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#blognavi 非常に評判の悪かった今回の解決法だが あれはあれで便利なものだったと思っている。 もしも自由に起動、停止ができるのならば積極的に使いたいくらいだ。 というのは俺の優柔不断さゆえに今まで決め切れなかった出店関係の諸々が かなりの効率で動き出すよう決定していっているからだ。 俺は、優柔不断な俺が嫌いだ。 だが、周りは俺を優柔不断だとは思ってくれない。 必死に今取れる選択肢を選んでいるだけなのだがそうは見てくれない。 選択肢が多過ぎると困ってしまう。 まあ、自由に感情を制御できるようになったとしても 感情を制御すべきかどうかでどうせ悩むんだから意味ないのかもしれないな。 カテゴリ [普通] - trackback- 2012年06月30日 01 11 43 #blognavi
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楽しい宴会でしたね… アンジェリカEND アンジェリカ優柔不断END シェルディアEND シェルディア優柔不断END
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11◆因果往訪 えーどうもみなさんお久しぶりです、 わたくし四字熟語うずまくバトルロワイアルな実験に放り込まれてしまいました哀れな一般人、優柔不断と申します。 先の話ではスーツの人(スーツだし多分男だろうからどうでもいいや)から全力で逃げるという大失態をかましたわたくしでしたが、 わたくしはめんどいからオレに戻そう、 オレでしたが、そのあとどうなったかというとまあお察しの通り逃げ切ることが出来ました。 というか逃げまくった結果C-2からA-1まで来てしまったんでございます。 ……というか。というか。 A-1で合ってるんだよな、ここ。 たった9マス分しかないマップで迷子になるとか、子供ならまだしも、 19歳フリーター人生継続中の肩書きを持つ男がやっちゃいけない気がするぜ……。 重度の方向音痴って、たとえ女の子でも萌えキャラと残念キャラのどっちになるかギリギリってとこだよな。 オレはいいと思うけどね。むしろかわいいとさえ思う。 方向音痴かわいい! かわいいよ方向音痴! って連呼攻めしたい。 それで恥ずかしがって涙目になってる女の子の周りをFate/zeroのアニメばりにぐるぐる回りながら鑑賞したい。 少女の周りを回る会会長、優柔不断は少女には手を出さない。 って書くとなんかそこら辺のラノベのタイトルみたいだよね。 ここで話変わるけど、最近のラノベのタイトル。本当に頭沸いちまってるんじゃねーかと思うようなのがごろごろしてません? 一番最近でヤベェと思ったのは「クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門」ってタイトルだな、 もうそれ入門書じゃないですか!? 表紙にマロ眉の女の子がいなかったらラノベと一目で分かりません! ってツッコミ入れそうになったよね。 まあオレは大人だから「クズがそれなりになってもモテないだろ!」って突っ込むけどね。 世知辛い世の中、モテるのはラノベとエロゲとギャルゲーとイケメンリア充だけって相場が決まってるんです。 クズはいつまでたってもクズなんで、クズなりの人生を生きるしか無いわけですよ。 ああ、悲しきかなクズ人生。 優柔不断なオレはクズもみるみるさらなるクズになるような人生を送ってきました。語りたくもねぇよ中学時代とか。 うん、閑話休題(一回使ってみたかった)。 話をもとに戻そう。 いまオレがいるのはA-1でいいとして。 このA-1エリア、多分禁止エリアにはならねーんじゃねーかなってオレ思ってるんですよね。 禁止エリアってのはルールに書いてあったんだけど、 4人死んじゃったあとにされる店内放送ってやつで、9マス中2マスが「入ったら死ぬよ」扱いになるルールでですね。 そうやってだんだん範囲を狭めていって最終的に、殺し合うしかないぜ! って状態にオレらを追い込もう、ってルールみたいなんですけど。 このA-1エリアに関しては立ち入り禁止にする意味が無いっていうか。 マップの9マスの中で唯一、建物も駐車場も屋上駐車場に昇るためのスロープもない、 ただ植木と外への道(当然外には出れないよう封鎖されとる)があるだけの簡素なエリアなんだよね。 誰もこねぇよこんなとこ、っていう。 だからオレもこうして心の中で饒舌に喋れてるわけだけど、 こんなエリアを入るの禁止にしたところで殆どの奴は痛くもかゆくもないと思うんだよな。 ……ごめん、でも待って。 オレと同じこと考えてるやつがいた場合のこと忘れてた。 もし、もしだぜ? オレと同じ考えで「A-1に来るやつなんて居ない」って思ってるやつが、オレと同じくらいのヘタレだったら。 このギリギリ人が隠れられるくらいの植え込みの中とかに隠れてるってことも、なくはない、かもな……。 そうなると――――ん? 今、 「いやいやいや、そんな事より支給品を確認しようぜ、オレ!」 はい、思考停止します。 実は今、植え込みの中で一瞬「ガサッ」って音が聞こえたんだけど、思考停止しました。 よーし、ぼく支給品確認しちゃうぞー。まずは血のついた日本刀! 「うん……これホント怖いんだけど。とりあえず地面に置いとくか」 次! こっちがオレの本来の支給品だった、激辛よもぎ団子三つ! 「うん、カロリー抑えめ、中身はあんこの代わりにタバスコを振りかけた黒胡椒クリームとなっています! って待てえええええ!? これ明らかにハズレだろ! せめて毒入りとかにしろよ!!」 いくらなんでもムカついたのでよもぎ団子のうちの一個(個別に包装されていた)を茂みの方に投げてやった。 ひゅーんと放物線を描いてこの娯楽施設を囲む茂みの外に飛んでいくよもぎ団子は、 突然空中で見えない壁に当たったかのように止まり、ちょっと跳ね返って茂みの中に落ちた。 ……そういう仕組みなのかこの空間。 まさかの発見に、オレは自分を褒めてやりたい気持ちになる。 なんか落ちた茂みのほうから「痛っ!」って女の子の声が聞こえたような気がする、けど気にしない。 はっはー、女の子の声くらいで俺がすぐ理性を失って飛び込むと思った? 残念! オレはあんなハスキーボイスよりはもっと素朴な声の子が好きなんで! 他にもなにか無いかデイパックをがさがさとする、 でもあとは基本支給品の地図や名簿、ルールのおさらい用紙しかないようだった。 そういえば食糧とか水とかは、ホントに現地調達しかないんだよな。 今はまだいいけど後で娯楽施設の中に入ってなんか取りに行かなきゃなあ……、 まさかよもぎ団子(しかも激辛)一個で生き延びるわけにも……いや、 でも中に入ってさっきのスーツの人みたいな危なそうな奴に会ってもなあ……。 「いっそこのまま何にも決めないで、ここでのんびり過ごしてたらいつの間にか優勝してました、 みたいなことになったらいいんだけど~……なんて」 どう考えても無理な願望を呟きながらオレがくるっとその場でターンした、そのときだった。 誰もいなかったA-1エリアに――背の低いおかっぱ頭の男(なんか怒ってる)がいつのまにか入ってきていたのを、 無駄に視力が2.0のまんまのオレの瞳は捉えてしまった。 あ、おはようございます。 ってそんな雰囲気じゃないよねー。あっははは……。 ◆◆◆◆ おかっぱ頭にモノクロ服の男、心機一転は憤慨していた。 道すがら出会ったおっさんをだまくらかして、手に入れたと思った閃光弾を眺めようとしたら煙のように消えてしまった。 となれば、鏡花水月と名乗ったおっさんに一杯喰わされたことに気付いて憤慨するのは当たり前だった。 「おいそこのお前。雰囲気イケメン気取ってるお前だよ。お前、ルール能力は何だ?」 こちらの方を向いて、ようやく自分の存在に気付いたかのように驚いている男にイラつきながらも質問する。 武器の強奪を狙っていた心機一転に対し、《幻影の閃光弾》を自分から渡すことで軽くいなした舞台役者。 鏡花水月に対する心機一転の怒り方を一言で表すなら、安い怒りだった。 他人に悪口を言う人が、いざ自分が悪口を言われる番になると怒り狂うように。 これまで友人たちや恩師を騙し、お金を悠々と手に入れていた心機一転は、 自分が騙されることに対しては非常にナーバスだったのだ。 「えーオレのルール能力っすか? いや、分かんないんですよねー。あの、そちらはどんなルール能力を?」 「私のルール能力は人を殺せる能力だ。お前だってすぐに殺せる。死にたくなければ、私にその武器をよこせ」 「ええー……いやあの、殺せるんならオレを殺してから奪えばいいんじゃ」 「うるさい! おとなしく従えば命までは取らないって言ってんだ! だからさっさと、私に従えー!」 怒りは人を単純にする。 だから心機一転は優柔不断に向かって、ろくな話術も使えずに墓穴を掘ることになってしまっていた。 殺せるのに武器を欲しがる矛盾――考えるより先に言葉が流れ出ていく心機一転のよく陥るミスだった。 (くそっ……くそっ! あの少女と言い、役者のおっさんといい、私をコケにしやがって! あの日本刀を手に入れさえすればあいつらだって殺せる! そうだ、最初に誓ったじゃないか……。 私は殺し合いに乗るって決めたはずだ! だから殺してやるんだ! 文句なんて言わせないぞ!) しかしそのミスすらもカバーしようという気にならないほどに、 心機一転の両目は地面に置いてある血の付いた日本刀に釘付けになっていた。 あれさえあれば人を殺すことが出来る――その欲望への魅惑、誘惑が心機一転を突き動かす。 目の前の男はどうやら、自分のルール能力にまだ気づけていないらしい。 主催者は実験の性質的に多種多様なルール能力を与えているだろうから、 この男は鏡花水月と同じことはできないはず……つまり、日本刀は確かに本物のはず。 そう心機一転は思考していた。 故に自分のルール能力《スタンス180度反転》を「人を殺せる力」と偽って、 (実際人格を殺すわけだから間違いでもないが)目の前の男を脅し、日本刀を手に入れようとしていたのだが……。 もうなりふり構ってもいられないほどに、心機一転はムカついていた。 「えーい、とにかく! そいつは頂くぞ!」 「あっおい」 ダッシュする。 転がり込むようにして地面の日本刀を掴むと、そのまんま転がって優柔不断から離れようとする。 しかし、心機一転はそこまで運動が得意なわけじゃないし、 優柔不断も知らないやつにただで日本刀を握らせるほど馬鹿じゃない。 転がろうとした体を、肩に手を置かれる形で止められて。次いで掴んでいた日本刀の柄を、優柔不断の手に掴まれる。 二人の腕力はほぼ同じ。 危険な刃物を持ったまま――取っ組み合いの形になる。 「くっ……おいお前! 手を離せよぉ!」 「いや、あのすいませんね、ちょっとオレの許可なしにオレの武器取るのはどうかなって思ったもんで。 つーかあんたはまず落ち着こうぜ、な。怒っても人生良いことねーって。いやーオレも中学んときはさー、 いろいろやんちゃして警察沙汰にもなったよ二回くらい? あんときゃ死ぬかと思ったよ。 でもホント、衝動的な行動ってホント人生悪い方向になってくだけだから。だから、さ、落ち着けって」 「うるさいうるさい! 良い人生も悪い人生もない、その人生が今台無しになろうとしてるんだろーが! 殺し合いなんざに呼ばれた時点で、もう人生は狂わされたも同然なんだよ! でもそこで、黙って私の人生が崩れていくのを見つめてろっていうのか!? これが落ち着いていられるか! 私は自分の人生を取り戻すんだ……そして、私をコケにしたやつらを、見返して、踏みにじってやるんだ!」 ぐぐ……と、歯を食いしばった心機一転が、鼻息を荒げながら優柔不断を押した。 鬼の形相にも匹敵するあまりの気迫に、優柔不断は一歩下がる。 しかし、その判断は失策だった。 優柔不断のデイパックにはまだ、よもぎ団子が二つあった。 しかもそのうちの一つは、デイパックから落ちて地面にころころと転がっていたのだ。 「ん、あっ?」 「わあ!?」 団子を思い切りよく踏んだ優柔不断は、後ろ向きに転倒してしまう。 当然、取っ組み合いをしていた心機一転も、優柔不断に覆いかぶさる形で倒れる。 このとき日本刀は、その切っ先を、地面へと向けていた。 心機一転の片手は、もともと掴んでた優柔不断の腕から離れて、自由になってしまっていた。 だから。 《日本刀は優柔不断の心臓付近に突き刺さって》――《心機一転の手のひらは、優柔不断の胸部に置かれた》。 心機一転にとって、これが今までで最大最悪の、いちばんやってはいけないことだった。 しかしもう、時計の針は止まらない。ルール能力は覆されない。 だからこうして、人が死ぬ。 ◆◆◆◆ 「ぐはっ!?」 刺さった。 そんな感触が確かにオレの胸を貫いて――同時に、歯車がカチッと回ってしまうような、不思議な感覚がオレを襲った。 だから確かに同時に、オレは気付いた。 オレの名前は優柔不断。 ――《ぐだぐだぐだぐだと結論を先延ばしにするなんて、決してあってはならない四字熟語》。 ――《だからオレは、自分のスタンスを開始時点ですでに決めていた》。 そして、そんなオレのルール能力は。 《不断の名の通り、どんな刃物であっても斬られることはない》ってんだっていう――二つのことに、同時に気付いた。 「お、おい! お前……!」 「大丈夫っすよ。オレは、こういう能力なんで」 オレは、オレの上から慌てて飛びのいたおかっぱの男に向かって、微笑みかけながら起き上がる。 立ち上がって、くい、っと下を見ると、あの日本刀は見事にオレの胸を貫いて、深々とオレの胸板に埋まってしまっている。 無言で引き抜く。 何の抵抗もなく、本来オレを殺すはずの日本刀は引き抜けてしまい、胸に傷一つ残さない。 「う、わああ……ば、ばけもの」 「いやだから能力なんですってこれが」 さあて形勢逆転だ。おかっぱの男はオレのルール能力にびびって、腰を抜かしてしまったらしい。 《ちょうどいいから、この日本刀の切れ味を試そうじゃないか》。 オレがオレにそう語りかけてくるから、オレはオレに「そうだな」って返して、 日本刀を、振り上げた。 「――な、一つ質問。 なんでかさ、ずっと目を背けてた気がするんだよな。オレ。ここが殺し合いの場だってことにさ。 さっきあんたともみ合いになったあたりから、妙に頭が冴えたというか……《決意してたはずなのに、決意しなおした》っていうかさ。 今やっと、《あ、コロシアイしなきゃな》って気分になれたの、あんたのおかげな気がするんだよね」 思ったことはすぐ垂れ流すオレの口が、すらすらと今の気持ちを読み上げる。 きっといい笑顔してるんだろーなオレ。だって地面のおかっぱ頭、すっげーこの世の終わりを見てるような顔してるもん。 まああれだ、 ここでオレに殺されちゃうってことはさ。 あんたきっと、ここに来るまでになんか重大な失敗でも犯しちゃったんだろうぜ。 「違う……私のせいじゃない……! 私は……私はっ……!」 「あんたの能力はそういう奴なのかな? 煮え切らなかったオレに、ようやく決意をさせてくれたのかな? だとしたら、ありがとな。……お礼になるべく苦しまないように一撃で殺してやるから、天国にでも行ってくれ」 「うあぁ……ひぃ! や、やめ――」 「やめない」 振りおろして。 心臓を、一突きにした。 そんで抜いたら、びゅーって血が出た。 返り血でオレの一張羅はびしょ濡れ。これが人を殺すことなんだって、思う。 白目を剥いたおかっぱ頭の男は、二、三秒痙攣したあとに真っ青になって、そっからはもう動かなくなった。 オレ素人だから、苦しまずに死ぬやり方なんて知らないんだよなあ、ぶっちゃけ。 これで苦しんで死んでたら、ちょっと悪いことをしたかもしんないな。 「さーて、食糧でも調達しに行くか」 感傷に浸る暇はない。 《ここは殺し合いの場なんだから、さっさと最善の行動を取って生き残るべきだ》。 オレは食糧を調達するために、娯楽施設の中に向かう。 さっきまではその選択肢にずいぶん躊躇していたような気がするけれど――《きっとそれは、気のせいなんだろう》。 【心機一転:死亡――あと十三名】 【A-1/娯楽施設入口前】 【優柔不断/フリーター】 【状態】達観 【装備】日本刀 【持ち物】激辛よもぎ団子×1 【ルール能力】どんな刃物でも断たれない身体を持つ 【スタンス】殺し合いから目を背ける(反転) 手を繋ぐ 前のお話 次のお話 遺棄消沈 前のお話 四字熟語 次のお話 幻影水鏡 心機一転 実験終了 曇天霹靂 優柔不断 珈琲牛乳 用語解説 【心機一転】 ある動機をきっかけとして、気持ちがよい方向に変わることを表す四字熟語。 あくまでよい方向に、であるが、四字熟語ロワの心機一転はなぜかスタンスを反転させてしまう能力を持っていた。 これは本人の心機一転ぶりがあまりにもおかしな方向だったのと、 四字熟語ではなく「心機(心の在り方)」を「一転(がらりと変える)」という風に解釈されたからだと思われる。 優柔不断を殺してしまったと思ったら殺されてしまったのも、また一転らしい死に方である
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まーぶるあそーと【登録タグ VOCALOID siruba ま 初音ミク 曲】 作詞:siruba 作曲:siruba 編曲:siruba 唄:初音ミク 曲紹介 siruba氏の7作目。 Illustration 咲里キリコ 歌詞 (動画説明欄より転載) しょうがないな いつものセリフね 見飽きた Sunday 我がままばっかいっちゃうだけど どーしたって 君の台詞を待って よそ見しないで 絡まる鼓動 最終形の 週販材は 歪んじゃって 大正解で 正真正銘 ゆらいじゃって 眩んじゃって これから マーブルアソート 君の隣で マーブルアソート 落ちてゆく 就寝だって 叶わぬ世界 heart break heart break 溶けてゆく 優柔不断な 君の隣で 酔心恋慕 四六時中 本心だって 彩る世界 heart break heart break 溶けてゆく 憂鬱な 二度寝起きの Monday しらけ顔で 寝ぐせがちょっと気になんだけど どーしたって 君の台詞を待って よそ見しないで 絡まる鼓動 等身大の 終着点は 環状線で 往生中で 無神経な you 恨んじゃって 空欄生んじゃって これから マーブルアソート 夜の終わりに マーブルアソート 沈んでく 重力だって 消えゆく世界 make it make it 崩れてく 優柔不断な 君の代わりに 手を引く 白昼夢 マーブルフロー が彩る世界 make it make it 薄れてく マーブルアソート 君の隣で マーブルアソート 落ちてゆく 就寝だって 叶わぬ世界 heart break heart break 溶けてゆく 優柔不断な 君の隣で 酔心恋慕 四六時中 本心だって 彩る世界 heart break heart break 溶けてゆく コメント 名前 コメント
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25◇鬼気迫る C-1、中央階段の行きつく先。 三人の惨殺死体があるB-1で始まったとある戦いは、 意図的か自然にか、エリアを隣に移してまだ続いている最中だった。 「はああああぁああっ!」 少女・勇気凛々は、 小さな体躯に不釣り合いな巨大な剣を、助走を存分に生かして目の前の敵へ叩き込む。 上から下へ振り下ろす、狙いも何もない直線的な攻撃。 対峙する大男・傍若無人はこれを、斧を横に立てて真正面から受け止める。 鍔迫り合いの火花が散った。 だが体格差を考えれば、当然このままでは少女のほうが押されてしまう。 少女はそれを逆に利用する。 ふ、と力を緩めつつ《りんりんソード》をあえて解除。 空を切る斧の下を身を反らせてくぐり、大男の足元へと滑り込む。 「これで――っ!?」 「愚策だ、娘」 体勢を戻すと再び《りんりんソード》を発現させ、がら空きの足へと刃を突き立てる、 つもりだった、 少女の目の前に置かれていたのは、ごうという音を立てて迫る膝小僧だった。 大男は当たり前のように少女の狙いを読んでいて、 空を切る斧をあえて強く振り、その勢いを使って膝蹴りでのカウンターをしていたのだ。 少女は考える。 このまま《りんりんソード》を膝に突き立てればダメージは入る。 けれど死ぬかもしれない。 死。 ――。 こわい。 思わず少女は《りんりんソード》を立てて、 いつぞや心機一転のボウガンに対してしたようにガードを試みる。 「遅い」 しかし”勇気凛々”の名を持つ彼女がこんなことをすればいい結果を生まないのは道理だった。 膝はフェイント。 傍若無人が曲げていた足を伸ばすと、振り子の要領でつま先が勢いづいて少女へと襲い掛かる。 狙いは膝を支点にした大外からのキックだったのだ。 大きすぎる剣を立てて防御に回した勇気凛々は、 視界を自らの剣に隠されてしまっているがゆえに攻撃の軌道の変化が見えない。 現実から目を背ければ、泥沼にはまるばかり。 どぐっ、と。 意識外から腹部へ突き刺さったそれに少女が痛みを感じるのが速いか、 「がっ……は」 「……つまらんな」 傍若無人が足を振り抜けば、少女はまるで中身のないダンボール箱を蹴ったような軽さで蹴り上げられて、 口から胃液を吐いて、《りんりんソード》を手放して、 放物線を描いて洋服屋のハンガーラックへと突っ込み、 がしゃがしゃと音を立てながら、春物の洋服の中に埋もれていった。 「がっ! あっ。えふっ。か、うえっ。えぁっ……」 「つまらん」 床をのたうつ勇気凛々を見て、大男はもう一度呟く。 闘いが始まってからというものこればかり。傍若無人が勇気凛々の攻撃を受け止め、 カウンターの要領で少女を遠くへと飛ばすという作業が、もう十回以上繰り返されていた。 「いい加減に負けを認めろ、娘。これ以上抗うな。 静かにせねば、まともに”送って”やることができないだろう」 言いながら、傍若無人は少女へと歩み寄る。 もはや少女の体は自分と他人の血にまみれ、服は何か所か破れており、 皮膚には擦過傷と打撲、青あざ、特に《りんりんソード》を握る手はひどくすりむいて血がにじんでいた。 トレードマークの鈴型の髪留めも片方取れてしまい、 右の目は腫れて開かなくなっており、鼻血も出ていた。綺麗な顔とはとてもいえないボロボロな様相だ。 「うっ、え、えほっ……はぁ、はは。あはは、あははははっ。 何言ってるんですか。まだ、負けじゃ、ないですよ。この程度の、痛み。大したことはないです。 わたしが殺した三人は、きっと、もっと痛かったはずですから」 でも、少女は立ち上がる。いまだに虚勢を張り続ける。 数メートル先に飛んでしまっている《りんりんソード》を消し、新たな《りんりんソード》を発現させて、 両手で構えて大男をにらみつける。 そして駆け出す。再び直線的な攻撃をしようというのだ。 もはや、自分でも無駄なことだと分かっているはずなのに。 「はあぁああああっ、あ、……ぐあっ!」 「つまらん」 案の定その攻撃は届かない。 傍若無人は斧すら使わず、振り下ろされた《りんりんソード》の刃を横から手で弾く。 そしてその手で勇気凛々の制服の襟をつかみ、引き落とす。清々しいほどの衝撃音。 でも、少女は立ち上がる。 「ぐ、げほっ……まだ。まだです」 「いい加減にしろ」 「まだ、まだです。わたしの武器は《りんりんソード》だけじゃ」 デイパックから心機一転のボウガンを取り出そうとして、少女は気づく。 洒々楽々によって二階から《落として》もらったとき、デイパックは二階に置いたままだった。 「あ……っ!!」 一瞬の思考停止を傍若無人は見逃さない。 体重を乗せた蹴りがまた、勇気凛々の鳩尾をえぐるように入った。 全身に電撃のような痛みが走る。 少女はその場に立膝をつき、そして、倒れる。 でも、少女は立ち上がる。 「……《りんりんソード》」 「いつまで続けるつもりだ?」 「死ぬまでです」 少女は立ち上がる。 そして、また倒される。 「《りんりんソード》」 立ち上がる。 倒される。 「あ、っ!」 駆ける。 無駄。 「……はぁ、はぁっ」 そして、不毛なシークエンスがまた、十数回続いて。 ついに少女は立ち上がることさえできなくなり、地面に伏せて浅く息をするだけとなった。 娯楽施設の床はカーペット状で、冷たいフローリングやタイルの床に比べれば暖かく、柔らかく。 少女はほんの少しだけ、良かったと思った。 だけどその他は全部ダメだ。 今の少女の手ではもう誰も救うことは出来ないし、誰かを傷つけることもできないのだ。 分かっていたことを突き付けられて、少女は悔しさを波立たせる。 でも、手を固く握りしめることも、歯を食いしばることさえ、少女には出来ない。 もどかしくて、泣きだしたくて。 「無様だな、娘」 傍若無人はそんな少女の姿を、たった一言に集約する。 「う……うぅ……」 「あまりにも無様だ。人の分際で、折れない剣になれると思ったか? その小さな体で誰かを救えると思ったか。そんなことは、不可能だと知れ」 「わ……わたしはっ……」 「だが安心しろ娘。もう一度言う。お前は己が”送って”やろう。 次があったら、もう少し、自らの弱さを自覚した行動を取るといい。さあ、終わりだ――」 いやに諭すような口調でそう言うと、傍若無人は勇気凛々の身体に手を伸ばそうとした。 だがそれは、寸でのところで叶わなかった。 中央階段の陰から飛び出してきた一人の乱入者が、傍若無人と勇気凛々の間に立ちふさがったのだ。 「待て! やめろっ!」 「……何だ」 「幼女をいじめて楽しいのかよ、お前! その子をこ、殺すってんならオレが相手だっ!」 冷や汗も枯れたような蒼白な顔で必死に叫ぶ男の名は、優柔不断といった。 ただしファッション雑誌で見たような服は血に染まっており、 ワックスで立てたはずの髪は掻きすぎたせいでぼさぼさになっている。 けれども代わりに、彼は何かを手に入れたらしい。 歯をガタガタと震わせながらも、日本刀の刃をまっすぐに傍若無人へ向けている。 地に伏せる勇気凛々は何が起こっているのか見ることが出来ない。 無理やり頭を動かすと、見えたのは先端が破れた優柔不断のスニーカーだった。 そのスニーカーは前へと進んだ。 優柔不断は勇気凛々と同じく、直線的に傍若無人へと斬りかかったのだ! 「うおおおぉおおぉおっ!」 「これはまた、随分とはき違えた闖入物だな。そして無策とは」 傍若無人は眉間に微かに皺をよせ、向かってくる男に対して斧を横から薙いで応戦。 だが、優柔不断は防御姿勢を取らない。まるで捨て身の攻撃をするように、斧に目もくれず日本刀を突き出す。 ようやく顔を上げることが出来た勇気凛々は、その光景を見て思わず叫ぶ、 「危ないですっ! やめてくださ――え!?」 だが、《すり抜けた》。 《優柔不断の胴体を横にスライスするかと思われた斧の斬撃は、そのまま胴体をすり抜けていった》。 彼のルール能力は刃物による斬撃を完全に無効化する。その範囲は刀だけに留まらないのだ。 思わずバランスを崩した大男の懐に今度は優柔不断が入り込む。 膝蹴りのカウンターはそこにはない。本当の本当に、不意をついた一撃を叩きこめる! 「やめるかよ……オレにだってちょっとくらい、カッコイイことしたくなる時が! あるんだ!」 「無撃――? 優柔不断だと? 馬鹿な!」 「バカですが何か?! おりゃああぁあああぁあっ!」 勢いよく狙い澄ました一撃は、収まるべくして収まるように。 傍若無人の太股に、日本刀がざくりと深く、とても深く突き刺さった――! 「ぐ……ぬぅ!」 「やや、やった……やったぞちくしょう! おい幼女、逃げるぞ! 正直もう無理!」 「え、あの、ちょっと!」 崩れ、手で太股を押さえる傍若無人。 数秒苦悶の表情を浮かべこそしたものの、彼にとってこのダメージはそう大きくはない、 だが足は止められた。逃げるチャンスがあるとしたら、今しかない。 優柔不断は振り返って、倒れている小さな少女を抱え上げる。というかお姫様だっこした。 思いもよらない展開に勇気凛々は1オクターブ高い声を出す、 「や、やめてくだ、」 「だからやめないって! オレがどのくらいびびってるか分かる!? いまやめたら死ぬほど恥ずかしくて死ねる!」 「待て……待て、優柔不断!」 「うわあ来たー! ほんと待ってマジで! やめて!」 「優柔不断! 答えろ、その四字熟語を与えられていながら、なぜ……」 「知るか!」 どうにか腕の中で暴れる勇気凛々を抑え込み、走り出す優柔不断は、 日本刀を太股から抜いて立ち上がった傍若無人い投げかけられた問いを、一言で切り捨てた。 「四字熟語がなんだ! こんなんどうせ勝手につけられた名前じゃんかさ……! オレはオレだ! 優柔不断のせいで人一人助けられないくらいなら、こんな四字熟語、捨ててやる!」 「ぬ……ならば、死ね!」 「ひぃいいもう起き上がってるし! やばいっ」 「はなして! 降ろしてください!」 すぐに、大柄な体に似合わぬ速度で二人を追い始めた傍若無人。 どうにかして逃げようと足を動かす優柔不断。 助けられるという事態が理解できず、彼の手の中でいまだ抵抗を続ける勇気凛々。 中央階段下の広間はかつてないほどの混乱に包まれた。 「――そして。あたしも混ぜさせてもらおうか」 「!?」 「なっ」 「えっ!?」 その混乱と混沌をぶちぬくようにして、さらなる突拍子もない出来事が起こった。 上から。 円形の吹き抜けの周りにあった柵が、かなりの範囲にわたって《ナイフで切られたかのように》綺麗に取れて、 逃げる二人と追う大男の間に、遮るようにして落ちてきたのだ。 柵といってもガラスやコンクリで出来ているそれは、二階からの落差もあいまって充分に凶器と化している。 傍若無人は仕方なく一旦後ろへ飛ぶ。 がしゃあん! と音を立てて柵が娯楽施設の床に落ちる。 だがその柵と一緒に、ポニーテールの女が一階へ飛び降りてきていたことまでは大男は把握できなかった。 「いただき、っと」 落下中の柵を蹴って飛んでいた新たな乱入者は、傍若無人が持っていた日本刀を右手で掴む。 そのまま捩じるようにして奪い取ると、両足でしっかりと床に着地。 左手に持っていた調理用包丁を捨てると、素早く両手で日本刀を構えた。 「あんたがタクマが言ってた傍若無人だな。悪いが、この日本刀は返してもらったぜ。大切なものなんだ。 出来ればこのままとんずらしたいところだが……許してくれたりする?」 「……冗談は冥土で言え」 「メイドでなら言えるぜ。かしこまりました、お客様」 ――それでは殺し合いを一丁。まごころをこめて。 去っていく優柔不断の足音を聞きながら、一刀両断はおどけて言った。 対峙する傍若無人の表情は。 怒りなのか、なんなのか。鬼気迫るものへと変貌している。 どうやら、十分では帰れそうにないな。 近くに倒れていた首のない破顔一笑の死体を見ながら、一刀両断は心中で呟いた。 【C-1/娯楽施設一階・中央階段下広間】 【一刀両断/ポニテの女】 【状態】軽傷 【装備】なし 【持ち物】??? 【ルール能力】持った刀はすべてを真っ二つにする 【スタンス】紆余曲折の盾 【傍若無人/首狩りの男】 【状態】健康 【装備】斧 【持ち物】首輪×3 【ルール能力】不明 【スタンス】マーダー 【C-1とB-1の間あたり】 【勇気凛々/女子中学生】 【状態】お姫様抱っこされてる 【装備】《りんりんソード》 【持ち物】なし 【ルール能力】勇気を出すとりんりんソードを具現化できる 【スタンス】えええええ!? 【優柔不断/フリーター】 【状態】吹っ切れ 【装備】なし 【持ち物】激辛よもぎ団子×1 【ルール能力】どんな刃物でも断たれない身体を持つ 【スタンス】四字熟語とか知るか! 完全試合 前のお話 次のお話 永久凍土 前のお話 四字熟語 次のお話 三人死亡 勇気凛々 蓬平団子 三人死亡 傍若無人 [[]] 珈琲牛乳 優柔不断 蓬平団子 仲間意識 一刀両断 [[]] 用語解説 【中央階段】 娯楽施設の中央、C-1にあるひときわ目を引く大階段。 天井まで続く円形の吹き抜けに沿うようにして左右に階段が配されている。 中央階段の下は円形の広間になっており、ここが殺し合いの場でなければちょっとしたイベントが行えただろう。 どうやら優柔不断は階段を下りた後、階段裏のスペースに隠れていたようだ
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25◇鬼気迫る C-1、中央階段の行きつく先。 三人の惨殺死体があるB-1で始まったとある戦いは、 意図的か自然にか、エリアを隣に移してまだ続いている最中だった。 「はああああぁああっ!」 少女・勇気凛々は、 小さな体躯に不釣り合いな巨大な剣を、助走を存分に生かして目の前の敵へ叩き込む。 上から下へ振り下ろす、狙いも何もない直線的な攻撃。 対峙する大男・傍若無人はこれを、斧を横に立てて真正面から受け止める。 鍔迫り合いの火花が散った。 だが体格差を考えれば、当然このままでは少女のほうが押されてしまう。 少女はそれを逆に利用する。 ふ、と力を緩めつつ《りんりんソード》をあえて解除。 空を切る斧の下を身を反らせてくぐり、大男の足元へと滑り込む。 「これで――っ!?」 「愚策だ、娘」 体勢を戻すと再び《りんりんソード》を発現させ、がら空きの足へと刃を突き立てる、 つもりだった、 少女の目の前に置かれていたのは、ごうという音を立てて迫る膝小僧だった。 大男は当たり前のように少女の狙いを読んでいて、 空を切る斧をあえて強く振り、その勢いを使って膝蹴りでのカウンターをしていたのだ。 少女は考える。 このまま《りんりんソード》を膝に突き立てればダメージは入る。 けれど死ぬかもしれない。 死。 ――。 こわい。 思わず少女は《りんりんソード》を立てて、 いつぞや心機一転のボウガンに対してしたようにガードを試みる。 「遅い」 しかし”勇気凛々”の名を持つ彼女がこんなことをすればいい結果を生まないのは道理だった。 膝はフェイント。 傍若無人が曲げていた足を伸ばすと、振り子の要領でつま先が勢いづいて少女へと襲い掛かる。 狙いは膝を支点にした大外からのキックだったのだ。 大きすぎる剣を立てて防御に回した勇気凛々は、 視界を自らの剣に隠されてしまっているがゆえに攻撃の軌道の変化が見えない。 現実から目を背ければ、泥沼にはまるばかり。 どぐっ、と。 意識外から腹部へ突き刺さったそれに少女が痛みを感じるのが速いか、 「がっ……は」 「……つまらんな」 傍若無人が足を振り抜けば、少女はまるで中身のないダンボール箱を蹴ったような軽さで蹴り上げられて、 口から胃液を吐いて、《りんりんソード》を手放して、 放物線を描いて洋服屋のハンガーラックへと突っ込み、 がしゃがしゃと音を立てながら、春物の洋服の中に埋もれていった。 「がっ! あっ。えふっ。か、うえっ。えぁっ……」 「つまらん」 床をのたうつ勇気凛々を見て、大男はもう一度呟く。 闘いが始まってからというものこればかり。傍若無人が勇気凛々の攻撃を受け止め、 カウンターの要領で少女を遠くへと飛ばすという作業が、もう十回以上繰り返されていた。 「いい加減に負けを認めろ、娘。これ以上抗うな。 静かにせねば、まともに”送って”やることができないだろう」 言いながら、傍若無人は少女へと歩み寄る。 もはや少女の体は自分と他人の血にまみれ、服は何か所か破れており、 皮膚には擦過傷と打撲、青あざ、特に《りんりんソード》を握る手はひどくすりむいて血がにじんでいた。 トレードマークの鈴型の髪留めも片方取れてしまい、 右の目は腫れて開かなくなっており、鼻血も出ていた。綺麗な顔とはとてもいえないボロボロな様相だ。 「うっ、え、えほっ……はぁ、はは。あはは、あははははっ。 何言ってるんですか。まだ、負けじゃ、ないですよ。この程度の、痛み。大したことはないです。 わたしが殺した三人は、きっと、もっと痛かったはずですから」 でも、少女は立ち上がる。いまだに虚勢を張り続ける。 数メートル先に飛んでしまっている《りんりんソード》を消し、新たな《りんりんソード》を発現させて、 両手で構えて大男をにらみつける。 そして駆け出す。再び直線的な攻撃をしようというのだ。 もはや、自分でも無駄なことだと分かっているはずなのに。 「はあぁああああっ、あ、……ぐあっ!」 「つまらん」 案の定その攻撃は届かない。 傍若無人は斧すら使わず、振り下ろされた《りんりんソード》の刃を横から手で弾く。 そしてその手で勇気凛々の制服の襟をつかみ、引き落とす。清々しいほどの衝撃音。 でも、少女は立ち上がる。 「ぐ、げほっ……まだ。まだです」 「いい加減にしろ」 「まだ、まだです。わたしの武器は《りんりんソード》だけじゃ」 デイパックから心機一転のボウガンを取り出そうとして、少女は気づく。 洒々楽々によって二階から《落として》もらったとき、デイパックは二階に置いたままだった。 「あ……っ!!」 一瞬の思考停止を傍若無人は見逃さない。 体重を乗せた蹴りがまた、勇気凛々の鳩尾をえぐるように入った。 全身に電撃のような痛みが走る。 少女はその場に立膝をつき、そして、倒れる。 でも、少女は立ち上がる。 「……《りんりんソード》」 「いつまで続けるつもりだ?」 「死ぬまでです」 少女は立ち上がる。 そして、また倒される。 「《りんりんソード》」 立ち上がる。 倒される。 「あ、っ!」 駆ける。 無駄。 「……はぁ、はぁっ」 そして、不毛なシークエンスがまた、十数回続いて。 ついに少女は立ち上がることさえできなくなり、地面に伏せて浅く息をするだけとなった。 娯楽施設の床はカーペット状で、冷たいフローリングやタイルの床に比べれば暖かく、柔らかく。 少女はほんの少しだけ、良かったと思った。 だけどその他は全部ダメだ。 今の少女の手ではもう誰も救うことは出来ないし、誰かを傷つけることもできないのだ。 分かっていたことを突き付けられて、少女は悔しさを波立たせる。 でも、手を固く握りしめることも、歯を食いしばることさえ、少女には出来ない。 もどかしくて、泣きだしたくて。 「無様だな、娘」 傍若無人はそんな少女の姿を、たった一言に集約する。 「う……うぅ……」 「あまりにも無様だ。人の分際で、折れない剣になれると思ったか? その小さな体で誰かを救えると思ったか。そんなことは、不可能だと知れ」 「わ……わたしはっ……」 「だが安心しろ娘。もう一度言う。お前は己が”送って”やろう。 次があったら、もう少し、自らの弱さを自覚した行動を取るといい。さあ、終わりだ――」 いやに諭すような口調でそう言うと、傍若無人は勇気凛々の身体に手を伸ばそうとした。 だがそれは、寸でのところで叶わなかった。 中央階段の陰から飛び出してきた一人の乱入者が、傍若無人と勇気凛々の間に立ちふさがったのだ。 「待て! やめろっ!」 「……何だ」 「幼女をいじめて楽しいのかよ、お前! その子をこ、殺すってんならオレが相手だっ!」 冷や汗も枯れたような蒼白な顔で必死に叫ぶ男の名は、優柔不断といった。 ただしファッション雑誌で見たような服は血に染まっており、 ワックスで立てたはずの髪は掻きすぎたせいでぼさぼさになっている。 けれども代わりに、彼は何かを手に入れたらしい。 歯をガタガタと震わせながらも、日本刀の刃をまっすぐに傍若無人へ向けている。 地に伏せる勇気凛々は何が起こっているのか見ることが出来ない。 無理やり頭を動かすと、見えたのは先端が破れた優柔不断のスニーカーだった。 そのスニーカーは前へと進んだ。 優柔不断は勇気凛々と同じく、直線的に傍若無人へと斬りかかったのだ! 「うおおおぉおおぉおっ!」 「これはまた、随分とはき違えた闖入物だな。そして無策とは」 傍若無人は眉間に微かに皺をよせ、向かってくる男に対して斧を横から薙いで応戦。 だが、優柔不断は防御姿勢を取らない。まるで捨て身の攻撃をするように、斧に目もくれず日本刀を突き出す。 ようやく顔を上げることが出来た勇気凛々は、その光景を見て思わず叫ぶ、 「危ないですっ! やめてくださ――え!?」 だが、《すり抜けた》。 《優柔不断の胴体を横にスライスするかと思われた斧の斬撃は、そのまま胴体をすり抜けていった》。 彼のルール能力は刃物による斬撃を完全に無効化する。その範囲は刀だけに留まらないのだ。 思わずバランスを崩した大男の懐に今度は優柔不断が入り込む。 膝蹴りのカウンターはそこにはない。本当の本当に、不意をついた一撃を叩きこめる! 「やめるかよ……オレにだってちょっとくらい、カッコイイことしたくなる時が! あるんだ!」 「無撃――? 優柔不断だと? 馬鹿な!」 「バカですが何か?! おりゃああぁあああぁあっ!」 勢いよく狙い澄ました一撃は、収まるべくして収まるように。 傍若無人の太股に、日本刀がざくりと深く、とても深く突き刺さった――! 「ぐ……ぬぅ!」 「やや、やった……やったぞちくしょう! おい幼女、逃げるぞ! 正直もう無理!」 「え、あの、ちょっと!」 崩れ、手で太股を押さえる傍若無人。 数秒苦悶の表情を浮かべこそしたものの、彼にとってこのダメージはそう大きくはない、 だが足は止められた。逃げるチャンスがあるとしたら、今しかない。 優柔不断は振り返って、倒れている小さな少女を抱え上げる。というかお姫様だっこした。 思いもよらない展開に勇気凛々は1オクターブ高い声を出す、 「や、やめてくだ、」 「だからやめないって! オレがどのくらいびびってるか分かる!? いまやめたら死ぬほど恥ずかしくて死ねる!」 「待て……待て、優柔不断!」 「うわあ来たー! ほんと待ってマジで! やめて!」 「優柔不断! 答えろ、その四字熟語を与えられていながら、なぜ……」 「知るか!」 どうにか腕の中で暴れる勇気凛々を抑え込み、走り出す優柔不断は、 日本刀を太股から抜いて立ち上がった傍若無人い投げかけられた問いを、一言で切り捨てた。 「四字熟語がなんだ! こんなんどうせ勝手につけられた名前じゃんかさ……! オレはオレだ! 優柔不断のせいで人一人助けられないくらいなら、こんな四字熟語、捨ててやる!」 「ぬ……ならば、死ね!」 「ひぃいいもう起き上がってるし! やばいっ」 「はなして! 降ろしてください!」 すぐに、大柄な体に似合わぬ速度で二人を追い始めた傍若無人。 どうにかして逃げようと足を動かす優柔不断。 助けられるという事態が理解できず、彼の手の中でいまだ抵抗を続ける勇気凛々。 中央階段下の広間はかつてないほどの混乱に包まれた。 「――そして。あたしも混ぜさせてもらおうか」 「!?」 「なっ」 「えっ!?」 その混乱と混沌をぶちぬくようにして、さらなる突拍子もない出来事が起こった。 上から。 円形の吹き抜けの周りにあった柵が、かなりの範囲にわたって《ナイフで切られたかのように》綺麗に取れて、 逃げる二人と追う大男の間に、遮るようにして落ちてきたのだ。 柵といってもガラスやコンクリで出来ているそれは、二階からの落差もあいまって充分に凶器と化している。 傍若無人は仕方なく一旦後ろへ飛ぶ。 がしゃあん! と音を立てて柵が娯楽施設の床に落ちる。 だがその柵と一緒に、ポニーテールの女が一階へ飛び降りてきていたことまでは大男は把握できなかった。 「いただき、っと」 落下中の柵を蹴って飛んでいた新たな乱入者は、傍若無人が持っていた日本刀を右手で掴む。 そのまま捩じるようにして奪い取ると、両足でしっかりと床に着地。 左手に持っていた調理用包丁を捨てると、素早く両手で日本刀を構えた。 「あんたがタクマが言ってた傍若無人だな。悪いが、この日本刀は返してもらったぜ。大切なものなんだ。 出来ればこのままとんずらしたいところだが……許してくれたりする?」 「……冗談は冥土で言え」 「メイドでなら言えるぜ。かしこまりました、お客様」 ――それでは殺し合いを一丁。まごころをこめて。 去っていく優柔不断の足音を聞きながら、一刀両断はおどけて言った。 対峙する傍若無人の表情は。 怒りなのか、なんなのか。鬼気迫るものへと変貌している。 どうやら、十分では帰れそうにないな。 近くに倒れていた首のない破顔一笑の死体を見ながら、一刀両断は心中で呟いた。 【C-1/娯楽施設一階・中央階段下広間】 【一刀両断/ポニテの女】 【状態】軽傷 【装備】なし 【持ち物】??? 【ルール能力】持った刀はすべてを真っ二つにする 【スタンス】紆余曲折の盾 【傍若無人/首狩りの男】 【状態】健康 【装備】斧 【持ち物】首輪×3 【ルール能力】不明 【スタンス】マーダー 【C-1とB-1の間あたり】 【勇気凛々/女子中学生】 【状態】お姫様抱っこされてる 【装備】《りんりんソード》 【持ち物】なし 【ルール能力】勇気を出すとりんりんソードを具現化できる 【スタンス】えええええ!? 【優柔不断/フリーター】 【状態】吹っ切れ 【装備】なし 【持ち物】激辛よもぎ団子×1 【ルール能力】どんな刃物でも断たれない身体を持つ 【スタンス】四字熟語とか知るか! 完全試合 前のお話 次のお話 永久凍土 前のお話 四字熟語 次のお話 三人死亡 勇気凛々 蓬平団子 三人死亡 傍若無人 焼魚定食 珈琲牛乳 優柔不断 蓬平団子 仲間意識 一刀両断 確定申告 用語解説 【中央階段】 娯楽施設の中央、C-1にあるひときわ目を引く大階段。 天井まで続く円形の吹き抜けに沿うようにして左右に階段が配されている。 中央階段の下は円形の広間になっており、ここが殺し合いの場でなければちょっとしたイベントが行えただろう。 どうやら優柔不断は階段を下りた後、階段裏のスペースに隠れていたようだ。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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1ページの分量は6~15kbくらいを予定。 それ以上になってしまったら場合によって分割しています。 ◇オープニング No タイトル 登場人物 投下日 容量 00 都市伝説 奇々怪々、紆余曲折、焼肉定食 2011/10/10 10kb ◆第一放送まで No タイトル 登場人物 投下日 容量 01 邂逅一番 東奔西走、切磋琢磨 2011/10/11 6kb 02 顔面隠し 一望千里、破顔一笑 2011/10/14 8kb 03 反転少女 心機一転、勇気凛々 2011/10/16 11kb 04 急曲直下(前)急曲直下(後) 猪突猛進、一刀両断、紆余曲折 2011/10/19 20kb 05 曇天霹靂 優柔不断、破顔一笑 2011/10/21 9kb 06 張子の車 東奔西走、切磋琢磨、傍若無人 2011/10/23 13kb 07 幻影水鏡 心機一転、鏡花水月 2011/10/25 10kb 08 酔狂少女 勇気凛々、酒々楽々 2011/11/02 7kb 09 重い荷物 一望千里、軽妙洒脱 2011/11/12 7kb 10 手を繋ぐ 一刀両断、紆余曲折、破顔一笑、切磋琢磨 2011/11/18 12kb 11 因果往訪 優柔不断、心機一転 2011/11/21 13kb 12 遺棄消沈 破顔一笑、傍若無人 2011/11/23 8kb 13 お仕舞い(前)お仕舞い(後) 一望千里、軽妙洒脱、勇気凛々、酒々落々 2011/11/29 24kb 14 第一放送 奇々怪々 2011/11/29 4kb ◇第二放送まで No タイトル 登場人物 投下日 容量 15 真打登場 先手必勝、青息吐息 2011/12/25 12kb 16 舞台装置 鏡花水月 2012/01/03 7kb 17 一発殴る 軽妙洒脱、酒々落々、勇気凛々 2012/01/06 14kb 18 取捨選択 一刀両断、紆余曲折、切磋琢磨 2012/01/08 10kb 19 酒二無二 軽妙洒脱、酒々落々、勇気凛々 2012/01/13 12kb 20 珈琲牛乳 優柔不断 2012/01/15 7kb 21 三人死亡 軽妙洒脱、酒々落々、勇気凛々、傍若無人、破顔一笑 2012/01/26 15kb 22 戦乱の演 先手必勝、青息吐息、鏡花水月 2012/02/12 12kb 23 仲間意識 一刀両断、紆余曲折、切磋琢磨 2012/02/27 10kb 24 完全試合 先手必勝、青息吐息、鏡花水月 2012/03/14 16kb 25 鬼気迫る 勇気凛々、傍若無人、優柔不断、一刀両断 2012/03/21 11kb 26 永久凍土 先手必勝、青息吐息、鏡花水月、切磋琢磨、紆余曲折 2012/03/26 16kb 27 蓬平団子 優柔不断、勇気凛々 2012/03/30 7kb 28 焼魚定食 傍若無人 2012/03/30 5kb 29 確定申告(前)確定申告(中)確定申告(後) 先手必勝、青息吐息、紆余曲折、一刀両断、切磋琢磨、奇々怪々 2012/04/162012/04/172012/04/19 35kb 30 第二放送 青息吐息、傍若無人 2012/04/19 8kb ◆第三放送まで No タイトル 登場人物 投下日 容量 31 生員集合 切磋琢磨、紆余曲折、一刀両断、勇気凛々、優柔不断、傍若無人 2012/05/22 13kb 32 最期通牒 2012/06/02 8kb 33 休憩時間1 2012/09/12 20kb 34 休憩時間2 2012/11/11 22kb 35 休憩時間3 2012/11/20 15kb 36 休憩時間4 2012/12/28 15kb 37 最終戦Ⅰ 2013/07/02 31kb 38 最終戦Ⅱ 2014/02/14 14kb 39 最終戦Ⅲ 2014/05/01 20kb 40 最終戦Ⅳ 2014/05/11 20kb 41 最終戦Ⅴ 2014/05/23 32kb 42 別れ言葉 2014/07/04 22kb 43 第三放送 2014/12/21 13kb ◆ゲーム終了まで No タイトル 登場人物 投下日 容量 44 遊戯終了 ???? 2015/03/03 27kb ◆エピローグ No タイトル 登場人物 投下日 容量 45 結果報告(書)結果報告(談) 奇々怪々など 2015/03/042015/03/05 25kb 46 おはなし(序)おはなし(中)おはなし(終) ???? 2015/03/132015/03/132016/01/10 77kb 47 殺し合い ???? 2016/01/10 11kb 48 ■■■■ ???? 2017/04/23 27kb 49 ■■■■ ???? 2017/04/23 20kb 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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11◆因果往訪 えーどうもみなさんお久しぶりです、 わたくし四字熟語うずまくバトルロワイアルな実験に放り込まれてしまいました哀れな一般人、優柔不断と申します。 先の話ではスーツの人(スーツだし多分男だろうからどうでもいいや)から全力で逃げるという大失態をかましたわたくしでしたが、 わたくしはめんどいからオレに戻そう、 オレでしたが、そのあとどうなったかというとまあお察しの通り逃げ切ることが出来ました。 というか逃げまくった結果C-2からA-1まで来てしまったんでございます。 ……というか。というか。 A-1で合ってるんだよな、ここ。 たった9マス分しかないマップで迷子になるとか、子供ならまだしも、 19歳フリーター人生継続中の肩書きを持つ男がやっちゃいけない気がするぜ……。 重度の方向音痴って、たとえ女の子でも萌えキャラと残念キャラのどっちになるかギリギリってとこだよな。 オレはいいと思うけどね。むしろかわいいとさえ思う。 方向音痴かわいい! かわいいよ方向音痴! って連呼攻めしたい。 それで恥ずかしがって涙目になってる女の子の周りをFate/zeroのアニメばりにぐるぐる回りながら鑑賞したい。 少女の周りを回る会会長、優柔不断は少女には手を出さない。 って書くとなんかそこら辺のラノベのタイトルみたいだよね。 ここで話変わるけど、最近のラノベのタイトル。本当に頭沸いちまってるんじゃねーかと思うようなのがごろごろしてません? 一番最近でヤベェと思ったのは「クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門」ってタイトルだな、 もうそれ入門書じゃないですか!? 表紙にマロ眉の女の子がいなかったらラノベと一目で分かりません! ってツッコミ入れそうになったよね。 まあオレは大人だから「クズがそれなりになってもモテないだろ!」って突っ込むけどね。 世知辛い世の中、モテるのはラノベとエロゲとギャルゲーとイケメンリア充だけって相場が決まってるんです。 クズはいつまでたってもクズなんで、クズなりの人生を生きるしか無いわけですよ。 ああ、悲しきかなクズ人生。 優柔不断なオレはクズもみるみるさらなるクズになるような人生を送ってきました。語りたくもねぇよ中学時代とか。 うん、閑話休題(一回使ってみたかった)。 話をもとに戻そう。 いまオレがいるのはA-1でいいとして。 このA-1エリア、多分禁止エリアにはならねーんじゃねーかなってオレ思ってるんですよね。 禁止エリアってのはルールに書いてあったんだけど、 4人死んじゃったあとにされる店内放送ってやつで、9マス中2マスが「入ったら死ぬよ」扱いになるルールでですね。 そうやってだんだん範囲を狭めていって最終的に、殺し合うしかないぜ! って状態にオレらを追い込もう、ってルールみたいなんですけど。 このA-1エリアに関しては立ち入り禁止にする意味が無いっていうか。 マップの9マスの中で唯一、建物も駐車場も屋上駐車場に昇るためのスロープもない、 ただ植木と外への道(当然外には出れないよう封鎖されとる)があるだけの簡素なエリアなんだよね。 誰もこねぇよこんなとこ、っていう。 だからオレもこうして心の中で饒舌に喋れてるわけだけど、 こんなエリアを入るの禁止にしたところで殆どの奴は痛くもかゆくもないと思うんだよな。 ……ごめん、でも待って。 オレと同じこと考えてるやつがいた場合のこと忘れてた。 もし、もしだぜ? オレと同じ考えで「A-1に来るやつなんて居ない」って思ってるやつが、オレと同じくらいのヘタレだったら。 このギリギリ人が隠れられるくらいの植え込みの中とかに隠れてるってことも、なくはない、かもな……。 そうなると――――ん? 今、 「いやいやいや、そんな事より支給品を確認しようぜ、オレ!」 はい、思考停止します。 実は今、植え込みの中で一瞬「ガサッ」って音が聞こえたんだけど、思考停止しました。 よーし、ぼく支給品確認しちゃうぞー。まずは血のついた日本刀! 「うん……これホント怖いんだけど。とりあえず地面に置いとくか」 次! こっちがオレの本来の支給品だった、激辛よもぎ団子三つ! 「うん、カロリー抑えめ、中身はあんこの代わりにタバスコを振りかけた黒胡椒クリームとなっています! って待てえええええ!? これ明らかにハズレだろ! せめて毒入りとかにしろよ!!」 いくらなんでもムカついたのでよもぎ団子のうちの一個(個別に包装されていた)を茂みの方に投げてやった。 ひゅーんと放物線を描いてこの娯楽施設を囲む茂みの外に飛んでいくよもぎ団子は、 突然空中で見えない壁に当たったかのように止まり、ちょっと跳ね返って茂みの中に落ちた。 ……そういう仕組みなのかこの空間。 まさかの発見に、オレは自分を褒めてやりたい気持ちになる。 なんか落ちた茂みのほうから「痛っ!」って女の子の声が聞こえたような気がする、けど気にしない。 はっはー、女の子の声くらいで俺がすぐ理性を失って飛び込むと思った? 残念! オレはあんなハスキーボイスよりはもっと素朴な声の子が好きなんで! 他にもなにか無いかデイパックをがさがさとする、 でもあとは基本支給品の地図や名簿、ルールのおさらい用紙しかないようだった。 そういえば食糧とか水とかは、ホントに現地調達しかないんだよな。 今はまだいいけど後で娯楽施設の中に入ってなんか取りに行かなきゃなあ……、 まさかよもぎ団子(しかも激辛)一個で生き延びるわけにも……いや、 でも中に入ってさっきのスーツの人みたいな危なそうな奴に会ってもなあ……。 「いっそこのまま何にも決めないで、ここでのんびり過ごしてたらいつの間にか優勝してました、 みたいなことになったらいいんだけど~……なんて」 どう考えても無理な願望を呟きながらオレがくるっとその場でターンした、そのときだった。 誰もいなかったA-1エリアに――背の低いおかっぱ頭の男(なんか怒ってる)がいつのまにか入ってきていたのを、 無駄に視力が2.0のまんまのオレの瞳は捉えてしまった。 あ、おはようございます。 ってそんな雰囲気じゃないよねー。あっははは……。 ◆◆◆◆ おかっぱ頭にモノクロ服の男、心機一転は憤慨していた。 道すがら出会ったおっさんをだまくらかして、手に入れたと思った閃光弾を眺めようとしたら煙のように消えてしまった。 となれば、鏡花水月と名乗ったおっさんに一杯喰わされたことに気付いて憤慨するのは当たり前だった。 「おいそこのお前。雰囲気イケメン気取ってるお前だよ。お前、ルール能力は何だ?」 こちらの方を向いて、ようやく自分の存在に気付いたかのように驚いている男にイラつきながらも質問する。 武器の強奪を狙っていた心機一転に対し、《幻影の閃光弾》を自分から渡すことで軽くいなした舞台役者。 鏡花水月に対する心機一転の怒り方を一言で表すなら、安い怒りだった。 他人に悪口を言う人が、いざ自分が悪口を言われる番になると怒り狂うように。 これまで友人たちや恩師を騙し、お金を悠々と手に入れていた心機一転は、 自分が騙されることに対しては非常にナーバスだったのだ。 「えーオレのルール能力っすか? いや、分かんないんですよねー。あの、そちらはどんなルール能力を?」 「私のルール能力は人を殺せる能力だ。お前だってすぐに殺せる。死にたくなければ、私にその武器をよこせ」 「ええー……いやあの、殺せるんならオレを殺してから奪えばいいんじゃ」 「うるさい! おとなしく従えば命までは取らないって言ってんだ! だからさっさと、私に従えー!」 怒りは人を単純にする。 だから心機一転は優柔不断に向かって、ろくな話術も使えずに墓穴を掘ることになってしまっていた。 殺せるのに武器を欲しがる矛盾――考えるより先に言葉が流れ出ていく心機一転のよく陥るミスだった。 (くそっ……くそっ! あの少女と言い、役者のおっさんといい、私をコケにしやがって! あの日本刀を手に入れさえすればあいつらだって殺せる! そうだ、最初に誓ったじゃないか……。 私は殺し合いに乗るって決めたはずだ! だから殺してやるんだ! 文句なんて言わせないぞ!) しかしそのミスすらもカバーしようという気にならないほどに、 心機一転の両目は地面に置いてある血の付いた日本刀に釘付けになっていた。 あれさえあれば人を殺すことが出来る――その欲望への魅惑、誘惑が心機一転を突き動かす。 目の前の男はどうやら、自分のルール能力にまだ気づけていないらしい。 主催者は実験の性質的に多種多様なルール能力を与えているだろうから、 この男は鏡花水月と同じことはできないはず……つまり、日本刀は確かに本物のはず。 そう心機一転は思考していた。 故に自分のルール能力《スタンス180度反転》を「人を殺せる力」と偽って、 (実際人格を殺すわけだから間違いでもないが)目の前の男を脅し、日本刀を手に入れようとしていたのだが……。 もうなりふり構ってもいられないほどに、心機一転はムカついていた。 「えーい、とにかく! そいつは頂くぞ!」 「あっおい」 ダッシュする。 転がり込むようにして地面の日本刀を掴むと、そのまんま転がって優柔不断から離れようとする。 しかし、心機一転はそこまで運動が得意なわけじゃないし、 優柔不断も知らないやつにただで日本刀を握らせるほど馬鹿じゃない。 転がろうとした体を、肩に手を置かれる形で止められて。次いで掴んでいた日本刀の柄を、優柔不断の手に掴まれる。 二人の腕力はほぼ同じ。 危険な刃物を持ったまま――取っ組み合いの形になる。 「くっ……おいお前! 手を離せよぉ!」 「いや、あのすいませんね、ちょっとオレの許可なしにオレの武器取るのはどうかなって思ったもんで。 つーかあんたはまず落ち着こうぜ、な。怒っても人生良いことねーって。いやーオレも中学んときはさー、 いろいろやんちゃして警察沙汰にもなったよ二回くらい? あんときゃ死ぬかと思ったよ。 でもホント、衝動的な行動ってホント人生悪い方向になってくだけだから。だから、さ、落ち着けって」 「うるさいうるさい! 良い人生も悪い人生もない、その人生が今台無しになろうとしてるんだろーが! 殺し合いなんざに呼ばれた時点で、もう人生は狂わされたも同然なんだよ! でもそこで、黙って私の人生が崩れていくのを見つめてろっていうのか!? これが落ち着いていられるか! 私は自分の人生を取り戻すんだ……そして、私をコケにしたやつらを、見返して、踏みにじってやるんだ!」 ぐぐ……と、歯を食いしばった心機一転が、鼻息を荒げながら優柔不断を押した。 鬼の形相にも匹敵するあまりの気迫に、優柔不断は一歩下がる。 しかし、その判断は失策だった。 優柔不断のデイパックにはまだ、よもぎ団子が二つあった。 しかもそのうちの一つは、デイパックから落ちて地面にころころと転がっていたのだ。 「ん、あっ?」 「わあ!?」 団子を思い切りよく踏んだ優柔不断は、後ろ向きに転倒してしまう。 当然、取っ組み合いをしていた心機一転も、優柔不断に覆いかぶさる形で倒れる。 このとき日本刀は、その切っ先を、地面へと向けていた。 心機一転の片手は、もともと掴んでた優柔不断の腕から離れて、自由になってしまっていた。 だから。 《日本刀は優柔不断の心臓付近に突き刺さって》――《心機一転の手のひらは、優柔不断の胸部に置かれた》。 心機一転にとって、これが今までで最大最悪の、いちばんやってはいけないことだった。 しかしもう、時計の針は止まらない。ルール能力は覆されない。 だからこうして、人が死ぬ。 ◆◆◆◆ 「ぐはっ!?」 刺さった。 そんな感触が確かにオレの胸を貫いて――同時に、歯車がカチッと回ってしまうような、不思議な感覚がオレを襲った。 だから確かに同時に、オレは気付いた。 オレの名前は優柔不断。 ――《ぐだぐだぐだぐだと結論を先延ばしにするなんて、決してあってはならない四字熟語》。 ――《だからオレは、自分のスタンスを開始時点ですでに決めていた》。 そして、そんなオレのルール能力は。 《不断の名の通り、どんな刃物であっても斬られることはない》ってんだっていう――二つのことに、同時に気付いた。 「お、おい! お前……!」 「大丈夫っすよ。オレは、こういう能力なんで」 オレは、オレの上から慌てて飛びのいたおかっぱの男に向かって、微笑みかけながら起き上がる。 立ち上がって、くい、っと下を見ると、あの日本刀は見事にオレの胸を貫いて、深々とオレの胸板に埋まってしまっている。 無言で引き抜く。 何の抵抗もなく、本来オレを殺すはずの日本刀は引き抜けてしまい、胸に傷一つ残さない。 「う、わああ……ば、ばけもの」 「いやだから能力なんですってこれが」 さあて形勢逆転だ。おかっぱの男はオレのルール能力にびびって、腰を抜かしてしまったらしい。 《ちょうどいいから、この日本刀の切れ味を試そうじゃないか》。 オレがオレにそう語りかけてくるから、オレはオレに「そうだな」って返して、 日本刀を、振り上げた。 「――な、一つ質問。 なんでかさ、ずっと目を背けてた気がするんだよな。オレ。ここが殺し合いの場だってことにさ。 さっきあんたともみ合いになったあたりから、妙に頭が冴えたというか……《決意してたはずなのに、決意しなおした》っていうかさ。 今やっと、《あ、コロシアイしなきゃな》って気分になれたの、あんたのおかげな気がするんだよね」 思ったことはすぐ垂れ流すオレの口が、すらすらと今の気持ちを読み上げる。 きっといい笑顔してるんだろーなオレ。だって地面のおかっぱ頭、すっげーこの世の終わりを見てるような顔してるもん。 まああれだ、 ここでオレに殺されちゃうってことはさ。 あんたきっと、ここに来るまでになんか重大な失敗でも犯しちゃったんだろうぜ。 「違う……私のせいじゃない……! 私は……私はっ……!」 「あんたの能力はそういう奴なのかな? 煮え切らなかったオレに、ようやく決意をさせてくれたのかな? だとしたら、ありがとな。……お礼になるべく苦しまないように一撃で殺してやるから、天国にでも行ってくれ」 「うあぁ……ひぃ! や、やめ――」 「やめない」 振りおろして。 心臓を、一突きにした。 そんで抜いたら、びゅーって血が出た。 返り血でオレの一張羅はびしょ濡れ。これが人を殺すことなんだって、思う。 白目を剥いたおかっぱ頭の男は、二、三秒痙攣したあとに真っ青になって、そっからはもう動かなくなった。 オレ素人だから、苦しまずに死ぬやり方なんて知らないんだよなあ、ぶっちゃけ。 これで苦しんで死んでたら、ちょっと悪いことをしたかもしんないな。 「さーて、食糧でも調達しに行くか」 感傷に浸る暇はない。 《ここは殺し合いの場なんだから、さっさと最善の行動を取って生き残るべきだ》。 オレは食糧を調達するために、娯楽施設の中に向かう。 さっきまではその選択肢にずいぶん躊躇していたような気がするけれど――《きっとそれは、気のせいなんだろう》。 【心機一転:死亡――あと十三名】 【A-1/娯楽施設入口前】 【優柔不断/フリーター】 【状態】達観 【装備】日本刀 【持ち物】激辛よもぎ団子×1 【ルール能力】どんな刃物でも断たれない身体を持つ 【スタンス】殺し合いから目を背ける(反転) 手を繋ぐ 前のお話 次のお話 遺棄消沈 前のお話 四字熟語 次のお話 幻影水鏡 心機一転 実験終了 曇天霹靂 優柔不断 珈琲牛乳 用語解説 【心機一転】 ある動機をきっかけとして、気持ちがよい方向に変わることを表す四字熟語。 あくまでよい方向に、であるが、四字熟語ロワの心機一転はなぜかスタンスを反転させてしまう能力を持っていた。 これは本人の心機一転ぶりがあまりにもおかしな方向だったのと、 四字熟語ではなく「心機(心の在り方)」を「一転(がらりと変える)」という風に解釈されたからだと思われる。 優柔不断を殺してしまったと思ったら殺されてしまったのも、また一転らしい死に方である。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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DD/066 T10 C 宮間 夕菜/清純派 女性 パートナー 式森 和樹/優柔不断 男性 レベル 2 攻撃力 3000 防御力 4500 【よろしくお願いします。和樹さん】《魔法》 《ヒロイン》 【自】 このカードが手札からフィールドに置かれた時、あなたは自分の山札を見て名前に“和樹”を含むカードを1枚まで選んで相手に見せ、自分の手札に加える。その山札をシャッフルする。 作品 『まぶらほ』 関連カード 和樹&夕菜/私の恋人 式森 和樹/歩く国際問題 式森 和樹/優柔不断
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Part13-798 優柔不断 ピース・オブ・ラブ 優柔不断 通常罠 相手ターンのバトルフェイズ開始時に発動する事ができる。 以下の効果から1つを選択して発動する。 ●バトルフェイズを終了させる。 ●相手フィールド上の攻撃表示モンスター1体を守備表示にする。 Part13-798 名前 コメント ピース・オブ・ラブ 通常罠 相手ターンでのみ発動する事ができる。 お互いのプレイヤーは1000ライフポイント回復する。 次の相手ターンのバトルフェイズまで、お互いのプレイヤーは攻撃する事はできない。 Part13-798 名前 コメント