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護国活動並びに政治活動を行っていくうえで、保守思想に基づいた理論武装を目的として作成したページです。本ページを活用して、左翼や売国奴が議論をしかけてきても面前で論破できる実力を身に着けましょう! <目次> ■理論派保守を養成するための最速プログラム◆(1) 政治的スタンス5分類・8分類+円環図、政治思想の諸概念(整理表)の紹介 ◆(2) 中川八洋氏の著作を便法として使用する理由 ■ステップ1■中川八洋氏の著作を読む→予めゴールの目星をつけておく ■ステップ2■政治思想の古典を読む→有益vs有害:4X3、プラス1◇代表的な思想家(政治思想・法思想)と評価 《1》自由を守る4人の有益な思想家と著作 《2》隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 《3》有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 ■ステップ3■理論派保守として乗り越えるべき壁→標準的な政治思想も押さえる《1》現在の標準的な政治学の教科書を読む 《2》西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として 《3》日本の政治思想を毒する丸山眞男対策として 《4》西洋思想の標準的知識を押さえる ■ステップ4■理論派保守の目標地点→憲法と法理論を押さえる《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる 《2》次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する 《3》最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する ■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ ■ご意見、情報提供 ■理論派保守を養成するための最速プログラム 当ページでは、①保守思想、並びに、②関連する政治思想全般(及び関連する経済思想・法思想)、を一般の保守層の方々になるべく簡便に理解していただくことを目的に、 (1) 政治/経済/法学その他の理論/思想を概括的に把握するための工夫として、政治的スタンス5分類・8分類、及び政治思想の諸概念・整理表を提示し、 (2) また、西洋政治思想全般のガイドラインとして中川八洋氏(筑波大学名誉教授)の著作をまず紹介します。 (3) 続けて、この中川氏の著作を杖としつつ、我々がマスターしておくべき政治思想(及び関連する法思想等)の代表的著作を順次紹介し、 (4) 最後に、様々なトピック毎の各論へのリンクを提示します。 なお、そうした書籍の紹介よりも、政治や経済・法学などの具体的なトピックをまず一瞥したいという方は、ページ末尾のリンク先一覧へどうぞ。 ◆(1) 政治的スタンス5分類・8分類+円環図、政治思想の諸概念(整理表)の紹介 △政治的スタンス5分類・8分類+円環図 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 △政治思想の諸概念(整理表) ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ⇒上表の詳しい説明は、■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ へ。 ◆(2) 中川八洋氏の著作を便法として使用する理由 中川八洋氏については、初めて名前を聞く方も多いと思いますが、特に西洋思想について、保守主義の立場から体系的に諸理論を整理・批評した貴重な解説書を著述している学者です(但し後述の★重要な注意事項も参照のこと)。 (*補足説明)保守主義のガイドラインとしては、近年、潮匡人氏『日本人として読んでおきたい保守の名著』 や岩田温氏『逆説の政治哲学』 などの秀逸な図書が刊行されており、中川八洋氏の見解を相対的に見るためにも、これらを併用することが望ましいが、下記の理由に示すとおり、総合的に見て中川八洋氏の著作がガイドラインとしてなお圧倒的に優れていると考えます。) 当ページにて、ガイドライン・総論を一瞥された後は、ページ末に列挙されている西洋政治思想の各論に進まれることをお勧めします。 そして、西洋思想について一定の理解を得られた後には、さらに、同じくページ末に列挙されている戦前~戦後(さらに現代)に至る日本の思想問題の各論に進んでいただければ当ページの目的は十分に果たされたことになります。 ◇中川八洋氏の著作を機軸に据える理由 (1) ポイントが明確で読みやすいこと 高度な内容が書かれているにも関わらず、中川氏の主張が極めて明瞭なため、政治思想の初心者であっても、何とか読み進めることが出来ること。 (2) ガイドブック機能が高いこと 著作中に、西洋思想を理解する上で知っておくべき良書(正しい思想家)と悪書(間違った思想家)の充実したリストを掲げており、中川氏の解説を頼りに、それらの古典に順次挑戦していくことが可能なこと。 (3) 自主憲法制定まで視座に据えていること 単に西洋思想の解説に留まらずに、それらの理解を現実の日本政治の改善にどう活かすか、を考究し、究極のゴールとして明治憲法に範を取った自主憲法制定を志向し、その具体的内容まで提案していること。 ◇制約事項:自虐史観が残っている人は時期尚早です 朝鮮半島や東南アジアについては日本が侵略した訳ではないが、中国については日本の侵略戦争であり、日本は中国に関してはきちんと謝罪すべきだ 靖国神社に祭られている一般の英霊には感謝の念を表すべきだが、東条英機元首相などのA級戦犯は分祀すべきだ といった類の半可通な歴史認識の方は、こちらのシリーズに参加するにはまだ時期尚早です。 チャンネル桜などの歴史関連動画を視聴したり、当サイトの歴史関連ページを探るなどして、自虐史観の残滓を確り漱ぐことに注力して下さい。 ★重要な注意事項 中川八洋氏の西洋思想の解説は非常にお勧めですが、残念ながら同氏の戦前~戦後の日本の政治・思想状況に関する著作は、 ①読みやすく興味深い内容ではありますが、②実証的裏付けが乏しく、余りお勧めできません。ご注意下さい。 戦前~戦後の日本の政治・思想状況に関しては、当ページ下部や丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証などのページで紹介していますが、 堅実な実証研究に基づく論説を発表している ①竹内洋・井上義和・植村和秀氏のグループや、②新田均・八木秀次氏のグループの著作をお勧めします。 1 これについては、西洋思想という膨大な諸観念の塊を、自在に切り分けて整理し要点を抽出する中川八洋氏の強力な「構想力」「独創性」が、地道な事実検証を積み重ねること、あるいは他の研究者の研究結果と比較し整合性を検証すること、により自分の仮説を躊躇なく修正していく必要が生じる実証研究に際しては、残念ながら逆に仇となってしまっている、ことが原因と考えられます。 2 その点で、①竹内・井上・植村氏や、②新田・八木氏の研究成果は、一種の集合知としてバランスの取れた内容が提示されており、当サイトの戦前~戦後(さらに現代)に至る日本の思想問題各論ページも、この①・②を機軸としてまとめられています。 ◇最速! 理論派保守養成プログラム《概要》 【ステップ1】 中川八洋氏の著作を読む →予めゴールを知っておく 【ステップ2】 政治思想の古典を読む →有益vs有害:4X3、プラス1 《1》 自由を守る4人の有益な思想家と著作 バーク、ハミルトン、ハイエク、ポパー 《2》 隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 ルソー、ヘーゲル、マルクス 《3》 有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 ロック 【ステップ3】 理論派保守として乗り越えるべき壁 →標準的な政治思想を押さえる 《1》 現在の標準的な政治学の教科書を読む 批判的にチェックしていこう 《2》 西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として フランス革命の誤謬を知る 《3》 日本政治思想を毒する丸山眞男対策として 日本ファシズム論の誤謬を知る 《4》 西洋思想の標準的知識を押さえる 分析哲学の概要まで押さえることが必要 【ステップ4】 理論派保守の目標地点 →憲法と法理論を押さえる 《1》 法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる ドイツ系法学と英米系法学の違い 《2》 次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する 芦部信喜、佐藤幸治、阪本昌成、各々の憲法論 《3》 最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する 日本会議による提案、中川八洋案 ◇時間的な目安 ステップ1 50~100時間 結論だけ知るなら、これで十分 ステップ2 150~300時間 以下はステップ1の論証です ステップ3 150~300時間 ステップ4 150~300時間 計 ミニマム500時間、マックス1000時間 いざ! 左翼・売国奴討伐に出陣! これだけ見ておけば大丈夫。 なお結論 だけなら、ステップ1(50~100時間)で十分 です。ステップ2以下は、なぜそのような結論になるのかの論証です。 (※注意事項:結論 だけ押さえた場合、保守主義を理解したつもりで、実は保守主義と密接に関連した自由主義と正反対の「右の全体主義」(つまり保守ではなく右翼ないし極右的スタンスに陥ってしまう危険があります。詳しくは【ステップ4】など参照)) ※以下、ステップ毎の推薦図書&説明 ■ステップ1■中川八洋氏の著作を読む→予めゴールの目星をつけておく ※ここで押さえた内容にステップ2以下で繰り返し立ち戻ることになります。 『正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒 (単行本) 』(中川八洋:著) 西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想(自由を圧搾する偽りの思想)の系譜を峻別して分かり易く解説。正統の思想・邪悪な異端の思想の各々の思想家と代表的著作の一覧表が大変参考になります。 <目次> 第1部 総論 真正自由主義離脱の代償 第一章 近代がうんだ「反・近代」―全体主義の源流フランス革命 第二章 「進歩」という狂信 第三章 真正自由主義―伝統主義、保守主義 第2部 各論 隷従の政治か、自由の政治か 第四章 「平等教」の教祖ルソー―全体主義と大量殺戮の起源 第五章 フランス革命―人類の「負の遺産」 第六章 「大衆」―全体主義の母胎 第七章 「人権」という狂信―全体主義への媚薬 第八章 迷信の「国民主権」、反・人民の「人民主権」 第九章 「進歩」の宗教、「進化」の神話 第十章 平等主義―自由抑圧の擬似宗教 終章 伝統・権威と自由の原理―保守する精神 文献リスト 「悪書」の過剰と「良書」の欠乏 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』(中川八洋:著) ハイエクの思想を機軸に西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。後は本書で紹介されている興味の湧く各思想家の書に挑戦しましょう。 正統の憲法 バークの哲学 中川八洋著 中公叢書 (2002年) 米・英・仏・日(明治・昭和)の憲法をその来歴から「正統の憲法」と「異端の憲法(偽りの憲法)」に切り分けて論じた目から鱗の名著 <目次> 序 正統の憲法、異端の憲法―祖先の叡智を保守する精神 第1章 保守主義のアメリカ憲法―デモクラシーへの不信、人民への警戒 第2章 イギリス憲法の母胎―封建遺制と中世思想 第3章 フランス憲法、負の遺産―血に渇く神々を祀る宗教革命の教理 第4章 「日本の知的遺産」明治憲法―自由と倫理が薫る英国型憲法 第5章 GHQ憲法のルーツ―スターリン憲法の汚染、ルソー主義の腐蝕 第6章 バーク保守主義の神髄―高貴なる自由、美しき道徳 あとがき 「改革」の魔霊に憑かれた日本 ※内容に関しては、中川八洋『国民の憲法改正』抜粋も参照のこと 国民の憲法改正―祖先の叡智日本の魂 第1部 正統の日本国憲法 中川草案 第2部 「国民の憲法」の絶対三条件―皇室、国防軍、家族 「世襲の共同体」日本の皇統―天皇への崇敬は悠久の日本の礎 美徳ある国民 名誉ある国家―道徳の主体としての国防軍 ほか 第3部 国家簒奪・大量殺戮の思想を排除する―根絶すべきフランス革命の教理 「国民主権」は暴政・革命に至る―「デモクラシーの制限と抑制」こそ憲法原理 「人権」という、テロルの教理―文明と人間を破壊した「フランス人権宣言」 ほか 第4部 亡国に至る三つの憲法改悪―一院制、首相公選、地方分権 参議院の再生―「法の支配」の番人 国の伝統と慣習の守護 中曽根「首相公選」論の正体―スターリン型独裁への中間段階 ほか ■ステップ2■政治思想の古典を読む→有益vs有害:4X3、プラス1 ※ステップ1の中川氏の解説を手がかりに、西洋思想の古典に挑戦します。 ◇代表的な思想家(政治思想・法思想)と評価 № 有益な思想家 主著 評価 説明 1 A.ハミルトン(1755?-1804、米) 『ザ・フェデラリスト 』(1788)(マジソン、ジェイと共著) 有益度 S アメリカ独立戦争でワシントンの副官として活躍。その後13邦に分立したままのアメリカを一つの連邦にまとめる合衆国憲法案の批准を訴える論説をJ.マジソン、J.ジェイと共にニューヨーク州の新聞に連載し合衆国発足に貢献。その論説集『ザ・フェデラリスト』は現在に至るまで合衆国憲法の最良のコンメンタール(注釈書)として揺ぎ無い地位を保ち続けている。 2 E.バーク(1729-1797、英) 『フランス革命の省察 』(1790) 有益度 S 当時英国領であったアイルランド出身のホイッグ党(自由党の前身)の有力下院議員。アメリカ独立戦争では植民地側に理があるとしてこれを支援したが、フランス革命が勃発すると逸早くその全体主義的・狂信的本質を見抜いて、これを糾弾する名著『フランス革命の省察』を著し英国のフランス革命反対の世論形成に大きく貢献した。 3 F.A.ハイエク(1899-1992、オーストリア→英) 『隷従への道 』(1944)『自由の条件 』(1960)『法と立法と自由 』(1973-79) 有益度 S ノーベル経済学賞を受賞。しかし「隷従への道」執筆後は経済学に加えて法思想・政治思想の分野を総合した哲学者として晩年まで精力的に活躍。第二次世界大戦を挟んで膨張する一方の社会主義に警鐘を鳴らし、自由主義の価値を訴え続けた。1970年代末に始まる英国のサッチャー改革はハイエクの思想をバックボーンとして実行された。⇒リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 4 K.R.ポパー(1902-1994、オーストリア→英) 『開かれた社会とその敵 』(1945)『歴史(法則)主義の貧困 』(1957) 有益度 S ハイエクと共に、マルクス主義・全体主義の似非科学性を厳しく追及・糾弾し、相互批判に向けて開かれた自由な社会を擁護し続けた。なお上記の様にポパーの名著『The Poverty of Historicism』(歴史法則主義の貧困)は日本では左翼文化人の久野収によってワザと『歴史主義(historism)の貧困』と誤訳されている。 № 有害な思想家 主著 評価 説明 1 T.ホッブズ(1588-1679、英) 『リヴァイアサン』(1651) 有害度 S 英国の清教徒革命(1640-60)期にスチュアート王朝もクロムウェルの共和制も双方とも擁護可能な御用理論として『リヴァイアサン』を著し、一旦社会契約を交わして国家を創立した後には、人民は国家に対する絶対的服従を要求される、とした。 2 J-J.ルソー(1712-1778、スイス→仏) 『社会契約論』(1762)『人間不平等起源論』(1755) 有害度 S 社会契約を締結した人間は、その契約の結果形成される「一般意思」に完全に従属する(喜んで従う)、とする個人の自由意志を完全に滅失した集団主義的・全体主義的思想(Collectivism:集産主義と訳す)を唱えて、フランス革命やヘーゲル更にマルクスの思想に大きな影響を及ぼした。 3 G.W.F.ヘーゲル(1770-1831、ドイツ) 『歴史哲学』(1840)、『法哲学』(1821) 有害度 S ドイツ観念論の大成者。「歴史とは世界精神(世界を支配する絶対的な理性原理)の展開過程である」とする歴史法則主義を唱えて、マルクスの思想に多大な影響を与えた。 4 K.H.マルクス(1818-1883、ドイツ) 『共産党宣言』(1848)、『資本論』(1867) 有害度 S ヘーゲル左派から出発し、F.エンゲルスと出会って以降フランスなどで提唱されていた初期の社会主義(空想的社会主義)に接近。これに科学の装いを施し「共産主義社会の出現は歴史的必然である」とする科学的社会主義(マルクス主義)思想を打ち立て、さらにプロレタリア革命を実現するための実力行使を広く呼びかけた。⇒マルクス主義と天皇制ファシズム論 ※上記のように英語圏では常識である自由主義擁護の大思想家(ハミルトン・バーク・ハイエク・ポパー)の著作は、日本では殆ど紹介されず、学校でも全く教えられていない。 逆に下段の全体主義・共産主義を生み出した狂気の思想家達(ホッブズ・ルソー・ヘーゲル・マルクス)はまるで世界の偉人であるかのような大きな扱いを受けている。 《1》自由を守る4人の有益な思想家と著作 フランス革命についての省察ほか 中公文庫か、みすず書房の翻訳本を薦める。岩波文庫版は悪訳。要検証 2011年に出版されたPHP研究所刊行のものはどうか? ザ・フェデラリスト(抄訳版) A.ハミルトン(初代財務長官)、J.マジソン(第4代大統領)、J.ジェイ共著 アメリカ合衆国憲法のコンメンタール(注釈書)として不動の地位を確立している名著。福村出版の完訳版は残念ながら非常に高額のため岩波の抄訳版をお勧めします。これと中公文庫『世界の名著』シリーズの1巻で重要な部分はかなりカバーできるはず。 『隷属への道』(F.A.ハイエク:著)(※西山千明氏による新訳を薦めます) 計画経済と生産手段の共有という社会主義政策が、なぜ全体主義に至ってしまうのか。自由を守るために心に留めなければならないことは何か。「法の支配」の真の意味と重要性とは。後年のハイエクが、自己のエッセンスが全部詰まっているとして一般の読者に薦めた一冊。 第二次大戦末期にアメリカで好評を得たあと、1989年にベルリンの壁が崩れ91年までにソ連が崩壊していった時期に、その恐ろしいまでに的確な全体主義社会の分析によって、この本は再度、西欧世界で熱心に読まれ初めました。 全体主義を厳しく排撃するハイエクを、戦後長く意図的に無視し続けてきた日本の出版界にも1980年代の終わり頃から漸くハイエクの著書を出版する動きが出てきました。かなり難解だが、渡部昇一先生の解説本『自由をいかに守るか―ハイエクを読み直す 』を頼りに読み進めて欲しい。なおハイエクの割と平易な編著作として『市場・知識・自由―自由主義の経済思想 』があるので、『隷従への道』がどうしても難しい人はこっちに挑戦する手もある。 『開かれた社会とその敵』(全2巻)K.R.ポパー著(1945) 第一部:プラトンの呪文第二部:ヘーゲル、マルクスとその余波 2冊本だが、論旨明快で読み易い。プラトンから始まり、ヘーゲルを経てマルクスに至る全体主義思想を厳しく論駁した必読の名著。 《2》隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 人間不平等起源論 『社会契約論 』よりもこちらの方が読みやすい。興味が沸けば『社会契約論』に進むべし。 歴史哲学講義 ヘーゲル哲学の滅茶苦茶さは『歴史哲学講義(上・下)』を読めば十分わかるはず。興味が沸けば『法哲学講義』へ。 共産党宣言 ヘーゲル マルクスの政治思想の滅茶苦茶さ・問題点は、上のK.R.ポパー著『開かれた社会とその敵』で的確に指摘されているので、マルクスは『共産党宣言』だけ読んでおけば十分。 《3》有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 統治論(市民政府二論) 超有名であり、内容もさほど難しくない。なお同じ社会契約論のホッブズ『リバイアサン』は長過ぎ 内容が古過ぎて読む価値が余りない。 ■ステップ3■理論派保守として乗り越えるべき壁→標準的な政治思想も押さえる ※有益or有害の区別がついた所で、現実に日本で教えられている政治学・政治思想の内容を批判的に考察します。 《1》現在の標準的な政治学の教科書を読む 政治学 (New Liberal Arts Selection) 「七人の侍」の政治学 第1部 統治の正統性―政治の課題とは何か 政策の対立軸 政治と経済 ほか 第2部 統治の効率―代理人の設計 議会 執政部 ほか 第3部 統治のプロセス―代理人の活動 政策過程 対外政策の形成 ほか 第4部 統治のモニタリング―何がデモクラシーを支えるか デモクラシー―理想と現実 投票行動 ほか) 上は現在の代表的な政治学の教科書だが、以下のとおり二つの重大な問題点がある。 (1) 西洋の政治思想について J-J.ルソーの思想を隠れた機軸とし、バークやハイエクの思想を故意に隠蔽し(バークの思想)、または「古い世代」などと婉曲的に否定(ハイエクの思想)していること。 (2) 日本の政治思想について 「国民主権を貫徹するために天皇制を打倒」することを最大の目標としていた“日本を代表する政治学者”丸山眞男の思想を実は基調としていること(著作者は丸山の弟子筋ばかり)。 これらの問題点を正確に認識し、打破するために以下を読破することを提案する。 《2》西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として 絵解き ルソーの哲学―社会を毒する呪詛の思想 渡部昇一(監修)・中川八洋(解説)両氏のコラボが実現した、分かり易い漫画付き解説本 第1章 「孤児」ルソーの、放浪の生と異常な性 第2章 5人の子を棄てた啓蒙哲学者の誕生 第3章 文明社会を破壊せよ!―「野蛮・未開社会こそユートピア」 第4章 性道徳の破壊と人間の改造―『新エロイーズ』と『エミール』 第5章 全体主義体制の教祖・ルソー 第6章 迫害、放浪、ひどくなる狂気 第7章 『夢想』と恍惚の果てに 第8章 死せるルソーの煽動―血塗られたフランス革命 『革命について』ハンナ・アレント(1963) 自由な立憲政体を建設したアメリカ独立革命と、暴虐のテロと全体主義に沈んだフランス革命・ロシア革命を鮮烈に対比した名著。ルソーの絶大な影響下に実行されたフランス革命への幻想を完全に打ち砕く。 《3》日本の政治思想を毒する丸山眞男対策として 丸山眞男と平泉澄 昭和期日本の政治主義 植村 和秀(著) 柏書房 (2004/10)単行本 丸山眞男といえば、進学校の学生が全共闘世代の教師に「夏休み(冬休み)の課題に『日本の思想』(岩波新書) の中の一章を読んで感想を書け」と言われて、面白くも無いヘンテコで拗けた文書を読まされて難儀するのがオチの“戦後日本を代表する政治思想家”なのだが、そうした丸山の思想に半ば洗脳されていた著者(京産大法学部教授、ドイツ政治思想史専攻)が、京都の古本屋でたまたま、丸山眞男と思想的に対極にある平泉澄の戦前の著作を手に取り、その流麗な文体・精緻な論理構成に打たれて、可能な限りの事実検証・文献検証を重ねて両者の思想的対立の根源に迫った好著。 「筆者には丸山眞男も平泉澄も、その支持者の多くのように、無条件に支持することはできない。丸山には心情的には共感できるが、しかし論理的には納得できない。平泉に論理的には共感できるが、しかし心情的には納得できない。それにもかかわらず、丸山と平泉の思想史的な意義の重さと、人間的な偉大さとは、素直に承認したい。」(著者:植村氏)…丸山眞男的あるいは進歩派文化人的な「戦後民主主義」思想にドップリ漬かった人への解毒剤としてお勧め。また昭和初年~昭和40年頃までの日本の思想状況の本当の所を知りたい人にもお勧めしたい。 「生きて皇室を守るべし。雑草を食っても生きよ」終戦前後の混乱期における平泉同学の知られざる奮起、まさに大日本帝国の殿(しんがり)としての貢献、阿南惟幾・下村定の陸軍最後の二人の陸相と平泉博士とのエピソードも興味深い。 相当にハイレベルだが、“理論派保守”を目指す人は是非挑戦してほしい。西洋の保守思想に留まらず、日本の保守思想への扉を開く貴重な一冊 昭和の思想 植村 和秀 (著) 講談社選書メチエ(2010/11)単行本上記『丸山眞男と平泉澄昭和期日本の政治主義 』が内容的にハイレベルすぎて、初心者のみならず中級者でさえ中々に読みこなせないという難点に答えるかのように2010年秋に出版された簡潔な昭和期政治思想の概略本。内容(「BOOK」データベースより)「戦前=戦後」だけでなく、昭和はつねに「二つの貌」を持っていた。皇国史観から安保・学生運動まで、相反する気分が対立しつつ同居する昭和の奇妙な精神風土の本質を、丸山眞男・平泉澄・西田幾多郎・蓑田胸喜らの思想を元に解読する。<目次>第1章 日本思想は二つ以上ある第2章 思想史からの靖国神社問題―松平永芳・平泉澄第3章 思想史からの安保闘争・学生反乱―丸山眞男第4章 思想史からの終戦と昭和天皇―阿南惟幾・平泉澄第5章 思想史からの世界新秩序構想―西田幾多郎・京都学派第6章 思想史からの言論迫害―蓑田胸喜第7章 二〇世紀思想史としての昭和思想史 《4》西洋思想の標準的知識を押さえる 現代政治理論 《1》で紹介した政治学 (New Liberal Arts Selection) や同じ有斐閣アルマの現代政治学 が丸山眞男や彼の称揚した(ルソー的な意味での)「民主主義」をあまり疑問なく肯定しているのに対して、2006年出版とより新しいこの本は、「日本を代表する政治学者・政治思想家」丸山眞男の紹介もなく、またdemocracyを「民主主義」として変に賞賛せずにきちんと「デモクラシー」(政治思想ではなく政治制度の一つ)として考察する姿勢をとるなど、左翼思想の刷り込みが比較的少ない。また「自由主義」と一般には訳されるliberalismの解説が詳しく、特に他書が意図的に忌避しているハイエクの思想の解説も比較的多くお勧めである。 『知の歴史―ビジュアル版哲学入門 (大型本)』(ブライアン・マギー:著) イギリスの標準的な哲学・思想解説本(分析哲学以前の伝統的な哲学が中心)。左翼の強い日本では意図的に紹介されない英国保守思想の大家エドマンド・バークにも確り数ページが割かれている。著者ブライアン・マギーは、ハイエクの盟友カール・R・ポパーと深い交流のあったイギリスの代表的な哲学解説者で、イギリス左翼の代表的思想家バートランド・ラッセルとも交流のあった人物。この本で特に興味深いのは、デカルト以来の大陸合理論が、ガリレオ・ガリレイからケプラーを経てニュートンによって完成した古典力学の決定論の大きな影響を受けていること、しかし20世紀に入ってアインシュタインの相対性理論・ハイゼンベルクの不確定性原理が発見され、絶対と思われたニュートン力学が否定され、それがハイエクやポパーの合理主義批判に影響を与えていること、がポパーの解説部分の前後に述べられている点である。他にバートランド・ラッセルの『西洋哲学史(第三巻)近代哲学 』もまずまずお勧め(ただしラッセル自身は愛国的左翼なので注意)。 『分析哲学講義』(青山 拓央:著) ブライアン・マギーの上記図書では分析哲学の紹介がほぼ欠落しているので、こちらも必ずチェックして欲しい。分析哲学とは「哲学の役目は《概念の分析》《問題の明晰化》にある」として、ア・プリオリ(先験的)な観念論に囚われた伝統的な形而上学的思想・哲学の殻を打破して戦後の英米圏で圧倒的な主流となった哲学潮流であり、当ページ・ステップ4《憲法と法理論》に進む上で簡単にその考え方をチェックしておく必要がある。(逆に、これを一通り押さえずに憲法論・法理論に進むと、保守主義・自由主義ではなく独善的な「右の全体主義」に陥ってしまう危険が高くなってしまう)。 『保守主義の社会理論―ハイエク・ハート・オースティン 』(落合 仁司:著) ?F.A.ハイエクの自生的秩序論、?H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール論)、?J.L.オースティンの言語行為論(SPEECH ACT THORY)という20世紀哲学の諸潮流の内的関連性を、?ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論とも絡めながら解説し、社会哲学の観点から「20世紀以降の保守思想」を論じた名著。書中に多々登場する哲学・思想用語を一つ一つ辞書等でチェックしていく根気さえあれば、論旨明快で読みやすいはず。※参考ページ 落合仁司『保守主義の社会理論』内容紹介 ■ステップ4■理論派保守の目標地点→憲法と法理論を押さえる ※保守主義/自由主義の政治思想を左右の全体主義との違いを明確に認識しつつ押さえた後は、その応用編として、憲法論/法理論の理解へと進みます。 《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる 『法学 (ヒューマニティーズ) 』 (中山竜一:著 (2009年))《目次》1. 法学はどのようにして生まれたか(なぜ法の歴史について学ぶ必要があるのか (西洋法の歴史 ほか)2. 生きられる空間を創る―法学はどんな意味で社会の役に立つのか(法に期待される役割と背景にある思想 (活動促進と紛争解決―民事法の役割 ほか)3. 制度知の担い手となる―法学を学ぶ意味とは何か(法学を学ぶ意味とは? (法的思考のいくつかの特徴―哲学との対比 ほか)4. 法学はいかにして新たな現実を創り出すのか―法学と未来 (法的思考で現実は変えられるか、難事案をどのように判断するか(一)―ドゥオーキンの構成的解釈 ほか)5. 法学を学ぶために何を読むべきか (BOOK GUIDE) ドイツ系(大陸系)哲学をベースにした従来の観念論的な「法哲学」ではなく20世紀後半以降に大発展した英米系分析哲学をベースとする「法理学」への扉を開く一冊。左右の全体主義に陥らない法学基礎理論の第一歩として非常にお勧め。なお、これとの対比で従来型の特定の観念・思想ゴリオシ型の「法哲学」の教科書として、笹倉秀夫『法哲学講義 』を挙げておくので、興味のある人はこの両者の法理論を比較してみられるとよい。(笹倉秀夫氏は丸山眞男の弟子で、同書も強度の左翼思想と自虐的史観に満ちており、現在の目で見ると明らかに特定思想のゴリオシが目立ち失笑ものである) 『二十世紀の法思想』 (中山竜一:著 (2000年))《目次》第1章 20世紀法理論の出発点―ケルゼンの純粋法学第2章 法理論における言語論的転回―ハートの『法の概念』補論 ハート理論における「法と道徳」第3章 解釈的実践としての法―ドゥオーキンの解釈的アプローチ第4章 ポストモダン法学―批判法学とシステム理論補論 脱構築と正義―デリダ「法の力」第5章 むすび 『法学(ヒューマニティーズ)』と併せて読んで欲しい。20世紀後半に起こった、ケルゼンに代表されるドイツ系(大陸哲学系)法学から、ハートに代表される英米系(分析哲学系)法学へのパラダイム・シフト(法理論における言語論的転回)に焦点を当てた好著。なお20世紀哲学の最大事件「言語論的転回」については『分析哲学講義』(青山拓央:著) が分かり易い。 『現代法理学』 (田中成明:著 (2011年))《目次》序論 法理学の学問的性質と役割第1編 法動態へのアプローチ(第1章 法への視座、第2章 法システムの機能と構造、第3章 法の三類型モデル)第2編 法システムの基本的特質(第4章 自然法論と法実証主義、第5章 法と道徳、第6章 法と強制)第3編 法の基本的な概念と制度(第7章 権利と人権、第8章 犯罪と刑罰、第9章 裁判の制度的特質と機能)第4編 法の目的と正義論(第10章 法と正義、第11章 実践的議論と対話的合理性、第12章 現代正義論の展開)第5編 法的思考と法律学(第13章 裁判過程と法の適用、第14章 戦後の法解釈理論の展開、第15章 法的思考・法的議論・法律学、第16章 法的正当化の基本構造) 憲法その他の実定法をいかなる思想を持って定立すべきかを、かってのドイツ系の「法哲学(legal philosophy)」の立場からでなく、英米系の「法理学(jurisprudence)」の立場から考える重要な一冊。著者・田中成明氏は前記の中山竜一氏の師にあたる法理学者であり、本書は現在の日本の法理学(法哲学)の一応の最高到達点を示している(※但し、佐藤幸治氏と同じく京都学派に当たる田中氏は政治的スタンス分析では中間派に該当し、その主張内容には残念ながら些か中途半端で不徹底な所がある)。 『自由の条件』(全3巻) (F.A.ハイエク著(1960))《目次》第一部 自由の価値第二部 自由と法第三部 福祉国家における自由 自由主義の真髄を解き明かしてM.サッチャー(英元首相)のバイブルといわれた名著であり、自由と法の関係についてきちんとした知識を持つ上で必読の3巻本。続編の『法と立法と自由 』も3巻本で、一冊一冊が高価だが、図書館などで見つけて目を通して欲しい。論旨明快なため、内容はさほど難しくないはず。 『法の概念』 (H.L.A.ハート著(1961年)) 20世紀後半の法理論に大転回をもたらした記念碑的な一冊であり、現在の法を学ぶ者は避けては通れない名著。しかし一般向けにも興味深いテーマを多く扱っており、また用語も難解でないので読みやすい。法学徒は必読だろうが、そうでない普通の人にもオススメできる。《以下概要》本書では、まず「法は威嚇による命令である」という説を批判する。その上で、法を第一次的ルールと第二次的ルールとに分ける。第一次的ルールとは、制裁をもってして何らかの行動を強制するものである。第二私的ルールとは、法として有効である権能を与える(契約・立法・裁判など)ものである。法は不確定性をともなうので、法の周縁部においては常に解釈がともなう。他。 『公正としての正義 再説』 (J.ロールズ著 (2004年))《目次》第1部 基礎的諸観念(政治哲学の四つの役割 (公正な協働システムとしての社会 ほか)第2部 正義の原理 (三つの基本的な要点、正義の二原理 ほか)第3部 原初状態からの議論 (原初状態―その構成、正義の環境 ほか)第4部 正義に適った基本構造の諸制度 (財産私有型民主制―序論、政体間の基本的対比 ほか)第5部 安定性の問題(政治的なものの領域、安定性の問題 ほか) J.ロールズ著『正義論 』といえば自虐的史観ではないマトモな左翼(=リベラル左派)のバイブル的基礎理論書であるが、本書は『正義論』以降の思想的発展を綴ったロールズ晩年の草稿を弟子エリン・ケリーがまとめたエッセンス本である。現代リベラル思想を代表するロールズの理論は難解だが、左派系の政治思想・法思想を押さえ的を外さずに批判・論撃する上で本書を批判的に読み込んでおく必要がある。 《2》次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する ※法学基礎理論を押さえた次は、保守主義の憲法論に入る前に、①芦部信喜(リベラル左派)、②佐藤幸治(中間派)、③阪本昌成(リベラル右派)といった日本の代表的な憲法論を一通り押さえておきましょう。 『憲法 第五版』 (芦部信喜:著、高橋和之:補訂 (2011年)) 芦部信喜(故人) は、宮沢俊義に始まる東大憲法学(戦後左翼の通説的憲法学)の権威であり、本書は法律系資格受験者に最も参考にされている影響力の大きい基本書である。芦部の政治的スタンスはリベラル左派からさらに左翼よりと考えると理解しやすい(※参考ページ:よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編))なお芦部説をベースとした種々の憲法学説案内として LEC『C-Book 憲法Ⅰ《総論・人権》』抜粋 も参照また、芦部説に代わる近年の左翼リベラル側の代表的護憲論とその対策して、よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編)も参照。 『憲法 第三版』 (佐藤幸治:著 (1995年)) 佐藤幸治 は、佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の代表学者であり、J.ロックの「信託」論をベースとしたその憲法論は上記の芦部説(東大憲法学)に次いで大きな影響力を持っている。佐藤の政治的スタンス5分類/8分類では折衷的な中間派に分類すると据わりがよい(※参考ページ:佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋)。 憲法1 国制クラシック 、憲法2 基本権クラシック 著者・阪本昌成氏(近畿大学教授・憲法学者)は、①ハイエクの自由論と②ハートの法概念論をベースに自由主義的憲法学を展開する稀有の憲法学者。右記の2冊本は保守のための憲法基本書として唯一無二の価値を持つ名著であり、宮沢俊義→芦部信喜と続く左翼憲法学の誤謬を完膚なきまでに粉砕する内実を備えている。2冊とも2011年秋に改訂されており、最新の判例をも取り込んでいるところも嬉しい。(※参考ページ:政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価、なお阪本氏は正確にはリベラル右派=新保守主義のスタンスであることに注意)※阪本氏の憲法理論 紹介ページ⇒ 1. 阪本昌成『憲法理論Ⅰ 第三版』(1999年刊)⇒ 2. 阪本昌成『憲法1 国制クラシック 全訂第三版』(2011年刊)} 《3》最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する ※《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる、というステップを踏まずにいきなりこの《3》へ進むと、自由主義と全体主義の違いが理解できず自覚のないまま「伝統」や「国体」を絶対視してしまう「右の全体主義」に陥る危険が高いので注意しましょう。(左派憲法学を論破する上で《2》もきちんと押さえておく方と更に良い) 日本国憲法とは何か 平易でありながら、憲法を考える上で最低限必要な知識をきちんと教えてくれる名著。姉妹編の『明治憲法の思想―日本の国柄とは何か 』と併せて読んで欲しい。 『憲法の常識 常識の憲法』 百地 章 (著)チャンネル桜などでお馴染みの代表的な保守派憲法学者の憲法観を知るための一冊。amazonブックレビューで一部ページを拝見できる。 『新憲法のすすめ―日本再生のために』 大原 康男 (著), 百地 章 (著), 日本会議新憲法研究会(編集)<目次>第1部 なぜ、いま新憲法か第2部 新憲法の大網第3部 新憲法への視座―歴史に学び未来を展望する(憲法調査会の議論に期待するもの/国家理念の再考/戦後民主主義は憲法原則たり得ない/主権をどう考えるか/憲法九条を考える/国際秩序の変容と日本の憲法)資料編★内容説明★常識的な憲法改正案として、日本会議の提言「新憲法の大綱」を挙げておく。ステップ1で紹介した中川八洋『国民の憲法改正』と並んで新憲法の具体的改正内容に踏み込んだ提案がまとめてあるので、相互参照しながら全体主義に陥らない「保守主義/自由主義の憲法構想」の具体例を感得して欲しい。 象徴天皇制度と日本の来歴 坂本多加雄(著)<目次>序章 相互理解とは何か第1章 「選択する自己」から「物語る自己」へ第2章 国家の来歴第3章 戦後日本とその物語第4章 日本国憲法とフランス革命の物語第5章 近代日本における国家制度の形成過程第6章 象徴天皇制度と日本国憲法第一条第7章 近代国際社会と日本終章 ふたたび相互理解について★内容説明★「戦後の来歴」に拘束され、近代以降の歴史を否定的に見る習慣が身についた日本人。しかし「戦後の来歴」自体、ひとつの物語にすぎない。国際社会で日本が演じた事柄や天皇の存在について、戦後五十年を経た今こそ、幕末以来の「国体」観念や「憲法」を中心に見直し、新たな物語を語るべきではないか。気鋭の政治思想史学者による「日本の来歴」探求の提唱。現在は天皇論 象徴天皇制度と日本の来歴 (文春学藝ライブラリー) として再販されている。 ■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ 理論派保守を目指す人のための読書ガイドを押さえたら、保守主義・自由主義・社会主義・ナショナリズム・デモクラシーなど政治思想・政治理論の各論に進みましょう。 下が政治思想・政治理論の各論ページとなります。 なお各論のうち最初に読むと便利なページは 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 です。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■ご意見、情報提供 下記の各論ページの掲示板をご利用下さい。 なお各論のうち最初に読むと便利なページは 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸、及び、政治の基礎知識 です。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24
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元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24
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■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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護国活動並びに政治活動を行っていくうえで、保守思想に基づいた理論武装を目的として作成したページです。本ページを活用して、左翼や売国奴が議論をしかけてきても面前で論破できる実力を身に着けましょう! <目次> ■理論派保守を養成するための最速プログラム◆(1) 政治的スタンス5分類・8分類+円環図、政治思想の諸概念(整理表)の紹介 ◆(2) 中川八洋氏の著作を便法として使用する理由 ■ステップ1■中川八洋氏の著作を読む→予めゴールの目星をつけておく ■ステップ2■政治思想の古典を読む→有益vs有害:4X3、プラス1◇代表的な思想家(政治思想・法思想)と評価 《1》自由を守る4人の有益な思想家と著作 《2》隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 《3》有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 ■ステップ3■理論派保守として乗り越えるべき壁→標準的な政治思想も押さえる《1》現在の標準的な政治学の教科書を読む 《2》西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として 《3》日本の政治思想を毒する丸山眞男対策として 《4》西洋思想の標準的知識を押さえる ■ステップ4■理論派保守の目標地点→憲法と法理論を押さえる《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる 《2》次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する 《3》最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する ■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ ■ご意見、情報提供 ■理論派保守を養成するための最速プログラム 当ページでは、①保守思想、並びに、②関連する政治思想全般(及び関連する経済思想・法思想)、を一般の保守層の方々になるべく簡便に理解していただくことを目的に、 (1) 政治/経済/法学その他の理論/思想を概括的に把握するための工夫として、政治的スタンス5分類・8分類、及び政治思想の諸概念・整理表を提示し、 (2) また、西洋政治思想全般のガイドラインとして中川八洋氏(筑波大学名誉教授)の著作をまず紹介します。 (3) 続けて、この中川氏の著作を杖としつつ、我々がマスターしておくべき政治思想(及び関連する法思想等)の代表的著作を順次紹介し、 (4) 最後に、様々なトピック毎の各論へのリンクを提示します。 なお、そうした書籍の紹介よりも、政治や経済・法学などの具体的なトピックをまず一瞥したいという方は、ページ末尾のリンク先一覧へどうぞ。 ◆(1) 政治的スタンス5分類・8分類+円環図、政治思想の諸概念(整理表)の紹介 △政治的スタンス5分類・8分類+円環図 -... ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 △政治思想の諸概念(整理表) ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ⇒上表の詳しい説明は、 ■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ へ。 ◆(2) 中川八洋氏の著作を便法として使用する理由 中川八洋氏については、初めて名前を聞く方も多いと思いますが、特に西洋思想について、保守主義の立場から体系的に諸理論を整理・批評した貴重な解説書を著述している学者です(但し後述の★重要な注意事項も参照のこと)。 (*補足説明)保守主義のガイドラインとしては、近年、 潮匡人氏『日本人として読んでおきたい保守の名著』 や 岩田温氏『逆説の政治哲学』 などの秀逸な図書が刊行されており、中川八洋氏の見解を相対的に見るためにも、これらを併用することが望ましいが、下記の理由に示すとおり、総合的に見て中川八洋氏の著作がガイドラインとしてなお圧倒的に優れていると考えます。) 当ページにて、ガイドライン・総論を一瞥された後は、ページ末に列挙されている西洋政治思想の各論に進まれることをお勧めします。 そして、西洋思想について一定の理解を得られた後には、さらに、同じくページ末に列挙されている戦前~戦後(さらに現代)に至る日本の思想問題の各論に進んでいただければ当ページの目的は十分に果たされたことになります。 ◇中川八洋氏の著作を機軸に据える理由 (1) ポイントが明確で読みやすいこと 高度な内容が書かれているにも関わらず、中川氏の主張が極めて明瞭なため、政治思想の初心者であっても、何とか読み進めることが出来ること。 (2) ガイドブック機能が高いこと 著作中に、西洋思想を理解する上で知っておくべき良書(正しい思想家)と悪書(間違った思想家)の充実したリストを掲げており、中川氏の解説を頼りに、それらの古典に順次挑戦していくことが可能なこと。 (3) 自主憲法制定まで視座に据えていること 単に西洋思想の解説に留まらずに、それらの理解を現実の日本政治の改善にどう活かすか、を考究し、究極のゴールとして明治憲法に範を取った自主憲法制定を志向し、その具体的内容まで提案していること。 ◇制約事項:自虐史観が残っている人は時期尚早です 朝鮮半島や東南アジアについては日本が侵略した訳ではないが、中国については日本の侵略戦争であり、日本は中国に関してはきちんと謝罪すべきだ 靖国神社に祭られている一般の英霊には感謝の念を表すべきだが、東条英機元首相などのA級戦犯は分祀すべきだ といった類の半可通な歴史認識の方は、こちらのシリーズに参加するにはまだ時期尚早です。 チャンネル桜などの歴史関連動画を視聴したり、当サイトの歴史関連ページを探るなどして、自虐史観の残滓を確り漱ぐことに注力して下さい。 ★重要な注意事項 中川八洋氏の西洋思想の解説は非常にお勧めですが、残念ながら同氏の戦前~戦後の日本の政治・思想状況に関する著作は、 ①読みやすく興味深い内容ではありますが、②実証的裏付けが乏しく、余りお勧めできません。ご注意下さい。 戦前~戦後の日本の政治・思想状況に関しては、当ページ下部や丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証などのページで紹介していますが、 堅実な実証研究に基づく論説を発表している ①竹内洋・井上義和・植村和秀氏のグループや、②新田均・八木秀次氏のグループの著作をお勧めします。 1 これについては、西洋思想という膨大な諸観念の塊を、自在に切り分けて整理し要点を抽出する中川八洋氏の強力な「構想力」「独創性」が、地道な事実検証を積み重ねること、あるいは他の研究者の研究結果と比較し整合性を検証すること、により自分の仮説を躊躇なく修正していく必要が生じる実証研究に際しては、残念ながら逆に仇となってしまっている、ことが原因と考えられます。 2 その点で、①竹内・井上・植村氏や、②新田・八木氏の研究成果は、一種の集合知としてバランスの取れた内容が提示されており、当サイトの戦前~戦後(さらに現代)に至る日本の思想問題各論ページも、この①・②を機軸としてまとめられています。 ◇最速! 理論派保守養成プログラム《概要》 【ステップ1】 中川八洋氏の著作を読む →予めゴールを知っておく 【ステップ2】 政治思想の古典を読む →有益vs有害:4X3、プラス1 《1》 自由を守る4人の有益な思想家と著作 バーク、ハミルトン、ハイエク、ポパー 《2》 隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 ルソー、ヘーゲル、マルクス 《3》 有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 ロック 【ステップ3】 理論派保守として乗り越えるべき壁 →標準的な政治思想を押さえる 《1》 現在の標準的な政治学の教科書を読む 批判的にチェックしていこう 《2》 西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として フランス革命の誤謬を知る 《3》 日本政治思想を毒する丸山眞男対策として 日本ファシズム論の誤謬を知る 《4》 西洋思想の標準的知識を押さえる 分析哲学の概要まで押さえることが必要 【ステップ4】 理論派保守の目標地点 →憲法と法理論を押さえる 《1》 法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる ドイツ系法学と英米系法学の違い 《2》 次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する 芦部信喜、佐藤幸治、阪本昌成、各々の憲法論 《3》 最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する 日本会議による提案、中川八洋案 ◇時間的な目安 ステップ1 50~100時間 結論だけ知るなら、これで十分 ステップ2 150~300時間 以下はステップ1の論証です ステップ3 150~300時間 ステップ4 150~300時間 計 ミニマム500時間、マックス1000時間 いざ! 左翼・売国奴討伐に出陣! これだけ見ておけば大丈夫。 なお 結論 だけなら、 ステップ1(50~100時間)で十分 です。ステップ2以下は、なぜそのような結論になるのかの論証です。 (※注意事項: 結論 だけ押さえた場合、保守主義を理解したつもりで、実は保守主義と密接に関連した自由主義と正反対の「右の全体主義」(つまり保守ではなく右翼ないし極右的スタンスに陥ってしまう危険があります。詳しくは【ステップ4】など参照)) ※以下、ステップ毎の推薦図書&説明 ■ステップ1■中川八洋氏の著作を読む→予めゴールの目星をつけておく ※ここで押さえた内容にステップ2以下で繰り返し立ち戻ることになります。 『正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒 (単行本) 』(中川八洋:著) 西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想(自由を圧搾する偽りの思想)の系譜を峻別して分かり易く解説。正統の思想・邪悪な異端の思想の各々の思想家と代表的著作の一覧表が大変参考になります。 <目次> 第1部 総論 真正自由主義離脱の代償 第一章 近代がうんだ「反・近代」―全体主義の源流フランス革命 第二章 「進歩」という狂信 第三章 真正自由主義―伝統主義、保守主義 第2部 各論 隷従の政治か、自由の政治か 第四章 「平等教」の教祖ルソー―全体主義と大量殺戮の起源 第五章 フランス革命―人類の「負の遺産」 第六章 「大衆」―全体主義の母胎 第七章 「人権」という狂信―全体主義への媚薬 第八章 迷信の「国民主権」、反・人民の「人民主権」 第九章 「進歩」の宗教、「進化」の神話 第十章 平等主義―自由抑圧の擬似宗教 終章 伝統・権威と自由の原理―保守する精神 文献リスト 「悪書」の過剰と「良書」の欠乏 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』(中川八洋:著) ハイエクの思想を機軸に西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。後は本書で紹介されている興味の湧く各思想家の書に挑戦しましょう。 正統の憲法 バークの哲学 中川八洋著 中公叢書 (2002年) 米・英・仏・日(明治・昭和)の憲法をその来歴から「正統の憲法」と「異端の憲法(偽りの憲法)」に切り分けて論じた目から鱗の名著 <目次> 序 正統の憲法、異端の憲法―祖先の叡智を保守する精神 第1章 保守主義のアメリカ憲法―デモクラシーへの不信、人民への警戒 第2章 イギリス憲法の母胎―封建遺制と中世思想 第3章 フランス憲法、負の遺産―血に渇く神々を祀る宗教革命の教理 第4章 「日本の知的遺産」明治憲法―自由と倫理が薫る英国型憲法 第5章 GHQ憲法のルーツ―スターリン憲法の汚染、ルソー主義の腐蝕 第6章 バーク保守主義の神髄―高貴なる自由、美しき道徳 あとがき 「改革」の魔霊に憑かれた日本 ※内容に関しては、中川八洋『国民の憲法改正』抜粋も参照のこと 国民の憲法改正―祖先の叡智日本の魂 第1部 正統の日本国憲法 中川草案 第2部 「国民の憲法」の絶対三条件―皇室、国防軍、家族 「世襲の共同体」日本の皇統―天皇への崇敬は悠久の日本の礎 美徳ある国民 名誉ある国家―道徳の主体としての国防軍 ほか 第3部 国家簒奪・大量殺戮の思想を排除する―根絶すべきフランス革命の教理 「国民主権」は暴政・革命に至る―「デモクラシーの制限と抑制」こそ憲法原理 「人権」という、テロルの教理―文明と人間を破壊した「フランス人権宣言」 ほか 第4部 亡国に至る三つの憲法改悪―一院制、首相公選、地方分権 参議院の再生―「法の支配」の番人 国の伝統と慣習の守護 中曽根「首相公選」論の正体―スターリン型独裁への中間段階 ほか ■ステップ2■政治思想の古典を読む→有益vs有害:4X3、プラス1 ※ステップ1の中川氏の解説を手がかりに、西洋思想の古典に挑戦します。 ◇代表的な思想家(政治思想・法思想)と評価 № 有益な思想家 主著 評価 説明 1 A.ハミルトン(1755?-1804、米) 『 ザ・フェデラリスト 』(1788)(マジソン、ジェイと共著) 有益度 S アメリカ独立戦争でワシントンの副官として活躍。その後13邦に分立したままのアメリカを一つの連邦にまとめる合衆国憲法案の批准を訴える論説をJ.マジソン、J.ジェイと共にニューヨーク州の新聞に連載し合衆国発足に貢献。その論説集『ザ・フェデラリスト』は現在に至るまで合衆国憲法の最良のコンメンタール(注釈書)として揺ぎ無い地位を保ち続けている。 2 E.バーク(1729-1797、英) 『 フランス革命の省察 』(1790) 有益度 S 当時英国領であったアイルランド出身のホイッグ党(自由党の前身)の有力下院議員。アメリカ独立戦争では植民地側に理があるとしてこれを支援したが、フランス革命が勃発すると逸早くその全体主義的・狂信的本質を見抜いて、これを糾弾する名著『フランス革命の省察』を著し英国のフランス革命反対の世論形成に大きく貢献した。 3 F.A.ハイエク(1899-1992、オーストリア→英) 『 隷従への道 』(1944)『 自由の条件 』(1960)『 法と立法と自由 』(1973-79) 有益度 S ノーベル経済学賞を受賞。しかし「隷従への道」執筆後は経済学に加えて法思想・政治思想の分野を総合した哲学者として晩年まで精力的に活躍。第二次世界大戦を挟んで膨張する一方の社会主義に警鐘を鳴らし、自由主義の価値を訴え続けた。1970年代末に始まる英国のサッチャー改革はハイエクの思想をバックボーンとして実行された。⇒リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 4 K.R.ポパー(1902-1994、オーストリア→英) 『 開かれた社会とその敵 』(1945)『 歴史(法則)主義の貧困 』(1957) 有益度 S ハイエクと共に、マルクス主義・全体主義の似非科学性を厳しく追及・糾弾し、相互批判に向けて開かれた自由な社会を擁護し続けた。なお上記の様にポパーの名著『The Poverty of Historicism』(歴史法則主義の貧困)は日本では左翼文化人の久野収によってワザと『歴史主義(historism)の貧困』と誤訳されている。 № 有害な思想家 主著 評価 説明 1 T.ホッブズ(1588-1679、英) 『リヴァイアサン』(1651) 有害度 S 英国の清教徒革命(1640-60)期にスチュアート王朝もクロムウェルの共和制も双方とも擁護可能な御用理論として『リヴァイアサン』を著し、一旦社会契約を交わして国家を創立した後には、人民は国家に対する絶対的服従を要求される、とした。 2 J-J.ルソー(1712-1778、スイス→仏) 『社会契約論』(1762)『人間不平等起源論』(1755) 有害度 S 社会契約を締結した人間は、その契約の結果形成される「一般意思」に完全に従属する(喜んで従う)、とする個人の自由意志を完全に滅失した集団主義的・全体主義的思想(Collectivism:集産主義と訳す)を唱えて、フランス革命やヘーゲル更にマルクスの思想に大きな影響を及ぼした。 3 G.W.F.ヘーゲル(1770-1831、ドイツ) 『歴史哲学』(1840)、『法哲学』(1821) 有害度 S ドイツ観念論の大成者。「歴史とは世界精神(世界を支配する絶対的な理性原理)の展開過程である」とする歴史法則主義を唱えて、マルクスの思想に多大な影響を与えた。 4 K.H.マルクス(1818-1883、ドイツ) 『共産党宣言』(1848)、『資本論』(1867) 有害度 S ヘーゲル左派から出発し、F.エンゲルスと出会って以降フランスなどで提唱されていた初期の社会主義(空想的社会主義)に接近。これに科学の装いを施し「共産主義社会の出現は歴史的必然である」とする科学的社会主義(マルクス主義)思想を打ち立て、さらにプロレタリア革命を実現するための実力行使を広く呼びかけた。⇒マルクス主義と天皇制ファシズム論 ※上記のように英語圏では常識である自由主義擁護の大思想家(ハミルトン・バーク・ハイエク・ポパー)の著作は、日本では殆ど紹介されず、学校でも全く教えられていない。 逆に下段の全体主義・共産主義を生み出した狂気の思想家達(ホッブズ・ルソー・ヘーゲル・マルクス)はまるで世界の偉人であるかのような大きな扱いを受けている。 《1》自由を守る4人の有益な思想家と著作 フランス革命についての省察ほか 中公文庫か、みすず書房の翻訳本を薦める。岩波文庫版は悪訳。要検証 2011年に出版されたPHP研究所刊行のものはどうか? ザ・フェデラリスト(抄訳版) A.ハミルトン(初代財務長官)、J.マジソン(第4代大統領)、J.ジェイ共著 アメリカ合衆国憲法のコンメンタール(注釈書)として不動の地位を確立している名著。福村出版の完訳版は残念ながら非常に高額のため岩波の抄訳版をお勧めします。これと中公文庫『世界の名著』シリーズの1巻で重要な部分はかなりカバーできるはず。 『隷属への道』(F.A.ハイエク:著)(※西山千明氏による新訳を薦めます) 計画経済と生産手段の共有という社会主義政策が、なぜ全体主義に至ってしまうのか。自由を守るために心に留めなければならないことは何か。「法の支配」の真の意味と重要性とは。後年のハイエクが、自己のエッセンスが全部詰まっているとして一般の読者に薦めた一冊。 第二次大戦末期にアメリカで好評を得たあと、1989年にベルリンの壁が崩れ91年までにソ連が崩壊していった時期に、その恐ろしいまでに的確な全体主義社会の分析によって、この本は再度、西欧世界で熱心に読まれ初めました。 全体主義を厳しく排撃するハイエクを、戦後長く意図的に無視し続けてきた日本の出版界にも1980年代の終わり頃から漸くハイエクの著書を出版する動きが出てきました。かなり難解だが、渡部昇一先生の解説本『 自由をいかに守るか―ハイエクを読み直す 』を頼りに読み進めて欲しい。なおハイエクの割と平易な編著作として『 市場・知識・自由―自由主義の経済思想 』があるので、『隷従への道』がどうしても難しい人はこっちに挑戦する手もある。 『開かれた社会とその敵』(全2巻)K.R.ポパー著(1945) 第一部:プラトンの呪文第二部:ヘーゲル、マルクスとその余波 2冊本だが、論旨明快で読み易い。プラトンから始まり、ヘーゲルを経てマルクスに至る全体主義思想を厳しく論駁した必読の名著。 《2》隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 人間不平等起源論 『 社会契約論 』よりもこちらの方が読みやすい。興味が沸けば『社会契約論』に進むべし。 歴史哲学講義 ヘーゲル哲学の滅茶苦茶さは『歴史哲学講義(上・下)』を読めば十分わかるはず。興味が沸けば『法哲学講義』へ。 共産党宣言 ヘーゲル マルクスの政治思想の滅茶苦茶さ・問題点は、上のK.R.ポパー著『開かれた社会とその敵』で的確に指摘されているので、マルクスは『共産党宣言』だけ読んでおけば十分。 《3》有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 統治論(市民政府二論) 超有名であり、内容もさほど難しくない。なお同じ社会契約論のホッブズ『リバイアサン』は長過ぎ 内容が古過ぎて読む価値が余りない。 ■ステップ3■理論派保守として乗り越えるべき壁→標準的な政治思想も押さえる ※有益or有害の区別がついた所で、現実に日本で教えられている政治学・政治思想の内容を批判的に考察します。 《1》現在の標準的な政治学の教科書を読む 政治学 (New Liberal Arts Selection) 「七人の侍」の政治学 第1部 統治の正統性―政治の課題とは何か 政策の対立軸 政治と経済 ほか 第2部 統治の効率―代理人の設計 議会 執政部 ほか 第3部 統治のプロセス―代理人の活動 政策過程 対外政策の形成 ほか 第4部 統治のモニタリング―何がデモクラシーを支えるか デモクラシー―理想と現実 投票行動 ほか) 上は現在の代表的な政治学の教科書だが、以下のとおり二つの重大な問題点がある。 (1) 西洋の政治思想について J-J.ルソーの思想を隠れた機軸とし、バークやハイエクの思想を故意に隠蔽し(バークの思想)、または「古い世代」などと婉曲的に否定(ハイエクの思想)していること。 (2) 日本の政治思想について 「国民主権を貫徹するために天皇制を打倒」することを最大の目標としていた“日本を代表する政治学者”丸山眞男の思想を実は基調としていること(著作者は丸山の弟子筋ばかり)。 これらの問題点を正確に認識し、打破するために以下を読破することを提案する。 《2》西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として 絵解き ルソーの哲学―社会を毒する呪詛の思想 渡部昇一(監修)・中川八洋(解説)両氏のコラボが実現した、分かり易い漫画付き解説本 第1章 「孤児」ルソーの、放浪の生と異常な性 第2章 5人の子を棄てた啓蒙哲学者の誕生 第3章 文明社会を破壊せよ!―「野蛮・未開社会こそユートピア」 第4章 性道徳の破壊と人間の改造―『新エロイーズ』と『エミール』 第5章 全体主義体制の教祖・ルソー 第6章 迫害、放浪、ひどくなる狂気 第7章 『夢想』と恍惚の果てに 第8章 死せるルソーの煽動―血塗られたフランス革命 『革命について』ハンナ・アレント(1963) 自由な立憲政体を建設したアメリカ独立革命と、暴虐のテロと全体主義に沈んだフランス革命・ロシア革命を鮮烈に対比した名著。ルソーの絶大な影響下に実行されたフランス革命への幻想を完全に打ち砕く。 《3》日本の政治思想を毒する丸山眞男対策として 丸山眞男と平泉澄 昭和期日本の政治主義 植村 和秀(著) 柏書房 (2004/10)単行本 丸山眞男といえば、進学校の学生が全共闘世代の教師に「夏休み(冬休み)の課題に 『日本の思想』(岩波新書) の中の一章を読んで感想を書け」と言われて、面白くも無いヘンテコで拗けた文書を読まされて難儀するのがオチの“戦後日本を代表する政治思想家”なのだが、そうした丸山の思想に半ば洗脳されていた著者(京産大法学部教授、ドイツ政治思想史専攻)が、京都の古本屋でたまたま、丸山眞男と思想的に対極にある平泉澄の戦前の著作を手に取り、その流麗な文体・精緻な論理構成に打たれて、可能な限りの事実検証・文献検証を重ねて両者の思想的対立の根源に迫った好著。 「筆者には丸山眞男も平泉澄も、その支持者の多くのように、無条件に支持することはできない。丸山には心情的には共感できるが、しかし論理的には納得できない。平泉に論理的には共感できるが、しかし心情的には納得できない。それにもかかわらず、丸山と平泉の思想史的な意義の重さと、人間的な偉大さとは、素直に承認したい。」(著者:植村氏)…丸山眞男的あるいは進歩派文化人的な「戦後民主主義」思想にドップリ漬かった人への解毒剤としてお勧め。また昭和初年~昭和40年頃までの日本の思想状況の本当の所を知りたい人にもお勧めしたい。 「生きて皇室を守るべし。雑草を食っても生きよ」終戦前後の混乱期における平泉同学の知られざる奮起、まさに大日本帝国の殿(しんがり)としての貢献、阿南惟幾・下村定の陸軍最後の二人の陸相と平泉博士とのエピソードも興味深い。 相当にハイレベルだが、“理論派保守”を目指す人は是非挑戦してほしい。西洋の保守思想に留まらず、日本の保守思想への扉を開く貴重な一冊 昭和の思想 植村 和秀 (著) 講談社選書メチエ(2010/11)単行本上記『 丸山眞男と平泉澄昭和期日本の政治主義 』が内容的にハイレベルすぎて、初心者のみならず中級者でさえ中々に読みこなせないという難点に答えるかのように2010年秋に出版された簡潔な昭和期政治思想の概略本。内容(「BOOK」データベースより)「戦前=戦後」だけでなく、昭和はつねに「二つの貌」を持っていた。皇国史観から安保・学生運動まで、相反する気分が対立しつつ同居する昭和の奇妙な精神風土の本質を、丸山眞男・平泉澄・西田幾多郎・蓑田胸喜らの思想を元に解読する。<目次>第1章 日本思想は二つ以上ある第2章 思想史からの靖国神社問題―松平永芳・平泉澄第3章 思想史からの安保闘争・学生反乱―丸山眞男第4章 思想史からの終戦と昭和天皇―阿南惟幾・平泉澄第5章 思想史からの世界新秩序構想―西田幾多郎・京都学派第6章 思想史からの言論迫害―蓑田胸喜第7章 二〇世紀思想史としての昭和思想史 《4》西洋思想の標準的知識を押さえる 現代政治理論 《1》で紹介した 政治学 (New Liberal Arts Selection) や同じ有斐閣アルマの 現代政治学 が丸山眞男や彼の称揚した(ルソー的な意味での)「民主主義」をあまり疑問なく肯定しているのに対して、2006年出版とより新しいこの本は、「日本を代表する政治学者・政治思想家」丸山眞男の紹介もなく、またdemocracyを「民主主義」として変に賞賛せずにきちんと「デモクラシー」(政治思想ではなく政治制度の一つ)として考察する姿勢をとるなど、左翼思想の刷り込みが比較的少ない。また「自由主義」と一般には訳されるliberalismの解説が詳しく、特に他書が意図的に忌避しているハイエクの思想の解説も比較的多くお勧めである。 『知の歴史―ビジュアル版哲学入門 (大型本)』(ブライアン・マギー:著) イギリスの標準的な哲学・思想解説本(分析哲学以前の伝統的な哲学が中心)。左翼の強い日本では意図的に紹介されない英国保守思想の大家エドマンド・バークにも確り数ページが割かれている。著者ブライアン・マギーは、ハイエクの盟友カール・R・ポパーと深い交流のあったイギリスの代表的な哲学解説者で、イギリス左翼の代表的思想家バートランド・ラッセルとも交流のあった人物。この本で特に興味深いのは、デカルト以来の大陸合理論が、ガリレオ・ガリレイからケプラーを経てニュートンによって完成した古典力学の決定論の大きな影響を受けていること、しかし20世紀に入ってアインシュタインの相対性理論・ハイゼンベルクの不確定性原理が発見され、絶対と思われたニュートン力学が否定され、それがハイエクやポパーの合理主義批判に影響を与えていること、がポパーの解説部分の前後に述べられている点である。他にバートランド・ラッセルの『 西洋哲学史(第三巻)近代哲学 』もまずまずお勧め(ただしラッセル自身は愛国的左翼なので注意)。 『分析哲学講義』(青山 拓央:著) ブライアン・マギーの上記図書では分析哲学の紹介がほぼ欠落しているので、こちらも必ずチェックして欲しい。分析哲学とは「哲学の役目は《概念の分析》《問題の明晰化》にある」として、ア・プリオリ(先験的)な観念論に囚われた伝統的な形而上学的思想・哲学の殻を打破して戦後の英米圏で圧倒的な主流となった哲学潮流であり、当ページ・ステップ4《憲法と法理論》に進む上で簡単にその考え方をチェックしておく必要がある。(逆に、これを一通り押さえずに憲法論・法理論に進むと、保守主義・自由主義ではなく独善的な「右の全体主義」に陥ってしまう危険が高くなってしまう)。 『保守主義の社会理論―ハイエク・ハート・オースティン 』(落合 仁司:著) ?F.A.ハイエクの自生的秩序論、?H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール論)、?J.L.オースティンの言語行為論(SPEECH ACT THORY)という20世紀哲学の諸潮流の内的関連性を、?ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論とも絡めながら解説し、社会哲学の観点から「20世紀以降の保守思想」を論じた名著。書中に多々登場する哲学・思想用語を一つ一つ辞書等でチェックしていく根気さえあれば、論旨明快で読みやすいはず。※参考ページ 落合仁司『保守主義の社会理論』内容紹介 ■ステップ4■理論派保守の目標地点→憲法と法理論を押さえる ※保守主義/自由主義の政治思想を左右の全体主義との違いを明確に認識しつつ押さえた後は、その応用編として、憲法論/法理論の理解へと進みます。 《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる 『法学 (ヒューマニティーズ) 』 (中山竜一:著 (2009年))《目次》1. 法学はどのようにして生まれたか(なぜ法の歴史について学ぶ必要があるのか (西洋法の歴史 ほか)2. 生きられる空間を創る―法学はどんな意味で社会の役に立つのか(法に期待される役割と背景にある思想 (活動促進と紛争解決―民事法の役割 ほか)3. 制度知の担い手となる―法学を学ぶ意味とは何か(法学を学ぶ意味とは? (法的思考のいくつかの特徴―哲学との対比 ほか)4. 法学はいかにして新たな現実を創り出すのか―法学と未来 (法的思考で現実は変えられるか、難事案をどのように判断するか(一)―ドゥオーキンの構成的解釈 ほか)5. 法学を学ぶために何を読むべきか (BOOK GUIDE) ドイツ系(大陸系)哲学をベースにした従来の観念論的な「法哲学」ではなく20世紀後半以降に大発展した英米系分析哲学をベースとする「法理学」への扉を開く一冊。左右の全体主義に陥らない法学基礎理論の第一歩として非常にお勧め。なお、これとの対比で従来型の特定の観念・思想ゴリオシ型の「法哲学」の教科書として、笹倉秀夫『 法哲学講義 』を挙げておくので、興味のある人はこの両者の法理論を比較してみられるとよい。(笹倉秀夫氏は丸山眞男の弟子で、同書も強度の左翼思想と自虐的史観に満ちており、現在の目で見ると明らかに特定思想のゴリオシが目立ち失笑ものである) 『二十世紀の法思想』 (中山竜一:著 (2000年))《目次》第1章 20世紀法理論の出発点―ケルゼンの純粋法学第2章 法理論における言語論的転回―ハートの『法の概念』補論 ハート理論における「法と道徳」第3章 解釈的実践としての法―ドゥオーキンの解釈的アプローチ第4章 ポストモダン法学―批判法学とシステム理論補論 脱構築と正義―デリダ「法の力」第5章 むすび 『法学(ヒューマニティーズ)』と併せて読んで欲しい。20世紀後半に起こった、ケルゼンに代表されるドイツ系(大陸哲学系)法学から、ハートに代表される英米系(分析哲学系)法学へのパラダイム・シフト(法理論における言語論的転回)に焦点を当てた好著。なお20世紀哲学の最大事件「言語論的転回」については 『分析哲学講義』(青山拓央:著) が分かり易い。 『現代法理学』 (田中成明:著 (2011年))《目次》序論 法理学の学問的性質と役割第1編 法動態へのアプローチ(第1章 法への視座、第2章 法システムの機能と構造、第3章 法の三類型モデル)第2編 法システムの基本的特質(第4章 自然法論と法実証主義、第5章 法と道徳、第6章 法と強制)第3編 法の基本的な概念と制度(第7章 権利と人権、第8章 犯罪と刑罰、第9章 裁判の制度的特質と機能)第4編 法の目的と正義論(第10章 法と正義、第11章 実践的議論と対話的合理性、第12章 現代正義論の展開)第5編 法的思考と法律学(第13章 裁判過程と法の適用、第14章 戦後の法解釈理論の展開、第15章 法的思考・法的議論・法律学、第16章 法的正当化の基本構造) 憲法その他の実定法をいかなる思想を持って定立すべきかを、かってのドイツ系の「法哲学(legal philosophy)」の立場からでなく、英米系の「法理学(jurisprudence)」の立場から考える重要な一冊。著者・田中成明氏は前記の中山竜一氏の師にあたる法理学者であり、本書は現在の日本の法理学(法哲学)の一応の最高到達点を示している(※但し、佐藤幸治氏と同じく京都学派に当たる田中氏は政治的スタンス分析では中間派に該当し、その主張内容には残念ながら些か中途半端で不徹底な所がある)。 『自由の条件』(全3巻) (F.A.ハイエク著(1960))《目次》第一部 自由の価値第二部 自由と法第三部 福祉国家における自由 自由主義の真髄を解き明かしてM.サッチャー(英元首相)のバイブルといわれた名著であり、自由と法の関係についてきちんとした知識を持つ上で必読の3巻本。続編の『 法と立法と自由 』も3巻本で、一冊一冊が高価だが、図書館などで見つけて目を通して欲しい。論旨明快なため、内容はさほど難しくないはず。 『法の概念』 (H.L.A.ハート著(1961年)) 20世紀後半の法理論に大転回をもたらした記念碑的な一冊であり、現在の法を学ぶ者は避けては通れない名著。しかし一般向けにも興味深いテーマを多く扱っており、また用語も難解でないので読みやすい。法学徒は必読だろうが、そうでない普通の人にもオススメできる。《以下概要》本書では、まず「法は威嚇による命令である」という説を批判する。その上で、法を第一次的ルールと第二次的ルールとに分ける。第一次的ルールとは、制裁をもってして何らかの行動を強制するものである。第二私的ルールとは、法として有効である権能を与える(契約・立法・裁判など)ものである。法は不確定性をともなうので、法の周縁部においては常に解釈がともなう。他。 『公正としての正義 再説』 (J.ロールズ著 (2004年))《目次》第1部 基礎的諸観念(政治哲学の四つの役割 (公正な協働システムとしての社会 ほか)第2部 正義の原理 (三つの基本的な要点、正義の二原理 ほか)第3部 原初状態からの議論 (原初状態―その構成、正義の環境 ほか)第4部 正義に適った基本構造の諸制度 (財産私有型民主制―序論、政体間の基本的対比 ほか)第5部 安定性の問題(政治的なものの領域、安定性の問題 ほか) J.ロールズ著『 正義論 』といえば自虐的史観ではないマトモな左翼(=リベラル左派)のバイブル的基礎理論書であるが、本書は『正義論』以降の思想的発展を綴ったロールズ晩年の草稿を弟子エリン・ケリーがまとめたエッセンス本である。現代リベラル思想を代表するロールズの理論は難解だが、左派系の政治思想・法思想を押さえ的を外さずに批判・論撃する上で本書を批判的に読み込んでおく必要がある。 《2》次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する ※法学基礎理論を押さえた次は、保守主義の憲法論に入る前に、①芦部信喜(リベラル左派)、②佐藤幸治(中間派)、③阪本昌成(リベラル右派)といった日本の代表的な憲法論を一通り押さえておきましょう。 『憲法 第五版』 (芦部信喜:著、高橋和之:補訂 (2011年)) 芦部信喜(故人) は、宮沢俊義に始まる東大憲法学(戦後左翼の通説的憲法学)の権威であり、本書は法律系資格受験者に最も参考にされている影響力の大きい基本書である。芦部の政治的スタンスはリベラル左派からさらに左翼よりと考えると理解しやすい(※参考ページ:よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編))なお芦部説をベースとした種々の憲法学説案内として LEC『C-Book 憲法Ⅰ《総論・人権》』抜粋 も参照また、芦部説に代わる近年の左翼リベラル側の代表的護憲論とその対策して、よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編)も参照。 『憲法 第三版』 (佐藤幸治:著 (1995年)) 佐藤幸治 は、佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の代表学者であり、J.ロックの「信託」論をベースとしたその憲法論は上記の芦部説(東大憲法学)に次いで大きな影響力を持っている。佐藤の政治的スタンス5分類/8分類では折衷的な中間派に分類すると据わりがよい(※参考ページ:佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋)。 憲法1 国制クラシック 、 憲法2 基本権クラシック 著者・阪本昌成氏(近畿大学教授・憲法学者)は、①ハイエクの自由論と②ハートの法概念論をベースに自由主義的憲法学を展開する稀有の憲法学者。右記の2冊本は保守のための憲法基本書として唯一無二の価値を持つ名著であり、宮沢俊義→芦部信喜と続く左翼憲法学の誤謬を完膚なきまでに粉砕する内実を備えている。2冊とも2011年秋に改訂されており、最新の判例をも取り込んでいるところも嬉しい。(※参考ページ:政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価、なお阪本氏は正確にはリベラル右派=新保守主義のスタンスであることに注意)※阪本氏の憲法理論 紹介ページ⇒ 1. 阪本昌成『憲法理論Ⅰ 第三版』(1999年刊)⇒ 2. 阪本昌成『憲法1 国制クラシック 全訂第三版』(2011年刊)} 《3》最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する ※《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる、というステップを踏まずにいきなりこの《3》へ進むと、自由主義と全体主義の違いが理解できず自覚のないまま「伝統」や「国体」を絶対視してしまう「右の全体主義」に陥る危険が高いので注意しましょう。(左派憲法学を論破する上で《2》もきちんと押さえておく方と更に良い) 日本国憲法とは何か 平易でありながら、憲法を考える上で最低限必要な知識をきちんと教えてくれる名著。姉妹編の『 明治憲法の思想―日本の国柄とは何か 』と併せて読んで欲しい。 『憲法の常識 常識の憲法』 百地 章 (著)チャンネル桜などでお馴染みの代表的な保守派憲法学者の憲法観を知るための一冊。amazonブックレビューで一部ページを拝見できる。 『新憲法のすすめ―日本再生のために』 大原 康男 (著), 百地 章 (著), 日本会議新憲法研究会(編集)<目次>第1部 なぜ、いま新憲法か第2部 新憲法の大網第3部 新憲法への視座―歴史に学び未来を展望する(憲法調査会の議論に期待するもの/国家理念の再考/戦後民主主義は憲法原則たり得ない/主権をどう考えるか/憲法九条を考える/国際秩序の変容と日本の憲法)資料編★内容説明★常識的な憲法改正案として、日本会議の提言「新憲法の大綱」を挙げておく。ステップ1で紹介した中川八洋『国民の憲法改正』と並んで新憲法の具体的改正内容に踏み込んだ提案がまとめてあるので、相互参照しながら全体主義に陥らない「保守主義/自由主義の憲法構想」の具体例を感得して欲しい。 象徴天皇制度と日本の来歴 坂本多加雄(著)<目次>序章 相互理解とは何か第1章 「選択する自己」から「物語る自己」へ第2章 国家の来歴第3章 戦後日本とその物語第4章 日本国憲法とフランス革命の物語第5章 近代日本における国家制度の形成過程第6章 象徴天皇制度と日本国憲法第一条第7章 近代国際社会と日本終章 ふたたび相互理解について★内容説明★「戦後の来歴」に拘束され、近代以降の歴史を否定的に見る習慣が身についた日本人。しかし「戦後の来歴」自体、ひとつの物語にすぎない。国際社会で日本が演じた事柄や天皇の存在について、戦後五十年を経た今こそ、幕末以来の「国体」観念や「憲法」を中心に見直し、新たな物語を語るべきではないか。気鋭の政治思想史学者による「日本の来歴」探求の提唱。現在は 天皇論 象徴天皇制度と日本の来歴 (文春学藝ライブラリー) として再販されている。 ■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ 理論派保守を目指す人のための読書ガイドを押さえたら、保守主義・自由主義・社会主義・ナショナリズム・デモクラシーなど政治思想・政治理論の各論に進みましょう。 下が政治思想・政治理論の各論ページとなります。 なお各論のうち最初に読むと便利なページは 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 です。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ■ご意見、情報提供 下記の各論ページの掲示板をご利用下さい。 なお各論のうち最初に読むと便利なページは 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸、及び、政治の基礎知識 です。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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改行ズレ/画像ヌケ等で読み辛い場合は、ミラーWIKI または図解WIKI をご利用ください 護国活動並びに政治活動を行っていくうえで、保守思想に基づいた理論武装を目的として作成したページです。本ページを活用して、左翼や売国奴が議論をしかけてきても面前で論破できる実力を身に着けましょう! <目次> ■理論派保守を養成するための最速プログラム◆(1) 政治的スタンス5分類・8分類+円環図、政治思想の諸概念(整理表)の紹介 ◆(2) 中川八洋氏の著作を便法として使用する理由 ■ステップ1■中川八洋氏の著作を読む→予めゴールの目星をつけておく ■ステップ2■政治思想の古典を読む→有益vs有害:4X3、プラス1◇代表的な思想家(政治思想・法思想)と評価 《1》自由を守る4人の有益な思想家と著作 《2》隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 《3》有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 ■ステップ3■理論派保守として乗り越えるべき壁→標準的な政治思想も押さえる《1》現在の標準的な政治学の教科書を読む 《2》西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として 《3》日本の政治思想を毒する丸山眞男対策として 《4》西洋思想の標準的知識を押さえる ■ステップ4■理論派保守の目標地点→憲法と法理論を押さえる《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる 《2》次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する 《3》最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する ■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ ■ご意見、情報提供 ■理論派保守を養成するための最速プログラム 当ページでは、①保守思想、並びに、②関連する政治思想全般(及び関連する経済思想・法思想)、を一般の保守層の方々になるべく簡便に理解していただくことを目的に、 (1) 政治/経済/法学その他の理論/思想を概括的に把握するための工夫として、政治的スタンス5分類・8分類、及び政治思想の諸概念・整理表を提示し、 (2) また、西洋政治思想全般のガイドラインとして中川八洋氏(筑波大学名誉教授)の著作をまず紹介します。 (3) 続けて、この中川氏の著作を杖としつつ、我々がマスターしておくべき政治思想(及び関連する法思想等)の代表的著作を順次紹介し、 (4) 最後に、様々なトピック毎の各論へのリンクを提示します。 なお、そうした書籍の紹介よりも、政治や経済・法学などの具体的なトピックをまず一瞥したいという方は、ページ末尾のリンク先一覧へどうぞ。 ◆(1) 政治的スタンス5分類・8分類+円環図、政治思想の諸概念(整理表)の紹介 △政治的スタンス5分類・8分類+円環図 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 △政治思想の諸概念(整理表) ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ⇒上表の詳しい説明は、■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ へ。 ◆(2) 中川八洋氏の著作を便法として使用する理由 中川八洋氏については、初めて名前を聞く方も多いと思いますが、特に西洋思想について、保守主義の立場から体系的に諸理論を整理・批評した貴重な解説書を著述している学者です(但し後述の★重要な注意事項も参照のこと)。 (*補足説明)保守主義のガイドラインとしては、近年、潮匡人氏『日本人として読んでおきたい保守の名著』 や岩田温氏『逆説の政治哲学』 などの秀逸な図書が刊行されており、中川八洋氏の見解を相対的に見るためにも、これらを併用することが望ましいが、下記の理由に示すとおり、総合的に見て中川八洋氏の著作がガイドラインとしてなお圧倒的に優れていると考えます。) 当ページにて、ガイドライン・総論を一瞥された後は、ページ末に列挙されている西洋政治思想の各論に進まれることをお勧めします。 そして、西洋思想について一定の理解を得られた後には、さらに、同じくページ末に列挙されている戦前~戦後(さらに現代)に至る日本の思想問題の各論に進んでいただければ当ページの目的は十分に果たされたことになります。 ◇中川八洋氏の著作を機軸に据える理由 (1) ポイントが明確で読みやすいこと 高度な内容が書かれているにも関わらず、中川氏の主張が極めて明瞭なため、政治思想の初心者であっても、何とか読み進めることが出来ること。 (2) ガイドブック機能が高いこと 著作中に、西洋思想を理解する上で知っておくべき良書(正しい思想家)と悪書(間違った思想家)の充実したリストを掲げており、中川氏の解説を頼りに、それらの古典に順次挑戦していくことが可能なこと。 (3) 自主憲法制定まで視座に据えていること 単に西洋思想の解説に留まらずに、それらの理解を現実の日本政治の改善にどう活かすか、を考究し、究極のゴールとして明治憲法に範を取った自主憲法制定を志向し、その具体的内容まで提案していること。 ◇制約事項:自虐史観が残っている人は時期尚早です 朝鮮半島や東南アジアについては日本が侵略した訳ではないが、中国については日本の侵略戦争であり、日本は中国に関してはきちんと謝罪すべきだ 靖国神社に祭られている一般の英霊には感謝の念を表すべきだが、東条英機元首相などのA級戦犯は分祀すべきだ といった類の半可通な歴史認識の方は、こちらのシリーズに参加するにはまだ時期尚早です。 チャンネル桜などの歴史関連動画を視聴したり、当サイトの歴史関連ページを探るなどして、自虐史観の残滓を確り漱ぐことに注力して下さい。 ★重要な注意事項 中川八洋氏の西洋思想の解説は非常にお勧めですが、残念ながら同氏の戦前~戦後の日本の政治・思想状況に関する著作は、 ①読みやすく興味深い内容ではありますが、②実証的裏付けが乏しく、余りお勧めできません。ご注意下さい。 戦前~戦後の日本の政治・思想状況に関しては、当ページ下部や丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証などのページで紹介していますが、 堅実な実証研究に基づく論説を発表している ①竹内洋・井上義和・植村和秀氏のグループや、②新田均・八木秀次氏のグループの著作をお勧めします。 1 これについては、西洋思想という膨大な諸観念の塊を、自在に切り分けて整理し要点を抽出する中川八洋氏の強力な「構想力」「独創性」が、地道な事実検証を積み重ねること、あるいは他の研究者の研究結果と比較し整合性を検証すること、により自分の仮説を躊躇なく修正していく必要が生じる実証研究に際しては、残念ながら逆に仇となってしまっている、ことが原因と考えられます。 2 その点で、①竹内・井上・植村氏や、②新田・八木氏の研究成果は、一種の集合知としてバランスの取れた内容が提示されており、当サイトの戦前~戦後(さらに現代)に至る日本の思想問題各論ページも、この①・②を機軸としてまとめられています。 ◇最速! 理論派保守養成プログラム《概要》 【ステップ1】 中川八洋氏の著作を読む →予めゴールを知っておく 【ステップ2】 政治思想の古典を読む →有益vs有害:4X3、プラス1 《1》 自由を守る4人の有益な思想家と著作 バーク、ハミルトン、ハイエク、ポパー 《2》 隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 ルソー、ヘーゲル、マルクス 《3》 有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 ロック 【ステップ3】 理論派保守として乗り越えるべき壁 →標準的な政治思想を押さえる 《1》 現在の標準的な政治学の教科書を読む 批判的にチェックしていこう 《2》 西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として フランス革命の誤謬を知る 《3》 日本政治思想を毒する丸山眞男対策として 日本ファシズム論の誤謬を知る 《4》 西洋思想の標準的知識を押さえる 分析哲学の概要まで押さえることが必要 【ステップ4】 理論派保守の目標地点 →憲法と法理論を押さえる 《1》 法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる ドイツ系法学と英米系法学の違い 《2》 次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する 芦部信喜、佐藤幸治、阪本昌成、各々の憲法論 《3》 最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する 日本会議による提案、中川八洋案 ◇時間的な目安 ステップ1 50~100時間 結論だけ知るなら、これで十分 ステップ2 150~300時間 以下はステップ1の論証です ステップ3 150~300時間 ステップ4 150~300時間 計 ミニマム500時間、マックス1000時間 いざ! 左翼・売国奴討伐に出陣! これだけ見ておけば大丈夫。 なお結論 だけなら、ステップ1(50~100時間)で十分 です。ステップ2以下は、なぜそのような結論になるのかの論証です。 (※注意事項:結論 だけ押さえた場合、保守主義を理解したつもりで、実は保守主義と密接に関連した自由主義と正反対の「右の全体主義」(つまり保守ではなく右翼ないし極右的スタンスに陥ってしまう危険があります。詳しくは【ステップ4】など参照)) ※以下、ステップ毎の推薦図書&説明 ■ステップ1■中川八洋氏の著作を読む→予めゴールの目星をつけておく ※ここで押さえた内容にステップ2以下で繰り返し立ち戻ることになります。 『正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒 (単行本) 』(中川八洋:著) 西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想(自由を圧搾する偽りの思想)の系譜を峻別して分かり易く解説。正統の思想・邪悪な異端の思想の各々の思想家と代表的著作の一覧表が大変参考になります。 <目次> 第1部 総論 真正自由主義離脱の代償 第一章 近代がうんだ「反・近代」―全体主義の源流フランス革命 第二章 「進歩」という狂信 第三章 真正自由主義―伝統主義、保守主義 第2部 各論 隷従の政治か、自由の政治か 第四章 「平等教」の教祖ルソー―全体主義と大量殺戮の起源 第五章 フランス革命―人類の「負の遺産」 第六章 「大衆」―全体主義の母胎 第七章 「人権」という狂信―全体主義への媚薬 第八章 迷信の「国民主権」、反・人民の「人民主権」 第九章 「進歩」の宗教、「進化」の神話 第十章 平等主義―自由抑圧の擬似宗教 終章 伝統・権威と自由の原理―保守する精神 文献リスト 「悪書」の過剰と「良書」の欠乏 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』(中川八洋:著) ハイエクの思想を機軸に西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。後は本書で紹介されている興味の湧く各思想家の書に挑戦しましょう。 正統の憲法 バークの哲学 中川八洋著 中公叢書 (2002年) 米・英・仏・日(明治・昭和)の憲法をその来歴から「正統の憲法」と「異端の憲法(偽りの憲法)」に切り分けて論じた目から鱗の名著 <目次> 序 正統の憲法、異端の憲法―祖先の叡智を保守する精神 第1章 保守主義のアメリカ憲法―デモクラシーへの不信、人民への警戒 第2章 イギリス憲法の母胎―封建遺制と中世思想 第3章 フランス憲法、負の遺産―血に渇く神々を祀る宗教革命の教理 第4章 「日本の知的遺産」明治憲法―自由と倫理が薫る英国型憲法 第5章 GHQ憲法のルーツ―スターリン憲法の汚染、ルソー主義の腐蝕 第6章 バーク保守主義の神髄―高貴なる自由、美しき道徳 あとがき 「改革」の魔霊に憑かれた日本 ※内容に関しては、中川八洋『国民の憲法改正』抜粋も参照のこと 国民の憲法改正―祖先の叡智日本の魂 第1部 正統の日本国憲法 中川草案 第2部 「国民の憲法」の絶対三条件―皇室、国防軍、家族 「世襲の共同体」日本の皇統―天皇への崇敬は悠久の日本の礎 美徳ある国民 名誉ある国家―道徳の主体としての国防軍 ほか 第3部 国家簒奪・大量殺戮の思想を排除する―根絶すべきフランス革命の教理 「国民主権」は暴政・革命に至る―「デモクラシーの制限と抑制」こそ憲法原理 「人権」という、テロルの教理―文明と人間を破壊した「フランス人権宣言」 ほか 第4部 亡国に至る三つの憲法改悪―一院制、首相公選、地方分権 参議院の再生―「法の支配」の番人 国の伝統と慣習の守護 中曽根「首相公選」論の正体―スターリン型独裁への中間段階 ほか ■ステップ2■政治思想の古典を読む→有益vs有害:4X3、プラス1 ※ステップ1の中川氏の解説を手がかりに、西洋思想の古典に挑戦します。 ◇代表的な思想家(政治思想・法思想)と評価 № 有益な思想家 主著 評価 説明 1 A.ハミルトン(1755?-1804、米) 『ザ・フェデラリスト 』(1788)(マジソン、ジェイと共著) 有益度 S アメリカ独立戦争でワシントンの副官として活躍。その後13邦に分立したままのアメリカを一つの連邦にまとめる合衆国憲法案の批准を訴える論説をJ.マジソン、J.ジェイと共にニューヨーク州の新聞に連載し合衆国発足に貢献。その論説集『ザ・フェデラリスト』は現在に至るまで合衆国憲法の最良のコンメンタール(注釈書)として揺ぎ無い地位を保ち続けている。 2 E.バーク(1729-1797、英) 『フランス革命の省察 』(1790) 有益度 S 当時英国領であったアイルランド出身のホイッグ党(自由党の前身)の有力下院議員。アメリカ独立戦争では植民地側に理があるとしてこれを支援したが、フランス革命が勃発すると逸早くその全体主義的・狂信的本質を見抜いて、これを糾弾する名著『フランス革命の省察』を著し英国のフランス革命反対の世論形成に大きく貢献した。 3 F.A.ハイエク(1899-1992、オーストリア→英) 『隷従への道 』(1944)『自由の条件 』(1960)『法と立法と自由 』(1973-79) 有益度 S ノーベル経済学賞を受賞。しかし「隷従への道」執筆後は経済学に加えて法思想・政治思想の分野を総合した哲学者として晩年まで精力的に活躍。第二次世界大戦を挟んで膨張する一方の社会主義に警鐘を鳴らし、自由主義の価値を訴え続けた。1970年代末に始まる英国のサッチャー改革はハイエクの思想をバックボーンとして実行された。⇒リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 4 K.R.ポパー(1902-1994、オーストリア→英) 『開かれた社会とその敵 』(1945)『歴史(法則)主義の貧困 』(1957) 有益度 S ハイエクと共に、マルクス主義・全体主義の似非科学性を厳しく追及・糾弾し、相互批判に向けて開かれた自由な社会を擁護し続けた。なお上記の様にポパーの名著『The Poverty of Historicism』(歴史法則主義の貧困)は日本では左翼文化人の久野収によってワザと『歴史主義(historism)の貧困』と誤訳されている。 № 有害な思想家 主著 評価 説明 1 T.ホッブズ(1588-1679、英) 『リヴァイアサン』(1651) 有害度 S 英国の清教徒革命(1640-60)期にスチュアート王朝もクロムウェルの共和制も双方とも擁護可能な御用理論として『リヴァイアサン』を著し、一旦社会契約を交わして国家を創立した後には、人民は国家に対する絶対的服従を要求される、とした。 2 J-J.ルソー(1712-1778、スイス→仏) 『社会契約論』(1762)『人間不平等起源論』(1755) 有害度 S 社会契約を締結した人間は、その契約の結果形成される「一般意思」に完全に従属する(喜んで従う)、とする個人の自由意志を完全に滅失した集団主義的・全体主義的思想(Collectivism:集産主義と訳す)を唱えて、フランス革命やヘーゲル更にマルクスの思想に大きな影響を及ぼした。 3 G.W.F.ヘーゲル(1770-1831、ドイツ) 『歴史哲学』(1840)、『法哲学』(1821) 有害度 S ドイツ観念論の大成者。「歴史とは世界精神(世界を支配する絶対的な理性原理)の展開過程である」とする歴史法則主義を唱えて、マルクスの思想に多大な影響を与えた。 4 K.H.マルクス(1818-1883、ドイツ) 『共産党宣言』(1848)、『資本論』(1867) 有害度 S ヘーゲル左派から出発し、F.エンゲルスと出会って以降フランスなどで提唱されていた初期の社会主義(空想的社会主義)に接近。これに科学の装いを施し「共産主義社会の出現は歴史的必然である」とする科学的社会主義(マルクス主義)思想を打ち立て、さらにプロレタリア革命を実現するための実力行使を広く呼びかけた。⇒マルクス主義と天皇制ファシズム論 ※上記のように英語圏では常識である自由主義擁護の大思想家(ハミルトン・バーク・ハイエク・ポパー)の著作は、日本では殆ど紹介されず、学校でも全く教えられていない。 逆に下段の全体主義・共産主義を生み出した狂気の思想家達(ホッブズ・ルソー・ヘーゲル・マルクス)はまるで世界の偉人であるかのような大きな扱いを受けている。 《1》自由を守る4人の有益な思想家と著作 フランス革命についての省察ほか 中公文庫か、みすず書房の翻訳本を薦める。岩波文庫版は悪訳。要検証 2011年に出版されたPHP研究所刊行のものはどうか? ザ・フェデラリスト(抄訳版) A.ハミルトン(初代財務長官)、J.マジソン(第4代大統領)、J.ジェイ共著 アメリカ合衆国憲法のコンメンタール(注釈書)として不動の地位を確立している名著。福村出版の完訳版は残念ながら非常に高額のため岩波の抄訳版をお勧めします。これと中公文庫『世界の名著』シリーズの1巻で重要な部分はかなりカバーできるはず。 『隷属への道』(F.A.ハイエク:著)(※西山千明氏による新訳を薦めます) 計画経済と生産手段の共有という社会主義政策が、なぜ全体主義に至ってしまうのか。自由を守るために心に留めなければならないことは何か。「法の支配」の真の意味と重要性とは。後年のハイエクが、自己のエッセンスが全部詰まっているとして一般の読者に薦めた一冊。 第二次大戦末期にアメリカで好評を得たあと、1989年にベルリンの壁が崩れ91年までにソ連が崩壊していった時期に、その恐ろしいまでに的確な全体主義社会の分析によって、この本は再度、西欧世界で熱心に読まれ初めました。 全体主義を厳しく排撃するハイエクを、戦後長く意図的に無視し続けてきた日本の出版界にも1980年代の終わり頃から漸くハイエクの著書を出版する動きが出てきました。かなり難解だが、渡部昇一先生の解説本『自由をいかに守るか―ハイエクを読み直す 』を頼りに読み進めて欲しい。なおハイエクの割と平易な編著作として『市場・知識・自由―自由主義の経済思想 』があるので、『隷従への道』がどうしても難しい人はこっちに挑戦する手もある。 『開かれた社会とその敵』(全2巻)K.R.ポパー著(1945) 第一部:プラトンの呪文第二部:ヘーゲル、マルクスとその余波 2冊本だが、論旨明快で読み易い。プラトンから始まり、ヘーゲルを経てマルクスに至る全体主義思想を厳しく論駁した必読の名著。 《2》隷従への道を囁く3人の有害な思想家と著作 人間不平等起源論 『社会契約論 』よりもこちらの方が読みやすい。興味が沸けば『社会契約論』に進むべし。 歴史哲学講義 ヘーゲル哲学の滅茶苦茶さは『歴史哲学講義(上・下)』を読めば十分わかるはず。興味が沸けば『法哲学講義』へ。 共産党宣言 ヘーゲル マルクスの政治思想の滅茶苦茶さ・問題点は、上のK.R.ポパー著『開かれた社会とその敵』で的確に指摘されているので、マルクスは『共産党宣言』だけ読んでおけば十分。 《3》有益だが見過ごせない問題点のある思想家と著作 統治論(市民政府二論) 超有名であり、内容もさほど難しくない。なお同じ社会契約論のホッブズ『リバイアサン』は長過ぎ 内容が古過ぎて読む価値が余りない。 ■ステップ3■理論派保守として乗り越えるべき壁→標準的な政治思想も押さえる ※有益or有害の区別がついた所で、現実に日本で教えられている政治学・政治思想の内容を批判的に考察します。 《1》現在の標準的な政治学の教科書を読む 政治学 (New Liberal Arts Selection) 「七人の侍」の政治学 第1部 統治の正統性―政治の課題とは何か 政策の対立軸 政治と経済 ほか 第2部 統治の効率―代理人の設計 議会 執政部 ほか 第3部 統治のプロセス―代理人の活動 政策過程 対外政策の形成 ほか 第4部 統治のモニタリング―何がデモクラシーを支えるか デモクラシー―理想と現実 投票行動 ほか) 上は現在の代表的な政治学の教科書だが、以下のとおり二つの重大な問題点がある。 (1) 西洋の政治思想について J-J.ルソーの思想を隠れた機軸とし、バークやハイエクの思想を故意に隠蔽し(バークの思想)、または「古い世代」などと婉曲的に否定(ハイエクの思想)していること。 (2) 日本の政治思想について 「国民主権を貫徹するために天皇制を打倒」することを最大の目標としていた“日本を代表する政治学者”丸山眞男の思想を実は基調としていること(著作者は丸山の弟子筋ばかり)。 これらの問題点を正確に認識し、打破するために以下を読破することを提案する。 《2》西洋政治思想を毒するJ-J.ルソー対策として 絵解き ルソーの哲学―社会を毒する呪詛の思想 渡部昇一(監修)・中川八洋(解説)両氏のコラボが実現した、分かり易い漫画付き解説本 第1章 「孤児」ルソーの、放浪の生と異常な性 第2章 5人の子を棄てた啓蒙哲学者の誕生 第3章 文明社会を破壊せよ!―「野蛮・未開社会こそユートピア」 第4章 性道徳の破壊と人間の改造―『新エロイーズ』と『エミール』 第5章 全体主義体制の教祖・ルソー 第6章 迫害、放浪、ひどくなる狂気 第7章 『夢想』と恍惚の果てに 第8章 死せるルソーの煽動―血塗られたフランス革命 『革命について』ハンナ・アレント(1963) 自由な立憲政体を建設したアメリカ独立革命と、暴虐のテロと全体主義に沈んだフランス革命・ロシア革命を鮮烈に対比した名著。ルソーの絶大な影響下に実行されたフランス革命への幻想を完全に打ち砕く。 《3》日本の政治思想を毒する丸山眞男対策として 丸山眞男と平泉澄 昭和期日本の政治主義 植村 和秀(著) 柏書房 (2004/10)単行本 丸山眞男といえば、進学校の学生が全共闘世代の教師に「夏休み(冬休み)の課題に『日本の思想』(岩波新書) の中の一章を読んで感想を書け」と言われて、面白くも無いヘンテコで拗けた文書を読まされて難儀するのがオチの“戦後日本を代表する政治思想家”なのだが、そうした丸山の思想に半ば洗脳されていた著者(京産大法学部教授、ドイツ政治思想史専攻)が、京都の古本屋でたまたま、丸山眞男と思想的に対極にある平泉澄の戦前の著作を手に取り、その流麗な文体・精緻な論理構成に打たれて、可能な限りの事実検証・文献検証を重ねて両者の思想的対立の根源に迫った好著。 「筆者には丸山眞男も平泉澄も、その支持者の多くのように、無条件に支持することはできない。丸山には心情的には共感できるが、しかし論理的には納得できない。平泉に論理的には共感できるが、しかし心情的には納得できない。それにもかかわらず、丸山と平泉の思想史的な意義の重さと、人間的な偉大さとは、素直に承認したい。」(著者:植村氏)…丸山眞男的あるいは進歩派文化人的な「戦後民主主義」思想にドップリ漬かった人への解毒剤としてお勧め。また昭和初年~昭和40年頃までの日本の思想状況の本当の所を知りたい人にもお勧めしたい。 「生きて皇室を守るべし。雑草を食っても生きよ」終戦前後の混乱期における平泉同学の知られざる奮起、まさに大日本帝国の殿(しんがり)としての貢献、阿南惟幾・下村定の陸軍最後の二人の陸相と平泉博士とのエピソードも興味深い。 相当にハイレベルだが、“理論派保守”を目指す人は是非挑戦してほしい。西洋の保守思想に留まらず、日本の保守思想への扉を開く貴重な一冊 昭和の思想 植村 和秀 (著) 講談社選書メチエ(2010/11)単行本上記『丸山眞男と平泉澄昭和期日本の政治主義 』が内容的にハイレベルすぎて、初心者のみならず中級者でさえ中々に読みこなせないという難点に答えるかのように2010年秋に出版された簡潔な昭和期政治思想の概略本。内容(「BOOK」データベースより)「戦前=戦後」だけでなく、昭和はつねに「二つの貌」を持っていた。皇国史観から安保・学生運動まで、相反する気分が対立しつつ同居する昭和の奇妙な精神風土の本質を、丸山眞男・平泉澄・西田幾多郎・蓑田胸喜らの思想を元に解読する。<目次>第1章 日本思想は二つ以上ある第2章 思想史からの靖国神社問題―松平永芳・平泉澄第3章 思想史からの安保闘争・学生反乱―丸山眞男第4章 思想史からの終戦と昭和天皇―阿南惟幾・平泉澄第5章 思想史からの世界新秩序構想―西田幾多郎・京都学派第6章 思想史からの言論迫害―蓑田胸喜第7章 二〇世紀思想史としての昭和思想史 《4》西洋思想の標準的知識を押さえる 現代政治理論 《1》で紹介した政治学 (New Liberal Arts Selection) や同じ有斐閣アルマの現代政治学 が丸山眞男や彼の称揚した(ルソー的な意味での)「民主主義」をあまり疑問なく肯定しているのに対して、2006年出版とより新しいこの本は、「日本を代表する政治学者・政治思想家」丸山眞男の紹介もなく、またdemocracyを「民主主義」として変に賞賛せずにきちんと「デモクラシー」(政治思想ではなく政治制度の一つ)として考察する姿勢をとるなど、左翼思想の刷り込みが比較的少ない。また「自由主義」と一般には訳されるliberalismの解説が詳しく、特に他書が意図的に忌避しているハイエクの思想の解説も比較的多くお勧めである。 『知の歴史―ビジュアル版哲学入門 (大型本)』(ブライアン・マギー:著) イギリスの標準的な哲学・思想解説本(分析哲学以前の伝統的な哲学が中心)。左翼の強い日本では意図的に紹介されない英国保守思想の大家エドマンド・バークにも確り数ページが割かれている。著者ブライアン・マギーは、ハイエクの盟友カール・R・ポパーと深い交流のあったイギリスの代表的な哲学解説者で、イギリス左翼の代表的思想家バートランド・ラッセルとも交流のあった人物。この本で特に興味深いのは、デカルト以来の大陸合理論が、ガリレオ・ガリレイからケプラーを経てニュートンによって完成した古典力学の決定論の大きな影響を受けていること、しかし20世紀に入ってアインシュタインの相対性理論・ハイゼンベルクの不確定性原理が発見され、絶対と思われたニュートン力学が否定され、それがハイエクやポパーの合理主義批判に影響を与えていること、がポパーの解説部分の前後に述べられている点である。他にバートランド・ラッセルの『西洋哲学史(第三巻)近代哲学 』もまずまずお勧め(ただしラッセル自身は愛国的左翼なので注意)。 『分析哲学講義』(青山 拓央:著) ブライアン・マギーの上記図書では分析哲学の紹介がほぼ欠落しているので、こちらも必ずチェックして欲しい。分析哲学とは「哲学の役目は《概念の分析》《問題の明晰化》にある」として、ア・プリオリ(先験的)な観念論に囚われた伝統的な形而上学的思想・哲学の殻を打破して戦後の英米圏で圧倒的な主流となった哲学潮流であり、当ページ・ステップ4《憲法と法理論》に進む上で簡単にその考え方をチェックしておく必要がある。(逆に、これを一通り押さえずに憲法論・法理論に進むと、保守主義・自由主義ではなく独善的な「右の全体主義」に陥ってしまう危険が高くなってしまう)。 『保守主義の社会理論―ハイエク・ハート・オースティン 』(落合 仁司:著) ?F.A.ハイエクの自生的秩序論、?H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール論)、?J.L.オースティンの言語行為論(SPEECH ACT THORY)という20世紀哲学の諸潮流の内的関連性を、?ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論とも絡めながら解説し、社会哲学の観点から「20世紀以降の保守思想」を論じた名著。書中に多々登場する哲学・思想用語を一つ一つ辞書等でチェックしていく根気さえあれば、論旨明快で読みやすいはず。※参考ページ 落合仁司『保守主義の社会理論』内容紹介 ■ステップ4■理論派保守の目標地点→憲法と法理論を押さえる ※保守主義/自由主義の政治思想を左右の全体主義との違いを明確に認識しつつ押さえた後は、その応用編として、憲法論/法理論の理解へと進みます。 《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる 『法学 (ヒューマニティーズ) 』 (中山竜一:著 (2009年))《目次》1. 法学はどのようにして生まれたか(なぜ法の歴史について学ぶ必要があるのか (西洋法の歴史 ほか)2. 生きられる空間を創る―法学はどんな意味で社会の役に立つのか(法に期待される役割と背景にある思想 (活動促進と紛争解決―民事法の役割 ほか)3. 制度知の担い手となる―法学を学ぶ意味とは何か(法学を学ぶ意味とは? (法的思考のいくつかの特徴―哲学との対比 ほか)4. 法学はいかにして新たな現実を創り出すのか―法学と未来 (法的思考で現実は変えられるか、難事案をどのように判断するか(一)―ドゥオーキンの構成的解釈 ほか)5. 法学を学ぶために何を読むべきか (BOOK GUIDE) ドイツ系(大陸系)哲学をベースにした従来の観念論的な「法哲学」ではなく20世紀後半以降に大発展した英米系分析哲学をベースとする「法理学」への扉を開く一冊。左右の全体主義に陥らない法学基礎理論の第一歩として非常にお勧め。なお、これとの対比で従来型の特定の観念・思想ゴリオシ型の「法哲学」の教科書として、笹倉秀夫『法哲学講義 』を挙げておくので、興味のある人はこの両者の法理論を比較してみられるとよい。(笹倉秀夫氏は丸山眞男の弟子で、同書も強度の左翼思想と自虐的史観に満ちており、現在の目で見ると明らかに特定思想のゴリオシが目立ち失笑ものである) 『二十世紀の法思想』 (中山竜一:著 (2000年))《目次》第1章 20世紀法理論の出発点―ケルゼンの純粋法学第2章 法理論における言語論的転回―ハートの『法の概念』補論 ハート理論における「法と道徳」第3章 解釈的実践としての法―ドゥオーキンの解釈的アプローチ第4章 ポストモダン法学―批判法学とシステム理論補論 脱構築と正義―デリダ「法の力」第5章 むすび 『法学(ヒューマニティーズ)』と併せて読んで欲しい。20世紀後半に起こった、ケルゼンに代表されるドイツ系(大陸哲学系)法学から、ハートに代表される英米系(分析哲学系)法学へのパラダイム・シフト(法理論における言語論的転回)に焦点を当てた好著。なお20世紀哲学の最大事件「言語論的転回」については『分析哲学講義』(青山拓央:著) が分かり易い。 『現代法理学』 (田中成明:著 (2011年))《目次》序論 法理学の学問的性質と役割第1編 法動態へのアプローチ(第1章 法への視座、第2章 法システムの機能と構造、第3章 法の三類型モデル)第2編 法システムの基本的特質(第4章 自然法論と法実証主義、第5章 法と道徳、第6章 法と強制)第3編 法の基本的な概念と制度(第7章 権利と人権、第8章 犯罪と刑罰、第9章 裁判の制度的特質と機能)第4編 法の目的と正義論(第10章 法と正義、第11章 実践的議論と対話的合理性、第12章 現代正義論の展開)第5編 法的思考と法律学(第13章 裁判過程と法の適用、第14章 戦後の法解釈理論の展開、第15章 法的思考・法的議論・法律学、第16章 法的正当化の基本構造) 憲法その他の実定法をいかなる思想を持って定立すべきかを、かってのドイツ系の「法哲学(legal philosophy)」の立場からでなく、英米系の「法理学(jurisprudence)」の立場から考える重要な一冊。著者・田中成明氏は前記の中山竜一氏の師にあたる法理学者であり、本書は現在の日本の法理学(法哲学)の一応の最高到達点を示している(※但し、佐藤幸治氏と同じく京都学派に当たる田中氏は政治的スタンス分析では中間派に該当し、その主張内容には残念ながら些か中途半端で不徹底な所がある)。 『自由の条件』(全3巻) (F.A.ハイエク著(1960))《目次》第一部 自由の価値第二部 自由と法第三部 福祉国家における自由 自由主義の真髄を解き明かしてM.サッチャー(英元首相)のバイブルといわれた名著であり、自由と法の関係についてきちんとした知識を持つ上で必読の3巻本。続編の『法と立法と自由 』も3巻本で、一冊一冊が高価だが、図書館などで見つけて目を通して欲しい。論旨明快なため、内容はさほど難しくないはず。 『法の概念』 (H.L.A.ハート著(1961年)) 20世紀後半の法理論に大転回をもたらした記念碑的な一冊であり、現在の法を学ぶ者は避けては通れない名著。しかし一般向けにも興味深いテーマを多く扱っており、また用語も難解でないので読みやすい。法学徒は必読だろうが、そうでない普通の人にもオススメできる。《以下概要》本書では、まず「法は威嚇による命令である」という説を批判する。その上で、法を第一次的ルールと第二次的ルールとに分ける。第一次的ルールとは、制裁をもってして何らかの行動を強制するものである。第二私的ルールとは、法として有効である権能を与える(契約・立法・裁判など)ものである。法は不確定性をともなうので、法の周縁部においては常に解釈がともなう。他。 『公正としての正義 再説』 (J.ロールズ著 (2004年))《目次》第1部 基礎的諸観念(政治哲学の四つの役割 (公正な協働システムとしての社会 ほか)第2部 正義の原理 (三つの基本的な要点、正義の二原理 ほか)第3部 原初状態からの議論 (原初状態―その構成、正義の環境 ほか)第4部 正義に適った基本構造の諸制度 (財産私有型民主制―序論、政体間の基本的対比 ほか)第5部 安定性の問題(政治的なものの領域、安定性の問題 ほか) J.ロールズ著『正義論 』といえば自虐的史観ではないマトモな左翼(=リベラル左派)のバイブル的基礎理論書であるが、本書は『正義論』以降の思想的発展を綴ったロールズ晩年の草稿を弟子エリン・ケリーがまとめたエッセンス本である。現代リベラル思想を代表するロールズの理論は難解だが、左派系の政治思想・法思想を押さえ的を外さずに批判・論撃する上で本書を批判的に読み込んでおく必要がある。 《2》次に様々なスタンスの憲法基本書を一瞥する ※法学基礎理論を押さえた次は、保守主義の憲法論に入る前に、①芦部信喜(リベラル左派)、②佐藤幸治(中間派)、③阪本昌成(リベラル右派)といった日本の代表的な憲法論を一通り押さえておきましょう。 『憲法 第五版』 (芦部信喜:著、高橋和之:補訂 (2011年)) 芦部信喜(故人) は、宮沢俊義に始まる東大憲法学(戦後左翼の通説的憲法学)の権威であり、本書は法律系資格受験者に最も参考にされている影響力の大きい基本書である。芦部の政治的スタンスはリベラル左派からさらに左翼よりと考えると理解しやすい(※参考ページ:よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編))なお芦部説をベースとした種々の憲法学説案内として LEC『C-Book 憲法Ⅰ《総論・人権》』抜粋 も参照また、芦部説に代わる近年の左翼リベラル側の代表的護憲論とその対策して、よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編)も参照。 『憲法 第三版』 (佐藤幸治:著 (1995年)) 佐藤幸治 は、佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の代表学者であり、J.ロックの「信託」論をベースとしたその憲法論は上記の芦部説(東大憲法学)に次いで大きな影響力を持っている。佐藤の政治的スタンス5分類/8分類では折衷的な中間派に分類すると据わりがよい(※参考ページ:佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋)。 憲法1 国制クラシック 、憲法2 基本権クラシック 著者・阪本昌成氏(近畿大学教授・憲法学者)は、①ハイエクの自由論と②ハートの法概念論をベースに自由主義的憲法学を展開する稀有の憲法学者。右記の2冊本は保守のための憲法基本書として唯一無二の価値を持つ名著であり、宮沢俊義→芦部信喜と続く左翼憲法学の誤謬を完膚なきまでに粉砕する内実を備えている。2冊とも2011年秋に改訂されており、最新の判例をも取り込んでいるところも嬉しい。(※参考ページ:政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価、なお阪本氏は正確にはリベラル右派=新保守主義のスタンスであることに注意)※阪本氏の憲法理論 紹介ページ⇒ 1. 阪本昌成『憲法理論Ⅰ 第三版』(1999年刊)⇒ 2. 阪本昌成『憲法1 国制クラシック 全訂第三版』(2011年刊)} 《3》最後に保守主義・自由主義の立場からの憲法構想を把握する ※《1》法学基礎理論(基礎法学)をまず押さえる、というステップを踏まずにいきなりこの《3》へ進むと、自由主義と全体主義の違いが理解できず自覚のないまま「伝統」や「国体」を絶対視してしまう「右の全体主義」に陥る危険が高いので注意しましょう。(左派憲法学を論破する上で《2》もきちんと押さえておく方と更に良い) 日本国憲法とは何か 平易でありながら、憲法を考える上で最低限必要な知識をきちんと教えてくれる名著。姉妹編の『明治憲法の思想―日本の国柄とは何か 』と併せて読んで欲しい。 『憲法の常識 常識の憲法』 百地 章 (著)チャンネル桜などでお馴染みの代表的な保守派憲法学者の憲法観を知るための一冊。amazonブックレビューで一部ページを拝見できる。 『新憲法のすすめ―日本再生のために』 大原 康男 (著), 百地 章 (著), 日本会議新憲法研究会(編集)<目次>第1部 なぜ、いま新憲法か第2部 新憲法の大網第3部 新憲法への視座―歴史に学び未来を展望する(憲法調査会の議論に期待するもの/国家理念の再考/戦後民主主義は憲法原則たり得ない/主権をどう考えるか/憲法九条を考える/国際秩序の変容と日本の憲法)資料編★内容説明★常識的な憲法改正案として、日本会議の提言「新憲法の大綱」を挙げておく。ステップ1で紹介した中川八洋『国民の憲法改正』と並んで新憲法の具体的改正内容に踏み込んだ提案がまとめてあるので、相互参照しながら全体主義に陥らない「保守主義/自由主義の憲法構想」の具体例を感得して欲しい。 象徴天皇制度と日本の来歴 坂本多加雄(著)<目次>序章 相互理解とは何か第1章 「選択する自己」から「物語る自己」へ第2章 国家の来歴第3章 戦後日本とその物語第4章 日本国憲法とフランス革命の物語第5章 近代日本における国家制度の形成過程第6章 象徴天皇制度と日本国憲法第一条第7章 近代国際社会と日本終章 ふたたび相互理解について★内容説明★「戦後の来歴」に拘束され、近代以降の歴史を否定的に見る習慣が身についた日本人。しかし「戦後の来歴」自体、ひとつの物語にすぎない。国際社会で日本が演じた事柄や天皇の存在について、戦後五十年を経た今こそ、幕末以来の「国体」観念や「憲法」を中心に見直し、新たな物語を語るべきではないか。気鋭の政治思想史学者による「日本の来歴」探求の提唱。現在は天皇論 象徴天皇制度と日本の来歴 (文春学藝ライブラリー) として再販されている。 ■ステップ5■政治思想・政治理論 各論ページ 理論派保守を目指す人のための読書ガイドを押さえたら、保守主義・自由主義・社会主義・ナショナリズム・デモクラシーなど政治思想・政治理論の各論に進みましょう。 下が政治思想・政治理論の各論ページとなります。 なお各論のうち最初に読むと便利なページは 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 です。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■ご意見、情報提供 下記の各論ページの掲示板をご利用下さい。 なお各論のうち最初に読むと便利なページは 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸、及び、政治の基礎知識 です。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。
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◇1.現在流通している「国体」の定義 【国体】こく-たい広辞苑 ①[漢書(成帝紀)「通達国体」]国家の状態。くにがら。くにぶり。②[漢書(王莽伝上)「以明国体」]国家の体面。国の体裁。折りたく柴の木(中)「-にしかるべからず」③主権または統治権の所在により区別した国家体制。「-の護持」 【国体】こく-たいブリタニカ国際大百科事典 一般的には国柄や国風を意味し、この用例は漢籍や古代日本にも見られる。しかし中国や西洋に対して日本の優越を示す根拠として、国生み神話に基づく天皇の神聖性とその君臨の持続性を内容とする意味で用いられるのは、19世紀以降 水戸学に始まる。維新以後も、一般の論説のほか、教育勅語や新聞紙条例、治安維持法などの法令にも国家体制の正当性を示す言葉として登場するが、意味内容は明確ではない。またその使用には論争性が当初から伴われ、福沢諭吉や加藤弘之ら明治初期の啓蒙思想家からの批判や、明治末期から大正期の穂積八束の憲法解釈に対する美濃部達吉の批判が代表的なものである。昭和初期には左翼勢力や美濃部の天皇機関説に代表されるリベラルへの弾圧の根拠としてその神話的解釈が一層強調され、その傾向は国体明徴や文部省の『国体の本義』に頂点をみる。敗戦および新憲法制定を通じて、統治の正当性根拠としての役割は終焉した。 補足説明 このように、「国体」は明治維新以降、日本国家の正統性を示す言葉として頻繁に用いられたが、その意味内容が必ずしも明確ではなかったため、昭和初期に美濃部達吉(憲法学者)の天皇機関説を巡って「国体明徴」問題(1935年)が起こり、その結果1937年になってようやく文部省よりその公定解釈を示す冊子『国体の本義』が刊行された。 ◇2.現在流通している『国体の本義』の説明 【国体の本義】こくたい-の-ほんぎ広辞苑 1937年文部省が発行した国民教化のための出版物。記紀神話にもとづき国体の尊厳、天皇への絶対的服従を説き、社会主義・共産主義・民主主義・個人主義・自由主義を排撃。 【国体の本義】こくたいのほんぎブリタニカ国際大百科事典 文部省編。1937年5月刊行。35年頃から高まった「国体明徴」「教学刷新」の意義を明らかにし、その精神を国民に徹底させることを企図した。神話と古典に依拠して、国史の諸過程を「肇国の精神の顕現」としてとらえるとともに、西洋近代思想を激しく排撃している。45年占領軍により『臣民の道』とともに発売禁止となったが、49年にはアメリカでJ.ガントレットの英訳が刊行され、今日にいたるまで研究材料とされている。 補足説明 結論から先に言うと、上記の説明は、『国体の本義』の内容説明としては歪曲された完全に間違ったものである。但し、大東亜戦争開戦の僅か4ヶ月前の昭和16年(1941)8月に『国体の本義』の実践編・注解編との触れ込みで文部省教学局(文部省の外局)から刊行された『臣民の道』の内容説明と置き換えると、凡そ正しい説明になる。つまり、戦時体制下で刊行され戦争目的を肯定し国民の戦意を高揚させるための時局論的色彩の強い『臣民の道』の内容を、国体の公定解説書として刊行された『国体の本義』に故意に投影した説明となっているのだが、戦後長く『国体の本義』に関して、そして「国体」論自体に対して、こうした歪曲された内容説明が流通し続けてきた。 当ページは、 ① 昭和10年代に政府の公定「国体」解説書として刊行された2つの冊子『国体の本義』及び『臣民の道』の実際の内容を紹介し、その異同を解説する、と共に、 ② これらの異同の背景を為す政治的変動及び、それらを思想的に準備しあるいは理論づけた民間の国体論に関しても説明すること、更には ③ 『国体の本義』で示された思想評価と西洋保守思想の対応関係を確認すること、を目的とする。