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『八坂神奈子』 【いつかの日】外の世界 守矢神社 「今日でひとまずこの世界ともお別れねぇ……」 守矢の山の神、八坂神奈子はどこかノスタルジックな表情を交えて夕焼けの空を仰いだ。 昔から愛してやまない地元の酒を大きめの盃でトクトクと注ぎ、ゆっくり味わうように口元へ注いでゆく。 普段ならばウワバミの如くもっと豪快な呑みっぷりを披露する彼女だが、今日ばかりはそんな気分ではない。 外の世界での最後の晩酌になるかもしれないその瞬間のひと口ひと口を、丁寧に味わっていく。 酒など何百何千と飲み干してきた彼女だが、やはり飲み慣れた地元の酒というのは格別に自分の舌に合うものだ。 極上の酔い心地に浸かっていると、横から細くしなやかな腕が猪口を持って伸びてきた。 神奈子はフッと微笑を浮かべ、それにも酒を注いで酌をしてやる。 「ありがと。…………でも、この空は“向こう”に行っても同じ空さ」 守矢の土着神、洩矢諏訪子も郷愁を交えた表情で猪口に注がれた酒をクイとひと口仰ぐ。 その幼い外見には似合わぬどこか粋な雰囲気を纏う諏訪子とも、交わした杯の数は星の程。 大昔には色々と因縁もぶつけ合ってきたりした神奈子と諏訪子だが、現在はこうして酒を交わす程度には親交も深い。 家族、と言っても良いのだろうか。 神奈子は横の諏訪子に対して、そんな認識を傾ける。 遥か昔には曲がりなりにも本気で命を取り合った相手。 何がどうなって今に至るのか、その過程を思い出すのも今となっては無粋だ。 喧嘩だって日常茶飯事。だが少なくとも諏訪子には好意を抱いている。間違いなく。 (―――家族というよりは、友達なのかもしれないね) さっぱりした性格の神奈子だったので昔の因縁などを今更持ち出したりはしない。 “友達”などという、自分にしてはやや女々しい単語ではあるが、諏訪子に対して使うのはまあやぶさかではなかった。 現にこうして今でも共に酒を酌み交わしているではないか。 間違いなく洩矢諏訪子は自分にとっての『友』なのだろう。 もうひとつ、空になった杯に酒を注ぐ。 「そうだね……この広大な星にも浮かぶ空はたったひとつ。 “あっち”に行っても同じ空の下で、私たちはこうやって同じ酒を呑むんだろうねぇ」 またひと口。 沈む夕日に照り返る神奈子の佳麗な唇へと酒が吸われてゆく。 二人が並んで座るのは守矢神社の屋根瓦の上。 黄金に輝き沈む太陽を眺めながら、じっくり酒と会話を交わしていく。 眼下には暁に染まりゆく見慣れた町並み。 果てなく昔より慣れ親しんできたこの町も、時代の波に呑まれ段々と都会化してきた。 神として永く見守ってきた土地だったが次第に人口は増え、それに伴って自然の風景も少なくなってきた。 そうして人間の技術革新は目を見張る速度で突き進み、人々は篤い信仰を忘れていった。 神である神奈子や諏訪子にとって、神々が信仰されなくなるというのはひとえに自身達の存在の消失に繋がる。 信仰を忘れ、科学や情報を頼り始めた人間は、彼らの叡智の結晶である『技術』を以ってして栄え始めた。 ほんの昔には、人間たちは不都合なことがあればすぐに神に泣きついてきたというのに。 作物が育たない。 疫病をなんとかしてくれ。 雨を降らして欲しい。 そんな我儘勝手な人間の祈りを神々はその度に成就させ、その報酬として信仰、崇められてきた。 土地によっては何と同属の人間の生命を贄として捧げられてきた習わしすらあった。 神と人。 それは片方が欠如すればもう片方もいずれは滅ぶような、危ういバランスの上に成り立っていた。 しかしそれも今は昔の関係。 ものの数百年で人間はいつしか神の力に頼らずとも、自分たちの力だけで問題ごとを解決してくるほどに進化したのだ。 それは神々には持ち得ない、『個』ではなく『集』の力。 永い歴史と多くの人たちの知や努力によって、人間は技術を物にし、進化させてきた。 気付けば神々の存在は書物やお話の中だけで完結していき、やがて忘れ去られた。 神奈子はしかし、神々が信仰されなくなる原因だとも言える人間の技術革新というものが嫌いにはなれなかった。 永く人々を見守ってきた神奈子だから、人間の『成長』を眺めていくのは楽しかったのだ。 人が自分たちの力だけで困難に立ち向かうようになったのであれば、それもまた善し。 もはや神などは前時代の遺物なのかもしれないとすら思えるようになってきた。 しかしだからといって、このまま自分らの存在が消失していくのを胡坐かいて待つわけにもいかない。 神奈子と諏訪子は、以前より講じていた『策』をとうとう決起することにした。 それは、まだ神々の存在が当たり前のように人々に信じられている幻想の土地へ赴くというものだった。 俄かには信じられないが、この日本にはまだそういった非常識な閉鎖空間があるとのこと。 神奈子と諏訪子の強引な神力によって、その世界へ守矢神社ごと引っ越そうというのだ。 そして赴いた先で、非常に平和的かつ親睦的営業で再び信仰を集めようという一計だった。 その一世一代の大掛かりな引越しを明日に控えた今日。 もはやこちらの世界に未練は残したつもりはない。 憂心があるとするなら―――、 「早苗は向こう行っても寂しがるだろうねー……。あの娘、まだまだ人生これからって年頃なのにさ」 「私たちがやろうとしていることは……あの娘から両親や友達を取り上げようって行為みたいなモンさ」 ―――娘のように可愛がってきた早苗までもが、神奈子たちと共について来てくれるということだ。 これには神奈子たちも度肝を抜かれた。 本来ならばこれは神側である神奈子と諏訪子らの問題。 人間の、そのうえまだ少女である早苗までついてくる道理は無い。 向こうの土地に渡れば、もうこちらの世界に戻ってくることはないだろう。 たかが十と少しを生きただけの早苗には、辛い境遇になることは間違いない。 ―――「それでも私は、神奈子様と諏訪子様に生涯を捧げたいのです」 困惑する神奈子たちに早苗は迷わずハッキリそう言い放った。 本気の眼だった。 早苗という少女は本気で今までの生活を捨て、神奈子らと共に在ることを決心したのだ。 便利な生活も、学校の友達も、血の繋がった家族とさえも別れ、全く未知の世界へ共に飛び込んでくれると。 早苗の覚悟が本気だと悟った神奈子たちは、精一杯の慈愛で彼女の頭を撫でてやった。 そして一言「ありがとう」とだけ言って感謝した。 「あの娘は表面では強がってはいるけど、本当は何処にでもいるようなありふれた女の子さ。 悲しまないワケがない。平気なワケがない。……私たちもとんだ罪作りな神様だ」 茜色を帯びた遠くの雲を見据え、むなしく零した。 杯の酒に映る自分の顔には、口元に自嘲めいた微笑を携えている。 「それは言わない約束って言われてるでしょ。神奈子らしくないねー。もしかして後悔してる?」 あっけらかんと諏訪子は言う。 後悔しているか、と言われたら……しているのかもしれない。 本来は糸を引かない性格である神奈子も今回ばかりは頭を抱えた。 自分はどうやらこと早苗に関してだけは甘い。諏訪子にもよく言われることだ。 「“こっち”と違って私たちには“向こう”の勝手が分からない。早苗からしたら不安でしかない筈さ。 そんなあの娘が気丈に笑顔で振舞ってるんだ。私たちがその意思を無下にしちゃあいけない」 「ようはちょっぴり後悔してんじゃん。あっははー神奈子お母さんもいい加減子離れしなきゃだねー!」 ケラケラと諏訪子はこちらを指差して笑う。 それに触発して神奈子が顔を紅くしてムキになる。 守矢の家ではありふれた日常。 そんな平和な日常は、新たな土地へと渡っても決して変貌することはないだろう。 早苗と神奈子と諏訪子。 3人の『家族の絆』は何よりも固く、優しい愛で溢れているのだから。 「―――神奈子様ぁーーーー諏訪子様ぁーーーーっ! お夕食の支度が整いましたぁーーーー! 降りてきてくださーーーーいっ!」 離れの社務所から早苗が元気よく声を張り上げてきて出てきた。 早苗の方は既に両親と夕食は済ませた筈だが、今日だけはもう一度神奈子らの晩酌に付き合ってくれるそうだ。 「最後の夜くらい家族と長く過ごしてあげたらどうだい」と神奈子は提案したが、早苗の方も「晩酌だけは!」と主張を譲らない。 これには神奈子たちも苦い笑みで折れるしかなかった。もっとも酌ならつい今しがた交わしたばかりだけども。 諏訪子が屋根からぴょんと身軽に降りる。 やれやれとばかりに神奈子は空の酒瓶を抱え、それに続いた。 敷石の上を神奈子と諏訪子と早苗は並んで歩く。 「ねえねえ神奈子はさー、向こうにあると思う? 『海』!」 「あー? あるわけないだろう、山奥の辺鄙な土地らしいし。 前から思ってたけどアンタ、カエルのクセに海で泳いで平気なの? ていうか向こうでも泳ぐ気?」 「ちっがーう! いや、違くはないけど! もしあったら『また』3人で一緒に見に行こうねって話だよ!」 「いいですねー海。いつかの時は諏訪子様、はしゃぎまくって筋肉痛になったりしてましたもんねー」 「全く、神様が筋肉痛だなんて人様が聞いたらなんて思うだろうね」 「い、いいだろー別に! 神奈子こそ結構はしゃいでたクセに!」 「お二人とも喧嘩はやめてくださいよー、出発は明日なんですから。 ……そうですねぇ。私はあっちでも少年ジャンプが見れればすごくありがたいんですけどねぇ」 「……早苗、それは流石に無理だよ」 「あはははっ、早苗らしくて良いじゃないか。 ―――でも、そうだねえ。どんな場所なんだろうねぇ、“幻想郷”ってところは……」 3人はまだ見ぬ土地に想いを馳せる。 来る者全てを受け入れるという『幻想郷』は、この家族たちも聖母のように優しく受け入れてくれるのだろう。 その土地ならば、3人の『家族の絆』は永劫に守られるのだろう。 きっと。 きっと。 守矢が幻想郷へと渡る、つい1日前のありふれた出来事だった。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『八坂神奈子』 【その日:朝】D-1 守矢神社 (――――――仕損じたッ! 仕損じたッ! 仕損じたッ! 仕損じたッ!! 仕損じたッ!!!) 家族の絆はその日、突然引き千切られた。 (出来なかった……ッ! あの娘を本気で、撃てなかった……ッ!) 純粋なる希望と、ありふれた願いと、ささやかな憧憬を望んで触れた幻想の世界は、 (私が、やらなきゃダメだったというのに……ッ! 私が……私が……私がッ!!) いとも簡単に、彼女たちの理想を粉々に踏み潰した。 (私が早苗を……殺してあげなきゃダメだったのにッ!!) 幻想郷が彼女たちに与えたものは、信仰や幸福などではなく、 (―――殺せなかった……っ! 喪うことに恐怖して、しまった……っ!) 家族同士で殺し合う『殺戮遊戯』という、残虐で酷悪な悲劇だった。 「―――、ぁ……ここって…………ウチだ……」 考え得る限り、最悪の再会を果たしてしまった早苗との交錯から僅か後。 無秩序が支配するグチャグチャな意識のままに、ここまで歩いてきてしまった。 目の前には―――なんと皮肉なことか。 昔より慣れ親しんできた我が家……守矢神社の鳥居が蒼然とこちらを見下ろしていた。 意識して目指して来たわけではない。 ボロボロの肉体と、磨り減った精神状態のままにフラフラと辿り着いただけだ。 魂が導かれたのだろうか。 神奈子はその事実にさして疑問を抱かず、丁度良いとばかりに本殿へと潜り込んだ。 とにかく今は、消耗した身体を癒さなければ。 混濁した精神状態の中でも、道中で聴こえた放送の内容はしっかりと頭に入れておいた。 木造の床に腰を下ろし、名簿を取り出してぼんやりと印を付けていく。 この6時間で死んだ者は18人。神奈子自ら手を掛けたあのプロシュートも勿論含まれている。 早苗の名は無く、何処かにいるであろう諏訪子の名も呼ばれなかった。 ―――そのことに、心の底から安堵した。 直後に気付いた。 何故、安堵? 自分はついさっきまでその早苗を殺そうとした張本人ではなかったのか。 友である諏訪子の息の根を止めようと歩き回っていた筈ではないのか。 何で、安心したんだ。 私は、皆殺すつもりなんだぞ。 早苗も諏訪子も、遅かれ早かれ死ぬ。 それは既に決定された事実。 あの幻想郷最高神が下した『生贄選び』という儀式を根底から覆すことが不可能なら、 私はそれに倣って、従わなくちゃあならない。 何故ならそれが幻想郷の『しきたり』であり、 そこに住む者の『法』なのだから、だろう。 それを心で理解してしまった神奈子は、当然のように法に沿う。 実際のところ納得など出来ないし、愛する存在を手にかけることほど辛い出来事も無い。 しかし、神奈子は意識の奥にすり込まれてしまった。 儀式に“興じろ”と。 幻想に“同調しろ”と。 これが幻想郷でのルールだというのなら。 この世界の頂点がそう決めたのなら。 一柱である神奈子は溶け込むしかない。 だというのに、神奈子はあろうことか『安心』してしまった。 放送で早苗や諏訪子の名が呼ばれなかったことに「ああ良かった」と思ってしまった。 腹を括った筈なのに、どうして今更情などが湧き上がってくるのか。 だが神奈子は自分の内奥に潜む感情の正体をとうに見破っていた。 人であろうと神であろうと、どんな存在にだって『それ』はある筈だ。 ―――人と人との『家族愛』。それだけは、どんな者にだって冒していい領域ではない。 誇りのため。家族のため。 それを守るために命を懸けるということは、美しき『気高さ』となる。 人も神も関係なく、家族を愛すという心だけはこの世でもっとも美しい『徳』なのだ。 その『徳』という気高さが、あの時神奈子の手を止めてしまった。 心にタガを掛けてしまった。 早苗たちと元の平和な家族に納まるということは―――もう決して来ないだろう。 それが分かってしまったからこそ、自分はこの儀式に溶け込んだというのに。 自分の中に迷いが生じているせいで、早苗は殺される。 自分があの時に殺せなかったせいで、早苗は殺される。 何処かの誰かの、吐き気を催すような『暴力』にあの娘は殺される。 そんなことが許されるわけがない。 そんなことを許して良いわけがない。 ―――私たちの『家族愛』を引き裂くことが許されるのは、それはきっと私たち『家族』だけ。 故に私は早苗を殺す。諏訪子を殺す。 他の誰でもなく、この八坂神奈子だけがあの娘たちを殺す……! 誰にも邪魔はさせやしない。 例えあの最高神であろうと邪魔はさせるものか。 これは究極的には、私たち家族の問題となる! ふと、殿内の仄暗い天井を見上げた。 シンと静寂な神社の敷地にいると、色々なことを思い出す。 「さな、え……………………」 愛する娘の名をそっと、小さく零す。 その名前は頭の中で何度も何度も反響し、神奈子の脳を痛烈に揺さぶり抉っていった。 愛する娘の名前。 愛する娘の表情。 愛する娘の仕草。 愛する娘の声。 瞳を閉じれば色褪せない思い出と共に、その全てが鮮明に蘇る。 あの幸せだった日々は、もう此処には無い。 家族が残した温もりも、香りも無い。 愛 夢 希望 しかし彼女たちと過ごした日々を、神奈子は決して忘れはしない。 既に心は決めた。 次だ。 次に逢った時こそ、本気で早苗を『救おう』。 この醜悪な儀式から、早苗を救ってやらなければ。 「―――救う。『殺す』、か…………………」 早苗は、今の自分の姿を見てどう思っただろうか。 あの時の早苗は泣いていた。 もしかしたら、私も泣いていたのかもしれない。 早苗の方も、次こそは私を本気で殺しにかかってくるのだろうか。 ……無理だろう。あの娘は本当は強くなんかない。 家族である私を殺そうとするなんて、出来っこない。 ―――『あの娘は表面では強がってはいるけど、本当は何処にでもいるようなありふれた女の子さ。 悲しまないワケがない。平気なワケがない。……私たちもとんだ罪作りな神様だ』 ついぞ昨日、諏訪子と交わした会話を思い出す。 その会話の意味も昨日と今日とでは、まるで違う意味のように感じる。 もはや手の届かないほど昔のことのように懐かしむが、たったの昨日話したばかりの内容なのだ。 それが今では信じられない。まさかこんな事になるなんて。 早苗を巻き込んでしまったことに、心底後悔してしまう。 果たして早苗は家族である私を殺すことができるのか。 子供は、死を理解していない。 人間が死ぬということは知っていてもそれがどういうことかわかっていない。 なんとなく自分も周りの人たちもいつまでも生きていると思っている。 そんな子供たちも、親しい人を失っていくうちに、理解していくことになる。 永遠などなかったのだ、ということを。 早苗は弱い。 強い表面を出そうとしているだけに、ひとたび殻が割れればその心は脆い。 そんな弱さを乗り越え、立ち上がることが出来るほどにこの儀式は温くない。 愛する家族を殺すために、己の精神を支配出来るほど強くない。 愛する家族を殺すために、自らの精神を知って理解出来るほど強くない。 愛する家族を殺すために、私の立場に身を置いて思考出来るほど強くない。 あの優しい娘には、強靭な意志と冷徹な思考を私に向けることなんて出来やしない。 もしあの娘が弱さを乗り越えて、私を冷静に、全力で殺しにかかることができた時……。 早苗は果たして早苗であり続けることができるのか。 早苗の姿をとっていながら、早苗でない、おぞましい何者かになってしまっているのではないか。 『弱さを乗り越える』ということは、 『愛する者を全力を以って殺しに掛かる』ことへの恐れさえ捨て去ることなのか。 それは今の私にも言えることだ。 もう己の弱さは捨てた。 あとは『その時』が来るのを待つだけだ。 いや、待ってばかりではいけない。 自分から立ち向かっていかねば、きっと早苗は他の誰かに殺されてしまうだろう。 それだけは、本当に嫌だ。 故に私は、家族を殺すのだ。 家族が家族を傷付けて幸せになれるのか。 いまあの娘は何を見ているのか。 何を感じているのか。 きっと同じ空の下で私を想っているのだろう。 人は人を愛さなければならない。 もしも私があの娘に殺されるのであれば、それは本望だ。 あの娘は親の愛に気が付かなくてはならない。 私を殺すことが出来た時、それがあの娘の人生の始まりとなる。 あの娘がこれからどのような大人になるのか。 それを眺めていくことが出来なくなってしまったのは、本当に残念だ。 諏訪子は、私と同じ考えをするだろうか。 ……難しいかもしれない。アイツと早苗は正真正銘、血の通った同じ血族だ。 諏訪子もなんだかんだ言って、早苗には大層甘いのだから。 「やはり……早苗を手に掛けるなら、私が……ッ」 しかしそれよりも前に、諏訪子とも対峙するかもしれない。 その時が来れば……大昔の因縁に決着をつけるだけだ。 先に諏訪子を振り落としてしまえば、心に残った最後のわだかまりも霧消するかもしれない。 完全に吹っ切れる為の『儀式』だと思って、先に諏訪子を探すか。 なんにせよ、今は……疲れてしまった。 少しだけ、横になろう……。 ほんの少し、ほんの少しだけ、今は眠りたい。 人間の叡智であり、同時に殺戮の道具でもある技術革新の象徴。 その禍々しげなガトリング銃を肩から下ろし、倒れるように横になる。 人間の道具が好きな神奈子も、『コレ』だけは好きになれなかった。 やがて、静まった殿内に微かな寝息が聴こえ始めた。 彼女が見る夢は、幸せであった過去の日常か。 それとも、これから始まる地獄への前奏曲――プレリュード、か。 眠る彼女の頬には、一粒の雫が哀しげに伝っていた。 彼女の名を、八坂神奈子という。 一柱の神でありながら、東風谷早苗の愛する家族であった。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 【D-1 守矢神社/朝】 【八坂神奈子@東方風神録】 [状態]:体力消費(大)、霊力消費(大)、右腕損傷、身体の各部損傷、早苗に対する深い愛情 [装備]:ガトリング銃@現実(残弾80%)、スタンドDISC「ビーチ・ボーイ」@ジョジョ第5部 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:主催者への捧げ物として恥じない戦いをする。 1:『愛する家族』として、早苗はいずれ殺す。…私がやらなければ。 2:洩矢諏訪子を探し、『あの時』の決着をつける。 3:力を使い過ぎた…今は休息が必要だ。 [備考] ※参戦時期は東方風神録、オープニング後です。 ※参戦時期の関係で、幻想郷の面々の殆どと面識がありません。 東風谷早苗、洩矢諏訪子の他、彼女が知っている可能性があるのは、妖怪の山の住人、結界の管理者です。 (該当者は、秋静葉、秋穣子、河城にとり、射命丸文、姫海棠はたて、博麗霊夢、八雲紫、八雲藍、橙) 114:燃えよ白兎の夢 投下順 116:COUNT DOWN “NINE” 114:燃えよ白兎の夢 時系列順 116:COUNT DOWN “NINE” 067:弱さを乗り越えて。偉大なる夜を越えて 八坂神奈子 124:BBLLAASSTT!!
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最終更新 2023-11-25 「英雄伝説IV 朱紅い雫 (Windows版)」のBGM別作曲者推測 目次 [非表示] データ 外部リンク 更新情報 概要 推測を終えての所感 オリジナルサウンドトラック 投票 コメント データ 発売日 2000年12月07日 機種 Windows 作編曲者 Falcom Sound Team jdk (松岡博文, 白川篤史, 園田隼人, 松村弘和, 石橋渡, 服部麻衣子) / スペシャルサンクス 中島勝 外部リンク 公式 / Wikipedia / VGMdb / Ys MUSIC FILES / みんなで決めるゲーム音楽まとめWiki / 公式インタビュー (朱紅い雫 サウンド特集) 更新情報 2020-12-27 Spotifyリンク追加 2019-12-19 推測に中島氏の担当分を追加して大規模変更 概要 ガガーブシリーズ2作目のWindows移植リメイク。シリーズ最終作の「海の檻歌」より最後に発売された。アレンジされ新曲も大幅に追加されたが一部の原作の曲が未使用にもなったがそれらは「イース イース2, 朱紅い雫 ~Unpublished Music」に収録された。PCMとMIDIが選択できるがOSTではPCM版を収録。 推測を終えての所感 今作からjdkメンバーとして服部麻衣子氏が参加。そしてこれまで主力メンバーとして長きに渡ってサウンドを支えていた中島勝氏は今回jdkメンバーとして名前を連ねず別枠のスペシャルサンクス扱いになっている。当初は作曲スタッフとしては中島氏は参加していないと思っていたが氏が確実に参加されている「白き魔女」「海の檻歌」を聴くと今作でも明らかに中島氏としか思えない曲がありやはり参加されている。中島氏のこれまでの曲との様々な一致点を参加している以外に説明が出来ない(*1)。何故こうゆう変則的なクレジットになったかというとやはりファルコムのルールとして発売前に退社されたためなのではと思う。 推測結果から考えると基本的には原曲の作曲者が自分の曲を編曲、追加曲は当時の新人の園田氏や松村氏、石橋氏、服部がそれぞれ受け持っていることが多いと思われる。 オリジナルサウンドトラック +=追加曲, *=大幅アレンジ, *1=海の檻歌から流用, *2=Win版白き魔女からの流用 原曲(確定済) No. 曲名 (Spotify) 原曲(確定済) 予想 コメント 01 朱紅い雫 -memoria- 中島 中島 最終的には他の中島氏の曲から推測。 02 朱紅い雫 -伝承- (*) 金田 園田 特に0 54の響きから園田氏の響きを感じ取れる。氏の確定曲VM「紅の空に」を聴けば明快だ。氏はインタビューで”オープニングの曲をコンテに合わせて作り、曲自体が完成した後も映像を引き立たせるべく細かなアレンジの手直しをくり返した事ですね。”と述べているがゲームのプレイ動画を見ると(実際はOP前のプロローグだが)そういった仕事を確認できる。 03 絆 -熱き想いを胸に- (+) - 中島 中島氏の確定曲ED5「Deep Forest」0 50と同じアレンジと響きから氏と推測出来る。 04 ぬくもりに抱かれて… (+) - 白川 「希望へ続く道」と同じフルート。「フィルディン城」と同じグロッケンシュピール。0 22のウィンドチャイムは氏の確定曲ED5「Leone Fredrik Richter“海の檻歌”」0 52などと同じ。右にあるチェンバロはモナークモナーク「ステージ選択」と同じ。 05 異端者の襲撃 -邪神オクトゥムの陰- (*) 金田 白川 基本的にオーケストラ曲は氏が担当していることが多い。独特の乾いたスネアの音は白川氏がよく使う音。そして原曲の作曲者というのもポイント。 06 やすらぎの日々 (+) - 中島 チェロは「朱紅い雫 -memoria-」と似たテイストの響き。左右に別れて叩かれるシンバルは「いつか来た村」など今作で中島氏と推測した曲と同じ。ウッドブロックは氏の推測曲VM「仄かな希望の灯」「いざない」にもある。 07 いつか来た村 中島 中島 イントロのヴィブラフォンは「明日があります」と同じ音。右ストリングスは「朱紅い雫 -memoria-」と同じ。トムトムやシンバルは「やすらぎの日々」と同じ。白川氏と違ってVM「次元の狭間で」みたいに散らすように叩く。0 22のブラスは氏の確定曲のED5「恋する季節」と同じ。 08 足取り軽く 中島 中島 「いつか来た村」と似たブラスと右ストリングス。トムトムやシンバルは「いつか来た村」と同じ。左右に飛び跳ねるトムトム。 09 そりゃぁないでSHOW (+) - 石橋 ビブラスラップは「シャムシール団」と同じ位置と音。Ys6「THE AKINDO」にも同じ位置と音。ZW「ケノーピ火山」でもビブスラップは多用している。0 50右のスティックで叩く音は「さらに愉快な仲間たち」や「シャムシール団」と似た音。ブラスも「さらに愉快な仲間たち」「シャムシール団」「楽勝!」と同じ響き。左ハイハットは「さらに愉快な仲間たち」など石橋氏の曲と同じ。 10 希望へ続く道 白川 白川 「ぬくもりに抱かれて…」と同じフルート。中島氏と似たサウンドだが氏が多様する左右で叩かれるシンバルがない、トムトムの強さ、ストリングスの響きの差異、また原曲は白川氏とされており自曲を自身で処理しない理由がこの曲に関してはないことから白川氏と判断した。 11 負けるものか! 金田 松村 厚みのあるエレキ、エレキソロ、サイドのオルガン、強めのドラムは「突破!」「戦いは悲しみの果てに」など氏がアレンジに関わったダイナソアリザレクション(以下DR)を彷彿。当時のメンバーでは松村氏しか成し得ないサウンド。インタビューで氏は”今回もボス戦やダンジョン系ではやっぱりメタル魂炸裂!!”と力説している。 12 王都フィルディン 中島 中島 スネアとシンバルは「足取り軽く」と同じ。シンバルは「やすらぎの日々」と同じ。ブラスは「いつか来た村」と同じ。白川氏のVM「開闢の時」と似ているサイドでピコピコ鳴るシンセだが単に似ているだけだと思われる。中島氏はVM「静かなる純白」0 18でも似たアレンジをやっている。0 15からのジャジーなアレンジはVM「純粋なる者たち」0 42、モナモナ「オープニング / 砂漠 勝利目前」0 45など中島氏が好むスタイル。もちろん原曲の作曲者だからでもある。 13 フィルディン城 白川 白川 グロッケンシュピールは「ぬくもりに抱かれて…」0 24と同じ音と位置。原曲の作曲者。中島氏と推測した「王都フィルディン」と続けて聴くと明らかな響きの差異がある。 14 さらに愉快な仲間たち (+) - 石橋 「シャムシール団」の理由。0 17のような動物の鳴き声はぐるみん「Animal Minimal」などでもやっている。左右でマリンバが移動するアレンジはYsVI「THE AKINDO」でもやっている。また石橋氏の作る曲は初期の頃でも色鮮やかさと明瞭さは変わらず。 15 走れアヴィン!! 綱島 松村 エレキとハイハット、オルガンは「負けるものか!」と同じ。 16 怯える人々 (+) - 園田 0 35からが分かりやすい。ハープは「朱紅い雫 -伝承-」後半と同じ。 17 向かうべき路途(みち)へ (+) - 中島 「足取り軽く」でもやっているシンセの音程上げアレンジ。左右に動かしている0 16は「足取り軽く」0 12を彷彿。フルートはVM「静かなる純白」と同じ音と位置。ED5「邪魔する者は容赦しない」と似たメロディとアレンジの曲。 18 暗闇に巣食う者 白川 白川 推測が困難だが全体の響きから中島氏や園田氏とはあまり思えず白川氏の響きだろう。そして原曲の作曲者という理由もある。最終的には「聖都」の推測から導き出せる。 19 迷宮乱舞 中島 中島 シンセは「向かうべき路途(みち)へ」と同じ。イントロのベース音は「森を行け」0 31と似ている。 20 シャムシール団 (*) 白川 石橋 「楽勝!」のブラスと同じ。硬い音のスティックの音は「さらに愉快な仲間たち」と同じ、左のハイハット的な音も「さらに愉快な仲間たち」と同じ。特にティンパニの響き、左右の近接気味な音像位置などから石橋氏のサウンドの響きを彷彿。 21 元気なシャノン 中島 中島 ハンドクラップは「絆 -熱き想いを胸に-」と同じ。0 24など左側にあるポコポコとした音は「王都フィルディン」と同じ。女性コーラスはモナモナ「エンディング」と似ておりこういったコーラスのユニークな使い方はモナモナ未使用曲「雪面 通常」など氏がよく多用している。 22 森を行け 中島 中島 「絆 -熱き想いを胸に-」と同じコンガ。「鉄鋼の町 -ギア-」やED5「それぞれの明日へ~Leone Fredrik Richter“End Credits”」と同じ笛。 23 朱紅い雫 -神に選ばれし娘- (*) 金田 中島 「やすらぎの日々」と同じアコギ。「絆 -熱き想いを胸に-」と同じコーラスとハーモニカ。右側低弦はED5「Deep Forest」と同じ。 24 にぎやかな街角 白川 白川 「にぎやかな街角」と同じフルート。「フィルディン城」と同じ位置のストリングス。0 23の一度止まるトムトムはモナークモナークの氏の推測曲「雪 勝利目前」0 24を彷彿。右側のウッドブロックは氏の確定曲「Leone Fredrik Richter“海の檻歌”」にもある。「やすらぎの日々」もそうだが結局のところ中島氏も白川氏も同じようにウッドブロックを使う。 25 鉄鋼の町 -ギア- 中島 中島 「森を行け」0 22と同じ笛。0 15からのシタールっぽい音は「王都フィルディン」0 19と似た音。0 29のシンセは「足取り軽く」0 43と同じ。0 43には「やすらぎの日々」と同じウッドブロック。0 30のシンセはVM「純粋なる者たち」1 11を彷彿。ファルコムクラシックス「Dragon Slayer/Field」と似た曲。 26 邪魔をするな! 金田 松村 「負けるものか!」と同じエレキとベースとドラム。0 17のエレキは「走れアヴィン!!」1 18と似ている。ハイハットは「走れアヴィン!!」と同じ位置。エレキの刻みはDR「精霊の塔」を彷彿。0 35,1 45はDR「汚れなき時」1 00の上昇していく部分と同じ。2 01からの展開は原曲にはなく「精霊の塔」1 32からと似ている。 27 明日があります 白川 中島 「いつか来た村」と同じヴィブラフォン。真ん中のエレピは「鉄鋼の町 -ギア-」と同じ。 28 途方にくれて -ギア・ブルース- (*) 中島 中島 「鉄鋼の町 -ギア-」と似ているシンセ。「絆 -熱き想いを胸に-」と同じ左のアコギ。シンバルやトムトムは中島氏が使う音と位置。 29 潮風のリズム 白川 白川 フルートはこれまでの白川氏の音。0 45からのブラスは「フィルディン城」0 10と同じ。トムトムは「希望へ続く道」1 06と同じ。原曲の作曲者。 30 海原を風に乗り 中島 中島 シンセは「向かうべき路途(みち)へ」と同じ。「やすらぎの日々」と同じトムトムとシンバル。0 30は「明日があります」と同じヴィブラフォン。右ストリングスは「いつか来た村」と同じ。左エレキはED5「なんだこの野郎!」と同じ。 31 朱紅い雫 -愛しのアイメル- 白川 中島 「朱紅い雫 -memoria-」のオルゴールと似た音と響き。中島氏の使うヴィブラフォンと似た音。ストリングスは「朱紅い雫 -神に選ばれし娘-」と同じ。 32 朱紅い雫 -幸せな時間(とき)- (*) 白川 中島 フルートは「いつか来た村」0 25と同じ。 33 燃えろアヴィン!! (+) - 園田 氏のオケ調戦闘曲スタイル。ホルンは「怯える人々」と同じ。スネアの音は白川氏とは違う音。また園田氏は基本的にストリングスを左に寄せる。 34 助けにきたぜ! (*1) - 園田 ブラス、ストリングス、ティンパニ、スネアなど「燃えろアヴィン!!」と同じ。シンバルは「朱紅い雫 -伝承-」と同じ。 35 朱紅い雫 -待ってろアイメル- (*) 金田 松村 氏に共通のエネルギッシュなエレキとベースとドラム。左エレキは「負けるものか!」と同じ。主旋律のシンセは「精霊の塔」と似た音。0 08などのキックドラム連打はDR「次元の迷宮」1 02を彷彿。 36 楽勝! (+) - 石橋 スネアの音とリズム感を聴いたときにすぐに思い浮かんだのが空の軌跡SC「Heartless Surprise Attack」。トムトムもこの曲と似た音と叩き方。またブラスと左ハイハットは「シャムシール団」と同じ。さらにスネアはYsVI「SPREAD BLUE VIEW」とも同じ。なのでどちらも同一人物、つまり石橋氏が該当。 37 旅立ち (+) - 中島 「やすらぎの日々」と同じアコギとトムトムとシンバルとウッドブロック。「王都フィルディン」と似たクラリネット。1 01からのエレキは「海原を風に乗り」と同じ音。0 40のFM音源シンセはモナモナ「エンディング」0 51、モナモナ未使用曲「砂漠 通常」0 40にもある。 38 邪神官ベリアス -襲撃- 金田 白川 「異端者の襲撃 -邪神オクトゥムの陰-」と同じコーラスとストリングスとチューブラーベル。1 06からのティンパニのロールは「異端者の襲撃 -邪神オクトゥムの陰-」2 09と似たアレンジ。 39 聖都 白川 白川 0 46は「暗闇に巣食う者」0 32と似ている。1 00のフルートはED5「ルプシャ隊行進曲」0 42の響きと似ている。 40 礼拝堂 -運命と宿命の中で- 金田 白川 チェンバロは「ぬくもりに抱かれて…」と似た音。オルガンとチェンバロはED5「水底のメロディー「浮上」(マクベイン一座 アリア)」と似ている。 41 絆 -哀しみを越えて- (+) - 白川 「ぬくもりに抱かれて…」と同じグロッケンシュピール。0 59は特に「神々の犠牲」と同じピアノ。ED5「水底のメロディー「誕生」(フォルト)」と似たギター。 42 Blue -取り戻す旅- (+) - 中島? シンバルはこれまでの中島氏が使うシンバルと似ている。右エレピは「絆 -熱き想いを胸に-」と似ている。同じジャジーな「途方にくれて -ギア・ブルース-」と似ている、特にベース。ただ他の中島氏の曲と比べてあまり確信はない。 43 守るべき一線 (+) - 松村 これまでの松村氏のサウンドと同じ。0 52はDR「突破!」1 05を彷彿。 44 真実を求めて 中島 中島 フルートっぽいシンセは「王都フィルディン」と同じ。シンバルは「旅立ち」と同じ。エレキは「海原を風に乗り」と似ている。中島氏は「足取り軽く」0 21、「向かうべき路途(みち)へ」の0 20など音程を上げるアレンジをよくやっている。 45 我が名はバルドゥス -真実- (*) 白川 白川 「邪神官ベリアス -襲撃-」と同じコーラスとチューブラーベル。 46 バルドゥスの眠りし祠 (+) - 中島 0 23からのシンセは「絆 -熱き想いを胸に-」0 22と似ている。ED5「愛を感じていたい「そして・・」」を彷彿。 47 死闘 -汚された精霊- 白川 白川 「絆 -熱き想いを胸に-」と同じヴァイオリン、「ぬくもりに抱かれて…」と同じフルート。氏のチューブラーベルも使用。 48 暗雲たちこめる中で (+) - 園田 トランペットとホルンの響きは「燃えろアヴィン!!」と同じ。ぐるみん「呪われし厄の牙」を彷彿。 49 太古の遺産 白川 白川 「ぬくもりに抱かれて…」と同じグロッケンシュピール。そして原曲の作曲者。 50 泥炭沼 (*2) 白川 白川 Win版ED3からの流用曲。元は「炭鉱」という曲名。オーボエは「フィルディン城」と似ている。ストリングスは「邪神官ベリアス -襲撃-」と同じ。 51 神々の犠牲 (+) - 白川 「ぬくもりに抱かれて…」と同じグロッケンシュピール。ED5「Leone Fredrik Richter“海の檻歌”」と同じ音と位置のピアノ。0 52のティンパニは「異端者の襲撃 -邪神オクトゥムの陰-」1 09と似ている。 52 異端者の襲撃 -ボルゲイド- 金田 白川 「異端者の襲撃 -邪神オクトゥムの陰-」と似たアレンジ。「邪神官ベリアス -襲撃-」と同じスネアとチューブラーベルとストリングスとコーラス。 53 絆 -凍てつくほどに- (+) - 白川 右のシンセは「希望へ続く道」とほぼ同じ。真ん中のストリングスは「神々の犠牲」1 00と同じ。「太古の遺産」と似た雰囲気。 54 我が名はバルドゥス -神剣- (*) 白川 中島 アレンジが違う「我が名はバルドゥス -真実-」。右ストリングス1 02の位置は「いつか来た村」0 18と同じ。チューブラーベルやコーラスの響きなどは「絆 -熱き想いを胸に-」と同じ。ドラムの自由なアレンジスタイルからは中島氏を彷彿。少なくとも園田氏や松村氏ではない。服部氏の響きとも違う。 55 我が名はバルドゥス -集結- (*) 白川 園田 チューブラーベルは「怯える人々」と同じ。シンバルとティンパニ、ストリングスは「助けにきたぜ!」と同じ音と位置。低弦は「暗雲たちこめる中で」と同じ。スネアは白川氏の使う音ではなく「燃えろアヴィン!!」と同じ音。1 50からのシロフォンはED5「シャオとレイチェル」と同じ。 56 避けられぬ戦い (+) - 白川 コーラスの響き、大太鼓などオーケストラは「異端者の襲撃 -ボルゲイド-」と同じ。右ストリングス、ティンパニ、シンバルは「邪神官ベリアス -襲撃-」と同じ。ED5「闇の太陽「復活」」イントロのティンパニとも似ている。 57 封印の地 白川 白川 イントロのティンパニロール、チューブラーベル、スネア、ベースは白川氏が使う音。氏はベースをうねらせるアレンジをよくする。 58 時間空迷宮 白川 白川 チューブラーベルは白川氏が使う音。キラキラとした音はZW「ムービー1 -光への誘い-」と似た音とアレンジ。 59 邪神官ベリアス -信念- (+) - 白川 こちらもチューブラーベル、スネア、大太鼓、コーラス、ストリングスは白川氏が使う音。 60 我が信念のために! (*) ? 石橋 0 52のマリンバはFC「旅立ちの小径」イントロ右と同じ。コード的にあの曲はこの時期に近いと思われる。右側のエレキっぽい音は「シャムシール団」1 21と似ている。左右の音像の近めの距離感も「シャムシール団」と同じ。浮遊感のあるシンセやドラムのアレンジはSC「中枢塔《アクシスピラー》」を彷彿させられた。 61 オクトゥムの願い 金田 服部 白川氏が使うオルガンとは違う。また「異端者の襲撃 -邪神オクトゥムの陰-」「邪神官ベリアス -襲撃-」といったオーケストラの響きとも違う。続けて聴くと違和感がある。全体の仄暗い色合いは服部氏のオーケストラ曲を彷彿。RINNE「b04」「b11」「bA0」などを聴くとかなり似ている。特にトランペットのシャープな音やブラス全体の響きも同じ。オルガンは「b25」「bA0」にもある。ティンパニの音はダイナソアR「DINOSAUR」と同じ。他に園田氏の可能性も検討したがストリングスの響きは異なる。この曲の強靭なオーケストラの響きは今作の園田氏のオーケストラ曲とは異なる。 62 かくも強き想い -代償- (+) - 服部 このピアノの響きはこのOST中ではこの曲のみでしか聴かれない。RINNE「b30」「b40」などと同じ音。0 14あたりのストリングスの響きはDR「精霊の賛歌」0 40と同じ。0 28から断続的に鳴る右側のシンセはDR「あなたを愛して」1 16と同じ音。サビのメロディラインは明らかに異質。シンバルも白川氏が使う響きとは違う。 63 かくも強き想い -冥府- 白川 白川 右側は「絆 -凍てつくほどに-」と似たシンセなどの響きを感じる。右側の楽器はハープ?「絆 -凍てつくほどに-」にも微かに同じ楽器が聴こえる。「太古の遺産」と似た響きも感じ取れる。 64 ルティスのこころ (+) - 白川 0 15のストリングス的なシンセは「神々の犠牲」や「絆 -凍てつくほどに-」とほぼ同じ。 65 絆 -それぞれの場所へ- (+) - 白川 「希望へ続く道」と似た音のハーモニカ。0 50からのリコーダーはED5「そよ風の唄」と同じ。 66 朱紅い雫 -エンドクレジット- (+) - 園田 強奏部分は「朱紅い雫 -伝承-」と同じ響き。シンバルの位置と響きも「朱紅い雫 -伝承-」と同じ。スネアの音も白川氏の独特の粒立った音ではなく「燃えろアヴィン!!」と似た音。フルートとオーボエ、ホルンは「怯える人々」と同じ。チューブラーベルも白川氏の音とは違い「怯える人々」と同じ。トランペット、オーボエとホルンの合わさった響きは「燃えろアヴィン!!」と同じ。ティンパニロール1 06,1 20,1 33はED5「漆黒の空」0 33,47と似た叩き方。ストリングスは左寄りに位置し音は「暗雲たちこめる中で」と同じ。全体の響きは広がりのある白川氏の響きとは違う。この時期の園田氏ならではの堅牢な響きを感じ取れる。また氏はインタビューで”スタッフロールの曲も、曲が曲だけに一筋縄ではいきません。”と暗に自分が手掛けたことを仄めかしている。 ↑PAGE TOP 投票 選択肢 投票数 投票 推測に納得 0 推測に異議あり 1 分からない 0 コメント 名無しさん コメント すべてのコメントを見る 免責 ※当wikiは非公式です。情報の妥当性や正確性について保証するものではなく一切の責任を負いかねます。 ※当wikiを利用することによって生じるいかなる損害も当サイトでは補償致しません。 ※ご利用につきましては自己責任となりますのでご注意ください。 ※また当wikiおよび当wiki管理人は日本ファルコム様とは一切関係がありません。 ※文章の著作権は当wikiにあります。内容の複写、転載はお控えください。 ※無料のウィキサービスを利用しているためこちらとは関係のない広告が表示されます。ご理解ください。 Disclaimer ※This wiki is unofficial. 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ぐちゃり、ぐちゃりと耳障りな音が断続的に響く。 男は耳を塞いでしまいたかったが、両腕は震えて力が入らない。 仄暗い闇の中でやけに眩しく見える緋色が弾ける。 男は目を瞑ってしまいたかったが、瞼は凝り固まって動かない。 尻餅をついたまま声も出せず、男はただ悔いることしかできなかった。 思えばなんて軽率だったのだろう。己のサーヴァントが別のサーヴァントの気配を感知したと聞いて、すぐさま向かったのを男はひどく後悔していた。 男はそれなりの魔術師であったし、それ故にセイバークラスを引き当てたということがどれほど聖杯戦争においてアドバンテージになるのかを理解していた。 まさかその無意識な自信が驕りとなって牙を剥くとは、喜々として無防備なサーヴァントを倒しに向かう頃の彼は夢にも思わなかっただろう。 サーヴァントの気配は入り組んだ裏路地のどこかであったから、神秘の秘匿にも都合がいい。街灯もないから月明かりに頼るしかないが、それは相手も同条件だ。 つまるところ男は、自分の勝利を信じて疑わなかったのだ。 セイバーである騎士甲冑の女性を前衛に、サーヴァントを探して細い路地を探索する男の顔が満月に照らされていれば、さぞ愉快そうに歪められているのが分かるだろう。 そしてその表情が苦痛に移り変わるのは、ほんの一瞬のことだった。 十数分は路地を彷徨っただろうか。男もセイバーも、いまだ気配はあるが一向に遭遇できないことに苛立ちが募りつつある頃合いだった。 気の緩みもあったのだろう。右へと折れる曲がり角に差しかかったとき、彼らは僅かに警戒を怠っていた。 飢えた獣はその油断を見逃さなかった。 前を歩くセイバーがまさに角を曲がろうとしたとき、まるでその瞬間を狙いすましたかのように黒い影が躍り出た。 至近距離からの奇襲。だがそれに反応してみせたのだから、さすがは最優というべきか。 咄嗟に右手に握る剣で襲撃者を切り払わんとするセイバーの背中は、男に安堵と勝利の確信を与えるに十分だった。 そこから先の戦いはあまりにも速く刹那のものだったから、男にはなにが起こったのか分からなかった。 もしそこでうなじに宿っている令呪を使っていれば、男の運命もまた違ったものになっていたのかもしれない。 しかし薄暗い視界では敵サーヴァントの姿もはっきりとは見えず、魔術でのサポートも難しかったから、ただ数歩下がったところで見守るしか男にはできなかった。 誰かが息を飲む。ぶちり、となにかがちぎれた。悲鳴。舞い散る液体。 そうして男がなにが起こったかをやっと悟ったときにはもう、敗北が確定づけられていた。 あの音がやんだ。語るも悍ましい行為がようやく終わったのだ。 セイバーだったモノが少しずつ薄れていく。引きちぎられた四肢と、大きく抉られた腹部。自分も今からこうなるのだろうと、男は確信していた。 それでも身体は動かなかった。足は笑って立ち上がることもできない。呼吸すら忘れそうになる。股間が湿って生温かい。 向こうに見覚えのある剣が、持ち主の腕に握られたまま転がっている。反射する男の顔のなんと無様なことだろうか。 これは死を前にしたせいではないと男は自覚していた。死を恐れないわけではない。それ以上に男は、目の前の存在が恐ろしくて仕方がなかったのだ。 爛々と光る金色の瞳が男を射竦める。口元からだらしなく垂れる紅い雫が顎を伝う。 影がゆっくりと近づいてくる。もはや逃げる気力も、一矢報いようという気概も男にはなかった。 せめて苦しまずに殺してくれるようにと、切に祈るしかできない。もっとも相手に人語が通じるかは甚だ疑問ではあるのだが。 ああそうだ、これはきっと殺し合いではない。 獣が本能に任せて駆る、一方的な狩りなのだ。 その夜は美しい満月だった。 月光は眠る京都市の街並みを静かに照らし、全てを優しく包み込むように降り注ぐ。 それはある高層マンションの一室でも変わらなかった。最上階をまるまる一戸としたその部屋は、開け放たれたカーテンから射しこむ光にぼんやりと浮かぶ。 もし部屋を訪れる者がいるならば、まずその異様さに目を剥くだろう。ところ狭しと並んだ本棚に、それこそいっぱいに本が詰まっているのだから。 その様は前に立つ者を威圧するかのように荘厳で。よく見れば並ぶ背表紙の言語は日本語や英語、ラテン語など様々だ。 そして本の壁を抜ければ、その先に待つ者に誰もが息を呑むだろう。まるでこの世のものとは思えない、あまりに美しい少女がそこにはいた。 神の手を持つ人形師が全てを賭けて造り出したような、あまりに人間離れした顔。流れる銀髪は床を這い、月光を受けて神秘的に煌めく。 床に直接座る少女を中心に、フリルをふんだんにあしらった真っ黒なドレスが広がって花開く。その周りを輪になって囲むのは広げられた5、6冊の本で、どれも一冊読むのに1日はかかりそうなものばかりだ。 少女は重いものなど持ったこともないだろうかわいらしい指で、それらのページを次々と捲っていく。その手の甲にはあまりに不自然な、聖杯戦争の参加者たる証が刻まれていた。 幼い外見に似合わないもう片方の手のパイプのせいか、白煙が月明かりに揺らぐ。まるでこの部屋だけ下界から切り離されてしまったような、夢幻と神秘に満ちた空間がそこにはあった。 「随分と遅かったな」 不意に、静寂が破られた。およそ少女のものとは思えない、老婆のように嗄れた声。 その先には誰もいない。否、虚空が一瞬揺らいだかと思うと少年が姿を現した。 見た目だけならば少女よりもいくつか年上であろうか。フードを目深にかぶったその少年がその場に増えただけでぴん、と空気が張り詰める。 爛々と獰猛な気色が覗く琥珀色の瞳。ズボンと呼べるかも怪しいぼろぼろな布を穿き、引き締まった身体には直接パーカーを羽織っている。 不機嫌というには些か嫌厭を潜ませた眼差しを向ける彼こそが、少女――ヴィクトリカが引き当てたサーヴァントだった。 「やる事は済ませたんだ、構わねェだろ」 吐き捨てるように少年が返す。その様子にまたか、とヴィクトリカは思った。大方食事に時間をかけたのだろう。 このサーヴァントには少々悪食のきらいがあった。とはいえその性質があったこそ、彼はこうしてアヴェンジャーとしてここに現界しているのだが。 ヴィクトリカはアヴェンジャーに自由行動を許す代わりに、いくつかきつく言いつけている。その1つが食事についてだ。 よほど余裕がない時でもない限り、サーヴァントとそのマスター以外を獲物としないように。 そうも言ってられなくなったならば、いなくなっても大事にならない独り身を選び、誰の目につかない場所で、骨も残さず喰らいつくせと。 それはきっと非情な決断なのだろう。それでもヴィクトリカは、この戦いで勝ち抜くための駒を失うわけにはいかなかった。 なんとしても帰らなければいけないのだ。身体に刻んだ、大切な人を待つべき場所へ。例えそのために、彼に侮蔑されるような行為に手を染めなくてはならないとしても。 少し、胸が痛んだ気がした。 黙っているヴィクトリカに痺れを切らしたのか、アヴェンジャーが再び口を開いた。 「それで、明日からどうするんだ」 ヴィクトリカがふん、と小さくかわいらしい鼻を鳴らす。いかにも狂犬といった風体だが、その実マスターには忠実なのだから思わず唸ってしまいそうになる。 実際はその根幹には聖杯への渇望しかないことを知っていたから、そんなことは断じてしないのだが。 「いつも通りだ。朝に出てマスターを探して、可能なら夜に襲う」 ヴィクトリカがアヴェンジャーを召喚してからは、ずっとその繰り返しだ。これまでも何組かをそうやって仕留めてきた。 今日もそうだ。暖房が十分に効いているはずのカフェテリアで、マフラーを巻いたままの男性を見かけたからしばらく様子を窺った。 動作の端々に不遜な態度が滲み出ていたのを見て取ったヴィクトリカは、離れたところで待機していたアヴェンジャーに指示を出したのだ。 そこからはアヴェンジャーの仕事だ。夜を待って入り組んだ路地に誘き出して、反撃する隙も与えずサーヴァントを無力化する。 もちろん正面からぶつかればこちらもただでは済まない。そのために一計を案じていた。 まず彼らと遭遇しないように立ち回り、苛立ちと油断を誘った。そのついでにサーヴァントの足音から武器を持つ手を確認し、その方向に曲がる角で待ち伏せをする。 細い路地だからサーヴァントが先行するのは当然と言えた。あとはサーヴァントが通りかかるタイミングを狙って、利き手を速やかに奪えばいい。 アヴェンジャーが聴覚に優れているからこそ成せる計略だった。 マスターを探すのはヴィクトリカ、敵を排除するのはアヴェンジャーだ。どちらかの存在が誰かに認識されてもいい。ただ、彼らが主従であることが明らかになるのは避けたかった。 幸いヴィクトリカの役割(ロール)は、フランスの由緒ある大手企業の社長の令嬢というものであったから、金と時間だけは不自由しなかった。 こちらに来てからまだ顔を合わせていない父は随分と放任主義らしい。ヴィクトリカとしては複雑な気持ちだが、社会的立場で優位に立てるのは大きかった。 「またかよ、まどろっこしィな」 「言ったはずだ。君は目立つと少し面倒だからな、序盤はできるだけ敵を作らないでおきたい」 アヴェンジャーが性に合わない、とでも言いたげにアンバーの瞳で睨めつける。大の大人でも震え上がってしまいそうなその冷たい眼光を、ヴィクトリカは本から目を離さないままこともなげに受け流す。 このような態度をとれるのは、彼が憎悪を向けるのは自分だけではないと知っていたからだ。そもそも他の者がマスターであれば、召喚した時点で彼の不興を買って聖杯戦争は終わりを告げていただろう。 そういった意味ではこのサーヴァントは、ヴィクトリカにとって当たりだったと言える。むしろアヴェンジャーにとってマスターが当たりだったと言うべきか。彼の特性はこの戦いをまともに勝ち残るには少々癖が強すぎた。 もしかすると、とヴィクトリカは時々考える。ヴィクトリカが時間さえ超えて異邦の地に招かれ、この哀れな獣を召喚したのは最早必然だったのではないだろうかと。少なくともそう思わせるだけの強い縁を、ヴィクトリカは奥底で確かに感じていた。 「それは勝つためか?」 振り絞るようなアヴェンジャーの声。まるで餌を前にして鎖に繋がれているような、強い焦燥と苛立ちを隠そうともしない。 初めて、ヴィクトリカが顔を上げた。視線がぶつかっておよそ主従とは思えない緊張を生み出す。 ヴィクトリカとて思いは同じだ。だから期待を裏切る答えも、知らず呻き声となって返る。 「当たり前だ。私達は絶対に、最後まで勝ち残る」 沈黙。 パイプから零れる白煙さえも動きを止めたかと思わせる、刹那とも永遠とも思える時間。 「……そうかよ」 先に口を開いたのは従者の方だった。諦観のようで、しかし確かに勝利への意志を籠めた呟き。 「勝利に貪欲ならそれでいい。テメェがそう在り続ける限り、俺はなんでも聞いてやる」 同じやり取りだった。数日前、主従が引き合わされた時と。 違うことと言えば、彼がヴィクトリカを喰らおうとしていないことだろうか。あの時はアヴェンジャーがヴィクトリカを人間と認めるや否や、マスターと分かっていながらもその爪で引き裂こうとしたのだ。結局はその寸前で、アヴェンジャーがヴィクトリカの異常性に気が付いて事なきを得たのだが。 それは彼が自分を同類と認めた証左でもあるが、まだ小さな仔狼はそのことに気がつかないふりをしていた。 この主従は優勝という目的だけで成り立っている。令呪でさえアヴェンジャーを縛る鎖にはなりはしないとヴィクトリカは悟っていた。例え自害を命じようとしても、果たされる前にこちらも食いちぎられてしまうだろう。 勝ちたい、願いを叶えたいのではない。勝たなければならない、願いを叶えなければならないのだ。その野望が一致しているから、この契約はどうにか形を成している。 とはいえ普通のマスターであれば、その覚悟を通わす前にアヴェンジャーの復讐の糧になっていただろう。ひとえにヴィクトリカが仔狼――灰色狼の血を引く者だったからこそ成し得た主従関係だった。どうやら見境のない餓えた獣にも、同族を尊重する程度の分別はあるらしい。 話は終わりだとばかりにアヴェンジャーが背を向ける。ほんの僅かにその輪郭が揺らいで、ふとヴィクトリカを振り返る。 「取り繕ってるつもりだろうがなァ、やっぱりテメェも獣だよ」 その顔に浮かぶのは部屋に戻って来てから初めて見せた、それでいてどこか悲しげな笑みだった。 それだけ言うと今度こそアヴェンジャーは姿を消した。おそらくは霊体化して屋上にでも行ったのだろう。今日は月もよく見える。 また白煙が揺らぎだす。一人残された少女はふう、と大きく息をつく。少年がいた場所からは陰になっている幼い手が、ぎゅっと強く握られていた。 彼を見ていると、どうにもかつての自分を見ているようで落ち着かない。親の欲望を満たすためだけに産み落とされ、全てを取り上げられてただ無為に日々を過ごすだけだった時の自分にどうにも重なってしまう。 だがヴィクトリカは大切な出会いを得て、あの獣はたった一人で闘って果てた。近いものを感じるというのにどうしてこうも違ってしまったのか、その答えを見つけるのは彼への最大級の侮辱のような気がした。 いつか異母兄に言われた言葉を思い出す。今なら彼の気持ちも少しだが分かる。きっと今ヴィクトリカがアヴェンジャーに抱くもどかしさは、あの男がかつてヴィクトリカに向けていたものと同じものだ。 けれどアヴェンジャーはもう怨嗟に囚われてしまった。復讐の奔流となった彼とあの亡霊達は、もう慈しみを知ることは叶わないだろう。その前に相手を噛みちぎって飲み下してしまうだろうから。 彼の復讐の先になにがあろうと、ヴィクトリカは興味がない。けれど自分もああなってしまっていたかもしれないのだろうかと思うと、知らず胸がきゅっと締め付けられる。 「――ぅ」 小さく、届かない名前を呼ぶ。彼女の心臓でもある、大切なことを教えてくれた、なによりも愛しい人。 二度目の嵐に引き裂かれて以来、片時も忘れたことなどない。もう一度逢うために多くの人の手を借りて、この時代より遥か昔の日本へとどうにか辿り着いた。あとは無事を祈って待つだけだったはずなのに。 ただ逢いたかった。けれどあの東洋人はこの街にはいない。「知恵の泉」は時空を超えて帰る方法を教えてはくれない。 だからヴィクトリカは生き残らなければならないのだ。勝って、あの場所へと戻らなければいけない。 しかし、僅かな恐怖もあった。それがヴィクトリカを、勝利に向かってひたすらに走る四つ足にするのを寸でのところで押しとどめていた。 あのアヴェンジャーがではない。血を血で洗う戦争がでもない。 ただヴィクトリカは、自身がなによりも恐ろしかった。あの復讐の獣に引っ張られて、かつての自分がまた現れてしまいそうで。 もう獣には逆戻りしたくなかった。目的のために他の全てを駒として扱うような、冷徹にして非情な獣には。 再び獣へと戻ってしまったヴィクトリカをあの愛しい人は受け入れてくれるだろうか、それが少女は不安で仕方がないのだ。 「――それでも私は、帰らなければいけないのだ」 言い聞かせるように呟く。数秒、目を瞑る。 宝石のような碧眼は迷いなど初めからないかの如く澄み渡っていた。 【クラス】 アヴェンジャー 【真名】 ギシンゲの狼 【ステータス】 筋力A 耐久C 敏捷A 魔力C 幸運E 宝具EX 【属性】 混沌・悪 【クラス別スキル】 復讐者:A 復讐者として、人の怨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。怨み・怨念が貯まりやすい。 周囲から敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちにアヴェンジャーの力へと変わる。 人々に恐れられ、虐げられた獣達の憤怒の表れ。 忘却補正:EX 人は恐れを喪えば忘れる生き物だが、獣の執念は決して衰えない。 忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃は、獣の恐怖を忘れた者に痛烈な打撃を与える。 自己回復(魔力):C 復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。魔力を微量ながら毎ターン回復する。 【保有スキル】 複合獣性:A アヴェンジャーは怒りに打ち震える狼の群れであり、また個でもある。 その内に蓄積された経験と本能はただ、人に剥くためだけに磨き上げられた。 Aランク相当の直感、怪力、勇猛を得る。 精神汚染:B 見た目こそ人の形をとっているが、その精神性はどうしようもなく野獣そのものである。他の精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。 人ならざる者、特に自身と近い獣性を持つ者でなければ意思疎通が成立しない。 会話自体は可能だが、相手が人間であればマスターであろうとアヴェンジャーの餌食となるだろう。 アヴェンジャーは人間を信用することはなく、ただ己の恩讐のためだけに吼える。 半人半獣:A 人と狼、両方の因子を持つ「ギシンゲの狼」としてのスキル。 見た目は人間だが体の一部は異形である。狼の耳と尻尾を持つ。鋭い牙は動物の骨さえ容易く噛み砕き、研がれた爪はどんな名刀にも劣らない。 聴覚や嗅覚は獣のそれと同等。どんな音も残り香も、アヴェンジャーは見逃さない。 【宝具】 『凶暴兇狼狂想曲(ゾーンデアヴォルフ)』 ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:2~99 最大捕捉:99人 アヴェンジャーの霊基を構成する、復讐に駆られた名もなき狼達を召喚する。 人を憎む怒れる獣は一旦敵を認めれば、どちらかが息絶えるまで執拗に追い回し、骨すら残さず喰らいつくす。 その数はこれまで人に狩られた数に等しく、魔力切れでも起こさない限り際限なく湧き続ける。 喚び出される種族も多岐に渡り、大狼から人狼まで、人に虐げられた歴史と逸話を持つならば彼らは喜々として仇の肉を喰らうだろう。 ただし膨らんだ憤怒はアヴェンジャー自身にも制御しきれず、眼前から全ての敵が失せるまで解除することはできない。 『狼は奔る前に満月に吠える(ウンターデムヴォルモンド)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 人喰い狼として人々に恐れられ、歪められた獣達の在り方が宝具として昇華されたもの。無辜の怪物に近い性質で、常時発動型。 人やサーヴァントを喰らう、すなわち魂喰いで得られる魔力量が大きく増え、一時的にステータスが上昇する。また常に人型特効が付与される。 デメリットとして、定期的に魂喰いを行わなければBランク相当の凶化が付与されてしまい、人を喰らう以外のことを考えられなくなってしまう。これは魂食いによって解除される。 【人物背景】 1817年、スウェーデンに子狼を柵の中で飼育していた人物がいた。この狼は逃げ出し、1820年12月30日から翌年の3月27日にかけて31人を襲い、内12人の命を奪った。 犠牲者のほとんどは子供。遺体には部分的に食べられた形跡があったことから、人喰いとして恐れられた獣。それがギシンゲの狼である。 その正体は、とある物好きな魔術師によって生み出された、人間と狼を掛け合わせたホムンクルス。監禁され家畜以下の扱いを受けていたところを逃走し、残虐な事件を引き起こすに至った。 彼が人、特に子供を狙って襲ったのは飢えを満たすためだけではない。本人には自覚がないが、囚われ虐げられていた自分とは違い、外で親の愛を一身に受けて育つ彼らへの嫉妬がそこにはあった。 そしてそれらを上回ったのが、自身を造った魔術師への復讐心である。己の欲望のためだけに造り、挙句物のように扱った魔術師を彼は決して赦しはしないと決意。 人を喰らって力を得た彼は怨敵を殺すべく動き出すが、事態を重く見た地元の魔術組織が先んじて討伐隊を派遣。復讐を遂げることなく狩られることとなった。 このアヴェンジャーは正当な英霊ではなく、人に殺された狼の怨みが概念として昇華されたものである。 彼らの狩りは草食動物の数の調整、すなわち生態系の維持に繋がっていた。しかし人間の生活圏の拡大、家畜への被害によって人による狼駆除が活発になっていく。 こうして殺された名もなき獣達の集合体がアヴェンジャーであり、その表層がギシンゲの狼。怨嗟が積み重なり、ようやく現界に値する霊基を得た。 現界においては、マスターが最も恐ろしいと思う狼がその表層となって表れる。フェンリルや人狼のような有名どころの場合が多く、ギシンゲの狼としての現界は非常に稀なケース。 【特徴】 目付きの鋭い少年。膝丈までのゆったりとしたぼろぼろのズボン。素肌に直接黒のパーカーを羽織り、フードを深くかぶっている。 長く手入れしていない肩までの灰褐色の髪に琥珀色の瞳。狼の耳と尻尾を持つがマスターの指示で隠している。 【聖杯にかける願い】 自分を産んだ魔術師をこの手で殺す。 【マスター】 ヴィクトリカ・ド・ブロワ@GOSICK 【能力・技能】 非常に頭脳明晰で知識が豊富。他人が集めた情報だけで事件の全貌を推理してしまう、いわゆる安楽椅子探偵。 曰く、「混沌(カオス)の欠片」を溢れる「知恵の泉」が再構成するらしい。 妖精か人形かと見紛うほどに美しい容姿の持ち主でもある。 【人物背景】 身の丈ほどもある銀の髪に碧い瞳の、いつもフリルがたくさんのゴスロリを着ている少女。外見にそぐわない、老婆のような嗄れた声で話す。 ヨーロッパはソヴュール王国の生まれで、名門である聖マルグリット学園に生徒として住んでいた。 「灰色狼」の一族であるコルデリカ・ギャロの娘。その力を求めたブロワ侯爵に「オカルト兵器」として生み出される。 幼少期は屋敷の塔に一人軟禁される。学園に移されてからも基本的に外出は許されず、授業にも出なかったため孤独な日々を送っていた。 初めてにして唯一の友人と出会い、彼との絆を育んでいくが第二次世界大戦の勃発に伴い離れ離れになってしまう。 ブロワ侯爵によって監獄に収監され、薬物投与によってその頭脳を利用されていたが母が身代わりになる形で逃亡。 自らの体に入れ墨した彼の住所を頼りに日本へと辿り着き、彼の姉とともに彼の帰りを待つ。 参戦時期は原作8巻後半、日本に渡り瑠璃の元に辿り着いてから。 【マスターとしての願い】 なし。さっさと帰りたい。 【方針】 優勝狙い。今のところは情報収集を重視、勝機があれば戦闘に臨む。
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ヴァネッサ・オースティン/Vanessa・Austin 年齢:24 職業:闇医者 性別:女 レベル:7 メイン:聖職者 サブ:魔導博士 エクストラ:背教者 追加サブ:- 種族:魔族 参戦回数:-回 タグ:帰3 身長 - 体重:- PL名:ペンネ イメージソング:月光花/紅空恋歌 「死んで無いなら私の患者だ。死神に手出しはさせねえよ。たとえ犯罪者だろうがな」 外見 病的なほどに青白い肌、脱色したかのような白髪を持つ妙齢の女性。 鮫のようなギザギザの歯と、よく浮かべている愉悦を感じさせるような笑みは見るもの不安にさせる。 外出時は黒い長袖の、顔を隠すようなフードを夏でも着込む。その服の内側にはメスや鉗子などの医療器具が並んでいる。 診療所内ではもっぱら清潔な白衣に身を包んでいる。外出時でも白衣の時でも、胸に掛けられた銀のロザリオを外すことはない。 黒衣の下に隠された背には、巨大な魔法陣を模した烙印が押されている。 人物 空島で活動する闇医者。その診療費は高額だが、法外というほどでは無い。 旧市街の元診療所らしき施設を勝手に借りて医療施設を開いている。 患者が悪人だろうと貧乏人だろうと、動物だろうと不死者であろうと決して選り好みをせずに治療を行う。ただし、悪魔だけはお断りの看板を掲げている。 性格はざっくばらんとしており、口調も荒く開放的。不敵な笑みをいつも浮かべ、患者に対しても丁寧な対応をすることはない。 魔法使い免許も医師免許ももたない正真正銘の犯罪者だが、そのことはまるで感じさせない雰囲気を持った女傑である。 料理は得意だが、自分の食べる分についてはひたすらに雑。3食ニョロニョロで済ませることもある。地上にいた時は3食携帯食料だったのでこれでも改善されている。 オースティン診療所 旧市街に文字どおり生えている一軒家の診療所。 見た目はボロいが内部は清潔。2人までなら入院できるスペースが設けられている。 待合部屋にはヴァネッサが持ち込んだ聖母の彫像が堂々と置かれている。朝早くに訪れたのならば、その像に祈っているヴァネッサの姿を見ることもできる。 ヴァネッサは2階で生活している。ただし、その部屋は雑多で足の踏み場もなく、食べ物のパッケージが転がっていることなどザラ。 本人曰く「3か月に一回ぐらいは大掃除しているがいつの間にか散らかっている」とのこと。 診療スペースは同一人物の住居と思えないほどに片付いている。 来歴 小学生の頃まで暁月市に住んでいたが、下校途中に悪魔崇拝者の教団に誘拐され、生贄の烙印を押される。 そして2年間を囚われの身のまま過ごす。数か月に一人ずつ減っていく同じ境遇の者たちを虚ろな目で見続けてきた。 2年目の「ある日」。教団のアジトに教会所属の対悪魔戦用異端審問組織"オルレアンの火刑台"によって、教団は壊滅する。 悪魔の生贄の烙印を押されたヴァネッサもまた、いずれ悪魔に魅入られる者として消される……はずだった。 ヴァネッサを発見した"オルレアンの火刑台"の一員、壮年の騎士ロッソ・シャルトルージュはヴァネッサの存在を隠蔽。彼自身も"オルレアンの火刑台"を抜け、背教の逃亡者となる。 組織を抜ける者には死を。その鉄の掟を破ってまでヴァネッサを助けた理由は、彼自身の最期まで決して伝えることはなかった。 その後、ロッソに匿われて暁月市へと帰り着いたヴァネッサが見たのは、かつて自身が過ごした街に存在する巨大なクレーターだった。 帰るべき場所を亡くした彼女は、その後も半ば無理やりのようにロッソに追従した。 自分に付いてくるといずれ教会の追っ手に殺されるとして、何度も置いて行かれそうになったがその度に何をしてでも見つけ出し、ついて行った。 根負けしたロッソは、ヴァネッサに最低限身を守るための聖職の術と、かつて学んだ医術のすべてを伝える。 そして何よりも、神の教えを。 ある日も、「ある日」も。 それから月日が過ぎて、「その日」。 ヴァネッサは、寄り添うべき人も失った。 教会から背教者として見咎められ、もはや身一つとなった彼女は、かつて自分が過ごした場所の果てで、自らの信念を貫く。 ただ一人の師の教え通りに、命を繋げるために。 +活動記録 +ゴリラVSオバチャン 患者1名入院。早急な対処の必要あり。延命治療を行う。 違法使い1名を捕縛。 +蹴球怪獣 何も変わらなかった。 +天国に一番近い島 不死者を抹消。 +ワタシハカモメ 盗賊団を排除 死神と遭遇 +不正の温床 ランデルの一員を排除 感謝状を受け取る。違法使いカモフラージュのために診療所に飾る。 +仄暗い旧市街の中で 違法使いを排除 義肢を作成する +偏執病のストロベリー 負傷者の治療 患者(ともだち)のケア +G R4 ”闇医者”シオドアの後悔 緊急オペを一件 同類を一人殴る +不死者達の王都記録 第六話 「拝啓 母上様」 不死者の殺害 不死者の救済 +カルテ 夜桜クロエ 共犯者。エキノコックスに注意。 百鬼冀求 偏食の傾向あり。希望の中毒には気をつけろよ。 ベル ただの常識知らず。 長谷川 要注意。九城出身者。肝臓の検査が必要。考えが読めない。これだから探偵ってやつは。 とみかみ 零落神。栄養不足の可能性あり。国生みは私のいないとこでならやってくれていいぞ。 アスタ 苦労人。サービスしておいた。 シュバルツ 警戒。ああいう目は見たことがある。 百合谷葵 暁月市出身者。過去の思い出にすがりついても何も変わらねえんだよ。 青空真昼 バカなガキ。人を見る目は養ったほうがいいぞ。 林崎壮真 青いガキ。早死にしないうちに帰るんだな。 デス穂 死神、安楽死が得意、悪魔使い。役満だ。 名無しの赤毛 詳細不明。注意。 ステラ 無知。暴力に訴えやすい。 久遠レイ 英雄志望。素質はある。 風祭左京 元男性。死亡する度に何かを奪われていく。 月門之人 大食い。健康体。 槇島亮治 最大警戒。ランデル勤務。可能な限り近づくな。警戒はされていない様子。この調子を継続する。 エコー 警戒。ランデル勤務。猫。アイスを食う時はゆっくりとだ。 ユーリ 要注意。傭兵気質。警戒されているようだ。薬学の知識あり。 日陰 狐っぽい。エキノコックスに注意。 天都 冷静。使える人物になりえる。 アイン 少年に見えるが老成している。本質はどんなものやら。 芦原凪 警戒中。飄々として見えるが実際は異なる。 定礎 ……よく、分からない。建築系の魔法なのか? カモミール 常識人。いい目を持っている。独自の交友を持つ。 魂魄 警戒。殺人鬼。患者。 カスガイ 不明。妙な違和感がある。 デビット・小林 無頼。太刀筋は見事。 PickUp +あの日 「あの日」は美しい月の夜だった。その横顔を朱に染めることに罪悪感を覚えるほどの。 異端審問組織"オルレアンの火刑台"の一員、ロッソ・シャルトルージュは本日の目的である、教会を思わせる建造物の前で深いため息をつこうとして、慌てて口を閉じた。 そのような府抜けた姿、あのおっかない上司であるセレスに見つかりでもしたら大事だ。周囲に自分以外の人間の姿はないが、気を付けるに越したことはない。 「怒らなければ美人なんだがね……」 ぼやきながら、任務について頭の中で確認を行う。今日の任務は悪魔崇拝の教団の殲滅。いつも通りに処理し、いつも通りに帰って、いつも通りに質素な食事、風呂を済ませて本を読んで就寝する。それだけだ。 そのために、彼は十字架を模した歪な形の銃を構え、ヘッドセットのスイッチを定刻通りに入れた。 「時間だ。アンデレ1はポイントCへAhead。アンデレ2はその場で待機」 「jud.」 凛と張り詰めた声が耳元に響き渡る。予定通りの伝達と応答。指示されたとおりに進撃し、指示されたとおりに古めかしい扉を開ける。 教会裏手の……悪魔教団の拠点を教会と認めたくはないが、裏手の扉を開いた先には一人の男性がいた。 「だ、誰だおま――」 「悪いね」 男性が声を上げる前に、慣れた手つきで首筋にナイフを突き刺す。男の口から風切り音のような声が漏れて、一呼吸後に鮮血が噴き出す。男は何が起こったのかを把握することもできずに一瞬で絶命した。 対魔法使い戦で気を付けることは、相手に状況を把握する時間を与えないことだ。魔法使い、特に上位の相手はいかなる状況に対しても必ず対応してくる。だが、対応できるがゆえに、完璧な対応を行おうとして思考の隙が生まれる。彼ら悪魔・魔法使い専門の異端審問官にとってみれば十分すぎるほどの隙だ。彼らは、人がいれば誰であろうと殺す訓練しか受けていないのだから。 異端審問組織"オルレアンの火刑台"。 大聖堂直下の暗部組織であり、公に知るものこそいないが存在だけはまことしやかにささやかれている。 その任務はただ一つ。魔法、悪魔に関するものを全て殺しつくすこと。 それは目撃者とて例外はなく、彼らの処理した事件が伝わるのは、失敗したときだけだ。 その組織の一員たるロッソは、人を一人殺した後だというのに表情一つ変えることなく交戦を報告して周囲を確認する。 件の悪魔教団の人数は14人。たった殺害したのが仲間だとするならば、残り13人。 もっとも、彼らにとって数は意味を成さない。何故ならば、彼らの殺害対象は「この場にいる自分たち以外の全員」なのだから。 周囲に見えるのは釜土に大鍋、包丁など。水場もあり、どうやら厨房のようだ。 悪魔的儀式に使えるようなものも見えるが、いかに悪魔崇拝教団といえど、外部からドア一枚隔てた場所で儀式を行うことはないだろう。ならばやはり厨房か。 視界内のクリアを確認し、彼は二つある扉の片方を選択し、先へと進む。施錠されていたが、たやすく解除する。 経験上、厨房の付近には悪魔儀式場が多い。「生贄」をより楽に保存でき、「解体」も容易だからだ。先に儀式場を潰すために、彼は教会の中央へと向かうルートは選択せずに端を回るような扉を選択した。 ビンゴ。正直言うと当たってほしくなかった。地下へ続く階段だ。鍵がかかっていたことからも分かっていたが、どうやら儀式場か生贄の保管所が近いらしい。血と鉄、そしてカビの混ざり合った嫌な臭いが深淵を思わせるような深い階段の底から湧き上がってくる。 慎重に階段を下りる。一歩降りるごとにひんやりとした空気が体を冷やす。 「頼むから何も出ないでくれよ……」 先ほど一人の人間を躊躇無く殺した人間と同一人物とは思えない、情けない声を出しながらゆっくりと降りる。狭い階段では前後からの奇襲に気を付けなければならない。同時に襲い掛かられでもしたら最悪だ。慎重に慎重を期すぐらいでちょうどいい。 結果だけ言うのならば警戒は杞憂に終わった。彼は拍子抜けするほどにあっさりと最下層にたどり着き、周囲に敵影が存在しないことを確認した。 そう、敵影は。 「……敵であったほうが、助かったんだけどね」 呟きながら覗きこむのは鉄格子の奥。地下は鉄格子がいくつも並ぶ空間になっており、どう見ても地下牢だった。床にこびり付いた黒色の染みの意味は、考えないほうがいいだろう。 その牢屋の一つの中にいたのは、一人の全裸の少女。年のころは12,3歳といったところだろうか。 頬はやせこけており、元は美しかったであろう黒髪も、脂が浮いてギトギトになっていた。 落ち窪んだ赤い瞳は、ロッソのことすらも視界に入らないというように虚空を見つめている。 そして何よりも目を引くのは、病的なまでに白い肌を持つ背に浮かんだ、火傷の跡。 「生贄の刻印、か」 生贄の刻印。それは、悪魔使いが用いる禁術の一つ。魔法に適性がある子供に刻み込むことで、悪魔との親和性を高める忌むべき魔術。刻み込まれた対象は通常1か月も持たずに発狂して死亡するが、彼女の状態を考えると幸いにも……幸いといっていいのかは分からないが、親和性は高かったらしい。 「…………」 ロッソは、支給品の銃に魔弾を込める。魔弾の名は"獄炎弾アイム"。26の軍団を率いる公爵、アイムの力を封じた魔弾であり、その殺傷力は彼の持つ魔弾の中で最も高い。 せめて、苦しまずに――。神の信徒である前に背教者であるロッソが彼女のために祈れることは、それだけだった。 "オルレアンの火刑台"の掟に例外はない。出会ったものは、一人残らず殺す。悪魔の生贄として連れてこられた一般人であろうと彼らが躊躇うことはない。それも刻印持ちとなれば猶更だ。いずれ、大きな悪魔召喚の触媒にされるか分かったものではない。 だが、引き金に指をかけようとしたところで、狭い地下牢にか細い声が響く。 「……あ」 少女の目に、光が差したように見えた。幻影だ。そう割り切って、ロッソは引き金を引こうとする。しかし、背教者として鍛えた聴力は、続く少女のか細い声までも詳細に聞き取った。 「……帰り……たい」 あと数mm、指を動かせば弾丸は少女を焼き尽くすだろう。だが、引けない。ロッソの頬を汗が伝う。 "オルレアンの火刑台"の掟は絶対だ。背教者としての機密中の機密の力と情報を持つ彼らには命令違反も脱退も許されない。死ぬまで神のために尽くす。それが彼らの選んだ道だ。 罪なき子供を、殺害してでもその道を外れることは、できない。 「長い間、幽閉されていた。正気のはずがない」 「……生きたい」 独り言を。自分を納得させるための独り言のつもりだった。返答されるとは思ってはいない。 「僕は味方ではない。君に終わりを与えに来たものだ。神を信じているのならば、天国での幸福は約束されるだろう」 「死に、たくない」 何故、この少女はこのような状況で、生きる活路を見出しているのだろうか。ロッソには、理解ができなかった。 「どうして生きたいんだ?」 故に、ロッソは問いかけた。肉体も精神も完全に疲労しきっている少女に対して。当然、まともな答えなんて期待していない。どのみち、もう少女を殺すつもりだ。 しかし少女は、小さく蚊の鳴くような声であったが確かに答えた。 「まだ、死んで、ないから」 地下室に轟音が轟く。音は反響し、少女とロッソの鼓膜を揺らす。 ロッソの銃からは煙が立ち上がり、眼前の鉄格子を焼き尽くしている。 煌々とした火の明かりが、少女とロッソの姿を鮮明に照らし出した。 「ロッソ」 「ロッソ・シャルトルージュ。僕の名前だ。君の名前は?」 一言一言、区切るように少女に向かって告げる。屈み込み、少女の手を取って。 「……ヴァネッサ」 「そうか。いい名前だ」 いうが早いか、ロッソはヴァネッサの身体を自分の外套にくるんで肩に担ぐ。人の命とは思えないほどに軽い。 「ああ、セレスに怒られてしまうね。やれやれ、とんだ拾い物だ」 そして、一足飛びに階段に向かって駆け出す。ヘッドセットはその場に放り投げた。カツンといい音がして滑って行った。 「謝罪の言葉を考えておかねばならないか。もっとも、聞いてくれるかは疑問だが」 そう言って走る彼の顔には、闇の中だというのにくっきりとした微笑が浮かんでいた。 +ある日 「三食カップ麺はやめろって言ってるだろ!」 断崖絶壁に周囲を囲まれた丘の上の一軒家。そこに大声が轟いた。 「いや、聞いてくれヴァネッサ。最近のカップ麺は体にいいんだ。そういう研究結果が出ていてね」 「んなわけねーだろ! お行儀よく汁まで飲み干してよお! どんだけ塩分含まれてるのか知らねーのか! 今に高血圧で死ぬぞ!」 「全ての食べ物は神の恵みだ。残すなんてとんでもない」 「飲みたいだけだろ! 都合のいい時だけ神様出すんじゃねーよ!」 子供のように言い合っているのは、50は過ぎているであろう壮年の男性と高校生ほどの年齢の少女。少女の前には食べつくされたカップ麺の空き容器が積まれている。二人の様子を見守るように、石で出来た中型のマリア像は微笑んでいる。 少女は全身を隠すような長い袖のフード服に身を包んでおり、机を叩いて怒りながらもどこか楽しげにしている様子がうかがえる。 「だ! か! ら! 今日からカップ麺禁止な! 神に誓えー! 早く誓えー!」 「!? 待ってくれ、それじゃあ僕は明日から何を食べればいいんだ」 「……わ、私の手料理、とか?」 「主よ……」 「泣くほどか!? 泣くほど嫌なのか!?」 大げさに両手を組んで祈りを捧げる壮年の男性、ロッソ。二人の様子はどこにでもいるような親子にしか見えなかった。 「まあ、仕方がない。ヴァネッサの料理の才能が開花するか、僕の胃が敗北するかのどちらかに賭けるとしよう」 「よっしゃ! 言い方は気に入らねーけど神に誓えよ! 破ったら罰な!」 勝ち誇ったように笑顔で腕を組むヴァネッサ。未だ血色は悪いものの、年相応に成長した体はいまや美人といって差支えのないレベルに達していた。 「罰か。どんな罰かな?」 その言葉を待ってました、と言わんばかりにフフンと鼻を鳴らし、ヴァネッサは意気高く指をロッソへと突きつける。 「魔弾の使い方教え「駄目だ」 最後まで言い切る前に、ロッソの言葉が割り込む。 「何でだよ! 教えてくれたっていいじゃねーか!」 再び強くテーブルに両手のひらを叩きつけるヴァネッサ。テーブルが揺れ、花瓶が横倒しとなる。花が茎まで露出し、澄んだ水が流れ落ちる。 「駄目なものは駄目だ。この技術は、人を殺すためのものだ。絶対に教えられない」 ロッソは強い口調で言い切る。その迫力は、先ほどまでの情けない男性の姿とは違う。威圧感に、ヴァネッサは多少怯んだが、続けて言葉を紡ぐ。 「んだよケチ! 魔弾があれば、悪魔殺せるんだろ!」 「悪魔を殺せるなら、悪魔なんていなければ私は皆とあんな別れをせずに済んだんだ! そうすれば今頃は!」 色素の薄い肌に朱が混じる。明らかに激昂しているが、本人は気が付いていな。それに対してロッソは穏やかな様子で告げる。 「今頃、皆と共に暁月市の事故に巻き込まれて死んでいるだろうね」 ヴァネッサが固まる。赤い瞳に映るのは、言いようの無い憤怒。 構わずに、ロッソは続ける。 「いいかいヴァネッサ。僕は君を犯罪者にするために、ましてや死なせるために助けたんじゃない。君がそう求め訴えた。それに答えたんだ」 「目先の欲望にとらわれてはいけない。その先に待つのは、破滅だ。かつての僕がそうであり、今なお歩んでいるこの道が――」 「くそったらああああああああああ!」 花瓶が、カップ麺の容器が宙を舞う。ロッソをして、テーブルがひっくり返されたのだと気が付いたのは花瓶の水を頭から被ってからだった。 「んだよくそっくそっくそおおおおおおおお!!!」 叫びながら、服の中に手を突っ込んで取り出したのはメスや鉗子などの医療器具。本来はケガや病気の治療に使うそれらだが、乱雑に投げただけでもそれなりの殺傷能力は発揮される。ヴァネッサは遠慮なくそれを全力でロッソに投げつけた。 「ま、待ってくれ、危ないから」 それらを片手でいなすが、数が数であるのでヴァネッサに近づくことができない。 「死んでたって、いいんだよ! あそこに帰れないなら別に、生きてたってなあ!」 叫びながら、メスの一本を投擲する。それは弧を描いて天井にぶつかり、弾かれた勢いでもって軌跡をある方向へとむけた。 部屋の中に静かに陳列されているマリア像へと。 「あ……」 ヴァネッサがそれに気が付くが、既に手を離れたそれを同行することは彼女にはできない。 瞬間、疾風が走る。 ロッソが前傾姿勢をとり、コンマ1秒にも満たない時間でマリア像の前に移動する。そして、片腕をガードするように突き出して、メスを腕で食い止める。 メスは勢いよく刺さり、僅かに血が滲む。 ヴァネッサは、何も喋れないでいた。ロッソがマリア像を大切にしていたことは知っている。だけど、謝ることもできずに口を開いて閉じてを繰り返しているだけだった。 「死んでたっていい、か。その言葉は、聞きたくなかった」 ケガをしているのに、気にした様子一つ見せないロッソに腹が立ったのか。それとも売り言葉に買い言葉、未だ収まらぬ腹の虫を沈めたかったのかは分からない。普段の彼女であったのならば、ロッソ譲りの医療の知識をひけらかすために颯爽と包帯を取り出しただろう。 「ンだよ……そんなに神様が大事かよ」 言ってはいけない言葉だと分かっていても、彼女には止めることはできない。 「いいんだよ死んでたって! 私は、どうやら神様にも見放されてるみたいだしな!」 「くたばれクソジジイ!」 真っ赤になった顔で、瞳に感情を溜めながらヴァネッサは駆け出した。 追いつこうと思えば追いつけるだろうが、ロッソは後を追おうとしない。その事実が杭のようにヴァネッサの心に突き刺さりながら、彼女は自室の扉を開き、全力で閉めた。 扉が閉まる大きな音を聞きながら、ロッソはゆっくりと地面に腰を下ろす。 「やれやれ……年柄もなく興奮してしまったようだ」 興奮した様子など露ほども見せていなかったロッソだが、実際の心境は異なっていた。 彼もまた、ヴァネッサの発言に聞き逃せないところがあったのだ。 「……また、三食カップ麺生活かな?」 ヴァネッサが落ち着いたらまた話をしよう。そう考えながら、ロッソは部屋の片づけに取り掛かった。 +その日 ページが破り取られている キャラクター情報 https //docs.google.com/spreadsheets/d/1kNev0OilrL_8fElwBMrlnseGqM3Og-6g7yappXdSP9Q/pubhtml#
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夕方遅く学校から帰ってくると、家の中が暗い。 「おかあさ~ん」と呼ぶと、2階からか小さな声で「はあ~い」と 応える声がする。もういっかい呼ぶとまた「はあ~い」。 2階へ上がったところで、誰かが玄関の戸を開ける音が聞こえた。 「しゅんすけ、帰ってる~?」母だ。 なあんだ。さっきの声は気のせいか。 下へ駆け下りると、誰も居ない。 「・・・おかあさん?」呼んでみると、「はあ~い」。 風呂場の方だ。 洗面所をのぞいても、誰も居ない。 風呂の戸を開けて入る。「・・・おかあさん?」 「・・・はあ~い」 すぐ後ろから声がした。 母の声じゃない。怖くて振り返ることが出来ない。
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339 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 47 51 ID g6UM6UEf 薄暮の迫る時分、ジャンはいつもの如く馬車に揺られながら、自分の寝泊まりしている宿場へと戻ってきた。 街の空気は相変わらずで、冷たい風が路傍を吹き抜ける音がする。 この地方を包む冬の寒さはジャンも十分に理解していたが、街を覆う空気が嫌に冷たく感じるのは、季節のせいだけではないだろう。 この街は、自分の家族を追い出した街だ。 そこに留まることが決して望ましいことでないというのは、当然のことながらジャンにもわかっていた。 だが、ここで全てを投げ出して、ルネに何の贖罪の意思も示さないというのは気が引けた。 「つきましたよ、ジャン様。 しかし……今日は、本当に驚きましたよ。 まさかジャン様が、お嬢様の身体を治すなどと言われるとは……」 「別に、そう誉められたものじゃないよ。 医者として、病に苦しんでいる人を助けたいって言うのは本当だし……これは彼女を傷つけた事に対する、僕なりの贖罪だからね」 「贖罪、ですか……。 なるほど、確かにジャン様のお気持ちは分からないでもないですが……くれぐれも、無理だけはなさらないでください。 私が最も辛いと感じるのは、お嬢様の笑顔が見られなくなることです。 ジャン様に何かあれば、私は今度こそお嬢様に顔向けできませんので」 「ああ、気をつけるよ。 でも、クロードさんも無理はしないで。 ルネに求められて血を与え続ければ、今にあなたの身体だって持たなくなりますよ」 「ええ、それは承知しております。 ですが、私はお嬢様のために死ねるのであれば、それも本望と考えております。 全ては我が主であらせられるテオドール伯と……ルネお嬢様のためですから」 一点の曇りもない眼差しを向けながら、クロードはジャンにそう告げた。 その顔には珍しく、微かな笑みが浮かんでいる。 機械のように感情を見せないこの男――――何度も言うが、彼の心はあくまで男である――――が、こんな表情を見せたことに、ジャンは少し驚いた。 「それじゃあ、今日はここでお別れですね。 ルネにはクロードさんからも、よろしく伝えておいてください」 馬車を降り、自分を送り届けてくれたクロードに一礼すると、ジャンは軽い溜息をついて肩を下ろした。 吐き出された息は白い霧となって、その一部はジャンの眼鏡をうっすらと曇らせる。 レンズについた霞を指で払い、ジャンはそのまま宿場の裏手にと回って行った。 「ただいま……」 別に、自分の家でもないのに、そう挨拶して入るのが日課になっていた。 借り暮らしの身であることが、無意識の内にそうさせていたのだろうか。 遠慮がちに、足音を立てないように気をつけつつ、ジャンはそっと階段を上がって行った。 従業員用の通用口から大声を上げながら中に入るのも気が引けたし、何より、リディのことがある。 ジャンが帰って来たとなれば、仕事そっちのけで迎えに出て来る可能性があるのだからたまらない。 下手に宿が忙しい時分に帰宅すると、それだけで他の宿泊客の迷惑になっているような気がして頭が痛かった。 340 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 48 15 ID g6UM6UEf 「あっ、ジャン! 帰ってたんだ!!」 噂をすれば、なんとやらだ。 ジャンが帰って来たことに気がついたのか、早速リディが姿を見せた。 片手にレードルを持っているところを見ると、夕食の準備の最中だったのだろうか。 だとしたら、何もそれを放ったままにして出迎えに来なくてもよいのに、とジャンは思う。 昨晩のことがあるだけに、ジャンは今のリディに対しても後ろめたさが残っていた。 今朝、朝食の際に「気にしなくてよい」と言われたが、どうにも納得のゆかない何かが心の中で燻っている。 幼い頃のリディは、確かにジャンに頼っているような節のある少女だった。 物静かで大人しく、家が貧しいことを周りから馬鹿にされても何の抵抗も示さない。 彼女をいじめっ子から助けるのは、いつもジャンの仕事だった。 だが、十年という歳月は、一人の少女を確実に大人に変えていた。 あの日、初めてこの街に帰って来た日にジャンが見たリディは、一人でも立派に宿場の経営をする自立した女性だった。 少なくとも、ジャンにはそう思えたのだ。 しかし、だとすれば、昨晩のあの行為はなんだったのか。 悪ふざけにしては程が過ぎるし、何よりジャンは、あんなリディの姿を見たことがない。 いったい、自分はどこまでリディのことを知っているのだろうか。 幼馴染であることで安心していたが、彼女もまた、ジャンの知らない全く別の顔を持っているということだろうか。 それとも、いつもジャンに見せている顔の方が偽りであり、本当のリディの性格は、心の奥底に隠されているとでも言うのだろうか。 居候に近い関係を続けながらも、相手の本心が見えない不安。 そのことが、ジャンのリディに対する態度を妙に固くさせていた。 今の彼女はジャンの知るリディなのか、違うのか。 それがわからないまでは、迂闊に話をすることも憚られる。 「なあ、リディ……」 何から話そうかと考えながら、ジャンは少し遠慮がちにしてリディに尋ねた。 対するリディは、いつもと代わり映えのない顔をしてジャンが次の言葉を言うのを待っている。 どうやら今のリディは、ジャンの知っている彼女らしい。 「前に、この街には長く留まらないって言ったけどさ……」 慎重に言葉を選びながら、ジャンはリディに向かって話を続けた。 気さくな女性になったはずの幼馴染に、なぜここまで気をつかわねばならないのかが、自分でもわからない。 「今日、伯爵の家で新しく仕事が入ってね。 当分、この土地に留まることになりそうだ」 「えっ!? そ、それって本当!?」 「ああ、本当だよ。 もしかすると、今年はこのままこの場所で、年を明けることになるかもしれない」 「そうなんだ……」 341 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 49 00 ID g6UM6UEf 気持ちを押し殺しながらも、リディは嬉しそうな顔でジャンを見てきた。 そんな彼女の顔を見ると、次に告げる言葉を言うべきかどうか迷ってしまう。 「まあ、詳しくは言えないんだけど、新しく診なければならない患者が増えたからね。 往診の時間も今まで以上にかかるだろうから、帰りは遅くなることも多いと思うよ」 「帰りが遅いって……。 それ、どれくらいの時間なの?」 「たぶん、夜までかかると思う。 だから、これからは夕食も要らないよ。 僕はいつも通り裏口から入るから、悪いけど、そこの合鍵だけ貸してくれないかな?」 「う、うん……。 ジャンがそう言うなら、私は別に構わないけど……」 先ほどまで太陽のように明るかったリディの顔が、一瞬にして曇り空になった。 ここ最近、ジャンの世話をすることに、リディは妙な生甲斐を感じていたようである。 献身的と言えばそれまでだが、やはり自分がジャンのためにできることが減るのは、彼女としても不本意なのだろうか。 「まあ、そう言うわけで、今までよりもリディに迷惑をかけずに済みそうだよ。 基本、部屋には寝に帰るだけになるからね。 僕のことは気にしなくていいから、君は君で、自分の仕事に専念してよ」 「そっか……。 でも……そういうことなら、仕方ないよね……」 リディの視線がジャンから逸れ、少しだけ俯いたような姿勢になる。 予想していたことだけに、ジャンもそれ以上は何も言わない。 それに、この先も居候のような生活を続けさせてもらうのであれば、それこそリディの世話になり続けるのはよくないと思った。 願わくは、年明けにでも新しく自分が暮らす場所を見つけ、そこで一人暮らしでもした方がよいとさえ考えていた。 何も言わないリディの横を通り過ぎ、ジャンは三階へと続く階段を上る。 ぎし、ぎし、という木の軋む音に混ざって、階下の酒場から賑やかな話し声も聞こえてきた。 その後ろからリディが灰色に淀んだ瞳でジャンを見上げていたが、ジャンがそんな彼女の視線に気づくことはない。 人の声が遠ざかってゆくにつれ、徐々に自分の寝泊まりしている部屋が近づいてくる。 部屋の扉を開けると、少しばかり冷えた空気が外に漏れて足にかかった。 薄暗い部屋の中、ジャンは備え付けられたランプに灯りをともし、鞄を置いて椅子に腰かける。 先ほどのリディの様子も気になったが、今はそのことについて考えている余裕などなかった。 342 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 49 30 ID g6UM6UEf ジャンの心の中にあるもの。 それは、他でもないルネのことだ。 クロードの手前、彼女の身体を治すと言ってしまったものの、その方法に見当がついているわけではない。 人の血を啜ることでしか渇きを癒せない、原因不明の奇怪な症状。 ジャンが旅先で診てきた患者はもとより、彼の持っている本からも、そんな症例はお目にかかったことはない。 悪いのは身体のどんな部位で、それを治すために何が必要なのかさえも、これから探ってゆかねばならないのだ。 (このままだと……下手をすれば数年は、この街にいることになるのかな……。 でも、僕は決めたんだ。 僕がルネのためにできることをするんだって……) 先の見えない不毛な戦いだということはわかっていた。 しかし、ルネの身体の治療法を見つけることでしか、ジャンには彼女に贖罪するための術が見つからなかった。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 翌日は、久しく晴々とした天気だった。 宿泊客が起きるよりも早く目を覚ましたジャンは、朝食を摂ることもせずに宿場を出た。 昨日、ルネの身体を治すと心に決めただけに、何か身体を動かしていないと不安だった。 宿場を離れ、ジャンは珍しく街の中央にある図書館へと足を運んだ。 いつもは買い物以外で街中を歩きたいと思わなかったが、今回ばかりは話が別だ。 ルネの症状は、ジャンの中にある知識でどうにかできるものではない。 大して役に立つ本があるとは思えないが、それでも僅かな望みに賭けてみたくなるのもまた、人間の性である。 この街に古くからある図書館の蔵書にならば、ルネの症状についてのヒントくらいは載っているかもしれない。 そんな微かな期待に賭けてのことだった。 朝は図書館で本を漁り、昼から伯爵の屋敷に往診に向かう。 伯爵の診察と薬の処方を終えた後、ルネの身体のことについて自分なりに調べてゆく。 そんな生活が、しばらく続いた。 朝が来て、夜が来て、また朝が来る。 時間だけが刻々と過ぎて行き、気がつけば十二月も半ばに差し掛かっていた。 「はぁ……。 やっぱり、僕一人の力でルネの身体を治すことなんて、無理だったのかなぁ……」 薄暗い地下の一室で、ジャンは溜息交じりにそう呟く。 ルネを助けると言ったことに後悔はなかったが、早くも焦燥感が現れてきたのは紛れもない事実だ。 今、ジャンのいる部屋は、テオドール伯の屋敷にある地下室だった。 もともとは物置小屋として使われていたような場所だが、ジャンの話を聞いた伯爵は、その部屋を彼に貸し出した。 ルネの病の正体を探るための、研究室に使ってくれというのだ。 343 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 49 57 ID g6UM6UEf 四方を石で囲まれた地下の部屋は、日中でもランプがなければ辺りの様子がわからないほどに薄暗い。 陽の光に弱いルネにとっては好都合な場所なのだろうが、さすがにジャンも、こんな湿っぽい場所にルネを閉じ込めておこうとは思わない。 この部屋は、あくまで自分がルネの病を調べるための部屋である。 そんな風に割り切っていた。 だが、例え部屋を貸し出され、必要な道具まで一通り揃えてもらったとしても、それでルネの病の正体がわかるわけでもなかった。 図書館から借りてきた本は、この数日で全て読み漁った。 が、そこに書かれていた知識は、どれも今のジャンが欲していたようなものではなかった。 馬鹿馬鹿しいと思いつつも、ジャンは吸血鬼にまつわる話の書かれた本も借りてみた。 ルネのことを吸血鬼だとは思っていなかったが、もしかすると、伝説の中に何かのヒントが隠されているかもしれない。 そう願ってのことだった。 しかし、そんな彼の願いも虚しく、本に書かれていたのは下らない迷信のような話ばかり。 しかも、本によって記述が実にまちまちで、何が嘘で何が真実なのかさえもわからなくなりそうだった。 特にジャンが馬鹿らしいと思ったのは、吸血鬼の誕生に関する話のうちの一つだ。 ――――吸血鬼に血を吸われた者は、吸血鬼になる。 そんな下らない内容のことが、さも真実であるかのように書かれているから嫌になる。 そもそも、吸血鬼は人間にとって、数少ない捕食者であると言えるだろう。 しかし、捕食者が獲物を捕食した結果として新たな捕食者が誕生するとなると、これは実に困ったことになる。 食事の度に仲間が生まれるとなれば、当然のことながら、吸血鬼の数はねずみ算式に増えてゆく。 結果、瞬く間に捕食者の数が被捕食者の数を上回り、この世界のバランスが簡単に崩れることになるだろう。 本の記述が正しければ、今頃はこの世界の殆どの人間が吸血鬼になっていてもおかしくはないのだ。 それに、クロードの様子を見る限り、彼は――――その身体の特徴以外は、であるが――――至って普通の人間だった。 ルネのように血を求めることもないし、太陽の下も平気で歩ける。 クロードはルネの求めに応じて血を与えていたようだが、彼が吸血鬼になっているような様子はない。 やはり、これは病気なのだ。 そう信じて、ジャンはルネの身体を調べることにした。 344 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 50 27 ID g6UM6UEf 定期的に血を求める衝動に襲われること。 怪我をしても瞬く間に血が固まって、傷の治りも他人よりも極めて早いこと。 何かにつけて血に関する事柄が目につくことから、ジャンはルネの抱える病の原因が、彼女自身の血にあるのではないかと考えていた。 彼女の血を摂り、それを調べること。 何から調べてよいのかも見当がつかなかったが、とりあえずはそこから始めたい。 そう思ったジャンだったが、研究は遅々として進まなかった。 採血が済み、地下室へと運ぶまでの短い間で、ルネの血液はいとも容易く凝固してしまう。 そうなった血は単なる巨大な瘡蓋の塊であり、何かを調べるには適さない。 結果、ルネを地下室に呼んで血を摂ることになったが、それでも状況は好転しなかった。 血が固まるまでに調べられることは限られていたし、ジャンの知識も不足していた。 固まった血を戻す方法なども考えたが、ルネの血は、ジャンの持っているどんな薬にも反応しない。 血液の巡りを良くするという東洋医学由来の薬も煎じてみたが、それを飲ませたところでルネの体質に何か変化が見られたわけでもなかった。 ルネの抱えている病の正体は、いったい何なのか。 その原因はどこにあり、何をどうすれば、彼女の体質を普通の人間と同じものにできるのか。 あまりにわからないことが多過ぎて、ジャンは独り地下室で頭を抱えた。 クロードの話では、ルネが血を求めるようになったのは、落石事故の後だったという。 彼女は生まれつき、今のように人の血を啜っていたわけではない。 だが、ルネの身体に現れた変化は、果たして本当に病なのだろうか。 もしかすると、彼女は本当に伝説の吸血鬼ではないのか。 そんな疑念がジャンの脳裏を掠めたとき、彼は地下室の扉が開く音を聞いて我に返った。 「失礼いたします……」 部屋に現れたのはクロードだった。 その手には、銀のトレーに乗せられた夕食がある。 夜遅くまでルネの病を治す方法を研究するジャンに、伯爵が出させたものだった。 「クロードさんか。 もう、夕食の時間になったんですね……」 「はい。 お食事は、いつもの場所に置かせていただきます」 「助かるよ。 でも……正直なところ、なんだか申し訳ないな。 あの日、あなたと約束をしてから一週間以上も経つのに、僕はまだ何も解決の糸口を見いだせていない……」 「そうですか。 しかし、そう簡単に事が上手く運ぶとは、私も思ってはおりません。 それよりも……私はむしろ、ジャン様のお身体の方が心配です。 お嬢様のために色々と調べていただけるのはありがたいですが、あまり無理をなさりませんよう……」 345 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 50 51 ID g6UM6UEf 珍しく、クロードはジャンの身体のことを心配するような素振りを見せた。 感情を殆ど表に出さず、テオドール伯とルネのためだけに生きているような男の口から出た言葉としては意外である。 もっとも、そのことをジャンが問うたところで、クロードは「あなたの身に何かあれば、お嬢様が悲しみます」としか言わなかったが。 「ところで……」 机の上にある道具を片付けながら、ジャンはクロードに言った。 「あなたこそ、身体の方は大丈夫なんですか? いくらルネが求めてくるからと言って、彼女に血を与え過ぎれば、いずれはあなたの方が先に死にますよ」 「それは承知の上です。 しかし、仮にそうなったとしても、私は本望ですよ。 お嬢様のために死ねるのであれば、己の命など惜しくもありません」 一寸の迷いもない口調で、クロードはきっぱりと言い切った。 この男――――しつこいようだが、彼の心は正真正銘の男である――――にとっては、自分の命よりも伯爵やルネの喜ぶ顔の方が大切なのだろう。 そのためならば、己の命さえ簡単に投げ捨てる。 そんな彼の心を知ってか、ジャンもそれ以上は何も言わなかった。 静寂が、再び部屋を包む。 クロードが去り、地下室にはジャンが独り残された。 運ばれてきた食事を適度に片付いた机の上に置き、ジャンは本を片手にそれに手を伸ばす。 パンを口に運びながら読んでいるのは、古今東西に存在する血の病について書かれた本だ。 血の病と一口に言っても、その種類は実に様々である。 怪我をしてもなかなか出血が止まらないような病気もあれば、どこかにぶつけたわけでもないのに身体に紫斑が現れる病気もある。 また、脱水症状の結果、血が濃くなり過ぎて身体に変調をきたすような病気などもあった。 もっとも、それらの病のどれ一つとて、ルネの抱えている症状に合致するものがないのが悩みの種だったが。 薄暗い、ランプの灯りに照らされただけの地下室で、本のページをめくる音だけが響いている。 いつしかジャンは夕食を口にすることさえ忘れ、自分の手の中にある医学書を読み続けることに専念していた。 「ジャン……。 まだ、そちらにおられますか?」 突然、ジャンの後ろで声がした。 扉の開く音さえも聞こえなかったため、いささか驚いた顔をしてジャンは振り返る。 先ほど、夕食を置いていったクロードが再び現れたのかと思ったが、そこにいたのはルネだった。 346 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 51 17 ID g6UM6UEf 「なんだ、ルネか。 どうしたんだい、こんなところに一人で」 「いえ……。 私は、ただ……ジャンのことが心配になっただけですわ。 こんな暗い部屋に毎日閉じ籠っていては、きっと身体にもよくありませんもの」 「確かにね。 でも、僕は決めたんだよ。 君の身体を治す方法を見つけるまでは、この屋敷で研究を続けようってね。 それが僕にできる、君に対しての贖罪さ……」 自嘲気味な笑みを浮かべてジャンは言ったが、ルネは笑わなかった。 彼女にとっては病を治すことなど二の次で、ジャンと一緒にいられることの方が嬉しかったのだ。 ジャンが再び自分のところへ戻って来てくれた。 自分の本当の姿に一度は恐れを成しながらも、それでも理解を示そうとしてくれた。 その事実だけで十分だった。 自分のためにジャンが苦しむ。 それは、ルネにとって最も望ましくないことである。 ジャンは贖罪と言っていたが、そんなものをルネは望んではいなかった。 今までのように、父の往診に来てくれたついでに、紅茶を飲みながら他愛もない話ができればそれでよかったのだ。 だが、そんなルネの気持ちを知ってか知らずか、ここ最近のジャンは地下室に籠りきりだった。 当然、ルネと会話をする機会も減り、彼は何かにとり憑かれたようにして研究に没頭している。 これでは例えジャンが毎日屋敷を訪れたとしても、ルネにとっては彼と引き離されているに等しい。 彼女の血を求める衝動は、ここ最近になって更に強まってきた。 ジャンと一緒にいられる時間が減ってゆくほど、ジャンに会えないと思う気持ちが強くなるほど、その衝動は更に高まった。 クロードはルネの衝動に合わせて血を与えてくれたが、それでは既に満足できなかった。 血の渇きは多少和らぐことはあっても、それ以外の渇きがまったく満たされない。 このままではいけないと思っているのに、吸血という行為に縋ることでしか感情を抑えられない自分が嫌だった。 「あの……」 遠慮がちに、それでも可能な限りの勇気を振り絞り、ルネはジャンに語りかける。 「なんだい。 もしかして……どこか、具合が悪いとか?」 「いいえ、そうではありません。 ただ、少しばかり、ジャンに私の我侭を聞いていただきたいと思いまして……」 「我侭? まあ、内容しだいでは聞いてあげられないこともないと思うけど……。 いったい、何をして欲しいんだい?」 「はい、実は……」 胸の中に大きく息を吸い込んで、ルネはジャンに自らの願いを告げた。 それは、普通の人間から見れば、取るに足らないものだったかもしれない。 だが、彼女のような身体を持つ者にとっては、それはあまりにも無謀かつ大胆な願いだった。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 347 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 51 44 ID g6UM6UEf 夕暮れ時の厨房で、まな板を叩く音がする。 しかし、それは決して軽快なリズムではない。 コン、コンと、まるで途切れるような感覚で、まな板だけを叩く音が響いていた。 あの日、ジャンが街に残ると告げた時から、リディは家事に力が入らなくなっていた。 宿場の掃除や客のための夕食作りは辛うじてできるものの、いかんせん、自分自身のことに身が入らない。 今日も自分のための夕食を作ろうとしてみたものの、結局何もできずにまな板を叩いているだけだ。 今まで自分は、ジャンのことを考えて夕食を作っていた。 いや、夕食だけではない。 朝食も夕食も、ジャンが喜んでくれそうなメニューは何かを考えて、常にそれを作るよう心がけていた。 そんなジャンだったが、彼は彼女の前から姿を消した。 同じ街に住まい、未だ宿場の三階に居候をしているものの、最近の彼は寝に帰って来るだけだ。 朝食も夕食も外で済ませ、リディの作った物を口にする余裕はない。 その上、何やら思いつめているようで、リディのことなど眼中にはないといった様子だった。 ――――トン……トン……トン……トン……。 光を失った仄暗い瞳で、リディはまな板を叩き続ける。 ジャンは今、どこでなにをしているのか。 そればかりが頭をよぎり、まともに夕食のことを考えるだけの余裕がない。 考えても仕方のないことだとわかっていたが、それでも頭が勝手に考えてしまう。 そして、そんな彼女の気持ちを代弁するかのようにして、無常な包丁の音だけが部屋を支配する。 どれくらい、そうしていたのだろうか。 気がつくと、リディの後ろには一人の女性が立っていた。 厨房に入ってきた人の気配を感じ、包丁を握っていたリディの手が止まった。 振り向いて顔を確かめずとも、それが誰なのかはリディにもわかる。 宿場の一階を借りて、酒場を経営している男の妻だろう。 348 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】 ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 58 52 ID g6UM6UEf 「まったく……。また、こんなところにいたんだね……」 半ば呆れたような顔をして、恰幅のよいその女性は言った。 腰に手を当て、ともすれば怒ったような視線をリディに向けて来る。 「リディちゃん……。 あんた、また夕食を食べてないんでしょ? お客さんのお世話で大変だってのは、私にもわかるけどさ。 こう何日も夕食を食べない日が続くと、さすがに身体に毒だと思うよ」 「すいません、おばさん……。 でも……なんだか、どうしても自分の分を作る気が起きなくて……」 「まったく、しょうがない娘だねぇ。 でも、そろそろ店も忙しくなってきたからね。 悪いけど、こっちも厨房を使わせてもらえないと困るんだよ」 「それでしたら、どうぞ……。 私は部屋にいますんで、何かあったら言って下さい……」 どこか遠くを見るような視線のまま、リディは呟くようにして言った。 その声にあまりに生気がないことに、酒場の店主の妻もぎょっとして目を丸くする。 虚ろな目をしたリディが隣を通り過ぎた時、思わず冷たいものが背中を走った。 「ま、まあ……それでもリディちゃんは、今まで一人でよく頑張ってきたからね。 たぶん、疲れも溜まっているんだろうし、今日はゆっくりしな。 賄いでよければ、食事は私が部屋まで届けておくからさ」 慌てて後ろから声をかけたが、リディは返事をしなかった。 こちらに背を向けたまま頷いたようにも見えたが、はっきりとはわからない。 いったい、リディはどうしてしまったのか。 年末が近づき忙しくなっていることはわかっていたが、それにしても、あんな顔のリディは今までに見たこともない。 しかし、いつまでも考えていたところで話は始まらない。 酒場の客に出す料理を作るため、店主の妻はリディに代わって厨房に立つ。 一通りの調理器具と贖罪を揃え、腕まくりをして気合を入れた。 「さあて……。 それじゃあ今日も、一仕事させてもらうとするかね」 包丁を握り、まな板に乗せたハムにその刃を当てる。 数枚のハムを切り出したところで、店主の妻は、ふと隣にある鍋に目がいった。 いつもであれば、リディが作った夕食が入っているであろう鍋。 だが、今日に限っては、それもない。 厨房に籠る時間が増えている割には、リディはまともに自分のための家事をすることがなくなっていた。 宿場の客の世話はするものの、後は全てどうでもよいといった感じである。 「やれやれ……。明るく元気なところがとりえだったって言うのに……最近のあの娘は、どうしちまったんだろうねえ……」 厨房を出るときのリディの様子を思い出しながら、店主の妻は独り呟いた。 今まで、何があっても負けることなく宿場の経営を続け来たリディ。 そんな彼女の中に生まれつつあった闇に、何も知らない店主の妻が気づくはずもなかった。
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ふらっとハンターメモ クエスト一覧下位 上位 G級 早見表 ふらっとハンター ギルドカードを交換したハンター(ギルドカード登録の有無は関係無し)が、オフライン港の酒場を訪れる事がある。 彼ら/彼女らは“ふらっとハンター”と呼ばれ、それぞれにクエストを持っている。 “ふらっとハンター”に依頼料を払えば、クエストを依頼することができる。 依頼画面で依頼料を上積みすることで同行するハンターを増やしてクエストの成功率を高めることもできる。 そしてゲーム内時間で2日経つと彼らもクエストから帰還して、クエストの結果に応じて報酬を受け取ることができる。 ギルドカードはオンライン港で出会ったハンターと交換したり、すれちがい通信を利用して取得することができる。 複数の“ふらっとハンター”が港を訪れている場合、クエストの依頼は一人にしかできない。 依頼可能なクエストの情報など、追加して下さる方、募集中。 メモ わざわざ港まで行かなくても、下画面の“ふらっとハンター”をタッチすれば、港に“ふらっとハンター”が来ているかどうかわかる。下画面に“ふらっとハンター”を表示すると『酒場へ移動』ボタンをタッチしてタンジアの港へ移動が可能なので、活用すると便利。 HR2 以上から、ギルドマスターに話しかけると依頼の傾向を変更することができる。 “ふらっとハンター”自身の使用武器、防具、HR等によって、期待度が変動する。ふらっとハンターがターゲットとなるモンスターに対して有利になる武器(弱点属性等)、防具(モンスターの攻撃属性への耐性が高い等)を装備している場合期待値が上がる。また、G級の依頼を行う際に、対象がG級のギルドカードの場合上位・下位のギルドカードより初期期待度が1段階上がる。 交易品なども取って来てくれる事がある。 結果には『大成功』、『成功』、『失敗』があり、報酬の量が異なる。帰還時のポーズがそれぞれ『うなずく』、『素立ち』、『落ち込む』なので簡単に判別できるようになっている。 自分のハンターランクの1つ下のランクまで依頼が可能。例えば、G級の依頼をするには、ハンターランク7以上(G★2解放)が必要。 “ふらっとハンター”への依頼でしか入手できない素材もある(ここでしか取れないと思われる素材 …… ハナスズムシ、オオクワアゲハ、ピュアアゲハ) 依頼後の見送りシーンは START ボタンで省略可能。 クエスト一覧 下位 クエスト名 目的地 種別 Lv 主なモンスター 依頼料 報酬 備考 上段 中段 下段 生肉を求めて 孤島 採取 ★ 50z60z70z80z ツタの葉生肉砥石*2アオキノコ*2 生肉*3こんがり肉*2 ペイントの実釣りミミズ釣りフィーバエ*2鉄鉱石*1ツタの葉雷光虫ボンバッタハチミツ*2キレアジ*1ハナスズムシ*1 回復薬を調合せよ 孤島 ★ 50~90z 薬草*2生肉*2クモの巣*1ハナスズムシ*1 怪力の種*1モンスターのフン*2 ドスはたらきバチ*1ハチミツ*2キレアジ*1ツタの葉*1ペイントの実*1雷光虫*1ハナスズムシ*1 ジャギィの群れを狩れ 孤島 ★ ジャギィ 50z~ ペイントボール ジャギィの皮鳥竜種の牙 鉄鉱石雷光虫ツタの葉ハチミツ 水生獣ルドロスを狩れ! 孤島 ★ ルドロス 50z70z90z110z 竜骨【小】*1(2)カラ骨【小】棒状の骨ペイントボール 未熟な海綿質*2水生獣の皮*2 鉄鉱石*1ツタの葉*1ハチミツ*2(2)釣りミミズ*3ボンバッタ雷光虫*1ハナスズムシ*1ドスはたらきバチ*1 目指せ釣り名人! 孤島 ★ 50z70z90z110z 釣りフィーバエ*1サシミウオハナスズムシはじけイワシハリマグロ 大食いマグロ小金魚 ツタの葉ハチミツ雷光虫釣りミミズハナスズムシドスはたらきバチボンバッタ*2キレアジ鉄鉱石水光原珠 オルタロスの性質を学べ 孤島 ★ オルタロス 50z~ 光蟲不死虫クモの巣 モンスターの体液甲虫の腹袋 雷光虫キレアジ水光原珠大食いマグロマカライト鉱石鉄鉱石 孤島のキノコ集め 孤島 ★ 50z60z70z80z ドキドキノコアオキノコ ニトロダケ毒テングダケ ドスはたらきバチハナスズムシハチミツ水光原珠釣りミミズキレアジ 孤島に向かう我が主のために 孤島 ★ アオアシラ 100z~ カラ骨【小】棒状の骨ハチミツ*3 青熊獣の甲殻*1青熊獣の毛*1 釣りミミズ*3水光原珠ハチミツ*2雷光虫*1ボンバッタ*2ハナスズムシ*1ドスはたらきバチ*1鉄鉱石 リノプロスの暴走! 砂原 ★ リノプロス 50z~ 大きな骨生肉ホットミート 草食竜の甲殻 氷結晶鎧玉カクバッタはじけイワシ 狗竜の狩猟を披露せよ! 砂原 ★ ドスジャギィ 100z~ 竜骨【小】*2カラ骨【小】*1竜骨【中】*1竜の爪*3竜の牙生肉*2 鳴き袋*2狗竜の皮*1 マンドラゴラ*2カクバッタサボテンの花*1氷結晶*1鎧玉*1ハナスズムシ*1セッチャクロアリ*1火薬草*2キノコの倍々菌*1はじけイワシ*1 彩鳥・クルペッコの狩猟! 砂原 ★ クルペッコ 100z~ 竜骨【中】 彩鳥の鱗 マンドラゴラ氷結晶ニトロダケハナスズムシサボテンの花 土砂竜・ボルボロス! 砂原 ★ ボルボロス 100z170z240z310z 消散剤*1カラ骨【小】*5カラ骨【大】*5竜骨【中】*1竜骨【大】*1 肥沃なドロ*1土砂竜の背甲*1土砂竜の甲殻*1 サボテンの花*1マヒダケ*1ドキドキノコ*2はじけイワシ*1カクサンデメキン*1セッチャクロアリ*1カクバッタ*2ハナスズムシ*1氷結晶*1鎧玉*1キノコの倍々菌*1 フロギィの群れを狩れ 水没林 ★ フロギィ 50z70z90z110z 生肉*2棒状の骨*2 フロギィの鱗*2フロギィの毒牙*2 特大サイズのフン*1鎧玉*1水光原珠光蟲*1ハナスズムシキラビートル*1砥石*2忍耐の種*1 ロアルドロスを狩猟せよ! 水没林 ★ ロアルドロス 100z~ 強走薬カラ骨【大】*4竜の爪*5 水袋狂走エキス*1水獣の鱗*1海綿質の皮*1上質な海綿質*1 バクレツアロワナ砥石水光原珠*1鎧玉*1忍耐の種シーブライト鉱石*1キラビートル*1ハナスズムシ*1光蟲*1釣りカエル*2 水没林愚連隊 水没林 ★ ドスフロギィ 100z150z200z250z ?*1 ?*1 ?*1 女王・リオレイアの狩猟 孤島 ★★ リオレイア 150z230z310z390z 竜骨【大】解毒薬竜の牙*5カラ骨【大】*4 雌火竜の鱗雌火竜の甲殻火炎袋*1 ドスはたらきバチハチミツ*2雷光虫水光原珠キレアジ鉄鉱石*1釣りミミズ*3釣りフィーバエ*2 空の王者リオレウス! 孤島 ★★ リオレウス 200z300z400z500z 竜の牙*5竜の爪*5竜骨【大】*1カラ骨【小】*4 火竜の鱗*1火炎袋*1 ハナスズムシ*1雷光虫*1キレアジ*1水光原珠*1鉄鉱石*1ハチミツ*2釣りミミズ*3ドスはたらきバチ*1 大海の王・ラギアクルス! 孤島 ★★ ラギアクルス 200z~ 竜の牙竜の爪*5カラ骨【大】*4カラ骨【小】竜骨【大】*1上竜骨 海竜の皮*1海竜の背電殻海竜の鱗*1 鉄鉱石*1マカライト鉱石*1水光原珠*1大食いマグロキレアジ*1雷光虫*1ボンバッタ*2ハナスズムシ*1釣りミミズハチミツ*2ペイントの実ドスはたらきバチ*1 砂上のテーブルマナー 砂原 ★★ ハプルボッカ ?z カラ骨【小】*4竜の爪*5竜骨【大】*1 潜口竜の皮*1潜口竜の甲殻*1 氷結晶*1鎧玉*1カクバッタ*2セッチャクロアリ*1ハナスズムシ*1サボテンの花*1火薬草*2はじけイワシ*1 砂原の角竜を狩れ! 砂原 ★★ ディアブロス 200z300z400z500z カラ骨【小】カラ骨【大】竜の牙*5 角竜の牙*1角竜の背甲角竜の甲殻*1 カクサンデメキンはじけイワシ*1鎧玉*1氷結晶*1火薬草カクバッタセッチャクロアリ*1ハナスズムシ 灯魚竜・チャナガブル! 水没林 ★★ チャナガブル 150z230z310z390z カラ骨【大】竜骨【大】*1上竜骨 麻痺袋*1灯魚竜の皮*1 シーブライト鉱石特大サイズのフン光蟲*1キラビートル*1水光原珠*1鎧玉*1バクレツアロワナ*1砥石*2 ドボルベルク流域 水没林 ★★ ドボルベルク 200z~ 竜骨【大】*1上竜骨*1カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4 尾槌竜の苔甲*1尾槌竜の甲殻*1 忍耐の種イキツギ藻*1特大サイズのフン砥石*2鎧玉*1水光原珠*1光蟲*1ハナスズムシ*1キラビートル*1 雪のちウルクスス 凍土 ★★ ウルクスス 150z230z310z390z 棒状の骨大きな骨氷結晶*1 大きな骨*2白兎獣の毛 ネムリ草*2氷結晶*1アイシスメタル*1不死虫*2虫の死骸ハナスズムシ眠魚陽翔原珠*1鎧玉*1 闇夜にうごめく猛毒 凍土 ★★ ギギネブラ 150z~390z 龍の牙*5竜骨【大】カラ骨【小】*4 毒怪竜の皮*1毒袋*1不気味な皮*1 ネムリ草*2大地の結晶氷結晶アイシスメタル*1強烈なフェロモンハナスズムシ*1不死虫*2陽翔原珠*1鎧玉*1上鎧玉*1 氷牙竜・ベリオロス! 凍土 ★★ ベリオロス 200z300z400z500z 氷牙竜の棘*1カラ骨【大】カラ骨【小】上竜骨*1竜の爪*5 氷牙竜の毛皮氷牙竜の甲殻*1氷結袋*1 アイシスメタル鎧玉*1陽翔原珠*1氷結晶*1強烈なフェロモンキラビートル不死虫ハナスズムシ*1ネムリ草*2 ウロコトルの群れを狩れ 火山 ★★ ウロコトル 100z~ 竜骨【小】生肉棒状の骨カラ骨【小】 溶岩獣の鱗 陽翔原珠光蟲ドラグライト鉱石鉄鉱石ハナスズムシ 赤甲獣ラングロトラ現る! 火山 ★★ ラングロトラ 200z~ カラ骨【小】*1カラ骨【大】*1モンスターのフン*1大きな骨*1消臭玉*1棒状の骨*3 赤甲獣の甲殻*1大きな骨*2麻痺袋 ハナスズムシ*1ドスヘラクレス*1鎧玉*1上鎧玉*1ドラグライト鉱石*1鉄鉱石*1虫の死骸*1光蟲*2シンドイワシ*1バクレツアロワナ*1龍殺しの実*1 火の海に棲む竜! 火山 ★★ アグナコトル 250z~ 竜骨【大】*1上竜骨*1 赤熱した胸殻*1 ハナスズムシ*1ドラグライト鉱石*1鉄鉱石*1鎧玉*1水光原珠*1龍殺しの実*1 脅威!火山の鉄槌! 火山 ★★ ウラガンキン 250z~ カラ骨【大】カラ骨【小】*4竜骨【大】*1上竜骨*1竜の牙*5 溶岩塊紅蓮石*1爆鎚竜の甲殻*1爆鎚竜の鱗*1 ハナスズムシ*1ドスヘラクレス*1龍殺しの実*1鎧玉*1水光原珠*1陽翔原珠*1鉄鉱石*1ドラグライト鉱石*1大地の結晶*1 群れを統べるドスバギィ! 凍土 ★★ ドスバギィ 150z230z310z390z ?*1 ?*1 ?*1 ふらっとハンター下位を編集 上位 クエスト名 目的地 種別 Lv 主なモンスター 依頼料 報酬 備考 上段 中段 下段 彩鳥・クルペッコの狩猟! 孤島 ★★★ クルペッコ 250z380z510z640z 尖竜骨*1彩鳥の鱗*1ペイントの実*3 彩鳥の上鱗鳴き袋極彩色の羽根 マカライト鉱石*1陽翔原珠尖鎧玉*1ドスはたらきバチ*1王族カナブン雷光虫ボンバッタキレアジ*1 リオレイア、現る 孤島 ★★★ リオレイア 300z470z640z810z カラ骨【小】カラ骨【大】竜の爪*5竜骨【大】雌火竜の鱗 爆炎袋*1雌火竜の上麟*1雌火竜の上棘*1 マカライト鉱石*1カブレライト鉱石陽翔原珠ボンバッタ雷光虫王族カナブンドスはたらきバチ*1キレアジ*1ハチミツペイントの実ツタの葉*2 ガノトトス襲来! 孤島 ★★★★ ガノトトス 300z~ カラ骨【大】尖竜骨竜骨【大】大食いマグロ 水竜の上鱗水竜の鋭牙 ハチミツボンバッタ王族カナブンオオクワアゲハ陽翔原珠マカライト鉱石尖鎧玉カブレライト鉱石キレアジ 空の王者リオレウス! 孤島 ★★★★ リオレウス 350z550z750z950z カラ骨【大】*4竜の爪*5堅竜骨*1 火竜の上鱗*1火竜の堅殻*1 鉄鉱石*1マカライト鉱石*1カブレライト鉱石*1陽翔原珠*1修羅原珠*1キレアジ*1オオクワアゲハ*1 激闘!蒼の火竜 孤島 ★★★★★ リオレウス亜種 400z630z860z1090z カラ骨【大】*4竜の爪 蒼火竜の上鱗*1爆炎袋 鉄鉱石*1マカライト鉱石*1カブレライト鉱石修羅原珠*1オオクワアゲハ*1王族カナブン*1釣りミミズボンバッタハチミツ 双界の覇者 孤島 ★★★★★ ラギアクルス亜種 450z750z1050z1350z カラ骨【大】カラ骨【小】竜の牙竜の爪竜骨【大】*1生命の粉塵堅竜骨*1 白海竜の上皮白海竜の上鱗 キレアジ陽翔原珠*1釣りミミズカブレライト鉱石王族カナブンマカライト鉱石ハチミツオオクワアゲハ*1修羅原珠ボンバッタドスはたらきバチ尖鎧玉*1 リノプロスの暴走! 砂原 ★★★ リノプロス 200z~ 生肉大きな骨 草食竜の頭殻草食竜の堅殻 なぞの頭骨ドスヘラクレスカクサンデメキン王族カナブンカブレライト鉱石マンドラゴラサボテンの花 土砂竜・ボルボロス! 砂原 ★★★ ボルボロス 300z~ カラ骨【中】消散剤 土砂竜の堅殻土砂竜の堅甲 カブレライト鉱石なぞの頭骨尖鎧玉ドラグライト鉱石オオクワアゲハ 砂上のテーブルマナー 砂原 ★★★★ ハプルボッカ 350z~ 竜の爪竜の牙堅竜骨 潜口竜の上皮潜口竜の堅殻極彩色の体液*1 なぞの頭骨カクサンデメキンカブレライト鉱石ドラグライト鉱石オオクワアゲハドスヘラクレス尖鎧玉サボテンの花ドキドキノコカクバッタはじけイワシ 砂原の角竜を狩れ! 砂原 ★★★★ ディアブロス 400z650z900z1150z 竜の爪*5角竜の甲殻*1 角竜の堅甲*1角竜の牙*2 ドラグライト鉱石*1ニトロダケ*2オオクワアゲハ*1王族カナブン*1はじけイワシ*1カクサンデメキン*1サボテンの花*2なぞの頭骨*1キノコの倍々菌*1 砂原で発生、風牙竜巻 砂原 ★★★★★ ベリオロス亜種 450z~ 竜骨【大】竜の牙竜の爪 風牙竜の堅殻風牙竜の上毛皮 マンドラゴラカクサンデメキンドラグライト鉱石なぞの頭骨キノコの倍々菌ドスヘラクレスカクバッタ王族カナブン 黒き怒りは夜陰を照らす 砂原 ★★★★★ ディアブロス亜種 450z750z1050z1350z 竜骨【大】*1カラ骨【小】*4竜の牙*5 黒角竜の堅殻*1 尖鎧玉*1ドスヘラクレス*1王族カナブン*1オオクワアゲハ*1 水没林の虫退治! 水没林 ★★★ ブナハブラ 200z~ オオクワアゲハモンスターの体液*1クモの巣*2 モンスターの濃汁*1 忍耐の種イキツギ藻陽翔原珠*1水光原珠修羅原珠*1デプスライト鉱石*1オオクワアゲハ*1光蟲*1キラビートル*1 フロギィの群れを狩れ 水没林 ★★★ フロギィ 200z320z440z560z カラ骨【小】*1フロギィの毒牙*2 フロギィの毒牙*3フロギィの上鱗*2 上鎧玉*1陽翔原珠*1オオクワアゲハ*1ドスヘラクレス*1キラビートル*1シーブライト鉱石*1 水没林愚連隊 水没林 ★★★ ドスフロギィ 250z380z510z640z 竜の爪上質な鳥竜骨竜骨【小】竜骨【中】 毒狗竜の上皮毒袋 キラビートルオオクワアゲハ光蟲特大サイズのフンバクレツアロワナシーブライト鉱石陽翔原珠上鎧玉 水獣を追え 水没林 ★★★ ロアルドロス 250z380z510z640z 尖竜骨上質な海綿質*1竜の牙カラ骨【大】カラ骨【小】*4 海綿質の上皮*1水獣の上鱗大水袋 尖鎧玉上鎧玉*1修羅原珠陽翔原珠*1イキツギ藻バクレツアロアナオオクワアゲハ*1キラビートル光蟲ドスヘラクレス*1忍耐の種*1シーブライト鉱石*1砥石*1 水没林に咲く 水没林 ★★★ クルペッコ亜種 250z~ 竜骨【中】*1尖竜骨*1極彩鳥の羽根*1回復笛*1 紅彩鳥の上鱗*1 光蟲特大サイズのフン修羅原珠*1キラビートル*1イキツギ藻*2水光原珠*1デブスライト鉱石*1上鎧玉*1オオクワアゲハ*1 灯魚竜・チャナガブル! 水没林 ★★★★ チャナガブル 300z470z640z810z 灯魚竜の皮*1竜骨【大】尖竜骨カラ骨【小】閃光玉*1 灯魚竜の上皮灯魚竜の上棘強力麻痺袋 キラビートル*1釣りカエルバクレツアロワナ光蟲シーブライト鉱石デプスライト鉱石*1イキツギ藻上鎧玉尖鎧玉陽翔原珠特大サイズのフン忍耐の種*1 ドボルベルク流域 水没林 ★★★★ ドボルベルク 350z550z750z950z カラ骨【大】カラ骨【小】堅竜骨*1 尾槌竜の堅殻尾槌竜の堅苔甲 シーブライト鉱石*1デプスライト鉱石*1陽翔原珠*1修羅原珠*1キラビートル*1オオクワアゲハイキツギ藻特大サイズのフン 大海の王・ラギアクルス! 水没林 ★★★★ ラギアクルス 400z~ カラ骨【小】カラ骨【大】生命の粉塵堅竜骨 海竜の上鱗海竜の上皮海竜の高電殻*1 オオクワアゲハシーブライト鉱石上鎧玉釣りカエルバクレツアロワナ特大サイズのフンドスヘラクレスキラビートル尖鎧玉修羅原珠 漆黒の影 水没林 ★★★★★ ナルガクルガ 450z750z1050z1350z 竜の爪 迅竜の上鱗 陽翔原珠シーブライト鉱石オオクワアゲハイキツギ藻 青き集団、バギィ討伐! 凍土 ★★★★ バギィ 200z300z400z500z 竜骨【小】*1ペイントボール*1生肉*2鳥竜種の牙*2 バギィの上鱗*2上質な鳥竜骨*1 陽翔原珠*1氷結晶*1ライトクリスタル*1グラシスメタル*1王族カナブン*1眠魚*1 群れを統べるドスバギィ! 凍土 ★★★★ ドスバギィ 300z470z640z810z 竜の牙バギィの鱗*1竜の爪竜骨【中】*1生肉*2 睡眠袋*2眠狗竜の上皮*1 大地の結晶*1カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1氷結晶陽翔原珠*1修羅原珠瑠璃原珠*1尖鎧玉*1キラビートル王族カナブン*1不死虫*1ネムリ草*1ネムリ草*3 雪のちウルクスス 凍土 ★★★★ ウルクスス 300z470z640z810z カラ骨【大】*4カラ骨【小】*4大きな骨*1白兎獣の毛氷結晶*1 堅牢な骨*1白兎獣の剛毛*1白兎獣の堅腹甲*1 ネムリ草*3オオクワアゲハ*1陽翔原珠修羅原珠*1グラシスメタル*1尖鎧玉*1氷結晶*1キラビートル*1カブレライト鉱石*1強烈なフェロモン*1アイシスメタル*1王族カナブン*1 暗闇にうごめく猛毒 凍土 ★★★★ ギギネブラ 350z550z750z950z カラ骨【大】*4カラ骨【小】解毒薬竜の爪尖竜骨*1 不気味な上皮毒怪竜の上皮猛毒袋 ネムリ草キラビートル修羅原珠王族カナブン*1オオクワアゲハ*1カブレライト鉱石瑠璃原珠グラシスメタル*1陽翔原珠氷結晶眠魚 雪原のスノーダンパー 凍土 ★★★★ ボルボロス亜種 350z550z750z950z 竜骨【中】竜骨【大】カラ骨【大】カラ骨【小】*4尖竜骨*1 凍った粘液塊氷砕竜の堅殻氷砕竜の堅甲 キラビートル氷結晶ライトクリスタルカブレライト鉱石*1不死虫グラシスメタル*1王族カナブンムリ草*3修羅原珠オオクワアゲハ*1眠魚*1 ビリビリするらしいです 凍土 ★★★★ ギギネブラ亜種 400z630z860z1090z 尖竜骨*1カラ骨【小】アルビノエキス*1竜骨【大】*1カラ骨【大】*4シビレ生肉*1 電撃袋*1電怪竜の上皮*1 オオクワアゲハ*1尖鎧玉*1大地の結晶カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1キラビートル*1ネムリ草*3陽翔原珠*1強烈なフェロモン*1アイシスメタル*1瑠璃原珠*1修羅原珠*1氷結晶*1眠魚*1 ベリオロスの狩猟 凍土 ★★★★ ベリオロス 400z650z900z1150z 竜の爪*5堅竜骨氷牙竜の毛皮*1竜の牙*5カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4 氷牙竜の堅殻氷牙竜の上毛皮*1凍結袋*1氷牙竜の棘*1 カブレライト鉱石*1ライトクリスタル*1グラシスメタル*1アイシスメタル*1陽翔原珠修羅原珠*1瑠璃原珠*1尖鎧玉*1キラビートル*1王族カナブンオオクワアゲハ*1強烈なフェロモン*1眠魚*1ネムリ草*3 氷の楔 凍土 ★★★★★ アグナコトル亜種 450z750z1050z1350z 竜の爪*5カラ骨【大】カラ骨【小】*4竜骨【大】*1堅竜骨*1 凍戈竜の上皮*1凍戈竜の堅殻*1 カブレライト鉱石*1アイシスメタル*1グラシスメタル*1氷結晶*1陽翔原珠*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1尖鎧玉*1キラビートル*1王族カナブン*1強烈なフェロモン*1ネムリ草*3 赤甲獣ラングロトラ現る! 火山 ★★★★ ラングロトラ 300z470z640z810z 大きな骨*1モンスターのフン麻痺袋消臭玉*1カラ骨【大】*4カラ骨【小】 堅牢な骨赤甲獣の堅殻強力麻痺袋 陽翔原珠獄炎石鉄鉱石王族カナブンドラグライト鉱石*1紅蓮石オオクワアゲハ*1龍殺しの実*1特大サイズのフン*1尖鎧玉*1シンドイワシ 脅威!火山の鉄槌! 火山 ★★★★ ウラガンキン 400z650z900z1150z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4堅竜骨*1竜の爪*5爆鎚竜の鱗 爆鎚竜の上鱗*1爆鎚竜の堅殻*1爆鎚竜の耐熱殻*1 バクレツアロワナ*1シンドイワシ*1オオクワアゲハ*1王族カナブン*1ドラグライト鉱石*1陽翔原珠*2修羅原珠*1龍殺しの実*1特大サイズのフン*1 爆砕!ブラキディオス! 火山 ★★★★ ブラキディオス 350z580z810z1040z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4竜の牙*5竜骨【大】*1堅竜骨*1ウチケシの実 砕竜の堅殻*1砕竜の黒曜甲*1なぞの粘菌 鉄鉱石大地の結晶*1ドラグライト鉱石*1ユニオン鉱石*1陽翔原珠*2堅鎧玉*1尖鎧玉*1龍殺しの実王族カナブン*1オオクワアゲハ*1光蟲*1シンドイワシ 仄暗い火口の中から 火山 ★★★★★ ウラガンキン亜種 450z~ 堅竜骨カラ骨【大】竜骨【大】 鋼鎚竜の上鱗 バクレツアロワナ王族カナブンオオクワアゲハ陽翔原珠シンドイワシ龍殺しの実大地の結晶鉄鉱石 火の海に棲む竜! 火山 ★★★★★ アグナコトル 400z650z900z1150z カラ骨【大】*4堅竜骨*1竜の牙*5 赤熱した堅胸殻*1炎戈竜の上皮*1炎戈竜の堅殻*1 尖鎧玉*1ドラグライト鉱石*1龍殺しの実*1ユニオン鉱石*1王族カナブン*1陽翔原珠*2 イビルジョーの狩猟 火山 ★★★★★ イビルジョー 480z830z1180z1530z 堅竜骨*1竜骨【大】修羅原珠竜の爪竜の牙 恐暴竜の黒皮恐暴竜の黒鱗恐暴竜の鉤爪 龍殺しの実*1ユニオン鉱石*1シンドイワシ尖鎧玉紅蓮石大地の結晶ドラグライト鉱石堅鎧玉王族カナブンバクレツアロワナオオクワアゲハ鉄鉱石 渓流のハチミツ集め 渓流 ★★★ 150z230z310z390z ハチミツ*3尖鎧玉*1クモの巣雷光虫*1オオクワアゲハ*1薬草*3 ハチミツ*3生命の粉塵*1栄養剤*1 ハチミツ*2強烈なフェロモン*1オオクワアゲハ*1王族カナブン*1光蟲*1雷光虫*1薬草*2尖鎧玉*1鉄鉱石*1大地の結晶*1ドラグライト鉱石カブレライト鉱石*1キノコの倍々菌*1特大サイズのフン*1サシミウオ*2 ジャギィの群れを狩れ 渓流 ★★★ ジャギィ 200z~ 生肉 ジャギィの上鱗 ドスはたらきバチ薬草王族カナブン特大サイズのフン不死虫ハチミツ鉄鉱石 ブルファンゴを狩れ! 渓流 ★★★ ブルファンゴ 150z230z310z390z 生肉*2竜骨【小】*1棒状の骨*2カラ骨【小】*1 ファンゴの毛皮*2 キノコの倍々菌*1ハリマグロ*1王族カナブン*1ハチミツ*2強烈なフェロモン*1オオクワアゲハ*1 狗竜の狩猟を披露せよ! 渓流 ★★★ ドスジャギィ 250z380z510z640z 竜の爪*4竜の牙*4竜骨【小】*2上質な鳥竜骨*1生肉*2 鳴き袋狗竜の皮*2狗竜の上皮*1 鉄鉱石大地の結晶カブレライト鉱石ドラグライト鉱石ハチミツ*2薬草不死虫*1王族カナブン*1オオクワアゲハ*1キノコの倍々菌強烈なフェロモン特大サイズのフン*1ドスはたらきバチ*1 アオアシラの狩猟 渓流 ★★★ アオアシラ 250z380z510z640z カラ骨【大】*4ハチミツ*3 堅牢な骨青熊獣の剛毛*1 ハチミツ*2鉄鉱石*1カブレライト鉱石*1オオクワアゲハ*1雷光虫*1強烈なフェロモン*1 集え!渓流の紫水獣戦 渓流 ★★★ ロアルドロス亜種 250z380z510z640z カラ骨【小】尖竜骨竜の牙竜の爪*5強走薬*1 海綿質の紫皮*1狂走エキス大水袋*1 カブレライト鉱石鉄鉱石*1不死虫サシミウオドスはたらきバチ王族カナブン特大サイズのフン薬草ハチミツ*2キノコの倍々菌*1 渓流に舞う桜の女王 渓流 ★★★ リオレイア亜種 350z550z750z950z 雌火竜の上棘*1カラ骨【小】*4カラ骨【大】竜の爪*5火炎袋解毒薬 桜火竜の上鱗*1爆炎袋 鉄鉱石*1ドラグライト鉱石カブレライト鉱石*1尖鎧玉*1薬草王族カナブン*1オオクワアゲハ*1雷光虫*1サシミウオ*2ハチミツ*2特大サイズのフン*1強烈なフェロモンドスはたらきバチキノコの倍々菌*1 月下雷鳴 渓流 ★★★★★ ジンオウガ 450z750z1050z1350z 竜の牙堅竜骨竜の爪*5カラ骨【大】竜骨【大】堅竜骨*1 雷狼竜の堅殻*1雷狼竜の高電毛雷狼竜の高電殻*1超電雷光虫 鉄鉱石*1ドラグライト鉱石王族カナブン*1オオクワアゲハ*1ドスはたらきバチカブレライト鉱石サシミウオハチミツ雷光虫不死虫大地の結晶*1特大サイズのフン薬草光蟲*1 ふらっとハンター上位を編集 G級 クエスト名 目的地 種別 Lv 主なモンスター 依頼料 報酬 備考 上段 中段 下段 ジャギィの群れを狩れ 孤島 小型 ★★★★★★ ジャギィ zzzz ? ? ? ジャギィの群れの討伐 孤島 小型 ★★★★★★ ジャギィ zzzz 生肉*2ペイントボール*2上質な鳥竜骨*1カラ骨【小】*1 上質な鳥竜骨*1ジャギィの上鱗*2鳥竜種の牙*3 ハチミツ*2ツタの葉*2ペイントの実*2カブレライト鉱石*1エルトライト鉱石*1ボンバッタ*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1マボロシチョウ*1ドスはたらきバチ*1修羅原珠*1 オルタロスの性質を学べ 孤島 小型 ★★★★★★ オルタロス 500z1370z2240z3110z クモの巣*2カラの実*3セッチャクロアリ*1王族カナブン*1ピュアアゲハ*1上質な腹袋*1 極上の腹袋*1極上の腹袋*2モンスターの特濃*1 ハチミツ*2ツタの葉*2ハチミツ*2ペイントの実*2カブレライト鉱石*1エルトライト鉱石*1重鎧玉*1釣りミミズ*2釣りフィーバエ*1大喰いマグロ*1キレアジ*1ボンバッタ*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1マボロシチョウ*1ドスはたらきバチ*1修羅原珠*1 狗竜の狩猟を披露せよ! 孤島 大型 ★★★★★★ ドスジャギィ 550z1470z2390z3310z 生肉*2竜骨【小】*2竜骨【中】*1ジャギィの上鱗*1 狗竜の厚皮*1鳴き袋*3 ハチミツ*2エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1大食いマグロ*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1ドスはたらきバチ*1修羅原珠*1 孤島に向かう我が主のために 孤島 大型 ★★★★★★ アオアシラ 550z1470z2390z3310z ハチミツ*4カラ骨【小】*4青熊獣の堅殻*? 青熊獣の剛毛*1青熊獣の剛毛*2青熊獣の重殻*1 ハチミツ*2大食いマグロ*1釣りフィーバエ*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1マボロシチョウ*1修羅原珠*1 桜色の雌火竜 孤島 大型 ★★★★★★ リオレイア亜種 650z1800z2950z4100z カラ骨【大】*4重竜骨*1竜の爪*5桜火竜の上鱗*1 桜火竜の厚鱗*1雌火竜の秘棘*1業炎袋*1 ハチミツ*2重鎧玉*1釣りフィーバエ*2雷光虫*1王族カナブン*1マボロシチョウ*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*1 緑色の奔流 孤島 大型 ★★★★★★ ガノトトス亜種 700z1870z30404210z カラ骨【大】*4竜の爪*5水竜の鋭牙*1 翠水竜の厚鱗*1水竜の重牙*1 ハチミツ*2ペイントの実*2堅鎧玉*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1マボロシチョウ*1 陸をも統べる海の王 孤島 大型 ★★★★★★★ ラギアクルス亜種 850z2200z3550z4900z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4重鎧玉*1重竜骨*1 白海竜の厚皮*1白海竜の厚皮*2白海竜の厚鱗*1 ハチミツ*2ペイントの実*2カブレライト鉱石*1エルライト鉱石*1堅鎧玉*1釣りミミズ*2釣りフィーバエ*2キレアジ*1雷光虫*1王族カナブン*1ピュアアゲハ*1マボロシチョウ*1ドスはたらきバチ*1 リノプロスの暴走! 砂原 小型 ★★★★★★ リノプロス 500z1370z2240z3110z 生肉*2こんがり肉*3草食竜の堅殻*1堅牢な骨*1 草食竜の頭殻*2草食竜の重骨*1草食竜の堅殻*2 サボテンの花*2マンドラゴラ*2ドキドキノコ*2氷結晶*1カブレライト鉱石*1はじけイワシ*1カクバッタ*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1 赤甲獣ラングロトラ現る! 砂原 大型 ★★★★★★ ラングロトラ 550z1470z2390z3310z 消臭玉*?カラ骨【大】*4モンスターのフン*2堅牢な骨*1赤甲獣の堅殻*1 赤甲獣の重殻*1重厚な骨*1 ドキドキノコ*2マンドラゴラ*2カブレライト鉱石*1ユニオン鉱石*1氷結晶*1エルトライト鉱石*1メランジェ鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1カクバッタ*1カクサンデメキン*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1キノコの倍々菌*1 砂上のテーブルマナー 砂原 大型 ★★★★★★ ハプルボッカ 650z1800z2950z4100z 大タル爆弾*2カラ骨【小】*4重竜骨*1竜の牙*5 潜口竜の重殻*1潜口竜の厚皮*1光り輝く体液*1 火薬草*2マンドラゴラ*2カブレライト鉱石*1ユニオン鉱石*1メランジェ鉱石*1堅鎧玉*1カクサンデメキン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1キノコの倍々菌*1 女王・リオレイアの狩猟 砂原 大型 ★★★★★★ リオレイア 650z1800z2950z4100z 重竜骨*1 雌火竜の厚鱗*1雌火竜の厚鱗*2雌火竜の秘棘*1 雌火竜の厚鱗*2雌火竜の厚鱗*1カブレライト鉱石*1氷結晶*1エルトライト鉱石*1メランジェ鉱石*1堅鎧玉*1ピュアアゲハ*1 土砂竜・ボルボロス! 砂原 大型 ★★★★★★ ボルボロス 550z1470z2390z3310z ? ? ? トリックスターを追え! 砂原 大型 ★★★★★★ クルペッコ 550z1470z2390z3310z ペイントの実*3回復笛*1鳴き袋*1重竜骨*1 彩鳥の厚鱗*1極彩色の艶羽根*1鳴き袋*3 火薬草*2サボテンの花*2ニトロダケ*1マンドラゴラ*2ドキドキノコ*2氷結晶*1ユニオン鉱石*1エルトライト鉱石*1重鎧玉*1はじけイワシ*1カクサンデメキン*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1キノコの倍々菌*1 砂原で発生、風牙竜巻 砂原 大型 ★★★★★★★ ベリオロス亜種 850z2150z3450z4750z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4重竜骨*1風牙竜の堅殻*1 風牙竜の厚毛皮*1風牙竜の重殻*1強靭な大胸膜*1 火薬草*2ニトロダケ*2氷結晶*1カブレライト鉱石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1カクサンデメキン*1カクバッタ*1皇帝バッタ*1キノコの倍々菌*1 熱砂の巨斧、現る! 砂原 大型 ★★★★★★ ドボルベルク亜種 850z2150z3450z4750z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4竜骨【大】*1重竜骨*1竜の牙*5 尾斧竜の赤銅殻*1尾斧竜の赤銅殻*2 火薬草*2サボテンの花*2ニトロダケ*2マヒダケ*2ドキドキノコ*2カブレライト鉱石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1はじけイワシ*1カクバッタ*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1キノコの倍々菌*1 砂原の角竜を狩れ! 砂原 大型 ★★★★★★★ ディアブロス 850z2150z3450z4750z 重鎧玉*1カラ骨【大】*4重竜骨*1 角竜の重殻*1角竜の重甲*1 ハチミツ*2サボテンの花*2ニトロダケ*2マヒダケ*2カブレライト鉱石*1氷結晶*1エルトライト鉱石*1メランジェ鉱石*1はじけイワシ*1ハリマグロ*1カクサンデメキン*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1特大サイズのフン*1キノコの倍々菌*1 黒き怒りは夜陰を照らす 砂原 大型 ★★★★★★★ ディアブロス亜種 850z2150z3450z4750z 重鎧玉*1カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4重竜骨*1竜の牙*5竜の爪*5黒角竜の堅殻*1 黒角竜の重殻*1黒角竜の重殻*2角竜の牙*3 火薬草*2サボテンの花*2ニトロダケ*2カブレライト鉱石*1氷結晶*1エルトライト鉱石*1メランジェ鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1はじけイワシ*1カクバッタ*1皇帝バッタ*1特大サイズのフン*1キノコの倍々菌*1 イビルジョーの狩猟 砂原 大型 ★★★★★★★ イビルジョー 850z2200z3550z4900z 真鎧玉*1重竜骨*1竜の牙*5恐暴竜の黒鱗*1 恐暴竜の厚黒鱗*1恐暴竜の剛鉤爪*1 火薬草*2サボテンの花*2カブレライト鉱石*1氷結晶*1エルトライト鉱石*1メランジェ鉱石*1堅鎧玉*1皇帝バッタ*1 水没林の虫退治! 水没林 小型 ★★★★★★ ブナハブラ 500z1370z2240z3110z クモの巣*2カラの実*3不死虫*1ピュアアゲハ*1飛甲虫の麻痺針*1モンスターの濃汁*1 飛甲虫の堅殻*1飛甲虫の斬羽*1モンスターの特濃*1 イキツギ草*2忍耐の実*1デプスライト鉱石*1エルライト鉱石*1尖鎧玉*1堅鎧玉*1釣りカエル*2バクレツアロワナ*1キラビートル*1ドスヘラクレス*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1金剛原珠*1特大サイズのフン*1 水没林愚連隊 水没林 大型 ★★★★★★ ドスフロギィ 550z1470z2390z3310z 竜骨【小】*2竜骨【中】*1竜の爪*5フロギィの上鱗*1 毒狗竜の厚皮*1毒狗竜の厚皮*2猛毒袋*2 エルライト鉱石*1ドスヘラクレス*1皇帝バッタ*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1 水獣を追え 水没林 大型 ★★★★★★ ロアルドロス 550z1470z2390z3310z 重竜骨*1竜の牙*5 水獣の厚鱗*1海綿質の厚皮*1 デプスライト鉱石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1瑠璃原珠*1 水没林に咲く 水没林 大型 ★★★★★★ クルペッコ亜種 550z1470z2390z3310z ペイントの実*3回復笛*1鳴き袋*1 極彩色の艶羽根*1紅彩鳥の厚鱗*1鳴き袋*1 釣りカエル*2デプスライト鉱石*1ドスヘラクレス*1皇帝バッタ*1特大サイズのフン*1瑠璃原珠*1 灯魚竜・チャナガブル! 水没林 大型 ★★★★★★ チャナガブル 700z1870z3040z4210z 閃光玉*2カラ骨【小】*4重竜骨*1灯魚竜の上皮*1 灯魚竜の厚皮*1灯魚竜の厚皮*2灯魚竜の秘棘*1 イキツギ藻*2デプスライト鉱石*1釣りカエル*2ドスヘラクレス*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1金剛原珠*1 迫り来る水竜の影 水没林 大型 ★★★★★★ ガノトトス 650z1800z2950z4100z 大食いマグロ*1重竜骨*1竜の牙*5水竜の上鱗*1 水竜の厚鱗*1水竜の厚鱗*2 イキツギ草*2デプスライト鉱石*1エルライト鉱石*1尖鎧玉*1堅鎧玉*1釣りカエル*2バクレツアロワナ*1キラビートル*1ドスヘラクレス*1ピュアアゲハ*1特大サイズのフン*1瑠璃原珠*1金剛原珠*1 暗中・迅速・太刀打ちの影 水没林 大型 ★★★★★★★ ナルガクルガ亜種 850z2150z3450z4750z 重鎧玉*1カラ骨【大】*4重竜骨*1竜の爪*5 緑迅竜の厚鱗*1緑迅竜の厚鱗*2 デプスライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1バクレツアロワナ*1キラビートル*1ドスヘラクレス*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1金剛原珠*1特大サイズのフン*1 大海の王・ラギアクルス! 水没林 大型 ★★★★★★★ ラギアクルス 800z2100z3400z4700z いにしえの秘薬*1カラ骨【大】*4重竜骨*1竜の爪*5海竜の上皮*1 海竜の厚鱗*1海竜の厚皮*1海竜の雷電殻*1 デプスライト鉱石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1キラビートル*1ドスヘラクレス*1皇帝バッタ*1瑠璃原珠*1金剛原珠*1 群れを統べるドスバギィ! 凍土 大型 ★★★★★★ ドスバギィ 550147023903310 生肉*3カラ骨【小】*4竜骨【中】*1バギィの上鱗*1 眠狗竜の厚皮*1昏睡袋*2 ネムリ草*2大地の結晶*1カブレライト鉱石*1氷結晶*1エルトライト鉱石*1重鎧玉*1不死虫*1皇帝バッタ*1強烈なフェロモン*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1 雪のちウルクスス 凍土 大型 ★★★★★★ ウルクスス 550z1470z2390z3310z 白兎獣の地獄耳*1モンスターのフン*2氷結晶*2カラ骨【小】*4堅牢な骨*1 重厚な骨*1白兎獣の豪剛毛*1 ネムリ草*2カブレライト鉱石*1氷結晶*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1不死虫*1皇帝バッタ1強烈なフェロモン*1瑠璃原珠*1 暗闇にうごめく猛毒 凍土 大型 ★★★★★★ ギギネブラ 700z1870z3040z4210z 解毒薬*3カラ骨【小】*4竜骨【大】*1重竜骨*1不気味な上皮*1 毒怪竜の厚皮*1おぞましい厚皮*1猛毒袋*1アルビノエキス*3 ネムリ草*2大地の結晶*1カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1氷結晶*1エルライト鉱石*1ピュアクリスタル*1尖鎧玉*1堅鎧玉*1重鎧玉*1眠魚*2不死虫*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1瑠璃原珠*1強烈なフェロモン*1 ビリビリするらしいです 凍土 大型 ★★★★★★ ギギネブラ亜種 700z1870z3040z4210z シビレ肉*2カラ骨【大】*1竜骨【大】*1重竜骨*1竜の爪*5 電怪竜の厚皮*1雷電袋*1 大地の結晶*1カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1氷結晶*1エルライト鉱石*1ピュアクリスタル*1尖鎧玉*1堅鎧玉*1重鎧玉*1不死虫*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1瑠璃原珠*1 雪原のスノーダンパー 凍土 大型 ★★★★★★ ボルボロス亜種 550z1470z2390z3310z 消散剤*2カラ骨【小】*4竜骨【大】*1重竜骨*1 氷砕竜の重甲*1氷砕竜の重殻*1 ネムリ草*2カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1氷結晶*1エルライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1強烈なフェロモン*1瑠璃原珠*1 氷の楔 凍土 大型 ★★★★★★★ アグナコトル亜種 850z2200z3550z4900z カラ骨【小】*4重竜骨*1竜の爪*5凍戈竜の堅殻*1凍戈竜の上皮*1 凍戈竜の重殻*1凍戈竜の厚皮*1潤った重胸殻*1 カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1エルトライト鉱石*1不死虫*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1ピュアクリスタル*1 氷牙竜・ベリオロス! 凍土 大型 ★★★★★★ ベリオロス 700z1870z3040z4210z 消散剤*3重竜骨*1氷牙竜の上毛皮*1 氷牙竜の重殻*1瞬間凍結袋*1 眠魚*2大地の結晶*1カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1氷結晶*1堅鎧玉*1重鎧玉*1不死虫*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1強烈なフェロモン*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1 獄狼竜 凍土 大型 ★★★★★★★ ジンオウガ亜種 850z2200z3550z4900z 獄狼竜の龍毛*1カラ骨【小】*4重竜骨*1竜の牙*1竜の爪*1 獄狼竜の重殻*1獄狼竜の龍殻*1 眠魚*2カブレライト鉱石*1グラシスメタル*1ピュアクリスタル*1尖鎧玉*1堅鎧玉*1重鎧玉*1不死虫*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*1瑠璃原珠*1 最も危険な運び依頼 火山 採取 ★★★★★★★ 550z1470z2390z3310z 龍殺しの実*2獄炎石*1重鎧玉*1マレコガネ*2ピュアアゲハ*1金剛原珠*1真鎧玉*1 メランジェ鉱石*1真紅蓮石*1真鎧玉*1 龍殺しの実*1大地の結晶*1ドラグライト鉱石*1ユニオン鉱石*1獄炎石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1バクレツアロワナ*1ドスヘラクレス*2王族カナブン*1ピュアアゲハ*1修羅源珠*2 空の王者リオレウス! 火山 大型 ★★★★★★★ リオレウス 800z2040z3280z4520z 竜の牙*5火竜の上鱗*1 火竜の厚鱗*1火竜の重殻*1業炎袋*1 ドラグライト鉱石*1ユニオン鉱石*1獄炎石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1ドスヘラクレス*2王族カナブン*1 脅威!火山の鉄槌! 火山 大型 ★★★★★★★ ウラガンキン 800z2040z3280z4520z 元気ドリンコ*2カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4重竜骨*1爆鎚竜の上鱗*1 爆鎚竜の厚鱗*1爆鎚竜の重耐熱殻*1 龍殺しの実*1カブレライト鉱石*1獄炎石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1バクレツアロワナ*1王族カナブン*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*2 仄暗い火口の中から 火山 大型 ★★★★★★★ ウラガンキン亜種 800z2040z3280z4520z 消臭剤*3 鋼鎚竜の厚鱗*1鋼鎚竜の重殻*1 ユニオン鉱石*1獄炎石*1エルトライト鉱石*1バクレツアロワナ*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*2 火の海に棲む竜! 火山 大型 ★★★★★★★ アグナコトル 800z2040z3280z4520z 重鎧玉*1カラ骨【大】*4重竜骨*1竜の牙*5炎戈竜の堅殻*1 炎戈竜の厚皮*1炎戈竜の重殻*1赤熱した重胸殻*1 大地の結晶*2ドラグライト鉱石*1獄炎石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1ドスヘラクレス*2王族カナブン*1ピュアアゲハ*1修羅原珠*2 粉骨砕竜! 火山 大型 ★★★★★★★ ブラキディオス 800z2100z3400z4700z 砕竜の重黒曜甲*1ウチケシの実*3カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4重竜骨*1 砕竜の重殻*1光る粘菌*1 大地の結晶*2ユニオン鉱石*1獄炎石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1重鎧玉*1王族カナブン*1ピュアアゲハ*1特大サイズのフン*1修羅原珠*2 狩られる前に狩れ! 渓流 大型 ★★★★★★★ ジンオウガ 800z2100z3400z4700z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4重竜骨*1雷狼竜の堅殻*1 雷狼竜の重殻*1雷狼竜の雷電殻*1超電雷光虫*3 薬草*2ハチミツ*2大地の結晶*1ドラグライト鉱石*1カブレライト鉱石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1サシミウオ*2雷光虫*1王族カナブン*1皇帝バッタ*1マレコガネ*1ピュアアゲハ*1 大空を制す、蒼天の王 渓流 大型 ★★★★★★★ リオレウス亜種 850z2150z3450z4750z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4蒼火竜の上鱗*1 蒼火竜の厚鱗*1蒼火竜の重殻*1 ハチミツ*2皇帝バッタ*1キノコの倍々菌*1特大サイズのフン*1 動くこと、山の如し 渓流 大型 ★★★★★★★ ドボルベルク 700z1870z3040z4210z カラ骨【大】*4重竜骨*1尾槌竜の堅殻*1 尾槌竜の重苔甲*1尾槌竜の重殻*1 ハチミツ*2カブレライト鉱石*1エルトライト鉱石*1堅鎧玉*1不死虫*1皇帝バッタ*1マレコガネ*1ピュアアゲハ*1キノコの倍々菌*1 紫水の毒 渓流 大型 ★★★★★★★ ロアルドロス亜種 550z1470z2390z3310z カラ骨【小】*4カラ骨【大】*4重竜骨*1海綿質の紫皮*1強走薬*2 海綿質の紫厚皮*1 薬草*2ハチミツ*2大地の結晶*1ドラグライト鉱石*1カブレライト鉱石*1エルライト鉱石*1堅鎧玉*1ハリマグロ*1雷光虫*1皇帝バッタ*1マレコガネ*1ピュアアゲハ*1ドスはたらきバチ*1特大サイズのフン*1 ふらっとハンターG級を編集 早見表 対象 下位 上位 G級 弱点 鳥竜種 ドスジャギィ 砂原 渓流 孤島 ドスバギィ 凍土 凍土 凍土 ドスフロギィ - 水没林 水没林 クルペッコ 砂原 孤島 砂原 クルペッコ亜種 - 水没林 水没林 牙獣種 アオアシラ 孤島 渓流 孤島 ウルクスス 凍土 凍土 凍土 ラングロトラ 火山 火山 砂原 飛竜種 リオレイア 孤島 孤島 砂原 リオレイア亜種 - 渓流 孤島 リオレウス 孤島 孤島 火山 リオレウス亜種 - 孤島 渓流 ギギネブラ 凍土 凍土 凍土 ギギネブラ亜種 - 凍土 凍土 ベリオロス 凍土 凍土 凍土 ベリオロス亜種 - 砂原 砂原 ナルガクルガ - 水没林 ナルガクルガ亜種 - - 水没林 ディアブロス 砂原 砂原 砂原 ディアブロス亜種 - 砂原 砂原 海竜種 ロアルドロス 水没林 水没林 水没林 ロアルドロス亜種 - 渓流 渓流 チャナガブル 水没林 水没林 水没林 ラギアクルス 孤島 水没林 水没林 ラギアクルス亜種 - 孤島 孤島 ハプルボッカ 砂原 砂原 砂原 アグナコトル 火山 火山 火山 アグナコトル亜種 - 凍土 凍土 魚竜種 ガノトトス - 水没林 ガノトトス亜種 - - 孤島 牙竜種 ジンオウガ - 渓流 渓流 ジンオウガ亜種 - - 凍土 獣竜種 ボルボロス 砂原 砂原 砂原 ボルボロス亜種 - 凍土 凍土 ウラガンキン 火山 火山 火山 ウラガンキン亜種 - 火山 火山 ドボルベルク 水没林 水没林 渓流 ドボルベルク亜種 - - 砂原 ブラキディオス - 火山 火山 イビルジョー - 火山 砂原 ふらっとハンター早見表を編集
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握った彼の手には、温度がなかった。 雪の溶け出す小川にそっと指をつけたような、背中がすっと冷える冷たさ。それが、彼の大きな手に触れた時の感覚だった。 きちんとした医学知識を持っている訳じゃない。けれど脈を計るために重ねた指からは、一つの鼓動も感じられなかった。 それでも、脈もない、温度もない、そんな死人の身体を持つブチャラティの瞳は――強い光を持って活きている。 「ねえ、どうしてあなたは死んでいるの?」 私に手を触れられたまま、沈黙を守るブチャラティにもう一度同じ言葉を投げかける。彼は見開いた目を閉じた。 レバーから手を下ろし、私の手もそのまま振り払う。それは柔らかい拒絶だった。 「どうして……?」 ブチャラティのその一言で、車内の温度まで冷え込んだ気がした。それでも私は座席から乗り出した身体を戻すことない。 「ごめんなさい……私、読唇術を習ったことがあって。ほんのちょっぴりだけど……」 「つまり俺がさっきしていた事を見ていたと?」 無言で頷くと、ブチャラティは両手でハンドルを握りしめた。 彼は怒っているのかしら。 私が盗み聞きみたいな事をしたせい? 余計な事を言ったせい? 罪の意識と恐怖が、私の喉を締め上げる。ブチャラティが身体を動かす音が、やけに耳に響いた。 でも私の震える手に気がついた彼は、それを見て笑った。この殺し合いに巻き込まれてから何度も見てきた、安心させようとする優しい微笑み。 「ああ……すまない。別に怒っている訳じゃあないんだ!ただ俺は驚いただけで」 不思議と人の心を落ち着ける声だ。私も安堵の笑みを浮かべることができる。 しかしブチャラティはその微笑みをかき消すと、顔を近づけてきた。じっと私の瞳を覗き込む彼に、再び緊張が走る。 なんて強い目なのかしら。 「君は不思議な子だ……。ただの少女かと思っていたが、強い意志と行動力を持っている」 ――そんなことはない。 その言葉は声にならなかった。 ――私が持っているとすれば、それは……あの人への愛だけよ。 ブチャラティの方がよっぽど強い何かを持っているくせに、そんな事を言う。そうだ。彼はジャイロ・ツェペリに似ているのかもしれない。どことは言えないけれど、その前だけを見つめる背中とかが。 そっと、彼の手が私の頬を撫でる。一瞬の冷たさに、私は思わず息を忘れてしまった。恋人のような甘いものではない。子供に何か言い聞かせるような仕草で。 「君が信頼できない訳じゃあないんだ……。ただ『知らなくていい事』とか『知らない方がいい事』はいくらでもあるだろう。 ……君に秘密はあるように、俺にも言えない事はある。 気をつけて……。純粋すぎる好奇心は君を傷つける事もあるから」 頬を撫でた手がそのまま下へ下りる。とん、と一度だけ軽く心臓の上をその指が示した。彼に撃たれた心臓がズキズキと痛み出す。 ブチャラティは固まったままの私を横目で見て、ハンドルとレバーに手をかけた。 彼の目線から開放された私は、呪縛から開放されたように車の座席に体重を預ける。体温が上がった。異常な程のスピードで、血液が巡っている気がする。思わず胸を片手で握りしめてしまうくらい。 「すまない……。君を責めている訳じゃないともう一度言わせてくれ。 ただ、これは言い訳みたく聞こえるかもしれないが……聞かない方が君のため、という事さ」 分かっている。 彼が私を責める気などなく、私の身を案じてくれているだけだということは。瞳がそう語っていたから。 だから私が怯えているのは、もっと違うこと。 一つの単純な恐れ――。 私が嘘をついたことを、彼は知っている……! こんな目をした人を欺けるなんて思ってはいけなかった。私は甘かったのよ。 そして何より、彼は私を信じてくれている。その信頼を裏切っているという事実が、私にはひどく重い。 私もブチャラティの事を信じている。でもそれ以上に彼の敵を裁く躊躇いのない姿は、私を不安にさせる。 気がつくと、窓から見える景色は前から後ろへ流れていた。ブチャラティは無言でハンドルを握っている。その姿を見ていられなくて、私は景色をじっと眺めることにした。 窓に写った私の顔はひどく憔悴しきっている。怯えた瞳から一粒だけ流れた涙を、ブチャラティに気づかれないように拭った。 ※※※ 「――シー……ルーシー?」 その声に目を覚ました。心地よく揺れる感覚に、私は眠ってしまっていたらしい。はっとして運転席のブチャラティを見ると、真剣な顔で私を見ている。 「あ……ごめんなさい!」 「いや、いいんだ。休めるときに休んだ方がいい……。それより、少し降りよう」 ブチャラティの発する緊迫感は、どうやら外へ向けられているらしい。それでも、肌を刺すような緊張は車内を支配していた。 彼は私に声をかけながらも、じっと外を見ている。その様子に身体は強張った。私はブチャラティに続いて車を降りる。 「これって……」 そこで見たのは、一目で分かる悲劇の跡だった。 地面には穴が幾つも穿たれている。弾丸の跡のような丸いものや、切り裂いたような跡。辺りをキョロキョロと見回していると、地面が不自然に黒く染まった場所がある事にも気がついた。 あれはもしかして――。 「ルーシー。此処は独立宣言庁舎だ」 ブチャラティがいつの間にか取り出していた地図を私に見せてくれる。確かに此処は見覚えのある独立宣言庁舎だ。しかし人の気配は全くない。 「見ての通り、どうやら此処で何か衝突があったようだ。そして恐らく……死人が出ている……」 ブチャラティがその言葉と同時に赤黒く染まった地面を足先で示す。 やっぱりこれは血。それもかなり大量の。 詳しい事は分からないけど、この量の出血は危ないってことなんだろう。羽織っていたフードを握りしめ、改めて思う。やっぱりこれは殺し合いなんだ。 「だが恐らく、此処で戦闘があったのも少し前のことだ。生き残った方も既にどこかに立ち去っているとは思うが……」 ブチャラティはそう言って考え込んだ。彼の思案を邪魔しないように、私は黙って地面を見つめる。 きっと彼は今、私なんかには難しくて分からないことに集中してるのね。でもブチャラティが再び口を開くのに、そんなに時間はかからなかった。 「……とにかく、少しこの辺の捜索をしてみよう。ルーシー、危険だから俺の側を絶対に離れないようにしてくれ」 その言葉にした頷こうとして、止めた。 「いえ……ブチャラティ。私、どこかに隠れて待ってるわ」 「え?」 「万が一戦闘になったら、私がいたら足手まといでしょ?それにきっと貴方だけの方が探索もすぐに済むと思うし……」 「だが……」 「此処も人が寄ってきたら危険だろうし、車の中も目立つから……そうね、何処かの民家の中で待ってる」 そう一息で言い切ってから、ブチャラティを見つめる。彼は何か言いたげだったが、結局口を紡いだ。 小さく分かった、と了承するブチャラティ。本当は安心したけれど、それを隠すために微笑む。 「なるべくすぐに戻る。何かあっても出来るだけを離れないでいてくれ」 「ええ」 そして私は辺りの民家へ目を通す。目立たなくて、この場に溶け込んでいて誰も見向きしないような家――。 私は適当な一件を指さした。外から見てもおかしなところはないし、人の気配もないみたい。 「あそこ、あの家に隠れてることにするわ……。外から分からないように灯りはつけない」 彼が頷いたのを見て、私は小走りに駆け出した。後ろは振り向けない。 ――きっと、彼が私を穿つような目で見ているから。 ※※※ 民家の一階、カーテンの閉まった窓のすぐ下に私は荷物を下ろした。カーテンをちょっぴり開けて外を見てみる。外は少しずつ白んできているような気がした。 この家は、やはり何の変哲もない民家のようだった。ぼんやり暗がりの中に見える内装からは生活感が漂っている。それなのに、どこか歪で作られたような違和感を感じるのはなぜなのかしら。 窓の外からはさっきまでいた独立庁舎前の道が見える。ブチャラティの姿はもうなかった。そして車も。車で辺りを回るつもりなのか、どこかに車を隠したのかは分からない。 カーテンを隙間のないように閉めると、部屋は真っ暗になった。灯りのない、静かで寂しい部屋。 自分がワガママだということは十分わかっている。でもそれを押してでも一人になりたかったのは、少しだけ考える時間が欲しかったから……。 悩んでいる私の顔を、ブチャラティには見せたくなかった。 このままブチャラティに全てを隠したままで一緒にいてもらおうなんて、私はズルいのかもしれない。 もしこの殺し合いに、大統領とか遺体が――そして『大統領に呼び出された最後の刺客』が関わっているなら。私のこの行為は、彼の信頼を傷つけるひどい裏切りだわ。 ……それでも私は怖い。 私には想像出来てしまう。正義の人であるブチャラティが、スティーブンを真っ直ぐな目で切り裂く姿が。それを……甘んじて受け入れてしまう、夫の姿が。 私は窓の下で、膝を抱えて座っていた。考えれば考えるほどに自然と涙が零れそうになり、唇を噛み締める。 一人は怖い。 でも今は一人がいい。 真っ暗闇の中、どのくらい一人でいたんだろう。 そんなに長くはなかった気がする。 トントン、と音がした。 リズミカルに床を叩く音。それが二種類重なって聞こえる。 はっとして部屋のドアを見つめた。目線を外さず、音も立てないようにゆっくり立ち上がる。 間違いない。 『誰かが階段を降りてきている――』 二つの足音は部屋の前で止まった。 誰かがいる。部屋に入ってくる。侵入者だ。 いや、違う。彼らは元から此処にいた。二階にいた。侵入者は私だ! 悲鳴を上げそうになる口を必死に抑える。何も見えない中で、音だけが状況を教えてくれていた。 ドアノブのまわる音。 左手は口を抑えたまま、右手は鉈を握りしめる。二つの足音がゆっくりと床を踏みしめて部屋に入ってきた。 後ずさろうとして、背中が壁にぶつかる。カーテンの擦れる音が、部屋中に響いた。 「やはり……誰かいるな」 「――っ!」 恐怖で頭が真っ白になる。 喉から小さな声が絞り出された。言葉になっていない、悲鳴にすらならないうめき声だった。 「高い声……女か?」 「此方に戦う意志はない。ひとまず落ち着いてくれ」 ドアの前に立っているらしい二人のせいで、私はもうこの家の外には逃げられない。窓から逃げるという手もあるけれど、『この暗闇の中でカーテンを開いて鍵を探し解錠をして飛び出す』……そんなことをしている余裕もなく捕まってしまう。 だったら私が取らなくてはいけない行動はただ一つ、時間を稼ぐことだ。 声からして、両方とも男。まともに戦っても勝てないわ。 息を吸い込んで、出来るだけ落ち着いた声を出そうとしてみる。もう随分とおびえている空気は伝わってしまっているけれど。 「――外の……血の跡は?」 「……」 「知らない、関係ない……なんて言えないでしょう?」 挑発にも取られてしまいそうな発言だったと気がついたのは、暗闇が静寂に包まれてからだった。 がしがしと頭を掻く音と、舌打ちが聞こえる。思わず息をのんで後ずさってしまい、踵が壁を打った。 「君の予想通り……あそこで戦闘があった。戦ったのは、俺達と襲撃者だ」 「襲撃者……?」 「ああ。おそらく殺し合いに乗った者だろうな」 私の質問に答えているのは、二つの声の内の一人だけだった。先ほど舌打ちした方の男は黙っている。 光のないこの状況で、三人の呼吸とポツポツとした話し声が部屋を支配している。 「襲撃者は二人組。片方には逃げられてしまい、今は二人でこのあたりを探していた所だ」 ……つまり、もう一人はもうこのゲームから下ろされたという事なんだろう。その命を代償に。 まだ警戒は解けない。 私と同じ、この戦場下において、「ウソ」は重要な意味を持つんだから。 でも無防備な女の私を即座に狙わなかったという事は、この人たちには殺し合い以外の狙いがある……のかも。警戒しているだけの可能性だって十分あるけどね。 「貴方たちは……二人?」 「ああ」 「いや、三人だった」 二人の会話に混ざってきた声は、もう一人の男のものだった。 その声に含まれる感情が、うまく読みとれない。でも何かを必死に押し殺しているような、そんな気がした。悲しみ?怒り? 「……おい」 「本当のこと言っといた方がいいだろう……」 二人が静かに何かを探り合うような時間が流れた。 しばらくすると――どちらかというと落ち着いた声の男の方が、折れたようで「分かった」と声が聞こえる。 「俺は……その戦いで仲間を失った」 「ッ!」 「だが俺は『逃げたもう一人』を討つだけで満足するつもりはねぇ……。本当に叩かねぇといけないのはもっと上だ」 まさか。考えられる最悪のシナリオが頭の中に展開される。 もっと深刻に予想すべきだった。さっきまでの状況が『最悪』ではなかったッ! 「俺たちは主催者を引きずり落とす――そして俺たちの誇りのために、報いを取らせる」 あの会場にいた百人以上の中で、一体何人が夫の命を狙っているの!? 大統領が裏にいることは分かっている。 そして……その他の百人以上の参加者までも、スティーブンを殺そうとしているかもしれない。 もしも誰かがこのゲームの黒幕に近づいたとして、その時に夫が「トカゲの尻尾」にされるのなんて分かり切ったこと。 またしても、私の身体は小刻みに震えている。鉈を両手で握りしめて震えを止めようとしても、荒い息が漏れるのは止められない。 この鉈だけが、私とスティーブンを繋いでくれている証のような気がする。 助けて、と誰に向けているのかも分からない救いを求めてしまう。もうこの世界に希望なんてないような、暗闇の中に彷徨う気分だった。 「……だが、俺にはあの演説かましてた爺が全ての黒幕だとはどうしても思えねえんだよ」 でもその中に小さな火が見える。 あまりにいきなりの事で、私は声も上げられずに男のいるだろう方向を見つめていた。 「あんな何百人から恨まれるって分かり切った状態で堂々と顔晒すなんて狂気の沙汰だぜ。あの爺がそんな狂った奴には思えねぇ」 思わず頷きたくなるのをこらえて、私は彼の言葉を待った。 「黒幕は、暗い穴蔵の中にいる。そっちを叩かなくちゃあ、終われねえ……爺は利用されてるだけかもしれないしなあ」 ドッと、全身から力が抜けたような気がした。今までずっと私を支配していた緊張が消えて、座り込みそうになってしまう。 この人なら、この人たちなら分かってくれるかもしれない! 一歩、二歩と足が彼らの方へ進んでいく。ぼんやりと二人の影を捉えた。 「君は一人かな?一緒に行動しないか。少しでも協力者が欲しい 「え、あ……実は一人、人を待っていて……。彼に聞いてみないと……」 でもきっと、ブチャラティだって協力者が欲しいはず。上手くいく。全て上手くいくわ! もうひっそりと隠れる必要もないだろう。荷物の中から懐中電灯を取り出して彼らに向けた。 新しく仲間になるだろう二人の姿を確認したい。弾くような高い音が聞こえて、暗闇は瞬間掻き消える。 そう、瞬間だった。 全ては幻で、ウソで、安すぎる希望で、未だ私は生温かい暗闇の中にいるのだと、一瞬で気付かされたのは。 手前に立っていたのは、白い服の男だった。短いくせ毛と、鋭い目を隠すように眼鏡をかけている。 眩しさに目を細めてから、彼は私の心臓を掴むような視線で此方を睨みつけていた。 そしてもう一人、見覚えのある男がその背後にひっそりと立っている。ジョッキー服を着た青年。首筋に添うように伸ばした明るい金髪。 その姿を私が忘れられる訳がなかった。 「ディエゴ……ブランドーッ!」 もう一人の男と同じように目を細めていたディエゴは、私の姿を認めると柔らかい笑顔を浮かべた。人好きする、明るい、それでいてハリボテみたいな笑い。 「ルーシー……?良かった!貴方だったのか!」 手前に立っていた男を押しのけるように私へ近づいてくる。それに合わせるようにして、私の足は再び後ずさる。 こんな風に彼と再会するなんて、思っていなかった。ぎゅっと握りしめた鉈が汗で滑りそうなほどに緊張している。 なぜ、なぜ……!今の私は「アレ」を持っていない!こんな鉈一本で彼に敵う訳がないッ! 「そんなに警戒しないでくれ……。確かに俺はレースの中でジョニィたちと対立した。でも今はレースの勝者なんて気にしている場合じゃないだろう? ……それに、君も……あの人を助けたいんじゃないかな……? なあ――マダム?」 ディエゴの言葉は全て、私の心を上滑りしていく。何も耳に残らなければ、意味を理解出来るほど心の奥に届く訳でもない。 でも、最後の一言だけが胸の奥に爪となって突き刺さった。 (誓いを立てて結婚したなら夫のために守り続けろーーーッ!!) ……私はあの時決めた。何を犠牲にしてでも彼を守り続けると。 彼と私の幸せを、掴んでみせると。 もう何があっても退けないのよ。 彼が本心から協力したいと望んでたとしても、私は彼をスティーブンには近づけない。絶対に、彼を守ると決めたのだから。 そのために――何人もの命を犠牲にしてしまったのだから。 同じように全てを犠牲にしたジョニィの意志も、私の彼への思いも、全てがディエゴ・ブランドーという男を拒絶している。 そう決意すると、頭は逆に冷静になるようだった。 必要なのは、時間と――狼煙。 「待って!止まって!こっちに来ないでッ!」 お腹に力を込めて、出来る限りの大声を出す。そのままなるべく自然に後ずさり、窓に背中をつけた。 ディエゴは動きを止める。一瞬だけ、彼の瞳が冷たく細められたのに、私は気付いていた。 「……貴方、遺体はどうしたの?」 「い、遺体……?」 遺体と口にすると、彼の様子は明らかに変わった。 ディエゴの後ろの男は何を考えているのか、何も言わず私たちを見ている。 「その様子だと……貴方も利用されているだけかしら?それとも何か企んでいるの!?」 「……」 「どちらにしろ、私は貴方とは組めないわッ!分かっているでしょう!?私たちは決して相容れない!!貴方がどんなに甘い言葉を吐いてもッッ!!!」 喉がぴりぴりと痛み始めた。 怒りに身を任せているように見せればいい。そんなの簡単よ。全てぶちまければいいだけだから。 ディエゴはすっかり「演技」を忘れているようだった。その瞳に疑惑と怒りを湛えながら、私を見ている。 「……ルーシー、君は――」 「それじゃあ困るんだよなぁ」 唐突に声がした。 それは、今まで私たちの会話を言葉も挟まず聞いていたもう一人の男だった。いつの間にか彼は苛立ったように、身体を揺すっている。 その鋭い眼光は、一度ディエゴを見てから、私へ向けられる。 私は再び恐怖を思い出していた。 一体、彼は何者なんだろう。 二人の関係の「イレギュラー」であるこの人が何をするのか……私にはまったく予想ができない。 「テメーには何としても一緒に来てもらわなきゃ困るんだよ……」 「おい、待て……ギアッチョ」 『ギアッチョ』とディエゴに呼ばれた男は、大きく足を広げて歩み寄ってくる。 「どうやら、テメーは黒幕とあの爺を殺すのに役立つらしいじゃねーかッ!」 逃げ場のない私を、男はあっという間に追いつめた。鉈の握りながら何も出来ない私の右手が締め上げられる。 無我夢中で腕を振りまわしながら逃げようとしても、首を絞めるように身体を持ち上げられてしまう。 「イヤッ!は、放して……ッ!!」 「キイキイうるせーなあ!冬のナマズみてーにおとなしくしてろ」 「ギアッチョ!」 どれだけ大声を張り上げても、何も変わらなかった。それどころか、私の首を締め上げる力は増していく。 鉈を取り落としそうになりながら、絶対にそれは手放せない。これだけは――スティーブンが私にくれた、この武器は……。 頭がぼおっと霞んでくる。 何も考えられなくなる。 金魚のように、ひたすら空気を求める。 でも望んだ酸素は肺には届かない。 ごめんなさい。ごめんなさい。 そんな気持ちだけでいっぱいになる。 誰に向けているのかも分からない。 もう一度、スティーブンに会いたい。 貴方の隣で、また……。 切り裂く音が聞こえた。 いや、それは切り開く音だった。 押しつけられていた壁がなくなり、支えを失った身体が外に投げ出される。 私を押さえつけていた男の顔が遠ざかっていった。男はなぜか私ではなく、もっと奥をじっと見ている。その目は驚愕に彩られていた。 床に叩きつけられると思った身体は、何か柔らかいものに支えられた。 私は、そのたくましい腕を知っている。 温かさを失いながらも、力を、信念を失わないこの身体を。 「ブチャラティ……ッ!」 「ルーシー、大丈夫か」 私の身体をしっかり受け止めた彼は、壁の向こうを観察する。 するとすぐに、私の肩を抱いて走り始めた。 「二対一では危険だな……。走れルーシー!向こうに車を隠してあるッ!」 ブチャラティのスーツを握りしめながら、私は走る。彼が隣にいるというだけで、涙がぼろぼろと流れてきた。 「ごめんなさい……ごめんなざいッ!ブチャラティ……」 「……いいんだ。君に時間が必要だと思って、一人にした俺にも責任はある」 ブチャラティは、私の肩をより一層強く抱いてくれる。彼の優しさにまた涙がこぼれて、ほとんど視界も見えなくなった。でも彼が私を支えてくれるから、私は迷わず走ることができる。 本当に良かった。ブチャラティが私の叫びを聞き届けてくれて――。 「ルーシー……。俺は、あそこにいた男を知っている」 はっとして、私はブチャラティの顔を見上げた。彼は真っすぐに前を見ていたが、その眉は歪んでいる。 「……君に全て話そう。だから……君も俺に打ち明けてくれないか」 その言葉に彼から視線を外した。 ――全て打ち明けて、それでも彼は私を信じてくれる? ――ブチャラティはいい人よ……。でもだからこそ、あの人たちのように死んでしまったら……。 もつれそうになる足を必死に動かして私は走った。涙の流れなくなった視界が徐々に開けていく。 夜明けがやってきた。 ※※※ 失敗した。しくじったのだ、このDioがッ! ファスナーで開かれた壁。走り去る後ろ姿を見ながら俺は拳を握りこんでいた。ギアッチョは何も言わずに、ルーシーと男の背中を見ている。 「ギアッチョ、とにかく二人を――」 「……何でだよ……」 「……?」 「クソッ!クソッ!クソッ!何で毎回毎回毎回毎回アイツなんだよ!!!なぜテメーは俺たちの邪魔をするッ!ブチャラティーーーッ!!!」 ギアッチョはもはや俺を見ていなかった。その怒りに燃えた目はルーシー・スティールを見ている訳でもなく、ただ彼女を連れ去った男に向けられている。 そこからは一瞬だった。 ギアッチョは即座にスタンドを発動させると、二人を追って走りだす。俺はその場に一人だけ残された。その状況に、俺の苛立ちは更に増した。 この家にルーシー・スティールが入ってきたことには気がついていた。 ゲームの黒幕を叩くと決めたものの、まずはどう動くべきか俺たちは悩んだ。とりあえず二人組の襲撃者の内のもう片方を探しに、狙撃出来そうな家をいくつか回る。 「らしき」家は見つけたのだが、その二階はすでにもぬけの殻で誰もいない。そのままその部屋で今後の動きについて話し合っていた。 ――そしてその時、俺たちは車の音を聞いた。 窓から外を見て様子を伺うのも手だったが、俺はより安全な手を選ぶ。 ギアッチョに付けたままだったカエルを元にした恐竜を、その場所へ向かわせたのだ。 そこで俺は、車に乗っていた片方がルーシー・スティールだと知った。丁度恐竜が到着した時に二人は別れる所だったので、もう一人は確認できなかったが、それ以上に嬉しい情報を手に入れられたのだ。 俺たちの今現在潜伏している家屋に、ルーシーが飛び込んできてくれるとは! 正直、ギアッチョに彼女のことを話すのは不安だった。しかし此処に入ってきた女が、主催の男の妻だと話しても奴は案外冷静を保っていたのだ。 彼女は何も知らないが、うまく使えばいい道具にはなるだろう――そう言うと、ギアッチョはルーシーを取り込むことに同意する。 おそらく、本当に彼女は何も知らない。利用されているだけの哀れな娘だ。 利用され終わったとしても、あの大統領が「知りすぎた」ルーシー・スティールを生きたままにしておく訳がない。 だから、俺はあの「ルーシー・スティール」は「別世界のルーシー・スティール」だと思ったのだ。 しかし、いざルーシーと対峙するに当たって誤算が多すぎた。 交渉をした時のギアッチョの口ぶりは実に鮮やかなものだ。事前に俺が流れを提案していたとはいえ――あそこまですらすらと言葉をつむぐ様に、俺は驚いた。ここまで冷静になれるなら、今まで以上にうまく使えるかもしれないと。 まず第一の誤算は、ルーシー・スティールがギアッチョの仇敵と協力していたことだった。 もう一人同行者がいたとしても、ルーシー一人言いくるめてしまえばどうにでもなると思っていた。 「ブチャラティ」 それは、ギアッチョの仲間を殺したチームのリーダー。冷静に主催を狙う、と宣言したはずのギアッチョがあんなに簡単にキレるとは。 そしてもう一つ……あのルーシー・スティール自身だ。 あの女は遺体を知っていた。ならば「基本世界のルーシー・スティール」に他ならない。 ――ならばなぜ、そのルーシーが参加させられている!? 大統領の狙いは?まさか本当にあの女は大統領と繋がっているのか? ……そして、ルーシーの言葉の意味は。 (……やはり、あのルーシー・スティールは『俺の知らない未来』を知っているという事か……ッ) だとしたら、やはり俺は何としてもあの女からそれを聞き出さなければならない。 「俺は『イレギュラー』は嫌いなんだよ……」 五感が更に研ぎ澄まされる。 恐竜のそれに変わった四肢を動かし、ギアッチョの背中を追い始めた。 夜明けが来てしまった。 【F-4 独立宣言庁舎前路地→? 1日目 早朝】 【ブローノ・ブチャラティ】 [スタンド] 『スティッキィ・フィンガーズ』 [時間軸] サルディニア島でボスのデスマスクを確認した後 [状態] 健康 (?) [装備] なし [道具] 基本支給品×3、不明支給品1~2(未確認)、ジャック・ザ・リパーの不明支給品1~2(未確認) [思考・状況] 基本行動方針 主催者を倒し、ゲームから脱出する 1.ルーシーを連れて逃げる。逃げ切ったらウソ偽りなく、ルーシーと互いの情報を話したい 2.なぜ死んだはずの暗殺チームの男が… 3.ジョルノが、なぜ、どうやって…? 4.出来れば自分の知り合いと、そうでなければ信用できる人物と知り合いたい。 【ルーシー・スティール】 [時間軸] SBRレースゴール地点のトリニティ教会でディエゴを待っていたところ [状態] 健康・混乱 [装備] なし [道具] 基本支給品、鉈 [思考・状況] 1.スティーブンに会う 2.ブチャラティに全てを話すべきなの? 【ギアッチョ】 [スタンド] 『ホワイト・アルバム』 [時間軸] ヴェネツィアに向かっている途中 [状態] 健康 怒り [装備] なし [道具] 基本支給品一式×2、ランダム支給品1~2(未確認)、ディエゴの恐竜(元カエル) [思考・状況] 基本的思考:打倒主催者。 1.ブチャラティを追う(頭に血が上ってそれ以外の考えは一時的に忘れています) 2.暗殺チームの『誇り』のため、主催者を殺す。 3.邪魔をするやつは殺す。 【ディエゴ・ブランドー】 [スタンド] 『スケアリー・モンスター』 [時間軸] 大統領を追って線路に落ち真っ二つになった後 [状態] 健康 恐竜状態 [装備] なし [道具] 基本支給品一式×2、ランダム支給品2~4(内1~2は確認済み) [思考・状況] 基本的思考:『基本世界』に帰る 1.ギアッチョを追う。ルーシーから情報を聞き出さねば 2.仲間を増やす 3.あの見えない敵には会いたくないな 4.ギアッチョ……せいぜい利用させてもらう…… 5.別の世界の「DIO」……? [備考] ルーシーとブチャラティは今、どこかに隠しておいた車に乗ってギアッチョから逃げるつもりです。 どこに向かうかはお任せします。 ギアッチョとディエゴ・ブランドーは『護衛チーム』、『暗殺チーム』、『ボス』、ジョニィ・ジョースター、ジャイロ・ツェペリ、ホット・パンツについて、知っている情報を共有しました。 フィラデルフィア市街地は所々破壊されています。 ギアッチョの支給品はカエルのみでした。 ※ローマ近くの村にあった車(5部) ブチャラティ達がサルディニアからイタリア本土に上陸し、チョコラータ達の攻撃を避けてローマに行くために盗んだ車。 盗んだと言っても車の持ち主は『グリーン・デイ』で死亡済み。ジョジョ本編でもブチャラティが運転していた。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 前話 登場キャラクター 次話 041 少女ルーシーとネクロファンタジア ブローノ・ブチャラティ 099 単純 044 killing me softly ギアッチョ 099 単純 041 少女ルーシーとネクロファンタジア ルーシー・スティール 099 単純 044 killing me softly ディエゴ・ブランドー 099 単純
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(投稿者:マーク) ザハーラ砂漠に存在する巨大オアシス、ユートピア・フォレスト。周辺にはここを水源にする数多の集落が存在し、 G出現以前はキャラバン隊の休息の地となり、たった数年で大都市へと成長した。 だがGの出現で人口が大幅に減少、わずか5~6年でオアシスは都市を覆いこみ、巨大な森林と化し、 現在では少数部族が寄り集まっていくつかの集落を形成しているのみである 中心には瘴気にも侵されなかった澄んだ水をたたえる湖があり、その湖畔で腰を据え、マヤ一行は夜を迎えた。 「マヤ様、集落には私とディートリヒで行ってきますので・・・・・・」 コアクが歩き出そうとするとマヤはそれを片手で制す。 「大丈夫、そんなにとおくないし集落には私が行ってくるから、そこの人をお願い」 そしてフードを被り外套を身に着けると立ち上がる。 「ん? お前はゆっくりしてていいんだぜ?」 「いいの!! 今日は二人共ゆっくりしてて、ね?」 言うが早いか駆け出してゆく 「! 姉上!! 私も行きます!!」 慌てて後を追おうとして、ラフィはその場で足をもつらせてしまった。 「いいよー、ラフィー! すぐそこだもの。私、一人でも大丈夫!!」 返って来た返事は、すでに遠ざかりつつ ―――― 「あ……」 聞こえなくなる声とともに、もうその姿は木立に紛れてしまっていた。 (うーー、姉上と二人で話せると思ったのにぃーー) 「ラフィ、心配すんなよ ここらへんには軍もいねえからよ」 その巨大な手でガシガシとラフィの頭をなでる、少々力が強く、ぐわんぐわんと頭が揺れる 「うっさい!!筋肉馬鹿!! あたしの首を折るきか!!」 ラフィはディートリヒの頭に飛びつくとその髪をむちゃくちゃに引っ張る。 「アダダダダ!! このヤロ!! やめろ イデェーーー!!!!」 ・・・・・・・毎度毎度進歩しない二人の様子にコッソリとため息をつくコアクであった。 ――――――――― すっかり暗くなった森を怖れもせずに、マヤは集落を目指して駈けていた。 この旅で培われたのか、もともとの素養か、マヤには鋭い『ある』感覚が備わっていた。 ……つまり、自分にとってそれが『危険』であるか、そうでないかと言う直感。それから幼い子に往々にして見られる、人知外のものに対しての親和感も強かった。 マヤの場合は直感というより自身の能力の副産物であるが。 そして森の少し開けた場所でピタリと足をとめた 火を囲み、数人の人影。 微かに漂う酒の匂い、肉の焼ける匂い、ザハーラ特有の香辛料が火に炙られ香ばしい香りを振りまいている。 マヤが人影に気付いて足を止めたのと、火を囲んでいた人影がマヤに気付いたのはほぼ同時だった。 (…人?) 「うん、どうしたな? そこのお嬢さん。そこの集落に帰る途中かな?」 人影の中でも一番恰幅の良い、年嵩の男が優しげにそう声を掛けてきた。 「あっ…」 返事をしようとして、何かがマヤを引き止めた。 目が慣れて来たのか、仄暗い焚き火の明かりでも人影の様子が大分見て取れるようになった。旅の途中と思しき一行。 先にマヤに声を掛けて来たのが、この一行の頭のようだ。 四十半ば、行商人のような親しげな優しげな気のうちにも、抜け目なさのような物を感じる。その脇には三十がらみ、目付きの鋭い男がマヤを見ている。 道中の護衛役なのか隙のない男に見えた。残りはまだ年の頃は十四・五から十八くらいの若者。 (…なんか嫌な感じ。関わらない方がいいかも) マヤがその場を離れようとした時、思いもよらず腹の虫が鳴いてしまった。 「なんだ、腹が減ってるのか。お嬢さん、お前さんも、旅の途中だろ? こちとら同業だ、見りゃわかる。そこの集落で食い物でも貰うつもりだったんだろ?」 頭の男がさもありなんと、言葉を続けた。 「は、はい…」 「止めとけ、止めとけ。見ず知らずの旅のガキに食い物を恵んでやるようなお人好しはいねぇよっっ!!」 たむろっていた若者の一人が揶揄するように声を上げた。 「これ、そんな情けのないような事は言うな! 袖振り合うも他生の縁。ほれ、お嬢さん。これやるよ」 焚き火で炙られ、香ばしい匂いを振りまいていた肉の一つを取ると、それをマヤに投げて寄越した。 「あっ、でも……」 「…お前さんも一人で旅をしている訳じゃあるまい? お父さんやお母さんと一緒かな?」 その物言いの優しさに、ついつられてマヤは首を横に振ってしまった。 「……そうか、まぁ、それでも連れはいるってこったな。そのお人はどうしたんだい?」 いわゆる誘導尋問に引っかかりそうになった事に気付き、背筋にぞわっとしたものを感じると一目散に引き返した。 「ほう、このご時世に躾の良いこって。おいっ!!」 今までの人当たりの良さそうな仮面を脱ぎ捨て、この中の誰よりも険悪な目付きで1人の若者を呼び付けた。 「何?」 張られていた簡易テントの中から男が出てくる、楼蘭風のまだ年若い青年へのなりかけ、と言った風貌だ。 「気付かれない様、あのガキの後を付けろ」 マヤが走っていった方向を指差す 「如何?」 「あのガキの連れって奴を確かめて来い。俺の読みじゃ今の娘、どっかの上流階級の出だな。躾の良さと外套で隠してはいたがそれなりの身なり。ありゃ、そこらあたりの娘じゃねぇ」 「上流階級?」 「おおかた今の娘、Gに襲われて壊滅したキャラバンの生き残り、しかも大商人の娘だろう、生き残りに女がいれば、今の娘共々、“宿”に売り飛ばす。男なら叩き殺して金目の物を分捕る。まぁ、どっちにしろあの娘は“宿”行きだがな」 険悪さの中に、冷酷さも顔を出す。 「…・・・集落、娘、買う、目的・・・・・」 乗り気でないタツの様子に頭は眉をひそめる。 「おれに逆らう気か?育ててやった恩を忘れたか ああ?」 「そういうわけじゃない・・・・」 「ならグズグズせずに、とっとと追いかけろっっ!!」 そう一喝され、しぶしぶとマヤの後を追いかけていった。 酒を呷る頭にもう1人、古参の男が近づく 「頭」 「・・・・・・たいした相手じゃねぇと思うが、準備だけは怠るな」 「判りました」 その場にぎらりとした、異様な殺気が立ち昇る。 自分たちが目を付けた相手が、人知外のものであるとは知らずに。 「あの小娘にそんな価値があるんすかね・・・」 唐突に若者の1人がつぶやく 「馬鹿だなお前」 一人焚き火の側で酒を呷っていた男があきれたように言い、また酒を呷る。 本当の目的は、そこの集落から言葉巧みに娘達を安く買い叩き、奴隷として高く売るのが目当てだったが、予想もしなかった宝石の原石を見つけたようで、気分は高揚していた。 「…あの娘の瞳に気付かなかったのか? 覇気に溢れ、あるものをあるがままに受け入れ、それでもその魂は汚れる事のない強さを持っている。ああ言う瞳をした娘にな、男の征服欲はそそられるんだよ・・・・・・」 にやりと、下卑た獣めいた笑みを浮かべる。 それにつられ、残りの男たちも―――― ――――マヤのまったく預かり知らぬ所で、おぞましげな会話が続けられていた。 ――――――――― (何か嫌! あの人たち!!) 精一杯駈け戻りながら、マヤの胸は警戒音を発し続けていた。 早く、早く皆のところへ! ――――――――後をつけられているとも知らずに 「わっ どうしたの姉上!!」 息せき切って飛び込んできたマヤに、ラフィは思わず尻餅をついてしまう。 「ラフィ!!」 はぁはぁと、大きく息をついているとディートリヒが心配そうに近づいてきた 「どうした?」 「う、ううん・・・・・なんでもない・・・なんだか急にいやな感じがしてきちゃって・・・」 へへへ、と無理やり恥ずかしげに笑う。 その場を繕う為だけではなく、本当にマヤはあの男達に言いようのない『恐さ』を感じたのだ。 自分と同じ人間なのに、それでも。 「ごめんね、1人で行くだなんて大見得きったのに・・・」 それなんだがよ、とディートリヒが続ける。 「さっき、こいつを捕まえたんだ 焼いて食べようぜ」 そう言って、にっこりとして掲げて見せたのは2mはあろうかという巨大なワニ すでに事切れているようでピクリとも動かない。 「私もさっきこれ採ってきたんだよ!!」 そういって小さな身体に抱えたヤシの実を誇らしげに見せる。 「ディートリヒ…、ラフィ」 本来、プロトファスマであるコアクやラフィ、MALEであるディートリヒはエターナル・コアを有するため毎日糧を食する必要はない。 その身を満たす永子力だけでもしばらくは十分に活動できる。 だが、マヤは普通の人間だ、食べないわけにはいかない だからこのようにマヤの為に獣や木の実を用意してくれるのだ。 (……なんで、こんなに優しいんだろ。同じ、食べ物をくれるってだけの事なのに、なんでこんなに違うんだろう) 「……みんな、ありがとう」 そのワニはディートリヒによって手際よく捌かれ、エッケザックスを鉄板代わりに焼肉をはじめた。 よく焼かれたそれにかぶりつき、満面の笑みでマヤはそう言った。 ディートリヒは照れくさそうに肉をひっくり返し、ラフィはマヤの隣でジュースを飲んで笑顔を見せる。 ――――そんな3人のやりとりを、見るともはなしに見つつ、コアクはマヤが息せき切って帰ってきた訳を考えていた。 人間の食べ物の匂いと、マヤのものではない複数の人間、それも『男』の臭いをコアクの、パピヨンの触覚は感じていた マヤが何を恐れて戻って来たか知らない、でも話さないなら無理に聞くこともない。 マヤが危険な目にあう前にそれを排除すればよいのだから。 同じくヤシの実ジュースを一口飲んだ。ほどよい甘さが口の中に広がり思わず顔が綻んだ。 この時、コアクにしては不覚であったが、風下であった事とマヤが連れてきた臭いとほぼ同じ物であったと言う事で、それに気がつかなかった。 (なんだ?こいつら……) 茂みを透かして、タツは一行の様子を息を殺して見ていた。 まじまじと見てしまうには、隠れているこちらを察っせられてしまうので、ほんの一瞬盗み見ては伏せ、盗み見ては伏せを繰り返していた。 (・・・・・?) そのうちマヤがこちらのすぐ傍まで来た、こちらに気づいている様子はなく、懐からなにかを取り出した、どうやらオカリナのようだ。 目を閉じると口に当て音色を奏ではじめる。 不思議な曲だった。 自分以外に無関心なタツが思わず聞きほれてしまうほどに、顔も知らない母親の子守唄を思い出すようだった。 だが彼はなにより月明かりに照らされたマヤの姿に見ほれてしまっていた。 森の中。 差し込む月明かりに浮かぶ薄紅色のツインテール 祈りを捧げるように目を閉じて曲を奏でるその姿。 なんだか彼女が特別の存在のように思えた。 そこにあって、違和感を感じさせない。 確かに自分と同じ人間なのに。 本当に、ただの娘なのに。 食い入るように見つめていたらふと目が合った。 だが、マヤは驚いた様子も無く、ふっと微笑みを向けた。 その薄紅色の瞳を見たとたんタツは一目散に逃げ出した。 彼女に気づかれたのかは定かではない、だがなぜかそこにいられなくなってしまった。 脳裏には月明かりの下で音色を奏でるマヤの美しさが妙に目に焼き付いていた―――― (・・・・やっと行きやがったか) ディートリヒは先ほどタツが隠れていた藪のほうを見る。 彼とて歴戦の戦士、訓練されているとはいえ、盗賊ごときの気配を感じ取る事など造作も無い。 最も気がついたのはマヤがオカリナを吹き始めたときからだったが、あそこで気配が膨れ上がったのだ、マヤも恐らく気がついていただろう 恐らくはマヤが慌てて帰ってきた事になにか関係があるのだろう。 あのオカリナ「パシュパティの笛」を吹く際は彼女の能力は特に研ぎ澄まされ、意思に関わらず他人の念が流れ込んでくる。 悪意を持つ念が流れ込めばすぐわかる、胸が苦しくなり、まるで心を喰われるような感覚に陥るという。 だがマヤには苦しげな様子は見当たらない、それがあの視線の主には邪な部分が無いということ。 だから、彼女はあえてタツを見逃したのだ。 だから自分が出る幕は無い そう結論づけるとディートリヒは心地よい音色に今一度身をゆだねた。 ――――――――― 「おい! 遅いから迎えに来たぜ」 奇妙で、しかし心地よい余韻に包まれていたタツは前からやってきた男達の声で我に返った。 1人はひょろひょろとした長身のザハーラ人、もう1人はプロレスラーのような体つきの黒人と対照的な2人だった。 ・・・・・・・二人共絵に描いたような悪人面だけは共通していたが 「で、どうだった? あのガキの連れは? 叩き売れそうな女は? それとも身包みはげそうな野郎か? 金目のモンは?」 「・・・・」 「うん、どうした? まさか、巻かれちまったのか?」 正直に話したものかどうか迷ったが、隠すわけにもいかないと、今見てきた事を話した。 「・・・・あの娘の連れは、人間じゃない、だって?」 「おい、本当か?」 「・・・・・間違いない、形は人間・・・だけど・・・」 そういうと2人はうんうんとうなずく 「・・・やっぱりな、あの娘。『並み』の娘とは違うんだな」 「あの小娘にはそこらへんやつが持ってない“なにか”が備わってるのかぁ」 「?」 不思議そうにするタツに2人の男は説明する。 「爺連中曰く、ああいう瞳をした娘は将来、極上の“商品”になるって話さ」 「決して汚れることのない魂が、どうのこうのって後半はよくわからんかったが」 その言葉はすんなりとタツの胸に納まった 確かにあんな不思議な、心地よい音色を奏でられるあの娘なら、と 「・・・・・・・なぁギュン、お頭にこのこと話すか?」 やせた男が隣の黒人のほうを向く 「話さねえわけにはいかねえだろ」 「でも話したりしたら、あのお頭のことだそんな“上物”を絶対にあきらめるわけねえ」 その大男と戦わせられるんだぜ?、続ける。 「諦める」 そう言い放ったタツに2人が彼を見る 「ああ?下っ端のてめぇがなに勝手に決めてんだ あ?」 「ワニを捕まえるような大男にかなうわけ、ない」 「やってみなくちゃわかんねぇだろがよ」 「・・・・・・・俺、ヤダ」 「ビビッてんのか、お前」 胸倉をつかんで睨み付けるがタツも負けじと睨み返す。 三人の中で一番年長の男は腕を組み、考え込む そして―――― 「よし、判った。タツいいか。お前は、あの娘に巻かれちまったって言い張るんだ」 「・・・・・・それで?」 「もともと頭は、あの集落の娘どもの買い付けが目的だからな。どこに行ったか判らねぇじゃ、仕方ねえだろ? 危なねぇ橋は渡らない方が賢いってもんさ」 「・・・・了」 タツは安堵して振り返って自分達の夜営地に戻っていった。 「おいおい、ホントに諦めるきか?」 ギュンがたずねるともう1人の目はこずるそうに光った。 「勿論、その大男に隙が出来りゃ、娘とその女共々、横から掻っ攫うさ。で、味見した後で、頭に渡せばいい。まぁ、いくらかの手間賃貰って、後はとんずらさ」 意地の悪い笑みを浮かべ、続ける 「もしその野郎が取り返しに来たとしても、ぶち殺されるのは、いつも俺等を馬鹿にしやがる、あの頭と古参のじじい共にタツって事で」 「いいな、それ。そうなったら、きっと胸がすっとするぜ」 ギュンはニヤニヤと笑って賛同する。 「そうそう、野郎に隙がなけりゃ俺達には縁がなかった、って事で何食わぬ顔しておけばいいしな」 頭が頭ならば、手下も手下。 同じ穴の狢である。 タツは元の場所に戻り、逃がした、と報告したのを頭は訝しげな顔で聞いていた。 なまじ騙し騙される人買いを生業としてきた訳ではない。嘘など見抜けぬ訳はなかったが、タツの黒い瞳には嘘をついたもの特有の“動き”がないため信じてしまった。 翌朝、早くに集落の娘たちの品定めの為、頭と古参の男達とタツは旅の商人を装って村に入った。 それを見届け、男2人は数人の賛同者を率い、マヤ達が夜営した場所へと急いだ。 ―――――――――――― 柔らかな朝の光がマヤの瞼をくすぐり、耳に可愛らしい小鳥の囀りが飛び込む。大きく欠伸をし手足をう~んと気持ち良く伸ばしながら、マヤは目覚めた。 傍らではラフィが毛布をかぶってすやすやと眠っている。 「よう、起きたか」 「あっ、ディートリヒおはよう・・・・・・あれコアクは?」 「追っ手が来てないか見回りに行ってる、俺はこれから向こうの集落から飯わけてもらってくるからよ、少し待っててくれ」 「うん、わかった」 そう言うとディートリヒはあっという間に走り去っていった。 今日は昨夜のような暗さは微塵もなく、明るく爽やかな朝である。 この場所から、あまり離れなければ大丈夫だろう、昨日の男達がわざわざこんな所まで来る事はないだろうと、マヤは思った。 「ん~、なんだか身体ベタベタするなぁ・・・・・・」 ふと、マヤはここしばらく身体を清めていなかったことを思い出した。 目の前には冷たくて澄んだ水が広がっている。 (ディートリヒは行ったばっかだし・・・ ワニも追い払っちゃったみたいだし 大丈夫だよね・・・・・・) ―――――――― (・・・・兄貴達がいない・・・・・・・) 用事を言いつけられ、タツが集落の入り口付近に戻ると待っていたはずの数人の姿が見えなかった 「ジョー、兄貴、何処?」 「あ~?ちょっと前にオアシスに入ってったぜ」 そばで昼寝をしていたジョーを起こし行方を聞き出し、瞬間、血の気が引いた。 「ん~?なんか上物がどうとか・・・・って」 「んだよ、人がせっかく教えてやったのに・・・血相変えてどうしたんだか・・・」 あっという間にオアシスへと走り去っていった後姿をみてぼやいた・・・・・ ―――――――― 「はー♪、冷たくていい気持ちっ!!」 髪を結っていた紐を解き、胸にさらしを巻いて、下は紐でつながれた布二枚で覆っただけの姿になり思い切り水の中に飛び込む。 子犬のようにはしゃいで泳ぐその姿を、粘つく視線が追いかける。 マヤは大きく息を吸うと、思い切り水の中に潜る、澄んだ水は透明度が高く底を泳ぐ魚の姿までよく見えた 泳ぎは昔から達者なので溺れることも無かった。 「女の子だもん、やっぱきれいにしとかなきゃね」 さきほど着ていた服はここの水でよく洗い、日当たりのいい木に掛けて干してある。この陽気ならばすぐに乾くだろう。 顔を洗い、肌に残る汗のベタツキを洗い落とす。長い髪も櫛で梳いて、染み付いた汗臭さを洗い流す。 ひとしきり泳ぐと岸にあがり、「パシュパティの笛」を首にかけ、さらしや腰の布が取れぬように気をつけながらタオルで身体を拭く。 マヤは夢中になりすぎていた。だから、背後に複数の影が迫っていた事に気付けなかった。 「…へっへ、見つけたぜ昨日のお嬢ちゃぁん?」 突然かけられた気持ち悪い、猫なで声に、マヤの全身が硬直した。 おそるおそる振り返ると、そこには―――― (に、逃げなきゃ!!) とっさにマヤは、男達をかわして走り出した。 しかし砂の上は走りにくく、こんなに明るくては身を隠すところもない。 (ディートリヒっっ!) そうして、今 彼もコアクもここにはいない事を思い出す。ラフィもまだ夜営したところで眠っているだろう。 早くどこかに逃げ延びねば、とそれだけを念じていた。そうしなければ体力的にも敏捷性にも男達に劣るマヤが適う筈がない。 男達は慣れた動きで獲物をいたぶる性質の悪い猫のように右に左にとマヤを追い立てて行く。 追い立てられたマヤは砂に隠れたくぼみに足を取られ、その場に倒れる。ゆっくりと、男達がマヤを取り囲む。 数は、10人ほど 「なかなか生きがいいな、それにそそられるねえその格好」 先ほど激しく走ったおかげで胸のさらしは外れかかり、腰の布は少しめくれて太ももが露になっていた。 なにより水気をふくんだ布は透けてしまっている。倒れ伏したマヤを、上から見下ろし下卑た笑みを口の端に浮かべている。 そんな男達に負けじと、マヤはめくれた部分を直し、胸を腕で隠すとその強い光を湛える瞳で睨み据えた。 「ふ~ん、成る程なぁ。頭の言う通りだ。いい瞳(め)をしてやがる」 「ああ、まったく。男をそそるいい瞳だ」 「お、おい。本当に犯っちまうのか?まずくないか・・・?」 10人の中でただ1人、腰の低そうな男がおずおずと言う。 「はん? 何がまずいって?」 「こんなガキ犯すなんて・・・・・いくらなんでも・・・・」 「ば~か。こんな滅多にお目にかかれないような玉、犯らねぇ方がどうかしてるぜ」 「そ、そん・・・」 またなにか言おうとしたときゴッという鈍い音がして男がその場に倒れる、 その後ろにはこん棒をもった男が立っていた。 「ぐだぐだとうるせえな」 頭から血を流して動かない男につばを吐きかけた。そんな様子にマヤは唖然とした、仲間をこうもあっさりと殺した男達に。 怖さを通り越し、はらわたが煮え繰り返っていた。 「ほれ、もっと良く顔を見せてみろ」 1人がマヤの顎に手をかけて、むりやり顔を近付けようとする。その手を両手で毟り取ると、思いっきり噛みついてやった。 「うわおうっっ!!!」 男達に一瞬、隙が出来た。 マヤは渾身の力を振り絞って、その場から駆け出す。 怖さより怒りが、彼女の足を動かしていた。 「くそっっ!! あのガキ!!! とッ捕まえて犯り殺してやる!!!」 思わぬ反撃に、男達が切れた。まるで修羅の如き形相で、その後を追う。 先を駈けてゆく少女の影と、その後を追う人でなし達の影。 凄惨さを秘めた、影絵芝居。 影が伸び、マヤの肩にかかる。 もう一つの影は、腕に。 2人の男は獲物を捕らえた猛獣のごとき舌なめずりをした。 ここで少し力を込めて引き倒せば、後は哀れな餌食を食うばかり。 マヤは振り払おうとするが、男二人の力にはかなわない。 引き倒されそうになり、恐怖で胸がいっぱいになる。 と、そのとき何かを殴打する音と共に背後に感じていた重みが消え、倒れこむ。 振り向くとそこには首元に赤いバンダナをした男が1人、マヤをかばうように男達に立ち塞がっていた。 「タツっ てめえ裏切るつもりかっ!?」 ギュンは完全に逆上していた、血走った目で青年とマヤを睨みつける。 それを睨み返すタツ。 「うるさい・・・話、違う、諦める、お前、言った、それに・・・・」 殴られて事切れた男を見、懐からアーミーナイフを取り出し、前に向ける。 「仲間殺しも、許さない、この娘を襲う、もっと許さない」 「うるせぇっっ!!このクソガキっ!!てめえから叩き殺してやる!!!」 「おめぇは前から気に入らなかったんだ、この黄色いサルがぁぁ!!!」 こん棒やナタを振り上げ男達がいっせいに殺到する、マヤは思わず目を閉じた。 (数、多い、ヤバイ、でもこの娘だけでも・・・・助けなきゃ) 噴出す冷や汗が額を伝う ――――瞬間、光が一閃した。 Top
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第85話「甦る紫色の瞳」 「これで完了……だな」 夢……13年ぐらい前やりのはしらの中……半年以上の一心同体化出来たのこと。 「ライガー、もう出来たから起きな」 「うん……。長かったな。半年以上。これで良かったよな」 ライガーとレックウザがいる。ライガーと子供は空間から出した。あの子供って……僕? 「さて、次は記憶の回収と天空竜の力の封印といこうか」 「レックウザ、何故天空竜をあの子の中に封印する。そのままでもよかったんじゃないか?」 「今のライガーでは天空竜の力は制御出来ない。むしろ、暴走してしまう結果だからな」 「た……確かに。世界がこんな風になったのは俺のせいだから」 「理解が早いね。それじゃ、始める」 レックウザは左手で過去の僕の記憶を回収し、右手にある天空竜の力の塊を僕の中に。凄い光とともに。 「ライガー、これから、ミュウに会って退化と記憶の厳重封印をしてもらいな。自分は子供をあんまり見掛けない場所で」 「分かった」 ライガーは何処かへ飛んでいった。レックウザは僕を持って………… 「はっ!」 突然目をあけ、起き上がった。まだ夜は明けていなく、肌寒い。 「何なんだ。あの夢は。夢?」 考えてみると…。夢じゃない! スイリュウとイーブイを寝ている間、カバンと上着と帽子を置いていって、半袖の赤い服を長袖の赤い服に着替え、右手に二個のシンクロボールを持ってホテルから出た。 シンクロボールからライガーとレックウザを出した。 「なんなんだよ。こんな時間に」 あくびを出しながら言うライガー。かなり眠たそうだ。 「こんな時間に起こしてすまない。出すのは理由があって。かくかくじかじか……」 夢で見たことを全てライガーとレックウザに話した。レックウザはすぐに分かったようだ。 「あれか。本当の話さ。ライガーの思いが強すぎたからだよ。な、ライガー」 「あ…うん…。ごめん。ショウタ。五年の付き合いだから。そろそろあれをしても良いぐらいだから」 「そうなんだ。レックウザ、そのことについて話してくれないか(長話覚悟……)」 「良いだろう」 ショウタは長話覚悟してレックウザの話を聞く。 「その前に、トレーナーとは何だ」 「トレーナーはポケモンを育てたり強くしたりする者……」 「それじゃ、古代竜使いは?」 「古代竜を持つ者で、初期から一心同体している」 「でもショウタは違っていた。天空竜使いは?」 「そ……それは……」 考え込むショウタ。おかしくないとレックウザは分かっているようだ。 「天空竜使いは、その天空竜の力を管理する者。力を発揮させたり、戻したり。でも、現在は封印していて、最低限の力しか発揮していない。封印から解除すれば、凄い力が使えるが、その分、天空竜使いであるショウタがその力を繋ぎ止めなければいけなくなるが、解除するか?」 ショウタはライガーを見つめながら考え込む。解除すれば天空竜の力使えるかも知れないが、その分、天空竜使いであるショウタが繋ぎ止めなければいけないため、負担が出てしまう。これでも、皆のためだからと結論を出す。 「レックウザ、天空竜の力を解除してくれ」 「分かった。封印を解除するまえに、無心にならないと。そうしなければ凄い負担が発生するからな」 「うん」 何も考えず、ただ、静かに立ち止まり、目をつぶる。 「よし。今からやるから辛抱しな」 レックウザの右手をショウタの頭にのせた。 右手が光だした。その途端にショウタが苦しみだした。 「我慢するんだ。無心になれ。色が変われば解除が出来る……」 「うぐくく…」 ちょっと時間が経ち、光っている色が変わった。 「よし! 今だ! グオオオオ!」 「うわぁ―――!」 小さな範囲だけど、レックウザとショウタの声が響き渡った。 終わったあと、レックウザは右手をショウタの頭から離した。 「これで完了。ちょっと困ったこともあるが、すぐに終えて良かったよ」 「何か力がみなぎるが……あれは」 「天空竜の力だろう。ショウタ、そろそろ顔を上げたらどうだ」 ちょっと呼吸が激しいが、顔を上げる。目の色が紫に変わっていた。 「レックウザ、僕はなんとも無いが……。ん? ライガー、ずっと僕のことを見つめているけど、どうしたの?」 「グラウ!」 急に飛び付いてきて、ショウタの体制を崩した。多分何か勘違いしているようだ。 「ライガー、ショウタだってば!」 「あ!」 すぐに気付き、ライガーは木のそばまで離れてしょんぼりする。 「ごめん。勘違いしてしまった…」 「ライガー、そこまで落ち込まなくても。レックウザ、一体何をしたんだ」 「目の色さ」 「目の色?」 「封印解除した時に前の姿の一部の所に変化が出てくる。ショウタの場合、目の色が変わることになったってわけ」 「そうなんだ……」 歩いてライガーの所へ行く。背中をゆっくり叩くなどして話す。 「勘違いしてもおかしくはない。そんなに落ち込むなよ。そういえば、思い出してくるんだけど、前世で死ぬ前の時、『もう自分の力じゃ何も出来ない。自分の力を最後まで出しきって…死を迎えたい』と諦めていたな。これは前世の僕の気持ちだから。多分、ライガーが力不足じゃなくて、トレーナー自身が力不足じゃないからって」 「違う。俺が力不足なんだ。俺が色々な相手を倒せる力があっていれば、こんなことは……」 「でも、今はそれを覆すことが出来るんじゃない。出来なかったことを」 「うん……」 「それじゃ、一発放ってみては? 破壊光線で」 と要望を出すレックウザ。 「いいね。ライガー」 「あ、おう!」 「ライガー、破壊光線!」 凄い大きな破壊光線を放った。ショウタは驚きの顔は隠せない。前をみると、もう海まで達していた。 「凄い……」 「これが天空竜の力というものだ」 「それにしても……。やりすぎだなこれ。……うぐぐ……」 突然の頭痛で頭を抱えるショウタ。目をつぶったあとに目を開けると。色が黄色に戻ったと同時に 「あれ? 頭痛が引いた」 「それに、力が……」 「そりゃそうだ。完全に封印が解除していない上に、拒絶反応もでる。せいぜい10分未満、少ししか発揮できないのさ」 「そうなんだ」 「天空竜使いの体力も消費するからな。よく考えて使えよ」 「分かった。ありがとう、ライガー、レックウザ」 ライガーとレックウザを戻して、ホテルへ戻ろうとした時、スイリュウとイーブイがやってきた。 「ここにいましたか。いないから探していましたよ。はい。上着と帽子とカバン」 持っているショウタの上着と帽子とカバンをショウタに渡した。それ着て、かぶり、せよった。イーブイがショウタの右肩に乗る。 「心配していたぞ!」 「ごめん。イーブイ、スイリュウさん」 「別にいいですよ。都合よくリッシ湖近くですから。それよりも、何なんですか。あの大きな破壊光線の跡は」 「特訓していたさ。もしもの時に備えて」 と誤魔化すショウタ。ライガーもそういうことを信じてもらえないと突っ込まないことにした。 「そうですか。とりあえず行きましょう」 「うん」 ショウタとスイリュウはリッシ湖へ向かった。シンクロボールの中にいるライガーは考え込んでいた。 「(グラウ……。本当なのか……最後まで自分を責めていた俺を……)」 第86話「ナナカマドとプルート」 夜が開けたころ、ナナカマドは研究所から出て、空を見上げる。 「プルート、お前はどこでなにやっておる……。まさかけしからんこともやっておるんじゃないだろうな。わしは研究所でいつものように進化について研究している。あのときは楽しかったな。あのときは……」 ナナカマドとプルートの関係は二十五年前にさかのぼる。 * * * 「ナナカマド、トリトドンについてが解明したぞ。東西によって、色が違っていて、進化時も異なることも分かった」 「そうか。ミノムッチについても分かってきている。今分かっているのは、草のみの、砂のみの、ゴミのみの。どれも草以外のタイプ、姿、進化後の姿も異なっているが、性別が♂の時だけ統一しているのが気になるがな……♀の方も気になる。色々なみのを見たいものだ」 ナナカマド、当時四十歳。まだ髪は黒く、髭も出ていない頃。研究所に入ってからプルートとは仲が良く、いつも共に研究をはげんでいる。当時のプルートはしっかりしていて、メガネもかけていない。進化の他に異なった種類についても当時研究していたさ。何故今は研究していないのか。問題はここから。 プルートはミノムッチを見て、色々なみのを見たがっているナナカマドを見て、色々なミノムッチを作ってみようと決心した。その数年後、プルートはミノムッチを連れて研究所の地下室へ入った。 「さて、今までやったことの無い炎のみのを完成しようか」 テーブルから注射器を持ってきて、先端をミノムッチに向ける。そして、針をミノムッチの足に刺して、液体を入れた瞬間、ミノムッチが暴れだした。葉っぱは炎に変え、暴走する。 「やった……。火のみのが完成したぞ」 しかし、その状態を数秒しか持たなかった。ミノムッチは苦しそうに叫んだ瞬間、進化しだした。 「ミノマダム。進化までもしたぞ! これは革命的だ! あははは」 ミノムッチの叫び声とプルートの笑い声を聞いたナナカマドは急いで地下室へ向かっていた。 「何か嫌な予感がする……。プルートは一体何を……」 と胸騒ぎをしながら走っていた。ついて、開けようとしたが、鍵がかけられていた。ドンファンを出して転がるで強制的にドアを壊し、中へ入ると、思いもしないものを目にする。 「なんだこれは……」 部屋全体が真っ黒で、そこには、笑顔をしたプルートと倒れて黒焦げになったミノマダムがいた。驚きを隠せないナナカマドはプルートに声をかける。 「プルート、お前、ミノマダムに何をした!」 「ナナカマドの願いである色々なミノムッチを作ろうかと思ってね。さらには進化するとは……」 「作ろうかと……? お前、ポケモンはなんだと思っている!」 右手をプルートの服を持ち、怒り出す。 「勿論、人間と同じ生き物じゃないか」 「違う! 確かに人間と同じ生き物。しかし、プルートがやっていることは違う! わしは自然そのもののポケモンが見たい。人工に作られたポケモンを見たいわけじゃない」 右手を服から離し、悲しげな顔でミノマダムを見つめるナナカマド。 「ミノマダム……。あんなことを……」 もうミノマダムは息を絶えていた。早くこれば対処が出来たのにと反省する。 その後、プルートを解雇し、ナナカマドは同じ種類のタイプについて考えるのをやめ、進化の方へ力を入れることにした。ミノマダムはお墓へ埋める。そして現在に至る。 * * * 「プルートよ……」 その頃、ショウタとスイリュウはリッシ湖の中へ入ろうとしていた。 「目的はアグノムの状態を見ること、そして……」 「?」 「夜明け頃にあるものがてでくるからその状態を見ること」 「あれって?」 「見てからのお楽しみさ。早く入りましょう」 一歩すすもうとした瞬間、右肩に乗っていたイーブイが地面へ降りた。 「ここから自分で歩くよ。ずっと肩に乗っても退屈だから」 「(おいおい)」 ということで、歩いているイーブイと一緒に中へ入った。 背景は薄暗く、少し広い。奥まで行くと、突然上空からスピードスターが襲ってきた。すぐに逃げれたものの、一体誰が。 「誰ですか? 無断でここに入るの」 スイリュウは前に出て、落ち着いた表情で説得する。 「無断に立ち入ってすみません。ジョウトのレジェンドトレーナー、スイリュウと申します。今回は用があってここに来ました」 「そうか。赤帽の少年」 「え? 僕?」 突然の「赤帽の少年」と言われて驚くショウタ。 「はい。久しぶりだね。時が歪む古代竜の戦い以来だよね」 「そうだな。久しぶり」 「あれ、お知り合いでしたか」 「ああ、ちょっと昔のシンオウの事件で付き合っていたから」 「はい。さて、その用とは?」 「えっと、夜明けに各湖にシンオウのドラゴンポケモンの力の源である玉の一つ、金剛玉の確認するために来ました」 「確認ですか。了解です」 アグノムの力で、地中から金剛玉を取り出した。 「うん。金剛玉は無事みたいですね。分かりました。戻してもかまいません」 「はい」 再び金剛玉を地中に戻そうと思いきや、右の方向からチャージビームが発射してアグノムに直撃した。 「「アグノム!!」」 「ひひひひ…」 笑い声が出てきてショウタとスイリュウは右の方向へ目を向ける。 「また会ったね。その金剛玉、もらうぞ! やれ!」 謎の人の一人はムウマージを出してシャドーボールを放つ。ショウタはイーブイにシャドーボールを指示。連続してムウマージの動きを弱めた。もう一発シャドーボールを放つが、ムウマージは避けて、謎の人の一人に当たり、布が切れて、ベールを脱いだ。 「やっぱりか…シロ」 白い髪に黄色い目、サバイバルの姿をしているのは、シロだった。果たして、ショウタがとる行動は…。 第87話「何もない心」 「でも、何か違う……。多分心がないかも……」 ショウタの言葉通りであった。シロ自身の心がないからなのか、目は逝っていて、全然動かない。ただのロボットかのように。 「ショウタ殿、多分両腕につけてある機械で指示し、動かしているじゃないでしょうか。あれをどうにかなれば」 「でも、魂はどうする。今トドゼルガの中にあるし、それを元通りに」 「なる方法かぁ……。そこまで考えていましたか。私ではついていけません。そこはショウタ殿に任せます。私はアグノムを連れて遠回りをして攻撃します。ちゃんと考えはありますから」 「たのむ。プルート、どうやって一回死んだ人間を生き返らせた。そして何のために」 プルートは笑顔ではっきりと答える。 「それは、機械による蘇生。両腕につけてある機械の使用でね。激しい電気を流せば、蘇生は完了する。魂がないから、操らなければいけないけど、魂があるポケモンと繋げば魂は戻ることもでき、更正することも出来るのさ。もう一つ、目的は、グラウ、貴様の心をズタボロにするためさ」 「やっぱり僕狙いか。なんという奴だ。すぐに止める! いけ!」 「シロ! 強制能力でトドゼルガを出すんだ!」 右腕を90°に合わせ、超音波を出した。すると、強制的にモンスターボールからトドゼルガが出てきた。 「第一段階完了」 「って何故出されたんだ! まさかあいつが」 「プルートが超音波で強制的に出されたんだ」 「続いて、第二段階。シロ、今度はそのトドゼルガを操るのだ!」 また右腕に超音波を放った。さっきとは色は違っていたようだ。急にトドゼルガは苦しみだした。そして、トドゼルガは牙でショウタに攻撃する。 「ライガー!」 大きな音と鳴るとともにショウタの前に出てきたのは、ライガーだった。 「ギリギリセーフ。大丈夫か。ショウタ」 「ああ。それよりも洗脳されたシロをなんとかしなければ」 「これで第二段階完了。第三段階」 「そうはさせない。ライガー、プルートが持っているコントローラを壊すんだ!」 空を飛び、ドラゴンクローでコントローラを壊そうとしたが、トドゼルガの冷凍ビームど右羽が凍りつき、いきよいで急降下して地面に激突した。シロは飛び降りて、トドゼルガの方に近づく。 「シロ!」 右手をトドゼルガの頭に触れた。すると、凄い光が出てきた。ショウタは眩しすぎて目を隠している。 そして… 「第三段階完了。さぁシロ、グラウに五年ぶりの復讐をするのだ!」 「了解……。ショウタ、倒す」 「そ……そんな……。シロの魂が敵によって取り戻された……」 敵、プルートの手によってシロの魂が戻り、更正された。果たして、ショウタは何すればいいのか。 その頃、エイチ湖の洞窟では 「ここが洞窟なのか……」 「はい。この中にユクシーがいます。ユクシー!」 エルフェンは大きな声でユクシーを呼んだ。すると、地中からユクシーが現れた。 「どなた? 眠っているのに」 「あ、すみません。眠っていましたか。用がありますが、いいですか?」 「どうぞ」 「夜明け頃に地中から玉を出せると聞いていますが、本当でしょうか。本当であれば見せてくれませんか?」 「可能です」 その間、ヤイバはエルフェンとユクシーのやりとりをしながら気配を感じていた。 「ちょっとだけですが、見せよう」 「まって!」 ヤイバは強く止める。 「ヤイバさん、一体どうしました?」 「何か誰かいる。さっきから笛の音がなっている」 静かにすると、笛の音が出ている。穏やかで、癒される音楽だ。しかし、その癒される音楽が魔の手によって攻撃されることはヤイバもエルフェンもユクシーには知らなかった。 「ドーブル、破壊光線!」 屋上から破壊光線が放ってきた。それを素早くよける。あの音楽はカモだったことを気付いてがっかりする。屋上から飛び降り、地面に上手く降りれたのはこの二人。 「「ヨーグロー! そして……誰?」」 「何なの? このオチテンションは。わるくはないけど。わたくしの名前はペイン、ダークストライクの幹部の一人」 「ペイン……。それよりも……」 「(何この反応)」 と突っ込みたくなるペイン。 「なにしにきた! それに。ゼルクについても、世界についても、それを潰そうと」 「ヤイバード!」 「あ!」 言ってはいけないことを言ってしまって口をふさいだ。 「ヤイバさん? それは一体」 「ちょっとバトルをして忘れようか。絵の美しさと」 「音楽の旋律を受けてみてみたまえ」 ヤイバとエルフェンはモンスターボールを持って構えた。 実は、ヨーグローとペインは二人揃えば最強であることをまだ知らない。 第88話「爆弾野郎復活!」 「(でも、個人自身の意識があれば) シロ! 目を覚ませ! 今相手によって操られているんだ!」 「相手……。ショウタ、復讐! トドゼルガ、のしかかり」 トドゼルガののしかかり。ショウタとイーブイとライガーはすぐに回避する。これ以上危険と考えたショウタは。 「イーブイ、これ以上ここにいると危険だから、モンスターボールに」 「うん」 イーブイをモンスターボールで戻した。連続して、のしかかりをしてくるが、それをもろともせず、回避する。 「トドゼルガも。指示しているのはシロであり、シロではない。それを知ってくれ。ライガー、ドラゴンクロー!」 凍りついた右羽を力で氷を壊し、素早いドラゴンクローでせめるが 「トドゼルガ、冷凍ビーム!」 トドゼルガの冷凍ビーム。ライガーは下へ低空飛行し、回避したかに見えたが、冷凍ビームの方向も下へ向け、直撃して凍り漬けになった。 「動けなくなった……。ライガー!」 「トドゼルガ、のしかかりによる連続攻撃」 のしかかりで連続的に攻撃する。ライガーは勿論、ショウタまでもがダメージを与えていく。 「いつつつ。ライガー、火炎放射!」 火炎放射で凍りを溶かし、壊したものの、すぐまえにトドゼルガが 「トドゼルガ、ギガインパクト」 ギガインパクトでライガーを物凄いスピードて飛ばす。威力は半端ない。ショウタは飛ばされたライガーを見ようとしたが、そこにシロの姿が。右拳で強くパンチしようとしたが、ショウタは右手てパンチを止める。 「シロらしくないことをするな…」 連続で左手でパンチしてくるが、左腕でガードする。 「いい加減目を覚ませ。さもないと」 それを聞く耳をもたないかのように、右手を離し、再び強いパンチをしようとした。そのとき、トドゼルガはショウタの所へきて攻撃をしかけていた。 「こうしてやる!」 右手を力強く地面へ振り、その瞬間大爆発が起こった。ショウタはフーディンを出していて、すぐにテレポートで回避していた。 「やっちゃったな……。ルール違反。でもそれで正気に戻れば」 シロは大爆発に巻き込まれ、うつ伏せで倒れていた。トドゼルガも倒れていたが、立ち上がろうとしている。 「まだトドゼルガが洗脳から解放されていないのか」 「いたたた」 と言いながら傷がある状態で戻ってきたライガー。 「大丈夫か? ライガー」 「それはこちらからのセルフだ。ダメージ受けているのに負担をかかることを」 「あはは。ちょっと今の状況じゃ、危ないかな。それよりもシロが心配」 シロはかすかだが、目を開く。まだ正気を戻った様子もない。大爆発で動けなくなったマルマインを見つめる。 『爆弾兵一族として、つかうたびに死を覚悟して本気でぶつけなければいけない!』 思い出してくる少年時代、父と一緒に爆弾の訓練をやっていた頃だ。学校から帰ってきた後すぐに訓練を開始し、時には深夜まで続いだ日もあった。勿論、回避失敗して巻き込むことも多く、一度死にかけたこともあった。何回のも訓練の結果で今の自分がいることを思い出したシロの心が開き始めた。立ち上がってトドゼルガに指示を出す。 「……」 ショウタは強く構える。攻撃することを覚悟して。 「シロ、今止めをさすのだ!」 「……何オレに向けて命令しているんだよ。バーカ。トドゼルガ、オレに冷凍ビームを放て!」 リッシ湖にいる全員(スイリュウ除く)がビックリした。洗脳されているトドゼルガを利用し、シロに向けて冷凍ビームを放つ。シロは腕をガードし、直撃して腕が凍りついた。 「まさか! シロ、やめるんだ!」 命令で強制的に止められようとも、自分の意志で 「やめるか! おら!」 強く両拳をぶつかり合い、その反動と凍り漬けになった影響で最初にヒビが入り、最終的には、機械ごと完全に壊した。両腕に刺さっている小さな針も抜いて地面へ落とした。 「これで洗脳されたと聞くと、凄いビビるな……」 「そ……そんな」 シロの目は輝きを取り戻し、トドゼルガは洗脳から解かれ正気に戻った。それを見たショウタは嬉しくて言葉に出来ないほど。 「シロ……本当にシロなのか?」 声を聞いてシロはショウタの方へ目を向ける。 「ショウタか? そうだ。嘘もない。本当の爆弾野郎、シロさ」 「やっぱり。良かった……」 「ご主人!」 「トドゼルガ。洗脳から解かれたみたいだな」 トドゼルガは素早く滑ってシロの所へくる。凄いなついている様子。 「さて、あとは」 「プルート、お前だけだ」 「うぐぐ……。それにしても、もう一人どうしたんだい?」 「もう一人……。もう、後ろにいるよ」 「ばくうぅぅぅ!」 黒色のバクーダとともにプルートの後ろに来たのは、スイリュウだ。背中にアグノムが乗っている。 「よし! 遠回り成功!」 バクーダから降り、戻してライボルトを出す。 「さぁ。おとなしく降参しなさい」 「降参するか。水龍寺よ」 「水龍寺!? 何故その名前を知っていますか?」 「はまったな! バリヤード、サイコキネシス! ドーミラー、鏡を写らせるんだ!」 プルートのモンスターボールからバリヤードとドーミラーを出した。バリヤードのサイコキネシスでスイリュウの動きを止めさせた。アグノムはすぐに金剛玉をもって回避した。 「さぁ、苦しみの過去の世界へ」 バリヤードのサイコキネシスの力が強めた。スイリュウはかなり苦しんでいる。 「スイリュウさん! 今から空を飛ぶ。モンスターボールを渡すから戻して」 ショウタからモンスターボールをわたしてもらい、トドゼルガを戻し、ショウタとともにライガーを乗ってプルートの所へ向かう。 「やめてください。うがあぁぁぁぁぁ……」 口止めをするかのようにもっとサイコキネシスを強めた。強くするたびに脳裏から出てくる暗い過去。思い出したくない過去という。 問題を引き起こしたのは5年以上前のこと。 第89話「水龍寺の過去の記憶」 コガネシティ南部……両親は血まみれで倒れていて、一人の少年は起こさせようとするも動かない。 『水龍寺 ザオバー、お前はなにも出来ない、存在意義もない弱虫な人間だな。ここで悪夢をみせてやる。ゲンガー、のろい。そして催眠術』 ゲンガーののろいで呪いをかけ、そして、催眠術で眠らせた。 「あれをしたのはプルートだったのか。お前!」 ショウタは切れだし、攻撃体制をするが 「ここで攻撃すると、ザオバーの記憶が壊れるよ。壊れたらリセット状態になるから」 「く……」 記憶を壊したら元も子もないため、攻撃体制から戻す。 「まぁ、ゆっくりとザオバーの過去を見ようじゃないか。以前からあの後を。ドーミラー、引き続きザオバーの記憶を映せ」 再び、ドーミラーは裏返す。記憶の映像が出てきた。これはあの惨劇に会う前のこと。 * * * コガネシティ南部のジョウト第二研究所、そこにウツギとプルートがいた。 何故プルートがここにいるか、シンオウで解雇された後、研究などし、反省した上で2年前にはいった。 そこに、誰かやってきたようだ。その人こそがザオバーの父、ベンだ。 「すみません。寝坊してしまって」 「ベン君、寝坊はね……」 「すみません。それともう一つ、息子がここに来たいと言ってね……。連れてきてもいいかい?」 「いいとも」 「ありがとう。おいで。ザオバー」 外からザオバーがやってきた。さらにゼニガメとトゲチックと色違いドンメルもやってきた。 「はじめまして」 プルートはベンとザオバーの存在は知っていた。ベンは人一倍真面目で、皆からは信じられる存在であった。プルートにとってはかなりの嫉妬になっている。ザオバーもベンと同じく人一倍真面目でいる。無鉄砲なものの、夜遅くまで遊ぶことが多かった。プルートにとってはザオバーは育成専門のため気に入らないし、それよりもベンの息子だからと未来どうなるのか予測出来ないし、ザオバーは一度も心が痛むことはないそうだ。 これがザオバーがバトル経験が少ないのはその原因である。バトルよりも育成を重視すしているから。ベンとザオバーは考えた。 「二年先になるけど、進路はどうする。進学かトレーナーか」 「うーん…。僕はバトルよりも育成が好きだからもっとブリーダーを極めようと進学しようかな」 「そうか。まぁいいさ。自分で決めた道なら」 と父と息子のやり取りの聞いたウツギは「いいな #12316;父と子のやり取り」と羨ましながらもみていた。その反面、プルートは 「人生は上手くいくと思うなよ」 嫌らしい目で呟いた。 数日後、ザオバーは学校から帰ってきた。嬉しい顔のようだが、ちょっと不安も。 「帰ってきたら、報告しなければな。まず、第二研究所から」 第二研究所へついたが、誰もいないのか、鍵がかけていた。多分父は家にいるだろうと走って帰るが 「なにこれ……。お父さん! お母さん!」 と倒れていて血を流している両親の所へ来てゆらすが、全然反応しない。 「ひひひひ…」 「君はあの時の」 「水龍寺 ザオバー、お前はなにも出来ない、存在意義もない弱虫な人間だな。ここで悪夢をみせてやる。ゲンガー、のろい。そして催眠術」 「ま……て……」 催眠術によって眠ってしまった。 * * * 「嫉妬心で…」 「オレは嫉妬しても嫉妬心を押さえているのに、なんてやつだ」 「人生は上手くいかないから天罰を受けたのさ。こういう奴らは嫌いでさ」 「(ゼルクとそっくりだな)」 と少し呆れるショウタ。でもそういう人は許さないと怒ろうとするが、呆れる結果なので、質問してみる。 「で、呪いをかけられたあとどうなった」 「ショウタ殿! その過去をみないでください!」 「黙れ!」 再びサイコキネシスを強めた。 「意志で強く埋めても強制的に掘り起こす!」 ドーミラーの後ろに過去の映像が出てきた。 * * * あれから、コガネ保護委員会から一時保護し、一週間後、支援金をもらい、帰宅した。翌日、学校へ行くと、重々しい空気がザオバーに襲ってくる。 「(なんだ…。この重々しい空気は…)」 普通に座るが、注目されている。という状態でホームルームが始まった。 休み時間、いつもの友達と話しかけようとした。しかし、目をそらしていた。それでも、声をかけてみる。 「遊ぼうよ。久々にきたからさ」 「お前と遊ぶか! ちっ……」 舌打ちして再び目をそらした。ザオバーの回りは凄い冷たい目で見られていた。そのことを先生に話しかけても、無視してしまった。 「(何で……何で僕だけなの?)」 凄い疑問を残して授業が終わった。 家に帰ってきた後、自分の部屋で涙を流した。一週間前はあんなに仲良かったのに今では絶交したかのような状態だった。ザオバー以外にいじめられている人がいないため、相談できない。かなり涙を流し、心をどんどん閉ざしていく。普通心の癒しにもなるゼニガメ、トゲチック、ドンメルが励まそうと肩を叩くが、全然振り向かない。 それを卒業まで続いたという。 * * * 「ひ……酷い」 「いじめか……そりゃ心が痛む」 驚きを隠せないショウタとシロ。微笑みを見せるプルート。 「その時に願ったことは何だと思う」 「願い……そりゃ……」 「グラウ、お前が考えていることは「正」の願いだろ」 「う……」 見破られた。 「ザオバーが願ったことは「負」の願いさ。自分が消えたいと。その願いを叶えるべく、今、行おうとしている。性格崩壊さ」 「やめろ! 今すぐ解除しろ!」 ショウタは強く止めるよるに呼び掛けるものの、プルートは止める気配もない。 「見てみるがいいさ。性格崩壊の瞬間を。バリヤード、今回最高のサイコキネシスを!」 ライボルト、ショウタ、シロ、ライガーは何も出来ず、見ているだけしかなかった。ザオバーはかなり苦しんだ。苦しみながらも思った。 「(自分を消えたくない、どんなことがあっても)」 と強い意志で頑張るが、このままでは……と我慢できない瞬間 「(今、我を出せ! その時だ!)」 目を開け、ベルトにつけてあるハイパーボールを持ち、何か出した。 「ホウオウ、聖なる炎!」 大きな金色の鳳凰した姿で出し、聖なる炎でプルートとバリヤードとドーミラーに直撃。 「ぐあぁ―――!」