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ササガン大王樹の下で 依頼主 :パパシャン(中央ザナラーン X22-Y27) 受注条件:レベル5~ 概要 :ウルダハ操車庫のパパシャンには、冒険者に急いで頼みたいことがあるようだ。 パパシャン 「Niuniu殿! お主を信用できる冒険者とみこんで、 折り入ってお願いがあるのです! 急を要することなのです! どうか、話だけでも聞いてもらえんだろうか! 助かりますぞ! 早速、話を聞いていただきたい! 先ほど、某家の「リリラお嬢様」というお方がいらして、 この辺りをウロウロフラフラして居られたのですが・・・・・・。 実は、私がチョッッッッと目を離した隙に、 行方が解らなくなってしまわれましてな! リリラお嬢様に万が一があれば、私のような者の首は、 100回飛んでも許されぬこと! いやいや、万が一もあってはならんことなのです! すでに、何人かの冒険者に捜索依頼を出しはしたものの、 落ち着いて待っておれんのですわい・・・・・・。 Niuniu殿! お主も、リリラお嬢様の捜索に、 ご助力を願えんだろうか! ありがたい、恩にきりますぞ! 何としてでも、リリラお嬢様を見つけ出してくだされ! ここから東南の「ササガン大王樹」の方面は、 まだ誰も向かわせておりませぬ。 Niuniu殿! その辺りを中心に捜索をお願いいたしますぞ!」 リリラを捜す ローブ姿の少女 「・・・・・・ササガン様・・・・・・」 ローブ姿の少女 「ササガン様、申し訳ありません・・・・・・。 わたしくの不徳で、 大切なものを奪われてしまいました・・・・・・。 誰じゃ!」 手練れらしき優男 「ふぅ・・・・・・。 探しましたよ、リリラ様。 お一人で出歩いては危ないと、 何度言ったら、ご分別なさるんです?」 リリラ 「放っておけ! リリラは一人になりたいのじゃ! あっちへ行け!」 手練れらしき優男 「そうはいきません。 このところ物騒ですからね。 それに、ここのエーテルは乱れています。 嫌な感じがするのです。 さぁ、帰りましょう。 皆、心配していますよ。 君は所長が言っていた冒険者だな? ご苦労だったな。 リリラ様は、このとおりヤンチャでね。 俺も所長も、よく苦労をかけさせられているんだ。 一緒に所長のところに帰るとしよう。 リリラ様を無事保護したと伝えにね。 やれやれ・・・・・・。 敵の多いお嬢様だよ、まったく。 リリラ様、下がっていてください。 君、手を貸してくれ。 やるしかないみたいだぞ!」 ブランガたちを倒せ! 手練れらしき優男 「リリラ様は下がってくれたな。 さて、さっさと片付けるぞ! チッ・・・・・・まだ来るのか! 俺はデカ物を狙う! そこの小さいやつを任せたぜ! 君、俺がケアルで回復するから離れないように! やれやれ、また増援とはね・・・・・・。 話し合いで解決したくなってきたよ。 だいぶ弱ってきたな。 もう少しだ、たたみかけるぜ!」 聞いて・・・・・・感じて・・・・・・考えて・・・・・・ ・・・・・・光のクリスタルを手にし者よ 星の声を聞く者よ 我が名はハイデリン・・・・・・ 星の秩序を保っていた理(ことわり)は乱れ 世界は今 闇で満ちようとしています 闇は すべてを蝕み すべての生命を奪う存在・・・・・・ 闇に屈せぬ 光の意志を持つ者よ どうか 星を滅びより救うために あなたの力を・・・・・・ 光のクリスタルは闇を払う力・・・・・・ 世界を巡り 光のクリスタルを手に入れるのです あなたの戦いが 魔法が 行動が 光のクリスタルを生みだすでしょう それが 光の意志を持つ あなたの力・・・・・・ 光の意志を持つ者よ・・・・・・ どうか あなたの力を・・・・・・ 手練れらしき優男 「気が付いたかい?」 リリラ 「・・・・・・今の魔物は何だったのじゃ?」 手練れらしき優男 「異界ヴォイドに棲むという、妖異の一種です。」 リリラ 「あれが話に聞く妖異・・・・・・。」 手練れらしき優男 「しかし、こんな化け物を使役するとは、 ただの賊ではないようだな。 ところで、君、大丈夫かい? エーテルにでも酔ったんだろうか。 戦闘のあと、急に倒れたから驚いたよ。 なんだって・・・・・・? 大きなクリスタル・・・・・・? いったい何の話を・・・・・・。 なるほどね・・・・・・これは、思わぬ収穫だ。 いやすまない、こちらの話だよ。 私・・・・・・っと、俺は一足先に帰って、この件を、 しかるべきところに報告しなければならない。 冒険者さん。 リリラ様のことをお願いします。」 リリラ 「なっ! わら・・・・・・わたくしは子供ではない! じいのところくらいなら、自分で戻れるわ!」 手練れらしき優男 「やれやれ・・・・・・。 本当にヤンチャなお嬢様だ。 では、俺たちも帰るとしようか。 君とは、また近いうちに会いそうな気がするよ。 それまでしばしのお別れだ。」 パパシャンと話す パパシャン 「リリラ様、よくぞご無事で! じいは・・・・・・じいは・・・・・・本当に心配いたしましたぞ! お嬢様に何かあったら、もうどうしようかと・・・・・・。 じいの寿命を、どれほど縮めたら気がすむのですか! 剣を置き、引退してから15年・・・・・・。 しかしながら、お嬢様をお守りする務めだけは、 1日たりとも忘れてはおらぬのですぞ!」 リリラ 「・・・・・・じいも知っておろう。 私は・・・・・・責任をとらねばならんのじゃ・・・・・・。」 パパシャン 「そのことは、お忘れくだされ。 じいたちが全て元通りにしてご覧にいれます。 お嬢様は、それを待っていてくださればよいのです。 このようなことで、お嬢様に万が一があれば、 それこそ大事ではすまないのですからな。」 リリラ 「わかった、もうせぬ。 じいと約束しよう。 ・・・・・・それでよいじゃろう?」 パパシャン 「おお、Niuniu殿! よく戻ってくださった! 捜索のために雇った冒険者に、お主の向かった辺りで、 魔物との戦闘があったと聞きましてな。 心配しておったところでしたわい。 それにしても、なんとお礼を申し上げたらよいことか! リリラ様を守ってくださって、感謝いたしますぞ! ・・・・・・珍妙な機械を持った男性を見たですと? その者なら「サンクレッド」という賢者でしょうな。 以前からウルダハに滞在しておって、 なんでも、エーテルにまつわる調査をしておるとか。 格好こそ怪しいものの、不審なものではありませぬ。 Niuniu殿。 お主のような腕の立つ冒険者が訪れたことを 嬉しく思いますぞ。 これからも、どうかウルダハ市民の力になってくだされ。 よろしく頼みましたぞ!」
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【名前】フィクション(本名:不明) 【性別】男 【年齢】37 【職業】元殺し屋 【身体的特徴】線の細い優男、和服 【好きな事・もの】静寂、花鳥風月 【嫌いな事・もの】無駄な闘争 【特技】気配を消すこと、あやとり 【趣味】イロハと遊ぶこと 【備考】 「フィクション」と呼ばれた伝説の殺し屋。現在は引退している。 標的以外を傷つけないことを信条としており、事実、標的以外は傷づけないどころか、目撃者すら出したことがない。 どれだけ警備を固めても何の痕跡も残さず気が付けば標的が死んでいる、あまりにも現実味のない手口に架空の殺し屋(フィクション)という異名がついた。 仕事の時以外は温和な優男。日本贔屓で普段は和服をたしなんでいる。
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うんこエピソード ざまぁwwwな話とか誰得な話とか 牛蒡丸タイタン 東方が放置している間に東方をルームリーダーに仕立て上げてルーム名を「解読機交換してあげます」にしてやったwwwうぇwww 俺「syoutaifumei(以下s)がプレイできたけどお前(マッスル閣下、以下マ)もできるんじゃね?」マ「やってみる」みたいな事を言う俺「できたなwww」マ「うん」・・・ここから悲劇は始まった・・・幻想とロスト中 ステージから一歩も動かず他人の餌をぱくぱく まぁ初心者だから仕方ないゾンビがステージ上あがってきても微動だにしなかったのはちょっと笑ったがこれから教えようと思っていたマからのメッセージ「いろいろおしえて」俺(ウホッ いいチャンス)早速部屋を作り、教習をする事にした。幻想先生と一緒に。幻「これがうんたらかんたらでー・・・どうたらこうたらー・・・」マはこちらを向いた。次の瞬間手に持っていたP90を発砲。俺「いてぇwwwやめろwwwうつなwww」発砲。 俺「うつなってwww」 発砲。その時、俺の何かが切れた。M134「出番はいりやーすwww」 無痛ガンの銃声が響く。閣下は無抵抗で倒れた。俺(はっ、何をしているんだ 相手は初心者なのに)謝ろうと思いリスポーンを待つ しかし鯖落ち俺「・・・・」エピソード1 Fin まーぼー(以下ま)が新人がクラメンにいる事に気づくま「初心者か?」俺「うむ」オリジナルD2。こっちチームは俺、ま、s、マ。開始2分。 ま「これはひどい」俺(うーむ。マは左下ログ見てないから説明がしにくいなぁ・・・)と、マのほうを向く。C4を持って放置。俺、そのまま唖然。するとCTが攻めてきたらしく、マが倒れた。C4はあらぬ方向へ飛んでゆき、CTに占領される。当然負けた。 まぁ、なんかあったんだろう。ポジティブシンキングが大切だ。次ラウンド。放置終了したらしく、復帰。みんなトンネル方面を目指し進む頃、一人、二十門へ向かう。なにかしらトンネル方面全滅。残りはマのみ。マは二十門で待ち状態。すると敵出現!CTがあらわれた! コマンド?まっするはようすをみているCTのM4A1! つうこんのいちげき! まっするはしんでしまった!もうぼうけんのしょとか全部消していいぐらいだった。エピソード2 Fin さぁ、オリで皆が「gm」とか「ごめ」と言っているのに便乗したのか「悪かった」とあんま申し訳なさそうにコメントするマさんですがクラメンにかわりはない。クラマスとして仲間はずれにするわけにはいかん。こんなエピソードもある。グリムリゼル(以下グ)からメッセージが届く。「ネズミの穴のバグ発見したんだけど解明したい」俺「暇だからええよ」 部屋に入る。結局バグで地下へ行く方法は分からず。・・・だが、高いとこへのぼろーぜ!となった。流し台付近。俺「あと一人いれば確実に登れるんだがなー・・・」グ「クラメンとかいねぇの?」 クランメンバー確認。s オンライン マ オンライン俺(悪いがsを先に呼ぼう) sにクランチャットで話しかける。へんじがない ほうちちゅうのようだ俺(しゃーない マでもいいかな)と思っていた矢先、マからメッセ「なんかおしえて」 俺(おお いいタイミング)マ「ちゃーす」 グ「ちゃーす」 ゾンビモードで遊び開始。グリムと俺はカウント終了前に目的地へ着く。マは遅かったがまぁ仕方ない。結局来なかった。まぁやりこまないと分からないよね、複雑なマップだし。・・・と思っていたがまさかの放置。3Rぐらいからようやく動き出す。そしてようやく牛乳までのルートを覚えたようだ。安心安心。さぁここからだ まず土台一人目にマを配置することにした。俺「俺を土台に牛乳に乗れ」 マ(ゾンビ)は頭をフンフン動かし続ける。俺「牛乳に乗れ」 マはこちらに近づいてくる。 ふぅ。ようやく分かってくれたか・・・ザシュ ウアー デイビッドブラックは一瞬にしてライトゾンビに変貌した。グリム大爆笑。俺大激怒。 とりま投票で一時けっとくことにした。俺「同じ塾なのだが何か言っておいたほうがいいか?」グ「チュートリアルをやれ と伝えておけ」伝えました^q^ すると マ「めんどくせぇからやってなかったwww」こ れ は ひ ど いエピソード3 Fin そういえば北海道に住んでた頃、官舎に住んでたんだが玄関あたりの屋根に登って一発ギャグやってたなージャイアンの物まねとかいって「いろは」まではフラダンスみたいに踊るんだが「おえー」で吐くというなんとも幼稚な一発ギャグまぁ、当時幼稚園だったし 可愛い可愛い 根糞ン君、たなびたい事があるんだ、ちょっと一度でいいからルーム待機画面へ根「どうして君が?」憧れているんだ、WA2000やシナリオ、ケーキ手榴弾にさぁ、早く一周年記念ポスターを見せてくれ根「いくら課金者でも、それだけは」だから人目につかないサーバーまで来たんじゃないか一回きり見せてくれれば、それで僕は満足するんだ ネネ、いいだろう?根「みんなが真似すると、僕、困るから」僕絶対しゃぶらないよ♂ ねぇ、見せてくれるかい根「うん・・・ 一回きりだからね」---サーバーとの接続が切断されました---馬鹿にしないでくれ。君のはもっと格がいいヤツだ根「タイタンくぅ~ん? 一周年記念ポスターは見せ物だけど、そんなむやみに接続する事は、許されないんDA」そ、そんなぁ~ 一度くらいいいじゃないか根「じゃあ僕、先に臨時メンテするよ」ネクソン! 待て! オリマリ すごいゾンサバだった始まってニ、三分経った時消防「mgください」優男「…」消防「きいいてる」優男「聞いてない」消防「mg下さい」オリ「俺無課金」優男「…」消防「くれっていってんだよ」優男「…」消防「しね」消防「しねかす」消防「しね」消防がルームから出る五、六十分後優男がmgを配る皆「太っ腹っすね」優男「最初にいた消防がむかついたから」優男「椀 飯 振 舞 」フォボスに負けた グリムリゼル ダストでのことだった・・・俺はカウントダウン時に人が溜まってるところにいると周りがゾンビになると危ないから独り離れていたんだまぁカウントダウンが終わるとゾンビになったわけだ俺ともう一人、ゾンビになったやつがいたがMGの餌食となった俺はそのMG軍団が調子に乗って向かってくるのを待った足音からして10人、その軍勢が角から曲がった瞬間・・・バニーホップで突撃、あっさりと調子にのった先頭のナターシャを切り裂きーっ!その後ろの同様しているエリート(笑)を仲間へ引きづり込み・・・・・・・。その二人が残りの8人程度の人間(MG軍団)にボコボコにされている間に俺は裏に回り人間をズタズタに・・・人間壊滅、俺の勝利に幕は閉じたのだ
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409 名前:1/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 19 42 「へへへ、いい獲物を見つけたぜ・・・」 偵察に赴き、茂みに隠れていた裴元紹は、その任務に明らかに似合わない言葉を呟いた。 彼から少し離れた小川のほとりには、1人の男が水汲みをしている。 優男に見えるが、そんなことはどうでもいい。 裴元紹の気を惹いたのはその男が帯刀している物だ。 (ありゃあ、見たこともない剣だ。叩き売ってもいくらになるか・・・見当もつかねえぜ!?) 山賊上がりのせいか、金を基準に考えるのが彼のクセである。 が、それよりも裴元紹が思考のメインに置いたのは 彼ともう1人の『姐さん』の行動に関してのことだ。 今の自分達には武器がない。 素手ならともかく、強力な武器を持った奴が目の前に現れたら 姐さんを守る事どころか、逃げるのすら困難だ。 だが、あの優男がぶら下げている腰の剣を手に入れたら・・・? 『強大な敵が現れた!』→『姐さんが危険だ!』→『だが凛々しい俺様が起死回生の斬撃!』 →『敵は醜く苦しんでおります!』→『姐さん「見直したぞ!」』 →『ゴール!ゴール!ゴオオオオォォォォォォールッ!』 (うおおおおおっ・・・!) 心の中で大陸全土に聞こえんばかりの歓声を張り上げる。 相手は文官風の優男。飛び掛って倒せない相手ではない。 そうだ。彼が描く理想の未来への道標は近い。 (行くぜ!お前も大変だが、俺様の未来のために死んでくれ!) 心躍らせながら、彼は水を汲み終わった優男の前に飛び出した。 410 名前:2/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 20 43 「へへへ・・・よう兄ちゃん、いいモンぶらさげてくれちゃってるんじゃない?」 かつて山を通りがかった旅人によく使った言葉をアレンジして近寄る裴元紹。 まずこう言えば、たいていの旅人はビビッて路銀を置いていくか 強がり武器を構えるものの、腰が引けているものだ。 今回は文官。剣を置いて逃げるんじゃないか。そう裴元紹は考えていたが・・・。 「・・・山賊?驚いたな・・・こんな場にもいるとは・・・」 だが、目の前の優男はどこか違う。ビビリなど見られない。 強がりにしても、略奪した旅人がよくした震え、怯えなど微塵もない。 「山賊なんざぁ、どこにでもいるもんよ! その腰のモン、お前より俺様が上手く扱ってやっからよ、安心して置いてきな!」 が、そんなこと裴元紹には関係ない。彼の頭にはハッピーエンドしかない。 「私が持っているこの剣を渡せ、と?」 「おーよ!置いてきゃあ乱暴な事はしねえ!いい話だろ!?」 「なるほど。無意味な戦いは避けられるというわけか」 優男はどこか小馬鹿にしたような表情で、裴元紹との会話を続ける。 が・・・。 「・・・」 しばらく沈黙した後、優男は真剣な顔になり 「だが断る」 ときっぱり断言した。 「何ッ!?」 「この魯子敬の最も好きなことの一つは お前のような弱者を与しやすしと思う悪人を叩きのめす事だ」 優男が偉そうに言った一言を聞いて裴元紹はいきり立つ。 弱者だと?腰に剣をぶら下げているだけまだマシだ。 俺様なんかどうなる。妙な服だぞ!?相棒の姐さんは化粧品なんだぞ!? バッグを開けた時の、この身まで消えてしまいそうな喪失感を思い出す。 411 名前:3/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 22 34 「なら・・・ならぁ~~~・・・・」 そしてその喪失感は徐々に怒りに変わっていった。 「ならば死ねェェェェェェッ!」 怒りに任せて優男に飛びかかる。 「違うね・・・」 一言呟き、優男は身をかわしながら宙の裴元紹の伸ばした手を掴み 「死ぬのは・・・」 引っ張り勢いを加速させ、裴元紹の体を反転させ地面に叩きつけた。 「げぇッ!」 背中を強打し意図せず呻き声を出す。 ふと剥いた眼の先に、闇でも光る尖ったものが一直線に見える。 その先端は勢いをつけ、裴元紹の眼前に近づいた。 (おい・・・おい!) 「があッ!」 とっさに身を転がす。転がる途中、地面に突き刺さる刀が見えた。 転がりながら距離をとった後すぐ身を立て直し、刀を持つ優男を直視する。 「私の正史(ほんとう)の力を見る・・・お前のほうだな」 優男が言葉の続きを発する。 それが言葉の続きであることと 死ぬのは自分のほうだと裴元紹が理解するまで、少し時間が掛かった。 (やめりゃあよかった!こんな男に喧嘩吹っかけるなんてよォ!) そうは後悔しながらも、ふと自分を待っている(はず)の姐さんの顔が思い浮かぶ。 偵察から帰らなければ、姐さんは心配するだろう。(やはり) あるいは自分を追ってきてしまうかもしれない。(きっと) そうすれば、この見かけで騙すクソ野郎にあの可愛らしい服ごと切り刻まれてしまうかもしれない。 いや、あんな美しい人だ。こいつじゃなくても野獣と化した男が放っておくわけがない。 412 名前:4/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 24 08 ―俺があの人を守らなければ!― (い、いや・・・俺様は死ねねぇ・・・こんな所で死ぬわけにはいかねえッ・・・) 「うう・・・関羽の旦那・・・!周倉・・・!俺に、俺に最後の力を・・・!」 ふと、口から言った言葉だった。 関羽は自分をほとんど知らないだろうし、周倉はこの場にはいない。 だが、言葉に反応したのか、目の前の男は驚きの表情を浮かべている。 「関羽・・・もしかして、貴方は蜀漢の人間?」 「あぁ・・・?お、おーよ!俺のダチは関羽将軍の右腕だし!俺の仲間だって関羽将軍の仲間だぜ!」 とりあえず、そんなことを言ってみる。 あるいは情況が好転するかもしれない、そんな気持ちだった。 が、そんな裴元紹の予想を大幅に通り越し、急に優男は刀を納め 「蜀漢の方か・・・知らない事とは言え、失礼しました。私は魯粛、字は子敬と申します」 と詫びの言葉を出し、頭を下げた。 「・・・え?あ、ああ・・・ケッ!わ、わかりゃあ・・・」 なんとなく強がりを吐いてみようかと思ったが、先ほどの攻撃を思い出し裴元紹は言葉尻を濁らせ た。 「それで、貴方の名前は?」 「・・・え?・・・あ、ああ、は、裴元紹っつーもんよ、うん」 「むむむ・・・聞かない名ですね・・・」 「何がむむむだ」 「はぁ?」 同行を申し出た魯粛と共に『姐さん』の元へ向かいながら、裴元紹は自己紹介する。 本当は同行を断りたかったのだが、やはり先ほどの魯粛の攻撃を思い出し拒否できなかった。 それに略奪まがいの事をした自分に対し、魯粛はまだ疑いを捨てきれないようで 「はて・・・貴方は本当に蜀の人間ですか?」 と、時折疑いの言葉を向けてくる。 413 名前:5/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 26 02 『戦闘=今度こそ死』 の図式が出来上がっている裴元紹は、その言葉を言われるたびもう気が気でない。 関羽の名を聞いて刀を納めたところ、この人間も関羽の仲間なのだろう。 早く姐さんのところへ連れて行かねば。 そして、自分の釈明をしてもらわねば。 そう考えるだけで精一杯だった。 (ああ・・・姐さんとの2人っきり幸せ生活が・・・1人の男に邪魔されていくのか・・・) 「・・・元紹殿。裴元紹殿」 「・・・はっ!お、おーよ!なんだい!?」 ふと我に帰る。 「その、裴元紹殿と同行している方・・・そういえば、まだ名前を聞いておりませんね」 「え?ああ、それは・・・あ」 魯粛の問いに答えようとして、ふと考え込む。 そういえば、まだ自分も姐さんの名前を聞いていない。 「・・・俺も名前は聞いていねえ・・・だが」 「だが?」 「・・・立派な人だ。その高貴さと威圧感、美しさは・・・。 ありゃあ、男ならひとかどの人物になっただろうな」 「そうですか・・・女性の方か・・・」 そう呟くと、魯粛は少しだけ空を見上げ・・・。 「やはり、貴方は蜀漢の人間ではありませんでしたね」 と呟いた。 「げえっ!」 そういわれて驚くのは裴元紹だ。おなじみの驚声をあげてしまった。 414 名前:6/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 27 11 「ななななんでえ!急に!」 「初めから疑ってはいましたが・・・貴方の同行者が関羽将軍の仲間、というのなら 蜀漢の人間は名前を知っているのではないかと思いましてね」 「そそそそうとは言えねえだろうが!」 「確かに断言はできない。が、今の貴方の驚きようを見れば確実だ」 そういい、魯粛は裴元紹の方を向き帰る。そしてこう言った。 「だが、貴方は立派だ。すでに40人ほどは死んでいるこの狂気の場において 女性を守ろうとしているなど、なかなか出来ることではない」 「え」 「先ほどの貴方の言葉から、独断ながら私はそう感じ取った。 おそらく私の武器を奪おうとしたのも、そういった理由からでしょう? もう、私は貴方と事を構える気はない。剣は渡しませんがね」 この場において、少しは信用できる人間に出会えた。 裴元紹にはなんとなく、魯粛がそう言っているように思えた。 「戻ったか、裴元紹・・・む?そちらは?」 「え?姐さんも知らないんで?」 「はじめまして、魯粛と申します。それにしても奇抜かつ珍妙な衣装ですね」 「魯粛!?裴元紹、なぜ魯粛殿と?」 「これこれこういうわけで」 「あれ、私のことご存知なんですか?申し訳ありませんが、私は貴方を知りません」 辿り着いた瞬間に飛び交う会話。 魯粛に尋ねられた趙雲が己の名前を告げるまで、少々時間が掛かった。 「私か。私は趙子竜・・・」 415 名前:7/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 29 39 「げえっ!」 「げえっ!」 だが自分の名前を途端、裴元紹と魯粛の馴染みある驚声。 「・・・」 「・・・」 「・・・」 そして、しばらく沈黙が流れた。 「あ・・・同姓同名の方ですか?中華に趙子竜さんが2人いらっしゃるとは知りませんでした」 と、魯粛が沈黙を破る。 「いや、私が本物の趙子竜だ。なぜかこんな外見だがな」 「はぁ・・・」 釈然としない態度の魯粛を尻目に、趙雲が裴元紹の方を向き帰る。 「で、なんでお前は驚いたんだ?」 「い、いや・・・その名前はなぜか・・・」 そうとはしらないが、自分を殺した男の名前だ。 少し悩んでしまう。 「ところで魯粛殿はなぜこちらに?」 悩んでいる裴元紹を横目に、趙雲は魯粛に問いかける。 「それは私も聞きたい。なぜ蜀漢の将である貴方が呉方面に?」 「・・・?ここは幽州だが・・・?」 「は?」 少し慌てながら、魯粛は己のバッグから地図を取り出した。 「違う・・・ここをまがったはずだが・・・あれ、こっち?いやちょっとまて・・・ここがこうで・・・」 としばらく呟いたあと、ふと魯粛は地図を手から離した。 「・・・間違った」 そう呟いた魯粛の顔は、触れば凍ってしまうのではないかと思うほど青ざめていた。 416 名前:8/8 投稿日:2006/07/28(金) 00 31 11 「正反対ではないか・・・そんな事では、他の事はよくできても外交官としての才能は零だな」 「・・・う・・・うう・・・嘘だ・・・そんなはずはないんだ・・・それは私の正史(ほんとう)の力では・・・」 と呟きながら、すこしふらふらと歩き出す魯粛。 そのまま、地面に倒れ伏し、やる気なさそうにぼそぼそとこう呟いていた。 「うう・・・都督・・・そんな事言わないでくださいよ・・・だったらあんたが行けよ・・・」 「う~む・・・」 とにかく悩む裴元紹。 (趙子竜・・・いやな響きだ・・・たぶんそいつには痛い目に合わされたはず・・・) まだ悩む。 (そんな奴と同じ名前だなんて、災難だな姐さん!) 閃いた。 「姐さん!この裴元紹、どこまでもついていきますぜ!」 「なんだ急にやる気を出して。まあいいけど・・・。 それより、道を間違った魯粛殿もおそらく同行するであろうが、いいか?」 「がってんだ!」 決意新たな裴元紹。 目の前の姐さんと趙子竜は同姓同名の別人だ、と本気で思っている裴元紹。 まあまあ、救われたとも言えるのではないだろうか。 ナースと下僕と外交才能零/3名 趙雲【ナース服、化粧品】裴元紹【なし】魯粛【圧切長谷部】 ※もうそろそろ幽州に到着。 ※裴元紹は趙雲を完全に別人だと思っています。魯粛はあまり信じていません。
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筆茶屋はんじょーき1 【投稿日 2006/04/22】 筆茶屋はんじょーき 時は泰平の江戸時代 所は将軍様のお膝元たる江戸市中 一軒の茶屋を舞台に、物語は紡がれます… 荻上屋、通称”筆茶屋”では、看板娘の千佳が、こまねずみのように動き回っている。 もともと主人の道楽で始めたこの店は、開業初日から閑古鳥が鳴くようなありさまだった。 しばらくして、千佳と名乗る娘が切り盛りするようになっても、周囲の反応は冷ややかだった。 無口で無愛想。挨拶にもろくにできないような娘。 それが当時の彼女の評価だった。 しかし時間が経つにつれ、それが誤解だと周囲も気がついた。 確かに無口で無愛想ではあったが、それが彼女の極端な内気さによるものだと、内面はよく気が付く優しい娘だとしれた時、彼女とその店は、そこに欠かせない物になったのだった。 そのせいか、この店は妙に常連の多い店でもあった。 一番の常連は、この店の用心棒を自負する、笹原であった。 空腹で行き倒れていた所を救われた彼は、その恩に報いるべく、連日通いつめていた。 そうなれば、千佳の側でも無視するわけにはいかず、結局、団子と茶の報酬で、笹原の行為に報いることになったのだった。 ”筆茶屋はんじょーき” その日も”筆茶屋”は賑わっていた。 看板娘の千佳が、あちこち駆け回る。 そんな中、笹原はのんきに茶を啜っていた。 今日は一人ではなく、同じ長屋の住人である斑目が傍にいた。 「しかしよ、笹原。毎日毎日数本の団子と茶で、このように退屈を強いられるというのは、すこし安すぎはしないかね。お前ならもっといい仕事があるだろうに」 斑目が笹原の奢りの団子を口にしつつ、笹原に話し掛けた。 「そうでもないですよ」 笹原は苦笑する。 実の所、笹原自身にも、なぜこの仕事を続けているのかわからない。 ただ、彼女の力になりたい、そう思ったのだ。 笹原がその理由を知るのは、ずいぶんと先のことになる。 笹原と斑目の二人は、共に無言で茶を啜る。 ゆったりとくつろいだ雰囲気。 ろくに茶も飲めない貧乏浪人には、それが極上の甘露に思われた。 とはいえ、いつまでものんびりもしていられないのが、斑目の現実。 長屋の自分の部屋には、納期の迫った内職が待っている。 少々憂鬱になりながらも、 「ごちそうさん、また来るわ」 斑目はそう言い残して立ち上がり、長屋に向けて歩き出した。 「今度は奢りませんよ?」 笹原の軽口に笑って手を上げる。 やり取りに気を取られた所為か、斑目は向こうから歩いてきた、無頼な格好をした男と肩が触れた。 「失礼」 そう言って斑目は歩き出そうとする。 しかし相手は、斑目の肩を掴むと、顔面にこぶしを叩き込んだ。 斑目はもんどりうって倒れこむ。 「おう、人にぶつかっておいて、詫びの仕方もしらんのか?」 男が凄む。 「いや、だから失礼と…」 「それで済むわけがねーだろうが!」 大声で怒鳴りつける。 「おい、どうした」「なんかあったのか?」 その声を聞きつけたらしい、同じように無頼な格好をした男が集まってくる。 「ああ、人にぶつかっておいて詫びの一つもしない奴を、こらしめてんだ」 「ふん…確かに、逆さに振っても金の音もしねえ奴に見えるな」 「やっちまえよ」 男たちは、今だ状況について行けずに固まっている斑目の、胸倉を掴んで引きずり起こす。 笹原はようやく騒ぎに気付くと、慌てて立ち上がり、駆けつけようとして、 「やめんか!!」 凛とした女性の声に固まった。 それは笹原だけではなかった。 見渡せば、男たちも野次馬も、斑目まで固まっていた。 女が一人、男たちへ近づく。 「天下の往来で喧嘩か?まったく、見苦しい。どこか他でやれ」 女は自分よりも背の高い男たちを、真っ向から睨みつけて命令した。 「お嬢ちゃん。余計な事に口を挟まない方がいいぜ」 男の一人が、にやにやと笑いながら女に手を伸ばす。 女がその手を掴んだ瞬間、男は空中に弧を描き、背中から地面に叩きつけられた。 地面でのたうち回る。 「この女!!」 もう一人が殴り掛かる。 女はそのこぶしを難なく避け、足を払う。男がひざをつく。次の瞬間には首筋に手刀を食らって気絶した。 「そなたはどうする?」 女が問うと、残った男はいまいましげに顔をゆがめ、 「おぼえてやがれ!」 と、芸の無い捨て台詞を残して逃げ出した。 やんやの喝采の中、女はへたり込んでいた斑目を見下ろす。 「大事無いか?」 真剣そうな声に、斑目はただうなずく事しか出来なかった。 女の傍に、若い優男が近づく。 「咲ちゃん、危ない事はやめてよ。心配したよ」 「それなのに手を貸してはくれないのだな」 優男の笑顔での言葉に、咲と呼ばれた女はすねたように答えた。 「だって手を出したら、咲ちゃんは怒るし…あれくらいなら平気でしょ?」 「その物言いは気に入らん」 そのような会話を続ける二人を、斑目はぼんやりと見上げていた。 正確には咲だけを。 胸がうるさいほどに高鳴る。顔が赤くなる。呼吸すら忘れてしまう。 ふと咲が斑目を見た。斑目の様子に不審を感じたのか、心配そうに顔を近づける。 「本当に大事無いのだろうな?お主」 斑目はがくがくと首を縦に振る。 出番を無くしてしまった笹原も、二人を見つめていた。 正確には優男だけを。 何気ない動作一つ一つが、その男の強さを感じさせた。 自分の強さを確かめたい衝動が、笹原に沸き起こる。 吸い寄せられるように近づく。 優男と目が合う。 足を止める。 優男が無造作に近づく。一歩、また一歩。 そして笹原の間合いぎりぎりで足を止める。 睨みつける笹原に、優男は、無邪気な、一点のかげりも無い笑顔で、笑いかけた。 ごく一瞬の忘我。 気が付いた時には、すでに優男の足が間合いを割っていた。 呆然とする笹原に、優男は軽く一礼すると、背中を向けて咲の下へ歩いていった。 「何をしていたのだ?高坂」 「別に?」 二人のやり取りの声が遠い。 それほどに笹原は、自身のうかつさに憤慨していた。 同時に深く恥じ入る。 (気を逸らされた。もし実戦なら、俺は死んでいた。…くそ、なにが御宅流の目録だ。俺は、まだまだ、弱い…) 二人が去り、野次馬たちが散ってしまっても、笹原と斑目はいまだ固まっていた。 「あの…大丈夫ですか?」 荻上の声に笹原は我に返る。 「あ、ああ、大丈夫。ごめんね、心配掛けて…ほら、斑目さん」 言いながら、斑目を引き起す。 「別に心配なんてしてません」 荻上はぶっきらぼうに返すと、斑目の着物についた土ぼこりを払う。 「可憐だ…」 どこか遠くを見つめながら、斑目はぼそりと呟いた。
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【貰って……くださ……い】 【ふふっ、勝負!! そう、勝負ね!? 後編】の続きです。 あたしは深い眠りからゆっくりと目覚めた。お酒を飲んだせいか、ベッドに入った瞬間に即落ちしたわ。色々あったせいで悶々としちゃうかと思ったけど……結構あたしもいい加減なのね。 シャワーで気分を変えようっと……。冷たい水と熱めお湯を交互に2回づつ浴びて気分一新。 その最中、アイツとは今日で最後なのよね……って、ちょっと感慨めいたものを感じたのは一瞬。もう少し一緒に居たかったなって考えたのも一瞬。 浴室から出て、バスタオルを裸身に巻きつけ、鏡の前でスクワランついでに頬をパンパンと強めに叩き気合を入れた。 「よしっ!! 昨日は昨日、今日は今日。綺麗さっぱり忘れて……さぁって頑張るわよっ!!」 着替えをしようと自室まで移動。着替えのため、バスタオルに手を掛けた時、机の上の物に目が留まった。昨日帰宅してから放置しっ放しの有り触れた封筒。別れ際に優男から「覚悟して開けてね」と渡された1通の封筒。この中に最新の、そして最後の“勝負内容”が書いてあるから、その指示に従ってねって言われたわ。朝になってから開ける様にとも。 あの優男の自信満々な笑顔があたしの闘争心に火を付けていた。このあたしが簡単に負けを認めるとでも思ってるのかしら? 「ふふん、押し倒せば直ぐに泣き付いてくるとか考えてたんでしょうけど。 御生憎様、あたしは明日香ちゃんのためなら、何だってするわ。今日で最後。どんな事でもしてあげるわよ!!」 あたしはこの場にいない優男に向かってそう宣言していた。絶対にギブアップなんかしてやるもんかっ!! あたしは勢いよく封筒を開け中から1枚の便箋を取り出す。思いの外達筆な字で“勝負内容”が書かれていた。 「今日1日、靴下を除く全てのインナーを付けずに過ごす事(つまりはノーパンノーブラって事) その期間は本日5月6日木曜日、朝、自宅の玄 関を出てから、夕方俺の部屋でその確認を受けるまで。 学校を休む事は認めない。キチンと学生らしく授業は受けるように。 勿論、言うまでも無い事だが、イヤなら止めても一向に構わないよ。 もし、やるなら気が付かれない様頑張って隠し通してね。 もし家に来なかったら、勝手に明日香ちゃんに会わせて貰うからね」 あたしは、何度も便箋に書かれている字を追った。目から入ってくる情報が脳で旨く変換できない……。暫くして内容が頭の中で意味のある文章となってからあたしは叫んだ。 「なっ!? 何よこれ……!? あいつ!! バッカじゃないのっ!?」 あたしは目の前にいない優男に対し思いつく限りの罵詈雑言を浴びせる。誰かに聞かれたらあたしのイメージが急降下しちゃいそうな位物凄いやつ。 5分位経ったのかしら、いい加減ボキャブラリーが尽きかけたあたしは大きく深呼吸して自分を落ち着かせた。 「な、なによっ!! 布切れの1枚や2枚身に付け無い位で、このあたしが参るとでも思ってるのかしら!? いいわ、この挑戦受けて立ってやるわよ!!」 あたしは憤然とクローゼットの中から制服を引っ張り出し、バスタオルを脱ぎ捨てる。そして剥れたまま身に纏った。しかし、イザ身につけてみると……。 やっぱり下半身がスースーして涼しいわ。それに、胸も何時も以上に揺れてる気が……。あと、肩が凝るわね確実に……。 「北高のスカートって……こんなに短かったかしら? 直ぐに見えちゃいそうじゃない」 あたしは姿見で自分の姿を満遍なく観察した。ちょっとしゃがんだだけで股間が見えちゃいそうだし、胸も上から丸見えっぽい……。 「こ、こんな……。これで1日学校で過ごせって……無理……よ」 その手の事を気にすると、挙動不審になるのは確実。って言うか今のあたしがそうだもん。スカートの裾を下に引っ張りながらあたしは考え込んだ。 ……あぁ!! ど、どうしよう? できませんでしたじゃあ、明日香ちゃんが……。でも、こんな恥ずかしい事……あんっ!! あの男!! 最後の勝負だよって言い切った優男を思い出す。キリキリと奥歯が鳴った。悔しくて涙が出ちゃいそう……。あたしは頭を強く振り弱気を振り払い、意地になって登校の準備を進めた。どんな挑戦でも受けて立つ!!って豪語したのは確かにあたしだし……。 でも、アイツってば、何でこんなハレンチな勝負を言い出したのかしら? 何だかアイツのイメージに合わないのよね……。 何時もより丁寧にナチュラルメイクをしてカチューシャを付ける。うん、準備完了。完了なんだけど……。仕方無しにあたしは鞄を片手に階段を下りて玄関に向かった。 「やんっ!!」 階段を下りる最中にスカートがフワリと巻き上がった様に感じ、慌てて手でそれを押し留める。股間がスゥスゥするの……。 ……これだけの事で、浮いちゃうの? 今まで気にしなかったけど……結構、見られてるのかな? あ、後……これ、乳首が擦れちゃう……。何かいい方法考えないと。こんな敏感なとこ、擦り傷なんて想像もしたくないわね。 涼しい股間を気にしながら、ローファを履き玄関を開け放つ。良い天気だわ。心地良い微風と日差し。しかし、あたしは脚が固まった様に先に進めなかった。時間は刻一刻と過ぎていく。 ど、どうしよう? 行かなきゃ行けないのに……行きたくない。でも行かなきゃ……。 あたしの思考はグルグルと出口の無い迷路を彷徨った。どこをどう辿ってもそれが見付からないの。 汗が首筋を伝い、ブラをつけていない胸の谷間に消えていく。身体がふら付き視線が辺りを彷徨う。 「あ……」 その彷徨った視線が明日香ちゃんと出会った公園を捉えた。瞬間、頭の中に閃きが1つ。 「確か……アイツのマンションの傍の公園、トイレがあったわよね」 思いついた事。やろうとしている事。何時ものあたしなら決して選択しない敗北に等しい行動。でも今のあたしには途轍もない名案に思えた。暫し逡巡した後、あたしは1歩を踏み出した。自宅の中へ自室へと。 優男はあたしのしてる事、知ったらどういう反応するかしら? 何げに優しいから、苦笑しながら許してくれるかな……。 そうよ、こんな酷い事言い出した優男が悪いんだからね!! 時間が余り無い。洋服ダンスを開け、出来るだけ髪の毛が乱れない様に制服を脱いで目に留まった適当な下着を上下共に身につけ、再度制服を身に纏う。 ……こんな小さい布を付けただけで、こんなに安心できるのね。 あたしはホッとしながら、玄関を飛び出し学校へと向かう。 悪い事を卑怯な事をしてるって自覚はあるの。正々堂々がポリシーのあたしがこんな小手先の誤魔化しをしてる。そんな自分に強い自己嫌悪を感じながらも、明日香ちゃんのためだからと更に自分を慰める。それで自己嫌悪が消えないと自覚しつつ。 学校に着いた。何時も以上に上り坂がきつく感じたわ。多分、精神的な問題よね……。 教室に入り自分の席に付く。前の席は何時もの通り空席。ホッと一安心。まぁ、キョンがこんな時間に来るわけも無いけど……。あたしはそのまま顔を伏せ、軽く目を閉じた。教室の喧騒がイヤに響く。 ……こんなにキョンに会いたくて、そして会いたくないのも初めて。どんな顔して会おう。旨く笑顔で挨拶できるかな? そんな事を悶々と考えていたら、予鈴の鐘と共に岡部が教室に入って来る。それと同時にキョンも駆け込んできた。 なによ、キョンってば、今日はホントにギリギリじゃない!! 興味が無い振りしながら、横目でキョンを見つめる。キョンはクラスメートの男子に軽く挨拶しながら窓際の席へと足早に向かってくる。 「ん……?」 なんだろう、キョンの様子が何時もと違う。何処がと聞かれても明確に答えられないけど……でも違うの。 疲れ切った様子で席に着こうとするキョン。 「おはよう。……何、休みボケかしら? どうせ、寝坊でもしたんでしょ?」 キョンはあたしをチラリと視線を投げ掛けて、 「ん、おはようさん。寝坊……まぁ、そんなところだ」 と呟き、乱暴に腰掛けた。 「…………」 やっぱり変。視線に力が無いって言うか、心ここにあらずって言うか……ううん、違うわね。何か焦っている。うん、そんな感じ。 あたしは自分の事は忘れて、キョンの背中をシャーペンで突付いた。岡部が何か喋ってるけど気にならないわ。 「ねぇ、キョン、何かあったの? あんた、ちょっと変よ?」 ビクリと小さく身体を震わせ、そして後ろを振り返るキョン。苦笑いを浮かべ、 「何だ、変ってのは? あー、久しぶりの学校で調子が出ないだけだ。 そういうお前は今日も元気だな、羨ましいぜ」 そんな失礼な事を言い捨て、キョンは再び前を向く。あたしは納得できずにキョンに声を掛けようとして……開きかけた口を閉ざす。その背中が放っておいてくれって言ってる気がしたから。 ……まぁいいわ。あたしも実は楽しく会話する気分じゃないし。 キョンの事が心配だったけど、冷静に考えるとあたしは人の心配が出来る立場に無かった。“勝負”をすっぽかし、それを誤魔化そうとしてるんだもん。あ……だめ、また落ち込んできちゃった。 あたしは慌てて窓の外に視線を向けた。様々な形の雲がゆったりと流れていく。あたしはそれをぼうっと眺めていた。 一限目が終わり、休み時間になった。谷口達とも会話せずにキョンは珍しく足早に教室から出て行った。 「ねぇ、涼宮さん、キョン君どうしたの? なんかあったの?」 と坂中さんが心配げに話しかけてくる。 「うーん、やっぱり変よね? でも何でもないって本人が……」 「でも……」 と言いかけて、坂中さんはあたしの顔に視線を固定させた。ほんの僅か小首を傾げてる気がするわ。 「……えっとね、余計なお世話かもしれないのね。……す、涼宮さんも何かあった?」 ギクリとしながら、坂中さんの顔を凝視する。 「あ、うん。何となくそう思っただけなのね。気にしないで欲しいのね」 「うん……」 あたしの返事を合図に坂中さんは別のグループに呼ばれてその輪に入っていった。チラリと心配げな視線を投げ掛けつつ……。 ……うーん、落ち込んでるの顔に出ちゃってるのかな。かなり自己嫌悪嵌てるしなぁ。それにも増して、連休中の事バレたら不味いわね。それだけで勝敗付いちゃうもん。何のために押し倒されたんだか判らなくなっちゃう。うーん、SOS団メンバーって意外に鋭いから気をつけようっと。 ……学校ではアイツ関係の事は考えない!! うん、そうすれば大丈夫よ、きっと!! 結局、キョンは2時限開始ギリギリになって帰ってきた。不機嫌そうな表情もそのままに。 その後もキョンとは何故かあまり会話しないままに放課後を迎えた。 キョンの連休体験談を楽しみにしていたあたし。でも、逆にお前は何をしていたんだと聞かれたら答えられない。答えようが無い。 「連休中、あんたの知らない男と遊んで、そのままホテルに連れ込まれて……」 ……そんな事を言える訳が無い。だから、あたしはキョンに語り掛けられなかったの。 でも、そんなあたしの態度をキョンは何処となく有難がってる気がしたわ。休み時間毎にそそくさと谷口達の所へ駄弁りに行くし。まるであたしを避けてるみたい……。 そんな微妙な雰囲気の中、放課後を迎えた。あたしは掃除当番だったりするの。 「キョン、あたし掃除当番だから先に部室行ってて。疲れてるからってサボっちゃダメなんだからねっ!!」 「へいへい……先に行ってるぞ」 と何故かホッとしながら教室を出るキョン。 ……なによ、あたしと一緒にいるのがイヤなのかしら? あたしは少しムッとしながらも、掃除の準備に掛かろうとしたその時、坂中さんが声を掛けてきた。 「あのね、涼宮さん。ちょっとお願いがあるのね」 「うん、なにかしら? 坂中さん」 「来週の月曜日と今日の掃除当番代わって欲しいのね」 「あら、そんな事ならお安い御用よ」 あたしが気軽に答えると、笑顔を浮かべて坂中さんが説明をしてくれた。何でもその日JJを定期健診に連れて行かなきゃならないんだって。 もう、JJのためなら問題ないって。そんな済まなそうな顔をしないで。 一頻り坂中さんのルソーラブな話を聞いてからあたしは足早に部室へと向かった。アノ部屋に行かなきゃ行けない時間が近づいてきている事を極力考えないようにしながら……。 久しぶりの部室棟、そして久しぶりのSOS団の部室。確か、最後に鍵を掛けた時、連休中に不思議な事に出会いたいなって願いながら部室を出たっけ……。ははっ、不思議な事……ね。確かに連休中は楽しかったわ。色々体験できたし。 あたしは暗くなりがちな顔に殊更笑顔を浮かべて、部室の扉を元気よく開けようとして……固まった。中から会話が漏れ聞こえてきた。 「だから、何時……ルヒ……気づかれ……対処」 「……涼宮さん……閉鎖空間が……」 「だめっ、鈴……ルヒ……外に……」 「!!」 部室内が静かになった。奇妙な位の静けさ。あたしは何も気が付かなかったフリをしながら、扉を何時もの如く勢いよく開け放つ。 「ごっめーん!! ちょっと遅れちゃったわね」 部室内にはあたし以外のメンバーが揃っていた。全員があたしの顔を食い入るように見つめている。 あたしはさも今来ましたって感じでメイド姿のみくるちゃんに声を掛けた。 「走って来たから喉渇いちゃった。みくるちゃん、お茶頂戴!! 熱々のヤツね!!」 「ふぇ、あ、ひゃい!! す、直ぐに入れますねぇ」 みくるちゃんは可哀想になる位動揺しながら、お茶の準備に取り掛かっている。 ……あれで熱湯扱って大丈夫なのかしら? そんな心配をしながら、鼻歌交じりに団長席に腰掛けた。キョンが周囲を見渡し、溜息を1つついてからあたしに話しかける。こういう時のお決まりのパターン。 「なんだ、ハルヒ……。掃除キチンとしてきたのか? その、ヤケに早いじゃないか」 「あぁ、掃除ね……坂中さんから代わってくれって頼まれちゃって。JJの定期健診と被るらしいわ」 あたしは殊更軽い話題ですって雰囲気を作ってキョンに答え、そして、序に団員の様子を観察。 有希が読書もせずにじっとあたしを見ている。 古泉君もボードゲームを準備しながらあたしの様子を伺ってる。気のせいじゃなくその笑顔は硬い。 みくるちゃんはあたしを横目でチラチラと見ながら、懸命にお茶を入れているわ。 キョンは「……JJじゃなくルソーだろ」と呟いたっきり口を噤んだ。そのタイミングであたしは努めて明るく思いついた案を披露する。 「あっ、そうだ!! 今度みんなでJJに会いに行きましょう!! きっとJJも会いたいと思ってるわ。どう、古泉君っ!?」 「さ、流石は涼宮さん。大変よい考えかと」 と古泉君は幾分柔らかい笑みを取り戻しながら、何時もの様に相槌を打つ。 「でしょう!! じゃあ今度坂中さんに都合聞いておくわね。有希も会いたいでしょ?」 と有希にも話を振ると、あたしを凝視していた有希がコクリと可愛く頷いて、ゆっくりと膝の本に視線を落とした。 「ん!! みくるちゃんは? 受験勉強の暇な時がいいわよね」 「あ、はい!! 私もルソーさんに会いたいですぅ。可愛いですもんねぇ、ルソーさん……」 とお茶を入れる手を止めてポワワーンとしているみくるちゃん。 部室の雰囲気がホワンとした暖かいものに取って代わる。 よかった……。何とか誤魔化せたみたいね。実は去年も何回かこんな事があった。みんなが協力してあたしに何か隠し事をしてるの。多分、みんなあたしが気が付いてるとは思ってないんでしょうけど。聞いちゃいけない気がするから知らないフリをしてるんだけどね。 JJの話題を切っ掛けに何時もの団活になった。あの雰囲気は好きじゃないから大歓迎。大歓迎なんだけど……今日に限っては微妙。だって落ち着いたら再びアイツの事を思い出しちゃったから。 周囲が落ち着きを取り戻すにつれて、あたしは落ち込んでいった。嘘をつかなければならない。誤魔化さなければならない。そう考えると自分がイヤになっていく。 ゆっくりとパソコンの電源を入れたあたしに、みくるちゃんがお茶を手渡してくれた。 「はいどうぞ、涼宮さん。熱々のお茶です」 「あ、ありがとう、みくるちゃん……」 「…………。あれ? 涼宮さん? 何だか……」 「うん? どうしたの、みくるちゃん?」 「あ、いや、その……何だか雰囲気が変わったかなぁって。あ、うん、えっと、私の気のせいですよね、きっと……」 「……雰囲気が?」 「わ、私の、気のせい、ですよ、きっと」 あたしはみくるちゃんを見つめた。身に覚えのあるあたしはきっとキツイ視線をしてたんだと思う。みくるちゃんはワタワタオロオロしながら半泣き状態。 「ハルヒ、なんて顔で睨み付けてるんだ。朝比奈さん怯えてるじゃないか」 とキョンの台詞が飛んで来た。 「えっ、そ、そんなに凄い顔してた? ……みくるちゃん?」 「御免なさい……こ、怖かったですぅ」 「あ、御免。考え事してたから。……うん、別に連休中、何も面白い事はなかったわ。反対にそれが残念で」 あたしはみくるちゃんを落ち着かせるために適当に話を合わせる。みくるちゃんはあからさまにホッとしながら有希にお茶を渡すために窓際へ。坂中さんといい、みくるちゃんといい勘の鋭い事……。 連休中の不思議体験発表会は開催されなかった。勿論、あたしが言い出さなかったから。珍しくキョンからの突っ込みもなく、その後は、特に問題も無く団活は終了。 うん、やっぱり平和が一番。その後も、他愛も無い話題で盛り上がって長い坂を下りた。心の片隅でもう1人のあたしが渋い顔をしていたけど。そう、皆と別れると問題の場所へ行かなければならないの。 坂の途中、1回だけみくるちゃんが小声で語りかけてきたわ。 「涼宮さん、やっぱり、何か心配事でも?」 「ん、ありがと、みくるちゃん。……連休が、あっさりと終わっちゃったんで、その埋め合わせを不思議探索でって考えてたの」 「あぁ、そうなんですかぁ。うん、何かあるといいですねぇ」 とニッコリ笑顔で答えてくれたみくるちゃん。その邪気の無い笑顔が、またあたしを苦しめる。 ごめんね、みくるちゃん。決して騙してる訳じゃないから……。 何時ものように有希のマンションの前で別れるSOS団。 キョンの様子が変なんだけど、あたしもそれに気に掛ける余裕がなかった。朝に感じた「放っておいてくれ」って無言のアピールが今も続いているし。 あたしは重い足取りで、アイツのマンションへと向かった。3駅先の駅で降り、モヤモヤとした感情のまま歩を進める。気が付けば、アイツのマンション前の緩い上り坂に差し掛かっていた。途中の公園のトイレに入らなきゃ。 辺りを伺い市営公園に入る。人っ子一人いない公園は静まりかえっていて何だか怖い。簡易式のトイレに入り鍵を閉めた。思ったほど中は汚れていなかった。あまり使われていないのかも……。 溜息を付きながらローファを脱ぎ、スカートの中に手を入れ純白ハイレグタイプのショーツを脱ぐ。フロントのピンクのリボンが可愛いの。次にセーラーを脱いで股に挟んだ。 こんな場所で裸になるのにはちょっと抵抗があるけど……仕方がないもん。さっさと終わらせちゃおうっと。 これまた純白のハーフカットブラを手早く外し、再びセーラーを着込む。脱いだ下着は無造作に鞄へと仕舞った。スカートやセーラーの裾を引っ張り乱れを直してトイレから出る。 うわぁ……やっぱり股間が涼しいわ。風の流れ、感じちゃうわね……。ふぅ、気が進まないけど、後はずっとこの格好だったって言い張らないとね。そんな考えが頭を過ぎり、益々落ち込むあたし。 あたしは頭を大きく数回振ってから、トイレの扉を閉めアイツの部屋目指して歩き出した。 この時、あたしは気が付かなかった。優男が洗濯物を取り込むためにベランダに出ていた事を。そして、あたしの行動の一部始終を見ていた事を……。 エレベーターを降りて、例の部屋の前まで。スカートの裾を引っ張り形を整え、呼び鈴を押す。 暫くして優男が顔を出した。白いコットンシャツと薄手の蒼いスラックス。如何にもオフですよと言わんばかりのラフな格好ね。あたしは何か喋ろうと口を開きかけ……直ぐに閉じた。優男ってば、すっごく厳しい表情なんだもん。昨日のナンパ事件を思い出す……。 優男はあたしの顔を見ると、無言で中に入るよう促した。 「な、何よ……キチンと約束どおり来たのに、感じ悪いわね」 あたしは酷く緊張しながら優男の部屋に脚を踏み入れた。優男は無言で、扉を開けリビングへと入っていく。あたしはその態度に戸惑いながらも後に続いた。 ……な、何よ。昨日までと雰囲気が全く違うじゃない……べ、別に怖いって訳じゃないんだからね!! 優男はリビング奥のソファに大きな音を立てて座った。思わず身体がビクリと震えちゃう位無表情かつ冷たい視線。 「な、何よ……」 と問いかけるあたしの声は微かに震えていた。 「見せてみろ……」 優男は聞いた事が無い位、低い声であたしにそう告げた。 「えっ? 見せる? 何を……」 と言いかけ、あたしは気が付く。そうよね、あんな勝負を持ち掛けておいて「見せろ」って事は……。ここで誤魔化しきらないと!! そうあたしは覚悟を決めた。 「ホントに恥ずかしかったんだから!! こんな格好、もうこりごり」 そんな事を早口で捲くし立て、「ここでスカートでも捲ればいいのかしら?」とヤケ気味に確認をする。当然“了”の返事が返ってくるものと身構えていると、 「いや、違う。そんなものはどうでもいい」 「なっ!? ど、どうでもいいって、それ、どういう事よっ!?」 「鞄を寄越せ。中身を確認する」 「!!」 優男は右手をあたしのほうへ差し出しながら、視線は未だ肩に下げっぱなしの鞄に向けられていた。文字通り音を立てて顔から血の気が引く。中にはさっき脱いだばかりの下着が……。 「な、ど、どうして……か、鞄なんか調べるの? あたしがスカート捲れば……その、下着穿いてないって直ぐ分かるのに。必要ないじゃない!!」 あたしは鞄を握り締め、必死に訴えた。訴えつつ誤魔化す方法を考え出そうとした。 「あ、ね、ねぇ……ど、どうして?」 そんな台詞を途中で遮り、優男はあたしに問いかけた。 「朝、手紙は読んだんだよな? なら、勝負内容は判ってるはず」 そして優男は、一字一句違えずに勝負内容を暗誦して見せた。 「つまり……家を出た後に、1度でも下着を身につけたなら、それだけで勝敗は決まるって訳だ」 優男が声を出す度に、あたしの身体は小さく痙攣した。勿論、恐怖のためだ。喉が渇く。それなのに全身を冷たい嫌な汗が流れていた。脚に力が入らず今にも崩れ落ちそう。 「あ、ちょっ……」 優男がゆらりと立ち上がり、面白くなさそうにあたしの鞄に手を掛ける。あたしはそれを振り払おうとするが、持ち主の意に反して身体に全く力が入らない。2人の間で取り合いになった鞄はあっさりと男の手に渡った。あたしは鞄を取られたショックで床にへたり込む。剥き出しのお尻にフローリングの床は冷たかった。 男の手が鞄のチャックに掛かった。 「ま、待って……お願い、開けないで!!」 あたしは恥も外聞も無く男に懇願。涙が溢れそうになった。そんなあたしを優男はつまらなそうに見つめる。 「さっき、俺は洗濯物を取り込んでいたんだ。すると、見慣れた女の子が近場の公園に入って行った。何をするかと思えばそこのトイレに入っていく訳だ。で、その前後で女子高生の行動に変化が見られた。そこから推論できる事といえば……言わなくても判るだろ?」 あたしはガタガタと身体を震わせ、優男を見上げる。口を開いても言葉を発する事が出来ない。 「その様子じゃ……中に下着、入ってるんだな?」 すごく寂しげに優男は呟いた。そして、鞄を床に置きゆっくりとファスナーを開け、中に手を入れた。あたしは身動ぎもせずそれを凝視する。教科書やノート、ポーチバックが床に並べられ……遂にショーツがその手で外に引っ張り出された。続いてブラも。さっきまで身につけていた下着を男性が手にしている光景は、あたしに強い羞恥心を感じさせた。 「あ……やだ……」 「まだ、温かいな。十分に体温が残ってる……」 とブラとショーツを握り締め優男は立ち上がった。「何時から穿いていた?」とあたしを見ずに問い掛ける口調は寂しげ。 あたしは何も言えず俯いた。嘘を突き通す自信は全くなくなっていた。再び同じ口調で優男に問い掛けられ、あたしの口は勝手に答えを吐き出していた。 「が、学校に、行く時……から……」 「それで、さもずっと穿いていない様な振りをしたのか……最低だな」 「あ……その……」 「予想外の形ではあるけど、これで勝負ありだね。まさかこんな卑怯な事してくるとは思わなかったけど……。 お嬢ちゃんを信じた俺が馬鹿だったって事か」 そんな言葉を呟き、手にした下着を鞄に叩き付ける。そして、腰のホルダーから黒いシンプルな携帯を取り出し、何処かに電話を掛け出した。 嫌な予感を感じたあたしは、震えながら優男に声を掛ける。 「ど、何処に……何処に電話してるの?」 「勿論、仲介屋さ。明日香ちゃん見つかりましたって連絡しないと達成した事にならないだろ」 優男は携帯を耳に当てながら、淡々と解説。言葉の端々に苛立ちが篭っている。 「あっ、だめっ、ま、待って!!」 あたしはその解説の途中で、優男の脚に縋りついた。必死な思いで男を見上げて懇願する。 「だ、だめっ!! 電話、しないでっ!! お願い、もうこんな事はしない……謝るから!!」 優男はあたしの懇願も意に介さず、携帯を耳に当て続けた。あたしはその手に縋りついてでも、会話を邪魔しようと決心。イザ、決行しようとしたその瞬間、優男は「話中か……」と呟いて携帯をしまった。 その呟きを耳にしたあたしは、安堵の余りヘナヘナと床に崩れ落ちた。それでも両手は男のスラックスは握り締めたまま。これを離しちゃうと全てが終わっちゃう気がするの。 「離してくれないか? もう、勝負は付いたんだし……もうお前さんも俺には用は無いだろ? 早く家へ帰れよ」 思いの外淡々と優男はそんな台詞を投げ掛けて、脚を掴んでいるあたしの手を解こうとした。 「ま、待ってっ!! お、お願い。卑怯な事をしたのは謝るからっ、心入れ替えるからっ、もう1度だけチャンスを頂戴!!」 「ははっ、謝ってすむと思ってるの? お前さんの何を信用しろと? 自己保身のために嘘をついた人間は、また保身のために嘘をつくんだよ、間違いなくな。 少なくとも俺は負けたら、違約金を払ってこの件から身を引く覚悟もしてたんだ。そこまで思いつめてた俺が馬鹿みたいだよ。 お前さんにしても、負けるなら諦めが付く様、敢て酷い勝負にしたつもりなんだけど」 淡々と言葉を紡ぐ優男。その一言一言が今のあたしには痛烈すぎた。心を抉られる。切り刻まれる。すっごく痛いの。思わず涙が溢れ頬を濡らしていく。あたしは弱々しく首を振り、男を見上げるしかなかった。これなら怒鳴りつけられた方がどれだけマシだったか……。 ……あたしはどうなってもいいの。だけど、明日香ちゃんだけはっ!! あの子との約束だけは!! 「お、お願い……明日香ちゃんだけは見逃してあげて」 「無理だな。それが俺の受けた仕事だし。約束どおり依頼は果たさせて貰う」 「じゃ、じゃあっ……あんたの言う事どんな事でも聞くから、だから、お願い……」 「ふふっ、どんな事でもね……。 で、そう言いながらあれはできない、これもイヤだって色々難癖つけるんだろ?」 「ち、違うわ……そんな事……。ど、どうすれば信じてもらえるの?」 「信じるね……一旦失った信用を取り戻すのって並大抵の事じゃ無理なんだよね。それはどの業界でも同じ。学生のお前さんには理解できないかもしれないけど」 「あ、あたしは本気。明日香ちゃんを見逃して貰えるなら、あたしどうなっても構わないわ!!」 あたしは本当に自分を犠牲にして明日香ちゃんを守ろうと決心した。どんな理不尽な事言われてもそれを守ろうと決心したの。その決意を込め優男を見つめる。 暫しぶつかる2人の視線。優男が視線を外さずゆっくりと立ち上がった。 お願い、1度だけあたしを許して。あたしの言う事を聞いて。誰でもいい、神様でも悪魔でもいいからあたしの願いを聞いてっ!! 優男は大きく溜息を付いて、渋々といった風に呟いた。 「……もう1度、仲介屋に電話を掛ける。もし、まだ話中ならお前さんの提案を考慮してあげなくも無い」 「えっ……ホ、ホントに?」 あたしはソッポを向いて早口に捲くし立てる優男を呆然と見詰めていた。願いが通じたの? 「あぁ、但し、話中の場合だけ。相手が出たら諦めろ。これが俺にできる最大限の譲歩だ……だから、涙を拭いてくれ。女の子の涙は苦手だ」 優男はあたしから離れ窓際に歩いていく。携帯を取り出し再度耳に当てた。 あたしはそれを眺め、両手を組み合わせた。目を瞑り再び祈る。力一杯気持ちを込めて……。 お願い、誰でもいいから、あたしの願いを聞いて。通じないで!! 反省したから!! どんな事でもするから!! どんな罰も受けるから!! どんな事も我慢するからっ!! 無限とも思える時間が過ぎ、全くの無音の中で優男は携帯を閉じた。 「おめでとう、話中だったよ。約束どおりお前さんの提案、呑んであげてもいい……」 「ホ、ホン……」 「……但しっ!! 但し、その前にお前さんの覚悟を見せて貰おう」 優男は強い口調であたしの歓喜の声を遮った。 「か、覚悟?」 「そう、覚悟だ。俺はお前さんを全然信用できなくなった。今回もその場凌ぎで適当な事を言ってないとも限らんし……」 「ち、違うっ!! あたし……本気で」 「だから、勝負は一旦お預け。で、3ヵ月……いや長すぎるか? 1ヵ月間位その覚悟を試させて貰おう。試用期間ってやつだ。それに耐えれたら改めて勝負してあげる。どう?」 「覚悟を試すって? ど、どんな事するの?」 「何でもするって言ったよね。だから、1ヵ月の間、俺の命令を全て聞き届けて貰おう。拒否した瞬間に……ジエンド」 「い、1ヵ月間言う事聞けば……いいのね?」 あたしの弱々しい問いに男は鷹揚に頷いた。 「わ、分かったわ。言う事を聞いてあげるわ……」 「まずは、その言葉遣いから変えてもらおうか。少なくとも丁寧語……いや、違うな。先ずはお前さんの立場を理解させないと」 「た、立場って?」 あたしは腕組みをして呟く優男を不安に押し包まれながら見上げる。優男が窓際からゆっくりと近づいて来た。あたしは顔を強張らせ、思わず後ずさる。そんな態度を意に介さず目の前で優男はしゃがんだ。視線が同じ高さになり、互いに相手の瞳を覗き込む2人。暫しの沈黙の後、徐に優男が口を開いた。 「お前さんの立場だが、先ずは昨日までの対等の状態は忘れてもらう。そうだな、分かりやすく例えると……」 「た、例えると……何?」 「……ペットと飼い主か……奴隷と貴族だな。どっちも上下関係がはっきりしてるだろ? 勿論、お前さんが下だってのは判るよね?」 あたしの耳に男の淡々とした男の台詞が流れ込んでくる。あたしは耳を疑い、そして、咄嗟に声を荒げていた。 「ペット? 奴隷? なによそれっ!! 冗談じゃないわ!!」 あたしの叫び声が部屋中に反響し、その後訪れた静寂の中、優男は嫌な形に口の端を引き攣らせ立ち上がった。侮蔑の表情を浮かべ呟く。 「くくっ、ほら思ったとおりだ。何でも言う事を聞くって豪語しながら、その様だ。それで何を信用しろって言うのやら……」 「あ……ち、違うの!! い、いきなりだったから、その、ビックリしちゃっただけ!! ホ、ホントに何でも言う事を聞くから!!」 あたしは優男の脚に縋りつき、必死に言葉を紡いだ。 「あの……ど、奴隷でもペットでもいいから」 「今一信用できないな。断わっておくけど、俺は早く依頼を済ましたいんだ。それをお前さんが邪魔してるんだぜ」 「わ、判ってるわ……」 あたしは蚊の鳴く様な声で呟く。優男が再びしゃがんだ。あたしの頬に軽く触れ、あたしを覗き込む。 「ホントに判ってるの? 今一言葉に真実味が無いって言うか……信用出来ないって言うか。電話1本掛けた方が手っ取り早いんだがなぁ」 「ど、どうすれば……信じて貰えるの?」 「くくっ、お前さんはどうすればいいと思う?」 反対に問い掛けられ、あたしは考え込んだ。頭の中を幾多の単語が舞い、イメージが浮かんでは消える。無限とも思える時が流れて行く中、あたしの中で1つのイメージがはっきりと形を整えつつあった。あたしは覚悟を決め、そして、それを口にする。震える声で……。 「あ、あたしの……は、初めて……を、しょ、処女を……あげます」 「ん? 何? 聞こえないよ」 「あたしの、処女を……あげるから……」 「ふふっ、それは凄い覚悟をしたね。でも、気のせいか、その言い方、“イヤイヤあげる”って聞こえるんだけど?」 「あ、ち、違うわ……。そ、そうじゃなくて……あの……その……イ、イヤイヤじゃないの……」 「イヤじゃない? ふーん、貰って欲しいの? 処女を? 俺に?」 「は……い。貰って……くださ……い」 優男はあたしの頬を撫でながら問い続け、あたしはその問いに力無く答え続けた。 「……確か、さっき、“奴隷でもペットにでもなります”って言ったよね。 処女を貰って欲しいって事は、奴隷になる証としてって事でいいの? つまりは、奴隷になりたいって事?」 「なりたいわけ無いじゃない!!」と声高に喚けたらどれだけすっきりするだろう。しかし、あたしは力無く頷く。屈辱と諦観。涙が溢れてきた。そんなあたしの耳元で優男の囁き声。 「きちんと言葉にして御覧……」 「は、はい。……ど、奴隷になりたい……です」 「奴隷の様に、じゃなくて、奴隷そのものになりたいんだ?」 あたしは、その問いに再び力無く頷いた。悔しくて情けなくて声を出せない。涙が頬を伝う。人前で涙を流すのなんて久しぶり。あたしは慌てて右手で口元を押さえ更に俯く。左手はスカートの裾を握り締めたままだ。そのまま歯を食いしばり身体から溢れてくる悲憤を耐え忍ぶ。無心で耐えているあたしに、優男が冷徹な声で語りかけてきた。 「嫌ならそれで構わないよ、俺は。さっさと、依頼済ますだけだし」 「ま、待って!! ……あたしをあなたの奴隷にして下さい。……お願いします」 「ふーん。念のために言っておくけど、お前さんが奴隷になったら昨日みたいなエッチな事一杯一杯しちゃうけど、それでもいいの?」 「はい……か、構いません」 「くくっ、その様子だと本気で覚悟決めたみたいだね。それじゃ、約束通り連絡しないであげる。 勿論、イヤなら反抗すればいい。誰かに相談するのも有りだ。その時点でお嬢ちゃんは晴れて自由の身になれるからね。俺は止めないよ。 そうなれば、俺も遠慮せずに連絡が取れるしさ」 男の言葉にあたしは小さく首を振る。あたしが自由になるって事は、その引き換えに明日香ちゃんが……。 指切り拳万と明日香ちゃんの笑顔が脳裏を去来する。あたしに全幅の信頼を置く素敵な笑顔。ダメ、その笑顔をあたしは裏切れない。 「じゃあ、もう1度お願いして御覧。心を込めてさ」 幾度も躊躇いながら、幾度も訂正されながら、あたしは頭を下げ屈辱的な言葉を口にした。 「あ、あたし……涼宮ハルヒを……どうか……ど、奴隷として……お傍に、置いて下さい。お願いします……。ど、どんな事でもしますから。 その……証、として……あたしの、しょ、処女……を、どうか、も、貰って……下さい」 あたしは唇を噛み締め、湧き上がる屈辱感・恥辱感に身を振るわせた。目の前が真っ赤になり身体がふら付く。 優男に顎を掴まれ瞳を覗き込まれた。恥ずかしい。耳まで真っ赤になるあたし。何か喋ろうとするが、全く言葉が出てこない。 「奴隷になりたいってお嬢ちゃんのお願い、聞いてあげる。だから、俺の事は“御主人様”って呼んで御覧」 気が付けば、昨日までの穏やかでノンビリ屋の優男に戻っている。あたしは知らず知らずのうちに安心し、要求された単語を口にしようとして口篭る。誰かが「それを口にしたら後戻りできない」と訴えているのが、何故だか理解できたから。その内なる声に耳を傾けようとした矢先、優男の「お嬢ちゃんの覚悟を見せて欲しいな」って呟きを耳にしてあたしはオズオズと小さな声で、 「ご……御主……御主人……さ……ま」 って呼びかけたわ。その瞬間、あたしの中でゾワリと湧き上がる得体の知れない感情。ゾクゾクと背筋を昇る何か……。それは決して不快なモノじゃないの……。な、何? この感覚……? それの正体について深く考える前に、優男の声が耳に届いた。 「もう1度呼んでみて」 「あ、はい……あの……御主人様」 「いい子だ。お嬢ちゃん……いや、ハルヒ」 「!!」 唐突に名前を呼ばれた。思わず睨み付け様として思い留まり、目を閉じ大きく深呼吸する。あたしを名前で呼ぶ男の子の顔が目の前で浮かんで、そして消えた。 落ち着けあたし。卑怯な事したからこんな事に……それに明日香ちゃんのため、コイツの機嫌を損なう訳にはいかないわ。1ヵ月我慢すればいいの……。たったそれだけなんだから。 優男……いえ、御主人様の機嫌を損ねる事だけは避けないと。 そう、この人はあたしの御主人様。御主人様なんだから。1ヵ月だけとはいえ御主人様。 あたしは心の中で呪文の様にその単語を繰り返す。自分に言い聞かせるために。覚悟を固めるために。 「ホントにいいの? そんなに自分よりも明日香ちゃんの方が大切なの?」 あたしはそんな囁きに対し、コクリと頷く。 「か、覚悟を決めたわ……いえ、決めました。奴隷でもペットでも何にでもなります。だから、もう聞かないで……」 優男……いえ、御主人様、うん、これから1ヵ月はそう呼ぶ事にするわ。御主人様はあたしを優しく抱き締めて立たせた。耳元で囁かれる。 「じゃあ、今から1ヵ月の間、ハルヒは俺の奴隷。おれは持ち主としてハルヒを支配する。支配してあげる。いいね?」 支配……。その単語が耳から入った瞬間、先程の言い知れぬ何かがザワザワと心の中で蠢くのを感じた。あたしはゴクリと喉を鳴らし、男の胸に顔を埋め小さく頷いたの。 「それじゃ、早速、昨日の続きをしようか?」 「は、はい……え? 続き?」 「そう、続き。だって、処女貰って欲しいんでしょ? 勿論、嫌ならいいんだけど?」 「い、いえ……嫌じゃないです」 あたしは蚊の鳴く様な声で受け答えをする。そんなあたしの背中をトントンと叩きつつ、御主人様は問いかけた。 「……ホントに本気なんだ。そこまで自己を犠牲できるんだ……凄いね、ハルヒは。 じゃあ寝室に行こうか? それともシャワー浴びる?」 「ひぐっ、やぁ……あっあっあ!!」 あたしはベッドの上で仰け反った。昨日と同じ様に男の唇や舌、指先に掌が肌の上を満遍なく触れ摩り愛撫する。既に行為が始まってから30分以上が経過していた。 即座に無理やり処女を奪われる事を覚悟していたあたしは、ちょっと拍子抜けしたの。これってば、まるで恋人に対する愛撫そのものなんだもん。そのせいか、それとも2度めだからか、昨日ほど緊張もせず自然と身体を預けているあたし。そして、昨日以上に脳天を直撃する桃色の刺激。 「辛かったら言いな。ペース落とすからさ」 「んっ!! ……だ、大丈……夫……あぁ!!」 「そっか。無理はしないようにね。……此処までは昨日と同じ。此処からが未知の体験って事になるのかな?」 時々、指を唾液で湿らせながらあたしの秘所をそっと指先で愛撫していた御主人様は、あたしの股間に顔を埋めた。 ピチャ……。その舌があたしの秘所を舐め上げた。腰が思いっきり跳ね上がる。 「あん!! あっ……そ、そこ、汚い……」 舌と指で弄り回されるあたしの秘所。湿った水音が次第に大きくなる。それに比例し、あたしの身体の畝りも大きくなっていく。恥ずかしくて気持ちよくて、もう訳が判らない……。 「ふふっ、気持ち良さそうだね、ハルヒ……。もっと舐めてあげる、この綺麗なピンク色のオマン●を……ほら」 「あぁ!! 恥ずっ……あぐっ、んんっ!!」 御主人様が指先で秘所を優しく撫でながら、クリトリスに口付けを1つ。思わず声が漏れる。痛い位の刺激。上半身が捩れ、両手がシーツをきつく握り締める。指先が白くなるまで。 「ハルヒ、さっきも言ったでしょ? 気持ちがいい場所教えてって……ここはどうかな?」 「あぁ!! そこっ、き、気持ちいい……んっ、……です。あう!! 御……御主人様!! あ、ダ、ダメッ!!」 頭を激しく振って、感想を口にするあたし。強制されてるのか、それとも本心なのか、もうあたしにも判らない。 そして、それとは別に、あたしはずっと心の中で呟き続けていた。 「あたしは奴隷……御主人様の奴隷……この人はあたしの御主人様……」 そうでもしないと、自分を誤魔化せないから。 そんなあたしの秘所を、指で舌で唇で愛撫する御主人様。時折思い出した様に太腿や胸、腰も摩られ、その度にあたしを包み込む甘い波動。 「ひっ……あっあっあ!!」 頭が弾けそうな感覚があたしを飲み込もうとしていた。不定期にあたしを襲っているそれの極大バージョン。 来る来ると本能が叫び声を上げ、そして、思いっきりクリトリスを吸われた瞬間!! 目の前で眩しい光が爆発し記憶が跳んだ。 「んっっ!!」 全身がこれ以上無い位突っ張り、背骨が仰け反る。呼吸が出来ない。苦しい……。 「かはっ……」 筋肉が弛緩し、クタリと脱力。酸素を求めて肺が空気を大量に吸い込む。 未知なる体験。意識が霞となって漂い、身体のあちこちでジンジンと痺れる微かな電流が奔る。まるで心と身体が手綱を離れて自由気ままに動き回るかのよう。 あたしの口から切なげな吐息が漏れ、御主人様があたしの表情を伺い尋ねる。 「大丈夫? ハルヒ? きつかった?」 「大……丈夫。初めて……だから……戸惑ってるだけ……です」 「ホント、きつかったら言いなよ。それで負けって事にはしないから……」 あたしは気だるげな表情で頷く。そんなあたしに御主人様の顔が近づいてきた。キスされる……瞬間的にそう悟ったあたしは、しかし身体を硬くしたまま身動ぎ1つしなかった。徐々に唇は近づき、あたしのそれに触れる瀬戸際で方向変換、頬へ。御主人様が気まずそうな表情で呟く。 「御免御免。確か、願掛けしてるんだったよね。忘れてたよ……」 「あ……覚えて……」 あたしは身体を駆け巡る快楽の波を一瞬忘れて、御主人様見つめた。嬉しい……。何でだろ、ホントに嬉しいの。 「そりゃあ、女の子の願掛けって重大な事だからね……。で、どうする? 身体もちそう?」 「大丈夫……です。……続けて」 御主人様は頷き、あたしの股間へ顔を移し再び埋めた。股間に舌が触れる感触。ゆっくりと上下に摩り徐々に内側へと沈んで行く。ピチャピチャと舌が奏でる卑猥な音があたしを興奮させた。 「あ……あぁ、んっ……」 再びあたしの口から甘い吐息が漏れる。優しく舐め、突付き、刺激を加えられるあたしの秘所。ゾクゾクッと背筋を電流が昇っていく。 「あっ!!」 腰が自然と畝り太腿が突っ張る。激しい呼吸音。ホントに気持ちがいい……。 股間から御主人様が顔を上げ「ハルヒ?」と呼び掛けてきた。あたしは視線を下げその顔を視界に捉える。指は上下にゆっくりと動いたままだ。 「ああっ、は、はい……あん!!」 「中に指入れるよ?」 御主人様の問い掛けるその意味を悟り、あたしは一瞬躊躇した。でも、それもホントに一瞬だけの事。桃色一色に染まった本能に支配されたあたしは躊躇う事無く頷いていた。 「あ、でも……い、痛くしないで……」 「勿論だよ、そのためにあちこち愛撫してるんだから。でも念のために……」 何時の間にか、御主人様があたしの太腿に挟まれた位置に正座で座っていた。その手には黒いチューブが握られ、それから捻り出された透明なジェルを右手の人差し指に塗りつけていた。 「……ん? あぁ、これ? ローションだよ。滑りを良くするためのね」 あたしの視線に気が付いた御主人様が解説してくれる。 「ローション?」 「そ、ローション。まだ、ハルヒの蜜の粘度じゃきついと思うんだよね。 あ、心配しないで、変な成分は入ってないからさ。ホントに純粋な意味での潤滑油だから」 殆ど意味が判らないけど、あたしは頷いた。酷い事をされる訳じゃなさそうだし……。 指に塗り終わった御主人様は、再び股間へと顔を近づけて行き、「リラックスしてて」「痛かったらきちんと言うんだよ?」って囁き声が聞こえた。 秘所を指がゆっくりと弄っている。それが何かを探るようにそこを掻き回し、そして、ゆっくりと恐る恐る……。体内に異物が侵入してくる感覚。初めての感覚。一瞬軽い違和感が股間を奔った。例えるなら……喉に魚の骨が刺さったみたいな異物感かしら。 「ん……あ……」 「あっ!! 痛かった? 御免、もう少し我慢して……」 「だ……大丈夫。ほんの少し違和感が……」 「そうか……、緊張しないでって言っても無理だよね。じゃあ、此処、刺激してあげるからね」 その台詞とお豆への刺激が同時だった。口に含まれ転がされるあたしの敏感な突起。 「あっあっあぁ!! んん……ぐっ!!」 その強烈な刺激に翻弄され、違和感を忘れたあたしに御主人様の「指、全部入ったよ」って呟きが届いた。言われてみると、其処には異物感があった。それが中で動いている不思議な感覚。 その感覚に戸惑っていると、御主人様がゆっくりと移動しあたしの上半身を抱えあげた。お姫様抱っこの変形。至近距離から顔を覗かれた。恥ずかしい……。あたしは顔を両手で隠しつつ、反対方向へ顔を背けたの。 「ゆっくりと動かすよ、痛かったら言ってね」 その言葉通りゆっくりと出し入れされる人差し指。違和感は思ったほどではない。凄く痛いってイメージがあったあたしはちょっと一安心。 その指の動きに合わせて、御主人様の唇や舌があたしの耳や首筋と言った上半身に降り注ぐ。あたしは切なげな吐息を漏らし、身体を痙攣させた。そして、時間が経過するにつれ、秘所からジンワリと甘い波動が感じられる様になっていた。それは体内を流れ、指先がピクピクと痙攣する。 「あ……あぁ……い、や……何……これ……」 太腿同士がにじり寄り恥ずかしげに畝り、その直後、御主人様が指をあたしの中から引き抜いた。それに纏わり付いているヌラヌラと光る透明な粘液。イヤらしく滑りを帯びた光。何とも言えない感慨が心の奥から湧き上がる。 そんなあたしを御主人様は再びベッドへと横たえ、頭を1回撫でてから、徐にバスローブを脱ぎだした。いきなり、あたしの視界に飛び込む男性の裸体。キョンや古泉君の水着姿しかまともに見た事が無かったあたしは激しく動揺。 「えっ、あっ、やだ、いきなり……そんな……」 咄嗟に顔を両手で覆った。心臓が思いっきり跳ね回り、大量の血液を頭へと送り届ける。顔が火照る。顔を覆っているはずの指の隙間からその裸体が垣間見えた。幅広の肩幅や割れた腹筋が男性のイメージそのもの。でも、あたしの視線は1点に注がれていた。股間から起立、臍まで反り返り、ビクビクと脈動する棒状のモノ。茸の様でもあり、亀の頭の様でもある形容しがたい形をしたソレ。初めて目の当たりにする男のシンボル。 それが女性の中に入るための存在である事は、幾らあたしでも知っている。でも、実物はあたしの貧弱な想像力を遥かに超えていた。 ちょ、ちょっと……あ、あんなに大きいの!? あんなのが入ってきたら、壊れちゃう!!って言うか入るわけ無いわ!! 混乱するあたしを置き去りに、御主人様はサイドテーブルから薄っぺらいパックを取り寄せる。毒々しいまでの蛍光ピンク。それは、話には聞いた事がある避妊用のゴム製品。 「ハルヒ、ゴム付けるまでちょっと待っててね」 と耳元で囁き、パックから輪っか状のものを取り出し、自らのシンボルに被せて行く。これまた、生まれて初めて見るコンドームの装着現場。 ソレに避妊用ゴムを付けると言う事は、あたし……されちゃうんだ。でも、付けてくれるなら妊娠する心配はないのね。ちょっと一安心。 その行為を食い入るように見つめ、頭の片隅で人事の様に考えるあたし。 蛍光ピンクのゴムがソレを全て覆い尽くす。依然ビクビクと痙攣しているソレ。その様子はあたしを酷く緊張させた。ちょっと怖い……。 「あ……あの……あたし……こ、怖い……。そんな大きいの……無理、です……」 あたしは顔を覆ったままの状態で、御主人様にそう告げていた。 御主人様が無言で覆い被さってくる。思わず身体を緊張させ縮こまるあたしを、抱きしめて抱え上げる御主人様。そのまま髪の毛を優しく梳き、頬を撫でる。 「うん、怖いってのは判るよ、初めてだからね。出来るだけ痛くしないから、任せて欲しいな」 「ホ、ホントに……痛くしない?」 髪の毛を梳かれる感触に安心感を覚えながら、震える声で質問。この時のあたしからはその行為を拒絶するって思考は全く生まれなかった。 「うん。念のため、さっきのローションもたっぷり使うね」 御主人様はその発言通り、再びあたしを横たえて指を挿入。あたしの中を壊れ物を扱う様に優しく掻き回しながら、ローションを塗っていく。指が出入りする度に、あたしは小さく呻いた。既に違和感の代わりに微かながら心地良さを感じるようになったあたしの秘所。御主人様から指摘されるまでも無く、あたし自身の体液も相当量溢れていたの。体液とローションを指が掻き回し、チュプチュプと淫靡な水音が聞こえてくる。身体の芯が疼き熱い波動が身体の隅々に広がっていく。 「あっあっ……ん、あ、き、気持ちが……いい」 「そうか、よかった……ハルヒ、そのまま何も考えずに頭を空にして、素直に気持ちよくなって」 「うん、あ……ん、くっ……はぁぁ……あっ」 気が付けば、指は出入りだけじゃなくて、円を描くような動きを加えていた。微かな痛みと、それを超える快感。御主人様は中を掻き回しながら、親指でお豆を軽く押す。 「あんっ!!」 あたしは御主人様の突然の責めに身体を大きく痙攣させた。 だめっ、そこは、だめ……ホントにおかしくなっちゃうの!! 目の前で火花が散り、思考が四散する。そして、「これなら大丈夫かな」と呟いて、御主人様が指を引き抜き、無言でローションをゴムつきのソレに大量に塗して行く。 あたしは裸体を隠す事もせず四肢を投げ出したまま、その行為をボンヤリと見守ったの。そして、御主人様の準備が整い、大きく脚を開いてって懇願された。その方が痛みが少ないからとも。 あたしは躊躇いつつも、素直にその言葉に従った。M字に開脚した自分の膝裏を両手で固定し、秘所を晒すあられもない体勢。ホントにすっごく恥ずかしい……。 御主人様があたしの股間ににじり寄る。手には避妊具を被りローション塗れのソレ。秘所にあてがわれた。身体がビクンと震える。 「あぁ……や、やっぱり……怖い」 「ハルヒ、深呼吸……そうそう、いい子だ。身体を弛緩させて……。ゆっくりと息を吸って」 あたしは言われたとおり、ゆっくり息を吸った。その瞬間、御主人様の身体が少しずつ前進し、膣穴が広げられ肉を掻き分け体内に何かが押し入ってくる感触があたしを襲う。全てが体内に巻き込まれていく幻想が浮かんだ。一瞬、鋭い痛みが奔り息が詰まる。その痛みは直ぐにジンジンとした鈍痛に取って代わられた。ただ、想像していたより、痛みは軽く、これ位なら我慢できそうだと頭の片隅で冷静に判断するあたし。 そして、その痛みとは別に、ゆっくりとあたしの中に他者が沈んで行く奇妙な感覚。今までの自分と決別したかのような達観とも諦観とも異なる不思議な感情が心で渦巻く。 内側がソレに擦られ、痛みとも快感とも取れる熱い微かな波動が膣から発生し、自然と畝るあたしの身体。 「んっ……あぁ、擦れ……あん!!」 そして、とうとう御主人様の前進が止まった。上半身を倒しあたしの耳元で囁き声。 「ん、もう、手を離していいよ。……どう? 痛みは感じる?」 「ちょ……ちょっとだけ。あ、でも……大丈夫」 あたしは握り締めていた太腿を手放し、その代わりにシーツを握った。口では大丈夫とは言ったけど、今だ鈍痛は継続中。我慢できないほどではないけど……。 あたしの中でビクンビクンと痙攣する御主人様の分身。お腹が張ってる様な競り上がってくる様な不思議な感じ。それよりも……あんな大きいモノが無事に入っている方が不思議かも。 「ん、無理はしないで欲しいな。初めてで痛くないわけ無いんだから」 「あ……でも、ホント、大丈夫……」 か細い声でそう告げると、御主人様はニッコリと微笑み、「いい子だ」と頬に口付けをしてくれたの。 初めての時に動くと傷を抉るのと同じで凄く痛いんだって。だから入れるだけに留めたって言うのは、後から聞かされた話。 御主人様は挿入後、ゆっくりと慎重に体位を変えていった。あたしもその指示に素直に従ったわ。 気が付くと、あたしは挿入されたまま、お姫様抱っこされる不思議な体勢になっていた。御主人様曰く「虹の架け橋」って体位らしい。あたしは不安定なその体位になった瞬間から、御主人様に縋りつきっぱなしなの。 御主人様がシーツの1点を見るよう促した。言われた箇所に視線を止める。 ごく僅か、小指の先ほどの範囲ながら、血痕が付いていた。あたしの破瓜の証。 想像してたよりも少ないかも……。もっとドバッと出るんじゃないかと思ってたから、これまた拍子抜けした位。 その後、御主人様は殆ど出し入れをしなかった。動くには不向きな体位って理由もあるみたいだけど、まるで挿入した事を忘れてるかの様に、舌や唇、指に掌を駆使してあたしのあちらこちらを愛撫。それから生まれ出た快感は全身を駆け巡り、あたしを翻弄した。 それらに呼応したのか、御主人様の分身が沈んでいる膣も熱を帯び、その侵入者と共にビクビクと痙攣。言い知れぬ刺激と疼き。我慢できない……。 その快感にあたしは幾度も意識が跳んだわ。頭が真っ白に染まる病み付きになりそうな快楽。 最後はお豆を重点的に責められ、御主人様にしがみ付き、はしたなく喘ぎながら大きく痙攣して果てたの。御主人様の背中に深い爪痕が残る位強く抱きついたわ。それが初めて天国へと連れて行かれたのを自覚した瞬間だった。 【さよなら】
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【名前】真田・H・宗太郎(さなだ・はいりんっひ・そうたろう) 【性別】男 【年齢】31 【外見】知的な風像をした長身の優男 【性格】冷静沈着。人前で感情をあまりに露わにしない 【詳細】 秘密特殊部隊(SSOG)の副長。准陸尉 ドイツ人を祖父に持つクォーター。 争いごとを好まぬ優男に見えて、見た目にそぐわぬ力自慢である。 見た目通り戦術・戦略面にも優れており副官として奥津に頼りにされている。 実は成田と同期であるが、性格的な問題か特に私的な交流はない。 + 執筆用人称情報 一人称 私 真田准陸尉 To 長谷川 真琴 長谷川女史 長谷川真琴さん 梁木 百乃介 梁木博士 博士 乃木平 天 乃木平 山折 軍丞 山折軍丞閣下 奥津 一真 隊長 オオサキ・ヴァン・ユン オオサキくん 君 田中 花子 ハヤブサⅢ From 奥津 一真 真田 お前 乃木平 天 真田上官 蘭木 境 指令代理
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第14回の始まる前のオマケ。 ――隠れ家にピストルが届いた。 「……誰がどうやって送ってくるんだ……?」 第14回 ――隠れ家にデルフリンガーが届いた。 多分使い道はないだろうが喋る剣『デルフリンガー』を貰った俺は、多少の疲労感はあったものの眠れない為に学院内を散策していた。要は 暇なのだが結構面白い物を見れる。やはり思春期な連中を抱えているこの学院は、そこら中でサカリがついてる連中を目にする。そんな中、 この間の優男が頭を抱えている。極めて自業自得だがモンモランシーに振られ、俺にボロ雑巾にされてから自信が無くなり、女っ気がなくて インポ寸前だと聞いたが、これは噂以上に重症かもな。 「よう兄ちゃん元気無いな、ワインでも飲むか?」 「ゼロのルイズの……結構……」 この間のような覇気は感じられない。 「……あんたの名前……トニー……シプリアーニだったか……」 「ん?」 何か言いたげな様子だが、取り合えず此方から話を振るのは止めておく。 「モンモランシーと……」 「それ位自分で尻を拭えよ。かえって泥沼になるぞ」 最後まで聞かずに断言すると、縋るように優男は俺に抱きついてまで哀願する。 「お願いだ、僕に少し力を貸してくれ」 「知らん!ルイズに聞け!ルイズに『トニーを少し貸して』と聞いてOK出したら手を貸してやる!」 どうしてこいつ等はこうも下半身に素直なんだ!本当に自信なさ気だが、俺がこう言い切ると優男は頷いてルイズの部屋に歩いていく。 本当に聞くつもりなのか?分からないが。付き合うとろくな事が起き無そうなので、俺は早々に退散。今は隠れ家(ルイズの部屋)にも 戻りたくは無いので、今夜は暫く学院内を煙草でも吸いながら散策する事にする。しかしながら、広い施設だよな……まるで城塞だぜ。 暫く何の気無しに学院内を歩いていると、絶対中世じゃないなと実感できるような、下手すりゃ売春婦にも見えなくもないミニスカートを 穿いたポニーテイルの女とすれ違う。少々と年増だが十分色気のある女だった。この学院の関係者だろう。 「トニー・シプリアーニ」 すれ違った刹那、女は俺の名前を口にする。 「俺の名前を言ったか?」 「ええ」 振り返ってこう言い置くと、女は即答でこう返す。何とも含む意味を感じて警戒をさせてくれるのだが、この女は微笑みを浮かべて 俺に近づいてくる。いや、厳密に言うとどうにもこうにもキュルケ以上にいやらしい意味を込めた誘惑だった。何かある、こう感じた 俺は少々警戒した仕草を見せて身体を離す。 「あら?貴方は女には興味ないかしら……?」 同性愛者でもない限り、男が女に興味が無い訳ないだろ……こう言う誘惑と色香には惑わされねぇだけだ。 「そんな事はない」 「それとも、逞しい殿方の方がお好みかしら?」 「Fuck you!!」 このアマ舐めた事抜かしてんじゃねえ、学院関係者じゃなければマジで殺してる所だ。 「ごめんなさい、ごめんなさい、悪気は無いの。ふふふ……今日はごめんあそばせ」 空気を素早く読んだのか、女はこう言い置くとそのまま颯爽と去っていく。何かしらの意図がありありで極めて疑わしい接触は気持ちが 悪い。これならガキ達や普通の奴等とつるんでいた方が余程楽しいわ。気分が悪くなったので学生等の寄宿舎に戻る事にした。 寄宿舎に戻れば戻ったで、そこら中にさかりのついた連中が乳繰り合っている。全く下半身に忠実な連中だ。こいつらを見て見ぬ振りを して煙草を咥えながら歩く。今の所は優男に会わないようにルイズに部屋に帰る事にする。 「……ん?」 煙草を吸いながら歩いていると、俺の上着を引っ張る奴が居る……さっきの青い髪で短髪の眼鏡を掛けた姉ちゃんだ。 「さっきの姉ちゃんか、俺に何か用か?」 だが、横にはキュルケまで居る。彼女の補足をするようにキュルケはこう言う。 「一度で良いから、こっちに来た時に乗っていた『クルマ』ってものに乗せて欲しいんだけど、良いかな?」 「ああ、問題ないぜ」 こんな可愛らしい事をお願いされるとは思わなかった。 「ただ、今日は夜だしもう遅い。明日、昼の間の方がいいと思うぜ。」 「それもそうね。明日にしましょう」 俺がこう提案すると、キュルケは青い髪で短髪のこの姉ちゃんを連れて帰っていった。先程のことを考えると、余程気持ちがいいと感じる のは気のせいだろうか。 「さて、俺ももう戻るかな」 ほとぼりが冷めただろうタイミングを見計らって隠れ家に戻ると、微妙な表情を浮かべたルイズと対角線の位置に座る優男の姿があった。 この野郎、まだ居たのか……。 「ほらギーシュ、トニー帰ってきたわよ。直接頼みなさい」 「いや、トニーがルイズに聞けと何度も……」 やれやれ……。
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アルデート・クロイツェン ゼノス・クロイツェンとセルフィア・クロイツェンの子供。一応長男(リロイ、メフールはチートまがいの子供なので) 出生に関して不祥な点も多いが、本人は今となっては特に気にはしていない。 典型的な優男であり、某M堂A太郎といい勝負とも称されるほどの鈍感朴念仁優柔不断っぷりを発揮していたが、今は社会の荒波というか、現実の不条理というものに慣れたのか、以前よりは優男度は減少したように思われる。 しかし、特にレイリア、スフィーリア、ブラッド三名間の関係ははっきりしておらず、渾沌化の一途を突き進んでいるのが現状である。 リリアとガイアスの孫に相当するのだが、本人は両名を「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶことに違和感を感じており、普通に名前にさん付けして呼んでいる。 リリアは、おばあちゃんと呼ばれたほうがなんか嬉しい、といっている。 戦闘能力 伊達にゼノスの子供というわけでもなく、時間操作術を主体とする魔法剣士に近い戦闘スタイルを確立しており、その実力は比較的高位。 戦闘に関しては消極的な性格なので、自ら仕掛けるケースは稀。 かつてと比較して、近接戦闘技術よりも、魔法戦闘的要素を強化したようで、剣士らしからぬ戦闘法をする剣士というのが当てはまるかもしれない。
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想いこらえて(後編)◆j893VYBPfU 『これにて第一回放送を終了する。さあ――殺し合いを再開せよ』 ――やっぱり、そう来やがったな? 「死者蘇生」…。実に分かり易い、安っぽい奇跡って奴だ。 ま、今回はその奇跡の大安売りのお陰で、こっちも蘇ったンだがな。 “この殺し合いの参加者達の中には、我々が蘇らせた存在もいる。” この位の情報は、あえて力の誇示にバラしやがるかと思ったが…。 案外、あいつらも情報ってヤツを出し惜しみするもンだな。 それとも、こういった情報は自分達の口から出すより、 オレ達蘇生者が自発的に流すに任せたほうが、真実味が増すとでも判断したか? ま、どちらにせよこれで厄介事が増えるってのは、間違いないだろうな。 ――オレは横目で、早速その“厄介事の種”になりそうな少年の顔を眺めていた。 レシィの俯いたその顔は見るからに青褪め、形のいい唇はブルブルと震えている。 目頭には大粒の涙が溜まり、さっきから小声でうわ言を繰り返している。 アメルさんが、うそだ、と。信じられない、と。 どうして、みんな簡単に殺しあったりするんだ、と。 さっきの死亡者達の中に、知り合いがいたのは疑いようがねえ。 …何言ってやがる。人間ってのは、そういう風に出来ているンだよ。 レシィ。お前はな、人間の醜さってのにまるで無知なンだよ。 ま、知り合いの一人や二人死ンだ程度で泣き喚いているようじゃ、 この先到底生きていけンのだがな。戦場じゃ、もっと死ぬもンだ。 その程度で一々悲しンでたら、気が狂っちまうンだよ。 (ま、オレもとっくに気が狂っちまってるのかも知れンがな。) 今は殺し合いの真っ只中にいるって事を、すっかり忘れてやがる。 泣いたり笑ったりするのは、それが終わってからでも充分だろうが。 今は、その感情を切り離せ。心を凍らせろ。兵士である事に徹しろ。 英雄たらんことは、露ほどにも思うな。ただ現実のみを見据えろ。 それが、一人前の人殺しを生業とする奴ってもンだ。 ――そうでなきゃ、オレはお前という役立たずを斬らなきゃならン事になる。 オレがこの戦場で、最後まで生き残るためにな。 一方、ウィーグラフもまた目の前のオレの事を忘れて、 沈痛な面持ちでレシィを気遣っていた。 さっきの放送がもたらた事位は、あの石頭にも想像ができるようだ。 “これから”もたらす事にも、想像が追いついているかは疑問だが。 …だが、こちらへの警戒心を、そちらに移す手助けにはなりそうだ。 向こうじゃエトナって狂犬が気障な優男相手に大声で喚き吠えている。 耳を凝らして聞いてみるに、内容はどうにも痴情のもつれにしか聞こえン。 一人の女扱いされたい背延びしたガキと、あくまでも娘扱いをする優男。 認識が根本から違う為、互いを理解できそうにないってことか? ――内容は、ああ、なるほど…。 こりゃ上手く利用できそうだ。 二人はしばらく痴話喧嘩に興じていたが、 やがてエトナが優男に凄まじく下品な言葉を並びたてると、 やがて稲妻を思わせる速さでこの場を走り去って行った。 ――おいおい、騎馬より速えじゃねえか。あの化け物女は? 優男はしばらくの間、あの度し難い女が走り去っていくのを茫然と眺めていた。 そして、何かを思い直したようにこちらへと向かってくる。 おそらくはあの糞の役にも立ちそうにない、 それどころか存在自体が有害でしかないあの狂犬女を 探しに追いかけに行きたいとでも申し出るつもりだろう。 “父親”として、愛する“娘”とやらを。 ――――冗談じゃねえ。 いや、待て。ともすればこれは絶好の機会かもしれン。 エトナを非難されず堂々と、あるいは人知れず間引く為のな。 ――――あの女。関わり合うには、どうにも危険が大きすぎる。 遊び半分の気持ちで、軽々しくオレ達を「殺す」つもりだった。 それも二度も。理不尽も極まる理由で。 おそらくは何の考えもなく、気の赴くままに。 あの女、おそらくはこのまま放置しておけば、 その時その気分次第で平然と殺戮を続けるだろう。 そこに一切の計画性はなく、それ故にいかなる妥協も打算も通じはしない。 そんな危険人物と手を組めば、こちらもその同類だと見られかねない。 あの女が有る程度計算高く状況を把握できれば話しは別だが、 それでも己の感情を最優先するようにしか見えン。 つまり、いくら強かろうが存在次第が足手まといでしかないのだ。 今後、このゲームに乗るにしろ、反逆するにしろ。 あのイカれた女と関わり合うメリットは絶無であり、 また放置する事によるデメリットは極めて大きい。 あんな馬鹿ガキに脱出のカギを握る重要人物でも殺されればコトだ。 目も当てられん。 ――そして、なにより。 あの女の知り合いが現れやがったのだ。 しかも、随分と親しい様子ときやがる。 あの優男は、あの狂犬を何があっても守ろうとまで抜かしてやがる。 同行すれば、確実にその自己中心的な厄災に巻き込まれ、 その尻拭いをこちらも手伝わされる破目にしか会わんだろう。 あれと仲間扱いされるという事自体が、全てに支障をきたす。 そうなれば、あの女は隙あらば早急に始末するしかないだろう。 あの優男と再会する前に。あの気狂い女の尻拭きを手伝わされる前に。 事は一刻を争う。出来るだけ迅速に。出来るだけ確実に。 やらねばならん事が出来ちまったって訳だ。 だが、これだけの人間に囲まれながら あの小娘を始末するのは流石に不可能だ。 何よりオレ一人が汚名を斬るばかりで、何一つ良い事がない。 ――殺せば地獄。 ――殺さずとも地獄。 ならば、あれをどうにかして始末するためには、それに適した状況を作り出すしかない。 今の集団を上手く分断し、エトナを殺す為の装備を取り戻すに最適な状況を、だ。 だが、レシィから力づくで剣を強奪する訳にもいかン。 二人の監視の目もある。状況は己に不利となるばかりだ。 それに、たとえ体よく盗めた所で。 先程のように、レシィが動物並の嗅覚で 体臭を頼りに追跡してくるのは確実だ。 ここで奪うのは、あまりにも割に合わン。 もう一度依頼して、レシィがもう一度快く貸与してくれればいいンだが。 それにした所で、ご主人さまが見つかった時は剣を返す必要がある。 もっとも、その間にレシィが人知れず死にさえすれば話しは変わるのだが…。 ――そう、人知れずにな。 オレの中にある、極めて醒めた傭兵として部分が、そう囁く。 第一、生前から邪魔者は手段を選ばず排除してきた身だ。 敵味方問わずに、な。 その犠牲者の中に純真な少年の死体が一体加わったところで、 今更何の良心の呵責も抱きはしない。 そんな役に立たないもンは、とっくの昔に捨てちまったからな。 それが一体どういうものか、今じゃもう思い出す事すらも出来ン。 レシィを置き去りにする事が極めて困難である以上、 彼の処遇についても早々に決めてしまわなければならンだろう。 この先あいつを利用し続けるべきか? あるいは、早々に始末すべきなのか? ――オレは考える。 非難されずに邪魔者のみを効率よく排除する方法を。 レシィから武器を頂き、安定した戦力を得る方法を。 この俺に、出来るだけ火の粉が被らないように。 この俺が、まだ両方の立場も選択出来るように。 そして、その状況を得る一つの論理と回答を得た。 ――あとは、実行あるのみ。 オレは計算を終えてそう判断すると、レシィに向かって大声を上げた。 ◇ ◇ ◇ 「オイ、レシィ!いつまでもボケッとしてんじゃねえッ!」 「――え?!あ、はい!!ガフおじいさん!!」 レシィはほとんど反射的にオレの返事に答えた。 まだ返答するだけの元気と正気は、どうやら残っていたらしい。 ウィーグラフはおろか、こちらに向かおうとしていた優男も、 オレの出したその大声に注意を引かれる。 オレはこの場の主導権を、周囲の注目を集める事で奪う。 あとは、どれだけこの状態を維持できるか?それで全ては決まる。 これ以上、厄介な不条理に振り回れるのはたまったもンじゃねえ。 不確定要素や不安要素は、早期に出来るだけ潰しておくに限る。 ウィーグラフやレシィは、まあどうとでもなるだろう。 だが、問題はあのエトナの自称父親のあの優男だ。 …こちらの誘導には、エトナとの隔離には、 まずあいつをまずどうにかせにゃいかン。 さっきのエトナって小娘との会話で、優男の性格はおおむね想像は出来た。 あの優男の言葉遣いからは、十分な知性というものが感じられる。 おそらくは、その外見以上に濃い人生経験を重ねているのだろう。 だが、情が深いが故にそれが絡むと目が曇るタイプと見えた。 だからこそ、すでに打つ手も見えている。だが、過信は禁物だ。 …オレの見立てが、果たして間違いじゃなきゃいいンだがな。 オレは別の思考を並行させながら、次の言葉を紡ぎ出す。 「レシィ!お前にゃ泣く前にまだやるべき事があるだろうがッ! 御主人様を探して、無事その剣を渡すって大事な仕事がなッ! 死んだアメルって奴が、お前がそこで挫けて腐っている様を見て、喜ぶとでも思ってるのか? そこで手をこまねいていて、アメルがそれでいいとでも思ってくれるのか?」 オレはここで一呼吸を入れる。この次を、殊更に強調するために。 「思いはしねえだろ!むしろ、自分や他の仲間の事を先に考えろっていうだろうが! わかったら、そこでいつまでも女みたいにメソメソしてやがるンじゃねえッ!! てめえも前に付いてるもンがある、立派な男なンだろうがッ!!」 オレの一喝に、レシィは衝撃を受けたように背を伸ばし、心を奪われる。 陳腐に過ぎる激励の言葉だが、使い古されている分安定した効果はある。 ま、この部分についてはオレも嘘は付いちゃおらンだがな。 ウィーグラフは非難がましい、警戒感を剥き出しにした視線をこちらに寄越す。 ――ま、これも想定通りだ。 「それとも何か?さっきのヴォルマルフの野郎の言い分に乗り、 死んだ奴を蘇らせるため、早速オレたちを残らず殺す決心を固めてやがるのか? …ま、それも良いかもしれンな?なにせ、オレも生き返った身の上だ。 死んだ人間の一人や二人、纏めて蘇らせるなど造作もないだろうからな?」 少々勿体ないが、ここで温存していたカードを一つ切る。 ウィーグラフとのやり取りは、レシィも覚えていただろう。 死者蘇生において、これは極めて現実味を帯びる事になる。 もっとも、今の暴露はレシィが危うい方向に傾く前に、 あらかじめ釘を刺す意味合いも含まれているのだが。 だがまあ、こいつに限ってこれはあり得ンわな? あいつにはまだ四人、仲好しの知り合いがいるからだ。 オレは心にもない事を口にし、レシィの反応を窺う。 「ガフガリオン、貴様…。」 ウィーグラフの視線が、怒気を通り越して殺気すら帯びる。 その利き腕は、既に腰の剣にかかっている。 「これ以上余計な事を言えば斬る」とでも言いたいのだろう。 だが、レシィはウィーグラフの前に立ちそれを阻むと、オレに向きなおる。 「違います!ボクはそんな事、絶対にいたしません!!」 レシィがオレを睨みつける。 だが、その瞳の奥に燃える感情はオレへの憎悪ではなく。 悲壮感と、ある種の決意が見て取れた。 「それにです。もし、ボクがそんな事をすれば…。 ご主人様やネスティさん、それに多くの仲間たちがみんな、みんな悲しみます! アメルさんだって、ボクがそんな事をして蘇らせた所で絶対に喜びません! ご主人様達の為に! この場にいる皆の為に! なにより、アメルさんの為にッ! ボクはこの先どうあろうとも、みんなと一緒にこの争いを止めてみせますッ!」 レシィの瞳には、先程の淀んだ濁りは既になく、その奥には光が戻っていた。 空元気、とも取れなくはない。だが、根が単純な分、効果は絶大だったようだ。 「…よし、これで喝は入ったな。レシィ?」 ここで俺は、取って置きの笑みを浮かべる。 見せ付けるような、腹黒い策士の笑顔だ。 そう。今の台詞は芝居である事を強調した方がいい。 さらに奥底に潜む真意だけは、決して悟られてはならないが。 オレの芝居がかった笑顔に、レシィは得心したように顔を輝かせ。 一方で、ウィーグラフはまとめて苦虫を噛み潰したような表情でこちらを見た。 オレの芝居を理解はしたが、こちらをまだ信用してはいないらしい。 …意外に、オレの真意にはおぼろげに気付いているのかもな? 「…ガフガリオン、貴様が他人を思いやるのには驚かされたが。 物事には、まずは言い方というものがあるのではないのかッ?」 言葉の端に怒気すら滲ませて。ウィーグラフはこちらへとにじり寄る。 ただし、声高に非難する様子はない。こちらの言い分の正しさをも、理解しているが故に。 そして、相手がこちらを正しく理解しているなら、次に発する言葉も恐らくは想定通りだろう。 「それとも、だ。他になにか狙いでもあるのか、ガフガリオン? 昔から目的の為なら手段を選ばぬ貴様が、ただで他人を利するなどありえない。 この少年を再び誑かせて、今度は一体何を企んでいる?」 正解だ。そして正しい認識って奴だ。 だがな、その言葉こそを待ってたンだ。 「…で、もしもこのオレが何か企ンでいるとか言ったら?」 「斬る!やはり貴様は信用ならん。甘言を弄して何か企みを為す前に、 厄災の種は早々に摘み取るに限る!」 オレの軽くおどけた挑発に対して(実は嘘など付いちゃおらンが) ウィーグラフはそう言って、今度こそ剣の鞘に手をかける。 なンだ。その一点じゃ意外と気が合いそうだな、お前とは。 ま、こちらが摘み取る厄災の種って奴は違うンだがね。 「ほう。丸腰のオレをただ“疑わしい”って理由だけで斬るって言うのか? 万一、無実ならどうするつもりなンだ?それでも念のため殺るっていうのか? それもたった今、レシィ達の前でか?そりゃ、大した騎士道精神だな。 今は亡き骸騎士団の連中も、さぞや感心するだろうよ。 アンタは疑わしきは滅する、正に騎士の鑑だってな。 誉れ高き東天騎士団の某分隊長にも、決して引けは取らンだろうとよ。」 オレはあえて「骸旅団」ではなくて「骸騎士団」の名を出す。 そしてその引き合いに、あいつが軽蔑しているオレの事を出す。 その言葉が持つ、痛烈な皮肉の意味合いに気づいたのか。 ぐぬっ…、と小さなうめき声を挙げて悩み出す白騎士。 己の「騎士道精神」とやらが、大きな障害となったのが目に見える。 確かに、こちらに決定的な不正の証拠もないままに、 問答無用で斬り捨てればレシィは黙ってはいまい。 後味の悪いものを、数多くその場に残すことになる。 レシィがウィーグラフを一切信頼しなくなり、 むしろ憎悪するようになるのは当然の結果だ。 一緒にいる、優男の信頼も失うかもしれない。 それ位はあいつの頭でも理解はできるのだろう。 …お前の判断は、決して間違ってなンかねえよ、ウィーグラフ。 過去の経歴を知ってりゃ、尚更だ。 もしオレがお前の立場なら四の五の言わせずに、 たとえ無実だろうが疑わしきは斬り捨てるがね? ま、「人知れず」って条件は付けるがな。 それが一番確実だからだ。オレ達は所詮人殺しだ。 それが死体を増やす事に、一々躊躇うンじゃねえ。 オレは目の前の騎士が同じ発想に到る前に、 続けて言葉を繰り出す。 「オレが怪しいかどうかは、オレの話しを聞いてから決めても遅くはねえだろ? それに――。」 「それに?」 オレは一旦言葉を切り、優男に視線を送る。 無論、しばらくここに釘付けにする為にだ。 「この先オレ達全員がどう動くにしろ、情報交換は欠かせン。 レシィも、ウィーグラフも、そしてアンタもだ。 何も知らず、今下手に動くの危険過ぎる位はわかるだろ? …まずはそれからだ。」 正確には、「このオレが上手く動くために」なンだがな? オレは心の中でのみそう呟いてから、口を開き始めた。 ◇ ◇ ◇ 情報交換という名の“情報収集”は、意外とあっけなく終わった。 一縷の望みをウィーグラフに託してはいたが、 やはりというか、大した情報は与えられていなかったらしい。 これまでに遭遇した人物の情報も一切なし。 …ようは、オレの勘は外れってことだ。 あえて収穫を挙げるなら、神殿騎士団全幹部の名前及び戦力だろう。 この殺し合いを、ヴォルマルフ一人で取り仕切っているとも思えん。 対峙する事になるなら、いずれそういった連中と向き合う事になる。 オレはその幹部達の名を尋ねた。 神殿騎士ローファル・ヴォドリング 文武に長けた魔法剣士 神殿騎士バルク・フェンゾル 反体制派の機工士 神殿騎士クレティアン・ドロワ 才気溢れる妖術師 神殿騎士イズルード・ティンジェル 理想に燃える若き騎士 神殿騎士メリアドール・ティンジェル 父の術技を受け継ぐ剛剣使い 神殿騎士幹部全員の大雑把な戦力とその性格をウィーグラフから聞き出し、 参加者名簿の空白欄のメモに残らず書いておく。 後々、役に立つ事があるかもしれンからな。 気が付けば、流石にその情報の重要性に気付いたのか、 残る二人もその名前を名簿に刻んでいた。 特に後ろ二人は重要だ。 ともすれば、ヴォルマルフの人質に出来るかもしれン。 ただし、ウィーグラフからの話しを聞く限り、 到底このゲームに賛同する性格だとも思えン。 そもそも、この二人に到っては最初から協力させていない可能性すら考えられる。 ま、あまり当てには出来ンって事だな。 表情はつぶさに観察してみたが、全ての情報において別段嘘を付いている様子もない。 つまりは言い分を信じるなら、「ウィーグラフは本当に捨てられた」事になる。 今の段階では、未だ断定には足らンのだが。 まあ、元から真面目すぎて融通の利かなさそうな奴だ。 せいぜいが猪武者としてしか利用できん。諜報戦など論外だ。 ヴォルマルフが捨てたくなる気持ちも、まあ分からンでもない。 だが、おそらくはそれも織り込み済みでスカウトしてるだろう。 もし、ヴォルマルフがこいつを殺すつもりなら、 もう少し有効な形で使い捨てる筈だが? オレが推測できるのは、それまでだ。 ビューティー男爵『中ボス』というけったいな名の優男の情報も、 それなりに価値のあるものだった。主に、危険人物に関してであるが。 いわゆる正義馬鹿だと思われるフロンとゴードン。 エトナって狂犬の他にも、ラハールという魔王の息子って奴が知り合いにいるらしい。 ラハールはエトナに輪をかけてのかなりの厄介者らしい。 あの会場で高笑いしてバールって奴に吹き飛ばされていた、あの半裸の少年だ。 関わり合いになりたくない奴だとは思ったが、 あいつもまたこの優男の知り合いとはな。 …アンタにゃ、心より同情するよ。 そんな者達の保護者をやってたなンてな。 まあそんな所で。 それぞれの簡単な自己紹介とそれぞれの知り合い、 これまでに出会った人物達の確認、 そして今後の取るべきの確認にいたった訳だが…。 件の優男は、見るからに焦りを見せていた。 『“お花摘み”にした所で、どうにも遅すぎる』という事だろう。 ――ま、あの様子じゃ二度と戻っては来ンだろうがな。 もう少し、お前は女心って奴は理解したほうがいい。 そのため、これから一人失う破目にあうンだからな。 ――さて、本番はこれからだ。 優男が口を開こうとする直前に、オレはあいつの要望を先に口にする。 この場を仕切っているのはオレだ。余計な流れに持っていってはならない。 「…あのエトナってお嬢ちゃん、随分と遅いもンだな?」 「もしかして、エトナさんに何かあったのでしょうか?」 知り合いのアメルって娘が死んだのがまだ堪えているのか? 不安を煽る事を口にするレシィ。…いいから、お前は黙れ。 露骨に顔色を悪くする優男に、俺は静かに諭す。 「“何かあった”んじゃなく、“ここで何かあった”からって事かもしれンがな。」 「…どういう事なのか、お答えしていただけますか?ガフガリオンさん。」 出会ったころの情けない顔とは違い、張り詰めた顔で俺に話しかける優男。 ま、想像も付かンってのは理解できる。親馬鹿ってのは、そういうもンだ。 オレは出来るだけわざとらしく、聞えよがしに大きな溜息を吐く。 「…やっぱり、気付いちゃいなかったンだな?」 オレは肩をすくめ、心底呆れた顔を作る。 ウィーグラフがそんなオレを見て神経を尖らせるが、それは黙殺する。 「“子の心、親知らず”って奴だよ。 お前さん、あのエトナって娘の気持ちを考えた事はあるのか? そりゃお前さんなりにってのは理解できる。誰にだってわかる。 さっきお前さんは『彼女を実の娘のように思っているようだから、 父親として必ず守ってやる』みたいに言わなかったか?」 この優男の言葉は、じつの所はほとんど聞こえていない。 エトナって小娘だけがやたら大きかったので、その内容から推測するしかない。 だが、その大きく驚いた顔から、事の核心は付いていたようだ。 「そりゃ、あの娘が怒り出すのも当然って奴だ。 あの位の年頃の娘ってのはな、みんな親から自立したがるものだ。 『親が無くともやっていける。あたしは一人前なンだ』ってな。 『親の助けを必要とする程の未熟者なんかじゃない』ってな。 ようはな、お前さんに認められたいンだよ。対等の存在としてな。 それをな、お前さんは頭ごなしに否定しちまったンだよ。優しくな。」 オレの話しを聞き、小さく後悔のため息を漏らす優男。 随分と年季の入った溜息だが、見た目以上に長生きしているのかね? まあ異世界のルカヴィだってことらしいが、どうにも人間臭すぎる。 禍々しさやおぞましさなんぞ、欠片も感じやしねえ。 その耳さえ尖って無けりゃ、人間だっていっても通用するほどに、だ。 少なくとも、グレバトス教会の糞坊主どもよりは余程人間味がある。 「今、お前があのエトナって娘を追いかけても、却って逆効果だ。 出会って何を言っても、火に油にしかならン。 向こうにしてみりゃ、こっちを悪気なく小馬鹿にしくさった、 分からず屋の“父親”なンぞ顔を合わせたくすらないだろう。 しばらく向こうの頭が冷えるのを待って、それからゆっくり話しあえ。 過保護に構い続けるんじゃなく、時にはあえて一切の手や口を出さず、 娘の自立を黙って促せてやる。 それも、立派な父親の仕事の一つなンじゃねえのか?」 これも別段、何一つ間違った事は言っちゃいない。 無論、オレが伏せている推論はある。 「『あのガキは背伸びしてお前に惚れてるんだ』ってな? 『一人のオンナとして、認められたんじゃないか』ってな?」 まあ女のヒステリーの理由なんて、大半が惚れた腫れただ。 そりゃ古今東西、どこの世界でも変わらン。 傍で見ている分にゃ可愛いもンだ。 だが、あの娘のヒステリーは台風並の破滅しかもたらさんだろうが。 ――周囲を盛大に巻き込んでのな。 オレは優男に向けて口元を歪める。 ここはさっきの策士の顔でなく、年長者の貫録の笑顔で。 そういや、オレにも家族ってのが昔あったな。 ま、今更思い出すつもりもサラサラないがな。 オレはふと遠くを眺めたが、その様子が優男の心の琴線にでも触れたのか。 優男はどこか疲れた様子で、釣られてオレに微笑を向けた。 「ええ。貴方の言う通りかもしれませんね。 私にとってみれば、まだまだエトナは不安なのですが…。 あの娘の成長を、もう少し信頼してあげるべきなのでしょう。 私はいつまでも我が子が心配な、駄目な父親なのかもしれません。 親離れ・子離れの時は、すでに来ているのかもしれませんね…。 ――困ったものです。」 溜息を交え、優男は寂しげに笑う。 いや。お前の判断は正しい。まったくもって正しい。 あの気狂いは野放しにすると危なすぎるンだ。 今付いているような首輪でも付けて、絶対に外にでも出ないよう、 いつまでも監視しておくべきだったんだ。 だがな、もう心配するな。あの娘がこれ以上なにもしでかさないように――。 ――オレがキッチリ責任を以て、あの世に一人立ちさせてやるからな? その殺意を決して表情には作らず。おくびにも態度には出さず。 オレは一つの決心を固める。 「だが、ま。あの娘がどうしても心配ってのなら、 オレが代わりに遠くから見守ってやってもいい。 危なっかしそうなら止めてもやる。 頭が冷えた折り合いを見て、あいつに声を掛けてやろう。 あの娘との再会は時間をかけてから…そうだな。 深夜0時位に、あのB-2の塔で合流しよう。 オレがあいつを説得して、どうにか引き連れる。 …そいつでどうだ?」 オレの提案に、優男は不安な顔を浮かべるものの、 やがて苦渋の笑顔を浮かべ、俺に依頼する。 「ええ、こちらこそ。願ってもない提案です。 貴方なら先程のレシィのように、任せるに足り得るでしょう。 では、よろしくお願いいたしますよ?…ガフガリオンさん。」 「ま、任せておいてくれ。…おい、レシィ!!」 「は、はい!」 「…レシィ!一緒にエトナの奴を探しに行くぞ? この薄暗闇の中、お前の鼻なしじゃどうにもならン。」 「じゃ、アンタ達は先行して、塔の様子を見に行ってくれ。 そこに他の参加者がいないとも限らンからな。 さりげなく。ごく自然に。 オレは人員を都合のよいように選りわけ、 武器を手にいれてエトナを始末しやすい布陣を引く。 優男をこちら側から遠ざける理由。 レシィ(と手に持つ剣)をこちらに引き寄せる理由。 このどちらも、周囲を納得させるには十分なものだ。 無論、オレがエトナを連れて塔に向かうつもりは毛頭ないのだが。 向かうとしても、エトナが塔に戻れるようには決してしないだろう。 …レシィは、まあ。あいつ次第だろうがな? オレの呼び出しに、レシィは一も二もなく付き従う。 その純真さがお前の取り柄だが、今回ばかりは仇になるかもしれん。 ――俺はそう腹の底では考えながら、 もう一度こちらに剣を貸すよう促す。 以前よりは悩む時間が格段に増えていたが、 先ほどの励ましが効いたのだろう。 快い笑顔を向けて、オレに“二振りの”剣を差し出した。 鳥の翼の付いた、あの魔剣も添えて。 「オイオイ、こっちはヤバいからいらンと言ったはずだが?」 「いえ。これはやはり貴方に持っていたいのです。こちらは差し上げます。 今の剣はご主人様のものです。こちらはやはり差し上げられませんから…。 こちらは、あくまでもお貸しするだけです。 それに、さっきのように、もう一度別れてしまうような事があるかもしれません。 その時、何も無いよりはよいかと思います。どうせ、ボクには扱えませんし。 どうしてもっていう時にのみ、そちらの剣をご利用になってください。」 オレの抗議に、レシィは破顔して答える。 なるほど。あいつなりの厚意と返礼ってことか。 こりゃ、断る方が気まずくなりそうだな。 ま、これを抜くことはないと願いたいが――。 オレは二振りを腰に差してからレシィを促し、この場を立ち去ろうとする。 ――エトナを探し回り、確実に始末をしに。 オレは背を向け、ゆっくりとレシィを先頭に村への方角へ向かおうとするが――。 ウィーグラフがオレに抗議の声を上げる。…ま、そう来るだろうな。 「貴様、どうにもうまく二人を丸めこんだようだが、私の目は誤魔化せんぞ。 どうにも怪し過ぎる。私も、貴様に付いて行くことにしよう。貴様を監視する為にな。」 来やがったな。こいつがいると、どうにもやり辛くなる…。 だが、その辺りのトラブルはすでに想定済みだ。 「ま、勝手に付いて来るのは別に構わンのだが…。 お前は今、丸腰に近いその相棒を放置してオレに付いて来るのか? この薄暗闇の中、ゲームに乗った奴がどこにいるかもしれんのに? こりゃ、このオレも随分と慕われたようだな?」 その実に分かりやすい反論に、ウィーグラフは言葉を失う。 あいつは、その義理固さからあの優男を決して一人出来ないだろう。 そして、優男は今エトナと出会えば火に油を注ぐ事になる。 だからこそ、こちらには決して付いて来れない。 ま、分断工作って奴だ。 「…悪い事は云わン。お前はそいつを守ってやれ。その方が、オレといるよりやり易いだろ? それに、だ。お前の考えるオレのような奴が、まだまだこの近辺にいるかもしれンからな?」 オレはウィーグラフの不審を軽くあしらう。 ま、お前さんの推測は全く以て外しちゃおらンだがな? オレを疑いたいのなら、証拠を出せないなら まずは味方を付けておくべきだったな? オレは心の中で舌を出しながら、今度こそ二人で村へと向かい始める。 ウィーグラフ達はこちらを見送ってから、西に向かいだした。 ま、これでしばらくあいつらの足止めは叶ったということか。 あとはエトナとレシィをどうするか、についてだ。 ――――エトナはいかなる場合においても、必ず殺す。 これは揺るぎ無い。気分次第で誰にでも噛み付く上に、 全く交渉の余地のなさそうな狂犬は害にしかならン。 だが、どのようにして始末すべきか。そこが問題だ。 あの様子だと、誰でもいいから最初に出会った赤の他人を襲い出しかねン。 迷惑な事この上ない。まあ、今回の場合だけはむしろそうあって欲しいのだが。 そうでなければ、レシィの目を振りほどいて闇討ちをする手間がかかっちまう。 まあエトナが暴走した場合、あれを文句なく殺せる大義名分が出来る為、 こちらとしては願ったり叶ったりだからな。 レシィにも、十分な言い訳は立つ。 もっとも、完全に承服するわけでもないだろうが。 襲われた方にも「助けてやった」恩義も高値で売り付けることもできる。 言う事なしだ。その恩義は後々に大きく活用できるだろう。 万が一、襲われた方ももしこのゲームに乗っているなら、まとめて殺せばいい。 それがもしこちらの手に負えそうな存在でなければ、早々に逃げれば問題ない。 その為にこそ、レシィという生きた人間の盾があるのだ。 それでどちらにせよ「武器を手に入れてエトナを殺す」こちらの目的だけは果たせる。 だが、その場合はレシィが殺害されるところは見届けておくか、 自分自身の手で確実に止めを刺しておく必要性はあるだろう。 同じ失敗を二度繰り返すつもりは、毛頭ない。 ――――ただし、レシィは状況次第によっては生かしておいてもいい。 こいつの戦力と、底抜けのお人好しさは利用価値がある。 邪魔になるようなら始末も止む無しなンだが、 こちらはエトナと違い制御できる余地はある。 ウィーグラフやアグリアスのような堅物相手に交渉する際、 その人の良さは緩衝材としては有効に機能する。 こいつの仲間と判断されるだけで、警戒心は和らぐだろう。 エトナとは真逆、ということだ。 ま、出来れば生かしておいてはやりたいンだがね。 あとは、レシィ。お前次第だ。 オレは冷徹に計算しながら、レシィを先頭に村へと向かいだした。 【C-3・草原の村側(東側)へと向かう道/1日目・夜(放送後)】 【ガフ・ガフガリオン@FFT】 [状態]:健康、エトナに対する限りなく冷たい殺意 [装備]:絶対勇者剣@SN2、碧の賢帝(シャルトス)@SN3、天使の鎧@TO (血塗れの)マダレムジエン@FFT、ゲルゲの吹き矢@TO [道具]:支給品一式×2(1/2食消費) 生肉少量 アルコール度の高い酒のボトル一本 [思考]:1:どんな事をしてでも生き延びる。 2:まずはラムザと赤毛の女(アティ)を探して情報収集。邪魔者は人知れず間引く。 3:ラハール・アグリアスには会いたくない。 4:エトナを中ボスとの再会前に必ず始末する。 5:レシィがエトナ殺害や逃走の邪魔者になるなら、まとめて斬る。 6:ウィーグラフを警戒。機会あらば悪評を流すか、人知れず不意を討ち始末する。 [備考]:ジョブはダークナイト、アビリティには現在、拳術・カウンター・メンテナンス、 HP回復移動をセットしています。 【レシィ@サモンナイト2】 [状態]:健康 、強い決意、精神的喪失感(小)、刺激臭による嗅覚の低下 [装備]:サモナイト石[無](誓約済・何と誓約したものかなど詳細は不明)@SN2or3 [道具]:支給品一式(1/2食消費) 死者の指輪@TO 生肉少量 [思考]1:ガフおじいさん、貴方を信じます! 2:殺し合いには参加せず、極力争いごとは避ける。 3:どうしよう? 臭いがまだ鼻に残っている…。 4:アメルの遺志に従い、仲間や協力者を集めてゲームを破壊する。 5:ラムザ、赤毛の女性(アティ)、ラハールを探してみる。 [備考]:シュールストレミングの刺激臭を吸い込んだ後遺症により、鼻の効きが若干悪くなっています。 少休止したことにより、歩き詰めによる疲労は回復しております。 【C-3・小山の麓(西に進行中)/1日目・夜(放送後)】 【ウィーグラフ@FFT】 [状態]:健康 、ガフガリオンに対して軽い不信感 [装備]:キルソード@紋章の謎 [道具]:いただきハンド@魔界戦記ディスガイア、 ゾディアックストーン・アリエス、支給品一式 [思考]:1:ゲームの打破(ヴォルマルフを倒す) 2:仲間を集める。 3:ラムザと、ガフガリオンの言う赤毛の女(アティ)、ラハールの捜索 4:ガフガリオンをあくまで警戒(不審な行動を見せれば斬る) [備考]:ジョブはホワイトナイト、アビリティには現在、拳術・カウンター・攻撃力UP、 HP回復移動をセットしています。 :ガフガリオンの過去の経歴を知っている為、 彼の言動に本能的な違和感を感じています。 ただし、疑うに足る確証もまたありません。 【中ボス】 [状態]:顔面に軽症(行動に一切の支障なし) [装備]:にぎりがくさい剣@タクティクスオウガ [道具]:支給品一式 、ウィーグラフのクリスタル [思考]:1:ゲームの打破 2:自分が犠牲になってでもラハール達の帰還 3:…困りましたね、反抗期? 4:やはり、構い過ぎなのでしょうか?ダメな父親ですね、私も…。 5:赤毛の麗しきマドモワゼル(アティ)。フム、気になりますね…。 って、これは浮気じゃないですよ皆さぁーん!! [備考]:先程のレシィとのやり取りと、エトナの事に関する助言で、 完全ではないものの、ガフガリオンを概ね信頼しています。 [共通備考]:情報交換により、神殿騎士団幹部五名の大雑把な情報を入手しました。 以上五名は、この殺し合いの管理補佐を任されている可能性を考慮しています。 (メリアドール・イズルードの存在については、ガフガリオンは疑問を抱いています。) 中ボスの情報提供により、ラハール、エトナ、フロン、ゴードンの事を知りました。 なお、カーチスとは直接の面識がないため、中ボスは特に何も語っていません。 ガフガリオンがラムザと赤毛の女(アティ)を重要人物として捜索している事を この場にいる三人に話しました。 なお、午前0時に、B-2の塔でエトナを連れて再会する予定を立ててます。 (ただし、ガフガリオンは生きたエトナを連れて来る予定は毛頭ありません。) 106 想いこらえて(前編) 投下順 107 悪の軍団 106 想いこらえて(前編) 時系列順 113 FullMetalDemon 093 臭いと芝居と色々と ガフガリオン 113 Knight of the living dead 093 臭いと芝居と色々と レシィ 113 Knight of the living dead 093 臭いと芝居と色々と ウィーグラフ 125 Box of Sentiment 106 想いこらえて(前編) 中ボス 125 Box of Sentiment