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「お、終わったぁ~……」 ぐたり、と頭を机に垂らして私は 今まで溜まっていたものを吐き出すかのように深く息を吐いた。 伸ばしっぱなしの私の長い髪が机の脇からだらしなくはみ出しているけど、 今はそんなことにかまっている元気は無い。 「最後のテスト、難しかったねぇ。 最終日に数学だなんて嫌な時間割だよぅ」 「大丈夫……ゆたかは頑張ってたから、きっといい点数が取れてるはず」 少し落ち込んだ様子で「><」なんて目をしている小早川さんと、 その小早川さんの頭に手をおいて励ましている岩崎さんが並んで歩いてきた。 本当にいつ見てもお似合いの……じゃなくって、 姉妹みたいに仲が良くってなんだかほのぼのさせられる。 「うん、そうだといいけど……って、田村さん、大丈夫?」 うな垂れていた私に気付いたのか、小早川さんが心配そうに尋ねてきた。 「うーん……なんとかね~……。 まぁちょっと睡眠が足りてないだけだから……」 顔を上げて二人に(おそらく不気味な)笑顔を向けた後、 また私はさっきまでの屍のポーズに戻った。 睡眠不足の理由。それはもちろん徹夜で、 特に1限目の世界史の単語の詰め込みをしていたからなんだけれど、 普段の私はそんな無謀な勉強方法は取らない。 それでもなぜそんな方法を取ってしまったかというと、 今回のテスト期間と同人誌の入稿日とが運悪く重なってしまったのが原因だ。 ペンの道に生きる私として、絶対に原稿を落とすわけにはいかなかった。 でもGペンを持つ時間が増えるほど教科書を開く時間が減るわけで……。 結局この一週間はほとんど毎日徹夜してテストに臨むことになってしまったのだ。 私は二人にこの理由を説明する気力もなく、 ついさっきまで私を悩ませていた数学の問題用紙と共に机にへばり付いていた。 「Hi,ヒヨリ? オツカレのようですネ?」 突っ伏したまま小早川さんと岩崎さんの会話 (チェリーちゃんの話みたいだった)に耳を傾けていると、 今度はクラスの中で唯一私の事情を知っているパティが話しかけてきた。 私はパティの言葉に、体勢はそのままで一度だけ小さく頭を動かした。 「ソンナままだったら、ナカミだけじゃなくて ソトミもクサってしまいまスヨ? シッカリしてくだサイ!」 パティがそう言ったと同時に腰のあたりに鈍い痛みが広がった。 ごふっ、なんて可愛げの無い声が私の口から飛び出てくる。 「い、いきなりそんなとこ叩かなくても……」 体を起こしてパティのほうを見ると、 パティはいつもみたいに眩しいくらいにニコニコ笑っていた。 「アイのムチでスヨ、アイのムチ♪」 今はその元気を一欠けらでもいいから分けてほしいよ……トホホ。 「ソウいえばtestも終わったコトでスし、ミンナでアソビに行きませんカ?」 パシン、と手を合わせてパティがその場にいた三人に提案した。 「今日……はヒヨリが大変みたいでスカラ、明日あたりにデモ……」 「あ、いいかもね! 明日はちょうど土曜日で休みだし…… 最近なかなか四人で遊べる機会ってなかったもんね」 「うん……私もいいと思う」 「ありがとねパティ……もちろん私も賛成っ!」 パティは時々こうやってみんなを引っ張って行動してくれるところがある。 数ヶ月前の文化祭でもチアのことを考えたのはパティだったしね。 あのときはかがみ先輩達の協力もあって大成功に終わったけど、 パティがいなかったらあの感動もなかったかもしれないんだもんなぁ。 そう考えると、パティって結構すごいのかも。 「ソレじゃあ、キマリでスね!」 「でも、どこで遊ぼっか? 映画でも見に行く?」 「Mmm...ソレも捨てがたいのでスが……カラオケなんてイカガでスか?」 パティは人差し指を立てて可愛くウインクをした。 「カラオケかぁ~、そういえば四人でカラオケって行ったことないね」 「確かにそうだねぇ。前に泉先輩からかがみ先輩達とカラオケに行った話を聞いたけど、 すごく盛り上がってその後も何度かカラオケに行くようになったらしいよ」 私の話に小早川さんは少し苦笑して、 「あ、その話私もお姉ちゃんから聞いたよ~。何でもお姉ちゃんの独壇場だったらしいね」 「ふふ、泉先輩らしいね」 「カラオケは行ったことがないけれど……大丈夫かな」 「もちろん! みなみちゃんは歌が上手いもん、大丈夫だよ~」 「私は聞いたことないけど、岩崎さんのピアノの弾き語りってすっごく上手なんだって?」 「うん! 時々聞かせてもらうんだけど、思わず聞きほれちゃうもん」 「そんなこと……ないよ……」 そう言うと岩崎さんはふいと横を向いてしまった。 前髪で目が隠れて表情がよくわからないけど、 確かあれは照れてるときのリアクションだったかな? 岩崎さんとも結構な付き合いになるから、 段々と私も岩崎さんのことが分かってきたみたい。 でもまぁ、小早川さんには負けるけどね。 腐った眼差しで小早川さんをちらりと見ると 小早川さんは岩崎さんを見上げて無邪気に微笑っていた。 「デハ、明日はカラオケに行きまショウ! ソノ後、みんなをワタシの家にショウタイしまスね。 ゼヒみんな泊まっていってくだサイ♪」 「おおー、パティの家かぁ~。それじゃあ遠慮なくお邪魔させてもらおうかな」 「それじゃあ、お泊りセットを持ってくね。おじさんに伝えとかなきゃ」 「私も多分大丈夫だと思うから……おじゃまするね」 「OK! セイイッパイおもてなししまスね!」 明日はすごく楽しい一日になりそう。 とりあえず今日は帰ってしっかりと体を休めなきゃ……うう、また眠くなってきた……。 「だーーーーーーーっ!!! 寝坊したーーーーーーーっ!!!!!」 目覚ましのA.M.とP.M.の設定を間違えていた私は待ち合わせの十五分前に起床した。 ちなみに待ち合わせ場所の駅まではどんなに急いでも三十分はかかる。 せっかくだからしっかり身だしなみを整えて行こうという私の計画は 初っ端から砕けちってしまったようだ。 ていうか12時間も寝ちゃってたんだ……ど、どんだけー。 とりあえずベッドから出て、やらなきゃいけないことを着替えながら必死に考える。 まずPCの起動……? ってこれは休みの日の日課でしょうが……。 あー、起きたばっかでまだ頭が寝ぼけてる……。 まずは顔を洗って……あ、みんなに遅れるってメールしなきゃ。 はぁ、頭も大爆発だ……。何でこういう時に限って寝坊するんだろう……。 それから大急ぎで支度をして(朝ごはんは十秒チャージ!)、 結局私が待ち合わせ場所についたのは予定時刻から三十分ほど経った後だった。 M印のハンバーガー屋で私を待っていた三人に私はこれでもかというほど頭を下げた。 パティには「罰金よ! 罰金!」なんて某団長風に言われたけど、 他の二人同様に怒ってはいないみたいだったからよかった。 でも今度何かみんなにお返ししないとね。 っていうか久々にあんな全力疾走したから息が……はぁ……。 「何歌おうかな~♪」 私達は駅の近くにあるカラオケボックスに入った。 歌本を開けながらうきうきしているのは小早川さんだ。 岩崎さんは慣れない様子で辺りをキョロキョロと見回している。 パティはドリンクの注文の準備をしているようだ。 そういえば私もカラオケにはほとんど来たことないんだよね。 ついノリでOKしちゃったけど、ちゃんと歌えるかな。 ていうか私って何か一つでもまともに歌知ってたっけ……? アニメって大抵一番しか流れないからなぁ…… うわ、なんか歌う前から緊張してきた……。 「ヒヨリはナニ飲みまスか?」 「えっ? あ、え、えーと、牛乳……は無さそうだからウーロン茶を……」 「ダイジョウブでスよ、ヒヨリ。relax,relaxでス♪」 「あ、うん……ありがと、パティ」 傍目から分かるくらいに緊張してたのかな、私……。 まぁ、そうだよね、別に全校生徒の前で歌うんじゃないんだし、 リラックスして楽しまなきゃね。 「じゃあ、これにしようかな」 小早川さんは歌本を見ながら小さな手でリモコンのボタンを一つずつ押している。 小早川さんは体だけじゃなくってこういう細かい動作までいちいち可愛らしくて、 これを言ったら絶対怒るだろうけど「本当に同じ年なのかな」とすら思ってしまう。 「何だか一番ってドキドキしちゃうね~」 「頑張って、ゆたか……」 (あ、この歌知ってる……) 画面に映し出されたのは数年前にやっていたドラマの主題歌だった。 確か大学生活を舞台に聴覚を失ってしまった女の子との恋愛を描いた、そんなドラマだったと思う。 機械の準備が整ったのか、ゆっくりと部屋の照明が落ちて 上にあるミラーボールから大小様々な光の欠片が部屋中に散りばめられた。 そしてピアノのイントロと共に、画面に幸せそうに手を繋いだカップルの映像と歌詞が映し出された。 『届いてくれるといいな 君の分かんないところで 僕も今 奏でてるよ』 そうそう、こんな歌だったっけ。 あまり歌には詳しくないけれど、この歌はテレビやラジオで しょっちゅうかかっていたからメロディーくらいは記憶にあったようだ。 小早川さんはマイクを両手でしっかりと握り締めて、 可愛らしい声で一生懸命に歌っていた。 すごく上手というわけではないけれど一節一節丁寧に音がとれていて、 そして聞いててとても安心する歌声だった。 間奏になって小早川さんがふぅと一息つく。 BGMで何を言っているのかは聞こえなかったけれど 横にいた岩崎さんに褒められたのか、小早川さんはにかんで笑っていた。 この二人ってケンカとかしたことないんだろうな。 もしケンカするとしたらどんなシチュなんだろう……。 小早川さんはなんとなく譲らない人な気がするから 謝るとしたら岩崎さんのほうからかな……いや、でも…… 「モウソウ中でスか~、ヒヨリ?」 「うわっ! あ、いや、アハハ……」 「ユリユリもよろしいでスが、今はジチョウしないとダメでスよ?」 「ご、ごめんなさい……」 はぁ……私って、ダメな友達……。 しばらくして歌が終わり、部屋に照明とまばらな拍手が灯った。 「Very Pretty,ユタカ! サイコウでシタ!」 「うんうん、すごくよかったよ~」 「えへへ……ありがとう。緊張したけどなんとか歌えたよ~」 小早川さんは小さめのツインテールをぴょこんとはねさせて微笑った。 そういえば歌うときって緊張するんだろうな。 あぁ、まずい、早く曲を決めないと……。 「デハ次は私でスね。nn...アー、アー」 いつの間に曲を入れたのか、パティはもう一つのマイクを持って立ち上がっていた。 発声練習までしてすっかり歌う準備は万全なようだ。 パティ、何歌うんだろ? まぁ画面みればわかるんだけど…… 機械の準備が整い、再び部屋の照明がゆっくりと落ちていった。 私は画面を見てタイトルを確認した。 そして思わず固まった。 パ、パティ、いきなりコレ歌うの!? 『ボク達がナントカしなけれバ、 カクジツに世界はホウカイするのデス Oh,困ったモノデ~ス』 おおー、表示されてないのにセリフ部分までちゃんと歌った……。 っていうかホントにこれ歌っちゃうんだ……。 どっちかっていうとパティのほうが困った人だよ~……うう、なんだか恥ずかしい……。 ちなみに小早川さんと岩崎さんは軽快なリズムに合わせて手拍子を取っている。 結構順応性あるなぁ、この二人……。 パティの歌は普段のややカタコトの日本語とは違ってすごく上手だった。 ていうか下手なアイドルより可愛くて上手いかもしれない。 振り付けも完璧(『激奏』の時の振り付けだね)みたいで、 いつも以上のハイテンションでパティはミラーボールの光を浴びて元気に歌っていた。 そういえば泉先輩とCDも出してるんだっけ? うーん、ますますパティがアイドルに見えてきたかも。 ちなみに私としてはパティが動く度に大きく揺れるあの胸も気になったり……。 私の貧相なココと比べるととても悲しくなってくる。 あーゆーのがアメリカンサイズっていうのかなぁ……トホホ。 でも横の二人よりかはあるハズ……って、私は何を考えてるんだ。 わっ、セリフの部分、本人かと思った……。 「パティちゃん上手~! なんだか面白い歌だったね~」 「うん……ユニーク」 「アリがとうございマ~ス♪」 みんなの言葉に、パティはニッコリと笑っておじぎをした。 パティの笑顔ってこっちまでなんだか笑顔になるから不思議。 「ふふ、でもタイトル見たときはどうなることかと思ったよ~」 「Sorry,イッキョクメはコレにしようとオモってたんでス♪」 パティは可愛くウインクをして言った。 きっとこんなポーズ、私がやってみても似合わないんだろうな。 「デハ、次のヒトは誰でスか?」 はっ、そういえば歌入れなきゃ! や、やばいぃ~、どうしよう、何を歌おうか…… 「次は、私……」 ええええええっ!? い、岩崎さんまでいつの間に……。 「Oh,ミナミの番でスか」 「うん……上手く歌えるかわからないけど……頑張る」 私が急いで歌本をめくっているそばで優しげなピアノのイントロが聞こえてくる。 岩崎さんは一度だけ深呼吸をして、マイクを口に近づけた。 「みなみちゃん、頑張って!」 『何かに怯えてた夜を 思い出すのが非道く怖い ねぇ私は上手に笑えてる?』 岩崎さんの声を聴いた瞬間、鳥肌が立った。 私は思わず歌本を見る動きを止めて岩崎さんの方を向いた。 岩崎さんはいつもの落ち着いた表情とはまた別の、 強いて言うならば「穏やかな」表情で画面を見つめて歌っていた。 岩崎さんの歌はとても上手だった。 チャートの上位に昇るような歌手の気取ったようなそれなんかじゃなくて、 すごく優しくて、心の篭った歌い方だった。 「うわぁ……岩崎さん、上手いねぇ……」 「でしょっ? みなみちゃんの歌を聴いてると、なんだか心が温かくなるんだよ」 心に染みる声とはこういう声のことをいうのだろう。 透き通るような声がすうっと耳に入ってくる。いつまでも聴いていたいと思わせる。 うん……確かに聴いてると心が温かくなってくるかも。 小早川さんはもう何回もこんな風に岩崎さんの歌を聞いてるんだよね。 なんだかちょっぴり小早川さんのが羨ましいかも。 パティも小早川さんも、二人とも目を閉じて岩崎さんの歌を聞いている。 人って、いい歌は耳だけで感じていたいと思うのかもしれない。 そう思いながら、私もゆっくりと目を閉じて岩崎さんの歌に身を任せた。 『貴方の腕が 声が背中が ここに在って 貴方の腕が 声が背中が ここに在って……』 「すごーい! 岩崎さん上手すぎだよ~!!」 「Greatでス! ミナミはマチガイなく陵桜がホコるdivaでス!」 歌が終わった瞬間、私達は立ち上がって手を叩いていた。 岩崎さんは驚いた様子で私達を見回した後、 マイクを胸の前でぎゅっと握り締めて恐縮してしまっていた。 「うんうんっ、やっぱりみなみちゃんはすごいよっ!」 あ、小早川さんの言葉で岩崎さんの顔がみるみる赤く……。 岩崎さんって結構照れ屋さんなのかな。なんだかかわいいかも。 「み、みんな……もう、いいから……あの、その……」 岩崎さんがそう言っても、拍手の音は暫く止むことはなかった。 ちなみにこの後三人の熱烈なアンコールに押されて、 岩崎さんはもう一曲歌うことになった。 それから私達は大いにカラオケを楽しんだ。 私はというと初めはそれはもう緊張して まともに歌うことが出来なかったけれど、 (三人ともお聞き苦しい歌をお聞かせして申し訳ない……) 何曲か歌っていくうちに緊張もほぐれて、 最後の方にはパティとアニソンのデュエットまで出来るようになった。 歌うことってこんなに気持ちいいものなんだ。 小早川さんも、岩崎さんも、パティも、そして私も、 みんな笑顔でみんな楽しそうだった。 結局二時間+延長一時間で思う存分歌い、私達はカラオケボックスを後にした。 「楽しかったね~、またみんなで来ようよ!」 「うん……機会があればまたみんなで……」 「うー、次はもっと上手く歌えるように頑張らなきゃ~……」 「ヒヨリもジュウブン上手くウタえてましタよ♪」 店から出た後、私達の間に会話は絶えなかった。 今日のカラオケでまたみんなの知らない一面が見れて、 今まで以上にみんなの仲が深まったみたいだった。 「あ、ねぇねぇ、みんなでプリクラ撮らない?」 プリクラ、かぁ……。 思えば教室の隅で漫画なんか描いてるような私が、友達とカラオケに来て、 こうしてプリクラまで撮ることなんて、考えたこともなかったかも。 少しの恥ずかしさと戸惑いを胸に、私は百円を出してみんなと画面の前に並んだ。 プリクラを撮った後、カラオケでたくさん歌ってお腹を空かせた私達は、 夕食を振舞ってくれるというパティのお家に行くことにした。 さっきまで私達がいた場所からは一度の乗り継ぎを経て五、六駅程離れているらしく、 電車内は平日なら学校帰りの学生達で賑わっている時間帯だったけれど、 今日が土曜日だったおかげで小早川さんが座ることのできるくらいの座席は空いていた。 年の変わり目までもう半月ほどという時期なので、 今の時間では窓から見える外の景色はもうだいぶ暗くなってきていて、 ドアが開くたびに入ってくる冷たい風が私の体を小さく震わせ、 ニーソックスを履いているとはいえ、スカートで来てしまった私に 皮肉にもそれは選択ミスであったことを知らせてくれる。 ちなみにオーバーニーソでもミニスカートでもないのでパティには 「Oh,ヒヨリ、ザンネンでス……ソレは『ゼッタイリョウイキ』ではアリませんネ……」 とカラオケの前に言われてしまった。一体パティは私に何を求めているんだろう。 でも、寝坊しちゃったとはいえ服くらいはちゃんと選んだほうがよかったかなぁ……。 ううっ、寒っ。 「Welcome! ココがワタシの家でス!」 駅から数分歩いたところにパティの家はあった。 家といっても集合住宅で、少し大きめの典型的な二階建てアパートという表現がしっくりくる。 建てられてからまだ数年しか経っていないらしく、外装は割と近代的な作りでお洒落な感じだった。 「「おじゃましま~す」」「おじゃまします」 部屋の中も綺麗な白い壁と薄いピンクのカーペットに黄色のカーテンと、 同じオタク仲間とは思えないくらいに凝った部屋だった。 「ミンナが来るノデ張りきってソウジしましたネ!」とパティも言っているだけのことはあり、 部屋はしっかりと片付けられていた。 何だか想像していたのと違いはしたけれど、 壁には当たり前のようにアニメのポスターが貼られているし、 本棚にはマンガやDVDが所狭しと並べられていたり、フィギュアが飾られていたりして よくよく見てみるとすごくパティらしい部屋だった。 「CDもいっぱいあるんだねぇ~」 小早川さんは気付いていないだろうけど、ラックにあるのは全部アニメ主題歌になった曲のCDだ。 私が全部分かるんだから、間違いない。 「これは、こたつ……?」 「うんうん、私もびっくりしたよ岩崎さん。珍しいもの置いてあるんだね」 「メズラシイでスか? Japanでは冬はコタツでミカンがキホンだとキキましタが……」 「うーん、間違っていないこともないんだけど……」 かなりステレオタイプな日本のイメージだと思う。 「でもこたつって温かいよね~。私もよくおじさんやお姉ちゃんと一緒に こたつに入ってテレビとか見たりするんだけど、温かくてついついそのまま寝ちゃうんだよね」 「Yes! コタツはスバラシイJapanのブンカの一つですネ!」 その後私達はパティから(時々小早川さんからも)コタツの素晴らしさについて 数分間力説された。パティは下手な日本人よりよっぽど日本人らしいかもしれない。 「そういえば、ご飯はどうするの?」 「Oh,ソウでしタ! 近くにSupermarketがアルので、ソコに行きまショウ!」 私達はパティに連れられて、そのスーパーに夕食の買出しに行くことにした。 近く、というのは歩いて数分の本当に近くのところで、 決して大型のスーパーマーケットというわけではなかったけれど、 この辺り一帯の人によく利用されているのか、夕食時ということもあって、 店内は主婦と見られる人はもちろん、一人暮らし風の学生や子供達などで賑わっていた。 「Japanの冬とイエバ、『ナベ』ですよネ?」というパティの一言で、 私達の夕食は鍋に決まった。 白菜、人参、大根、長ネギなど、色とりどりの野菜が買い物カゴを埋めていき、 その傍らで、ジュースやお菓子も場所取りに加わり、 私は昔自分の家でやったクリスマスパーティを思い出してすごくワクワクした。 カゴをいっぱいにしてレジに向かったけれど、思ったよりすごい値段にはならず、 四人で割って払う分には(パティは一人で払うつもりだったらしいけど)とても安い買い物になった。 風邪を引くといけないし、そろそろ本格的にお腹ががすいてきたので、 私達は買い物を終わらせると足早にパティの家に向かった。 「ハイドウゾ、デキましたネ♪」 家に着くなりさっそくパティが慣れた手つきで包丁を振る舞い、 数十分後、コタツの上にたくさんの野菜とお肉を乗せた箱舟が到着した。 「うわぁ~、おいしそうだねぇ~!」 「……(ごくり)」 「パティって何でも出来るんだねー……羨ましいっ」 「切るだけでスからカンタンでスよ。サァ、ミンナ食べてくだサイ!」 見るからに美味しそうなそれを囲むようにして私達はコタツに入り、 おたまで具を取り分けて両手を顔の前でパチンと合わせた。 「「「「いただきます(マース)」」」」 ふーふー。はふはふ。むぐむぐ。 今この部屋のテレビは付いていないから、私達が黙ると部屋はとても静かになる。 鍋はとても面白い料理だと思う。こんな風に黙々と食べる時間が存在するんだから。 「美味しい~」 「うん、すごく美味しい……」 「あちちっ……ホント、すごく美味しいよ、パティ」 「ミンナアリがとうでス♪」 一言二言会話を交わして、また黙々と鍋をつつく。 鍋、といってももちろん陶器のものはさすがにパティも持ってなくて、ステンレス製のものだ。 けど美味しいから、そんなことはどうでもいいことなのかもしれないけど。 ん、そういえば豆腐を買うのを忘れてた。 でも言わないでおこう。鍋は黙々と食べるものだから。 「鍋って温かいよね~」 「うん……体の中から温かくなる……」 「コタツでナベ……ワタシは今、Japanを感じていまス……」 「ちょ、ちょっとパティ、笑わせないでよー」 もうすっかり鍋の中身も無くなり、再び私達の間に会話の花が咲いた。 意外にも一番最後まで食べていたのは岩崎さんで、 「みなみちゃん、結構食べるんだね」 「パティの作った鍋、美味しいから……」 なんて会話を小早川さんとしながら見事に鍋を空にしていた。 「……ごちそうさまでした」 お腹いっぱい食べた後はみんなでゲームしながら騒いだり、 パティが向こうから持ってきた写真とかを見たりしながら 私達四人しかいない部屋でゆっくりと時間に流されていった。 私としてはパティの本棚の中身を一つ一つ見ていきたいんだけど、 それはまた今度、個人的にパティの家に遊びにきたときにしようかな。 今は四人だもん、みんなで楽しまなきゃね。 「Oh,ソウでした、ミンナお風呂のジュンビはシテきましタか?」 「あ、昨日メールで言ってたやつね。うん、みんな持ってきてるみたいだよ」 そうそう、何でもみんなで銭湯に行こうってことだとか。 「デハ、もうコンナ時間でスし、お風呂にイキましょウ!」 パティの一声で、私達は銭湯に向かうこととなった。 さっき出ていたときよりも外の気温はぐっと下がっていて、 息を吐くたびに真っ白な煙が口から出てくる。 私はポケットに入れてあった使い捨てカイロで右手と左手を交互に温め、 たまに吹く横風に身を縮めて堪えた。もうすっかり冬なんだな。 銭湯の位置はスーパーと同じくらいで、歩いて数分のところだった。 私は銭湯を利用することがないからよく知らないけれど、 そこは日本人が『銭湯』と聞いて思い浮かべるような、 あののっぽの煙突にのれんがかかった古めかしい入り口の、ステレオタイプな銭湯だったんだけど、 内装は近代的に整備されていて、そのギャップに私達は少し驚かされた。 「パティはよくここに来るの?」 「Non non,私もココに来るのは初めてでス」 料金は先払い制のようなので、私達は番台でお金を払って更衣室へと進んだ。 「「「…………」」」 「~♪」 上の三点リーダは私と小早川さんと岩崎さんのもの。 その下の音符マークはパティのものだ。 詳しくを説明するならば、下着姿のままみんなを気にしてじりじりとしている三人と、 そんなことお構い無しに鼻歌交じりでスルスルと脱いでいくパティ、という感じだ。 「ドウしましたか? サンニンとも」 今まで私達に背を向けていたパティが、準備完了といった具合に私達の方に体を向けた。 パティはタオルをお腹のあたりに持ってぶら下げているので下の方は隠れているけれど、 その……上のほうは丸みえなわけで…… 「す……すご……」 思わず声に出してしまった。 服の上からでも分かるくらいだから相当なもんだとは思ったけど……。 ていうかパティ、スタイル良くてキレイだなー……。 女だけどなんか鼻血出そうになってきたかも……。 よし、今度出す本の参考に……(ってこらこら) 「…………」 ちなみに岩崎さんは凄い顔でパティの胸を凝視している。 どうすごいのかは言わないけれど、ちょっとだけ怖い。 あ、今度は落ち込みだした。 「あ、あの……パティちゃんは恥ずかしくないの……?」 「ハズカシイ? oh,ユタカ、girlドウシでナニを言っているンでスか!」 「うーん、でもやっぱり女の子同士でも恥ずかしいよぅ」 そりゃパティみたいな体だったら自信を持って脱げるだろうけどねぇ…… 「ホラホラ、ヒヨリも手伝いマスからハヤク脱いでくだサイ♪」 え、ちょっ、パティ、 そんな近寄ってきて、何する気かな……? 「あの、まだ、心の準備が……い、いやぁぁぁああっ!!!」 「うぅ……あんまりだ……」 「ソ、sorry~、スコしやりスギましたネ……」 抵抗空しく、私はパティにあっという間に裸にされてしまった。 おかげで私の貧相な胸がみんなにバッチリ目撃されてしまったわけで……。 「いいよパティ……もうこれで怖いもの無しだからね……はは……」 「で、でも田村さん、私よりあるみたいだったから……十分だと思うよっ?」 「うん……私よりも……あるし……」 小早川さんと岩崎さんの慰めの言葉が文字通り胸に染みた。 「うぅー、暖まるねぇ~」 まるでおじさんのようなことを言い、私は浴槽に浮んだ。 今は富士山の絵を背に、左から岩崎さん、小早川さん、私、パティの順で並んで足を伸ばしている。 私達がお風呂場の中に入ったときはちらほらと他のお客さんもいたけれど、 丁度体を温め終わったのか、私達が体を洗い終わる頃にはお風呂場から出ていってしまったので、 今この女湯は実質私達の貸切状態となっている。 「みんなでお風呂ってなんだか不思議な感じだね」 小早川さんはいつものリボンを取っていて、 普段ではあまりみることのない肩くらいまでのショートヘアになっている。 「ユタカは家ではソノ髪型でスか?」 「うーん、下ろしてるのはお風呂に入るときくらいで、家でも結んでることが多いかなぁ……」 「なんていうか、ちょっとだけ大人っぽく見えるよね」 「えっ、そ、そうかなぁ……」 「んー、まぁ気のせいかもしれないけど……」 「結んでるのって子供っぽいのかなぁ……?」 「私は、結んでるほうが……ゆたからしくて好きだよ……」 「!! あ、ありがとう、みなみちゃん……」 くうぅっ、相変わらず見せ付けてくれるなぁ、二人とも。 「ソウいえばヒヨリはナニもしないんでスか? セッカクのlong hairなのニもったいナイですネ」 「わ、私? うーん、私は……あんまり似合いそうな髪形もないから……」 私は下を向いてお湯の中でゆらゆらと揺れている自分の髪を見た。 髪は女の命、なんて言うし、手入れにはそれなりに気を使っているほうだとは思うけど、 自分の髪をいじってみようなんてことはあまり思ったことはない。 この長髪も何だかんだで伸びちゃった感じだしね。 「そうかな? 三つ編みとか結構似合いそうだと思うけど……」 「み、みつあみ?」 うーん、と頭を捻らせて三つ編み姿の自分を想像してみる。 んー……いまいち想像できない……。 「イエイエ、ポニーテールがイイとオモいまスよ?」 「ぽ、ぽにーている!?」 は、はずっ! いや、ポニーテールがじゃなくて、 そんなかわいくポニーテールなんかにしちゃってる自分を想像すると……うあああっ。 私が頭を押さえて唸っているとパティが、 「Mmm,ヤハリ、ジッサイにやってみるのがイチバンでスね」 へ? 実際に? 嫌な予感は当たった。 お風呂から出た私は椅子に座らさせられ、長い髪の毛をみんなから丁寧に乾かされた後、 なぜかパティが持ってきていた(初めからこうするつもりだったのかな……)ピンやゴムで ヘアースタイルをいろいろな形にされて遊ばれてしまった。 もちろんホントに嫌なわけじゃないんだけど、小早川さんが私のヘアースタイルが変わる度に 「うわ~、可愛い~!」なんて反応をするものだから、何だか照れてしかたがなかった。 その後岩崎さんも小早川さんの餌食になったみたいで、 ピンで前髪を留められたりして顔を赤らめていた。 ふふ、なんだか可愛いなぁ、岩崎さん。 「ヤハりヒヨリはミガけば光りまス……ダイヤの原石ですネ……」 パティはパティでなんだかすごく満足そうな顔をして、 私の否定の言葉なんて聞こえちゃいないみたいだった。 「デハ最後に……ユタカ、ちょっとイイでスか?」 「え、なーに?」 そろそろ銭湯の閉店時間が近づいてきた。 パティは小早川さんからいつも付けているリボンを貰い、私の後ろに立った。 「Lastはこのhair styleでキマりでスね♪」 パティは楽しそうに私の髪をいじくっている。 時々首筋にパティの手が当たって少しくすぐったかった。 「ってパティ、この髪型は……!」 「Yes! twin tailでスね! ヒヨリのようなlong hairにハtwin tailが似合うとオモいましタが、ヤハり思った通りでしタ!」 両側に付けられた小早川さんのリボンから垂らされている、二すじの髪の毛。 今、私は見事なまでのツインテールになっている。 パティは腕を組んでニコニコしていて、相変わらず満足そうだ。 ひえー……似合わな…… 「すてき……」 「えっ?」 い、岩崎さん? 今何て? 「うんうんっ、田村さん、すごく可愛いよっ!」 「え、えええっ!?」 小早川さんまで!? め、メガネ貸そうか? 「サァ、行きますヨ、ヒヨリ! stand upでス!」 「ちょ、ちょっと、まさかこのまま帰るの? は、恥ずかしいよ~……」 うわー、顔が真っ赤だ、私……。 「ハズかしがるコトありまセンよ、ヒヨリ。 今のアナタは、スゴく『カワイイ』でスから……」 私の手を取って私を引っ張っていたパティが、振り向きざまにそう言った。 私は不意に、ドキ、と自分の胸が大きく高鳴ったのを感じた。 まるでパティに「可愛い」と言ってもらえたのが嬉しかったみたいに。 更衣室を出るとき、最後に横を向いて自分の姿を見た。 パティに作られたツインテールがゆらゆら揺れている。 今日は……このまま帰ろうかな。 「キョウはとても楽しかったでスね、ヒヨリ」 帰り道の途中、パティは笑顔をいっぱいに浮かべて言った。 私はこくりと頷いて、相槌を打った。 岩崎さんと小早川さんは二人でおしゃべりをしていて、 二人との距離は私達から二メートルくらい離れている。 「ワタシ、Japanに来てよかったでス」 パティが私の住んでいるところなら星が満天に輝いていたはずの、光りの少ない夜空を見上げて言った。 「ユタカやミナミ、そして、ヒヨリと出会えましタから」 けれどパティの目はどこまでも澄んで、輝いていて、 その言葉が心から言っているものだと分かって嬉しくなった。 私は感謝の言葉と、私からもお礼の言葉を言って、小さく笑った。 そしてポケットに手を入れ、カラオケのときに撮ったプリクラを取り出した。 「いつまでも、四人でこうして笑ってられたらいいね」 四人で百円ずつ出し合って撮ったプリクラには、身を寄せて仲良く笑っている私達が写っていた。 ここに写っているのは、間違いなく私の最高の親友達だ。 出会い初めの頃はまだ話し方もぎこちなくて、時々言葉に詰まることもあったけれど、 今ではすっかり打ち解けて話せるようになった私達。 この先何年経っても、たとえ離れ離れになったとしても、私は三人の事を絶対に忘れない。 「モチロンでスよ、ヒヨリ」 パティはいつもみたいに、ニッコリと笑って言った。 「んー……今何時だろ……」 カーテンの隙間から差し込んだ光りが、私の寝ぼけた顔に当たっている。 うおっ、まぶし……。 「シーッ、ヒヨリ、シズかにしないとgood situationをミノがしてしまいまスよ?」 先に起きていたパティが、口に人差し指を当ててよく分からないことを言った。 ぐっどしちゅえーしょん? 一体なんの…… 「は、はわわぁぁっ……!!」 その光景を見た瞬間、パティの言っていることが言葉ではなく心で理解できた。 昨晩、私とパティが無理やりベッドで二人きりで寝させた小早川さんと岩崎さん。 その二人がなんと…… 「だ、抱き合って寝てる……!!」 「Yes...コレはヒヨリにミテもらわなくてはイケナいと思い、ずっと待っていましタネ……」 なにやってんの、パティ……でも、 「グッジョブ、パティ!! くはぁぁ~……なんかもう、キスしちゃいそうな近さだね……」 むしろしちゃってくれたほうが私的には…… 「ん……」 あ、岩崎さんが起きちゃう…… 「ゆ、ゆたか……? あの、お、起きて……」 岩崎さんは小早川さんに抱きつかれていることと、 さらに私達にばっちり見られていることに気付いて、慌てた様子で小早川さんを起こしている。 うーん、これはこれでなかなか…… 「むにゃむにゃ……みなみちゃぁん……す、き……」 がふぅっ!!! 「ヒヨリ? し、シッカリしてください! コレからがいいところでスよ!?」 小早川さんが言った言葉は、私に鼻血を出させて失神させるには十分すぎる破壊力を持っていた。 「ゆ、ゆたか……あの、その……」 「ん……みなみちゃん、おはよう~……どうしたの? 何だか顔が真っ赤だよ……?」 小早川さん、岩崎さん、パティ……こんな私だけど、これからも仲良くしてやってね……? ガクッ 「Oh,ヒヨリ、シンデしまうとはナサけない!!」 「た、田村さん、大丈夫!!?」 「鼻血が出てる……と、止めないと……」 「ど、どどどうしようっ! き、救急車呼んだほうがいいのかな、それとも……」 ……… …… … -数時間後- 「あ、田村さん、そのリボン貸してあげるから……今日はそのままで帰ってね?」 「こ、小早川さん……それだけは勘弁を……(>Д<;)」 コメントフォーム 名前 コメント 四人ともかわいい!三年生ズとはまた違う魅力がある。 -- 電撃うんこ (2009-12-13 09 43 18) いいほのぼの作品だ~ -- 名無しさん (2009-05-08 00 15 25) まっがーれ -- 名無しさん (2009-04-07 20 10 03) あれ?ゆたか?もしかして怒ってる? -- 名無しさん (2009-04-04 15 23 00) このサイトにはこういう話がまだまだどこかに埋もれてるんだよな~ -- 名無しさん (2009-04-04 13 46 34) GJ! -- 名無しさん (2009-04-04 00 21 50) こういうほのぼの〜な和み系のSS大好きです GJ!!!と叫ばせていただきます -- 名無しさん (2008-07-28 13 16 03) 一年生ズのフツーな体 に見えた件について -- みみなし (2008-04-27 14 39 33) いいね! -- (2008-04-27 11 08 59) 「Oh,ヒヨリ、シンデしまうとはナサけない!!」 で吹いたw ほのぼのとしててGJっす! -- 名無しさん (2008-04-23 02 12 12) 和むよ! -- ウルトラマンネオス (2008-04-22 23 40 21) いいですねぇ。 こういうほのぼの系の話大好きです。 GJ!! -- 名無しさん (2008-04-22 23 30 20) これは良い和み系。ゆたかは俺の嫁 -- らはある (2008-01-05 23 23 45) ひよりとパティに笑い、ゆたかとみなみに和んだww -- ヤカ (2008-01-05 21 37 42) ダレかひよりんのツインテを描いてくれ -- 名無しさん (2007-12-02 13 32 51) いや~面白かったです。あと可愛すぎる!みなみとかゆたかとか!! パティナイス!!! -- トコ (2007-12-01 15 35 15) みんな可愛すぎるぜコンチクショウ ひよりんは俺の嫁。 -- 名無しさん (2007-12-01 12 59 07)
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131 :ヒナヒナ:2012/02/29(水) 21 58 36 薄暗い洋館のような内装。窓がないことからして地下室のようだ。 広間と呼ぶには手狭な部屋は、光量を抑えられたランプや燭台に照らされており、 壁には幾何学模様の書かれたタペストリー、棚には羊皮紙製の洋古書の類が並んでいる。 部屋の中央には円卓が一つ。卓を囲むように椅子に掛けているのは4人。 フードつきのローブの様なものを被っているので顔はうかがい知れない。 全員を睥睨する様に上座に座っていた男がゆらりと立ち上がる。 「皆、それぞれの任務(さだめ)の中、此度の召集に応じてもらってご苦労だった。 ではここに第32回、大日本帝国聖魔封印結社秘密集会を開催する。」 バッと、フードつきのローブを取り去ると、 そこにいたのは金モール付き階級章のついた軍服を身につけた陸軍軍人。 夢幻会一の邪気眼の使い手、富永だった。 ○邪気眼派の休日 「ふっ、原罪の開放(アメリカ風邪)とはソドムの民(旧アメリカ人)もやってくれるじゃないか。」 「くっくっく、そして、原罪を解放しようとした罪深きゴモラの民(メキシコ人)は ラピュタの雷……いやインドラの矢(核)によって裁かれた。 危ない所であったが、原罪は再びソドムの地に封印されるだろう。」 「そうなると、今世のラグナロク(世界大戦)は回避できたということか?」 「すでに第二の封印(核実験とメヒカリの分)まで解き放たれたが、 俺の右手の第三の力(メキシコシティの分)を使うには至らなかったようだな。」 全員、ノリノリだった。 ちなみにここは東京都某所にある邪気眼派の人員(独身)の自宅地下だ。 怪しさ満点の作りだが、地上部は普通の日本建築だ。 隠し扉のカラクリを作動させて地下への階段を出現させると、この地下へ入れる。 廊下の奥のカラクリ階段から降りると土塀から石塀へと代わり、 実用性のないように見えて実は複製が困難なつくりをしているという 意味不明な大型の鍵を使って入るこの部屋は、邪気眼派のサロンになっているのだ。 彼らはあまり人目を気にしなかったが(気にするようなら真の邪気眼ではない)、 彼らの趣向からして、一般人の目から隠れて活動する超人的な設定が好まれたので、 周囲からみれば、独り言が多くて偶に言動が少し怪しくなる人達という認識になっている。 ちなみにこれは邪気眼でなくとも逆行者には比較的多い性質の人間だ。 我らが帝国宰相も、傍から見ると独り言が多く(辻やアホ議員への呪詛)、 多分に妙に確信的に行動を起こす(未来知識のため)。 それはともかく、何かを知っている様な素振をしてみせるだけではつまらない。 そのため、彼らはこのような同じ趣味の人間で集まり、堂々と妄想 (前世設定だったり、封印された力だったり、所属する秘密組織だったり…) を語る場として定期集会が実施されているのだ。 まあ、そもそも逆行者であるという事実や、 夢幻会という秘密組織の構成員であること自体が、すでに中二的ではあったが。 しかし、すでに彼らはそんな物は超越し、更なる設定を求めていたのだ。 互いに役に成りきり妄想を語り、それを自分なりに咀嚼して話を発展させ、 一つの世界観を作り出していく様子は、パッと見TRPGっぽかったが、 (ちなみにこのメンバーでTRPGをやると超展開ばかりで一向に収束しなかった) 内容は核攻撃だの、戦争だのと焦げ臭いことこの上なかった。 また、陰謀的なイメージからか、邪気眼保持者は陸軍軍人になるものが多くを占めた。 富永を筆頭に常に思わせぶりなセリフを吐き、周囲を引かせている彼らだが、 本気の邪気眼トークは内容が内容なだけ(核とか)に表では話せないのだ。 もちろん彼らとしても、自重して話していい事と悪い事はより分けてはいるが。 132 :ヒナヒナ:2012/02/29(水) 21 59 08 「さて、この場は我々がそのエターナルフォースを解放して、情報を交換する会であるが、 ここで一つ議題を提起したいと思う。」 その富永が大きな身振りで注目をひきつけた後おもむろに口を開いた。 「皆知っているが、未来の記憶を持つ者は比較的多いが、 その中で我々の様に力(邪気眼)を持つ者は一握りだ。 我々はその強大な力故に衰退の道を歩んでいるように思われる。 しかし、この力を絶やしてはならない。この力こそ非情な敵(現実)から、 同胞を守ることができる唯一の力であり、我々の真の定めだからだ。」 「力を絶やさずに守り続けると? ふむ、他の未覚醒の能力者(非邪気眼派の逆行者)の引き込みを?」 「いや違う。今まで非能力者(この時代の人)として捉えていた中から、 封印された才能の種を見つけ出すのだ。」 「しかし、我らは少数精鋭。新たな人間は必要ありますかな。」 「ラプラスの悪魔(未来を知ることの出来る思考実験上の存在)を使役できない民に、 我らと同じ力を目覚めさせた所で、上位組織(夢幻会)への貢献にはならないのでは?」 「現状では俗世のパトスに囚われて、真の力を解放できる者は少ない。 よしんば、瞳を解放できても我々と肩を並べられる者は少ないのでは。」 面倒なやり取りであるが、富永の言う事は、 もう夢幻会からじゃなくてこの時代の一般人を、邪気眼にしてしまおうぜ。 ということなのだが周囲は困惑気味だ。 同じような価値観がないと白けてしまいかねないからだ。 「そうだな、諸君らの言うことももっともだ。 しかし、私はただ能力者を目覚めさせようとしている訳ではない。 我らが女神の下僕を増やすため、アニメを作り共鳴したものを引き込むのだ。」 「女神?アニメ?……まさか!?」 「そう……ゼ○魔だ。」 「おお、聖典か!?」 「女神クギミーのしもべを作りだすと?」 「これならばアニメ派の支援も受けられる。なにより我々の仲間となりうる下地を作りだし、 なおかつ我らが女神の信者を増やすことができる。」 奇妙な笑い声や歓声が響き渡る部屋。 それは確かに彼らが設定した通りに、怪しい雰囲気を醸し出していた。 邪気眼派=クギミー派という訳ではないのだが、 ここに集まった人間は粗方、富永に染められており、 クギミー至上主義に目覚めていたのだった。 そして、彼らの聖戦が始まる。 (了)
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関連ブログ @wikiのwikiモードでは #bf(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するブログ一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_161_ja.html たとえば、#bf(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 #bf
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インスタグラムプラグイン 人気の画像共有サービス、Instagram(インスタグラム)の画像をアットウィキに貼れるプラグインです。 #ig_user(ユーザー名) と記載することで、特定ユーザーのInstagramのフィードを表示することができます。 例)@dogoftheday #ig_user #ig_tags(タグ名) と記載することで、特定タグのInstagramのフィードを表示することができます。 #dogofthedayjp タグ #ig_tag #ig_popular と記載することで、Instagramのpopularフィードを表示することができます。 詳しい使い方は以下のページを参考にしてください! =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/935.html
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アルシャードセイヴァーRPG~キャラクターシート~ [部分編集] 名前 宮城ほのか PL 電波王 年齢 400?(外見14) 性別 女? 種族 フォックステイル 職業 神職 瞳の色 紫 髪の色 金 身長 ちいさい 体重 軽い 使用経験点 総計980(レベルアップ885/一般特技0/常備化95) ◆シャード 色彩 紫 形状 勾玉 場所 首飾り ◆ライフパス 出自 聖職者 特技 キュア 境遇 親友 特技 情報:うわさ話 経験 正義 クエスト 人を救う 邂逅 友人 コネクション 六門寺セン [部分編集] クエスターレベル 13 加護 C1 キャスター 1 オーディン C2 ワード 11 ヘル C3 フォックステイル 1 バルドル C4 C5 ◆能力値 体力 反射 知覚 理知 意志 幸運 基本値 10 9 12 13 16 13 ボーナス +3 +3 +4 +4 +5 +4 [部分編集] ◆戦闘値 基本 クラス修正 未装備 武器右 武器左 魔法右 魔法左 防具 装飾 特技 その他 現在値 C1 C2 C3 C4 C5 命中値 3 0 6 0 9 9 (11) 回避値 3 0 6 1 10 1 11(15) 魔導値 4 2 6 1 13 1 0 1 3 2 20(24) 抗魔値 4 1 6 0 11 1 12(16) 行動値 7 1 7 1 16 -2 2 16(20) 耐久力 10 6 75 5 96 96 精神力 16 7 66 7 96 96 攻撃力 0 7 1 8 殴+1 --------- --------- 殴+8 --------- --------- 魔法攻撃力 1 8 1 10 --------- 炎+10(炎+15) --------- (11) 炎+20(炎+36) --------- --------- 防御修正 斬 12 3 15 刺 10 3 13 殴 12 3 15 炎 8 8 氷 8 8 雷 0 0 光 17 17 闇 射程 至近 15m 至近 代償 2MP 5MP 戦闘移動 20m 全力移動 42m(50m) [部分編集] 部位 装備名 命中 回避 魔導 抗魔 行動 耐久 精神 攻撃力 魔法攻撃力 防御修正 備考 斬 刺 殴 炎 氷 雷 光 闇 武器右 ワイズスタッフ 0 殴+1 狐火の代償-1。適用済 武器左 魔法右 狐火 1 炎+10(炎+15) BS放心を付与。ブレイク中ダメージ修正+5 魔法左 荒ぶる神威 0 タイミング:ダメージロール、代償:5MP、ダメージ増加:1d+2(ブレイク+神気増幅2中、1d+17) 防具 闇夜のスーツ 1 -2 12 10 12 8 8 8 0 17 攻撃へのファンブル値+1。シナリオ3回 装飾 管狐 3 情報収集判定の達成値+3 乗物 その他 マジックガード 3 3 3 アイテム名 種別 所持数 効果 [部分編集] ◆特技データ 特技名 LV 種別 タイミング 対象 射程 代償 効果 キュア 1 魔 メジャー 単体 15m 5MP BSひとつ回復 情報:うわさ話 1 常時 自身 なし なし シールエリア 1 魔 メジャー 自身 なし なし マジックガード 1 常時 自身 なし なし 〈斬〉〈刺〉〈殴〉の防御修正+3 アブソリュートアーツ:炎 1 常時 自身 なし なし 炎の魔法を装備している間、魔導値+1 リードマジック 1 常時 自身 なし なし ワード準拠 スティグマ 1 自 常時 自身 なし なし ルーツ:天空神 1 常時 自身 なし なし 回避値+1、行動値+2 ルーツ:豊穣神 1 常時 自身 なし なし 抗魔値+1、HP回復&MP回復+2 ルーツ:自然神 1 常時 自身 なし なし 魔導値+1、ダメージ増加&軽減+2 神気増幅 3 常時 自身 なし なし ブレイク中、ルーツ:~~の効果2倍 片鱗覚醒 4 常時 自身 なし なし ブレイク中、あらゆる判定+2 斥力空間 3 マイナー 自身 なし なし 種別:魔の特技と魔法攻撃の対象を範囲(選択)に。ラウンド一回 大いなる祈り 6 常時 自身 なし なし ブレイク中、HP回復&MP回復、ダメージ増加&軽減、行動値増加&減少を行う、種別:魔の特技と魔法装備の効果+CL 神気増幅2 7 セットアップ 自身 なし 4MP ブレイク中、ルーツ:~~の効果3倍 神器覚醒 2 アイテム 自身 なし なし ブレイク中、狐火のダメージ修正+5 大いなる怒り 6 常時 自身 なし なし ブレイク中、ダメージ+CL ゴッズアウェイク 10 セットアップ 自身 なし 16HP ブレイクしていなくても、ブレイク中しか効果のないワードの特技の効果が発生する 神器覚醒2 11 常時 自身 なし なし 狐火の魔導値修正+2、ダメージ修正+8 千変万化 1 自 メジャー 自身 なし 1MP 妖怪狐 1 常時 自身 なし なし 幽界の尾 1 魔 ダメージロール 範囲(選択) 至近 8MP ダメージ軽減。2d+2(ゴッズアウェイク+神気増幅2中2d+17)。ラウンド一回 [部分編集] ◆常備化計算 アイテム名 常備化 狐火 30 荒ぶる神威 40 闇夜のスーツ 800 管狐 100 時空マント 2 当主 3 大型施設 5 ワイズスタッフ 20 合計 1000 [部分編集] 設定 忘れられた南海の孤島・宮城島。そこで旧くから巫女を務めているフォックステイルの少女。
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くしゃりと泣いた帽子なしの吉田を描こうか。吉田を可愛がる青森の男臭さを描こうか。微笑ましいくらいに水着でいるかと戯れる、2人の女性を描こうか。 …吉田は本気で青森のことを怖がっていたし、青森は、そんな程度のことで怖がれる吉田のことを、そんな風にして育ってきた子供のことを、多分、とても可愛く思っていたのだろう。こんなことで泣けるのか。こんなことで怖がれるんだな。それがなんとも平和で可愛らしく、どんな格好をしていても下着よりさえ鋼の銃口が似合う男は、からかってしまったのだろうと思う。 切り取るのならば、どこだろう。 自分たちだけの空間、秘密基地。今だけはほかの誰もここを独占できない、自分たちだけの時間、秘密基地。そんなことを思いながらに理解されずに頭をかいた、青森の男くさい大人の郷愁を描くべきだろうか。 くつくつと面白そうに銃をぶっ放しながら、女の子たちのリアクションを見て楽しそうに自分流のくつろぎ方をしている青森。 いつでも戦場のことを忘れていない、青森。 ………… /*/ 緊張しなくてもいい時間がある。自分たちのほかに誰もやってこない場所がある。目に優しい女子供の水着姿があって、手には使える銃があり、そして俺は、リゾート中だ。 青森恭兵は、笑いながら海岸を見て、そうして口を開いてここがお前達の秘密基地ってやつかと、赤毛の少女に上機嫌そうに話を振った。もっとも、彼が笑っていることに気がつけたのはその時その場には誰もいなかったし、彼の表情筋も、笑っていることをまったく伝えはしなかった。 子供たちの引率のつもりで来たから、持参の折りたたみチェアを広げると、そこに座ってのびをする。見ている先では、浅田という、これまた年端もいかないような肌の浅黒い、青い瞳のまんまるで性格が真面目そうな少女が、同じ年の頃の少女に近寄り逃げられていた。 GUUUUUN! 無造作なトリガー。手指の延長みたいな気軽さで、銃弾が小石を跳ね滑らせる。ぽてっ。帽子をかぶった少女がこけた。水着の上からシャツを着ていて、なんとも子供らしい内気さ。まだまだ女じゃない。 きゃ、という可愛らしい声でしりもちをついた赤毛の少女の手を取りながら、青森は笑った。唇よりは喉から出るそのくつくつと押し殺したような笑い方は皮肉そうで、何に対して皮肉そうかといえば、浅田が帽子の少女と仲良くしたがっているのを婉曲なやり方でしか手助け出来ない、自分に染み付いたねじれた態度にか、それとも単に、その親切にも気付かない子供達の無垢な可愛らしさを見て自然と唇に浮かび上がった、大人になってしまった自分へか。秘密基地。自分たちだけの空間、自分たちだけの時間。ほかの、誰にもその瞬間だけは邪魔できないものがあるという小さな喜びを抱けた時期への郷愁。そんなことは、青森自身は塵とも思わなかった。思ったのかもしれないのは、今の青森じゃない。記憶は時を超える。ただ、それだけのこと。時を超える以上のことは、出来はしない。 赤毛の少女がぱらぱら小ぶりなお尻から砂を払う震動が、引き起こすためにつないだ手から伝わってくる。ま、子供でも……と、女性は女性だからな、というようなことを口にすると、少女はこれでも20は超えてますよ、と、ちょっと信じられないことを言った。うーん、この尻がか。へえ。その尻で。と、驚いてみせると、何処見てるんですかと顔まで真っ赤にして怒り出す。いやそんなことを言われても目の前で砂を払ってるしなあ。青森、笑いながら銃を抜き、亀みたいに丸まったままの吉田を見て、あらぬ方へとぶっ放した。 GUUUUUN! かつん。はじけた小石がからかうみたいに吉田の頭をつつく。笑いながら波打ち際を切って海へ入るのを、怒りながら赤毛の少女が追いかけてきた。んや。20を超えてるってのなら、少女じゃないか。扇りんく。文句を言いながらも自分について泳いでくる小柄な女性。吉田のそばで自分の行動に右往左往している浅田が真面目に怒っているのを見て思い出す。熊本武士、うちの大将に良く似てる。 独り言をしながら泳いでいると、さっきまで怒っていたのをすっかり忘れてりんくが楽しそうに話し掛けてきた。青森さんは、泳ぐのは得意なんですか? 思い出すまでもなく体に染み付いて忘れがたい、これまで同じようにざぶざぶとやってきた局面の数々。何の気もなしにそれらが口をついて言葉に代わる。まあまあだな。泥沼や川の中を歩く方が得意だが。自分の日常がどちらか比べるまでもない。おっ。海岸を見ればむくれた顔でこっちに向かってくる、いつの間にやら帽子が飛んで子供らしい顔立ちがすっかりあらわになった吉田。さーてあのお嬢ちゃん、あの足取りや態度じゃそうは泳げまい。どれ、と気を許して隣に浮かぶ女性に賭けをもちかけた。溺れるほうに10にゃんにゃん。お前さんは? 青森さんがそういうことを言うなら、私は浅田さんが助けるに100にゃんにゃんですよ。自信満々にまだ会って間もない親しくもない仲間のことを信じるりんくが、結構、可愛かった。ありていにいうなら吉田が溺れるの前提で賭けを受けているあたりが、ちょっとずれてて、なおさらいい。さぱさぱと案の定溺れた吉田の後ろに回って彼女の体をすくい上げた浅田。ま、こんなもんだろう。今度おごる。ディナーでも。 それは多分戦火の戯れ。銃弾の下でかわす冗句、明日の命をも知れない傭兵が、まずい安物の、そんなものですら暖かい分だけ御馳走な、命をつなぎ、銃を握る指先に力を集めるための不可欠大事な食事を賭ける、そのことでああ今日も笑って負けておごってやるよと言うためだけの、勝っても負けてもいい他愛のないギャンブル。 カップ麺がディナーなことを知るなりりんくは美味しい手延べうどんもって行きますからと親切なことを言い出した。お、カップ麺が育ったな。願ってもない幸運、たなからぼたもち。戦場では気軽にそういうもんは受け取って、じゃんじゃんありがたく端から忘れて消費する。幸運は、命が続いている限り、また来るものだ。 青森の食生活を心配するあまりになんだか賭けの結果を自分でおかしくしているりんくに、彼は純粋に賭けの代価をつりあげてやる。賭けの代償は公平に。なんなら実用、弾でもいいが。 なんだか赤くなったり言いよどんだり、また赤くなったり、この赤毛の女性はとてもせわしない。ぎゅーしてください。ふむ。牛丼か? そんなことを答えるかたわら、自分の振る舞いに対して本気で泣いてる可愛い吉田と、それを慰めるためになんでか本気になってる浅田を見て、青森はとても嬉しそうに笑った。他人のために本気になれる奴はいい。他人のために怒れる奴がいるのは幸せだ。そんな奴のための銃となり手榴弾となり地雷となり、まあ、要するに力になるのが、自分みたいな傭兵のしあわせだ。 牛丼か? ……違います。 がっくりするりんく。青森さん、わざとでしょう。さらりと理由を答えてやる。好かれる理由が見当たらなくてね。お前さんが俺の敵でないと、なぜ言える? これも戯れ。ざれながら、浅田とこちらを交互に見て、自分で見たものと、浅田の言ってること、どっちを信じたらいいか迷ってる吉田に、ぎらりきらりと瞳を向ける。いつも通りの目つき。生き延びるために相手を喰い殺すのに容赦なく、また、仕事を遂行するのに邪魔する相手を轢き殺すのに容赦ない、いつも通りの傭兵の目つき。 「うー…それは難しい問題ですけど。青森さんが浅田さんと吉田さんの為にしていることは、優しいことだと思うので。」 「そういう青森さんが、私は好きでここに連れてきていただきました。そのために、努力もしました。敵ではないことは誓っていえます」 真面目に答えるりんく。だから自分も真面目に答えよう。子供に優しいのは当然だ。そうでない奴は死んでもいい。笑う。ま、スパイならもう少しいい尻をしてるか。尻、尻、尻。やわらかいその内側から全体を引き締めて、体全体の動きをしめる、重要な場所だ。まとうそれぞれの特有の気配ってものは、どんなに隠しても身のこなしや体つきからわかるものだ。鍛えられてる奴、そうでない奴、何を目的に鍛えたか、どう、鍛えたか。 お尻は関係ありませんーー!!と、真っ赤になってまたもずれたつっこみを返すりんくの顔が、不意に恥じらいで今度は赤くなった。吉田も悲鳴をあげた。浅田もびくっと驚いたように辺りを見回す。真っ赤になって青森の頬をつねるりんく。素直に青森はつねられた。どうしたんだいおじょうちゃん、そんな平気な風情で、笑ってみてる。 イルカだ。 あわてて痛かったですかと詫びるりんくがおかしくて、まあ、と答えてやりながら青森は笑った。平謝りして、落ちこんで、今度はもうイルカに乗って、みんなに一緒に乗りませんかと誘うりんく。いやいや、見ているほうが。本心だった。ころころと変わるりんくの表情を見ているのは、純粋に楽しかった。ぐいっとまた腕をつかまれる。折りたたみチェアからすっころんだ時もそう。うーん、どうも弱いな。押しには。 吉田も嬉しそうにイルカを撫でて、抱きしめてる。泣いた子供がもう笑った。浅田も一緒になって、嬉しそうに撫でている。 青森、やられてばかりでいられないのも性分か、男の身体には色々あるんだ、と、フェイントをかけてからりんくをやりこめる。赤くなってイルカを降りる彼女を見ながら舌を出す。 りんく、照れながら怒り心頭で、青森さんのばかー! イルカ。きゅーと鳴いた。 浅田はくすくす笑ってる。 そんな間にも、いつの間にかイルカはするする吉田を引っ張って流れていって、さぱさぱ溺れる吉田を助けに浅田も溺れる。やれやれ。青森は2人分の体重を効率よく引っ張るために、水着の首筋をつかんで引っ張りながら助け出す。みよんとのびた水着の生地と肌色の隙間から、うん、なかなかの絶景。おっ、子供だがいい眺めじゃないか。 ぽかすかわめきながら殴ってくる吉田に対し、青森はとても嬉しそう。そうそう、子供はとりあえず元気でなくちゃな。殴り合いもできないようじゃな。人間関係なんか、出来はしない。優しく笑うと、殴るなら急所を狙え、ここだと、吉田に教え、ひょいとかわした。いいぞ。戦場はどこででもある。 生きて、育ってほしい。親が子に望むこと、たった一つ。それだけのこと。まるきり間違った、何もかも間違った、けれどもとても父親的な態度と愛情で、彼は吉田に告げた。今やるなとか、別のところでだとか。戦いはそれができないから戦いだ。きゃあきゃあと、父親心に関係ない、女の子らしい理屈でそれを止めようとして、自分の頭を固定してくる浅田と、吉田をサポートするりんくを見ながら青森は笑った。そうだ、いいぞ。そして何食わぬ顔でしゃがむと、水にもぐってあっさりパンチをかわす。ひょろりと拘束をぬけて、何事もなく海から上がり、水着を脱いだ。さあ、リゾートもひとまず終わりだ。 素っ裸のまま肩を叩かれ、青森はそのまま振り返る。 「って、ぬぐなー!」 りんくのつっこみ。浅田は吉田を目隠し。 小笠原の一日が、こうして今日もまた何事もなく平和に過ぎていった。 /*/ ~小笠原の一日:扇りんく様ご依頼SS番外編:傭兵の幸せな休日~ /*/ -The undersigned:Joker as a Clown:城 華一郎
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以前投稿させて頂きましたお話しのご意見をいただいたうえで考えた共通話7の加筆修正版です。 提督たちの憂鬱キャラがギアス並行世界に転生。 性格改変注意。 列強各国が俗に言われますパワーインフレ・スーパーインフレの様な状態になっておりますので御注意ください。 ほんの少しだけ甘い要素も混じっておりますので苦手な方は御注意ください。 ギアス原作人物の環境が原作と大きく異なっております。 共通話7 多い? 少ない? 近くて遙か遠い国高麗と、中華連邦より分離独立した清国が、清欧国境沿いに兵力を集結している最中。 自国の国益や安全保障上の問題に拘わってくることが無い以上は傍観の立場を取っていた日本にも動きはあった。 2019年4月末日、大日本帝国領竹島近海。 荒波で知られる日本海に一隻の船が浮かんでいた。 霧が立ちこめている中で見れば島と見間違えること間違いない程の巨体を誇る船だ。 その船の平らな甲板上では鉄の猛禽類が所狭しと羽を休めている。 彼らは自らの家であるその船の上でいつでも飛び立てる準備をしていた。 鉄の猛禽の名は秋水。大日本帝国という名の母によって産み出された大空を支配する鳥だ。 そして彼らをその巨体に内包している船の名は鳳凰。彼女は鳥の名を持ちながらも空ではなく大海原を支配する主である。 更に鳳凰の周りで彼女を守護するように輪陣を組む十つの影。 厳密には目視可能な範囲で十つというだけであり、目に見えない海の中に後二つの影があった。 鳳凰親衛隊とでも言うべきその十二のSP達も無論船である。 ミサイル巡洋艦 長門、陸奥、比叡、鞍馬。 ミサイル駆逐艦 新月、若月。 駆逐艦 村雨、春雨。 攻撃型潜水艦 伊806、伊809。 戦闘支援艦 足摺、襟裳。 いずれも一騎当千の勇猛果敢な女傑。そんな彼女等を引き連れ悠々と海を歩く主、航空母艦鳳凰。 彼女が率いるのはたった一つの群れでありながらも高麗海軍程度なら容易く捻り潰せるだけの戦闘力を持っている。 彼女に対抗可能な同一グループを編成できるのは精々一国であり、他に対抗できる存在を敢えて挙げるとするのならそれは同じ母より産み出されし十五人の姉妹達だけであろう。 姉妹の中には鳳凰よりも更に強い力を持った妹も居たが、同じ母を護るのが使命である為相争うこともなく時折練習試合をするのみとなっている。 その為彼女には存分に力を振るえる場が無く長い生の中全力戦闘が行えたのはたった一度だけしかないのだ。 そのたった一度矛を交えた南の国の船は似たような編成の群れを引き連れていた。だが所詮彼女の敵ではなく殆ど一方的な暴力を振るうに終わり以後退屈な余生を過ごしている。 小国を吹き飛ばす力とは良く言った物で、彼女が引き連れている群れにはやろうと思えば本当に小国の一つくらい何時でも吹き飛ばせるだけの力があった。 それだけ強大な力を持つ彼女たち鳳凰戦闘群の旗艦鳳凰の艦橋では、同艦の艦長を務めている男が気の抜けた様子で何も見えない水平線を眺めていた。 空に目を向けても基本雲以外に見える物は無く、時折偵察任務に出ているらしい空軍の疾風二式と心神が飛び去っていくくらいだ。 「静かですねぇ。盗人共の船は疎か高麗人のボロ船一隻見当たりませんよ」 艦長が声を掛けた相手は、艦長よりも上位の立場に在る帝国海軍少将の階級章を付けている。 「見つからないに越した事はないさ。この海域は日本の海なのだから見つかる様な事があれば此方の面目丸つぶれだ。清の動きで勢い付いた半島人共に馬鹿な動きをさせないようにするのが我々の役目なのだからな」 半島人とは高麗人の事である。彼らは何を考えているのか時折『竹島は高麗固有の領土』と世迷い言を口にする。 無論の事竹島は開国以前より日本固有の領土であり国際社会にも認知されていた。 しかし高麗は1948年に中華連邦より独立するまで500年もの間一地域でしかなかったにも拘わらず竹島を『日本帝国主義者に奪われた』と筋の通らぬ主張を繰り返している。 当然ながら日本は特に相手をする気など無かったが、最近の清国の動きで高麗国内が戦争機運一色に染まっている為何をしでかすか分からないからとこうして空母戦闘群まで出して武威を示していた。 まともに相手をするのも馬鹿らしいのだが裏庭である日本海で好き勝手な事をさせる訳にもいかないだろうと。 「清が妙な真似をするのは考えにくい。玉無し共の中に居る慎重なのが日本を刺激しないように動いているからな。六カ国協議も、中華よりの分離独立も、其奴が糸を引いていたと各筋からの情報でも明らかだ」 「らしいですね。まあ今まで行ってきた国民からの搾取と天子派との政争に敗れる寸前だった事を考えれば正解なのでしょう。何せあの状況で中華内に留まっていれば揃って縛り首ですから。 割とまともな判断ができる輩が玉無しの中に居たのは連中にとって幸いだったと思いますよ。中華から切り取った地域の住人、現清国民の支持率を考えれば反乱の恐れも有りませんし。 そこまで慎重な輩がトップ集団に入っている清です、高々中華から分捕った空母黒竜江一艦で日本の海に侵入等という迂闊な事はやらないでしょう」 航空母艦黒竜江。清国が唯一保有している大型正規空母。 全長 318.5m 最大幅 76.0m 吃水 10.7m 満載排水量 75,600t 主機 中華帝国製大型艦専用エナジーフィラー/同プラズマモーター機関8基 推進 スクリュー 軸数 4軸 速力 30kt 乗員 3,600名 兵装 対空ミサイルランチャー×4、30㎜機関砲(CIWS)×3、16連装対潜ロケットランチャー×2 艦載機 S-31戦闘攻撃機等50~70機+VTOL6機 中華大陸を中心に、アジアの大半を領域とする陸軍国家中華連邦には、本来10隻の大型正規空母があった(中華帝国×4。インド軍区×4。ペルシャ軍区×2)。 東方には日本と対峙する東シナ海。西方にはオセアニアと対峙するインド洋。二つの大洋の防備には強力な海上戦力が必要であり、その為の戦力拡充に勤しんできたのだ。 だが、ここまでの海軍力を持つに至る道はといえば、それは艱難辛苦の連続であった事であろう。 特に太平洋・東南アジア進出と、これらの地域を版図に加えようと目論んでいた同国と、既に大海の王者と呼ぶに相応しい大海軍を保持していた大日本帝国が衝突した、1889年8月2日開戦の日中戦争では、中華中央――中華帝国が誇る北洋・南海の両艦隊が、僅か数隻を残して海の藻屑と消え、マラッカ海峡を抜けて遙々インドより派遣されていたインド洋艦隊までもが半壊状態に追いやられており、連邦海軍消滅の危機となる事態に陥っている。 この戦争においては、およそ全体の七割となる主力艦艇を喪失し、連邦海軍は半壊。当時急速な海軍力の拡大によりオセアニアに迫らんとしていた中華連邦海軍は、中小国の海軍戦力と遜色ない程の規模にまで縮小してしまった。(壊滅した海軍の様相を目にした対日強硬派の宦官の一人は憤死。宦官と結託して武力による日本排除後、インドネシア西半分をインドの植民地にと狙っていたインド軍区代表がその地位を追われている) その後、壊滅した海軍の再建に尽力しつつも、大陸国本来の陸軍重視政策へと立ち返っていた中華連邦は、日中戦争時代よりも遥かに強大化した日本海軍が太平洋戦争において世界最大のブリタニア海軍と互角の戦いを演じるという悪夢の光景を目にした事で、再び本格的な海軍力整備へと大きく舵を切った。 基準排水量81,000tの大鳳型航空母艦。基準排水量87,000tの大和型戦艦。更にジェット戦闘機疾風・橘花・震電。日本が持つ驚異的な先進技術により生み出されたこれらが、もしも自分達へと向けられたら……。恐らく当時の中華連邦では、技術・資源・経済、国の力に直結する総ての要素を十全に生かし始め、超大国へと変貌しつつあった日本に対する漠然とした不安が世に広まっていたのであろう。 このまま手を拱いていては日本に飲み込まれる。それでなくともオセアニアの侵略を許す事になりかねない。太平洋戦争にて明らかにされた日本の真なる力は、国の政策を根本から変えざるを得ない程に中華連邦を震撼させたのだ。 もはや日中戦争時の比ではなくなってしまった強国日本。今日本と戦争と成れば中華は日本の植民地と、或いは隷属国とされるか。若しくは日本を気にして東南アジア侵攻を躊躇い始めたオセアニアが、その矛先を中華へと向けてくるのではないのか。 止め処ない不安はやがて一つの道を選択する要因となって行く。即ち、日本・ブリタニア・オセアニアの三大海軍国に対抗可能な海軍力の整備という選択だ。 この種の動きを見せていたのは、なにも中華連邦一国だけという訳では無かった。オセアニアもE.U.も、およそ他とは比較にならない規模の国力を持った大国は皆、太平洋戦争を機に、日ブへ対抗可能な空海軍力の整備を始めている。 それ程までに太平洋戦争という次世代の戦争は世界に大きな影響を与えていたのであった。 こうして各軍区、中央政府、国民が一体となり始まった、これからの時代に通用する中華連邦海軍の整備。 しかし大海軍国であり、凡そ船という物を知り尽くしている日本の様には行かず、その差は唯々広がっていくばかり。 追い付けたと思えばもう遅く、また追い付いたと思えば二段飛ばしで先へと行く。日本という国は、過去から現在まで変わらず、技術の発展速度が異様なまでに速いのだ。 本格的な正規空母を建造・完成させてもやはり性能の差は大きく、艦の大きさ、搭載機数、運用している航空機の性能、総ての面で埋められない差が厳然としてあった。 次の計画では南の大国オセアニアが近く完成させる満載100,000tに達する艦と同等の物を計画していたが、日本は既に全艦がそれ以上という、彼等から見れば理解の範疇を超えた何かと化していたため、追い付こうとする事を半ば諦めているであろうと推察出来る程に。 そういった経緯を辿り建造してきた10隻の内の貴重な一艦を奪われてしまったのだから、中華は当に踏んだり蹴ったりな目にあっている。 その貴重な一艦こそが清国に盗られた空母黒竜江。そして、これと組み合わされている護衛艦と共に構成された機動部隊1個群は、元は中華連邦海軍所属。 日中戦争、太平洋戦争、その後の日本の発展具合と戦力の整備状況。身近にあって全てを見てきたのが彼等だ。 「此方から手を出さなければ向こうは大人しくしているだろう。間違っても彼方から仕掛けてくる事はない。絶対にだ」 「彼等は日本とやればどうなるか分かっているでしょうからね。態々危険な道を選ぶ意味などありませんし」 元中華連邦海軍、現清国海軍に所属する将兵達は、過去から現在に至る苦い歴史を良く知っていた。戦争でも建艦競争でも負け続けてきたからこそ『やれば負ける』と理解している。 トップが知り現場が知る歴然たる戦力差は、唯それだけで偶発的戦闘さえも起こさせない抑止力となるのだ。そうであるが故に迂闊な行動には出ないとの確信を抱かせるに足る、ある種の信用の様な物があった。 問題は高麗の方だ。彼等についてだけはどうしても『大丈夫』と言い切れない怖さ、迂闊さがあった。清と同じく元中華連邦構成国の一国であったにも拘わらずだ。まったくと言っても過言ではない程にその行動を読むことが出来ない。 有り得ない、普通では考えられない事をやらかすその読めなさは、現場で指揮を採っている者にとっても頭が痛くなる事実。 高麗の現大統領李・承朝や軍上層部などが余りに突拍子のない発言と行動を繰り返している所為で竹島侵攻が絶対に無いとも言い切れず、こうして態々『此処は日本の海ですよ。竹島は日本の領土ですよ』と分からせる為とも言える空母戦闘群を出しての迎撃態勢まで採っているのである。 「本当に迷惑な話だ。出て来たら来たで片っ端から沈めてやる処だが……。連中は境界線に一々名札を貼り付けなければ誰の土地かも理解できないのか?」 「ブリタニアのリップサービスを真に受けて列強入りしたと騒ぐ様なのが大統領ですからねぇ。まあ仮に『竹島強奪』に出て来たとしても、旧式のSー10が相手ならば護衛艦の迎撃ミサイルか、若しくは一個飛行隊でも上げてあげればそれで終わりですよ」 高麗空軍のSー10は所詮中華連邦製S-10の型落ちでしかなく、前世代機の中でも下位に属する機体だ。中華系列の最新鋭機S-20やS-31ですら鳳凰艦載機である秋水には劣勢だというのに、旧世代の更に劣化品である高麗軍機では話にもならない。 いざ戦闘となれば大人と子供の戦い処か、鷹と雀とでも表すべき一方的な展開と成って海の藻屑と消えるであろう。 「本当に気が抜けてしまいますね伊藤閣下。戦っても戦いにならない相手だとこう何というか、物足りないと言いますか」 「まあ言いたいことは分かるが、相手が三線級とはいえ気を抜いて貰っては困るよ有賀大佐」 これを訂正した伊藤少将は肩をすくめて苦笑い。 上司と部下は緊張続く極東の海で、ただ何もない水平線を見つめていた。 * 「開戦に向けて着々と準備が進んでいるといった処ですか」 夢幻会最高意思決定機関『会合』へと上がってきた情報からは、現在清欧国境に集結している清国軍の兵力が100万を超えたと推察出来た。 「尚、大連から海参に向けて空母黒竜江とその護衛艦隊が廻航されています。中華が反応して緊張が高まるかに見えましたが、やはり清分離前の混乱の余波がまだ終息していない様子でして目立った動きはありません」 報告を上げてきた額の広い中年男性、現枢木内閣官房長官澤崎淳の声は一見落ち着いているようにも聞こえたが、実の処、先程から背中を流れ落ちる冷や汗と手の震えが止まらず緊張しっ放しであった。 此処に来るときはいつもこうなる。この、都内にあるビルの一室にて開かれている秘密の会合に、政府連絡員として訪れるときは。 「強欲な宦官達にあれだけ引っ掻き回されたのですから、国内の改革と、汚泥に塗れた元宦官派の炙り出しと浄化で手一杯であり、清と民主主義失敗者の動向に目を向けている余裕などないでしょう。 しかし海からとは。我が国の領域であると承知の上で間宮海峡を抜け、そのままオホーツクからマガダンを攻撃するつもりでしょうか?」 澤崎は、時代がかった丸い眼鏡をくっと持ち上げながら報告書に目を通す男、辻政信の一言一句を聞き漏らさないよう神経を集中させる。 何せ彼は不手際があれば自分の首など一瞬で飛ばすことが出来る様な相手なのだから。 官房長官である自分を鼻で吹き飛ばすくらいに軽くどうにか出来てしまう。それ程の大人物。 いや、凡そこの場に居る彼以外の人間全てが一律に。 「E.U.への支援など毛頭行うつもりはないが、裏庭である日本海で緊張を高められるのは願い下げだな」 「清はともかくとして、E.U.の民主主義失敗者共はもう少しまともにならんのか? あの連中のお陰で民主主義がどんどん落ちぶれていくぞ」 「まともだったら今頃は世界の大半が民主主義になっていた筈ですよ。我々が知る第一の世界のようにね」 「確かにな。だが現実は民主共和制のE.U.と高麗があの体たらく」 「それに対してブリタニアと南ブリタニア諸国は君主制で繁栄。中華は天子を頂点とした連邦国家体制で繁栄。オセアニアも属国である東アフリカやイエメンの、選挙に選ばれた大統領や首相ではなく、 思想的指導者が国権を握っている体制からして当然本体も民主主義ではなく独裁国家でしょう。日本と東南アジアくらいじゃないですか? まともに民主主義が機能しているのは」 (いいえ、恐れ多くも申し上げますが、日本も民主主義ではないと私は考えております) 山本五十六、杉山元、近衛文麿、伏見宮博恭王、そして嶋田繁太郎。澤崎は日本の真なる支配者達の言葉に思わず出掛かけた言葉を飲み込んだ。 彼だけではない。夢幻会という前世代以前の未来見の力を持っていると目されている皇族・政治家・軍人・財界の重鎮達で構成された秘密結社が超大国日本の真の中枢であると考えているのは。 彼らから政を引き継いだ今の枢木内閣で夢幻会の存在を知っている者や、予てより知っていた者は皆同じ考えを持っている。 そして、彼らは未来見の力を持つ者達を賢者であるとし、日本の政治は賢人政治であると考えていた。 「しかしながら、こう情勢が不安定化致しますと、オセアニアを始めとした民主共和制原理主義――原始民主主義圏の動きが懸念材料となってきます。彼等の出方次第ではシベリア地域に限定された戦争が、亜細亜大戦の域にまで発展してくる恐れもありますので」 「オセアニア勢力圏は過去の事例からして国際情勢の不安定化に伴い動きを活発化させている。E.U.共和主義革命、北南戦争~南ブリタニア動乱、太平洋戦争、ニューギニア戦争、ラプラタ戦争、鎖国主義でありつつも拡大の為に外征という選択肢を取ってな。次はどういった手を取ってくるか」 すっと杉山の目が澤崎を射貫く。その視線に恐怖を感じた。心の奥底を読み取ってくるかのようなその鋭い視線に。 「はっ…、万が一の東南アジア侵攻に備えて其方も手抜かりなく。現在トラック諸島とパプアニューギニアに瑞龍、大鳳、翔鶴、瑞鶴から成る四個群を配置。台湾からも即時増援が駆け付けられるよう鉄壁の防衛体制を敷いております」 視線を受けた澤崎はつまりそうになりながらも己を奮い立たせ返答する。けして手抜かりはない。これ以上にないくらいの鉄壁の体制を敷いていると。 無論やろうと思えば更なる増派も可能である。日本が保有する空母は鳳凰級10隻に改鳳凰級6隻の16隻体制。つまり最大で空母戦闘群16個群の編成が可能なのだ。 広い国土の防衛や定期メンテを考えれば16個群総てを一極に集中させることは無理だが、それでも常時8個群程をフリーハンドで動かせるのは大きく、世界に誇る日本の海軍力の象徴となっていた。 尤も、同盟国ブリタニアに至っては日本と同等クラスの航空母艦を26隻体制で、最大26個群を編成可能という、真面目に考えるのが馬鹿馬鹿しくなる程の数を揃えていたが……。 「台湾も含め南方に五個群が展開か」 「些か過剰に過ぎる気がしないでもないが、あの連中は警戒を緩めると要らぬちょっかいを掛けてくる恐れがあるから油断できんな」 「高麗と同じで動きが読みにくいですからね。一方で慎重さも持っているだけにこれだけの防衛線を構築しておけば妙な行動には出ないと思うのですが」 「高麗は高麗で飛び抜けた馬鹿が大統領な所為で読みにくい……。今この時にでも『竹島は日中戦争時に日本が奪った! 即時返還を求めると友に謝罪と賠償を要求する!』等、血迷ったことを言い出す可能性がある」 「杉山さん、高麗は深く考えてはいけません。限界を突き抜けてしまった馬鹿はある意味天才と変わらないので凡人である我々が考えるだけ無駄です。そもそも日中戦争時はまだ高麗なんてありませんし、おかしな主張を初めて暴発したときは粛々とした対処を行うのみですよ」 「もう一つの懸念は長きに渡る宦官の支配と、清国分離の際に多くの技術者や文官を引き抜かれて荒廃してしまった中華連邦か。シベリアで武力衝突が起きれば混乱の終息は更に遅れる事となる……。オセアニアの中華侵攻が現実味を帯びてきたな」 「中華国内には古代文明遺跡もあります。一応あの国も古代文明の技術を持っている関係上この機会に中華を狙ってくる可能性は無きにしも非ずかと」 「中華侵攻……絶対にないとも言い切れないか……。あったとして仕掛けるタイミングにより此方の対応も変わってくるが」 「取り敢えずの処は様子見となるでしょう。東南アジアに侵攻してくるのなら別ですが、中華についてだけ申し上げるのならば今の処は我が国が積極的に動いて同国のサポートにまわる義理もありません。といって、中華がオセアニアに飲み込まれるような事態になるのも困りものですが、あの膨大な人口を抱えた国がそう簡単に膝を屈する事もないでしょう。 但し、流れ次第では連邦崩壊に繋がる遠因と成ってしまう懸念がありますので、場合によってはアジア全体へと混乱が波及したりしないよう独自の手を打つ必要に迫られるかも知れません」 「当面は台湾・海南と、南方の護りを強化するに止めるか。しかし何故こうも我が国の周りは騒がしいのか……。これでは落ち着いてシーランド遠征へも行けんではないか」 「ああそういえば山本さん。その件についてご報告があるのをうっかり失念しておりました」 「報告? 俺個人の趣味について何を報告することがある」 「あるんですよその趣味についての苦情が。まあ率直に申し上げると、そのシーランド王政府から山本さんの賭博目的の入国を当面の間拒否させて頂きたく云々という通達がなされましてね――」 「何だとっ!? 俺はシーランドの法を犯すような事は何一つしておらんというのに、何故入国拒否にされねばならんのだっ?!」 「法を犯して無くともお前に泣かされた人達は多いと思う。お前が表舞台より引退してから何人の賭博関係者が借金に苦しんでいる事やらな。実際に何件かのカジノオーナーが破産したという噂も流れているし」 「まあいっくんですからね」 「辻よ、前々から気になっていたのだがその『いっくん』というのは何なんだ?」 「おや? まだ御存じでない方が居られる? いっくんというのはですね。ブリタニアのリーライ――」 「こっ、此処は個人的な話をする場所ではないっ! 何故シーランド入国拒否の話と俺の名前の話が――あっ…」 「名前? 名前だったのかいっくんというのは?」 「何ですかその甘そうな響きは…っ、いっくん…貴方は一体何を隠しているんだ…?」 「は、計ったな辻――――!?」 『いっくん』というのが何者かが名付けたらしき山本の名前である事が明らかとなってしまう。 途端に騒がしさが増しいっくんの意味とその名が持つ甘い響きへの追求が成されたわけだが、そうして話があさっての方向に向かい始めたとき、切っ掛けを作った張本人である辻は「さて」――と言葉を切った。 その場の誰もを黙らせてしまうような冷たい声を発した彼に、今まで騒がしかった場が潮を引いたように静まりかえる。 当の山本も、彼に同情しながらも似た様な境遇にあったりする嶋田も、この場の最上位者である伏見宮も、事あるごとに中二病の発作を起こす富永も、杉山、近衛、阿部、倉崎他、全会合メンバーが、一様に口を閉ざして視線を一点に集める。 その視線の集約点には唯一人の男が立ち尽くしており、一同皆その男に哀れみの表情を浮かべていたのだ。 (可哀想に) (彼に罪はないのに) (金に余裕が有り過ぎるからいかんのだ) (いや、金に余裕があった方が良いに決まってるだろ) (杉山さん、陸軍は貴方の管轄でしょう?) (馬鹿を言うなッ! 辻相手にあんな無茶苦茶な要望を出す訳がなかろうッ! 国防相の独断でこっちはいい迷惑だッ!) ぼそぼそ、ひそひそ、小さな呟き声が彼の耳にも確かに聞こえた。 助けて下さいと目で訴えたところで誰もが顔を逸らす。余計な事を言ってこっちまでとばっちりを喰らっては適わないと。 「×××兆9800億――」 会議場に響き渡る底冷えのする声。しっかりと見つめ合う事で良く見える辻の目は笑っていない。その手には澤崎が持参していた要望書類が握り締められている。 その手が小刻みに震えている処からして彼の負の感情が高まっているのは誰の目から観ても明らかであった。 「何ですか貴方……このフザケタ金額は?」 指摘されたのは案の定ある一点。防衛を司る組織からの要望についてだ。 「ほっ、ほほ、本年度の…っ、こ、国防予算の要望に御座います…っ、」 ガクガク震え始めた膝を押さえながら渇く喉より精一杯絞り出された言葉。哀れな子羊澤崎淳は今にも膝から崩れ落ちそうになっている。 「わ、私めと致しましてはそのっ、要求が過大に過ぎるという反対意見を閣議の際には述べたのですがっ、陸海空軍共に軍拡を推し進めているらしきオセアニアを念頭に置いた場合は圧倒的なる防衛力の整備が必要だとの主張をし始めてしまいまして収拾が…っ、」 半分涙声になっている彼の言葉の意味。それが分からぬ辻ではない。 「オセアニアの情報は私も自ら収拾しているので、予算要望に対する大凡の根拠となる処が何処にあるのかは重々承知しております」 要望書には軍の過大な予算要求の根拠となっているオセアニア軍の詳細が記載されていたが、鎖国下にある彼の国の国力指数と戦力は、専ら衛星写真による画像と、東アフリカに潜入させている諜報員からの情報が中心である。 本土への潜入は彼の国が明確な古代文明継承国の一国であること。そして同国がギアス技術を保有しているという、ブリタニアの古代文明技術機関である【嚮団】よりの注意喚起から、諜報員が逆に洗脳されたりする危険性を考慮し差し控えている為、どうしても間に一つ置く形での諜報活動となってしまうのだ。 例えそんな状況にあったとしても、かなり精度の高い情報を持ち帰ってくるところが、日本が誇る諜報機関が持つ能力の凄まじさを物語っていたが。 「作戦機13,000機、VTOL6,800機、戦車45,000両、装甲戦闘車両等作戦車両67,000両、自走砲・野戦砲25,000門、航空母艦14隻、揚陸艦艇520隻、主力水上艦艇360隻、潜水艦艇190隻、ミサイル艇・魚雷艇・哨戒艇450隻――」 読み上げられていくのは東アフリカ、イエメン、マダガスカル、南ニューギニア、旧大洋州、オセアニア本土といった、合衆国オセアニアの率いる勢力圏が自ら覆った鉄のカーテンの向こう側に展開している耳を疑う程の強大な戦力。 「そしてKMFと思わしき人型装甲騎、及びこれに近しい機動兵器が10,000騎。確かに軍が予算を増やしてくれと言うに値する大軍勢です」 その総合戦力は、たったいま議題に上がっていた清や高麗など比較にならない程膨大な物。単純な数では日本よりも遥かに多い。 夢幻会の知る平成・昭和――二つの世界には無かった同地域の豊富な天然資源と古代国家時代から続く永き歴史が、これだけの戦力を揃える事を可能とする国力を生み出しているのだ。 世界違えば資源の分布も技術体系も変化する。そう、昭和世界と平成世界では資源の乏しかった日本が、この世界では資源・技術の両面に於ける超大国として君臨しているように。 「一向に削減される様子もなく年々増加傾向に有りか。鉄のカーテンの向こう側故に確実とは言い難いが、情報精度の高さから分析して誤差の範囲を考慮しても想像を絶する数だな。世代・性能・配備数、まるでソ連軍とアメリカ軍をごちゃ混ぜにした様な戦力だが、それでいて第5世代戦闘機や3.5世代、4世代戦車なども普通に運用しているから尚タチが悪い」 「今までに無かった機体もちらほら混じっているなこのKMFらしき装甲騎には。擬きで新機種を作るのは金の無駄である以上、奴らが作り続けるこれらを擬きと一緒には考えん方が良いだろう。洗練された外観からしても純正その物か純正に近い。 少なくともジェンシーなるサザーランドの盗作品とは根本からして別物だ。大方ブリタニアの五六事変の際に一斉に炙り出されて国外逃亡した原理主義者や不穏分子も開発に関わっているのであろうが」 「実物が手に入らない事にはフンメルや鋼髏の様な擬きか純正品級かの正確な判断は付けられませんが、あのオセアニアの事ですから、恐らくは純正KMFの独自技術を我が国やブリタニアに少し遅れる形で確立していたと見て間違いなさそうです。 実際衛星写真で初めて捕らえられた当時の装甲騎は中華・E.U.の擬きが登場するよりも前ですからね。それなのに鋼髏の様な万のオーダーが無いとなれば、1騎辺りの製造コストが高いか、高度な技術を詰め込まなければならない仕様から早々万単位の数を揃えられないかとなり、イコール純正KMFの疑いが濃厚となりますので」 純正KMF1騎辺りの製造コストは戦車よりも断然高い。その分、戦闘能力は地形に左右される事はあれど戦車を大きく凌駕しているのだが、これを万のオーダーで揃えようとすれば莫大な費用が要求される事となる。 ましてや日ブが今更新中の第7世代機など、それまであった第5世代以前の機種と比較して技術面・価格面双方で段違いの高コストとなり、KMF技術すら持たない他国が数を揃えての大量導入など行おう物なら財政的に悲鳴を上げる事になるのが目に見えている。 尤もそれは、日ブがKMFの輸出を始めたらの話だが、例え輸出開始となっても第7世代機の輸出など直近では行う予定もない為、所詮は仮定の話でしかない。ともかくも、純正KMFはコストが高いという事だ。 それに比べて鋼髏やパンツァーフンメルといったKMFの類似品ならば、能力こそ低くとも低価格と量産性の高さから数を揃える事が可能。事実、中華連邦やE.U.は前者が構成国全体で鋼髏約23,000騎(配備数は多い順に中華帝国>インド軍区>ペルシャ軍区>その他) 後者がパンツァーヴェスペ・パンツァーフンメル・ガルドメア計約18,000騎(フランス・ドイツ・イタリア・ロシアが多い)といった大量配備をしていた。 二国同様東アフリカやイエメン等の大陸での勢力圏を持っている上、国力的に考えて同じ様な数を揃えられる筈のオセアニアが装甲騎10,000騎の配備に留まっているのは、その時点で純正KMFの疑いが濃厚であるという証明だと言えよう。 「流石に世代までは不明ですが、オセアニアの装甲騎が登場し始めた時期から考えて、現有の物は少なくとも第4世代強~5世代強級はあると見ています。一部は第7世代相当の可能性もあるのではと睨んでいますが恐らくこれらの混成でしょう。 我が国のダガーシリーズは5世代ですが、同じ世代でも数字上の話が宛にならないのは90式の一件で判明しておりますので、この場での優劣発言は差し控えさせて頂きます」 「要するに、やってみなければ分からないという事か。だがそれでも独力で純正KMFらしき物を開発したのは大した技術力だ。中華とE.Uが揃ってKMF擬きの中、ただ一国だけ純正品レベルの品を独力で開発して来たのだからな」 「腐っても古代文明継承国という事なのだろう。しかし一体どれだけ国の力を軍事に傾けているんだ? 現代兵器は世代が進めば進むほどに製造・維持コストも上がる故、これだけの戦力となると維持するだけでも莫大な費用が掛かっとるだろうに……。 我が国やブリタニアと本域での軍拡競争をしているのは此処くらいな物だろう? 中華、E.U.も此方への対抗としての量的戦力整備を行っているが、本音としては付き合いたくない筈だからな」 「別に日本は軍拡なんてしてませんよ。ただ必要分を揃えながら早期の大量更新を繰り返しているだけです。我が国ならばそれが可能ですので……。まあ中華とユーロピアが付き合いたくないと考えているという意見には同意ですね。 中華の黎星刻氏と話をする機会がありましたが、『日本はいつまで異常な軍拡を続けるのか』と質問されましたよ。もちろん軍拡などしておりませんとお答えしておきましたが、どうも御納得頂けてない様子でした」 「中華もそうでしょうが、E.U.など付き合う余裕その物がなくなっているでしょう。溜まりに溜まった大きなツケを現在進行形で支払っている最中ですから、軍拡をしている余裕など欠片も残されてはおりません。実際に我が方への備えとして戦力の拡充に努めてきた筈の極東ユーロピア軍は、此方に領土的野心が無いと理解してからは年々削減の対象となっておりますし、 シーランド設立に際し、欧州復権を目指すユーロブリタニアが支援に乗り出し始めた辺りからは、極東軍より引き抜いた戦力も欧州の護りに付かせています。まあ対中華で備えている中央ロシアの戦力はそのままですから、彼らにとっては日本が攻めてくる可能性が無いと分かっている以上はさして重要ではない辺境の戦力を引き抜いても問題はないという判断なのでしょうね。 ロシアとしても、本拠地である欧州側の中央政府の方が優先されるべきであると考えている事でしょうし、それが間違いであるとは申しません。何処の国も首都や本拠地の防衛こそ最優先とするのは当然ですから。 尤も、実の処はその極東も欧州本土同様に非常に重要な地域であったりするのですが、碌に調査を行ってこなかった彼らがその重要なサクラダイト鉱山に気付くことなく、よりにもよって強欲な宦官の皆さんに嗅ぎ付けられた所為で総てが裏目に出てしまいましたが。といって、此方にはそれを教えてあげる義理もありません。其処は調査を行ってこなかった彼等の怠慢であり、自業自得という面もありますので。 日本としては彼らの支配体制がこのまま終焉を迎え、友人宅に居候をしているもう一人の友人が無事欧州を取り戻す時を待つのみです。ま、あまり清の影響力が大きくなるのも困りものですが。 その辺りを考慮致しましても、何とか此方に食らい付いて来ているオセアニアの方が遥かに無視できない相手なのは確かです。彼の国の場合は此方の戦力整備にどこまでも付き合ってくる気満々の様子ですので……無理を推してでもね」 「いっその事、無理に無理を重ねて平成世界のソビエトみたいに内側からぶっ潰れてくれれば、此方としても願ったり適ったりなのだがなぁ」 オセアニアの国家予算に対する国防費の占める割合がどれ程の物かは見当も付かない。あからさまな日ブへの対決姿勢から年々軍備を拡大していくその軍事優先的な思想統制社会の断片的様相からして、まるで平成世界の旧ソ連を彷彿とさせていた。 夢幻会と辻が知る、数では最も強大であった平成世界のソビエト連邦軍。彼の軍も無理に無理を重ねて軍拡を続けていたが、その実態は張り子の虎に近い物であった。 しかし、同じ様な姿勢で日ブと対峙するオセアニアの場合は、質も含めて追い縋ってこようとしているのだから普通に考えれば頭が痛くなる処だ。ソビエトはアメリカに及ばない国力で無理を重ねた結果、国が滅ぶ要因を作ってしまった。 対してオセアニアの国力はアメリカを凌駕している為、まだ無理をしても国家が傾くところまでは行っていない模様。 軍の規模も旧世代戦車や装甲車、老朽化した一部の艦艇を除外したとしても、戦力に含まれている最新兵器類の割合や同国の国力含め、西暦2010年代のアメリカ軍を上回っている。 無論のこと、中華やE.U.もまたアメリカを超えるか同等くらいの力を持っているであろうことは疑うべくも無い。 そういった確信を抱くのは、この世界の文明が全体的に平成世界より進んでいるのと、件の二国があの世界では存在し得ない巨大連合国家であるが故の大きな国力も勘案してのこと。 そしてその二国を更に凌駕している国がオセアニアなのだ。彼の国は太平洋戦争を経験した日ブとは違い空母の運用経験が乏しかった為に、未だ満載100,000t級の航空母艦は一艦も保有するに至っていなかった。 現在運用されている空母は満載で70,000t半ばから80,000t半ばの大型正規空母の混成で、日本から見ればかなり見劣りする物であったが、間もなく完成を見る次級は恐らく鳳凰に匹敵するクラスの艦だろうとの予測が立てられている。(オセアニアが建造中の艦は基準で78,000~80,000t。満載で98,000~100,000t前後と予測されている) 日ブ以外が鳳凰級といえば少々疑問符を付けられそうではあったが、鳳凰が産声を上げたのは今から半世紀も前である事からして、経験・運用実績こそ不足気味であろうとも、日本に次ぐ国力を持ち、それでいて軍事に力を入れているらしいあの国ならば充分可能であるというのが夢幻会会合の統一見解であった。 何より空母艦載機を含む航空戦力はほぼ第5世代機、陸上戦力は3世代以降の戦車が推計12,000~15,000両、水上艦艇もイージスフライトⅡAクラスと遜色のないミサイル艦艇が70~80隻と、平成世界のアメリカを真正面から打ち破れるだけの質的量的戦力を既に保有しているだけに、そう考える方が寧ろ自然だ。 (尤もそれが実戦配備される頃といえば現在同時建造中の改鳳凰後期型――大鳳型の残り4隻が出そろうので、日本は基準100,000t超の大鳳型10隻と基準84,000tの鳳凰後期型6隻の体制となっている。大鳳後期型をベースにした基準105,000t~110,000tの次級CVX計画も進行中) 「当に脅威その物です」 これを脅威と言わずして何と言えばよいか? こんな大軍勢と正面から激突すれば、それらが持つ圧倒的物量の前に唯押し潰されるだけといった運命が口を開けて待っている事だろう。 ラプラタ戦争の一件からして裏でオセアニアと秘密協定を結んでいるらしきE.U.は別として、中華連邦やその他の小国への侵略的野心をいつ何時表出させるか分かった物では無い。 特に中華国内のペルシャ軍区には古代遺跡が存在している為、宦官との内紛で国力が低下している弱り目な同国の間隙を突いての侵攻は十分予想される事。 遺跡を活用する方法、解析して得られる技術、ギアス・コード・人体強化術といった古代文明の遺産技術を扱えるのは、日ブを除けばオセアニアのみ(完全に使いこなせるのは日ブだけだが) これを好機として更なる勢力圏拡大と共に、中華連邦ペルシャ軍区の遺跡を狙ってくるのではないか? というのが会合が出した結論であった。無論手に入れたところで日ブ両国が管理し、研究しているような最重要遺跡に比べて得られる物は少ないかも知れないのだが。 最も懸念されるべきは『秩序ある世界』構築の為に、夢幻会の知る別世界にて人を信用できなくなってしまった一人の男がやろうとしていた事と同じ、遺跡の力を使って世界を書き換えてしまうような、 彼等の思想で世界を塗り替えよう等という行動に出ないかについては、その為に必要な最重要地点である神根島遺跡が日本の内側にあるため、何らかの手段を別途保有しているというのなら別だが、余程の事が無い限り実現不可能となっている。 そう、日ブへの明確なる敵対姿勢を見せつつ散々危ないゲームを繰り返し行ってきたオセアニアであったが、それでも尚事を構える相手が日ブであった場合は事情が異なるのだ。 「脅威その物ではありますが、我が国が整備している防衛力――厳密に申し上げますと、現有戦力で充分対処可能です。無論これだけの巨大な戦力ですから万が一にも全面戦争となった場合には此方も相応の傷を負う覚悟をしなければなりませんが、アフリカに中東に南太平洋広域にと手を広げすぎているが為に、これら総てが一極に集中してくる訳でもありません。 まあ仮に日本と本気でやるつもりならば、全戦力を振り向けての総力戦体制へと移行して来ること確実でしょうが、ニューギニア戦争で一度礼儀を教えて差し上げましたので、早々迂闊な動きは見せないかと思われます」 辻に取っては此処が重要。そして澤崎に取っては此処が胃痛を併発させてしまう処でもあった。 日本は嘗て一度だけオセアニアとの本格的な海戦を経験している。数で上回っていたうえに、希代の名将山本五十六が指揮を採ったのだから勝てて当然とも言われた海戦であったが、けしてオセアニアが弱かった訳では無い。 腐っても世界第三位の大国、極端な軍拡路線により整備されてきた巨大な軍事力と、侵略性の高さも相まって、十二分すぎるほどの脅威となっていた。故に勢力圏を接するE.U.などは同国を刺激しないようにと距離を置くどころか反対に擦り寄る態度を見せ、中華連邦は不意の北進を警戒して、インド洋に面するインド・ペルシャ両軍区の護りを厳重に固めている(永の宦官達による専横でそれなりの問題は出ていたが) 日ブとて唯一挑戦する姿勢を見せ続けてきた先史時代よりの因縁を持つ相手に対し、警戒の手を緩める事は無かった。 オセアニアだけではない。何かの間違いで中・欧とも武力衝突をする可能性とてある。政治は魔物。戦争は外交の延長。国際社会では何が起こるか分からないのだから。 故に日本は万が一にも大・中・欧の列強三国と同時に戦端が開かれるような事態に陥ったときの事までをも想定しながら軍事力の整備に勤しんできたのだ。 「この膨大な戦力を、我が皇軍の“質”を含めた戦力と比較したとき、その差は果たして如何ほどの物となるか? 此処が重要なところなのです」 帝国陸海空三軍の戦闘機・爆撃機等総作戦機数が11,649機(第5世代及び一部6世代戦闘攻撃機8,267機。その他戦略爆撃機・哨戒機・輸送機・給油機・電子戦機等作戦支援機3,382機) 戦闘・輸送・汎用VTOL5,983機。計画中の物も含めた浮遊航空艦艇40隻。 KMF12,537騎(第5世代+第7世代。順次第7世代機へ更新中。他第8世代技術実証機) 90式改、10式、10式改戦車13,835両(第4世代~第4.5世代)、自走砲・野戦砲23,367門、装甲戦闘車両35,276両。 航空母艦16隻、主力水上艦艇287隻、揚陸艦艇504隻、潜水艦155隻、他補給艦・支援艦・ミサイル艇・哨戒艇・掃海艦艇等352隻。 一部を除きオセアニアに劣っている日本軍の量的戦力。戦車・装甲車・火砲の数で言えば、広大な領土を持つ陸軍国家である中華連邦やE.U.にも当然の事ながら劣る。 列強二位にして世界第二位の超大国大日本帝国が量的戦力ではブリタニア以外の列強国よりも少ないのだ。 しかしいざ、日本と他の列強三国が相対したとき、数に押されて日本軍は敗れてしまうのか? 結局は数なのか? この種の質問を他国人に対して行えば、皆一様に同じ答えを返すであろう。そんなわけがないと。 「確かに量的戦力のみに的を絞れば戦車だけでも三倍以上の差ですが、“質的戦力”を除外しての数値では正確な比率とは言えません。我が国は資源大国であると同時に技術立国でもあります。 御大層にも『技術の日本』なる異名を戴いて居りますが、よもや現行の量的戦力と“質的戦力”での防衛体制では、いざという時役に立たないとでも仰るおつもりではないでしょうね?」 「め…滅相も御座いませんっ! 我が国の防衛体制には一点の不備もない――当に辻閣下の仰られる通りに御座いますっ!」 こういった事情と、突出した国力を誇る列強が幾つもひしめいている世界情勢から、各々大量生産と配備、早期の世代更新による国防力の強化を図らなければ、力こそが正義であるこの世界を生き抜いていく事は不可能なのである。 但し此処まで極端な量的戦力――万のオーダーを揃えているのは、日・ブ・ユ・大・中・欧の他とは比較にならない大国と勢力のみであり、準列強クラスや、それ以下の中小国になると、国力的にも大きく劣る戦力となってしまう事は否めない。 いつの頃からか中東に於いて覇を唱えるようになったイラク社会主義共和国なども、E.U.・東アフリカ・イエメンといった、反君主制や民主共和制原理主義圏の国々よりの支援の下で量的戦力を突出させていたが、その主力陸上戦力の内情は所詮第2世代~2.5世代戦車と旧式装甲車、そして中東独自の装甲騎バミデスという寒い代物であった。 それでも日本の庇護下に在るクウェート以外の国に取っては脅威その物であり、ヨルダン・サウジアラビアと幾度もの武力紛争を起こして両国の一部を占領状態に置いている。(ヨルダンはマフラク東部。サウジアラビアは北部国境州・ジャウフ州・タブーク州を現在占領状態に置かれている) そんな彼の国が取っているのは形の上では紛う事なき物量攻勢。中東諸国の君主制崩壊を目指すE.U.・東アフリカ・イエメンの支援あったればこそだが、他の中東諸国ではけして真似できない、数による攻勢を可能としていたのだ。 しかしこの物量というのは、列強やその庇護下にある国が見て鼻で笑う……その程度の物でしかなかった。 結局の処、真の意味で物量攻勢が可能なのは四大列強+鎖国しているオセアニアの列強五カ国と、ユーロブリタニアを含めた六つの勢力に搾られてしまうのだ。それだけ世界の力はこれらの六勢力に集中しているとも言える。 そして総ての面で抜き出た質を揃えられるのが日ブとなる。他国が作る物を1とするならば、日本は同じだけの資金を使って3を、半歩遅れるブリタニアもそれほど時を置かずして同等の物を作り出せるのだから、中・欧はもう付いていけない。 ただ一国オセアニアだけがしつこく追い掛けているのは、それが因縁深い日ブであるからなのかも知れない物の、そのオセアニアの戦車なども数の上では45,000両と膨大だが、第3世代以降に搾れば12,000両~15,000両の間であろうと推計されている。それでも異常な保有数であったが。 尚、同じ世代であっても戦闘力の違いは出てしまう為に、他国の4世代戦車と日本の4世代戦車が=同等という訳でもない。これはニューギニア戦争時の90式戦車が同世代のオセアニア製南ニューギニア戦車を相手にして、戦いを優位に進めていたことからも証明されていた。 質まで入れた計算で導き出される数値での、大・中・欧に対する日本の優勢は揺るがず。1対3と思っていた物が、実は3対1でした。これを各国共に理解しているが為に何処も日本へ手を出さない。これが総てだ。 ×××兆5400億円。これだけの巨額の国防費を投じて整備された世界最先端の戦力は、ブリタニアを除けば右に出る物はなかった。 (本音を申し上げれば、周りが周り、世界の有り様が有り様であるからこそ此処までの巨額予算を毎年容認しているのですが、出来れば削減の方向に持って行きたいとすら考えているのですよ? しかし、この世界の有り様がそうさせてはくれない。今の日本には予算を組む余裕があり周りは2010年代のアメリカ並か、それ以上の国ばかり。まったくもってとんでも世界ですよ……。 せめてもの救いは基礎技術力の高さと豊富な資源、築き上げてきた大きな工業力のお陰で兵器の単価が低く抑えられている事ですか。その為に大量生産と早期更新が可能となっているのですから。もちろんブリタニアと蜜月関係と成った恩恵も大きいですけれどね) お金に五月蠅い辻政信が、これまで一貫してサクラダイトマネーに物を言わせた巨額の軍事費用と、短期間による兵器の一斉更新・大量生産配備を容認してきたのは、弱肉強食の論理がより強く働いているこの世界の在り方と、日本を取り巻く列強に原因があった。 夢幻会では平成・昭和に次ぐ転生先であるこの世界を“ギアス世界”または“ギアス並行世界”と呼んでいるこの世界の列強国が皆あまりにも強大すぎるのだ。 中華連邦。E.U.ユーロピア共和国連合。合衆国オセアニア。平成世界の基準に当て嵌め直せばいずれも“超大国”にカテゴライズされる国ばかりであり、これらの国々に囲まれている日本としては、否が応にも強力な軍事力を整備し続ける必要に迫られるのである。 特に計50,000両近い大量の戦車や装甲車などいの一番に削減対象とされる島国日本だが、北に神坂から千琴といったユーラシア大陸でE.U.と対峙している為、万が一の第二次日欧戦争等に備えた防衛体制も必要なのだ。 極東ユーロピア軍程度ならば大した事は無くとも、欧州全体を考えた場合、あの思い上がった白人至上主義者共には常に大きな圧力を掛けておく必要があるとして。そして第二次日欧戦争が日本として到底許す事が出来ない理由からの開戦であったのなら、最悪日本自らが強大な地上軍を投入してE.U.を無条件降伏まで追い込み解体させる為として。 これもまた夢幻会の持つ『この世界と似通った世界の知識』が関係していたが、無論そんな面倒事は無い方がいいに決まっている。誰も好き好んで広大な領土に攻め込んでの殲滅戦などやりたい訳では無いのだから。 しかし必要とあらばE.U.を、いやE.U.に限らず列強をどうにか出来るだけの強力な力を保持し続ける必要があったのだ。平和な日常を護る為にも。 * (そして万が一にも相手がブリタニアであった場合、これだけの軍事力をもってしてもまだ不足気味というのが……。本当に頭が痛くなります) 昭和世界のアメリカを相手にしていた時の苦悩が蘇ってくるようだ。幸いにしてその最大の障壁となる筈であったブリタニアは、今日では最優の同盟国となっている。 それでも技術面ではブリタニアを含めたこの世界の国々に対し先行し続ける必要があるのだ。弱肉強食のこの世界で弱き者は独力で生きることすら適わず、力の論理によってただ屍を晒す。 なればこそ、日本は常に強者で有り続けなければならない。強者でなければ今頃は太平洋戦争で敗北し、辻が知るギアス世界の日本のようになっていた可能性も考えられる。 ブリタニアの方向性が外への侵略ではなかったというのは所詮結果論に過ぎない。日本が負けて凋落していれば、今度はブリタニアに変わってオセアニアの侵略を受けていたことであろう。 もしかしたら、知らないだけでそんな世界があるのかも知れない。ブリタニアが外に向いていないとなれば、そこからまた違う流れに、歴史は世界は、分岐していくのだから。 枝分かれした世界のその中には、狂信者に抑圧された『日本民主共和国』なる“日本ではないもの”が存在していたとしても何ら不思議なことではないだろう。 (ゾッとしますよそんな日本になっていたとしたならば……) 日本が強者で有り続けたからこそ、こうして今の平和を享受することが出来ている。 故に世界第二位の超大国としてその平和を維持する為に必要だというのならば、幾らでも予算を認めよう。 アメリカに数倍する工業力、世界で一,二を争う経済力、世界第一位の科学技術力をフル活用して、各種兵器の短期間での一斉更新、大量生産、大量配備を容認しよう。 それが安定した今と、そして平和で豊かな未来へ繋がるというのならば、金に糸目を付けるつもりはない。 (しかしですね。物には限度というものがあります) だがこれは違う。現時点で十分なのに唯あれが欲しい、これが欲しい、もっと欲しい、と駄々を捏ねているだけだ。 この先、更に兵器の単価が上がれば別だが、今揃えている分の戦力の維持費と大量更新・大量生産は今の予算枠でも充分賄えている。 ならばどうして巨額の国防予算増大を目指すのか? その答えなど言わずとも分かる。要はブリタニア並みの量的戦力を! という話なのであった。 世界最強のブリタニアが整備している戦力を目にして欲が出るのは分からないでもなかったが、実現させようとこんなプランを持参してくるのは頂けない。 「必要であるからこそ毎年巨額の予算を承認してきましたが、しかし×××兆9800億もの予算を組んでまで整備しようという戦力が今の時点で必要だと思いますか? ブリタニアではあるまいしあまりに過剰に過ぎます。そもそもにして前年比30%増の国防予算など……私に喧嘩を売っているとしか思えないのですが?」 「だ、断じてその様な事はッッ!」 「その様な事があるから指摘しているのですよ」 「ッッ――!」 真っ青な顔で土下座する勢いの澤崎に、会合メンバー達は各々の思うところを口にしていく。 「まあブリタニアならば正しく一線級の質で我が国の三倍四倍といった数の戦力を揃えていますけど、あそこは別格ですからねぇ」 「ブリタニアと数で張り合おうなんて無茶です不可能です。太平洋戦争時の細かい検証を終えた今、良くドローに持って行けたなという答えが出て居りますので」 「ブリタニアは鳳凰級~改鳳凰級前期クラスの空母26隻体制に対し、日本は改鳳凰改良型という最新鋭艦こそあれど16隻体制……。哀しいかな、所詮日本は数が少なく物量での勝負も出来ない故に、今まで通り質・技術で先を行く以外にない……これも、持たざる者故の宿命か」 「……すまん。海軍で実際に艦隊を動かしてきた俺の立場からは、どう頭を悩ませながら考えても今の日本の戦力が少ないとは思えんのだが。それにブリタニアを基準にしたのならば、世界中どこの国でも少ないとなってしまうではないか」 「皆こっちに来てから感覚が麻痺してしまったのではないのかね? 我が国の戦力で数が少ない、量より質で勝負! とかいって嘆いていたら、某お米の国より怒られてしまうぞ」 「いえ、中華とE.U.にも怒られます。量が足りないというのは単なる錯覚なのです。戦車・装甲戦闘車両・予備役の無頼改まで含めたKMFの合計で約71,000。哨戒艇等の小型船舶まで含めた海軍艦艇1,300。8,000機以上の戦闘機・攻撃機を含めた主要作戦機11,000。 これら総てが世界に先行した最新鋭の物ばかりなのですよ? これで少ないとか小さいとか感じたのならば、それはサクラダイト溢れる我が国特有の金銭感覚の麻痺と同じであるだけの事かと……。質を考慮して計算し直せば現有戦力の巨大さが分かると思います」 「此処の列強は揃いも揃ってお米さんか、お米さん以上の国ばかりですからね。まあ質にしろ数にしろ軍事費にしろ、おかしな事になってしまうのは仕方がない。それが可能だという国情を喜ぶべきか、将又そうせざるを得ないこの優しくも厳しい世界を恨むべきか」 「その米以上のオセアニアの戦力がこの様に強大であるからして今回の要望も分からん事はないが、×××兆9800億という国防予算を国民にどう納得させるつもりなのかね」 「米を基準に出してもそれはそれでおかしいですよ。ブリタニアに比して小さい我が国でも物量・技術の両面で米を圧倒できますから。米と同等か米以上の国が我が国合わせて五カ国、ユーロブリタニアを入れたら六カ国もあるのが感覚麻痺の原因です」 「その他の要素としては技術力の高さと生産力の大きさ、兵器の単価がある程度抑えられている処ですか。といいましても、やはりサクラダイトの埋蔵量と加工技術の高さこそが一番大きな処でしょうけれど」 「日本は国土全体が資源の塊みたいな国ですからねぇ」 無論、本当にやる気ならば、無限に掘り出せるサクラダイトを武器とし、日本の生産力をフルに発揮する事で、ブリタニア程とは言わずともある程度までなら数すらも揃えられよう。今回の要望書、要求ではなく陳情の内容を観てもそれは明らか。 各省庁の官僚達や、現政権の閣僚達も、財政的余裕も無しに過大な予算の要望を行うような馬鹿ではない。あくまでも可能であると知っているからこその要望だ。 そして可能だからこそ行われたその要望には×××兆9800億という予算要求以外に、改鳳凰級空母調達数を予定より増やしての空母24隻体制、第7世代機で統一したKMF20,000騎――予備役に回される事になる5世代機含めての30,000騎体制を皮切りとした、超軍拡路線な内容が所狭しと書き綴られており、目を通す辻の神経を逆なでしている。 「中華やE.U.を凌駕すると考えられます南半球の古代文明継承覇権国家が油断ならない相手なのは間違い有りません。私を含む我々会合は常々その動向を注視しています」 日本は同盟国ブリタニアと歩調を合わせてかの国が発している思想の浸透や輸出を阻止し、鉄のカーテン(オセアニアとその影響圏)の向こう側から出てこさせないような策をとり続けている。 太平洋戦争前から戦後暫くの間は対ブリタニアを見据え、ブリタニアと同盟関係と成ってより現在までは対オセアニアに、白人優越主義の総本山E.U.。大宦官の専横続く中華連邦までをも見据えた全方位に対応可能な戦力の整備を行ってきたのだ。 巨大な列強諸国を相手にした2桁増どころでは済まない国防予算の増大には、サクラダイトが保証する国家財政の異常黒字により目を瞑り続けてきた。 だが、これで物足りない不十分だと言われたら、今まで必死にやってきた努力を全否定されたような物だ。そんな事を言われた(言ってないがそう聞こえた)上に、金があるからちょっとくらい良いじゃないですかとフザケタ要望書を提出されて、「はいそうですか」と許可するような辻ではない。 金があるからという理由は辻が最も嫌う言い訳の類である。金は無限ではなく有限であり、何よりも国民が国を信用し納めている大切な税金なのだから、無駄に支出できるお金など1円たりとて無いのだ。 何より今更領土拡張を目指した戦争を始める訳でもなければ、列強国を相手にするには充分すぎる戦力があるというのに、無意味な軍拡を目指しての前年比30%増となる国防予算などを組んで国民にどう説明するというのか? 兵器を新規に建造し常備戦力も増やせばその分だけ維持費も割り増しとなり、それが更なる軍事費の増大を招く。最良の形を整えているというのに、多くを目指して無為な拡大路線へと直走っていては、金が幾らあっても足りない。今現在でさえ異常な更新速度と大量配備だというのに……。 やれるからやろうと、やれるけどやらないの違いだ。今切羽詰まった国家的危機に直面している、または近い将来に直面する予測が立っているのであれば話は違ってくるのだが、今のところ何処かが戦争を仕掛けてくる環境にはない為に、これ以上数を増やす必要はない。辻が出したのはそんな当たり前の解であった。 そもそも論として、ブリタニアを目指した量的導入など幾ら何でも無茶無謀である。彼の国に対し唯一勝っているのは技術面であって、物量という意味では完全に負けているのだから。この世界の軍事力や国力をインフレさせている原因となっているのは間違いなくブリタニアだ。 彼の国の存在があるからこそ、各国共に強く大きくならざるを得ない。日ブ以外の国からすれば日本も同じだと言われそうな処ではあったが。 今更の話だが、中華もE.U.もオセアニアも、嘗ての戦争で日本相手に完全敗北している。 これらの国々が戦力の整備に何処を観ているのかと問われれば、第一にブリタニアの名が浮上するのは当然の事として、同列一位で日本の名も挙がるのだ。 列強各国は何もブリタニアだけを恐れているのではない。日本という異常技術と異常なサクラダイト埋蔵量を誇る超大国もまた同様に恐れられているのだ。列強国を悉く撃破して超大国ブリタニアと引き分けた過去を持つ第二の超大国を。 清が過大で命知らずな要求をした事(樺太は固有の云々)が世界に知れ渡ったときなど、世界中の国が「凄いことを言うな」と関心を示し、また同時に日本相手の虚勢など命知らずなと呆れた程だ。 日本と戦争状態に突入する。これは列強を含めた世界の国々に取って致命的とも言える外交の失敗なのだから。 そう、ブリタニアですら日本と戦争すれば多大な犠牲を払う事になると恐れる程に……。 それはさておき。今はこの巨額の国防予算を認めるか否かが重要である。無論言うまでもなく否であったが。 「さて、澤崎さん」 「はッ、はいッ!」 「結論から申し上げますと、こんなフザケタ予算を断じて認める事は出来ません。私の言っている意味がお分かりですね?」 「む、無論でありますッ! 早急に予算の組み直しをッ!」 逆鱗に触れられた魔王の静かな怒りが収まるまで生きた心地がしない澤崎淳は、伏見宮、近衛、嶋田、杉山、東条、阿部、冨永、倉崎、山本等々といった会合の面々よりの生温かい同情の視線を受けながら、唯々辻に頭を下げ続けるのであった。 * 「ぁぁ…寿命が縮む……。あの方々の話は分からない単語が多いし皆様方一人一人もの凄い威圧感を感じるから精神的に堪える……」 報告を終えた澤崎は足取りもおぼつかない様子で一人静かに会議室から抜け出してきた。 此処に来る度いつも思うことがある。自分のような小物に夢幻会との連絡員等という大役は荷が重すぎると。 まして今回のような軍の動きや各国の動向には留まらない国家予算の話を、特に国防予算の報告をするときが一番胃に堪える。 「だから言ったんだこんな予算は通過しないと……」 年々増加の一途を辿る軍事費はKMFという新世代兵器の開発と大量導入以後加速度的に膨れあがり、去年の段階で×××兆5400億円にまで達していた。 普通の国なら到底有り得ないこの国防費は、世界の七割という異常な量のサクラダイトを唯一国で独占し掘り起こしている金満超大国大日本ならではの物。 これを超えるのはそれこそ同盟国ブリタニアだけであり、緊縮財政中のユーロピアと中華連邦の軍事費を足してもまだ日本一国の方が上である程に莫大な金額だ。 しかし、それでいてGDP比5%内というから日ブの経済力はおかしいとしか言えなかった。それだけ財政的な余裕がある証拠なのだが、その事実が各省庁に無茶な要求をさせると言おうか、時に変な欲望を抱かせてしまうのだ。 特に今年度は第7世代KMFの量産機が正式に認可、大量生産体制への移行を開始したが故に、これより先の国防費用も更なる増加へ向かうからと、海軍が空母や戦闘艦艇をブリタニア並みに増やしたいと主張し始めたのを皮切りに、 陸軍・空軍もKMF・戦車・航空機・浮遊航空艦艇の大量導入を言い出して予算の見積もりが膨れに膨れあがってしまった。 だが国家予算の裁可を下すのはあの辻政信。国家財政の全権は今尚彼が握っている。幾らお金が有り余っているからといって無駄を許さない彼がこんな無茶な予算の要求を許可する筈は無いのだ。 今や与党の幹部クラスは誰もが周知している筈なのに、有り余るサクラダイトマネーに目が眩んで「我が我が」と勇み足になった結果、物の見事に却下されてしまった。 「あの馬鹿共が…ッ、国防予算だけ前年比30%増の×××兆9800億円など通る訳が無いだろうッッ! 枢木もヴィ家の方々と大切な会談があるとかいって単に食事に行ってるだけだし何故私ばかりがこんな目にっ?! 辻閣下に裁可を仰ぐ私の身にもなれッ!!」 (唯でさえ痩せ気味だというのに最近特にやつれたような……。おまけに額が後退して来ているように感じるのは気のせいであろうか? この間は医者から胃潰瘍だと診断されたし…。血尿も出るし……。よし、こうなったら今度の閣僚会議で会合の方々との調整役を交代出来ないか提案してやろう。 日本の中枢であるあの方々との調整役に抜擢されるなど名誉なことなのだから進んでやりたいという輩も居る筈だ。大体調整役が私と枢木だけというのがおかしかったのだ。 これは逃げではない。断じて逃げではないぞ。栄誉有る夢幻会会合との調整役を私と枢木で独占しているのは良くないので、他の者にも平等に機会を与えるべきだという極めて謙虚な気持ちなのだっ!) そうやって考えを巡らせながらチクチクする胃を押さえていた彼の背後にある扉が音もなく開いたのは、思考が途絶えた直後の事であった。 「待ってください澤崎さん」 「~~~っ!?」 ギョッと驚き振り向いた彼の憔悴した目に映し出されたのは……丸眼鏡の男性。つい先程お叱りを戴いた相手――前嶋田内閣No.2の辻政信だった。 「は、はっ!? 何用でありましょうかっ!」 噂をすれば何とやらで現われた辻に、先程身も凍る様な視線と心が破壊されそうな冷たい声で叱責を受けたばかりの澤崎は、直立不動の体勢で元気よく返事をした。 「いえ、随分とお顔の色が優れないようでしたのできちんと眠れているのかと思いましてね。政治家という職業は因果な物で、肉体労働のような激しい運動による疲労こそありませんが、代りに精神的な疲労が他の職業と違い群を抜いていますからね。ましてや真面目な我が国の与党の政治家、それも官房長官等という大役に就いて居られる貴方の場合は特に」 「は? え……ああ、その、私の様な者を高く評価して頂き真に恐悦至極ではあるのですが……。実は閣下の仰います様に、ここ最近特に寝不足気味で御座いまして……」 政治家なのだから寝る間も惜しみ働くのは当たり前のことであるし、けして苦と思った事などない。しかし、人生余裕を持って生きてきたかと言えばそれは否である。 そもそもにして自分の人生には余裕がなさ過ぎであった。学生時代は勉強勉強勉強と、当に勉強付けの毎日。外務省に入ってからも仕事仕事の連続で遊びに行く余裕もない。 六年ほど前から喫茶兼BARである行き付けの店『夢幻の旅人』で知り合い、毎夜共に飲んでいる内に意気投合してお互いの身の上話までするようになった年下の飲み友達井上直美には『このままじゃ危ないわね……』とか、頭頂部を覗き込まれて忠告されてしまうし。 自分の後を継がせて外務官僚から政治家へ、行く行くは国務大臣にと考えていた息子の幸麿は軍人の道へと進んでしまうし。擦れ違いが多い妻とは別居状態に突入してしまうし……。 神経性胃炎に胃潰瘍。ストレスから来ているであろう血尿と吐血。健康不安も盛り沢山だがどうする事も出来ず。 特に美容やメイクに詳しい直美からの『このままでは禿る』という忠告を聞いた時など次回の衆議院総選挙では出馬を辞退し、今まで必死に溜め込んできた貯金でもって隠退生活でも始めようかと考えたくらいだ。 まだ隠居するような歳でもなかったがストレスにより他界など御免だとして。 (本当にそうしようか……。今まで貯めた分でも普通に生活していれば一生遊んで暮らせるし……。しがらみがなくなれば精神的・肉体的健康不安に悩まされることもなくなる。そうすれば毎日快眠が約束されて……) * (それに一番の寝不足要因は自身の私生活には非ず。言わずもがなこの方々との調整役となってよりの物だから、辞めればもう縁が切れて……) 考えるのは自由だが、それをけして表に出さないよう飲み込んだ彼に対し辻は態とらしく手を打つと、「それはいけません」と言いながら、懐より一つの箱を取り出した。 「もし宜しければコレを差し上げますので就寝前にでも食べてみてください」 差し出されたのは四角く平たい缶箱だった。 赤や緑、色とりどりな飴の絵が描かれたそれには覚えがある。 幼い頃に良く食べたトクマ式ドロップスだ。 「トクマ式ドロップスですか?」 「ええ、厳密には夢見ドロップスという物です。人から頼まれて私が考案した夢見が良くなる快眠効果抜群の飴です。実を申しますと今この飴は試験運用しておりましてね、普段お世話になっている方に無料でお配りしているのですよ。 貴方も我々と与党議員や閣僚達の間に立って色々と気苦労が絶えないでしょうから、ささやかな贈り物ですがどうぞ受け取って下さい」 試験運用と聞いた瞬間に少し不安が過ぎった澤崎であったが、辻より差し出された物を受け取らないわけにも行かず――。 「あ、有り難く頂戴致します、」 結局彼はその怪しげな飴玉が詰まった缶箱を受け取ってしまうのであった。 その後――。 「お前は日本の戦力を見てどう思う?」 山本が問うたのはブリタニア人から見た日本の戦力と物量。 リーライナは軍人であるが故に率直な意見を述べるであろうと思い聞いてみたわけだが。 「そうねぇ……。他の列強国は技術面で劣るからこの際数があっても無視することになるけれど、そこを踏まえて日本軍を数値で見た場合、私的には多い方だと思うわ」 「ほう。少ないではなくか?」 「ええ。技術の面では文句なしに抜き出ているから数だけで戦力を計る事は出来ないしね。質を抜きにしてもE.U.辺りと物量勝負をすれば日本が勝つのは間違いないもの。けれど、私みたいな若輩者にそんなことを聞かなくても、いっくん大提督なら分かっているのでしょう?」 「まあそれはそうなのだがな。ただ第三者の意見を聞きたかっただけだ。やはり俺の感覚の方が正常だったようだが」 「えっ、何の話?」 「要約するとお前の祖国が巨大すぎて、此方の感覚が麻痺しているということだ」 「…?」 山本は良く分からないといった様子の彼女を抱き寄せて頭を撫でてやりながら、より率直に答えてみせた。 「サクラダイト以外の多い少ないを考えるときにブリタニアを参考にしてはいかんという話だ」 思うところを伝えた彼は、理不尽すぎる大帝国のあまりの巨大さに溜息を付く。 一方、恋人がいったい何を悩み憂いているのかの答えに未だ到達しえない大きすぎる国の伯爵令嬢は、彼がそうしてくれているように彼の頭を撫でてみた。 「いっくんのこの毬栗頭の中は何に付いてお悩みなのかしら」 「ブリタニアの可憐なお貴族様には少々分かり辛い事であると思ってくれればいい」 「なによそれ」 彼女は翠玉の瞳で彼の黒目を覗き込みながら、その唇をそっと塞ぐ。 「ん――」 触れ合った唇はただ制止したまま動かされることはなく、互いの腰に回された手もその位置から移動する事はない。 「……」 感じられるのはしっとりとした唇の味わい。触れ合わされるだけの唇は湿ってはいてもそれ以上ではなく、程良い温かさと感触を分かち合えている。 「……」 10…20…30……。通常、人間の限界と言われる無呼吸状態は個人差による違いこそあれ凡そ2分前後。呼吸器官に関係する部位を塞いでおけばその僅かな時間で人は苦しむ事となる。だが、いま塞がっているのは互いの唇のみ。 呼吸は鼻から行えば良く、このままでいても窒息したりする事は無い。故に、こうして幾らでも口付け続けていられたのだが、しかしそうはならず。 甘く切なく心地良い……ほんの僅かなこの時間。 好きという気持ちをそのままの形で表現していたリーライナは、一時の後にすっと静かに離れる。 そして、頬を少しだけ赤らめたまま、山本に微笑み、呟いた。 「いまブリタニアが巨大だとかで溜息を付いていたけれど」 「けれど、なんだ?」 「私から言わせれば、ブリタニアと張り合ってきた日本も凄く大きな国としか思えないわ」 「……」 一と二の差は大きすぎる。だが日本の戦力は大きい方。但しブリタニアを基準にしたら少ないという山本。 一と二の差は大きいかも知れない。でも日本の戦力は大きい。それはブリタニア人から見ても変わらないというリーライナ。 平行線を辿りだした二人の意見。それは両方共に正解であり、両方共に間違えている。 これは所詮、大多数を構成する第三の視点から見て初めて平均的な答えとなるのだから。 世界中の国々の意見を集約して初めて分かる事がある。 一位,二位と三・四・五位。六勢力とその他の勢力。二大超大国+一勢力とその他全世界。 それぞれの見方によって異なる大きい小さい、多い少ないの認識。 大日本帝国軍総合戦力は多いか? 少ないか? 日本は巨大国家なのか? それともブリタニア以外のその他に当て嵌まる一大国か? 将又、そのどれでもない普通の国なのか? 総ての答えは、世界の認識と歴史の中にこそ存在していた。 終わりです。 以下はSSではありません。
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なんか2人の口調に違和感w -- (名無しさん) 2012-11-03 20 56 36
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概要 簡易一覧表このクエストでてにはいる妖精シリーズ 情報提供お待ちしています! 開催期間は (第1回目)2015/05/20 15 00~05/24 23 59まで。 (第2回目)2015/08/05 15 00~08/09 23 59まで。 ※バナーは第1回目のものを使用しています。 概要 「【★6】アルベルト」への進化素材が貰えるイベント。 全5話のストーリークエスト。 第1話をクリアすると、「【★4】アルベルト」が手に入り、 ストーリーを最後までクリアする(エピローグを見る)と初回のみ「【★6】赤の薬草」が手に入る。 各クエストでは一定確率で専用へんしん素材「【★6】赤の薬草」が手に入る。 第1話から順にクリアすることで次のステージが選択可能。いきなり第5話を選択等はできない。 幕間でまんざいデモ→各ステージ→(ステージ中、ボス戦前に)まんざいデモ→ボス戦の流れ。 またサポートはアルベルトで固定されている。アルベルトのリーダースキルにより時々緑カードの攻撃が遅れるので、優先順位を「ターン数少ない順」にすると無駄がない。 また各話の初回クリアで【★6】あかい王冠ぷよがプレゼントボックスに届く。 第2話で1個。順次増えていき、第5話では4個貰え、全話クリアする事で合計10個入手可能。 【★4】アルベルトをはじめとする【★6】あかい王冠ぷよ等、プレゼントボックスに届く商品は 一人一回までとなっている。第1回目ですでに受取済の場合は第2回目で受取ることは出来ないので注意が必要。 アルベルトを、 ★4から★5に進化させるには【★3】あかぷよゼリー・【★4】あかぷよゼリーx2・【★5】あかぷよゼリーが必要。 ★5から★6に進化させるには【★6】赤の薬草x5が必要。 恋するルルーや飲茶屋のドラコ等のイベント★6カードと違い、経験値テーブルが緩和されていないので 初心者の場合は(たとえ必要素材を全て手に入れたとしても)★6にするのはかなり時間がかかる。 ステータスが実用的な値になる★5なら作るのは簡単なので、ゲームを始めたばかりの初心者は★5を目標に頑張るといい。 尚★6赤の薬草は王冠ぷよと同じ経験値を得ることができる。 簡易一覧表 このクエストでてにはいる妖精シリーズ 第1話:魔法の妖精 第2話:すばやさの妖精 第3話:光の妖精 第4話:技の妖精 第5話:自由の妖精 【第1話】 道中ドロップ ボス 【★3】あかいパプリス体力 38033/攻撃 510/回復 360/ターン 2【★3】あおいパプリス体力 26623/攻撃 421/回復 252/ターン 1【★3】みどりパプリス体力 38033/攻撃 510/回復 360/ターン 2 【★2】各色大ぷよ【★3】各色岩ぷよ【★4】各色星ぷよ 中ボス(ステージ3) 【★4】あかい星ぷよx3攻撃 785/ターン 2 やる気 20 ぷよ勝負 6 経験値 300 コイン単価 なし ボスドロップ ステージコイン 1000 【★3】あかぷよゼリー【★4】あかい星ぷよ【★6】赤の薬草 サポート 【★4】アルベルト Lv50 備考 【第2話】 道中ドロップ ボス 【★5】コカトリス体力 135000/攻撃 1011/回復 900/ターン 2【★5】イエローうみうし体力 67500/攻撃 722/回復 900/ターン 1 【★2】各色大ぷよ【★3】各色岩ぷよ【★4】各色星ぷよ【★5】各色月ぷよ 中ボス(ステージ3) 【★5】あかい月ぷよx3攻撃 1246/ターン 2 やる気 30 ぷよ勝負 6 経験値 480 コイン単価 なし ボスドロップ ステージコイン 1500 【★3】あかぷよゼリー【★4】あかぷよゼリー【★4】あかい星ぷよ【★5】あかい月ぷよ【★6】赤の薬草 サポート 【★4】アルベルト LvMAX 備考 【第3話】 道中ドロップ ボス 【★5】サキュバス体力 389233/攻撃 1286(全体)/回復 4800/ターン 1先制おじゃまぷよ化(10個)→2T→攻撃→2T→回復→1T 【★3】各色岩ぷよ【★4】各色星ぷよ【★5】各色月ぷよ 中ボス(ステージ3) 【★5】あかい月ぷよx3【★5】あかい月ぷよ・【★5】みどり月ぷよx2のどちらかあか=攻撃 1676/ターン 2・みどり=攻撃 1376/ターン 2 やる気 40 ぷよ勝負 6 経験値 640 コイン単価 なし ボスドロップ ステージコイン 2000 【★4】あかぷよゼリー【★5】あかぷよゼリー【★6】赤の薬草 サポート 【★5】アルベルト Lv75 備考 【第4話】 道中ドロップ ボス 【★5】ジャァーン体力 519056/攻撃 2220/回復 3600/ターン 13体スキル発動必要ぷよ数増加(10個)→3T→攻撃→1T【★5】パノッティ体力 378831/攻撃 1187/回復 3600/ターン 13体混乱(3T)→3T→攻撃→1T 【★3】各色岩ぷよ【★4】各色星ぷよ【★5】各色月ぷよ 中ボス(ステージ3) 【★5】あかい月ぷよx4【★5】あかい月ぷよ×2・【★5】みどり月ぷよ×2のどちらかあか=攻撃 2035/ターン 2・みどり=攻撃 1675/ターン 2 やる気 50 ぷよ勝負 7 経験値 1200 コイン単価 なし ボスドロップ ステージコイン 3000 【★5】あかぷよゼリー【★6】あかぷよゼリー【★6】赤の薬草 サポート 【★5】アルベルト Lv90 備考 【第5話】 道中ドロップ ボス 【★5】ミリアム体力 967774/攻撃 1316(全体)/回復 5200/ターン 1封印盾/混乱盾/先制3体毒(3T)→2T→攻撃→2T→3体毒(2T)→2T【★5】チラビット体力 655902/攻撃 2206/回復 5200/ターン 12体麻痺(3T)→3T→攻撃→1T 【★3】各色岩ぷよ【★4】各色星ぷよ【★5】各色月ぷよ【★6】あかい王冠ぷよ 中ボス(ステージ4) 【★6】あかい王冠ぷよ×4【★6】みどり王冠ぷよ×2・【★6】あかい王冠ぷよ×2のどちらかあか=攻撃 2903/ターン 2・みどり=攻撃 2503/ターン 2 やる気 50 ぷよ勝負 7 経験値 1500 コイン単価 なし ボスドロップ ステージコイン 5000 【★5】あかぷよゼリー【★6】あかぷよゼリー【★6】赤の薬草 サポート 【★6】アルベルト Lv80 備考 先制の毒はターン経過しないので、2Tではなく3Tとなる。 ※戦闘開始時の敵の行動ターンはランダムで前後します。 情報提供お待ちしています! 前回からのコピペ作成 -- 名無しさん (2015-05-15 17 48 54) 作成乙っす。まさかSQのメインに魔法使いシリーズが起用されるとは…。 -- 名無しさん (2015-05-15 17 51 05) 使える子になるとイイネ。☆6への素材は公式に出てたので「暫定」消しました -- 名無しさん (2015-05-15 18 57 54) もし使えないままであっても、クリアすればあかぷよゼリーが貰えるため、素材集めとして利用できる。そもそも同色にドッペルゲンガーアルルがいることがアルベルトが使えない最大の要因であるが、それを持ってなくてもスキルが・・・ -- 名無しさん (2015-05-15 22 18 36) 派生でもなんでもなく普通のとかどうするんだよ・・・・ -- 名無しさん (2015-05-15 23 38 44) 魔法使えないさんの中じゃ一番いらない奴の強化きたな。赤はガールズ天国だというに。 -- 名無しさん (2015-05-16 02 25 32) あと4体の魔法使いイベントも確定的なので頑張れよ -- 名無しさん (2015-05-16 08 36 14) 魔法使えないはこの程度の強化じゃ雑魚を抜け出せないだろう。チャンぷよ消費しないなら今の倍率が適正かもしれないけど、チャンぷよ消費するなら☆6で4倍5倍にならないと釣り合いが取れない。 -- 名無しさん (2015-05-16 11 22 24) オリキャラでしかも使えない奴筆頭でストクエ組むとか・・・ -- 名無しさん (2015-05-16 14 28 51) 一周して王冠ぷよ -- 名無しさん (2015-05-16 15 59 51) ↑続きw のプレゼント(あるかな?)もらったらあと放置だなこりゃw -- 名無しさん (2015-05-16 16 00 59) 赤はケンタッキーで優遇されてるんだから他の色なら周回すんだけどなあ -- 名無しさん (2015-05-16 17 15 56) ★6あかぷよゼリーをへんしん素材として使うカードって何がある? -- 名無し (2015-05-17 16 38 49) 龍神だけだな -- 名無しさん (2015-05-17 17 08 43) こんなにやる気が起きないイベントも珍しいよ、魔法使えないもいらないし、ゼリーもいらない飴よこせ -- 名無しさん (2015-05-18 00 54 28) 龍神赤さんのために☆6ゼリー欲しい俺ガイル -- 名無しさん (2015-05-18 08 38 30) 人気投票の結果がQSに反映されると思っていた時代が私にもありました なんでTOP10の奴らじゃダメだったんだ -- 名無しさん (2015-05-18 09 59 07) 人気投票の結果を踏まえて不人気キャラのイメージアップを計ります -- 名無しさん (2015-05-18 12 24 43) 漁師並みに強くしないと人気にはなれない -- 名無しさん (2015-05-18 13 57 25) ↑2産廃の特集あくしろよ(暴言) 割と本気で魔法使えないさんは公式の推しが露骨すぎてナンダカナー・・真魔導のラグナス並みだぞこれ -- 名無しさん (2015-05-18 15 13 33) KFCコラボでスキル上げ用に星4コックレムレスの在庫作ったなら適度に周回してもいいかも。高ランカーはまず全クリして、それから後のことを考えればいい。専用素材は全クリで必ず図鑑埋めできるし -- 名無しさん (2015-05-18 18 48 15) 紫だったら少し考えたけどな。しかしサポも☆6が必須じゃあちょっとねえ。 -- 名無しさん (2015-05-18 20 38 49) ↑3さすがに真・魔導のメアリー・スーと比べたら失礼…アンチは同じくらい生むかもだが -- 名無しさん (2015-05-18 20 48 49) 特殊素材さがし辛口がクリアできない人にとっては★5以上のゼリーが、激辛がクリアできない人にとっては★6のゼリーが手に入るイベントという点では有用。ただ、このイベントのみで★6に出来ない赤攻撃タイプの方が多いのが欠点(可能2種、不可能3種)。 -- 名無しさん (2015-05-18 21 42 56) 大して強くないから全員に配布しても問題ないとか、サポート固定して強引に使わせれば新しい使い方発見してくれるかもとか、そんな考えではないかと疑っている。 -- 名無しさん (2015-05-19 15 54 13) 公式のゴリ押しっぷりを踏まえると、魔法使いシリーズが他のシリーズより先にボイスが実装されてもおかしくない勢い…。 -- 名無しさん (2015-05-19 21 41 55) アミティ初期になんでアンチ発生したか考えろよ運営・・ -- 名無しさん (2015-05-19 22 20 51) 本家ぷよ作ってるセガとこれ作ってるセガネは担当者違うんだから当時の状況なんて知るわけないだろ -- 名無しさん (2015-05-19 22 53 06) 既に二枚居るんだけどどうすりゃいいんだよ?☆6三枚作れば良いのか?スキル上げしてもなぁ… -- 名無しさん (2015-05-20 00 02 36) 逆に今欲しいカードですら無く既存の育成に力を注げると考えれば糞イベでも納得 -- 名無しさん (2015-05-20 00 10 21) こいつ貰っても即効捨てることになるなw -- 名無しさん (2015-05-20 04 42 46) ↑4運営するにあたって市場を分析しない公式の鑑。というかSEGAぷよ関係なくごり押しがどういう効果もたらすかくらい知ってるはずなのに…… -- 名無しさん (2015-05-20 09 17 06) 第1話★4赤い星ぷよ取れる事を確認 -- 名無しさん (2015-05-20 15 14 25) 第2話 星3赤ぷよゼリー確認。・・・なんで? -- 名無しさん (2015-05-20 15 18 06) 第2話ボス★5コカトリス★3イエローうみうし -- 名無しさん (2015-05-20 15 28 06) 第3話先制おじゃまぷよ10個でした。あとBBSによる検証だと、魔法使いのスキル発動率は片方のみよりリダサポの方が高いようで、約70〜80%(検証中)あるようです。 -- 名無しさん (2015-05-20 15 32 24) 続き)また魔法使いのリダサポ時はリーダースキルが必ず同時にしか発動しないようです。 -- 名無しさん (2015-05-20 15 34 08) 3話ボス、先制おじゃま10個。ターン数忘れましたが、全体攻撃(残りおじゃまぷよ数は関係ない?)、4800回復もしてきました。 -- 名無しさん (2015-05-20 15 47 58) 情報とん。あとお前らたいへんだぞ、雑魚カードの奴らのキャラ立ちがやべえ。使えないさんじゃなく。雑魚キャラのかわいさが異常 -- 名無しさん (2015-05-20 15 52 08) このSQの小芝居いいよねw -- 名無しさん (2015-05-20 16 04 37) まぁストーリー楽しめるのと王冠ぷよ貰えるのが救いかな。素材ぷよとかでやすいなら救済クエストにはなるのか -- 名無しさん (2015-05-20 16 11 29) サキュバスの妄想教育……いろいろアウトじゃないか!? -- 名無しさん (2015-05-20 16 35 20) 第4話ジャァーン:攻撃→3体のスキル発動必要ぷよ数10増加のループ。パノッティ:攻撃→3体3T混乱のループ。 -- 名無しさん (2015-05-20 16 44 20) 3話からは公式からの「薄い本くれ」波動を感じる サキュバス本はよ -- 名無しさん (2015-05-20 17 01 54) 第5話ミリアム:封印・混乱盾つき、3体3T毒(先制あり)→全体攻撃のループ。ちらビット:2体3T麻痺→攻撃のループ。 -- 名無しさん (2015-05-20 17 31 31) 赤ゼリーが手に入り、報酬で王冠がもらえる良イベ なおアルなんとかはいらない模様 -- 名無しさん (2015-05-20 17 33 25) 無理やりサポートにぶち込んでくれたお陰でアルベルトの要らなさがよくわかったわ。せめて自動ターゲット自由に変えられるようにしろよ。 - 名無しさん (2015-05-20 17 40 15) ストーリーモードは、ほとんど縛りプレイに近い形ですな。とにかくイエローうみうしが面白すぎる。 -- 名無しさん (2015-05-20 17 51 37) 2話でも赤の薬草が手に入るな -- 名無しさん (2015-05-20 18 12 00) このゴミ育てる価値あんの?↑の方がいってるようにサポとしてもドクズでしかないんだけど -- 名無しさん (2015-05-20 18 14 07) サポートカードなしでクエストクリアというミッション、と考えれば意外とありかも。 道中で緑属性の敵が1回も出なかった時は色んな意味で笑えたw -- 名無しさん (2015-05-20 18 30 06) ぶっちゃければ、狙って高いダメージの全体攻撃をたたき出すことは出来る、が、現時点でそこまで必要なイベントやクエストが無い -- 名無しさん (2015-05-20 18 53 11) とこクエでLスキルが役に立つかもしれないが、結局一定確率だと安定しないのは一緒なんだよなぁ… -- 名無しさん (2015-05-20 18 54 42) 銀ゼリーは3話が一番期待値高いか -- 名無しさん (2015-05-20 19 40 01) 第4話推奨UR160。第3話までは青ボーイズデッキでも十分いける。 -- 名無しさん (2015-05-20 21 23 44) 第4話中ボス:ステージ4、緑月×2、赤月×2 -- 名無しさん (2015-05-20 21 45 13) 第4話はパノッティから先に倒した方がいい模様。混乱でぷよを消しづらくなる→ジャァーンからスキル発動遅延を喰らう、というループにハマるとかなり厳しい…。 -- 名無しさん (2015-05-20 21 59 54) 紫単パで挑んでサポ無視して5人でクエスト突破した…。これはサポに頼ってはいけない(戒め)という公式からの啓示か -- 名無しさん (2015-05-20 22 51 54) 龍神用の素材そろってこれからどうすべ…草の分BOX圧迫&使えないさんのレベル上げという苦行、お前らもうやってんの? -- 名無しさん (2015-05-20 23 02 56) 毎回石1個使って草のBOX確保するか・・・(5キャラ分) -- 名無しさん (2015-05-20 23 21 46) 龍人以外6ゼリー有用ないのかマジで・・。↑1、5キャラ分ってどゆこと? -- 名無しさん (2015-05-20 23 24 15) 使えないさん5人分の草置き場ということでは? -- 名無しさん (2015-05-20 23 47 12) 使えない5人分で倉庫に草原ができますぞwww -- 名無しさん (2015-05-21 00 34 04) サポが確実にリーダースキル発動させてくれないから弱すぎる。運営エアプすぎだろ -- 名無しさん (2015-05-21 01 46 25) アルなんとかさん曰く緑王冠すら出ないことがあるから仕方ない、仕方なくない? -- 名無しさん (2015-05-21 08 21 30) 使えないさんがパノやジャァーンといった(ゲーム的)古参に対して上から目線で草不可避 -- 名無しさん (2015-05-21 08 33 03) 漁師だったらこんなに叩かれてないだろうな -- 名無しさん (2015-05-21 08 46 24) SQ単発で考えるなら漁師サポ固定は必然的に単パ推奨だから初心者に厳しく、上級者にはぬるゲーという結果になりそう。だから今後も漁師の線はない気がする・・ -- 名無しさん (2015-05-21 09 05 48) 1周したら終わりだわ。星6を赤ゼリー湖底にしなければ、星6素材収集&赤王冠(赤草の事ね)収集のイベクエとして、やってもよかったけどな・・・。 -- 名無しさん (2015-05-21 09 41 38) 中ボス王冠泥なしもあるんだな…糞 -- 名無しさん (2015-05-21 12 28 14) 運営はパプリス押しから魔法使い押しに変わったのかな・・・ それとも両方か・・・ -- 名無しさん (2015-05-21 13 04 56) ↑4というか漁師の場合はLスキが産廃レベルだから採用してほしくない。とりあえずギルイベ用と割りきってアルベルトの星6目指すわ -- 名無しさん (2015-05-21 16 12 36) 同時発動がただの乱数参照のミスで修正されたりしたら面白いのにな。 -- 名無しさん (2015-05-21 17 25 25) やる気50なのにドロップしょぼすぎ -- 名無しさん (2015-05-22 10 00 15) ↑これ回してるのって☆6目当ての高ランカーだけなんだししょぼくていいんじゃね?やるきもふんだんにあるだろうしw -- 名無しさん (2015-05-22 11 12 05) 底辺ですが運よく(悪く)☆5倉庫番さんがいたので周回してます・・よいこはマネしちゃだめです・・ -- 名無しさん (2015-05-22 11 57 52) レベル低いから4話回してるけど笑えないほど出ない。確率なんぼなんだろう? -- 名無しさん (2015-05-22 23 03 20) 4話途中でアルベルト死んだけど、そのままクリアできた。そういう意味でも要らない子 -- pon (2015-05-23 05 01 47) 得意属性のターン遅延があってもなあ、赤パーティならそのターンに至る前に倒せるのがほとんど。緑色のボス戦専用になるが、所詮確率だからなあ -- pon (2015-05-23 05 04 28) ストーリーは再来しやすそうだよな。流石にガチャで出るやつを実質☆5止まりにしないだろうし -- 名無しさん (2015-05-23 08 53 27) ↑2 だから色盾が当たり前なギルイベで採用する。リーダースキル自体はサブの色を縛らないから緑、黄色、紫のいずれかで統一すれば問題なしってこと -- 名無しさん (2015-05-23 09 08 18) ゼリー集めが出来るイベントと考えれば中級者辺りに一番需要がありそうな。リーダースキルが確定発動且つボスの先制スキルすら遅延なら相当化けるのにな -- 名無しさん (2015-05-23 13 30 19) ↑化けるどころか必須キャラと化すなそれw -- 名無しさん (2015-05-23 14 04 02) LS発動率75%との情報が。遅延ターン数の期待値が2を越える(2.25)だから、少なくとも劣化タフネス呼ばわりはされずに済みそう。 -- 名無しさん (2015-05-23 15 07 28) ターン加算は強いが発動しなかった時の損を考えると倍率キャラ使った方が遥かにいいんだよなあ -- 名無しさん (2015-05-23 15 47 58) それこのSQのサポ限定?それとも☆依存?それもと☆関係なく一律?? -- 名無しさん (2015-05-23 17 37 03) ボスクラスのHPが遅延発動して勝てるかと言われたら -- 名無しさん (2015-05-23 20 11 57) ギ・・ギルバトならあるいは・・(震え声) -- 名無しさん (2015-05-23 20 14 24) ☆5と☆6で同時発動は変わらずかつ確率は☆6に揃うのだとしたらそこそこギルイベには有用かもなぁ。5ターンあればなんとかなるかもしれないし -- 名無しさん (2015-05-23 20 46 29) 1-3ターンでなんとかならんかったら、5ターンあろうと6ターンあろうと何ともならん気がする。 -- 名無しさん (2015-05-23 21 48 49) 天使で蘇生したらターン遅延が再発生しなかった・・・・。運が悪かっただけかそれとも再判定なしなのかわからん。 -- 名無しさん (2015-05-23 21 51 07) 地味にストーリーが面白い -- 名無しさん (2015-05-23 23 05 26) 今やっと草が5枚揃った。ギルイベまで倉庫番だけどな。7ターンあれば、スキル発動して割合でも反射でも好きに出せるしなあ。 -- pon (2015-05-24 11 29 12) ↑3 スキル発動は「ステージ開始時」だから蘇生は意味なし -- 名無しさん (2015-05-24 11 47 04) タフネスとかは蘇生でタフネス再判定みんなにかかるんじゃなかったっけ?あれと同じ仕組みだろうし・・・、と思ったけど、それだとリーダー変更で発動しないとおかしいわけになるなぁ・・・。やっぱ蘇生では判定なしか。 -- 名無しさん (2015-05-24 22 25 31) 問題は自分以外のギルメンが使えないさんイベントをこなしてるかどうかだなあ。ある程度育ち切ってるSUNやドワーフのが有用となる気もしなくもない -- 名無しさん (2015-05-24 22 32 45) (↑ここまで第1回目。↓ここから第2回目。) -- 名無しさん (2015-08-03 11 50 38) 薬草も王冠ぷよも全部合成用決定だな。アルベルトは即売却だぁ -- 名無しさん (2015-08-03 13 33 43) リチャードでも同じだな。 -- 名無しさん (2015-08-06 14 49 06) 薬草あと1個なのに、5話を10回くらい回ったが落ちないぞ。こんなのだから魔法使いシネと言われるんだろ。 -- 名無しさん (2016-03-08 08 54 19) ↑同じく -- 名無しさん (2016-03-08 09 28 48) 激辛5回回してゼリーゼリーゼリーゼリー以下略、初回だけ薬草与えてあとは石買ってまで揃えてくださいってのが丸見えだわ。もうやらんわ。 -- 名無しさん (2016-03-08 09 49 23) ↑同じく -- 名無しさん (2016-03-08 11 40 30) 他の魔法使えないもそうだが、アルベルトver.聖夜を持っている場合、余ったアルベルトは☆5にしてから聖夜に回した方が得なんだよな。 -- 名無しさん (2016-03-08 20 24 39) アルベルトの主夫力高いなw -- 名無しさん (2016-03-09 07 31 40) ガチャで大量に出る外れカード扱いなのに、変身素材を出し渋る理由がわからない -- 名無しさん (2016-03-09 09 37 17) 5話回して☆5ゼリーしか出ないのがキツイ。せめて☆6出るなら許せるのに、何なんだよもう -- 名無しさん (2016-03-09 11 25 39) 薬草が落ちた奴、本当にいるのか? -- 名無しさん (2016-03-10 12 33 30) 薬草出ました。1~3話までで4つ出ました。 -- 名無しさん (2016-03-11 00 29 37) デッキの色によって薬草の出やすさに差があるっぽい? -- 名無しさん (2016-03-11 22 49 21) これだけ薬草おちんなぁ。 -- 名無しさん (2017-03-19 11 53 32) 赤ゼリー不足なのでむしろ薬草より嬉しい。 -- 名無しさん (2017-03-19 21 00 33) 名前 コメント
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《公開済》SNM000849 シナリオガイド 公式掲示板 平穏な一日、あなたは何をしていましたか? 担当マスター 篠崎砂美 主たる舞台 (不特定の場所) ジャンル 学園生活 募集スケジュール 参加者募集開始日 参加者募集締切日 アクション締切日 2010-10-06 2010-10-08 2010-10-12 リアクション公開予定日 募集時公開予定日 アクション締切後 リアクション公開日 2010-10-22 2010-11-10 2010-10-28 サンプルアクション (シナリオ参加者の方にお願い、サンプルアクションの具体的な内容を補完していただけないでしょうか)(サンプルアクション名の下の四角をクリックするとでてくる「部分編集」をクリックすると登録できます)(もしくはサンプルアクション登録用掲示板へお願いします。) LC同士、学校の喫茶店で会話をする +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 ▼キャラクターの目的 ▼キャラクターの動機 ▼キャラクターの手段 特訓する +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 ▼キャラクターの目的 ▼キャラクターの動機 ▼キャラクターの手段 **さんとデート +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 ▼キャラクターの目的 ▼キャラクターの動機 ▼キャラクターの手段 レポートを書く +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 ▼キャラクターの目的 ▼キャラクターの動機 ▼キャラクターの手段 ぼーっとする +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 ▼キャラクターの目的 ▼キャラクターの動機 ▼キャラクターの手段 その他補足等 [部分編集] 【タグ:SNM 不特定の場所 学園生活 正常公開済 篠崎砂美】