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とある頭痛薬の半分は優しさでできているそうです。 なので皆さんも、もう少し私めに優しくしてくださったりなどは……あ、はいそうですか、してくれませんか。 では参りましょう。はい、せーの。 「ぎゃぁぁぁっ! く、口の中で死霊の阿波踊りがあぁぁっ!?」 「ちょっと兄貴、病人なんだから静かにしてよ!」 まさに恐怖! まさにクレイジー! 「つうかこれのどこが健康食だ!? 明らかに健康を損なう代物以外の何物にも見えないぞ!」 確かに俺は全身凄まじい勢いで打撲やら骨折やらありますよ。病人というか怪我人です。しかも一刻も早い治療が必要だ。確かにそれはそうだ、認めるところだ。だがしかし、これだけは認めない。断じて認めない! 「おかゆにサプリメントやら栄養ドリンクやらぶち込むとか、アホか、アホの子なのかお前!?」 「な、なによ手っ取り早く栄養が取れそうだからいいじゃない!!」 喧々囂々とはまさにこのこと。ていうか怪我人に怒鳴るな叩くな。お前は俺を治したいのかベッドに縛り付けたいのか、どっちなんだ? 俺はため息をつきながら、昨日のことを思い浮かべた。 あの後、ノアは姿を消した。あの後応援を呼んで俺たちはまとめて病院へ担ぎ込まれたらしいのだが、やる事があるとの沙良先生の言葉により緊急を要する怪我人以外は応急処置を済ませるにとどめたらしい。とはいえ、沙良先生や専門の魔法使いのおかげで傷は一両日中にはあらかた治るという話だ。 ちなみに緊急を要する怪我人とは、貴俊と陽菜の二人。特に陽菜は腹に穴が開いてしまっていたのだという。何とか傷跡は残さないようにしてくれるという話だ。 貴俊は……ガーガーの馬鹿力を立て続けに食らったせいで、生きているほうが不思議という診断を下されたらしい。だが今は陽菜よりも元気になっていて病院内を暴れまわっているんだとか。 そして俺もそれなりに重症だったらしいのだが、沙良先生がなにやら強引な手段を用いたとかで軽症と呼べるレベルまで回復させたらしい。その話になるとみんな目を逸らすんだから気になって仕方ない。 ともあれ、一日を病院で過ごしたみんなは、俺を連れて自宅に戻った。 そこで見たのが、家の中の惨状だ。現在、世界中で地震や嵐などの天変地異が頻発しており、家も地震の被害にあったのだという。幸い、家が潰れるような威力のものではなかったがその中は酷い有様だった。 そんなわけで大掃除が始まったわけだが……なんというか、騒音に『誰だ騒いでるのはあああ!!』と叫びながら俺が目を覚ましたというところから察してもらいたい。 そして今に至る。日付は変わりそろそろ寝ようかと思っていたところに、傷が深いから栄養のあるものを、ということで美羽が用意してくれたらしいのだが。てめえどう考えても嫌がらせだろこれ。なによそれせっかく人が親切心で。その親切心は致死性だ。 などと騒いでいたら、 「やかましい! 深夜なんやからぎゃぁぎゃぁ騒ぐな!!」 「「ご、ごめんなさい」」 俺と同じくらいに傷を負っていたはずの沙良先生は、すでに完全回復していた。本当に傷ひとつないのだ。 『家に帰るなり冷蔵庫の中身を食べつくして、その後お風呂場に入って出てきたら元通りだった』とは美優の談だ。どういう身体構造してんだ、あの人。 「結城姉もおにーちゃんが心配なんはわかるけど今日は寝とき」 「いやでも」 「肌が荒れるで」 「お休み兄貴☆」 ばたん。 どうやら結城家長女は長男の体の具合よりも自分のお肌の健康のほうが優先順位が高いらしいです。しかもあの即決具合からして、不等号ひとつふたつのレベルの差ではないだろう。 ……覚えてろよ。 「人気者は辛いなぁ、おにーちゃん?」 「人をからかうのがそんなに楽しいですか……」 それはさておき、と沙良先生は扉に背を預けた。真剣な瞳がまっすぐに俺を射抜く。 「あんた……あんときに乃愛……あー、ノア、か? 音が一緒でややこしいなぁ。そのノアから、何か情報、うけとっとるんか?」 「…………」 おそらく、誰もが尋ねたくて口に出せなかった言葉。 みんな信じたくないんだろう、俺だって信じたくない、信じられない。あの乃愛さんが、こんなことをするなんて。 あの人は言った。乃愛ではなく、ノアだと。言葉通り、雰囲気も考え方もまるで乃愛さんとは違う印象だった。でも、それでも……。 「……一応、ある程度の情報はなぜか頭の中に入っています」 「そ、か。そんならええ。とりあえず話は明日や、明日、みんなの前で話してもらう」 「今聞かないんですか?」 沙良先生と乃愛さんの関係はよくわからないが、単なる同僚以上の関係がある事だけは何となく感じていた。それだけに、沙良先生はこの事を気にしていないはずが、ない。 「時間、あぶないんか?」 肯く。俺に入ってきた知識からして、時間は三日も残されていないだろう。 「なら……焦って、どうにかなるんか?」 その言葉に、俺は。 「いいえ」 首を横に振った。そう。 ノアの与えた情報に……この、最後の事態を打開するための手段は入っていなかった。当たり前だ、わざわざ敵に、そんな情報を送りつける人間なんかいるわけがない。 「せやろ? ならとりあえず今日は寝る。まずは体を少しでもよくして、それから考える。それにな……あんたは忘れとるかも知れんけどウチは教師や、生徒に無理をさせるようなことは、せんよ」 そういって沙良先生は部屋を後にした。 その背中を見送って、思わず、大きなため息がこぼれる。 「乃愛さん……ノア……。一体、何だってんだよ」 どうしてこうも世界ってのは嫌味たらしいのか。 親父が死んでから初めて、親父が生きていてくれたら、と。そんな恨み言をこぼした。 「料理? ……ユリアが?」 「だめ、でしょうか?」 いや、だめってことはないけども。 朝、前日からずっと寝続けていたこともあって早くに目を覚ました俺は、英気を養う意味でも気合の入った朝食を作ろうとしていたのだ。といっても朝食だからそんなに重たいものは作れない。 「でも、何でいきなり?」 「やっぱり、何もしていないのは不安ですから……それに私にも少しくらい、あなたを手伝わせてくれてもいいでしょう?」 確かに、何もしていないとどうしても考えてしまう。世界の終末を。外の景色はこんなにも晴れやかだというのに、どこかぴりぴりとした緊張感が漂っている。誰もが本能で感じているのだ、終わりを。 なんて暗い考えに浸っていても仕方ないし意味がないし趣味じゃない上にキャラじゃねえ。 「よし、それじゃあ今日の朝食はオープンサンドにするか」 「おーぷん?」 疑問符を浮かべるユリア。そんな彼女に簡単な説明をしながら作業を進めていく。 たどたどしい手つきに危険を感じる時もあるが、元々手先が器用なのだろう。何とか仕事をこなしていくユリア。ふむ、初心者には危ないと思っていたが包丁を持たせても平気かもしれない。 師匠は弟子の成長につい期待してしまうのだ。 「そういえば……」 ユリアがゆで卵を慎重に真っ二つにしたところで、何かを思い出したらしい。 「ヒロト、通常魔法なんていつ覚えたんです? ていうか、私の世界の感覚なんてどこで?」 「ああ、それは……それは……」 親父が死んだ時に恐怖と共にしっかりと刻み込まれていました、とか言えるわけないだろ常識的に考えて。 「あー、うんまあ、なんかほら……本能?」 「本能で魔法が使えたら誰も苦労なんてしませんよ……」 呆れられてしまった。 ちなみに俺の通常魔法の才能は美羽や美優と比べたら非常にお寒いものである。何しろ親父がそういっていたんだから間違いない。ちくしょうめ。 その代わり親父から叩き込まれた格闘術は、通常魔法と組み合わせることでその威力を何倍にも引き上げることができるようになっている。もっとも、何年も修行していないのだから今使えといわれても無理だろうけど。 更に、ちょっと変わった魔法の使い方も教えてもらった。親父曰く魔法以前の技術、との話だが。 「そりゃそうだろうけどさ……てかまて、ちょっと待て」 「はい?」 「ユリアさ、何で俺のこと呼び捨て?」 ユリアが俺のことを呼び捨てにしていた。ついでに言えば距離感も今までより大分近い気がする。無論悪い気はしないのだが、いきなりのことで戸惑ってしまう。 「え……と、それを言うなら、ヒロトも、ですけど……」 「え、俺?」 ふと昨日からの言動を思い返し、愕然とした。 本当だ、俺いつの間にかユリアを呼び捨てにしてるっ!? 「い、今まで気付いてなかったんですかっ!?」 「いや切っ先をこっちに向けなあああっぶねええええっ!!!!」 思い切り振り向いた勢いで包丁の切っ先が俺の腕を掠めていった。心臓がバクバク言っている。 つい先日危うく死ぬところまで追い詰められても怖いものは怖いままらしい。 「うーん、でもいつの間に呼び方が……戻したほうがいいか?」 「そ、そんなことはないですよ。今のままで……今のほうがいいです」 どこか幸せそうにユリアは言った。 ユリアがそれを許してくれるというのなら、俺も積極的に前の呼び方に戻そうとは思わない。悪くない――どころか何となく嬉しいのだ、この距離感が。 朝食はユリア作オープンサンドと俺作のスープ、ついでに余った野菜と果物でジュースも作った。お手軽だがバランスのよいメニューだ。 「ど、どうでしょう?」 「うん、うまいよ。初めてでこれだけできれば上出来だろ」 実際うまかった。初めてということもあって手つきはたどたどしいものだったが、これならすぐに上達するだろう。 ……少なくとも超絶化学変化や味見無用のビックリおかゆなんて作る連中よりは。 「な、兄貴その目は何!?」 「うぅ……わ、ワタシだって、練習すれば……」 お前らは練習する前にまず常識を身につけろ。 「兄貴だって、最初はすごいの作ってたくせに」 「そ、そんなの最初だけだろ! ちゃんと練習してこうやってだな」 「お兄ちゃんはその練習の機会をワタシたちから奪ってるー、おーぼー」 お、おのれ……こんなところで結託しおって! つーか数日前に目玉焼きの練習で凄まじい化学変化を引き起こしたことを忘れたとは言わせんぞ、美優。 「あー、楽しそうなのは結構やけど話をきかせてもらってもええかー?」 沙良先生が呆れた視線で俺たちを見ていた。む、確かにいつまでもふざけているわけにもいかない。 俺は肯くと、ノアによって詰め込まれた知識を口にした。 数十分後。 みんな黙り込んでいた。食器は綺麗に片付けられて、それぞれの前に醒めた紅茶が置かれている。 俺が伝えた情報は結局のところみんなの絶望をより深く、確かなものにするだけだったのだ。それでも言わないわけにはいかなかった。 「しかし、本格的に手の打ちようがない……か」 レンさんは深いため息をついた。 ノアは……乃愛さんが現在どういう状況にあるのか、俺に伝えられたのはその情報だけだった。 乃愛さんは現在、ノアにその肉体の主導権を握られた状態で眠っているのだという。また、ノアはこれまでの乃愛さんの中で過ごしてきた人生の知識、経験を全て引き継いでいるとのことだ。あの時、俺を投げ飛ばしたのはノアの強さであると同時、乃愛さんの強さでもあったわけだ。 そしてノアは今、この世界を壊そうとしている。 理由? ……ノアは、そういう物だから、だそうだ。細かいごちゃごちゃとした理由はあるらしいが、そんなこと知ったところで何が変わるわけでもない。 そして彼女の言う根源を操るという力は、世界のエネルギーを少し操作する程度の力らしい。だが今は礎を手に入れたことでその力も『錯覚』も比較にならないほど強化されている。 そして何故ノアが入ったものが死なないかといえば……。 「神を殺すことは不可能だから……結論ありきの話なんて反則にも程があるね」 やはりわけのわからない理論だが、もはや理解は放棄している。そういうものだ、と思っていたほうがいいだろう。 「とにかく……ノアの目的は世界を壊すただそれだけ。そのために生まれて、それを終えたら死ぬ、そういう存在らしい。だからこそそのチャンスは絶対に逃すことはないんだそうだ」 更に言えば……なぜ、ファイバーが世界の礎を生む方法を手に入れられたのか。それも、ノアの手の平の上ということだ。 礎生成の舞台となった世界はそのまま壊れるらしい。さらには礎を手に入れた存在が渡り歩いた世界も次々に壊れていくそうだ。 今はノアの体がそうなっているが、今のノアの存在は世界と同義らしい。ひとつの世界の中にもうひとつ世界が存在する、そういうありえない現象の重みで世界は塵となる。 さて、果たしてそんな物騒なものを過去に生み出し、あまつさえ記録を残せるような奴がいたんだろうか。いないとは言い切れないが……。 「乃愛さんはユリアの世界に行ったこともある筈だ。そのときにノアが何かしらの細工を施していたんだろうな」 どこまでがノアの思惑なのかはわからない。 計画といえるほどのものがあったわけでもないだろう。ただ、少しでもノアの軌跡に触れたものは、どこまでも吸い寄せられていく。ノアのただひとつの目的のために。 偶然を手繰り寄せ自分にとっての都合のよい必然を生み出す、魔法でもなんでもない、そういう存在。 「そう考えれば、確かにファイバーが見たという資料を当てにするのは危険ですね」 「でも……それじゃあ本格的に手がかりが何もないわよ!?」 美羽の言葉に、ついに誰もが口を閉ざす。 俺はただ己の無力にくちびるを噛み、拳を握り締めることしかできなかった。 陽菜が病院から戻ってきたということなので見舞いに行く事になった。 「あ、ヒロ君。なんかここ最近ずっとあってたから一日ぶりにあうとなんだか久しぶりだね」 「思ったより、元気そうだな……」 ほっとした。さすがにベッドの上で横になってはいるが。腹を貫通したという話を聞いたときには血の気が引いたし。 「今回は、悪かったな。でも助かった、ありがとう」 本当なら陽菜はこんなことに巻き込まれなくてもよかったはずだ。たまたまあの場所にいてしまっただけで、しかも俺たちが連れてこなければあんなところに来ることさえなかったはずなんだから。 「いいんだよ、ヒロ君。それにようやく、ヒロ君に借りてたでっかい借りが返せたんだしね」 「借り?」 陽菜に貸しなんてあっただろうか。むしろ俺が陽菜に山ほど借りを作っている気がするけど。 俺の疑問に、陽菜はどこか寂しげで、暖かな微笑を浮かべた。 「犬の、こと」 「…………」 「陽菜、ずっとあのことが気になってたから。ヒロ君があの後、どうなったか……ちゃんと、思い出したんでしょ?」 俺は無言で肯く。 あの頃――親父が死んですぐのころ、俺は妹達や陽菜を守ることに執着していた。それこそ、どんなことをしてでも、だ。親父の死に際に何もできなかった自分を否定するかのように。 だが俺の力では犬を追い払うことすらできなかったのだ。同年代の男子との喧嘩に負けることはなくても、犬相手ではまともに立ち向かうこともできなかった。それでも陽菜を守ることに――守る自分に執着するために、俺はあっさりと、使わないと決めたはずの魔法を使った。 結果、犬はあっけなく死んだ。本当に、あっけなかった。 俺にはそれだけの力があった。俺の力には、それだけの事ができてしまった。 命を、あっさりと奪ってしまうだけの。 その事実に、現実に、俺の心は恐怖した。 そして俺は―― 「あの後のヒロ君、酷かった。自分の魔法も、自分自身も、全部嫌ってた。それでも陽菜たちの事だけは大切にしてくれた……ううん、陽菜たちの事だけを、大切にしてくれちゃってた。自分で自分を、傷つけるくらいに」 陽菜はうつむいた。あれを、思い出したのだろう。 俺の弱い心は己に対するやり場のない憤りだけを溜め込み、そしてある日、爆発させた。 自分の腕を、掻っ捌いた。あの頃の自分が何を望んでそんな行動を起こしたのかは、もう覚えていない。いや、当時の自分もわかっていなかったと思う。ただ、衝動的に。親父の部屋にあった大きなナイフで。 おそらくその後、病院で乃愛さんと陽菜が魔法で俺の記憶を封じたのだろう。 ただ、恐怖とやるせない怒りだけは残り、風化し、俺の中の曖昧な違和感として残った。 刃物に対する恐怖。 魔法に対する不信。 「けどありゃあ、俺の自業自得だ。別に陽菜が気にする必要はないんだぞ?」 「えへへ、ヒロ君ならそういうと思ってた。だから陽菜も言うけど、この怪我も陽菜の自業自得だよ、だから気にしないでヒロ君。その代わりに、陽菜はこんなに今、気分が晴れてるんだもん」 そういって顔を上げた陽菜の笑顔は、まるで太陽みたいで。 見ているこちらの心が、じんわりと暖められてしまうようだった。 「でも……やっぱり、そんな怪我させてしまったし」 「しつこいなぁヒロ君。あのねぇ、ヒロ君はそうして何でも守るつもりだけどそれってよろしくないよ、陽菜的には」 「う……そ、そうか?」 うんうんと肯く。うー、でもなぁ、ほら。 「犬の事もそう、今回の事もそう。陽菜はヒロ君に感謝して、みんなもヒロ君を許して。それでもヒロ君が悩んでたらどうしようもないじゃない。ねえ、一体どうすればヒロ君は自分を許してあげられるの? どうなったらヒロ君は自分を許してあげられたの? ヒロ君の望む結末は、どんなものならヒロ君自信が満足できるの?」 その、問いかけに。どこまでもまっすぐで、必死な問いかけに。 俺は――答えを見つけ出す事ができなかった。 「俺、は……」 ぱくぱくと、口を開閉する。今の俺のはさぞかし間抜け面をさらしている事だろう。 そんな俺をみて、陽菜は笑い出した。 「あはははは! ひ、ヒロ君、変な顔ー!!」 「うううううるせー! 悪かったなこんちくしょう!!」 それにつられて、俺も笑う。 二人でひときしり笑いあって――それがようやく収まって、陽菜は言った。 「ヒロ君」 「ん?」 「どうせなら……陽菜は、みんなが笑っていられる、そんな結末がいいよ」 「……」 ああ、そうだな。 そうなれたらきっと――素晴らしい。 大翔が去った扉を見ていた陽菜は、くるりと窓の外に視線を向ける。 「ユリアちゃん?」 「うえぇっ!?」 なぜか窓の外からユリアの声が聞こえた。陽菜はそれにくすりと笑い、窓を開けた。すると、ぴょこりとユリアが顔を出した。 「な……なぜわかったのでしょう……?」 「んー、勘?」 勘は勘だったが陽菜の場合、自分もするだろうなーと思っただけの話だった。別に外れなら外れで構わなかったが、当たってしまったらしい。 似通った思考と行動の意味するところを思い、陽菜の心に痛みと温かみが同時に生まれた。 「ほらほら、いらっしゃーい」 陽菜はユリアを招き入れた。ユリアは戸惑いながら靴を脱ぎ、部屋に入る。 ふと、空が視界に入った。外はいい天気だ。世界が終わりに向かって大きく動いていることなど思わせないような。 「それで、ユリアちゃんは何をしてたの~?」 「え、ええと、それはその……」 意地悪な陽菜の問いかけに、ユリアは焦った様子で言い訳を探している。が、うまい言葉が見つからなかったのかそのまま口を閉じてしまった。 (自覚、ないんだろうなぁ) 心の中で呟く。 「ねえ、ユリアちゃん」 「な、なんです?」 「ヒロ君、これからどうすると思う?」 陽菜の質問にユリアの表情に陰りが生まれる。 (ああ――気付いてるんだ) だからこそ、こうして話を聞きに来てしまったのだろう。そう結論付けた。 「ヒロトは――最後まで、乃愛さんを救う方法を探し続けると思います」 大翔の性格を考えればそうするであろうことは容易に想像できた。そして…… 「私やレン、エーデルさんには……」 ユリアは口を閉ざす。その先の言葉を拒絶するように。小さな手が、膝の上で握り締められた。 大翔は三人に『帰れ』というだろう。 ユリアもエーデルも、国にとってはなくてはならない存在なのだ。こんなところで死んでしまっていいわけがない。 つまり、この世界の命運はそれほどまでに追い詰められているということだ。 だが…… (離れたくないよね……) それがよいとわかっていたとしても辛いことである事実に変わりはない。 陽菜が決断した大翔との別れ。だがそれも、いずれはという希望があったからこそ決断できたことだった。二度と会う事ができないとなれば、陽菜も大翔の記憶の封印に協力できた自信はない。 だが今回の別れに次がある可能性は限りなく低い。 「ねえ、ユリアちゃん……陽菜にはユリアちゃんが背負っているものはわからない。陽菜はただの女の子だから王女様がどれだけ大変な仕事と役目を担っているかなんて、本当に想像できないんだ。だから陽菜から言えるのは、ただの女の子から女の子への、本当の秘密だけ」 陽菜は、初めてその秘密を他人に告げた。 「陽菜ね……ヒロ君のことが、大好きだよ」 何よりも大切な宝物を教えるような口調で、何よりも大切な秘密を打ち明けた。おそらくはまだ己の本当の気持ちに気付いていない、可愛らしい『女の子』に。 陽菜の言葉にユリアは目を見開いて……だが、納得の表情を浮かべた。だがその中に小さな戸惑いと焦りが浮かんだのを陽菜は見逃さない。 「そ、そうだったんですね……。でも、どうして、わ、私にそれを?」 ユリアの思考がなぜか真っ白に染まり、目の前の景色が遠いものであるかのように感じられた。 陽菜から見ても明らかなほどユリアは動揺を隠しきれていなかった。そしてその事実に……いや、自分が動揺している事にも気付いていなかった。 「ユリアちゃん。陽菜はここに居る。たとえ明日世界が終わるって知って、ユリアちゃんの世界に行けば助かるってわかっても、陽菜はここに居るよ。だってここにはヒロ君がいるから。陽菜にとって一番大切なものが、ここにあるから。陽菜にとって一番大切な人と、最後の瞬間まで同じ時を感じたいから。だから陽菜はここに居る、それだけのために、ここに居るよ」 陽菜はユリアの手をとり、優しく、暖かく包み込むような笑みを浮かべる。 「ユリアちゃん……ユリアちゃんにとってはヒロ君も国もどちらも大切なんだよね。自分がいて欲しい人と、自分にいて欲しいと思ってくれている人たちがいる場所、どちらも大事だもん。でも……だから……ユリアちゃん。どっちを選んでも後悔するなら、自分の大切な人がその選択を祝福してくれたら、きっとそれは力になるよ」 それが陽菜の精一杯だった。自分の中のあやふやな、それでもまっすぐな気持ちを、言葉を、飾らず正直に伝えること。陽菜にできる、ユリアへの精一杯のエール。 そうして、沢井陽菜は恋敵の背中を押した。その結果がユリア・ジルヴァナにどのような選択を決断させるのか、彼女にもわからない。だが自身の大切なものはさらけ出した。陽菜の大切なものを受け止めるに足ると、そう信じることができたからこそ。 それが彼女のスタンスであるが故に。 夜、食事も風呂も終えて練る準備を済ませた俺はベッドの上で思索にふけっていた。 どうにも、納得の行かないことがある。 何故ノアはあんな情報を俺に伝えてきたのだろうか。そもそも、なぜ世界崩壊にリミットを設けたのか。 単純に準備にそれだけの時間が必要だと考えることもできる……というよりは、そう考えるのが妥当だろう。だがそれを俺たちに伝えるメリットはなんらないはずだ。 それに、自分の力の大まかな説明まで。俺たちが意地でも妨害しようとすることはわかっているはずなのに。単に自信の表れ? 可能性はゼロではないだろう。だがしかし、それもないように思えた。 アイツの言動は、余りに乃愛さんを思わせるもの過ぎた。もしもあれが、意図的なものでないとしたら? ノアは生まれてすぐに乃愛さんと同化した。そして乃愛さんの感じるありとあらゆるを感じ、時に運命に悪戯を仕掛けてその命を致命的な危機から守ってきた。ずっと一緒だったのだ。 その乃愛さんの影響を受けていないとは、言い切れないのではないか。もしそうなら、乃愛さんが絶対にやらない事をあえてノアがしていったことに何か意味を感じてしまう。 そう、例えば……ヒント、とか? 「……この知識の中にこの状況を打開するヒントがあるとでも?」 それはさすがに都合のよすぎる想像だ。 だがもしそうだとするのなら……考えなくてはならない。 こんこん ドアが軽くノックされた。体を起こしベッドに腰掛けるように座り、音の主を招き入れる。 「どうぞ、ユリア」 「入ります」 ユリアが入ってきた。その表情はやはりどこか暗いものがあったが……昼に話をしたときとはまた違う雰囲気だ。どうしたんだろう? 「ヒロト……無駄とわかっていながら、ひとつ提案します」 なんだろう、奇妙な言い方だ。 「あなたたちだけでも……私の世界へ移り住むつもりはありませんか?」 その提案に、 「いいや。少なくとも俺にそのつもりはない」 なるほど、ユリアの言ったとおり俺は首を横に振った。 「けど他のみんながどうするかまでは――」 「聞かずともわかります」 ……そ、そうか。 なんだかユリアの雰囲気に気圧される。なんだろう、少し怖い。 っと。俺も言っておかないといけないことがあるんだった。正直気が重いのだが、言わないわけにはいかないだろう。 「俺も言わないといけないことがあった。……ユリア、今まで本当にありがとう。こんなに尽くしてもらった結果がこんなことになって不甲斐ないけど、それでもユリアたちと過ごせたことは、俺にとっては」 「ま……待って下さい!!」 「え? うわっ!?」 どさ。 ユリアに押されてベッドに仰向けに倒れこんでしまった。 ふわりと、シャンプーの香りが顔を撫でる。胸にのしかかる柔らかな重みに、胸の鼓動が否応なしに高まる。 しんと静まり返った部屋。だが、聞こえてきた音に体の熱が一気に醒めた。 「ユリア?」 最初は聞き間違いだと思った。だが聞けば聞くほど疑いようはなかった。 ユリアが、泣いていた。顔を胸にうずめて、小さな声ですすり泣いていた。 何がなんだかわからない。どうして、ユリアが泣き出したのか。一体何があったのか。俺のせいなのか。何一つ、わからなかった。 「ヒロト……私、私は……一国の王女です。私という存在が国にどれだけの影響を持っているのか、十分、理解、しています……して、いるんです」 涙ながらの声に、俺はただ肯いて。 金の髪を優しく撫でることしかできなかった。 「教えてくださいヒロト……あなたは今でも、私の味方でいてくれていますか?」 一瞬、戸惑った。その言葉はいつかどこかで彼女に言った記憶がある。俺はユリアの味方でいると。 あの時は、確か……え? その意味をおそらく正確に理解できた瞬間、今度こそ俺の全身から血の気が引いた。頭のてっぺんから足の指先までの血液が一瞬で凍りついたかのように、心臓の鼓動が止まるほど衝撃を受けた。 そう、俺は確かに彼女の味方になると言ったのだ。 エーデルに、元の世界へ戻れといわれた時、戻らないと言った彼女の選択を尊重すると。 あの時俺は我が侭になれと言った。じゃあ、この場合。この世界に残ることと一刻も早く自分の世界に帰ること、どちらが我が侭だろうか。考えるまでもない。 「ユリア……そんな、まさか、そんな事……!!」 「準備は……準備はしておきます! すぐにでも戻れるよう、その手はずは整えておきますから!!」 「そういう問題じゃないだろ!? 崩壊が進めばまともに世界を超えられるかどうかもわからないんだ。今こうしている間にも、この世界はどんどん不安定になっていっている……それこそ、明日中には戻らないと!!」 「お願いです! …………お願い、だから……」 悟った。 ユリアはどれだけ言っても俺の意見は聞かないだろう。彼女が時に見せる頑固な部分を、この数ヶ月で俺は何度も見てきたのだから。 ああ、なんてこった……。 気が遠くなりそうだった。そんな自分を繋ぎとめるためか、俺の腕は無意識に、彼女の背中に回っていた。 ぎゅっと華奢な体を抱きしめる。何度、このぬくもりに俺は守られるんだろう。 考えないといけない。希望でも絶望でも事実でも妄想でも何でも構わない。俺は、考えなくてはならない。見つけ出さなくてはならない。 今度こそ。 今度こそ、俺が君を守る。 翌日。 川を眺めながらぼーっとしていた。 昨晩の話をレンさんとエーデルに話したところ、二人ともあっさりとそれを受け入れたのだ。特にエーデルなんかは意地でも引っ張って帰るとか言うと思っていた――いや、それを期待していたのに。 ユリアは―― 「何をそんなに、必死になってるんだ? 何を焦って……」 この世界や、親父や……俺たちに対しての責任感? 愛着? けど下手をすれば死んでしまうんだぞ? こんな時にまで一人の女の子としてうんぬんかんぬん言っている場合じゃない。王女として、彼女が選ぶべきは決まっているはずだ。なのに…… 「なんで……ほっとしてんだよ、俺は……っ!!」 そう。 あろう事か俺は、ユリアが帰らないと聞いて喜んでしまったのだ。無論、帰って欲しいと……生き残って欲しいという気持ちには嘘はない。そのくせユリアとまだ一緒にいられることを喜んでいる俺も確かにいるのだ。 ……節操がないにも程がある。 そんな自己嫌悪と後ろ暗さから家にいづらくて、こんなところでボーっとしている。 風はやや強め。集中すれば微震が繰り返していることにも気付く。 変わらないのは日の光ばかり。 「世界の終わりって……なんだろうな……」 そんな呟きが漏れて、そういえば乃愛さんにも同じことを聞かれたなと思い至る。 その彼女に俺は『乃愛さんが死んだら、たぶん俺は世界が終わったような気にはなると思います』と言った。 世界の終わり……この星が、この宇宙が終わる。だが俺にとっての終わりとは即ち、周りの人たちの死だ。たとえばこの世界の崩壊を回避できたところで、俺の家族全員が死んでしまえば俺にとってはそんな未来、世界の終わりと変わりない。自分勝手でちっぽけな考え方だが、俺はその程度の人間なのだ。 だから怖い。世界が終わることではなく、それに巻き込まれて、みんなが死んでしまうことが。 だから昨日のユリアの提案は実に魅力的なものだった。自分たちが助かるためにその他の多くを見捨てることになるのは理解しているが、それでも確実にみんなを守れるという事実に魅力を感じないわけがない。 けど俺は行くわけにはいかない。乃愛さんをこのまま放っておけるはずがないから。 ユリアが言うには他のみんなも同様だという話だったが……実際にそれとなく聞いてみたところその通りだった。美優にいたってはちょっと命の危険を感じるほどだった。普段の沸点が高い分、逆鱗に触れた場合の恐ろしさは美羽よりも遥かに上なのだ。 「せめてみんなだけでも逃げてくれれば安心できるんだけどな……」 はぁ。 ため息とぶおん! という空を薙いで何かが頭上を通り過ぎていったのは同時だった。何事かと頭を上げると……何事? 「おおおおおおおあああああああああぁぁぁぁ…………」 みょーに聞き覚えのある声が地面に着地――に失敗。ぐきりといやな音を立てて足がくにゃりと曲がり目の前の地面を凄まじい勢いで転がって……あ、川に投げだされて……おお、飛び石のように一回二回、ああさすがに散会は無理だった。 沈んでいく。 「ば、バカが出たぞおおおおおっ!!!!」 近所の子供たちが悲鳴のような声を上げて囃し立てる。すっげぇ楽しそうだ。犬の散歩をしていたおじいさんも何か壮絶なものを見たような顔をしていた。 「か、カバが出たぞおおおおおっ!?!?」 「何いィッ!?」 驚愕に目を見開くと、マジでカバがいた。カバが川をこちら側へと泳いでくる。ウォーキング中のおばあさんも何か微笑ましい光景を見るような目をしていた。 やがてそのカバが陸へと上がって来る。 「ワニだああああ!!!!」 ……もうどうにでもなれ。こどもに囲まれるカバのキグルミ中から出てきたワニのキグルミを遠目にため息をついた。なんだかさっきまでの真剣に考えていた自分が酷く滑稽に思えてくる。 やがてそのワニのキグルミの背中を割って飛び出してきた貴俊とこども達の追いかけっこが始まり、追いかけっこが鬼ごっこになり――リアルファイトに遷移してボコボコにされた貴俊がこちらへと歩いてきた。 つーか怪我人、何してやがる。貴俊は普段どおりの格好だったが歩き方や仕草などから傷が治っていないことは明白だった。病院の外で怪我を増やしてどうするんだこいつ。 「あーっはっはっは! いやいや、最近のガキは凶暴だな!!」 「最近のガキもお前にだけは言われたくないだろうよ……」 「何だとこのやろう! 俺を誰だと思ってげふっ!?」 唐突に血を吹いて倒れた。叫んで傷口が開いたんだろう。しばらく倒れてしおれた貴俊を見ていたが、いつまでたってもおきない。 「……まあ、肥料にはなるか?」 「ちくしょう! お前の愛には涙が出るぜ!!」 元気に立ち上がる貴俊。さすがゴキブリ並みの生命力は伊達じゃない。スリッパ如きでは倒せないタフさまで兼ね備えているんだからゴキブリなんて目じゃないといったほうが正しいだろうか。うむ。 軽く殺意がわいてくるぞ。おのれ高機動節足黒体生命体が。 「大翔の目つきが凶悪なものに……あ、いかん。ゾクゾクしてきた」 「お前って本当に楽しそうだよなちくしょうめ!!!!」 今度は俺が泣き寝入りする番だった。 「というかだな、お前病院は?」 「逃げたよあんなとこ。大体先端技術のオンパレードじゃねーか、親父もきやがるしあんなところいられるわけがねーっつの」 「あ、やっぱり来たんだ」 思わず口元に笑みが浮かぶ。貴俊は横を向いて不機嫌に鼻を鳴らした。 「親父のことはいいんだよ。んなことより……お前がこんなところで一人寂しく考え事ってことは、状況は最悪って感じか?」 相変わらず勘だけはいい男だった。ただ俺の行動をその根拠にあげるのはやめてくれないかね、まったく。 「んでー? 何を悩んでたんだ? 大翔マニアの俺に相談してみろよ」 「一気に相談する気が消滅したんだが……まあいいか。けど俺も、何を考えればいいのかいまいちわかんないんだよな」 ノアをどうやって止めればいいのか、結局はそういうことになる。手探り状態でこの世界の危機を回避するための手段を模索している。次に打つ手があるのかないのかさえも見えない状態で。 「ふむ。俺は乃愛さんのことはよくわからんが、あの人は基本的に解けない問題を生徒に提示するような人じゃないだろ」 「……つっても、今の乃愛さんはノアの中で眠ってる状態だろ? 乃愛さんと同じような考え方をするかなんてわかんない――いや、そうじゃない可能性のほうが遥かに高いと思うぞ?」 なにしろ神を名乗るような存在だ。一応行動原理などは俺の知識として渡されたが、どうにも人間離れしていて理解しがたい。 だが貴俊はなにがおかしいのか、くっくと喉を鳴らして笑っていた。 「なあ大翔、お前いつから俺と会ったときみたいな性格だったんだ? まさか生まれたときじゃないだろ。俺だってそうだぜ? 最初は結構まともだったんだよ、途中で壊れてそれもまたぶっ壊されて、そんで今だ。なあ大翔、人間の性格、性質ってな案外コロって変わっちまうもんじゃねえのか?」 それは、つまり……。 「俺は少なくとも四年目だったぜ、お前と出会った時はな。つまりそれ以前の俺は実に聞き分けのいいガキだったわけだ。それが破綻してお前と出会うまで四年。四年間ってなぁ、結構長いぜ? それをお前とであってほんのひと月少々でぶっ壊された。変わっちまう理由さえあればあっさり変われるもんだろ。人間と同じように物を感じることができればな」 仮にも獣とあだ名されていた以前の貴俊の倫理観は相当ぶっ壊れていた。それはさておき、そんな貴俊でも今は割とこう……ふ、普通? 普通に罪悪感を覚える表現だがまあ普通に生活している。 それはノアにもいえるのだろうか。乃愛さんの中でその生き方を見て、感じて、そうして影響を受けていたりするのだろうか。 もしそうならば。 「近くにいる人間の影響ってのはどうしたって受けちまうだろ? お前だってこの数ヶ月で結構変わったじゃねえか。以前のお前なら誰かを助けるために自分の家族を危険に巻き込むなんて死んでもやんなかったくせに」 言われて気付く。そう、俺も確かに変わっているんだ。ほかならぬユリアのおかげで。 「第一相手が神様だかなんだかしらねーが乃愛さんに会って影響を受けない奴がいるほうが信じらんねーよ、俺は」 その言葉になんとなく感心して笑ってしまった。 確証はなく保障もできないことなんだが、それでも光明が見えた気がして少しだけ心が軽くなった。 「よし、じゃあ貴俊、ちょっと頼みごとがあるんだが。お前としてはすっげぇいやだろうけど、お前んちの力を借りたい」 そういう俺に案の定いやな顔を――さっぱり消し去り、逆に気持ち悪いくらいの笑顔になりやがった。 「はっはっはっは! なぁにお前の愛と比べりゃあんな家いくらでも使ってやるぜ!! あ、でもひとつ貸しひとつな」 「お前、もっと親父さんと仲良くしろよ……。ま、まあいいや……」 俺は貴俊に用件を伝える。貴俊はそれを聞いてすぐさまその場から走り去った。ちなみにその後をわらわらと追いかける黒服の一団があったりなかったりしたが本編には関係ないので省略しよう。 もし乃愛さんなら、という仮定の上での考察を立てる。 これが非常に危険だということは自覚している。推論に推論を重ねる場合、最初の推論が外れていたらその上の全てが瓦解するからだ。だが他に道はないと考え、この可能性に賭ける事にする。 もし俺の考えの通りだとするならばそれは同時にこの世界の未来が俺の双肩にかかっていることを意味する。今にも胃がキリキリと泣き出してしまいそうだが逃げてもいられない。家族を守るためには俺がしなくてはならないのだから。 乃愛さん――ノアを破る方法はおそらくひとつだけ。しかしそれが可能であるという確証はやはりない。ない……が、可能であると信じている。俺の魔法、親父が遺してくれたこと、母さんが教えてくれたこと。全てはこのためにあったようにさえ思える。 もしそうなら、俺は本当の意味でようやく自分の魔法を取り戻したのだろう。 だがしかしノアが乃愛さんの影響を受けて、その思考、思想に沿った行動をとっているとしてもやはり疑問は残る。ノアにとって、世界を滅ぼすとい運は己の生きる意味であり、存在価値そのものであるのだ。いくら影響を受けているとしても、俺にヒントを――選び取る道を残すような真似をするだろうか。 考えてもわからない、答えは出ない。 故にただひとつわかっていることを頼りに俺は行動をおこす。 即ち、俺の根源であり、強くなった理由。俺の生きる意味で、存在価値そのもの。 現状を放置しては世界は崩壊し、結果として俺の大切な人たちの命が失われる。その結末だけは認めるわけにはいかない。 故に俺は別の結果を掴みに行く。家族を守るという、そのためだけに。 だが、まだ、わからない。 俺の望む結末とは結局、これでいいのだろうか。
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概要 旧世界史界隈wikiとは、のらかのてやgensibiなどが運営していたサイトである。世界史界隈についての記事を取り扱っていた。世界史界隈wiki無差別個人情報公開テロ事件を起こした結果、閉鎖に追い込まれた。Twitterアカウントを開設するも、僅か3日で凍結させられる。 言論統制 世界史界隈wiki無差別個人情報公開テロ事件発生後、規約に「特定のユーザーに不利益になるようなものを公開しても構いません。」としているにも関わらず、管理人の不利益になる記事のみを削除、NGワードに設定する。結果、ユーザーからの不信感が高まり、閉鎖に追い込まれた。 いかにも頭の悪そうな文章である。 また、ひらがなの「あ」を禁止ワードにするなど北朝鮮も腰を抜かすほどの言論統制である。 何故かハングルは禁止ワードになっておらず、外国人に乗っ取られた説や、日本人向けのサイトではなくなった説などがあげられたが、真相不明のままサイトは閉鎖した。 現在管理人は、世界史界隈wiki(支部)や世界史界隈wiki(別館)等の新しいサイトを作って印象が悪すぎる旧wikiから乗り換えようとしているが、これらのwikiも北朝鮮並みの言論統制をひいている。 リンク 旧世界史界隈wiki(閉鎖済み) 世界史界隈Wiki(別館) 世界史界隈wiki(支部) Twitter(開設から僅か3日で凍結) コメント 言論統制ゴミ -- 名無しさん (2022-07-27 18 33 28) 誰かこれコピーして旧に貼れ -- 名無しさん (2022-07-27 18 41 16) 旧wikiはひらがな全部禁止ワードにしてるよw -- gensibiうんち (2022-07-27 19 08 58) 複数人でやってるのに自浄作用がないゴミ -- 名無しさん (2022-07-28 00 59 52) あんな事件起こしといて、謝罪もなしにのうのうと続けようとしてるのヤバすぎだろ -- 名無しさん (2022-07-29 21 45 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/gennsousekai/pages/203.html
【異世界図鑑】 人類が発見した多数の異世界について記した図鑑。 元々宇宙船開発の実験中に偶然出来た次元科学は宇宙へ飛び立つことも可能だ。 そのためこの図鑑に乗っている惑星の写真は、全て実際に宇宙空間から撮影されている。 人の住めぬ死の星や、地球の数倍の大きさを誇り、尚且つ資源が豊富な夢のような星といった 数々の星の特徴や先住生物についての解説と、数多くの星々の詳細が記されている。 関連項目 サブミリー ア・モール ヴァンガード ルベディ・ウヌス era1
https://w.atwiki.jp/bokuchu777/pages/222.html
学園の中は静寂が満ちていた。それを割るように、俺達の駆ける足音が響いていく。 時間はまだ昼時だというのに、空を覆う分厚い黒雲と強い風の音、さらには遠雷まで響いているせいで、夜の学校にも負けず劣らずの不気味さを醸し出している。 昇降口から入った俺達は、校内をぐるりと回りながら上へと続く『無事な』階段を探している。 「あいつら、階段をふさいでルートを潰すとかふざけた真似をしやがって」 「だがこれで彼らが僕らを利用して何事かを企んでいる可能性はほぼ確実だ。見ろ、無事な階段があったぞ」 エーデルが示した先には、確かに階段があった。なるほど、誘われている。 学園内に踏み込んだ俺達が最初に見たのは、瓦礫や氷その他諸々で強引にふさがれた階段や廊下だった。俺達はそこをさけ、こちらを進めとばかりに開かれた道を探してきたのだ。 「むしろここに罠を仕掛けてる可能性もあるんじゃねーか?」 「それは否定できないが……かといって躊躇する時間も、そのつもりもない人間が先頭に立っているんだ、進むしかないだろう。なあヒロト君」 乃愛さんに無言で肯き返し、階段へと踏み込む。が、ざらりとした違和感を覚えた。 すでに慣れたとはいえ、注意していればそれは確かな違和感として感じることができる。つまり――、 「誰かが魔法を使っている! みんな、気をつけろ!」 俺の言葉に、素早く互いの背中を合わせて円を組む。美羽と美優、陽菜をその中に押し込める形だ。 五感を研ぎ澄まし、廊下の向こう、階段の上、窓の外、扉の奥、すべてに注意を向ける。何も異常は見当たらない。だが、違和感は消えない。 「ひ、ヒロ君。誰もいないよ?」 「いや……誰かが魔法を使って、この辺りをその範囲内に捉えていることは間違いない」 だが、術者の姿はない。俺の勘違い? そうかもしれない。だが、もし本当に誰かが今俺達を狙っているのなら、油断するわけにはいかない。 もう誰も、目の前で失うつもりはない。 「結城、誰かがうちらを狙っとんのは間違いないんやな?」 「それだけは確かです」 ふん、と鼻から息を吐く沙良先生。ぶかぶかの白衣の袖をくるくると振り回す。その頭の上で、ぽんとましゅまろがひとはねした。 「よし、せやったらここはうちに任しとき。アンタらは後ろを気にせんで前に進む。うちはここでアンタらの後ろを守る。前にそいつがおったときはまあ、自力で何とかする。それでええやろ」 沙良先生はそういうと、円陣から離れ、廊下の真ん中に立つ。 「どこから狙ってくるかわからん以上、こっちも全力になる。はよう進むんやで、せやないと、全力で巻き込むからな」 「いやでも、それは危険すぎます!」 相手は一人でコミューンを潰してきたような化け物ぞろいだ。さっきのガーガーと沙良先生がもしぶつかれば、沙良先生はひとたまりもないに違いない。そんな危険があるのに、彼女一人を残してはいけるわけがない。 「はぁぁ……。なあ結城、人間誰しもやらなあかん事があんねん。あんたが今やらないかん事はなんや? それをでけへんかったら、あんたは一生それを引きずって歩くことになるんよ? そんなん、うちにおしつけんどいて欲しいわ」 心底面倒くさそうに、しっしとその手を払う。 それでもためらう俺の肩を、乃愛さんが押した。見やると、行け、と顎で階段を指していた。迷う。それは正しいのか、俺の目的のためには、それは間違った選択じゃないのか。 「結城、迷うな。その迷いは、うちの覚悟に対する侮辱と受け取るで」 沙良先生は肩越しにこちらを振り返り、にやりと笑う。 「それに、うちが負けるわけないやろ。たかだかコミューン潰す程度の相手に」 さらりと爆弾発言をかます沙良先生。なんという自信。その小さな背中から溢れる大きなパワー……はいごめんなさい睨まないで。 「わかりました、沙良先生――その覚悟に乗らせてもらいます」 迷いを振り切るように、全力でその足を踏み出す。前だけを見て、ただ突き進むために! その後ろから、次々と足音が並んでくる。 階段を上りきった時、違和感が一瞬強さを増し、ついで衝撃と轟音が足元を揺らした。すぐ下で、何かが起こっている。 「兄貴……」 足を止めた俺を、美羽が訴えかけるような声で呼ぶ。唇を噛む。皮が裂け、血が滲んだ。 こういうことか、親父。こういうことなのか? 誰かの願いと自分の願い。守るべきなのは命か願いか。そういうことなのか? ――ゴッ!!!! 「おに――っ!?」 「――しっ、行くぞ! さっさと全部終わらせて、先生を迎えにいかねーとな!!」 壁におもくそ額をぶつけ、気合を叩き込む。しゃんとしろ、結城大翔! 俺が進まなければ、あの人の意志が死ぬことになる。 大丈夫だ。根拠もなく理由もなく、ただそうだと信じる。 弱い俺にできることは、卑怯にもそれだけだ。だから絶対に信じ切る。そうしなければ、いけないと思う。 沙良先生は、相手が誰であろうと、負けるはずがない。 「行くぞ、また別の階段を探す!」 階段はまたふさがれていたから、次の階段を探す必要がある。まったく、こういうときは無駄に広い校舎が恨めしいな。 「ヒロト殿、平気か、その、いろいろと」 「大丈夫ですよ、俺はそんなやわにはできてはいません」 打たれ強さには定評のある結城大翔とは俺の事だ。不安も何もかもを飲み込んで、レンさんに笑顔で答える。それを見たレンさんは、「ふっ」と小さく笑うともう何もたずねてはこなかった。 大翔たち全員が階段を駆け上がった瞬間だった。唐突に沙良の足元から宙に浮き上がって来た深紅の液体が、鋭い針の形を成して襲い掛かる。だが、 「墜ちろ」 その沙良の言葉に従うかのように、針はことごとく床に叩きつけられ、水滴となってはじけた。 「へぇ、やるじゃないのさぁ!!」 「んなっ!?」 ごがぁん! なんと、壁の中から人間が飛び出してきたのだ。 (ったく、こいつらは埋まるのが趣味かなんかか!?) 素早く体を捻る。ガザベラが手に纏う氷の刃が目の前を通り過ぎる。だがガザベラは慌てた様子もなく左手をかざした。石礫がその意思に従い沙良に襲い掛かる。弾丸のごとき速度とレンガ並みの質量の大量の瓦礫。狭い廊下に、逃げ場はない! が、 「その程度の石ころで、何を貫くつもりや」 カツン! 小さく高いその靴音が廊下に響き、呼び覚まされた水龍のごとき濁流が沙良の体を覆い隠し、礫の悉くを弾き落とす。 「ちょ、ちょっとちょっと、何よそれ!?」 「何も何もないやろ、うちの魔法や」 学園内には無数に水を通すパイプが通っている。その流れを強引に掌握し、壁の配水管から引っ張り出してきたのだ。 沙良の魔法は『流理』。万物中の『流れ』を理解し自在に操る魔法。彼女にとっては、学園は己の武器がそこらじゅうを這い回っているのと同義だ。 「魔法、ね……最初からそんな大技出して、体力もつんだろうね? 途中でへばってもあたしゃ容赦しないよ?」 「くく……あんた、愉快な冗談吐くなぁ。この程度が大技? そう思うんならあんたの実力も底が知れるわ。せいぜいうちが疲れるまでは無様に逃げ惑って見せてほしいわ」 二人の間の空気がぎしりと硬質化する。水流は沙良の周りでうねりを上げ、ガザベラは巨大な氷をその身の周りに生み出す。互いの生み出す魔力が際限なしに高まり、空間をぎりぎりと締め上げる。 「「死ね」」 同時に解き放たれた力は、二人の中間点で衝突、炸裂し、暴風と衝撃を撒き散らした。衝撃は学園を揺るがし、周囲の窓ガラスを次々に破壊する。一瞬のうちに築かれた破壊の山が、一瞬の激しさをいやというほどに表していた。 だが、終わらない。終わるわけがない。 たかだか単体でコミューンを相手取るような存在が。たかだか六人ごときで世界を敵に回すような存在が。 その程度で終わる存在であるはずがない。あってはならない。 そうでなくては。 この、虎宮沙良が彼らの盾になる意味がないのだから。 「うちが全力で盾になるいうたんや。ならこの世界を砕いてでも、あいつらは守ってやらなあかん。それが、大人ってもんや。そうやろ、ましゅまろ」 その言葉に二十年来の相棒が当然だといわんばかりに尻尾を振り回す。 颯爽と白衣を翻し、白煙渦巻く中へと駆け込む。 その身に水を従えて、最強の盾となるために。 ドン、ドン。遠くから響いてくる振動が、戦いが続いている事を教えていた。一撃一撃がよほど重いのだろう、重低音は、走りながらでも感じられるほどに学園を激しく揺さぶる。 「やれやれ、もうすぐ新学期なのに。学校明日まで残ってんだろうな?」 「なに兄貴ってばそんなに学校好きだったの? じゃあ、新学期から生徒会の仕事手伝ってみる?」 「その代わり家事は全部美優に放り投げることになるが?」 「……ごめん兄貴、アタシが悪かったわ」 「ちょ、ちょっと、それ酷い……」 まあ実際のところは美優は料理以外の家事ならそれなりにできるんだけどな。ただ、一つ一つの動きが丁寧というか効率が悪いというかとにかく徹底しているので、仕事が片付かないのが欠点だ。 魔法を使う時はあんなにきびきび動けるんだけどな。不思議なものだ。 「ん? ちょっと待ってくれ、何かおかしな衝撃を感じる」 「え?」 廊下の真ん中で足を止める。すると、乃愛さんの言葉通り確かに遠くから時折響いてくる音とは別に、直下から突き上げてくる衝撃が感じられた。 ……いやな感じだ。一階は通路をふさがれたりしていたせいで、どんな様子なのかほとんど把握できていない。連中が下から不意打ちをかけようと待ち伏せしているかもしれない。 警戒しながら慎重に進むか、無視して一気に突破するか。 「迷ってる場合じゃ、ないからな……行くぞ、足元に気をつけろよ!」 ――ドォン!! 「ひやぁぁぁぁんっ!?」 「ってうぉぉい、美羽!?」 言ったそばからいきなり美羽の足元の床が崩壊し、それに巻き込まれて美羽が落下した。慌てて駆け寄り下を覗き込む。どうやら腰を打ちつけたらしいが他に目立った外傷は見受けられなかった。 まったく、油断できないな。 「待ってろ美羽、今そっちに――」 「だめっ! そんな暇ないでしょ、兄貴は早くユリアさんを迎えに行ってあげて!」 んなっ! なにを言い出すんだこいつは! 「お前ふざけるなよ、どう考えてもそっちには誰かいるに決まってるだろうが! そんなところにお前一人残して……」 「アタシだってお父さんの子供なんだよ、やんなきゃいけないこととか、やりたいこととか――守りたいもの、あるんだよ! だから行ってよ兄貴、アタシの守りたいものは、兄貴が行ってくれないと守れないんだから!!」 ……………………ッ! ああもう、どいつもこいつも!! 迷う悩む躊躇う、どれだけ覚悟を決めてもやることだけを見据えても、誘惑はいつだってどこからだって現れやがる。両立しないものが山ほどあってそのどれもが大切な事だってある。 だから決断しないといけない。ああそうだ、そういう覚悟をすると、腹を括ったんだから! こんなところでまで、人に流されてるわけにはいかない。俺が全部を引っ張る、そのくらいの決意を持たなきゃならない! 「美羽、苦労をかけるぞ」 「まかしてよ、これでもこの馬鹿みたいに騒がしい学校の生徒会役員なんだからね。苦労なんて慣れっこよ!」 ああ、そうだな。お前ほど頼りになる妹なんて滅多にいねーよ。 「いくぞ、美優」 「うん、お兄ちゃん……お姉ちゃん、後でね!!」 「まかせなさい。美優も、兄貴達のことよろしくね」 俺達は駆け出す。大丈夫だ、また会えると。信じて、確信して。 だが……そうだな、あと俺にできることといえば……。 美羽は天井にあいた穴から聞こえてくる足音が遠ざかるのを聞きながら、深く息をついた。 ゆっくりと瓦礫の上に立ち上がる。体のほうは、特に大きな怪我はない。少し腰を強く打ったくらいだが、動くことに支障が出るほどではない。 「風の魔法で空を飛べたらいいんだけどね……」 ユリアがよくやっていたように、風の魔法で空を飛ぶことは不可能ではない。だが、それには高度な技術と魔法の相性が必要になる。ちなみに、美羽の風の魔法との相性は悪くはない、という程度のものだった。 慎重に、周囲の様子をうかがう。何か怪しい気配は感じられないが……戦いに関してはずぶの素人の自分には、よくわからないというのが正直なところだった。 「ていうか、何で兄貴はあんなに戦い慣れしてるわけ? 帰ったら絶対問い詰めてやる……」 確かに、中学時代はたまに喧嘩をしているような話は聞いていたし、噂話程度なら何度も耳にした。だが、大翔のそれはどう考えてもそういうレベルの話ではないと美羽の直感は告げていた。 こと兄に関しては直感が働く美羽である。 「……ここで立ち止まってても仕方ないか。とにかく、どこか上に上るルートを探してみないとね」 瓦礫から下り、ひとまず廊下を進む。今の自分の位置がどの辺りかを確認しながら、暗い廊下の先を睨みつける。 ガラ。 小さな音にびくり、と体が跳ねて振り返る。鼓動が早まり、血流がドクドクと音を立てて流れる。 「なに……誰かいるの!?」 精一杯の虚勢を張って声を出すも、震えることを抑えることはできない。ごくり、と唾を飲み込む。 ガラガラガラッ!! 美羽が立っていた瓦礫の山が音を立てて崩れだす。決して勢いのあるものではない、だが、確実にその下には、何かがいる。 動かなければ。その必死の思いで、美羽は右手に通常魔法で炎を生み出す。しかし炎はうまくまとまらず、勢いも万全のときよりはるかに弱い。それを見て、自分がどれだけ緊張しているのかを思い知った。 ――勝てるの、こんなので? 怖い。足先からゆっくりと、冷たい恐怖が這い上がってくる。目の前の光景すら、恐怖で視界が狭まる。 「――っ、しゃんとしなさい結城美羽! ここがアタシの、正念場よ!!」 自らに活を入れ、奥歯を強くかみ締め目の前の瓦礫の山を睨みつける。恐怖はなくならない、だが恐怖になんか呑まれてやらない。そんなものに負けてやれるほど、自分は弱くできてはいないはずだ! そして―― 「グルアアァァッ!!」 「っ、ガーガー!!」 青い獣人が瓦礫の山を跳ね除けてその姿を現した。瓦礫が飛び散る。美羽はその姿を睨みつけ、焼いて貫けとばかりに炎を放つ。 音を立てて燃え盛る赤い炎は、その熱で空気を歪めながらガーガーへと突き進み、 「ルァゥッ!」 その口の中へ飲み込まれた。 「……………………へ?」 もはや言葉も出ない。 高速で飛来する炎を……魔法を……食った? 想定外もいいところだった。わけがわからずに立ち尽くす美羽。ガーガーは炎を咀嚼し、飲み下す。開いた口からチロリと赤い炎が覗いて、消えた。 反則だ! そう叫びたい気持ちだった。 「グルゥ」 「ひっ!」 いきなり自分の対抗手段を奪われた美羽は、獣の瞳に怯え後ずさる。ゆっくりと、ガーガーがその足を踏み出す。 「あ……」 突然、足から力が抜けた。だがもはや、慌てることすらできない。呆然と、ゆっくりと近づいてくるガーガーを見ることしか。 絶望的な状況。心が砕けそうになる。泣き叫んで、誰かに助けを求めたくなる。 (助けって……誰に?) 真っ先に脳裏に思い浮かんだ顔をかき消した。それはダメだと。もし今ここで自分が彼に助けを求めれば、彼はおそらくどこからでも駆けつけてくれる、駆けつけてしまう。 だけど、だからこそ、それだけはだめだった。 今の彼が何のために走っているのかをおそらく彼以上に理解しているから。だから、今の彼に頼ることはできないのだ。 それが、結城美羽の守りたいもの。命を懸けてでも、絶対に貫かなければならないもの。 これまで自分たちが奪い続けた、兄の『自由に生きる』という、その選択肢。 だから今ここで、泣き叫ぶわけにはいかないのだ。 「……兄貴……がんばって」 絶望と希望。自分の中に渦巻くものがそのどちらなのか、あるいは両方なのか、よくわからないまま。 美羽は、静かな諦念とともに、瞳を閉じる。 ――だから。 「わりーけど、その娘を殺させたりはできねーんだわ、ケダモノ」 その声が自分のすぐ後ろで聞こえてきたときは、心底驚いた。 「グルァッ!?」 ドンッ! 砂袋を叩きくような音が響き、ガーガーはその巨体を砲弾のごとく吹き飛ばされ、瓦礫の山に頭を突っ込んだ。 美羽の横に現れた男――貴俊は、いつものように気の抜けた、だが、瞳だけは鋭い笑みを浮かべていた。 「いよう美羽ちゃん、手伝いに来たぜ?」 「く、黒須川先輩? なんで!?」 「なぁに、大翔に頼まれただけだぜ、心配だからあいつのこと頼むってね」 貴俊はガーガーを吹き飛ばした長い袋から、中身を取り出した。その中から現れたのは、漆黒の一本の槍。槍投げに使うような、まっすぐで先だけが鋭く尖った、そんな一本の槍だった。 それを器用に振り回し、最期にぴたりと脇に添えて構えを取る。 「いやはや、羨ましい話だ。俺が落ちてたら、あいつぜってー誰も助けによこさないに決まってるもんな。ま、それがあいつのいいところでもあるんだけどな~」 などと惚気(?)る貴俊。それを半眼で見ながら、美羽は壁を支えに立ち上がる。 「まあ、その、ありがとうございます。けど、黒須川先輩はいいんですか、それで?」 美羽の疑問に、貴俊は笑って答える。 「なぁに、確かにあいつにずっとついてったほうが俺としては楽しいがお願いされたんじゃぁしょーがねえ。俺は愛に糸目はつけないタイプでね」 「……はぁ」 よくわからないが、とりあえず肯いておいた。一応、大翔から注意されていたことではある。貴俊は無理に理解しようとするな。 とりあえずその兄の言葉に従うことにしながら、まずはガーガーに集中する。 「ところで美羽ちゃん、誰かを殺す覚悟を決めたり、あるいは誰かを殺した経験は?」 「あるわけないじゃないですか、そんなの」 「オッケーいい答えだ。それじゃあ、ちょっくら愛のためにひと働きといきますかね!」 言い終わるが早いか、ガーガーに飛び掛っていく貴俊。その素早さに美羽は目をむいた。速すぎる。何だこの生き物は、本当に人間か。 両手に炎を生み出し、急いでその背中を追う。ガーガーも立ち上がり、その巨大な腕を大きく振りかぶった。 「先輩、作戦とかないんですか!?」 相手は魔法を食らう。しかも人知を超えた暴虐無人とでも言うべき腕力を持っている。近づけばひとたまりもない。相手はまさしく、獣なのだ。 だが。 「そんなもん、後からかんがえりゃあいいってもんだ!」 黒い獣のように、貴俊は恐れることなくその暴風の中に踏み込んでいく。ガーガーの両腕が振り下ろされる。その一撃は床を砕き、穴を開ける。だがすでにそれよりも深くガーガーの懐に入っていた貴俊は、 「でりゃあぁぁっ!!」 槍の石突でガーガーの顎をかち上げる。その一撃が果たしてどれほどの威力だったのか、あのガーガーの巨体が、一瞬、地から離れる。そこへ、さらに胸への容赦のない突き。 再び響き渡る重く苦しい衝突音。その一撃で、再びガーガーは大きく吹き飛ばされた。 なにこれ。意味わかんない。 ガーガーも理解できなかったが、貴俊のあの動きといい腕力といい、こっちのほうがよっぽど理解できなかった。人間かどうかすら疑わしい。 ガーガーがケダモノならば貴俊はバケモノだ。 「ほら、美羽ちゃん、まだまだ終わってないぜ? さすがに大翔ほどじゃあないだろうが、あいつもそれなりには俺を楽しませてくれそうだ」 「え?」 なんとなく引っかかりを覚え、横に並んだ貴俊の顔を見上げる。だが、その瞳は獰猛にガーガーを睨みつけているだけだ。 「ま、気にしても仕方ないか。それじゃあ先輩、あいつを、倒しますよ?」 「ああ、全力でぶっ飛ばしてやるよ!」 二人は同時に、獣へと駆け出す。 迎える獣は無傷の体で、雄叫びを上げた。 どこからか聞こえてくる獣の雄叫びは、ガーガーのものだろう。 「さっきのは、ガーガーの仕業だったのか?」 「君が魔力を感知しなかったところから見ても、その可能性は高いと思うよ。アレは見た目からして、腕力で戦うタイプだ。ま、何か魔法を隠し持っていなければの話だがね」 確かに、あいつの体つきは異常に逞しい。いくら貴俊でもあのガーガーが相手では正面勝負は難しそうだな。とはいえ、あいつに頼るしかなかった状況だったのも確かだ。 ……むしろあいつが今現在美羽の傍にいるってことのほうが嫌な予感を掻き立てる。 「余計なことをぺらぺら話さなきゃいいんだけどな……」 「それって、やっぱり中学時代にくろすんとフルボッコやったこと?」 「だーかーらー! 陽菜もそうやってぺらぺらと喋らない!」 美優が『え、なに? ねえなに何か隠し事?』って視線で猛烈に訴えかけてきている。勘弁してください。 「それほど隠すようなことでもないと思うがね。話してあげたらどうなんだい?」 「単純に起きた事柄だけ説明してもわけわからない話しだし、そもそも俺があんまり鮮明に思い出したくないので」 まあ、どうしてもというのなら話すのは構わないんだけども。 そんな俺達に呆れた様子のエーデル。 「……どうにも君達は緊張感が足りていないようだがね、そう余裕ぶっていられるのもここまでのようだよ」 「あれは……」 廊下の真ん中にずんぐりと岩のように立っていたのは……確か、バードックといったか。この男もガーガーほどではないにしろ、常軌を逸した体格の持ち主だ。その割にやたらと気弱そうな顔をしているのがやたらとバランス悪い。 なんか、何もしてないのにこっちが悪いことしてる気分になってくるな。やりにくいことこの上ないぞこいつ。 「えーっと、ほう……かなりの人数が残っていますね。ガザベラさんとガーガーを相手にたったの三人だけを残してきたんですか? 僕が言うのもなんですけど、それは無謀ですよ?」 敵に本気で心配されたよ、おい。全身からいい人オーラが出てるよ、この人。美優も戸惑っている。 「敵に心配される筋合いはないってーの。心配するくらいなら最初から何もしなけりゃいいだろうが」 「まあそれはそうなんですけども、僕としても叶えたい願いがありまして」 心底すまなそうな顔をしているくせに、願いと口にした瞬間、バードックの瞳からは迷いの色は消えていた。 なるほど、そういうタイプか。 「ふ。結局最期は自分の願いが全て、か。それなら最初から他人に気を遣っていい人の顔をするのはどうかと思うがね、僕は」 「誰にだって、譲れないものがあるでしょう。そのためならなにを犠牲にしてもいいというような」 「程度によるのさ。幾多の世界を巻き込む価値が、君の願いにはあるというのかな?」 「さぁ、それはどうでしょうねぇ……」 バードックは空を見上げて考え込む。普通に隙だらけだった。 ……えーっと、これは、今のうちに通っていいのか、これ? 今まで敵対したことのないタイプだから、対応に困る。 どうしたものかと悩む俺に、エーデルは小声でぼそりと言った。 「そら、なにをしているヒロト君。ここは僕に任せてさっさと姫を助けに行かないか」 その提案は、正直、意外と言うか想定外というか、とにかく予想外のものだった。 「……いいのか? お前のことだから、ユリアを助けるのは僕だとか言い出すと思ってたんだけど」 「やれやれ、君は王道・セオリーというものを理解していないようだね」 エーデルは綺麗にピッと人差し指を立てると、得意満面の表情になる。 「悪の魔法使いに囚われた姫君。それを助け出すのは騎士の役目だ。貴族の役目ではない。貴族の役目は姫を迎える事。だからヒロト君、僕は彼女を迎える準備をしなくてはならない。この目の前の邪魔者を片付けて、この世界の安寧を手に入れてね」 そういうエーデルの瞳には、バードックに対する明らかな敵対心が燃えていた。どうやら、先ほどのやり取りの中でバードックに対して何か特別怒りを覚える部分があったらしい。 こいつも、色々と変わったということだろうか。 「さあ、行きたまえ。そしてしっかりと理解したまえ、姫の騎士役が君だということを。僕がその宝石を君に預けたのは、伊達でもなんでもないのだからね」 俺の胸元……その下にある、エーデルの一族の宝石のひとつ。それをこつんと、服越しに拳で叩かれた。 その笑顔は、もしかしたら信頼とかそういったものなのかもしれない。俺はそれに肯くと、バードックに向けて全速力で駆け出した。 それに気づいたバードックは、その巨大な腕を振り上げる。が、 「甘いなバードック、君の相手はこの僕がしてあげよう。サフィール家次期当主、エーデル・サフィールが!」 「ぬぅ、これは……!」 エーデルの生み出した水流が、獲物を狙う獣のようにうねり、バードックの腕を絡め取り、締め上げる。その巨体の横をすり抜けるように駆け抜けた。一瞬、エーデルを振り返る。 「…………」 「…………」 頼む。 エーデルを残し、俺達は一気にその先にあった階段を駆け上がり、三階へ向かう。 この背に、期待と信頼と、責任を背負いながら。 エーデルは自分の今の心境に驚いていた。しかしそれは、どこかすがすがしい気分でもあった。 結城大翔。自分にとってはその存在は疎ましいものであり、それ以上に危険なものであった。そしてどこまでも相容れない間柄であることはであった頃から今でも変わっていない。 彼にとってはこの世界の存亡よりも、自分の世界の王国のほうが優先度が高いのは当然であり、ユリアの身の安全やその心理状態の健康についても真剣に考えるべきことだった。彼女こそ、国の宝であるのだから。 そんなエーデルの考えを完全に無視し蹴り飛ばす結城大翔という人間を彼が嫌悪するのは、ある意味当然と言えた。 無論、その感情は今でも変わることはない。エーデル・サフィールにとって、結城大翔は気に入らない人間であり、おそらく一生仲良くはなれない人間だ。すぐにでも関わり合いを断ちたいくらいだった。 (……だが、それでも信じることはできる。託すことはできる。ふ、矛盾しているな) エーデルは国の最有力貴族の一員だ。彼が考えるべきは国のことであり、国の未来である。それだけだった。それだけしか考えていなかった。 (財も、権力も、人も、衣も、食も、住も。全てはその構成であり、ただの数であると思っていた。実に愚かな事だ) 考えるまでもない当然のことだ。国を構成するのはその地に有る全てであり、貴族はただ運営するのみ。確かに上に立つものがなくては国は国としての形を保てなくなるだろう。そのために必要な権力が、財力が、その他全てが与えられるのは当然のことだ。 だが同時に、下々の者達がいなければ、自分達は運営する国そのものをなくしてしまうのだ。 それを、この世界に来て知った。思い知らされた。自分も、所詮は国の中のひとつなのだと。 「バードック。君は先ほど言ったな、譲れないものがあると。何を犠牲にしてもいいと思えるほどのものがあると」 「ええ、確かに言いました。それは間違いではないでしょう?」 「ああそうだとも。僕も確かにそう思う。それが正しい、それが人間だ。だがお前は間違っている。君は――貴様は……」 陽菜がそういったとき、一瞬意味が理解できなかった。 「陽菜、もう一度言ってくれ。なんだって?」 「だからねヒロ君、えーちんが心配だから、陽菜もあの人と戦ってくる」 なんで、そうなるんだよ……。 「あのな陽菜、エーデルなら大丈夫だって。なんだかんだであいつは強いし、本来は異世界に戻るためのものだけど魔力を溜め込んだ宝石だってまだいくつか持っている。攻撃力だけなら、俺達の中でも最大なんだぞ、あいつ」 「でもあのバードックっていう人だって、コミューンを一人で潰して回ってるような人なんだよ。だったら大丈夫なんていえないよ!」 「そんなの、陽菜が行っても変わるもんじゃないだろうが!」 思わず、声を荒げていた。頼むから、そんなこと言わないでくれよ、陽菜。なんでそんな、自分から危険に飛び込むようなことを言うんだ? 回避できる危険は回避したほうがいいに決まっている。それができなくても、少なくとも俺の傍にいてくれれば、俺が守れるかもしれない。 けど、エーデルがいるとはいえ、戦いなんて危険のど真ん中。そんなの。 「……ヒロ君。そんなにヒロ君ばっかりがんばんなくてもいいから。陽菜だって、自分の身くらい自分で守れるんだよ。そういうのにむいてる魔法なんだしね」 陽菜の決意は固いようだった。けどこればっかりは認めるわけにはいかない。 「大体、なんでいきなりそんなことを」 「いきなりなんかじゃない。ずっとだよ、ヒロ君。ずっと陽菜は、ヒロ君にこうしなくちゃいけなかったんだから」 え? 何だそれ、どういう意味だ? 「ヒロ君の心に、いつまでも陽菜がつっかかってるわけにはいかないの。ヒロ君も、いい加減陽菜離れしなくちゃいけないよ」 冗談めかして、それでも、なぜだか必死に訴えかけてきている。 ……なんでそんな風に俺を見るんだよ。陽菜、お前は一体……。 「…………ふぅ、仕方がない。沢井、私が許す。精一杯、やってくるといい」 「乃愛さん!?」 「はい、乃愛先生!」 陽菜はその言葉で、階段を駆け下りる。 「陽菜!」 俺の呼びかけに、陽菜は足を止めて、振り返らずに、 「ヒロ君! ありがとう、あと、ごめんね!!」 そういって、階段を一気に飛び降りていった。その後を追おうとする俺の手が、ぐいと引っ張られる。 「レンさん!」 「ヒロト殿、行くぞ。時間がない。それに……今ヒロト殿が行けば、間違いなく足手まといだ。信じてやれ。せめて迷いなく」 「信じるっていっても、なにを……」 レンさんの手を振りほどく。レンさんは俺達の前に立ち、歩き出す。 「彼女の、信念をだ」 沢井陽菜は走る。零れる涙を拭いながら、走る。切ない胸の痛みを押し殺しながら、ただ走る。走って走って走って、前を向く。 昔、彼女の初恋の男の子が、そうしていたように。 「そう、ヒロ君が陽菜に生き方を教えてくれたんだよ。陽菜にはヒロ君を助けられなかった、救えなかった、取り戻してあげられなかった。だからヒロ君、せめてそのお手伝いだけはしてあげたい」 大翔がその魔法を失う最後の一押しを作ったのは、間違いなく陽菜だった。陽菜を襲う犬を不用意な魔法攻撃で殺してしまったことが、大翔の魔法への不信と拒絶を最大限にまで高めた。それは確かだ。それも、大翔が勝手にやったことだといえばその通りだ。 「でも陽菜はあの時、ヒロ君が助けてくれるのを当たり前だって思った。自分で何とかできなくてヒロ君が苦しんでても、ヒロ君が陽菜を助けてくれるのが普通なんだって思った。そんな事なかったのにね、ヒロ君だって本当は、誰かに助けて欲しかったのに決まっていたのに。だからあれは、陽菜の失敗」 ずっと探していた。自分が大翔を助けられるその瞬間を。 これで終わる。大翔に守られるだけの自分。一度大翔に守られることを当然と思った陽菜は、ずっとその役目を負い続けた。大翔が不用意に魔法のことを思い出さないように、自分に失敗を続けることを課し続けた。 「だけど、それももう終わり。ヒロ君が陽菜たちを頼ってくれるから。自分を縛り続けていたヒロ君が、その枠を打ち壊すから」 まっすぐな廊下に出る。その先では、すでにエーデルとバードックの激戦が始まっていた。水が逆巻き、豪腕がそれを引きちぎる。離れたここまでもそのぶつかり合う轟音が耳を打つ。 だが、沢井陽菜は躊躇いなく走る。魔法で空気に擬態して、ただまっすぐに目標に向かって。 「ありがとう素敵な初恋! ごめんね傷つけて! でも陽菜は、さいっこうに、幸せなんだよ!!」 姿も気配もない、何もない空間から突然響いた声に、バードックが驚愕の表情で振り向いたのを見ながら、 「沢井陽菜、恋する乙女! 全力全開で、ヒロ君の恋とヒロ君への友情のために、がんばりまああああす!!」 その右腕を存分に敵の顔面に叩き付けた。 すでに学園を包む衝撃は絶え間ないものとなっていた。各所で行われている戦いが、それだけ激戦となっているのだろう。 それはつまり、まだみんな生きていることの証拠。誰も俺達は欠けていない。そして最後まで誰一人としてかける事無く家に帰るのだ。 「それにしてもここまでお膳立てされていると、次は誰が出てくるのかつい考えてしまわないかい?」 「ええまあそりゃあ考えますけど……後残ってるのって言うと」 「ファイバー、エラーズ、それからポーキァ……ですね」 ポーキァか。また嫌なやつが残ったもんだ。また絡まれたりするんだろうか。前回存分に罠にはめてぼこぼこにしてやったし、ガキっぽいあいつは相当怒ってるんじゃないだろうか。 ……むしろガキっぽいから逆に忘れてたりな。そっちのほうがありそうだ。 「なぁーんかすっげぇ馬鹿にされてる気がするんだけどぉー?」 「うぉ、ポーキァ!? よう、そんなところで黄昏てどうした」 窓に腰掛けていたポーキァにまったく気づかずに通り過ぎるところだった。思わず普通の知り合いにするように話しかけてしまったではないか。 「どうもこうもねーよ。もう少し早く来るかと思ったんだけどなぁ。待ってるこっちの身にもなれっつーの」 どうやらここで待っている間にやる気がなくなってきたらしい。 「別に無理してやるこたないだろ。んじゃ、俺達は先に行くぜ――っと!」 軽く退いた鼻先を小さな雷撃が走った。ちり、と鼻先が少し焦げた。 ポーキァは窓枠から立ち上がる。ぱりぱりと、青白い電気が弾けた。じり、と何かが焼ける音と嫌な臭いが漂いだす。 「悪ぃけどそーゆーわけにもいかねえんだ。ようやく俺達の目的のブツが手に入るんだからな、アンタ等に余計なことをされちゃあ困る」 「さっきと言ってる事が逆じゃねーか。それなら、俺達を待つのはおかしいだろ」 全員でかかってくるか、あるいは俺達の手の届かないところにさっさと行ってしまえばいいのだ。後者に関しては、この学校に何か仕掛けがしてあるのだろうと大体推測が立つ。だが、前者は? なぜ明らかな邪魔になる俺達をさっさと潰さない? 「俺達にも色々都合があってね。まあとりあえず、あんたらはここで俺と遊んでてよ」 「お断りだクソガキ」 「絶対、や!」 「断固拒否する」 「頼み方に誠意が足りないな誠意が。土下座でもしたまえ少年」 俺達の一斉の拒絶に、ポーキァがこめかみに血管を浮かべ目を吊り上げる。それにしても乃愛さん、何気に一番酷いこと言ってませんでしたか。 「というかだな、ポーキァ。お前は重大なことを忘れている」 ポーキァの背後――俺達が今しがた通ってきた道を指し、その後、俺の背後――これから進むべき方向を指す。 立ち位置が、徹底的に悪すぎる。ていうかアホだろお前。 「そんなわけで、俺達はせっかくだからお前を無視して進ませてもらうぜ!」 「うお、おいこらちょっと待て!!」 ポーキァに背を向けて走り出す――なんて事を、当然黙って見逃すようなやつではない。 逃げる俺達に対して、次々に雷撃を放ちながら追いかけてきた。炎や水、氷やら風ならともかく雷となると基本的に回避は不可能だ。美優の鏡でどうにか防いでいるが、さすがにいつまでも逃げられるとは思えない。何より美優への負担が大きすぎる。 「やっぱり、誰かが足止めしないと無理か……?」 けど、誰にだ? 相手がポーキァで雷電の特殊魔法では、この中でまともに相手ができるのは俺しかいないだろう。何しろこの至近距離、相手の魔法がどこに来るのか感知できる俺でなければかわすことはできないからだ。 ……けど、なぁ。俺がここでポーキァを引き止めて残りの三人だけを進ませるのも気が引ける。エーデルに頼まれた手前もある。 いや、俺は別に物語の主人公でもなんでもないんだ。できる人間がやることをやるべきだろう。 「よし、ここは俺が残って、ポーキァを引き止めます。だからみんなは――」 「だめ、絶対にだめ!!」 美優に全力で否決された。なぜだか怒っている。 「ユリアさんは、お兄ちゃんが助けに行かないとだめなの! お兄ちゃんが行かないとだめなの!」 「いやそんなこと言ってる場合じゃ……大体なんでいきなりそんなルールができてるんだよ」 「だめなものはだめ! じゃないとお兄ちゃんが……」 「あーはいはい、二人とも落ち着いて。ここは私が引き受ける、それで全て解決だろう?」 俺達の間に割って入った乃愛さんは、足を止める。悠然と立つその姿に隙はない。 「いいんですか、乃愛さん? いくらあなたでも、あの雷撃は」 「これでも君よりも長い間タイヨウさんの師事を受けていたんだ。それに絶体絶命の状況など慣れたものだよ。あんな風に、やんちゃな子供の躾もね」 そういって笑った乃愛さんの顔は、なんというかその、ぞっとしないものだった。 ああそういえば、昔乃愛さんが叱る時はあんな顔してたっけ。うん、ひたすらに怖かった。何しろガキ相手に容赦しねぇ。 「わかりました、お願いします。けど、絶対に死んだりしないでくださいよ」 「悪いが、あの程度の相手に死ぬ方法が思いつかないね。さあ行きたまえ少年少女、君達の望むその先へ」 芝居がかった言葉とともに、乃愛さんはポーキァへ一気に距離をつめた。すべるような動作でポーキァに一撃を加えたのを見送り、俺達は逆の方向へと走り出した。 階段は、図ったかのようにすぐそこにあった。 ……やはり、この戦いもやつらの目論見どおりなのだろう。だがその結果まで思い通りにさせはしない。 「ヒロト君」 「え?」 唐突に呼ばれて振り返る。乃愛さんはポーキァを前にしながら、それでも声には余裕が含まれていた。 「世界の終わりって、何だと思う?」 「世界の……終わり?」 放たれたのは意図不明の質問。何故このタイミングで、そんなことをたずねてくるのか、その意味が俺にはわからない。 わからない……が、教師に質問されたのなら答えるのは生徒の役目だろう。ただし俺は出来がそれほどよろしくないので、常に彼女の望む答えを返すことができる保障はどこにもない。 「わかりません。けど、乃愛さんが死んだら、たぶん俺は世界が終わったような気にはなると思います」 「……にくいことを言ってくれるじゃないか」 その答えに果たして満足したのか、顔だけを振り返って彼女は笑顔を見せた。行け、という視線に答えて、前を行く二人を追うように走る。 酷く透き通った、笑顔だった。 大翔の質問に満足したのかどうか、それは乃愛自身にさえもわかっていなかった。 ただ、大翔と別れる瞬間になぜかその言葉が思い浮かんだのだ。思い浮かんだ時には口に出していた。乃愛自身にさえわからぬ衝動に衝き動かされて。 それでも大翔がああやってひとつの見解を示したことは、彼女にとっては喜ぶべきことであった。 「……思考に不純物が多い。さて、どういうことだろうな、これは」 「なにをひとりでボヤボヤしてんだよっ!!」 荒れ狂う雷光が乃愛のすぐ横を通り過ぎる。空気さえも焼き尽くすほどの熱量が乃愛の髪を揺らした。だがそれにも乃愛はさしたる反応を示さずに、視線はポーキァに向けたもののやはり思考に沈んでいた。 「違和感、そう、違和感だ。いかな私とてこの事態を想定することは不可能だ。そもそも相手の最終目的さえも謎で推理の材料すらないとなればそれも無理からぬ話ではある、というよりは当然のことだろう。だが、それならば何故私はこの事態をまるで当然だという心境で迎えているのか。まるで私の知らぬ知識でもこの脳内に封じられているようではないか、それこそ、あらかじめ」 静かに、乃愛自身にさえ聞き取れぬほどの小さな声で思考を整理する。 乃愛にとって何よりも不可解であったのは、この状況の都合のよさであった。まるで状況がすべてはじめから用意されているような、そんな得体の知れなさを感じていた。 事の、始まりの最初から。それこそ、ユリアたちがこの世界へ来たときから。 異世界とこの世界の危機。立ち上がった姫君。断ち切れぬ縁。奇妙な因果。世界中に開いた穴。その中心であるここ、学校。そしてたまたま今日という日に調査を行い、それとあわせて始まった敵のしでかした何事か。まるでパズルのピースのように綺麗に形がはまっていく現実。 まるで踊らされているような不快感があるのだ。得体の知れない、底の知れない、果てしない何者かに。 「おい、いい加減にしろよ、あんた! そんなに死にたいのか!?」 「……まったく、考えることさえもろくに許さないとはね。少しは他人の都合も考え――いや、そんな事考えていないからこそのこの事態か」 できの悪い生徒を前にしたときのような乃愛の態度はポーキァの神経を逆撫でした。ここに大翔がいれば気付いただろう、乃愛が思考を邪魔されたし返しにわざとそうしていることに。 「そもそも私を殺すといっても、どうやってそれをなすのかな?」 「そんなもん見りゃわかるだろうが。俺のこの、雷でだよ!!」 言うが早いかポーキァの腕が白く輝き雷がまっすぐに、何もない空間を薙いだ。 「――あ?」 「ふむ、狙いは正確だな。ま、私としてはその方がありがたいがね」 乃愛の立つ位置は先ほどから変わっていない。大翔と別れてから一歩もその場を動いていないのだ。そしてポーキァは正確に、狂う事無くまっすぐに乃愛を狙い……その雷はまるで見当違いの空間を焼くに終わった。 ポーキァは困惑を隠せない様子で自分に手を見ていた。乃愛はその隙を狙うこともせず、ただ困惑するポーキァを放置していた。 「な、なんだってんだよ、おい!!」 再度の攻撃。だがやはりそれは乃愛を捉えることはない。苛立つポーキァは更に雷撃を放つが、その全てが乃愛の立つ空間を避けて通る。まるで雷が乃愛に触れることを恐れているかのように。 「ああもう、いったいなんだってんだよ、これは!!」 苛立ちが頂点に達したポーキァが怒りのこもった視線を乃愛に向ける。対する乃愛の視線はいたって静かで、冷ややかなものである。 「ふぅ、やれやれ。やはりヒロト君が特殊なのか。彼は私の魔法を受けた時点で研究し、実験し、体感し、推測したのだが」 「さっきから何をぶつぶつ言ってやがんだよあんたは! 何だこりゃ、俺に何かしやがったんだろうが!?」 「何かしたかといえばしたがね、素直に教えてあげる義理はないさ……ま、教えたところで私が君に負けることはないのだが」 その言葉でポーキァがキレた。雷を放つのではなく両手両足に纏ったのだ。 当たらない攻撃を諦めたらしい。 「あんた……ただで済むと思うなよ」 「せいぜい努力したまえよ、少年」 乃愛は実に興味の薄い反応を返した。それがポーキァを爆発させる。 迫り来るポーキァを視界に納めながら、乃愛が考えることはやはり現状を操っているかもしれない何者かの存在。自分たちはすでに決定した形へと収束するためだけの舞台劇の登場人物を演じているとでもいうのか。 もし、そうだというのならば。乃愛は自分が何をすべきかを考える。自分の、最も優先するべきものを。 苅野乃愛にとって、何よりも優先すべきもの。ノア・アメスタシアにとって、何よりも率先すべき行い。 それを考えた時―― 「――――――――世界の、終わり」 ああ。 そうか、と。 誰にもわからぬため息が、くちびるの隙間から小さく漏れて。 そして。 世界が終わるのだと、何も理解せずに、ただそれだけが、自分の、結末が。 「……すまない」 ヒロト君、と名を呼び。 乃愛は。 あと一階。あとひとつ階段を上れば、屋上だ。そして屋上は棟ごとに独立しているため、ファイバーがいる屋上へ通じる階段は必然ひとつに絞られる。 「中央棟の階段!」 中央棟へ向けて駆ける俺達。もはや遮るものはなく、目的地へと向けて突き進むだけだ。 その前に悠然と現れたのは―― 「変態仮面!!」 「ああもう、なんだか訂正するのも面倒になりますね、これは」 狐の面の向こうでため息をついた。確かそう、エラーズといったか。別に変態仮面でいいじゃんか。わかりやすいし。 「んじゃあそのお面を真っ赤に塗りつぶせよ。そしたらなんか別の名前考えるから」 まるちゃんとか。 だがエラーズは俺の親切な提案をさらりと無視した。 「さて少年、ファイバーが御指名だ。ひとりでこの先へ行ってくださ」 そう言って、階段の前から退くエラーズ。随分と親切なことだが……ひとり、だと? 「お前に言われなくても行くのは行くさ。でもわざわざ譲ってもらわなくても、俺達三人でお前を叩き込んで通るって選択肢もあるぜ?」 「また随分と悠長な話を。三人なら私を一瞬で倒せると思うのですか? 舐めないでもらいたいですね」 エラーズが不快そうに声を沈めた。その気配も不気味なものに変わる。 「言っておきますが、そんなことは不可能ですよ」 「随分な自信だな。それでは、試してみるか?」 キン、と静かに剣に手をかけるレンさん。二人の間に静かな緊張が生まれる。 「ふふ……私を甘く見すぎですよ皆さん。私はね……逃げ足にはこの上ない自信があるのですよ!」 「偉ぶって情けない事を大声で宣言してんじゃねえ!」 しかも微妙に共感してしまいそうになった。こいつら本当に世界を滅ぼす気あるんだろうな。 なんか壮大なドッキリにでもはめられているんじゃないかと疑いたくなってきた。 「まあ冗談はともかく、私もそうやすやすとやられはしないということです。そうそう、それから、私達の計画は時間がたてば成就されますとも言っておきましょう」 つまりのんびりしている暇はないということか。でもそれならわざわざ俺を通すのはなぜだ? やはりそれも計画に関係があるのか。もしそうならば、むしろ俺がひとりでのこのこ行くのは逆に危険だともいえる。それでやつらの計画が達成されては元も子もない。 だが、このまま放置していてそれで本当に連中の計画が達成されればそれで終わりだ。さて、どうする――? 「お兄ちゃん、悩んでも仕方ないよ。先に行って」 「そうだな、このままここで悩んでいるわけにもいかないのなら、あとは賭けるしかないだろう」 「美優、レンさん……わかった。それじゃあ、先に行ってまってる」 俺は二人から離れ、階段に向かう。エラーズは面のおかげで、その表情は見えない。なにを仕掛けてくるかもわからない。油断なく注意しながら、その横を通り抜け―― 「まあ、やるだけやってみなさい」 「え?」 ようとしたところで、何か呟きが聞こえた……と、思う、んだが。 エラーズを振り返っても、その顔はただまっすぐと美優とレンさんに向けられていた。励まされた? いや、まさかな。俺は階段を駆け上がり、屋上への扉に手をかけた。 ――ギィン! 背後で金属のぶつかる音。振り返ると、レンさんがエラーズに斬りかかっていた。美優も今にも魔法を放とうとしていた。 美優が、小さく笑った。いつもの、気の弱いものじゃない。しっかりとした笑顔。 行ってらっしゃい。 たぶん、そういわれた。だから俺も、親指と笑顔でそれに返事をする。 行ってきます。 剣戟と爆音を背に、俺は扉を一気に開いた。 エラーズの動きは洗練されていた。なんとなく察してはいたが、実際に戦ってその強さを実感する。 美優が放つ炎に合わせて、突撃。勢いと共に放たれた突きはしかし、エラーズを捉えずに壁を粉砕するのみ。 「先ほどの言葉はある意味冗談ではなかった、ということか。ならば……」 魔法との連携の一撃を事もなくかわすあの動き。只者ではない。だがしかし、レンの攻撃手段は剣だけではない。 「これはどうだ! 『単剣一刃』!」 レンの剣に魔力が宿り、床へと振り下ろした。 瞬間、レンの剣筋をなぞるように白い光が現れ、光は床を砕きながらエラーズへと迫る。だが、まるでそれを知っていたかのように最小限の動きで光の刃をかわし、反撃に打ち込まれる一撃をレンは剣の腹で受け止めた。 重い衝撃が両腕を伝い体を震わす。 「レンさん、下がって!」 剣を弾き、エラーズから距離を離すと同時に美優が魔法を放つ。 氷の刃がエラーズの周囲を覆うように取り囲む。死角から雨のように放たれるそれを一瞥もせずにエラーズはかわす。 「なんなんだあの動きは! あれではまるで――」 「お兄ちゃんみたい」 レンが言葉の途中ではっと息を呑み、その言葉を美優が受け取った。 まるで魔法の発生とその効果を先読みしたような動き。それはまさしく、大翔が違和感を感じるといっていたその動きそのものだった。 「くっ、あの体術に加えてこちらの魔法を感知するとなれば、かなり厄介だぞ」 美優の隣まで下がり、エラーズとの距離を離す。エラーズは積極的に仕掛ける気はないのか、追撃をかけてくる様子はなかった。 「すまないな、ミユ殿。私一人で押さえ込めたのならよかったのだが、それも無理そうだ」 「だいじょうぶです。これでも、お兄ちゃんの妹なんですよ」 美優はまっすぐな瞳でレンを見やる。 「君は本当に、ヒロト殿が好きなのだな。ヒロト殿が羨ましい」 「それを言うなら、レンさんもユリアさんが大好きじゃないですか」 確かに、と笑う。 レンにとっては、ユリアは姫という以上の存在だった。身分など関係ない、ただその存在に自分は仕えると、そう誓えるほどの。 なぜなら、能無しでありそれでも努力し続けた彼女を当然のように迎えてくれた、かけがえのない人だから。 だからこそ、彼女にとって結城大翔という存在は扱い辛い。ユリアが彼に対して、単純な親愛以上の感情を抱いていると察してしまってからそう感じるようになった。しかもレン個人の感情としては親しく思っている分、なお複雑だった。 「ごめんなさい、レンさん。うちのお兄ちゃんがあんなので……」 「ん? ああしまった、顔に出ていたかな」 「いえ、なんとなく。でも、ワタシはああいうお兄ちゃんは、見ていて嬉しいです。正直、うまくいってほしいと思っています」 「私もそう思っているのだが、なかなか感情というものは厄介なものでな」 割り切れないこともある。 いや、レンにとって世界は割り切れないことで溢れている。だがそれでも、その中でも、ただひとつ信じると決めたものがある。 「さて、悩むのは後だ。今は務めを果たさねばな」 「はい、そうですね」 その決意を抱いてからすでに何年も経った。その間その決意が揺らいだことはただの一度も刹那の欠片もなかった。そして今、この瞬間も。それはおそらくこれからも。 「いくぞエラーズ、世界の敵! 我が名はレン・ロバイン。ここより彼方の異世界の王国に属する、ユリア・ジルヴァナただひとりの剣だ!」 「あ、あう……! い、いきます! 私は結城美優。絆だけで繋がった、お兄ちゃんとお姉ちゃんの妹です!」 その二人の名乗りに、仮面の奥でエラーズは小さく笑った。決して馬鹿にしたわけではない。むしろ、どこかうらやむような。 「さあ、かかってきなさい。私はエラーズ。醜く小さな願いを棄てきれずしがみ付く、世界の誤謬!」 割れんばかりに地を蹴り、壁を使って飛び上がるレンとそれに追従する雷を迎え撃つエラーズ。 魔法は悉くかわされ、剣は受け流される。それでも、ひたすらに剣は翻る。剣が魔法が拳が嵐のようにぶつかり合う。 黒い雲に覆われた空。びゅうびゅうと吹き付ける風。 手を離すと、支えを失った扉は重い音を立てて閉じる。視線はまっすぐに前を向いている。その先には両手両足を紐で縛られたユリアと、その横に立つファイバー。二人の視線は向かい合っており、ユリアの瞳には…… 「ファイバアァァァ!」 怒りの声がほとばしる。意識した時にはすでに体は駆け出していた。 「てめえなにユリアを泣かせていやがる!!」 涙に濡れた瞳。やつがなにをしたのかは分からないがそんなこと分かる必要はない。ユリアを泣かせた時点でぶっ飛ばすことは決定事項だ! 右の拳に力を集める。いける! その確信と共に、力を解き放つ! 魔法は空を貫き、ファイバーの鎧の一部を削り取った。くそ、かわされた!? だが距離は開いた。今のうちにユリアを―― 「その程度の腕で、我らの夢を阻めると思うな!」 ドンッ! 脇腹に鋭い一撃。視界が揺れ体が横に折れ曲がり、フェンスに激突する。 「ゲホッ、ぐ……そ……がっ!」 痛みに顔をしかめながら、立ち上がる。衝撃は逃したので、ダメージはそれほど酷くない。 ファイバーを睨みつける。俺とやつの立ち位置はユリアを挟んで対極に位置している。今の状況だとユリアを解放するのはちと無理か。一度動きを封じなくては、ユリアを解放するのは不可能だな。 思考の終了は行動の開始に同期する。再び地を蹴り一息にファイバーとの距離をつめる。ざわりと魔法の気配。ヤツの周囲で風が渦巻いている。収斂されたそれらが、大気をゆがめ次々に撃ちだされる! ドドドドドッ!! 投げ出した体の横を通り過ぎる気配。それらは屋上の床をマシンガンのような勢いで抉り、削っていった。 「おおお!」 ドンッ! 放った拳は太い腕に防がれる。ファイバーは咆哮とともにその腕を大きく振り回した。豪腕は大気を屠り、屈んだ俺の前髪数本を攫う。確かな寒気を感じながらも体は自然に動く。全身のばねをつかい、飛び上がる勢いでファイバーの顔面を蹴り上げた。 「……その、程度、かぁぁ!!」 「ぐあぁっ!?」 俺の蹴りを意に介さず放たれた肘の衝撃は背中まで突き抜けた。さらに放たれる左のこぶしを受け流しながら、一端距離をとる。 一撃一撃が、いちいち重い! それに動きも、本当に鎧を着けているのか疑いたくなるような滑らかさだ。こんなデタラメ千万なヤツをどうにかできるのか? いや、どうにかするんだ。ユリアを、助けるために! 両足で力強く地を踏みしめ、腹に力を込める。倒すべき相手を睨みつけ、俺は躊躇うことなく踏み込んだ――。 呆然と……まるで意識が肉体から遊離したような気分で、私は目の前の戦いを見ていた。 両手両足は魔力を封じる縄で縛られているおかげで、魔法を使うこともできない。いいえ、たとえ魔法を使えたとして、今の私が使うのかどうか。 この瞳から涙が零れていることにさえ、ヒロトさんの言葉でようやく気づいた位に呆けているのに。 「――――ヒロトさん」 かすれた声で、無意識のうちに口をついてでた、彼の名前。それを呼ぶだけでこんなに心が苦しいのは、やはりファイバーが先ほどいった通りなのだろうか。 『貴様は所詮、タイヨウの死の責任の重さを軽くしようとしているだけなのだろう。だからこそ、あの小僧の傍にいるのだろう。そうやってこの世界を守ってあの小僧さえ守りさえすれば、その責任から解放されると思っているのだ!』 違う。そんなの違う。 だって、ヒロトさんは言ってくれた、もう怯えなくていいって。あの瞳で伝えてくれた、もうひとりで背負わなくていいって。 だから……だから私は!! 『冷静に考えて、貴様はもう元の世界へ帰っているべきだった。まあ我々としてはいてもらって助かるが……貴様がそうしなかった理由は何だ。いつまでも縛られているからだ。実に、自分本位な理由にな』 ……そうなのだろうか。そうなのかもしれない。 私も、考えてはいた。なぜ私は帰ろうとしないのか。そう私が決めたから? うん、確かにそう。でもここまで事態が進行した以上、ファイバーたちが現れたあの時点で、一国の王女として私は国へ引き返すべきだった。明確な敵が現れ、それが私を狙っているのだから。 けれど私はどこまでも、自分の力でこの世界を……彼を守ることにこだわった。それは、なぜ? 答えは私自身にも、わからない。けれど、本当にファイバーの言うとおりなら。それなら私はなんて愚かしいのだろう。 この苦しみも悲しみも切なさも全て、私の身勝手なもの。 ヒロトさんのように、純粋な意志のみに根ざしたものではない、卑しいもの。そうだというのなら、私は……彼の前に、いるべきではないのかもしれない。 それはなぜか、胸を締め付けるほどに悲しいこと。ねえヒロトさん、私はあなたの傍にいてもいいのですか? 私は、どうしたら…… 「ごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃ! てめえは質問してばっかだなクソッたれ!!」 はっと顔を上げた。服はところどころ破け傷も負っていたけれど……それでも、ヒロトさんはあの力強い瞳の輝きは決して失っては、いない。 「ならば貴様は答えが出せるのか、自分が今、何のためにここにいるのかという答えを!?」 拳を、体をぶつけ合いながら、ファイバーは問いかけていたのだ。なにをかは分からない。けれど、その言葉は私に全身を強く打ち据えるかのような衝撃を与えた。 「答え? 答えって何だよ。答えがあれば全部納得できるのか、答えさえあれば全部諦められるのか? 大体俺がここにいんのはてめえがユリアを攫ったからだろうが、いちいち答えるまでもない!」 「なぜ彼女を助けようと思う。それは世界を救うためか、それとも個人的な感情によるものか?」 炎や氷、風や雷が次々と放たれ、ヒロトさんはそれをかわす。けれど全てをかわすことはできずに、少しずつ、全身の至る所に傷を増やしていく。シャツは血でにじみ、血は点々と足跡のように続いている。 それでもまっすぐにファイバーを睨みつけ、ヒロトさんは走る。 「理由なんかどうでもいい――」 その心の、赴くままに。 実力差は明らかだった。身体能力にはそこまで目立った差はない。 だがしかし、俺の腕力と技術じゃその鎧の防御を崩せない。魔法を使うにしても完全に扱えない俺じゃ魔法を放つまでにどうしても一瞬の隙を生んでしまう。目の前の男相手にその隙は致命的過ぎた。 そしてその実力差のせいか、ファイバーはやたらと余裕綽々に俺に対してあれこれ質問してきやがるのだ。 何のために戦うのかに始まり、この世界を守る意志があるのか、父の弔いのつもりか、仲間を見捨てることに躊躇いはなかったのか、なぜここまで来たのか。 どれもこれもふざけた質問ばかりだ。 「理由なんかどうでもいい、俺は俺がこうすると決めたようにやっているだけだ!!」 だから足を止めない、下を向かない。前へ進む。それしかできないのなら、できることを貫き通すだけだ! それが今の俺にできること、それが今の俺の為すべきこと。それが、みんなに背中を叩いてもらった俺の役目だ! ガゥンッ! 鎧の板金を強く打ち据える。ただの鋼の感触では感じられない、奇妙な感触。おそらく、魔法か何かの効果でもあるんだろう。 「理由もなく理想もなく願いもなく目的もない、と?」 「そうだよ、なんだ不満そうだな。人のやり方にけちつけんなよ。お前らなんか散々人様に迷惑かけてんだから」 「だが我らには理由があり願いがある。それがある限り貴様に負けはしない」 そうですかそれはえらいですねハナマルくれてやるよ。だから帰って糞して寝てろ。 「お前らのその願いやらなにやらに巻き込まれる人の身にもなって見やがれってんだよ!」 ガゥンッ! ガゥンッ! 体重と遠心力を乗せた回し蹴り。繋いでかかと落し。どれもが正確に防がれてしまう。技術の差というよりは、経験の差か。どうにも動きのある程度の流れを読まれている。厄介だな。 「そうは言うがな、それなら貴様を巻き込んだ姫君を貴様はどうする?」 「あぁ? なんだそれ、どういう意味だ?」 いつの間にかこちらを凝視していたユリアの瞳が揺れた。なぜかそこには迷いの光が見てとれた。 「彼女はタイヨウの死に責任を感じていた。お前も不自然に思っただろう、一国の姫が貴様のような人間の家に来たことを。いつまでもそこに留まり続けたことを」 それは、確かにその通りだ。とはいえ、自分の好きにすればいいといったのが俺だったので特に聞くこともしなかった。 というか正直どうでもいいと思っていたような気がする。結局俺にとって、ユリアはお姫様という認識はあったものの、実感は乏しかった。 ただの、ちょっと変わった女の子がそこにいただけだ。 「彼女はその償いにお前を利用したに過ぎん。貴様は彼女により巻き込まれ今こうして理不尽な戦いに身を投じ、己の大切な人々を危険に晒しているのだぞ!」 親父の死。確かに、ユリアはそれに責任を感じていただろう。それはたぶん、俺が少し何かを言ったくらいでどうにかなるもんじゃない。 今の俺なら、きっと少しはそれがわかる。自分が背負うものの重さの大切さと、その辛さが。それらを背負って、俺も今ここにいるんだから。 けどな、 「それは許す!」 「は……?」 若干呆れた声が聞こえたがとりあえず無視。 「ていうか許すも何もないんだよそんなもん。それでユリアが少しでも心の重荷を減らすことができるんならそれでいいだろ、いくらでも利用してくれて結構だっつーの。それが、俺がこうするって決めたことなんだから」 「わけが分からんな。貴様は他人に迷惑をかけられるのが嫌いなのではないのか」 その言葉に思わず苦笑が浮かんだ。きちんと理解してるくせに理解できていないなんて、やれやれ、ハナマルは取り消しだ。 「分かってんじゃねーか。他人に迷惑かけられるのなんか絶対御免だ、俺はそんなの受け入れられるほど人間できてねーんだよ。だーかーらー、ユリアに迷惑かけられるのは問題ないんだろうが」 「ヒロト、さん? それって、どういう……」 ユリアも困惑している。 ああそういえば、ユリアには言った事はないのか。まあいちいち言うようなことでもないしな。面と向かって言うには少々恥ずかしすぎる言葉だ。 「家族だろ、俺達」 それはいつのまにか俺の中では当然になっていたこと、この数ヶ月の生活でそうなっていたことだ。 「俺はな、決めたんだよ。ずっと忘れてたことだ。そのために俺は親父に鍛えてもらった。俺は家族を守る。家族がいられる場所を守る。そのために、ここに来たんだ。だからファイバーはぶっ飛ばす、ユリアはつれて帰る。そんで世界もついでに守って、あとは新学期に備えるだけだ」 「それが、貴様の戦う理由か」 「戦う理由なんかじゃない。俺が俺でいるために必要なだけだ」 世界も他人も関係ない。一番自分勝手なのは、たぶん俺だ。 家族を守りたいから、家族が家族でいられる場所を守りたいから。そんな理由で、家族を危険に晒している。矛盾している、自分勝手だ。我が侭にもほどがある。 それはひとえに、俺が馬鹿で子供で弱いからだ。そしてそれを理由にして、諦めてしまえるからだ。 「俺はガキだ、ただのガキだ。我が侭で自分勝手な。だからユリア、なーんにも、気にすんな。自分のやりたいようにやればいい、迷うかもしれないし躊躇うかもしれないけど、なにもしないよりきっとマシだ」 何かをすることは常に失敗の恐怖が付きまとう。自分の心が分からないまま動かなくちゃならない事だってある。世界は常に一秒先の結果を求めてくる。一秒前の負債を要求してくる。それらはわずらわしくて面倒で、俺には邪魔臭いことこの上ない。 けど、動けばきっと何かが変わる。動かなければ、たぶん何も変わらない。だから動く、歩く、進む。いい未来か悪い未来かはわからないが、それでもその世界は今よりきっと、新しい何かを見せてくれるのだ。 「理由なんか小さいことだ。ユリアがどんな理由で俺の傍にいてくれたにしろ……俺は君に、目一杯救われてる。だからユリア、ありがとう」 「ヒロトさん……私は、あなたの傍にいても、いいの?」 おいおい、なんつーことで悩んでるんだか。今更も今更、そんな質問、答えるまでもなく答えは決まっている。 「君が望むのなら、俺が望む限り。俺に新しいものを見せて欲しい」 「……うんっ!」 ユリアの涙に濡れた笑顔を見て、ほっとした。ああ、そうだ、俺はこれを取り戻しに来たんだ。 だから、そのためには―― 「さあ――倒すぜ、世界の敵」 「いいだろう――かかって来い。俺の、敵」
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猿世界に時系列不要ッ!この"田代さん時空"さえあればいいっ ⬆️クソボケがーっ
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[部分編集] ジパング アトランティス ムー大陸 ノア GATE ボロボロの船 不明 死亡 ジパング 名前 性別 種族 詳細 ブルック 男性 ?? ジパングの王。幻の大陸の発見者 譲崎ネロ 女性 人間 黄金軍が三大将の一人。検事 清姫 女性 英雄 黄金軍の英霊。嘘は許さない セミラミス 女性 英雄 黄金軍の英霊。毒のスペシャリスト。王に協力している 初春飾利 女性 ?? 黄金軍の兵士。佐天が何か言いたそうに見つめている ウィル・A・ツェペリ 男性 人間 王の友。熊退治を頼まれた。洞察力が鋭い 三宮紫穂 女性 人間 情報屋。触れた相手の心が読める。遠くまで逃亡を続けている 白坂小梅 女性 人間 オバケデナイ村にいる。ネクロマンサー アトランティス 名前 性別 種族 詳細 ガーゴイル 男性 人間 巨大な施設に住む男。アトランティスや歴史についても詳しい 黄金バット 男性 人間 祭壇の管理者にして儀式の責任者。女にだらしない ディアッカ・エルスマン 男性 人間 チームグレイトのキャプテン 西住みほ 女性 人間 チームオオアライのキャプテン。割とゲスい フォートレス 女性 人間 悟史ではない人間。落語の師匠 クリーブランド 女性 人間 悟史ではない人間。フライングブックの所有者 ムー大陸 名前 性別 種族 詳細 北条悟史 悟史 悟史 むぅ。完成された生命。ただし弱い ムウ・ラ・フラガ 悟史 悟史 むぅ。スパイだったが悟史になった ライディーン 悟史 悟史 ラムゥ。自称劣等種。ポテチの開発に全力を注いでいる ブウ 悟史 悟史 悟史の守護者。体内に針目縫を宿していた 龍咲海 女性 人間 悟史ではない人間。悟史側のスパイ ノア 名前 性別 種族 詳細 小林竜胆 女性 人間 フードアイランドにいた。サソリの素揚げをプレゼントしてくれた 佐藤和真 男性 人間 フードアイランドで飢えていた。何故か女性用下着を持っている 晃・E・フェラーリ 女性 人間 ウンディーネ。最も偉い人 アリス・キャロル 女性 人間 ウンディーネ。将来有望な若手 西住しほ 女性 人間 ウンディーネ。若さに嫉妬するバーサーカー 百計のクロ 男性 人間 廃棄区画の海賊。酒と殺人が得意。ただし敵味方の区別は苦手 エドワード・ティーチ 男性 ?? 廃棄区画の海賊。ロリコンだったが改造されて熟女好きになった 風間レヴィ 女性 人間 廃棄区画の海賊。草の排除が得意な忍者 屑山ゲス美 女性 人間 廃棄区画の海賊。密かに下剋上を狙っていた エルキドゥ なし 英雄 鮫を殴る事に全力を注ぐ。それ以外は常識人 ギルガメッシュ 男性 英雄 エルキドゥの親友。なんか偉そう 山田エルフ 女性 人間 フードアイランドにいた。航海日誌のプロ。実はかなりの人気 GATE 名前 性別 種族 詳細 やる夫 男性 人間 支部長。お腹の回りの贅肉が気になっているが痩せるつもりはない マルタ 女性 人間 職員。拳で語る系の聖女。初対面の幼女の手を握りつぶせる ボロボロの船 名前 性別 種族 詳細 本多・正純 ?? 人間 機会があれば跳ぶ。無くても跳ぶ 速吸 女性 人間 補給担当少女。ただし結婚関連の話題に敏感 ソーニャ 女性 人間 苦手な物が多い暗殺者。比較的常識人 不明 名前 性別 種族 詳細 神崎蘭子 女性 吸血鬼 闇の世界の吸血鬼。弱体化の腕輪により力を封じられている 針目縫 女性 メモリア 第八席。メモリアの右腕。オリジナルのコピー 死亡 名前 性別 種族 詳細 シルバーズ・レイリー 男性 人間 廃棄区画のボス。夢破れた老兵。寿命で死亡 ポセイドン 男性 銅像 アトランティスの守護像。普通は動かない。竜胆に食われた マイトガイン 男性 戦車 ドクターRが改造したチームオオアライの戦車。忠義に厚い。竜胆に食われた マネーガイン 男性 戦車 ドクターRXが改造したチームオオアライの戦車。金にがめつい。竜胆に食われた アトラの蠱惑魔 女性 人間 インチキ店の店主。みほの友達。面の皮が厚い。竜胆に食われた ピカチュウ 男性 ポケモン 黄金軍が三大将の一人。何者かに殺害された タイガーマスク 男性 人間 黄金軍が三大将の一人。同僚に殺される アルテラ 女性 英雄 黄金軍の英霊。蘭子が呼び出した魔人に殺された クーフーリン 男性 英雄 黄金軍の英霊。レミリアに霊基を弄られ消滅した エレナ・ブラヴァツキー 女性 英雄 黄金軍の英霊。ひっそりと白坂小梅に殺された
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暗所(レーンステル)(ロフィルナ語:leenster)とは、ウェールフープ・ポートアルター説明理論において仮定される空間領域のこと。 目次 ウェールフープ・ポートアルター説明理論 暗所(レーンステル) ウェールフープ・ポートアルター説明理論 ウェールフープ・ポートアルター説明理論(W-PAe理論)では、量子ポートアルターがウェールフープが操作する 異世界(ウェルフィセル) に干渉できる理由が問題となっていた。なぜなら、通常の科学技術では s軸 に対する干渉は行うことが出来ず、それはウェールフープによってのみ可能であるからである。 科学技術であるポートアルターがs軸に干渉できるのは、技術的には[ACCESS DENIED]による[閲覧が許可されていません:共立機構情報管理レベルOP-2を取得して下さい]が[您的连接被拒绝为了安全起见请立即离开这个登录界面]ということになっているが、それだとウェールフープの[アクセス拒否:資料室265号の鍵を職務担当から取得して下さい]が説明できず問題となっていた。 暗所(レーンステル) そこで現れたのが暗所(レーンステル)という概念であった。実はウェールフープの操作対象としている「異世界」とポートアルターの操作対象としている「異世界」は異なるのである。そのため、その異世界の間に暗所(レーンステル)というものが存在するということが仮定された。これはウェールフープかポートアルターのどちらか一方のみが対象と出来る異世界領域であり、これを特定できればお互いの特殊技術への対抗能力が格段に向上されると両国はこの地域の特定に向け、大いなる努力を割いてきた。 しかしながら、共立公暦1000年時点でもこれを特定するために必要な計算量をコンピューターが賄うことが出来ず、どちらか一方による正確な特定は事実上困難となっている。 このような暗所(レーンステル)は理論上存在しないのではないかとも考えられてきたが、[共立公暦998年/W-PAe関係条項により削除(コメント:これ以上、技術者を煩わせないで下さい。彼らは政治家ではないのですから。)]となっている。すなわち、暗所は今でも存在し、その場所は特定できないが、そこに入った宇宙戦闘艦などは一方的に攻撃を防ぐことが可能であるとされている。
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彼氏彼女好きな人133過去ログ [10 50] 彼氏、彼女好きな人第133弾(・-・) 掲示板に戻る / 全部 / 1- / 最新 / ホーム / レス / ▲▼ [1] 投稿者:クロード ★煎茶[LV 1] - 投稿日:08/07/11 23 25 [ID akP3kJ2] 久しぶりのスレ主GET 前スレが埋まっていたので立てておきます。 もちろん荒らしは厳禁で。 張り切っていきましょう~。 [2] 投稿者:桜姫 ★魔界のPRINCESS[LV 3] - 投稿日:08/07/11 23 53 [ID B2b2J.Q] クロードン スレ主おめ~wwww 学食かぁ^^お弁当でも作ってもらったら? 七ちぁん ホント掲示板では久々だねww 50点満点だと低く感じたりするよねww 今回は頑張りましたwwww 彼氏と賭けしてるのでwww [3] 投稿者:マイ ★すっぴん[LV 2] - 投稿日:08/07/13 16 34 [ID RpaKNdc] たった1日ぶりなのにすっごく久しぶりに思えるのはなぜ><; 桜ちゃん そりゃ胸があたるとだれでも恥ずかしいですよ^^;わたしはあたる胸もありませんからね~^^ 格闘家かぁ((笑 女の子とは思えない夢ですね^^; プロのダンサーもいいですね^^似合ってて^^ ですよね^^最初から結婚年齢18歳にしとけってカンジですよね^^ 間接技ができることじたいすごいですね^^;一体どこでそんな技を((汗 七さん 男だったんですね^^;最初は女かと思ってました^^ 14歳ですか~、わたしより年下とは思えないですよ^^; おぉ…頭いいんですね^^ クロードさん やっぱり学食にも影響あるんですね><; 学食よりお弁当のほうが安くあがると思いますよ^^ [4] 投稿者:白七@黒秋[LV 1] - 投稿日:08/07/13 22 32 [ID hsP1nMk] 日焼けして顔がヒリヒリと痛みます; 黒戸 恐怖~恐怖~って聞いてたら耳がそれに慣れてしまったではないか(何 ん~確かに意図的かも…他の多数のスレッドへの書き込み数が多すぎるし… 100点満点であんな点数とったら殺されます( 黒戸→81.3…% 白七→84% テストの達成率は俺の勝ちですな( 黒秋…ヤツは一体いずこへ… 値段上昇どんまい; 舞姫 100点満点なら達成率がわかりやすくていいb (83点=83%とか 結構がんばったんですね^^エライっすw 賭け?何賭けてるんですか?w マイさん ぁ、やっぱりそうですかw HNが七(なな)なのでよく間違えられますねw いえ、まだ中学のガキンチョです(何 我が家の子供達はなんだかみんな頭がイイっぽいです…俺は中途半端ですけど; 私事 いとことその奥さんに子供が生まれましたw なので早くも私はおじさんに…(何 [5] 投稿者:波音[LV 1] - 投稿日:08/07/14 01 08 [ID ku6wfTo] 桜ちゃん んwサボリというか…コート(?)に入っててもボールから避けるとか^^; それはね^^; ひかれたら困るww オラゲで何かあったら絶対SS撮るよな(笑 FFB最近放置やし><; 大学生のバイトの家庭教師?? 器用やなぁ~ うちはオラゲで精一杯やしケータイないし。。。 マイちゃん いったい何年前でしょうねw(ぇ いろんな意味っていったいww といってもまだ1学期なんで 全然忙しくなかったですよ^^ それはよかったです☆ テストお疲れ様^^ 陽菜ちゃん 元気でしたよwww いや 元気ですよww(笑 私はまだ暇なほうです^^; 偉すぎです>< [6] 投稿者:波音[LV 1] - 投稿日:08/07/14 01 09 [ID ku6wfTo] 連レス失礼します>< クロさん ホントびみょwな面積なんですよ^^; 大丈夫なんですかwwww えっ 古文にも助動詞ってあるんですか…? 値段上がっちゃったんですか>< どこでも値上がりですね。。。 白ちゃん 社会おめでとうです^^ 14で…… 若いおじさんですねww ぽらりん いいですねw 早く高校・大学に行きたい>< 牧場実習!? そんなのあるんですか… って 牧場で静岡…なんですか?? 結構キビシイですね><; [7] 投稿者:桜姫 ★魔界のPRINCESS[LV 3] - 投稿日:08/07/14 01 39 [ID B2b2J.Q] ボンバーちろるん こっちはソフトボールだから結構楽wwww 元ソフトボール部ですから変化球も投げれるし、ライズボールも投げれますからねwww 本気で投げたらみんな当たらないよwww授業にならないから変化球は禁止されたけどww 引かれたら困るねwww 衣装とか新しいの手に入ったら絶対SS撮るねwwwwww クランの人とかで無償でくれる人居るしw FFB防具作ったから楽しいwwwww バイトみたいだよ^^歳が近いから楽しい♪ 話も合うしね♪同じロックバンドのファンだから休み時間に盛り上がってますw オラゲでダンジョン回る時現地集合の時が多いからその時とかFFBやってるw 皆集まるまで時間あるしwww ボソ・・・・(ちろるんの点数全部超えたw) 七ちぁん そりゃわかりやすいねww50点だとわかりにくいねw 一応国語だけ勉強しましたからねww 負けたほうが晩御飯おごりですwww私は食後にデザートも食べるので結構高く行きますよwww [8] 投稿者:桜姫 ★魔界のPRINCESS[LV 3] - 投稿日:08/07/14 01 47 [ID B2b2J.Q] マイマイ 私は結構大きいので当たっちゃいますねw後ろから抱きついたりすると当たりますw(Eです^^) だねwww幼稚園の頃男子とプロレスごっこしたりしてたからねw うん^^ダンサーも良いから迷い中wwwwクラスでも一番上手いしw 同い年だと18にならないと出来ないんだから両方18にしとけって感じだよねw 高校1年のお姉ちゃんから習ったwww生意気な男子が居たらこれを食らわして大人しくさせなさいってwwww 実際お姉ちゃんもクラスの男子にやってるらしいwwww だから男子が大人しいのかな?w 私事 今日はメガテンでダンジョンを6週くらいしましたw 楽しかったです^^ [9] 投稿者:ぽらりすぃ[LV 1] - 投稿日:08/07/15 13 41 [ID o64meus] テスト死にましたwwwww 追試は確実、夏休み半減w でも今年の夏休みはすごい暇なのでかえってよかったかもしれませんw でわ授業あるので一旦切りますw [10] 投稿者:白七@黒秋[LV 1] - 投稿日:08/07/17 22 24 [ID hsP1nMk] はのはの 社会がんばりましたよw でも国語が…orz いつかうちに来るそうなので楽しみですw 舞姫 まぁ2倍すればいいんだけどねw 俺も社会だけ勉強したけどそこまで高得点はとれないや; おごりですかw面白そうですねw負けたほうは痛い出費w ぽらぽら テストドンマイです; 夏休みはほとんど塾ですね( 宿題も大量なので結構きついです; [11] 投稿者:藤宮翠 ★図書館の主[LV 3] - 投稿日:08/07/18 02 46 [ID GbezNxo] 七りん だねw2倍すれば簡単www まぁ最近は授業中寝てないからねたまに寝るけどw 結構お金かかったよw全部で約4000円でしたwwww 晩御飯+デザートでwwwww [12] 投稿者:マイ ★すっぴん[LV 3] - 投稿日:08/07/19 00 10 [ID RpaKNdc] 久しぶりにココでのカキコ^^ 今さらですいません>< 翠ちゃん(桜ちゃん) Eってなんなんですか^^; すごすぎます^^;(わたしは…Aもない…かも…) いっそダンサーとデザイナー両方やっちゃった方がいいですよね^^(できない…か^^;) 男子がおとなしいのもきっとそのせいですよ^^; 間接ワザもほどほどにしよう^^ 七さん ガキンチョって^^; いや、全然頭いいですよ^^ わたしの周りはおバカさんばっかです^^; はのんさん な、何年前…?^^; いろんな意味ってのは…まぁ、いろいろありすぎて言えませんね…^^; じゃあ二学期になると忙しく…?がんばってくださいね!^^ [13] 投稿者:白七@黒秋[LV 1] - 投稿日:08/07/22 21 28 [ID hsP1nMk] ちょい久です~ 姫 俺はこれでも授業はしっかり起きてるし発言もするし…がんばってるつもりですが;(点数が伸びないという>< 四千円;彼氏さん大出費ですねw そんなに晩飯に金かけた事無いですw マイさん 高校になればガキンチョも卒業です♪(何 いいっていうか…普通ちょい上程度ですね; 学校では頭良い人と悪い人の差がヤバイですね; 私事 土曜日でひとまず部活は終了しましたw でも8月5日に大会があるという… 自由参加なので土日はお邪魔しに行こうかと思います^^ [15] 投稿者:藤宮翠 ★図書館の主[LV 4] - 投稿日:08/07/22 23 34 [ID GbezNxo] マイちゃん Eありますwww最近また大きくなってきた感じがしますw 両方は贅沢すぎでしょwwww 多分そうだろうねwww男子も逆らったらどんな目に遭うのかわかってるんだろうねw ほどほどにしますwwwww 七厘 そうなんだw次回はもっと頑張ろうb 残り153円だそうですwwww まぁ私結構食べるからねwでもあんま太らないと言う・・・orz 私事 メガテンは最近停滞気味ですw まぁドラクエ5が落ち着いたら再開する予定です。 [16] 投稿者:マイ ★すっぴん[LV 3] - 投稿日:08/07/23 13 45 [ID RpaKNdc] 七さん わたしは高校生でもガキンチョ…かな?? ((なぜなら小学生に見られたので^^; 中学校はホント差がすごいですよね^^; テストの点数とか……まぁ高校はかなり楽です。同じレベルの人がたくさんいますから^^ 翠ちゃん こらこら^^;そんなに大きくなってどうするんですか^^;((羨ましい~>< まぁ…確かにそうですね~。それに両立するの大変そう… 男子に間接ワザとなるとね…((きっと毎日お姉さんにビビリながら生活してるんだろ~な…^^; …かわいそうだけど、むしろいい気味って思う((笑 私事 今日はいつも以上に暑い…ただそれだけ [17] 投稿者:波音[LV 1] - 投稿日:08/07/25 14 46 [ID ku6wfTo] 久しぶりに来たw 翠ちゃん HN変えたんだねw そりゃ禁止されるなぁ^^; やんなぁ~b うち最近ブログの日記完美ばっかや(笑 ふとっぱらやでなw FFB引退することにした^^ へぇww うちはそんな時 ギルチャして待ってるw うっさいわ。 ぽらりん どんまいです><; 頑張ってください^^ 白ちゃん 社会公民やからやる気でない。。。 国語なぁ~ 2学期のテスト毎回古典でるからヤダ>< おぉw 楽しみですね^^ 部活お疲れ様w 吹奏楽は11月まであるので大変です>< 2学期になったらたぶん…全国のテスト結果返ってきますよね^^; [18] 投稿者:波音[LV 1] - 投稿日:08/07/25 14 46 [ID ku6wfTo] 連レス失礼しますm(_ _)m まいちゃん なんかその方が「ずっと続いてる」感が出るかな~?と思って^^ そんなにあるんですか^^; はい頑張ります! 体育大会とかで生徒会セレモニーとかあるんですよ^^ 私事 夏休み入りましたねw でも受験生やから油断できへんけど^^; 7月中に宿題終わらすつもりなのに…ついつい完美してしまいます(汗 とりあえず2学期には毎月テストあるんで 頑張りますb [19] 投稿者:藤宮翠 ★リアルティファお嬢[LV 4] - 投稿日:08/07/25 15 17 [ID GbezNxo] ボンバーメガちろるん うんw変えたwwww読み方はすいですw 禁止されるねw誰も当たらなかったら授業にならないしw うちもだいたいゲームのプレイ日記に少しプラベのこと書くくらいw 太っ腹と言うかいらないからくれるだけだけどねwww うちも最近暇な時にやるくらいかな その時に限ってみんな会話ストップしてるから暇なんよwww 最近は新しい制服当たったからそれを着てますねw 私事 特になし(ぇ [20] 投稿者:藤宮翠 ★リアルティファお嬢[LV 4] - 投稿日:08/07/25 15 49 [ID GbezNxo] マイちゃん 羨ましいんだwww高校生ならCくらいあるんじゃないの?w もう成長しなくていいんだけど育っちゃってますw 両立はきついから高2くらいになったらどっちかに決めるw 多分誰かしもべとかになってそうな感じがするwwww いい気味なんだwwwwww [21] 投稿者:ピカプーY(no rank) - 投稿日:08/07/26 00 02 [ID 1bSlPFQ] おひさしぶりです… といっても、あたしのこと知ってる人は誰もいないかな^^; このスレ第1弾創設者です(ノw^) っていっても2年か3年前くらい(どっちか忘れたw) ですので初期メンバーはもういませんねw 自分は専門学校行ってる18(♀)です。 3歳上の大学生の彼氏がいます♪ それにしても雑談掲示板でまだ残ってて感激です!! もう夏休みですね★ 皆さん、夏休みをうまく利用していい恋愛してくださいw あたしは彼氏と遊びまくります^^ [22] 投稿者:藤宮翠 ★恐怖政治の象徴[LV 4] - 投稿日:08/07/26 01 00 [ID GbezNxo] ピカプーさん 初めまして宜しくお願い致します^^ 創設者さんですか^^お目にかかれて光栄です^^このスレを良く利用してる藤宮翠と申します^^ 私も同い年の彼氏が居ます^^ この夏私も彼氏と遊びまくりたいと思いますw 一応結婚の約束もしています^^高校生になったら一緒に住む約束もしていますよぉ♪ [23] 投稿者:マイ ★天然系異星人[LV 3] - 投稿日:08/07/26 16 41 [ID RpaKNdc] 翠ちゃん ほんと羨ましいよ…^^; 高校生でもC以下ですからねww わたしはもう身長163でストップしてるな…^^; 高2で決めるんだね^^ しもべ…いそうだね^^; いい気味だよww わたしも男子弄るの楽しいと思うしww はのんさん わたしも長くココに居られるようにがんばろ~^^ うん。おかげで掲示板にはまっちゃいましたww 頑張れっ^^ 生徒会セレモニーですか??!((なんかゴージャスですねw ピカプーYさん 初めまして^^マイと言います。 創設者さんなんですねっ。 彼氏~…はいませんね^^; 好きな人も今はいないです^^; これから宜しくお願いしますね^^ [24] 投稿者:優奈[LV 1] - 投稿日:08/07/26 16 54 [ID 4dfQ8HM] マイさん 胸が普通くらいが丁度良いですよ^^あまり大きいと体育の時動きづらいですから(笑) 160あれば十分だと思いますよ?女性なら・・・・ ピカプーさん 初めまして宜しくお願い致します^^ 私は2コ上の旦那が居ますね^^ 16の時に結婚しました。 [25] 投稿者:クロード ★煎茶[LV 1] - 投稿日:08/07/26 21 55 [ID akP3kJ2] 若干久しぶりです。 七さん メロディーに洗脳させるがよいw( 達成率で負けてしまいましたか よし、次は頑張りますか( 波音さん とりあえず助動詞もあったりします。 (助詞も… その辺り一帯に何か埋めれば… ピカプーYさん お久しぶりです(覚えていらっしゃらないかもしれませんが… 私事 値上げの件ですが思ったより少なかったのである程度セーフです(使うのも週1程度だったのでw 月曜から学校行事で富士山登ってきます 次レスするのは恐らく帰ってきたからだと思います。では [26] 投稿者:白七@黒秋[LV 1] - 投稿日:08/07/27 10 57 [ID hsP1nMk] 最近暑すぎですね( 熱中症とか食中毒とか注意してくだされ~ 姫 がんばった甲斐あったらしく成績はまあまあ良かったですw 153円てw可愛そうにw たくさん食べても太らないってのは羨ましがる人多いだろうねw マイさん 中学生でおばさん呼ばわりされてる人よりはましでしょうw 聞いたところによると総合点数が一ケタのヤツがいたんだとか…^^; 高校入ると競争率高くなってきて面白そうですw はのはの 夏休み明けにあるテストの範囲が…(相当…orz 国語のテストは作文とかが無理^^;時間配分うまくやらないと… 楽しみですw 部活終わっちゃうとなんとなく寂しいのであるうちに楽しんでおきましょうb ぁ~そういえばそうでしたねw結果がどうであれ楽しみですw ピカプーYさん お久しぶりです^^七ですが覚えてますか? こちらは未だに彼女無しです(( [27] 投稿者:白七@黒秋[LV 1] - 投稿日:08/07/27 11 06 [ID hsP1nMk] 連レス失礼 黒戸 洗脳なんてされません( 俺を洗脳できるのは黒あk(ryだけです(何 次のテストは9割越えめざして超がんばるのでヨロシクb 富士山登る時はポテチ持ってると面白いよ!(何 気圧の変化とかが良くわかる…(笑 私事 夏休み突入ですb 宿題の量パネェっすorz [28] 投稿者:波音[LV 1] - 投稿日:08/07/28 23 41 [ID ku6wfTo] 翠ちゃん すいって読むんだ~ おもいっきし みどり だと思ってた^^; 最近プライベートのことが減りつつある><; それでも太っ腹やろ~~ そういうときは自分からbb そうなんやぁ~ ピカプーさん 初めまして^^ おぉ!! なんと創設者さんでしたか^^ ウワサをすればww お会いできて光栄です^^ 2・3年も前ですか~ww まいちゃん できるかぎり長くいたいよね~☆ 話してると楽しい♪ そんなゴージャスなもんでもないですよw 生徒会メンバーだけの劇みたいな?w [29] 投稿者:波音[LV 1] - 投稿日:08/07/28 23 43 [ID ku6wfTo] 連レス失礼します^^; クロさん やっぱり日本語に変わりはないんですね…;; 学校行事で登山ですかw 富士山は五合目までしか行ったことないです>< 楽しんできてください^^ 白ちゃん うちもテスト毎月あります><; 範囲…ヤバイですねぇ^^; しかも国語に毎回古典が入っているという(汗 国語1番時間ないですねぇ↓↓ そうしますbb はい^^ 楽しみです~~♪ いったい全国で何番目なのか…^^; うちも夏休み突入~☆ 7月中に宿題終わらせるつもりが……無理っぽそうです;; 私事 受験生のくせして…オラゲの「PerfectWorld-完美世界-」にめちゃくちゃハマってます(笑 完美のことだけで1週間ブログ更新し続けたぐらいですw ちょっと…本気でヤバイかもです^^; 勉強しなきゃ~ww [30] 投稿者:コレット ★翠ちゃんの姉兼パシリ[LV 1] - 投稿日:08/07/29 00 04 [ID DOmysWk] 初めてこちらでは書き込み致します^^ 波音さん いつも妹がお世話になっているそうで^^ これからも仲良くしてあげてくださいね^^ 私は双子の姉のコレットと申します^^以後お見知りおきを♪ 七さん いつも妹がお世話になっております^^ 以下同文です^^ [31] 投稿者:マイ ★すっぴん[LV 3] - 投稿日:08/07/29 10 06 [ID RpaKNdc] 優奈さん 確かにでかすぎても何かと不便そうですね…((羨ましいけど^^; わたしは胸は普通以下なんで^^; 160で十分ですか??なら安心^^ クロードさん 富士山登るんですか^^ きつそう…^^; がんばってくださいっ 七さん 中学生でおばさん…^^;それもイヤですね^^; 総合点数一桁って…そんなの取れる人聞いたことなかったです^^; まぁ、そうだね^^でもわたしの学校はそんなことはない^^; はのんさん 確かにww がんばってカキコしようww 楽しいし^^ わたしの高校でもセレモニーなんてないから((あったっけ^^; ついついビックリして^^; 受験生は今勉強がんばって、テストでいい点取らないと後から後悔するよ~^^ コレットさん ココでは初めまして^^ 宜しくお願いしますねっ。 [32] 投稿者:優奈[LV 1] - 投稿日:08/07/29 10 43 [ID 4dfQ8HM] マイさん そうです^^普通くらいが一番理想ですね。 普通以下なんですか(笑) 女性なら160あれば十分ですね^^ 友達はミニサイズでしたから^^;確か148cmでしたね。 お店の人に妹と間違えられて怒ってましたけど(笑) 波音さん こちらではお久しぶりです^^ 宿題が多いみたいで^^頑張って下さいね^^ 私が中学の時は宿題はあんまり多くなかったですね(笑) 英作文はハーフですから簡単でしたし^^; 私事 公園で子供を遊ばせて居たら話しかけられて年齢聞かれたので20ですって答えたらかなり驚かれました(笑) [33] 投稿者:波音 ★樹下の精霊師[LV 1] - 投稿日:08/07/29 10 51 [ID ku6wfTo] コレットさん キャップの掲示板で見かけたけど… まさか翠ちゃんのお姉さまだったとゎ^^ いえいえこちらこそ~w まいさん ですよねー♪ 翠ちゃんすごいわぁ…もうLv.4やし^^; 私も初めはビックリしました(笑 げwマジですか><; なんか…卒業した先輩から聞いたんですけど 夏休み勉強しとかないとホント後悔するって。。。 私ヤバ――――(汗 優奈ちゃん はい^^ いつもブログに遊びに来てくれてありがとです☆ 多いですねぇ…頑張ります>< いいなぁ~ww 英作文なんてあったんですか^^; そりゃ驚きますよ~ 子持ちのお母様方からしたらだいぶと若いですし^^ [34] 投稿者:優奈[LV 1] - 投稿日:08/07/29 11 08 [ID 4dfQ8HM] 波音ちゃん いえいえ^^ブログ面白いですからね^^ ゲームの画像も貼ってあるので知らないゲームでも少しだけ面白さが伝わってきます。 私も妹にブログの許可を得てるんですけど、書く事があまりないので^^; 今日書いてみたいと思います^^ でも多いと達成感が味わえて良いですよね^^少ないとそれがあんまりないです(笑) 逆に私は高2からは宿題が多いほうが良かったです(笑)家事に専念してバイトしてなかったので^^少ないと暇だったので自主的に勉強してましたね。 英作文ありましたね^^ちなみに翻訳もしないといけなかったんですよ^^ あんまり私と近い年齢の人が居ませんでしたね^^一番近くて28歳の人でした。 まぁ・・・・受験生は夏から受験勉強に力を入れないと後悔しますね^^; 高校時代に友人が夏に勉強してなくて「優奈助けて~ヤバイよ!勉強教えて!」っと助けを求めてきましたから(笑) [35] 投稿者:ZERO-Ⅱ[LV 1] - 投稿日:08/07/29 16 01 [ID JtN5fu6] 七 かなりお久ですね。 忘れられてるかも・・・ 夏の間、ちょくちょくくると思うのでよろ~~~ 私事 最近、友達とバンド組みました まだまだ下手ですけど・・・ 夏の間にギター練習しまくって、 ライブに出れるようにしないと、 ヴォーカルに殺されます・・・・ あと最近、the pillowsにハマりました! 歌詞が泣けます。 みんなも聞いてみて 長文失礼いたしました [36] 投稿者:波音 ★樹下の精霊師[LV 1] - 投稿日:08/07/30 17 54 [ID ku6wfTo] ほんの2~3日でこんなにレス下がってる><; 優奈ちゃん そう言っていただけると書きがいがあります♪ うちss大好きやから ほとんど毎回画像ありますよ(笑 なんか姉妹全員でブログしてるみたいですね~ww 達成感なくてもいいから少ないほうがいいです^^; なるほど^^ バイトと両立って難しいですもんねw ……面倒くさい。。。 優奈ちゃんが若すぎるんですよ~~ うあぁ…うちもがんばろ>< ZEROさん 初めまして^^ ただいま受験生の波音(はのん)ですww バンドですか~ww なんかすごいですね>< がんばってください☆ ん~w 聞いたことないタイトルですね。。。 また探してみます^^ [37] 投稿者:優奈[LV 2] - 投稿日:08/07/30 18 03 [ID 4dfQ8HM] 波音ちゃん はい^^たまにはこちらのブログも見ていただけると嬉しいです^^(昨日コメントしてくれてありがとうございました^^) SS大すきなんですか(笑)私はあんまり写真などは貼らないですね^^ 全員でもないですけどね(笑)私と翠だけです(笑) まぁ勉強嫌いな人は少ない方が良いって人多いですからね^^ バイトと家事の両立は無理でしたね^^妹は一番下でまだ小学生ですからね^^; 特に翠は生意気でかなり苦労しましたよ(笑) 面倒でしたよ^^高校は結構高確率で英作文が宿題で出るので覚悟しておいた方が良いですよ^^ 確かに私は16ででき婚しましたからね^^私みたいにミニスカート履いてるお母様方は居ませんでした(笑) 頑張って下さい^^努力すれば必ず報われます♪ [38] 投稿者:波音 ★樹下の精霊師[LV 1] - 投稿日:08/08/02 11 25 [ID ku6wfTo] 最近ペース遅めですねw 優奈ちゃん わかりました^^ いえいえ~~★ 大好きなんですよ♪ 完美の画像って綺麗なんで撮りがいがあるんです^^ あのブログって…陽菜ちゃんもしてませんでしたっけ?? それは大変ですね^^; うわぁ…地獄やぁ;; でき婚ってほんとにあるんですね^^; 妊婦さんのときはミニは履かなかったんですよね?? はい>< [39] 投稿者:藤宮翠 ★米国生まれの暴虐武人[LV 4] - 投稿日:08/08/02 12 33 [ID GbezNxo] ちろるん だと思った(笑) 絶対みどりって読んでるって思ったもんwww うちも最近はゲーム日記みたいになっとるwww だねwww太っ腹には変わりないwww見た目も太かったら本物の太っ腹(ぁ 自分から話しかけても無駄w皆そういう時は個人会話に夢中だからねwww 私も仲の良い子と個人会話してたり(ぇ そうなのwww 昨日帰国しましたwwww家にプール付いてて毎日入ってましたw [40] 投稿者:マイ ★携帯 Is MyFriend[LV 3] - 投稿日:08/08/02 19 53 [ID eVbwiZs] 優奈さん そうです、普通以下なんです><; 細いから…ですね^^; よかった、160が普通で^^ でも背が高い人、憧れます^^ 148って…やけに小さいですね^^; わたしの学校でそのぐらいの身長の男子いますよ^^童顔でちびで、よく小学生に間違えられるらしいです^^; はのんさん ホントすごいよね、翠ちゃん^^投稿数もダントツ一位だし… わたしは高校の進路で後悔した身だからね… 勉強頑張って、良い高校行こう!! ZEROさん 初めまして^^ バンドですか、すごいですね!!^^ ギター練習頑張ってくださいね^^ 翠ちゃん いいな、プール…^^ そういや今年プール入ってないや><; 私事 皿洗いしたら手がちょっと荒れてた… [41] 投稿者:白七@黒秋[LV 1] - 投稿日:08/08/02 20 04 [ID hsP1nMk] 何気に久々~な白七です( はのさん 毎月って…それはつらいですね^^; 国語はとりあえず漢字は満点とっておかないとですよね… 全国のトップってやっぱり満点とかなんでしょうかね? 7月中ですか~こちらはどう考えても量的に無理ですねw ってかもう8月ですしw コレットさん こちらでは初めまして^^ 確かチャットで微妙にお会いした程度でしたよね~ よろしくお願いしますb マイさん なので実年齢より若く(幼く)見られてるうちは幸せですb 俺も初めて聞いたときは吃驚しました^^; あら、そうなんすか^^;とりあえず楽しければそれで良しですね(ぉ 優奈さん 子持ちなのに20って言われたら確かに驚きますねw ZEROさん お久しぶりですねー しっかり覚えていますよ^^ [42] 投稿者:エドガー[LV 1] - 投稿日:08/08/02 21 26 [ID lpuoHbI] 久々すぎるなぁ。書き込みは。 はい、皆さんこんばんわ。 えーあれ・・じゃないよエドガーです。 皆様 どうもお久しぶりです~ 覚えてるかな・・? とりあえず マイさん、ゼロさん、コレットさん、ピカプーYさん 初めまして。宜しく御願いします。 [43] 投稿者:藤宮翠 ★米国生まれの暴虐武人[LV 4] - 投稿日:08/08/02 21 52 [ID GbezNxo] S・・じゃなくてエドガー君 ココのスレではお久しぶりww 元気だった? これからも宜しくね~♪ [44] 投稿者:クロード ★煎茶[LV 1] - 投稿日:08/08/02 23 04 [ID akP3kJ2] お久しぶりです。 富士山から無事帰還してきたクロードでございます。 ZERO-Ⅱさん 初めまして。 よろしくお願いします。 私事 最初に書いたように富士山から帰還しました(数日前)←学校行事です 頂上からの眺めは中々綺麗でした^^(運がいいことに頂上についてすぐに空が晴れてきました) その後は東京で(何故か)東大見学をして帰ってきました。 今日は近くの小学校で祭りがあったので行ってみると小学校時代の友達に久々にあえて中々楽しかったです^^ [45] 投稿者:ナイスです[LV 1] - 投稿日:08/08/03 17 26 [ID LuUdh7I] みなさんお久しぶりですw 私事 久しぶりに来たからといって何も言うことが無いのですが テストの話もちょろちょろ出てるみたいなので6月に行われた(爆) 前期中間の結果を 国語79 数学82 科学95 物理88 コンピュータリテラシー99 情報数学92 平均88.4 順位12/40 なかなかの出来でした でも俺のいる情報科みんな頭良すぎで順位が残念・・・ 夏休み明け2週間後にゃ前期期末・・・ 一応自己紹介 高校1年で部活はアーチェリー部 趣味は野球とか野球とか( 宜しくお願いします [46] 投稿者:DOES ★過激派攘夷浪士[LV 1] - 投稿日:08/08/03 19 34 [ID 2vOkDlw] エドガーさん、ナイスですさん はじめまして!! まだ来て日がたっていませんがよろしくお願いしますww [47] 投稿者:波音 ★樹下の精霊師[LV 1] - 投稿日:08/08/03 20 26 [ID ku6wfTo] チャット復活したねぇ♪ 翠ちゃん 普通はそう読むでしょ?w それヒドイww そう?? うちのギルドやったらみんな答えてくれるで^^b 結局翠ちゃんも個人かいなw おかえり~^^ まいちゃん 500…やったけ? いってたよな~~ えぇ! マジですかぁ><; がんばりますわぁ!^^; 手大丈夫ですか? 肌弱いほうとか?? 白ちゃん ですよねぇ…2学期全部テストなんですよ>< 漢字できないは国語では致命的ですもんね;; でしょうね~~ そんな人の頭が羨ましいです! うちも量てきに無理です♪ せめてお盆中には…と考え中^^; エドガーさん お久しぶりですー^^ ちゃんと覚えてますよw クロさん おかえりです^^ めっさ運いいじゃないですかー♪ 東大はどうでした?? なんか同窓会みたいですね^^ ナイスさん おひさですww コ…コンピュータリテラシーってなんですか!?(汗 なるほどw 情報部ですか^^ がんばってくださいね~ww DOESさん(ダズさん?) 初めまして~ですよね?w よろしくです^^b [48] 投稿者:エドガー[LV 1] - 投稿日:08/08/03 21 20 [ID lpuoHbI] 藤宮さん まぁ・・・それなりに元気です。 えぇ、こちらでも宜しく御願い致しますね。 DOESさん 初めまして。こちらこそ宜しく御願いしますね。 波音さん 覚えててくれた~。良かった。 こちらも宜しくです。 欲しいもの 皆さんは欲しいものってあります? 私はゲームが欲しいです。 ゲーム=DQ5DS、FF5GBA です。 DQ5DSなんてもうクリア済みと言う人も居るでしょう。(ぐすん) [49] 投稿者:藤宮翠 ★米国生まれの暴虐武人[LV 4] - 投稿日:08/08/03 21 20 [ID GbezNxo] ちろるん 普通はそう読むねw ヒドイかな?w こっちのチャットは皆ダンジョン回ってる時とかは最小化してるから無駄w 個人だねwww仲の良い子と交渉してただで防具や武器貰ってるw ただいま~ [50] 投稿者:藤宮翠 ★米国生まれの暴虐武人[LV 4] - 投稿日:08/08/03 21 22 [ID GbezNxo] マイマイ 今年入ってないんだwww ビキニなんて初めて着たよwww 高校生のお姉ちゃんには中学生の癖に生意気って言われたけどw 肌荒れかな?ちゃんとケアしたほうがいいよ^^
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帰宅すると美優がなんかすっごい恨めしそうな視線をしていた。 視線で人が呪い殺せるのなら体調不良になりそうな視線で。つまるところ迫力のない視線なのだが。 「遅い」 「いやあの」 「……、遅い」 「……ごめんなさい」 あれれ、何で俺謝ってるの? 「ていうか確かに普段より遅いけど、怒られるほど遅くはないよな?」 それだったら美羽はどうなるって話しになるし。 美優はかぁぁっと耳まで真っ赤にして。 「……おなかすいた」 あんたね。 俺は呆れながらも笑ってしまった。まあ、こういう我が侭なら笑って許せるしな。 「わかったよ。晩飯までのつなぎに何か作ってやるよ」 「ありがとう」 美優の顔がやわらかにほころぶ。そうそう、美優はそういう顔のほうが似合ってるって。 台所に立つ。包丁を握る手が少し震えた。ふと、夕日を反射してオレンジに輝く鋭い切っ先の感触が蘇る。リアルな錯覚にくらりと気が遠くなる気さえした。 ……おいおい、これは料理をするためのもんだろう。怖がるようなもんじゃないっての。 自分に苦笑して、もう一度包丁を強く握る。今度は震えなかった。 なんつーか、自分のチキン具合を再確認しているみたいだな、これ。 「けど遅くなったのは悪かったな」 「いいよ、本当は怒ってないから。考え事、してたんでしょ」 両手が止まる。 「……なんでわかったんだ?」 「朝、お兄ちゃん、苦しそうだったから」 美優……。 「お前それ誰のせいで苦しかったかわかってていってんだろうなこらぁ!!」 「きゃあああ! ごめんなさぁぁいっ!!」 少し遅いな。 ていうかやたら遅いなこら。 「お、お兄ちゃん、落ち着いて……びんぼうゆすりはよくないよ」 「そういう美優も、さっきから部屋何往復してるのか知ってるか」 互いに沈黙。苦笑しあって、ため息をつく。 こうなったのも美羽の帰りがあまりにも遅いせいだった。 確かに今までに帰りが遅くなったことはある。しかし今日ほど遅くなったことなんか一度もない。ましてや連絡もないなんて。 これで不安になるなというほうがおかしい、とは思うのだが。 「八時……もう八時というべきか、まだ八時というべきか」 「で、でもお姉ちゃん、今までこんなに遅くなって連絡しなかったこと、ないし」 「それはそうだけどな高校生だろ、高校生ってほら、なんか夜とか遅そうなイメージないか?」 「それはちょっと、あるかも……」 現役高校生が現役高校生の実態について疑問を持っています。 俺ら二人とも学校が終わり次第帰宅するタイプだからな……あんまり遊び歩かないんだよな。その点、美羽は友達との付き合いや生徒会もあるからたまに遅くなることはある。とはいえ、そういう時はきちんと連絡を入れるんだけど。 何かあったのか、と兄妹二人の心配がピークに達した頃。 「ただいまぁ~」 「美羽っ!」 「おねえちゃん!」 俺たちは先を争うように玄関に飛び出し、同時に停止した。 「やあ、こんばんは、ヒロト君、ミユ」 「えっと、お邪魔します……あ」 「失礼する……あ」 何故か美羽と一緒に入ってきている乃愛さんに……放課後の、コスプレ二人組み。 向こうも俺に気付いて驚いている。特に姫と呼ばれたほうの少女なんかは……え? 「……………………」 気のせいか? どこか、嬉しそうにみえる。 「さて、驚いている二人に紹介しよう」 乃愛さんが大仰なしぐさで腕を広げる。そちらをみて再び視線を戻すと、彼女はさっきまでの感情を綺麗に引っ込めていた。あるいは、俺の気のせい、かも知れない。 ていうかたぶんそうだろ。俺を見て喜ぶ理由がないし。 「彼女らはさる国からやってきた、王女とその騎士だ」 ……………………、は? 「へぇ~、お姫様なんです…………か?」 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。 え? あれ? と、ここでネタばらし、みたいなノリは? 数ヵ月後そこには元気に走り回る俺の姿とかあの時はもうだめかと思ったよとかは? え、嘘。 …………マジにお姫様? 美羽を見る。 「こくん」 乃愛さん。 「にやにや」 少女達。 「にこにこ」 「きりっ」 最後に、美優を見て、その表情を見て。 ああ、こいつも俺と同じ気持ちなんだなぁ、なんて思って。今の俺たちにできることをするだけだ。 はい、じゃあ、せーの。 「「ええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!?」」 俺たちの叫びは、隣近所中に響き渡ったという。 乃愛さんはソファに腰を深く沈めたまま、静かな瞳で俺たちを見ていった。 「というわけで、彼女達をしばらくここに泊めてあげてほしいわけだ」 「先生、ちょっといいですか」 「なんだい?」 「というわけでからいきなり話始めないで下さい! 事情くらいきちんと説明してくださいよ!!」 「どうせ最後には泊めることになるんだし、細かい事情なんかどうだっていいだろう」 うわなんかすごい理不尽だー!? 「……別に二人住人が増えることは問題だとは思いませんよ、ええ。確かに部屋は余ってますから」 最大で四人いた頃ですら広かったんだし。それも、俺たちが今より小さい頃の話だ。 両親共に、もういない。美優がうちに来たのは母さんが死んでからだ。 そんなわけで、部屋の数は余っている。 「だからって、素性や事情もわからない人を泊められないし……それに、年頃の女性二人ですよ? そんなのと俺みたいな年頃の男がひとつ屋根の下ってのは問題でしょう、どう考えても」 むしろ学園としては止めるべきなんじゃないだろうか。どこぞのお姫さまだというのならなおさらだ。 ていうか、お姫様ならなおさらうちなんかに来る理由がわからない。 俺は二人に視線をむけた。 綺麗な長い金髪の彼女はどこかの国のお姫様で、ユリア・ジルヴァナ様というそうだ。ありきたりな表現だが、人形のようなというたとえがとてもよく似合う。 また、纏った雰囲気も一般人とは一線を画したものがあるのだが、人を拒絶するようなものではない。むしろ親しみやすい雰囲気だ。 そして付き従うのがレン・ロバインさん。ユリア様に従う騎士でありメイドでもあるらしい。その強さの一端はすでに見た。高速にして優雅な剣技は明らかに俺の数段上のステージにいる人間の動きだった。 初対面の時の印象も手伝ってとっつきにくい感じを受けるが、この場での彼女は毅然としていた。どうやらユリア様が関わると見境がなくなるらしい。それだけ、大切なんだということだろう。 その気持ちには共感できる。 「そうだね、確かに君の言う通りだ。言う通りなんだが……その辺の理由については今は『話さない』」 「……話せない、じゃないんですか?」 「ああ、話さない。私が話すつもりがないだけだ。どうしても聞きたければ他のみなに聞けばいいさ、答えるかどうかは、別だがね」 俺は他の三人、つまりは美羽とユリア様とレンさんを見回した。美羽はまあ、答えないだろう。ユリア様は聞けば答えてくれるかもしれないが、真実を話しているのかどうか、判断できない。レンさんは……むしろにらまれてますが、俺。 「それに一つ屋根の下問題だが大丈夫だろう、キミはヘタレだからたとえ裸で彼女らが歩いていたところで襲わないさ」 「なんかそういわれると男として無性に腹立たしいんですけどねぇ!?」 「はんっ」 鼻で笑われた。うう、そんな目で見ないで下さいよ! ええそうですとも、チキンですよヘタレですよ、襲う勇気なんかありませんとも! でもほら、俺だって青少年なんだし、ちょっとこう、暴走したりするかもだし! 「まあ兄貴が何かしたら、あたしが奪いつくすし。色々と」 「ちくしょう、自宅のリビングなのにアウェーの空気じゃねえか!!」 せめて優しくして! 「て、いうかですね。二人はいいんですか、こんなのがいて」 「ノアさんからは、ヒロト様は安全すぎるから好きなようにしろと」 だからその評価はどうなんだ。明らかに俺で遊んでるな、乃愛さん。 「そもそもお姫様だって言うのなら、それなりの扱いがあるんじゃ……」 「まさか魔法使いを大々的に迎えるわけにもいかないだろう」 いや、そんなの魔法使いだってことを隠せばいいだけで……。大体危険な連中って言うのはどれだけ隠蔽しても暴いてしまうようなイメージがあるんだけど。 そもそも、だ。その、なんだ。こんなに可愛い人が家の中にいるって俺の理性が色々大変な事になるんだが。俺だって健全な男子高校生だ。確かにチキンだが、それでもほらなんか若い衝動とかね、あるわけよ。 そんなもん炸裂させたら美羽に文字通り冷たくされてしまいそうだが。 「まあ何かあれば彼女がちょん切ってくれるさ」 「何をですか、何をちょんぎるんですかっていうかあなたもカチカチ鍔を鳴らさないで!!」 目がマジなんだよ、レンさん。 「ああもう、どうせ俺が何を言ってもむだなんでしょう! 別に構いやしませんよ、二人を泊める位なら」 「そうか、それはたすかる。ああちなみに期限は決まっていないから最悪一年くらいいるかもしれないからその辺りよろしく」 「長いなおい!?」 せいぜい数日から数週間、長くともひとつき程度だと勝手に思っていたんですがっ! 「まあまあ、お兄ちゃん……どうせ今更何言っても仕方ないんだし……」 「いやまあそうだけどさ。それよりもお前はいいのか、あの人たち。美優は人見知りするだろ」 美優は困ったような笑顔を浮かべる。 「あ……うん、なんか、たぶん、平気」 妙に言葉に詰まっているな。 美羽はさっきから緊張しっぱなしだ。お姫様とその付き人に緊張してるんじゃなく、俺が何かやらかさないかと緊張しているように見える。 そんなに常識がないようにみえるか、俺は。 「はぁ……とりあえず美羽、部屋割りとかはお前に任せるから、二人を案内してくれ。俺は乃愛さんともう少し話があるから」 美優も行ってこい、と送り出す。その二人に連れられてユリア様とレンさんは部屋を出て行った。 その時、ユリア様がこちらをちらりと見た。なんだろう? だがその疑問の答えはなく、彼女はそのまま美羽についていった。 ……なんとなく好意的な視線を送られている気がするのは、自意識過剰だろうな。 「何を一人しきりに首をかしげているんだい?」 「いや、別に……それよりも乃愛さん、これ一体どういうことです?」 わけがわからない状況全てをまとめて、これ。何が問題でどうなっているのかいまいち把握できない。 まあ乃愛さんならこれで意味を汲み取ってくれるだろう。 「私としても少々困惑しているというのが現状だね」 乃愛さんはタバコに火をつける。 本来嫌煙家の彼女がこのしぐさを見せるのは自分に対する喝入れのようなものらしい。 曰く、 『失敗したらまたこれを体内に充満させる。そんなことにならないためにも頑張ろうという、そういうことだ』 せめて褒美でもやればいいのにと思ったのだが、乃愛さんは『これでいいんだよ、これで。褒美はもう十分だ』なんて言っていた。 乃愛さんと出会ってからもう十年近くになるだろうか。初めて会ったのは、母さんの葬儀のときだった。親父と母さんに、よく世話になっていたそうだ。その関係なのか、今では俺たちが乃愛さんによくしてもらっている。 「黒須川が言っていたが、少々私の周りが騒がしくなりそうでね」 「だから『説明しない』んですか。俺って力になれないですかね」 「君の力を借りてしまえば楽ではあるだろうがね、それでは私が満足しない」 ぷかーっと煙を吐き出す。薄く広く、見えなくなるくらいに広がる。乃愛さんはその煙を視線で追う。俺も釣られてその動きを追った。 「まあぶっちゃけ君を驚かせたいだけって言うのもあるんだけどね、九割九分九厘九毛九糸くらい」 「それは十割って言っちゃったほうが早いでしょう。てか十割って正直に言えよ!」 「いや、君の驚いた顔はなんと言うか魅力的でね、何かあるたびにその顔が見れないかとつい考えてしまうわけだ」 意地の悪い笑顔は本気だった。本気でそんな事を考えている顔だった。 「大概ですね、あなたも……学園のことを知らされたときなんか、本気で驚きましたよ」 「ああ、あれはよかったね、君の表情の中でも歴代三位には入る」 うわーい、全然嬉しくねぇ。 「まあ、何かあれば彼女らもついでに守ってあげてくれ」 「別についでにするつもりもありませんけどね」 「それは助かる。それから、これ、当面の生活費だ」 どん、と机の上に置かれたのは決して小さくないサイズの鞄だった。どっからとリ出したのか疑問だが。 やたらと重量の詰まっていそうなそれの中を開くと、 「ぶーっ!? 乃愛さん、いくらなんでも銀行強盗ははんざがはぁっ!?」 「君は私をなんだと思っているんだ? 銀行強盗なんかやらないよ、やるなら口座の値段を書き換えるぐらいさ」 よりタチが悪いと思うのは俺だけだろうか。 「何、遠慮することはない。仮にも一国の姫を迎え入れるんだ、当然の流れだろう」 鞄の中の見たこともないくらいの量の札束にくらりとする。圧巻だった。これだけの数の福沢諭吉を見る機会なんて、この先一生ないだろう。 心臓に悪い。 「……けどうちで生活する以上、生活レベルはうちに合わせてもらうわけですし。正直助かりますけど、これは量が多すぎる気が」 「一国の姫を迎え入れるんだ、何が起こるか、わからないだろう?」 「…………」 なるほど、あんまり気分のいい話じゃないな。 つまりはこの先俺たちが被る物理的精神的被害に対する保証金のようなものだろう。 「まあ、受け取っておきます」 明日にでも口座に……って、明日は土曜日か。まあ早いところ銀行に入れてしまおう。 手元においていても気分が悪くなるだけだしな。 「理解が早くて助かる」 こういうことにばかり理解が早い自分はあんまりまともな人間じゃないよなぁとか思ったりする。美羽や美優なら今のやり取りだけでこの大金の意味を察することは難しいだろう。それは俺の理解力というより、発想力の問題だ。 他人に対しての善意が前提にある人間とそうでない人間の違い、というかなんと言うか。単純にひねくれているだけだが。 乃愛さんは頭上に視線を向けた。なにやら騒がしい足音と声。 「これから――」 「はい?」 「もしかしたら、色々な事が変わっていくかもしれないね。望む方向へ、あるいは、望まぬ方向へ」 そうかもしれない。俺は無言で乃愛さんの視線を追った。 彼女達がなぜ現れたのか、これからどんな風に俺たちの日常が変わっていくのか。 変わらない、なんてことはないだろう。人と人が関われば、そこでは何かしらの変化が生まれる。 「ああ」 思い出した、今朝の夢を。 なんだ、ほんとに益体のない夢だな。俺なんかが考えてもどうしようもないことだ。 世界がどうなっているかなんて。 でも。それでもたぶん。 変わっていく。俺はそれに巻き込まれずには、いられないだろう。 俺のすぐ傍に現れた、可愛らしいお姫様と、その騎士という、二つの世界に。 「まあ、なんですね」 「うん?」 「親父はこういうの、好きそうですよね」 俺の言葉にきょとんとした乃愛さんは、しかしすぐに相好を崩した。 「何を言ってるんだか。君だって好きだろうに」 乃愛さんの言葉を、俺は。否定しなかった。 ま、嫌いじゃないですよ。 疲れていたんだろう、ユリア様とレンさんは早く就寝についた。 なんだかんだで俺たちも疲れていたので、今日はみんな早めに寝る事にした。 問題を先送りしているような気もするが今更言っても仕方がない。とにかく、明日から順番に事実を整理していくしかないだろうな、なんてのんきにぼんやり考えていた。 「とまあ、なんかうちが騒がしくなりそうだよ」 電気もつけずに、暗闇の中で呟く。 目も閉じたまま。世界は完全な闇に覆われている。心地よい闇に身を沈め、無音の静寂に浸る。 「親父も母さんも、生きてたらなんて言ったかな。俺みたいにごねたりはしなさそうだよな」 暗闇に、その奥にある遺影に、その更に奥の、あるいは、そのずっと手前の、記憶へ語りかける。 親父も母さんも、もう声もうまく思い出せない。時折耳の奥に声が響くが、はっきりと聞き取れない曖昧なものだ。 記憶って言うのは、残酷だと思う。それでも、思い出が、一緒にいた頃の気持ちがあるからこうやって思い出したくなるときがある。 「色々気になることはあるけど……ま、精一杯やってみるよ」 立ち上がる。 親不孝な話だが、こうやって互いの顔も見えない状況でないと仏壇の前に座ることもできないんだから情けない話だ。 「変わる、か……日常だけじゃなくて、俺も変わっていけるのかな。なんていったら、母さんに怒られるな」 変わりたいのなら他人に頼らずに自分で変わりなさい。さもないと、変わりたくないときに他人に変えられてしまうわよ。 幼稚園児に何言ってるんだと思わなくもないが、あの人はいつも本気だったから。本気で自分の子供と、結城大翔という人格と向き合っていたから。 「じゃあ、お休み……ん」 部屋を後にして、静かに扉を閉じる。 月明かり差し込む廊下はしんと静まりかえり、生きた気配が何一つない。死んでいるのとは違う、静寂、停滞。 その中に、空気の中に、わずかに静電気のようにぴりぴりとした気配が混ざっている。違う、気配よりももっと曖昧な何か。 それに、一抹の不安を覚えた。 このときから、俺の世界は変わっていっていたんだと思う。 けど俺は知る由もなかった世界が、加速して。周りだした事など。 同時刻。 結城家より遥か南の異国の地の荒野の中にいくつかの人影があった。 暗闇の中で薄暗い影しか見えないが、その集団の湛えた異様な雰囲気は隠し通せるものではなかった。おそらく、その場に人がいたのならばわけもわからぬままに腰をぬかしたであろう。 得体の知れない恐怖。未知のものに対する危機感。そういったものを感じずにはいられない集団だった。 影のひとつが口を開いた。決して大きな声ではない。しかし、聞くものを震え上がらせるような響きを持った声。 「現在の進捗度は?」 声に答えたのは若い男の声だった。仮面でもしているのか、声がこもっている。 「順調は順調ですね。が、少々予定外の事態も発生しています。僥倖ともいえますがね」 そこに割り込む、少年らしき声。 「あんだよ、その事態って。面倒なことじゃないだろうな」 「予定外は予定外ですから、面倒に変わりはありません。ただ、うまくすれば計画を早められます」 「その、予定外とはなんだ?」 男は声を切る。 「どうやら、彼女がこちらへ来たようです。場所などはわかりませんが、穴に大きな揺らぎができました。あの世界でこれだけ派手に穴を開けられるのは彼女くらいなものでしょう」 「あっはは! なぁに、あのお嬢さんったら、結局そんなバカな事やっちゃうんだ! 話どおりじゃない、ねえ!?」 「は、はぁ……」 甲高い女の声に答える男の声は、情けないものだった。その声に、ちっと舌を鳴らす女。 「ふん……誰が現れようとも我々がまずやるべきことは変わらん。とはいえ、やはり使えるものは使うに限るか……各自で一応の注意は払っておけ」 どうやら最初の男がリーダー格らしい。 しかしながら、その男の声に答える声は散漫だ。男はそれになれているのか特に気にした風もない。 「集まる地点だけ把握しておけ。そうだな、ポーキァ、お前が一度集中点を見ておけ。あるいはそこに彼女が現れている可能性が高いからな」 「えぇ? めんどくせぇなぁ」 ポーキァと呼ばれた少年は、言葉とは裏腹に残虐な響きのこもった声を上げた。 「それでは……ん? ガーガーは何をしている?」 「ああ、ガーガーは、その……臭いを感じて、先に行ってしまったようです」 男の言葉にやれやれとため息をつき、鋭い瞳に鋼鉄の意志を覗かせ、男は言った。 「では、我々の最後の務めを果たそう。遍く世界の敵となり、悉くの全てを斬り捨て、ただ願いのためだけに邁進しよう」 ゆらり、と景色が歪む。 なにをしたわけでもない、彼らの強烈な意志に当てられ、世界が揺らいだただそれだけ。 「往くぞ、何も躊躇うことはない、視界に入る障害は全て蹴散らし打ち砕け。我らの周りは、全て敵だ」 答える声はない。 応える意志があり、それらは思い思いの方向へ歩き出す。 ただひとつの目的へ向けて、散り散りに。 「世界の全てを、喰らい尽くせ」 どこかで、夜が明ける。 どこかで、日が暮れる。 いつもと変わらぬ世界のどこかで、常ならぬ者達が動き出した。 その事に世界が気付くには、今しばらくの時が必要となる。