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【拝戸直の人殺し 第十四話「サンジェルマンの悩み」】 「7001 0000 7002 0000 1210 800D 1220 800C…………。」 組織の施設内部、薄暗い部屋の中。 パソコンの前で数字をぶつぶつと呟きながらキーボードで打鍵を続ける女性。 上田明也の契約する都市伝説【赤い部屋】である。 「都市伝説をデータ化するなんて……。 本当に出来るのかなあ、確かに私たち都市伝説は人の噂を母体にしてるけど……。」 パソコンに突き刺さっているのはDの文字が刻まれたUSBメモリ。 そのUSBメモリとパソコンをグルッと囲むように複雑な文字の書かれた護符が貼ってある。 「茜さん、作業の調子はどうですか?」 「まあ進捗度15%ってところですかねえ、明也さんはどうしてますか?」 「何やらCOA世界で面倒に巻き込まれているようです。」 「むぅ……、じゃあ私も助けに行きましょうかね。」 「流石の彼でも貴方がいきなり現れたら心配やら心労やらで胃に穴が空くと思います。 今は貴方一人の身体じゃないのですから。 本来はこの解析作業やらプログラミングやらして頂いているのもどうかと思っていて……。」 「でもまあ私だけニートしてる訳にもいかないじゃないですか。 橙さんが現実世界の情報収集、彼方さんが現実での戦闘、明也さんが……事務処理。 となったら私が電脳関係担当するしか無いじゃないですかぁ。 ていうかあれです、私じゃなくて私のキャラで助けに行けば良いですしー。」 そういって赤い部屋は再びエメラルド色のパソコンに向かう。 「そのパソコンの調子はどうですか?」 「ああー、すごく調子良いですぅ。 強いて言えばもうちょいグラフィックメモリをですねえ……。」 「……ネトゲの為ですか。」 「これだけはやめられない!」 「止めませんけどね。パソコンから出る電磁波もお腹の子供に悪影響な可能性が……」 ブツッ 赤い部屋はパソコンの電源を躊躇いなく切った。 強制終了である。 このパソコンはサンジェルマンが自らの都市伝説「オーパーツ」内部の都市伝説を利用して作ったパソコンで、 これを彼は自分の友人の著作から名前を取って「エメラルド・タブレット」と呼んでいた。 対都市伝説攻撃を防ぐために素材の一部に霊石を使った無駄に豪華なパソコンである。 当然壊れたら大変だ。 だが赤い部屋は容赦なくそれを強制終了した。 「ちょっと引きこもってきますね。」 「…………ちなみにノーパソの電磁波程度なら問題無いそうです。」 「じゃあノーパソバージョン作っておいてください。」 「……はい。」 赤い部屋は迷うことなく彼女の空間に引きこもってしまった。 サンジェルマンはUSBメモリ内部の「死神」の状態の確認と、 パソコン内部の作業中のデータが壊れていないかの確認を開始する。 無事だった。 サンジェルマンはため息を吐いた。 「くそ……、明也さんが落ち着いたと思ったら! 直さんの殺人癖が眼着けられるし! なんでこんなに問題が続くんだ! くそっ!くそっ!くそっ!」 『どうしたんだい、ご機嫌斜めだね。』 『まあそれも仕方ないか、そもそも異常な人々は居るだけで社会の秩序を乱すんだ。』 『だから幾ら問題が起きても仕方ないと思わないか?』 「ああ、フェリシアですか。」 『人間の私にはどうにもこの組織ってのは居づらくてね。』 『ていうかなんだいあのトイレは?トイレと思えぬ嬌声が響いてるんだけど。』 引きつった笑みを顔に貼り付けて表れたのはフェリシアである。 彼女はサンジェルマンの契約者だ。 「何って……、トイレですけど。」 『あんなのハッテン場じゃないか!』 「トイレってハッテン場じゃないんですか……?」 『もうやだこの組織!出て行かせて貰うぞ!』 「あ、逃げないでええええええ!」 フェリシアは泣いて走り去ってしまった。 彼女も一応乙女である。 恐らく女子トイレで怖い思いをしたのだろう。 しかしそれよりも仕事が溜まっている。 サンジェルマンは彼女を追いかけることを断念して仕事をすることにした。 F-№に割り振られている分の任務をそれぞれの黒服に再び割り振る仕事である。 一つ間違えると簡単に死人が出るので結構熟慮せざるを得ない。 「これは……、久しぶりの戦争に対する介入か。 №5師弟に割り振りますかね、めっちゃバトりたがってましたから。 次は調査系の任務、№6ですね。 地味な都市伝説退治は……、№77に任せましょうか。 COA関係の任務はE-№が受け持ってるのか……。 まあ私の仕事はもう終わってますからね、聖杯の確保とユティさんの安全確認ができた以上、 私がやることはありません。 最悪でも上田さんがなんとかするから大丈夫、かな。」 書類を分けて次々に判子を押すサンジェルマン。 伝説の錬金術師とは思えない地味さ加減である。 「鵺の討伐任務もさっさと終わらせないとな……。 でもなんで私の所にこの任務来たんでしょうか。 まあ直くん使えば倒せる相手では有ると思いますが、まあ私は任務こなすだけですし。 別に良いか。」 突然、サンジェルマンの机の上の電話が鳴る。 電話をかけてきたのはCOA内部のE-№を手伝って働いているF-№の黒服だった。 F-№はトップと一般黒服の距離が性的な意味でも近いアッー!トホームな職場なのだ。 「やばいっす№0!」 「どうしたんですか№555」 「COAのユグドラシル内部に今すげえ人が来てるっす! ていうか話しちゃった!」 「誰ですか?」 「なんかA-№0と話しちゃったっぽいっす!」 「え゛?」 「その上自分ってばA-№0に雑用を命じちゃったっぽいっす!」 「……555さん?」 「なんすか?」 「貴方にお誂え向きの任務があるので帰ってきてください。」 「解ったっす!あとまだすごい人が居たンすよ! 伝説の中華の鉄人が屋台で店だしてたんスよ! あの麻婆豆腐は……」 サンジェルマンは通話を終えると深くため息を吐く。 またC-№辺りに何か言われるに違いない。 そうなったら 「トップが現場に出て仕事をすることは組織全体の士気上昇につながります!」 とか 「トップが現場の実情を知ることはとても重要なことです!」 とか言い訳することにしよう、とサンジェルマンは決めた。 「それはそうとこれじゃあ研究もおちおち出来ませんねえ。」 学校町には沢山の問題がある。 教会勢力、行方不明者の増加、COA。 さらに日本中の様々なところで今日も都市伝説による事件は起きている。 もっと言えば日本だけではない、世界中で同様の問題が起きているのだ。 これでは彼の望む“異常”の研究などできるわけがない。 再び電話が鳴る。 二人同時に連絡だ。 「こちら913、アメリカに潜入してたんですけど大量の兄貴に囲まれてしまいました。」 「こちら333でーす、なんか南極で巨大な兄貴を発見しました。」 「掘られてきなさい。」 「「良いんですか!?」」 「ええ、貴方には休憩が必要です。 しばらく仕事のことを忘れてハッテンなさってください。」 「うわああああい!やったぜ!」 「こんな大きいのだと壊れちゃうよう!」 「良いなぁ……。」 通話を終える。 サンジェルマンは今日も忙しい。 本日三度目のため息を吐いた。 「さて、死神の契約書の改良を始めましょうか。」 そう言ってサンジェルマンは引き出しから工具を取り出した。 【拝戸直の人殺し 第十四話「サンジェルマンの悩み」fin】
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【拝戸直の人殺し 第十一話「狂ってルナ」】 「やっべえええええ……。フランケンシュタインの製作面白いなあ!」 「直さん、あまり無理しちゃ駄目ですよ。」 「ああ、すまんねみぃちゃん。ココアはそこら辺置いといて。」 死体を切り刻み 電極を埋め込み 人工筋肉を調整 造形にも気を配る ああ、フランケンシュタインの製作はとても面白い。 私はできたフランケンシュタインを試みに学校町に放つことにしていた。 「この前、黄昏裂邪だかって子供にやられたって奴は造形にこり過ぎちゃったかなあ!? やっぱ死体を創る死体ってコンセプトで作品を作るなら戦闘力も大事だよなあ! それにしても素晴らしい、仲間を死体を求めて夜な夜なさまようフランケンシュタイン。 その孤独は十全に文学的だと言えるだろうねえ。 そうだなあ、それにしても俺のフランケンシュタインを破壊したなんて子供のくせにやるなあ。 素晴らしい可能性だ。 『組織』に討伐されているならまだしもやられたのが子供だろ? うん、すこし面白い趣向を考えてみようか。 おいカラス。」 「ナナナナナ、ナンデショーカッ!」 人語を解すカラス。 なんのことはない、カラスに人間の頭を移植しているだけだ。 「ちょっとお願い。 俺の試作型三号を倒したとか言う素敵な可能性に見張りを付けておけ。 お前が俺に報告したんだからちゃんと最後まで頼むぜ。 ていうかお前が見張れ、捕まりそうになったらちゃんと自爆しろよ? 俺はその素敵な可能性の為のフランケンシュタインを製作してみるから。」 「リョリョリョリョリョリョリョウカイシマシた!」 「やっぱ言語野いじくりすぎちゃったかなあ? 口癖で妙なキャラ立ちしちゃってるよ。 じゃ、頼んだよー。」 窓から飛び立っていく一羽のカラスを見送る。 失敗作も失敗作なりに役に立つ。 この世に無駄なものなど無いのだ。 そう、無駄なものなど。 「さて少女、君はどんな気分だい? 私の手によって君の体は君の才能を最大限生かせるように生まれ変わる訳だが。」 私はクルリと振り返って目を閉じて冷たくなった少女に問う。 「私には解る。君の体の内に眠る可能性の全てが。 君の凡庸なメンタルに興味などこれっぽっちもない。 でも君の体はさいっこうだった! 今でも興奮しているよ、最初の一つ目がこんなにも素晴らしい身体だったなんてね。 君の五感はとにかく優れている。それなら神経をいじったり感覚器を増やせば一体どうなるだろうねえ?」 その為に殺してから冷蔵庫で丁寧に保存していたのだ。 彼女の死体を作業用の台に乗せる。 私はさっそく彼女の改造手術に乗り出した。 メスを振るいながらも私のテンションは高まり続けていた。 「感覚が優れていることは戦闘でも役に立つ。 脳に流れる膨大な情報からの未来予測なんかも可能だろうな。 そして圧倒的なのは反射能力だ。 私がこの脳に対して『サンジェルマン式サバットのすすめ~カウンター編~』における 全ての情報を反射として設定してしまえば戦いの時にはあり得ない速度で相手を蹴り倒してくれるに違いない! 勿論、男の浪漫自爆装置付き! どうせ足技メインなんだから足は少し長くしてやろうか。 あと間接もあり得ないくらいに柔軟に……。 おお、このアングルエロイぜ。 小学生のくせにやらしい身体してるなあ、きゃっほう! 死体ってだけじゃあ感じない性的興奮だぜ!」 「…………拝戸さん、流石にそれはない。」 「……ごめんねみぃちゃん。調子乗りすぎた。」 さて、少し冷静になって手術を続けよう。 フランケンシュタイン製造開始の記念にとっておいたこの少女を俺が使おうと思ったのには理由がある。 そもそも俺が興味を持った可能性である少年も彼女を同じくらい、いいや、それより少し上の歳だ。 であればこのくらいの少女が一番警戒されない。 更に言えば今まではどうも容量をつかめず失敗してたのだが昨日やっとまともな作品を作ることに成功した。 試作品九号。 それが初めての成功作の名前だった。 まあ野性に返したのでその後は知らないが。 さて、二時間後 「こいつの名前は試作品十号。 感覚機能強化型フランケンシュタイン。 俺の悪意の結晶、俺の美意識の結晶。 さて、目覚めろ十号! 黄昏裂邪と戦う為に!」 手術そのものは早く終わった。 あとは大量の電流を流して彼女を起こすだけだ。 俺は発電装置のスイッチをオンにした。 少女の身体がガクガクと震える。 死んだはずの心臓が動き始める。 だが、いきなり少女の電極から火花が散る。 あれ? と首をかしげた瞬間、俺は蹴り飛ばされた。 頭がぐらぐらする、上手く動けない。 俺の前に少女が立っている。 どうやら起動には成功したらしい。 だが……、おかしい。 何故俺を蹴ることができた? ……そうか、起動時特有の暴走か。 「拝戸さん、物音がしましたけど……大丈夫ですか!?」 異変に気付いたみぃちゃんが作業部屋に入ってくる。 まずい、逃げろと叫ぼうとしたところでみぃちゃんが十号によって蹴り潰された。 成人女性の大きさを持つ物がぺしゃんこになってしまった。 「くそったれ……! 我ながらつまらないミスで死ぬのか!?」 「黄昏……、黄昏裂邪……。 貴方たちチガウ、チガウチガウチガウチガウ! アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ! ワタシ、タタカウ、黄昏!」 「完全に狂ってやがる…………。」 少女のフランケンシュタインが入れの方を向く。 窓から差す月明かりが少女を照らす。 服は着ていない、端整な顔立ち、何処かから吹く風にたなびく白い髪。 出来の良い日本人形のようだ。 でもそれにしてはグロテスクに片方の目がどろりと白く濁っていた。 猟奇的に、獲物を捕らえた食虫植物のように、少女は、嗤う。 艶美に、懶惰に、嫌らしく、淫らに、汚らしく、おぞましい。 だからこそなんとも言えず、子供とは思えない、まるで慣れた娼婦のようなむせかえるくらいの色気がある。 どうみても死んでいる。 どうみても死んではいるし狂ってもいる。 死んで花実が咲くものかと、宣った先人が居る。 見ろ、死んで花実は咲いたのだ。 彼女は死ぬことによって才能を開花させたのだ。 「$”#%!黄昏&#$&%#!”&#$!!!!!」 意味不明な事を叫び続ける少女。 最初の俺の命令しか受理できていないらしい。 ならばそれでも良い。 それもまた可能性だ。 人間だった頃のわずかな意識からシーツだけを纏った少女は、 みぃちゃんだった肉塊を踏みつけて何処かに走り去っていった。 ここから学校町まで走っても三日ほどかかるのだが……。 まあそこはつっこまないでおくことにした。 しばらく経てば理性も戻るだろう。 そうなってからの様子も観察したいしとにもかくにも今は放っておくしかない。 ああそれにしても頭のぐらぐらが治まらない。 このままだと俺も死にそうだなあと思っていると目の前の風景がゆっくり薄れていった。 【拝戸直の人殺し 第十一話「狂ってルナ」fin】
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【拝戸直の人殺し 第十三話「新しい力、新しい獲物」】 入院した晩。 俺の元にサンジェルマンがやってきた。 前に比べて更に肉体が強化されている。 また自らに改造手術を施したのだろうか? 「ようサンジェルマン、ゲンキしてた?」 「まあぼちぼちですね。そういえば貴方の作品の補修が完了しましたよ。」 「ああ、みぃちゃんのこと?」 「そうです、肉片が残っていたのでソレを元に人工的な肉体を作り、あとは魂魄を定着させれば……。」 「……あんたって科学者じゃなかったのか?」 「死人を蘇らせる研究に血道を上げて魔術にも手を出している科学者です。 そもそも錬金術とは過去に於いて科学として扱われた物です。 あなた方が勝手に魔術扱いしてるだけであれもまた理論だった体系に基づいた技術です。 手順を踏めば誰でも出来る。 貴方たち異常者の異能の方がよっぽど物理法則を無視してます。 そういえば最近新しい異常者が世界の何処かで観測されたみたいですね。 まあ組織に確保されたんで私は手出しできませんが。アークヤシイ」 「そうなのか?それは興味深いな。あとで詳しく聞かせろ。 それより……」 「ええ、それじゃ、あなたの怪我治して良いですか?」 「頼んだ、適当に薬一発で治るんだろ?現代医学馬鹿にしてるよな。」 「未来の医学ですから。」 サンジェルマンはそう言うと俺が骨折した箇所に注射を打ち込む。 痛みがあっという間に引いて腫れも治まってしまった。 本当にがっかりだ。 俺は何のために医学部に入ったのだろうか。 「ところで」 「なんだ?」 「貴方いつの間に死神の契約書なんて手に入れたんですか? 契約者が死んだせいで所在不明になっていてですね、探してたんですよ。 私の手元に残ってる数少ない“神”との契約書だから回収したかったのですが。 都市伝説にもランクがありましてね。 まあ私的に分類しているだけですけど。 “神話”や“伝説”あとは“伝承”そして普通の“都市伝説”みたいに。 ちなみに契約してしまえば契約者のスペック次第で幾らでも強さは変わるんであてにならない分類だったり。 神との契約書は精製にそれひとつで国が買えるレベルの手間と予算を……。」 「なんだよそれ。ああ、もしかしてあの髑髏仮面のこと?」 「そうそう、それですよ。何処に隠してるんですか? 気配だけはこの部屋の中に有るんですが……。」 「そこのバッグの中に突っ込んでおいた。」 「雑ッ!? 今の説明聞いてたら絶対やらないよねそれ!?」 「いやあ~、なんか始めて見た瞬間運命感じたよ。 あの都市伝説は。ウンメイノー」 「ウンメイノーで思い出しましたけどUSB型契約書ってのを最近作ってるんですよ。」 「何それ面白い。」 サンジェルマンはそのサンプルと思しきUSBメモリを取り出す。 「上田さんの現在契約なさってる都市伝説の方が協力的でしてね。 上田さんが倒したり捕縛した都市伝説を一部データ化して送ってくれているんですよ。 ネット発祥だけあってそこら辺のコンピュータ関係本当に詳しいんですよね彼女。」 「そのデータが入っているのがこれか?」 その真っ白なUSBメモリを手にとって眺め回す。 螺旋を象った芸術的なデザインだ。 「それはまだ空です。データは入ってませんね。 今手持ちでデータが入ってる物は……。」 ガサ その時突然俺のバッグが動き始める。 正確に言えばその中のマスクが動いているらしい。 「まずい、逃げられる!?」 「逃げるとかあるの?」 「高位の契約書はそれ自体が意志を持つかのように動く性質があるんです!」 「捕まえるか……。」 「捕まえたら貴方の持っているメモリに……。」 次の瞬間、バッグを裂いて中から髑髏の仮面が現れる。 その仮面は窓で待ち伏せしているサンジェルマンを無視して俺の方へ飛んできた。 「むっふん!?」 我ながら奇妙な声を上げて倒れてしまった。 仮面は顔にガッチリと食い込んで離れない。 「また勝手に契約者見つけやがったあの欠陥製品!?」 「待て、俺は契約するともなんともおああああァッー!」 一瞬だけ頭が焼けるように熱かったが、それはすぐに引いた。 俺の手元のメモリに視線を移すと、それにはDの文字がハッキリと刻み込まれていた。 「……今度の媒体はそれですか。」 「どういうことだよ?」 「死神の都市伝説は実体を持たないからこの世界に存在し続けるのに媒体が必要でしてね。 眼鏡だったりマスクだったりしてたんですけど……。 今回は新型契約書ですか。」 「ふぅん……、それで俺は契約できちゃったの?」 「ええ、貴方の容量では本来無理なんですけどね。 そこのUSBメモリに一部力を吸収される形になったのが良かったのか……。 新型契約書には都市伝説の力をセーブする効能もアリ、と。 面白いからこの技術はしばらくF-№で独占しておきますかね。」 「……もしかして俺を実験台にしたかったのか?」 「もちろん!」 非常に良い笑顔だ。 輝いている。 ん? 比喩じゃなくてサンジェルマンの後ろに光り輝く金色の玉が見える。 「おい、サンジェルマン。なんだよその金玉。」 「え、何処見てるんですか?」 「いや、病院でポロリしなくて良いから。そうじゃなくてお前の頭の後ろにある……。 今度は青いのが近づいてきてるな、壁の向こうからだ。 あ、ドアの前通り過ぎた。」 「もしかしてそれは魂じゃないですか?」 「魂?」 「異常者の中には契約する都市伝説によって異常を高めることに成功した例が報告されてます。 貴方の場合正にそれ、運命の都市伝説ってところでしょうか。 快楽殺人鬼と死神、殺さずにいられないと言う意味では似ていますしね。」 サンジェルマンはそういってにやりと笑う。 もしかしてこれも狙いだったのだろうか。 魂の位置が解るならば確かに便利だ。 俺の殺人鬼ライフもより一層豊かになるのかと思うとにやけが止まらない。 「サンジェルマン、新しい力を試したい。」 「良いですよ、存分になさってください。 丁度良い獲物を用意しておきましたからきっと楽しめますよ?」 「ほう、聞かせろ。」 「獲物の名前は鵺。都を騒がせたあの妖怪です。 きっと……、満足できると思います。 人間の姿は女ですがかまいませんね?」 「良いよ、みぃちゃんをちゃんと治しておいてね。」 「解りました。そういえば製作活動の時に鋏がないと不便かと思いますのでお貸ししましょうか?」 「ああ、頼む。巨大なだけの普通の鋏で良いから一つね。」 正体不明の化け物。 そんな物を殺してしまえるなら確かにそれは楽しそうだ。 まあ男を殺す方が好きなのだが差別は良くない。 どのみち本来の姿は化け物なのだし気にすることもないだろう。 私は次の芸術作成の構想に胸を高鳴らせていた。 【拝戸直の人殺し 第十三話「新しい力、新しい獲物」fin】
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【拝戸直の人殺し 第五話「口裂け女は夜長に怯える」】 夜も更けた田舎道。 一人寂しげに歩く女性。 彼女に名前はたぶんない。 彼女に名前はたぶんいらない。 今の彼女を見れば誰だって解るからだ。 間違いなく彼女が口裂け女だと解るからだ。 口は耳まで裂け、衣服は赤く染まり、大きな鋏を背負っている。 彼女に見つけられてしまえばもうお終いだ。 彼女は首をちょん切る為の鋏を持っている。 彼女に見つけられてしまえばもうお終いだ。 彼女の大きな鋏で口を切り裂かれる。 彼女に見つけられてしまえばもうお終いだ。 お終いだ。 「あの、すいません。」 今宵も彼女は哀れな犠牲者に問いかける。 「私、綺麗ですか?」 問いかけられた男性の意識は、彼が質問に答えた後に薄くなっていった。 彼が覚えていたのは首に走るチクっとした痛みだけだった。 「さて、今日の活動は終了だ。 後はこれを家に持って帰ってゆっくり解体するだけだよ。」 「拝戸君、もうやめましょうよ~!」 「なんだかんだ言って君も付いてきているじゃないか。」 注射器をくるくると手で回して革の袋にしまう男性と青が基調のラフな服装の女性の二人組。 男性の名前は拝戸直、女性の名前はみぃちゃん。 二人の関係は友達である。 さらに言えば拝戸直の片思いである。 拝戸直は殺人鬼、みぃちゃんは口裂け女、異常で普通な二人組。 「嫌だ嫌だというなら何故付いてくるんだ? それは口裂け女としての君が当たり前の行為として殺人を許容しているからに他ならないよ。 これが君の心から愛する普通だよ。」 「うぅー、それはそうですけど……! 都市伝説と契約者って一緒にいる物じゃないんですか?」 「まあそれが普通か、一緒に居たいなんてうれしいこと言ってくれるじゃないか。」 「自分の身が危ないと思っているだけで、貴方と一緒に居たいという訳じゃありません!」 「またまたー。可愛いこと言うね。」 拝戸が口裂け女のみぃちゃんに出会ってからすでに一週間になる。 みぃちゃんと会った時に拝戸がとどめを刺さなかった少女が「組織」に告げたらしく、 彼のところには何度か「組織」の黒服が来ていた。 しかしどれだけ口裂け女が大したことない普通の都市伝説でも、【殺し合い】をしている以上、本物の殺人鬼に勝てるわけもない。 番屋町に居る「組織」の面々は彼が目立つ犯罪を犯していないことなどを理由に 彼をしばらく放っておくことにしたらしい。 拝戸は哀れな被害者の男をロープでぐるぐる巻きにしてゴルフバッグに入れるとムーブの後部座席に積み込む。 これならば麻酔が切れて暴れ出しても逃げることはできない。 拝戸はこの哀れな男性被害者を活け作りにしようかソーセージにしようか悩んでいた。 彼の今回のテーマは【食】だそうで人の死体から感じるおぞましさに 鑑賞者の内側からわき起こる食欲は勝つのか負けるのかを試してみたいらしい。 誰に食べさせるかはまったく考えていない。 しばらく彼は悩みに悩んだ。 結局はお隣さんにお裾分けしやすいのでとりあえずソーセージにしようという結論に達したようだ。 ここら辺は割と適当である。 「さて、みぃちゃん、帰ろうか。」 「え、あ……はい。」 拝戸はまるで騎士がお姫様に対してするかのように車の助手席にエスコート使用とする。 みぃちゃんもなんだかんだ言って普通の女の子なので、 映画に出てくる俳優のような整った顔立ちの拝戸にこういうことをされると少しだけドキッとしてしまう。 しかし彼女の中の理性が拝戸を危険な人物だと判断してそんな気持ちを戒める。 彼女は拝戸のエスコートを無視して車に乗り込んだ。 「……別に車くらい一人で乗れますよ!」 「そういう問題じゃないんだけどなあ?」 拝戸は苦笑すると運転席に乗り込む。 どうやら彼の恋心は中々伝わらないらしい。無視されていると言うべきか。 いいや、やっぱり単に嫌われているだけである。 拝戸が犯行現場から離れようとアクセルを踏もうとした時だった。 ベチャ ベチャベチャベチャ 肉塊を引きずるような音が耳に入る。 彼が言うところの天才的な勘がそれを危険だと彼自身に知らせた。 「都市伝説か。みぃちゃん、少し待っていてくれ。」 拝戸は車のドアを開いて外に出る。 「え、でも都市伝説なら私が相手を……。」 「いいや、良い。女性を戦わせるのは男としての私の流儀に反する。」 「またそんな訳のわからないこと言って! なんだかんだで私が貴方を守らなくちゃいけないんですよ!」 「じゃあ聞くがみぃちゃんよ、女に戦わせる男が格好良いと思うか? 私は思わないね、ひどく情けない。 所詮はてけてけだろう?生きている以上、殺すことは可能だ。 可能ならば容易だ。」 まだ何か言おうとしているみぃちゃんを車の中に外からロックして閉じ込めると、 拝戸は懐から巨大な鋏――彼の新しい武器――を抜きはなってあたりを警戒し始めた。 遠くから、両腕だけで自らの体を引きずる都市伝説の姿が迫るのを彼は確認した。 最初の一撃はひどく単調だった。 てけてけという都市伝説の腕力を使って殴りかかる。 とても速い、でもそれだけの攻撃。 普通の人間ならばそれは当たれば間違いなく致命傷だ。 拝戸は様々な人間を殺してきた経験からそれが当たった際に自らの体がどうはじけ飛ぶか簡単に思い浮かべることができた。 だがそれだけの力を持つ攻撃の軌道は最初に言った通り単調になりがちなのだ。 殺気の方向、殺意の多寡、それらを敏感に感じ取り彼は攻撃を踊るように避ける。 てけてけは自らの攻撃が当たらなかったことに驚きながらも拝戸の方をすばやく振り返る。 「都市伝説か、都市伝説を解体して喜ぶ変態性癖は持ち合わせていない。 さっさと帰れ、俺はこれから人間を解体して喜ばねばならない。」 拝戸はとりあえず説得をこころみる。 だがこのてけてけに会話は通じないらしい。 拝戸はため息を吐くと鋏を構え直した。 てけてけは近くの木の上に飛び乗り真上から拝戸を攻撃しようとした。 拝戸はそれに気づくと自らも口裂け女の脚力で木を駆け上って真下から鋏で彼女の左目を軽くひっかく。 これは殺すためにではない。 彼女の視界を確実に奪うための攻撃だ。 その後すぐに鼻先をてけてけの腕がかすめた。 拝戸があと一歩でも踏み込んでいたら、 先ほどの攻撃を目を軽くひっかく程度にとどめていなければ、 彼は確実に大けがしていたのだろう。 しかし拝戸はてけてけの【殺せる間合い】を冷静に見極め終わっていた。 「まずは片目か、つぎは耳をそぎ落とそう。 目と同じ方向だ。 ついでに鼓膜をつぶせれば理想だよなあ。 その次は左腕。 私は君の右半身だけを無傷のままに左半身のみを徹底的に破壊して君を殺してみせる。 題名【1/2】なんて芸術作品はすばらしいね。文学的だ。」 彼の言葉を理解できているのかいないのか解らないがてけてけは怪物のような叫び声をあげて拝戸を威嚇する。 拝戸はそれを見ると互いの対話が本当に無理であることを改めて理解し、ため息を吐く。 「君は私の芸術など絶対に理解してくれないのだろうね。 芸術を理解する理性もない獣を相手にするというのはどうにも自慰のようで気が進まないな。 まあみぃちゃんに見せている分、羞恥プレイということにしておこうか? うん、それならば幾分か楽しくなってきた。」 そういいながらてけてけに向けてツカツカと歩み寄る拝戸。 足取りはゆったりとしてなおかつ美麗。 まるでモデルのように歩く。 巨大な鋏を肩にかけながらであることさえ除けばだが。 てけてけは彼がある程度まで近づくと一気に飛びかかる。 しかし、そこでまた彼はてけてけの前からふっと消えてしまった。 てけてけは怪訝そうに拝戸の方向を右目で眺めた。 「なんだ、不思議そうにしているじゃないか。今のは一瞬だけ君の死角に回り込んだだけだ。 それよりも君は自分の左手の心配をしたまえ。」 拝戸が鋏の先端に引っかけている物をてけてけはジッと見つめる。 暗くてよく見えないがそれは手首のような形をしていた。 ゴトン 次の瞬間、てけてけはバランスを失って倒れる。 「まあ心配と言っても、もう遅いかな?」 鋏の先端で切断したついでに引っかけておいた手首を拝戸はポイっと捨てる。 「次は肘の関節までをいただこうか。 その次は肩、その次は残っているかは知らないが腎臓の片方。 肋骨も一本一本順番に外していくから楽しみにしていてくれ。 主要な血管はすべて汚らしく切断して血が流れづらくしてやろう。 君の体の左側がむごたらしく有ればあるほど、君の右半身の美しさは輝く。 君は気づいていないのだろうが、君もなかなか良い体をしているしね。 ところでてけてけは下半身が無いから上半身との対比で無と有を表現していると私は思うんだよ。 だから私は君の体の上半身で荒廃と永遠を表現することで二重の対比を表現したいんだよね。 なかなか芸術的だろう? 文学的と言うよりは評論的な主題だがまぁそういうのも悪くはない。 違うか?」 いかにも楽しそうに問いかける拝戸。 てけてけはここに来てようやく相手が危険人物だと理解したらしい。 まだ逃げる体力が有ることを確認すると拝戸に背中を向けて一目散に逃げ出した。 だが、どうあがいても口裂け女の足から逃げられるわけがないのだ。 拝戸はてけてけの心臓に向けて後ろから鋏を投げつける。 それは狙い通りの場所に見事命中して、てけてけを地面に釘付けにした。 「ふむ、こうなってしまうと都市伝説も何もないな。 ただの哀れな小娘(ギセイシャ)だよ。」 「―――――タス―――ケテ?」 か細い声でてけてけがつぶやく。 命乞いとは可愛いらしい。 彼は地面に鋏をより深く突き刺すとてけてけの悲鳴に耳を傾ける。 てけてけのあごを手のひらで持ち上げて壊れてしまったてけてけの左目を見つめる。 見事に空洞だ。 「死ぬに及んで理性が復活したか?化け物が命乞いとは笑わせるが…… 良いだろう、こんな可愛らしい生物、殺すに忍びない。 お前は見逃してやる。」 てけてけの顔が希望に満ちる。 いい顔だ、そう思って拝戸はやさしくほほえむ。 彼は鋏に手を伸ばし、彼女を解放すると見せかけて、いきなり彼女の左目を指でえぐり出した。 てけてけはもう悲鳴すらあげられない。 さらに彼は左目が有った場所の空洞から指をぐいぐいと押し込み、脳をかき回す。 これでもはやてけてけは死んだだろう。 拝戸は口裂け女の能力で小さな鋏を取り出して頭蓋骨を内側から破壊する。 その勢いで脳漿が花火のごとく弾け飛び、宵の月の光を反射して輝いた。 そして彼は鋏で死体の口の左側だけを切断する。 「題名【1/2*2】、ここに完成だ。」 半分ずつが二つ。 そんなこの作品にはこれがふさわしい。 拝戸はてけてけが消滅し始めたのを確認すると車に戻った。 自らに返り血が一滴も付いてないことを確認すると、 先ほどからエチケット袋が手放せなくなっているみぃちゃんの背中をなでさすり始めた。 拒絶するように突き飛ばされてしまったが、 彼はまるで子供をあやす親のようにみぃちゃんの背中をまたなで始める。 みぃちゃんがある程度落ち着いたのを見計らって拝戸は車を発進させた。 拝戸直、彼は恋する殺人鬼。 【拝戸直の人殺し 第五話「口裂け女は夜長に怯える」fin】 前ページ連載 - 口裂け女と人殺し
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人殺しは愛する彼のために 頭痛がする。足取りも重い。 まさに最悪のコンディション。 そんな状態にある長門は学校に向かう。 ニートの遺体は体育館に残ったままである。 さらに、こんな殺し合いにおいて他人の支給品の回収は有利へと繋がる。 長門はそれを知っているだろうに、ニートの支給品の回収を忘れた。 思考能力の低下が原因、ニート殺害に体力を使い過ぎた。 これが、その結果……。 校舎へと歩くスピードもかなり遅かった。 まるで生きた屍であるゾンビのようだった。 ニートを殺害した際の血も付着しており、外から見れば完全に人殺し。 間違いではないが、本来の長門であるなら対策をうつであろう。 それなのに何も対処出来ず、ただウロウロする。 長門らしくないとしか、SOS団員は言えないだろう。 あれ程、冷静無口の彼女がこんな失態をするとは予想もならない。 血が付着した服は、血の臭いを放ち、獣を寄せ集める。 違和感の臭いは、人に不審感を与えてしまう。 デメリットしかないその服、長門が着替える事はない。 歩いて数分、校舎の中へと入れるその時だった。 長門は急に後ろへと振り返り、言葉を放った。 「隠れても、無駄」 思考能力が低下してるとはいえども、それは察知出来た。 まだ頭痛等は続いているが、長門が言ったその言葉を聞いて、 暗闇の奥から誰かが現れた。 長門よりも小さい、一つの影が。 暗闇に浮かぶ月夜をバックに、その者の姿は絵の様。 まさに、夜の魔王の様なイメージを植え付けるものだった。 小さな影から生える二つの翼、人間ではない。 「……よく気配を察知したじゃない。」 向こうから言葉が返ってくる。 同時に、月夜をバックにした姿が見える。 少し濃いぐらいのピンクのドレスに、青か青紫かの髪。 その小さな姿に生える二つの悪魔の翼。 紅魔館の主であり、カリスマ臭がプンプンする吸血鬼。 そこには、レミリア・スカーレットがいた。 「血の臭いは、誰をも引き付ける。アンタ、死にたいの?」 「……………」 レミリアの挑発じみた言葉を、長門は無言で返す。 もっともこれは事実であり、血のついた服のまま行動というのは自殺行為。 間違いではないレミリアの言葉、少しぐらい返答したっていいじゃないと、 内心、レミリアは呟く。そして、この夜の舞台で―――。 ―――ゲームは始まった。 「………排除」 小さく言った長門の言葉が全ての始まり。 レミリアにも聞こえない音量だった。 言葉を放つと同時に、長門は素早くレミリアの元へとダッシュした。 突然の行動だが、レミリアは気を乱さずにむしろ知ってる様な動きで、 長門が繰り出したキックを回避した。 その長門の無言での行動に、レミリアはイラッとした。 戦うなら宣戦布告ぐらいしろ。その手は嫌いだ。 「……いいわ。貴女がその気っていうなら」 レミリアの手に力が籠もる。 顔はニヤリと笑っている。 「月は紅くなんかない、けど………」 月夜に映る彼女は、まさに夜の魔王。 そして―――叫んだ。 「本気で殺してやる!!」 ◆◇ 時間というのは、本当に不思議なものだ。 楽しいっていう時間は、何故か少なく感じて、 早く終わって欲しいというウンザリな時間は長く感じる。 ……と、いうことは俺の人生はもの凄く長く感じれるものだってことだ。 トラブルメーカーであるハルヒが近くにいる時間分、人より長い人生。 アイツが近くにいない時である今、本当に時間は長く感じたさ。 突然の朝倉の登場に、鶴屋さんの死亡。頭がパニックになる。 フロイト先生も笑えない事態の今、俺はどうすればいいんだ? 主催者である朝倉の居場所は不明。他の奴の場所も不明。 ただ、殺し合いという非常に理解出来ないフィールドの中で動くだけの駒として、 無駄に長い時間を、無駄にして生き延びる事こそがやる事なのか? ここで正義ぶって朝倉を倒してやると叫んだところで、何も変化しない。 ああ、これも一つのハルヒが望んだ世界だっていうのか!?? まさか深夜にバトルロワイアルの番組とかあったんじゃないだろうな!? それとも何だ。偶然見つけたサイトの内容がそうだったのか!? それを見て、アイツはSOS団が華麗にバトルロワイアルから生還する事を見たのか? もしもそうだというなら、アイツはとんでもなく最悪な存在だ。 朝倉と同等レベルにな!俺は、本当にハルヒを恨んださ。 本当にバトルロワイアルをしたい願望を、アイツがもったならな。 そう、鶴屋さんが死ぬという場面を見せてまでそうしたいなら、だ。 ハルヒと鶴屋さんの仲は、悪くないというより結構気が合っていたと思える。 だからあり得ない。ハルヒはバトルロワイアルなど願っていなかった。 ………それが、何になるっていうんだ。そう思い込んだだけで解決はしない。 無駄に長いバトルロワイアルの中で、俺はどこまで生き延びれるか。 ハルヒがこの殺し合いをどう思おうが、SOS団の死亡は願ってない筈だ。 俺の死亡はわからないが、古泉や長門、朝比奈さんの死亡は衝撃を与える。 ああ、俺も同じさ。朝比奈さんは勿論の事、長門には死んで欲しくない。 どうでもいい奴だと思って対応してきた古泉も、死んでもらったら気分が悪い。 ハルヒがいないSOS団なんて、SOS団じゃない。SO団だ。 ……そう、俺達は死んではならない存在なんだ。 ―――だから、俺は決めた。SOS団の皆を探して守るんだと。 長門や古泉は大丈夫だと思えるが、ハルヒの性格は非常に厄介。 下手すれば相手は怒りに任せて殺害、なんて最悪なケースが見える。 朝比奈さんはもっと心配だ。この殺し合いという現実を受け入れる事が出来ないのでは。 俺が支えてあげなくては、朝比奈さんの身はあまりにも危険過ぎる。 (なんて、キツイ状況なんだ……クソッ!!) そう、これは無理過ぎる理想。 このフィールドの広さは分からないが、おそらくは相当の広さ。 この中から、常に移動しているSOS団の全員を探す? 無理だ。負けイベント戦のようなものじゃないか。 俺は一般人だ。超人的な移動力も、周りの気配を感知する能力も、 何一つ持っていない。それは、極々当然の存在だ。 だからこそ、人の無力さが感じれるってものだ。 故に、前にいる仲間すら助ける方法もわからない。 ただ声をかけるだけしか、無力な者には出来ない。 「長門っ!!」 自分が決めた事項は早くも前に現れた。 音がしてくる方へと向かえば、玄関口にて長門が血だらけの服を着てそこにいた。 大丈夫だと思っていたが、あの長門ですらここまでの存在がいるのか? 「助けるZO!」 当然、仲間のピンチは助ける。 修造さんと共に、俺達二人は長門の前へと出た。 そこで初めて、向こう側にいるであろう者の姿が見えた。 予想外の人間だった。長門と戦っていたのは妹と同じぐらいの女の子だった。 小学生ぐらいであろう子は、まことに残念な趣味の持ち主だった。 ハルヒが育てる子はこんな事になってしまうのか?とふと思ってしまった。 そんなのはいいとして、前の小さな子に対して、警戒を緩めてしまった。 「幾ら人間が集まろうが、偉大なる夜の支配者には敵わない!」 相手の素早い動きに、キョンと修造は捉える事も出来ずに攻撃を受けてしまった。 襲いかかった攻撃の威力は、その外見に合わない強力なものだった。 吹っ飛ばされた二人、残った獲物はただ一つ、長門だけ。 殺そうと、中へと入ろうとしたが……長門は既に攻撃態勢を整えており―――。 「ッ!!チッ……!」 レミリアの顔が少し歪んだ。 長門が放ったのは弓矢、当然、弓から発射したもの。 特に普通の弓矢ではあったが、命中した。 構わず第二撃がレミリアへと飛んで行く。 さすがにこのまま突撃するのは駄目かと踏んで、レミリアは闇へと消えた。 その場に残った長門は、レミリアが消えたと同時に愛する彼の元―――には向かわない。 先ずは邪魔者を片付ける、それから。 「排除」 長門の目に映る標的は、松岡修造。 かなりの近距離で、頭を狙う。 発射されればほぼ即死の場所だ。 「おい、ちょっと待て!」 弓の軌道は修造によって変えられる。 手で弓の撃つ方向を誰もいない方にして、修造はそう叫んだ。 それから、長門に向かって言葉を放った。 「お前、今何しようとした?そして、俺達は何をしようとした? 考えてみろよ!!嫉妬、悪口、恋愛、自分の事ばっか考えてんじゃないか!? そんなの全て洗い流しちまえよ!!」 五月蝿い、長門はそうとしか思わなかった。 愛する彼の事を思ってやった、だから自分と彼の事を思ってやった。 全て間違った事をいう前の男を、月は紅くはないけど………。 ―――本気で殺したい―――と思った。 「いいか!?主催者達は、そういう欲ばかりの考えでこんな事をしたんだ。 それに付き合わされた俺達は、あいつらを考え直してやらなくてはならないんだ! お米は美味しい!岩魚も、蜆も、蟹も、美味しいだろ!?でも人間は美味しい物を、 自分で独占せずに皆に分け与えてる!人間は協力し合って生きているんだ! 自然が一番、人工的な血は洗い流す!お前も、強い根っこをもって、倒しにいこう!!」 修造は、共に主催者を倒そうと言っている。 だが………長門がした行為は反逆だった。 長門の右足が動き、修造の身体へとヒットした。 「……お、おい!長門!」 愛しの彼が声をかけてくる。 でも今は仕方ない、こいつを殺さないと始まらない。 「お前、何俺の言ってる事、馬耳東風してんだぁぁ!??」 修造も、長門の捻くれた行動に少し怒りがこみ上がった。 構わず、長門は弓を持って修造の身体に向けて――――。 撃った。 「し、修造さん!!!」 キョンは、修造の元へと走った。 そして修造を庇う様にして長門の前へと立った。 修造の腹に、弓矢は命中。あまり深くは入らなかったみたいだった。 「やめろ!やめてくれ、長門!どうしちまったんだよ!?お前は、殺し合いなんかする程、馬鹿じゃないよな!? ああ、俺は知ってる。そんな馬鹿じゃない、むしろお前は天才さ!何もかも知ってる様な奴だ。 そんなお前が、殺し合いに乗ってしまう様な奴じゃないのは知ってるんだ!だから、やめろよ!!!」 キョンは、叫んだ。 ただやめて欲しいばかりに、感情が出た。 その場は、沈黙と化した。 長門は元から無言、会話相手にはならないのは知っている。 ………だが、長門はしっかり弓を地面へと向けてくれた。 それは、分かってくれたという証拠。 「長門………」 良かった、本当に良かったとばかりにキョンは言葉を漏らす。 一息ついてから―――パンッと弓が放たれる音がした。 瞬時に、激痛がキョンに襲いかかって―――。 キョンの身体は地へと倒れてしまった。 (長門………お前………) 何故、長門は攻撃してきたのか? 冷静に考えれば早い話だったのかもしれない。 SOS団が殺し合いに乗る筈が無いという甘い考えを捨てれば……。 長門が実は、殺し合いに乗っているという事も考えれた筈だった。 キョンの甘すぎた考えは、激痛となって襲った。 長門は殺し合いに乗っていた、その事実に悲しみながら、 キョンの意識は飛んだ。 「……………」 長門は無言のまま、意識を失っている彼を見る。 撃ち所は、死なない様に心臓や頭じゃない場所に撃った。 それ故に彼は生きている。大丈夫だ、問題ない。 長門がキョンを撃ったのは、彼と二人になる為という欲。 ただそれだけの理由で、長門が狙った標的は再び修造。 今度は邪魔が入らない、確実に殺害が可能。 やっと殺せる、やっと………。 そう、ここに誰も来なければ出来たのに! 長門の願いが叶う時はただひたすらに遠かった。 「まさか、あれだけの攻撃でこの私が退くとでも思ったのか?」 再戦、そこにいたのは、紅き悪魔――レミリア・スカーレット。 そしてもう一人、同じぐらいの背の生徒がいた。 別の高校の生徒なのは制服を見て一目瞭然。 一緒にいる所を見て、確実に仲間。 だが、どうであろうと彼以外、前に出る奴は敵。 殺害対象の一つでしかなかった。 「アンタも運が悪かったわねぇ。私と戦った、その時点で勝敗は決まっているのよ」 ただ、レミリアの喋る声がそこに聞こえる。 「―――アンタには、私が倒せない」 運命、必ずそうなる。 打開の難しいとされる運命。 その操作の能力は、勿論の様に制限。 ……だが、元よりレミリアの身体能力はかなりのもの。 それに吸血鬼のプライドは高く、絶対。 「人殺しなんてさせません!!風子が守ります!!」 風子は、完全にレミリアも同じ気持ちであると思っている。 ただ利用されてるだけとも知らずに………。 でも本当に人殺しである長門、その言葉に誤りはない。 素直な気持ちの通りに、風子は動くだけである。 「……………」 相変わらず無言のまま、長門が動く。 勝負が始まった頃に、少女の悲鳴が聞こえてくる。 ……いや、悲鳴というより大きな泣き声。 レミリア達からすれば前、長門からすれば後ろから現れた存在。 構わず、長門はレミリア達を攻撃しにかかる。 「ひっ……!!」 その少女、小さく悲鳴をあげて声も出せず動けず。 ふと後ろを見れば、金髪の子がいて………。 暗闇の奥に見えるあの白いのは………。 「嫌ぁぁぁぁぁ!!!おにぃぃちゃぁぁぁん」 怖い、それだけの気持ちで前へと走る。 二人共同じ気持ちで、前へと逃走する。 そこの人混みに助けを求める余裕もなく逃走する。 レミリアと長門も、それに目をやる暇などない。 故に、悲鳴をあげた少女が見た何かを警戒する事などなかった。 ―――みーつけた。 ◆◇ その頃、ビジネスマン風スーツを着た男はゆっくり学校の中を歩いていた。 目的は愛するゆきぽ姫の発見。早くしないとという焦りの中での探索だ。 彼、ビオランテは無意識な探索の中、屋上の階段を上っていた。 この時に、屋上から下へ降りていった男は助けられて放心状態にあった。 知る訳も無く、ビオランテは屋上の扉を開いた。 「ッ!し、死体ぃ……?!」 前にあったのは、既に死亡した人間だった。 心臓部分へと刺されたその死体は見る事も痛い。 一気に不安が増した、ゆきぽ姫が無事なのか? 焦りに焦って、ビオランテは屋上から離れた。 もう大体、この校舎は見た筈………。 (………あっち、行ってみようかな) もう怖くて仕方ないこの暗い学校。 あっちにある校舎はボロボロだった。 近寄りたくもない、そんな場所。 ゆきぽ姫の為ならいける。 ………でも、やっぱり。 (あぁ、怖い……あんな所に行かないといけないなんて………。 しかも人の死体見ちゃうなんて………あぁ、最悪………) ヘタれた。 【E-4 - 学校3階】 【いかりやビオランテ@ガチムチパンツレスリング】 【状態】健康 ヘタレ 【服装】ビジネスマン風スーツ 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:ゆきぽを探す。 1、こんな事になるなんて……あぁ最悪……。 2、死体見ちゃうなんて……あぁ最悪……。 ※アニメ知識は健在してるようです。 ◆◇ 「ッ!?」 「なっ、何……!?」 「え、えっ!?」 3人が3人、困惑した。 後、フフフと笑う声。 あまりにもそれは突然過ぎた。 長門の攻撃を受け止め、間合いを取っていた。 だが次の瞬間、衝撃の事態が発生した。 長門の腹から、何かの刃物が生えたのだ。 その生えた何かは抜かれ、そして大量の血がそこから噴出する。 大量の血は地面へと、そして刺された本人も地面へと落ちる。 長門の倒れた身体の周りには、血溜まりが出来ていた。 長門の背後に現れた何かは、レミリアよりも小さな女の子。 可憐な姿に似合わない包丁と、黒のない目。 どこを見ても異様な光景に、レミリアと風子は言葉も出ない。 「……これで、二人目っと」 そして、次はお前だ。と合図する様な目線をこちらへと向ける。 妙な人間に、レミリアは相手をしてやろうと気になって風子の前に出る。 長門の周りに倒れるキョンと修造は気絶していて、その子も気にしてないみたいだった。 故に今の標的は一つ、紅き月、レミリア・スカーレット。 「風子、貴女は外へ出ておきなさい」 レミリアの言葉に、そのまま風子は従った。 走って出て行った風子を、包丁少女は見る事しか出来なかった。 次に殺す相手は決めたから、あれは見逃すしかない。 噂にされた包丁さんのやり方はそうなっていた。 「……さて、勝負を邪魔してくれた代金、血で払ってもらおうじゃない」 スッキリしない勝利に、レミリアは不機嫌だった。 紅い月もない、けど本気で殺してやりたい気分。 そんな吸血鬼の思考などお構い無しに包丁さんは動く。 突撃してくる包丁さんに向けて、レミリアは本気の一撃をぶつける。 「 神槍「スピア・ザ・グングニル」 」 そう宣言すると、槍の様な何かがレミリアの手にうまれる。 紅い槍の様な何かは、その後――一直線に包丁さんへと飛んだ。 槍の一撃は、包丁さんの胸を貫いて遥か遠くへとぶっ飛んだ。 気分爽快……とはいかないが、取りあえずスッキリはした。 近くの地面に倒れる3人の身体、人間共の無様な姿。 レミリアは、それを見てから外にいるであろう風子の元へと向かった。 ◆◇ ………レミリアがいなくなって、動く手。 ………震える、その手は―――。 ………ぼやける、その視界には―――。 ………愛しい、彼―――。 ………何かに、触れた。 ………とても、温かい―――。 それが、彼だったかは彼女には分からない。 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡確認】 【E-5 - 学校一階廊下】 【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】 【状態】健康 腹に弓矢直撃 気絶 【服装】北高制服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:SOS団を探し、誰一人として死なせない 0、……………。 1、主催者対抗の為の仲間探し。 2、MTって一体なんだ? 3、長門……何でだ……。 4、SOS団が殺し合いなんかする訳ない。 ※MTの暗号を見ました。解読は出来てません。 【E-5 - 学校一階廊下】 【松岡修造@現実-派生】 【状態】腹に弓矢直撃 気絶 【服装】半袖の服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:主催者に対し怒り、殺し合いは絶対しない。 0、……………。 1、主催者対抗の為の仲間探し。 2、MTについてはわからないが、絶対いつか読み取れる! 3、何で馬耳東風するんだ……! ※MTの暗号を見ました。解読は出来てません。 ※長門の遺体の傍にデイパックと弓セット@Mine craft があります。 ◆◇ 「あ、良かった……もし死んでたらって、風子ずっと不安でした!!」 レミリアが玄関口から出ると、風子の声がした。 不安だった、部下としてそう思うのは当然だろう。 だが、従者としてまだまだ。咲夜は、絶対の忠誠を誓っている。 咲夜とレミリアは互いに似た様なものだ。 信頼するからこそ、絶対に相手は死なないのは分かっている。 運命を操作せずとも分かるぐらい、二人は信頼が厚い。 そんな咲夜が今、どうなってるか何て分からない。 だが心配の必要は無い。咲夜は必ずまた前に現れるから。 分かりきった運命でも、久々に会えたら嬉しいんだろうか。 ……そう、増えた人間が望む様な。 「………」 「………」 ずっと黙ったままの二人がそこにいる。 チラッと横目で確認した。逃走していた二人だ。 レミリアの威圧感に二人はまた恐怖を感じているところ。 特に青っぽい服を着た子の方は涙を浮かべて、ビクビクしている。 もう一つの金髪の方は、何処かで見た気もするし、フランに似てなくもない。 もっとも、羽根で妖精だというのは分かりきったことだが。 「大丈夫です!レミリアさんは、とーっても良いお姉ちゃんの様な人! 風子が信頼するんです!絶対に大丈夫です!怖くなんかないです!!」 風子がそういって、レミリアを説明した。 内心、守る気は全然なかったりするが………。 だが、風子視点だと守ってくれてる様に見えるのだろう。 さらにその言葉を聞いて、少し安心したのか緊張の糸は解けたようだった。 包丁少女をぶっ飛ばしてる間に、風子と話をしていたからだろう。 少し安心したから、向こうから声をかけてきた。 「も、持田由香…です。お兄ちゃん……探して、ます……」 「私はサニーミルク!……なーんか、見た事ある気がする」 「同じ事を思ってたわ。ねえ、アンタ一回ウチ(紅魔館)に入ってないかしら?」 「あ、アンタじゃなくてサニー!それに、ウチってどこ?」 「紅魔館」 即答である。 紅魔館と聞いて、サニーはハッとした。 そして、三月精一の頭脳系として頭を働かせた。 (もし、これが正しかったら今、前にいるのって………。 あの時の館のお嬢様!?も、もしそうだったら……ダメだわ!! ここは、嘘で誤魔化すしかない!!) 「し、知りませんねぇ………」 「ふーん……気のせいか」 「そ、そうみたいですね」 急に敬う様な口調に変化したのを見て、レミリアは嘘だと見抜いていた。 ……だが、妖精相手に吸血鬼が本気というのもどうか………。 あの天狗が目撃すれば間違い無く新聞のネタにされるだろう。 だから、レミリアはそのままやり過ごした。 ……でもやり過ごせない事もある。 「あ、あの……その傷……」 由香が指さした所は、先程の矢の攻撃を受けた場所。 ずっと痛みがして仕方が無い場所だ。 心臓には命中していないも、ギリギリだった。 おかげで、先程の攻撃の際に中々の痛みが襲ってきた。 ……でも吸血鬼がこのぐらいの傷で弱音を吐くのは許されない。 「全然大丈夫よ」 レミリアの言葉を聞いて、少し安心する由香。 少し、だから心配なのは抜けない。 まるで皆のお姉ちゃんみたいな存在のレミリア。 この場に集まった全員がロリというこの現象。 まったく、運命は不思議なものである。 「さ、寄り道は済んだ事だし少し急いで紅魔館に行くわよ」 再び、紅魔館への歩みは再開された。 パーティメンツは4人、まるでRPGである。 【D-6 - 学校 門前】 【レミリア・スカーレット@東方project】 【状態】右胸付近に矢の傷 疲労(小) 【服装】レミリアのドレス 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:主催者達と外界の人間共を下す。 1、風子達は利用するだけ。 2、外界の者は変人ばかりね。 3、紅魔館へ行き、皆に自分の凄さを見せつける。 ※吾作の姿は確認しましたが、名前は知りません。 ※由香達と名前の交換はしました。 【D-6 - 学校 門前】 【伊吹風子@CLANNAD AFTER STORY】 【状態】健康 【服装】制服@CLANNAD 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:???(殺し合いには乗っていない) 1、レミリアさんと行動します。 2、あの男の人、最悪です! ※吾作の姿は確認しましたが、名前は知りません。 ※由香達と名前の交換はしました。 【D-6 - 学校 門前】 【持田由香@コープスパーティーBCRF】 【状態】健康 恐怖(少し落ち着いた) 疲労(小) 【服装】如月学園中等部制服 【装備】なし 【道具】基本支給品 サニーミルク@東方project 【思考】基本思考:お兄ちゃんを探す。(殺し合いだと気付いていない) 1、早くお兄ちゃんを探さなきゃ………! 2、逃げれて良かった………。 3、レミリアさんに着いて行く。 ※万能包丁さんの姿を確認しました。名前は知りません。 ※直美の悲鳴が聞こえたかはわかりません。 ※殺し合いをしていると気付いていません。 ※風子達と名前の交換はしました。 【由香の傍】 【サニーミルク@東方project】 【状態】健康 恐怖(落ち着いた) 疲労(小) 【思考】基本思考:由香のお兄ちゃんの哲史を探す手伝いをする。 1、由香を助ける。 2、自分を閉じ込めたのは一体……? 3、こんな時にスターがいたらなぁ……。 4、もしかして:紅魔館のお嬢様 ※万能包丁さんの姿を確認しました。名前は知りません。 ※直美の悲鳴が聞こえたかはわかりません。 ※殺し合いをしていると気付いていません。 【学校の廊下】 【万能包丁さん@包丁さんのうわさ】 【状態】??? 気絶 【思考】基本思考:???(とりあえず殺害に動かされている?) 0、……………。 1、これで二人………。 sm048 ハーレムエンドになる為には 投下順 sm050 暗闇の山道の中で sm014 松岡修造の学校冒険隊 キョン sm000 [[]] sm014 松岡修造の学校冒険隊 松岡修造 sm000 [[]] sm028 てってってー でもSYUUUU ZO! 長門有希 死亡 sm028 てってってー でもSYUUUU ZO! いかりやビオランテ sm000 [[]] sm020 歪みねぇ蟹になりたい レミリア・スカーレット sm000 [[]] sm020 歪みねぇ蟹になりたい 伊吹風子 sm000 [[]] sm021 Escape 持田由香 sm000 [[]] sm021 Escape 万能包丁さん sm000 [[]]
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【拝戸直の人殺し 第七話「アワセ鏡」】 「知っているか拝戸?この世の中には常識の外の存在が居るんだぜ。」 「だからなんだって言うんですか?」 「この大学の四階と五階の間の中四階。 そこに置いてある合わせ鏡って片方が割れているだろ?」 「ああー、そういえばそうですね。」 「あれは“会わせ”鏡と言ってな、真夜中にあの鏡の前に立つと会えるらしいぜ。」 「何にです?」 「そりゃあお前……。」 大学で俺を指導している教授。 彼は怪談が好きだった。 「――――――“常識の外の存在”だよ。 今度、見に行ってみてくれないか?」 俺にささやく彼の目は笑っていなかった。 「……という訳なんだよ、みぃちゃん。 厄介なこと頼まれちゃったなあ。」 「へぇー、そうなんですかー。」 「なんだなんだ?興味なさそうじゃないか。」 「だってそんな変なことに興味沸かないよ、普通。」 教授とお化け談義をしてから数時間後、俺は家に帰ってきていた。 最近、みぃちゃんは近所で拾ったとかいう亀の世話に夢中である。 動物好きだと言っていたがそれはどうやら本当らしい。 「それよりもその亀の世話が大事らしい。 俺はコーヒー飲む時に妙なにおいがして嫌なんだケドネ。」 「むぅ、可愛いのにぃ……。」 亀はこちらを見て口を大きく開く。 亀のくせに喧嘩でも売っているのだろうか? まったくもって腹の立つ奴だ。 「良いよ、じゃあ俺一人で行く。」 「はいはい、どーぞそうしてください。私は亀吉と遊んでいるモン。」 いつの間にか名前までつけていたのか。 女性の趣味というのはわからないものである。 俺はため息を吐くと自分の部屋に戻り大学の授業の復習を始めることにした。 勉強のさなか、ふとあの亀の顔が思い浮かぶ。 家に帰ってくるといつの間にかみぃちゃんが水槽の中で世話していたのだ。 確かに考えてみれば亀なら嫌われるも何もない。 彼女も中々良いペットを見つけた物だ、と最初は感心した。 しかしいつの間にか亀との日常を語るブログを作ったり、 そのブログが妙に人気が出てきてしまったり、 そのブログでいつの間にか俺のことまでネタにされたりしたのは少々ストレスだったりして、 俺は亀に対して少々嫌悪感を持ち始めていた。 まあ亀一匹にピリピリするのもかっこうわるいか。 と、独り言を言って自分を慰めてみたり。 しかしまずは明日の実験の準備である。 これをきっちりやらないと単位が取れないのだ。 留年などしてしまえば父に何を言われるかわかったものではない。 親が怖いなんて笑われてしまいそうではあるが 殺人鬼でも人の子、ということでどうか一つお願いしたい。 さて翌日。 夜遅くまで実験を続けていた俺は当然帰りが遅くなってしまった。 不運にも、俺たちの実験を指導していた教授に捕獲される。 「拝戸ぉ、実験の後片付け手伝ってくれよ。単位あげるからさぁ~。」 「またっすか教授?」 「だってお前時々授業さぼるじゃねえか、それとおあいこっつーことで。」 「うぅ……。」 「まあサボっている間に何やってるかは俺知らないけどさぁ、 あんまり妙な物ひっつけてくるなよ? “臭い”んだよねぇ。」 「臭いってなんですか臭いって。」 「いやぁ、君から“屍臭”するんだよねぇ~、なんでかな?」 「はっ、そんな馬鹿な。」 笑みを顔に貼り付けて誤魔化す。 まあそんなごまかしが通じる相手なのかは別だが。 「ところで実験の後片付けが終わったらちょうど良い時刻だ。 俺の代わりに見に行ってくれよ。会わせ鏡。」 それが狙いか。 「なぁに“君”なら、死にはしないだろうさ。」 まるで死神のように彼は笑った。 俺は実験室を出て夜の大学の廊下を歩き始めた。 教授の言う会わせ鏡とやらを見に行くことになってしまったのである。 教授について少し話しておく必要があるかもしれない。 彼はとある有名な寺の跡取りで、平日は医大で教授をやっているが休日は自分の家でお経を読んでいる。 外科医としての腕前は相当だそうでわざわざ県外からやってくる患者も居るとか。 だがそんな教授にも変わったところがある。 “見える”そうなのである。 俺が彼と初めて会った時に彼が教えてくれたのだ。 その上で、彼は俺に大量の霊がついていると言った。 見えているならそれがなんで俺、拝戸直についているか解るだろうに。 トン 「あ、すいません。」 通りすがりの人が俺にぶつかった。不覚にもまったく気づかなかった。 真夜中とはいえ大学の医学部である。 まあ人が通っていてもおかしくはない。 「いえいえ。」 振り返って俺とぶつかった人の後ろ姿を見る。 その姿を見た俺は驚きを隠せなかった。 俺はキョロキョロと辺りを見回す。 腕の時計を見ると午前0時。 こんな時間まで大学に居るなんて俺はなんて不幸な大学生なのだろう。 だが今の問題はそれじゃあない。 さっきぶつかった人の後ろ姿。 それは間違いなく俺だった。 「――――――“常識の外の存在”だよ。」 教授の言葉が頭の中で反響する。 あれが、“それ”なのか? 「会わせ鏡が会わせてくれるのは悪魔なんかじゃない。 鏡が映すのは“あくま”で“人間”。 それでも理を外れた人間は悪魔と呼ばれるのだから…… 君が会ったのはもしかしたら悪魔なのかもしれない。 君が、悪魔なのかな?」 後ろから教授の声が響く。 彼は俺の肩に手を置いた。 「教授、一体此処はどこなんだ?あんたは一体何処に俺を連れてきた?」 「――――――――鏡の中の世界かなぁ?」 惚けた顔で笑う教授。 何かがおかしい。 何かがおかしい何かがおかしい。 オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ 時計を見る。 文字盤が逆さまだ。 シャツが右前になっている。 これじゃあまるで死人じゃないか。 俺は一体何者なんだ? 信じられない信じたくない。 これじゃあまるで俺は……………… ―――――――――――――――鏡像みたいじゃないか。 俺は脇目もふらずかけだした。 「おいおい、逃げるなよ」 後ろから笑い声が残響反響し続ける。 もうどれほど走ったのだろう? 流石に落ち着いてきたので辺りを見回す。 壁に掛けられた時計は至ってまともだ。 おかしくなっているのは俺なのか? それともこの世界なのか? 窓ガラスを覗き込むと、俺の顔が映っている。 そうだ、窓ガラスを開けよう。 開けて外に出れば何とかなるはずだ。 真夜中にもう一度あの鏡を覗けば元の世界に戻れるはずだ。 戻ったらまずはあのふざけた教授をぶっ殺して…… いや、その前に俺を殺さなくちゃ、俺は二人も要らない。 「あぁ~、やっぱり其処にいたか。」 俺が立っている。 真後ろ?隣? 俺の近くに俺が居る。 声はするのに窓ガラスには映っていない。 そうだ、あの俺は偽物だったんだ。 だから鏡には映らない、そうだ間違いない、そうに決まっている。 ガチャッ!ガチャガチャッ! 窓ガラスは開かない。 留め具は開けているというのに。 「ほほぅ、ここから出られないのは本当らしいな。」 俺の声だけが響いてくる。 どこだ? 何処に居る? 「私の居場所がわからないのか?そりゃあそうだ、今の私は窓ガラスには映らない。 じゃあ後は簡単だ。 殺人(ゲイジュツ)の時間を始めよう。 お前みたいな贋作は徹底的に作り直さなくちゃならない。」 首筋に刃物が当てられる。 どうやら鋏らしい。 こんな巨大な鋏、どうやって出したのだ? チョキン 恐ろしく軽い音が鳴ったかと思うと俺の首は宙に舞って、自らの胴体を眺めていた。 「教授、終わりましたよ。まだ息はありますけど……そこは趣味の範囲というか。」 「ご苦労拝戸君!君がそいつと遊んでくれた間に鏡のお祓いは終わったよ。」 「それで、単位は本当にくれるんでしょうね?」 どれほど時間がたったのだろう、教授が向こうから歩いてきた。 すると再び辺りに声が響き、俺とそっくりな誰かが天井から降りてくる。 さっきまで天井に張り付いていたのか? 教授が俺を見て哀れむように呟く。 「ねえ君、君の持っている記憶は本当に君の記憶なのかな?」 え? 「もっと正確に言おうか、君は拝戸君じゃあないんだ。 君は拝戸君の記憶を持った会わせ鏡の住人なんだよ。」 じゃあ俺は一体何者なんだ? 「君が何者かは私も知らない。 あの鏡に捕まった地縛霊なのかもしれないし、 拝戸君の言うような都市伝説なのかもしれない。 でも君はもう何者であっても良いんだ。 それが輪廻を巡るということだよ。」 俺は、自らの身体がすぅっと薄くなっていくことに気づいてしまった。 そうか、なんでこんな簡単なことに俺は気づかなかったのだろうか? 「消えましたね。」 「消えたな。」 「教授、あいつは一体なんだったんですか?」 「うん?知らない。とりあえず普通の人々が巻き込まれたら危ないだろう?」 「いやそうですけど、危ないなら教え子巻き込まないでください……。」 “私”こと拝戸直はやれやれとため息を吐く。 俺そっくりの誰かさんの死体は光の粒になって消えていってしまった。 「とりあえずあのお化けみたいな奴はね。 化けた人間に成り代わろうとして本体を殺すのさ。 会わせ鏡に映ったった人間の記憶をコピーしてからね。 殺された人間の霊はそのまま鏡に閉じ込められる。 そしてあのお化けは会わせ鏡の犠牲者に成り代わって生き続けるんだ。」 「成る程ねえ。」 怖い怖い。ここまで詳しいとまるで教授が何か関わっているみたいじゃないか。 「それじゃあ俺は帰りますよ?」 「ああ、暗い夜道には気をつけなよ?この番屋町には“常識の外の生き物”が多い。」 あの霊については聞いても良いかもしれないが あの霊についてこんなに詳しいのかは聞かない方が良いのだろう。 俺の屍臭とやらについても俺が天井を平気で歩けることについても彼は聞いてこないのだから。 聞いてしまえばきっとお互いに相手を殺さなくちゃいけないのだろう。 【拝戸直の人殺し 第七話「アワセ鏡」fin】 * 前ページ連載 - 口裂け女と人殺し
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【拝戸直の人殺し 第九話 ~女学生~】 こんにちわ。 拝戸純です。 花も恥じらう17歳とは誰であろうこの私の私のことなんです。 私は普段から母と家で二人暮らしです。 女性だけで暮らすのもこの町だと物騒なように見えるのですが意外とそうでもありません。 私は一応都市伝説の力を使えるので並の犯罪者であれば簡単に倒せてしまうのです。 歌って踊れて戦える上に家事も完璧と、まさにパーフェクトヒロイン。 ……本題に戻りましょうか、そもそも私の私の都市伝説との出会いは少し昔のお話になります。 そう、思えばそれは中学生の時でした。 私は私は生まれつき他人に存在を気付かれづらい体質でして、 その時の私は私は自分をモブキャラAとしか見てくれない世の中の人々に怒りと憎しみと絶望を抱く厨二病真っ盛りでした。 特に意味も無く私は学校で隣の席の人間を憎いと思いました。 隣の席で趣味も合うと、どう考えてもとても仲良くなれそうな相手でした。 でも彼女は私のことを只の隣の席のクラスメイトAとしか見ません。 普通の友人A、私は万人にとっての少女Aでした。 私の私の隣に座る彼女もそうなのかと思うとむかっ腹が立ってしょうがない。 憎い、憎い、憎い、でもそんな感情を抱いたところで私は何も出来ません。 私の存在はほとんど気付かれないんですから。 そんな事を考えた次の日のことでした。 私の隣に居た彼女は交通事故で死にました。 胸がスカっとしました。 クラスのみんなは泣いていたので私も泣いていました。 友人代表として私がお別れの挨拶を述べることになりました。 皆の視線が私に集まって、すごく気持ちよかったです。 もっと人が死なないかなあ? そうしたら私を皆が見てくれる。 私は私は目立つ為の才能なんて何一つ持っていないけれど他人を犠牲にすれば偶然こんな機会も巡ってくる。 それはきっとすごく素敵なことです。 そんなことを考えていると、ある日服の袖から釘が出るようになったのです。 この釘は都市伝説を知らない人には見えません。 そして撃ち込まれた人はどんどん不幸になって、死んでしまいます。 私は私はいつの間にやら【丑の刻参り】と契約していました。 ピンポーン ベルが鳴ります。 今宵はお月様がとっても綺麗。 きっとこんな夜だから悪い人が訪ねてきたに違いないわ。 「はぁい!」 私がドアを開けると警察官みたいな服を着た人が立っていました。 「お嬢ちゃん、ここらへんで強盗事件が起きたんだけど犯人の顔を見て……」 「貴方は貴方は一体何を隠しているのかな?」 「へ?」 警察官の人に丑の刻参りの釘をありったけ腹に投げつけます。 ポカンとした顔で警察官の人は吹き飛んでしまいました。 直接死ぬことは無いので多分大丈夫でしょう。 私は物を隠すのが得意です。 だから他人が物を隠していることも他人が何を隠しているのかも解ります。 多分、さっきの人は警官じゃないです。 警官に見せかけて無害な市民を傷つける悪い奴です。 そうだ、お兄ちゃんに言いつけてやろう。 私の私のお兄ちゃんは探偵で、私利私欲の為に町の人々を守ったりしてます。 基本的に自分勝手で独善的で俺様タイプの人ですが言葉遣いだけは丁寧だったりします。 お兄ちゃんが言うにはこういうのをインギンブレイと言うそうです。 「ちょ、ちょっと待て!警察官にいきなり何を……!」 「だからだから私に私に隠し事するのは良くないんじゃないかな?」 家の前にまだ転がっている偽物の警察官に遠慮無く釘を投げつけます。 まあ丁度暇していたし食後の運動には丁度良いに違いありません。 「ちくしょう!」 偽警察官がナイフで私に斬りつけてきますが……、 どうやらこの人も私の存在に気付けていないようです。 あらぬ方向にナイフを繰り出して、まるでクルクルと踊っているようです。 これなら都市伝説を使わなくても戦えそうです。 「貴方も貴方も私のことが見えないのかな? じゃあ、少しだけ“姿を見せて”あげるね。」 生まれつき人から存在を認識されづらくなる私の異常、“囚納”。 自分を含めて全ての存在を囚えて納めて仕舞って了う、異常。 それを少しだけ制御して私の存在を見せてあげるとしよう。 偽警官の人は私の居る場所にやっと気付いた。 顔がみるみるうちに青くなっていく。 目を背けられた。 ああ、逃げられちゃった。 多分私と私と会った記憶も、みんなと同じようにあの人はしまっちゃうんだろうな。 あーやだやだ、つまらない。 そう、お兄ちゃんの話を続けないと。 「他の人に失礼な態度とって良いの?」 「失礼じゃない、礼を用いる必要がないんだ。」 私は私はお兄ちゃんに聞きました。 お兄ちゃんの中ではお兄ちゃんが一番偉いのだそうです。 自分の観測する世界において存在を証明できるのは視点人物である自分だけである。 なんてことを口先では言っていますがそんなの他人の権利を考えるのが面倒だから理屈をこねてるだけなのです。 私には解ります。 お兄ちゃんは口先だけの人間です。 でもお兄ちゃんの口先は無限の価値を生み出すことも知っています。 そしてそしてお兄ちゃんの口先は私には通じません。 でもでも普通の人々はおにいちゃんがちょっと嘘を吐くだけでそれを信じ込みます。 お兄ちゃんと会話している内に意志が自分の物かお兄ちゃんの物か解らなくなるそうです。 だからお兄ちゃんはいつも心から人と話せません。 お兄ちゃんは優しいので他人の意志を浸食するのを嫌がるのです。 かわいそうなお兄ちゃん。 でもでも私は私だけはお兄ちゃんの孤独を解ってあげられるからね? 私や友美さんだけはお兄ちゃんに浸食されずに一緒に居てあげられるからね? そう、私は私は彼にとってたった一人の大切な人。 かけがえのない人。 ただの友達である友美さんとはそこが少しだけ違う。 お兄ちゃんと“ただの友達”になれる友美さんの方がすごいけどね。 お兄ちゃんが居るだけで私の私の孤独は癒える。 そう、昔私が私が悩んだ孤独はとても下らない問題だったんです。 でも困ったことにお兄ちゃんはまだウジウジ悩んでいる。 半端に……じゃないや、完全に普通の人間の思考が解るから悩んじゃうんだよね。 まったく、ゴミみたいな一般人に悩まされるなんて本当にお兄ちゃんの異常は繊細。 自分の異常を制御出来ない私が言うのもアレだけどもっと自分に素直になれば良いのに。 変に悪ぶったり変に善人になったり本当に本当に気持ち悪い。 もっと自分が化け物だという自覚を持って貰わないと本当に不幸になっちゃうよ。 普通の人々は私たちのことなんて解ってくれないんだから。 貴方と私で私でわかり合い続けましょう。 永遠に永遠にクルクルクルクル巡り続ける輪みたいに。 私と私と貴方だけで永遠に完成し続けましょう。 不完全な一般人が何人消え去っても構わない。 完成した、進化した、人を超越した人たる私たちが居れば世界は問題無く回る。 もし世界が百人の異常の村だったならば。 そこはきっと戦争や憎しみを抱えつつもそこそこ皆幸福に過ごせるに違いない。 でも今の世界は百人の凡人の村だから。 馬鹿が馬鹿みたいに苦しみ続ける。 ああ嫌だ、見ていられない。 全て壊して全て直してさっさとサンジェルマンの願う世界になって欲しいな。 やっと宿題が終わった。 時計を見るともう八時。 寝ようかしら。 【拝戸直の人殺し第9話~女学生~fin】
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こんにちわ、拝戸直です。 とりあえずネクロフィリアです。 死体ってほんとうに興奮しますよね。 あの冷たくなった肌、鼓動を止めた心臓、光を失った瞳。 それを思うままに汚して犯して冒涜するのって本当におかしくなるくらい気分が良い。 もしかしたら死んでいてもじつは意識だけあって魂だけでやめてと泣き叫んでるのかもしれないと考えると尚のこと興奮してきて困っちゃいますよ。 あー、まずいちょっとむらむらしてきた。 まあいいや、それはさておき作者がてめーみたいな変態の紹介俺にはかけねえ! って丸投げしやがってこんなけいしきになってるんで話を続けますね? 俺ってガキの頃から周りの人間がなんでこんな凡人なのか解らないんですよ。 ほんのすこしみんな常識を捨てればもっと素敵な才能に目覚められるのに面白くもない常識をさも聖書か何かのように拝み倒してる。 全く以て醜い。 だから俺はそういう奴らをぶっ殺して俺の芸術作品にすることに決めています。 楽しいですよ? だってゴミ屑みたいな「普通人」を俺の手で「芸術」に昇華させるんですから。 まあ俺が手を出す前から「芸術」として完成しちゃってる人も居るんで時々外れだったりしてね。 殺す相手は大抵直感で決めてますね。 「殺しやすい奴・殺してて楽しい奴」ってのが見えるんですよ。 俺の知り合いの医者は『観殺(カンセイ)』だかってアブノーマルだと言ってますね。 人間観察に特化して、その人の生の行く末を知るが故に殺したくて仕方なくなるだったかな? あの人の話面倒なんであんまおぼえてないんですよ。 ちなみに契約している都市伝説は「口裂け女」、普通でしょ? でも彼女ってば元人間なんですよ、異常でしょ? 彼女が最高の芸術になるって思って適当にぶっ殺したらすぐ都市伝説として蘇生するんだから面白いですよね。 あと、じつは妹が居るんですけどこいつも変な奴なんですよね。 丑の刻参りの契約者で、いまは俺の兄貴分のところにひきとられてますね。 ぶっちゃけあの女を操れるとかあの人のアブノーマルマジパネエっす。 ってのはまあ冗談で。 俺のアブノーマルが最強です。 あいつのは言葉遊び、見るだけで人間の限界が解る俺のアブノーマルが最強です。 妹のアブノーマルもせいぜいかくれんぼに使える程度だしね。 まあ他人はどうでも良いや。 私の名前は拝戸直、快楽殺人鬼、よろしく。 ちなみに人を殺す気分になったら一人称は私になるのよね。 そんだけ、特に意味は無い。 この作品に出るF-№の黒服達 №555:契約都市伝説「狼男」 ッス!が口癖の男。 無論バイである。 普段はバイクで移動 バイクはサンジェルマンの開発した物で人型ロボットになったり分離してパワードスーツになったりする 無論良い男型 №913:契約都市伝説「ケンタウロス」 アメリカで大量の兄貴に囲まれる危機を「自分も兄貴に混じって楽しむ」という逆転の発想で切り抜けたハッテンの天才 肉体改造を繰り返して契約都市伝説関係無しの超身体能力を手に入れている №555と似たバイクを持っている №333:契約都市伝説「ワイバーン」 南極で兄貴と遭遇していた黒服 ピラミッドパワーで起こした電撃を動力に動くバイク兼パワードスーツを持っている 様々な銃器を服の中に仕込んでいる 南極でも構わずハッテンする熱い心の持ち主、でも女の子 残念なかわいこちゃん 無論、兄貴達には毎回ノーサンキューをされている ムラムラすると大抵№5をトイレに連れ込んでいる
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2021年12月4日 出題者:ハンカク タイトル:「ヒトシと人殺し」 【問題】 ヒトシから悩みが消えた結果、殺意だけが残った。 一体、どういうこと? 【解説】 + ... 単なる数字の語呂合わせと引き算を用いた言葉遊び。 「1104(ヒトシ)」-「783(悩み)」=「321(殺意)」。 キーワード 「ゴロ(語呂)」 《パズル》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
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「私は人間が好きだ。 人を愛し人に愛され、夢と希望に満ちて、無限の可能性を作り出す。 そんな人間が大好きだ。 私は人間が好きだ。 人を疑い人を遠ざけ、欺瞞と虚言に満ちて、絶望の中に迷走する。 そんな人間が大好きだ。 私は人間の中に平然と居座る高貴さと悲惨さの両方に強く心惹かれてしまったんだ。 この両面性こそが人間を人間たらしめ、人間を芸術たらしめる、唯一の性質と言うべきだろう。 それ以外の人間の性質などどれだけ醜いだろうか! 無知な君は何も知らないに違いない。 まあ無知なのは私も一緒だ、だが私は人間をもっと知りたいのだ。 その為に私は人間を解体する。 人間は解体される瞬間にこそ、芸術的な性質を発揮してくれるのだ。 私は人を殺すとき、全身の骨を砕き腱を切り、抵抗ができないように徹底的に痛めつける。 全身に針を刺したこともあったね。 その時のオブジェが浮かべる苦悶の表情など正に芸術だよ。 そんなオブジェに私は最後に一言だけ言うんだ。 「君には飽きた、もう帰って良いよ。」 それを聞いたそれらの顔にはわずかばかりの希望の光が灯る。 これを台無しにしないように殺して私のオブジェは完成だ。 人間の悲惨と偉大を表した最高のテーマだろう? さて、話は終わりだ。 私の芸術を理解して貰った所で次は君がオブジェになる番だよ。」 裂くっと。 サクッ、とそれはそれはあっけない音を立てて私の目の前に居る彼女は死んだ。 名前は知らない。 知る必要もない。 俺の好みであることを除けばどこにでも居そうな只の成人女性である。 骨格、それに肌の張りと胸の感触からして23才と4ヶ月という所か? もうちょっと楽しみながら殺しておけば良かった、直ちゃんちょっぴり後悔。 しかしそんな情報は果てなくどうでも良いことだ。 私の名前は拝戸直、これでも今をときめく医大生。 今年の四月からこの番屋町にある医大に入学したばかりの大学生なんだ。 そんな私は人間が大好きだ。 先程もこの哀れな被害者に言って聞かせたとおり人間が大好きだ。 悲惨と偉大の両方を極めた人間という存在は果てなく文学的でそれはそれは素敵という他無い。 さて、そんな人間の中でも私がとりわけ尊敬している人間が居る。 一人はロシアの文豪であるドストエフスキー、決してドエトフスキーではない。 もう一人は最近この国を騒がせた殺人鬼、ハーメルンの笛吹きである。 どちらも人間が如何に偉大で、なおかつ悲惨か、日本人たるこの俺に教えてくれた人生の師だ。 彼らの創作に出会う為に私が生まれたと言っても過言ではない。 さて、今日のオブジェはどのような趣向を凝らそうか? 「都市伝説、そういうのも文学的かもしれないな。」 私はこの女性の口を真っ二つに切り裂いてみた。 今日も私のナイフは良く切れる。 適当にどこかでマスクを仕入れるとしよう。 そして彼女の血液で彼女の服を真っ赤に染めよう。 既に冷たくなった女性の身体を見詰めて私はほくそ笑んだ。 「…………よし、これで完璧。」 題名【口裂け女】 美術の評定が2だった俺でもこれだけの芸術が作れるのだ。 学校の評価とはなんと頼りにならない物か。 いや、あれは教師の言うことを聞いて上手く立ち回れるだけの人間へのご褒美なのか。 私のような文学的な人間は他人の目や言葉など気にしてはならないのだ。 それでこそ、私だ。 「タァーイトゥル、く・ち・さ・け・お・ん・な。」 今日の作業はこれでお終い。 私は借りているマンションに帰ることにした。 「はい、今日の殺人鬼タイムしゅうりょー。 “俺”は只の大学生拝戸直にもどりまーっすとね。」 その時だった。 俺の芸術的な勘が何者かの接近を知らせた。 俺は改造したスタンガンを背中に忍ばせると辺りを警戒することに決めた。 「お兄さん、伏せて!」 その時だった。 高校生位の男の子、いいや、あれは男装しているだけの女だ。 俺の審美眼がハッキリそう告げている。 しかし伏せてとはどういうことだ? その前に俺は今、人を殺したばかりだから見られたら不味いのだが……? 急に喉が締め付けられる。 先程俺が殺したはずの女性が俺の首を締め付けていた。 「他人を攻撃しても良い、※ただしイケメンに限る!」 彼女は俺に男装がばれていないと思っているらしく、未だに男言葉で話し続ける。 だが彼女は何を言っているのだろうか? 私に殺された人間が私に対して攻撃をやめるわけがないではないか。 ……と、思ったのだが。 女はあっさりと俺への攻撃をやめた。 「お兄さん、大丈夫だった?黒服さん、口裂け女捉えましたよー!」 「やったか平、それじゃあ、あとは俺がやっておく。」 またまた新しい登場人物だ。 黒い服を着た高校生位の男である。 まったく、これはどうにも文学的な展開じゃないか。 胸が躍る。 「一般人は確保できたね、それじゃあ彼の記憶は消しておくから彼を警察まで連れて行ってくれ。 まさか途中でハプニングが起こるわけ無いとは思うが…… なんか有ったら俺の携帯に電話してくれ。」 「はい、解りました黒服さん。」 「あ、あのーすまない。 いま此処で何が有ったんだ?教えてくれないか?」 俺は黒服の男に問うた。 しかし答えはつまらない物だった。 「それに答える必要は無い。君にはこれから記憶を失って貰う。」 そう言って黒服は記憶消去装置と思しき物を俺に向ける。 あれで記憶を消すというのか? この最高にエンターティメントな記憶を? 巫山戯るな! つまらない殺戮の日々に起きた唯一の変化だぞ? 俺が殺した、間違いなく殺した人間が起き上がって俺を襲っているんだぞ? これは一生の思い出になるに違いない。 なのにこの記憶が消されるというのか? 「――――――――――――嫌だ、俺はこの記憶を無くしたくない。」 俺は呟いた。 その瞬間に奇跡は起きた。 「私も、まだ死にたくなかった。」 恨めしそうに口裂け女は呟く。 俺の作品は作品らしく大人しくしていろと言うのだ。 しかし次の瞬間彼女は思わぬことを言い出す。 「ねぇあなた、私を殺した責任取って助けてよ。そいつらに捕まったら私殺されちゃうんだよ。 私、もう二度と死にたくないよ……。」 「口裂け女、お前は何を言い出すんだ?平君、そいつを黙らせて……」 バチン! 俺は……、いいや“私”は目の前の少女を背中に隠してあったスタンガンで気絶させた。 良いだろう、殺人の時間だ。 真摯たる俺は素敵なレディに責任取ってよと言われたら取らざるを得ない。 先程目の前の女を解体するのに使ったナイフを黒服の胸に突きつける。 肉の裂けるいい音だ。 心臓のうぞうぞと蠢く感触。 一気に引きちぎれ。 血だ、降り注ぐ血液だ! これが人間という物の生命の実感だ! 黒服の男はうめき声を上げる間もなくその場に崩れ落ちた。 題名【血風】 「でだ、責任を取るとは具体的にどうすれば良いのか聞こうじゃないか。」 降り注ぐ黒服の血液と狂気に満ちた春の月を背景に俺は口裂け女に尋ねた。 「えっと、私と契約して。死因の関係でどうも貴方じゃなきゃ駄目らしいの……」 彼女はマスク越しのくぐもった声で俺に哀願した。 俺に脅えているのだろうか? だとしたら果てなく下らないと言う物だ。 俺は紳士的な人間だ。 自分の趣味以外で人は殺さない。 「解った。何をすればいい?」 「私が私の顔が綺麗か聞くので……、答えずにキスしてくれると良いんだって。」 「だって?俺は純愛派だから見ず知らずの女性と唇を交わすなんでやるつもりはないぞ?」 「らしいって言うのは私が都市伝説になったばかりで良く解らないんです。 頭の中にぼやっと浮かんできただけで……。」 「成る程な。じゃあさっさとやれ。」 この日この時。 私こと拝戸直は恐ろしい殺人鬼からおぞましい殺人鬼へとクラスチェンジをとげることになるのである。 後に21世紀の口裂け女と呼ばれる殺人鬼はたった今生まれたのだ。 以後よろしく。 前ページ連載 - 口裂け女と人殺し