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(ルート ・・・・喉・・・乾いたぁ・・・ ふらふらと、覚束ない足取りで住宅街を歩いているルート 彼女の肩の上でも、エーヴィヒがぐったりとしている―――のではなく、単に眠っているだけだ (ルート エーヴィヒは大丈夫みたいだけど・・・ アタシはこれ以上何も飲まなかったら脱水症状起こしちゃうしぃ・・・ 日の光は温かくなり、植物達も春を向かえる準備をしている そんな日に、黒い長袖の上着を着ていれば、当然汗も流れるだろう しかし、脱げば晒しだけになってしまうので、仕方のないことだった (ルート ・・・・・あ ぴくっ、と顔を上げ、足早にすたすたと歩いていく 一直線に向かった先は、自動販売機 (ルート ・・・よかったぁ、スポーツドリンク、売り切れてなかったぁ・・・ ほっ、と胸を撫で下ろす だが問題は (ルート ・・・・・お金、無い・・・・・ 実は彼女、「組織」を抜けて以降は自分を狙ってきた黒服の持ち物を強奪して生計を立てていた ところがここ暫くその黒服が全く襲ってこなくなった為に、 彼女の全財産は尽きてしまっていたのだ (ルート あぁ、もぉ、1円も落ちてない・・・意地汚い国だねぇ・・・ 自動販売機の下を覗いているお前はどうなのだ、と聞きたくなるものだが 彼女が買えもしないジュースと睨めっこを続ける事、数十分 チャリン、という音がほぼ零距離から聞こえた (ルート ん? 機械から落ちてきたものは、彼女が狙いを定めていたスポーツドリンク 横から伸びた手はそれを掴むと、それを彼女の目の前に差し出した 「飲みなよ。お金、忘れちゃったの?」 小春日和の今日この頃に、身体を黒衣で包んだ少年が、にこりと笑って話しかけた ルートは暫し渋ったが、両手でそれを受け取り、 (ルート ・・・Danke(有難う) (少年 ん、Sind Sie ein Deutsche?(君、ドイツ人?) Konnen Sie Japanisch sprechen?(日本語は話せる?) ぷしゅっ、と蓋を開けると同時に、少し目を丸くするルート (ルート へぇ、驚いたねぇ。日本はドイツ語の授業でもやってるのぉ? (少年 いや、俺はちょこっとかじっただけ (ルート だろうねぇ、発音最悪だったしぃ (少年 はっきり言われた・・・でも可愛いから許しちゃう (ルート ・・・何ぃ? ナンパぁ? (少年 まさか。散歩してたら困ってる女の子を見つけたから、何となく来ただけだよ (ルート あぁ、偽善団体さん? (少年 せめて慈善団体と言って欲しかった どっちにしろ、俺が勝手にやったことだから、恩とか別にいらないよ (ルート しようとも思ってないからさぁ 今日明日生きてるかどうかもアタシには分からないしぃ (少年 不安な事を平然と言うんだね (ルート みぃんなそうでしょぉ? 明日死ぬかも知れない、今日死ぬかも知れない、5秒後死ぬかも知れない 人は不安を抱えて生きてんのよぉ (少年 そうかもね。でも偶には希望とか持って生きたいじゃない 今日の晩飯何かなぁとか、明日は君に会えるかなとか (ルート そうやって前向きになれる人間が沢山いたらさぞ世界は平和だったろうねぇ ペットボトルに口をつけ、ぐいと喉を潤す 一息吐くと、彼女は数十分振りに歩を進めた (ルート ドリンクついでに話相手になってくれてどうもぉ 会えるといいねぇ、またいつか (少年 会えるよ、生きていればいつか、ね 少年も、ルートと反対方向を向いて歩き出した † † † † † † 日が輝きを失い始め、代わって月の光が強くなりかけた頃 グーキュルルル・・・と、1匹の虫が公園の木の上で静かに鳴いた (ルート お腹空いたぁ・・・やっぱり、もう限界かなぁ? 枝から飛び降り、華麗に着地を決める (ルート 向こうが来ないならぁ・・・こっちから呼んじゃおっと♪ ちらり、ちらりと、彼女は目をあちらこちらに動かす ブランコで遊んでいる少女 ボール遊びをしている少年達 己の子供を迎えに来た母親 (ルート これだけ殺せば・・・流石に「組織」も動き出すよねぇ? 背後に、液状の蛇が5匹、いや10匹、ぬるりと現れた それらは一斉に、公園にいる子供達に襲いかかった 叫び声が、響き渡る (ルート ヒャッハハハハハハ! さぁ、泣き叫んで「組織」のバカを呼んでよぉ!! 「頂けないねぇ、そのやり方は!!」 咄嗟にウィルスを剣に変え、忍び寄る影からの攻撃を防ぎ、距離を取る 黄金色の光が反射して、暗い木陰の中で微かに顔が見えた (ルート テメェ、昼間の・・・契約者だったんだぁ? (少年 こっちは既に分かってたんだけどね ヤな予感がしたからついてきてみたら、見事に的中・・・って訳 もうちょっと、早く来れたら良かったんだが 辺りを見渡す少年 先程まで賑やかだった公園には、動かなくなった子供や母親が倒れていた (ルート ヒャハハハ・・・恩を仇で返す訳じゃないけどぉ? 敵対するんだったら容赦しないからねぇ!! (少年 俺だって許しゃしねぇよ・・・どうも、いつの間にか誰かさんの病気が感染ったみたいでね お前みたいな、罪の無い人間を殺すような奴を、 彼の影が、激しく蠢き、 (少年 見過ごしちゃいられなくなっちまったんだよぉ!! 無数の黒い腕が影から伸びて、 少年――――黄昏裂邪の身体を包みこんだ ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂
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(ルート ・・・おっかしいなぁ・・・? 月が傾きかけた時刻、肩の上で眠るエーヴィヒを撫で、ルートは首を傾げて夜道を歩いていた (ルート 本ッ当に見かけないねぇ、「組織」の連中・・・どうしちゃったのかなぁ? ここ暫くの間、彼女は「組織」の黒服達に出くわさなくなった 故に戦利金は民間人から得る、筈だったのだが、 行動に出ようとする度に以前出会った「魔女」を名乗る少女の言葉が頭に過ぎり、 結局、上手にやりくりしながら今日まで空腹を凌いでいたのだった しかし、狙われていた筈の自分に刺客が全く来なくなるのは、逆に気味が悪いものである (ルート ん~・・・あの堅物の姉貴が諦めるとは思えないしぃ・・・ 喉を唸らせ、星空を眺めながら考える と、 (ルート ・・・あぁ、そぉいうことぉ? ぴたり、歩みを止め、その拍子に起きたエーヴィヒを足元に立たせる エーヴィヒがちょこちょこと前を歩いていくのを見届け、彼女は背後に振り返った (ルート テメェがわざわざ探しに来てたんだねぇ!! 振り返ると同時に、ウィルスの塊を弾丸のように撃ち出す 水よりも粘性のある液体が弾ける音が響き、それは翡翠の鞭によって掻き消された その鞭の主は、黒いスーツを着た緑色の髪の少女――R-No.1、六条 蓮華 (蓮華 クスッ・・・ようやく見つけましたよ、元R-No.10 (ルート ずぅっとアタシを探してたのぉ? 1人でぇ? (蓮華 人員削減ですよ、貴方の為に多くの命を犠牲にしてしまいましたからね 今度は・・・前のようにはいきません 握り締めた幾つもの種を口に放り、水で押し流す 蓮華の身体から根が伸び、葉が広がり、花が咲き、蔓が絡み、果実が熟れ、そして幹が成長していった “世界樹”をイメージした彼女の技―――『ユグドラシル』 (ルート またぁ? それって「馬鹿の一つ覚え」って言うんでしょぉ? 大きければいいってものじゃないと思うけどなぁ? (蓮華 【負けた癖にヤケに強気ですね・・・まぁ、叩き潰すまでですが】 無数の蔓がしゅるりとルートに狙いを定め、その先端を突き立て小さな身体を貫かんとする (ルート ヒャッハハハ・・・『ドリンゲント・オペラツィオン』! ルートは己の十指の先端からウィルスによって出来た刃を出現させ、蔓を細切れにし、 さらに向かってくるハエトリソウを横一文字にぶった切る (蓮華 【どう足掻こうと無駄です 『メリア・アゼダラク』のお陰で、私はインフルエンザに感染しません】 (ルート そんなの、全ッ然関係ない!! (蓮華 【む? どういうことでしょうか?】 スイカの果実を、鉄球の要領で振り回し、投げつける それはものの見事に両断され、赤い果汁がまるで血のように辺りに飛び散った (ルート アタシが負けた理由はそんなんじゃない・・・あの時のアタシが弱かっただけよぉ! (蓮華 【頭でも打ちましたか? 何の理由にもなってません】 ウツボカズラ、ハエトリソウ、モウセンゴケ、それぞれをルートに向ける 溶かされる前に避け、食われる前に切り裂き、粘液が迫る前に撃ち抜いた (蓮華 【なら、今は前より強くなっているとでも言うのですか?】 (ルート そんなっ、ところかなぁ! (蓮華 【クスッ・・・馬鹿馬鹿しい】 ぼごっ、と鈍い音と共に、ルートの足元から根が飛び出し、彼女の足首に巻きついた (ルート し、しまっ――――――― そのまま根は天に向かって伸び、彼女は宙吊りになってしまった (蓮華 【デジャヴュですね・・・さて、本番はここからですよ】 クスッ、と小さく、怪しく笑う蓮華 だが、 (蓮華 【・・・っ?】 微かに聞こえた声に、耳を澄ませた それは、ルートから発せられているようだった 彼女はこの状況下でも、笑っていた (ルート ッヒャハハハハハハハハ!! (蓮華 【何がそんなに可笑しいのでしょうか?】 (ルート 待ってたよぉ、この瞬間! ばっ、と勢いよく右腕を真横に突き出すと、 幾兆ものインフルエンザウィルスが彼女の腕に纏わりつき、 それらは蓮華の作り出した『ユグドラシル』と同等の大きさの刃となった (蓮華 【なっ!?】 (ルート 『ゴットアルム』!! 振るった刃は、大木の幹を一刀両断し、 バランスを失ったそれは、轟音と共に崩れ落ちた そして、根も、葉も、蔓も、何もかもが、何事も無かったかのように消え、 後には、倒れた蓮華の姿だけが残った (蓮華 くっ・・・こ、んな・・・ことが・・・ 立ち上がろうと、腕で支えて上体を持ち上げようとした その瞬間、影が目に映ったと同時に、 (ルート 足掻こうとしてるのは姉貴の方だったねぇ? 手の甲を、ウィルスで出来た細長い針で貫かれた (蓮華 ――――――ッ!? (ルート 今度はアタシがテメェを痛めつける番だよねぇ!? 蓮華を腹部から蹴り上げ、宙に浮いた彼女を再び蹴り、壁に叩きつける ケホッ、と小さく咽る蓮華に、 (ルート 『カイザーシュニット』♪ 容赦なく刃を振るい、腹を切り裂いた 真っ紅な華が、夜闇に咲く (蓮華 あぁっ!? (ルート ヒャハハハハハハ!! あぁ良い声! 堅物の姉貴のこぉんな声が聞けるなんて思ってなかったよぉ!! 血が溢れ出す傷口を、蹴りを入れる勢いで踏み躙り、壁に押し付ける (蓮華 うあぁあああっぁぁぁぁああ!? (ルート ヒャハ♪ あぁ良い! 良いよその声ぇ!! もっと叫んでよ姉貴ィ!! ヒャハハハハハハハ! 何度も、何度も傷口を踏みつける 叫び声と、赤黒い血が一緒に口から漏れ出る 頬に飛んだ吐き出された血を、ぺろりと舐め、 (ルート う~ん、次はどうしてあげちゃおっかなぁ? 腕ぇ? 足ぃ? それとも胴体半分にしちゃうぅ?? 狂気の混じった笑みを浮かべ、そして、 (ルート そぉだぁ、トップの姉貴にその首を送り返すのもいいよねぇ? トップの姉貴どんな顔するかなぁ?? 泣くぅ? 壊れるぅ?? 見たいなぁどうなるか! ヒャッハハハハハハハ!! ヒャァッハハハハハハハハハハハ!! 高らかに、楽しげに、邪悪に笑いながら、 彼女はその刃を、蓮華の首に添え、 (ルート 今まで楽しかったよぉ、Danke♪ ふっと離し、力を入れて刃を振るった ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂
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(蓮華 誤算でしたね 身体中から生えた植物が消え、元の人間の姿に戻った蓮華は、 血塗れになったクレーターを見下げて呟く (蓮華 ただのペットかと思っていましたが・・・違いましたか 彼女の視線の先―――クレーターの端には、気を失ったルートと、 白くふさふさした毛並みのネコ――エーヴィヒがいた 「この子は僕を救ってくれたからね」 声が響く 若い青年のような、爽やかな声 その声は、紛れも無く、この白いネコから発せられた (蓮華 珍しいですね。「人語を話すネコ」ですか? (エーヴィヒ 確かに僕は喋れるけど、残念ながらそれではないよ どちらかというと、ある都市伝説との契約による副作用のようなものかな? (蓮華 ・・・なるほど、“貴方自身が契約者”ということですか (エーヴィヒ とは言っても、もう飲まれてるけどね 何年も何年も世界中を彷徨い続けて、偶然この町に辿り着いたんだ 途轍もない疲労に襲われてる時に大きな鼠にまで襲われt (蓮華 貴方の昔話には興味ありません その少女を渡してくれると有難いのですが 死体とはいえ、残っているとまずいので す、と手を差し出す蓮華 エーヴィヒは、ふっ、と小馬鹿にするように短く笑い、 (エーヴィヒ 残念だけど、それには答えられないね (蓮華 でしょうね、ならb (エーヴィヒ 僕は少女の死体なんて“持っていない” (蓮華 なっ・・・!? あの一撃を受けてまだ生きていると・・・在り得ませんよ (エーヴィヒ でも『必ず死ぬ』とも限らない 生きるか、死ぬか。 確率は五分と五分 (蓮華 ・・・・・クスッ、笑わせてくれますね 小ビンを開け、黒い種を取り出す (蓮華 「シュレディンガーの猫」ですか・・・ 道理で、その方の近くにいても尚、生きていられる訳です (エーヴィヒ そう。生きるも死ぬも僕の自由 尤も、流石に元気な人間に「死ね」と言っても死にはしないけどね (蓮華 参考になりましたよ。しかし見過ごす訳にもいきませんので・・・! 種を飲み込み、植物の蔓を伸ばし、ルートとエーヴィヒに向けて叩き付ける しかし、 (蓮華 ッ!? 彼女達の姿は、陽炎のように揺れながら掻き消された (蓮華 くっ・・・何処へ・・・? (エーヴィヒ こっちだよ 咄嗟に声のする方に振り向いた蓮華 民家の屋根の上に、 (蓮華 ・・・そういうことですか 血のように赤い斑が入った碧眼を輝かせる、 黒い斑点の黄金色の毛並みの大きな豹が、その背にルートを乗せて雄々しく立っていた (蓮華 豹の姿、先程の幻・・・ソロモン72柱の1柱、「オセ」ですね? (エーヴィヒ その通り。でも勘違いしないでくれ、それは僕の名前じゃない 僕はエーヴィヒ・・・この子に永遠に仕える者だ (蓮華 ふざけないで下さい・・・永遠になんて生かせませんよ! 再び蒼い鞭を振るう だが、それは屋根だけを破壊し、 (蓮華 ・・・ちぃっ 少女を乗せた金色の豹は、その場から姿を消した † † † † † † (ルート ・・・ッ!? ガバッ、と勢い良く起き上がると、 そこはいつかの廃ビルの中だった (ルート ・・・いつの間にぃ?・・・、エーヴィヒ!? 辺りを何度も見回し、己の相棒を捜す しかしすぐに彼女は、 (ルート ・・・あ、いたいたぁ さも自分を看病してくれていたかのように付き添って寝ていた、 白い毛並みの可愛らしい子猫の存在に気付いた ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂
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「『ギフト・ギフト』ぉ!!」 ドス黒い粘液で出来た蛇がジャガー人間へと向かい、口の中に入り込む ごぼごぼりとそれを呑みこんだ後、ジャガー人間は痙攣しながら倒れ、光に変わる 「っふぅ、これでお終いっと……日天さん!」 少女――ルート・ライフアイゼンは、血塗れで倒れた少年――栄 日天のもとに駆け寄り、 身を屈めてそっと彼を抱き上げて上着のポケットから取り出した塗り薬を傷口に塗る 「ちょっと痛いけど、我慢しててぇ」 「うぐっ……そ、それは?」 「「河童の妙薬」。少し前に助けた人に貰ったのぉ」 「蝦蟇の油」と同じ薬品系都市伝説である「河童の妙薬」 その効果は確かなもので、日天の身体の傷が見る見る内に治っていく 「……もう、大丈夫みたいだ」 「良かったぁ…でもあんまり無理しちゃダメよぉ、まだ閉じたばかりだかrひゃっ!?///」 ルートの小柄な身体が突如、日天の腕に抱きしめられた 卵を守る親鳥のように優しく、優しく 包まれた卵は、徐々に徐々に熱く、赤くなってゆく 「…有難う。また、助けられたな」 「ひぇ、は、あ、り、りーてぃえ、さ、ぁ…ぁぅぅ………///」 「…あっ、す、すまん、苦しかったか!?」 「っち、違、そ、その………ひゃは///」 誤魔化すように無邪気に笑うルート そんな彼女の笑顔を見て、日天はふふっ、と笑い、頭を撫でてゆっくり立ち上がった 「…で、状況は分かってるか?」 「うん、エーヴィヒから全部聞いてるぅ 「マヤの予言」の仕業なんでしょぉ? 迷惑な話だよねぇ…」 日天の問いに、ルートは立ち上がりながら淡々と答えた 感情の切り替えが早いのは、流石元「組織」といったところか 「エーヴィヒ…あぁ、あのネコの都市伝説か そういえば見かけないが、何処へ?」 「…あれ? ここに来る途中で逸れちゃったのかなぁ…?」 「悪いね、少し寄り道をしてしまったんだ」 屋根を伝ってちょこちょこと走ってきたのは、白く長めの毛が美しい子猫 その見かけによらず、2つの都市伝説に飲まれた契約猫であり、ルートの相棒――エーヴィヒ 「いたのか、無事で良かった」 「テメェ何処行ってたのぉ? アタシはともかく、日天さんに余計な心配かけさせないでよぉ」 「その彼への優しさの2割でも僕に向けてくれると有り難いんだけどね」 エーヴィヒの言葉に、日天がこっそりと苦笑した そして、 「さて、隠れていないで出ておいでよ」 何者かに、エーヴィヒが語りかける 咄嗟にルートは身構え、日天もスケッチブックを開いて竜の絵を描き始める 「………「オセ」には何でもお見通し、か」 陰から現れたのは2人の男女だった 冷たい眼の男と、美しい黒髪の女 どちらも物静かで近寄りがたい雰囲気を醸し出していた 「…人間……じゃぁ、ないみたいねぇ?」 「あぁ…都市伝説だ。それも、神話レベルの…」 「「イシュムカネー」と「イシュピヤコック」、で良かったかな?」 「…その通りだ」 「エーヴィヒ、テメェ知ってんのぉ?」 「僕は「オセ」だからね。どんな隠し事も僕の前では無意味だよ」 「…「イシュムカネー」、「イシュピヤコック」……どちらも「ククルカン」と共に人類創造に携わった神の一柱の筈だ ローゼさんによれば、「ククルカン」や「フラカン」は「太陽の暦石」を使って人類の破滅を目論んでいた…… ならお前達はオレ達の敵の筈。どうしてこんなところに、何の殺気も持たずにやってきたんだ?」 「………少し、違う」 髪を揺らして首を振るのはイシュピヤコック 何が違うのかと、そう日天が尋ねようとする前に、イシュムカネーが語り始めた 「…僕達は、本当は神ではない……「太陽の暦石」によって生み出された副産物…」 「副産物ぅ?」 「……「暦石」の、目覚まし時計…」 「意思を持たない「太陽の暦石」の為…人類を滅ぼすか否か判断し……破滅の巫女に相応しい人間を探し出す…」 「つまり……「ククルカン」も「フラカン」も、「太陽の暦石」の意思に従って…いや、則っているだけなのか …だが、お前等は……」 イシュムカネーとイシュピヤコックは互いに視線を合わせて頷き、手を繋ぐ アスファルトが罅割れ、地面から植物が伸び始めた 「…何百年、何千年と…人類を創り…殺してきた…」 「………馬鹿の一つ覚え…」 「この下らない予言(シナリオ)を……終わらせて欲しい」 「……唯一の、希望…」 植物はルート達の元へと伸びて、葉と葉の間に隠されたものを見せた 月光を反射して神秘的な輝きを放つそれは、髑髏の形をした水晶だった 「こ、これって……水晶髑髏?」 「「マヤン・スカル」……本物だね」 「これを持っていけば、人類の滅亡を止められる……本当に、良いのか?」 「…僕達には、これくらいしかできない」 「……無力……」 「…エーヴィヒ…?」 「この2人の言っている事に嘘は無いよ。紛れもない真実だ 自分達の命を狙われる危険性を冒して、ここまで来たんだよ」 「…ねぇ、えっと……いしゅ…いしゅ……イシュイシュコンビ!」 「ルート、イシュムカネーとイシュピヤコックだ;」 「その願い、受け取ったわぁ! テメェ等が出来なかったこと……アタシ達が絶対に成し遂げて見せる!!」 宣誓し、ルートは差し出された「マヤの水晶髑髏」を掴んだ 「ふざけるなぁ!!」 怒号、そして火球 「ルート!!」 「くぅっ!」 日天はルートを抱き寄せて飛び退き、エーヴィヒは豹の姿になってイシュムカネーとイシュピヤコックを突き飛ばした 火球は激しい音と共に着弾し、爆発を起こしながら植物を灰に変えてゆく ひょう、と空中に飛ばされた「マヤの水晶髑髏」を手にしたのは、翼を生やした赤いダウンコートの男だった ...setzen Sie fort 前ページ連載 - 仄暗い魂
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タムタラの仄暗い底で 依頼主 :ミューヌ(グリダニア:新市街 X11-Y13) 受注条件:レベル16~ ミューヌ 「頼みというのはね。 実は・・・・・・。」 リュウィン 「ミューヌ、冒険者ギルドに依頼は出してくれたのか?」 ミューヌ 「おや、リュウィン隊長。 ・・・・・・たった今、その冒険者が来てくれたところだよ。」 リュウィン 「おお、よく来てくれた。 わしはグリダニアの国防を担う神勇隊の隊長、リュウィン。 今回の依頼を出した者だ。 頼みたいのは、掃討作戦なのだ。」 ミューヌ 「黒衣森の中央森林には、 「タムタラの墓所」という地下墓地があるんだ。 大昔、地下都市「ゲルモラ」時代に築かれた遺跡でね。 グリダニア建国後も、墓所としてグリダニアの民によって 使われ続けてきたんだけど・・・・・・。」 リュウィン 「最近、その「タムタラの墓所」に、 怪しげな集団が出入りしているという 情報が入ってきてな。 しかも、目撃証言によれば、 連中はカルト教団「最後の群民」の残党のようだ。 奴らは終末思想の危険な集団・・・・・・。 何をしでかすか解ったものじゃない。 こういう事象は、我々、神勇隊の仕事なのだが、 先の霊災で腕利きの隊士が減ってしまってな・・・・・・。 それに、グリダニア周辺に潜む「イクサル族」の 警備強化のために、人員が不足している。 ここ最近、この地を狙う蛮族、 イクサル族の動きが活発になっていてな・・・・・・。 近く、何か大きな動きがありそうで、警戒しているのだ。 ぜひ、腕の立つ冒険者という、 お前の力を貸してほしい。 ありがたい。 恩に着る。 詳細は担当者から聞くといい。 「タムタラの墓所」の前で待機させている。 ・・・・・・よろしく頼んだぞ。」 ミューヌ 「気を付けていくんだよ。 君に、クリスタルの導きがあらんことを!」 タムタラの墓所前の神勇隊の隊士と話す イジルドール 「ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・。 探究心より・・・・・・空腹感を満たすほうが先と・・・・・・。 欲を出して走ってみたら・・・・・・これだ・・・・・・。 アリアヌの見つけてくれた果実が無ければ、 わしらの冒険も、ここで終わるところじゃった・・・・・・。 功を焦ったときは、まず自分の周りを見渡せ・・・・・・。 あまりに腹が減って、格言を忘れておったわい。 一休みしたら、また冒険を続けるとするかの!」 アリアヌ 「もう、お爺ちゃんったら。 いつだって全力なんだもの! ここに来る途中に、木になっている果実を見つけてね。 採っておいてよかったよー。 お爺ちゃん、まっすぐしか見れない人なんだから! やっぱり、わたしたちの冒険は、 のんびりするほうが合ってるね。 ゆっくり世界を見て回ろうよ、お爺ちゃん。」 ドールラス・ベアー 「やぁ、またあったな! どうやら、この「タムタラの墓所」に用がありそうだな。 いつぞやは先を越されたが、今回は負けないぞ! ははは、お互いがんばろうな!」 エ・マナファ 「墓所ですって・・・・・・怖いわね。 でも、目標のために、がんばらなきゃ!」 キキナ 「そうね! 私たちは、いつか歴史に名を残すのよ!」 神勇隊の隊士 「Niuniu様ですね? このたびのご助力、心より感謝いたします。 それでは、今回の依頼についてご説明します。 あなた様にお願いしたいのは、 「最後の群民」というカルト教団の掃討です。 「最後の群民」は、第六星暦末期に生まれた 終末思想を掲げる集団です。 彼らは隊七霊災を引き起こした衛星・・・・・・ 「ダラガブ」を救世神と崇め、 その降臨による世界の救済を信じておりました。 しかし、カルテノーの戦いのさなか、 「ダラガブ」は砕け散ってしまった・・・・・・。 それを知った「最後の群民」は、 救世神降臨を人々が邪魔したのだとして、 あろうことか、その復讐に乗り出したのです! この墓所に侵入したという者たちも、 よからぬことを企てているに違いありません。 どうか「タムタラの墓所」を探索し、 「最後の群民」の野望をくじいてください。 この通り、よろしくお願い申し上げます。」 神勇隊の隊士 「救世神「ダラガブ」などとうそぶいて エオルゼアを加護したもう十二神を軽んじた上、 人々への復讐を企むとは・・・・・・! 到底、許せることではありません! どうか「タムタラの墓所」を探索し、 「最後の群民」の野望をくじいてください。」 カーラインカフェのミューヌと話す ミューヌ 「やぁ、帰ってきたんだね。 どうやら、無事に依頼を終えたようじゃないか! さすがは噂の冒険者。 バデロンさんが君を薦めてくれた理由がわかったさ! リュウィン隊長も、礼を言っていたよ。 本当におつかれさま! 冒険者ギルドでは、君の噂で持ちきりさ。 有能な冒険者が現れたってね! 実は、最近になって、冒険者ギルドへの依頼が 急に増えてきているんだ。 それに伴って、冒険者の事故も増加の一方でね。 ・・・・・・見てごらん。」 リアヴィヌ 「アヴィールは・・・・・・リーダーは死んだのよ! エッダ、あんたの回復が遅れたせいで!」 エッダ 「そ、そんな! あれは突然でてきた魔物の群れに アヴィールが走っていっちゃって・・・・・・。 彼、焦ってたから・・・・・・。 もっと、がんばらなきゃって・・・・・・。」 パイヨ・レイヨ 「もう懲り懲りだ! 俺はパーティを抜けさせてもらう! 2度と会うことはないだろう。」 リアヴィヌ 「あたしもよ。 前から、あんたを嫌いだったのよ! いつもいつも、アヴィールにベタベタくっついてさ! あとさ・・・・・・大事に持ってるアヴィールの首・・・・・・。 さっさと埋めなさいよ、キモチ悪い!」 エッダ 「あ、2人とも・・・・・・。 そんな・・・・・・。 ・・・・・・ごめん、ごめんね。 アヴィール・・・・・・わたし・・・・・・。」 ミューヌ 「・・・・・・あのパーティのような事例を、 この数日だけで何件も目にしている。 君のように、有能な冒険者が現れてくれたことによって、 少しでも犠牲が減ることを願っているよ。 そんな君に頼みがある。 先刻、冒険者ギルドの連絡網に情報が回ってきたんだ。 今度は、ウルダハの冒険者ギルドで、 冒険者を募集しているらしい。 ・・・・・・君になら、いや君だから紹介できると思ってね。 ぜひ、この依頼を受けてもらいたい。 よろしく頼むよ。」
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剣士 ハンマー 960 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/06/17(日) 16 28 36.80 ID JLw5miFh 【クエスト名称】仄暗い火口の中から 【討伐or捕獲】討伐 【タイム】08 45"16 【武器・武器種】煌黒堅鎚アルメタ・ハンマー 【スキル】攻撃小・見切り2・弱点・業物・耳栓・体力-10 【ドリンクスキル】攻撃大・短期催眠・防御術大 【オトモ】なし 【画像】http //j2.upup.be/P2hExmjDw9 【戦術・備考】 拘束・爆弾なし。7スタート。 参考動画見ながら腹にホームラン当てる練習をしながらやってたのですが、残念過ぎる結果に……腹に当てるの難しいorz
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(ルート ・・・んーぅ・・・っあぁ、良く寝たぁ ぐっと伸びをして、木の枝から飛び降りるルート 学校町を離れ、日本を離れ、早数日・・・とはいえ、実は大して時間は経っていない 旅をしているルートは、大きな木のある草原で休息を取っていたのだった 荷物を確認し、キョロキョロと辺りを見渡す (ルート ・・・? エーヴィヒぃ? 白いふさふさの毛並みのネコ――エーヴィヒの姿が、見当たらない 一緒に寝ていた筈なのに、何処へ・・・? (ルート ったくぅ、世話の焼けるネコねぇ・・・仕方ないわぁ ハァ、と溜息を吐いて、まず彼女は木の上を見た 自分が寝ていた枝よりも、もっともっと空に近い枝を・・・ しかし、それらしき姿は見当たらない だがこの木にいないとなると、探すのは困難だ ここは広い草原、辺りを見渡して見つからないなら、 探しものは遥か遠くに行かなければ発見できないかも知れないのだ (ルート ・・・本ッ当に厄介ねぇ、もぉ・・・! とにかく、エーヴィヒを探さなければ 彼女が一歩踏み出した時だった 「・・・ルート?」 声変わりを迎えていない、高めの少年の声 はっとして、ルートはすぐさま振り向いた 木の陰に、黒いスーツを来た中性的な少年が立っている (ルート 日、天・・・さん? どう、して・・・ (日天 やっぱり、ルートなのか・・・ルート! 駆け出した少年――栄 日天の腕に、ルートの小さな身体が包まれる ぽんっ、と顔を赤く染め、慌てて彼女はその腕から逃れた (ルート え、あ、うぅ、リ、日天、さん、なんで、ここにぃ・・・? (日天 決まってるだろ・・・お前を探しに来たんだ (ルート アタシを? (日天 お前を、「組織」に迎えたい・・・頼む、帰ってきてくれ ローゼさんも、蓮華さんも皆、お前の帰りを待ってる 微笑みながら、彼はルートに手を伸ばした (ルート ・・・あ・・・あぁ・・・・ 愛しの人が、自分に手を差し伸べてくれている それでも彼女は、その手に触れることができなかった (日天 どう、した? (ルート アタシ・・・やっぱり、無理だよぉ・・・まだ、帰れない (日天 ッ!・・・まだ、自分の罪を・・・ (ルート アタシは、色んな人の幸せをぶち壊しちゃったからぁ・・・ そんなアタシが、自分だけ幸せになって良い訳、ないもん・・・ だから、まだ、トップの姉貴にも、堅物の姉貴にも会えない そして・・・日天さんの手も、受け取れないよぉ・・・ 振り返り、彼女は相棒の元へと向かう 日天が一歩近づいたのを感じ取り、「来ないでぇ!」と怒鳴った (ルート ・・・わざわざ、探しに来てくれてありがとぉ・・・でも、もう良いからぁ・・・さよなら 涙を堪え、彼女は俯き振り返らずに走り出した 今振り返ると、ついて行ってしまいそうな気がしたから 強い決心を胸に秘め、ルートはいなくなったエーヴィヒの元へ――― (日天 それが君の正直な気持ちかい? 「へ?」と素っ頓狂な声をあげ、思わず振り返ってしまった そこにいたのは確かに日天だったが、何やら様子がおかしい と、その直後、彼の身体がゆらり、と煙のように揺らめいて、 その煙の中から、白いネコが現れた (ルート ・・・エーヴィヒ? (エーヴィヒ 悪いね、日本時間だと、今日は4月1日、エイプリルフールらしいから 君の信念を聞いておこうと思ったついでに、ね 何処までも爽やかな声で、彼は平然とルートに歩み寄った (エーヴィヒ さて、そろそろ行こうか 今日はどっちへ―――――――む? しかし、彼は知らなかった 乙女の純情ハートの恐ろしさを (ルート ・・・エェェェェェェェェヴィヒィィィィィィィィィ!!!!! その日その草原にて、物凄い速さで豹を追いかける少女が目撃されたそうな ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂
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(ルート 『ドリンゲント・オペラツィオン』!! ムカデのような竜の身体に、5つの赤いクロスを描く 低く大きな唸り声を上げながら、竜はその長い身体をくねらせた (ルート 何十匹出そうが無駄ぁ!! ぜぇんぶ斬り刻んであげるからねぇ―――――ッ!? と言った束の間、小さな身体は大きく弾き飛ばされた くるりと宙で態勢を整え、上手く着地して状況を把握する 先程傷を作った竜が、何事も無かったかのようにぴんぴんしていた (ルート なっ・・・どういうことぉ!? (日天 「ワーム」は強い再生能力を持つ・・・「画竜点睛」はモデルになった竜の力も引き出せるからな 「ワーム」の陰に隠れ、日天は再びスケッチブックを広げ、 (日天 画竜点睛! 睛を点じ、画から竜を新たに呼び出す 「ワイバーン」や「ワーム」と違い、東洋風の龍 白い鱗の上に青い斑点があり、首から尾にかけて生えた翡翠の鬣は波のように揺れ、 盾のような両前足を鰭のように使ってその場を浮遊する 風雨の化身――「蛟」 「蛟」はその身に宿した神通力で突風を巻き起こし、今度こそルートを壁に叩きつけ、動きを封じた その勢いで、10の刃も掻き消された (ルート グゥッ・・・! こん、のぉ・・・次から次へとぉ!! (日天 もういいだろ・・・? 無駄な抵抗は、やめてくれ・・・ オレは、お前を殺そうだなんて思ってない・・・寧ろ、オレはお前に生きていてほしいんだ 頼む・・・出頭してくれ (ルート い、やだぁ・・・負ける、もんかぁ!! 血を流すほど拳を強く握り締め、強風で押さえつけられた身体を無理に動かす と同時に、周りにウィルスを展開した ウィルスは鋭い針のようなものに変化し、 (ルート 『ギフト・トロプフェン』!! 逆風を突き進み、「蛟」に向けて飛んでいった 細い針は風の抵抗を受ける事なく、無慈悲に翡翠の毛並みに紅を生んだ 虚しく断末魔を上げ、「蛟」は横たわり、煙のように消えていった (日天 「蛟」・・・すまん (ルート まだよぉ! 風の束縛から解放されたルートは、右腕に無数のウィルスを集め、巨大な剣を作り出した それは、先程蓮華の『ユグドラシル』を破った技 (ルート 『ゴット・アルム』!! 幾つもの病を斬り捌いた“神の腕”が、「ワーム」を縦一文字に容赦無く切り捨てた (ルート 半分にされたらぁ・・・流石に治らないよねぇ? どうやらルートの読みは当たっていたらしい 双方に分かれた「ワーム」の身体は、砂塵を撒き散らして倒れ、「蛟」同様消えてしまった (日天 「ワーム」まで・・・! 画竜―――――― (ルート させる訳ないよねぇ!? 日天が別の竜を召喚しようとスケッチブックを開いた瞬間、ルートの爪先が鳩尾を捉えた 逆流する酸っぱい物を飲み込み、日天は咳き込んでその場に蹲った それを、怪しい笑みで見下しながら、ルートは再び蹴りを入れ、仰向けに倒れさせた 彼女の右腕を踏み躙り、悲痛な表情を愉しみつつ、 (ルート 『カイザーシュニット』♪ 細く長い刃を作り出し、日天の腹に抱えられたスケッチブックに切っ先を向けた (ルート 鬱陶しいよねぇ、それ・・・子宮ごと貫いてあげるわぁ!! 一気に、その切っ先を彼女の身体に―――――――― ―――何描いてんのぉ? 腕が、止まった ―――アタシからの、バレンタイン・・・食べて、くれるぅ? 頭の中に、様々な言葉が流れる ―――お前に泣かれると、どうも良心が痛む その流れは、やがて ―――・・・ありがとう 彼女の頬を濡らした (日天 ・・・ルー、ト? 輝く涙を見て、思わず声を漏らした日天 ルートは零れる涙を拭うが、それは止まる事なく溢れ続けた (ルート ・・・っき、ない・・・ そして、 (ルート でき、ないよぉ・・・ 彼女は、 (ルート だってぇ・・・日天さんはぁ・・・日天さん、なんだもん・・・ 想いさえも、零した (日天 ッ・・・ルート、お前――――― 「R-No.1! R-No.3! 無事ですの!?」 聞こえた声の方向に、一斉に振り向いた 日の光に染まり始めた夜闇から、赤い翼を広げて舞い降りる、赤い髪の少女――R-No.0、ローゼ・ラインハルト 翼を消し、彼女はすぐに状況を確認した 血に染まり気を失っている蓮華 地面に倒れ、動けない日天 そして、自らに敵意を向ける影 (ルート トップの・・・姉貴ィ・・・!! ルートの行動は早かった ウィルスの刃の切っ先を、瞬時にローゼに向けた しかしローゼも、光子で赤い剣を作り、その刃を抑えた (ルート 殺してやる・・・テメェはアタシがこの手でぇ!! (ローゼ 本当に、ルート・ライフアイゼンですの!? どうして、貴方がこんなことを――― (ルート 黙れぇ!! テメェが・・・テメェがいるからぁ!!! 刃は激しく火花を散らし、互いを退けさせた (ローゼ ・・・仕方、ありませんわね ふぅ、と小さく息を吐き、静かに目を瞑る (ローゼ 力づくでも、貴方を連れ帰りますわ! 赤い瞳が、大きく開かれた ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂
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(少女 アタシは戦う気なんてこれっぽっちもないんだけどなぁ? 細い月の光も届かぬ、真夜中の真っ暗な路地裏 小さな手から泉のように湧き出る粘性のある液体が、どろどろと垂れ流れ、 真下で倒れている、真っ赤な毛布を纏った男性の口を満たしてゆく (少女 テメェらが必死になってかかってくるから、こっちはそれに全力で応えてあげてるんだよねぇ つーかぁ、女の子1人に何人つぎ込んで何人犠牲にして、それを何回繰り返すつもりぃ? だったらアタシとやってる事一緒だと思うんだぁ 大量の粘液を飲まされた男――「赤い毛布」は、小さな光の粒子となって夜闇に消えていった (少女 あーぁ、終わった終わったぁ それでぇ? アタシを殺る気なのぉ?「組織」の子狗ちゃぁん? ショートヘアの少女はくるりと、己の背後に目をやった そこに立っていたのは、白い短髪の中性的な人物―――天沢翔騎 (翔騎 ・・・それが命令だ (少女 「組織」も随分と腐ったねぇ、こぉんなガキに討伐任務なんて任せてさぁ どーぉ? さっさと辞めてアタシと組まないかなぁ? (翔騎 ・・・・・・“裏切り者” (少女 あーらぁ心外、アタシったら「組織」でそんな呼ばれ方されてんのぉ? わざとらしくおどける少女に興味を示すことなく、翔騎はざっ、と身構え、 (翔騎 ルート・ライフアイゼン・・・・討伐、開始 地面を蹴り、人間とは思えないスピードで少女に襲いかかる (少女 へぇ~・・・? しかし、それを一度の跳躍でいとも簡単に避け、 (少女 アタシの名前、知ってんだぁ? 空中で逆さになりながら、少女―――ルート・ライフアイゼンは、にたりと怪しい笑みを浮かべた (ルート お利巧な子狗ちゃんには御褒美をあげなくっちゃねぇ!! くるっと身体を捻り、着地と同時に右掌を伸ばすと、蛇の形をした粘液が現れ、翔騎に迫る ルートの契約都市伝説は「インフルエンザは地球外のウィルス」 この粘液は、インフルエンザウィルスの集合体 それをまともに受けると、大抵なら病院ではなくあの世行きになるだろう だが、 (翔騎 無駄だ 蛇は翔騎の目の前で向きを変え、今度は主である筈のルートを襲う あ、という間に、彼女の身体はぐっしょりと濡れてしまった (ルート やだぁ、着替えなんて持ってないのにさぁ、さっき殺した奴の毛布、奪っときゃよかったなぁ (翔騎 ・・・ちっ (ルート なぁにぃ? 死ぬと思った訳ぇ? フグが自分の毒で死ぬと思ってたのお馬鹿さぁん!? 彼女の長髪を受けてか否か、翔騎は再び距離を詰め、拳を振り下ろす が、ルートはまたも軽やかにそれをかわしてみせた 拳をぶつけられた場所は大きく抉れ、狭い路地裏に砂埃が立つ (ルート 面白い奴と契約してんだねぇ、何なのよぉ? (翔騎 黙れ (ルート 邪見にしないで欲しいなぁ、そりゃ「組織」は抜けたけどさぁ “あの姉貴達”には感謝してんのよぉ? だってぇ、堅物の姉貴のお陰で妙な力も身についたしぃ? つい、と人差し指を動かす 2人の背後に、黒服が2人ずつ立っていた が、様子がおかしい (ルート ま、トップの姉貴の驚く顔が見らんなかったのが残念だったけど・・・ねぇ!! すっと腕を挙げ、そのまま翔騎に向けてゆっくりと振り下ろす その動きに合わせて、4人の黒服は翔騎を狙って発砲した (翔騎 ・・・ッ! 全ての弾丸を、力をそのままに弾道をずらして跳ね返す 周囲にいる黒服は、ルート討伐の為に派遣されていた者達 それが何故、味方に発砲を・・・? 翔騎は強く、ルートを睨みつけた (ルート ヒャハハハハハハハ!! いいよその目ぇ! 案外可愛いじゃないのぉ!! 今日は見逃したげるわぁ! 代わりにこの黒服達と遊んであげてねぇ? (翔騎 なっ・・・・ (ルート 助けようとか馬鹿なアイディアは棄てた方がいいよぉ? アタシの能力で、こいつらはマリオネットみたいになってるからねぇ 何しても無駄・・・味方を殺すか、味方に殺されるか、 悩んで悩んで悩んで苦しんで苦しんで苦しんでもがき足掻いてぶっ壊れちゃえばいいわぁ! ッヒャハハハハハハハハハ!! ヒャァァッハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 翔騎は迷わず追おうとしたが、その道を黒服達が阻む 操られているとはいえ、味方を攻撃する事はできなかった 何とかして、彼らを救えないだろうか 耳障りな笑い声だけが、虚しく一帯に響いていた ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂
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どさり、黒いスーツの男がまた1人倒れた (ルート 今日は結構少なかったねぇ 物言わぬ黒服を踏みつけ、ぽつりと零す 肩にちょこんと乗っていたエーヴィヒを撫で、彼女は闇の中に消えようとした その時、 (ルート ッ!? エーヴィヒ、逃げてぇ!! 咄嗟に横に飛び、エーヴィヒを抱いて自分と反対方向へ投げる ネコの持ち前の運動神経で華麗に着地したと同時に、 2人の間が、翡翠色の一閃によって大きく抉れた 「相変わらずですね、元R-No.10」 その一閃――否、植物の蔓をしゅるりと巻取る、黒いスーツの少女 頭の天辺に伸びた緑の触角が、夜風にぴこぴこと揺れる (ルート っ懐かしいねぇ、手口が前と全ッ然変わってないじゃんかぁ・・・堅物の姉貴ぃ!! 目の前の敵を睨みつけるルート クスッ、と小さく笑い、アタッシュケースから大量の小ビンを取り出す少女――六条 蓮華 (ルート 上位メンバーの、それもトップの右腕さんがもぉ出てきたのぉ? (蓮華 そもそも貴方の討伐命令を出したのは私です 貴方の事はR-No.0には1つも届いてませんよ でないと、また勝手な行動に出てしまいますからね (ルート だろうねぇ、だってトップの姉貴は殺しを嫌ってたしぃ でもいーのかなぁ? アタシが死んだらトップの姉貴、哀しむよぉ? (蓮華 貴方がいなくなった事で、既に悲しみ苦しんでますよ・・・だから言ったでしょう?“1つも届いてない”と 小ビンから2、3粒ずつ種を取り出しては、また別の小ビンを開封してゆく蓮華 (蓮華 まだ闇に溶けたままの内に消せば・・・貴方の死も闇の中です 左掌に乗せられた、山積みになった種を、一気に口の中に放り込み、 水と一緒に、ごくりと音を立てて胃へ流し込む (蓮華 クスッ・・・終わらせましょうか・・・『ユグドラシル』!! 少女の身体から数種類の植物が成長を始める 夜空を覆う新緑の枝葉 月光に冴える満開の花々 大地を駆け巡る妖艶なる根 天地を貫くが如く凛然と聳え立つ幹 伸びる蔓 開く大口 滾る毒液 垂れる果実 怪しくも神秘的な大樹が、そこに現れた (ルート ヒャハハハハハ! なぁにぃ!? いきなり本気でくる訳ぇ!? (蓮華 【当然です。貴方がどんな能力かは既に把握しているので・・・・ね!】 幾本の蔓が、ルートを狙って襲いかかる (ルート 遅いってぇ!! 『カイザーシュニット』ォ!! ウィルスを長く細い刃に変え、蔓を残らず斬り払い、 飛び散るウツボカズラの溶解液を避け、 足場を抉るハエトリソウに乗り、それを切り落とし、 地下から伸びた根さえも薙ぎ払い、 迫り来る大きなカボチャを、一閃をもって両断した (ルート デカくなっただけで変わんねぇじゃぁん!! それでアタシに勝てると思った訳ぇ!? ありえないってぇ!! (蓮華 【何を言い出すかと思えば、手加減に決まっているでしょう? 私は一気に殺す性分ではありませんからね No.0からNo.5は、そのNo.における最高戦力とも言えます その内の1人である私に勝とうなんていう希望は端から棄てた方がいいかと】 (ルート ヒャハハ、自信過剰も良い所だよぉ・・・ バッ、とルートは両手を広げ、 (ルート テメェがこの世に“生きてる”限り、テメェはアタシにゃ勝てやしない・・・ アタシの能力は命を喰らうからねぇ!! ソフトボール程の液状の球体が、彼女の周りを浮遊し始めた (ルート ヒャハハハハハハ!! 『ギフト・ヴァイラス』!! 彼女が両手を前方に差し出すと、球体はその動きに合わせて加速をつけて動き出し、 大樹目掛けて特攻を開始した (ルート 分かってんでしょぉ? アタシが操るのはインフルエンザウィルス・・・ これでテメェが生きるも死ぬもアタシの自由って訳よぉ!ヒャッハハハハハ!! どうしよっかなぁ?? まずはテメェの地位を利用して破壊工作でも――― (蓮華 【他人の事は言えませんね】 ズンッ、と身体に響く重い衝撃 巨大なスイカに弾き飛ばされ、ルートは壁に激突した (ルート カ・・・ハァッ・・・なん、でぇ・・・ (蓮華 【『メリア・アゼダラク』・・・和名『センダン』という植物をご存知ですか?】 しゅるり、と蔓でルートの小さな身体を巻き取り、擡げると、 蓮華はぐったりとした彼女を、容赦なく締め付けた 月夜の町に響く、鈍い音と少女の叫び声 (ルート っぁ・・・ぁあ゙あぁぁっ!! (蓮華 【クスッ・・・沖縄県に自生する植物でしてね この植物からの抽出液に、インフルエンザウィルスを死滅させる効果があったんですよ】 (ルート そ、れって・・・まさkんぎぃっ!? (蓮華 【先程私が飲んだ種の中にもそれがありまして 正直成功するかどうか不安でしたが・・・結果はご覧の通りです これが何を意味するか、医学に詳しい貴方が分からない筈はありませんよね?】 絡め取った少女を、勢いよく地面に放り投げる そのクレーターの中央で倒れているルートには、もはや立ち上がる力も残されていなかった (ルート アガッ・・・ち・・・く、しょぉ・・・・ま、だ・・・アタシはぁ・・・ (蓮華 【さっきも言った筈ですが?】 動けぬ少女の遥か上空に、巨大なカボチャが浮いていた (ルート こ・・・ろし・・・て・・・や・・・ (蓮華 【こ れ で 終 わ り で す】 ぐしゃり この魔境で赤い華が、月明かりの元に一輪咲いた ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂