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6 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2007/12/10(月) 22 09 15 朝日が、土蔵の窓から差し込んでいた。 ぼんやりと窓を見つめる。 ……そういえば、もうこの窓を開けておく必要って無いのか? 水銀燈はもう帰ってきたんだし。 それに……今の水銀燈には、あの窓はちょっと、手が届かないだろうから。 俺は、強張った身体を立ち上がらせると、ふらつきながらも窓枠に手を掛けた。 「……そうか」 ゆっくりと窓を閉めて、それから背後を振り返る。 「そういや、今日は日曜日だったっけ……」 それは、俺が水銀燈と出会ってから、一週間目の朝だった。 『銀剣物語 第七話 彼女を起こす100の方法』 振り返った先には、未だに眠り続ける水銀燈の姿があった。 結局、昨晩遅くに家に帰ってきてから、俺は一睡もせずに土蔵に篭っていた。 いつも通りの魔術の鍛錬……をやっていたのは最初のうちだけ。 水銀燈の事が気になってりゃ、鍛錬に集中できるわけがない。 これまでの反省、これからの思案。 そんなものが綯い交ぜになったまま、気がつけば一夜を過ごしていた。 「結局……水銀燈、目を覚まさなかったな」 振り向いた視線の先、土蔵の中央にしかれたシーツの上に、水銀燈は横たわっている。 教会を去ってから今に至るまで、水銀燈は一度も目を覚ましていない。 揺すっても、声をかけても、全く反応しないのだ。 薔薇乙女《ローゼンメイデン》は、夜中はトランクケースの中で睡眠を取る決まりだという。 ならば水銀燈は、今はただ寝ているだけで、朝になったらちゃんと目を覚ますかもしれない。 こうして朝まで起きていたのは、そのことを期待していたからでもあるのだが……結果として、俺の徹夜は徒労に終った。 水銀燈は、未だに目覚める気配が無い。 それはつまり、この眠りが通常の眠りとは別物だということの証明でもあった。 まぁ、そんなことが証明できてもなぁ、という気持ちがないわけじゃないが。 さて、朝になったからには、衛宮士郎にはやらなきゃならんことがある。 「……朝飯の準備、しないとな」 水銀燈が心配だからと言って、他の事を疎かには出来ない。 のんびりしていたら、朝から腹をすかせた家族たちが目覚めはじめてしまう。 そろそろ仕込にはほど良い時間だろう。 俺は相変わらずふらつく足取りで、なんとか土蔵の扉を押し開けた。 「お、おっととと……?」 やば、立ち眩みが……。 どうやら自分で思っていた以上に、身体に疲れが溜まっているらしい。 やれやれ、直射日光を浴びた途端にこれじゃあ、今日一日が思いやられるな……。 いまいち締まらない身体になんとか気合を入れて、俺は土蔵を離れて台所へと向かった。 その途中で―― α:道場からやってきたセイバーに声をかけられた。 β:台所へ向かう途中だった桜と出くわした。 γ:自分の部屋から出てきたライダーと出会った。 δ:寝ぼけ眼をこすりながら歩く雛苺を見かけた。
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愛のエプロン アイドレスWiKiの該当ページ 名称:愛のエプロン(アイテム) 要点:フワフワのフリル、白か淡いピンク、可愛い刺繍 周辺環境:台所 評価:なし 特殊: *愛のエプロンのアイテムカテゴリ = ,,,着用型アイテム。 *愛のエプロンの着用箇所 = ,,,体に着用するもの。 *愛のエプロンの形状 = ,,,前掛け。 *愛のエプロンの外見補正 = ,,,外見、評価+3、対象限定(エプロン萌えの相手)。 *愛のエプロンの調理補正 = ,,,(調理での)全判定、評価+3。 →次のアイドレス:・新妻(職業4)・後ろから抱きしめられる(イベント)・隠した拳銃(イベント)・亭主のことがわかる超能力(絶技) 補足:アイテムショップ コメント 愛なラブエプロン。恋人な時はこのエプロン、奥様になれば割烹着と着こなすのもいいかもしれない。(使わなくなった愛のエプロンは置いておき、娘が年頃になると贈るといいだろう) フリフリのフワフワエプロンのラブリィパワーで亭主もイチコロだ。
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チョウバエ撃退 浴槽、洗面台など、使わない時は必ず栓をする。 幼虫が発生しそうな場所には、毎日熱湯をかける。(自己責任) 熱湯をかけたら痛みそうな箇所には、台所用漂白剤を流し込む。 電子蚊取り器を毎日点けておく。 気休めにハーブまたはミント系の消臭剤を設置。 生ごみに発生するので三角コーナーを小まめに掃除する ごみの日まで日数がある場合生ごみは冷凍しておくと良い チョウバエ退治(自作編) 1、コンビニの弁当のフタにジュースなどをそそぐ。 2、フタより、ほんの少し大きく切ったアルミホイルで、ふんわりとフタをする。 こうするとアルミホイルとの隙間から小バエが入りますが、 再び飛び立とうとしてもアルミホイルに激突し、そのままジュースに落下、溺死されます。 ジュースの量は、アルミホイルがくっつかないように注意が必要です。 フタはあまり大きくない方が扱いやすかったです。 おまけ 「チョウバエ」で抽出 レス33件 有効そうなもの 212 名前:774号室の住人さん[sage] 投稿日:2005/10/03(月) 18 44 51 ID t4KQKSGH チョウバエ大量発生と聞くと書き込まずにいられないという病気。 もはや他人事とは思えないよ(T_T) 私は4階の部屋ですが、4月に引っ越してきて以来それはもうものすごい 量のチョウバエが・・・台所やユニットバスからわいていました。6~8月が ピークだったかな。一日17匹とか潰していました。もう台所へのドア開けるのも 億劫になるくらい、ノイローゼ気味でした。チョウバエは何するわけでもないんだけど、 ①壁にピトっと張り付いてる姿が絶キモイ②潰すのに妙な勇気の要るサイズをしてる ③必ず一度に複数匹出現する ってところが泣き所。 とにかく、奴らは配水管のスカム(=ゴミ)をエサにしているので、そこを 除去しない限り発生し続けます。「パイプユニッシュ」などで排水口という排水口を 徹底洗浄する。あと、使わないときは必ず排水口に栓をする。成虫の侵入を防ぎます。 栓のないものも、なにか細かいネットなどでふさぐとよいです。 熱湯は、幼虫を殺すのに いいですが、まずは掃除をしてみましょう! 他にも、蚊取り線香が効くとか、ハエとり紙もあわせて使うなどの技がありました。 過去の記事もぜひ見てみてくださいね!これから寒くなるにつれ数は減ります、 がんばりましょう! 310 名前:774号室の住人さん[] 投稿日:2005/10/24(月) 20 21 21 ID cq4Pu7G1 チョウバエバスターズのみんなー!!どうやって撃退してるんだー? あいつらバスマジックリン吹きかけると瞬時に溶けるぞ!そのあとシャワーで 流せば良い。かなりヤミツキになる。バスマジックリンは倍に薄めても効果あり。 それより1cmぐらいの糸状の黒いヤツらみかけないか?こいつらはカビキラーでも 死なないぞ。 321 名前:774号室の住人さん[sage] 投稿日:2005/10/26(水) 02 31 57 ID eTHUZAWX チョウバエの幼虫には熱湯。つか60度くらいで十分だけど・・・ 居そうな場所にはかけとくとよい。 チョウバエの幼虫は灰色~黒、3~9ミリ程度の糸状。 とにかく水分のある場所なら生息可。排水口のほか、湿った雑巾や風呂スポンジなどにも注意。 見つけたら生かして帰さないこと。メスの場合立派に成長した暁には、 一度に100個程度の卵を産みやがります。 351 名前:350[] 投稿日:2005/11/03(木) 22 53 19 ID rG7CiMuP 水回りの掃除したらチョウバエ発生源ハケーン。 食器の水切り籠だった。1ヶ月位水切り籠の掃除してなかったら 水切り籠の底に変な糸状の物体10個位発見。 最初生き物だと思ってなかったが水張って洗剤投入したらウネウネ動いてますた。 その時「あ、コレが奴の幼虫か」と直感。 速攻熱湯ブチ込んで全滅させた後排水溝にお帰り頂きました。 こんな所に食器置いてたかと思うとちょっと欝になったorz おまいらも水切り籠の掃除マメにしとけよ。 355 名前:774号室の住人さん[sage] 投稿日:2005/11/04(金) 18 51 36 ID raBN6X4Y チョウバエ10匹程度発生。風呂の床や壁にいらっしゃった。 いつもはネットでふさいである排水口のフタが微妙に浮いていたからかな。 もうこれは・・・お隣さんか上下の部屋か。どっか自分の手の届かんところで 発生しているんだろう。 チョウバエに悩むそこのあなた!排水口(風呂底や洗面台のも)には使っていないとき フタを忘れずに!成虫の侵入&出陣を防ぎます。 フタのないものはネット等で塞ぐべし。 623 名前:774号室の住人さん[] 投稿日:2006/05/14(日) 04 53 48 ID H2MGLa21 虫に一番効くのはベンジンです。化粧品の小型スプレーボトルに入れて使用します。 ゴキブリは即死です。 あと良く効くのが「ブレーキパーツクリーナー」です。 自動車整備に使用する物です、ホームセンターなどで入手できます。 バンバン吹いても、すぐ揮発するのであとの掃除が楽です。 ゴキブリ、カマドウマ、チョウバエ、ハエ、全て即死です。 もっとも有効な手段 パイプユニッシュ 熱湯 漂白剤 カビキラー(チョウバエキラー) ベンジン ブレーキパーツクリーナー チョウバエ画像(観覧注意!!) チョウバエ幼虫 チョウバエ成虫
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■アトラアトラ 野生の獣を射止めるほどの速さで矢を放つ弩。空き×2 その名はアステカ一帯で使われていた投槍器の総称。槍を引っ掛けやすいくぼみのついた棒状で、台所用品のお玉がイメージ的に近い。 ↑なにそのかわいい外見 他のものとは別の意味で弩ではない マウマウのオオユミを除けば1層で入手できる最強弩である。条件もさほど厳しくないのでバタビアをクリアできそうにもないならば、バリスタにはこちらを買い与えておきたい。 古いTRPGプレーヤーならアトゥルアトゥルと言えば分かるだろう。・・・え、わからん? あたらんあたらん…なんて考えてしまった ↑↑T Tですね。あれも武器が豊富だった アトラアトラを買うのは後だ後だ。byアトラス うつらうつら…という擬音を連想してしまうので空きスロットには睡眠追加を埋めた。実用性?イメージ優先さ! アハトアハトと勘違いしてしまった ↑敵戦車を木っ端微塵ですね アトラスアトラス ミトラスミトラス シトラスシトラス カトラスカトラス コメント
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カード名 Card Name 場所 コスト 点数 泥炭焼き場 Peat-charcoal Kiln - 石1 1 林務官舎 Forester s Lodge - 木1レンガ2 1 騎士の庭 Riding Stables 林務官舎の下 木2レンガ1葦1 3 馬肉処理場 Horse Slaughterhouse かまどの下 レンガ1石1 2 泥炭博物館 Museum of the Moors 泥炭焼き場の下 レンガ1葦1石1 3 高熱暖炉 Furnace レンガ暖炉の下 レンガ1石1 1 室内暖炉 Heating Stove 石の暖炉の下 レンガ2石1 1 村の教会 Village Church 井戸の下 木2石4 4 家具商 Furniture Stall 家具製作所の下 木1石1 2 陶器商 Ceramics Stall 製陶所の下 レンガ1石1 2 かご商 Basket Stall かご製作所の下 葦1石1 2 簡易台所 Cookhouse 調理場の下 レンガ6/かまどか調理場を返す 2
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しじみ本人じゃないだろ絶対www -- 名無しさん (2008-09-11 20 38 34) http //www.nicovideo.jp/watch/sm4595804 -- たんしお (2008-09-12 06 01 46) 動画取りクラン戦しようよ -- たんしお (2008-09-12 06 02 03) え!本当だべ!!もろかいたよ!つかFキョンs最近みないけどどうしたー? -- しじみ (2008-09-12 06 03 16) がちなのかwwww最近みないといわれても毎日はやってますお^^お台所はHPやらそんなのないんでしょうかwすいません撲ラジオや動画配信やってるものでw言ってませんでしたがwよろしくお願いします -- いんくにゃん (2008-09-13 06 15 40) 2chでゲーム実況プレイしかやったことないわー -- たんしお (2008-09-14 00 15 23) 名前 コメント
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285 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18 15 12 ID +StY7qvv 昔のドラマの主人公にオメダというあだ名のキャラクターが居た。 周りの奴らに「お前はダメだ」といわれ続け、「お前はダメだ」を略して「オメダ」というあだ名になったそうな。 はん。 まさに俺じゃねーか。 ジリリリリンと鳴った目覚まし時計を、止めると俺は万年床となっている布団から体を起こした。 時計を見ると午前十一時。 ……、んー、俺は確か八時にセットしてたはずなのにな……。どうやら、無意識のうちに止めまくってたみたいだ。 「ねみぃ……」 昨日遅くまで深夜ドラマ見てたからなぁ。NHKめ、なにもこんな深夜にアルフの再放送を5時近くまでやってんじゃねぇ。一話二〇分足らずだからつい次も見ちゃうんだよ。 寝癖だらけの頭をぼりぼりと掻いて立つ。部屋の畳に散らかったリモコンやゴミを押しのけて、窓まで歩いてカーテンを開く。頂点近く昇った太陽の陽で寝起きの瞳にはまぶしすぎる。 「……えーっと」 なんだっけな。俺、何で目覚ましなんてかけてたんだっけな? 「それは私を家に呼んだからじゃないの?」 「うわっ!!」 突然、背後から話しかけられて俺は思わず大声を出して飛び上がってしまった。途端ごつんとガラス窓に頭をぶつける。いてて。 「起きたかしら?」 「起きてますよっ。つーか、居るなら居るっていってくださいよ」 「居るわよ」 「今言わないでください!」 振り向けば、そこにはエプロン姿の眞子さんが立っていた。ゴミだらけの床の上も平然と長いニーソックスで踏み分けている。 こんな部屋で涼しい顔して仁王立ちしている姿はまるでゴミ溜めの中に咲く一輪の胡蝶蘭のようだ。胡蝶蘭がどんな花なのかは知らんが。 「いつから来てたんですか、眞子さん」 「その前に、その下着からはみ出してるものをしまってくれないかしら?」 眞子さんの冷たい視線が俺の股間あたりを直撃している。俺もそれにつられて視線を落とせば、まぁなんというか。トランクスにタンクトップという格好で寝ている俺が悪いんだな。見事にトランクスの裾から球体が覗いていた。 やっべぇ。視線が刺さってる! 「すいませんっ。眞子さん!」 「すぐにズボンでも履いてきたら?」 言われなくてもすぐしますっ! 俺は散らかっていた洗濯物の中からGパンを探しだすと、それをいそいそと履く。ついでに隣にあったシャツも掴んで着込む。一番したのボタンが外れてるけどいいだろ。 俺がきちんと着込んだのを見ると、眞子さんはやれやれといった風にため息をつくと、台所へ戻っていった。 そうだったなぁ。俺はようやく思い出す。今日は眞子さんが来るんだった。それでこの部屋を大掃除しようと思って、早朝に起きようとしてたんだったわ。やっぱり昨日のうちにするべきだったなぁ。 っていうか、台所! 台所は確かカップラーメンの空き容器とかでいっぱいだったはず! そんなところで眞子さんはなにか作っているのか!? おそるおそる、引き戸で区分けされた台所を覗いてみる。 ……なんだこのうまそうな匂い。味噌汁……。そういえば一人暮らしはじめてから味噌汁なんて食ってなかったなぁ……。 見ればアレだけ酷かった台所周りがきれいに片付いていた。いや、床にたまったゴミ袋とかはそのままだけど、少なくとも流しまわりはあれだけあった汚い割り箸やプリンのカップはすべてきれいになくなっている。 そんな台所でとんとんと包丁で音を奏でる眞子さんの後姿。なんかすっげぇキュンとくる。 真剣な表情で俺のための味噌汁を作る眞子さん。おでこでかっちりと一直線に切られた前髪に覗くすらっとした高い鼻とふさふさのまつげ。すらりと伸びた首筋、後ろでまとめた髪と底から覗く白いうなじ。 視線を降ろせばエプロンを押し上げる双球がぷるんと自己主張し、さらにその下にはひざ上まであるニーソックスがぱっつんぱっつんの太腿をさらに艶っぽく際立たせている。 「眞子さん。朝メシつくってくれてんですか?」 「ええ。どうせあなたまともなご飯食べてないでしょうから。迷惑だったかしら……?」 「いえ、ぜんっぜん! 嬉しいですよっ。あ、でも材料って……。その前に鍵は」 「鍵は開いてたから勝手に入った。冷蔵庫開けたらなにもありゃしないじゃないの。だから材料は全部私が買ってきた」 「まじすか」 286 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18 15 53 ID +StY7qvv 冷蔵庫を開くと、中には普段めったに買わない食品や納豆、野菜、牛乳、お茶パックがいっぱい詰まっていた。うえぇ? 確かこの冷蔵庫は昨日まで丸大ハムしか入れてなかったはずだぞ? 「コンビニ弁当や惣菜ばっかりの食事だったみたいね。栄養が偏るわよ」 「は、はぁ」 「私がいくつか必要になりそうなもの入れといたわ」 「は、はい。さーせん」 眞子さんの好意に俺は返す言葉も無かった。牛乳って、パックじゃなくて県内の有名牧場で直売されている系の瓶入り牛乳だよ。こんなものスーパーでも通常の倍近くの値段だぞ。 封を切って直接口をつけて一口飲んでみる。うん、こくまろであまーい口どけだ。 「私にも」 「はい」 眞子さんに瓶を渡すと、俺が口をつけた牛乳瓶になんの躊躇も無く口をつけてごきゅりと飲んだ。 「間接キスですね」 俺がニヤニヤしながら言うと、 「馬鹿」 眞子さんは牛乳片手に頬をすこし桃色に染めて照れながら言った。 なにか手伝おうかと思ったけど、台所に居る俺に眞子さんは邪魔だといわんばかりに動き、手で自分の部屋へ戻れとおっしゃられるので俺は仕方なく自室へ戻った。 とりあえず、早朝起きてするはずだった、部屋の掃除でもしようかとあたりを見渡す。まずこの万年床を片付けないとな。相当中の毛布が寄っている布団を折りたたむ。これを……えーっと押入れの中に。 ……待て、押入れの中はたしか俺のエロい漫画がかなりの量あったはず。いまここでむやみに押入れを開けてばっさり眞子さんに見られたら何言われるかわかったもんじゃない。布団ははじっこに寄せとこう。 それと、そうだ。ちゃぶ台ちゃぶ台。眞子さんがせっかく朝飯作ってくれたのにいつものとおり床に置いて食うなんて出来ないだろ。ちゃぶ台を出さなきゃ。 ちゃぶ台は壁に立てかけてあるものを引っ張り出す。側面が見事にほこりを被ってやがる。ふうふうと息を吹いてほこりを取ると、真ん中へちゃぶ台を置いた。 あとはいくつか、眞子さんが座れるスペースを……。なんとかものを寄せて……よし、これくらいならいいだろ。 と、ちょうどいい具合に眞子さんが台所から顔を出した。右手と左手には味噌汁が二つづつ漆塗りお椀に入っている。漆塗りおわんなんてうちにあったっけ? あ、これも眞子さんが買ってきたんですか。 「眞子さん。料理並べるのぐらいは手伝いますよ」 「いえ、いいわ」 「いいからいいから」 俺は味噌汁のお椀を無理やり眞子さんから奪うと、いま並べたちゃぶ台へ味噌汁を置いていく。あ、そういえば箸も居るな。箸はたしか割り箸が二つ残ってたからそれを……。 「ちゃぶ台は拭いたの?」 ……拭いてねぇッス。 「もう、しょうがないわね」 俺の無言を肯定と受け取った眞子さんは今並べた味噌汁お椀をまたちゃぶ台から取り上げる。台所まで一度戻り、今度は布巾を持って入ってきた。 俺の目の前で眞子さんはちゃぶ台をきゅっきゅっと拭き取っていく。全面拭いた布巾の表面を眞子さんは無言で見せる。情けないくらいグレーだった。 眞子さんの作ってくれた料理は、味噌汁にアジの干物に野菜サラダ。白いふっくらご飯には黄色のタクアンがきれいに添えられている。 時刻はもう12時前だというのに朝飯定番メニュー。なんだか変な感じがした。まぁ俺は休みの日はほとんど朝が菓子かカップ麺だから、普段と比べればコレはとてつもなく立派な真人間的食事なんだけどさ。 「なんだ、もしかして朝はパンのほうがよかったのか?」 「いえ、頂きます」 二人で向かい合って食う朝食。料理はどれもめちゃくちゃ美味かった。 287 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18 16 46 ID +StY7qvv 流しで眞子さんがお皿を洗っている。皿洗いぐらいは手伝おうとしたがこれもやんわりと拒否された。 だから俺は部屋でぼーっと写りの悪いテレビを眺めていた。ノイズまじりの画面と片方壊れたスピーカーから流れる出演者たちの声。拾い物だから仕方が無いとしても、その音は雑音に近い。 俺はなんだろうなぁ。と一人で自問自答しようとして……、面倒くさいからやめた。 「生気の無い顔して、どうかしたの?」 気がつけば、エプロン姿の眞子さんが隣に来ていた。 「あ、いえ。なんでも……ないです」 「ふぅん。そう」 しばし沈黙。 「眞子さん、そういえばメガネ、どうしたんですか? 今日は無かったから一瞬誰だかわかんなかったですよ」 「へぇ……」 またしばしの沈黙。あれ? なんで、沈黙なんだよ。俺。いつもならもっと盛り上がるだろ? 「ああ、そうだ。眞子さん。今日はどこへ行きますか?」 俺は沈黙を打ち破るように、わざと大きな声で眞子さんに話しかける。そういえば本来の目的をすっかり忘れていた。今日は俺と眞子さんのデートの日なんだ。 待ち合わせはどうしようと話してたときに、眞子さんが俺の部屋っと言ったから、俺の部屋になったわけで。 ぶっちゃけ、料理とかは想定外だったんだよなぁ。 だから、本来の目的であるデートに話題を持っていく。 が、しかし、眞子さんは静かに首を振った。 「ん? どうしたんです?」 「デートよりやらなくちゃいけないことがあるわ」 俺は頭に疑問符を浮かべる。眞子さんはエプロンのポケットから一枚、水色のナプキンを取り出した。それをまとめた自分の頭にかぶせる。 「眞子さん?」 「掃除」 「え?」 「そ・う・じっ!!」 真剣な表情で語彙を強め言い放つ眞子さんに俺は思わず肩をこわばらせた。改めてみれば、眞子さんの頭のナプキンにエプロンって確かにまるっきり年の暮れの大掃除の時の格好だ。 「え、掃除って。デートは……」 「あなたの部屋がこんなに汚いとは思わなかったわ。デートよりまずは掃除! それとモノを片付ける!」 え、ええ? 「掃除っていきなり言われても……それに片付けって今さっき……」 「それは片付けじゃないわ。ただ物を寄せただけでしょう! これから毎日来ることになるんだから、この部屋を徹底的に綺麗にするわよっ」 ん? 毎日……? いま、なんて言っ……、 「ほら、この布団とか。折りたたんでただ部屋の隅に置いただけじゃない! こういうものはちゃんと押入れに収納するの」 そう言って、眞子さんは俺が寄せた布団を両手で抱え上げると、そのまま押入れに入れようとする。あ、待て! 押入れには俺のエロ漫画が! ガラガラ。 どさどさり。 が、一歩遅く眞子さんは押入れのふすまを開けてしまった。しかも運の悪いことに積み上げていたエロ漫画が押入れのふすま側に重量をかけていたため、俺のコレクションの数冊が見事に押入れから転がり出てしまった。 少年コミックとはちょっと違う、ちょっぴり大きめA5でピンク色と肌色と白濁色がふんだんに表紙に使用された本が三冊ほど眞子先輩の足元へ落ちた。 「ああっ、これは違います!」 俺は座った姿勢のまま飛び掛るように四つんばいで走り、落ちたエロ漫画を回収っ。表紙を見られないように拾ったTシャツの中へ隠す。 「えーっと、これはなんでもありませんから! マジですよっ!」 「……それを隠してもこっちにいっぱいコレクションは揃ってるみたいだけど?」 あああああっっ! そうだった。今落ちた三冊を回収しても、押入れの中にはまだ大量のエロマンガが揃っていたわけで……。眞子先輩は涼しい顔で布団を床へ一度置くと、押入れで積み重ねられているエロ漫画を一冊手に取る。 ぺらりと中身を開き、その冷たい目で内容をザッピング。たしかあの本は委員長である真面目な女の子を一匹狼の不良がいやらしく調教して行くっていうかなり濃い内容だったはず……。 俺は背中に冷や汗がだらだらと流れまくっていた。一気に体温が冷え、眞子さんの顔を見ることが出来なくなる。ドキドキと鳴る心臓。 「ま、眞子さん……」 「最悪ね」 288 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18 17 42 ID +StY7qvv 眞子さんはパタンとエロ漫画を閉じた。 「いつもこんなの読んでるの?」 「え、えーっと」 毎日読んでますっては言えないだろ。 「こういうの好きなの?」 「………」 「まぁ好きならこんなに買わないわよねぇ……」 うう。眞子さんの視線が痛い。 「で、でも」 「なに?」 「でも、俺も男ですからっ。こういうものは持っているものですよ」 「ふーん……」 うわぁ、納得してないっていうかめちゃくちゃ怒ってる時の顔だ。唇をむっつりとへの字に曲げ、冷めた視線で俺を捕らえる。頭からアニメのようにぷしゅうぷしゅうと湯気が出ているようで、俺の額に流れる汗は三割増し。 ぶっちゃけ、たとえばさっきの掃除をするって言い出した時の眞子さんはほとんど普段どおりの眞子さんだ。怒っているようにも見えた眞子さんだったが俺に対してはあれが普通。 怒っているときの眞子さんは普段にも増して無口になる。そして、Vシネマのヤクザよろしく『目で殺す』といわれるように、強く強く相手をにらみつけるのだ。 ちゅ、ちゅーか。エロ本見つけたぐらいで怒りすぎだろ! 眞子さんっ!! なにが悪いんだよ! 「えーと、眞子さん」 でも、勢いよく反論できない俺。ヘタレ。 「ねえ」 「はいっ!!」 「あなたは、こういうのが好きなの……?」 眞子さんはエロ漫画の表紙を俺に見せ付ける。なんだかこの時の眞子さんの表情に俺は少しだけ違和感を感じた。 「え。えええ。ええ、まぁ……」 でも、俺はそんな表情の変化で眞子さんの微妙な感情を読み取って対応できるほど人間が出来ちゃいなかった。馬鹿正直に答えちまった。 「好きですよ……ええ」 「そう……」 眞子さんは何度か俺の言葉を反芻するように頷く。 「……私より魅力?」 え? 俺は耳を疑った。 「ま、眞子さん?」 が、聞き返した時にはもう眞子さんはごにょごにょと口元を動かして、そのまま口をつぐんでしまった。なんだか妙に眞子さんの頬が赤くなっている。 魅力……? み、みりょくって。 「え、えーっと。眞子さん」 俺は頭の中で慎重に言葉を選びながら口を開く。 「……?」 「お、俺。確かにそういう本は好きですよ。うん、見ればわかるかもしれないですけど。で、でも。眞子さんが嫌なら……俺、その本全部捨てます」 かっこよくないかもしれないけど……。 「そういう漫画っていうのは……、えーっと。魅力とかじゃないんですよ。そもそも漫画と実物は全然違うわけですし……。俺は……、俺、こんな風にだらしなくて、全然だめなヤツですから、 女の子と付き合ったことも無かったんですよ。だから、ほら、えっと。寂しさの穴埋めみたいなものなんです。うん、多分、ですけど」 そうだろう。うん、そうだろう? 「でも。今、いまは眞子さんがいます。眞子さん。眞子さんが俺の寂しさを埋めてくれてるんですよ。だから、眞子さんが居ますから、俺、もうそういうのは……無くて、いい、です」 何度も噛みそうになった。でも、最後の一文だけははっきりいわないと。 「俺、眞子さんが居てくれれば幸せですから」 ふっ。 289 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18 18 56 ID +StY7qvv 気がつけば、俺は眞子さんに抱きしめられていた。ぎゅうっと眞子さんの腕が俺の背中をまわり。眞子さんの細い体が俺にぴたりとくっつく。 俺の肩に顎を置いて、眞子さんの髪の毛の匂いがふんわりと俺の鼻腔をくすぐった。 眞子さんは言葉を話さない。表情は見えない。どんな顔なのかもわからない。ただ、俺を抱きしめただけ。でもそれだけで眞子さんの想い・感情が伝わってくる。 優しい抱擁。しばらく俺と眞子さんは一緒に抱き合っていた。 長い間そうしていたのか。もしかしたら一分くらいだったのかも知れない。 眞子さんの体が離れる。 顔を見ると、眞子さんは普段の表情へ戻っていた。よかった。怒りは収まっていつもの調子に戻ったようだ。俺はくすりと表情を緩める。 「眞子さん」 「よし。じゃあ、捨てようか」 ……へ? 「私が居れば、こんないやらしい漫画なんていらないのでしょ? 全て捨てるわよ。こんなもの」 ああ、本当に、いつもの調子に戻った眞子さん。 「よく考えればこんな布団は干さないといけないわね。私は干すから、あなたは押入れの中にあるものを全てビニール紐で纏めて頂戴」 「え。今から全部!?」 せめて三冊ぐらいは、最後に一回……。 「ほらほら、立って。あと床もゴミが散らかってるんだから。徹底的に掃除しないと。今日は一日あなたの部屋を丸洗いよ」 「……マジすか」 デートはお預け? はぁ。 「返事!」 「はーい」 眞子先輩はその言葉に満足げに頷くと、布団を担いでベランダへ向かう。すれ違い俺は押入れへ。 ああ、俺の夜を支えたレディたちよ……。ジュンコ、ヨウコ、ナツコ、クミコ、ヒロミ、アユミ、カオリ、ハルカ……。 さようなら、さようなら、さようなら……。お前は次の俺みたいなヤツのために頑張ってくれ……。 ☆ 『眞子さんが居てくれれば幸せです』って言葉はもちろん嘘じゃなかった。 少なくとも、この時までは。 (続く)
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作者:わんこ ◆TC02kfS2Q2 「能力を捨てたいんです」 白い膝小僧を並べて制服のスカートの裾摘み、保健室の丸いすのねじを軋ませながらボブショートの髪の毛を控えめに。 放課後を待ち望む生徒らの声を背景に、保健医と向き合い肩をすぼめる古烏すずめは本気で悩んでいた。 白いシーツで覆われたベッドに腰掛けたオトナは、一応オトナだ。多分オトナ、きっとオトナ。 腕組みして白衣にしわを寄せ、組んだ脚の先のスリッパをぶらつかせる。部屋の中は薬臭い。 「別に先生は止めないよ。能力を持つも捨てるもお前の自由だしね」 「自由ってなんですか」 「プラスとマイナスを一緒に背負い込むことだよ」 肩まで伸ばした保健医の髪からは、オトナのシャンプーの香りがした。 オトナって。 まだまだ思春期を迎えて手放さないお年頃のすずめには、オトナのセリフにぐるぐると巻かれるだけ。 それさえも気付かぬすずめは幸せなのかもしれない。 ある日、隕石が地球に落ちてきた。 誰もそれを止められなかった。 誰もがそれを悲劇だと受け止めた。 しかし、悲劇の裏を人々は知る。それは『能力』。 今まで生きてきた人間どもが作りえなかったものを平気で乗り越えてくれやがる。 それが『能力』。 『能力』は、人を幸せに出来るのか。 『能力』は、人を救うことが出来るのか。 世界を廻す生身のオトナでさえも、それを掌握することが出来なかった。 さらに、世界を揺るがす出来事から、ささいなご近所レベルまで『能力』が世界を司る。 そして。 「能力はわたしを苦しめる」 ある日のすずめの高校からの帰り道。おしゃれなブランドの紙袋から、さらに小さな紙袋を取り出すと、中に入っていたビールの缶を 公園の不燃物入れに見つからないようにそっと捨てた。きょろきょろと見渡した後、ローファーを土で鳴らして消え去る。 いつまでこれを繰り返せばいいのか。誰も分からない。 家へと急ぐ。夕暮れのとき、何もかもを美しく照らす魔法の時間。人が急ぐ、車が急く。 ××× 「つまんない」 いくら文明が栄えようと、人間たちが付いて行けなければ意味を成さない。それを端的に見せ付けられるような 深夜のくだらないバラエティ番組をぼんやりとすずめは眺める。陽が明るければ明るいほど影は濃い。 薄っぺらな明るさだけの画面上の人々はすずめを明るく照らし続けるだけだった。 すずめは時計をちらと一瞥すると、PCモニタのテレビ画面を閉じて背伸びをして気を紛らわせる。 喉が渇いた。コーラが飲みたい。そういえば、小さいときこっそりと冷蔵庫のコーラを飲んだことがあった。 親に見つからないように。だけど、見つかった。もちろん怒られた。「甘いものばかりだめでしょ!」と。 ただ、すずめをかばってくれた人がいた。「ごめんなさい。ぼくもこっそりのんでました」と。二度とすずめの耳に届かない声、能力に目覚めるまでは。 「能力かあ」 望んで手に入れたものだったら、どれだけ嬉しいだろうか。 望まずに手に入れたものだからこそ、誰にもぶつけられない憤り。 せめてオオカミになって、月夜にわおーんと吠える能力が授かれば、とすずめはくさる。 そうか。でも、オオカミになってしまう能力が身に付くなら、わおーんと吠える必要はないな。 誰からも突っ込まれない分、深夜は一人でものを考える余裕が増える。木の柱が軋む音でさえ、気にはならない。 すずめはカレンダーを横目に、両親が寝静まっているのを確認してから廊下をゆっくり踏み鳴らす。 目的は「コーラ」。と言い訳をしながら、深夜の廊下をゆっくりと歩く。両手で壁に手を着く。でもないと不安だ。 素足の廊下は冷たい。木目と夜の空気はすずめの体温を奪うが、心が折れない程度なのが悔しい。 漆黒から何か恐ろしいものが飛び出しそうな思いをしながら、すずめは台所へ向かった。 すずみが足を入れた深夜にどっぷりつかった台所は、昼間と違って底知れぬ怖さを感じた。 ステンレスの流し台は冷たい鈍器のように見え、蛇口からこぼれる雫は血が滴っているかのように聞こえた。 「今夜も来てるの?」と、暗闇に向かってすずめは言葉をかける。もちろん、すずめだって考えあっての行動。 暗闇は返事をしない。当たり前だ。静寂に包まれた台所はすずめが一人。メガネを外し目をこする。 「今夜も来ているの?」 呪文のように繰り返すすずめは、だんだん何処かに取り残されるような気持ちになっていった。 冷蔵庫の扉を開けると光が溢れ、足元に影を落とす。まるで黄泉へと通じる扉のように眩かった。 母親が作り置きしている麦茶がペットボトルに詰まって並び、すずめが一瓶手に取ると誰もいない部屋に声が通り抜ける。 「すずめ?来たよ」 すずめの背後には彼女が見覚えのある顔があった。すずめの兄の潤一郎、高校の制服のシャツにカーディガン羽織ってひょっこりと姿を現す。 すずめはしばらく言葉を控えていると、潤一郎が冷蔵庫に手を伸ばしながらすずめに話しかけてきた。 「まったく、すずめには感謝してるんだよ」 「感謝って」 呆れた顔で兄の手元を視線で追う。 「まったく、すずめ様様だ」 「うるさいよ。それに違反ですし、校則とか」 「もう、おれオトナだよ。それにここ学校じゃないって。ビールぐらいいいじゃないの」 キンキンに冷えた缶ビールはきれいに並んでいた。父親のためのビール。もらい物も多し。その列からひとつ失敬して潤一郎はすずめを遮った。 冷蔵庫の扉は開けたまま。照らされる二人は影を床に落とし、潤一郎は缶を開け、気泡がはじける音を鳴らす。反動で少し揺れて泡が顔を見せる。 そのまま口を明け口に運び、溢れる泡を吸い込む兄をすずめはじっと自分のメガネに映し続ける。 のどを鳴らせてビールを飲む兄は、ほんの少し背徳的な影が足元に落ちているような気がする。 「ぷはーっ」 「……」 「ビールはこうやってこそこそと隠れながら飲むのが美味しいのだ」 兄の嬉しそうな顔を見ると、すずめの心中は失敗した編み物のように絡み出していた。兄はあんなに嬉しそうだけど、なんだか複雑。 すずめの乙女心を知ってか知らずか、潤一郎は炭酸きつめのビールを心底嬉しそうに口にして、腹に麦の恵みを満たす。 オトナって! すずめはちょこんと兄の前に座り込み、膝を人差し指でぐりぐりとなぞり続ける。 「こうやってでもしないと、おれはビールが飲めないからなあ。だから、すずめには感謝してるんだよ」 「もう来ないよ」 「おいおい。本当は生きているうちに飲みたかったんだよ。頼む。今度も次の満月の夜に会おうな」 「やだよ。ビールばっかりのお兄ちゃんなんて、知らない!」 「おれもやっと医者から見離された身になったのにさ!はあ、入院中の苦しみから解放された今の喜び!生きるって素晴らしい!」 「なーにがだ」 にっと薄暗い中で笑みを浮かべた潤一郎は、空になった缶を水洗いして不燃物のゴミ入れに放り込んだ。 むうっと河豚のように頬を膨らませながらすずめは、兄の捨てた缶を拾い上げて小声でぼやく。 「わたしが疑われるんだからね」 「コーラの事件、かばったの誰だよ。うれしいだろ」 一つ大きくすずめはあくび。そのときと同じ冷蔵庫が、夜も構わずに台所を守り続けていた。 月の美しい晩には必ず兄が来る。 思い出の場所に来ると必ず現れる。 無意識に、そして必然的に。 兄は病で命を失った。しかし、考えようには永遠の命を授かったのと等しいのではないか。 正しいのか、正しくないのか。神が与えし万物創生のとき以来、生き物の能力に反しないのか。 狂わせたのは「あの日」から目覚めた新しい能力。 ただ、すずめは出来れば早くその能力を手放したいだけ。 「また、来るな。じゃあ」 あくびは人にうつる。この世に居ない者とて、例外ではなかった。 次に会うときは、またひと月ぐらい兄に年齢が近づいているはず。すずめは、眠い目を擦りながら自分の部屋に戻った。 頭から布団に包まった頃は、朝いちばんな新聞配達の音がしていた。 ××× 「折角会いに来てるんだからさ、いいじゃないか」 他人事のように相談にのるなあ。と、すずめは保健医を評価した。星をつけるなら、五つのうち三つぐらい。 俯くとメガネがずれる。つんと中指で突き上げる。なんだか、偉い学者になった気分でもある。 気分は気分。気分はすぐに形をなくしてしまうもの。目の前の保健医には敵わない、と言うより厄介な。 「なんだか、兄が遠ざかってゆく気がするんです」 「もう、遠ざかってるだろ」 「いいえ!体は高校生のまま、オトナになってゆく兄がつらいんです」 保健医は口を挟まない。 「そりゃ、魂を失ったときに体の成長も同時に失ったから……、それは当然だと理解できるんです」 「まあな」 「でも、わたしが知っている姿のままで兄が年を重ね続けゆく姿を見届けるのは」 「わがままだなあ」 「はい。わがままです」 わたしがいるだけで能力が現れる。だから、つらい。 わたしが台所にいるだけで兄が帰ってくる。なので、つらい。 わたしと兄が夜明けを向かえるとき能力と兄が消える。それが、つらい。 かと言って、能力を全て手放してしまうのは、つらい。 すずめは悩む。 「あと、ひとつ。そんなに能力を使うのがいやなのに、どうして能力が発動できる環境に出向くんだ」 「それは、あの……だって」 しどろもどろに人差し指をあわせながら、すずめは俯き加減で瞬きを多くする。 「お前は難しいヤツだな。それでもって、兄思いで」 「兄思いではありません!」 「もっと、ウソをうまくなれよ。オトナから騙されるからな」 保健医の言葉がずきりとすずめの胸を刺す。胸が痛いのは生きている証拠。生きていれば生きているだけ痛い思いをする。 自分が兄より年上になることも同じ痛い思い。痛い思いをしたくなければ、生きていることをやめちまえ。 そして満月の夜がやってくる。 「隕石が落ちたのは偶然。お前が能力を授かったのも偶然。だからさ、お前が出来ることは偶然を受け入れることだぞ」 「……そうですか?オトナから騙されませんよ」 にっと白い歯を見せて、保健医は脚を組んだ。そして、評価は五つのうち三つから、三つのうちに変わる。 すずめは深々と保健医にお辞儀をして、薬品の匂い漂う保健室を後にした。 「おーい。今度、その能力使うの最後にしろよ」と、保健医が叫んだのも気付かずに。 そして、すずめは誓った。 「もうちょっと、この能力持っとこっと」 おしまい。 登場キャラクター 古烏すずめ 古烏潤一郎 上へ
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「おちびちゃん、準備はいい?」 「いつでもいいよ!」 「「おにーさんのためにがんばるよ!!」 ~ゆっくりと、おもてなし~ 朝、太陽が顔を覗かせるより先に彼らは動き始めた 「「ゆっくりしていってね!!!」」 薄明かりの中でモゾモゾと動き始め、家の主の元へ 「「そーろ、そーろ」」 息を潜め、身を低くし、隠密行動もお手のものだ そんな彼らは何をするつもりなんだろうか・・・ 「それじゃあ頼んだよ!おかーさんは行ってくるね!」 「まかせてね!」 主の部屋に一人残されたちびまりさ 一体何を任されたというのか 「おじさんはさっきからゴチャゴチャうるさいよ!」 あ、すいません・・・ でも仕事なんで、続けても良いですか? 「きょかするよ!」 ありがとうございます! ところで、なにをするんですか? 「おにーさんをゆっくりさせるんだよ!」 ご説明ありがとうございます そうこうしているうちに夜明けの時 闇を切り裂いて陽光が世界を照らし始める ジリッ・・・ 「ゆっ! むぎゅ・・・」 目覚ましをすぐに止めるちびまりさ 一呼吸遅れて伸びてきた手に強かに頭を叩かれる 「ゆっゆっ! せいこうだよ」 その後も目覚ましがなる度に止めていく 太陽は完全に顔を出し、主が普段起きる時間はとっくに過ぎていた ピピッ、ピピッ 「ゆゆっ!? なんでまだなってるの!?」 どうやら止めていた目覚ましではない何かが鳴り始めたらしい しかし音の出所が分からない様だ 「そおい!!!」 一閃 主の手が枕の下から携帯を取り出す 「んあ・・・あれ? 何でこれが鳴ってるんだ?」 「おはよう! おにーさん!!!」 「おはよう、ちびまり」 軽い挨拶の後、ゆっくりと主の頭が覚醒を始める 「うわぁぁぁ!! なにも準備できてないじゃん!!」 「だいじょうぶだよ! もうおわってるころだよ!」 「へ? どゆこと?」 寝ぼけた頭といきなりな状況についていけないおにーさん それでもなんとか台所まで行ってみる 「う~♪ ごしゅじんさまのおめざめだどぉ~♪」 「おはよー♪ ごはんできてるよー♪」 「もうよういできてるよ! さぁ、おたべなさい!」 台所ではエプロン姿のれみりゃ、ふらん、まりさの三名が朝食の用意を済ませていた 「これが、朝御飯だと・・・」 そこに並んでいたのはプリン、クランベリーパイ、チョコクッキー 「「「どうぞめしあがれ!!!」」」 一体何処の世界ならこれを朝御飯と呼ぶのだろうか 「今日はおにーさんをおもてなしするよ!!」 「みんなでめいどさんごっこー♪」 「う~♪だめいどじゃないどぉ~♪」 頑張って作ったであろう朝食を無下に扱うわけにもいかず 涙を流しながら食していくお兄さん 「うぅ・・・甘い・・・」 「「「だいせいこうだね!!!」」」 こんな朝も悪くはないが正直これはお前達が食べたいものだろう そんな事を考えつつも自然と笑みが溢れるお兄さんと 頑張ってもてなすことが出来て笑顔のゆっくり達 そんな彼らの団欒の時はゆっくりと流れていく おわり 「おじさんもなにかたべる?」 あっ、私も良いんですか?ちびまりさん じゃあお言葉に甘えて・・・ 名前 コメント
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951 1/2 2012/03/15(木) 23 42 58.30 0 新婚ほやほやの頃にトメコトメにしたDQN 初めての義実家お泊りで歯ブラシを忘れてしまった。 トメが新しいものを出してくれたのでお礼を言ってそのまま使ったけど その後トメコトメが、私が使ったあのブラシは 普段お風呂の黒いカビ取りにガシガシ使っているブラシよw 嫁子さん気づかないなんて無神経w普段よほど汚いブラシを使ってるのね ご実家は新しい歯ブラシも嫁入り道具に持たせてくれないのねww しょうがないわよね、あんな人より狸の方が多そうなところの出なんだしw とpgrしてきた。 私が使った歯ブラシはトメがちゃんと新品パッケージ開けてるの見てたし 歯ブラシなんて消耗品を嫁入り道具にする風習は地元には無いし 何言ってるんだろう?と思ったけど、若い嫁子は世間知らずだし これが義実家の地方の礼儀なのね、夫くんちの嫁にならなくちゃ!と お返しにお2人の歯ブラシで台所の水垢ガシガシしてきた。 954 2/2 2012/03/15(木) 23 51 04.03 0 トメコトメがその後水垢ガシガシ歯ブラシを使っているのを 私は何も言わず、義実家冷蔵庫のホワイトボードに 「お台所掃除しておきました」とだけ書いてお暇した。 トメはそれで何となくやり返されたことに気づいたらしい。 今でもあの…嫁子さん、あの時の歯ブラシ…と言いかけてくるから。 そのたび満面の笑みで義実家の伝統ですものね!と どうとでも取れる返事を返している。 それが原因か、トメは私を非常に怖がっているようだ。 疎遠にされる嫁子寂しいから色んな人に義実家のことを聞いちゃった。 そうしたら来年コトメが出荷されるんだって。 嫁入り道具には歯ブラシが必要ですよね!とトメに提案してくるか。 1/2の方が連投になってたらごめん。 957 名無しさん@HOME 2012/03/16(金) 00 04 20.01 0 951 GJ!! 958 名無しさん@HOME 2012/03/16(金) 00 08 28.83 0 951 ただの馬鹿嫁GJ w 962 名無しさん@HOME 2012/03/16(金) 01 03 43.11 0 ただの馬鹿嫁です。 旦那にはトメコトメの発言も自分のやったことも自白しました。 でも「嫁入り道具に持たせる歯ブラシ!?wwwwww 電動歯ブラシじゃダメだな!ダイヤか!?持ち手は総漆・金箔仕様か!?」と 歯ブラシをどうやったら嫁入り道具にまで昇華出来るか夢中で考え始めたから 怒られなかったw 965 名無しさん@HOME 2012/03/16(金) 01 24 15.35 0 なんで新品渡しながら、そんなウソついたんだろう。 本当に掃除用ハブラシを渡すくらいしてくれないと 悪役としてぬるいわw 966 名無しさん@HOME 2012/03/16(金) 03 04 27.37 0 965 まぁ悪意に取れない事もないんじゃない? 新品を渡したのに、掃除に使った歯ブラシを 使わされたと嫁が言ってる、と周りに言えば 嫁は悪者にされるから、かなり意地の悪い やり方だとも言える。 次のお話→986