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書籍情報 あらすじ 既刊一覧 関連リンク 書籍情報 タイトル かみがみ ~最も弱き反逆者~ 著者 真上犬太 イラスト 黒ドラ 出版社 一二三書房 レーベル サーガフォレスト Nコード N5991BU 連載開始 2013年 09月27日 あらすじ 「最も弱き魔物」コボルトの狩人シェートは、自らの住む集落を焼かれ、仲間を皆殺しにされる。 それを為したのは異世界より召喚された、絶対無敵の鎧を纏った勇者、逸見浩二。自身も深手を負い、瀕死となった彼は、それでも自らの愛するものを奪った勇者に復讐を叫ぶ。その声に答えたのは、天界で廃神(すたれがみ)と嘲われる女神、サリアーシェ。 これは、世界を救う勇者に復讐を望んだ一匹の魔物と、それに答えた女神の物語。 既刊一覧 タイトル 発売日 分類 ISBN 値段 詳細ページ ストア ランキングデータ かみがみ ~最も弱き反逆者~ 2015年 07月15日 一般書 978-4-89199-328-3 1,200円 一二三書房 Amazon B☆W 書籍データ かみがみ ~最も弱き反逆者~ 2 2015年 12月15日 一般書 978-4-89199-370-2 1,200円 一二三書房 Amazon B☆W 書籍データ 関連リンク Web版 「かみがみ ~最も弱き反逆者~」
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反逆者の立場から 山崎今朝彌 一、成功謝金に就て 弁護士が成功謝金廃止に反対する理由ほど理由のないものはない。が其廃止を主張する理由も亦負けずに理由がない。弁護士界の反逆者を以て自任する我等は、弁護士会の決議に反する高柳教授の意見を朝日新聞で見たとき、矢鱈に嬉しくて堪らず、充分敬意を表して之を熟読したが、遺憾ながらコレは成程と思へる程の理由を読めなかつた。教授の所論筋道は長いが之を要するに、弁護士は公職であるのに風儀が悪い、成功謝金を止めれば弁護士の風儀がよくなると云ふにある。僕は成功謝金がなくなつたからとて急に格別弁護士の風儀がよくなるものでもない、有つても無くても、毒にも薬にもなるものでない、ドツチでもよいことだ、が別に損になることでもないから、人が廃せと云ふなら止めたがよからうと思ふ。 一体世間の人が、弁護士の取扱ふ事件には皆成功謝金があるように考へてるは間違つてる。僕の計算では普通平均弁護士の取扱ふは 無料事件 二割 御礼事件 二割 得意事件 三割 虫喰事件 一割 飛込事件 二割 で、最後の飛込事件のみ成功謝金がある。虫喰事件は、虫喰の虫喰たる所以で時に或は費用を損する事さへも往々ある。御得意様の事件には極例外の者を除けば先づ成功謝金が無い、御礼事件とは無料事件に毛の生へた位のもので、時に或は菓子折一つが折々ある。即ち知る八釜しい成功謝金問題は実は其報酬の十分の二以下の問題である。而して其成功謝金も半分は成功せず、成功した謝金の半分は遂ひ取れぬが普通である。又報酬の歩合もサウ高いものではなく、到底吾々に歯の立たぬ、及びもない、何十萬と云ふ民事々件や之に匹敵する刑事々件の事は暫く之を措いて、普通千円以上一萬円以下の民事々件なら、終局迄一割以上二割以下の範囲で、之れを手数料と成功謝金とに振り割り、刑事々件では手数料成功謝金とも二百円なら悪くはないとしてある。之れ以上は所謂札附事務所の事で、依頼者は依然と警戒を要する。吾々は東京瓦斯会社で訴訟費用八萬円を計上したからとて、之れが皆既に一人二人の弁護士報酬になつたものだと速断する必要はない。 後金の成功謝金がなくなれば、前金の手数料が増へるは論ずる迄もなく、弁護士に損もなければ依頼人に得もない、成功謝金があればとて裁判の遅延する道理がない、寧ろ謝金欲しさに事件の解決を急ぐと云ふ理由があり得る。成功謝金が何で弁護士のスリ、カタリ、サギ泥棒、カツパライに関係あらんや。成功謝金欲しさに健訟乱訴があり得るなら、手数料に付ても同一であらねばならぬ。唯一の杞憂は弁護士の偽証教唆であるが、其れならモツト利害関係の深い当事者は常に偽証教唆者であらふか。最も多く大事件を取扱ふ一流大家は、常に必らずシツコク、コセコセ悪辣であらふか。僕にはどうしても、成功謝金が無くなれば弁護士の風儀が忽ち良くなり、営業が一躍して公務になると云ふ理由が造られぬ。 然らばナゼ我輩は成功謝金の廃止に賛成するか。僕の前述の議論には極少数の例外がある。其れは所謂上流社会の富豪金持のみの御用を達し自らも富豪金持となり、一般の社会民衆とは全く没交渉の人達の事である。之れ等の人達には、成功謝金制度の存続は、之れ等の人達と常に接触して其の事情をよく知る、司法省の役人や学者達の憂ふる如き弊害があり得る。之れが即ち、一般弁護士や一般民衆や裁判事務に少しも関係のない成功謝金禁止に我輩の賛成する所以である。併し心配は無用、司法省は近い内に弁護士法改正の委員十名五名を、公平に弁護士から挙げるさうだ、其の委員は必らず常例により一流大家若しくは其ノ使に甘んずる系統の人計りで、従て事は之れ等の人の都合のよい様に談笑の間に極まるに相違ない。併し其れも更に心配はない、弁護士法がどうあらうと、成功謝金がどうならうと、訴訟費用もなく弁護士も頼めない一般民衆に其れが一体何の関係があらふ。吾々は只ダマツて何時までも法律の公平と裁判の自由とを憲法で保障されて居れば其れでよいのだ。 二、地域限定に就て 全国の弁護士約四千、又其約半数が東京に居る。正確の見当は付かぬが、事件は東京が全国の何十分の一だらう。仮りに十分の一として、弁護士は今の四分の一で適当の割合となる訳だ。ソコで東京弁護士は随分多く全国を股に掛けて出稼ぎする事となる。一人の弁護士が事件を沢山取扱ふ事、来客が多くて裁判所へ出る時間が遅くなる事、弁護士が病気で仕事を休む事、等さへ訴訟を遅延させる、況んや多数の弁護士が内を外にして全国を馳け廻つたら、何と理屈を付けてもアツチでもコツチでも訴訟の進行を妨げるに相違ない。又其馳け廻る無駄な時間労力旅費は一体誰が損するだらうか。之に依つて是を見れば地域の限定に対しては全国の弁護士は挙国一致して之に賛成すべきである。併し人間は誰でも慾がある。 色々に世間は評判するが人の身代収入は中々一寸解らぬ、が弁護士から年々十何萬円以上の収入を挙げる者が東京に十人位はあらう、此人達の身にとれば地域限定は年々何萬円若くは十何萬円の問題である。ソコで東京弁護士の輿論は地域限定反対とならざる得ぬ。併し自分の事は自身が一番よく知つてる。金銭の事で身勝手の議論を立てるは日本では利己的だと卑しまれる。ソレに平素公職の手前もある。故に当然だが不思議にも東京では所謂大家が地域限定に親ら反対の声を揚げて議論をした者がない。併し其代弁者は露骨に大要コウ論じて無智の弁護士の輿論を煽つてる。第一依頼者が信頼する人を頼めなくなる、第二ソレでも東京弁護士が減らぬ、第三大家のみ事件が集中して多数の者が困る、第四地方出張事件が無くなり困るものは新進の人だ。 併し第一は多数の弁護士には自惚れだ、少数の金持及び少数大家にはソンな事もあらう、成程成金時代に東京から四五の大家を見栄坊から地方の区裁判所事件に連れ行き却つて重い刑を受けた等の話もあつたが、コレは必要ではない、イヤ僕に云はせるとドツチでもよい事だ、之れがため多くの不利不便を忍ぶ必要はない、のみならず謂ふ処のヘボ弁護士でさへ一般民衆には自由に頼めないのだ。第二は、前提が誤つてる、僕は必らず減ると思ふ。当座暫くは困る者間誤附く者もある、しかし、其中各裁判所で正確なる事件数の統計を公表すれば、人物の分布も自然適当に出来て、或は今の四分の一位迄に減るかも知れぬ。第三第四は、吾コソは一廉の弁護士なりと自惚れてる人達の、訳もなくゴマかされる利己的の議論だが、コレもスツカリ間違つてる。 僕は弁護士業を純然たる営業と解し、専ら其営業を道楽化せんと心掛けてるのみだから、天下国家の問題と事違ひ、事苟くも金銭に関する以上其説は大いに傾聴するが、コレは全く算盤玉のハジキ方を間違へてる。大家々々と云ふが、其大家が地域限定後にも全部必らず東京を去らないとも限らない。大家の東京事件は、地方出張のないときにヒマツブシではない。今以上事件集中にアセツたらボロが続出し、集中前既に大家でなくなる。又新進の人の地方出張事件もフヒになるには相違ないが、目前一二の事件が無くなつたとて、人員が今の二分の一若くは四分の一にも減つて、事件の割当が多くなる事も考へなくてはならぬ。地方へ分布する人の身になつても、此人達は今より前途有望で分布するのだから、寧ろ羨望の的となるとも、到底ベラ棒の人とはならぬ。 手品には種がある。欺くにも道がある。満身之れ栄達権勢の官僚も盛んに忠君愛国を高唱すれば、搾取飽く事を知らざる資本家も頻りに国利民福を説く。地域限定に関する東京弁護士会の輿論も畢竟、真実痛切に有害の関係を有する二三者の希望が多数民衆にとつて只さへドウセ不可能の業たる、『弁護士選択の自由』と云ふを口実に、疑心暗鬼営業上の恐慌来に襲はれたる一般会員の間に顕はれた輿論に過ぎぬ。盗人猛々しと雖も、泥棒にも尚三分の理あり。苟しくも堂々たる一個の輿論、豈又三文の価値なしせんや。 <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、踊り字は修正した。旧漢字は適宜新漢字に直した。> <底本は、社会問題資料研究会編『中央法律新報第二巻下』(東洋文化社)1318頁、底本の親本は、『中央法律新報』(中央法律新報社)第2年(大正11年、1922年)第16号20頁>
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その男、反逆者につき ◆qvvXwosbJA F-7エリア、その東部に位置する駅、S9――「ステーション9」。 この駅には、もっというならこの区画の駅全てには、参加者には知らされていない事実がある。 それは、この駅を通っているのは通常の路線ではなく『地下鉄』であるということ。 地上にあるのは整然と並ぶ券売機と無人の改札、商品が放置されたままの売店ぐらいで、改札を通った先には地下へ続く階段が奥へと延びている。 しばらくはろくに整備されていないのか(もっともこのフィールドがいつから存在するかなど知る由もないのだが)、 切れかけの蛍光灯の明滅する光がその明るさとは裏腹に深夜の陰気な不気味さを醸し出している。 階段を降りた先のホームには無機質なリノリウムが敷き詰められていて、くすんだ黄色の点字ブロックが形ばかりの存在感を主張している。 こちらは地上ほどは暗くはないものの、明るいだけで人の姿も見えない空間というものは逆に不安になるものだ。 進めど聞こえるのは自身の足音の反響のみ。複数の光源を起点にいくつもの方向に伸びる影法師が目に入る唯一の動くもの。 そして、忘れてはならないのは、いくら人がいないようでもここは殺人ゲームの会場の一角に過ぎないということ。 正常な神経の持ち主なら、この状況にある種脅迫的な緊張感を感じるだろう。 あいにく、今この瞬間にステーション9のホームにいる唯一の人間は、その手の緊張感とは無縁の男だったのだけれど。 猫背気味の姿勢、野生の猛獣のようなギラギラした光を湛える瞳。 デイパックを左手で肩に引っかけ、その男は苦虫を三匹ほどまとめて噛み潰したような表情で歩いていた。 男の名はカズマ。人呼んで“反逆者(トリーズナー)カズマ”。 ロスト・グラウンドの荒野にその名を轟かせる凄腕のアルター使いだ。 曰く、“全てを断罪するアルター”。曰く、“そいつに目をつけられたらノー・フューチャー”。 ロスト・グラウンドで不法を働くネイティブ=アルター達から恐れられるこの男も、今この瞬間においては虫の居所の悪いチンピラ同然だった。 口の半分開いたデイパックからは、乱雑に突っ込まれた支給品が顔を出している。 薔薇の造花に番傘、そして使い道すら分からない正六角形の金属塊。 一応確認だけはしておこうと、カズマが支給品を取り出したのが数刻前。 ただの紙から明らかに大きさのおかしい品物が出てきて驚いたものの、結局どれもガラクタ同然と気付き、苛立ち紛れにデイパックに押し込んだのがついさっき。 ちなみに説明書もついていたのだが、頭を使うことに慣れていない彼は一行読んだだけで放り出してしまった。 カズマはもとより使える武器などを期待していたわけではない。 カズマが信じているものは、自分自身と自分のアルター“シェルブリット”だけだからである。 しかし、殺し合いをしてもらうと言っておきながら配るのはただのガラクタ。 人の生き死にをおちょくっているとしか思えないあの光成とかいう腐れジジイの笑い声を思い出し、カズマの表情が一層険しくなる。 いつの間にか目の前に迫っていた階段の一段目に足を掛け、カズマは一つ舌打ちをした。 ▼ ▼ ▼ 階段を上りながら、カズマは考える。 先ほどちらりと目を通した名簿。知っている名前は、三つだけ。 いけすかないホーリー野郎、劉鳳。奴といつも一緒に行動していた女、シェリス。そしてホーリーの親玉、マーティン・ジグマール。 奴らがどうなろうとカズマには関係ない。いや、ジグマールとかいう野郎にはぶん殴ってやるだけの理由があるが。 少なくともこのゲームに巻き込まれた連中のなかに、かなみはいない。君島もいない。水守も、箕条も、ハーニッシュもいない。 今の自分に、守るべきものは何もない。 だったら、今ここで俺がやるべきことはなんだ? (をいをいをいをい……そんなの決まってんじゃねぇか) カズマの顔に、はじめて不敵な笑みが浮かんだ。 野獣の瞳が煌々と燃え、階段の先の深夜の闇を見据える。 脳裏に蘇るのは、かつて兄貴と慕った男の言葉。 ストレイト・クーガー。誰よりも速さを求めた男。カズマに反逆のなんたるかを教えた男。 そのクーガーの声が問いかける。 ――カズマ! 今のお前の弱い考えは何だ? 答えろ! (俺の、弱い考え……) ――殺し合いに敗れて無様に死んでいくことか? それとも、戦いを放棄して逃げ回ることか? (……違うな! あのクソジジイのニヤケ面に、俺の自慢の拳をぶちこんでやれないことだ!) ――だったら、その考えに反逆しろ! (言われるまでも無え!) カズマは右の拳をきつく握り込んだ。 全身をバネにして階段を駆け上がり、改札を飛び越えて、闇の中へと飛び込んでいく。 そして、走りながら思い出す。はじめにカズマが連れてこられた空間。そこで起こった惨劇を。 首を吹き飛ばされた少女の無念の表情を。まき散らされた血の赤さを。彼女の名を呼んだ少年の慟哭の声を。 あの娘は抵抗すら許されずに一方的に殺された。不条理な死。それがこのクソッタレな殺人ゲームのお約束だっていうなら…… だったら、その不条理に反逆する! こんな首輪一つで人の命を弄ばれて、それでも黙っていられるか? このバトルロワイアルを、最後の一人になるまで殺し合うイカレたゲームを、運命だって諦められるか? 答えはノゥ! 絶対にノゥだ! 運命ってのは自分の足で前へ進み、自分の拳で掴み取るもんだ! 誰かに強制されるものでも何でもねえ!! だから俺は反逆する! このバトルロワイアルという現実に! その意思を、理不尽な現実へと抗う意思を――弾丸に、込めろ!! さあ――――反逆だッ!!! 【F-7 S9駅/地上 一日目 深夜】 【カズマ@スクライド】 {状態}健康 {装備}無し {道具}支給品一式、ギーシュの造花@ゼロの使い魔、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂、核鉄(ニアデスハピネス)@武装錬金 {思考} 1 反逆のためにできることを探す 2 まどろっこしいのは苦手なので基本的には単独行動 3 悪党は全力で殴る 基本行動方針: バトルロワイアルに反逆する 参戦時期: 対アルター仙人戦後、ハイブリット覚醒前(原作4巻) ※進化の言葉“s.CRY.ed”をすでに刻んでいます。 ※支給品は全て確認しましたが、説明書にはろくに目を通していません。 そのため、三つとも役に立たないガラクタだと思っています。 【地下鉄について】 繁華街のS3駅からS7~S8~S9~S10までの区画は、地下鉄が通っています。 一定の時間をおいて電車が行き来しているものと思われます(詳細は後の書き手さんに任せます)。 電車を利用すれば長距離を比較的高速で移動できるほか、電車にさえ注意すれば地下道として徒歩での移動も可能です。 電車に乗車中は禁止エリアの影響を受けません。 基本的には地上との連絡経路は駅の階段だけですが、どこかに地上に続く非常口がある可能性もあります。 なお、各参加者に配布されたマップには「S3~S10の区画は地下鉄である」という情報は記されていません。 020 MEGANE×GANEME 投下順 022 MIND YOUR STEP!! 020 MEGANE×GANEME 時系列順 023 間違えるのはお約束 初登場 カズマ 039 北斗神拳の恐怖
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男の名は反逆者 ◆UCTnX6mKBo 「何が殺し合いだ……くだらねえ」 人気のない道を歩きながら、カズマは思わず舌打ちする。 夜の闇によって目の前はまるで安定しないが、ロストグラウンドの荒廃した大地で生きた彼はそこまで気にしていない。 カズマの思考を満たしているのはたった一つだけ。自分はペットとでも言うかのように、こんな訳のわからない首輪を付けさせた男たちへの憤りだった。 「ケッ、ざまあみやがれってんだ」 あの会場であっさりと殺されたディアズとかいう男を軽く罵るが、気分はまるで晴れない。それどころか余計に苛立ちが募って、思わず革製のグローブを付けた拳を木に叩きつける。 命が無意味に奪われたことで別に義憤は感じていないし、そもそもカズマは誰かの死を簡単に慎むような男ではない。この世界では毎日当たり前のように奪い合いが起こっているし、それで死ぬ人間も珍しくなかった。 死んでしまったらそいつがただ弱かっただけのことで、ディアズがあそこで死んだのもディアズ自身が弱かっただけの話。だから、カズマはそこまで気にしていなかった。 「アルター化ができないだと……? どうなってやがる」 この忌々しい首輪をアルター化させようとしたが、まるでビクともしない。周りの植物や地面は粒子化できているのに、これだけは何も変わらなかった。 無理矢理引きちぎろうとも思ったが、その後にどうなるかはソラウとかいう女が証明していたのでやめる。死ぬつもりはないが、首を飛ばされるなんて間抜けな死に方はごめんだった。 あのいけ好かない連中が訳のわからない仕掛けを用意したのだろうが、どうでもいい。今の何処かから自分を見下している連中をぶん殴れば、それで解決する。 「気にいらねえ……ああ、気にいらねえ!」 そして無様に死んだディアズの仲間と思われる男を思い出して、カズマの怒りは更に燃え上がった。 あいつはガキを人質にして、知らない男に殺し合いを強いている。自分を見下しているのもそうだが、人質を取るなんてせこい真似をするのがもっと許せなかった。そして、そんなチンケな奴に捕まった自分も許せないがグダグダ考えても仕方がない。 いつものように気に入らない野郎をぶん殴る。その感情だけがカズマを満たしていた。 「いいとも、戦ってやる! だがな、俺はてめえらのいいなりになる気なんざこれっぽっちもねえ! 俺はいつものようにやりたいようにやるだけだからな!」 カズマは吠える。 自分達を見下しているであろう、王様を気取っているせこい連中の思い通りにさせないために。その信念を込めた左腕がアルターによって形を変えていき、黄金色の輝きを放った。 その名をシェルブリット。前を進むための障害となった数多くの壁を打ち砕いてきた拳を、誰にも譲れない信念と共にカズマは地面に叩きつけた。 「ケンカだ……ケンカをやってやらああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 カズマに殴られた大地は凄まじい音と共に砕け散って、一つのクレーターを生む。 それは破壊を求めるロストグラウンドの悪魔からの宣戦布告だった。シェルブリッドのカズマが殺し合いの場で求めるのは、たった一つ。 狂気と絶望に満ちたバトルロワイアルを破壊して、気に入らない男をぶん殴る! 揺るぎない思いを胸にしたシェルブリットのカズマの反逆は、こうして始まった。 【F-03 森林/1日目・深夜】 【カズマ@スクライド】 [状態] 健康、激しい怒り、シェルブリット第一形態を出現中 [装備] 不明 [道具] 基本支給品一式、不明支給品0~3 [思考・状況] 基本:気に入らない奴はとにかくぶん殴るが、あのせこい男(サリー)の言いなりになるつもりはない。 1:このバトルロワイアルとやらを破壊するためにも、せこい男(サリー)の思い通りにさせない。 sm01 シュワシュワする… 時系列順 sm03 ゆっこの登場話で自重できていないちゃんみお、長野原みお sm01 シュワシュワする… 投下順 sm03 ゆっこの登場話で自重できていないちゃんみお、長野原みお カズマ sm32 ホテル「早速人ですか……」
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Stats 名前 反逆者(Rebel Glider) 色/種族 Human タイプ クリーチャー レアリティ コスト 3 必要属性 攻撃力/ライフ 2 3 効果 飛行 , 進軍 2faeriaを収穫できない 戦略 コンボ メモ コメント name
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コンモドゥスVSスパルタクスを書いていたら、 スクラ〇ドになっていたでござるの巻。 えっ、なにこれこわい。 ちなみに、スパルタクスには多分隠しスキルとしてコレがついている予感。 反逆者(トリーズナー)A+ 奴隷でありながらローマ帝国に抗って戦い続けた彼の心の象徴。 精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトし、同ランク以下のカリスマを無効化する。 ……嘘です。(AA略) これはフィクションであり、現実とは一切関係ありません。 あ、スパルタクスの前のマスターは別に士郎というわけではありませんのでー。 静かな公園の中、二人の異質極まりない男女が佇んでいた。 一人は片腕を失った怯えきった女性。その女性は傍らの男性を異常なほど恐れていた。 そして、その男性はこの現代社会では異常極まりない格好だった。 頭から獅子の毛皮を被り、棍棒を持った筋骨隆々たる威厳に満ちた男性。 だが、威厳を持ちながら、その瞳は完全に狂気に囚われていた。 ……バーサーカー、コンモドゥス。 ローマ帝国の中でも悪名高い彼は、不運にも呼び出され、聖杯戦争に参加する事になった。 そして、そんな彼らの元に、一人のやはり剣とラウンドシールド、そして軽鎧姿という異質な存在が現れた。 「……ふん、一度敗れてマスターを失い、なお朕の前に姿を表すか。セイバー。」 「ああ、あいにくと俺は諦めが悪いんでね。」 『反逆者(トリーズナー)』スパルタクス。 ハンニバルと並んでローマ帝国を苦しめた存在である。 ローマ帝国に縁にある人間で、彼の名前を知らない存在はいないだろう。 そして、それは当然コンモドゥスも知らぬはずはない。 だが……。 「ふん、貴様のような奴隷ごときが最優のセイバーを自称するとはな……。 笑止の極み。その愚かさ、ヘラクレスの化身たる朕が神威をもって打ち砕いてくれよう。」 そして、バーサーカーの後ろにいるのは、片腕を失ってがたがたと震える女性。 それは偶然にもコンモドゥスを召喚してしまった一般人の女性だ。 古代ローマを研究していた彼女は、研究のために運悪くコンモドゥスに関する品物を持ってしまっていたのである。 「くくく、全くあのコトミネとかいう神父も良い事を教えてくれたものよ。 おまけに奴隷(マスター)の令呪を奪ってくれるとはな。 令呪を失い、心をへし折ってやった今では、貴様は朕に魔力を奉じる奴隷に過ぎぬ。 さあ、魔力を絞り出せ。奴隷(マスター)。」 「ひ……っ!ごめんなさい!ごめんなさい! 何でもするから許して下さい!! もう痛い事はしないで下さい!お願いします!」 偶然にもコンモドゥスを召喚してしまった一般人である彼女を待ち受けていたのは悲劇そのものだった。 彼女はサーヴァントを制御する令呪の存在も知らず、偶然にもそれを知った言峰によって令呪を奪われ、 聖杯戦争を攪乱するための駒としてコンモドゥスの奴隷として魔力を捧げる奴隷となってしまったのだ。 その彼女の瞳は完全に心が折れてしまった人間に特有の怯えきった目そのものだ。 「ふん、それでいい。奴隷は奴隷らしく、皇帝たる朕に仕えれば良いのだ。 さあ、セイバーよ。貴様も剣闘士ならば、それに相応しい舞台を整えてやろう。 ヘラクレスの化身たる朕の神威をその目に焼き付けるといい!! 《栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)》!!」 その瞬間、世界が書き換えられた。 闇夜に包まれた静寂な公園は、円形の闘技場へと変化し、煌々たる光と人々の歓声に包まれる。 これがコンモドゥスの宝具『栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)』 かつて無数の剣闘士を葬り、己の武威を誇ったコンモドゥスの心景風景そのものだ。 「それがお前たちの理屈か。」 かつての昔と同様に、闘技場に立ち、歓声を浴びるセイバー……スパルタクスは俯いたままぽつりと呟いた。 「ああ、そうだ。お前たちはいつだってそうだ。 弱者を踏みにじり、苦しめ、自分自身の権力を誇る事しかしない。 弱い奴らの苦しみなんて全く気にかけない。それがお前たち権力者の理屈ってやつだ。」 ギリ、とスパルタクスは歯ぎしりをすると、 すらりと己の剣であるリヴェンタル・グラディエーターを抜き放ち、その切っ先をコンモドゥスに突きつける。 「ならば……その理屈に 反 逆 す る ッ!! それが、俺の在り方だ!!」 その言葉に、コンモドゥスは呆れたように呟く。 「たかが反逆者(トリーズナー)ごときが……よくも神の化身たる朕にそこまでほざけたものよ。」 そのコンモドゥスの言葉に、スパルタクスはにやりと不敵に微笑む。 「おいおい、さっきと言い方が違っているぜ?バーサーカーさんよ。 お前は、今、俺の事を奴隷じゃなくて反逆者(トリーズナー)と呼んだな? つまり、それはお前の精神(ココロ)に俺の名前が刻まれたって事だよなあ。」 「……ッ!!貴様ッ……!!」 奴隷と完全に見下していたスパルタクスの予想外の言葉に、コンモドゥスはギリと歯ぎしりをする。 それは、スパルタクスの言葉が真実だったという事の証だ。 「だがな、まだ足りない。もっと、もっとだ。 刻んでやるぜ!お前の精神(ココロ)に!俺の名前を!!」 「思い上がるな!反逆者(トリーズナー)! その高慢、朕の神威によって叩き潰してくれるわ!!」 その瞬間、両者はお互いに向かって疾走した。 ぶつかり合うコンモドゥスの棍棒と、スパルタクスの剣。 コンモドゥスの武勇の腕は極めて優れており、かつて無数の剣闘士を倒したその腕は衰えを見せず、さらなる冴えを見せていた。 狂化によって強化され、力を増したコンモドゥスの棍棒は、まともに喰らえば並みのサーヴァントならば打ち倒せるだけの威力を誇る。 だが、その一撃一撃をスパルタクスは受け流し、剣やラウンドシールドで上手く受け止める。 さすが、歴戦をくぐり抜けた筋金入りの剣闘士と言えるだろう。 そして、その中でスパルタクスは叫びを上げる。 《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)!!》 その声にコンモドゥスは警戒する。対人宝具か、対軍宝具か。 スパルタクスの逸話からして対城宝具はありえない。 恐らくは対軍宝具の類か、と警戒していたコンモドゥスだったが、次の瞬間拍子抜けした。 スパルタクスの剣は光こそ放つが、特になんの力も示さずにコンモドゥスの棍棒によってあっけなく受け止められる。 所詮奴隷。この程度にすぎぬか、と拍子抜けしながら、コンモドゥスはスパルタクスの胴体部に一撃を叩き込む。 「ぐ……ふっ!!」 コンモドゥスの棍棒の一撃を受けたスパルタクスは大きく吹き飛ばされ、 コンモドゥスのマスター……いや奴隷と化した女性の近くにまで吹き飛ばされる。 「ひ、ひぃいっ!も、もういやぁっ!! お願い!これ以上私にひどい事しないで! 痛いのも怖いのももういやなの!」 近くに吹き飛ばされたスパルタクスを見て、女性は完全に狂乱しながら叫びを上げる。 片腕を失い、コンモドゥスの言いなりになるまで『教育』された彼女は、 完全に心が折られ、コンモドゥスの意のままになる奴隷そのものだ。 ……そして、その目は同じ奴隷であったスパルタクスにとっては見慣れたものであり、看過できぬものであった。 「……怖いか?」 がたがたと震える女性に対してスパルタクスは意外とも言える優しい声で問いかける。 その声に女性は無言でこくこくと頷く。 「そりゃそうだろう。誰だって怖い。俺だって怖い。 ああ、世の中なんて『そんなもの』だ。 山のような理不尽があり、それに踏み潰される無力な奴らを俺は山のように見てきた。」 「だがな、弱いからと言って震えてるだけじゃ誰もお前を助けてくれない。 他人は誰もお前を救ってはくれない。自分を救えるのは、自分だけだ。」 「ああ、そうだ。弱い自分に反逆する! 俺はいつだってそうしてきた! これからもそうする!それだけの話さ!!」 ぺっ、と血まみれの唾を地面に履き捨てると、 スパルタクスは、女性に向き直って、真正面から女性を見つめて問いかける。 「……だが、もし、お前が自分で立ち上がれるというのなら。 弱い自分に反逆するというのなら、俺がお前を支えてやる。 ……俺がお前の刃になる。」 「私は……私は……私は……ッ!!」 ぽろぽろと溢れる涙。 その中で、ローマの研究者である彼女は思い出す。 曰く、スパルタクスはたった78人であの強大なローマ帝国に戦いを挑んだと。 それは、苦しむ人々を解放するための戦いであったと。 当初78人だった彼の軍勢は、最終的に数万人にまで膨れ上がったのだ。 その瞬間、彼女は無意識に叫んでいた。 「助けて……。私を助けて!!お願い!!」 「オッケェ!!お前の精神(ココロ)に刻め!! 俺の名前を!!スパルタクスの名前をなぁ!! 《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)》!!」 まるで騎士の受勲のように、彼女の肩にスパルタクスは己の剣の平を当てて叫ぶ。 「な……ッ!!」 本来、《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)》は、 契約関係を徐々に傷つけ、最終的に断ち切る事ができる宝具である。 だが、それは逆にいえば「何度も行なわなければならない」という事だ。 しかし、それが強い隷属性を持っているのならば話は別である。 彼女とコンモドゥスの間に極めて強い隷属性を持っていたからこそ、たった二回だけで契約を完全に断ち切る事ができたのである。 「き、貴様ッ……!!朕と奴隷(マスター)の契約を断ち切るとは……!! そこまで計算してやっていたというのか!!」 「へっ、どうしたよコンモドゥスさんよ。 随分と余裕顔がなくなってきたじゃねえか。」 にやり、と不敵に微笑むスパルタクス。 その顔を見て、コンモドゥスは激怒する。 「ふざけるな……ッ!神の化身であり、ヘラクレスたる朕が何故貴様ごときに苦戦せねばならぬのだ……!!」 マスターを失った今のコンモドゥスは、己の存在するための魔力だけでなく、 栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)の膨大な魔力も自ら支払わなくてはならない。 さらにその上、単独行動を持たないバーサーカーである彼では、この世界に長い事現界することはできない。 否!断じて否!! 誇り高きローマ皇帝であるコンモドゥスが奴隷に追い詰められ、闘技場を解除するなどそんな無様を晒すわけにはいかぬのだ!! それを見て、スパルタクスはにやりと微笑む。 「ヘッ……。忌々しいが、剣闘士の戦いってヤツを分かってるじゃねえか。 意地があるんだよ……!剣闘士(オトコ)のプライドにはよ!!!」」 「極めて忌々しいが……その言葉だけには同意してやるぞ!反逆者(トリーズナー)!!」 怒り狂うコンモドゥスは猛烈な勢いで棍棒を振るい、連撃を開始する。 それをスパルタクスは剣とラウンドシールドで受け、コンモドゥスの隙を見計らって攻撃する。 だが、お互い決して回避はしない。 相手の攻撃は……全て受けきる! 骨を立たせて……肉を斬る!! それこそが剣闘士の真髄なのだ!! 「反逆者(トリーズナー)ァアアアアアアアア!!」 「刻め……!俺の名前をぉおおおおっ!!」 そして、決着はついた。 一瞬の隙の見計らって繰り出したスパルタクスの突きが、深々とコンモドゥスの霊核を貫いたのだ。 コンモドゥスも頭部を狙って棍棒の一撃を繰り出していたのだが、 スパルタクスは、それを己の左腕を犠牲にして凌いだのだ。 スパルタクスの吹き飛ばされた左腕と、コンモドゥスの口から大量の血が同時に吐き出される。 「何故だ……。スパルタクス……。何故貴様はそこまで強く有り続けられる……? 神の加護も、血筋も、権力も、財力も、何も持たぬ貴様が何故……?」 「そりゃ当たり前だろ。 虐げられている弱い奴らを見過ごせない。 そして、俺を慕ってくるそいつらの前で無様な姿は晒せない。それだけさ。」 「……ふん、まさか、な。」 曰く、スパルタクスは当初たったの78人でローマ帝国に戦いを挑んだという。 そして、それは最終的に数万人に膨れ上がり、幾多もローマ帝国を苦しめたのだ。 それは、彼自身が虐げられた弱者から慕われたという事にほかならない。 それは、周囲の人間を全て信用できず、 狂気に陥るしかなかったコンモドゥスとはまさしく対極ではないか―――。 「……まさか、皇帝たる朕が奴隷である貴様を羨ましいと思うとは、な。 いや全く、神々というのは常に皮肉を好むものよ―――。」 そう皮肉げな言葉と笑みを残し、コンモドゥスは消滅した。 それが、彼らの戦いの結末だった。
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気付いたら、私はまたバイオプラントの中に居た。 黄色い液体の中から見えるのは、科学者達の会話の様子と時折見せる薄ら笑いだ けだった。 私は一体…どうなったのだろうか。 カーディナル本部の屋上で、奴と最後の戦いを挑んだはずだ。 私の出せる最後の切り札と共に、私は奴を殺そうとした。 だが結局、最後には血の魔剣が私の心臓に突き刺さる音がしたのをよく憶えている。 人々は我々のような化け物を生み出し、戦わせ、自分たちの平和だけを守ろうと した。 そんな人間たちが…憎かった。 あの日、自分たちが化け物ということを知ってから…ようやく自分という物が分 かった。 心の底から込み上げる恐怖と憤怒には、人間たちには分かるまい…。 そうだ、そう思った日に私は名を捨て、人としての軌跡を捨て、反逆者となった。 私たちを生み出した人間を殺して、殺して…いつしか私は、リベリオン《反逆者 》と呼ばれるようになっていた。 だがその呼称も気に入っている。 私自身がそう願ったのだから。 力を求めた先に居たのは“最高峰”の化け物。 なんて可哀想なのだろう。悲惨な現実を知らず、自分に巻かれた糸の先も知らず に…彼等は戦っていた。 だから思った。 真実を知れば、こいつらもきっと分かってくれるだろう、と。 「お前は、本当の親が誰か分かるか?」 そう問うた結果は──味方か敵か分からないのが一人と、最後まで人であろうと し戦い続けた化け物が一人。 カーディナルの屋上で、私は奴の“人生”に終止符を打ってやろうとした。 だがなんだろう。このやりきれない気持ちは。 奴の言葉に迷わされたのか分からない。だが、私が真実を知り名を捨てた時から …もう新しい私は始まっていたんだって。 なんて真っ直ぐな瞳だろうか。 化け物でありながら、本当なら殺してもいい人間たちを…守りたいと、最後まで 言っていた。 ──そして、白い月は赤く染まる。 デバイスを引き抜かれると同時に倒れて、吐血は眼を染めた。 死にかけてようやく気付いた。 …ずっと、私は泣いていた。 寂しくて、怖くて…誰でもいいから一緒に居て欲しかった。 視界が揺らぎ、逆流する意識が途切れかけた時──私はこう告げたかった。 ただ一言──“私を取り戻してくれて、ありがとう”。 私は私だ。 もう…疲れたんだ。 だが何故、私はまたこんな場所に居る。何故…寝させてくれない。 「起きたか。試験体No.10542プロトタイプ」 「ここは…どこだ」 「ここか? 第252管轄世界 リシュダンテ。そして…お前が再び生まれた場所だ」 「…そんなことを明かして、いいのか」 「構わんよ。もう、知られている」 哀れなだな。それがお前たちの末路であり、最後に取った手段なのか。 「殺せ。元同志を。そして…お前の居場所を守れ」 くだらない。私の居場所を奪ったのはお前たちなのに…また私に、戦えと言うのか。 「魔力、上昇していきます」 「何をする気だ、リベリオン」 今一度生が有るならば、私が全てを決める。 お前たちなんかに協力しない。 「魔力封印、コストオーバーです!」 「貴様…!」 「自業自得だな人間。私は、お前たちの命令など聞かない」 そうだ…。私を殺していいのも、束縛していいのも、命令していいのも─── 「ヴィアトリクス・フロストリアだけだ──!!」 ▼ 「カラドボルグ、私は間違っているのか?」 『何にですか?』 「アンヘルに一人で立ち向かって、勝てるのだろうか」 『助けを求めればいいのです』 容赦が無い。 つまりは、私はヴィアに助けを求めればいいと言いたい訳だ、このデバイスは。 「私は、影からあいつを支える。その為には…奴を倒さなければならない」 『くだらないですね。そんなものは言い訳です』 約400年、私がこのカラドボルグを本部から強奪した際には喋らないただの武 器だった筈なのに、私が蘇りもう一度奪った時にはもう喋るようになっていた。 さすがに長い付き合いだ。 愚痴の一つや悩みも話す間柄だろう。だがこうも主に対しての言葉の選び方は、 バグの一つでもあるのではないかと思ってしまう。 実際はバグも故障も何一つとして無いのだが…。 「私はやってやるぞ。あいつが守りたかった世界を、今度は守る」 『その台詞は通算3124聞きました。いい加減他の事を言って下さい』 機械というのは、陰湿に育つものだ。 こうも実感しているのは、きっと世界で私だけに違いない。 『これからどこに?』 「アンヘルを倒しに行く」 『自殺という言葉を知っていますか?』 「…ヴィアの元に行くのは出来ないからな」 どの面下げて会いにいけばいいのか分からない。 一度は殺し合い、そして殺された。 ヴィアは私のことなんて憶えてないと思うし、それより私のプライドが許さない。 『阿保ですか貴女は』 「お前…誰に向かって言ってるのか分かってるのか?」 『貴女ですマスター。…まあ、私からは一言しか言えません』 「言ってみろ。ふざけたことを抜かせば捨ててやる」 私は、ただの機械から思わぬ言葉を聞いた。 プライドも、恥ずかしさも、昔の出来事も全部壊してしまう一言だったんだ、こ いつの言った言葉は。 『会いたいなら会いにいけばいいだろ、この駄目人間』 ▼ 「二人の反逆者たちの再生が終わりましたよ」 「…そうか」 「実験も兼ねて二人を戦闘に連れて行ってくれませんかね」 戦闘に、か。 六課に乗り込むには手勢が少なすぎるし、ヴィア本人を襲撃するには二人は返り 討ちに合うだろう。 となると、残るは奴しかいない…。 「最後の反逆者を、狩りにいくか」 「リベリオン…でしたかな? 構いませんよ。丁度いいでしょう」 「では行こう。俺は…そう気が長くなくてな」 俺が目覚めてすぐに、ジュエルシードの反応を嗅ぎ付けた管理局と戦闘になった 際に、リベリオンの邪魔が入った。 最後に残った男──確か名は血燕だったか。血燕を殺す直前、リベリオンは奴を 庇い助けた。それで決定だ。 奴はもう…俺と手を組むことは無い。 「奴が敵に回るのは嬉しくない。ならば、早々に排除するまでだ…」 ▼ 「ルーテシアが、襲われた?」 「ええ。今聖王教会の病院に搬送されたわ」 朝から嫌な報告をカリムから聞いた。 昨夜遅くに、ルーテシアのインゼクトが感知した魔力反応をルーテシアが追跡し た所、森の奥でリベリオンと出会ったらしい。 そのまま戦闘になり、使い魔であるガリューとルーテシアは敗北し、負傷したル ーテシアをガリューが家まで運び、今に至る。 「今すぐこちらに来れる?」 「ああ。行くよ」 はやての許可を取り、すぐに病院へ向かった。 バイクを運転してる途中、ずっとリベリオンのことを考えていた。 「リベリオン、お前は…」 アンヘルが初めて起こした事件の時、血燕を庇ってくれたのはお前じゃなかった のか? なぜ…無関係なルーテシアを襲ったんだ。 「くそっ…」 身体が熱い…また、発作が出てきたようだ。 この発作はおかしい。発作が起こる度、俺に何かを訴えてくる。 守護騎士であるシグナムはもう俺の中に居ないし、夜天の書は俺から無くなった。 こいつは、俺に何を求めているんだ。 俺にどうしろっていうんだ…。 ▼ 「ルーテシア!」 「…ヴィア兄さん」 受付で病室の場所を聞き、すぐに向かった。 ベッドに居るルーテシアは、所々包帯を巻いているものの、身体を起こしている 様子を見れば大した怪我は無さそうだった。 「すまないルーテシア。俺のせいでこんな目に…」 「…いい。平気だから」 メガーヌはまだ完全に釈放されていないらしくこちらに来ることは出来ないらしい。 ルーテシアも同じだがあの世界は医療施設が無いため、本局の許可の元、ミッド チルダの病院へ運ばれた。 「リベリオンと戦ったのか」 「…うん。凄く、強かった」 「…そうか。お前の使い魔は無事か?」 「ガリューは、お母さんの所に居るの」 「それじゃあ…ルーテシアを守れないな」 「…平気だよ。こっちには、兄さんも居るし…友達も居る」 友達、居たのか…とは、言えなかった。 どうもルーテシアは孤独なイメージが定着していて困るな。 「ルーテシア、リベリオンの目的は分かるか?」 「…分からない。でも、彼女は敵じゃない」 「それじゃ、なんでお前を襲う必要があったんだ…」 「それは、女の子にしか分からない…」 いわゆる女心だと、ルーテシアは語った。 まあ、俺に女心を語られても困るのだが…。特に恋人も居るわけでもないからな。 「ルーテシア、お前…何か隠してるだろ」 「……何も隠してない」 「ほんとか?」 「…ほんと」 「知ってるか? 人は質問された時目が右を向いてると嘘なんだ」 「何も隠してない。…兄さんは、私を疑うの?」 …何故だろうか。ルーテシアは言われて気付いて俺と目を合わしたのに、そんな 言葉を言われたら追求出来ない。 まあ、ルーテシアがここまで隠すのにも“女心”というやつがあるようだし、干 渉しないことにしよう。 「まあいいか。俺はもう行くけど、平気か?」 「…平気」 ルーテシアの頭を撫でて、病院を出た。 ▼ 「兄さん…行っちゃった…」 やはり寂しい。 久しぶりに会えたというのに、私はこんな状態だ。 やはり少しは文句を言っておくべきなのかもしれない。 …でも、リベリオンさんと私との約束がある。 昨日の夜、負けた私を生かしてくれた。 少し話して分かったこと…それは、彼女は兄さんの味方であり、管理局が兄さん を拘束したと思ったから私を尋問しようとしたこと…。 兄さんが目覚めた場所は、かなりの魔力が残留しているらしく…すぐに後を追え たそうだ。 追い掛けて来たわりには、会いたくなさそうだったけど…その気持ちはなんとな く分かる。 「約束…ちゃんと守ってね」 兄さんを、守る。 だから…貴女は死なないで。 無茶しないようにと釘を刺したけど、きっと無駄に違いない。 好きになった男の為なら、私はなんだってやれるって言ってた。 でも平気。いくら無茶をしたって…貴女には、兄さんが必ず守ってくれるから。 ▼ 「久しぶりだな、アンヘル」 「そうだな。400年振りか」 「後ろの二人も見覚えがある。キャメルとリザだな?」 「そうだ。彼女たちは再び生まれ変わり、我が僕としてここに居る。意味は分か るな?」 ルーテシアの世界で、ようやく私はアンヘルに会った。 多少あの親子には協力をしてもらったが、中々の成果が出たのは確かだ。 だが…予想外にも二人邪魔が居る。 始めの反逆者達の五人の内二人…キャメルとリザが居た。 共に反逆した元同志ではあるが、400年一緒に行動してた訳でもない上に、気 付いたらアンヘルに殺されていた奴等だ。 今さら情を移す相手ではない。 「三人相手か」 「いや、二人だよ。俺が加われば話しにならないからな」 腹が立つが…事実二人だけと始めに戦うのならばいくらか楽になる。 どちらにせよ、アンヘルと戦うことにはなるのだが…。 カラドボルグは既に臨戦態勢に入っている。 不意打ちだろうがなんだろうが、確実に対処してみせよう。 「アンヘル様、もう…よろしいので?」 「疼くよ…ボクたちは、また強い奴と戦える」 「急くな。嫌でもすぐに戦うんだからな」 だが相手の武装が分からないのなら、下手に踏み込むわけにはいかない。 中距離からの戦闘を選択するしかないようだ。 「まあいい。もう話すことが無いなら、始めろ。撤退の時は、しっかり帰ってこい」 「分かりました」 「ちっ…アンヘルが居ながら見す見す逃がすしかないのか…」 「さらばだリベリオン。願わくば…お前に安らかな眠りを」 「言ってろ。天罰の代行者は、必ず目標の命を狩るので有名だ」 アンヘルが消え、二人が戦闘態勢に入る。 デバイスは持っていないようだ。となると、他に武器があることになる。 「ギア、ブリューナク機動」 「ギア、天ノ羽々斬《あまのはばきり》機動」 キャメルはランス《槍》を、リザはザンバー《大剣》をそれぞれ手にした。 どちらも接近戦、ならばわざわざ中距離から攻撃しなくても平気のようだ。 それよりも─── 「ギア?」 「知りたいかい? ボクたちの身体にはタナトスっていうロストロギアとデバイスが組 み込まれてるんだ。その二つを制御し、武器として放出する。その魔法を総称し てギアと呼ぶんだ」 「数々の実験を重ね、遂にタナトスを受け入れられたのは…私たち四人だけだ」 「何が誇らしい。そんな紛い物の武器を振り回したところで、所詮はロストロギ アの力だ」 デバイスは違う。互いを理解し、絆を深めることで私の考えを読みサポートする。 お前たちのようなロストロギアに侵されたデバイスには、私のカラドボルグは負 けはしない。 「───来い」 「我々は…ようやく望みを叶えるんだ」 「ボクたちの稼働テストの為に死んでくれ…!!」 先に先行したのはキャメルだった。 天ノ羽々斬が、カラドボルグと衝突する。 だが思った以上に斬撃は重くなく、簡単に弾けた。 「ちっ。まだ不安定なのかな」 「はああ!!」 「避けろキャメル!」 弾いた直後、すぐに魔法で雷を落とした。 直撃ならかなりの痛手を負わせたはずだが…。 「頭では忘れていても、身体は覚えているか」 私が撃った魔法は、見事にキャメルは防いでいた。 奴等は400年振りの戦闘だが、油断すれば殺られるのはこちららしい。 「では、次は私がいこう」 リザが動く。剣とは違い、槍は薙払うか突くことしか出来ない。 「…薙刀でも良かったのかもしれませんが、私にはこの槍で十分…」 「ふん。ならさっさと来い」 槍を構えるリザが、段々霞んで見えた。 「なんだこれは…黒い霧?」 「そうです。ただの武器だけでは芸が無い。ロストロギアの魔力を使えば、こう いう戦い方もあるのです」 視界が1メートルと見えなくなった。 先程まで微かに見えた二人の姿も、この黒霧のせいで完全に見失った。 恐らく結界の一種だろう。魔力反応も辿れないし、匂いも気配も分からない。 「なるほど。確かにお前はランスが一番いいな」 お前の意見には同意する。 確かにこの絶対的な孤独の前では、闇夜に置き去りにされた相手を後ろから突き 刺す方が、斬るより楽だろう。 こんな状況に置かれたのは初めてのせいか、かなり鼓動が激しくなってきた。 不意打ちなんてレベルではない。“どこから”くるのか全く分からないのだ。 おまけに霧が身体に付着して寒い。 「では…存分にお楽しみ下さいな」 「ちっ…!」 右から来た槍を、完全に避けることが出来ずに腕を貫かれた。 デバイスを持っている右をやられれば、勝ち目はなくなる。 一体どうする…? 「…カラドボルグ」 『不可能です。これは完全な結界でしょう。気配が一つも残りません』 「次、いきますよ…!!」 視界が見えない中、刺される寸前に回避行動を取る。 だが、また完全に避けきれず腹部に傷を負ってしまった。 「くっ…」 正直なところ、この二人ぐらい簡単に倒してアンヘルの後を追えると思っていた が…甘かったようだ。 かすり傷とはいえ、出血が酷い。 おまけに霧のせいで体温は奪われるうえに濡れたドレスが重い。 「はあ…はあ…仕立てたドレスが台無しだな」 『びしょ濡れにされて破かれてますからね』 裂かれることよりも今なんとかしたいのはこの濡れようだ。 「まて…これだけ大気中に霧があるなら…」 おまけに、地面は霧で水溜まりが出来るほどだ。 ならば…私とカラドボルグの見せ場はここしかない。 「カラドボルグ、カートリッジリロードだ」 『拒否します』 「なぜだ」 『私も貴女も霧の中ですよ』 「…平気だ。いいからやれ」 『…All right.My master』 「リザ! リベリオンは“雷”の魔法を使う気だ!」 「なんですって?! そんなことをしたら…!」 ようやくか気付いたか馬鹿どもめ。 さあ、一緒に感電しようか───! 「撤退するぞリザ!」 「駄目だ、間に合わない!」 『リロード完了。やれます』 三発のリロードに、カラドボルグが莫大な電気を溜める。 カラドボルグを上に掲げ、そのまま振り下ろす。 「雷颯召雷《らいそうしょうらい》!」 計り知れない電圧が霧の中を一気に駆け巡り、そして爆発した。 ▼ 「くそ! やられちまったのか?!」 「リベリオンはどうなりましたか…?」 爆発の後、キャメルとリザが立ち上がった。 もはやギアを起動させるだけの気力は無かった。 「リベリオンなら、あそこで気絶してる」 「とどめをさしましょう」 「ヤりたいのはやまやまだけど…例の六課とやらが来たよ」 「…分が悪いうえにこちらはこの負傷、出直しましょう」 「…そうだね」 転送魔法を起動させ、アンヘルたちが居る場所まで跳ぶ。 残されたのは、草木の焦げた臭いと、カラドボルグを持ちながら気絶しているリ ベリオンだけだった。 ▼ ふと、話し声が聴こえた。 身体が揺れている。きっと、誰かが私を連れて行こうとしているに違いない。 「こちらアイシクル01。目標を保護した。現地は焼け野原だけだったよ。それ に、メガーヌにも怪我は無かった」 メガーヌ…? そういえば、ルーテシアはあの異世界に母親が居ると言っていた気 がする。 無事なら、それでいいのだが。 しかし、身体がぴくりとも動かない。 いくら雷の魔法を得意とする私でも、あんな電圧を直撃すれば堪えるのか。 「そこに居るのは、ヴィアトリクスか?」 「起きたか、リベリオン」 私を連れて行こうとしていたのは、ヴィアだった。 「何故、私がここにいる」 「お前を助けたからだ」 「お前が助ける理由がない」 「あるさ。俺の部下を、助けてくれた」 「ただの偶然だぞ」 「ならその偶然に感謝しな」 長い間会ってないからか、少し性格が強引になった気がする。 そう感じるのは、前はこういう風に話したことが無かったからだと思うが…。 「私はどうなるんだ?」 「さあ? お前が俺に協力してくれるなら、俺は助けるよ」 「…ふん」 『私は協力しましょう』 「カラドボルグ、貴様…」 「いいのか?」 『私は我が主の幸せを願った結果です』 「…好きにしろ。言っとくが、私はヴィアにしか付かんぞ」 「相談してみよう。400年前は敵だったが…今回は味方だ。よろしくなリベリ オン」 「ああ…よろしくしてやる」 六課に搬送されたリベリオンは、そのまま医療室に入れられた。 もちろん拘束されたままだが、あまり不満でもないようだ。 任意で事情聴取をしたが、リベリオンから得られた情報にはこれと言って大きな 進展は無かった。 拘束が解かれた後も病室でシャマルの治療を受けているが、はやて曰くじきに六 課入りは決まりだという。 「なあリベリオン、お前の名前って呼び難くないか?」 「…分からんな。実際、ヴィアトリクスも呼び難いだろう」 「俺には略称がある。そうだな…前と後ろを取って、リンにしようか。どうだ」 「リン、か。中々良いネーミングだな」 リベリオンという名前を改称し、俺がリンという名前を付けた。 いつまでも反逆という名前を付けられたままでは、何かと不便だろう。 『嬉しそうですね』 「…実はそうだったりするが、ヴィアたちには内緒だぞ」 『分かってますよ、リン』 「…ふん」 明日には局員たちへの挨拶も控えていることだ、もう眠るとしよう。 「寝るのか?」 「そうする。だから出ていけ」 ヴィアが出て行った後も、寝たくても寝付けなかった。 予想以上に…胸が苦しい。 「くそ…ばかものめ…」 『さっさと寝て下さい』 「これが寝ていられるか!」 “リンにしよう” 何度も何度も、その言葉が頭から離れない。 どうやら今日は、寝れそうにないようだ。 第八話 雷の反逆者 Fin To Be Next...
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コンモドゥスVSスパルタクスを書いていたら、 スクラ〇ドになっていたでござるの巻。 えっ、なにこれこわい。 ちなみに、スパルタクスには多分隠しスキルとしてコレがついている予感。 反逆者(トリーズナー)A+ 奴隷でありながらローマ帝国に抗って戦い続けた彼の心の象徴。 精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトし、同ランク以下のカリスマを無効化する。 ……嘘です。(AA略) これはフィクションであり、現実とは一切関係ありません。 あ、スパルタクスの前のマスターは別に士郎というわけではありませんのでー。 静かな公園の中、二人の異質極まりない男女が佇んでいた。 一人は片腕を失った怯えきった女性。その女性は傍らの男性を異常なほど恐れていた。 そして、その男性はこの現代社会では異常極まりない格好だった。 頭から獅子の毛皮を被り、棍棒を持った筋骨隆々たる威厳に満ちた男性。 だが、威厳を持ちながら、その瞳は完全に狂気に囚われていた。 ……バーサーカー、コンモドゥス。 ローマ帝国の中でも悪名高い彼は、不運にも呼び出され、聖杯戦争に参加する事になった。 そして、そんな彼らの元に、一人のやはり剣とラウンドシールド、そして軽鎧姿という異質な存在が現れた。 「……ふん、一度敗れてマスターを失い、なお朕の前に姿を表すか。セイバー。」 「ああ、あいにくと俺は諦めが悪いんでね。」 『反逆者(トリーズナー)』スパルタクス。 ハンニバルと並んでローマ帝国を苦しめた存在である。 ローマ帝国に縁にある人間で、彼の名前を知らない存在はいないだろう。 そして、それは当然コンモドゥスも知らぬはずはない。 だが……。 「ふん、貴様のような奴隷ごときが最優のセイバーを自称するとはな……。 笑止の極み。その愚かさ、ヘラクレスの化身たる朕が神威をもって打ち砕いてくれよう。」 そして、バーサーカーの後ろにいるのは、片腕を失ってがたがたと震える女性。 それは偶然にもコンモドゥスを召喚してしまった一般人の女性だ。 古代ローマを研究していた彼女は、研究のために運悪くコンモドゥスに関する品物を持ってしまっていたのである。 「くくく、全くあのコトミネとかいう神父も良い事を教えてくれたものよ。 おまけに奴隷(マスター)の令呪を奪ってくれるとはな。 令呪を失い、心をへし折ってやった今では、貴様は朕に魔力を奉じる奴隷に過ぎぬ。 さあ、魔力を絞り出せ。奴隷(マスター)。」 「ひ……っ!ごめんなさい!ごめんなさい! 何でもするから許して下さい!! もう痛い事はしないで下さい!お願いします!」 偶然にもコンモドゥスを召喚してしまった一般人である彼女を待ち受けていたのは悲劇そのものだった。 彼女はサーヴァントを制御する令呪の存在も知らず、偶然にもそれを知った言峰によって令呪を奪われ、 聖杯戦争を攪乱するための駒としてコンモドゥスの奴隷として魔力を捧げる奴隷となってしまったのだ。 その彼女の瞳は完全に心が折れてしまった人間に特有の怯えきった目そのものだ。 「ふん、それでいい。奴隷は奴隷らしく、皇帝たる朕に仕えれば良いのだ。 さあ、セイバーよ。貴様も剣闘士ならば、それに相応しい舞台を整えてやろう。 ヘラクレスの化身たる朕の神威をその目に焼き付けるといい!! 《栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)》!!」 その瞬間、世界が書き換えられた。 闇夜に包まれた静寂な公園は、円形の闘技場へと変化し、煌々たる光と人々の歓声に包まれる。 これがコンモドゥスの宝具『栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)』 かつて無数の剣闘士を葬り、己の武威を誇ったコンモドゥスの心景風景そのものだ。 「それがお前たちの理屈か。」 かつての昔と同様に、闘技場に立ち、歓声を浴びるセイバー……スパルタクスは俯いたままぽつりと呟いた。 「ああ、そうだ。お前たちはいつだってそうだ。 弱者を踏みにじり、苦しめ、自分自身の権力を誇る事しかしない。 弱い奴らの苦しみなんて全く気にかけない。それがお前たち権力者の理屈ってやつだ。」 ギリ、とスパルタクスは歯ぎしりをすると、 すらりと己の剣であるリヴェンタル・グラディエーターを抜き放ち、その切っ先をコンモドゥスに突きつける。 「ならば……その理屈に 反 逆 す る ッ!! それが、俺の在り方だ!!」 その言葉に、コンモドゥスは呆れたように呟く。 「たかが反逆者(トリーズナー)ごときが……よくも神の化身たる朕にそこまでほざけたものよ。」 そのコンモドゥスの言葉に、スパルタクスはにやりと不敵に微笑む。 「おいおい、さっきと言い方が違っているぜ?バーサーカーさんよ。 お前は、今、俺の事を奴隷じゃなくて反逆者(トリーズナー)と呼んだな? つまり、それはお前の精神(ココロ)に俺の名前が刻まれたって事だよなあ。」 「……ッ!!貴様ッ……!!」 奴隷と完全に見下していたスパルタクスの予想外の言葉に、コンモドゥスはギリと歯ぎしりをする。 それは、スパルタクスの言葉が真実だったという事の証だ。 「だがな、まだ足りない。もっと、もっとだ。 刻んでやるぜ!お前の精神(ココロ)に!俺の名前を!!」 「思い上がるな!反逆者(トリーズナー)! その高慢、朕の神威によって叩き潰してくれるわ!!」 その瞬間、両者はお互いに向かって疾走した。 ぶつかり合うコンモドゥスの棍棒と、スパルタクスの剣。 コンモドゥスの武勇の腕は極めて優れており、かつて無数の剣闘士を倒したその腕は衰えを見せず、さらなる冴えを見せていた。 狂化によって強化され、力を増したコンモドゥスの棍棒は、まともに喰らえば並みのサーヴァントならば打ち倒せるだけの威力を誇る。 だが、その一撃一撃をスパルタクスは受け流し、剣やラウンドシールドで上手く受け止める。 さすが、歴戦をくぐり抜けた筋金入りの剣闘士と言えるだろう。 そして、その中でスパルタクスは叫びを上げる。 《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)!!》 その声にコンモドゥスは警戒する。対人宝具か、対軍宝具か。 スパルタクスの逸話からして対城宝具はありえない。 恐らくは対軍宝具の類か、と警戒していたコンモドゥスだったが、次の瞬間拍子抜けした。 スパルタクスの剣は光こそ放つが、特になんの力も示さずにコンモドゥスの棍棒によってあっけなく受け止められる。 所詮奴隷。この程度にすぎぬか、と拍子抜けしながら、コンモドゥスはスパルタクスの胴体部に一撃を叩き込む。 「ぐ……ふっ!!」 コンモドゥスの棍棒の一撃を受けたスパルタクスは大きく吹き飛ばされ、 コンモドゥスのマスター……いや奴隷と化した女性の近くにまで吹き飛ばされる。 「ひ、ひぃいっ!も、もういやぁっ!! お願い!これ以上私にひどい事しないで! 痛いのも怖いのももういやなの!」 近くに吹き飛ばされたスパルタクスを見て、女性は完全に狂乱しながら叫びを上げる。 片腕を失い、コンモドゥスの言いなりになるまで『教育』された彼女は、 完全に心が折られ、コンモドゥスの意のままになる奴隷そのものだ。 ……そして、その目は同じ奴隷であったスパルタクスにとっては見慣れたものであり、看過できぬものであった。 「……怖いか?」 がたがたと震える女性に対してスパルタクスは意外とも言える優しい声で問いかける。 その声に女性は無言でこくこくと頷く。 「そりゃそうだろう。誰だって怖い。俺だって怖い。 ああ、世の中なんて『そんなもの』だ。 山のような理不尽があり、それに踏み潰される無力な奴らを俺は山のように見てきた。」 「だがな、弱いからと言って震えてるだけじゃ誰もお前を助けてくれない。 他人は誰もお前を救ってはくれない。自分を救えるのは、自分だけだ。」 「ああ、そうだ。弱い自分に反逆する! 俺はいつだってそうしてきた! これからもそうする!それだけの話さ!!」 ぺっ、と血まみれの唾を地面に履き捨てると、 スパルタクスは、女性に向き直って、真正面から女性を見つめて問いかける。 「……だが、もし、お前が自分で立ち上がれるというのなら。 弱い自分に反逆するというのなら、俺がお前を支えてやる。 ……俺がお前の刃になる。」 「私は……私は……私は……ッ!!」 ぽろぽろと溢れる涙。 その中で、ローマの研究者である彼女は思い出す。 曰く、スパルタクスはたった78人であの強大なローマ帝国に戦いを挑んだと。 それは、苦しむ人々を解放するための戦いであったと。 当初78人だった彼の軍勢は、最終的に数万人にまで膨れ上がったのだ。 その瞬間、彼女は無意識に叫んでいた。 「助けて……。私を助けて!!お願い!!」 「オッケェ!!お前の精神(ココロ)に刻め!! 俺の名前を!!スパルタクスの名前をなぁ!! 《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)》!!」 まるで騎士の受勲のように、彼女の肩にスパルタクスは己の剣の平を当てて叫ぶ。 「な……ッ!!」 本来、《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)》は、 契約関係を徐々に傷つけ、最終的に断ち切る事ができる宝具である。 だが、それは逆にいえば「何度も行なわなければならない」という事だ。 しかし、それが強い隷属性を持っているのならば話は別である。 彼女とコンモドゥスの間に極めて強い隷属性を持っていたからこそ、たった二回だけで契約を完全に断ち切る事ができたのである。 「き、貴様ッ……!!朕と奴隷(マスター)の契約を断ち切るとは……!! そこまで計算してやっていたというのか!!」 「へっ、どうしたよコンモドゥスさんよ。 随分と余裕顔がなくなってきたじゃねえか。」 にやり、と不敵に微笑むスパルタクス。 その顔を見て、コンモドゥスは激怒する。 「ふざけるな……ッ!神の化身であり、ヘラクレスたる朕が何故貴様ごときに苦戦せねばならぬのだ……!!」 マスターを失った今のコンモドゥスは、己の存在するための魔力だけでなく、 栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)の膨大な魔力も自ら支払わなくてはならない。 さらにその上、単独行動を持たないバーサーカーである彼では、この世界に長い事現界することはできない。 否!断じて否!! 誇り高きローマ皇帝であるコンモドゥスが奴隷に追い詰められ、闘技場を解除するなどそんな無様を晒すわけにはいかぬのだ!! それを見て、スパルタクスはにやりと微笑む。 「ヘッ……。忌々しいが、剣闘士の戦いってヤツを分かってるじゃねえか。 意地があるんだよ……!剣闘士(オトコ)のプライドにはよ!!!」」 「極めて忌々しいが……その言葉だけには同意してやるぞ!反逆者(トリーズナー)!!」 怒り狂うコンモドゥスは猛烈な勢いで棍棒を振るい、連撃を開始する。 それをスパルタクスは剣とラウンドシールドで受け、コンモドゥスの隙を見計らって攻撃する。 だが、お互い決して回避はしない。 相手の攻撃は……全て受けきる! 骨を立たせて……肉を斬る!! それこそが剣闘士の真髄なのだ!! 「反逆者(トリーズナー)ァアアアアアアアア!!」 「刻め……!俺の名前をぉおおおおっ!!」 そして、決着はついた。 一瞬の隙の見計らって繰り出したスパルタクスの突きが、深々とコンモドゥスの霊核を貫いたのだ。 コンモドゥスも頭部を狙って棍棒の一撃を繰り出していたのだが、 スパルタクスは、それを己の左腕を犠牲にして凌いだのだ。 スパルタクスの吹き飛ばされた左腕と、コンモドゥスの口から大量の血が同時に吐き出される。 「何故だ……。スパルタクス……。何故貴様はそこまで強く有り続けられる……? 神の加護も、血筋も、権力も、財力も、何も持たぬ貴様が何故……?」 「そりゃ当たり前だろ。 虐げられている弱い奴らを見過ごせない。 そして、俺を慕ってくるそいつらの前で無様な姿は晒せない。それだけさ。」 「……ふん、まさか、な。」 曰く、スパルタクスは当初たったの78人でローマ帝国に戦いを挑んだという。 そして、それは最終的に数万人に膨れ上がり、幾多もローマ帝国を苦しめたのだ。 それは、彼自身が虐げられた弱者から慕われたという事にほかならない。 それは、周囲の人間を全て信用できず、 狂気に陥るしかなかったコンモドゥスとはまさしく対極ではないか―――。 「……まさか、皇帝たる朕が奴隷である貴様を羨ましいと思うとは、な。 いや全く、神々というのは常に皮肉を好むものよ―――。」 そう皮肉げな言葉と笑みを残し、コンモドゥスは消滅した。 それが、彼らの戦いの結末だった。
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48巻 > 第96話 第96話 「反逆者の末路!!」 掲載期間:2014年6月16日~2014年6月22日 AAを貼る場合上段のメニュー→「編集」→「このページを編集」。 AAの前に #aa{{ を、AAの後ろに }} をつけてください。 コラを載せる場合上段のメニュー→「編集」→「このページにファイルをアップロード」。 アップロード後に「編集」→「このページを編集」し、 #ref(添付ファイル名) または #ref(ファイルのURL) を記入してください。 更新完了です! もう一回言って貰えますか? 完全に一致 ニンジャかと思った? どっちが強いの? だからもう私のことは放っておいてください! これほどゾクゾクする遊びはありませんよ ガンマンの間違い探し 出典
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【リベリオン -反逆者- 】スイーパー風 再現画像掲載求む 部位 パーツ名 色 必要rwd 備考 フルフェイスヘルメット(東欧レジスタンス愛用) ブラック 3000 レザーコート(東欧レジスタンス愛用) 20000 - - - - - - - - - オペレーターグローブ(Bタイプ) 50 - - - 武器 HK G36K/ベレッタ M70 合計rwd 23050 迷彩効果区分:暗闇 備考 映画『リベリオン -反逆者-』に登場する兵士。終盤、主人公になぎ倒される姿が、哀愁を漂わす。