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Gears Of Lyrical プロローグ 惑星セラ 千年にもわたる数々の大戦を経て、平和な時を得た惑星。 惑星の地下から偶然採掘された液体「イミュルシオン」、ライトマス処理によりエネルギーとしての利用が可能となり、人類は安価で無尽蔵のエネルギーを得ることができた。 しかし、それは同時に新たな戦争の火種になる。人類が不毛な争いを続けている頃、突如地下から現れた「ローカスト」が人類に対して総攻撃を仕掛けてきた。 人より遥かに大きく、強靭な体をもつローカストは出現から僅か24時間で惑星セラに住む人類の25%を虐殺した。 「Emergence Day(出現の日)」と呼ばれるこの大虐殺を機に、長い間続いたイミュルシオンを巡る大戦は終結せざるを得なかった。 人類の根絶やしのみが目的であるローカストに人間側の交渉は全て無視され、それまでの大戦によって疲弊していた国々は地中から自在に現れ、 強力な生体兵器を操るローカストの大群に次々と滅ぼされていった。 圧倒的不利となった人類は、ローカストが採掘できない硬い岩で形成された地層のあるハシント高原に退却。そして追い詰められた人類は極めて無謀な作戦を決行。 化学兵器と衛星軌道レーザーで、占領された都市を市民ごと焼きつくした――― 惑星セラの90%以上が焦土と化すという余りにも大きすぎる犠牲を払い、どうにか人類はローカストを退けた。 だが、ローカストの大半は地底へと逃げの延び、再び人類に苛烈な攻撃を続けていた。 そして今回の事態を重く見た時空管理局は、介入を決意。惑星セラに魔道士及び陸士等の派遣を決定した。 しかし、同時に人々はこう囁いた。 「時空管理局はイミュルシオンを手に入れる口実が欲しいだけだ。そうでなければ今まで黙っている訳がない」と――― 人類が生き残るために奮戦を繰り広げる数々の前線、その中の一つにその部隊はいた――― 怒号と銃声、断末魔と悲鳴、爆音が絶えず響く戦場。ひっきりなしに銃弾が飛び交い、一つ、また一つと命を奪ってゆく。 「ドム、右だ!!」 頭に青いバンダナを巻いた大柄な男、マーカス・フェニックスは昔からの相棒に叫んだ。 「任せろ!!」 ドムと呼ばれた髭を蓄えた男、ドミニク・サンチャゴはその声に応える。 「ヒーハー!んなへっぴり弾が俺様に当たるかよ!もっとよく狙いな!」 丸太のような太い剛腕を持つ、浅黒い肌の男、オーガスタス・コールは眼前の敵に身を曝していた。 「全く…、コール怪我しても知らねぇぞ!」 額にゴーグルを掛けた金髪の男、デーモン・ベアードは数少ない友人に呆れていた。 彼等の手にはアサルトライフル、銃身の下にチェーンソーが備え付けられた「ランサーアサルトライフル」を握りしめており。 全員が機械的な鎧のような鋼鉄のアーマーに身を包んでいた。 マーカスが積み上がられた土嚢から上半身を上げ、ライフルを水平に掃射する。弾が飛んだ先には白い体表の怪物―――、ローカストがいた。 背丈は2m近く、屈強な体躯を誇り爬虫類を連想させる外観をもつ。 「ヒルムナ、ウテ!!」 デスメタルを彷彿とさせる見た目通りの重く、低い声。その声に合わせて瓦礫の陰などから幾つものローカストが身を現した。 「キリがねぇ!」 「直に管理局の増援が来る手筈だ、それまで持ちこたえろ!」 そう言ったものの、マーカスは焦っていた。 (管理局か…、言ってることはいっちょ前だが殆んどが口先だけの連中…、増援はあまり期待できないな…、なんとかしてこの場を切り抜けないと…) そんな思案に耽っている隙に、ローカストの一体、「ドローン」が迫ってきた。 「シネ!」 銃撃を掻い潜り、マーカスが身を隠している土嚢に迫る。ドローンが手にした銃を向けられる前に、マーカスは反撃に移った。 手にしたランサーアサルトライフルを起動、銃身下のチェーンソーが目覚めた。銃身から黒煙が噴き出し、幾つも並んだ鋼鉄の刃が動き出す。 「死ぬのは…」 立ち上がり、ライフルの左側面に付いたグリップハンドルを掴み、大きく振りかぶる。 「てめぇだ!!」 そして、振り下ろした。 振り下ろしたライフルはドローンの右肩に食い込む、猛烈なスピードで回転するチェーンソーが肉を裂き、骨を砕き、内臓を食いちぎる。 「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」 血飛沫と肉片、ドローンの断末魔を伴いながら、チェーンソーは右肩から左脇腹へとドローンを切り刻む。 飛び散る血と肉が、マーカスの顔にかかった。袈裟切りにドローンを両断し、上半身と泣き別れになった下半身を蹴り飛ばす。 蹴られた際に一際大きく血の噴水が噴き上がった。 「ぼさっとするな!」 「悪かったな、ベアード!」 血まみれの顔を拭いつつ、土嚢に再びしゃがみ込む。いつの間にかローカストの前線が迫っていた。 (ちくしょう、ここまでか…?) 敵は大挙をなして自分達を殺しに向かってきている。たった4人に対して過剰なまでの攻撃と兵力、自分達をここに向かわせた帽子を被った大佐の顔が酷く憎たらしく思えた。 「くそっ…」 更に悪態をついた時、 「リボルバー…」 それは、 「シュート!!」 やってきた。 「グオオォォ!?」 青い光弾が、一体のドローンの頭を捉える。直撃を受けたドローンはそのまま倒れた。 「アラテカ!?」 突然の攻撃に慌てたローカストの軍勢、それが仇となった。 「クロスファイアー…」 オレンジ色の魔力光が少女を照らす。二つに結った魔力光と同じオレンジ色の髪、白を基調とした軽装の服、それらを照らしながら光は更に大きくなる。 「シュート!!」 幾つものオレンジ色の魔力弾が、ローカスト達に殺到する。頭に当たり、瓦礫に当たり、銃に当たりローカスト達を無力化してゆく。その好機をマーカスは逃さない。 「グレネード!!」 腰に下げたトゲ付きの鉄球、中世の騎士が振るったといわれるモーニングスターに酷似したグレネードの柄を4人が握った。 数回振り回し、勢いをつけて投げる。地面に落ちてから数回の電子音の後、ローカスト達の中央で爆発した。 破片が飛び散り、近くにいたものに襲いかかる。あるものは腕を、あるものは足を、あるものは頭を吹き飛ばされながら絶命した。 それでも残ったローカスト達に止めの一斉射撃を加える。突然の事態に何が起こったか認識できなかったローカスト達は、恰好の的だった。 マズルフラッシュが瞬き、銃弾が飛び出し、動けなかった「的」に当たる。 4人がマガジン一つ分を撃ち終えると、辺りは静かになった。 地面には幾つものローカストの死体が横たわり、その死体から溢れる血が大地を潤していた。 薄く風が吹き、砂塵が舞う。戦闘の痕跡を覆い隠すように、砂塵が死体を包んだ。 「助かったな…、で」 マーカスは突然現われた二人の少女に向きなおった。 片方は青空のような青い髪、右腕にギアが付いた手甲をはめており、足には何故かローラーブーツ。白い鉢巻を締め、同じく白いジャケット。 もう片方は鮮やかなオレンジ色の髪、両手にデリンジャーのような拳銃を握っている。こちらも同じく、白を基調としたジャケットを羽織っていた。 二人はともに十代中頃にみえ、とても戦場で戦うような人間には見えなかった。 「お前たちが管理局の言ってた「増援」か?」 「はい、時空管理局、機動六課所属、ティアナ・ランスターです」 「同じくスバル・ナカジマです」 ティアナと名乗ったオレンジ髪の少女が敬礼し、慌ててスバルと名乗った青髪の少女がそれにならった。 「おいおい、管理局はこんな嬢ちゃん達を戦場に放り込むのか?」 「管理局は才能があれば年齢とかは不問らしぞ、コール」 二人の少女を見たコールがどことなく呆れた口調で疑問を喋り、ベアードが解説を入れた。 「申し遅れたな、COG所属、デルタ部隊隊長マーカス・フェニックス軍曹だ」 「同じくドミニク・サンチャゴ二等兵」 「同じくオーガスタス・コール二等兵だ。よろしく頼むぜ」 「デーモン・ベアード二等兵だ」 全員敬礼、最後にベアードが面倒くさそうに挨拶し、互いの紹介を終えた。 「よろしくお願いします。フェニックス…」 「ああ、俺達の階級は特に気にしなくていい。それと気軽にマーカスと呼んでくれ」 「いや、しかし…」 「大丈夫だよティア、マーカスさん達もこう言ってるんだし」 「あんたは黙ってなさい!!失礼でしょう!!」 「え~、でも~」 「うるさい!!」 ティアナがスバルの頬を両手で引っ張り、文字通り「黙らせる」、スバルは必死にティアナを引きはがそうとしていた。 「気にすんなって、うちの隊長殿がこう言ってんだし」 「でも…」 「大丈夫、俺達はいつもそうしてる」 「はぁ…、じゃあ、ま、マーカスさんよろしくお願いします」 「ああ」 二人の少女と四人の男達が出会った瞬間であった。 目次 次へ
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厄介な奴に引っかかってしまった。 そう、心中で愚痴りながら稟は走り続ける。 後ろから迫ってくる少年、長沢勇治は鬼のような形相を浮かべながら奇声を発している。 その大部分は殺す、死ね、ぶっ壊すなどの単語の羅列で稟の耳にはもう満杯というくらいだ。 (途中で諦めるかと思ったけど執念深く追ってくる……このままの状態を続けるべきか? 楓達や杉崎達とも大分離れただろう。 後は俺だけだ。俺が無事にこいつを撒ければ目下の問題は解決する) だが、長沢はしつこく自分を追いかけてきている。追跡を撒こうと全力で走ることも考えたが万が一のこともある。 体力はできるだけ残しておいたほうがいい。 (この拳銃を使って、追い払うべきなのか? そんなこと、できやしない。もし、反動でずれてあいつに当たったら……) 腰につけている大型の拳銃は説明書を読む限りでは威力は掠るだけでも致命傷を負わせることができるくらいだと書いてあった。 そんな物騒なものを決意も定まっていないのに使っていいものなのだろうか。 これは人を殺す道具である。銃口を人間に照準し、引き金を引けばそれで死体の出来上がりだ。 (この拳銃を使うということは二者択一だ。殺すか、殺さないか。俺に人を殺す覚悟はあるのか?) これを使うということはそういうことだ。 ただの空撃ちで退いてくれる相手だとは思えないし、そんな中途半端なことでこれから先を生き抜くことはできない。 それでも稟の中の常識が人を殺すことに対して重い鎖を何重にも縛っている。 この拳銃を人に向けることを考えただけでも強い嫌悪感を覚えるぐらいだ。 (もし、殺されそうになった時、俺はこれを……使うのか?) 一応ではあるが稟は人を殺すことを全否定してはいない。 先程の渚の一件みたく襲われて殺さざるを得なかったケースでありその罪を償う決意があるのなら、稟は赦すつもりだ。 だが、それはあくまで他人のことであって自分のことではない。 (俺自身に降りかかったら……俺は俺の都合で人を――) 延々とした思考は銃弾が右肩を掠った痛みで打ち切られる。 思考の海に入りすぎて油断した。 今は殺人について考えていられる程の余裕もないというのに。 (まずはこいつから逃げなきゃな!) 稟は大通りから逸れている脇道に駆け込んで、長沢から逃げれるよう撹乱を図る。 入り組んだ道を法則無視に適当に曲がり、時には大通りを横切りまた脇道へと入りのくり返し。 走る。最善の逃げ道を頭で考えながらも足は全力で字面を蹴りつける。 捕まったら最後、生き残れる確率は一気に下がってしまう。 (一応、方向も二人とは違うのを選んでるしあいつに巻き込まれることもない) そして数分後、長沢の罵声と銃声が途絶え、自分の足音しか聞こえなくなった所で稟はやっと地面にへたり込むことができた。 全力で走りすぎたのか額からは汗が浮き出し、気持ちが悪い。額を制服の袖で軽く拭うことで気持ち悪さを払拭する。 「さてと、いい加減休んでばかりじゃなくて動かねえと」 そう、この場所もいつまでも安全だと限らない。いつ、長沢が追いついてきて襲いかかってくるかわからないのだから。 今は距離が離れているだろうが血眼になって捜されている以上このままとどまっていると見つかる可能性は何倍にも膨れ上がる。 (楓達、それか杉崎達に合流しよう……もしかすると別の奴に襲われているかもしれないし) この島にいる殺人者は長沢だけではない。他にもこのクソッタレな殺し合いに乗り気な参加者は数多くいる可能性が高いのだ。 自分が護らなくては。人を殺す覚悟も定まらないが大切な人達を護りたいという意志はプリムラが死んだその時から変わっていない。 遠くない内に選択の機会はやってくるだろう。その時、自分はどうするのか。 「やぁぁっと見つけたぜぇ……?」 そして、結論を出すことができないまま、機会はすぐにやってきてしまった。脇道から大通りに出た瞬間、脇腹に刺さる強い衝撃が地面へと這いつくばらせた。 何が起こった? 稟は脇腹の痛みに呻きながらも考えた。 なぜ、長沢が自分を待ち伏せていたのだろう。自分は彼を何とか撒くことができたのではなかったのか。 「へへっ、バァカ。何で待ち伏せされてたんだって思っているだろ? アヒャヒャヒャヒャっ! お前みたいな鈍いやつでもわかるんじゃねえのか?」 長沢は地面にうずくまっている稟を気絶しない程度に蹴りつける。気絶なんて逃げは許しはしない。 今までの鬱憤を晴らすかのごとくガシガシと踏みつけ、蹴り上げ、殴りつけ、M4で叩きつける。 「この選ばれた俺が特別に教えてやるよ! 支給された物の中にな、お前みたいなバカな奴の居場所がわかるレーダーがあったんだよ。 それで、ぼ……俺は逃げきったとわざと油断させてお前の逃げそうな道を先回りしたって訳! まさか、こんな簡単な作戦が成功するなんてなぁ!」 最も、その声の内容は稟の耳に半分も届いていないだろう。 稟は絶え間なく襲いかかる痛みに耐えることでいっぱいいっぱいなのだから。 「ということでさ、精々いたぶらせてもらうぜ……! あひゃ、くへ、へへいひゃいひゃはははははは!」 何を、間違えたのだろう。いつ、どこで自分は選択肢を誤ったのだろう。 ぼんやりとした頭で問いを投げかけようとも答える者はいない。何せ自分は散々になぶられて死ぬのだから。 気絶寸前の今、稟は思う。 死んでしまった二人の親友のこと。 恐怖から人を殺してしまった渚のこと。 この島の何処かで生きているであろう親友と先輩のこと。 そして――。 (かえ、で) 死んでしまったらあの笑顔がもう見られない。 死んでしまったらあの柔らかい手をもう握れない。 死んでしまったらあのうまいご飯をもう食べれない。 死んでしまったら――――好きだってもう伝えられない。 (か……え、で) 嫌だ。それは、嫌だ。 嫌なことはしたくない。嫌な目にはあいたくない。 もっと、大切な人と何気ない日常を過ごしたい。 もっと、大切な人と手を握り、口づけを交わしたい。 (かえで) その為に今すべきことは、何だ? このまま黙って嬲られるがままに殺される――違う。 何とかこの状況を抜けだして長沢を説得する――違う。 そう、違うだろう――――? あるじゃないか。一番手っ取り早くて簡単な方法が。 (だ、めだ) それは何がダメなのだろうか。 正しくないからダメ? 倫理的に間違っている? 人としてやってはいけない? 土見稟の根本を覆すから? (だめなんだ……) 理由はわからないが稟は漠然と思うのだ。 そんなことをしても誰も喜ばない。もし、それを犯すと皆と笑って向き合えなくなる。 だけど。 『それで、いいの?』 声が聞こえる。少女のか細い声が。 『そんなので、いいの?』 声が聞こえる。少女の快活な声が。 『それで、よろしいのですか?』 声が聞こえる。少女の鈴の音のような涼やかな声が。 (いや、だ……) どんなに正しさで取り繕ってもメッキは剥がれてしまう。 死にたくない。まだ、生きていたい。こんな訳もわからないまま、一生を終えたくない。 それが稟が思うことだった。 (しにたくない、しにたくない) 死にたくない。それは普通の人間なら誰しもが思うこと。 死にたくない。それを防ぐ為にできる一番のこと。 その一番のこととは何か。 ■■。 土見稟が最も忌避するものだった。 ◆ ◆ ◆ 「へへっ、もう飽きてきたしそろそろ終わりにしようっと!!」 嬲ることに飽きたのか、それとも疲れたのか。 長沢は嬲るのに邪魔だったM4を取り出すべくデイバックを乱雑にまさぐる。 それは勝利が確定した者の油断、驕り。 長沢は一瞬でも稟から目を放すべきではなかった。 「さぁってとぉ! これで終わ……ガァッ!」 稟は残る力全てを振り絞り、勢い良く起き上がり。その勢いのはずみで長沢の顔面へと拳を叩きつけた。 予想だにしなかった反撃とこの島に来て初めての痛みに長沢は怯み、地面をのたうち回る。 「お、オマエエエエエエエエエエエエエエエエエエ! 殺してやるぅ!!! もう許さねえ! お前は、お前は――」 だが、その怯みも一瞬のこと。長沢は喚きながらも何とか立ち上がり――。 「――――」 銃声と同時に何かを振り絞る叫び声が響いた。 そして、最後まで立っていたのは神にも悪魔にも凡人にもなれるはずだった男の成れの果て。 ただの人殺しだった。 【長沢勇治@キラークイーン 死亡】 【D-2/一日目/朝】 【土見稟@SHUFFLE!】 【状態】全身打撲、右肩に銃弾のかすり傷 【装備】『死』@操り世界のエトランジェ、『死』@操り世界のエトランジェ 【持ち物】支給品一式、特性予備弾@操り世界のエトランジェ、不明支給品0~1 【思考】 基本:???? 1:???? ※コルト M4 カービン(20/30)支給品一式、献身@永遠のアセリア、スティンガー×12@魔法少女リリカルなのは、参加者察知レーダー、不明支給品0~1が近くに落ちています。 【参加者察知レーダー】 同じエリアにいる参加者の現在位置を把握できるレーダー。電池式。 Back 壊れた世界の終わりの終わり-fragment death- 時系列順で読む Next 壊れた世界たち Back 壊れた世界の終わりの終わり-fragment death- 投下順で読む Next 壊れた世界たち Back ウソの始まり 土見稟 Next [[]] Back ウソの始まり 長沢勇治 GAME OVER
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《千石 メイソン 亮/Sengoku Mason ryo》 アイコン ゲスト 種族 人間 年齢 19 性別 男 身長 177cm 好き 自分を持ってる奴 暴力 嫌い 機械みたいな奴 黒嘉敷高校出身、元投手。その名を「黒のナックルボーラー・千石」と呼ばれていた。 金髪のガチガチツンツンヘア、ドクロマークが描かれたヒートテックの上に紫地に「HeAvEn」とかかれたアウタージャケット 黒いダメージデニム。カラスの形をしたイヤリングと、サングラスが特徴的。前歯一本は金歯になっている。 普段は渋谷のような街でギャング仲間と酒やタバコに入り浸りしている。警察に追いかけられたりするのは基本 クラブで知り合った女性と行為に走ったりもするなど、ギャングになってしまった。 だが、ケイオスの住人と関わると大抵の確率で殴られ役となり、相手を罵る単語を連発する。 千石の過去 +... 幼くして母を亡くし、日本語を話す事のできないマフィアの父の元で育って行った。 親の愛情をまともにうけず、暴力という教育で幼年期を過ごす。 幼稚園などの保育系には通わず、直接小学生となる。マフィアの父のようには成りたくないという一心で、心優しい少年となり、そのカタコトキャラとして、学校では人気者となった。中学に上がってからも同じようにカタコトキャラで人気となり、野球に興じる様になった。 彼は人から愛されるという事を知り、この上ない程の幸福を感じ続ける。父からも決して悪い様には育てられてはいなかった為、胸を張って幸せだと主張することが出来るようにはなった。 高校に入ってからもその性格に変わりはなく、心優しい好青年のまま、中学でドはまりした野球を続ける。 投手として磨き上げた腕で得た変化球「ナックルボール」を多用し、底の切れないスタミナで相手を追いつめる中継ぎ型の投手となり、一年にしてレギュラー入りを果たしていた。 2年、Bブロック地区予選決勝、中継ぎとしてマウンドに立つ。対戦校は大誠高校で、4番バッターの一年に自慢のナックルボールをホームランを撃たれ、そこから同様し、そのバッターの肩に死球してしまい、彼の野球人生を奪ってしまう。 父はその事をしり、息子と絶縁。多額の慰謝料や謝罪を個人で支払い、哀しい日々を送った。 関連ページ 関連画像 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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第一回戦血の池地獄 静間千景 名前 性別 魔人能力 静間千景 女性 グラスコフィン 早見歩 女性 クレイジートレイン ラーメン野郎・有村大樹 男性 白虎落とし 採用する幕間SS 【極秘・期間限定ラーメン開発レポート!ラーメン界の風雲児が語る! スタンプ10個で豪華景品が特盛! 極旨ラーメンでサイパン旅行を当てよう!】 (有村大樹の体内厨房は壊滅している) 本文 ――赤水の獄。血の池。 陰陽寮呪禁庁においてそれは、『激辛』の属性を象徴する地獄であると聞く。 主に『味噌』属性と複合させて生成する《血の池地獄ラーメン》は、現世では《王龍飯店》《創作中華 パパ厨房》《元祖地獄らーめん》といった古代店舗にわずかに名残を残すのみの、とうの昔に禁儀と化したオリジナルラーメンの筈である。 (なるほど。つまりここは、本物の地獄か) 失われし『激辛』の属性。地平の果てまで広がる血の大河を目前にして、なお有村大樹の表情が動かない。 《起源》において示されたトライ・グラマトン――『極』『旨』『男』の三大行を旨とするラーメン野郎は、基本的に自身の司るラーメン属性のみを探求し、他の属性に興味を抱くことはない。 その味へのこだわりはラーメン野郎の強みであり、同時に弱点でもある事を、有村大樹は自覚している。 有村大樹のラーメン属性はふたつ。 物質や空間の連続性を断つ『切断』概念、『魚介』。そして、質量、数量に対する『増殖』概念、『塩』。 彼自身の能力名は『白虎落とし』――というが、この高速湯切りによる調理能力はあくまで、有村の身につけたラーメン野郎としての技量をサポートするものでしかない。 それで良い、と有村は思う。 所詮人の腕はふたつ。ならばふたつで勝負するのがいい。 「……ィィィィ……」 客を前にしたラーメン野郎のなすべきことはひとつ。常に、その日の仕込みの中で、最高の一杯を提供するのみ。 「ィィァラッスァァァッセェェェェェイイイィィィィッ!」 魂の振動が空気を揺らす。 コンロの熱に呼応してスープが湧き立つがごとく……体内厨房の壊滅を経てもなお、この咆哮だけが衰えない。 沸騰(イグニ)――茹麺(ハルト)、定義(ベースド) 、深化(オプト)――展開(リリース)――――――。 (ラーメン野郎。人魔の領域に手を染めたラーメン野郎は、決して天国には行けない) 地獄。ラーメン野郎には相応しい末路。 《ラーメンの鬼》佐野実。《つけ麺の始祖》山岸一雄。ここにいるのか。 相棒のミル彦は、この運命を辿らずに済んだか。それともやはり、あのラーメン馬鹿はどこかの地獄にいるのか。 「絶対独立……」 調理は秒単位で完了する。意志持つスープが溢れ、『魚介』と『塩』の概念は、輝く剣の形を成す。 「俺は。やる。やるだけだ。絶、対……独立!!」 喜多方ラーメンの弾力を彷彿とさせる強くコシのある脚が、地を蹴った。 製麺された黄金の剣が目指す先はひとつ。距離にして100m、2人の少女の戦闘領域に他ならない。 ◆ 「うりゃぁぁぁぁぁぁぁ――」 (……!) 「――ッ、りぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 盾として構えたトランクは、蹴りの一撃で無残に潰れた。 静間千景の体は、一度血の池の水面を跳ね、盛大な飛沫と共に再び着水する。 あらゆる人間を凌駕して強化された、早見歩の魔人の脚力であった。 決して反応が遅れたわけではない。 むしろ、肺の空気をすべてしぼり出す全力の哮りは早見の攻撃のタイミングを知らせており、故にトランク全体をガラス化して盾にする時間もあった。 それはすなわち、防御に成功してなお、この威力である――という事を意味している。 「……けほっ! くふっ!」 体が沈む。やられた。と反射の意識が警告を発する。 強化ガラス化したトランクは、実物同様に細かな破片となって散り、静間の体を傷つけてはいない。 だが交通事故並の激痛と衝撃が体を襲う今、服に染みこんで身体を沈める赤い湖に抵抗する余力もなかろう。 (……と、素直にそう思ってくれるのなら) 血の池にあがきつつ……否、そう見せかけつつ。静間千景は思う。 (私もやりやすい、けれど) 「ごめん」 対岸に立つ少女の表情が、ふと憂いを帯びる。 「これ、で――終わりッス!」 次の刹那、早見歩の赤いシルエットは静間の直上、空中にいる。 魔人の膂力を以って蹴られた水面は、ぱたたた、と連続した波紋を遅れて立てた。 液面。空気。実体非実体を問わぬあらゆる概念を足場にする。魔人能力の名を『クレイジートレイン』という。 早見は水面を蹴った反動を殺さず、空中でくるりと回転し、シューズの靴底を直上――地獄の空へと向けて。 天を『蹴り』、稲妻じみた垂直降下の飛び蹴りを繰り出す。 (終わった) 静間千景は思う。 岩すら砕く威力を凝縮したシューズの靴底は、静間千景の直上に閃くギロチンの刃であった。 (これで、終わった――想定通り。) そして、会敵わずか5秒のこの時点まで、静間千景の策略であった。 遠ざかる赤い水面を見据えながら――それを夥しい泡とともに切り裂いて迫る靴底を見据えながら―― 完全に水没した静間はただ、痺れる手先を前方へと伸ばす。 ……『グラスコフィン』という。 触れた物体を『ガラス化』する、それが静間千景の魔人能力であった。 実体を持つものであれば、固体でも液体でも関係なく変換する力である。たとえ血液であろうとも。 先刻……早見歩の接近を知ってもなお、静間は逃げず、むしろ防御に時間を割いた。自身が蹴り飛ばされるであろう方向。この巨大な血湖の存在を知っていたからだ。 高台に位置して敵を待ったのは、他ならぬそのためだ。 水中に追い詰められたと見えたのは彼女の演技に他ならず、本来この地形は、静間の能力媒介に文字通り満ち溢れている。 「潰……れ、る! ッス!!」 敵の気迫に反応すら返さず、ゆるり、と能力を伝播させる。周囲を取り巻くこの血液すべてがガラスと化し、眼前の少女を樹脂標本の如く練り固めるイメージ。 水圧抵抗を突破して靴底が到達し、自身の肘先が完全に圧壊するまで、恐らく数秒といったところか。 (問題ない。その数秒で拘束は終わる。溺死……させる) 利き腕を確実に失うが、同時に敵の一角を落とせる。 静間の頭脳は鮮明である。それは勝利のための犠牲を一切厭わぬ、怨霊めいた狂気的思考であった。 そして魔人能力が血水に伝播し、早見の脚を包み込む―― 寸前で。早見の脚は水中から消えた。 代わりに響いたのは、ぞるるるるっ、という奇音。 (え……) 水中の静間はただ呆然と、浮かび上がっていく腕を見つめていた。 細い指。白い肌。 親指の位置からして、右腕。どこか見覚えのある腕である。 「――絶対。独立」 厳然たる声。静間千景の右腕を一撃で分断したその音は、思い返せばラーメンのすすり音に似ていただろうか。 ◆ 空間の『切断』。例えばA地点からB地点までの過程を切断された空間の間隙は一瞬で閉じる。これは世界の修復作用による。 そしてA地点とB地点は空間修復の際に接合され――もとA地点にあった物体はB地点へ、プランク時間の速さで移動する。 『魚介』属性の極地。ラーメン野郎・有村大樹の最も得意とする一杯、《無敵ラーメン(戦)》の調理工程がこれである。 (何なの、あれ……!?) 早見歩は未だ空中である。 垂直降下の最中、もう片方の足で空間を蹴り、横へと跳んだ……と言葉にすれば単純な所作に過ぎないが、 これは早見の突出した脚力と平衡感覚、そして空気すらをも足場にせしめる『クレイジートレイン』あってこその芸当であり、無論人域の技量ではない。 早見歩は事が起こる直前に危機を察知し、空を蹴って跳び離れていた。 水中の静間に蹴りを叩きこむ寸前――彼女の眼前数10cmの距離に忽然と出現した黒Tシャツの男が、理由である。 「vopal――」 短い囁きに振り返った背後では、既に男の斬撃が水面へと撃ち込まれ、ぞるるるるっ、というすすり音を立てた。 「どっちにしろ」 タン、と軽い音を立てて、自身の脚が岩場に降り立つ感触。 考えるよりも先に足が出るタイプの魔人ではあるが、それは決して彼女の愚鈍を意味するものではない。 その頭脳は高速化した肉体の回転を制御するに十分な速度であり、今しがたの思考と知覚は、一瞬の判断で空間を蹴って、数十m離れた盆地の岩場に落着するまで、わずか半秒程の間に行われている。 「良かった。助かったッス」 この低地からは、先の巨大な血池の様子は伺えない。戦闘領域からは離脱できたものと判断する。 しかし安堵の息は、新手の敵の攻撃に巻き込まれなかった事のみを意味するものではなかった。 ――高速で回転する早見の思考が不利になる局面がある。 彼女は手を掛ける寸前、どうしようもなく静間千景の半生を思ってしまっていた。彼女がどのような執着を抱いているのかを知らずとも、なお。同じ年頃の少女……いや、やや年上だろうか。話しかければあるいは、友達になれたかもしれない。 彼女が迎撃でなく逃走を選択した理由は、ある意味での打算であり、優しさでもあった。 (静間千景は水中。あの斬撃を食らったかもしれない。となると、あの状況……残るのは十中八九有村大樹……ッスね。 まだ、離れるだけの時間はあるはず) 2人を同時に巻き込む軌道の、無駄のない斬撃。有村が水中に沈んだ静間の存在を認識していた事は明らかだ。 だとすれば、静間を始末する時間……少なくともその死を確認するまでの間がある、と判断する。 (仮にさっきの瞬間移動みたいな応用ができる能力だとすれば、あたしの『クレイジートレイン』は不利――) しかし岩場の影を把握すべく頭を巡らせると同時。 重量感のある麺が湯切りされる時のそれのような、バシャリ、という快音が響いていた。 「――spitt.」 空中を跳躍し、恐るべき速度で強襲する『魂不滅』の黒Tシャツを、視界は捉えている。 静間千景の確実な始末、または早見歩の追跡。早見は、『有村大樹は前者を選ぶ』と読んだ。 今しがたの衝撃音は、その読みが外れた事を意味している。 ◆ 時刻は、数秒遡る。 流れこむ血河によって形成された、一際巨大な高台の血の池――その水面上、30cm。 無駄のない斬撃を振り切って、有村は小さく呟いた。 「客は二人か? 早見歩……」 奇襲を寸前で察知し逃げ去ったのは、早見歩。鋭敏な反応だ。 (そして、下に静間千景か) 足先が液面に触れた、瞬間。 ――ドカモリッ!! 早見が聞いた湯切りの快音を仮に至近で聞けば、丼から溢れるほどにモヤシの積まれた、ラーメンの秀嶺を幻視した事であろう。 有村大樹の屈強な巨体はカツオよりも俊敏に、斜め上方へと跳ねた。 「――spitt.」 振り切った仮想麺を媒介に、自身の足元に『増殖』概念を付与。 血の池……それを満たす血液の『増殖』による指向衝撃波。反動をカタパルトとして跳んだのだ。 モンゴル岩塩のまろやかな塩味が舌の上で調和する、ラーメンの名を《無敵ラーメン(姫)》という。 「調理完了だ。《無敵ラーメン(姫)》一丁! オォォォォマッチ……ヤラァァッシタァァァァァ―――ッ!!」 足先からの水中衝撃波は血中に沈む静間千景に対しても、十分に伝播した筈だ。 そしてその一撃は同時に、反動で早見への距離を詰めた。 「こいつ……」 有村の下方、早見は苦々しく呟く。 『有村大樹は前者を選ぶ』。読みは誤りであった。 . . . . 「どちらも、選びやがった、って事ッスね……!」 「俺は……俺は!」 『男なら、ラーメンは湯気と一緒に一気にすすり込むべし』。これは誰の言葉だったか。 精製した仮想麺は、わずか20秒で賞味期限に達する。その前に決める。 「俺はラーメン魂の次期店長……候補!」 「ラーメン野郎、有村大樹だ!!」 一撃。 切り下ろした剣は同時、崩壊した。『魚介』の属性は、メンマを裂くが如く容易く岩盤を裂断している。 そこに早見の姿はない。 ガン、と、有村の頭上で音が鳴った。 さらに、ガン、ガン、と連続する。 血池の下方。岩で囲まれた盆地。離脱した彼女がこの方向を選んだのは計算である事を。 この地形は早見歩を敵に回すに最悪の地形である事を、有村大樹はまだ気付いていない。 ◆ ガン、と音を立て、小柄な赤い体躯が壁を蹴る。 その勢いで次の岩へと跳び、さらに抉るように蹴る。横、斜め、あるいは上下。 「こういうセコい事は……あまり、したくなかったんスけど……ッ!」 繰り出される蹴りの度に土砂と石礫が舞い散り、遙か上方の早見の姿を覆っていく。 狙いを定めないようにしているのか。 「『味噌』属性のラーメン野郎が確かそんな技を使った。俺の上を取って、反撃を防ぐつもりか?」 有村はこの時既に、次の一杯の調理を始めている。 沸騰(イグニ)。茹麺(ハルト)。定義(ベースド) 。深化(オプト)。展開(リリース)。 地に降り立たず戦う早見の戦術は、対策に見えて対策ではない。 距離の概念を無効化する空間切断の一杯に、間合いは無意味であるためだ。それが三次元的な間合いであろうと。 たとえ客がはるか上方――天を統べるワイバーンであろうとも、その一杯を提供する。そのための《無敵ラーメン(戦)》。 「vopal.」 狙い違わず剣は空間の連続を断つ。そして仮想麺の射程内に早見の姿が……ない。 距離が足りない。代わりに有村の眼前には、一際大きい岩の礫だけがある。 「やっぱり……思った通りッスね。有村のおじさん」 転落。わずか2m程の落下だが、無防備な背がしたたかに打ち付けられる。 「……!!」 「その瞬間移動――いや、斬撃の威力からして空間でも『切断』しているのかな…… それ、物体の切断と一緒に使うのは無理ッスよね」 起き上がりつつ、心の中だけで肯定する。 《起源》に定められし掟の一。ラーメン野郎が味の秘訣を自ら客に明かせば、世界法則により爆裂、死す定めだ。 「もしできるなら最初の移動の時、目の前にいたあたしは切り裂かれていたはずッス…… そして『空間』を切断しての移動って事なら、直線上にある『物体』を無視して移動はできない。 ある程度大きな障害物があれば、その直前で停止する――」 「成る程。例えば石の礫か」 必要以上に岩を抉る移動方法は、先の礫のような障害物を空中に配置するための布石。 ――ボ、という軽い音と共に、有村大樹の肩を何か小さなものが貫通した。 「……戦略を見直す時間も。与えないッスよ。 空中に配置した石は『弾丸』ッス。取り囲むための――弾丸」 細めた有村大樹の目には、地獄の空を埋める土砂の群れが映る。 天使のように空を舞う早見歩が、それらを流星の如き速度で蹴り落とす様も。 「しゃららららららぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 バスバスバス、と、連続して肉体が抉れた。狙いは荒いが、圧倒的な弾数それ自体が脅威となる。 「……やってくれる」 『切断』は無効。触れて発動する『増殖』も、あの距離では届かぬだろう。 「だが、俺はやるぜ。早見歩。俺は独立する。半年間で絶対独立する! それが俺の夢だ!」 頭に巻いたタオル。黒Tシャツに昂然と描かれた『一期一杯』の筆文字。 その有様を見せつけるかのように。腕を組んで、険しい表情で空の早見を見据える。 『ラーメン魂』名物――ラーメン第一バトル態勢の構えであった。 飛来した流星が、また一つ上腕を抉った。口内に湧きだす血は、その負傷によるものではない。 自身の内臓を『増殖』させているのだ。 寿命の確実な短縮と引換えに、衝撃防御と致命傷へのバックアップを兼ねる、諸刃のラーメン。 「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 さらに一発。ぐらりと体が揺れる。 ―――『ダイキはいつも、無茶苦茶ばかりやらかすミル~~~!』 あり得ない筈の幻聴に、ふと笑いを漏らす。 さらに攻撃が続く。三撃。四撃。 車軸を流す石礫の猛攻を絶え間なく続けながら、やはり有村は倒れぬ。 「まだ、倒れない……!」 『増殖』による有村の体内組成の変化は、外からは伺い知る事はできない。 異常なタフネスが理由か。あるいは精神力のみで立っているのか。その誤認を誘う事が、有村大樹の目論見のひとつである。 空中からの一方的な攻撃を繰り出しながらも、早見は焦っていた。 「そんなに、までして、独立……が、したいッスか!」 十二、十三、十四。体に穿たれた傷口からはスープとも血液ともつかないものが溢れ、地を濡らす。 僅かに油の浮いた黄金色の血液は体内の異形化の果て、ラーメン野郎の末路でもあった。 「そうだ。絶対独立。この世で果たせなかった夢を果たす。それが俺の存在意義……だ!」 「こんなに走り回っても、何も、熱も風も感じない! そんなのは……上手く、言えないけど! そんなのはあたしじゃないッス! 大地を走るあたしじゃなあいと……あたしじゃない! だから!」 ――あたしの望みの方が強い! 声に詰まった早見の言葉の先を理解して……有村はにい、と深く笑って、賞賛の言葉を呟いた。 「……お前は、大馬鹿野郎だ」 足を引きずり、文様を描く。自らの流す血で打った捨て身の仕掛けだ。 ラーメンの丼にも見られる、雷文の文様。陰陽寮呪禁庁独自に発展させた、ルーン発動式である。 当時呪禁庁において《異端》と称された狂気のラーメン野郎。山岸一雄の提唱した――『つけ麺』なる技術。 既にスープの準備が整った『場』においては、ラーメンの調理は仮想麺の構築のみで足りる。 スープを先に用意し、そこに麺をつける。それは即ちラーメンである、という無法の理。 礫で仕留められぬことに焦れた早見は、いずれ必殺の直蹴りで勝負を決めに来るであろう。恐らくは、有村の調理に1秒程度の間が必要であることを知るが故に。 仮想麺の構築には、0.2秒も掛からぬ。その時が早見の最後となる。 ◆ 攻めながらも、異常高速で流れる早見の思考は、決して停止する事はない。 地上10m程。この高度からは、先程静間と交戦した広大な血の池が見える。死体が浮かんでいない。 ならばどこにいる? 血の池の岸まで泳ぎ着いたとでもいうのか? (恐らく、何かを仕掛けているッス。何かを。直接の蹴りを仕掛けるなら……その時) 最初に静間に仕掛けた一撃を回想する。構えた物体はトランクに見えた。 トランク? ……中身が透けるほど、透明のものが? 蹴りの一撃で粉々に砕ける、そんな材質のものが? そして気づいた。 ――池の水位が、上がっている。 (まさか) それはおぞましい変化だった。 どろり、と不気味な表面張力とともに、巨大な血の池が……溢れたのだ。 (『ガラス化』の能力……!!) 液体までもを『ガラス』にできるのだとすれば。 呼吸用の管を生成して、今もあの水中に潜むことが可能なのではないか。 有村の水中衝撃波を、伸ばしかけていたガラスの拘束で防いだのではないか。 そして。今。 (あたしが戦ってる間、ずっと……ガラスの『ダム』を少しずつ作って……流れこむ血の河を堰き止めた……とでも……!) どうする。どちらを警戒する。次の手は。有村大樹はまだ耐え続けるのか。 繰り返し繰り返し、高速で走り続ける思考。 流れこむ血の河に気づいた有村が、ふと身構えたように見えた。 ――今。 照準は背。猛禽のように降下。 仮にカウンターを狙っていたとしても、確実に死角となる攻撃角度。 「独」 が、背中越しに抜き放たれた有村の仮想麺は、彼女の胸を切り裂いた。 ……ずるりと滑る景色の中、早見歩は、その後頭部に見開いた眼球を見た。 「……立。」 ――眼球の『増殖』。 ◆ 有村はよろめいた。 狙い違わず放たれた『魚介』は早見の胸を深く裂いたが、それは致命の傷ではない。 直前で反転し逃れた動きは、最初の遭遇で見せた『空間を蹴る』技か。 有村の足元に絡みつく生暖かい血の波に混じって、ざくり、ざくりと何かが横切る。 予想外の負傷が、有村の平衡とラーメンの味を乱していた。 「これは……」 ざくり、と脛が切り裂かれる。何か異様な悪意が、不可視の力でもって有村大樹の切断を試みている。 「……ガラスの刃。動脈をやられたか」 足元に流れ来た物体を掴み取る。魚群めいた鋭利なガラスの刃を流して、下流の存在すべてを切り裂く仕掛けだ。 早見歩の策とも異なる悪辣な仕掛け。静間千景はダムを『そのように』決壊させていた。 「……」 パシャ、と、新たな水音が場に到達する。 「気は進まない。ほんとうに……気は、進まないんだけれど」 アルトの声に呼応し、ラーメン第一バトル態勢を構える。 右腕の肘から先を失い、全身の衣服を血に透かした少女のシルエットが、盆地の上から見下ろしていた。 「殺させてもらう。ごめんなさい」 「御託はいい。本日のご注文は?」 ◆ 「液体をガラスに変えるのが、お前の能力か」 有村の問いに答えることなく、歩を進める。 トランクのガラス化を既に見せている以上、能力が看破されている事は織り込み済みだ。 だから失った右腕の先は、周囲の血液から構成した刃に置換して、止血している。 有村の放った水中衝撃波は、展開しつつあった『ガラス化』で防壁を形成し防いだ。 しかしそれでも殺しきれなかった衝撃と……最初の早見の蹴りで受けたダメージは、どうしようもなく静間の体を蝕んでいる。 可能な限り速やかに決着をつけねばならない。自分の有利な環境を、血で満たされた岩場を作る。そのための策だった。 「私は……卑怯なのかな。あなたと早見さんの戦いを邪魔してしまった……」 「客と店員は常に多対一で勝負をしている。多勢を前に泣き言を言うラーメン野郎に、麺を語る資格はない」 「……そう。そうか。ラーメンなんて、もうどれだけ食べてないんだろう」 静間千景は陰鬱に笑って、足元の血河に手を差し込んだ。1秒。2秒。3秒。 それで『武器』の構成を終える。液体を『ガラス化』して作成した、強化ガラスの刀だ。 有村の体が静間の頭上に躍ったのは、直後であった。 「vopal.」 空間切断を意味する詠唱。手には山吹に輝く剣。同じく兵装の構成であれば―― 有村大樹の『白虎落とし』。調理工程は1秒を切る。 回転と共に、静間の刀が有村の『切断』を受けた。空間ごと引き裂く一杯に、静間の髪の端が巻き込まれ消える。 ごきゅ――と、空気だけがスープを啜る音だけが聞こえた。 着地と同時、掌底で静間の踏み込みを牽制する。 「ガラスの反射……死角を覗いたか?」 「瞬間移動の能力は分かっていたから。それに私の勝算は」 剣の先端が、くるくると空を舞う。それが有村の頭上を超えようとする刹那。 「それだけじゃあない。『解除』」 有村の頭上で、剣先が弾けた。不意に降り注ぐ血液が視界を濡らす。 間髪入れず、右肘先の刃で刺突。その狙いは、違わず剣を握る有村の肩を貫き…… しかし有村の左腕は、静間の胸にピタリと押し当てられている。 「spitt.」 破裂音。狭域指向性衝撃波。 「……っ!」 「受給資格者創業……支援。援助金は200万。俺は、夢を諦めない」 賞味期限を迎えた仮想麺が崩壊する。 だが有村は攻撃の手を休めず踏み込み、体当たりで静間の体を弾き飛ばした。 右肩に突き刺さった刃も折れる。 「絶対に独立する! 俺のラーメンを、世界に認めさせる!」 「……」 虚ろな意識で、静間は河の外に弾き出された事を知った。武器にできる血液は、もはやない。 「絶対独立」 「絶対、独立……!!」 新たな仮想麺が形成される。 無数の弾丸を体に受け、内臓の『増殖』による負荷を背負い、そして斬撃で動脈を断ち切られながら。 壊滅した体内厨房を限界以上に稼働させながらも。 ――絶対独立。その言葉だけで、有村大樹という男は前に進むことができる。 静間千景は顔を上げて、ゆっくりと近づく死を見た。 それと同時、横合いから差し込まれた蹴りが、有村の左腕を砕いていた。 ◆ 「……静間千景!」 有村へ繰り出した蹴りの余韻を殺さぬまま、空中を蹴って方向を転換する。 この環境における静間の能力の脅威を、早見歩は正確に認識している。 無限に武器と鎧を作り出すことのできる『ガラス化』の能力。 自身の負傷も深い。敵に時間を与えれば与えるほど、戦力差は開いていく一方であると。 「あたしは……あたしは、走りたいッス! もう一回、生き返って……!!」 今でも。死んだ今でも鮮明に、頭に思い浮かべることができる。 例えば、自分に期待を寄せてくれた、陸上部の先輩たちを。 ランニングコースでいつも出会った犬の成長を。 体力はなくても、いつでも自分についてきてくれた……幼馴染の少女の笑顔を。 「だから」 ふわりと落下する感覚を経て……空を蹴り加速する。 風も光もない地獄にあって、重力だけは変わらないのだと知った。 「だから――!」 静間は立ち上がった。河に走り出す。 遅い。3秒、いや2秒。その前に仕留める。確実に。 先ほどの一撃で有村の動きを止めた。ガラス化すべき血液は静間の周囲にない。 そして、早い。 この高度からなら、自分の蹴りの方が――早い!! 「う……りゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――っ!!」 しかし高速で走る思考は、そこで気づいた。 静間千景は走りながら右腕の先端を、早見の方へと向けている。 ……何故? 少女の唇が紡いだ解答は、短い一言だった。 「――『解除』」 右腕の切断面を覆うガラスが消え、勢い良く血液が噴き出した。 細い血流は次の瞬間、その形状のままガラスへと変じ―― ―― 早見は墜落した。 一拍の間をおいて、どさり、と、重いなにかが目の前に落ちた。 「ああ……」 「あなたの能力は」 落ちたものは早見自身の右脚だった。 その様を横目で見て、静間は淡々と言葉を紡ぐ。 「もう使えない。私の右腕もぐちゃぐちゃになってしまったけど。 でも、腕と脚だから……ふふ、価値は同じくらいかな」 紙一重の危機に対して何の感慨すら感じていない、そんな口調だった。 早見歩は自分自身の加速力で刃に飛び込んだ。 周囲のどこにも武器がなくとも、自分の血は武器にできる。 蹴りの威力は大幅に減じ、よって静間の犠牲は右上腕一本で済んだ。 そして『グラスコフィン』のような止血手段を持たない以上……早見の命自体も、長くはないだろう。 「……残っているのはあなただけよ。有村大樹」 虚無的な目を巡らせた先にはまだ、気力を失わずに立ち上がる一人の男の姿がある。 ◆ 「お前を倒すラーメンについて、考えていた」 「……。その両腕の傷で、剣が握れるの?」 有村の右肩には、先程の交錯でガラスの刃が突き刺さったままだ。 加えて早見の蹴りの直撃を受けた左腕は、骨が飛び出し捻れて食い込んでおり、想像以上の酷い有様であった。 (腕がなければ能力は使えない。腕で『剣』を握ることが能力の条件なら、それで間違っていないはず。 なら、次は何をしてくる……) 「生前の俺なら、腕を『増殖』させる……みたいな、無茶なオリジナルラーメンを作ったのかもな。 それは間違っていたことを知った。ラーメンの歪んだ行使は、必ずどこかにひずみを生む」 その時有村の脳裏に去来したのは、店長の……杉田巌の教えであったかもしれない。 あるいは、相棒のラーメン妖精、ミル彦との日々であっただろうか。 「高い。本当に高い授業料だった」 「……いい思い出があるのね。少し、羨ましいかな」 「お前は随分の間、ラーメンを食べたことがないだろう」 唐突な一言だった。 静間は目を丸くして、有村の意図を探った。 「さっき自分でそう言っていた。何かの病気か? なら尚更、そんな客に、不出来なオリジナルラーメンを提供する訳にはいかない」 震える腕を無理矢理に動かして、腕組みらしき体勢で構える。 ラーメン野郎は、《起源》に連なる《偉大なる知性》――空飛ぶスパゲッティ・モンスターに仕える神官である。 バンダナを模して頭に巻いたタオルと、腕組みの基本戦闘態勢は、向かい風に向かって立つ海賊の姿を模したものであったという。 海の属性は『魚介』。そして『塩』。神の力を借り……秘術を行使する。それがラーメン野郎。 「根拠はないが。今ならかつてない一杯を、作ることができる」 にい、と、無愛想に笑う。 トライ・グラマトン――『極』『旨』『男』。 一つの味を『極』めたラーメンは『旨』さの高みに達する。それが『男』のラーメン。 あの時のような。現世で死したあの時ではない。ミル彦を失ったあの時のようにでは、断じてない。 かつて無心に――あの渋谷109を切断した、あの時のような。 ただ感謝の『一杯』だけを、この少女に提供するために。 「……っ、私には……」 目を閉じて、少女は覚悟を決したようであった。 「私にそんなものは、分からない……!」 「分からせてやる」 走り、そして残る左腕で有村を直接ガラス化する意図であろう。 間に合うかどうかも分からないが、自分の力でできる限りのラーメンを、無心に作る他ない。 『味の乱れは宇宙の乱れ』。これは誰の言葉であったか。 体中の耐え難い激痛を耐えながらも、有村大樹は迎え撃った。 右腕でも左腕でもない。その口に咥えた剣が、琥珀色に輝き。 「vopal――」 静間の拳は、有村の右肩に突き刺さった刃に直撃し、体内深くに食い込ませた。 間に合わぬ――と見えた瞬間。 「うっ……ぐ!?」 飛来した『脚』が腰部に直撃し、静間の体勢を揺らがせていた。 それは切断された右脚である。 (……早見歩) 敵の名が浮かぶ。 どのような対象でも、どのような状況であっても、脚に触れたものを『蹴る』魔人能力。 それは仮に、切断された後であっても……地を『蹴った』反動で。 「アァァァァァ………リヤァァァッ、シタァァァァァァァ――――ッ!!!」 感謝の咆哮と共に繰り出すのは、有村大樹最高の一杯。 純粋な『切断』概念そのものを極限にまで『増殖』させた《無敵ラーメン(極)》は…… 静間千景の胴を両断し、地平を切り裂き、天空の彼方まで――地獄の世界を、分断した。 ◆ 「早見」 恐らく、体内厨房がメルトダウンを起こしているのであろう。 壊滅した血の池地獄の中。全身に熱を感じながら、有村は早見歩の体に向かって歩いた。 「決着を……つける、ぞ」 片脚を失った少女の姿は、翼をもぎ取られた鳥に似て無残に見えた。 呼びかけに答えはない。 あるいは先刻、静間に片脚を切断された時点で……もはや走ることができなくなった、その時点で。 早見歩という存在は、死んでいたのかもしれなかった。 「……」 唐突に、有村は胸を押さえた。 体が動かない。何かが決壊している、という感覚があった。 右腕を見ると、すでに有村のそれは冷たい氷像のように変じている。 ガラス化。 「静間……? どこだ。一体どこで、仕掛けた……?」 静間がこの体に直接触れることは、1秒たりともなかったはずだ。先程の交錯でも、右肩に突き刺さった刃のみを。 ……刃? (そういう事、なのか) 例えば早見がそうしたように、切り落とされた四肢から有村の肉体に能力が伝播しているとしたら? 最初に有村が切り落とした、静間の右腕の一部。それをあの折れた刃の中に埋め込んでいたとしたら? 先の交錯で接触を狙わず、刃を深く埋め込んだのは……有村の体内で継続して『接触』させるためだとしたら? 右腕自体をもガラス化すれば、それを同じく透明なガラスに塗り込めても、外見からは判別がつかないのではないか? 「……ガラスは電気を通さない」 切り離された上半身が、言葉を発した。 切断面をガラス化して止血をしているのだろう。有村にもそれくらいは分かる。 あと十数秒の余命もないと思われる上半身のみで。 なお彼女の能力を維持せしめるものは、如何なる執念の力なのだろうか。 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 「首の後ろ……脳に繋がる脊髄の痛覚神経を最初からガラス化している。 最初から私はダメージを感じていない。死ぬまで」 おそろしく明瞭な声で、言った。 「……これが私の戦い方なんだと思う。 私には、あなたのようなものはなにもない。経験も、技量も、きっと覚悟すらもないから」 ――死、すらも。 「ミル彦。俺は。なあ、俺は、絶対に独立するぜ……。絶対に」 「……。あなたは本当に……」 「絶、対……独……立……」 「ラーメン狂いの……大馬鹿野郎なんだね」 ガシャリ、と音を立てて、冷たい像は地獄に伏した。 何か言うべきことがあったのかもしれない。と、静間は思う。 腹の底に感じる、わずかな暖かさ。 彼の戦いに殺意はなかった。今になって何故か、そう思えた。 「……ラーメン」 その言葉は、もう有村に届くことはないと知って。 「ラーメン、美味しかった。ごちそう……さま」 瞳を閉じると、なぜか暖かな涙が溢れた。 涙の味はほんの少しだけ、魚介と塩のスープに似ていた。 <了>
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鉄筋コンクリートビルの死体が空を狭める。 この東京は文字通り死都、すでに街としての機能が死んだ街なのだ。 ここに残されたものはかつての虚しい栄華だけだ。 長身痩躯の身体に法衣を思わせる青い衣をまとわせ、女性と見間違えるほどの美貌、眼帯を身につけた隻眼すら幻想的な姿を演出していた。 そんな美青年、揚羽は前人類の滅びを眺めていた。 「さて、殺し合いと来たものか」 この大地を今は失われた圧倒的な科学によって支配した名残だ。 大いなる禍が起こり、大地と文明は白紙に戻された。 それでも人類は死滅せず、再び文明の炎を灯している。 さながら、死してしまった歴史をなぞるようにして。 「意味なく人を斬る気にはなれんが……」 揚羽は誇り高き砂漠の青い貴族。 『生命を賭けられるほどの女』と目している女性のために殺し合いに乗ってもいい。 運命の恋人かもしれない女――更紗のためならば、自らの身体を穢しても良い。 しかし、それはあくまで自らの人生を捧げても良いと思える相手が居てこその話だ。 更紗の所在が定かではないのならば、『一も二もなく殺し合いに乗る』という選択肢を取ろうとは思わなかった。 『殺し合いをしろ』という命令口調もまた揚羽の反感を買っていた。 「タイムリミットまでは丸三日以上残っている……なに、焦る必要はないか」 揚羽の手元には一本の直刀が握られている。 七星剣と呼ばれるその剣は北斗七星が意匠され、破邪や鎮護の力が宿るとされた神剣である。 使い慣れた刃物ではないが、徒手空拳よりは幾分もマシと揚羽は判断した。 とにかく動きまわり、乗るか反るかは後ほどに判断すれば良い。 「……ふぅ」 死を間近に感じつつ、考えることは一人の少女のこと。 運命の子の幻想を抱いて走り続けるしかない、哀れな少女。 その前を向いて走り続ける姿に、揚羽は儚い美しさを感じた。 同時に、その瞳に惹かれた。 『運命の恋人』かもしれないと、本気で思った。 「……命をかけるのならば、お前に捧げたいものだな」 揚羽はそう言葉を漏らす。 ただ、生きるのでは。 ただ、愛されるだけでは。 己がなければ、生きるのは哀しい。 「フフフ……」 そんな瞬間、笑い声が遠方から響いた。 揚羽は笑い声の方角へと注意を向ける。 そこには一人の男が居た。 服越しにもわかる隆々とした肉体。 男には似つかわしくない長髪。 刃のように鋭い視線。 「力こそが正義……良い時代になったものだ。 弱ければ奪われるしかない……生命すらもな!」 その男は、南斗孤鷲拳の伝承者。 殉星のシン。 「南斗六聖拳が一、このシンの拳を喰らうが良い!」 人智を超えたスピードで揚羽へと迫り来るシン。 しかし、揚羽は動揺を一切示さずに手に持った七星剣を真一文字に振るう。 揚羽は積極的に殺し合いに乗るつもりはない。 だが、襲い来る相手に容赦をするつもりもないのだ。 「ハッ!」 「南斗獄屠拳!」 両者は裂帛の気合とともに必殺の一撃が繰り出した。 揚羽の一刀と、シンの南斗孤鷲拳が交錯する。 シンのすれ違いざまに繰り出される目にも留まらぬ斬撃拳。 「ッ……!」 シンの放った南斗獄屠拳によって、揚羽はその痩躯には少々大きな衣が切り裂かれる。 揚羽の細いうなじが、白い脇腹が、なめらかな太腿がわずかに露出される。 そして、彩るように深紅の血がその肉体を滑るように動いていた。 「……ほう」 しかし、シンもまた自身の肩にかけた毛皮の装飾が施されたマントを切り落とされていた。 シンの南斗獄屠拳は揚羽の身体に幾つもの切り傷を与えたように、 迎撃の回避を念頭に置いた様子見の一撃ではあったが、必殺の意思は込められていた。 「このサザンクロスのKINGに一撃を入れるとはな」 シンは自身の一撃を避けたばかりか、シンへと反撃を行なってきた揚羽に称賛の意を込めて言葉を発した。 もっとも、その称賛は大人が子供を褒めるかのような傲慢な言葉であったが。 「南十字星の王様とは大層な名前だな……生き残った先に、お前はなにをするつもりだ?」 七星剣を構えながらも、揚羽はシンへと問いかける。 会話を行ううちに作戦を練る魂胆だった。 なにせ、剣と拳という差がありながらも、腕前はシンが上。 一騎当千の言葉にふさわしいシンと戦うのならば知恵が必要だった。 「……力を高めるのみ。北斗の星に負けぬほど、強くな」 「自分のことばかりだな、虚しい奴め。お前とは気が合わんだろうな」 「他者は俺の糧となるべきだ……俺は、戦うのみ! ただ、南斗の空に輝く宿星のために!」 その言葉で揚羽は確信した。 シンは更紗の敵となる。 己のことしか考えないシンは、穏やかな国を作らんとする運命の子の障害となる。 ならば、揚羽のするべき事は、成したいと感じたことはなんだ? 当然、シンの排除である。 「フンッ!」 揚羽は剣撃の間合いを維持しながら攻めこんでいく。 揚羽がシンに対して確実に優っている部分はリーチだ。 剣と拳の間合いの差を活かすことが勝利への鍵となる。 「太刀筋は見事だが……甘いわ!」 しかし、シンは空を飛ぶ鳥を思わせる素早い動きで揚羽の斬撃を躱す。 一流の太刀筋を放った揚羽の攻撃を見切っていた。 「南斗獄殺拳!」 そして、躱し際に一撃。 シンの高く蹴りあげた脚が、眼帯の施されたために死角となった揚羽の左顔面を襲う。 「ッ……!」 揚羽は僅かにスウェーを行い、直撃を免れる。 つまり、必殺の一撃を放たれたというピンチが必殺の一撃を放てるというチャンスへと変わった。 攻撃の直後には当然隙が生まれるからだ。 「ヌゥ!」 揚羽の刃がシンの太腿を貫く。 シンは呻き声を上げて後ろへと飛び退った。 そのまま揚羽は前方へと素早く駆け出し追撃を行う。 一瞬の隙を生み、シンに傷をつけた。 ならば、ここは畳み掛ける場面なのだ。 「ハァッ!」 揚羽の必殺の袈裟斬り。 シンの肩口から脇腹へと向かって切り捨てる必殺の一刀だ。 これが直撃すればシンの命は刈り取られる。 「なんの!」 その必殺の一撃に対してシンが取った行動は前進。 グサリと肩の肉に刃が食い込む。 しかし、致命的な一撃ではない。 シンの瞬発力による間合いの詰めが、揚羽の必殺の一撃を狂わせたのだ。 「獄葬十字拳!」 そして、距離を詰めたシンが揚羽へと闘気を纏った貫手を放つ。 至近距離で放たれる連続突きはリーチのメリットをそっくりそのまま逆転させる。 将門の刀も普遍的な太刀だ、この間合では満足な効果を発揮しない。 「カッ……!?」 揚羽の肉体に南斗孤鷲拳の貫手が突き刺さる。 南斗聖拳一○八派はそれぞれが特徴を持っているが、共通点が一つ存在する。 それはすなわち、四肢を刃へと変える拳法だということ。 普通の拳法家の貫手ならば肉に食い込むだけの攻撃。 だが、南斗聖拳の使い手の貫手となれば内臓器を破壊する必殺の一撃となる。 「クッ……」 獄葬十字拳が揚羽の心臓と二つの肺を貫いた。 ひび割れのコンクリート地面へと、揚羽は膝をつく。 揚羽の生命が尽きる瞬間だった。 「……チッ」 揚羽は舌打ちを漏らしながら大地を抱擁する。 身体を動かす気力が湧いてこない。 ただ、その隻眼でシンの瞳を見つめる。 「……なんて目をしてやがる」 力こそが正義、そう言い放ったシン。 だが、その瞳は哀しみに染まっていた。 まるで、鏡写しのように。 なくなった左目がそこにあるように、悲哀と愛憎が写っていた。 ◆ ◆ ◆ ―――自分のことばかりだな、虚しい奴め。 「富も名誉も……虚しいだけだった」 葬った男の言葉がシンの胸を抉る。 虚しい、何もかもが虚しかった。 ユリアが自分のすべてを否定したその瞬間から、シンにはなにも失くなったのだ。 「俺が欲しいものは富でも権力でもない……」 世紀末の世界に築いた自らの王国、サザンクロスに築いた全ては空虚なものだった。 シンにはサザンクロスは単なる虚飾の都市に過ぎない。 「ユリアだ!」 シンにはもはや、ユリアの生命と南斗孤鷲拳しか残っていない。 ユリアの生命を守るために、南斗孤鷲拳を磨き続けるしかないのだ。 「例えユリアが俺を愛さずとも……北斗の暴凶星に殺されてしまうというのならば!」 鉄を切り裂くその拳で七星剣を破壊する。 通常の人間の域を超えた拳。 しかし、それでもシンの拳は弱い。 「力が欲しい、北斗の覇王すらも超える力が……ユリアの命を守る力が!」 どれだけ磨いても世紀末覇王に劣る、自身の拳。 それでもその拳を磨き続けるしかない。 破損した七星剣のように、北斗を屠るその時まで。 【揚羽@BASARA 死亡】 【豊島区/一日目・深夜】 【シン@北斗の拳】 [状態]:右肩に裂傷、太腿に刺傷 [装備]:なし [道具]:基本支給品×2、シンの不明支給品1~3、揚羽の不明支給品0~2 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いに乗る。 1:力が欲しい。 時系列順で読む Back 覇道の果てに Next 中立の人間 投下順で読む Back 覇道の果てに Next 中立の人間 ゲームスタート 揚羽 GAME OVER シン [[]]
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「俺はここにいるぞーーー!!!」 ◆wKs3a28q6Qことピザの1号がその叫びを聞いたのは、ハンバーグラーから逃げて森へ入った時だった。 これと言って特徴の無い声だが、自分には分かる。あれは◆ZhOaCEIpb2こと、 1からの2号の声だ。 その直後、叫びが聞こえた方角から今度は爆発音。 これと言って特徴の無い爆発音だが、自分には分かる。 あれは我らがAAAに於ける最強奥義、『トライエース』によるものだと。 「そうか…先輩…拡声器を…」 走りながら呟く。全てを悟った。 1からの2号が拡声器を使った。それがどんな意味なのか、パロロワ書き手ならばすぐに分かる。 きっと、 1からの2号はもう…。 そこまで考えた所で、ようやく彼はもう逃げなくていい事に気付く。 ピザの1号はその場に座り込んだ。 少し太り気味な上運動不足がたたり、彼の体力は決してある方では無い。 座ると少し落ち着いた。そこでようやく未だ支給品を確認していない事を思い出す。 ロワでは支給品が明暗を分けるなんて常識なのに、この期に及んでそんな重要な事を忘れるとは。 (拡声器が先輩の手に渡ったとしたら、このデイパックには何が…?) ピザ1号(めんどいのでここから省略)はデイパックを逆さにして支給品を出した。 その中身は…。 『同人誌』『同人誌』『同人誌』 「………」 ピザ1号はガッカリして頭を垂れる。 何それ。同人誌三冊って。 これらの同人誌は、すべて自ロワで出された同人誌と同じ物だった。 ていうか、一つのロワで三冊も同人誌が出るってどうよ。しかもその内二冊は腐女子向けだし。 外れアイテムを引かされたキャラの気持ちがこれほど理解できたことは無かった。 ごめんよ自ロワのキャラ達、今までこんなアイテムを支給して…。 「こんなんで、一体これからどうしろと言うんだ…」 目標は目立つことだが、同人誌三冊でどうやって目立てばいいんだ。 いっその事腐女子向け同人誌でオナるというパロロワ史上最も愚かな行為を狙うか…いやそれはさすがにマズイだろ人として…。 精神的にもダメージを受けたピザ1号を、急激に疲労が襲う。 半ば自暴自棄になっていた彼は、そのままその疲労に身を任せた。 ――――ピザ! …ん?誰だ、俺を呼ぶのは…。 ――――目を覚ませ!ピザ! ちょっと、いくら何でもピザピザ失礼でしょ。 俺はふくよかってだけで、ピザでは…。 ――――自分で名乗ってただろ!ピザの1号! 「はっ!?俺は一体…!?」 目を開けると、そこには金髪のツインテールの女が立っていた。 ああ、この人は確か、自ロワで殺害数単独二位の活躍をしているのに登場話数が生存者中最下位で空気扱いされているあの…! 「気付いたか、ピザの1号!」 そう言ってこっちを見るその人物。見た目は自ロワの参加者だが、俺には分かる。 「◆Zp1p5F0JNw、空気の人…」 そう、彼(彼女?)は絶賛過疎中のAAAロワで空気扱いされているキャラを優先的に書き、ロワの進行を影で支える書き手。 ◆Zp1p5F0JNw、通称空気の人(さっき知ったけど)! 「あんたが現れたって事は…」 「そう、お前はこの書き手ロワにおける空気キャラ!だから私はお前を『書き』に来たッ!」 俺が空気…。 まあ、仕方がないか…。AAAロワの知名度的に…。 そもそも何で我らAAAロワ書き手がこのロワに参加できたかが疑問なのだ。 他は漫画、ギャルゲ、アニ、アニ2、ライダー…。今を輝く盛況ロワから、最終回まで突っ走った完結ロワ。 分かっている。どう考えたって、俺達は浮いている。 俺達はいわば強キャラの中に放り込まれた一般人キャラ。その上空気とくれば、自分の役割なんて一つしかない。 噛ませ犬。ズガン。これがバトルロワイアルというものだ。 どうせロクな扱いはされないだろう。 「さあ、ピザ1号。いつまで空気でいるつもりだ。早く現実に戻って目立つ準備をするんだ!」 「…いいんだ、もう」 「何だと?」 「いいんだよ。俺は過疎ロワですら毎回毎回予約キャラがかぶって、書けるキャラを失っているダメ書き手だ。 こんな俺がこの面子の中で目立とうだなんて、嘉門先生もビックリさ…」 そうだ。もういいんだ。 拡声器も先輩が発動させた。少なくとも、AAAの書き手を目立たせるという最低目標は達成したんだ。 俺がすべき事なんて、もう何もない。 「…失望の極みだ、◆wKs3a28q6Q!今のお前は『書く』価値も無いッ!」 突如空気の人が怒鳴る。 「目立てなさそうだから生を諦めるだと!?お前は、そんな理由で殺されたキャラの気持ちが分かるのか!? パロロワに参加させられたキャラが、生を渇望していたキャラ達が、そんな下らない事で死んで納得いくと思うか!」 「でもネタ無いからって自殺したキャラもいるし」 「黙れ!」 ピザ1号の反論をシャットアウトしてなおも空気の人は叫んだ。 「予約かぶり?書けるキャラがいない?それが何だ!私なぞ、自ロワの参加作品なんて一作しかクリアしてないし、持ってないぞ!」 「え…マジで?」 空気の人の突然の発言にピザ1号は固まる。 「いやいやマジマジ。だからクレスの初登場話も『こいつ駄洒落言うのか…じゃあ適当に駄洒落でも言わせとけばいいか』という発想で書いたのだ」 「ええー…」 「そんな状態の私が未だ書き手を続けているのに、お前は何だ!?恥ずかしくないのか!?」 いや、そんなので威張られても…つうか、それ書き手としてダメだろ。 「空気の人の言う通りだ」 ピザ1号の背後から聞き覚えのある声がする。 髪をリーゼントにしたヤンキー風の男、しかしこれと言って特徴のない顔。 先程まで自分を背負ってくれて、そして拡声器を発動させたはずの偉大な先輩。 「 1からの2号先輩…」 「ピザの1号よ!お前のロワに対する熱情はその程度なのか!?お前にAAAロワを託した俺の気持ちを踏みにじるのか!? 過疎という理由で、盛況ロワの前に屈するのか!?」 「そ、それは…」 1からの2号がピザ1号の右肩に手を置く。 「ピザの1号!年が明ける瞬間、お前はどこにいた?」 「…AAAロワスレに張り付いていました」 今度は空気の人が左肩に手を置く。 「ラジオツアーが来た時、お前は何をしていた?」 「…ラジオ直前に作品を投下しました」 今度は 1からの2号と空気の人が同時に問いかける。 「「受験を控えた一週間前、お前は何をしていた!?」」 「…ロワを書いていました!」 「「自ロワを愛しているか!?」」 「愛している!この思いは誰にも負けない!」 「「そうだ!それでいい!」」 そうだ。俺の自ロワに対する思い!自ロワに対する情熱!完結への意欲! 盛況ロワの書き手でも、過疎ロワの書き手でも、自ロワへの愛にレベル差は無い! 目立つ事だけを考えていて忘れてしまっていた。初めてロワを書いた時の初心という物を。 「…どうやら、もう私の出る幕は無いようだ。お前は立派に空気を脱出した。ここからは、お前がお前自身の物語を紡いでいくんだ」 空気の人が肩から手を離す。 「これからのAAAロワは任せた。俺達の情熱を受け取って、必ずや完結まで駆け抜けてくれ」 続いて、 1からの2号も手を離した。 それと同時に、ピザ1号の視界が白に埋め尽くされていく。 「先輩…ッ、空気の人…ッ」 二人に何か言いたい。けれど、何故か声を発する事が出来なかった。 だが消えゆく二人を見て口を動かす。自分達の心が一つなら、言うべき事も同じはずだ。 「「「トライア様、万歳…ッ」」」 ピザ1号が目を覚ます。そこにはただ森が広がるのみ。 「…夢、か?」 今のは一体?夢だったのか?それにしてはハッキリと覚えている。 だが夢であろうと何であろうと、自分の情熱に再び火が灯ったは事実だった。 (拡声器を発動させた先輩…それと一緒にいたって事は空気の人も…恐らく…) だが悲しまない。 自分にはすべき事があった。いなくなった二人の書き手の分まで、自分達が動かなければならないのだ。 足下に落ちていた同人誌を手に取る。 これは、自分たちのロワがここに存在する証だ。 「俺達のロワは、確かにここにある」 誰に言う訳でもなく、ピザ1号は静かに呟いた。 【黎明】【C-8 森】 【ピザの1号(◆wKs3a28q6Q)@AAAロワ】 【状態】地味に決意 【装備】ない 【所持品】不明 【思考・行動】 1・目立つ! 2・そのためにも活躍して生き残る! 3・脱出してロワを完結させる! 064 首狩り女と不死者 投下順に読む 066 ウルトラミキサー 062 バトルマスター 時系列順に読む 067 嵐を呼ぶカオス 027 とりあえずこれからは卑屈っぽく見えないように『過疎ロワ』のことを高貴っぽく『カソリーヌ』って呼ぼう ピザの1号(◆wKs3a28q6Q) 095 前門の虎。後門の狼。そして……
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「クリア!クリア!クリア!」 【名前】 恐竜鬼 【読み方】 きょうりゅうき 【声】 湊竜也 【登場作品】 暴太郎戦隊ドンブラザーズ 【登場話】 ドン16話「やみおちジロウ」 【分類】 ヒトツ鬼 【憑依された人間】 ゲーマーの若者 【欲望】 ゲームを圧倒的にクリアする 【素体】 ベニツ鬼 【モデル】 恐竜モデル 【スキン】 時をかける化石 【蟾ィ螟ァ蛹】 恐竜鬼ング 【ドロップ】 ジュウレンジャーギア 【文字化け】 諱千ォ懈姶髫 【むかしむかし…】 若者はコメントも気にせず自由にゲームをプレイしていたそうな… 【モチーフ】 化石、鬼 【名前の由来】 恐竜戦隊ジュウレンジャー+鬼 【詳細】 「ゲームを圧倒的にクリアする」という願望を抱くゲーマーの若者から生まれた恐竜モデルのヒトツ鬼。 錆びついた鉄を思わせる色合いの様々な古生物の化石が組み合わさった「時をかける化石」スキンを纏って実体化したヒトツ鬼。 頭部はティラノサウルス、胸部はトリケラトプス、右肩はサーベルタイガー、左肩にプテラノドン、背中にはマンモスの頭蓋骨が確認できる。 アーマーは古代文字のような装飾が刻まれた金色の縁取りがされており、さながらトロフィーを額縁に収めたような見た目をしている。 ゲームクリアの証、あるいはゲーム大会の商品としてとして送られる表彰楯のイメージだろうか。 このヒトツ鬼は人を超えたゲーム攻略の鬼となり、ダイノ大人ながら欲望のままにどんどんとゲームに熱中していく。 実体化しモンスター化することで伝説のハウリングビームで街の人々を完全クリアしていった。 「むかしむかし…」にも書かれているようにゲーマーの若者は周りの評価を気にせずゲームを楽しんでいたが、動画サイトを使ったゲームのプレイ動画を配信するようになってから歯車が狂ったのか、コメントを気にするあまりキー操作がはかどらず配信に寄せられるコメントは辛辣なものばかり。 ついに限界を迎えたことでモンスター化した。 【余談】 モチーフとなったのは「恐竜戦隊ジュウレンジャー」。
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ブルデュエルガンダム 出典:【機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER】 形式番号:GAT-X1022 所属:地球連合軍 全長:16.89m 重量:84.24t 盾:ある(対ビームシールド)変形:ない 換装:ない 抜刀:ある 連ジコスト:300 連ジ耐久力:600 連ザコスト:450 連ザ耐久力:650 GvsGコスト:2000 装甲材質:ヴァリアブルフェイズシフト装甲 DP:ミューディー・ホルクロフト 更新情報・・・2009年11月15日 新設。 2022年8月17日 画像をアップ。 装備は一部デュエルガンダムとは違うし、連ジとガンガンコストが違う。盾は右肩から防ぐ。 ただし、デュエルガンダム・アサルドシュラウドの時とは違って、アーマーパージアタックはない。 ■射撃 メイン射撃【リトラクタブルビームガン】 弾数:12 リロード:2発につき5秒(オート)ダメージ:90 両腕から撃つ2丁拳銃。 メインCS【スコルピオン機動レールガン】 チャージ:1.4秒 ダメージ:150 ASよりも若干威力がやや高くなっている。 サブ射撃【バルカン「トーデスシュレッケン」】 弾数:60 リロード:全弾6秒(打ち切り式)ダメージ:1発につき5 特殊射撃【スティレット投擲噴進対装甲貫入弾】 弾数:3 リロード:特殊(戻るまで)ダメージ:20×3=60 左肩にあるクナイを取り出して、3本一斉に投げる。 ■格闘【ビームサーベル】※格闘体勢に入ると、両足からサーベルを取り出す。 Nメイン格闘【裂袈斬り→振り下ろす】 ダメージ:50×4=200 前メイン格闘【シールドタックル→薙ぎ払い】 ダメージ:50×3=150(盾がない時は50+50=100) 横メイン格闘【横斬り→返し→回し蹴り】 ダメージ:50×4=200 後メイン格闘【打ち上げ斬り→ドロップキック】 ダメージ:50+50=100 特殊格闘【突進串刺し】 ダメージ:60 基本戦術 具体的には おすすめ精神コマンド おすすめアシストパートナー タッグと組むなら CPUとボス攻略
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【作品名】るろうに剣心 【名前】緋村剣心 【属性】剣士 【大きさ】小柄、150くらい 【攻撃力】斬鉄ができる。(逆刃の方では無理) 刃を返して木砲を真っ二つに切る。 天翔龍閃:超神速の抜刀術。 神速の自分でも速すぎて視認出来ない移動をする相手にも当てられる。 球状の真空を発生させるほど剣速が速く、 例え1撃目が外れても その真空に相手の体が引きこまれ2撃目の回避が困難になる。(射程2m前後) 4m程度の人の入った戦闘機械人形が上空十数mに浮いている気球に届くまで吹き飛ぶ威力。 【防御力】鍛えた達人並み。鎖で縛られて何度も地面に叩きつけられまくっても平然としている。 【素早さ】神速:相手が銃を出したことに気が付いた状態で、 4mほどの距離から撃たれた銃弾を刀の柄で受け止めた。 一流の剣士でも目で追うことの出来ない移動と斬撃速度。十数人を数秒で切り伏せる。 10数m先で十人の銃撃部隊が銃口を向けて構えた状態から、 引き金を引く暇を与えない速度で加速して距離を詰め、瞬時に5人を倒す。 また神速で突進しながら、一瞬で9つの斬撃を急所それぞれにほぼ同時に叩き込むことも可能。 作中で神速より遅いキャラ(番神)の反応: 4人の警官による4mぐらい先からの銃撃4発(右腰、左わき腹、右肩、左肩に向かって発射) に対して両手で手を動かしながら片手で二発ずつ弾いている。要するに同時に発射された 二発の弾丸の一発目を弾いた後もう一発が体に到達する前(10センチ手前くらい)にまた弾くことが それぞれの手で同時に可能な反応。(拳銃は明治の物なので秒速200m程度の弾速と思われる) 超々神速>超神速(不可視の壁)>神速>>上記の番神含むその他のキャラ 【特殊能力】常に相手の動きを先読みして行動できる。 【長所】神速の移動と反応。超神速の抜刀術。 【短所】刀が逆刃刀であること。防御力 131 :マロン名無しさん:2008/09/09(火) 14 35 08 ID ??? 緋村剣心考察 ○九頭龍もも子 天翔龍閃勝ち ×黄猿 レーザー負け 黄猿>緋村剣心>九頭龍もも子
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111 インヴォーク ◆QO671ROflA その男・魏志軍は、極端なまでに疲弊していた。 あの突飛な殺し合いの開幕宣言から数時間足らずの間にも、彼は数々の戦闘行為を繰り広げて来たのだ。 少なくともここまでの戦績としては上々と謂えよう。 現に彼はここまでに全参加者72人中2人の殺害に成功し、数多くの所持品の確保にも成功している。 尤も今日の朝方に流れた広川の《定時放送》によれば、魏が1人殺害した時点での死者数は16人であり、少なくとも15人が魏以外の何者かに殺されているのだが。 そんな魏も自身の本命にして憎き仇敵であるBK201こと《黒の死神》との遭遇は依然として果たせずにいた。 (今頃あの男は一体何処で何をしているのだろう。 このままでは黒の死神との遭遇以前に野垂れ死ぬかもしれない) 疲弊しきった魏志軍の脳裏に倦怠感にも似た不安が過った。 ■ 彼の第三の支給品にして先の戦闘で最大の戦力となった《水龍憑依ブラックマリン》なるこの指輪は、水と接する事で本領を発揮するらしい。 しかし魏の手元には、既に攻撃に転用出来るだけの飲料水など残っていなかった。 飲料水は大部分を飲み干し、その上、奪った飲料水の1つは容器ごと破裂してしまっている。 魏の契約能力“物質転送”の本質は「自傷行為」にある。 その自身の血液を媒介とした特殊な能力が故に、考えなしの無暗な契約能力の連続使用は出来ず、彼としてはこのブラックマリンを戦闘で重用する事を決めていた。 そうともなれば彼の目標は容易に定まる。 それは彼の脳裏を過った最も合理的なプランであり、疲弊を押し切り黒に対する執念が勝ったが故の判断。 一刻も早く水源を見つける事だった。 ■ 水源の発見は案外容易なものだった。 どうやらここは地図で見たF~H南部を流れる河川の下流に位置するらしい。 辺り一面には雑木林が生い茂り、まさに自らの位置情報のカモフラージュも可能な休養を取るには最適のスポットであり、同時に死角の多い奇襲を仕掛けるにも最適のスポットであった。 しかし、それは当然の事ながら逆のパターンも有り得る。 いくら水源付近と言えど、既に満身創痍同然の魏が他のゲーム賛同者と対峙したなら高確率で敗北。すなわち殺されるであろう。 ましてやその相手が《黒の死神》ならば、それこそ最も忌避すべき事態だ。 契約者・魏志軍はただただ途方に暮れる。 ひとまず辺り一面に生い茂る樹木に腰かけた魏は、ふと先の戦闘で手に入れたあの《黒の死神》に良く似た男の支給品らしき帝具に目をやる。 先の戦闘の様子から察するに、この帝具は能力研究所にあったワープ装置と同じような効果を持つのは間違いない。 使用用途さえ分かれば彼の契約能力とブラックマリンの特性上、最大の防具に変貌するだろう。 魏はその帝具に手をかける。 しかし何ら変化は現れなかった。やはりこの支給品の説明書が奪ったディバックから発見出来なかったのは痛かったようだ。 (この帝具が転移現象を引き起こす直前に紫を帯びた対極図が見えましたね……) 魏はその帝具シャンバラをスタンプを押すかのように空中で軽くプッシュする。 どうやら魏の読みは的中したらしい。 その場に滔々と浮かび上がった対極図はあの時視認した物に相違ない。 (これは一度セット出来ればこの対極図のポイントまで瞬間移動出来るのではないか) この魏の推測は、その直後から何度も繰り返された数多の実験で明確なものとなった。 ■ この瞬間転移の帝具の使用用途を理解した魏は歩みを進めた。 コンパスによる位置関係的にも、やはり現在位置は支給された地図に書かれている河川の下流と見て間違いない。 そうともなれば、この付近にはカジノがあるはずなのだ。 仮に進行方向が間違っていたとしてもこの付近はジュネス等の相当数の施設が密集している。 この転移帝具さえあれば、カジノ・もしくは他の施設で休養を取ったとしても、万に一つ敵に侵入された際にはさっきセットした水源の対極図のポイントまで瞬間転移すればいいのだ。 休養を取って万全のベストコンディションを整えた上で水源まで移動出来れば、たとえ相手が大人数だとしても彼には十二分に勝機はある。 魏は不釣り合いながらも、先の戦闘で疲労しきった右足を引き摺りながらカジノを目指した。 予想に反してカジノはすぐに見つかった。 寧ろこの短距離でカジノを発見出来た事は、シャンバラに長距離制限が設定されている事実など気付ける筈もない彼にとっては好都合なのかもしれない。 いざカジノの室内に入ると、そこには魏の想像していた光景とは全く異なり、賑やかさには欠ける物静かなアミューズメントエリアが奥へ奥へと広がっていた。 どうやら照明こそ付いているものの、デジタル系統のアミューズメント機器に電力は1つたりとも供給されていないらしい。 それ以前に、誰一人として他者がいない現状こそがこの不気味な空間に拍車をかけていた。 魏は少しずつ歩調を早めていく。 道中で発見したビリヤードのキューやダーツの矢など戦闘で使用出来そうな備品は全てディバックに詰めた。 ただでさえより殺傷能力の高い武器を欲する彼にとっては、有効価値のある物は何であろうと確保しておきたかったのだ。 ■ 長い1階の連絡通路の小径を駆け抜け、魏はようやくエレベーターを発見したが、どうやらこれにも電力は供給されていないらしい。 魏は溜息も吐きながらも、やもなく足を引き摺りながらも隣にあった階段を上る。 それ以外にも上の階に上がる方法はあったのだろうが、疲弊して思考が鈍っていようと曲がりなりにも“契約者”の端くれである魏は合理性を重んじたのだ。 ようやく辿り着いた2階は、1階以上の静けさの漂う謂わばスタッフルームのようだった。 ここでも魏に些細な幸運は訪れていた。 真っ先に魏の目に入ったのは「救護室」のプレートである。 彼は即座に救護室のドアノブに手をかける。 幸いにも能力研究所とは違い、鍵はかかっていないようだった。 尤も万が一鍵がかかっていても魏の契約能力を持ってすれば、この扉の破壊は容易そうであったが。 救護室内には運良く照明とその他の電気も供給されているらしく、更には簡易な医療器具と薬品が揃いに揃っていた。 所詮はカジノの備品だと思っていた魏だったが、自分の想像以上に充実する医療用のショーケースを目にし、若干ながらも感心した。 マフィアの幹部であった魏には当然ながら最低限の医療知識は備わっている。 薬品のショーケースをその場にあった懐中電灯で叩き割った魏は、数々の戦闘負った傷に応急処置を施していく。 (ここにある医療器具もおそらく今後の局面で役に立つかもしれませんね… 特にこの鎮痛剤は確保しておきたいところ) 魏は量こそ多くはないものの、1階の備品よろしく医療品を全てディバックに詰め込んだ。 大量に完備されていたビタミン剤を服用した魏は、救護室のベッドに寝そべり、今後の計画を練り始めた。 少なくともこの時、魏志軍はこのカジノこそが歴戦を勝ち抜いて来た対主催者達の集合場所となっていた事など知る由もない。 【H-7/カジノ2階救護室/1日目/午前】 【魏志軍@DAKER THAN BLACK‐黒の契約者-】 [状態]:疲労(大・回復中)、黒への屈辱、鎮痛剤・ビタミン剤服用済み、背中・腹部に一箇所の打撃(ダメージ 中・応急処置済み)、右肩に裂傷(中・応急処置済み)、右腕に傷(止血済み)、顔に火傷の痕 [装備]:DIOのナイフ×8@ジョジョの奇妙な冒険SC(魏志軍の支給品)、スタングレネード×1@現実(魏志軍の支給品)、水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る(魏志軍の支給品)、次元方陣シャンバラ@アカメが斬る(セリム・ブラッドレイの支給品)、黒妻綿流の拳銃@とある科学の超電磁砲(星空凛の支給品) [道具]:基本支給品×3(魏志軍・比企谷八幡・プロデューサー・一部欠損)、テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカード@とある科学の超電磁砲(比企谷八幡の支給品)、暗視双眼鏡@現実(比企谷八幡の支給品)、アーミーナイフ×1@現実(武器庫の武器)、ライフル@現実(武器庫の武器)、ライフルの予備弾×6(武器庫の武器)、パンの詰め合わせ@現実(プロデューサーの支給品)、流星核のペンダント@DAKER THAN BLACK(蘇芳・パブリチェンコの支給品)、参加者の何れかの携帯電話(蘇芳・パブリチェンコの支給品・改良型)、カマクラ@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(星空凛の支給品)、うんまい棒@魔法少女まどか☆マギカ(星空凛の支給品)、医療品@現実(カジノの備品)、鎮痛剤の錠剤@現実(カジノの備品)×5、ビタミン剤の錠剤@現実×12(カジノの備品)、ビリヤードのキュー@現実×6(カジノの備品)、ダーツの矢@現実×15(カジノの備品)、懐中電灯×1@現実(カジノの備品) [思考・行動] 基本方針:全ての参加者を殺害し、ゲームに優勝する 0:まずは全身の疲労を回復させる。万が一、休養中に攻撃を受けた場合はあらかじめセットした水源にシャンバラで移動する。 1:BK201(黒)の捜索。見つけ次第殺害する。 2:強力な武器の確保。最悪、他のゲーム賛同者と協力する事も視野に入れる。 3:合理的な判断を怠らず、少なくとも休養中の現在は消耗の激しい戦闘は絶対に避ける。 [備考] ※テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカードには回数制限があり、最大で使用できる回数は3回です(残り1回)。 ※上記のIDカードがキーロックとして効力を発揮するのは、ヘミソフィアの劇中に登場した“物質転送装置”のような「殺傷能力の無い機器」・「過度な防御性能を持たない機器」の2つに当てはまる機器に限られます。 ※暗視双眼鏡は、PSYCO-PASS1期10話で槙島聖護が使用したものです(魏はこれを暗視機能の無いごく一般的な双眼鏡と勘違いしている)。 ※スタンドの存在を参加者だと思っています ※閃光を放ったのは誰かは知りません。 ※シャンバラの説明書が紛失している為、人を転移させる謎の物体という認識です。 ※シャンバラは長距離転移が一日に一度で尚且つランダム。短距離だとエネルギー消耗が激しいですが、通常通りに使用できます。 ※ブラックマリン・シャンバラ共に適正を持ち合わせており、特に後者については出典元であるアカメが斬る!での所持者・シュラと同等の高い適正を誇っています。 ※シャンバラの大まかな使用用途を理解しました(長距離制限には気付いてない)。 ※あらかじめ水源付近(H7北部の河川)にシャンバラでマーキングを行っています。 時系列順で読む Back No brand people Next パラサイト・イヴ 投下順で読む Back ぼくのわたしのバトルロワイアル Next バラサイト・イヴ 101 間違われた男 魏志軍 133 汚れた指先で