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アーキタイプ――「ドイツ語:Archetyp」「ユングが提唱した分析心理学の用語」「原型を意味する」。 原型とは、人類の普遍的な観念の深層に内包される概念。 精神に作用し、夢や空想の中に「典型的なイメージ」として発露する。 過去未来問わず、様々な民族や集団において語り継がれる伝承。現れる伝説。 つまり―― 「……魔法? キマイラ? ファントム?」 ――アーキタイプというのは、一つではない。 それはあらゆる時代で、そして、あらゆる場所で存在するが故の原型。 それが日本に存在していても――。 それがこの時代に存在していても――。 そして異なる世界に存在していても――。 「絶望と……ゲート……?」 ――なんら、不思議ではない。 これは語られるべきではなく、語られてはならない物語。 どこかの世界、どこかの時代の物語。 本来の原型とはかけ離れてしまった物語。 これは、とある獣の異聞である。 | > / _, ⌒\/ ̄ ̄ \ / / / / / / / 、ニニム | ,  ̄ ̄ / 、 _\ __/. / / / / / / / マニニニム__ \ ´ / \ `ヾ 「 { i i , / / / / ,,x*''””<ニ=‐1 / / ' 、 、 、 \ V .! ! !, ./ // /,,x*' ,,x*''” .! | / | { . | | ∨、\ \__ VⅥ | | / / /''” ,,x* ≦| | ′ | l| } | |、 | |\ \ ̄ ̄ {\Ⅵ f } ./,,x*>''” ̄\ _ ≦ ≦| _ _ . { 从 /-}/-Ⅵ { ヽ | | \ {_j厶ア }''”_ ≦ /__ノ} / i i ilヾf-}l三l{-/|i i i \ / ,.-从 | }/ ィ≧、 { \ }' V }Y f }_ -‐≦ 7__ .7 l i i i i i|ヽ}!.|!l」.l! {l/|i i i i i l /イ { ⌒\ { 、 Vj ∨、 \ V } ! .{ /-―― 7__ イ Tミ/ ¨ ..、 V , . ハィ'T 八 、 \ ヽ  ̄ .V j { 込、 /―――― j__,,x7 〔i i〕|! Y Y |!〔i i〕 Ⅵ ,ー、 , ' r‐ ミ`r≪-‐‐ ≫‐‐=ニ二二二二 7__/ .|彡、 _ _ノ 弋_ _ ノミ| ヾ\ / ∧ -, _.r‐‐.| |rf⌒|r‐-- ヘ , イ≧=- _ 7ア{ .ィ―‐ v ~ v ―‐、 ヽ /{/ 、 ' ,,x*「 | i! || ! !、__ト、 / \ /_/ニニニム |i i i i i i| Y 三 Y |i i i i i i| _从/____ > __ノ ,x'' γ‐ ! V }7 jヘ__}____7、\∠ /ニニニニニ ム―┤ ̄ ≧ ミ >== ̄ ー  ̄==< |///////////l l//| / 「 | | .Y「てY[7\| | |」 ‐./ニニニニニニ=‐=ニ L ` 、 | |///////////| //| / .! ! .‘, }F.Q(}[ 八二二ニV≦ニニニニ=‐  ̄__|  ̄ 、 \ く /////////// ∧ ./| /, ┐ j{ ‘, ‘, ー=== Y´ }ニニニニニニニ| rヤ”ニニム \ > , <////////////////\l/、 , / / /7}. ‘, } ,ニニニニニニニ | |ニニニニニム________ | //////////////////////\l、 ./ {_/ .// j .{ /――――‐ {_ 」=‐‐‐ 7 | //////////////////////////} } /\人 77 ./| .| /\___,,x*''” ,,x*'' ´ ./ ,,x*''”  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |. / `<_厶_/ ! .!. ∧/ ,,x< 厶イ < く | 「なんだこの、指輪……もしかして、なんか価値があるものなのか?」 夏の某日。 「おーい、父さん! 父さーん! なんか見つけたんだけどさー!」 長野県のある遺跡から出土した金色の指輪。 父の手伝いで遺跡に顔を出していた少年、須賀京太郎は――その指輪を手にしてしまう。 持ちかけられる契約。明らかになる世界の真実。 この世界“にも”存在する、ファントムという怪人。 ゲートと呼ばれる魔力を持つ人々の希望を奪い去り、代わりに絶望と破壊を齎し、同族を生む現代の吸血鬼。 それと戦えるのはただ一人。指輪の魔法使いだけ。 突如の事態に、少年は混乱した。 喧嘩など碌にしたこともない。仕合などは以ての外で、闘争などともほとんど無縁。 彼は穏やかで優しいだけの、年相応の少年だった。 所属する麻雀部は今、佳境を迎えていた。 全国高校生選手権――所謂インターハイ。予選を終えて、高校生の頂点を目指して全国から少年少女が鎬を削る戦いの舞台。 少年は初心者が故にその大会へと駒を進めることはできなかったが、彼の仲間たちは、見事その大会への切符を手に入れた。 人々の希望を絶望に変えるからこそ、ファントムは生まれる。 ならば全国規模の祭りであるインターハイは、その格好の餌場であった。 少年は一つ、決意をした。 そして少年の元に舞い降りたのは――戦う力と、絶望との戦い。 「ちょっと!? どうしたの、京ちゃん!?」 「……ん? いや、悪い……昨日ちょっと緊張して眠れなくてさ」 「もう……大丈夫?」 「ハハ、悪いな。別に俺がインターハイに出るわけでもないのに」 「そんなこと言わないでよ。私が、京ちゃんの分まで戦うから」 「……おう」 「元気ないなぁ……どうしたの、ちょっと変だよ?」 「んー。まあな。ちょっとらしくもなく色々考えて、暗くなっちゃってな」 「だったら――私がほら、京ちゃんの分も希望になってあげるから! ……なんちゃって」 「……」 「あれ、駄目……?」 「ばーか」 「……ちょっと、酷くない? 京ちゃんがらしくないから、私もらしくないこと言ったのに……」 「いや……。ありがとな、咲」 ――彼がその力を受け入れたのは、ただ一つ。 守りたかった少女がいた。支えたかった少女がいた。 その少女に魔の手を及ばせない。 ただそのためだけに少年は、血塗られた獣を身に宿した。 平穏に暮らして欲しかった。平和に過ごして欲しかった。 争いとは無縁でいて欲しかったのだ。 その為だけに似合わぬ戦いに身を投じ、握りたくもない拳を握った。 人を殴る感触の吐き気に耐えて、死と絶望と隣り合わせの戦いに堪えた。 全ては――ただ一人の少女を、守るために。 「この姿なら……麻雀という競技なら、他者を絶望させるのは容易い。懸けるものが多ければ多いほど、絶望に惹かれる」 「お前が……ファントム……ッ」 「なんなの、京ちゃん……? なんで、お姉ちゃんが……! これは、どうして……?」 しかし、その願いは儚くも吹き散らされた。 少女の心を絶望に導かんがために仕組まれた運命の罠。 波濤が如く押し寄せる、怒涛の進展。 少年は戦士というにはあまりにも優しすぎて、そして未熟だった。 その穏やかなる心は誰かを傷付けることもできず、ただその身を晒して盾となるばかり。 人を護るために消費される魔力。 釣り合わない支出と収入。逃れられぬエントロピーの渦。 「……う、ぁ」 「京ちゃん! しっかりしてよ、京ちゃん!」 少年の身を蝕む、キマイラの呪い。 戦う力と引き換えに与えられた代償。 絶望を払いのけること、希望を取り戻すことへの対価。 十分な魔力を、獲物を確保できない少年の命は破滅へと導かれる。 「私、今まで京ちゃんに助けられてばっかりだったから……いいよ。京ちゃんの為なら、ファントムになってあげる」 「よせ……! なあ、よせよ……!」 「これで、今までの分も……京ちゃんにお返しできるなら、怖くはない……かな?」 「頼む……やめてくれ。やめてくれよ、咲。それじゃあ俺、何のために……!」 「……ばいばい、京ちゃん」 「やめろぉぉぉぉぉ――――――っ!」 ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) ' ´/ , _ 、´ . _______. . . . . . . . . . . . . . ' ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ . / / r─‐'‐ァ r─‐'ニニニニ7 .,ィ─ァ‐===‐‐二/ , ',. -一' ./..'/ .} . / /' = フ'¨,r ュ,rフ/二二フ/ 7´' ∠/ ∠¨_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ 7 / /ク r'/ / 三/ /´//ー‐/ /-'´//─‐,≠/ / { \ヽ i' /─'ー‐‐^ー―――^ー―´ '===' 'ー‐´ ー'´ `´\ ヽヽ ! /K A M E N R I D E R _ _ . ,.'⌒ `,. l ! ー"ヽ ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l l //. ! ゝ-‐'´ /l .! `ー-、 } | |// __. \ / } .} ヽ/ l 、 ヽ 、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ `ヽヽ j ノ ._______| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___゙、`' / ___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./  ̄ ̄ ̄ / ./. ヽノ  ̄ 異聞/THE BEAST 「おい、諦めるな。魔法使いってのはな、諦めが悪いんだ」 「俺は……魔法使いなんかじゃないんだ……。守りたかった奴に、逆に守られることになって……」 「……じゃあ、ライダーだ。どの世界であっても、人類の自由と希望の為に戦う……な」 「あなたは……?」 「――ウィザード。……諦めが悪い、魔法使いさ」 ――その爪は、誰かの希望を護るために。 ――その咢は、誰かの絶望を喰らうために。 ――その身は、誰かの願望を背負うために。 少年は今、獣となる。 高貴と光輝を顕す、金色の守護獣に。 「だったら、俺が……! 俺が、アイツの……! 咲の、最後の――希望になってやる!」 清澄高校一年、須賀京太郎。 仮面ライダービースト/アナザービースト。 これは――あるひと夏に起こった、少年と少女の、希望と絶望に纏わる異聞である。
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Interlude「変身学生 江口セーラ」 「あー、書類仕事とか面倒やなー」 どうして自分がこんな事をしているのだろうと、江口セーラは伸びをする。 元来的には、自分は前線配置。 担当と言うのは戦闘であり、あくまでも警察の非公式、或いは民間協力者となっている。 そんな自分が何故書類担当なのか。涙が出る。 考えたりチマチマするのは嫌いだ(苦手ではない)。書類書きなど猶更。 こういう地道で地味な作業に、自分は向いていないのだ。 「フン。口を動かしてないで、さっさとやれ」 「笛吹のおっさんは細かいなぁ……神経質やと、禿げるで」 「なっ」 実質的な上司に当たる笛吹警視をからかうように笑って、書類に向き直る。 憂鬱である。激しく面倒だ。 それでも頼まれて、これが必要な事だと判っている以上、江口セーラは投げ出さないのだが。 そんな彼女の人となりを知っているからか、笛吹直大も、眼鏡を直して口をつぐむ。 本気でやる気がない訳ではない事。 あまり口うるさく言わなくても、彼女は本質の部分で真面目である事。 そして――そもそも彼女には、民間人であるのに協力させてしまっている事。 (笛吹の感性からするなら、これはよろしくない事態であった)。 それらが彼の追撃を止めさせたのだ。 「ミュージアムが潰れても、まだまだガイアメモリ犯罪は終わらへん……か」 「既に生産された分が、裏で取引されている。忌々しい事だが……この間の一斉逮捕のどさくさに紛れて、横領した人間もいるようだ」 「……なんちゅーか、難儀なもんやな」 横領犯については目下捜索中であると、笛吹警視は不機嫌そうに額を抑える。 法と秩序を守る筈の警察官がそのような事をするなど、彼の中では到底許されざる事であろう。 嘆かわしいと、唸っていた。 そんな事をした犯人は着実に追い詰められて、相当の恐怖をする事になる筈だ。 警視庁キャリア組、その肩書きに恥じないほどの優秀さを持つ笛吹直大を敵にするのだから、当然だ。 まあ、自業自得である。セーラの知った事ではなかった。 「そんで、メモリがどんな効果だか纏めればええっちゅー事やったよな」 「ああ。出来るだけ詳しく、適切に。我々警察官で、対処ができるほどの情報が欲しい」 「そんな面倒な事せんでも……俺がおるやん? 別にわざわざ、生身で危険な事をせんでも――」 そう、セーラが呟いたところだった。 ドン、と。笛吹が机を強く叩いたのだ。 予想だにしなかった事に、セーラは身を跳ねさせた。 「本来は、それは、我々警察官の任務だ!」 「……そんなに怒鳴らんでもええやないか」 「これは、民間人が……ましてや学生が関わっていい事態ではない! 現状のままでいい筈がないだろう!」 激昂する笛吹を尻目に、セーラは内心、「お堅いなぁ……」と漏らした。 自分とさほど変わらぬ慎重の笛吹警視が声を荒げるのを、頭の後ろで腕を組んで眺める。 彼の付き人同然となっている筑紫に目を向けるが、黙ったまま。 長くなりそうだし、止めてくれないかと訴えてみるが……。 答えはノーコメント。 黙って彼の話を聞けという事らしい。筑紫も、笛吹と同じ考えなのだろうか。 「そもそも警察官というのは、自らが治安の維持にあたると志願して職業を選んでいる。 我々は皆、多かれ少なかれ、決心してここにいる。 正義を守るため……この街や市民をを守るため……自分の生活を守るため……何かを守る為に、警察に入っている」 故に、と笛吹は続ける。 「国民の生活を守るのは、市民の安全を守るのは……我々警察官の職務だ。 “それ”は、我々がしなければならない。我々がやらなければならない。 我々が誰かに頼り切ってはならない。我々が誰かに任せ切ってはならないのだ!」 だから、と笛吹は言った。 「今、戦う力がないからと言って諦める理由にはならない……。 ましてや、部外者の女子高生に丸投げするなどというのは、以ての外だ!」 その為に、笛吹は情報を欲していた。 仮面ライダー一人に背負わせるのではなく、自分たち警察官が戦えるように。 単に、唯一対抗する力を持っているからという理由で、民間人に戦わせてはならない。 今は勝てなくてもいい。現実的に見て、それは然るべきである。 だが、それで「仕方ない」などという言葉は決して吐くつもりもない。 その言葉を言ってしまった時点で、警察官は、警察官としてのプライドを失ってしまうのだから。 そんな事は許されない事であった。 江口セーラには、江口セーラの人生がある。 彼女は本来、職業という面から見るなら……社会的な面から見るのならば、庇護されるべき立場である。 仮面ライダーというのは彼女の肩書であって、職業ではない。 職業と言うのは責任を求められる。責任があるからこその職業だ。 その職務を遂行すると決心したその時から、責任は発生する。 それは選んだ自由への対価だ。 江口セーラは選んだのかもしれない。 でも彼女への見返りはない。責任と対になる概念がない。 いわばボランティアも同然だった。プロフェッショナルである自分たちとは異なる。 そんな少女に何かを背負わせ続けるという事は、笛吹にとっては我慢のならない事であった。 「ふーん、ま、分かったわ」 つまりさっきから書類を急かしているのは、セーラを一刻も早くこれらの件から遠ざけようと思ってなのだろう。 言い方は傲慢、或いは高圧的に聞こえるが……こちらを思いやっての事。 なんだかむず痒いと、セーラは苦笑する。 それでも――と。 それだからこそ――と。 セーラは思うのだ。 確かに、江口セーラにはライダーである事への因縁はない。 誰かのように、悪の組織に攫われた訳ではない。 セーラしか変身する資格を持っているという訳でもない。 未来の自分に頼まれたとか、そういう契約でライダーをやっているとか……。 他に替えが効かないほどの特異な資質を有している訳ではない。 セーラがライダーである事に、特殊な事情など存在していないのだ。 (後からガイアメモリへの精神耐性というものを聞いたが……以前は知りもしなかったし、テラーを倒した今、特段の意味はない) しかしセーラはそれでも、戦っている。 その理由は、実に単純だ。 この笛吹たち警察官にしてもそう。 或いは京太郎や哩などもそう。 その誰もが、セーラにとっては死んでほしくない人間であるのだ。 一緒に仕事をしていれば、笛吹たちの人となりが分かる。 先ほどの言葉にしてもそうだ。彼らは皆、熱い思いを胸に仕事に当たっている。 そんな人間を――心地いい人間を目にして、「手助けしたい」と思う事は自然であろう。 自らの躰のみならず、その尊厳を破壊された。 更には友人や仲間を囚われるといった苦境に於かれた白水哩と鶴田姫子。 そんな辛い境遇の人間を前にして、「何か力になりたい」と思う事は何ら不思議ではない。 人の痛みを止める為に、自らが痛みを背負う。 過ぎてしまった何かを取り戻すために、怯えながらも今で足掻き続ける須賀京太郎。 放っておけばどこかで果ててしまいそうな人間を、「護りたい」と思う事は当然の事だ。 だから、セーラは戦っている。 自分の心に従って正直に、ライダーとして戦っていた。 別に際立った過去なんてなかった。 特段、常人離れした思考回路を持っている訳でもない。 自分がやれなければ、他にやるものがいないという事もない。 それでも、セーラはライダーとして戦っている。 自分が好ましいと思った、この街とそこに住む人々を守るために。 この都市や住民を穢そうとする、我慢ならない悪人相手に。 そこには特殊な事情なんてない。 普通に。一般的な人間として。自分がやりたいから、誰かを守りたいから――戦うのだ。 江口セーラは、普通の人間だ。 それでも彼女は、仮面ライダーなのだ。 「……ま、そこまでおっさんが言うなら素直に従っとくわ」 「フンッ! それとだから、私はおっさんなんて年じゃないと何度言ったら――!」 「女子高生からしたら、二十歳超えはみんなおっさんかおばさんって相場が決まっとるわ」 「ぐっ」 「それに確か、笛吹さんは31歳やろ?」 「そうだが……」 「なら完全におっさんやん。三十路やアラサーはもう色々辛い年齢やって」 年相応に見えんけどな、と鞄を手に取り立ち上がる。 まあ、休ませてくれると言うのならそうしよう。 幸いにして、あれほどの大事件があったばかりなので、ガイアメモリ犯罪に目立った動きはない。 笛吹ならば、そういう時こそ油断せずに準備をしておくもの……と言うだろうが、 まあ、今日のところは許してもらおう。 最近、碌に部活に参加できていないのは確かだ。 これは笛吹の言う通り、江口セーラの生活を台無しにしてしまっていると言っても過言ではない。 ライダーにかまけて、仲間の心を踏みにじる。 それをやってしまったら、本末転倒に違いない。 「ところで思ったんやけど……」 「何だ?」 「わざわざ俺が書類に纏めんでも、口頭で伝えたらええやん」 「……。……確かに、そうだったな」 警察のお仕事というのにはどうにも書類が絡むようで、ついその癖に従ってしまったとか。 なんというか、肝心なところで間抜けてるなぁ……と思う。 実は可愛いもの好きらしいし、ブラックコーヒー飲めないらしいし。 愛嬌があると言えば、あるのだろう。 「それじゃあそういう事で……とりあえず俺、今日は帰るわ」 「部外者はさっさと失せろ」 「江口さん、くれぐれもお気をつけて」 「はは、そっちこそな」 鷹揚に笑って、警察署を飛び出す。 途中すれ違った警察官に、会釈をする。 すっかりと顔見知りになっていた。表向きは――スマートブレイン学園の情報提供者、だったか。 いずれは本当にそうなるかもしれない。 彼ら誇り高き警察官がいるのならば、近いうちに自分はお役御免となるはずだ。 それは、とても喜ばしい事である。ライダーの力が必要なくなると言うのは。 (あいつも――そうなったら、ええけどなぁ……) グレー一色の空を見上げて、セーラは思う。 須賀京太郎も、自分と同じように、いつの日かその力を必要とされる事がなくなればいいと。
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Interlude「今にも押し潰されそうな灰色の空の下で」 「ぶちょー……」 あの戦いから数日。 終わりを告げた、白水哩・鶴田姫子にとっての一世一代の決戦。 錆の滲む柵に背中を預けて、天を仰ぐ白水哩。 燃え尽きている。 鶴田姫子は、己の最愛の女性を見て、そんな評価を下した。 体重を預けて腕を投げ出していた。 やはり、一般的に言うように復讐とは空虚なものなのだろうか。 復讐を遂げた者に残るものはない。復讐では幸せになれない。何も得る事ができない。 ただただ、復讐とは虚しいものであると。 姫子は――そうは思わない。 残るものが無くても、幸せになれなくても、得る事ができなくても……。 マイナスをゼロに戻す事は出来るのだ。 傷つけられた自尊心を。己の名誉を、誇りを取り戻す事が出来る。 復讐を遂げてこそ、立つ瀬があるのだと。 財団Xに拉致をされ、改造手術を受けて――。 姫子は、人間の尊厳を奪われた。マイナスへと、己の人生を追いやられた。 それを肯んずるというのは、ただの家畜に堕ちるのと同然である。 尊厳を捨て去って、ただの豚として暮らす事となるのだ。 だから、姫子は復讐を敢行した。 白水哩、花田煌、安河内美子、江崎仁美――そしてほかならぬ自分自身の仇を討った。 これに後悔はない。 復讐相手を殺す事になってしまったがそれは……当然であると考えた。 雪辱を拭うには、それしかなかったのだ。 今も、復讐への後悔など毛ほども存在していない。 これは許せぬ領域であったのだ。それほどまでに、奴らは姫子の尊厳を奪った。 その仇討ちについて、一切の良心の呵責などない。 ただ、それでも獣に身を窶さずに済んだ。 人間となる為に、人間である為に――殺人を行ったのだ。 一方的な虐殺ではない。理不尽な暴力ではない。不当な惨殺ではない。 これは、正当なる復讐であった。 ……その過程において、或いは最後に於いて、ある少年が力となってくれたのだが。 彼がいなければ、自分たちはただの飢狼として伏せていただろう。 きっと、復讐が終わった後に――こうして生きていられないほどの、罪を重ねていた。 自分たちは踏みとどまった。人間に戻れた。 そう考えているからこそ、姫子は、哩のこの態度に釈然としない感情を抱いているのは確かだ。 同時に、思った。 彼女は姫子が思っているほど強くなく――そして自分は彼女よりも、残忍なのだろう、と。 だから、燃え尽きてしまっても不思議ではない。 むしろ一般的に言うのであれば、自分の方が異常な部類なのだ。 姫子は考える。 社会的な価値観と、今の自分の持つ価値観は相違していると。 今の世の中では、殺人や暴力はおおよそ悪に該当する。 勿論、正当防衛であったり、治安の維持であったり……そういうものに、限定的に暴力が許容される事はある。 だが、それ以上は認められない。 それ以上は保障される実力の行使ではなく、ただの悪しき暴力行為となる。 だけれども――。 姫子は、もう一つ許されるものがあると考えていた。 別に社会的にそうしろとか、だから自分の行為は罪に当たらないなどと述べるつもりはない。 ただ、一切の罪悪感などは存在しないのだ。 許される暴力。 それは、魂の尊厳を護る為のもの。 その為ならば、殺人さえ(自己の中で)許容されるものと考えている。 だから、姫子に呵責はない。 奴は殺されて当然であった。姫子の復讐は正当なる行為だった。 その事について咎められるならばまた仕方がない。自分は法を破ったのだから。 だとしても、恥じる事はなかった。姫子は己の法に従ったのだから。 超えてはならない一線に踏み込まれたとき。 そこにはもう、命のやり取りしか残っていないのだと、姫子は考える。 同時に、思った。 確かに自分は幸せになる為に――再び幸せを目指せるように。 そのために、復讐を行った。その点は確かだ。 だけれどもこの先、果たして幸福になれるのだろうか。 それは分からない。 だが、確実に言える。真っ当な人生を後れはしないだろう。 殺人を犯したという瑕は、心に残る。 確かに良心が咎めてはいないけれど、それでも漠然と思う。 自分はただの人間ではなくなってしまった。向こう側に行ってしまったと。 自分は――それで構わない。 元より、殆ど失ったも同然の命だ。人間性を奪われかけていた命だ。 だから、今更構わない。 それでも、哩はどうなのだろうか。 尊敬する先輩であり、代えがたい相棒であり、共犯者であり、最愛の人物。 自分が泥を負うのは構わない。 彼女まで巻き込んでしまった事が、気がかりであった。 確かに元はと言えば、相乗りを言い出してきたのは哩の方であった。 彼女からしたら、姫子が付き合わされた側であろう。 でも、姫子からすれば違う。 自分は本心から復讐を行おうとしていた。その事に異存はなかった。 止められても、たった一人でも行っていただろう。その覚悟があった。 でも哩は、実は違ったのではないか。 そうならば、哩を止められなかったのは姫子の責任だ。 それこそ逆に、彼女を巻き込んでいる事となる。 もしも姫子が異を唱えさえすれば、哩は復讐を止めたかもしれない。 結局、復讐を果たして。 それで哩が苦悩すると言うのであれば、それは紛れもなく、制止しなかった己の責任だ。 殺人は厭わない。暴力を用いるのも構わない。復讐を遂げたのにも後悔ない。 だけれども、白水哩に、余計な罪の意識を背負わしてしまったならば――。 そんな事実だけは、姫子の中で罪悪感として発露するであろう。 「なあ、姫子」 自らの身体を抱きしめる姫子に掛けられる、声。 仰向けになったままの白水哩から発せられていた。 何かと、すぐに表情を元に戻し問いかける。 ああ、と頭を振って哩が応えた。 「さっきから、ずっと考えとったんよ」 「……はい」 「うちらは、須賀に助けられた。あいつの助けばなければ、うちらは遅からんうちに死んどったと思う」 「そう思うとです。きょーたろ君が居らんかったら、こうしてここにはいません」 「やけん……何か、恩ば返そうと思っとった。そいでん、何も思いつかん」 どうしたものか、と首を捻る哩。 どうにも先ほどからあんな態度で居たのは、悩んでいた為であったらしい。 何とも人騒がせであると思い、同時に安堵し、それからまた不安になる。 自分が、罪を負う事について不満はないと言った。 だけれども、やはり一人と言うのは怖い。哩と一緒に居たい。 そこで彼女が相乗りしてくるなら――これ以上に嬉しい事はない。 でも果たしてそうなのか。 彼女はやはり悔やんでいるのではないかとも、思える。 それを表に出そうとしていないだけで……。 「恩ってゆーても、きょーたろ君はその辺特に気にせんと思いますけど」 「やけん、気に食わん。目的ば果たしとるんに……借りっぱなしになっとるんは、後味が悪かよ」 「ああ……まあ、確かに。スッキリはしませんと」 「どうせなら、最後まで気持ちよくいきとーと……やけん」 その後の言葉を飲み込み、瞼を下ろす哩。 何かを言い憚っている。 彼女の中に既に答えのようなものはあって――それを言うのを、躊躇っているようであった。 となれば即ちそれは哩自身だけでなく、姫子にも関係する事。 彼女が躊躇する事など、それぐらいしか知らない。 他には、新道寺の仲間たちについてぐらいであろう。 となると――答えは一つしかない。 哩の沈黙の表情だけで、彼女の思考を察せる。 仮面ライダーWとなるにあたり、ミュージアム・財団Xに報復するにあたり、二人の絆はより深まった。 言葉が無くとも通じる――それほどまでに、密度ある関係となっていた。 「部長。私の事は、気にせんでよかとです」 「……姫子」 「私の考えとる通りやったら……それは、私のしたい事でもあるとですよ?」 「……」 「それに……前に言っとーと。『永遠の、その先まで相乗りしとーとです』って」 姫子の思いが伝わったのであろう。 やおら、哩は口を開いた。静かに目を閉じながら、ゆっくりと語り出す。 「京太郎は、うちらと同じ側の人間ぞ……アイツも、マイナスばゼロに戻さんと先には進めん人間」 「きょーたろ君は、あん中で唯一こっち寄りですけんね」 「やけんアイツも、決着をつける為に戦いばする。うちらの戦いと一緒で、アイツも戦いば続ける」 「そいけん、部長はその戦いに付き合う……と?」 「……色々考えた。そいでん、恩ば返すとなったらこれしか思いつかん」 溜め息を漏らす哩。 彼女は戦いの運命から解放された。姫子も解放された。 戦いは、先に進むために必要な事であった。ある種の儀礼と同様。 だけど、哩がこれから言わんとする事は――違う。 「折角、日常ば戻れるのに……また、戦う事になる」 「……」 「京太郎はそいば求めん。日常に戻れと、言うに決まっとる。正直……うちも、同じ気持ちよ」 部員の皆は助け出され、自分たちの運命を弄んだ財団X――加頭順は滅んだ。 哩も姫子も、戦う理由などなくなっていた。 ドーパントと戦う戦力と言う意味ならば、本来のWの二人でいい。 マイナスはゼロに戻ったのだ。戻らないにしろ、ゼロに向かって動き出した。 もう、休んでもいいのではないかと思える。 これまで自分たちに負わされた過酷な運命を考えれば、それは自然な事だろう。 でも――。 「京太郎に借りば返さんと……うちらは、人間じゃなくなる。アイツは、私たちば人間に戻してくれた。 そいなときに、自分たちだけ安穏に戻るとは……そいは豚と変わらん。恩知らずの、豚ぞ」 それは到底、二人だけでは成し遂げられなかった。 財団Xという真の黒幕の存在を知る事もなく。 花田たちがどこにいるのか、どんな状態なのかをも知れず。 助け出す前に、ミュージアムのライダーに打ち取られていたであろう。 彼は、文字通り二人の命の恩人だった。 こうしてまた歩き出せるのも、京太郎の助けがあってこそである。 そんな少年を放っておいて――年下の少年にツケを回して、知らんぷりして。 それが許されるのであろうか。 他人がどういうかではなく、白水哩と鶴田姫子の中で。 これは、我が身可愛さに、尊厳を売り渡す行為に等しい。 折角取り戻したものを、今度は自分の意志で捨て去ってしまうのである。 そんな事は肯んずれない。認めたくない。 哩が言っているのは、そういう事だ。 ただし彼女は、それがまた同時に、本当に正しい事なのかと考えている。 自分のエゴやちっぽけな感傷で、再び戦いの渦に飛び込む。 Wは一人では戦えない。どうしても、命を共にする相棒が求められる。 哩は、姫子を引き込む事を遠慮しているのだ。 漸く取り戻した日常を、それを手放す事に付き合わせる。 その事に二の足を踏んでいた。 であるから――姫子は笑う。 「仮面ライダーWは、まだ止まらない。そーゆー事とです」 「……姫子。よかと?」 「部長。二度も、言わせんでください。二度も言うんは無駄です。 私は……私たちは、永遠のその先まで相乗りする――嫌と言われよーと、そいでん相乗りしとーとです」 「姫子……」 「そこに今度は、きょーたろ君が加わる。きょーたろ君の相手も……別に悪かとは、思えなかと」 彼の事は、姫子も嫌いではない。 恩とかそういうのは兎も角として、人間的に好ましかった。 きっと、哩もそうだろう。 いきなり因縁を吹っかけてきて、一度は殺そうとした相手に……。 そのままじゃ、そちらのの目的にも支障が出るから冷静になれと諌め……。 いずれは復讐だけでなく、人を助ける事も出来るようになって欲しいと言う。 己の精神が分解しかねないほどのリスクを負ってまで、 姫子と哩に協力して――自分たちの仲間を助け出す事を手伝ってくれた。 そんな人間の為なら、命を懸けるのも悪くはないと思えるのだ。 これは、本来必要な事ではない。通過儀礼でもなければ、禊でもない。 哩と姫子が、自分の意志で――須賀京太郎を助けたいと思っているのだ。 ある意味、これが……初めて仮面ライダーらしい戦う理由となろうか。 雲海に覆われた街を見る。 この街の事は知らない。いい思い出ばかりではない。 この街に住む人々の事など知らない。顔を合わせてないものまで、姫子たちは関与できない。 でも、京太郎がそれらを守りたいと願うのであれば――。 そのために自分の体を張って戦うと言うのであれば――。 自分たちもそれに付き合ってやってもいいと、純粋に思えた。 「そいぎ、改めて……」 「はい。私たちは二人で一人の仮面ライダー」 「本当に戦いが終わる日まで……その先まで……」 「私たちは、相乗りし続けるとです」 ――了
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Interlude「憧のお・し・ご・と」 「はい、はい、はい……了解でーす♪」 須賀京太郎はスマートフォンを持っているらしいが、新子憧は未だに折り畳み型携帯である。 なんというか、タッチして操作するという事が面倒そうだと言うのがあるが、一番の理由は可愛いからだ。 スマートフォンにストラップを付けるのと、ガラケーにストラップを付けるの。 断然、後者の方がいいと思う。 なんてことはともかく、新子憧は電話を切った。 電話の相手は鴻上ファウンデーション。そこのドクター、対木もこ。 戦いが一段落したという事で、バースのメンテナンスを行っていたのだ。 不具合が無いか軽く検診するかというより、今回は割と大がかりな分解を含めた検査である。 まずは、ここ最近戦ってきた相手が、相当な強さを持っていたという事。 その分、深刻なダメージを刻まれてはいないか――一見判別しにくい部分にも――というのと、 やがて来たるべきグリードとの戦いに向けて、調整を行おうというのだ。 なるほど確かに、その通りだ。 肝心の戦いで、どこかしらの不調により十分な実力を発揮できない。 それどころか、それが原因で重大な負傷をするなど、避けたいものであった。 最低限のメンテナンスは、マニュアルに従って自分もできるようにはしているものの、やはり専門的な事となれば門外漢。 そのあたりは、ドクター=対木もこに任せっぱなしだ。 「……ふう」 携帯を畳み、息を漏らす。 すっかりと自分もこの戦いに――戦いの運命に適応してしまった。 初めのうちは、戦いたくなかった。戦うなんて怖すぎた。 今もまだ怖いが、それでも受け入れる事はそう難しい事ではなくなっている。 絶対に嫌だし、そうなりたくなんて無いが……。 万が一絶望的な戦いに直面したとしても、タフなジョークを飛ばして笑えるだろう。 色々な意味で、慣れ始めていた。 戦闘の最中、とにかくタフなジョークを言おうと思っているのは、ある男の影響だ。 どんな時でも冗談と諧謔で笑い飛ばせれば、体が軽くなる。 余計な力が抜けてリラックスすると、パフォーマンスが大きく変わる。 というのは、その男の談。 その時は半信半疑であったが、今では実感している。 余計な緊張が無い方が、仕事量は大きくなるのだ。幾度かの戦いを通して、それは確認できた。 その男とは――伊達明。 戦場を巡る医者であり、比類なき程の能力を持った名医であり、 仮面ライダーバース=新子憧のサポート役であり、教育者であり、師匠であり――。 憧の“債権者”である。 (……本当に、グリードと戦う事になるのかな) 溜め息を漏らした。 鴻上光生の読みでは、グリードとオーズが争う事は避けられない。 また、憧自身にも……あれだけやらかしたグリードたちが、今更すんなり元の鞘に収まるとは思えなかった。 それがどの程度の諍いになるのかは分からない。 京太郎の望む、「一発殴り飛ばして連れ帰す」程度なのか。それとも命がけの死闘なのか。 ……まあ。 願わくば、前者であって欲しかった。 須賀京太郎との付き合いは、長いとも短いとも言えない。 彼と共闘してからの長さでいうなら短いし、顔を合わせてからという意味なら長い。 一応、オーズのサポートが任務である以上、彼の戦闘行動について把握はしていたが……。 果たして本人が、どういう思いを抱えて戦っているとか、そのあたりについては無関知だった。 それでもまあ、最近になって戦いを共にする間に、色々と分かってきた。 まず須賀京太郎は、格好つけしいだ。 それから、穏やかそうながらお調子者で、その癖変なところで神経質と言うか真面目。 ポジティブかと思えば、ネガティブとも言える。 思うところは色々ある。 だけど、評価は決まっていた。 結局あいつはお人好しで――悪い人間ではないのだ。 実際、人を守るために戦っている以上、そんな憧の判断に間違いないだろう。 で、グリードと戦う事になったとして……。 そんな悪い奴ではない須賀京太郎が、一体どんな状態になるか。 その事が憧にとって、気がかりだった。 須賀京太郎の詳しい事情なんてのは知らない。 別に無理に打ち明けて貰おうなんて思わないし、人の過去に関してそこまで憧は頓着を持っていない。 もし彼が相談してくるなら聞くだろう。そんなぐらいだ。 だけれども――。 彼が、その外見に/年齢に不相応なほどの過去を持っていると言うのは、なんとなく感づいていた。 元々、どことなくおかしな人間だと思った。 平常そうにしていながら、行動がどことなく狂っているのだ。 異常なまでの自己犠牲。異常なまでの献身。異常なまでの闘志。 死にかけの一歩手前まで行っても、まだ立ち上がる。 理不尽な契約を持ちかけられようとも、不平を漏らさず人助けを優先する。 裏切られて傷つけられても、まだ、相手に手を伸ばそうとしている。 こんなのは、よほどの聖人か。それとも狂人か。 そんな風に思っていた。そして、不気味な存在だとどことなく憧は警戒していた。 憧の持っていたこれまでの常識には、こんな人間はいなかったのである。 だけれども――。 憧は知った。 彼は聖人でも狂人でもない。ただの常人であると。 特別な精神性などない。 天に選ばれた存在でもなければ、特殊な才能を身に宿してもいない。 英雄の如き勇気も、勇者の如き清廉さも持たない。 常人だった。 常人であるからこそ傷付き悲しみ、それをどうにかしようと足掻きだした。 割り切れてなどいない。飲み込めてなどいない。精神が完成してなどいない。 須賀京太郎は年相応の、少年である。 そんな、少年だからこそ。 彼は年相応ではなくなってしまったのだ――。 新子憧は知ったのだ。ある場面に立ち会う事があったから。 彼が抱え込んだ過去を。背負い込んだ罪を。受けてしまった呪いを。 宮永咲という少女。憧たちと同じく、ライダーであった少女。 その少女との因縁――おそらくは彼女を喪失した事だろう――が、 ただの少年だった須賀京太郎の心に、深い影を落とした。 抱えきれない哀しみを持った時、耐えきれない痛みを受けたとき。 人の精神と言うのは容易く変容する。 超人ならば或いは耐えられるかもしれないが、彼は超人ではない。 ただの、年相応の少年であったが故に――。 彼はその、年相応の少年でなくなることを、余儀なくされたのだ。 そこにどんな事情があったのか、憧は知らない。 ただきっと、少年が身に受けるにはあまりにも重すぎるものだったのだろう。 だから、須賀京太郎の心は変質した。変質してしまったのだ。 あの出来事に立ち会ってから、それまでの須賀京太郎の像は変わった。 得体の知れない、聖人じみた/狂人じみた精神性の持ち主ではない。 ただ、謝る相手を失ってしまって、それでも何とか謝ろうとしているだけの哀れな少年だ。 涙を流す事を忘れて、代わりに血を流し続ける。 どうやって謝っていいかが分からないから、そんな自傷行為/自罰行為に耽る。 そして、自分がそんな状態にあると正しく理解できてはいない。 それだけの少年だった。 最近はそれでも、そんな状態から立ち直りつつあるのだろう。 まあ、それはよかったんじゃないかと思う。 見ていて気分がいいものではないし、流石に同年代の少年が嘆き続けているというのに同情する。 立ち直れるなら、それに越した事はないだろう。 憧からはあまり手助けらしい手助けはできないが、それでも何かあったのなら、力ぐらいは貸してやってもいいか。 それぐらいに、須賀京太郎の事を憎からず思っている。 そんな京太郎が――。回復の兆候にある京太郎が――。 グリードと戦う事になったのなら。 完全に刃を交えて、決別しか選択肢がない状態になったのなら。 どうなってしまうか、という事である。 (治りかけのところに瑕を受けるんだから……きっとまた、大変な事になるよね) 傷口を余計に抉る事になる。 その痛みに、彼は耐えられるのだろうか。 耐えられるとも思うし、耐えられないとも思う。 言ってしまえば、どうなるかは憧にもわからないのだ。 彼は少なからず成長している。 以前はどうだったかは知らないが、今の彼と以前の彼が同じ結論に至るとは限らない。 また、憧を含め――彼には共に命を懸けあう仲間がいる。 それはきっと、ただの関係よりも濃密だ。 憧としては、それと友人は同列である。どちらが上でも下でもない。 ただ、それぞれ関係に差異がある。それは当たり前だ。 でも京太郎にとってはどうなのだろうか。 願わくば――それが彼の持つ以前の人間関係とは異なるもので、彼の支えであってほしい。 ……なんてのは。 憧の自己保身も含まれた、願望である。 憧の戦う理由は、彼を間接的にでも傷つけてしまうものであるから。 憧が幸福になる為には、少なからず彼の(心の)犠牲が含まれてしまうから。 だから、彼の心が少しでも傷付かなければいい。 傷付いても、立ち直ってくれればいい。 立ち直るような環境に居てくれればいい。 それは、純粋な願いではなかった。 純粋に彼の事を思いやっての望みではなかった。 (でも、グリードと戦えないと……あたしは……) 憧には、借金がある。 もしも――絶対にありえない選択肢だが――体を売ったとしても、到底返済など出来ない額。 この年で憧は、債務者であった。 未確認生命体による、日本各地でのテロ行為。 それによって――憧の姉は、重傷を負った。 普通の医者では、到底治療できる見込みがなかった。 いや、可能ではあっただろう。だけれども、他にも全国で被害を及ぼしていたため、医者の数が足りなかった。 このままでは、手遅れになってしまう――。 そう判断した新子家は、可能な限りの人脈を使って、新子望の治療の手立てを模索した。 日本国内では、慢性的に医者の数が足りない。 重症者数だって多い。順番がいつ回ってくるのかさえも不明。 このままでは、よしんば入院できたとしても恢復に至る前に死亡してしまう。 治療費がいくらかかるとしても。 新子家は、望の治療を優先した。 尚――その時の執刀医が、伊達明であった。 そして当然ながら、その治療と引き換えに。 新子家は、多額の借金を負う事となった。 足元を見られたとは思っていない。 彼はその医療費に相応の、素晴らしい手術を行ったのだから。 むしろ、渡航費などを考えるのならば、逆に安いほどだった。 そんな折、憧の家を訪れたのが鴻上光生。 自宅に眠る橙色のコアメダル――コブラ・カメ・ワニ――を求めてきた。 引き換えに資金援助をすると、言っていた。 二つ返事で飛びつきたいほどだった。 効果も判らぬ古術品よりも、今を生きる人間の命である。 当然父親は、その話に乗るだろうと思った。 だけれども彼は、それを渋ったのだ。 その埋蔵品にどれほどの価値があるかなんて、憧は知らない。 しかし、こんな状況にあっても――おいそれと持ち出していいものではなかった、ようだ。 憧は悩んだ。憤った。 そんな何かも分からないものより、姉の命を助けるにかかった借金。 憧は現実を見ていた。 得体のしれないものなどは認めこそすれ、目指そうなどと、思ってはいなかったのだ。 しかし同時に、頭の片隅では理解していた。 あの未確認生命体。それは確実な超常現象だ。 であるがゆえに、この、メダルも何かしらの曰くを持っていても不思議ではない。 故に憧は、一旦契約を保留とした鴻上光生の元へと向かい、問いかけた。 そこで知った。 オーズという存在。 コアメダルという存在。 セルメダルという存在。 欲望を形とした、いくつもの概念を。 そして、新子憧は再会した。 姉の手術を担当した、伊達明と。 手術かと問うてみたが、答えは「NO」であった。 医者である筈の伊達明が、何故そのような場所に居るのか不明だった。 或いは人体実験なんてものでもやっているのかと、そんな想像すら浮かんだ。 などと当惑する憧に目掛けて、明は何事もないかのように笑う。 そして人差し指を立てて、こう言ったのだ。 「新子ちゃん。俺、こんだけ……稼がなくちゃならないのよ」 百万円か、ともすれば一千万円かと思った。 だけど実際は違ったのだ。 一億円。 明は一億円を稼ぐために鴻上ファウンデーションと、何らかの契約を取り交わそうとしていたのだ。 それを聞いたときに憧の頭を過った事は一つである。 何故、彼がそんな額を稼ごうとしているのか。 どんな契約の内容ならば、それほどの額を出すのだろうか。 それと、先ほど説明されたオーズとはどんな関連があるのだろうか――ではない。 “都合がいい”。 実に都合がいいものだと、憧は思った。 彼女が――彼女の家が負った多額の借金。 その借金に由来する手術に携わった伊達明。 伊達明が契約を交わそうとしている、鴻上光生。 鴻上光生が求めているメダルを持つ、自分。 そして、メダルを手放せない自分の家。 この状況は、実に憧にとって、都合がよかったのだ。 そう考えてからの行動は早かった。 憧は、明が交わそうとしている契約内容について質問。 未確認生命体。或いはドーパント。 それか、ともすればいずれ目覚めかねないグリードに対する措置としてのバース。 オーズがコアメダルを利用するとしたら、バースはセルメダルを利用する。 そんな、バースとして戦う事が、明には求められていたのだ。 その装着者として、憧は志願した。 勿論、万全のトレーニングとバックアップを要求した上で、だが。 加えて憧が交渉材料として差し出したのは、橙のコアメダル。 (思えば……我ながら、随分吹っかけたわね) 彼女が持ちかけた契約はこうだ。 第一に、新子憧が仮面ライダーバースに変身して戦う。 加えて、必要なそのとき(憧が良いと判断したとき)には、爬虫類のコアメダルを提供する。 代わりに、憧はバースとして戦うに当たって十分な教育を受ける。 その際の教育者が伊達明。彼への教育費用として、鴻上ファウンデーションは1億円支払う事。 そして第二に、鴻上ファウンデーションは新子家の借金を返す事。 それらの費用は全て先払い……という形だ。 我ながら、実に欲張りな契約を持ちかけたと思う。変に度胸があったもんだ。 だが結局――鴻上光生はそれを、受け入れた。 ちなみにこんなにややこしい契約となっているのは……。 伊達明に、まずは憧の家の借金を肩代わりしてもらい、 それから、その借金の分も含めて彼が得ようとしていた金額を支払う――という形だから。 まず、明に五千万を立て替えてもらった。 その上で、五千万を返済+一億円の支払いを、鴻上ファウンデーションにさせようと言うものだ。 本来ならこの一億円は、憧には関係ないものである。 何故、わざわざ背負ってしまったのかには二つの理由。 一つ目――。 伊達明が一億円で契約をしようとしていたところに、自分が後から乗り込んだ。 コアメダル+明より五千万低額なら、憧と契約を交わした方がお得である。 だけれども、渋られる可能性がある。明と先に契約を結ぼうとしていた――とか。 或いは明が、異議を申し立てたりするかもしれない。 そう言うぐちゃぐちゃしたのが面倒だから、鴻上が頷きさえすれば後腐れない形の契約を取ろうと思った。 額は増えてしまったが……そもそも、五千万などという普通では返しきれない借金である。 ここで契約の機会を逃したり、或いは、ケチがついたりしたのならば、憧たちには返済の手段がなくなる。 多少強引だとしても、この契約を逃すわけにはいかなかったのだ。 二つ目は――。 これは、ちっぽけな感傷のようなものだ。 五千万という多額になった場合、大方の人間はそんな事は知らないと首を振るだろう。 だが、憧にはそうはできなかった。 そうしてしまったら、借金を返せたとしても、自分は幸せにはなれないだろうと思ったのだ。 明は、姉の恩人に当たる。 大好きな姉だ。よく頼り過ぎてしまっていた姉だ。明は、そんな姉の命を助けてくれた。 勿論そこにあったのは親切心などではなく、プロとして患者を治療する契約に他ならない。 それでも、やはり姉の恩人である事には変わりない。 そんな明が、一億円を必要としている。 どんな理由だかは知らないが、彼の性格からするに、態度はアレでも真剣そのものだ。 それを、後から来た自分が奪い取る。 恩人である明に対して、後ろ足で砂をかける行為をする事となるのだ。 それは、憧の中ではアウトのラインだった。 超えてはならない一線に当たる。 借金が云々以前の問題だ。人間としてそれが許されるか否かの、基盤となる部分。 そこを超えてしまったのならば、憧は人間ではなくなってしまう。 少なくとも、自分自身納得はできないだろう。 姉が助かり、家族の債権が消えて、全てが元通りになるとしても――。 憧は幸福になれなくなる。 いずれそんな“負い目”は憧の中で芽吹き、体に入ったガラスの破片が如く、心臓に到達するだろう。 そうなったとき、自分たちは崩壊するだろう。 ただ借金を負うよりも、後味の悪い、気持ちが悪い形でバラバラとなる。 憧は不幸になりたくなかった。幸福でありたい。 憧は打算的である。ちゃっかりしている。 だからと言って、悪人ではなかった。彼女なりの、納得と言う倫理基準がある。 だから多少なりとも泥をおっ被さったとしても、彼女は『納得』と『この先不幸にならない事』を選択した。 それが、新子憧がバースとして戦う理由である。 憧の強い欲望を評価すると、鴻上は言った。 欲望とか、年頃の乙女に対して失礼な言葉だ。自分は純情であるのに……。 ……閑話休題。 とにかく、それが新子憧の戦う理由であった。 この事を知っているのは、憧を除けば鴻上光生と伊達明の二人だけ。 それ以外の誰にも、打ち明けていない。 「なんか、あたしだけが自分の為に戦ってるって……やっぱり言えたもんじゃないわよね」 再度、溜め息を漏らした。 自分は、他のライダーたちの尻馬に乗っている存在だ。 皆が無償で戦っているところに飛び乗って、自分の取り分を稼いでいる。 なんとも、情けないものだ……そのあり方が、皆に比べて、賤しすぎる。 伊達ならハッキリと割り切れるだろう。 そして、実に正当な――聞いた人間を納得させる理論を展開するはずだ。 だけれども、憧には割り切れない。上手い言葉も考えつかない。 自分は皆とは違う。 そんな、どこか劣等感じみたコンプレックスが浮かんでくる。 「……どうしよ、あたし」 鴻上は憧の無理な要求を通した。 だからと言って、契約をなあなあで通す事はしないだろう。 キッチリと、憧のすべき事を――対価を求めてくるはずだ。 だから、憧はグリードと戦わなくてはならない。 ヤミーを生み出してくれた方が、憧にとっては喜ばしいのだ。 それが契約の履行条件に近付くから。 でも、それを望むと言うのは、やはり……。 きっと、賤しい存在となってしまう。 この先の人生に瑕を作る。後々への禍根を遺す。心によくないものが残る。 納得できない事は、後への悪凶を齎すのだ。 それは理解している。 理解しているが……。 「……はぁ」 いざ実際、戦いに終わりが見えてくると同時に……憧は悩み始めていたのだ。 このままグリードと京太郎が深く争わなければいい、という良心。 何とかヤミーを倒して、稼がなければならないと思う保身。 その間で、板挟みにされていた――仲間に打ち明ける事など出来ずに。 「お金……稼がないと」 或いはもっと誰かと親密になれたのならば。 こんなジレンマを相談できたのだろうか。 既に、自分一人だけが自分の利益に戦っているという“負い目”がある。 胸が痛い。立つ瀬がない。申し訳ない。 そんな奴が、何を仲間面して皆の輪に入れようか。 己が酷く矮小で、汚らわしい存在であるとさえ思えてくるのだ。 「……はぁ」 どうしたらいいのか、憧には判らなくなっていた。 ただ敵がいるから倒しているうちは、よかった。 きっと戦いが進めば憧の借金返済も進んでいくし、平和にもなっていく。 世の中が、全体の流れが良くなると思っていたのだ。 だけれども今は、違う。 憧は己ひとりだけ、停滞してしまっている気がした。 終わりに近づいた流れに出来た渦に、片足を囚われているような。 だから、せめて――。 「あたしはともかく……誰かの為に戦うあんたは、幸せになってよね」 報われるべき人間は、報われなければならない。 そうでなければ理屈に合わない。理に適ってない。理不尽である。 だから、京太郎は幸せに進んでほしい。 勿論、憧だって幸せを放棄しない。 こんなに苦しい状況となっていたとしても。 憧は、憧自身……自分に出来る範囲内で、精一杯幸福を目指そうと思っているのだから。 部室に顔を出して、気晴らしに麻雀を行う。 着信があった。対木もこから言伝された研究員の伝言。 バースのオーバーホールが終わったので、引き取りに来てくれとの事だった。 (……雨、降りそうね) 自分の心中を映したかのごとき空を見上げて、新子憧は深い息を漏らした。 ――了
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Interlude「神代小蒔の現在――いかにして彼女はイマジンたちと出会い、戦うようになったか。そしてその後」 ふう、と小蒔は息を吐いた。 ミュージアム、財団Xと雌雄を決する戦いから三日。 彼女の表情は暗かった。 (……私じゃ、力不足なのでしょうか) 神代小蒔が参加できなかった、その戦いに於いて。 須賀京太郎は、まさに獅子奮迅の働きを見せた。 プトティラコンボとブラカワニコンボにて、囚われた江崎仁美を助け出し――。 タジャドルコンボとガタキリバコンボにて、財団Xの黒幕・仕掛け人を打破し――。 サゴーゾコンボとシャウタコンボにて、ミュージアムの首領を打ち取り、結社を崩壊させた――。 その身に宿したメダルの力を完全に活用しての、縦横無尽の大活躍。 彼が居なければ、この作戦は成功しなかっただろう。 それほどまでに、須賀京太郎=仮面ライダーオーズの力と言うのは、強力無比であった。 初めは――と、思う。 初めの彼は本当に弱かった。 言うには憚られたが、仲間内の誰よりも力がない存在であったのだ。 勿論、自分も強いとは言えないが……それでも。 彼の事をケアしなければならないと、どことなく思っていた。 あの年頃の少年と触れ合うのは初めてであり、兄弟も居ない為に。 なんとなく、自分がお姉さんだ……と思っていたのだ。 そうはいっても、やはり小蒔だって弱い。イマジンの力が無ければ戦えない。 そんな力が無いもの同士、一緒に強くなろう――と思っていた。 彼と二人で色々と、強くなる為の特訓だって行った。 弱いからって諦める理由にはならないというのは、小蒔が真実感じている事。 だから立ち止まらずに、共に進んでいきたいと思っていたのだ。 いたのだ。 そして結果、今、須賀京太郎は強くなった。 あの状態の彼を相手にして食い下がれるのは、江口セーラか大星淡ほどだろうか。 小蒔はその輪に、入れない。 置いて行かれたのも、それが理由だろうかと思う。 直接そうとは言われはしなかったものの、やはりそうなのではないかと思えてならない。 彼は優しいから言葉を選んでいたが、きっと、小蒔は戦力外に近かった。 だからと言って、ここで立ち止まる理由にはならない。 元々麻雀を打っていたときだって、小蒔の実力は高くなかった。 その身に有する特異な技能が故に、勝ち残れる程度である。 だから、弱い事に文句は無かった。 弱いと言うのは、可能性だ。 まだ強くなる先があるという事であり、進めるというのは、どんな自分にもなれるという事だ。 故に、弱さは問題ではない。 追い越されてしまったのならば、再び追いついて、追い抜いてあげればいいだけだ。 そう、判ってはいた。 頭で理解しているのだが、それとは別に――。 (なんというか……寂しいなぁ) 年下だと思っていた少年に。 自分がしっかりしてあげなきゃと思っていた少年に。 弱さに嘆いて、強さを目指そうとしていた少年に。 置いて行かれた事が、追い越されてしまった事が――。 何と言うか、嬉しい反面、寂しかった。 彼の成長は実に喜ばしいところである。 あの努力が報われて良かったというのもあり、強くなったんだねと目を細めたくなる。 でも、そんな彼と遠ざかってしまったのは、僅かながらにもの寂しい。 また別に――それとちょっと、思った。 こう、最初の頃は自分と色々仲良くしてたのに、最近冷たすぎやしないかと。 ……いや、二日前一緒にお菓子を食べたのであるが。 こう、そういうのではなく――なんというかもっと、信頼関係と言うか相談と言うかなんというか……。 そう言うのが足りない気がする。 懐いていた犬が、自分以外に向かっていくような。 そんな面白くなさが、あった。 すっかりと、敵を倒せるのは当たり前……みたいに。 怪人をやっつけては、女の子を助けている。 助けられた女の子の中では、京太郎=ヒーロー像が確立するだろう。 それは……ちょっと違うなぁと言いたい。 本当はそんなにスマートに決めきれる少年ではなかったし。 余裕綽々風に振舞っているが、実際内心では色々悩んでいたり。 鷹揚な態度こそ表しているが、内面ではきっとやはり戦いに緊張がある筈なのだ。 元々の彼を知っているから猶更、最近の彼を見るとどうにも引っかかるものがある。 「昔はあんなに可愛かったのにねぇ……」という奴だろうか。 こう、元々の彼を知っている自分がいて、今、昔の彼を知らないで彼と知り合う女の子がいる。 なんだかちょっと面白くないのである。面白くないのである。 (……って、駄目ですよね。駄目です。こういう考え方は!) 頭を振るう。 折角彼が成長したのだ。それを喜んでやらねばどうするのか。 そして、負けていてはならない。追いつかねばならないのだ。 なんて思ったって――その、やはり寂しい。 試しにちょっと頬っぺたを膨らませてみる。 うん、今の気持ちを表しているようで実にしっくりきた。 自分は、仲間内――永水――で頼りない存在とされていた。 勿論、神を下ろすという能力が故に……その力を頼りにされるのも、 或いは、本家の姫として、ある種の線引きの上に敬われているというのもある。 尤も、皆はそのラインが故に足を止める事なく、手を差し伸べて友人となってはくれているものの……。 小蒔にとって、ある関係だけは存在していなかった。 小蒔自身が変な負い目を受けずに、「何とかしてあげたいな」と思う事。 嫌な言い方になるが、自分がしっかり者とみなされる相手との関係だろうか。 まあ、つまりは……頼られたかったのだ。 自分の方が年上で、大人で、色々知っているししっかりしているんだ……と。 そんな風に、ある種の先輩風を吹かす相手が、いなかった。 仲間内でもストッパーになったり、苦言を呈したりすることはあった。 だけれども、心のどこかでは思わなくはなかったのだ。 これは、自分の立場があるから――従ってくれているのではないか、と。 それは、霞たちに対する侮辱であろう。 きっと、小蒔が小蒔の立場でないとしても彼女たちは、受け入れてくれるはずだ。 そこまで、繋がりの薄い関係ではない。 また、彼女たちの人間性がそんな妙な“しがらみ”や“おべっか”だけとは、対極と位置しているというのも知っている。 それでも――だ。 それでも心のどこかで、思ってしまう事はあった。 きっと弱くて、卑劣で、彼女たちを裏切った考えであろう。 でもやはり、そんな疑念を抱かずに入れるほど、小蒔は大人ではなかったのだ。 それから、モモタロスたちと出会った。 あの騒動の事は、今でも覚えている。 悪霊騒ぎの一件として、解決を頼まれたのだ。 そんな事を言われても、自分たちは専門家ではない。 力はある。だけれども力があるのと、正しい結末に至るのは別の問題だ。 本家で選別された問題ならともかく、直接自分たちが判断を下すのはあまりにも重い。 それほどまでに、他人の人生に、小蒔たちは責任が取れないのだ。 それでも――と、頼まれた。 相談に乗ってくれるだけでいい。多少なりとも、気が軽くなればいい、と。 それでも渋った。散々ばら、皆は渋った。 本家を離れたこんな土地で、すべき事ではないと。 未確認生命体の事件もあった。 悪霊という形にみなされているだけで、現実は彼らシリアルキラーかも知れない。 だから、相談に乗る事さえ危険かもしれない……と。 それでも、果たして、その相談事を受け入れる事となった。 それが始まり。それが、小蒔のビギンズナイト。 悪霊と思われていた存在――イマジンと。 それと戦う、電王という存在との。 出会いと、幕開けであった。 その事件の過程で、悪霊――と相談されたのはイマジン。 そのイマジンは契約を行い、暴れまわった。 小蒔たちにもその刃が届かんとしたところで、間に入ったのはモモタロスたちだった。 戦う力を持たない小蒔と、戦う力を持たないモモタロス。 本来ならマレビトである彼らは実体を持たない。 契約を果たす事で、彼らは仮初の体を与えられてこの世に顕在する。 別の世界から来て、帰れなくなったモモタロス。 こちらの世界の住人ではない。 別に、付き合う必要などないのに。こちらの事に責任はないのに。 それでも、彼らは戦おうとした。 本来の電王への変身者がおらずとも、彼らはイマジンとの戦いを選んだ。 その姿を見て――小蒔は自分がその代わりになると決意した。 彼らの手助けをすると、決めたのだ。 自分に出来る事があるならと、戦いに向かう事にした。 そうして、まずは初戦を突破した。 問題は、そこからだった。 戦いは終わった。一先ず事件は解決したのだ。 一旦、物事が収束してくると、余計な考えが浮かんでくる。 有り体に言うなら、小蒔は卑屈になっていた。 結局こうしてモモタロスたちが自分に話しかけてきたのも、頼りにしてきたのも、それは小蒔の特質ゆえ。 やはり、自分は“それ”抜きでは語られない存在なのか、と。 大事なのは“神降し”であったり、“特異点”であったり――。 そこに小蒔自身の事などは、含まれていないのではないかと、考えてしまったのだ。 それから、やはり危険ではないか――という話が持ち上がった。 霞たちの懸念も尤もであろう。 自慢ではないが、小蒔は運動が苦手だ。 泳ぐのはそれなりにできるが、走るのは不得意。ましてや戦いなど猶更。 でも、求められるのならば、応えようとは思っていた。 時間が壊される事は少なからず小蒔たちにも影響を与えるであろうし、あの、未確認生命体の事件が起きた直後だった。 同様の存在が起こす騒乱に対する、義憤に燃えていた。 そこだけ見れば、小蒔が断る余地はなかったのである。小蒔自身の心情的にも、状況的にも。 それでも霞たちは異を唱えた。 更に言うなら、小蒔に頼った本人――モモタロスたちもそうであった。 誰もが、小蒔の身の安全を考えてくれた。 イマジンが起こす事態はそれこそ、未確認生命体と比肩するほどであり、 卑屈な考え方からするなら、小蒔が傷付いて“役目”を全うできなくなるそれよりも、リスクが高い。 それでも皆は、小蒔を第一に考えた。 “やる力があるからやらなければならない”。 そんな義務など、要らないと言った。 義務感にに囚われて本質を見失う事こそが危険であり、なによりも小蒔が大事なのだと。 そんな彼らの思いやりに、小蒔は己の内に存在していた卑屈さを、ただの思い込みだと知った。 また、思い至った。 何かの力があって、それを頼りにされる事は寂しい事ではないと。 その力が切っ掛けとなって、新たな縁と巡り合う事もある。 その力を言い訳に、勝手に壁を作る事こそが、勿体ないのだと。 それから――小蒔は戦った。現在を改変しようとするイマジンと。 その過程で、皆ともっと打ち解けられた気がする。 余計な負い目など、ほとんど感じなくなっていた。 それでも、小蒔には……ある関係だけが、なかった。 その関係を齎したのは――ある少年だ。 たまたま選ばれてしまった、居合わせてしまった、オーズの装着者。 須賀、京太郎である。 そんな京太郎は、小蒔にとって初めての相手であった。 初めてであった。 人を見て――その人となりを知って。 もういいのだと、言って上げたくなる人物は。 その先の幸福を、願い続けてならない人物は。 小蒔の知る人たちは皆、前を向いている人間だった。 自然と、善き方向へと向かう。善き方向を目指す。 小蒔がいる・いないでの不都合があったとしても、誰もが“幸せ”というものを理解している。 だけれども――彼は違った。 彼はたった15歳の、小蒔より年下の少年だ。 だけれども、どこまでも彼は疲れ切っていた。 時々覗く、年相応には見えない、草臥れた表情。 確かに小蒔の知る石戸霞もある意味、年相応ではないだろう。どこがとは言わないが。 でも――それとも違う。 どれだけの、どれほどの人生を送ったというのだろう。 少年とは思えぬほどの、諦めた顔。乾いた口に、過去の重さを思わせる背中。 笑いながら張り詰めて、身構えながら疲れていた。 とても、年下とは思えないほど――無邪気さとはかけ離れた、佇まい。 これは、駄目だと思った。 それから、助けてあげたいと思った。 彼の力になってあげたい。 15歳の少年が持つものではないほどの、翳りを見せる雰囲気。 せめて年相応に笑えるようになって欲しい。 涙を堪えたり、笑いを捨て去ったり、喜びを押し殺したりしてはならない。 そんなのは、間違っている。 小蒔は彼の、力になってあげたかった。 だから自分が年上として、彼を支えてあげなければと思った。 頼りにしてくれと思った。される人間になろうと、思った。 そんな風に、憔悴し切って幸福や安寧から遠ざかろうとするものを見るのは、初めてだった。 ましてやそれが年下の少年であるなんて……。 故に、小蒔は京太郎のお姉さんになってあげようと考えた。 そんな関係と言うのは真実、初めてであろう。 そう、だから今彼が楽しそうにしているのは喜ばしいのだ。 喜ばしいのである。 喜ばしいのだけど……。 (なんというか……寂しいです) 分かっちゃいるのだけれど。 確かにそれは自分の望み通りなんだけど。 非常に喜ばしい事で、祝福すべき事なんだけれど。 お姉さんは寂しいのです。 前みたいに、無理して誰かに頼ろうとしないのではない。 きっと本当に、自分でどうにかする余裕があるから、頼らないのだ。 余裕が出たなら、彼はもっと笑えるようになるだろう。 それこそ小蒔が望んだ通り、年相応の人生を送る事ができるようになるはずだ。 ……。 ……でも。でもですよ。 それとこれとは、またちょっと話が別なんじゃないだろうか。 そう、頭で分かっていても心はまた別だ。 嬉しいんだけど、やはり寂しいのである。非常に寂しいのである。 (今頃……どうしているんでしょうか) ちょっと空を見上げて、溜息を漏らす。 祝福すべき事で、喜ぶべき事だ。 それは理解している。 嬉しい反面つまらないとか、そういうのが、彼にとって申し訳ない事を。 でも……。 それでもなんというか……お姉さんは寂しいです。寂しいのです。 ――了
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「ねえ知ってる? 妖怪の話」 「あー、聞いたことある。有名な都市伝説でしょ?」 「それって、吸血鬼と戦う十字架の人の事?」 「私は、ドッペルゲンガーと戦う仮面の怪人って聞いたけど……」 「えー。鬼と河童が殴り合ってたんじゃなかったっけ?」 「いくらお話にしても、無茶苦茶すぎるよね」 「うん、確かに……あれっ?」 「どうしたの?」 「今、あそこにおじいちゃんがいたような……」 「えー、この間亡くなったって言ってたじゃん!」 「ちょっと、怖い話だからって身内ネタにするのはなしでしょ!」 「えー、うん。見間違いかな……?」 「あ、でもさ……もしかしてそれ、ドッペルゲンガーだったりして……」 「そう言えば、死んだ人が蘇ってくるってのもあったかも……」 「なにそれ……やめてよ! バカバカしい!」 「何言ってるの? 自分から振ったんじゃん」 「だって確かに――見たんだから。見間違いかもしれないけど」 「はいはい」 ┌────────────────────────┐ │この世界には――様々な種族がひしめき合っている .....│ └────────────────────────┘ ┌───────────────────────┐ │路地裏、街中、学校、職場、街外れ――そして、闇の中│ └───────────────────────┘ ┌────────────────┐ │ ただの人間には知られはしない ....│ └────────────────┘ ┌────────────────┐ │そんな、「怪物」についての伝説だ ...│ └────────────────┘ ――「怪物」を追うもの / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{;;;;;i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 「……お前、ワームだろ? 人を襲うんだよな?」ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ ,....-ィ /,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 ――「怪物」を倒すもの. / / / / | ヽ ..... ヽ / , / / / | | | | /... / / /| | | | | ./ / .... / / | | | | | ......// / / /| / / | 从 /| | | / ;/ / / / | |/`ト、| / | /斗イ / /|j/{/ / / \j ィrチ笊ミ / j/ ィf斥kx | 「お祖母ちゃんが言ってた……『服の絵柄とボウリングの弾は見かけによらない』って」/ , /⌒; 《{ト、 _j| {ト、 _j| ノ, || | 八. 弋 ソ 弋 ソ / | .......、从| | / | \__, . .// ; ´ ノ ノ ハ| | { | /| \ // / /, / ..... /  ̄X|  ̄  ̄ ̄ > ´ ` // / // __,. ⌒ 、 / / __ | ` </ ─イ⌒ / ヽ ( ̄ \/  ̄ ̄\ \ ト、r-、__/ ∧ .ー- ... \__ / ´ ̄ \ \ \ }/ / ∧ .. {>ー= ノ. // \ \ ー 彳 {{ ∧ ..´ / / ── }_ ー― | \ \ 〉 / / / / ̄ ̄ 人 \ ─==´ イ. {{ イ / \ >── イ \ \__}} / ´ | \ ――「怪物」に抗うもの ,≠´ `ヽ /. \_ . ∧ マ ``丶、 // 、 / ' / W*、 \ ,′ | \| ∨ | } i i \ }\. ,.≠ { | | ∧| i i /| /| i|!| ヽ / .. / ; W ∧ / ヽ }从,x=≠≪jノリ j / } ,, ゙ / V V ,z==ミ、 'ブ ノ},灯‐く ,.≠´ / 「そのパンチ、実にすばらです! 一緒にZECTで働きませんかっ」. / { ;/ ヽ ぅ*イ ,ノ ハ 弋辷ソ .!' < / i 乂 i{ 〉^ヾ 弋辷ソ /// ! < / ! ≧=‐-‐ ヤ_,,゙ , /// ′ j''′`¨¨¨¨´ ‘ ; /\_゚ r  ̄, ′ |. \ _;; *''´ ゝ. 、__/ / __人,r-、 , ‐- 、. `¨⌒ ` .,_, イ__ `Y´\ ヽ/ / `ヽ ハ] _少゙ \ _____ | ' , `〈_,/ / } __/ `7V¬ i `ヽ { ∨_,z / , ´ | o / ' , o / ' , A / / \/\_/\/ |\ /} / \ {___} / ', |  ̄ ̄i| / Y i ´ 厶=-‐/ | xく/\ ∨ i | ∨'///,/ } / \/\ | || } ̄ ̄| / / \/\ | | | j / / ――「怪物」に変わるもの _. . ― ― .、 .-‐ァ / / \ / // / / / 、 / ハ ヽ // { ハ ハハ彡 \ ノ } ヘ __. - / r‐v Vん芯≦´ jト、 ハ . . .―  ̄ 彡 ハ! { { 辷ソ z_彡イ } ハ / ――彡 二 / / ヽ ! { "" んfハ/ ノノ ノ / / / / / / ヘ ', / 、´ ゙='/ イ 「それじゃあ、片づけちゃうから!」/ / / / 彡 ´ / f三ヘ ト ー' _"ィ /( ( // / / / / / ヾ〉 ̄ / / rユ_ヾ ( / / / / / \ 彡∠三ミ ( / / / / ―' ヾヽ〉 V ハ ; 〃 丶 / / 〉 〉´ {ハ { /;i _ ― ' / / ヽヽ ', /;〈 / / イ ̄ ヾ、 / ; ; { _ ‐ ´ ! /; ; ; ; ゞ _; ;‐;´ { / ; ; ; ; ; ; ; /}; ; ; ; | / ; ; ; ; ; ;/ 〉; { /; ; ; ; ;/ / _ {{ | /; ; ; / / / 丶 {{ ', ――「怪物」を庇うもの / / | ヽ ヽ ', ハ ./ | | i! i! | | ! ハ i i! l ハ || | i! | i | | | | | ! |,ヘ |ハ/ i! | | | | | | | ト、 ト. i! Ⅵ. ィ´| ル'! | | 「逆臣はいらぬ……されど、衣の同胞。王として、臣下を守らねばならん」 | | | i! T ト=L\ !{ '´xィチ乞ぅミx! ! | Ⅵ Ⅵト、.ト,.ィ乞ぅミ\ ', い ハ リ| | .! Ⅶ ヾ! 从{ い ハ `ー\ マZz'ソ i! ! i! ヽト、 トヾミゝ マz 斗 i! ! ! ヾ! .∧ ' /| i! ∧ | i! 人 -― /| i! ! ∧ | |/ i > . _ _ ´ /| | ∧ | |! ! fr「 / / ! __ ハ | |!_ |__/^>vくx―‐// ト-'´ \ |/ / `Y⌒/ / i! | ./ く /こ{_{こヽ i || ! / } // ∧ i! .!i | ,/ / 〈/ / / / \ | | | i! \ ./ {_/ ./. / ,.イ / | ト! | \__.〈 ∧ ./ / / i | | | | ヽ / i∨_;イ / .ト、 ! ! ! ! ――「怪物」に微笑む者 ,..-/ . . . /. .. ! .. . .. . \ //. . / / .. .. .ヽ 〃// / / / i | i l | .. i 〃/ / i i ィ /!. ! | | | ..i .. . ..| 〃/イ./ | i /! ハ | | !ハ | | !| |i レ |i !‐廾‐| !、 ! /---、| リ | | !ノi i ! |.ャ伝テ、 けメ、迂テァ∧| | 「失礼……ですが、あくまで執事ですので」 | ! | !ハ iハj iイ /| ! !. |ハ| | ト、! ; !ノ | ハ ! | !ハ!ハ丶 ′ / /レ' リ | ′ iヘ丶 `  ̄´ イ /レ′ )|__\_/__K / L_\ /_/\ ,...-イ ∧  ̄7 !  ̄ / i \-、 __,...-‐' ´ / i i / || 、 / i 丶 `ー-..、 / / | i / | | Y | ゙、 ` ...、 / i 〈 , | 〈 | .! 〉 |、 / ゙、 ! | ┌-、.二/ | `t' ケ´ | \∠-‐'7 / i. | i i | .、/ | [| / / |. | | i | / | / / | ――「怪物」と暮らす者 / / ./ ヘ Y. \ | j / / / ヤ | -―‐t ` |. / / .//\ /,ヘ .| イ 7 | ヽ レ ’/.. /,イ /へ レ / ハ / / \ /./ /′  ̄`ー‐-≦7. ハ ’ / / /ヽ/ /' . / .ヘ } / / 不、 lハ {| . / } // / { ;;;≧x、V | / /. / ’ // ./. 弋__ツヘ | ー=--――十 ./ / / // ,イ """ ノ て≧芯x_ノ ./ / / 「わたくしの毒は、少々堪えますわよ?」. / ./ // | 弋;;;__ ツクイ / / / ./ // |. ハ r """/介 ヤ / / /' / i |. ヽ ト、 /"/ | マ / /{ { . | ||./{ 、 ヽ ` ァ ー‐' /__ ヤ |. ヽ _廴_込 ヽ、 | |´ ヘ \ __ _チ'´ _. ヽマ ヽ { ヽ ` .ト.! ヘ / ∨「〈.', マ¨ . マ ハ ト、 λ マ } .ハ ヽ ヽ /_ .| | マ、 ー-、 ヽ / .l ! ._ / ハ. /ヤ /ハ| ) /ミ≧≦チ_,マ ヽ` く ̄¨¨¨. \,.へj ̄`ヽ. / / ヤ / У′ リ / ィチ 二 < マ フ`ーへ ヽ `ソ `ヽ ヘ / / ヤ / / / レ// / 厂|、ヾ、\、/ /> _`ー / `マヘ / マ .i / / / / / / | ヽヘヽ \ ,イ / // ̄`ヽ{ マ ヽ ヽ 八 .{ | .| ./ /| | iマヘ. / | λ. |.{三三/ .〉` ――「怪物」を狩る者 ! . . |..... | | | ! |__!........| . ゙、 、 ヾ、 | .. i | | | | 「! i ! `ヽ!| . .i i. ト、! !.... i | | i |,rゥ-ニミ┘i__ ノ| |..i | i . . i i | | i |! ー-'..ヾ `iヽ!ノ;ノ ;i | ! i| | | | i ! iァ ....!ヾノ i. i | i | | i i ヾ | 「なら……イクサの前に平伏すんだな」 | i i i | | i i / . .|. ! ! ! i | | ゙、i _,...._ l . |. i // / /`ー^-、 」i_ ゙、 `" / .i.| i //; ' ´ ̄ ̄`ヽ  ̄ / | ! / //' \ r-、__ ノ -、_; |i| / / ...\ | | | `ヾ! / / ...ヽ | |../ / .. \ .i | !/ / . \ ! / / /ノ . \ |i \ ――「怪物」を除く者 ... -―――‐- .... /} / / \ / / / / / ∨ ∠...__ /{_ / / /l | ト、 ∨\__彡'. ∧__ | / /八 |\ | \ |__∧\\ /イ | /l / ̄`ヽ{ \{´ ̄ }从 | | \\. { | /∧{ /芹うト /芹うト } | l } }_ 「パーフェクトハーモニーだ。ニワカは相手にならんよ!」 _ノミV ノ{∧ 、V炒 V炒/ 小リ ノ-=≦}. / / {ハ  ̄ '  ̄ /^l/ /≧=-く__. {/ { ヽ圦 r― v // {/-=≦彡'_. 廴 l `ニ ´ . ´ \/≧=-く `^^′ `ト __ ィ 辷_ -=≦) ┌ | __ノ\__ __ /∠ / /∨ \____// ̄\  ̄} / __∠二ニ≠==≦二二/ . . { /∧ くく // . . {二二二襾二ニニニ/. . . . | / } ノノ. / /. . . . }ニニニニ/ ∧二ニニ{ . . . . . | ,/ \_〉 / ――「怪物」を塞ぐ者 __ / \ ... -―━━‐┴=ミ . ... ´ \ \ |. / \ \ \/ / / / | \ \ .. ′ / l l l\ \ | | l l . ┌― 、 | l l 从 | \___|\ 」从 l | | Ⅵ「 ̄ \ | l L/ \| ´ ̄ ___,, l | | (__〉{ ̄__ ‘, | 从  ̄`,_ ´ィ芹心`ァl | ト ト、ヽ{_ァ , 「まぁ――私に任せなさい」 |/ } ∧ィ芹心、 乂゚ツ l | |ノ | { ′ / _∧{{乂゚ツ}} . . l | | | \‘ _ |. / ⌒辷_ノ' ′ 川| | / } } | | / / 人 -‐ ~) // | |/ | | l / | 个 .. ` - /}/l 」/ | | | | | > . __ // ̄\__ l | | | / ̄ ___厂 // \ | | l/}/ ̄ {Y ll| // \ | | / l_// / ∧ , | {// /l ∨ ∧ ,′ |. // {八 l|l \′ |. // ∧ Ⅵl ,′ | __彡く{ ∧‘ | __,′ | _∨彡' . . . ∧l| / | | }/ | . . . . . . . . . . | /\ | | /| . | . . . . . . . . . . . . . . . . . . . { / ∧ | , ^| . | . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ∨ ∧八 / ――「怪物」に手を差し伸べる者 / 丶 / / \ / / / / ヽ / / / / / ヽ , / // /!`メ、| /! , | |. | ', ′ __.. 彡 | | | |/_|メ、| { ,' / | /|. | ', l >─ |ハ lx仡斥㍉|ハ /}/_斗イ | / | l \ / |. {{ { // } ' , / 仡斥㍉,|/| | 八 「人間? ファンガイア? ワハハ、風は縛られないからこそ風なんだぞー」. \ / \| V //ノ ` { // } }} / / \ \ /; /! `¨´ V //ノ / /|/ ヽ > {∧ | l __ `¨´ 厶イ ! \ ヽ |小、 l  ̄ 7 / | / {八\ \___ / /! }ノ , '′ _/ \丶. __ .. 、<_ _从/-‐ '′ ___.. イ ', \_ _jヘ、 x< | ', /⌒V ヽ._ / ヽ | , /ヽ ハ \  ̄`ヽ ', | ∧ / 〉‐{ ,\ 〉 ', | ', └--/ ‘、 / } i ヽ/ ', ――「怪物」を笑い飛ばす者 _,. .-‐-、 _ / ヽ ,. ''"´ `ヽ、 / _; - ‐ -. . . ._ / ‐-. . . .-‐ ''ン; ''" ` ヽ / _; -‐-x / \ / , '"´ , ''"´ ./ .. // / . / ヽ {.i / _ _ / .\. |j / ; ''"´  ̄ ー-‐‐7 /l iハ ヽ`/ i }`ヽ { ./ // / .l i .i i/ i } i . 、 i / / . / ∧7‐-=ミ ハ .!/ j ハ∧. ト, i  ̄ `ヾ;,. i / / . /{ .i .i i リ i ./ _\ i =ニテオ=z≦! } '! / } ヾ i / ./ i ハ | | _,z=オ芹「 \ ! i ;;;しイ j ./ V / / \__, 'イ lj ヾ i | '"i ;;;しイ. 弋 ソ ,厶イ . ハ i / `ヾ=---' //\!ト、 弋_ _;ソ  ̄ i | ! i i }/ // | i ∧ '_ i | .i i .! 「ほんなら、うちらの勝ちで終いっちゅー事やな」 { .i .| ! ∧ / `ヽ イ l i // ヾ\ | . i. / ` . i__,ノ / iリ | // i . i/ ≧- _ イ ,/ i / i .| 八| ,ハ__ / ';.! _,, -‐f´ \ / i ` ‐- _ , ''" {. ∧_∧ } `ヽ / /. \. _/x==x`ヾ_,ノ i // i ___{{__〃V \ i \ / .l. / ,、ヽヽヽヾ! i\,ノ ./ \_ / i / ゝ_/_/_/_/ー-、. \ V  ̄_`ヽ ∠__ / _,, イ ̄ 〈 / i i { / `ヽ. / -‐‐''" .| } .i /\ ノ ノ ――「怪物」に成りきれない者 -――- / ___ \ / / / \ /|/ノ \_|/| │ | |_-- -_ │ | | {ル=ニ 》=《 ニミ`ァ | 个ー==' . ー==彳 | 「私の実力じゃ、お姉ちゃんの助けになれへんから……」 │ 圦 ""___""│ | | 个 ‘ー ’イリ │ ト、__/ │ | r|≧= h |/l │ \__厶イ >u< ∨| \__/| <_/ (__,ノ 人 ノ人___,,/ /\ ≫≪゙ ̄ \_> |│/ /ノ介ト \ \ノ ハ ――「怪物」に取り込まれた者 . ¨  ̄ ̄ ¨ . . ´ `ヽ . ´ . ′ . / . ,′ ;. / / / { / / \ / イ /\_ \ _ ∠ イ | 「私なのに……私は私じゃないんだ……」 / ,ィ  ̄ ̄ | │ l | | | | |. 厶イ | i | ト. ト、 . ト、 .| | | |/ j j从| | |、 | | | ト、 │゚. | ゚. | | │! | ト、圦乂| 乂| \| \| ヽ{ヽ{ イノ 乂_{ jハ 从イ/´ -=ニ`ト . - .イ二ニ=‐- 、_ r=ニ =ニ二|`ト _ . r |二ニ ニ7 }ニ〉 ハ マニ ニ二ハ !二ニ / / /ヽ. / Vハ \ ニ二ハー- -一 j二ニ / / / ∧ ′ \\\ ニ二ハ───‐/二ニ //イ / | \\\ 二∧ /二ニ ///,/ ,/ 1 | }八 {\\\ 二∧ /二 /// // ∧ | ――「怪物」と戦えぬ者 --……-- r―‐⌒ヾ \ |∨ \ \ |/゚ 。 \. . . . . . . . . . . . . . . / \ . . . . \ . . . . . . . . . . . . . . 。 // / \ . . . . . . . . . ` .o。 . . . . . . . . . . . i ゚. /イ / . . .イ . . ー┬--- . . . __ .` . .o。 . . . . .|. ..。 i{ | ′ . .'{_|_ . . . | リV . . . . . . } .>匕、 \j--i || |/ . . ∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、 . .\}、 「……アドバイスくらいしか、出来ないけどね」 リ { . . . .|! ‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、 。 . . .ぃ、 | . . . . .「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ リ/リ゚。 . .ト、i | . . . .小 , , ' , , / . . .∧ .} リ l. . . . . | }ゝ-! jハ . . . j/} .| 。. . . { { j 八 -==ァ イ }/ j ノ ゚ 。.リ \{≧ュ。. ィ jソ ″ / ゞ イニ} ` ´ {ニヽ ィニ// ゝ|ニ\_ ┬==≦ニ/ニ7____ __,.|ニニムニニニニニlヽ /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム. /ニニ |ニ7ニニニニニ| |ニニニニ}ニニニ=|ニム ――「怪物」みたいな爺 -――- ´ ` ´ ヽ ,' i! i , ,' ,,斗i! i ' ,' ,' i! i i! i ,' i! ム --‐‐.{ ゞー‐‐-- { i! 「退いてろ、小僧」 〈 __,,;! 廴___ 弋 i! i ` ゞ'冫 ` ゞ' ''′ ゙γ⌒y ゙! ´ ! ` / . ,' / / 〈.... .... ヽ ,/ ,ト,,,ァ′ ,'` ー . ,' { / ' ー--- 、 . ,' }' 、 ゙゙゙゙ ャヤ´ }≧o。,_ 从从从从从/ ! ,八 !. . } 八 / ! \}. . . ヽ /. . } \从/ ,' /. . . . . .ヽ /. . . . . i! ,〉 ,' ,/. . . . . . . . .ト... .。o≦/. . . . . .人 _ イ. . . . . . . . . . i. . . . >... .。o≦. . . . . . /. . . . . ./.....`>=ーァ==<´....../. . . . . . . . . . . .i. . . . . . . . . >... ,ァ≦. . . . . . . . . . . ./. . . . . . .i...................,' o.............../. . . . . . . . . . . . . i. . . . . . . . . . . . . .>.. ,'. . . . . . . . . . . . . . ./. . . . . . . .{..................,'................../. . . . . . . . . . . . . . .!. . . . . . . . . . . . . . . . . . ,,'. . . . . . . . . . . . . . ./. . . . . . . . .{..................................../. . {≧ェ 。,,_. . . . . i. . . . . . . . . . . . . . . . . . i. . . . . . . . . . . . . . ム孑ヤ. . . {...................o............/. . . .〉. . . . . . . . .`ヾ}. . . . . . . . . . . . . . . . . . . i. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ∨. .{.............................../. . . ./. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . i. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ∨ {..............................{. . . ./. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . i. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .Ⅵ..............................{. . /. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . i. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./...............................{./. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .┌──────────────────────────┐│ ――ここには神はなく、奇跡はあらず、英雄はいない。 │└──────────────────────────┘ ,、 /lヽ //;;l;;;;l /ヽ ,- 、 /;;;;l;;;;l;;;;;l _____ /;;;;;l ヽ;;ヽ`ヽ 、/;;;;l;;;;_, -´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、 /;;;;;;;;;l ヽ;;ヽ;;;;;;;`;;;;ヽ─‐ ´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/__ゝ、 /;;;;;;;;;;;l ヽ;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/─/;;;;;;;ヽ_//;;;;;;;;;;;;;l ヽ;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;/─ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;l ヽ;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;/─ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;l lヽ lヽ;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/─ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l ヽ l;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/─ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l ヽ l;;;;l ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;` ヽ 、;;;;;;;/─/;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l ヽ l /~ 、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;, -─- 、___, -´ 、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l ヽ r´. . . . ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/. . . . . . . . . `ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l ヽ l. . . . . . . . l;;;;;;;;;;;;;;;;;;l. . . . . . . . . . . . . . . ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ 「必死に生きようとしている奴を――笑うな」 l ヽ .l. . . . . . . l○;;;;;;;;;;;;;l. . . . . . . . . . . . . . . . . l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ l ヽ !. . . . . . ノl;;;;;;;;;;;;;;;l !. . . . . . . . . . . . . . . . l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ l ヽ、. . ノl l;;;;;;;;;;;;;l;;;ヽ. . . . . . . . . . . . . ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ l l`´_┘ l;;;;;;;;;;;`‐,;; ヽ, 、__,ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_/l l l l`ヽ__l_, -──- 、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_-´ l==ヽ l l lヽl ヽ」__, -‐ ´l / `>--,─´ _/_ -´/ヽ l l l_ _, 、l_, -‐l _/ l l /, -‐´ ヽ ┌──────────────────────┐ l Ll ヽ l l_/ /l l / l │そこには――「怪物」と向き合う精神だけがある .....│ l __/ ヽ_,/_ / / lノ- ´ ____l └──────────────────────┘ l / /___ `─- _/ _,-──´ ヽ l / ´  ̄ ‐l / _/ ̄ ヽ ヽ ヽ「悪いけど……その顔が気に食わない」「私、本当に……鬼になんて、怪物になんてなりたくないよ……!」「その、うちの弟にならへん?」「なら――ここで命を使い尽くすときでしょうか。お元気で」「衣は……生きてちゃ、いけないのか……?」「私が射抜いてやる。その命――神に返せ」「だーかーらー、パーフェクトハーモニーだって言ってるでしょうが!」「なら――その根性、叩きのめしてあげますよ」「……年の功って奴だ」「教え子に戦わせて……自分がなにもできないなんてね」「……これは、お祖母ちゃんじゃなくて私の言葉」「なら、ワームを殲滅しますわ! 龍門渕の名に懸けて!」「……ちょっとこれ、大きすぎるやろ」「別に――ファンガイアだからって、笑うのを諦めなくていいんだぞ」「ごめんね……京ちゃん。私は、ワームなの」「俺に……光なんて関係ないんだよ……ははは」 / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 「……ふざけるなよ、お前」ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ ,....-ィ /,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 ┌──────────────┐ │ 「――――変……身ッ!!」 .│ └──────────────┘ ∧ _ iト、 , イ! ! r‐-、ノ|| . \ >.、 | | Y , i ! ョ Ⅵ| \ `ー‐| ! ! ョ ノ j { ヨ リ 「なら、まずは俺が相手になってやる」 ヽ\ /∧、| ョ_f | Lリ /∧、 ', ヽ // .ゝ{⌒ヽ 。/⌒',/| | ` ヽ._ /-f≧| L トゝ、_, 小、 _ノ / j !=、_ /  ̄ ̄ ̄¨ .! . / 〉ヘ_ノ! `ヽ.|∧ fv=!=vfレ' ノ / | ,ァ| / /冫' ,|ト. |\ ゝ `エ´∠/ / | ,イ/ !. ! ゝ'/ /∧ 、\ \ヽ. v f二彡'ニニ=、. | > ' ./. |/ノミヽ. ,ヘ\、ヽ. ¨^7 ̄ </| レ'_ /ノ} !'、\ニ彡' ヽ. \ 、 ,' /ュユユ} |_二ニ、_.ノ. .| \三リ \{ハ ̄\_ /=_ ノハ  ̄ヽ. /} / / {f|  ̄  ̄ ≧、ヽ._j彡'/| ', 、//| ト、__ノ! [r'\ `¨ r、,シL '、 Ⅵj ゝニニノリ {\[jr==f ̄≧、/] ]8| 7 {ミヽ. ;彡! 巛_/ニレ' くヽ. \ア´¨`ゝイ7/=レ' ! | 〈ノ、 ゝ─'. ; jヽ. 八 十_j|_/シ' ノ | | || ! .. ;;;; |', `ー―' イ ./| ! 〈 | Ⅵ! 、rッ' / ノ | | ! Ⅵ |ヽ , イ ゝ. ..| / Ⅵ j ゝ=< ; ' [二==彡'! \ ノ .. ;;;; ... [三三彡'| ゝ._,イ .. ; '´ {\__ノ| `、. , ' ´ f、 厂 / ' ..\_jア'. ' ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) ' ´/ , _ 、´ . _______. . . . . . . . . . . . . . ' ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ . / / r─‐'‐ァ r─‐'ニニニニ7 .,ィ─ァ‐===‐‐二/ , ',. -一' ./..'/ .} . / /' = フ'¨,r ュ,rフ/二二フ/ 7´' ∠/ ∠¨_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ 7 / /ク r'/ / 三/ /´//ー‐/ /-'´//─‐,≠/ / { \ヽ i' /─'ー‐‐^ー―――^ー―´ '===' 'ー‐´ ー'´ `´\ ヽヽ ! /M A S K E D R I DE R_ _ . ,.'⌒ `,. l ! ー"ヽ ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l l //. ! ゝ-‐'´ /l .! `ー-、 } | |// __. \ / } .} ヽ/ l 、 ヽ 、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ `ヽヽ j ノ ._______| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___゙、`' / ___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./  ̄ ̄ ̄ / ./. ヽノ  ̄ ――この物語に、神なんていない。
https://w.atwiki.jp/maskedriderkyo/pages/55.html
┌────────────┐ │これは――願いの物語 .│ └────────────┘ ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) ' ´/ , _ 、´ . _______. . . . . . . . . . . . . . ' ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ . / / r─‐'‐ァ r─‐'ニニニニ7 .,ィ─ァ‐===‐‐二/ , ',. -一' ./..'/ .} . / /' = フ'¨,r ュ,rフ/二二フ/ 7´' ∠/ ∠¨_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ 7 / /ク r'/ / 三/ /´//ー‐/ /-'´//─‐,≠/ / { \ヽ i' /─'ー‐‐^ー―――^ー―´ '===' 'ー‐´ ー'´ `´\ ヽヽ ! /M A S K E D R I DE R_ _ . ,.'⌒ `,. l ! ー"ヽ ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l l //. ! ゝ-‐'´ /l .! `ー-、 } | |// __. \ / } .} ヽ/ l 、 ヽ 、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ `ヽヽ j ノ ._______| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___゙、`' / ___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./  ̄ ̄ ̄ / ./. ヽノ  ̄ ┌──────────────────────────────────┐ │ その果てに何が待ち受けているとしても、誰もが純粋に――幸福を願っていた │ └──────────────────────────────────┘ ――「願い」を守る少年 / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 願いが無くちゃ、戦っちゃ駄目なのか?ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ ,....-ィ / 誰かの笑顔を守りたいってだけじゃ、戦う理由にならないのか?,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 ――「願い」を継いだ少女 ,. ′ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ / . . . . . . / . . . . . . . . . . / . .i . . . . . . . . ヽ . . . . . . . . . . . . ′ . . . . / . . . . . . . . . . / . . .ハ . . . . . 、 . . . 、 . . . . . . . ハ i . . ./ . / . . / . . . . . . . | . . .i| 、 . . . .| . . . i. . . . . . . . i | / ! イ i . . . | . . .i| ', . . . }、 i . . . i |. .i . | . |'_i . . .ハ |i . . |{ _.. 斗 .| | | . . i 先輩の意思を継いで、人を守るっす! i i| . | . | _i .|iヽ_,ヽ. | 、 .{ヽ _.」 } リ / | . . i | !V| /.|yt示 メ、 ヽ ヾ,イ. . ..i ト、レ | i | .i ハ{{.|i r' . | r' . . } | } i} | | . ', | .i ∧.仆.z .i .ゞ-.i | .| | . ', | .i. . } | ! . . , . . . .| | .| | . ', ,' . i ハ| ! | i .| ト . ', _ .i .,イ | !、 マ .フ | i ./.! i | ハ / ヽ.´.7 | i | i ト | | >.. ` ´ .| i´ ..i | ' | } ハ / / 、 | i | i| | | | >tェ.< | i. ´.| |/ '、 | iヽ i .{ ./ , -‐´ _}. .| i_| i| -- .-.i|´ ̄ / . { ヽ ,.-‐´|,' .| / } . i }` ‐---`..._ i ´ ̄ } ∧ . { . . .| / ./,イ 三 ヽ .| ./ | / | / ヽ ――「願い」を生き方にする少女 ,.. ----- .. 、 / ヽ、 / \ / / \ \ ヽ / / / /{\ヽ\ \ ヽ / /\/ / ヾヽ \ ヽ ', / / / / _.\ ', l / /\/ _\ /´_ ヽ l l / / /Y´し牟ト、 イ´侔`ヾ' l l この力で、家族や皆を護るし! / / / { ヒ{ 爿 .ヒ{ 爿 / } l l ./ / / ヽ', `ー´ , `ー´ /ヽ l l / /'l / ハ _ /ノ l l 小ヾ /" {小 { l丶、 ` ー´ .∠小 l | リ ヽ小l r `i 、 _. ィ´{ミヽリリ州/ z ''"´ ̄ ̄ {´| ! 7 `丶、 /´¨\ ヽ / ` 丶、 _ / \/´ ̄_ ̄_丶、__ _ / / ヽ ,, " , '"´ _ `丶、 `ー-´ / / ./ ヽ /" ,, ''" \`丶、`ヽ、 ./ / ./ ',{ ̄ '7ヽ/ \\\ `ー-` / ,,≠"´= / ヽ、 ――「願い」に命を託す少女 / / / // ´ ̄ ヽ / / / | l | | . i. / / | / / > ´ /, ′ | l | | . l / /... | i /ァ===ミ、 ヽ /イ . j_| | . │. ′. リ、 ;《 ん干ハ\ 〃 j\ イ / . /|. / . / ∨ | { ト ノ ' ,ノ / ヾ }/} \ __/ .′ ′ { ヽ{ ゝ こソ =ァ=/ / ソ/ / \ / / ! ∧ 。 ん干ハ㍉ / / ヽ.′ ′ |... ∧__ . ' .' . { ト ノ ′|} / / /// . i|.. | { 、 ゝ こソ //彡 //..... i|. |∧ ヘ / / ノ 待っとってな……絶対、助けるから……!... i| l ∧ 「 `ヽ、 . ' .' .° ′ノ┬=ァ ´ i| | / . ` -- ′ , イ / / / j| l / \ / / // j| |/ 丶 ___,,.. イ ../ / i| ト / / i| ../ /-=ニニニム {ニ\ / / i| . ,′/ ――「願い」を奪われた少女 , - ── - 、 , ´ , .ヘ ヘ、 / /. ∧ / . \. ./ / ..... ..∧ /,... 、 .. .\ / .} . { ミ ∧ /∥ . } . ヾ、. / , ノ . i_ミ_ __z--.ヘ . ∧ { { / . / .∨ .. ∧ i i ノ / ∨ ...... ∧ } レ´ .... . / ___∨、 .. ミ、 {彡' ....... イ /─一 ´_ _ ヽヽ_ \ ニ´彡 ...... / ∥ -- ____\=-ニ、___`_=- -=ニ´____/{. ,=-テ三欠 ケ_ノ } ゝ{ } } }.}、 .}丶 { ヘ__ノ} ヒヘ_ソ .ノ, ノ } i . , {} ヽ .N ゞ─‐'. ` ̄´ ク ,ノj{{ 生憎と――私はもう、一度死んでるんだ ,' } }ー`、 ' } || } { } } `ー、 .ノl ll ,', ,' . | | | {\ ア ./} } .}} ∥ /{ . i .i i il >, _ ,< i i {{ {{ { } } { } }} ノ| ` ー - ィヘ { l l } } ii .i i { } <} >- _ _ノ .∧_ l l i/ {{', { { } |___r´ ;} {_.∨ヘ } ヘ_ }/..,_ .─ー代{ヘ/ { { { ノ }、 .} ∧  ̄ ー __ _/ } ` / }. /\三ノ. \ i ∧ .{ }} i / ∨ } { ∨ ∧ / i ', / } i i } ゝ { i ――「願い」を砕く女性 ,. -────- / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . `丶 / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . . . . . . . . . . . . . . . . / . . . . . . . / . . . . . . . . . ,イ } . . . . . . . . . . . . . . . . ′ i . . ./| . . ./{ハ ./ | . /\ . ./ハ . . | . . . . .i i . . . . | . / l . ./ ∨ レ' ∨ }Ⅵ . . . . .| | . |. . . .Ⅳ V | . . . . .| | . |. . . .| ___,. 、____ | . . . . .| 踏みにじられた人間の顔、見た事ある……? | . |. . . .| ´ ` | . . . . .| | . |. . . .| ,斗ぅ芋ミ 斗ぅ芋ミ | . . . . .| | . |. . . .| {. 乂辷ソ 乂辷ソ .} | . . . . .| | . |. . . .|ハ ハ| . . . . .| | . |. . . .lヽ{ ' }ノ| . . . . .| | . |. . . .| .人 __ 人 | . . .| | | . |. . . .l | . | ...  ̄ ̄ イ l . | . . .| | |八 . . .ト、| . | . .r‐}` ー--‐ {‐ァ | .| | . . .| | \l _ |-‐'{厂 ア}ー- . _ | . 八| _ ,. < | | ノ/=ー-、 〈 | | 〉 ∧ ヽ / ∧ ――「願い」を見守る女性 . -‐…‐- . ´ ` 、 / \ / .. .. .. .. .. .. .. .. .. 丶 . . . . . . . . \ . . . . . . . 、 / . . | . . . . . ¦ . . \ . . \ . . ` . . . . .| . . . . . | i . , . . . . . . . , ; . . . . . .| . . . 、_|__j_|ノ|ハ . . |i . . l i. .. .. |. . .| i . . . . ..| i | 人 ⅰ . |i . . i | | | . i. |. . .|八 . . . . ∨i,x圻幵竹, . |i . . | | んー、楽しそうだったからじゃ駄目かねぃ | | . i. |/l ∧ . ___ノ 〃 トィ/f心| . |i . . | | | | . i. | . ァヒ扞ト′ _)ツ| . |i . . | | 誰かの欲望って、見てて退屈しないんだよね。わかんねーけど | i . . i. | 爪 トィ心 ,,, | . l/ . .. | 八 | | . i. | . |i' )ツ | ; ′ . . | \ /㍊i | i ’. ,. | . || 、 ,,, ′ ィ / . . . ノ| / ㍊i |/ V/, |i . 〈癶 ーく ノ / . . . / |/ ㍊i V 八 . . V .ゝ / . . . ィ/ / ァ㌻¨ \ \ . \i . \ . ≧=ー/ . . ≠≪'/ / ,ァ㌻¨。 ゚xヘ \ }≧=\------辷r< //。※゚l/ ァ㌻¨ ※/。※ハ ` / ;冖冖冖冖/ i/ `X升ォt/ ァ㌻¨ 。※゚/。※゚。※゚| | / / /。※゚.。※゚/ {※゚/ ゚| | ァ㌻¨ /。※゚〃※。※゚。※゚| |. / イ/ /※|。/。※/ {/。※゚| |¨l /※/゚/゚。※゚。※゚。※゚| ノ ――「願い」の代価に苦しむ少女 ... -――‐- ... / \ / / ∧. / / ∧ / / / / / ∧ .′ ′ / / / | | | 勝てば、皆といられると思って……それで…… | l / / / | |l | | | l /ー匕ィ77''''|l |二二二二二ニ==-- | | ; __ | 〈 〈 {_L从ハ二二二二二二二二ニ=-- | | {℃癶_)-`ー‐'__フ`<二二二二二二二二二二〉 | | ∧/Y´Υ ̄ ̄∨ l l | ̄ ̄二ニ<二二二二/. __ | | l リ し' ヘ⊇...イ l l | ̄ ̄ / /二二マニ/ / `≪三三| ∨彡'三lリ'l | /{ l二二二/ / }≪三| /三三ヲ/ ll | ,/ l |二>''". / ∨〉 `~「 ̄\,/三彡' 八 { / __フ´ / / /二二二 ∠__, ∨ /__ノ /___\__ l ,/二二二/----' ∧ 〈/┬‐=ミ\ / ,/二二二/ ∨ . ヽ|二二>∨ ,/二二二/ / | \ ノ|二二二{__/二二二/ / | \. / |二二二フ二二二ニ' / /' | \ // ̄!二二/二二二∨/ / | \ \ \ ――「願い」を叶えたい少女 _, -‐― _, . .- ‐ ‐ '´ " ‐-. 、_ _,.r "´ . . . . . . . . . . . . . . `` .、 / . / i . . _、; `-.、_ / . ; イ ; ハ ;; / . . \ / / / | i i . .i ;;;; ∥ 、 . ヽ ,.r "⌒ ヽ、 / / ┤ | |ニ廴 ;;;;;; | ) | / . . ゙i イ /_―| | !―弌/ア;;; ゝ、__/ . ∥ i f j /;| 7ヘミ i | |――丈 ;;;;; ;ハ { . 弋__,/∥ハ ! . . .ミミヘ !|-―彡-`ゞ、;_ ; イ i i ゙、 . . /ノ . リョニャニヘ ヘニニ羊三≡ミミヨT " ´ ;.r宀・ト、 (こん力で、政治ば変える……!) .\ _/ャビ毛鬱"|ニニヘ ヘニニ⊇;;;;;;;;;;;. リ i .f . . . . . .、 ヽ / ̄ヾ ゙l . . ⊇ ;;;;;;;; リニニニ`‐- 八 ''''''' / . | { . . . . . . } | / . . . 川 . . 叉__ノ . .ニニニニニ .` ‐-‐" . . ゙、 . ゝ、 _ ;ノ . ∥ i { . . . リ|| l . . . . . . . . _又 . . . . . / .! `` " }; . __,.ィ 、__,. ,.r ´ `ミ‐-- i イ ゞ、 . . . . . _ノヘ. l、 ,ノ /. . ; r‐- . .川 |  ̄.「´ . ;r ゝ、_  ̄ ∥. . f . ノ/ / .| . { . . ; `` ;,.、_ _,イl . ゞ、;_;彡'. / ゙、 ゞ、ソ . . . .| コ;;;‐-,,-匕´ . ト乂 . . . / \ ._ノ !/(_|__ _; rイ \`‐--‐" ` ̄.´ / .λ f^`i ‐ァ_ _,. -‐" ヘ. / 人_.ノ i / '´ .``‐ 、_ ,.r " ヘ λゝ、 Y// 》// ``‐.、 ./.! ∨、 ヘ_0_|/ // / .ヽ / .| i 》" ``7 / .゙、 ./ | | } 7 , }、 / |.∨ };;;;;;;;;;;_/ / ,. ハ ./ .f |./ / | .i ./ .! ' .゙、 ――「願い」を食い止める少女 |.. |.... .. / /|. |...ト、... ....゙、 ...... . | | | . /.......... / ゙、ヾ、 \ ゙、 |. | | / / ゙、 ゙、 \ ゙、 | | ! / / ,. --\゙、 / | ! /―‐/-- 、__ / ___ !; / | | 冫-、/ /=-r iヾ /'´5 }〉| | | { ヘ/ /丶 ー"  ̄ !. | | ゙、 | / , / アンデッドは……全て封印する | | 〉 /_ /. | /| i | /i \ , - // / | | | / | \ / / | | |/ ハ ├!_` ー _ , イノ|、_| | | | | ゙、 ノ/ `ー-、 ,, -‐ ´ ゙、\ | | | |/ . 〈 /ー‐\ | . . \__,..-‐. ´. / . . . . ∧ /| / \ | . . . . . .| . ` .ー-..、_ . . . . . . . . / . . . . . .| V 〉-〈 \/ . . . . . . .| . . . . . . . . . `ー-、 ――「願い」を受け継いだ少女 > -─── < / ` 、 / \ / / \ ./ / ヽ / / / / l ヽ .∨ j ∨ / ル , j l Y .j Y´ ノ ,; ノ/j イハ ! } .イ ト'´Y ナ卅'‐x- zノ/j /ハ } } l ! ! ! レ'≠=≦、ノ ./ イ/.! イ ! ! ! ! ! Y .Y { んzハソ ノ ノ ノ/∧!' ! ! ハ } 〉 l | .! | ゝ-ク' ´ r=≦'.`メ ノ /ノ.リ ./ { ! ! l ん.v/.}ノ ノ' /' お、おねーちゃんだから……皆を守らないと…… ./ 〉 ト-! ! ゝ.乂./ / ノ / /´∧ !`| | ` ./ /イ 赤土さんの分も、私が…… ノ -‐' .ヽ {. { ! r--, ./ ! j , r '´'´ .∧ ∧.、 {.`ヽ、  ̄´ ノ !リ リ´ /,r ‐ .、 .∧ ∧ヽ ゝ `ヽ -‐<r‐-、' / /r.⌒ヽ、 `ヽ、 ∧ ∧、\ゝ  ̄ /./Y ! / { ヽ 〉、∧ ∧` ,v‐ー-、 / }l | { / /.!. ヽ ∥} `} | ヽr' ´ >./ /j' j .!' .! ∨' l .} l Y´ r'´ r./ 〉' { .ト, | ∥ .j l j }ゝ-{ / \ .' }、 l .∥∨ }/ } ∨ \ .∧ ――「願い」以外を切り捨てる少女 i{ /{/ / __ ____У__ -===- ∠__ -=ニ ̄ ニ=- r=ニ二 ̄ `ヽ / ̄二ニ=‐┐ \ }/// \______/ //{/ ̄ ̄二ニ=- \ /{/// 「///} //} ̄二ニ=- 、 \ | / . て ̄二ニ=- ___{///」 ____ -=ニ二 ̄く\⌒\ \ \ | / . )// 厂 ̄乂 ///} .\ \ \ }! ′. {/r─‐‐ / `ヽ___彡イ . \ \ | ′. 乂_______彡イ | . V . \ \ | ノイ | | |l | │l| | | |l ! V . , }! | | | iト! 八| l| i| |l | . ∨ . , | |l | |l | / | ;i| /| ノ| /! . , . , | 八| |i | / i| / | / !/ l| / |l∨ . , ! , | | フ了癶T l/ l|/ ,斗f癶Y |l ∨ . , . |Y ! ボクの邪魔をするなら――殺すよ? | |i 人 ヒzZノ ヒzZノ i|l } . ‘ . | l | | |l l|__ノ| . ∨ | l | | |i ‘ 厂| | . V ! レ′ | 圦 ′ | | . } | |i ` -‐  ̄ iノ! .′ l|! ト ィ´ i| ノ| / \ { |l\ | | ノ/ l | /. ____\{\|i_____ノ 八_______i|/| / /´ ∧∨ ∨∧ У. ' ∧∨ ` ー- -‐ ∨∧ ‘, { ∧∨ ∨∧ }┌──────────────────────────┐│ ――ここには神はなく、奇跡はあらず、英雄はいない。 │└──────────────────────────┘ ___ ,..、 ,.ィ'"´  ̄``ヽ.、 ∨ . ,イ' `ヽ,、∨ . // ゙,ヽヤ . /イト、 //´ヾ、 . ,' i ノ rイ/ マ! ト‐!" i ! | | ! ゙i i' | ……人の願いが叶うのを見るのって ゙. i r─- 、 || ! ゙,ィi─'___ l_ _ _ || / その力になれるのって――悪くないっすよ ヽ!゙"´ `─-、`ヽ、_ _ ィ'rト. / ゙ヽ !| `ヽ.、 ゞイiァ'゙'' ,ィ'='"゙/ ̄ ̄ ̄`─‐ト、 `ヽ./i | ,.ィ'" / `ト!_, ノ" ,. -‐_、..,r'" / ヽ、,.. -- 、 / i !´ `ヽ、 / _ _ ,..ィ- ,ィ'"´ ヽ. ! !| ` ‐'‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐'" / ,.ィ-─ -.、__! ┌──────────────────┐ │ ――あるのは、ただ、純粋な願いのみ . │ └──────────────────┘「それじゃあ、俺が止めてやるよ。何度でも」「悪いけど――パーティはここで解散っすね」「怜の為なら……何人でも、殺したるわ……!」「こんな事になるんだったら……ライダーになんて……なりたくなかった」「死なないから――アンデッドって言うんだよ」「……お久しぶりです。お元気でしたか?」「もう、私は助からない……! こうしている間にも……!」「寒くて……寒くて、戦えないの……」「まさか、ライダーだったなんて……」「あの、潰れた顔――忘れられないんだよね」「さーて、どっちについたもんかねぃ」「もう、私は後戻りできないんだよー……」「どんな理由でもいい――俺は、とにかく前を向きたい」「だったら、戦って決着を付けようか。公平にさ」 希望があるから、絶望がある。 願望があるから、殺し合う。 欲望が故に、人は苦しむ。 願いとは――「呪い」なのか。 それとも――「救い」なのか。 そんな、誰もが胸に願いを抱いて戦う。 ほんのささやかな「願い」についてのお話。 / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 安心してくれ……それなら――ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ ,....-ィ /,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 ┌──────────────┐ │ 「――――変……身ッ!!」 .│ └──────────────┘ _ f i _,....../イ_ ヤ! ,.ィ "´ ∨∧ `ヽ. ,.. i | / ,ィ7.メ. トィi ヽ ,.. / _,... ェィ'´ ,..-イ"´ _ -─ =  ̄ iイi 7 //〉゙_rr=ト_ト、 ト..ィ' /、.ィー≦、__r ..ィ‐ト=- イー,---─=  ̄ _ -"´ ヤi/ ,. /// ,ゝ ゞイト トゞメ.ィヽヤ_〉´ ヽヤ i | 「 _,.. -‐ ´ ,.. ,.ィト、' ,、,、.ミf/" / ナjl /`〉/ , 、i i | | ト、,..ィ-‐ ´ / |' |ト.ヤ〈〉/// ̄ ||゙"i 、iィ´, ィト、{ ト、」_ __ イト=、._ _/ | | ト、∨/,、 i j| } i ヽ._,.ィニ=ェ_、__ _,... -─ '" ̄ | | ! ヽ/ ト' // イ、 ,...ィ -‐"~ \ _, ニ=-‐="l、_ ヤ ヽ _ _ _ _ _ _ rュイ、,イノ `ー/ r─────、 貴方の願いは、俺が護る  ̄´ `~゙\/\i`ト、メ/ヽィ‐-rーイ_,ィ'トェ. ヤトイ ̄=====ト、 _ _ ゝヽィ``",i.イ_.イ' `ト| /ー─---====ト、 ≡ミト、、 _,/´_,.ィ、〉ゝトー"´ /(〇) ト. /`ー ──----=イ、 、 \ヽ ,.ィ="´/ ,./ 〉 } ,ィ' `´ー─‐ /´~`ヤ r----、 _ _ _ _ _ _ ヽ. ト、 ト、\ ,イ 〈イノ 〉´ ̄ ト、_ i |´ ゝ- イ ∨ ´_,、____ `ト. ヽ、 \ト、 /ト',..ィ-ー/ /〉 r=ト. /r= 、 r‐、 ∨ ´ ` ̄`=─-ト. ``i \ /" | 〈/ ィ、 ゞイ」_ ゞ=イ __ \ ヽ frヾ; ∨ ヽ. ゝ /' / | /イ f/r─、ヽi ヽ ヽ. ヽ.〉ゞィ j l /ヽイ | / ヤト. //| \ \ ゙ ∧fr ミ、 ヽ / | /〉 〉∨イ 〈 ヽ \\ | ゞイノ ニ-イ' ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) ' ´/ , _ 、´ . _______. . . . . . . . . . . . . . ' ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ . / / r─‐'‐ァ r─‐'ニニニニ7 .,ィ─ァ‐===‐‐二/ , ',. -一' ./..'/ .} . / /' = フ'¨,r ュ,rフ/二二フ/ 7´' ∠/ ∠¨_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ 7 / /ク r'/ / 三/ /´//ー‐/ /-'´//─‐,≠/ / { \ヽ i' /─'ー‐‐^ー―――^ー―´ '===' 'ー‐´ ー'´ `´\ ヽヽ ! /M A S K E D R I DE R_ _ . ,.'⌒ `,. l ! ー"ヽ ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l l //. ! ゝ-‐'´ /l .! `ー-、 } | |// __. \ / } .} ヽ/ l 、 ヽ 、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ `ヽヽ j ノ ._______| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___゙、`' / ___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./  ̄ ̄ ̄ / ./. ヽノ  ̄ ――この物語に、英雄はいない。
https://w.atwiki.jp/maskedriderkyo/pages/28.html
Interlude 「アンクと少女と無理心中」 ――トリさんが赤いからかな。青くないとだめなんだね……。 いつの日か、そう言われた事を。 アンクは、ハッキリと憶えている。 グリードは夢など見ない。思い出す事はあっても、人のように夢などを見やしない。 だからこれはアンクの、記憶に明確に刻まれた言葉なのだろう。 「……俺は」 現代に目を覚ましたグリード=アンクは、まず戸惑った。 コアメダルを奪われて。 決して満たされないグリードとしてこの世に現れてから。 かつて存在していた美しい羽は失われて、アンクの体はごつごつとした、見る影もない醜悪なものと化していた。 岩を砕くどころか何を啄む事もできなくなった嘴。 美しいものを収める事すらできない瞳。 太陽まで羽ばたく事ができない羽。 どれも屈辱だった。悲しかった。以前のような己の姿とは違うそれが。 だが――しかし。 今の彼は、それよりも酷い。 そんな嘴や目すらなく、翼と言うなら手の甲にあるただのシンボルがごときそれのみ。 鳥の王ですらなく、おまけにグリードですらない。 アンクは、ただの右腕だけの存在としてこの世に復活したのだ。 (なんだ……これは。俺は、どうしたんだ……) 怒りよりも戸惑いが勝った。 グリードの姿を気に入っていた訳ではない。むしろ、不満しかなかった。 それでもこの――今の身体に比べるのなら、遥かにマシであろう。 どうすればいいのか判らない。 何故己の身にこれが起きたのかさえ知れない。 ただ一つ、言える事がある。 王によってコアメダルを奪われ封印されたアンクは、何らかの要因でこの世に舞い戻った。 然るに、他のグリードも目覚めるであろう。 今のこの体では、他のグリードに対抗はできない。 裏切り者。彼らはそう考えているはずだ。アンクの事を。 アンク自身はそもそも誰に加担した訳でもないと考えているが、同時にまた、己が裏切り者である事を自覚している。 ただ、だからと言ってのうのうとやられる訳には行かない。 セルメダルをすべて失って、仮初めの肉体が崩れ去ったとしても。 アンクたちグリードは死ぬ事がない。そもそも生きてはいないのだから。 ただ、その一枚のコア。意識が宿ったコアの内で。 永遠に欲望が満たされる事のない悪夢――地獄を見るだけとなる。 (そんな事は、御免だ) 故に手近に存在していたメダルを数枚掴むと。 アンクは、他のグリードが目覚めるよりも先に、その場から逃げ去る事を決意した。 アンクがその場にいない事で。 別のグリード内の裏切り者、カザリに対する糾弾が起き。 そしてその過程で、隠されていたアンクのコアが目覚め。新たなる人格が誕生した事など、知る由もない。 ただ、アンクは逃げ出した。 それだけだ。 他のグリードに見つからないように息を潜めながら。アンクは、己自身の事を考えた。 他のコアがどこにあるのか。それが分からない。 それでもせめて、セルメダルさえあれば、あの体になれるかもしれない。 そう考えて、ヤミーを作ろうか。 試してみたが、それも上手くはいかない。 炎を出す事もままならない。翼など、言わずもがな。 どうやら――アンクの持つ大半の機能は、使えなくなってしまっているらしい。 かつて奪われた己の力に比べるのならば。 こんな事は、些事である。どちらにせよ満たされないグリードである事には変わりない。 ただ、今のアンクは脆弱そのものであった。 己のコアメダルを取り戻す。セルメダルを集める。 そうは考えたものの、具体的な手段など思いつかない。 オーズの力があり、或いはその装着者がいるのなら別だろうが。 アンクが気付いたその時には、他のグリードの復活も開始されていた。 故に、オーズのベルトを持ち去る暇さえなかった。 (俺は……) 落とす肩すらもない。 ただの右手。己は今やそれでしかないのだ。 惨めだった。 かつて大空を翔け、すべての鳥類から尊敬と畏怖の眼差しを向けられた――そんな姿など、どこにもない。 この、大きく変化した環境の中。 アンクは、一人で放り出されたのだ。脆弱なグリードとして。 「……トリさん? お化け? 右手?」 そんな時だった。 唐突に、声がかけられたのは。 幼い声であった。見れば――この姿でもものを見れる――そこに居たのは、赤い髪の少女。 小さい。 元々少女であるというのもあるが、十分な栄養を与えられていない。 そう判断するに足るものである。 アンクに怯える訳でもない。 目を輝かせて。どちらかと言えば、興味深々と言った様子で。 馬鹿な人間なのだろう。ただ、目は見えているようだ。 「……俺は鳥じゃない。お化けでもない」 「じゃあ、右手のトリさん?」 「……うるさい。あっちへいけ」 「ちょっと、モモ! どこいってるのさ……って、化け物!?」 もう一人。その少女を探して現れた、勝気な目の少女。 髪の色から察するに、アンクに声をかけた少女の姉であろう。 こちらは、アンクを見て驚いていた。これが正常な反応だと思った。 それにしても、騒がしい。 「あんた……あたしの妹に、何する気なんだよ」 それからその少女はアンクから妹を遠ざけるように間に立ち、その背に庇う。 グリードという事は知らなくとも、化け物を見たのだから、これが当然の反応だろう。 それにしても、やはり人間と言うのは煩わしい。 それでも今の自分では、こんな人間一人の相手をするのも不可能に近いであろう。 「俺に用はない。お前の妹から話しかけてきたんだ」 「う、腕が喋った!?」 「……俺は腕じゃない」 噛み殺すようにそう呟く。 だが実際、今のアンクはただの腕だ。 羽ばたく事もできず、天に上がる事もできず、ヤミーも作れず、炎も出せない。 ただの右腕だった。 王でも、グリードですらもない。 (なんなんだ、俺は……。俺は、どうなっているんだ) 頭の中で繰り返しても、答えなどない。 ただ、今のアンクは弱い。それは確実である。 このまま、この場に居たのなら――目の前の少女に、破壊されるだろうちっぽけな存在。 立ち去るか。 逃げてばかりと言うのが、アンクのプライドに障る。 だが、以前の王の如きプライドがあってもしょうがない事だし。 自分自身、その点では後先を考えない人間を見習ってもいい――そう過去に考えていた。 ここでまた、コアだけの存在になっても仕方がない。 故にアンクはその場を後にしよう。そう思った。 その時だった。 「トリさん、お家がないの?」 「ちょっと、モモ……!」 「だったら、一緒に来ない?」 先ほどの少女から差し出される、右手。 しばし考えて、決めた。今の自分では――逃げ惑うのすらうまくいかないのだと。 彼女の姉は渋ったものの。 それでも妹が引かない事を見るに、やがて折れた。 自分たちの前以外では決して姿を現さない。 それを条件に、アンクは彼女たちの家へと連れて行かれる事になった。 勝手なもんだ、バカバカしいとも思う。 それでもこのまま他のグリードから逃げ続けるのも難しいので、精々利用してやろう。そう考える事にした。 この時代の基準と言うのは分からないが――。 アンクから見て、その家は貧しい家だった。 昔過ごしていた時代の下級民の暮らしとそうは変わらないような生活。 あの二人が痩せているのも道理である、そう思った。 どうやら、この家は教会であるらしい。 ただ、寂れていた。 かつてアンクと他のグリードが、あの“王”と戦った場所のように。 そしてやはり人間は愚かだな、と思った。 この姉妹の父親は、とんでもない愚物であったのだ。 人の世を憂いて、新たな教義を追加した。それが故に、元の教会から破門になったらしい。 実に愚かで――詰まらない悪人だ。 アンクは鳥の王であった頃、全ての鳥を束ねていた。 弱き者は生きるために、強き者の庇護を必要としていたのだ。 そしてアンク自身、それに大して不満はなかった。彼らを護る事に。 この姉妹の父親と言うのは、無自覚の悪人であった。 ただのそれよりも、なお性質が悪い。言うなれば、この世で最も邪悪であろう。 自分は正しい事をしていると思っている。 そしていつか自分が報われる――今、何故、そんな自分が報われないか――とも考えている。 くだらない類の、屑だ。 王である――或いは仲間で在ったり、父親であるのならば。 まずは、己の下の者を護るべきなのだ。己を必要とするものを。 故に王は民を護る。盟約を誓ったものを護る。 もしアンクに子供がいるのなら、王としての責務と同時に、その子供を全力で守ったであろう。 だが、この男は違う。 己を求めているとも限らない人々の為に、勝手に思い込んで行動をする。 挙句に――真に自分を必要とする、子供や家族を置き去りにして。 自らが蒔いた種に手を加えず踏みにじり、それ以外に――己のやりたい事にばかり目を向ける。 それでいて善人面をしているのだ。 これまで見た人間の中でも、最上級に愚かしい類の存在である。 悍ましさこそ覚えはしないが、心底この男を、アンクは侮蔑した。 (やはり、人間は愚かだ) それを信じる家族も。 ただの、馬鹿の集まりとしか思えなかった。 実際、洗脳でもされているような阿呆の類なのだろう。 親を選べない――子供を除いては。 「どうしたの、トリさん? お腹すいたの?」 かと思えばこの子供のように。 自らが飢えて居ながらも、その食物を差し出すものがいる。 こちらは、自分に責任はない。もっと救われたいという欲望を抱いても、良いのではないだろうか。 そう思うほどに。 人間は不思議だな、と思った。 「……いらん。お前が食え」 「トリさん、お腹すかないの?」 「俺に食事は必要ない」 それは真実であった。 グリードは、何を食べても味と言うものが感じられない。 味だけではない。光も、音も、臭いも、感触も……何もかもが狂っているのだ。 故に満たされない。 永遠に満たされる事がない存在、それがグリードなのだ。 「ふーん。じゃあ、お腹すいたら言ってね」 幼いのか、理解していない風に感じる。 そんな少女を眺めながら、やはりアンクは、己が満たされない存在となった事。 今やそんなグリードですらない事を、恨んだ。 夢で見た――かつて満たされていたときに――風景を手に入れる。己が失ってしまったものを取り戻す。 アンクは、改めて自分自身にそう誓った。 そのためには少なくとも己のコアメダル。セルメダルが必要だった。 (かならず、手に入れてやる) 右手を握りしめる。 まずはこの世の中に対応しなければならない。 そして、いるのならオーズを。或いは、オーズのベルトを手に入れなければならない。 あのような王ではなく。アンクのメダルを集めを助けるような存在を。 それからアンクは調べた。 オーズがこの世に再び出現した事。 それを行ったのは、あのカザリである事。 どうやら、カザリと協力して奴のメダルを集めようとしている事。 そして――己のコアメダルが、新たな人格を持ったグリードを成立させている事。 あの姉妹の家で雨宿りをしながら、アンクは、そんな情報を集めていった。 ある日だった。 「お前、何か欲望はないのか?」 「欲望?」 「……やりたい事や、欲しいものなんかだ」 ある夜だった。 しきりに話しかけてくる少女に辟易しながら、アンクは問いかけた。 もし自分がヤミーを作り出せるようになったのなら。 その時は、この少女の欲望を叶えてやってもよいかもしれない。 一宿一飯の礼と言う訳ではないが、そんな風に思っていた。 「えーっと……ね」 「なんだ?」 「お姉ちゃんとかお父さんの話してること、むずかしくてよくわからないけど……」 「……」 「また、みんながお腹いっぱい食べれて。それで、みんな笑ってくれたらいいな」 「……そうか」 「うん、トリさんも一緒だよ? りんごとか、食べようね」 こんな状況でまで、他人の心配か。 そう思ったが、口には出さなかった。 ヤミーを作れるようになったのなら、この少女の欲望を叶えてやろう。 今度は失敗などしないで。 望むだけ、腹いっぱいに食わせてやる。 アンクは、己自身に誓った。 (その為にも、コアが必要だ。俺のコアが……) それからアンクは、少女たちの家を離れて。 己のコアを探す事に集中した。 あのオーズ。カザリが何故未だ素直に従っているのか分からないが、鍵はあのオーズだ。 これまで以上に、オーズへの注意を深めた。 奴と出会う人間、その全てに注目する。 そうしていればもしかしたら、己のメダルに巡り合う機会が増えるかもしれない。 「カザリ、だから半分持ってくれって」 「君が買ったんでしょ? 僕は食べるなんて一言も言ってないし」 「そりゃあ、そうだけどよ……お前、まだ気が向かないのか?」 「そうだね。君がもっとメダルを集めてくれたら、分からないけど」 「あー。分かった、分かったって」 買い物袋を抱えて歩く、カザリとオーズ。 オーズは、相変わらず間抜けな面をしている。先代のオーズ――“王”とは大違いだ。 だからこそカザリの事を、信用している風でもあるのかもしれない。 カザリも何故、おかしな行動をしないのか気になった。 だが、きっと、アンクと同じ理由であろう。そうでなければオーズの復活など許すはずがない。 カザリは慎重――言い換えれば臆病なのだ。 よほど追い詰められた。であるがゆえに、オーズの封印を解除した。 恐らくは。 そのメダルが十分に集まりきったのなら。 オーズを殺して、他のグリードのコアメダルを奪う。それぐらいはする奴だ。 (その前に……なんとしても俺のコアを集めなければ) ますますアンクの置かれた立場は悪くなった。 カザリのコアが集まる前に、自分のコアを集める。 しかし、あの別の自分は――グリードの群れの中に入っている。 どちらにしてもオーズが必要だった。 なんとしても自分のコアを手に入れ、カザリのコアメダルを得て復活を阻止し、そして、オーズと交渉しなければならない。 あのオーズが出会っていた人間を辿り、また後を追って……。 何枚かのついでと一緒に、ようやく、自分のコアメダルを1枚取り戻した。 そんな日の事だった。 アンクは上機嫌だった。 自分のコアのみならず、カザリのコアや他のグリードのコアも手に入れられた。 うまく使えば、オーズとも交渉ができる。 あとは、タイミングだ。 そして、しばらくぶりにあの少女たちの家に戻った。 心なしか、いつもよりも雰囲気が明るい。 食卓に並ぶ料理の数も、いつもより遥かに多い。 何があったのか、そう思った。 「あ、トリさん……どこ行ってたの?」 「……別にお前には関係ないだろ。それより、どうした?」 「えーっとね、お父さんの話を聞きたいって人がいっぱい来たんだー」 不思議な事があるものだ。 この時アンクは、そう思った。 ただ、オーズを調べるうちに分かったのだが。やはり人間の欲望と言うのには変わりないし。 また、時代が変遷するにして、悩みと言うのも様々になったらしい。 逆に、この少女のような欲望の持ち主は、珍しいだろう。 「はい、これトリさんの分」 「……なんだ、これは」 「りんご。おいしいよ」 「……俺の事はいいから、お前が食え」 「ううん。わたし、いっぱい食べたよ?」 確かに言われてみれば血色がいい。 どうやら本当に、満腹になったのだろう。 そして、アンクの返答に関わらず、押し付けられるリンゴ。 「どう?」 「……ふん、まぁまぁだな」 「そう? おいしいと思うけどなー」 味など分かるわけがないのだから、食べても意味がない。 だが不思議と、不快な気分にならなかった。 自分が欲望を叶えてやろう。 そんな風に考えてはいたが――どうやらその必要はなくなったらしい。 だとしても、だ。 結局アンクのやる事に変わりはない。 己のメダルを集めて、オーズに協力させ、まずは完全体になる。 そこから先は――。 (俺は、力を取り戻してやる) あの、夢のように。どこまでも、どこまでも大空へと羽ばたいてやる。この星を超えて。太陽にまで。 そうしたら、その時は。 あのときの少女と――この少女を。 背中に乗せてやっても、いいだろう。 その時は、背中いっぱいに、リンゴを持って行ってやろう。 あの美しいものをまたこの目に収める。 アンクはその手を握りしめる。 ドーパントだの、イマジンだの。 メダルを奪い返したときに、そんなものが資料としてあった。 厄介だ。 これでは欲望の奪い合いだ。 そうであるがゆえに、他のグリードも様子を見計らっているのだろう。 逆に言うならこれは、チャンスかもしれない。特に今、明らかに不利なアンクにとっては。 そしてあのオーズはそれらとも戦っている。 だから。その時を見計らって、オーズに取り入る機会もある筈だ。 奴らとて、メダルが必要なのだから。 そんな風にオーズたちを監視して帰った――ある日であった。 「……なんだこれは」 燃え盛る、炎に包まれた教会。 その外で一人佇む、少女の姉。 その顔には力がなく――全身には、返り血を浴びていた。 「おい、お前……なにがあった!」 「あたしの……せいだ。あたしが、あんな事を願わなかったら……」 茫然自失の様態で。 膝をついて、涙を流す少女。 ぽつりぽつりと、言葉が語られる。それはアンクがこの家から離れていたときの出来事。 彼女は化け物に……白い化け物に、「皆が父の話を聞きに来て欲しい」とそう頼んでしまった。 やがてその化け物は――繭や卵のようなものから孵って、人の「関心」を集めてきた。 そうして彼女の家は、食べ物に不自由しないほど潤った。 父の手前、そんな化け物を自分の欲望が生み出したなどと言える筈もない。 なるべく家に寄りつかせずに、暮らしていたが……。 それがついに、露見してしまったとの事だ。 そうして、彼女の父親は狂った。 目の前の少女を化け物を従える魔女と罵り、妻ともう一人の娘を道連れに――自殺した。 その化け物とは、ヤミーだ。 アンクが本来ならば生み出せる、鳥のヤミー。 おそらくは向こうもこちらを感じて――コアメダルを探して。 アンクの気配が残るこの家に来て、そのついでにヤミーを生み出したのであろう。 「……おい、離れるぞ。このままじゃ、お前も燃える」 「あたしが……あんな事を願わなかったら……。そうすれば父さんも母さんも……モモも」 「……おい! いいから離れるんだよ!」 そう、アンクが怒鳴りつけた、その瞬間であった。 自らの宿主の危険を察知した――コンドルヤミーが。 己の主人のコアメダルを持つアンクを見つけて、襲い掛かってきたのは。 ――糞ッ。 舌打ちをするが、回避は難しい。 コアが二枚。ただの右腕の体では。 しかし――アンクは、そのコアを奪われる事はなかった。 「お前……!」 目の前で放心していた、その少女が。アンクを庇うように前に立って、胸を貫かれていた。 直後、ヤミーの体がセルメダルへと変化し始める。少女が、親が、死に向かっている為である。 腕が引き抜かれた。 赤い――赤い宝石のような穴が穿たれた少女の胸。鼓動が、小さくなっていく。 このままなら、少女は死ぬ。 咄嗟にアンクは、少女の体に憑依をしていた。 そうすれば辛うじて死ぬ事はないし、また、アンクとしても入れ物を得る事になる。 セルメダルに変わろうとしているコンドルヤミーが、少女と融合したアンクを前に戸惑う。 それ目掛けて手刀を繰り出し、ヤミーの体をただのメダルに変えた。 元々弱っていた。 だから、こんなアンクでも倒す事が出来たのだ。 足元に転がっていた、リンゴを拾い上げる。 歯を当てて食いちぎり、飲み込む。 人間の体を得たアンクは、同時に味覚を得るのだ。 だが――この食べ物は。 思っていたそれよりも、心なしか味気ない気がした。 それから。 アンクは今、オーズを観察している。 ドーパントの一人と、生身で戦うオーズ。 カザリが傍にいない――何を企んでいるのかしらないが――為に、変身はできないらしい。 それでも必死に、異形の怪物相手に食い下がっている。 これは、またとないチャンスだ。そう思った。 同時に、ここでオーズに死なれたら困るとも考えた。 自分自身のメダルをすべて集め。そしてその後、他のグリードのメダルも手に入れる。 完全体になってもやはり、感覚は乏しい。 だが――すべてを集めたのならば。完全体のその先になれば、より高く。より速く羽ばたける筈だ。 そんなオーズが、怪人の攻撃を受けて跳ね飛ばされる。 アイス――あの後食べた。気に入った――をほおばりながら、アンクは木から飛び降りた。 やや離れた茂みに、オーズである少年は居た。 全身が擦り切れて、口からは血を流して。 ただ息をするのも辛いと――そんな様子で、横たわっている。 これはひょっとしたら、不味いかもしれない。 立ち上がるその体は小刻みに震えており、命の危機を思わせる。 故にアンクは、半ば焦りながら声をかけたのだが……。 男はアンクを一瞥すると、ぎょっと顔を歪めた。 アンクがグリードで、この機に襲撃を懸けられるとでも思ったのか。 そう考えたがどうにも、その先の言葉を考えるには、違うらしい。 あげく、何を思ったのだか。 アンクを庇うように、前に立った。 どこかで、誰かがやっていたのと――同じように。 それから男――少年が。 歯を食いしばって、笑顔でアンクに呼びかけた。 「任せとけって……お兄ちゃんはな、ヒーローなんだよ。だから――悪いやつには、負けないのさ」 こいつは馬鹿だと思った。 どう見ても満身創痍で、このまま闘えば死ぬだろう。 オーズに変身したところでもどうなるか判らない。 だから、カザリと行動を共にしているのかもしれない。 (……今、お前に死なれたらこっちが困るんだよ) 自分の方が大変だと言うのに、それでも誰かを心配する。 そんな姿は、愚か以外の何物でもない。 やはり人間の中には、その手の馬鹿もいるらしい。 仕方がない、と。 ここでお前に死なれては困るのだと。 そんな気持ちが不機嫌さとなって現れて。 アンクは――少年、須賀京太郎に呼びかけた。 / ./ / / / l ヽ ヽ ヽ\ \ /´ / / / / ∧ '; ; ハ \ ヽ / / / / / / / / l l ヽ ハ ヽ } / // / / // / / l } ハ ヘ V ' / / / / / ! | // / l l j ハ } { l l l l \ / / ! l / { / l l / i } ヽ } { l l l l / /ヽ{、_ハ l { { | ハ ∧ ! i } ヽ } V l l V l l { l\ _ { {{ l ハ / } } i ! V l l ! Vハ ≧=z{z、_ ゝ { ̄ { _j レ┼ ┼--ト、! ,′ } V | .{ V V {イ. j...テミ、 .{ ヽ / } / l /ヽ / / l .{ ,ヘ ハ ゞ _ ソ \ 〒テレ==zz、レ l / / / l \,| \; { ... j ノ 〃´l / / / は? お前馬鹿か? ,′ ハ ,  ̄ ̄ / イ イ / やっと見つけたオーズを前に、誰が逃げるか l \ /´ノ / ! / l l i ー 、 ─ 、 /イ / / ,' ;' i > ゝ ノ _ . . イ l / /l / ! | ` ー--─┬ ´ i i ! / / /⌒∨ / ノ⌒ヽ } { ⌒ヽ _ ィ⌒\ i l / /´ ヽー‐´ ├' ゝヽ } \ i ヘ ,' / ヽ l ヽ , ,′ j′ 〉 ヽ ヽ / /∧ ヽ l l / /ヽ ヽ ヽ / / ヽ ヽ ヽ / / / \ヽ ヘ / / \ \ ヽー─--─ 7 / / \ヽ ハ ――了/或いは始まり
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ MASKED RIDER DATA ____________ i; l! i; l! i; ,l!. '"´, ̄.` ...、 _ i; .,. ',.l! ,. ' ヽ , ' j . i;/ / l! ./ . . . . ∧. /`〃ヲ ハ_' 、/ _ 、=-、 ; /`/-/ i il´l `i!´ . . . . .ヽ_ `¨´ } 〃´ /ヽ'.v/´ト、 弋!个、!、 . . . . . . ,'_,ィ- V ,..r ' /. ト、ヾ\i/_ノ .{l!,゚-ヽヾニ=-' ,.ィ /- /_/ r'. | ヽ、_/i! i} ヾ,iー`=-ィ-'//",.ト-' y}}i' __ ,、. ト 、 _ソ`、! __ ゝ`三'-=彡´/_イニ`‐"´ / _,...-''"´ , ' ´ ,-、j、_ / ,.ィf- ' `{ ヾー='-ィf ´ "´ . . . /.._-‐-.、 ,.rー///´, ´ ┌────────────┐ ト、ヾ ニ=-{ 、ィ〃 . . /´r、{ `i!'"´7/ ノ/ . . . .` ....、ー. '、 ._... '"´./ │ 身長:190cm ...│ !´ー-r--!l / . . . . l!,-=、 ヾ _/....--.、ー ' . . . . . . . . . _.-==、_..ー'"´ │ 体重:78kg ....│ .j `ヽ/| ,.ィ . . . . / .ト=-trー-=--' 、-''" _ . . . . , `-、、 ヽ. │ パンチ力:4t │ / . . . . . . {-..、 . . . .l l 三 / ヽ . . . .〃. . ,. ' l ! ∧ │ キック力:12t ......│ ./ . . . . . .}!-、 ヽ . {ヽ ' ̄``!三/,- .._ . . .! /. . ,. ' . ., .ヾ 、o l │ V3キック:30t │ iヾ、=-...._..r-.、,イ . ', . l} '. . . . j三l ヽ_ _..._ol ,' .,. ' . . . . . . . .ヾv=、 j │ 火柱キック:500t │ iヽ` .、 . . . `r-ヽ! . .l! l/.∨ ,r 'ーr!、 . . . `!' i;. ' . . . . . . . . . . . . /! j │ ジャンプ力:18.00m │. ト 、/=,ー-' 、 l! . ,r' lヾ/ミ-',r-!=ヽ、 // . . . . . . . . . . . . ./'` ¨´ │ 走力:100mを4.0秒 ....│. ヾ.i! lト、 ヽ、㍉i´ _ ∨{. ¨ j 三 l!`rr .´ .,r'__ . . . . . . . . . . .,.′ └────────────┘ `l l! ', 7¨'´.ト- ..._l ハ ,l三三! ! .ヽ / . . . . ヽ、 . . . . . .,.′ ヽ、!_.ノ /- '、 / . . . /``t--==.!_,...- '、`゙ヾ.、 . . ヽ . . ./ `"{{´oヾ.、! ,' /. . . . .l . . .ヽ . . . . ヽ . . .ヾ、 . .l!,.′ ``'' .、ヽ、 ! .i. . . . . . .} . . . . .', . . . . . ', . . . .li/ ``'' 、 、.! .l. . . . . ._i . ._ _ _ i_ . ._.... -ィ-;イ! /`'' ..、_.i!__/..r==-. / o ト-' ..! ,r ' . . . . . `ヾ、ー'ー==‐.' o ィ!、_...j / . . . . .、 . . . . . . . .rー―' r――'"´ . . .ト、 ┏──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──┓ 仮面ライダーとしての須賀京太郎の姿 熱と風をダブルタイフーンに取り込むことで、自身のエネルギーとして活用する 二本のマフラー=グライディングマフラーからエネルギーを風として変換することで、空中での再加速が可能 グロンギの体組織の解析・研究を以て作成された第三世代《改造人間》=Type Masked Rider Version 3 グロンギ由来のモーフィング機能(能力)により、スーツとベルトを収納しており、自在に展開可能 変身前の状態でも、常人を遥かに超えた身体能力を発揮する ナノロボットによる遺伝子改造、人造臓器への置換によるパーフェクトサイボーグ オルフェノクの記号を人間の体内に効果的に埋め込むためのナノロボットの実験体であり、 オルフェノクの延命のための人造臓器の実験体であった 現存する霊石を持つ仮面ライダークウガを捕獲・研究するために彼女の元へと遣わされた だが、クウガに敗れ、そして脳改造を解除されたために彼女と共に戦うこととなる お互いに自分は人をやめてしまったものとして、その思いを伝えられずに戦っていた クウガ諸共、究極の闇=ン・ダグバ・ゼバへと火柱キックを打ち込み絶命したかに思われたが クウガの持つ霊石アマダムの移植により一命をとりとめ、“仮面ライダー”の名を受け継いだ ン・ダグバ・ゼバとの戦い、火柱キックそのものの後遺症に、超自然発火能力を受けて強化された火柱キック 更には霊石アマダムと遺伝改造/人工改造された組織の鬩ぎあいで、本来のスペックを発揮できない粗悪品 最強の必殺技は、霊石アマダムを暴走させて放つ火柱キック。その破壊力は1000t 彼にとって仮面ライダーとは、愛した少女との絆。そして夢の護人という覚悟の証である ┗──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──━──┛
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BGM: 「Cyclone Effect」 https //www.youtube.com/watch?v=kolBIglU_HQ ┌───────────────┐ │ ――スマートブレイン学園都市 .│ └───────────────┘ . . . -‐- . . . ... ..... .. ,r'´. `ヽ .. ...... .. . . . .. 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"''‐-、_ .. .. i,;;;;;;;;「 ̄ ̄l゙ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ゙「 ̄ ̄l;;;;;;;;;;i . . . . .. ..i,;; ; ;l l/ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ゙、l l;;;;;;;;;i . . ┌───────────────────┐ │ この街には――――ある秘密がある .│ └───────────────────┘三三| | 三三|__| γ  ̄ ヽ 三三| | i . i 三三|__|. . ゝ .... ノ 三三| |__  ̄ 三三|__| |_\_ ヽ ,...-┬ 、 三三| | |___|\ ∨ ll l 三三|__| | | | | l \\ . ゙ ', ;ィlト/ 三三| | | | | | | \| =--≧=彡=ァrr‐ 、 三三|__| | | | | | | /i´ |ト-‐ ll Ⅵ l 三三| | | | | | | | \ | | / ,.ィ7! || `l ',\ノ 三三|__| | | | | | | \\| |// / ハー-‐ll ‐-‐ Y ', ', .. .. > ´|三三| | | | | | | | lニニニ( Ο)ニニニl lミ、/ ∨_ 」|___/_ ',彡{ ´ .| | |三三|__| | | | | | |\ //| |\\ {\l [......┬― ヘ | /} .| | |三三| | | | | | | |[]l /] |_| \ l l / ‐- || -‐ ∨. l l .| | |三三|__| | | | | | |[]|⌒ヽ [二] [二] l ‐- ||-‐ ヘ [二] ..| | |三三| | | | | | | |[]|_ イ {III} __ _____l r l l 、丶、 ||_, ´ l_rュ ハ .| | |三三|__| | | | | | |[]|HHH| /TT', |=| r┐. .|ニ|[][][]`¨´][l \_/ロl_ /lゝー' .| | |三三| | | | | | | |[]|HHH| //| |, ',|=| r┼┼‐┐__ __ __ __ __|ニ|[][][][][]lト /][]l /l | | |三三|__| | | | | | |[]|HHH| // l圭l 「 ̄|_lH|H|HH||_|__|__|__|__|ニ|[][][][][]ト l[][]l /l . | | |三三| | | | | | | |[]| ̄ ̄|/lエエエエl二二\=|HH|| __lニニl__|==|ニ|[][][][][]}ミ彡l[][][}ミ彡{ | | |三三|__| | | | | | |[]| | |エエエエ|二二二|}|HH| | ロ ロ ロ |==|ニ|[][][][][/ l[][][l ハ | | |三三|__| | | | | | |[]| | |エエエエ|二二二|}|HH|_| ロ ロ ロ |==|ニ|[][][][][ト l][][][l / l | | |二二二 ̄二二二二二二二二二二二二二二二二二二二 ̄二二二二二二二二ニニl \l二二二l/ l> _ | | |___| |____________________| |____________________l; へ l____l, へl__> ._ | / . . . \ . . ........ヽ./ . . . . i .、 .丶 ヽ . . 、i . / / i |、 i、 i、 i i . 、ヽ! ! |... i、-、 i、 }ハ | } . .}、|i......! i ! ィ! }、!};ノ | ! } ノ-、 lリ ……お久しぶりです、京太郎くん 、 {、 {、\|´ ! i !ハ/ '^ ヽ ! `丶` } ;ン / / ノ "" r< / \ / } // / ー' } ;/ / / \_,..-‐r、 //7"´ ̄`ヽ / iイ / \ / // /-― '' " ´  ̄ | / / / . . . イ } | / // ;ハ . ./!{ _ ノ_ | / /'" /! ! / | !/ ̄ | iハ// i! ! ! !| | // |! !/ | / i! | / |ー--「`ヽrr'´ヽ | f |/´ ̄ ̄7ハ.!ヽノニニ| ! .. | // |! | ゙、 ..... 丶_! i. i/ | | |丶 \ ゙、 | | | ┌──────────────────────────────────────┐ │ 学園都市を、いや日本全土――全世界を揺るがしたとある事件から時は流れ。 .│ └──────────────────────────────────────┘ /⌒ _>、/⌒ Y¨¨¨ 、 /´> ´ , } \ , ´ / 、 ヽ / / ' | | ∨ . ー‐イ' / / | | l } | | | . / ' ' / |{ | / /| } l | | // / { |-+-|、 | ,-}/-}/- / } { / ,..イ , 从,ィ=从{ l / ィ=tミ}イ/ /_ 从  ̄´ |∧ { Vリ ∨' Vり /' /- } / } ……お久しぶりです、小蒔さん / 从ム , ム,イ-、/l , . r ' /|/ 八 __ _ / / 、 イ Ⅵ \___ イ |ヽ 「 、 | r <///| |/}_」 |//////|_ , <///〈 ,」////イ////> 、 r--- <////////∧ /////////////////> 、_ //////////////〈/ }---{///////////////////////ハ _. .-. . . . ̄. .゙. . . 、 , '´ . . . . /. . . . . . . . . .ヽ / ;ィ´ / . . . .ヽ. .\ _,-─tァヽゝL _/_ ,' | . . .゙ . . ヽ ,〃,r‐'7ハ レ!__,'_ ;イ | /!! ヽ. l . . .、 / 〃 l ト、| .| ハ Tハ! | { || .| | ゙. .!_l |ミヽ、 ,' ./ ! | | LL_ヽ| ! || ! |'T ‐ -|、 | ト、 !| \ ヽ 夜には帰って来なさいよ? ……大事な約束、忘れちゃいないわよね? ,' / .| . | | ハチ≧ト、|ハ !土_ヽ | | ! .|. .ヽ!! ヾ.、 ,'/ λ .r=| |.{ ;; Cヾ ヽ|チ不≧!/! | !. ./,'| ヾ 、 |l ハ | (! !`ー'' { {゚ ;; C | | .! .|, './|j ヽl || | |ヽト、! .!""" ' ` ー'' ,イハ| | /. l || | !. |N l .ミト、! .| 、 """ /ノノ ! .| _;| | ! | l r、 .N .ト {ヽ !、 ー ,イf.l´. . | .j//ハ l .| i! | \\ | ゙、| | ヽ | 、_ .... -≦| . . .| ! . . .|,.'/ . ∧ .| .|. 从! l\\ | | l ! | |ヽ| ! . . .| | / ,イ| ゙、 ヘ ! .| ハ ト l Lf~ヽ `_ヽ_ !|ヽ ||、-、ヽ _L`_r"∠! ! ∧ | . ! ,' | !ミ、 | 、ゝ.|´ヽ ヽヽ ヽ-、 ,.r! >‐'{ | |ノ|ノ7 | . .ヘ. ,' . |! |,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`| \_ヽ_!__! .| /| .! . ∧ ./ . . !i! |i| ! | |\,ゝ | ヽ | /´ /` ̄ヽ | . .∧/ . . . ||i! ┌────────────────────────────────────────────┐ │ 関係者以外の記憶からは薄れ、その事件を知らぬ少年少女が成長するには程よい頃合い。 .│ └────────────────────────────────────────────┘ ,. --- 、 ____ /, ´ ̄ ̄` '⌒´ \ 、_/_/⌒ヽ , / ヽ ,---、 / // ヽ . , / ̄-/ /' { | | | / __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | | . ' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | | / , ´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | | ……流石に未来の伴侶との約束忘れるほど、老けちゃいないって /\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{ ////\ r--- ´八 !∧  ̄ , . . }/ノ/ リ. ///////\ \}∧ u 八/ //////////〉 込、 __ ,. / ///////// / }>、 ` イ |从 ,'//////// / _ /--、l ` ̄ , |--、.///////// / イ/////\ {////} / 「///|'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、 > __ / \. / / .| \/ ./ / /| ト、 ヽ ./ / / | | | V .ト、 . / / | . 十―八 . | V─一 .| \ . / | /| /=ミ、 \ | r=≠ミ、 .| \ .. / |/ 〈{ rし心 "rし心}〉 .八 |\| 名前は確か――原村和やったな/ 7 / 弋ぅツ 弋ぅツ | /^ .| ̄ ̄ //| | , ,,, | / , .|\ | | 从_} / | \| | ./ 八 r- , /| /\| \ イ /j/ _> _ < | f´ | r=≦ニ三| | >―i |ニニ三三|__ ,=≦ニニ/ニ/__ _|三三三三三≧=- ┌──────────────────────┐ │ 人に曰く――最後の希望。最強の切り札。 │ └──────────────────────┘ __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__ > ´ ̄ / ` `、 、、 - ´ / ' } ヽ ヽ\ \ `  ̄ >' / , | ∧/! | } ヽ ヽ /,ィ / ' / /| _/,.ム斗}-/ ハ . {/.' ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ } | . / イ/{ ! ィ斧从}/ Vzソ ノ /イ , ……原村、和<__ ´// 从{ Vソ / / イ- 、 | {'{ { , ' /' ⌒ } | 从Ⅵ /. ノ | 叭 v_ ̄ヽ ,rー' 从 、 イj / / . < |' /}/ 、__ ´ } イ从/ | |/ 「 ̄| 「 ̄ ̄ ̄ ̄} |//l| |//////// 、 ,. <// ∧ |//////////> 、. ´. . . . . . . . ` 、 /. /. . /. . . . . . . . . \. ' . . ' . '========/ハ. . . .丶 /. . i. . .{. . . /|. . / ',. . . . `、. . !. . ├‐- ' |l .;′ | |. . . i. . |. . .ト、. {_.八{ |/|‐|. l | |. . |. . .|ィ竹气 |/| . /| | ……強か男になったな、京太郎 |. . |. . .| 乂 リ ,示、ノ ' | | |. . . (|. . .| ,, vソ ,′ | | |i . |. . .| ' ,, }' 八. . |i . .| _ / ___∨/ 八 . ト、 | 〉=|F`ヽ | ......__,.... イ__ └‐/ . |_/ '} ;__ト|=〈 | ,. -‐= \ / ト、. .l\_| ┌──────────────┐ │ 静かに噂される希望。 │ └──────────────┘ ,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、 /_,..- ヽ ` 、 / /´ / ∨ \ , ´ / ,' 、 ヽ / , , / /| | . | | | ∨ _/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | |  ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ | , ´/}/_}∧ | | | / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | | / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{ ´/イ }从lム ; \ ,ノ / \ ……護りたいもの、増えましたからね | ∧ ∧,イ Ⅵム - - イ // _ヽl\ //イ__ |////} ` ー ´「////| |////| . / |/[__}/| ,...<////∧ , |/////> 、 , <///////////\ ///////////> 、 , </////////////////}____{/////////////////> 、 //////////////////////| |////////////////////∧ / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` ……なあ、いい年して魔法少女って名乗っていいのか?ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ ,....-ィ /,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 ┌─────────────────────────────┐ │ 絶望に抗うものが、最後に身に纏う事が出来る最強の武器。 │ └─────────────────────────────┘ / / ,r ====ヾi/r=' ´ ̄ ̄`ヽ、 ` ヽ、 / / ム--,-,- / ヾ '´ / ヾ -、. r-、 ,. ///// / / / / _ - '´ ヽ ,/////// / / / /| / `ヽ l ヽ、 〉///// / / イ / | / ヽ i .l ヽ / /ゝ/// i i / A-l、__ | / ! l l l / / {// ll | i / | |X、 l |l | | i / | l -r==,==、ヽ `ー __,リ,|- /l_ | | / イ i | l ト ,r'//i}゙ヽ _/__| / | l i.| 名乗ってないっての、バカ兄貴! l /| | l __ ヽ | ゙ー' ' イ/r-、, | / /l | !' .| l , ,-、ヽ |ヽ | ヽヽヽ !,-'リ ' / / | ! | .l | { { /, ヽ{ ' `゙゙ / / / | l l゙、 ヽ 、_ ゝ, ,. -- 、 ヽヽ/ / ! ヽ!ヽ ヽ二´__ / ´ `,ゝ -'イ ゙、 i\ ` ー ― '´ /i l i | .i`ヽ、 , . イ | __ | i | | イ ´i .iヽ! / __ `ヽ,.r―t- 、| | l | ヾ i/ `ヽ、\`ヽヽ、 ト-、i .| / }`ヽ、 \\ ヽ , ヾ / ー‐ 'ヽ / | ヽ \\ / / ̄ヽ ____ . ´ ` . / \ / . / / | . / /、 / |. . .l \ 、 __/ / \ / /|. . .l\ \/ 、 \ _____/ / ./ / | | l \ l \ . \ // / ./ .//___,ノ| | ./\_| . ∧ \ . \. 〈八 / .∧ .{ァ斧==ミ| | . /ァ==斧ミ/ ∧ \ /〉 きょーたろ君の泣き顔ってそそるけん……よかよ? \ヽ/ /、 ∨ 乂)炒'^ノ' 乂炒 |_/ ‘, ∨ ∨ / / l 个ヘ ´ / / / / /、/ / / ` 从 / ∧ ;. / / /./\八 . .| . /⌒=- 、_ . . / / } .| .| /. l八 /l/ / ̄ \/〕iト ノ==-- \/}/ ,ノイノ} / / \ ∨==-- \\ .ノ ' | |└┬‐ 、‐、―‐ ∨! | | |\/\__l\\ || \ | | \ | i | {\ || __\_|_| | i |,/| \ 、 ト| ∨ \ | | i | | \\ |. ∨ ̄ ̄ \ | i | | \ \〉 ┌───────────────────────────────────────┐ │ 人の手に負えず、人の身に耐えきれず、人の心を食い荒らす怪物と戦う仮面の戦士。 │ └───────────────────────────────────────┘ ,. ´ ̄ ̄ ` 、__ / , / /⌒Y / / , | ̄\ . ' ' /__/ , | \__ / / ///\/ / .' ' {` ̄ /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、 { { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \ | | {/ ∨ィ=、}/ , |、 }  ̄ / 乂 u Vソ' ,l ∧l | /イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ | ……なんて時代だ /\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \>----イ///\ . ` ー ' イ/从////////\/// 、 . ´//////////\{ /`¨¨ 、////////////>、 {、 〉/////////////(_)} ∨、_,イ/\///////////////`¨¨¨|/\////\//////_,. --- 、//| |///\////>--、/> ´ --、 ∨ム //////////////} ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// | - \///{/イ//r- 、///////∧┌────────────┐│ その名も―――― .│└────────────┘/ , / / / / | | . . . / / / ' | | | | i| | . イ ' /| /| l | | | | l| | |// / | | { ' . | | } | l| | { ' 〃 | | | | ト, /| /| /| ' ∧|/ / .' , ' Ⅵ |_'. | | | | l | ' }/ }/ / .イ `\{/ / / / / { | Ⅵ≧!、,| | 、 | _/ム斗七 / . / }' いるさ、ここに一人な! ' ,イ / | { 从 | イ { しメ∧ l Ⅵ イ { し刈 `ヽ' ' }/' / /イ Ⅵ . Ⅵ Vzり \ 、 } / Vzり }/ // | 从 | \ ∨/ , / _∨∧ . ` \ , _ノ> 、_ , <//////{/{{`∧ 、 / }}//////> 、´//////////// l| ,∧ _ ∧ ||///////////>/////////////从 { 、 _ ィ -vノ ' } /'//////////////////////////{/∧ l\ ー=≦__ , ´ /' / イ∧//////////////////////////|//∧ . \ / / /'////}///////////// / / | | | | | l l | | | | | / / | |__ | | | | | l l /| | | | |. /// | |\ |‐\八 | | | |__,l /-|‐ リ リ | | 任せてくれ。最後の切り札は、俺だ / / - 、 | x===ミx|‐-| | `ー /x===ミノ// / ∧{ / | .八 _/ { { 刈`| | l /´{ { 刈\,_| イ /ー―‐ ..__. / / | |/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } / . . . . . . . . . . `「⌒ .. // /| l、 ー‐ \{ | / ー‐ j/ /}/ . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . / _,/ . ..| | \ ! j/ ′/ . | . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . . / . . . . { |\ハ_, ノ ,___/{ . .| . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . .∧. / . . . . . . . ′ | . .|\圦 / j/l/. . ′ . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . .∧. /. . . . . . . . . . ′_,ノ⌒ヽ | 、 、 _ -‐' / . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . / . . / . /\ . . . . . . r‐ ' ´ ∨\/ ̄ )  ̄ ̄ / /. ./ . . . . . . . . . . . . . . / . / . . ./ . . / . . . . . .\ . .ノ ----- 、 ∨/ / 、 / ,/ . / . . . . . . . . . . . . . . / . / . / . . . . . . . . . . . . . / ‘, ‘, ./、 \ / /. . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . // . . . . . . . . . . / . . . . .{ ---- 、 ‘, } / . . } ̄ \ ̄ ̄ ̄/ ̄ / .{/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -<⌒ . . . . . ./ . . . . ./ ‘, ‘,「l /⌒^\________/}/ . . . . . . . . . . . . . . . . . /´ \ . . . . / . . . . . .{ . . ‘, 人U{ . . . . . . .| \ / .| . . . . . . . . . . . .―‐┐ / \ . . . . . . . . } -- /\ . ノ r/ / . . . . . .| . . . \ ,/ . . . | . . . . / . . . . . . . . . . . ./ ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) ,. ァ i ' ´/ , _ 、´ ,.r ´ ,.' __ ,. r'´. . .,' . _______. . . . . . . . . . . . . . ' ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ /. . . /,.r ''´. . . . . . .  ̄` ー .''´. . . . . . / . / / r─‐'‐ァ r─‐'ニニニニ7 .,ィ─ァ‐===‐‐二/ , ',. -一' ./..'/ .} /. . . . . . ´. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / . / /' = フ'¨,r ュ,rフ/二二フ/ 7´' ∠/ ∠¨_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ ,..'. . . . . . . . . . . . . . . . . . . _ ,._-==== ァ 7 / /ク r'/ / 三/ /´//ー‐/ /-'´//─‐,≠/ / { \ヽ i' ./. . ,.イ. . . . . . . . . ,. - ''´ ( ̄. . . . . . . . . . . / /─'ー‐‐^ー―――^ー―´ '===' 'ー‐´ ー'´ `´\ ヽヽ ! ,'./ .,'. . . . . ,r.'´ ',. . . . . . . . . . ,' ,.イ /K A M E N R I D E R _ _ . ,.'⌒ `,. l ! ー"ヽ ^ ,'. . . / l. . . . . . . . . ヽ__/ ,'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l l //. ! ゝ-‐'´ /l .! `ー-、 }l/ |. . . . . . . . . . . . . . . . ,' | |// __. \ / } .} ヽ/ |. . . . . . . . . . . . . . / l 、 ヽ 、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ `ヽヽ j ノ ,'. . . . . . . . . . . . . ,.' ._______| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___゙、`' / ___ ,r '⌒ヽ ,'. . . . . . . . . . . /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./  ̄ ̄ ̄ ./. . . . . . . . | /. . . . . . . . . / ,.., / ./. ヽノ ,'. . . . . . . . . ,' /. . . . . . . . . . `ー ''´/  ̄ |. . . . . . . . / /. . . . . . . . . . . . . . . . / l. . . ヽー ' ,..'. . . . . . .. . . . . . . . . / ',. . . . \ /. . . . . . . . . . . . . . . / . ヽ. . . . .  ̄ ̄. . . . . . . . . . . . . , ´ \. . . . . . . . . . . . . , - ''´ ` ― ´