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前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ ……マメイヌ隊に入隊が決まって、舞い上がっていた気持ちは、最初の一週間でぺしゃんこになった。 走ることに自信はあったけど、それだけじゃだめだって知ってたから、狩りや探索も自分なりに練習してた。 お父さんとか、元クマンバチ隊の人にもお話聞いて。 なのに、いざ現場に出たら、先輩たちに全然着いていけないの。 やらなきゃって思ってるのに、頭が働かなくて、手が間に合わなくて、それで、 「それで……叱られたの?」 叱られなかった。だから余計に怖かった。 ルイズはどう? 叱られたら、そりゃ泣きそうになるかもしれないけど、でも、どこか安心できなかった? 心配してくれるから、だから叱ってくれるんだって。 マメイヌ隊は、ね、結構入れ替わりが激しいの。先輩たちは皆優しかったけど、でも本当は、後ろにいる隊長たちがどんな目で私のことみてるのか、怖くて振り向けなかった。 おかしいでしょ。 小さいときからずっと憧れてて、頑張って、ようやくなれて、これから頑張ろうっていうのに、頭の中がぐちゃぐちゃになってるんだから。 隊服が締め付けるみたいで、ご飯も食べられなくて、 焦って、でもどうしたらいいのか分からなかったときに、たまたま偶然か、それともその時皆が本気じゃなかったのか、その日の訓練で、私が一番速く走れたの。 これだ! って。 一つでも皆に抜きん出てるものがあれば、隊員でいられる。 ばかみたいでしょ。 だから恥ずかしくてルイズに言えなかった。ごめんなさい。 それから、どうしたかって? 走ったわ。脇目も振らずに、少しでも速く、もっと速く、誰よりも速く、 それしか頭になかった。 ふふっ 何日目だったのかな、とにかくがむしゃらに走ってたときに、いきなり、頭ががーんってしたの。 気がついたら、仰向けに倒れてた。 木にぶつかってた。 頭から、思いっきり。コロボックルがそんなの、聞いたことないわよ。 ぶつけて、頭が空っぽになって。やっと気がついた。 私は、何の為に走るのか、全然考えてなかった。 マメイヌ隊員だった人たちに、たくさん話を聞きに行ったのに、全然分かってなかった。 あの人たちは、隊を辞めても少しも悔しそうでも恥ずかしそうでもなかった。 お父さんもそう。 私は、あの人たちを見てたからマメイヌ隊に憧れたのに。 この剣、ね、世話役が直接私に渡してくれたの。 だからすごく重く感じてた。何よりも大切にしなきゃって。 違うんだよね。 子供を助けるためだったら、剣なんか折っちゃってもいいんだ。 隊長に、そう言いに行ったの。気がついたこと、思ったこと全部、ぐちゃぐちゃだったときのことも。 返事は一言だけ。「そうか」って。 嬉しかったな。それで、やっと剣が剣の重さになってくれた。 副隊長なんて、お前は頭がいいんだか悪いんだかって。 はあ、すっきりした。 * * 引き込まれてた私も、ようやく息がつけた。 ここで終わってもらって助かった。だって、この後はハヤテから見た私のはずだったもの。 しっかり分かったから、重ねて聞かされたら恥ずかしくて死んじゃう。 それにしても、 「半年前かぁ」 たった半年。それでこんなにしっかりしたお姉さんになっちゃうのか。 ずるいなぁ。そのころのハヤテが来てたら、私だけが子供っぽくなくて済んだのに。 「ガンバルノト、焦ルノハ、チョット違ウ」 まだちょっと赤いわよ。でも、感謝してる。 話してくれてありがとう。 手を伸ばして、ノートをぱらぱらとめくる。20ページほど遡ったところに、その書き込みはあった。 目的を間違えちゃだめだって。何のためにメイジになるのかよく考えようって。 あの後、ミスタ・コルベールとのごちゃごちゃがあって、それで埋もれちゃってたんだ。 大事なことに気づけて、大人になれた気分だったのに。ほんと、ばっかみたい。 「るいず、私モ、子供ダヨ。イキナリ大人ニナル、違ウ。少シズツ、行ッタリ来タリシナガラ、ネ」 もしもハヤテがいてくれなかったら、私も目を瞑ったまま走って、木に頭をぶつけてたんだろうな。 「ハヤテは、私の悩んでることとか、分かりやすくて、子供っぽいって思う?」 ううん、の指笛。 「大人ダッテ、分カンナクナルンダヨ、キット。先生モソウダッタジャナイ」 ゼロと呼ばれてむきになってたころが懐かしいわ。それだけで頭一杯になってた。 自分のこともだけど、シエスタとか、コルベール先生のことなんて、全然考えなかった。 ただのメイドで、ただの先生。 それに、そうだタバサ。 あの子今日は授業に出てたわよね。あれ? 昨日からだっけ? ううん、やっぱり今日からよ。 こんな風に考えることが増えて、魔法だけに集中できなくなってからの方が、よっぽど進んでる。 「フシギ、ダヨネ」 ハヤテもその言い方実感が篭ってるわね。 「アノネ、ゴ飯トイッショジャナイカナッテ、思ウンダケド、ドウカナ?」 また、話が飛んだわね。でもいいわ。面白そうだから聞いてあげる。 「好キナモノ、トカ、精ガツクモノトカ。デモ、ソレダケヲ食ベテルト、病気ニナッチャウ。タクサン、色ンナモノヲ食ベル、元気ノ素」 「そうよね。ハヤテって実は食いしん坊だしね」 「チ、違ッ! ルルルルッ!」 「冗談よ。分かってるわ」 私が意地を張らないように、わざと優しく噛み砕いて言ってくれてるの。そういうところも、ちい姉さまに似てる。 「明日から、ちゃんと授業受けるわ」 それだって、無駄じゃない。きっと私の糧になる。 「なんか、寝るの勿体無いな」 もう時間も遅いんだけど、もう少しハヤテとお話したい気分。 ちい姉さまにするみたいに、ちょっと甘えてみたら、しょうがないなぁってもう一度座り直してくれた。 「学院の庭、よく散歩してるでしょう? 何か面白いこととか、変わったことってないの? あ、別に何でもいいの。ハヤテの目から見た学院の話、聞きたいな」 眠くなるまで、余韻に浸りたいだけだったんだけど。 「ええっ! 風竜の背中に乗せてもらったの?」 それっていつ? いつの間にそんなに仲良くなっちゃったの? 寝てなんていられない。 「落チ着イテ、るいず。違ウノ。飛ンデナイカラ」 よくよく聞いてみたら、本当に背中にぽんと乗せてもらっただけ。 やっぱりタバサって分からない。竜の背中に乗るのはすごく興味あるけど、でも地面に降りてる竜に乗って楽しいの? 上手く想像できない。 だけどハヤテが嬉しかったって言うのを聞いてたら、その顔を見てたら、私も羨ましくなって、 「決めた! 私も明日タバサに会いに行くわ。だから明日の朝、一緒に起こしてね」 「エ? アレ? ウ、ウン。ワカッタ」 ベッドに潜り込む。 早く寝なきゃ。あ、ハヤテ、 「ナニ?」 子守唄、お願いね 前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ
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ハートのラビリンス 2つめの試練「何も持たぬ光の玉」 (2015年 2月5日) (画像準備中) 再び薄い空色の迷宮をさまよい…。 また、扉が現れた。 これを開ければ、また何かがあるのだろう。 しかし、どのルートを通っても、きっとどこかの扉にたどり着くと思われる。 フィニ:今度は何があるのかしら。 扉に入ったとたん、周囲の景色が一変した。 入った扉は、跡形も無く消えている。 不思議な場所だ。 床がなく、空間に浮いている感じだ。 灰色の雲の中にいるような、靄がかった景色…。 二人の前に、握りこぶし大の、蛍のようにささやかに光る玉が浮いている。 光の玉:だれか、いるの…? ねえ、おねがい。 なにか、ちょうだい。 いまからうまれるの。もうすぐ、おかあさんからでるところなの。 でも、なにももってないの。 かみさま、ふうせん、くれなかったの。 なんでもいいから、ちょうだい? 加護を持たない…魂…!? フィニ:(光の玉の言葉を聞いて)まあ、それは大変! どうしたらいいかしら? 私達でも何かあげられる? さっきグミさんたちも出てきたし、今ハートあると思うの! 出たらすぐにハートを運んでくれるようにお願いできるのに。 (アルバーンに)さっき買った布で包んであげたらどうかしら? 出来るかどうかは分からないけれど、愛情込めて選んだもの。 アルバーン:今生まれるのか?それは大変だ! ハート…。私達がこの部屋を出たら、間に合わないかも知れない…。 今ここにあるもので、どうにかしよう。 私達にできることを…。 (フィニの提案を聞いて)それはいいな! 布はまた買えばいい。 あなたが愛を込めて選んだ布だ。 きっと、この子を守ってくれる。 アルバーンは、布を広げて光の玉をふわりと包み込んだ。 アルバーン:この布を…。 まだ生まれる前だが、あなたの産着に。 心から祈ろう。あなたが幸せな人生を送ることを。 今日が、あなたの誕生日なのだな。 Happy Birthday…。小さなあなたと、いつか会えることを願って…。 フィニ:(光の玉に)お誕生日おめでとう。 元気に産まれて、育ってね。 あなたにたくさんの幸せがこれからありますように。 光の玉:あったかい…。 このふわふわも、かけてくれることばも、こころも、あったかいよ…。 からだ、つめたくて、くるしかったの。 もう、だいじょうぶ。 ありがとう。 あったかいよ…。 光の玉は微笑むように点滅し、すうっと空間の下に降りていった。 浮いている二人の目からも見えなくなっていく…。 気がつくと、二人の前に、扉があらわれていた。 フィニ:(光の玉を微笑みながら見送って)あたたかくなったって・・・ よかったわ^^ 今頃元気に産声をあげているかしら? アルバーン:そうだな。元気に産まれたことだろう。 (フィニのお腹を見て)この子のひとつ年上になるのだな。 公園で一緒に遊べる日が来れば…いや、きっと来る。 きっと、出会えるだろう。(微笑む) さあ、行こう。 試練と言うより、私の心も幸せになった気がする。 次も良いことが起こるといいな。あとひとつだ。 フィニ:そうね、この街で産まれて、いつか一緒に遊んでもらえるといいわね^^ とても素敵な想像だわ! ええ、行きましょう。 二人は寄り添いながら、扉を開けた。 この「試練」は、パシオンが用意したものではなく、偶然入り込んだ奇跡だったことを、今の二人は知らない。
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鬼武者 項目数:55 総ポイント:1000 難易度:★★★☆☆ 我が力となれ 鬼の篭手を使い、初めて幻魔の魂を吸収した 15 紫電閃く 玉「紫電」を手に入れた 15 紅炎盛る 玉「紅炎」を手に入れた 15 白風渦巻く 玉「白風」を手に入れた 15 冷静な判断力 家紋合わせの仕掛けを解除した 15 荒れ果てた天守閣 天守閣に侵入した 15 幽玄の間 幽玄の間へ通じる封印を解除した 15 これさえあれば 反鬼の小太刀を手に入れた 15 揺らめく水面 本丸東部の山麓池底エリアに侵入した 15 幻魔界 地獄門を開けた 15 未だ道半ば 魔空空間の中間階層までクリアした 15 最深部からの生還者 魔空空間の最終階層をクリアした 30 腕に覚えあり 難易度「通常」で開始して剣を強化せず、さらに力石と鬼石の両方を使用せずにゲームをクリアした 65 鬼の力を振るう者 「最強」でゲームを開始してクリアした 15 薬嫌い 難易度「通常」で開始して、回復アイテムを使用せずにゲームをクリアした 30 韋駄天 3時間以内にゲームをクリアした 30 鬼武者 ゲームクリア時の終了結果で「鬼武者」を獲得した 65 鬼を救いし武者 「鬼魂」を全てクリアした 30 自慢の視力 「千里眼」を入手した 15 戦術の幅 全ての遠距離武器を入手した 15 鬼の具足を継ぎし者 左馬介の具足を全て入手した 15 幻魔が最も恐れし剣 「毘沙門剣」を入手した 15 歩く本棚 全ての「文書」を入手した 15 迷子知らず 全ての「地図」を入手した 15 鬼の願い 全ての「蛍石」を入手した 30 鬼熊猫武者 左馬介の特別衣装を入手した 15 くノ一だとはバレない変装 かえでの特別衣装を入手した 15 魂の有効利用 破魔鏡で強化を行った 15 食欲旺盛 鬼の篭手を最大まで強化した 15 剣を極めし者 全ての剣を最大まで強化した 15 玉を極めし者 全ての玉を最大まで強化した 15 その体力まさに鬼の如し 力石を使い、「体力」の最大値を限界まで上昇させた 15 その鬼力まさに鬼の如し 鬼石を使い、「鬼力」の最大値を限界まで上昇させた 15 英雄の条件 幻魔に襲われている兵士を助けた 15 必殺の一閃 初めて「必殺」で幻魔を撃破した 15 忍の技 幻魔にかえでの「必殺」をヒットさせた 15 足元注意 滝壺に落として幻魔を撃破した 15 坂道注意 台車で幻魔をひき殺した 15 力比べ 幻魔との鍔迫り合いで勝利した 15 まぐれ?いいやそんな訳ない すべてのからくりの長持の仕掛けを解除した 15 一人前の翻訳家 すべての刻印の匣の仕掛けを解除した 15 聞き上手 「魂伝の数珠」を入手した 15 二人目の案内役 二人目のみのおやじと会話した 15 秘密の実績 雪辱 オズリックを撃破した 15 月下の鬼 マーセラスを撃破した 15 決定的な違い スチラードを撃破した 15 大斧軍団撃破 バラワッシャを撃破した 15 大害虫駆除 ヘキュバを撃破した 15 鬼のなれの果て マーセラス・改を撃破した 15 救出 フォーティンブラスを撃破した 15 ただ一つの隙 マーセラス・改に「弾き一閃」をヒットさせた 15 秋のはじまり 夕暮れの空に舞う雁の群れを見た 15 残暑 木の幹にとまるカブトムシを見つけた 15 小さな命に感謝を 鯉から魂を吸収した 15 鬼竹取物語 竹林で竹を切断した 15 ゲーム内での実績は『武功目録』で確認可能。 PS4とのマルチの為56番目の項目(全項目達成)があるが、こちらの実績にはない。 未だ道半ば、最深部からの生還者、幻魔が最も恐れし剣 毘沙門剣入手には魔空空間20階にある『毘沙門の笛』が必要。 魔空空間では黄魂が必殺で倒した時にしか出現せず、また一度戻ると1階からのやり直しになる為、 十分な準備をしてから挑む方が良い。(特に東天の滝裏で鬼神の具足を入手してからにすべき) 毘沙門の笛は幻魔界でマーセラス・改撃破後、一部材質の異なる壁の前で使う。 鬼の力を振るう者、鬼を救いし武者、鬼の願い 蛍石を全て(20個)を集める事で「鬼の願い」、その状態でクリアする事でメニューに出現する鬼魂をクリアする事で「鬼を救いし武者」、 そのクリア特典で最強モードが出現し、クリアする事で「鬼の力を振るう者」の解除となる。 薬嫌い 必殺で敵を倒す事で必ず黄魂が出るので、回復にはこれを利用する。 なお、『身代わりの木札』によって復活しても問題ない。 韋駄天、鬼武者、くノ一とはバレない変装 称号『鬼武者』獲得には、魂55,000回収、幻魔600体討伐、3時間以内クリアが必要。 鬼武者の称号を獲得する事で、かえでの特別衣装が手に入る。 討伐数は普通に進めた上で、かえで操作時の敵や魔空空間分を含めても500体弱なので、 幻魔界突入前が2時間半程度を目途に、寄り道して稼ぐ必要がある。 なお魂については、600体倒せば必殺を狙わなくとも達成するはず。 食欲旺盛 鬼の篭手は魂を累計20,000、50,000獲得して破魔鏡で確認すると強化される。 その鬼力まさに鬼の如し、英雄の条件 兵士を助ける機会は複数あるが、天守2階の門を出て1階で襲われている奥の兵士が鬼石を持っている為、 この兵士を助けないと「その鬼力まさに鬼の如し」がその周で解除できなくなる為注意。 忍の技 かえでの必殺は敵の背後に回ってR1+X。 敵の傍で敵方向にスティックを倒しR1+Xでバック宙による裏取りが出るので、そこから派生させるのが楽。 足元注意 東天の池を越えた先の滝に橋がかかっており、その奥に敵が待ち構えているので、 一旦おびき寄せて橋に乗せてから橋の縄を斬れば解除。 当然自分も橋に乗った状態で斬るとゲームオーバーになるので注意。 坂道注意 西天の櫓を抜けた先にある台車の縄を斬れば解除。 なお、その台車のあったところに蛍石有り。 力比べ 手長やボルチマンドが防御している際に斬りかかると発生。 ボタン連打だけでなくスティック回転も必要なので注意。 成功時には相手を投げ飛ばす。(引き分けた場合お互い弾きあうのみ) ただ一つの隙 マーセラス・改に対しての弾き一閃は、盾を破壊した後の二刀流時に行う、ダッシュ斬りでのみ可能。 その為、ある程度距離を取って誘う必要がある。 秋のはじまり ゲーム開始後、兵士と会話する場面まで進めたら、来た道を戻り橋の上まで戻る。(夕空が見える位置) その場所で夕日の方を向いて暫く待つと雁の群れが出現する。 残暑 ゲーム開始後、兵士との会話を終え先に進み、洞窟内部が崩れるのを確認したら、一旦兵士達のいたマップまで戻る。 そしてまた洞窟入り口が最初に見える場所まで戻ったら、右の木に向かい魂吸収動作を行い暫く待つと、カブトムシがはい出て来て解除。 小さな命に感謝を 鯉は東天櫓の先にある池にいる。 その鯉の傍で魂吸収動作をすればいいが、判定が小さいのか中々吸えない事もあるので要微調整。 鬼竹取物語 竹林は、西天櫓手前の門を抜けた所。 背景と異なる色の竹が切れる。
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前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ ヴァリエール家までは、シルフィードが乗せて行ってくれる。 キュルケとシエスタはそこで一泊、次の日に故郷に向かうって。だから手荷物だけにして、嵩張るものは先にそれぞれのお家に送ることになってる。 まだ二日あるのに、ガッコウの中、どこか浮ついてるみたい。授業中なのに、ざわめきが収まらない。先生も、諦めてるのかな。簡単なおさらいだけ。 「ハヤテも、家に帰りたいわよね……」 「帰リタイケド、今ジャナクテモイインダ」 少し強がって、笑ってみた。 「旅行好キナ人間ノ『トモダチ』ニナッタころぼっくるモネ、長イ間帰ッテコナカッタヨ。ソレデ、旅行記書イテタ」 私も読んだことがある。私が書き溜めてる手紙が、私の旅行記になるのかな。 だから、寂しくなんてないよ。 * * 懐かしいヴァリエールの屋敷が、どんどん大きくなる。 ありがとうシルフィード。首筋を撫でる。あともう少しだから、頑張ってね。 まだ小さくしか見えないけど、あの窓の辺りがお父様の書斎。あっちの東屋ではよくお茶会をした。それから、 「流石は名立たるヴァリエール公爵家。上から見るのは初めてだけど、大したものだわ」 豪華さじゃうちも負けないつもりだけど、こういう景観との一体感とかは負けるわ。 キュルケの軽口に、こみ上げてたものが引っ込んだ。そうよ、一人じゃないんだから、泣きたくなることなんてないんだから。 「当たり前でしょ、先祖代々ヴァリエールの一族が愛してきた屋敷なんだから」 「あ、あの、私なんかが来ても、本当に宜しかったんでしょうか?」 「ルイズがいいって言うんだからいいのよ。ルイズ、仮にも友人として引っ張ってきたんだから、ちゃんと責任は取りなさいよ」 分かってる。シエスタを平民扱いなんてさせない。私にとって、彼女は恩人なんだから。気持ちは、全部手紙に込めた。 お母様は厳しいけれど、受けた恩義はちゃんと返すことを知ってる人だ。 「ごめんね、ちょっと居心地は悪いかもしれないけど、でもシエスタにはどうしても来て欲しかったの」 私は、魔法を使えるようになった。お母様たちにそれを見せるのが、夢に見るくらい楽しみだった。でも、一人で魔法を使えるようになったんじゃない、支えてくれた人たちがいることも見せたかったから。 「気弱になってるわけじゃないの。ただ、見ててもらえたら、嬉しいかなって……キュルケっ 笑わないでよっ」 ふわりと、ゆるやから螺旋を描きながら、シルフィードが館の前庭に降下していく。 誰かが伝えたんだろう。人が出てきてる。竜で降り立つなんて、まるで凱旋だ。 案外当たってるのかもしれない。ゼロだった私が、メイジになって帰って来たんだから。 なんて、まだ卒業したわけじゃないのに、気が早いかな。 「お母様! お父様! ルイズ・フランソワーズ、ただ今戻りましたっ!」 行儀が悪い。こんなに大声で叫ぶなんて。でも、目が合ったら我慢できなかった。 「改めて紹介いたします。こちらはミス・ツェルブストー。学院での私の友人です」 ツェルブストーの名前を出したとき、お母様の目元がぴくりと震えた。 「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。ミス・ヴァリエールのお招きに預かりまかりこしましたわ」 場所を第二応接室に移して。 「お久しぶりですね、ミス・ツェルブストー。幼い頃の面影がありますね」 虚勢かもしれないけど、それでも大したものだと思う。私だってお母様は怖いもの。 だけど面識があったなんて知らなかった。 「こちらはタバサ。ガリアからの留学生です。彼女はシエスタ。二人とも私の大切な友人です」 「ちょっとルイズ、私は大切じゃないっていうの?」 うるさいわね、言葉の綾よ。 「いや、ユニークな友人を持ったものだね。風竜の主は、君か。素晴らしい竜だ。厩で休ませているが、他に何か希望があれば、使用人に言いつけてくれたまえ」 くすくすと、お父様が楽しそうに笑って。私もつられて肩の力が抜けた。そう言えば、お姉様の姿が見えない。 「エレオノールは、実験の手が放せないと手紙が来たよ。三人とも、よく来てくれた。是非自分の家とも思ってくつろいでくれたまえ」 「は、はいっ ありがとうございますっ」 タバサは軽く会釈したけれど、シエスタはがちがちだ。 でも、返ってそれがよかったみたい。お母様の目元が、何となく和らいでる。 「じゃあ、カトレア姉様は?」 「お前が帰ってくるというので、はしゃぎすぎてしまってね。少し熱を出したので休ませているんだ」 無理をさせてしまった罪悪感と、私のために無理をしてくれたって嬉しがる自分が、私の中でぶつかる。 「この後行っておあげなさい。無理に休ませたから、今頃うずうずしてるかも知れないわ。それより」 お母様にしては珍しく、そわそわ? そんな感じの声。 「はい、お父様、お母様、紹介いたします」 一歩前に、でもまだ遠いから、そのまま二歩、三歩。 「私の大切な、大切な使い魔、コロボックルのハヤテです」 肩から、腕を伝って、手のひらへ。お父様たちの目が見開かれる。 「ハジメマシテ。私ハ、はやて。るいずノ使イ魔デス」 真っ白い布を肩から斜めにかけて、マメイヌ隊の剣を腰に挿したハヤテは、昔話に出てくる異国の剣士のよう。シエスタが細い銀糸で縁に刺繍をしてくれたので、元がハンカチだったとは思えないくらい可愛い。 この服は皆で作った服だから、これで行きたいと言われて、ハヤテがもう少し大きかったら抱きしめられたのに。 「……手紙にはありましたけど、まさか本当に小人とは。それに、不思議な装いですね。でもよく似合っていますよ」 きっと、シエスタもくすぐったい気持ちだろうな。 「ハヤテは、とても笛が上手いんです。お父様たちにも聞いて欲しいの」 「ほう? それは楽しみだ。夕食の後にでも是非聞かせてもらおう」 ヴァリエール領で取れたお茶の香りを吸い込むと、帰ってきたんだっていう気持ちがまた胸に広がる。 ハヤテが殻のコップを両手で持ってる姿は、二人にも好評だった。それに、ようやくシエスタも、お茶を味わう余裕ができたみたい。 「ねえルイズ、魔法のお披露目をするんじゃなかったの?」 キュルケがこそりと囁いてきた。本当はそのつもりだったけど、でも、 「あのね、最初は、ちい姉、カトレア姉様に見て欲しいの」 私が魔法を使えるようになるって、本当に信じて、一番待っていてくれたのは、ちい姉様だから。 熱が上がるくらい喜んでくれたって聞いて、本当は今すぐ駆け出したい。 二人も私のそんな気持ちを知ってるから、言い出さないでいてくれるんだと思う。 目が、ついドアの方に向かう。さっき、ちい姉様の様子を見に行かせた、そろそろ戻ってきてもいい頃。 ハヤテが、とことこと歩いて――人目のあるところでは、本気で走ったり跳んだりしないで置こうって決めたから――お母様の手のひらに腰を下ろした。 こんな風に固まってるお母様は、滅多に見れない。吹き出しそうになったけど、後が怖いから、お父様と目配せするだけ。 「お館様」 メイドが戻ってきた。 「おお、どうだったかね?」 手が震えて、テイーカップがぶつかっちゃった。 「お医者様の許可も頂きました。興奮させなければ大丈夫だと」 「だそうだよ、ルイズ。行っておあげ。カトレアも待ってる」 「はいっ ハヤテ、皆も行くわよ」 一礼をして、皆を急かしちゃう。早く、ちい姉様が待ってるんだから。 「待ちきれないのはルイズでしょ。はいはい、分かってるわよ」 階段を駆け上がる。 最初はなんて言おう? やっぱり、ただいま、かな。それから、それから、 「よっぽど好きなのねぇ」 「私も、カトレア様のお話は何度も聞かせていただきました」 そうよ、好きよ。悪い? ドアをノックして、返事を待つのももどかしい。息を整えながら、 「ルイズ?」 その優しくて懐かしい声に、ドアを開けて中に飛び込んだ。 前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ
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パック:デッキの中の小さな太陽 ゲームオリジナルカードのみ収録したパック。レアリティは全てスーパーレアで統一されている。 ジャンル的には斎王琢磨の使うアルカナフォース、天上院明日香のサイバー・エンジェル、ジム・クロコダイル・クックの化石モンスター、ナポレオン教頭のトイモンスター等を収録。 オリジナルカードを主力に据えたデッキを組む際は必須になってくるパックである。 OCGに登場しないカード群なので初めは使い道に戸惑うかもしれないが、スカブ・スカーナイトなど凶悪な効果を持つカードも存在する。 出現条件はデュエリスト1の全キャラクターのクリアかチャンピオン大会の優勝とかなり厳しい。 強力なキャラクターと組んでチャンピオン大会制覇を目指すのが一番手っ取り早いか。 効果モンスターカード アルカナフォースEX-THE LIGHT RULER スーパー アルカナフォースIII-THE EMPRESS スーパー アルカナフォースIV-THE EMPEROR スーパー アルカナフォースVII-THE CHARIOT スーパー アルカナフォースXII-THE HANGED MAN スーパー アルカナフォースVIII-STRENGTH スーパー アルカナフォースXXI-THE WORLD スーパー 風化戦士 スーパー 巨大戦艦 アサルト・コア スーパー スカブ・スカーナイト スーパー トイ・エンペラー スーパー トイ・ソルジャー スーパー 闇の神-ダークゴッド スーパー 融合モンスターカード 古生代化石騎士 スカルキング スーパー 古生代化石竜 スカルギオス スーパー 新生代化石騎士 スカルポーン スーパー 中生代化石騎士 スカルナイト スーパー 儀式モンスターカード サイバー・エンジェル-韋駄天- スーパー サイバー・エンジェル-荼吉尼- スーパー サイバー・エンジェル-弁天- スーパー 魔法カード 一撃必殺!居合いドロー スーパー 化石融合-フォッシル・フュージョン スーパー カップ・オブ・エース スーパー 機械天使の儀式 スーパー 皇帝の戴冠式 スーパー ザ・ヘブンズ・ロード スーパー シールドリカバリー スーパー 失楽園 スーパー 白のヴェール スーパー スート・オブ・ソード X スーパー タイム・ストリーム スーパー 光の結界 スーパー 無限の降魔鏡 スーパー 罠カード 逆転する運命 スーパー ザ・スピリチアル・ロード スーパー ザ・マテリアル・ロード スーパー 酸のラスト・マシン・ウィルス スーパー
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ラノで読む 授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響くと同時に、太郎は教室を飛び出した。同じクラスの子供たちがランドセルを背負うよりも早く走っていく。 怒りっぽい担任の怒鳴り声がうしろから聞こえてくるけど彼はそれを無視する。明日とても怒られるかもしれない。それはいやだ。でも仕方ないだろう。太郎はどうしても急がなくてはいけない理由があるからだ。 太郎は階段を数段飛ばしで降り、校門を誰よりも早く駆け抜けた。 目指す場所はひとつ。 それは三つ目の信号を右に曲がった路地の先にある。 「はぁ……はぁ……」 息も切れ切れにぼくは太郎に辿り着いた。 ビルとビルの間に、ちょこんと建てられた小さな建物。年季を感じさせるほどに古びている。 そこは民家のような日本家屋だ。紅茶の匂いのする畳、あちこち破れている障子、誰かが悪戯で落書きした木の柱。そしてその家の中と外にあるたくさんのお菓子と玩具たち。まるでそこだけタイムスリップしているかのように雰囲気が違い、未来的な双葉区の印象とはだいぶかけ離れている。そう、それはテレビなどの特集で見る『懐かしの戦後』的な印象を、子供たちは抱くだろう。 ここは双葉区の駄菓子屋『おたま堂』だ。 「こんにちはー」 そう言って太郎は店内に足を踏み入れていく。その瞬間、なんだか体が軽くなっていくのを感じた。 埃っぽい感じがするけど不思議と不快感はない。店の中はまるで宝石箱をひっくりかえしたみたいに色とりどりの駄菓子が並んでいる。珊瑚やルビーのような輝きを放つビー玉が瓶の中に詰まっていて、太郎の好きな五円チョコが平積みされていた。赤、緑、黄色のニッキ水が窓際に並び、放課後の夕日を浴びて虹のような輝きを放っている。上からぶら下がるクジの紐が顔に当たり、それに気を取られているとまだ開封されていない駄菓子の段ボールが足に引っ掛かる。 棚を見れば懐かしいロボットアニメのプラモデルがずらりと並んでいた。 ここにいるだけでなんだか凄く幸せになる。満たされていく。ワクワクが止まらない。太郎の心は高揚していく。 「あら、太郎くん。いらっしゃーい」 店の奥からそんな天使のように、ふんわりとした優しい声が聞こえてきた。 障子を開けて顔出したのは割烹着姿の女の子だ。長い髪を後ろで束ね、まんまるほっぺがとても可愛らしい。彼女が自分に笑いかけてくれるだけで胸が高まって心臓が痛い。太郎はぎゅっと拳を握りしめた。 彼女はたま《、、》。太郎と同い年なのだが、わけあってこの『おたま堂』の店主をやっている。 太郎は彼女に会うためにやってきたのだ。ほかの客が来ないうちに、誰よりも早くここへ。 「どうしたの太郎くん。珍しいね、こんなに早く来るなんて。学校はいいの?」 「いいんだ。たまにはさ」 部活にも出なくてはいけない、しかしそれまでには時間がある。用事を済ませたあとで戻ればいいと自分に言い聞かせ、太郎は彼女の顔をじっと見つめる。 「何か買うの太郎くん。太郎くんは五円チョコが好きだったよね、箱買いでもする? それともベーゴマ?」 「ううん。このねりあめを買うよ。あとこのヨーグルとカリ梅も」 太郎は五十円玉をポケットから取り出してたまの手に乗せた。その時、太郎とたまの手と手が触れ合う。彼女にとってはなんでもないことかもしれない、しかし太郎はそれだけで顔が赤くなる。 「はい。ちょうどいただきました。ありがとうね」 たまは笑顔でそう言い、豚の貯金箱に五十円玉をちゃりんと入れた。横に置かれている蚊取り線香の匂いが太郎の鼻をくすぐる。静岡の実家を思い出してしまう。 「ね、ねえ。たまちゃん」 太郎は勇気をふりしぼって言葉を捻り出す。たまは「なあに?」と、可愛く小首をかしげてくりくりとした目で太郎を見つめた。 「たまちゃん。ぼく、嬉しかったよ。キミとまたここで会うことができるなんて、夢にも思っていなかった」 「そうだね……。小学校四年生の時以来だよね」 太郎とたまは同じ静岡の同じ小学校だった。でも彼女は突然転校してしまい、太郎はただ途方に暮れるだけだった。しかし、不思議な縁もあるもので、こうしてこの双葉区で彼らは再会した。 運命。そんな安っぽい言葉を使いたくなってしまいたいくらいの奇跡だと、太郎は思った。 「どうして黙って行ったのたまちゃん。ぼくはあれからずっとキミのことを心配してたんだ……」 そう、彼女が突然自分の目の前から去った時、世界が終ったような哀しみが太郎を襲った。ご飯も喉を通らず、両親が心配するほどだった。 「……ごめんね太郎くん。お別れを告げるのが、悲しくて、太郎くんの顔も見れなかったの。ほんとだよ」 たまは心から申し訳なさそうに頭を下げた。違う。自分は彼女に謝ってほしかったんだじゃない。太郎は己の言葉に後悔する。しかしその反面、太郎は安堵していた。自分が嫌いになって別れを言わなかったわけではないのだと、ふうっと息を漏らす。 「ねえたまちゃん。あれくださいな」 太郎はさっと、右側にある玩具コーナーを指差す。その中にあるビーズとガラス玉で作られた玩具の指輪を太郎は手に取った。 「60円になります」 たまは不思議そうな目でそれを太郎に渡し、代金を受け取った。男の自分がこんなのを買うなんてきっとおかしなひとだと思ってるかもしれない。そう思いながらも、太郎はその玩具の指輪を、すっとたまに差し出した。 「え? なに太郎くん。返品?」 その言葉を、太郎は首を振って否定した。 「これ、よかったら受け取ってください。好きですたまちゃん。ぼくと、ぼくと結婚してください」 言った。ようやく言えた。ずっと長い間溜めていた想い。喉がからからになって、心臓がすごくドキドキしている。鐘のように心臓が鳴り、指先までもドクドク言っている。足の震えも止まらず、情けないことにそれ以上の言葉が太郎には出てこなかった。 「……!」 たまは一瞬、驚いたような顔をした。しかしすぐにいつもの柔らかな顔に戻り、愛おしそうにその玩具の指輪をぎゅっと握りしめる。 「ありがとう太郎くん。私嬉しい。太郎くんが私のことを好きだなんて……」 「ぼくはずっとたまちゃんのことが好きだったよ。小学四年生の夏、キミがいなくなってからもずっと、キミだけを好きだった」 「私もよ太郎くん。私もあなたのことをずっと好きだった。あなただけを想ってきたの……」 そのたまの言葉に太郎は嬉しくて涙が出そうになった。たまはすっと玩具の指輪をくすり指にはめ、夕日にかざしてそれを見た。 「きれい……どんな高価な宝石よりもずっと……」 ガラス玉に反射する夕日が、たまの頬を赤く染めていた。いや、たまの頬が赤いのは、夕日のせいだけじゃないだろう。太郎も同じように顔が真っ赤になっている。 たまはすっと立ち上がり、駄菓子屋の出口へ向かっていった。 「ありがとう太郎くん。でもね、でも私はおばあちゃんなのよ……」 たまが駄菓子屋の敷居から足を外に出した瞬間、たまの身体に異変が起きる。彼女の白く、すべすべとしている肌はしわだらけになり、綺麗な黒髪も真っ白になっていき、腰も少し曲がってしまう。 そこにいるのはただの、割烹着姿の、駄菓子屋の年老いた女性であった。。 「私が子供の姿でいられるのはこの店の中だけ。それが私の“若返り”の異能だから。一定場所でだけ、この駄菓子屋だけで若返られるのよ」 たまは苦笑しながらそう言った。そして、その言葉に太郎も答える。 「知ってるよ。今更説明しなくても。ぼくとキミは同い年なんだからさ、ぼくもただのおじいちゃんだよ」 そう、小学四年生の夏から太郎と彼女が別れてもう六十年が経つ。 それから色んなゴタゴタで二人は連絡を取ることもできなかった。それでも彼ら二人は、お互いのことを忘れられず、これまで結婚もしなかった。 こうしてこの双葉区で再び会えたのは、やっぱり奇跡で、運命だと太郎は思った。 太郎は店の前に立つたまの手を握りしめる。お互いにしわくちゃの手。それでもやっぱりドキドキしてしまう。子供のころと変わらない恋心が、太郎の胸一杯にこみあげてくる。 「好きだよたまちゃん。大好きだ」 「私もよ太郎くん。大好き」 太郎はその言葉をたしかめるようにお互いの手を絡め合う。 「先生! 困りますよ副担任が勝手に帰られては!」 そんな二人に割り込むように、眉間にしわを寄せた教師がそう怒鳴った。彼は太郎の受け持ちのクラスの担任だ。太郎はそのクラスの副担任であった。たまへの激しい想いが暴走し、太郎は授業が終わると共に教室を飛び出してしまったのだ。これから部活の顧問もあるし、色んな仕事が太郎を待っている。 それでも今はこの幸せを噛みしめよう。 しかし邪魔はまだまだ入る。 「あー! 先生が駄菓子屋のおばあちゃんといちゃいちゃしてるー」 「わーラブラブだー」 授業が終わり、ようやく駄菓子屋に集まり始めた生徒たちがそうひやかしてきた。二人は思わず照れて顔をそむけてしまう。 いや、構うものか、見せつけてやれ。そう思ったのか、太郎とたまは肩を寄せ合ってみんなに笑いかけた。 「だけど太郎くんって、いくつになっても『ぼく』なのね」 たまはおかしくてたまらないと言った風にプッと笑った。 「お、おかしいかな? 確かに教師としての威厳はないかもしれない」 「ううん。とっても可愛いわ。本当、あなたは変わらないわ」 「そりゃたまちゃんもさ。変わらず、ずっと可愛い笑顔だ」 こうして彼らは失われた青春を取り戻していこうと、二人で人生を歩み出したのだ。 (了) トップに戻る 作品保管庫に戻る
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序章・畜舎編 ガタン ガコッ 隙間から吹き込む風が冷たい暗闇に包まれた空間。 たまにある揺れに軋む金属のオリ中にはたくさんのチビンネが詰め込まれていた。 オリは複数あり、それぞれ不安そうな顔で揺られている。 そんなオリとは別にぽつんと端に置かれた一台の小型ポケモン用キャリーバッグ。 この薄汚れた小さなキャリーの中には二匹のチビンネがいた。 「お兄ちゃん怖いミィ…」 「だいじょうミィ!ママが言ってたミィ、僕達はこれから楽しいところへいくんだミィから!」 妹らしいチビンネを撫でる兄と呼ばれたチビンネ。 この二匹だけじゃない。皆つい数時間前まではお家(畜舎)でたくさんの家族や、 耳に飾り(管理タグ)をつけた母親とともに藁のベッドで寝息をたてていたのだ。 妹ンネをなだめた兄ンネはまだお家にいた頃を思い返していた。 優しい母とたくさんの兄や姉達に囲まれ幸せな暮らしを送ってきたベビンネ時代を過ごし、 そしてミィチィ入り交じる程になるチビンネと呼ばれる時期にさしかかった頃、唐突にママンネから自分達の未来を伝えられたのだ。 「ミィんな、大きくなったらみんなはここから離れて幸せに暮らすミィよ」 「やだチィ!チィは離れたくないチィ!」 「ミエーンやだミィ!」 「しあわせってママよりすごいミィチィの?」 「もちろんミィ。みんな別々になっちゃうかもしれないけど、みんな幸せになれるって人間さん言ってるミィから」 20頭近くいるチビンネたちはそれぞれの不満や疑問を口にするが、時々顔を曇らせながらもママンネは笑顔のまま話を続けたのだった。 そんな中涙も流さず震えていたのは妹ンネ。彼女はママや他の兄姉より、この兄ンネに執着している。 まず兄と離れるのが一番の不安なのだろう、そんな姿に兄ンネも妹ンネのを手を握り、 「もちろん、僕はずっと妹ンネと一緒ミィ」 と優しく微笑んだ。 この兄妹は個体としては大変優秀で同時期のタブンネより知能も体力も優れている。 そんなチビらしさの少ない二匹は互いに疎外感からかたしかな絆が生まれていた。 高い知能に合わせ、兄はさらに知能に優れ、妹は体力に優れている。これが後に関わってくるのだが、まだ先の話。 その夜子供達は全てママに寄り添い寝息をたて、もちろん兄妹も母に寄り添うもその手は互いにしっかり握られていた。 数日後 朝ご飯(廃棄野菜)をくれる人間達がいつものバケツではなく、大きなオリを手に畜舎へたくさん入ってきたのだ。 いつもと違う様相に不安を感じ、震えたり威嚇するチビ達を無視し、人間は次々とオリにチビを放り込んでいった。 兄ンネ達の畜舎は後列なので、その一部始終の叫びをたくさん聞かなくてはならない。 震える子達にママンネは目を細め、目尻に涙を溜めながら笑顔でこういった。 「お別れミィ、みんな、必ず幸せになるミィからね」 そして最後に自分の家族も次々放り込まれていった。 逃げ惑う子、ママにしがみついて離れない子、人間の手を叩いているような素振りをする子、何事も無いようオリへ。 できるだけ端に身を寄せていた自分と妹にも手が近づいたが、何もせず人間は柵の入り口を閉め去った。 震える妹ンネを抱いたまま、兄ンネはママンネに叫んだ。 「ママ!みんな怖がってるミィ!どうして」 「…………」 ママンネは何も言わず笑顔のまま涙を流していた。 すぐに人間が戻ってきて、その手には小さなバッグが。兄妹はそこに入れられた。 視界からどんどんママとお家が離れていく。 窓から見えた他のママンネ達もみんな同じように手を腹前に組んで笑顔なのが不気味に感じられた。 そんな中でも一瞬だけ不安と悲しみに満ちた表情をした自身のママに気づいてしまった。 その意味には近い未来理解することになる。 そして大きな箱(トラックのコンテナ)に詰め込まれる視界は暗闇に閉ざされ、冒頭に繋がる。 これはこの兄ンネと妹ンネが主軸の話 一章へ続く
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登録日:2011/11/26(土) 12 37 26 更新日:2022/05/11 Wed 02 29 11NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 70年代テレビアニメ アニメ ズイヨー バイキング フジテレビ ルーネル・ヨンソン ヴァイキング 児童文学 外国の絵本 小さなバイキングビッケ 海賊 『小さなバイキングビッケ』とはスウェーデンの作家ルーネル・ヨンソンの児童文学の一つで、それを日本がアニメ制作した。 日本での放送は1974年から1975年までフジテレビ系列にて放送されている 全78話(ただし何故かテレビ放送では77話までしか放送してない) 本項目ではアニメの方を解説します ストーリー バイキングであるフラーケ族の族長ハルバルは、力はあるが頭の回転がどうも鈍く、族長としては少々頼りなかった。 一方のハルバルの息子ビッケは父と反対に力は無いが、頭の冴えは誰にも負けなかった。 父との力比べに知恵で勝ったビッケは特別にバイキングの遠征に参加することを許される。行く先々で出会う事件や困難を小さなビッケの知恵で立ち向かう… 登場人物 ビッケ CV 栗葉子 本作の主人公。族長ハルバルと、妻のイルバとの息子 まだ子どもの為体格は小さく、怪力の父とは打って変わって力は無いが頭の冴えは大人顔負けの才能を持つ。初めは小柄故に仲間達から小馬鹿にされる事もあったが、その卓越した知能と知恵で敵を懐柔したり、敵の罠から脱出するなど様々な功績を立て一流のバイキングであると認められる様になる。 暴力は嫌いで、心配性な性格。また崖を見て腰を抜かしたりすぐファクセの背後に隠れるなどなど臆病な一面も。 「そうだその手でいこう!!」 ハルバル CV 富田耕生 ビッケの父でフラーケ族の族長。作中でも大柄の体格で力持ち。ひ弱なビッケと相対的に子供の頃からしょっちゅう狼をコテンパンにして狼から恐れられていたなどかなり腕っ節が強かった。 その一方で頭は弱くビッケがいない航海では大抵敵の罠に嵌って窮地に陥る。 失明したのか左目に眼帯をしている 戦闘では腰に当ててる剣をメインにしてるが、投げ槍の名手でもある。 「フラーケのバイキングをなめるな!!」 ゴルム CV 八代駿 ハルバルの腰巾着的な存在 かなりのカンゲキ屋で喜びや悲しみの時のリアクションはオーバー。よく飛び跳ねたりする 「カンゲキ〜」 ファクセ CV 西尾徳 ハルバル以上の大柄の体格の男だが気が優しく恥ずかしがり屋ですぐに顔を真っ赤にする 性格が故かビッケとはとても気が合う。またその体格から想像できる様にかなりの大食い。 実は隣の村にフィアンセがいるリア充。 「お、おかしら、やっぱ最初にやられるのは俺みたいです」 ウルメ CV 和久井節緒 ロールヘアーのバイキングかつ詩人。常にハーブを抱えて唄を歌う。更に彼の書く手紙は詩。 またコックとしてメンバーの食事を任せている スノーレ CV 滝口順平 ビッケより小柄の男でバイキングの一人。 天邪鬼な性格でよく文句を言っており、その言動でチューレとよく喧嘩をする 「だから俺は嫌だといったんだ!!」 チューレ CV 里見たかし しゃくれが特徴のバイキングの一人で船大工。 怒りっぽい性格ですぐに力で解決しようとしたがる。よくスノーレと取っ組み合いをする 「なんだとー!!」 ウローブ CV 北村弘一 他のメンバーとは違って長年培った知識でたびたび皆にアドバイスをしたりするインテリ派の老バイキング。立派な髭を蓄えている。 度々暴走しがちなビッケ以外のメンバーを諭したりするのも彼の役割 ちなみに一度隠居させられたことがある。 イルバ CV 中西妙子 心優しいビッケの母。族長の妻だけにあって夫が不在の際は時は他のバイキングの妻たちや村の人々をまとめ上げる優れたリーダーシップをもつ。 流石のハルバルも彼女には頭が上がらない チッチ CV 松金よね子 金髪ヘアーが特徴的な女の子。ビッケよりも背が低い。ビッケとは非常に仲が良く、将来はビッケの嫁になるのが夢 ナレーター CV 増山江威子 状況やビッケ達のやってる事を視聴者に分かりやすく解説してくれる。 他にも上記のバイキングのメンバー以外にモブがいたり、行く国の住民などがいる ◇余談 これを原作にした実写映画がドイツで公開され、日本でも吹き替え版などで上映された。 アニメは香港でも放送された事がある。 またヨーロッパ限定だがDSのゲームが売られている。2011年にはベルギーでリメイク版の3Dアニメが製作された。 「ONE PIECE」の作者の尾田っちこと尾田栄一郎はこのアニメの影響で「ONE PIECE」を描いた。 今でもキッズステーションなどでも放送されていたり、DVD化されていたりと未視聴者は是非とも観て欲しい 追記、編集はビッケ♪ビッケ♪ビッケは海の子バイキング♪の歌詞が頭に浮かんだ人でお願いします △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 懐かしい!誰かが虫歯になって、海水に浸けて治すエピソードがあったような。 -- 名無しさん (2014-05-17 02 16 04) 名前 コメント
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ようこそ! このページwahrscheinlichkeit運営の商人物語『大海原を望む小さな都』攻略用wikiです! 改造度が非常に高く、それだけに完全攻略が難しいため1ユーザーのフラムナートが情報交換などを目的に独自に設立しました。 なお、記事の一部はネタバレが非常に多く攻略や謎解き要素の探求などの面白味を損なう場合がございます。お気をつけください。
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「起きて下さいっ!!遅刻しちゃうしっ!起きて下さいってば、福路先輩っ!!」 福路先輩は朝に弱かった。もっとも私がそれを知ったのも今朝のことだ。 「「「おねーちゃん、おねぼうさんだー!」」」 妹たち(三つ子)が騒いでる。…福路先輩、子供にお寝坊さんとか言われてますよ? 「…う~ん。ほら、華菜…あれがチョモランマよ…」 どんな夢を見てるんですかっ!もう、こうなったら力づくで起こすしかないし。 ごめんなさいっ!幸せそうな寝顔に胸がチクリとしたけれど、 心をコーチ(オニ)にして無理矢理布団を剥ぎ取った。 「華菜…寝ちゃダメよ…寝たら凍え死んじゃうわ…」 いや、寝てるのは福路先輩です。 妹たちの声援を受けながら、寝ぼける先輩との死闘はしばらく続いた。 「ご…ごめんなさい…華菜…」 「もういいですっ!はやく朝ごはん食べないと本当に遅刻しちゃいますよっ!」 怒ったふりをしている私。 「「「おねーちゃん、げんきだしてー」」」 いつもの面影もなく、しょんぼりしている先輩とそれを慰める園児たち。 どうしようもなく微笑ましい光景だった。朝から賑やかで騒々しくて。 だけど、もしこんな日が続くのなら、きっとそれを幸せと呼ぶんだと思う。 それは──とても、とても小さな幸せ。 「福路先輩、急いでっ!」 妹たちを保育園に送り届けて、それでもなんとか始業には間に合いそうだった。 信号が変わると同時に走り出す私に急ストップがかけられた。 「あっ、ちょっと待って、華菜。……おはよう、みんな」 「…?」 ピィー、ピィー 先輩は駅の近くにあるペットショップの小鳥たちに挨拶をしていた。 「………」 「あ、ごめんね。ここの小鳥さんたち可愛いからつい…その…毎朝、挨拶してるの…」 ああぁっ、もうっ。可愛いのは先輩の方だしっ! 小鳥が目の前ということもあって、狩猟本能が全開になってしまいそうだった。 「ほらっ!先輩、行きますよっ!!」 勢いに任せて手を繋いでみた。 「…あっ」 福路先輩の顔が真っ赤になる。きっと私の顔も似たようなものだろう。 でも、このぐらいは許してくれますよ…ね? それは昨晩のこと── 昨日は妹たちの誕生日だった。 なのに神様は何を間違ったのか、私宛にプレゼントが届けられた。 玄関を開けるとそこには福路先輩の姿。 「私も妹さんのお祝いしたくって…私が料理手伝ったら迷惑かしら」 つまるところ、お人好しの先輩はわざわざ家にまで訪ねてきてくれたらしい。 あまりのことに喜ぶより先に軽くパニックになった私を余所目に、 妹たちはちゃっかり先輩に懐いて大ハシャギだった。 ……というか懐きすぎだし。やっぱり血は争えないのか? いつもより賑やかな夜も更けて、妹たちが寝静まったところで、 ようやく私と先輩は一息つけた。 「今日は色々ありがとうございました」 「いえいえ」 先輩が来てくれて助かった。一人で妹三人を相手にするのは骨が折れる。 それに…こうして妹たち寝静まると、今度は県予選のことを思い出す。 ──天江衣、連続全国出場の途絶。周囲の雑音は嫌でも耳に入ってきた。 高校に入ってまだ三カ月だというのに…正直、疲れた…。 ──華菜。なんでも自分で背負い込もうとしないで…。ね? 不意をついて投げかけられた言葉、穏やかな笑顔。 そっと先輩は私の頭を膝の上に乗せてくれた。膝枕をされるのなんて何年ぶりだろう? 先輩の温もりに優しく包まれて、いままで抑えていたものが決壊しそうだった。 「なにもかも、うまくやろうとしたら大変なんだから、少しは休んで…。 私ができることなら、なんでも話してね」 「先輩ってホント…おせっかいだし…」 あぁ、なんかもうダメだ。決壊するし。 「ぐす…先輩…先輩……」 一度堰を切ってしまった涙はもう止められなかった。 いつ泣き止むとも知れない私を、先輩はずっと撫で続けてくれた。 先輩は本当にどうしようなくお人好しで、そんな先輩が私は── 先輩を見上げると変わらない笑みを返してくれた。 今度は心の別の場所でガラガラと何かが崩れる音がした。 「……福路先輩。……すき…です…」 溢れ出てしまったのは先輩への恋心。こちらも、もう止められそうにもなかった。 「………」 沈黙が怖い。心臓の音だけがドクンドクンと鳴り響いてる。 「……華菜…」 は、はい。返事をしたくても緊張で声が出ないし。 「私も………す……よ…」 消え入りそうな声だったけど、確かに聞こえた。たしかに「すき」って… 待て、焦るな華菜。この人のことだ。後輩としてとか、そんなオチが… 「────っ!!」 ぎゅっと先輩の胸に抱き締められた。さっきより少し高い体温、 押し付けられた胸から聞こえる早鐘のような先輩の鼓動。私の心配は杞憂だったようだ。 待て、焦るな華菜。まだ夢オチっていうのが… 「おねーちゃん、といれー」 「………」 ……夢じゃなかった。夢じゃなかったけど……なにもかも台無しだし…。 神様、次からはもう少しまともな方法でお願いします。 その後、また一騒動があり、夜も遅くなってしまったので先輩は我が家に泊まることに。 私はというと疲労と緊張から気を失うように眠ってしまい…そのまま今朝に至る── ──思い出したら、また顔が熱くなってきたし…。 でもホントにあれは現実だったのか…? 私の不安を打ち消すように繋いだ手は先輩に強く握り返された。 振り返ると顔を赤く染めた先輩、それと私の大好きな笑顔があった。 この気持ちは嬉しいって言えばいいんだろうか?幸せって言えばいいんだろうか? とにかく、もうこの胸は破裂寸前だった。 「世界で一番幸せな人は?」と聞かれれば、迷わず「私」と答えられるぐらい。 きっと私には特別なものなんて何もいらない。 ただ先輩が隣にいてくれるだけで、世界中の幸せは私のものだから。 「福路先輩っ!」 急に甘えたくなって思わず頬ずりしていた。 「もうっ、遅刻しちゃうわよ」 うぅ、逆に怒られたし。でも、ちゃんと頭を撫でてくれる。 キーンコーン──始業の鐘が聞こえた。にゃはは、遅刻だ。 「先輩、急ぎますよっ!!」 先輩の手を引いて慌てて走りだした。 ──どうか、こんな毎日がずっと、ずっと続きますように