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おわらないざんぎょう【登録タグ GUMI MEIKO お 曲 涼介P】 作詞:涼介P 作曲:涼介P 編曲:涼介P 唄:MEIKO(MEIKO版)、GUMI(GUMI版) 歌詞 (ピアプロより転載) 冷や汗がだらりと落ちて 余裕もすでに顔から消え シンデレラも門限を過ぎて ラストトレインに望みをかける 人件費削減?経費節減? 全社効率化?組織再編? 労働基準法?36協定? フロアに味方は一人もいない 冗談じゃない! こんな意味ないルーチンワーク 6時で退社のA君は今頃合コンで王様ゲーム? ヤバイんじゃない? 駅まで徒歩15分 yahooにgoogle教えてちょうだい 近くにマンガ喫茶はありますか 涙が不意にぽたりと落ち ペヤングの塩味と混ざる 学生の頃食べてた時は もっとおいしかったはずなのに 部下を使え?時間を使え? 足を使え?頭を使え? 抱え込みすぎ?要領悪すぎ? 働くために休みください あんまりじゃない! ボロ雑巾で帰れなくて 体壊して入院したって労災すらも使えないでしょう もーいんじゃない? 8時退社のB君は夜遅くまでヤフオクしてて 次の日寝坊して遅刻ですって 自殺率も増えていますし 過労死だって有り得ますし 休みだって寝てるだけだし デートなら布団でしたいし 会社は守ってくれないし 同僚もかばってくれないし 机の書類は崩れんばかり これって普通のことですか? …え? 限界じゃない? 体も心も財布も家も さっき横断歩道で信号の色間違えたばかりで ぶっちゃけて メリットとデメリット考えて いいほう、選んでいきましょうよ それはきっと、恥なんかじゃないって コメント 名前 コメント
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【検索用 そつろんかおわらないうた 登録タグ VOCALOID そ 曲 曲さ 深坂 鏡音レン】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:深坂 作曲:深坂 編曲:深坂 唄:鏡音レン 曲紹介 卒論とかレポートとか課題が終わらない歌。自然な音階で広い音域を目指した。ぜひ(歌えるものなら)歌ってみてください。 曲名:『卒論が終わらない歌』(そつろんがおわらないうた) 歌詞 (PIAPROより転載) 覚えてないこれまで浪費した時間 どれだけ経ってもこの課題は未完 分かってるさどこにもない逃げ道 刻一刻と迫る締め切り 君のことを考えてると 僕の心は暗澹とするんだ 思わずにはいられないよ 誰か代わりに終わらせて 僕のこの機械は 君のためにあるのだと わかってるでもね 今日も現実逃避するんだ この課題が終わる 未来はあるのかと 自問自答して 眠る コメント 名前 コメント
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しゅくだいがおわらない!【登録タグ し 初音ミク 曲 麻痺】 作詞:麻痺 作曲:麻痺 編曲:麻痺 唄:初音ミク 曲紹介 積んだ宿題で頭がパンクしそうになったあの頃の事をふと思い出していたら出来ました。(作者コメ転載) 今回動画初挑戦。 歌詞 宿題が終わらない! 宿題が終わらない! 全部まとめて 爆発しろ! 無条件に課されたミッション やる自由とやらない自由 フィクション いつもいつも今頃になってどうしよう 宿題なんてもう、 嫌だ やりたくない 期間限定 使い捨ての知識 たった2.3年 賞味期限 DEADLINE 伝聞 推定 漸化式 平衝定数 ええじゃないか! 読書感想文(名前はまだ無い!) 数学ドリル(余白が狭い!) 英文エッセイ(This is a pen!) G●●gle先生お願いしまーす! 自由研究(助けてパパー!) 観察日記(天気が来い!) 税金作文(キレイゴト!) 「やってきたけど忘れましたー!」 宿題が終わらない! 宿題が終わらない! 全部まとめて 爆発しろ! オワラナイ 始まったと思ったら 既にラストスパートで 計画表 そんなもの 最初から無いです 軌跡を辿り 振り返るとそこには アニメにゲームに 漫画にニコ動 外は 蝉と蚊と リア充たちばっかで 海に祭に 浴衣に花火 キラキラカラフル ハートフル一方 眼前 白い白い白い 課題 今年も 何も無かった はずなのに 宿題が終わらない! 宿題が終わらない! 全部まとめて 明日からやろ! コメント お疲れ様です! 俺のことですね、はいww -- 名無しさん (2011-08-30 10 50 33) 俺もだなwwww -- 名無しさん (2011-08-30 10 55 34) 俺のことですね分かりますwww -- 名無しさん (2011-08-30 11 24 31) ハッ!!! 俺の事じゃん!! 何処かで見てたんですか?wwww -- 清玉・H・華依璃 (2011-08-30 12 14 25) 本気で終わらないwwwww -- 名無しさん (2011-08-30 12 16 31) 夏休みの宿題があるのって世界から見たら珍しいらしいですよ... なぜ日本には宿題があるんでしょうねww やってられんよ -- なこる (2011-08-30 12 33 45) なんだ、ただの俺じゃん -- 名無しさん (2011-08-30 12 36 52) 何これ私www -- 名無しさん (2011-08-30 14 20 27) 宿題なんて爆発すればいいんだ・・・もうだめだ・・・ -- 名無しさん (2011-08-30 15 27 01) 宿題なんて出す方が悪いんだよ ね? -- 名無しさん (2011-08-30 15 33 43) 「税金作文(キレイゴト!) 」で吹いたwww -- 名無しさん (2011-08-30 15 43 43) 宿題なんて爆ぜろ! -- 名無しさん (2011-08-30 16 54 44) 魔法の言葉 「やってきたけど忘れましたー!」 -- 名無しさん (2011-08-30 19 45 12) 七月中に終わらせて遊ぶなんざ夢のまた夢だったなぁ・・・ -- ういぇい (2011-08-30 20 00 10) ↑×2使い勝手がいいですよねww -- 名無しさん (2011-08-30 20 16 42) 夜遅くになるとやっと集中力がわくって人私の他にいる? -- 名無しさん (2011-08-30 20 36 54) 宿題を黒鉛で汚したくないんだ。 -- カーター (2011-08-30 20 41 52) なんだ俺のことかw -- 名無しさん (2011-08-30 22 14 31) 別にやりたくないって訳じゃないんだ。ただやったら負けだって思っry -- 名無しさん (2011-08-30 23 46 45) 東方アレンジにも宿題が終わらない!て曲あったね。似たような歌詞だったねたしか。 -- グフ (2011-08-30 23 58 01) 何これ私。宿題考査あるけどもうどうでもいい\(^o^)/ -- 名無しさん (2011-08-31 00 51 06) なんだ、ただの俺か -- 名無しさん (2011-08-31 01 34 53) 深夜1時まで頑張ってやったけどまだ数学がいっぱい残ってるよ? -- 名無しさん (2011-08-31 08 56 06) 宿題終わってる奴爆ぜろ みんなで忘れれば怖くない☆ -- 名無しさん (2011-08-31 09 23 44) 東方かと思ったw -- 名無しさん (2011-08-31 09 54 06) あるある!今の俺www -- 名無しさん (2011-08-31 10 21 52) いたよな〜こういう奴。毎日コツコツやってた俺みたいなのは少数派なんだよな。 -- 名無しさん (2011-08-31 14 18 46) ↑尊敬しますwww 私はもちろんおわってなry -- 名無しさん (2011-08-31 14 41 59) もうだめだ -- 名無しさん (2011-09-01 05 19 52) 終わっちまったぜ・・夏休み・・・そして俺の宿題は終わらないぜ・・・ -- 名無しさん (2011-09-01 07 20 33) 私は最後の1日にかける!! -- 名無しさん (2011-11-05 19 43 19) 新学期入ってもやってたりねwwあるある。 -- 名無しさん (2011-11-05 19 53 19) なんだ、俺の事じゃねぇか。 -- 課題終わらず・・・夏休み残り4日!!(^q^)プギャー!! (2012-08-13 19 36 03) プギャアアアアアアアァッァァァァァァアァァァァァァッァァアァアア -- 名無しさん (2012-08-13 19 38 20) これは・・・私のことですね☆ドウデモイイヨネ☆☆キラッ -- 名無しさん (2012-08-20 21 19 54) 東方かよ -- 名無しさん (2013-05-23 20 13 43) 東方ワロタwwwww -- 名無しさん (2013-05-23 22 08 42) 気付けば最終日…この曲は共感できるな -- アイス (2015-01-01 16 06 40) 名前 コメント
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サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことはたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、 サンタなどという想像上の赤服じーさんを本気で信じ、喜び、救われ、ときに悔しがり、一喜一憂している子どもがいるってことがこの歳になってようやく分かった。 俺も歳をとったということだろうな。 幼稚園のクリスマスイベントにまさかこの俺がサンタの扮装をするとは、神とやらはいったいなんの皮肉を効かせたのかと思ったが、 なんのことはない、たまたまご近所の中で平日の昼間に時間の取れる職業についていたのが俺だけだったという話だ。 そんなこんなで無難にご近所づきあいをこなしながら日々の中に埋没していると、あの騒がしくも正直楽しいと感じていた日々は、 実は俺の妄想の産物ではなかったのだろうかとも思える。 俺が朝目覚めて夜寝るまでのこのフツーな世界。だが本当はそんなフツーにまぎれ突拍子もない世界が転がっていたりするものだってことに気づかされた高校1年の春。 俺はまだそんな世界で生きているだろうか。 あの無機質だけどどうしても人間味をぬぐえない宇宙人は地球を征服することもなく宇宙へと帰ってしまったし、未来からやってきたという割に何も知らずにいつもおろおろとして、 でも側にいると不思議と和やかな気持ちにさせてくれたあの未来人も本来の時間へと帰ってしまった。そして巻き込まれたように変な力に目覚め変な集団に所属していた超能力者も、今は普通の生活を送っている。 あの頃を示すような、形に残るものはほとんどなくなってしまった。 もっとも、あの時間が嘘ではないということは良く分かっているし、あの時間が夢や妄想の類ではないという証拠はいつも俺の側にあった。 だから、ある日突然謎の黒服が現れ俺をさらっていき、俺から秘密を聞き出そうと拷問にかけようとしたその瞬間いつの間にか勢ぞろいしていたあいつらにすんでのところで助けられる、なんてことを想像しないでもない。 俺だけ助けられる側だって想像しか出てこないのが、長らくアイツに引っ張りまわされてきた一種のトラウマってことになるんだろうかね。ため息がでそうだ。 しかしそんなこともなく、日々平凡に現実をすごしている。 俺はそれに不満はないし、それ以前に学生ではなくこの身で働いて飯を食わなければならない立場になったときから、不思議より飯の心配が頭の中を優先するようになってしまったので、そこまでの考えにおよばない日々をすごすことが多くなった。 だが今日だけは、どんなに仕事がたまって忙しい日だったとしてもあの頃のことを思い出さないわけにはいかないだろう。 思いのほか仕事の打ち合わせが長引きこんな日に限って遅刻とは、もうそういう星の元に生まれてしまったのだからもうしかたないとあきらめつつも、やはり不可抗力で文句を言われるのは腹が立つので待ち合わせ場所に急ぐ。 持ってきた花束のおかげで手を振りかぶって走ることができず、よってどんなに急いでも早足にしかならないのだが。 あれから、何度となく歩いた道を行く。 そう、ハルヒに会うために。 早足で歩くその肌になんとなく湿り気を感じて空を見上げると、絵に描いたような曇天が広がっていた。 天気予報は雨。朝から雲も出ていたというのになんの用意もせず家から飛び出したことが悔やまれる。このままでは目的地についたころ雨になるのは確実だろうな。 「そう思って、あなたの分の傘も用意しておきましたよ。僕の予備で申し訳ないですが」 「いやに準備がいいな。普通傘なんて二本も持ち歩かないだろう」 「あなたが遅れているようでしたので、一応ご自宅のほうに確認を取らせてもらったんです。大慌てで飛び出して、傘も持たずにいってしまったとか」 振り向くと、相変わらずのニヤケ顔でクスクスと笑うそいつがいた。元超能力者にして今ではただのサラリーマンが。 「久しぶりだな、古泉」 「ええ、お久しぶりです」 「遅れてスマン。ちょっと仕事の打ち合わせが長引いて。言ってて自分でも言い訳臭いとは思うが」 「いえいえ、存じてますよ。今書いているシリーズはなかなかの人気だとか。普段読書と縁遠い僕の耳にも名前が届くくらいですから」 「その言い方だと、お前は読んでないみたいだな」 「なんとなくあなたなら、僕達には読んで欲しくないんじゃないかと思いまして」 「…ああ、その通りだ。よくわかってるじゃないか」 相変わらずの変な気の回し方と、相変わらずの笑顔を向けてくる古泉に向かい、苦笑しか出てこない。 「あれから文芸部存続の名目で、ハルヒに何度小説まがいのものを書かされたか」 「そのおかげで、あなたは押しも押されぬ人気小説家という訳です。今風だとライトノベルと言うんでしたか」 「よしてくれ。なんとか食っていける程度に書いているだけだ」 そういえば最初に文芸部らしい活動をしたのは、SOS団に喧嘩をふっかけてきた生徒会長のせいだっけな。結局は古泉の差し金だったが。 「しかしその後もあなたに文章を書き続けるように命じたのはハルヒさんです。ことの発端はどうあれ、あなたの才能を既にあの時見出していたのかもしれませんよ」 「ハルヒがねえ…」 だがあながち一笑にできないところが、ハルヒのハルヒたる所以だ。 「しかしハルヒさんも『そうなって欲しい』と願ったことはあっても、その能力でそうあるように仕向けたことは無いと思いますよ。こと、あなたに関しては」 古泉の問いには無言を持って答えにするとして、俺は再び歩き始めた。立ち話ばかりをしているわけにはいかないしな。 それに文句を言うでもなく、笑顔でついてくるこいつは最初から俺が答えられないことなど想定済みだったのかもしれない。 「そういうお前は、仕事上手くいってるのか?」 「ご心配ありがとうございます。つつがなく順調ですよ」 「大手電機メーカーの開発プロジェクトリーダーか…、それっていわゆる出世街道ってやつだろ?」 「客観的に言うと、そういうことになるんでしょうね。もっとも、成功すればの話ですが」 プロジェクトのリーダーともなると、その重圧は結構なものだと思うが、こいつはそれを感じさせない。というか他人事にも見える。 「俺もサラリーマンが良かったかもなあ…」 「転職されるなら、いつでもコネを使わせていただいたんですが」 「機関、か…」 「ええ」 この就職難において古泉が簡単に大手電機メーカーに就職できたのは、機関の繋がりによるものらしい。 「機関自体はハルヒさんの能力が確認されなくなった時点で解散しました。しかし一度は仲間だった我々ですからね、ちゃんと繋がりというものは残っていますよ」 ハルヒのおかげで巻き込まれたように機関の一員となり、あいつのストレスの権化と化した神人を狩らなければならないという理不尽な業を背負った 悲しい超能力者という見方もできないこともなかったが、ちゃんとこういうところで美味しい目を見れていたのだから、報われているのかもな。 「ええ、ハルヒさんには感謝しています。もちろんあなたにも」 そんな本気か冗談かわかりづらい顔で言われても。 「まあ、いよいよ物書きで食っていけなくなったらよろしく頼む。下っ端の雑用でかまわんから」 「僕としては、あなたと一緒の仕事が出来るならとても喜ばしいのですが…」 返事の代わりにひらひらと手を振って、足を止める。目的地に到着した。 何度も訪れてはいるが、ここにくるたびあまり喋る気にはならない。 古泉もそれを承知してか軽口を叩かなくなる。顔はいつもの笑みのままだが、どことなく神妙な顔に見えないこともない。 持ってきた花束を古泉に預けると、入り口で掃除用のバケツとひしゃく、それから亀の子たわしを借りる。これって昔からあるが、まあ一番汚れが落ちるんだろうな。 そう思っていると雨が降り出した。やれやれ、この分なら重たいバケツで水を運ぶ必要もなさそうだ、ありがたいね。ありがたくて涙がでそうだ。 傘を差し出す古泉、それを丁重にお断りして目的の一画に向かう。 最近忙しくて来てやれなかったが、あいつのことだ、そんな言い訳なんて聞きゃしないだろう。 なんて、思いをめぐらしている間にたどり着く。 アイツは、きっと矢継ぎ早に文句を言ってくるんだろう。 『涼宮家ノ墓』 「…生きていたら、な」 腕まくりしようとした古泉を制し、俺はひとりで雨に濡れた墓標を磨く。 ただ見ているだけというのは落ち着かないかもしれないが、俺が思いつきでやっていることに付き合わせる必要もないだろう。 …というのは建前で、ひとりでこうしていれば今はもういないハルヒと語っているような気分になれるからだ。俺もずいぶんと感傷的になっちまったもんだ。 一言も語らず、もくもくと掃除を続ける俺。 一言も語らず、黙って見守ってくれている古泉。 傘も差さずに作業をしていたおかげですっかり濡れてしまったが、今の季節だから凍えるようなことはないだろう。それほど時間をかけるつもりもないしな。 やがて掃除も終わり、持ってきた線香に火をともす。 この雨の中ではなかなかつかない。ライターの火もちょっとした風で消えてしまう。線香ってやつはなんでこうまで点けにくくできてるんだろうな。 イライラしながらライターの火を何度もつけなおしていると、古泉は何も言わずそっと手で風をさえぎってくれた。スマンな、待たせて。 ようやく火のついた線香、それを二つに分けると片方を古泉に渡す。 お参りでの線香のあげ方ってのは地方や宗派によって違いがあるのかもしれんが、どうでもいい。よって正確な本数なんて数えちゃいない。 線香をあげ、並んで手を合わす。古泉はハルヒになんて言ってやってるんだろうかね。 俺はもう語りつくしちまったような気がしたから、ただ心の中で「また来る」とだけつぶやいた。 バケツやらを返しているうちに古泉が帰ってきた。なかなか語ったようだな。 どことなく複雑な表情だが、こいつでも緊張したり居心地が悪くなったりするのかね?長い付き合いだがいまだに性格がつかめない。 「傘をどうぞ」 「ああ、サンキュ。もういまさらって感じだけどな」 苦笑しながら傘を受け取る。まあ帰り道まで濡れて歩くこともないだろう。 「ではなるだけ急ぎましょうか」 そうは言っても雨足は強くなり、いい大人二人が傘をさしたまま走るわけにもいかず、せいぜいほんの少しだけ早足なったくらいだが。 「ハルヒさんのご両親とは会われていますか?」 「なんでそんなことを聞く?一年ほど前に一度会ったきりだ」 「そうですか…いえ、あなたの掃除があまりにも手馴れていたもので、もう和解した上で、お墓にも何度か訪ねているのではないかと思ったものですから」 墓掃除なんか褒められても嬉しくもなんともないな。 「ハルヒの両親はまだ俺を許しちゃいないよ。ただ墓参りだけは自由に行かせてもらえるよう、なんとか取り付けたってとこだな」 「少しだけ前進、というところですか」 「…別に、前進したところで先には何もないけどな」 思わず憮然と言い放ってしまったが、古泉はそれも笑顔で受け流してくれたようだ。 こうやって思わず愚痴ばっかり言っている俺だが、持つべきものはなんとやらということかね。 「もどかしいですね。ハルヒさんの死はあなたの責任ではないというのに」 「別にかまわないさ。俺の目の前で死んだことに変わりはない」 ハルヒは死んだ。俺の目の前で。 「表向きは心筋梗塞に伴う心不全。だがハルヒさんのような健康体の持ち主が、あの歳でそのような死を迎えるなどありえないと思いますよね」 「ああ、だから俺が殺したなんて恨み言のひとつも言われるんだろう。だが本当の死因なんて説明のしようがない。アイツは…」 「…ハルヒさんはその力ゆえに、自ら命を絶った」 あのときの光景を思い出さないよう淡々と話していたつもりだったが、アイツの死を考えると、どうしてもそのときの顔を思い出さずにはいられない。 「今思えば、アイツは出た結果に不満をぶつけることはあっても、自分の取った行動に後悔なんてしたことはなかった」 「ええ」 「あの時だって、一人だけ満足そうな顔して」 「ええ」 「昔から俺達を振り回してくれたが、死ぬ間際まで…いや死んでからもだな、振り回してくれやがった」 「ええ」 あえて古泉の方を見ないで喋っていた。見なくても分かる。どうせコイツは、何もかも分かっているといわんばかりの顔で微笑んでいるに違いないのだから。 「俺達は、なにごともなかったこの世界で生きている」 「ええ…ハルヒさんの力で『なにごともなかった世界』を保ってくれたのですから」 「アイツが死ねば世界が消える…なんてこともなく、な」 「はい、全てはなにもなかったかのように、彼女の力も我々の力も消えてしまいました」 「おまえら機関の見解も、的外れだったというわけか」 「機関の見解はひとつではありませんよ。もっとも、心配はしていたのですが」 ハルヒが神だとのたまう機関は、アイツを死なせないようにと色々画策した。だが本人自らが命を絶とうとするのを止められるものではない。 だが機関の心配は的外れだったらしく、ハルヒが死ねば世界が消滅するということもなく世界はいまだにその形を保っている。 「機関としては一安心というところか」 「否定はしません。ですがそれも、ハルヒさんがそうあれと願ったゆえのことなのかもしれませんよ。いろんな意味で、ハルヒさんは世界を救って死んだ」 「それを知っているのは俺達だけだがな」 「あなたもハルヒさんの死を望んでいなかった。いや、もっとも深く悲しんでいたのはあなただと思います…報われませんね」 「アイツの死はあまりに不審すぎる。そして俺達は本当のことを何も話せない。アイツの親と話せるようになるのは、まだまだ先のことだろうな」 別に俺一人が恨まれるぶんには平気なんだがな。今後一生ハルヒの両親と会わなくったってなんの問題もない。 「遺骨も結局は涼宮さんのご両親が引き取られましたしね」 「そこは折れるしかないだろう。その代わり養育権だけは勘弁してもらったわけだし。それに墓参りのフリーパスくらいは許してくれたしな」 「そういえば今日はどうされてますか?」 「ああ、今日はうちの親に預けてあるよ。おっと、噂をすれば向こうから」 顎で指し示す先、俺のおふくろが孫の手を引いて歩いてくる。 「わざわざ迎えにきてくれたのか、ハルカ」 「パパ!」 「確か五歳でしたか」 「一昨日六歳になったばっかだ」 「失礼しました。この歳になるとあっという間に月日が流れてしまうもので」 「おまえはじじ臭い台詞が似合いすぎるな」 嬉しそうに駆けてきた娘の体を、片腕で抱きとめる。傘がなけりゃ抱っこしていってやるんだがな、勘弁しろ。 「う…パパぐしょぐしょ」 「おっとスマン。さっきまで濡れながら墓掃除してたもんでな。帰ったら風呂入るか」 「うん、ハルカも一緒に入る!」 「かわいらしいですね」 「そう思うんなら、おまえも結婚して子どもをこさえるんだな」 「それがあいにくと、女性とは縁遠くて」 「言ってろ」 買い物があるというおふくろは、俺にハルカを預けて行ってしまった。雨の中わざわざ迎えに来てくれたと思ったらそういうことか。 「古泉はどうする?なんらウチによってくか」 「よろしいのですか?」 「ああ、久しぶりに会ったんだし、それにこの傘も返さなきゃならん」 借り物の傘を指し示す。後日返却という手もあるが、それだと出不精の俺としては非常に面倒くさい。 それに強くなる一方の雨足だが、しばらく家に居れば止むかもしれない。 「ではお言葉に甘えまして。ハルカちゃん、遊びにいかせてもらうよ」 「カズキおにーちゃんくるの?やったぁ!」 「コイツには『おじちゃん』で十分だぞ」 はしゃぐハルカの手をとって、再び歩き始める。 「…ハルカちゃんは、あのときのことを覚えているのでしょうか」 「ん?…いや、覚えてないだろうな。まだ小さかったし」 ハルヒは、変容する世界をなにごともなかったように留めるため力を使った。 幼いハルカには、自分の母親が神様なんて呼ばれるような人間で、それなのに自分を守るために死んでしまったなんてことはわからないだろう。 「正確には、ハルカちゃんを含む世界を守って、ですが」 古泉や機関の見解はそうらしい。朝比奈さんもそう言っていたし、長門も頷いていた。だからそうなのだろう。 だが見た目にはなにも変わらなかった。それは当然だ。『なにごともない状態』にするために力を使ったんだから。 だから、ハルヒが死なずにすむ選択肢があったのではないかと思わずにいられない。 ハルヒが死ぬ前と後で、何も変わらずに世界が続いているのを見せられると。 「パパ!パーパ!そんなにつよくにぎったらいたいよー!」 「お?ああ、スマン」 頬を膨らませて、長靴で俺のすねにケリをかましてくる娘の声で我に返り、あのときの光景を頭から払う。 「今日は雨で残念だったね、ハルカちゃん」 「うん…パパといっしょのカサで帰れるのはうれしいけど、やっぱりハルカはおひさまが出てるほうがいい」 「雨降りだと大暴れできないからな」 まったく、俺に似ず元気がありあまって困る。まあ、アイツに似たんだろうけどな。 「小さい頃のハルヒさんは、きっとこんな感じだったんでしょうね」 「それについては同感だな。振り回しっぷりもそっくりだぞ?」 「そういえば、ハルカちゃんという名前はあなたが考えたんだとか」 「ん?…ああ、ハルヒのやつが『女親は生んだ瞬間から母親を自覚できるけど、男親は他人事で自覚が足りない。だから名前くらいアンタがつけないさい』ってな」 そのときの得意げな顔をしたハルヒのことが思い出される。 「なるほど…でも良い名前だとおもいますよ」 「母親が春の日なら、娘は春の花……我ながら安直だと思う。名前を似せたついでに、性格まで似やがったしな」 まったく、ハルヒとすごした日々はそう長くないってのに、成長するにつれてあのワガママな性格によく似てきやがる。 「あはは、本当によく似てますよね。本当に…」 どことなく神妙にハルカを見ている古泉。おまえひょっとしてロリコンか?そうでなくてもハルカはやらんぞ。 「ご心配なく。ちょっとハルヒさんのことを思い出していただけです」 「まあ、親子だから似てるのは当然だな。つくづく、あの変な力まで似なくて良かったと思うよ」 ハルカには、この何も変わらぬ日常のまま、幸せに人生を全うして欲しい。この性格に振り回されて辟易することも多いが、それだけは本気で思っている。 「………に、そうでしょうか」 雨音が強い。 つぶやくように言った古泉の言葉は、よく聞き取れなかった。 「イツキおにーちゃんどうしたの?」 ハルカが振り返る。古泉の足は止まっていた。 「どうした古泉?家はまだもう少し先だぞ。雨もますます強くなってるし早いとこ入っちまおう」 「ハルカちゃんは、本当にハルヒさんとよく似ていますよ」 「またその話か?昔から説明のくどいやつだったが、よくまあ一つのネタをひっぱれるな」 軽く笑いながら振り返る。雨足はますます強くなり、古泉の表情はよく見えない。 「僕が力に目覚めたとき、不安だらけでおかしくなりそうでした。でもハルヒさんに引っ張られ、SOS団に入り、そして皆さんと過ごした日々は本当に楽しかったですよ」 「古泉?」 なにを突然。うつむきがちのその顔は、相変わらずよく見えない。 「振り回されはしましたが、僕はそんなハルヒさんが好きでした」 「…おいおい、こんなところで俺の嫁のことについて衝撃の告白されてもなあ」 内に秘めた恋心ってやつか?コイツがそんな風に考えていたなんて、微塵も思えなかったが。 「あなたのことも好きでした。朝比奈さんや、長門さんのことも」 「ねえパパ、イツキおにーちゃんも、早くいこうよー?」 「ん?ああ。古泉、その話なら家に帰ってゆっくり聞くよ。なんなら今日は泊まっていってもいいから、酒でも飲むか?」 苦笑しながら踵を返す。まったく、ハルヒほどじゃないにしろおまえも十分に、突然なに言い出すかわかんないヤツだよ。 「力の予兆が見られました」 「…」 歩き出そうとしたその足が止まる。古泉、なにを言ってるんだ? 「まだ何かがあったというわけではありません。正しくは、そう感じられたというだけです」 振り返ると、古泉は傘を手放していた。 雨にぬれ、その表情はますます見えない。 「だが、感じられたのは僕だけでなく、機関に所属した全員です」 「…ハルヒの?」 「はい」 馬鹿なことを。ハルヒが死んでもう何年経ってると思ってるんだ。 「なぜそれが力の予兆だと分かったのか、それは説明できません。昔、我々が力を与えられたときのように、そう感じたというだけなのですから」 「じゃあ、ハルヒはどこかで生きて…」 「いえ、ハルヒさんは死にました」 ただならぬ様子の俺と古泉の姿を、ハルカは何も言えず見上げている。 「おまえが言いたいのは、つまり」 「ええ、ハルカちゃんです」 やっぱりか。 「遠からず、ハルカちゃんは力に目覚めることでしょう。そのときハルヒさんのように、自覚がないままなのかどうかはわかりませんが」 「でも、俺にはそんなことさっぱりわからなかったぞ?」 「あなたに分かるのですか?」 突き放すような一言。いつも柔和な顔と喋りのこの男が、冷たく喋る。わざとらしいくらいに。 「ハルヒさんだって、見ただけでは普通の女子高生と変わらなかったですからね。本人の自覚がないならなおさらです」 何も言い返せない。 「そう遠くないうちに、ハルカちゃんはその力で閉鎖空間を発生させてしまうでしょう」 もう昔のことになってしまった、あの不愉快な空間のことが思い出される。 「となると、またおまえたちが処理にあたるのか?」 「いえ、ハルカちゃんの作り出す閉鎖空間は、我々が処理できるレベルを一気に超え、世界を変容させるでしょう」 「なっ!?」 そんなバカな。 あの閉鎖空間は自分の思いどおりにならないハルヒのイライラが生み出したもので、その大きさは不機嫌の度合による。 まだ六歳になったばかりのハルカが、いきなり世界を覆うような閉鎖空間を作り出すなんてことがあるんだろうか。 「ストレスにも似た不快な思いが閉鎖空間の程度決める…ならば、ハルカちゃんはこの上なく巨大なものを作り出すだろうことが予測されます」 「こんな幼い子が、なにをそこまで思い込むっていうんだ!?」 「母親がいない、その虚無感ですよ」 古泉の言葉にはっとし、思わずハルカの方を見る。ハルカは、まるで悪さが見つかってしかられるのを恐れるように、おびえた視線を返した。 「いつも、あなたの前では気丈に振舞っていたのでしょうね」 「ハルカ…」 「ですが、やはり母親がいないことは子どもにとって途方も無いストレスです。そのうえ父親は母親の両親に嫌われ、ろくに会えない状態ですし」 そんな…。 「甘えられる人間が極端に少なかったのでしょうね。それでも、あなたは本当に愛情一杯で育てられていると思いますよ?」 いや…。 「でも、それもそろそろ限界ということなのでしょう。すでに臨界点は近づいています」 俺だって、本当は気がついていたはずだ。 「その時がくれば、今の世界は跡形もなくなってしまうはずです」 「…どうすれば、いい?おまえたち機関は、どうすると。また俺にできることが…」 ハルカと繋いでいた手を、より強く握る。今度はハルカも文句を言わない。 「いえ、今度にいたっては、機関も違う対処方法を決定しました」 「違う対処方法?」 古泉の言葉を、バカみたいにオウム返しすることしかできない。 ハルヒの時だって、結局は何もできなかった。そしてハルカについても、俺はなにをすればいいのか分からないのだ。 「ハルヒさんが死んだとき、その死によって世界が消滅することはないという結果がでました」 懐から金属の塊を取り出す古泉。それは引き金を引くだけで人を殺す道具。 本物か?という言葉を吐きそうになったが、こいつが所属していたところがどういうものか考え、その質問は無意味だろうということに気づく。 「僕は、本当にあなたたちが好きでした」 「待て古泉ッ!」 「それだけは………信じてください」 パッ。 TVで聞くような派手な音ではなく、本当にそんな感じで、古泉の持つ銃の先から火花が散った。 そして、俺の胸に赤い花が咲く。 「う…ぁ…ゲホッ!!」 傘はどこかにいってしまった。倒れこんだ俺に雨は強く降り注ぐ。 胸から流れる血は、雨と一緒にどんどん、どんどんと地面を伝っていった。 「機関の決定を聞いたとき、その役に僕は自ら志願しました」 銃口は、恐怖で動けないでいるハルカに向けられた。 「僕が受けなければ、機関は他の誰かをこの役に指名したことでしょう。それは、失敗したときも同じです」 「ま…てっ…ぅあっ…けほっ…こ、いずみ…」 口からも血があふれ出す。 強い雨音の中、力の入らなくなってきた俺は、それでも古泉を制すべく声を出す。 「僕なんかに謝られても腹が立つだけだと思いますが、それでも…申し訳ありません」 視界がゆがむ。それでも見上げた古泉の顔は、泣いているのだろうか。 「これが終われば、僕は自らの手で命を絶ちます。それで罪や罪悪が消えるわけではありませんが。即死ではなく、せいぜい長く苦しんで死ぬつもりです」 「…っバカ、が…なに言ってっか…わかんねえ…よ」 「パパ…」 おびえきったハルカの声。古泉、今ならまだ許してやる。とっととその銃口を下ろすんだ。 「僕は、あの頃が好きでした。皆さんが好きでした。皆さんと会えて良かったです」 いつもの古泉とは違う、笑ってはいるが、いつもの古泉のように笑えてなんていなかった。 「嫌なものですね。ハルヒさんの力のおかげで、僕たちにはこんな結末しかなかった。でもハルヒさんの力がなければ、僕たちは出会うことはなかった…」 古泉の頬には、明らかに雨とは違う水滴が伝っている。バカヤロウ、そんな思いをするくらいなら、なぜ他の方法を取ろうとしなかった。 「たった三人が死に、世界は変わらず日常を続けるでしょう。これが、僕が所属する世界の決定なのです」 引き金にかけた指に、力が込められる。 「…本当に、すいません」 「…や、めろっ…!」 パッ。 冗談かと思うほど軽い音の後、ハルカの体はゆっくりと倒れた。 雨音が強い。ハルカは何か言っているのだろうか。 もう、何も考えられなかった。 意識がもうろうとする。 俺の体は死に向っているんだろう。 ハルカ。 守ってやれなかったな。 ハルヒ。 ごめん。 まぶたは重く、視界はどんどん狭まっていく。 うっすらと見えるのは、倒れているハルカと、銃口を胸に押し当てた姿の古泉。 そして、雨のひとつぶひとつぶが見える。 世界は止まってしまったかのようだ。 「帰りたいですか?」 古泉? 「帰りたいですか?あの頃に」 視界にある古泉は何も喋っていない。口を閉じている。 だがうるさいほどの雨音のなか、古泉の声がはっきりと聞こえる。 …いや、違う。雨音はもう聞こえない。無音だ。 「帰りたいですか?わたしたちが出会った、あの時代に」 朝比奈さん!? 聞こえた…ここにいないはずの朝比奈さんの声が。 「絶望しかない未来をやりなおすために」 今度は長門…どうなってるんだ? 時の止まった世界で、ここにいないはずの皆の声を聞く。 これが死の直前の幻覚ってやつだろうか。 「…とうぜん、だろ…やりなおせるなら…」 ハルヒだって、死なせずにすむかもしれない。 幻覚だろうがなんだろうが、俺はそう答えていた。 自然と、ハルカのほうへ手を伸ばす。幼い、小さな手を握るために。 ほとんど力は入らず、ゆっくりゆっくりと。ああ眠い。眠くて死にそうだ。 「そう願うなら帰れ 「 ますよ、だってあなた 「 は、―――なのだから」 どうだっていいさ、そんなこと。ハルカ、もうすぐ手が届く…。 ああ、眠いな。ちくしょう。もうちょっと、もうちょっとで…。 眠気を振り払い、守りたい、守らなければならないその手を、握った。 「な、なに!?突然なにを…」 「お前を…守るって…」 「え?………えー!?ちょっとキョン!あんたなに言って…」 「ハルカ…」 「いきなりそんな恥ずかしい……え?…誰?」 目が合う。 「………ハルヒ?」 「う、うん」 「…あれ?」 雨がいつのまにかやんでいる。あの薄暗い雨の風景から、一転して明るい。 あたりを見回すと雨はすっかりやんでいた。という以前にここは室内だ。俺がとてもよく知る、ある意味今の俺はこの場所を外して語ることはできないであろう場所。 「部室…」 「あんた…寝ぼけてるの?」 目の前にはハルヒ。高校生の姿をしたハルヒだ。思わず抱きしめそうになったが…いやまて、俺が寝ぼけてるって? 「昨夜どれだけ夜更かししたかはしらないけどね、団長が来てるっていうのにいつまでも寝てるってのはどういう了見よ」 「…そうか、俺ここで寝ちまってたんだ」 思い出した。そういうことだ…と思う。 いや、自信が無いのはその夢の内容が嫌にリアルだったから。夢と現実の時間の進み方は違うなんて話を聞くが、それにしても十数年分の夢をみちまってのはどうよ。それも俺とハルヒが…。 「で、いつまでこのままなのかしら?」 「ん?」 「…とっとと離してって言ってるの」 「………うあっ!?す、スマン」 どうやら寝ぼけてハルヒの手を握ってしまっていたらしい。慌てて手を離す俺に、ハルヒから追い討ちの言葉。 「ふーん…手を握っちゃうくらいの仲なんだ、そのハルカって娘とは」 「いやまて、色々と思いをめぐらしているようだがそれは違うぞハルヒ。そのハルカってのはな…そう、小学生のイトコのことでな、今ちょっとウチに遊びにきてるんだ」 なんで俺がハルヒ相手にこんな言い訳がましいことを言っているのだろう。どうやらまだ夢の影響が抜けきってないらしい。 「へー…じゃあ今日の活動はキョンの家でやりましょうか?そのハルカちゃんも一緒に」 「勘弁してくれ…」 意地の悪いハルヒとのやり取りをしていると、こちらをじっと見ている長門に気が付いた。部室に来ているのは俺とハルヒと長門の三人。まだ朝比奈さんや古泉は来ていない。 いつもなら静かに本を読んでいる長門が、珍しいこともある…なんて思ってふと考えた。ひょっとして…。 よくわからんがへそを曲げたままパソコンをいじり始めたハルヒはとりあえず置いておいて、長門に聞いてみることにする。 「なあ長門、俺さっき変な夢をみたんだが」 「あれは起こりうる未来。完成に近いシュミレーション」 全てを言い終わらないうちに、長門からの答えが返ってくる。 「マジかよ…というかお前も見たのか?」 「断片的に」 「しかし起こりうるって………最悪だぞ?」 少なくとも俺にとっては。今も夢の内容を思い出して、なんだか胸の辺りがムカムカしてくる。 まったく、いったいなんだってあんな夢を。どっかの勢力が俺に嫌がらせで見せたのか? 「あれを見せたのが何者かは不明」 「ってことは敵か味方かもわからんわけか。あんな未来が待ってるなんて思うと、気が滅入るどころの話じゃないぜ」 「あれを見たあなたなら、回避することは可能」 「未来が変えられるってんならまあ、ああならないように努力はするだろうな」 だとしたら、ひょっとしてハルヒが無意識のうちにあれを見せたって可能性も…。 「どう行動するかは、あなた次第」 それだけ言うと長門は、また本に目を落としてしまった。そういえばあの夢には長門も出てたんだっけな。声だけの出演だけど。 さて、それなら俺はどうするかだが…実際どうすりゃいいんだ? 「おや、きょうは朝比奈さんが一番最後ですか。珍しいですね」 部室の扉を開けて古泉のニヤケ面が現れた。顔を見た瞬間あの夢の最悪な出来事が思い出されたが、まああのときのお前の顔と、夢だったってことで許しておいてやる。 「お、遅くなりましたーっ」 続いて慌てて入ってくる朝比奈さん。そんなに急がなくてもかまいませんよ。どうせここに来ても普段だらだらと過ごしているだけですし。 もはや決定事項となってしまった朝比奈さんの衣装替えのため、俺と古泉は部室の外に出た。一緒に待つ間、俺は夢で見た未来のことを考える。さて、俺になにができるのか。 「…なんて漠然と考えたって、なにができるってわけでもないしな」 「どうされました?」 俺の独り言に興味深げに問いかけてくる古泉。お前はお前で自分の将来を心配してろよ。 「ま、今できることってのは限られてるしな」 ハルヒの顔を見たら、開口一番に言うとしようか。 朝比奈さんの着替えが終わったらしく、部室の扉を開ける。 「ハルヒ」 「…ん?どしたの?」 あんな絶望的な未来はゴメンだからな。 「長生きしろよ?」 「なに突然?そんなの当然じゃない。まだあたしは見てないものがたくさんあるのよ?全部見るためには百歳まで生きたって足りるかどうか」 …こんな性格のコイツが、早死になんてするなんて信じられん。 「キョン、あんたもよ?」 「ん?」 「あんたも長生きしなさいよ」 俺と違って、こいつはどういう意味で言ってるんだろうかね。 「これからも不思議探しに付き合ってもらうんだから」 へいへい、そういうことだと思ったよ。 さっきの不機嫌はどこかへいっちまったらしい。やれやれ、なにが楽しくてそんなに笑うんだろうな、コイツは。 これからもずっとコキ使うつもりでいるハルヒに、俺は俺なりに最大限の誠意をもって応えた。 「…努力するよ」 Fin.
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朝の訪れはこの世界の誰にも等しくやって来る。窓から差し込む陽光と小鳥の囀りで間桐桜は目を覚ました。 寝ぼけ眼をこすっていると「おはよう、桜」と声を掛けられた。 「おはようございます、アーチャーさん」 傍らには優しく微笑む翡翠の弓兵がいた。彼女は桜が目覚めるといつも隣にいてくれる。 毛布から這い出てアーチャーが持ってきてくれた缶詰や携帯食料に手を伸ばそうとした。 けれど、今着ているコート―――これもアーチャーがどこからか持ってきた―――は大人用で袖が長く、一度脱いで裸にならないと食事ができないことを思い出した。 迷わず羽織ったコートを脱いで「いただきます」と言ってから食べはじめた。 この世界に来てからというもの、裸でいる生活にすっかり慣れきってしまった。間桐の家にいる時はそうではなかったと思うけれど。 多分もう、誰に見られたとしても何も感じなくなっているだろう。 「……桜。やはり私が身体に合った服を探して持って来よう」 「わたしはだいじょうぶです。アーチャーさんにはせいはいせんそうがあるんですから」 そんなマスターを見るアーチャーは後悔の念に駆られていた。いくら六歳前後の幼子とはいえ肌を晒して顔色一つ変えない桜の姿は現代に生きる人々の装い、感性と乖離しすぎている。 現界し、この目で人々の生活、営みを見てこそアーチャーは自らの生きた時代、世界との違いを思い知った。知識と実感にはやはり大きな違いがある。 文明的な暮らしを謳歌するNPCや他の多くのマスターと比べ、自分たちの何とみすぼらしいことか。 「…私はもうそろそろ行かなければならない。日付が変わるまでには必ず帰る」 「はい、行ってらっしゃい。アーチャーさん」 だが、それも聖杯を手に入れるまでの辛抱だ。どれだけ忌まわしくとも奇跡なくして桜を救うことは叶わないのだから。 けれど、逆に言えば聖杯を手に入れるまでは桜に今の生活を強いるということだ。その無情な現実がアーチャーの心を苛む。 いや、あるいは今の生活よりもさらに転落する可能性とて決して低くはない。今でこそ人の手の入っていないこのゴーストタウンだがいつ何者かの調査の手が入ってもおかしくはない状況だ。 (もし誰かが本格的に調べれば桜の居場所が発見される可能性は高い。しかしここ以上に人が暮らせる場所はどこにも……) 桜には見せないようにしているが、アーチャーの顔に苦悶の色が浮かぶ。 桜はあまりに幼く、優秀な魔術回路こそ持っているものの身を守る術は一切ない。魔術師やサーヴァントはもちろんそこらのNPCの子供にすら簡単に殺害されるであろうほどのか弱さだ。 そして体力も年齢に比例して貧弱。今よりも劣悪な環境に移って生きていられる保証はない。 今の生活でさえ桜の忍耐力に助けられて成り立っている側面が大きい。何よりこれ以上の我慢を彼女に強いたくはない。 とにかく、今の桜の居場所を誰にも発見されないよう自分が立ち回るしかない。仮令それが不可能に近い難行だとしても、だ。 (今日はあまり桜から離れていない場所で哨戒に徹するか) 正直なところ、聖杯戦争の趨勢とは別の理由でアーチャーは極力市街地に出なければならない理由がある。その理由とは物資の調達。 生活基盤そのものが酷く脆弱な桜のために様々な物資を奪い、持ち帰る必要があった。必要な物資とは食料に限った話ではない。毛布やコートなど夜の寒さを凌ぐものや蝋燭、ライターなどもだ。 知識として現代の情報が必要最低限付与されているとはいえアタランテにとって現代の街中で適切な物資を調達するのは酷く困難な事だった。 例えば食糧。先ほど桜が食べた携帯食糧―――確かカロリーメイトとかいう名称だったか―――や桃の缶詰も何度かの試行錯誤を経て桜が食べられるものとして通行人の買い物袋から失敬してきたものだ。最初の頃などは弓矢で仕留めた鳥や木の実などを持ち帰って冷たい視線を向けられたこともあった。 例えば衣服。必要最低限の現代知識しか持ち合わせないアーチャーには桜の体格に合った子供用の服がどこに行けば確実に手に入るかさえ未だにわからない。 また生前、神話の時代に熊に育てられたアタランテの価値観は現代人のそれとは著しく乖離しており、無意識的に衣服の調達をやや後回しにしてしまっていた。さらに言えば子供用の衣服を奪うということはつまり間接的に桜を助けるために他の子供を傷つける行為と同義であり、子供の幸福を願うアタランテにとって心理的抵抗が極めて大きかった。 本来ならこうした欠陥は今を生きる人間たるマスターの助力を得て解消されるべきである。だがまだ幼い桜にはそれさえも満足にできない。 そして最大の問題がアーチャーの特異な外見と霊体化に伴う制約だ。 他の人間の姿のサーヴァントと異なり獣耳に尻尾が生えたアーチャーではどう取り繕っても現代の街に溶け込むことなど不可能。地元住民に紛れて事を運ぶことができないのだ。 そして最大の問題が「サーヴァントは現代の物品を所持した状態では霊体になれない」という制約だ。 これがどういうことかと言えば、調達した各種物資を手に持ったまま、実体化した状態で、NPCにもマスターにも、サーヴァントを感知する能力を聖杯から与えられた他のサーヴァントにも見咎められずに拠点に帰還しなければならないということだ。 もし一度でも姿を見られ、拠点を割り出されればその後に待つのは破滅だけ。故に物資調達の際には常に細心の注意を払うことを余儀なくされた。 現状、アーチャーはその持てるスペックの全てを発揮できているとは言い難い。魔力供給の問題ではない。むしろマスター適性のみなら桜は優れた資質を持っているし、魔術行使ができないからこそアーチャーへの供給に全てを傾けられる。 問題はアーチャーが聖杯戦争に使える時間の短さだ。今のアーチャーは育児をしながら聖杯戦争に臨んでいるに等しい。 (これでは違反者の討伐に参加するどころの話ではないな……。 もっとも褒賞自体が我々にとっては意味のない代物だが) 討伐クエストのことは当然桜もアーチャーも既に把握している。NPCとはいえ子供が犠牲者になっているかもしれないことを思うと参加したいという気持ちはある。 だがアーチャーの冷静な部分が無意味だと告げている。桜の安全を思うなら他の陣営に注目される違反者陣営の存在は自分たちにとってはむしろ好都合だと。むしろ違反者を屠る狩人になったつもりでいる他のマスターの背を狙い撃つことこそ上策なのだと。 さらに言えば、間桐桜はそもそも令呪を使うという行為自体ができない。 令呪の行使とはマスターが強力な意思を以ってサーヴァントに命令を下すというプロセスを経て初めて発動される。単に命令しただけで令呪が発動するなら聖杯戦争では令呪の誤発動が多発することになる。 では問題だ。魔術の修練と称した虐待で自らの意思と呼べるものを徹底的に蹂躙・破壊された幼子が強固な自意識などというものを持てるだろうか?―――無論、否である。 アーチャーの想像さえ超えるようなよほどのきっかけがない限り、桜が令呪を使えるようになることは有り得ない。 「…自意識、か」 我知らず口をついて出た言葉を自覚して、重い気分になった。 今回、現界を果たしたこの世界はとても文化的で開明的だ。作り物の世界であるといえどそこには確かにモデルとなった、実際の街と人が世界のどこかには在ったに違いない。 そんな明るく煌びやかな世界とは程遠い、暗く貧しい環境に置かれているにも関わらず桜は一度として不平不満を漏らしたことがない。ないがアーチャーはそれが喜ばしいことであるなどとは到底考えられなかった。 せめて、何か一言でも我が儘を言ってくれたならば。良い生活をさせてやることさえできない無力な我が身に不平を言ってくれたなら、口汚く罵倒してくれたならどれほど良かっただろう。 不平や不満とは、裏を返せば願望や希望が存在するということだ。けれど今の桜にはそのどれもが無い。マスターとしての闘志など論外であろう。 桜は今の環境に対して不満を持っていない、あるいは満足している。客観的に判断できるその事実はアーチャーにとって受け入れ難いことだった。 「最早手段を選んではいられない、か」 今こそアーチャーは決断した。この先、他の子供を傷つける行動を取ることになろうとも決して迷いはすまいと。 サーヴァントとしての本分を思い出せ。この身は誰を勝たせ、誰に肩入れするために召喚された。 決まっている。間桐桜だ。全てを奪われた少女の未来だけは誰にも奪わせないために己は今ここにいる。 ならば自分の感傷など何ほどのことか。桜という前例がある以上、期せずしてマスターに選ばれた、選ばれてしまった子供が存在する可能性は―――なるほど確かに否定はできまい。 それでも、アーチャーは迷うことなくその不幸な幼子に対しても弓を引こう。誰よりも彼らに死んでほしくないと願ったまま、速やかに抹殺するのだ。 そうすることによって生じるであろう己の感傷も全て呑み込もう。桜が味わい続けた絶望に比すれば生前の自分の抱いた絶望さえあまりに軽い。 「―――ああ、でも」 一つだけ、不安になることがある。 子の救済を願う自分が他の子を傷つけ殺す。その矛盾の果てに聖杯に至ったとして、この身に抱いた宿願を果たせるのだろうか。 答える者は、いるはずもない。 【A-8/ゴーストタウン/一日目・午前】 【アーチャー(アタランテ)@Fate/Apocrypha】 [状態] 健康、精神的疲労(特大)、聖杯に対する憎悪 [装備] 『天窮の弓(タウロポロス)』 [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:もう迷わない。どれほど汚れようとも必ず桜を勝たせる 1 この周辺を哨戒し、何かあればすぐ桜の元へ戻れるようにしておく 2 討伐クエストには参加しない。むしろ違反者を狙って動く主従の背中を撃つ 3 正体不明の死霊使い、及びそれらを生み出した者を警戒する 食事、排泄、就寝の時を除いて間桐桜はずっと廃屋の中でコートを羽織って座り込んだままでいる。 此処には何もない。楽しいことも悲しいことも、痛いことも苦しいこともない。 何もないということ。平穏であるということがどれほど尊く素晴らしいことであるのか、桜は間桐家に引き取られてから、そしてマスター候補として聖杯戦争に放り込まれてからの日々を過ごしてこそそれを実感した。 「……アーチャーさん」 そして、そんな時間と空間を用意してくれたのが他ならぬアーチャーだ。長く彼女と一緒に過ごせば、どれだけ自分に対して真摯に接してくれるのか、どれほど心を砕いてくれているかぐらいはわかる。 幼い桜にあまり論理的な思考はできない。それでも自分が汚れきってしまっているということは何となくは理解していた。アーチャーがそれを知りながら自分に尽くしてくれていることも。 彼女にあまり苦しい顔や悲しい顔はしてほしくない。傷ついてほしくはない。そう思う程度には桜はアーチャーに懐いていた。 せめて迷惑はかけないようにアーチャーの言いつけは守ろうと決めていた。 「…ずっと、こんな時間がつづいたらいいのに」 窓から自由に羽ばたく鳥が見える。けれど羨ましいとは思わない。 小さな箱庭の中でも平穏に生きていられれば、それだけで良い。聖杯への願いなどは浮かんでこない―――あるいはあったかもしれないけれどもう忘れてしまった―――けれど、せめてこの時間を大切に噛みしめようと思った。 どうしようもなく訪れる終わりの時を心のどこかで感じ取りながら。 【間桐桜@Fate/Zero】 [状態] 健康 [装備] 大人用コート(下は全裸) [道具] 毛布 [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:アーチャーさんの言いつけを守ってじっとする 1 …アーチャーさんにぶじでいてほしい
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生まれつき身体が弱い私は学校を休む事も少なくない。 でも高校生になってからは出来るだけしないようにしている。 少しでも一緒にいたいって思える人がいるから。 伝わらない想い 「はぁ……」 静寂が包む自室に息を吐き出す音だけが響く。 平日の昼下がり、普通高校生は学校で勉学に励んでいる時間帯だが、私は一人ベッドに横たわり何度目か分からない溜め息をついていた。 昨夜から体調を崩し今朝になっても熱が引かなかった為、私は学校を欠席する事になっていた。薬を飲んで睡眠を取ったからもう大分良くなったのだが、その分暇を持て余す結果となってしまった。 傍らに置いてある体温計を取って体温を確かめる。頭痛や咳といった風邪と見受けられる症状はもうなくなったけど、念の為だ。上半身だけ起こしてケースを開けて中身を取り出す。 ただでさえ暇なのに一分間待たされるのは何だかつまらない。何もしないでいる時間を物凄く長く感じるのは私だけじゃないだろう。 でもボーっとしているよりはマシかな?でもこれって何かしている内に入るのかな?私は脇を押さえているだけだし……時間潰しにはなってないよね。 色々と考えていたらまた頭が痛くなってきた。大人しく待っていようと私が苦笑い混じりに目を閉じると、丁度体温計が仕事を終えた事を知らせる電子音が聞こえた。 「三十六度九分か……」 ディスプレイに表示されている数字を何となく読んでみる。何とも微妙な数値だろうか。 「ぶり返すといけないし……寝よう」 誰にともなく呟いて、私は起こしていた上半身を倒して横になった。 嫌でも私の視界を占領する、もう見慣れた天井の模様。鮮やかな白の輝きを放ち続ける電灯も幼少の頃からずっと見続けてきた。 私は深い眠りに落ちるまで考え事をする習慣がある。一人で布団の中にいる事が多かったからだろう、他にする事もないし、思考することは夢の世界へと誘われるまでの繋ぎみたいな感じになっていた。 今の時間だと……私のクラスは国語の授業の最中だろう。枕元の時計に目をやり、本日の日課を思い浮かべる。 それからこの前、病床に就いた作者が家族の人に何度も降り積もった雪の深さを尋ねる、という内容の俳句を授業で習った事を思い出す。ちょっぴり状況が自分と似てるなと考えたので印象に残っていた。 もっとも私の場合は人に何かを聞く事は滅多になく、考え事をするだけなのだけど。 みなみちゃんや田村さん、パティちゃんは何してるかな。いや、授業を受けているだろうけど。 休み時間に交わす、楽しい会話の風景を脳内に思い描く。 「学校行きたいなぁ……」 明日になれば行けるだろうか。 友達と話せる事を願いながら、私は瞼を落とした。 目を覚ますと時刻は夕暮れ、世界が麗しい紅色に染められる時だった。 「んん~……」 身体を起こして伸びをする。結構な時間寝ていたからか体調はすこぶる快調、昨晩の苦しみが嘘のようだった。 そろそろお姉ちゃんも帰っている頃だろうか。私はベッドから降りて一階へと降りるべく部屋を後にする。 一定の歩調で階段を下りリビングへ続く扉を引くと、食欲をそそる匂いが台所の方から漂ってきた。どうやらもう帰宅済みのようだ。 「お姉ちゃんお帰りなさい」 「おおゆーちゃん、ただいま」 野菜を刻む包丁を持った手を止めて、お姉ちゃんが私の声に振り返った。 「具合は良くなったの?」 「うん、もう大丈夫だよ」 元気になった事をアピールするように笑って力強く答える。 「もうちょっとで出来るから待っててね」 「うんっ」 私が頷くと、お姉ちゃんはそれを見届けてから再び作業に戻った。邪魔になるといけないから、私は席について夕食を待つ事にする。 「おおゆーちゃん、もう身体の方は良くなったか?」 それとほぼ同時におじさんが居間に姿を現した。入ってくるなり私を見て気遣いの台詞を掛けてくれる。お姉ちゃんと同じような反応に、やっぱり親子なんだなと思う。 「はい、もう大丈夫です」 にこやかに答えるとおじさんは満足した様子で笑い返してくれた。そして私の向かい側の席に腰を下ろす。 「あ、そうだ、ゆーちゃん」 湯気が立ち込める作業場からお姉ちゃんの声が飛んでくる。 「何?」 「プリント預かってきてるから私の鞄の中から取ってくれる?」 火を使っていて目が離せないのか、背を此方に向けたまま私に伝えるお姉ちゃん。 「はーい」 私はお姉ちゃんに聞こえるように返事をして、席を立つ。ソファーに置いてあった薄い鞄を開いてクリアファイルを手に取って、それから更に私のものと思われる書類を抜き取る。 その弾みで中に入っていた紙切れがひらひらと宙を舞い地面に落ちた。 「あれ……?」 見たところメモ帳を一枚ちぎった感じの紙だった。お姉ちゃんのものかとも思ったが、私はそれを拾い上げて表を見た。 そこには綺麗な字でこう書かれてあった。 「ゆたかへ。泉先輩に今日配られたプリントを渡しておきました。本当は私が届けるつもりだったのだけれど、今日は用事があったからごめんなさい。また明日学校で。岩崎みなみ」 記された文字が書き手の声となって脳内で再生される。 私は頬が熱くなる感覚を覚えながら、プリントに目を通す。 しかし内容は殆ど入ってはこなかった。 私の頭は先程のみなみちゃんからの伝言の事でいっぱいだった。 風邪は治ったはずなのに、何だか熱い。 「ご飯出来たよー」 「うひゃぁい!」 不意に掛けられたお姉ちゃんの声に過剰反応してしまう。食卓を囲んでいる二人に少し変な目で見られたが、笑って誤魔化して私もその輪の中に入る。 「いただきまーす」 揃って唱和したところで夕食が開始、私達はそれぞれの箸を持って食べ物を口へと運び始めた。 「ゆーちゃん、みなみちゃんからのメッセージ見た?」 私がお肉を口内へ放り込もうとしたその時、お姉ちゃんが言った。 「うん、見たよ」 私はなるべく平然を繕って答える。 その言伝を見た時から、私は動悸が激しくなっているのを感じていた。 嬉しさとは明らかに違う感情が私を支配する。 心臓が脈打つ速度はとても速く、熱があるわけでもないのに上気する感じ。 理由は多分、とっくの昔から私の中にあったんだと思う。 それが、みなみちゃんの優しさに触れて表に出ようとしているだけ。 夕食と入浴を済ませた私は、昼間もお世話になった自分用のベッドに身をあずける。 仰向けになって目線の先にみなみちゃんからのメモを掲げる。 「みなみちゃん……」 その名前を呼んでみても何が起こるというわけではなかった。強いて言えば、静かな室内に私の声が木霊するだけ。 私が高校生になって初めて出来た一番のお友達。自分の事の表現が苦手だけれど、本当はとても心優しい恥ずかしがり屋な女の子。 短く切り揃えたミントグリーンの髪、中性的な整った顔立ち、物静かな雰囲気。 そのどれもが私には魅力的に映った。 そうして時を重ねて、いつしかみなみちゃんに抱く感情は憧れや親しさといったものから、愛しさへと変わっていった。 でもそれを知ったら、みなみちゃんはどう思うだろうか。 女の子が女の子に恋愛感情を持つなんて普通はない事だ。 だから私は知らず知らずの内にこの感情を心の中に封印していたのかもしれない。 みなみちゃんに拒絶されるのが怖いから。 でも、私は自覚してしまった。 ―――この気持ちを隠し通せるだろうか。 ―――それとも伝えるべきなのだろうか。 私は部屋を出てお姉ちゃんの部屋に向かった。何となくだけど力になってくれそうな気がする。 「ドアが開いてる……」 私が独り言を漏らしたとおり、お姉ちゃんの部屋のドアは開け放されていた。 中を覗いてみると、お姉ちゃんの姿は何処にも見えなかった。 悪いと思ったけど勝手に入らせて貰う。電気とパソコンがついたままの室内は、お姉ちゃんは恐らくお風呂に入っているのだろうと私に思わせた。私が上がってから大して時間も経ってないし、多分そうなのだろう。 「少し待ってみようかな……」 そう呟きながら辺りを見回すと、私は机の上に放置してある本に目が留まった。単行本にしては大きいし雑誌にしては薄すぎる。 見た事もない形の本に私は関心を惹かれて、ぱらぱらと頁を捲った。 「……!こ、これって……」 繊細なタッチで描かれている二人の女の子が、抱き合ったりキスしたりしていた。 「う、うわぁ……!」 話が進むにつれて、段々とエスカレートしていく二人。 「女の子同士の恋愛ってこんな感じなのかな……?」 頬を真っ赤にしながら、私は当初の目的をすっかり忘れて読み耽っていた。 そして私はいつの間にか、作中の人物を自分とみなみちゃんに置き換えていた。 恥ずかしい台詞を囁く脳内の私とみなみちゃん。 「私とみなみちゃんはこんな関係じゃ……」 口に出して否定してみるものの、私の手は止まらなかった。 結局、私は登場人物を変更したまま最後まで読んでしまった。 みなみちゃんの気持ちを無視しているって分かってても、自制出来なかった。 「こ、こんな事しちゃダメ……でも、ちょっと続きが気になるかも……」 「あ~、それはまだ続きが出てないから、次のコミケまで我慢だね」 「そ、そっか……って……」 私のぼやきに丁寧に対応してくれた聞き覚えのある声。 「気に入ったかな?それ」 恐る恐る振り向くと、口元をいつにも増して緩ませたお姉ちゃんの姿。 「お、お姉ちゃん……これは、その……」 その場を何とか取り繕おうとする私に、お姉ちゃんは更ににやける。 「ゆーちゃんももう十六歳、こういうのにも興味を持ち始めるお年頃だもんね」 私とは対照的ににこにこ笑っているお姉ちゃん。 「貸してあげようか?」 「借りてきちゃった……同人誌、って言うんだったっけ……」 自分の机の椅子に腰掛け、お姉ちゃんから借りた同人誌の表紙に目をやる。 「結局目的は果たせなかったし……」 呟き改めて見ると、表紙の絵も私の年齢で見てはいけない感じになっている。 あの時気づけなかった事を感謝すべきか、悔やむべきか。 ちょっとだけ感謝している自分がいた。 「でもこういうの読んだらいけないんだよね……何でお姉ちゃん持ってるんだろう」 疑問は多々あるものの、考えたところで解消しそうにもなかったので、私はその事について思考を巡らせる事を中断する。 「……そうだよ!こういうの読んだらいけないんだよ!」 数秒前何気なく言った自分の言葉でようやく気づく。偶然手に入れた事に感謝している自分を取り消すように頭を激しく左右に振る。 「ダメなんだよこんな事したら……」 頭では理解しているのに、どうしても意識が本の内容に傾いてしまう。 視界の両端には、ベッドと同人誌。このまま何もなかったかのように床に就いて明日の朝を迎えるか、もう一度読み返してみるか。 散々迷った挙句、私は後者を選んでしまった。 「一回見たんだから、何回見てもいけない事には変わりないよね……」 だったら読んでしまおうと、私の中の悪魔が理性を破壊した。 人間の三大欲求の中にも優先順位があるのかな。そんなくだらない事を思いながら、私は禁断の世界へと再び足を踏み入れた。 この話は、子供の頃から仲が良かった二人の女の子の内一人が、相手に抱く感情が友情以上のものだと悟って、勇気を出して告白したら相手も同じように想っていた、という筋道だった。 それから身体を交えるシーンに移行するのだが、心理の描写がとても上手く私は一気に引き込まれてしまった。 自分とみなみちゃんを重ねたのも、想いが通じ合う二人が羨ましかったからかもしれない。 しかしこの世の中にどれほどの同性愛者がいるだろう。 そしてみなみちゃんがその一握りの人種に入っていて、なおかつその相手が私である可能性は、果たしてあるのだろうか。 一概にないとは言えないが、ないに等しいと言っても過言ではないだろう。 その可能性は限りなく零に近いのだ。 だったら私の胸に秘めているこの気持ちは、伝えない方が良い。 受け入れられなかった気持ちが暴走し出すかもしれない。みなみちゃんが拒否するかもしれない。 どういった形になるかは分からないけど、確実に今の関係を壊してしまう。 それでみなみちゃんと離れ離れになるくらいなら、今のままで良い。 私はパタンと本を閉じて、机の上に置いた。 叶わない理想にこれ以上自分と思い人を重ねても、虚しくなるだけだった。 「寝よう……」 ベッドに潜り布団を被る。 しかし、身体を寒さから守る事は出来ても、心を守る事は出来なかった。 抑えようと思っても溢れ出してしまうほど、みなみちゃんが好きになっていたから。 「みなみちゃん……大好きだよ……」 でも、みなみちゃんは――― この恋は、きっと私からの片道で終わるのだろう。 好きになるのは簡単なのに、好きになって貰うのはこんなにも難しい。 全て諦めてしまった方が楽なのかもしれない。無駄に傷つかなくて済むかもしれない。 色々な事考えると諦めたい、けどそれと同じくらい諦めたくない。 臆病で弱気な私は、思考の迷宮にありもしない出口を見出そうとしていた。 最も簡単で、誰も傷を受けない選択肢が目の前にあるのに。 告白する勇気もないくせに、私はそれを選ぼうとはしなかった。 偽れない気持ちに続く コメントフォーム 名前 コメント この作者さんは、とても文章が 綺麗で読みやすいです。 -- チャムチロ (2012-10-22 07 33 20)
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「変わらない春」 宙に浮かんだ 一つのピンク そっと掌に 載せてみた その花びらは 柔らかく 君の右手を 思い出させる 突然 周りのピンクがゆがむ 探し続けた君が すぐそこに居た気がした 毎年変わらぬ この木の下で 変わり続ける 僕の姿 煙草に火をつけると 僕の涙は 空へと昇った それと逆に 君の涙は ひらりと僕に舞い降りた まるで 僕に微笑むかのように
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autolink DC3/WE16-06 カード名:変わらない時間 姫乃 カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 パワー:8000 ソウル:1 特徴:《新聞》? 【自】[手札を1枚控え室に置く]あなたのクライマックス置場に「いつまでもいたいところ」が置かれた時、他のあなたの前列のキャラが1枚以下なら、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、相手に5ダメージを与え、あなたのキャラすべてに、そのターン中、パワーを+1500。(ダメージキャンセルは発生する) 兄さん、実はね…私… レアリティ:R illust. 13/07/30 しろくろフェス ~WS 5th anniversary~特設サイトにて公開 ・対応クライマックス カード名 トリガー いつまでもいたいところ 扉
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悪夢は終わらない 「……………」 無言で立ちつくす。周りの音も不気味な程に何も鳴らない。 静寂の中で突っ立っている。その姿は少し怖い。 表情は生気が抜けたかのような、絶望的な表情。 まるで身近な誰かの死を目撃してしまったかのような………。 ………そう、身近な誰かの死。死、死、死………。 知らなければ良かった事、知ってしまった事。 あんな姿からじゃ予想出来る訳が無い。 廊下に散らばった臓器。勿論、臓器なんて普段見る訳が無い。 それに気持ち悪い。見たいと思う者もいない。 でも見つけてしまったなら、嫌でも見てしまう。 発見していなかったなら、どれだけマシだったのだろう。 結局、身近な者の死という事実は変わらないけども、それを知るか知らないか、 その死がどのようなものなのか、知ってるのと知らないのとじゃ大違いだ。 それが惨殺死体なら尚更、それが身近な者の死と受け止めたくなくなる。 受け止めたくない。………でも、知ってしまったんだ。 いや、知らされた。それも死んだ本人が、しっかりと………。 辛過ぎる内容。知ったその瞬間に、精神は壊れてしまった。 その後、どうなったか、何をしていたかは知らない。 ………ただ今、こうやって再び学校内にいる。 ボロボロの旧校舎で一人、真っ暗な中に突っ立っている。 「願い事………」 もう考える気も無いのだが、願い事を叶えるというのには惹かれた。 本当に叶えてくれるなら、願う事はただ一つだけだ。 あの死を無かった事にする。彼女が死亡した事を無かったことにする。 彼女を生き返らせる事を願う。ただ、それだけだ。 生き返らせる為なら何だってやる。やるしかない。 生きる希望を無くし一度壊れた自分はもう、それしかない。 嘘でも信じて動かなくちゃ、今度は自分が死亡する。 それもいい。彼女の元へと行けるなら、それでもいい。 ………でも戻って来て欲しい。こっちの世界で、彼女と過ごしたい。 あんな死体を置いたままあの世にいるなんて、絶対に嫌に決まってる。 無かった事にしないと、自分としても嫌だ。 「繭………」 鈴本繭、彼女を生き返らせる為に殺し合いをする。 そう決めた。この時点で、森繁朔太郎の運命は決まったのだろう。 最後の一人、ゲームの優勝というのがどれだけ厳しいか。 それを知ったところで森繁の意志はもう変わらないだろう。 何が何だろうが全員を殺害して繭を生き返らせる。 もう森繁にはそれしか映っていなかった。 一時的に冷静になれてるけど、これもいつまで続くか分からない。 森繁は直ぐにでも壊れそうな精神を抑えて所持品を確かめる。 いつも持っていた携帯はポケットの中には無い。何処かで落としたのだろうか。 無い方が少し有難い……。繭の死を無かった事にする為にあれは邪魔だ。 繭の死体が写された唯一の携帯でもあったのだが………。 でも優勝して繭の死を無かった事にするなら、やっぱり無くてもいい。 携帯が無い事を確認すると、周りを確かめてみる。 真っ暗な校舎の中、そこに一つの鞄が落ちていた。 天神小学校では血まみれの袋を普通に拾った森繁(中身は人の……) この鞄も普通に拾って、中身を確かめた。 ……その中には携帯があった。しかも自分が持っていた携帯と疑似している。 少し過去を想起してしまうが、携帯を確かめてみる。 メールが一通届いている。宛先はよく分からない人からだ。 見るべきかどうか悩んだが、見る事にした。 その内容は、選ばれたという報告だった。 ………未来日記というものの所持者に選ばれたという報告だった。 『森繁朔太郎様、貴方は参加者50名の中、未来日記所有者の1名に決定致しました。 貴方の未来日記は、『死体日記』。死体を写してきた貴方の携帯をより万能にしたものです。 貴方が発見するであろう死体の場所、死亡時刻、名前等が記されます。 加えてメールにて死体の写真が送られてきます。その際には名前も記されてます。 3時間毎にそれまで死者の写真は一括して送りますのでしっかりご確認ください。 DEADENDフラグがたった場合、文字ではなく貴方の死体となった写真が記されます。 死体を目の前で発見場合はより詳しい情報を得られる、そういった未来日記となっております。 未来日記の情報に背いた行動を取れば未来は変わります。また、貴方の行為が他の未来日記所有者の 未来も変える場合があります。当然、貴方の未来も他の所有者の行動次第で変わります。 そしてこの未来日記は貴方の心臓と同じようなもの。この携帯が壊された場合、 貴方はこのゲームに敗北したと見做され、貴方の存在は消滅してしまうでしょう。 例外もいますが、大体の所有者も同じく未来日記が壊されてしまえば消滅してしまいます。 以上を踏まえて未来日記を有効活用しつつこの勝負の覇者を目指しください。』 死体を写してきた、何でそんな事を思い出させるんだ。 ……でもこの携帯が壊れれば自分の存在が消滅してしまう。 有益な情報が得られるような気がしない、でも死体が見れる。 天神小学校でもやって来た事だ。死体の写真を見て落ち着いていた。 そんな森繁だからこそ与えられた日記なんだろう。 常人には絶対に扱えない代物だ。何せ死体の写真が送られてくるのだから。 こんな携帯を持ってると知られれば警戒されることは間違い無い。 気持ち悪いと思われるだろう、でもそう思わせる暇も与えないつもりだ。 出会えば殺す。それが例え友達だったとしても………躊躇せずに殺す。 (優勝する……絶対に繭を取り戻す……) 森繁はもう、優勝しか目に見えていなかった。 自身の命など気にもとめずただ優勝の為に人を殺す。 それだけを見ていた。だから、森繁の未来は非常に不安だ。 身体が限界だろうが動き続けるであろう彼がどうなるかなんて、まだ分からない。 ただその終わりは死体日記が告げてくれる。 この死体日記が自身の死の有様を最後に告げてくれる。 表示されない限りは自分の身はまだ大丈夫なのだ。 死体日記には何も記されていなかった。まだ死体は発見出来ないということだ。 ……この死体日記はあらかじめ設置されている死体にしか反応しない。 森繁自身が殺害した為、死体を発見する。そういった未来は書かれない。 死体となるかならないか、それは書かれない。発見するかしないかだけの日記。 それがこの死体日記の弱点といったところだろう。特にこの殺し合いの中、 時間が経つ度に死体が増えるんじゃ、その死体日記の内容も何度か書き変わるだろう。 今、森繁が誰かを殺す事で死体日記は反応して内容を記す。 それを利用すれば、殺し合いに乗った危険人物が何処にいるか予想出来る。 死亡時刻まで表示されるのだから、時間が新しい程殺った人物はその近くにいる事となる。 森繁はこれを上手く活用出来るのだろうか? そして死体日記の他に入っていたのは、刃物だった。 好都合だ。銃器は扱った事が無い為、刃物の方が殺り易い。 ただ近くに寄らないと殺せないというのは、難しいところだ。 暗い内なら、不意打ちで殺害するのも可能だろうから今がチャンス。 更にこの包丁、万能包丁は包丁さんの効果も付加している。 学校の扉なんて余裕で切り取れるぐらいの刃物と化しているのだ。 十分と言える武器と道具。森繁は直ぐに殺害の為に動く事にした。 物を準備する必要性も薄くなった。だって、ほぼ揃っているもの。 後は殺す対象を捉えるだけ。でもって不意を突く。 一度精神が壊れた森繁は今、冷静に人殺しをしようとしていた。 旧校舎を歩く森繁は、天神小学校にいた森繁とは違う。 刻命裕也のような、人の命を奪いに行く恐ろしい人物だ。 この先の未来がどう予知されるかは森繁、それと他の日記所有者次第だ。 【D-1 学校-旧校舎2階廊下】 【森繁朔太郎@コープスパーティーBCRF】 【状態】健康 【服装】如月学園男子制服 【装備】万能包丁@包丁さんのうわさ 【道具】基本支給品 死体日記@オリジナル未来日記 【思考】基本思考:繭を生き返らせる為に優勝する。その為に人を殺す。 1、基本的には不意打ちで人を殺す ※参戦時期は携帯に写していた惨殺死体が繭だと知った後です。 ※【死体日記@オリジナル未来日記】 所有者が発見するであろう死体の場所、死亡時刻、名前等が記される。 3時間毎にメールにて死体の写真が一括して送られ、その際には名前も記されている。 DEADENDフラグがたった場合、文字ではなく所有者の死体となった写真が記される。 あくまで発見するかしないかを記す。死体を生み出すかどうかは予知されない。 ※【万能包丁@包丁さんのうわさ】 至って普通の包丁、でもこの包丁を使う事で包丁さんを呼べる。 包丁さんが使うと扉をも切れる切れ味となり、まさにチートアイテム化するだろう。 ◆◇ その旧校舎の1階には、森繁と似たような事を思っている男がいた。 違うのは生き返らせる為に殺し合いをしようと思っているのではなく、 この殺し合いに参加させられた大事な人が死なないように他の皆を殺すという目的だった。 自身が優勝するのではなく、その大事な人を優勝させる。 ………そんな彼は、春原陽平。彼には妹がいる。 春原芽衣という妹がいる。その芽衣の為に春原は殺し合いに乗ろうとしていた。 芽衣がいなければ、殺し合いには反対して動いていたのかもしれない。 でもいる。妹の芽衣がいる。だから春原は殺し合いに乗る事にした。 芽衣が死んだら………そんな嫌な考えが頭に過る。 森繁は、何が何でも優勝して繭を生き返らせる。 春原は、何が何でも芽衣を優勝させて生き残ってもらう。 そんな二つの思惑が、交差しようとしていた。 森繁が歩く二階の廊下、そこへ向かおうと春原は階段を上る。 上に誰かがいると分かって行動してる訳じゃない、ただ気まぐれだ。 森繁と春原が出会うのは決まっていたのか。それは、誰にも分からない。 そしてこの両者がどうなるかも、全然分からない。 分かるのは、二人が鉢合せになる事ぐらいだ。 ―――運命は、どう決断するのだろうか? ………そして、更に旧校舎へと侵入する者がいた。 彼、鎌田吾作もやはり優勝狙いだ。 蟹になりたいと願う彼は、その為に優勝を狙いに行く。 優勝の為には人殺しをする必要がある。 吾作に躊躇いは無い。蟹道を貫くだけなのだから。 その意志の強さは、森繁や春原にも匹敵する。 果たして、吾作はどう介入してくるのだろうか? 【D-1 学校-旧校舎2階廊下】 【春原陽平@CLANNAD】 【状態】健康 【服装】光坂高校男子制服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:芽衣を優勝させる為に、人を殺す。 1、何が何でも芽衣を優勝させないと……。 【D-1 学校-旧校舎1階】 【鎌田吾作@本格的 ガチムチパンツレスリング】 【状態】健康 【服装】黒のTシャツとジーパン 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:蟹になるために優勝する。 1、蟹道を貫く sm020 DESPAIR GIRL 投下順 sm022 有利不利の境界線 START 森繁朔太郎 sm000 [[]] START 春原陽平 sm000 [[]] START 鎌田吾作 sm000 [[]]
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autolink DC/W09-027 カード名:変わらない故郷 小恋 カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:3 コスト:2 トリガー:1 パワー:10000 ソウル:2 特徴:《音楽》? 【永】あなたのストックが6枚以上なら、このカードは『【自】アンコール[手札のキャラを1枚控え室に置く]』を得る。 【自】このカードが手札から舞台に置かれたときか『チェンジ』で舞台に置かれた時、あなたは自分のクロックの上から1枚を、控え室に置いてよい。 RR:やっぱり、この島は・・・・・・初音島はいいなぁ SP:わたし、帰ってきて良かった。 みんな、そのままでいてくれたから レアリティ:RR SP illust.立羽 2010/03/19今日のカード。 SPにはサイン付き。 条件付きの手札アンコールと、レベル3定番の舞台に出た際の1点回復を持つレベル3。 一つ目の能力だが、手札アンコールはアンコールステップまでに得ていれば基本的には問題が無い為、 アタックフェイズへの突入時にストックが3枚あれば良いと考えると、 見た目よりも発動は容易だと思われる。 一度手札アンコールを得てしまえば、ストックを節約する事が出来る為、 維持しやすくなる、という点では条件と能力が上手く合致していると言える。 更に、晴れ着の小恋が能力やCXシナジーの他、対応CXのトリガーでもストックブーストを行う事が出来、 月島 小恋が手札アンコールを持っている等、 「小恋」?でデッキを組もうとした際にはストックを節約・積み増しをしながら戦いやすい。 状況によっては早出しを行っても手札アンコールを無理なく使用出来るだろう。 チェンジ元である手を取る小恋からのチェンジコストにはストックが不要であるため、 条件さえ満たした後ならばレベル2からでも安定して出てこれるのはレアリティに見合った優秀さと言えるだろう。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 手を取る小恋 2/2 8000/2/1 緑 チェンジ ・関連ページ 「小恋」?