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1 2 3 律澪編 澪梓・律和編 ※さわ子「待たせたな!」の続き 2009/09/19 http //yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1253339824/ 和「今日の突撃!隣の晩御飯は田中井律さんのお宅です」 1 2 澪梓・律和編の続き ※律和 2009/09/24 http //yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1253791544/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 和ちゃんいい役してるなwww -- (名無しさん) 2011-12-09 06 28 13 全カプ組ませりゃいいというワケではないという見本である -- (名無しさん) 2011-11-24 14 51 13 澪梓よかっただけに中途半端でもったいないな -- (名無しさん) 2011-11-20 04 57 29 澪梓半端だけどまぁ良かった。 そしてモノマネする唯がかわいい。憂も。 -- (名無しさん) 2011-11-02 16 44 36 ↓ あぁ、そう言うことかありがとう。 この梓が好きって書いたけど、この和も最高だな! -- (名無しさん) 2011-07-19 01 34 04 どんなスポーツもこなせるって意味かと。 -- (名無しさん) 2011-07-17 01 48 12 この梓、なんかかわいい。 ところで憂はガチャピンってどういう意味か、誰か教えて! -- (名無しさん) 2011-07-13 09 12 23 良かったよ、いろいろと -- (ぴ) 2011-05-08 14 12 13 澪梓確かに半端だなー もうちょっと頑張ればいい感じにまとまったぞ!きっと! てかムギさわのさわちゃん 某作品でかなりかっこよかったからそれが残っててギャップすごいww あなたの誕生日はいつかしら だっけw -- (ねむねむ) 2011-04-01 20 25 48 ミオアズが半端 -- (名無しさん) 2011-01-27 15 56 55
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律「……てな事を梓に言われたんだけど」 和「それって梓ちゃんが律に宣戦布告したって事じゃない?」 律「えっ?まさか梓まで澪が好きってか?」 和「多分ね……まあ同性でもかなり魅力的だからね澪は」 律「マジかよ……あっまさか和まで澪好きって言うんじゃないだろうな?」 和「まさか。好きだけど恋愛感情まではないわよ」 律「だ、だよなぁ~!はっははは!」 和「どっちかって言うと律の方が好みだし」 律「は?」 和「ねぇ律……私と付き合ってみない?」 律「待て早まるな!いい友達でいよう!なっ!?」 和「そんなんじゃこの火照った身体は満足しないの」 律「こっこれ以上近づくな和っ!バリアーバリアー!」 和「そんなデコの反射では私を抑える事は出来ない」 律「やかましい!」ベシッ 和「あっ夫婦漫才っぽい」 律「だからなんだ」 和「相性いいわ私達」 律「強引なやつだな!」 和「冬だと言うのに私の体温はグングン上昇してるわ」 律「キャラ変わってるぞ。真面目なやつだと思っていたのに」 和「バカね。真面目なタイプ程、実はむっつりだって知らないの?」 律「とにかく遠慮する!じゃあな和!」 和「待ちなさい!逮捕する!」 律「冗談じゃねぇや!あばよとっつあん!」 …… 紬「うふふふ……何かとんでもない事になってるじゃない」●REC さわ子「どうしてこうなっちゃったのかしらね」 …… 唯「澪ちゃ~んほら見て!雪だるま作ったんだ!」 澪「すごいモアイっぽいな……」 梓「澪先輩冷えたんじゃないですか?温かい缶コーヒーいかがです?」 澪「ありがとう梓」 唯「あずにゃん私のは?」 梓「ある訳無いじゃないですか」 唯「ぶぅ~……あっそうだ澪ちゃんの私にも分けて~♪」 澪「ん?いいぞ」 憂「ダメ!ゼッタイ!」 唯「な、なんでだよぅ憂~」 憂「人のものをねだるなんていやらしいでしょ!」 唯「だって澪ちゃんとその……」モジモジ 梓「そもそも私が買ってきたんですから分け合うなら私とですよ」 澪「お金なら払うよ梓」 梓「結構です。私の勝手な好意ですから澪先輩は気にしないで欲しいです」 澪「でも飲みたかったんなら返すぞ?口つけちゃったけど」 梓「じゃ、じゃあ一口だけ」 唯「ああっあずにゃんずるい!」 梓「ほぅ……お返しします澪先輩」 澪「あれ顔赤くないか梓?大丈夫か?」 梓「へへへっちゃらですっ!」 澪「そうか?どれ」ソッ 梓(みっ澪先輩の額と私の額が合わさってる!)プシュー 澪「う~ん平気そうだな……でもあんまり無理はするなよ?」 梓「ひゃ、ひゃいっ!」 唯「あ、あ、あずにゃにゃにゃん……」プルプル 唯「さっきから何してくれちゃってるのかな?」 梓「暴力反対です唯先輩」 唯「ただのスキンシップだよあずにゃん……」ギュウー 梓「きょ、今日は激しいですね」 憂「お姉ちゃん私には~?」 律「お~い澪~!」 澪「あっ律!どうした?」 律「競争しようぜ競争!前よりは私上手くなってるからさぁ!」 澪「いいぞ。どうせ勝つのは私だがな」 律「おっ言ったな~?その言葉後悔させてやるぜ!」 唯「わ~い澪ちゃんがんばれ~!」 梓「澪先輩、律先輩を涙目にしてやってください」 憂「でも律さんも相当上手かったよ」 和「これは見物ね」 唯「あっ和ちゃ~ん!」ヒシッ 和「唯~!」ヒシッ 憂(1……1……1……1……1……) …… 律「くっ……負けた……ボロクソに負けた」 澪「いや紙一重だったよ。途中までは律がリードしてたし」 律(ていうか抜かれてから追いすがる間もなく置き去りにされたし) 唯「澪ちゃんカッコいい……」 梓「はい……」 憂「お姉ちゃんかわいい……」 憂「はい……」 澪「でも律ホントに上手くなってたぞ。びっくりした」 律「余裕だな……これが胸の差なのか……」 和「律はそこがかわいいんじゃない」 紬「同意」●REC さわ子「同意」 …ペンション 唯「ねえねえ澪ちゃん!私と付き合ってくれるか考えてくれた!?」 澪「あ……ああ~……」 梓「決まってます。答えはNOです」 唯「あずにゃんに聞いてないんだけど」 憂「NOだね」 唯「うい~……」 澪「あのさ唯、何ていうかごめん」 唯「ガーン」 梓「ざっ残念でしたねぇ~唯先輩」プクク 唯「笑い堪えてるのバレバレだよあずにゃん……」 憂「うっふふふっふふふっ!」 唯「うい~……」 律「まあしゃあねえよ唯。将来王子様と結婚するとか言うやつだから」 澪「小さい頃の話だろ!ってか良く憶えてるなそんな事」 唯「白馬?白馬に乗ればいいのかな?」 律「落ち着け唯、城も持ってなきゃいけないんだぞ」 さわ子「服なら用意出来るけど」 澪「お前らが落ち着け」 澪「大体律だってトラクターになるとか言ってたじゃないか」 律「あれっ?そこそこ近付いてね?」 澪「その言葉の意味する所が分からない」 律「いや人間の大きさ的に?」 澪「ますます分からない」 さわ子「分かるわ」 澪「ややこしくなるから合わせないでください」 唯「私もアイス屋さんになるためにアイスばっかり食べてるんだよ」 憂「お姉ちゃん健気」 梓「じゃあ私はタイヤキ屋さん」 和「みんな目標に向かって頑張っているのね」 紬「応援するわ」 律「お~何かそれ良いな。方向転換しようかな」 唯「りっちゃんパクリはダメだよ」 …… 梓「澪先輩」 澪「ん、梓か?どうした?」 梓「唯先輩をどうして振ったんですか?」 澪「あ、いやその……」 梓「分かってます。王子様でしょ?」 澪「まあ……そうかな」 梓「律先輩ですね?」 澪「えっ」 梓「でもあいにく律先輩は澪先輩の想いには応えませんよ」 澪「何言い出すんだ梓……」 梓「冗談にして、はぐらかして終わりです。そういう人ですから」 澪「……」 梓「私は違います」ギュッ 澪「や、やめろ梓……」 梓「好きなんです。もう諦めない」 澪「すごいな……怖くないのか」 梓「怖いですよ……震えてるでしょ?」 澪「でも告白した……私はダメだ。決意してた筈なのに」 梓「澪先輩の事ずっと気付かない律先輩が悪いんです」 澪「……脈がないってのは分かってたさ」 梓「律先輩を一番良く分かってる人ですもんね」 澪「ああ……でも言わなきゃいけなかったのに……」 梓「いいじゃないですか!私なら澪先輩を受け入れられる!」 澪「ありがとう……梓」 梓「澪先輩……」 律「……」 …… 和「どうしたの律?何か元気ないじゃない」 律「えっ?いやっそんな事ないよ!りっちゃん元気!」 唯「和ちゃ~ん!りっちゃんなんかより傷心の私を慰めてくだされ!」 憂「ばっちこ~い」 唯「うい~?」 憂「ばっちこ~い」 さわ子「ドゥフフフフ……」ガバッ 憂「せっ先生!?」 さわ子「私を誘っているのよね?ね?」 憂「ちっ違います!私はお姉ちゃんを……」 さわ子「憂ちゃんもやっぱりか~わいい」サワサワ 憂「やっやだっ!」 唯「さわちゃん!憂に変な事しちゃダメだよ!」 憂「お姉ちゃん!」 律「大変だ助太刀するぞ和!」 和「分かったわあなた!」 紬「ほほ~……いいですねぇ」●REC …… 律「……」 澪「律?どうしたこんな所で一人になって」 律「みっ澪……」 澪「明日でこの旅行も終わりか……寂しいもんだ」 律「澪はあんまり遊べなかったしな」 澪「いや最後に律とも競争出来たしさ、良かったよ」 律「……あのさ澪……あ、梓と付き合うのか?」 澪「えっ……聞いてたのか律?」 律澪編 澪梓・律和編
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―――― 「澪先輩、少しお話しがあるので部活終わりにお時間頂けますか?」 梓からの頼みは唐突だった。 なにやら悪巧みの会談をしようとでもいうみたいな、私だけに聞こえるくらいの小声だった。 それにつられて、私も囁くように了承の意を伝えた。 部活後、物置状態の一室を整理するという名目で私が居残り、梓はその手伝いをするという口実を使った。 音楽室から他の三人が帰ってしまうと、梓と二人きりになった。 「さて、話っていうのは……?」 「え、えーと……。笑わないで、聞いてくれますか?」 梓の目は潤んでいた。自分の罪を懺悔する人みたいに見えた。 「ああ、誠実に聞くよ」 「私、澪先輩のことが好きです」 きっぱりと、梓は言い切った。私はややあって、それが勇気ある告白なのだと理解した。 「好きっていうのは、そういう意味で……ってことだよな」 「は、はい! 実は私、ずっと澪先輩のこと……、あの新歓ライブで唄っているのを見てから憧れてて。 軽音部に入ってから、凛として見えてた澪先輩の、優しいところとか笑顔とか、 色んな面を知ってからも、もっともっと好きになって……」 「あ、あずさ」 「なんですか?」 「恥ずかしくなってくるから、やめてくれ」 「……そういう表情の先輩も、ちょっと可愛いかなって」 梓には意外と、強気なところもあるみたいだ。 ギターが巧いのも、こうした性格が関係しているのかもしれない。そして何より、 「ありがとう、梓。気持ちを伝えてくれて」 同性に告白するその勇気を、褒めてやりたくなった。 思い返してみれば、梓の私への態度はとても親身で優しかった。 けれど、自分が好かれているなんて夢にも想像にもなかった。 「澪先輩に引かれたら、軽音部やめようと思ってました」 ふと、気付いた。スカートの裾を握り締めた梓の手が細かく震えている。 その小さな胸を、どれだけ煩悶に苦しめたことだろう。 そう思うと、庇護欲や母性愛に似た、これまでにない感情が、私に芽生えた。 唯のことは頭の片隅にあったし、どうしてそんなことをしたのか明確に説明するのは難しいけれど。 震える梓の手を取って、私はその唇にキスをしていた。 ―――そこにただ、黒髪だけが揺れている。 そのキスは空虚なものだった。 純粋な後輩の気持ちをいたずらに高ぶらせるだけだった。 梓にとっては、思いがけない幸福だったらしく、私の手を強く握ってきた。 最後に、触れたその唇に舌を這わせて、離れた。 舌を絡めるような深いキスをしたわけでもないのに、梓の瞳は濡れて艶めき、息はあがっていた。 こちらから腰を屈めてしたのに、いつのまにか梓は爪先立ちだった。 「せん、ぱい……」 「びっくりさせたな。ごめん」 「いえ。その、私は後輩ですから」 俯いて、消え入りそうな声で梓は言った。 「もっと、先輩から……教えて欲しいです」 「……おねだり上手、って言われるだろ」 「みっ、澪先輩!」 「はは、冗談だよ。梓」 後輩の頭をくしゃくしゃ撫でていると、考えなくてはいけないことが消えていった。 一言も好きだなんて言わなかったのに、梓はこのキスを告白に対する返事だと受け取ったらしい。 何も考えていないようで、私は梓がそうすることを卑しく打算したのかもしれなかった。 また一つ嫌いな自分を発見して、それを数えた。 ―――― 「あっずにゃん!」 「はわ! もう、なんなんですか唯先輩?」 「ギー太が反抗期に入っちゃってさー」 梓に唯がくっつく。それが二人の距離の近さ。 ムギは喜んで眺めているが、私は梓に小さく嫉妬を覚える。 いつもならそうだったのだが、その日は違った。 「……唯先輩、離れてください」 「えー、いーやー」 「離れてくださいっ!」 「あ、あずにゃん?」 ぎゅっと目をつぶって、梓が叫んだ。 音楽室がしんと静まって、唯がおずおずと梓から離れた。 「……うわぁああん! あずにゃんに嫌われたぁっ!!」 ふわりと唯の匂いがすると思ったら、抱き締められていた。 柔らかな身体に思わず手を回そうとして、じぃっと私を見つめる梓と、唯の肩ごしに目が合う。 その視線が痛い。 仕方なく、肩に手をやった。 「ほら、しっかりな。梓だって本気で嫌ってるわけじゃないし」 様子を少しうかがうと、梓は非難がましい目をしている。何が不満なのだろう。 私の梓に触るな、くらい言ってほしかったのか。 ともあれ、唯の身体を引き剥がすと、今度はムギにくっついた。磁石みたいなやつだ。 ムギはムギで、落ち込む友達を慰めるのが夢だったのーだとか言いだしそうな笑顔だった。 「おっすー! 追試で遅れたぜー!」 良いタイミングで空気を読まずに律が入ってきた。 お陰で場は収まったけど、唯は元気のないまま、その日の部活は終わった。 ―――― 「だ、駄目です、こんなところで」 「まだ誰も来ないよ」 「んっ……あっ」 二人きりの音楽室で、梓に触れる。 嫌がる梓が、しかし本気で抵抗することはなかった。 私は何をやっているのだろう。 唯の笑みを思い出しながら、梓のスカートの中に手を忍ばせて、その柔らかな内腿を撫ぜている。 そこがいまに十分な湿り気を帯びようものなら、更に深い行為を始めるはずだった。 それで悦ぶのは梓だけだ。 私は冷えきった心のままで、梓の絶頂を観察するだろう。 緊張と弛緩を繰り返す膣のなまめかしい動きを、指で感じとるだろう。 結局のところ、私は可愛い後輩という玩具を得たにすぎなかった。 唯の代わりとしての、不純な動機で。 「……ふぁっ、いや……澪せんぱぃっ」 膝が立たなくなり始めて、梓はほとんど机に腰掛けていた。 スカートの裾をめくると、はっきり判るくらいのひどい濡れ方だった。 それを見ても、なんら興奮を覚えなかった。 淫乱だと罵ったらどんなに愉快だろうと思ったけれど、結局は虚しくてやめた。 「……私は、悪い先輩だな」 呟くと、朦朧とした目の梓が私を見つめた。 息はあがり、顔は紅潮して、いやらしく口を開いていた。 その時、ふいに音楽室の扉が開いた。 「あら、二人とも早いのね。さっそくお茶にしましょう」 入ってきたのはムギだった。 スカートはめくれ、頬も赤い、扇情的な様子の梓は、私の身体が死角になって見えなかったらしい。 梓は素早く服を整え、私を突き飛ばし、ムギの横を駆け抜けていってしまった。 「澪ちゃん……、梓ちゃんと何かあったの?」 心配そうな声音で、けれど好奇心は隠そうとせずに、ムギが聞いてきた。 何となく考えていることが判る。二人きりの放課後、高まる鼓動、禁断の姉妹愛―――、そんなところだ。 「ちょっと、な」 その受け答えさえ、ムギには意味深長に聞こえたのだろう。 恥じらうように両頬に手をあて、まあまあまあなんて呟きながら、顔を赤らめていた。 こんな状態のムギには話が通じそうにもなく、梓はどこへいったのかなとぼんやり考えた。 梓でも良いのかもしれない。 どんなに私がアプローチしたところで、唯は絶対に私の想いには気付いてくれないから。 しかし、もし梓が私に全てを捧げようとしたら。 艶やかな黒髪の先から、開きかけの蕾みたいな乳房までもが私の物になるとしたら。 果たしてそれを自分の物にする資格が、私にあるのだろうか。 どこまでも不誠実な、この私に。 日曜日が来て、梓と二人で街へ出かけた。 特別な約束事として休日を一緒に過ごすのは初めてだった。 「澪さん、って呼んじゃダメですか?」 些細なことにまで許可を求めてくる梓はいじらしく、立ち振る舞いをはかりかねる恋人のようで可笑しかった。 「なんなら、澪って呼んでくれてもいいけど」 「い、いえ。さすがに年下で後輩なんですから」 「今日は休日だし、上下関係も無礼講ってことにしないか?」 「じゃあ……澪……?」 「なんですか、梓さん」 「……先輩、いじわる」 からかい過ぎたのか、梓は口を開かなくなってしまった。 二人きりの時は名前で。 そう約束すると機嫌が直った。 梓は私を呼び捨てにするのがしっくり来なかったらしく、最終的に澪さんという呼び方に落ち着いた。 梓はよく喋った。私の口数が少なくても、二人の間に気まずさが生まれないように話す、頭の良い女の子だった。 最初に訪ねた楽器店では、梓がギターを試奏した。 レスポールではなくて、テレキャスターだった。 それに気付いて、梓はどこまで私を見透かしているのだろうと不安になった。 「いい音です」 「そうだな」 「とても繊細で、美しい、澪さんみたいな」 「か細いけど、芯のある音だ」 梓は物足りなさそうだった。仕方ないじゃないか。 何度も歯の浮く台詞を言われれば、耐性もつこうものだから。 やはり、梓は上手い。 白魚のように跳ねる指先が、指板を叩く。 ギターがとても心地よさそうに鳴く。 バンドのポップなリフを弾くときより、色気のあるジャズのフレーズを弾くほうが、様になっている。 「指先、綺麗だな」 私が言うと、びぃんと嫌な音がした。 梓にしては珍しい、派手なピッキングミスだ。 「ジャズをやってる梓、格好いいよ」 びぃん。 「普段の可愛い梓からは想像出来ないくらいだ」 びぃん。 びぃん。 心にもないことを言えば、梓は容易く動揺してくれる。 もっとおだてようかと思ったけれど、あまり褒め言葉が浮かばなかった。 ―――玩具を褒めるのに、慣れていないのだ。 梓のミスをひとしきり楽しんだ後、店を出た。自然と手を繋いでいた。 その指の先は、少しだけ硬かった。 私はどうしても梓に没頭することが出来ずにいた。 その表情や言葉、仕草のどれ一つとして、私の心を動かすものはなかった。 梓にキスをしたのは私なのに。 情愛だとかの類がそんなにも簡単に移ろいでしまうのなら、 心から信じられるものなんて、どこにもないような気さえする。 それからショッピングモールの服や化粧品を見て回った。 次から次へと私を引っ張る梓に、心が晴れていくような気がした。 「アイス、食べたいです」 三十余りのアイスを選べる店の前で、梓は立ち止まった。 「私も食べたいな」 「何にしますか?」 「梓と同じやつで」 そう言うと、俄かに梓の表情が曇った。 「……先輩、私と居るのがつまらないんですか?」 「そんなことないよ」 「だって、何がしたいか全然言ってくれないじゃないですか! どこへ行きたいですかって聞いても、この服似合いますかって聞いても、ちっとも自分の思ったこと、言ってくれない……」 怒鳴った後で、怒鳴った自分に傷ついたように、梓は泣き始めてしまった。 私はどうしたら良いのか分からず、ただ梓の頭を撫でることしか出来なかった。 「落ち着いたか」 「……はい」 しばらくして、梓は泣き止んだ。 ごしごし擦ったせいで目蓋が腫れぼったくなっていた。 悲しみが少しでも薄らぐようにと、私はそこにキスを落とした。 「私、……だだっ子みたいでしたね。ごめんなさい」 「いいんだよ。梓は私が好きなんだから」 「でも、先輩は……」 好きだと一言も言ったことがなかった。 嘘をつくのが嫌だったからだ。 「私は、嘘をつかないから」 「じゃあ答えてください、先輩。……私のこと、好きですか」 私は言った。 「……可愛い、と思う」 込められた嘘に、気付いたかどうか分からない。いや、おそらく気付いたのだと思う。 だから、梓は言った。 「……今から、うちで遊びませんか」 梓の部屋は小綺麗ながらも、机の隅などに、何かの曲の譜面たちが乱雑に置かれていた。 次に目に留まったのは、ベッドの上の毛布の乱れだった。 「椅子、ないので」 梓に差し出されたクッションを床に敷いて、腰をおろした。 二人ともが言葉少なだった。 思い出したように、梓が飲み物を持ってきた。 それを一口飲んで、キスがしたくなったから、梓の隣に座り直した。 「せんぱい……」 けれど、三度目のキスは梓からだった。 もっと相手を知ろうとするかのように、深くて長かった。 他人の舌が自分の中で蠢く。 それば、ぞっとするくらいの禁忌を犯しているようで堪らなかった。 唾液がお互いの口腔を行き来して、どちらのものか分からないくらい、口の周りまで汚れた。 梓が私の上になって、両手を押さえ付ける。下りてきた唾液を飲まされて、喉が小さくこくりと鳴った。 「……っはぁ、はぁ……はぁ」 梓の唇が離れたのも束の間。首筋が舌でなぞられる。 肌にかかる熱い息から、梓がこの状況にひどく興奮していることが判った。 性急な手つきで、私の服が剥ぎ取られる。 欲に浮かされて、頭がいやらしいことで一杯に違いない。 後輩のそんな様子を、微笑ましいとも可愛らしいとも思えなかった。 ただ、強欲な女の浅ましさを見せつけられるようだった。 鎖骨をなぞった指先が、そっと胸元におりてくる。 「……んぅ……」 先の敏感なところに掌が触れて、思わず声を洩らしてしまう。 梓はおずおずと私の乳房をこねた。 何かの道具を扱いあぐねているといった触れ方だった。 滑稽だと思ったし、先輩としてどうすべきかも判っていたけど、何も言わなかった。 「澪先輩、気持ち良いですか」 心細げに、梓が言う。私は黙殺した。 「……続けますね」 梓の唇が、乳頭に触れる。 小さくぴちゃぴちゃと水音をたてながら、私の味を確かめている。 そこがはっきりと勃起しているのは自分でも判った。 性感を呼び起こそうとする梓の動きが、しかし、赤ん坊のようなのは何故だろう。 「はぁ……はぁ……」 私よりも息遣いの荒くなった梓は、標的を下着の下に変えた。 いつの間にかズボンは下げられていた。太ももをなぞるような愛撫が、徐々にその付け根へと動く。 「下、脱がせますよ」 梓は下着の縁を、そっと下げた。 3
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その日の帰り道は皆がちぐはぐだった。 だって明日はライブ本番だもんね。緊張するのは当たり前。 そんな風に考えていたから、あずにゃんが澪ちゃんに別れの挨拶をしなかったのも無理はないと思った。 澪ちゃんと別れて二人っきりになると、あずにゃんは一層険しく物思いをするような表情だった。 これじゃあいけない。 だから、思いっきり抱きついてみた。 「……唯先輩、なんですか」 あれれー? 余計に険しい顔になっちゃった。 「大丈夫だよ、あずにゃん。明日はきっと上手く行くから」 そう言うとあずにゃんはちょっとポカンとして、それからくすくす笑い出した。 「あー、笑ったぁ。良かったー」 「すみません、つい。……私が考えていたのは明日のライブのことじゃなかったんです」 変に勘ぐっちゃったのかな。 それから急に真剣な面持ちになって、あずにゃんは言った。 「唯先輩は、澪先輩のこと、どう思ってますか」 「へっ?」 質問の意味も、その意図さえもさっぱり判らなかった。 「えと、どう思ってるかって」 「唯先輩にとって澪先輩はどんな人ですか」 どんな人、なんだろう。 澪ちゃんはとっても頑張り屋さんで、たまに怖がりで、普段は凄く優しいけれど、怒ると怖くて、でもやっぱり優しくて……。 「んー、……よくわかんないや」 それが私の本音だった。 澪ちゃんは私には少し複雑な女の子だ。 「じゃあ、律先輩やムギ先輩はどうですか」 あずにゃんが興味深そうな目を私に向ける。 「律ちゃんはね、元気の素みたいな感じ。一緒に居るととっても楽しいなぁ。ムギちゃんはひなたぼっこって感じで、とっても温かいよ」 「……なるほどです。唯先輩って、人を見る目がおありなんですね」 なんだか褒められちゃった。 私、何か良いこと言ったのかな。 あずにゃんはまたなにやら思案顔で、空を見つめている。 「そしてあずにゃんはいつも抱いていたい猫のような―――」 「はいはい、今日は暑いんですから」 勢いに任せて抱きつこうとしたのに、軽く流されてしまった。 ちょっと寂しい。 それからあずにゃんと別れて、家に着いた。 なんだかいい匂いがしたから、今日はカレーだって判った。 「たっだいまー、ういー」 「おかえり、お姉ちゃん。いま晩御飯できるからね」 「んー。いつもありがとー」 「えへへ」 二階の部屋に上がって、制服から普段着に着替えた。 ギー太に服を着せたりして遊んでいると、あっという間に御飯の時間になっていた。 「お姉ちゃん、明日ライブなんでしょ?」 「うん、そだよ」 「頑張ってね」 「もっちろん!」 憂の美味しいカレーを食べてからお風呂に入って、またギー太と遊んだ。帽子まで似合ってしまうギー太って凄い! そうしているうちに寝る時間になったから、電気を消してベッドに入った。 あれ、結局練習しなかったなあ。ま、いっか。 何の夢を見るのかなって考えてたら、すとんと眠りに落ちていた。 その晩はとても悲しそうに泣いている澪ちゃんの夢を見た。 大丈夫? 何故泣いてるの? 私は尋ねるのだけど、澪ちゃんは俯いて静かに涙を流すだけだった。 私は居ても立ってもいられずに、その手を握りしめた。 柔らかな輪郭の細い指や、恐ろしいくらいに白い手首が目に焼き付く。 澪ちゃん、なんで泣いてるの? 澪ちゃんのこと、もっと教えて――― そこで目が覚めた。 珍しく憂に起こされずにベッドから抜け出せた。 窓外の東の空に向かって、今日は上手くいきますようにと、こっそりお祈りした。 ―――― 本番まであと10分。 舞台袖に繋がる楽屋で、ムギちゃんの持ってきた紅茶をぐいっと飲み干した。 「唯、そんなに飲むとやってる最中にトイレ行きたくなるぞ?」 少し緊張気味のりっちゃんがぎこちなく笑って言う。 「大丈夫だよー。その時は澪ちゃんに代わってもらうもん」 ねっ、と澪ちゃんに笑いかける。 でも耳に入らないくらい上がっちゃってるみたいで、澪ちゃんはどこか遠くを見つめている。 「こりゃあ心配だな、澪のヤツ」 りっちゃんが心配そうに呟いた。 いよいよステージに入った。 ほとんど音色は変えないから、すぐにセッティングは終わった。 ふと目をやると、澪ちゃんが固まっている。 「澪ちゃん、どうしたの?」 声をかけると、初めて私がいることに気づいたように、こちらを向いた。 「ちょっと、怖く、なって……」 「大丈夫だよ」 私は澪ちゃんの手をとった。 夢に見たとおり、とても綺麗だった。 「ほら、こんなに固くなるまで頑張って練習したんだから。ねっ?」 指先に触れると、澪ちゃんの頑張った跡が確かに残っていた。 「……そうだな、ありがとう」 澪ちゃんの緊張していた顔が綻ぶ。 その表情に胸が高鳴って、私は嬉しくなった。 「……好きだよ、唯」 静かに、でも確かな響きを伴って、澪ちゃんが言った。 私はなんだかくすぐったいような気持ちになった。 「うん、私も澪ちゃん大好きだよ!」 ぎゅうと手を握りしめると、澪ちゃんも握り返してくれた。 「そろそろ幕上がりますが、セッティングのほうは?」 音響さんの方から声がかかった。 「澪ちゃん、平気?」 「あ、えーと……、うん。大丈夫」 「大丈夫でーす!」 「それじゃあ本番よろしくお願いしまーす」 それまで会場にかかっていたBGMがふっと消えて、観客の話し声も止んだ。 それから、幕が上がる。お客さんの入りは良いみたいだ。 気合い入っちゃうな。 「いっくぞー! ワン、ツー、スリー、フォー」 私は、Eのコードを掻き鳴らした。 りっちゃんの激しいタム回しの後、一拍置いてのスネア。 息を合わせて鳴らした新曲の最後のコードも、やっぱりEだった。 ――――ああ、終わっちゃった。 ほんの30分。 言いたくないけど、出来の悪いライブだった。 「放課後ティータイムでした!」 幕が下りて、私は座り込んでしまった。 楽屋に戻って、私はムギちゃんから指先の手当を受けた。 ライブ中に思い切りピッキングをミスして、指が弦に当たってしまったのだ。 血が出てずきずき痛み、演奏は酷いものになった。 「ゴメンね、皆。今日はダメダメだったよ」 「こんな日もあるって。歌は良かったぞ」 「そうです。とっても声が出てて、迫力ありました」 りっちゃんやあずにゃんが慰めてくれたけど、気持ちは上向きそうになかった。 すぐ傍のステージからは、私達より遥かに上手いバンドの演奏が漏れ聴こえていた。 まるで五人の間にあいた会話の隙間を埋めるように。 その後、音作りやバランスの取り方の勉強に、皆で客席に演奏を聴きに行こうという話になった。 私はそんな気になれなかったから、楽屋に残ることにした。 「じゃあ、行ってくる。気が向いたらな」 「うん」 りっちゃんを先頭に、四人は行ってしまった。 残されたのは私と、指先の痛みだけだった。 しばらくすると、なんだか情けなさが込み上げてきた。 ミスは悔しいけれど、それ以上に、簡単にへこんでしまう自分の弱さが嫌だった。 じっと指先を見つめた。ちゃんと動いてよ、って呟いた。 「お疲れ様、唯。飲み物買ってきたぞ」 不意に声がかかる。 びっくりして顔を上げると、澪ちゃんだった。 「見に行ったんじゃ、ないの?」 「なんとなく、唯が気になってな」 ありがたく飲み物を貰った。 一口飲むと、お腹の中にすうっと冷たさが広がって、嫌な気持ちが薄まっていくみたいだった。 「澪ちゃん、あの」 「どうした?」 「……くっついても良い?」 「はは、いつもは許可なんて取らないくせに。……いいよ、くっついても」 「ありがとう……」 私は澪ちゃんに抱きついた。 それから、胸に顔を埋めて少しだけ泣いた。 何も言わず、澪ちゃんは頭を撫でてくれた。慰めの言葉は要らないってことを、ちゃんと判ってくれているみたいだった。 それが嬉しくて、またちょっと涙が出た。 「私さ、いつも本番前とか、唯に助けられてばっかりだったから。今こうしているのが唯にとっての支えになってたら、良いな」 「……うん、そうだよ。ありがとね、澪ちゃん」 「お互い様だよ」 そして二人で、色んなことを話した。 今日見た夢や、昨日あずにゃんが言っていたこと。 「私、澪ちゃんのことよく知らないなあって思ったの。知り合って、友達になったのに」 「よく知らない、か。……でも大抵の人間関係って、そういうものだと思う。 私も律とは長い付き合いだけれど、お互いに知らないことはきっと沢山あるし。 誰かとどんなに強く抱きしめ合ったって、結局は身体の間に隙間が出来るみたいにさ、 お互いを完璧に知り尽くしているような関係なんて、ありえないんだよ」 「でもね、私、澪ちゃんのこともっと知りたいなって思ったんだ。どんなにくっついても、全然足りないくらいに!」 「……そ、それは私としても、嬉しいことだな」 「……えへへ。言うだけ言ったら、なんか恥ずかしくなっちゃった」 私の顔、たぶん今かなり真っ赤だろうな。目の前の澪ちゃんの顔に劣らずに。 もっと色んな表情の澪ちゃんが見たい。そう思ったとき、ある考えが浮かんだ。 「そうだ、澪ちゃん――――」 すべてのバンドが終わって、イベントはお開きになった。 上手かったよと声を掛けてくれる人も居たけれど、素直にその言葉を受け取ることは出来なかった。 だってその人たちのほうがとっても上手かったんだもん。 一通り挨拶を終えてから、五人で歩いて帰る。 昨日の帰り道とはうって変わって、皆が今日のライブについて口々に感想を言い合った。 「今日のコーラは甘さ控え目で良かったわ」とムギちゃん。 「いやいやアレ絶対薄められたコーラだって」とりっちゃん。 「ベースとドラムはタイトに聴こえましたね」とあずにゃん。 「バスドラとスネアの音の切れが良かったみたいだから」と澪ちゃん。 皆は少し興奮気味のようで、会話の種が尽きることもなく、機材についての話から凄い頭をした観客の話まで、まとまりなく喋った。 そのうち、いつの間にやら日が落ちていた。りっちゃんやムギちゃんと別れて、昨日澪ちゃんと別れた道までようやく着いた。 「あっという間にさようならですね、澪先輩」 あずにゃんが昨日はなかった別れの挨拶をする。 そうだ、あずにゃんにも言わなきゃ。 「あのね。今日はあずにゃんと一緒じゃないんだ、私」 「なんでですか?」 「ほら、明日休みだから。澪ちゃんの家に泊めてもらおうと思って」 「えっ……」 あずにゃんが本当にびっくりしたみたいに澪ちゃんを見た。 「そうなんですか、澪先輩」 「ああ、そうだよ」 澪ちゃんが頷く。 あずにゃんは、なんだか少し気落ちしたように、呆れてしまったようにクスリと笑った。 「いいなあ。先輩たち、楽しそうです」 「あずにゃんも来ない?」 私が聞くと、あずにゃんはちらっと澪ちゃんを気にしてから、 「嬉しいですけど、今日は遠慮します」ときっぱり言った。 「じゃあな、梓。また学校で」 「あずにゃん、ばいばーい!」 「はい、今日はお疲れ様でした。さようなら」 あずにゃんと別れて、私たちは歩きだした。 夏の夕闇に包まれた道はどこか素敵な場所へ連れていってくれそうだった。 「唯、晩御飯は何にしようか?」 「うーん。澪ちゃんの家にお世話になるだし、お構いなく!」 「実は、今夜は誰も家に居ないんだ」 「えっ?」 澪ちゃんのお父さんとお母さんは、仕事の都合で職場の方に泊まり込みになってしまったらしい。 どうしよう。一晩中澪ちゃんと遊んでいたって誰にも怒られないなんて! 「だから、夕飯は唯の好きな物。なんでもいいんだ」 「やったー! じゃあねじゃあね……」 ケーキにクッキーにアイスにポテトチップス……、色々な物が頭の中に浮かんでは消えて、最後に一つだけ残った物があった。 「……澪ちゃんの好きな物がいいな」 「せっかく遊びに来てもらうのに、私が決めていいのか?」 「だって、澪ちゃんのことがもっと知りたいんだもん」 そう言うと、澪ちゃんは少し不意を突かれたように沈黙したあとで、柔らかく笑ってくれた。 それが嬉しくて、胸がほわりと温かくなった。 「あっ、憂に電話しておかなくちゃ」 携帯で自宅にかけると、0.02コールくらいで憂が出た。 「お姉ちゃん! いまどこなの!?」 「わわ、耳が痛いよーういー」 「ご、ごめんね」 私はライブが終わって帰る途中であること、今夜は澪ちゃんの家に泊まることを伝えた。 「そうなんだ……。せっかくお料理作って待ってたのに……」 「うー……、ごめんよぅ」 「ううん、気にしないでね。澪先輩の家ではお行儀良く、しっかり挨拶だよ!」 出来た妹だ、と隣で会話を聞いていた澪ちゃんが呟いた。 そろそろ歩き疲れたなあと思いはじめたとき、 「着いた。ここが私の家だ」と澪ちゃんが言った。 そういえば澪ちゃんの家に来たのって初めてだったっけ。 また一つ、澪ちゃんのことを知ったんだ。 「たっだいまー」 「お帰り。って、私の家だからなここは」 「えへへ、お帰り澪ちゃん!」 「……うん。ただいま、唯」 5
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秘所に触れたその手が止まる。 そこは全くと言っていいほど濡れていなかった。 「澪先輩……、私……」 「すまないな、梓」 初めて私は口を開いた。 「梓のじゃ、私は濡れないみたいだ」 「それって」 言い掛けた梓の唇を奪った。 さっきのが比べものにならないくらいに、激しく貪った。 血の味がする。それでも続ける。 梓のスカートから手を忍ばせると、そこはすでに濡れそぼっていた。 触ってほしくて堪らなさそうな梓の鯉口に、指をはしらせた。 「んぁあっ!!」 嬌声が耳に心地いい。 垂れる蜜に指を絡ませて、敏感なところを擦る。 悶える梓の爪が私の腕に食い込んだ。 発情している猫を相手にしているみたいだった。 「んっ、んっ……やぁっ……」 腰がしなる。私の手から逃れるように。それを私は許さない。 中指を入れた。 「……ぃっ……た……澪先輩……」 「すぐだよ」 「んっ」 中はざらついて、ひくついていた。 私の指を、生めかしく締め付けてくる。 私に男根がついていたら、これに病み付きになるのだろう。 少なくとも今は冷静だった。 くちゅくちゅ、淫らな音がするくらいに十分だった。指を動かすには。 そこをどう扱えば一番いいのかも、私は知っていた。 「……ぁあっ……ん……」 梓の声音が高くなる。 その反応を見て責め方を変えると、腰が跳ねる。 「せっ、んぱい、つよぉ……ぁあ……」 構わず、掻き回す。 固く立った秘芯をなぞりながら、深いところをえぐる。 「イッていいから、梓」 「ぁぁあぁっ!! い、いっちゃ、あぁっぁああ!!」 梓は達した。 何もかも放り投げるような、激しい悶え方だった。 背中に鈍い痛みが走る。梓の爪だった。 「はぁー……はぁー……」 「大丈夫か」 「はい。……すみません、背中」 梓は私に指先を見せた。 私の血で汚れている。 「あいこかな」 私の中指も、梓の初めての血で汚れていた。 「……私、澪先輩を満足させられないみたいですね」 落ち着いてきた梓は、寂しそうに言った。呼び方はいつもの澪先輩に戻っていた。 「もしかして、ほかに好きな人、いるんじゃないですか?」 「……うん」 「……やっぱり」 梓は呆れた。 そのまま愛想を尽かしてくれれば良かったのに、 「でも、好きですから」 誰にも譲れないのが、梓にとっての私らしい。 シャワーを浴びた後、二人で食事をとった。 他愛もないことをつらつらと喋って、話題も無くなると、黙ってテレビを見た。 梓の隣に座って、手を握る。 けれど芒と画面を見つめているだけで、梓は私を相手にしようとしなかった。 私も画面をひたすら見た。 古い映画の中で少年と少女が手を取り合い、向日葵で一杯の丘を駆け下りていく。 「こんなところで、遊んでみたいな」 「はい。私、草の冠とか、首輪とか作れますよ」 「欲しいな、梓の」 会話はそれきりぷつりと途絶えた。 雨が降りだしそうだったから、小さくさよならを言って、梓の家を後にした。 雨粒がひとつ、ぽつりと鼻頭をうつ。 私が欲しかったのは、冠でも首輪でもなく、指輪だったのかもしれない。 ―――― 「すっごい話が来たぞー!!」 放課後の部活。 扉の悲鳴のようなけたたましい音と一緒に、律が音楽室へ飛び込んできた。 「なになに律ちゃん?」 「ライブのお誘いが来たんだっ!!」 律によると、他校の友達が主催するライブイベントがあったのだが、参加バンドのうち二バンドが出演を見送る運びになったため、その代わりとして私達に話が転がり込んだらしい。 「代役ってのはまあ癪だけど、良い機会だし、桜高校軽音部の存在をしらしめてやろうじゃないか!」 「おぉー、りっちゃん格好良い!!」 「あのなぁ……」 唯と律は既に乗り気みたいで、頭が痛い。 「それには他校のバンド演奏に引けをとらないくらい、しっかり練習しなきゃいけないんだぞ」 「やります!」 「やります!」 この二人はどこまでも調子が良い。 「頑張るなら良いんじゃないかしら」 ムギが賛同する。 部活にいつも持ってくるお菓子くらい、二人に甘いんだから。 「……梓はどう思う?」 「多数決では負けてしまってますよ、先輩」 最後の一掴みの藁も、しかし藁だった。 「決まりだな、澪」 律がにたりと笑って言う。 「ああ。じゃあ早速」 「ええっ! 今日はケーキなのっ?」 「うん。昨日、うちの父の誕生日に、食べきれないほど届いたの」 「お前ら……」 バンド名を体現するこのメンバー達を、憎めないのは何故だろう。 そう思いながら、ケーキを半ば自棄になって食べた。 唯と律は言葉の通り熱心に練習してくれた。気合いをいれてヘッドバンキングまでして、唯は首を痛めていた。 「唯、一生懸命なのはいいけど……」 「うぅう、しゅぃません……」 首が回らなくなって、ロボットのようにぎこちない。 それが可笑しくて、後ろから脇腹をつついてみる。 「ほにゃ! だれ今の!?」 くすくす、笑いが起きる。 こういう滑稽さも、ひとえに唯が愛されているからのものだったし、私はそれを嬉しく思った。 ただ一人、梓だけは小さな笑みすら浮かべていなかったけれど。 練習を重ねると、新しい曲もバンドに馴染んできた。 繰り返し演奏する中で何度も自分の書いた歌詞を聞くと、辛くなった。 唯を純粋に好いていた頃の輝かしい言葉が、梓と寝た私を糾弾するようだった。 囁いた睦言。 なぞった首筋。 色に溺れた私。 それらのどれ一つとして、私を慰める物はなかった。 唯一の救いは、唯が朗らかに歌ってくれることだった。 ただそれだけで、私は立っていられた。 泣かずにいられたし、耳を塞がずにいられた。 一年生の時のライブ。 本番直前に、唯は私に微笑んでくれた。 思えば、ずっと助けられていたんだ。 「よしっ、今日は早めに切り上げだ。明日に備えるぞ」 本番前の最後の練習が終わった。 音楽室を出ると蝉の音があたりから聞こえてくる。何かに追われるように、空気はすっかり夏だった。 私を含めた五人の帰り道は寡黙だった。誰もが明日のことを考えていると、誰もが考えているのだろう。 そのうち、律が予備のスティックを忘れたことに気付いて取りに戻った。 ムギは途中で執事の車が来たために、渋々私達と別れた。 唯と梓は一言もなかったから、なんとなく居づらかった。 やがて別れ道に来て、私は二人にさよならを言った。 「明日は、頑張ろうね」 唯の言葉に私は頷いた。 内心、口を利いてくれてほっとする。 梓は無言のままだった。 手を振って、二人と別れた。 ―――― 「うっひゃあ、集まってるぞ……」 本番前の楽屋に私達は居た。 律がステージの裾から観客側を覗いて戦々恐々としていた。 「一番手なんてラッキーだよね」 唯が言う。 そんな気持ちには到底なれそうもなく、私はベースの最終チューニングをしていた。 一つひとつ音の高さを合わせるたび、緊張が高まっていく気がする。 「知らないお客さんばっかりなんて、初めてかもしれないですね」 「アウェーってやつか……」 律の表情が強張り始めた。 全く緊張の色を見せない唯の隣に立つと、その様子が更に目立つ。 「紅茶、持ってきたの」 ムギがバスケットから魔法瓶を取り出した。 ありがたく皆でいただくと、普段の五人の雰囲気が戻ってきた。 「やっぱり、ムギの紅茶には適わないな」 「そうですね」 私が言うと、隣で梓がうんうん頷いた。 何でも私に同意したがるように見えるのが可笑しかった。 いよいよ開演時刻が迫り、他バンドの皆に見送られながら、幕の下りたステージに入った。 ざわざわと話し声が聞こえる。聞き慣れない放課後ティータイムなんてバンド名を噂しているのかもしれない。 途端に足が竦んだ。 この幕が上がる瞬間、幾つもの目が私を射ぬくのを想像して怖くなった。 ムギがキーボードの音色を確認し、梓がアンプの調節とエフェクタの位置を決定している間、私は何も出来なかった。 「澪ちゃん、どうしたの?」 はっとして顔を上げると、心配そうな表情の唯が居た。 「ちょっと、怖く、なって……」 「大丈夫だよ」 唯の手が私の手を取る。その指先を、唯の親指がこねた。 「ほら、こんなに固くなるまで頑張って練習したんだから。ねっ?」 柔らかく、私の愛しい人は笑った。 「……そうだな、ありがとう。……好きだよ、唯」 「うん、私も澪ちゃん大好きだよ!」 屈託なく喜んでいる唯と、私。 残酷なまでに、私たちは平行線を辿るばかりで、その距離を埋める言葉を私は持ち合わせていなかった。 恐らく私たちは、この先ずっとこのままなのだろう。友達でいられるし、恋人にはなれない。 それはこの世で最も悲しい予感だった。 もちろん、別離の予感よりも。 幕が上がる。 律のフォーカウントを刻めば、新曲が始まるだろう。 私の精一杯の、想いをのせた歌詞を、何も知らない唯が歌う。 このライブが終わる頃、きっともう一つの何かが終わる。 でも私は、必ずそこに立っていられるだろうと強く思った。 (Intro) 補足 一応、一区切りです。 今後、書くこともあるかもしれませんが、ここまでを1つの話と考えて頂こうと思います。 きっかけ http //www.nicovideo.jp/watch/sm7071715 前述の唯紬スレ(唯紬「秋、夏、春、そして冬」) あずにゃんの可愛さ お付き合い下さり、ありがとうございました。 4
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さわ子「折角の冬休み、あんた達どうすんの?」 唯「何も考えてないよ~」 律「左に同じく」 澪「その時になってみないと……」 梓「こたつ」 紬「あらあらうふふ」 さわ子「やっぱり暇なのねみんな」 律「確かにその通りだが何が言いたい?」 さわ子「いやぁねー、ムギちゃんがみんなを誘って スキー行きたいって言うから、どっかな~って」 澪「おおっ!スキーか!(律に告白する絶好のシチュエーションじゃないか!)」 唯「わっ澪ちゃんすんごい反応」 律「澪はスキーめちゃくちゃ上手いからなぁ」 唯「へぇ~!そうなんだ!澪ちゃん飛んだり出来る!?」 澪「い、いや普通!普通だから!好きなだけ!」 紬「じゃあみんないいのね?」 梓「こたつがいいです」 紬「こたつも手配するわよ梓ちゃん」 梓「みかんも欲しいです」 紬「用意するわ」 梓「後、ムギ先輩が編物をして笑っていて欲しいです」 紬「検討するわ」 律「どんだけぐうたらしたいんだよ」 梓「冬弱いだけです」 唯「私も寒さだけは苦手で」 律「唯は夏の暑さにも弱いだろ」 さわ子「じゃあ決まりでいいわね?」 唯「あう~……でも私スキーなんて出来ないよぅ」 澪「大丈夫だ!初めはみんな初心者だよ!」 唯「そ、そっかな!」 律「そうさ澪先生に教えてもらえ?」 澪「かっからかうなっ……教えるけどさ」 唯「うん!」 梓「私はソリ派なんで」 紬「あらかわいい」 さわ子「そうだわ和ちゃんと憂ちゃんもどうかしらね?」 唯「憂と和ちゃんもいいの!?」 さわ子「聞いてみてくれる唯ちゃん?」 唯「うん!多分大丈夫だよ!」 澪「みんな一緒か!楽しみだな律!」 律「あぁ!合宿じゃなくて純粋に遊び行けるのがいい!」 梓「合宿でも純粋に遊んでた気がしますが」 紬「うふふ梓ちゃんもね!」 …… さわ子「これで本当に良かったのムギちゃん?」 紬「ハイ!みんなと一緒がいいんです」 さわ子「私は二人きりの方が良かったな」 紬「もう先生ったら独占欲が強いんだから」 さわ子「当たり前よ。これでも一途なのよ私は」 紬「心配しなくても浮気なんてしませんよ。先生みたいに」 さわ子「いじわるな口ね」チュプッ 紬「んっ……さわちゃん……」チュパッジュプッ さわ子「ムギちゃんの唇甘い……お菓子の味かな」ペロッ 紬「恥ずかしい……」 さわ子「大丈夫よ。誰も見てない」 紬「さわちゃんに見つめられるのがです」スッ さわ子「えっ?あっちょっとメガネ!」 紬「うふふ……やっぱり私この方が好き」 さわ子「ええ~、見えなくて困るんだけどな」 紬「今度は私からするね」 さわ子「優しくね。私だってそんなに慣れてる方じゃないんだから」 紬「ふふっ分かってます」ムニムニ さわ子「やっ……そんなにおっぱいばっかり……甘えん坊さんね」 紬「さわちゃんの胸大きくて羨ましいな」 さわ子「ムギちゃんならすぐにこれ位にはなるわよ」 紬「うふふふ、キスマークつけちゃっていいですか?」 さわ子「好きにして。私はムギちゃんのものなんだから」 紬「嬉しい……私もさわちゃんのものだよ」チュウウッ さわ子「はぁうっ……」ピクンッ …マック 澪「ちょっと気になっていたんだが、何で最近ムギだけ別行動なんだ?」 律「あれっ?澪知らないのか?ムギはさわちゃんと付き合ってんだよ」 澪「ええ!?」 唯「ウソッ!?」 梓「へぇ~へぇ~ほぉ~」 律「何だよ知ってるの私だけかよ。鈍いなみんな」 梓「ポテトMにすれば良かった」 唯「失恋しちゃったぁ……」グスグス 梓「元気出してください唯先輩」 唯「あずにゃあん!」ガバッ 梓「きゃっ」 律「ムギは何となくあっち側だと思ってたけどまさか唯までとは……」 澪「女子高には良くある事だよ律?」 律「見くびるなよ澪。私だって理解がないわけじゃないし、 生暖かい目で見守って行こうと思う」 澪「そ、そう……」 和「話は聞かせてもらったわ!」 唯「あっ和ちゃん~!」ヒシッ 和「唯~!」ヒシッ 梓「何でメガネがここに」 澪「私が呼んだんだ。スキー旅行の事もあるし」 梓(うぐぐ……私のポジションが) 和「実は最初にさわ子先生と付き合っていたのは私だったのよ!」 唯「ええ~!」 律「和!お前もか!」 澪「むしろ律の方がおかしいんじゃない?フフ……」ボソッ 和「でもまああの二人お似合いだったからね。私が身を引いたの」ホロッ 唯「和ちゃん……」 澪「大人だな和」 律「良く分からんがその方が良かったろ」 梓(そんな事言って本当は唯先輩を狙ってるんじゃ)ギリギリ …… 澪「なあ律……ようやく二人きりだな」 律「どした澪?気持ち悪いぞ」 澪「き、気持ち悪いってなんだよ!」 律「いや急に改まって言われてもって感じで」 澪「そっそうかも知れないけど、言い方ってもんがあるだろ!」 律「人に言えない悩みでもあるのか?聞いてやるぜ」 澪「いいよ!律はすぐちゃかすし!」 律「ははっ!澪ってかわいいから、ついからかいたくなるんだよな~!」 澪「かわっ、かわいい私が?」 律「だってファンクラブまであんじゃん!よっ!学校のアイドル!」 澪「はぁ……」 律「へへ~、アイドルの髪触っちゃうよ!」 澪「おい遊ぶなって」 律「ほぉ~、すげえサラサラだぁ!まるでそうめんだね!」 澪「……私が揖保の糸なら律は何だ?めんつゆか?」 律「はは!それいいな!私らはそういう感じだよなぁ!」 澪「う、うん……ふふっ!」 律「唯はあげ、ムギは沢庵、梓はネギ、さわちゃんは……」 澪「薬味だな。一味は欠かせないぞ」 律「私は七味の方がいいけどな~」 澪「七味は騒がしい感じがするんだよ」 律「まあ放課後ティータイムは誰一人欠けちゃダメだってこったな」 澪「ていうかお腹すいた」 律「何だ人がいい話っぽくまとめようとしたのに」 澪「律がそうめんとか言い出すから食べたくなっちゃったし」 律「ははっ私も」 幼律『みおちゃん!しょうらいなにになりたい?』 幼澪『みおはね~、しょうらい王子さまのおよめさんになるんだ!』 幼律『あははは!王子さまなんているわけないよ~!ガッキだねぇ!』 幼澪『む~!いるもん!』 幼律『いないって!それより夢はでっかくトラクターだよ!』 幼澪『……目の前にいるもん』ボソッ 幼律『はぁ?なに~?聞こえないよう、みおちゃん?』 幼澪『うっうるさいっ……バカ』 幼律『またはずかしがっちゃってぇ~……へっへっ、そんな子にはぁ』 幼澪『なっなに?りっちゃん……りっちゃん!?』 律『うへへへへ!よいではないか!よいではないか!』 幼澪『きゃあああぁーーー!!』 澪「はっ夢か……いい所だったのに……」 …スキー当日 さわ子「あー、着いた着いた~」 律「流石ムギ!人が少なくて穴場って感じのいいゲレンデだな」 澪「雪質もいいぞ!サラッサラのパウダースノーだ!」 紬「喜んでもらえて何よりだわ」 唯「パウダースノーって?」 澪「滑ると気持ちいい雪なんだ!きっと唯も気に入るよ!」 唯「でも雪見てると雪だるま作りたくなるよね」 梓「雪合戦も捨てがたいですよ」 澪「いやっ滑ろうよ!?」 和「唯と憂ちゃんは初心者だって分かってるけど、梓ちゃんもそうなの?」 梓「私はソリ派ですから」 憂「でも梓ちゃんソリやれる所は子供ばっかりだよ?」 梓「ソリマスターだし」 律「極めてんのかよ」 梓「唯先輩もやりますよね?」 唯「えっ?私は澪ちゃんに教えてもらうって約束したからやらないよ」 梓「なっ!?」 澪「ああ、教えるぞ唯!」 さわ子「観念した方がいいわね梓ちゃん。一人でソリはかなり惨めよ」 律「あはは~!何なら私が付き合ってやってもいいぞ梓! マスターのお手並み拝見したいからな!」 梓「うぐぐ結構です……」 唯「一緒にがんばろっ!あずにゃん!」 梓「仕方ありませんやってやるです」 唯「わ~い!えへへー!」ガバッ 梓「苦しい(だけど気持ちいい)」 憂「お、お姉ちゃん私も頑張るよ!」 紬「うふふふ」●REC …… 澪「唯そろそろやるぞ~」 唯「えへへ~、よろしくね澪ちゃん!」 …… 律「じゃあ梓には私がマンツーマンで教えてやるよ」 梓「えっ律先輩がですか?」 律「何だ?不服かぁ?」 梓「いえ我慢しますから」 律「引っかかる言い方だな……まぁいいや」 梓「これでも我慢強い子ですから」 律「そんなにイヤなのかよ!」 …… 和「憂ちゃんには私がコーチするわ」 憂「よろしくお願いします」 紬「じゃあ私はその様子をビデオに収めるわね」 さわ子「じゃあ私は一人で滑ってくるわ」 紬「あっ!さわちゃん待って……斎藤ッ!」 斎藤「はっお呼びで」 紬「悪いけどみんなの様子を私の代わりに撮影しておいて!」 斎藤「御意にございます」 さわ子「いや~、ホントまめねぇムギちゃんは」 …… 律「まずは片足スキーやってみよ~か?」 梓「こうですか?」 律「そうそう。感覚つかめるまではそれな」 梓「はぁなるほど、これなら下手に転びませんね」 律「ああ。じゃあ私ちょっと滑ってくるから」 梓「ええ~……」 律「頑張れよソリマスター!」 梓「やかましいです!」 …… 澪「次は転ぶ練習だ」 唯「ほぇ?転ぶだけなの?」 澪「スキーは危険なスポーツなんだ。転ぶ練習は基本だぞ」 唯「そっか!やってみるね!」バタッ 澪「あっそうじゃなくて手を使わずに横向きに」 唯「つめたっ!」ゴロゴロ 澪「いや転がるんじゃなくて……」 唯「これシロップかけたら食べ放題だよね!」 澪「お腹こわしちゃうよ……」 …… 和「歩く事には大分慣れてきたようね」 憂「はい何とか」 和「いやあ、すごい飲み込み早いわよ憂ちゃん。 じゃあ止まり方だけどこんな感じで」 憂「こんな感じですか?」 和「そうそう……それで曲がり方はこうね」 憂「こうですか?」 和「ああなるほどそんな感じ」 憂「なるほど?」 …… 澪「あっ憂ちゃんもう軽く滑ってるのか!?」 唯「はうぅ……私なんてまだちゃんと歩くのもダメなのに」 澪「いっいや唯は普通だ!憂ちゃんが異常なんだ!」 唯「そうだよね憂はガチャピンだもんね!」 澪「そうだ憂ちゃんはガチャピンだから仕方ない!」 …… 梓「私はいつまで片足スキーやってればいいんでしょうか……」 律「よ~、お二人さん」ズシャー 紬「あれ?りっちゃん?」 さわ子「上手いわね。流石に運動神経がいい」 律「いやスキーに関しちゃ澪の方が断然上手いんだけどな」 紬「そうなんだ」 律「うん私も教わった位だし」 さわ子「おっぱい大きいからね」 律「おっぱいは関係ないだろ」 紬「さわちゃんも大きいもんね」 律「そりゃ良かったな」 …… 唯「あう~……澪ちゃんも滑ってきなよ。私なら一人で練習してるし」 澪「気なんてつかうな。ちょっとずつ上手くなってるって唯」 唯「ほ、ほんと~?」 澪「ウソなんて言わないよ。緩い所でちょっと滑ってみるか?」 唯「うん滑る!」 澪「緩くても結構スピードは出るからな。やばいと思ったらすぐ止まるんだぞ」 唯「ひゃいっ!」ドキドキ 梓「あっ楽しくなってきたかも……ふふっ」ズリズリ 唯「わわ、わわわ……」ヨロヨロ 澪「やった!滑ってる!滑ってるよ唯!」 唯「あうっ」ドスン 澪「あっ大丈夫か唯?」 唯「みっ澪ちゃん見たぁ!?澪ちゃんのおかげだよ!」 澪「うんすごい!唯すごいよ!」 憂「お姉ちゃん!」ズシャー 唯「わっ!うい~?」 憂「大丈夫お姉ちゃん大丈夫!?」 唯「大丈夫だよ~」 澪「尻餅ついただけだって」 憂「良かった……スキーは危ないから心配で」 和「憂ちゃん待って早いわ」 憂「ごめんなさい和さん……お姉ちゃんがフラフラしてるのが見えたんで」 唯「もう~憂は心配しすぎだよぉ~」 澪(既に和より上手そうだな……) 唯「私だってちゃんと滑れるようになったんだから!」 憂「ええっすごい!やっぱりお姉ちゃんすごいよ!」 唯「えへん!と言いたい所だけど澪ちゃんのおかげ~!」ガバッ 澪「わっ!ちょちょっと唯!?」 唯「大好き!」チュッ 澪「うっわわわわわっ!ゆっ唯いいっ!」カァー 和「うは大胆ね唯ったら」 憂「……」 澪「何て事を何て事を!わ、私のファーストキスを!」 唯「えっごめん私じゃイヤだった?」 澪「イヤって言うか……なっ何でだよもう~!」 憂(落ち着け……お姉ちゃんを数えて落ち着くんだ……) 唯「良かった!じゃあ別にいいんだね!」 澪「良くなんかないもん!」 和「ちょっと唯が羨ましいかな」 憂(1……1……1……1……1……) 2
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1 2 3 4 5 6 梓澪唯 ※レズ系・未完結! 2010/05/30 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1275221820/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 圧倒的な文章力 -- (名無しさん) 2012-09-26 01 44 12 これは…! -- (名無しさん) 2012-09-25 03 16 41 これ本当に好きなんだ…ずっと待ってるよ -- (名無しさん) 2012-09-25 00 54 58 くぅ…これはマジに続きが欲しい… -- (名無しさん) 2011-12-07 01 24 09 梓→澪→←唯が正しい表記では? -- (名無しさん) 2011-11-20 05 09 59 好き嫌いが分かれそうなのに平和な米欄、それだけ良い文章って事だよな -- (名無しさん) 2011-11-20 05 00 50 「悩み事がある」 「おう」 「それだけ」 「おう!?」 のやりとりで不覚にも吹いた。 まれにみる良作の予感なのに、未完はもったいないな。 -- (名無しさん) 2011-11-17 15 46 33 冷たく澄んだ澪の視線は、梓の炎を逆に燃えたぎらせた。追い込まれた彼女が唯に仕掛ける甘い罠。堕ちていく梓を見つめる律の瞳は、救いとなりえるのか。すべてを見てきたムギが遂に動きだす。次回「ムギ別荘の熱い夜」。来週もサービス、サービスぅ! …と行ってもらいたいとこだ。 -- (続いてほしいってことさ) 2011-11-17 00 53 38 これは鬼畜澪ちゃん -- (名無しさん) 2011-11-16 14 07 53 おもしろい! -- (名無しさん) 2011-11-16 12 24 14
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***** 私は恐れていた。 同性愛者として、世の中からどのような目で見られるのか…その視線を恐れた。 恋をすることなく、普通に生きることに退屈さを感じながら、 「普通」からはみ出し、 「みんな」から違ってしまい、 「異端」として罵られることを。 好奇と嫌悪の目に見られることを恐れていた。 あれから…曜子との関係は続いている。 但し、二人きりで逢うのは、一週間で一度だけ。 曜日は決まっていない。 私から誘うことはない。 でも彼女に誘われたら私は断らなかった。 その日が無理なら別の日に必ず二人で逢うことにした。 再会したあの日と同じように、レストランで食事をし、ホテルのバーでお酒を飲み、夜を明かした。 周囲から見れば仲のよい友人にしか見えなかっただろう。 曜子は私にまとわりつくような行為は一切取らなかった。 困らせるようなことは何もしない。 逢うのは必ず一週間に一度。 メールも電話も必要最低限。 どこに行きたいとも、言わない。 逢うのはいつも同じレストラン、ホテル。 彼のことをとやかく言うような愚かなことも何一つしなかった。 それが却って不気味だった。 私は曜子の手のひらの上でもて遊ばれているようだった。 ゆっくりと、しかし確実に絡めとられてゆく。 そうして彼女から離れられないようにさせられていった。 私はいつのまにか、曜子から連絡が来るのを、彼女に逢う日を、心待ちにするようになっていた。 私は曜子に恋をしていたのだろうか? 未だに恋とは何かわかりかねている私にとって、 そのときの自分の心の動きを恋と名付けてよいものかどうか判別できなかった。 もし私が曜子に恋をしているのだとしたら、長年の疑問に答えを出すことができる。私が今まで恋をしなかったのは…相手を男性に限定して考えていたからだ、と。 けれどそれは私にとって恐るべき真実だった。 恋を知らぬこと以上に、世間から白眼視されることの方が、 私にはよほど恐怖だった。 だから私は真実をねじ曲げ、奥底に押し込めようとした。 「ねえ澪。私、あなたの彼に会いたいわ」 ある日、曜子の口から、恐れていたひと言が漏れた。 「やあね、そんな引きつった顔をして。何もしやしないわよ」 曜子はカラカラと笑った。私は嫌だと断った。 「嫌ならいいわ。その代わりもう澪とは二度と逢わない」 私は押し切られるようにして、二人を引き合わせた。 彼は、私と曜子の偶然の再会を興味深く聞き入って相づちを打った。 へえ、そんな偶然もあるものなんだね、と。 昔から仲が良かったの?と聞く彼に、曜子は笑顔で答えた。 「そうなんです。私たち、高校時代親友だったんですよ」 「でも大学が別々になってから連絡が途絶えちゃって…再会できたのは運命なのかもしれませんね」 「最近よく澪には付き合ってもらってるんです…私、澪のことが大好きなんです」 そういって曜子は私の方を見た。 その表情にはいつも通り蠱惑的な笑みが浮かんでいた。 彼は私の高校時代を知らない。 昔、音楽をやっていたこと、女子高にいたことくらいしか知らない。 唯のことも、ムギのことも、梓のことも、そして、 律のことも、知らない。 曜子と私が高校時代親友だったと言われて信じてしまうくらい、 彼は私のことを知らない。 その日の晩。曜子から電話がかかってきた。 シャワーを浴び終えたばかりだった私は、慌てて電話を取ると、職場から呼び出されたと嘘をつき、まだ湿っている髪もそのままに彼のアパートを飛び出した。 曜子は私のアパートの前に立っていた。 「ごめんね、急に」 「困るよ」 私は不愉快な感情を隠さなかった。 曜子がこんな行動を取るのは初めてだった。 私は今まで私が築いてきた「普通」の生活が揺らぎ始めていることに恐れを感じていた。 「あら、髪、湿っているじゃない」 「いいよ、そんなこと、どうでも」 「よくないわ、風邪ひくわよ。冬だもの。1月よ、今」 「そんなことどうだっていいって言ってるだろ。なんで急に電話なんてしてきたんだ」 「何を怖がっているのよ」 「何も怖がってない」 「怖がっているわ」 「怖がってない!」 「大きな声を出さないで…取りあえず中に入れて。いいでしょ?」 扉をあけて、私が先に部屋に入る。 私について部屋に入った曜子は後ろにまわして右手で鍵を締めた。 「ねえ、澪」 後ろから声をかけられて振り向くと、不意をつかれて唇を奪われた。 「キス、したくなっちゃったから♪」 「やめろよ、そういうことするの」 「あら、何言ってるの?こういうことするの、大好きなくせに」 「バカなこと言うな」 「何怒ってるのよ。本当なら澪が私に怒られなきゃいけないところよ」 「なんで私が怒られなきゃならないんだよ」 「私は今日一日、恋人が別の男といちゃつく様子を見せられていたのよ、 つらかったわ。とてもつらかった」 「お前が会わせろって言ったんじゃないか!」 「そうよ。でもいざ会うと、やっぱりつらいものよ」 「勝手だな」 「勝手よ。でも恋ってそういうものじゃない」 「私にはわからない」 「そうね、澪にはわからないわ。嘘ばっかりついてる澪にはね」 「私は嘘なんてついてない」 「そうね、澪は正直なところもあるわ。だって私の誘いを絶対に断らないもの」 「…それは」 「認めたくないの? そうよねずっとそうやって大事なときに嘘をついて、 自分を偽って、逃げるのね。 『まとも』じゃなくなくなっちゃうのが怖いんでしょ? 無理よ、あなた。もう『まとも』じゃなくなっちゃっているわ。 今更なによ。 昔からずっと、あなたは嘘ばっかり。 そしてこれからも嘘をつき続けるの。 『まともな』フリをし続けるためにね」 「…何が言いたいんだ」 「本当にわからないの?」 「わからない」 「結婚するんでしょ、あの男と」 「…聞いたのか」 「聞いたわ。あなたが席を外した時にね。喜んでいたわよ、彼」 「…」 私はため息をついて、ソファに座り込んだ。 曜子はコートも脱がず立ったまま、私を見下ろしている。 「隠していたわけじゃない。そのうち言おうと思っていたんだ」 「別に私、そんなこと気にしないわよ。澪が結婚しようが、しまいが」 「…そうなのか?」 「関係ないわよ。だって私、澪と結婚したいわけじゃないもの」 「それに結婚してもしなくても… どうせ澪は私を捨てるわ」 「…そんなことは」 「あら、本当? じゃあ一生、私の側にいてくれる?」 「…」 何も言い返すことができなかった。曜子はいつものように私の瞳を見て、言った。 「うそつき」 「…用事はなんなんだ。呼び出したんだから何かあるんだろ?」 私は話題を変えた。こんな話をするために、呼び出したんじゃないだろう。 「来てくれて嬉しい、本当に嬉しいわ。 少なくともあの男よりは私のことを愛していてくれるのね」 それともなにかしら。 私があなたたちの『しあわせな結婚』を邪魔するとでも思った? それで必死になって駆けつけたのかしら?」 「本気で怒るぞ」 「怒りなさいよ。 澪、あなたには本気で私を怒ったりなんてできないわ。 だってあなた、私を愛していないもの。 愛していないことに後ろめたさを感じているわ。 欲望に溺れてただそれを目当てに私と付き合っていることに、 罪の意識を感じているでしょう。違う?」 私は我慢ができずに曜子の頬をはたいた。 乾いた音がして、彼女の横顔が赤く腫れた。 「あら。少しはかっこいいこともできるのね」 「…バカにするな」 「ついでだから、もう一つ教えてあげるわ。 私ね、言っちゃった♪」 曜子はたのしそうに、本当にたのしそうに笑って言った。 「あなたの彼にね、『私は澪と付き合っているんです』って♪」 「な…」 「最初はね、理解できなかったみたい。 だからね…丁寧に説明してあげたの。 私と澪が、どれだけ逢瀬を重ねているか… どれだけ互いを求めあっているのか…。 ウフフ…傷ついてたみたいね~♪自分の婚約者が浮気してた…しかも『女』と」 私は何も言い返すことができない。 「あら?もしかしてまったく気づいてなかったの? さっきまで彼と一緒にいたんじゃなかったの?」 いたさ。でも…わからなかった。私の目にはいつもと変わらないように見えた。 「あらあら…澪ったら、本当に彼のこと、何一つ見ていないのね。 どうなっちゃうのかしらね?あなたたち。 結婚、ダメになっちゃうかもね」 音を立てて崩れていく。 大切なものを代償にして、手に入れたいと願った『まともな』人生が。 「アハハ、いい気味よ。罰が当たったのよ」 曜子の甲高い笑い声が、部屋中に響いた。 「澪、あなたはこれまで一体、どれだけ多くの人を傷つけてきたのかしら?これはね、その報いよ」 私の目を強く見据えて、言い放つ。 「あなたは、きっと誰にも愛されない。 目の前の相手を愛したフリだけして…それが嘘って気づいたとき、 相手がどれだけ傷つくと思う? ずっと嘘をついて、たくさんの人を傷つけて… どれだけ罪を犯したかわかっているの? それなのにまるで純粋無垢なフリをして、 これからも嘘をつき続けて…『まともに』生きていこうなんて…」 『わたしはぜったいゆるさない』 今まで必死で守ろうとしてきたことが、全て壊されてしまった。 恋を知らず、そして「まともに」生きていくことも叶わず。 「でもね澪。私はそんなあなたが大好きよ。愛しているわ、澪」 曜子は私を…自分から離れられなくしようとしているのだと思った。 私はもう、それでもいいような気がしていた。 「まともに」生きていくことができないのなら、曜子と生きてもいいように思えた。彼女なら…彼女だけは、私を愛してくれる。 誰か一人でも私を必要としてくれたなら、それだけで私は生きていける。 「だからね、あなたのことが大好きだから…今日はね、どうしても伝えたいことがあったの」 「私たち、別れましょうか」 「澪に逢うのはこれで最期。もうあなたの前には現れないわ」 「なんで…私が結婚するからか…?」 「ううん」 「じゃあなんで…」 「傷つけてやりたかったからよ」 「なんで…なんでそんな…」 「私だけは、あなたのことを愛していると思った?」 「……」 「そうよ。愛しているわ、澪。 だからあなたと別れるのよ、あなたのためよ。 狂ってしまいなさいよ、外れてしまいなさいよ。 『まともに』生きようなんて…あなたには無理なのよ。 恋をしたらね、狂ってしまうの。 澪、あなたはずっと、恋をしていたでしょう? 狂っていたのよ。それなのに本心を閉じ込めた。 だからあなたの恋心はいびつに歪んでしまった。 そうやって苦しんでるあなたを見ているの…ツラかったわ。 だからなんとかしてあげたかった。 無理をするのはやめなよ…そんなのちっとも『まとも』じゃないわ。 私はね、傲慢なことを言うようだけど、これが私の役目だと思っているの。 あなたのこと、大好きだから。愛しているから。 澪を愛している私だから、あなたを縛り付ける鎖から解き放ってあげなきゃいけないって思っているの。 素直に、なりなよ」 曜子の瞳は赤く潤んでいた。 彼女が泣くの見るのは、はじめてのことだった。 「ねえ、澪。 少しは…ほんの少しくらいは…私のこと、好きだった?」 「…………ああ」 「そう。ありがと。 でも…『好き』って言葉に出して言ってはくれないのね」 私は自分でどうにもならないくらい残酷らしい。 いつも嘘ばかりついているくせに、なんで肝心なときに…やさしい嘘をつくことくらいできないのだろう。 「わかってるわ。私は澪を抱くことを、澪は私に抱かれることだけを望んだ。 ただそれだけの関係でしょ。それも今日でおしまい」 「…ごめん」 「いいのよ。私が澪をそうしたんだから。 …こうしてね、まだ澪が私に抱かれたいと思ってくれているうちに、 澪の身体が私を覚えているうちに、別れを告げようと思っていたの。 それに…あなたを傷つけてやりたかったの。 そうすれば、澪は私のことを覚えていてくれる。 ずっと忘れずにいてくれる。 忘れられるのは悲しいもの。高校生のときみたいに。 今日だって、呼び出せば必ず澪はやってくるってわかってた。 あなた、ホントにエッチなんだから」 曜子は笑った。 でもその瞳にはいつものように私を惑わせる光は宿っていなかった。 「私…こうして澪のこと…『秋山さん』じゃなくて『澪』って下の名前で呼ぶことができるだけで…本当に幸せだったわ。 ありがとう、澪」 「ありがとう、曜子。曜子に逢えて、私、よかった」 「うそつき。あなたのうそにはもう、うんざりだわ」 そう言いながら言葉とは裏腹に、曜子はフッとほほえんだ。 そして、スッと手を伸ばし、私の二の腕を掴んだ。 「ほら、行くわよ」 「え?どこに!?」 「決まってるじゃない。 桜ヶ丘に帰るのよ」 「はぁ!?何で?!」 「はいこれ、高速バスのチケット」 「おい!いつの間にこんなもの…何なんだよ一体!」 「善は急げっていうでしょ、ほら、もたもたしない!」 曜子は強引に私を連れ出してマンションの外に出た。 そこにはもうタクシーが待ち構えている。 「思ったより待たせちゃったわ。悪いことしたわね」 「ちょ、ちょっと!わけがわからないよ!ちゃんと説明してくれ!」 「いつまでもうじうじしてたら何も変わらないの。 私みたいに行動に出さないとダメ」 「え?」 そうして私をタクシーに押し込むと、駅に向かうよう運転手に言付けた。 「さよなら、秋山さん。 ちゃんとお膳立てしたあげたんだから、気持ち、伝えないとダメよ」 『さよなら。秋山さん』 4
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ガキの頃、じいちゃんと散歩するのがすごい好きだった。 その日もじいちゃんと散歩してたら俺が893にぶつかり絡まれた。 じいちゃんも平謝りだったが「骨折れた~」「慰謝料だ~」と煩かった。 あまりに煩かったので「そんなんで折れないよ!」 と俺が言うと「うるせぇクソガキ!」と頭を叩かれた。その瞬間じいちゃんが 「ぐぉるぁ!うちの孫にぬぁにぃしてんだてめぇ!!」とぶちギレた。 さすがに怖かった。そのあと「おめぇら○○組だな?○○(組長の名前)呼んでこい!!」 びびった893は急いで事務所に電話。 5分位で組長登場。組長が頭を下げる姿を見て、は初めて事態を把握したようだった。 少し離れたとこで話していたため話の内容は解らないが、「指はいらん!孫に詫びろ!」と聞こえた。 そのあとは893が俺に土下座。後日、菓子折り持ってうちに詫びに来ていた。 後日談だが、じいちゃんは昔、相当ブイブイ言わせてたらしい。 「ばあちゃんには内緒だよ。」と笑いながら話してた。
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玄関を上がってリビングに入ると、大きなソファーがあった。 これは目一杯寛ぐしかないっ! 「だいぶっ!!」 「こら。せめてギターは置かないと、傷付くぞ?」 「大丈夫だよ、ギー太は強い子だもん」 「……大丈夫そうに見えるのに傷付いてることって、よくあるだろ」 澪ちゃんがぽつりと言った。その言葉は不思議と切ない響きを持って聞こえた。 「澪ちゃん?」 「それじゃ、私は料理を作るから。ゆっくりしててくれ」 そう言って、それきりキッチンの奥に隠れてしまった。 手伝いにいこうかな。でも、もう少しだけお客様でいたいかも。 しばらくすると、フライパンの上で何かの焼ける音と一緒に、香ばしい匂いが立ち込めてきた。 ソファの上に寝転がってそれらを楽しんでいると、意識の外から睡魔がやって来て、私はうとうと眠り込んでいた。 それから、どのくらい経ったのだろう。 頬の上をなにか絹のようになめらかなものが滑った。 その感触に目を開けた。そこには、澪ちゃんの顔が間近にあった。 「あ……」 息もかかるくらいの距離。澪ちゃんの深い色をした瞳の底まで見えそうだった。 さっき感じたのは長い黒髪が私の頬を撫でる感触みたいだった。 澪ちゃんは金魚のように口をパクパクさせて、言葉が出ないくらいに驚いている。 「……どうしたの?」 「い、いやいや! これは……そのっ」 口元に手を当てて顔を真っ赤にしている澪ちゃん。 いったいどうしたんだろう。 「あっ、オムライス出来たんだ! 早く食べよう!」 「う、うん」 澪ちゃんのオムライスには、それぞれケチャップで名前が書かれていた。 そして、私のほうにはハートマークのオマケ付き。 可愛いのが好きな澪ちゃんらしいけど、さすがに自分の名前にハートマークを付けるのは躊躇われたらしい。 いただきますを言う前に、私はケチャップで『ミオ』の隣にハートマークを書き足した。 「さっ、食べよー食べよー!」 「……い、いただきます!」 澪ちゃんはやけに力強く言った。 二人で食事をしながら、他愛もない話を沢山した。 主に昔話が中心で、私は憂や和ちゃんとの思い出をいっぱい聞いてもらった。 「律ちゃんはどんな友達だったの?」 「律は……、やたらとちょっかいを出してくる奴だった」 「あはは! あんまり今と変わらないかも」 「ふふっ、そうだな」 澪ちゃんは律ちゃんの話になると、とてもよく笑った。 それはまた一つの発見だったし、なぜだか悔しくも感じられた。 「お風呂、沸いたみたいだから先に入っちゃってくれ」 「ええー? 澪ちゃん一緒に入らないのー?」 「ぶっ!! げほっ、げほっ!」 わ、澪ちゃんの口から霧吹きみたいにお茶が……じゃなくて! 「だ、大丈夫?」 噎せただけだ、と澪ちゃんは苦しそうに取り繕った。 「だいたい一緒になんて……」 「お泊りの恒例行事だよっ!」 「でも、さすがにウチのお風呂は狭いから」 恥ずかしさ半分、戸惑い半分のようで、頑なに拒まれてしまう。 なんとか一緒に入って遊びたいのに。 「お願いっ! ……ダメ?」 私はちょっとだけ上目遣いを意識して澪ちゃんに手を合わせた。 この頼み方は、憂には効果覿面なのだ! 「……どうしてもって言うなら」 果たして、澪ちゃんは見事に折れてくれた。 やった! 「ありがとー! 背中流してあげるからっ!」 「あ、ああ……」 狭いと言っていたわりに、意外とゆったりとしたバスタブからは、お風呂場いっぱいの湯煙が立ち上っている。 「なにやってるの?」 脱衣所にある洗面台下の戸棚を漁っている澪ちゃんに私は尋ねた。 「ここらへんに入浴剤があったはずなんだけど……お、これか?」 「はやくぅ」 「さ、先に入っててくれよ」 「うん」 私はタイをほどいて制服を脱いだ。ライブで汗をかいたから、少しだけ匂いが気になった。 澪ちゃんはこちらに背を向けたまま、特に何を探す風もなく座り込んでいる。 狭い脱衣所に会話はなく、ただ私の衣擦れの音が響いた。 「じゃあ、お先に入るよ」 「ああ、寛いでくれ」 こちらを向かずに話す澪ちゃんはちょっと恥ずかしがっているように見えた。 「おおぅ……いいお湯ですなぁ」 ゆったりとした湯舟に浸かると一日の疲れが身体から溶け出していった。辺りを見回すと、うちとは違って様々なものが置かれている。見慣れないシャンプーに、身体を洗うスポンジ。澪ちゃんが使うものってだけで、私には相応しくない高尚なものみたいに感じた。 「ゆいー? 入るぞ」 来たっ! 「どうぞー」 おずおずと澪ちゃんが入ってきた。 白く柔らかな輪郭の肢体をタオルで隠して、顔は隠しようもなく真っ赤になっていた。 「これ、入浴剤。けっこういい匂いなんだ」 「じゃあさっそく」 湯の中に入れると紫色が広まり、ラベンダーの香りが漂う。 これが、澪ちゃんの好きな匂い。 「はぁ……、アロマ効果ってやつだね」 「なかなか落ち着くだろ」 「ほんとに。あ、背中流すから座って?」 「う、うん」 澪ちゃんの後ろに私は座った。 黒い髪が背中にかかると、和紙に墨を流したように艶やかだった。 「やっぱり邪魔かな」 そう言って、澪ちゃんが髪をタオルで束ねた。陶器のような、日の光を知らないうなじがあらわになる。 ごくり、と音がした。私の喉が無意識に鳴らした音だった。 堪らなくなって、そこへキスを落とした。 「ゆ、ゆいっ……なにを!」 目を丸くして澪ちゃんは抗議の声をあげた。 その声にはっとしたとき、とんでもなく大それたことをしていたのだと私は初めて気付いた。 「ご、ごめんね。なんかこう、ちゅってしたくなって」 「び、びっくりした……。やめてくれよ、もう……」 澪ちゃんは私のキスを嫌がっていた。当たり前かな、女の子同士なんだから。 抱き着くくらいのことは今まで何度もしたことがある。澪ちゃんは恥ずかしがり屋だから、 くっつくといつも逃げられてしまっていた。 いつもなら照れ臭そうに私を叱ってくれるはずなのに、今日に限っては違った。無理もないことかもしれない。 いきなり何も言わないでキスなんてしたら、気持ち悪いに決まってる。 でも、どうして私は傷付いてるんだろう。 どうして私は――― 「―――嫌、やめてあげない」 何か黒くてドロドロしたものが胸に広がるのを感じながら、私は澪ちゃんの背中の真ん中に人差し指を走らせた。 「んっ……って、こら」 「澪ちゃん、背中弱いんだ」 「や、唯……なにをっ」 指で描いた線をなぞるように舌を這わせると、澪ちゃんが大人しくなった。 何かを我慢するように肩を震わせて、黙っている。 構わず、舐めつづけた。時折震えが大きくなる場所があって、そこが特に弱いんだって判った。 澪ちゃんのそうした可愛らしい仕草の一つひとつが私を高ぶらせる。 しちゃいけないことをしている感覚が、麻薬のようにくらくらさせる。 頭の中のどこか冷静だった部分までもが、熱く蕩けていく。 今日はとても汗をかいたから、澪ちゃんの匂いや味がはっきりと判った。 黒髪はシャンプーを薄めたような甘さを漂わせている。 澪ちゃんを後ろから抱きしめた時に感じたことのある匂いだ。 けれど私を一番に刺激するのは、葉の香に似て湿っぽい汗の匂い。なめとると少しだけしょっぱい。 首筋から耳の後ろにかけての場所が特に強く感じられる。 次第に呼吸が乱れてしまう。 みっともないのに、浅ましくも興奮してしまっている。 どうしようもなく欲情している。 女の子が隠したがる、この匂いに。 我を忘れて私は澪ちゃんに口づけた。 柔らかい唇の感触を楽しんでから舌を滑り込ませると、そこはとても熱かった。 舌先の輪郭がよく分からなくなっていく。 二人で溶けてしまって、唇と唇で繋がる奇妙な生き物になった気がした。 そのうちはっきりとした感覚が戻ってくる。 無意識のうちにいやらしく舌を動かしながら、夢中で澪ちゃんを貪っていた。 綺麗に並んだ歯の滑らかさや、内頬のぷくりとした肉感。 それらを愛おしく思いながら、中々こちらに絡んでくれない小さめの舌をくすぐる。 「……んぅ、………ちゅ……っふはぁ、はぁっ」 唇を離して澪ちゃんの顔を見つめると、いまにも泣きそうな顔をしていた。 うっすらと目に浮かんだ涙は悲しい色に見えた。 その濡れ艶めく双眸が、私の中の嗜虐心に火をつけた。 なにか澪ちゃんに酷いことをしてやりたい。 泣き叫んでも、懇願しても、止めてあげない。 「ごめん……唯、私は」 何かを言いかけた口をまた塞いで舌を絡めた。 本気で私を嫌がっているなら、この舌を噛み千切ってしまえばいいんだ。 その肉片を忌ま忌ましそうに吐き出して、私に見せ付ければいいんだ。 澪ちゃんの胸の先を弄ぶと、甘い声が漏れる。爪をたてて潰すたびに身体がビクリと跳ねる。 その反応の一つ一つが愛おしかった。 「……ごめん…ぁっあ……」 澪ちゃんはきつく目を閉じていた。 切なそうに声を上げながら、決して謝ることを止めないのが癪だった。 「なんで、謝るの」 私が尋ねても何も答えてくれない。 「私に謝らなくちゃいけないようなこと、なにかしたの それとも誰か別の人に謝ってるの」 澪ちゃんは私の顔をじっと見つめて、 「ごめんな」 言いながら、その腕が私の頭を包んでくれた。 腕の中は柔らかくて、ちょっと幸せな感じがした。 もっと怒りたいのに。なんで謝るのって怒鳴りたいのに。 沸々としていた思いは煙りのようにすぅっと消えて、 後には澪ちゃんに抱きしめられているという幸福な事実だけが残されていた。 「ゆい、ごめん」 回された手に、ギュッと力が込められた。 私はどうすればいいのかな。抱きしめ返してみようかな。 澪ちゃんに縋り付くと、安心できた 。耳元でまた、ごめんと澪ちゃんが囁いたのを皮切りに、涙が溢れてきた。 ―――私はおぞましいことをしていた。 澪ちゃんの気持ちを考えずに一人で突っ走って。 「澪ちゃん、わたし……」 「ごめん、大丈夫だから」 澪ちゃんは、もう心配するなというように私の言葉を遮った。 それきり、私は言うべきことを見失った。 何をどう話せば私を分かってもらえるのだろう。 たとえ謝っても、澪ちゃんはきっと私を叱ってくれない。 大丈夫だからと私を宥めて、亀裂が入ってしまった関係にこれ以上触れるのを拒むに違いない。 「そろそろ、湯舟に浸かろう。寒いから」 何事もなかったかのように、私達は肩を並べて身体を温めた。 澪ちゃんの隣にいられることに少しだけ安堵したけれど、 大きく開いてしまった溝をどう埋めればよいのか分からないままだった。 澪ちゃんは怒っているのだろうか。それすらもはっきりしない。 ただ一切の感情がなくなってしまったような瞳で、張られたお湯の表面をぼんやりと見つめている。 その表面の揺れのように、澪ちゃんは小刻みに震えていた。 今の私は澪ちゃんにとって恐怖の対象でしかないようだ。 いつまた盛り始めるか分からない雄犬。 怯えを拭うために私が手を伸ばせば、さらに恐怖を助長してしまう。 私は先にお風呂を上がることにした。 「……ごめんね」 浴室を出るときに小さく言ってみたけれど、澪ちゃんに届いたかどうかは分からない。 ずきりと指先が痛んだ。ああ、切っていたんだっけ。 私は自己嫌悪のための溜息を一つ、ついた。 「私の部屋に布団、敷いておいたぞ」 お風呂あがり。 濡れた黒髪を拭きながら澪ちゃんが言った。 「あ、ありがと澪ちゃん」 さっきまでのことは本当に無かったことになったみたいだった。 それがいいのかもしれない。 私は澪ちゃんの傍に居たい。ずっと友達でいたい。 だから、私たちの間には溝なんて作られなかった。そういうことにしたい。 それで本当にいいのかな、という自問の声を私は押し殺した。 「もう遅いし、そろそろ寝ないか? 今日は唯も疲れただろ」 「えー? もっとこうして澪ちゃんと話してたいよー」 「じゃあ私の部屋で話そう。横になりながらさ」 階段をのぼって、澪ちゃんの部屋にお邪魔する。 可愛い部屋だった。愛用のヘッドフォンや、本棚に収められた小説。 いつも澪ちゃんがどんな風に過ごしているかがよくわかる。 ふと、机に置かれたノートに目が留まった。 「さく、しよう……?」 「わぁああっ! 勝手に見るなよ唯!」 「えへへ、ごめんごめん」 どうやら歌詞を書くために使っているノートらしい。 澪ちゃんは私の手からノートを取って、机にしまい込んでしまった。 「ぶー、澪ちゃんのけちんぼ」 「だって恥ずかしいじゃないか、こんな……」 「ねぇ、見せてもいいって思えるのだけでもいいから、見せてよ」 「えー……しょうがないな」 一旦しまわれたノートが、また机の上に出される。 恥ずかしいと思いながらも、自分の世界を誰かに見てもらいたいと思う気持ちのほうが、澪ちゃんの中で強いみたいだった。 「さよならシャボン玉」 「音読するなっ!」 6