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「はぁ……ダメ……だなぁ……」 私はそこに書いてあったアルファベットをみて、肩をがっくりと落とした。 こんなの……見せられないよ……。 「こなた、模試の結果どうだった?」 「ひゃぁっ!!」 びっくりして、素っ頓狂な声をあげてしまった。 「どうしたのよ?」 驚かせた張本人が、不思議そうに私を見つめる。 「か、かがみ………?」 私はその名前を遠慮がちに呼んだ。 「ん?」 「ごめん………」 私はうつむきながらそう言った。 「結果……悪かったの?」 かがみが心配そうな声で聞いてきた。 「うん………」 呟くくらいの声で返す。 「そっか………」 かがみと同じ大学にいくために、最近ほとんど毎日かがみの家に行って勉強を教えてもらっている。 今までじゃ考えられないくらい勉強した。 私自身も驚くくらい。 よくもこんなに続くなぁと思ったけど、その理由は分かりきってる。 ――かがみと一緒に大学生活を送りたい。 ただ、それだけ。 別に一緒の大学じゃなくても、会うことは出来るよ。 でも、私はかがみと少しでも長く一緒にいたい。 だから、頑張るって決めたんだ。 ―――その成果を試す最初の模試の結果がE判定。 やっぱり今さら無理なのかな……。 もとから私に才能なんてないし……。 中学の頃の保険があるわけでもないしね……。 「それじゃ、今日も頑張ろっか」 かがみは明るく言った。 けれど、私は言葉を返さなかった。……返せなかった。 「こなた?」 「かがみ……もう、無理……だよ」 私は、ポツリと言葉を零した。 「ど、どうしたのよ、突然」 かがみの言葉に、私の内に溜まっていた感情が溢れ出る。 「かがみに付きっきりで、ほとんど毎日教えてもらって……外が真っ暗になるまで頑張って……。 家に帰ってからも、今までネトゲとかアニメに使ってた時間も勉強し続けて……。 それなのに全然変わってないんだよ……!?やっぱり私には無理なんだよ!!」 かがみは悪くない。 むしろ、かがみの勉強を邪魔してしまってる分迷惑をかけてる。 頭では分かってるんだけど……。 それでも、私は自分の不甲斐なさをかがみに八つ当たりしていた。 そんな自分に対しても、自己嫌悪してしまっていた。 かがみは少しの間、黙り込む。 そしてゆっくりと口を開いた。 「………こなたが、そうしたいって言うなら、私は何も言わない」 かがみの言葉に言い訳するように言う。 「私の思いは変わってないよ……!でも、かがみに迷惑かけて、 それなのに何にも成果が出てないのが、悔しくて、申し訳なくて……!」 私の目から、いつしか涙が零れていた。 「こなた……何か勘違いしてない……?」 「えっ………?」 かがみは私をじっと見つめる。 「私がいつ………迷惑なんて言ったの?」 「だって、私のわからないところを教えてくれてるから、その間勉強出来ないし……」 「迷惑だなんて言った?」 「言ってないけど……………」 かがみは優しい笑みを浮かべた。 「迷惑なんて、思ってないわ。むしろ、嬉しいくらい。 だって、こなたが私のために頑張ってくれてるんだから……。 それなのに、なんで迷惑なんて思わなきゃいけないの?」 「かがみのためじゃないよ……。私のためだもん……」 「それが結果的には、私のためにもなってるのよ」 私は何も答えられなかった。 「それに、人に教えるのも勉強になるのよ」 少しの沈黙の後、ねぇ、こなた、とかがみは切り出した。 「勉強っていうは、そんな簡単に成果が出るものじゃないの」 「えっ……?」 「等比数列みたいに伸びるの。1・2・4・8……ってね」 等比数列……。この前、かがみに教えてもらったやつだ。 確か、増え方が曲線になったやつ。あんまり関係ないけど。 「こなたはまだ2。ここで諦めたら、そこで終わり。 でも続ければ次は4、その次は8、その次は16ってどんどん伸びるのよ」 「本当に……?」 「本当よ。………私たちの思いだって、そうだったじゃない……?」 かがみへ対しての思い。 それは気づいてからは、日に日にすごい勢いで大きくなっていた。 諦めなかったから、私は今かがみとこうしていられてる。 そっか……それと同じなんだね……。 「だからもう少し、頑張ってみない?」 「うん……私、頑張る……」 いつしか、私の涙は止まっていた。 「よしっ、じゃぁ今日も気合いれて頑張るわよ!!」 「おぉ~~!合格したら、かがみになんかご褒美もらおーっと♪」 「はぁ!?なんで私が!?」 「賭けしたら、やる気も上がるしね♪」 「もう……仕方ないわね……」 「むふふ、なにくれるの~?」 私が尋ねると、かがみは火がついたみたいに急に顔を真っ赤にした。 「そ、その………ス……」 「なに~?聞こえないよぉ~」 「き、きき、き、キス、して……あげる」 「キス~?もう何度かしてるしなぁ……そうだねぇ、婚約とかのほうがいいな~♪」 「こ、婚約ぅっ!?」 「どうせいつかはするんだし、良いでしょ?♪それに、等比数列みたいに伸びてこなきゃねぇ~?」 「か、考えとくわ!」 「照れるかがみ萌え♪」 「う、うるさい……」 かがみは照れてるのを隠そうとそっぽをむく。 その隙に、私は小さな声で言った。 「―――――」 「こなた、何か言った?」 かがみが真っ赤な顔のままこっちを向く。 「何でもな~い♪」 私はニヤリとしながらそう返した。 私はさっきの言葉を、そのりんごみたいな顔に向かって心の中で言った。 ――かがみ、ありがとう。大好きだよ。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-24 13 19 24) 合格後の二人も見たいです。 GJ!! -- 名無しさん (2010-07-29 16 59 51) 頑張って合格してくださいっ!!! -- 名無しさん (2010-05-17 18 26 19)
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「さってと、そろそろ寝ようかね~」 窓から差し込む朝焼けが眩しくなってくる頃、泉こなたは夜通しやり続けていたパソコンゲームのブラウザを閉じ、軽く伸びをした。 長い長い冬休み、一分一秒とて無駄には出来ない、遊び倒すぞ。と、豪語する彼女だが、流石に眠気には勝てない。 「ま、英気を養うのも必要だよネ」 誰に言うともなく言い訳をしながら、パソコンの終了コマンドを選択しようとした彼女の手が、ふと、止まる。 「そだ、英気を養うといえば……」 マウスを動かし、デスクトップ上の「kagami」フォルダをクリックする。 すると、ディスプレイ上にある画像データが表示された。 「くふふ~、か~がみん♪」 開かれた画像は、こなたの親友、柊かがみをデジカメで撮影したもの。それをこなたが編集したのだ。 ポッキーを食べてるところを撮られて慌てるかがみ。海でピースサインをしながら微笑むかがみ等々。その一瞬、一瞬の表情は、こなたの大のお気に入りだった。 「でも、何と言っても、これ」 照れながら、こなたからの誕生日プレゼントを受け取るかがみ。一見、表情からは大して喜んでいないように見えるが、内心はかがみの中の全米が拍手喝さいしているに違いないことは、付き合いの長いこなたには分かる。 「これこれ、この表情こそがツンデレの真骨頂だね~。かがみ、可愛いよかがみ」 『う、うるさい……』 ふと、かがみの声が聞こえた。そんな気がした。 「あれぇ、照れてんの?かがみ」 思わず、からかいたくなってしまう。悪い癖だとは分かっていてもやめられない。 『そ、そんなわけ無いでしょ』 「もぅ~素直じゃないなぁ、ツンデレかがみんは」 『ひ、人のことより、あんたはどうなのよ?』 「え、私?」 『そう、今日も夜通しゲームばっかで、宿題やってないんでしょ?』 「う……ま、まぁね」 『まったく、ホントあんたは懲りるって事を知らないんだから』 「いやぁ、気をつけないとって思ってるんだけどね、つい」 『なにが‘つい’よ』 「かがみが付いてるからね~♪例のヤツ、お願いしますよ、かがみ様」 『はぁ~、今回だけだからね?』 「やたぁ!ありがと、かがみ様」 『様はやめんか』 こんなやり取りがこなたとかがみの間では普通。周りからも仲の良い友達、と評判な二人。 だけど、こなたの中には友情、とは別にもう一つ、かがみに対してある感情を抱いていた。 本人も意識しないくらい、まだまだ淡く、幼い感情。しかしそれは、最初に芽生えた時よりは、確実に育っていた。 「かがみ……」 ふと、こなたの顔が赤くなる。画面上のかがみから、目がそらせなくなる。気付かず、こなたは画面に顔を近づけていった。 と、 「お姉ちゃん、誰かいるの?」 「うわっ!ゆ、ゆーちゃん!?」 急に背後から声をかけられ、飛び上がるこなた。こなたを呼んだのは現在泉家に下宿中、こなたの従姉の小早川ゆたかだった。 「ど、どうしたの、お姉ちゃん!?」 予想外に取り乱したこなたに、自身も驚きながらゆたかが訊ねる。ちょっと声をかけただけなのにそんなに驚くことだろうか? 「な、なんでもないヨ、それよりどしたの?」 「話し声が聞こえたから様子を見に来たんだけど……」 ここで、ゆたかがパソコンの画面に気が付いた。 「あ、これ、かがみ先輩の写真?」 「あっ!え、えっと、それは……」 「じゃあ、お姉ちゃんは写真のかがみ先輩に向かって話しかけてたってこと?」 隠してもしょうがない。こなたは素直に打ち明けた。と、ゆたかは、 「そっか、お姉ちゃんにも可愛いところがあるんだね、いい子いい子」 ……撫でられてしまった。自分より身長の低い子に。でも、恥ずかしくて今はそれどころじゃないのだが。 「そんなお姉ちゃんに、はい、プレゼント」 あろうことか、ゆたかはこなたの携帯電話を持ち、柊かがみの番号へと発信してしまった。 「頑張ってね、お姉ちゃん」 こなたの手に携帯を渡すと、ウィンクをして、ゆたかが部屋から出て行く。残されたこなたは呆然とするしかない。 かがみが出る前に切ってしまおうか?いや、それじゃ余計に変だ。えっと、じゃあ、どうすれば……。 そんな事を考えている間に、通話モードへ移行。携帯から、声が漏れ出す。 『もしもし、こなた?』 「あ、もしもし、かがみ……」 さあ、何を言おうか。そんなの考えるまでもない。話すことなら幾らでもある。学校でのこと、一緒に出かけること。かがみの声を聞いたら眠気なんて吹き飛んだ。 かがみと話していると、楽しい。一緒にいると、もっと楽しい。まずは、お出かけの話でもしようかな。 こなたは、大きく息を吸い込んだ。 「あのね、かがみ、お願いがあるんだけど……」 1月5日へ続く コメントフォーム 名前 コメント こなたのこういうとこってすごく可愛いと思うwゆーちゃんもGJ! -- 名無しさん (2008-06-07 22 59 11)
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268 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/18(金) 21 00 20 ID 06gy7yYk かがみに「こなたと会っちゃ駄目・連絡取るのも駄目」の刑を授けて様子を見てみたい 269 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/18(金) 21 09 52 ID PfUGAGkk 同じ刑を、こなたにも与えてみたい、かがみ禁断症状、ツンデレ禁断症状wwwww 270 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/18(金) 21 10 31 ID GvipvYM6 268 かがみにとっては死刑宣告にも等しいな そしてそれが解除された後のこなたもただでは済まない 我慢していた反動が凄まじそうだ 271 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/18(金) 21 18 39 ID d+jNafvH 270 解除されたらあまりの反動で かがみ「がおー」 こなた「きゃー!(←逃げない)」 位、大変な状況になる。 272 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/18(金) 21 25 45 ID KmprnZTT かがみ「休み中あんたの顔を見ないで済むと思うとせいせいするわ」 こなた「うん、私もー!」 かがみ(…え!?) 数日後 (電話) かがみ「ちょっとアンタ!たまにはうちに遊びに来なさいよ!」 こなた「あれ~♪かがみんどうしたのかな~?(ニヤニヤ)」 274 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 05 31 15 ID U1OmnjmS 272 会えない寂しさの耐性はこなたのほうが上(気持ちを外に出さない)だけど 限界超えた時の感情のたがの外れっぷりはこなたの方がひどいよな。 275 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 06 15 22 ID GEYH/PG5 274 かがみは性的な方向で暴走して大変で こなたは子供みたいに泣きじゃくってずっとひっついてそうで大変だ 我ながら二人のイメージの差がw 279 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 09 16 53 ID h2Sqdmk5 かがみ「こちらかがみ。こなたがあまりにも可愛すぎる。性欲を持て余す」 280 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 09 18 48 ID ATaYNDhz いやぁ、手を繋ぐだけで大満足する 我慢我慢のかがみんも乙なもんだよ 282 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 11 15 09 ID oHsle4QB 274 修学旅行の時のこなたを思い出すんだ あんな一日にも満たない時間であれだと考えれば、長くなったらどうなることか 283 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 12 32 29 ID emwcyBJA 268 1日目 今日、「こなたと会っちゃ駄目・連絡取るのも駄目」の刑を受けた。 私をばかにしやがって。 2日目 昨日から、つかさがこなたに見える。 いったいわたし どうな て 3日目 みんな こなた みえ うれし です。 4日目 こな うま 285 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 13 02 31 ID UwXDQLsa 1日目 今日、「かがみと会っちゃ駄目・連絡取るのも駄目」の刑を受けた。 淋しがり屋のかがみの方から会いに来るに決まってるね 2日目 …もうすぐ今日が終わる。明日になればかがみの 方から来るよ 3日目 …かがみどうしたの? 私の事嫌いになったの? 4日目 会いたいよ、会いたいよかがみ~ もう許してよ。なんでもするからかがみに会わせてよ… 5日目 ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ かがみお願いだから私の事嫌わないで… いい子にするからなんでもするから だから、だから、かがみと逢いたいよ 286 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/19(土) 13 47 59 ID +R9rKjDs 泣いた
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つまらない日常から抜け出したくて変化を望んでも、 変革した日々がいつのまにか“日常”になってる。 “日常”は例外なく私を閉じ込めて、逃げ出せないのなんて解ってた。 でも、今いる“日常”なら私は囚われたままでいい。 今まで以上に毎日が楽しくて、優しくて、大切な人が傍にいてくれるならそれでいいと思ってた。 …なのに、今いる“日常”が“日常”じゃなくて。 ── これが“夢”だったなんてあまりにも酷すぎやしない? ――――――――――― 『パーフェクトスター』 ●第4章「夢の終わりに謳う歌」Aパート ――――――――――― 私が自分の想いに気づいてから1週間ちょっとが経った。 …といってもかがみとの関係が急に発展するわけもなく、 まさに恋する乙女な自分を満喫しながら同居生活を楽しんでいた。 久しぶりに外で一緒に夕食を済ませた帰り道、隣を歩くかがみをチラリと盗み見る。 私の視線に気づいてないかがみはツインテールの片割れを手で弄んでいた。 先っちょをくるくる指に絡めたり、撫でたりするこの“テールいじり”は どうやらかがみの癖らしく、大体何かを深く考えてるときか、 極度の照れ隠し中、無意識に行われるものだと最近知った。 普段なら私との会話中で多発する癖が、 こうして何も会話を交わしていない時に出ているのが妙に目についた。 「かがみ、どうかしたの?」 「え?」 そんな意味を含むであろう行動を無意識にしている本人は、 私の突飛な指摘には疑問符を返すだけ。 けど、すぐに私の意図と自分の思考が繋がったのか、かがみはテールいじりを止めた。 「あー…なんでもないわよ、こなた。」 その“なんでもない”わりに人の目を見ないで言葉を返すのは、 嘘をついてたり、何かをごまかそうとしている証拠なのも知ってる。 思考・感想・意見を、無意識に表情や癖で、時々表に出してしまうのが、 私がこの3週間で知ったかがみなのだ。 ―― …私の好きなものに対しての観察意欲と熱意は相変わらず健在だね。 と、自分の想いをこんな形で再確認してる場合ではない。 かがみの思惑を聞き出そうと、私はわざと歩みを止める。 「……嘘へったくそだよね、かがみ」 「…わざわざ強調して言わなくてもわかってるわよ」 「ふーん。で、もう一回聞くけど、どしたの? まさか、いやらしい妄想してたとか!?」 「あるわけねーよ」 ここ3週間でかがみもすっかり個性を確立したらく、 崩れた口調の突っ込みもなんのその。 私にマゾっ気はないけど、そんなかがみのきつい突っ込みを嬉しく感じてしまう。 今まさに歓喜の嵐が吹き荒れてる私の心中を余所に、 かがみが「大したことじゃないんだけど」と前置いた。 「ただ、さっきから誰かに見られてるような気がしたってだけよ」 ぎくり。 私の中にそんな擬音が響き、嵐が止む。 「へ~…そうなんだ」 ここ一番で声が裏返ったのはなかったことにしたい。 私的に表面上は至って平穏を保ったままのつもりで返して、 心の中にやましい部分なんて…ない私はかがみから視線を外した。 「か、勘違いしないように言っとくけど」 何故か恥じらいを含むかがみの物言いに視線を戻す。 数秒目を反らした隙に、かがみはほんのり赤い頬のまま、意地悪な顔をして私を見ていた。 「あんた以外の視線のことだからね?」 ── 気づいてたのネ…かがみさん…。 軍配はとっくに昔にかがみに上がっていた。 「まぁ気のせいよ、きっと。今は感じないし」 私の動揺に追い打ちを掛けたかがみは、自己完結して歩みを再開する。 その後ろ姿を見届けながらも、私はやられっぱになったこの状況が悔しくて、 攻守逆転するための画策を練っていた。 背が大分遠くなったところで、私の脳に一筋の光が射す。 …作戦実行!周りを見渡す、オールクリーン。 「かがみーっ!」 大げさに叫んで、かがみに走って追いついて。 かがみが「げ!」と言いながら振り向いてから、 隙だらけになったかがみの手と自分の手を重ねて握る。 「せっかくだし家まで手繋いで帰ろうか、かがみん♪」 「ちょ、ちょっとこなた! あ、暑苦しいから離しなさいよ!は、恥ずかしいし!」 「かがみんったら♪恥ずかしいもなにも、周りに誰もいないじゃん?」 事実、もうこの時間のこの道には目視できる限りでは誰もいなかった。 「そ、そういう問題じゃないわよ!」 上擦った声に照れと焦りがたらふく籠もっているかがみの叫びが辺りに響く。 明らかに“暑苦しい”より“恥ずかしい”の気持ちが勝っていることは、 振りほどこうと思えばすぐほどける手をそのままに、 顔だけ真っ赤にしながら反論してるかがみ自身が教えてくれた。 「ねぇ、こ、こなた、放す気、ない、わよね…」 「うん」 そうして一向に手を離そうとしない私に改めて意思確認をしたかがみは、 溜め息を一つついてからその手を受け入れてくれた。 私は自分の目論見が成功したことに喜びを感じ、 繋いでいる手から伝わってくるかがみの存在に安堵する。 外気のせいだけじゃない、自分の秘めたる想いで汗ばむ手を もう一度握り直すと、喉の奥から密度の濃い想いが溢れだそうとする。 「ねぇかがみ」 「…何よ」 このまま最後まで想いを口にしてしまおうか―― 自分の気持ちに歯止めが利かなくなり始めた頃合いを見計らって。 ブルル…ブルル…ブルル… 何かの振動によって私は沈黙を覚える。 数秒、静寂が流れ。 「…んにゃ。やっぱなんでもない」 「変なこなた。…いつも変だけど」 「…かがみ、一言余計だよ」 メール受信を知らせる携帯のバイブレーションに タイミングを奪われた私が想いを口にすることはなかった。 かがみのゆでたこ顔を堪能していた私は、あと2分も歩けば家に着く場所で、 かがみと繋いでいない手をポケットの中の携帯に伸ばす。 空気を読めなかったメール送信者を明確にするためだ。 簡易表示されたメールボックスには、未登録なアドレスに何も書かれていない件名のメールが1件入っていた。 誰かも解らない人に暴走を止められたのかと、 半ば呆れた気持ちを持ちつつもメールを開封する。 ── へ? 内容こそ短いものだが、それは迷惑・メールアドレス変更メールの 類いではないと私へ訴えてる。 受信者を間違えてはいないか、内容の見間違えはないか、 何度も何度もディスプレイに表示された文字を追った。 「こなた?」 私の変化に気づいたのか、かがみが呼んでいるのが数歩先から聞こえる。 自身の気づかぬうちに私は足を止めて、かがみの手を離していたらしい。 かがみは怪訝な表情で私を見ていたが、その声には上辺だけでも 嫌がってたとは思えないくらい、寂寥感を含んでいて。 …無意識であってもその手を離したことに私は後悔した。 でも── もう一度手を繋ぎ直すための力は、メールによって示された 次の行動へ回されることになる。 「かがみ、ごめん。…先に帰ってて!」 「え、こなた!ちょっとまって!」 かがみの制止を無視して、私は踵を返す。 再び駅に向かうために走り出していた。 指定されたリミットまで十分余裕があったけど。 走り出したのは、かがみのことで動揺した自分を、かがみにあれ以上見せたくなかったから。 ――――――――――― 21 13 From:k.hiiragi0707@*** Subject: ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ かがみさんのことでお話があります。 知る覚悟がありましたら、駅前にある公園にお越しください。 本日22時頃までお待ちしております。 ――――――――――― 指定された駅前の公園が視界に入る。 走っているうちに雑念や無駄な感情が取り払われたのか、 さっきよりは冷静になっていた私はぐちゃぐちゃになってる頭の中を整理した。 メールに感じたものは二つ── かがみの存在が私の近くにあることを知っているのは、 認識している限りでは一人しかいない。 メール内で使用されている見た事のある文体と前記のことを掛け合わせると、 自ずと差出人に思い当たる人物が浮かび上がっていた。 もう一つは、メールアドレスを見た時点で既視感に似た感覚を覚えた。 その詳細は…冷静になった私にも解らない。 そこまで整理できたところで、目的地の公園に着く。 公園の入り口には一つの街灯があり、私はわざとその灯りに身を置いた。 もちろんメール送信者が私を見つけやすいように、だ。 気休め程度に左胸に手を当てながら乱れた息を整えていると、 街灯の灯りと夜の狭間に二つの人影を捉える。 闇に不慣れな目が徐々に適応して、シルエットを確実なものにしていく。 目の前には予想された人物とそうでない人物がそこに居て。 私はただその名前を呼ぶ事しかできなかった。 「みゆきさんに、…つかさ…?」 そう、私を公園に呼び出したメールの差出人は高校時代からの親友ふたり。 みゆきさんとつかさだった。 * * * 「…で。何から聞こうか正直迷ってるんだけど。 とりあえず、つかさ病院どうしたのさ?」 みゆきさんの提案により場所を移して話をすることにした。 駅近くの24時間営業のファミレスの禁煙席に今はいる。 ちなみにファミレスまでの移動中は、こんな風に呼び出された手前、 和やかな空気が流れるはずもなく、気まずい空気に制圧された私を含める3人が会話を交わすことはなかった。 入店してからもしばらくその空気が続いてたけど、 息も吸うのもつらい空気が苦手な私が業を煮やし、話の切り口には丁度いいので、 どうしても気になっていたことを質問したところだ。 「ふぇ?まだ右手が治ってないけど、一昨日には退院したよー」 ──…確かお見舞い時点であと1週間で退院できるようなことをいってたっけ。 つかさとしては、私がその事を覚えている前提でここにいたのだろうか。 話題の中心、話を振られた本人のつかさはきょとんとしてそう答えた。 …つかさは私の質問にしっかり答えたはずなのに、よく解らない違和感が私の中に残ってるのは気のせいだろうか。 その違和感の理由を自分の中に探すため、現実から乖離し始めていたとき、 みゆきさんが「泉さん」と私を呼び戻し。 「突然このようなお呼び立て申し訳ございません」 続けた言葉はいつも以上に他人行儀で、みゆきさんなりに感情を抑えるためなのか、酷く冷たい響きを持っていた。 私は後で思い知る── みゆきさんの声の冷たさの意味。そこにある思いやり。 …自分は中途半端な覚悟でこの場に赴いていたこと。 パーフェクトスター第4章Bパートへ続く コメントフォーム 名前 コメント
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一週間前、隣のクラスの男子から手紙をかがみが受け取っているのを見た。 くわしくはよく知らない。けれど、ため息がその後増えたってことぐらいは知っていた。 青と黄色が目立つお店の看板が、お日様のひかりを浴びてぴかぴか光っていた。 私は今日の戦利品(臨時収入があったので今日は少し多め)を両手いっぱいに抱えて うす茶色の階段をうきうきと、それでも慎重に1歩1歩おりていく。 後ろをふと振り向くと、付き合ってくれたかがみが今日買ったばかりのラノベの最新刊をぱらぱらと捲っている。 「階段なんかで読んでると、つまづくよ?」 「・・・わかってるわよ。」 「もー、せっかちなんだから。かがみは」 まー、気持ちは分からんわけでもないんだけどね。最新刊は気になるもんだし からかうつもりで少し意地悪く笑うと、かがみはふん、と罰が悪そうにぱたんと本を閉じた。 閉じられる間際のラノベが立てた音はすこしつめたい。 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 で、そのまま沈黙。ふう。 なんだかね、こういう空気は好きじゃない。言葉での説明は難しいんだけど一番近くて簡単な言葉は気まずい、だと思う。 かがみは私があの現場を目撃した事を知っている。話が終わった後、ぼけっと見ていた私の目と彼女の目とが合ってしまったのだった。 しょーがないよね、私はあわてて目をそらしてしまった。しばらく経ってちらりとかがみを見たら、あっちも気まずそうに目をそらしていた。 そんな感じのかがみを見たら、なんであろうと突っ込むのが私の習慣であり本分、そして逃れられぬ運命! ・・・・だったはず、なんだけど。口についてでたのは『よかったじゃん』というふつーの7文字。 でもそのときの夕日に照らされたかがみの顔が忘れられない。 そのくらい、あの7文字はあんなにもおもく、放課後で騒がしいはずの廊下に凛とひびいたのだった。 それから、私たちはふたりになると大抵こんな感じだ。気まずい。 それでいてなお、ふたりだけになりたがってもいるのか、一緒にいる機会は増えていった。 聞きたいことがたくさんあるのに、なかなか聞けないってのはもどかしかった。 なんか痒いところに手が~って感じで。 けれど、それよりも断然心地良い気分も味わえるから、私はかがみといたがるのかもしれない。 そんな彼女は私にとってとても良いともだちで、 それならば、かがみのことは黙って見守るのが最善なんだろう。 なのに 私は、そうしたくなかった。 理由なんか知らない。あ、その男子のことを私も好きだった。とか、そういうのはないから。名前知らないし。 『どうするの?』とか、まじめな話は嫌だからおちゃらけて 『今時ラブレターかあ、萌えの基本だね!女子だったら☆』 そうふざけてもいい。とにかく私の知らないままこのことが終わるのは嫌だった。 嫌ということばには語弊もあるかもしれない。 こう、複雑なんだけど。体じゅうになんだかどろっどろした黒いものが蔓延していく感じ。 どうすれば溶けて消えてしまうのか。私はバカだから分からなくて、たまっていくばかりだった。 最近はかがみのつくため息にさえ、それがどこかから沸いてしまうのだから重傷だ。 「かがみがハッキリしないからダヨ・・・。」 「は?・・なんか言った?」 「別に~~~~☆」 怪訝そうにわたしを見つめるかがみにふっと嘲笑を送って、とりあえず怒らせておく。 怒らせる理由?ないけど、そんなん☆←しつこい ええっと、そんなことより話題だ、話題。 なんにも話さず無言でいるなんて他人みたいだし。一緒にいる意味ないよね。 黙って意思疎通しあえる人はいいけどこっちはそうもいかないんだ。 きょろきょろ、話題を探す私の目の中に入ってきたものといえば 「可愛いよね」 「えっ?」 ラノベの表紙・・・そんなんしか無かったんだヨ~。 ぶつぶつ文句を言っていたかがみは良く聞こえなかったみたいで 何?と聞き返す。 せっかく話題提供したのに!と私は少しいらだちながら 「だから」 それ、という意味でかがみの持っているラノベを指でびしっと指し示す。 「かわいーな、と思って」 「ええっ!!!?」 突如、かがみが変な大声を上げた。 かがみの手から落ちたラノベが階段をばさばさと転げて私の足元まで落ちる。 「ほえ?」 唖然とする私。え?なにかしましたっけ。かがみは真っ赤になって落ちたラノベを見つめていた。 口を大きく開けて、あうあうとたまに小さく動かすかがみを、私は不思議そうにじっくり眺めた後、 小さいビルおよそ3分の1階分を落下して少し可哀想な姿になった新品の本をのろのろと拾って、はい、と差し出した。 頭ではまだなにかしたっけと、先ほどまでの行動を繰り返し思い出している。うーん? かがみもかがみでわれに戻ったのか、「お、おう」と平然とした態度を作って受け取った。 でも、顔はまだ赤い。そんで私はその理由をしらないから、たぶん赤くはないんだろうと思う。 だから、この理由はしらなくてもいいかなとしばらくして考え付いた。 こんな事があって、行けども行けども沈黙の道は続いている。終わりは必ずあるけども、けものみちより辛いよ。精神的に。 せっかく話題を提供してあげたのに、そりゃないんじゃないですか?とかがみのことを少しうらんだ。 じと目を送っても、彼女はまだ引きずっているのか耳を赤くして、私のほうを向こうとしない。むかり。 じゃ、困らせてやろう。と、馬鹿なことを考えた私は意地悪のつもりで かがみの腕にぎゅっと抱きついた。 瞬間、かがみの肩がびくっとなった。驚いたかがみはほんのり赤くしていた顔をもっと上気させて、 ていうか煙吐きそうなぐらい真っ赤にして、私に噛み付いてきた。 「にゃ、なによ・・・・っ。」 「(・・・・今噛んだ)ねえ、かがみ。」 「なに?」 「さっき階段でなに考えてたの?」 最高の笑顔(嫌な意味で)で言おうと思ってたんだけど、変だな 私のいやらしくゆがんでいるはず瞳はかがみでも、だれでもなく、ただ青い空をうつしていた。 真っ赤なかがみが、う、と詰まる。絡ませた腕がゆらゆらと揺れている。 彼女が腕をはずしたがっているのを感じて、私はさらに力を込めて抱きついた。 「恥ずかしいこと考えてたんだ。」 「なっ!?」 「男だ・・・ぜったい男だ・・。」 「・・・・・こなた?」 くふふ、と笑って言うつもりの言葉が、意に反して、つめたく私の口から吐き出されていった。 はっとしてかがみの顔を見ると赤い顔がだんだん凍りついて。私はあわてて取り繕うけれども あれ?なんか私必死な人にしかなってないよ? 「こなた」 「かがみさぁ、どーすんの?」 変わっていく顔を見て、私は目をあわせられなくなった。 だって、嫌な顔すんだもん。あの時と同じで、なにか言いたげでまじめな視線。 その顔を見ると、なぜだか胸が苦しくなった。 だから、目線を下におとして今までいえなかったことを私は漏らしてしまった。 「なにを?」 答えたかがみの声は少しうわずっている。 むりやり落ち着かせようとしている声はなんだか少し落ち着いた。 「少し前に手紙・・・もらってたやつ。あれさーやっぱりラブレターっしょ? やったねかがみ初ラブレターじゃん♪だから・・・さ、少し気になって。 ほんとに少しだけね。や、いまどきラブレターなんてなかなかないしさー☆」 あ、だめだ。めっちゃ、うわずってる。てかどうして手の震えが止まらないんだろう。止まれ止まれ、止まってよ。 どうしても駄目なら、それがかがみにはどうかつたわりませんよう。 どこかには落ちているであろう流れ星に勝手にお願いをしておいた。 どーせ勝手だらけな願いばかりなんだから一つくらい増えてもいいよね?許せ☆ かがみは、私の調子に気付いているんだかいないんだか 一呼吸置いたあとにぽつりと簡潔に言った。 「デートしてほしいんだってさ。明日。」 もっと強く抱きついたなんて、たぶん気のせいだと思う。 それでも、どうしても『良かったね』の一言がいえなくて黙り込んでいた私。 「・・・それで、ずっとお願いしたかったことがあるんだけど」 そんな私の手に手を重ねたかがみの顔を見ることが出来なかったことは、一生の後悔。 そのときはただ、あったかいなと寒くもないのにぼんやり思ってしまった。 真っ赤だけど大真面目な顔をしてかがみは私にひとつだけお願いをした。 「一緒について来てほしいの。明日・・・デ、デートに」 私がその言葉を理解するのにかかった時間、プライスレス。 いや、本当にはかりしれない時間を使った後。わたしは 「は?」 そんな間抜けな声を出したのだった。 デートに突如知らない他人が入るとか、ギャルゲだったらその時点でクソゲー決定 都合の良いゲームではそんなことはほぼ確実に起こらないわけだけれども。 現実でだって非常識だということぐらい、私にだってわかること。 この日はなんだか曖昧なお天気。あつくも、さむくもなく。 私のもやもやした気持ちをそのまま表したように灰色の雲が太陽をおおっていた。 駅の前、私の隣で落ち着きなく立っているかがみの服は うちに遊びに来るようなラフな格好なんかじゃなくて、洒落た薄紫のワンピース。 大人びた服装は珍しくて綺麗だったけど なんとなくいつものほうが好きかな、と思った。 「なんでだろうね」 「え?」 かがみがきょろきょろと回していた目を私に向けた。 その声や目には恐れにも近い不安の色が感じ取れる。よっぽど緊張しているようだ。 「かがみ。そーんな暗い顔しちゃそのワンピースに失礼だよ? せっかく年に数回しか着ないお出かけ用なのに。はーい、りらーっくす、りらーくす」 ぬふー、そんな息を吐き出しながらわたしが言うと、 かがみは小馬鹿にしたような目で私を見て、けれど案外素直に深呼吸をした。 「……そう言うあんたはまったく変わらんな。ジャージで来ないだけましだけど」 「そりゃかがみのデートだもん。私関係ないじゃーン?」 「…………」 何も考えずに言った言葉にかがみは、数秒固まって、それから気まずそうにうつむいた。 (あ、あれ?)予想外の反応にすこしだけ私がひるんでいたら 忘れものを思い出したかのようにかがみは頬を赤くした。 「う、うるっさいわね」 「……」 とってつけるように言ったかがみ。 わたしはからかう気をすっかりなくして、かがみはかわいいねぇ、と 女子のおきまりのような冗談を返した。 で、また訪れるいつもの気まずい沈黙。 つまらなくて隣を見るとかがみはまたそわそわを取り戻していた。 こんなふうにしているかがみは、たまにあるけど、なんだか子供っぽいと思う。 つかさのお姉ちゃんとしてのかがみも、私の悪友としてのかがみも、今ここにはいない。 子供っぽい彼女は、なんでか少しいらいらするけど、それでもどこかでかわいいと思ってた。でも ……そんなかがみも、いつか彼氏とかに取られちゃうんだね。 頭の中で、私自身の驚くぐらい意地悪い声がささやくように私に告げた。 近い未来かもしれないその時を想像してみる。相手は同じ学校か。うーん。 いつものように一緒にはお弁当、食べられなくなるのかな。 可愛げのない手作り弁当二人で食べたりして、あーん…は無いか。 帰り道では「さきに帰ってていいわよ」なんて私たちに言って、もじもじと彼を待ってみたり、 私は、つかさやみゆきさんと三人でごはんを食べて、時々色惚けたかがみをいじったりするのだ。 うん、楽しそう。かがみはきっともっとかわいくなって……… 考えれば考えるほど私の中には最近おなじみの感情がどろりとこみ上げてきた。 さみしい?憎らしい?悲しい?それともこの感情も嬉しいの一つだったりするのだろうか。 さまざまな感情はどれもこの気持ちにほんの少しずつ当てはまる気がした。 けれどどれもパズルのようにはぴったりと重ならないらしかった。 「………ふぅ」 もどかしさをはき捨てようと深く吐いた息と、緊張した誰かの声とがかさなった。 重なっても綺麗に溶け合うわけじゃないんだよね。 そう何かを諦めたように思いながら、私は笑顔をつくると肘でかがみをつついた。 「がんばるんだよ、かがみ」 「う、うっさい」 腕を動かした拍子に、普段は持ってこようとさえ思わないケータイがポケットから落ちて かしゃんとなんだかさみしい音をたてた。 「デ、デート?」 「そ、そう!あんたもついてきてって言ってんの!!」 「何言って」 「あんたが行かないなら、あ、あたしも行かないから!」 「は、はあ」 大丈夫だろうか、頭。少しいやかなり心配。 「かーがーみ、落ち着いて」 真っ赤になりながら『ついてこい』と同じ言葉を繰り返すかがみ。 せっかくの休日。ぶっちゃけ他人のデートに付いていくとか有り得ないし。 じゃ、『いかなきゃいいじゃん』って言えばよかったんだよね。 なのに結局は 「…わかった、行くよ。」 「や、約束なんだからね!」 「うぃうぃ」 ~絶対に、一人にしないこと!!~ 指きりまでして、ご丁寧に約束を取り付けられてしまったのだった。 ◇◇◇ 先ほどから小雨がぱらついている。 先ほど遠くに吹っ飛んでいったケータイが、私を呼んで、 いまだに場にそぐわない喧しくて明るい着信音を奏でていた。 そういえば、コレ随分昔のアニソンだ。なつかしい。 ふだん触らないからネ…。もう解約しようかなぁなーんて、 アスファルトに押し倒された私は、かがみに殴られながら、ぼんやり思っていた。 あの、なぜに私は殴られているのでしょうか?そんで なんでかがみは泣いているんでしょう。 私たちのそばでは手紙の男の子がおろおろとしている。 さっきまでは汚れ一つなく光っていた白いTシャツが彼の鼻血で真っ赤になっていた。 かわいそうに、キレたかがみを止めようとして殴られたのだ。 こんなに騒いじゃって、周りの視線も集めまくったし、 もうそろそろおまわりさんとか来ちゃうカモよ? なのに肝心のかがみは泣きじゃくって、わたしの胸をばしばし力任せに殴るばかりだった。 「あだっ、いだっ、ぐふっ、ひでぶっ!」 殴られるたびに私の口からお世辞にも上品とは言えない声が漏れる。結構本気で、かなり痛い。 かがみ、悲しいけどねここ骨と皮ばっかりなんだよ!肉とかないの! どっかのたゆんでぽよんな人みたいにはじき返したりできなああうらやましいなぁ!!って …そんなこと考えてる場合でもなかった。 「かが」 「嘘つき!」 名前を呼ぼうとした私の声をかがみが叫んで掻き消した。 どこのキャラよ。かがみ。確かに最近はやってるけどさ。 冷ややかな軽蔑にちかい視線を送るけど、かがみは殴る手を休めない。 「だから痛いってば!どしたのかがみ!!?」 かがみがひどく興奮しているから私は少しだけど冷静にいられのたかもしれない。 けど、手に負えなくなったかがみに心の中では怒ってる。これでも だって今日はボロも出さず良い友としてふるまっていたハズ。 休日にわざわざやって来てだよ?バカみたいに空気読んで茶化してみたり、むしろ超偉いほう。 嘘だって吐いてなんかないのに…「こなたの嘘つき!!」 「………はぁ?」 何それ? あまりの理不尽に対する怒りは爆発寸前。 冷静さなんてどこかに掻き消えてしまいそうだった。そして 「約束破るなんて、人じゃない!!!」 「……なにがじゃああああ!!!!!」 かがみのその一言がきっかけで限界突破した私たちは 通報でやって来たおまわりさんが数人がかりで止めてくれるまで 往来のど真ん中での大乱闘をやってのけたのだった。 そもそも、私は思っていたより優しいじゃないかと、デートの間自画自賛していたくらいだ。 相手の男の子は結構カッコ良かったし、数十分だけいっしょにいただけだけど かがみのこと、ほんとに好きなんだって分かった。 かがみへの細かい気配りが、第三者の私から見てもわかるもん。 あ、ちなみに私のことはかがみが伝えてなかったみたいで驚いてた。 最初は気まずそうだったけど打ち解けてくれて、いやー逆にほれぼれしちゃいますねーっ って感じ。すごくいいひとなんだ。このひと。 かがみもかがみでさっきまでとはうってかわって時間が経つほど どんどん気楽に話すようになってたし、これならオッケー? 私は彼らを茶化しながら、こっそり協力者にメールで合図をした。 「い・い・よ……っと。」 バイト先の子から嘘のヘルプをもらって、さっさと帰るぞ☆作戦。 合図をすると約束通りすぐに彼女は電話をかけてきてくれた。 大きめの着信メロディに、かがみたちが振りかえるのを確認したら 通話ボタンをおして、作戦開始。 「もしもし?」 「……どうしたんですカ?」 向こうの第一声は随分といぶかしげだった。 「は?」 「イヤ、声が…まあいいか、あの、スグに来てくだサーイ」 それから私と彼女はそれっぽいことを適当に話して電話を切った。 「こまったねー」 わざとっぽく顔も顰めたりして、本当に大変なのだと言葉以外でも伝える。 でもいまいち話を理解できなかったらしい彼らに、こほんと咳払いをして事を説明した。 「バイト先が大変なんだってさ」 「こなた?」 「私じゃなきゃ駄目って言うんじゃ、しょうがないよね?」 「……え」 「ごめんね~、じゃ、あとはふたりでよ・ろ・し・く~♪」 にやりと笑うと、男の子の方はなに考えたのか、真っ赤になった。 ……がんばれ、少年★上手くいったら一回ぐらい殴ってもいいよね? かがみはなんだか良くわからない表情で、ぼーっと私を見つめている。 「……それじゃ」 私は彼らに背を向けると、そのまま振り向かずにまっすぐ歩いた。 こっち側は駅じゃないけど、問題ない。どうせ、これからは暇なんだから。 そこらへん寄った後、家に帰って寝よう。その後ネトゲだ。うん。 「私って……けっこーいい人だったり?」 歩き出してから数十歩ぐらい。私の口はひとりでにそんなことをつぶやいた。 雨が一粒ぽつりと鼻に当たる。 「これもなかなか良い萌え要素……いやはや、また需要が上がっちゃうネ☆って誰のだよ!」 かがみが、突っ込みを入れるはずのところを自分で突っ込む。 かがみのあきれ顔が瞼のうらにきれいにうつった。あんたにはついていけんとため息をつく。 また、雨がぽつりと当たる。こんどは2、3粒同時に。 「………やだな、一雨くるのかなぁ。人気者が風邪ひいちゃだめ…だよねえ?」 ぽつ、ぽつ、ぽつ。雨はどうも続くらしい。 かがみの呆れ顔が、ぐにゃりとゆがんだ。目がどうにも痛い。 まばたきをし忘れていたことに、ふと気がついた。 「…………駅のほう向かって帰れば……よかった…かなぁっ」 どうしようもなく胸がつまって泣きたくなった。とても、息がしづらい。 「……………っ」 私は自分でもなんて言ったか分からないほどの短い言葉を、無意識にそしてちいさくつぶやき、 もう見えないはずの姿を見たくて、今更後ろを振り向いた。 刹那、ゆがんだ風景にうつったものは握りこぶしを作って私に突進してきていたかがみの姿だった。 景気よく空中にふっとばされた自分の体が地面に落ちるまで 私は殴られたんだとも思いつかなかったし痛いとも感じなかった。 別の感情で胸がいっぱいになったのだ。 …私としてはこんな気持ち認めたくもない、しかもすぐ怒りに変わったし。 その上ほんの数秒の間だけだった。 なのに私はあの時たしかに、 「かがみ…?」 からだの全てで嬉しいと感じたのだった。 こってり絞られたあと警察からようやく解放されて、降り始めからは大分時間がたったというのに、 まだ雨は止む気配もなく、ぱらぱらと降っていた。 罪のないあの男の子は早めに釈放された、いや、本当に悪いことしたなって。 彼は警察のいた間、ずっと泣きそうな顔でうつむいていた。 傘なんて持っていないのに、濡れながら二人で歩いた。 雨のつめたさを紛らわせるためにどちらともなくつないだ手があったかい。 殴りあったトコは痛いし、泣いたせいで目は真っ赤、おまけに濡れてびしょびしょで、なのに 心はひどくかるくなったんだから不思議だ。怒鳴ったからかな? ドロドロしたものが消えて、新しい、やさしい気持ちが入り込んでくる。 「なんかさー」 「うん?」 「寒いって感じるの、久しぶりダヨ」 「そーねー、夏ももう終わりか」 「うん」 「でも」 かがみが、私の手を少し強く握る。 「あんたの手はあったかいわね」 そうして優しく、嬉しそうに私に微笑んだ。 私の体はあったかいを通り過ぎて、かあーっとあつくなっていく。 「うん、ぽかぽかする」 でもそれがなんだか気恥ずかしくて、 私も少しだけ握る手のひらに力を入れた。 しばらくそのままだったけど、かがみの白っこくて細い指を見ていたら 私はふといいことを思いついた。 「かがみ」 「こなた?」 私は不思議そうなかがみの正面にさっとまわると、彼女の左手の小指と 自分の小指とをゆっくりと絡ませた。うん、これでよし。 かがみはよくわからずに、え?え?と焦った声を出している。 私は息をおおきく吸い込むと思いっきり声を出した。 「ゆーびきーりげんまん!うそついたらはりせんぼんのーます!!」 かがみも一緒に歌ってよ! そう笑顔で言うと、目をまるくしていたかがみは私につられて笑顔になった。 「「ゆびきった!!」」 こんなに楽しいことも最近なかったなぁ。ひさしぶりに私は子供みたいな大声で誰かと笑いあった。 かがみは、まだ絡ませている小指をどこかいとおしそうに眺めて、 (そんな目で見ていることがなんだか照れくさくて)体を火照らせた私に聞いた。 「でも、なにを誓うのよ」 「約束だヨ!」 ~絶対一人にしないこと!~ 「あの約束、破っちゃったから」 約束を二度と破らないって約束。 ごめんね、小指を絡ませたかがみの左手を私の右手でそっとつつんでそう言うと、 今度はかがみが何故か真っ赤になったあと、 泣きそうな顔で、けれどきれいに笑ってみせたのだった。 「それが、かがみと一番はげしく喧嘩したときの話」 「それって付き合う前の話?あとの話?」 つかさが眠そうな目を時たまぱちぱち瞬かせながらぼんやりと私に聞いた。 もうだいぶ体がソファに沈んでいる。このソファ気持ちいいもんね。今日は時間も遅いし。 私たちは今、かがみの帰りを『私たち』の家で待ってるところ。 「二週間後に告白されたんだよね」 私はかがみの大切な赤ワインをガラスのコップについでちびちび飲みながら。 かがみのベッド下にあったアレでナニで薔薇っぽい本をぱらぱらめくった。 「色々あったんだけどその話も聞く…?ってかがみ、おかえり~☆」 「おかえり、おねーちゃん」 ドアの開く音に振り向くと、話のメインヒロインが面白い顔をして 私の傍に丸まっている彼女の双子の妹を見ていた。 「ただいま…って、なんでつかさがここにいんのよ……」 「泊まりにきたんだよ~」 つかさは「おどろいた?」と寝ぼけ眼でにこにこしている。 「ふうん」 かがみはかわいい妹の用意したちょっとしたビックリが嬉しかったのか、 いつもよりは上機嫌に上着を脱ぎ捨てた。 つかさも姉を見れて満足なのかしあわせそうに眠りの世界に落ちていった。 「……むぅ」 その様子に少しだけやきもちをやいた私はたった今電源の切れたばかりのつかさの頬を 人差し指で起こさないように軽くぷにぷにと突く。 「つかさはかわいーよねー。たべちゃいたいくらい」 酔ったふりして、ふふふとやらしー笑みをこぼすとかがみが露骨に嫌な顔をした。 「……つかさとなにしてたの?」 「今はかがみの初デートについて語ってました☆!!」 「何話してんのあんた!!? てかつかさの前でそんな本読むなぁぁああああ!!!!!」 「ちなみに朗読会はすでに終わった・・・」 野太い声で言うと、かがみは全て終わったかのようにまっしろな灰となった。 まあまあ、と私はピンク色の本を放って、疲れきって座り込んでいるかがみに抱きついた。 「あんたといると疲れが取れる気がせん。離れろ。ついでに暑い」 「うぐ、つれないこと言うネ。 昔はあんなにかわいらしかった私の嫁はいったいどこに!? 初デートらへんのころはよかったなぁ!!かがみ→→→私って感じで!」 ふぅー、と悲しげに言ってみせると(気分は悲劇のヒロインだ。) かがみがあんたなにいってんの?みたいな呆れ顔で言った。 「……あんただって、あのときは私のこと好きだったでしょ」 「へ?」 思わず気の抜けた声が出た。あれ? 好きだなって気持ちが芽生えたのは告白された時からのはず。 「……初デートの時はともだちだったヨ?」 あのどろどろした気持ちは、親友が遠くに行ってしまうかもしれないと思ったときの寂しさだ。 そう言うとかがみはきょとんとした後、とても愉快そうに笑った。 今度は私がきょとんとする番だった。 「さすがにそんなあやふやなのに告白なんてしないって。リスク高いのに。 あのデートはあんたが、わたしのこと好きだって確認するためにOKしたんだから」 かがみは笑い過ぎでこぼれそうになる涙を指で押さえながら、勝ち誇ったようにそう言った。 「え、ええっ!?」 「あんたさ、待ち合わせ場所に来たときからずーっとすねた顔して私の後ろについて来るんもんだから、 これはいけるかな、って大分自信持ったときに限って帰ろうとするじゃない?…がんばれ…とか言うし…。 振り向きもしないでちっさくなってく背中見てたら『なんでよ!?』って……なーんか腹立ってきちゃってね」 思わず殴っちゃった、と笑うかがみさまの顔はとっても輝いてました。 あれ?友達…ともだちじゃなかった?でも、友達だけどなんかイライラしたような、 私の余裕がだんだん無くなっていく。あれ?あの時から私………かがみのこと? 私は開いたままふさがらない口をぱくぱくさせて言う事を捜したけれど、 こんなにも卑怯で、ずるくて、ツンデレで、ダイエット下手で、そんでもって 「…………むぅ」 本当に私のことが好きな、この策略家にはろくな反撃を思いつかなくて、 しかたないからくっついていた体を離してそっぽをむいてやった。 かがみのくすくす笑う声が、真っ赤になった私の耳になんだかくすぐったい。 「それじゃ、あの人本当に可哀想だよ」 「でも、そのおかげであんたがいま私のそばにいるならいいわ」 勝手だよ、そんなの。口を尖らせて言うとかがみはそうね、と苦笑いした。 私は、今どんな顔をしているんだろう。もうよくわからないや。 恥ずかしいし、むかつくし、あの子にごめんねって気持ちもある。 でも、もやもやした気持ちの中には幸せって気持ちのカケラがしゃくだけどやっぱりあって、 そんな私をかがみは変な顔と評してから、いつもより優しいキスをした。 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-16 02 11 54) 最高のこなかがSSですね -- 名無しさん (2010-01-28 22 28 07) gj -- 名無しさん (2009-12-20 04 03 18) これ良い・・・てか最高!! -- kk (2009-12-19 21 16 53) まだ出始めなのに上手いですな… -- 名無しさん (2009-12-19 19 44 07)
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「唐突ですみません」 何気ないみゆきの言葉でわたしは問題集を解く手を止めた。 今日はわたしの部屋で春休み明けテストに向けての勉強会。 勉強机に向かうわたしの後ろでは、会の参加者であるみゆきとつかさ、それにこなたが受験生の名に恥じぬ姿勢でいつもの白いミニテーブルに向かっている。 …はずなのだが、実際にテスト勉強をしているのはわたしとみゆきくらいで、あとの二人は必死に春休みの宿題と戦っている。 まあ学校が始まるのは週明けでまだ一週間ほどあるのだから、以前より少しは成長しているということだろう。 しかし、こなたの場合やっていることは相変わらずわたしのノートの写経なので、成長といってもジャワ原人とネアンデルタール人くらいの差でしかないのかもしれない。 「何か分からないことでもあった?英語だったら何とか答えられると思うけど」 椅子を回転させて勉強机に背を向けると、みゆきは小さく首を降った。 どうやら勉強に詰まったというわけではなさそうだ。 まあみゆきの実力からすれば当然といったところか。とほほ… 「ゆきちゃん何か忘れ物でもしたの?」 そのまま黙り込むみゆきを不思議に思ったのか、つかさが辞書を閉じて首を傾げる。 「何々?何かのドジッ子フラグ?」 意味不明なセリフとともにこなたも漫画から嬉しそうに顔をあげた。 (ん?漫画…?) 「って、あんた何漫画なんて読んでるのよ?!」 「え?いやーなんか勉強に疲れちゃってさ。骨休み、骨休み♪」 わたしのツッコミにこなたは悪戯を見つかった子猫のように笑った。 思わず頭の中で『見つかっちゃったにゃー』というセリフがアテレコされる。 ま、まったくもう!マジメにやっていると思ったらすぐこれだ。 「あんたはわたしの宿題写しているだけでしょうが!!」 「んで、あらためてどしたのみゆきさん?」 「スルーかよ!!」 そんないつも通りのわたしとこなたのやり取りを見て、みゆきは可笑しそうに微笑んだ。 「実はですね」 あれ?わたしはいつも通りのはずのその微笑みに小さな違和感を覚えた。 例えるなら硬度38のミネラルウォーターであるクリスタルガイザーを飲もうと思ったら、実は硬度60のボルビックだったといった感じだ。 しかし、そんな僅かな違いなどみゆきが次に発した言葉によって次元の彼方に吹き飛んでしまった。 「実は私、ずっと前から泉さんのことが好きだったんです」 「へっ?」 全世界マヌケな驚きの声選手権があれば間違いなくグランプリを取れる声とともにわたしは見事に固まった。 『2分の1』 「ゆき…ちゃん?」 つかさの呆然とした声でわたしはフリーズ状態から我に返った。 どうやら衝撃で呼吸も止まっていたらしく、慌てて息を吸うと今まで忘れていたアロマオイルの香りが鼻腔をくすぐった。 集中力が高まると聞き、勉強のためにと選んだペパーミントの清涼感でぼんやりとした頭が少しだけ覚醒する。 わたしが半生解凍状態まで回復するために要した時間は5秒くらいだろうか。 その5秒感――光が地球を35周半回る間、わたしは視界がブラックアウトして平行感覚すらなくなった世界の中にいた。 まずわたしの頭に浮かんだのは(あれ?『好き』ってどういう意味だったっけ?)という疑問だ。 最初の1秒間をフルに使ってわたしはみゆきの言葉の意味を思い出そうとする。 しかし直下型大地震が起きている頭ではその意味を探し出すのに永遠と思える1秒が必要だった。 さらに次の1秒で本当にみゆきが『その意味』で言ったのかどうかを確かめ、同じ時間をかけてその確認を終える。 最後の1秒間、混乱するわたしの心の中を『サキニ』『言わ』『Letter』だの『綿霜』『こなたが』『好』といった自分でも理解できないほど断絶した言葉や気持ちの段幕がまさに光の速さで駆け抜けていった。 その凄まじさはシューティングゲームなら怒りで画面を打ち砕きたくなるほどだ。 なぜそれらを避けようと思ったかは分からない。 ただその言葉や気持ちと向き合うことが怖くてわたしはひたすらかわし続けた。 おかげで我に返った後も、わたしは筋肉痛のようにギシギシきしむ心の痛みで動くことも出来ずにいた。 それでもなんとか視線だけは無理やりこなたの方に向ける。 今自分がどんな顔をしているのかよりもこなたがどんな顔をしているのかが気になったからだ。 こなたは… 「私もみゆきさんのこと好きだよ」 こなたはみゆきの方を向いて嬉しそうに笑っていた。 「こなちゃん?!」 つかさが心底驚いたようにこなたの腕に手をかける。 そしてすがるようにしがみつき、強くゆすった。 「ど、どうしたのつかさ!?」 驚くこなたの声。 あぁ、この光景には覚えがある。 子どもの頃『お母さんを独占したいとき』につかさはよくこうやってわたしやまつりお姉ちゃんにしがみついていたっけ。 わたしはそんなことをぼんやり考える。 そういえばお母さんたちに甘えたいときわたしはどうしていただろうか。 昔から甘え下手だったわたしはつかさをうらやましく思いながらじっと我慢していた気がする。 もっと他に考えることがあるんじゃないの?という心の声を無視して、わたしはギシリと椅子を軋ませて立ち上がった。 …つかさの真似をするならば、わたしはこなたとみゆきのどちらかの腕を取らなければならない。 しかしわたしはどちらの腕を『何と言って』取ればよいのだろうか? 何の『覚悟』もないわたしは立ち上がったまま動けずにいた。 「大丈夫だよ、つかさ」 こなたがよしよしとつかさの髪を撫で、しおれてしまったリボンを延ばす。 「『わたしも』つかさのこと好きだもん」 「え?こなちゃん『も』…って?…あっ!」 つかさの小さな声とともにリボンがピンと立ち上がった。 「あれ?つかさ分かっちゃった?」 何の話かさっぱり分からないが、そのセリフを聞いた瞬間つかさは顔を赤くしてこなたから離れようとする。 それをこなたは逆につかさの腕を取り、自分の方に引き寄せた。 「こ、こなちゃん…恥ずかしいよう」 「うむ、苦しゅうない!さあさあ、みゆきさんも近うよりんしゃい!!」 「それでは…失礼します」 唖然とするわたしに申し訳なさそうな視線を送りつつ、しずしずとみゆきがこなたの横にちょこんと座る。 「ふふふ…愛い奴じゃのう」 すかさずこなたはみゆきの肩に手をまわしてぐっと引き寄せる。 「きゃっ」 などと可愛い声を出してみゆきがこなたにぴとりとくっついた。 心なしかみゆきの顔も赤い気がする。 (何?何?なんなのこの状況は?!) 混乱するわたしは『右手にみゆき、左手につかさをかき抱くこなた(しかも二人とも頬を染めて)』という今の状況が全く理解できない。 ただ一つ分かるのは先程の空気が一変したということだけだ。 「どうしたのかがみ?かがみもこっちにおいでよ」 こなたがみゆきを抱いたまま右手でわたしを手招きする。 わたしは誘われるままに進み、こなたと膝を付き合わせた。 向かい合った膝と膝との間がコブシ一つ分もない距離でこなたはわたしの顔を正面から見つめる。 さっきまでは錆び付いているかのように軋んでいた心臓がまるで油をさしたかのように軽やかに鼓動を早めていく。 ちょっとそのスピードは早過ぎるくらいだ。 こなたのエメラルドに映った像でわたしは自分の顔が真っ赤になっていることを知った。 こなたは一瞬だけ目を閉じて軽く深呼吸した後、目を開けて優しく微笑んだ。 「かがみ大好きだよ」 思わず下を向いてしまった。 さらりとこなたが言った言葉がじわじわとわたしに染み込んでいく。 (や、やだ…なんなのコレ?) 自分の中から抑えきれない感情が溢れてくるのを自覚してわたしは怖くなった。 決して不快な感情ではない。 ただその勢いによって『わたし』というダムが決壊してしまいそうで怖かった。 「わ、わたしもゆきちゃんが大好き!!」 まるで何かに宣言するかのようにつかさがいきなり声をあげた。 「ありがとうございます。 先程泉さんがおっしゃったように、私も泉さんと同じ気持ちですよ」 ちらりと視線を上げるとニコニコといつも通りの笑みでみゆきが頷くのが見えた。 ふにゃ、という音が聞こえるようにつかさが茹でダコのように真っ赤になって崩れ落ちる。 それを見てこなたはつかさとみゆきから手を離し、少しだけ羨ましそうな顔をするとわたしの右耳に囁いた。 「かがみは言ってくるないの?」 こ、こいつはわたしに何を言わせるつもりなんだ?! ココで、つかさもみゆきもいる場所でナニを言えというんだ! 「ね…かがみ?」 うぅ…こなたの声がわたしの理性の抵抗力を奪っていく。 と同時に感情の水位はますます高まり、今にも言葉になってこぼれだしてしまいそうである。 「わ、わたし…」 「私?」 その圧力に負けてわたしが口をわすがに開くとこなたの瞳が輝いた。 「わたし…」 「わたしエイプリルフール大好き!!」 …このセリフはわたしのものでなくつかさのものだ。 コロリとみゆきの膝に頭を乗せ、コブシを空に向かって突き出し親指を立てている。 何を言うかと思えばエイプリルフールなんて…ん?エイプリルフール? がばっと立ち上がり、勉強机の上の携帯をとって今日の日付を確認する。 『4 月 1 日』 「今日はエイプリルフールじゃない!!」 「そうですね、日本では四月馬鹿、中国では万愚節、フランスではポワソン・ダヴリル(四月の魚)と呼ばれています。 一般的には『害のない嘘をついて人をからかう』というのが4月1日の慣習ですね」 怒りの叫びを上げるわたしにみゆきが解説を加える。 「そうじゃなくって!!どういうことなのよみゆき!!」 「実はですね」 そう言ってみゆきはテーブルの上の問題集をパラパラとめくり、小さなノートの切れ端を取り出した。 それには見覚えのある汚い癖字で『エイプリルフール記念・こなた専用ハーレム建設計画指令書』とデカデカと大きく書いてある。 自分の中の乏しい言語学の知識を用いて判読すると、そのタイトルの下にはどうやら 『指令1、みゆきさんの突然の告白で場を混乱』 『指令2、私の魅力でかがみとつかさをメロメロに(要:かがみからの告白)』 『指令3、みゆきさんを含めたハーレム完成』 『指令4、みんなで秋葉原デート♪』というような4つの指令が書かれているようだ。 というより!2以降は指令じゃないし!!『かがみからの告白』には蛍光ペンで下線が引かれているし!! 「ああっ!?みゆきさん!私まだかがみから愛の告白をされていないのにぃぃぃぃ!! あれ?!かがみ!?なんかパチパチ放電してるよ?!」 焦ったようなこなたの体内から怒りのスパークが湧き出る。 『怒髪天をつく』という言葉の意味をわたしは実感した。 今なら脱色せずとも金髪になることができそうだ。 「こなた?」 「は、はい!!なんでしょうかがみ様!」 ノーベル平和賞をもらえそうなほど優しさに満ち満ちたわたしの問いにこなたは直立不動の姿勢で答える。 「つまり全部ただの冗談だったってことよね?」 「う、うん。罪のないエスペラントジョーク(意味不明)だよ。 あ!でもハーレムを作りたかったのは本当だよ♪」 ギリギリギリ。 どこかで何かをすり潰すような軋轢音がする。 視界のすみではみゆきとつかさが青い顔で抱き合っているのが見える。 今日は春らしい暖かな陽気だというのにどうして二人は震えているのだろうか? 「そうね、すっごく可愛いウソだったわね…」 「だよね!だから全然怒る必要なんてどこ…に…も…って、あれ?かがみひょっとしてすごく怒ってる?」 「ウウン?ゼンゼンオコッテイナイワヨ?」 冷静に考えるとどうやらギリギリという音はわたしの歯ぎしりが原因らしい。 わたしは無意識に『あの言葉』を噛み砕き、すり潰そうとしているようだ。 「か、かがみ?目がマジだよ?それはもう種とか割っちゃいそうな勢いで」 冷や汗をダラダラと流しながら、こなたがぎこちなく笑う。 「ウウン?ゼンゼンオコッテイナイワヨ?」 ひきつる微笑みを浮かべるわたしにこなたは震えながら尋ねた。 「本当に?」 「だから怒ってないって言ってるでしょうがぁぁぁぁぁ!!!」 「わぁぁぁぁぁかがみのウソツキィィィィィィ!!」 結局、こなたは春休みの宿題を泣きながらも自力でやることにしたそうだ。 やっぱり宿題は自分でやるものよね、うん。 それと…どんなかたちであれウソをついたら駄目よね。 ばか… 終 おまけ 「…ところでつかさ?どうして気付いたときにすぐ教えてくれなかったのよ?」 「だって、こなちゃんにおねえちゃんには内緒にしてって頼まれたから…」 「ほほう…(ギラリ)」 「え?わたしそんなこと言って…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ…」 「それに、わたしもウソついてみたかったし…(チラリ)」 「つかささん、どうかしたんですか?」 「う、ううん!!な、なんでもない…」 「?」 「うー…なんでみゆきまで何でこの馬鹿のこんなアホな計画にのったのよ?」 「すみません、実は泉さんに『どうしても頬を染めて告白するかがみ(さん)が見たい』と熱心に頼まれたもので…」 「だって…デレデレのかがみが見たかったんだもん…って、ふみゃぁぁぁぁ…」 「ハァハァハァ…全くもう…」 「うぅぅ…あの時のかがみはあんなに可愛かったのに…」 「もう一発くらいたいの?」 「あぁ、あの時かがみが『わたし』の後になんて言おうとしたのか考えたら気になって夜も眠れないよ…」 「あ、あれは!『わたしはあんたのことなんて何とも思ってないわ』って言おうとしたのよ!!」 「おおっ!ツンデレktkr!!いやーツンデレってツン状態の時は基本的に嘘つきだよね。 だからおあいことで……ふぎゃぁぁぁぁぁ…」 エイプリルフール。 今日は罪のない嘘をついてもよい日。 けれどもその日に発した言葉が嘘かどうかは、いつも通り2分の1の確率でしかない。 実は昔、日本では4月1日は『日ごろの不義理を詫びる日』だった。 またイスラム教においてはこの習慣はコーランに著しく反しているため、強く禁止されているという。 それを知っている少女は心の中で微笑んだ。 (時々は自分の気持ちを『言葉』にして汲み出さないと、気持ちが溢れてしまいますものね) 了 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-18 08 00 48) つんでれかがみ萌え♪ -- 小谷 (2010-01-18 21 50 50) 面白かった! -- ひろ (2009-07-14 06 28 17)
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【第11話 扉】 「こなたのお母さん」 かがみはまっすぐその像を見据えた。 「こなたをありがとうございます。謙遜どおりふつつかで、重度のヲタで二次にしか目のない娘さんですが、最期まで喜んで私が頂きます」 頭を深く下げ、また上げた。再びまっすぐ見据える。 「ですが、あなたに渡すことは永遠にありません」 胸に手を当てた。はっきりと伝えるつもりだった。 「あなたはこなたに遺伝子を渡しました。その中に、早くあなたの元へ行くようにという運命が仕組まれていたのでしょう。 でも、私はあなたに渡さない。 私は誓います。 こなたは私のものです。永遠に私のものです。 ビッグバンの前から宇宙が終わって次の宇宙が始まっても私のものです。 たとえあなたの場所に行っても、こなたには私の名札がついてます。 もしあなたが24時間365日背後霊でついていたら、私はこなたに25時間366日つきます。 もしあなたがこなたを呼んでも、私はあなたより大声でこなたを呼べます もしこなたを幸福な天国へ連れて行くのなら、私はこなたのために現世で天国をつくります。 もしあなたがこなたに母親としての愛情を与えるなら、私は来世でこなたの母親になってあなたより愛情を与えます。 。 もしあなたがこなたを無理やり連れて行ってしまったら、私も無理やり居候として一緒にいます。 もし私達が生まれ変わり、互いに相知らない存在になるなら、私はこなたの体の奥深くにひそむ未知の細胞に生まれ変わります。 もし生まれ変わりもなく、天国も地獄もなく、あなたがただの幻で 死ということが、単にこの宇宙から消え去るだけのことならば、私達は笑顔で同時に────」 誓約が何かを開闢させたように──── ドアが開いた。 ステンレスに映る像は消え、かわりに怪訝そうな顔の医者たちが出てきた。 その日がやってきた。 新しい治療への準備を開始する日だ。 こなたの病室には朝から白衣の人間がずらりと並んでいる。 今までは主治医と数人の看護師や技師の集まりでやっていたが、いまや「医師団」といってもいいくらいの集団が形成されていた。 主治医がその場にいる白衣の研修医や学生向けに専門用語で説明を始める。 ハンディカメラも回され研究も兼ねているのがひしひしと伝わった。 まさに最先端医学の未知の世界っぽい空気だ。こなたの治療過程は国際的な医学誌にも記載されるともいわれた。 ほとんど実験に近い治療なので医療費は全額病院が持つそうだ。 かがみはみゆきが言ってたのを思い出していた。 「前処置→複数臍帯血移植→生着 という手順を踏みます」 前処置とは 今までの抗がん剤治療よりもずっと多い、致死量に近い大量の抗がん剤を流し込み、体内をめぐる無数の白血病細胞に強引に斬りこんで電撃戦で根絶を図るのです。 とどめに原発事故に匹敵する量の放射線も浴びせます。 このとき、まだ正常な骨髄もとばっちりで完全に死滅し、こなたさんは骨髄がカラッポになり自力で血が作れない身体になってしまいます。 すると白血球も滅び、免疫力がゼロになるので、ここで初めて無菌室へと入ります。 闘病ドラマのクライマックスの場面らしいスタイルになります。 次に、この死滅した骨髄をフォローするために「複数臍帯血移植」が行われます。 移植といっても手術は行いません。 あらかじめ用意していた二人分の臍帯血を点滴や注射でひたすら入れるだけです。 白血病といえばよく移植がクローズアップされますが、実は「前処置」がどれだけ効くかが重要なのです。 そして、体内に入った臍帯血は自然に骨の中に入りこみます。 その中に入っている骨髄と同じ細胞(造血幹細胞)がこなたさんの新しい骨髄になります。 造血幹細胞はやがて新しい健康な血液を作り始めます。 これを生着といい、ゴールです。……」 治療スケジュール表が渡された 全過程およそ1ヶ月半。投与日を示す矢印や傍線が薬の名前とともにスケジュール表のカレンダーにズラッと記されている。 「……かがみん、冬コミ行けないね。よろしくね」 「わかってるわよ、今のうちに欲しいサークル名かいときなさい。これから体きつくなるんだから」 激しい治療に耐えられるかどうかの検査は済んでいた。 採血、CTスキャン、レントゲン、MRI、負荷検査、脳波、心電図から検尿、検便、視力検査、皮膚科の検診、さらに虫歯の有無まで ……病院中を駆けずり回るように丸1日かけてあらゆる科を回る。 当然あの激痛を伴う「マルク」もやった。 危険な工事現場の安全確認のような検査スケジュールをみながら、かがみはみゆきの顔が曇っていたのを思い出す。 「ですが、ゴールに至るまでの死亡率は非常に高いそうです。 移植のあとが本当の闘病のクライマックスです。 最初の山は治療関連毒性というものです。超大量の抗がん剤と放射線によって今までよりも遥かにきつい副作用が襲い掛かります。 次にやってくる山は、新しい骨髄がこなたさんの身体を攻撃する「移植片対宿主病」という症状です。 これは急性と慢性の二つの山があり、慢性は腎不全や呼吸不全が一生涯続くことがあります。 そして感染症はいつ襲い掛かるか分からない危険な山です。 これらのいくつもの山により、多くの患者が全身の臓器にダメージを受けて死の転帰をたどるそうです……」 こなたのベッドサイドに抗がん剤のはいったパッケージが並べられた。今まで打たれた量の数倍の量。赤い字で「劇薬」と派手に書かれている。 輸血用の赤い血液や抗生物質もセットになって、まるでシャンデリアのように点滴台に吊るされる。 赤・青・白・黄色・透明……なんともカラフルな光景だ。 「ちょっとまった……点滴の色、青ってマジでありえないんだけど」 「ノバントロン」という濃青色の抗がん剤を見つめながらこなたはつぶやく。 白血病の闘病ブログでは非常に有名で必ずネタにされる薬だ。 印刷用の青インクに近い成分で、白目の色からおしっこまで青くなるとか…… 「つーかあんたの髪の毛の色の方がありえないわよ」 「ふーん、かがみなんて水色じゃん♪」 「……」 こなたは冗談を言ったりかがみにつっこんだりするだけの余裕はある。 今現在は、寛解目的に使った抗がん剤の副作用も抜けていた。 免疫力も一時的にしろ常人並みになり、ビニールテントも外されて普通の入院患者のように会話できる。 こなたは白血病を起こした骨髄以外は健康体そのものだ。 なんで、このこなたが病気なの? 誰がどう見ても五体満足じゃない。 今すぐにでも退院できそうなのにデータシートの数字の上げ下げだけで死にかけの重病って。 なんなの白血病って? ほんとうに、この、悪い骨髄さえなければ、今ごろは、こなたは大宮のアニメイトに行ったり、秋葉へ行ったり、冬コミを心待ちにして……。 あ、受験勉強があったか…… かがみのほうはさすがというべきか、今のところ一応看病と勉強は両立している。 受験勉強といえばつかさはまだ人が変わったように勉強している。 勉強しなければこなたが死ぬというような勢いだ。 ……ほんとうにありえない。 実は変装?実はみゆきが化けてるとか。 ああでも、体のラインが全然ちがうわよね…… 相変わらず要領の悪い妹で、机に突っ伏して居眠りもしている。 が、勉強時間だけは稼いだおかげで、琉球大学医学部ならE判定からD判定に上がってきていた。 その判定の結果を見て、間違えて志望学科名に保健学科(偏差値50)と書いたのかとかがみは思ってしまった……。 こなたはストレッチャーに乗せられて、地下の放射線部へと向かう。かがみも入口の扉までつきそう。 看護師や医師に囲まれピリピリした空気だ。 「かがみん」 寝ていたこなたは首を上げて呼びかける。 「これ終わったらちょっとかがみんに甘えさせてね」 こなたは黄色い放射線マークのついた鉄扉の向こうへと消えていった。 「全身放射線照射を受けると、生涯を通して不妊になります」 ───あらかじめ医者から説明を受けていた。 「…………」 火葬場のように殺風景な放射線治療室で、こなたは薄汚れた暗い天井を見上げる。 棺桶のような窮屈な箱に寝かせられた。 肩・脇の下・指の間まであらゆる隙間に大小の鉛の袋がみっちり詰め込まれ、完全に身動きできなくなる。 鉛の入った目隠しをさせられる。 世界が暗転する。 入棺のように閉められる蓋の音。 極限まで暗黒の世界。鍵がかかる音。 技師が部屋を出る音。 たった一人取り残された感覚。 突然、泣き叫ぶようなブザー音。 こなたの耳をつんざく。 見えない何かが、四方八方から一斉に手を伸ばした。 こなたの身体を焼き焦がすように射抜いていった。 第12話:空気だけ抱きしめてへ続く コメントフォーム 名前 コメント こなたァ… -- 名無しさん (2021-01-15 02 12 24) (´;ω;`) -- 名無しさん (2013-06-30 02 19 18)
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真性モテモテかがみん こなた「今日は重大な発表があるので聞いてね、ひよりん」 ひより「おおお、なんかいつになく真剣な眼差しッスね…先輩」 こなた「…閃いたのだよ。かがみんの落とし方を」 ひより「落とし方って…(いつになく真剣と思ったら、オヤジモード全開だ…この人)」 こなた「実は先日あるラノベを読了してね…ネンネな女の子が、女王様然としたお姉様に 手を引かれて、百合の世界へダイビングと言う話なんだけど、これだ!と思ったね。 ツンデレってのは要するに超奥手ってわけじゃん。昔風に言うと」 ひより「昔はツンデレって言葉自体無かったですけどね」 こなた「あまり恋愛に積極的じゃなかったツン子が、ぐいぐいと引っ張っていってくれる大人の引力に絡め取られ、 ついにロシュの限界を越えて惑星直列となる訳だよ!(一大スペクタクル)」 ひより「王道…ですかね」 。。。 蒼井泉馬(アオイイズマ)様登場 主題歌:青いイズマがかがみんを攻める…(略) こなた「と言う訳で、今回はストパニ風衣装でまとめてみた。コスプレ喫茶のバイトも捨てたモンじゃないね」 ひより「…(ああ、駄目だ…どう見ても押し倒される方です、先輩…でも身長のこと言うと怒るだろうし)」 こなた「漆黒の馬もいると良かったんだけど、みゆきさんに聞いたら、さすがに飼ってないってさ。どうしよ? 自転車で良いのかな?」 ひより「馬は乗るのに梯子が必要かも知れないので、避けた方が賢明だと思うッス」 こなた「仕方ない、自転車を黒く塗るか…自らの自転車に塗装を施す学園のスター…これは絵になるね」 ひより「…そ、それより、どうやってネタ扱いされずに会話に持っていくかッスね」 こなた「フフー、ひよりんには悪いけどそんな心配は無用の長物。 恋愛(ゲーム)上級者の私にとっては、ラブラブムードなど片腹が茶を沸かすようなもんだよ」 ひより「(言ってる意味はよく分からないがとにかくすごい自信だ…)」 こなた「うーん…お、ビビっときた。『バイト先で百合キャラフェアやるから、台詞の練習に付き合って~』どうよ? そんでもって『ワタクシの言うことだけを信じなさい、かがみや…(裏声)』…うし!楽勝だね。 でもまあ、かがみんの魅力をくま無く堪能するためには、それだけじゃ駄目なんだけど」 ひより「魅力?」 こなた「やっぱりツンデレなかがみんだからね、最後はデレて欲しいじゃん。 押して押して押しまくって、でも最後までは押し切らないわけよ。 端っこの隅まで追い込んで追い詰めた所で、あえて一旦止めにしてね、焦らしてね、 『かがみのせいだよ、こんな私になっちゃうのは』とか言って弱いトコを見せたりね… そして、かがみから私に向かって飛び込んでくるのを待つのサ… これは、これは…きっと可愛いよー…かがみんが…かがみんから…(トリップ中)…」 ひより「(泉先輩、超幸せそうだ…)」 。。。 ひより「そ、それでどうなったんスか、先輩」 こなた「途中までは上手くいったのに…台詞が全然間違ってるから、全部暗記するまで帰さないって… うう~…これだから、オタクは困るよ…明日も放課後練習に付き合わなきゃ…」 ひより「…(アレ、自業自得オチの筈なのに結構上手くいってる…?)」 早朝の泉家 かがみ「こなた~、クリーニングから帰ってきたスーツってもう無かったっけ?」 こなた「おー、昨日戻ってきたのがクローゼットの一番左端に」 かがみ「えーと、コレか…あとゴメン、ちょっと髪持って上げといてくれない?」 こなた「はいはい、かがみ様。お召し替え手伝わさせて頂きますわ。 よっと…うん、私のツインテは今日もサラサラだね」 かがみ「あ、コラ、こなた。また毛布ズルズルさせながら家の中歩き回って。 やめなさいって言ってるのに、もー。毛布置いてきなさい」 こなた「ええー?いいの?いいの?まあ、かがみがそう言うならそうするけど(パサッ…)」 かがみ「だあぁ!何で何も着てないのよ!」 こなた「家の中だしいいじゃーん。クールビズって事で」 かがみ「限度があるでしょ、限度が」 こなた「それよりさ、今日も遅くなるの?仕事」 かがみ「…ん、悪い。新人だし、ちょっとね…やっぱり寂しい?」 こなた「いや、お弁当の量足りるかなぁ、と。かがみん結構食べるじゃん。間食は特に良くない」 かがみ「そ、そんなに食べないわよ」 こなた「まあ、元気でやってるならいいんだけど。お弁当はリビングに置いといたから(全裸で)」 かがみ「ありがと。ありゃ、もうこんな時間か」 かがみ「じゃあ、行ってくるわね」 こなた「おお、かがみん忘れ物ー!」 かがみ「え、なに?お弁当は持ったけど」 こなた「行ってらっしゃいのちゅー!」 かがみ「待ったー!ドア、ドアが!世間様にお見せしちゃまずいでしょうが」 こなた「ちゅーぐらいどこでもやってるよー」 かがみ「だから!服!服着てきなさいって!」 ゆーちゃん×の左側伝説 こなた「最近、ゆーちゃんのお陰で私にも姉としての自覚が芽生えてきたよ。 お姉ちゃんって大変だよねー、かがみん?」 かがみ「とてもそうは思えないんだけど…」 こなた「いや、あのね、やっぱり妹の姉に対する期待の視線が痛いじゃない。 そうそう失態ばかり見せられないって言うか…」 かがみ「失態ばかりなのか」 つかさ「お、お姉ちゃんも普段プレッシャーを感じてたの?」 かがみ「うーん、私は全然だわ。さらに上の姉がいるからかなあ」 こなた「それにゆーちゃんは、いわゆる所の無邪気攻めだからね…」 つかさ「無邪気攻め?」 ゆたか「こんにちわ~、あの、少しいいですか?」 こなた「どうしたのゆーちゃん?おねーサン達に何でも聞きなー」 ゆたか「えっと…実は中学の時の友達が、告白されたらしいんです… 相手の子は友達とすごく仲が良い同級生で… それで、その相手の子は友達と同じで女の子だったから、友達もビックリしちゃって 『今は返事できないよ』って言っちゃったらしいんですよ。 昨日、その友達に会ってきたんですけど、どうも別に女同士が嫌なわけじゃなくて 『あの子を本当に幸せにできるのかなあ』と悩んでるみたいで… でも、相手の子の方は『嫌われちゃった…』って元気ないみたいだし、何かアドバイスを頂けたら…」 こなた「…///」 かがみ「…///」 つかさ「(強い…)」 ゆたか「(ど、どうしよう、すごい気まずい…)」
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☆ずっと一緒に いいか、みんな (゚д゚ ) (| y |) to getとherでは単なる下心だが、 to get ( ゚д゚) her \/| y |\/ 二つ合わさればtogetherとなる。 ( ゚д゚) together (\/\/ レス番480~542の流れを独立してまとめさせていただきました。 480 名前:274[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 12 27 29 ID pL0Qpe6r 今現在第二期の2話目(続編)を書いてるオレなんですが 書いてる途中、絶対的な疑問が浮かび上がるんですよ "こなたとかがみの二人は一生二人で暮らすのか?" と……… だって、その周りのつかさとみゆきは男と結婚するでしょ普通は 一生二人でって事は無いかも知れない……… オレはどっちかってと、NANAみたいに二人は友達として大好きなだけで、二人はそれぞれ違う男に恋するって考えの方が強い(個人的にそっちのが好きだって意味じゃあないよ><) お前らはどうだ? ぜひ今後の参考にしたい 481 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 12 36 12 ID 3mG5sbjT 高校卒業させなきゃいいじゃん 482 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 12 45 12 ID 0KQ+/45v 480 これはガチ百合が好きか、そこまでいかないのがいいかで分かれるんじゃないか? 俺はずっと一緒にいて欲しいが。 でも何年か一緒に住んだ後で、やっぱり女同士は駄目だから、これからはそれぞれ男を見つけて幸せになろうって別れるのもいいと思う。 483 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 13 11 44 ID dWkl9hru 480 確かに一分に一組離婚する時代だからなぁ しかも女同士だからなぁ でも女同士だからこそ別れないで済むかもしれない 難しい…… 485 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 13 46 25 ID QpgWk/uk 482 ガチ百合以外認めない、そんな自分の生殖機能が時々心配になります 487 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 14 24 16 ID 8c4HlIqR 常識に縛られてるようじゃ妄想は出来ん。 誰がなんと言おうとこなかがは夫婦だ 488 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 14 34 14 ID i3wjfr0e 487 お前かっこいいな 489 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 14 35 04 ID g+00Hlnh 友情もいいけど わざわざこなかがスレでやるくらいなんだからガチがいいな 490 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 14 39 00 ID p2ysqptQ 487 あんた輝いてるぜ 491 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 14 45 54 ID n3PAqR3E 487 さすがはそうじろう。やっぱりプロはちがうな 492 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 14 49 35 ID vDka4P9W 480 そこは百合ものの重要ポイントだから~ 個人的には、かがみは純粋に女同士というところで悩んでるのに対して こなたにとってはそこのハードルは高くないけど、将来のことを考えると踏み出せない 正確には、ガチヲタな自分が世間の価値観から外れる事は今更気にしないけど かがみをそこに引き込むことに迷いがある、みたいなのがいいかなーと 「かがみは可愛いし、いいコだし、こんなところで道を踏み外さないで普通の人生を送った方が幸せなのかな・・・・」って感じで そう思ってるから、普段はからかっていてもフラグが立ちそうな空気になるとつい躱してしまう、逃げてしまう 反面、好きな気持ちを抑えきれなくて、かがみに絡んだり甘えたり、独占しようとしたりはやめられない それがかがみの百合フラグを加速させてると頭では分かっているんだけど・・・そんな矛盾した行動をとってしまうこなた・・・・ もちろん最後はかがみからの告白で決壊ですよw ちなみに俺は 表向きは かが→こな が強いけど、根が深いのは実はこな→かが っていう こな×かが派w ま、一生って言うと想像しにくいかも知らんが、30台になってもルームメイトっぽく一緒に住んでるっていうのも ドラマとかでは割とあるじゃん、負け組的な感じでw なんとなく女性漫画家コンビみたいな感じもしないでもないw それ以降となると世の中の価値観がもっと多様化してるんじゃないかなあと それこそ今から2~30年前でも今とは大分違うじゃん? まーその辺は余りリアルに考えても仕方ないぜ 494 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 15 06 23 ID p2ysqptQ 492 「表向きは かが→こな が強いけど、根が深いのは実はこな→かが っていう こな×かが派w」 ここら辺に全力で同意 495 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 16 10 20 ID te4IBBSr 492 うむ。まさにお前は俺だw 全く同じ意見だな。 ところでリアルな話になって申し訳ないが、未婚化が進む中、一人では生活が立ち行かなくなる人が将来続出する と思う。すると、男女の夫婦のみが相互扶助の形を取れるのは時代に合わないとの声が将来上がる可能性がある。 そして性別を問わず、パートナーという新しい形での相互扶助形態が現れるのではないかと俺は予想している。 常識なんてものは、厳しい現実の前には案外脆いものなのかもしれん。 497 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 16 35 13 ID K38hSbQp こなかがが男を作るなど認められんな 死ぬまで2人に決まっておろう 498 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 16 54 39 ID XCtBjQqX 未婚化が進んでるのは、むしろ生活が立ちいく収入を女性が得られるように なってきたからだとおもうが。社会で認められて、一人でいきていけるのに、 結婚したら絶対仕事辞めて子育てしないといけないとか馬鹿らしいだろ もう男性であるだけで家族を養えるような収入を得られる社会じゃないしな。 そういうふうに家父長制が崩壊するなかで、性役割分担の見直しや、クィア理論的な ジェンダーセンシティビティが浸透していって、他人の性に寛容な社会になるとおもう ようするに、こなかがは一生幸せに二人で暮らすんだよ 502 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 18 31 28 ID 0KQ+/45v 492 本当にGJだ。 そういうことを考えられるのも文章に出来るのも凄いと思う。 やっぱり自分より相手のことを考えるっていうのは、愛の証だよな。 503 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 19 05 42 ID 0RYx6QMR 492 だからいざとなると「いや、私リアルで同性趣味ないし」と逃げてしまうんですな かがみも「私だって嫌だよ」と返しつつも 帰ってから自室で枕に埋もれて泣く 504 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 19 14 35 ID i3wjfr0e こなたとかがみなんか 軋むベッドの上でやさしさ持ち寄ればいいのに 505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 19 22 04 ID 1Ndxvx+4 480 俺のワガママかもしれないが・・・こなたとかがみには別れて欲しくない。 こなたとかがみ、どちらか片方だけでも男と付き合うなんて考えただけで、まるで我が事のようにズキリと胸が痛む。 馬鹿馬鹿しいと笑ってくれ・・・。俺は、こんなにも、この二人の幸せそうな姿に入れ込んじまった。 わかってはいるんだが、虚構の世界の住人に共感しすぎだ。重症だな。 それでもこなたとかがみのカップルに「幸せになってくれ」と願わずにいられない。 506 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 19 39 51 ID xCiL9CPp お前らほんとにイイ奴ばっかりだな 尊敬するぜ 507 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20 06 13 ID 0RYx6QMR こなたやかがみに突っ込みたい欲情も少なからずあるだろうに、お前ら 「好きな人の幸せを願いたい心境」ってやつか… なんつぅか、女同士だとか関係ないんだよな 「並んで立っているのがお似合いの二人」というか 508 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20 22 16 ID 0KQ+/45v 507 今までは○○は俺の嫁とか言ってたのに、今回はそれがないんだよな。 二人が一緒になれて、そのまま幸せに暮らせればそれでいいと思ってしまう。 むしろSSとかで二人を幸せにしてあげたい。 509 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20 27 23 ID n3PAqR3E つまり俺達は二人を見守るそうじろうってところか 510 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20 40 10 ID 8c4HlIqR 507 こなたとかがみはお似合い過ぎるんだ。その間に何者かが、ましてや俺なんかが入る事は許されん。 それも分からずにこなたやかがみに突っ込みたがってるような 棒至上主義の奴はこの俺が許さん。 511 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20 40 18 ID QpgWk/uk そうじろう大杉w 512 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20 40 53 ID 2HvrAiFM 508 「今までは○○は俺の嫁とか言ってたのに、今回はそれがないんだよな」 俺もそうなんだよ。 なぜかいつもと違うんだよ、今回は… 513 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20 45 32 ID rKzGHpN3 俺のイメージでは・・・ こなた、かがみをからかう(でもどこか可愛い) ↓ かがみ、色んな意味で我慢の限界 ↓ こなた「か…かがみ?どったの?なんか目が怖いよ?(汗」 ↓ かがみ「あんたが悪いんだからね…!」 ↓ こなた「アッー!」 525 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 21 19 40 ID j+QyfcMJ 480 ちょうどその問題を書こうと思ってたとこだ なんというシンクロ 常識は打ち破るものだけどその常識の偉大さに逆に打ちのめされたり… お父さんお母さんのいる幸せな常識をつくれないのは悲しい気がする… 495、498 俺は未婚化の原因は個人主義による生活単位の個人化に見てる その中で日本は圧倒的に夫婦であることが有利になってる社会らしいな 父系社会ではどこでもそうなんだろうが 新しい法的な相互扶助関係は欧州のどっかで既にできてると聞いた でも個人的には社会はそこまで進んではいないなと感じる、というか俺がそこまで進めてない 527 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 21 29 11 ID yamj5rHy とりあえず、ルームシェアの延長みたいなノリで だらだら一緒に暮らしていけばいいじゃないとか思っている俺はぬるいのね……w 528 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 21 32 02 ID n3PAqR3E 527 らき☆すた的にはそれでもいいけどこのスレ的には足りんのかもw 530 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 21 57 03 ID dfUWtPKM 527 おれもそういうレベルで満足するよ 正直ちょっと上のガチすぎる妄想には付いていけないw 531 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 22 24 10 ID lx0z82by 527 2人、黙々と読書中にふとさりげなく (しかも視線は本に向いたままで) かがみ「…ねぇ、こなた」 こなた「…んー?」 かがみ「そろそろ一人暮らし始めようかと思ってるんだけど…」 こなた「んー」 かがみ「……アンタも一緒に住む?」 こなた「………んー、別に良いよー」 かがみ「…そう」 こなた「…うん」 だ、駄目だ…なんか違うな… 532 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 22 25 51 ID aSRQzTH0 527 二人でだらだら一緒に生活で十分満足だけど、そこに男の影が入るのだけはダメだ! ってのが多いんじゃない? 俺がそうw 533 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 22 27 31 ID RrhSxiMj どっちかっつーと 「やふー、かがみー」 「ちょっ…吃驚するじゃない、事前連絡もなしに…って、何その荷物」 「今日から私、ここに住むことにしたから」 「また何かの漫画に影響されたか?それともアニメ…… ………えぇぇぇぇーーーー!??」 こんなノリがいい 536 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 23 07 47 ID 3dT/y92f 527 俺としては、「やっぱり猫が好き」みたいなノリでやってほしい あれは三姉妹だが 537 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 23 19 36 ID 2EAlMK7P ガチでもマターリでもいいんでないか。こなかがが幸せなら。 540 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 23 57 55 ID g60GoL/W ルームシェアなら 大学が違ってもできるだろうから かがみが司法試験の勉強をする間に こなたは在学中にラノベ作家の道を志し かがみに批評してもらう日々を送って 回る糸車のように父と同じような道を歩み 今度こそ幸せになってほしいな。 数年後の設定は 女弁護士かがみと ラノベ作家こなたの推理モノになっても それはそれで見たい。 542 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/16(日) 01 42 39 ID 8STvG/Nu 女弁護士かがみの親友にしてブレイン、それがラノベ作家こなた!
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皆さん、どうも泉かなたです。 今日は、そう君が取材旅行でいなくて、ゆたかちゃんもお泊り会。家にはこなた一人だけになると言うので、心配で様子を見に来ちゃいました。 いくつになっても娘は娘。やっぱりお家に一人だけ、というのは心配になります。 皆さんも、お子さんを持てば分かるかもしれませんね。 と、そんな事を言っている間に、懐かしい我が家が見えて来ました。 まだ、こなたは帰ってきてないのかしら?鍵がかかってるわ。 「こなた、重いようだったら、私がそっちを持つわよ?」 「いやいや、コレくらい。いつも買ってるグッズの方が重いぐらいだからね」 「ああ、そうですか……やれやれ」 あ、帰ってきたみたい。一緒にいるのは……お友達のかがみちゃんね。 「ただいま~」 「おじゃましま~す」 「……って言っても、今日は誰もいないけどね」 「まったく、もうちょっと早く言ってくれれば、色々用意したのに」 「私は、かがみが泊まりに来てくれるだけで嬉しいよ」 「バッ、バカッ……急に何言ってるのよ」 「ツンデレ萌え~」 「……もうっ」 どうやら、一人になったこなたを心配して、かがみちゃんがお泊りに来てくれてるみたいね。 良い友達を持ったわね、こなた。 「で、こんなに材料を買い込んだわけだけど、一体晩御飯に何を作るつもりなのよ?」 「ん?みんな大好き、チキンカレーだよ」 「って、二人分にしては量が多くないか?」 「明日までゆーちゃんもお父さんも帰ってこないからね。カレーを溜めておいて作る手間を省こうと」 「また、一日で腐らせたりしないでよね……」 そ、そんなことがあったの……。 トントントン……。 包丁で野菜を切る小気味いい音が台所に響いています。 包丁を握っているのはこなた。親バカと思われるかもしれませんが、随分と手際がいいです。 やっぱり、私がいなくなって、苦労したのかしら……。 「あ、かがみ。ちょっと変わってくれる?」 「へ?どうしたの」 「いやぁ、そろそろアニメの時間だから、録画してこないと」 「予約とかはしなかったのね?珍しい」 「朝ちょっとバタバタしてたからね。後、肉切るだけでいいから」 「了解」 バタバタと慌てて駆けていくこなた。そういう所、本当にそう君そっくりね。 趣味は似ないようにって、あんなにお祈りしたのに……。 「よしっ、やるか」 かがみちゃんが包丁を持って、やる気満々です。でも、心なしか手つきが危ないような……。 「……あれ?、上手く切れない。こうかしら?えいっ!」 あぁっ、そんな事をすると……。 「あ、形が崩れちゃった」 やっぱり。もしかして、お料理、苦手なのかしら? 「かがみ、そうじゃなくて、こうだよ」 「こなた……?」 戻ってきたこなたがかがみちゃんの手を持って、一緒に包丁を動かしてあげています。 うふふ、なんだか微笑ましいですね。子どもに料理を教えるお母さん、そんな感じです。 料理を教える……か。 「……痛っ!」 「か、かがみ!」 あっ、刃を滑らせたかがみちゃんが指を切ってしまいました。 「ちょっと待って……パクッ」 「な、なななな……あ、わ、私のゆ、指をくわえて、何してるのよっ!」 「ひょーどく……ぷはぁっ。お父さんもお母さんによくしてあげてたんだって」 !?!?!?な、ななななななななな、何を言っているんでしょう、この子は!? えっと、ち、違うんですよ?あ、いえ、違いませんけど……と、とにかく、このシーンはカットです。 「うん、いい感じで煮詰まってきたわね。こなたー、お皿出しといてくれる?」 ちょっと時間が経って、今はかがみちゃんがお鍋の番をしています。焦がさないか不安でしたけど、要らぬ心配でしたね。 こなたの様子を見に行きましょう。 「えーっと、お皿お皿っと……うぁっ!あんなに高いところに」 あ~、ちょっとこなたの身長では届きそうに無いですね。 私に背は似ませんようにってあんなにお祈りしたのに……。 「もう、お父さんに片付け頼むとこれだよ。ん~……」 背伸びして、食器棚に手を伸ばすこなた、ですが、足元がふらついています。 無理しないでね、こなた……何も出来ないのが歯痒い。 「んぉ~……あと少しぃ――って、わぁっ!」 こなたっ!! 「――はい、大丈夫か?」 「あ、かがみ……?」 「もう、届かないんだったら、無理しないの。後は私がやるから、こなたはお鍋見てきて」 ホッ……こなたが倒れる寸前、後ろからかがみちゃんが支えてくれました。ありがとう、かがみちゃん。 それにしても、この二人、結構身長差があるんですね。こなたはかがみちゃんにスッポリ包まれてる状態です。 「あ、ありがとね。かがみ」 「いいっていいって。じゃ、お鍋頼んだわよ」 「……うん」 こなたはそう言ってお鍋の前に立ちましたけど、なんでしょう?顔が赤いです。湯気のせいかしら。 「……かがみ、温かかった」 「いただきまぁす」 「いただきます」 なんとか無事にチキンカレーも完成して、二人は今、食卓を囲んでいます。 私も、昔はよくそう君に作ってあげましたっけ、チキンカレー。ふふっ、懐かしいです。 あら?どうしたんでしょう。かがみちゃん、さっきから全然お箸(スプーン)が進んでいませんね。チキンカレー、嫌いなのかしら? 「むぐむぐ……かがみ、どったの?」 「へ?い、いや……別に」 「はっは~ん、さてはまたダイエットですな?」 「ち、違うわよっ!ただ、おいしく出来たかなって」 「な~んだ、そんなこと?おいしいに決まってるじゃん。私と、かがみで作ったんだからさ」 「……そんな事言うなんて、ずるいわよ」 今度は、かがみちゃんが真っ赤です。照れ屋さんなのかしら。俯いちゃって、肩も小刻みに震えています。 「むふふ~?照れたな」 「う、うるさい! ……でも」 「?」 「ありがとね、こなた」 そう言って顔を上げたかがみちゃん。上気した頬に浮かんでいるのは、笑顔。 よっぽどこなたにおいしいって言ってもらえたのが嬉しかったのね。見ているこっちがハッとするような笑顔。 「……」 あら?またこなたの顔が赤くなってますね。外は寒いし、風邪かしら?心配です。 あ、こなたの手から、スプーンが―― 「こなた?スプーン、落としたわよ?」 「え?あ、あぁっ!」 「どうしたのよ、突然ボーっとして、風邪?熱測るから、動かないで」 そう言って、かがみちゃんはこなたの額に自分の額をくっつけました。 「!!!」 また、こなたの顔が赤くなって……本当に大丈夫かしら? 「曖昧3センチ~♪」 「お風呂で鼻歌って、どんだけよ……」 更に時間が経って、今、二人は一緒にお風呂に入っています。 我が家のお風呂は、そんなに大きくないのに。こなたの方からかがみちゃんを誘ったみたい。 よっぽど、かがみちゃんと一緒にいたいのね。 「それにしても、あんたってホント髪長いわね」 「え~っ?かがみだって長いじゃん」 「私はあんた程じゃないわよ。洗うの大変じゃない?」 「う~ん、まぁ、少しね」 「良かったら、私が洗ってあげるわよ」 「えぇっ!?べ、べつにいいよ……」 「遠慮しなくていいから」 こなた、折角のご好意なんだから、甘えてみたらどうかしら?ここまでしてくれる子は中々いないわよ。 「う~……かがみがそこまで言うなら」 「はい決まり。じゃ、後ろ向いて」 こなたの髪を洗うかがみちゃん、なんだか手慣れてます。 こうやって、誰かの髪を洗ってあげることがあるのかしら?妹さんとか。 「へぇ、意外ときちんと手入れしてあるじゃない」 「そ、そう……?」 こなたの顔がまた赤いですね。風邪ではないみたいだけれど、本当にどうしたのかしら? なんだか、モジモジしているし。 「後ろ終わり。じゃ、前も洗うから、こっち向いて」 「! ま、前はいいよ、自分でやるから……」 「何よ、今更照れたりするような仲じゃないでしょ。海ではみんなでお風呂は入ったんだから」 「い、いいってば!」 こ、こなた、そんなに暴れるとかがみちゃんが……あ! 「――きゃあっ」 「――うわっ!」 あ~……こなたが暴れたせいでかがみちゃんがバランスを崩して、二人とも倒れちゃいました。 かがみちゃんが下敷きになって、こなたがその上に跨っている状態。 こなたの身長の関係で、かがみちゃんの胸の辺りに頭をかぶせちゃってる。 二人とも、大丈夫かしら? 「いたた……かがみ、ゴメン。大丈夫だ――」 「……こなた?」 「……」 「こなた?大丈夫?」 「え?あ、うん」 「その……くすぐったいんだけど」 「! ゴ、ゴゴゴゴメン」 「い、いや、そこまで謝らなくてもいいんだけど」 かがみちゃんの上から降りるこなた。慌てるとまた転びますよ。 もう、ちゃんと後で謝っておきなさい。かがみちゃんも、ごめんなさいね。 ふう、お風呂で一騒動あって、ちょっと大変でしたけれど。 お風呂から上がった二人は、もう、寝ることにしたみたいですね。 こなたはネットゲームをやろうとしたみたいですけど、かがみちゃんの、 「明日も学校なんだから早く寝なさい」 の一言で、就寝決定です。 本当にありがとう、かがみちゃん。本来ならこういうことは親の役目なんですけどね。 そう君だったら、きっとこなたと一緒になって夜更かしをしてたんじゃないかしら。 そのかがみちゃんは今、こなたの部屋でこなたが来るのを待っています。 こなたは家の戸締りで、まだ下にいますからね。 折角ですから、この機会にかがみちゃんをじっくりと観察することにしましょう。 よく見ると、かなり可愛い顔立ちをしています。 瞳はちょっと吊り上ってきつい印象を受けますが、よく見ると、瞳の中にある優しさを見ることができます。 さっきまでの様子からも、かなり面倒見がいいことも分かりますしね。 こなたも、かがみちゃんの傍だと安心できるんじゃないかしら。 「かがみお待たせ~」 あ、こなたが上って来ました。 「こなた、私の布団が無いんだけど?」 あら、そう言えば、どこにもかがみちゃんの布団が引いてありませんね。どうするのかしら。 「……えっと、かがみと一緒に、寝ようと思って」 「え?」 え? 「いや、なんて言うかさ、最近寒いじゃん?だから、一緒のほうが温かいかな……ダメ?」 こなた……口ではああ言ってますけど、私には、分かります。 本当は、夜、一人で寂しかったのね、こなた。 かがみちゃんもそれを分かってるのでしょう。驚いた顔は一瞬で、 「……分かったわよ」 そう、答えてくれました。 「かがみ……」 「そ、その代わり、寝ぼけて私を蹴ったりしないでよ!」 「うん!ヤター、かがみと一緒だ!」 「コ、コラ、はしゃいでないで、もう電気消すわよ」 「は~い」 こなたとかがみちゃんは一緒にベッドに入ると、リモコン操作で電気を消しました。世の中、便利になりましたね。 真っ暗……夜って、ここはこんなに暗かったのね。 「くふふぅ、かがみ~♪」 「ちょ、抱きついてくるなって」 「えぇ~?いいじゃん減るもんじゃないし」 「あ~、もう!しょうがないわね」 「かがみ……」 「……何よ?」 「……お母さん……」 「こなた? ……何だ、寝ちゃったのか。まったく、普段が夜更かししすぎなのよ」 かがみちゃんはこなたの髪を優しく撫でると、抱きしめる腕に力を込めて、ゆっくりと、こなたと呼吸を合わせ始めました。 こなた……あなたが今、友達の腕の中で幸せなのは分かります。 母としてしてあげられる事はほとんど無かったけれど、あなたの幸せが続くよう、これからも見守り続けますね。 おやすみなさい。こなた。そして、かがみちゃん、これからもこなたを、よろしくお願いします。 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-24 10 51 47) GJ!! -- 名無しさん (2014-08-16 02 08 59) 幸せだな…(*´∀`*) -- 名無しさん (2012-11-13 12 29 23) かなたさんやさし〜! -- かがみんラブ (2012-09-15 14 51 22) 見てて和みました(´_ゝ`) -- なお丸 (2012-05-08 04 03 23) かなたさん平和すぎる(*´ω`*) -- 名無しさん (2010-05-31 19 50 44) 心が和むわぁ〜 -- 名無し (2010-03-29 13 07 45) 温かい…(・ω・) -- 名無しさん (2010-01-30 19 27 36) かなたさんの語りがとてもいい -- 名無しさん (2009-08-25 07 51 10) 萌えたWW -- 名無しさん (2008-08-13 23 34 01) 一緒に料理、お風呂、おねんね…こういうの萌えるわw -- 名無しさん (2007-12-28 20 39 14)