、重ねやすいっていうのはあると思うんですよね。 ゾ でもあれ描いてるうちに、主人公キャラだからというかひいきの引き倒しで、実物より5倍増ぐらいに美少年に描いたりして、かえって良くなかったかなと思うこともあるんですけども、本当はもっとキャラとして練り上げるべきだったと思います。当時の80年代のクソガキ像を抽出して面白く作ったような。 また「ピコピコ少年」の話に戻るんですけど、多分あの主人公がベストだと思う。ああいうようなやつを設定できていれば、もっと面白くなったと思う。 編 では今後の「8bit年代記」ですけれども、今ちょうど連載のほうでは主人公が大学に進学したところで終わってると思うんですが、今後大学編ということでどのような展開があるでしょうか。 ゾ 端的に言いますと、ファミコンにハマってダブります。これが大まかなストーリーですね。あとこれまでは、読者の年齢層から見ると古すぎる話だったんですけれども、ファミコンが出てきて、PCエンジンが出てきて、メガドライブが出てグッときて、更にスーファミが……っていう一番面白かった頃ですね。あの頃の話を中心に描けたらいいなと思います。ただファミコンに来るまでに3年もかかったので、そこまで行くかしらというのはあるんですけど。 編 これが週刊連載だったらもっと進んでますね。 ゾ これが週刊連載だったらヒロインとか出てくるよな。恋とかあるよな。どっちが面白いゲームをするか勝負だ、みたいなとかさ。でも絶対我慢しきれなくて発狂漫画になってる(笑)。 編 発狂漫画といえば、「8bit年代記」が始まる前の「忍者芸夢済度」の一話はひどいもんでした。 ゾ ひどいですね、あれ(笑)。自分で言うのもなんだけど、あれで原稿料もらうという根性がひどいね。 編 せっかく「ユーゲー」から「ゲームサイド」になったのに、社運をかけた新創刊というところでですね、あんな漫画をかましてくれるなんて。 ゾ どっちが悪いかといったら、多分俺が悪い。ごめんなさい。だけどね、面白いでしょ、あれ。俺多分ね、こんな真面目な漫画描いてるよりは、首切られるような漫画描いてるほうが一番輝いてるんじゃないかなと思うんだけど。 次ページでは、ゾルゲ先生が参加者からの質問答えます!
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『サンダーフォースⅥ』ディレクター株式会社セガ ゾルゲール哲 インタビュー 発売直前となった『サンダーフォースⅥ』! 今回はセガ社にてテストプレイをしながら、ディレクター のゾルゲール哲氏にお話を伺った。 Text=箭本進一 -お、メニュー画面の曲はおなじみの曲ですね。あれ?最初から全機の装備とクローが揃ってるんですけど? ゾ:今回は自機ごとに仕様が違うんですよ。 これまでの『サンダーフォース』はミスした際に使っていた装備が消えたので、好きな装備を思う存分に使えないジレンマがあったんです。なので『Ⅵ』では最初から全部装備が揃っててミスしても装備を失わない自機からスタートします。 一周クリアすると、ミスすると使っていた装備が消える従来の仕様の自機を使えます。親切版と正統版を選べるんです。そういう隠し機体が存在して難易度が5種、存在します。 各難易度でクリアするごとにオマケで設定資料が見れます。一番難しい自機でクリアすると、パイロットはアノ人?ということを暗示する資料もでてきますよ。 -『Ⅵ』はまさに「奇跡の復活」ですね ゾ:今、シューティングというのが商売になってないじゃないですか。だから企画を出しても通らない。 私もシューティングが好きなので、この現状を何とかしたい。そこで始めたのがシューティング復権がテーマの「プロジェクトSTG」です。現状シューティングは半分趣味みたいなつくりになってますが、ちゃんと商売にしたい。 「シューティングはマニアックな商品だけれどファンは確実にいるので、そのニーズをちゃんと掴めばいい」と。単発単発で出して爆死するんではなく、セガがシューティングを本気でやる、本気で面倒を見るよ、というところを示すことによってブランドができないかと。 『サンダーフォースⅥ』も「プロジェクトSTG」というビジョンがあればこそ発売できたという部分があります。 -いま、完全オリジナルのシューティングが少ないのは、なぜだと考えられますか? ゾ:誰も得をしないからでしょうね。売れないから、作っても損をする。 でも逆に、こういう業界で、わざわざ損を取りに行ってどうするんだという考えも強くあってですね。得が欲しければもっと官僚とか証券とか、そういう仕事を選べばいいわけで。 私の場合はゲーム業界に、商売として以上に、表現としての可能性を見たくて足を突っ込んでるわけです。青臭い話ですが、どうせなら自分にしかできないことがやりたい、という。最近はこういうことを言う人が少なくなったんですが、初期のナムコ作品なんかはそういう人ばっかりだったんじゃないですかね。俺はここで暴れたいんだ、みたいな。 今、ゲームは巨大な工業製品に近いものになってしまって一人で作れるものじゃないから、こういうことを言っててもロクな目にあわないんですが。ゲームというのは本来それくらいの可能性に満ちたメディアであったように思います。 同時に、自分が遊びたいゲームは自分で作らなければならないという考えもあってですね、『鉄腕アトム アトムハートの秘密』も『サンダーフォースⅥ』も、自分の理想のアクションや理想のシューティングを目指して作っているというのはあります。 うまくなってくれているかは、また別問題なんですけど。 -なぜ誰も得をしなくなったんでしょう。 ゾ:日本のゲームが縮小傾向にあるのとシューティングの縮小が重なったからでしょうね。 ぶっちゃけてしまうと、日本でゲームを作ること自体があまり得をすることではない。日本のゲームは日本人しかやらない。 一昔前のハリウッドで西部劇を撮ったり、今の少年誌で魔球マンガを描くようなものでしょうか -今回はゾルゲール氏にとって、ミニゲームを除くと初めてのシューティングのディレクションになりますね。 ゾ:シューティングを作るのはずっと夢でした。新人研修の時はサターンで縦スクロールシューティングを作ってました。没っちゃったんですけど。『ミクトラン』というアステカの死神から取ったタイトルで。 電子世界にマヤ文明みたいなのがある。主人公は電子の生け贄みたいなものにされかかって、それに対して反逆する。いいセンいってたと思うんだけど、作ってる途中で会社が正気に返っちゃって。シューティングなんか売れるわけないだろうと。 普通に考えればまあその通りで、シューティングは作るだけ損なんですけど、やはり男のロマンがそこにはある。『セガガガ』では開発末期に無理やりシューティングを作ってもらいましたしね。 -『サンダーフォース』を選んだ理由は? ゾ:セガハードのシューティングといえば『サンダーフォース』という思いがあったからです。 以前『セガガガ』に入れたおまけシューティングも『サンダーフォース』をモチーフにしたんですよ。 -『サンダーフォース』というタイトルには個人的にも思い入れがある? ゾ:そりゃそうですよ。家庭用発のタイトルでここまで地位を築いたものはないんじゃないですかね。『グラディウス』や『ダライアス』なんかと並ぶブランドになっている。 -その一大ブランドである『サンダーフォース』の続編を作る上でのプレッシャーは? ゾ:ありまくり!もちろん私も思い入れがある上で作ってるんですが、皆さんそれぞれに思い入れがある。 シリーズが5作続いていると好きといってもいろいろな好きがあるわけですよ。『Ⅱ』が好きだとか、『Ⅲ』が好きだとか。で、続編を作る上で『Ⅴ』を取ると『Ⅳ』が好きな人が怒るんですよ。『Ⅳ』を取ると『Ⅲ』が好きな人が怒る。どうやっても人から叩かれるという。つらそうなプロジェクトだなぁと。今回は仕方ないので、全部混ぜてやれということになりました。 『Ⅴ』というのは私はケレン味のゲームだと思っています。演出重視、スカッと遊んでもらう。『Ⅲ』は家庭用ならではの面白いシューティングを作ろうという素直な作品。『Ⅳ』は豪華満漢全席ですね。シューティングであんなに面を突っ込んでどうするんだろうかというくらい、楽しませてくれる。『Ⅰ』~『Ⅳ』の路線と『Ⅴ』の路線を何とか併存させることで、シリーズの歴史というプレッシャーに対抗したいと。 -遊んでいて思うんですが、基本的に「死んで覚える」旧シリーズのプレイ感覚ですね。 ゾ:「死んで覚える」こと自体はどうかと思うんですが旧シリーズのプレイ感覚を感じてもらえるというのはありがたいですね。地形の陰にアイテムとか置いてみたり、懐かしい敵がいたりね……。 開発はシューティングで実績のある人が作ってますんで、プレイのフィーリングはちゃんと『サンダーフォース』していて、そこは裏切ってないと思います。 シューティングってシンプルでなければいかんと思うのですよ。画面を見たら2秒でルールがわかる。敵が出てきたら「あーはいはい、火とか吐くんでしょ」と。シューティングのお約束というのは全肯定すべきと思います。「水戸黄門」なみのお約束。今回の黄門はガチで関節技を決めます……みたいなのは別に見たくないでしょ?シューティングも同じですね。 コアな部分はとても私なんかには手を出せないくらいマニアックになっているので、そこはシューティングをわかっている制作スタッフにお任せして。『サンダーフォース』らしさですね。全何面でこんな道中があってこんなボスが出て……という部分を守っていただきたいと。そのかわり、そこを守っていただけたら後は何をしても構わない。 -その『サンダーフォース』らしさとは? ゾ:「家庭用主体である」ということと「演出重視である」ことでしょうね。 アーケードのシューティングには「3分たったら死んで下さい」という不文律があるんですが、『サンダーフォース』は家庭用ゲームなのでそれがない。家庭用のシューティングにも『ZANAC』みたいに「2時間遊んでてください」という路線もあるんですが、『サンダーフォース』はどちらかというと演出を重視していて難しいことはいわないというところじゃないでしょうか。 オーソドックスであるということも守るべき一線だと思います。一面ごとに色のバリエーションが違っていて、個性豊かなボスキャラがいて、最後に一番強いボスと戦うというのはシューティングのお約束なんじゃないかと。 『Ⅴ』も異端児に見えますけれど、作り手のセンスがすごく良くて、実はオーソドックスですよね。 -横スクロールシューティングの魅力はどういったところにあると考えられますか? ゾ:飛行機を横から見るというゲームは日本人にしか作れないんですよ。今、戦闘機のゲームを作るのであれば、主観か三人称にする。では、なぜ横から戦闘機を見たいかというと、格好いいから。日本人独自の不思議なロマンですね。 日本のシューティングは『インベーダー』から発展してきたんですが、素晴らしいことに極簡単なルールとなっている。「あなたのX、Y軸は画面のX、Y軸です。ボタンを押したら弾が出ます」と。横スクロールシューティングはこれが90度横になっているわけで、本来ならばあまり長持ちはしないジャンルなんですが、横スクロールシューティングは絵巻物の文化ではないかと思います。世界を俯瞰したいというよりは眺望したいという。 縦スクロールシューティングだと、鳥瞰図になってしまうので風景をあまり描けない。横シューティングだと世界を描ける。大抵の横スクロールシューティングは宇宙とかSFとか厨二病全開の世界が広がってますが、その辺りも日本人の心を掴むのではないかと。 今回の『Ⅵ』もバッチリ宇宙でSFになってますよ。 -ボスの出現時に不思議な文字とボイスが出ますね……これは何語なんですか? ゾ:11世紀くらいに中央アジアで使われていた西夏(せいか)語です。つい最近まで解読されてなかった文字です。今は言語としては死滅して、話している人もいないので、表記や発音なんかも複数の大学の先生に訳をお願いして、話している人もいないので、ボイス素材なども半分ほど喋っていただいてます。あと半分は「プロジェクトSTG」のイメージソングを唄っていただいているBETTAFLASHのCyuaさんです。 『サンダーフォース』をSFとして再構築したいというところがあったというのが動機です。『サンダーフォース』のボイスは基本的に英語ですが、『Ⅰ』~『Ⅳ』までは銀河連邦というところが舞台ですし、『Ⅴ』は地球のお話になってます。銀河連邦の言葉がゲームの上でローカライズされて英語になっていると考えるのであれば問題ないんですが、今回は銀河連邦と地球が出会わなければならない。 SF好きの人であれば気になるはずなんですが、異星文明の衝突にはそこに必ずギャップがなければならない。ギャップがないというのは、文明というもののありようについてリスペクトに欠けることになる。二つの異星文明のファーストコンタクトがあるとしたら、そこで銀河連邦の人は何語を喋ってるんだ……と。 ここでありがちなのは、何らかの人工言語をその場で作ってしまうこと。でも、それだと大抵アルファベットをちょっともじった表意文字とかの、急ごしらえで薄いものになってしまいやすい。『サンダーフォース』の銀河連邦の世界は、そういう安っぽい世界じゃないぞと。異世界の人が異世界の言語を喋っているのであれば、言語体系とか文字体系とかが、ちゃんと我々のものから遠い存在として、しかも裏づけのあるものとして成立していないと失礼だと。 だから、文字体系も文法も、我々の言葉からできるだけ遠い、しかも実在した言葉からもってきてます。この場合『Ⅰ』~『Ⅴ』は我々がプレイするにあたり英語にローカライズされてたんだという解釈です。だから劇中に出てくる文字やボイスはデタラメでなく、すべて言語としてちゃんと意味が通るものになっています。 また、オーン帝国(オーン・ファウスト)側の言語も登場しますが、これはモンゴル語です。ボス登場時などはウイグル文字、「オーン」というエンブレムの表記は、元時代のパスパ文字で表記しています。西夏王国というのはモンゴルの元帝国に滅ぼされたんですよ。その辺りの事情なんかも反映させてみました。偶然の一致かもしれませんが「オーン」というのはマントラでもよく使われる言葉ですしね。これも在日モンゴル人を代表するような、かなり偉いモンゴル語の先生にお願いして喋って貰ってます。まさにジンギスカンのような重厚な語り口が、いかにもオーンにふさわしいと思いますね。音声収録のときはスタジオの人が目を白黒させていました。 『サンダーフォース』は伝統と革新を併せ持つシリーズなので、『Ⅵ』でも皆さんをあっと言わせるところを盛り込まなくちゃいけないと思い、あえてやってみた部分ですが、ただ、トータルとしてはあくまで『サンダーフォース』の世界観を尊重して崩さないよう注意してますので、あまりこの文字にばかり気を懸けてご心配なさらずに、といったところでしょうか。 -(ゲームがステージ5に入る)あ、このBGMの曲調は……古川さんの曲では? ゾ:古川さんの楽曲で私が好きなのは『グラディウスⅡ』と『A-JAX』なので、オーケストラヒットをギャンギャン効かせた熱くて燃えるシューティング曲をお願いしました。 ボス曲をやって下さってるのが『雷電』の佐藤さんなんですけれど、これがまたいい曲で。TAMAYOさんにも一度お仕事をお願いしたかったというところがありまして。 『サンダーフォース』の革新の伝統を継ぐために、従来の曲調とは少し変わったものになってます。 -オーバーウェポンが重ね打ちできるんですね ゾ:今回の大きな特徴の一つですね。うまく使えばボスなんかも瞬殺できる。うまくなれば一周あたり30分以内とかでクリアできちゃう。会社から家に帰ってきて、ソフトをPS2に入れて、好きな難易度で遊んで、あー楽しかった、さあ寝よう!みたいな感じで。 最初にお金を払っていただいてるんですから、どう楽しんで貰おうと自由です。難しいのが好きな人はHARDとかにして下さい。邪道と言われるかもですが私はこのゲームを遊ぶ時は難易度を一番低くして残機を9とかにしたいですね。ヌルい難易度でバカスカ倒して、格好いい雰囲気を味わいたいんです。殺されるような思いはしたくても、本当に殺されたくない -『サンダーフォースⅥ』のキーワードは何でしょう。 ゾ:「伝説復活」というところを言わないといけないでしょうね。プレイ感覚としては「スカッと爽やか爽快系」で「演出系」。 難しいことは言わないから楽しんで下さいと。アーケードっぽくてちゃんと面白いというのが『サンダーフォース』として大事なところです。 -「プロジェクトSTG」の勝算は? ゾ:なくはないと思いますが、皆さんのご協力にかかっています。 シューティングが大好きな人はいるし、無くなると困る。だけど商売にならないのは団結して動くということが無かったからじゃないかと。僕たちはシューティングが好きで出れば買いますということがわかれば企業は動きます。私の力では足りないかも知れませんができるだけのことはやってるんで、良かったら買ってね。 おまけインタビュー(QRコードで読み込む携帯ページより) -今まで遊んだ横スクロールシューティングのベスト3を挙げるとしたら、どのタイトルです? ゾ:ファミコン版『グラディウスⅡ』、『サンダーフォースⅣ』、『ダライアス』ですね。いい意味でのヌルさみたいなのは大事だと思うんですよ。いいからクリアさせろ、みたいな。 -では「プロジェクトSTG」で復活させたいタイトルなどありますか? ゾ:『ファンタジーゾーン』や『スペースハリアー』ですね。 実は水面下で色々な動きもあります。やっぱりシューティングがゲーム屋で売ってて欲しいじゃないですか。 個人的にはシューティングであれば、中身がどんなでも買いますよ。文化財保護だろうと。中身が生ディスクでも買ってるかも。
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Tez Okano s Dragon Ball Z VRVS, SGGG,Astro Boy Omega Force, Gunstar Super Heroes, Black Jack Hi no Tori Hen, Miyazato San Kyoudai Naizou Sega Golf Club, Thunder Force VI, director of the game. But for those shallow bottom, and a rise in criticism. This shit Sega employee "Tez Okano" is posted to the wiki page in Japanese.
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第9回 下丸子 その夜、ハルカは悪夢に悩まされた。 それがまた青青魚魚による攻撃なのか、それとも、恐怖に怯える自分の心が見た幻なのかはわからない。 青青魚魚の、うつろなあの「目」と、「イエローおばさん」の、不幸に破壊されつくした皺だらけの顔が、頭から離れなかった。 目が覚めたとき、それが普通に木曜日の朝であることに、ハルカは心底ほっとした。 今日も憎らしいほどにいい天気だ。 ベッドの中で天井を凝視しながら、ハルカは考えを固めた。 「イエローおばさん」は、だめだ。残された手がかりは、別れたときの状況しかない。 少年が走り去っていった方向と、分かれた時の「500」を思い出した。 多摩川大橋からガス橋方向に、自転車で500数える以内でたどり着ける範囲。そこに彼の住処があるはずなのだ。漠然と世田谷方面とだけ考えていたが、その条件に当てはまる地域はどこだろう。 あの自転車は、かなりのスピードが出るようだった。残像に乗ることによる加速もあったろうが、メギ曜日の中にあっても、とばせば時速30キロは出るだろう。 「500」をざっくり10分弱と考えると、その間に、ざっと5キロ。 以前に酒屋のくれた、広告入りの蒲田周辺地図を取り出し、ハルカは多摩川大橋のたもと、東京側を中心に、コンパスでその半径の円を描いた。 これではまだ面積的に広いが、さらに範囲を絞り込めるはずだ。 円内の東側の約半分、多摩川大橋から下流の範囲は、確実に無視できる。 少年があえてガス橋を目指した以上、その住居も上流方向にあるはずだからだ。 南半分、川崎側も無視できるはずだ。少年とハルカが出会ったとき、すでにメギ曜日は終わりかけていた。彼が帰宅の途中でハルカを発見したであろうことは間違いないだろう。 これで円の四分の三が消える。 残されたのは、北西方向の四分の一、やはり大田区の下丸子、矢口、南久が原といったあたりだ。面積にして、ほぼ2キロ四方。少年の自転車がさらに速いと、世田谷区にまで達している可能性もあったが、残り四日間で調べられるのは、せいぜいこの程度だろう。 間が悪いことに土曜までは夏期講習だ。丸一日使えるのは日曜しかない。 できれば、講習をサボってでも探しに行きたいところだが、いまや両親はあきらかにハルカの行動を不審がり、目を光らせている。バレて外出禁止にでもなったら万事休すだ。 ここは表面上だけでも、おとなしく見せておく必要があった。 後は時間の許す限り、この地域をしらみ潰しに調べてみるしかない。 ハルカは講習が終わると、そのまま自転車でダッシュして、ガス橋に向かった。 今日も門限まではせいぜい一時間半しかない。下丸子方面を回れればいいところだ。 調べてすぐにわかったことに、この地域は「キヤノン」の本社をはじめとして、「三菱自工」や「日本精工」など、オフィスや工場が固まっており、住宅地の割合はわりと少ない。歩き回る範囲がさらに狭まったのは幸運といえた。 もうひとつわかったことは、こうした聞き込みが、刑事ドラマのようにうまくいくものでは全くない、ということだ。 一応ノートなどを抱え、学校の課題風を装ってはいたが、「黄色い自転車に乗った男の子を見かけませんか?」などという質問はいかにも怪しかった。街の住人の対応はそっけなく、せいぜいまた「イエローおばさん」の話を繰り返されるだけだ。期待していた近所の小中学生などは、誰も 「知らねー」 の一点張りだ。 思い詰めたような目つきをして、頬に大きな湿布を貼った中学生に、道端で突然こんな質問をされたら、自分だって相手にするとは思えない。 一時間半はあっという間だった。ひょっとして、また通りかかるのではないかとガス 橋のたもとで、20分ほど待ってみたが、これも無駄だ。 虫の声がかすかに響く、夕闇の多摩川土手を、ハルカは空しく引き返した。 あと三日。 金曜日は、ほとんど調査にならなかった。六時から家族で外食だったからだ。 別に特別な何かがある日ではなかったが、思うに娘の様子がよほど心配なのだろう。 やたらと優しい両親が、むしろ気の毒でならなかったが、やはり気が焦って仕方がなかった。 だがこの日、講習の間にも聞き込みを続けていたハルカは、調査とは直接関係しないものの、興味深い話を聞くことができた。 蓮沼中学の男子によると、「イエローおばさん」のような話は、大井町に限らず、実は日本中によくあるものだという。 「ピンクおばさん」「青おばさん」など、噂も半ば入り混じって、様々なバリエーションが存在するのだと教えてくれた。彼は言った。 「半分はただの変わった趣味だと思うけどね。林家ペーとか。でも残りの、言ってみると本気の人たちは、たぶん色によって、何かから身を守っているつもりなんじゃないかと思うな」 そうとも。ハルカは思った。 本当に守っていた人がいたに違いない。そして守りきれなかったのだ。日本中で。 ハルカは、その可能性にぞっとした。 自分も、あるいはそうなる。こんな話はよくあるのかもしれない。 あと二日。 カナタとフトシ 土曜日になった。 ようやく頬の湿布を取ることができ、体の調子も回復してきたが、気分は晴れるどころか、ますます鬱々として、焦りばかりがつのっていた。 今日明日で見つけられなければ最後だ。 しかしどうしたらいいのだろう。「イエローおばさん」の線が消え、聞き込みによる調査も、ほとんど効果がないことはもう明らかだった。 一つ方法として、エビの類を一切口にせず、日曜から月曜まで、完全に眠ってしまえば、メギ曜日に目覚めることなく済むのでは、と思ったのだが、火曜日のことを思うと、青青魚魚にその手が通用するか、自信はなかった。 最終日の講習が終わると、ハルカはあてどなく自転車を走らせていた。時間は一秒でも惜しいのに、あの少年を探し出す元気が起こらなかった。 (どうせ無駄だ) (うまくいきっこない) (しかしどうしたら) 答えの出ない問いを、頭の中で果てしなく繰り返した。 六時すぎになって、ハルカはいつしか自転車を学校に向けていた、 空は早くも見事な黄金色の夕焼けだ。雲の流れが速い。また雨が降るのかもしれない。 校門の方に顔を戻して、ハルカはぽかんと口を開けた。 あの少年が立っていた。 見間違えるはずのない、あの顔だ。 この辺りではあまり見かけない、藍色の制服に身を包んでいた。確かちょっと有名な私立校ではなかったろうか。襟に銀色で「I」とあった。 それは裕福そうで、賢そうで、そして少し悲しそうな目をした少年だった。 「遅かったな。もう帰ろうかと思った」 呆然としているハルカに、一歩進みだして少年が言った。 「五日間待った。フトシがどうしてもって言わなきゃ、とっくにやめてる。感謝しろよな」 その傍らから別の声がした。 「でもやっぱりきた! やっぱりだ!」 見ると、少年の影にもう一人子供がいた。丸々太った坊主頭の小学生だ。 「どうして」 ここが、と言おうとして先を続けられなかった。あれだけ探した相手を見つけられた安堵よりも、驚愕の方が強かった。 「この前」 少年は、例によってぶっきらぼうな口調で話した。 「家を聞いたとき、東矢口と言ったろう。 東矢口には、中学は二つしかない。第一と第二。 第一の方が、多摩川大橋から遠い。学区は住所で決まってるから、おまえが第一の生徒なら、あれから500で家に帰れない。もう死ぬか、狂ってるはずだ。 ひょっとしたら私立の生徒かもしれないし、オレはもうムダだと思ったけど、フトシがうるさいから、ここで月曜から待ってみた」 「でもやっぱりきた! やっぱりだ!」 うれしそうに坊主頭が繰り返した。してみると、この子がフトシなのだろう。 考えてみれば、しごく単純明快な推理だった。だが今は夏休みだ。来るかどうかも定かではないハルカを、ここで5日も待ってくれていたのかと思うと、思わず胸に熱いものがこみ上げた。 だが、涙ぐむハルカを、少年の次の一言が我に返らせた。 「週末は雨だ。アオウオが来る」 ハルカは震えながらうなずいた。 「もう来たの、火曜日の夜。家の中まで入ってきた」 少年は少し驚いた様子だった。 「食われなかったのか」 「体が動かなかったから」 ようやく合点がいったという風だ。 「ケド第二曜日か。素人で良かったな。普通に第一曜日だったら食われてた」 声に少しだけ嘲りがあった。 こんなものに素人も玄人もあるというのか! ハルカは思わずむっとした。 口も挟ませず、少年はぴしゃりと言い放った。 「いいか、もう時間がない。良く聞け。 週末は雨だ。あいつがまた川から上がってくる。 あいつは、目をつけた相手を引きずり寄せることができる。徹夜したり、睡眠薬とかでやり過ごそうとしても無駄だ」 火曜日のことをまざまざと思い出した。 「メギ曜日、目が覚めてまだ無事だったら、サンライズカマタまで来い。走って。つかまる前に」 「駅前の?」 サンライズカマタは、JR蒲田駅前にある商店街だ。いきなり出てきた妙な名前に、ハルカは呆気にとられた。 「そうだ。それと、先週着てた服を必ず持って来い。袋かなんかに入れて」 少年の言葉はいちいち突拍子もなかった。 「服を? なんで」 「このまま食われたくなかったら言う通りにしろ。 いいか、先週着ていた服を持って、サンライズカマタまで来い。じゃあな!」 「でもくるよ! この人はキクコだ! きっとくるよ!」 坊主頭のフトシが、合いの手を入れて歌うように言った。 言うだけ言って、二人はさっさと立ち去ろうとする。 「ちょっと!」 ハルカは急に不安になって駆け寄った。 少年は止まりもしない。ハルカは早足でなんとか少年に追いすがりながら言った。並んでみるとハルカより少し背が低い。 「また会ってくれる?明日とか?」 「ダメだ。本当はこっちもそれどころじゃないんだ。おまえのせいですっかり時間を食った」 「でもくるよ! この人はキクコだ! きっとくるよ!」 かたわらのフトシがうれしそうに繰り返す。誰がキクコだと思った。 どうにも能天気すぎるその顔を見つつ、このフトシは少し頭が弱いのではないかと思った。 「自転車はどうしたの。あの黄色い」 「何にも知らないやつだな。普段乗ってたら溶けるだろ?」 残像のことを言っているのだろうか。言われてみれば確かにその通りだ。残像にしない方法が何かあるらしいことのほうが、むしろ不思議なのだが。 「ねえ、君、名前は?」 「カナタ」 ちょっと考えるようにして少年はそれだけ答えると、そのままハルカを振り切るように突然駆け出した。 足が速い。何かスポーツでもやっているのだろうか。フトシが必死でその後を追う。弾む肉団子のように見えた。 二人はみるみる遠ざかって、夕闇の中に消えていった。 カナタにフトシ。どんな字を書くのだろう。名字は何と言うのだろう。 やっぱり謎だらけの相手だ。しかし、やはり彼らだけが頼りの綱なのだ。 明日はもう日曜日だった。 そして日曜日 ついに日曜日が来た。 ハルカは早々に起き出すと、朝食をかきこんで家を飛び出した。 サンライズカマタだ。 いったいなぜあんな場所が、青青魚魚を迎え撃つための場所なのだろう。それを確かめるためだった。 自転車のペダルを漕ぎながら、ハルカは体の調子を確かめた。成長期のおかげだろう、怪我も疲労も、一週間のうちにすっかり治まって、気力体力はともに十分だった。 雲が低い。空は一面にどんよりと曇って、蒸し暑い一日になりそうだった。天気予報は、やはり夕方から雨だ。蒲田の街をのんびりと走る東急池上線の踏切を越え、道順を確かめるように、ハルカは蒲田駅前を目指した。 サンライズカマタは、その名の通りJR蒲田駅前の商店街だ。ハルカの家からは、多摩川同様に自転車で10分とかからない。 100円ショップに洋服のサカゼン。家具の亀屋百貨店にイトーヨーカドー。日本中どこにでもある駅前のアーケードだ。 全長は約800メートル。東急目黒線、池上線に平行し、終日買い物客で賑わっている。 家からは、その出口、池上方向から近づくことになる。ハルカは出口に建ったイトーヨーカ堂の前で自転車を止め、アーケードの屋根を見上げた。 「サンライズカマタ」 野暮ったい字体で、黄色く書かれたロゴマークが浮き出している。ロゴの下にあるのは、二匹の向かい合った鳳凰らしいが、図案がどうにも下手で、みすぼらしく見えた。 羽毛の部分をめくれ上がらせて、電飾で隙間から光るようにしてあるのだが、それがよけいにまずかった。これも黄色だ。 ひょっとして、この黄色を利用するのかもしれない。しかしそれにしては、黄色の部分が足りないように思えた。これならシミズ電気の方がましだ。ハルカはますますわからなくなって、自転車を押してアーケードの中に入った。 まだ昼前だったが、早くも週末の買い物客で、かなりの賑わいを見せている。これではメギ曜日にはかなり残像が濃くなりそうだ。 たいていはどこもそうだが、アーケード内はトンネルのような完全な密閉型でなく、途中三箇所ほど、横道に通じる部分の穴が空いている。途中で屈曲しているため、全体を一望こそできないものの、サンライズカマタ自体は5分も歩けば終わりだ。 拍子抜けした。 退避壕のつもりなのかもしれないが、それにしては穴だらけのように見えた。 例の黄色い鳳凰が描いてあるのは出口だけで、入り口の方は、太陽を模したらしい趣味の悪いオブジェで飾られているが、これは赤に紫だ。 これではどこからでも侵入を許してしまうように見えてならなかった。 ひょっとして、昨日別れたカナタやフトシの姿が、どこかに見えないかと思ったが、それも見当たらない。時間がないと言っていたが、いったいどこで、何をしているのだろうか。 ハルカは、カナタの意図を図りかねながらも、今夜に備え、もう一度アーケードを往復して、地形を頭に叩き込んだ。 近くの銀行で、貯金を5000円引き出した。今日の夜に備えて、買出しをする必要があった。ユザワヤで雲母粉10袋、1600円を買った。前回の教訓から、多めに用意しておいたほうがいいと判ったからだ。 100円ショップで、パスポートケースも買った。ビニール製で、首から下げるヒモがついている。この中に予備の雲母粉を入れるつもりだった。 玄関の靴は残像になっても、パジャマやタオルケットは残像にならない。その理屈はよくわからないが、自分の体に近いものほど残像化の影響を受けないのではないかとハルカは推測していた。これでうまくいけば、ある程度の物は持ち出せる。カナタが言っていたように、先週着た服も。 釣具屋でオキアミも買った。前回の四倍、800円分。これを腹に収めることを想像すると、それだけで気分が悪くなってくるが、今日は絶対に不完全な覚醒をするわけにはいかない。 洋服のサカゼン本店で、新しいタンクトップと短パンも買った。これが1980円。 黄色いジャージの上下でもないかと探してみたのだが、そんな趣味の悪い色はなかなか在庫がないようだ。よく考えて見れば、ハルカにはカナタのような重装備で、メギ曜日をすばやく動き回れる自信がなかった。黄色い装備についてなにも言われなかったし、すると今夜重要なのは、おそらくハルカが商店街に駆け込むまでの時間なのだろう。それなら身軽な方がいい。 夕食はほとんど食べなかった。オキアミに備えるためだ。 あのオキアミは、もう料理のしようがない。熱を加えれば家中に臭いが広がるだろう。後で冷凍のまま、アイスキャンデーのようにかじるつもりだった。 こういう時に限って、おかずがハンバーグだったりするのが呪わしい。いつも通り風呂に入ると、寝る前に麦茶を飲みに来たフリをして、冷凍庫からオキアミの塊を取り出し、部屋に持ち帰った。 みっしりと凍りついた赤黒く四角い塊は、ちょっとだけアイスモナカのように見えなくもない。そう思い込んでなんとか齧りついたが、一口目から大後悔した。 ガチガチに硬い。歯が痛い。ほとんど何の味もしない氷の塊だ。だが溶け出せばジャリジャリとした歯ざわりが気持ち悪く、口の中いっぱいに生臭さが広がってくる。 せめて醤油でも持ってくればよかったかと一瞬思ったが、余計に事態が悪化するような気がしてやめた。これが四つもある。涙が出てきた。 だが、青青魚魚に食われるよりはマシだ。 死にそうになりながら全部のオキアミを腹に押し込み、服を脱いだ。 着替える前に、全身に雲母粉を塗りこんでおいた方がいいと思ったのだ。 先週買ったゴム手袋をはめ、 雲母粉の袋を次々に開封して、手足、顔、胸や腹、脇や腰と、たっぷりと全身に塗りこんでいった。その上から服を着てみると、あちこちがチクチクとくすぐったい。胸の先などは擦れて痛いくらいだ。 雲母粉の残りをパスポートケースに入れ、タンクトップの中にしまいこんだ。 先週の服を遠足用のデイパックに詰め込み、背中に背負った。これだと横寝しかできないが、どうせ寝ている暇はほとんどないだろう。バスタオル、両足の硬貨、すべての準備を抜かりなく整えると、時間はすでに1時を過ぎていた。 ハルカはベッドに横たわり、静かにそのときを待った。 オキアミのせいだろう。腹がゴロゴロと鳴った。 どこかで雨音が響き始め、しだいに強くなっていった。いちおう携帯のバイブは用意しておいたが、眠くもならない。無理やりに目を閉じて、少しでも体を休めようとした。 二時を過ぎ、三時を過ぎて、ハルカはいきなり覚醒した。 あの特有の感覚があった。 7月31.5日、メギ曜日だ。 いよいよ始まるのだ。 サンライズカマタの戦い(1) ゆっくり薄目を開けると、顔を動かさないように、そろそろと眼球だけ動かして周囲を見回した。 ひどく暗い。雨のせいだろうか、まるで海の底のような、深く暗い菫色の闇が部屋を満たしていた。 青青魚魚の気配はない。部屋は乾燥している。 すこしづつ、指先から腕、腕から肩、全身を動かした。金縛りもない。動く。 ハルカは、すばやくベッドから跳ね起きると、窓に忍び寄った。カーテンの隙間から多摩川の方向を見た。外はさらに深い闇だ。太陽も星も見えない。おそらく、日曜から月曜にかけては終日雨なのだ。数百メートルの先で、視界は急速に閉ざされていた。多摩川あたりは完全に闇の中だ。 まるで黒い霧が周囲を包んでいるかのようだった。あの「塔」も見えない。 流れる雲の残像なのだろうか、紫に染まった灰色の層が、あちこち濃淡の斑を作って、空のごく低い部分に沈殿しているように見えた。 ふと、闇の中で、かすかな光が、音もなく瞬いた。ハルカは、息を止めたまま闇の中を凝視した。 また光った。 間違いではない。 青い。 恐怖の記憶と結びつきながら、どこかひどく懐かしい青だ。ハルカはあわてて目をそらした。見ているとそのまま、あの青の奥に引き込まれそうな気がしたのだ。 遅れて音が届いた。 金属をこすり合わせるような、あの特徴的なカリカリという音だ。 青青魚魚が来る。急がなければ。 デイパックとパスポートケースが残像化していないことを確認し、部屋から出ようとして、ハルカは一瞬周囲を見渡した。 いつも通りの自分の部屋。見慣れた家具。教科書にノート、夏期講習のテキスト。しかし、今はメギ曜日だ。これから待っているのは、あの恐るべき怪物との戦いなのだ。 果たして、生きてまたここに戻ってこられるのか、想像もつかない。 ハルカは、ドアをそのまま透過して外に出た。もはや合板のドア程度は、空気も同然に感じられた。 「6・・・7・・・」 ハルカは数を数えていた。早すぎず、遅すぎず、だいたい一秒感覚とになるように。先週の教訓から、できるだけ時間の経過を把握する工夫をしたほうがいいと思ったのだ。 玄関のドアでは少してこずったものの、50を数える前に、こじあけることに成功した。 隙間から、どっと湿気が侵入してくる。すばやく体を外に引っ張り出して、ハルカはマンションの廊下に立った。 一瞬、溺れそうになった。 呼吸はできる。それなのに、「ここが水中である」ような強烈な錯覚があった。パニックに陥りそうな自分を、あわてて深呼吸を繰り返すことで堪えた。大気の様子が異常だった。単に湿気だと思っていたが、そんな単純なものではなかった。 雲母粉を全身に塗っているのに、空気はこれまでになく、ねっとりとして重い。視界の先は、急速に深い青紫に染まり、そのまま闇へと繋がっていた。 周囲の様子が、度の合わない眼鏡をかけたように、奇妙に捻じ曲がって見えた。 雨なのだ。 目には見えないが、これがメギ曜日の雨なのだ。水滴の一つ一つが全て残像となって、大気を満たしている。それが空気と水の屈折率が混じりあわせ、風景をこのように青みがからせ、歪んだように見せているのだ。 通常ありえない、飽和水蒸気量を超える湿度の世界。ハルカは、いわば空気と水との、中間の世界にいた。 「青青魚魚が川から上がってくる」というカナタの言葉が理解できた。 闇の中で、また光が瞬いたような気がした。 こちらは窓とは反対方向にある。闇の中で距離感がつかめないが、こちらからも光が見えたということは、ハルカがベッドから離れた気配を早くも察したのかもしれない。 音がした。先ほどより光と音との間隔が短い。ハルカは雷を思い出した。 ハルカは手足を泳がせながら、あわてて階段を下り、一階を目指した。 「121・・・122」 ガムをかむように数を数え続ける。これだけが恐怖を紛らしてくれる。 自動ドアを透過し、マンションの外に出る。廊下には一応屋根となる部分があった。しかしここからは完全に屋外だ。雨量はさらに増しているに違いない。 暗い。 周囲はいちだんと青黒く、歪んで見えた。空気はもはや完全に液体と化している。密度が水より低いだけだった。ハルカは、濃密な青い闇を前にして、本能的な恐怖に足が震えた。 「カリカリカリ」 音が響いてきた。光のほうは、一階にいるハルカからは、死角なのか見えなかったのだ。 来る。青青魚魚が来る。 「168・・169・・・170!」 ハルカは、青い闇の中に一歩を踏み出すと、そのまま蒲田駅前を目指して走り始めた。 水の中を動くようだった。あるいは以前テレビで見た、月面の宇宙飛行士のようだ。浮力なのか張力なのか、とにかく地面を蹴るたびに、ハルカの歩幅は、軽く2メートルを超えた。 初めて経験する、驚くべき現象なのだが、今は驚いている暇はない。 空中でバランスを取りながら、ハルカは一歩一歩、宙を飛ぶようにして走り続けた。 「224・・・225」 周囲はまったくの闇だ。まだ家からは数十メートルしか離れていないはずなのに、 自分の位置を見失いそうになった。 「312・・・313」 次第に全身の抵抗感が増してくることに、ハルカは気付いた。見ると、手足には、いつの まにかびっしりと水滴が生じ、塗りこんだ雲母粉が流されてしまっている。残像だった雨が、走り続けるハルカの肌に接触して、水滴に戻っているのだった。 ハルカはあわてて胸元のパスポートケースを引っ張り出し、マラソン選手のように、走ったままで雲母粉を塗りなおした。 「カリカリカリ」 背後からは、なお音が響いてくる。 やはり少しづつ音が近づいてくるような気がしてならない。 「402・・・403」 行程の半分も過ぎたろうか。突然、前方の闇の中に、ビルのひとつが、光のシルエットになって、一瞬青く浮かび上がった。後方からの光を反射したのだ。 「ガリガリガリガリ」 ほとんど間隔をおかずに音が来た。 (気付かれた!) 直感した。 音は一秒で何メートル進むのだったっけ? 1500メートルか?1800メートルか?たしか何秒かかったかで、雷との距離が割り出せたはずだ。ハルカはうろ覚えの理科の知識を、必死で思い出そうとしていた。だがこのメギ曜日で、そんな常識が通用するだろうか?目で確認するわけにはいかない。もし、あの「目」をまた見てしまったら、逃げ切る自信はなかった。 「646・・・647」 ハルカはひたすらに走った。光は次第に激しく、間断なく発生するようになり、そのたび周囲は青白く照らし出されて、周囲のビルが林立する巨大な墓標のように、闇の中に浮かび上がるのだった。もはや音と光はほとんど同時だった。 「ゴーン」 ひっきりなしの轟音が空気を震わせた。光が周囲を照らし出す瞬間、近くの電線や、電柱のトランスに、青白いスパークが走った。 「700・・・701」 「ゴーン」 「704・・・705」 「ゴーン」 「706」 「ゴーン」 前方に踏切が迫ってきた。 東急池上線。 電車! 金属質にギラギラと輝く巨大な残像が、眼前に立ちふさがっている。 なぜこれに気づかなかったのだろう。 自動車などとは比べ物にならない、数百トンの鋼鉄の塊だ。 透明な金属質の輝きは、残像の湛えた膨大な運動エネルギー量を物語っている。 (通過できるか?) (回り道すべきか?) (しかし背後には!) 「ゴーン」 第10回へ続く(7月24日公開予定)
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第8回 アオウオ 火曜日の夜にそれは起こった。 その日、ハルカはなんとか元気を回復したものの、ほとんどベッドの中で勉強をして過ごした。 これまで、できるだけ考えないようにしてきたが、中学三年の夏休みともなると、そろそろ学校の補習に塾の夏期講習など、いろいろ忙しくなってくるのだ。 いまでは明らかに娘に不審の目を向けている両親の心証を、少しでもよくするためもあった。 メギ曜日に夢中となっていたここ数ヶ月の間に、すっかり頭が錆びついているようで、なかなか調子が戻らない。だがそれが、今のハルカにはかえってありがたかった。 あの恐怖を少しでも紛らわせようと、普段は嫌々の数学に没頭した。 「二等辺三角形の両角は等しい」という、よくわからん証明をようやく片付けると、すでに11時を回っている。ハルカはノートを放り出すと、ベッドに倒れこみ、お気に入りのタオルケットにくるまった。 外は雨だった。夏らしくない、じっとりとしめった嫌な雨だ。 湿気のせいか、体の節々がまだ痛む。雨が窓をたたく音が、いつまでもうつろに響いていた。 それを、最初は夢かと思った。 しかし突然そうでないことに気付いた。 ぎょっとした。 あの感覚があった。 メギ曜日で感じていた、あの独特の違和感だ。 だが今日はまだ火曜日だ。メギ曜日が来るはずはない。 しかし、ハルカの全身の感覚は、周囲の異常を強く告げていた。 起き上がって様子を確かめようとして、ハルカはさらに気付いた。 体が動かなかった。 目は開いている、耳も聞こえているようだ。しかし体はピクリともしない。 これは何だ。全身の毛が逆立った。 あたりは闇に閉ざされている。おそらく夜中過ぎなのだろう。空気はじっとりと湿って、水の中にいるように不快だった。菫色の薄明がないのだけが、いつもとは違っていた。 (なぜだ、今日は日曜ではない) (メギ曜日が来るはずはない) 疑問が駆け巡った。 窓の外が、一瞬青白く光った。その色に見覚えがあった。 光はすぐに消え、また闇が戻ってきた。 恐怖に凍り付いて、ハルカは全身の感覚を研ぎ澄ました。 しばらくして玄関の方で、物音がした。 カリカリと金属をこすり合わせるような嫌な音だ。 ハルカはいまや確信していた。間違いない。あれだ。 音はしばらく続き、突然にやんだ。 部屋の空気が急速にじっとりと湿ってきた。 すでに家の中まで入ってきたのだろうか。音はなく、ただ気配だけが重苦しくのしかかって来るようだった。 今度はずっと近くで音がした。ドアのすぐ外のようだった。動かない顔のかわりに、眼球を必死でドアのほうに捻じ曲げると、ドアを突き抜けて入ってくる、何かが見えた。 液体のように表面に波紋を浮かべ、大きくたわんだドアの、その中央から、黒くて鋭いものが、ぬるりと突き出されてきた。濡れたように光っている。 どっと湿気が流れ込んできた。部屋の中は、もうまるで水中のようだ。 巨大な何かが、錐で穴を押し広げるようにドアを突き抜けて、部屋の中に入り込んできた。 あの「目」が見えた。 「アオウオ」がそこにいた。 それは、ハルカの部屋一杯の、それ以上の大きさがあった。ベッドの傍ら、ハルカの真横に、砲弾のような巨体が浮かんでいる。体の端は、壁を突き抜けて、部屋からはみ出していた。 あまりの大きさに全体像が掴めない。 ハルカは恐怖に凍りつきながらも、その細部をつぶさに観察していた。 黒くて鋭い先端部は、鳥のクチバシのようだ。獲物に穴をあけて内容物を吸い出すためのもののようだった。なめらかな表面は、モルフォ蝶の鱗翅を思わせる、金属光沢を備えた羽毛のようなもので覆われていた。目も覚めるような青一色だった。光線の加減で、コバルトから藍、セルリアンブルー、スカイブルーと、あらゆる青に変化した。 全身から、かすかに霧を噴出しているように見え、それによって絶えず周囲に湿気を満たしているように見えた。 巨大な一つの目が、生物としてはまったくありえない場所についており、それはやはり平面的な模様のようで、生物的器官とは思えなかった。 その虚ろなまなざしは、「死んでいて生きている」という、説明のつかない強烈な印象を与えた。 アオウオは、鋭い先端部をしきりと小刻みに振り回すだけで、獲物であるはずのハルカに襲いかかろうとはしない。まるで何かを探しているかのようだった。 突然、あの脳を焦がすような思考が、自分の中から湧き上がってくるのを感じた。 いまこそハルカは理解した。これは奴の攻撃の手段なのだ。アオウオは、人間の思考に、外から入ってきて操るのだ。 (体を動かしたい) (体を動かしたい) (体を動かして動くのだ。) 今ここに少年はいない。ハルカはこの思考攻撃に、自分が抵抗できないことを知っていた。そしてすぐにそんな考えすら消し去られた。 (体を動かしたい) (体を動かしたい) (体を動かして動くのだ。) (そうしたらどんなに素敵だろう) (自分から体を動かしさえすれば、なにもかもうまくいくのだ。) ハルカは、心の底から、それこそ全身全霊の力で体を動かそうとした、しかし果たせなかった。体はまるで自分のものではないようで、相変わらずピクリとも動かないのだ。もどかしくてたまらなかった。心があの冷たく青い感覚様の到来に舌なめずりをしているのが痛いほど理解できて、悔しくてならなかった。 (早く動くのだ。) (体を動かして動くのだ。) (体を動かして動くのだ。) ハルカは、体一つ満足に動かせない自分のふがいなさに、ただ泣いた。生まれてから今に至るまで、こんなに悲しく、悔しいことはなかった。 体を動かして動きさえすれば、すべてはうまく行くと言うのに! カンバス9 どれくらい続いたろう。 ハルカはボロ雑巾のようにくたくたになって、水曜の朝に目覚めた。 アオウオの姿はなかった。 雨はすでに止んで、強烈な7月の太陽が、窓から差し込んでいた。 顔は、一晩中流した涙と鼻水でズルズルになっていた。 ほんのついさっきまで、自分が心からアオウオの命令に従いたかったこと、それが果たせないのが本気で悔しかったことが、まざまざと思い出された。 それどころか、今も心のどこかで、あの怪物をまるで恋人のように懐かしく、慕わしく思っている自分に気付いて、ハルカは改めて戦慄した。 部屋中にまだ湿気が残っている。布団やパジャマはじっとりと濡れて、肌にまとわりついていた。 ハルカは、恐怖から逃れるようにベッドから転がり出ると、床の上に小さくしゃがみこんで震えた。 床のカーペットには、巨大な砲弾型の跡が、黒く湿って残っていた。洋服ダンスや机は、夏だと言うのに一面にびっしりと結露している。 窓ガラスには、濡れたカーテンが一面に張り付いていた。 夢だと思いたかったが、夢ではなかった。 アオウオが追って来たのだ。 震えながら思った。 (金縛りでよかった) (動けなくて本当によかった) もし動けたら、たちどころにあれの命じるままになっていたろう。そうしたら、こうやって無事に朝を迎えられなかったに違いない。 そこまで考えて、ぎょっとした。 メギ曜日ならどうなる? 今度、メギ曜日に目覚めたら、そのときこそ終わりではないのか。しかもそれは、わずか5日後のことでしかない。 いや、メギ曜日まで無事でいられる保証すらない。 現に今日はまだ水曜日ではないか。 震えが止まらなくなった。 なんとかしなければ! 台所から母の呼ぶ声が聞こえた。 ハルカは、なんとか考えをまとめると、のろのろと立ち上がった。 こんなところで震えていても仕方がない。 また変に怪しまれて、部屋で寝ているよう言われたり、病院に連れて行かれたりするのは避けなければならなかった。 そんな時間はない。 ハルカは震える手で窓を一杯に開け放ち、湿気と恐怖とを七月の太陽で追い払った。 父母の前でなんとか元気を装い、真っ青な顔はまだ癒えないケガのせいにして、味のしない朝食を胃袋に流し込み、ハルカは郷土博物館に向かった。 「0犬」の名前が共通していたのであれば、あの「アオウオ」も、ひょっとして伸吉の記録にあるのではないか、そう思ったのだ。 あの恐るべき怪物に備えるための、何かの手がかりがあるかもしれない。 いや、ないと困る。 頬に大きなシップを貼ったハルカの姿に驚く野村さんに、土曜のことを手早く詫びると、何かこれまでに見落としていた情報がないかどうか、あらためて信吉文書を徹底的に調べなおしていった。 これまであまり気に留めていなかった、文書全体を包んでいた麻の袋にも注意してみると、文書が保管されていた際のものと思われるマジックの書き込みを見つけることができた。 「寄贈」 「後藤濱代」 他にも住所のようなものもあったが、こちらは滲んでよく読めない。 これが、おそらく文書を保管していたという信吉の姉の名なのだろう。これはこれで新発見だが、今はあまり役に立ちそうになかった。 ハルカは焦りつつ、これまでカビのせいであまり解読の進んでいなかったノート5、8、カンバス7、9、そしてスケッチブックなどに手をつけることにした。 真っ黒なカビに覆い尽くされたカンバスやノートは、相変わらずほとんど判読不能だったが、手がかりも多少あった。 「0犬」の描かれたのはカンバス8。そしてサイズからしてカンバス8と9は連作のように見えたことを思い出したのだ。 筆箱から定規を取り出した。よくある短いプラスチック製だ。 ハルカは野村さんの目を盗むようにして、カンバス9の表面を覆うカビの層を、その定規で強引にこそぎ落とした。 美術品には許されないことかもしれないが、こっちは命がけだ。 定規の角に削られて、カビに侵された絵の具の表面がみるみる剥がれ落ちた。絵が台無しだ。冷や汗が出た。だが、少なくとも描かれた何かの全体像は、ぼんやりと明らかになっていった。 全体の四分の一ほどを傷だらけにした時点で。ハルカの手は止まった。 あの「目」が、そこに描かれていた。 相変わらずの稚拙な絵だったが、見間違いようもなかった。 画面端にエンピツで書かれた字にも気付いた。 「青青魚魚(アヲウヲ)」 それは、未知の深海の生物か、あるいは何か熱帯植物の種子のように見えた。優美な曲線を描く、砲弾のような体があり、その先端近くに、あの「目」とクチバシがついている。 昨夜はっきりと見ることの出来なかった、その異様な全体像は、ハルカを戦慄させるに十分だった。 ハルカは必死になって、絵の周囲をさらに削っていった。何か弱点は? 撃退法が書いてありはしないか? だが、この乱暴な処置は諸刃の剣だ。エンピツの字は他にもあったが、ともすれば絵の具の層とともに剥がれてしまう。 ・・・水中ニ潜・・・・・精神的・・・電気・・・・・断片的にそんな単語が読み取れた。 (もっとだ) (カビだけ薄くそぎとれないか?) 焦れば焦るほど画面の傷はひどくなる。 「ちょっと君!」 野村さんの怒声が部屋に響いた。 あと五日 ハルカは郷土博物館そばのコンビニで、駐輪場にへたりこみ、買ったはいいが食べる気にもならないアイスキャンデーを咥えながら絶望していた。 博物館を叩き出されたのだ。 精いっぱい謝ってみせたが、あれだけの狼藉をしでかしては、もう二度と伸吉文書に近づけてはもらえないだろう。家や学校に連絡されなかっただけでも幸運に思わなければならなかった。 (どうしよう) (どうしたらいい) 周囲は腹立たしいまでに、さわやかな夏の陽の中にあって、口の中に広がる甘ったるいオレンジ味が神経を逆なでした。 (今日も夜が来る) (青青魚魚が来る) (今日来なくても五日後にはメギ曜日が来る) (明日から夏期講習も始まる。) まとまりのつかない混乱した思考が、ぐるぐると頭の中を駆け巡った。寒くもないのに足が震えるのはこういう時かと思った。 (どうしよう) (どうしたらいい) (どうもこうもない) (それしかない) ハルカは立ち上がり、アイスキャンデーを噛み砕いた。 こうなったら、あの少年を探し出すしかない 名前さえ知らない、あの黄色の騎士を。 あの少年をなんとしても見つけ出して、助けを請うしかない。 あと五日。 夏期講習の会場は賑やかだった。 JR蒲田駅前、塾の真新しいビルの一室は、エアコンがよく効いて心地よい。 普段会わない他校の生徒とも顔をあわせるためか、ハルカたちはおたがい緊張の反面、興奮して、あちこちで他愛のない話題に盛り上がっていた。 昨日のテレビドラマに、サッカー、プロ野球、そして他校の誰かの恋の行方。 ハルカは、現在自分の直面している危機的状況と、周囲の能天気さとの、あんまりなコントラストに頭がくらくらした。 「あんた大丈夫?」 隣のクラスメイトが、ハルカの顔を覗き込んで心配そうに言った。一緒に郷土博物館に行った彼女だ、やはり一緒に夏期講習に参加していた。 「顔どしたの、なんか怖いよ?」 多分そうなのだろう。頬のシップもそうだが、緊張で目が釣りあがっているのが自分でもわかっていた。ハルカは苦労して顔に笑みを浮かべ、できるだけ気軽そうに話した。 といってもうまい話題など思いつかない。つくわけがない。とっさに、このあたりで自転車に乗った全身黄色の男の子とか見たことがない、とか聞いてみた。当てになるとも思えないが、この状態で無理にアイドルの話をするよりはマシだ。 「あるよ。服も帽子も黄色いんでしょ」 あっさりとそう返されて、ハルカは拍子抜けした。 「あれ男の子なの? 『イエローおばさん』って、有名だけど」 ハルカは驚愕して彼女の肩を揺さぶり、さらに情報を聞き出した。 「いやー、自分じゃ見たことないから、詳しくは知らないけど。確かおばさんだって聞いたよ。大井町をフラフラしてるって」 さらに意外だった。大井町というのは蒲田からJR京浜東北線で二駅、品川のとなりの街だ。前回二人が出会った「ガス橋」を起点に考えると、かなり遠い。自転車なら、ぎりぎりで行動半径と言えなくはないが。 突然考え込んだハルカを、彼女は心配そうに見守っていた。さぞかし変に思われていることだろう。だが今はそれどころではない。 それに、おばさんとは? 背格好からすれば、たしかに少年もそう見えるかもしれないが、別人ではないのか。しかし、あんな変な格好をした人間が、そう何人もいるだろうか。 ハルカは、講義もそっちのけで自分の考えに没頭した。まだ頬に大きなシップを貼り付けたままの、見るからに普通でない様子のハルカを、講師があえて注意しないのが助かった。 ハルカは、休み時間の合間に、さらに周囲の話を聞いて回った。 こういう時は、他校からも生徒が集まっているのがありがたい。 しかし、「黄色い服と自転車」というキーワードでは、同じような話しか聞くことはできなかった。やはり「イエローおばさん」の印象が強烈なのだろう。 新たに得られた情報では、 大井町駅の西口商店街あたりに、夕方出没するらしいこと。 自転車も服も全身まっ黄色であること。 スカートではなく、作業着のようなものを着ているので断言できないが、多分小柄なおばさんらしいこと。 ハルカは迷った。まず信じてよいものか。信じるとしても、さてどうするか。 しかし講義が終わって、結局ハルカは大井町に行ってみることにした。 手がかりが他に得られない以上、まずはそれを確認してみようと考えたのだ。 どうせここは駅前だ。往復の運賃300円を払うのはちょっと痛いが、電車なら10分もかからずに行ける距離だった。 イエローおばさん 大田区のどこに行っても流れてくる、五時を告げる「夕焼け小焼け」のチャイムを聞きながら、ハルカは大井町駅に降り立った。 大井町は、品川に近いためか、蒲田より少し駅ビルが立派だ。しかしやはりまだ下町の範疇であることに変わりはない。 「イエローおばさん」が出没するという西口商店街は、特にまだ再開発が進まず、寂れた個人商店が建ち並んでいた。 一時間経った。 歩けば十五分ほどで端まで行けてしまう小さな商店街を何往復もして、ハルカは次第に焦り始めた。「イエローおばさん」は影も形も見せなかった。 考えて見れば、いつもここに現れるという保証はないのだ。 七時前には帰宅しないと、また親に怪しまれる。六時半がぎりぎりのタイムリミットだった。 あたりは、惣菜を買い求める主婦や、ゲームセンターの前にたむろする中高生でごったがえしている。なにも変わらない、いつも通りの日常がそこにあった。 誰も信じないであろう危機に、ただ一人脅え、全身黄色の変質者が現れるのを、ひたすらに待ちわびている自分が、まるで阿呆のように思われてきた。 夏の陽が、少しづつ地平線に近づいていた。六時十五分になった。 あと十五分ここで待つか、それとも移動しようかと、考えを巡らせているハルカの視界の隅に、ふと、それは飛び込んできた。 いた! 黄色い自転車、黄色い服。 100メートルほど向こうの角を曲がって現れつつあった。 ハルカは、走り出しそうになるのをこらえながら、早足で「イエローおばさん」に向かって行った。 期待はすぐに落胆へと変わった。 自転車が違う。 見間違えるはずのない、あの改造車ではなかった。ごく普通の、古びた買い物用自転車が、黄色のペンキで汚く塗りつぶされていた。ハンドルの前カゴに、潰した空き缶のようなものが一杯に詰められているのが不気味だった。 乗っているのも、やはり男性ではなさそうだった。ずんぐりした体形は中年女性に特有のものだ。 黄色い作業着に、黄色い軍手、黄色い靴下、黄色いサンダル。衣服はどれも、薄汚れ、くたびれていた。 顔はよく見えない。行商のおばさんがするような、覆いのついた、黄色い帽子をすっぽりと被っていた。ハルカは思わず立ち止まり、出しかけた足を引っ込めた。 (この人は、おかしい) 直感でそう思った。 自転車にまたがったまま、漕ぐのでなく、片足をペダルに、もう片足で地面を蹴るようにして、ふらふらと危なっかしく進んでくる。店の一つ一つに立ち止まっては、頭を小刻みに動かして中を覗きこんでいる。いかにも不審だったが、周囲の店員も客も、慣れた様子で、さして気にも留めていない様子だった。 呆然として見守るハルカの方に、どんどん近づきつつあった。 (どうしよう) さっきまで、あれだけ待ち焦がれていたはずなのに、いざ目にした「イエローおばさん」はあまりにも異様で、とても気軽に声をかけられそうにはなかった。 とうとう目の前に来た。 洋菓子屋のショーウインドーを覗き込んでいる。なにかひっきりなしにぶつぶつと言っているのが聞こえてくる。もうすぐ六時半だ、このまま帰るわけにはいかない。 ハルカは目の前を通り過ぎようとする「イエローおばさん」に、思い切って声をかけた。 「あの」 反応はない。 「あのっ、すいません。」 少し大きな声を出すと、頭をすっぽり覆っていた黄色い帽子が、ゆっくりとこっちを向いた。 はじめて顔が見えた。 老婆だった。 いや、年齢は判然としない。顔中に深い皺が刻まれていたが、肌はバラ色で、妙なつやがあった。強い光をたたえた小さな目が、落ち着きなく瞬いている。ハルカの方を見ているようで、実はどこも見てはいない。もちろんあの少年ではない。似ても似つかなかった。まるで、何か強い恐怖や、悲しみといったものに漂白されたような、不幸で、不吉な顔だった。 その口が素早く開いた。 「インチキさん?」 「え?」 「ダイトのインチキさん?」 意味がわからない。 ぼんやりとした、定まらない視線のまま「イエローおばさん」は、なおも早口で言った。 「19ダイなの?」 19台? それとも19代なのだろうか? そんなことを一瞬考えて、泣きたくなった。とても会話などできそうにない。しかし、ここまで来て、何の成果もなく帰るわけにもいかなかった。 「あの、すいません、お子さんとかで…」 「クミのひと?」 「黄色の服を来た・・・お子さんじゃなくてもいいんです、あの。」 「ラケシ? ラケシなの?」 やはり会話にならない。 ふと、あることに思い至った。 それは恐ろしい考えだったが、ハルカは思わず震えながら、ゆっくりと「イエローおばさん」の耳元に近づいた 囁いた。 「ゼロイヌ」 「イエローおばさん」の落ち着かない視線が、急に止まった。信じられないと言う目でハルカを凝視して、小さく震えだした。 ハルカは慎重に言葉を選ぶようにして、さらに言った。 「アオウオ」 「見た?目、目、あの青い目」 その瞬間、「イエローおばさん」の目が、ぎょっとするほど丸く剥き出された。 続いて、しぼり出すような絶叫が、商店街に響きわたった。 「イイイイイイイイイイイイイ!」 敷石の上に転がり、「く」の字型に折れ曲がって「イエローおばさん」は吠えた。 自転車が倒れ、カゴに積まれた空き缶が、耳障りな音を立てて路上にばらまかれた。 ハルカは、その音に縛り付けられるように動けなくなった。 洋菓子屋のおばさんが、あわててこちらに駆け寄ってくる。「イエローおばさん」を抱え起こし、ハルカの方をきつい目でにらみつけた。 「あなた、どこの学校? この人、見たらわかるでしょう! 恥ずかしくないの?」 足が震えて、何も言えなかった。あたりに人が集まっている。 ようやく足の裏を地面からひっぺがすと、ハルカは後も見ずに、その場から逃げ出した。 「…を、…るよう!」 幼児のように泣き喚く「イエローおばさん」の声が、背後に響き、いつまでも耳にこびりついて残った。 駅までの道を走りながら、ハルカの頭の中ではおそろしい考えが渦を巻いていた。 偶然かもしれない、しかしあれは、 犠牲者 ではないのか? 発車寸前の京浜東北線に飛び乗り、ハルカはようやく蒲田駅まで帰って来た。 駅前の大時計は、もう七時近くを指している。 空は、ばら色の夕闇に覆われつつあった。 また夜が来る。 次のメギ曜日までは、あと四日しかなかった。 第9回へ続く(7月17日公開予定)
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ゾルゲール哲、セガガガサントラCD/青を語る ■セガガガCD記念歌 [青セガガガ/01] 今回このCDを出すにあたって、新たに作ったスペシャルトラックである。 金さんは、どんなデタラメな歌詞を書いても、ちゃんとした曲にまとめてしまうので、それに挑戦してみた(するなよ)つもりである。果たしてどんな曲になっているのであろうかと思ったら、なんかBzみたいで無用にカッコイイんだが・・・。うわー、井上喜久子さんのボツボイスまで使ってるし・・・。 ■セガガガマーチ(Non-Vocal Full Version)[青セガガガ/02] 御存知「セガガガ」のテーマ曲。このゲームには野球中継やプロレス中継みたいな、無意味に元気いっぱいのマーチだ!と企画当初から思っていたので真っ先に発注した。 いきなり「セーガー」のメロディーから始まるので、社歌「若い力」よりこっちのほうがわかりやすくていいデキだと思う。 ■ぷっしゅ!スタート&オプション曲ッス [青セガガガ/03] ゲーム冒頭で流れるおなじみの曲。いい曲なのだが、バグチェックのとき何度も何度も何度も何度も聴かされたのでちょっぴりトラウマ。 ■最強!!テラドライブ [青セガガガ/04] 例の「セーガー」の主題を華麗に散りばめたカッコいい曲。 実はスケジュールなどの関係でここに当初曲は入れられないはずだったのだが、金さんがわざわざ入れてくれたのだ。 ■A研メドレー [青セガガガ/05] A研のメインテーマは、金さんが最初期にイメージ用に作ってくれた曲がそのまま残っている。「ゲーム開発室がダンジョンになっている」という妙な設定を、イントロのピコピコ音がよく表現していてナイス。以下とにかく怒涛の勢いで続くメドレーのボリュームに驚け! ■.com子ちゃんのテーマ [青セガガガ/06] ここらへんから金さんの暴走がスタート。ゲーム中30秒もないシーンなので、何かテキトーにかわいらしい曲が上がればいいや、と思ってたらコレである。 ここまでやるかフツー?誰かにケンカを売っているような悪意たっぷりのアレンジがサイコー。 ■B研メドレー [青セガガガ/07] このB研のメインとなる主題は、本来「ドグマのテーマ」のはずであった。 私の個人的な「悪のテーマは、なんかパイプオルガンでグオ~ンみたいなのじゃなきゃイヤ~ン」というワガママで差し替えてもらったのである。本編ムービーの「ドルメヒカの行く末」では、BGMとしてその片鱗が残っているので、持っている人は聴いてみよう。 また、このB研からディレクター鈴キ(鈴木)さんの趣味がかなり反映されている。 ■説得はいかがッスか~(戦闘&交渉) [青セガガガ/08] 戦闘の曲は、ゲーム中もっとも何度も聴くことになるのだが、見事何度聴いても飽きない曲にまとまっていて大満足。また交渉の曲は、このクイズ番組みたいな音を聞くだけで、プレイヤーが次に何をすればいいか大体わかるという「機能性音楽」のいい見本となっている。 ■ショップ de お買い物 [青セガガガ/09] 冒頭に流れるフィールド画面の曲は、さりげないが結構重要な部分である。 「セガガガ」には通常のロープレで言うフィールド移動が存在せず、各ダンジョン間を繋ぐメニュー画面の役割しかないため、プレイヤーに閉塞間を感じさせないために、ゲームで登場する場所の全景をパノラマ画面で一望できるようにするなど、いろいろ工夫しているのだが、この壮大なオーケストレーションのおかげで、ずいぶんと助かっているのだ。 また、ショップの曲については「セガのゲームでショップといえばやっぱりこれだろう。」と、私が発注するより先に、金さんがこれを書いてきたのでビックリ。 ■AKIBA2025 [青セガガガ/10] 「アキバは絶対歌だ!」と無理を言って作ってもらったのだが、出来あがったら、謎の外国語バージョンの二番が加わっていて爆笑。もちろん金さんが勝手に足してきてくれたもの。 ■C研メドレー [青セガガガ/11] Cマンのテーマ(悲しみに暮れるとき)が最高。これが上がってきたのを聴いて、シナリオをいじったのを思い出す。我々はゲームの中でこそ瀬賀太郎だが、現実にはいつもCマンの側に、より近いのだ。 ヒロインの基本テーマもここで聴けるのだが、開発の初期に、この曲を思い浮かべつつ蒲田近辺をロケハンしながら、イメージを膨らませたことを思い出す。 「萌え」に関するデタラメな解釈に、むやみな信憑性を増しているXファイルみたいな曲、「とにかくお金がいっぱいあって慢心してるんだ!」というわけのわからない指示をわかりやすく示した大富豪層の曲もポイント高し。 ■開発メドレー [青セガガガ/12] 冒頭に流れるのは会議室のテーマ、ゲーム開始直後と後半では微妙にアレンジが違ってるのだが、それを巧みに繋いでます。音の厚みが瀬賀太郎の成長を感じさせていい感じである。 ところで、メドレーといいながら開発中には流れない曲が入っていることについて、この場を借りて謝りますが、当初開発システムには「各開発室の状況の良し悪しに応じて曲調が変わる」というアイディアを私が出して、そのための曲(開発室×3、状況(良い、普通、悪い)×3、合計9曲)を発注しちゃったのね。しかしこれが実際やってみるとどうにもやかましかったので、結局6曲分作ってもらったところで、開発前半と後半で二曲、後はエンディングやイベント用の音楽に流用することにしたのだ。ノーマル~ハイテンションの変化などは実によく出来てたのだが・・・関係者の皆様ごめんなさい。 ■ハッタリ UFO [青セガガガ/13] セガロケの入り口でよく聞くPSGバリバリのアレ。よく再現されてます。最初画面で見たときは笑ったな。 ■ハッタリ 木 [青セガガガ/14] ■ハッタリ しょうじゅん [青セガガガ/15] ■ハッタリ はりねずみ [青セガガガ/16] ■ハッタリ 16t [青セガガガ/17] それぞれ、ゲーム中ではほとんどイントロ部分しか聞けないハッタリ使用時曲、実はこんな風にフルコーラスが入ってるのだ。金さん手抜きナシです。特にベンチャーズ風にアレンジされた「はりねずみ」は、あまりの自然さに妙に納得したのを覚えている。ペケペケペケ。 ■D研メドレー [青セガガガ/18] あまり目立たないかもしれないが、私はここの、超次世代機関係のバリエーションに一番腰を抜かした。普通こんだけいろんな曲書けないって。 ■アレックスのバラード [青セガガガ/19] これも最初から金さんに「書いて!」とお願いした曲。個人的にアレックスには思い入れが深かったのだ。天空魔城の二面と、ミラクルワールドの1面の曲をうまく繋いでます。この曲がアレックスといっしょに画面に流れたときはうれしかったなあ。 ■二人のドリームキャスト [青セガガガ/20] 「酒場のシーンの曲」とまでは頼んだような気がするが、これもここまでやってくれるとは誰も思ってなかった。二番なんてゲーム中聞けないんだよ!ガヤなしでフルコーラスが聴けるという点では、これもこのCDならではのポイントといえる。 ■ドグマ社メドレー [青セガガガ/21 彗星帝国の昔より、悪のテーマはオルガン!トッカータとフーガみたいなやつ!というわけで、いろいろ作ってもらいました。キャラごとに弦や管でバリエーションも十分。 ■セガガガマーチ(Vocal Version) [青セガガガ/22] 歌入りバージョン。実はこの歌、本当は曲が先にあって、後で私がテキトーな詞をつけたのだ。一番が電車で、二番が車でセガに来るときの道案内になっている。二番で金さんが一部歌詞を読み違えているのだが、いまさら直すのが面倒くさいので、みんなで聞かなかったことにしよう。
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第10回 サンライズカマタの戦い(2) 一瞬の逡巡の後に、ハルカは決断した。 (この雨は) (利用できるはずだ!) さらに足を速めた。 助走。 ハルカは踏み切りの手前で跳躍した。 残像で液状化した空気の中で、その頂点は5メートル近くに達したろう。 手足をぶざまに回転させながらも、ハルカは池上線の残像を、一気に飛び越した。 その放物線の頂点、見下ろす前方に、濃密な雨の層を透かして、かすかに金色の光が見えた。 向かい合った二匹の鳳凰。サンライズカマタだ。 たどり着いたのだ。 ブリキとアクリルで作られた安っぽいデコレーションが、青黒い闇の中に浮かび上がって、まるで古代の神殿を飾る像のように神々しく見えた。 そしてハルカは気付いた。 無数の青い光がアーケードの周囲にまとわりつき、乱舞するように旋回しているのを。それを迎え撃つように、黄色い別の光が幾筋も、アーケードの中から閃くのを。 かすかな破裂音が響いてきた。 戦闘だ。 あれは、砦なのだ。 入り口付近に小さな人影が見えた。二人。 こちらに向かって何か必死に手を振り回している。カナタたちだろうか。 瞬間、背後に衝撃を感じた。 爆風にあおられたように、ハルカは数歩つんのめり、路面のアスファルトでひざを擦った。転倒しそうになるのを、道路わきの街路樹につかまってなんとか防いだ。 見るまいと思ったが、反射的に振り向いてしまった。 見た。 いた。 青青魚魚が。 一匹ではなかった。 瞬間見て取っただけで三匹。 その一匹が、池上線の残像に、まともに突入していた。 ハルカでは飛び越えるしかなかった残像の流れを、青青魚魚はこともなげに突き破り、ギラギラと輝く透明な破片を、衝撃波のように撒き散らしながら、こちらに突進しつつあった。 砲弾型の青青魚魚の断面形に沿って、ねじ曲げられ、引きちぎられるように破片と化す池上線の車両は、ゼリーに撃ち込まれる銃弾のスローモーション映像のように見えた。 あいまいな残像だった破片一つ一つの表面が、速度を失うにつれ、次第に本来の電車のディティールを浮かび上がらせ、一度は乗客の姿さえ見えたような気がした。 青青魚魚は、こちらを見ていた。 青青魚魚の、あの「目」は、以前に観察した限りでは体の側面にあったはずだ。正面からでは巨体の陰になって、ほとんど見えるはずがない。それがなぜか、変わらぬ角度で真正面に見えた。 ピカソの絵か、古代エジプトの絵画のようだ。説明のつかないその立体だ。そこだけ空間が歪んでいるような異様な感覚があった。 時間にすればほんの一瞬だったろう。背後から何か叫ぶ声が、ひどく遠くに聞こえた。 ハルカは、必死に目をそらし、二匹の鳳凰を目指して再び駆けた。 (あそこまで行けば、助かる) しかし、本当にそうだろうか? あの青い光、サンライズカマタは、すでに多くの青青魚魚に包囲されているに違いなかった。あの恐るべき怪物に立ち向かう術などあるのだろうか? 金の鳳凰が近づいてきた。その足元にいるのは、やはりカナタとフトシだ。ようやくはっきりと視界に入ったアーケードの中は、かすかな燐光に包まれた洞穴のようだ。 フトシは狂ったように手を振っており、張り詰めた表情のカナタの顔が、遠くからもやけにはっきりと、青ざめて見えた。 その背後に、別の人影が見えた。 (まだ、誰かいる!) カナタを先頭に、横一列に陣を組んだ一団がいた。 4、5人か。全員が狙撃手のように、路面に片ひざを立て、何か構えている。 「ねらえ!」 カナタの号令で、その先端が一斉にこちらを向いた。 あの吹き矢だ。しかし今度はさらに大きい。細部はよく見えないが、ライフル銃を思わせる、背丈ほどもありそうな長大なものだ。 「引き付ける!」 「ゴーン!」 カナタの叫びをかき消すような大音響が空気を振るわせた。周囲は真昼のように青白く照らし出され、二匹の鳳凰のあちこちから、激しく火花が噴き出した。 おそらく、すぐ背後のはずだ。 (追いつかれてしまう) (追いつかれてしまう) (急げ) (間に合わせなければ) (間に合わせなければ) (間に合うことなんかどうでもいい。) (間に合うことよりも、後ろだ) (立ち止まって振り返って) (立ち止まって振り返って目を見るのだ) (立ち止まって振り返って目を見るのだ) 思考攻撃! 脳が焼ききれるような、あの特有の感覚が来た。 目がくらんだ (足を止めなければ。) (振り返らなければ。) (いや、だまされるな。これは私の思考ではない) (振り返ってはだめだ。) (いや、だまされるな。これはハルカの思考ではない) (振り返って目を見なければだめだ。) (目を振り返って目目目目目目目目) 絶叫しながら、ハルカは頭からアーケードに飛び込んだ。 乾燥した空気を、自分を抱きとめるカナタの力強い手の力を感じた。入れ違いに叫ぶカナタの声があった。 「メギ!」 黄色い閃光とともに、矢が飛んだ。 弾といったほうがいいかもしれない。 0犬を仕留めたものより、さらにずっと大型の弾体が、青黒い闇を貫いて、青青魚魚に殺到した。 「ド・ド・ドーン!」 鼓膜も破れそうな雷鳴が、アーケード全体に反響しながら轟いた。 濡れて肌に貼りついていたハルカの衣服の端々が、水滴を散らせながら激しくはためき、屋根を支える鉄骨が、きしんで音を立てた。 しかし、無数の矢に貫かれながら青青魚魚は、スピードを緩めることもなく、そのままアーケードに突進してくる。 さらに次々と矢は飛ぶ。 青青魚魚はものともしない、いまやまさに眼前に迫った 矢が突き刺さるたび、その体表の青が妖しく変化して、美しくさえあった。 (ヒイヒイヒ化ヒ化ヒ化ヒ化) ハルカは、頭の中に鳴り響く異様な声を聞いた。 (ヒ化ヒ化ヒ化ヒ化匕化七化) 青青魚魚の思考だった。思考攻撃の途切れたその一瞬、逆流してくる青青魚魚自身の思考を、ハルカは感じていたのだ。それは複雑で、残忍な、別種の知性だった。 そのとき、それは起こった。 何が起こったのか、最初は理解できなかった。アーケード内に鼻先を突っ込もうとした青青魚魚が、突然、空中の見えない壁に激突したのだ。 アーケード全体が、激しく光り輝いた。 すさまじい光だった。 電球、ネオン管、広告灯、アーケードを彩る電飾のすべてが、通路奥に向かって次々と電光のリレーを発し、さながらサンライズカマタ全体が、一本の稲妻と化したようだった。 次の瞬間、ハルカの頭上で、巨大な青青魚魚はアーケードの入り口から弾き飛ばされ、背後のビルに激突した。 「ヌキタ眼科医院」と看板のある小さなビルが、音も立てず、青青魚魚の胴体の形にぐにゃりと歪んだ。キラキラとした青いものが周囲に舞い散った。青青魚魚の体表を覆っていたものだろうか。 ハルカは幻を見るように、青白い腹を見せて悶絶する青青魚魚を見ていた。驚いたことに、どのように体の向きを変化させても、その目だけは変わらずこちらを凝視しているように見えた。 巨体をくねらせながら青青魚魚が横に逃れ、そのまま視界から消えるのを、ハルカは床に倒れこんだまま呆然と見守った。 激突の瞬間にすばやく体をかわしたのか、他の二匹の姿もなくなっていた。 「キクコだ!キクコはきた!ショウタ様のお言葉の通りだ!」 サンライズカマタの戦い(3) 異様にかん高い声でフトシの叫びは続いた。 「さかのぼること、昭和四十三年八月十八日、御(おん)ショウタ様、御(おん)キクコ様、大田区に来ませり。我ら大田区メギの組を率い、救いたまえり。」 青白い顔、釣りあがった目。なにか奇怪な祈祷文のようなものを天に向かって叫ぶフトシは、まるで神がかりの預言者のように見えた。 「ダイトーウア、インチキさん。そのみしるしを継ぎ、我ら大田区27代メギの組を、『とおくのまち』に導かん。そのとき、『すべてのすくい』はもたらされるなり!」 吹き矢を構えていた周囲の一団が、一斉にひざまずき、それに唱和した。 見ると、みなフトシと同じくらいの子供だ、小学生だった。 吹き矢を振りかざし、カナタも叫んだ。 「そうだ! キクコ様は来た! オレたちは勝てるぞ!」 その声に、アーケードのあちこちから喚声が返ってきた。 他にもいるのだ。このサンライズカマタを守っている者たちが。 倒れたままのハルカを抱き起こしながら、耳元でカナタがささやいた。 「今日だけでいい、キクコ様ってことにしといてくれ。立ってるだけでいいから」 有無を言わさぬ迫力があった。 カナタに連れられ、ハルカはアーケードの中央あたりに案内された。 そこには、模造紙をセロテープで張り合わせ、クレヨンや色鉛筆で描かれた、2メートル四方ほどの地図か軍旗のようなものが、それを囲む一団がいた。 まるで作戦司令部だ。 後にフトシから聞いたところでは、この日サンライズカマタに集まったのは、ハルカを除いて36人。これがフトシの言う「大田区メギの組」の全容だった。 地図の端、司令官の位置らしい場所に立ったカナタは再び叫んだ。 「いいか! 今日で全滅させる。一匹でも逃したら終わりだ。数は !?」 「…12」 カナタのそばに立つ少年から声が返ってきた。 「左4に5…左5に1、右1に4、右3に1、右5に1」 度の強い眼鏡をかけた目を固く閉じ、小刻みに震えながら、手をアンテナか何かのように左右に広げている。これで周囲の様子がわかるのだろうか。 その疑問に答えるように、いつのまにかぴったりハルカの傍らにくっついたフトシが言った。 「サトルは、目です。あいつらはサトルに目を付けたけど、それでこっちもあいつらのことが見えます」 再びフトシはしゃべり始めた。口調も声音も、さっきとは違う、女の子の声のようだ。 ハルカにしゃべっているというより、頭の中に溜め込まれた情報を、そのまま吐き出しているように見えた。 「アオウオ、アオウオは、ゼロイヌと違って、黄色をあまり怖がりません。アオウオは雨の日にやってきます。目を付けた相手のにおいを追ってきます。昭和三十二年三月十日よりこれまでに61、61人がやられました。ひとりがやられると、脳を読まれて、ほかの仲間のにおいも知られてしまうからです。においを知られた時には『アーケードまもり』をします」 「服を持って来い」と言われた理由が、何となくわかったような気がした。 「アーケードまもり、アーケードまもりを発見したのは、大森第5小学校五年一組のヤマモト、ヤマモトカズヒコさんです。昭和四十二年二月四日。大森東口商店街。アオウオは電気的な理由で大森東口商店街の中に入れませんでした」 「新たに左4に3!来ました!」 サトルが叫んだ。 「メギ!」 吹き矢を抱えた一団が、とたんにアーケードの奥に走る。 参謀らしい少年の一人が、カナタに叫んだ。 「15! もう全部です! やりましょう!」 「まだだ。呑川の奴がいる。あれを仕留めそこなったせいで、カワカミさんがやられたのを忘れるな」 カナタが冷静に答えた。その姿は、まるで本当の司令官のように頼もしく見えた。 呑川というのは多摩川の支流、というかドブ川だ。かなり埋め立てられて、ほとんど地下水路となっている。あんなところにも青青魚魚がいるらしい。どうやらカナタたちは、近隣のあらゆる川から、全ての青青魚魚を呼び集めるつもりに違いなかった。 だが、あの青青魚魚の大軍を、どうやって全滅させるというのか。メギ曜日はあと2時間もないはずだ。 アーケードのあちこちから、黄色い閃光が何度もかがやき、そのたび雷鳴のような青青魚魚の悲鳴が轟いた。 他の開口部を守る、「メギの組」の子供たちが、それぞれに戦っているのに違いなかった。 アーケードの天井に阻まれて、外の様子は見えない。 だがサトルを経由してカナタのもとに寄せられる情報では、青青魚魚は今や大群をなしてアーケードを包囲しているらしかった。開口部から盛んにクチバシを突き入れては、中を守る我々に思考攻撃を加え、引きずり出そうとしているようだ。 その攻撃には、どこか余裕のようなものが感じられた。まるで獲物をじっくりともてあそぶカラスか、ハイエナの群れのようだ。 アーケード内に入れないことを理解していると同時に、こちらの武器に決定的な威力がなく、このまま包囲を続ければ、逃げ場のないままハルカたちが自滅するしかないことも理解しているようだった。 フトシは「電気的な理由」と言っていたが、青青魚魚がアーケードの中に入ってこられない理由はよくわからない。 たしかに商店街ともなれば、電飾の配線なども多いかもしれないが、それだけならハルカのマンションや電柱、まして高圧電流で動く電車などには近寄れないだろう。 電気だけでなく、たとえばアーケード天井の構造、その中に充満した人々の雑多な脳波、騒音など、想像するしかないが、いずれ何か他にも理由があるように思われた。 突然、素の声に戻ったフトシが叫んだ。 「7200!あと2576!」 よく見ると、貧乏ゆすりのように絶えず膝を小刻みに動かしている。 どうやらこのフトシは、生きた時報でもあるらしかった。メギ曜日ではかなり便利な能力だろう。 口をきつく結び、模造紙とクレヨンの作戦指揮図を凝視するカナタの表情に、焦りが見えた。 「用意しますか?」 参謀らしき少年がまた言った。声が震えていた。 無言のカナタに、参謀は繰り返した。 「23発あります。今日は逃がしても…」 「左1より2…3!来ました!」 サトルが絶叫した。参謀の声がかき消された。 「呑川のです!」 サンライズカマタの戦い(4) カナタが、目を見開いた。 「『グーメン弾』、用意!」 復唱が飛び交い。喚声が上がった。 カナタは、黄色いジャンパーのポケットから小さなビニール袋を取り出すと、慎重な手つきでその中身をつかんだ。 銀色の手だった。人差し指の先ほどの大きさだ。 もちろん人間のものではない、むしろなにか玩具というか、人形の手袋のように見えた。 おそらく雲母だろう、袋の中でキラキラした粉末にまみれていた。 弾というからには、なにか恐ろしげなものを想像していたハルカはちょっと拍子抜けした。 むしろゆっくりとした動作で、カナタは「グーメン弾」を、複雑な構造の吹き矢に装填していった。じっくり見ると、カナタたちの吹き矢は、銃身に至るまでの部分が幾重にも折りたたまれた管楽器のようで、吹き込んだ息を圧搾して飛ばす、一種の空気銃だった。普通の空気銃と違って、わざわざ息を吹きこむのは、一度肺を通すことで空気を残像化させない工夫ではないかと、なんとなく想像できた。 素材こそホームセンターで売っているような塩ビ製のパイプや灯油ポンプ、ペットボトルなど身の回りの品々を利用しているが、こんな複雑な構造のものを、子供たちがどうやって作ったのだろうか。 膝小僧を揺らしながら、フトシがまた、誰に言うでもなくぺらぺらと話しだした。 「グーメン弾、グーメン弾は、東矢口第一学校六年、ハッセベマサシさんによって発見されました。昭和五十六年二月四日。通常の黄色1号弾、3号弾より強力です。物語爆弾以外で…」 吹き矢を肩にかついだカナタが、さえぎるようにハルカに言った。 「ここにいろ」 一瞬、まともに目が合った。 賢そうな、そしてすこし悲しそうな、あの目だった。 言葉が出なかった。 「手順どおりだ、一度に全部やる、絶対に逃がすな!」 皆のほうに向き直ったカナタは、そう叫ぶと、蒲田方向の入り口に走っていった。 参謀たちもそれに続いた。 カナタについていくかと思われたサトルとフトシは、ハルカのそばを動かない。 司令部に残っているのはハルカたち三人だけとなった。 サトルは青青魚魚の位置らしい数字を小さくつぶやき、フトシが膝を揺らしながらそれを復唱していた。どうやらサトルは、これも青青魚魚のように、自分の思考をアーケードを守っている子供たち全員に伝達できるようだった。フトシはそれを逐一記憶しているのだ。 「左1、カナタが着いた。あと40、右4がまだだ」 「復唱、左1、カナタが着いた。あと40、右4がまだだ」 「左2、呑川の3匹を確認、群れに混じって、左に回っている」 「復唱、呑川の3匹を確認、群れに混じって、左に回っている」 急に静寂が戻ってきたように感じられた。雨音の残像らしい、うなるような低い音だけがアーケード内に響いた。緊張が解けてきたせいか、濡れた体が震えてきた。寒い。 むきだしの両肩を、手でもむようにして温めながら、ハルカは二人のつぶやきから戦況を知った。ラジオの中継を聞くようだ。 いまやメギの組は一丸となって、反撃の体勢をとっているようだった。 ひんぱんに出てくる「左1」や「右1」というのは、目の前の指揮図から判断するに、どうやらサンライズカマタに合計12ヶ所ある開口部を、蒲田側から見ての左右で番号を振っているらしい。 ハルカが飛び込んできたのは、「右6」になるようだ。 丁寧に色紙や絵の具で装飾された指揮図は、中央にサンライズカマタの地図と、それを挟んで一対の少年と少女が、まるで守護聖人のように大きく描かれ、脇に墨汁と筆でその名が記されていた。 「しょうた様」 「きくこ様」 いかにも子供の手になるものらしい稚拙な、だがある種宗教的情熱を感じさせる二人の周囲には、さらに小さな人物像が数多く描かれ、しかしその多くは名前とともに、やはり墨汁で黒く塗りつぶされていた。 その意味を、塗りつぶされた子供達がどうなったかを思い、ハルカはぞっとした。 カナタは、開口部に配置した射手のタイミングを合わせ、18匹の青青魚魚を「グーメン弾」で一気に全滅させるつもりのようだった。 一匹でも撃ちもらすと、何か恐ろしい事態になるらしいことが、これまでの会話からうかがえた。だが、さっきの参謀の言葉では、「グーメン弾」はどうやら23発しかないという。 彼らの見事な射撃の腕はすでに目にしていたが、全滅となると、はたして5発の余裕で大丈夫なのか、そこが気になった。 「あと21、右5、一人左5に移れ、そっちに固まっている」 「左2、出過ぎるな、青青魚魚に見られるぞ」 雨音に紛れて、つぶやきの声は時に聞き取りづらくなる。 ハルカは二人の間に割り込むようにして耳を近づけ、必死に聞きもらすまいとしていた。 声の数は増し、しだいに早口になった。 「あと16 足並みそろった」 「あと10、かまえ」 「9」 「8、右2、そっちが多い、注意しろ」 「7」 「6、左3、ひきつけろ」 「5、左3、ひきつけろと…」 カウントはそこで止まった。 アーケードの奥、「左3」と思われるあたりで破裂音が響き、それはやがて周囲に広がっていった。 かん高い悲鳴が、怒号が響いた。 何かがあったに違いなかった。 池上側の奥から、一人の子供が狂ったように笑いながらこちらに駆け抜け、そのままアーケードの外に走り去ってしまうのが見えた。 一番近くの「右2」の開口部から、グーメン弾を喰らったらしい一匹の青青魚魚が、ゆっくりと墜落し、100メートルほど離れたパチンコ屋の看板に激突し、四散するのが見えた。 サトルが突然、棒のように突っ立ったまま、頭から後ろに倒れた。石の床に、肉と骨がぶつかる嫌な音がした。 フトシとともにあわてて助け起こすと、サトルは全身をけいれんさせ、口から泡を吹き出していた。意識を失いつつも必死に何かをしゃべっている まるで混線した電話のように、さまざまな声が飛びかってよく聞き取れない。 ただその合間に、サトルは同じ言葉を狂ったように繰り返し叫んだ。 「アオウオオウ!」 「アオウオオウ!」 ハルカは、それが「青青魚魚王王」という字を書くのだと瞬間的に理解した。 なぜか。 それを伝える何かを感じたからだ。 そのとき、アーケードの天井が紙のように裂け、巨大なその姿の一部が見えた。 サンライズカマタ全体よりまだ大きい、青く青い、真っ青な塊が、暗い蒲田の空に浮かんでいた。 それは、青青魚魚の王だった。 青青魚魚王王(アオウオオウ) 大混乱になった。 アーケードの中に殺到してきた青青魚魚の群れに、パニック状態となった子供たちが、てんでにデタラメな射撃をはじめたのだ。 天井が破れてしまったためか、それとも青青魚魚王王の力なのか、「アーケードまもり」の効力は消えてしまっていた。 狙いを外したグーメン弾の一発が、100円ショップをビルごと吹き飛ばした。 「亀屋百貨店」のネオンに突っ込んだ青青魚魚の一匹が、そこで5発のグーメン弾を一度に浴びて大爆発を起こした。 思考攻撃を受け、仲間を撃とうとしたらしい子供を、他の数人が押さえつけ、顔がゆがむほどに殴りつけている様子が遠くに見えた。 ハルカは逃げることもできず、泡を吹くサトルと、呆然としたフトシを両脇に抱き、ただその場に座り込んで震えていた。 目の前の模造紙が、そこに描かれた稚拙な地図や人物図が、みるみる汚く踏み荒らされ、破けていくのをぼんやりと見ていた。 一匹の青青魚魚が、その上に滑り込んできた。 青青魚魚は、笑っていた。 そのうつろな目でハルカを、人間たちをあざ笑っていた。 ゆっくりと青い感覚様が、自分の心を満たしていくのをハルカは感じた。 その真っ黒なクチバシは、なんと魅力的なのだろうと思った。 ハルカはそこに接吻したかった。口にくわえ、しゃぶりつきたかった。 それが粉々に吹き飛んだ。 目の前に、吹き矢を構えたカナタが仁王立ちになっていた。 カナタの額からは血が流れ、それがハルカの足元に、模造紙や石の床に、次々に赤黒い点を作った。 「来い!」 ハルカはカナタに手を引かれ、フトシやサトルとともにアーケードの中を逃げまどった。 ハルカはフトシの手を握り、サトルはカナタが背負った。 メギの組の敗北だった。 グーメン弾を撃ちつくし、泣きわめきながら青青魚魚に取り囲まれる子供たちを見た。 あの参謀をクチバシでくわえ、オモチャのように宙に放り上げて遊ぶ青青魚魚を見た。 破壊された100円ショップの影に、ようやく身を潜めると、カナタはハルカに言った。 「フトシと逃げろ」 君は、と言いかけたハルカを、カナタはさえぎった。 「いいか、おれたちは、『大田区メギの組』だ。 おれたちは、秘密の歴史を伝えられてきた。もう何年も、何十年も、昔から伝えられてきた歴史だ。 この大田区で、毎年何人か、日曜日と月曜日の間に目覚めてしまう子供が出てくる。 どうしてなのかわからない。他所ではどうなのかも。 ほとんどの奴は、目覚めるとすぐあいつらに襲われて、死ぬかバカになってしまうからだ」 カナタの言葉は続いた。 「昭和のころに、『インチキさん』という人があらわれた。 『インチキさん』は、目覚めた子供がそうならないための方法を考えた。 目覚めた者のために『メギの組』を作り、いろいろな術を伝えた。 そして、それを仲間に伝え続け、お互いで助けあうようにと言い残して、8月15日に『とおくのまち』へ行ってしまった。 おれは、27代目の『メギの長』だ。 『インチキさん』のおしえと、わざとを守り、大森第六小学校25代、カワカミノブヒコさん、蒲田中学校26代、イノウエダイチさんの跡目を継ぐ者だ。 ダイトーアの男児として、仲間を助け、いつの日か、メギの組のみんなをとおくのまちへみちびくものだ」 インチキさん! 謎が解けたような気がした。 それは、長い間、口伝えにされるうちに変化してしまった「伸吉さん」のことではないか。 いまこそ、なぜカナタたちが、自分と同じ「メギ」や「ゼロイヌ」の名を知っているのか理解できた。 後藤伸吉の遺志は、そのほとんどが、ゆがんだり、失われたりしながら、メギ曜日に目覚めた者の間の、言い伝えとなって、いまだ保たれていたのだ。 ダイトーアとは伸吉文書の「大東亜」ではないのか。8月15日とは終戦記念日ではなかったか。 それは、60年以上にわたって、大田区の子供たちの記憶の中に伝えられてきた、奇怪な秘密組織と、その教義だった。 「ダイチさんは、ゼロイヌからおれを助けてくれた。そのせいで、おかしくなって死んでしまった。それが『メギの長』の役目だ。だからおれも、お前たちを守る。ダイチさんのように!」 自分に言い聞かせるように、カナタは言った。その膝が小刻みに震えているのを、ハルカは見逃さなかった。 「おまえはフトシと、『とおくのまち』に行け!あの塔へ! 御ショウタ様、御キクコ様、そこに行けば、すべての救いはもたらされるなり!」 「ゴーン」 上空を飛び回る青青魚魚たちが、突然あの雷鳴のような声を轟かせた。 何匹かがこちらに向き直り、近づいてきた。気付かれたのだ。 カナタは、動揺しているハルカの肩をつかみ、フトシとともにアーケードの外に押し出した。 「走れ!ここから離れろ!できるだけ!」 こちらの意図に気付いたように集まってくる青青魚魚の群れに、カナタは手に吹き矢を構えて向き直った。 「早く!」 一匹が、バラバラに吹き飛んだ。 グーメン弾だ。最後に一発隠し持っていたのだ。だがそれで終わりだった。 残りの矢で必死に応戦しようとするカナタを、青青魚魚の群れはあざ笑うかのように取り囲み、クチバシで引き裂きにかかった。 ハルカは走った。フトシの手を引き、大声で泣きながら走った。がれきと化した100円ショップからサンライズカマタを飛び出し、駅前の横道を全速で駆けた。 地響きのような律動音がした。 振り返ると、アーケード頭上の青青魚魚王王が、ハルカとフトシの方にゆっくりと動き出すのが見えた。 はじめて見えたその全体像は、優美とも言える流線型の組み合わせで、まるで巨大な宇宙船のようだった。その表面に、旅客機の窓のように無数の目が踊っていた。 そしてその足もとで、青青魚魚に包囲されたカナタが、何かを懐から取り出すのが、小さく見えた。 野球ボールほどの黒い塊。 しかし物体というより、それはなにか、まるで画数の多い漢字のように見えた。 「物語爆弾!」 フトシが叫んだ そしてそれは、炸裂した。 第11回へ続く(7月31日公開予定)
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