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花咲ランと格闘H 地下格闘場、そこではLBXの強化パーツを賞品とした格闘大会が開催されていた。 素手で戦うという以外には反則や禁止行為は定められておらず、相手が降参するか、または意識を失うなどして試合続行不可能とみなされたに勝敗判定が下される。 自分なら勝てると思った花咲ランはその大会の出場者として出場し、優勝賞品のために勝利を目指していた。花咲流真空空手を身に付け、シブヤタウン武道大会で勝ち残った実力なら正気は充分にあった。 勝負はリングの中で行われる。プロレスやボクシングを彷彿させるリングの中で出場者はぶつかり合い、周囲を囲む観客が歓声をあげる。 「ハァ!」 一回戦、空手着をまとったランは飛び蹴りで屈強な男を蹴り飛ばす。男は鉄柵で囲まれていたリングの壁に打ち付けられ、ぐったりとして意識を失う。 「勝者! 花咲ラン!」 審判の判定によりランの勝利が確定した。 「うおぉおおお!」 周囲を囲んでいた観客は歓声をあげる。 勢いに乗って二回戦も三回戦も勝ち進み、瞬く間に決勝戦へ進んでいく。 「楽勝、楽勝っ」 順調な勝利にランは微笑み、天井から吊り下げられたトーナメント表を見た。電子パネルであるそれにはランの顔と名前が表示され、同時に決勝の対戦相手も映し出されていた。ランと決勝相手の画像が半々で、中央に「VS」と文字が入れられている。 この大会で少女が勝ち進むなど前例のないことである。確かに賞品に目をつけ出場した女格闘家も過去にはいたが、そのほとんどは男の腕力の前に敗れ去っていた。それだけ生物学的な差は大きいもので、ここでは女が一回戦を勝ち抜くだけでも珍しい。 ところが、今は一人の少女が準決勝へ進出だ。 異例の事態に観客も興奮し、決勝相手である男も闘志が湧き立っている。 やがて二人はリングで対峙し、試合開始の宣言を待つばかりとなる。 決勝相手は長髪の優男であった。これまで図体のでかい筋肉隆々の男ばかりが出てきた中では、これほどほっそりしたスタイルの男は珍しい。ランが注目されるのは当然だが、彼もまた細身の体格で勝ちあがった観客の期待の的である。 観客にとっては強敵同士のぶつかり合い。戦いを前にした独特の緊張を覚えているのは二人だけではなく、ラン達を見守る一人一人までがごくりと行きを飲んでいた。 そして、ゴングが鳴り響く。 「試合開始ィイイ!」 審判の開始宣言と同時に二人は動く。 「おりゃあああ!」 先手必勝、ランは正面から拳を繰り出す。目にも止まらぬ動きだ。常人ならば反応する暇も無く一瞬で倒され、意識を失っていてもおかしくはない。 しかし、長髪は難なくそれを回避した。まるで紙が風にでも煽られるようなひらりとした動きで体躯を捻り、ランの拳は空振りに終わる。 さらに―― もみっ 長髪の手はランの胸を揉んでいた。回避するばかりかそのまま背後に回りこみ、後ろから抱きつき、空手着の内側に手を差し込んでいたのだ。小ぶりで可愛らしい胸なので、ブラジャーは付いていない。長髪は生乳のわずかな膨らみを弄び、乳首を指で虐めていた。 「ち、痴漢! 変態!」 ランは後ろに肘打ちを放つが、かわされた。それどころか避けるついでに空手着を肌蹴させられ、十三歳の未熟なボディが綺麗にむき出しにされてしまう。 「おおお! 最高だ!」 「期待できる体してるじゃあないか!」 観客はランの幼い肉体に沸き立ち歓声をあげた。 「いやぁ!」 ランは即座に両腕で胸を覆い隠し、その場にしゃがみ込んでしまう。乳を揉まれた上に自分の上半身を衆目に晒され、一瞬にして羞恥は最高潮に達していた。耳まで真っ赤になりながら空手着を直し、構えなおす。 「この変態……。あんた絶対に許さない!」 ランは涙目で赤面しながら長髪に喚く。 「じゃあかかって来いよ」 長髪はニヤついた顔でランを煽った。 ランは怒りをぶつけるように飛び掛り、正面からの突きを繰り出す。またもひらりと回避され、そのついでにお尻を撫でられた。 「――! この!」 また触られた。ランの背後へ回った長髪は軽やかに手を伸ばし、さも華麗さを演じるようにお尻を撫で上げ、腕を振り上げた腕でフィニッシュポーズを決めたのだ。 そんな彼を回し蹴りで彼を鎮めようとするが、今度はしゃがむようにしてよける。長髪はランの足をくぐって後ろへ回り、同じようにお尻を撫で上げる。 「変態変態変態! 絶対ぶっ飛ばす!」 ランは激しい攻撃を連続する。拳撃と多彩な蹴りとの組み合わせで攻め続けるが、そのことごとくが避けられ、そしてそのたびにランはお尻を撫でられた。 いくら攻めても攻撃は当たらず、痴漢行為を繰り返される。強かったはずの少女がいいようの弄ばれている姿に観客は興奮し、やがて長髪の応援が広まっていく。最初こそランの勝利に賭けていた客達もいたが、もはやそれはランへの辱めへの期待に摩り替わり、純粋にランを応援する声は一つもなくなってしまっていた。 「みんなも期待していることだし、そろそろストリップタイムと行こうか」 長髪は攻撃の連続をくぐり抜けるすれ違い様に帯を狙った。一瞬の動きで結び目を器用に解き帯びを引き抜き、リング場外へ投げ捨てた。 ランの空手着からはらりと前がはだける。 「こ、こんな……! 卑怯者!」 胸を見られまいとランは自分の体をガードした。 「どうする? ランちゃん。そうやって隠しながら闘っていたら不利になるぜ? 攻撃はしずらいし、避ける時もバランスが悪くなる」 「最低っ! こんなのルール違反よ!」 「ルール違反? 素手で戦うって以外にルールがないのがこの大会だぞ? 素手であるならどんな技や格闘技術を使っても構わない。自分に有利になると思うなら、相手の服を剥いでもかまわないんだよ」 「だからってこんなの!」 「文句があるなら、俺に勝ってから言うんだな」 長髪はいやらしく引き攣った笑みを浮かべ、じりじりと一歩ずつランへ迫っていく。ランは冷や汗を垂らしながら後ずさりした。 腕で押さえていなければ、空手着の中身は確実に見えてしまう。しかし、丈のヒラヒラするこの状態では動きの邪魔にもなる。いっそのこと脱いでしまった方が逆に動きやすいが、乙女にできるような決断ではない。ランは胸元でクロスした腕をきつく固めた。 長髪が接近してくる。 ランはさらに一歩後ずさる。 そして……。 「やぁああー!!!」 ランは足技を使った。放たれた上段回し蹴りを長髪は背中を反らすようにしてかわすが、二発目の蹴りがくる。回し蹴りの勢いでそのまま身体を回転させ、もう片方の足を振り上げかかと落としを繰り出したのだ。 背中を逸らした姿勢では回避できない。 決まるのは確実に思われたが――。 ――まるで真剣白羽鳥でもするように、長髪は両手でランのかかと落としを受け止めた。背中を反らしたどう考えても動きの取りにくい姿勢から、かかと落としを受け止めてもなおも踏ん張り、反らした身体の角度を落とさない。 長髪は掴んだランの脚を抱え込み、自分の身体をうつ伏せ向きに捻る。ランを地面へ引き倒し、器用に寝技に持ち込んだ。 「は、離せぇ!」 ランはもがくが、長髪はその肉体をがっしり捉えて離さない。両足で胴体を挟み込み、首に腕を回してランを仰向けに取り押さえた。 「さーて、色々楽しませてもらおうか」 長髪ははだけた胴着に手を忍ばせ、未熟な乳房を揉みしだく。 「変態ぃ……やめて……!」 「おらおら、こっちはどうだ?」 魔の手が股の大事な部分へ伸びる。 「そ、そこは!」 「ほーら、じっくり弄ってやるよ」 ねちっこい指つきがランのアソコをいやらしくマッサージし、ランは怖気を覚えて一層激しくもがく。しかし、どう身をよじっても長髪の寝固めからは脱出できない。 「ちょっと、変な場所触らないで!」 「まあそう言うなよ。観衆の前でたっぷり気持ちよくしてやる」 長髪はランの首筋に吸いつき、その皮膚にいくつもの跡を残す。 「はなせぇ……!」 なおもランはもがき続けるが、長髪のがっしりとしたロックは一切の抵抗を封じ込める。足を暴れさせれば、長髪もまた足を絡め、腕を使えば押さえ込まれる。身をよじっても体重をかけられて、ランには何もなす術がなかった。 「ほうら、みんなにも見てもらおうぜ?」 長髪は姿勢を変え、ランを抱き起こした。両腕を後ろに封じながら足を絡ませ、強制的な開脚からランは足を閉じられない。 「こんなことして、恥ずかしくないの?」 「はっ、恥ずかしいのはお前だよ」 そして、長髪は胴着を脱がした。 「きゃぁあ!」 ついに上半身を剥き出しにされ、――うぉおおおお! と歓声が響く。 ランは小ぶりな胸を隠そうともがきにもがくが、両腕が後ろの状態でボディをがっしりロックされている。隠したくとも隠すことが出来ない状況に、ランは涙ぐむしかなかった。 「ここからがショーの本番だ。みんなに恥辱の姿を見てもらうんだ」 「いや! やめて!」 長髪はランの胸を揉みしだき、指先で乳首を摘む。球を転がすようにじっくりと攻め込んで、右手を胴着のズボンへ忍ばせる。その中のパンツの内側に手を差し込み、恥丘を存分に愛撫した。 「ここはどうだ? ん?」 「こんなの絶対許さない!」 「許さない? ははっ、だがこんなに濡れてるじゃねーか!」 溢れ出した愛液を指に絡ませ、長髪はわざとらしく見せ付ける。 ランは赤くなって顔を背けた。 「そんなの見せないで……」 「くく、大勢に見られて感じてるんだろ? 気持ちいいんだろ?」 耳に舌を這わされて、ランはびくっと身を縮める。 「くっ、気持ちいいわけ――」 「さあて、ズボンも脱いじまおうか」 ランは仰向けに押し倒され、そして一瞬のうちにズボンの紐をほどかれ、腰からずるりと引き降ろされる。 「いや! やめ――」 抵抗しても、もう遅い。 ランが手でズボンを押さえようとするよりも早く、長髪はそれを脱がしきった。 パンツ一枚。 胴着は半脱ぎで乳房を露出しきった状態。 そこからさらに、パンツさえも奪われて――。 ランの恥ずかしい部分は全て外気に晒され、その痴態に観客の興奮は高まっていく。長髪はその幼い乙女の園を指でじっくりと攻め上げて、割れ目のラインをなぞっていった。 「どうだ? 気分は」 「こんなことして、タダじゃ済まないから!」 「タダじゃ済まないのは君の方だと思うね」 「んんっ!」 長髪は乱暴なキスでランの唇を塞ぎ、舌先を侵入させてランの口内を犯し尽くした。歯茎をなぞり、歯の裏側をなぞり、そしてランの舌べらを自分の舌に絡め取り、互いの唾液を絡ませ合う。二人の口のあいだにはねっとりとした糸が引いていた。 こんな形でファーストキスを失うなんて、散々嬲られた挙句に泣きたくなる。 「どうだい?」 「どうだいじゃないわよ! 初めてだったのに……」 「そいつはいいものをもらった。お礼に俺からのプレゼントだ」 そして長髪は自分のズボンの紐を解く。取り出したのはでかでかと膨れ上がった硬い肉棒であった。 「ま、まさか……」 亀頭が入り口にあてがわれる。 「ああ、突っ込んでやるよ」 長髪は一気に腰を沈め、ランの破瓜を貫いた。 「そ、そんな! 駄目ぇ!」 「そう言うなって」 懇願し、抵抗するランの両腕を押さえつけ、長髪な無慈悲に腰を振る。ピストンの接合部からは初体験の血がほのかに流れていた。 「おおっ! ランちゃんのヤられ姿!」 沸きあがった観衆はそれぞれの携帯やスマートフォンをリングへ向け、あらぬ姿を撮影し始める。中にはきちんとカメラを持っている者もいた。 「抜いて! 抜いて!」 ランの声は届かない。 「ほらほら、出すぜ?」 「だ、駄目! やめてぇぇえ!」 ドピュ! 決勝戦、敗北したランは裸のまま力尽きる。 恥丘の狭間からは出された精液をこぼしていた。
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窓から差し込む光で目が覚めると、私はベッドの上に居た。 あまり掃除がされていないのか部屋の至る所に埃が溜まっていた。 私はそれが不衛生極まりなく感じて、反射的に両手で口元を押さえた。 その時、何かが身体の上からずれ落ちて私の視界に入ってきた。 「――――!?」 それを見た瞬間、私の身体を芯から激しく戦慄かせる昏い【くらい】激動が湧き上がってきた。 その正体が何なのかはよく分からなかった。ただ、途轍【とてつ】もなくそれが怖くて私は叫んだ。 「イヤあああああアアああああぁぁぁああぁあああアァァァぁぁぁぁああああア!!?!」 「なんだ!?なんだ!?どうしたってんだ!?」 私の叫び声を聞いたこの部屋の主と思われる人物が、慌てた様子で扉を開けて入ってきた。 その人物は頭を押さえて叫び続ける私へと手を差し伸べてきた。 「イヤッ!いやぁぁ!!来ないで!助けてっ!うわあああ!!」 「うわっ!イテぇっ!お、落ち着け!なんもしねぇって!」 私はその人物の手を思い切り払い除けた。 その人物から、私を根底から揺るがす激動と同じ臭いを感じたからだった。 兎に角、この恐怖から解放されたい。その一心で、私は暴れていた。 そんな私をその人物は何回も押さえつけようとしてきた。 身体の彼方此方を蹴られ、殴られ、引掻かれ、それでも『落ち着け』と連呼しながら私を押さえようとしてきた。 「離して!怖い!うあああぁぁー・・・あっ!?」 「ダイジョブだ!怖くねぇ!俺は・・・なんもしねぇ!」 私は突然、その人物に強く抱きしめられた。 あの激臭が私の身体を包み込み、私の全てを激しく震わせた。 私は両手でその人物の背中に何度も爪を立てた。 「うわああああぁぁ!!離して!!やあぁああ!!」 「もう、怖くねぇ!なんも、怖いもんなんかねぇ!」 「――あっ?」 耳元でその人物が私に言い聞かせるように声を掛けた時、私は初めてその人物が私より年上の若い男性であることを知った。 彼の蒼い瞳に紅い瞳の私が映りこんだ。 その途端、今まで彼に纏わり【まとわり】ついていたあの激臭が感じられなくなり、同時に全身を震撼させたあの激動も少しずつその存在感を薄めていった。 「なっ?もう怖く・・・ねぇだろ?」 「あ・・・ああ・・・うぁ・・・・・・ぁ・・・・・・。」 彼の体温がじんわりと伝わってきて、私の身体を包み込んだ。 それは少し熱かったけど、とても心地良くて、私は全身の力がゆっくりと抜けていくのを感じていた。 「落ち着いたか・・・。少し、寝た方がいい。安心しな、俺が傍に居てやるからよ。」 「・・・・・・・・・うん・・・。」 ・・・実を言うと、私はこの辺りのことはよく覚えていない。 殆ど全てが後で彼から伝え聞いたことだ。兎に角、それが私とあの人、”師”との出会いだった。 ~~~~ 私が再び目を覚ました時、彼は隣でベッドに項垂れて眠っていた。 私は頭が少し重いのを我慢してゆっくり上半身を起こした時だった。 「きゃあっ!?」 「Zzz・・・うおっ!?なんだ!?今度はなんだ!?」 私は彼の手をずっと握っていたことに気付いて、思わずその手を払い除けて叫んでしまった。 何故そうしてしまったのかははっきりと覚えていない。 多分、当時の私は化物人間ではない、ただの人間だったからだと思う。 「あっ!・・・ごめんなさい。」 「いや、別に謝らんでもいいぜ。気にしてねぇからよ。」 彼は笑顔で私に答えた。 その笑顔が私には何だか眩しくて、私は思わず視線を逸らしてしまった。 それから、彼は軽く自己紹介をしてくれた。 彼は各地を転々としてギルドや教会の依頼をこなす流れ者のファイターで、此処は現在の活動拠点だと教えてくれた。 「それで、俺は仕事を終わらせてあの集落で一休みしていた時に巻き込まれたってワケだ。」 「・・・あの集落?」 「ん?ほらっ、アンタを助けたあの・・・。」 「えっ?・・・私を・・・・・・助けた・・・・・・?・・・・・・其処で?」 彼は話にでてきた集落について、アレコレと説明を加えてくれるが何故か全く身に覚えがない。 まるで真っ暗な空間に手を突っ込んで中を弄っているかのような感覚だった。 「・・・アンタ、名前は?何処に住んでたんだ?」 「えっ・・・?」 そういえば、私は何処に住んでたのだろう。 そういえば、私は何て名前なんだろう。 そういえば、私は・・・誰なんだろう? 私は頭の中で自分自身に何度も問いかけたが、答えが返ってくることはなかった。 「名前・・・えっと・・・あ、あれ・・・・わ、私・・・・・・なまえ・・・・・・」 「・・・なるほどな。ま、仕方ねぇっちゃぁ、仕方ねぇか・・・。」 「私の・・・私は・・・・・・うぁ・・・・・・ぁぁ・・・・・・わたしぃ・・・・・・!!」 「うわっ!?もういい!もういいから無理すんな!なっ!?」 気付けば私は頭を抱えて泣いていた。 自分自身のことについて何一つ覚えていないということが、これほど恐ろしくて心細いことだったとは知らなかった。 彼は何か別の話題を振ろうとしてくれたのか、一度部屋を出て白くて長い布を持ってくると私に手渡した。 「・・・・・・これは?」 「それ、昨日アンタの手元に置いといた箱の中にあったヤツさ。」 「そう・・・なの・・・・・・ぅっ・・・。」 「わわっ!?まさか、勝手に開けちまったのマズかったのか!?すまねぇっ!!」 手渡された物を見ていると、再び涙が込み上げてきた。 最初の涙は違う意味を持った涙だったのは分かるが、それがいったいどんな意味を持っていたのかは今でも分からない。 彼は再び泣き出してしまった私に慌てふためいた様子で蒼いアンダーテイルを揺らしながら何度も謝っていた。 涙の理由は少なくとも彼の行ったことのせいではない。 私は彼にそのことを伝えた。 「ひっくっ・・・ち、違うよ・・・そういうワケじゃ、なくて・・・。」 「へっ!?なんだ、違うのかぁ~・・・いやぁ~びっくりしたぜ・・・。あは、あははは・・・・・・。」 「・・・・・・ふふふっ♪」 恥ずかしそうに頭を掻いて乾いた笑い声をあげる彼が何故だかとても面白く見えて、私はつい噴出してしまった。 「おっ、やっと笑った♪」 「えっ?」 彼は私に子供のように無邪気な笑顔を見せた。 「うん、やっぱアンタ、笑った顔が一番、可愛いぜ?」 「~~!?」 異性から可愛いなんて言われたのは、多分この時が初めてだった。 私は何故か恥ずかしくて気付けば頬を真っ赤に染めてまごついてしまっていた。 彼は私のそんな様子を見て高笑いをしていた。 「――――ネール=A=ファリス。」 「・・・えっ?」 突然、笑うのをやめて彼が真剣な顔で私を見つめた。 「って、まぁあの紙箱に描いてあった名前なんだが・・・。」 「『ネール・・・アルマーニ・・・ファリス』・・・。」 恐らく、それは私の名前ではない。 紙箱に態々自分の名前を描くワケがないし、何より私の中で言葉にならない感情が私の名前ではないと叫んでいた。 「とりあえず、本当の名前が思い出せるまでのアンタの名前ってことでいいか?・・・イヤなら、別の名前を考えるが。」 「・・・うん、いいよ。」 私の名前ではない。だが、この名前には私が失った何か大切なものが込められている気がした。 それに、彼が私のために見つけてきてくれた名前だ。無碍【むげ】に断るのは気が引けた。 「いよっし!じゃあ、たった今からアンタの名前はネール=A=ファリスだ!よろしくなっ♪ネス♪」 「えっ?ネ・・・『ネス』・・・?」 「おう、アンタの呼び名だ♪俺はバカだから、フルネーム覚えるの苦手なんだ・・・勘弁な?」 「そう、なんだ・・。」 聞けば彼は知り合いには必ずと言っていいほど別の呼び名を付けているそうだ。 その名付け方も大概はフルネームの最初と最後を捩った【もじった】物で、今にして思えば彼らしい名付け方だった。 「もしかして、知り合った人全員に・・・?」 「おう♪えっと、ハルだろ、アスだろ、ラスだろ、あとは・・・あれ?アイツはロウだったっけ、ロトだったっけ?」 自分が過去に付けた呼び名を思い出そうと難しい顔をして首を傾げる彼を見ていたら、何だかとても安心した。 自分自身のことが何一つ分からなくなって、不安と絶望で凍り付いていた心がゆっくりと溶けていった。 「ふふっ!呼び名付けても忘れてるじゃん!」 「う、うるせぇ~!今日は、その、アレだ!風邪気味だから頭が働かないだけだって!」 「アハハッ♪じゃあ、そういうことにしておくネッ♪」 「だ~か~ら~!そういうことなんだってぇーっ!」 ・・・何も無くなってしまった私の世界に、新しい物をくれたのは彼だった。 今の私は、この時に彼がくれた物から広がった世界に居る。 ~~~~ 彼が名前と呼び名を付けてくれた日から、私は彼の棲家で暮らすことになった。 森の中の開けた所にポツンとあるその家は、昼間でも遠くの方で鳥のさざめき声が聞こえるだけのとても静かな場所だった。 「ふわぁ~・・・おはよ・・・早いんだネ・・・。」 「あっ、わりぃ。起こしちまったか?」 彼の朝は早かった。 夜が明ける頃には起きていて、家の外で只管剣を振っていた。 「ナニ、やってるの?」 「まっ、朝の運動ってトコかな。何せこの身体とコレだけが俺の商売道具だし。」 そう言って彼は自分の剣を自慢げに見せ付けてきた。 この時の私は剣なんて握ったことがなかったし興味もなかった。 「へぇー・・・。」 「むっ、なんだその『興味ない』って顔!コレはな、ただの剣じゃねーんだぜ?」 私の反応が希薄だったことが気に食わなかった彼は、自慢の剣について語り出した。 「コレは、ブレイクオブエクスなんたら・・・、まぁブレイカーって言ってだな。世界で一番硬くて強くて重い剣なんだぜ。」 「そうなんだ・・・。」 「そうなの。コレを片手で振り回せるのは、世界広しと言えど俺ぐらいなもんだぜっ♪」 楽しそうに語る彼に半ば付いていけない物を感じながらも、私は彼の剣を振る姿をずっと見ていた。 剣を振っている時の彼はとても輝いていて、私はその輝きに何時しか惹き込まれていた。 それからというもの、仕事に出た彼の帰りを待つ間、私は暇潰しも兼ねてその辺に落ちている木の枝で彼の練習を真似ていた。 あの輝きに少しでも近づきたい。そう思うようになっていた。 そして数日後、私は思い切って彼と練習したいと申し出ることにした。 「・・・ん?どうした?こんな朝早くに。」 「えっと・・・あのね、私も一緒にやりたいなーって・・・思って。」 「ああ、いいぜ♪その辺から木の枝でも拾ってきな♪」 「えっ!?ホントに!?」 正直、断られると思っていたのであっさりと一緒に練習することを許してくれたことに私は驚きを隠せなかった。 「ホントにいいの!?邪魔じゃない?」 「何言ってんだよ、運動すんのに邪魔も何もねぇって。寧ろ【むしろ】、運動は一緒にやった方が楽しいだろ?」 「よかった!ありがとー!!」 私は小走りで家から飛び出すと、いつも一人で練習する時に使っていた木の枝を引っ張り出した。 「ほほぉー・・・やっぱ、その木の枝はアンタのだったか。」 「えっ?」 「いやなに、薪にはできそうにないのに、最近家の傍にずっと置いてあったからさ。」 一応バレないように置いてあったつもりだったのだが、彼にはバレていたらしい。 私は顔が赤くなっていくのを感じた。 「興味あるんだったら、一言一緒にやろうと言ってくれりゃぁよかったのに。」 「じゃ、じゃあ誘ってくれたってよかったじゃない!」 「あっ、そういやそうだな。いやさ、アンタ興味なさそうだったもんでよ・・・。」 「・・・もう!早くはじめようよ!」 何故、あの時私は怒っていたのかはよく分からない。 彼は私の態度に少し戸惑いながらも剣を構えいつもの練習を始めた。 私は相変わらずの輝きを放つ彼につい見とれてしまったが、気を持ち直して私も木の枝を振り始めた。 「・・・あれっ?アンタ、もしかして剣を握ってたことがあったりなんかした?」 彼は私の練習光景を見るなり、剣を振るのをやめて問いかけてきた。 「えっ?んと・・・多分、ないよ。」 「だよなぁ・・・。どう見てもなさそうだしなぁ・・・。」 彼は急に首を捻って唸り出した。 私は自分が何か仕出かしてしまったのか不安で堪らず、首を捻り続ける彼に恐る恐る問いかけた。 「私、なにか悪いこと・・・した?」 「えっ!?いやいやいや!!アンタ、剣を握ったことないとは思えないぐらい筋がいいんでびっくりしちまっただけだ。」 「ほ、ほんと!?」 「ウソなんか言ってどーすんだよ。アンタの才能は凄い、この俺が保証する!」 嬉しかった。 才能がどうのこうのというよりも前に、彼を笑顔にできたことが嬉しかった。 彼の輝きに少し近付けたことが嬉しかった。 同時に、もっと彼の輝きに近づきたい。そう思うようになった。 それからの私は、より一層練習に打ち込むようになった。 彼が帰ってくるまでずっと木の枝を振り回し続け、彼がその成果をみて笑顔を見せてくれるのを思い描いていた。 そして彼が笑顔を見せてくれる度、私はまた少し彼の輝きに近付けたという達成感と、もっと近づきたいという欲に心が満たされていた。 しかし、この時の私には、この思いの根底に在るものが何なのかは分からなかった。 ただ、彼のことを思い描いていると胸の奥がじんわりと暖かく、ふわふわと浮いているような感じがして、それがとても心地良かった。 日々私の中で彼の輝きに近づきたいという思いが存在感を増していき、彼の仕事について行きたいという思いへ変わるのに時間はあまり掛からなかった。 彼の仕事について行けば、彼が帰ってくるのを待ちわびて独り寂しく木の枝を振り続ける必要がなくなるからだ。 そしてある日、ついに私は彼にそのことを打ち明けた。
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① いつでも動けるように身構える。 お客様がレジに商品を持ってやってきたら準備をしておきましょう。 ② 「いらっしゃいませ」と言って軽く会釈 レジに商品を置く、あるいは明らかに購入の意思の感じられる動作をしたら、挨拶をしましょう。 ③ 「ポイントカードはお持ちですか?」と聞く。 →なければそのまま4へ →あるならカードの種類を確認しましょう。 ※ローソンパスは裏面のバーコードをスキャン ※TSUTAYAカードは画面右下の青い「ツタヤ」ボタンを押してカードリーダーに通す ④ 合計金額を伝える バーコードを読み取り全てスキャンし終えたら合計金額を参照し、 「お会計○点で○○円でございます。」 ※お弁当があったら、温めるかどうか聞く。了承の返事を貰ったらバーコード右上の数字を参照してレンジへ。 待っている間、時間が空いてしまったら 「少々お待ちください。」 と伝える。お箸、フォーク、スプーン等が必要と思われる場合はそれらが必要かも聞き、 袋に入れること。 ⑤ お金を受け取る 両手でお金を貰ったら「○○円お預かりします」 ちょうどの場合は「○○円丁度 頂戴いたします」 ⑥ レジを開き、お釣りまたはレシートを渡す。 金額を入力し、年層ボタンを押してレジを開く。 お釣りを取り出し、「○○円のお返しでございます」といって片手で持ったレシート、その上にもう片手で持った小銭を、差し出されたお客様の手の上に置き、お客さまにお返しする。 ※お札は小銭とは渡さないで先に。 お札はきちんと数える 「先に○千円と・・・○○円とレシートのお返しになります」 ⑦ 商品を渡し、挨拶。 お客様に商品を渡し、「ありがとうございます。またおこしくださいませ」 その他 温めを頼まれたお客様の精算後もお弁当を温めていて、後ろに別のお客様が並んでいる場合は「お次のお客様、どうぞ」といって次のお客様を導きましょう。 お弁当やFFの渡し忘れに注意しましょう。 ■何か意見や質問がありましたらこちらへお願いします。(PCのみ) http //www3.atwiki.jp/mira/contact
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"Leviathan, too Can you catch him with a fish-hook/ or run a line round his tongue?" ――Job 40 25 レジェンド リバイアサンを考えてみよ。お前はあれを釣り針でとらえ、糸でその舌を押さえることができるか? ――ヨブ記 40章25節 "Leviathan, too Can you catch him with a fish-hook/ or run a line round his tongue?" ――Job 40 25 第4版 リバイアサンを考えてみよ。お前はあれを釣り針でとらえ、糸でその舌を押さえることができるか? ――旧約聖書ヨブ記、41章1節 "Leviathan, too Can you catch him with a fish-hook/ or run a line round his tongue?" ――The Bible, Job 41 1 第5版 第6版 【M TG Wiki】 名前
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『ある蒸し暑い日の放課後』 一、 中野梓は放課後の音楽室でうちわをあおいでいた。 「ふぅ、今日も暑いなぁ」 その日は特に気温が高かった。 季節は梅雨であるが、今年は全く涼しくならない。 暑くて湿った空気が気分を害する。 正直、ここにいるだけでも不快感がした。 「暑いと練習する気にもならないよ……」 梓がつぶやいた。 太陽はすでに沈もうとしている。 窓の外を見ると、空の色が夕日に変わろうとしていた。 それでも部屋の中は蒸し暑かった。 「澪先輩もそう思いますよね?」 梓が澪に話しかけた。 子供のようにつぶらな瞳で澪を見つめていた。 まるでクリスマスにサンタを待つ子供のような 顔だった。 現在、部室には梓と澪しかいない。 梓が窓の外から校庭を見下ろすと、下校中の 生徒達の姿があった。 同じように、けいおん部の他のメンバー達は 帰ってしまったようだ。 ではなぜ、梓は音楽室に残っているのか。 理由はただ一つ。 秋山澪と遊ぶことにしたからだ。 今は澪と二人っきりで音楽室にいる。 それだけで梓は高揚し、飛び上がりたいような気分だった。 「……」 一方の澪は黙り込んでいた。 目を閉じて唇を固く結んでいる。 澪は梓と目を合わせないようにしていた。 どういうわけか、表情に嫌悪感が混じっていた。 彼女は梓の問いに答える気はないようだ。 それがわかっても尚、梓は澪が答えてくれ ることを期待して待ち続けた。 それでも澪は返事をしなかった。 「聞いてるんですか?」 再び梓が言った。 なぜ目の前の先輩が沈黙を続けているのか。 梓にはそれが理解できなかった。 澪は顔に眉を寄せ始めた。 どうやら彼女は苛立っているようだ。 梓は大好きな先輩を怒らせないためにはどうすれば いいかを考え、こう言った。 「もしかして……私のこと、嫌い…ですか?」 せつなそうな声だった。 さみしさからか、梓の表情に影がかかっていた。 澪ならきっと答えてくれると信じていたのに、 なぜ答えてくれないのか? 梓の顔はそう言っていた。 澪は整った顔をゆがめながら、ようやく 話し出した。 「あんたなんか、けいおん部に入部させなければよかった」 普段の澪からは想像もつかないような言葉だった。 澪は苛立ち、今すぐ梓を引っぱたいててやりたい のを我慢していた。 否、できないでいた。 「どうしてそんなに怒るんですか? 私、澪先輩のこと大好きなのに……」 梓が哀しそうな声で言った。 手を目元に当て、今にも泣きそうなジェスチャー を加えた。 そのつまらない演技は、ますます澪を苛立たせた。 「あんたなんて大嫌い……!」 澪が目を細めて梓を睨んでいた。 釣り目がちなその目は、凶悪にゆがんでいた。 一方、梓は澪の態度など少しも気にしていない。 にこにこと笑いながら、 椅子に座っている澪の膝の上に座った。 梓が澪の膝の上に乗ることで、両者は正面から 向きあう形になる。 澪の目の前に梓の顔があった。 梓はバランスを取るため、澪の首の 後ろに両手を回してこう言った。 「そんなこと言わないでくださいよ。 私といいことしましょ?」 「どけ」 「嫌ですぅ。澪先輩と一緒に遊ぶんだもん」 「……おまえの顔を見てると吐き気がする。消えろ」 「……へぇ? もっと拘束をきつくしましょうか?」 急に梓の声色が変わった。 澪は驚きながら梓の顔を見ると、そこには 作り物の笑顔はなかった。 例えるなら獲物を駆る狩人の顔。 梓が本性を表したのだ。 「……!!」 澪は全身に鳥肌が立った。 梓を押しのけて逃げたいと思った。 しかし、澪は両手を後ろ手に縛られ、 椅子の背もたれに回されていた。 最初から抵抗は封じられていたのだ。 「殺されたくなかったら、 あまり私を怒らせないでくださいね?」 梓がそう言いいながら、澪の首筋に左手を当てた。 梓の荒くなった吐息が澪の鼻腔を刺激した。 「ひぃ…!」 澪は首を絞められるのではないかと警戒する。 暑苦しい部屋の気温が下がったような気がした。 「髪、とっても綺麗ですね」 梓は澪の髪に触れていた。 絹のようにきめ細かい髪をもてあそんでいた。 一本一本の髪質を確かめるように手で とかしていた。 澪は生きた心地がしなかった。 微かに震える体を何とか押さえていた。 「うふふふ。おびえているんですか?」 梓のさぐるような声。 澪の動揺は見透かされていた。 それが悔しくて、澪は悪態をついた。 「そんなわけないだろ。 おまえをどうやって殺そうか考えていたんだ」 「……へぇ」 梓の『へぇ』は不機嫌な時に発するものだ。 澪にはそれがわかっていた。 同時に、梓の平手打ちが飛んでくることも。 梓の右手が弧を描いて澪に怒りをぶつけた。 澪に避けるすべはない。 「それ以上生意気なことを言うなら、もっと叩きますよ?」 梓が冷静に言った。 澪は叩かれたポーズのまま、顔を横に向けていた。 ぶたれた反動で少し耳鳴りがした。 「先輩は自分の立場がわかっているんですか? 本当はもっと痛めつけてもいいんですよ?」 梓の目は無邪気さと残酷さの混じった色をしていた。 澪は怒りと恐怖で狂ってしまいそうだった。 「でも澪先輩は特別です。私はやさしいですから、 ごめんなさいと一言いえたら許してあげますよ?」 梓が続けた。 それは命令のように拘束力をもった言葉だった。 澪はここで逆らうのは得策でないと判断した。 同時に、梓からの一方的な暴力に屈しようとしている 自分が情けなかった。 「……ごめん……なさい…」 澪がうつむきながら言った。 やっと搾り出したような弱い声だったが、 梓は満足した。 澪の頭を撫でながら言った。 「そうそう。ちゃんと言うことを聞いてれば、 悪いことはしませんからね」 それは猫なで声だった。 しつけのなっていないペットを正したような感じだ。 澪の先輩としての威厳は全くなかった。 ここでは上下関係がまるで通用しないのだ。 澪は梓に見えないように歯ぎしりしていた。 「お礼にキスしてあげますね」 梓が突然そう言った。 「!? やめ……!」 澪は瞬間的に避けようとしたが無駄だった。 至近距離でお互いは向き合っている体勢なのだ。 椅子の上で絡みあうしかなかった。 「……これが……澪先輩のお口……」 梓は唇を強引につけながら、澪の唇を 舐め取っていた。 「ぐ……んぐ……! やめ……てぇ!」 澪は必死で顔を離そうとしたが、梓の 唇から逃れれない。 縄で縛られている両手を暴れさせようとしたが、 わずかに椅子を揺らしただけだった。 「もう! そんなに暴れないでください」 梓は非難するような顔をした。 両手で澪の顔を押さえて正面を向かせた。 もう一度澪の唇に吸い付くと、今度は 舌を挿入した。 澪の口腔で梓の舌が自由に動き回った。 「いや……く……くるしい……!」 澪は目を閉じて耐えていた。 梓に舌を絡めさせられ、唾液を吸い取られていくの がわかった。 今度はお返しとばかりに梓の唾液が流れ込んでくるが、 今すぐ吐き出してしまいたかった。 「おいしい……澪さんの味がします」 梓が彷彿とした表情で言った。 澪は真っ赤にした顔で嫌がっているが、 おかまいなしだ。 梓の舌が澪の歯の裏側を這い、たぷっりと 澪の口の中を味わった後、ようやく解放した。 「はぁ…はぁ…」 澪は口を大きく開けて呼吸していた。 一方的ににキスをされたため、息が苦しかったのだ。 澪の口のまわりで梓の唾液がテカテカと光っていた。 あごの辺りまで唾液がたれていた。 「お口のまわりが汚れてますよ? きれいな顔が台無しです」 「ひぁ…!」 梓が猫のように舌を出してペロペロと舐め取った。 澪はそれがくすぐったくて声を上げそうになってしまう。 その様子もまた可愛かった。 「先輩って本当にきれい……」 梓が澪の前髪を掻き分けながら感想をもたらした。 色白で流れるような黒髪を持つ澪は、 日本人形ののように美しかった。 梓とて美人の自覚はあるが、 それでも澪には適わないと感じていた。 高校生にもなれば、自信の美しさには 普通は気が付くものだ。 世間や周りの評価を気にしていれば自然と わかること。 梓はまじかで見る澪の端正な顔を、思う存分 堪能することにした。 二、 ところで、けいおん部主催のお茶会をしたのは 記憶に新しいが、澪のファンクラブのメンバーは 結構な数だった。 それは梓にとっては忌まわしい記憶だった。 ファンクラブなどというくだらない催しは成功したが、 本当はあの女子生徒たちを影で撲殺してやりたかった。 澪は梓の玩具だからだ。 あのバカ生徒たちが、いつの日か梓の所有物に手を 出すのではないかと思うと、不安で夜も眠れない。 だから今日、澪を手にいれることにしたのだ。 方法は簡単。 澪を放課後の音楽室に呼び出し、背後から襲撃したのだ。 可愛い後輩に襲われるとは夢にも思っていなかった澪は、 簡単に捕らわれてしまった。 梓の本性を知った澪は嫌悪感をむき出しにしたが、 そんなことは梓の予想の範疇だ。 これから、梓の気持ちを知ってもらえばいいのだ。 体を使ってゆっくりと。 「この大きい胸。うらやましいです。 私はこんなに大きくないから、憧れちゃうなぁ」 「ぁ……」 梓は澪の後ろにいた。 器用に澪のYシャツのボタンを外して、ブラジャーも脱がしてある。 制服を着ながら、乳房が露出している形となった。 梓は澪のわきの間に両手を差し込み、澪の双璧をつかんでいた。 「やわらかい。澪さんの胸、ましゅまろみたい」 「んん……!」 梓の手が力いっぱい乳房を握っていた。 千切れるんじゃないかと思うほど 力を入れると、梓の小さな手から乳がこぼれるのだった。 「大きい胸ですね。私の手からこんなにはみ出して……」 梓が澪の胸を押しつぶすように手前に引っ張る。 やがて胸をこすりつけるように上下に 揺らすと、澪は耐え切れず喘いでしまった。 「…………ぁ!」 「もっと声を出していいんですよ?」 梓が乳首を摘んでコリコリと指でもてあそぶ。 ボッキした乳首の感触が梓の手に伝わった。 「いやぁ……やだぁ……! 変な気持ちになっちゃう……」 「感じてるんですね先輩。 こんなに汗をかいてますよ」 梓は澪のうなじの匂いを嗅いでいた。 髪の毛のシャンプーの匂いとむせた 首筋の汗の匂いがミックスされていた。 澪は嫌がって首を振るが、汗で湿った髪の毛から するシャンプーの匂いがして、酔ってしまいそうだった。 澪の汗は首から胸の谷間まで流れていた。 「ふぅ、汗だくの先輩も色っぽいですよ 私がペロペロしてあげますね?」 梓は澪の正面に回り、胸を押し上げるようにして 谷間を強調させ、そこに舌を這わせた。 汗を舐めながら谷間のゆるやかな曲線を味わう。 「……ひゃん!」 「うふふ。かわいいです」 梓が上目遣いで澪を見た。 「いや……舐めないでよ、くすぐったい…!」 澪は顔を震わせながら声を出していた。 梓のいやらしい舌が胸を舐めるたびに、 まるで体に電流が走ったような気がした。 「可愛い声が出せるじゃないですか。 もっと舐めてあげましょうか?」 「いや、もうやめて!」 「駄目です。乳首もこんなに元気になってますよ?」 「ひゃああん!」 梓が乳首に吸い付いた。唇で挟みがら、 舌を出して舐めた。 「ひぃぃ…!」 「…おいしいです。ふふ。まるで私、赤ちゃんみたいですね」 梓がちらっと澪を見上げると、澪は恥ずかしそうに 顔を横に向けて耐えたいた。 「もうやめてよ…! 女同士で…こんなこと…するなんて変だよ…!」 「なんで? 別に性別なんて気にすることないじゃないですか。 ここは女子高ですし。私みたいな変態もいますよ」 梓は乳首責めに満足すると、今度は澪のスカートの中に手を入れた。 澪がすぐに反応して騒ぎ出した。 「ひ! 何をするの!?」 「パンツを脱いでもらうんです」 澪は気が動転した。 「お願い……もうやめてよ……! もう許してよ…! 謝るから!」 「謝ったってやめませんよ。大人しくしてください」 梓が澪のパンツを掴んで、足から脱がした。 「先輩のパンツ、シマパンなんですね?」 梓がパンツを見せびらかすように澪の前に掲げた。 澪はこんな屈辱を受けたのは一年の時の学際ライブ以来だった。 2
https://w.atwiki.jp/kimono21/pages/20.html
こんにちは。皆さんお元気でしょうか。今回もkimonoがテーマの記事です。 男性の帯は前を下がり気味、後ろを上がり気味に占めるのが最も粋な絞め方です。 私の踊りの先生も、よくこの「貝の口」を結ばれています。 ゴムが入っている為、体にはフィットしていますが、やはり少し緩い気がします。 きもののきつけには、洋服とは比べ物にならないほどのしきたりがあります。 上前も同じように重ね、腰骨あたりの襟先を右手で押さえます。 金銀を使用したものは街着用としては不向きでしょう。 タレの元を広げます。帯を表に返しながら背中心に持ってきて帯幅をいっぱいに広げます。 最初の着付の、襟を合せるときに、下前を一重揚げにしますが、この位置が重要です。 ひとえ帯 一枚織りの帯で、夏帯のことです。主に、博多、絽つづれ、などがあります。 短いものは前帯にしわが出やすくなりますので、長めのものを用意しましょう。 少し高めにおたいこを結ぶと美しくみえます。 安心できる和装のお店屋さんの中でも、佐賀県の「谷口呉服店」が子育て世代の女性層中心に大好評を集めています。 しかし、念のため書いておきますが、ご近所の友人のウワサ程度の話ですので真相のご確認はご自身の手でお願いします。 私の家からはとても遠くなので行くことができないのがほんの少しだけ申し訳ないと思うのです。
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ここはポケモンたちが暮らす町。 緑の屋根の小さなお家に、一人のポケモンがいました。 「やってしまった……。」 彼女の名前はミュウツー。 お友達のミュウと一緒に、ここで暮らしています。 ベッドに敷かれた真っ白なシーツ。 ですがそれは、大きく濡れていました。 「ちゃんとトイレに行ったのに……。」 ミュウツーはおねしょをしてしまったのです。 しかも、おむつから溢れるくらい。 「おはよー、ミュウツー!」 「うわあぁぁ!?」 ミュウは朝から元気いっぱいです。 「部屋に入る時はノックをとあれほど……!」 「ごめんごめん。それより、今日もしちゃったね。」 「うう……。」 ミュウツーは恥ずかしさで顔が真っ赤。 いつものことなのに、ちっとも慣れません。 「ほら!おむつ脱いで、シャワー浴びてきて!」 「すみません……。」 ぐっしょり濡れたおむつをベッドに置いて、 ミュウツーはお風呂場に向かいました。 「フフッ、今日もいっぱい出たねー♪」 「言わないでください!」 30分後 「これでよし!」 「うう……恥ずかしい……。」 お庭に干されたシーツとマットレス。 今朝はお天気なので、よく乾きそうです。 「昨日、寝る前にジュース飲んだでしょ。」 「み、見てたのですか……。」 「うん!やっぱり溢れちゃったね。」 マットレスにはいくつかの黄色いシミが。 全てミュウツーのおねしょによるものです。 「なぜ私は、おねしょなんて……。」 ミュウツーは最強のポケモンですが、おしっこの我慢は最弱なのです。 「治らないものは仕方ないよ。」 「ミュウ……。」 「でも、寝る前にこっそりジュース飲んだのはダメ!」 「というわけで、今日は自分でおむつを買ってくること!」 「そんなっ!?」 いつもはミュウがおむつを買ってきてくれます。 自分で買いに行くなんて、考えただけで顔が真っ赤です。 これまでにも何度かありましたが、 恥ずかしすぎてパニックになったりしました。 それからしばらくして、お昼過ぎ。 「それじゃ、私はお茶飲んで待ってるから。」 「いってきます……。」 「いってらっしゃーい♪」 10分後 「あら、ミュウツーさん。いらっしゃいませ!」 「どうも……。」 お店のタブンネさんは仲の良いお友達。 ですが、ミュウツーはおむつのことで頭がいっぱいです。 「何かお探しですか?ご案内しますよ。」 「タブンネさん……えっと、その……。」 「……おむつですか?」 「へっ!?」 耳元で「おむつ」と囁かれて、思わず声が裏返ってしまいました。 「な、なぜそれを……!?」 「ミュウツーさんのおねしょのことは、町のみんなが知ってますよ?」 「みんな!?」 「はい!だから、恥ずかしがることなんかありません!」 「もっと恥ずかしいですよ!」 そんな会話をしながら、二人はおむつ売り場へやってきました。 「いつも使ってるのはどれですか?」 「い、いつもじゃありません!」 「じゃあ、どのくらい?」 「……週2……です……。」 本当は週5。ちなみに今週は全敗です。 「へぇ~……♪」 「うう……。」 いつものおむつを見つけました。 赤くなった顔を袋で隠しながら、レジに向かいます。 「かわいいの穿いてるんですね。」 「は、はい……。」 お店を出ようとしたミュウツーが、 焦った様子でタブンネさんのところに戻ってきました。 「タブンネさん、あの……その……!」 「どうしました?何か買い忘れでも……。」 「お手洗い、貸してください!」 おしっこを我慢して、もじもじ、そわそわ。 どうやら、緊張して尿意に気づかなかったようです。 「トイレならあっちで……あっ。」 「ありがとうございます!」 おむつをタブンネさんに預けて走っていきました。 ちびってしまわないように、両手で前を押さえながら。 「おしっこ、おしっこ、おしっこ!」 いつもなら外では絶対に口にしない言葉。 叫びながら、急いで個室に入りました。 激しく足踏みをして、震える手で鍵をかけます。 「漏れちゃうっ!」 洋式トイレに勢いよく座った、その時。 ぷしゃああぁぁぁーーーーー…… じょぼぼぼぼ…… 「はぁ……。」 何とか間に合いました。 静かな女子トイレに大きな音が響き渡ります。 しゅいいぃぃぃ…… ぽたっ…… 「おもらししてしまうかと思いました……。」 トイレを出てタブンネさんのところに戻りました。 「間に合ってよかったです。」 「ありがとうございました……。」 ミュウツーの家 「おかえりー!どうだった?」 「疲れました……。」 「ちゃんと買えたみたいだね。えらいえらい。」 「からかわないでください……ふあぁ……。」 「お昼寝するならちゃんとおむつ穿くんだよー?」 「分かってますよ、もう……。」 次の日、ミュウとタブンネさんはカフェにいました。 「昨日、ミュウツーさんがおむつを買いに来ましたよ。」 「寝る前にジュース飲んでおねしょしたから、おしおき!」 「あらあら、そうだったんですか。」 お茶を飲みながら、タブンネさんが微笑みました。 「まったく困っちゃうよねー。あっ、この前なんか夜中に……。」 「フフッ♪」 お茶飲み話に花が咲く二人。 ミュウツーの受難はまだまだ続きそうです。
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/94.html
わたしのお家にはいつもいっしょにあそぶお友だちのタブンネがいます。 タブンネはわたしの4さいのたんじょうびにパパがプレゼントしてくれました。 今日は、お家でえほんをよみました。3時になったので、今からおやつを食べます。 「今日はタブンネのすきなクッキーだよ」 「みぃみぃ!」 タブンネはモモンの実を使ったこのクッキーがとてもすきです。 いつもはママがおいしいお茶をいれてくれるんだけど、今日はおでかけしてるからわたしがいれます。 タブンネにてつだってもらって、おなべにお水をいれます。 そのおなべをこんろの上において、そのままお水がぼこぼことふっとーするまで待ちます。 ふっとーしたら火をけして、おなべのお水をコップにうつします。 「あっ」 おなべのお水が重くて、わたしはころびそうになってしまいました。 その時タブンネがわたしをささえようと、よりそってきて―――― 「み゛いいい゛ぃぃぃいぃ!!」 タブンネのおなかに、あついお水がかかってしまいました。おなべはかるくなったけど、タブンネはとても苦しんでいます。 「タブンネだいじょうぶ!?」 タブンネのおなかは少し赤くなっていて、タブンネはなみだをながしています。 わたしはすぐに、そばにおいてあった布をつめたいお水でぬらしてタブンネのおなかをふいてあげました。 「み゛っ、み゛ぃぃいみいいいぃぃい゛!!?」 つめたい布でゴシゴシしているとタブンネがいやいやをします。 でも、あついお水がかかったらすぐにひやさないとダメだってママが言っていたのでタブンネをおさえつけながらふきました。 しばらくふいているとタブンネのおなかはあつくなくなってきました。 さっきよりも赤くなって、かわいい黄色の毛も少しはげてしまいました。タブンネもまだいたそうです。 でもわたしのタブンネは『さいせいりょく』だから、少しくらいのケガはすぐになおってしまいます。 「タブンネ、ごめんね」 「みぃ…みぃみぃ」 タブンネはいたみをたえてなみだをながしながら、それでもわたしをなぐさめるようにやさしげにないてきました。 しばらくするとタブンネもだんだん元気になってきて、おなかの赤いのもおさまってきました。 タブンネにてつだってもらいながら、コップにあたたかくなったお水をいれて、お茶のさんかくとおさとうをいれます。 今日は少したいへんだったけど、楽しくおやつを食べました。 「タブンネ、これむこうに持って行って」 「みぃ!」 もうすぐで今年がおわって、新しい年がきます。ママに言われてタブンネといっしょにおへやのおかたづけをしていました。 わたしはあまり重いものを持てないので、タブンネにいらないものをおにわに持って行ってもらいます。 「これがおわったらおやつを食べようね」そう言うとタブンネはうれしそうにないて、はりきります。 おへやがすっかりきれいになったら、こんどはお外にいらないゴミをすてにいきます。 ママはキッチン、パパはおふろばをおそうじしているので、まずはわたしとタブンネだけですてにいくことになりました。 わたしはかるいものをたくさん、タブンネはおもいものを少しずつ、いっしょうけんめいはこびました。 ゴミの中にはいやな臭いのするものもありました。あまりさわりたくはなかったけどがまんしました。 わたしとタブンネとでははこぶスピードがちがうのでいっしょには動けませんでした。 だいぶはこびおわってあとはおもいものばかりになりました。タブンネといっしょにはこぼうと思って待ちます。 でもタブンネは少し前に出て行ったきり帰ってきません。しんぱいになったわたしはゴミおき場に急ぎました。すると、 「みぃ…みぃみぃぃ……」 タブンネが、くずれたゴミにうもれていました。おもそうなダンボールのしたじきになっています。 いやな臭いのするゴミがふくろをやぶってじめんにちらばって、タブンネの顔にも汚いのがついています。 がんばってタブンネを引きずり出したけど、タブンネはとても汚れていて臭いです。 家につれて帰ると、ママが臭いとおこりました。おふろにいれてあげたかったけど、まだパパがおそうじしています。 ママがうるさいのでタブンネと寒いお外で待ちました。タブンネはかなしそうなかおをしていました。ごめんね。 パパのおそうじがおわったら、すぐいっしょにおふろにはいってきれいきれいにしておやつをたべました。 思いついたのでもう一つ。幼子の無自覚虐待とかもいいと思います 面白くないな -- (名無しさん) 2012-08-28 19 59 30 こういうのも新しくていいね! -- (名無しさん) 2012-09-20 08 57 01 名前 コメント すべてのコメントを見る
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注意!!! 俺設定大量 他作者様の設定パクリ過ぎ ご都合主義 微妙にHENTAIネタあり ドス設定有り 可愛がられるゆっくり有り むしろ虐待してないかも知れない 誤字脱字があるかも知れない パロディ有り そんな駄文でも構わない方、「どんとこーい!!!」な上○次郎教授な方 どうぞご覧下さいませ 1.発端 11月の初め、めっきり寒くなった頃 『ゆー、食料がなかなか集まらないよ・・・』 ぼやくのは300匹近くの群れのリーダーであるまりさ ただ、通常と違うのは3~4M位の巨体であることと髪にはリボンなどの装飾品が"信頼の証"として付けられていること 「ドスまりさ」とよばれる個体である 人間よりも強く、通常のゆっくりよりも高い知能を生かし、人間から群れを守る守護者 人間の里と協定を結び、思う存分にゆっくりしていた 協定の内容は 人間はゆっくりを殺さないこと ゆっくりは畑や民家を荒らさないこと 人間が飼っているゆっくりには群れは干渉しないこと である しかしそろそろ冬ごもりの支度を始めなければならい時期となり、群れ総出で冬ごもりの為の食料を集めるよう指示しているのだが、なかなか集まらない 半月前から準備を始めているのだが日に日に集まる食料が減ってきている 「ゆっ、にんげんにたべものをわけてもらおうよ!!!」 と提案するのは貯蔵庫に本日の成果を運び終えたれいむ 『だめだよ!人間との約束でまりさたちは畑を荒らしちゃいけないんだよ!!!』 ドスまりさが「分けて貰う」と言われたのに「畑を荒らす」と答えたのは、自分が人間と約束した「畑を荒らさない」が一部の若いゆっくりによって何度か破られているためだ 人間の畑が荒らされる度にドスまりさは人間の里へ行き、人間に謝罪をしている 大抵の人間はどんなに怒っていてもドスまりさが怖いため、ゆっくりを潰してしまうことは無かった ただ、加工場に送られてしまったり、虐待お兄さんに捕まってしまった者もいる ドスまりさにたしなめられたれいむは言いつけを何度か破り群れの大型ゆっくりとともに畑を荒らした前科者だ そのためドスまりさはれいむの言葉を鵜呑みにできない 「ゆー・・・」 れいむはうなだれ、そしてほかのゆっくりたちのもとへ跳ねていった ドスまりさは本当に困っていた この森で入手できる食料だけではきっと半分も冬を越せないだろう、だが長である自分が人間の畑を荒らしたり、荒らすことを容認する訳にはいかない 2.夕方 里での会議に参加し、その帰り道を行く青年 「さて、お土産も買ったし、早く帰ろうかな」 今日の会議の内容は「ゆっくりへ冬の食料を支給する」というものだった 最近、たまに里に現れるゆっくりが冬の食料を悲観する独り言を聞いた者達が提案したことだ これはゆっくりを思いやってのことでなく、畑荒らしや民家への押入りを事前に防ぐためである 2日後ドスまりさを呼び、ある程度の食料を渡すこととなった 虐待お兄さんが賛成していたことが非常に意外な事だった(青年は会議直後に「俺に虐待される前に死なれたら困るからね」という独り言を聞いた) 青年の家は里から少し離れた場所にある すぐ目の前が森となっていて、今まで何度かゆっくりの襲撃を受けた 柵や網などで囲いで防御している上に、青年が飼っている番ゆっくりが撃退するのでこれといった被害は起きていないが、それでも襲撃自体が無くなるとなればそれに越したことはない 「ただいま」 自宅へ帰ると番ゆっくりが出迎えてくれた 番ゆっくりは青年に今日襲撃があったことと、自分がそれを撃退したことを報告した 青年はその日ずっと番ゆっくりと遊んでやり、夜は一緒に「すっきりー」した 3.相談 一方、ゆっくり達の住む洞窟内ではどうやら越冬の為の食べ物の調達について話し合っているようだ 「やっぱりにんげんからおやさいもらうしかないよ!!!」 れいむは相変わらず畑泥棒を提案している 「そうだよ!このままじゃゆっくりできないよ!ドスまりさがいればにんげんなんてこわくないよ!」 呼応するのは親友のまりさ 二匹は揃って泥棒を提案し、人間と衝突したらドスまりさに葬らせる考えだ この提案には若いゆっくり達が主に賛成した、ドスまりさの庇護のもと、生命の危機を感じることなく存分にゆっくりできたからこそ言える意見 「ふたりともばかなんだねー、わかるよー」 「おまえらばかだろ、さすがばかあたまわるい」 対してドスまりさを始めとする大人達は冷ややかな反応 身を危険に晒し、人間の恐ろしさを体験しながら生きてきたからこそできる反応だ しかし、解決の糸口は見つからない、一ヶ月近く同じ押し問答を繰り返しているのにそれに気がつかないのはさすが餡子脳 「ゆっ!まりさにいいかんがえがあるんだぜ!!!」 突然、大声で(とは言っても饅頭共はどれもうるさいが)名案があると叫んだのは度々掟を破り畑を荒らしていたまりさだ 『まりさ・・・、まさかまた人間がいない間に盗もうとか言うつもりなの?』 ドスまりさはあきれたように言う 「ちがうんだぜ!たべものをたくさんもってるゆっくりにわけてもらえばいんだぜ!!!」 「このむれにはたくさんたべものもってるゆっくりなんていないみょん!!!」 「ゆっ!もりのはずれにすんでるゆうかにもらうんだよ!!!」 ゆっくりゆうかはゆっくりにしては珍しく、花や野菜を育てる習性を持っている まりさはこのゆうかの育てた花や野菜を何度か狙ったが、そのたびに撃退されていた 森にはこの群れに属さないゆっくりがそこそこ存在している れみりゃなどの捕食種、プライドの高いゆうか、頭の悪いちるの、クズと蔑むめーりん、、等々 この群れでは悪事をその野生ゆっくりになすりつけることがあったり、いじめたりすることがあるのでまりさの話を信じた ちなみに罪をなすりつけられたこれらのゆっくりが里で発見されると潰される(ただし、飼いゆっくりは別) こうしてこの群れから敵と見なされたゆっくりは奸計により人間の手で数を減らされ、希少種となっていったのは別の話 「むきゅ!それはいいあんね!」 「うん、それならにんげんにめいわくをかけずにたべものがてにはいるわ!!!」 ドスまりさの側近であるぱちゅりーとありすも賛同した そして、群れの全員が賛同した 『ゆっ!それがいいよ!明日ゆっくり食べ物貰いに行こうね!!! もしゆうかが抵抗したらまりさがゆうかを押さえつけるから、その間にみんなが食べ物を運んで行ってね!!!』 ドスまりさも賛同した 4.襲撃 翌日 『いいから、ゆっくりとっとと食べ物渡してね!!!』 「ぅー・・・さっさと消えろ!!!」 群れに囲まれながらも威嚇しているのはゆっくりゆうか ドスまりさはなるだけ穏便に事を済ませたかったがゆうかの答えはNoだ 群れの数に任せて強奪することも考えたが花畑、そして大根やジャガイモを育てている畑を柵で囲い、同時に網で空中からの襲撃に備えており、これらを撤去しなければ食べ物は手に入らない この囲いを破れるとしたらドスまりさ位なのだが、ゆうかは他のゆっくり種を捕食するくらい凶暴であり、ドスまりさが囲いを破壊している間に群れの誰かが犠牲になる可能性がある かと言ってドスまりさがゆうかを押さえつけていたら囲いは突破できない ドスまりさは困ってしまった 「ゆっくりはかわいいゆっくりのためにたすけあわなきゃいけないんだよ!!!」 「ひとりだけでたべものをどくせんするなんて、おお、おろかおろか」 「このにんずうにかてるとおもってるの?ばかなの?」 ドスまりさがいるためか強気にでるゆっくり達 「出て行け!さっさと出て行け!」 それに対し、あくまで拒否するゆうか 「ゆっへっへ、このにんずうならあいてがきょうぼうなゆうかでもかんたんにかてるんだぜ!ゆっくりさっさとあきらめて食べ物よこすんだぜ」 そう言い放つのはゆうかから食べ物を頂くことを提案したまりさ いつもゆうかに撃退され続けた恨みを晴らさんとすべく今回の作戦を提案したのだ その顔には自信が伺えるが、いつもやられているためか、自分から攻めに行こうとしない ゆうかは怒っていた、情けをかけて見逃してやったゆっくり達がまともにやれば勝ち目がないからといって集団で責めてきたことに いつもは勝てないと分かると媚びを売って命乞いする輩が群れで来た途端に横柄な態度になることに そして何より自分たちが一生懸命育てた花や野菜を図々しく寄越せと言ってきていることに 「ゆっくりしね!!!」 ゆうかの隙を狙ってまりさが体当たりする、ゆうかはひょいと避けいつも通りにカウンターを食らわせる 「ゆぎゃっ!!!いだいんだぜぇぇ!!!な"んでごんな"ごどずる"んだぜぇぇ!!」 これを期に他のゆっくり達が襲いかかった 「わかるよー、ふっとばsぐぎゃっ!!」 「さっさとやられrみ"ょ"ん"!!」 「れいmゆ"ぎゃ"ーーー!!!」 相手の数が多いとはいえ通常のゆっくりであればゆうかにとっては撃退可能である 「むきゅ!ちょっとのあいだだけねむってtぎゅああああー!!!」 ゆうかに突き飛ばされたぱちゅりーはごろごろと転がり、ドスまりさのそばまで転がり、そして少量の餡子を吐き出した 『ばぢゅ"り"ぃぃ!だい"じょ"ぉ"ぉ"ぶぅぅ!!?』 このぱちゅりーはドスまりさの側近のぱちゅりーであった 『ゆうかは許さないよ!!みんなどいてねーーー!』 ドスまりさが叫ぶとゆうかに群がっていたゆっくり達は蜘蛛の子を散らすように離れていった 「!?」 ゆうかは何が起こったか分からなくなった ついさっきまで雑魚ゆっくりを蹴散らしていたはずなのに、なぜかみんな逃げ出した そこまでは覚えている、そして今体がものすごく痛い、なんで? 背中に木が当たっている、前を見ると数メートル先に巨大なゆっくりがいる (そうか、あいつにやられたんだ) 「さすがドスまりさなんだぜ!!!」 「つよい、さすがドスまりさつよい」 「い、いまのこうげきをみてちょっとかっこいいっておもったわけじゃないんだからね!!!」 ざわめくゆっくり達 ゆうかはドスまりさの突進をまともに食らい、餡子を吐き出したのだった 『ゆ!みんな!今からこの邪魔なのをどけるよ!』 と言って柵を破壊し始めるドスまりさ 数匹のゆっくりがまだ朦朧としているゆうかを引きずり、押さえつける ゆっくりたちにより蹂躙される畑と花畑 自分たちが一生懸命育てたものが奪われていく様をゆうかはうっすらと涙を浮かべて見ていた ほとんどの作物を奪われ、そろそろ群れが撤退を始めようとしたとき 「ドスまりさ!このゆうかつれてかえってゆっくりおやさいつくってもらおうよ!!!」 「そうだよ!これだけやさいがつくれるならもうだれもにんげんのさとにいかないはずだよ!!!」 そう提案するのはいつも人間の里から野菜を頂こうと提案していたれいむとまりさ 『そうだね!!ゆうかにお野菜作ってもらえば冬の食べ物も安心だね!!!』 ドスまりさは喜んでその意見に賛成した ゆうかの搬送作業は今回の作戦を提案したまりさとその仲間数匹が行うこととなった 「ゆっへっへ、よくみたらこいつけっこうかわいいんだぜ!!!すっきりのあいてになってもらうんだぜ!!!」 「みんな、しっかりおさえててほしいんだぜ!じゃあ、さっそくまりささまのぺにぺにをすっきりさせてもらうんだぜ!!!」 まりさは顎の下あたりから綿棒の半分くらいの大きさの突起を出し、ゆうかに迫った ガブリ!!! しかし、まりさの突起は本来の役目を果たすことなくまりさから離れた 「ゆ?」 まりさは顎の下に違和感を感じその部分を見た、すると本来あるべき物がなく、代わりにその部分からは餡子が流れていた 「ゆ"ぎゃ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!」 まりさの慟哭を聞きにやりと笑い、ぺっ、と何かを吐き出すゆうか それはまりさの生殖器だった 「ごろ"じでや"る"ぅぅ!!よ"ぐも"ま"り"ざざま"の"べに"べに"を"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!!!!」 まりさの慟哭を聞きつけ帰る途中のドスまりさがやってきた 5.無力 青年は走っていた 途中、軽い地震があり、その地震がとても嫌なことの前兆ではないかと感じていたから そして、家から少し離れた畑を見ると見るも無惨に荒らされているではないか しかし青年が心配していたのは別のこと ここで畑を守っている番ゆっくりのことだ そして青年は自分の番ゆっくりであるゆうかが野生の物であろうまりさに上から何度も踏みつけられている姿を見た 「何やってんだ!!!!!この糞饅頭どもおおォォォォ!!!!」 青年に怒鳴りつけられゆうかを押さえつけていたゆっくり達がびくっと反応し、即座に逃げ出した そしてドスまりさはすべてを理解した 自分たちが人間の畑を荒らしてしまったことを 自分たちがいためつけてしまったゆうかは飼いゆっくりであることを そして、ゆうかが人間の畑を守っていたことを 人間はまだゆうかを踏みつけているまりさに猛ダッシュで近づいていた ボンッと音がして転がっていく青年 ドスまりさがとっさに人間に体当たりを食らわせたのだ 青年がよろよろと立ち上がろうとしている隙にドスまりさがゆうかからまりさを引きはがし森へ逃げていった 青年はゆうかを抱え上げ、よろめきながらその場を後にした 6.記憶 ゆうかは夢を見ていた まだ赤ゆっくりだったころ 母親が心ない人間に見つかり嬲り殺されてしまったこと 一人で花を育てていた頃のこと 花を狙ってくるゆっくりを何度も撃退したこと ある日ゆっくりが大群で押し寄せ花がすべて食い荒らされた ゆうかは数匹程度なら勝つことができるが、何十匹にもなると多勢に無勢 ゆうかは原型をとどめないほどに荒らされた花畑にうち捨てられた その日たまたま森を散歩していた青年に発見され、運び込まれた大きな建物の中で治療を施された 青年に助けて貰い感謝したがゆうかは母親を殺したのが人間であることを忘れることができず複雑な思いを抱えたまま治療を受けていた ある日青年はゆうかに尋ねた 「森に帰りたいか?」 ゆうかは素直に帰りたいと申し出た 青年はゆうかが回復するのを待ってからゆうかを森へ帰した ゆうかは住み慣れた巣に帰ってきたが中は他のゆっくり達に荒しつくされた後だった (ここにいたらまたあいつらに襲われる・・・) 引っ越しを決意し、森をさまようがどこへ行ってもゆっくり達がいる ゆうかはゆっくり達に気づかれないよう移動し続けた そして気がつけば森の外れにいた ゆうかは花畑に似ているものを見つけた 自分が育てていた花とは全く異なっていたが、緑の葉が何列にも並んでいる姿は自分が育てていた花たちを思い出させた (・・・もしかしたらゆうかと同じものがここに住んでいるのかも知れない) ゆうかは木の板のようなものに囲まれた花畑のようなものを見ながら思った。 しばらく見とれていたら向こうから何かが近づいていることに気付いた 一瞬、身構えたがその正体に気付くと警戒を解いた ゆうかを助けた青年だったからだ 母を殺した人間の一部ではあるが、同時に自分が死にかけてくれた時に助けてくれた人間だ 「あ・・・ぁの」 「住む場所が見つからないのか?」 ゆうかがあの時のお礼を言おうとまごついている間に青年が切り出した 「うん・・・」 「そこの土地があいてるけど使う?」 「いいの?」 「使ってないから構わないよ」 「!!・・・ゆっくりしていってね!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 それから一人と一匹の生活が始まった ゆうかは青年に囲いを付けた土地を与えられ、そこに種を蒔き花を育てた ある日青年の留守中におかしな生物が畑にやってくるのを見つけた 「うー!うー!」 うーパックと呼ばれるゆっくりと共存する奇妙な段ボール生物 ゆうかはその存在を知らなかったがろくでもない物であろう事だけは瞬時に理解した うーパック達は畑に降り立ち、中からゆっくり達が出てきた 「ゆっ!れいむたちのおやさいがいっぱいあるよ!!!ゆっくりたべようね!!!」 「とかいはのありすにぴったりのゆっくりプレイスね!ここをわたしたちのおうちにしようよ!!!」 「にんげんはばかだよね!まりさたちのおやさいをあんなきでかくそうとするなんて!!!」 「むきゅ!ありがとう、うーぱっく!あとでよぶからそのときにおやさいあげるね!!!」 青年もうーパックのことを知っておらず、普通のゆっくりの対策はしているが、空から襲撃されたときの対策は皆無であった ゆうかは人間用の柵の出入り口から青年に教えられた通りの方法で囲いの中に入り中に侵入したゆっくり達に襲いかかる 「むーしゃ♪むーsyい"ぎゃ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」 「ゆっ?れ、れ"い"ぶぅ"ぅ"ぅ!!!」 「どぼじでごんなごどずる"の"ぉぉぉ!!!」 「ごんな"の"どがい"はじゃな"いいぃぃ!!!」 「ゆっぐりざぜでぇぇぇ!!!」 最初の犠牲者はゆっくりれいむ 後ろから頭を食いちぎられ、やかましい悲鳴を上げる 連鎖する悲鳴に反応することなくゆうかは次の獲物に狙いを定めた 残すところあと一匹というところで青年が帰ってきた 青年はゆうかと残ったゆっくりまりさを見てあわてて畑に飛び込んだ そしてすかさずまりさを叩き潰す 「ゆうか!大丈夫か!?」 「ゆー?怪我はないよ」 「よかった・・」 青年はゆうかを抱き寄せ、頭を撫でた ゆうかは青年に撫でられていると不思議な気持ちになった まるで今は亡き母が慰めてくれているような安心感だった ゆうかは初めて自分がこの青年に大切にされている事を知ったのだった それ以降、ゆうかの人間への認識は「すべて敵」から「良い人間と悪い人間」に変わった もちろん青年への認識は「良い人間」である これは、大抵のゆっくりが認識する「都合の良い相手」ではなく「もっとも信頼できるパートナー」である そしてゆうかはそれまで遠慮から土地の一部を借りてそこに寝泊まりしていたが、以降は青年の家で寝食を共にするようになった 青年はゆうかに人間のルールを教え込み、飼いゆっくりとして正式に登録し、ゴールドバッヂの検定を合格できるまで教育した ゆうかは人間の畑仕事を手伝い、良い野菜の育て方を教えた 青年は昼間は畑仕事、夜にはストレス解消のために「すっきりー」させてやった 青年がゆうかのまむまむを人間のぺにぺにを受け入れられるくらいに拡張し、一緒に「すっきりー」できるよう調教したのはまた別の話 二人の仲は非常に良好だった そして、事件の前日に、ゆうかのゴールドバッヂが破損したため、協会に申請をしたこと 青年がゴールドバッヂを受け取りに出かけた映像が流れ、消えていった (お母さん・・・お兄さん・・・どこ?どこにいるの?暗くてこわいよぉ・・・ゆうかりんをたすけて・・・たすけてお兄さん・・・) ゆうかの脳裏に大好きな母親と青年の笑顔が浮かび、 そして消えた 続き このSSに感想を付ける
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284 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 49 54 ID SQFJUipB いつもは学校を出る少し前まで家事をするけど、最近は時間に余裕がある。 梓が手伝ってくれるから。 「兄さん。洗濯物、終わったよ」 洗濯物のかごを持った梓が言った。既にお父さんも京子さんも出勤している。この家には僕と梓の二人だけ。 僕の担当の掃除も終わる。時計を見ると、学校に行く時間までかなり余裕がある。 掃除機を片づけてリビングのソファーに座った。目の前のテーブルにコップが置かれる。顔を上げると、梓が僕を見ていた。 「ありがとう」 僕は礼を言ってコップを口にした。冷たい緑茶。おいしい。 梓は僕の隣にちょこんと座ってコップを口にした。紅茶の香りが鼻孔をくすぐる。 僕の腕に梓の髪が触れる。今日も梓は背中に垂らしただけの髪形。手入れはされているのか、長い髪は艶がありサラサラしている。 最近、僕が梓の髪に触れる事は無い。手入れする事も髪形をセットする事も。 「ポニーテールにはしないんだ」 梓は笑った。輝くような眩しい笑顔。 「兄さん、こっちの方が好きだもの」 「そんな事ないよ」 「嘘よ」 僕にしなだれかかる梓。下から僕を見上げる。 梓の瞳が奇妙な光を放つ。 「兄さん、あの女の髪形が好きよね」 「夏美ちゃんの髪はそんなに長くないよ」 「違うわ。春子よ」 梓の手が僕の頬に触れる。 信じられないぐらい梓の手が熱い。 「兄さん、いつもあの女の長い髪に見惚れているわ」 梓は微笑んだ。笑っているのに、瞳は奇妙な光を湛えている。 「確かにあの女の髪は綺麗だわ。烏の濡れ羽みたいに艶があって、それでいてラサラしているもの。でも、私だって負けてないわ」 そう言って梓は僕の手を取って髪に触れさせた。 柔らかくてサラサラしている梓の髪。 手に春子の髪の感触が蘇る。梓と同じように長くて綺麗な髪の柔らかい手触り。 僕はそっと梓の髪から手を離した。 唇をかみしめてうつむく梓。 「そうよね。兄さん、いつもあの女ばかり見ている。何で私を見てくれないの。私だってあの女と同じ髪なのに。何で私を見てくれないの」 梓は顔をあげた。視線が僕を貫く。 「あの女。許せない。私に隠れてこそこそして。苛々する」 背筋に寒いものが走る。 知っているのか。春子がお見舞いに来てくれた事を。 「同じクラスだし、話しぐらいする」 「気がついてないとでも思っているの」 頬に触れる梓の手の温度が上がった気がした。 「あの女、兄さんが臥せっている間に兄さんの部屋に来たでしょ」 梓の瞳が奇妙な光を放ち僕を射抜く。 「お昼休みに。毎日のように」 梓は唇を噛みしめた。 「許せない。あれだけ痛みつけたのに。まだ兄さんに近づくなんて。痛みつけるのが足りなかったのかしら」 僕にもたれかかる梓。ふれる梓の体が、熱い。 「兄さん」 梓を引き離そうとした瞬間に、梓は僕に声をかけた。 「何で私があの女を見逃したか分かる?」 よく考えると、おかしい。 春子が僕にちょっかいを出すなら、容赦しないと梓は言った。 それなのに、梓が今回の春子を見逃した理由。 「前に言ったよね。次に兄さんにちょっかい掛けたら、許さないって。本当ならあの女を徹底的に痛めつけてもいい」 淡々とした口調の梓。それでも僕は知っている。 梓が春子に暴力をふるった事を。 「梓。お願いだから暴力は止めて」 「兄さん次第よ」 僕は面食らった。 春子の事なのに、僕次第とはどういう事だろう。 考える。結論はすぐに出た。 「僕に何を求める」 285 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 50 39 ID SQFJUipB 「ふふっ。さすが兄さんね。頭の回転が速くて助かるわ」 嬉しそうに笑う梓。 梓が見逃していた理由。 僕との取引材料になるから。 「本当なら夏美と別れて欲しいけど、兄さんは断るでしょ」 梓の両手が僕の頬を包む。 「私を抱いて」 梓の瞳に浮かぶ感情。鳥肌が立つほどの劣情。 血のつながった兄と一線を越える事を望む梓。 絶対に受け入れられない。 「断る」 「だったらキスして」 梓の顔が近い。白い頬は微かに朱に染まっている。柔らかそうな唇が艶めかしく動く。 「私にキスして。触れて。触って。抱きしめて」 妖しく輝く梓の瞳。 血のつながった兄を見る目ではない。男を渇望する女の目。 「それで今回の事は目をつぶってあげる」 僕は唇を噛みしめた。 血のつながった実の妹に口づけする。 夏美ちゃんを裏切る行為で、禁忌を犯す行為。 「何を躊躇っているの?何回もしたじゃない」 うっとりとした表情で囁く梓。熱い吐息が頬にかかる。 血のつながった妹とは思えない、甘い香り。女の匂い。 思わず梓の肩を押して距離をとってしまった。 「兄さん?」 苛立った梓の声。 「いいの?兄さんはあの女が大切じゃないの?私は別にいいけど」 頬を晴らした春子が脳裏に浮かぶ。 拒否すれば、梓は容赦しない。 「…目を閉じて」 素直に目を閉じる梓。 梓の背中に腕をまわし、抱きしめる。細くて柔らかくて温かい。 顎に手を添え上を向かせる。 目を閉じた梓。綺麗なまつ毛。柔らかそうな唇。 僕は梓にキスした。 啄ばむように何度もキスする。 「んっ、ちゅっ」 柔らかくて温かい感触。 梓の舌が僕の唇を舐める。 「ちゅっ、んっ、ちゅっ」 僕も舌を出して梓の唇をつつく。 「んっ」 震える梓。熱い吐息。 梓は僕の後頭部に両手を添えた。 絡まる舌と舌。ぴちゃ、ぴちゃと唾液の絡まる音が耳につく。 梓はぼんやりとした表情で目を開いた。 快楽に震える梓。うっとりとした表情で舌を絡ませる。 その表情にどうしようもなくイラつく。 僕は梓の唇を割って口腔に舌をねじ込んだ。 「んんっ!?」 驚いた様な梓の声。それを無視して口腔の中を舐めまわす。 梓も必死に舌を絡ませてくる。 「んっ、んっ」 苦しそうな梓の吐息。鼻につく妹の匂い。 その匂いが、信じられないほど甘ったるい。 梓は唇を離した。 「はっ、はっ、はっ」 荒い息をつく梓。 桜色の頬。艶のある長い髪が頬にかかっている。 うっとりとした表情で僕を見上げる梓。 286 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 51 35 ID SQFJUipB 嬉しそうに僕の頬に触れる。 「好き。大好き。兄さん。愛してる」 愛おしげに囁く梓。 「もっとキスして。もっと触って。もっと抱きしめて」 頬を染め囁く梓。 その表情にイラつく。 僕は両手で梓の頬を挟んだ。 そのまま梓の唇を奪う。 「ん!?」 梓の声を無視して口腔に舌をねじ込む。 苦しそうにもがく梓。頬に挟んだ梓の顔を固定し、口腔の中を舐めまわす。 小さくて震えている梓の白い手が、僕の胸を押す。 梓は必死に僕を引き離そうとするけど、できない。その非力さに嗜虐心を感じる。 口腔を滅茶苦茶にする。唇をついばみ、歯茎を舐め、舌を絡ませる。 「んっ!!んー!!んっ!!んんっ!!」 苦しそうにもがく梓を押さえつけ、さらに蹂躙する。 目に涙を浮かべる梓。苦しそうな表情に、背筋がぞくぞくする。 血のつながった実の妹に口づけする背徳の行為と、いつも僕を力で支配しようとする梓を力ずくで押さえつける歪んだ悦び。 気がつけば僕は梓をソファーに押さえつけてのしかかっていた。梓の両手を頭の上に押し付け、顎に手を添え頭を固定する。目に涙を浮かべ苦しそうに身をよじる梓を押さえつけ、口腔を蹂躙する。 僕は梓の口に唾液を流し込んだ。 「んんっ!?んーーーっ!!」 苦しそうに声を漏らす梓。それを無視してさらに唾液を流し込む。 梓の白い喉が苦しそうに動く。必死にこくこくと僕の唾液を呑み込む。 苦しそうに身をよじる梓の目尻から涙がこぼれ落ちる。 僕はゆっくりと唇を離した。僕の下で荒い息をつく梓。 「これでも僕の事を好きって言えるのか」 震える梓。脅えと悦びが混ざった表情。 僕は梓の胸を乱暴に掴んだ。 「いたっ!!いたいよ!!」 身をよじる梓を押さえつけ、乱暴に胸を揉む。 控えめな胸のふくらみを握り潰す。 「やだっ!!ああっ!!ひっ!!」 苦しそうに身をよじる梓の目尻から涙がこぼれ落ちる。 上気した頬。荒い呼吸。押さえつけた細い腕。うるんだ瞳。流れる涙。白くて細い太もも。はだけたスカート。 そこから覗く白い下着は見て分かるほど濡れていた。 「乱暴にされてるのに感じているんだ」 震える梓。 僕に向けられる瞳に込められた感情。 脅えと、紛れもない悦び。 「私、兄さんになら乱暴にされてもうれしい」 息も絶え絶えに囁く梓。 「好きだもの。愛してるもの。兄さんにならどんな乱暴に扱われても嬉しい」 嬉しそうに微笑む梓。その表情に、どす黒い負の感情が沸き起こる。 僕は梓の胸を思い切りつかんだ。部屋に響く梓の悲鳴。 梓に覆いかぶさり、唇を奪う。 苦しそうに身をよじる梓を押さえつけ、胸を掴む。口腔に舌をねじ込む。 柔らかい唇を舌でつつく。歯茎を舐める。舌を絡ませる。 目に涙を浮かべ苦しそうに身をよじる梓の表情が目の前にある。 梓の荒い吐息が頬にかかる。 必死に舌を絡ませる梓。 僕は再び唾液を梓の口に流し込んだ。 苦しそうに飲み込む梓。白い喉が震える。 梓の胸のふくらみを思い切り握る。梓の体がびくりと震える。 頬を染めて僕を見上げる梓。目には涙が浮かぶ。 その瞳に浮かぶ感情。痛みでも恐怖でもない。 紛れもない悦び。 理解できない。 これだけ乱暴に扱っているのに、嬉しそうに微笑む梓が。 僕は手を離した。体を起こし梓を見下ろす。 乱れた艶のある長い髪。めくれたスカートからは細くて白い素足が覗く。 287 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 52 35 ID SQFJUipB 荒い息遣い。控えめな胸のふくらみが呼吸に合わせて上下する。 頬を染めて僕を見上げる梓。脅えと紛れもない悦びの表情。血を分けた妹の、女の表情。 「何で」 不思議そうに僕を見上げる梓。 「何でこんなに乱暴に扱われて、そんなに嬉しそうなんだ。いくら僕の事が好きでも、おかしい」 嬉しそうに微笑む梓。 「何がそんなに嬉しいんだ」 「兄さんが私に夢中になってくれたから」 梓の言葉が胸に突き刺さる。 「夢中になって私に乱暴したじゃない。それが嬉しいの」 苦しそうに身をよじる梓の表情が脳裏に浮かぶ。 僕は、それを見てどう思った? 楽しんでいたのか? 「違う」 「違わないわ」 嬉しそうに微笑む梓。 「だって私の兄さんだもの。血を分けた兄妹だもの。分かるよ。兄さんが考えていることも、感じていることも。嬉しかったんでしょ?楽しかったんでしょ?私を押さえつけていたぶるのが」 楽しそうな梓。 本当に楽しそうに話す。 僕が、血のつながった妹をいたぶるのが、楽しいと。 「違う!」 気がつけば僕は叫んでいた。僕の声は虚しく響く。 梓は何も答えない。愛おしげに僕を見つめるだけ。 全速力で階段を駆け上る。 何とか時間ぎりぎりに教室に滑り込む。既に教室は生徒でごった返している。 「美奈子。ぎりぎりだよ」 「ぜーはーぜーは」 「…まあ落ち着いてね」 クラスメイトと朝のあいさつを交わしながら自分の席に向かう。 途中に夏美を発見。席についてうつむいている。超絶暗い。 周りのクラスメイトが騒がしく話している中、ポツンとしている。 あの日、夏美が爆発して以来、夏美はますます孤立するようになった。 以前のように悪意のある孤立ではなく、腫れものに触れるような扱い。いえ、爆弾扱いといった方が近いかもしれない。 それぐらいあの時の夏美は恐かった。 いつもの明るくて少し子供っぽい夏美からは想像もできない恐ろしさだった。 でも、私は空気を読まない女の子だから、普通に挨拶する。 「なつみー。おはよう」 「…おはよう」 元気のない声。どうしたのだろう。 さらに話しかけようとしたらチャイムが鳴る。 すぐに担任が教室に入ってきた。 私は慌てて自分の席に座った。 出欠をとる担任。 「加原は欠席か?」 訝しげな担任の声。梓の席は空席になっている。鞄も置いていない。 梓、どうしたのだろう。あの子は授業をさぼったりしないし、無断欠席もない。 その時、教室の扉が開いた。 「遅れてすいません」 梓がニコリともせずに教室に入ってきた。 「遅刻だぞ。次から気をつけるように」 「はい」 担任の注意に素直に答え、梓は席についた。 気のせいだろうか。梓はいつも通りの無表情なのに、機嫌がいいように見える。 そんな事を考えているうちに朝のホームルームは終わる。 最初の授業は苦手な英語だ。私はため息をついて教科書とノートを広げた。 チャイムが鳴った時に幸一がいなかった時は、体調不良がぶり返したのかと思ったで。 幸一が遅刻して教室に入ってきた時はほっとしたわ。 朝のホームルームが終わって俺は幸一に話しかけた。 288 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 54 19 ID SQFJUipB 「自分、今日はどないしたん?」 「…ちょっと寝坊して」 少し沈んだ表情の幸一。嘘やな。分かりやすい奴。 ただ、本人がそう言うからには、聞かれたくない内容なんやろう。 多分、梓ちゃんの事。 「困ったら何でも言ってな」 「ありがとう」 そんな事を話しているうちにチャイムが鳴る。教師が教室に入ってくる。 席に戻って教科書を広げる。 一時間目は数学。このクラスは理系やから、数学が得意な奴は多い。 俺は苦手やった。今は得意科目やけど。 昔は俺も幸一も成績悪かった。幸一が赤点キング、俺が赤点エンペラーて呼ばれてた。俺の方が成績悪かった。 幸一の場合は柔道に夢中で授業では寝てばかりだっただけ。俺の場合は両親への反発というガキ臭い理由だった。 俺の両親。二人とも弁護士。かなりのやり手で、自分の事務所を持っている。息子の俺に事務所を継いで欲しいようで、勉強しろと口を酸っぱくして言われ続けた。それに反発して勉強をさぼっていた。 今はそんなガキ臭い理由で勉強をさぼる事は無い。 俺が勉強を真面目にするようになったのは幸一が変わってからや。触発されたんやと思う。理系に進んだんもその影響かもしれへん。 ふと村田の席を見る。 小学校も中学校も同じやったけど、一緒のクラスになる事は無かった。 せやけど村田の事は知っとった。文武両道で美人やから有名やったし、幸一からよく話を聞いた。 こいつら、絶対に付き合ってると思ってたのに。 前を向いて授業を受けている村田。 一目で分かった。こいつ、授業聞いてへん。 心あらずの様子でぼんやりしとる。 いつも真面目に授業を受けとるのに。どないしたんやろ。 幸一を見ると、こいつもぼんやりとしとる。相変わらず沈んだ表情で。 俺は高二になって幸一と村田と三人で同じクラスになった。 まだほんの数カ月やけど、それなりに楽しく過ごしとる。 その楽しい日々が、自分でも分からないぐらいのゆっくりな速さで浸食されている気がする。 気がつけば幸一は元気が無いし、村田の様子もどこかおかしい。 幸一の妹の梓ちゃんも様子がおかしい。突然幸一にべったりになったと思ったら、最近は不気味なほど怖い。 夏美ちゃんの様子もおかしい。あれだけ元気な子やったのに、最近は暗い。 一体何が起こっているのか、俺には分からへんかった。 ずっと後になって考えてみると、分からない方が良かった。 幸一が話せない内容なんも当然な事にこん時の俺は気がついてへんかった。 お昼休みのチャイムが鳴る。 にわかに騒がしくなる教室。僕は席を立った。耕平が近づいてくる。 「幸一。飯は夏美ちゃんと?」 「ああ」 耕平は手をひらひらさせる。 「女の子を待たせたらあかんで。行ってきい」 僕は頷いてお弁当を片手に教室を後にした。 今日は梓と僕でお弁当を作った。梓は自分が持つって言ったけど、断った。 そうすると、また昨日みたいに梓が邪魔してくる。 夏美ちゃんとの待ち合わせは屋上。風はふくし日差しは強いけど、その分人がいない。 今日は暑そうだ。学ランを脱いで来れば良かったかもしれない。 階段を上り屋上への扉を開く。 そこに夏美ちゃんが立っていた。 梓も立っていた。冷たい表情で夏美ちゃんを見つめていた。 「兄さん」 僕に気がついた梓が嬉しそうに駆け寄ってくる。 「お昼、一緒に食べよ」 嬉しそうに笑う梓。その後ろで夏美ちゃんが泣きそうな顔をしている。 「梓。悪いけど夏美ちゃんと食べるから、席をはずしてくれないか」 梓の表情が一変する。無表情に僕を見上げる梓。 「何でなの」 「夏美ちゃんと一緒にいたい」 「私よりも」 「そうだ」 梓の表情が歪む。 289 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 55 28 ID SQFJUipB 「…じゃあ放課後は一緒にいて」 僕は首を振った。 「晩ご飯までには帰るから」 梓はうつむいて唇をかみしめた。 お弁当を持つ手が微かに震えている。 「…何でなの」 絞り出すように梓はつぶやいた。 「何で夏美ばかり。私も兄さんの事が好きなのに」 梓は顔を上げ夏美ちゃんを睨んだ。 「何でなの。何で夏美ばかり」 夏美ちゃんは脅えたように一歩下がった。 「ずっと一緒にいたのに。私の方が兄さんを愛しているのに」 「…違うよ」 夏美ちゃんはぼそりと呟いた。 梓はきっと夏美ちゃんを睨んだ。 「何が違うのよ」 「私だって、私だってお兄さんを愛してるよ!!」 屋上に夏美ちゃんの声が響く。 「私だって好きだよ!!お兄さんを愛してるよ!!お兄さんだって好きって言ってくれた!!」 夏美ちゃんの瞳に光るものがたまる。 「梓はお兄さんの妹でしょ!?一緒に住んでるじゃない!!それなのに何でよ!?何で梓はここまで来るの!?お兄さんが呼んだのは私だけだよ!!来ないでよ!!私とお兄さんの目の前からいなくなってよ!!」 「夏美ちゃん。落ち着いて」 僕は夏美ちゃんの両肩に手をそっと置いた。びくりと震える夏美ちゃん。 「今のは言い過ぎだよ」 僕の言葉に夏美ちゃんはうつむいた。 「梓に謝って」 「…お兄さんは梓の味方をするのですか」 夏美ちゃんの様子がおかしい。顔から血の気は引き、寒いのを耐えるかのように震えている。今にも涙がこぼれそうな瞳は見た事もない光を放っている。 「何でですか。何で梓の味方をするんですか」 夏美ちゃんの声は震えていた。 「確かに梓は呼んでもいないのについてきた。でも、夏美ちゃんも言い過ぎだよ」 夏美ちゃんが口を開こうとした瞬間、屋上の扉が開いて女子生徒が出てきた。 ショートヘアの活発そうな女の子。どこかで見た事があるような気がする。 「あれ?お邪魔でしたか?」 全く申し訳なさそうな口調で僕に話しかける女の子。 「ま、いいや。なつみー。化学の中本先生が呼んでるよ。理科準備室まで来いだって」 女の子は僕が答える前に夏美ちゃんに話しかけた。 随分マイペースな子だ。 「…中本先生が私に何の用なの?」 「さあ。この前の実験さぼったから何か話しでもあるんじゃない?」 夏美ちゃんはちらりと僕を見てすぐに視線を逸らした。 「お兄さん。行ってきます」 「…うん」 夏美ちゃんは僕達に背を向けて屋上を去って行った。 小さな後ろ姿が目に焼きついて離れない。 「あずさー。よかったらお兄さんに紹介してよ」 面倒くさそうに女の子を見る梓。紹介するつもりは無いようだ。 「もー。梓のクラスメイトの堀田美奈子です」 「梓の兄の加原幸一です。妹がお世話になっています」 聞いた事のある名前。夏美ちゃんと仲のいいクラスメイトだったと思う。 「加原先輩」 僕を見上げる堀田さん。真剣な表情。 「夏美、最近疲れているみたいなんです。だから支えてあげてくださいね」 堀田さんの言葉が胸に突き刺さる。 今日の朝、脅されたといえ僕は梓に口づけした。胸を触った。 一線を越えないにしても、性行為と言える事を梓とした。 夏美ちゃんという恋人がいるのに。 「失礼します。さよなら」 堀田さんはそう言って去って行った。 手に柔らかくて熱い感触。 290 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 56 36 ID SQFJUipB 梓が僕の手を握っていた。 「兄さん。お昼を食べよう。そんなに時間もないし」 頬を染め嬉しそうに微笑む梓。 「梓。これだけは言っておく」 僕は梓を見つめた。 「僕が女性として愛しているのは夏美ちゃんだけだ。梓の気持ちには応えられない」 梓の表情が凍る。 僕の手を握る梓の小さな手が震える。 「…そんな事、言わないで」 弱弱しい声。泣きそうな表情。僕を見上げる梓の双眸に光るものが溜まる。 その表情に胸が痛む。 でも、梓の気持ちには応えられない。 僕と梓は兄妹だから。 「…お弁当にしよう」 そう言うのが精いっぱいだった。 二人でベンチに座り、無言でお弁当を食べる。 僕と梓で作ったお弁当。 おいしい。特に梓が作ってくれたおかずが、僕好みの味付けでおいしい。 二人でお昼ご飯を食べていると、屋上の扉が開いた。 耕平だ。僕たちを見つけた耕平は早足に近づいてきた。 「幸一。夏美ちゃんがすごく暗い表情で歩いてたで。大丈夫なんか?」 心配そうな耕平。 「夏美ちゃん、先生に呼ばれただけだよ」 夏美ちゃんが元気の無い理由とは違うけど、本当の理由は言えない。 「先生に?」 不安そうな表情の耕平。 その表情に、何か良くない予感を感じる。 「…その先生ってまさか中本やないやろな。一年生に化学を教えている」 「何で知っている?」 言いづらそうに沈黙する耕平。やがて意を決したように口を開いた。 「クソみたいな噂や。誰が言い出したんか知らへんけど」 耕平が言うには、授業を真面目に出席していた夏美ちゃんが中本先生の授業をさぼったのは、中本先生に父親の面影を見ていて、父親を思い出してしまうからだと。 それを知った中本先生は、夏美ちゃんを狙っていると。 「中本はもともと女子生徒に嫌われとる。ええ年して女子をいやらしい目つきで見るからや。その中本が昼休みに夏美ちゃんを呼びだすなんておかしいで。授業をさぼった関係やったら、担任が担当やし」 「梓はその噂を聞いた事ある?」 「無いわ」 首を横に振る梓。 「耕平。その噂はどれぐらい広まっているんだ」 「俺の感触やと、そんなに広まってはないみたいや。ただ、この手の噂は登場人物を嫌う奴に伝わりやすいから、何とも言われへん」 悪い予感が大きくなる。 僕は立ち上がった。 「中本先生はどこに?」 「多分理科準備室や。案内するわ」 「梓。行ってくる」 「私も行く」 手早くお弁当をしまい立ち上がる梓。 耕平を先頭に階段を下り、廊下を走る。 だんだん人気が少なくなる。お昼休みに理科室や隣接する理科準備室に行く生徒はいない。 「ここや」 理科準備室のプレートが掲げられた教室。 僕はノックせずにドアを開けた。 そこに夏美ちゃんがいた。 呆然と立ち尽くしていた。 乱れた制服の胸元。腫れた頬。 「夏美ちゃん!」 僕は夏美ちゃんに駆け寄った。 「大丈夫?」 返事もなく呆然としている夏美ちゃん。 夏美ちゃんの胸元と頬を確認する。胸元の制服のボタンが外れて、白いブラジャーが微かに覗いている。頬は微かに腫れている。 大した怪我ではない。 291 三つの鎖 25 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/08/16(月) 20 57 36 ID SQFJUipB 僕は学ランを脱いで夏美ちゃんの肩にかけた。 「…おい幸一」 耕平は僕の後ろを指差した。 振り向いた足元に、中年の男が倒れていた。 白衣を着た太った男。 その頭から血が流れていた。 戻る 目次 次へ