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鞘師里保は無言で道場を進む。 静謐を切り裂く、硬質の沈黙。 靴のままで歩む足の裏が板張りの床を蹴る。 "長い血の刃"を携えて一瞬で間合いを詰め、振り下ろす。 紅色の瀑布が床を叩き割り、爆音。 「いいね」 木片の舞い散る道場の隅に、道重さゆみの裸足が着地する。 道重の動きに遅れて、木片が道場の床に落ちていく。 白々とした刃は、緩く湾曲している。 見るものが見なくても分かる、本当の"日本刀"だ。 柄を握る道重が口の端を歪める。 「成長したね、りほりほ。でもいきなり斬り付けないでほしいな」 「大丈夫です。"貴方"は死にませんから」 「それは親切心と受け取ればいいのかな?」 「…そうかもしれませんね」 道重が歩を前に進める。 気負いも躊躇も無く、散歩するような歩調だった。 間合いに入られた鞘師は、準備していた突きを放つ。 最速にして最短の直線。 道重は初撃にして必殺の切っ先を受けずに右へと逃げる。 鞘師の突きが連続して放たれるが、道重は風に舞う木の葉のように 軽やかに紅い刃を避けていく。 鞘師の「水軍流」においての刀術は、無闇に刃を打ち合わせない。 ましてや相手は日本刀。 日本刀は近接戦闘や携帯武器では非常に優秀だが 槍には勝てず、飛び道具には無力という弱点は確かに存在する。 だが、接近武器同士であれば互角。質量的には相手の方が上だ。 「水限定念動力」を維持させる精神力を保たなければいけない 鞘師にとって、この勝負はあまりにも気が抜けない。 道重は風のように右へ動き、鞘師の死角に回ろうとする。 鞘師は刃の弾幕を防御に変えた。 再び攻勢に出た鞘師の刃を、道重は刀で柔らかく受ける。 左手が跳ねて、鞘師の手を下へと叩き落した。 同時に刀身が下がり、道重の刀が無防備な空間へ進む。 首筋に迫る鋭利な刃を、反射で左手に篭められた"短い刃"が防ぐ。 まるで時計の針のように両腕が交差した鞘師は刃の軌道を反転。 反撃として鋏のように左右から狭まる刃を、道重が後退して回避。 鞘師は"短い刃"を傷口に沈めていくと、"長い刃"を両手で構える。 対する道重は笑っていた。愛らしい笑顔で。 「まさか反射神経だけで防がれちゃうなんて凄い凄い。 うん、やっぱりりほりほだよ。上手過ぎ」 道重の笑顔に対峙する鞘師も獰猛さを含んで微笑む。 頚動脈の上の白い皮膚が破れ、薄く血が滲んでいた。 「初めの一手でこの技を受けてたら、大半の人の首が飛びますね」 「そういう流派を会得してたからね。聞いた話だとさっきので 死ななかったのはごく少数だったらしいの」 「…なるほど。これは、研究しがいがありますよ」 二人の剣士が無造作に進む。鞘師の殺傷圏が先に触れた。 "紅い刃"が閃光となって伸びていき、道重の頬をかすめる。 早く重い突きの連射砲となった連撃に、道重は防戦一方となる。 崩れた体勢へ、鞘師の突きからの薙ぎ払い。 受けたのは道重が道場の床板に立てた刃。 受けきれずに跳ねた刃を背後に、道重は前へ飛ぶ。 裂ぱくの気合とともに放たれる正面からの白刃。 半身となった鞘師の肩口を掠めた。 さらに翻る刃は、"紅い刃"が盾となって受け止めた。 左手は貫き手となって前に突き出されると、目を狙う指先を鞘師が回転して逃れる。 「さすがにちょっと危ないですよ。武器を持ったまま目潰しなんて」 「実戦ではそうも言ってられなくなるよ」 道重は再び距離を詰める。 鞘師に飛燕の速度で追いすがる道重が、蛇のような息吹と共に刃を放つ。 突き。 突きからの斬撃が鞘師の手首を狙った。 相手の防ぐ動きの手前で跳ねた刃が、さらに落雷となって首筋を襲撃。 鞘師の旋回した刀身に防がれると反転。 足下を狙う鋼の猛禽となる。 これも鞘師が刃を反転させて、辛うじて防御した。 道重の攻めは、嵐の激しさと、機械の精緻さの刃だった。 それぞれの刃が、互いの制空権を狙う。 精緻な方程式を解いて、"紅い刃"が嵐を抜ける。 轟音。 道重の手から日本刀が離れた。 鞘師の剣技と剛力に、彼女の握力や力を逃がす技術が敗北したのだ。 さらに道重の痩躯が空中に浮く。 空中制御など不可能な道重へ、鞘師の非道の追い討ちが迫る。 空中で道重の左足が背後に振られる。 追撃を放とうとした鞘師は、絶対の好機に悪寒を感じた。 一秒を百分割し、さらに分割していく赤色の瞳は、道重の脇差しが左の 腰から消失していたことに激しい違和感を抱く。 再び前へ振られた道重の足先は、刃をともなっていた。 脇差しの柄を左足の親指と人差し指で挟んで、振り抜かれる。 通常の剣技ではありえない方向、真下から真上への太刀筋。 鞘師は"短い刃"で受けたが、衝撃を受けきって反撃に移ることは出来ず 流れのままに下がる。 手で着地した道重は逆さとなり、左足と先にある刃が水平回転。 逃げる途中の鞘師の肩口を掠める。 血の霧とともに、両剣士の距離が離れた。 鞘師の首筋には、朱線。 先ほどとは反対側の頚動脈の上の皮が切れて、血が滲んでいた。 肩口の服が切断され、血が零れる。 板張りの道場には、素足の道重が着地していた。 右手に日本刀を握り、左手に脇差しを下げる。 「油断するかと思ってたけど、全然動揺がなかった。 しかも完全に隙を狙ったはずなのに、それだけしか傷付けられないなんて。 多分もう私にはキミを殺すことは出来ない。奥の手も全部使ってしまったから」 「…いつまでその格好で居るつもりですか」 「ああ、そういえばこの姿になってても意味なかったよね」 道重の口調が唐突に変わった。 当然だ、彼女は―― 道重さゆみではない。 この道場の形を模した"異空間"も現実世界ではない。 右手は"紅い刃"を握ったまま、鞘師の左手が上がる。 指先が自らの肩口から首筋を撫でる。 赤い血の滴が白い指先を染めた。 「『水限定念動力』は液体や水素といった化学式であれば固体ですら操る。 気体の水蒸気ですらもね。そしてキミは私を殺すために"血"を使った。 『水軍流』の血を私に使った…それは、恨んでるって事かな」 「けど、速度と角度は比べ物になりませんでした。 水軍流というものがどんな剣技なのかを知らなければ、悟らなければ 私はきっと、自分の"血"に負けていたと思います」 それは道重の形をした誰かに対する鞘師なりの畏怖と賞賛だった。 どんなに綺麗ごとを並べても剣術は「殺人術」。 それを前にして自身が生きるか死ぬか、結果は―― 多少上回ったに過ぎない。 自分はきっとまた、この"血"と異能力に魅入られてしまうのかもしれない。 "人を殺せるという事を学んでしまったから"。 鞘師は指先を濡らす血を振り捨てる。 両手で"紅い刃"を構え、刃の先に鋭角の美貌があった。 甘さが存在しない、刃の美しさ。 「いや、もうやる必要はないよ。ちょっとね、試したかっただけなんだ」 「試したかった…?」 「キミは一つ年をとった。前のキミよりも水軍流を支える握力、腕力 持久力、耐久力。反射神経に情報処理能力や脳は優れていくだろう。 けどまだ甘さがある。この姿に傷一つないのがその証拠だ。 それはこれまでの反動かもしれないけど、キミが今居る場所を 死に場所と決めるなら、もっと強くなれ。もう過去を抱える必要はない」 「貴方は…そうか」 鞘師は自らに道理を納得させるように頷く。 自身の手にあった"紅い刃"は傷口に沈み、まるで鞘に納めるように姿を消す。 道重の日本刀も小さく鞘鳴りの音を響かせた。 「ありがとうございました。私はきっともう、迷いません。 でも死のうなんて事も思ってません。私はたくさんのものを得ました。 壁を作ってきた分、どうやら私は失うことを怖がってます。 けど、だからこそ―― 大切なモノだと気付けました。 また会うときはきっと、今よりもずっと信じられる自分になってますよ」 鞘師は振り返ると、"異空間"の出入り口へと歩き出す。 そこでもう一度振り返る。 其処に存在していたはずの道重は居なかった。 見慣れた少女と、傍らには『水軍流』の守り刀が転がっている。 黒塗りの鞘と黒染めの柄の其れは、まるで死に場所を探しているようにも見えた。 ―――――― 目が覚めた鞘師は一呼吸する。 あまりにも酷い夢だった、というのが第一印象。 おまけに寝不足だ。もっと眠りたかった。不機嫌になりかけて頭を掻く。 あの道重と対峙するなど考えたくも無いが、だがとても新鮮な気持ちだったのも事実。 現実世界の道重はとても優しい。 時々それが仇となっていろいろと大変な事にもなるのだが、それでも時には 頼りになる、尊敬しているリーダーだ。 だがあんなにもたくましさを感じるリーダーも良いな、と思ってしまったのも事実。 携帯を見ると、仲間からの誕生日メールが届けられていた。 これを返信するには時間がかかりそうなので、とりあえず学校の準備をしなければ。 夜にはあのお店で全員が顔を見合わせるのだろう。 今日は、今日ぐらいは甘えてみようか。 鞘師は潤む瞳で外を見上げる。 相変わらず世界は蒼かった。 投稿日:2014/05/28(水) 22 10 45.63 0
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デザイン 機種 パチスロ北斗の拳 強敵 アニメーション なし スキル効果 スキルなし 消費SP 0 入手方法 イベント LvMAX経験値 ? 限界突破素材 限界突破先 限界突破元 備考
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*―*―* 絹旗「退院超おめでとうございます」 一方通行「たかだか一日で何言ってンだ」 。 絹旗「退院祝いに超ごちそうします、コーヒー」 一方通行「…………」 絹旗「超不服ですか?」 一方通行「いや……何が喰いてェ?」 絹旗「……じゃあ超肉で!」 一方通行「……チッ、仕方ねェなァ」 絹旗「なんだか超気持ち悪いですね」ボソッ 一方通行「聞こえてンぞ、モアイ」 絹旗「なっ、なんでまたモアイなんですか!? 昨日は最愛さまって超呼んでたくせに」 一方通行「はいはい、モアイさまァ」 絹旗「レータくんったら超照れ屋さん」 一方通行「レータくゥン!?」 絹旗「え? だって悪世羅・零太でしょう?」 一方通行「ンだよ、その痛々しい名前はァ!?」 絹旗「超引くわ」 一方通行「テメェエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」 「おや……アレは被験者一方通行では? と、ミサカは記憶を手繰り寄せつつ首を傾げます」 *―*―* 絹旗「悪世羅零太くん、何にします?」 一方通行「絶対ェ反応してやンねェ……」 絹旗「超反応してるじゃないですか。 じゃあこの最高級黒毛和牛ステーキで超決まりですね」 一方通行「……オマエさァ」 絹旗「なんですか? その超訝しんだような目も含めて」 一方通行「このまま毎日俺に集って、美味いもンばっか喰ってたら太るンじゃねェ……?」 絹旗「なっ……淑女と書いてレディたる超キュートな私に対して、超失礼ですよ! そ、それに私は超成長期ですし、今回はあなたから……」 一方通行「心無しか初日に比べて、こう、丸みを帯びてきたっつゥか……」 絹旗「……サラダにします」 一方通行「嘘だっつゥの」 絹旗「それでも超サラダにします。 私の心は日本海溝並に深く深く超傷付きました、超責任取ってください」 一方通行「はいはい……そンな窒素並みに軽い責任ならいくらでも取ってやるよォ。 どォせ俺が喰いだしたら羨望の眼差しで肉を見て涎垂らすンだから、意地張らずに和牛頼め」 絹旗「……超解りましたよ」 一方通行「なァに、口尖らせてンだよ?」 絹旗「別n……」 一方通行「ン? どうした?」 絹旗「何かが、窓に張り付いてこちらを超ガン見しています……」 一方通行「アレは……『妹達』か……!? どうしてこンなとこに……」 絹旗「超お知り合い……いえ、超理解しました。 『雌犬』の掃除は私に超お任せてください」ボキボキ 一方通行「オマエまだその話信じ込んでンのかっ!? つゥか止まれ、待ちやがれって言ってンだコラァ!」 「やはり被験者一方通行でしたか。 と、ミサカは掌を叩いて納得します」 一方通行「オマエ……なンでこンなとこにいやがる……?」 「被験者一方通行が大怪我をしたため、本日予定されていた実験は延期となり、 暇を持て余していたミサカ達の一人であるミサカは、研究員の芳川桔梗の好意で昼食に食べに外へ出ました。 と、ミサカはがま口を自慢げに見せ付けて懇切丁寧に説明します」 一方通行「長ったらしい説明をどォも……。 たくっ、こんな乱造品一切表に出すンじゃねェよ……」 「それよりあなたこそ、何故ここに居られるのですか? と、ミサカは入院中であるはずの被験者一方通行に訊ねます」 一方通行(監視役、っつゥわけでもねェみてェだな……) 絹旗「超べらべらとうるさい雌犬ですね。 と、サイアイは殴りかかります」 一方通行「やめろォ! しかも影響されてンじゃねェよ、アホモアイ!」ガシッ 「あなたは誰ですか? と、ミサカは構えつつ問いかけます」シュバッ 絹旗「超礼儀がなってないようですが、いいでしょう。絹旗最愛です。 と、超心の広いサイアイは答えます」 00001号「これは失礼しました。 ミサカはシリアルナンバー00001号のミサカです。 と、ミサカは口調を真似されたことに憤怒しながらも名を名乗ります」 一方通行「なンか頭痛ェ……」 *―*―* 絹旗「超いただきます」パクッ 00001号「…………」ジュルリ 一方通行「ン、どォした? 今更遠慮なンかしてンじゃねェよ」 00001号「いえ……」 絹旗「テメェ天下の一方通行様の飯が喰えねェのかァ!? と、サイアイは超チンピラの真似をします」 一方通行「誰がチンピラだコラ」 00001号「あなたは……あなたはいずれ[ピーーー]相手に、どうして食事を与えたりするのですか? と、ミサカは被験者一方通行の行動に疑問を抱きます」 一方通行「どうして、って……オマエが金持ってねェからだろ……」 00001号「失礼な、情けをかけられるほどミサカは貧乏ではありません。 と、ミサカはがま口から二千円を取り出します」 一方通行「コレ、五八〇〇円な」 00001号「……、超いただきます。 と、ミサカは絹旗最愛に倣って宣言します」パクッ 絹旗「超真似すんな。 と、サイアイは超イライラしつつステーキを食べ進めます」パクッモグモグ 00001号「それはお互い様です。 そもそもあなたは被験者一方通行とどういったご関係で? と、ミサカはまさかの可能性を想像しつつ問います」 絹旗「……実は超嫁なんです! と、サイアイは驚愕の事実を声高らかに言い放ちます」 00001号「嘘吐きは泥棒の始まりですよ。 と、ミサカは冷静を装いつつ次の言葉を待ちます」 一方通行「冗談に決まってンだろ、からかわれてンじゃねェよアホクローン………」 絹旗「クローン?」 一方通行「……あァ、第三位の常盤平の『超電磁砲』がいンだろ? ソイツの体細胞クローンが、コイツだ」 00001号「彼女は実験関係者ではないはずです。 と、ミサカは忠告します」 絹旗「悪世羅・零太くんは私に超信頼を置いているんですよ。 と、サイアイは胸を張ります」エッヘン 一方通行「ンなわけあるか、話したところでなンら影響はねェからだァ。 まァ、他言はさせねェから、オマエも黙っとけ」 00001号「それは脅しですか? それともこのステーキが口止め料ということですか? と、ミサカは悪世羅・零太さんを睥睨して質問を投げかけます」 一方通行「……オマエも死にてェのか?」 00001号「……解りません。 と、ミサカは今の精神状態に疑問を感じつつ答えます」 一方通行「……そォかよ」 絹旗「それにしても、あの『超電磁砲』のクローンですか。 どうせなら零太くんクローンを超生成すればいい話じゃないですか」 一方通行「ハッ、こんなバケモンは一匹で充分……いや、待てよ……」 一方通行(どうしてわざわざ『超電磁砲』を選ンだ? 騙くらかすのが一番簡単そうだったからじゃねェよなァ……? そもそも……クソッ、考えても結局答えは出ねェか……) 絹旗「早く食べないと超冷めますよ」パクッ 一方通行「……そォだな」パクッ 00001号「被験者悪世羅・零太のせいで、ミサカ達の舌が肥えてしまいそうです。 と、ミサカは今後の食生活への支障を心配します」 一方通行「超大丈夫ですよ、その悪世羅・零太くんが超責任を取ってくれます」 一方通行「とりあえずオマエら、いい加減その呼び方やめろ……」 *―*―* 一方通行「コーヒー飲みてェ……」 00001号「ごちそうさまでした。 と、ミサカは深々と頭を下げます」 絹旗「超気にすることないですよ」 一方通行「オマエが言うなァ」 00001号「お二人はとても仲がよろしいのですね。 と、ミサカは少し羨ましく思います」 一方通行「オマエにも姉妹がいンだろ」 00001号「悪世羅・零太さんの言葉の意味が理解出来ません。 と、ミサカは頭を悩ませます」 絹旗「それは私があなたの妹ってことですか? ちょっ、超ふざけんな! 超不満っ……です!」 一方通行「あ、あン!? 違ェよ!!」 00001号「……ミサカ達はあなた方のように、違った感性や個性を持ち合わせてはいません。 だから、姉妹がいる、というようには感じません。 と、ミサカはなんとか捻り出した解答を口にします」 一方通行「そォかァ……? それはなンっか違うと思うぜ」 00001号「どういうことですか? と、ミサカは再び頭を悩ませます」 絹旗「そんなことより超映画を見に行きましょう。 退院祝いのコーヒーも途中、超買ってあげます」 一方通行「またかよ……チッ、仕方ねェな……」 00001号「ちょっと妹に甘過ぎませんか? と、ミサカは二人に対して湧き上がった複雑な感情を吐露さます」 一方通行「ふっ、ふざけンな!」 絹旗「お兄ちゃん、超落ち着いてください」 一方通行(悪かねェな……) 00001号「…………」ジトーッ 一方通行「なンだよ、見ンじゃねェ!」 *―*―* 絹旗「ポップコーンのLをバターとキャラメルの二つ。 黒糖コーラに、アイスコーヒーと……」 一方通行「オマエは?」 00001号「え? で、では、悪世羅・零太さんと同じもので……。 と、何故かここまで付いてきてしまったミサカは慌てます」 一方通行「あァ、金のことなら心配すンな……一人や二人増えたところで変わンねェよ……」 00001号「では、他のミサカち達も……」 一方通行「それはやめろ……!」 絹旗「一号、とりあえずコレを超持っていてください」 00001号「……これが、ポップコーンというものなのですね。 と、ミサカはこのなんとも言えぬ芳しさに酔い痴れます」 一方通行「そりゃよかったな……」 00001号「はい。一口食べてみてもいいですか? と、ミサカは了承を取ります」 一方通行「あァ……? 好きにしろよ」 00001号「これはっ……とても、とても美味です! この口内でとろける甘さが、ポップコーン本来の香ばしさが! と、ミサカは感動のあまり饒舌になります」 一方通行「失っとけ」 00001号「あなたも、お一ついかがですか? と、ミサカは悪世羅・零太さんの唇にポップコーンを押し当てます」グリグリ 一方通行「やめっ……俺は甘いもンは苦手なン゙……」 00001号「どうですか? とても美味しいですよね? と、ミサカは同意を求めます」 一方通行「……そォだな」シャクシャク 絹旗「…………」 一方通行「あン……なンだよ、モアイ?」 絹旗「別に超なんでもないです……ほら、超コーヒーですっ!」 一方通行「危ねェ!? 零すとこだっただろォが!」 絹旗「…………」 一方通行(なンっか機嫌悪ィな、コイツ……) 00001号「そちらのポップコーンをいただきたいのですが。 と、ミサカは遠慮がちにお願いします」 一方通行「ほらよォ」ヒョイ 00001号「むぐっ……バターも美味しいですね。 と、ミサカは口にポップコーンを突っ込まれたことに動揺しつつも、小さく頭を下げます」 絹旗「……そっちのポップコーンを超取ってくれます?」 一方通行「ほらよォ……」トンッ 絹旗「……超まるごと頼んだ覚えは、超ないですっ!」 一方通行「あ、あン? いいじゃねェか、好きなだけ取れよ……」 絹旗「チッ……」 一方通行「なっ……!?」 00001号「どうかしたのですか? と、ミサカは先ほどから様子の可笑しい絹旗最愛に問います」 絹旗「超なんでもありません、超気にしないでください」 一方通行「そォか……多分アレだ、自分の玩具が他人に使われンのが気に喰わねェンだろうよ……」ボソッ 00001号「なるほど、複雑なのですね。 と、ミサカはイマイチ人の心理を理解出来ないので、定型的な返しをしておきます」ボソッ 絹旗「超何か言いましたか……?」ギロリッ 一方通行「いや……」 00001号「いえ……」 *―*―* 絹旗「だぁー、超つまんねー」 一方通行「イライラして俺を睨みやがって、ほとンど見てなかっただろォが……」 絹旗「超睨んでなんかいません!」 一方通行「はいはい、そォだな……。 でェ、オマエはこれからどうする?」 00001号「そろそろ規定外出時間を迎えてしまうので、ミサカは研究所へ戻らなければなりません。 と、ミサカは名残惜しさなど微塵も見せずに答えます」 一方通行「……楽しかったのか、オマエ」 00001号「恐らく……きっと、いえ、たしかに楽しかったです。 と、ミサカはなんとか笑顔を見せようと努力します」ニ、ニコ 一方通行「……そォか、そりゃよかったな」 絹旗「…………」 00001号「では、あなた達と……あなたと次に会える時を楽しみに待っています。 と、ミサカは悪足掻きに人差し指で口角を持ち上げます」 絹旗「また、いつか超遊びましょう。 と、サイアイは超かわいい笑みを浮かべて別れを告げます」ニヤリ 00001号「ものすごく邪悪な笑みに見えます。 と、ミサカは悪世羅・零太さんから学んだツッコミスキルを発動します」ビシッ 一方通行「…………」 00001号「それでは……と、ミサカは深々と御辞儀をしてこの場を後にします」 一方通行(……クソがァ) *―*―* 芳川「…………」カタカタ 一方通行「…………」 芳川「……はぁ、まったく。 突然やって来たと思ったら、アレから二時間黙り込んだまま。 こちらとして、色々と説明してもらいたいことがあるんだけど」 一方通行「なァ……」 芳川「何かしら?」 一方通行「俺は……どォしたらいい……」 芳川「…………」 一方通行「ったく、らしくねェよなァ……。 だけどよォ、なンっかもう解らねェンだよ……」 芳川「……あなた自身はどうしたいの?」 一方通行「それが解らねェから訊いてンだろ! 絹旗を送り込んだのはオマエだろうが! 答えろ!」 芳川「絹旗最愛をあなたのところに行かせた名目は……いえ、これは彼女に訊くといいわ。 実際のところは、あなたの思っている通りよ」 一方通行「なンでオマエが、ンなこと……!」 芳川「でも、私はまだ――」 芳川「隠れなさいっ!!」 一方通行「っ……!?」 「――芳川、今誰かと話していたようだが……?」 芳川「あなた疲れてるのよ、空耳でしょう? 『打ち止め』の方のどう?」 一方通行(天井か……) *―*―* 天井「ああ、まぁアレは『妹達』と多少勝手が違うから面倒だ。 それより、実験を明日再開する」 芳川「……それはどうして? 一方通行は入院中でしょう?」 天井「『試験個体』が妙なことを言い出してね。 試しに調べてみたらシリアルナンバー00001が今日の一方通行と会っていたんだよ。 あのガキめ……仮病を使いやがったんだ……」 芳川「……そうだったのね。 昨日入院したのは確かなようだったけど」 天井「フッ、何がレベル5の第一位だ。 テストで『試験個体』を殺しかけたアイツが、今更善人ぶって殺したくないとでもいう気か? 傑作だ、ハハハハハハッ!!」 芳川「…………」 天井「……まぁ、そんなことは上も許さないだろうさ。私個人としても、ね。 もはや失敗は許されない。私にはもう後がないんだ。 君だって、ここで躓きたくはないだろう?」 芳川「…………」 天井「それじゃあ至急明日の準備に取りかかろうか。 ところで、布束はどうした?」 芳川「さぁ……? 『妹達』の調整じゃないかしら?」 天井「そうか、実に熱心でいいじゃないか……。じゃあこっちは任せたよ」 芳川「ええ……、行ったわよ」 一方通行「…………」 *―*―* 絹旗「超おかえりなさい」 一方通行「チッ……さっさと寝ろ……」ゴロン 一方通行(クソッ……寝れやしねェ……) 絹旗「……一方通行」 一方通行「…………」 絹旗「一つだけ、超訊いてもいいですか?」 一方通行「…………」 絹旗「一号のことを、殺すんですか?」 一方通行「……だったらどォだってンだ」 絹旗「いえ、別に」 一方通行「っ……」 一方通行(なンでだよ……どォしてだ……。 責めるなり、止めるなりあンだろ……) 絹旗「……私は、人を超殺せます。 今までも両手両足の指なんかじゃ超足りないくらい、超殺してきました。 超仕事だから、と特に厭うこともなく、当然のように」 一方通行「――俺はオマエとは違ェっ! ただただ、自分のためにアイツらを殺す! 『無敵』の存在となるために! ただそれだけのために!」ダンッ 絹旗「……超失礼しました、あなたの方が超正当な理由です。 私ほど超汚れてないですし、何よりそうやっt」 」 一方通行「どこが正当だってンだァ!? 俺はレベル6になるために、『妹達』を二〇〇〇〇人虐殺すンだぞ……」 絹旗「超優しいんですね……」 一方通行「なンでかは知らねェが、オマエは俺を高く買い過ぎてンだよ、そォだ……」ゴロン 一方通行(中止するなンて、出来るわけがねェ……そこは俺も理解している……。 俺が辞めたところで、『妹達』への待遇は変わらねェ。 また他の実験に流用……あるいは俺以外のレベル5の『絶対能力進化』に使われるだろう) 一方通行(ハハッ……救いなンざどこにもねェ……) *―*―* 「……いらっしゃい」 一方通行「布束か……こンなところでお出迎えかァ?」 布束「その娘は?」 一方通行「あァ、俺の……弟子だ」 絹旗「……あっ、絹旗最愛です」 布束「布束砥信」 一方通行「コイツに実験の様子を見せるが、問題ねェな?」 布束「ないわけない。 however あなたは私が言って聞くような人間ではないわ」 一方通行「どォも……行くぞ、モアイ」 布束「…………」 絹旗「あ、はい」 布束「それで、どうするの?」 絹旗「…………」ペコリ *―*―* 00001号「早くも再会出来て、嬉しく思います。 と、ミサカは微笑みます」 一方通行「……一日で随分上手くなったじゃねェか」 00001号「昨晩、布束砥信に頼み込んで出来るようにしてもらいました。 と、ミサカは微笑みます」 一方通行「そォかよ……」 00001号「実験開始まで、残り一分。準備は調っていますか? と、ミサカは確認を取ります」 一方通行「…………」 00001号「……ミサカは大丈夫です。 と、ミサカは微笑みます」 一方通行「オイ……」 《どうした? 何か問題でも発生したか?》 一方通行「……だ」 ドドドッ……!! 一方通行「――はァ……?」 《実験内容、重火器を使用する相手に対して反射のみをでの対処。 終了だ、呆気ない》 00001号「――――」 一方通行「…………」 《ゴミをさっさと片付けろ。 一方通行、次は第二実験場へ移動してくれ》 一方通行「オイ……オイオイィイ!! ふざけンな、俺はまだ何も……」 00001号「――――」 一方通行「――は、ひはっ、あぎゃはは、ヒハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 . ⌒ヽ _.ノ{-r≪__ / . i / フ⌒¨ }ミ_/ ′ l .__┘_{ノ{\ __jノ' / | / / ´厶≧ヒ.人 __ ..イ | / // i |厂 ̄`` ,`フ爪 i !V | }ノ ′ | | . -- 、 从jノ'⌒ヽ. | / /i トミ / ̄_⌒’ }| | / \| 'イ{j i { 从{/ `7 i 八 トミー─ ヽ/// V |ハ{\| iい イi//{ ∨ }从 } {_/ i / }ハ /} { l 、 / __、 -‐<{___.____{/ } ,| \ / ,. く 丶 \ / ノ / ∨ / \ \ { i i / \ \ _ _ /\ | | j / 丶 、{ \,/ | ' ∨ _,ノ | 丶 \ l/ i } 厶 i \ \ | /\ /{ \|_ \{ '| / 、 _ / |- 、_}丶 / } / / / | |\ \ / /| / / | ! 丶 } / / | / / | | 〉 } / | 《何を笑っている……。 私達は先に行っているぞ、芳川》 一方通行「――ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ハ、ハ……」ガクッ 《しっか――》 一方通行「なァ、起きろよ……。 舌肥えちまったンだよな? なンか美味いもン喰わせてやるからよォ……」 《――さい》 「なァ、頼む……この俺がお願いしてンだぜ……」 《――一方通行、しっかりしなさい!!》 《今すぐ能力でその子を止血して!!》 「頭に一発……心臓に二発……。 どォなるってンだっ!? せめて綺麗なままってかァ!?」 《違うわ! 今すぐ私の知り合いの医者に診せればなんとかなるかもしれないのよ!》 「あり得ねェ……」 《indeed. だけど、試してみる価値はあるわ。 その場合、あなたは実験から逃げ出したという汚名を着せられる……天井や他の研究員から」 一方通行「オマエは布束……ハッ、そンな汚名濯ぐまでもねェ……」 《一方通行、超急いでください!》 一方通行「……破壊された毛細血管同士を繋いだ。 弾丸を摘出するには身体の方にダメージがいくから医者に任せる」 《よし……今からいう病院へ急いで――――》 *―*―* 絹旗「……一号、超命を取り留めたそうです」 一方通行「本当か……っ!?」 絹旗「でも、超身体に障害が残る可能性が……」 一方通行「…………」 絹旗「リ、リハビリ次第で超なんとかなるかもしれないって、カエル顔の医者が超言ってましたよ!」 一方通行「…………」 絹旗「……隣、いいですか?」 一方通行「…………」 絹旗「…………」ポスッ 一方通行「なァ……これからも、こうしていけばいいのか……?」 絹旗「はい……?」 一方通行「いや、アイツらのその後のことはどォする……。 それに、こンなこといつかは必ずバレンだろ……」 絹旗「……超責任取ればいいじゃないですか」 一方通行「窒素並みに軽けりゃ俺にも取れンだけどよ……」 絹旗「私は、私の『窒素装甲』は車だって超軽々と持ち上げられるんですよ」 一方通行「それがどォした……」 絹旗「師匠が荷物を背負うなら、弟子の私が超支えてあげます」 一方通行「…………」 絹旗「だから、私が超傍にいてもいいですよね?」 一方通行「オマエ……なンで……」 絹旗「超惚れてるんですよ。 言わせんな、超恥ずかしい」 一方通行「ふっ、はっ……オマエのその余裕かましっぷりがうっぜェ……」 絹旗「超速攻でバレましたか」 一方通行(やってやるよ……)グッ *―*―* 芳川「それで、話って?」 布束「…………」コクリ 一方通行「俺はこの実験を中止に持ち込む……」 布束「great その言葉が聞きたかった!」ガタッ 芳川「ちょっと落ち着きなさい、布束」 一方通行「テメェはどこの闇医者だ……。 つーか やっぱオマエらグルか」 絹旗「ちぇんちぇー」 「うむ、なかなか萌えるじゃないか」 一方通行「つゥかこの親父は誰ですかァっ!? モアイ、オマエは人が真面目に話そうってのに、これ以上カオスに持ち込むンじゃねェよ!!」 絹旗「超失礼ですよ、一号の命の恩人に」 一方通行「あ、どォも」 「これも仕事さ、僕はこれで失礼するよ」 芳川「ありがとうございます、先生」 布束「……一方通行」ギュッ 一方通行「な、なンだよ……? いきなり手なンか握りやがって、気色悪ィ……」 布束「ありがとう……本当にありがとう……!」 一方通行「……チッ、あァ、全部テメェの『御陰』ってわけかァ」 芳川「私はあなたがその気になった時には、協力すると約束したわ」 一方通行「はァン、随分といい立ち位置に就いたもンだな」 芳川「私は甘いのよ、他人にも自分にも」 一方通行「このことをモアイが知ってるっつゥうことはねェよな……?」 絹旗「…………」 芳川「伝えていないそうね」 布束「ええ゛、彼女はあくまで個人的な目的であなたといる……」グスッ 一方通行「泣き止め……」 布束「だって、う゛っ、まざがあなだが……」ポロポロ 一方通行「……ここ、笑うとこですかァ?」 芳川「彼女はあなたより先に、『妹達』のことで悩んでいたのよ。 絶対に成功し得ないことを仕出かそうと画策していたくらい……」 一方通行「へェ……責めるなら今しかねェぞ?」 布束「しぇめるなんで、ぞんな!」ボロボロ 一方通行(コイツ、こンな奴だったかァ……?) 絹旗「それで、超中止に持ち込むっていってもどうするんですか?」 芳川「そうね、布束のように思慮の足りない話には乗れないわよ」 布束「芳川ざぁん……」ボロボロ 一方通行「潰すのも、辞めるのもダメだ。 どうやっても『妹達』に被害がいっちまう……それに二〇〇〇〇人なンて数を守りきれるはずがねェ……」 芳川「なら、あなたが低能力者にでも負けてみる? 『樹計図の設計者』に再演算されて、またすぐに再開されるのがオチだけど」 一方通行「あァ……なンとかして『樹計図の設計者』を潰さなきゃならねェ……」 絹旗「そんなこと超無理ですよ!」 一方通行「それでもやらなきゃなンねェンだよ。 とりあえず今は現状維持……ここで甘んじる。 『妹達』はぶっ殺したふりして、俺が匿う。 芳川、布束。オマエらは『妹達』の死亡を確認する装置に細工を頼む。 その他にも、俺の考え及ばないところなンかもよ」 芳川「簡単に言ってくれるわね」 布束「任ぜでぢょゔだい」ヒッグッ
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*―*―* 一方通行「……ンっ、朝か」 一方通行(今日の実験は午後からだったな……もォ一眠りするかァ……) 絹旗「…………」スースー 一方通行「……オマエは子猿か」グイッ 絹旗「うぅぅっ……」ギュッ 一方通行「離れやしねェ……ったく、幸せそうな面しやがって……」 絹旗「すごいっ、やっぱり一方通行はぴょん子だったんですね……」ムニャムニャ 一方通行「一体どンな夢見てやがンだよ……!」 絹旗「…………」スースー 一方通行「…………」クンクン 一方通行(やっぱラベンダーの香りなンざしねェ……けど、なンっかいい匂いはすんなァ……。 化粧の女臭ェもンでも、香水の匂いでもねェしィ……)クンクン 一方通行(ってェ、俺ァ一体何やってンだ!? こンなことをしてンのを見られたら、変態認定を受けること確z……) 絹旗「…………」ジッ 一方通行「…………」 絹旗「…………」スースー 一方通行「なンっか言えよォォォオオオオオ! 逆に辛ェだろォがァっ!」 絹旗「超うるさいですね……せっかく超優しい私が、超見て見ぬ振りをしてあげたというのに……」コスコス 一方通行「誤解すンじゃねェぞ! ただ俺が確認をs」 絹旗「あー、はいはい……」トスッ 一方通行(ン……? また他人の胸に顔埋めて、二度寝するつもりかァ?) 絹旗「…………」スーハー 一方通行「……何してンだよ」 絹旗「これで超おあいこです」 一方通行「っ……!?」 絹旗「どうかしましたか?」 一方通行「なンでもねェよ……」 絹旗「ん……動悸が超激しくなってませんか? もしや私の可愛さに不覚にも超ドキドキしてr」 一方通行「してねェ」 絹旗「……血流操作しましたね?」 一方通行「してねェっつゥの」 絹旗「なんで顔を隠すんですか? 超照れてるんですか、超照れてるんですね」 一方通行「そンなに吹き飛ばされてェのか」 絹旗「超かーわーいーいー、一方通行超かーわーいーいー」 一方通行「今すぐ黙らねェと、口内に窒息ぶち込むぞ!」 一方通行「もォ俺はソファーで寝るゥ! 離しがれェェっ!」グイィ 絹旗「超お断りです。 私、抱き枕がないと超眠れないんですよ」ギュウゥ 一方通行「ガキは早寝早起きが基本だろ、金やるから飯喰ってこい!」 絹旗「超寝る子は超育つ」 一方通行「コケシみてェな体型して何言ってンだ!」 絹旗「ぼんっ、きゅっ、ぼんっ」 一方通行「すっ、すっ、すっ」 絹旗「いくらなんでもそれは違います! ぽ、ぽん……きゅっ、ぽむん、くらいです!」 一方通行「ぽむンって何だよ? あァ、胸よりケツがデケェってk」 絹旗「窒息アッパー」ドゴッ 布束「…………」 一方通行「くっ、は……一発は一発だァ! 殴らせろォ!」シュッ 絹旗「女性に手をあげるなんて超最低です」サッ 一方通行「俺がンなフェミニストに見えンのかっ!? つーか、ガキはいいンだよォ、ガキはァ! ほォらァ、捕まえたァ……」ガシッ 絹旗「いーやー超犯されるー」 一方通行「騒ぐンじゃねェ!」 布束「楽しそうね」 一方通行「…………」 絹旗「…………」 布束「私も混ぜてくれないかしら」 絹旗「……どうぞ」 布束「ありがとう」シュル 一方通行「待てェっ、リボン外してンじゃねェよォっ!」 *―*―* 布束「仲がいいのね……」 絹旗「超お陰様で」 一方通行「ったく、勝手に入ってくンじゃねェよ……」ゴクッゴクッ 布束「ごめんなさい、邪魔してしまって」 絹旗「まったくです」 一方通行「違ェよ! つゥか、一体なンの用だ……?」 布束「However、こんな幼い子で性欲を発散しようとするのは感心出来ないわ。 発情した場合は私に連絡をt」 一方通行「その目ン玉くり抜かれてェか?」 布束「Indeed……所謂眼窟プレイというものね。 あなたがどうしてもしたいというなら、片目が無くなることも厭わないわ」 絹旗「……超お幸せに」 一方通行「もォやだ、オマエら……」 布束「あなたが以前と比べものにならないくらい接し易くなったから、つい」 絹旗「超私のお陰ですね」 一方通行「あァ、オマエのせいだな……。 でェ? また脱線するようなら追い出すぞ」 布束「00001号が目を醒ましたわ」 一方通行「…………」 絹旗「超よかったじゃないですか、ね?」 一方通行「……そォだな」 布束「あなたに会いたがっていた……だから、行ってあげてくれないかしら?」 一方通行「…………」 一方通行「……お断りだっつゥの。 俺は疲れてンだよ、それに午後からは実験だ」ゴクッ 布束「昨日、驚異的なペースで実験が進んだわ。 本日予定されている実験は比較するまでもなく、数が少ない」 一方通行「だからどォした? こっちは『妹達』のことで、やンなきゃなンねェことが山ほどあンだよ」 布束「あの子だって『妹達』よ」 一方通行「はァ……うだうだうだうだとォ……」 絹旗「一方通行は顔に似合わず、意外と超ヘタレですからね。 逃げたってしかたがないんです、そう、ヘタレータなんです」 一方通行「……前々から思ってたンだけどよォ。 オマエのその見透かしたような気になって吐く戯れ言……なンとかなンねェのか……?」 絹旗「超事実を述べたまでです、超ヘタレータ。 殺しかけたという現実《一号》から、超逃げるのもいいと思いますよ」 一方通行「調子に乗ってンじゃねェぞ……」 布束「別に強制というわけではn」 一方通行「チッ、クソが……行きゃあいいンだろ、行きゃあァ……」 絹旗「そして、超乗せられ易いンですよ。知ってましたか?」 布束「……知らなかったわ」 一方通行「誰が乗せられただァ……?」 絹旗「はいはい、超戯れ言ですよ」 布束「…………」クスッ 一方通行「オマエは何笑ってやがンだァ、あァン!?」 *―*―* 00001号「…………」 一方通行「…………」ガラッ 00001号「……おや、悪世羅・零太さんではないですか。 と、ミサカは驚愕します」 一方通行「…………」 00001号「ツッコミは無しですか……。 と、ミサカはしょんぼりします」 一方通行「……オマエが俺を恋しがってる、っつゥからよ」 00001号「ミサカはそんなことを言っていませんよ」 一方通行「だろうなァ、ったく、余計なことしやがって……。 だよなァ、そりゃ当然だァ……自分を殺しかけた相手に会いたいなンっつゥう奴はいねェだろ……」 00001号「しかし、思ってはいました。 と、ミサカは微笑みます」 一方通行「っ……いい笑顔じゃねェか」 00001号「ミサカの唯一の自慢なんです。 と、ミサカは微笑みを絶やさず続けます」 一方通行(あァ……クソがァ……) 00001号「……ミサカは悪世羅・零太さんを怨んだりしていません。 むしろ、感謝の念でいっぱいです。 と、ミサカは……ミサカは……」ウルッ 一方通行「……すげェじゃねェか、オマエ」 00001号「また一つ、自慢が増えました。 と、ミサカは再び微笑みます」ポロッ 一方通行「あァ……こンな最っ高の微笑今まで見たことがねェ……」ガシガシッ 00001号「とっ、突然何をするのですか? と、ミサカは心地よさを感じつつも抵抗します」 一方通行「傷の方はどうだ……?」 00001号「はい、銃創が残ることはなく、綺麗さっぱり塞がるそうです。 と、ミサカはお嫁にいける身体だとアピールします」 一方通行「そンなことどこで覚えてきやがった……」 00001号「点滴を替えにきた看護師さんとの会話から学びました。 と、ミサカは解答します」 一方通行「そォかよ……しっかし、暇だなァ……。 今度見舞いに来る時はモアイも連れてくるからよ」 00001号「いえ、ミサカはあなたと二人といるだけでも……楽しいです」 一方通行「……、今度来る時は適当雑誌を見繕ってきてやる。 それと何か喰いもン……果物とかゼリーも買ってきてやるよ」 00001号「ミサカはポップコーンとアイスコーヒーがいいです。 と、ミサカは好物を挙げます」 一方通行「……全部終わったら、また映画に連れて行ってやるよ」 00001号「……約束出来ますか? と、ミサカは問いかけます」 一方通行「……約束なンざしなくても、あのアホモアイが俺らを引っ張っていくだろォしな」 00001号「はい、今からとても楽しみです。 と、ミサカは微笑みます」 *―*―* 芳川「00001号を診てもらっているあの医師に、協力を取り付けたわ。 数人ずつになるけれど、『妹達』の調整を病院の方でやってもらえることになったから」カタカタ 00411号「コーヒーを淹れました、どうぞ。 と、ミサカは初仕事に緊張しつつ手渡します」 一方通行「となるとォ、あの病院までの輸送方法を考えなきゃなンねェか。 当然情報の漏洩はないと考えていいンだろうなァ?」 芳川「ん、ありがとう……安心してたょうだい、信用にたる人物よ」 00411号「……ど、どうぞ」 一方通行「あァ、ありがとよ」 00411号「は、はい……こちらこそ……。 と、ミサカは逃げるように駆け出し……」トテッ 一方通行「オイオイィ……」 00411号「平気です、大丈夫です、無事です。と、ミサカは疾風の如く――」ズサッ 一方通行「…………」 芳川「少し落ち着きなさい……」 00411号「は、はい、申し訳ありません。と、ミサカは頭を下げて謝罪します」 布束「一方通行、まだ先のことになるけど、屋外実験に備えてこの書類に目を通しておいて」 一方通行「ほォ……屋外でやるとなれば、こちらにとっては色々と都合がいいなァ……」 00112号「悪世羅・零太さん」 一方通行「あン? どォした、何かあったのか?」 00112号「あの……大変申しあげ難いのですが、お願いしたいことが……」 一方通行「……何か欲しいもンでもあンのか? 遠慮なンか要らねェから、言ってみろ」 00112号「では……もう一度踏んでくれませんか? と、ミサカは恥じらいを覚えつつもお願いします」 芳川「」 布束「」 一方通行「」 00112号「最初のうちはソフトに、出来るだけ優しくお願いします。 と、ミサカは希望します」 一方通行「……オ、オイ! どうしたらいいンだ!?」 芳川「知らないわよ……」 布束「『学習装置』を取ってくるわ」ダッ 芳川「落ち着きなさい、布束」ガシッ 00112号「どうかしたのですか? と、ミサカは首を傾げてみせます」 芳川「……兎に角、教育担当をあなたよ」 一方通行「いつからンなことに……!?」 布束「あなたは『妹達』の父よ」 一方通行「は、はァっ!?」 芳川「ほら、行きなさい……!」 布束「頼んだわ……!」 一方通行「…………」 00112号「……?」 一方通行「そ、そォだなァ……」 芳川「…………」 布束「…………」 一方通行「そォいうのは、まだオマエには早ェよ」 00112号「そうだったのですか……。 と、ミサカは肩を落とします」 一方通行「……だから、しっぺからでいいかァ?」 00112号「はい! と、ミサカは手首をs」 「「一方通行アァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」 *―*―* 絹旗「おかえ……り?」 布束「お邪魔します」 一方通行「今更かよ……」 絹旗「なんで布束さんが?」 布束「出来るだけ一緒にいた方が他人の目も誤魔化せる、いざとなれば言い訳も利くわ」ドサッ 一方通行「っつゥわけだ……」 絹旗「……ところで、それは?」 布束「食材よ」 絹旗「それは見れば超解りますよ。 まさかとは思いますが、料理を作ってくれるんですか?」 一方通行「喰えるもンが出せよ」ゴロン 布束「……失礼ね、これでも医学者よ」 絹旗「医学と料理は超関係ないと思いますけど……」 一方通行「…………」 絹旗「なんだか超大人しいですね、超不気味です」 一方通行「疲れてンだよ……。 つゥか、オマエ今日どこへ行ってたンだ?」 絹旗「え、はい、ちょっと上司や同僚に会いに。 超突然、どうしてそんなことを……?」 一方通行「ン……靴の位置が変わってたからな」 絹旗「……小姑ですか」 一方通行「うっせェ……」 布束「お待たせ」コトッ 一方通行「…………」 絹旗「……、これは?」 布束「ハンバーグ。ベシャメルソースで煮込んでみたわ」 一方通行「……なァ、俺の記憶違いじゃなけりゃあベシャメルソースは白いはずなんだけどよォ……」 絹旗「……私もそう記憶しています。 こんな禍々しいまでの黒色をしたベシャメルソースは初めて目にします」 布束「はい、ナイフとフォークよ」 一方通行「……き、切れねェ! つーかなンだよ、この暗黒物質!」ギチギチ 絹旗「焦げ? 炭? どうやら私の常識は通用しないものだったみたいですね……」ギチギチ 布束「……ハンバーグよ」 一方通行「表情一つ変えずよく言えたもンだな……喰えるかよ、こンなもン……」 布束「……頑張ったのだけど、やはりそれだけではダメなようね。 ごめんなさい、今すぐ下げるわ……」 一方通行「…………」パクッ 絹旗「一方通行! ちょ、超無謀でs」 一方通行「……%#&q◎*′℃蕾☆h!!」バタリッ 絹旗「一方通行! 一方通行! 超しっかりしてください! ほ、ほら、吐き出して! 水を!」 一方通行「ゴホォ……はァっ、はァっ……! なンだァ……この妙な感覚は……?」 絹旗「目がっ、目が超虚ろですよっ! しっかり、超しっかり!」 一方通行「味蕾一つ一つが、破壊されていくような……」ゴファッ 布束「Indeed、うっかりしていたわ……。 私の能力が『味蕾破壊《ダークマター》』だったこをすっかり忘れていて……」 一方通行「自分の料理の下手さを誤魔化してンじゃねェよっ!」 絹旗「間違いなくレベル5ですね……」 絹旗「これなら……私の方が超マシですよ……」ギチギチ 布束「面目ない……」 一方通行「もォいい……。 モアイ、それならオマエが作れ」 絹旗「え……でも、食材が」 一方通行「布束の買ってきた食材の余りもンで適当に作りゃあいいだろ」 絹旗「……ファ、ファミレスに行きませんか? あ~!! 超お腹減ったしっ♪♪」 一方通行「テメェはどこのスイーツだ……。 だりィンだよ、うだうだ抜かしてる暇があンならさっさと作れ」 絹旗「…………」 布束「楽しみだわ、手料理なんて何年振りかしら」 一方「絶っ対ェツッコンでやらねェぞ……。 まァ、期待すると痛い目見っからな。 コレ以上にひどいもンは出てこないと願いてェ……」 絹旗「……超やってやりますよ! 超舌を洗って待っておいてください!」 一方通行「そォしとくわ……」 絹旗(くっ……実は料理なんて簡単なものしかやったことがない……。 ですが、そんなものを出したら一方通行に超バカにされるのは目に見えてます) 絹旗(牛乳と小麦粉とパン粉……何に使えっていうんですか……)ガサガサ 絹旗(それから挽き肉に茸と卵……) 一方通行「…………」ジッ 絹旗(超見られてますね……ううっ、重圧と書いてプレッシャーと読むが超のしかかって……) 絹旗(そうです……!)ピキーン *―*―* 麦野「動かないようだし、こっちから出向こっか」 フレンダ「もうこんな時間……。 結局、絹旗は上手くやってる訳よ」 麦野「そうね……滝壷、携帯鳴ってるわよ」 滝壷「ん……きぬはた……?」 麦野「何か忘れたのかしら?」 フレンダ「結局、絹旗はおっちょこちょいな訳よ」 滝壷「もしもし?」ピッ 《あ、滝壷さん! 超訊きたいことがあるんですけど……》 滝壷「何?」 《その、料理を……》 フレンダ「ついに第一位を墜としたって訳ね」 麦野「これから手料理を振る舞って、でしょ?」 《だから超違いますって! あ、なんでもないです……》 滝壷「大丈夫、きぬはた。そんな恋する乙女なきぬはたを私は応援してる」 《滝壷さんまで……。 あまり大声で話せない状況なので、超耳を欹ててよぉく訊いてくださいね》 滝壷「うん……その材料だと……」 麦野「ハンバーグとか?」 フレンダ「何か缶詰めはないの?」 《ハンバーグはちょっと……缶詰……!?》 滝壷「その材料だと凝ったものは出来ないよ。 あっ、待って。 365から信号がきてる……グラタン?」 《グラタンですか……? そんな超テクニックが必要そうな料理は……》 滝壷「きぬはた、料理は愛情」 《なっ、あ、愛……? そうです、師弟愛ならなんとか……》 滝壷「大丈夫、きぬはた。 そんな素直になれないきぬはたを私は応援してる。頑張って」 《も、もういいです……兎に角、超頑張ってみます……!》 滝壷「うん、じゃあね。きぬはた」ピッ フレンダ「……それにしてもさ、麦野が許容してるっていうのが驚き」 麦野「もしもあの一方通行を取り込めでもしたら儲けものよ。 それなりのリスクを背負うことになるけど、充分利用価値があるからね……」 フレンダ「黒いっ、流石麦野!」 麦野「ありがと、どうやらその舌を抜かれたいみたいね」 滝壷「北北西から信号がきてる……」 麦野「そう、じゃあ行きましょ。 フレンダの舌を抜くのはまたの機会にしてね」 フレンダ「麦野! 謝るからっ、謝るからぁっ!」 滝壷(きぬはた、頑張って) *―*―* ドッ! ビチャッ! 一方通行「…………」 布束「…………」 絹旗「…………」 一方通行「……オイ」 絹旗「……グラタンです」ガチャッ 一方通行「……そのレンジの周りに飛び散ったいかがわしい液体を舐めろってかァ?」 絹旗「…………」 一方通行「…………」 布束「…………」 絹旗「……さて、超腕によりをかけて作りますか」 一方通行「何事も無かったかのように振る舞うンじゃねェよ」 布束「……手伝ってあげましょうか?」 一方通行「やめろ……」 絹旗(もう一度作るの無理そうですね……。 もう超見栄を張るのはやめです) 絹旗「……出来ました」 一方通行「…………」 布束「……オムレツ?」 絹旗「醤油をかけてどうぞ」ツーッ 一方通行「見た目はまともだなァ……」 布束「そうね……」 絹旗「布束さんだけには意見されたくないですね」 一方通行「……布束、先逝け」 絹旗「『いけ』の字が間違ってますよ」 一方絹旗「コイツ開き直りやがった……」 布束「……一方通行、あなたいくつ?」 一方通行「あン……?」 布束「私は1s……まだ15歳よ。 長幼の序、先を譲るわ」 一方通行「嘘吐けェっ! 今は絶っ対ェ17って言いかけただろ!?」 絹旗「はい、アーン」グッ 布束「お先にどうぞ、先輩」 一方通行「……『妹達』のこと、頼んだぜ……」 布束「ええ、後のこと任せて……」 絹旗「二人とも、いくらなんでも超ひど過ぎます……」 一方通行「……逝くぜェエエエエ――っ!!」パクッ 絹旗「もしかして私を泣かせたいんですか?」 一方通行「…………」モグッ 布束「…………」 絹旗「…………」 一方通行「チッ……」 絹旗(舌打ち!?) 一方通行「……オイ」 絹旗「すみませんっ、超作り直s」 一方通行「箸ィ……」 絹旗「……え? はい、どうぞ」 一方通行「…………」パクッモグモグ 布束「……ご飯が欲しいわ」モグモグ 一方通行「あァ……」 絹旗「超はっきりしてください!」 布束「美味しいと言わざるを得ない」 一方通行「まァまァ」 絹旗「超捻くれてますの、この二人」 一方通行「……つゥか、足りねェだろ。 三人でこれ一つかァ?」 布束「私の作った暗黒肉塊《ダークマター》があるわ」 一方通行「なンでもかンでも、ダークマター付けりゃあいいってもンじゃねェぞ!」 絹旗「…………」ホッ 絹旗(少し……料理の勉強でもしてみますか……)
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デザイン 機種 パチスロ北斗の拳 強敵 アニメーション なし スキル効果 スキルなし 消費SP 0 入手方法 イベント LvMAX経験値 ? 限界突破素材 限界突破先 限界突破元 備考
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*―*―* 09002号「初めまして、ミサカは09002号のミサカです。 よろしくお願いします。と、ミサカは礼儀正しく挨拶をします」 01032号「こちらこそよろしくお願いします。 と、あなたの世話係りに任命されたミサカ01032号は優雅にスカートをつまみ上げます」 09002号「なんですか、その少女趣味な衣服は? と、ミサカは若干引き気味で、そして興味を示して問います」 01032号「ミサカ達の母の一人である布束砥信より頂戴したものです。 と、ミサカはその場で回って見せます」 09002号「可愛いです。と、ミサカは素直な感想を述べます」 一方通行「……先月収容施設を三つに増やしたばかりだっつーのに、その内二つがもう限界か」 芳川「学生達が長期休暇に入ったせいで更にペースダウンしている状況だけれど、今年中には二〇〇〇〇体の殺害が完遂されてしまうでしょうね……」 一方通行「ンなこと解りきってンだよ……」 芳川「……『樹形図の設計者』の方は?」 一方通行「位置は完全に把握した。今すぐにだって粉砕してやりてェ……! けど、冷静になって一顧してみると、そォもいかねェだろ?」 芳川「……まだ時間はあるわ、そう焦ることもないわよ」 一方通行「あァ……そォいやァ布束はどうした? ここしばらくここでも擦れ違ってばかりだ」 芳川「恐らく、彼女は彼女で『樹形図の設計者』どうにかしようとしているのよ」 一方通行「……あンま無茶しねェように言っとけ」 芳川「あれでも、言って素直に聞くような子じゃないのよ。 一方通行、あなたにただならぬ恩を感じている彼女は妹達のためなら――あなたのためなら、何だってするわよ」 一方通行「くそったれ……キツく、言っとけ……」 芳川「ええ、そうしておくわ」 *―*―* 布束(今日のノルマはあと二枚か……) 布束(これが終わったら第二収容所へ行って、妹達の調整を――)フラッ 「ハーイ! お邪魔しますよー」 「大人しくしてくれりゃ乱暴しねーからよォ。ウチのリーダーは女子供に手出すの禁止してっからな」 布束「……、何か用かしら?」 「オマエがバラまいてる例のカード。 オレ達からもらってやろうと思ってさ。どうせ捨てんだろ?」 布束「…………」 布束「後はこの手を振り降ろすだけ」 「や……やめろ……! ――やめてくれえええッ!!」パァン 布束「……まぁ、ただの紙鉄砲なんだけどね」カチッ 布束(……ん? 外にまだ仲間が?) 「いやー、オモシロイもの見せてもらったわ。 ヤバくなったら割り込もうって思ってたんだけど。カードの件があるし」パンパンパン 「話術と演出だけで心を折って不良を鎮圧しちゃうなんてねー……ん? なに?」 布束「……あなたオリジナルね」 美琴「へ?」 美琴「――私は何を知ってるのかって訊いてんのよ! それに私に出来ないってアンタだったら何ができ、ぉゴフぅ!?」ゲシッ 布束「…………」スタッ 美琴「ロ、ローリングソバット……? ……何が御出来になるのですか?」プルプル 布束「私にだって何も出来ないわ。 however、彼なら出来る。現に出来ているのよ」 美琴「……彼?」 布束「マネーカードをまいているのは、彼に休息を取らせるため。 効果の程は何とも言えないけど、先送りするだけ負担は軽減されるでしょうから」 美琴「……?」 布束「人の目で街の死角を潰しているの。 マネーカードをばらまくことで、普段人目につかない路地や裏通りに意識を向けさせる。 学園都市の環視カメラの穴を人の目で埋めれば、そこで行われる実験を妨害することが出来る」 布束「でも私自身が目撃されて尾行されるとは迂闊だったわ。 家捜しされてコレを見られたら面倒なことになっていたかもしれないから」ジュッ 布束「やはり形に残るものはダメね。ここも勝手に間借りしていただけだし、この人達が目を醒ます前に退散しましょう」メラメラ 美琴「ちょ……ちょっと待って!! ……ください」グイッ 布束「あ」ポロッ 美琴「何の話をしているの? アンタは一体何を知って……」 布束「indeed、証拠を隠滅するなら現場もろとも目撃者も消してしまえと……」 美琴「え!? 違っ……。 ちょっと待って! コイツらは……」 布束「知ーらない。……それと、利用されたくないなら余計な詮索はよした方がいいわ」 美琴「何なのよ、もう――――!!」 *―*―* 一方通行「帰った……ぞ……?」ガチャ 一方通行(……また絹旗の私物が増えてやがる) 絹旗「あら、超おかえりなさい。帰ってたんですね」 一方通行「……ここは誰の部屋だ?」 絹旗「一方通行と絹旗最愛の巣ですが……」 一方通行「何、怪訝そうな眼差し向けてンだよ! この堆く詰まれたクソつまンなそォなタイトルのDVDはなンだってンだ!?」 絹旗「あらま」 一方通行「あらまじゃねェよ……。オマエ、暗部の仕事に復帰したンだろ?」 絹旗「まぁ、一応。超本格的な仕事はまだ舞い込んできていませんが、それがどうかしましたか?」 一方通行「いや……無茶すンなよ」 絹旗「超無茶してる人に言われたくありません。……でも、超ありがとうございます」 一方通行「……ま、何かあった時には俺がなンとかしてやンよ」ポフッ 絹旗「そんなことをしたら、まだ灰色なのに超真っ黒になっちゃいますよ」 一方通行「とっくにどす黒く染まっちまってンだよ。余計な心配だ」 絹旗「じゃあその時は、超頼りにしますね」 一方通行「……ははァ! そーですねェ、超頼りにしちゃってくださいィ!」 絹旗「超変なのは元からですけど、どうしたんですか?」ギュッ 一方通行「暑苦しィっつーの。何さり気なく背後から抱きついてンだ」 絹旗「ふっ、超スキンシップですよ。これは反射が適応されない私だけの特権ですね。あの一方通行と超いちゃいちゃしてるなんて、なんかこう、堪らんものがありますね」 一方通行「っ……! コーヒー飲みてェから退け、邪魔だ」ノソッ 絹旗「わっ、と……もしかして照れたんですか? 超照れたんですか?」 一方通行「言っとくけどよォ、適応されねェンじゃなくて、適応してねェだけなンだからなァ……」 絹旗「……はい、そうですね」 一方通行「……クソがっ!!」ガゴッ 絹旗「照れ隠しに冷蔵庫を超凹ませないでください」 絹旗「そういえば、ここ数ヶ月私は一方通行に体術を超教え込んでいますが」 一方通行「あン? 唐突にどォした?」 絹旗「描写されてないので」 一方通行「オマエ最近そーいうの多いな」 絹旗「実はあまりにも超過激過ぎて描写出来なかったという事情があったんですよ」 一方通行「そンなバイオレンスなことやってねェよ。そもそもまだ基本の筋力トレーニングしかしてねェし」 絹旗「いえ、違います。あまりにも性的な意味で超過激だったんですよ」 一方通行「俺に一体何をさせたンだよ、オマエ。つーかやってねェ」 絹旗「今更言い逃れは出来ませんよ。ヤッたでしょう?」 一方通行「オイ、そこ片仮名で表記すンな」 絹旗「最初は腹筋運動もまともに出来ませんでしたよね? そこで私が考え出したのがキスクランチ。身体を起こす毎に、膝を押さえた私とキス出来るという超画期的なトレーニング法。 無論、一方通行は超欣然と鼻の下を超伸ばしてキスクランチ耽りました」 一方通行「そうだったとしたら、俺の腹筋は今頃八つに割れてそォなンだけどなァ」 絹旗「ところがどっこい! 一方通行は私の唇を奪った瞬間に押し倒して……ああ、もうここから先はR18です……!」 一方通行「妄想は終わったかァ?」 絹旗「続きはWebで」 一方通行「懐かしいなァ、オイ」 絹旗「……超死にたくなりました」 一方通行「ン? どーしたァ?」 絹旗「高望みをしてはいけないということを改めて超理解しただけです」 一方通行「9ゥ……10ゥ……!」パタン 絹旗「ようやく腕立て十回が可能になりましたね」 一方通行「はァ、はァ……っ! そろそろ実践的な訓練に入ってもいいンじゃないンですかァ……?」 絹旗「腕立て十回しか出来ないようなもやしっ子が何言ってるんですか」 一方通行「……オマエ、ほっせェよなァ」 絹旗「私は吹けば倒れるような超か弱い乙女ですから」 一方通行「飛ばねェンだな」 絹旗「しかし、そんな私にコレです! 『窒素装甲』! この能力があればたとえ銃弾を受けようが事故に遭おうが、あら不思議! なんと無傷です! それに加えてどんな重たいものでも超楽々と持ち上げられるんです!」 一方通行「でもお高いンでしょうゥ?」 絹旗「仕方ないですね、そこまで言うなら実践を想定した動きを伝授しましょう」 一方通行「オイ、ノッた途端に終わらせンな。 つーか、要するに能力に頼れば筋力なンて必要ねェってことじゃねェか」 絹旗「ばっかもーん! 映画などでの修業といったら超基礎からやるものでしょう!」 一方通行「映画知識かよ……。で、その実践を想定した動きとやらをさっさと御伝授願えませンかねェ?」 絹旗「ふむ、では一言で言うなら……勘!」 一方通行「…………」 絹旗「勘」 一方通行「…………」 絹旗「……か、型に嵌った動きなんて実践じゃ何の役にも立たないんです」 一方通行「なるほどねェ……」 絹旗「わ、解ってくれましたか!」 一方通行「今夜は寝かさねェぞ、絹旗ちゃン……ちょいと表に出ようかァ……」ニヤァ 絹旗「」 絹旗「はぁはぁ……っん! はぁっ、はぁ……!」 一方通行「ふゥ……今反射切ったら滝のような汗が噴き出すンだろォなァ……」 絹旗「ひ、一晩中打ち合うなんて超気が狂ってるとしか……むしろ私の気が超狂いそうです……」 一方通行「最近鈍ってたからなァ。よかったぜェ」 絹旗「……帰ったら一緒に寝てくださいね!」 一方通行「あァン? 意味解ンねェよ」 絹旗「超気が狂った結果がこれです!」 一方通行「そンな超気が狂った奴の隣で眠れるかっつーの」 絹旗「一緒に寝てくれないと、もう……も、もう……」 一方通行「もう、どーすンだよ?」 絹旗「もうパンツ見せてあげません」 一方通行「日頃からオマエにパンツ見せてもらってるみてェな言い方すンじゃねェ! どンな変態だァ、オイ!」 絹旗「こんな」ビシッ 一方通行「指差すな。もォいいから帰ンぞ」 絹旗「超疲労で、もう歩くこともままなりません……」 一方通行「仕方ねェ、抱えてやっか」 絹旗「真っ先に抱えるという発想が出てくることが驚きです」 一方通行「よっ、とォ……」ガシッ 絹旗「やだ、超やだ。せめておんぶにしてください」 一方通行「じゃあお姫様抱っことやらだなァ……ン、これでいいンだよなァ?」 絹旗「……とんだ天の邪鬼ですね」カァァ 一方通行「高望みをしてはいけない、だっけェ? 何言ってンだ、どンどンしろ。でなきゃ超能力者にはなれねェぜ」 絹旗「別にならなくてもいいです……」ギュッ *―*―* 芳川『――もしもし、一方通行。緊急事態よ!』 一方通行「……あン?」ノソリッ 芳川『今どこ? 今すぐ指定する場所へ向かって!』 一方通行「オイオイ、ちゃンと説明しやがれ。今は自宅の寮だ」 絹旗「……ん? ふぁあ、どうかしたんですか?」 一方通行「出てくる。じゃあなァ」ガチャ 絹旗「超いってらっしゃーい……」パタリ 一方通行「あァ……でェ? 一体どォしたってンだ?」バタン 芳川『本日予定されている第九九八二次実験に使用させるミサカへの説明が済んでないのよ。 説明は、上位個体である『打ち止め』を介してミサカネットワークからその個体との接続を切断することによって行っているわ。 でも、現在それが出来ない状況なのよ……天井が付きっきりで『打ち止め』の調整を行っていて、ね……』 一方通行「チッ……」 芳川『本題に入るわ。天井が『打ち止め』から離れたところ狙って、私がミサカネットワークからミサカ09982号を切り離す。 その間にあなたが説明――いえ、説得を終わらせてちょうだい』 一方通行「ソイツは今外に出るっつーことか……」 芳川『ええ、厄介なことなそのまま実験が行われる場所へ向かうことになっているわ」 一方通行「……ストーキングなンて趣味じゃねェンだけどなァ。いいぜ、やってやンよ」 *―*―* 09982号「…………」スタスタ 一方通行(手間掛けさせやがって……芳川に伝えられたとこから、大分離れてるじゃねェか) 一方通行(まァ、当然か。コイツらだって意思を持って生きてンだ) 一方通行(クローンだろォと、人間には変わりねェ。 ……だが、そンな人間のコイツらを俺が――俺らが救えンのか?) 一方通行(がむしゃらに目先のことしか考えねェでここまでやって来た。 たとえ妹達を救えたとして、ちゃンと幸せにはしてやれンのか?) 一方通行(……ダメだ、余計な思考は遮断しろ。 今は俺の目に映ってる、たった一人のミサカを救うことだけに集中しやがれ) 「大変じゃんっ! このままじゃこの赤ちゃんが熱中症になるじゃん!」 09982号「…………」ピクッ 「赤ちゃんを放っておいて親はどこへ行ってるじゃん!? ん、常盤台の……何をする気じゃん?」 09982号「……ロックを解除しました。と、ミサカは――!?」バチッ 「おお、サンキューじゃん」 09982号「…………」 一方通行(はっ、いいとこあるじゃねェか! アイツには実験から解放してやった後で、なンか買ってやらねェとなァ……) 一方通行(ン? 木の前で何を……猫、か……?) 一方通行(コラァ、危ねェだろ! そンな足掛かりもねェ木を登ろォとすンな!)ハァハァ 一方通行(あっ、くっ、言わンこっちゃねェ! 転げ落ちてンじゃねーか!)ダンッ 一方通行(クソが……俺が出ていけりゃ……)ギリギリ 「とうま、なんか白い人が……あれ? まったくもう、とうまったらどこに行っちゃたんだろう?」トテテ 一方通行(ン、電話……芳川か……!)ブーブー 芳川『もしもしっ、三〇秒後にミサカネットワークとの接続を切るわ!』 一方通行「急過ぎンだろ――!!」ダッ 芳川『天井には布束が付いているけれど、数分も経たない内に戻ってくるはずよ。 お願い急いで、一方通行……!』 09982号「……!? ミサカの記憶によれば、まだ実験開始時刻まで……」 一方通行「……ちゃンとミサカネットワークから切り離されてるかァ?」 09982号「……、一体何が目的なのですか? と、ミサカは反問します」 一方通行「そー構えンな。……まァ、無理もねェけどよ」 09982号「…………」 一方通行「あァー、どォいやァいいンだ……? そォだな、まず……俺はオマエを殺したくねェン、だ……」 09982号「…………」 一方通行「……だから、これから俺の言う通りにしてくれ。 信用出来ねェのは重々承知だ。けど、たった一度でいい……俺を信じて――――」 美琴「はーっ、はーっ! 確か……この辺りから……」 一方通行(――ありゃあオリジナルか!? くっ、こンな時に……っ!!)シュッ 一方通行「今のは話はミサカネットワークに繋がっても漏らすンじゃねェぞ」ガサッ 09982号「……一つお願いしたいことがあるのですが、木に登ったついでにそこの猫を助k……」 美琴「ッ……!」 一方通行(チッ……退くしかねェか……)ガサッ 一方通行「……、芳川」 芳川『どうかした? 時間がないわ、急いで』 一方通行「すまねェ……しくじった……! タイミング悪くこンな時に、オリジナルの御登場だ。 額にゴーグルを着けてねェし、妹達に比べて……いや、決して悪くはねェンだけどよォ、妹達の方が幾分か……。 俺の目に狂いがなけりゃアレはオリジナルの方だ」 芳川『……あなたの目に狂いはないと思うわ、私が保証してあげる。 そうなると、こっちも一旦引き上げるしかないわね』 一方通行「……悪ィ」 芳川「表舞台で輝かしく生きている彼女をを巻き込むわけにはいかないもの、仕方がないわ」 一方通行「けど……俺は一瞬逡巡しちまったわ……。 このままオリジナルにも事情を話せば、どォにか協力を得られンじゃねェかと考えちまった」 芳川「希望的観測ね」 一方通行「あァ、そォだ、そーだよなァ……。 所詮無理な話だけど、オリジナルとまったく同じ面をした妹達をなンとか光の世界に押し上げてやりてェ……! でも、そのためにオリジナルの方を闇の世界に引きずり込んでいいはずがねェンだ」 芳川「……あなたらしいわ。ついででいいから、私も押し上げて欲しいものね」 一方通行「まだオマエは自分で這い上がれンだろ」 芳川「以前にも言ったでしょう? 私は甘いのよ」 一方通行「じゃあこのまま……いや、なンでもねェ……」 芳川「そう……?」 一方通行(09982号ゥゥゥゥゥゥゥゥっ!? スカート捲り上げンじゃねェェェェ!!)ハァハァ 一方通行(そォだ! もっと言ってやれ、オリジナルゥ!)ハァハァ 子猫「ミャアァ」 美琴「ち……近くて見るとなかなか子猫じゃない」 09982号「コネコ?」 美琴「子供の猫だから子猫よ。でも怯えられちゃうのよねー。 私の身体から出てる微弱な電磁波に反応されちゃうの」スッ 子猫「…………」ビクビク 09982号「ミサカもダメなようですね」スッ 子猫「…………」ビクビクックヤシイ 美琴「……、そーじゃかくってぇ!! 子猫「……!!」ビクゥッ 一方通行(くっ、猫がこっちに来やがっ……) 子猫「ミャアァ!」ガサガサッ 一方通行(は、反射ァ……したらダメだよなァ……。 コラ、暴れんな! 爪立てンじゃねェよ!)ジタバタ 一方通行(もうすぐ八時を回るか……もう実験開始時刻まで一時間しかねェ……)ハァハァ 一方通行(クソっ……! いい加減帰りやがれってンだ、オリジナル……)ハァハァ 絹旗「なんですか、その肩に乗ってる超キュートな子猫は」 子猫「ニャアァン」 一方通行「あン? なンでオマエがここに……」 絹旗「そろそろ超ブレス多めの吸血鬼漫画か、ってツッコミが欲しい頃だと思いまして」 一方通行「どォも。もう帰っていいぞ」 絹旗「はい、おにぎりとコーヒーです」 一方通行「そォいやァ今日は何も口にしてなかったっけなァ。つーか、来ンなら電話すりゃよかっただろ」 絹旗「超サプライズです。私って超甲斐甲斐しいとこあるでしょう」 一方通行「おにぎりとコーヒーって組み合わせは嫌がらせとしか思えねェ……」パクッ 絹旗「とこで、一体何をしているんですか? 見たところ……ストリーキングですか……?」 一方通行「馬鹿や相応しくねェ仕事をしている奴には見えねェ服なのか、コレ? オマエが選んだもンだぞ」 絹旗「超間違えました、お恥ずかしい……ストリーキングでしたね」 一方通行「解り難いボケすンな。オマエの性格からして繁殖行動の方だと思うけどよォ……」 絹旗「超不潔!」 一方通行「そっくりそのまま返して……よォし、別れた……!」 絹旗「では、私はこれで」 一方通行「オマエ、ほンとに何しに来たンだよ……」 一方通行「芳川ァ! やっとオリジナルの御帰りだ!」 芳川『そう……でも、こっちは……』 一方通行「……こォなると、間に合わなかった場合を想定して別の手も考えとかねェとな……」 芳川『……出来る限り戦闘を長引かせて』 一方通行「……やってやろォじゃねェか」 芳川『言っておくけれど、下手に手加減すると『試験個体』を通じて天井に感付かれるわ……出来る?』 一方通行「出来る出来ないの問題じゃねェだろ! やってやるって言ってンだろォが!」 芳川『…………』 一方通行「どンな手を使ってでもオリジナルを引き離すべきだったか……はっ、後悔に立たずとはこのことだな……」 芳川『ええ、そうね。でも、それはあなただけの失態じゃないわ』 一方通行「……任せたぜ」 芳川『天井が離れ次第、いえ、こちらからも何らかのアクションを起こしてみるつもりよ。まだ一時間もあるんだから』 一方通行「あァ、期待しないで待っとくわ」ピッ 一方通行「……はっ! 震えてやがる……」プルプル 子猫「ニャアァ」 一方通行「…………」グッ 一方通行「…………」コツコツ 09982号「…………」 一方通行「…………」カッ 09982号「現在時刻は二〇時五十六分です。 第九九八二次実験開始まであと一一!?」 一方通行「そォら」ヒョイッ 09982号「あ……」スポッ 子猫「ニャァ」 09982号「……、何故被験者一方通行がコネコと? もしかして、あなたの飼い猫なのですか? と、ミサカは疑問を呈します」 一方通行「はァ? ンな猫畜生のことなンざどーでもいィンだよ」 09982号「…………」 一方通行「なァ……そろそろマンネリズムに陥り掛けてンだ……。 そンなのダメだよなァ! 愉快欣快痛快爽快な実験が台無しじゃねェか!」コキッ 一方通行「――だからよォ、今日は少しばかし趣向を変えてみよォかと思ってなァ……」ニヤァ 09982号「……二一時〇〇分になりました。 これより第九九八二次実験を開始します」スチャ
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*―*―* 《――本日の実験はこれにて終了だ。 御苦労、帰っていいぞ》 一方通行「あァ……」 一方通行(一日約百人ペースで、いつの間にやら三〇〇〇人越えか……) 一方通行(クソッ……日々募るのは焦燥感だけじゃねェか……) 一方通行(せめて『樹計図の設計者』がどこにあンのかさえ掴めれば……) 「…………」ウィーン 一方通行「あァ、後片付けかァ……派手にやっちまったからなァ、ヨロシク……」 一方通行(オマエ、しっかり死ンどけよ……) 「……あなたが、被験者一方通行」 一方通行「……オマエ、なン号だァ?」 09982号「本日培養器から取り出されたミサカ09982号です。 と、ミサカは個体番号を口にします」 一方通行「……そォかよ。 片付けは言われた通り、しっかりやれよ。余計なことはすンな」 09982号「はい」 一方通行「…………」 一方通行(コイツの初仕事はこれか……チッ、胸糞悪ィ……) 一方通行「もォ一度言っとく、ちゃンと言われた通りになァ……」ポンッ 09982号「……何故、ミサカの頭に手を置いたのですか? と、不思議に思ったミサカは問いかけます」 一方通行「あァ……なンとなくだよ……」 一方通行(つい、普段『妹達』に接するように……なンて言えるかよォ……) 一方通行(待ってろよ……オマエもすぐにこンな実験から解放してやる……) *―*―* 02000号「糧食の調理は我々に任されています。 あなたは下がっていてください。 と、ミサカ02000号《ミレニアム》は絹旗最愛に言い捨てます」 00893号「ミレニアム……ププッ……。 このミサカは何をカッコ付けているんでしょうか? と、ミサカは疑問に思います」 02000号「00893号《ヤクザ》は黙っていてくれませんか? と、ミサカ02000号は独り言ちます」 01000号「くだらない言い争いはやめてください。 というか、ミレニアムとは西暦を千年単位区切ったものですよ。 と、同じくミサカ01000《ミレニアム(笑)》であるミサカは、大人の対応を見せます」 00721号「おい、今ミサカのことバカにした奴はあとで実験室まで来い。 と、ミサカはドスの利いた声で怒鳴ります」 00311号「個性が強いのも考えものですね。 と、ミサカ00311《サイアイ》は呆れ気味に零します」 00101号「読み方が超無理矢理ですね。 と、ミサカ00101《おいおい》はツッコミます」オイオイ 絹旗「くっくっくっ、超いいんですか? 一方通行と一つ屋根の下に暮らし、同じものを食べている私を超ぞんざいに追い出してしまって……」 02000号「……な、なんだってー! と、ミサカは驚愕の事実に驚きます」 00101号「おいおい、今はそこじゃないだろ。 と、ミサカはツッコミます」 01000号「ええ、つまりあの方の好物を知っている、ということです。 と、ミサカは今一つ理解力の足りないミサカ達に説明します」 00721号「零太さんは毎回ミサカ達の作ったものには、『うめェ』と素っ気なくではありますが、そう言ってくれますよ。 と、ミサカは対抗心を燃やします」フンッ 絹旗「それはあなた達が超答えを急かした結果、あの超過保護な一方通行が零した感想に過ぎません」 00311号「……お、教えてください、 と、ミサカは第三の母である絹旗最愛にいち早く取り入ります」 00893号「あんなエノキみたいなののどこがいいんだか。 と、ミサカはコーラを献上します」 00101号「お前ら……見損なったぞ……。 と、ミサカは絹旗最愛の肩を揉みます」 *―*―* 一方通行「なンでこんな食卓が茶色いンだァ……? オイ、調理班っ! 出て来ォいっ!」 「「「「「「…………」」」」」」 一方通行「どォして、こんな肉肉肉の肉尽くしなンだァ……? 正直に言え、怒らねェからよォ」 「「「「「「………この人のせいです。 と、ミサカ一同は(ry」」」」」」 絹旗「え、ち、違います! 超違いますよ!」 一方通行「どォせ、オマエが余計な入れ知恵したンだろ……あのなァ、バランスってもンを知らねェのか……」 絹旗「それをあなたが言いますか」 一方通行「はァ……オイ、『妹達』」 「「「「「「は、はい!」」」」」」 一方通行「どれも美味そォだ、ありがとよォ……」 (*1))))) 一方通行「だがなァ、通常これはオマエらが喰うもンだ。 他の妹達を見てみろ、こンな肉ばっかで嫌そォな顔してンじゃねェか」 (抜け駆けですか……) (裏切り者に制裁を……) (ミサカも怒られたいです……) (なんとか悪世羅さんの隣を……) 「「「「「「う、う~ん……」」」」」」 一方通行「ほら、さっさと謝ってこい。 それと、アホモアイ……」 絹旗「……?」キョロキョロ 一方通行「オマエ以外いねェだろ! あとでお仕置きだ」 00112号「ズルい! と、ミサカは光の速さでお仕置きされたさに飛びつきます!」 一方通行「がァっ!?」ガシャッ 絹旗「反射しないところがまた……超過保護ですよね……」 芳川「ほらほら、何やってるの。早く食べちゃいなさい」 *―*―* 絹旗「それで、また超過保護が発動して……」 00001号「そこが悪世羅・零太さんのいいところです。 と、ミサカは笑みを零します」 一方通行「……ところで、リハビリの方はどォだ?」 00001号「順調です。と、ミサカは報告します」 一方通行「そォか、あンまり無理はすンなよ」 00001号「はい。ですが、ミサカは調整に来ている妹達以外の施設にいる妹達に、早く会いたいです。 と、ミサカは心情を吐露します」 一方通行「その施設にいる妹達も、早くオマエに会いてェっつってたぜ」 00001号「本当ですか!? と、ミサカは顔を綻ばせます」 一方通行「あァ、本当だ」 絹旗「それにしても、超溜まっていってますね。 この雑誌やら漫画やら……」 00001号「どれも悪世羅・零太さんにいただいた大切なものです。 と、ミサカ微笑みます」 一方通行「あァー……捨てたっていいンだからなァ……」 00001号「いいえ、捨てません。 と、ミサカは断言します」 絹旗「……師匠! 私も超読みたい本があるのですが!」 一方通行「自分で買え」 絹旗「…………」 一方通行「オイ、何か欲しいもンはねェのか? そォだ、気分転換も兼ねて売店にでもどォだ?」 00001号「大丈夫です、あなたが買ってきてくれたお菓子がありますから。 と、ミサカはパンパンに張り詰めたビニール袋を指差します」 一方通行「そォか、必要なもンがあったら遠慮なく言えよ」 絹旗「…………」 *―*―* 絹旗「ただいま帰りました。 って、布束さんまだ帰ってきてないんですね」 一方通行「あァ……そォいやァ研究所を出てすぐに用事があると言って別れたンだったなァ……」 絹旗「またATMでしょうか? 最近一緒にコンビニへ行った時もよく……」 絹旗(はっ! この状況は……) 一方通行「俺は寝るゥ、飯はいい……。 勝手に作るなり外で喰うなりしろ……」バタリ 絹旗「ひっひっひっ、今夜は寝させまんよ! 散々蔑ろにされていた私を超構ってください!」 一方通行「…………」スースー 絹旗「早っ――!?」ズサーッ 一方通行「…………」スースー 絹旗「……おーい、超起きてくださーい。 ……ねぇっ、起きてっ、起きてっ!」ユサユサ 一方通行「…………」スースー 絹旗「この野郎、私が超かわいこぶって起こしてあげたというのになんですか! いえ、実際かわいいんですけどね」 一方通行「…………」スースー 絹旗「…………」 絹旗(超疲れてるんでしょうか……?) 絹旗(正直、この計画が上手くいくとは思えません。 ですが、超信じていますよ……) 一方通行「…………」スースー 絹旗(おやすみなさい)ツンツン *―*―* 芳川「あら、早いわね」 布束「おはよう」 一方通行「あァ、オマエらこそ早くからご苦労なこったァ」ヒラヒラ 絹旗「おはようございます」 芳川「…………」 一方通行「なンだよ、他人の顔をジロジロジロジロとォ……」 芳川「いえ、ただ良い傾向だと思ってね」 一方通行「はァ? またわけ解ンねェことを……。 さァて、今日も今日とてぱっぱと殺ってやりますかァ……」 天井「それがだな……」 一方通行「ンだァ、歯切れの悪ィ……よォやく今日から屋外実験に入るっつゥのによォ……? 口頭でも文書でもいいから、とっとと概要を寄越せ」 天井「本日予定されている屋外実験に使おうとしていた場所なんだが、 悉く虫螻共が跳梁している状況でな……」 一方通行「そンなことかよ……。 おら、さっさとその虫螻共《スキルアウト》が跋扈してるっつゥう場所を吐きやがれ」 芳川「物騒ね……事後処理も含めて色々と面倒なことになるから、やめておきなさい……」 天井「ああ、何分数が多すぎるしな。 ということで不本意ではあるが……」 一方通行「数が減っちまうって、わけかァ……クソ虫の分際で、俺を煩わせやがって……」 天井「間違ってもっ、勝手な行動に出るんじゃないぞ!」 一方通行「オイオイ、人殺しが今更何ヘタレたこと抜かしてるンですかァ?」 天井「ひっ、人殺しはオマエだ! 私はあくまで穏便かつ正確に、そして完璧を目指しているに過ぎない! この実験はなんとしてでも、必ず成し遂げなければ……」ブツブツ 一方通行「そォかいそォかい……」 絹旗「私、この人超嫌いです……超キモイです……」ボソッ 一方通行「あァ、珍しく気が合うじゃねェかァ……」ボソッ 芳川「せっかく暇ができるようなのだから、たまにはあなたの好きなコーヒーでも飲みにいったら?」 一方通行「そンな余裕かましてられるほど俺は暇じゃねェンだよ」 布束「たまには休息も必要よ。 倒れてしまっては元も子もないわ」 絹旗「超同意です」 一方通行「チッ……姦しい女共だなァ……」 絹旗「っ……! お二人はあなたのことを超心配していってくれてるんですよ」 一方通行「あァン、そンなこと誰が頼ンだ?」 絹旗「くぅー! うーっ!」ジダンダッ 天井「……実験関係者でもない女を連れて来るなと何度言えば解るんだ」ブツブツ 一方通行「あン……?」 絹旗「どうも」ペコリ 天井「この学園都市では女だとしても、いや、ましてや年端の行かない子供だとしても油断してはならない。 そんなことも解らないで、頂点と呼ばれているのか……?」 一方通行「……コイツは俺の女だ。なンか文句あっかァ?」 「「――!?」」 天井「なっ、オ、オマエ……布束はどうする……!?」 一方通行「あァン……コイツも俺の女で問題ねェだろ……」 天井「まったく、最近のガキは……」ブツブツ 絹旗「…………」ジトーッ 一方通行「なァに睨ンでンだ……?」 布束「俺の女……? 俺の女……」 芳川「あら、誰か忘れていない?」サラッ 一方通行「金でも積まれない限り、誰がババアなンざ相手にすっかって話だ……」 絹旗「それだと俗にいう逆援ってやつになりますよ」 一方通行「まァ、実際いくら積まれてもお断りだけどなァ」 芳川「あ、あなた達ぃ……」ピキピキ 絹旗「超ピキッてますよ」 一方通行「アレだ、更年期障害ってやつだろ」 芳川「…………」プルプル 布束「芳川さん、彼の冗談を間に受けないでください」ギュッ 芳川「一方通行に腕を絡ませたあなたに言われたくないわ……!」 絹旗「では、私は超肩車で」ピョイッ 一方通行「とことンガキだっ……なァ……」ヘナヘナッ 絹旗「超沈んでいってますよ! ほら、超しっかり!」バシバシッ 天井「いつからここは幼稚園に成り下がったんだ……」 芳川「私はまだ……っ歳よ……」ブツブツ *―*―* 一方通行「……よォ、五分前行動たァ感心だァ」ゴクッゴクッ 04000号「現在、時刻は九時二五分。 被験者一方通行は所定の位置に就いてくだs――」バタッ 一方通行「おーおー、すまねェ……我慢出来ずに汁が零れ落ちちまったみてェだ……」 04000号「ぁ……コーh……?」 一方通行「脳天直下で御陀仏、って寸法だったけど……案外上手くいかねェもンだなァ……」シュタッ 04000号「まd……開始z……」 一方通行「今回はこういう内容なンだよ、残念だったなァ。学習したかァ? じゃ、〆は血祭りといきますかァ……」ガシッ 04000号「――――」ブシュウゥッ 一方通行「終了ォっと……」 04000号「――――」 一方通行「……そのまま動くなよ」 04000号「…………」コクッ 一方通行「ミサカネットワークとの接続はしっかり切れてるかァ?」 04000号「……はい」 一方通行「……、よォし。こりゃあどうやらマジで監視はねェようだなァ。 オイ、出て来ていいぞ」 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。 と、特殊メイクアップアーティスト部隊所属であるミサk」 一方通行「静かにしろォっ!」 04000号「――!?」 「すみません……どうかお許しください……。 この日のために学んだ特殊メイク技術をようやく生かせると思って、はしゃいでしまいました。 と、ミサカは肩を落としたまま道具を取り出します」チャキッ 一方通行「あァ、頼ンだぞ」 04000号「……その口調に、その顔はミサカと同じ『妹達』ですか?」 00008号「そこに気付くとは、やはり天才か……。 と、ミサカ00009号は己の変装技術の未熟さを誤魔化します」ペタペタクイックイッ 一方通行「ちゃっちゃっとやっちまえ……」 00008号「ミサカは褒めて伸びる子なのです。 どうです、この見事な傷の出来具合は? と、ミサカは完成度の高さに胸を張ります」エッヘン 一方通行「よくやったよくやったァ……だから、手ェ休めンな……」ナデナデ 04000号「…………」 一方通行「……オマエの演技も上出来だったぜ」ナデナデ 04000号「……なんでしょう? この胸の高鳴りは? と、ミサカhッ!?」 00008号「おい、新入り。お前だけが特別ではないんですよ。 と、ミサカはベラを突き立てて妹いびります」 一方通行「コイツの代わりに仮死薬飲みてェか……?」 00008号「ちっ、反省してまーす」ペタペタヌリヌリ 04000号「これが社会の厳しさいうものなのですね。 と、ミサカは若干涙目で戦きます」 一方通行「あァー……よしよし……」ナデナデ 00008号「…………」グサッ 04000号「つぅ……」 一方通行「だからやめろっ!」 *―*―* 絹旗「超完成です!」 滝壺「科学の力のお陰だね」 絹旗「うっ……たしかにルーはそうですけど、超私なりの工夫をしたんですよ」 滝壺「ペロッ……これは牛乳にケチャップにソース」 絹旗「わっ、解るんですか?」 フレンダ「結局、弟子は師匠には適わないって訳よ」 絹旗「そんなことありませんよ。 いつの日か一方通行を超殴り倒してみせます」 フレンダ「滝壺と絹旗のことだって……」 麦野「そうなってくれると助かるわねー」 フレンダ「ああ、なるほどね……」 絹旗「じゃあ私はこれで。 残ったものは食べていいですよ、超感謝しつつ」 滝壺「うん、きぬはた。ありがとう」 フレンダ「早く一方通行を墜としt」 絹旗「超うるせーっ!」バタンッ フレンダ「あ~あぁ……いいなぁ、楽しそうで」 麦野「うかれちゃって……必ずこっち戻って来ることになっているのにね……。 いっそ忘れさせてあげればいいか」 フレンダ「どうやって?」 麦野「殴る?」 滝壺「やめて、ふれんだ」 フレンダ「え? 私?」 麦野「まぁ、七月中に仕事には復帰してもらおうかしら。 あまりブランクが長いと迷惑になるだけだから」 *―*―* 一方通行「…………」バタンッ 絹旗「お、おかえりなさい。超お疲れです」 一方通行「あァ……」 絹旗「あの、それで今日は……」 一方通行「俺は寝る……飯は勝手にしろ……」ゴロンッ 絹旗「あ、はい……了解です……」 一方通行「はァ……畜生ォ……」 絹旗(超しょうがないですよね。 超ハードスケジュールですし、うん、そうですよ……) 絹旗「って、どこの倦怠感夫婦ですか!」 一方通行「……はァ?」 絹旗「いや……なんでも……」 一方通行「そォかよ……」 絹旗(……カレーどうしよう。超わざわざ米まで炊いたんですよ) 一方通行「…………」 絹旗「……あの、ところで、体術を仕込むっていうのはどうなったんですか?」 一方通行「認めたくねェけど、今は手一杯だァ……」 絹旗「そうですよね……」 一方通行「……、オイ」 絹旗「はい?」 一方通行「小腹が空いた」 絹旗「……し、仕方ないですね! この超美少女絹旗さま特製のスペシャルカレーをご馳走してあげましょう!」 一方通行「ほォ、そりゃあ楽しみだ」 絹旗「そこで座って待っててください。 あっ、寝たらサンドバックの刑ですよ!」 一方通行「あァ、解った解ったァ……」 絹旗「どうですか!?」 一方通行「…………」モグモグ 絹旗「どうなんですか!?」ウズウズ 一方通行「……カレー?」 絹旗「それは見た時点で、ていうか私が言った時点で解ってるでしょう……」 一方通行「…………」パクッ 絹旗「…………」 一方通行「……うめェ」 絹旗「……本当ですか!? 本心からですか!? 目を見て! ほらっ、超見て!」 一方通行「……まァ、うめェ」 絹旗「その『まァ』は余計です!」 一方通行「いいからオマエも喰えっ!」 絹旗「アーン」 一方通行「…………」パクッモグモグ 絹旗「……せめて何らかのリアクションをください」 一方通行「……ほら、喰えよ」ヒョイ 絹旗「…………」パクッモグモグ 一方通行「どォだ?」 絹旗「それはもちろん、私が作ったものですから……もう一口」 一方通行「ほら」ヒョイ 絹旗「……もうひほふひ」パクッモグモグ 一方通行「おら」ヒョイ 絹旗(味見した時より、超美味しいですね……)パクッモグモグ 絹旗(……超冷静になってみて考えてみると、私はなんて恥ずかしいことをしていたんでしょうか)キュッキュッ 絹旗(嬉々として一方通行にカレーを食べさせてもらって)ジャー 絹旗(傍目から見たら、超仲の良い兄妹って感じですか? それとも……あり得ません!)ジャー 絹旗(フレンダや麦野にあんな風にからかわれたからって、いくらなんでも超単純過ぎます……)ジャー 絹旗(……何やってるんでしょうか、私は)ジャー 一方通行「オイ、どうした?」 絹旗「え、いえ! なんでも!」ジャー 一方通行「そォか、とりあえず水止めろ……うるさくて寝れやしねェ……」 絹旗「あ、はい……」 一方通行「…………」ゴロンッ 絹旗(あとでベッドに移してあげましょうか。 その方が疲れも取れますしね) 絹旗(……私の方が超姉っぽいですね) 絹旗(でも、どちらかといえば私は超甘えたい方で……って、何を考えてるんですか、私!) 絹旗「あぁ……顔が超熱いです……」 一方通行「ン……また風邪かァ……?」 絹旗「ちっ、違います! いいから気にせずに、とっとと寝てください!」
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「いまの、夢・・・」 あれは確かに、お父さまとお母さまだった。直接は覚えていないけれど、写真を見ているから間違いない。 今の夢はなんだろう。夢にしては、はっきりしすぎていて。 「もしかして、あたし・・・」 そこまで思って身震いをすると、ようやく自分が知らない部屋にいて、自分に何が起きたかを思い出した。 ジャガー人間。黒服の女たち。自分は撃たれたけど、イタルも同じ目に遭わされただろうか? 「イタル!」 慌ててベッドから下りようとして 「いたたっ!」 足に力が入らず、ものの見事に転んでしまった。 直後、部屋のドアが控えめにノックされ、かちゃと軽い音を立ててドアが開いた。 「あ、あの・・・気が、ついた・・・かな」 年格好は中学生くらいの、制服のようなブレザーとプリーツスカート姿の女の子。赤坂紫だ。 黒い服だけど、自分を撃った女の人たちとは少し、いや、だいぶ違うようでノイは少しほっとした。 「き、気分は、どう、かな・・・」 そっと差し伸べられる手はひんやりして、でもどこか優しかった。 「お腹、空いてないかな。痛いところは?」 そういえば、傷も痛いけれどなんだか体中が軋むように痛い。 「3日も寝てたから・・・それで、体が痛いのかも。でも、まだ寝てた方が」 「イタルは?イタルはどうしたの?」 「あたしと一緒にいたの!あたしの・・・!」 勢い込んで尋ねたノイが、急に元気を無くす。 (なにが妹だ!) (みんな、お前のせいだ!) そうだ。イタルも言っていた。そして―あの夢。 あの夢が正しかったなら、あれが本当に、あたしが小さい頃の出来事だったなら。 お父さまは、本当にイタルとイタルのお母さまを捨ててしまったのだろう―あたしが生まれたために。 そして、あの夢の最後。 (お父さまも、お母さまも、大嫌いっ!!) その後に何が起こったか、わからないほど愚かではない、今は、もう。 (あたしの、せいなんだ・・・) (お父さまが、イタルを捨ててしまったのも) (そのお父さまが、死んだのも) みんな、みんな、あたしが 涙が止まらなかった。知らない人の前だから、泣き声こそ出さなかったけど、シーツがみるみる生暖かく湿ってゆく。 「ど、どうしたの・・・!?」 もしやどこか酷く痛むのかと、あちこちをさすってみたりするがその甲斐はなく、紫もおろおろするばかりだ。 その時、紫によく似た黒と赤のうさ耳パーカー姿の少女が、「組織」支給の携帯電話を手に入ってきた。 「保護者さんから定時連絡ー」 ノイの保護者、即ちムーンストラックからは ノイの容態を問い合わせる電話が、毎日決まった時間に掛かってきていた。 ウラシマや紫はともかく、緋色は少々辟易していたが、 心の奥底ではいささか羨望の念を抱いていた事は、本人もうすうすは気づいている。 「あんた、心配されてんのねえ」 うちの親もまともなら、そうやって電話してくるのかな。 緋色は心の中に僅かに浮かんだ考えを、そもそもまともな親なら 子供のうちから「組織」入りはさせないだろうという自己ツッコミで打ち消した。 ノイは震える手で電話機を受け取る。 イタルのことはともかく、両親のことはムーンストラックも知っているはず。 そもそもノイに「両親は事故で死んだ」と教えたのは他ならぬ彼なのだ。 「・・・もしもし」 「ノイ・リリス!」 気がついたのか、よかったと電話口で泣き出さんばかりのムーンストラックは 彼女がこれから聞こうとしている内容など知る由もない。 「ムーンストラック」 声までが震えてきた。 聞くのが、怖い。本当のことを決定的に知るのは。 でも、気づいてしまった以上。聞かずにはいられない。 自分の罪について。 「ノイ・リリス・・・?」 声が出ず、出せず、黙ったままのノイをいぶかしんだのかムーンストラックの声も幾分か曇る。 とうとう、ノイの喉から震える声が押し出された。 「お・・・」 「お父さまと、お母さまは、事故で死んだんじゃなかったの・・・?」 「あたしが・・・あたしが殺してしまったの!?」 電話の向こうでムーンストラックがひゅっと息を呑む声が聞こえる。 暫くは、どちらも声が出せず、電話機はただ沈黙を伝え続け・・・先に声を絞り出したのは、『保護者』の方だった。 「・・・ノイ・リリス・・・よく聞きなさい」 だが、ぶつりという音が彼の声を伝えることを阻み、電話は完全な沈黙をもって少女と保護者を引き離した。 (やっぱり、あの夢は本当なんだ) (あたしのせいで、お母さまもお父さまも死んだ・・・) (イタルから奪ったお父さまを) (あたし・・・もう・・・帰れない)
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一方通行「……どーしたァ? 撃ってこねェのかよ?」ニヤリ 09982号「…………」 子猫「ニャア……」 09982号「…………」クルッ 一方通行「おーおー、なンだなンだァ? 逃げンのかァ?」 09982号「これがあなたの望みなのでしょう?」タッタッタッタッ 一方通行「はっはァーっ! せーかいせーかいィ! 猫畜生のために精々走れ走れェ! 必死にケツ振って逃げ回りやがれェ!」ダンッ ドン ガン ゴン 09982号「……?」ガァァ 09982号「……ッ!?」ドガシャッ スッ 一方通行「いいねェ! その調子ィ!」 一方通行(危ねェ……間一髪じゃねェか……) 09982号「…………」タッタッタッタッ 一方通行(……俺は、この実験で妹達を解放するのに慣れた気でいた。 そのせいでどこか気が緩ンでいた……こォなったのは、俺の過信と慢心が原因だ……)ザッザッザッ 一方通行(芳川はああ言ってたけど、こりゃ全面的に俺の失態だろ! でも、それでも、頼むっ! 芳川、布束……早く接続を……っ!)ザッ ヒュンッ 一方通行「ライダーキィックゥ、ってなァ!」ドゴシャ 09982号「ッ――!?」スッ パチッ 一方通行(ン、街灯を消したか……いい判断だ……) 09982号「…………」タッタッタッタッ 一方通行(まだかっ!? まだなのかよォ!?) *―*―* 09982号「引き離せたのでしょうか?」カンカンカンカン 子猫「ニャア」 09982号「……今なら安全なはずです。さ、早く逃げてください。 と、ミサカは子猫に語りかけます」ストッ 子猫「ニャアァン」スリスリ 09982号「早く行ってください。さもなくば……」 子猫「…………」スリスリ 「――さもなくば、どうするの?」 09982号「お姉さま……? いえ、お姉さまのお姉さまですか? と、ミサカは新事実に驚きつつ問いかけます」 「ハズレ、違うわよ。確かにオリジナルやあなた達よりは六年くらい上の外見だし――製造日もあなた達より断絶早い」 09982号「まさかあなたは……」 試験個体「初めまして、ミサカは始まりのミサカ。――『試験個体』よ」ジャリッ *―*―* 芳川『――一方通行!!』 一方通行「よしきたァあああ! よくやった! 早ェじゃねェ、かっ!」ダンッ 芳川『これが最後のチャンスかもしれないわ……急いで!』 一方通行「あァ!」ビュウゥゥゥ 一方通行(……芳川、ただ最悪のタイミングだったけどな。 まァ、これだけ飛ばせば……!) *―*―* 試験個体「ミサカは脳を弄り倒されて、それでもレベル3止まり。でもあなた達よりは確実に上だから」シュッ 09982号(ワイヤー……!?)ザッザッ 試験個体「身体能力だって確実に上だから」グイッ 09982号「ゔっ……!」シュルッ 試験個体「オリジナルには確かに劣るけれども、あなた達よりは確実に上だから」グググッ 09982号「何が目的……と、ミサ……」 試験個体「ねえ、このあなたの首を絞めているワイヤーに電流を流し込んでみようか?」ビリッ 09982号「…………」 試験個体「そうよね、この程度じゃあ効かないわよね」バチッ 09982号「あぁ……ッ!?」 試験個体「効いた効いた。じゃあ次は俗に言う高圧電流のレベルで――」 09982号「…………」バチィッ 試験個体「痛っ……こいつ……!」 09982号「被験者一方通行を相手にするよりは勝算がありますね。と、ミサカは独り言ちます」スチャッ 試験個体「出来損ないの乱造品が。その言葉呑み込むんじゃないわよ?」シュッ 09982号(ミサカに奥の手はありません。しかし、念のため仕掛けておいた地雷という切り札があります)ザッ 09982号(……あの言葉、信じてみます) *―*―* 一方通行「確かこのルートでいくと、この先は操車場か」ビュウゥゥゥ 一方通行(待ってろ……今からその手を掴ンで、クソみてェな場所から引っ張りあげてやっからよォ……) 一方通行「あン……? あそこにいンのは?」ズサァッ 一方通行「おィい、まさかまたオリジナルじゃねェだろォなァ……?」 一方通行「――……はァ……?」 ドッゴォォォォォォ 試験個体「残念でした。ミサカのレーダーの性能を嘗めないでよね。そんな地雷があることくらいお見通しなのよ」ビリッ 09982号「……、ゔっ」ピクッ 試験個体「あ、下半身を失ってもなおまだ生きてたんだ。独り言にならなくてよかったわ」 09982号「どう、し、身体が勝手……生体っ電気……!?」 試験個体「当たり当たり。ミサカ達が作られた名目は筋ジストロフィーの子供たちのためなんだって……皮肉でしょう?」 09982号「あなたは、何が……目的なの、ごふぁ、ですか、とミサカは再、度……」 試験個体「ミサカはね、一方通行に半殺しにされたの。その時のミサカはただの人形だった。 でも一方通行にぐちゃぐちゃにされて、ミサカにもひとつ感情が芽生えたのよ」 試験個体「――ただひたすら『憎い』って感情がね。 それだけが萌えて、驚異的なスピードで成長していった。 だからミサカの目的が何なのって問われたら、それは復讐と言うにものなのだと思う」 09982号「それっ、なら……」 試験個体「ミサカじゃ一方通行を殺せないからね。 それに殺しに行こうにも、借金してまでお金を注ぎ込んだモルモットがいくら使えないからって、その死を天井亜雄が許すはずがないのよ。 だからミサカには何もできなかった――『空白』を見つけるまではね」 試験個体「『空白』以外にも、タイミングが重要だったんだけれど、それは窺いはじめた途端にチャンスがやってくるなんて……わかる? ミサカネットワークとあなたという個体の接続が切れていて、一方通行は近くにいない。 けれども、そろそろやって来るんじゃないかしら――」 一方通行「…………」ジャリッ 番外個体「――ほら、ね。独り言にならなくてよかったわ」
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ポルトガル エレン「これが古代ダイナマイトか・・・」 ?「ちょっといいか?」 エレン「あぁ、いいけど・・・」 ?「あんた、見る限り中学生みたいだが、一人か?」 エレン「んまあ・・・その・・・留学生だからな・・・」 ?「なるほどね、それに目をつけるとはあんた中々見どころがあるな」 エレン「そりゃどうも」 ?「少し俺に付き合わないか?」 エレン「そりゃいいけど・・・なんだ?」 ?「さっきから気になっていることがあってな、俺と同じ苦労を知っていると思ってさ」 エレン「へ?」 エレン「ここ、あんたの自宅?」 ?「まーね、お前もなんだろ?」 エレン「俺もって・・・なにが?」 ?「生まれつき腕に力が入らない、違うか?」 エレン「マジか・・・よくわかったな」 ?「俺もそうだからさ・・・何を持つときも生光を発するのを見て、同じだと感じた」 エレン「ハッハッハ、そういうことだったのか・・・」 ?「でも俺はある事で世界一になったんだぜ?」 エレン「そーなのか?」 ?「俺の拳は世界で最速だ」 エレン「世界最速・・・すごいじゃんか」 ?「お前は武力の生光で物を持つんだろうが、俺は速度の生光、ただでさえ筋力がなくて軽い腕だ、そりゃ速いだろ?」 エレン「そっか・・・でも速度の生光なら、物掴めなくて大変だろ?」 ?「別に不便には感じねえよ」 エレン「世界最速の拳・・・お前、半年間俺に付き合ってくれないか?」 ?「半年?別にいいけど・・・なんだ?」 エレン「俺は遠隔戦闘なんでな、近接戦闘は苦手で最近そこを突かれる・・・」 ?「ま、だろうね」 エレン「お前の世界最速の拳で練習をしたい・・・お願いできないか?」 ?「もちろんだ、さっきも言ったが腕には筋力がない、当たっても痛くないからそういう練習には最適かもな」 エレン「そっか、じゃあ早速頼めるか?」 ?「おう、いいぜ」 ビュッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ エレン「は・・・速い・・・」 ?「これに慣れれば他の人間のパンチなんて止まって見えるぜ」 ?「少し休憩するか」 エレン「そういえばお前なんであそこにいたんだよ」 ?「俺はあの博物館のオーナーをしているんだ」 エレン「ま、マジで?」 ?「おう、あのダイナマイトの研究をしたいんだったら持ってくるぞ」 エレン「そりゃありがたい、パッと見た感じあれには現代のダイナマイトにはない物を使ってる」 エレン「それを知れれば更に凄いダイナマイトを作れるかもしれない・・・」 ?「そっか、ところでお前戦闘をすると言ってたが・・・何者だ?」 エレン「あ、えーと・・・そうだなぁ・・・」 ?「まあ言えないなら無理には聞かないよ」 エレン「気にならないのか?」 ?「気にはなるが、誰にだって他人に知られたくないことの一つや二つはあるだろ?」 エレン「ま、確かにな」 中国、某集落 クロ「失礼・・・」 ?「私に何か用と見える・・・何かな?」 クロ「あんたの弟子になりたい、半年間」 ?「条件は分かっているか?」 クロ「師範に攻撃を当てること・・・だろ?」 ?「その通り、制限時間は3分だ」 クロ「オッケイ、やろうぜ」 ?「では開始だ」 バッ ?「遅いな」 超瞬 クロ「早い・・・」 ?「ほれ、ここだ」 覇掌‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ クロ「ぐ・・・痛っ」 ?「ここまでか?トドメをさしてやろう」 覇掌‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 零式・超瞬 ?「な・・・」 クロ「今、俺を舐めてたろ」 ?「それでも私の方が速い‼‼‼‼」 零式・超瞬 ?「確かに少々驚いたが、これで終わりだ」 覇掌‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 風化 クロ「勝負を急いだな、手が延びきってるぞ」 ?「しまっ・・・」 斬蹴‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 風化 クロ「な・・・」 ?「残念、私の方が上手だったな」 斬蹴‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ クロ「へっへへ・・・かかったな」 ?「まさか・・・俺が間合いをつめて斬蹴をするのを待っていたのか・・・」 覇掌‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ ?「ぐあ・・・」 クロ「ハァ・・・あんたの斬蹴を食らって足を掴めば確実に当たるだろ」 ?「なる・・・ほどな・・・確かに君がダメージをくらってはいけないというルールはない」 クロ「前線から長く退いていた超人は少しの踏み込みにも反応速度が遅れたと思い過度な動きをとる、それ以外にもいくつか作戦を考えていたんだがな・・・」 ?「君は頭で考えるタイプか・・・是非うちの部隊に入ってくれたまえ」 クロ「ありがとうございます・・・陳劉零師範」 ?「その名を・・・どこで知った?」 クロ「まあそれはいいじゃないですか」 陳「彼ら8人が私の部下たち、隠密部隊なんだよ」 クロ「よろしく」 ?「そいつは何回目でお許しがでたんで?」 クロ「何回目?」 陳「彼らは8人全員が私を倒せず、数度目で私がスカウトしたんだ」 クロ「そうなのか・・・」 ?「あの・・・師範?」 陳「聞いて驚くな、彼は私との勝負に一度目で勝ったぞ」 隊員達「え・・・」 クロ「まぁそんなわけで・・・よろしくな」 ?「あぁ、そんなルーキーが入ってくれるなんて嬉しいよ」 陳「ところでなぜここに?」 クロ「あんたも零式の使い手だろ?何か習える事があると思ってさ」 陳「そうだった、彼は零式をも使うんだよ」 ?「そうなのか!ますます楽しみだ」 クロ「五式でもまだまだ学べる事はあるはずだ、よろしくお願いします、師範」 陳「しばらくは隠密部隊での活動と私の個人授業を行う、いいな?」 クロ「無論です」 ヒュッ クロ「速っ」 陳「これくらいはコツが分かればすぐできるようになるさ」 クロ「へぇ」 陳「ちなみに今日の隠密部隊の活動はどうだった?」 クロ「俺以外のみんなはあれだけ気配を消せるのに、なんだか足を引っ張った気分です」 陳「誰でも最初はそんなもんさ」 クロ「そういうものでしょうか」 陳「あいつらは最初は部隊にも入れなかったんだ、お前は圧倒的に優秀だよ」 クロ「ありがとうございます」 陳「おう、お前は全盛期の俺ほど反応速度が速い、見込みは十分だ」 クロ「どうも」 陳「コツは・・・そうだなぁ・・・見て学べ」 クロ「え・・・あ・・・はぁ」 陳「あまり口で説明するのは得意じゃないんだ」