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「秘密と噂と???」 A-Part 開始 カザリ「……で、結局無駄骨か」 その後。 小走やえを助け起こした京太郎たちは、彼女からガイアメモリの情報を聞き出そうと思っていた。 だが、それは叶わなかった。 思った以上にメモリに汚染されてしまっていた――京太郎が死んだと思い込んだ事による――彼女は、 メモリブレイクに際し、軽度の記憶障害となってしまっていた。 幸いそれは重度のものではなく、仮面ライダー、ガイアメモリ、そして須賀京太郎に関する記憶だ。 それでよかったと思う。 自分が自分でなくなる恐怖。麻薬的な暴力の衝動。 人を殺してしまうかもしれないと言う葛藤。殺してしまったという自責。 そんな悪夢が消えるなら、それでいいだろう。 むしろそれは、悪い効果ではないと思う。 結局のところ、彼女の問題は解決していない。 ガイアメモリに手を出すほど悩んでしまった彼女の問題は。 しかしそれは彼女自身の人生。彼女が悩む、彼女だけに与えられた試練だ。 だから、その必要がないのなら京太郎は手を貸さない。 乗り越える、そのためにある壁。 乗り越えようとすること、それ自体が重要なものだから。 それに……彼女なら、乗り越えられるだろうとも信じている。 京太郎「……無駄じゃないぜ、カザリ」 京太郎「こうして……一人、助けられたんだしな」 カザリ「……はいはい」 カザリ「僕としては、もう少しメダルとか……そういう特になる事をして欲しいんだけどね」 京太郎「メダルっていえば、あの時のアレはなんだったんだろうな」 結局は使用しなかったものの、受け渡されたあの剣。 それとカンドロイド。ライドベンダーとかいうバイク。 カンドロイドは、小走やえの捜索に実に貢献した。ライドベンダーもそうである。 しかし、渡すだけ渡されて、それっきり。 それが何とも不気味である。 カザリ「……さあね」 カザリ「まあ、用があるんだったらまた来るんじゃないの」 京太郎「そうか」 京太郎「まあ、『また会おう』って言ってたしな」 カザリ(……) カザリ「それより、学校に行かなくていいの?」 カザリ「このままだと遅刻すると思うんだけど」 京太郎「げっ、マジかよ!?」 京太郎「お前はどうするんだ?」 カザリ「僕?」 カザリ「また、色々情報を調べてみるよ」 京太郎「そうか。ま、気を付けてな」 カザリ「そっちこそ」 カザリ「この間みたいに、誰かを庇って死ぬとかはやめてよね」 カザリ「それじゃ、メダルが集まらないからさ」 【昼】 アレクサンド「それじゃあ、今日はここまでです」 アレクサンド「今日の内容を、しっかり復習するように」 倫理のアンデルセン先生はにこやかで理知的な先生だ。 その眼鏡も相俟って、実に落ち着いて穏やかな人間性を醸し出している。 が、その顎のあたりにある傷はなんなんだろう。やけに凄味を感じさせる。 +判定 直後、コンマ判定 1~50:見知った人間と会話 51~80:誰かと出会う 81~99:何かイベントの…… ゾロ目:遭遇イベント 782 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 00 46 14.90 ID w5yTKVaIO [4/30] は 菫「淡、どういう事なんだ! 麻雀部を辞めるって!」 また、いつものように屋上にでも向かおうか。 そう考えていたとき、廊下から怒鳴り声が聞こえてきた。 何かと思って顔を出すと、中々のおもち――ビューティフォー――なストレートの先輩(3年生)と、 金髪の1年生が言い合っているのが見えた。 淡「そのままの意味ですよ」 淡「辞めたくなっちゃったんだから、仕方ないじゃないですか」 菫「仕方ないって……お前」 菫「あれほど、麻雀を楽しんでたのに……どうしたんだ?」 淡「……」 淡「……だって」 淡「とにかく、ごめんなさい。私は麻雀部を辞めるんで」 淡「そういう事でお願いします、菫先輩」 菫「~~~~~~~~~~~ッッ」 菫「……分かった。お前にも、家庭の事情とか、そういうことがあるかもしれないのは」 菫「だが、よければ……たまにでいいから顔を出してくれないか?」 菫「お前が来てから、照の奴もどこか楽しそうだったんだ」 菫「私も、お前と打ちたい。一緒に打てたらな……と思っている」 淡「……」 淡「気が、向いたらね」 菫「……それでいい。待ってる、からな」 どうやら、退部の問題だったらしい。 京太郎は部活に入っていないので良くわからないが、そういうのは大変なんだろう。 そのあたりを避けている自分にはわからない事だ。 それから、その金髪の女子生徒が京太郎の方に歩み寄ってくる。 そして、京太郎の前で立ち止まる。 京太郎「……俺に何か?」 淡「邪魔。道塞いでる」 淡「どいてよ、邪魔だから」 京太郎「あ、ああ……」 どうやら用なんてのはなかったらしい。 それでも廊下なんだから避ければ十分通れるのに……。 まあ、気が立ってたんだろう。 【放課後】 慧音「……と言う訳で、この時後鳥羽上皇が」 慧音「こら! 寝るな!」 日本史(新城先生は世界史だ)の上白沢先生は何と言うか生真面目だ。あとおもち。 だけどなんというか――恐ろしい。 まず一点。 授業がクッソ眠くなる。それはもう眠くなる。カッチリキッチリしすぎて眠くなる。 二点目。 寝ると怒る。頭突きが飛んでくる。凄い痛い。ハリケーン・ミキサーか。 あの眠さからの頭突き攻撃である。最早頭突きをするために眠くさせてるとしか思えない。 死のコンボだ。ガタキリバコンボ顔負けである。 京太郎(あー、ねみぃ……) +選択判定 1:普通に帰宅する (そのレスでコンマ判定へ) 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント ※出会う人間も一緒にお書きください 2:誰かに連絡を取る (特訓・相談など) ↓3 ※1ならば 「1:カザリ」 ※2ならば 「2:神代小蒔」のようにお書きください ※2については、連絡先を交換した相手のみとなります 790 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 07 29.47 ID OvxPR+Ss0 [2/11] 2 小蒔 791 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 07 39.22 ID w5yTKVaIO [6/30] 1 淡 792 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 07 40.18 ID 15qFJQnAO [2/13] 1カザリ カザリ「やあ」 京太郎「……おう、カザリか」 カザリ「随分と眠そうだけど、どうかした?」 京太郎「あー、授業がなんつーかなー……うん」 カザリ「ふーん」 カザリ「その、眠たくなるってのも分からないね」 京太郎「そうなのか?」 カザリ「退屈っていうのはあるけどね、僕たちには睡眠も必要ないんだ」 カザリ「だから、眠気とか……そういうのはないよ」 京太郎「そうか」 それも、なんかつまらないな。 そんな風に思える。 京太郎「それで、調べてたのは……何かわかったか?」 カザリ「……ああ」 +判定 直後、カザリさん情報収集判定 1~30:収穫? なかったよ 31~70:そう言えば、噂なんだけどね…… 71~99:二色のライダーってのについて調べてたんだけどさ ゾロ目:カザリさん、会長に接触 798 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 14 12.31 ID w5yTKVaIO [7/30] は カザリ「そういえば、噂なんだけどさ」 京太郎「噂?」 カザリ「あの、ドーパント関連で何かないかなって思ってたら……あったよ」 京太郎「聞かせてくれ」 カザリ「って言っても、そこまで凄い事じゃないんだけど」 カザリ「舞姫って本、知ってる?」 京太郎「あー」 京太郎「何か授業で習ったような習わないような……」 カザリ「……はぁ」 カザリ「ま、その……森鴎外って人間が書いた『舞姫』」 カザリ「その本に、依頼ができるらしいんだ」 京太郎「依頼?」 そう聞くと、何か殺し屋でも雇いでもするような印象を受ける。 それとも、怪盗とか。探偵とか。 そっち関係の言葉である気がするのだ。 カザリ「ま、当たらずとも遠からずってところかな」 カザリ「行方不明の人間とか、悩みがどうとか……そんな事から」 カザリ「『怪物』に関わる事に関して、依頼ができるらしいんだ」 京太郎「『怪物』?」 京太郎「……っていうとこの場合やっぱり、ドーパントか」 カザリ「だろうね」 カザリ「とにかく、この『舞姫』の貸し出しカードに名前を書くのか」 カザリ「それとも中に依頼を願う手紙を挟んでおくのかは知らないけど……」 カザリ「そうすると、そんな関係の悩みを解決してもらえる……らしいよ」 京太郎「……なるほどな」 京太郎「場所とか、分かるか? この学校? 公民図書館?」 カザリ「さあ……そこまではね」 カザリ「詳しく聞けば分かるかもしれないけど、要するに――そんな馬鹿な噂にでも、真剣に食いつく」 カザリ「そんな人間を相手にするんじゃないの? ある意味選別だね」 京太郎「なるほどな……」 カザリ「ま、ただの噂かも知れないけど」 京太郎「いや、何か関係あると思うぜ」 京太郎「ドーパントとか仮面ライダーもそんな都市伝説だったんだしさ」 京太郎「サンキューな」 カザリ「……どういたしまして」 +アナウンス 【大星淡と弘世菫の口論(?)を聞きました】 【カザリから、舞姫とドーパントの噂を聞きました Level.1】 【朝】 京太郎「しかし……グリードの方に動きはないよな」 カザリ「君がいきなりコアメダルを奪ったからじゃないの?」 カザリ「あんな事されたら、そりゃ警戒もするよね。僕が同じ立場なら猶更」 京太郎「そういうもんか?」 カザリ「まあね。ウヴァあたりは焦ってそうだけど」 カザリ「それに……」 京太郎「ドーパントとイマジンか」 カザリ「ああ」 カザリ「両方とも目的が見えないのに、狙うところが一緒だからさ」 カザリ「全員、人の欲望に関わってる……つまりそのままだと食い合いになるんだ」 京太郎「……確かにな」 カザリ「そうなったら、ただでさえ現代の知識がないんだ。猶更慎重になる」 京太郎「つまり、しばらくはそこまで目立った動きはないけど――」 カザリ「――逆に動くときはかなり厄介って事だよ」 京太郎「そうか」 京太郎「で、今日は?」 カザリ「まだ情報を集めに行くよ」 カザリ「髑髏か、それとも二色の仮面ライダーに繋がる……かもしれないしね」 カザリ「どっちの情報も、持っていて損はない」 京太郎「確かにな」 京太郎「江口先輩……いや、セーラ先輩はあんな人だったけど」 京太郎「他がどうか、分からないとな」 カザリ「そういう事」 【昼】 切嗣「……これをモンロー効果と言って」 切嗣「これを利用して爆発の焦点を絞る事でその威力を上げたのが……」 切嗣「……おっと、今日はここまで」 物理の衛宮先生は、なんというか草臥れているような印象を受ける人だ。 それでも身のこなしとか、色々な知識は凄い。海外を転々としていたらしい。 この学校、国際的な人が多くないか? +判定 直後、コンマ判定 1~50:見知った人間と会話 51~80:誰かと出会う 81~99:何かイベントの…… ゾロ目:遭遇イベント 821 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 46 13.96 ID 1nAfgphIO [4/11] 灼ちゃん!!!!! 良子「……テディ、だからそれは」 良子「ノーウェイ、ノーウェイ」 屋上に続く階段のところで、話し声が聞こえた。 誰か、電話でもしているのだろうか。 基本的に緊急の時以外の通話は禁止されている。まあ、殆どの先生はそこまで強く取り締まろうとしないが。 それにしてもテディ……外人……? 良子「……おっと、人が来ました」 良子「失礼」 京太郎「あ、はい」 人ごみをかき分けるように手をかざして、スッと京太郎の横をすり抜ける。 なかなかのものをお持ちだ。善き哉。 誰だろうか。 制服でないという事はつまり、教師であるが。 教師にも見えないし――尤もあまり詳しくはないが――職員か、それとも部活関係者か。 この学校は色々な部活に外部からコーチを呼んでいるし。 もしかしたら、その関係であるかもしれない。 ……でも、あの携帯電話通話状態になってなかったよな? ひょっとしたらそういう病気の人なのかもしれない。 そっとしておこう。 【放課後】 ミッドバレイ「次の時間は楽器のテストをする」 ミッドバレイ「各自、練習して来るように」 音楽のホーンフリーク先生は、昔はオーケストラだか何かしらないが、有名なバンドに居たらしい。 なんでも、その音楽を聞いた人が気絶するくらいに感動的なんだとか。 そんな人が、どうしてこの学校にいるのだろう。謎だ。 それにしても……ホーンフリークって凄い名前だな、コレ。 +判定 1:普通に帰宅する (そのレスでコンマ判定へ) 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント ※出会う人間も一緒にお書きください 2:誰かに連絡を取る (特訓・相談など) ↓3 ※1ならば 「1:カザリ」 ※2ならば 「2:神代小蒔」のようにお書きください ※2については、連絡先を交換した相手のみとなります 831 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 57 36.83 ID +CWuyGKe0 [2/5] 2小蒔 832 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 57 42.06 ID TkLJDV4Qo [3/13] 2 セーラ 833 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 01 57 48.62 ID OvxPR+Ss0 [5/11] 2小蒔 そう言えば。 あれっきり、神代さんにも会ってなかったな。 色々と世話になっていて申し訳ないと思うし。 それにあの、モモタロスに怒鳴られそうだし。 小蒔『――はい、もしもし。神代です』 京太郎「ドーモ、神代=センパイ。須賀です」 小蒔『なんで片言なんでしょうか』 京太郎「いや、ノリです」 さて……と。 それで、どうしようか。 +選択判定 1:(特訓に)付き合ってください 2:(相談に)付き合ってください ※何か内容も。なければこちらで選択肢を ↓3 840 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 03 52.22 ID TkLJDV4Qo [4/13] 1 841 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 04 14.57 ID w5yTKVaIO [17/30] 2 842 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2013/02/07(木) 02 04 47.58 ID CczNgP7zo 1 小蒔『それで今日は、一体……』 京太郎「実はですね……その、何と言いますか」 京太郎「ずっと、言おうと思ってたんだけど……なかなか言い出せなくて」 非常に言いにくい事である。 事であるが、言わなければならないだろう。勇気を出して。 京太郎「付き合って下さい」 小蒔『……そうですか』 小蒔『私も、思ってたんです』 小蒔『須賀さんも、特訓しようと思ってたんですよね?』 京太郎「ええ、お恥ずかしながら……」 須賀京太郎は弱い。 須賀京太郎、神代小蒔、江口セーラと3人を並べたとき。 おそらく自分が、その中でも最も弱いだろう。 素の身体能力ならば、小蒔には勝つ自信がある。 だけどもイマジンが憑依した彼女を相手にしては、それこそコンボでも使用しなければ勝ち目はない。 そして流石は麻雀部に所属していただけあって。 その集中力や冷静さ、勝負勘などは彼女が勝る。 小蒔『それじゃあ、どうしましょうか?』 京太郎「ええと――」 +判定 1:模擬戦闘 (通常バトル形式の戦闘。ただし戦闘で状態以上の条件 3を満たしてしまうと怪我をする場合) 2:特訓や基礎訓練 (コンマで判定) ↓3 845 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 13 53.12 ID TkLJDV4Qo [5/13] エスパーか! 2 846 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 14 15.05 ID w5yTKVaIO [19/30] 2 847 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 14 27.75 ID dp0p3tRKo [8/19] 2 850 自分:1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/07(木) 02 23 27.87 ID GXJ7AD1Qo [25/37] 847の選択:2 京太郎「出来れば一緒にトレーニングできたらな、と」 小蒔『分かりました。それじゃあそちらに向かいますね』 京太郎「お願いします。校門のところに居るんで」 そう言って、電話を切る。 さて、それから気付いたんだが……恥ずかしいな。 確かに戦闘に関して女性に教えを乞うというのもそうであるが……。 なんというか、「付き合ってください」だけじゃあ……誤解されないか? よくそれだけでこちらの気持ちを読み取ってくれたもんだ。エスパーか。 1:技能を磨く 2:打たれ強さを強化する 3:スタミナを付ける 4:精神を鍛える 1~20:失敗 21~50:経験+1 (経験+4で1上昇) 51~70:経験+2 71~99:経験+3 ゾロ目:技能・HP・スタミナ・気力(選んだもの) +2 ↓3 &そのコンマで判定 851 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 24 12.87 ID OvxPR+Ss0 [7/11] ほい 852 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 25 02.85 ID dp0p3tRKo [9/19] 1 853 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 25 21.50 ID TkLJDV4Qo [6/13] 3 小蒔「それじゃあ……ランニングでもしましょうか」 そう言って出てきた彼女は、ジャージ姿だった。 なるほど、これも新鮮でいいな。 小蒔「私も、体力がないのを気にしてて……」 京太郎「そうなんですか? 電王の時、そうは見えないけど」 小蒔「あれは、モモさんたちのおかげなんです」 小蒔「それでも……結局は、その憑代である私の身体能力が低いと十分な力が出せないみたいで」 京太郎「なるほどなぁ」 小蒔「だから、頑張りましょうね!」 京太郎「ええ、お互いに……これからの為にも。負けない為にも」 小蒔「はいっ!」 ……さて、結論から言おうか。 おい、知ってるか? 乳首ってのは、ばんそうこうを張ってないで走ると擦れて痛い、らしいぜ。 俺には胸はない。 でもな、それをガン見する事は出来る! いやあ。 あれを、見るなって方が無理だって……。 だってほら、凄いんだぜ? あれ。 +アナウンス 【スタミナの経験+1された】 【神代小蒔の好感度がちょっぴり上がった】 【夜】 カザリ「どうしたの? やけに嬉しそうだけど」 京太郎「いや……そのな。ちょっといい事があったんだ」 カザリ「ふーん」 カザリ「ま、何だっていいけどさ。無駄に体力を使って、肝心な時に役に立たないとかはやめてよね」 京太郎「言い方が酷いな……」 カザリ「事実だからさ」 京太郎「でも、鍛えておいてもいいだろ? オーズになっても、戦うのは俺ってことに変わりないんだし」 カザリ「ま、それもそうだけどね」 カザリ「前みたいに、他のグリードに囲まれたら本当にどうしようもないからね」 京太郎「その時の為に、せめて真っ当にコンボを使えるぐらいの体力付けとかないとな」 カザリ「それもそうだね」 カザリ(……ま、コンボの怖さはそれだけじゃないんだけど) 京太郎「……で、どうだったんだ?」 カザリ「ああ、僕の方?」 カザリ「えーっと――」 +判定 直後、カザリさん情報収集判定 1~30:収穫? なかったよ 31~70:あの、舞姫の続きなんだけど…… 71~99:二色のライダーと骸骨について調べてたんだけどさ ゾロ目:カザリさん、会長に接触 860 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 02 41 50.86 ID 1nAfgphIO [9/11] 勢い余って間違えた カザリ「ああ、あの舞姫の続き。それを調べてたら面白い事が分かったんだ」 京太郎「面白い事?」 カザリ「順を追って説明するよ」 カザリ「あの、舞姫の噂。あの依頼をすると……どうやらね」 カザリ「二色の仮面ライダーに出会えるらしい」 京太郎「なんだって、それは本当か!?」 カザリ「ま、そういう書き込みがあったって事さ」 カザリ「書き込みには大きく2パターンがある」 カザリ「『そんな噂本当か』って程度の軽い気持ちで行ってみたもの」 カザリ「本当にそんな噂位にしか、縋るものがなかったもの」 カザリ「出会ったのは――言うまでもないよね?」 京太郎「ああ、勿論後者だよな?」 カザリ「そう。そんな都市伝説に頼るしかない人間は、すべからく二色の仮面ライダーに出会っている」 カザリ「細かい事情がどうかは書いてなかったけど、解決して貰えたってね」 カザリ「勿論、中には語りがあるだろうけど」 京太郎「なるほどな……」 京太郎「でもそうなると、凄いよな」 京太郎「どこの人間かは分からないけどさ、一々相談者の事情も調べてるって事だろ?」 京太郎「名前とか、連絡先とか……書くのか? その紙にさ」 カザリ「いや、書かないみたい」 カザリ「当然、別のところに悪用されかねないからね」 カザリ「ただ、ある程度詳しくはその内容を書かなきゃいけないらしいけど」 京太郎「なるほど」 京太郎(ってなると、怪しいのはその本を置いてある場所のスタッフだよな) 京太郎(それなら、本に挟まった依頼を見つける事をしやすいし) カザリ「で、次」 カザリ「この条件――場所の指定がない」 京太郎「……どういう事だ?」 カザリ「どこでもいいんだよ。どこでもいいか、その舞姫に依頼を挟む。それだけで、オッケーなのさ」 京太郎「嘘だろ……!?」 京太郎「そんなの、どれだけ手間がかかるか分かったもんじゃないぜ」 カザリ「不思議だよね」 カザリ「だからこその都市伝説なんだろうけど」 カザリ「……あ、勿論。この学園都市の中限定で、流石に自宅の本棚とかは無理みたい」 京太郎「そっちまで探してたら、手に負えないもんな」 京太郎「……それにしても」 京太郎(異常なまでの調査能力だぜ、それ) カザリ「よっぽどの組織ぐるみ。そうとしか思えないけどね」 京太郎「それにしても、ヤバイだろ」 カザリ「ま……これが調べて分かった事の一つ目」 カザリ「この話には続きがある」 京太郎「続き?」 カザリ「実は――昔その二色のライダーが目撃されていたときには、そんな都市伝説なんてないんだ」 京太郎「どういう事だ?」 カザリ「詳細は不明。だけれども、ドーパントと戦ってたって事さ」 京太郎「……順番が逆じゃないのか?」 京太郎「それなら、組織力が拡大したって理由が付く」 京太郎(それまで依頼でしか動かなかった奴が、大きな調査能力を持ったから依頼が不要になった) 京太郎(そう考えられる。逆なら) 京太郎(ま、もう一個……) 京太郎(それまで場当たり的にしか戦ってなかったのが、大きな調査能力を持った――そんな線もあり得るか) 京太郎(それなら、この順番で正しい) カザリ「いいや、この順番で正しいんだよ」 京太郎「あー、だったら」 京太郎「以前は、ドーパントを倒すのに取りこぼしがあったってのは?」 カザリ「さあ? 詳しい数なんてどれくらいかは分からない」 カザリ「だけど、昔も今も変わってないだろうね。そのあたりは」 京太郎「……おいおい、本当かよ」 京太郎「いや――ああ、もう一個センがあるか」 京太郎「実は昔も今も依頼型。ただし、昔はそれが知られてなかった。その噂が流されてなかった」 京太郎「だから、開きがある。昔は依頼方法があまり広まってなかったんだ」 カザリ「あー」 カザリ「確かに、それもありえるだろうね」 カザリ「……というか、常識的に考えるならそれが正しいのかな」 京太郎「……ハハ」 京太郎「それでも、十分非常識だよな」 カザリ「本当にね」 カザリ「それから――最後の噂」 京太郎「まだあるのか」 カザリ「誰かさんが中々ヤミーやグリードと戦わないから、時間だけは余ってるんだよ」 京太郎「俺に言うなよ」 京太郎「……ま、何か起きなくていいじゃないかよ。それで」 カザリ「僕は良くないけどね。メダルが溜まらないしさ」 カザリ「約束、忘れてないよね?」 京太郎「ああ」 京太郎「それでも、誰かが傷付く事が起きない方がいいってのは本心だよ」 京太郎「お前との約束も、大事だと思ってるけどさ」 カザリ「ふーん」 カザリ「ま、忘れてないならそれでいいんだけど」 カザリ「髑髏の仮面ライダー」 カザリ「こいつは、目撃されてない」 京太郎「……?」 京太郎「いや、噂になってるだろ。ってことは、目撃されてるんじゃないのか?」 カザリ「ああ、ごめん」 カザリ「最近になっては、目撃されてないらしいんだ」 カザリ「昔は居たけど――最近、彼に出番がない」 カザリ「その入れ替わりに、あのアクセルの目撃情報が増えてるんだけど」 京太郎(……) 京太郎「つまり、他のライダーが出てきて出番が減ったのか?」 京太郎「わざわざ出る必要もなく、他の二人が倒しちまうとかさ」 カザリ「おめでたい発想だね」 カザリ「……だけども、君自身思ってはいるだろう?」 カザリ「流石に、そう思わないほど馬鹿じゃないって信じてはいるんだけど」 京太郎「……」 京太郎「……ああ」 京太郎「もう一つの可能性を上げるとしたら、それは……」 カザリ「既にドーパントにやられている、って事だね」 京太郎「……だよな」 カザリ「ま、怪我で済んでるとか。単純に隠れてるだけかもしれないけど……」 カザリ「とにかく、ここ最近は人前に出られない状態って事さ」 京太郎「……」 カザリ「ま、もう一つ敢えて言うとすれば」 カザリ「あの、アクセルに倒されちゃった……とかね」 京太郎「……。セーラ先輩が、そんな事をする人に見えるか?」 カザリ「さあ? 表面的には、どうとでも取り繕えるでしょ」 カザリ「それが人間って奴じゃないの?」 京太郎「それは……そうだろうが。でも……」 カザリ「僕たちの事をいきなり攻撃してきたのも、実は殺そうとしてだったりして」 カザリ「……で、見慣れない相手だから警戒して、今は情報収集として君と一緒に居るとか」 京太郎「……おい、カザリ」 京太郎「やめとけよ、そういう言い方するのは……!」 カザリ「……はいはい」 カザリ「でも、疑うって事は別に悪い事じゃないと思うけど」 カザリ「疑っておいて、対策をしておいた方がいいってところはあるでしょ」 カザリ「それともまさか、『信じて裏切られる方がいい』とかそんな事を言うタイプだっけ」 京太郎「それは……違うけどな」 京太郎(裏切られて、俺だけに被害が来るならそれでいい) 京太郎(だけどそいつは、絶対に同じことをやる。他の誰かにも) 京太郎(……俺はいいさ) 京太郎(いや……やっぱり嬉しいもんじゃないけど、騙された自分が悪いって諦めはつく) 京太郎(だけど、他の誰かが同じ目に遭うのは許せない) 京太郎(俺がそれに目を瞑るって事は、他の誰かを同じ目に遭わせるって事につながる) 京太郎(だったら、信じて裏切られるなんて御免だ。たしかにカザリの言う事には一理ある) 京太郎(あるのは確かだけど……それにしても) 京太郎(セーラ先輩が、仮面ライダーを――ドーパントと戦う人間を、排除する……?) 京太郎(そんな事、あり得るわけがないだろ……!) 京太郎(俺は、あの人を信じたい……仲間と言ってくれた、あの人を) 京太郎(……) 京太郎(もしそうなったなら、俺が止めなくちゃいけない。誰かにその手が行く前に) 京太郎(……だけど、考えにくいよな。それにあんまりいい気分がするものでもないし) 京太郎(まあ、お互いまだそれほど仲がいいって訳じゃないんだ) 京太郎(もっと、他のライダーの皆と……話をしてみないとな) カザリ(……ま) カザリ(少なくとも、このスカルってのは……障害にはならないみたいだね) カザリ(一応、もう少し調べてみるけど) +アナウンス 【カザリから、舞姫と仮面ライダーとドーパントの噂を聞きました Level.3】 【朝】 京太郎「……」 京太郎(裏切られる……か) 京太郎(そういうのも、やっぱり怖いな) 自分自身が臆病者だという自覚はある。 失うのが怖い。手放すのが怖い。守れないのが怖い。別れるのが怖い。先立たれるのが怖い。 だから、人間関係が怖い。 それでもこうして人と関わろうと思っているのは。 今、自分にオーズの力があるからだ。 ただの須賀京太郎ならば、誰と関わる事なくとも、問題は無かった。 必要があれば。求められれば手を貸す。それ以上の事は要らなかった。 だが、今は違う。 この力を持ちながら誰とも関わらないというのは、その誰かを見捨てているという事を意味する。 ――できる力を持ちながら、それを行わない。 勿論、それを行わない他人がいたとしても咎める気はない。 それはその人間なりのポリシーがあっての事だし、その人にはその人の人生や考えがある。 だから、そんなもんか……と思う。 勿論、その行為に大して、好き嫌いというものは存在するが。 ただ、須賀京太郎にとって、自分自身がそれを行うと言うのは、許されざる事だった。 もう二度と、あの怖さを味わいたくはない。 だから、須賀京太郎は人と関わろうと思った。思い始めた。 失うのが怖い。 手放すのが怖い。 守れないのが怖い。 別れるのが怖い。 先立たれるのが怖い。 そして――。 自分が目を閉じてしまったせいで、それが起きてしまう事。 自分が気付かなかったばかりに、それが起きてしまう事。 自分が関わらなかったがために、それが起きてしまう事。 誰かに自分と同じ怖さを味わわせてしまう事。 それが今、何よりも怖かった。 だから、手を伸ばす事に決めた。 故に、歩き続ける事を誓った。 その為、戦う事を選んだ。 オーズとなって。カザリと出会って。 一番変わったのは、そこだろうか。 カザリ「どうしたの? 遅刻するよ」 京太郎「……ああ、今いく」 カザリ「……」 京太郎「……どうした?」 カザリ「いや……」 歯切れが悪そうに逡巡して、結局口を閉ざすカザリ。 何か、と思ったら――カザリが前を顎で示した。 前方。見慣れない少女がいる。 カザリ「君に用じゃないの?」 京太郎「……見覚えないけどなぁ」 赤みがかった腰ほどまでの茶髪。頭の左右で一房ずつ止めている。 それから、勝気そうな瞳。 街で見かければ、視線を向ける人間も多そうだ。実際今、通行人の中にも振り向きかえる者がいる。 そんな少女は、京太郎の姿を認めると、こちらに向けて歩を進めてきた。 さて、誰だろうか。 心当たりと言うのはない。恨まれる覚えも、そのほかも。 そして、およそ数メートルの位置まで来ると立ち止まり、言った。 憧「……須賀京太郎さん?」 京太郎「そうだけど、なんで俺の名前を……」 憧「会長が呼んでるみたいだから、一緒に来てもらえますか?」 疑問形ながらそれは実際のところ、断定と同じ意味を持っていた。 会長――生徒会長か? だけれども、生徒会に呼び出しされる謂われは無いと思うが……。 カザリ「……この間の、あれじゃないの?」 カザリ「メダルのときのさ」 京太郎「……ああ、そうかもな」 で、どうするの。 少女はそうとでも言いたげな視線を送る。 京太郎と同じスマートブレイン学園生。学年称から察するに、一年生だろう。同級生だ。 授業があるからという言い訳は存在しない。 彼女自身からも、自分がサボる事になっているのだからという、言葉にならない不満の声が聞こえてくる。 しばし考える素振りをしてから、同行を決めた。 会長「ようこそ、須賀京太郎くん!」 鴻上ファウンデーションという、一大企業。 訪れるとそこに居たのは、この間の声の主。 何が嬉しいのか、ケーキなど作っている。そんな大柄の、スーツの男だ。 隣の少女――名前は知らない――は「うへぇ……」と顔を背ける。 ひょっとして、あのケーキを食べさせられているのだろうか。 京太郎「この間はどうも。助かりました」 あのカンドロイドとやらがなければ。 小走やえはもっと最悪の事態になっていただろう。 そういう意味でこの目の前の男は、小走やえの恩人であり、須賀京太郎の恩人である。 頭を下げると、鷹揚に笑い返した。 会長「役に立ったようで何より! 素晴らしい!」 京太郎(……一々テンションたけーな、この人) 京太郎「それで、俺に何の用なんですか……今日は」 会長「君にオーズ、グリード、セルメダル……そして契約の話がある」 京太郎「契約……?」 会長「まず、順を追って話そうじゃないか!」 それから、しばし説明が入った。 ・オーズとは、この国ではないどこかの国の王が錬金術師に作らせた力 ・グリードもオーズもともに、欲望というものを力にしている ・文献に残されていたオーズの力を研究するために取り寄せたところ、グリードが復活 ・セルメダルを元に様々な武装を研究しているので、これからもオーズの力になれるという事 そんなところだ。 京太郎「……どうして、オーズの力を研究しようと?」 会長「未確認生命体が、また現れないとは限らないからね。そのための備えだ!」 京太郎(……なるほど。本当ならその通りだし、筋も通るか) 京太郎「それで、契約と言うのは?」 会長「まず、わが社が開発したカンドロイド、ライドベンダー、そして必要ならバックアップを君に提供しよう!」 それがこちらのメリット。 それは純粋にありがたい。あの力があれば、もっと効率よく人を助けられる。 ただ、契約と言うのは双方にメリットがあるものだ。たとえば自分とカザリのように。 会長「その代わり――獲得したセルメダルをわが社に収めて貰う! 比率は七:三。私が七で、君が三だ!」 京太郎「――なッ!?」 七対三。それはあまりに暴力的な割合だ。 たとえばセルメダルを五十枚獲得したとしても、実際のところ手に入れられるのは十五枚。 そしてこの口ぶりでは――カンドロイドやライドベンダー。 それらを稼働させるためのセルメダルは、こっち持ちだろう。 それじゃあ結局、倒してもセルメダルは手に入らない。 カザリ「……七:三って」 カザリ「せめて、六:四ぐらいにならない?」 会長「駄目だ! 私が七、君たちは三。これは変わらない」 会長「どうしてもと言うのならば、私に何かメリットを提示してほしい」 カザリ「……」 カザリ「……どこかの誰かと一緒か」 そう、本当に屈辱だと呟くカザリ。 七対三。その言葉には覚えがある。 以前、カザリが話していた――“王”とのセルメダルの割合。 それとそのまま、一緒である。 当然カザリは、良い気分はしないだろう。あの口ぶりではそうだ。 確かに、ここで強力を断るという選択肢は――ありえない。 あの時だって、この鴻上ファウンデーションの力がなければ、小走やえを助けられなかった。 仮に、もっと早く協力できていたなら、ああなる前に止められたはずだ。 メダルを人命よりも優先しない。 それは須賀京太郎のルールだ。 当然ながら変わらない。ここで彼の手を取らないという事は、まだ見ぬ誰かを見捨てる事に等しい。 それは怖い。嫌だ。許されない。 セルメダルを人命よりも優先するのと、同じ行為である。 故に、拒絶は不可能だが――。 京太郎(……それにしても、七:三か) 会長「さあ、君の答えを聞こう!」 京太郎「……」 +選択 1:「分かった……その話、受けます」 2:「……考えさせてください」 3:「七:三? 一:九の間違いじゃないのか? 俺が九、あんたが一だ」 ↓5 903 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 20 36 28.62 ID w5yTKVaIO [24/30] 2 904 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 20 37 20.65 ID BndaydFco [3/4] 2 905 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 20 37 38.59 ID C5UYB3sQo [1/8] 2 906 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 20 38 30.97 ID dp0p3tRKo [14/19] 2 907 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 20 38 32.19 ID 15qFJQnAO [8/13] 1 判定 1~20:カザリの好感度大幅減 21~50:カザリの好感度変化なし 51~70:カザリの好感度アップ 71~99:カザリの好感度大幅アップ ゾロ目:まさかの憧ちゃんが……! 憧ちゃんマジ天使! ↓3 939 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 21 01 54.55 ID w5yTKVaIO [29/30] ら 940 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 21 01 59.59 ID +yFO7/o/o [2/4] あこちゃんがたすけてくれる 941 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 21 02 24.57 ID 89vFCaEBo [6/12] えい 京太郎「分かりました……その話、受けます」 カザリ「ちょっと……何考えてるのさ……!」 カザリ「それじゃあ、メダルが集まらない! ただでさえ、メダルに困ってるんだよ!」 カザリ「僕との約束はどうしたのさ!」 京太郎「……約束、確かにあったけど」 京太郎「でも、俺は言ったよな……『人の命より、メダルを優先するな』って」 カザリ「オーズ……!」 京太郎「お前が譲れないように、俺もその線は譲れない」 京太郎「ここでこの人の手を跳ねのけると、人を助けられなくなる」 京太郎「だから……俺はこの提案を、受ける」 カザリ「……ふーん」 カザリ「あっ、そう? じゃあ、好きにしたら?」 カザリ「僕はもう何も言わないよ。君が戦うんだしね」 カザリ「……君の勝手にしたらいい」 京太郎「……ああ、そうするよ」 そう言って、ふいと後ろを向くカザリ。 気分を損ねたのだろう。当然だ。 カザリは、「七:三」という数字にいい思い出がない。 その話を聞いておきながら、須賀京太郎は相手の提案を受けたのだ。 これはカザリにとって、自分をないがしろにされたのと同然である。 おそらく思うに、半ばこちらを信頼し始めていたからこそ、彼はここまで激怒した。当然の帰結だろう。 或いはこれは自惚れかも知れないが……。 どちらにしても、カザリの心を強く踏みにじったのは変わらない。 会長「ふむ、それでいいのかな?」 京太郎「……ええ。それでも俺は、人を助けたい」 会長「なるほど、それもまた欲望だ! 歓迎しようじゃないか!」 京太郎「ええ、俺が倒したヤミーのセルメダルを『七:三』で渡す。それでいいですね」 会長「違うな、須賀京太郎君」 会長「ヤミーだけでなく、グリードもだ」 会長「倒しただけじゃない。手に入れた分だ」 会長「そうじゃないと、そこの彼が意図的に倒さずに逃がし続ける事もありえるからね」 京太郎「それは困ります」 京太郎「戦闘中に必要になるかも知れない。そうなったときに、使った分については全体数から引いてください」 京太郎「カザリがどうあっても、戦うのは俺です。俺がわざと逃がすなんてことはあり得ない」 京太郎「『別の何かに使った場合それにはカウントしない』『倒したときのセルメダル』」 京太郎「ここは守ってください。あなたが俺の欲望を評価したのなら、その欲望を信じてください」 京太郎「俺は人を助ける為に戦う。だから、ヤミーをわざと見逃したりなんてしない」 京太郎「だからこんな割合でも、あなたの提案に乗ったんだ……」 会長「……いいだろう! 君の欲望を信じよう!」 会長「私からはカンドロイドやライドベンダーの技術やバックアップの提供。ただしカンドロイドなどに使うセルメダルは君たちが持つ!」 会長「倒したヤミーとグリードのセルメダルを七:三で収める。戦闘中に君が別に使った分に関してカウントしない!」 会長「契約は成立だ! 素晴らしい!」 京太郎「……一応、契約書を書いてもいいですか?」 京太郎「こっちの足元を見られて、割合を跳ねあげる提案をされたり」 京太郎「勝手に、条件を追加されても困ります」 京太郎「まあ、口約束と変わらないですけど……破られたら、俺は金輪際頷きません」 会長「いいだろう! 用意しようじゃないか!」 京太郎「いや、俺が書きます。あとで小さく『ここに書いてあった』なんて言われても困るから」 京太郎「カザリ、それならいいだろ?」 カザリ「……勝手にしろ、って言ったよね」 カザリ「僕は知らないよ。好きにしたら?」 そんな冷たい言葉を受けながら、契約書をしたためる。 当然ながら、それは鴻上光生も確認して、先ほど同意したものだ。 『甲、須賀京太郎。乙、鴻上光生。以下に契約を取り交わす。 一:甲が倒したグリードとヤミーから入手したセルメダルを、七:三の割合で乙に収める 二:この際、甲が戦闘中に何らかの形で使用した分に当たっては、入手したセルメダルに数えない 三:ただし倒せなかった場合のメダル消費に関しては、二を適用しない 四:甲はグリードとヤミーを恣意的に逃走させたり、見逃したりはしない 五:乙はこれと引き換えに、セルメダルを使用した技術の提供、戦力の提供を行う 六:ただし、セルメダルを使用した技術を甲が使用するに際して、必要分のメダルは甲が持つものとする 七:戦闘以前にカンドロイド・ライドベンダーに使用した分に関しては、二を適用しない 八:両者の合意なく、この契約を破棄・改竄はできない 以下、署名 』 京太郎「これでいいですか?」 会長「ああ、いいだろう! 君の欲望を歓迎しよう! 素晴らしい!」 そして互いの名前を書き、捺印を押し。 先ほどの少女――会長曰く、新子憧に送られて、その場を後にする。 会長室を出て、鴻上ファウンデーションから去る間、カザリは無言だった。 京太郎「……カザリ」 カザリ「……何?」 京太郎「悪いな、あんな事になって……」 カザリ「僕は好きにしたらいいって言ったはずだよ」 そう言いながらも、こちらを見ようとはせず。 明らかに不機嫌である。気が立っているから話しかけるな。 そうとでも言わんばかりの背中を見せる。 京太郎「……本当に悪いな。お前が七:三に関していい思い出がないって知ってるのに」 京太郎「それでも俺は、あんな割合にしちまった」 カザリ「……別に。僕には関係ないね」 京太郎「本当に悪かったと思ってる。だけど、俺が謝るのはそこだけだ」 カザリ「……どういう事?」 京太郎「あとは、あの契約をした事に対して後悔なんてない。お前に対する負い目もない」 カザリ「……ふーん」 カザリ「ま、僕には関係ないからいいんだけどさ」 カザリ「どうせ君は、それでも人助けがしたいんだろう?」 カザリ「……分かってたさ。そんな事は、最初から」 京太郎「……ああ。そこに関しては譲れない」 京太郎「だけども、それ以外はお前の協力が必要なんだよ」 カザリ「変身できないからね」 京太郎「それもある。だけど、それだけじゃない」 京太郎「まず一つ。あれは、俺が倒したヤミーとグリードに関しての話だ。そう書いた」 京太郎「だから、お前とか他のライダーが倒したのはそれに含まない」 京太郎「お前、セーラ先輩に言ってただろ? セルメダルとコアメダルを手に居れたら寄越せって」 京太郎「だから、あれは入らない。あくまで俺が倒した分についての話だ」 京太郎「それに、『何らかの形で使用した』って書いた。戦闘中に使ったって」 京太郎「お前の身体を治すのに使ったら、それは使用したって言えないか?」 カザリ「……ただの屁理屈じゃないの」 京太郎「屁理屈だよ。ただ、契約書にはそう書いてある。それ以上は書いてない」 京太郎「ハッキリ言って、俺はあの手の足元を見る奴が嫌いだ。だから容赦はしない」 カザリ「あれ、君ってそんなタイプだっけ?」 京太郎「俺は誰かの為に戦うヒーローなんかじゃない」 京太郎「人の為に生きる勇者でもないし、誰かを救い出そうとする統治者でもない」 京太郎「あくまで、ただ弱い人間だ。たまたまオーズの力を手に入れた人間だ」 京太郎「俺は、俺が後悔しない為に戦ってる。俺が怖いと思う事を取り除きたくて戦ってる」 あの時できなかったことを、今やる。 やらなきゃいけない力を手に入れた。だからやる。 それだけであって、別に誰かの都合とか、何かの事情の為に戦っている訳じゃない。 自分を含めて、自分の手に届く範囲内のものを守りたいと思っている。 それは自分の心であるし、また、カザリとの約束もそうだ。 京太郎「前にお前、言ってたよな。信じて裏切られた方を選ぶタイプだったか……って」 京太郎「だから、ここで言っておく」 京太郎「俺は臆病だし、弱い。だからそういうのは……やっぱり考えちまう。嫌だと思ってるけど」 京太郎「それでも、相手によっては容赦しない。そう決めた」 京太郎「……まあ、あの人は多分そんなの見抜いてただろうな」 カザリ「それでも、契約したって事?」 京太郎「だからきっと、まだ何か切り札を持ってるんだ」 京太郎「あの契約書をここで交わしても、後で変えられるって感じの何かを」 京太郎「そうなったらあの人は多分、それを出す」 京太郎「……或いは本当に、俺の欲望を歓迎して、分かってて契約したってのもあるかもしれないけどさ」 カザリ「それって……」 京太郎「……多分、お前のコアメダルだ」 京太郎「あの人が原因でグリードが世に出たなら、あの人が持っていてもおかしくない」 京太郎「別に契約自体はどうでもよかった……正直、そんな条件がなくても俺は飲みたいと思ってた」 京太郎「ただ、一方的にやられるのが気に食わなかったんだ。なにかこっちも手札が欲しかった」 カザリ「……」 京太郎「安心しろよ。お前との約束、ちゃんと覚えてるから」 カザリ「……はいはい」 【昼】 ワイリー「それじゃあ、ここの文法は……」 英文法のコヨーテ先生は、大柄の黒人だ。 バージニア大学に進んで建築学を学び、それからデルタフォースに行って、何の因果かここに居る。 語学担当なんだけど、数学も出来ると思うんだが……本人曰く「あまり得意じゃない」とか。 彼の言う得意ってのはどのレベルなのか気になる。 改めて思うけど、どうしてこの学校に居るんだろう。 『ワイリヤバイ超ヤバイ』『10点が爆破されて60点が50点になった』とか、そんな風に恐れられる先生だ。 +判定 直後、コンマ判定 1~50:見知った人間と会話 51~80:誰かと出会う 81~99:何かイベントの…… ゾロ目:遭遇イベント 961 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 22 30 52.51 ID fIEUaFYIO [1/6] 灼ちゃん 966 1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/07(木) 22 32 41.61 ID 8zTkuZN6o [8/11] 961の判定:51 よって、誰かと出会う。 誰と出会った? 龍門渕・鶴賀・風越・姫松・宮守・永水・阿知賀・白糸台・千里山・新道寺・その他(荒川憩、佐々野いちご、プロ勢等) ↓3 967 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 22 33 25.46 ID LbpamgC3o [3/5] ときぃ 968 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 22 33 26.88 ID TkLJDV4Qo [11/13] しず 969 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 22 33 33.43 ID fIEUaFYIO [3/6] 灼ちゃん 京太郎「……あ」 灼「あ……」 いつものように屋上に上がると、以前見た人がいた。 名前は聞いていない――確か二年生の人だったか。 人付き合いを拒絶するその姿に、どこか似ているものがあるなと思った。 まあ、お互いに欠ける言葉なんてない。 ただ無言で腰を下ろし、弁当をあける。 向こうも、他に人が来たからか……その場を立ち去ろうか逡巡の後、パンを取り出した。 さて……まあ。 なんというか、話す言葉がない。 彼女から『話しかけるなオーラ』が出ているし、 そもそも須賀京太郎とて、必要もない限り人に話しかけるタイプではない。今、必要があるとも思えない。 黙々と。 ただお互いに無言で、飯を頬張る。 しっかり弁当を用意しているこちらと違って、コンビニのパンで済ませている彼女は食べ終わるのが早い。 そのまま、こちらの前を横切って、立ち去ろうとしたその時だった。 突風が吹いた。 彼女のポケットから何かが零れ落ち、風にさらわれる。 一瞬見えたが――あれは、ネクタイか? 灼「待っ……」 しかし無情にも。 風はそれを浚って、どこかに吹き飛ばしてしまった。 屋上のフェンスを越えて、消えていくネクタイ。 京太郎「……探すの、手伝いましょうか?」 わざわざ問いかけたのは。 彼女がそれを是とする人間か、非とする人間かによる。 あまり人の内面に立ち入ることを、須賀京太郎はしたくはない。 勿論、大事なものなら――聞くまでもなく助けた方がいいのだろうけど。 ヤミーやドーパントに襲われている人間に比べて、それは分かりにくい。 ながらく人との付き合いを拒絶していたのも相俟って、そのあたりの機微が掴み難かった。 灼「いらな……」 そして、ぷいと顔を背けると。 彼女は、屋上から立ち去った。 +アナウンス 【鷺森灼のネクタイ紛失の場面に立ち会いました!】 【放課後】 玲司「この、モナリザのリザはエリザベータという意味で」 玲司「他にもジョコンダという……」 美術の藤田先生は、元々はメトロポリタン美術館で“学芸員(キュレーター)”をやっていたらしい。 それからはギャラリーフェイクという画廊を経営しているのだが、美術の臨時講師としてこうして教えに来ているそうだ。 他の先生に比べて、体が凄そう……というのはないが。 色々、生死の境をさまよっている。そんな気迫を感じさせる人だ。 というか、画廊の名前にフェイクってどうなのよ。 +判定 1:普通に帰宅する (そのレスでコンマ判定へ) 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント ※出会う人間も一緒にお書きください 2:誰かに連絡を取る (特訓・相談など) ↓5 ※1ならば 「1:カザリ」 ※2ならば 「2:神代小蒔」のようにお書きください ※2については、連絡先を交換した相手のみとなります 26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 23 23 21.23 ID WQjgsEWlo 1 カザリ 27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 23 23 31.78 ID 89vFCaEBo [4/4] 1 淡 28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 23 23 33.17 ID OvxPR+Ss0 [2/2] 2小蒔 29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 23 23 46.45 ID 15qFJQnAO ksk 30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/07(木) 23 23 50.96 ID w5yTKVaIO [2/2] 1淡 ……それは。砂だった。 少なくとも、砂の塊。そうとしか考えられないものであった。 何かがやってきた。 そんな衝撃を感じた途端、鷺森灼の目の前に現れたのは。 灼「あ、ああ……」 それから、“それ”は言った。 ???『お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやる。お前が払う代償はたった一つ……』 灼「望みなんて、な…」 ???『言え……! あるだろう、望みが……!』 そう言われて――思い浮かんだのはあのネクタイだ。 先ほど、風に飛ばされてなくなってしまった思い出のネクタイ。 鷺森灼に両親はいない。いるのは祖母だけ。 物心がついたころからそうであり、それが故の苦労もあったが、灼は気にしていなかった。 だけど、世間からそう見られるかと言えばそうでもあるまい。 無意識に皆、可哀想な人間であると下に見始めるし。 また、何かをすれば、両親がいないからと侮蔑される。 故に灼は、強い人間でなければならなかった。その必要があった。 だれに求められる訳でもなく、物心が漸く芽生えるか。 そんなときから、灼はそう決心した。強くあろうと。 しかし一口に強さと言っても、色々とある。 腕っぷしを鍛えるのも強さであるし、困難でも歯を食いしばるのが強さでもある。 色々なものがあり過ぎて、一概には言えない。 どれが強さなのだろうかと、灼は考えた。 それから、灼は知った。 麻雀と言う競技がある。それは人気競技だ。 つまり、これで強くあれたのなら。手っ取り早く人から認められて、そして強いと言われるのではないだろうか。 だから、麻雀が目標となった。 大人に交じって打つ。店番の傍ら麻雀を学ぶ。常連から話を聞く。 そんな風に、灼は灼なりに、彼女の思う強さに近付いていった。 そして――ある出会いがあった。 その人は。 言うならば、こうなりたいという目標だった。 灼が目指す、その先であった。 高校一年生にして、当時無敗であった高校を破り、レジェンドと呼ばれる。 その強さを見たときに。凛としたあり方を見たときに。 鷺森灼は、これだと思った。 そして、インターハイに出場した彼女――赤土晴絵が。 再び奈良に戻ったその時に、勇気を出して会いに行った。 ひょっとしたら――いや確実に――敗れた事に残念がっているかもしれない。 自分は勇気を貰った。その姿に。 だから、彼女が今度は苦しいのなら。辛いと思っているのなら。 一声かけて、伝えたかった。 この街におかえりなさい。あなたは胸を張って良いんだと。 破れてしまったとしても、彼女の雄姿はこの目に収めたと。 一時どうあっても、これからもがんばって欲しいんだと。 それは子供なりの「自分がやらなければ」という思い込みで、実際はただの迷惑かも知れない。 だけどそれでも何か、いわゆる恩返しのような形のものをしたかったのだ。 その時、鷺森灼は魅せられていた。彼女の打ち筋に。 そんな出会いのあと、貰ったネクタイ。 あれから――彼女に出会ってはいない。 子供麻雀部に通っていたというのは知っているが、そんな彼女は見たくなかった。認めたくなかった。 自分が憧れにした彼女は、魅せられた彼女は。 凛として、一人でも、周囲の期待を背負って歩き出せる。そんな人だったのだから。 地に落ちた赤土晴絵に会う気にはなれなかった。 或いはそれには――僻みも含まれているのだろうか。 人の輪に入れない自分。麻雀を通して戦う事はあっても、誰かと気分を共にする事はない自分。 それとは違うんだと、見せつけられているような気もしたから。 或いはまた、今となってはそこに――後悔もある。 ひょっとしたらあの時の自分が言った、「がんばって」という言葉が。 それが却って彼女を追い詰めてしまったのではないか、と。 こうして、今。この街で暮らし始めて。灼は思う。 「頑張って」という言葉は。期待は思った以上に重いものであるのだと。 スマートブレイン学園への入学の引き換えは、麻雀部に入れと言うものだった。 今更、麻雀か。 そうも思った。そこを駆けても、灼の望む姿にはなれないのだと思ってからは、麻雀と離れていた。 だけれども、仕方なかった。 未確認生命体による襲撃の後。その脅威は収まったと言えども、また何があるかは分からない。 祖母の為にも、安全なこの街で暮らした方がいい。 生まれた場所を離れるという事には抵抗など――なかった。それは弱いから。 結局今では、幸いながら新しいボウリング場を立てる費用まで出してもらった為、以前と変わらない生活を送っている。 だけれども――思う。 期待と言うのは、重いものだと。 ひょっとしたらと考える。 麻雀部への入部を条件とした転入の内容。 これはもしかすれば、お前の実力を期待している――などという生易しいものではなく。 お前の実力がそぐわない場合は、この学園から退去させる。 そういう意味での、通知ではないだろうか。 ある意味は期待されている。そう考えてもいいだろう。 それはあまりにも重い。 灼の双肩に、祖母の生活までがかかっている。 そう考えたときに、一歩進む事は難しくなる。 そこで頼ったのが、縋ったのがあのネクタイだ。 あの頃の。強かったあの頃の彼女も、自分と同じように期待を負わされていた。 それを励みにして、頑張ろうと。 灼は常にネクタイをポケットに忍ばせた。 一緒にあれば、強くなれると思ったから。 それから、強さを目指した。 他のものはいらない。自分が立ち上がる、自分に持てる、それだけの荷物でいい。 だから、人付き合いというのは無縁であるし、なれ合いは必要ない。 それは――彼女を弱くしたから。 そしてそのネクタイを紛失した灼は。 藁にもすがる気持ちで、その灰燼の塊へと――言ってしまった。 灼「ネクタイを、見つけて……」 ???『――契約は成立だ』 「秘密と噂と理不尽な契約」 A-Part 終了 ←To be continued...
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「オーズとメダルと特異点」 ウヴァ――グリードたちとの戦闘の後、京太郎たちは列車の中に居た。 時を駆けるという、デンライナーに。 春「……」 京太郎「いえ……」 食べるか、と差し出された黒糖の袋を手で断る。 それどころではない状況であるのが一つ。 デンライナーの車内には、実に奇妙な光景が広がっている。 まずはどう見ても怪物が5人。 カザリ、赤鬼(モモタロス)、青亀(ウラタロス)、金熊(キンタロス)、紫竜(リュウタロス)。 それから、チャーハンを食べているステッキの壮年の男性。 この電車のオーナーらしい。 テレビで見た事があるような顔だが、他人の空似だろう。 それから美人が6人。 タイトな衣装に身を包んだ給仕役の少女――ナオミ。 そして、巫女服の5人組。 そのスタイルの良さには思わず手放しで喜びたいものがあるが、いかんせん状況がつかめない。 警戒するように京太郎の傍に近寄るカザリを見習って、顔を引き締める。 味方ではある。おそらく。 だけどもあまりにも異様な光景過ぎる。ここは間違った日本観を持ったアメコミの、ハロウィンの世界だろうか。 小蒔「えーっと、その初めまして」 京太郎「あ、どうも。初めまして」 深々と下げられた頭に、こちらも同じぐらいの角度で返す。 なんだろうか。ちょっと毒気が抜かれた。 さて―― +選択肢 1:目の前の女性に先ほどのものは何だったか、このデンライナーとは何かを訊いてみる 2:カザリに先ほどのグリードたちの事や、メダル、事情を訊いてみる 3:その他(行動や台詞などを) ↓3 242 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 20 49 13.58 ID ZIPBplDAO 2 京太郎「なあ、カザリ」 カザリ「……なんだい、オーズ」 京太郎「さっきのグリードってのは何なんだ。それに、あのメダルとか……お前の事とか」 京太郎「教えてくれないか?」 ひとまず目の前の人物たちに会釈をしたのち。 カザリに向き合って、問いかける。 オーズと呼ばれた力。 カザリやウヴァや、メズールやガメルといった存在。 そして、カザリが何故追われていたのか。 聞きたいことは、山ほどあった。 この電車のこともさることながら、それ以上である。 カザリ「……」 ここで話すのか――と。 当たりを見回し、逡巡するカザリ。 確かにこの――よくわからない――人の中、事情を話せというのは軽率だったか。 ひょっとしたら喋りにくい内容なのかもしれないが……。 カザリ「……ま、いいよ。簡単に説明するけど」 カザリ「僕たちグリードは、800年前にある王の命令によって生み出されたんだ」 カザリ「その王がオーズ。君がさっき使った、ベルトを作った人間さ」 カザリ「僕たちは――メダルをコアにして活動をしている」 カザリ「言うなれば……」 辺りを軽く見回して。 先ほど勧められた――京太郎もカザリも拒否した――モモタロスたちの飲むコーヒーを指さす。 カザリ「あのカップがコアメダル。中身がセルメダルってところかな?」 カザリ「コアメダルが足りなければ、それじゃあ僕たちはただの水。形を保てない」 カザリ「でも、セルメダルが足りなければ……コーヒーという飲み物でもなくなる」 カザリ「コアメダルが芯や骨。セルメダルが肉ってことになるのかな?」 カザリ「だから、コアメダルを奪われると僕たちの存在はあやふやになる」 カザリ「でも、セルメダルが足りなければ、結局のところまともな形を保てない」 カザリ「……ま、ちょっと違うかもしれないけど。そんなものだと思ってくれていいよ」 カザリ「……で、僕たちのコアは本来なら、9枚。それぞれ3種類が3つ」 カザリ「そんな僕たちのコアを奪い取って……」 カザリ「その力を引き出して、それで戦うのがオーズの力だよ」 『奪い取って』のあたりを強調された。 どうやらやはりグリードたちの口ぶりから、オーズにいい思い出はないらしい。 カザリ「それで……まあ、僕たちは800年前に作られたって言ったね?」 カザリ「どうして今ここにいるのかって話だけど……」 カザリ「僕たちは封印されたんだよ。先代のオーズに」 カザリ「それから、今になって封印が解放された。ま、大方誰かが僕たちの封印の器を開きでもしたんじゃないの?」 カザリ「それで、まあ――きっとその人間がコアを奪ったのか――僕たちはコアが少なかった」 カザリ「それからは、争いさ。さっき君が見たようにね」 京太郎「……」 京太郎「お前のコアは、アンクって奴に奪われてよな」 カザリ「だから僕も向こうのを奪い返してやったけどね。流石に4対1だと勝負にならなかった」 残念だよ、と。 手のひらを上に向けると、腕を組みなおすカザリ。 そのまま話は終わったとでも言うように、壁に背中を預ける。 そこで、声が入った。 ウラタロス「ちょっといい?」 青い亀の怪人――ウラタロス――からだった。 なんというか、その一人称も相俟って、どことなくカザリに似ている。 そんな印象を抱かせる怪人だ。 カザリが、やれやれと身を起こす。 人間なら眉でも寄せているだろう。 ウラタロス「それで、君たちグリードは何が目的なの」 カザリ「……」 カザリ「完全体になる――自分のメダルを集めることだけど。それがどうかした?」 カザリ「僕たちは生み出されたとき、元々は完全体だった」 カザリ「それから、コアを奪われる度に力が抜けていくんだ」 カザリ「人間でいうなら、手足に重りでもつけられているようなものってところかな」 カザリ「だから、僕たちは完全体に戻りたい。生み出されたその頃の自分にね」 つまり、カザリの目的は。 失ってしまった自分の肉体の一部を取り戻したい。そういう事なのだろう。 気持ちは判らなくもない。 あの時に――戻りたいという気持ちは。 カザリ「ああ、それと……これも大事なことだけどさ」 カザリ「僕たちグリードにとってセルメダルは身体を構成するものっていったよね?」 カザリ「僕たちは、これを手に入れる為に……あることをやる。できるって言った方がいいかな」 カザリ「こんな風に」 そしてカザリが巫女服の女性の一人に手をかざすと。 そこに、自動販売機の硬貨投入口のようなものが生み出された。 そしてウヴァから拾ったセルメダルを手で弄んだ。 カザリ「そしてここにメダルを入れる事で、僕たちはヤミー――怪人を生み出す事が出来る」 カザリ「生み出したヤミーは、その親の欲望を叶える事でセルメダルを増やす」 カザリ「それから、そのセルメダルを僕たちに還元するんだ」 カザリ「多分……ウヴァあたりは、これからヤミーを作るんじゃないかな」 カザリ「大分、君たちとの戦いでセルを削られたからね。必死じゃないの」 カザリ「他にも……僕を含めて、皆セルメダルが足りてない」 カザリ「きっとメズール立ちが慎重だったのも、それが理由だろうね」 +ステータス 情報が更新されました 【カザリ】 コア:3枚(ライオン×1、トラ×1、チーター×1) 状態:《セルメダル不足状態》 能力:40 HP:30/30(35) スタミナ:30/30(35) 気力:60/60 ATK:25(30) DEF:25(30) (レンジ:至近距離~中距離) グリード:コアメダルの枚数によって技能値及びHP・スタミナ・ATK・DEFが変動 コアメダル1枚時、技能・HP・スタミナの基礎値を25、ATK・DEF基礎値を20として、以後コアメダル1枚につき+5 これらの補正に関して、他者のコアメダルを使用した場合、+3 グリード:セルメダルの枚数によってHP・スタミナ・ATK・DEFが変動 戦闘中受けたダメージの分セルメダルを落とす。ダメージの5分の1、HPとスタミナの上限値を低下させる。(5ダメージ毎にカウント) 《セルメダル不足状態》:上記の効能により、基礎HP値からその10分の1以上のHP・スタミナの上限値が減衰する事で発動 ATK・DEF-5 《セルメダル十分状態》:HP・スタミナ・ATK・DEFを基礎値として運用する 《セルメダル多分状態》:HP・スタミナの基礎値から5以上HP・スタミナの上限値が増加する事で発動 ATK・DEF・戦闘判定+5。以降、基礎値の上昇1に対してATK・DEF・戦闘判定+1ずつ上昇させる 猫科の王:技能+5。戦闘・奇襲・追撃・撤退判定+5。温存判定時の与ダメージ量を変化させない。 コアメダルが一定数に達する事で、レンジを遠距離に変更し、自分の戦闘判定勝利時に全体に攻撃を与える 完全体:??? グリードについては、ウヴァ・メズール・ガメル・アンクと共通です ウラタロス「……そういうところは、イマジンに似てるね」 イマジン――という単語の意味は分からないが。 まあ、これからあと……彼らの事情も説明されるだろう。 カザリ「……ま、イマジンってのは知らないけど。僕たちグリードとヤミーの話はこれでほとんどだよ」 カザリ「グリードはヤミーを生み出して、人の欲望を叶える事でセルメダルを集める」 カザリ「セルメダルやコアメダルを失うと、グリードは形を保っていられない」 カザリ「こんなところ」 それから。 カザリは壁を離れて、京太郎に正対する。 顔と顔をほとんど突き合わせた状態。そんな距離まで近づいてきたのだ。 それから、囁くように言った。 カザリ「ところで君に聞きたいんだけどさ」 カザリ「オーズ」 カザリ「僕を守ってくれたのはありがとう。君のおかげで助かったよ」 カザリ「ま、あのときは一蓮托生って話だったし……今はそんなピンチを抜けたよね」 カザリ「これから、どうするつもり?」 +選択肢 1:完全体になるまで協力する 2:条件付きで協力する 3:まだ質問が残っている(可能なら質問の内容も) 4:まだあちら(電王たち)の話を聞いてないのでそれから結論 5:その他(内容も) ↓3 261 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2013/02/04(月) 21 41 46.77 ID FSCUQByd0 まあ4だろう 京太郎「……まだ、向こうの話を聞いてない」 京太郎「だから、それからだ」 カザリ「……そう。判ったよ」 それじゃあと、壁に寄りかかるカザリ。 相変わらず周囲と微妙に距離を取っている。何かあれば逃げ出せるように、だろうか。 それでもこちらとの距離は心なしか近い。そんな気がする。 小蒔「それじゃあ、私たちからなんですけど……」 ウラタロス「ま、ここは僕が説明した方がいいんじゃないの?」 ウラタロス「小蒔ちゃんたちは、こっちに来てからってことで」 そう言って、片腕を胸の前で組んで。 こちらに向かい合うウラタロス。 さっきから思っているが、どうにも彼――おそらく――はこの列車の中でも、説明役。あるいは交渉役なのかもしれない。 ウラタロス「僕たちは……どこから説明したらいいかな」 ウラタロス「時の運航を守るために戦ってる、とでも言っておくよ」 京太郎「……時の運航?」 ウラタロス「うーん、難しい話なんだけど」 ウラタロス「正しい時間の流れというのが存在していて、そんな時間の流れになるように保とうとしているって言うかな」 ウラタロス「僕たちの敵のイマジンは……時間の流れを乱すことで、歴史を改変しようとしている」 ウラタロス「そんなイマジンを倒すのが僕たちと――それと、電王って訳さ」 そう言って、先ほどの巫女服の女性を手のひらで示すウラタロス。 電王というのは、あの仮面ライダーというのの正式な名前なのだろう。 どこか生真面目そうな印象を受ける彼女は、大仰に「はい」と頷いた。 それにしても、歴史を改変だなんてスケールの大きな話だ。 未確認生命体やグリードというのも大概ではあるが。 こちらの話もまた、随分と現実離れしている。 カザリも少し、呆然としているようだ。 ウラタロス「イマジンは……その人の願いを叶える事で、過去への扉を開く」 ウラタロス「願いを叶えるって言っても随分と杜撰だけどね。星をずっと見たいって言ったら木に縛り付けられたり」 ウラタロス「それで――その扉から過去に向かっていって、過去を壊して、現在を改変しようとするんだ」 京太郎「……何が目的で?」 ウラタロス「それは僕たちにも正確には分からない」 ウラタロス「ただ、イマジンってのは『選ばれなかった時間の住人』なんだ」 ウラタロス「だから改変を起こして、時間を自分たちのいた未来につなげようとしている――ってとこ」 京太郎「……改変されたら、今はどうなる?」 ウラタロス「変わってしまうよ。場合によっては、消えるだろうね」 ウラタロス「そして、誰もその改変に気付かない。親しいものが消えてしまっても、過去で殺されてしまっても」 ウラタロス「それが『本来の時間の流れ』だと思って、生活する事になるんだ」 京太郎「……」 カザリ「……」 ウラタロス「まあ、大丈夫だよ」 ウラタロス「特異点――電王への変身者の資格を持つ者がいれば、時は本来の流れに戻されるから」 ウラタロス「この場合は、小蒔ちゃんかな」 ウラタロス「特異点は、あらゆる時間の改変の影響を受けない」 ウラタロス「それから、特異点がいるならば、その記憶を元に時間は正常なものへと修復されるんだ」 つまりは――。 電王。 彼女――小蒔がいなければこの時間はいつ改変されてもおかしくなく。 そして、どうなったとしても戻らない。 そういうことだろう。 ウラタロス「それで、なんで僕たちがここに居るかなんだけど――」 ウラタロス「元々、僕たちはここじゃない世界の人間だ。別の時間軸のね」 ウラタロス「それで――イマジンを追ってきて、この世界に来てて」 キンタロス「それで、閉じ込められたっちゅーとこやな」 モモタロス「ったく、天丼の奴とは逸れちまうしよぉ……」 ウラタロス「おねーちゃんに拾って貰えなかったら危なかったよねー」 ウラタロスの説明に、他の3人が飛び込んだ。 いつまでも続く説明に、我慢の限界だったのだろう。 それから互いに口を挟むなとか。邪魔だとか。自分にも喋らせろとか。 喧々囂々と、騒ぎ立てていた。 つまりまとめるとこうだ。 ・ウラタロスたちは別の世界の人間(イマジン) ・とある切っ掛けで世界を渡ったイマジンを追ってこちらの世界に来た ・倒して帰ろうと思ったら、何故だかこちらから帰れなくなっていた ・そして、この世界もイマジンに狙われている ・たまたま見つけた特異点である神代小蒔に協力を頼んで(正確には事情を聞いた彼女が申し出て)電王として戦っている ・仲間であるイマジン1体と逸れてしまったらしい ひとまずの説明は終わって、一旦、ブレイクタイムとなった。 モモタロスたちは毒々しい色のコーヒーを飲んでいる。 神代小蒔とその周辺の巫女服の女性――こちらの世界の人々らしい――も口にしていないあたり、 あれを飲もうとしなかった京太郎とカザリは正解だったらしい。 流石に、まずいものを飲むのは御免だ。 そう告げると、カザリは押し黙って背中を壁に預ける。 どうかしたのだろうか。 イマジンと巫女服の和気藹々とした空気を眺めながら、カザリと共に壁に寄りかかる。 一際グラマラスな女性はリュウタロスに慕われていて――姉と言うより母と子供を思わせる風格だ――。 先ほどの黒糖の女性は、キンタロスと黒糖を貪っている。食べるたびに「泣けるで」と呟くキンタロスと頷く女性は何ともシュールだ。 ウラタロスは色黒の女性――というより体格的に少女――と、眼鏡の女性と言葉を交わしている。 モモタロスは、神代小蒔と何やら話し合っていた。 カザリが、ポツリと呟いた。 カザリ「……イマジンか。厄介だね」 京太郎「ああ、確かにな」 カザリ「……でも、考えようによってはこれはチャンスかもしれない」 カザリ「イマジンとグリード――ヤミーのやり方っていうのは似てる」 カザリ「お互いかち合って、争い合う事もあり得るし」 カザリ「イマジンが先に欲望を満たしちゃったのなら、ヤミーを作る余地がなくなる」 カザリ「そうなったら――ウヴァはともかく、メズールあたりなら警戒し始めるだろうし」 カザリ「こっちを狙いに来るって事も、あまりなくなるだろうね。ヤミーとイマジンで争うかもしれないけどさ」 京太郎「……」 カザリ「それで……オーズ。君に聞きたいんだけど」 カザリ「君はこれから、どうしたい? 一応聞いておくよ」 +選択肢 271 1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 22 25 21.31 ID b4a3T7D9o 1:電王との協調もするが、あくまでカザリが完全体になるまでを主眼に協力する 2:電王との共闘も考え、また、メダルの為に人を傷つけないなどを条件にカザリに協力する 3:まだカザリに質問が残っている(可能なら質問の内容も) 4:その他(内容も) ↓3 274 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 22 28 43.10 ID mjgdMq0l0 2 京太郎「……」 思い出されるのは――あの夢。 理由は分からない。そんな覚えもない。 だけど、咲が離れて行ってしまう夢。どこかに戦いに。悲しみと怒りを背負って、離れて行ってしまう夢。 あれは――ただの夢だ。そんなのは現実じゃない。 だけれども。もしかしたらあの夢は本当であるかもしれない。 京太郎が忘れてしまっているか――或いは、それこそ過去が改変されたか何かで。 ただの夢として思い出されるだけの存在になっている。 勿論、特異点以外が――京太郎は特異点ではなかった――記憶する事もないはずなので、そんな夢など見るはずもないが。 そして思った。イマジンの所業を。 忘れられるというのは。人が生きた歴史すべてがなくなるという事だ。 それは、死ぬことよりもなお一層酷い。 死んだならば死んでしまったと、辛い別れになったと記憶に残るだろう。思い出が残されるだろう。 だが、消えてしまうのなら。 それは初めからいないのと同じだ。失うよりも、更に辛辣な奪われ方。 許しておける理由がない。 そして、あのウラタロスというイマジンの口ぶり。 イマジンが願いをかなえるのは、ヤミーと殆ど同じ。 ヤミーだって、セルメダルの為にだけ人の欲望を叶えるのだ。 つまりは――先ほどの例に挙げられたイマジンの行為のように――ヤミーのそれも、人を傷つけるものである可能性が高い。 人の欲望の中には、他者を蹴落としても構わないというものは純然と存在する。 故に、ヤミーという異形の力を持ったのなら、そんなことは容易く起こり得るだろう。 その犠牲者が――。 ある日の片岡優希かも知れない。原村和かもしれない。染谷まこかもしれない。竹井久かもしれない。 傷つけられた人間。 その痛みは波紋する。人が失われるという喪失は、ブラックホールが如く周囲の人間の心をも飲み込んでいく。 まさに、ここにいる須賀京太郎のように。 だから――。 京太郎「お前に協力する。お前のメダル集めにも」 カザリ「へー……!」 京太郎「でも、イマジンも放ってはおけない。そんな存在は、倒さなきゃいけない」 京太郎「俺には力が必要なんだ。誰かを守るための力が。戦うための力が」 京太郎(そう……) 京太郎(これ以上、俺のような存在を生み出さない為の力が……) 京太郎「だから、俺はお前のメダルを集める。代わりにお前は俺の戦いに協力してくれ」 カザリ「ギブアンドテイクってこと?」 京太郎「……そう思ってくれてもいい」 京太郎「ただ、出来れば純粋にお前を手伝ってやりたいとも思ってるのは本当だ」 カザリ「……」 京太郎「ただし、メダルの為に人を傷つけるな。メダルを人命より優先するな」 京太郎「この条件は飲んでもらうけどな」 カザリ「……」 カザリ「『力を貸す』『人を傷つけない』……僕のメリットに対して、君の方の条件の方が多くない?」 京太郎「……それは」 カザリ「……」 カザリ「ま、借りが一つあるってことで……いいよ。君に付き合ってあげる」 カザリ「僕にとっても、イマジンってのは邪魔だしね」 カザリ「君が人を守る為に戦うっていうんなら、傷つけないっていうのもその内に入るだろうからね」 京太郎「カザリ……!」 カザリ「ま、そういうことで――よろしくね、オーズ」 こちらへ向き合うカザリに、手を差し出す。 怪訝そうに肩を揺らすカザリに、改めて告げる。 京太郎「俺の名前は――須賀、京太郎だ」 京太郎「よろしくな……カザリ」 カザリ「ああ。よろしく」 カザリ(……) カザリ(……イマジンってのは、どうにも厄介だね) カザリ(現状、僕だけじゃ対処できそうにない。ありえないだろうけど、ウヴァたちがいてもそれは変わらない) カザリ(ってなると、ここは電王と一緒に居た方がいい) カザリ(それに……) カザリ(僕のコアは奪われたものを含めて5つ。4つが行方不明) カザリ(これの場所が分かるまでは……慎重に行動するべきだ) カザリ(それまでは――役に立ってもらうよ、オーズ) この後、神代小蒔――電王である彼女。 石戸霞――リュウタロスの母親のようなオーラを放つ女性。 滝見春――キンタロスと黒糖を貪っていた女性。 狩宿巴――ウラタロスと喋っていた眼鏡の女性。 薄墨初美――ウラタロスと海の話題で盛り上がっていた色黒の少女。痴女? と、連絡先を交換した。 彼女たちは戦闘要員ではなく、電王にも変身できない。 それでも神代小蒔のサポートの為、またウラタロス曰く彼女たちの身の安全の為にデンライナーに乗車している。 あのむっつりとしたオーナー曰くグレーらしいが、緊急事態の為、可だそうだ。 夜も更けた(デンライナーに時間の経過は関係ないが)。明日、学校もある。 細かい情報交換などについては後日に回す事にして、一旦は今日、別れる事にした。 カザリ「……ところで、僕を家に連れてって大丈夫なの?」 京太郎「……ああ」 京太郎「俺は寮じゃないし、一人暮らしだからな」 カザリ「……そう。ならいいんだけど」 京太郎「お前こそ、何か好き嫌いとかあるのか? 猫だから玉ねぎだとか、烏賊は駄目とかさ」 カザリ「……いや」 カザリ「僕はグリードだからね。食事なんて、必要ないよ」 京太郎「そっか」 京太郎「じゃあ、気が向いたら言ってくれよ。何か作るから」 カザリ「……気が向いたら、ね」 京太郎「……」 カザリ「……」
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「Prologue -Begins night/Begins knight-」 これは――既に終わってしまった物語。 二度と訪れない昔日。明けない夜。覚めない悪夢。繰り返される彼の時。 パチパチ、何かが弾ける音が聞こえた。 ぼやけた視界。涙を浮かべた咲。 ――どうして、泣いているんだ。 問いかけたつもりだったが、裏腹、声が出ない。 咲が離れていく。歯を食いしばって、目に怒りを湛えて。 駄目だ。そう思った。何故だかは分からない。だが、止めなければならない。 それなのに体が動かない。右手を持ち上げたつもりなのに、そこにあるのは、黒く変わった何かだ。 痛みはない。ただ、寒いのだ。黒い何かから、ボロボロと破片が零れ落ちる。 辺りは一面、火の海。正確に捉えられるのは咲の姿だけ。 距離感が掴めない。自分は、片目しか使えていないようだ。 ――咲、駄目だ。 言葉にならない。掠れた音がひゅうひゅうと鳴って、それっきり。 それなのに咲は、振り向いた。 駄目なんだ。咲、それは駄目だ。 何とか伝わってくれと、口を動かす。ぱくぱくと、酸素を求めて喘ぐ事にしかならなかった。 咲が笑った。 ――ごめんね、京ちゃん。 そして咲は消えた。 須賀京太郎を残して、火の海に。 その背中に伸ばした手は届かない。虚しく空を切って、それで、京太郎の意識は落ちた。 暗転――。 ――――。 ――――。 ――。 ……。 「……また、この夢か」 ゆっくりと頭を起こす。 気が付いたら放課後であった。それも生徒がすべて下校しているような。 見た覚えがない光景。自分ではあるが、自分のものでない感覚。 体を確認してみる。 勿論、片手が炭化などはしていない。両目とも健在だ。 やはりこれは、ただの脈絡のない夢である。 何よりも――言うなれば。 あの事件以来、須賀京太郎は、宮永咲と出会ってはいない。 このように、去っていく咲の姿の確認すら、していないのだ。 だから言える。これはまぎれもなく、脈絡のない夢であると。 あの事件――。 日本全土を震撼させた、正に絶望的な事件だ。 正式な名称は何であったか覚えてはいないが――確か『未確認生命体による連続多発テロ事件』だったか。 まあ、そんなようなものだ。 そして名称を知らなくても、その名前で概要はつかめる。 要するに、未確認の生命体が日本全土で大規模なテロリズム的被害を生み出したという、そんな事件。 武装集団ではないのは、彼らがなんらか特殊な“形態”に姿を変えた事から由来する。 これまで地球の歴史に、人類の知識には存在しなかった脅威。 故に、未確認生命体とそれを称する。 警察や自衛隊の尽力によってそれら生命体は駆逐され、事件は終焉を迎えた――とされている。 大きな傷跡を残しはしたものの。 人類は――以前と変わらずとは言えないが――平穏を取り戻したのだ。 そして――そんな事件があって。 須賀京太郎の生活は一変した。 まず第一に。 そんな事件があって、とある学園が作り出された。 複数の企業やファウンデーションが出資しあった私立高校。 それが――出資企業の内の一つから取って――“スマートブレイン学園”。 未確認生命体による被害を受けた学校などから、生徒を集めているマンモス校だ。 希望者全員に入寮。さらに家族を連れてくる事も可能であるらしい。 企業倫理だのコンプライアンスだのという言葉があるが、何とも豪勢な事だと思う。 須賀京太郎も今は、この学園の生徒だ。 そして第二に――これが一番の変化。一番の問題。 京太郎がかつて通っていた、清澄高校は解体されこの学園に再編された。 だが、京太郎が属していた部活のメンバーは、ただの一人もこの場に居ない。 元気印が取り柄であった片岡優希も。 そのグラマラスなボディから視線を集めていた原村和も。 入部当初は広島弁に驚かされたものの、実に面倒見が良かった先輩の染谷まこも。 常に悪戯的な笑みを浮べながら、部員の観察とフォローを怠らない竹井久も。 それになにより――。 かつての中学の同級生。その時知ったとはいえ、幼馴染であった宮永咲も。宮永咲が。 その、誰一人としてこの学園には存在していないのだ。 未確認生命体に殺害されてしまったか。 それとも混乱の中疎開や何かをして、そのまま連絡が取れないか。(こちらならいいと思う) また、何か事情があるのかは定かではないが……。 誰一人として、京太郎のかつての仲間はこの場にはいなかった。 「……どこ行っちまったんだよ、みんな」 呟いても返答なぞない。 ただ、夕暮れのぼやけた教室の陰影に混じって、消えた。 しばし佇むが、その夕暮れも闇夜へと塗りつぶされていく。 下校時間も一杯だ。これ以上残っても、仕方がない。 須賀京太郎は鞄を掴み、教室を後にする。 そしてその帰り道――あるものを見つけた。 それは―― 「くっ……」 飛び出した、影。 ドレッドヘアーと言おうか何と言うか。 チューブがごとき鬣をたぎらせた、猫を思わせる怪人。 「俺のメダルを返してもらうぞ、カザリィ!」 「いい加減、観念したらどう?」 「俺、メズール助ける!」 「僕は……僕はどこ……?」 電撃を迸らせる甲虫じみた緑目の怪人。 水を奔らせる妖艶な声の水棲生物ごとき怪人。 鈍重そのものな口調ながら、寒気を覚えるほどの力強さを持つ灰色の怪人。 おぼつかない口調ながら、この場では最も力を持つだろうと思わせる怪人。 それが、その怪人を追っていた。 「お前は危険だからな……アンクがこうなっている今、始末させてもらう!」 「恨むんなら、これまでの自分を恨みなさい」 「メズールの言うとおりだ!」 「僕は……それ、僕のコアだ……!」 こちらなど視界に入っていないという様子で。 倒れた猫の怪人――カザリと言うらしいに――じりじりと、近寄ってくる怪人の群れ。 普通なら、夢と思うかも知れないが。 これはまぎれもなく現実だ。未確認と言う存在を知っている自分には、分かる。 理由は分からないが、未確認同士の仲間割れ――なんだろうか。 「あーあ、これまでかな……」 そして、立ち上がりながらぼそりと呟く猫の怪人。 怪人同士の内輪もめなら、それでいい。この場を立ち去るべきだろう。 だけれども――。 だけれども、そのカザリの言葉には。彼の背には。 どことない哀愁と、無念さが混じっていた。 京太郎は―― 「――おい、待てよ」 気が付いたら、その怪人を庇うように前に立っていた。 自分でも正気ではないと、そう思う。 未確認生命体。日本を荒らしまわった悪の化身。暴力の顕在。 殺し合おうが、そうじゃなかろうが構わないじゃないか。 「え……?」 背後でその、猫の怪人が声を上げる。 戸惑っているようである。 が、すぐさまに背後から刺殺されかねない。怪人――人とは分かり合えぬ者ならば。 そう、正気ではないのだ。 なんの力も持たない人間が、この場に割り入るのは。 「何だ、お前……!」 「あら。ボーヤ、下がっていてくれる?」 「お前、誰?」 「僕のコア……」 彼らがもし人間のような顔をしてるのなら。 きっと目を見開いていただろう。そんな声色だ。 怪人からすらも、正常ではないと見なされている。我ながらそう思う。 それこそ、あの水棲怪人に言われるように。 今すぐこの場を離れれば、それで済むだろう。どうせ内輪揉めなのだから。 それから追撃されるにしたって。力の続く限り足を動かして、逃げ回ってやればいい。 だから、離れるべきだ――理性の警告。 力なんてない。特別な何かなんてない。 力あるヒーローだとしても、ここで助けになど入らないだろう。 「……君、何のつもり? 正気?」 挙句、庇ったはずの怪人も口を尖らせた。 邪魔だからいなくなれとか。闖入者に対して不快感を覚えているのかもしれない。 若干、やはりこちらも戸惑った声色である。 須賀京太郎のような存在に――庇い立てされるいわれなどない。迷惑である。 そうとでも言いたげだ。 だからきっと、須賀京太郎は邪魔であって。 可能なら、本来なら、普通なら、ここから離れるのが正しいのだろう。 だけど―― 「うるさい。俺が相手をする……お前、さっさと逃げろよ」 もうそんな普通は壊されてしまった――――だから須賀京太郎は普通じゃない。 京太郎は力ある者ではない――――だから力がない者の痛みが分かる。 京太郎はヒーローじゃない――――ヒーローじゃないからこそこの怪人を助けられる。 追われていた怪人の姿が。 皆から排除されるあの姿が。 寂しそうにつぶやいたあの姿が。 “誰か”と重なって見えたのだ。 それは。 未確認に襲われる片岡優希であり、原村和であり、染谷まこであり、竹井久であり、宮永咲であり――。 そして、自分だった。 ――この怪人は俺なんだ。 ――これは追われて、奪われて、居場所を亡くした俺なんだ。 だからなのかはわからないが。 放っておけない。見捨ててはおけない。そう思った。 「あーあ、仕方ないなぁ……」 できればこの手段は避けたかった、と。 そう呟きながら、怪人が京太郎の腰に何かを宛がった。 それは石でできた長方形の――いや、石ではなくなった。そしてそれは、ベルトである。 「お前、何を……!」 「黙っててよ。しょうがないから、君で我慢してあげるよ。君がオーズになる事を、オーズをこの世に生み出す事をね」 「オーズ……?」 「死にたくないでしょ? だから、ここは一蓮托生って奴だよ」 そして、怪人――カザリが。 赤、黄、緑の三枚の硬貨を手渡した。 鷹を模った赤いメダル。虎の意匠の黄色いメダル。飛蝗を思わせる緑のメダル。 そして、それをベルトに挿入しろと指示を出す。 「カザリィ!」 「正気なの!? オーズの封印を解く気?」 「オーズ……!」 「僕のコア……」 「だって、ここで君たちに殺されるより――マシじゃないの?」 そんな4体の怪人へと嘲笑を向けて、それから飛び退くカザリ。 ベルト――ドライバーを傾け、スキャナーをスライドさせろと指示を出して。 「てめえ!!」 「厄介なことになったわね……」 「メズール、困る? 俺、オーズ、倒す!」 「僕のコア……返してよ」 なんだかよくわからないが。 このドライバーと、オーズとやらは彼らにとっても脅威の対象らしい。 理由は分からない――だが、手段ができた。 守るという目的を。それを為すだけの力が、手段が手に入った。 静かな高揚と共にスキャナーを手に取り、ふと思い出して、言った。 「……おい、カザリ」 「なに? 早くしないとさ……」 「――俺に、任せろ」 それだけだ、と。 再び顔を正面に向けて、スキャナーを斜めに振り下ろす。 そして、叫んだ。 「変、身ッ……!」 ――タカ! ――トラ! ――バッタ! ――タ・ト・バ! タトバ! タ・ト・バ!! +ステータス 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 技能:19 HP:45/45 スタミナ:43/43 気力:64/64 ATK:40 DEF:40 スタミナ消費半減。レンジ:至近距離 ★王を統べる力:戦闘時【王を統べる力】を選択にて戦闘・撤退・追撃・奇襲判定+10。コンボ以外でのメダルを使用 また、持つメダルによって、レンジも変更される。(至近~遠距離) ゴリラメダル所持によりレンジを超遠距離に、クジャクメダルにより遠距離に、クワガタ・シャチ・ウナギメダル所持によりレンジを中距離に変更 カマキリメダルによりレンジを近距離に変更、トラメダルはゾロ目での戦闘判定勝利にてメダルを奪取 チーターメダル所持によって、高速を得る ※現在の所持メダル: タカ トラ カマキリ バッタ (ライオン・チーターは使用できず) VS 【ウヴァ】 技能:50 HP:50 スタミナ:50 気力:60/60 ATK:45 DEF:45 グリード:コアメダルの枚数によって技能値及びHP・スタミナ・ATK・DEFが変動 グリード:セルメダルの枚数によってHP・スタミナ・ATK・DEFが変動 スキル ??? +戦闘判定 1 ◆UAny7z8RrpxO[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 01 39 06.74 ID KS8OIn9ao 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:50 HP:45/45 HP:50/50 スタミナ:43/43 VS スタミナ:50/50 気力:64/64 気力:60/60 ATK:40 ATK:45 DEF:40 DEF:45 現在【中距離】です 戦闘方針は【通常方針】です ↓3、須賀京太郎のコンマ&行動をお書きください 19 + コンマ + ? VS 50 + GMコンマ +? 78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 01 40 03.18 ID ZIPBplDAO 防御 集中20 距離をあける 89 1 ◆UAny7z8RrpxO[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 01 48 59.53 ID KS8OIn9ao #温存方針虫頭 ウヴァ 温存方針 オーズ:19 + 18 +20 =57 ウヴァ:50 +74 =124 ダメージ:距離を詰めた為発生せず 京太郎がスタミナを1消費! 気力を20消費! ウヴァがスタミナを4消費! 現在のレンジは【近距離】 方針は【防御方針】です 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:50 HP:45/45 HP:50/50 スタミナ:42/43 VS スタミナ:46/50 気力:44/64 気力:60/60 ATK:40 ATK:45 DEF:40 DEF:45 ウヴァ「ふん……だったらそいつを倒してコアメダルを取り返せばいいだけだ!」 メズール「ウヴァ!」 様子を窺い、仲間の怪人の制止も聞かず。 単身、ウヴァと呼ばれた緑色の甲虫を思わせる人型が、駆け寄ってきた。 早い。 集中して距離の維持を考えていた。 何とか、カザリが逃げられるだけの時間を稼ごうと。 直接的にやり合うのは、素人の自分では難しいと。 それなのに――あっという間に距離を詰められた。 もうすぐ、ウヴァの射程距離になってしまう。 カザリ「……オーズ」 カザリ「ウヴァはグリード――僕たちの中でも直情的」 カザリ「言うならば虫頭だからね……とにかく、近寄ったら攻めてくると思うよ」 カザリ「どうする? メダルを交換するかい?」 そして、背後のカザリから声がかかる。 +戦闘判定 92 1 ◆6BCUtsPJZVAP[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 01 55 16.07 ID KS8OIn9ao 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:50 HP:45/45 HP:50/50 スタミナ:42/43 VS スタミナ:46/50 気力:44/64 気力:60/60 ATK:40 ATK:45 DEF:40 DEF:45 現在【近距離】です 戦闘方針は【防御方針】です ↓3、須賀京太郎のコンマ&行動をお書きください 19 + コンマ + ? VS 50 + GMコンマ +? 95 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 01 56 48.96 ID JMlxvwqyo ksk兼ねて 防御 距離を詰める 爆発 96 1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 02 00 48.18 ID KS8OIn9ao #攻撃方針虫頭 ウヴァは攻撃方針です オーズ:19+96=117 ウヴァ:50+7=57 ダメージ:距離を詰める為に無効 京太郎はスタミナを9/2×2×2=18消費! 気力を20回復! ウヴァはスタミナを2消費 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:50 HP:45/45 HP:50/50 スタミナ:24/43 VS スタミナ:44/50 気力:64/64 気力:60/60 ATK:40 ATK:45 DEF:40 DEF:45 現在【至近距離】です 戦闘方針は【防御方針】です 京太郎「カザリ、ありがとな」 カザリ「……」 京太郎「だけど、必要ない」 京太郎「俺に任せろ――そう言っただろ?」 こうして戦った事は愚か、喧嘩や、武道の経験もない。 これは、まぎれもない命のやり取りだ。 負ければ死ぬ。勝っても、下手をすれば重傷を負うかも知れない。 弱い須賀京太郎は、そうなる可能性が高い。 だからって――だとしても、ここで負ける理由はない。逃げる理由はない。 ――勝ってみせる。 その意気で、 迫りくるウヴァの攻撃を、トラの手甲で捌き切る。 戦闘経験が足りない為、爪を上手くいかせるとは思えないが……こうして戦う分には問題ない。 そのまま何条もの攻撃を弾いて、拳の距離まで接近する。 ウヴァ「ちょろちょろしやがって!」 この虫けらが、と言いたそうな声。 ウヴァこそが、まさに――見るからに――虫けらなんだけどな。 カザリ「……あーあ」 カザリ「僕のメダルが取られると困る、ってつもりで言ったんだけどな」 +戦闘判定 103 1 ◆/kYVKNuUMhb5[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 02 08 48.59 ID gX4ikz5Ro 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:50 HP:45/45 HP:50/50 スタミナ:24/43 VS スタミナ:44/50 気力:64/64 気力:60/60 ATK:40 ATK:45 DEF:40 DEF:45 現在【至近距離】です 戦闘方針は【防御方針】です ↓3、須賀京太郎のコンマ&行動をお書きください 19 + コンマ + ? VS 50 + GMコンマ +? 106 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 02 10 51.46 ID ZIPBplDAO 防御50 108 1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 02 15 26.27 ID gX4ikz5Ro [3/3] #ウヴァさんイライラ攻撃方針 ウヴァ 攻撃方針 オーズ:19+46+50=115 ウヴァ:50+59=109 ダメージ:(5+1)+6/5+40-45=3 防御方針と攻撃方針で相殺 ウヴァに3のダメージ! オーズのスタミナが4消費! 気力が50消費! ウヴァのスタミナが5消費! 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:50 HP:45/45 HP:47/50 スタミナ:19/43 VS スタミナ:39/50 気力:14/64 気力:60/60 ATK:40 ATK:45 DEF:40 DEF:45 現在【至近距離】です 戦闘方針は【防御方針】です 京太郎「うおおおお――――ッ!!!」 叫ぶ。雄たけびを上げる。 喉から声を絞り出しつつ、頭はどこまでも沈着冷静に。 ひたすらに集中。視界を広く持ちながら、視点を一点に集中する。 よくわからないが。 今の須賀京太郎の瞳には――メダルが見える。 先ほどカザリから渡されたものと同じメダルだ。 それが5枚、ウヴァの胸に眠っている。 そこを付ければ。 もしかしたら、この化け物の如き相手にも勝利できるのではないだろうか。 狙うしかない。そこを狙う以外に、この場を切り抜ける手段は――。 ウヴァ「うお……ッ!」 迫りくるウヴァの爪を躱し、トラクローで一閃。 一撃は決められた。だが、狙い通りの場所ではない。 メダルが弾けて地面を転がる。だがそれは銀色のメダルで、狙ったそれではない。 そのまま、もう一撃。 繰り出そうとするも、腕が重い。集中が切れ始めている。 何とか、一矢報いた。 だが今ので、どこかこちらを見下していたウヴァも、考えを改めたらしい。 両手に漲る力が変わる。 その四肢に、殺気が充満する。 ウヴァ「調子に乗るなよ……!」 これは、まずい……。 今の一撃がおそらく、須賀京太郎に出来る最大の一撃だった。 最大限集中した末の攻撃。 それも、こちらを半ばなめきっていたグリードが相手。 本気を出されたなら、どうなるか判らない。 いや、負けるだろう。このまま戦いが続いたら、確実に――。 だけどそれでも……。 京太郎「だから、どうしたんだ?」 京太郎「……来いよ。相手をしてやる」 負けるとは限らないし、死ぬとも限らない。 何よりも。たとえ死ぬとしても。 あんな日常の中、訳も分からず殺されるよりはマシだ。 一矢すら報えず、藁のように死ぬなんて御免だ。 そのまま死ぬにしても、変身が解除されるにしても。 腕がもがれたのなら足で、脚をもがれたのなら歯で、歯を砕かれたのなら眼光で。 絶対にこいつらを倒してやる。 一撃。死ぬ最後の瞬間まで、積み重ねてやる。どこまでも。 ウヴァ「面白ェ……!」 そこへ―― 「おいおい、面白ぇ事やってんじゃねーかよ」 突然、その場に割り行った一つの声。 しゃがれ気味だが、その声には喜悦と気力が満ちている。 ウヴァを含めた、グリードの動きが停止した。 視線の先には―― 京太郎「……新手の、怪人?」 電王「誰が怪人だ! 誰が!」 ――桃を思わせる複眼のライダーがいた。 未確認生命体や、グリードの如き印象は受けない。 どちらかと言えば……後者のガラスに映った、自分=オーズの姿にどことなく似ている。 どちらにしてもこれは、第三勢力だ。 誰もがその、唐突な乱入者に対して注意を払う。 その出方次第で、この場の混乱はより過酷なものへと変化するのだから。 メズール「……何?」 ガメル「あれ、オーズ? ……オーズは、あっちにいるし」 アンク「……赤い」 ウヴァ「なんだ、お前は!」 そんなウヴァの言葉を聞いて、嬉しそうに手を叩くそのライダー。 よくぞ聞いてくれました。そうとでも言いたげである。 電王「……俺か? 俺は通りすがりの仮面ライダーだ」 そして。 答えになっているような。なっていないような。 そんな言葉を――仮面ライダーという単語は初耳だ――を口にしてから。 そのライダーはやおら、その右手を自分自身へと指示し―― ___x‐ァ‐、 /// / /// / ,ィ / f´ /! / } / `ー-、 {」 _//´─‐--、 /\ , -‐─‐' }{. //_{ \ , '´ \_/ / | / ./ ヽ. _ -‐\ , '´ ./ / レ' ./ \/ | / / / | ./ ヘ _ -‐┤ , -‐‐┐ / / | |O/ V´ .| / .| |. / / | | | } .| / | | _ .-…'´ー─‐-、 / | | | . /-‐ァ / / | |`¨¨´ }/ \. ヽ \ / / ./.{‐r‐'´ / ./ , '´ \_}____\__/ / / / ! / ./ , '´ レ'`マニ 、_/ / / / __/ / , '´ {`マニ 、 / / /¨¨¨¨´. ,′ , '´ /\`¨¨¨´ー---r'-、/二二二二二二ニ| / ____ __. / >─ ァ‐ァく二二 、 | / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄./ -、ヽ.ヽ\/ ノ ´ / // `マ二ニ 、 | ./ < 俺――|¨ヽ | | | | ./`ー‐一'´ // `マ二ニ 、/ ̄ ̄ ̄.V \_______| L人人人ノ´ // x‐‐`マ二ハ |乂 /`¨¬……‐-く/ / マ二ハ. |. { ̄ ̄ ̄ ̄} / \ / マニハ. | | ̄ ̄ ̄¨レ' _|`ー‐く マニハ | | | / .| \ マニハ. | | | /\ノ \ マニハ. j | | / .\ \ マニハ. | / ̄`, ,ィ'l / / , -─ 、 ム 〉、} / // ノ─ 、 レ __/`〈 / // / ̄ ___ノ‐、 / |_./ / ヘ / // / / ̄/ ノ / |/ .O / ヘ、 / ` ./ / / / / ', / ヘヽ / レ' / | ', ,' }. ', / ' | } .{ / , , -─-、 / ', /___、 /-┐} { ` / 「\_/|ト--`iーr一 '´ / / , '´} ,>、 / \_/ |匸二]| `ーフ¨¨| / ./, '´ , '´ { `i 、 , '´ ∨|匸二]| / _」__{.____/∠_r‐.、 , i´ ヽ 乂___ ィ/ '.jー‐‐一'´ _」 .__// ¨ヽ\ / | ` ー‐ ァ‐'´ ____`iー‐/ ̄ , ' ´ .// く } _/ ノ / / / { ./ / , '´ ___// _ -‐…'´¨¨¨ ̄ { / /r‐‐‐- _ / {. /レ'´_/¨¨ ̄//¨¨¨¨ ̄ ̄ ', / /. ̄フ /{ //, く. \ /./ V /r_´-─ { '´// ヽf¨} /, イ / , '´ ヽ/7´/ 〉'´ ,イ | _ -{__ -‐'´ /7_/ ./ 〃.|. | __ -‐ ¨ _/\/\/\/|_ .{コヽ ̄¨ ‐-く. // \ \ ¨¨¨¨ ̄ ̄} | \ / Vハ `i ー- __ヽ! ! /\ \ / .| < 参 上 ! > Vハ ', | | ./ `ー`───一'´ ! / \ Vハ ', | | / / /  ̄|/\/\/\/ ̄ Vハ ', | レ' ./ / Vハ ', ', ',_/ _ -‐' Vハ ', ', } _ -─ ¨ / Vハ ', レ¨¨¨ ̄ | 、 ヽ、___',__/ ,| 〈/\ .| /[二]\ \ `r┴v─---、_____ -┬ '´ V凵、 \ 、 `.| f´ ̄¨¨i ir─‐ォ_|__ | V\\. | 〈/ \. | | /.| |匸二] {__} ! , ∨. \\j \ `| | /\ ! !匸二] ̄|-‐┴ '´ V [ニ]\ \ `i.ー- __ノ__ノ---一' ´ ∨\\\ / ∨ 凵\j ウラタロス『参上って言うか、惨状だよね』 キンタロス『この空気……泣けるで』 リュウタロス『やーい、だだ滑りー!』 電王「うるせぇ! こういうのは最初が肝心なんだよ! 最初が!」 虚空に向かって怒鳴り散らす、仮面ライダーとやら。 場の空気は冷え切っていた。 言動こそアレではあるが、相当出来る。 そして、言動がアレである為、その出方が読めない。 みな、静かにその様子を窺っているのだ。 カザリ「……でもこれ、チャンスかもね」 カザリ「アイツがウヴァたちの相手をしてくれれば、僕たちは逃げられる」 カザリ「どっちにしても、時間稼ぎくらいにはなるよ」 静かに――ネコ科の動物を思わせるしなやかさで、足音もなく近寄るカザリ。 そして、耳打ちをしてくる。 あの、良くわからないライダー登場の混乱に乗じようと。 そうすれば、そのまま逃げ切れると……。 確かにそれは確実だろう。 だが、そうなったら残されたあのライダーとやらはどうなるのか。 味方であるかは不明。だが、敵とも知れない。 ひょっとしたらこの場に、あんな奇抜な言動で割り行ったのは、こちらを助ける為かもしれない。 それを見捨てて、行けるのか? 京太郎「――いや、駄目だ」 京太郎「俺たちを助けに入ってきたのかもしれないだろ? それを置いていけない」 カザリ「……」 カザリ「それで違って、僕たちが攻撃されたらどうするの? 僕の事、助けてくれるんじゃなかったっけ?」 京太郎「……確かにお前は一蓮托生って言ったけど」 京太郎「その後、俺は『任せろ』って言っただろ?」 京太郎「最悪、お前だけでも逃げる時間は作る……だから安心しろよ。な?」 京太郎「それに……」 京太郎「お前を追ってたグリードの方が数が多いから、こっちが狙われるとは限らない」 京太郎「それに、ここで味方だったら――協力して、さっき見たメダルを取れるかもしれない。そう思わないか?」 カザリ「……。……まあ、君がいいならそれでいいけどさ」 方針は決まった。 現状ではどちらにしても4対1だ。 それが、4対1対1になるのか。4対2になるのかは知らないが。 今のまま、ジリ貧であるよりはマシであるはずだ。 何とか、コンタクトを取る。それによって対応を決める。 味方なら、逃げ出したら後悔が残る。 敵だとしても、まだ混乱に乗じる事は出来る。 だから今は、逃げない方がいい。 誰かを見捨てて、手の届かないところに置いてしまう。 そのまま見る事も出来ずに――その後の人生を生きていくなんてのは、ごめんだ。 だから敵だとしても味方だとしても、京太郎のやる事は大差がなかった。 どちらにしても。 相手がなんだって、結局のところ変わってはいないのだ。 だから――その闖入者・仮面ライダーの正体なんて、どうだっていいとも言えた。 小蒔(そ、それよりもっ! 今は目の前の相手に集中しましょう!) キンタロス『それもそうやな』 ウラタロス『小蒔ちゃんの言うとおりだよ、セ・ン・パ・イ』 リュウタロス『やーい、怒られてるー!』 電王「うるせえ! おまえらが邪魔してきたんだろ! お前らが!」 小蒔(も、モモさん!) 電王「だー! 分かった! 分かったから!」 電王「オイ、お前……」 それなのにそいつはこちらを剣先で呼び止めると。 そのライダーは、 電王「細かい話はあとだ。とりあえずこいつらどうにかするぜ」 当然のように。 須賀京太郎の事を、同じ目的の――仲間だと見做して、そう言った。 +ステータス 【電王】 神代小蒔 技能:5 HP:31 スタミナ:31 気力:85 ATK:20 DEF:20 (レンジ:至近) イマジンズ:以下のフォームにおける場合、小蒔の戦闘技能+40。HP・スタミナ+10 《ソードフォーム》=(レンジ:~近距離)。ATK+20・DEF+20。戦闘・追撃判定+10。初期のみ気力+30 《ロッドフォーム》=(レンジ:~中距離)。ATK+15・DEF+20。戦闘判定+5、撤退・追撃・奇襲判定+15。相手の気力を毎ターン-10 《アックスフォーム》=(レンジ:~近距離)。ATK+25・DEF+25。初期のみ気力+20 《ガンフォーム》=(レンジ:~遠距離)。ATK+25・DEF+20。戦闘・奇襲判定+10。追撃・撤退判定-10。ダメージを受ける度に気力-10 ★フルチャージ:戦闘判定-10。『自分ATK-相手DEF』+『気力消費分/4』の固定HPダメージ。DEFによる減衰可能 ※フルチャージの際の気力消費は戦闘判定への使用とは別計算 +戦闘判定 203 1 ◆tPyWZaylIfsZ[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 18 39 30.20 ID gqoydlmHo [4/10] ウヴァにダメージを与えろ 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:50 HP:45/45 HP:50/50 スタミナ:24/43 VS スタミナ:44/50 気力:64/64 気力:60/60 ATK:40 ATK:45 DEF:40 DEF:45 レンジ:至近距離 レンジ:近距離 【電王 ソードフォーム】 神代小蒔 技能:45 HP:41/31 スタミナ:41/31 気力:115/85 ATK:40 DEF:40 レンジ:近距離 現在京太郎とウヴァは【至近距離】です 須賀京太郎の戦闘方針は【防御方針】です 【防御方針】では気力の消費量に対して補正が半減します 現在、小蒔とウヴァは【近距離】です 神代小蒔の戦闘方針は【通常方針】です ↓3、須賀京太郎のコンマ&行動をお書きください ↓4、神代小蒔のコンマ&行動をお書きください 19 + ↓3コンマ + ? & VS 50 + GMコンマ +15 45 + ↓4コンマ +10 206 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 18 46 01.55 ID JMlxvwqyo 防御 集中40 207 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 18 46 43.69 ID ZIPBplDAO オーズ防御 通常 気力114 208 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 18 47 44.29 ID yTBPt+Pto [16/18] ゾロ目…… トラさんのメダル奪取きたあああああ!! 209 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 18 50 13.68 ID UxaMHo/Lo [6/7] この重さでゾロ目とはやるじゃないか 210 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 18 51 18.56 ID JMlxvwqyo [31/49] オラッ!クワガタ吐き出せッ! 211 :1 ◆tPyWZaylIfsZ[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 18 57 30.35 ID gqoydlmHo #ウヴァさん攻撃集中30 ウヴァは攻撃方針、集中30 オーズ:19+55+20=94 電王:45+69+114=228 ウヴァ:50+20+15=85 ダメージ:(0+1)+(94ー85)/5+40-45=0 ダメージ:(4+3)+(228-85)/5+40-45=21 ×2=42 ウヴァに42のダメージ! トラメダルの効果により、コアメダルを奪取! クワガタを入手! コアメダル奪取によりウヴァの技能-5! HP・スタミナの上限-5! ATK・DEF-5! グリードの効果により、ウヴァのHP・スタミナの上限値-8! ATK・DEF-5! ウヴァは《セルメダル不足状態》になった! オーズはスタミナを5消費! 気力を40消費! 電王はスタミナを6消費! 気力を114消費! ウヴァはスタミナを4消費! 気力を30消費! 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【ウヴァ】 技能:19 技能:45 HP:45/45 HP:8/37 (45) スタミナ:19/43 VS スタミナ:33/37 (45) 気力:24/64 気力:30/60 ATK:40 ATK:35 DEF:40 DEF:35 レンジ:至近距離 レンジ:近距離 【電王 ソードフォーム】 神代小蒔 技能:45 HP:41/31 スタミナ:35/31 気力:1/85 ATK:40 DEF:40 レンジ:近距離 現在京太郎とウヴァは【至近距離】です 須賀京太郎の戦闘方針は【防御方針】です 【防御方針】では気力の消費量に対して補正が半減します 現在、小蒔とウヴァは【近距離】です 神代小蒔の戦闘方針は【通常方針】です 電王「いくぜ、いくぜ、いくぜ――――ッ!」 剣を片手に、ウヴァへと突撃する仮面ライダー。 その気力は漲り、まさに戦闘というものを感じさせる。 だが―― ウヴァ(図に乗るなよ……!) ――それは、ウヴァとて同じだった。 カザリに自分のメダルを奪われた鬱憤。 だが追いすがり、追い詰めて、ようやく奪えると思ったところで邪魔が入る。 おまけにその矮小な――グリードである自分と比べて――人間は、愚かしくもちっぽけな身一つで自分たちに反抗する。 カザリを仕留める邪魔をされた事。 低次の存在のくせに、生意気にも自分たちにかみつく目をしてカザリを庇い立てる。 愚かしいを通り越して、不快だった。 これに怒りを覚えないわけがない。 加えて、忌々しい、自分たちを封印したオーズの力をカザリが解き放ったのだ。 そして、ただの人間である男に、あろうことか一太刀浴びせられた上に挑発された。 だが、だ。 その力が尽きる事は明白。 見下していた自分を改め、やはりオーズはオーズという気持ちで戦闘に臨もうと思った。 圧倒的な戦力差で、それこそ虫けらのように踏みにじってやろうと思っていた。人間がそうするように。 そんなところで、また闖入者だ。 これに苛立ちを覚えない理由はあるだろうか? ――答えは否だ。 よって、直情的なウヴァは、この場の誰よりも怒りを秘めていて、真剣だった。 言うなれば、気迫の差だろうか。 ウヴァ(五体を引き裂いて、地面にぶちまけてやる) そうとまで――圧倒的な憤怒を胸に灯していたのだ。 近寄った瞬間。攻撃を繰り出すその瞬間に。 この鉤爪で、仮面ライダーとやらの心臓をえぐり出してやる。 そう、静かに闘志を秘めていた。 そして、向かってきた電王が射程距離に入る。 力はどちらが上だろうか。 言うまでもない。こちらだ。 技術、そんなものは関係ない。 あとはその懐に、一撃を叩き込んでやるだけだ。 電王「うおっ!?」 そして――その機は訪れた。 メズールの水撃、アンク――ロストアンク――の火球。 それによって、電王が体勢を崩した。 ウヴァ(余計な事を……!) 自分一人でもやれる。そう思っていたのだ。 援軍と言うよりは、横から余計なものをはさんだに過ぎない。 だが――まあ、いい。 これで、後は攻撃を繰り出すだけ。 そして、爪を放った―― 京太郎「うぉぉ!」 ――放とうとしたその瞬間。 怒りに燃えていたがゆえに視野狭窄に陥ったウヴァには、オーズの動きが見えなかった。 あの程度ならば、捨て置いても問題ない。 それよりは乱入したこのライダーとやらを叩く。不快な存在を、確実に叩き潰す。 そんな風に考えていたがゆえに、彼は見失っていたのだ。オーズという存在を。 そして、それがいかに致命的であるかを――怒りは忘却させていた。 故に、その過ちは彼の身に振りかかる。 ウヴァ「ぐぉぉぉぉ……お、俺のコアを……!」 精密に。 鷹の目で対象を捉えて、研ぎ澄まされた爪で狙い撃つ。 ウヴァに対してさしてのダメージは与えられなかったものの。 それ以上に、十分なまでの戦果を挙げた。 カザリ「へぇ……やるねえ」 カザリが純粋に、オーズを褒める感嘆の声を上げた。 だがそれは今、ウヴァにとっては挑発じみた文句でしかない。 怒りに任せ、カザリに向き合おうとしたところで―― 電王「余所見してんじゃねーぞ!」 その体を、ライダーが切り刻む。 身体からセルメダルを散らばらせながら、ウヴァは追い込まれていった。 京太郎「言っただろ……俺が相手をしてやるって」 ライダーの剣戟に刻まれ、もんどりを打って倒れたウヴァを見下ろす。 一矢。それどころではない一撃を加えてやった。 立ち上がろうとするウヴァは、全身からセルメダルを零している。 カザリ「やっぱり、流石オーズだね……ウヴァのコアを奪うなんて」 そんな京太郎の肩を叩くカザリ。 京太郎自身に対して、多少なりとも認めるところがあるのか、声色は先ほどより和らかだ。 どこか上機嫌である。そう思える。 カザリ「だけど……今のは、ちょっとマズイかもね」 カザリ「メズールやガメルたちも、これで本気になるはずだ」 カザリ「見えるかい?」 カザリに促されるまま、メズール、ガメル、アンク――赤い鳥だ――の体内を覗き見る。 そこには―― 京太郎(メズールはコアが8枚……) 京太郎(ガメルはコアが7枚……) 京太郎(アンクは……赤いコアが5枚、黄色いコアが2枚……?) カザリ「分かったよね、オーズ」 カザリ「ウヴァでこれなんだ……メズールたちの相手をすると、どうなるかって」 カザリ「だから――ここまでって事かな」 カザリ「君は十分に働いてくれた。これで、僕のコアも――アンクとウヴァのを合わせれば6枚」 カザリ「ありがとう。君がお人好しで助かったよ」 何を、と問いかけようとする。 だが、その瞬間に―― 電王「おい、なにごちゃごちゃ喋ってんだよ!」 ――と、例のライダーが割り込んできた。 ウヴァを切り払い、それから警戒は怠らないまま。 こちらを見る、モモを思わせる仮面のライダー。 カザリ「……」 カザリ「……いや、このままだと不味いかもって事さ」 電王「ああん?」 それからきわめて簡潔に、カザリは事実だけを伝えた。 今相手にしたウヴァのコアは5枚。対する残りのグリードのコアは7枚以上。 グリードの力はそのコアの数で決まる。故に、これからはもっと強敵と戦う事になると。 ウヴァをああされた事で、彼らも本気で当たってくるだろうと。 電王「……チッ」 電王「……おい、小蒔。どうする?」 そう、虚空に問いかける小蒔。 グリード勢はその間も、こちらへの警戒を怠っていない。 攻めるべきか、引くべきか考えているのだろう。あのメズールというリーダー核は、どうにも慎重なようだ。 そして―― 電王「チッ……覚えてろよ!」 ウラタロス『先輩、それ悪役の台詞……!』 グリードたちを指さし、そう怒鳴りつけるライダー。 何を――と思った。 彼の口調は正しく、ここから逃走する――つまり逃走手段があると言っているのだ。 この、囲まれた状況で。 そして当惑するこちらを更に惑わせるように。 虚空を割いて、巨大な列車が表れた。 ,.--、 ___,j |_ r――' ̄ ̄ ̄ ̄,,..-――――=─‐、 ,,..-―''/ /゙''フ  ̄,.r''~ ̄ _,,..=- ゙̄\ュ_ /~´ / r-ト-] /~´ /´ //―'\ / / l_/ / / // |ヽ / / / / // l' ゙、 / / / / // / ,_ ゙、 / / / / / / / l ゙l, ゙、 /_____j /________,/ _,/ / ./ ~`ヾ L_ l ̄ ̄ ̄ ̄~l l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙、 /´ / ./ | ̄| _,,..--| フl~ll~l_| l l l フ フ l__l ゙、 _,,..-'''~,.-''~´ ./ } .| _,,..-―'''~_,.--‐゙、. |__.|_||_| | ヽ ヽヽ ヽ__ .ヽ_ ヽ ―''~_,- ̄ / L__| / ̄ ∠二二___j______〉= 〉-―――――‐''' ̄_,-―' / r、___j _/ナー―-三三三三三三三二二二二二―――――''''´ ̄ ̄ / / / /7 / _/~ / / /| ヌ_/~7 /´/ ̄ ̄7_______ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~\ _,.-'''´ _,.-''~´ r''´ / /゙゙ミ、/ _./ ̄__ ―――――――――-''´____ ヽ―;'' ̄_,,--―'' ̄ | ノ /\゙゙ミ./ || ̄ ̄||/_ f――――| ノ______ ,.-' ̄ ト/\\ \/ ー―‐'-ヽ ̄`―――――――ー===-||_____,j_|ヽ | _,.l ヘ\ \フ ゙\ .. l _,,.-―' ̄二\\\ \ l _,,.-' ̄三 /二 ̄\ヽ\ ̄ 、_ ヽ_,.-'' ̄ _,/三 / ̄ ̄\\ \ ̄ _,r―'' ̄三三三゙`ー―‐ _______,,--――――――'''~´ /三三/二 ̄\ \ヽ__\三三三三三三三三,-''´ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´ /三三 /_ ゙\ \ \ そのまま訳も分からずに、須賀京太郎とカザリは、列車にさらわれた。 カザリ(……) カザリ(まあ、しばらくは様子見って事でいいかな) カザリ(思った以上に、役に立ってくれそうだしね) 【仮面ライダー電王と出会いました!】 【戦闘により京太郎の経験値が1上昇! 小蒔の経験値が2上昇!】 【カザリの好感度が上昇!】 【無傷での勝利によりカザリの好感度が上昇!】 【コアメダルを奪った事により、カザリの好感度が上昇!】 >現在使えるオーズのメダルは…… >タカ×1、クワガタ×1、カマキリ×1、クワガタ×1、ライオン×1、トラ×1、チーター×1
https://w.atwiki.jp/maskedriderkyo/pages/40.html
【放課後】 京太郎「――もしもし、俺です! 須賀京太郎です!」 2コール目で電話は繋がった。 一秒たりとも時間が惜しい。そのまま、電話口の向こうの神代小蒔に呼びかける。 小蒔『――。あ、はいっ! 神代です!』 モモタロス『テメー、この金髪! 遅かったじゃねーか!!』 神代小蒔が返事をしたと思ったその瞬間。 直後に電話に割り込んできたのか、それとも彼女に憑依したのか――モモタロスが怒鳴り散らした。 耳元で金属が弾けたような衝撃を受け、思わず顔を反らしてしまう。 モモタロス『おい! お前のせいでな、どれだけ小蒔の奴が心配してたか――』 小蒔『――ちょっ、ちょっと……モモさん!』 モモタロス『いいかぁ? よく聞けよ!』 モモタロス『小蒔はなぁ、お前がグリードとかイマジンにやられたんじゃないかって毎日心ぱ――』 小蒔『――モモさん! そこまでで! 私は、私は気にしてませんから!』 モモタロス『いつも7杯は喰う飯を5杯しか喰わねえし、いくら止めてもやめないお菓子だってなぁ――』 小蒔『――あ、あの、そういうのはそのあたりで……! キンさん! ウラさん!』 モモタロス『おい、コラ! なんとか言え――痛ェ! てめえ、この熊公! なにしやがんだ!』 ウラタロス『あー……悪いけど、ちょっと待ってて』 電波の向こうは騒がしい。 こちらとしては、何かあったら連絡すればいい。 必要がないなら、そのままでいいかと思っていたが――どうにも向こうの認識は違ったらしい。 小蒔『……すみません、お騒がせして』 カザリ「本当だよね。こっちは急いでるのにさ」 ぼそりと呟くカザリを手で制して、口元に手を当てて謝罪する。 考えが及ばずに心配をかけたのは事実だ。モモタロスの言葉は正しい。 京太郎「いえ……元はと言えばこっちが悪いんですから」 小蒔『いえ、それでもこちらこそ……すみません』 このままだと謝り合いになりそうなので、早急に話を打ち切って要点だけかいつまんで話す。 ・イマジンやヤミー、グリードとも違うドーパントという存在がいる事 ・ドーパントはなにがしかの薬物でのドーピングによって、人間を怪物に変える事 ・麻薬的な中毒性が存在し、使用者には四角い入れ墨のような印が身体のどこかにある事 ・そして、須賀京太郎はそのドーパントと思われる人間を知っている事 ・候補者――小走やえの身体的特徴と彼女の近況 小蒔『三年生なら……霞ちゃんたちに心当たりがあるかもしれません』 京太郎「助かります」 同級生の石戸霞、薄墨初美、狩宿巴。 彼女たちなら、須賀京太郎よりは事情を知っている――かもしれない。 とは言っても学園生は誰も今年になって集められたので、短い付き合いである事には変わりないだろうが。 小蒔『それで、これから……どうするのでしょうか』 京太郎「止めます。それが、人を襲う怪物である限り。俺は戦う」 京太郎「神代先輩は……」 小蒔『――もちろん、私も手伝います!』 即答だった。 事情を聞いただけで、モモタロスたちイマジンに協力して時の運航を守ろうとする。 それぐらいの決意がある。決断ができる人間なのだと、改めてそう思った。 小蒔『それで、どうしますか?』 京太郎「それは――」 +選択 1:京太郎たちは先行。そのまま小蒔たちと手分けして探す (探索判定が2つになります) 2:小蒔たちの到着を待ってから、一緒に探す (探索判定は1つ。ただし戦闘になった場合2人) 3:その他 ↓3 498 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 18 32 18.04 ID ljeYVIrIO [5/14] 1 京太郎「俺たちは先に行きます。だから、手分けして探しましょう」 小蒔『分かりました!』 京太郎「見つけたら連絡を。探した場所についても連絡を……それじゃあ、お願いします!」 そう言って、電話を切る。 あとは探す。彼女が何かをしてしまう前に、ドーパントが人を襲う前に止めなければならない。 カザリ「……で、そうは言ってもさ。当てはあるの?」 京太郎「いや……必ずそこに居るとは、言えないけど」 可能性があるとしたらそれは絞られる。 まずは、三年生の教室。まだ放課後のこの時間。残っている可能性はあるだろう。 もしもあの様子を慮った誰かが部活に出るなと言って、学校に残っているならここだ。 次に、校舎の裏。 あの時、彼女を見かけた場所だ。人目につかないようにするなら、ここか、それとも屋上だ。 それから、麻雀部。 だがこれは――数が多い。 彼女は晩成高校から、ただ一人こちらに入学したと……あのとき言っていた。 だから、結果的に仲間と逸れてしまったようなものだと。 彼女が麻雀部にいるなら、それはスマートブレイン学園総合麻雀部を指す。 平常通りに部活に出ようとしているなら、ここだろう。 それから――これは最悪の想像。 彼女が、もし、ドーパントの力を悪用しようとしているなら。 あのときは「大丈夫」だと言ったが、もしも「大丈夫」ではなかった場合狙われるのは……。 彼女が大会に出場するために、以前のコミュニティを形成している麻雀部だ。 これには――。 龍門渕・鶴賀・風越・姫松・宮守・永水・阿知賀・白糸台・千里山・新道寺という派閥がある。 それぞれ、部室は別だ。この学園の色々な場所に点在している。 何とも豪勢な優遇ぶりだ。麻雀が人気競技である以上それも然りだが。 さて、問題は。 その数。正直な話、彼女がどこを狙うかは分からない。 奈良から来ている――という同郷である事を気にするなら阿知賀であるし。 前年度の優勝校である白糸台も怪しい。 他は、京太郎の知識が乏しいため、知りようがないが。 さて――彼女は、どこにいるんだ……? +選択&判定 1:三年生の教室 2:校舎裏 3:スマートブレイン学園麻雀部 4:龍門渕 5:鶴賀 6:風越 7:姫松 8:宮守 9:阿知賀 10:白糸台 11:千里山 12:新道寺 ↓3 京太郎の探索場所 ↓5 小蒔の探索場所 ※探索場所には可能性度というのがあります ※ただしそれはマスクドデータ。皆さんが考えるあり得そうな場所をお選びください ※また、可能性度如何にかかわらず、コンマ判定により「発見」となります ※そのレスで、コンマを判定します。判定基準は以下の通り 1~40:発見できず 41~70:更に判定など (見つからず・情報ゲット・発見などがある判定へ) 71~99:発見 ゾロ目:特殊イベント 504 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 18 53 38.14 ID VWdBHLcAO [13/22] わっかんねー 2 505 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 18 54 51.82 ID VhHtzckJo [6/6] 12 506 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 18 55 03.91 ID ljeYVIrIO [6/14] 2 507 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 18 55 16.95 ID zJsVcSB9o [2/6] 8 508 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 18 55 51.57 ID 79qrz1Y7o 8 やえ「ぁ……ぁあ」 思い起こされるのは、晩成高校での仲間たち。 他県に比べてそれほどまでとは言えないまでも、被害をこうむった奈良県。 そんな中、やえの元にだけ手紙が届いた。 『スマートブレイン学園へとご招待します』……と。 噂は聞いていた。ニュースにもなっていた。 超巨大財閥や企業が出資し合って、未確認生命体の被害にあった地域の学生を集めて学園を作ると。 一流の教師陣。最高の環境。 卒業すれば、それは成功を約束されたも同然だと――そんな言葉をワイドショーで耳にしたのを覚えている。 まあ、自分には関係ない話であるし。 周りにだって、幸いながら然したる被害はなかった。 精々が、インターハイで競う相手が一校増える。その程度の認識であったのだ。 それが、まさか自分の元に届くなんて。 思ってもみなかった。 初めは訝しんだ。 確かに自信はあった。勉強だって頑張ったし、麻雀は言わずもがな。 奈良で個人戦でも行ったのであれば、頂点に立てる――そう自負している。 だが、何故自分なのだろうか。部活の仲間は? 自分は大して被害を受けてもないのに? 断ろうと思った。 だけども、二つの要因が――やえをこの学校へと進学させることを決めた。 一つは家庭の問題だ。 未確認生命体の襲撃に際して、社会は不安から不況に陥っていた。 確かに被害の復興などでの需要を見込めるが、それはまだ関係ない話だ。やえにも関係ない。 そんな不況のおりを受けて、家計状況が悪化した。 そして――スマートブレイン学園は。 やえの修学費は愚か、家族の職や生活費用についても支援を行うと言った。 故に、やえは頼まれた。 このままでは家庭が続かないかもしれない――どうかこの話に従ってくれやしないか、と。 二つ目。 そう、家族が頼むのも分かっていた。十分に理解できた。それができないほど子供でもない。 だけれども――。 折角苦労をして、自らの路を勝ち取った。その場所を捨てなければいけない事への不満。 そこで得た仲間を置いて。自分一人だけ、そんな場所に行っていいのかという遠慮。 それらがやえの舌を鈍らせた。二つ返事とは行かなかった。 それを後押ししてくれたのが、晩成の仲間だ。 そんなチャンスは、捨てるべきではないと。 敵味方に別れて闘う事になるけど――自分たちのことは気にしないでいいと。 それより、次に会う時にはお互いを驚かせるぐらいに強くなろう――と。 そう、背中を押してくれた。 それからこの学園に来て――やえの自信は打ち砕かれた。完膚なきまでとは言わないが。 あまりにも次元が違う打ち手がいる。 常軌を逸した現象が起きる。条理を捻じ曲げた結果が起こる。 ただの努力では及べない天性の才能と言うものがある。 そして、あまりにも狭き門がある。 そんな猛獣の巣窟に差し伸べられた五本の――五本だけの蜘蛛糸。まるで蠱毒だ。 そう思うと、この学園の全てが。麻雀を諦めさせようとしている風に感じられた。 集められた教師陣。将来の進学先。いずれする就職先。 そのどれもが、やえを麻雀から引きはがそうとしている風に感じられてならない。 他にも目を向けろ、と。 お前は麻雀ばかりを見過ぎている、と。 やえ(何を馬鹿な事を――) その時はそう思った。 たとえ強靭なる打ち手が存在しても。たとえ苛烈なる試練が存在しても。 たとえ甘美なる脇道が存在しても。 やえは――諦めたくなかった。自らが選んだ路を、友と交わした約束を。 だから、歩み続ける事を決めた。それがいかに過酷で困難な道だとしても。 初めはただ、解放されたかった。 何からも解き放たれて、空でも飛びたい。そう願っただけだ。 家族からも――麻雀からも。 頭を悩ませる何かから、一時目を背けられればいい。そうしたらまた先に進めるから。 ガイアメモリを利用して変身したやえは、ただ毎晩、空を飛ぶ事だけを行っていた。 だけど――それがいつからか。 内なる苛立ちを体現したような声を上げた。四六時中、耳元でささやき続けるのだ。 《家族が憎くはないか?》――自分をあの場所から引きはがした家族が。 《ライバルが疎ましくはないか?》――そいつらさえいなければ自分が大会に出場できる。 《何もかもが恨めしくないか?》――何故、自分ばかりこんな状況に置かれているんだろう。 だからほら、怒ろうじゃないか。 そのまま支配しよう。力に任せて、すべてを蹂躙しよう。 何もかもを、自分に従わせようじゃないか。それだけの力があるのだから――。 だから、あとは求めればいい。 そうすれば、力は与えられる。 思うがままに、暴力を震えるのだ。全ての厭わしいものを破壊できるのだ。 だから――そうだ、ほら。 使ってしまおう。何もかもを壊してしまおう。お前は自由なんだ。 やえ(うるさい、うるさい、うるさい――) 頭を振って、耳元の《囁き(ウィスパー)》を振り払おうと試みる。 違う。これは違う。 自分はそんな事を考えてはいない。自分は何も壊したくない。 ただ、前に進む努力をしたいだけだ。誰かを踏みにじったり、蹴落としたりはしたくない。 麻雀なら。正当なる実力での果し合いならそれを肯定できる。 勝負であると、勝ちと負けが存在するのだと――だから結果も正当なるものであると納得できる。 これは――違う。 暴力に従って、相手を戦う前に踏み砕くなどと言うのは、勝負ではない。 だから、断じて否定する。 否定、する――。 否定――――。 否定――したい、のに。 やえ「あ……ぁ」 手が自然とガイアメモリに伸びる。 フラッシュバック。全能感と多幸感が、記憶から伝わってくる。 人の身で為し得ない事をできる、その自由。 人を超えた力を手に入れられる、その快楽。 一度知ってしまったら――あまりにも手放し難い誘惑。 もう、飲み込まれかけている。いや、完全に飲み込まれているのかもしれない。 「――、――!」 そこにダレカが。ナニカがこの場に訪れる足音が聞こえて。その声が耳に入って。 その時同時に、やえは地球の囁きに耳を傾けた。 ――《QUEEN BEE》! +判定 直後、小走やえ適合度(汚染度)判定 校舎裏に存在したため、判定値-20 ただし、汚染値が50を下回る事はない 514 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 19 34 38.72 ID yiCtp5sfo [7/11] ニワカ +ステータス 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:25 HP:42/42 スタミナ:42/42 気力:40/40 ATK:40 DEF:35 (レンジ:至近距離~近距離) 【女王蜂の記憶】:飛行を得る 【毒針】:相手にダメージを与えた場合発動。毎ターン、相手は【こちらが与えたダメージの10分の1】+【相手のスタミナ消費値と同等】のダメージを受ける。 【汚染値】:汚染値が50を超えている場合、その差分を技能にプラスする。超えていない場合、技能は通常のものを用いる 【適合値】:適合値/5を技能に追加する 京太郎「小走先輩――!」 カザリ「直ぐに発見するなんて、さすがだね」 校舎裏に、走り寄って。 そこに蹲る彼女を発見した。 もしやと最悪の想像がよぎったが――。 彼女の強さならば。 出会って間もないが、あの時、苦労はあると言いながら笑った彼女の強さを信じるのなら。 彼女はこうして、人知れずに苦しみと戦っているに違いない。 そう思っての選択だったが、どうやら、その通りだったらしい。 すぐさま、説得に入ろうとするものの――。 やえ「ははは……あははははは」 彼女は壊れた笑みを浮べて。 それから、あのUSBメモリを叩いた。 ――《QUEEN BEE》! メモリが、あの腕の――四角い紋章へと飲み込まれていく。 これが、ドーパントの正体。 人を変貌させる薬物の、人を破壊する怪物の――真実。 カザリ「へえ、それがドーパントなんだ。面白いね」 カザリ「で、どうするの?」 声を躍らせるカザリに視線をやらずに、小走やえと正対する。 このまま、説得が通じるならそれでいい。 だけど、正気を失ってしまっていると。そう感じる それに――。 京太郎「止めるさ、俺が」 あんな笑いを浮かべながら。 彼女は本心で、泣いている気がした。 こうなってしまった自分を見ないでくれと嘆き――。 そして同時に、こんな自分を止めてくれと叫んだ――。 京太郎「――だから、メダルを渡してくれ」 カザリ「……はいはい」 京太郎「――変、身!」 ――タカ! ――トラ! ――バッタ! ――タ・ト・バ! タトバ! タ・ト・バ!! / . ィ! , 、.≠フイ ' ,.._j ,.ヘ_ /,、j》/ ,..--、='´ =、] {ヽ \V レ / ヽ='´二7 | ,..' `丶 { }-' ∧ 、! } \ r' { -' ! 、 ノ! i! ' ゝー、≦、`ヽ l 、 /!j i! ', `ヽヽ、/ i 、|! }! i! j}、 / ゝ' 7 、!、 l __ !、、イ V i \ゝ'´ `丶、 / |リ ヽ } l レ' `ヽ. ,..ィ≦ ̄``丶、 ,..≦ニニニニニニ≧X  ̄ ̄ ̄アイ \ ,x'/シク 〃ミヽ/`rァ、 \ /r'、、, 、 ', /_彡'、小リr、≠ ユ_/ 、 ヽ | |\、 `丶、 l ,ィク‐---フ7ー‐‐'、ゝ ヽイ! ー--ソ ニ' ! \ゝ 、 丶、 i! ,.. ─==///L[_フ /r彳 ミ/7_/ュ》' ゝニセ! |ニ i! l ` ≧、丶、 ヽ,、! / /// // 》、ゝ-シミ |}〔 !、{ 、、 丶、=シ7 !-' 、 、 丶、ノ、/,' ,' /´/l ヒ彡'、ゝ} 〕'/ゝ=' 7/ /// ==/ク i 、 i! 、/ | , ' // | ト/, ノ《 、ゝ='^ゝリ'へ_,、 r=、 // ./ 、 ゝ 、 ∨/ // i ニ/ 、_》イゝ─==' ,へ、ゝ'/、 / 、 ヽ }! 、 //| i 、、/// 》、|i|《l r'/ ̄ / / 、 、', 、/ l 、 、/  ̄ヽ ||/个〕! || r' / /、 ∧ 、', _ \ , 、/\/ -、、、l!、w//ニ// / `丶、 7 、 \ , ' /´'7_ , 、.、 `ー‐=='、==彡' / \ ,' ヽ ≠ニ`i! / / // , 、 !≧=───<i' l l \、,' 、 / /| ////´ , 、 | |l | | 、 \ /ノ 〉/≠===/,j! {/// ,' ゝ //  ̄ヽシ` ! }i'_r、_ }//二ニ/イ! i|// i{ 、 / {/ヽ、j =、r===、__ }f'__j-、_ j7´ `ヽ幵=、 《// / i| 、j _ |ゝ==-- }!/≠==、7/、7¨{=7へ===l、─‐|==='{{ l´ ノ ノ-==ァ' 《≠´ 、 / /》 ヽ \/ =- /ニ/ {j ,イ{ j }、イ==、ミ、ヽ_ ゝ[ユ7≪=i! |_ゝ==彡'ノノ ヽ i! // 》 i! /t====,三7 l-=ゝ___ノ={ / }ァ';/;;;;/}=}=ヒニj!====]_/_/´¨ 、 __j! {/ / i!/ニニニニ}三i! j|≫=--..≧==彡'八___ノ_/_ / ̄ ', |≠ r─-、 }' /,、≠===i!三i! | | レj====ゝ_=_ 、 、≪ ̄l〈 ', ', {_彡'<ミヽ丿!. / , ゝ── 、三、 ! | 7=i! | 、、 、、/ j! j! ,=、'-─-、/\}レノ. ,.' , 、三、|=Ⅳ i!、| ゝ' 、∧!i | / /ノ  ̄7ヽヽ |´ ヽ , /ー=、-, i!、i! 、 、∧i! i lゝ=' / ノ ヽ、j! //__ /  ̄ | i!、| 、 v /》 l し/l─v≠〉 レ'. // \/ i ,' ,',' / / i! ¨ 、ニ}、/丶' ゝj!/ ̄ ̄\ ノ i! 《 \ 、 丶、 i! `ー'=彡' +ステータス 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 技能:20 HP:45/45 スタミナ:43/43 気力:64/64 ATK:40 DEF:40 スタミナ消費半減。レンジ:至近距離 欲望の王:戦闘ダメージゾロ目にて、グリードよりコアメダルを奪取 ★王を統べる力:戦闘時【王を統べる力】を選択にて戦闘・撤退・追撃・奇襲判定+10。コンボ以外でのメダルを使用 また、持つメダルによって、レンジも変更される。(至近~遠距離) ゴリラメダル所持によりレンジを超遠距離に、クジャクメダルにより遠距離に、クワガタ・シャチ・ウナギメダル所持によりレンジを中距離に変更 カマキリメダルによりレンジを近距離に変更、タカ・トラメダルはコンマゾロ目での戦闘判定勝利にてメダルを奪取 チーターメダル所持によって、高速を得る ★コンボチェンジ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定勝利にて次ターンより発動。 メダルが揃っているとき、以下のコンボを使用可能。コンボチェンジの度にスタミナを固有値10消費 《ガタキリバコンボ》 ATK:45 DEF:45 毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~中距離 昆虫の王:戦闘判定+25。相手撤退判定-10。敵の数的優位による補正を無効化 ※現在の所持メダル タカ×1、クワガタ×1、カマキリ×1、バッタ×1、ライオン×1、トラ×1、チーター×1 ※ただし、猫科系メダルは同時に1枚までしか使用不可能 V S 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:37(25) HP:42/42 スタミナ:42/42 気力:40/40 ATK:40 DEF:35 (レンジ:至近距離~近距離) 【女王蜂の記憶】:飛行を得る 【毒針】:相手にダメージを与えた場合発動。毎ターン、相手は【こちらが与えたダメージの10分の1】+【相手のスタミナ消費値と同等】のダメージを受ける。 【汚染値】:汚染値が50を超えている場合、その差分を技能にプラスする。超えていない場合、技能は通常のものを用いる 【適合値】:適合値/5を技能に追加する +距離判定 直後、レンジ判定 1~3:至近距離 4~6、0:近距離 7~9:中距離 ※近くで会話していたため、遠距離・超遠距離は適用せず 522 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 20 00 12.79 ID ljeYVIrIO [9/14] えい +戦闘判定 勝利条件:クインビー・ドーパントのHPゼロまたはスタミナゼロ 敵に援軍は来ません 二手に分かれていたため、京太郎も基本的に援軍を見込めません 【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:20 技能:37(25) HP:45/45 HP:42/42 スタミナ:43/43 VS スタミナ:42/42 気力:64/64 気力:40/40 ATK:40 ATK:40 DEF:40 DEF:35 現在【中距離】です 戦闘方針は【通常方針】です ↓3、須賀京太郎のコンマ&行動をお書きください 20 + コンマ -5 VS 37 + GMコンマ 525 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 20 09 19.10 ID VWdBHLcAO [15/22] 王を統べる力 クワガタ 沈着 526 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 20 10 16.37 ID zJsVcSB9o [3/6] 加速下 527 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 20 10 19.77 ID NItC6/2/o [7/10] 525 528 ◆JMwDi./kgnUr[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 20 15 50.43 ID 8qPGgIAno [10/10] #通常方針のみ小走 小走やえ、通常方針 オーズ:20+50+10-5=75 クインビー:37+31=68 ダメージ:(1+9)+7/5+40-35=17 クインビー・ドーパントに17のダメージ! オーズはスタミナを5消費! 気力を15消費! クインビー・ドーパントはスタミナを3消費! 【オーズ ガタトラバ】 須賀京太郎 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:20 技能:37(25) HP:45/45 HP:25/42 スタミナ:38/43 VS スタミナ:39/42 気力:49/64 気力:40/40 ATK:40 ATK:40 DEF:40 DEF:35 現在【中距離】です 戦闘方針は【通常方針】です カザリ「オーズ、これを使いなよ!」 戦闘が始まるや否や。 蜂を人型に直したようなクインビー・ドーパントが、羽ばたきを始めた。 幾重ものストライプが入った禍々しい金色のボディが、不快な羽音と共に浮き上がる。 その姿を確認した瞬間、カザリがメダルを投げた。 クワガタメダル。ウヴァから奪い取った、昆虫コアの頭部。 京太郎「おう!」 ――クワガタ! ――トラ! ――バッタ! オースキャナーに連動して、コアメダルが叫びを上げる。 それからすぐさま、全方位の知覚が可能となったクワガタヘッドから――首を動かさず、電撃を発現。 迸る緑の線が、クインビー・ドーパントの体を攻め立てる。 クインビー「……痛ぅ!」 京太郎「……」 あれは生身が変形している。おそらくはそうだ。 グリードが相手であるなら、コアメダルを掴みだせばいいが……相手が人間だと、そうもいかない。 すみませんと、心の中で謝罪する。口に出す暇などない。 止められる――この力があるなら、それは可能だ。 しかしはたして、倒してしまう事は――可能なのか? そうなった場合、彼女の命はどうなるのだろうか。 BGM:http //www.youtube.com/watch?v=vTyleN65pAI +戦闘判定 532 1 ◆rQuK41WXh24K[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 20 25 40.64 ID mc2ti8O2o [2/3] 【オーズ ガタトラバ】 須賀京太郎 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:20 技能:37(25) HP:45/45 HP:25/42 スタミナ:38/43 VS スタミナ:39/42 気力:49/64 気力:40/40 ATK:40 ATK:40 DEF:40 DEF:35 現在【中距離】です 戦闘方針は【通常方針】です ↓3、須賀京太郎のコンマ&行動をお書きください 20 + コンマ +10 -5 VS 37 + GMコンマ 533 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 20 27 28.76 ID zJsVcSB9o [4/6] 加速下 534 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 20 29 33.63 ID ljeYVIrIO [12/14] 通常 王を統べる→クワガタ、カマキリ、チーター 535 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 20 36 55.96 ID yiCtp5sfo [8/11] 方針は全て上と同じ 536 1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 20 43 04.08 ID mc2ti8O2o [3/3] #やっぱり通常方針のみ 小走やえ、通常方針 オーズ:20+96+10-5=121 クインビー:37+64=101 ダメージ:(5+5)+20/5+40-35=19 クインビー・ドーパントに19のダメージ! オーズはスタミナを9消費! クインビー・ドーパントはスタミナを6消費! 【オーズ ガタキリーター】 須賀京太郎 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:20 技能:37(25) HP:45/45 HP:6/42 スタミナ:29/43 VS スタミナ:33/42 気力:49/64 気力:40/40 ATK:40 ATK:40 DEF:40 DEF:35 現在【近距離】です 戦闘方針は【通常方針】です 京太郎「うおおおおおおおおォォォォォ――――!」 クワガタの力で更なる電撃を。 麻痺し出したクインビー・ドーパントが、ふらついたその瞬間。 京太郎「カザリ!」 カザリ「ああ、分かったよ」 カザリが何かを察して、こちらへとメダルを放る。 交換を終えると、カザリへとトラメダルを返却。 ――クワガタ! ――カマキリ! ――チーター! もう一度電撃を。 そして、体勢を崩したクインビー・ドーパント目掛けて――チーターの俊足で、跳ぶ。 そのまま、空中で。 一撃/二撃/三撃――蹴り/切り/蹴る。 クインビー・ドーパントの体を、無理やり地面へと。 蹴りの反動で、こちらは地上へと着地する。 クインビー「うぅ……ぁぁ……」 クインビー「痛い……痛い……」 クインビー「どうして、私が……なんで……」 体中から煙を上げて、立ち上がるクインビー・ドーパント。 呻きをあげる、クインビー・ドーパント=小走やえ。 切りつけた感覚も、蹴りつけた感触も。 そこにメダルが散らないというものが入るだけで、まるで生身のそれを相手にしているようだ。 そして呻きを上げる彼女。 分かっていても、気分はよくない。 ひょっとしたらこのまま、殺してしまうのではないか。 そう思えて、ならない。なにしろ、ドーパントについての知識がまるでない。 それが人の変わったものであると。人を襲う怪物でしかないと。 それぐらいしか、知り得ないのだ。 カザリ「オーズ、何やってるのさ!」 カザリ「来るよ! 本気の攻撃だ!」 立ち上がったクインビードーパントが。 その翅をはばたかせて、毒針をこちらにめがけて突進してくる――――。 +戦闘判定 539 1 ◆l/kmNVlDvYb2[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 20 59 48.04 ID Yu6RLG+mo [2/5] 【オーズ ガタキリーター】 須賀京太郎 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:20 技能:37(25) HP:45/45 HP:6/42 スタミナ:29/43 VS スタミナ:33/42 気力:49/64 気力:40/40 ATK:40 ATK:40 DEF:40 DEF:35 現在【近距離】です 戦闘方針は【通常方針】です ↓3、須賀京太郎のコンマ&行動をお書きください 20 + コンマ +10 -5 VS 37 + GMコンマ +39 540 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 21 03 24.29 ID VWdBHLcAO [16/22] 集中48 541 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 21 03 26.40 ID ljeYVIrIO [14/14] あ、ファンブルしてる 温存 距離をとる 爆発 542 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 21 04 35.98 ID zJsVcSB9o [5/6] 安価は上 545 1 ◆l/kmNVlDvYb2[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 21 07 12.13 ID Yu6RLG+mo [3/5] クリティカル VS ファンブル とか…… 距離はどこまで取ります? 高速だから、自由自在ですよ この場合、遠距離と超遠距離は戦闘からの撤退にあたりますけど…… 546 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 21 08 14.80 ID VWdBHLcAO [17/22] 中距離でー 547 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 21 08 34.20 ID t/xFXpK3o [21/31] 中距離 548 1 ◆l/kmNVlDvYb2[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 21 09 28.91 ID Yu6RLG+mo [4/5] 了解、中距離やね 549 1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 21 13 15.76 ID Yu6RLG+mo [5/5] #攻撃方針集中39やえ 攻撃方針、集中39 小走やえのファンブル! 須賀京太郎のクリティカル! クインビー:37+39+0=76 ただしファンブルにより強制敗北 須賀京太郎:20+100+10-5=125 ダメージ:距離を取る為、なし 須賀京太郎はスタミナを9消費! 気力を20回復! 小走やえはスタミナを0消費! 気力を39消費! 【オーズ ガタキリーター】 須賀京太郎 【クインビー・ドーパント】 小走やえ 技能:20 技能:37(25) HP:45/45 HP:6/42 スタミナ:20/43 VS スタミナ:33/42 気力:64/64 気力:1/40 ATK:40 ATK:40 DEF:40 DEF:35 現在【中距離】です 戦闘方針は【温存方針】です 京太郎「……ッ!」 咄嗟。 チーターレッグの俊足で、クインビー・ドーパントから距離を取る。 いくら飛行できると言っても、音速で地を駆けるチーターの速度には及ばない。 それに…… 京太郎(俺が躱すよりも先に、止まった……?) クインビー・ドーパントは。 針が飛び出したその腕を、自らの右腕で押さえつけていた。 そのまま、隙だらけの棒立ち。 ひょっとしたら――と思った。 このままならば、説得が通じるのではないだろうか。 彼女の意識は覚醒に向かっていて。 それ故に、京太郎への刃を緩めたのだと。 やえ「……い、……て」 だけども――そんな希望なんてのは。 ただの儚い、願望でしかなかった。 やえ「お願い……私を……止めて……」 やえ「お願いだから……殺して……」 カタカタと、彼女の腕が声を上げる。 それは押さえられない殺意の声と、自分を制しようとする理性の声。 その狭間で。引きあった綱の上で。 小走やえは、言葉を紡いでいた。 これ以上はもたないから。 だから止めてほしいと。 何かをやる前に自分を殺してほしいと。 須賀京太郎に、そう魂願していた。 それは、魂の慟哭だった。血と命を伴った、願いであった。 ここで――彼女を止めなければ。 理性の歯止めが利かなくなった彼女は人を襲うだろう。 誰も止めるものがいなければきっと、大きな被害が出る。 その中には――死者も生まれるはずだ。あの未確認のときのように。 そしてそれを行ってしまった彼女の心は。 確実に破壊されるだろう。己を攻めきってか、それともあのメモリに浸食されてかは知らないが。 どちらにしても、小走やえの心は死ぬ。 だが、ここで彼女を止めると言うのは。 痛みを感じている彼女に止めを刺すという事に他ならない。 つまりは、小走やえの命を奪うのだ。大勢の人間を助けるために。須賀京太郎の命を長らえさせるために。 はたして――どちらを選ぶべきなのだろうか。 彼女の言葉に従い、須賀京太郎の殺意を以って、彼女を止めるのか。 それとも、彼女の言葉に従わず、須賀京太郎の願望を以って、彼女を止めないのか。 須賀京太郎は、どちらを選ぶべきなのだろうか。 カザリ「ああ言ってるけど、どうするの?」 カザリ「……君ができないって言うなら、僕がやるけど」 と、カザリはグリード体へと姿を変え、その爪を光に翳した。 鈍く光るそれが、今まさに命を奪わんとしている、そんな場である事を否応なく認識させる。 はたして――。 やえ「ごめん、なさい……!」 やえ「おねがい……ころして……」 カザリ「どうするのさ、オーズ」 須賀京太郎は――。 +選択 1:「……分かった」 2:「俺には……できない」 3:「…………」 ↓3 561 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 02 45.59 ID t/xFXpK3o [25/31] 1 562 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 03 08.37 ID IU5d87WTo [3/4] 3 563 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 03 36.60 ID SZC/ts69o [20/27] 3 京太郎「…………」 最早、殺すしかないのか。 この手で、命を奪う。自分が彼女の異変に、もっと早い段階で気付いておけなかった為に。 それが故に、小走やえの命を奪う事となる。 いくら謝っても足りないだろう。 もっと京太郎が気を付けていれば。気付いてさえいられれば。気を払っていたなら。 小走やえはこうして苦しむ事も。 また、その命を散らす事もなかったはずだ。 ――俺が……。 ――俺のせいで……。 ――俺がもう一歩踏み込めていたなら……もっとちゃんと考えられていたのなら……。 ――そうすれば……。 ――あの時みたいに、人を殺す事なんてなくて済んだのに……。 ――また俺は、人を殺してしまった。 ――俺のせいで、人が……死ぬんだ……。 カザリ「やるんなら、ドライバーをもう一度スキャンするといいよ」 カザリ「コアメダルの力を、更に開放できるからね」 カザリの言う事は、実に端的だった。 オーズの全力で、クインビー・ドーパント=小走やえを殺害しろ。 それだけの事だ。 それは果たして、慈悲なのだろうか。 これ以上苦しみがないように、確実に葬れと言う。 震える手を、オースキャナーに伸ばす。 そして―― +判定 直後判定 1~50:隙をついて飛び去るクイーンビー・ドーパント 59~99:イベント発生 ただしゾロ目にて、マスカレイド・ドーパント群襲来 566 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 18 21.89 ID t/xFXpK3o [26/31] ほい 569 1 ◆B6xkwd67zxGJ[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 22 22 21.08 ID OQQufweho [5/17] 566の判定:89 よって、仮面ライダー襲来 1:緑と黒、半分ずつ二色のライダーが現れた 2:赤いフルフェイスメット、青い単眼のライダーが現れた 3:黒子というか忍者の如き金色のお面の怪人を連れた、マントを纏ったライダーが現れた 4:電王に似ている、大剣を担いだライダーが現れた 5:銀と緑を基調とした、ロボット的なライダーが現れた ↓3 570 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 22 40.24 ID uODUoNW10 [18/18] やっぱり他のライダー達と早々に接触するべきやね 571 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 23 47.52 ID IU5d87WTo [4/4] あわあわ3 572 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 23 48.39 ID VWdBHLcAO [19/22] 2 「……ん、なんや? ドーパントが三体おるやん」 唐突に、そんな声が場の空気に割り行った。 視線を向けたその先に居たのは――赤いフルフェイスメット、青い単眼のライダー。 あれは、カザリから聞いた情報にもあった―― 京太郎「仮面、ライダー……?」 セーラ「ん?」 セーラ「ああ……まあ、そら俺も有名人やからしょうがないか」 そう呟いて、片手剣を構える仮面ライダー。 会話はこれで終わりとでも言いたげだ。 ……いや、待て。 もし、あの言葉が本当なら……。 こいつ、まさか……。 セーラ「それじゃあ、っと」 ――《ENGINE》! ――《MAXIMUM DRIVE》! 灰色のメモリを叩くと、その剣を中折れさせて、挿入した。 何が何だか良くわからないが。 おそらくこれは、何か危険な技である――その筈だ。 エンジンと叫んだあのメモリと、剣の周囲に堆積するエネルギー。 カザリ「……これ、拙いんじゃないの?」 +判定 直後、コンマ判定 1~30:咄嗟に全員の盾になる 31~60:咄嗟にスキャニングチャージを発動させる 61~99:クイーンビー・ドーパントが…… ゾロ目:意外! それは電王! 585 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 45 03.05 ID t/xFXpK3o [28/31] 向こうから仕掛けてきたんだ・・・もうコンボ使うしかないじゃない! 経験値にしてやる! +反応 586 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 45 31.15 ID QzfaUNFuo [5/8] 全裸になって生体コネクタがないと証明するしかない(錯乱) 587 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 45 56.26 ID OrEQHiO8o このスレでは登場しないことが最良の幸福のようだな ライダー確定の人以外は死ぬのはええ、ライダー設定されててもルート次第で違うかもしれないからなお悲しみ背負ってる 588 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 46 12.55 ID VWdBHLcAO [20/22] これは爆発して次週に続く展開 589 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 47 13.42 ID t/xFXpK3o [29/31] 588 後藤さんェ・・・ これメダル飛ばされてグリードにもってかれたらセーラ殺されるな、カザリに 590 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/02/05(火) 22 48 08.08 ID QzfaUNFuo [6/8] 後藤バズーカを思い出すなあ… 京太郎「――――ッ!」 京太郎「危ない!」 思った時には、体が動いていた。 そうとしか、言いようがない。 説得をする暇――なし。 二人を抱えて逃げる余裕――なし。 スキャニングチャージをする時間――なし。 ならば――もう。 この体を盾にするほか、ないじゃないか。 チーターの速度を生かして。 そのまま、放たれる剣戟の前に立ちふさがる。 攻撃は3発。 1発目――両腕が軋んだ。カマキリソードに罅が入る。 2発目――腕が弾けた。胸部が軋んだ。カマキリソードが零れ始める。 3発目――身体が焼ける音を聞いた。感覚が失われる。カマキリソードが消えた。 どうやら最後の最期で、変身が解除されたらしい。 意識が失われていく。 カザリが吼えるのを聞いた。仮面ライダーは叫んでいた。 そして――小走先輩は、泣いていた。 手を伸ばそうとする。 だけど宙に浮いた彼女は、そのまま遠ざかって行った――。 「生徒と欲望とドーパント」 B-Part 終了 ←To be continued...
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「園城寺先輩……!」 「ごめん、私はここまでや……せめてあんただけでも、逃げてくれへん……?」 「……そんなこと、できません! それに京太郎が……!」 「あの子にも、悪いことしたな……でもせめてあんただけでも逃げてくれへんと……あの子はきっと喜ばへんから」 「――ッ、断ります! そんなの、絶対に! 京太郎なら、きっと!」 「……はは、辛いなぁ――生きるのって」 「園城寺先輩! 早く――」 「――でも、生きれんのはもっと辛いなぁ」 「先輩……」 「ごめんな、行こか……心臓破裂するまで、走らんと」 そう、二人手を取った瞬間――巻き起こる爆発。吹き上がる爆炎。襲い来る爆音。 須賀京太郎の残ったその方向。 彼が、襲い掛かってきた怪物を相手にしていた――そんな方向。 つまり、それは……。 「京太郎……っ」 「……ッ、これ、あかん」 絶望が足に纏わり付く。二人の歩みが止まる。 その時――彼女たちの人生の終焉を意味する、足音が響いた。 怪人。園城寺怜に襲い掛かった、異形の人型。死の象徴。 須賀京太郎の姿は勿論――ない。 「よくも……! よくも、京太郎を……!」 「――、穏乃ちゃん」 「先輩! 逃げてください! 私が、せめて私が時間を稼ぐッ!」 「無理や……あんたまで……死んでまう」 「――――ッ、京太郎は、死んでない! きっと、いつもみたいに生きてる! だからッ!」 (……なんでそんな風に、強くなれるん?) 叫び上げる穏乃の眩しさに、園城寺怜は目を逸らさずにはいられなかった。 あの須賀京太郎にしてもそうだ。何故、彼は――彼女は――立ち向かえるのだ。こんな化け物に。 自分がここまで臆病者だとは思ってもみなかったが、同時に彼女たちが何故そうも勇敢で居られるのか不思議で仕方なかった。 だが、そこで気付く。 高鴨穏乃の足は震えていた。 手は白くなり、爪が掌に食い込むほど強く握られていて――その目には涙。 違う。自分が考えていたのとは違う。 彼女だって怖くて――それでも、なけなしの勇気を振り絞って、怒りを支えにしてこうして立っているのだ。 「――穏乃ちゃん!」 「うわっ」 思考がどこか冷めていた――冷静だったからこそ、気が付くことができた。 或いはその身に宿る、彼女自身も認識していない未知の力からか。 咄嗟に穏乃の身体を引き倒し、その攻撃の射線から逃れた。 刹那、背後から襲い来る衝撃。 怜と穏乃が逃れようとしていたその方向。怪人が放った攻撃が直撃し、車を弾き飛ばしていた。 人間が耐えられるものではない。そして、車も。 廃車に残っていたガソリン。気化していたそれが、衝撃で引火。 即座に作り出された――炎の格子。 退路を断たれてしまった。 そして勿論、自分たちがたった今来た方向にも火焔の柱。そしてそれ以上に恐ろしい、怪人。 二人が生き残れる道理などある筈がない。 その衝撃に突き動かされるように、少女二人は膝を折った。 眼前に迫るは絶望。周囲を取り囲むは絶望。 この場に希望など――ある筈がなかった。祈りを聞き入れてくれる神などいない。 「憧、京太郎……っ」 「……ごめんな、竜華」 少女たちは涙を浮かべて、親しいものの名前を呼んだ。 命乞いは、しなかった。 しても意味があるとは思えないし――何よりも、最期のその瞬間まで屈したくはなかったから。 ――ひとつ、訂正するとしよう。 この場に確かに神はいなくとも、人々の願いを聞き届ける者はいた。 そしてこの場にあるのは絶望だけなどではなく、希望というのも確かにあった。 そう――希望の象徴というものは確かに存在するのだ。神などが居なくとも。 「――――変身、V3」 炎が弾けて掻き鳴らす音、空気が膨張して震える音、燃焼した素材の水分が爆裂する音の中――確かにその声は聞こえた。 まるで、鋼。 鋼の落ち着きと力強さを孕みながらも――しかし声色に緊張や気負いはなく、吹き抜ける一陣の風が如く静寂を湛えた清涼さ。 聴く者の心の吹き溜まりを訪れ安心を与える響きに、怜は己の心臓の騒音を忘れた。 声の元は――炎上する廃車の山。 既に火勢は業火を為し、炎の壁を作り上げる。逃げられぬと理解するには十分。 如何な人間とて、生存を許されない灼熱地獄。棚引く黒煙が、彼女の生存を絶望視させる。 怪人の手から逃れたとて、最早死は免れまい。巻き上がる火の粉が希望を塗り潰していく。 今更何かと、諦観しか抱かぬ瞳を向け――。 そして――炎が踊った。 暴れるのみに留まっていた緋色が統制され、一点目掛けて集中する――刹那、弾けて飛び退く焔の荊。 それは、炎の覇者だった。 火の壁を砕いて現れた人型。 周囲の火炎が、腰のベルト――そのバックルに雪崩れ込む。 回転する二つの風車=ダブルエンジン/ダブルタイフーン――――二つに連なる暴風を意味する、力と技のベルト。 風を呑み、炎を食み、そのベルトはエネルギーを精製する。 循環系/神経節に連動した体内のエネルギーラインを通じて駆け巡るその力が、彼の人型の全身に活力を漲らせた。 動力の充填に伴い、全身の遺伝改造組織/外科置換人造臓器が駆動を始める。 身に纏うは黒深緑のライダースーツ=強化皮膚/強化外骨格。 スマートな四肢とマッシブなボディ。 盛り上がった胸部は白銀の輝き。燃え盛る炎を寄せ付けない。 ダークな体色とは対照的に光を放つは、マスクとグローブ。 手足のグローブとブーツは、焔を弾いて金色/紅色を湛える。 とりわけ特徴的なのは、その――炎に煌めく赤い仮面=フルフェイスヘルメット。 赤いマスクを左右に割る、白色のクラッシャー。 顎先から頭頂まで波形に通った数多のラインは、機械的でありながら生物的。 額から二本直線的に伸びたアンテナは――――その、髑髏を思わせるマスクの意匠と相俟って、 何よりも雄弁に、まさしく昆虫と人間の合一を連想させた。 二条の暗緑色のマフラーが肩から棚引き、そして、二つの複眼が――――緑の光を灯す。 「何者だ――」と、誰もが問うた。 有声、無声の違いはあったが――その突然の闖入者に関して思うところは一つである。 敵なのか味方なのか。そもそも何者なのか。 アンノウンでなく、オルフェノクでなく――アギトでもない。 人ならぬ者を殺害する神の遣いか、はたまた人を超えた生きる屍か、神の力を宿した人類か。 その実、だがどれも不正解だ。 問いかけに対し、仮面の男は―― 「――仮面ライダー、V3」 ――端的に、そう答えた。
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「狭いとこが落ち着くのってなんだろうねあれって言葉があるけど そう言えば温泉とかプールも落ち着く方だよね。つまり……」 「……恐ろしい力だ、ロッカー・ドーパント」 LOCK。つまり施錠を意味する地球の記憶。 ロッカーを自在に生み出したり、ロッカーに物体を閉じ込めたり、そしてあらゆる物体を施錠したりするドーパント。 そのドーパントの影響で。 ロッカーの中に、二人、須賀京太郎と淡は閉じ込められていた。 死んだと思っていた竹井久が、まさかのガイアメモリ使用者で。 不意を突かれた京太郎と淡は、ロッカーに閉じ込められていた。 暗い。狭い。蒸し暑い。 そこに二人である。推して知るべしであろうか。 正直なところ、オーズの力とゼロノスの力を合わせたら、脱出できるかと思っていた。 が、そう上手くはいかない。攻撃が全部跳ね返ってくるのだ。 それで、ただロッカーがガタガタ動くだけ。虚しい。 必殺技を使えば――と思ったが、 それで突き破れなかった場合、なんというか恐ろしすぎる。 電波も当然遮断されているが、事前に江口セーラに連絡を取っていた。 それで――とりあえず、京太郎と淡は彼女に任せる事にした。 現在、更衣室。 その中にある掃除用具のロッカー。 なんというか、果てしなく心細い。淡がいてくれて、良かったと思う。 コインロッカーベイビーという言葉があるが。 この、薄明かりしか入らない――決して出られないロッカーに閉じ込められ続ける。 ともすれば、気が狂うかもしれない。 ロッカー・ドーパント。竹井久。 恐ろしい敵だと思う。いや、本当に。 「お前が居てくれて、本当によかったよ」 「んー?」 「一人だったら、寂しくて死んでた」 「なら、開くまでおしゃべりしてよっか」 「そうだな」 腰を下ろす事もできない。立ち続けだ。 そう言えば中学校の頃、みんなで中村君をロッカーに閉じ込めた事があった。 そのまま入口をひっくり返して壁側に。 授業中ガタガタ動くロッカーと、イジメに関わりたくないと思ったのか、見て見ぬふりを決める教師。 なんともシュールな光景だ。 ちなみに言っておくと、別に中村君は虐められていた訳ではない。 なんとなくその頃、ロッカーに人を閉じ込める遊びが流行っていたのだ。 かく言う京太郎もロッカーに閉じ込められた。 昼休みの間に、思いっきり扉を蹴り飛ばして反動で脱出したが。 まあ、頭を打った。言うまでもないだろう。 「それでね、菫先輩がねー。ショーケースの前でじっとケーキ見てるの」 「……あの人か。というか、ファンシーもの好きでお菓子大好きだったなんて」 「見かけによらないでしょー? しかも、体重計気にしててあんまり食べないから超ウケる」 「そういうお前は?」 「私、体重計を気にした事なんて一度もないよっ! へへん!」 「また、世の中の女性を敵に回したな……」 「私くらいの可愛さなら、既に世の中が嫉妬と羨望で敵だらけだよ!」 「……ああ、バカがいる。おもちない癖に」 「むっ! この、このこの!」 「よせ! 暴れんな! 暴れんなよ!」 ロッカーがガタガタと揺れる。 下手に倒れたら、死ぬ。頭を打って死ぬ。ロッカーにエネルギー跳ね返されて、フルの衝撃で死ぬ。 まさかのロッカーで脳挫傷。ダサすぎる。最悪だ。 肘でつついたり、デコピンをしようとして来ようとする淡を宥めるのに、一苦労だ。 そんなとき、だった。 「う、温かいけど……さ、寒くなってきてる……うぅ」 声がした。ここは更衣室だ。 そう、体育の授業が終わったのなら、着替えに来る。 今回の授業は三年生だったらしい。くわっと、目を見開いた。 ……が。 「……淡、手を退けてくれ」 「駄目」 「退けるんだ。俺にはやらなくちゃならない事が出来た」 「絶対ダメ」 「頼む、退いてくれ。俺は男としてやらなきゃいけないんだ」 「駄目絶対」 「これが、俺のやりたい事なんだ……! だから、なぁ――道(そこ)を、退けッ」 「ここで手を伸ばさなかったら絶対に後悔する。 きょーたろーが人として駄目になる。だから、私がきょーたろーを守る!」 「悔、しい……! こんなにも、悔しい……っ! 見れないのが、悔しい……ッ!」 目の前に突き出された淡の小さな手。それが、京太郎の視界を遮っている。 声の主はおそらく松実宥である。すばらなおもちの持ち主である。 なんとしても見届けなくてはならない。彼女の“生き様(おっぱい)”を――。 まあ、ちょっと魔がさしただけだ。 だってきっと誰だって同じ事を思おう。おもちがある。自分だけがそれに届く。 それなら、手を伸ばさない事の――目を見張らない事の理由になんてならないのに。 だが悲しきかな。淡のガードは、全盛期のゴール下の桜木花道を超えているのだ。 結局、京太郎は諦めた。 そこまでがっついては、なんというか自分の品位を下げる事になる。 あくまでも事故、あくまでも不可抗力だから許されるのだ。 「……これなら一人で閉じ込められたかった」 「何か言った?」 「……なんでもないです。すみません」 と、寸劇を繰り広げて、京太郎も諦めたその時だった。 「……今、何か音が」 淡のディフェンス。 その衝撃によって、ロッカーが揺れた。 或いは、わずかながらに声が外に漏れているのか分からないが。 怪訝そうな声が、した。 「やべえ、淡、静かにしろっ!」 「ふぇ!? ん、むぐ……」 咄嗟に、淡の口を塞いだ。 そして、自分の傍に抱き寄せて軽くしゃがむ。 ロッカーの覗き穴から、中が覗かれるかもしれない。 こちらから見えるという事は、向こうからもまた然りという事だ。 そのまま、息を潜める。 万が一見つかったらどうなるのか。ロッカーを外に投げ出されるかもしれない。 そうなったら、下手したら死ぬ。そんなのは御免だ。 (う、お、おぉぉぉ――っ) そして、淡の口を塞いでしばらくの辛抱の後に。 松実宥は、どこか合点が行かないと言う顔で戻っていく。 ひょっとして、ロッカーの認識阻害効果もあるのかもしれない。 恐るべし、ロッカー・ドーパント。きっとロッカーを放置して中で衰弱孤独死させるつもりなのだろう。怖い。 まあ、それはともかくとして。 京太郎の眼には桃源郷が飛び込んできた。そう、桃源郷。 目の前を覆う大星淡の手がなくなったのだ。すなわち、桃源郷であろう。 先ほど話題に上がっていた、弘世菫も来た。テンション急上昇。 おお、さらには石戸霞もいるではないか。なんてこった。ここは幻想郷なのか。 宮守麻雀部の彼女たちもいる。素晴らしい! ハッピーバースデイ! 宮永照は……ああ、うん。可哀想に。どっちが背中なんだろうねあれ。 彼女たちが、ジャージのジッパーに手をかける。 心臓が跳ね上がった気がする。 なんとしても見たい。見たい――が。 (あ、淡にあそこまで言われて見るのも……なんかな) 結局は踏みとどまった。 仮面のヒーロー。正義のヒーロー。 それがバイオレンス・ジャックではなくピーピング・トムになるのは色々と拙い。よくないのだ。 そのまま、地獄の時間が過ぎるのを待つ。 目の前には天国がある。少し目を開けば、それを享受できる。 自分はもう一週間もものを食べてない獣だ。 それで、目の前には最高の食糧がある――だというのに、お預けを喰らっている。 自分の意志一つ。ちょっとぐらい開けばそれを味わえるのに。 だが、味わってはならないと自制する。禁断の果実だ。 衣擦れの音、女性の嬌声――どちらも抜群のソテー。 大きさ比べ――最高のシャンパン。甘露。 なんというか、興奮が止まらない。興奮と書いてロマンティックと読む。 逸らそうとしている首が元に戻ろうとする。薄眼を開けそうになる。 だが、堪える。なんとか堪えるのだ。 (人はパンのみで生きるにあらず、人はパンのみで生きるにあらず、人はパンのみで生きるにあらず) でもこのロッカーの外の人たちはパン1だよね。 いやブラはつけてるだろうけどさ。 ほら、見ちゃっていいんじゃないかな。これは全部ドーパントが悪いんだから、不可抗力だよ。 そんな悪魔の声が囁きかける。 『なにがパンのみで生きるに非ずだ、パイパン舐めろこらー!』 とても聞き覚えのある天使が、悪魔を蹴り飛ばした。でも言っている事、余計に酷いよこれ。 悪魔も天使も、同じ事だ。 そう言えば、「天使のような悪魔の笑顔」って歌もある。超懐かしい。堂本光一出てたよねアレ。 ……いや、じゃない。というか今関係ない。 「悪いやつらは、天使の顔して心で爪を研いでるものさ」って歌もある。そうだ。悪魔の囁きに耳を貸してはならない。 だけど、男ならぐずぐずするなとも言っている。そうだ。若さだ。 ――若さってなんだ? 振り向かない事さ。 そう、振り向くのはアウト。なら、目をあけるのはセーフだ。そういう意味だろう。 これは愛だ。おもち愛。躊躇わない事が大事だ。 (耐えろ……耐えろ、俺……ッ!) 結局、京太郎は耐えた。 口を押さえられて唸りを上げる淡。 もし見たら、彼女は暴れ出すだろう。そうなったら、ロッカーが倒れて死ぬ。 曽根崎心中ならぬロッカー心中。多摩川に飛び込もうとしてた太宰治もびっくりの心中。 それだけは御免だった。結局、耐えた。 ……が、訪れる再びの地獄。 今週も京太郎と地獄に付き合って貰おう。そう言わんばかりの追い討ち。 そう、着替えが終わったのなら……つまり授業が終わったのなら。 今度は、別のクラスの体育の授業である。 「沢村さんの、おもち……!」 「ちょ、ちょっと……」 「松実さん、それはあかんって……」 「む、愛宕さんのおもちもすばらしいですね!」 「んー、みはるん。それなに読んでるのー?」 「『もしも京太郎がセーラの嫁だったら』。凄いオススメだよ!」 「にゃ゛!? い、いい……華菜ちゃんは遠慮しとく……」 「次は京セラでロッカーもの書くって、渋谷さんが……」 「しかも、書いてる人そこに居るし!?」 外から聞こえる会話。京太郎はいきり立った。 歯を食いしばって耐える。すぐさまロッカーをぶち抜いてその場に飛び出したい欲求に駆られる。 でもそんな事したら、多分退学になる。人生終わる。 あばよ学生、よろしくニート。 正直洒落にならない。仮面ライダーと言っても、高校ぐらい卒業しないと不味い気がする。 必死に耐えた。それはもう、ひたすら必死に耐えた。 地獄の時間だった。プトティラが体内で暴れまわる。正直ブチ破ってもいいんじゃないかってぐらいに。 しかもこの後、まだあるのである。彼女たちが戻ってくるとき、再び地獄が訪れる。 正直、この地獄を楽しんじゃっていいのかなって気がする。 「だから、俺は見てないって……ちゃんと耐えてるから」 「……」 「本当に、耐えたからって! だから、機嫌治してくれよ!」 あれから更に時間が立って、三度目の地獄を乗り越えた須賀京太郎は。 大星淡に平謝りしていた。 兎に角、不機嫌だ。口を開いてくれない。 スカートの裾を握りしめたまま、俯いている。なんというかその表情に、こう、来るものがあった。 正直なところ、さっきの生殺しで大分来ていた。 ちょっとぐらい、いいんじゃないか。何がちょっとかは知らないが。 それにこう、もう十数分も口をきいてくれない淡に対しても、ちょっと文句がある。 熱い。狭い。立ち続けて辛い。 二人いるから会話できて、まだ救われる。それなのに、一人が黙っている。 これでは意味がないではないか。一人で入っていた方が、まだ広くてよかった。 「そーかよ、そうやって無視すんのかよ」 「……ぃ」 「いいぜ、だったら俺にも考えがある」 覆いかぶさるように、淡の耳に息を吹きかける。 そのまま追撃。脇腹のあたりをぐりぐりと擦る。 そして、首筋に鼻を埋める。ちょっと、汗の匂いが強いが、いい匂いだ。 抵抗と言うのは、もぞもぞと逃れようとするだけ。意地でも、京太郎と口を利きたくないというのか。 いいだろう。ならば戦争だ。 「お前が、ちゃんと口をきいてくれるまで、擽るのを、やめないッ!」 「……や、ちょ、ちがっ。やめっ」 「ホーラホラホラホラホラ! C・F・H・S(クスグリ・ファイヤーハリケーン・スペシャル)、かわせるかーッ!!」 「やめっ、ホント、やめてよっ……! やっ、ぁっ、言うから! ぃ、ぁ、言うから、止めてっ!」 右手を関節ごと左回転。左手を関節ごと右回転。 その力で、相手の脇腹を擽る技だ。流石の淡も耐えられなかったらしい。 だけれども、それは既に遅かった。 思えば――何かに耐えるように、淡が俯いていたのも。 ひたすらに口を利かなかったのも。 そういう事であったのだろう。須賀京太郎は、気が付かなかった。 そして、決壊した。京太郎が止めを刺したのだ。 「……ぁ。ぁ――見ないで」 「えっ」 最初、理解できずに淡の顔を覗き込んだ。 真っ赤にして、目に涙を浮かべる。それから、ロッカーに滴り落ちる水音で気が付いた。 スカートから出た、脚が濡れていた。ソックスも、湿っている。 これは……もしかして……。 「うぅぅ……ぁ、ぁああ……」 「……」 なんと言っていいものか。言葉を失った。 代弁者は、この場にはいない。(しかも漏らしたのは小なだけに。なんちゃって) 気まずくなって、ひたすらに黙るしかない。 謝るべきか。そう思ったが、余計に淡の傷口を抉る行為に思えてならない。 「ぐすっ、ばか……きょーたろーの、ばか……。やめてって、言ったのに……うぅ、ばか」 「……すまん」 「こんなの……最悪だよ……。ばか……きょーたろーの、ばか……っ。うぅ、うぅぅう……」 「……悪い」 「高っ、校っ、一年生にもなって……こんなの、やだ……もう、やだよぉ……! うぅ、うぅ……」 「……百年生じゃなかったっけ」 「ばか……黙れ、ばか……ッ! もう、やだ……こんなの、さいてい……! うぅ、ひぐっ、う、うぇ……」 スカートを握りしめて、ひたすらに涙を流す淡。 『上も下も泣いてるね!』そんな言葉が口から出そうになるが、なんとか抑える。 多分言ったら、ロッカーの壁に頭を打ちつけて死ぬだろう。 京太郎も殺される。絶対殺される。確実に殺される。 そんなくだらない言葉が浮かんでくるぐらいに、京太郎は狼狽していた。 正直、どうしたらいいのか分からない。 同学年の女の子が粗相をしてしまった。ロッカーの中で。 しかもやったのは須賀京太郎である。ロッカーの中で。 女の子は涙ながらに俯いている。ロッカーの中で。 これも何もかんも、ロッカー・ドーパントが悪い。 京太郎と淡をロッカーに閉じ込め、外に出さず、 あまつさえ、淡の膀胱を決壊させ、その原因を京太郎とした。 閉じ込められなければ、淡はちゃんとお手洗いに行けただろうし、 ロッカーの中でフラストレーションがたまっていなければ、京太郎も淡を擽らなかった。 つまり、全てはロッカーが悪い。 許せん、ロッカー。流石ドーパントだ。ロッカー殺すべし。慈悲はない。 竹井久、悪魔の女である。流石は悪待ち。汚い、ロッカーきたない。 いや確かに、たった今現在進行形で淡の小水がブチ撒けられているので汚いんだけどね。ロッカー汚い。 ……などと現実逃避をしても仕方がない。 現実淡に止めを刺したのは、まぎれもない京太郎だ。 とりあえず、泣き止む彼女をどうにかする。そして謝る。掃除する。 これをしなくてはならないだろう。 幸いにもここは、掃除用具入れである。雑巾はある。 「悪かった。本当に、悪かった」 「うぅ……もぉ、やだよぉ……。うぅ、うっうっ、最低だよぉ……!」 「最低ってのはさいこ――ごめん、ホント俺が悪かった。 な、俺、最低だから。ほら、でも、気持ち悪いだろ? な、掃除、するからさ……ほら」 「うぅ……ぅ、ぅぅぅぅ」 何とか淡に、謝り倒す。 未だ泣き止まずに涙目だが……一先ずはある程度、落ち着いてくれたらしい。 「絶対、こっち向かないでよ?」 「ああ、判ってる」 「……んっ」 背中を向けたその先で、濡れそぼったショーツを脱ぐ淡。 濡れたままでは気持ちが悪い。彼女がそういうのだから、そうなのだろう。 片足を上げて、よろけた彼女の背中が京太郎にぶつかる。伝わる、熱。 衣擦れの音が聞こえた。 チラリと後ろを見ると汗で房となった淡の髪の毛。 後れ毛。 吐息を漏らしながら、何とか下着を脱ごうと格闘する淡。 それを見て――須賀京太郎の理性が決壊した。 「淡……すまん」 「ふぇっ!?」 「正直、お前可愛過ぎる」 「ちょ、ここロッカー……! や、ばか、人来るから……っ、ぁ、や、だめ……! ぁ……」 ちなみにLOCKという英単語の意味、錠前以外にもいくつかある。 監禁であったり、仕舞い込むであったり――そして中には、こんな意味もある しっかりと組み合わせる.とか、抱きしめるとか。 或いは髪の毛の房(おさげとかモロだね)とか。 何が言いたいかと言えばつまり、要するに、人を閉じ込めて、入れられた人間の思考を狂わせるメモリである。 これがロッカーメモリの効果。実に恐ろしいものである。 のちにT・Sさんがこのメモリを使って、男同士をロッカーに閉じ込める〝事件〟を起こしたとか起こさないとか――。 まあ、それは別の話。 ――了
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Interlude「ある世界線の記憶」 「俺は、仮面ライダーオーズ――須賀京太郎だ」 先ほどまで淡の前で見せていた、超人的な姿はそこにはない。 怪物の爆散。同時に零れ落ちるメダルの山。 街灯に反射するそれは――淡には、満天の星空に見えた。 その中で、手を差し伸べる金髪の少年。 戸惑う自分に向けられる、困ったような笑み。 あの、戦いの中の――淡が身震いを憶えるほどの姿はない。 彼は、優しい少年だった。 どう続けていいものかと悩んだ彼は、こう言った。 「なんていうか……よろしくな?」 これが彼女にとっての、始まりだった。 思い返すには近く、手を伸ばせないほど遠い場所。 既に失われてしまった世界の、記憶である。 助け起こされた淡は、スカートを払って少年に問いかけた。 自分に襲い掛かった先ほどのアレは、なんなのか。 オーズとは何か。どうして少年がそれに姿を変えるのか。 それから、何故自分を助けてくれたのか。 見れば、少年の躰にはいくつもの傷があった。 そして、淡が取った手は、恐怖に震えていた。 助けられたのもあるが……。 それ以上に、おかしな男だと思った。 自分だって戦いが怖い癖に、戦いに飛び込んでいくのだから。 余程の事情があるか。 それとも何も考えてないか。 頭が半分くらい壊れているのか。 失礼だが、そこまで思っていた。 とても強そうには見えない。勝負事とは、無縁そうな穏健な風貌なのだ。 という、淡の問いに対して、少年は困っていた。 事情を打ち明けるのを、躊躇っているようであった。 ただ、最後の質問にだけは――彼ははっきりと答えた。 「目の前で誰かが襲われてたら……助けない理由なんてないだろ?」 自分だって怖いくせに。 でも、その答えには――好感が持てた。 「っていう訳なんですけど……話しても、いいんですかね?」 「んー……まあ、しゃあないやろ。知らん方が危ないって事もあるし、ここまで来たらな」 その少年、京太郎は。 淡にその場を立ち去る事を求めた。そして、今日見た事を忘れるようにも、と。 それに淡は、異を唱えたのだ。 そんな危ない怪物がいるなら、教えてくれ。 事情が分からなければ、また出会うかも知れない。 自分の知人だって危ないかもしれない。少しでも知りたい。 そう、食い下がっている時であった。 その場に新たに訪れた、一人の少女(最初は少年だと思った)。 京太郎の戦いの師匠にあたるというその少女――江口セーラは、淡の主張を受け入れた。 この街には、今二つの危機がある。 一つはドーパント。 ガイアメモリと呼ばれるガジェットを用いて、人間が怪物に様変わりするもの。 その持ち主には、生体コネクタと言われる入れ墨が刻まれている事。 一つはヤミーとグリード。 八百年の眠りから目覚めたその怪物たちは、人間の欲望を喰らうのだと言う。 その怪物が人にメダルを投じる事で生み出される怪人が、ヤミー。 鳥・獣・昆虫・水棲生物・重量系動物。 さまざまな種類のヤミーがいるのだと、知った。 前者は注意できるが、後者は注意不可能だ。 せめて、様子がおかしな人間には近寄らないようにする事。 事実、事前対処というのは難しいと言っていた。 ならば、と淡は提案した。 それなりに自分は顔が広い自信がある。 その方面で何か協力はできないか、と。 淡としても、ライダーの傍に居た方が安心できるし、京太郎たちも探索の手が多い方がいいだろう、と。 セーラは難色を示した。 京太郎など、最後まで渋っていたほどだ。 それでも最終的に、淡は、彼らの協力者となった。 それから、色々な戦いがあった。 淡が知らない戦いだってある。当然、危ないからと遠ざけられたのだから。 詳しい事情を話されなかった事も多い。 それでも京太郎たちの手伝いをしていたし、なんとなくの状況は把握していた。 そう言えば一時、こんな事もあった。 「……なによ、これ」 「何やけったいなオカルト持ちか……」 「ふふーん」 新子憧=仮面ライダーバースの装着者。 江口セーラ=仮面ライダーアクセルの変身者。 須賀京太郎=仮面ライダーオーズの資格者。 彼らと、卓を囲む機会があったのだ。 どうせなら普段自分は一般人と見られて軽んじられているところもあるし……。 ここらで盛大に一発、自分だって凄いのだと見せようとしていたのかも知れない。 実際、渋い顔をする憧と目の色を変えるセーラを見て、淡はほくそ笑んだ。 どうだ、と思った気がした。何がとは言わないが。 それから、当の須賀京太郎に目を向けた。 彼の反応が、一番気になるのである。 だけれども……。 「……ん、どうかしたのか?」 彼は、非常に涼しい様子だった。 すわ、彼は淡の絶対安全圏を無効化する能力でも持っているのかと感じた。 男子でその手の能力を有する者は数少ない。 いたとしても、大概は表舞台に出ない。インターハイなどよりも、早い段階でプロにスカウトされるか。 それとも地下に潜るか、である。 京太郎は、オーズに変身するものであるし。 その手のオカルトを保持していても、何らおかしくないのかと考えたが……。 真相は、実に単純明快であった。 「いや、5シャンテン6シャンテンとか……いつも通りだし」 彼は、常時淡の「絶対安全圏」を喰らっているのと同じ配牌だと言う。 なんだそれと思った。 これほどまでに不運な奴が、この世に居るのかとも驚いた。 しかしそれでも、彼は変わらない。 手配がどうであろうとも、オーズで戦う時と同様、諦めずに進んでいた。 ……尤も、仲間内で打つ時は普通に最下位であったが。 本当に、色々な戦いがあった。 過酷だっただろう。凄惨を極めただろう。 戦いが終わるたびに、傷を作って戻ってくる京太郎。 また彼と、生きて再会できるのか。 会話を交わす事が出来るのか。 笑いあう事が許されるのだろうか。 戦いに赴く彼らを、淡は常に気が気でない気持ちで見守っていた。 心細かった。 どうして自分が、直接的に彼らの力になれないのかと、恨んだりもした。 あるとき、江口セーラが重傷を負った。 曰く、京太郎に不死身を分けてやったそうだ。 淡は、セーラに縋り付いて泣いた。 待つ事しかできない己を、呪ったりもした。 「……ま、そーゆーなって。お前が待ってるって考えたら、やっぱり力になるんやから」 実に気障ったらしい台詞だったが、京太郎が言うよりも、セーラが言う方が様になっている辺りが不思議だ。 次の麻雀なら負けないと、彼女は笑う。 打つ為にも、早く回復させないとな……とも。 そして事実、セーラの回復は早かった。これには、淡も驚いた。 ある時は、新子憧が傷付いて帰ってきた。 グリードの総攻撃により、バースの鎧を通してもなお、少なくないダメージを受けたのだ。 同じ女として他人事とは思えないほど、背中に刻まれた瑕が痛々しかった。 それでも憧は、笑うのだ。 「あたし自身が、やりたくてやってるから……気にしなくていいって。心配かけて悪いとは思うけど」 そんな風に。 彼女が戦う理由は、鴻上財団と交わした何らかの契約によるもの、らしい。 そのあたり、無償で戦うセーラや京太郎と違うのだと、どこか引け目を感じている風だった。 そんな事はないと、淡は言う。 どんな理由だろうと、誰かを守ろうと戦っている事には変わりがないと。 憧は、困った風に笑ってから、照れくさそうにしていた。 その戦いの果てに、世界の全てが崩壊する。 宙に浮かんだ、巨大なオブジェクト。 世界をメダルとして吸い上げる悪魔の器。 京太郎たちからの呼びかけで、人々の非難は完了していた。 それを手伝った淡は今、京太郎と二人きりだ。 京太郎と淡の眼前には、その世界を滅ぼす欲望の器。 勝てないと思った。 この、あまりにも絶望的な光景に。 絶対に、生き残る事は不可能だと思えたのだ。 戦いは熾烈を極めた。 メダルを取り戻していくグリードを相手に、京太郎たちは苦戦を強いられたのだ。 傷付いていく仲間たち。加速する戦禍。齎される破壊。 ましてやそれに、ほぼ全てのメダルを取り込んだ器が相手など――。 絶対に、無理だと思っていた。 勝てるはずがないと。生き延びられるはずがないと。 だから、淡は――これまで決して口にしなかった事を口にした。 この言葉を出してしまったのならば、京太郎とは決別するだろう。 彼は絶対に肯んじない。それに頷きはしまい。 それでも、それでも淡は言いたかったのだ。 彼に、死んでほしくないと。生きてほしいと。 「無理だよ……あれは、絶対に無理だってば」 「……」 「あんなのと戦ったら、きょーたろーは……死んじゃうって」 「……」 「だから、ねぇ……逃げよう? どこかに、逃げようよ」 「……」 「きょーたろーは、もう、十分に戦ったから……これ以上戦わなくてもいいよ」 「……」 「それに……世界を喰い尽くすなんて嘘かも知れないし、きっと、ある程度したら収まるって……」 「――淡」 彼は悲しそうに微笑んで、オーズドライバーを取り出した。 やはり、止まらない。止まる筈がない。 言ったところで、彼は戦いを止めないなどとは分かりきっていた。 だからこそ、自分は惹かれたのだ。 「俺が戦わなくてもいいかもしれない……そうだったら、いいなとは思う。 でもさ、それでも俺は……戦う。ここで逃げる事なんて、できないんだ」 ――プテラ! ――トリケラ! ――ティラノ! ――プットティラーノ・ザ~ウル~ス! 「……ごめんな」 結局のところ――須賀京太郎は、生き残った。 その身に宿したメダルの力を失い、オーズとしての能力を無くして。 これで平穏に戻れると、淡は安堵した。 だが、京太郎は止まらなかった。 ヤミーとグリードの脅威はなくなった。 ミュージアムも、その根を絶たれた。 でも、だからと言って、全てが平和になった訳ではないと。 「……なんていうか、こういう性格なんだよな」 「ふーん」 「付き合わせちまって、悪い……」 「別に謝らなくてもいいよ。好きでやってるんだから…………京太郎の事が、ね」 「そう言ってくれると、ありがたい――って、ええ!?」 「……あれ、もしかしてー、気付いてなかったのー? あれだけ『逃げよう』って言うって、そーゆー意味って解らなかったの?」 「……マジかよ。おったまげた」 それでも、淡と彼は結ばれた。 また彼が、危険に向かって行ってしまうと言うのなら。傷付いてしまうと言うのなら。 それ以外のところで彼を癒せばいいし、それならそれで思い出を作っておいた方がお得だと思ったのだ。 終始渋っていたが、結局折れた。 それから、淡は幸せだった。 色々なところに遊びに行った。 二人で星を見に行った。 銀時計をプレゼントして貰った。 正式に、男女の関係になった。 彼は未だに忙しそうではあるものの、幸福な毎日だった。 このまま、年を取っていくのだろうと――そう考えていた。 そんな矢先の、出来事であった。 「なんで……こんな事が……」 空に浮かぶ、黄色の球体。 その発光体が、空間を埋め尽くしていた。 同時に、景色が様変わりをする。 あったはずのビルが消えて、ある筈のない建物が浮かんでくる。 次の瞬間には、それこそが正しいものだと思えてしまっていた。 何かが、書き換えられていた。 欲望の器に負けずとも劣らないその現象に、淡は震えた。 「……大丈夫だ。仮面ライダーが、ここにいる」 「きょーたろー……」 「言ったろ? お前を、護ってやるってさ」 あの時と同じ優しい笑みを浮べて、須賀京太郎はベルトを装着した。 ロストドライバー。 オーズの力を手放すにあたって、片岡優希から受け継いだ、京太郎の新たな力だった。 そして、京太郎はメモリをタップする。 叫びを上げる、“地球の囁き(ガイアウィスパー)”。 切り札の名を持つ、京太郎の運命がそこにはあった。 「……変身」 ――《JOKER》! その眼前には――雲霞の如き、怪人の大群。 京太郎を封じ込まんと……殺しつくさんと、大量の敵が、そこにはいた。 今度こそ、生き延びられるはずがないと思った。 それでも、京太郎は笑うのだ。 辛い時こそ、苦しい時こそ歯を食いしばって笑う。 それが本当に大事な事なのだと、彼は言っていた。 「淡……逃げてくれ。俺が道を作る」 「やだ……! そんなの、絶対嫌! きょーたろーなら、分かるでしょ!?」 「ああ、判る……判るよ。でもな……俺は逃げられない。逃げたくない。 俺がライダーだからじゃない……。俺は、お前に死んでほしくないんだ。生きていてほしいんだ」 そう言うと、彼は飛びかかってきた怪物を打った。 あまりの威力に、弾き飛ばされる怪物。 周囲を取り囲むその人垣に、亀裂が入った。 それでも淡は、逃げられなかった。 京太郎に言われても、この場を離れたくなかったのだ。 そんな淡を守りながら、京太郎は怪物たちを薙ぎ倒す。 人の身に出せる、その限界までの高ぶりを見せる技能。 足手まといを抱えても、京太郎の方が圧倒的に強い。 一つの旋風と化し、怪人を蹴散らす京太郎。 鎧袖一触。 歴戦の兵。引き合う運命のメモリ。 それは、雑多な怪人を一切寄せ付けない。 このままなら、ひょっとして――と。 淡がそんな期待を抱いたその時だった。 そいつは、現れた。 「……ああ、なるほどな」 小さく呟く京太郎。 紫色の、恐竜じみた怪物。 見ただけで、全身が凍りつく。それだけの圧力を、放っているのだ。 あれが、こいつらの主犯格だ。 あれこそが、この惨状を生み出している存在だ。 そしてあれは――。 「淡」 「……な、に?」 「こいつは、俺が止める。だから……逃げてくれ。 俺の分も――生きてくれ。お前は、幸せになってくれ」 京太郎が死んで、幸せになれる訳がない。 そう、淡は首を振った。 愛するものを失って、その痛みが消えるわけがない。 ましてやこうして遺されたのなら、立ち直れる筈がなかった。 そんな淡に、京太郎は困ったような声を出した。 それから、「じゃあ、言い換えるぜ」と言葉を区切り、淡の手をとった。 「また――会おう。絶対に、生きて再会しよう」 「約束だ」と呟いて、京太郎は淡に背を向ける。 それが叶わぬ事だなんて、判っていた。 でもそれでも――と、思う。 京太郎は仮面ライダーだ。 彼が約束を違えた事など、無い。 この場で淡という足手まといがいるよりは、彼一人の方が、切り抜けられる確率は高いだろう。 故に淡は、足を踏み出した。 どんなに絶望的な闇の中であったとしても、仮面ライダーという光は輝く。 だからきっと、京太郎は約束を破りはしないだろう。 ここで殺されてはならない。彼の重荷になってはならない。 そんな一心で、淡はその場を後にした。 「……嘘吐き」 ついぞ、約束が果たされる事は無かった。 崩壊する世界で、淡はゼロライナーと出会う。 自分たちに襲い掛かった存在。その正体。 イマジンと言う怪物。世界を改変する敵。 そのイマジンによって破壊されてしまった世界から来たというゼロライナー。 唯一の解決手段。戦う手段。 この世界は遠からず崩壊する。 生き残りは、已のところでゼロライナーに拾い上げられた淡だけ。 過去を書き換えられて、この世界は消えてしまう。 淡は決意した。 彼との約束を守るために。 恐怖を殺して、戦う事を選んだのだ。 イマジンを止める。それしか、手段はなかった。 時のレールが動き出す。 淡は、過去へと跳んだ。 「私が……守る。今度こそは、私がきょーたろーを守る」 そこで、誤算があった。 淡が過去へと跳んだ事、そして、デンライナーが来てしまった事。 それにより、世界線がズレてしまったのだ。 どうあがいても、彼とは再会できない。 ともすれば――もしもチケットを消費しつくしたのであれば、淡も消滅するだろう。 それでも、交わした約束があった。誓った思いがあった。 「きょーたろーの護った世界を壊させない。平和を壊させない。その為に、私は戦う」 その為に、大星淡は戦い続ける。 自分の未来に辿り着かないとしても……。 この世界は、京太郎が護った世界と同じだ。京太郎が愛した世界と同じだ。 過去の自分がいる。過去の京太郎がいる。過去の仲間がいる。 あの時はただ、見ている事しかできなかったけど。 ただ守られるばかりで、何もできなかったけど。 今度は、護れる力がある。須賀京太郎を、仲間を、世界を……。 「絶対に、貴方を救ってみせる」 あの未来のように、イマジンに囲まれて果てる事があってはならない。 あのイマジンは――直感ではあるが、京太郎と同じものだと思った。 ゼロライナーの持ち主は、過去のライダーが死んだために未来が変わったと言っていた。 きっと、あのイマジンは、仲間が死んでしまった方の京太郎なのであろう。 そんなものは、作らない。 絶対に、京太郎の心を守って見せる。 淡は、己の恋人である京太郎と他でもない自分自身に――そう約束した。 ――了
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/プロローグ ある時点、ある場所。 そこに、彼らはいた。 「カザリ、アンク!」 「はいはい」 「……フン」 京太郎=オーズの叫びに呼応し、投じられる二枚のメダル。 クワガタ・トラ・コンドル――ガタトラドルへと姿を変えた京太郎が、 「“未確認(おまえ)”らは――ここで、消えろッ!」 裂帛の気迫とともに、未確認生命体の体へと、必殺の襲撃を叩き込んだ。 爆発とともに――世界は、歯車を狂わせた。 それが、物語の始まり。 ◇ ◆ ◇ ことの発端は、イマジンによる契約であった。 例によって、契約を以って過去を変えようと目論むイマジンの被害。 それを止めるために――あるいは起きてしまったそれを拡大させないために。 京太郎、その仲間の神代小蒔=仮面ライダー電王は戦っていた。 そう、いつも通り。 ここまでは、いつも通りであった。 契約をされたのは三十歳も目前。 まるで童顔であるから笑い話で済まされるかと、四十近辺であると揶揄される女性。 契約内容は「恋人がほしい」。 イマジンは女性をホテルに監禁し、その女性の下に次々に美形の少年(男性ではない)を連れて行っていた。 そんな、事件だ。 唯一、いつもと違うのは、契約が完了してしまった事。 須賀京太郎と神代小蒔は、間に合わなかったのだ。 むざむざと、イマジンの逃走を許してしまった。 イマジンが女性の体に作り出したワームホールへ飛び込むのを目の前に、止めることができなかった。 そのことに歯噛みしつつ須賀京太郎は、オーズに変身したその拳を強く握り締めた。 「逃がさない……お前は、逃げられないぜ」 「観念するんだな、オイ!」 すぐさまトラから換装したカマキリソードを構える京太郎。 そして、肩に剣を担いだ電王ソードフォーム。 過去に飛んだイマジンは――碌に破壊活動をするまもなく、二人のライダーによって、無残に爆散した。 「お疲れ様です、京太郎くん」 「いや、本当に……お疲れ様です、小蒔さん」 先の時間で契約者となる女性を助け起こした京太郎。 その隣で、額の汗を拭う小蒔。 ちなみに女性は「イケメンで強いんだ……」と、へたり込みながら呆然とうわ言を呟いている。 これが原因で、彼女の知人である女子アナウンサーが「年下と付き合うのってどうしたらいいと思う」と、 熱っぽくワケありに女性から相談を受けることになるのはともあれ……。 二人は、あとは時を駆ける電車――デンライナーに乗り込み、帰還する。 それだけの予定だった。 「……どうしたのさ、京太郎?」 「いや……」 その女性とは別に、どこか茫洋とした様子であたりを眺める京太郎。 いち早く気づいたカザリは(アンクは京太郎の様子を眺めながら、眉間にしわを寄せ腕を組んでいる)、問いかけた。 だが、返されたのは生返事。 カザリはやれやれと肩をすくめ、伸びをした――。 (ここは……) と、京太郎は振り返る。 見慣れた景色――現在は遠ざかってしまった/見ることができない景色。 その場所は、彼が幼少期からすごした場所であった。 ――長野県。 イマジンが跳躍したその先は、当時何がしかの事情で女性が訪れていた、少年の故郷。 未確認生命体の事件によって焼け野原となった、彼の、思い出の地であった。 今は――正確に言うのなら過去の――ここは一体、何年の何月だろうか。 そう、京太郎が振り返るそのときであった。 人々の悲鳴とともに、破壊音が聞こえてきたのは。 当然ながら―― 一も二もなく、京太郎はその音源へと駆け出していた。 そしてその場所に訪れた京太郎は驚愕した。 目の前で行われていたのはまさに、虐殺であった。 川沿いのキャンプ場。 悲鳴を上げる人々。 「ああ、あれが未確認生命体ってやつかな?」 「……フン」 水中から飛び出す“何か”が、人体を突き抜け、川原の石を染め上げる。 なるほどね、と冷めた表情でそれを眺めるカザリと、不機嫌さをあらわにするアンク。 当の京太郎は、黙っていた。 ここで未確認生命体が暴れるというのは、京太郎の世界においては必然である。 止めたならば、過去が変化し――未来は変わってしまう。 であるが故にカザリは、それを見ても介入しようとせず――そもそも彼に介入の意思があるかはさておき――。 アンクもまた、黙認した。 どうすることもできない。 いや寧ろ、どうにかしようとすれば、それはより悪い方向に働く。 異邦人である彼らに、この時間へと介入する権利などはないのだ。 それの世の正着、時間の正解であった。 だが、口を閉ざした京太郎にとっては――。 (――――) ――子供のころ遊んだ川が、血に染められている。 ――親子が悲鳴を上げている。 ――憎きあの、未確認生命体がいる。 ――自分には人を守る力がある/未確認を殺す力がある。 そんな事情など毛ほども意に介さないほど、目の前の凄惨な光景は衝撃的であった。 結んだ唇から血が流れ、握りこぶしの手のひらに、爪がめり込み音を立てる。 (――殺す) ギリと奥歯を握り締め、京太郎は駆け出していた。 変身する余裕もない。いや――それを考え付かないほどに、頭に血が上っていた。 瞳が紫色に染まる。 水中から飛び出したカッターが京太郎めがけて殺到し、そして、弾き飛ばされる。 体内から怒りに任せて噴出した紫色のコアメダル。 宿主へと迫る危機を、振り払っていた。 怪人――メ・ビラン・ギは予想外の出来事に、静止した。 同時に京太郎はそこで、メダルのことに思い至る。 「アンク、カザリ……」 「……あァ」 「わかったよ」 静かに震える京太郎の声に、カザリとアンクは、メダルを手渡した。 「ゴラゲザクウガ?」 「……うるせえよ。黙れ」 変身を完了させた京太郎=オーズを見て、何事かを呟く怪人。 吐き捨てるようにその言葉を両断し、京太郎は両腕の刃を構えた。 一分一秒たりとも、生かしてはおかない。 静かな闘志とともにオーズが地を蹴るのと、怪人が再び潜行するのは同時であった。 飛び出す怪人。繰り出されるカッター。両腕のトラクローで、何とか防御。 その後ろで小蒔――仮面ライダー電王が人々を非難させている。 そんな様子を尻目に、再びの突撃を、回避。 三度目、足をとられた。そのまま川へと、弾き飛ばされた。 繰り出される斬撃を、構えたクローで正面から止める。その直後、遅い来る鋭い牙。 オーズの胸部で火花が散った。 装甲が砕ける。踏鞴を踏む京太郎目掛けての、一撃。捌けず、尻餅を付いた。 「京太郎、これを使え!」 たまらず、見かねたアンクがメダルを投げ渡す。 バッタの脚力で離脱し、メダルを受け取り、体勢を立て直そうと試みる京太郎。 「ジャラゾグスバッ!」 だが、早い。 雄たけびとともに牙を剥き出しに襲い掛かる、グロンギ。 いかなオーズの力とて、逃げ切るのは困難だ。 不可避の襲撃。そしてそのまま、メ・ビラン・ギの牙により、オーズの体表が食い破られる。 飛び散る鮮血が、メ・ビラン・ギの頬を染めた。 絶好の一撃。 だというのに、それを決めたメ・ビラン・ギの表情は――。 「――バッ!?」 見開かれた目。そして、閉じることがない口。 クジャクに換装したオーズの腕が、その口腔に突き入れられていた。 敢えての一撃。 敢えて繰り出される相手の口撃目掛けて、京太郎は腕を突き出していた。 早くて捕らえきれないというのならば、止めてしまえばいい。 実にシンプルな発想だ。 そして牙とは最大の武器でありながら、同時に弱点ともなる。 たとえば犬。 彼らは逃げようとする獲物を捕らえる、あるいは負傷させることが得意だ。 彼らの牙は、そのような進化をしている。 どんな生物とて、攻撃を受けたのなら怯み、そして振り払おうとする。 それを許さぬための牙。そんな構造。 だからこそ犬は、噛み付いたその部位を、余計に押し込まれることが苦手であった。 奥に押し入られれば押し入られるほど、犬の噛み付く力というのは弱くなってしまう。 ――もちろん、メ・ビラン・ギは犬をモチーフとした怪人ではない。 だが、ここで京太郎が行ったのは同じ事だ。 噛み付かれる腕を構わず、相手の口腔に突き入れる。 筋繊維が裂け、靭帯にも少なからず損傷を負う。 しかし、口腔の奥――支点へと近づかれてしまった大顎は、対象を破砕するに十分な作用を発揮できなくなる。 そして――。 「……もう、喋るな」 メ・ビラン・ギの口中で、炎が弾けた。 あとは、単純であった。 川に逃げ込んだメ・ビラン・ギ目掛けて放たれる電撃。 水中であるが故に、逃げ場がない状況。 拡散し減衰するよりもなお強く、怪人の体を攻め立てる緑色の電撃。 痛みに喘いで顔を出せば、そこには逃れることのできない暴力の化身――。 「悲鳴も、後悔も、懺悔も何もかも……お前には、言わせねぇよ」 彼らの言葉で言い表すのならば……。 オーズは、『バ』『ダ』『グ』「『ギ』『レ』の力を持つものであった。 そして、物語は冒頭へと戻った。 ◇ ◆ ◇ クウガにより倒されるべき怪人が、オーズにより倒された。 生き残るべきではない人々が、生き残った。 本来起こりえなかった事態は、世界を混乱させた。 イマジンによる世界改変、さらに未来の大星淡――仮面ライダーゼロノスにより切り替わってしまった世界線は、 人々の欲望――ある種時をも変えさせるそれ――の収束である、欲望の王の力により均衡を崩された。 自然と切り替わる、時のレール。 それは別の世界線との合一を意味していた。 ここから先は起こりえない物語。 英雄でないものと、英雄たちの邂逅である。
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――長野。雪原。 「京ちゃん……私ごと、お願い」 その言葉に、須賀京太郎は瞠目した。三つの意味で。 一つ――京太郎に、ン・ダグバ・ゼバを殺傷する技があると、気付いていること。 二つ――ン・ダグバ・ゼバを撃破する役目を京太郎に託したこと。それも万感の信頼を寄せて。 三つ――ン・ダグバ・ゼバを倒しきる技を確信しているのなら、そうならば、ダグバを背後から拘束した状態の宮永咲=仮面ライダークウガはどうなるのか。 それを彼女は理解して、その上でまさに彼女の言葉通り――敵の首魁を己ごと打ち砕けと要求していた。 「――――ッ、そんなの……!」 「お願い、京ちゃん……。私の中の“泉”が枯れちゃう前に……お願い」 この言葉にどれほどの覚悟が込められているかなど――考えずとも、即座に理解できた。 ライダーとしては短くとも、この少女とは長い付き合いなのだ。 お互いにこんな身体になる前から――宮永咲と須賀京太郎は、友人だった。 彼女の臆病さは知っている。争いを好まない穏和さも、柔和で心優しき性根も。 然り気無く頑固なところも、親しくなっても遠慮がちなところも、根暗ではなくそれなりに負けん気が強いところも。 押しに弱いところも、なんだかんだと付き合いが良いところも、豊かな表情を見せてくれるところも――何もかも。 だから、どれほど彼女が戦いに心を悼めていて――――どれだけ恐怖を抱いているか、どんなに彼女が死にたくないかだって、当然。 きっと、仮面の下では泣いている。 視ずとも聴こえずとも、造作もない。それぐらい判る。 ライダーの力なんかに頼らなくとも、十二分に。 それでも――――言った。自分ごとやれと。 ならば、その覚悟――受け取るのみ。それしか己にできることなぞない。 「判った。……絶対にお前を――咲を一人になんか、しないからな」 言って、京太郎=V3は跳び上がった。 石火、マスクの中央のランプが灯る。 次いで、胴体中央を走るレッドボーンが輝き、ダブルタイフーンがフル回転。ベルトのランプに、光。 雪原に咲く赤の花。森林限界を超えるかはともかく、花などないこの時期に開く光の花弁。 Type Masked Rider Version 3――V3は。 その身体に備えられたエネルギー精製/充填/増幅装置=ダブルタイフーンの力によって、吹き荒ぶ風や燃え広がる炎を己のエネルギーとして変換/使用する。 ならば――逆に言うなら。 己のエネルギーを、風や炎という形に、再変換するのも可能ということ。 複眼が、一際強く光を放つ。 宛らその仮面の内にある心と命の燈し火が、燃え盛るのに呼応するように。 否――事実として京太郎は、己の命を燃やしていた。最後の、その一片までもを。 蝋燭の急速なる燃焼。一気火勢の大花火。 身に蓄えられた灼熱が陽炎を為し、大気を歪めて叫びを上げた。 上昇するV3に呼応して、温度を上げる機械の身体。加速度的/或いはそれを超えて産声を上げる灼熱の激情。 膨張した大気が炸裂し爆風を巻き起こす。V3を中心とした一つの台風。 「あはは……!」 死に迫らんとする必殺の気配を感じ取ったン・ダグバ・ゼバの動きは早かった。 己の身は封じられてしまっている――が、まだ武器はある。 超自然発火能力――物体を構成する分子に干渉し、プラズマ化。或いは超短周期に高震動させることで発火させる。 同等の能力を持つ、クウガ・アルティメットフォームを前には相互に打ち消しあって通用しないが――それ以外のものなど、一睨みで発火/絶命せしむる最強の魔眼。 そう、事実三万人ほどこの力で容易く焼き尽くした。 だというのに――――。 「――――――――ッ」 返ってきたのは雄叫びのみ。 ン・ダグバ・ゼバは歓喜と共に、驚愕を覚える自分を認識した。 この改造人間は、まさにリントがグロンギに近付いた証明。その証。 それにしても通用しない――、それとも耐えきっているか。 しかし、答えはそのどちらでもない。 実際、V3の身体には自然発火現象が巻き起こり、彼を執拗に攻め立てている。 そして無論、V3は、ダグバやクウガのごとき他者を一目で殺傷せしむる能力など持ち合わせてはいない。 ならば――何故。 「これで、終わりだ……。咲、ずっと一緒だからな」 答えは単純。 身体が焼け付くその傍から、エネルギーとして吸収され、そして再変換されV3の炎となるから。 京太郎にとっては幸いなことに、ダグバにとっては不幸なことに――。 ダグバの攻撃は呪いが如く須賀京太郎の肉体を蝕み――翻って、己を死に追いやる破魔の嚆矢となる。 ――火柱キック。 通常とは真逆の動力経路でV3の持つ全エネルギーを、炎として放つ大技。 まさに全てのエネルギー――生命維持に関わるエネルギーすらも使用する。 何より、V3自身がその熱量に耐えられないのだ。 白熱状態から、更なる高温を帯びるV3の肉体。 空中で両拳を腰だめに握った身体は、一つの炎――一つの恒星と化した。 まさに命懸け。命と引き換えに放つ、必殺技であった。 死ぬなら同じ時、同じ場所で――――彼女を一人にしない。 孤独な戦いを強いられた彼女と、せめて最期は。 脳改造を受け、彼女と敵対してしまった事実は消せない。その行為が宮永咲をどれほど苛んだかも、覚えている。 でも――そうだとしても。叶うなら彼女の隣で。彼女の傍で。彼女と共に。 「京ちゃん……!」 「咲――もうお前は、一人じゃないから」 太陽に及び、或いは凌駕するほどの熱と光を孕むV3=京太郎の蹴撃が、ン・ダグバ・ゼバの胸に叩き込まれた。 衝撃だけで周囲の地形が変形する。 大気が爆裂し――それよりも大声で咆哮を上げる腰のベルト/二つの風車。 巻き上がる火柱は、一つの戦いと二つの命の終わりを意味していた。 ◇ ◆ ◇ 雪が――――いや、土も岩も草も全てが蒸発した荒れ地の内。 一人の少女が、倒れた少年に寄り添っていた。 舞い落ちる雪は放射する熱に煽られ、雨となって少女の頬に降り注ぐ。 「京ちゃん……。起きて、京ちゃん……」 髑髏を思わせる赤い仮面を外して、その少年に呼び掛ける。 しかし、瞳は閉じられたまま。返事もない。 白貌が更に色を失い、瞼は僅かも動かない。 余程の大技を持っているのは察していた。闘いに挑む態度から鑑みれば、それは自明であった。 長い付き合いなのだ。こうなる前からの。 「……向こうで一緒って言ってくれて、嬉しかったよ。 今まであんまり素直になれなかったのに……変だよね、こんなときだなんて」 彼と一緒に居られると――自分のことを一人にしないと言ってくれて、嬉しかった。 戦いは辛いものだったけど、最後で一つ……優しい思い出が生まれたのだ。 それだけで、幸せな気分だった。 だけど――。 「でも、京ちゃんは生きてなきゃ……。 V3は――、仮面ライダーV3は――――死んじゃ駄目」 ――やっぱり彼には、生きていて欲しい。 たとえこの命と、引き換えでも。 彼に、仮面ライダーという名を背負わせてしまうことになったとしても。 それでも、須賀京太郎の命が失われるのには耐えられないのだ。 己の腹部のバックルに手をやる。 霊石アマダムを納めたクウガのベルト――の下のアマダムに、指をかける。 既に砕けかけている霊石だが、まだ最低限の働きは期待できそうだ。……こうして自分が未だ生きていることが、何よりの証左。 指先に、力を込めた。 「好きだよ……。…………ずっと、言えなかったけど」 腹腔を貫き、自分の神経に絡み付いた霊石アマダムを引き抜いた。 絶叫せんばかりの激痛を堪えて、そのままアマダムを京太郎の腹部に押し当てる。 同時に、クウガの持つモーフィング機能――――物体の分子を操作する能力を発動。 彼の体内に、ほぼ損壊状態のアマダムを組み込んだ。 これで、十全でなくともアマダムの力が多少なりとも働けば……。 少なくとも彼は一命をとりとめ、意識を取り戻すだろう。 「――大好き、京ちゃん」 そして口付けの態勢のまま、宮永咲は須賀京太郎に重なり倒れる形で絶命した。 「……俺、は?」 数多降りしきる雪が、二人を静寂の下に押し込める。 やがて――痛みに呻き、動き出す一つの影。 己に身を預けた死体を抱いて、男は慟哭した。仮面は涙を流さない/涙を流せない。 これが――不死身の男、仮面ライダーV3誕生の物語。 既に終わってしまった一つの戦いと、一つの悲恋と、一人の英雄に関する物語だ。
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/01 ――バタフライ・エフェクトという言葉がある。 発生初期段階では無視できるほどの小さな差が、やがて時間の経過に伴い、大きな差となることである。 たとえば交通渋滞。 どこかの車がほんのわずかに速度を緩めただけなのにもかかわらず、やがてそれは廻り廻って渋滞を引き起こす。 宮永咲――仮面ライダークウガが、グロンギを一体倒さなかっただけ。 始まりはたったそれだけであった。だというのに……。 「……どうなってるんだ、これ」 世界は大きく変わってしまった。 時の列車、デンライナーを下車した京太郎の眼前に広がった光景。 “あちら”に行く以前と変わらぬ光景であるはずなのに……。 一点だけ、そこには違和感があった。 荒鷲のエンブレム、旗、ポスター等等……。 見慣れない、何かを象徴するシンボルが、街中に飾られているのだ。 祭り、あるいは何か映画の撮影か。 そうと思えるほどに――まるで周囲全員が自分を騙そうとしているような、結託した悪意にさらされたかのごとき錯覚を覚える。 街中に見慣れないマークがある――。 ただそれだけで、と思うかもしれない。だが、京太郎にとってはそれだけではなかった。 薄気味の悪いジャケットを着せられているかのごとき、居心地の悪さを覚えたのだ。 周囲の空気が、違う。自分がまるで異物だと警告されているかのような感覚。 ここが、見知らぬ土地と思えてならない。そんな違和感だ。 そして――漠然と肌を覆っていたその言い知れない感覚は。 次の瞬間、確信となって京太郎を襲った。 「な、なんだ!?」 街中から飛び出してきたボディ・アーマーをまとった覆面の集団。 そしてその中心に存在する、白いスーツの男。 見かけの異様さで言うのならば、ボディ・アーマーの覆面たちの方が上だろう。 だが、はっきりと――その気配で分かった。 人間の中に死人が紛れ込んでいるような、そこだけセピア色に切り取られたかのごとき死の気配。 覆面はまだいい。 だが、この中心の男は――違った。 暴力そのものを人間に固形化させたような、無機質の、破壊の感覚を受けるのだ。 「逃げ出したと思っていたデンライナーが、見つかるとは」 男が口角を吊り上げた。獲物を見定めた獣がごとき笑み。 知らず、京太郎は身構えた。 その直後――。 「アポロチェンジ」 一言ともに高熱が吹き荒れ、男の姿が変貌した。 太陽神の名を関した亡霊――アポロガイストへと。 「――ッ」 ガイアメモリの音声は聞こえなかった。 イマジンとも思えない。ヤミーであるはずがない。 理解ができない。だが、確信はできる。目の前の男は敵である。 そう考えた京太郎の行動は早かった。 即座にオーズドライバーを装着。カザリ、アンクからメダルを受け取り、スキャン。 ――タカ! ――トラ! ――バッタ! ――タ・ト・バ! タトバ! タ・ト・バ!! 「……面白いのだ」 高らかに歌い上げるオーズドライバー。 それぞれの王の概念を身に纏った戦士へと姿を変えた京太郎へとかけられたのは、 しかし、ただの嘲笑であった。 「なんだか分からないけどよ……とりあえず、ブッ飛ばす!」 意気高らかに、両手のクローを展開する京太郎。 相手が何者か、分からない。その正体も実力も、今自分が置かれている状況も。 だが――理解できる。 相手がこちらに向けるのは敵意であり、そして、ここで戦わぬ選択肢など存在しないという事は。 踊りかかるオーズの攻撃を、アポロガイストは、静かに見定めた。 そして――ほんの少し手を動かして、その腕に掲げた盾、ガイストカッターで難なく受け止める。 腕にかかる重圧に、ほうと息を漏らしそうになるが……。 「ふん」 溜め息ひとつ。 盾で腕を跳ね上げると返す刀で一線。オーズの胸部装甲を、切り裂く。 踏鞴を踏むオーズへと、追撃。アポロマグナムをダブルタップ。さらに押し込められる、オーズ。 相対する敵の実力を、その一合で理解した。 基本態――もっともスタミナの消費が抑えられる、タトバコンボであるが……。 タトバコンボのままでは、目の前の敵には対し得ない。 亜種、それかコンボが必要。 そう判断して、カザリとアンクに呼びかけた。 すぐさま、メダルが京太郎の下へ――。 「無駄だ!」 早撃ち。 神業的なその一撃により、京太郎を目指したメダルは、あらぬ方向へと軌道を変えた。 呆然としたくなる気持ちが鎌首を擡げ――しかし踏みとどまる。 この相手は、危険だ。 状況が分からぬ以上(さらに相手が実力者と分かった以上)、この場で戦い続けるのは得策ではない。 小蒔へと目配せ。 京太郎が時間を稼ぐ。その間に、なんとか隙を見て逃走をする。 離脱を念頭に置いた行動。 だが、それも――。 「仮面ラーイダが、まだいたとは……」 もう一人の、甲冑を纏った闖入者によって、破綻した。 (新手……ッ) 京太郎=オーズを睨め下す甲冑の男。 推定して――実力、眼前のアポロガイストと同等クラス。つまり、強敵である。 トラクローを構える。一応の、応戦の構え。 このままやれるとは――何とも考えづらいものであった。 「デストロンが、何の用なのだ?」 「新手のラーイダと、デンライナーが見つかったと聞いたのでな」 不機嫌そうなアポロガイスト。そして、デストロン――詳細不明――の男は折り合いが悪そうだ。 何とか、いがみ合うその間に抜け出せぬものか。 そう考えるが、難しい。 隙と言う隙を出してはおらず、また、いざ京太郎が逃走を考えた場合、一丸となり妨害に出るだろう。 結局のところ、危難がより増したに過ぎない。 (どうする……使う、か?) アンクとカザリからメダルを受け取る事は不可能。 となれば――この、眼前の二体とその“お供”を相手するにあたって、使えるのはプトティラコンボのみ。 京太郎の持つ最恐の、恐ろしき竜の力を宿したコアメダル。 勝ちきれるかは分からないが、戦況を五分ないしは四分六分に引き戻せるだろう。 欠点としては暴走の危険がある事。 そして、このメダルすら打破された場合――本当の意味で、京太郎に後がなくなる事であろう。 だが、果たして……。 (そんな事、言ってる場合でもないし……使える力が、出来る事があるなら、出し惜しみなんてできない……!) 京太郎は、一か八かの手段を決断した。 「ムッ!?」 「ぬ?」 オーズの取った行動に、ドクトルGとアポロガイストは眉を寄せた。 突如としての、理解しがたい行動であったのだ。 地面を砕くオーズの拳。そして現れる、斧。 ほうと、同じく斧を片手に携えたドクトルGは吐息を漏らす。 その瞬間、斧――メダガブリュー、そして剣――メダジャリバーが、オーズから投じられる。 ガブリューはアポロガイストへ。ジャリバーはドクトルGへ。 同時にバッタレッグの脚力を以って跳ぶ、京太郎。 京太郎は決断した。 己が取り損ねたメダル。アポロガイストがインターセプトしたメダル。 アンクが投じたそれに、この状況を打破できる力があると見込んで。 どちらにしても、メダルを残して逃げられないというのもあるが……。 未知の相手にプトティラコンボを使用する事より、アンクの眼に賭けたのだ。 もっともそれは――ある種、言うのであらば。 紫のメダルの使用と共に、自分の身に起こる何かを無意識的に忌諱していたのかもしれない。 果たして、結果は……。 「――ぁ、ぐ」 「小癪な奴なのだ」 オーズの肩と背中から吹き上がる煙。 アポロガイストのマグナム、そして怪人態:カニレーザーと化したドクトルGのレーザーに被弾。 たまらず京太郎は片膝を付いた。 オーズの速度が遅かった、或いは京太郎の狙いが的外れであったから――ではない。 一瞬、京太郎の動きが止まってしまった原因。 それは、新たなるプレッシャーを与える存在。強烈な、個としての戦闘能力を発露する第三者の眼による。 その第三者が――この戦場に降り立つかはともかくとして。 “彼”の存在が醸し出す圧力が、僅かながらにしろ、京太郎の動きを止めさせたのだ。 片膝を付いて、タカの視力で――その観察者を睨む。 透明なカプセルで顔を覆った、白一色の怪人。 京太郎を値踏みするように、睨んでいた。片手のトランプを、弄びながら。 すぐさまこの場に介入しようとする意志は感じられない。 だが、何にしても、またしても見過ごせない危難が訪れた事は確か。 そして、危難は現在進行形だ。 一瞬の隙を作り出すために武器を投じてしまい、結果、その博打は失敗に終わったのだから。 (三体目……かよッ) 否。 「ここに来て、新たなライダーとは」 もう一つ現れる、影。 黒いマントに身を包んだ、老人。 だが、老人と侮る事は出来ない。 この老人もまた、他の三人に負けず劣らずの強者であると――京太郎の第六感が警告するのだ。 いよいよ以って、ここに来て、京太郎の運命は決定された。 そして、決断する。 「……小蒔さん」 「何、でしょうか」 ――逃げてください。 呟くや否や、京太郎の中の竜が目覚める。 放たれる光線、魔弾をものともせず――絶対零度の怒気と共に。 オーズ・プトティラコンボが。 窮迫の危難に対し、その咢を大きく広げ、咆哮を上げた。 「……面白いのだ」 「……ほう」 「……なるほど」 対するは三体(観察者も含めれば四体)の怪人。 滅びに向かう太陽を思わせる亡霊――アポロガイスト。 光線銃の銃口を露わにした甲殻類――カニレーザー。 死を連想させる白色の悪魔――イカデビル。 どれもが、これまで京太郎が戦ってきた最強の敵に匹敵――或いは凌駕する存在。 それに対して、立ち向かうのは己一人。 絶体絶命の危機。神代小蒔を逃げ切らせるかどうかも、危うい。 しかしそれでも――マスクの下で、京太郎は口角を吊り上げる。 「来いよ。俺が相手をしてやる……!」 展開した冷気と、プトティラの翼が迫り来る弾丸を撃ち止める。 覚悟とは犠牲の心ではないと言うが――ここで京太郎が持ったのは、己の命を使い切るという事。 事情は不明であるが、相手はライダーに対して敵対するもの。 そして目的としては、デンライナーに何かしらの関心を抱いているという事。 己が死ぬ事は嫌だと厭いつつ、同時に、どこまでも冷静に――己の命に対しても冷酷に――京太郎は計算する。 時をかける列車、デンライナー。 それが敵の手に、悪の手に堕ちる事は何よりも脅威となる。 京太郎の命とやかくの問題ではなく、全ての時間、全ての人間への不利益となる。 護りたいと願う、近しい人々の命さえ、その歴史さえ奪われる事になるのだ。 (そん、な……事ッ! 絶対に、許せねえ……!) 己がこの世界を守ったのではない。 己は世界を守ると言う大望など抱けてはいない。小さな、目に付く範囲の事しかできない。 だがこの世界は、宮永咲が――自分の幼馴染が、あの、小さな背中を晒して守った世界なのだ。 それを壊させる事は、許容などできない。 故に、己の身を銃火に晒しながら、京太郎は小蒔の離脱を願った。 首を振り、京太郎に加勢しようとする小蒔だったが――それも、アンクとカザリに押し止められる。 すまない。 そう思う京太郎の背中に、二人のグリードから声がかかる。 「僕のメダル、ちゃんと拾っておいてよね」 「ここで降りるなんて、言えると思ってないよなァ?」 振りかえれない。それほど、火線は苛烈だ。 そして、生き残れるとも――これまでの戦い以上に――思えない。 だから二人に、頷き返す事など出来なかった。 それを答えとして取ったのか、あるいはそもそも京太郎の返答を期待していなかったのか。 それきりグリードは小蒔を連れて、デンライナーへと乗り込んだ。 主たちの帰還に、デンライナーがレールを発現させる。 動きを止めようと、アポロマグナムの銃口がデンライナーへと向かうが……。 「させッ、る、かよ……!」 身を焼く赤熱を、冷気で急速冷凍。 無理やりに己の躰のダメージを誤魔化した京太郎が、割り込んだ。 そのまま殴りつけ、同じく砲火を交えようとしたカニレーザー目掛けて、殴り飛ばす。 先ほどまでとは比べ物にならぬ圧力に、流石のアポロガイストも、その防壁ごと吹き飛ばされる事を余儀なくされた。 そのまま、顕在したティラノサウルスの尾撃を以って、行動を封殺。 反動を加えて、上空へと飛翔。 握りしめた拳で追撃。更に、二体の怪人の肉体へと打撃を叩き込む。 空中からの急襲に対抗しえぬのか、踏鞴を踏み火花を散らすカニレーザーとアポロガイスト。 もう一体が行動を起こす前に――と、京太郎はオースキャナーをベルトにスライドさせる。 《SCANNING CHARGE》。 ベルトが吼えた。 全身に冷気を纏ったオーズが、二体の怪人を爆殺せんと攻撃を繰り出し―― 「……!?」 音速。 それ以上の速度で迫る何かを背に受け、墜落を余儀なくされた。 何が起きたかと、理解するよりも早く。 次々と打ちつけられる、熱を帯びた“何か”。 衝撃で体を揺さぶられつつ、その攻撃の正体を睨んだ。 岩――赤黒く燃え盛る岩が、遥かなる上空より、京太郎目掛けて飛来しているのだ。 隕石。 そう考えるころには、遅い。 イカデビルが引き寄せる無数の隕石が、オーズの装甲を、強かに打ちのめしていた。 京太郎は知る由もないが……。 死神博士の怪人態、イカデビルにはとある能力――機能があった。 頭部に設置された誘導装置により、隕石を引き寄せるのである。 隕石。 その速度は実に、音速の50倍近くに達する。 如何に京太郎――オーズ、プトティラコンボが超音速で飛行できるとしても、 その速度差は、明白であった。 「……が、ァ」 大気圏外から飛来する隕石。 地表と大気圏との距離の分、速度で劣るとて、オーズにも回避は可能だ。 尤もそこには、万全の状態ならばという注釈が付きまとう。 不意の一撃により、体勢を崩された京太郎。 そこへと降り注ぎ続ける、隕石。まるで釣瓶打ちだ。 己の身に起きた現状の把握までに少なくないダメージを負い、 そして、把握したときにはすでに遅い。逃げ切れるだけの体力など、残っていなかった。 体の各部から、煙を上げて膝を突く京太郎。 見上げた先には、三体の怪人。どれもが幹部クラス――最強の敵。 周囲を、隕石が作り出した爆熱が覆っている。 陽炎の向こうの、敵。あまりにも遠い。 「ふん、余計な真似を……礼など、言わぬのだ」 オーズの急襲による危機を脱したアポロガイストの声色に、感謝の響きはない。 それを受ける死神博士=イカデビルも同じだ。 別段、礼を言われぬことへの不満などはない。 助け合う仲間、などという認識は、悪の組織――それも複数の組織が合一した――には存在していないのだから。 そしてカニレーザーも我関せず。静かに斧を、構えた。 殺される――。 己に迫る、濃密な死の気配を京太郎は認識する。 だが、絶望などはしない。 むしろある意味、感謝していた。 この恐ろしい隕石の攻撃が――自分ではなく、デンライナーへと向かわずに済んで、よかったと。 口腔から血を漏らしながら、京太郎は静かに笑った。 自分が死ぬ。きっとすぐにでも死ぬと、彼は理解した。 恐怖は、漠然と薄れていながら強かった。 それは死そのものに対するものというより、死が齎す/奪うものへの恐怖であるが。 神代小蒔――きっと気に病んでしまうだろう。 江口セーラ――悪いけど、先に逝きます。 大星淡――ごめんな。約束、守れそうにない。 新子憧――悪い。戦い、手伝えそうにない。 白水哩と鶴田姫子――この先まで、相乗りできずにすみません。 染谷まこ――先輩を残していく後輩です。ごめんなさい。 片岡優希――部活メンバー、また少なくなっちまうな。 カザリとアンク――約束、破っちまった。 死ぬのは嫌だ。 まだやりたいこともある。約束だってある。 誓いだってあった。咲が守った世界を――咲が為したこと守っていくという誓いが。 でもそれはもう、不可能だろう。 恐怖に体を震わせることもできない。 指先ひとつ、動かせないのだから。 そして、そんな京太郎目掛けて、斧を手にしたカニレーザーが迫る。 断頭せんと足を踏み出すのだ。 それに殴りかかることもできない。本当に、体がもう、動かないのだから。 (だけど、なぁ――) 瞬間、突風が巻き起こった。 たじろぐ怪人たち。あまりの暴風に、カニレーザーの体が泳ぐ。 一方の京太郎は翼を展開した。 吹き寄る暴風へと乗り、そのまま自分目掛けて迫るカニレーザーへと突撃する。 直後、影が重なった。 体勢を崩したカニレーザーのボディに突き刺さる、黄色の突角。 ワインドスティンガーが、カニレーザーの体を、食い破っていた。 「な、ぁ……」 暴風を予想できず、斧を掲げた瞬間を狙われたカニレーザーと。 暴風を予期し、そしてさらに加速したオーズのどちらが勝つかなどは、明白であった。 ふむ、と死神博士は地面を見やった。 京太郎の前方。そのあたりが、凍結していた。 そして周囲の、隕石が齎した爆熱。 これが今の突風を生み出したのか――と冷静に分析する。 風がなぜ起こるか。それを端的にこの場で再現したのだ。 暖められた空気――つまり体積が増加した空気が、冷やされた空気――体積が減少した空気目掛けて殺到した。 たったそれだけのことだ。 隕石の熱は空気を暖め、そして対照的に、目の前のライダーは空気を冷やした。 指先ひとつ動かせない状態での苦肉の策だったのだろうが、なかなかどうして面白い。 そう、好機の視線を向けると――目の前のライダーは、翼で体勢を立て直しながら、言った。 「どう、した……? まさか、俺が――仮面ライダーが、この程度の怪我で諦めるとでも思ってたのかよ……ッ」 満身創痍。 まさにそんな様子にもかかわらず、男は、構えを取る。 ただの鼬の最後っ屁程度の気力かは知らないが、立ち上がったのだ。 「来い、よ! 相手ェ、してやるぜッ」 自然と頬が吊り上った。同様の気配を感じる。 離れた場所からこちらを見張るジェネラルシャドウも、同様の感傷を抱いたのだろう。 アポロガイストは忌々しそうにしているが、二人は違った。 己の忌々しい敵でありながら、ある種の執着すら抱く好敵手である仮面ライダー。 自分の知っているそれとは負けず劣らず、目の前の男はライダーであると。 メダルの事もある。殺すにも惜しい。 捕まえて、実験室に連れて行こうか――などと思案をしていた。 そのときで、あった。 爆音と聞き紛うばかりの排気音を響かせた、バイクの疾走を認識したのは。 意気高く叫びを上げたものの、実際、京太郎にはもう戦えるだけの体力は残されていない。 限界を迎えつつ――否、既に限界に達していた。 今の彼を支えるのは精神力だけ。 気を抜けば次の瞬間には途切れてもおかしくない、か細い糸。 張りつめきって、無理やり己の身体を引き上がらせる操り糸。 手足は人形が如く硬く、ふらふらと覚束ない。 故に気付かない/気付けない。 己達の戦場目掛けてひた走る二輪の駆動音に。 内臓が裏返るような焦燥感を覚えながら、疲労で崩れそうになる両足を支える。 握力を失なおうとする拳を叱咤。 食い縛った歯の横から漏れる、湿っぽい吐息の感触だけを頼りに、眼前の仇敵を睨めつける。 ひくつく頬が、マスクの下の残忍さを浮き彫りにする。 今の京太郎は餓狼や手負いの獣に等しい。 己が追い詰められている/死に向かっていると自覚しているからこそ――引ん剥いた歯牙を納めない。 絶命への恐怖も、人生への未練も、蓄積した疲労も、鬱積した憤懣も――何もかもが爪牙と変わる。 それでも、ただの獣に身を窶さないのは――。 これまでの戦いを通して形成された、矜持というにはあまりにも惨めで悲しい代物。 それに――ちっぽけな意地に、無意識でしがみ付いているからだ。 立ち上がるのをやめたら、これまで自分を信じてくれた皆を裏切る事になるから。 自分を認めてくれた人に、託してくれた人に、共に歩むと誓った人に、胸を張れなくなるから――。 そうやって、誰かを裏切りたくはないから……。 だから、立った。 勝算などとうになく、ただ立ち上がることしか――倒れないようにすることしかできないにしても。 ほんの小さな一分のためにだけ、踏みとどまる。 近寄った奴と、刺し違えてやる――と。 だが果たしてそれは、結果として正着であった。 倒れぬからこそ、死神博士もアポロガイストも、京太郎を連れて直ぐさまに離脱できなかった。 鬼気迫る京太郎の様子に、踏み込めば、決死の一撃/窮鼠の噛撃が来ると感じたのだ。 互いに、己がその矢面に立つことを厭った。 連立組織――同じ組織内でも決して円満とは呼べぬ悪の組織が組み合わさったそれに於いて、 そんな不穏当な輩の前で、己の窮態を晒したくはないと、考えたのである。 であるが故に、バイク――新たなるライダーの介入は達された。 停車。持ち上げられたヘルメットから零れて波打つ金髪。 鈴を鳴らすような声が、響いた。 「時間稼ぎお疲れ様でーす♪」 追い込まれ逼迫した京太郎であっても、その声は――その声の主は認識できた。 やはりというか気持ちと、まさかという気持ちが綯い混ぜになる感覚。 安堵と共に、膝が笑いそうになるのを堪える。 果たして振り返ると――そこにいたのは。 京太郎のよく知る、金髪の少女。 大星淡が、そこにいた。 (おい、おい……。タイミング良すぎだろ……! 俺が女だったら、惚れてるぞバカ野郎……ッ) 後で何か奢ってやろう――などと、今しがた自分が置かれた危難を忘れ、小躍りしそうになる心を諫める。 彼女が来たおかげで、この、死しかあり得ない状況も打開できそうだ。 そう、努めて冷静に現状打破を考える京太郎を前に、 大星淡は、直方体の箱を取り出し――タップした。 ――《ETERNAL》! 地球の囁きが“永遠”を告げる。 大星淡の肉体が、白一色に染め上げられた。 現れる、永劫の虚空――宇宙を顕す漆黒のマント。 赤より尚熱く全てを苛む青の炎。 そして、無限を象る黄色の複眼。 永遠を司るエターナルメモリ。 その顕在、仮面ライダーエターナルが、そこにいた。 「時間稼ぎとは……何様のつもりなのだ!」 「そのライダー、殺すには惜しいものだが……」 忌々しげに漏らすアポロガイスト。 伺うように言いつつもその実、引くつもりはないと言う雰囲気を隠さないイカデビル。 そんな両者を見やり――大星淡は小さく溜め息を漏らして、それから笑った。 知ったことではない。 いや、むしろ機会があるのならば、命を奪ってやるとでも告げるべき態度。 それに、京太郎は違和感を覚えた。瞬間的に脳裏を過る数々のロジック。 だが――遅い。 その感覚が身体へとフィードバックされるよりも先に。 オーズの背中に、片刃のナイフが突き立った。 肩甲骨の間、肋骨をすり抜けて――肺へと、侵入。 片肺の空気が漏れ出し、入れ替わりに、突き破られた静脈血が肺へと流れ込む。 だが更に、息吐く間も地上で溺れる間も与えず――ナイフが吼えた。 ――《HEAT》! 《MAXIMUM DRIVE》! 京太郎の肺臓へと雪崩れ込む超高温の灼熱。 肺胞を焼き付くし、更には遡り気道を、胸腔を、頭部を熱滅せしめんと翻る焔。 絶命の一撃。 攻撃の後、可及的速やかに敵対対象の生命を停止させるべく放たれた必殺である――。 「――か、ァ、ッあ」 「あれ?」 だがそれより先、京太郎は抱いた悪寒を頼りに、己の内臓を凍却していた。 ただの直感であるが馬鹿にできない。 現に――直接熱射を受けた左肺はともかく――一命をとりとめることに、成功したのだから。 熱気と冷気の相殺により生まれた結露に溺れそうになりつつ、展開したTレックスの尾撃を見舞う。 だがしかし、マントをはためかせ跳び退くエターナルには、通じない。 勢いのまま一回転。エターナルに向かい合う。 (痛ッ、熱ッ、苦ッ――!? ガ、ぁ……糞っ! 今ッ、アイツ……! 何、を……やりやがっ――) 貫かれた肺が、こひゅうと鳴った。 膨らむ片肺は慮外の穴からも空気を吸い寄せ、 しかし肺胞が焼かれてしまったために、いくら取り込もうが酸素が肉体に回る事はない。 口から黒煙が漏れるような錯覚。片側のエンジンを完全損壊。 しかしそれでも目線強く――いや、先ほどよりも強い力で睨む。 (ッた――じゃ、ねえッ! なんだ、“何があった”!? 淡がエターナルなのはともかくとして、なんでこっちを狙ってくる……!?) 己が受けた攻撃の内容もさることながら、“何故己が攻撃されたか”……。 いや、正確には――大星淡が須賀京太郎を攻撃するに至った経緯、 彼女の身に如何なる事態が降りかかってこんな状況になってしまったのか――が、 何よりも強い疑問として、頭を支配する。 明らかなる異常事態だ。 自惚れが過ぎるかも知れないが、大星淡が須賀京太郎を攻撃する事態など、億に一つもありえないと断ぜられる。 つまりは……。 (偽物? 記憶障害? 洗脳? 別になんか事情がある?) 偽物――メリット不明。そもそも目の前の怪人たちと京太郎に面識はない。 記憶障害――可能性はあるが、デネブはどうしたのか。二人同時に記憶障害とは考え難い。 洗脳――一番あり得る。やった奴は潰す。 何か事情がある――にしては、先ほどの攻撃に殺意がありすぎる。 結局、状況は不明だ。 ただ、淡がこの身体にナイフを突き立てた。殺そうとしてきた。 それは事実だ。痛みが疼く片肺のように、紛れもなく現実。 その、焼かれて尽きた肺腑の痛みより尚強く、京太郎の胸を突く痛み。 ――淡に攻撃された。 自分が、淡に攻撃されたのである。 どんな事情かは知らないが、淡から一撃を受けた。 満身創痍。状況は最悪。気力、体力共に限界だが……。 (ふざけ、やがって……!) 心はかつてないほどの熱量で、燃え上がりを見せた。 自分の負った痛みを、刃に変えて立ち上がる。 八つ当たりと言われるかもしれない。 だが、怒りを向ける先は目の前の敵しかいないのだ。 淡が狂った――そうとしか思えない。 その原因には、およそ十中八九、怪人が絡んでいるはず。 然るに、この場で須賀京太郎がとるべき行動はたった一つ。実にシンプルな事だ。 「かは――は、は、ハハハハ」 「なにこいつ?」 「……」 「降参するなら、早くするのだ」 突如、濁った笑声を上げた京太郎へと向けられる怪訝そうな瞳。 それを受けても、京太郎は笑い続けた。 笑えば笑うほど、高まる殺意。 こんな現実など認めない。 暴いてやる。暴ききってやる。 一切合切何もかもを砕き尽くし、全てを粉々に変えてやる。 有象無象の区別なく灼熱へと追いやらんとする氷点下の殺意を湛えて、プトティラは翼を広げる。 あまりの殺気に、二体の怪人と一人の少女は瞠目した。 先ほどまでの、追い詰められて戸惑って牙を盾にしていた姿はそこにはない。 眼前にいるのは――人間大の恐ろしき竜である。 「カ、はッ……! つまりはテメエらをブチのめして――。 そんで、止めェ刺す前に……話、聞けばいいんだよなぁ……ッ!」 今にも崩れ落ちそうな身体から発せられるとは信じられないほどの圧力。 やるといったらやる――。 その凄味が、そこにはあった。漆黒の焔が灯る二つの瞳が、あった。 翼の巻き起こす暴風に加算される冷気。 一般的に、体感温度というのは――。 空気の温度が体温よりも上ならば、風速分が気温に上乗せされ、 体温を下回るならば、風の速度と同じだけマイナスされる。 たった今、プトティラが発した猛る風は、絶対零度を超える低温を感じさせる。 立ち塞がろうとした戦闘員が次々と凍り付き絶命。 おのが熱を以て耐えるアポロガイストと、クロスさせた腕で堪えるイカデビル。 どちらが容易いか。 瞬間的に吟味。 同時に、イカデビル目掛けて戦闘員の死体を吹き飛ばし、怯ませる。 掲げたメダガブリュー。 四肢を両断し、五体を引き千切ろうと疾走。 しかし、それも阻まれた。 「――ッ! 淡、邪魔を……する、なよッ」 すべからく外敵を防ぎきるエターナルローブ。 プトティラが撃ち放った冷気も全て遮断。 極黒の外套をはためかせて舞い降りるエターナルに、京太郎の攻めては中断を余儀なくされた。 奔走するナイフを、戦斧で辛くも受けのびる。 やはり――。 やはり、目の前のエターナルは……その実力は……。 須賀京太郎のよく知る、大星淡であった。 変身対象の差、獲物の差こそあれ――その動きが、息遣いか、淡なのだ。 故に、尚更信じられない。 今、こうして淡と真贋なく刃を交えねばならないという事実が。 彼女に殺されかけているという現実が。 何もかもが、悪夢的であった。 (なんッ、で……だ、よッ! どうしてお前と――) ――《UNICORN》! 《MAXIMUM DRIVE》! そして起こる死刑宣告。 気流を纏った蒼青の腕。打ち込まれようとする拳。 しかし、勝負を急ぐその分、エターナルにも少なくない隙が生まれる。 相手は徒手。 リーチの差がある。レンジが異なる。武装が違う。 カウンターは可能だ。 相手が淡だとしても、ここで黙って負ける理由はない。 いや、むしろここで敗れてしまったのなら状況は最悪と化す。 経緯は不明だが、正気を失っているとしか思えない。 彼女の事情を知り、快方するためにも……須賀京太郎は敗北してはならない。 故にここは、攻撃をいなし淡を行動不能にさせる。 それこそが、京太郎のやるべき行動。進むべき正しきなのだ。 そんな思いで、柄を砕けんばかりに握り締め――。 (無、理……に……。決まって、ン、だろッ!) 吸い込まれるかの如く、胸部を抉るエターナルの拳。 変身を解除された京太郎。転がるオーズドライバー。 淡に手を伸ばす。 しかし、ドライバーを手にした彼女には背を向けられるだけ。 虚空を切った手が、虚しく砂利を掴んだ。 誰の手を掴むことも出来ず 、京太郎はここで潰える。 正に絶体絶命。 ここが運命の終着点であると告げるような、砂の感覚。 唇から滲んだ血が、戦闘で砕けたアスファルトの砂利を打った。 反撃のための武装もない。気構えもない。 どちらも、淡に奪われてしまったのだ。 「さて……この男を、どうするのだ?」 「……好きにしたらいいじゃん」 「ならばこの身体、我らがショッカーの素体として預かろう」 遠ざかる音界。白澄む視界。 これ以上どうにもならない。そんなところまで、来ていた。 怪人――イカデビルの指揮の下、押し寄せる戦闘員。 両脇から抱え上げられる。 抵抗を試みるが、不可能だ。 それは京太郎が万全だったとて、変わらないであろう。 戦闘員の持つ力は、常人の三倍から五倍にあたる。 握力にすれば、およそ二〇〇キロオーバー。 如何に京太郎がオーズの変身者とて、正面からでは勝ち目がない。 そう――正面からでは。 「は……な、せッ!」 「イーッ!?」 小指。掴んで、折った。 五指を相手に勝てないのなら、一指を粉砕すればいい。 実にシンプルな理論だ。 戦闘員の身体が跳ねる。同時に失われる握力。 握るという行為に於いて、小指が締める役割のウェイトは高い。 切り落とされたのなら、武術など困難というほどに――事実それを罰として扱う事例が厳然と存在する――。 痛みに怯む戦闘員の腕を掴み、小手を極めて捻る。 腱を苛む苦痛に身体が派手に跳ねるのを見逃さず、体を崩して転がした。 あとは、その頸椎目掛けて足を踏み抜くのみ。 ただし。 勿論それは……。 「く、ぁ……!」 身体が動けば、の話だ。 魂だけが先行し、肉体が置き去りにされた感覚。 気勢はあるが、動きは伴わない。 頭部をストンプしようと足を掲げ、同時、逆の膝が曲がる。 結果、巳で戦闘員は踏みつけを回避。勢いそのまま、京太郎はつんのめった。 戦闘の技術という意味では、京太郎は並の武芸者を凌駕している。 弱い故に、臆病であるが故に、相手を害する攻撃に余念がない。 場数も踏んだ。死線をいくつもくぐり抜けた。 その戦闘能力は、ある種野生動物的な鋭さを見せ、躊躇いない獣性と凶暴性が発露する。 しかし、明確に真っ当な武道家との違いが――欠点が存在する。 それはスタミナ。 基本的に一撃必殺の急所攻撃。 相手を制圧し、圧倒し、葬り去る戦法を取ってきた。 一対一、多対一であっても変わらない。必要に応じて研かれた殺人術。 格技と違い、ある技術水準のために肉体を研鑽するのではなく、 今ある京太郎の肉体から最適で繰り出されるための殺法。 故に、戦闘続行能力は――同等の技術を持つ戦闘者に比べて、低い。 そして、体力が尽きたのなら、如何なる技術も意味をなさない。 弾薬のない小銃は鉄の棒切れでしかなく、燃料のない戦車はただの棺桶だ。 同様に京太郎はただの人形同然に、戦闘員に組伏せられた。 組み敷かれる生娘同じく、それは抵抗の体をなさない。 もがいてももがいても拘束は弛まず、ただ体力が浪費されるだけ。 滲み出る汗。虚しく漕がれる足。口から溢れる血泡。 伸ばした手は、誰も掴めない。そう――誰も。 「粗削りだが……なかなか、面白いではないか」 かつての宿敵、仮面ライダーを思い返して笑う死神博士。 生身ながらに怪人と戦った一文字隼人。改造人間となる前から、その在り方は強靭だった。 くつくつと笑い、不機嫌そうなその他二人に目を向ける。 いいのか、と問いかける。 「……別に。私は、知らない」 プイと顔を背ける淡。 だが、その挙動にはどこか動揺が現れていた。 拾い上げられるメダルと、淡の手の内で弄ばれるドライバー。 怪人2体に会釈1つせず、バイクに跨がり走り去る淡。 勝ったのはあちらだと言うのに――その様は、逃げ出すようであった。 一刻も早く。耐えきれないと。 背負った罪に後押しされ、それから逃れるように。 (待、て……よ……!) もう一度、伸ばした手は虚空を掻いた。 何も掴めない。 変身する道具を――戦う力を失った自分を、思い知らされるかの如く。 そのまま――須賀京太郎の意識は暗転した。