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第十章-第一幕- 決着の前の小さな決着 第九章-第三幕- 第十章-第二幕- 勇者軍主力部隊は、ウィルスユーザーズ本部基地内戦闘において、 全ての幹部を撃退もしくは捕縛に追い込み、 また中央ホール内での戦闘も一通り決着が着きそうなこともあり、 事実上、ウィルスユーザーズを壊滅させる事に成功した。 全てのメインメンバー及び、ソニアが戻るべく走っている最中、 サブメンバー達が最後の数名を追い詰めていたのだった。 「ふんッ!」 ジークの斧の一撃が、最後の兵士を薙ぎ倒した。 「お、おのれ……!」 兵士はそれでも立ち上がろうとする。 倒れた者達も意識を取り戻し始め、 最後の抵抗を始めようとしていた。 「ちっ、しつこい!」 コンラッドもいい加減嫌になってきて愚痴をこぼす。 「そこまでだ!」 しかし、そこで鳴り響いたのはハートレオこと、 レオンハルトの声だった。 「我々、ウィルスユーザーズはここに解体を宣言する。 我々の負けだ。各員は自己の安全を図り、 速やかに脱出せよ!! 死ぬ事は許さぬ!」 「…………了解!」 兵士達はのろのろと起き上がり、体力のある者がふらつく者を 懸命に支えながら、ゆっくりと、しかし確実に撤退して行った。 「やったのね、お兄ちゃん達が!」 歓喜の表情でシエルが快哉をあげる。 「流石ですね、シルヴィアさんでさえ、一人で勝ってのけるとは」 リゼルも満足気に頷いた。 そこへ、まずジルベルトとソニアが現れた。 「みんな、無事なの!?」 「ソニアさん……大丈夫です……」 突撃のし過ぎでふらふらしているメイベルがよろよろしながら答える。 次いで、ユイナ姫が、ライナスが、レイリアとエイリアが、 最後にズタボロになったシルヴィア(足が遅い)と、 足を撃たれた怪我人のテディが出てきた。 「大変、怪我してるじゃない!! ヒールキャノン!!」 慌ててシエルが治療に向かう。 「ドルカスの奴が……もといブレインフォックスを逃がした! 奴め、生体兵器化したスプレッダーを 動かすつもりだ、気を抜くな!」 回復の呪文を受けながら、テディは状況を説明する。 一方、ズタボロのシルヴィアをリゼルが迎えた。 「大丈夫ですか、シルヴィアさん!」 「相性が悪かったみたいで……少し疲れました」 「無事ならいいんですよ」 そう言うと、頭を撫でるリゼル。 「そう言えば研究担当なのよね、ブレインフォックス…… えーと、何だったっけ、名前?」 ソニアが首をかしげる。 「各員の持ち寄った情報などをお互いに端末に転送しましょう。 スプレッダーが動くなら、それほど時間はありません。 やれる事をやっておかないといけませんね」 と、ユイナ姫が各員の端末にレオンハルトの情報を転送した。 それに倣い、他の者も情報を相互に転送し合った。 これで全員の情報の齟齬は無くなったと言っていいだろう。 テディの回復もほどなく終了した。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ! 突然地鳴りが響き、建物自体に凄まじい振動が起こる。 バギン! 天井が砕け、機械化されたスプレッダーの成体、 メカ・スプレッダーが登場した。 傍らにはブレインフォックスこと、 ドルカス=ウィンチェスターもいる。 「行きなさい、メカ・スプレッダー! 勝利を私の手の中に!!」 「イエス、マスター・ブレインフォックス」 スプレッダーから声のような物が聞こえたが、ひどく機械的だ。 「人工知能を内蔵したみたいですね」 と、冷静にシルヴィアが分析する。 「流石にスターリィフィールド家のご当主は冷静みたいね。 獣を遥かに凌ぐ知性を秘めた上に、超合金である オリハルコニウムセラミカルチタン製のハニカム装甲を採用した、 私の可愛いメカ・スプレッダーに勝てるかしら!?」 「勝つ! でなければここまでの戦いが無駄になる!」 真っ先に動き出したのはテディだった。ハンマーが振り下ろされる。 がさがさがさがさ! しかし、メカ・スプレッダーは距離を取り、その巨体にも関わらず テディの的確な一撃を見事に回避しきってのけた。 「何ッ!?」 「俺が行く!」 続いてライナスが俊足――いや、瞬足とでも例えるべき その健脚で、瞬時にスプレッダーに追いつき、斬りかかる。 「疾風剣!」 じゃりじゃりがぎぃん!! 甲高い音を立てて、装甲に傷が付くが、被害はそれだけだった。 「ごぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 新たに追加された機械多脚でライナスが薙ぎ払われた。 「だああッ!?」 無様に転がるが、流石にそれだけでは致命傷にはならないのか、 あっさりと立ち上がるライナス。 「なんという装甲だ!!」 ライナスが歯噛みする。 「一人一人では駄目だ! 一気に行くぞ!!」 ラティシアが特攻し、次いで全員が動き出す。 「機銃掃射!!」 ドルカスの指示にメカ・スプレッダーが反応した。 ばらららららららららッ!! まさに弾幕としか言いようのない機銃の乱射が飛び交う。 無秩序な射撃と跳弾によって、みるみるダメージが増える。 「危ないわ! あんた達、どっか行ってなさい!!」 シエルは慌てて、今までついて来ていた仔猫達を逃がす。 「うにゃー!」 流石の屈強な仔猫達も、たまらないと感じたのか素直に従う。 しかし、その弾幕を懸命に回避しつつ、ユイナ姫が接近。 愛馬チトセも多数の被弾をしながらも懸命に追いすがる。 「ウォータージェットスルーフ!!」 必殺の水圧突きが、装甲に穴を開けたが、ダメージは それが限界だった。誠に凄まじいとしか言いようがない。 ドルカスが更に指示を飛ばす。 「グレネード弾、散布!!」 「ラジャー」 メカ・スプレッダーが更に対地攻撃としてグレネード弾をばら撒いた。 どがんどがん!! 「きゃああッ!?」 ユイナ姫が愛馬チトセから落馬する。チトセが転倒したのだ。 爆風でダメージを受けたらしい。 「くそっ! 化け物め!!」 コンラッドの攻撃も効果が無い。 レイリアの対物破砕銃がいくらか装甲に 傷を付けるが、やはり中に届かない。 巨大な体躯に似合わず、機敏に動き回るせいである。 「クロスアイアンメイデン!!」 メカ・スプレッダー相手に猛威を振るったリゼルの魔法が炸裂する。 地面からは地割れの鋭角、そして空中からは氷柱が襲う。 しかし、刺さりはするものの、 その戒めさえもメカ・スプレッダーは 瞬時に破壊し、また機敏に動き回る。 「どうやったら倒せるんだ、こんな奴!!」 さすがにエイリアも対応に苦慮していた。 「ミサイル発射!!」 ドルカスの指示でミサイルが発射される。 「その驕慢が命取りだ! 隙有り!!」 エイリアはミサイルを数発ほど鞭で巻き取り、それを直に叩きつける。 ごばんッ!! 「損傷、軽微」 大爆発にも関わらず、メカ・スプレッダーはなおも怯まず動き回る。 「ボルトコンダクション!!」 ジークの奥技が電流を叩き込む。 しかし、メカ・スプレッダーはその電流を吸収すると蓄電、 間もなく、それを放電してのける。 ばぢっ!! 「あうッ!?」 その放電の猛威に、リゼルや、シエルなどがよろける。 機械多脚の攻撃も凄まじく、メイベルがこまめに動いて、 スカーレット・アーマーで何とか凌いでいるという状況だった。 ジリ貧である。 ジルベルトも、ソニアも懸命に攻撃していたが、 ストレンジャーソードをもってさえ、傷を付けるのが精一杯だ。 だが、一番の有効打なのは事実で、中にも若干の傷を与えていた。 (ソニアさん、前に出すぎないで!) 前に出ようとするソニアを押しとどめる。 しかしその隙がまずかった。 がごんッ!! 「…………ッ!?」 生々しく、そして鈍い音を立てて、ジルベルトの腰に、 メカ・スプレッダーの機械多脚の一撃が叩き込まれる。 凄まじい勢いで身体を打ち、びくりと痙攣する。 「ジルベルト君!? 嫌ぁッ!!」 攻撃を中止し、ソニアが絶叫をあげてジルベルトへと駆け寄る。 「死んでたり……死んでたりしないわよね!?」 しかしその懸念は無かった。息をしている。気を失っただけだ。 ホルスターに触れると、ソニアの父親の形見の銃が砕けている。 この銃が守ってくれた形になったのだろう。 「なんで、なんであんな無茶をするの!」 「それは……ジル君が、きっとソニアさんを好きだからです……」 ソニアが振り向くと、落馬してふらつく ユイナ姫と、愛馬チトセの姿があった。同じく傷だらけだ。 「私、本当は分かってたんです……ジル君は私を選ばない。 所詮彼にとっては妹みたいな存在でしかないんですから……」 「ユイナ姫……」 「この十数年間、ジル君は私をずっと守ってくれた。 だから、今度はあなたの想いでジル君を守って……!」 「……分かったわ」 ソニアは頷く。大切に温存していた究極の回復道具の一つである、 魔法の霊薬、エリクサーを投入してジルベルトに呼びかける。 「ジルベルト君……あなたはきっと、誰もが愛する人なの。 そういう人が私を大好きだって言ってくれるなら、受け入れるわ。 私だってあなたが好きだもの。だから……だから立ち上がって!」 「ストレンジャー家の筆頭を倒したのは私の科学力! 無駄よ! メカ・スプレッダーに勝てるわけないんだから!!」 自信を持って叫ぶドルカス。 「あなたは史上最強の勇者軍筆頭なの……私が大好きな男の子は、 あんな気色の悪い化け物に負けたりしないの!! 負けないで! 諦めちゃ駄目よ! ジルベルト=ストレンジャー!!」 ソニアの呼びかけが悲痛な色に染まっていく―― だが、ジルベルトの意識はそこには無かった―― そして場所は『勇者の館』へと移る―― 『勇者の館』とは、狭義においては、冥界に用意された 勇者軍メインメンバー用の魂の居住スペースのことを指す。 しかし、広義にはストレンジャー家直系の人間が誰しも持っている 精神世界さえも内包された存在であるのだ。 「よう、お目覚めか?」 仮面のサムライ姿の人物が語りかけてくる。 (誰?) ジルベルトの精神体は首をかしげる。 「今度の筆頭は随分と無口だな。俺はザイン=ストレンジャー。 有り体に言って、お前さんのご先祖様って奴かな」 (それはそれは、はじめまして) ぺこり、と頭を下げる。 ザイン=ストレンジャーは初代勇者軍筆頭である。 その彼が今もこうして冥界で 子孫を見守っているというのは有名な話だ。 (有名にしたのは彼の祖父、エドウィンであるが) 「おう、俺は礼儀正しい奴は好きだぞ。 ところでジルベルトとか言ったな? お前、こんな所で油売ってる場合か?」 (ちがう。僕はソニアさん助けに行くの) 「ふむ、女の名前だな……好きなのか?」 (厳しくて、気が強くて、よく怒られるけど……好き) 「はっは! 素直なモンだ! エドウィンの野郎とは大違いだぜ!」 爆笑するザイン=ストレンジャー。 (僕はここを出たい。死んだりしてる場合じゃないの) 「そうだな。さっきからお前の大事な人が呼んでるもんな」 ザインは笑うのをやめて、次元の壁を叩き壊した。 「ほら、行け。そしてストレンジャーソードの覚醒の時だ。 お前の母親は自分自身の分身とここで戦うなんていう 無茶な真似をしてくれたが、お前はそんなことせんでいい。 お前は自分の大事なものを、母親以上にちゃんと知ってるからな。 行くんだ――ジルベルト。俺の大事な子孫の一人。 ストレンジャーソードの進化の鍵は、お前の記憶の中にある。 それを忘れるな。急ぐんだ!!」 (お世話になりました) ぺこり、とまた頭を下げると、ジルベルトは次元の割れ目へ走った。 むくり、とジルベルトが目を覚ました。 「ジルベルト君!!」 苦戦を他所に、ソニアが泣きそうな顔で喜ぶ。 そして、ジルベルトはホルスターから砕けた銃を取り出した。 「ごめんなさい……」 悲しそうな顔で、ソニアに謝るジルベルト。 「いいの! いつ壊れるか分からない思い出よりも、私は 今、生きているジルベルト君が大事だから!!」 「……無駄にはしない、出来ない、したくない」 「え?」 ソニアの驚きを他所に、ジルベルトが ストレンジャーソードを抜いた。 すると、掲げられたストレンジャーソードが激しく光り始める。 それに驚いた勇者軍が動きを止め、ついでにメカ・スプレッダーも ドルカスも状況が把握できず、行動を停止する。 砕けた銃の破片が光るストレンジャーソードへと集まり、 更にストレンジャーソードは激しく発光し、閃光となる。 かッ!! フラッシュに誰もが目を閉じる。 そして光が収まった頃には、 ストレンジャーソードは変異を遂げていた。 「ストレンジャーソード……? いえ……」 シエルが呆然と呟く。ジルベルトの思考が流れてくるのだ。 「この剣は……この剣の名前は……」 シエルが、驚愕する。 「砲剣『ストレンジバスター』――」 「なッ!!?」 レイリアとエイリアが真っ先に驚愕する。 ストレンジバスター、それは勇者軍にとって忌まわしき名前である。 ストレンジバスターという機関が存在し、事故に便乗して レイリアに生体改造を施し、そしてエイリアをもクローンとして 生み出し、ストレンジャー家を滅亡に追い込むために、 それら全てを利用しようとした忌まわしき集団の組織名である。 二人にとっては気分のよかろうはずはない。 しかし、シエルはジルベルトを代弁する形で続ける。 「ストレンジャーとは異邦人――という意味合いを持つわ。 でも、一万年以上もの時間を人類と共に過ごし、そして 帰化――いえ、順化していったストレンジャー家の血脈は もはや異邦人と呼んでいいものか、 躊躇するほどに『人間』と化したの。 人類にとって、もはやストレンジャー家は 異邦人であってはならないわ。その願いを込めて、 お兄ちゃんが付けた名前だそうよ……」 そこまでの深い願いと意味合いがあるのならば、 レイリアとエイリアとしても、反論は出来なかった。 ジルベルトがゆっくりとメカ・スプレッダーへと歩みを進める。 「たかが剣が銃剣になった程度で、 メカ・スプレッダーに通じるわけが! 行きなさい、メカ・スプレッダー! 今度こそトドメよ!!」 「イエス、マスター・ブレインフォックス」 メカ・スプレッダーは機械化多脚をもって襲い掛かる。 「総員、ジルベルト君を援護よ! あの剣が勝負を決めるわ!」 ソニアの指示が飛ぶ。各員頷き、 ジルベルトをメカ・スプレッダーに近付けるべく、 必死の援護を再開した。 (ありがとう、みんな) ジルベルトは全員の援護で付いた装甲の傷めがけて、 ストレンジバスターの刃を叩き込む。 ざしゅッ!! わずかながら傷を付けた。そこまでが限界かと思われた。 「わずかな傷程度で、何を――」 ドルカスの声が終わるよりも早く、ジルベルトは ストレンジバスターに装備された『引き金』を引いた。 バゴン! バゴン! バゴン! 無茶苦茶な爆発がジルベルトの至近距離で三回起こった。 その衝撃波だけで、建物にヒビが入り、 そしてすぐに崩れ落ちる。味方まで軽く吹き飛んだ。 「損傷、甚大! 損傷、甚大! 損傷、甚大!!」 それだけでメカ・スプレッダーがのたうち回る。 一方のジルベルトはと言うと、黒煙の中から反動で出てきた。 凄まじい勢いで地を滑り、脚力だけで何とかそれを止めた。 黒煙が晴れてくると、装甲はボロボロに剥がれ落ちており、 その爆発力の凄まじさが伺える。 「なんて威力だ……! 滅茶苦茶じゃねぇか!!」 爆風だけで吹き飛ばされたものの、メイベルに支えられて 何とか打ち身だけは免れたコンラッドが呟いた。 「ば、馬鹿なの……!? あんな至近距離で砲撃なんて……! それも通常のミサイルなんて比較にならない火力で!!」 ドルカスも呆然とする。 「立ちなさい、メカ・スプレッダー! これぐらいで壊れるようには作ってないはずよ!」 メカ・スプレッダーはその声に応えてゆっくりと立ち上がる。 バクン!! ジルベルトはストレンジバスターの柄から中折りにした。 じゃらッ! 空薬莢を排出し、すぐマガジンから次の弾を装填する。 一発辺りの薬莢の大きさが清涼飲料水の缶より遥かに大きかった。 ガキャン!! 鈍い音を立てて、フレームを元に戻し、装填行動を完了した。 まさしく乱暴な武器であるが、 あの化け物に対しては相応しい武器だった。 ジルベルトは闘志を緩めず、メカ・スプレッダーのみを見つめていた。 「とんでもない武器になったね……」 ライナスも呟く。彼も吹き飛ばされたクチである。 「まさしく、勇者軍筆頭完全専用対宇宙巨大生物兵器群 超零距離戦闘用銃剣型最終究極決戦兵器というところですね――」 とんでもなく長いセリフでシルヴィアもその砲剣を表現する。 「だが、あの武器なら充分に勝機はある!!」 テディも立ち上がる。 「そうです、立ち上がりましょう!!」 シエルの治療を受け、ユイナ姫も再騎乗した。 そして全員が頷く。 「メカ・スプレッダー、行きなさい!」 ドルカスも押されながら、負けじと指示を出す。 今度ばかりはシエルでなく、 ジルベルトの意志をソニアが汲んで頷いた。 高らかな指示が壊れかけの建物に響く。 「総員、再度突貫! 確実にジルベルト君を奴の元へ届けるわ!」 「了解!!」 全員の声が唱和し、メカ・スプレッダーとの決戦は佳境に入る―― <第十章-第二幕- へと続く>
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二つ名:銀峰の勇者 名前: 詳細: 辺境の山岳の上で銀峰麦という麦を育て酒を造って売り暮らしていたところ神託を受ける。ただの農家の自分がなぜとは思うものの、魔界にも銀峰麦酒を売り込めるとわかって意気込んでいる その他:
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恋愛勇者/ Last Note. feat. GUMI(作詞・作曲:Last Note. ) ( 公式試聴ページ ) ( 初音ミクWikiでの解説 ) Lv CHAIN 譜面属性 BPM TIME Version Genre Illustrator Effect NOVICE 03 0530 190 BOOTH10 EXIT TUNESボーカロイド スオウ DJ UTO ADVANCED 08 0673 EXHAUST 12 0965 +難易度投票 NOVICE 選択肢 投票数 投票 詐称 0 強 0 中 0 弱 0 逆詐称 0 ADVANCED 選択肢 投票数 投票 詐称 0 強 0 中 0 弱 0 逆詐称 0 EXHAUST 選択肢 投票数 投票 詐称 0 強 0 中 0 弱 1 逆詐称 4 攻略・解説 譜面・楽曲の攻略についてはこちらへどうぞ 見辛さ解消の為に改行や文頭の編集、不適切なコメントを削除することがあります [NOV]SDVX入門としては地雷か。少し速い縦連、うねうねみーつまなど、レベル3にふさわしい配置か疑わしいところあり。曲を知っていれば問題ないか。 -- 名無しさん (2012-08-24 20 04 29) EXHのCHAIN数は965です。 -- 名無しさん (2012-08-25 00 02 34) [EXH]逆詐称な気がする。初めと終わりの鍵盤からすぐ摘みのさえミスらなければUCいけると思う。 -- 名無しさん (2012-09-05 18 34 50) 名前 コメント ※文頭に[ bgcolor(#aaf){NOV}]、[ bgcolor(#ffa){ADV}]、[ bgcolor(#faa){EXH}]をコピー ペーストすると見やすくなります コメント 楽曲やイラストなどのコメントについてはこちらへどうぞ [EXH]NEERになる要素が少ないので14クリア安定15少しクリア程度の地力でもPUCが可能 -- (名無しさん) 2012-08-24 20 01 16 凛花もwoundもすっ飛ばしてEXT譜面初UC。こんなこともあるんだな… -- (名無しさん) 2012-09-24 13 03 19 名前 コメント すべてのコメントを見る
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【作品名】騎士ガンダムシリーズ 【ジャンル】漫画 【名前】勇者エックス 【属性】サテライト族の勇者 【大きさ】青年並み 【攻撃力】月を破壊する魔力砲を騎士の状態で押し返した。 ・サテライトソード(レーザーソード)を所持 かすっただけでザイダリアの一部を消し去った。 炎や風や水など形なきものを斬ることができる。 円月剣:円を描きそこから無数のエネルギーを飛ばす ザイダリアの本体を一撃で消し去る程の威力がある。 騎士状態で放った円月殺法は山を吹き飛ばす威力があった。 最も弱い時に放った円月殺法(同じような技)でも20mはある敵を跡形も無く 消し飛ばし巨大なクレーターを作るほどの威力があった 100m以上はある城を跡形もなく消し去る攻撃を上回る攻撃以上の威力がある。 【防御力】月を破壊する超魔力砲が直撃しても勇者の鎧とサテライトソードが 消滅して騎士に戻っただけですんだ。 騎士の状態で月を破壊する魔力砲を押し返した。 100m以上はある城を跡形も無く吹き飛ばす魔力砲を防げるシールドを破壊する 魔界剣の衝撃波を防ぐ事ができる騎士の鎧以上の強度を誇る勇者の鎧を装備している。 【素早さ】月から星へと数秒で届く攻撃を数mの距離から避ける反応。飛行可能 魔術師の時に空から降りそそいだ光に反応し魔術シールドを展開できた。 魔術師状態のエックス以上の反応を持つ騎士エアマスターが 避けられない攻撃に反応しワープで回避したこともある。 【特殊能力】魔力を込めて相手に触れると相手をテレポートさせることができる。 月から惑星までテレポートさせた。 サテライトバリア:相手を守るバリアを出す。 バリアの中にいると安全だが身動きが取れない。相手に触れなくても使用可能 ・下記は魔術師状態での技 フラスペ:人間数十人を球体に囲み数km上空からすぐに地上まで戻した グフラスペ:数km上空から月まで城ごと数秒でワープした リカレビ:死んだ騎士レオパルドを蘇らせた 【長所】まさしく勇者という強さ 【短所】特に無し 【備考】通常の騎士は装備を変えることにより魔術師や闘士の力を得るが エックスは騎士の時に闘士状態でしか使えなかった騎士気功爆裂拳や 剣士状態でしか使えなかった円月殺法を使っているため 魔術師状態の技も使えると推測。 事実、魔法のような技であるサテライトバリア等も使用している エックスの基本的な強さは 勇者>騎士>魔術師>闘士>剣士 である。(この順番で成長したため) 【参考テンプレ】 【名前】大魔王ザイダリア(究極進化) 【属性】大魔王 【大きさ】月。本体は10m以上あり八つの龍と脳が剥き出しの化物 【防御力】月相応。ザイダリア本体はパワーアップ前で 月に底が見えない程の凄まじい大穴をあけるエネルギーと互角の エネルギー攻撃を連発で食らっても無傷。山破壊攻撃でも無傷 体全てを吹き飛ばされ肉片になったが脳が増殖して再生した 参戦 vol.118 718 vol.125 81 格無しさん 2019/07/14(日) 09 24 52.97 あと仮面ライダーに関係無いけどテンプレ不備あるのを以下に ルーシー wikiが開けないのでマリコなどのテンプレが分からない 勇者エックス 円月剣の弾速不明 ワルキューレ 亜光速の隕石が目の前まで来た状態って、隕石との距離はワルキューレの身長の200倍以上離れてたんだが 行動停止も行動不能時間の限界がテンプレに無い 劉王羽+砕紅龍 宇宙まで数十秒で出る速度の根拠が漫画から見つからない こいつwith紙飛行機 過去の栄光の自爆をくらった後に戦闘可能か分からない スペシャルステージまで暗転を挟んだので、時間経過しているはず フェンinニキ・ヴァシュマール 攻撃の殆どが弾速不明 ゲイナー・サンガwithキングゲイナー 発動時間、弾速不明 パワード・バターカップ 弾速不明 バトルフォースwithコンパチカイザ その他の技の武装もエネルギーを消費するのだが書いてない リョウ・ルーツwithEx―Sガンダム 弾速不明 オズヌ 弾速不明 1スレ 391 格無しさん sage 2007/07/15(日) 10 30 41 勇者エックス考察 ○ミリィ サテライトソード勝ち ×ワルキューレ 刻の鍵で負け ×龍虎王 龍王破山剣負け ワルキューレ>勇者エックス>ミリィ
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第二十章-第五幕- 反逆の少女達 第二十章-第四幕- 第3部 序章-第一幕- 勇者軍主力部隊は、グロフィス・イグジスターの 最終奥技の弱点が展開時間の遅さにある事に気付き、 人海戦術による波状攻撃をかけ、遂にロバートの持つ 人業魔神剣ギガスカリバーにより、大勢を決した。 後は、とどめを刺すだけである。 グロフィス・イグジスターを追い詰め、 いざ、とどめという時だった。 「うっ!?」 その時、ストレンジャーソードから 聖剣エンジェルランプが弾き出される。 ぱきぃぃぃぃん! あまりのエネルギー量に刀身が耐えかねたのだろう。 聖剣エンジェルランプは木っ端微塵に砕け散った。 ストレンジャーソードに纏わり突いていた 呪鞘カオスリキッドの効力も底を尽いている。 「ちいッ、切り札が!」 「……いいや、ここからは俺の出番だ!」 エリックが前に出て、もがき苦しむグロフィス・イグジスターの 下半身を思い切り杖で打ち据え、粉々に打ち砕く。 ニノンの翼を強引に引き千切り、自らの手に奪還した。 「我が家宝は返してもらう!」 自己再生させるために、翼は一時しまいこむ。 「子に手を出される時の親という生き物が、 どれだけ苛烈で残忍かを、貴様は思い知れ…… ヴァリアブル・スピード・オーバー・ヒール!!」 上半身に治癒魔法をかけるエリック。 「エリック殿! 何をしておるのじゃ!? それでは再生するぞ!」 アンリが制止するのを手で止めるエリック。 「これは治癒能力を過剰に引き出す禁断の魔法だ…… 過剰に治癒能力を引き出された生命は、やがてその力に 耐え切れず、己が再生能力の高さ故に圧殺されるのだ! もっとも、大勢に使えばただの治癒魔法止まりだがな。 対象が少なければ少ないほど『過剰治癒力』は上昇する」 「おがああああああああああああああッ!!?」 感じたこともない苦痛に、一層もがき苦しむイグジスター。 一瞬で傷が治り、それがより深い傷に変貌していく。 まさに悪意意外のなんでもない、狂気の魔法であった。 「負の感情の具現化生命体だか何だか知らんが、 俺の子に、勇者軍の子に手を出した愚を死ぬまで呪え!」 その怒りと憎しみの深さに、エナやマリーは戦慄さえした。 これが人の親の恐ろしさだというのだろうか。 それと同時に、底知れぬ悲しみも理解できた。 だとすれば止めるにあたわず。むしろ推してやるべきだろう。 それで彼の悲しみが、いくらかでも報われるなら。 「待て、おっさん」 と、そこにエンジェルランプを失ったロバートが割り込む。 「何故止める、ロバート。お前も想像してみろ。 産まれたばかりの弟を同じ目に遭わされたらと考えてみろ。 お前は俺を止められないはずだ」 「いいや、止めるね。こいつには一時の死すら温い」 ざすっ。 軽くだが、ストレンジャーソードを突き立てる。 「何をする気だ、ロバート!?」 「悪党には悪党の報いがある……!」 ロバートもまた、狂気の笑みを浮かべる。 グロフィス・イグジスターはもはや抵抗する気力も無い。 「貴様の力という力を剣で吸い取り、この剣をまた違う形に進化させる。 そして貴様の……イグジスターの同胞殺しという汚名を塗った上で、 全てが終わる時にその愚かさ加減を全世界の人間に晒した上で、 苦と惨と悲を絡めて地獄に落としてやる……!!」 「相も変わらず性格の悪い……」 よくもまあそんな面倒な処刑方法を思いつくものだと呆れるエリック。 「反対なのか?」 「賛成に決まっているだろうが! やれ!!」 「おっさんならそう言うと思ったぜ!」 「ぐおおおおおおおあああああああああッ!!?」 ストレンジャーソードがグロフィス・イグジスターの存在を吸収し、 黒く、禍々しく、おおよそ剣というより取っ手の付いただけの牙、 という趣がぴったり似合う、魔性の装備が出来上がった。 「マリー! カオスリキッドを貸せ! こいつを封印する!!」 「お……おお? 分かった!」 慌ててマリーはカオスリキッドを展開し、新たな剣を包む。 すると謎の剣の負のエネルギーが自動的にカオスリキッドに流れ込む。 「これはどうした事だ?」 訝るマリーに、アンリ姫は怪球ミームで解析を行う。 「そのままでは暴走しかねない負のパワーに満ちておるようじゃ。 しかし、カオスリキッドがその受け皿となって、 結果的に封印という形を取ってくれておる。 なおかつ、カオスリキッドのパワーチャージも出来るのじゃな」 感心したように言うアンリ姫。 後方で聖杯ライブチャージャーによる回復を行っている ローザはロクに聞いていないが、概ね全員納得した。 「で、その剣の銘はどうするつもりです? まさか、そのままストレンジャーソードとは呼べませんよ?」 「おいおい考えておくさ。次に使う時までにな」 アイゼンカグラのツッコミは華麗にスルーする。 「では、これにて本作戦を終了しましょう。 これからはイグジスターの識別装置を量産し、 各国と協力、連携してイグジスターを追い詰めなくては…… アンリ姫、あなたのその装置が鍵ですよ」 「うむ、承諾したのじゃ!」 ウォルフ王子の宣言でロバート救出作戦は終了となった。 「それじゃ、落ち着いたみたいだし、私は行く」 「ちょっと待ってイノちゃん!」 イノがそのまま立ち去ろうとしたのをレオナが止める。 「何? 私は勇者軍には入らないと言ったはず」 「そう! それ! だからあたしがそっちに入るッス!」 「何ぃぃぃぃッ!?」 ローザとマリーが揃って仰天した。 「ちょっと待て、何をお前勝手にやめるって!?」 「ロブ! 止めろ! これは立派な反逆行為だぞ!」 「ああ、いいぜ。貴様がそうしたいならすりゃいい」 ロバートは止めるどころかむしろ煽る。 「隊長いい奴ッス! じゃ、あたしはこれで! 今までいっぱいお世話になったッス! 今度会う時も敵じゃない事を祈ってるっスー!」 「い、いいの? ちょっと、レオナ?」 「いいからいいから」 珍しく慌てるイノに対し、笑顔で引っ張るレオナ。 「せめて動機を聞かせなさい、レオナさん!!」 ウォルフ王子がなおも止めるが、ロクに聞かずに離れて行く。 「隊長、何故止めないんだい?」 カイトが一応、ロバートに確認する。 「俺が誰だか忘れたのか? 俺は反逆の使途だぞ。 これがあいつの反逆だってんなら、 俺はそれをとにかく全うさせてやるだけだ」 「なるほど……火に油とはこの事で……」 苦笑するカイト。 エナはおずおずと、ヴァジェスに語りかけた。 「ヴァジェスさんも何で止めなかったんですか?」 「いや、俺は一応名目上は部外者だし。 別にカレン家に関わる事じゃねぇからなぁ。 最終的な裁量は、あくまでメインメンバーにあるし、 ロバートはああ言ってるし。あんたは?」 「止めようとしたのをクロカゲさんに止められたんです」 「ほう……どういう事か聞かせてもらおうか? クロカゲ」 「我……ミーム……通じた。我……見えた。 レオナ……イノ……かばう……動き……多い! レオナ……イノ……気に入ってた……止める……無駄!」 「それがニンジャなりの見方か」 ヴァジェスは少し笑う。 「でも、寂しいですね……あの人、ロバートさんを除けば、 私の最初の戦友だったんですよ。なのに……」 「何も今生の別れでもあるまい。泣くんじゃねぇ。 それにレオナの気持ちは少しだけ分からんでもねぇ。 たぶん、放っておけないツラと雰囲気持ってたんだろ」 「放っておけない?」 「そう、放っておけないんだ。それを反逆と呼びたきゃ呼べよ。 むしろ反逆の毒を纏った奴だから、嬉々として受け入れるだろ。 それがロバートの大器だ。今なら俺にも分かる」 「……ふうん……」 不思議なものを見るように、ロバートを見つめるエナ。 エリックは一人騒ぎには加わらず、レオナの動きも黙認した。 「まずは終わったよ、フォルテ、ゼブ、セティ」 一人呟くと、ようやく彼は少しだけ涙を流した。 涙は流し尽くしたはずなのに、悲願が達成されるとこの始末だ。 その情の脆さを悔しく思い、そしてまた泣いた。 「こんな所に墓なんか作ってやらないぞ……ロフ。 お前の墓は、ちゃんと妖精の森に建ててやるんだからな」 虚勢を張り、決意を固め、エリックは一人、歩き出す。 愛する妻と、残った子が待っている己の故郷へ。 そしてアンリ姫を除く各々が己の居場所へと戻り始めた。 アンリ姫は識別装置量産の指揮を執らねばならないのだった。 「エナ、早く来い!」 そしてロバートはエナを約束通りに迎える。 「俺達は遊軍として世界中を動き回るぞ。 イグジスターを見かけたら近くの部隊に救援を要請しつつ駆逐。 また気ままな二人旅が始まるってわけだな」 「二人と一匹です」 「にゃー」 ずっと隠れていた猫のポメが姿を見せる。 「お前、今回目立たんかったな?」 「ふぎー!!」 怒って爪で引っ掻こうとするポメを受け流すロバート。 「ふはははは! 再開早々飼い主に牙を剥くか。 本当に貴様は面白い猫だな、ポメ!!」 さっきの狂気とは裏腹に、猫を撫でる顔は本当に穏やかだった。 「じゃ、行きましょうか」 「おう!」 二人は、またどこへともなく歩き出した―― 来たるべき新たなる戦いへ向けて。 そしてどこか遠く。 イノとレオナは道すがら喋っていたりした。 「……勇者軍にいれば高給優遇は確実だったのに。変な人」 「イノちゃんは放っておけない感じがするんスよー。 これって、一種の宿命って奴じゃないッスかねー?」 「宿命、ね……なら、いっそ作ってみようかしら」 「何をッスか?」 「第2の勇者軍的軍閥プランをもっと具体的に、ね。 同等のメンバー構成に、資金源となるスポンサー、 活動理念と活動区域の保障調停に、各国とのパイプ繋ぎ。 私とあなたの実力があれば、きっと何だって出来るもの。 期待してみる。お願いだから応えてみせてね」 「はいッス! 勇者軍にこのままいるよりずっと面白そうッス!」 二人の少女は反逆の毒を抱いたまま笑い、夢を語った。 それが古より決められた運命であったかの如くに―― <第3部へ続く>
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二つ名:戦火の勇者 名前: 詳細: 人間と魔族の争いだろうと人間同士だろうと雇われれば戦地へ赴く流浪の傭兵。自分の手の届く範囲にある銃器を意のままに操る能力がある。最近の悩みはいくら洗っても火薬のにおいが取れないこと その他:
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第十八章-第一幕- 絶望、怨嗟、そして恐慌 第十七章-第三幕- 第十八章-第二幕- ロバートやイノ達幹部が反逆し、しかも勇者軍主力部隊が 押し迫っている中、エッセ教皇は珍しく焦っていた。 しかも外にはあれほどソルが警戒していたイグジスター達が わんさと迫り、既に別の入り口から中に入り始めているという。 これで焦らないのなら、肝が据わっているか、よほどの馬鹿かだ。 「ちいッ……予備養分として取っておいた人間達を処刑し、 ただちに埋めて魔神王様の復活を急がせる他、手が無いか。 もうすぐ復活するとなまじの情けをかけてやったのが失敗だった。 ターレットの予測した時間はもう間もなくだが、 今はイグジスターや勇者軍の撃退も急がねばならぬ!」 信者の一人を呼びつけるエッセ教皇。 「予備養分用に備えていた『贄の間』の者達を今すぐ絶命させなさい。 一人残らず養分とし、更に魔神王様の復活を急がせます!」 「はっ!」 信者が総員に指令を出すためにコントロールルームへと向かう。 更なる絶望と怨嗟が吹き荒れようとしていた。 「ふはは……魔神王様さえ予定通り復活して下されば、 イグジスターも、勇者軍さえも恐れるところではない。 誰がどう足掻こうが、最後に笑うのはこの私だ!」 いくらか冷静さを取り戻し、しかし確実に病んだ心で エッセ=ギーゼンは残虐な笑みを浮かべる。 そして遂にロバートが入らなかった『贄の間』では 既に多くの血が流れており、 今また新たな血が捧げられようとしていた。 「はーなーせー! 出しやがれクソ野郎共がー!」 「エカテリーナぁー! 俺はまだ死んでねぇぞー! 必ず帰るー!」 好き勝手にぎゃーぎゃー喚き立てる哀れな生贄達は、 完全に拘束され、今にも斬り殺されそうだ。 中には諦観から死んだような目をしている者もいる。 「悪いが生贄になってもらう。恨むなよ?」 「恨むに決まってるだろうがこのクソ野郎共! ふざけんな!!」 一際元気な生贄の男を信者が蹴る。 「ごっふ!」 「悪い事ぁ言わねぇ、死ぬ時ぐらいは静かにしとくもんだ」 「だ……れが手前ェ等の言う事なんざ聞いてやるか! 死ぬその瞬間まで俺は足掻きつくしてやる!! 支配者気取りのクズ共め、俺は決して屈しねぇぞオラ!」 「そうだそうだー! 生贄なら勝手に自分でなってろボケー!」 「貴様等に幸福な未来が許されていいわけねぇ、呪われろ、カスが!」 更に息巻いて猛抗議を繰り返す生贄に腹を立てる信者達。 「そうかい! ならせいぜい足掻いて死ねい!」 剣を振り上げる信者達。一気に全員が斬られようとした。 ボゴガン! すると、凄まじい音を立てて 『贄の間』のドアが木っ端微塵に砕けた。 黒煙の中から現れたのはイノ、ロバート。 そしてソル、ゲイリー、サキ、ターレットの面々である。 「教皇の事だからこれぐらいはやりかねんと思ったが、やはりか」 「一応足を運んでおいて良かったぜ」 ソルがむしろ納得したように頷く。サキも同調する。 「やい、俺の魔神王復活予測時間はあと一日を切っていたんだ。 だってのになんでわざわざそんな事する必要があるんだよ!」 「こうやって直に見るとひでぇもんだな……許せねぇ!」 ターレットとゲイリーが面と向かって信者達を非難する。 「ふん、裏切り者の幹部と幹部候補生が何を今更! 魔神王様の復活を急ぎ、イグジスターとやらを蹴散らすまで! 貴様等は指を咥えてそこで見ていればいい! 背信者共め!」 信者の一人が怒鳴り返すが、ロバートはもう聞いていない。 一人をすぐさま刺殺し、返す剣で二人を一刀両断にする。 その剣閃たるや、イノと戦った時とは別人のようだった。 そして彼は、叫ぶ。勇者軍主力部隊やエナがもし聞いていたなら、 それだけで感涙してしまいそうなほどの絶妙のタイミングで。 「怨念怨嗟をその身に纏い! 正義とのたまう悪鬼の者を! 命の摂理をその身に纏い! 悪を背負って俺等が討つ!! 豪放反逆ストレンジャー! 俺の逆鱗に触れた奴ぁ許しゃしねぇ!!」 いつものなびきマントがあれば最高に決まっていたのだが、 軽めの格好でスタイリッシュに決めるのも悪くは無い。 そうも思いながら、ロバートはその怒りを剣に込めた。 「格好いい……私もやりたい」 ぼそりと呟くイノを、じろりと睨むサキ。 「何? お前ああいうのやりたいのか?」 「い、今はいいの。またいつかね!」 指摘され、珍しく慌ててロバートの援護に出るイノ。 「……やれやれ」 ぼやきながらもそれに続く他四名。 「増援だ、増援を呼べーッ! 敵だーッがはッ!!」 コントロールルームに通信を送る信者。 「しまった、増援を阻止できなかったか……!」 ゲイリーが弭槍の矢で通信を行った信者を射抜く。 「全員薙ぎ倒すのみだ、めげるな、ゲイリー!」 「おうよ、ソル!」 二人のコンビネーションでかなりの数が薙ぎ散らされていく。 「拘束を解除しろ、ターレット!」 「護衛は任せるぜ、サキ!!」 腕を斬り、斬られた間柄だが、今は絶妙のコンビネーションで、 かなりの数がいる生贄の拘束を解除して回る。 百人以上いるので、さりげにかなりの大仕事だ。 彼等の役割は、この場において非常に大きい。 「たた、助けてくれるのか!?」 「俺も立場は似たようなモンでな、安心しなよ!」 一人一人に声をかけて、民間人を救出していくターレット。 その手際は流石に見事と言う他無かった。 イノとロバートはアタッカーとして、信者達を残らず叩き斬る。 正義のためなどというつもりはない。命の大事さを問いながら 目の前の命を叩き斬る罪悪感、裏切った罪悪感もゼロではない。 だが、彼等は誰もが生命の根源のために戦っていた。 すなわち『生きていたい』という衝動が全てである。 そのために、そのためだけに戦っているのだ。 それは誰よりも人間らしく、生物らしい姿であり、 血まみれであるにも関わらず、怖気をふるうほどの美しさだった。 「ようし、これで最後の一人だ!」 ターレットの手により、最後の民間人が救出された。 「おお、やってくれたか、助かるぞ、ターレット!」 「やだな、誉めてくれんなよ、照れちまうぜ」 「お前等、そんな事やってる場合か、新手が来たぞ!」 ソルの賞賛に素直に照れるターレットを叱り飛ばすゲイリー。 通路からは更なる信者達が数百人規模でやってくる。 どこにこんなにいっぱいいたのか、と全員が驚く。 ソルを筆頭とする幹部達でも これほどの規模の教団だとは思っていなかった。 組織の実態を知っている者がほとんどいないという点では 確かに脅威の組織であると言って良かった。 「ひぃぃ、やっぱり駄目なのかよぉ!」 民間人達の一人が恐怖に震え出す。 「安心して、私達が必ず守る! 見てたでしょ!?」 イノの激励に落ち着きを取り戻す民間人達。 「おい、あれを見ろ!」 サキが突然、信者達が来るのとは反対側の通路を指差す。 そこからイグジスター達が大挙してやってきたのだ。 「俺の知ってる入り口からやってきたのか!?」 驚くロバートに、イノは冷静に答える。 「入り口は一箇所だけとは限らない。いくつか非常路もあるもの」 「たくよ、余計なモン作りやがって!」 愚痴を言いながら、様子を見ていると、 イグジスターは数の多いだけの信者の方へ 一斉に向かい、丸呑みにしていく。 「あああああああああッ!?」 「お助けぇぇぇぇぇぇ!」 「食われ、食われる! ぎゃああああ!!」 「ひぎぃぃぃ!! 魔神王様ぁぁぁ!!」 哀れ、信者達はイグジスターの贄となる。 信じる魔神王の贄ならまだしも、忌み嫌うべき 化け物の擬態と養分に成り下がったのだ。 その苦痛と無念たるや、想像を絶すると言える。 だがそれを斟酌するだけの余裕はロバート達には無かった。 「よし、武器庫へ再避難だ、サキ、ゲイリー、誘導と護衛。 残りは殿軍としてイグジスターを警戒しながら退くぞ!」 「ちょっと、信者達は見捨てるの!?」 「奴等は擬態するんだ……見分けの付かない奴を助けて まともに生き残れると思うなよ……こいつらと共に脱出だ! 勇者軍主力部隊が来る予定もある、脱出を急げ!」 軽い恐怖を振り払いつつ、ロバートはイノに向かって叫ぶ。 「……分かったわ。総員、信者達が丸呑みされてる間に さっさと退避するのよ。急いで、見ないでね!」 イノの指示に従い、信者達を見捨てて逃亡するロバート達。 武器で抵抗する者も数多くいたが、 ロバート達が見えなくなる頃には 概ねほとんどが丸呑みされ、擬態しきってしまっていた。 彼我戦力差は推定だが、最低でも1:150だ。 その状況での勝利をただの信者に求めるのは酷だった。 信者とイグジスター、双方の群れに追い立てられ、追い詰められ、 ロバート達は武器庫への後退を余儀なくされつつあった。 <第十八章-第二幕-へ続く>
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第二十章-第一幕- 危険生命 第十九章-第三幕- 第二十章-第二幕- 六つの小隊に無理矢理分けられてしまった勇者軍主力部隊は、 ネイチャー・ファンダメンタルの幹部達を根こそぎ撃退し、 遂にそれぞれが脱出し、地上に出る事に成功したのだった。 また、奪還した惑星アース国際平和機構本部施設も、 アイリーン・マフィアらの手によって制圧が完了していた。 「……今、集合指示を出したから、いずれ来るわよね」 と、ソニアは施設の外の野原にて呟く。 端末を使って全方位の味方に集合指示をかけたのだ。 『来られる者は全て集合するように』との文面である。 これで施設を制圧している部隊は自分達でないと分かるだろうし、 勇者軍主力部隊は残らず集まる、という算段だった。 それから二分後、チームB、チームFが集合した。 「やれやれ、まいったまいった。ああいう罠とは思わなかったよ」 「いやまったく。どうなる事かと」 サイモンとライナスがほぼ同時に愚痴をこぼす。 更にそれから一分後、チームC、チームEが集合した。 「お、やはり隊長達は先に来ていたか。流石だ」 「俺達より先に来るとは、やりやがる」 テディとヴァジェスがジルベルトを素直に誉める。 そしてその二分後、最後に、チームDが集合した。 「いや、お待たせして申し訳ありません。 敵の抵抗が思ったより激しくて苦戦してしまいました」 「無事ですか……皆さん、本当に良かったですわ」 イスティーム王とキョウカ王妃が言うそばから、 大福、きなこ、みたらし、黒ごまの四匹は、 恋しげにジルベルトへまとわりつき始める。 これで全員が集合した形となる。 「あの……マキナさんがまだ出てきていないので、 警戒を緩めたら……いけないと思います」 何故か申し訳無さそうにメイベルが言うので、全員頷く。 そこへイスティーム王の端末に通信が入る。 「どうしました?」 「すまん……俺だ、ケヴィンだ! イスティーム王、聞け! 先程捕縛したネイチャー・ファンダメンタルの兵から 尋問で聞き出した、ここから割と近い島に、 奴等のプラントがあるらしいと聞いて、調査隊を送った。 だが、その調査隊はものの数分で壊滅寸前だ。 何とか死ぬ気で逃げてきたおかげで、奇跡的に死者こそいないが、 幹部をあんた達が倒したというなら、そのプラントに 件のデウス=エクス=マキナとやらがいる可能性が高い。 悪いが、ただちに向かってくれるか?」 「島の名前は分かりますか? 座標を検索します」 「ここから徒歩でも遠くない。アルヘイ島という島だな。 離島としては比較的大きめだが、海との境目はひどく曖昧で、 島としての面積が潮の満ち引きに多少左右されるだろう。 ただし干潮の時は船さえ必要ない。地続きで走れるはずだ」 「……分かりました、出撃します!」 イスティーム王とケヴィンの通信が切られた。 これ以上の支援の期待が薄くなってきた証拠でもある。 「ジルベルト、号令を」 イスティーム王が促すので、ジルベルトは口を開く。 「……行こう! アルヘイ島へ!」 「了解!!」 全員が応じ、一気にアルヘイ島へ向かって駆け抜ける。 ――二十分後。ちょうど干潮だった大陸から 地続きになった離島、アルヘイ島へと到着しつつあった。 「……確かに広い島だな」 と、コンラッドが呟く。よく見渡してみると 建物があるので、とりあえず入ってみる事にした。 どうやら研究施設のようである。培養装置が大量に置いてあった。 「バスク、何か分かる?」 「くそっ、シルヴィア主任かリゼル補佐官ならもっと早いのに!」 と、ぶつくさ言いながら端末に残ったデータを閲覧するバスク。 「なになに……これはネイチャー・ファンダメンタルの歴史か? 発祥は……C・C0048!? 千年以上も前からだと!?」 その事実に驚き、キョウカ王妃も画面を食い入るように見る。 「驚く事ではありません。それを言うなら勇者軍など 一万年近く存続してきているのです。このような組織が 水面下で耐え忍んで何かをしていたとして、 さして驚いてやるだけ時間の無駄でしょう」 冷静にイスティーム王が言い捨てる。 「……だが、これは重要な事実だ。あのマキナのような存在が 一朝一夕で育つわけもないと俺は前から疑問に思っていた。 かなり長い時間をかけて育成された存在なのだろう」 ヴァジェスが嘆息すると、フローベールが急かす。 「他に重要そうな事実は無いの、バスク?」 「……急かさないでくれ。ふむ、ふむ……なるほど。 ネイチャー・ファンダメンタルは発足当初は かなり平和的な団体で、今のような強硬手段に出る事は 無かったみたいだな。マキナが生まれる前後のタイミングで かなりのゴタゴタがあって、これで方針が変わったらしい」 「諸行無常は世の常、か。やりきれん事だな」 ギースも嘆息する。 「……色々データを漁っても、これ以上は情報が無さそうだ。 機密レベルの事項に関しては既に抹消が完了しているらしい」 「……それだけ分かれば充分だ。 当初の理念を忘れて暴走し、突っ走った結果がこれとはね。 もう我々の力で止めるより他は無いだろう」 ライナスもそう言うので、施設を出た。 ごごごごごごごごごごご…… そこで地震……いや、地響きが起こる。 「奴なの!?」 ルシアが一気に警戒態勢を取ったので、他もそれに従う。 すると、建物が一気に崩れ去り、 そこからデウス=エクス=マキナが現れた。 「……よく来たな。ネイチャー・ジモン達が敗れた事によって、 ネイチャー・ファンダメンタルは実質壊滅したに等しい。 だが、我はその意図を体現しなければならない。 我はそのためだけに誕生させられた者であるが故に」 「何故です!? あなたはそんな事を望んでいないはず! あなたは生き物の命を奪って良しとする方ではないはずです!」 「キョウカ=カザミネ=ザン=アーム。確かにその通りだ。 だが我の役目は、この命をもって世界に警鐘を鳴らす事だ。 我が命はただ哀しみのみしか産む事の出来ぬ存在ではあるが、 未来への教訓と礎となって果てる事が出来るというのなら、 それそのものに躊躇など無い。あるはずも無い」 「生命の本能は生きる事そのものにあるはずです! 警鐘を鳴らして死ぬだけの生命に何の価値があると!?」 「警鐘をただ聴くだけの者になってもらっては困るという事だ! 無論、我も生命である以上、最後の抵抗はさせてもらう!!」 「和解の道があるはずです!」 「我の存在はそれを受け入れるにはあまりに巨大に過ぎる。 我一人が生きる事で何兆の生命が死ぬ事になるか分からぬ。 我一人という生命そのものが核など比較にならない危険物だ! その危険な命を、君達の心胆に刻み込め、勇者軍!!」 そこまでで会話を打ち切り、マキナは攻撃へと入る。 一直線にジルベルトへと向かってくる。 十五メートル級の巨体が、 スプレッダーなど比較にならない敏捷さで、 ジルベルトへと一直線に進んでくるのだ。脅威という他無い。 「……ッ!」 慌てて、ジルベルトが砲剣ストレンジバスターのトリガーを引く。 ずどごぉぉぉぉん!! 凄まじい爆風がマキナに直撃する。傷だらけになりながら 委細構わず、マキナは突撃してくる。これは予想外だった。 「……!?」 回避するだけの余裕が与えられていない事に ジルベルトは驚愕する。 「兄様ッ!!」 フル・ブーストをかけたメイベルがジルベルトを吹き飛ばす。 ジルベルトは辛くもマキナの射程外に逃れる事になった。 ごがっ!! 「ひゃっ!?」 大きく吹き飛ぶメイベル。アースシールドで防御したおかげで 自らに大きな損傷は無かったが、肝心のアースシールドには ただの一撃でヒビが入ってしまった。 「メイベル! 大丈夫なの!?」 「……な、何とか!」 大きく吹き飛びはしたものの、ブースターを吹かして 何とか姿勢制御に成功したメイベルを、フローベールが気遣う。 一方、メイベルに突き飛ばされたジルベルトもすぐに起き上がる。 スプレッダーとは頑強さの桁が違う。爆発に怯みもしないのだ。 その事を理解したジルベルトは、完全に本気になった。 「烈風剣!!」 「うおおおおッ!!」 そんなやり取りの間にも、ライナスやテディ、 それにその他のメンバー達が 必死にマキナの攻撃をかわしながら、 なんとか少ないチャンスを見計らい、確実にヒット&アウェイで 一撃ずつ決死の攻撃を叩き込んでいく。 特にライナスの呪鞘カオスリキッドによって剣に与えられた力は、 数少ない大きなダメージソースとなってくれていた。 前に対峙した時よりマキナも本気になっているが、 家宝の分だけ勇者軍もかなり実力が上がっていた。 マクスフェル戦線の雄の一人である ヴァジェスやイスティーム王の力も大きく貢献している。 新たな仲間の力も実に頼もしかった。 ならば、自分だけが慌てているわけにもいかないだろう。 ジルベルトの闘志にもいよいよ火が点き始めた。 「……止める!」 それだけ言うと、心配するキョウカ王妃や猫達をよそに、 今まで温存していた体力も投入して、全力でマキナに向かって ジルベルトは突撃をやり返すのであった―― <第二十章-第二幕-へと続く>
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第十一章-第三幕- メイベルの友達 第十一章-第二幕- 第十二章-第一幕- アイリーン・マフィア本部を包囲した謎の武装勢力は、 キョウカ王妃との交渉を決裂させ、突撃を開始した。 四方から包囲されたこの状況の中、勇者軍の四名は 文字通り四散し、東西南北それぞれの方向へ突撃を開始する。 東へ向かったジルベルトは剣と鋼線で大暴れし、 敵を速やかに無力化し始めていた。だが数が数である。 やはり怪我だけでは済まないような 剣の振り回し方をせざるを得なかった。 「………………」 「こいつ、チビのくせにすかしやがって! 死ねぇ!!」 悪態をつきながら特に乱暴そうな敵兵が 数名ほど突っかかってくる。 そのうち二人に猛烈な足払いをかけて昏倒させ、 剣を一時鞘に収めてから片方の兵士をぶん投げて 残りの敵兵を薙ぎ払った。 更にもう片方の兵士も丁寧にぶん投げて戦場を撹乱する。 これを繰り返して、むしろ剣よりも安全かつ迅速に 敵兵を無力化しつつあるジルベルトだった。 文字通りのちぎっては投げ、ちぎっては投げ、である。 西に向かったソニアは獅子奮迅と言わんばかりの大暴れを開始した。 素早さと技量に定評のある彼女は 常人からは測り知れないほど機敏に動き、 避けては駆けて、駆けては殴り、 殴っては蹴り、蹴ってはまた避ける。 猿や狼でもここまで機敏かつ忙しそうには動かないだろう。 何名か重歩兵も混じっているが一切関係は無い。 敵の初撃をかわしたなら、もう彼女の独壇場だった。 右の拳で敵の鳩尾(みぞおち)部分の装甲にヒビを入れ、 次いで左の拳で鳩尾部分の装甲を叩き割り、 最後にもう一度右の拳で鳩尾に一撃。これで充分だった。 敵がうずくまったなら後は簡単。そのまま蹴り飛ばせば良い。 そんな感じの大暴れを続けるうち、敵兵はみるみる減っていく。 南へ向かったルシアはというと、 矢を束ね撃ちにし、弓を乱射する。 敵が近付けばまたステップを踏んで離れ、次々と弓を射る。 「とにかく奴を捕まえろ! これ以上好き勝手にやらすな!」 ようやく戦術らしき命令を下す敵兵だがもう遅い。 一斉に近寄ってくれば彼女の的だ。 「ウォーターウェイブ!!」 強い水圧を含んだ波が、彼女の周囲一帯の敵をを吹き飛ばす。 「くそ、怯むな、続け!」 敵兵がなおも懲りずに突進するが後はこれを繰り返すだけだ。 正直、場数を踏んだ彼女にはものの数ではなかった。 北へ向かったメイベルは、その自慢のスカーレット・アーマーで、 敵の攻撃をことごとく弾き返していた。 時々思い出したかのように動いては、非常に雑に敵を鎌で殴る。 自分のアーマーに絶対的な自信がある故に為せる所業だ。 「この好戦的でない態度……あの鎧……ひょっとすると、 あの『真紅の雌鹿』ってのはこいつの事か!?」 妙に戦慄する敵兵。どうやら何故かそれなりに名が売れたらしい。 「嬉しくなんかありません……!」 少々ムッとしたのか、メイベルは多少積極的に動き出した。 「あの鎧に勝てる奴なんかいないぞ、逃げろーッ!」 変なネームバリューのおかげで 敵は恐慌状態になったようではあるが、 メイベルはどこか納得がいっていないようではあった。 ジルベルトの横には大福達、五匹の猫が付いていた。 襲われた事で敵意を剥き出しにし、 こちらも尋常でない暴れぶりを示す。 だが、それに驚き、敵兵達が大きく後ずさった。 「その強さ……速さ……そいつら、普通の猫じゃないな! まさか、遺伝子調整動物か!?」 その態度の変わりようにジルベルトは驚いたが、 その通りなので、軽く頷いた。 『遺伝子調整動物』は遺伝子をいじる事によって生まれた動物達だ。 遺伝子の調整によりアレルギーを受ける事無く飼う事が出来る 愛玩用の調整はもとより、調整の仕方や組み込む細胞によっては 戦闘用の動物として誕生させる事も不可能ではない。 現に大福、きなこ、みたらし、黒ごま、あんみつの五匹は それぞれに長所の違う戦闘能力を持たされた動物であり、 知能も尋常ではないほどのレベルを誇っているのだった。 もちろん先代筆頭エリシャの時代にも遺伝子調整動物はいたし、 それを否定する理由は特に無かった。 敵はそれを警戒したのだと思い、退いてくれればと考えて ジルベルトは遺伝子調整動物である事を否定しなかった。 「おのれ、我等が真なる敵は勇者軍、お前達にあらず! その五匹の畜生共こそ、我等が誅滅すべき怨敵なり!! 死力を尽くせ! 他の部隊も合流させろ! 勇者軍などどうでもいい、あの五匹の猫をすぐに殺せーッ!!」 「えっ……!?」 ジルベルトも思わず声を出すほどに驚いた。 まさか人類史上最強の私設軍である勇者軍を放置した上で、 少々強いとはいえ、猫五匹を本気で付け狙うというのだ。 とても正気の所業とは思えなかった。 だが、敵兵はその動揺を隙と見なして、突撃を敢行した。 「大福、きなこ、みたらし、黒ごま、おいで!!」 思わず全力で叫び、四匹を呼び寄せつつ、自らは あんみつを抱き寄せて速やかに後ろへ退きつつ応戦する。 この仔猫達は生まれたときからジルベルトが守ってきた命だ。 あんみつにしてもメイベルが守ってきた命である。 ならば、勇者軍軍規に則り、 そして私情としても守らねばならない。 だが、ルシア、ソニア、メイベルの方面に 向かっていた兵士達までが ジルベルト及び五匹の猫を狙って殺到してくると、 流石にジルベルト一人では荷が重くなってきた。 事態を察して三人が救援に来るまでは それなりの時間がかかるだろう。 それまでに、猫達のうち、誰かが死んでいない保証は無かった。 (僕だけじゃ守り切れない……) 許容は出来なかった。どちらを守るかと言われれば、 猫の……否、家族の命を守る。それがジルベルトの信条だった。 (ならば、僕はこれより、修羅に入る!) 殺害行為の断行を決意しようと決めて、彼は剣を敵に向けた。 だが、その時だった。 「ダークバスター!」 空中から膨大な数の闇の魔法が飛来し、 敵陣のド真ん中へと叩き込まれた。 「そりゃそりゃそりゃそりゃ!!」 次々と乱射されるダークバスターに、次々と敵兵が倒れたり、 大慌てになったり、混乱を引き起こしたりしている。 (味方!?) ジルベルトは魔法が飛んできた空中の方角を仰ぎ見る。 天馬騎士――ペガサスナイトだ。それもかなり貫禄のある、 高い能力のペガサスに乗っているようであった。 「ベアトリス、降下よ!」 「ひひんばー!」 ベアトリスと呼ばれたペガサスの力で急降下し、一気に地上へ降り、 一通り騎乗している少女の手で槍が暴れ回った頃には、 彼女の槍の届く範囲に敵はいなくなっていた。 「ただ一騎だ、討ち取れ!」 兵士の注意が猫から逸れて、少女とペガサスに向く。 「ベアトリス、行って!」 少女の号令と同時に、敵兵をジャンプ台にして一気に急上昇。 再度魔法の雨を降らせ始める。 「弓兵、構えぃ!」 どうやら味方らしい少女とペガサスだが、 それを狙って弓を引く敵兵達。 弓と銃という、二種類の飛び道具はペガサス…… 否、空中戦を主とする者達の天敵と言っていい武器である。 このままでは明らかに危ない。 だが、危険は思ったほどに迫ってはいない。 むしろ、迫っているのは好機だった。 「フローベール、無茶し過ぎだ、下がれ!」 今度は馬に乗った普通のナイトだ。 武器は棒を持っているようだった。 (あれも味方なの!?) 馬上の棒術としては極めて見事な部類の敵の捌き方だった。 槍と同様に振り回しては突き、 また振り回しては突き、そして突撃。 一直線に敵を蹴散らしては方向転換し、また再度突撃、 空中と地上からのダブルヒット&アウェイを繰り返され、 敵陣はもはや陣としての効果を為さなくなっていた。 せっかくの味方だ。便乗しない手はなかった。 念のため持ってきていた広範囲攻撃用の 魔道書を開いて読み上げる。 残り1回しか使えない状態でもらったため、 リゼルからどうせ役に立つ状況は無いだろうと 言われていた余り物だが、なかなかどうして、 状況によっては助かるではないかと得心しつつも叫ぶ。 「プラズマブラスター!!」 二人の騎士が離れたタイミングで術をぶっ放した。 多くの敵兵が感電し、更に戦局はこちらに有利に傾いた。 「大丈夫!? ジルベルト君!」 「こういう手で敵が来るとはね……!」 「フォローします、兄様!」 ソニア、ルシア、メイベルの順に合流してきた。 これで勇者軍の敗北は無くなった。 先程交渉した指揮官らしき人物は、二百名以上を引き連れて、 たった六名に勝てない事実に愕然とし、そして激昂しかけていた。 「お、おのれええッ!!」 すると、フローベールと呼ばれた少女がジルベルトの元に来て、 先程ジルベルトが使って、術の効力が無くなった プラズマブラスターの書をさっと取り上げた。 「フローベール!」 驚くメイベルだが、彼女は一顧だにしなかった。 「ちょっと借りますね!」 敵の指揮官は激昂したまま剣を構え、 もう一人の騎士に狙いを定めた。 フローベールはペガサスを急上昇させ、次いで急降下。 「ペンは!」 がごッ! 凄まじい勢いで本の角が敵指揮官の脳天に叩き込まれた。 未だ戦闘中の騎士はその異音に振り向いた。 自分が敵指揮官から狙われているのにようやく気付いたようだ。 「剣より!」 フローベールの手から空の魔道書が放り投げられた。 どうやら少年騎士は、フローベールの意図を察したらしい。 馬の腹を蹴り、思わず怯む敵指揮官に向かって疾走する。 「強し!!」 そのまま少年は叫びと共に本の表紙を ダイレクトに敵指揮官の顔面へ叩き込む。 「ナイスなコンビネーションだったわ。即席な割に」 「だから無茶し過ぎだって。俺じゃなきゃ 対応しきれないぞ。あんな無茶振り」 フローベールと少年はそう言いながらもハイタッチをする。 戦闘は終了した。敵兵の大半が撤退し、 残ったり気を失ったりした者達も アイリーン・マフィアの兵達によってあっさりと捕縛された。 「兄様、紹介します。私の友達、情報部所属のフローベールです」 と、メイベルが遅まきながら紹介する。 「フローベール=エルデナント伍長です。今のが初陣ですが、 何とか上手くいったようで何よりです。 で、こちらが愛馬のベアトリス」 「ひひんばー」 「?」 ジルベルトがテレパスで何かを読み取ったようである。 (この子があの総帥エリシャのお子なのね……分かるわ。この感じ。 人を惹き付ける才、戦の才、そして人業さえも呑み込む異才。 いや、あるいは鬼才なのかもしれないわ。どこまでも異質にして、 究極の自然体のまま戦えるという本質なのかもしれないわね) という考えである。その真意は読めなかったが、 総帥であり、母であるエリシャを知っているという事で、 ジルベルトはなんとなく親しみを覚えるのであった。 「で、自分はその双子の弟、バスク=ランドルフ軍曹です。 なんかエリート扱いされて、フローベールより階級高いですけど、 まあ立場は同じようなモンなんで扱いも同じでいいッス。 あと、所属は研究部になりますので、よろしくです」 (うちの子達を守ってくれてありがとうなのー) ジルベルトはニコニコと笑って二人と握手する。 戦闘終了を確認して、キョウカ王妃も中から出てきた。 「無事に二人が加わったようですね……」 「キョウカ王妃、この二人が フローベールとバスクです。双子なんですよ」 メイベルが紹介すると、キョウカは 二人よりむしろベアトリスを見た。 「まあ、ベアトリス……という事はあなた達は ユーフェミアさんとエルウィンさんのお子なのですね」 「あ、はい!」 「そうです!」 ガッチガチに緊張して二人が答える。 (ソニアさん、ソニアさん) 重要だからなのか、いきなりジルベルトが ソニアの腕をくいくいと引っ張る。 「ん? どしたの? 怪我でもした?」 「ううん、そうじゃないの。 けど、敵の様子が途中からおかしかった。 僕達じゃなくて、大福達、猫だけを執拗に狙い始めたの」 「なっ!? なんで!?」 ジルベルトが発言した事もそうだが、内容にも驚いた。 「分からないの。けど僕一人だけじゃ、この子達が危なかったの。 だから、フローベールとバスクが来てくれて本当に助かったの」 「……ふぅ、どうやらまた謎ばっかり増えちゃうみたいね」 と、内容を察してルシアが嘆息。 「敵の本命がクォーターエルフと猫じゃあ接点が無さ過ぎるわ。 もうちょっと接点が無いものかしらね」 ジルベルトは熟考しているが、まだ結論には至らないようだった。 ともあれ、ここでモタモタしているわけにもいかないので、 フローベール、ベアトリス、バスクを加えた勇者軍主力部隊は 更なる戦力増強を考え、勇者軍を支援する重要拠点の一つである、 バイオレット・ヴィレッジへと急行する意見をまとめたのであった。 「よっし、行くぞー!」 一人猛烈に張り切って走り出すバスクだったが、 慌てすぎたのが災いして、馬のコントロールを失いかけた。 そして落馬しようかとした瞬間、 横からフローベールが首をひっ掴まえてそれを止めた。 「バスク、慌てないの。みんなに合わせなきゃ」 「わ、分かってるよ。フローベールはいちいちうるさいな!」 と、改めて座り直すバスク。 「弟が粗忽者で済みません」 「フローベールこそおせっかいなんだよ」 「はいはい、言い合いはそこまで」 と、言い合う二人にルシアが割って入る。 流石に年長の貫禄であった。 「ゆっくり、けれど確実に進みましょう。 どうやら敵は、私達が思っている以上に巨大で、 しかも老獪な戦術がお好きなようだからね」 「はっ、はい!」 「了解です」 「じゃ、行くわよ。号令を、ジルベルト君?」 と、ルシアはジルベルトに振る。 ジルベルトはただ黙って剣を掲げて、前方へと向ける。 それに従い、前よりはいくらか緊張して、 一行は歩き出したのだった。 目標は――バイオレット・ヴィレッジ。 ジャパニーズ・チルドレンと呼ばれる者達の住処である。 <第十二章へと続く>
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二つ名:虹色の勇者 名前: 詳細: 銃剣の使い手。魔法を弾丸に込めてそれを銃剣に込めることで魔法剣を発動する。狭いところが嫌いなのでつい爆発でリフォームしようとしてすごく怒られる その他: