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平成21年3月定例会-03月30日-07号 平成21年3月定例会-03月04日-05号 ○議長(坂下弘親君) 次に、日程第2、諸報告を行います。 開地区自治連合会会長海老温信氏外3名から提出のありました陳情等第21-4号、開浄水場のポンプ交換についての要望については、その写しをお手元に配付いたしておりますので、ごらんおき願います。 ------------------------------- ┌--------┐ |受理第21-4号| └--------┘ 陳情書等 件名 開浄水場のポンプ交換についての要望 2009(平成21)年2月27日 宇治市議会 議長 坂下弘親様 開地区自治連合会会長 海老温信 開ヶ丘自治会会長 林 猛雄 一里丘自治会会長 徳岡拓万 第二次水道問題対策委員会委員長 木村正孝 開浄水場のポンプ交換についての要望書 春寒の候 貴職ますますご清栄のことと存じます。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、2月6日早朝、私たちにとり大変重要な開浄水場の揚水ポンプが一時停止しました。その後、市水道部のご尽力により復帰し事なきを得たことで、私たち住民は胸をなでおろしました。 しかし、今回の一時停止は、貴職もご存知のとおり、開浄水場の交換用ポンプが平成18年度において予算化され、購入されながら他の浄水施設に流用され、今日まで交換されなかったことが原因であることは、紛れもない事実であり、誠に遺憾なことであります。 このたびの事態は、以前から憂慮されるべきこととして、私たち自治会及び給水を受けている全住民は、再三にわたり速やかに交換されるよう要請してまいりました。しかし、水道事業管理者は、休止の方針があるため交換しないとの返答を繰り返すのみであります。 しかし、一昨年12月17日の水道部と私たちとの協議の場において、ポンプの交換をしていないことの責任は市にあること、休止は19年度の方針であったので、もし18年度中にポンプが停止した場合は、直ちに交換していたであろうとの回答を得ています。このことを踏まえ、ポンプ交換が実施されていない現状のなかで、次善の方策として、使用量が倍近くになる年末に断水の事態を招かないよう、水道部において浄水場運転の工夫と給水車の配置が行われ、年末ぎりぎりまで監視体制がとられた経緯があります。この措置は昨年末においても実施され、私たちは大変感謝もしたところであります。 しかし、今回のポンプ一時停止後から、水道事業管理者は一転して再度停止することになれば、直ちに「府営水に切り替える」「給水体制はとらない」と議会委員会で表明され、大変驚いている次第です。 給水責任と施設の管理責任は市水道部にあります。ポンプの故障に伴う交換はメンテナンスの問題であります。休止問題は協議の途中であり、また裁判においてその違法性について係争中であります。係争中である以上現状維持が基本であります。これらの現状をご理解いただき、市水道部が、直ちにポンプ交換をするよう、貴職のご尽力をお願いする次第です。 平成21年3月 定例会-03月02日-03号 ◆中路初音議員 2つ目に、開浄水場について伺います。市の開浄水場休止方針に対して地域住民が裁判を起こし、市が「違法」だと訴えられています。もともとこの地域では住民は日産車体が所有していた開簡易水道の地下水を飲んでいました。その後、昭和53年に市と住民と日産は三者で覚書を締結し、住民は今日まで開浄水揚を水源にした地下水を供給されてきました。当時の市長は、地下水は宇治市が責任を持って供給するのである、井戸を廃止する場合は皆さんのご了解を得る、としており、明らかに一般の水道の給水契約とは異なった特殊な契約が交わされました。 平成18年12月に市が開浄水場の休止方針を出しましたが、地元住民が納得できる合理的で正当な理由がなく、住民が、債務不履行であり、違法として提訴しているものです。そうした経過の中で先日2月6日、浄水場の取水ポンプが一時とまりました。復旧しましたが、耐用年数は過ぎており、いつ故障するかわからない状況になっています。市はポンプがとまれば府営水に切りかえるとしていますが、これは係争中の裁判で争っている一方の立揚です。市が、本来予定していたときに交換していればこのような事態にはなっていません。ポンプ交換は市の方針変更に至るものではなくメンテナンスの範囲であり、至急にポンプ交換をすべきです。 先日2月12日の委員会では、ポンプを交換すべきとの質問に、休止と決定していて予算を計上していない、係争中のため予算はないが総枠の中で浄水場の運営はしている、が予算がないという状況の中でこのポンプの交換をできないと答弁されています。運営はできても、ポンプの交換は予算計上していないからできないのですか。改めてご答弁をお願いします。 ◎水道事業管理者(桑田静児君) (登壇)開浄水場のご質問にお答えをいたします。 覚書の締結当時は府営水道からの供給水量が限界に達するという市全体の水需要を考慮した中で、開地域の水問題の解決を図る目的から、三者三様の負担の覚書を締結し、今日に至ったものでございます。 このことにつきましては、当時地元の理解が得られず、話し合いが進展しない中で当時の市長が行政上、しこりが残るのであれば手を引かせてくださいと発言しており、地元住民に対して、将来にわたって特別な負担をすることを約束する趣旨ではなく、地元の方が主張するような権利を認め、これらの権利を今後も保障することを約束した発言でないことは明らかでございます。 開浄水場の休止理由は1、原水の水質に問題があること、2、施設の老朽化と更新費用、3、揚水量の低下、4、小規模浄水場の統廃合による効率化、5、府営水に余裕があること、6、経済的・効率的に安全安心な水道水を供給できる方策があることの6点で説明をしてまいりました。 しかしながら、地元から平成20年1月に京都地方裁判所へ仮処分命令申立書が提出され、4月には、本件申し立てを却下するとの決定がされましたが、不服として、大阪高等裁判所へ即時抗告され、その後、昨年12月に即時抗告を取り下げられました。 また、昨年1月に提訴されました開浄水場休止差止等請求事件につきましては、今日まで4回にわたる口頭弁論が行われ、京都地方裁判所で現在係争中でございます。 開浄水場の休止につきましては、平成18年12月に所管の常任委員会に報告をし、さらに平成19年3月議会におきまして、修正案が提出されたものの、結果として休止を含む予算原案が全議員の賛成によりご可決をいただき、平成20年3月議会におきましても、修正案が提出されたものの、否決されましたことから、これまでからも申していますように、早期に休止することが水道事業者の責務であると考えておりますが、府営水への切りかえに至っていないことから、開浄水場の水を安全に供給するために、この間、必要な日常点検を適正に行ってまいりました。 そのような中で去る2月6日に、過電流により保護装置が作動し、取水ポンプが一時停止しましたが、直ちに復帰し、その後電流値の監視を継続して行っております。 しかしながら、電流値監視におきまして、電流値が上昇する傾向にあり、取水ポンプが停止するようなことが想定される場合には断水を回避するため、事前に地元へ連絡し、府営水への切りかえを行ってまいりたいと考えております。 また、先ほど申しましたように、開浄水場の休止を含む予算が可決されましたことは非常に重いものと受けとめております。なお、開浄水場の運営は原水浄水費予算の総枠で対応をしておりますが、ポンプ交換は日常の点検範囲ではなく、休止理由の1つに掲げております施設の老朽化、更新費用の問題であり、水道部の方針にかかわるものであると考えております。 したがいまして、開浄水場休止の方針のもとで、ポンプの交換はできませんので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。 平成21年2月 建設水道常任委員会(第2回)-02月12日-02号 P.32 △ 3.宇治市地域水道ビジョンについて P.48 △ 追加.開浄水場取水ポンプの停止について(報告) トップページ当ネットのご紹介資料室1資料室2リンク集個人情報保護条例違反地下水管理と住民の取組京都水盆仮想水
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9. 原告・第4準備書面 10. 原告・第5準備書面 11. 原告・第6準備書面 9. 原告・第4準備書面 平成20年(ワ)第77号事件 京都地方裁判所 第2民事部合議3C係 御 中 原告ら 開地区自治連合会外10名 被 告 宇治市 原告ら第4準備書面 上記当事者間の頭書事件について、原告らは、以下のとおり、準備する。 平成21年1月21日 上記原告ら代理人 弁護士 湯 川 二 郎 弁護士 山 口 智 第1.原告らの地位 1.日本国際航空工業(昭和16年設立)は、会社設立と同時に、開簡易水道事業の経営を始め、その簡易水道を中心として会社設立の翌昭和17年以降順次社宅を建設して、同社宅(原告らの一部が居住する開町の社宅は昭和17年に完成した。)に開簡易水道の水を供給するようになった。このように開の社宅は開の水があるからこそ、そこに社宅が建てられたものであって、住居と開の水は一体のものであった。 2 日本国際航空工業は、その後、日国工業株式会社(昭和21年)、新日国工業株式会社(昭和24年)、日産車体工機株式会社(昭和37年)、日産車体株式会社(昭和46年)と事業承継・商号変更を繰り返したが、開簡易水道事業を継続して経営してきた(別紙 日産車体の歴史)。その間(昭和36年の簡易水道事業廃止申請時までに)、開簡易水道事業の給水区域は、同社の社宅のみならず、その後新たに開発された開町、開ケ丘、一里丘の住宅地へと拡大されてきたものである。日産車体の社宅としてではなく開発された住宅地においては、宇治市水(府営水)が供給されても良かったのに、住民は開簡易水道の給水を受けることを選択した。 3 そして、昭和53年に、宇治市、日産車体及び開自治会の合意によって、開簡易水道の給水区域に対する給水は、日産車体に代わり宇治市が、開浄水場を再度整備し直して、開の地下水を水源として給水することとなった。 4 原告らの中には、①日本国際航空工業の従業員又はその家族・親戚としてその社宅(開町)に居住してきた者、②その社宅を買い受けて転居してきた者、③昭和40年代に開発された開ケ丘、一里丘の住宅地を購入して転居してきた者がいるところ、そのいずれのグループに属する原告も、昭和53年以前から開簡易水道から給水を受けてきたものであって、昭和53年に本件覚書(甲1)が締結された後に同覚書に基づいて開浄水施設から給水を受けてきたものである(別紙 開浄水場の水(開の水)飲用時期等について)。 5 したがって、原告らは、開簡易水道事業の経緯及び本件覚書を自己の法律上の利益を基礎づける事実として主張しうる地位にある。 被告の認否は甚だ漠然としており、以上の事実経過を正確に認識しているのかどうか甚だ曖昧であるので、以上の事実につき再度詳細に認否されたい。 第2.個人原告らに、①府営水=府営宇治浄水場からの水ではなく開浄水場からの水を、②府営水=天ヶ瀬ダム水ではなく井戸水を、③府営水=府営水道購入水ではなく現在飲んでいる水質の水を受ける権利を認めることは水道法・地方公営企業法に反するか 被告は、住民らの希望に応じて水源や水質の選択を認めることは地方公営企業法及び水道法の定める水道事業の性質と相容れない旨主張する。 しかしながら、まず第一に原告らは、自分たちの希望で、現在給水を受けている水に代えて、それとは異なる水源や水質の選択を認めるように水道事業者に対して請求しているものではない。現在給水されている水源や水質の水を引き続き供給するように請求しているにすぎないから、水道事業者に対して過度の負担をかけるものではない。 第二に、原告らは、①開浄水場からの水を府営水=府営宇治浄水場からの水に、②井戸水を府営水=天ヶ瀬ダム水に、又は③現在飲んでいる水質の水を府営水=府営水道購入水に切り替えることを絶対に拒否しているものではない。合理的な理由(たとえば、開浄水場の水源が枯渇した場合、開浄水場の維持管理に多額の費用を要する場合等)があるときは、給水の水源や水質を変更することを認めるものである。ところが、開浄水場の休止には合理的な理由がないとして原告らはその差止めを求めているのである。したがって、原告らの権利を認めることが公営企業としての経済性を発揮しつつ常時水を供給しなければならない水道事業と相容れないということはあり得ない。 第三に、原告らの権利を認めたとしても、水道事業者の水源や浄水方法等の選択の裁量を否定することにはならない。逆に、水道事業者に水源や浄水方法等の選択の裁量を認めたとしても、水道事業者は自由に水源や浄水方法を変更できるものではなく(自由裁量の否定)、その裁量権行使には合理的な制限があるのであって、合理的な理由に基づいて変更するものでなければ、裁量の逸脱濫用に当たり違法となる。被告は「水道事業は地方公営企業法の適用を受けるから水道事業の効率的経済的な観点からの見直しは当然にあり得るものである(命題1)から、本県浄水場で浄水された水の供給を受ける権利を観念することはできない(命題2)」旨主張するが、原告らは命題1を否定するものではない。命題1から命題2は導けない、命題1と命題2は両立すると主張しているのである。すなわち、効率的経済的な観点に照らして合理的ではない水道事業の見直しは地方公営企業法に反するものであり、原告らはそのような裁量を逸脱濫用して違法な水道事業の見直しの差止めを請求する権利があると主張しているものである。原告らは、水道事業者に対して合理的な裁量権の行使を請求しているにすぎない。 第四に、水道法は、全国的に様々な水事情(水量や水質)がある中で水道事業として最低限必要な枠組・レベルを定めた法律であって*1 、水道事業としての枠組・レベルに反することのない限り、給水契約の目的を水道水質基準に適合する水を常時供給することに加えてそれ以上の水質の水を供給することとすることは何ら水道法に反するものではない(小早川光郎・行政法(上)・弘文堂260頁)*2 。 *1宇治市水道事業中長期整備計画によれは、「全国的に全ての水道が達成すべきナショナルミニマム」である(甲3号証19頁)。それに対して、宇治市水道事業の基本理念は「宇治市住民のニーズに応じた多様な水準のシビル・ミニマム(ローカル・スタンダード)を達成すること」にある。 *2小早川は、「行政機関と関係者との間に成立した合意がその内容において、又は当該事項の処理方式ないし手続において、関連する立法の趣旨に抵触する場合は契約としての拘束力を生じ得ない。それ以外の場合にあっては、、行政機関と関係者との間の合意の効力の拘束力を排除する趣旨が関連の立法から導かれない以上は契約は行政機関を拘束し、行政機関が合意によって負担した義務を履行しないときは民事手続による履行強制が原則として認められるべきである」とする。なお、小早川は「給付作用における受益者の権利義務についての立法の規定は多くの場合、合意によって別段の定めをすることができないという意味で強行規定たる性質を持ち、それに反する合意には拘束力は認められない」とする。 第五に、給水契約は給付行政の実現手法であるところ、需用者に対して効率的に良質のサービスを提供することを目的とするものであって、合理的な理由もなくそのサービス水準を低下させることは背理である。原告らはこれを求めているにすぎない。 第六に、そもそも水道法は、国民生活に不可欠の水の供給サービスを、市町村の経営する水道事業として、市町村と国民との契約方式によることにしたのであって、法律が一律に給水契約の内容を定める方式や行政処分の方式を採用しなかった。加えて、水道法14条2項4号は、特定の者に対する不当な差別的取扱いを禁じているのであって、合理的な差別的取扱いは何ら法の禁ずるところではない。これまで述べてきたような開地区が宇治市水道給水区域に編入されることとなった歴史的地域事情に照らすならば、開浄水場の給水区域にある原告らが同浄水場からの給水の継続を求めることは何ら不当な差別的取扱いとなるものではない。 第七に、被告は地方公共団体であり、憲法及び法令の規制に服しなければならない。地方公共団体が水道事業を行うに当たって、これを行政処分の方式で行うか契約方式によるかは立法政策の問題であって、水道法はこれを契約方式によることと定めた。仮に住民に対する給水事業が行政処分の方式によって行われるならば、本件浄水場の休止処分は抗告訴訟としてその取消訴訟や差止めの訴えの対象となるべきものである。それが認められるかどうかは、休止処分に裁量の逸脱濫用があって違法となるかどうかによって決される。ならば、契約方式による場合であっても、浄水場の休止による給水契約の変更に対しては民事訴訟が提起できるべきである。原告らの被保全権利を認めないということは、民事訴訟の余地を認めないということであって、不当という他はない。 よって、以上のいずれの見地に照らしても、給水契約の内容として原告らの権利を認めることは地方公営企業法及び水道法の定める水道事業の性質と相容れないものではない。 第3.裁量権の濫用について(予備的主張) 1. 原告らは、これまで主張してきたとおり、原告ら開地区の住民は、被告より一般的な「水」の供給を受ける権利を有しているというだけに留まらず、「開浄水場からの水」又は「地下水」の供給を受ける権利を有しているのであるが、この入口論争を続けることは甚だ不毛な争いである。仮に、被告が原告らに対して負う債務の目的が一般的な「水」を供給する義務に過ぎないとしても、被告は何の制約も無しに自由に、地下水を水源とする開浄水場の水の供給に代えて、府営水の供給へ変更することが許されるものではないからである。地下水から府営水への切替に何らの合理性もないときは、かかる給水の切替は水道事業者の裁量を逸脱して著しく不合理であるから到底許されるものではない。 2.すなわち、上述のとおり、被告のような水道事業者に、「特定の水」の供給をすべき義務はないと仮定した場合、いかなる水源の水をどのような方法で供給するかは水道事業者の裁量に委ねられていると一応言える。しかし、その裁量も無制限に認められるわけではなく、これまで供給してきた水と比較して水質の劣る水を供給するときは、需用者にその不利益を負担させるだけの、それを上回る必要性・合理性が必要である。水道事業が需用者から対価を得て行う公営企業であることに鑑みれば、サービスの低下はその甘受を強いるだけの合理性正当性が必要であると言うべきである。そして、その合理性正当性は、水道事業者によって十分に需要者に対して説明がなされなければならない(説明責任)。ところが、給水の変更にかかる合理性正当性がないとき(説明責任の履行のないときを含む)は、それはまさしく水道事業者の債務不履行であるから、需用者はその給水の変更を拒否する権利を有すると言うべきである。 原告ら準備書面(平成20年7月15日)においても主張したが、宇治市水道事業中・長期整備計画(甲3)の冒頭1頁にも引用されているとおり、同計画は、厚生省の水道基本問題検討会報告「21世紀における水道及び水道行政のあり方」(平成11年)を踏まえたものとなっている。すなわち、同報告は、基本的視点として①需要者の視点、②自己責任原則、③健全な水環境を掲げ、水道行政のあり方として、全国的に全ての水道が達成すべき「ナショナル・ミニマム」に加えて、それぞれの地域ごとに需要者のニーズに応じた多様な水準の「シビル・ミニマム(ローカル・スタンダード)」を設定し、その達成へ行政が主導し牽引していく時代から、需要者である国民との対話を通じ、水道事業者が自らの意志と努力で方向を決めていく時代にふさわしい関係者の役割分担等を示し、具体的には、「安全に飲用できる水の供給を全ての水道で維持しつつ、需要者の選択に応じたおいしく飲用できる水の供給」ができるようにすることが水道事業者の役割として示した(甲20)。 このように、どの水を供給すべきかという点における被告の裁量権は、上記宇治市水道事業中・長期計画から導かれる被告の役割に従って行使されるべきものといえる。すなわち、「安全に飲用できる水の供給を全ての水道で維持しつつ、需要者の選択に応じたおいしく飲用できる水の供給」を行えるように被告はどの水を供給すべきかについての裁量権を行使すべきなのである。 3.本件の場合、①原告らが戦前から現在に至るまでの間、開水道施設によって地下水の供給を長年にわたって受けてきたという歴史的事実、②被告も個人原告らを含む住民による開簡易水道存続の強い要望を受けて、当初の市水道(府営水)への切替えの方針を撤回して、地下水の供給を継続するために市長斡旋案を示し、市議会もこれに応えて開簡易水道存続に関する請願を採択し、開浄水場建設のための予算を承認するなどして、原告ら住民に対して地下水(井戸水)を供給する約束を原告ら住民に対して果たしてきたということ、そして、③この三者三様の斡旋案をこれまで各自が履行してきた結果として、被告より原告らに対してこれまで長年にわたって地下水の供給が行われ、現在に至っているということといった歴史的事実からすれば、開簡易水道からの水の供給を行うことが「需要者の選択に応じたおいしく飲用できる水の供給」といえ、被告として役割を果たしたと言えるのである。逆に、開簡易水道からの水の供給を休止し、府営水へと切り替えることは、上記役割によって画される被告の裁量権の範囲を逸脱したものと言え、開浄水の水質が著しく悪化したりその水源が枯渇したなど、給水方法・水源を切り替えることに合理性正当性がない限り、違法と言うべきである。そして、本件では開浄水場を休止し、府営水へ切り替えるべき合理的理由がないことはこれまで主張してきたことである。 従って、被告が行おうとしている府営水への切り替えは、被告の裁量権を逸脱したものとして違法と言うべきなのである。 したがって、仮に被告の主張を前提としても、被告が開浄水場を休止(廃止)して府営水に切り替えなければならない合理性正当性があるのかどうかを本訴において速やかに審理されるべきである。 以 上 10. 原告・第5準備書面 平成20年(ワ)第77号事件 京都地方裁判所 第2民事部合議3C係 御 中 原告ら 開地区自治連合会外10名 被 告 宇治市 原告ら第5準備書面 上記当事者間の頭書事件について、原告らは、以下のとおり、準備する。 平成21年3月4日 上記原告ら代理人 弁護士 湯 川 二 郎 弁護士 山 口 智 第1 裁判所からの求釈明に対して 前回、裁判所から「裁量の濫用というからには、その基本となる権利が必要なのではないか」との釈明を求められたので、以下に釈明する。 原告らは、主位的に、「開浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」があることに基づいて、被告の「休止決定」には何ら正当性はなく、裁量の問題としても裁量の逸脱濫用があることを主張するものである。 しかし、それに加えて、原告らは給水契約の当事者として、水道事業者たる被告に対して、これまで歴史的に供給されてきた水源や浄水方法に基づく水の供給を合理的な理由なく府営水に変更されないよう請求する権利、すなわち瑕疵なき裁量権の行使を請求する権利があると予備的に主張するものである。 被告は、「そもそも原告ら主張の権利が認められない以上、本件浄水場の休止が合理的裁量の範囲内であるかどうかを論じる余地はない」旨主張するが、原告らは、契約当事者として合理的な裁量権の行使を請求する権利があると考える。 第2 原告らの主張 原告らには、「開浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」がある。それは、これまで原告らが繰り返し主張してきた、原告らと被告との間で歴史的に形成されてきた本件特有の特殊な給水契約に基づき認められる権利である 。この点で、そもそも給水契約は「需要家台帳または給水装置使用開始届によって成立する」もので、「覚書や市長の発言をもって給水契約が成立するものではない」とか、原告らにはもともと「特定の水の供給を受ける権利」などあり得ない旨の被告の主張は全くの筋違いである。原告らは一般的な給水契約における権利義務を論じているのではなく、原告らと被告との間に歴史的に形成されてきた本件特有の特殊な給水契約における権利義務を論じているのである。 そして、被告が主張する開浄水場休止決定の根拠は、いずれも事実に反し、あるいは十分な合理性を有さず、原告らとの給水契約の変更を正当化する事由に該当しないものである。これもこれまで詳述してきたとおりである。 第3 裁量論~「休止決定」には裁量の逸脱濫用があること 1.これに対して、被告は、いかなる水を供給するかは水道事業者の裁量であって、法律上何らの制限はない旨主張して議論をすり替えようとする。しかし、この論理が妥当するのは、せいぜい一般的な給水契約においてであって、本件のような歴史的経緯を踏まえて形成されてきた本件特有の特殊な給水契約には全く妥当し得ない。被告の主張は、開地区における水道の歴史、本件給水契約の特殊性をことさらに無視した論理のすり替え以外の何者でもない。 2.ところで、被告が強調する「裁量」という概念は、歴史的には「行政権の固有の権限」と観念され、行政機関(行政庁)の「裁量処分」に対しては裁判所の審査が排除されてきた(「裁量不審理原則」)。しかし、現行行政事件訴訟法は、このような旧憲法的観念・原則は否定した。しかし、なお、「行政庁の裁量処分については裁量権の範囲を超え、又はその濫用があった場合に限り裁判所はその処分を取り消すことができる」(行訴法30条)として、司法審査に一定の制約を課している。 現代行政における「裁量」領域の拡大の下で、「裁判所は、一方において行政行為における判断過程〔事実認定、事実認定の構成要件への当てはめ(要件の認定)、手続の選択、行為の選択、時の選択〕のそれぞれについて行政庁の一定限度の裁量を認めると同時に、〔その統制を〕なんらかの方法で図ろう」としてきた。その「一般的方式」が「裁量権の逸脱・濫用の統制」であった(塩野宏「行政法Ⅰ〔第四版〕」114頁、121頁以下 有斐閣2005年)。 まずは、行政機関が行った判断それ自体を対象として、それが事実に基づいてなされたかどうか、根拠法規の目的や平等原則、比例原則など法の一般原則に抵触していないかなどが主として審査されてきた。(塩野前掲書121頁以下、室井・芝池・浜川編「コンメンタール行政法Ⅱ 行政事件訴訟法・国家賠償法」323頁以下等)。 裁判所の「審査密度」を向上させる試みは、さらに行政決定の公正さを担保すべく手続や判断過程へのより立ち入った審査へと展開してきている(塩野前掲書127頁以下、前掲「コンメンタール」326頁以下、芝池・小早川・宇賀編「行政法の争点〔第3版〕」116頁以下等)。 3.このような「裁量権の逸脱と濫用の統制」論は、従来、ほとんど行政行為ないし行政処分をめぐって論じられてきたものであった。行政行為中心の伝統的行政法学は、行政の非権力的行為形式については、ほとんど留意してこなかったからである。 しかし、法令によっては一義的に拘束され尽くしていない結果としての「行政機関の判断の余地」たる「行政裁量」は、行政行為以外の行為形式においても多様に存在している・このことは、今日では、既に「常識」となっている(芝池義一「行政法総論第4版」68頁以下 有斐閣2001年、塩野前掲書112頁等)。 4.国や地方公共団体のなどの行政主体が私人あるいは他の行政主体との間において締結する契約(行政契約)についても、近時、「裁量権の逸脱・濫用」が問われ始めている(高松高判平12.9.28判例時報1751.81、最判平16.7.13民集58.5.1368等)。 この手法については、一般的に、「公正さの確保」のため「民法上の契約法理の修正など適宜その補正」が「立法論および解釈論において必要」とされている(塩野前掲書175頁)。 5.ところで、被告の主張する「裁量」論は、いまだその根拠や内容が定かではない。せいぜいのところ、水道法が特に規定を置いていないから、水道事業者がいかなる水源からいかなる水を供給するかは、水道法の定める水質に関する規制を除いて自由である、ということに尽きるものと思われる。 たしかに水道法は、水源に関して特に規定していない。したがって、水道法のレベルにおいて、給水契約一般について論じるのであれば、被告の主張もあながち失当とは言えないであろう。 しかし、原告は給水契約一般を論じているのではなく、原告らと被告との間で歴史的に形成されてきた本件特有の特殊な給水契約について論じているのであり、かかる特殊な給水契約の変更事由としては全く筋違いの主張であって、まさしく失当と言わなければならない。 このことを再確認した上で、被告の主張につきなお何らかの正当性があるのかを検討しておくこととする。 (1)被告は、まず「休止決定こそが地方公営企業法に適合する」と主張するので、地方公営企業法に照らして「休止決定」に合理性があるのか検討する。 これまでにも述べたとおり、給水単価は明らかに府営水よりも地下水の方が安いのである 。このことは、他ならぬ被告自らが作成・決定した「中長期整備計画」(平成14年3月)においても明確に指摘されているところである(「概要版」16頁)。高い府営水を必要以上に購入した上で「府営水に余裕がある」からといってこれに切り替えることは「経営の基本原則」として「経済性」を強く要求する地方公営企業法3条にむしろ違反するものであって違法である。 (2)被告は、「施設の老朽化」も「休止決定」の一つの理由とする。しかし、「施設の老朽化」は、「中長期整備計画」においても全く問題とされていない。それどころか、被告は平成18年度予算に計上して開浄水場のために購入した取水ポンプですら、開浄水場には使用せずに他に流用までしているのであるから、開浄水場の「施設の老朽化」を口実とすることは禁反言則に反すると言うべきである。また、施設の更新費用の主張についても、極めて曖昧で恣意性が高い。このように被告の主張は、事実誤認どころか、故意に虚偽の事実を主張するものであって、到底許されるものではない。 (3)被告の「休止決定」の当初よりの理由とされてきた「水質の悪化」も全く事実に反するものである。これもまた、「府営水への切替え」という政治目的のために遮二無二事実をねじ曲げる悪意に満ちた主張と断じざるを得ない。現に平成18年12月市議会建設水道常任委員会での審議(甲36)をはじめ、平成20年度宇治市議会の予算審議の過程で、この「情報」操作は、決定的とも言える影響を与えたものである。 (4)開浄水場の「休止決定」は、被告自らが作成・決定した「中長期整備計画」をも無視したものであり、合理性は全くない。 同計画は、「今後の水道をどのように考え、どう行動していくかということを将来の水道局員に伝承するとともに、水道の姿を市民や議会などに対し、理解と協力を求めるためにも必要不可欠である」との「理念」のもとに、「目標年次、給水量等の基本事項を決定し、水道事業の将来に向けた『新たな目標』を設定」したものである(同計画『概要版』1頁)。 この「計画」では、開浄水場について「施設管理は比較的良好であるが、機械・電気設備においては法定耐用年数を超過している可能性もあるため、機能診断調査を実施する」と明記されている(同18頁)。しかし、「機能診断調査」は未だ実施すらされていない。 (5)ところで、行政の合理性・計画性を確保する上で、「行政計画」の果たす機能は極めて重要である。「今日、行政計画を重視する必要があるのは、それがもはや純粋に〔行政〕内部的なものではなく、公表され、国民に対する一定の法効果を有したり、あるいは説得・誘導等の事実上の力を及ぼすことが少なくないからである。」(芝池前掲書228頁)。 かかる観点からしても、「中長期整備計画」に明記されている「機能診断調査」もせず、「自己水源からの取水の安定性を確保する」という「基本方針」(前掲「概要版」28頁)をも全く無視して、何の根拠もないまま「施設の老朽化」と決めつけて、同計画にもない「休止決定」をするのは、著しく「中長期整備計画」と離れ、これに反するものであって、社会通念に照らしても著しく合理性を欠くことは明らかである。 (6)以上の通り、被告による「休止決定」は、地方公営企業法に照らしても違法であるし、裁量の問題として検討しても全く合理性はなく、水道事業者としての裁量を著しく逸脱・濫用したものであって、違法のそしりを免れないものであることは明らかである。 以 上 10. 原告・第6準備書面 第6準備書面.doc ◎【休止差止請求訴訟】 ◆本訴-訴状・答弁書?(1/16,7/9) ◆本訴-準備書面(7/15) ◆本訴-準備書面Ⅱ(9/4) ◆本訴-準備書面Ⅲ(10/7,12/26) ◆本訴-準備書面Ⅳ(1/21) トップページ当ネットのご紹介資料室1資料室2リンク集個人情報保護条例違反地下水管理と住民の取組京都水盆仮想水
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地元紙「洛南タイムス」電子版(Rakutai On The Web ) 2008/01/06~2009年01月18日 (日) 16時50分10秒最終更新 洛南タイムス2008/04/05 高裁へ即時抗告、異議申し立てへ、報告会で確認 府営水への切り替えに合理的理由がないとして、住民らが宇治市開浄水場の休止差し止めを求めた仮処分申し立てが3日に京都地裁で却下の決定が行われたことを受け、4日夜に開地区自治連合会(俊正和寛会長)など住民4団体が開集会所で、担当弁護士も含め。住民約60人が出席して報告集会を開いた。集会では、原告代表の木村正孝さんが「地裁の決定は、私たちの訴えた内容が全く取り上げられておらず、肩透かし的決定で不満」と、高裁に即時抗告することを提案。住民らもこれに同意した。10日までに即時抗告し、異議を申し立てることを決めた。 住民らは313人が原告となり、今回の仮処分申請と同時に「府営水への切り替えは契約違反にあたる」などとして、1月に休止差し止めの本訴をしている。仮処分申請では、昭和53年に日産車体から市に浄水施設が移管された当時、地元を含め3者で締結した覚書の解釈をめぐり、開浄水場の井戸水を飲み続ける権利があるとする住民主張に対し、供給する債務の合意があったとは覚書からは認定できないとして、住民の主張に理由がないとの判断を裁判所が示し、申し立てが却下された。 報告集会では、担当の弁護士が、3回にわたり行われた仮処分申請に基づく審尋の経過を説明。裁判所の判断が、申し立てた本論ではなく、「当時の覚書に水の供給を引き継ぐといった約束があったかという論点にすり替わり、中身の判断を避けた。このため、我々が負けた訳ではない」と説明した。 参加した住民の意見を求めたあと、「即時抗告か、本裁判を進めるか。皆さんの意見を聞きたい」として、原告代表の木村さんが事前に取りまとめた即時抗告の意向を報告集会に提案し、今後の裁判闘争の方向性を確認した。費用負担の問題もあるため、抗告の人数としては10人程度に絞り込むことにした。 また、集会では昭和53年の覚書締結の前段となる51年6月の開町簡易水道問題に関して当時の市長らが発言した会議録の存在を示し、新たな証拠資料として即時抗告のなかで争う意向を伝えた。 洛南タイムス2008/04/04 住民らの仮処分申し立てを却下 宇治市が市営開浄水場(神明宮北65)を休止して、府営水の供給に切り替えようとするのは「給水契約違反にあたる」などとして、開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの住民313人が休止差し止めの提訴と同時に1月16日に京都地裁に仮処分を申し立てていたが、3日に住民らの申し立てを却下した。最大の争点となった市が昭和53年当時に日産車体から浄水施設の移管を受けた際、3者で締結した覚書に基づき、住民らは「現在の個々の給水契約にまで引き継がれており、浄水場井戸水の給水を受ける権利がある」との主張に、裁判所は「日産車体が給水に加えて、開簡易水道(当時)の水、井戸水の供給をする債務を負うとの合意をした認められる資料もない」として、住民らの申し立てに理由がないと退けた。 覚書を理由に、市が住民らに開浄水場の水、井戸水を供給する債務や住民らが飲用している水質の水の供給を行う債務を今に継承しているとの住民らの主張に対しても、京都地裁の坂本浩志裁判官は「覚書からは、これらに合意があった事実を認めることはできない」と退け、市水道部側の主張を採用した。 一報を受けて、市水道部の桑田静児水道事業管理者は「地裁からの決定書の到着を待って、今後の対応について検討したい」とのコメントを出すとともに、「内容を十分確認した上でないと判らないが、水道部側の主張が理解されたことで、却下の判断が下されたものだと考える」と話した。 ■「本筋避けた決定、本訴で明らかに」訴訟原告代表の木村氏 住民の思い理解されず、残念 一方、休止差し止め請求訴訟の原告代表、木村正孝さんは「地下水や行政の不合理な対応など、本筋を避けた決定で住民の思いが理解されず、大変残念である。今後、改めて本訴のなかで明らかにしていきたい」と話している。 住民らは「市が浄水場を廃止する意思は明確で、休止執行の実力行使を試みるなど、差し止めへの緊急性がある」との判断から、本訴と同時に差し止めを求めて仮処分を申し立てていた。 仮処分申し立てに伴う、地裁の審尋が1月末から始まり、第1回審尋で市水道部側が住民らの主張に反論する答弁書を提出。3月27日にあった第3回の審尋で結審していた。/ 覚書の解釈をめぐっても、この間、双方による協議でも「今回の休止にまで、効力が及ぶものではない。地下水と府営水のどちらの水を供給するかは、水道事業者の裁量行為」とする市水道部の主張と、住民側主張が真っ向から対立していた。 ■今夜、仮処分却下決定の報告会 宇治市の開地区自治連合会(俊正和寛会長)など住民4団体は、きょう4日午後7時半から開集会所で、仮処分申し立てが却下されたことを受け、報告会を住民向けに開く。 先月27日に地裁であった第3回の審尋で結審しており、住民側と市の双方に対して裁判所の仮処分決定の日程が4月の第1週と伝えられたことから、先月31日に報告集会の開催を決めていた。住民側の湯川二朗弁護士が出席。仮処分却下の決定内容についての報告を聞き、本訴となる差し止め請求訴訟も同時に行っているため、本訴に対する今後の取り組みなどについても話し合う。 洛南タイムス2008/03/30 個人情報漏洩など対象者に謝罪 市水道部、公開質問状に回答 宇治市と住民が争っている開浄水場休止に関連して、市が議会委員会に提出した裁判資料のなかに住民のTさんの名前が記載されたまま提出された問題で、市水道部の桑田静児水道事業管理者は28日付けで住民側の公開質問状に回答を出した。 開地区自治連合会(俊正和寛会長)など住民4団体が提出した質問状には、水道部による個人情報漏洩や名誉毀損について説明を求め、Tさんや原告団へ謝罪するよう要求している。 回答書では、同日付けで桑田水道事業管理者がTさんに謝罪したことを説明。原告団への謝罪については「(個人情報の漏洩は)本人である個人に対して行うべき…多数の原告団に対して行うものではないと考えています」とし、Tさんへの名誉毀損は原告団に対する誹謗とは考えていないとした。 Tさんを裁判所で原告不適格と主張したことに対しては、本人の給水工事の申し込み書が府営水になっていたため――としたが、水道部による提出書類の確認作業や水質調査に不備があったと謝罪している。 洛南タイムス2008/03/28 結審、4月早々に裁判所の決定 宇治市開浄水場の休止差し止めを求める仮処分申し立てで、最終となる第3回の審尋が京都地裁で27日にあり、原告の住民側が24日に提出した準備書面についての確認と市、住民側の被告・原告双方の主張について最終的な確認があり、この日で結審した。仮処分の申し立てに対する裁判所の決定については、4月の第1週と伝えられたことから、来月早々には双方の弁護士に決定内容が書面で送付される見通し。 洛南タイムス2008/03/12 「裁判所の判断見た上で十分検討」「和解」質疑に水道部答弁 議会予算特別委員会(松峯茂委員長)は11日、教育委員会と水道部の部局審査に入った。水道部の部局審査では、開浄水場の休止差し止めを求め、住民側が仮処分を申し立て、次回27日の第3回の審尋のあと、地裁の判断が来月上旬にも示される予定にあるが、委員会審査では、「裁判で決着をつけずに、もう一度話し合いのテーブルに付けないのか」と浅見委員(社会)が持ちかけたが、桑田水道事業管理者は「裁判所の判断を見て、十分検討することになる」と、市の姿勢に変更のないことを改めて伝えた。 水道部審査では、開浄水場の問題に質疑が集中した。20年度予算書に、自己水としての同浄水場の比率記載が「ゼロ」となっていることで、係争中でまだ稼動状態にあることから、同委員は「予算書には正確に表示すべきだ」と指摘。さらに、府営水の購入契約水量の多さについても指摘した。小西水道部長は「19年度での休止を前提として記載した。結論は4月にずれ込む可能性があり、最終決算で整理を図る」とした。府営水使用実績の最大ピークが、月あたり4万9000㌧との答弁に対し、契約水量が6万2800㌧となっているため、同委員は「過大見積り、府に金を払いすぎており、問題だ」とも指摘。桑田水道管理者は「最大使用量に耐える水量準備が必要。ただ、協定水量については、今後協議する必要はある」との認識を示した。 石田委員(民主)は「おいしい地下水を飲み続けたいとの地元の気持ちもわかる」とした上で、地下水の切り替えに伴う、水の安全性の観点から「大切な子や孫が、少しでも懸念のある水を今後も飲んでいく事は、いかがかと思う」と指摘。対地元へのこの間の行政の十分な説明と説得不足についても、問題指摘した。 洛南タイムス2008/03/06 4月上旬に裁判所の判断 宇治市開浄水場の休止差し止めを求め、開地区自治連合会などの住民が仮処分命令を申し立てている問題で、第2回目の審尋が5日に京都地裁で住民代表と市水道部、双方の弁護士が出席して行われた。 住民側がさきに提出した準備書面に対する内容確認が行われ、次回の第3回の審尋までに市水道部側が反論を書面提出する。次回で書面のやり取りや内容確認を終え、4月上旬を目途に裁判所が仮処分の申し立てに対する結論を出す見通しが、双方に伝えられた。 洛南タイムス2008/03/04 3月議会一般質問、20年度策定「水道ビジョン」概要質す 水谷議員 水谷議員は「購入府営水の水余りが32%ある」と指摘したほか、20年度に市が策定する「水道ビジョン」の概要で質問。開浄水場の休止問題とからめて「仮に廃止を打ち出すにしても、計画を見直し策定する中で検討があってしかるべきものだ」として、質問した。 小西水道部長は「水需要の減少や施設の更新など、水道事業を取り巻く環境の変化を受けて、現行の中・長期計画を見直すもので、10年間の中期目標となるもので、経営基盤の強化や安心快適な給水確保、災害対策の充実などの項目に目標設定し、実施すべき方策を検討していく。現行計画で、合理的・総合的施設整備を検討することを現行計画にも位置付けている」として、同浄水場の休止決定に齟齬(そご)をきたすものでない、との認識を示した。 { さらに、道路特定財源問題では、市長と論戦。「一般財源化し、社会保障や教育にも、道路にも使える財源にするとともに、暫定税率は廃止すべきだ」として、算定税率堅持を市ホームページなどで強く訴えている市長に考えを求めた。 久保田市長は「廃止による市民生活への影響は容易に推測でき、廃止はもとより、安易な一般財源化は市政運営に大混乱を招く」との考えを示した 洛南タイムス2008/02/19 個人情報削除せず、議会に資料提出 宇治市議会建設水道常任委員会(池内光宏委員長)が18日開かれ、さきの6日の同委員会に市水道部が、提訴案件となっている開浄水場の休止を巡って地裁に提出した市の答弁書の記載事項のなかで、住民1人の個人名を削除しないまま、委員会資料として委員など関係者に30部を配布する個人情報の不適切な取り扱いがあった問題で、審議した。 この問題では、15日の議会運営委でも、市が謝罪していた。提出資料30部については、差し替えているが、委員会では水道事業管理者の対地元への謝罪対応を含め、6日以降の水道部の対応について、地元住民に納得の得られる対応ができていないとして、共産委員が相次ぐ市の個人情報の漏洩を踏まえて、「認識が大きく欠如している」などと、不満を訴え、水道部の姿勢を厳しく追及した。 また、市が地裁に提出した仮処分の却下を求めた答弁書では、当該個人宅にあっては、開浄水場の地下水ではなく、府営水が給水されていて、裁判の原告となり得ないとの判断ミスをしていたことから、これをも含めたきっちりとした処理を住民らは、市に求めている。 審議後に、池内委員長が「二重三重の間違いで、市側は慎重さに欠ける。事実を慎重に検討し、裁判へ対処してもらいたい」と水道部側に異例の指摘をした。 洛南タイムス2008/02/07 住民の集団提訴「我々の力不足」 宇治市会建水委、管理者が答弁 宇治市議会建設水道常任委員会(池内光宏委員長)が6日に開かれ、地域住民312人が1月16日に提訴。開浄水場の休止差し止めと仮処分を申し立てたのに対し、市水道部が申し立ての却下を求める答弁書を同31日に地裁に提出、休止を巡って裁判で争っている同浄水場問題について、市水道部がこの間の経過について報告した。 提訴直後の21日深夜には休止・府営水への切り替え執行に市が地元に入ったが、住民の阻止に遭い、執行を6月に続いて見送った。3月5日に実質的な審尋が始まる仮処分の行方を双方が見守る状況に至っている。 この日の委員会質疑の中で、共産・中路初音委員が「312人もの住民が原告となって提訴しており、まさに異常事態。住民との信頼を崩した市の責任は重い。提訴されているなか、強行執行に入った理由を示してもらいたい。見送るのが筋ではないのか」などと、市の姿勢を追及した。 桑田水道事業管理者は「年末の地元への執行通知から、正月を挟んでいたため、執行がずれ込んだ。準備などの都合もあったが、当初から予定のスケジュールだった。提訴されているから、(執行の)制約を受けるものでもない。弁護士とも相談した上だ」などと答えた。同委員は「もう一度、住民と話し合うことを市から申し入れるべきで、協議の再開を行政の責任でやって欲しい」とも訴えた。同管理者は「提訴に至ったのは我々の力不足である」としたが、話し合いの再開などについては、住民側が最終的に拒んだとの認識から、その考えはないことを伝えた。 洛南タイムス2008/02/01 市が答弁書、住民主張と真っ向対立 次回3月5日から実質審理 住民側の徹底抗戦から、宇治市開浄水場の休止・府営水への給水切り替え執行を市水道部が22日に再び中止したことで、今後の対応は住民側が訴えた休止差し止め請求と仮処分の申し立てを待つことになっていたが、仮処分の申し立てに伴う初審理が31日に京都地裁で行われ、双方の弁護士と住民代表、水道部職員が出廷。市からは答弁書が提出された。この日は、実質審理には入らず、次回3月5日から審理に入る見通し。。 市から提出された答弁書では、裁判の争点と見られる市が昭和53年当時に日産車体から浄水施設の移管を受けた際に、3者で締結した覚書に関して、住民らは「現在の個々の給水契約にも引き継がれており、浄水場地下水の給水を受ける権利がある」との主張に対し、「今後給水を行うことは約束したものだが、同浄水場の水を給水することを約束したものではない」とし、争う考えを示した。。 また、同浄水場の給水エリアのうち、約半分の桐生谷地区などは、以前には別の市水道からの給水を受けており、72人を除く原告については、覚書の対象者としても該当しない、との主張を展開している 洛南タイムス2008/01/23 住民の徹底抗戦で、再び執行中止 宇治市水道部は、開浄水場(神明宮北65)の休止・府営水への給水切り替えのため、22日午前零時前に職員約25人を動員して現地に入ったが、「切り替え断固阻止」を掲げる開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの住民約100人が車両7台が現地到着するや「職員は今すぐに帰れ」のシュプレヒコールと、公園内で切り替えを通告しようとした幹部職員を取り囲むかたちで約20人の住民が対峙した。住民らの怒号が飛び交う中、騒然となり、強行執行すれば不測の事態を招くと判断。30分後の午前零時半に現地を引き揚げた。待機して弁を切り替える機会を伺ったが、徹夜態勢で警戒にあたる住民の姿が減らず、切り替えタイムリミットの近づいた午前2時半過ぎ、市は執行中止を住民に伝えた。 { 現地での指揮にあたった市水道部の小西吉治水道部長は22日午後、改めての執行着手の可能性について「現時点では決まったものでないが」と断わった上で、当面の執行は難しいとの判断を示した。 16日に住民313人が休止差し止め請求と仮処分を申し立てており、月内の31日に仮処分決定に向けた審理が地裁でスタートする。2月中に処分決定が下りる見通しもあり、裁判所の判断を待って、対応する可能性が強い。 市は昨年6月にも同様の執行に着手したが、住民の徹底抗戦で話し合いを継続しながら、執行をこの日まで先送ってきた経過がある。 市としては、今回で2度の執行失敗を繰り返す結果となっており、今後再々度の休止執行を試みても、反対住民の姿勢に変化が生れる可能性はなく、裁判所の決定に住民側も委ねる姿勢を示していることから、その判断を待つものと見られる。 市の執行着手に対して、約100人の住民が深夜の3時過ぎまで、数ヶ所に分散して路上で警戒態勢を取った。高齢者の姿も目立った。「裁判の途中で、道理ある指摘をしているのになぜ、無理を通すのか」「仮処分決定を待つのが筋」「市として、もっと柔軟性をもった対応があるはずだ」「私らに口汚い言葉をこれ以上吐かすな」などと、水道部職員らに激しい口調で詰め寄った。これに対して、小西水道部長が「これ以上は、軋轢を生む可能性があるので帰るが、こちらの対応は正しい」などと言って、約30分あまりのやり取りで現地から引き返した。 { 住民らは、今一度、水道部の現地執行がこの日にあるのではないかと警戒。午前2時ごろまで待ったが、苛立ちも募り、住民代表数人が水道部庁舎を訪れ、同部長に執行の中止を確認した。 3時すぎから地域福祉センターで70~80人の住民が集まって報告集会を開き、俊正会長が「民主主義には時間がかかる。こうした試練を乗り越えないと事は成し遂げられない。市長は3月中に開浄水場の息の根を止める気でいる。3たび執行されても、迎え撃つ決意を持とう」などと話し、散会した。 洛南タイムス2008/01/22 市、予定通り深夜執行に動く 住民、100人体制で徹夜の警戒 宇治市水道部は、地元への事前通告に基づき、21日深夜~翌22日未明にかけて、開浄水場(神明宮北65)を休止して、府営水への給水に切り替えるための準備に着手した。21日夜11時ごろから、職員約25人を動員して、準備の作業に入り、22日午後11時半ごろに現地に入った。市の動きに対して、今月16日には休止差し止めを求め、313人で集団提訴している開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの地元住民らは、「判断は裁判所に仰ぐべきで、市のやり方は姑息だ」などと反発。市の着手を前に21日夜8時半から開地域福祉センターに大勢が集まり、抗議集会を開催。断固実力阻止で切り替え阻止を意思確認して、市の切り替え作業に備えた。 現地は集まった大勢の住民とのトラブルを避けるため、実施を見送った昨年6月と同様に、寒空の深夜にもかかわらず、周辺路上のあちこちに府営水への切り替えに反対する住民が数ヶ所に分散して集まり、騒然とした雰囲気に包まれた。朝からテントを準備したり、深夜に備えてストーブで火だまりを設けるなど、徹夜の警戒・監視態勢を取るための準備を整えて、臨んだ。ぎりぎりまで、強行実施は見送るよう、弁護士を通じても市に要請していたが、市の切り替え方針に変化はなく、予定通り執行に着手するとの回答が21日午前中に地元にあった、という。 市水道部の切り替え作業は、浄水場周辺の道路下に埋設している仕切り弁の切り替え操作と洗管作業を22日午前5時までを目途に行うことを地元に通告。執行着手にあたっては、改めて現地で住民らに通告した上で、5ヵ所で仕切り弁の切り替えに順次着手していくという。切り替えによって、1~2時間程度の濁り水の発生が予想されるため、水利用が増える時間帯を避けるかたちで、深夜から未明の時間帯を設定した。 切り替えを強行実施するかどうかは、21日夜の判断でも微妙で、市水道部は「現地での状況判断となる」と話し、住民とのトラブルを警戒して、事前に宇治署にも通報。周辺パトロールを要請した。前回の着手時には、午前2時になって、先送りすることを現地判断した経過がある。住民側が提訴していることもあり、切り替え実施が物理的に困難と判断すれば、前回よりも早い時間帯での判断も念頭に置いて、臨んだ。 { 開地域福祉センターで行われた抗議集会には、住民約60人と市の切り替え着手に反対する共産、社会、無所属の市議6人が顔を出し、議会審議の経過も説明した。集会では、自治会の俊正会長が「裁判所の判断の決定前に実施するやり方は、不当極まりない。決定するまでは見守るのが法治国家のやり方。実力行使で止めなければならない事態は残念で、怒りをおぼえる」と話した。 住民らは、一端、市が現地から引き上げても、再度の実力行使があるかも知れないと警戒、未明すぎまで要所に張り付くことを確認、厳戒態勢で待機した。 洛南タイムス2008/01/19 市、21日深夜の執行を通知 提訴中の住民ら「裁判に委ねるべき 強制執行、道理が通らない 」 宇治市水道部は、開浄水場(神明宮北65)を休止して、府営水への切り替え作業を週明けの21日深夜から翌早朝にかけて行うことを決め、18日午後に「お知らせ」の通知を同浄水場給水区域910世帯をはじめ、切り替えで一時的に濁り水の発生が懸念される周辺地域約400世帯の計1300世帯に配布した。 21日午後11時から準備作業に入り、周辺道路下に埋設している仕切り弁の切り替え操作と洗管作業を22日午前0時から午前5時までの時間帯で行いたい、としている。 開浄水場の休止を巡っては、引き続いて地下水の飲用を求める開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの住民313人が今月16日に休止差し止めと仮処分の申し立てを求めて、市を相手取って京都地裁に提訴している。 水道部が地元に配布した「お知らせ」では、これまでの地元との協議の経過や議会議決の経緯などを伝え、切り替え理由としている水質や施設の老朽化、ポンプ能力低下による揚水量の低下、府営水の安定的・経済的効果などを列記した内容で、通知した。/ 水道部は、昨年6月11日にも市方針に基づいて現地での切り替え執行に入った経過があるが、約100人の住民が集まり、騒然状態となったため、実施を見送った。今回も同様の事態は避けられない見通しだが、水道部では「当日の現地での状況判断に委ねる」としており、大きなトラブル発生を避ける意味から、住民の動きによっては、再び執行着手を見送る可能性がある。 切り替え執行日が確定したことを受けて、住民らは、18日午後に第2次水道問題対策委員会(木村正孝委員長)を招集、夕方には市と市水道部に住民らが申し入れ書を手渡しに訪れた。裁判の原告団代表でもある木村委員長は「判断を裁判所に委ねている中、強制執行に入るのは道理が通らない。市の主張は、裁判の中で争うべきだ」などと話している。当日の21日には、夜8時半から開地域福祉センターで抗議集会を持ったあと、100人余りの住民が執行予定現場に集結することを申し合わせているという。 ■執行前に回答書示すよう要求 開地区自治連合会など 市長と水道管理者に申し入れ書提出 18日夕の府営水切り替え撤回を求める申し入れ書の受け渡しには、開地区自治連合会の俊正和寛会長など住民6人が代表で宇治市役所に向かった。 書面の内容は、この日配られた切り替え通知や提訴に至った経緯などを踏まえ、「裁判所の裁定がなされる前に、実力で目的を達しようとする宇治市のやり方は常軌を逸した行為」などと痛烈に批判して、実力行使の撤回を強く求めている。/ 書面を手渡した住民らは、久保田市長と桑田水道事業管理者に対し、強制執行が行われる当日(21日)の午前までにそれぞれ回答書を出すよう要求した。 洛南タイムス2008/01/17 休止差し止め求め、宇治市を提訴 開浄水場の地元住民313人 宇治市が市営開浄水場(神明宮北65)を休止して、府営水の供給に切り替えようとするのは「給水契約の変更にあたり、水源の種別を地下水から配水池に変更するもので、必要な厚生労働大臣の認可なく、切り替えようとするのは違法」などとして16日、同浄水場からの給水を受けている開地区などの住民313人が休止差し止めを求める訴えを京都地裁に起こした。差し止め請求とあわせ、同様の趣旨で仮処分の申し立てをした。仮処分については、1~2週間後に審理開始される見通しを弁護士が伝えた。 休止をめぐっては、市水道部と地元の開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの住民との話し合いが昨年3月以降、8度にわたり続けられてきたが、主張が平行線のまま折り合いがつかず、昨年末に市水道部が協議の打ち切りを正式に通知。住民側が昨年10月末に決めた提訴方針に基づき、裁判の場で決着を図ることになった。 開地区自治連合会と原告住民で構成する原告団が、久保田勇市長を相手取って提訴した。 訴状などによると、開浄水場は、日産車体の社宅向けの簡易水道だったが、昭和53年に市と同社、地域住民の合意によって、市に施設が移管・譲渡された経過がある。現在に引き継がれ、910戸、2300人の給水エリア住民に、市との給水契約に基づき、供給されている。 その際、3者で当時に覚書が締結されたが、住民らは「以降も開浄水場で浄水された水の供給を受けてきており、浄水場地下水の給水を受ける利益は、現在の個々の給水契約にも引き継がれてきており、その権利を有する。府営水への切り替え変更には、住民との合意成立が前提となる」と主張している。覚書の解釈をめぐっても、この間の話し合いで「今回の休止にまで、効力が及ぶものではない。地下水と府営水のどちらの水を供給するかは、水道事業者の裁量行為の範囲だ」とする市水道部の主張と、相容れない、物別れ状態に終始してきた経過がある。 ■切り替えには住民の合意が前提 住民25人地裁に足 裁判所への提訴には、住民ら25人が詰め掛け、午前10時からの提訴手続きを見守ったあと、裁判所内での記者会見に臨んだ。俊正会長が「休止については、昨年3月議会で『住民合意を得ること』を大前提に、関連議案が可決されたが、議会可決のみが一人歩きする形で、話し合いは空中分解となった。不本意ながら、裁判で判断を仰ぐことになった」と説明。原告団団長の木村正孝さん(62)は「市が休止理由の一番に挙げる水質悪化は認められず、市が提出した資料でもコスト比較で、府営水道に比べても安価といえる。自分達が飲む水を、どこのものを選ぶかの権利は、給水契約の中身として現有している」と話し、提訴した住民らも過去の経過から、今後も開浄水場の地下水を飲み続ける権利・地位は今に継承されるものだとの主張をする。 市水道部は「提訴は直ちに市の休止執行を拘束するものではない」として、近々に休止執行に入る構えで準備を進めている。小西吉治水道部長は「訴状を見ていないので具体的コメントはできないが、休止切り替えは市の裁量行為の範囲だと考えている」と話している。 洛南タイムス2008/01/12 「給水契約違反」として16日提訴 住民311人が原告、市を提訴へ 市水道部「20日過ぎの執行」へ準備 宇治市開浄水場の休止を巡っては、休止して府営水の供給に切り替えたいとする市水道部と存続のまま、引き続き地下水を飲み続けたいとする地元住民の折り合いがつかず決裂し、地元の開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの住民が休止差し止めを求めて提訴準備を進めていたが、16日に京都地裁に提訴することを決めた。本訴に加え、仮処分も申し立てる。 昨年3月以降、11月末まで8回にわたる話し合いで、双方の意向が折り合わず、協議と平行して自治会では、昨年10月末に決めた提訴方針に基づき、裁判の原告団として名前を連ねるための住民協力を呼びかけ、311人が集団訴訟に踏み切ることになった。裁判を支えるためのカンパ金としては80万円をすでに集めたという。原告団の代表には、俊正会長がなり、「休止は個々の住民に対する給水契約違反に該当する」として、久保田勇市長に対して提訴する。 一方、市水道部は桑田静児水道事業管理者名で、昨年末に協議の打ち切りを正式に文書で通知。当初方針に従い、開浄水場の休止を同自治会など関係4団体に通告した。休止の執行については、事前通告するための各戸配布チラシの作成などにも時間を要するため、市水道部は20日以降になるとの見通しを持っている。16日に休止差し止め訴訟が行われる点については、「提訴は直ちに市の休止執行を拘束するものではない」として、準備が整い次第執行に入りたい、としている。 洛南タイムス2008/01/06 1月中旬にも切り替え執行 市、協議打ち切りと理由を文書通知 宇治市開浄水場の休止問題は、昨年12月21日の協議打ち切りの地元通告のあと、年末の28日に、水道事業管理者が文書で「(地元は)話し合いと言いながら、いたずらに話し合いを長引かすだけの口実と判断せざるを得ない」と、開地区自治連合会、開ヶ丘自治会、一里丘住宅地自治会、第2次水道問題対策委員会の4団体に対して、協議打ち切りの判断理由を正式に伝えた。着地点が見いだせないままに越年したが、文書通知のなかで、市は「地域の一部の方々の思いや考えで、水道事業は運営できない。早期に休止することが事業者としての努めと考える」との意思を改めて伝えたことから、1月中旬にも同浄水場を休止し、府営水供給に切り替える執行日程を近く、地元に示すものと見られる。 話し合いが決裂したことから、地元の開地区自治連合会、開ヶ丘自治会などは準備している休止差し止め訴訟について、週明けに弁護士との最終打ち合わせに入る段取りで、1月中に提訴する日程を固めた。 年末に最終的な集計作業を行った結果、住民311人が原告団として名前を連ねることを確認した。差止請求と仮処分手続きを申請することで、引き続き、同浄水場からの地下水が飲用できることを求めたい、としている。 なお、同浄水場の取水ポンプの能力低下から、水利用がピークに達する年末に一部断水の可能性があるとして、市水道部が地元との話し合いのなかで伝え、市水道部も職員を配置し、万が一に対応できる体制を敷いていたが、断水などの事態は回避された。 ■洛南タイムス2007/12/26 286人が原告となることを承諾 宇治市の開浄水場の休止問題は、21日に市水道部が協議の打ち切りを地元の開地区自治会連合会などに通告したことで、休止による府営水への切り替えを阻止するため、市を相手取って自治会は休止差し止め訴訟の提起を1月の早い段階で予定しているが、12月5日から地域住民に呼びかけていた裁判の原告団に名前を連ねるための協力呼びかけに対し、286人が応じる意向を示した。25日に自治会が集約した。 ■洛南タイムス2008/12/22 市、話し合いの打ち切りを通告 地元、差し止め請求訴訟の準備急ぐ 宇治市の開浄水場の休止をめぐる問題は、3月以降、地元の開地区自治会連合会などと市水道部との8回にわたる話し合いでも折り合いがつかず、難航を極めていたが、議会議決に基づいて浄水場を休止して府営水への切り替えを予定している市水道部は21日に話し合いの打ち切りを地元に通告した。 今後、市がいつに切り替え執行に入り、地元は準備を整えている休止差し止め訴訟に持ち込むかの対立が避けられない事態を迎えることになった。差し止め請求にむけては、地元では原告に名を連ねることに100人以上の住民が合意しているといい、25日には集計する。 正式な全体による話し合いとは別に19日夜には、府営水と開浄水場の給水単価を比較、精査するための役員レベルの協議も持ったが詰まらなかった。地元要望に基づいて、再度の検証の話し合いを持つことで調整したが、日程について地元では年内開催が厳しいことを伝え、後日開催を返答していた水道部との日程調整が付いていなかった。 市では、3月議会での議決に加えて、地元からの請願についても9月議会で不採択と議会が判断し、早期の休止執行をすべきとの判断やこれ以上の話し合いをしても一致点は見いだせないとの判断もあり、協議継続の打ち切りを通告したようだ。ただ、年末に入ってきており、休止執行については年明けになる可能性が強い。 ■洛南タイムス2007/12/20 休止執行、越年の見通し 市が一部発言を訂正 宇治市の開浄水場の休止をめぐる問題で19日夜、市水道部と地元自治会役員らとの話し合いが持たれ、前回の協議の中で確認していた府営水との給水単価について検証の話し合いを持った。このなかで、市は同浄水場の給水単価が他の浄水場の平均単価を上回っていることで、開浄水場の地下水を飲みつづけることで、結果的に地域2000人が19万市民全体に影響を及ぼしているとの前回の水道部発言を訂正することを認めた。話し合いについては、この日も物別れ状態となり、水道部側も休止の執行時期についての明言は避けたため、執行は越年する見通し。 ■洛南タイムス2007/12/15 市長「議会議決に基づき遂行する」 宇治市12月定例議会一般質問は14日開かれ、宮本繁夫(共産)川越清(自民)関谷智子(公明)浅見健二(社会)石田正博(民主)の5議員が質問に立った。市が府営水への切り替えによる休止執行の構えを崩していないことに対し、地元住民側が差し止めを求めて提訴準備を急ぐなど、対立状態が長期化している開浄水場問題について、「市民との協働をいうのなら、強引な市政運営は止め浄水場廃止は止めるべきだ」と宮本議員が迫った。住民らが再度傍聴に入ったが、市長は「議会議決に基づき、遂行する」と方針に変更がないことを言明した。 ■大久保小合築計画を例に撤回迫る宮本議員 市長、共産議員の議決変更挙げて応戦 開浄水場問題で、宮本議員が「水道部が示している6つの廃止理由は、理由にはならず市政のあり方として、問題がある。住民にとってどうなのかとの姿勢がない」とした。桑田水道事業管理者は「3月議会での全会一致の議決などの重みを考えると、早期の休止による切り替えが水道事業者の責務。自分たちの地域だけは高いコストをかけても地下水を飲みつづけたいとの一部の声で、全市に価格転嫁をすべきではない。少数意見が通らないことをもって、市民とのパートナーシップの精神がないということにはあたらない」と反論した。 同議員は「市の論理は、地域エゴといった解釈。2000人の住民が対象であっても、必要なことはする必要があり、真摯に対応すべきだ。大久保小の合築計画も見直しがなされた」と、議会議決の見直し変更を例にあげて、休止の撤回を求めた。市長は「全会一致で賛成されたものを変更したことはない。修正案を出しながら、切り替えを含んだ議案に共産党はなぜ賛成に回ったのか。撤回を求めるなら、その時の判断に誤りがあったとして、対応すへきものではないのか」とやり返した。 ■洛南タイムス2007/12/09 地元自治会、裁判費用にカンパ求める 宇治市開浄水場の休止をめぐって市水道部と住民が争っている問題で、地元の3自治会は7日、各戸に対し、存続に向けて裁判で争うために必要な寄付(カンパ)を求める通知を出した。 通知では、裁判費用は年間約50万円と説明。浄水場存続のため住民に原告になるよう依頼しているほか、一口千円の寄付を求めている。 問題をめぐっては、先月30日に第8回目の話し合いが持たれたばかり。この日は当初、最終回と設定されていたが、給水単価に関して「(開浄水場は)宇治市民19万人に迷惑をかけている」と市水道部が発言したのに対し、住民側が紛糾。再度、単価を検証するよう話が持ち込まれ、市水道部の年内休止実施は厳しい状況になっている。 ■洛南タイムス2007/12/01 休止執行、ずれ込む見通し 給水単価、双方検証することを確認 宇治市開浄水場の休止をめぐって、地元の開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの住民と市水道部の話し合いが30日夜に開地域福祉センターで持たれた。8回目のこの日を最終的な話し合いの場として当初は設定していたものの、水道部側の責任者である水道事業管理者が出席していないことから、住民らが激昂、冒頭から紛糾した。さらに、水道部の説明をきっかけに、休止理由の1つとなっている給水単価を巡っても紛糾。同浄水場の単価について検証する必要を住民側が強く求め、休止による府営水への切り替え執行については、年内実施は厳しい状況となった。 この夜の話し合いは、夜10時すぎまで続けられた。水道部は、当初方針通り、休止方針は変えられないとの姿勢を貫いたが、最終的には給水単価を改めて検証することで決着したため、休止を前提としながらも、執行については当面保留させるを得ない状況となった。このため、議会決着を受けて、この日の最終の説明会のあと、12月中旬を目途に切り替え執行を予定していたスケジュールはずれ込む可能性が出てきた。 住民側は11月17日には、弁護士を呼んで休止差し止め請求訴訟を12月中に起こす準備に入るなど、市方針の府営水への切り替えに徹底抗戦の構えを崩していない中、話し合いが持たれた。住民側は、市の執行が行われれば、6月と同様に実力で阻止するとの構えを崩していないほか、自治会として裁判に要する着手金50万円を手立てすることを決めたほか、今後、裁判に必要なカンパ金集めや100人を目途に住民で原告団を組織するための、住民への要請の準備に入っている。提訴時期については、12月中で市が休止執行に入った後になる、としていたが、提訴時期についても日程的に多少ずれ込む見通しとなった。 この日の話し合いの中で、水道事業管理者名で地元に渡した補足説明回答文書のなかに「少数者の意見を聞くことは当然必要であり、そのために7回にわたって説明会を開いてきた」との記述を住民が問題視した。水道部長の説明のなかで、開浄水場の給水単価が他の浄水場の平均単価を上回っていることで、全市的に影響を与えているとの説明をしたことで、府営水などとの比較でも単価的にも低いと認識している住民らが激昂、紛糾するに至った。 ↑上へ
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地元紙「洛南タイムス」電子版(Rakutai On The Web )(一部城南新報記事)2009年06月11日 (木) 11時55分35秒最終更新 □洛南タイムス2007/07/24 ?「地下水守ろう」と署名運動開始 南陵町自治会も加わり5団体 □洛南タイムス2007/07/15 ?「地下水と私たちの暮らし」テーマに開自治連合などが勉強会 □洛南タイムス2007/07/15 ?地元自治会と市水道部が再協議 何ら進展せず、こう着状態 洛南タイムス2007/07/15 □洛南タイムス2007/07/12 ?14日夜、水道部と地元との協議再開 □洛南タイムス2007/07/07 ?水道部が地元の質問に9点で回答 地元「前向きな回答内容ない」 □洛南タイムス2007/07/01 ?「地下水守ろう」と各戸ビラを掲出 開ヶ丘自治会住民が「意思表示」 ■洛南タイムス2007/06/28 ? 問題点7項目挙げ、質問書を提出 地元自治連合など4者 宇治市の開浄水場の休止方針に対し、市と地元との対立が深まっているが、開地区自治連合会、開ヶ丘自治会、一里丘住宅自治会など4者連名で26日に「話し合い再開にあたっての質問書」を桑田水道事業管理者に提出した。質問は7項目に渡っており、7月7日まての回答を求めたのに対し、同管理者は「努力はするが、改めて連絡したい」と伝えた。 質問書提出にあたっては、今後の話し合いを積極的に進めるため、これまでの自治会や議会への説明で明確になった問題点を明らかにしたとして、▽府営水への切り替えが地元に通知されたのは1月22日で、廃止を市が明確にした昨年11月7日時点で地元に説明すべきもののはず▽浄水場が日産車体から市に移管された昭和53年の覚書8条に「定めのない事項や疑義が生じた場合は、相互に協議する」ことが明記されている▽水道部提出資料によると、環境汚染物質の検出は平成2年のことであり、17年間住民に隠し、浄水場閉鎖に当たり初めて公表された――などと、問題点を指摘している。 ■洛南タイムス2007年6月19日 「美味しい水、飲み続けたい」 地元3自治会が地下水を守る決起集会 開浄水場(宇治市神明宮北)を休止、府営水に切り替えようとしていることで宇治市と住民が対立している問題で、17日夜、地元の開地区自治連合会と開ケ丘自治会、一里丘住宅自治会が開地域福祉センターで地下水を守る決起集会を開き、住民130人が参加。これまでの経過説明を行うとともに「美味しい水を飲み続けたい」という意志を確認し合った。 休止問題をめぐっては、12日午前2時ごろに宇治市水道部が府営水への切り替えを強行しようとし、住民と押し問答する騒ぎがあったばかり。集会はそれ以前から企画していたもので、今回の市側の強行があったことで「集い」から「決起集会」に名称を改めて開いたという。 集会では、開地区自治連合会の俊正和寛会長が「地下水を今、飲み続けたいというだけでなく、子どもや孫に貴重な地下水源を守って引き継いでいきたいという意志を確認し、これからの戦いの糧にしたい」と挨拶した。 11人の請願紹介議員のうち、西川博司議員、向野憲一議員、中路初音議員、浅見健二議員が駆けつけたほか、副議長の川原一行議員も訪れ、それぞれ挨拶に立った。 同連合会内に設置した水道問題対策委員会委員の紹介のあと、木村正孝委員長がこれまでの経過を報告。市側の休止理由の矛盾点や自己水確保の重要性、11日深夜の顛末などを説明した。 また、今後の取り組みとして、議会の傍聴、近所や議員への声かけ、反対看板の製作、新聞への投書などの方法を呼びかけ、「地下水(自己水)の大切さと先輩たちが残したきた水の重みを感じましょう」と訴えた。 その後、一里丘住宅自治会の高橋勝二さんによる民謡で和やかなに交流のひと時を過ごしたほか、淀川水系の水質を調べる会の山田晴美さんや浅見議員、中路議員が自然環境、水道事業、議会などの内容の講演を行い、住民らは知識を深めた。 最後に3自治会で「地下水を守る」という内容の共同集会アピールを出し、確認した。【本好治央】 ■洛南タイムス2007年6月14日 開浄水場休止問題、最大焦点に 宇治市6月定例議会開会 宇治市6月定例議会は13日開会され、7月3日閉会の21日間の会期日程で開催することを決めたあと、2億636万7000円の一般会計補正予算、市道認定など当初提出10議案について、久保田勇市長が提案理由を説明した。続いて、世帯あたり1万円の引き下げに向けた国民健康保険条例の一部改正条例が議会議案として共産議員団が提出。中路初音議員が提案理由を述べた。 市提出の補正予算では、市道宇治橋若森線のJR宇治駅前~宇治橋西詰350㍍のバリアフリー整備予算8500万円が計上され、年度内完成予定で工事を進める。 6月定例議会では、3月議会の水道事業会計当初予算の中で、19年度休止による府営水への切り替え実施を決めたものの、12日未明に予定していた切り替え作業を住民の激しい反発から作業を先送りした開浄水場の休止問題が焦点となる。 地元の開地区自治連合会から「閉鎖を一方的に行わず、納得ゆく説明を」と求める請願が提出されており、27日の建設水道常任委員会、最終日の本会議で採決に入る。 今後、改めて地元協議を再開する見通しにもあるが、市はこれまでの説明会で一定理解を求め、議会承認の前提でもあった地元協議に努力したとの認識を持っており、双方の認識に大きな開きが生じ、対立が深まっている。請願提出の紹介議員となっているメンバー構成や11日の同委員会での各委員の発言からみて、建水委では委員長採決で請願採択、本会議採決ではぎりぎりの逆転不採択が予想されている。 今後、同請願の取り扱いを巡っては、会派内で一部議員の足並みが乱れる可能性の高い自民、民主が「与党会派として意思統一が必要」との認識を強く持っており、改めて会派内調整を急ぐ。 ■開浄水場休止問題に4議員通告宇治市6月定例議会一般質問は20日~22日まで3日間の日程で開催するが、13日に通告が締め切られた。府営水への切り替えを巡って、地元と市との対立が表面化した開浄水場の休止問題で、野党3議員、与党1議員の4人が質問通告した。 ■洛南タイムス2007年6月13日 府営水へ切り替え実施、先送る 住民、現地取り巻き騒然状態に 午前2時前中止を判断 市「今後も休止の考えに変更ない」 宇治市が開浄水場(神明宮北)を休止し、府営水へ切り替える作業を11日深夜から12日未明にかけ予定していたが、「一方的閉鎖に断固反対」と反発する地元住民約100人が現地で夜10時から抗議集会を開くとともに、その後も作業現場となる路上に大勢の住民が残ったため、市は12日午前2時前に切り替え作業に入ることを見送った。「このまま実施すれば不測の事態を招きかねない」と、現場周辺が騒然となったため、この日の作業は見送った。市は「休止の考えに変更はない」としている。12日午後に開かれた議会運営委員会でもこの問題が取り上げられ、委員の質問に川端修副市長が「休止変更の考えはないが、(6月議会に地元自治会から)請願も出ており、今一度慎重な対応が必要」と答えた。 市水道部は、11日の議会建設水道委員会答弁で、地元自治会との今後の協議について「拒むものではない」としていたことで、自治会として、話し合いの再開を正式に申し入れた。市水道部では「協議や今後休止作業に入る場合には、事前に自治会を窓口に調整・周知する」としており、今回の切り替え作業着手にあっては、周辺各戸に直接「お知らせ」ビラを配布して事前周知を図ったが、対応方法を変更するとしている。 27日には建設水道常任委員会で、地元自治会から提出のあった「開浄水場を一方的に閉鎖しないで」との請願審査が行われるが、12日の議会運営委員会で、受理報告があったことを受け、池内光宏委員と宮本繁夫委員が水道部が取った休止準備行動について質疑した。 池内委員は「切り替えについては、11日の建水委で十分慎重な対応をと求めたはず。物理的理由で、現地から引いただけ。市民の請願権を否定することになる」と、6月議会で請願審査を控えている前に、切り替え実施のために現地に入った点を問題視した。宮本委員は「行政の施策に対する住民の請願権を形骸化させる行為。議会が正常な形で審査できるよう市として対応すべき」などと指摘。6月議会最終日に請願の取り扱いが決着するまで、切り替えの直接行動を差し控えるよう求めた。 川端副市長は、開浄水場休止の議決予算が3月議会で承認されたことにも言及しながら「議会から指摘のあった理解を得るための努力を市はしてきたが、昨夜は住民の関心の示し方が高かったといえる。休止については、少なくとも議会で理解は頂いたはず。今一度、慎重に対応したいと考える」と答えた。 ■「住民や議会を無視する気か」と怒号 この日(11日)、午後8時ごろに市職員数人が開浄水場へ入ったという報を受けた住民は、車両を門前に駐車し封鎖。「強行閉鎖は許せない」「市民の血税の無駄使い」などと記したパネルを置いて、切り替え反対の姿勢を示した。 午後10時ごろ、浄水場近くに住民約100人が集まり、抗議集会を行った。開地区自治連合会の俊成和寛会長が、昼間に開かれた議会建水常任委の経過を説明するとともに、「我々を押し切るかたちで休止を進める久保田市政に対し、強い抗議の意志を示さなければならない」と呼びかけた。 また、同水道問題対策委の木村正孝さんが「絶対に美味しい水を飲もうという意志をつらぬきましょう」と述べたほか、市議会の西川博司議員、中路初音議員、浅見健二議員、水谷修議員などが挨拶し、支援の姿勢を示した。 集会を終えた住民らは、府営水への切り替え作業は浄水場の外にある切り替え弁に手を加える――という話を聞きつけ、5カ所に分かれて、見張りや座り込みを行った。 その後、午前1時ごろ、小西水道部長が数人で話し合いに訪れるという一報が入ったが現れなかった。 住民のイライラがピークに達した午前2時前、浄水場から西へ約300㍍離れたマンションの前に、作業の装備を整えた小西水道部長以下市職員、ガードマン20数人が姿を現した。 それを聞きつけた住民50~60人は現場に殺到。「住民や議会を無視する気か。議会は何のためにあるんや」「誰の責任でやってるんや。市長か」「水道管理者を出せ」などと市職員たちに詰め寄り、深夜の住宅街には怒号が鳴り響いた。 周辺住民の通報を受け、警察も出動。押し問答は約15分間続き、小西水道部長が「今日は中止する」と表明し、事態は収束した。 市職員らが引き揚げた後、俊成会長は住民に対し、▽早急に休止しない▽今後の話し合いについて自治会長に連絡する――との約束を取り付けたことを説明。今後の見通しを述べて解散した。【本好治央】 ■洛南タイムス2007年6月12日 「府営水へ切り替え、今夜予定通り」宇治市会建水委で市答弁 住民らが抗議集会 27日の委員会請願審査で改めて論議 宇治市水道部が施設の老朽化や原水の悪化などを理由に「これ以上の話し合いをしても進展は望めない」と、開浄水場(神明宮北)を休止し、11日深夜に府営水への切り替えに着手すると地元の開地区自治連合会に通知したのに対し、「横暴。府の安全宣言も出ており、今後も井戸水の使用を」と対立が深刻化している問題で、11日午前、市議会建設水道常任委員会(池内光宏委員長)が開催され、4度にわたり行われてきた地元説明でのやり取りの内容を中心に委員が質疑した。住民15人が傍聴するなか、委員会の質疑応答も堂々巡りとなり、噛み合わなかった。桑田水道事業管理者は「切り替えは予定通り進めたい。地元との話し合いは、拒まない」と答えた。 この問題では、地元自治会が13日開会の6月定例議会に「浄水場閉鎖を一方的にしないで」とする請願を提出。27日の同委員会で、請願審査を行うことになっている。 委員会の閉会にあたり、池内委員長が「行政の地元説明のあり方にも少しいかがかと思える部分があり、地元も胸襟を開く必要があるといえる。請願も出ており、慎重な対応を願いたい。一定の行政判断あろうが、十分に受け止めた対応を」と要請した。 質疑では、市が浄水場休止の1つの理由に挙げている原水について、中路初音委員が「水道の原水として、使用しないとする根拠について、市は示していない。原水の基準をどう定めてるのか、求めに対して地元に説明がなされていない」と質した。桑田水道事業管理者は「より安全安心な水を供給する立場に立ち、水道水の原水基準は市水道部で決めるものであり、府の示す環境基準とは違う。どのような原水を使用するかは私共の判断となる。府もそうした考えである」と答え、府が4月に公表した開地域の地下水調査結果の見解で示した「安全宣言」とは別個のものであるとの認識を伝えた。 西川博司委員は「休止する理由がはっきりしない。原水基準が超えているため使用しない――突然出てきた話。水道事業者が独断で決められるものでないと考える」などと指摘した。 向野憲一委員は「(6月3日の第4回説明会に)地元が不参加を表明、これ以上の話し合いの進展が見込めないとして、話し合いをせず府営水への切り替えを強行する責任を地元にあると考えるのか」と質した。桑田管理者は「市の方にも地元にもある。どちらか一方ということはない」とした。 同委員は「地元からの申し入れ書でも、地元が話し合いを続けたい気持ちを持っているのは明らか。地域を挙げて話し合いを望んでいるのに、切り替えを強行するのか」と質したのに対し、同管理者は既定方針に変更のないことを伝えるとともに、話し合いについては今後も継続する意思のあることを伝えた。 鈴木章夫委員は「3月の予算委で休止を可決した経過もある。地元意見も一定理解するが、3度説明会が持たれ、市の方向性も一定評価している。今後も話し合いは平行線と見られる」との見解を述べた。 なお、住民らは11日夜、府営水の切り替えに反対して抗議集会を開いた。 ■洛南タイムス2007年6月9日 地元自治会、6月議会へ請願「開浄水場閉鎖、一方的にしないで」議会建水委、11日の急きょ招集決める 宇治市水道部が開浄水場(神明宮北)を休止し、11日夜に府営水への切り替え作業に着手すると7日に通知した、市水道部の行為に対し地元住民が「横暴だ」と反発している問題で、8日に議会建設水道常任委員会(池内光宏委員長、7人)は11日午前10時に急きょ、委員会の招集を決めた。休止に反対する開地区自治連合会(俊正和寛会長)と開ヶ丘自治会(森本眞理子会長)が8日、6月定例議会に向けて「開浄水場の一方的な閉鎖をしないでいただきたい」とする請願(紹介議員、西川博司議員)を提出した。請願審査は、27日予定の6月議会の同常任委で行われるが、審査時に府営水への切り替えがすでに行われていた場合は、請願者は原状回復を求めたい、としている。 11日に委員会開催を決めたことについて、建水委の池内委員長は「開浄水場休止問題は、3月議会予算委で論議され、本会議では休止反対の修正案が否決されたあと、(水道会計予算を)可決したが、地元理解を得るよう市に求めた経過がある。7日に水道事業管理者から地元への通知に際して、事前の報告があったが、改選後の委員会にはこの問題の経過報告が市水道部からされておらず、遺憾といえる。行政と議会との関係を考えても、きっちりとした経過説明を所管委員会へすべきと考えている」と、委員会招集の理由を伝えている。 請願書提出に加えて、両自治会会長が連名で、同日、久保田勇市長と桑田静児水道事業管理者に対して申し入れ書を提出した。 申し入れ書では、7日に水道部が地元住民に配布した「11日に府営水への切り替えのお知らせ」について、「一方的な話し合いの打ち切りで、理解を得られないままに休止はしないとの合意を踏みにじるもの」などとし、「11日の閉鎖強行を中止し、話し合いの再開を強く要望する」などとした文面で申し入れた。 ■府営水切替え中止、協議再開申し入れ 日本共産党宇治市会議員団 { 日本共産党宇治市会議員団(水谷修団長)は8日、桑田静児宇治市下水道管理者へ開浄水場の府営水への切り替え問題について緊急の申し入れを行なった。 申し入れによると、宇治市水道部が今月7日午後に『開浄水場給水区域の皆さまへ・開浄水場休止に伴う京府営水への切り替えのお知らせ』というチラシを対象区域の約910世帯に全戸配布した行為は、「この間地域の町内会と協議を進めてきた宇治市が、説明内容が変わったり、住民の質問に十分に答えられないなどの経過がある中で、説明責任を放棄したものに他ならない」として、「今月11日深夜から12日未明にかけて実施しようとしている府営水切替えを中止し、直ちに関係町内会との協議の再開を」と強く求めている。 ■洛南タイムス2007年6月8日 11日深夜、府営水への切り替え実施 宇治市水道部、開地区住民に通知「これ以上、話し合いの進展望めず」 地元の水道問題対策委 「横暴」と反発、切り替え時に抗議集会 施設の老朽化、原水の悪化などを理由に、宇治市が開浄水場(神明宮北)を休止し、府営水に切り替える方針に対し、「府の水質検査結果でも安全宣言がなされ、美味しい井戸水を飲み続けたい」と反対する地元住民との話し合いは3月以降、4度の話し合いが難航していたが、市水道部は7日に同浄水場給水区域住民に、11日深夜から12日未明に掛けて府営水への切り替えに伴う準備と洗管作業を実施することをチラシで通知した。 地元の開自治連合会住民で、水道問題対策委の代表を務める木村正孝さんらは、市水道部が配布した通知に対し、「あまりにも横暴で、一方的に過ぎる。この間の経過を無視したやり方だ。水道部の行為は、市長公約の地域が主役のまちづくりにも反するものだ」と反発。切り替え準備に入る11日夜に浄水場前で抗議集会を開く、としている。10日には地元全戸に改めて、市水道部に対する抗議ビラを撒くという。 今月3日に市水道部が行った対地元説明では、開連合自治会などが「市主催の説明会には出席しない」との意思を事前に地元住民へ伝えた。このため、約20人の住民参加にとどまったが、この間説明してきた休止理由を改めて、市水道部が参加住民に伝えた。 市水道部は、7日夕に開地区910戸と切り替えによって濁水発生の影響が予想される周辺450戸にも切り替えを周知するチラシを配布した。水質悪化と施設の老朽化、揚水量の低下、小規模浄水場の統廃合、府営水の経済性と安全性など6項目で休止理由を伝えるとともに、この間の地元との話し合いの経過に触れた上で「これまで、地元説明に努力して参りましたが、説明会を開催しても自治会として参加されないこと。また、説明会参加の皆さんが地下水を飲み続けることが条件のため、これ以上状況の進展は望めないと判断した。開浄水場と同様に休止決定した槙島浄水場については、すでに4月12日に府営水に切り替えている」と、府営水への切り替えに入る理由を伝えている。 チラシを配布したことで、同日午後7時ごろまでに、地元から数件の抗議電話が水道部に寄せられているという。 ■洛南タイムス2007年6月7日 市・地元7度目の協議重ねる 住民側が休止の白紙撤回求める 宇治市開浄水場の休止を巡って、市水道部と地元の開地区自治連合会(俊正和寛会長)、開ヶ丘自治会(森本眞理子会長)などとの間で紛糾が続いているが、7度目の話し合いが8日午後7時半から開地域福祉センターで開かれた。先月25日の話し合いでは地元が文書回答を同部に求めていた8項目の内容について、桑田静児水道事業管理者から回答が6日にあった。地元は「納得できる内容でない」と、不満の意を強めていたが、文書内容を確認するかたちで話し合いを持った。休止を「裁量行為」とする水道部に対し、「住民同意」が前提とする地元意見が真っ向から対立したままで終わり、住民側が浄水場休止の白紙撤回を要求、次回の協議で回答するよう申し入れた。 文書回答のなかで、浄水場の休止に関して市水道部は「自己水、府営水のどちらの水を供給するかは、水道事業者の裁量」との従来の考え方を踏襲したほか、この間の話し合いで大きな意見対立に至っている昭和53年の同施設の市移管に関する覚書では、水道部は「今回の休止にまでその効力が及ぶものでない。市の顧問弁護士とも相談した結果」と回答。「歴史的事実を踏まえず、文書の文字面だけを取り上げ強弁する姿勢。過去の市行政の努力を自ら無視するものだ」などと、一線も相容れない解決の糸口が見出せない状況が続いている。 この夜の話し合いでは、地元が「こちらの質問に合致した回答になっていない。事実に違う点があり、議会答弁とも食い違う内容」などと指摘。「議会に8月末に提出している図面資料を自治会への回答には提出せず、当日になって出してくるなど、誠意ある対応といえない」と、冒頭から紛糾した。 「裁量行為」とした回答に「住民合意を必要と考えない水道部の考えは『市民が主役のまちづくり』を言う市長公約に反する行為。市職員として市民との関係を明確にせよ。この点が明らかに説明されない限り、話し合いは進められない」と出席した水道部職員を指弾する声が会場のあちこちから飛び交い、協議が前に進まない状態が続いた。 また、休止を議決した3月予算委の議事録について住民側が「議員の誰一人として、無条件で休止を認めていない。住民合意を求めたはず。委員会答弁でも水道部は議会に対し、虚偽答弁がある」と指摘した。住民側が「合意が得られない限り、府営水への切り替えを執行することはないと考えてよいのか」と質したのに対し、小西水道部長は「私達の説明会での説明努力を議会がどう判断するかによる」と答えた。 同浄水場休止問題の地元請願を審査する議会建設水道常任委員会が13日に予定されている。前回は閉会中の継続審査を決め、引き続き水道部と地元自治会との協議の行方を見守る姿勢を打ち出した。「一方的閉鎖はしないで欲しい」という請願について、6月議会の各委員の態度表明からして、委員会採択したあと、9月議会本会議で「協議は尽くされた」として、市方針を支持する逆転不採択に持ち込まれる可能性が強いが、地元住民の市に対する不信感が拭えないまま双方の話し合いが長期戦化している。休止方針の住民理解を得られるのは困難と見られ、前回同様に住民の激しい反発から強行突破が厳しいと見られ、市の方針決定が宙に浮いた状態が今後も続く見通しとなってきた。 ■洛南タイムス2007年6月5日 紛糾、対立の溝深まる 第4回説明会、会場外では抗議運動 宇治市が開浄水場(神明宮北)を休止し、周辺900世帯を府営水に切り替えようとしている問題で、3日夜、開地域福祉センターで4回目の住民説明会が開かれた。市側による浄水場の打ち切り理由の説明に対し、参加した住民10数人は「おいしい水を飲みたい」と引き続き反対の構えを示した。説明会の最中、ほかの住民約30人は同センター前で「地下水を守ろう」などと書いた横断幕を持って、抗議運動を行った。 説明会の前々日に開地区自治会連合会と開ケ丘自治会は連名で「市主催の説明会に私たちは参加しません」と示すチラシを地域に配布。これに呼応した住民らが説明会の間、抗議の意思表示を行った。 説明会で市側は、切り替え理由として▽水質▽施設の老朽化▽揚水量の低下▽小規模浄水場の統廃合▽府営水に余裕がある▽経済性や効率性――の6点を提示し、理解を求めた。 これに対し、参加した住民は「水質は環境基準はクリアしている」「府営水の元である琵琶湖の汚染は深刻」「市は自己水の確保を図るべき」などと述べて紛糾。約3時間半にわたり激しい話し合いが続いたが、結局はこれまでと同じく物別れで終了。 最後に、住民は「一方的に休止の方針を押し付けるのではなく、住民が納得できるように、もう一度話し合いをやり直してほしい」などと要望。市側は「要望にそえるかわからない。しかるべき判断はする」と答え、早急の休止の有無について明言を避けた。【本好治央】 ■建設水道常任委に浄水場存続訴える 開地区自治連合会 開浄水場休止問題で、同地区自治連合会の俊正和寛会長と同自治会第2次水道問題対策委の木村正孝委員長ら3人は4日、同市議会の建設水道常任委員会(池内光宏委員長)に経過報告書を提出し、同浄水場の存続を訴えた。 ■洛南タイムス2007年6月2日 市と地元対策委の協議、物別れ 3日、市が府営水切り替えで説明会 「自治会欠席」を各戸ビラで周知 施設の老朽化、原水の水質悪化を理由に宇治市が開浄水場を休止し、府営水に切り替える方針決定に対し、「府の水質検査結果でも安全宣言がなされ、引き続き、美味しい井戸水を飲み続けたい」と切り替えに反対する地元との協議は平行線にあるが、31日夜に急きょ、開自治連合会第2次水道問題対策委員会(木村正孝委員長)と市水道部が持った協議も物別れで終った。市は3日に予定する切り替えの住民説明会開催の周知チラシを900世帯に31日配布したが、翌1日には開地区自治連合会長と開ヶ丘自治会長連名で、「市主催の説明会に私たちは参加しません」と意思表示したチラシ1千枚を地域に配布。対立の溝が深まっている。 この問題では、3月以降、3回の地元説明会が開かれているが、話し合いは進展していない。31日の協議には、市の桑田水道事業管理者も出席。集まった住民約30人に府営水に切り替える市方針の決定に変更がないことを伝えた。出席した住民のなかからは「市の手法は強引だ」と反発の声が出るなど、紛糾した。 1日に自治会が自治会員向けに配布したチラシでは「市水道部は第1回説明会で、理解が得られないままの休止はしないと約束した。約束したことを平気で破るような水道部主催の説明会には、参加しないことにした。しかし、『説明会に参加したい』という個人の参加の自由を認めないということではありません」とし、3日夜の説明会には出席せず、会場の地域福祉センター前で自治会として抗議の意思表示をする意向を伝えている。 ■洛南タイムス2007年5月26日 周辺1ヵ所で、環境基準超す物質 開浄水場周辺の汚染調査で 府山城北保健所は3月の採水測定調査で、宇治市開浄水場(神明宮北)の原水と周辺井戸1ヵ所で、環境基準値を超す有機塩素系化合物のトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンが検出されたことを受けて、半径500㍍に範囲を広げて周辺井戸8ヵ所で地下水の汚染状況を実施した結果を25日、発表した。 今回の調査では、1ヵ所の井戸で基準値(0・01㍉㌘)を若干上回る0・011㍉㌘のテトラクロロエチレンを検出した。 検出数値について、府は「長期間多量に使用しない限り、健康への影響はない」としている。当該井戸については、飲用の停止を指導したため、現在は使用していない。 府は、今後も引き続き、代表的な井戸で汚染推移を監視していく。 ■城南新報2007年2月27日 imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (2007 2 27.jpg) ↑上へ トップページ当ネットのご紹介資料室1資料室2リンク集個人情報保護条例違反地下水管理と住民の取組京都水盆仮想水
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地元紙「洛南タイムス」電子版(Rakutai On The Web ) 2008/01/06~2009年01月18日 (日) 18時47分58秒最終更新 洛南タイムス2008/11/30 きょう告示、舌戦火ぶた 市政の継続か転換か、3氏が構え 久保田、宮本、片岡氏が臨戦体制 3党激突の市議補選もゴング 任期満了に伴う宇治市長選挙と欠員(1)補充による市議補選のW選挙は、きょう30日に告示される。来月7日の投開票日まで、1週間の師走決戦に入る。市長選は、4選を目指す久保田勇氏(60)=自民・民主・公明推薦=に2新人が挑む前回と同じ対決構図。元市議の宮本繁夫氏(62)=共産推薦、新社会支持=と市議片岡英治氏(73)が多選阻止を掲げ、前哨戦で活発な舌戦を展開してきた。従来の市長選パターンと同様に、非共産連合対共産の事実上の一騎打ちの様相が日に日に増してきている。市選挙管理委員会は、きょう30日午前8時半から午後5時まで、市役所8階大会議室で立候補届けを受け付ける。 前回1万5千票差、久保田氏の得票率が63%を超えるダブルスコアで惨敗した共産陣営が、さきの善戦した京都市長選や勝利を得た京都市南区市議補選の勢いを持続させながら、宇治でも僅差の大勝負にまで持ち込んでくるのか、大きく注目される。 前哨戦の山場として設定された2陣営の決起集会では、宮本氏陣営が過去の市長選にはなかった勢いを印象付けた。本番の戦いにも勢いを加速させる集会となった。翌28日の久保田氏の決起集会では、大動員を成功させた。市議補選でバラツキの懸念された大所帯の結束を見せつけたが、「油断大敵」と危機感を各弁士がこぞって煽る集会となった。 これら両陣営の組織選挙に隠れる格好となっているが、片岡氏は告示前日の29日もマイクを握り、街宣で独自の動きを見せた。組織に頼らない選挙戦を期間中も通すが、過去3回の市議選で叩き出してきたトップ得票の3000票を超える得票に政党や現職批判票をどの程度積み上げるのか、低調の予想される選挙だけに、影響は大きいと両陣営が注目する。 3予定候補とも30日朝の立候補届けとともに、久保田氏は朝8時40分からJR宇治駅に近い事務所で出陣式に臨み、宇治橋商店街、近鉄大久保駅、小倉、木幡、JR六地蔵といったコースで、駅前や商店街を中心にスポット演説に入る。宮本氏は朝9時に府道宇治淀線沿いの事務所で第一声を放った後、穀田恵二党国対委員長の応援を得て、午後2時には近鉄小倉駅東で街頭演説に入る。片岡氏は、日常的にも駅頭宣伝を重ねている近鉄大久保駅前で午前9時半から第一声のスポット演説を予定している。 一方の市議補選は、保育士真田敦史氏(32)=民主推薦=、元会社員藤原元幸氏(62)=共産公認=、元職で衆院議員秘書荻原豊久氏(42)=自民公認=の3氏が立候補の構えをみせており、こちらも活発な前哨戦を駅頭や住宅地で展開。ただ、3氏とも全市的な知名度はなく、本番の1週間でどこまで浸透し切れるか。各陣営とも死力をつくす。 ■新社会党、宮本氏を支持 宇治市長選挙で、21宇治市民ネットが擁立する宮本繁夫予定候補と新社会党府本部(鳥居隆太郎委員長)が29日に4項目での覚書を締結。宮本予定候補の支持を決めた。共産推薦に加え、新社会支持で市長選挙に臨む。覚書には、首長の多選弊害をなくすことや宇治小の小中一貫校の見直し、開浄水場の休止見直し、天ヶ瀬ダム再開発の反対などを盛り込んでいる。 ■選挙時登録者15万3783人 宇治市選管まとめ 宇治市選挙管理委員会は29日に市長選挙・市議補欠選挙の選挙時登録者数をまとめた。男7万4087人、女7万9696の計15万3783人で、前回4年前の市長選挙時登録者数より約2400人増えている。 洛南タイムス2008/11/29 浄水場存続で意見聞く集い 開地区自治連など主催 市長選3予定候補が出席 宇治市の開浄水場の存続に向けた活動を展開する開地区自治連合会など主催の「宇治市長選―候補予定者の主張を聞く集い」=写真=が28日夜、開地域福祉センターであり、住民ら約60人が出席した。 集いには市長選挙への出馬を予定する片岡英治、宮本繁夫、本郷弘の3氏が出席した。 本郷氏は開浄水場の廃止問題について「山田府政から(宇治市が)水を買うための意図がありあり。僕としては反対」とし、市長になれば府を相手に契約改訂訴訟を起こしたいと述べたが、大山崎町の事例を引き合いに出すつもりが「長岡京市のように」と述べ、出席者から間違いを指摘されるひと幕も。 片岡氏は開浄水場の廃止に反対するとし、近隣市町に比べ宇治市の地下水(自己水)比率が低く、災害対策からも新たに地下水を開発して地下水比率を上げるべきと指摘。そのことで土木業者も潤うとした。 宮本氏は災害問題もふまえ「多水源化と給水のループ化が全国的な流れだ」と指摘し、開浄水場の廃止に反対の立場を表明。大久保小の建て替え問題などを例に「行政は効率や無駄を省くことも大事だが、防災の問題や開地域の人たちの気持をきちっと考えることが求められている」とした。 席上、第二次水道対策問題委員会の木村正孝委員長が、出席を差し控えるとした現市長の久保田勇氏の書面で送られてきた理由を読み上げ、「市長は住民の前で説明する義務があるはずだ」と批判。 出席者から「きょうは市長が来ると思って期待してやって来たのに、とても悔しい」と述べる住民もいた。 ■「係争中で協議再開困難」 宇治市、開地区自治連合に回答 浄水場休止問題で、開地区自治連合会などが宇治市長と市水道事業管理者に12日に話し合いの再開を申し入れていた問題で、係争中でもあり、話し合いの再開は困難との文書回答を28日、地元に示した。 洛南タイムス2008/11/28 市長、不参加理由地元に伝える 開浄水場問題で主張聞く集い 宇治市の開地区自治連合会など4団体が28日夜、開地域福祉センターで、市長選挙予定候補に出席要請して、開浄水場の休止問題についての主張を聞く集いを開くが、立候補予定する現職の久保田勇市長は27日、同集いに参加しない理由3点を付記した文書を地元に伝えた。 ▽司法に判断を委ねている原告と被告(市長)が法定外で議論するのは差し控える▽賛否両論の公平な場でなく、反対運動の主体が主催者では、公平な議論が損なわれる恐れが強い▽研究機関が恐らく発ガン性があると指摘している物質を発ガン性なしと判断しておられる団体とは、論議が平行線をたどる――としている。 洛南タイムス2008/11/28 「市政転換」掲げ、支援結集 宇治市長選宮本氏陣営 決起集会に1千人、必勝目指す 30日告示の宇治市長選挙で、「21宇治市民ネット」(山崎彰代表)が擁立した元市議、宮本繁夫氏を励ます「市政転換・市民のつどい」が27日夜、市内のパルティール京都で開かれた。支援者約1千人(主催者発表)が集まった。会場にはかつての市長選では少なかった若い支援者の姿も目立ち、今回にかける陣営の意気込みのほどを伝える集会となった。 山崎代表が「市民の要求や願いを実現する市長の実現を目指そう」と挨拶。同時執行される市議補選予定候補の藤原元幸氏が「槙島保育所廃園を推進する政党候補には負けられない」と決意を述べた。 陣営が市長選の争点に据えている宇治小への小中一貫校設置、開浄水場の休止問題をクローズアップさせ、宇治小の一貫校反対運動に立っている保護者3人が人形劇で問題提起したほか、開浄水場問題では裁判闘争などの先頭に立っている地元の木村正孝氏が「地下水を守る地域の取り組み」について説明。「小さな力が大きな力と権力を変える時、新たな未来が生まれる。新たな市政実現に頑張る」と連帯の挨拶を述べた。 続いて、宮本氏支持を表明している議会社会議員団を代表して浅見健二市議が、以前問題となった大久保小への消防施設の合築計画などを取りあげ、「この4年間、議員として辛抱できない市政の問題点が多く、私達議員は忙しい」と会場を笑わせながら、「市民の力が政治を動かす。皆さんの意見を聞いてくれる市長が必要」と、支援のエールをおくった。 穀田恵二共産党国対委員長、さきの京都市長選に立ち、善戦した中村和雄弁護士が宮本氏の人間性を高く評価。「試され済みの人」との言葉で即戦力の市長候補と話し、支援を求めた。 会場の大きな拍手に迎えられ、壇上に立った宮本氏は「今の市政、市民の暮らしを守っているのか、市民の声をしっかり聞く市政となっているのか。おおもとから市政を変える必要があると決意した」と、出馬理由を改めて伝えた。 続けて「市内では5年間で、事業所や商店が11・3%なくなった。市民の暮らしの危機を守る役割発揮ができてるか、今市政が問われている」と訴え、問題視している就学援助問題や公約の1つの子ども医療費の無料化拡大問題、「強引な市政」と厳しい批判を行っている宇治小への一貫校設置や開浄水場の休止問題、後期高齢者医療制度の廃止などの国政課題にも言及しながら、「市政転換を皆さんといっしょに進めたい。暮らしの叫びに何としても応えたい」と支援の拡大を求めた。 洛南タイムス2008/11/27 開浄水場問題で主張聞く集い 市長選予定候補に要請、28日夜開催 開浄水場休止の宇治市方針に反対、差し止め請求訴訟を起こしている地元の開地区自治連合会など4団体は28日夜8時から9時半まで、開地域福祉センターで、市長選挙予定候補4氏に出席を要請して、開浄水場問題についての主張を聞く集いを開く。 地元によると、3氏から出席意向の返事があったという。現職久保田勇氏は、出席しないものとみられる。 洛南タイムス2008/11/20 年末の水需要への対応で要請 開地区住民が宇治市水道部に 市の開浄水場の休止方針に対し、撤回を求めている宇治市の開地区自治連合会などの住民20人あまりが19日、市水道部を訪れ、年末に井戸水の水需要が集中するため、揚水量不足による断水などの不測の事態がないよう申し入れた。 水道部からは「日常的監視体制を取っており、そのような兆候があれば連絡する。不測事態にならないよう努力する」との回答が住民にあった、としている。 洛南タイムス2008/11/20 社会議員団2市議、宮本氏支持 宇治市長選、4項目で覚書に合意 宇治市議会社会議員団の浅見健二、池内光宏の両議員は宇治市長選挙(12月7日投開票)で、21宇治市民ネットが擁立した予定候補の新人宮本繁夫氏の支持と、同氏との間で4項目について合意し、覚書を交わしたと、19日発表した。 合意した具体項目では、▽憲法9条と25条を生かしたまちづくり▽開浄水場の休止や宇治小学校の小中一貫校計画の見直し、天ヶ瀬ダム再開発の反対▽市長は1党1派に偏せず、住民本意と公正・公平の堅持▽市町村合併については、住民の自治と自立、地方文化と伝統を守る立場から慎重に対処する――など。 支持によって、街頭での宮本氏の支援演説などもする。同議員団が市長選で共産推薦候補の支持を打ち出すのは初めて。 洛南タイムス2008/11/13 住民20人、水道部などに抗議 開浄水場問題の議会答弁で撤回要求 宇治市の開浄水場の休止方針に対し、撤回を求めて、市と裁判で係争中の開地区自治連合会(海老温信会長)など、地元4団体の住民約20人が12日、市と市水道部を訪れ、桑田静児水道事業管理者らに抗議文を提出した。 今月6日の議会決算委での水道部答弁で「発がん性物質があり、環境基準を超えているので休止を決めた」との答弁を問題視。「原水に含まれる揮発性有機物質は発がん性でないことは確認済の話。休止の正当性を図ろうとした答弁である」などと指摘、撤回を申し入れた。一部、回答を求めた要求も含め、3点で抗議したほか、再度の住民側との話し合いの再開についても申し入れ、桑田管理者からは「協議の上、回答したい」と返事があったという。 洛南タイムス2008/11/07 19年度一般会計決算など9議案認定 宇治市議会決算特別委 宇治市の19年度一般会計歳入歳出決算などを審査する決算特別委員会(堀明人委員長)は6日、最終日の総括質疑のあと、付託9議案を賛成多数で認定した。総括質疑では、社会、自民、民主、公明、共産、新世会、無会派の順で質疑。野党会派は、12月市長選の前哨戦でも争点として、白紙撤回を訴えている宇治小の小中一貫校計画と開浄水場の休止問題を取りあげ、再度、市の姿勢を追及した。 社会・浅見健二委員は、小中一貫校と開浄水場で質問した。一貫校問題では、グラウンド面積の確保問題に加えて、「一部中学生による問題行動の小学生への波及が懸念される」などと質問。石田教育長は「小学生が中学生をみて、あこがれの気持ちを持ち、行動に責任を持つようになったりと、一貫校だからこその特色がでてくるものだ。問題行動を繰り返すとなると、それまでの指導の積み上げも含めたあり方に課題があるといえる」と答えた。 開浄水場問題では、15年に日産が市に用地を無償寄付した経緯を述べ、「(浄水場の井戸水から府営水への切り替えをすれば)日産に市がうそをついたことになる」と質問したが、杉村部長は「貴重な申し出を頂いたものだが、その後の施設老朽化や原水の基準悪化のため…。今後も他への転用は考えてない」とした。 共産は川原一行委員が開浄水場について質疑した。 川原委員は、開浄水場の休止計画の撤回を求め、「立派な施設を一気に廃止するに矛盾がある。住民意識を市は甘くみていた」として、市長の見解を質した。市長は「都市経営の観点から休止は理にかなっている。議会議決は、重いものと受け止めている」とし、撤回意思のないことを伝えた。 洛南タイムス2008/10/24 宇治市長選挙での対立点の様相に 開浄水場休止問題報告集会に、市長の対抗馬2氏の姿 宇治市の開地区自治連合会(海老温信会長)など住民4団体は23日夜、開地域福祉センターで開浄水場の休止差し止めを市に求めている裁判の経過報告会を開いた。住民約35人が出席。裁判の経過などについてついて、担当弁護士の説明を受けた。 開浄水場問題は、来月30日告示予定の宇治市長選挙で、久保田勇市長の対立候補として名乗りを挙げた共産・宮本繁夫市議と無所属・片岡英治市議ともに市方針の休止の撤回を求めており、野党陣営としては選挙戦の1つの争点と位置付ける構えを見せている。両予定候補とも、この日の集会に顔を見せ、集まった住民の激励を受けていた。池内光宏、中路初音議員も参加。21日にあった決算委でのやり取り内容など報告した。 林猛雄開ヶ丘自治会長が「市長の驕りが惹起。これを正していかないと、問題解決にならない」と挨拶。片岡市議が防災上から市の地下水比率を確保する視点で、宮本市議が一部の声のために税は使えないというのが市長の姿勢だと、挨拶で話した。 木村正孝対策委員長が、裁判所に準備書面として提出した開浄水場の土地を日産が市に寄付した経過を示す平成15年当時の書面写しの内容について説明。弁護士が裁判経過のなかで、本訴とは別に仮処分を申し立てている高裁から、原告住民側にあった和解の打診についても改めて報告した。地域で水道事業を運営することが可能かどうかを探る提案だが、弁護士は「市は和解に前向きではなく、現段階ではしんどい」との見通しを伝えた。 洛南タイムス2008/10/23 裁判の今後について報告会 開地区自治連合会が今夜 宇治市の開地区自治連合会(海老温信会長)など4団体は23日夜7時半から開地域福祉センターで開浄水場の休止撤回を市に求めて提訴している裁判の報告会を開催する。裁判の今後の方向性などについて、弁護士の説明などを聞く。 洛南タイムス2008/10/22 「ポンプ停止となれば、府営水に」 決算委 開浄水場休止問題で改めて、質疑 水道部の審査では、府営水への切り替えに反対し、地元住民が市を提訴している開浄水場の休止問題を取りあげた。市は、老朽化している開浄水場分として更新のために購入しておいた揚水ポンプを、神明浄水場のポンプが故障したことで、緊急策としてこれを神明に充当したものだが、市の一連の対応について、浅見委員が追及した。 市は開浄水場を休止するとの方針決定に基づいて、老朽化している開でのポンプ交換を行っておらず、その後に揚水量が落ち込んでいることで、同委員は「なぜ、当初に予定された交換をしなかったのか」と不満と疑問をぶつけた。 さらに、同委員は「現状のポンプが停止したら、開地区への給水はどうなるのか」と質したのに対し、杉村水道部長は「断水させることは出来ず、府営水へ切り替える話となる」と答えた。同委員は「なぜ、水道部は住民が納得できる説明をできないのか。裁判中は少なくとも、現状の(井戸)水を確保するとの姿勢が大事だ」と指摘、質問を打ち切った。 洛南タイムス2008/10/19 「目指す市政転換」へ決意伝える「21宇治市民ネット」から出馬の宮本氏 12月予定の宇治市長選にむけ、選挙母体の「21宇治市民ネット」(山崎彰代表)=共産党、宇治市職労、宇城久地区労など49団体で構成=の候補者として17日に出馬の名乗りを挙げた共産党宇治市議の宮本繁夫氏(62)が18日午後、同ネットの山崎代表、佐藤京子副代表ら役員4人とともに記者会見に臨み、目指す「市政の転換」への決意を口にした。 具体的公約については、同氏は「早急にネットに参画する各種支援団体との協議の中で詰めていきたい」としているが、▽福祉教育を大切に、安心して暮らせる市政への転換▽市民の意見を斬り捨てず、市民とともに歩む市政▽格差問題などについても地方から国にしっかり声をあげ、発信していける市政の実現――を3本柱として掲げた。 また、現市政を「強引な市政運営だ」と批判。以前に断念、見直した中消防署の移転問題や大久保小の消防施設との合築問題、現在市と地元とで裁判に至っている開浄水場の休止問題、宇治小で24年度開校を目指している小中一貫校の開設などを取り上げ、「市政批判の声がでると一部の人の声、要望には一部の人たちのために税の投入はできないと斬り捨てている」と指摘、久保田市政への批判トーンを上げた。 さらに、「市役所内でも強引な手法が目立つ。庁内の風通しを良くして市民の暮らしを守るのが自治体職員本来の姿だ」と話し、元市職員出身の宮本氏は職員像について、自身が市職労副委員長をしていた当時の状況について言及した。 同氏は「市財政の逼迫で、赤字再建団体転落ぎりぎりの状態にあり、職員給与の1号俸切り下げを組合として提起したところ、90%を超す職員から賛成が得られた。職員とはこうした熱意のあるものだ」と話し、庁内の徹底行革の断行を掲げる現職久保田勇市長とは、市職労を巡って選挙戦での大きな対決軸となってくることから、早速の攻勢をかけた。 洛南タイムス2008/10/11 「ダブル選」大いに意識、演説会開く 共産党 宇治で衆院選と市長選勝利に向け気勢 解散・総選挙が迫る中、京都6区で自民、民主の現職に挑む共産の浜田良之氏の勝利とダブル選挙の可能性も強まってきた宇治市長選挙の勝利を掲げた共産党演説会が10日夜、宇治市文化センター小ホールで開かれた。約320人が集まった。 党洛南地区委員会の田村和久委員長が「アメリカ言いなりの自民、民主政治から国民が主人公の政治に」と挨拶。党宇治市後援会の平井勝会長が「近くある総選挙で浜田さんの勝利を勝ち取ろう。『太郎』から『一郎』の政治に替わっても暮らしは変わらない」と訴えた。 予定候補の浜田氏は「8年ぶり3度目の挑戦。この2年数ヵ月、府南部を駆け回って見て、小泉構造改革の傷跡が広がっている。怒りの審判を」と求め、産科・小児科の医師不足問題や働くルールを確立して時給1000円以上の確立――などの公約を訴え、「比例代表6万1500票の目標に上乗せすれば、小選挙区でも風穴が開けられる」と話し、支援を求めた。 総選挙とのからみで、繰り上げ実施も予想される宇治市長選挙(11月30日子告示)について、宮本繁夫市議が「最短だと、11月16日告示。(21宇治)市民ネットでは候補者擁立を急いでいるが、残念ながら発表に至っていない。必ず擁立して戦うことを確認した。宇治市政を変えるため、全力で取り組んでいく」と話し、同ネットが実施した市民アンケートから寄せられた就学援助制度の見直しや子ども医療費の問題など、市の施策の状況を報告。「久保田市政は、自治体本来の役割を果たしていない」と指摘。「開浄水場の廃止に伴う住民提訴でも、一部の声だとして斬り捨てる市政だ」として、批判トーンを上げた。 洛南タイムス2008/10/08 市側答弁、次回12月に持ち越し 宇治市開浄水場休止差止請求 住民らが市の休止方針に反対して提訴した宇治市開浄水場の休止差し止め請求訴訟の第2回公判が7日午後、京都地裁で開かれた。原告住民側が提出した証拠書類に対する被告市側の答弁が予定されていたが、次回12月2日に持ち越された。 なお、住民側は開浄水場の地下水を飲み続けたいとする思いを個々の訴えにまとめ、計50人分の意見書を1次、2次分に分けて、来週にも裁判長に提出するとしている。 洛南タイムス2008/09/05 10月7日に第2回公判 宇治市開浄水場休止差止請求 住民らが市の休止方針に反対して提訴した宇治市開浄水場の休止差し止め請求訴訟の第2回公判は、10月7日午後1時半から開かれることになった。4日に地裁で原告、被告双方が出席して行われた次回口頭弁論の打ち合わせで期日が決められた。 洛南タイムス2008/07/16 府営水への切り替え「契約違反」,開浄水場休止差し止め請求訴訟の初公判 宇治市が市営開浄水場(神明宮北65)を休止して、府営水の供給に切り替えようとするのは「給水契約の変更にあたり、違法」などと、市に対して、ことし1月16日に同浄水場からの給水を受けている開地区自治連合会と地区の第2次水道問題対策委員会委員長の木村正孝さん(62)ら住民10人が休止の差し止めを求めた裁判の初公判が15日午後に京都地裁で開かれた。住民46人をはじめ、市側を含め50人余りが傍聴した。 差し止め請求と平行して、住民らは同様の趣旨で1月に仮処分申し立てをしたが、4月に地裁は「昭和53年当時の覚書は、開浄水場の井戸水の供給責務を負うとまで合意したと言えない」と、覚書に基づいて、開浄水場の井戸水を今に飲み続ける権利を有するとする住民主張を却下。仮処分決定を不服として、住民らは高裁に即時抗告を申し立てている。即時抗告の申し立て結果は、まだ出ていない。 同浄水場は、日産車体の社宅向けの簡易水道だったが、昭和53年に市と同社、地域の合意で市に施設が移管・譲渡された経過がある。切り替えには、合意が必要と主張する原告住民に対し、被告の市は「地下水と府営水のどちらの水を供給するかは、水道事業者の裁量行為」と反論している。 この日の初公判の口頭弁論で、原告弁護人が、切り替えるのは市と住民との個々の給水契約の違反にあたると主張。開浄水場の歴史的経緯にも言及しながら、単なる水道水の供給義務に止まらず、開浄水場の地下水を供給する責務があると主張。市が休止理由に挙げている水質や施設の老朽化についても、合理的理由はないとした。 また、原告住民を代表して太田孝さん(90)が地域が開の地下水とともに発展してきたとの歴史や、地元説明に先行して浄水場休止を提案し、議決を得たことについて、覚書の精神に反する行為にあたるなどと、市水道部の対応を厳しく指弾。法廷で意見陳述した。次回公判は、9月4日午後4時に開かれる。 洛南タイムス2008/07/15 購入府営水量、策定ビジョンで検討 宇治市水道事業懇談会 宇治市水道事業懇談会(中田淳会長、11人)が14日に開かれ、市水道部が事業概要と18年度決算、20年度予算ならびに現在の中・長期整備計画を見直し、年度内に策定する地域水道ビジョンについて懇談会に報告した。市の給水人口は徐々に伸びているものの、節水意識の浸透や節水タイプの家電機器の普及から配水量の落ち込みが定着。収入の柱となる給水収益の増が今後も見込めないなか、施設拡張の時代から施設の維持管理時代を迎え、経営のあり方の検証が求められている」などと、ビジョン策定の意義について、冒頭挨拶で桑田水道事業管理者が説明した。 説明の中で、市は自己水比率33%、府営水の依存度が67%となっていることで、府営水の料金によって大きな影響を受けることになるとし、。18年度決算で支出総額37億円のうち、12億8600万円が府営水購入費で占めていると伝えた。1日あたりの府営水の受水量は6万2800㌧で、最大の自己水源を持つ宇治浄水場の3倍の量を府営水に委ねている。開発などにかかる加入金収入についても、新築戸数の減少から収入減の状況にある。 女性委員から、府営水の購入量を減らせないのかといった質問があり、桑田水道事業管理者は「協定水量の問題だが、年々水需要が減っている」として、課題となっていることの認識を伝えた上で、「府が施設整備する際に、受水市町の将来の水需要について各市町が回答し、府が施設拡張を図ってきた経過があり、すぐに府との協定水量を減らすことは難しい。策定する水道ビジョンで、将来の水需要を検討することにしており、協定水量のあり方についても考える必要がある。関係市町村との協議も必要」とした。 別の委員からは「よその自治体では府とけんかしてでもやっている。やっていただいていると思うが、宇治市としても、はっきりとした対応を」と指摘。 桑田水道事業管理者は「平時には、できる限り府営水を使い、何かあった緊急時には自己水で対応できるように考えている」と伝えた。 また、ペットボトルの水需要が伸びていることで、委員から質問があり、安全・安心、安価な水道水をPRするために、市水道部として今年度にはホームページを立ち上げることも伝えた。 このほか、ことし1月に開地区住民らが、開浄水場を休止して府営水に切り替えるとの市方針に対し、差し止めを求めた裁判(本訴)の第1回口頭弁論がきょう15日に京都地裁で予定されており、この間の経過を水道懇委員に説明した。「市が裁判で負けるようだと、市民全体に影響が及ぶことにもなる」などの意見があった。 なお、水道事業懇談会委員の辞令が委員11人に桑田水道事業管理者から交付された。任期は2年。会長に中田淳・元京都市水道事業管理者、副会長に武久征治龍谷大学法学研究科長を決めた。正副会長を除く委員9人は次の通り。(敬称略)伊藤弘子、太田敏子、小長谷敦子、下岡安一、高辻滋、中野昭仁、早瀬茂、樋口始郎、堀田直子。 洛南タイムス2008/07/06 本訴開始、15日に第1回公判 報告集会も準備 宇治市が老朽化と水質悪化を理由に市営開浄水場(神明宮北65)を休止、府営水供給に切り替えようとするのは「給水契約に違反する」などとして地元の開地区自治連合会(海老温信会長)と市が反発。住民が市を相手に提訴するという異例の事態になっているが、第1回公判が今月15日に決まった。 同連合会、開ヶ丘自治会、一里ヶ丘自治会の各会長、第二次水道問題対策委員会委員長の連盟で地域に配布した文書によると、「午後1時半 近鉄伊勢田駅に集合して、電車で裁判所へ」と、浄水場存続に向けた参加を呼びかけ。 住民らの仮処分は4月に却下されたが、提訴後に市の公文書で「市長は、地下水を半永久的に継続することを明確に約束していた」「日産車体は、過去の経緯をふまえ、水道用地として寄付していた」「断然安い開浄水場の費用」とPR。地元住民たちの主張の正当性を訴えている。 文書では、あわせて裁判費用のための住民カンパ総額が98万5000円になったことを報告、公判日の15日午後7時半から開福祉センターで報告集会を開くことも伝えている 洛南タイムス2008/06/17 野党、改めて開浄水場問題質疑 市「係争中」と答弁避け、一時紛糾 宇治市6月定例議会一般質問は16日再開され、浅見健二(社会)西川博司(民主)水谷修(共産)菅野多美子(新世会)向野憲一(共産)の5議員が質疑に立った。浅見、水谷の両議員が住民と市で係争中の開浄水場の休止問題(府営水への切り替え)を取りあげた。府営水とのコスト比較や、市に浄水場が移管されるにあたって、昭和53年に地元、市、日産車体の3者で締結に至る覚書締結への前段となる当時の市長と住民らとのやり取りの資料にも言及し、浄水場の井戸水を住民らは今に飲み続ける権利を継承しているとの論点に立ち、市の考えを追及した。/ 浅見議員は「市と住民を含め3者が一体となり、開の地下水を守る努力をしてきた。平成15年に日産車体から市は浄水場用地の寄付を受けたが、日産側には、浄水場として未来永劫にわたり使われることが前提となっていたのではないか」などと、過去の経緯をもとに市に答弁を求めた。/ 桑田水道事業管理者は「日産車体が地域の所有地を整理する中で、水道用地として寄付をいただいたものだが、当時は府営水の供給水量が限界にあるという水需要を考慮するなか、3者3様の負担の覚書を締結したもの」と答えた。/ 同議員は、覚書締結に至る前段としての当時の市長と住民らとのやり取りの資料に触れながら、「孫、末代まで地下水を飲んでいただけると、当時の市長は発言している。市民が何を望んでいるかの視点で、汗をかくのが行政だ」などと指摘した。/ 久保田市長は「係争中の事案であり、私は被告の立場でもあり、答弁は控えたい」としたのに続いて、桑田水道事業管理者が2問目の答弁を避けようとしたのに対し、「1問目に答弁しておきながら、係争中を理由に答弁しない。質問者を馬鹿にするな」として、同議員が激昂する場面もあった。/ 同じく、水谷議員も開浄水場問題を取りあげ、市が府営水への切り替え理由とした水質や府営水と開浄水場を継続することの単価などを詳細に比較しながら「浄水場の廃止方針は白紙に戻すべきだ」と指摘。現有の府営水の水余り状態を数字で指摘した上で「府営水の協定水量減らしても何ら問題がない」と、見直しを求めたが、桑田管理者は「休止差し止めの申し立てに対する地裁の却下決定に対し、高裁へ住民らが即時抗告しており、司法判断に委ねている」との平行線の答弁に終わった。 洛南タイムス2008/05/21 市水道部、即時抗告申立書への反論答弁を提出 宇治市水道部は20日、開浄水場の休止問題で、住民らが休止差し止めを求めて、大阪高裁に即時抗告を申し立てたことに対する反論の答弁書を弁護士を通じて提出した。休止差し止めを求める住民らの仮処分申請を地裁が却下、住民らが4月15日に高裁に即時抗告、地裁決定に異議を申し立てている。/ 大阪高裁から市水道部の桑田静児管理者宛てに、抗告申立書に対する意見・反論の記載書面の提出を20日までに行うよう連絡があり、その手続きを取った。/ 桑田水道事業管理者は、さきの議会委員会答弁で「提出された住民側の即時抗告理由書の内容を弁護士と相談して、決めたい」としていた。水道部が20日に提出した理由書について、基本的には、さきに地裁に提出した答弁書内容に沿ったもので、「内容を検討したが、住民側が即時抗告で提出した理由書においても、さきの地裁への提出内容と差異は少なく、地裁に提出していた水道部側の答弁書に沿った内容の答弁書を提出した。答弁書の概要としては、水道部は「切り替えようとする府営水についても良質な水で、開浄水場の地下水でないといけないとの理由はなく、昭和53年当時の覚書についても、浄水場地下水を供給する債務を今に引き継ぐものでない」などとの意見を中心にまとめ提出した」などとしている。 洛南タイムス2008/05/09 抗告申立書への反論、20日が期日 宇治市開浄水場の休止差し止めを求めた仮処分申請が却下されたことで、住民らは高裁に即時抗告。異議を申し立てたが、大阪高裁から市水道部の桑田静児管理者宛てに、抗告申立書に対する意見・反論の記載書面を20日までに提出するよう事務連絡が8日までにあった。/ 8日の議会委員会で、同管理者は委員の質疑に対して「7日に受理したばかりで、提出された住民からの即時抗告理由書の内容を顧問弁護士とも相談して、今後の行政方針を決める」と答えた。/ 委員会では、共産委員が「仮処分に加えて、本訴も提起されており、休止を強行するな。住民と行政が裁判で対立する歪んだ関係を修復するためにも話し合いの再開やNPOなどが自主的に浄水場を運営する道を探るなど、和解への可能性を行政として骨を折るべきではないか」などと、その考えを改めて打診した。同管理者は「早期の休止が水道部の取るべき道。和解といっても、いつ休止するかといったこちら側の話に乗ってもらうのは、困難である」と、双方が解決への一致点を見いだすのは無理との考えを改めて、伝えた。 洛南タイムス2008/04/27 即時抗告理由書を高裁へ提出 宇治市開浄水場の休止差し止めを求めた仮処分申請の却下に対し、住民らは15日に高裁に異議申し立ての即時抗告をしていたが、26日までに抗告代理人の弁護士が抗告理由書を提出した。提出した抗告理由として、3点を挙げて、「地裁の決定は、誤りや事実誤認がある不当な決定」と述べた。抗告理由のなかで、弁護人は「本裁判で終局判決が確定するまでの間は、浄水場地下水の供給を中止すべきではない」と求め、休止執行を本訴確定まで待つことで、市が著しい損害を被る恐れもないとした。 この問題では、開浄水場を休止して、府営水に切り替えようとする市の理由に合理性がないとして、休止差し止めの本訴にあわせ、住民らが仮処分を申請。地裁の却下決定に対し、第2次水道問題対策委員会委員長の木村正孝さん(62)ら代表住民10人と開地区自治連合会(海老温信会長)が即時抗告したもの。 却下決定のなかで、地裁が「開浄水場の井戸水を飲み続ける権利があるとの住民主張は、昭和53年当時の(日産車体、市、住民による)覚書からは今に継続すると類推できる資料もない」とした点については、「事実誤認がある」と理由書で反論。 当時の資料を新たに提出して「井戸水を念頭に置き、地区住民に市の上水道として供給し続けることを意思表示したもので、市が住民に対し、開浄水施設の水を供給する日産車体の債務の継承を認めたのは明らか」と、昭和51年当時の会議録資料を提出。当時の市長・住民会議での市長発言を根拠に、事実誤認があるとの理由書を提出した。 洛南タイムス2008/04/16 高裁に即時抗告申し立てる 住民10人と自治会が抗告人 宇治市開浄水場の休止差し止めを求めた仮処分の申請が京都地裁で3日に却下されたことに対し、異議申し立ての即時抗告をすることを決めていた地元の第2次水道問題対策委員会委員長の木村正孝さん(62)ら住民代表10人と開地区自治連合会(海老温信会長)が抗告人となり、15日に大阪高裁に即時抗告の手続きを取った。理由書については後日、抗告代理人の弁護士が提出する。4日夜の住民集会で、弁護士が同席して行われた報告集会で、即時抗告を確認していた。 市の府営水への切り替えに合理的理由がないとして、開浄水場の休止差し止めを求めた住民の仮処分申請に対し、地裁が「開浄水場の井戸水を飲み続ける権利があるとの主張は、昭和53年当時の覚書からは今に継続すると類推できる資料もない」として、住民の訴えを却下したことに「裁判所の判断には事実誤認がある」として、異議の申し立てを確認していた。 洛南タイムス2008/04/15 10年で200万㌧の給水落ち込み、新たに経営計画見直しへ 宇治市水道部は27年度までを計画期間とする水道事業の中期計画の見直しに着手する。見直し内容を具体化させ、今夏までに業務委託を発注する準備を急いでいる。年度内に10ヵ年の中期目標計画を策定する。市の水道は給水人口が増加しているものの、年間総給水量はこの10年間で、市民の節水意識の浸透などから約200万㌧も落ち込み、企業経営の面からは基盤強化や19年度に実施した簡易耐震診断の結果などから、配水池の耐震化や主要施設である宇治浄水場では、建物は耐震機能を保持していたものの、ろ過池や配水池などの浄水施設の耐震化が迫られるなど、大幅な施設改修が迫られているという。 係争事案に発展している開浄水場の休止方針の決定で、改めて浮き彫りになった自己水の比率は、18年度末データで32%と近隣市町に比べて低く、35%に引き上げるための施設能力の増強についても、検討する。自己水源については、現行では5浄水場から得ているが、人口増が顕著な東宇治地域に送水している宇治浄水場については、水量アップによる対応を図っているが、今後の給水人口の見通しも予想した中で、個々の施設の役割を見直す考え。/ ビジョン策定にあっては、市民意見や水道事業懇談会の意見を求めるが、現行の計画では事業経営についても言及しており、料金収入を支える総給水量の大幅回復が見込めない中、平成10年度の料金改定以降、議論に乗っていない使用料金の問題や水道料の長期滞納問題への対応なども不可欠な要因となってくる。▽経営基盤の強化▽顧客サービスの充実▽安心快適な給水の確保▽災害対策の充実▽環境エネルギー対策の強化を柱に実施方策を策定したい、としている。
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2009年01月27日 (火) 22時43分29秒最終更新 3. 準 備 書 面① 4. 準 備 書 面② 3. 準 備 書 面① 成20年(ヨ)第15号事件 京都地方裁判所 第5民事部保全係 御 中 債権者 開地区自治連合会外312名 債務者 宇治市 準 備 書 面 上記当事者間の頭書事件について、債権者は、以下のとおり、準備する。 平成20年2月 日 上記債権者代理人 弁護士 湯 川 二 朗 弁護士 山 口 智 第1.当事者について 1.開地区自治連合会と開自治会、開水道対策委員会 開自治会は、開地区全居住者等をもって構成される自治会である(甲★)ところ、昭和44年12月20日、水道問題の対策を専門的に行うための機関として水道対策委員会を設置し、同委員会委員長には自治会長を充てることとした(甲★)。そして、昭和63年3月12日、開自治会を第一自治会ないし第六自治会に6分割するとともに、それら6自治会をもって構成しこれらを統括する連合会として債権者開地区自治連合会が設立された(甲★)。その後、平成19年5月26日、債権者は水道問題の対策を専門的に行う機関として(第二次)水道問題対策委員会を設置した。 したがって、昭和53年1月に開自治会長兼水道対策委員長名義で締結された覚書(甲1)は、債権者に引き継がれたものである。 2.債権者開地区自治連合会の原告適格 債権者開地区自治連合会は、住民の福祉・厚生と生活・文化の向上を期すことを目的とするところ、水道問題(開浄水場を休止して府営水に切り替えること等)はまさしく住民の福祉・厚生に直接関わることであり、かつ、各自治会ないし住民がが個別的に取り組むよりも開地区に居住して開浄水場の水の供給を受けている者全員に共通する問題として債権者が取り組むべき問題であるし、また水道問題に関する対市交渉はすべて開地区自治連合会が窓口となってこれを行い、従来も昭和53年覚書(甲1)を締結するなどして、債務者との交渉当事者として取り扱われてきたので、今般、債務者と給水契約をしている個別の需要者に加えて、開地区自治連合会自身も債権者となって仮処分を申し立てたものである。 第2.本件浄水場休止は水源の種別及び浄水方法の変更に該当すること 債務者は、本件浄水場の休止と府営水への切り替えは、既存の設備の一つを休止させ、別の既存の設備により給水を行うものであって、新たな浄水方法を導入するものではないから、水源の種別や浄水方法の変更には該当しない旨主張する。 しかしながら、浄水方法の変更とは、既認可の浄水処理工程に変更を加えること、又は当該施設の処理目的の変更や、大幅な設計諸元の変更を行うことを言い、変更の有無については浄水場ごとに判断される。そして、工程の全部を廃止する場合は浄水処理工程の変更に含まれる。したがって、浄水場の廃止は「浄水方法の変更」に該当し、認可を必要とする。 しかるところ、答弁書において債務者自身が認めるとおり、本件浄水場の休止は、「浄水場の統廃合の一環」として行なわれる。これは、単に施設の更新のために一時的に浄水場を休止するのではなく、今後再稼働させる予定のない休止を意味する。したがって、「休止」とは名ばかりで、実際には本件浄水場の「廃止」を行おうとするものである。現に平成18年11月7日付水道部作成に係る「宇治市水道部における地下水汚染対策について」と題する文書(甲★)において、債務者は本件浄水場については「廃止の決定を行うこととする」としていた。 しかも、これまで本件浄水場の水の供給を受けていた債権者らにとっては、地下水を水源として、急速濾過・塩素減菌処理によって浄水していたのが、天ヶ瀬ダム(琵琶湖の水)から取水して浄水処理した府営水に切り替わるのであるから、まさに水源の種別、浄水方法の変更に当たる。 したがって、本件浄水場の休止は、水源の種別、取水地点及び浄水方法の変更に当たるから、厚生労働大臣の認可を必要とすると言うべきである。 加えて、水道法11条1項は「水道事業者は、給水を開始した後においては、厚生労働大臣の許可を受けなければ、その水道事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない」と定めるところ、本件浄水場は水道事業計画の一部をなすものであるから、その休止は水道事業の一部の休止に当たる.。したがって、本件浄水場の休止は厚生労働大臣の許可を要する。仮に、需要者には府営水を給水するから水道事業の一部の休止には当たらないと解するとするならば、水道事業の変更に当たると言うべきである(法は、事業の廃止・休止は許可、変更は認可を要するものとして、水道事業を監督しようとしている。)。 第3.債務者の主張(答弁書「債務者の主張」部分)についての認否 1.債務者の主張を要約すると、債務者の負う給水義務は水を供給する義務であって、特定の浄水場で浄水された水を供給する義務ではなく、したがって、どの水道施設の水を需要者に供給するかは水道事業者の判断に委ねられているところ、本件浄水場は給水収益が悪く、設備も老朽化しているからこれを廃止し、容量に余裕があり給水収益もよい府営水道に切り替えることは債務者の合理的な施策の範囲内にあるというものである。 しかしながら、第一に、債務者の主張は、これまで本件浄水場休止の理由として債務者が債権者ら及び市議会に対してしてきた説明の内容とは全く異なってきているということである。すなわち、債務者は、本件浄水場休止の理由として以下の通り説明してきた。 平成18年11月7日 水道部の環境政策室宛の説明 平成17年度の水質が原水でトリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンが環境基準値を超過している。(甲★) 平成18年12月21日 水道部の市議会建設水道常任委員会資料 1)施設の老朽化が進んでおり当面更新費用で6700万円を要する。2)浄水は基準を満たしているが、テトラクロロエチレン・トリクロロエチレン等が含まれている。(甲4添付資料) 平成19年4月26日 地元説明会での説明 ①水質(環境基準値を上回るテトラクロロエチレン・トリクロロエチレンが含まれている水を原料に水道水を供給することは100%安全安心の水道水を供給し続ける保障がない)、②施設の老朽化(効率化、コスト低減のために開浄水場の更新はしない)(甲★) 同年6月3日 地元説明会での説明 ①水質(環境基準を超える原水は原則使用しない)、②施設の老朽化(約30年を経過し、更新時期に来ている)、③揚水量の低下、④小規模浄水場の統廃合、⑤府営水に余裕がある、⑥安心安全な水道水を送水できる方策がある(送水管のバルブの開閉操作のみで切替できる)(甲8号証5頁以下) このように債務者はこれまで本件浄水場の原水の水質を一番にあげて休止の理由を説明してきたのに、答弁書ではほとんどと言ってよいほど言及されていない。これは、債務者自身が本件浄水場休止の主要な理由がなくなったことを自認したものと言うべきである。 第二に、水道事業者が負う給水義務の内容には特定の浄水場で浄水された水を供給する義務は含まれないというのは、一般論であって、本件のように簡易水道事業を市が引き継いだ場合には妥当しない。否、一般論としてであっても、厚生省の水道基本問題検討会報告「21世紀における水道及び水道行政のあり方」(平成11年)では、基本的視点として①需要者の視点、②自己責任原則、③健全な水環境を掲げ、水道行政のあり方として、全国的に全ての水道が達成すべき「ナショナル・ミニマム」に加えて、それぞれの地域ごとに需要者のニーズに応じた多様な水準の「シビル・ミニマム(ローカル・スタンダード)」を設定し、その達成へ行政が主導し牽引していく時代から、需要者である国民との対話を通じ、水道事業者が自らの意志と努力で方向を決めていく時代にふさわしい関係者の役割分担等を示し、具体的には、「安全に飲用できる水の供給を全ての水道で維持しつつ、需要者の選択に応じたおいしく飲用できる水の供給」ができるようにすることが水道事業者の役割とされており(甲★)、かかる需要者の視点に立てば、需要者の選択した水を供給する義務は一般論としてであっても十分に成り立ちうるものである(詳細は、3(5)、第4において後述する)。 第三に、需要者にどの水道施設の水を給水するかは水道事業者の判断に委ねられているというのは、行政行為に関する古典的行政モデルに引きずられた考えであり、現在では妥当しない。水道事業は水道事業者と需要者との給水契約であるから、水道事業者が一方的に事業内容(計画)を決することができるというのは誤りである。前記検討会報告の需要者の視点にも反するものである。 2.「2 本件覚書締結の経緯」について (1) (1)について 第1文については否認する。旧日国工業は1946年に誕生した会社であって、戦時中存在していない。開簡易水道事業は、昭和16年、日本国際航空工業により始められ、それを1946年に誕生した旧日国工業㈱が引き継ぎ、次いで、日産車体㈱が旧日国工業より引き継いだのである。 第2文については認める。 (2) (2)については認める。 (3) (3)については概ね認める。但し、開簡易水道継続促進会については債権者らに記録はない。開自治会が専門の機関を設けて水道問題に対応して簡易水道存続を求めるようになったのは、昭和44年に開自治会に設置された水道対策委員会である(甲★)。 (4) (4)について 第1文については不知 第2文については概ね認める。市長斡旋案の提示があったので一度は開自治会もこれを了承した。 (5) (5)について 第1文については、開自治会が開簡易水道の廃止について最終的な了解をしなかったことは認め、その理由(債務者が挙げる「①」、「②」の理由)は否認する。 そもそも、地域住民は、開簡易水道付の住宅としてこれを購入し入居したのであるから、開簡易水道の廃止は望んでいなかった。 第2文及び第3文については認める。 (6) (6)については認める。 ただし、債務者は「新たに浄水場を建設」したと主張するが、この浄水場は、それまでの浄水場で使われていた井戸を深くしたに過ぎないし、浄水場が建てられた場所は、それまでの浄水場と同じ場所である。つまり、新しい浄水場を建設したのではなく、それまでの浄水場を「更新」したに過ぎない。また、留意すべきなのは、「取水地点も開簡易水道と本件浄水場では異なる。」と債務者は主張するが、「取水地点」が「異なる」とは、開簡易水道と本件浄水場の建設場所が異なることを意味しているのではなく、水を汲み上げる井戸の深さが異なっていたということである。上述のとおり、開簡易水道と本件浄水場の建設場所は全く同じ場所である。 また、債務者の主張するとおり、開簡易水道が廃止され、本件浄水場が供用開始に至るまで、開地区の各世帯に対して府営水の供給が行われていたが、開浄水場が供用開始されるや、府営水の給水は取りやめられて、再び開浄水場の浄水が給水されるに至った。この事実こそ、まさに、債権者に本件浄水場から水の供給を受ける権利があることを示す証拠である(仮に債務者の主張するとおり、債務者が地域住民に対し給水義務を負うだけであって、開浄水場で浄水された水を供給する義務を負わないのであれば、一旦府営水に切り替えた以上は、そのまま府営水を給水すればよかったのであって、開浄水場の供用開始を待って、開浄水場の浄水に再度切り替える必要はなかったのである。)。この点に関しては後述する。 (7) (7)については全て争う。 3.「3 「特定の水を受ける権利」が「観念」出来ないこと」について (1) (1)について 一般論としては認める。但し、本件事実関係の下においては、債務者には開浄水場で浄水された水を供給する義務が認められる。 理由は後述する。 (2) (2)について 第1文については認める。 第2文については否認ないし争う。上述のとおり、本件浄水場の水の供給を受ける権利は存在している。また、債務者は、「水道事業の効率的、経済的な観点からの見直しは当然あり得る」と主張するが、そもそも、本件では、水道事業の効率性、経済性を考慮すれば、開浄水場を休止すべきでないという結論に至るのである。さらにいえば、本件では、開浄水場の運営にかかるコストは債務者が計算しているよりも低額で済むのであり、債務者の計算は誤りである。従って、この主張は開浄水場を休止しようとしている債務者の主張としては矛盾した主張になるのである。 (3) (3)について 第1文及び第2文については特に争うものではない。 第3文については否認ないし争う。繰り返しになるが、債務者の主張は一般論であって、本件においてはそのまま適用されるものではない。本件浄水場から水の供給を受ける権利は観念できる。 (4) (4)について 第1文については認める。もっとも、債務者は、開浄水場の原水の水質を休止の理由の1つとしてあげた。ところが、それにも関わらず、債務者は、開浄水場の水が「飲料水としての基準内のであって、安全な水道水である。」と認めざるを得ない。債務者の主張がいかにご都合主義かをよく物語るものである。 第2文については否認する。府営水と本件浄水場の水との間には臭い、味等で素人でも判断できる違いがある。本件浄水場の水は地下水を浄水したものであって、だから「おいしい」のである。それに対して、府営水は「おいしくない」。その点もあって、債権者らは開浄水場の水にこだわるのであり、だからこそ、開簡易水道事業の廃止に反対し、債務者がこれを浄水場として引き継ぐことを求めたのである。 第3文については否認ないし争う。本件浄水場から水の供給を受ける権利はある。 (5) (5)については争う。 宇治市水道事業中・長期整備計画(平成14年3月)(甲3)では、水道事業経営の基本方針として、①豊でゆとりある水道(安全)、②信頼性の高い水道(安定)、③わかりやすく・親しまれる水道(健全経営)の3点が掲げられている。豊でゆとりある水道(安全)の基本方針のための基本施策が「安定給水の確保」であり、そのための課題が「水源の複数化」であり「浄水・配水施設の再整備」である(26頁)。「水源の複数化」の施策内容は「これまで施設整備においては、自己水源が利用できないときは、府営水道の活用が可能となるように行われてきた。しかし、府営水道が事故等により利用できなくなった場合の想定がなされていないことから、府営水道への依存を保ちつつ、危機管理として、自己水源からの取水の安定性を確保する。」ことであり、「浄水・配水施設の再整備」の施策内容は「浄水施設の安全性・安定性・信頼性を確保し、災害対策にも資するため、合理的・総合的な浄水・配水施設の再整備に取り組む必要がある。」ということである(28頁)。 中・長期整備計画の冒頭1頁にも引用されているとおり、同計画は、厚生省の水道基本問題検討会報告「21世紀における水道及び水道行政のあり方」(平成11年)を踏まえたものとなっている。すなわち、同報告は、基本的視点として①需要者の視点、②自己責任原則、③健全な水環境を掲げ、水道行政のあり方として、全国的に全ての水道が達成すべき「ナショナル・ミニマム」に加えて、それぞれの地域ごとに需要者のニーズに応じた多様な水準の「シビル・ミニマム(ローカル・スタンダード)」を設定し、その達成へ行政が主導し牽引していく時代から、需要者である国民との対話を通じ、水道事業者が自らの意志と努力で方向を決めていく時代にふさわしい関係者の役割分担等を示し、具体的には、「安全に飲用できる水の供給を全ての水道で維持しつつ、需要者の選択に応じたおいしく飲用できる水の供給」ができるようにすることが水道事業者の役割として示した(甲★)。 このような検討会報告や宇治市水道事業中・長期計画に照らせば、ライフラインの確保のために水道事業者の判断により地下水あるいは府営水のどちらを供給できるか決定できるとする債務者の主張は、まさに「安全」に反し、需要者の選択・需要者との対話を無視することである。渇水時、地震等の災害時においても生活用水の供給ルートを確保する必要があるが、そのような災害時において、水源が単一化されていた場合、その地域住民の水の供給が絶たれてしまうのであって、そのようなことを防ぐためには、地下水を水源として持つなど、多様な水源を持つべきなのである。ライフラインの確保のためにはまさに水源の多様化こそが求められているのである。 さらに言えば、水道法10条は、水道事業者が水源の種別、取水地点若しくは浄水方法を変更しようとするときには、厚生労働大臣の認可が必要と規定している。それに対し、水道料金等供給条件の変更は届出で足りる(法14条5項)。水源の種別の変更等に限り、厚生労働大臣の認可を必要としているのは、清浄な水の確保のためであり、水道事業者の判断にこれを委ねることが許されないと法が判断したからである。これは、まさに、法が水源の個別性を認めているからに他ならず、水源の種別等についての需要者の法的利益を水道事業者に対して保障しているからである。 以上のような考え方からすれば、本件事実関係の下では、債権者らの特定の水の供給を受ける権利は当然観念できるのである。 4.「4 本件浄水場休止の必要性」について (1) (1)について 第1文については、本件浄水場が昭和53年に新設されてから約30年が経過したことは認めるが、その余は否認する。乙4号証を見ても、施設の一部に耐用年数を経過しているものも見られるが、エアレーション設備は平成3年に設置されたばかりで耐用年数に達していないし、全体的に耐用年数を経過しているというのは明らかに事実に反する。ましてや更新の時期には来ていない。 そもそも、「耐用年数」を越えていると言うが、「耐用年数」というものは地方公営企業の有形固定資産の減価償却のための基準となる概念であって、当該施設の機能評価の基準ではない。したがって、ある施設の耐用年数が経過しているからといって、当該施設の機能が劣っていることにはならないのである。だからこそ、中・長期整備計画では、開浄水場については機能診断調査を実施するとの評価がなされていた(甲3)。ところが、機能診断調査は現実には未だ行われていないのであるから、更新の時期を迎えているとの評価はなしようがない。 第2文については概ね認める。但し、配水池の壁の水漏れと言っても軽微なものであり、圧力タンクの腐食とは言っても表面に錆が生じているにすぎない。 第3文については否認する。現在、開浄水場の稼働率は約46パーセントである。稼働率が低いのに、揚水量が落ちているから稼働時間が長くなるというのは理解できない。設備の稼働率を上げれば解決する話である。 そもそも、乙6号証の表は、「平成20年1月25日」に作成されている(乙6参照)。すなわち、本件仮処分の申立がなされた後に作成されているのであって、何らの信用性がない。 第4文については否認する。開浄水場の施設運営費用は、昭和53年に新設されてから28年間で約1億2700万円しか要していない(甲★)のに、設備の更新費用にその56%にも相当する7100万円も要することはない。甲8号証は、本申立以前に債務者より開示を受けた資料であるが、この7100万円という値は、浄水場の設備を新しく取り替える場合の費用であると思われる。そもそも本件浄水場は更新の必要は認められないのだから、更新費用をここで問題とするのも誤りである。 第5文については否認する。中・長期整備計画で施設の老朽化が問題点として指摘され、統合を含めた更新の必要性について言及されているのは、神明浄水場と奥広野浄水場であり(甲3号証37頁)、本件浄水場ではない。中・長期整備計画は、「合理的かつ総合的な水道施設整備」を基本方針として掲げるが、具体的には施設の機能診断調査を実施することを指摘するのみで、浄水場の統廃合はその施策とはされていない(同36頁)。本件浄水場については機能診断調査を実施することが指摘されているだけである(同18頁)。 (2) (2)について 第1文については、府営水の協定水量の値や、平均受水量の値は認めるが、その余は否認する。そもそも槇島浄水場も「廃止」ではなく、「休止」である。 平成19年6月市議会で、浅見議員の質問に対して、市長は「府営水の余裕はない」との答弁を行っている。 第2文については否認する。 債務者の主張では、府営水の原価は1立方メートル当たり155円、本件浄水場229円であると主張するが、西川議員の調査によると、配水量1立方メートル当たり単価は府営水道157円であるのに対して開浄水場132円(甲★)、水谷議員の調査によると、府営水155円、地下水135.8円(甲★)となる。また、西川議員の資料要求に基づき市水道部が提出した資料によると、1立方メートル当たり府営水83.3円であるのに対し、本件浄水場24.4円と計算される(甲★)。 (3) (3)について 第1文については、「年々水質が悪化している。」という主張は否認し、その余は認める。甲5号証を見ても、水質が年々悪化しているとは認められない。 第2文については不知ないし否認する。本件浄水場の原水の水質は、環境基準値は超えているものの、体重50kgの人が毎日約20リットルを一生飲み続けても健康への影響はないと考えられる程度である(甲6号証参考資料)し、浄水に至っては水道水質基準に適合しているのであるから、取水場所を変更する必要は何らないし、債権者らは誰も浄水場の新設など求めていない。 (4) (4)について 否認する。槇島浄水場は、平成9年に住都公団から移管された施設であり、比較的新しい施設であって、中・長期整備計画でも「当面現状維持とする。」と評価されていたものであって、施設の老朽化は指摘されていなかった。槇島浄水場は「廃止」されておらず、平成19年4月から「休止」されているだけである。 前述したとおり、中・長期整備計画では「浄水場の統廃合」は施策として計画されていない。そもそも府営水に切り替えて、当該浄水場を「休止」しただけで、浄水場を廃止したわけでも統合したわけでもないのに「浄水場の統廃合」ということはあり得ない。それをとってみただけでも、債務者の主張する本件浄水場の休止の必要性がいかに根拠のないものか明らかである。 (5) (5)については否認ないし争う。 債務者は、「どの浄水場を休止すべきかについては、水質や収益を考慮の上決定するもので」ある旨主張するが、答弁書を見る限り、債務者は水質を考慮した形跡は全く伺われない。このことからも明らかであるが、債務者は、何らの根拠もなく本件浄水場を休止しようとしているのである。 5.「5 まとめ」について 争う。 第4.開浄水場の水の供給を受ける権利について 1.債務者は、開浄水場の水の供給を受ける権利なるものを観念できないと主張するが、これは、これまで、開町の住民が開浄水場の水の供給を受けるに至った歴史を明らかに無視した主張であって、債務者は債権者に対して「開浄水場の水」の供給を行う義務を負うものである。以下、理由を述べる。 2.まず、債務者自身が答弁書(5頁16行目及び17行目)において認めるとおり、開簡易水道が廃止された昭和53年3月末から本件浄水場が完成する同年10月までの間、各世帯に対しては府営水の供給が行われていた。ところが、その後、本件浄水場が完成した後、開自治会その他地域住民との合意にしたがって、債務者は再び府営水から本件浄水場の浄水へと戻したのである。この事実こそ、まさに、債権者らが債務者から開浄水場の水の供給を受ける権利を有していることを示していると言えるのである。 すなわち、債務者は、一度は債権者らに対して府営水の供給を行いながら、本件浄水場が建設されるや本件浄水場からの水を債権者らに対して供給するようになっているのである。この府営水の供給から本件浄水場の水の供給へと切り替えた(切り戻した)理由は、昭和53年1月の開自治会その他地域住民と債務者との合意に基づくたものであって、仮に、債務者が日産車体から引き継いだ義務が債権者らに対して「本件浄水場からの水」の供給を行う義務ではなく、一般的に水を供給する義務のみであれば、上記のように、府営水から本件浄水場の水へ切り替える(切り戻す)必要はなかったのである。 債務者自身が、覚書の内容や覚書締結に至る経緯等から、債務者には債権者らに対して本件浄水場の水の供給を行うべき義務があると認めているからこそ、府営水から本件浄水場の水へと切り替えたのである。 3.また、債務者が債権者らに対して本件浄水場の水の供給を行うに至った経緯からしても、債務者には債権者らに対して「本件浄水場の水」の供給を行うべき義務があることが明確に分かると言える。 すなわち、前述の通り、昭和44年に、開自治会に水道対策委員会が設置された。その後、昭和46年12月、翌47年2月、同年3月にそれぞれ、開簡易水道から市水道への切り替えについての公聴会が行われた(甲★○)。そうした中、昭和47年9月に、開町自治会長より市議会に対して宇治市開町簡易水道存続に関する請願書が提出された(昭和50年3月5日採択)。そして、昭和49年8月には、地域住民より市に対して開簡易水道を市で運営してほしい旨の要望があった(甲○★)。 そして、簡易水道を廃止したい日産車体、開簡易水道を残して市水道(府営水)へ切り替えないことを望む地域住民、市水道への切替えをしなければならない市との間で協議をした結果、昭和51年に、日産車体が債務者に開簡易水道施設を移管し、債務者が開簡易水道施設を取り壊してその場所に開浄水場を建築し、債務者が債権者ら地域住民に開浄水場の浄水を供給するという合意(日産車体の開水道施設からの給水義務を債務者が引き継ぐという合意)がなされたのであり、覚書(甲1)はその一部を構成するものである。 このように、上記合意は、開簡易水道が市水道(府営水)へ切り替えられることを防ごうとした地域住民の運動によって締結されるに至ったのである。このような事情、及び前項で述べたとおり、本件浄水場建設中には開地区の住民に対しては府営水を供給していながら、本件浄水場建設後、本件浄水場の水の供給へと切り替えた(切り戻した)という事実からすれば、債務者が債権者らに対して負う給水義務が、特定性のない一般的な水を開地区の住民に対して供給する義務ではなく、開簡易水道及びそれに続く本件浄水場からの水の供給をする義務であることは明らかである。 そもそも、覚書が交わされなくとも、開地区の住民は市水道(府営水)の水の供給は受けられていたのである。覚書が交わされなければ、開地区住民は市水道(府営水)の供給を受けていたであろう。しかし、地域住民はそれを選択せず、市水道(府営水)へ切り替えられることを阻止するために覚書を締結し、その結果、日産車体の事業が債務者へと引き継がれたのである。このように開地区住民があえて覚書を締結し、債権者らが債務者から本件浄水場の水の供給を受けていたという事実が、債権者らが債務者に対して「本件浄水場からの水」の供給を受ける権利を有しているということを如実に物語っていると言える。 第5.結語 以上より、債権者らは、債務者に対して本件浄水場からの水の供給を受ける権利を有しているので、本件仮処分は認められるべきである。 4. 準 備 書 面② 成20年(ヨ)第15号事件 京都地方裁判所 第5民事部保全係 御 中 債権者 開地区自治連合会外312名 債務者 宇治市 準 備 書 面(2) 上記当事者間の頭書事件について、債権者は、以下のとおり、準備する。 平成20年3月 日 上記債権者代理人 弁護士 湯 川 二 郎 弁護士 山 口 智 第1.債権者開地区自治連合会の原告適格 平成20年3月4日付債権者準備書面の第1の2項に記載した事情に照らせば、開地区自治連合会には本訴を遂行する経験・知識・能力があり、個別の給水契約者に代えて/個別の給水契約者とともに本訴を遂行する適格があるということができる。 したがって、同連合会には原告(債権者)適格を認めることには合理的必要性があり、かつ、弁護士代理の原則・訴訟信託禁止の原則を潜脱するおそれもないから、任意的訴訟担当として原告適格を認めることができるものと解する。 第2.被保全権利について 前回の審尋期日において、被保全権利の内容について、裁判所より釈明を求められたため、この点について明らかにする。 1.本件仮処分における、債権者らが主張している被保全権利は、第1に開浄水場から給水を受ける権利(以下、「第1の被保全権利」という。)である。 債権者らの準備書面(平成20年3月4日付け)においても主張したことであるが、開浄水場の前身であった、開簡易水道を、当時管理していた日産車体(株)が廃止しようとしたため、債権者ら開地区の住民らが反対の意思表示を示し、その結果として、債務者が開簡易水道を日産車体(株)から引き継ぎ、開浄水場を整備し直して債権者ら開地区の住民らに開浄水場からの水を供給するようになったのである。 このように、債権者らが府営水ではなくて、開簡易水道(開浄水場)からの水の供給にこだわったのは、債権者らは開簡易水道について給水契約をし、開簡易水道(開浄水場)の水源である井戸水からこれまで長い年月にわたって給水を受けてきており、その水質や「おいしい水」であることに愛着があったからであった。このように、債権者らが開簡易水道(開浄水場)の水源である井戸水に愛着を持っていたという事情は、これまで債権者らが提出してきた証拠等を見れば容易に分かることである。そして、開簡易水道の施設が日産車体(株)から債務者へ引き継がれる時には、日産車体(株)も債務者もこのような事情を当然知って、覚書(甲1)を締結するに至っている。従って、債務者は日産車体から給水契約上の地位の承継を受けたというべきであり、少なくとも、債務者の認識としても、債権者ら開地区の住民らに対し、開浄水場からの水を供給することが給水契約の目的であるという認識を有していたはずである。 以上より、債権者らは、債務者に対して、他のどこでもない、開浄水場からの水の供給を受ける権利を有しているのである。 2.第2に、債権者らは、府営水の水源である天ヶ瀬ダムの水(琵琶湖の水)ではなく、開浄水場の水源とする井戸水の供給を受ける権利(以下、「第2の被保全権利」という。)を被保全権利として主張している。開浄水場を休止し、府営水に切り替えるということは、井戸水の供給をしないということであるから、債務不履行に当たる。 債権者らは開浄水場の水の供給を受ける権利があると主張するものであるが、その内実は、開浄水場の水源である井戸水(地下水)の供給を受ける権利である。上記第1の被保全権利と異なる点は、第1の被保全権利の場合は、「開浄水場からの」水の供給を受ける権利であったのに対し、こちらの被保全権利の場合は、特定の場所(浄水場)からの水の供給を受ける権利ではなく、井戸水(水源の区別としての井戸水)の供給を受ける権利があると主張している点である。言い換えれば、井戸水の中でも、ある場所で採取される井戸水と別の場所で採取される井戸水とが区別できるとするのが第1の被保全権利であり、その区別を問わないのが第2の被保全権利である。 すなわち、地下水は水質が良好で、恒温性があることがその特性とされており(甲27)、地下水の保全と適正な利用は日本の水資源の課題とされている(甲28)。ダム水と地下水とは水質が全く違い、試飲してもダム水は苦みを感じ、ぬるくなると口に入れてうっと引っかかる感じがし、小島貞男(NHKブックス「おいしい水の探求」著者)の基準に照らせば、開浄水場の水は「特急水」であるのに対し、府営水は「3級水」となる(甲30)。現実に地下水からダム水に切り替えられた山形県鶴岡市では、冬冷たく夏ぬるくまずい水になったというアンケート結果が出ている(甲31)。府営水の水源となる琵琶湖は毎夏水位が低く(甲32)夏場の府営水の安定供給に不安があるばかりか、近時の水質の悪化は著しい(甲32)。 ちなみに、水道法も、水道事業者に対し、工事設計書に「水源の種別」「浄水方法」(法7条5項2号、5号)を記載するよう求め、また「水源の種別」又は「浄水方法」を変更しようとするときには厚生労働大臣の認可を求めている(法10条1項)のであって、「水源の種別」は水道事業における重要な要素である。したがって、水源を井戸水(地下水)から、天ヶ瀬ダムの水(琵琶湖の水)に変更するに当たっては、需要者の同意・承諾を要すると言うべきであるし、需要者の同意・承諾を得ずにこれを変更することは債務の不履行・不完全履行に当たると言うべきである。 さらに、準備書面(平成20年3月4日付け)においても主張したとおり、債務者は、開浄水場施設改良工事中には開地区の住民に対しては府営水を供給していながら、開浄水場建設後、開浄水場の水の供給へと切り替えた(切り戻した)。これは、覚書(甲1)の締結を含む、債務者が日産車体の開水道施設からの給水義務を債務者が引き継ぐという合意に基づいた行為であるところ、債務者としても、府営水と井戸水とを区別していないのであれば(債務者が本審尋で主張するように、とにかく水を供給すればよいというのが給水契約の目的であるとすれば)、このような対応(一旦府営水に切り替えながら、開浄水場改良工事が完了すると同浄水場からの給水に切り戻すような措置)は行わなかったはずである。債務者としても、府営水と開浄水場の水ないし井戸水とを区別して(別物と)考えていたことは明らかであるし、債権者らが府営水ではなく、開浄水場の水ないし井戸水の供給を求めていることを債務者も認識してそれに沿う事業を行ったことは明らかである。 3.第3に、債権者らは、債権者らが現在飲んでいる水質の水、言い換えれば、「おいしい水」の供給を受ける権利を被保全権利(以下、「第3の被保全権利」という。)として主張している。 水は生きるために必要不可欠なものであるので、安心・安全・おいしく飲める水が当然供給されなければならない。厚生省(現厚生労働省)の水道基本問題検討会報告では、「安全に飲用できる水の供給を全ての水道で維持しつつ、需要者の選択に応じたおいしく飲用できる水の供給」ができるようにすることが水道事業者の役割として示されており(甲20 平成20年3月4日付債権者準備書面)、また宇治市水道事業中・長期整備計画でも、「豊かでゆとりある質の高い水道サービス」を目指すため「安全でおいしい水」を供給することを「給水サービスの向上」として位置づけている(甲3号証20,23頁)。逆に言えば、住民は、「安全でおいしく飲用できる水の供給を受ける権利」を有しているのである。 債権者らは開浄水場の水の供給を受ける権利があると主張するものであるが、その内実は、現在飲んでいる水質の水の供給を求めるものであり、現在飲んでいる水の水質を悪化させないことを求めるものである。 債権者らは、昭和53年に債務者と給水契約をしてから(遡れば、開簡易水道の時代から)これまで、安全でおいしい水の供給を受けてきた。平成3年12月には曝気装置(エアレーション設備)が設置され浄水の水質が向上した。現在でも、その原水の水質は「体重50kgの人が毎日これらの水を仮に約20リットル一生涯飲み続けても健康への影響はないと考えられる」安全なものである。債権者らとしては、今後もこの水質の水、「安全でおいしく飲用できる水」の供給を受ける権利を有する。 ところが、債務者が開浄水場を休止してこれから債権者らに対して供給しようとしている府営水は、その原水については環境基準に適合しない項目が4項目あり、その浄水においても、汚濁物質が多いため総トリハロメタン値が開浄水場よりも10倍以上悪くなっている(甲5)。しかも、府営水は、開浄水場の水に比較して、「おいしくない」(甲30,31)。 したがって、債務者が開浄水場の水の供給を休止して府営水の供給へと切り替えることは、明らかに債務不履行となる。 第3.結語 以上のとおり、本申立における被保全権利は、①(府営水=府営宇治浄水場ではなく)開浄水場からの水の供給を受ける権利、②(府営水=天ヶ瀬ダム水ではなく)井戸水の供給を受ける権利、及び、③(府営水=府営水道購入水ではなく)現在飲んでいる水質の水=安全でおいしい水の供給を受ける権利である。 以 上 ↑上へ
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平成20年 10月 決算特別委員会(第8回)-11月06日 P.485~ ◆ 浅見健二委員 開の浄水場の問題についてお伺いします。 原水に発がん性物質が含まれているということで、議会に提案されて、住民合意と納得のいく上でとの議決でした。そもそも水道水質基準から見て何ら問題のないものを休止にする理由はないと思います。地下にそのような物質があるというなら、その物質の除去を優先させるべきでないかと思います。 さらに、故渡辺市長が、「子々孫々までこの水が飲めるよう行政が責任をもって給水を保証する」と言い、また、久保田市長自身も、平成15年4月14日付の日産車体株式会社小畠社長当てに、「旧社宅居住者に水道給水を続けてまいりたいし、今後も給水事業を継続していく責任がございます」とし、その上で、「地域に対する社会還元としての水道用地の無償寄附をすることについてご検討いただきたくお願いするものでございます」と、開浄水場の継続と無償寄附を申し出ているではありませんか。そして、それを受けて日産車体は水道用地として寄附をいたしますということになったのであります。 老朽化を理由にしたり、ポンプの費用にしても、190万円という見積もりが、実際、71万4,000円であったり、いかにも維持費が高くつくような説明をし、休止ありきが前提だとしか思えません。裁判中にポンプが故障して現水道水が供給できないことがあってはなりません。少なくとも裁判中の保証は最低すべきであると思いますが、お答えを願いたいと思います。 ◎杉村亮一水道部長 開浄水場についてのご質問に、順次、お答えをいたします。 まず、開浄水場の移管につきましては、昭和51年当時、府営水道の供給水量が限界に達しているという状況のもとで、開地域の水道問題の解決を図る目的から、当時の市長が大変なご苦労のもと、三者三様の負担の覚書を締結し、今日に至ったものでございます。このことにつきましては、当時の市長の発言でもありましたように、「宇治市の上水道の一環として進めていくものでなくてはならない。行政上、しこりが残るのであれば、手を引かせてください」ということでも明らかなように、宇治市の水道事業として行っていくとの考えでの発言でありますことをご理解いただきますようお願いいたします。 次に、開浄水場用地につきましては、日産車体より簡易水道用地のうち約200坪を無償貸与する使用貸借契約を昭和51年12月に締結いたしまして、その後、平成15年に日産車体が地域の所有地を整理される中で、水道用地として寄附していただいたものでございまして、水道の安定的な運営の上、貴重なお申し出であったというふうに考えております。 次に、ポンプの購入についてお答えを申し上げます。 ポンプの購入につきましては、平成18年度で購入いたしましたポンプは、過去の購入単価を参考に予算化をいたしまして、その金額をもって入札いたしましたところ、結果として71万4,000円の単価となったものでございます。190万円のことにつきましては、この見積もりをとったわけでございますけども、直接、ポンプメーカーに購入単価の見積もりを求めたところの金額であり、特に問題ないと考えております。 また、今現在、裁判中でございますけども、その間、ポンプが壊れたときの対応ということでございますけれども、今まで申し上げておりますように、断水をさせるわけにはいきませんので、早期に府営水に切りかえるということになるかと考えておりますので、よろしくご理解いただきたいと存じます。 ◎桑田静児水道事業管理者 先ほども部長がお答えをいたしましたが、まず、当時の市長、51年当時のですが、宇治市の上水道の一環として進めていかなくてはならないということも当時の議事録に残っておりますし、また、公営企業としましては、企業の安定化を保つためにはその時々に合わせまして個々の施設の対策を行うことが必要ではないかと考えておるところでございます。 3番目の裁判中のポンプについてでございますけど、このことは前にもお答え申しましたように、現在、開の浄水場のポンプをかえるべき予算もございませんし、平成19年の予算委員会、それと、この20年度の予算委員会、この2回の予算のときにもいろいろ議論いただいて、開浄水場については休止ということに決まっておりますことから、それと、先ほど申しましたように、かえるべきポンプの予算もございませんことから、開の浄水場が、このポンプが停止になりましたら速やかに府営水に切りかえるというふうになろうと思いますので、どうぞご理解をお願いいたします。 ◆川原一行委員 端的に質問します。開の浄水場の問題です。 1つは、開浄水場は老朽化しているというのが廃止の最大の理由でした。何が根拠で老朽化しているのか、これがクエスチョンワンです。 2番目、開浄水場は昭和53年に築造され、その後、幾多の施設改良を経て現在に至っております。しかし、一部の施設においては、築造当時のままで使用されている。そのために施設管理は比較的良好であるが、機械電気設備において、法定耐用年数を超過している可能性もあるため、機能診断調査を実施するというように市の基本計画はなっております。 それでは、質問。機能診断調査を実施したのか、この点。 3番目、神明浄水場は昭和18年に築造された施設であり、土木建築構造物としての法定耐用年数を大きく超過している。浄水施設としての機能維持を図るために早急に更新するという計画は出されているわけですが、なぜ早期に更新をしないのか、これが実務型の具体的質問です。 そしたら、市長に聞きます。回答をいただいて、次の時間を待っていると、多分、もう時間がないと思いますので、私、このように市長に直接聞きたいと思うんですね。 市長の理論は、都市経営論といいますか、効率論というか、これはずっといつも効率論を述べています、基本的には。私は問いたい。あなたの基本的な理論からしても、開の浄水場というのはもう完全に減価償却もできていますし、現存する立派な施設ですよ。それは、一定の設備投資さえすれば、必ず近く減価償却もでき、存続できる立派な市の財産なんですね。これを一気になくすると、廃止するということは、あなた方の理論からいっても、私は矛盾するというように思うんですよ。この点が1つね。 それからもう一つ、この開の問題でさまざまな角度から、きょうも浅見委員からも鋭い質問がありました。そのとおりだと私は思います。角度を変えますと、この開の浄水場の問題の一番のボタンのかけ違いといいますか、問題のところは、やはり市は、住民の開の浄水場の問題に対する意識を甘く見ていたんじゃないかというような、これ、私は思うんです。それはなぜかといいますと、何よりもあの施設は、戦前、昭和17年です。旧日本国際工業という、日国と言いますけども、ここの日産車体の前身の社宅の給水としてあの位置に掘られて、今日まで至っているという経過があるわけですね。その間、昭和40年代から50年代にかけて10数年にわたって開の住民と日産車体とがずっと存続をめぐって裁判を行ったり闘争をやった。その結果、昭和53年に、きょうもありましたように、新規の施設として、宇治市は日産から借り受けて、その後で投資をやってきた、こういう経過になったわけですね。そういう点で、開の住民の皆さんにとりましては、非常にみずからの水源を守り抜いたということと、それから、格別の地下水に対する思いを持っておられるわけですね。この住民感情というのはぬぐい去ることはできない、深いものだというように私は思うんですよ。この感情といいますか、この市民感情というのは、私はごく当たり前のものじゃないかというように理解するんですね。 そうすると、平行線をたどっているこの問題での基本的な方向というのは、やはり胸を開いて、そして、要するに、住民自治といいますか、民主主義の基本といいますか、話し合いによってやっぱりきっちり解決していこうという、こういうことが必要でないか。 市長は、市民が主役ということを言いますね。私たちはよく住民は主人公ということを言いますけども、同じ内容だと思うんですね。そういう点からも、やっぱりこれは、方向としては、この計画を市長が撤回するというしかないというふうに私は思うんですが、この点で市長の見解を聞きます。 ◎久保田勇市長 開の水道問題でお答えを申し上げます。 開の水道問題につきまして、川原委員の方から、私の都市経営論ということとあわせてお尋ねでございますけれども、当然ながら、私どもの都市経営という観点から、この開の浄水場の休止というのは、当然、理にかなっているというふうに思っております。 まず1つには、宇治市全体の水道事業の一環として考える必要がある、このことが大前提であります。委員の方から今おっしゃいました内容、仮にやるとすれば、まず、老朽化した施設改修、これをすべて投資することになります。そのことの跳ね返りは、宇治市水道会計全体に入るわけでございまして、そのことから、私は、1つには、私ども6つの休止の理由をお示しをさしていただきました。そのことからも、そのことは、当然、合致しているというふうに考えております。 そしてまた、例えば水道事業。水道事業者は安全な水を供給する責務を負うわけでございますけども、私は、やはり安全な水ということになりますと、曝気ができているからいいというふうなものではないというふうに考えております。そして、いわゆる終戦直後の経過も存じております。また、昭和50年代の経過も存じておりますけども、その当時というのは、やはり水道事業が逼迫する中で選択がそのことしかなかった。また、その時点では今のような水質問題はなかったというふうに認識をいたしております。行政としてそのことがわかりながら、ずっと以前からこの汚染はあったやないかということでありますけれども、わかればわかった時点で、できる限り早く、例えば、本来、もっと早く休止をすべきだというふうに私は考えております。 そして、例えば、これは、今、地域の方で出ている話でありますけども、弁護士さんから、例えば、私どもはあの浄水を供給することは非常に割高になるというふうに考えております。しかしながら、かつて議論の中でも、議員の方からも、地下水の方が安いということをお示しいただいております。私は、そうであれば、宇治市水道事業として全市を管で結んでいる以上、私はこの水を飲みたい、どこの水はだめだ、そして、府営水はまずいというふうな論議は、私はナンセンスだというふうに思っております。そして、やはり宇治市全体に安全・安心な水を責任をもって供給するという水道事業の務めからいきますと、私は、それほど地下水、安くできるというのであれば、例えば、用地を無償貸与して、施設は無償譲渡して、どうぞ自主運営をやってみてくださいということも1つの手ではないかというふうに思っております。 しかし、水道事業として一番重要なことは、やはり、まず、私ども、その議案を提案させていただきました。委員の方から、今、いろいろ経過を言われましたけれども、結果、修正案が出たとかいろんなことはございますけれども、議会で議決をされたということは、当然ながら、これは行政として一番の重みであります。そのことに従いまして私どもは精いっぱい今日まで取り組んできたところでございます 平成20年10月 決算特別委員会(第3回)-10月21日 平成20年「開浄水場」関連議事一覧→議事録検索(宇治市議会HP) 定例会 平成20年 9月 定例会 09月26日-03号 1 平成20年 6月 定例会 06月16日-04号 6 平成20年 3月 定例会 02月28日-03号 2 平成20年 3月 定例会 02月29日-04号 4 平成20年 3月 定例会 03月03日-05号 3 平成20年 3月 定例会 03月28日-08号 5 委員会 平成20年 10月 決算特別委員会(第8回) 11月06日-08号 8 平成20年 10月 決算特別委員会(第3回) 10月21日-03号 7 平成20年 6月 建設水道常任委員会(第6回) 06月20日-06号 13 平成20年 5月 建設水道常任委員会(第4回) 05月08日-04号 8 平成20年 3月 議会運営委員会(第9回) 03月27日-09号 1 平成20年 3月 予算特別委員会(第8回) 03月25日-08号 11 平成20年 3月 予算特別委員会(第3回) 03月11日-03号 6 平成20年 3月 総務常任委員会(第1回) 03月05日-01号 2 平成20年 2月 建設水道常任委員会(第2回) 02月18日-02号 3 平成20年 2月 建設水道常任委員会(第1回) 02月06日-01号 8 平成19年「開浄水場」関連議事一覧→議事録検索(宇治市議会HP) 定例会 平成19年 12月 定例会 12月06日-01号 平成19年 12月 定例会 12月14日-04号 平成19年 9月 定例会 09月20日-02号 平成19年 9月 定例会 09月26日-03号 平成19年 9月 定例会 09月27日-04号 平成19年 9月 定例会 09月28日-05号 平成19年 9月 定例会 10月10日-06号 平成19年 6月 定例会 06月15日-02号 平成19年 6月 定例会 06月20日-03号 平成19年 6月 定例会 06月21日-04号 平成19年 6月 定例会 06月22日-05号 平成19年 6月 定例会 07月03日-06号 平成19年 3月 定例会 03月29日-07号 委員会 平成19年 10月 決算特別委員会(第8回) 11月06日-08号 平成19年 10月 決算特別委員会(第4回) 10月24日-04号 平成19年 9月 建設水道常任委員会(第7回) 09月13日-07号 平成19年 6月 市民環境常任委員会(第3回) 06月27日-03号 平成19年 6月 建設水道常任委員会(第5回) 06月27日-05号 平成19年 6月 議会運営委員会(第13回) 06月12日-13号 平成19年 6月 建設水道常任委員会(第4回) 06月11日-04号 平成19年 3月 議会運営委員会(第7回) 03月28日-07号 平成19年 3月 予算特別委員会(第9回) 03月26日-09号 平成19年 3月 予算特別委員会(第4回) 03月09日-04号 平成18年「開浄水場」関連議事一覧→議事録検索(宇治市議会HP) 委員会 平成18年 12月 建設水道常任委員会(第9回) 12月21日-09号 平成18年 2月 市民環境常任委員会(第1回) 02月10日-01号 トップページ資料室1資料室2宇治市開浄水場問題地下水管理と住民の取組個人情報保護条例違反リンク集
https://w.atwiki.jp/chikasui/pages/29.html
京都府宇治市に開(ひらき)浄水場という水道施設がある。地下水を水源とする浄水施設だ。宇治市では、それを休止して天ヶ瀬ダムを水源とする府営水道に切り替える計画だ。その理由は、原水の水質悪化と浄水場が老朽化していて更新費がかかることだとされている。それに対して、地元住民は開浄水場休止に反対して訴訟提起に踏み切った。 (原告団313名の弁護人・湯川二朗弁護士のブログ田舎弁護士日記-「開浄水場休止差止訴訟」より) 2009年01月28日 (水) 20時40分06秒最終更新 仮処分命令申立審尋 ◇仮処分Ⅰ(申立書・答弁書)1.原告・申立書 2.被告・答弁書 ◇仮処分Ⅱ《準備書面①②》3.準備書面① 4.準備書面② ◇仮処分Ⅲ(準備書面③抗告理由書)5.準備書面③ 6.抗告理由書 7.抗告理由書補充書 8.被抗告人による反論 2008年(平成20)12月26日 自治会員のみなさんへ 開地区自治連合会会長 海老温信 開ヶ丘自治会会長 林 猛雄 一里ヶ丘自治会会長 徳岡拓万 第二次水道問題対策委員長 木村正孝 「大阪高裁-仮処分取り下げ-と本訴公判」のお知らせ 寒波とともに年の瀬も近づき、あわただしくなってまいりました。 さて、昨日開福祉センターにおいて、自治会長・水道問題対策委員・原告の方々と弁護士を交え会議を開き、本年4月大阪高等裁判所への仮処分申請を取り下げることを決定しました。 これは、4月時点と今日では状況が変化していることを踏まえ、本裁判(本訴)に集中するためです。詳細は下記の即時抗告申立取下書をご覧ください。 なお、本訴第5回公判は、年明け1月21日(水曜日)午後4時から京都地方裁判所です。 即時抗告申立取下書 平成20年12月26日 大阪高等裁判所 第11民事部 御中 上記申立人ら代理人 弁護士 湯 川 二 朗 弁護士 山 口 智 本件仮処分は、被申立人がいつ給水停止・府営水切替の強硬措置に出てくるやも知れない切迫した情勢の下で給水停止・府営水切替の緊急の差止めを求めて申立てをしたが、この間、開地区住民の強い願いを受けて、開浄水場の給水は絶えることなく継続されてきた。そして、被申立人は、現在、公式文書の中で「現時点では司法の判断に委ねることとしていることから、当面は、水道事業会計予算の総枠の中で給水することで対応して参りたい」との姿勢を表明するに至り、給水停止・府営水切替の強硬措置をとる緊急のおそれはなくなった。そのため、仮処分の所期の目的は達成したものと評価できる。 現在、京都地方裁判所において本案裁判の審理が始まり、給水停止・府営水切替の合理性の有無を明らかとすべく審理が開始されたことから、今後は、本案裁判に集中的に取り組むこととしたい。 以上のような次第で、今般、即時抗告の申立てを取り下げることとする。 市水道部が、年末の給水体制に万全を期す対応 この間の取り組みの結果、開浄水場への給水について市と確認したものです。 ポンプ揚水量の低下も心配するほどではなく、昨年より水道使用量が減っているため、ポンプの稼動時間はむしろ減少しています。年末に向け、節水をよろしくお願いいたします。 開浄水場休止差止請求訴訟-仮処分申立審尋 1. 原告・申立書 2. 被告・答弁書 1. 原告・申立書 仮 処 分 命 令 申 立 書 当事者の表示 別紙当事者目録記載の通り 平成20年1月16日 債権者ら代理人 弁護士 湯 川 二 朗 弁護士 山 口 智 申 立 の 趣 旨 債務者は、開浄水場の休止をして、債権者らへの給水を京都府営水道に切り替えてはならない。 との裁判を求める。 申 立 の 理 由 第1 当事者 1. 債権者らは、京都府宇治市開町及び広野町桐生谷に居住する住民及び当該住民らの代表者で構成された連合会である。 2. 債務者は、水道法に定める水道事業者として水道事業を経営している。債務者の水道事業計画においては、上下水道事業の浄水施設として開浄水場(宇治市神明北65―26)を設置している。開浄水場の水源は地下水(井戸水)であり、浄水方法は塩素消毒及びエアレーションによっている。 3. 債権者らは、債務者の水道事業計画の給水区域に居住し、開浄水場で浄水された水の供給を受けてきた。 第2 被保全権利 1. 開浄水場から給水を受ける権利 (1) 開浄水場の歴史 開浄水場は元々日産車体株式会社の社宅向けに、同社の経営する簡易水道として用いられており、債権者らも当該簡易水道より水の供給を受けてきたところ、日産車体と債務者と債権者ら地域住民とが協議の上、昭和53年3月31日、債務者が日産車体からその簡易水道に係る水道施設の移管(譲渡)を受けて、市水道となった(甲1)ものであり、債権者ら地域住民はその後も引き続き開浄水場で給水された水の供給を受けてきた。 【落丁…………………………………………………………………………】 域住民を中心として1万180人もが署名している(甲12)。 上記協定によって、債務者は日産車体から、債権者らに対して開浄水場の水を供給する債務を引き継いでいることは、覚書(甲1)第2条等を見れば明らかであるが、さらに、上記のような、開地区における給水の歴史や地域住民の井戸水に対する愛着等を考慮すれば、日産車体は、債務者らに対して、日産車体が経営する水道施設によって給水を受けさせる債務を負つていたところ、上記協定によって、日産車体の当該債務を債務者が承継したと考えるべきである (すなわち、給水契約の承継)。そして、日雄車体が債権者らに対して給水していた水は、現在では開浄水場で給水されたた水なのである。 そうすると、債権者らは、債務者に対して、上記給水契約に基づいて、開浄水場で浄水された水の供給を受ける権利を有しているということができる。 ある地域で採取された水が市版され、価値を有するようになった現在において、「ある特定の水を受ける権利」というものを観念することについては何ら問題はない。その点からいっても、「開浄水場で浄水された水の供給を受けることを求める権利」というものは十分観念できるといえる。 2. 債務者による開浄水場休止の計画 債務者は、平成19年1月22日、突如として債権者連合会長に対して開浄水場休止計画を伝えてきたものであり、地元説明会は同年3月5日に初めて行われた(甲8)。 債務者が開浄水場を休止する理由は、①開浄水場の原水に「人の健康の保護に関する環境基準」を上回る値のトリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンが含まれているところ、これらの量が増えた場合に基準を守れなくなるおそれがある(水質)、②施設が老朽化し、現時点でも電気盤等の改修に6700万円の工事費が必要となっており、市の宇治浄水場の経費と比較したとき小規模の浄水場であることから浄水単価が高くなっている(施設の更新費用の増大)というものであり(甲4)、開浄水場を休止し、府営水へ強引に変更しようとしてきた(甲7)。 しかしながら、債務者らが府営水へ変更すべきとしてあげる上記の点に関しては、①水質 開浄水場の原水は環境基準値を超えているものの、過去10年間に悪化してきたわけでもなく(甲5)、しかも、浄水後の水質検査では水道水質基準に適合しており(甲5)、体重50キ回グラムの人が毎日約20リットル一生飲み続けても健康への影響はないと考えられるものである(平成19年4月13日付京都府調査結果 甲6号証末尾添付)。仮に原水の本質が悪いのであれば、汚染源を確認・除去し、原水を採取する位置を変え、又は深く掘ったりして対応することも可能であって、直ちにちに休止しなければならないものではない。従つて、開浄水の水質が悪いという点に関しては、府営水へ切り替える理由にはならない。また、②施設の更新費用の増大 「宇治市水道事業中・長期整備計画」(平成14年)では、開浄水場は「施設管理は比較的良好であるが、機械・電気設備において法定耐用年数を超過している可能性もあるため、機能診断調査を実施する。」 と評価されており(甲3号証18頁)、 しかも平成3年度に新たにエアレーション設備(曝気装置)を設置したばかりであって(甲2)、施設のを老朽化は認められないばかりか、開浄水場よりも古い施設は外にも多数あり、しかも更新費用にも莫大な費用はかからない(甲10号証5頁)。よって、更新費用がかかるというのも、府営水へ切り替える理由にはならない。 そもそも、上記のとおり、債権者らは、債務者に対して開浄水場で浄水された水の供給を受ける雄利を有しているところ、債務者が債権者らに新たに供給しようとしている府営水は、京都府が天ヶ瀬ダムから取水して浄水処理を行った水であり、その水源はこれまで債権者が供給を受けてきた井戸水ではないので、府営水の水のみを債権者らに対して供給しようとすることは、債務の本旨に沿わないものでは債務不履行となる。しかも、府営水も、その原水については環境基準に適合しない項目が4項目もあり(一般細菌、大腸菌群、色度、濁度)、汚濁物質も多いため総トリハロメタン値は開浄水よりも10倍以上悪いのである(甲5)。 3. さらに、開浄水場を休止にし、その代わり府営水を供給するということは、水源の種別を地下水から配水池に変更し、浄水施設も変更することであるから、厚生労働大臣の許可を受けなければならない事業計画の変更に該当する(水道法10条1項)と考えられる。しかしながら、債務者はこの認可を全く受けておらず、それにも関わらず、府営水へ切り替えようとしているのである。この点においても、開浄水場の休止は違法である。 第3 保全の必要性 1. 債務者は、債権者ら地域住民の意向を聴取することもないまま、平成18年12月21日、開浄水場の休止を決定し、これを債務者議会建設水道常任委員会に報告している。債務者は、平成19年1月22日になりようやく、開自治連合会長に対して開浄水場の休止、及び、府営水への切り替えが議会において決定されたことを報告したが、その後、同年6月12日深夜には、府営水への切り替えに反対する債権者ら地域住民の意向を無視して一方的に開浄水場を休止し、府営水ヘの切替工事を強行しようとしたのである(甲9)。そして、同年12月28日、債務者は債権者連合会に対して話し合い打ち切り及び早期休止の最後通告をしてきた(甲14)。債務者(宇治市市長及ぴ水道事業管理者)は議会等でも、また債権者らに対しても、これまで繰り返し平成19年度内に府営水への切り替えを行う旨言明している。このままでは本年1月中には、債務者は強引に府営水への切替工事を行ってしまうおそれが極めて高い。 2. そもそも、上記のとおり、債権者らが、債務者より開浄水場によって浄水された水の供給を受ける権利は、債権者らと債務者との間の給水契約に基づくものである。従つて、開浄水場を休止し、府営水へ切替ようとすることは給水契約の内容を変更するものであり、この変更に際しては、変更によって最も影響を受ける給水契約者たる債権者らの意向を聴取し、協議した上で、債権者らと債務者との間で合意が成立しなければならないはずである。 よって、債権者らの意向を無視した一方的な変更は認められるはずはない。このような一方的な変更は認められるべきでないといったことはこれまで債権者らは債務者に対して何度も申し入れてきたが、債務者はそれを全く聞き入れようとせず今日に至っている。このような態度を取られているのであれば、いつ府営水へ切替えられてしまうか分からない。 しかも、現実問題として、一度、開浄水場が休止され、府営水ヘ変更されてしまったら、その後、再び開浄水場を稼動させ、府営水から開静水場によって浄水された水へ切替えることは困難である。 第4 結論 よって、申立の趣旨記載のとおりの決定を得るべく、本申立に及んだ。 ↑上へ 2. 被告・答弁書 平成20年(ヨ)第15号浄水場休止差止等仮処分命令申立事件 債 権 者 開地区自治連合会 外312名 債 務 者 宇 治 市 答 弁 書 平成20年1月30日 京都地方裁判所第5民事部 保全係 御中 〒604-8187 京都市中京区鳥丸通三条下ル 大同生命京都ビル8階 烏丸法律事務所(送達場所) TEL:075-223-2714 / FAX:075-223-2718 債務者代理人 弁護士 小 野 誠 之 同 弁護士 野 澤 健 第1 申立の趣旨に対する答弁 1 債権者らの申立を却下する。 2 申立費用は債権者らの負担とする。 との裁判を求める。 第2 申立の理由に対する答弁 1 「第1当事者」について (1) 第1項について、債権者には「宇治市神明宮北」「宇治市広野町桐生谷」「宇治市広野町東裏」に居住する者も含んでいる。また、「開地区自治連合会」は町内会の連合会と思われ、「債権者住民らの代表者で構成された連合会」との主張は不知。その余は争わない。 (2) 第2項については認める。 (3) 第3項については、債権者●●●●(番号117番)を除く債権者らが、現在、開浄水場(以下「本件浄水場」という。)で浄水された水の供給を受けていることはi認める。 2 「第2 被保全権利」について (1) 「開浄水場の歴史」について 概ね認める。ただし、現在の本件浄水場は、昭和53年10月に債務者が新たに開設した施設であり、日産車体から移管を受けた施設により水道水の供給を行ったことはない〔但し,水道管の一部については、昭和36年以降に日産車体の負担で新設したものを含んでいる)。 (2) 「開浄永場と債権者地域住民との結びつき・愛着」について 甲第1号証の覚書(以下「本件覚書」という。)の締結にあたり、地域住民が本件浄水場で取水されている井戸水の供給を希望していたことは認める。しかしながら、本件覚書が「井戸水の供給を受ける利益を債権者らが勝ち取った証」であるとの主張はいずれも争う。 また、「地下水(井戸水)を守り、その積極的な活用と自己水源を増やすことを求める」要望書とは、乙第8号証のことであり、本件浄水場の休止に反対する署名ではない。 (3) 「債務者の債務の目的」について 「債務者が日産車体から、債権者に対して本件浄水場の水を供給する債務を引き継いだ」との事実は否認し、債権者らが「本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」を有しているとの主張も争う。 本件覚書は、債務者が開簡易水道の受給者(当時)に対して,今後「給水を行うこと」を約束したものではあるが、「本件浄水場の水を供給する」旨約束したものではない。そもそも、日産車体においても、開簡易水道受給者に対して給水すべき債務はあっても、本件浄水場の水を供給する債務を負っていたものではない。 また現在においても、地方公営企業である水道事業において、「ある特定の水を受ける権利」(ある特定の水を給水すべき義務)を「観念」することなどできないし、ましてや本件覚書締結当時において、かかる権利 義務を確認したと考えることは出来ない。 (4) 「債務者による開浄水場休止の計画」について 本件浄水場の休止に、施設更新費用の負担と水質の低下を主な理由としている点は認める。さらには、京都府営水道(府営水)の受水量に余裕があることも考慮して決定したものである(甲第8号証 添付「地元説明会資料」5~13頁参照)。 これらの理由が府営水へ切り替える理由にはならないとの主張については争う(後記「債務者の主張」参照)。 (5) 本件浄水場の休止及び府営水の供給が、厚生労働大臣の認可を受けなければならない事業計画の変更に該当するとの事実は争う。 厚生労働大臣の認可が必要となるのは、①給水区域の拡張、②給水人口または給水量の増加、③水源の種別、取水地点または浄水方法の変更であり(水道法10条1項)、本件浄水場の休止と府営水への切り替えは、既存の設備の1つを休止させ、別の既存の設備により給水を行うものであって、新たな浄水方法を導入するものではないから、水源の種別や浄水施設の変更には該当しない。 3 「第3 保全の必要性」について 債務者が早期に本件浄水場を休止して府営水への切り替えを実施する予定であることは認める。債務者は、すでに合計8回にわたって地元説明会を開催し(甲第14号証参照)、地域住民の理解を求めるとともに、その説明を十分に尽くしてきた。そもそも、債権者らの主張する被保全権利は認められないのであつて、保全の必要性を認める余地はない。 4 「第4 結論」について 争う。 第3 債務者の主張 1 当事者について (1) 債務者代表者の記載の誤り 水道事業については,、地方公営企業法の適用を受け(同法第2条1項1号)、同法7条により管理者が設置され、管理者は同法8条1項により当核地方公共団体を代表するものとされている。したがって、債務者の代表者は宇治市長ではなく、宇治市水道事業管理者となるべきものである。 (2) 本件覚書の当事者「丙」は「開自治会長」「開水道対策委員長」となっている。本申立における債権者「開地区自治連合会」との同一性など、法的な関係を明らかにされたい。また、給水を受けている住民個人とは別に「自治連合会」が債権者として申立を行う法的利益は何か、明らかにされたい。 (3) 本件浄水場の水が現在供給されている地区のうちの約半分以上の地区(桐生谷地区など)は、従前は本件浄水場とは別の市水道から給水を受けてい た地区である。 本件債権者らのうち72名は、本件覚書締結当時から本件浄水場の水の供給を受けてきた世帯であるが、その他の債権者らは、①従前別の市水道 から給水を受けてきたが、本件浄水場の給水区域の拡大にともない、本件 浄水湯から給水を受けるようになった者、あるいは②転入により本件浄水場の給水区域に居住するようになつた者である。 上記①または②に該当する債権者らについては、「本件浄水場の水の供給を受ける権利」を有する旨主張する根拠として、本件覚書を援用する余地はない。 2 本件覚書締結の経緯(乙第1号証) (1) 開簡易水道は、もともとは日産車体の前身である旧日国工業が戦時中、 同社の社宅に給水していた施設である。日産車体は、昭和36年8月、京都府知事宛に簡易水道廃止届を提出し、「他の水道施設が完成するまでこれを廃上してはならない」との条件付で、簡易水道事業の廃止を許可された。 (2) 昭和38年7月には、開簡易水道の水量不足により、同水道により給水を受けていた319世帯のうち、 104世帯が市水道に切り替えられた。切替の際に必要となった費用(本管から各家庭までの引込工事費用)は 、各世帯の負担であった。 (3) その後も開簡易水道を廃止して、府営水(昭和40年度より供絡開始)に切り替えることが検討されたが、地域住民は難色を示し、昭和46年9月には地域住民により開簡易水道継続促進会が発足され,開簡易水道存続の要求が行われるようになった。 (4) 一方、府営水の受水枠は、(当時)1日あたり5万1000立方メートルとなっていたが、受水枠稼働率は、昭和50年には96.5%に達したため(乙第2号証)、府営水への切替が難しい状況となり、債務者(宇治市)としても新たな水源の確保が必要に迫られた。 そこで、債務者、日産車体及び開自治会が協議した結果、昭和50年12月ころ、債務者が日産車体から土地の無償貸与等を受けて新たに浄水場を建設すること、給水管引込工事費用は各世帯が負担することで基本的合意に達した。 (5) ところが、その後も開自治会は、①日産車体が浄水場用地を債務者に譲渡しないこと、あるいは②引込工事費用の負担が高額であることを口実として、開簡易水道の廃止について最終的な丁解をしなかった。 昭和53年1月、 日産車体が債務者に2000万円を寄付し、これが引込工事費用(本管からメーターまで)に充当された。各世帯の費用負担はメーターから各家庭内までの引込工事とすることで合意し本件覚書の締結に至った。 (6) 債務者は、本件覚書の記載に従つて、新たに浄水場を建設し、昭和53年10月に本件浄水揚が完成した。本件浄水揚の建設にあたっては、新たに水道管の敷設が行われ(工事の一部については日産車体の負担により本件覚書締結に先行して行われていたが浄水場の設備も全て新たに建設された。取水地点も開簡易水道と本件浄水場では異なる。 なお、開簡易水道が廃止された昭和53年3月末から本件浄水場が完成する同年10月までの間は、各世帯に対して府営水の供給が行われている。 (7) 以上のとおり、本件覚書は、①債務者が日産車体から給水、すなわら水道事業を引き継ぎ、本件浄水場を新たに建設すること、②地域住民は自己の負担においてメーターから各家庭内への引込工事を行うこと③日産車体は債務者に2000万円を寄付することなどをそれぞれ約束したものであつて、本件浄水場を建設するにあたつての各自の負担を確認したものである。 本件覚書は、債務者が日産車体から水道事業を引き継ぐことを内容としているものであり、地域住民が本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利を有することを認め、これを保障することまでも約束したのではない。 3 「特定の水を受ける権利」が「観念」出来ないこと (1) 水道事業の性格 水道事業は、原則として市町村が経営するものとされ(水道法第6条2項)、事業者(市町村)は給水契約が成立した水道利用者に対し`て常時給水の義務を負う(同法15条)。 水道は、電気、ガスなどと同様に、日常生活に必要不可欠であつて、継続的に供給されることが極めて重要であるが、それ以上に、特定の浄水場で浄水された水を供給すべき義務を認める余地はない。 (2) また、水道事業は地方公営企業法の適用を受け(同法2条1項1号)、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」と定められている(同法第3条)。すなわち、水道事業の効率的、経済的な観点からの見直しは当然にあり得るものであるから`「本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」、「地下水の供給を受ける権利」あるいは「府営水の供給を受ける権利」などというものを「観念」した水道事業を運営することは出来ない。 (3) 宇治市内においては、住民が給水の申出を行う際には、「給水装置(公共下水道)使用開始届」(乙第3号証の1)に署名押印して債務者に提出をする。この使用開始届の様式が用いられる以前は、「需要家台帳」(乙第3号証の2)を作成し、給水管理が行われていた。 上記「使用開始届」あるいは「需要家台帳」には,給水を受ける水道水の区分(府営水あるいは地下水、浄水場の種類など)はなく、このことからしても、「特定の水を受ける権利」を契約内容とするものではないことは明らかである。 (4) また、本件浄水場で浄水された水道水と、他の浄水場で浄水された水道水、あるいは府営水の水道水は、いずれも飲料水としての基準内にあって、安全な水道水である。臭い、色、味などの差異はほとんど無い。本件浄水場で浄水された水を他の浄水揚からの水と区別することは困難であり、「本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」を「観念」する実益はない。 (5) 以上のとおり、債権者らは、「特定の水を受ける権利というものを観念することについては何ら問題はない」と主張するが、水道事業においては、地域住民のライフラインである水の供給を継続的に確保することが重要なのであって、水道事業者である債権者の判断により、地下水あるいは府営水のどちらを供給するかを決定出来るというべきである。給水契約について、市販されている水(ミネフルウォーター)を購入することと同様に論じることは誤りであって、給水契約の性質に照らして、「ある特定の水を受ける権利」などというものは「観念」出来ない。 4 本件浄水場休止の必要性 (1) 本件浄水場は昭和53年に新設されてから約30年が経過し、施設設備の更新の時期を迎えており、消毒設備、エアレーション設備、高圧電気設備など、全体的に耐用年数を経過している(乙第4号証)。具体的には、配水池の壁に水漏れが生じたり、圧カタンクに腐蝕が生じるなどしている(乙第5号証)。取水ポンプの揚水量にも低下が見られ、稼働時間が長くなっている(乙第6号証)。 施設の更新には7100万円が必要となる見込みであるところ(甲第8号証10頁)、本件浄水場は、平成19年9月現在、給水人口2339人、給水戸数927戸と比設的小規模な浄水場であり、給水収益に照らしても、上記のような過大な設備投資を行うことは適切でない。 中・長期整備計画(甲第3号証・平成14年9月に配布)においても、既存施設の老朽化が問題点として指摘されており、「合理的かつ総合的な水道施設整備」の観点から、浄水場の統廃合は必要かつ適切な行政施策となっている。 (2) また、府営水の協定水量(府営水から受水することが出来る最大量)は 、1日あたり6万2800立方メートルとされているところ。平均受水量は1日あたり4万2261立方メートルにすぎず、槇島浄水場(廃止ずみ)及び本件浄水場を休止して府営永に切り替えても、十二分に余裕がある(甲第4号証添付資料8項目及び乙第7号証)。 なお、平成17度における府営水の原価(原水及び浄水費、人件費、諸経費)は、1立方メートルあたり155円であり、同会計年度の本件浄水場の原価(1立方メートルあたり229円)よりもはるかに経済的である(甲第8号証12頁 )。 (3) 債権者らも認めているとおり、本件浄水場の原水は、環境基準に定められている項目の物質が基準値を超えており、年十水質が悪化している。施設の更新にあたり、水質改善の観点から取水場所を変更するとなれば、上記に記載した以上の費用がかかり、仮に浄水場の新設をする場合、用地費を除いても2億1100万円以上の経費が必要となる。 (4) なお、債務者は、平成19年4月、本件浄水場と同様に小規模な浄水場であり、施設の老朽化が進んでいた槇島浄水場を廃止している。本件浄水場の休止は浄水場の統廃合の一環である。 (5) 以上のとおり、本件浄水場の休止は、給水収益が悪く、設備も老朽化している施設を廃止し、容量に余裕があり給水収益も良い方施設による給水に変更するものである。また、複数ある宇治市の浄水場のうちどの浄水場を休止すべきかについては、水質や収益を考慮の上決定するものであって、本件休止は債務者の合理的な施策の範囲内にあるというべきである。 5 まとめ 以上のとおり、本件覚書は、本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利を保障しているものとは言えず、そもそも「特定の水を受ける権利」を「観念」することも出来ないのであって、債権者らが主張する被保全権利を認めることは出来ない。 本件浄水場の休止は、債務者の施策として合理的な判断であって、何ら違法ではない。したがって、債権者らの申立は速やかに却下されるべきである。 以 上 ↑上へ
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開浄水場休止差止請求訴訟-本訴 ◆訴状・答弁書 1.訴状 2.被告・答弁書 ◆本訴-準備書面 3.原告・準備書面 4.第1回公判―原告・意見陳述メモ ◆本訴-準備書面Ⅱ 5.原告・第2準備書面 6.原告・意見書 ◆本訴-準備書面Ⅲ 7.原告・第3準備書面 8.被告・準備書面(2) ◆本訴-準備書面Ⅳ 9.原告・第4準備書面 * 1. 訴状 2. 被告・答弁書 1. 訴状 訴 状 当事者の表示 別紙当事者目録記載の通り 平成20年1月16日 原告ら訴訟代理人 弁護土 湯 川 二 朗 弁護土 山 口 智 開浄水場休止差止等請求事件 訴訟物の価額 金160万円 貼用印紙額 金1万3000円 請 求 の 趣 旨 1 被告は原告らに対し、開浄水場から水の供給を受ける地位のあることを確認する。 2 被告は、開浄水場の休止をして、原告らへの給水を京都府営水道に切り替えてはならない。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決を求める。 当 事 者 目 録 原告 別紙原告一覧表記載の通り 〒604-0981 京都市中京区御幸町通竹屋町上る毘沙門町542 松屋ビルアネックス3階 湯川法律事務所 原告ら訴訟代理人 湯 川 二 朗 〒602-8075 京都市上京区寺町丸太町東入る信富町 白浜法律事務所(送達場所) 原告ら訴訟代理人 山 口 智 〒611-0875 宇治市宇治琵琶33番地 被 告 宇 治 市 代表者 市長 久保田 勇 ↑上へ 2. 被告・答弁書 平成20年(ワ)第77号開浄水場休止差止等請求事件 原 告 開地区自治連合会外10名 被 告 宇治市 答弁書 平成20年7月9日 京都地方裁判所 第2民事部 合議ろC係 御中 〒604-8161 京都市中京区烏丸通三条下ル大同生命京都ビル8階 烏丸法律事務所(送達場所) TEL 075-223-2714/ FAX 075-223-2718 被告訴訟代理人 弁護士 小野 誠之 被告訴訟代理人 弁護士 野澤 健 第1 請求の趣旨に対する答弁 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 との裁判を求める。 第2 請求の原因に対する答弁 1 「第1 当事者」について (1) 第1項について,原告開地区自治連合会は,町内会の連合会と思われ,「宇治市開町及び広野町桐生谷に居住する住民及び当該住民らの代表者で構成された連合会」との主張は不知。その余は争わない。 (2) 第2項については認める。 (3) 第3項については,原告らが,現在開浄水場(以下「本件浄水場」という。)で浄水された水の供給を受けていることは認める。 2 「第2 開浄水場から給水を受ける権利」について (1) 「(1)開浄水場の歴史」について 概ね認める。ただし,現在の本件浄水場は,昭和53年19月に被告が新たに開設した施設であり, 日産車体から移管を受けた施設により水道水の供給を行ったことはない(但し,水道管の一部については,昭和36年以降に日産車体の負担で新設したものを含んでいる)。 (2) 「(2)開浄水場と原告地域住民との結びつき。愛着」について甲第1号証の覚書(以下「本件覚書」という。)の締結にあたり,地域住民が本件浄水場で浄水されている井戸水の供給を希望していたことは認める。しかしながら,本件覚書が「井戸水の給水を受ける利益を原告らが勝ち取った証」であるとの主張はいずれも争う。 また,「地下水(井戸水)を守り,その積極的な活用と自己水源を増やすことを求める」要望書とは,乙第8号証のことであり,本件浄水場の休止に反対する署名ではない。 (3) 「(3)被告の債務の目的」について 「被告が日産車体から,原告に対して本件浄水場の水を供給する債務を引き継いだ」との事実は否認し,原告らが「本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」を有しているとの主張も争う。 本件覚書は,被告が開簡易水道の受給者(当時)に対して,今後「給水を行うこと」を約束したものではあるが,「本件浄水場の水を供給する」旨約束したものではない。そもそも, 日産車体においても,開簡易水道受給者に対して給水すべき債務はあっても,本件浄水場の水を供給する債務を負っていたものではない。 また,現在においても,地方公営企業である水道事業において,「ある特定の水を受ける権利」(ある特定の水を給水すべき義務)を「観念」することなどできないし,ましてや本件覚書締結当時において,かかる権利義務を確認したと考えることは出来ない。 (4) 「被告による開浄水場休上の計画」について 本件浄水場の休止は,施設更新費用の負担と原水の水質の悪化を主な理由としている点は認める。さらには,京都府営水道(府営水)の受水量に余裕があることも考慮して決定したものである(甲第8号証添付「地元説明会資料」5~ 13頁参照)。 これらの理由が府営水へ切り替える理由にはならないとの主張については争う(後記「被告の主張」参照)。 (5) 本件浄水場の休止及び府営水の供給が,厚生労働大臣の認可を受けなければならない事業計画の変更に該当するとの事実は争う。 厚生労働大臣の認可が必要となるのは,① 給水区域の拡張,② 給水人口または給水量の増加,③ 水源の種別,取水地点または浄水方法の変更であり(水道法10条1項),本件浄水場の休止と府営水への切り替えは,既存の設備の1つを休止させ,別の既存の設備により給水を行うものであって,新たな浄水方法を導入するものではないから,水源の種別や浄水施設の変更には該当しない。 3 「第3被告による府営水への切り替えの断行」について 被告が早期に本件浄水場を体止して府営水への切り替えを実施する予定であることは認める。被告は,すでに合計8回にわたつて地元説明会を開催し(甲第14号証参照),地域住民の理解を求めるとともに,その説明を十分に尽くしてきた。 4 「第4結論」について 争う。 第3 被告の主張 1 当事者について (1) 本件覚書の当事者「丙」は「開自治会長」「開水道対策委員長」となっている。本申立における原告「開地区自治連合会」との同一性など,法的な関係を明らかにされたい。また,給水を受けてぃる住民個人とは別に,「自治連合会」が原告として申立を行う法的利益は何か,明らかにされたい 。 (2) 原告らが,本件覚書締結当時に本件浄水場の給水区域内に居住していたことについて,何ら主張・立証がなされていない。したがって,原告らが「本件浄水場の水の供給を受ける権利」を有する旨主張する根拠として,本件覚書を援用する余地はない。 2 本件覚書締結の経緯(乙第1号証) (1) 開簡易水道は,もともとは日産車体の前身である旧日国工業が戦時中,同社の社宅に給水していた施設である。日産車体は,昭和36年8月,京都府知事宛に簡易水道廃止届を提出し,「他の水道施設が完成するまでこれを廃止してはならない」との条件付で,簡易水道事業の廃止を許可された。 (2) 昭和38年7月には,開簡易水道の水量不足により,同水道により給水を受けていた319世帯のうち, 104世帯が市水道に切り替えられた。切替の際に必要となった費用(本管から各家庭までの引込工事費用)は, 各世帯の負担であった。 (3) その後も開簡易水道を廃止して,府営水(昭和40年度より供給開始)に切り替えることが検討されたが,地域住民は難色を示し,昭和46年9月には地域住民により開簡易水道継続促進会が発足され,開簡易水道存続の要求が行われるようになった。 (4) 一方,府営水の受水枠は,(当時)1日あたり5万1000立方メートルとなつていたが,受水枠稼働率は,昭和50年には96.5%に達したため(乙第2号証),府営水への切替が難しい状況となり,被告(宇治市) としても新たな水源の確保が必要に迫られた。 そこで,被告, 日産車体及び開自治会が協議した結果,昭和50年12月ころ,被告が日産車体から土地の無償貸与等を受けて新たに浄水場を建設すること,給水管引込工事費用は各世帯が負担することで基本的合意に達した。 (5) ところが,その後も開自治会は,① 日産車体が浄水場用地を被告に譲渡しないこと,あるいは②引込工事費用の負担が高額であることを口実として,開簡易水道の廃上について最終的な了解をしなかった。 昭和53年1月, 日産車体が被告に2000万円を寄付し,これが引込工事費用(本管からメーターまで)に充当された。各世帯の費用負担はメーターから各家庭内までの引込工事とすることで合意に至り,本件覚書の締結に至った。 (6) 被告は,本件覚書の記載に従って,新たに浄水場を建設し,昭和53年10月に本件浄水場が完成した。本件浄水場の建設にあたっては,新たに水道管の敷設が行われ(工事の一部については日産車体の負担により本件覚書締結に先行して行われていた),浄水場の設備も全て新たに建設された。取水地点も開簡易水道と本件浄水場では異なる。 なお,開簡易水道が廃止された昭和53年3月末から本件浄水場が完成する同年10月までの間は,各世帯に対して府営水の供給が行われている。 (7) 以上のとおり,本件覚書は,① 被告が日産車体から給水,すなわち水道事業を引き継ぎ,本件浄水場を新たに建設すること,② 地域住民は自己の負担においてメーターから各家庭内への引込工事を行うこと,③ 日産車体は被告に2000万円を寄付することなどをそれぞれ約束したものであって,本件浄水場を建設するにあたっての各自の負担を確認したものである。 本件覚書は,被告が日産車体から水道事業を引き継ぐことを内容としているものであり,地域住民が本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利を有することを認め,これを保障することまでも約束したのではない。 3 「特定の水を受ける権利」が「観念」出来ないこと (1) 水道事業の性格 水道事業は,原則として市町村が経営するものとされ(水道法第6条2項),事業者(市町村)は給水契約が成立した水道利用者に対して常時給水の義務を負う(同法15条)。 水道は,電気,ガスなどと同様に, 日常生活に必要不可欠であって,継続的に供給されることが極めて重要であるが,それ以上に,特定の浄水場で浄水された水を供給すべき義務を認める余地はない。 (2) また,水道事業は地方公営企業法の適用を受け(同法2条1項ユ号),「常に企業の経済性を発揮するとともに,その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」と定められている(同法第3条)。すなわち,水道事業の効率的,経済的な観点からの見直しは当然にあり得るものであるから,「本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」,「地下水の供給を受ける権利」あるいは「府営水の供給を受ける権利」などというものを「観念」した水道事業を運営することは出来ない。 (3) 宇治市内においては,住民が給水の申出を行う際には,「給水装置(公共下水道)使用開始届」(乙第3号証の1)に署名押印して被告に提出をする。この使用開始届の様式が用いられる以前は,「需要家台帳J(乙第3号証の2)を作成し,給水管理が行われていた。 上記「使用開始届」あるいは「需要家台帳Jには,給水を受ける水道水の区分(府営水あるいは地下水,浄水場の種類など)はなく,このことからしても,「特定の水を受ける権利」を契約内容とするものではないことは明らかである。 (4) また,本件浄水場で浄水された水道水と,他の浄水場で浄水された水道水,あるいは府営水の水道水は,いずれも飲料水としての基準内にあって, 安全な水道水である。臭い,色,味などの差異はほとんど無い。本件浄水場で浄水された水を他の浄水場からの水と区別することは困難であり,「本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利」を「観念」する実益はない。 (5) 以上のとおり,原告らは,「特定の水を受ける権利というものを観念することについては何ら問題はない」と主張するが,水道事業においては,地域住民のライフラインである水の供給を継続的に確保することが重要なのであって,水道事業者である被告の判断により,地下水あるいは府営水のどちらを供給するかを決定出来るというべきである。 給水契約について,市販されている水(ミネラルウォーター)を購入することと同様に論じることは誤りであって,給水契約の性質に照らして, 「ある特定の水を受ける権利」などというものは「観念」出来ない。 4 本件浄水場休止の必要性 (1) 本件浄水場は,昭和53年に新設されてから約30年が経過し,施設設備の更新の時期を迎えており,消毒設備,エアレーション設備,高圧電気設備など,全体的に耐用年数を経過している(乙第4号証)。具体的には, 配水池の壁に水漏れが生じたり,圧カタンクに腐蝕が生じるなどしている(乙第5号証)。取水ポンプの揚水量にも低下が見られ,稼働時間が長くなっている(乙第6号証)。 施設の更新には7100万円が必要となる見込みであるところ(甲第8号証10頁),本件浄水場は,平成19年9月現在,給水人口2339人, 給水戸数927戸と比較的小規模な浄水場であり,給水収益に照らしても, 上記のような過大な設備投資を行うことは適切でない。 中・長期整備計画(甲第3号証・平成14年9月に配布)においても, 既存施設の老朽化が問題点として指摘されており,「合理的かつ総合的な水道施設整備Jの観点から,浄水場の統廃合は必要かつ適切な行政施策となっている。 (2) また,府営水の協定水量(府営水から受水することが出来る最大量)は,1日あたり6万2800立方メートルとされているところ,平均受水量は1日あたり4万2261立方メートルにすぎず〕槇島浄水場(廃止ずみ)及び本件浄水場を休止して府営水に切り替えても,十二分に余裕がある(甲第4号証添付資料3頁目及び乙第7号証)。 なお,平成17年度における府営水の原価(原水及び浄水費,人件費,諸経費)は, 1立方メートルあたり155円であり,同会計年度の本件浄水場の原価(1立方メートルあたり229円)よりもいるかに経済的である(甲第8号証12証)。 (3) 原告らも認めているとおり,本件浄水場の原水は,人の健康の保護に関する環境基準に定められている項目の物質が基準値を超えており,年々水質が悪化している。施設の更新にあたり,水質改善の観点から取水場所を変更するとなれば,上記に記載した以上の費用がかかり,仮に浄水場の新設をする場合,用地費を除いても2億1100万円以上の経費が必要となる。 (4) なお,被告は,平成19年4月,本件浄水場と同様に小規模な浄水場であり,施設の老朽化が進んでいた槇島浄水場を廃止している。本件浄水場の休止は,浄水場の統廃合の一環である。 (5) 以上のとおり,本件浄水場の休止は,給水収益が悪く,設備も老朽化している施設を廃止し,容量に余裕があり給水収益も良い施設による給水に変更するものである。また,複数ある宇治市の浄水場のうちどの浄水場を休止すべきかについては,水質や収益を考慮の上決定するものであって,本件休止は被告の合理的な施策の範囲内にあるというべきである。 5 まとめ 以上のとおり,本件覚書は,本件浄水場で浄水された水の供給を受ける権利を保障しているものとは言えず,そもそも「特定の水を受ける権利」を「観念」することも出来ないのであって,原告らの本訴請求を理由づける余地はない。 本件浄水場の休止は,被告の施策として合理的な判断であって,何ら違法ではない。したがって,原告らの請求は速やかに棄却されるべきである。 以 上 証拠資料 乙第1号証-1 洛南タイムス(昭和53年1月18日) 乙第1号証-2 城南新報(昭和53年1月18日) 乙第1号証-3 毎日新聞(京都版)(昭和53年1月18日) 乙第1号証-4 洛南タイムス(昭和52年3月23日) 乙第2号証 年度別配水量(昭和30年度~昭和54年度) 乙第3号証-1 需要家台帳 乙第3号証-2 給水装置(公共下水道)使用開始届 乙第4号証-1 水道施設設備台帳 乙第4号証-2 新設費用,更新費用 乙第5号証 開浄水場施設写真(42葉) 乙第6号証 開浄水場取水運転時間 乙第7号証 京都府協定水量・受水水量推移(平成10年度~18年度) 乙第8号証 「地下水(井戸水)の保全・活用を図り,自己水源を増やすことを求める要望書」 添付資料 訴訟委任状1通 ↑上へ トップページ当ネットのご紹介資料室1資料室2リンク集個人情報保護条例違反地下水管理と住民の取組京都水盆仮想水
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市長については平成15年度以降、在職期間1年につき、100分の450の支給割合であるのを来年度からは100分の390に改定。副市長は同280、教育長225、水道事業管理者を215に割合を減額。実施によって、副市長1002万4000円(現行1217万2000円)教育長706万5000円(同894万9000円)水道事業管理者602万円(同894万9000円)に、それぞれ退職金を減らす。 今回の改定で、4年間の人件費削減効果としては、1325万円とみている。 ■自治体議員定数の現状…( )内は人口 ⇒ ★京都市69人(146万)⇒ ☆ 京都府62人(264万)、山口県49人(145万)、愛媛県50人(143万)、滋賀県50人(140万)、札幌市68人(188万)、福岡市62人(140万)、川崎市63人(132万) ⇒ 宇治市は? ■洛南タイムス2010/10/30 「長期化」開浄水場訴訟でやり取り 宇治市会決算委 「ポンプ停止すれば、即切り替え」 宇治市議会決算特別委員会(長野恵津子委員長、12人)は29日開かれ、教育部、水道部などの部局審査をおこなった。水道部審査では、一審敗訴を不服として、原告住民らが控訴し、市との間で係争に至っている開浄水場の休止差し止め訴訟問題を、浅見(社会)水谷(共産)、平田(民主)の各委員が取り上げ、質疑した。22日に大阪高裁で公判があり、開地区住民らが大勢傍聴に詰め掛けたが、市側が当日提出した準備書面内容や、すでに裁判が長期化していることで「行政が住民に訴えられるのは好ましくない。少なくとも裁判の終るまでは、きっちりと(浄水場からの井戸水供給を)確保を図るべきだ」と浅見委員が求め、ポンプの揚水量がやや落ちていることを受け、「今、ポンプが止まると、直ちに府営水に切り替える考えなのか」と、改めて水道部に意向を質した。住民代表数人が傍聴した。 水道部は「ポンプが停止すれば、府営水に早急に切り替える」との、これまでの答弁内容を改めて伝えた一方、「現時点では切り替えておらず、開浄水場に限らず、安定供給するのが我々の責務だ」と答えた。 水道部が、さきの公判に提出した準備書面を巡り、国が4月から予定している水質基準の見直しとの関係で、「休止の必要が迫っている」との文言付記があった点について水谷委員が質問。「事前に議会所管委員会や地元に伝えるべき内容だ」などと指摘した。長期化に至っていることで、平田委員からは「(休止理由を示しているものの)何故、住民側の理解が得られないのか。休止までの道筋を示して欲しい」などの発言があった。 ■洛南タイムス2010/08/17 「赤字続く厳しい台所事情説明 宇治市水道事業懇開く 宇治市水道事業懇談会(会長、武久征治龍谷大学法学研究科長、11人)の22年度第1回懇談会が31日開かれ、給水量の落ち込みなどを要因に3年連続で赤字決算状態にある市水道会計の実態や、市水道で65%依存、年間1500万㌧あまり受水している府営水が宇治系で基本料金単価として1~2円の引き上げが試算値として示され、結果によって市の水道事業会計に与える影響が大きいことなど、事業会計を取り巻く状況を新たに選任した懇談会委員に報告した。猛暑で、ことし7~8月の使用水量となる配水量は前年より伸びているが、収益の85%を支える給水収益は給水人口が伸びず、節水意識の高まりで、収益増は期待できず、改めて各委員から水道水をPRすることで、水需要を高める取り組みを求める指摘があった。 市水道部は22年度予算で、ペットボトルあるいはアルミ缶入りの水道水を1万本作り、PR用や備蓄用に用意する準備を進めているという。 委員からは各家庭で、水道水を飲んだり、食事の準備にも水道水に代わってボトル水を購入・利用する生活スタイルに変化したことも水需要の低迷の一因になっているとの指摘や、飲料用に市の水をPRしていくためにも冷えた水道水を供給できるシステムづくりが必要などの声が寄せられ、水道水の存在を市民に浸透する手立てを真剣に検討してもらいたい、との意見が改めて寄せられた。 21年度決算でも1000万円を超す純損失が発生。経営面ではさまざまに収益回復策を探ることが求められている。 この日、示した21年度決算では、給水人口や給水戸数が微増したものの、年間配水量や1日最大配水量は減少。各戸あたりの使用水量が確実に減っていることを改めて伺える数字となった。 22年度収支見込みでも一部を除いては軒並み対前年度比減収を見込んでおり、増収見通しの立たない限り、長年据え置かれている水道料金の改定議論が頭出ししてくる厳しい台所事情に直面している。 ■洛南タイムス2010/08/17 「観光と治水」で意見交換 前原国交相が宇治を訪問 前原誠司・国土交通大臣が15日、宇治市を訪れ地元の観光関係者らと意見交換した。天ヶ瀬ダムからの放流量の増加で宇治川中州の府立宇治公園が立ち入り禁止になる問題で、前原大臣は「河川改修が進み(宇治橋付近の放流量が)毎秒500㌧になっても塔の島(宇治公園)が浸かることはない。400㌧の基準を500㌧に緩和しても問題はないと京都府に意見具申しており、許可権限のある府も近畿地方整備局と同じ認識を持っていると思う」と述べ、宇治公園の立ち入り禁止基準を緩和する方向で府と協議を進めていることを明らかにした。 ■洛南タイムス2010/08/14 猛暑、下降の配水量一定戻る 宇治市の水道事情 年間収益の85%を支える財源 (3,br,19年度以降、3年連続の単年度収支で赤字決算を記録、繰越し利益余剰金のやり繰りで厳しい台所事情を抱える宇治市水道は、年間収益の約85%を各家庭への配水による給水量収益でカバーしているが、落ち込んでいた配水量が7月末集計で22年度は約5万㌧程度ながらも増加基調を示し、7月の配水量だけで約3万8000㌧、対前年度比増加に転じた。猛暑による水使用量の増加具合については、もう少し先にならないと数値として確定してこないが、水道経営面からは、7~9月の使用量の増加に期待が大きいだけに、猛暑による使用量増を歓迎する向きもある。 宇治浄水場によると、府営水も含めた7月の各家庭への配水量は約196万㌧を記録。猛暑による水需要の増が一定伺える数値となった。8月に入ってからも同様の傾向が続いているという。 昨年度の水使用量は最も大きかった8月でも193万㌧と、20年度よりも5万㌧程度落ち込んだ。夏場の天候にも大きく左右される水需要だが、「エコ節水」が各家庭に定着したことや、市人口が横ばいと停滞状態に入っているだけに、水需要の大きな伸びは期待できず、経営面ではさまざまに収益回復策を探ることも求められている。 市の場合、下水道の建設が急ピッチで進み、長年据え置き状態にある水道料金と比較して、下水道の供用に伴って発生してくる下水道使用量の方は、約1・2倍といわれ、割高感があることから、下水道利用が進むに連れて、水使用を抑える傾向が出ており、節水意識がより高まる傾向にある、とされている。 以前から言われているように、節水タイプの家電製品の普及やエコ意識が地球温暖化対策がテレビなどを通じて盛んに言われ、水に対する節約意識もここ数年で大きく浸透したため、夏場のピーク時の水使用量をみても、月に10万㌧前後の落ち込みが見られ、以前には年間給水収益が30億円近くあったものが、1億円近くダウンするなど、影響としては小さくないといわれている。行政としては、「節水」をPRすることになるが、猛暑続きで配水量の増加は、多少なりとも収益改善につながる、との期待もある。 ■洛南タイムス2010/07/25 「認めることできない」と控訴 宇治市開地区の住民 市長選ビラの名誉毀損裁判 ■洛南タイムス2010/07/08 原告の開地区住民の訴えを棄却 宇治市長選、ビラの記載内容巡る裁判 ■洛南タイムス2010/04/27 処理水から高いアンモニア 水を考える南山城の会 汚水が目立つ、中小の排水路 水を考える南山城の会(岡本恒美代表、会員約50人)が宇治市内の河川や水路を対象に今年1月に実施した水質調査結果などを「再発見、宇治の川」(A4判、26頁)と題した活動報告書にまとめた。木幡池もその一部を構成している堂ノ川(一級河川)の汚れが突出しているほか、東宇治浄化センターの放流水でも高濃度のアンモニアが検出された。報告書は200部作成。希望者に500円プラス送料で配布する。 同「南山城の会」は合成洗剤による琵琶湖や河川汚染が社会問題となったのを契機に1984年に発足。宇治川、木津川などの水環境の改善に向けた活動を展開し、環境講座や学習会のほか宇治市内での廃食油の定点回収や石けん利用の推進などの活動を実践してきた。 08年から活動を再開し、同年度は府の地域力再生プロジェクト支援事業を活用した「宇治のわき水・地下水」をテーマに湧き水、地下水(井戸)調査や地下水と人々の暮らしのつながりについての聞き取り調査などを展開。その成果を「再発見、宇治の湧き水・地下水」(A4判42頁)として冊子にまとめている。 09年度も引き続き地域力再生支援事業を受けて夏場から秋にかけて宇治川左岸の白川浜から「もみじ谷」と呼ばれている白山神社ふもとまでの寺川フィールドワークや水質調査を実施。 11月には宇治川に流入する中小河川の暗渠(あんきょ)探索を含めた水路状況を調べ、暮らしと水について調べた地図作りを進める一環として伊勢田地区をフィールドワーク。地元の人の案内で水路の規模や構造、護岸形態、水害の有無などについて調べた。 今年1月の調査では井戸水1ヵ所を含め32地点で市販キットのパックテストによる簡易調査を実施。堂ノ川(第2堂ノ川橋)、木幡池(北池)、山科川、東宇治浄化センター放水口で汚水の目安となるCOD(化学的酸素要求量)が「8mg/L」以上の高い数値を示し、汚れが目立っていることを示したほか、東宇治浄化センターの放流水からも高い濃度のアニモニアが検出された。 木幡池周辺では01年10月~02年11月に神戸大学が水質調査しており、今回の調査に参加した「ひょうご環境生物研究所」の伊藤耕二さん(水質分析専門家)は「神戸大の調査から10年近く経過しているが、木幡池周辺の水質は改善していない」と指摘。 市内の下水道普及率(今年4月現在)は74・5%。報告書では「計画通りに整備すれば中小河川などの水質は向上していくと考えられるが、排水が全て暗渠(きょ)に入ってしまうため、家庭で使用した水が川を汚す場面を目にしなくなり、水を大切にするという意識がうすれてしまうという側面もある」と指摘。 「アンモニア態窒素、リン酸態リン濃度が高い市街地の水質を少しでも改善し、水を大切にする意識を高めるため、家庭での水の使い方や身近な河川の水質について、より多くの市民の関心が向くように啓発していく必要がある」としている。 報告書に関する問い合わせは事務局の山田晴美さん(℡24―7107、FAX同じ)まで。【岡本幸一】 ■洛南タイムス2010/04/27 市内水道施設の集中監視機能強化 基幹施設・宇治浄水場に近くシステム ■洛南タイムス2010/03/12 水道部審査 自民委員「年度内執行すべきだ」と迫る 水道部審査では、開浄水場の休止・府営水への切り替え問題に与野党の委員の質疑が集中した。この日も地域住民代表が傍聴に入った。 3月議会一般質問答弁でも、市側の切り替え方針を支持した1審での勝訴判決や休止議案が3度にわたり議会議決を得ていることなどを理由に「切り替えは市の責務である」との従来スタンスに沿い、「速やかに切り替えを執行する」との意向を伝えている。 委員会では、中路委員(共産)がこれまで2度にわたり実施した執行が、現地での地元住民の激しい反対から断念した経過を踏まえ、「今後、執行にあたっても同様の混乱が想像されるが、どのように進めようと考えているのか。強行すれば、怪我も予想される」などと、再度の住民との話し合いをするよう求め、質問した。 桑田水道事業管理者は「執行は責務。色んなことに努力して切り替えたい」と、従来答弁にとどめた。 小山委員(自民)は「執行する時期をすでに迎えている。これ以上に、地元の同意を得なければならない事項があるのか。執行にあたり、新たな問題があるのか。執行できない理由は何なのか。年度内執行しないと、予算の組み替えが必要になるのではないか」と、水道部に具体的答弁を求めた。 同管理者は「できるだけ速やかに執行するため、あらゆる事に努力している」と答弁。同委員は「執行時期を示すべきだ」と詰め寄ったが、「きょう現在、時期は明確に決めてない。あらゆる方法について努力しているところである」と、言明を避けた。 ■洛南タイムス2010/03/13 「微量水銀」年平均値増加傾向 城陽市 水道水供給の井戸2ヵ所から ■洛南タイムス2010/03/05 「同意行政復活する考えない」 開浄水場問題の水谷議員質疑に市長答弁 水谷議員は国保料の引き上げについて、一般会計からの繰入金が府内自治体の平均以下であることなどを指摘。値上げストップを求めたほか、この日も傍聴に詰め掛けた地域住民を前に、開浄水場廃止問題を取り上げ、水道部に地元との協議を改めて持つよう求めた。 府営水への切り替え理由について、同議員は、裁判で市側が提出した準備書面で、理由が当初との違いがある点を指摘。杉村水道部長は「休止する理由としては、施設の老朽と原水の水質悪化と説明してきており、変わっていない」とし、水谷議員は「地域主権を評価する立場から、切り替えにあたっては(事前予告のチラシ配布だけでなく)住民との協議を持つべきだ」とし、市長に考えを求めた。久保田市長は「地域主権は大事だが、かつての同意行政を復活する考えはない。原水の水質悪化は事実で、発がん性についての共通の認識に立たない限り、地元との話し合いは難しい」などと答えた。 ■洛南タイムス2010/02/18 開地区住民ら3駅前でビラ 浄水場の休止撤回など訴え 宇治市の開地区自治連合会などの住民18人が参加して、17日午後6時からJR宇治、近鉄大久保、伊勢田の3駅前で約千枚のビラを帰宅を急ぐ市民らに配布。市が方針決定している開浄水場の休止・府営水への切り替えをやめるよう訴えたビラを配り、市民に賛同を呼びかけた。 ■洛南タイムス2010/02/09 「開浄水場休止強行するな」 社会、共産議員団が市長に申し入れ 宇治市議会の社会議員団(浅見健二団長)と共産党議員団(水谷修団長)は8日、久保田勇市長に対し、開浄水場の休止・府営水への切り替えを強行しないよう申し入れを行った。 5日に市水道部が開地域住民に休止への理解・協力を求める文書を配布、同日に同地区自治連合会などが切り替えを行わないことなどを求める要請をしたことに対し、両議員団は地元の意向を尊重するとともに、大阪高裁で休止差し止め請求が係争中であることを理由に、市長に申し入れた。 ■洛南タイムス2010/02/06 「浄水場休止するな」と申し入れ 開地区住民ら市の動きに反発 宇治市水道部が開浄水場の休止についての理解と協力を求める文書を5日に、給水区域の約900世帯に配布したことで、開地区自治連合会などは同日、久保田市長と桑田水道事業管理者宛てに申し入れ書を提出した。(控訴により)裁判が係争中であり、判決確定がされておらず、休止・府営水への切り替えは行わないこと――などを申し入れた。 また、地域へも「チラシ」が配布されたことを伝え、▽住民の監視体制で強行を止めさせよう▽府営水の切り替えは、15日の週が予想されます――と呼びかけた。 ■洛南タイムス2010/02/05 開浄水場休止の文書、配布宇治市水道部 きょう5日、給水区域900世帯に 休止日は「改めてお知らせします」 宇治市水道部は開浄水場の休止についての理解と協力を求める文書を、同浄水場の給水区域約900世帯にきょう5日午後に配布する。昨年12月9日の一審判決で、休止差し止めを求めた開地区自治連合会など原告住民側の主張を退ける判決(住民らは、即時控訴)が下されたことを受け、市は司法判断などに基づいて、休止執行する考えを12月議会で改めて答弁していた。 配布文書では、休止についての改めての理解、協力を呼びかけるとともに、これまでに議会で休止関連予算が可決されたことや浄水場の揚水ポンプが老朽化し、断水の危険があることなどから、早期に府営水に切り替える必要がある、と指摘。府営水切り替えによる安定的給水を継続する考えを伝え、住民理解を求めた。 休止期日については「改めてお知らせする」としている。ただ、23日から3月定例議会が開会予定され、12月議会で市長が一審判決を踏まえて「速やかに休止する」との答弁をした経過から、議会開会までの今月中旬を目途に切り替えに入るものと見られる。 ■洛南タイムス2010/01/01 4期14年目、久保田宇治市長が新年抱負 …初の司法判断として、12月に市勝利の1審判決の出た開浄水場の休止問題では「1審とはいえ、司法判断が示された。できる限り早い時期の執行を考えている」と言明、早ければ今月中旬以降には、府営水への切り替え執行の可能性が高まる。… ■洛南タイムス2009/12/25 開地区の390世帯で濁り水 宇治市、下水道工事で水道管破損 24日午前10時半ごろ、宇治市水道部に開地区住民から「水道水に濁りが出ている」との連絡や宇治浄水場から「開浄水場の使用水量が通常の3倍を記録、漏水しているのでは」との連絡が入り、調べたところ、広野町桐生谷の市下水道工事で、直径50㍉の開浄水場系統の水道本管が破損したことがわかり、仕切弁を止めると共に、給水車3台を現地に出動させ、給水袋を配るなど断水に備えた。正午前に破損本管の復旧工事を終えた。 断水は4戸で発生、濁り水は午後1時ごろまで約390世帯で発生したとみられる。 ■洛南タイムス2009/12/19 「早期休止理由ない」と反論も 宇治市会建水委 開浄水場問題の判決概要、市が報告 宇治市議会建設水道常任委員会(中路初音委員長)が18日に開かれ、9日の地裁の判決で原告住民側の敗訴、市勝訴の判決があった開浄水場休止差し止め請求訴訟について、市水道部が判決概要を報告した。 住民らはすでに控訴を決め、市は判決結果を踏まえ、10日と11日に行われた議会一般質問の市長答弁で、「判決結果を踏まえ、速やかに府営水に切り替える」と言明。遅くとも年明け1月中の切り替え作業に入るものと見られるが、水谷修委員(共産)が水道部の報告に対して、質疑した。この日も約20人の住民らが傍聴に訪れた。 水谷委員は「判決確定は何をもっていうのか」と、市が控訴審結果を待たずに、今回の判決や議会での関連予算の可決を踏まえ、早期の切り替え実施を伝えていることについて、早期着手を控えるよう求めたが、さきの一般質問答弁同様に、桑田水道事業管理者が「速やかに執行するのが市の責務」と延期の考えのないことを改めて伝えた。 同浄水場井戸水の揚水量についても質問。水道部は「時間37㌧程度。19年3月以降、低下の傾向にある」と答えたのに対し、同委員は「低空飛行ながら、安定した水量確保できている状況」とし、「市の言う早期休止理由は、いずれも理由がなく、浄水場を休止すべきでない。正月前後に住民との紛争は避けて欲しい」と、年末や年明け早々の執行を見送るよう求めた。 ■洛南タイムス2009/12/12 「執行に入れば、座り込み抗戦」 宇治市の開地区住民ら 一審敗訴の裁判結果で報告集会 9日の宇治市開浄水場の休止差し止め請求訴訟の一審判決で敗訴、即日控訴を決めた開地区自治連合会などの住民が11日夜、地元の開地域福祉センターで裁判結果の報告集会を開いた。住民約60人が参加した。 9日の判決結果を受け、「歴史的経過のある特殊な水道契約が否定された」などとして、ことごとく原告住民の主張が退けられた地裁判断に「不当判決」として、直ちに控訴手続きを取り、高裁の判断に託したが、判決内容の詳細を弁護士から改めて聞いた。勝訴判決を受けて、市水道部が年内あるいは年明けに府営水への切り替え執行に入る見通しのため、その対応についても話し合った。住民らは市が執行に入れば、座り込んで徹底抗戦することを決めた。 ■洛南タイムス2009/12/11 「速やかに府営水に切り替える」開浄水場裁判の勝訴受け、市長答弁 切り替え、24日以降か年明けに 宇治市12月定例議会一般質問は10日に再開、河上悦章(公明)関谷智子(公明)坂本優子(共産)堀明人(自民)西川博司(民主)の5議員が質疑した。堀議員が9日に地裁であった開浄水場休止差し止め請求訴訟で、原告の開地区自治連合会などの住民の訴えを棄却、市勝訴の判決が出たことを受け、久保田市長と桑田水道事業管理者に今後の対応を質したのに対し、市長は「議決を受けた議案の執行責任と司法判断を尊重し、速やかに府営水に切り替える」と答弁。原告は即日控訴したが、控訴審判決が出るまで切り替えを延期する考えのないことを伝えた。切り替え着手の時期は、2週間の控訴期限後の24日以降か年明けとなる見込み。 ■「議決と判決の一致は大きい」 堀議員 水道部「執行前に、住民には周知」 堀議員は、開浄水場の休止を含めた予算が19年度以降3度にわたり議会で承認されたことを踏まえ、「議決は議員にとって重い決断で、判決と議決が一致したことは大きい」とした上で、判決内容を不服として住民らが即日控訴をしたことについて「これ以上の長期化は、住民、市、議会にとっても苦しくなる」として、控訴による切り替え執行についての市側の判断と、今後のスケジュールについても質問した。 桑田水道事業管理者は「早急に水道部内で作業工程を調整し、地元に切り替え作業のお知らせを配布の後、切り替えを考えている。切り替え時には水圧変動や水の流れが変わることで、水道水の濁りなどから迷惑や不便をかけるため、開浄水場からの水道を利用されている全住民にお知らせを配布する」と答えた。 なお、府営水への切り替え執行については、これまでに水道部が2度にわたり深夜の時間帯で現地に出向いた経過があるが、住民らの激しい抵抗などから着手を見送っている。 ■京都新聞2009/12/09 浄水場の休止差し止め、訴え棄却 京都地裁、宇治の住民訴訟で 宇治市が地下水を使った市営開(ひらき)浄水場を休止し、京都府営水道に切り替えるのは住民の給水を受ける権利の侵害だとして、同市開地区などの住民433人が市に、浄水場の休止差し止めを求めた訴訟の判決が9日、京都地裁であり、吉川愼一裁判長は訴えを棄却した。 吉川裁判長は「住民は安全な水の供給を受ける権利は有するが、特定の施設から特定の水の供給を受ける権利はない」と判断した。 判決によると、浄水場の水源はもとは企業社宅用の簡易水道として使われ、周辺住民も利用していた。1978年に市に譲渡され、2006年12月に休止が決まった。 原告代表の木村正孝さん(64)は「わたしたちの主張を受けとめてもらえなかった。失望した」と話した。住民側は即日控訴した。 ■洛南タイムス2009/12/10 京都地裁 原告請求を棄却 住民ら「不当判決」と即日控訴 宇治市が休止決定した開浄水場(宇治市神明宮北)をめぐって、地元の開地区自治連合会(海老温信会長)などが市に対して給水継続を求めた訴訟の判決が9日、京都地裁であった。吉川愼一裁判長は「市が開浄水場からの給水義務を負っていることにはならない」などとし、原告の請求を棄却した。勝訴を願っていた住民らは「不当判決」と落胆し、即日控訴した。対して市は、一審の勝訴を受けて、弁護士とも協議した上で府営水への切り替えを執行する考え。【本好治央】 判決では、日産車体の社宅向け簡易水道だった開浄水場を、1978年(昭和53年)に市と日産、住民が協議して市に移管することに決めた“3者合意”の経過事実は認めた。しかし、「住民に対する義務を引き継ぐということではない」「給水方法や水源の種別は特定していない」などとして原告の訴えを退けた。 また、住民が開浄水場からの給水を受けることについて、「開地区以外の住民と異なった待遇を受ける権利は認められない」「特段の事情があるとはいえない」などと原告側の主張を退けた。 原告がいずれも“逸脱・濫用”と訴えた行政の裁量権については、住民に特定の施設から給水を受ける権利がないことを説明した上で「開浄水場の休止が合理的裁量の範囲内にあるか、論じるまでもない」とした。 判決を受けて、宇治市の桑田静児水道事業管理者は「本市の主張が認められたものと考えている。今後は判決文の到着を待って、対応していきたい」とのコメントを出した。 ■原告団「このままでは納得できない」 この日、給水継続の意思を伝えようと原告を含め住民106人が京都地裁に足を運んだ。 法廷では、判決の言い渡しが2分足らずで終わると、原告席や傍聴席から「おかしい」「なんでや」などと不服を訴える怒号が飛んだ。 判決の後、裁判所に隣接する弁護士会館で集会を開き、今後の方針について話し合った。「判決理由がわからない」「判断から逃げている」と裁判官に対する不信の声が広がったほか、「このままでは納得できない」などと控訴を求める意見が出た。最後は、参加者全員から挙手で意思を問い、控訴する方針を固めた。 記者会見で原告団団長の木村正孝さんは「事実を正確に受け止めてもらえていない。我々は特別な待遇を求めているのではなく、事実経過の中で給水の継続を求めている」と判決内容に不服を示した。 代理人の湯川二朗弁護士は「水道法の旧来的な解釈の枠を出ず、事業者の視点に立っている。飲み水に関心が示される中、需要者の権利をまったく認めず、歴史的な経緯に理解を示していない」と不当性を説明した。 同自治会などは11日夜に報告集会を開いて判決内容の説明を行い、今後の方針について話し合う。 ■洛南タイムス2009/12/01 ■洛南タイムス2009/11/22 配布したビラは事実無根 名誉毀損で損害賠償を訴え 昨年12月に行われた宇治市長選挙で、久保田市長の政治確認団体「活力ある21世紀の宇治市をつくる会」(山中修矢代表)が配布したチラシは事実無根だとして開浄水場水飲用住民(開、開ケ丘、一里ケ丘自治会)20人が京都地裁に名誉毀損による損害賠償を訴えていた裁判は、今月24日に第1回の公判が開かれることが決まった。 訴えによると、配布チラシでは、「開地区の一部の地下水使用世帯のために全宇治市民からの貴重な税金を投入し続けるのは、公平な税金の使い道とは言えません」と述べているが、水道事業は独立採算の公営企業会計であり、水道料金で全てまかなわれており、開浄水場の経費に、料金は一円も使われていないと事実無根の内容を示し、開地域の住民があたかも全宇治市民に迷惑をかけており、エゴ的で悪しき住民であるかのごとく印象付けようとしている意図は明白」などとチラシ内容に反論。 謝罪と全国紙、地方紙紙面での謝罪広告掲載、141万円の支払いを求めている。 チラシを知ったために昨年11月27日夜、直接事務所に届け、12月2日までに回答を求めたが、回答がなく、あえて訴えたものしている。 ■洛南タイムス2009/11/21 宇治市、法務局へ供託すると通知 開浄水場のポンプ交換費250万円 「受領根拠ない金員」と地元へ通知 宇治・開浄水場の市の休止方針に反対する開地区自治連合会(海老温信会長)など地元3自治会が老朽化した揚水ポンプの交換費用250万円をカンパで集め、9月に市に届けたまま、寄付受け入れを拒否する市との間で宙ぶらり状態が続いているが、市長名で18日に「受領する根拠のない金員。放置は不適当で、近日中に京都地方法務局宇治支局に寄付申し入れ書とともに全額弁済供託する」との文書が市水道部総務課から同会長に郵送されてきたことを20日に地元が公表した。 市は「休止決定した浄水場に予算措置は取れない。ポンプが停止すれば、府営水に切り替える」との考えを貫いている。来月9日には京都地裁で、住民側が提起した裁判の判決がある。 ■洛南タイムス2009/11/10 「万が一、市敗訴の場合は控訴」 宇治市会決算委で答弁 開浄水場裁判判決を前に市長が考え 宇治市議会決算特別委員会(川越清委員長、13人)は9日、各派総括質疑のあと、歳入総額約543億7400万円、歳出総額約536億9800万円の20年度一般会計歳入歳出決算など、同委員会に付託審査していた20年度決算認定10議案を認定すべきものと決めた。12月議会で議決する。一般会計、水道事業会計など決算4議案について、共産、社会委員が反対した。総括質疑では、来月9日判決予定の地元住民が市を相手取って提訴している開浄水場休止差し止め請求に関して、自民委員の質問に、久保田勇市長が「万が一にも議会議決と司法判断が異なる結果となった場合、議決をいただいた経緯から納得できるものではない」と答弁、市敗訴の一審判決が出た場合には、直ちに控訴する考えを示した。 ■洛南タイムス2009/10/28 与党委員、水道部対応に不満の意 宇治市会決算委 開浄水場問題「長期化で疲れた」 宇治市議会決算特別委員会(川越清委員長)は27日、教育部と水道部審査を行った。水道部審査では、市の開浄水場休止方針に対し、開地区住民らが休止差し止め請求を行い、12月9日には地裁判決が予定されている問題に関連して、堀委員(自民)が質疑。「休止には議会でも賛否議論がなされてきたが、この間の水道部対応には不満だ」として質疑した。休止に伴う、予算を議会で議決。議会議決も背景に、水道部は府営水への切り替え執行の実行を試みた経過があるが、この間、実際には浄水場が稼働。経費負担が発生しているにも関わらず、20年度決算書に何ら記載のないことから「きっちりとした説明が議会にない」と不満を口にした。水道部は、全体総配水量のなかで開浄水場の稼働に伴う予算をみている。 指摘に対し、桑田水道事業管理者は「充分な説明が出来ておらず、お詫びする」とした上で、「1日も早く、府営水への切り替えを実施したいとの考えは同じ」などと答弁したが、同委員は「決算書で開の配水量について何ら触れていない。開浄水場問題は、今一番大きな問題。施設の運転に発生した経費はいくら掛かったのか。どのような判決結果が出ても控訴で長引くことが予想され、市側に違法判決が出たら我々がした議決はどうなるのか。裁判になるような状況になるまでに、事の解決をしてもらわないと…。住民も我々も疲れてきた」と、与党会派議員としての胸の内をぶつけた。 同管理者は、再度「誠に申し訳ない。12月の判決では、私共の主張が認められるものと信じている。すべては私の責任」と陳謝した。 費用発生について、水道部は「運転費用として電気代509万円、他に日常点検費が発生している」と答弁。同委員は「開浄水場の稼働に伴う収入額についてもはっきり示してもらいたい」と質疑したが、同管理者は「開だけで料金徴収はしておらず、個別の抜き出しが必要になる」として理解を求めた。 同委員は「(開問題は)長引けば互いに不幸。今後、毅然とした対応を求めたい」と注文した。